爆豪勝己と吸血鬼 (葉月八日)
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出会い

「……欲しいな」

 まだ、春の空気が残るなか、それを搔き消す熱波と衝撃があたりを襲い、声は誰にも聞かれることなく消える。しかし、彼の運命はここで決まった。

 日本のビックイベントと言える雄英体育祭。その一年生ステージ決勝戦が行われているスタジアムで倒れる二人の少年。

 一人は、ヒーローランク2位の息子。轟 焦凍。氷と炎を操る将来有望の若者だ。

 そして、もう一人。爆豪 勝己。個性、爆破。掌の汗腺からニトロのような汗を出し爆発させる。こちらも強い個性である。

 まさに、日本一のヒーロー学校雄英高校の決勝戦だ。

 そして、幸か不幸か。彼が、爆豪 勝己という少年がトップヒーローになることを決定ずけらた瞬間だった。

 声の主は笑っていた。おもちゃが出来たと。

 

 

 

 

 休日が明け雨が降る中、雄英の生徒が傘や合羽に身を包み雫を弾きながら登校している。しかし、学生の波のなかに異様な二人組がいた。

 二人は喪に服したように黒で統一され、一人は黒い手袋をした細い手で黒い傘をクルクルと回していて顔は伺えない。身長は低く小学生高学年か中学生ぐらいの少女で焼けたような銀髪にはレースで飾り後ろには大きなリボンのついた黒いトーク帽を載せ、襟、手首まで届く袖、太ももに掛かる裾はレースで飾り、腰の部分に大きなリボンをつけた黒いドレスを着て、細い足には黒いオーバーニーソックスと小さな黒くヒールの低い革靴を履いていた。

 もう一人は、少女を守るように周りを黒曜石のように澄んだ瞳で伺いながら傍を歩く170近くある女性だった。黒いレインコートの上からでも身体のラインが分かる豊満な身体付きをしており、コートのせいで服装は分からないが背中が膨れいるのでリュックを背負っていることと足元から黒いパンツスーツを履いていることが伺え、黒のタクティカルブーツを履いていた。加えてタクティカルグローブをはめている。

 彼女たちは学生と同じ方向に歩みを進める。時間は8時15分ホームルームにはまだ早い。彼女たちの校門をくぐると学生たちとは分かれ来客用入口に向かう。

「いやー、やっぱり学校はいいね。元気な若い子たちの声を聴くのは嬉しくなるよ。こんな自分でも社会の平和に貢献してるようで」

 背後に響く若人の喧騒を聴きながら少女にしては低い声が傘の下から発せられる。

「そんなに卑下しないでください。私も含め会社のみんな、養護施設のみんなは社長には感謝しています。他でどんなことをしていてもその時施された行為に感謝は生まれますし人助けのほうの割合のほうが大きいです。天秤はしっかりと市民の安寧に傾いています」

「はは、言うねー。まぁ、私もいまさら目的を曲げるつもりもなし、突き進むのみ」

 少女は楽しげ息が漏れ。

「でも寄り道はいいよね?喜びがなければ人は生きられない」

「えぇ。ご随意に」

 

 二人は来客用入口で手続きを済ませ、案内を断り校内へ進む。すれ違う学生は奇異の目で二人を見る。

 長身の女性はやはりビジネススーツを着ているがワイシャツまで黒だった。新月の夜のような髪は肩に届くか届かない程度に伸ばされ先端が少し跳ねていた。

 端正な顔立ちの少女の瞳は薄く黄金に輝く月を宿し幼さに反した妖艶な微笑みを携え令嬢のような優雅さで一歩一歩進んでいく。その服装、振る舞いはまるで夜想の怪物と従者であり明かりの元を歩いているのが奇妙でしょうがない。

 しかし、夜の王の威光は雨音弾む朝の世界でも通じ、二人が近づくと学生たちは自ずと一歩下がり道を開けた。

 

 二人の歩みは一年生ヒーロー科の教室の前で止まった。

「ここかな?」

「間違いないです」

 短い確認が終わると少女は1年A組のドアをゆっくりと引いた。

 教室前方のドアからは始業前の学生たちの語らいと顔が良く見えた。

 見慣れない二人が教室に侵入すると生徒たちの話し声は無くなり顔には疑問の表情が目立った。

 二人は前から生徒の顔を端から順番にしっかりと確認し、そして彼を見つけた。

 少女の笑みは深くなり、一直線に椅子に座る彼の元に向かう。

 そして彼が行動を起こす前に唇と唇が重なった。

 柔らかい感触が彼から優しく離れる。教室の中があっけに捕らわれるなか高くない少女の声はそこに居た全員に届いた。

「爆豪勝己。私のものにならないかい?」

 紅蓮に燃える彼の瞳には妖しい笑みから牙が覗く闇夜の少女が映っていた。



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出会いー緑谷視点ー

振替休日の間に傷めた傷も癒えて、今日から通常の学校生活に戻る……そう思ってたんだけど、通学の電車ではいろんな人たちから応援の声を貰って驚きと嬉しさが押し寄せてた。

