OVER LORD~Fallen Angelmemory~ (DDX)
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第一章 異世界へ
Prolog


 

OVER LORD~Fallen Angelmemory~

 

 

DMMO-RPG“ユグドラシル”(Yggdrasil)

 

 

 

西暦2126年日本のメーカーが満を持して発売した仮想世界内で現実にいるかのように遊べる体感型ゲームである。

 

 

 

数多存在するDMMO-RPGの中でも燦然と輝くタイトルとして知られているゲームであり、日本国内においてDMMO-RPGといえばユグドラシルを指すとまで言われる評価を受けていた。

 

 

 

人間種・亜人種・異形種と実に700種類にもなる豊富な種族と基本や上級職業等を合わせて2000を超える職業クラスによる無数の組み合わせで意図的を除いて同じキャラクターはほぼ作れないだけのデータ量に6000を超える魔法の数々。

 

 

 

外装ビジュアルについても、自身のアバターの外装やアイテムの外装・内包データ保有する住居の詳細な設定等が別売りのクリエイトツールを使用することで変化させることが可能だった。

 

 

 

そして極めつけなのはプレイヤー達の前に広がるのは九つある世界からなる広大なマップである。

 

 

 

ユグドラシルは無限の楽しみを追求できるDMMOーRPGとして、今まで戦闘が主になっていたDMMO-RPGとは一風変わった遊び方や懐の深さを持っているのである。

 

 

 

 

 

そんなユグドラシルは爆発的な人気を得た。

 

 

 

 

 

だが・・・

 

 

 

これらも一昔前の話であり、2138年にそれまで12年続いたユグドラシルも幕を下ろす事となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・

 

・・・・

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???side

 

「はぁ・・・今日で最後だなんて・・・」

 

真っ白な部屋に1人の男性がベッドに横たわっていた。

 

男性は上半身を起こしすぐ近く置いてあったヘッドギアのような機械を手に取る。

 

「もうログインしなくて3年近くか・・・こんな身体じゃなきゃ・・・はぁ・・・」

 

男性はヘッドギアを被るとヘッドギアから延びているコードを首筋に付いている機械に差し込む。

 

その瞬間、男性の意識は現実世界から仮装世界(バーチャル)へと移った。

 

「楽しみだな。皆は元気だろうか・・・」

 

仮装世界で男性はとあるメールを開く。

 

「早く会いたいなぁ・・・」

 

メールを見て男性は笑みを浮かべいた。

 

「まさか、長い間ログインしなかった自分にお誘いが来るなんて・・・覚えていてくれてたんだ。」

 

メールにはユグドラシルのサービス終了日に皆で集まりませんかと書かれていた。

 

「さて、時間も無いし早く行かなきゃ。」

 

そして男性の意識はユグドラシルへログインする。

 

「(楽しみだな。“アインズ・ウール・ゴウン(家族達)”に会える。)」

 

 

こうして彼はユグドラシルの世界へ向かって行った。

 

 

しかし・・・

 

 

これが原因で彼の運命の歯車は大きく変わることは・・・

 

 

彼も含め・・・

 

 

誰もまだ知らない。

 

 

 



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chapter1ー1 支配者との再会

 

《ナザリック地下大墳墓》

 

ユグドラシルの悪名高きギルド“アインズ・ウール・ゴウン”のギルド拠点である。

 

地上部分の陵墓に加え地下1〜10階層で構成されており、さらに転移しないと行けない隠し部屋たる宝物殿なども存在する。

 

かつて1500人の討伐隊を退けたこともある難攻不落の要塞である。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

~ナザリック地下大墳墓入り口前~

 

 

 

「ふぅー漸くログインできた。」

 

 

ナザリック地下大墳墓に現れたのは左右に四枚の羽根(計8枚)つけた男性にも女性にも見て取れ、頭上には輪っかがある人物だった。

 

 

「さて、皆さんは何処だろ・・・会議室かな?」

 

 

そう言うと彼?は指輪を取り出した瞬間、姿を消した。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「ふざけるなァッ!!」

 

会議室では1人の人物が苛立ちながら机を殴ると共に怒りのまま叫んでいた。

 

彼の名は“モモンガ”。

 

《アインズ・ウール・ゴウン》の長であり、ナザリック地下大墳墓の主であるアンデットだ。

 

彼は41人の仲間(ギルドメンバー)と力を合わせてこのナザリック地下大墳墓を作り上げたが・・・

 

「みんなで作り上げたナザリック地下大墳墓じゃないか・・・どうして、簡単に捨てられるんだよ。」

 

それも一昔の話であった。

 

41人いた仲間は現実を優先して辞めていったり、現実が忙しくてログインしないなどでアインズ・ウール・ゴウンはモモンガだけとなってしまった。

 

「・・・行こうか。」

 

そう言って立ち上がった瞬間・・・

 

バタン!

 

「いやー!遅くなってスイマセン!!・・・ってモモンガさんだけ?」

 

会議室の扉を開け、入って来た人物にモモンガは唖然とした。

集合を呼び掛けたが一番、来れないだろうと思った人物が現れたからだ。

 

「プ、“プリずん”さん!?」

 

「お久しぶりですね…モモンガさん。」

 

「だっ、大丈夫なんですか!?確か、心臓の病気で・・・」

 

「何を言ってるんですか!!ユグドラシルのサービス終了なんですよ!命掛けてでも来るでしょうがッ!!」

 

「お、落ち着いて!?身体に障りますよ!!」

 

「大丈夫です!これでも“天使”ですから!!昇天なんか朝飯前ですよォ!!!」

 

「いや!それ関係なくないですかぁッ!?ってか天使は天使でもアンタ“堕天使”でしょうがッ!!!」

 

テンション上げ上げのプリずんに対し、そんなプリずんにハラハラするモモンガ…

 

ぐだぐだな再会だが先程までのモモンガからの影はすっかり失くなっていた。

 

「(まったく…プリずんさんは…)」

 

モモンガは思い出していた。

 

彼がいた頃は何かあるとその中心にプリずんがいた。

 

ペロロンチーノとるし☆ふぁーが悪戯してた時も・・・

 

たっちみーとウルベルトが喧嘩して仲裁する時も・・・

 

ぶくぶく茶釜とやまいこと餡ころもっちもちの女性メンバーに混ざり何故か一緒に女子会をやったりしてた時も・・・

 

 

ギルドの仲間達は笑っていたんだ。

 

 

「・・・プリずんさん。」

 

「何です?」

 

 

《お帰りなさい。》

 

 

《・・・ただいま。》

 

 

 

 

chapter1ー1 end

 

 

 

 

 

 

 



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chapter1ー2 異変と改変

「・・・と言う訳で残ったのはプリずんさんだけして。」

 

「・・・そうなんですか。」

 

 

あれからモモンガはプリずんが居なくなってからのアインズ・ウール・ゴウンについて話した。

 

 

最初はテンションが高かったプリずんだがそのテンションは次第に下がっているのが見て解る程だった。

 

 

「でも、仕方がないですよね。皆さんにだって生活がある訳ですし!」

 

「・・・プリずんさん。」

 

 

明らかに無理矢理、明るくしようと振る舞うプリずんに対しモモンガは心苦しくなる。

せめて彼が来ることを知っていれば彼と仲が良かった人達が来たかも知れないのに・・・

 

 

「それにこうしてモモンガさんと再会できたし、モモンガさんがナザリックを守ってくれてたからこうやって自分が来れたんですから・・・」

 

 

《ありがとう、モモンガさん》

 

 

プリずんの言葉はモモンガにとってとても嬉しかった。

そのたった一言でモモンガの心は救われたのであった。

 

「そう言えば・・・モモンガさん先程はどちらに行かれようと?」

 

「あぁ、最後にギルド長としての役目を務めようかと玉座の間へ行こうかと…」

 

「なら、自分もお供しても?」

 

「是非。」

 

そう言うと二人は部屋を出て10階層の玉座の間へ向かった。

 

歩く二人に会話はなかった。

 

二人は歩きながら見る光景を目に焼き付けているからだ。

 

10階層へ到着すると・・・

 

「(あっ、あれは・・・)」

 

プリずんが見つけた先には執事服を着た白髪白髭の男性と六人のメイドが頭を下げ待ち構えていた。

 

「(確か・・・たっちみーさんが作ったNPCの…“セバス・チャン”に戦闘用メイドの“プレアデス”だよな。)」

 

プリずんとモモンガは立ち止まってNPC達の顔を覗いた。

 

「(ゴメンね…今まで会いに来れなくて…本当に…)」

 

心の中でプリずんは謝罪し、玉座に向かおうとすると彼らが後を着いて来た。

どうやらモモンガが着いて来るよう命じていたようだ。

 

そうこうしている内に二人は玉座の間へと着き、玉座への扉は開いた。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

モモンガside

 

 

オレはプリずんさんと共に途中、セバスとプレアデスを付き従え玉座の間へとやって来た。

 

玉座へと入った先にはタブラさんが作ったNPCで守護者統括である”アルベド”が待機していた。

 

玉座の椅子は一つしかないのでオレはギルド武器であるスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを玉座に向け、もう一つの

椅子を用意した。

 

「プリずんさんはそちらにどうぞ。」

 

「ありがとうございます。」

 

そう言ってプリずんさんは椅子にかけた。

プリずんさんが座ったのを確認してオレも座った。

 

「(そう言えば・・・アルベドってどんな設定だったけ?)」

 

ふっと気になったのでアルベドの設定を確認するが設定にやたらこだわるタブラが作った為、長い説明文がズラーっと続いた。

 

「(…長い)」

 

