飽き性の人生研究レポートNo.0 (†大福†)
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飽き性の人生研究レポートNo.0

人生に飽きたのはいつからだろうか。私は、いつしか人に向けて仮面のような、顔に張り付いた、表情筋が記憶した作り笑いを浮かべるようになった。人生が同じような現象の繰り返しだと認知した時、どれほどこの世に生まれたことを呪っただろうか。私が死んでも、世界に影響はなく、代わりが効く。つまりは、私は誰かの代替品なのである。そんな人間の心理現象は、曖昧模糊《あいまいもこ》たるものだと思うだろうが、実際は単純明快である。『人生への刺激の渇望』である。なので私は、暇で退屈で渇いた人生へ水を与えるために、知識を求めることにした。これは、そんな私の『人生研究レポート』である。まあ、レポートを見せる前につまらないお話でもしようじゃないか。君が生きる理由はなんだ?

1・死にたくないから

2・生きる理由を探したい

3・満足する生き様を送って未練なく死にたい

4・その他

まあ、結論から言おう。全て叶うわけがない。なら、せめて……生きてる間だけは刺激的に生きていたいだろう?最後は理不尽な死をも、楽しんでしまえばいいのだ。不平等こそ平等に世界に贈られた、最大級のゴミクズである。尼さんなどには申し訳ないが、私は無神論者である。神なんぞが実在するなら問いたいね。「なぜ才能を平等に分け与えないのか」と

まあ、理由は簡単だろう。神なんて存在しない。異論は認めん。ありとあらゆる生命は化学により奇跡的な確率で生み出されたと思っていた方が精神力も削らずにすむ。話が脱線したが、なぜ叶わないのかと言われたら、まあ人間がいくら努力しようが未練なんか残るし、人は必ず生命活動を停止してしまうし、生きる理由なんてものは自分の精神の波を穏やかにする為の暗示で本当は、薄っぺらいものだからである。いやはや、素人が書く哲学的な話で申し訳がない。なにせ、陳腐な頭蓋の中でだらしなく液体に浸る物質をいくら使っても、物書きをしたことがない私には文才がないのだ。要領を得ていないのは、暖かい目で見て頂きたい。最初から上手い人間などいやしないのだから。人は必ずしも何かが欠落している。だが、人はそれを自覚はしない。気づかない方がいいからだろう。それが人間の本能に基づいた防衛機構かは存じ上げない。生憎、私は専門的な知識もない、暇を持て余しているだけの、しがない学生という身分だ。護身術を嗜んでいるだけで、それすらも大したことはない。まあ、いずれ護身術についても語る時が来るだろう。その時はそれもレポートにしようではないか。さて、そろそろ私がどんな面倒な人間かは嫌なほどかを理解出来ただろう。さあ、共に地獄を見る準備は出来たか?



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No.1

さて、今日は脳についての研究レポートを提出させて頂こう。

諸君らは、BDNFをご存知だろうか?

脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor)のことである。

神経細胞(ニューロン)ないに存在して、神経細胞の発生や、成長、維持、修復に重要な働きをするタンパク質だ。

とくに記憶と学習を司る脳の海馬に多く存在し、その減少が記憶や学習の障害を引き起こすという動物的実験などから、記憶や学習に重要な役割を果たすと考えられている。

近年、運動がBDNFを増加させることが動物的実験で確かめられており、記憶や学習への運動の効果の物質的基礎として注目されている。

これだけ見たら、脳は凄く思えるだろう。

しかし、脳にも欠陥は存在するのだ。

例を挙げるならば、病態失認だ。

自分が何らかの感覚を失っていても、全くそれを認識できない状態をいう。

失明しているのに視覚に支障はないと信じ、想像上での光景を、まるで本当に見えているかのように話す。

例え半身不随を患ってとしても、体の動作は正常であると信じてしまう。

そのうえ、視界に映る他の正常な人間を見ても、自分と同じ動作を行っているのだと思い込む。

このような現象を、臨床研究では『アントン症候群』と呼んでいるのだそうだ。

矛盾した現象を合理的に解釈するために、「脳」は虚実のイメージを作りあげる。

これは人間に備わる1つの原始本能なのかもしれない。

脳は、浪漫なのである。

脳は、大脳、脳幹、小脳で構成されている。

大脳は、前頭葉、頭頂葉、後頭葉、側頭葉、及び大脳周縁系という。

脳とそれに続く脊椎を合わせて中枢神経系という。

また、中枢神経系から出て体中に分布する感覚神経や運動神経などを末梢神経という。

神経細胞(ニューロン)は、細胞体とそこから出る突起で構成されている。

脳内では、細胞体は特定の場所に集まっており、脳の表面に集まっているものを、皮質(大脳皮質と小脳皮質、脳の内部に集まっているものを核という。

また、神経系のなかで、ある部位が活動するとある特定の機能が現れる時、その部位をその機能の中枢という。

前頭葉の大脳皮質には、一次運動野、運動前野、眼球運動野、補足運動野、帯状運動野など、多くの運動中枢が集まっている。

脳は複雑だ。

人体に電気信号を送り込み、体を動かす役割も担っている。

サイバネティックスってやつである。

動物の行動を電気信号の理論を用いて説明しようとする学問をいう。

動物の神経における信号(インパルス)の伝送の仕方が電気信号における信号伝送の仕方とよく似ていることに注目して、1948年にアメリカの数学者ノバート・ウィナーが提唱した。

語源は、ギリシャ語で「舵を取る者」を意味するキベルネテスらしい。

脳については、昔に罪人の死体を解剖するって発想に至らなければ分からず、医学はクソみたいなレベルだっただろう。

解体新書が生まれ、そこから脳について、人体についての知識を蓄えたのだ。

しかし、さすがは昔と言うべきか……

前頭葉白質を切除するロボトミー手術なるものが存在しており、それにより何事にも無関心になるのだ。

さらに酷いのは、マゴットセラピーだ。

ハエの幼虫である蛆の食性を利用して壊死組織を除去する治療法だ。

専門施設でハエを養殖し、卵から無菌化した幼虫を育てるのだ。

幼虫を幹部におき、専門器具や包帯で幼虫を封じ込める。

壊死部分や、感染がなくなり、傷の回復、再生が進むのだとか。

虫嫌いな私には、今こうして書いてるだけで悪寒が走る……

おぞましいセラピーである。

今は、マトモな医療法が確立されて嬉しく思う。

私は、左肘を切開して手術をし、そこから医学に感心を抱いている。

まあ、私が歩む道は医大ではないのだ。

さて、研究レポートは完成した。

次の研究レポートを楽しみにしてくれたまえよ?



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