クリスちゃんの“ふともも”の感触が忘れられない響が暴走する話 (ルピーの指輪)
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クリスちゃんの“ふともも”の感触が忘れられない響が暴走する話

「クリスちゃんの“ふともも”の感触が忘れられない……。あのムチっとしていて、暖かくて仄かに良い匂いがして……。思い出すだけで顔が熱くなってくるよ〜〜」

 

 私はもう何ヶ月も悶々とした気持ちに悩まされている。

 ナスターシャ教授の遺体を帰還させるためのスペースシャトルがコントロール不能になり、それを助けるべく、私と翼さん、そしてクリスちゃんの3人が現場へと向かった。

 

 そして、救出作業の際に大きな山との衝突を避けるため、クリスちゃんがミサイルを放ったのだが、私はそのとき妙な体勢で彼女の土台代わりにされてしまった。

 その体勢というのが、クリスちゃんの股間が私の顔に押し付けられて、“ふともも”に顔が挟まれるという感じの体勢だ。

 

 もちろん、救出作業に必死でその時は特に何も感じてなかったのだが、落ち着いた後で思い出してみると、あのときの私は言い知れないくらいの快感を感じていたのである。

 

「もう一回クリスちゃんにアレやってもらえないかなぁ? やってもらえるなら、一週間おやつ抜きでも、いや、1ヶ月おやつ抜きでもいい。クリスちゃんの“ふともも”にはそれだけの価値がある……」

 

 頭の中がクリスちゃんの“ふともも”でいっぱいの私は、その快感を得られるならどんな代償でも支払うことは辞さないと思っていた。

 

「最近は仲良くなったし、大きな戦いを乗り越えて絆みたいなのも目覚めたし、お願いすれば何とかならないかな? 顔を思いっきりふとももで挟んで下さいって……。――って、どう考えてもマニアックすぎるよね?」

 

 しかし、やはり友人になったとはいえ、もう一回あの体勢を再現してくださいと頼むのはハードルが如何にも高い。

 

「やっぱりクリスちゃん、怒るだろうな。ただでさえ馬鹿だと思われているのに、変態だと勘違いされるかもしれない……。うーん。――そもそも、アレはクリスちゃんだから気持ち良かったのかな?」 

 

 そして、私はある疑問が浮かぶ。そもそも、私は“ふともも”で顔を挟まれるという経験はあの1回だけである。

 だから、クリスちゃんの“ふともも”だから気持ち良かったのか? それとも、他の人の“ふともも”でも気持ち良いのか? そのような考えが生まれてきたのだ。

 

「例えば、目の前で寝ている未来の“ふともも”でも同様の効果が得られるなら、かなりハードルは下がりそう。未来なら土下座してお願いすれば許してくれそうだし……」 

 

 私は同じベッドで寝ている目の前の未来の顔を見ながら思案する。

 未来ならギリギリ許してもらえるのでは、とかそういう甘い考えをしながら……。

 

「すー、すー」

 

「よく寝てる……。未来は寝顔も可愛いなぁ」

 

 規則正しい寝息を立てている未来。私はそんな彼女の愛らしい顔を見ながら幸福を感じていた。やはり、彼女は私の日だまりのような人である。

 

「すー、すー」

 

「…………いや、ダメダメ。親友の寝顔を見て、何を考えてるんだろう私。でも、止まらないよ。ごめん。未来……」

 

 そして、私はあろうことか親友の寝顔を見て欲情してしまった。

 もうダメだ……。頭が、体が“ふともも”を求めている。

 

「よいしょ、よいしょ……。未来の足を何とか開いて顔をその間に入れてみたけど……。思ったよりも罪悪感が強い……」

 

 未来の足を開脚させて、その間から顔を出してみる。この体勢から未来の体を見ると、とんでもなく悪いことをしているように思える。

 

「あのときのクリスちゃんは、股の部分が思いっきり私の顔に密着していたからなぁ。未来のアソコに私の顔を? 気付かれたら、友達止めるって言われるかも……」

 

 私は未来の股間に顔を埋めて、その“ふともも”で顔を挟もうとしている。

 寝てる親友にこんなことしていて、もし彼女が目覚めたとすると……。どんなリアクションが返ってくるか? 考えるだけで恐ろしい。

 

「でも、この衝動に塗りつぶされる自分がいる。ええい! もうどうにでもなれ! んんっ……。そして、未来の足を閉じて……。や、柔らかい……。“ふともも”ってこんなに柔らかいんだ……」

 

 私は欲望に忠実に操られて、未来の股に向かってダイブした。

 未来から洗って天日干しした後の布団のような、彼女特有の匂いが強烈に脳を刺激する。さらに、柔らかい“ふともも”の感触が私の頬に言い知れない快感を伝えた。

 やばい……、“ふともも”って、やばい……。

 

「んんっ……。んっ? ひ、響? な、何をやってるの!? まさか響が私に……」

 

「み、未来? お、起きちゃったの……?」

 

 しかし、幸福な時間は長続きしなかった。つい、興奮して未来の股間に顔を押し付けてグリグリしていたら、その刺激が彼女に伝わったのか、未来が目を覚ましてしまう。

 

 終わった……。やらかしてしまった……。

 

「そりゃ、起きるよ。びっくりしたもん。だって、響ったら、その私に……、えっと……」

 

「未来、これはその……」

 

 未来は驚いたと口にすると同時に顔を真っ赤にして背ける。余程、恥ずかしい気持ちにさせてしまったのだろう。

 やはり、友達を止める宣言をされてしまうのだろうか……?