オレは長すぎる文を流し読みするとある文に目が止まった。

 

《ちなみにビッチである。》

 

「(あ~ギャップ萌えだって聞いてたけどさ…これは流石に…)」

 

オレはチラリとプリずんさんを見たが心ここにあらずか呆けていた。

 

「(…よし!)」

 

オレはプリずんさんの目を盗んでアルベドの設定を改変した。

ビッチの欄を削除し、新しい書き加えた。

 

《モモンガとプリずんを愛しいる。》

 

「(ま、まぁ~最後だし良いよな…)」

 

オレは少しドキドキしながら残りの時間を過ごすのであった。

 

 

モモンガside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

残り時間も僅か3分となった。

 

「…そろそろですね。」

 

「えぇ、早いものですね。」

 

二人は玉座の間にあるギルドメンバーの紋様を見る。

 

たっちみー・死獣天朱雀・餡ころもっちもち・ヘロヘロ・ペロロンチーノ・ぶくぶく茶釜・ウルベルト・タブラ・武人建御雷・弐式炎雷・ブルー・プラネット・やまいこ・るし☆ふぁー

 

「…楽しかったですよね。」

 

「えぇ、本当に…楽しかったです。」

 

モモンガの言葉に頷くプリずん…するとプリずんはモモンガにある質問をした。

 

「モモンガさん…もし、また会えたら…また自分を仲間に…「しますよ。」してくれます…かって…え?」

 

プリずんが質問を言い切る前にモモンガは返答した。

 

「…しますよ。探してでも必ずプリずんを仲間に率いれます!」

 

「モモンガさん…」

 

プリずんは礼を言おうとするが既に10秒を切っていた。

だから一言だけモモンガに伝えた。

 

「モモンガさん、また会いましょう。」

 

「ハイ、また…」

 

こうして二人は静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ん?…あれ??」」

 

 

 

目が開けた先には現実ではなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter1ー2 end

 

 

 



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chapter1ー3 驚愕

 

「(なっ、なんだ!?いったいどうなって・・・)」

 

プリずんは困惑していた。

 

サービス終了時間を過ぎたというのに自分の目の前に写る光景はあの真っ白な部屋ではなく、ナザリックの玉座だからだ。

 

「ッ!?(GMコールが繋がらない!それにコンソールも開かないし、どうなっているんだ!!?)」

 

明らかな異常な状態に困惑するプリずん。

すると・・・

 

「どうかなさいましたか…モモンガ様、プリずん様。」

 

プリずんでもモモンガでもない第三者が二人に話しかけた。

聞き慣れない声に振り向くと・・・

 

「あのォ…プリずん様?」

 

NPCである筈のアルベドが心配そうな顔でこちらをみていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(キャアアアッ!!NPCが喋ったァァァッ!!?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

喋ることなどない筈のNPCが喋った事に驚愕するプリずんの精神はズタボロになりかけていた。

 

なんとか冷静になろうと気を落ち着かせようとすると・・・

 

「アルベド、GMコールが利かないのだが・・・」

 

モモンガがGMコールについてアルベド質問したがアルベドは解らないようでモモンガとプリずんに謝罪した。

 

それに対し、モモンガは冷静に対処する。

 

「(あれ?モモンガさん…意外に冷静??)」

 

モモンガが冷静なことに不思議に思うプリずん。

ただ単にモモンガがアンデットな為、精神作用無効が働いていることに気付いていない。

 

「セバス。」

 

「はっ!」

 

「大墳墓を出てナザリック周辺地理を確認せよ。」

 

「かしこまりました。モモンガ様。」

 

モモンガがセバスに命じ、セバスが玉座を出ようとすると・・・

 

「待て、セバス。」

 

プリずんがセバスを呼び止めた。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

プリずんside

 

 

 

モモンガさんがセバスに外を調べるよう指示を出したので自分も着いて行こうと思い、セバスを呼び止めた。

 

「待て、セバス。(待ってよ!セバス・・・ってあれ?)」

 

慌て呼び止めた筈が自棄に落ち着いた声で呼び止めていた。

 

「なんでございましょう。プリずん様。」

 

呼び止められたセバスは振り向えり、自分を見てきた。

 

「我も行こう。(自分も行って・・・って!なんだこれ!?)」

 

自分の話し方がおかしくなっていることに漸く気付いた。

 

「(もしかして・・・“折れぬ傲慢”の効果かァ!?)」

 

《折れぬ傲慢》とは堕天使の最上級にしか修得できない常時発動型特殊技術(パッシブスキル)であり、傲慢な意思を持つことで他者からの毒・病気・睡眠・麻痺・即死無効といったスキルや魔法を無効にする効果がある。

 

アンデットにも同じ効果のスキルがあるがそれとの違いはスキル発動中はプレイヤーのセリフ(会話)が傲慢なモノに変化するというユグドラシルらしい意味不明なモノ。

 

だがそのスキルはONOFFできる筈なのだがONのまま固定されていた。

 

 

 

「御言葉ながら…プリずん様が動く必要は…」

 

「…我に意見する気か?(ダァァァッ!!ゴメンねセバスゥゥゥッ!!)」

 

ぶわッ!!

 

その瞬間、自分から黒い霧のようなモノが涌き出た。

それに対し、セバスの顔色が青ざめた。

 

「失言でございました…申し訳ありません。」

 

謝罪するセバスに申し訳なくなった自分はセバスの前に立ち…

 

「良い。気にするでないセバス。」

 

「はっ!ありがとうございます。…しかし、プリずん様の御身に何かあってはいけません。何人か護衛を付けるべきと進言致します。」

 

セバスの言葉に納得した。

 

「(確かに…この状況ですら異常なのに外がどうなってるか解らないもんな。)ならば…ユリ・アルファ!」

 

「ハイ。」

 

「ナーベラル・ガンマ!」

 

「はっ!」

 

「ルプスレギナ・ベータ!」

 

「ハイっす!」

 

自分がプレアデスの3名を呼ぶと3人は自分の前に来た。

 

「貴女ら3名に我の護衛を命じる。残りのプレアデスは9階層へ向かい異常がないか確認し、警戒体制を取れ。」

 

「「かしこまりました。」」

 

そして先程とは別のプレアデス達はそれぞれの持ち場へ向かっていった。

 

「…では、我が友よ。後は頼む。」

 

そう言って自分はプレアデス3名を抱きしめ、セバスの肩に手を起きそのまま外へ転移した。

 

転移する直前…何か背中がゾッとしたのは気のせいだろうか?

 

 

 

プリずんside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「よし、着いたな。」

 

大墳墓の外に着いたのを確認し、プリずんは抱きしめていたユリ達を離し、セバスの肩に置いてた手を退けた。

 

その瞬間だった。

 

ピクッ…

 

「なんだ…これは…匂い?」

 

匂いなど存在しない筈のゲームに不思議ながらもプリずんは匂いがする方へ足を動かした。

 

その先には…

 

「なッ!!これは…!?」

 

目の前に広がる光景にプリずんは驚愕した。

何故なら…

 

 

「“星”だと…」

 

 

夜空に広がる一面の星々と…

 

地平線が見える草原だった。

 

 

 

 

 

 

 

chapter1ー3 end

 



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chapter1ー4 涙

 

 

セバスside

 

 

「これは…」

 

私は至高の御方であるプリずん様とプレアデスの3人と共に大墳墓を出て周辺地理を確認に来ましたが…

 

「本来はナザリック周辺は毒の沼地であった筈ですが…一体何が…」

 

見渡す限りの草原に周辺に知性を持つ存在を確認できない。

 

「周囲一キロは草原ばかり…人口な建物も無いようです。いかが致しますかプリずん様…プリずん様?」

 

後ろに控えられるプリずん様に振り替えるとプリずん様は空をジッと見つめ続けていた。

 

「プリずん様…如何なさいましたか?」

 

プリずん様の様子が可笑しいこと気付いたユリがプリずん様に声をかけた瞬間・・・

 

バッ!!

 

「プリずん様!?」

 

「何処に行くっすか!?」

 

プリずん様は突如、翼を広げ空へと飛び出したのだ。

突然のことにナーベラルとルプスレギナが叫ぶ。

 

すぐに我々もアイテムや魔法を使い、プリずん様を追う。

 

雲を抜けた先にプリずん様は居られた。

 

「プリずん様、どうなさ…れ……」

 

この先の言葉をこの時の私は忘れてしまった。

何故なら…

 

 

「……………」

 

 

振り替えられたプリずん様の瞳から涙が流れていたのだから…

 

 

 

セバスside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

プリずんside

 

 

 

「星…これが……本物の………」

 

 

自分の心は未知の感情に溢れていた。

 

真っ白なあの部屋では見ることはできない。

 

6階層の空とも違う…

 

「………冷たい。」

 

初めて感じる夜風…

 

初めて嗅いだ草原の匂い…

 

初めて見る夜空…

 

なんて…なんて……

 

「プリずん様…如何なさいましたか?」

 

ユリが何か言っているが頭に入らない。

気づけば空を飛んでいた。

 

「(何故か解らないけど解る…飛び方も…魔法も…全部!)」

 

雲を抜け、目の前に広がるのは先程よりも広がる星と満月だった。

 

 

「なんて…美しいんだ。」ボソッ

 

 

 

あぁ…そういうことか……

 

自分は…いや、“オレ”は……

 

 

 

「プリずん様、どうなさ…れ……」

 

後を追って来たんだろうセバスに振り替えるとセバス達は目を見開いていた。

 

その時、目から何かが溢れ落ちていることに気付く。

それに触れ漸く理解した。

 

