魔法先生ネギま!~神代の魔女~ (NextChance)
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プロローグ

キャスターの少女時代ってサクラみたいに大人しくて、
それでいて純真なめちゃくちゃ美少女らしいよねw
あと、キャスターって少女趣味じゃなくて、少女“が”趣味なんだよねw


 

 

 

 

「宗一郎様、おやすみなさいませ・・・」

 

一人の妙齢の美女が、老人の眠る布団の横で挨拶をする。

 

彼女は彼の妻であり、破滅の魔女だった。

 

だが、彼女にとって『ただ夫と添い遂げる』事が願いだった。

 

誰も殺す事なく、誰も陥れる事もない。

 

魔女にしてはあまりにつつましい生活だったが、

それが彼女の願いなのだ。

 

もう十分だった。

 

満足したのだ。

 

そして、男は最後の挨拶とともに目をあけることは無い。

 

魔女の夫としてはあまりに普通だが、

彼の死因は老衰、寿命だった。

 

年齢は83、彼は妻に何も求めず、妻も彼に何も求めなかった。

 

不思議な夫婦だったかも知れないが、二人はそれで十分だったのだろう。

 

現に彼の妻はまだ生きることが出来るが、

寄り代となる相手を求めるどころか夫の傍を離れず、

共に眠る様に隣へ体を倒れさせる。

全身を横たえた時、チィンと鳴って指輪だけが残り、彼女の姿は跡形も無く消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幻想の様な日々が終わりを告げ、最愛の人は穏やかに寿命で亡くなった。

 

数奇な運命でその日常を英霊の身で謳歌し、

最愛の人が亡くなって現世のよりしろを無くし、また新たに得ようとはしなかった。

 

そこから意識が無くなってどれほどの時間がたったのかはわからない。

 

まるで自分は深海に居る様にたゆたっていた。

 

まどろみの中で思考は曖昧、水に溶け込む様に拡散してしまっている。

 

ただ幸せだったと言う感情は残っている。

 

 

―――そう、それは生前の願いが叶っていたからだ。

 

 

そこに思いが至れば、拡散した意識は集合し始め、彼女は形を成して行く。

 

 

―――願いが叶った今、英霊である事に意味は無い。

 

 

形を成した彼女は手を前に出し、そこで虚空を掴む。

 

 

―――逆に英霊として時間軸から外されて存在すること自体が、苦しい。

 

 

虚空で掴んだのは一振りの歪な短剣。

 

 

―――ならば、何を躊躇するものがあろうか!

 

 

彼女はその歪な短剣を虚空に振り下ろす。

 

今この瞬間こそは一番の好機。

 

この瞬間だからこそ破戒出来る理が存在し、それが自分を解放する。

 

 

 

 

 

 

 

意識は薄れ、次第に落ちていくのがわかる。

 

落ちる先がどこに繋がっているのか、魔術師の彼女にはわかっていた。

 

<生まれ変わる>

 

この記憶が消えるのはとても悔しい。

 

だが、英霊として座に戻れば記憶は情報になり、

幸福と感じた感情はまるで他人事のような資料になってしまうのだ。

 

――――その思いは私のものだ。

 

そう思った。

 

その感情は激情となり、怒りをあらわにした。

 

なぜなら幸福を感じたのに、いつの間にか他人の伝記の様になったのならば、

それは自分の感情でも、自分の幸福でもなくなってしまうのだ。

 

だから彼女は、あらゆる理を破戒する自らの短剣を突き立てたのだ。

 

だが、それでも悔しい。

 

<もし叶うならば、あなたと過ごした私の記憶を、

 どうか・・・、どうか新たな旅路への手向けに、

 頂いて行くことは出来ないでしょうか?>

 

 

 

 

――――そこで、彼女の記憶は途絶えた。

 

 






よければ、プロローグはあらすじ込みで読んでくれるとうれしい。


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第0話 甦る神代の魔女

てきとーっす


目が覚めるとそこには鉄と血、焼け爛れる臭いがあった。

 

「お、目が覚めたぞ」

 

赤毛の青年が私を覗き込んでいた。

朦朧とした意識で声を出した。

 

「ここは・・・?」

 

記憶が曖昧だが、思い出すのは母親、そして父親。

次に思い出すのはここが魔法世界である事。

そして私が・・・、ある記憶を“思い出した”事だ。

 

「ここか?ここは俺たちのキャンプだ。」

 

「ナギ、嬢ちゃん目ェ覚めたって?」

 

粗暴そうな男が声を掛けて来た。

だが、意に解す事無く自分の状態を調べる。

ある記憶とは前世の自分、そして英霊として存在した自分。

現世と前世の自分が混ざり合っているのだ。

魔術回路は詳しく調べなければいけないが、起動もしていないのに溢れる魔力。

そして魔術回路を起動すれば、さらに溢れ出す魔力。

前世の自分の使っていた魔術とこの世界の魔法は、どうやら似ても似つかないものだった。

とりあえず、自分の種族が人間でよかったと思った。

魔術回路が人間以外にあるのか、自分にはわからなかったからだ。

 

「な、なんだこの譲ちゃん!?」

 

あまりに魔力を垂れ流したからか、粗暴そうな男が驚いている。

前世ではこんな筋肉ダルマは毛嫌いしていたが、まぁ、現世ではそこまで嫌ってはいない。

 

「ナギ、下がりなさい!」

 

痩せ型のめがねを掛けた男が刀を腰に構えてこちらへ威圧する。

まるで、英霊として存在したときに愛した男に似ていなくも無い。

警戒されているとわかると、さすがにまずいと感じて魔術回路を止める。

 

「キミの名前は?」

 

そう聞く刀を構える男を軽く抑えて、こちらへ聞くのもまためがねを掛けたタバコを吸う男だった。

 

「私は・・・、私はメディア。」

 

そこまで言って、自分で言ってからクスリと笑い、

 

「メディア・ヘカティック・グライアーですわ、お兄様がた?」

 

自分の現世の名前はもう意味は無い。

なぜなら軍人としての父は死に、母は先ほど死んだ。

ならば名前は気にすることも無い。

 

(ヘカティック・グライアー、ふふふ、私が灰被りの花嫁なんてね。)

 

「お父さんやお母さんはいるのかい?」

 

父や母、この現世で私を一番愛していてくれた人たち。

タバコを吸うめがねの男に、親を失うのはやはり悲しく、そんな気分から力の無い笑顔を向けてしまった。

空気がとまる。

戦場とは言え、彼らは戦うものであり、そう言う雰囲気を出している。

だから、あまり目を向けてこなかったところに、こうして目を向けてしまったからこの空気なのだろう。

 

「そうか。」

 

タバコを吸う男はうなずくと、後ろに居る二人の少年へ顔を向けた。

そこにはまじめそうな少年が二人居た。

私からしたらまだまだ坊やだけれども、それなりの才能を秘めていそうだ。

 

「彼らはキミと同じ、戦災孤児だ。キミにも選ぶ権利はあると思うが、もしよければついてくるかい?」

 

「なっ!?」

 

驚いた声は刀の男。

 

「先ほどの魔力を見たでしょう!?彼女はあの異常な魔力を保有しているんですよ!?」

 

その言葉に私も納得だ。

なにせ、試しては居ないが身体・魔力・能力、どれをとっても英霊の時のステータスである。

だが、ここで私は疑われたらどうするべきか、彼らより長く生きているのだからわかっていた。

 

「そうね、私を連れて行ってくれるのはうれしい。でも、そこの刀のお兄様の方が正しいわね。」

 

現世年齢五歳。

この年齢の少女ではありえない程の冷静さと、普通ではない実力。

そして、こちらからは攻撃しない事。

これらを見せれば彼らも話を聞いてくれるだろう。

 

「私の話を聞いてからの方がいいと思うわよ?お兄さん?」

 

それで全員が身構える。

 

「まってちょうだい。私は話をきいて欲しいと言ったのだけれど?」

 

その言葉にこの場の全員が、話を聞く体勢を取った。

そこからは私の独壇場だった。

この世界ではどうかはわからないが、魔術を扱う存在である事。

この世界の魔法はあまり知らない事。

とにかく話せる事だけは話した。

神代から伝わる魔術を継承した存在だとか、ある程度は誤魔化して・・・だが。

 

「ふむ・・・。」

 

ある程度自己紹介も済み、「赤き翼<アラルブラ>」だとか、サウザンドマスター<ナギ・スプリングフィールド>だとか。

 

「そんな素性の知れない私を連れて行っても良いのなら、私はぜひ一緒にいきたいのだけれど?」

 

まさに五歳とは思えない。

自分でクスリと笑ってしまう。

もちろん、五歳まで生活してきた自分がコルキスの魔女の生まれ変わりだとか、驚きがなくはないがそれでも混ざり合ってしまったのだからしょうがない。

混ざり合った、つまり五歳の自分としての考えはお父様とお母様が死んでしまったことに悲しさで、泣きたくなっている。

前世の自分も、自分に無償の愛を傾けてくれた人たちだと理解しているだけにとても悲しく、また復讐の念を持っている。

 

「わかった、なら一緒にいこう。ただし、お兄さん達の言葉をよく聞いて、戦闘の際は後ろに下がっているんだ。いいね?」

 

苦笑してしまう。

あの幻の四日間の記憶にいた坊やと同じ、無償でこちらを助けようとするその姿勢に。

こんな怪しすぎる子供を助けようとする考えに。

 

「あら、べつに後ろに隠れて守ってもらおうなんて思っていないわ。」

 

そう言ってニヤリと口元をゆがめる。

それをどうとったのか、

 

「強がる必要は無い。なに、ここにはバグの様なモノがほとんどだからな。」

 

「そうそう、何せ俺はサウザンドマスター!最強の男だからな!」

 

タバコの男・ガトウの言葉に、赤毛の男・ナギがバカっぽく答えた。

 

「ほほう、度胸の据わったお嬢ちゃんじゃねぇか!てめぇら負けてんぞぉ!」

 

筋肉だるm、いや、ジャック・ラカンが後ろの少年を煽っている。

後ろの方で控えていた少年たち、タカミチとクルトはそれぞれの反応を示した。

タカミチは頭の後ろを掻いており、クルトも苦い顔をしていた。

 

「まぁ、とにかく、これからよろしく頼むよ、メディアちゃん。」

 

ガトウの言葉にまた苦笑してしまったが、まぁ、おおよそ思い描いたとおりの結果になった。

 

 

 

 

 

 

 

  数ヵ月後・・・・

 

 

 

「暇だわ・・・。」

 

彼らの戦いを眺めながら呟く。

 

「な、何を言ってるんだい!?」

 

タカミチが戦艦の中でオペレーターをするなか、その横を歩き去る。

墓守り人の宮殿、まず、ここでは決戦級の戦いが行われている。

 

「だって、暇なんですもの。」

 

そう言って、高速神言を呟いてローブを着る。

 

「待つんだ!キミが行っても何もできない!」

 

タカミチに肩を掴まれる。

それに怪しく微笑んで一言、

 

「あら、あらあら、こんなところで私に何をしようというのかしら?」

 

慌ててタカミチが周りを見ると、そこは暗がりの通路。

真っ赤になった少年の頬へ手を這わす。

 

「あらあら、私の言った意味がわかるなんておませさんね。」

 

頬を這わせたあとは唇に指を這わせた。

それでタカミチは顔を真っ赤にして完全に動きが止まった。

我ながら、五歳の少女のすることではないなと苦笑する。

 

「では、まぁ、近寄ってくる敵を殲滅してくるわね。」

 

タカミチの前でフードを被り空間転移を発動。

 

「瞬来(オキュペテー)――――

 

一瞬で姿が消えて、

 

 

 

 

 

――――飛翔(ケライノー)」

 

現れたのは艦隊の上空!