 

「ううん。私だって勇気があればきっと……。嬉しい。響が私にそういう感情を持ってくれて」

 

 しかし、未来からの言葉は思いもよらないものだった。何と、彼女は嬉しいと口にしたのだ。

 なぜ、嬉しいのかはわからないが、これは僥倖である。

 

「う、嬉しいの? じゃあ、もう少しこうしてても良い?」

 

「いや、でもこういうのって順番が……。んんっ……、響ぃぃ! あっ、んっ、んんっ……!」

 

 私は一心不乱で未来の“ふともも”の感触を堪能した。未来がぶるぶると体を震わせて、ビクビクと動いている。

 

 そして、何故かわからないが未来から感じる匂いも強くなってきた頃、私は気付いてしまった。

 クリスちゃんとは全く違うと……。やはり、“ふともも”の感触は人それぞれなのだ。

 

「はぁ、はぁ……。――あ、あれ? もういいの? あの、もっと、そのう……」

 

「明日も早いからさ。ごめんね。起こしちゃって」

 

「――えっ? あ、うん。いいけど……」

 

 1つの結論に辿り着いた私は起こしてしまった親友に謝罪した。

 未来は少しだけ残念そうな顔をしているように見える。さっきのは私に気を遣った言葉ではなく、本当に嬉しかったのだろうか……。

 

 

 翌日、S.O.N.G.の本部でブリーフィングを終えた私は昨日のことを思い返していた。

 

「未来の“ふともも”は良かったけど。クリスちゃんには及ばなかった……。やっぱり、クリスちゃんの“ふともも”が至高なのかな? よく考えてみれば、クリスちゃんって、こうムチムチって感じだし……。体格が似ていれば、同じ感じになるかも……」

 

 未来とクリスちゃんの違い……。それは体格である。

 未来はクリスちゃんと比べて体格が華奢だ。抱き心地は最高だけど……。

 

「だったらマリアさん? ちょうど翼さんと一緒にイギリスから戻ってきたところだし……。でも、この前、あんな顔してたからなぁ。目から血をダラダラ流して、見つめられたのは軽くトラウマになりそうだったよ……」

 

 だったら、クリスちゃんにも劣らないプロポーションのマリアさんはどうだろう? でもなぁ。この前、「目を逸らすな!」って一喝されたときは怖かったし……。

 

「マリアがどうかしたのか? 立花」

 

「うぴゃあっ! つ、つ、つ、翼さん!」

 

 考え事をしているとき、翼さんにいきなり話しかけられて、私は飛び上がって驚いてしまった。

 

「どうした? 動揺しすぎだぞ。何か悩み事があるなら、私で良ければ聞くが」

 

「そ、そうですね。翼さん……、う、うーん。――話だけでも聞いてくれますか? 出来れば、訓練室でギアを纏って……。みんなには内緒にしてほしいんですけど……」

 

 そういえば、あのときクリスちゃんはギアを纏っていた。だから、生で“ふともも”の感触がダイレクトに伝わったのだ。

 それなら、翼さんにギアを纏ってもらって試してみよう。生の“ふともも”だから気持ち良かったのかどうか……。

 

「内緒で……。訓練室で……? なるほど、読めたぞ。秘密特訓をしたいのだな。まさか、立花がそこまで……。確かに敵の戦力は強大だ。特訓ならこの防人に任せておけ」

 

「え、あの〜。はい! よろしくお願いします!」

 

 翼さんは私が秘密特訓をするつもりだと勘違いしたので、今回はそれを利用してみることにした。

 

「ふむ。なるほど。私の体捌きを知りたいと……」

 

「そうです。こういう体勢になったとき、どう対処すれば良いかわからなくて……」

 

 私はあのときのクリスちゃんのように、翼さんの顔に股間を密着させながら話していた。

 翼さんが話すたびに吐息が敏感な場所を刺激して変な気分になってしまいそうになる。

 

「むっ、立花の股間が目前に……。確かにこの体勢は視覚が奪われ、首が締められんとしている。こういう攻め方もあるのか……」

 

 しかし、翼さんはこういう体勢でも持ち前の冷静さを発揮して分析をしていた。やはり、翼さんは凄い……。

 

「この場合、回転の力を利用して……。ほら!」

 

「あっ! 凄いです。翼さん。力の使い方が達人って感じですね!」

 

 そして、よくわからない回転をして、見事に私を引き剥がした。流石、長年戦い続けている翼さんだ。

 

「ふふっ……、鍛えているからな。立花も日々の鍛錬を怠るな」

 

「わかりました! あの、さっきの動きを自分でもおさらいしたいので、今度は翼さんから来てもらえませんでしょうか?」

 

 機嫌が良さそうな翼さんに今度は自分が真似をしてみたいとせがんでみる。ここからが、本来の目的だ。

 

「お安い御用だ。立花の顔に私の股間を……。んっ、んんっ……、立花、ちょっと吐息が強いぞ」

 