 

感激しているのだと…

 

 

プリずんside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

「ふっ…とんだ失態を見せたな。」

 

「いえ、とんでもございません。」

 

そう言うとプリずんは目の前の光景を再び眺める。

 

「この光景をどう思う…セバス・・・・・」

 

「とても美しいかと…ですが……この美しさはプリずん様が居られるからこその美しさだと思います。」

 

「口が上手い奴だな…ユリ、ナーベラル、ルプスレギナ。オマエ達はどうだ。」

 

セバスの後ろに待機していた3人にプリずんは問いた。

 

「ボ…私もセバス様と同じでございます。」

 

「ハイ…この美しさは至高なる御身にこそ相応しいモノだと思います。」

 

「寧ろ、プリずん様が居られるからこそ美しいんだと思います!」

 

プレアデスの3人の言葉にプリずんは…

 

「そうか…“感謝”する。」

 

「「ッ!!?」」

 

プリずんからの感謝という言葉に4人は身震いした。

甘い甘美な声で誘惑されたかのような言葉に特にプレアデスの3人は顔が真っ赤に染まっていた。

 

「さて…セバス。貴様に命じる…我が友モモンガにこの現状を報告しに行け。」

 

「ハッ!!プリずん様は…」

 

「我はまだ確認すべきことがある。その為、プレアデス3名は引き続き我に付き従え。」

 

「「かしこまりました。」」

 

こうしてセバスはモモンガの下へと向かった。

 

「それでは…始めようか。」

 

 

こうしてプリずんの確認作業が始まるのであった。

 

 

 

chapter1-4 end

 

 

 

 

 



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chapter1-5 羞恥

 

ユリ・アルファside

 

 

「それでは…始めようか。」

 

ボ…ゴホン!私達の至高なる方々の一人であるプリずん様の命により私の他にナーベラルとルプスレギナが待機している。

 

「では…ルプスレギナ。此方に来い。」

 

「ハイ!」

 

プリずん様に呼ばれたルプスレギナはゆっくりとプリずん様の前に行く。

 

「それではルプスレギナ…いくぞ。」

 

「ハイ?…ッ!!?」

 

「「なッ!?」」

 

次の瞬間、私とナーベラルは目を疑った。

何故なら…

 

「動くなルプスレギナ。」

 

「まっ…あッ!……プッ!…プリ……ず……んん!!…ひゃ!!…アンッ!!…くゥゥゥッ!!……ハァハァ……」

 

至高なる御方であるプリずん様がルプスレギナを“撫で回し”しているからだ。

 

「…羨ましい。」ボソッ

 

ナーベラル…声が出ているわよ。

 

「(…私も羨ましい。)」

 

 

 

ユリ・アルファside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

 

「(感触…体温…ともにユグドラシルでは無かった機能だ。)」

 

プリずんはこの世界とユグドラシルの違いを調べるためルプスレギナに触れて調べてみた。

 

「(ユリは《デュラハン》でナーベラルは《ドッペルゲンガー》だからな~体温とかあるのか解らないし…その点、ルプスレギナは《人狼》だから間違いなく大丈夫だろ。)」

 

どうやら安直な考えでルプスレギナを選んだようだ。

 

「(それにしても動物とか撫でたことないから解んないけどこんな感じで合ってるのか?…なんかルプスレギナの表情がヤバいことになってんだけど…)…ルプスレギナ、大丈夫か?」

 

「ハァハァ……ふゅ…ふゅひすん………ざま…ハァハァ…」

 

結論からいうとヤバそうだ…っと言うよりガチでヤバい。

 

ルプスレギナの表情は限りなくダラしなくなっており、顔色は真っ赤で口からは涎が垂れ流し、目は潤んだ状態だった。

 

簡単に言うと発情状態である。

 

 

「(…うん、ヤバい。やり過ぎた。)」

 

 

流石にやり過ぎたことを痛感したプリずんは撫でる手を止めた。

 

「…あっ。」

 

手を止めたこと寂しそうな目で見つめるルプスレギナ。

 

「もうよい…下がれ。次は…ナーベラル。」

 

「ハッ!!」

 

すると一瞬と言っていいくらいにナーベラルはプリずんの前へと来た。それと同時にルプスレギナはユリに引っ張られ後ろに下がっていた。

 

「(早ッ!?)…ナーベラル。適当で構わんから今、使っている《飛行(フライ)》以外の魔法を使用してみよ。」

 

「えっ…」

 

「(どうしたんだ?)…どうしたナーベラル・ガンマ。」

 

「いえ…ただいま。」

 

プリずんの指示に唖然とした表情をするナーベラルに不思議に思ったプリずんは問うがナーベラルは問題ないと返した。

 

「それでは《兎の耳(ラビッツ・イヤー)》!《兎の足(ラビッツ・フット)》!《兎の尾(バニー・テール)》!」

 

「ッ!?(オイ!その魔法って!!)」

 

ナーベラルが魔法を発動すると・・・

 

「い、如何でしょうか…プリずん様。」

 

ナーベラルの姿はメイド服からバニースーツ姿へと変わっていた。

 

「うむ…よいぞ…ナーベラルよ。(なんで“兎さん魔法”なんだァァァッ!?)」

 

兎さん魔法とは《兎の耳(ラビッツ・イヤー)》《兎の足(ラビッツ・フット)》《兎の尾(バニー・テール)》の3つのことであり、この3つは同時発動すると使用者の服装が変わるという隠し効果がある。

 

「そ、それでしたら…プリずん様!私にも…その……」

 

何か言いたげのナーベラルであったが…

 

「(あぁ…ヤバい…これはヤバい…弐式さんに怒られるかも…)よくやったナーベラルよ…下がれ。」

 

その言葉にナーベラルは落ち込みトボトボとユリ達の下まで下がった。

 

「最後にユ…」

 

最後にユリを呼ぼうとした瞬間、頭の中で電話の着信音のような音が鳴り響いた。

 

「(これは《伝言(メッセージ)か。)…誰だ?」

 

『オレです…プリずんさん。』

 

「我が友か…どうかしたのか?」

 

《|伝言《メッセージの相手はモモンガからであった。

 

『なんか話し方が変ですが…もしかして・・・』

 

「あぁ、《折れぬ傲慢》が原因だろう。それよりも何かあったのか?」

 

『セバスから報告を受けたのでプリずんさんもこちらに来てほしいんですが…』

 

「解った。すぐに向か…」

 

すぐに向かおうと言おうとしたプリずんだが何故か悲しそうにこちらを見てるユリを見て言葉を失った。

 

『?…プリずんさん??』

 

「あぁ、友よ…少し待っていてくれ。」

 

そう言うとプリずんはユリに振り替える。

 

「友から呼び出しがあった。その為、最後に簡潔な命を出す。ナーベラル・ルプスレギナ。オマエ達も来い。」

 

その言葉にナーベラルとルプスレギナはめっちゃ良い笑顔でこちらに来た。

 

「それでは…(うーん…絶対にやらなそうな指示を出したいんだけど何が良いか…そうだ!)…3人共、“スカートを捲って見せよ”。」

 

流石にこんなことやらないだろうと指示を出したプリずんだが…

 

「「かしこまりました!」」

 

そう言って3人はスカートを捲ってプリずんに見せた。

 

 

 

「・・・・・・・・・」

 

 

しばらく沈黙するプリずん…

 

 

そして…

 

 

 

 

 

 

「下着を穿け!バカ者共がァァァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

プリずんの叫びがコダマするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter1-5 羞恥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

『下着を履け!バカ者共がァァァッ!!!』

 

「はぁッ!?下着!?ちょッ、一体なにしてるんですかプリずんさん!!プリずんさーーーん!!!」

 

プリずんの叫びに無駄に精神抑制が発動するモモンガであった。

 

 

 

 

 

 



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chapter1-6 守護者と謝罪

 

「「大変、申し訳ございません…」」

 

プリずんに叱られた3人は今後は下着を着用するようプリずんに(強制的に)命じられた。

 

「もう、よい。…それよりも、ユリ。」

 

「ハイ。」

 

「我はこれから友が居る6階層へ向かう。オマエ達は“裏”へ向かい第2と第6を除いた“裏階層守護者”を6階層に来るよう伝えて来い。」

 

「かしこまりました。…その後は?」

 

「9階層にいる他のプレアデスと共に警戒体制をとれ。」

 

そう言い残し、プリずんは6階層へと転移した。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

モモンガside

 

 

いま、オレの目の前には階層守護者である5人と守護者統括であるアルベドが集まっていった。

 

「モモンガ様、第4並びに第8階層を除いた守護者達が揃いました。」

 

代表としてアルベドが報告するため前に出た。

 

「うむ、ご苦労であったアルベド。」

 

「勿体ない御言葉です…モモンガ様。」

 

そう言ってオレは階層守護者達へ目を向けた。

 

 

「では…シャルティア。」

 

「ハイ、モモンガ様。」

 

 

 

シャルティア・ブラッドフォールン。

 

 

ナザリック地下大墳墓1階層から3階層の“墳墓”の守護を任された階層守護者であり、真祖の吸血鬼“トゥルーバンパイア”である。

 

エロゲーをこよなく愛し“エロゲーイズマイライフ”を自身のテーマとする駄目人間と言えるペロロンチーノによって創造されたNPCである。

 

 

「コキュートス」

 

「ハッ!此処二…」

 

 

コキュートス。

 

 

 

ナザリック地下大墳墓5階層“氷河”の守護を任された階層守護者であり、武人武御雷によって創造されたNPCである。

 