今の呪文により空中に留まる。

 

「圧迫(アトラス)!」

 

重力捕縛結界を全面展開!

 

「雹蕨(ネレイデス)!」

 

氷の雨が降り、結界につかまった敵のほとんどを氷結させる。

自分の身などゆうに超える杖をとりだし、空中で打ち付ける。

シャラン!と音を鳴らし辺りに響かせる。

ローブが翼のように開き、あたり一面に超極大魔方陣を数十展開する。

あまりの魔力量に辺り一帯が鳴動し、一瞬だけ静まった。

 

「ηεκατιξ」

 

高速神言で唱えるそれは、この世界ではそれこそ千の雷すら凌駕する!

 

「神官魔術式・灰の花嫁(マギア・ヘカティック・グライアー)!!!」

 

極大の焼き尽くす槍の様なレーザーが、敵のみを吹き飛ばしていく。

それでも沸いてくる敵を魔方陣を一個一個動かす事で対処していく。

ギリギリだった戦線が復活していくのを、ありえないモノを見るような目でタカミチは見ていることしかできなかった。

 

メディアとしては。

 

(これで少しは復讐ができたかしら?)

 

少しでも自分が報いる事ができたのか?

こんな自分を愛してくれた両親は、五歳の自分にはかけがえの無い存在だと再確認した。

やっぱり子供らしからぬ考えと、

 

(ふぅ、やっと魔術を使える機会がきたわね。使える事がわかっただけで上出来かしら?)

 

ナギたちは本当にメディアに戦わせなかった。

そこでもやっぱり子供らしからぬ考えで動いていた。

そんな自分に苦笑するばかりだった。

なにせ、生前の自分ならばそんな感傷では動かず、また人の役に立つようなことは自分からはしなかった。

 

(丸くなったわね)

 

また苦笑する。

最愛の人と人生をともにできたことで、やわらかい感情を抱く自分が居るからだ。

五歳の自分は復讐の怒りに燃えている。

前世が理性として働いているが、もし思い出していなければ先ほども歯止めがきかなかっただろう。

だから苦笑するしかない。

五歳としての感情と大人としての感情が、混ざり合った今も存在し、五歳らしい考えが浮かんでしまうのだから、これが転生かぁ・・・と感慨深くなる。

なにせ、大人としては今からでも栄養のあるものを食べるべきと思うが、あれが食べたい・これが食べたいとダダを捏ねたくなるのだ。

これではまるで本当に背伸びをしている子供ではないか。

そんな葛藤とも呼べるかわからない感傷に浸りつつ、身の丈以上の杖をパッと消す。

 

さて、そろそろ終わったかしら?そう思った私はタカミチが居るであろう戦艦のブリッジへ足を運んだ。

 

 

 




過去編は徐々にやるのではしょりましたー

※二月六日 誤字を修正


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第1話 永遠にかわいいものと出会う

うん、とりあえず、書ける時に書けるだけ書いて投稿しようと思ってます。

次の投稿は一週間以内だとは思うよ?

今回は少し結構予想通りなキャラ崩壊と言えるのかな?
宗一郎様は出すべきだ!という人は手をあげてくれ!

では本編です


 

>>メディア

 

 

目覚めてからいくらか年月がたった。

とは言え、私の見た目は十歳ほどしか成長していない。

あれから15年が経っていた。

成長した結果から言えば、前世の少女時代を再現した様な見た目。

もしかしたら記憶を取り戻した事で、魂に引きずられているのかも知れない。

現世の両親に似ていないところを考えると、そこだけは本当に申し訳なく感じている。

そんな私は、今はわからないがこの魔法世界では知名度が低かった、どちらかと言うとガトウの養子のような扱いだった。

それはそうだろう、赤き翼<アラルブラ>と共に行動はしていたが、タカミチやクルトの様に目立った事はしていない。

もちろん、姿をローブで隠して活躍したがそれも一度きり。

しかもその際行方不明となったゼクトの活躍となっている。

 

 

だが、私達の事をどこで知ったのか、さる大きな学園から依頼が舞い込んできた。

 

 

『ある少年の警護』

 

 

である。

最初は意味がわからなかった。

よりによって私達にだ。

只管にアリアドネーで研究施設をもち、名誉教授(名前を貸す代わりに費用と研究室を借りている。)として研究に明け暮れていた。

常時部屋ごとダイオラマ魔法球の様な状態であるため、まるでコーヒーか紅茶の様に成長を遅くする薬を愛飲しまくっている。

それはもう湯水の如くだ。

まぁ、なぜかサーヴァントとしてのクラススキル『陣地作成A』と『道具作成A』を持っていたため、部屋を改造し成長を遅くする薬を自動で作らせている。

クラススキルがあるのは、たぶんサーヴァントから座に戻る前に破戒したからだろうと思うが、なんともまぁ、そんなスキルの無駄遣い。

そしてその結果が、食後のあとのお茶の様に一杯、喉が渇いたら一杯、就寝前に一杯、起きたら一杯と、まるでただの水の様に飲み続けた。

一緒にいる彼女からは引きつった顔しか向けられなかったが。

 

 

とまぁ、近況としてはそんな所だ。

そして、今の私の状況は・・・。

 

「それで、どうするんだ?“マスター”」

 

その声は目の前の紅白な存在から発せられた。

 

「アーチャー、とりあえず聞きに行くだけ行って見ましょ」

 

「了解した」

 

そこには黒い軽鎧と赤い外套、真っ白な髪に真っ白な肌の少女がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして私達は今麻帆良学園の入り口にいた。

 

淡い青のワイシャツに白のロングスカートと黒のヒール、黒のコートと地味な格好である。

となりの彼女は黒のワークブーツとズボン、黒のワイシャツに真っ赤なロングコートを着ていた。

一見対称的な二人だが、どちらも共に美少女である。

周りの人間もそれをついつい眺めてしまう。

だからと言ってどうだと言う話だが、浮いている事だけは正しかった。

 

「メディア、これから会う近衛 近右衛門とはどんな人物なのだ?」

 

となりの少女は神妙な顔で聞いてくる。

 

「ん~・・・・、私も一度しか会った事はないわね。ただ言える事は・・・・ぬらりひょん」

 

「・・・・・・・・・はぁ?」

 

まぁ、そう言う返事が返って来るのは予想していた。

 

「あとたぬきじじいね」

 

「なにかね?近衛老は妖怪か何かか?」

 

呆れとも疑いともとれる表情で聞いてきた。

 

「日本の妖怪絵巻のまんまな見た目よ。」

 

「なんと・・・」

 

そんなバカみたいな会話をしていると、目の前に見覚えのある顔が待っていた。

 

「やぁ、待っていたよ」

 

それはタカミチ・T・高畑だった。

 

「ひさしぶりね、タカミチ」

 

「あぁ、久しぶりだね」

 

三人は合流して校舎へと歩き出す。

 

「研究の方はどうなんだい?」

 

タカミチの言葉に少女・アーチャーと私は視線を一瞬だけあわせた。

アイコンタクト、一瞬でお互いに確認しあう。

 

「そうねぇ、完全魔法無効化能力と簡単に言うけれど、相手の術式や魔法の効果で無効化する術式を変えなければならないから、正直まだまだ掛かりそうね」

 

「だが、一部の術式を無効化する礼装、いや、マジックアイテムを作成中だ。」

 

私の言葉にアーチャーの言葉が追加される。

 

「それはつまり、一部ならば打ち消せると?」

 

「そうよ、でも身体強化などは無理ね。

でも、魔法の矢や特定のモノひとつだけに限定すれば無効化が出来るでしょうね。

だけど、その場で撃たれて準備も無しに無効化はできないわ」

 

ほぉ、と感心するタカミチにクスリと笑う。

相手の歳は見た目からも30、こちらは高く見積もっても17ほど。

周りの見ている誰もがタカミチは少女の話に感心している、と見えるわけだ。

なんとも絵面の悪いこと。

 

それと、クスリと笑う意味が違った。

すでにアーチャーに完成品を持たせている。

その名も魔術礼装『アイアス』

アーチャーの投擲系武器完全防御宝具「ロー・アイアス」からだ。

この魔術礼装『アイアス』は、由来通りに魔法の矢全属性対応の完全無効化能力を付与した、桜の花びらの様な形のネックレスだ。

 

そこからは本当に他愛のない会話をしていると学園長室へと辿り着く。

 

コンコン、とタカミチのノックで中から声がした。

 

「あいておるよ」

 

老人の声を聞いて中に入る。

 

「失礼するわね」

 

軽い挨拶で部屋へ入る。

すると、金髪の幼女と老人が囲碁をしていた。

 

「タカミチ君、どうしたのかね?ワシ、今良い所なんじゃが?」

 

こちらに顔も向けず囲碁盤に集中している。

 

「が、学園長!」

 

「だからどうしたのかね?いつものたかみt――――」

 

タカミチに呼ばれて振り返れば私と目があった。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「私、帰ろうかしら・・・・」

 

「――――――」

 

とまぁ、いろいろあったが話が進む。

 

「ご、ゴホン、遠路遥々ご足労に感謝いたす、グライアー教授」

 

誰もが今「取り繕った」って顔をしたのは言うまでもない。

 

「どうも、呼ばれたから来て上げたのだけど、お邪魔そうだから帰ったほうがよろしいかしら?」

 

軽く皮肉を聞かせてたずね返せば、冷や汗を出しながら学園長が頭をさげた。

 

「い、いやいや、グライアー教授を邪魔などと滅相もない。」

 

引きつった笑みがなんとも虚しい。

 

「それで、私達を呼んだ理由は?」

 

形式的な挨拶もなければ、社交辞令も無い。

まさに来てやったのだと言わんばかり。

 

「む、むぅ、そちらも知っての通り、現在この学園でナギの息子を預かっている。」

 

さすがのたぬきじじいも、間髪居れずに話題を出されては返す刃を用意できない。

 

「息子・・・ね、それがどうかしたのかしら?」

 

その一言に近衛老とタカミチは絶句。

後ろで聞いていた金髪幼女は大笑いしていた。

 

「これは傑作!赤き翼に居たとか、タカミチの知り合いだとか聞いたから様子を見ていれば、これはこれは!」

 

ククク、と悪役のような笑みを浮かべる金髪幼女にアーチャーは苦笑。

私は…、

 

「依頼・・・、条件によっては受けてもいいわ!」

 

突然の態度の急変に全員が目を見開いてこちらを見る。

 

「おぉ!やっぱりナギの息子が気に―――

 

      「ならない」

 

        ―――ならない、かね」

 

金髪幼女を視界に収めてしっかり見ると、

 

(やだなにこれかわいい)

 

『早くこいつなんとかしないと』の状態だった。

 

「じょ、条件とは?」

 

ダメージの大きい近衛老の代わりにタカミチが聞いた。

 

「あの子を貸して頂戴!」

 

すでにメディアには金髪幼女しか見えていなかった!