 翼さんは何の疑いもせずに、あのときのクリスちゃんのように私の顔に飛びつく。

 や、やっぱり“ふともも”の感触がダイレクトに伝わる。

 私はシンフォギアの露出度の高さに初めて感謝していた。

 

「す、すいません。翼さんの勢いが強すぎて……。こ、これはこれで……、ありかも……」

 

 翼さんはクリスちゃんと違ってスレンダーで引き締まっている。でも、それでも、中々の気持ち良さだった。

 

「どうした!? 立花! 全然動いておらんではないか! こ、こら、もぞもぞするな……! 顔をそんなに……。あっ、あっ、ちょっと……、んっ、んんっ……! こ、これじゃ、んっ、あっ、あっ、技のっ、返しが、んっ……、出来っ、んんっ……!」

 

 私は顔をグリグリしながら、翼さんの“ふともも”の感触を味わおうとした。

 そんな私に対して翼さんは艷やかな声をあげながら、技を返せないとアドバイスする。

 もしかして、この体勢がようやく恥ずかしいということに気が付いたのかもしれない。

 

 私の本当の目的に気付かれたらまずい……。

 

「――わかりました。はっ……!」

 

「うわっ!」

 

 わからないもので、頭では理解出来ていない動きも体が覚えていて、何とか翼さんと同じ要領で彼女を投げることに成功した。

 

「……はぁ、はぁ。み、見事だ、立花。完璧な身のこなしだが……。あの、その、なんだ……。お前さえ、良ければもう一回……」

 

「いえ、大丈夫です! ご指導ありがとうございました!」

 

「そ、そうか……」

 

 翼さんはもう一回とか言っていたが、それで私が理性を抑えられなくなったら大変である。

 残念そうな顔をしている翼さんに一礼した私は急いで訓練室から出た。

 

 

「やっぱりギアを装着すると、生で“ふともも”の感触が堪能できるから、こっちの方が断然良かったなぁ。翼さんは思ったとおり、引き締まっていたから、ボリューム不足だったけど……。でも、匂いが濃くてクラクラしちゃって、こういうのもアリだと思っちゃったよ。でも、やっぱりクリスちゃんには及ばない……」

 

 私は先ほどの翼さんから得た感触を反芻していた。

 翼さんの身体は正直言っていまひとつ足りない感じがしたが、“匂い”が物凄かった。決して「臭い」とかじゃない。

 フェロモンというのか、色気というのか、私の眠っている欲情を全開にさせてしまうような、そんな雌の香りがとんでもなかったのだ……。

 

 翼さんの匂いの香水とか出たら買わざるを得ない……。

 

「あたしが何だって?」

 

「ひぇいっ! く、く、クリスちゃん!?」

 

 物思いに耽っていると、今度は後ろからクリスちゃんに話しかけられた。

 私は驚きすぎて、転んで尻もちをつく。

 

「驚きすぎだぞ! 相変わらず、すっとこどっこいだな、お前は! ほらよ……」

 

「えへっ、そ、そうかな?」

 

 呆れながらも、手を貸して起こしてくれるクリスちゃんの優しさを感じながら、私は想い人と2人きりになっているこの状況に困惑していた。

 

「先輩がどうとか、あたしに及ばないとか、言ってたけど、何の話だ?」

 

「あ、あの、その。つ、翼さんが、そうだ。クリスちゃんのおっぱいに及ばないから、今度、大きくする手術をしようとか、しないとか」

 

 私は興奮やら何やらのせいで、正常な思考が出来ずにいて、何故か頓珍漢なことを口にしてしまう。なんで、私は翼さんが豊胸手術するとか言ってしまったのだろうか?

 

「ま、マジか! せ、先輩。そんなに悩むほどか!? こんなのあっても戦いの邪魔になるだけだぞ」

 

「いや〜、そうだよね〜。わかんないよね〜」

 

 クリスちゃんは驚いたリアクションを取り、私は上の空のまま、適当に返事をする。

 あー、変なことを言っちゃったなー。クリスちゃんの“ふともも”やっぱり最高だなー。

 

「お前、何か他に隠してねぇか……?」

 

「ううっ……、それは言えないよ。クリスちゃんには……」

 

 そんな私に違和感を感じたのか、クリスちゃんは隠し事をしていることを見抜く。

 しかし、私はそれを当人のクリスちゃんに言うわけにはいかない。

 

「あたしに言えねぇってどういうことだ? こういうことはあまり照れくさくて言いたくねぇが、前には色々とあったが、今はお互いに仲間だろ? あたしは一応、お前より年上だし、こういう時、その、頼ってもらいたい……。あたしじゃ、頼りにならねぇか?」

 

 クリスちゃんは真剣な表情で自分の心情を私に伝えた。よく、切歌ちゃんや調ちゃんに先輩として自分を頼ってほしいみたいな事を言っていたが、私にそう言ってくれたのはこれが初めてである。

 私はそんなクリスちゃんの言葉が嬉しかった。

 

「ち、違うの。クリスちゃんは頼りになる人だよ。で、でもね。きっと、話しちゃうと今の関係が崩れちゃう……。もう、友達として見てくれなくなるかもしれない……」

 