昆虫を思わせる外見をしており常に周囲に冷気を放っており、本人もまた武人という設定である。

 

 

「アウラ、マーレ。」

 

「ハイッ!」

 

「は、ハイ…」

 

 

 

アウラ・ベラ・フィオーラにマーレ・ベロ・フィオーレ。

 

 

ナザリック地下大墳墓6階層“ジャングル”の守護を任された階層守護者で二人は姉弟であり、ペロロンチーノの姉であるぶくぶく茶釜に創造されたNPCである。

姉のアウラは活発で弟のマーレは気弱な性格という設定された“ダークエルフ”の双子である。

 

因みにマーレは男の子だが“オトコノコ”でもある。

 

 

「デミウルゴス。」

 

「至高なる御身の前に…」

 

 

 

ナザリック第七階層“溶岩”の守護を任された階層守護者。至高の四十一人において、最も”悪”という言葉に拘ったウルベルト・アレイン・オードルによって創造されたNPCである。

巧言令色を弄し、人間を陥れ破滅に追いやることを悦びとする悪魔で防衛戦の指揮官という設定からナザリック最高の頭脳の持ち主の一人として数えられる存在だ。

 

 

「守護者達よ…よくぞ集まってくれた。」

 

 

「勿体ない御言葉でありんす。」

 

「我々ハ至高ナル御方々に仕エル身…」

 

「至高なる御身でありますモモンガ様の命は我々、守護者にとって幸福でございます。」

 

 

オレの言葉にシャルティア、コキュートス、デミウルゴスが返事を返した。

 

その時だった。

 

 

「遅れまして申し訳ない。」

 

 

守護者達が後ろに振り向くと4人の人物が現れたのだ。

 

 

 

モモンガside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

突如、現れた人物達にモモンガが声をかけた。

 

「“裏階層守護者”達か…」

 

《裏階層守護者》

 

通常のナザリックの攻略とは別に存在するクエストで彼らを守護するはアインズ・ウール・ゴウンの“裏ボス”であるプリずんを守るために創造されたNPCである。

 

彼らはプリずんと彼と仲の良かった他のメンバー達によって設定された階層守護者達と互角とも言える実力を持った守護者だ。

 

「待たせたな。」

 

「「プリずん様!!?」」

 

モモンガの隣に転移してきたプリずんに階層守護者達は驚愕していたがプリずんがいることを知っていたアルベドと裏階層守護者達は特に驚いた素振りを見せてなかった。

 

すると裏階層守護者達は守護者達の横へと並びプリずんとモモンガにひれ伏した。

 

「裏階層第一の間、守護者“グレン”。」

 

「同じく、第一の間、守護者“メルーガ・ルルガ”。」

 

「裏階層第三の間、守護者“ローズ・ナイト”ですわ。」

 

「裏階層第五の間、守護者“レオパルド”。」

 

 

「「我等が父、プリずん様並びに至高の存在の1人であるモモンガ様に忠誠を!!」」

 

突然の忠誠の言葉に唖然と他のメンバーだがいち早く動いたのはプリずんだった。

 

「うむ、よくぞ集まってくれた。さて…」

 

そう言うとプリずんは驚くべき行動をした。

 

それは…

 

 

「すまなかった…この場で謝罪する。」

 

 

その場で頭を下げ、謝罪したのだから…

 

 

 

 

 

chapter1-6 end

 

 

 

 

 

 

 



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chapter1-7 居場所と眠り

 

「すまなかった…この場で謝罪する。」

 

突然のプリずんの謝罪に誰もが困惑するしかなかった。

だが精神抑制が働いたモモンガがいち早くプリずんに問いた。

 

「プリずんさん!?どうしたんですか急に…」

 

モモンガの問いにプリずんは頭を上げないまま答えた。

 

「…我は長い間、オマエ達を放置していた。我がこうして戻って来たきっかけも我が友の言葉があったからこそだ。」

 

プリずんは心から後悔していた。

 

自分の心の支えであった仲間達との別れ…

 

もし、自分の体がこんなんでなければと何度も思った。

 

再会できると思い来てみれば孤独に1人のみでナザリックを守っていたのはモモンガだけだった。

 

「友1人に責務を押し付け…尚且つ、我はオマエ達に辛い思いをさせていたであろう。」

 

そんななか、彼らは意思を持った。

少なからずプリずんは彼らと話、触れあったことで彼らにも感情があると悟ったからこそ…

 

プリずんは“折れぬ傲慢”が発動していても彼らに頭を下げることができたのだ。

 

「…本当にすまな…「頭をおあげ下さい。プリずん様…」…アルベド。」

 

プリずんの隣に立ち優しく肩に手を添えたアルベドは言葉を続けた。

 

「どうか謝らないで下さい。至高なる方々の1人で貴方様が…そのような顔をすれば私たちは…余計に悲しくなります。」

 

「アルベド…だが……我は……「アルベドの言うとおりだ。」……友よ……」

 

隣に立っていたモモンガがプリずんに語りかける。

 

「私は押し付けられたなんて思っていません。寧ろ、頼ってくれたと思ってます。…それに」

 

するとモモンガはアルベドが触れている反対側の肩に手を添えた。

 

「…貴方は来てくれた。もし、貴方が居なければ私は本当に1人ぼっちになるところでした。」

 

「我が友よ………」

 

「そ、そうですよ!」

 

「ま、マーレ!?」

 

プリずんを励ますモモンガに気弱な筈のマーレが大声を上げた。

その隣にいる姉であるアウラですら驚愕した。

 

「よ、よく解らないこともありますけど…でも!!ボク、プリずん様が帰って来てくれて嬉しいんです!!」

 

「そ、それなら私だって!プリずん様が帰って来てくれて嬉しいんだからねぇ!!」

 

「マーレ……アウラ………」

 

「私モ、プリズン様ノ帰還二歓喜シテオリマス。」

 

「……コキュートス」

 

「私も愛しき御君であるプリずん様に会えて喜んでありんすぇ」

 

「……シャルティア」

 

「至高なる御身に仕えるのは我々には最大の喜びなのです。プリずん様が頭を下げる必要などございません。…それに私もプリずん様にお会いでき歓喜しております。」

 

「デミウルゴス…オマエまで……」

 

“折れぬ傲慢”により表情には出てないがプリずんの心は何かに満たされていた。

 

「………そうか。」

 

プリずんはまるで付き物が取れたような顔をし…

 

 

「……ありがとう……」ニコッ

 

 

綺麗な微笑みを皆に向けた。

 

 

ボンッ!!!

 

 

その瞬間、笑顔をみた守護者達の顔が一気に真っ赤に染まっていた。あのデミウルゴスさえ真っ赤になりコキュートスなんて口?をめっちゃガチガチさせていた。

 

「なっ、ど、どうしたのだ?」

 

守護者達の様子に困惑するプリずん。

 

「……もしかして・・・プリずんさん。“色欲の眼”が発動したんじゃ………」

 

「…あっ。」

 

“色欲の眼”

 

堕天使が持つスキルの1つ。プレイヤー又はNPCに対し魅力の効果を与える。このスキルには防御系の魔法やアイテムなどの効果を耐性無効にでき、自分よりステータスが低い相手は防げないといったチート設定がある。

 

つまり………

 

「「プリずん様ァァァッ!!」」

 

守護者1名+統括、発情状態へ………

 

「(さっきまでの感動を返せェェェッ!!!)」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「くっ、酷い目にあったわ…」

 

「お疲れさまでした。我が父、プリずん様。」

 

なんとか暴走した二人を黙らせたプリずんに声をかけたのは裏階層守護者であるグレンであった。

 

「グレン…よく来てくれた。」

 

「我が創造主であるプリずん様の命ならば何処へでも参ります。………ですが」

 

言葉を詰まらせたグレンにプリずんはあることに気づく。

 

「グレン、我は確か第2と第6を除いた守護者達“全員”に来るよう指示を出した筈だが他の裏守護者はどうした。」

 

裏階層は1つの間に二人の守護者が存在するのだがこの場にいるのは四人だけだった。

 

「それが……他の裏守護者たちは目覚めておりません。」

 

「………はッ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter1-7 居場所と眠り end

 

 

 

 

 



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chapter1-8 再確認

 

「…どうするべきか。」

 

あれから守護者達からの忠誠の義やらモモンガさんからの現状について説明や今後の話などあったがプリずんはそれどころではなかった。

 

「何故、他の裏守護者が機能を停止しているんだ…」

 

ナザリック地下大墳墓に隠れステージなる裏階層の守護者が四人を除き機能が停止しているのだ。

 

「とにかく、状況を知る必要がある…《伝言(メッセージ)》。」

 

プリずんは伝言(メッセージ)を使いある人物に連絡を取った。

 

『ハイ、プリずん様。』

 

「メルーガ、これから裏階層に向かう。第一の間はグレンに任せ我の護衛に付け。」

 

『……………』

 

「メルーガ?」

 

メルーガからの返事がない事に不思議に思うプリずんだが…

 

『かしこまりました…直ちにそちらへ。』

 

「?…そうか…頼んだぞ。」

 

遅れて返事を返したメルーガに不思議に思うもプリずんは気にせず《伝言(メッセージ)》を切った。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

メルーガside

 

 

 

「………う、ウフフフフフ!!プリずん様!!!プリずん様からのお呼び出しだわ!!あぁ~愛しき我が主!!貴方様の美しい黒髪!!整ったその顔!!魅力する瞳に匂い!!もう私の○○○は○○○に○○○になっておりますわァァァッ!!!あぁ…愛しき貴方様に付き従える喜びに私は…私…ハァ~!!」

 

私は歓喜した私の創造主であるプリずん様…

 

貴方様は私の父であり、私の愛しき御方…

 

 

メルーガ・ルルガ

 

 

彼女を創ったのは確かにプリずんだが彼女の設定したのはアルベドの創造主のタブラ・スマラグディナとルプスレギナの創造主である獣王メコン川の二人である。

 

彼女もプレアデスのルプスレギナと同じ人狼(ワーウルフ)であるが獣王メコン川とタブラが創ったその設定がヤバかった。

 

彼女の容姿は葵色の髪に白い肌で氷を思わせる美女だがギャップ萌えであるタブラによりその性格は表ではキリッとした聖女のような振る舞いをするが裏では主人であるプリずんには痴女の如しの変態であり、獣王メコン川が設定した他人には隠れドSだが主人にはドMという設定にされ文字通りの変態になっていた。

 

 

「ハァハァ……あら、いけない。早くプリずん様の下へ向かわなくちゃ。」

 

 

私は服を着替え直して、直ぐ様にプリずん様の下へ向かった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

~裏階層・第二の間~

 

 

 

フォン!!