 

「な!?な!?なななななななんだ貴様わぁ!!」

 

金髪幼女が激昂したが、

 

「どうぞ」

 

「エヴァ、たのんだよ」

 

二人の男は情けなくもエヴァと呼ばれた金髪幼女を差し出した。

 

「ふ、ふふ、ふふふふふふふ!」

 

メディアはすでに依頼のことなど忘れていた。

このエヴァと言う少女にどんな可愛い衣装を着せようかと妄想し、口の端から垂れそうな涎を手の甲で拭っている。

さしものエヴァもこれには身の危険を感じた。

だからエヴァは逃げようとした。

扉へと走り出す。

だが・・・、

 

「怪鎖(アラクネ)」

 

ビュン!と音を鳴らして走り出したエヴァを、赤く光る文様が帯となって捕らえる。

 

「逆巻(アリアドネ)」

 

呪文を発すると捕まっていたエヴァがシュンッと消えて、同時にメディアの前に現れた。

 

「えぇえぇ、あなた最高に可愛いわ!」

 

涎をたらしながらエヴァを抱きしめる。

 

「離さんかぁぁぁぁ!と言うかこんな事で高等魔法の強制転移を使うなぁぁぁぁああ!」

 

それもそのはず、強制転移はまず相手の魔力抵抗でレジストされるので、普通では使うのも難しく、また障壁もあってかけずらい。

 

「リク・ラク ラ・ラック ライラック!氷結 武装解除(フリーゲランス エクサルマティオー)!!」

 

試験管とともに放たれた魔法、エヴァが怒りのあまりにメディアの体に投げつけた。

服にぶつかった瞬間に、ローブのすそが現れて発動した魔法を吸収する。

 

「はぁっ!?」

 

またエヴァが驚きの声をあげるがそれを無視して抱きしめる。

 

「そ、それでのう、グライアー教授、依頼内容は―――

 

     「必要無いわ」

 

         ―――あいわかった、契約成立じゃな。」

 

「クォォラクソジジィ!私を生贄に契約を成立させるな!悪魔契約か!?悪魔契約なのか!?オイ!」

 

「ふぉっふぉっふぉ、大丈夫じゃよエヴァ、グライアー教授の悪い噂はちーーーーーーーーっとしか聞かん。」

 

「クソジジィ!?お前悪魔か!?やっぱ人間じゃないんだな!?今度会ったら後頭部もぎ取ってやるぅぅーーーー!!!」

 

エヴァは抱き締められながら引きずられていく。

アーチャーはそれを眺めながら引きつった顔で、

 

「私は彼女の従者をしているエミリア・フォン・アインツベルンという。これからよろしく頼む。」

 

「あ、あぁ、よろしく、エミリアくん。」

 

放置され続けた二人には少なからずお互いをいたわる気配が出ていた。

 

 

 

 

 

>>タカミチ

 

 

久しぶりに見たメディアは、見た目綺麗な十五歳だった。

僕と4歳しか違わないとは到底思えない。

なんでも秘薬を飲んでいて、成長を遅くしているのだとか。

まったく恐れ入る。

まさか、自分の研究室をダイオラマ魔法球の様に改造してしまい、まさか中の一日が外の半日なのだからまたしても恐れ入る。

これでは世の研究者が咽び泣いて、土下座をしてから三点倒立をしても足りないくらいの頼み方で迫ってきそうだ。

ましてや二倍歳を取る筈が、まさかの十歳分も歳を取っていないのだから、僕もあの時成長を遅くさせる秘薬を知っていればと悔やまれる。

僕の歳は30だが、エヴァの別荘(ダイオラマ魔法球)ですごした期間が長い分、たぶん30歳を超えているだろう。

彼女は齢10の時に名誉教授となり、そのときから明日菜くんが犠牲にならぬようにするために、魔法完全無効化能力を研究している。

彼女いわく、「少女を利用しようとする世界も男も大嫌い」なんだとか。

 

それからメディアが連れていた少女も見た目15歳前後である。

あまり男性が好きではないメディアだから当然だが、この子は従者なのだろうか?

魔法使いとしてはほとんど頂点のメディアの従者ならば、見た目少女のこの白い子も相当の使い手なのだろう。

まぁ、助手と言う線も無くは無いが。

 

「えぇえぇ、あなた最高に可愛いわ!」

 

そこでメディアの声が響く。

エヴァを後ろから抱き締めているメディアが、とてもいい笑顔をしている。

 

「離さんかぁぁぁぁ!と言うかこんな事で高等魔法の強制転移を使うなぁぁぁぁああ!」

 

強制転移に関して言えば、知っていたし使われた事もあるので驚きは無い。

そして学園長にもその話はしていたので問題はないはずだ。

 

「リク・ラク ラ・ラック ライラック!氷結 武装解除(フリーゲランス エクサルマティオー)!!」

 

エヴァがスカートの下から試験管を取り出し投げつける!

 

「はぁっ!?」

 

誰でも驚くが、彼女・メディアに攻撃を与えるには物理、それも転移や幻影を見極めて捕縛結界などで捕まえてからでないとダメージが入らない。

ある意味、ジャック・ラカンやナギ・スプリングフィールドよりタチの悪いバグのような存在だ。

そして、十年前は居なかった従者を連れていることから、物理でのダメージはまず与えることが不可能に近いのだ。

やはりバグだな、と再確認している間に話がすすむ。

それにしても、昔「少女の為なら命は惜しくない」と言っていた少女が少女のまま少女を愛でる姿はまさしくシュール以外の何者でもなかった。

 

考察をいくつもしている間にも話が進んでいる。

 

「クォォラ!クソジジィ!私を生贄に契約を成立させるな!悪魔契約か!?悪魔契約なのか!?オイ!」

 

「ふぉっふぉっふぉ、大丈夫じゃよエヴァ、グライアー教授の悪い噂はちーーーーーーーーっとしか聞かん。」

 

「クソジジィ!?お前悪魔か!?やっぱ人間じゃないんだな!?今度会ったら後頭部もぎ取ってやるぅぅーーーー!!!」

 

引きずられていった。

 

「私は彼女の従者をしているエミリア・フォン・アインツベルンという。これからよろしく頼む。」

 

「あ、あぁ、よろしく、エミリアくん。」

 

やはり従者か、とエヴァのことなど忘れて挨拶をする。

さきほどから落ち着いた物腰の彼女は依頼の資料を受け取って、そのまま二人のあとをおっていった。

 

 

 

 

 




結構こういうキャスターっていろんな所で描かれていますよね。
まぁ、こう言うノリ好きなんですけどw
エミリア・フォン・アインツベルンって公式ではないけど、結構有名だよねw
HF(ヘブンズフィール)ルートからイリヤの体のまま成長したシロウがアーチャー化したモノとしてワタクシ考えております。


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第2話 美少女なら誰であろうと救います!

あ、メディアさんにカップルとか無いからねw
あるのは宗一郎様ラブ一択だから!
過去回想はどれぐらいの場所でやればいいと思う?
ネギの村が襲われたりしての過去回想とか、
そう言う意味で、どれぐらいのタイミングがいいのかな?

あ、はい、感想来てたので、感動したからとりあえず第2話投稿しようかと頑張ったw
現金なやつとか言わないで><

では本編です。


まず最初に言っておく!

私は、

 

「かわいい少女を愛でたり可愛がったり、

かわいい服を着せるのが趣味なだけで、

そこらの下賎な輩と一緒にしないでちょうだいね!」

 

「だれかこいつをどうにかしろ!」

 

涙が目尻に浮かぶエヴァに、にじり寄る“影”(←メディア)

ハァハァと息を荒くしながらアリアドネー式の次元倉庫から、次々とヒラヒラフリフリの<お洋服>を取り出してエヴァに迫る。

 

「やめんか!」

 

次の瞬間、パシィン!と音を鳴らして打ち付けられる竹刀。

頭に星が舞う。

これは虎竹刀だ。

メディアがたびたびこうなるので、何故か全力で攻撃しても痛み以外、怪我さえもしないと言う能力で止めている。

何故か剣の丘に登録されていたとはアーチャーの談。

最初に見つけた頃は、なぜこれが剣と言う認識になり、

痛み以外与えないと言うある意味恐ろしい概念武装なのかと、

アーチャーがぶつぶつ呟いていたのは内緒だ。

 

「お、おお、おぉ!よくやった!赤いの!」

 

エヴァがその隙にメディアから距離を取る。

さすがのメディアも暴走を止めた。

 

「さすがね、頭がグワングワンするわ。」

 

と言ってから、突如真剣な顔をする。

 

「まぁ、少女を可愛がる(いじめる)のも好きだけれど、本題に入ろうかしら。」

 

エヴァを見る。

先ほどの様子とは打って変わって、メディアの雰囲気にあわせてエヴァも風格ある態度に変わる。

 

「あなた・・・、封印を解きたくない?」

 

それはエヴァの予想より、はるか斜め上にカッ飛んでいた。

 

「まず、お前達こそ、いったい“なんだ”?」

 

答えようとしたとき校舎からチャイムが鳴る。

 

「んー、どこか別の所で話しましょうか」

 

ここからは話を割愛すると、

 

下校途中で絡繰 茶々丸と言う少女(ロボット)と待ち合わせ、

エヴァの住居である森の中のログハウスへと移ったのだった。

 

「では、はじめに私の名前はメディア・ヘカティック・グライアー。そして彼女が」

 

「従者のエミリア・フォン・アインツベルンだ」

 

「エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ」

 