 しかし、私は話すことは出来ない。話してしまったら、きっとクリスちゃんは私を拒絶するようになる。

 私の欲求は膨らみ続けて怪物のようになっているのだ。

 

「――っ!? ま、まさか。えっ!? お前、あたしを……?」

 

「ここのところずっと頭からクリスちゃんのことが離れないの。ずっとずっと、クリスちゃんのことばかり考えてる……、だから……」

 

「ちょ、ちょ、ちょーっと、待て! ストップだ!」

 

 私は何ヶ月もクリスちゃんの“ふともも”のことばかり考えていた。頭の中がクリスちゃんの“ふともも”でいっぱいになっていた――。

 そんな気持ちが溢れ出してしまい、止まらなくなっていたら、顔を真っ赤にしたクリスちゃんがストップをかける。

 

「へっ?」

 

「お、お前はその。なんだ……、ええーっと。あたしと友達以上になりたいとか、そう考えてるのか?」

 

 クリスちゃんは目を逸しながら、私に質問をする。彼女には私の気持ちが少し伝わったのかもしれない。

 

 友達以上……、か……。

 

「――うーん。そ、そうだね。考えてみれば、そうかも。うん、あれは絶対に友達以上じゃなきゃ……。私、クリスちゃんと友達以上になりたいって考えてる!」

 

 私はクリスちゃんの問いに全力で答える。彼女の両肩を掴み、顔を近づけて真っ直ぐに――。

 確かにあんな要求は友達だと無理だ。それ以上の関係ってちょっとどんなのか分からないけど、そうならなきゃ出来ないかもしれない。

 

「うおっ! そ、そんなにまっすぐ真剣な顔して言うんじゃねぇ! 何か、すっごく恥ずかしいじゃねぇか……。でも、告白とかされたことねぇから……、少しだけ嬉しかったり……」

 

「ご、ごめん! 迷惑だったよね!? わ、忘れて! 今の話!」

 

 クリスちゃんは今までに見たことないくらいあたふたしていた。私の変な態度が原因で困らせてしまったのだろう。

 だから、私は走ってこの場を去ろうとする。

 

「お、おい! このバカ! ちょっと待て!」

 

「えっ?」

 

 しかし、クリスちゃんはガシッと私の腕を掴んだ。こんな私に彼女は手を差し伸べてくれたのだ。

 

「だから、その。今の告白で、あたしも悔しいけど、お前のことを意識しちまった。ちょっぴり格好いいと思っちまった。思えば、お前は最初からまっすぐあたしにぶつかってきてくれてたし……、バカだけど、1番信用できる奴だ……。だ、だからよぉ。いいよ。お前と、その、あたしも特別な仲になりたい……」

 

「く、クリスちゃん!」

 

 クリスちゃんは私と特別な関係になりたいと言ってくれた。こんな“ふともも”のことしか考えてないような人間を受け入れると……。

 私は涙が目から溢れそうになっていた。

 

「な、泣くなよバカ……。でもさ、いきなりは無理だ。ちょっとずつな。少しずつ、慣らしていきたい……、それじゃ、ダメか? ひ、響……」

 

 クリスちゃんはゆっくりと仲を深めようと言ってくれた。何だかわからない内に何もかも上手くいってバチが当たりそうだ。

 これって、時間をかければ“ふともも”堪能し放題ってことだよね?

 

「ううん。十分だよ、それで。私も焦ったりしない。というか、初めて名前で呼んでくれたね。嬉しい!」

 

「うわぁっ! う、うるせぇ。抱きつくな。このバカ……」

 

 私は名前を呼んでくれた嬉しさで、ついクリスちゃんに抱きつくと、彼女は照れたような声でいつものように私を“バカ”という。

 でも、私はそれも含めて幸せだった――。

 

 よおし、クリスちゃんに存分に“ふともも”で顔を挟んでもらえるようにこれから頑張るぞ〜〜!

 




次回はきりしらとマリアに……。


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切歌ちゃんと調ちゃん、そしてマリアさん


タイトル通り、きりしらにマリアの順番で響の魔の手が迫ります。


「最近、響ってクリスと仲良いよね?」

 

「ふぇっ!? そ、そうかなぁ?」

 

 ある日の放課後、未来は私にクリスちゃんとの仲を言及された。

 しまったなぁ。クリスちゃんの“ふともも”を堪能しようと頑張ってることバレちゃってそう……。

 

「うん。だって、いっつも一緒にいるし。お昼休みも2年生の教室まで来てるもん」

 

「未来だっているじゃん」

 

「でもクリスはこの前、響の為にお弁当作ってきてくれてたし……」

 

「あー、あれは美味しかったなぁ」

 

 クリスちゃんは最近ビックリするくらい優しい。私の為に、私の好物がこれでもかってくらい入っている弁当を作ってくれたのは嬉しかった。

 

「ねぇ、響。もう隠し事はしない約束でしょ? クリスと仲良くなったのは何か理由があるんじゃないの?」

 

「そ、そうだね。未来には隠し事しないって約束してるもんね……。――でも、ちょっぴり恥ずかしい話なんだ」

 

 未来は私に隠し事をしないでほしいと声に出す。未来は親友で、これまでどんな悩みも赤裸々に話していた。

 隠し事をしたのは私がシンフォギア装者になったときくらいだ。だから、未来にそういう聞かれ方をされたら答えるしかない。

 