 

 

 

「お待ちしておりました…プリずん様。」

 

「うむ。よくぞ来たメルーガ。」

 

第二の間の前に転移して来たプリずんをメルーガが待機していた。

 

「む?…メルーガ、顔が赤いが何かあったのか。」

 

顔が赤いことに気づくプリずんはメルーガの顔を覗きこんだ。

 

「……問題ありません。(ちっっっかァァァァァい!あぁ!!プリずん様の吐息がァァァッ!!ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい濡れちゃうゥゥゥゥゥッ!!!」

 

ポーカーフェイスのメルーガにプリずんは不思議に思いながらも納得した。

 

「それでメルーガ。“マグナ”と“デューク”は何処にいる?」

 

「ハイ。第二の間に…」

 

メルーガの問いにプリずんは第二の間の扉を開くとその中心には金色の鎧と銀色の鎧を纏った騎士の姿の二人がいた。

 

「マグナ……デューク………」

 

二人の名を呼ぶプリずんだが二人は反応しない。

 

「何故だ…何故、オマエ達だけがァッ!!!」

 

「……プリずん様。」

 

動かない我が子に怒りと悲しみの咆哮をあげるプリずんに悲しそうな表情するメルーガ。

 

「………すまぬ。失態をみせたな。」

 

「とんでも御座いません。」

 

メルーガに心配させてしまったことに謝罪したプリずんは金色の鎧の騎士である“マグナ”に触れた。

 

その時だった。

 

 

ギュゥゥゥンッ!!

 

 

「なッ!!これはッ!!?(MPが吸われている!?いやHPもかッ!!)」

 

「プリずん様ァァァッ!!!」

 

突如、マグナからHPとMPを吸収される。手を離そうにも力が入らず離れることができない。

 

ドックン…

 

「だ…めだ………いし…き………が…………」

 

 

そしてプリずんは意識を失った。

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter1-8 再確認 end

 

 

 



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chapter1-9 守りたいモノ


遅くなりました。

何度か書き直して漸くできました。


 

 

・・・・・夢を見た気がする。

 

 

あの真っ白な部屋で過ごし、死んでいた“オレ”を救ってくれたあの人の夢・・・・・

 

 

恵里(えり)さん…」

 

 

優しい微笑みをオレに向けてくれた彼女はオレに背を向け、何処かへ向かって歩き出す。

 

 

「恵里さん!待って!!まだオレは貴方に何もッ!!」

 

 

オレは彼女を呼び止めると彼女はゆっくりと振り返り・・・

 

 

「もう、君は鳥籠の鳥(prison)じゃないよ。これから先は君が選ぶの…」

 

 

恵里さんは“あの時”と同じように優しい声でオレに語りかけた。

 

 

「・・・でも、1つ・・・1つだけ約束して。どんなことがあっても君が後悔しないで…君が望む…君だけの未来を…」

 

 

そう言うと何処からか霧が現れ彼女を覆い隠した。

 

 

「・・・自由に生きて。」

 

 

そしてオレは意識を失った。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「・・・え……り…さん……ん?」

 

目覚めるたプリずんがいた場所は第二の間ではなくナザリックにある彼の部屋のベッドの上だった。

 

「夢…なのか?……それにしても我は何故………」

 

何故、自分の部屋にいるのか疑問に思った瞬間…

 

ガタッ

 

部屋の扉が開いたのでプリずんはそちらに目を向けるとこちらを見て驚愕するアルベドがいた。

 

「アルベ…「プリずん様!!」…ッ!?アルベド!!?」

 

突如、アルベドはプリずんに抱きついてきた。

 

突然のアルベドの行動に驚愕するプリずんだが“折れぬ傲慢”により直ぐ様に冷静になった。

 

「落ちつけ、アルベド。」

 

そう言うとアルベドはハッと呟くと直ぐ様、プリずんから離れた。

 

「申し訳ありませんプリずん様。」

 

「良い…それよりも我は何故、此処で寝ていたのだ?我に何があったか話せるか?」

 

「それに関しては“本人”からお伝え致します。」

 

アルベドがそう言うと再び部屋の扉が開いた。

 

「し、失礼致します…“お父様”。」

 

入って来たのは褐色の肌に金色の髪の人物であった。

見た目ではアウラやマーレに似た容姿であった。

 

「“マグナ”!?“マグナス・ホープ”なのか!!」

 

 

 

マグナス・ホープ

 

 

 

プリずんが作成した第二の間を守護する裏階層守護者の一人であり、アウラとマーレの創造主であるぶくぶく茶釜が設定したNPCである。

 

愛称はマグナと呼ばれている。

 

マグナは両性具有のダークエルフであり、女性であり男性でもある。鎧を装備してない時はマーレのように気が弱いのだが鎧を装備しているとアウラのように気が強くなる設定がある。

 

 

「マグナ…何故…「ごめんなさいお父様!!」…マグナ?」

 

マグナを心配したプリずんだが突然、謝罪するマグナに困惑するプリずんであった。

 

「ボクのせいでお父様が倒れて…2日も眠り続けて…もう目覚めないかと考えたらボクは…ボクは!!」

 

2日も眠っていたことに内心、驚いていたが泣きながら謝罪するマグナに何かを思ったのかプリずんは起き上がりマグナの前にたった。

 

「マグナ…泣くのを止めよ。」

 

マグナの涙をプリずんは優しく指で拭った。

 

「お父様…でも……」

 

「我にとってオマエやアルベド…このナザリックにいる者たちはかけがえのない我の宝なのだ。オマエ達は我にとって失ないたくない程、守りたいモノなのだ。」

 

その言葉にマグナは勿論、側にいたアルベドですら驚愕した。

 

「我は昔、孤独だった。…多くは語れないがそんな我を救ってくれた人がいた。」

 

プリずんは思い出していた。

 

自分を救ってくれた彼女のことを…

 

彼女の願いを…

 

「我はな…マグナ…後悔したくないのだ。我は我がしたことを正しかったと信じたいのだ。だから…自分のせいだと謝らないでくれ。泣き顔ではなく笑った顔を見せておくれ。」

 

その瞬間、マグナの涙腺が崩壊した。

 

泣き崩れたマグナをプリずんは優しく抱きしめた。

 

 

ハァハァハァハァ

 

 

「「?」」

 

 

荒い吐息が聞こえ、プリずんとマグナは振り向くと狂喜な笑みをしたアルベドがプリずんに突撃してきた。

 

「あ、アルベド!?どうし…「プリずん様!!あぁ、もう私は我慢できません!!あんなお優しい御言葉と笑みを見せられたら私は私はもう!!」落ち着け!ちょ、アルベド!!何処を触っている!?服の中に手を入れるなァァァッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

chapter1-9 守りたいモノ end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

 

 

「離してェェェッ!!私がプリずん様の介護をするのォォォォ!!プリずん様のお身体を私の○○○で○○○して○○○するんだからァァァァァッ!!!」

 

「ちょ、いい加減に落ち着くでありんす!!」

 

「プリずん様ノ眠リノ邪魔ハサセナイ。」

 

「マーレ!魔法でメルーガの動きを押さえて!」

 

「う、うん!!」

 

「………申し訳ありません。モモンガ様。」

 

「オマエも苦労しているのだな…グレン。」

 

暴走するメルーガを押さえ付ける守護者達とモモンガに謝罪するグレンを哀れむモモンガであった。

 

 

 

 

 

 



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chapter1-10 過保護

…プリずんが目覚める少し前…

 

 

「皆、集まったようだな。」

 

ナザリック地下大墳墓の玉座の間ではモモンガを筆頭に階層守護者と裏階層守護者にプレアデスとセバスがいた。

 

だが、その場にはある2名の姿がなかった。

 

「モモンガ様、よろしいでしょうか?守護者統括であるアルベドと件の裏階層守護者がおりませんが…」

 

守護者統括であるアルベドと裏階層守護者の1人である筈のマグナス・ホープの姿がないことを守護者であるデミウルゴスが代表としてモモンガに問いた。

 

「アルベド並びにマグナスはプリずんさんの介護を命じている為、此方には来ない。…それに問いたいことは“それだけ”か…デミウルゴス?」

 

モモンガの言葉にデミウルゴスだけではなく周りの守護者達すら表情が強張った。

 

「…デミウルゴスよ。この先は私が話そう。」

 

「“レオパルド”…解りました。」

 

 

レオパルド

 

 

プリずんが作成したNPCの1人で裏階層第五の間を守護する守護者である。

 