「私はマスターの従者で絡繰 茶々丸と申します」

 

全員が自己紹介をしたところで、

 

「じゃあ、先ほどの話の続きをしましょう?封印を解きたくは無いかしら?」

 

「・・・・・」

 

さっそくの本題だが、エヴァは黙ってこちらを睨んだままだ。

これでは埒があかない。

エヴァの後ろには茶々丸がおり、その前でソファに足を組んでふんぞり返る幼女。

それを見て可愛がりたい感情を必死に抑えて、どうしたものかと悩んだ。

 

「では話せる部分だけ話そう。」

 

と、口火を開いたのはアーチャー・エミリアだ。

 

「噂に聞いたことがあるかはわからないが、魔法とは違い、魔術と言うものが存在する。」

 

魔術?とエヴァが眉を寄せながら反芻する。

それは当然、この世界ではただ一人を除いて使えるモノがいない。

 

「そうだ、そしてその秘奥の中に、過去の偉人・英雄を使い魔とする術式が存在する。」

 

これはどう言う事だろうか?と、エヴァはさすがに荒唐無稽すぎて半信半疑だ。

仕方の無いことだが、とにかく説明が続く。

 

「英雄は死後、人々の信仰などで英霊と言う存在に昇華され、その英霊は時間軸から切り離されて霊長の守護者になる。

 そして、その英霊を召喚し使い魔にすることがこの術式であり、サーヴァントシステムと言う。」

 

「それで?そんな事を説明して貴様は何が言いたい?」

 

少々苛立ちを見せるエヴァ。

それに意地の悪いエミリアは、クククと口の端を歪めて笑う。

 

「まぁ、そうだな。大それた事は私も言いたくは無いが、私がその“英霊”だ。」

 

つまりはそう言う事。

アーサー王やクーフーリン、はてはメデューサからヘラクレスまで、神話に語られる英傑・豪傑・英雄と同格だと自分で言っているのだ。

 

「ハッ!バカバカしい!何かと思えば嘘にしてもデカデカと言ったな。」

 

バカにした態度のエヴァにメディア、エミリアでさえも苦笑する。

それを見てつまらなそうにエヴァはいった。

 

「で、その英霊さまがこいつの従者だと?」

 

それこそ本当にバカにしている姿だった。

 

「あぁ、それで相違無い。」

 

「さて、こちらが話せる範囲で『いったいなんだ?』の質問には答えたわ。」

 

エヴァの態度を意に介さず、話を進めようとするメディア。

 

「まて、その前になぜ私が何者なのか聞かない?」

 

また探るような視線を向けられる。

だが、メディアにとってはどうでもよかった。

 

「例え人間じゃなくとも、例え見た目通りの年齢じゃ無くとも、私にはどうでも良い事よ」

 

(見た目美少女なら!)

 

内心すごく不謹慎だが、実際メディアにはどうでもよかった。

まず女性であるのがOK、子供だと言う所がOK、そしてなんと言っても美少女ならすべてをひっくるめて許せるのだ!

 

「ふ、ふふ、あはははは!」

 

だが、そのメディアをどう思ったのか、エヴァが大声をだして笑った。

メディアとしては心でも読まれたのかと、すごくドキドキした事は目を瞑ろう。

 

「そうかそうか、で?封印と言ってたが、これは呪いだ。それでも解けるのか?」

 

上機嫌にエヴァが尋ねると、

 

「問題ないわ」

 

ニッコリと微笑んでエヴァに答える。

こうやって普通に笑ったり、過ごしたりしていればメディアも相応の歳の少女に見える。

中身一回天誅真っ当してるとか、結婚も二回してるとか、この世界では誰もしらない。

 

「ならば、解いてもらおうか。」

 

そう言ったエヴァに『一応』待ったをかけた。

 

「待って、ひとつだけ言い忘れていた事があったわ。

 あなたに掛かっているすべての魔法による術式すべてを打ち消してしまうの。

 正確には術式が関わった全てを元に戻す。

 だから、二つあるうちの両方とも破戒しても問題無いかしら?」

 

それはエヴァにとって初耳だった。

 

「む・・・、てオイ二つ?」

 

「えぇ、二つ」

 

「二つ?」

 

「二つ」

 

エヴァが子供の様に二度尋ね、それにやさしく答えるメディア。

 

「え?二つ?ち、ちなみにのろいの内容は?」

 

「私がわかる範囲では、まず一つ、この土地の精霊と結びついている呪い、これはあなたに掛かっているわ。」

 

「無限登校地獄だな・・・。」

 

「はぁ?」

 

思わずエミリアが声を上げるが、メディアとエヴァの睨みで黙る。

メディアとしてはアーチャー邪魔しないで!という思いで一杯。

もちろん、アーチャーも見た目美少女なので、罵倒されたりはしない。

 

「次にあなたの魔力の大半を奪っている、この学園結界」

 

それを言った瞬間、エヴァが勢い良く目の前のテーブルに倒れた。

 

「まぁ、大方想像はつくけど、どうしたのかしら?」

 

メディアが尋ねれば、エヴァは額をさすりながら顔を上げた。

 

「いや、ハッキリ言えば魔力を奪う結界の呪いは解き方がわかるが、

 それと一緒に登校地獄も解けると思っていた。」

 

「やっぱり」

 

メディアはしょうがないわねぇと、姉の様に優しい笑顔で頭をなでる。

 

「う・・・・、って、ドサクサ紛れに頭をなでるな!」

 

ウガァー!と威嚇するネコよろしくに顔を真っ赤にするエヴァ。

そしらぬ顔で手を戻すメディア。

 

「それと少し理解してないみたいだから言うけど、まずあなたのその体は元には戻らないわ。」

 

ビクッ!と体を震えさせるエヴァ。

こちらからではそれに気づいていたのか、確認できないがすごい反応の仕方だ。

 

「あと、あなたに術式の破戒を行うと、そこの従者との契約、まぁ繋がりも消滅、最悪術式が関わって動いていた部分全てがゼロになるわ。」

 

言われた事を想像したのか、すごい苛立った顔をした。

 

「つまり、自分自身の為に従者を捨てるか、従者の為に無限登校地獄をもう少し続けるか・・・、か」

 

エヴァはそう言って舌打ちする。

そこからは無言になっていた。

誰もがしゃべらず時間だけが過ぎる。

 

「チッ、無限登校地獄はまた別の方法を探す。これでいい。」

 

「マスター!」

 

「うるさい!」

 

茶々丸が何かを口走りそうになったが、エヴァがそれをさえぎる。

 

「また一つ言っていいかしら?」

 

その険悪なムードを我関せずでツッこむのはやはりメディア。

さすがのエミリアも終始苦笑。

エヴァをいろいろな意味で遊んでいるのだ、つまりやり過ぎだった。

 

「なんだ!」

 

機嫌の悪くなったエヴァが怒鳴る。

皮肉屋なアーチャーが本体であるエミリアからしても、さすがに行き過ぎたイタズラだ。

 

「魔力を奪っている結界は私が今すぐ解くわ。」

 

「それはっ・・・、わかっている」

 

声を張り上げようとしたエヴァだが、

エミリアの苦笑とメディアのこのうれしそうな笑顔を見て、

一瞬で激昂した感情を落ち着かせていく。

 

「それでだけど、もう一つは猶予を1年くれるかしら?」

 

「は?」

 

これで驚くのは今日何度目になるのだろうか?

と言うよりは、全てメディアのせいなのだが、

 

「メディア」

 

戒める様にエミリアの声が聞こえて、さすがにメディアも反省。

そろそろ本題に入る。

 

「私が依頼で、この学園に居る間に呪いを必ず解くわ」

 

今までで一番真剣なメディアの表情と声音だった。

 

「その、なんだ。よろしく・・・、頼む」

 

「えぇ、約束は違えないわ」

 

メディアが真剣なまなざしでエヴァを見る。

そんな眼差しに、エヴァは口の端を吊り上げてニィと笑った。

その顔を見て、やっぱり少女はいつでも笑顔で居られる環境にいるべき、とかわけのわからないことを考えながら、虚空へ手を伸ばし握り締めると、一振りの短剣が姿を現した。

 

「アーティ、ファクトではないな?」

 

 

『何も唱えず出てくる』

 

 

この現象はすでにアーティファクトでは無いのだが、

虚空からマジックアイテムが出てくる現象は基本アーティファクト、パクティオーカードから呼び出されるものだ。

だが、すでにカードすらないので確実に該当しない。

 

「そうよ、これは生まれた時から私の一部なの。」

 

それを興味深々で見るエヴァに、ニッコリと良い笑顔で、短剣を虚空に振り下ろし真名を開放した。

 

 

「―――破戒すべき全ての符(ルールブレイカー)―――!!!」

 

 

 

 

 

 




エヴァっぽくない気がしない?
みんなの意見を教えてくれ!
なんかエヴァ様じゃなくて、エヴァちゃまになっちゃった。

なんか歳相応の女の子にしか見えません。
お願い!エヴァ様になるようにアドバイスをくださいorz



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第3話 この二人、嵐よりひどい

宗一郎は出てきても、恋愛までは行かないよ?とだけ言っとく。
それでもって人は感想とかに登場希望って書いてね!
そうじゃない人も感想とかに登場駄目って書いてね!
それかどっちでもよければ適当にw

てか、あんがいアチャ子ってみんなに定着しているんだねw
アチャ子ってイリヤの体のまま成長した姿だと自分は思ってますが、
そう考えると、アチャ子メチャクチャ美人だね><

はい、くだらないこと言ってないで本編です


 

 

と言う訳で、ルールブレイカーによってエヴァと結界のラインに直接介入。

魔力を奪われていたがそれを破戒。

 

「ふふふ、ふはははははは!これだこれだ!

 よくやったぞメディア!これなら今日の無礼は許してやるさ!」

 

「ふふ、それはよかったわ」

 

基本陰謀巡らせる魔女ことメディアだが、この世界においては純粋に自分の価値観(趣味)に走るため、ほとんど、ちょっと以外害は無い。

ククククっと悪役の様な笑顔をしているエヴァに、

それはもう嬉しそうに微笑むメディアの図。

それを見たエミリアは背筋が凍るような気がしたが、まぁ忘れよう。

 

「おめでとうございます、マスター」

 

エヴァの喜んでいるところへ茶々丸も祝福する。

 

「それじゃあ、報酬を頂きましょうか?」

 

ただその一言は・・・、

 

「は?」

 

隙を突く一撃!