 でも、この日はそれとは別に大きな驚きがあった。

 

 傘が雨をぱちぱちと弾く音を聴きながら電車での出来事のうれしさからヒーローになった時の生活に思いを馳せていると後ろから飯田君が合羽に身を包み走ってくる姿に驚きはしたものの飯田君のお兄さんインゲニウムの事が引っ掛かり尋ねようとするも先に無事を教えてくれた。でも、その表情に声に違和感を感じたけど深く聞けなかった。

 教室に入ると先日の体育祭の話しでみんな盛り上がっていた。どうやらみんなも僕と一緒で町の人たちに声をかけられたらしい。

 変わらない学校生活の風景はホームルームのチャイムが鳴る前にあまりにも突然に終わった。

 

 教室の前のドアが開き、黒い二人組が現れた。そして少女には見覚えがあった。

 喪に服したようなゴシックロリータ型のヒーローコスチュームに背中まで伸びる鈍色の髪

、薄く金に輝く満月の瞳を持つヒーローを知っている。

 ヒーロー名ナイトウォーカー。吸血鬼ヒーローと言われその個性は吸血鬼。血しか口に入れることしかできず夜の間は様々な生物に変身したり、高い身体能力を持ち、細身の腕からは想像できない怪力でヴィランを倒し、傷を負っても忽ち回復してしまう不死者だ。そのため少女の見た目をしているがオールマイトよりも年上らしい。しかし、太陽が出ている時間は陽に当たれば肌が爛れ、加えて能力がすべて使えず見た目通りの身体能力しかなく致命傷を受ければ死んでしまう。

 そのため夜しかヒーロー活動ができないがデビュー時初年にも関わらず500件以上の事件を解決し夜間における抑止力として現在でもランキング上位にいるトップヒーローだ。

 ナイトウォーカーは教室にいるみんなを見回しかっちゃんを見つけると嬉しさを抑えられず綻ばせ近づいてくる。

 そして誰も想像していなかったことが起こった。

 ナイトウォーカーが腰をかがめかっちゃんにキスをしていた。

 教室の時間が止まった。

 僕を含めみんな思考停止になって口を開けびっくりしていた。

「爆豪勝己。私のものにならないかい?」

 二人の顔が離れてナイトウォーカーはかっちゃんを少し見下ろしながらそんな言葉を言った。

 かっちゃんの前の席だった葉隠さんからあとから聞いた話だとその時かっちゃんは口をあけて放心していたみたい。



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誘い

「爆豪勝己。私のものにならないかい?」

 喪に服す少女はヒーローの卵に尋ねる。

 

「久しぶりに若人の心意気に惚れたよ。君の活躍が見たくなった。うちの事務所に来ないかい?私がトップヒーローに育てよう」

 彼女の言動は一つ一つが洗練され、まるで夜想の令嬢が小さな男の子をエスコートするように右手が少年を誘う。

 ショックで思考が止まっていた瞳に意思が戻る。

 

 彼女は少年の名前を呼び伸ばした右手で彼の名前を宙に描き言葉を続ける。

「名は体を表す。己に負けず挑戦し続け勝つ君よ。そして知ってるかい勝己って名前はね元は勝気という言葉に由来してるんだ。負けず嫌いで誰にも負けないという意思が君の名であり君だ」

 

 深まる笑顔から覗く二本の牙は邪悪に光る。

「誰にも負けない力……欲しくないかい?爆豪勝己。

 手を取りたまえよ。

 私、ナイトウォーカーが君に力を貸そう」

 少女の見た目からは想像もつかない蠱惑的な悪魔の誘い文句が再度右手と共に彼に伸びた。

 

 教室にいる他の学生は誰も動かない。いや、動けない。まるで物語のワンシーン。クライマックス。魔王の誘いのような一幕に自分たちはこの劇の主役(ヒーロー)じゃないと直感してしまった。観客は劇の続きを固唾を飲んで見守ることしかできない。してはいけない。

 