「は、恥ずかしい? え、ええーっと、響とクリスが恥ずかしいことをしたってこと?」

 

「う、うん。ていうか、人助けの一環というか。その、決していやらしい気持ちとかがあったわけじゃないんだよ。クリスちゃんとはそれっきりだし……」

 

 そう、あくまでもきっかけは人助けであり、やましい気持ちはなかった。

 それからしばらくして、クリスちゃんの“ふともも”の素晴らしさを反芻して、悶々とした日々を送ることになったが……。

 

「そ、そうなの? 人助けって……、クリスどれだけ溜まってたんだろう……? 私だって響に慰めてほしいのに……」

 

「未来……?」

 

「じゃあ、クリスとは一夜限りの関係ってこと?」

 

「一夜? いや、日中だったけど」

 

 スペースシャトルを救出したのは、日本での時間は知らないけど日中であったのは間違いない。あの快感をしってしまうと、並大抵の快楽では覆されないと思う……。

 

「時間は関係ないよ。つまり、1回だけの関係ってことかどうかを聞いてるの」

 

「か、顔が近いよ。未来……。う、うん。1回だけ……。でも、その時は何とも無かったのに……。だんだん、それが忘れられなくなって……」

 

「響……。そんなにクリスのことを……。でも、まだ取り戻せるはず……。あのね、響。クリスだけしか経験ないんでしょ? だから、そればっかり気になるんだよ。もっと他にも目を向けて良いんだよ?」

 

 未来はクリスちゃんと1回だけそうなった事を確認して、他に目を向ければそれに気が取られないと主張する。

 私も先日、それは考えた……。

 

「それが、そのう。いろいろと試したんだけどね。クリスちゃんが1番良かったんだよ。やっぱり、体の相性ってあると思う」

 

 未来と翼さんの“ふともも”は既に体験済だ。2人とも良かったことは、良かったが、クリスちゃんには及ばない。

 そう、“ふともも”にはきっと相性があるんだ。

 

「ひ、響がいつの間にそんなに経験豊富に……。知らない間にビッチになってたってこと? でも、私は……」

 

「未来……。さっきからブツブツ……。全然、わからないよ」

 

「響、それでもまだ試してない人もいるでしょ?」

 

 しかし、未来は主張を曲げなかった。まだ、たったの3人だけでしょうと、言いたげな感じであった。

 未来がまさか、こんなに協力的になるなんて……。

 

「それは、もちろんだよ」

 

「だったら、まだクリスが1番とは限らないよ。もっと相性がいい人だっているはず」

 

「そ、そうかなぁ?」

 

「そうだよ。わ、私は待ってるから! 信じてる!」

 

「わ、わかったよ。未来……。そこまで言ってくれるなら、私……、もう少し頑張ってみる!」

 

 未来は私に探求を怠るなと、背中を押してくれる。悩んでるとき、いつも彼女は私を助けてくれて……。

 ありがとう。やっぱり未来は最高の親友だよ。

 

 

 

「とは言ったものの。他の人の“ふともも”を試すなんて出来るのだろうか?」

 

「あっ! 響さんデェス!」

「こんにちは、響さん。今日は一人で帰るの?」

 

 先日は翼さんと未来の“ふともも”を体感出来たが、そうは上手くいかないとか考えてると、下校中の切歌ちゃんと調ちゃんと鉢合わせした。

 

「切歌ちゃん、調ちゃん! うん、ちょっと頑張らなきゃいけない事があって……」

 

「あー、さては課題デスねー。先輩が響さんは課題の量に苦しんでるって言ってたデス」

 

「たはは、クリスちゃんったら。でも、課題じゃないんだよ。それよりも難しい……」

 

 私が“ふともも”を体感しようと頑張ってることを口にしようとすると、切歌ちゃんが課題で悩んでると勘違いした。

 どうやら、クリスちゃんは私が課題でてんてこ舞いなのをこの子たちに話しているらしい。流石にちょっと恥ずかしいな……。

 

「私たちと、マムを助けてくれた響さんが苦しんでる……。切ちゃん……」

 

「はい! 私たちも響さんを助けるデスよー!」

 

「ふ、2人とも……。ありがとう!」

 

 切歌ちゃんも調ちゃんもとっても優しい子で、私を助けてくれようと口にした。

 私はそう言ってくれる彼女たちの気持ちがとても嬉しかった。

 

 

 

「“ふともも”で顔を」

「挟むのデスかぁ?」

 

「ご、ごめん。2人とも……。やっぱり、この話は忘れて――」

 

 その後、二人の部屋にお邪魔して私は自らのバカさ加減を呪った。なんで、馬鹿正直に欲望を声に出したのだろう。

 切歌ちゃんも調ちゃんも多分引いちゃう。というか、私を変態だと勘違いするに違いない。

 

「そんなことで良いの?」

「響さんの悩みがそれだけで無くなるなら、お安い御用デスよ〜」

 

「へっ?」

 

 しかし、二人の反応は思っていた反応と違った。キョトンとした純粋無垢な表情で、私を見ていたのである。

 彼女たちは天使のように私を受け入れてくれたのだ。

 

「じゃあ、どういう風にすればいい……?」

 