 

「さぁ、では私が出す服に着替えてもらおうかしらっ!」

 

ズバババーン!とログハウスに衝撃が走った。

 

「そこでそう来るか!?」

 

とエヴァのツッコミが入るがすでに聞く耳を持たず、次元倉庫からありとあらゆるフリフリヒラヒラなロリータやゴスロリっぽい服が続々と現れる。

AUOも真っ青だろう。服の貯蔵は十分です!と今ならメディアが答えてくれそうだ。

本人の実力次第で広さが違う次元倉庫、最高峰の実力を持つメディアはすでにバビロン並貯蔵が可能でした!

 

「こ、こいつ・・・・、バカだっ」

 

最初からわかって居ただろうに、エヴァがわかりきったことを今さら叫ぶ。

まずバビロン並の貯蔵が出来る次元倉庫に、数千数万の<お洋服>を用意する意味がわからない。

 

「ひどいわね。魔術師は等価交換が原則。なら、あなたの呪いを解いたのだから成立するでしょう?」

 

何をいまさら?みたいな顔のメディアと、「こいつホントのバカだ」と呟くエヴァ。

 

「さぁ!」

 

エヴァにピンクのフリフリな『お洋服』を突き出す。

 

「うっ」

 

「さぁ!」

 

ジリジリと少しずつ下がるエヴァと、ジリジリと迫るメディア。

その横でジーと眺める茶々丸。

なんかこの中の一人でいるの嫌だな、なんて一瞬でも考えたエミリア。

 

「茶々丸!見てるんじゃなくて助けろ!」

 

マスターであるエヴァが命令した。

エミリアとしては茶番が終わるならいいか、と考えていたが、

 

「いえ、マスターの楽しみを潰す訳には・・・。」

 

このロボ娘非常に(違う意味で)有能だった!

 

「ええい!いつまで続けるか!」

 

茶々丸の言葉に、さすがのメディアでさえも呆れた瞬間を突いたエミリア。

幾たびの戦場を越えて不敗だからな、と意味がわからないことで内心ニヤリとしたのは内緒。

エミリアも10年でだいぶ慣れて(染まって)きていた。

 

「それより先に、護衛する際の資料を持ってきたから確認するんだ。」

 

何も言わせない迫力を出すエミリア。

まるで宿題をしない子供に威圧するおかん(お漢)だ。

 

「わかったわ」

 

観念したメディアがエミリアから渡された資料をみたが、それを見てプルプル震えだす。

さすがに変だと思い資料を横から覗く。

 

 

『女子中等部3-Aに編入し、担任のネギ・スプリングフィールドを護衛すること』

 

 

「あ」

 

「あ?」

 

「あんの妖怪もどきがぁぁぁぁ!」

 

エミリアが叫んだ。

これではあの「あかいあくま」よりタチが悪い。

 

「今すぐ学園長室に行くぞ、メディア!」

 

エミリアが呼んだがメディアはプルプルしていた。

 

「どうした?」

 

「・・・りつ・・るのよ」

 

「ん?」

 

ボソボソと聞き取り辛いが何かを呟いていた。

 

「契約成立してるじゃないの!」

 

と叫んだ。

そう、もう契約が成立した後。

ならば直訴しても契約が交わされている時点でこの話は終わってしまう。

 

「よし、わかった。私があのジジイをフルンディって来る。」

 

「いえ、私がヘカティってくるわ。」

 

と、どこからかエミリアが弓を取り出し、メディアはいつの間にかローブになっていて大杖を持っている。

 

「ちょ、お前ら何する気だ!?」

 

「いや、ちょっと関東魔法協会に喧嘩を売りに行って来るわ。

 大丈夫心配しないで、メガロメセンブリアと戦争になってもアーチャーと私なら勝てるから。」

 

「そうじゃないだろ!?」

 

エヴァが止めると、

 

「じゃあ、着てくれる?」

 

「は?」

 

気の抜けた声、それはエミリアの声だった。

まさか、自分の怒りさえも、メディアに利用されたのかと呆気に取られたが、マスターがそれでいいなら仕方ない。

 

「ぐぬぬぬ・・・」

 

と唸るエヴァ、ニコニコと微笑むメディアだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そのあとホクホク顔でログハウスをあとにした。

エヴァいわく、人に好き勝手されるのは我慢ならないし、人を着せ替え人形にするのはいいが、自分が着せ替え人形にされるのは嫌なんだそうだ。

あと、『子供扱い』されることが一番嫌いだとか。

次元倉庫にはそれ相応の等価交換の原則で手に入れたブツ(エヴァのかわいいお洋服写真集)でいっぱいになっていた。

 

「それにしても、この身がまさかの中学生か・・・」

 

「ちゃんと契約内容確認してから契約するべきね。」

 

「キミがな」

 

「ぐ」

 

ホテルに帰る途中の会話である。

だが、

 

「アーチャー」

 

「了解した」

 

何かを感じた。

その声とともにアーチャーが走り出す。

たぶん狙撃+視認できる高い建物に移動したのだろう。

 

「どう?アーチャー」

 

『戦闘を確認、あれは・・・鬼だな』

 

それを聞いて

 

「瞬来(オキュペテー)」

 

ラインを頼りにエミリアの傍に転移する。

 

「今、どんな状況?」

 

「ふむ、負傷した少女をかばって一人の少女が戦っているな」

 

「そう、じゃあエスコートお願いね?アーチャー」

 

そう言って、空を飛ぶことが出来るのにもかかわらず、体を建物から踊りだした。

だが、それを支える様に横へ付き従うエミリア。

数秒後には戦闘に介入する!

 

「ηεκατιξ」

 

指は魔方陣を描き、口は高速神言で呪文を紡ぐ!

 

「圧迫する黒柩(コリュキオン)!」

 

紡がれた魔術は形を成して、巨大な重力の砲弾が撃ち出される。

その重力球が前方の異形を飲み込んでいった。

だが、まだワラワラと沸いて出る。

 

「私はあの子の治療に専念するけれど、任せてしまっても?」

 

「あぁ、問題ない」

 

返事を聞くと二人の少女へ向き直る。

 

「さぁ、あなたたち、傷をみせなさい」

 

そう声をかけるが、傷ついた少女を庇う様に背の高い少女が立っていた。

 

「助けて頂いた事には感謝いたしますわ。でも、だからと言って、無条件で信用するつもりもありませんの」

 

まぁ当然よね、なんてその言葉を受け入れる。

どうしたものかと思ったが、まぁいいかと話す。

 

「私の名前はメディア・ヘカティック・グライアー。

 正式な身分としては魔法世界(ムンドゥス・マギクス)のアリアドネーで名誉教授をしているわ」

 

その言葉にハッとするが、しかし表情が硬くなる。

 

「確かにその名は有名ですが、年齢が違いすぎませんこと?」

 

「それは当然、私は成長を遅らせているだけで列記とした26歳よ?」

 

二人は少しの間、無言で睨みあったが、メディアがめんどうそうな顔をして、

 

「瞬来(オキュペテー)」

 

転移して、

 

「τηεξκατιξ」

 

高速神言使用で治癒を施す。

もちろん後ろの少女に、だ。

 

「いつの間に!?」

 

庇っていた少女の後ろで治癒が始まってしまっていた。

 

「もう痛くないかしら?」

 

「は、はい・・・。」

 

うつむきながら返事をする少女に、『この子もかわいいわね』とか思った。

 

「一応傷跡を残さない様に消して置いたわ」

 

そう言って、背の高い方の少女にも高速神言で回復を施す。

 

「あなたも女の子なのだし、傷には気をつけなさい、いいわね?」

 

ニッコリと注意する、言い聞かせる様に微笑む。

メディアが言うと少女は顔を少し赤くして、ゆっくりうなずいた。

 

「よろしい。さぁ、こんなかわいい少女を働かせる悪い上司は抹殺ね。アーチャー?」

 

「あぁ、一言くらい文句を言ってもバチはあたらないだろう」

 

いつの間にか鬼を全て片付けたエミリアが隣にいる。

 

「あのたぬきジジイはやっぱりプチっと潰しておくべきね」

 

「無論だ、誰が悲しくて学生服など着ねばならん」

 

(少しズレてるが)意気投合した二人は少女達をその場に残して移動した。

 

「瞬来(オキュペテー)」

 

 

 

 

 

 

 

移動もなにも、転移で学園長室へ到着。

 

「な!?」

 

驚きの声は誰からか?などは差し引いても褐色の肌の男が拳銃を抜き、隙なく構える。

 

「ガンドルフィーニ君、おちつきたまえ」

 

学園長が手を前にかざして抑える。

そして学園長がこちらを見た。

 

「強化・拳相乗 冥火(エトナ)!!!」

 

拳に強化と炎を纏わせて学園長を一発殴る

グフォー!と悲鳴をあげて学園長が吹っ飛んでいった。

 

「学園長ぉぉぉぉおおお!?」

 

吹き飛んだ学園長に叫んでいるガンドルフィーニと呼ばれた「めがねたらこ」

 

「ふぅ・・・、あなたたち、なにをやっているのかしら?」

 

「な、なにとは?」

 

それを聞いてメディアはゴミをみるような目をして学園長を見た。

 

「あなたたちの守るべきはずの生徒が、魔法使いとは言え、前線に立たせて。

 あの子たち、もう少しで大変なことになっていたわよ?」

 

と言うと、

 

「今回の侵入者のレベルにあわせて、生徒には前線に出ない様に連絡したはずじゃが・・・?」

 

はて?と学園長も不思議がり、ガンドルフィーニも驚いている。

メディアはうそを突くのか?といぶかしむが、

コンコンっとノックが響き、返事をする前に入ってきた。

 

「失礼します。高音・D・グッドマンです!」

 

「同じく、佐倉 愛衣です」

 

先ほど助けた少女たち。

 

「先ほどは失礼しました!」

 

入ってきてそうそう高音と言う少女が綺麗な角度で頭を下げた。

正直、エミリアは結論がわかった。

 

「勝手に前線に出たうえ、誤解を招いてしまいました。」

 

とやはり説明された。

だが、メディアは、

 

「いいのよ、あなた達のせいではないわ。

 このたぬきジジイが疑われる様な態度をとってばかりだからいけないのよ」

 

と、反省の色は無い。

 

「これ、わしのせい?のう、ガンドルフィーニ君」

 

「自重されてはいかがかと・・・。」

 

学園長の日ごろの行いなのか、ガンドルフィーニにさえ援護してもらえない。

 

「それでこの子たちは?」

 

話題を変えるべく、ガンドルフィーニはメディアとエミリアをみた。

 

「あぁ、タカミチ君の友人で、若き天才美人教授、その名もメディア・ヘカティック・グライアー名誉教授じゃよ」

 

なぜかこう、媚びる・煽てると言った雰囲気の学園長だが、それは置いておくとしよう。

 

「えぇ、紹介された通り、アリアドネーで名誉教授をさせてもらっているわ」

 

鼻にかけた態度を取るわけでもないが、気品溢れる一礼はまさに貴族や上流階級そのもの。

いや、メディアの前世の生まれが、王女なのだから当然だろう。

 

「私は彼女の従者をしているエミリア・フォン・アインツベルンだ」

 

二人は揃って挨拶するが、その前に、

 

「それで近衛老、私達は依頼は受けるが中学生になるのはどう言う訳だ」

 

アーチャーが一番気にしている事を言った。

それはそうだろう。

アーチャーの本体、いや、中身は元男。

女子中学生の中に混ざるだけでもアレだが、それよりも・・・・

 

「なぜ私が女子の学生服を着なければならん!屈辱だ・・・。」

 

まぁ、ありていに<orz>こんな状態のアーチャー。

そして、メディア以外、それのどこが嫌なのか?と首をかしげる一同。

もちろん、ガンドルフィーニも教授職の者とその従者に、

中学生をさせるのは頭がおかしいとしか思えないが、

逆に見た目だけ見れば二人とも中学生と変わらない。

 

「アーチャー、諦めなさい。私達、もう契約してしまったのだし」

 

と、優しい微笑みでくず折れるアーチャーに、そっと手を差し伸べる。

 

「いや、キミが契約内容をちゃんと確認しておけば問題なかったんじゃ・・・」

 

「―――――」

 

アーチャーの言葉に、ピシッとメディアの心にヒビが入る。

差し伸べた手を途中で止めてしまっている。

それから二人は立ち上がり、お互いに正面に立ち、

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

二人は睨み合っていた。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!