 彼の右手は少女の手に伸びるも途中で止まってしまう。

 ヒーローの紅蓮の瞳は炎のようにゆらゆらと揺れている。しかしその炎にはすべてを飲み込む火災旋風のような畏怖を覚える力強さはなく、焚火の残り火のように弱弱しかった。

 

 だが、緊張の一場面は始業の鐘の音と男の声によって急な幕引きとなってしまう。

「どうしてここにいるんですかナイトウォーカー?」

 気怠そうな瞳と声が少女に向けられた。教室前方のドアに居たのは一年A組担任の相澤だった。

 

「はぁ、失敗したなぁ。学校生活なんて何十年も前だからチャイムのことなんて忘れていたよ。せっかくの一幕が台無しだ。せっかく格好よく魅せていたのに少しは空気を読みたまえよイレイザー・ヘッド。ぷんぷん。」

 ナイトウォーカーは視線を相澤に向けるといままでのヴィランのような雰囲気は霧散し、見た目相応のおどけた様子になる。

 

「いえ、俺に八つ当たりしないでください。チャイムがなる時間は俺じゃなくて学校が決めたことなんで。あと腰に手を当てて頬を膨らませられても困りますよ。年齢を考えてください」

 

「あら、でも可愛いじゃないですか。社長、写真撮ってもいいですか?教室をバックに撮影なんて滅多にできませんよ」

「いいねアヤメ。撮って撮って。あ、後で私のスマホにも送っておいて」

「えぇ、分かっておりますとも」

 

 アヤメと呼ばれた女性は返事を返すと黒曜石のような瞳をキラキラとさせながらスマートフォンを取り出し撮影を始めてしまう。その光景は仲の良い姉妹の日常風景のように見え先ほどまで教室の空気を支配してた人物とは到底思えず学生たちもただ立ち尽くしている。

 

 相澤は溜息一つ吐き、こめかみを押さえながら話し出す。

「ナイトウォーカー。ここはレジャーランドではなく勉学に励む学校で部外者が好き勝手していい場所じゃないんですよ。わかったらさっさと帰ってください。授業ができません。あとお前達は席に就け。いつまで呆けてるつもりだ」

 相澤の目が妖しく光ると学生達はパブロフの犬のように瞬時に着席した。

 

 ノリノリで違うポーズをきめて撮られていたナイトウォーカーだったが、目的を思い出したのか爆豪に向き直り声をかける。

「改めてナイトウォーカーだ。こう見えても古参のヒーローでね。経験量は抜群。会社的に見てもまだまだ成長余地があり人材も金もある優良事務所さ。うちでの経験は必ず君の力の一助になると確信している。それにね」

 

 一呼吸置きナイトウォーカーの月の瞳は爆豪を真摯に捉え、今までにない慈愛に満ちた顔で言葉を続ける。

「初めに君に惚れたと言ったのは本当でね」

 言われた本人も含めて教室の空気が固まるが、女子生徒たちからは黄色い声が上がる。そんな彼女たちにナイトウォーカー苦笑し訂正する。

 

「あぁ、前もって言っておくけど恋愛的な感情ではないよ。爆豪も女の子達も期待させてしまってすまないね」

「はぁ?誰がっ」

「照れなくてもいいさ。可愛い女の子に好意を寄せられたら誰でも嬉しいものだよ。

 話を続けるとね。私が惚れたのは君のヒーローになろうとする姿勢。ヒーローとしての姿勢さ」

「姿勢だ?」

 爆豪が聞き返す。

 

「そう姿勢。考え方と言ってもいいよ。誰にも負けない力をもってヴィランを打倒する。勝利という一点に突き進むその姿に私は心打たれたよ。ただの勝利に満足せず完膚なき勝利を望んでいたんだろう?自身の弱さを克服し相手の本気をねじ伏せて勝利したかったんだろう?」

「っ!」

 爆豪の瞳が揺れる。

 

「その一心不乱に勝利を掴もうとする姿に恐怖を覚える者もいる。みんなが君みたいに強い人間じゃないからね。でも私はそんな君の姿に惚れたんだ」

 ナイトウォーカーは小さく笑うとアヤメから小さい紙を受け取り爆豪に差し出した。

 

「これは私の名刺だ。これから職場体験が始まるだろう?その時うちに来なよ。断言しよう。うちに来ればトップヒーローにしてあげる。ちなみにね。私は目的のためなら手段を選ばない。君にとってどんなに過酷でもトップヒーローになってもらうよ」

 