「えっと、その。じゃあ、私が抱えるから、顔に股のところを当ててくれないかな?」

 

「こう?」

 

 椅子に座って制服姿の調ちゃんを抱きかかえる私。華奢な彼女は驚くくらい簡単に持ち上げることが出来た。

 

「う、うん。いい感じだよ、調ちゃん。――そのまま、思いっきり“ふともも”を閉じてくれれば……」

 

「ん、んんっ……、ひ、響さん、ちょっと息が荒い……。あ、あんっ、んんんっ……、響しゃん、そ、そんなに、あんっ、頭を……」

 

 調ちゃんの“ふともも”は若干ボリューム不足だと思われたが、驚くくらい柔らかく優しく私の顔を包み込んでくれた。

 そして、ホットミルクのような甘い香りが私の鼻孔を刺激して、それもまた快感を与えてくれる。

 

「な、何かイケナイものを見ている気分デェス……」

 

「ふぅ……」

 

「はぁ、はぁ……、こ、これで良かった……?」

 

 私が調ちゃんの“ふともも”に夢中になりすぎたからなのか、彼女は息を切らせながら頬を桃色に染めていた。

 ごめんなさい。つい、調子に乗ってしまいました……。

 

「うん! ありがとう調ちゃん!」

 

「では、次は私デスね……、うう、緊張するデス」

 

 そして、次は切歌ちゃんである。彼女の体もとても軽かったので持ち上げることは容易だった。

 

「切歌ちゃん……、あ、ちょっと理想に近いかも……」

 

「えっ? ひ、響さん? あ、んんんっ……、は、激しいデェス! はぁんっ、んんっ、んっ……、だ、駄目デスよ〜、こ、これ以上は、ん、んんんっ、あんっ、んん……! デェェェェェェス……! ――んっ……、んんっ!! あんっ……」

 

 切歌ちゃんの“ふともも”は今までで1番クリスちゃんに近かった。90パーセントくらい一致している。

 こ、これは堪らないと思った私は、顔を思いっきり振り乱して、切歌ちゃんの“ふともも”を感じる。

 切歌ちゃんは私の勢いに驚いたのか、しばらくすると、ビクンビクンと痙攣しながら叫び声を上げていた。

 しまった……。やり過ぎてしまった……。

 

「切ちゃんを見てるとウズウズする……」

 

「ふぅ……」

 

「はぁ、はぁ……、こ、これで良かったデスか?」

 

「うん! すっごく良かった! ありがとう! 2人とも!」

 

 調ちゃんも、切歌ちゃんもどちらの“ふともも”もとても良かった。そして何より2人の優しさが嬉しい。

 顔を赤くしながら、ニコリと微笑む2人に私は頭を下げてお礼を言った。

 

「あの、切ちゃん。後でお願いがあるんだけど……」

「し、調もデスか? 実は私も……」

 

 帰り際に切歌ちゃんと調ちゃんが、ウズウズとしながら顔を見合わせていたけど、何かあったのだろうか……?

 

 

 

「とっても良かったなぁ。調ちゃんの“ふともも”も、切歌ちゃんの“ふともも”も……。意外だったのは、切歌ちゃんがクリスちゃんの感覚に近かったことかな。ムチっとしてて、本当に理想の“ふともも”って言っても過言じゃなかったよ。あと、調ちゃんの匂いが誰よりも断トツで濃かったのは驚いた。なんで、あんなに甘ったるい匂いが人間から発せられるんだろう……?」

 

 2人の部屋を出て、S.O.N.G.の本部でメディカルチェックを受けた私は、先ほどの感触を思い出していた。

 

「いやはや、“ふともも”というものは奥が深いよ。確かに未来の言ったとおり1人や2人知ったからって知った気になっちゃいけないな〜。その程度じゃ“ふともも”マスターにはとてもなれないもん。でも、あの2人は素直だったけど、大本命のマリアさんはそうはいかないだろうな。きっと……。作戦を練らないと……」

 

 私は“ふともも”の奥深さを知り、あのクリスちゃん以上のワガママボディを持つマリアさんの“ふともも”に興味を持ってしまった。

 もしかしたら、マリアさんはクリスちゃん以上の……。

 

「あら? 私がどうかしたのかしら?」

 

「うびゃっ! ま、ま、マリアさん!?」

 

「ちょっと! そんなに驚かなくってもいいでしょう?」

 

 私はいきなりマリアさんが登場したので、飛び跳ねてしまう。最近、都合良すぎないかな?