 

地鳴りと共に魔力が吹き荒れる!

お互いが杖・剣を持ち、隙を窺う事数十秒。

 

「不毛ね」

 

「その様だ」

 

と、二人はふっと笑って武器を収める。

周りでは体を抱き合う高音と愛衣、冷や汗を拭う学園長とガンドルフィーニ。

みなが安堵の溜息を突いたが、

 

「私達が本気で喧嘩なんてしたら、こんな街消滅しちゃうもの」

 

「いや、私達では無く、主にキミのヘカティック・グライアーが原因だろう。

 私が本気を出してもせいぜい一区画だ」

 

なんて当たり前に目の前で会話されて、

依頼は受けてもらえたけど、それ失敗したかな?と近右衛門は思った。

それ以前にこの二人を呼んだ事自体が間違いなんじゃ?と思うガンドルフィーニ。

 

「ではそろそろ私達は失礼するわね」

 

メディアが声をかける。

考え込んでいた近右衛門は慌てて声をかけた。

 

「そ、そうじゃった!おぬしたちに渡すものがっ!?」

 

近右衛門が引き出しから取り出した袋を、

 

「逆巻(アリアドネ)」

 

メディアは強制転移で手元に袋を転移させた。

 

「どうも、それではね」

 

と、挨拶をして二人は出て行った。

 

「嵐じゃ・・・、嵐がおった」

 

「招いたのは間違いなくあなたですよ、学園長?」

 

近右衛門の言葉に、重なる様に掛けられたガンドルフィーニの言葉であえなく撃沈された。

 

 

 




はい、あとがきですね。

まず、肉体を手に入れたメディアさんは人の魂を食う必要も無く、
ネギま世界は魔力に溢れているので、柳洞寺のような拠点を必要とせず、
サーヴァント一人くらいなんのそので召喚、転移やヘカティック・グライアーも撃ち放題!
あれ?キャスター、もといメディアさんチートじゃね?
って、思ったのがこの小説の始まりです。

いや、妄想って大事だわ

それと、感想・ご意見をくださったり、評価をしてくださった方々、本当にありがとうございました!
更新頑張っていきます!


※二月六日 加筆修正


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第4話 魔女、趣味に走りながら暗躍する

ちょっとうろ覚えで書いてます。
違ったら指摘して!><

まぁ、マンガでやってる簡単なくだりとかはしょってます。
読んだことない人は周りの作者さんのところで吸血鬼編を読んでこいや!って事でいいですか?
だめなら次からがんばる!


みなさん、ご意見や感想をありがとうございます!
感想を総合的にみると、宗一郎に関しては今のところ出ない方向性になってきていますね。
それと更新は特に決めて行っているわけではないので、一日あいたりしても更新しないわけじゃないですよ?(・ω・)ノ


なお、誤字脱字が多いと思います。
今回は書き下ろし即投稿しているので。
明日編集しておきます。

それでは本編です。


 

 

 

「3年っ!」

 

「A組ぃ!」

 

「「「「「「「ネギせんせーーーーー!!!」」」」」」」

 

ワァァァァーー!!!!となにやら愉快でおばかな仲間達が騒いでいる。

転校生として教室の入り口で待っていたのだが、中では生徒が騒いでしまって呼ばれる気配がない。

 

少しして落ち着いたのか、転校生がいます!と声が聞こえた。

 

教室の戸が開いた。

 

「お待たせしちゃいました、入ってきてください」

 

と坊やが言った。

 

 

 

 

 

 

 

―――十数分前。

 

 

学園長室に呼ばれて、先日受け取った袋の中にあった制服を着る。

エミリアが制服を着た後、姿見の大きな鏡を見て<orz>していたのは、思い出しただけで楽しかったとはメディアの談。(もちろん写真は撮った)

 

「それで、初日の朝からこのたぬきと顔をあわせなければならない理由は?」

 

そしてこれが学園長室に入っての第一声。

 

「む、むぅ、いや、その、のう?」

 

これが学園長の第一声。

これが格差社会(違う)である。

 

「まぁ、普通の学校でもそうだけど、転校生なんだから教師と教室に行くのは当然だろう?」

 

と、タカミチが説明する。

エミリアがなるほど、と納得したがメディアは、

 

「この私に中学生なんてさせるのだから、報酬はわかっているのでしょうね?」

 

これまたあくどい顔をしていた。

 

「それは・・・、その、のう?タカミチ君や」

 

「エヴァに頼むしかないのか・・・・?」

 

やっぱり情けない二人。

さすがにエミリアも苦笑ではなく、ため息。

 

「だめよ、あの子とは利害が一致して、協力は得ているのよ。もう『あなた達が出した報酬』と言う形にはならないわ。逆に彼女には私から報酬を渡さなければならない状況よ」

 

最後の言葉に二人が疑問を感じた時、ノックの音がした。

 

「入りなさい」

 

学園長の声で扉が開く。

 

「失礼します!こんな朝早くにどうしたんですか?あ、タカミチ!おはよう!」

 

「やぁネギくん、おはよう」

 

タカミチ達はにこやかに挨拶を交わしている。

 

「すまんのネギ君、今日はキミのクラスに転校生がいての。」

 

「えぇ!そうなんですか!?」

 

メディアがまた学園長をゴミを見る目で見ていた。

おおかた転校生が来るのに担任に教えてないことなど、いろいろ考えているのだろう。

エミリアはそう考えて隣で苦笑する。

 

「初めましてネギ先生、私メディア・ヘカティック・グライアーと申します。以後よろしくお願いしますね」

 

メディアがネギに体を向け、優雅に一例する。

 

「私はエミリア・フォン・アインツベルンと言う。一年間よろしく頼む、ネギ君」

 

こちらはなるべくやわらかい態度で挨拶をした。

ネギは「あれ?僕の名前・・・」と言うので、メディアが先生方に聞いたと言うと納得してくれた。

 

「では、改めまして、ネギ・スプリングフィールドと言います。これから一年お二人の担任をさせていただきます!よろしくお願いします!」

 

礼儀正しく一例すると、ヘニャっと笑顔になった。

その瞬間、メディアの目がキュピーン!と光った。

(この子!着せ甲斐がありそうね!クフ)とか思ったらしいです・・・。

今まさに、メディアの趣味が広がった瞬間がここに刻まれる。

 

「さて、そろそろHR(ホームルーム)の時間じゃ。ネギ君、転校生達の事は任せたからの?」

 

「はい!」

 

ネギは勢い良く返事をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

そして、先ほどの状況と言う訳だ。

 

「メディア・ヘカティック・グライアーと申します」

 

「エミリア・フォン・アインツベルンと言う、よろしく頼む」

 

呼ばれて早々に自己紹介を済ませる。

設定ではメディアが医者を目指している勉強熱心な少女A。

エミリアが軍人の父親が居るため、言葉がそれらしくなった、と設定している。

すでに設定が脇役どころではないのだが、この教室に居るモノが普通ではない。

財閥の令嬢が二人、魔法使い関係者が多数、魔法使い娘も居る。

そこのところ要注意なのだが、

 

(こ、これは天国!?)

 

メディアは幸せ絶頂期だった。

 

『こらこら、ラインから感情がこぼれて聞こえてくるぞ』

 

エミリアからの指摘に口の端を急いでぬぐう。

なにせメディアの好物、じゃなくて趣味の対象がこれだけいるのだから間違いない。

今のところボロは出ていないが、このままでは・・・。と考えているエミリアを救った。

クラスの全員が文字通り身を乗り出して、どこからきたのーとか、しゅみはー?とか聞いてくる。

 

「まぁ、まって!ここはこの麻帆良学園のパパラッチこと私が代表して取材させてもらうわ!」

 

と意気込む女生徒。

そこへ・・・、

 

「ネギ先生、身体測定の時間がそろそろなので、準備始めてください」

 

「あ、はい!」

 

しずなと言うこのクラスの副担任だ。

 

「ではみなさん!急いで服を脱いでください!」

 

そこからは嵐の様だった。

ネギが少女達に今ここで早く脱げと言うのだからさぁ大変。

一部を除いて騒いでしまっていたのだ。

そこからすぐ、

 

「大変だ!まき絵が!」

 

これである。

まぁ、これは予想できていたが。

そしてある程度して、身体測定が終わり質問攻めに会いながら、授業を受けて今は放課後。

授業とか休憩時間中のことは、割愛させていただく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでどうかしら?」

 

「首尾は上々だ。だが、こんな事をしていいのか?護衛対象を私に襲わせて」

 

今メディア・エミリアの魔術主従はエヴァのログハウスにいた。

 

「いいのよ、あの坊やの実力も知りたいし、何よりなんでもかんでも私達が守ってたら修行にもならないし。何より心、内面はそれじゃあ絶対成長しないわ」

 

その言葉にふむ、とエヴァが一瞬考えて、別の話に切り替える。

 

「そうだ、お前達の言う等価交換とは、その本人が価値のあるものだと認めれば、それと等価になるのだろう?」

 

「えぇ、そうね」

 

この世界にも等価交換の知識はあるが、魔術師の等価交換は特殊で、周りからゴミ扱いされるモノだったとしても、その魔術師にとって価値があるモノならば、等価の条件を満たすのだ。