 最後に悪魔のような笑顔で怖いことを言い放った。

 爆豪の瞳には少しの迷いがあるようだったが伸びる右手は悪魔の名刺を確かに受け取った。

 

「ふふ、君がうちに来ることを期待してるよ。イレイザー・ヘッド邪魔して悪かったね。少しは愛想と年上に対する礼儀を覚えような?」

「あなたは年齢をかさにきての横暴を押さえるべきですよ?」

「はは、言うねー。横暴は年寄りの楽しみさ。それを奪おうなんて年上に対する敬いがたりてないね」

 

「知ってますか?感情が先行し合理に欠ける年寄りの妄言を押しつけることをパワハラっていうんですよ?」

「おぉこわい。なら訴えられる前に年寄りは退散するよ」

 最後にナイトウォーカーは爆豪に手を振り教室を後にした。

 

 相澤は生徒たちに向き直ると。

「じゃあ今日のヒーロー情報学始めるぞ」

 

”何事もなかったように普通に始めたッ!!”

 




名前の由来は嘘です。こうなら面白いなーと思いました。


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ヒーロー情報学

そういえば前話でやっと爆豪話しましたね。……少なかったですが。
特徴は掴めても生活が見えずらい難しいキャラですよね。
セリフを増やしたいなー……増えるかなぁ?


「あー、今日のヒーロー情報学なんだが……」

 珍しく相澤が言い淀みながらも先を続ける。

「ヒーロー名の考案だ」

”胸膨らむやつキター!”

「ッ!」

”シーン”

 相澤の目が妖しく光ると生徒たちの喜びも表面上は隠れ、話の続きを待つ。

 

「というのも先日話したプロヒーローからのドラフト指名に関係してくる。普通は指名が入るのは経験を積み即戦力になる2、3年からなんだが……爆豪、お前、難しい立場の人に目をつけられたな」

 その言葉にみんなの視線が爆豪に集中する。

「あの先生。さっきのナイトウォーカーってどんなヒーローなの?」

 蛙吹が手を上げて質問すると相澤先生は気怠そうに答える。

「厳密には違うらしいが本人によると吸血鬼の個性だそうだ」

「吸血鬼?」

 

「あぁ、血しか口に入れることができないが夜の間は途轍もない身体能力を発揮しパンチで壁を壊したりビルからビルへ跳躍できる。他にも生き物ならなんでも変身し夜の間は致命傷でも瞬く間に回復する不死身の肉体だ」

「何それ無敵じゃん!カッコいい!」

 上鳴が声をあげる。

 

 

「だが、昼間の間は最後に変身した状態から変わることもできず身体能力も回復能力もなくなって見た目相応の力しかない。加えて陽の光に当たると肌が爛れていき最終的に焼け落ちる。だから昼間は護衛の人間が傍にいるんだ」

「あの綺麗でおっぱいのでかいお姉さんは護衛か」

「デメリットも大きいけどヒーローとしてのメリットも大きいよね」

「そうだ。だからナイトウォーカーは夜間専門のヒーローとして活躍し、夜の抑止力と呼ばれるほど社会に貢献している」

 

「そんなすごい人に声かけてもらったのかよ!すごいな爆豪!」

 切島が声をかける。

 

「でも、先生。そんなすごい人に何か問題があるんですか?」

「あー」

 またしても相澤が言いよどむ。

 

「まだお前たちが習う範囲じゃないが、ヒーローの過剰攻撃問題ってのがある。知ってるか?」

 考える顔が多くいるなか八百万が手を挙げる。

「ヒーローがヴィランを拘束する際に回復不能なレベルのダメージを加えて社会復帰を困難にしてしまう問題ですよね」

 

「そうだ。ヒーローの仕事はヴィランを拘束し警察に引き渡すまでが仕事だ。場合によっては護送も含まれるが、それらの過程で殺すことはもちろん許されない。それはわかるな?」

 生徒たちはうなずく。

 

「問題になるのはここからだ。まずヒーローは拘束する際に身体に深く傷を残すような攻撃は推奨されていない」

「え?どうしてですか?強い個性のヴィランには生半可な攻撃じゃ抵抗できないと思うんですけど」

 麗日が質問する。

 

「麗日その認識は改めろ。社会のシステムは弱者を基準に考えられるんだ」

「え?」

「例えば体育祭で爆豪にやった技、酔っ払い誤って個性を発動している一般人に使うか?」

「うっそれは……」

 

「使えるわけがない。下手したら殺人だ。華々しいヴィラン退治が注目されてヒーローの仕事を勘違いしがちだがヒーローってのは極端に言えば人助けだ。ヴィラン退治だけが仕事じゃない。助ける際も一番弱い人のことを考えて行動するんだ」