 マリアさんは私のリアクションに訝しげな顔をする。

 

「ご、ごめんなさい。ちょうどマリアさんのことを考えていて……」

 

「わ、私のこと? もしかして、先日のこと気にしてる? ごめんなさい、少し偉そうだったかもしれないわ……、私が戦えないから……」

 

 マリアさんは先日、オートスコアラーと戦った際に、私のガングニールを使って応戦した。

 そして、ギアのバックファイアによって血塗れになりながら、私に「目を背けるな」と一喝した。

 マリアさんには、マリアさんのもどかしさがあったんだと思う。あのときの私は迷っていたから……。

 

「そ、そんなことありません。マリアさんの気持ちは伝わりました」

 

「そう? じゃあ、私のことを考えるって何を考えていたのかしら?」

 

「えっ? いや、そのう……。ま、マリアさんと仲良くなれるにはどうしたら良いか考えてました!」

 

 私はマリアさんに何を考えているのかと問われて、さすがに“ふともも”を堪能したいとは言えずに、曖昧な返事をする。

 そうしながらも、ふとマリアさんの下半身に目をやると、彼女のスラリと長くて健康的な足がスカートから見えて、私は思わず生唾を飲んでしまう。

 

 この人の“ふともも”に挟まれるとどんなに気持ち良いのだろう? 私の好奇心は最高潮に達してしまった。

 

「仲良く? まぁ、確かにあなたとはそんなに絡むことはなかったかもしれないけど」

 

「そ、そーなんですよ。同じガングニールの適合者なのに、ほとんど喋らないっていうか。マリアさんは大人なんで、話しにくいみたいな感じで……」

 

「えっ? そんなに距離を感じていたの?」

 

 思い返してみると、マリアさんとはあまり話したことがない。翼さんとはアーティスト繋がり、調ちゃんや切歌ちゃんとは古くからの仲だから親しくしてるみたいだけど……。

 年も離れているからどうしても気を使ってしまうのだ。

 

「でも、こういうギクシャクして、亀裂が入った関係を敵に見抜かれたら大変ですから。仲良くなりたいと、思ったんです!」

 

「き、亀裂まで入っていたの!? 私たち」

 

 マリアさんは私の大袈裟な物言いにびっくりしていた。ちょっと言い過ぎたけど、何としてもマリアさんと親しくなりたい私は多少強引に話を進める。

 

「マリアさんだって、それは薄々気付いてませんか? 私とかクリスちゃんと何となく壁があるとか」

 

「言われてみれば。あなたって、誰にでも優しくて、馴れ馴れしいから、あまり気付かなかったけど」

 

「そうなんです! 何となくノリで有耶無耶にしてきた私に非があります。だから、マリアさんと本当に仲良くなりたいんです!」

 

 私はこういう性格だから相手との本当の距離感が曖昧になってしまったりする。

 でも、今はマリアさんの“ふともも”を堪能出来るくらいの距離になりたいと心から思っている。だから、本当にマリアさんと仲良くなりたい。

 

「この真っ直ぐな視線! やはりあなたにガングニールを託して正解だったみたいね! わかった。この機会に親睦を深めましょう」

 

「はい! お願いします!」

 

 気持ちは通じるもので、マリアさんはビシッとスカートをなびかせて、凛々しい顔つきで親睦を深めようと言ってくれた。

 やっぱり、格好いいなぁ。マリアさんは……。

 

「でも、親睦を深めるって具体的にどうしたら良いのかしら?」

 

「そうですね。最近、仲の良い子同士で肩車をするのが流行っているんですけど」

 

 マリアさんの疑問にしれっと私は嘘を吐いてしまう。すみません。欲望に忠実になってしまって……。

 

「肩車? 日本の女子高生ってパワフルなのね」

 

「ちょっとやってみませんか?」

 

「肩車とか、してもらった記憶がないわ。でも、大丈夫? 私、その、結構ウエイトあるわよ」

 

 思ったよりも肩車を受け入れてくれたマリアさん。これは千載一遇のチャンスである。

 マリアさんが重かろうと関係ない。

 私だって師匠の厳しい特訓を潜り抜けてきたし、ギアを纏って戦ってきた。パワーなら負けない。

 

 私はマリアさんの泊まっているホテルの一室まで一緒に行って、彼女を肩車することにした。まぁ、これは建前なんだけど……。

 

「大丈夫です。ええーいっ! よっと……」

 

 私は真正面からマリアさんを肩車した。つまりマリアさんの股が私の顔面に密着するように持ち上げたのだ。

 もう後には引き返せない……。

 

「えっ? ちょっと、これ向きが逆じゃない? んっ……、ああんっ……、た、立花、んんっ……、響……、んっ、んっ、あんっ……」

 

「ま、マリアさん……、やっぱり、すごいです……」

 

 マリアさんの“ふともも”は化物級だった。すべてを飲み込むような肉感、そして人を快楽に陥れるような芳醇な香り……。

 クリスちゃんの“ふともも”を100点とするならば、マリアさんの“ふともも”もまた100点満点であった。

 

 ナニコレ? すっ凄すぎるよぉ……。

 

「んんっ……、しゅ、しゅごいって、んっ、んっ、ど、どういう、あんっ、こと……? んんっ……」

 

「もう、これは人をダメにしてしまうかも……」

 

「ちょ、ちょっと、んんっ……、ダメよ、んっ……、そんな、激し……、んっ、あっ、すぎ……、んんっ……、んんんっ……、――っ!? あんっ……、んんっ……!!」

 

 私はもう、マリアさんの“ふともも”の虜になってしまっていた。まるで、イグナイトモジュールを起動したかのような……、獣になってしまったかのような……、心が鷲掴みにされたような感覚に支配される。

 いや、イグナイトは克服出来たけど、これは克服出来ないかも……。

 

 マリアさんはさっきの切歌ちゃん以上に何度も激しく痙攣しながら、声を上げていた。

 