簡単に言うと、プレゼントをもらったから、こちらもプレゼントを用意して送り返す様な事もあるが、ジャンルはさまざま、片やプレゼント、片や魔物討伐(実験の材料)なんて事を要求するのはザラだ。

そして、今回のエヴァの要求が決まったようだった。

 

「わ、わた、私が満足する洋菓子を要求する!」

 

顔を真っ赤にしたエヴァが言った。

エヴァの内心は(私は600年でいろんなモノを食べてきた。ちょっとやそっとじゃうまいなんていわないぞ)だった。

見かけには威厳など無く、内心で取り繕うエヴァ。

 

「あぁ、すみませんマスター。私に洋菓子の料理がプログラムされてさえ居れば・・・」

 

よよよ、と泣いたフリをする茶々丸。

このロボ娘、無表情だが良い性格である。

 

「いじめたわね」

 

メディアの言葉でこの場に混迷の荒野が広がる様だった。

 

「ち、違うぞ茶々丸!おまえの飯はうまいからいいんだ!って、何を言わせるか!」

 

怒るエヴァ。

 

「あなたが勝手に言ったのよ?」

 

とメディア。

そこへいつのまにか、ピンクのフリル付レースのエプロンを付けたエミリアがいた。

 

「あら、アーチャー首尾は?」

 

「上々だ」

 

アーチャー・エミリアは皮肉気に口の端をゆがめる。

その後ろからは美味しそうな香り。

 

「ところでメディア」

 

「何かしら?」

 

洋菓子を載せた皿と紅茶の載ったお盆をもって、こちらに背中を向けている。

 

「別に満足させてしまってもかまわんのだろう?」

 

ふふん、と鼻を軽く鳴らして尋ねるアーチャーに、

 

「えぇ、存分にやってやりなさい」

 

「了解した、マスター」

 

(アホね)っと、メディアは思った。

 

「さぁエヴァ、私が作ったこの洋菓子の数々、心して食すが良い」

 

なんかわからないが、作ることになってからのテンションが異常に高いエミリア。

まぁ楽しめているのならメディアとしても、喜ばしいことではあるのだけれど・・・。

 

「バカな!?」

 

それはエヴァの声、そして机をバン!っとたたいている。

 

「お、おまえ!どう言う事だ!」

 

「どうとはなにかね?」

 

突然の質問にエミリアが尋ね返す。

 

「まず、果物の切り口の滑らかさ!これだけで引き立つ舌触り!そんな事が出来る道具はこの家には無い!」

 

あまりのエヴァの様子に、わかってしまったか・・・とつぶやいたエミリアは前に出た。

 

「―――投影、開始(トレース・オン)」

 

その一言で、手元に一本の長包丁が現れる。

 

「な!?」

 

そう、カード無しのマジックアイテム召喚能力のように見える。

 

「この包丁は私が生きていた頃の最高峰のモノだ」

 

いちおう剣と認識して登録していないので、消費魔力が名剣程度消費される。

使うと美味しく作れるが、宝具まではいかなくとも名剣級の消費は、マスターがメディアだからこそ出来る無駄遣いである。

 

「まあ、なんだ、作った側としてはそんなに喜んでもらえて嬉しかった」

 

ふいにふっとやわらかい笑顔をするエミリア。

 

――カシャ

 

音がする、フラッシュが焚かれる。

そこにはニコニコしてカメラを構える魔女と、ジーっと無表情で眺めるロボ娘。

 

「やったわ、アーチャーのレア写真が撮れたわ!」

 

「幸せそうに食べるマスターの顔を映像に収めることに成功しました」

 

嬉しそうな二人に呆れるエミリアと、顔を真っ赤にしてぜんまいを取り出すエヴァがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前でぜんまいを巻かれているロボ娘。

あっ、うんっ、と目の前で艶っぽい声を出している。

エミリアは顔を赤らめて顔を片手で覆っている。

メディアはカメラでエプロンドレスの茶々丸を撮っていた。

だがカメラを片手に突然声をかける。

 

「そろそろ行く時間じゃなくて?」

 

さすがのエヴァもぜんまいを巻く手を止めて、

 

「カメラを構えながらシリアスな表情とは笑えんな」

 

引きつった顔のエヴァだった。

 

「お前達はどうする?」

 

「坊やの様子を遠くから見ておくわ」

 

平然と言うメディアだが、その遠くとはアーチャーの視認できる範囲、つまり4㎞ほどである。

まず普通気づかれる事は無い。

だが、それを説明するはずも無い。

 

「わかった、事がおわったらまた作ってもらうからなエミリア!」

 

普段の態度に戻ったエヴァがフンッ!と鼻を鳴らしてそっぽを向く。

 

「了解した」

 

口の端を吊り上げるエミリア。

 

「では私達はお邪魔したわね」

 

そう言って、二人は帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「始まったわね」

 

ここは中等部校舎の屋上、メディアは学園結界にラインをつなげて遠見をし、エミリアは屋上のふちに立って肉眼で見ている。

 

今現在はエヴァとネギの追いかけっこ中だった。

 

「アーチャー、どう思う?」

 

「まぁ、10歳ならば私などより余程すばらしい」

 

苦笑するエミリアに、苦笑で返すメディア。

 

「魔法使いとしては?」

 

「話にならんな」

 

それもまた苦笑であった。

 

「これからどうする?」

 

だが、やはり真剣な顔のエミリア。

元の性格だけに気になるのだろう。

 

「別にどうもしないわ。彼には強くなるしか生きる道が無いモノ」

 

「英雄の息子とは悲しい存在だな」

 

「正義の味方兼英霊が言うセリフではないわね」

 

悲しそうな顔でクスリとメディアが微笑んだ。

 

その時、戦闘が終わりかけ、エヴァには「軽く血を抜いてやれ」っと言ったが、エヴァも楽しくなってきたのか、いろいろ脅し文句を聞かせている様だ。

怯える少年に悪役の笑顔を貼り付けたエヴァが噛み付く!

 

『あぶぶぶぶぶぶぶ!』

 

噛み付いて一秒もせずにエヴァが吹き飛んだ。

 

だが、遠くから見ていたエミリア・結界のラインで確認していたメディアには誰がやったかがわかってしまった。

 

「アスナ・・・・」

 

メディアのつぶやきにエミリアは何も言わない。

 

「少し気を抜きすぎていたかしらね」

 

「彼女がキミの言うアスナ・・・か」

 

隣に居るアーチャーが声をかけてくる

 

「女子中学生の力じゃないな」

 

「一応、一般人枠よ」

 

納得いかなそうにこちらを見てもう一度口を開いた。

 

「だが無意識にでも気があふれているんじゃないのか?」

 

「一般人よ」

 

「・・・」

 

「・・・」

 

どちらとも譲らない、それが今夜最後の二人の会話だった。

 




はい、原作に沿う様にしていますが、間違ってるところとかないよね?
いやまぁ、オリジナルに展開だとは思うけど、吸血鬼に襲われる人が誰?っとか、いろいろあるじゃないですか。
ちょっとうろ覚えで書いてます。
まぁ、オリジナル展開って言い切ればいいんだけどね。


私事ですが、評価に1がついてしまった!
何がいけなかったんだろうか?
面白くないって言われるのは仕方ないが、どこがいけなかったんだろう・・・。
読んでいる人が居たら、もしよければここが悪いってところがあったら、教えてください!
直すように努力する!

それでは、また次の更新に!

※二月六日 加筆修正
なんかごめん・・・。
修正した結果がギャクにしか出来ない私にシリアスはかけなかったらしい・・・


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第5話 英雄の息子だから

  上 司  :実はさ、二週間だけ週六日勤務で頼めないかな?
         ほら、現場仕切れる人今二人しかいなくてさ。
NextChance:いいですよ!

なんて言うんじゃなかった!
日々ちまちま続き書いていました、はい。
と後悔して前書きを書いております。

シリアスが書けない事に今更気づいたZE☆

うん、ここおかしい!って文章や、
こここの方がいいんじゃない?とかあったら教えてください!

では、本編です。


 

「それで?キミはどうする?」

 

隣を歩く少女が聞いてきた。

昨日の件だろう。

 

「どうもしないわ。いつかは“こちら側”に戻ってくることになっていたはずだもの」

 

そう言うと、アーチャーも納得は出来ないが、理解はしたと言う表情だ。

『魔法完全無効化能力(マジックキャンセル)』などと言うモノを持っている彼女、アスナはいずれこちらに戻ってくることになるだろう。

それが遅いか早いかだ。

 

「ただ、少し気を抜いていたわね」

 

「そうだな、英霊であった頃のキミならば、彼女の現在の状況を調べていない筈が無い。あの頃のキミは冬木の地、全てを監視していたからな」

 

「耳が痛いわ」

 

二人は何気ない素振りで話ながら校舎へとたどり着いた。

すると、前の方で、

 

「む、むむ無理です!エヴァンジェリンさんがいるかも知れないんですよ!?」

 

「だからって、あんた先生でしょ!」

 

と、なにやらもめている。

 

「あら、ネギ先生、おはようございます」

 

そこへメディアが挨拶し、

 

「ふむ、何かあったのかね?」

 

と、しれっとした感じで二人が話しかけた。

 

「え?あ、いや、なんでもないのよ?(吸血鬼とか魔法使いとか言える訳無い!)」

 

「あ、いえ、その・・・、なんでもないですよ!それじゃあアスナさん、先にいってますね!(そうだった!転校してきたばかりなのに、先生がいないんじゃ不安にさせちゃいます!)」

 

「え!?ネギ!」

 

ビュン!と音を鳴らせて校舎の中に駆け込んでいく。

三人してなにが起きたのか理解が追いつかず、ポカンとした。

 

「そう言えばアスナ」

 

それはメディアから発せられた。

初日に軽い自己紹介は交わされていて、呼び名も決まっていた。

 

「ん?どうしたのメディア」

 

「あの坊や、暗闇広がる夜に1人にしないように気をつけなさい。軽いけど死相も出てるわ」

 

「そ、それってどう言うこと?」

 

驚いた顔だ。

 

「私の占いは結構あたるのよ」

 

それを聞いたアスナがアハハと軽く笑った。

まぁ仕方ない、結局は占いと伝えたのだから。

 

「まぁ、気には止めておくわ」

 

そして占いとして伝えた内容は、エヴァと話あった結果、決着をつけるならこの日と決まった。

『麻帆良の大停電の日』

この日は結界も弱まり、この麻帆良を狙う侵入者がもっとも襲ってくる日だ。

だから、誰の邪魔も入らない。

他の魔法先生は防衛のため、ネギたちの戦いに手を出す余裕もなく、邪魔されず決着をつけることが出来る。

魔力だけは戻っているエヴァだが、結界自体には縛られている。

結界が存在するかぎり無限登校地獄は続く。

つまり、敷地外に出る事が出来ない。

本当の意味で自由に動けるのが『麻帆良の大停電の日』なのだ

 

 

 

 

 

今日も一日の授業が終わった。

荷物を持ち、エミリアと帰ろうとすると、

ネギが駆けつけて一言、

 

「あ、お二人には授業に関係したプリントをお渡しするので、職員室まできてもらってもいいですか?」

 

だった。

まぁ、転校してきたばかりなので、当然授業に追いつけるかわからない為、その確認用宿題プリントを渡された。

そこで挨拶をして帰ろうとしたが、

 

「すみません、教室まで一緒にきていただけますか?」

 

である。

さっきからあっちへいったりこっちへいったりと忙しい。

この子何考えてるのかしら?と、メディアが考えている間に教室へと着いた。

そして扉をあけると、

 

パーン!パパパーン!