「ケッ。凶悪ヴィランが弱いわけないだろ」

 爆豪が悪態をつく。

 

「はぁ。お前をあの人の所に行かせたくないという気持ちが強くなるな。爆豪、犯罪者でも更生の機会は与えられなければならないだ。裁判を受け刑期を満了したら社会からの目は厳しいものにはなるが自由に生きる権利がある。それを奪う権利はヒーローにもない」

 生徒全員が真剣に話を聞く。

 

「だから拘束の際に社会復帰困難なダメージを与えてはいけないし拘束している間も逃走を防ぐ為といって足などを折ることやよりダメージを負わせて動けなくさせるなどの過剰な攻撃を与えてはいけないんだ。ヴィランを捕まえるのは犯罪に巻き込まれる一般人を助けることでもあるが罪を重ねる前に捕まえて社会復帰の機会を与えるのもヒーローの仕事なんだよ」

 言葉を区切るが重いトーンにで話が続く。

 

「この問題に繋がりやすいのは攻撃的な個性の持ち主や俗に強個性と言われてるヒーロー向きの個性を持ってる奴らだ。うちのクラスだと特に爆豪、轟、緑谷気をつけろよ」

「「はい」」

 だが、話は続き相澤は難しい顔になる。

 

「はあ。注意してなんだがこの問題を今話題に出したってことは分かるな?ナイトウォーカーは確かな活躍の裏で度々この過剰攻撃を行っているという過激な面がある」

「「え?」」

 

「能力も確かだし実績も確かなんだが目的のために手段を選ばない攻撃的な人なんだ。爆豪、もしこの先あの人の事務所に行くならよく考えろ」

 相澤は爆豪の目を見て続ける。

「あの人の元での経験は確かにお前の力になる。だがあの人の行動すべてが正解だと思うな。他のヒーローの元でもヒーローとしての勉強できるし優秀な人たちだ。そちらでも学べることは沢山ある。いいな」

「おう」

 返事をすると突然教室の前のドアが開く。

 

「もー遅いわよ。相澤先生いつまで待たせるのよ」

「「ミッドナイト!」」

「授業前にナイトウォーカーが居たんですよ。あの人の説明を少し」

「あー、少し難しい人だもんね」

 ミッドナイトの疑問は解決したようだが、生徒たちは突然の登場に疑問が沸く。

 

「ミッドナイト先生どうして教室に?」

「それはね。相澤先生の代わりにヒーロー名の考案のアドバイスをしに」

 生徒は納得顔で相澤を見る。

「ナイトウォーカーの話がそれてしまったが、話を戻すと本来一年生の指名は興味に近い。当然だが卒業までに興味が削がれたら採用はなくなる」

「もらった指名の数が君たちにかかる期待度だと思ったほうがいいわ。それに応えられるようにがんばりなさい」

「で、その集計結果がこれだ」

 相澤がリモコンを押すと黒板に結果が映し出されていく。

 

 その結果に驚く者、喜ぶ者、落ち込む者それぞれに反応した。

 なかでも優勝準優勝者の票は突出しておりみんなの話題にのぼる。

「体育祭との順位が逆転したな」

「表彰式で拘束されたやつなんてビビッて票いれないって」

「ビビってんじゃねぇよ!」

「そういうとこだぞ!爆豪!」

「この結果に関わらず所謂職場体験ってやつに今後行ってもらう」

 相澤に注目が集まる。

 

「「職場体験?」」

「あぁ、お前たちはUSJで一足早くヴィランとの戦闘を経験したが本来ならこの時に第一線で働くヒーローの現場を通してプロの活動を体験し、より実りある訓練をしようってのが目的だ」

「それでヒーロー名か!」

「まぁ、そのヒーロー名は仮ではあるんだが」

 

「テキトーな名前は後々後悔するわよ!学生時代につけたヒーロー名が世に認知されそのままプロのヒーロー名になってる人も多いからね!」

「そういうことだ。俺には向いてないからあとはミッドナイト先生」

「えぇ分かってるわ。じゃあみんな、少し時間をあげるから考えてみてね」

 




無い脳みそ絞って書いてるんですけど、書くのが遅くて泣きたくなります。
でも明日にも投稿したいとは考えてます。

話題にあげたようなただ原作読んでるだけじゃ見えてこない「ヒーローが居ることによる社会問題」ってまだあると思っててそこら辺も書いていけたらなーっと。


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