獅子を模様した甲冑を纏った獣人型悪魔で彼を設定したのはデミウルゴスの製作者であるウルベルト・アレイン・オードルだ。

 

防衛戦を得意とするデミウルゴスとは逆に攻撃戦を得意とし、戦闘能力だけではなく指揮官としてもそのスペックは高い。

 

また、獣人型とは別に獣化(ビーストモード)という形態があるが本人はこの形態を嫌っている。

 

 

「至高の御方であるモモンガ様に問います。此度の件…マグナス・ホープの処遇をお聞かせ頂きたい。」

 

「…プリずんさんが倒れた件のことだな?」

 

「御意。あの者は私達の父であり、創造主であるプリずん様に仕出かした行い…万死に値します!!モモンガ様、マグナスの処遇をお聞かせ下さい!!」

 

レオパルドの言葉にモモンガは…

 

「今回のマグナス・ホープについては…罰しない。」

 

「「ッ!!?」」

 

まさかのお咎め無しだった。

 

「まず、今回の件は謎が多すぎる…何故に裏階層守護者だけが機能停止しているのか…何故、プリずんさんが触れた瞬間にHPやMPが吸収されたのか…この原因が解らない以上、私が処罰することはできない…ましてやプリずんさんに黙って処罰することを私はしたくない。…いいなレオパルド?」

 

「…御意…」

 

納得できないが納得するしかないレオパルドはモモンガの言葉を了承した。

 

「さて…話がずれたが本題に入ろう。…今回、オマエ達に集まって貰ったのは…プリずんさんのことだ。」

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

モモンガside

 

 

 

俺は守護者やプレアデス達に今回の議題について話そうとするとマーレが手を上げた。

 

「あ、あの、モモンガ様…今回はマグナ君のことじゃ…?」

 

「違う。…それよりも遥かに重大なことだ。」

 

俺の言葉にマーレどころかデミウルゴスもレオパルドさえ驚愕した表情をし、場がざわついている。

 

「……メルーガ。」

 

「……はい……」

 

俺は裏階層守護者のメルーガを呼ぶがその眼は光を失い意気消沈していた。

 

「メルーガ、思い出すのは辛いだろうがもう一度聞く。…プリずんさんが倒れた時、何があった。」

 

「…プリずん様がマグナス・ホープに触れた瞬間…あの方のHPとMPが吸収されると突如、“胸を抑えて倒れました”。」

 

悲痛に話すメルーガの言葉に他の守護者も顔色が暗くなる。

 

「“胸を抑えた”…そう言ったな。」

 

俺の問いにメルーガは頷くとその会話に違和感を感じたのかグレンが口を開いた。

 

「モモンガ様…メルーガとの話を聞く限り、我が父であるプリずん様が胸を抑えたことに何かあるのですか?」

 

「そうだグレン。…オマエ達は何故、プリずんさんが数年もこのナザリックに来なかったのか知っているか?」

 

その問いに誰もが答えられなかった。

 

「…プリずんさんは…心臓に病を持っているからだ。」

 

その言葉に先程とは比べる程ない程に動揺が広がった。

 

「静かにせよ!!」

 

俺が命令するとなんとか皆が静かになったが…

 

「モ、モモンガ様!プリずん様が病に犯されているとはどういうことでありんすか!?」

 

「病ナラバ、ナザリックニアルアイテムデ回復デキル筈…」

 

「そうですわ!モモンガ様、ご説明を!!」

 

守護者であるシャルティアとコキュートスに裏階層守護者のローズ・ナイトから問われた。

 

「プリずんさんの病はナザリックでもユグドラシルのアイテムでも治せない…その治療と回復の為にもプリずんさんはナザリックを離れるしかなかったのだ。」

 

「そんな……」

 

御通夜のように静かになるとアルベドから《伝言(メッセージ)》が届く。

 

『モモンガ様、プリずん様が目覚めました。』

 

「ッ!!本当か!」

 

『ハイ。現在、マグナス・ホープと対談しております。』

 

「解った。しばらくしたら私もそちらに向かう。」

 

『ハイ、お待ちしております。』

 

俺はアルベドとの会話を終え、皆にプリずんさんが目覚めたことを伝えた。見るからに皆、先程の暗い表情から明るくなっていた。

 

「…守護者並びに裏階層守護者にプレアデスよ。プリずんさんの事だ…他の守護者達を目覚めさす為にまた無茶をするだろう…オマエ達はプリずんさんが無理をしないよう彼の身の回りの世話や護衛などを命じる。何かあればすぐに私に報告せよ。」

 

「「ハッ!!」」

 

 

こうしてプリずんを守る会がプリずんが知らぬ間に出来上がったことをプリずんはまだ知らない。

 

 

 

 

chapter1ー10 end

 

 

 

 

 



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第二章 カルネ村
chapter2ー1 不遇


 

 

「…どうしても?」

 

「えぇ、どうしてもです。」

 

ナザリック地下大墳墓のある一室ではモモンガとプリずんが向き合って話し合っていた。

 

「これは既に守護者達とも決めたことなのでプリずんさんも諦めて下さい。」

 

「イヤイヤ!?何故、自分だけ“24時間”も護衛をつけなきゃいけないんですか!!」

 

そう…

 

モモンガがプリずんに伝えたのはプリずんの側に僕をつけると言った内容だがその時間は丸一日…24時間ずっとだというのだ。

 

「…ですから先程、言ったとおり護衛は建前でプリずんさんの介護担当だって言ってるじゃないですか。」

 

「介護でもそんな長時間の間も介護がつくなんてブラック通り越して真っ黒じゃないですか!」

 

「仕方がないでしょ!!NPC達にプリずんさんのこと話したら全員があんなに依存しだすなんて思わなかったんですから!!」

 

プリずんを心配してプリずんのことを話したモモンガだったがそれが原因でNPC達からのプリずん愛がヤバいことになった。

 

デミウルゴス・レオパルドはプリずんの心臓病を治す手掛かりを探すようになり、アウラやマーレにマグナは常にプリずんの様子を伺うようになり、シャルティアとローズが心配して夜な夜な部屋に押し掛けたりと大変だった。

 

「ぐッ、で、でも…流石に1人の時間は欲しいですよ!それにこの身体だと人間の時より調子はいいんですよ!!」

 

プリずんの言うことも解らない訳ではない。

 

プリずんの身体は人間の身体とは違う…違う筈なのに彼は胸を抑えて倒れた…

 

モモンガでさえ、解らない現状にどう対象すればいいのか解らないのだ。

 

「しかし…はっきり言ってオレは医療については無知ですし、今のプリずんさんは人間ではなくユグドラシルでも数少ない堕天使ですからどう対象していいか解らないんですよ…それに…」

 

「あぁ…あの問題ですか…」

 

バァン!!

 

プリずんとモモンガがため息を吐くと二人がいる部屋の勢いよく開いた。扉の方へ振り向くとそこには…

 

「メルーガ!!貴女もいい加減にしなさい!プリずん様のお世話なら守護者統括である私がやると言ってるでしょ!!」

 

「アルベドこそいい加減にしたらどうですか!!父であるプリずん様のお世話は娘である私の仕事だと言ってるじゃありませんか!!云わば親子の団欒です!邪魔しないで下さい!!!」

 

喧嘩しているアルベドとメルーガだった。

 

そう、誰がプリずんの世話するか決めようとした時、逸早く立候補したのはこの二人だがそこからが問題だった。

 

メルーガは元々、プリずんに父として男としてかなり依存しておりプリずんが目覚めてからはその傾向が更に強まった。

 

対してアルベドもモモンガの改変によりプリずんに好意を抱き、尚且つ、マグナとのやり取りもその場で聞いていた為に更に好意は高まり、メルーガに負けぬ程に依存したのだった。

 

「「プリずん様!!」」

 

「この…バカ者共がァァァ!!!」

 

結果、プリずんに怒られた二人はお世話係から外されたのは言うまでもなかった。

 

「モモンガ様、プリずん様。宜しいでしょうか。」

 

「セバスか。どうしたのだ?」

 

「ハイ、小さい規模ですが人間の村を発見致しました。」

 

「村だと?…と言うことは…モモンガさん。」

 

「えぇ、少なからずこの世界にも生物はいるみたいですね。」

 

こうして二人はその村を調べることになったのであった。

 

 

 

 

chapter2ー1 不遇 end

 

 

 

 

オマケ

 

 

 

第6階層にて…

 

 

「そう言えば、お姉ちゃんやマグナ君にローズさんやシャルティアはどうしてお世話係に立候補しなかったんですか?」

 

「マーレ、アンタ気付かなかったの?」

 

「?」

 

「えぇ、と…どうやら気付てないみたい。」

 

「いいでありんすかマーレ。プリずん様のお世話するとなるとあのメルーガやアルベドが問題を起こすのは目に見えてるでありんすよ。」

 

「なら、あの二人が問題を起こしたならお父様は二人をお世話係から外しますわ。あとは漁夫の利という訳ですわ。」

 

「「なるほど。」」

 

「って!マグナも解ってなかったのォ!?」

 

そんな会話があったのはこの場にいる者しか知らない。

 

 

 

 

 

 



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chapter2ー2 同じ顔の少女

 

 

 

セバスから村を発見したと報告を受けたモモンガとプリずんは先程とは別室にてユグドラシルのアイテムである遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)を使用して発見された村を調べるのであった。

 

「えぇ、と…これがあれで…えぇ、と…」

 

「大丈夫か…友よ?」

 

あまり使わないアイテムだった為、使い慣れないモモンガを心配するプリずん。

 

「えぇ、大丈夫ですよ。」

 