 

と音がし、それがクラッカーだと気づいた。

 

「えへへ、急だったので少し遅くなりましたが、ようこそ!3-Aに!」

 

目の前でネギが言い、教室で待っていたクラスメイトたちが笑顔で迎えてくれた。

黒板には「歓迎会!」とデカデカと書かれている。

 

「ふふ、なんと言うか・・・、うれしいものね」

 

「そう・・・だな」

 

軽く微笑んでエミリアに声をかければ、テレたように頬を掻いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

メディアは疲れた様にため息を着いた。

それはエヴァの別荘でのことだ。

歓迎会が終わり、放課後にエヴァのログハウスへと来ていたのだ。

別荘の研究室を使って研究しているのは、もちろん『無限登校地獄』である。

エヴァの魔力を奪う結界とのつながりは破戒したが、こののろいがある限りエヴァは自由ではない。

魔力の復活したエヴァならば解呪出来そうなものだと思われたが、あのサウザンドマスターがあらん限りの魔力を注いだくせに、適当な術式のため、いろいろこんがらがっていて面倒極まりない状況だ。

 

「ふぅ・・・」

 

またしてもため息が出た。

最初に聞いたときはそれこそやはりバカだったと思った。

サウザンドマスター=ナギが考えなしにやったのだろうと想像したが、それは半分ほどで、エヴァに少しでも日向の生活をして欲しいとでも思ったのだろう。

だからバカなのだ。

相手のことを考えてやった事なのは認めるが、だからってバカみたいな魔力である。

限度があるだろうと思った。

 

 

今日はエミリアがネギ達の警護をしている。

報告がないところを見ると、どうやら今日は何も無い様だ。

 

『マスター』

 

そうでもないようだ。

 

「何かしら?」

 

『寮の浴場で少し騒ぎが発生した』

 

ふむ、と考えはじめたが、

 

『静まったようだ』

 

考えているうちに終わったことを告げられた。

まぁ、ヘタな騒ぎはよくあることなので、別に気にする程でもないのだろう。

 

「まぁ、3-Aの子達はすごいバイタリティですもの、少しなら気にすることは無いわ」

 

『む、しかし、微弱だが獣の気配がする』

 

「わかったわ」

 

アーチャーの心配性にも困ったものだ、なんて考えながら研究室を出て、入り口に向かう。

別に別荘から出るわけではない。

入り口の方が外界とつながっている分、学園結界との接続が容易だからだ。

接続すると、頭の中に寮の内部が浮かんだ。

ネギたちを見てみればしゃべるイタチの様な生き物と、怒っているアスナ、イタチの様な生物を庇うネギ。

 

「ふぅ・・・、あれはオコジョ妖精・・・かしら?」

 

さすがに結界の接続が容易なだけで、別荘の中からではしゃべっているのはわかるが会話の内容まではわからない。

 

『どうする?排除するなら早いほうが・・・』

 

「いいわ、ネギの知り合いみたいだし」

 

『了解した。何かあれば私の判断で動くぞ?』

 

「えぇ、お願い」

 

そう言ってラインによる念話をやめた。

 

 

 

 

 

次の日になって、ネギの肩にあのオコジョがいた。

まぁ、知り合いの様だったので、使い魔にでもしたのだろうか?

 

「あんなものと一緒にはされたくないがな」

 

隣でエミリアが言う。

それはもちろんだと視線で返す。

最高位のゴーストライナーであり、英霊であるエミリアを使い魔なんぞと一緒にはしない。

こうして一日過ぎようとしていたが、

 

「動いたわね」

 

現在は放課後。

ネギがアスナと共に茶々丸を尾行中である。

返事は無いが、エミリアも隣にたっている。

 

「それにしても・・・」

 

メディアが見たのはネコとねこと猫!

茶々丸の帰り道はネコに彩られた状態だった。

ネコと戯れる茶々丸を見れてメディアは、今日はもう満足してしまっていたが、そろそろだ。

 

「アーチャー、もしもの時は・・・」

 

「了解した」

 

そう言ってエミリアは屋上から飛び降り、建物の屋根を跳んで走り去る。

 

「まったく、坊やはどうするのかしらね?」

 

 

 

 

 

 

 

>>ネギ

 

 

 

「契約執行(シス・メア・パルス) 10秒間!! ネギの従者(ミニストラ・ネギィ)アスナ・カグラザカ!!!」

 

人気の無いところで声が響きわたる。

これでもかと言わんばかりにアスナの動きが加速した。

 

「っ!」

 

予想外な速度に茶々丸の反応が遅れた。

 

「光の精霊11人集い来たりて・・・

 

―――これで決まる!

 

魔法の射手(サギタ・マギカ)!! 連弾(セリエス)・光の11矢(ルーキス)!!」

 

ネギはカモに言われたとおりに行動した。

これを当てれば倒せる、そう思った。

 

―――でもこれでいいのか?

 

そう思った瞬間、

 

「マスター・・・、私が壊れたあとのことは頼みます」

 

聞こえた瞬間ダメだと思った。

これじゃダメだと、これは違う・・・と。

 

「ま、曲がれぇぇぇぇーーー!!!」

 

だからとめようとした。

でも、間に合わなかったのだ。

だが、声が聞こえた。

 

「龍牙(コルキス)」

 

ドン!

 

光の矢が衝突し、砂塵を舞い上げて視線を遮る。

結果がわからないが、

 

カシャカシャ、カラカラ

 

それは音だけだった。

カラカラと乾いた音。

 

そこにいたのは頭の無い銀色の骸骨!

 

「りゅ、竜牙兵!?」

 

カモが声を上げる。

アスナもそれを見て恐怖しているのがわかる。

もちろんネギだってこんな完成度の高い竜牙兵を見たことが無い。

砂塵が晴れるとそこにはすでに茶々丸がいなくなっていた。

 

『敵を個別撃破するという考えはいいわ。』

 

声が聞こえた。

竜牙兵からだ。

 

『でも、あなたは修行で教師をするのでしょう?なら・・・』

 

ネギは混乱していた。

突然現れたと思ったら、まさか、竜牙兵から声をかけられ、あまつさえ自分の修行内容を知っていると来たのだ。

 

『生徒を殺してしまってよかったのかしらね?』

 

「ど、どう言う事ですか!?」

 

反発する様に言葉を返すネギ。

 

『さきの攻撃、あれは彼女を壊す、殺す威力を秘めていたわ。つまり・・・、あなたは彼女を殺そうとしていた』

 

ドクン、とネギの心臓が跳ねた。

 

「ちょ、ちょっと!突然出てきて何言ってるのよ!そんな事ネギがするわけ無いじゃない!」

 

アスナの言葉に間をおかなかった。

 

『でも、今のは死んでいたわよ、あたっていたら。』

 

その言葉でもう耐えられなくなっていた。

 

「ぼくは、ぼくは・・・・!」

 

走り出す。

後ろから声をかけられた気がするが、ネギにはもうとまれなかった。

 

 

 

 

 

 

 

>>メディア

 

 

 

「ふぅ・・・」

 

メディアはまたため息を吐いていた。

子供に対して少しきついことを言ってしまったが、これは誰かが言わなければいけないことだと思ってはいた。

流されるだけではいけない。

言われるままではいけない。

考えて行動しなくてはいけない。

 

―――彼は英雄の息子なのだから。

 

護衛と言うよりは親に近い心境のメディア。

まぁ、悪くはないとメディアも思う。

 

「無事エヴァに届けてきたぞ」

 

エミリアが隣に立った。

 

「そう、坊やは今森にいるわ」

 

「それは・・・、いいのか?」

 

苦々しい顔をしたエミリア。

子供が一人森の中と言うのは、エミリアとしてはいただけないのだろう。

 

「問題ないわ、今人と出会ったところよ」

 

ふむ、と言ってエミリアが考え込む。

 

「長瀬 楓、この学園では上位者ね」

 

「それでこれからどうする?」

 

エミリアの問いに、メディアは簡潔に答えた。

 

「監視は続けるけれど、何もしないわ」

 

「了解した」

 

会話を続けながら二人は屋上を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「茶々丸が世話になったようだな」

 

ログハウスに着くと、まずはじめにそういわれた。

 

「問題ないわ、こちらからあなたたちを坊やにけし掛けたのだもの」

 

こともなげに言うメディアだが、茶々丸が死を覚悟したのは確かだった。

だからこそ、これはこちらの責任として考えるメディア。

 

「一応礼を言っておく」

 

エヴァが珍しい事をしたのだ。

まぁ、しょうがないのかも知れないが、それよりもメディアの目がキュピーン!と光り輝いた!

 

「それなら・・・、ねぇ?私に着させられるのは嫌なんだったわね?」

 

「ん?あ、あぁ」

 

メディアの唐突な質問に少し引き気味に答えた。

 

「なら、私と一緒に作りましょう!」

 

「はぁ?」

 

身構えていたエヴァが気の抜けた声を出した。

 

「私とあなたで服を作って、大停電の日はそれを着るのよ」

 

それはなんと言うか、

 

「エミリア、こいつをとめろ」

 

「私にはどうすることもできん」

 

エミリアはエヴァに即答したとさ。

 

 




自分はシリアスをシリアルに変えてしまう能力なんだと早々に諦め様かと思う。
ギャグのセンスもあるとは言えないし、今後がんばるしかないですよねぇー

―おしらせ―
1つ目
色々ご意見を聞かせていただき、宗一郎さまは出ない方向で行きます。
2つ目
ついで、活動報告なるものがあると教えて頂いたので、そちらでアンケートをとりたいと思うしだいです。
と言うことで、よろしければそちらの方で投票をお待ちしております。

というか、投稿直前に注意事項みたいにして、アンケートは活動報告などで行うようにって書いてあったよ。
気づかなかった・・・。



では、最近忙しくなってきたけど、
なるべく毎日様子を見にくる様にはします
今後ともよろしくお願いします(>Д<)ゝ”オネガシャース


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