「そうか。…それにしても…」

 

側にセバスがいるせいか口調が変わるプリずんに慣れないモモンガは言葉が詰まりながらも鏡を操作した。

 

「………!」

 

「うむ…映ったようだな。」

 

映し出された村を見ると所々で煙が立ち込めており、何やらざわついていた。

 

「何かあったのか?」

 

「拡大してみましょう。」

 

モモンガは鏡を操作して映像を拡大すると村が鎧を身に纏った何者か達に襲われていた。

 

 

プリずんside

 

 

「(…人が殺されている…なのに…何も感じない…)」

 

自分の心境に戸惑いを隠せない。

 

自分だってこの前まで人間だった筈なのに…

 

「(もう、人じゃなく堕天使だからなのか?)」

 

そう考える間にも村人達は殺されていく。

 

「…どういたしますか?」

 

セバスが自分達に問うが自分はどうしたらいいのか解らなかった。

 

「…見捨てる。助ける理由も利益もない。」

 

「ッ!?」

 

セバスの問いにモモンガさんは見捨てると言った。

 

「(確かに助ける理由なんかない…なのに…なんだこの感じ…)」

 

自分にも解らない感情にどうすれば…

 

「大丈夫ですか…プリずん様?」

 

「セバス…ッ!?」

 

セバスを見た瞬間、今はいないセバスの創造主であるたっち・みーの姿が見えた。

 

「(…たっち・みーさん…)」

 

“オレ”をあの時、助けてくれた一人…

 

困った人を無視できず、口癖でよく「誰かが困っていたら、助けるのは、当たり前!」と言って人助けしていた。

 

「…友よ。我はこの村を救うべきと思う。」

 

「…プリずんさん……セバス。」

 

モモンガさんも思うところがあったのかセバスにナザリックの警戒体制を上げ、アルベドに完全武装と守護者の誰か一人を連れてくるよう指示を出した。

 

「あの村には私が行きます。プリずんさんはナザリックに残って下さい。」

 

「…それは我の病を心配してか?…」

 

「そうです。ですから…「ふざけるな。」…プリずんさん!!」

 

モモンガさんの心配する気持ちは解る解るが…

 

「我が友よ…我を心配する友の気持ちはありがたい…だが!我は友に護られる為に戻ったのではない!!

 

我がナザリックに…アインズ・ウール・ゴウンに居たのはそんな理由ではない筈だ!!!」

 

自分の言葉に戸惑うモモンガさん。すると…

 

「…解りました…では、共に行きましょう。ですが何かあればすぐナザリックに戻ってもらいます。」

 

モモンガさんの言葉に自分は頷いた。

 

その時、鏡の映像が変わり一人の少女とその妹なのか幼い少女が村を襲った奴らに追われていた。

 

そして…

 

自分は驚愕した。

 

何故なら…

 

「ッ!!?………“恵里さん”………!?」

 

追われていた少女の顔はオレを救ってくれた彼女と同じ顔をしていたのだから…

 

 

プリずんside end

 

 

 

 

 

chapter2ー2 同じ顔の少女

 

 

 

 

 

 

 



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chapter2ー3 エンリ・エモット

 

 

 

「…恵里…さん…」

 

プリずんは驚いていた。目の前の鏡に写る少女の顔はプリずんが知る女性と瓜二つだったのだ。

 

「(いや…そんな筈はない…彼女はもう…)」

 

プリずんは自分の考えを一度捨てもう一度、鏡に目を向けた。

 

「(確かに顔は瓜二つだがよく見れば瞳の色や髪色は違う…だがなんだ…この感じ…まるで……)」

 

「プリずんさん?大丈夫ですか。」

 

深く思考しているプリずんを心配し、モモンガが声をかけた。

 

「ッ!?あ、あぁ…すまない友よ…大丈夫だ。」

 

そう言ってプリずんは気持ちを落ち着かせた…

 

 

 

その時だった。

 

 

 

ザシュッ!!

 

 

 

「ッ!?」

 

瓜二つの少女が襲ってきた兵士に背中を斬られたのだ。

 

……グワッ……

 

「「ッ!!プリずん(さん/様)!!?」」

 

少女が斬られたのを見たプリずんから黒い靄のようなものが溢れ出ている。

 

「(プリずんさんの“深淵なる憤怒”が発動している!)」

 

 

《深淵なる憤怒》

 

 

堕天使が持つスキルの1つで発動条件がいまいち不明なスキルである。

 

解っているのは感情が高ぶると黒い靄を生成し、その靄に触れると様々なダメージを与える効果がある。

 

種族関係無しにダメージを与えられる強力なスキルだが先程も言ったとおり発動条件が曖昧で発動が上手くできなかったり、このスキルは敵・味方を問わずにダメージを与える為、扱いが難しいのだ。

 

 

「…《転移門(ゲート)》…」

 

“深淵なる憤怒”が発動していることに気付かぬままプリずんは突如、《転移門》を使用し姿を消した。

 

「なァ!?プリずんさん!!くッ、セバス!私はプリずんさんを追う!すぐにアルベドを呼べ!!」

 

「畏まりました!」

 

そしてモモンガも直ぐ様、プリずんを追う為に《転移門》を発動し後を追うのであった。

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

???side

 

 

……痛い……

 

 

……背中が焼けるように熱い……

 

 

…どうして…こんなことに…

 

 

村に突然、現れた兵士が村の人達を殺した。

 

沢山の人達が兵士の剣に斬られ、刺され、死んだ。

 

父さんが母さんと私と妹のネムを逃がすために囮になった。

 

逃げた先に兵士がいて母さんが殺された。

 

私はネムを連れて逃げた。

 

 

……でも駄目だった……

 

 

背中を斬られ、痛みで逃げるどころか立つこともできない。

 

ネムに逃げるように言ったがネムは私にしがみついて離れようとはしなかった。

 

追って来た兵士が剣を振り上げる。

 

あぁ…もう…

 

 

ガシッ!!

 

 

「がッ!な、なんだ貴様ァ!!?」

 

私は咄嗟に振り替えると先程、剣を振り上げていた兵士の頭を片手で掴み上げる人がいた。

 

見たことない綺麗な衣服に見慣れない黒い髪をしたその人は掴んでいる兵士をもう1人いる追っ手の兵士に投げた。

 

「……弱いな……それに脆い……」

 

投げられた兵士を見ると勢いがあったからなのか首の骨が折れたのか首が曲がって死んでいた。

 

そんな死体を見たもう1人の兵士は悲鳴を上げ、黒い髪の人に剣を向けた。

 

「なっ、なんなんだ貴様はッ!!斬り殺すぞ!!!」

 

震えながら剣を向ける兵士に黒い髪の人はため息を吐くと同時に黒い靄のようなものがこの人から現れ、兵士を包み出した。

 

「なっ、なんだこりゃッ!!がッ!!ガガガガガガガガァァ!!いっ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!ぎゃあぁぁぁぁぁッ!!」

 

そう叫ぶと兵士は痙攣したまま倒れ、そして死んだ。

 

黒い髪の人は兵士が死んだのを確認すると私達に振り向いた。

 

「……綺麗……」

 

その人の顔を見て思わず声に出てしまっていた。

 

整ったその顔とアメジスト色の瞳に私は吸い込まれるようだった…

 

「……娘よ……名はなんと言う。」

 

助けてくれた人から名を訪ねられ私は慌て名前を言った。

 

 

“エンリ・エモット”と……

 

 

 

 

 

chapter2ー3 エンリ・エモット end

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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chapter2ー4 アインズ・ウール・ゴウン

 

 

プリずんside

 

 

エンリ・エモットと名乗る少女を救った自分は目の前の少女の顔を見る。

 

「(やはり似ている…それにエンリ…まるで恵里さんを連想させるような……まさか……彼女は……)」

 

その時だった。

 

「プリずんさん!」

 

自分の後ろからモモンガさんが《転移門(ゲート)》を使用して来てくれた。

 

「ヒィッ!!」

 

モモンガさんを見たエンリから小さな悲鳴が上がった。

 

「安心しなさい。我の親愛なる友だ。」

 

そう言ってエンリを安心させ、モモンガさんに振り替えると…

 

 

 

「なにやってるんですかァッ!!アンタはッ!!黙って先に行くなんてなに考えてるんです!?“深淵なる憤怒”を発動させるは!勝手な行動するは!イチイチ心配ごと増やさないで下さいよォ!!!」

 

 

 

「…す、スミマセンでした…」

 

 

 

かなり怒ったモモンガさんに叱られてしまった。

 

 

 

プリずんside end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

モモンガに叱られたプリずんは助けたエンリのことを説明した。

 

「なるほど…そこまでレベル差があるとは…」

 

「あぁ…それで友よ。そこにある死体だが…使えるか?」

 

「ふむ…確かめてみましょう。」

 

 

そう言うとモモンガは死体に近づき手を添えた。

 

 

《中位アンデッド創造》

 

 

その瞬間、転がっていた死体は溶け一瞬にして中位アンデットである“死の騎士”デスナイトが誕生した。

 

「相変わらず便利だな。作成スキルは…」

 

「何を言ってるんです?作成スキルなら持ってるじゃないですか。」

 

「我のは“対象が固定”されているからな。」

 

「あぁ、なるほど…さて、デスナイトよ!この村を襲っている兵士を…「オォォォッ!!!」…を殺せ…って…オイ!?」

 

村を襲う兵士を殺せと指示を出すモモンガだがデスナイトは最後まで聞かずに走って村へと行ってしまった。

 

「…行ってしまったが友よ。」

 

「…盾が守るもの置いてってどうすんだよ。」

 

流石のプリずんも苦笑いし、モモンガは頭を抱えるしかなかったようだ。

 

 

 

ブゥゥゥン

 

 

 

「お待たせ致しましたわ。お父様。」

 

「準備に時間がかかり申し訳ありませんでした。」

 

転移門が再び開くとそこに現れたのは全身武装した守護者統括であるアルベドと…

 

「いや、良いタイミングだ。アルベド、そして…ローズ・ナイトよ。」

 

 

 

ローズ・ナイト

 

 

プリずんが作成したNPCの1人で裏階層第三の間を守護する守護者の1人である。

 

少し濃い目のピンク色のロングヘアーでスタイルが良い(特に胸が…)女性の姿をしているがその正体はドリアードの最上位である“古代の木精霊(エンシェント・ドリアード)”でシャルティアの制作者であるペロロンチーノが彼女の設定をしている。

 

エロゲーマスターのペロロンチーノが設定しているだけあって彼女の性癖がかなり危なく特に近視相姦欲が強く父であるプリずんだけではなく、姉的存在のシャルティアにも欲求する程だ。

 

ドリアードである為、能力は植物が主だが扱うのは寄生型や人食植物などを危険な植物を扱う。

 

 

 

「それではお父様、こちらの下等種族はどうされます?処分致します?」

 

「差し支えなければ私が…」

 

ブワッ!!

 

ゾクッ!!

 

「「ッ!?」」

 

その瞬間、アルベドとローズに悪寒が走った。

 

「…アルベド…ローズ…オマエ達は何の為に来たのだ?まさか…我を怒らせるためか?」

 

「「申し訳ありません!!」」

 

事情を聞くとどうやらアルベド達はプリずんが単独行動したことしか聞かされておらず、モモンガより武装して来ることしか聞かされていなかったのだ。

 

 

百々のつまり、プリずんが悪い。

 

 

「…すまない。先程のことは訂正する。」

 

「あ、あのォ!」

 

エンリに声をかけられ、彼女が怪我したままであることを思い出したプリずんは《大治療(ヒール)》を使用し、傷を癒した。

 

そのことにアルベドとローズは驚いていた。

だがモモンガは不思議に思っていた。

 

「(何故、プリずんさんはここまで?)」

 

「…これで大丈夫だろう。危ないから隠れていなさい。」

 

プリずんがそう言ってエモット姉妹を避難するよう言うが…

 

「その必要はないですよ。」

 

するとモモンガが姉妹にバリアのようなものを展開し、姉妹を守る。

 

「あと、これを持て。」

 

モモンガはゴブリンを使役するアイテムである笛をエンリに手渡した。

 

「困ったらそれを吹け。ゴブリンの軍勢が守ってくれる。」

 

「あ、ありがとうございます…」

 

そしてモモンガとプリずん達は村に向かう。

 

「あ、あのォ!お名前はッ!?」

 

名前を訪ねられ、プリずんが名乗ろうとした時だった。

 

「我が名を知るがいい…我こそが“アインズ・ウール・ゴウン”。」

 

モモンガが名を改めアインズと名乗り上げた瞬間だった。

 

 

 

「(え、名前変えちゃうですか!?)」

 

 

 

急にギルド名に改名する友人に驚愕するプリずんであった。

 

 

 

 

 

chapter2ー4 アインズ・ウール・ゴウン end

 

 

 

 

 

オマケ

 

 

ナザリック地下大墳墓にて…

 

 

「うぅぅぅんんんッ!!むぅぅぅぅッ!!!」

 

「…セバス、なんですかこれは…」

 

「アルベド様より、メルーガ様が暴走気味なので監視せよと…」

 

「…我が同胞ながら情けぬ…」

 

「(多分、メルーガ…出し抜かれたでありんすね。)」

 

手足を縛られ、猿ぐつわまでされたメルーガが情けないことになっていることを主二人は知らない。

 

「むぅぅぅぅッ!!(プリずん様ァァァッ!!!)」

 

 

 

 

 

 



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chapter2ー5 王国戦士長

 

兵士side

 

 

何故、こんなことに…

 

 

「助けてくれェェェッ!!」

 

「死にたくない!!」

 

「うわァァァッ!!」

 

 

目の前に起きている出来事が未だに信じられない。

 

 

だって…

 

 

「グゥオオオッ!!!」

 

 

こんな化物がいるなんて聞いてないのだから…

 

 

 

兵士side end

 

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

モモンガことアインズの指示により村を襲っていた兵士を殺戮するためデスナイトは村にいる兵士を探していた。

 

兵士を見つけたデスナイトは咆哮を上げ兵士に襲いかかった。

 

まず、近くにいた兵士を盾で凪払う。鎧を着ている筈なのにその鎧は粘土のように簡単に潰れ、凪払われた兵士は吹き飛ばされ痙攣していた。

 

一瞬の出来事に兵士だけではなく村人達も状況が把握できぬかったがデスナイトはお構い無しに兵士に剣を振るう。

 

1人の兵士は首を斬られ、1人の兵士は真っ二つにされ、逃げようとする兵士には盾で凪払う。

 

まるで兵士達を弄ぶように…

 

デスナイトに恐怖した兵士達の隊長らしき人物が金をやるから助けてと泣き叫ぶがデスナイトは問答無用にメッタ刺しにした。

 

 

「お金挙げますからッ!お金!オカネェ!おかねをッ!!!」

 

 

醜く泣き叫びながら助けを乞い続けるがデスナイトには届くことはなく何時しかその声は止んでいた。

 

その後も暴れ回るデスナイトであったが…

 

「…デスナイトよ。そこまでだ。」

 

声がした方を見て兵士や村人達は唖然とした。

 

何故ならその四人は“空に浮いているのだ。”

 

ゆっくりと大地におり立つと仮面をつけた人物が話し出す。

 

「初めまして、私はアインズ・ウール・ゴウン。…諸君には生きて帰って貰う…そして諸君等の飼い主に伝えろ。」

 

その瞬間、アインズから強烈なオーラを出しながら話し続ける。

 

「この辺りで騒ぎを起こすな…騒ぐようなら今度は貴様等の国まで“死”を告げに行く…と…行け!!」

 

その言葉に生き残った兵士達は武器を捨て悲鳴を上げながら逃げて行った。

 

「あ、貴方…貴方様方は一体…」

 

村人達から代表者らしき人物がアインズ達に声をかける。

 

「この村が襲われているのを目撃し、助けに来た者だ。」

 

アインズの言葉に疑問視しているようで村人達は焦った表情をするがアインズの隣にいるプリずんが続いて話す。

 

「無論、貴様等を助けたのはただでは無い。それ相当の代価を頂くがな…それと…」

 

プリずんは周りを見ると村人にある命令を出した。

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

 

 

「あ、あの…“死体”はこれで全部です。」

 

「…うむ。」

 

プリずんの目の前には村で殺された死体が並ばれていた。

 

「ほ、本当に彼らは“生き返る”のですか!?」

 

「…先程も言ったが死後から余り時間が過ぎず損傷が少なければな…後は知らん。」

 

そう…今、プリずんがやろうとしているのは《蘇生魔法》である。

 

アインズに比べれば使える蘇生魔法はランクが低いがこの世界でも効果があるか調べる為、プリずんは村人達に蘇生魔法を使うことをアルベドとローズに説明したが…

 

「…(コイツ等か…)」

 

プリずんが見つけたのは二人の死体であった。

 

この死体の人物こそエンリ・エモットの親である。

 

そう、プリずんはエモット夫妻を生き返らせる為だけに蘇生魔法を使うことにしたのだ。

 

「(この二人と後、数人程度は生き返らせればいいだろう。)」

 

そしてプリずんは手を死体に向けた瞬間…

 

 

パアッァァァッ!!

 

 

眩しい光が放たれ、光は死体に降りかかると数体の死体がなんと起き上がったのだ。

 

「…ご…ごごば……」

 

「ゎだじぃは…」

 

「…な…な…にが…」

 

呂律が回ってはいないが確かに生き返った村人達に他の村人達は驚愕していた。

 

「ほ、本当に生き返った!!」

 

「き、奇跡だァッ!!」

 

歓喜する村人を他所に死んだままの村人に涙する者がチラホラ見え隠れしていた。

 

それをプリずんは黙って見ていたが特に気にすることもなかった。

 

「いっ、一体…貴方様は何者なのですか…」

 

1人の村人の質問にプリずんは答えようとしたが…

 

「(そう言えば…モモンガさんも名前を変えちゃったし、自分も名前を改めるかな…アインズだからツヴァイ?どうしよう…)」

 

自分も名前を改名しようと考え出すプリずんだが結局は良い名前が思いつかなかった。

 

その時…

 

「お父様、此方にいらしゃったのですね。」

 

「ローズか…どうかしたのか?」

 

プリずんに駆け寄るローズにプリずんは何かあったのか訪ねた。

 

「アインズ様からの命を承っておりますわ。…リ・エスティーゼ王国の王国戦士長を名乗る人物が現れたのでお父様をお呼びせよと…」

 

「(リ・エスティーゼ王国…この国の名か?)解った…すぐ行く。ローズ、付き従え。」

 

「はい!!!」

 

嬉しそうにローズはプリずんの後を追うのであった。

 

「(王国戦士長か…どんな奴なのだろうか…)」

 

 

リ・エスティーゼ王国の王国戦士長とプリずん…

 

この二人の出会いにより…

 

この先の未来でとんでもないことが起きることなど…

 

プリずんはまだ知らない。

 

 

 

 

 

chapter2ー5 王国戦士長 end

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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