「ま、マリアさん!? ご、ごめんなさい。つい夢中になってしまいました」

 

「はぁ……、はぁ……、たひばな、ひ、響ぃ……、あにゃ、た、わたひ、をこんにゃ、にして……、ど、どう、しぇきにんを……」

 

 マリアさんが少なくとも10回以上痙攣したところで、ようやく私は我に返り、彼女をベッドの上に下ろした。

 マリアさんは髪が乱れて涙目になりながら、呂律が回らなくなっていた。

 

「えっ? マリアさん、な、何て言ってるのか、全然分かりません……」

 

「はぁ、はぁ……。こ、腰が砕けて、立てないの……。後で下着変えなきゃ……。あなたのせいよ……」

 

「ご、ごめんなさい」

 

 マリアさんはようやく呼吸が正常に戻り、キッと私を睨みつけながら声を出す。

 どう考えてもやり過ぎてしまった……。

 

「だから、ごめんなさいじゃないの。私はどう責任を取るか聞いてるのよ。こんな事をしたんだから、あなたには覚悟はあるのかしら? 親睦を深めるって言ってたけど、そこまで深い仲になるつもりだったの?」

 

「ええーっと、はい。マリアさんなら、もしかしてとは、思ってました」

 

 マリアさんには私が強引に仲を深めて“ふともも”を堪能しようとしていることがバレてしまったみたいだ。

 

「そう。そういう魂胆だったんだ。なら、正解よ。分からないけど、あなたにしてもらって、その……。今まで、何とも思って無かったのに……、急にあなたの事で頭がいっぱいになったもの」

 

「それじゃ、これから……」

 

「ええ、私はあなたから離れられなくなってしまった……。もう、忘れられないもの……。責任……、取ってもらうわよ……。だから、その、もう一回……」

 

 こんなに事が上手くいって良いのか? なんと、マリアさんは私が“ふともも”を堪能する行為を気に入ったらしい。あれって、される側もそんなに悪い顔をしないってことは、不快じゃないのかな?

 とにかく、マリアさんはもう一回してほしいらしい……。ならば、是非もない……。

 

「まっ、マリアさん!」

 

「ちょ、ちょっと、いきなり、そんなに激しく! んんっ……!!」

 

 私はマリアさんの“ふともも”にダイブした。そして、欲望に溺れてしまうように彼女を貪った……。

 これはもう、引き返せないかも……。マリアさんは私を全部受け入れてくれる……。

 

 でも、彼女の“ふともも”の感触を楽しんでいるのに、なんで私は時折クリスちゃんの“ふともも”を思い出して切なくなっているのだろうか……?

 




響がいろいろとヤバい人になってしまった。
もうちょっと続きます。
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マリアさんと未来とクリスちゃん


さらなるエスカレート。


 

「あれ……? 未来?」

 

 私は誰かに抱きしめられている感覚と共に目を覚ました。最初は未来かと思ったけど、そうじゃない。だって、私の顔は大きな胸の中に埋まっていたから……。

 

「すー、すー」

 

 そして、少しだけ顔を上げると、目の前にはマリアさんの寝顔が見える。バスローブを着崩している彼女は至るところが丸見えになっていて、目のやり場に困った。

 

「ま、マリアさん!? そ、そうだった。あのまま、マリアさんと……、そして寝ちゃったんだ……」

 

 マリアさんと色々と親睦を深めている内に、私は眠くなって小一時間ほど寝てしまったらしい。未来とはよくこうして眠ってるけど、マリアさんとこうするのは新鮮な感覚だった。

 なんか、すっごく仲良くなれたみたいで、嬉しい……。

 

「あら、響。起きたのね」

 

「は、はい。すみません。寝てしまって……」

 

 私が起きてすぐにマリアさんも目を覚ました。私は寝ちゃったことを彼女に謝る。

 いやー、このまま寮の門限を過ぎるところだったよ。

 

「いいのよ。あなたの寝顔、可愛かったし」

 

「そ、そんな。可愛いだなんて……。あの、私、そろそろ寮に戻らないと……、んっ……、んんっ」

 

 マリアさんは、私のことを可愛いと言ってくれて、そしていきなりキスをする。

 寝る前も何度かキスしたけど、欧米人ってそういうコミュニケーションを取る感じなのかなぁ? 

 マリアさんのキスは舌で私の舌を舐め回すような感じで、全神経に彼女の味から匂いまで記憶させるくらい激しい……。何度しても蕩けてしまいそうだ。

 

「んんっ……、ぷはぁっ……、響、さっきまで何も思ってなかったのに……。んっ……、あなたが居なくなることが……、こんなに寂しいなんて……」

 

 マリアさんは激しくキスをしたあと、何度か軽い感じで(ついば)むように口づけした。

 まるで慈しむように、優しく……。

 

 だが、最後に泣きそうな表情で私を見つめた。

 

 その顔は大人っぽくて気丈ないつもの感じとは違い、まるでお留守番をさせられた子猫のような愛らしさがある。私はそんな彼女の瞳に吸い寄せられた……。

 

「マリアさん……。じゃあ、今度の日曜日に一緒に出かけませんか? きっと楽しいですよ」

 

 そして、気付いたときに私は彼女を遊びに誘っていた。きっと、マリアさんは私たちと違って親しい人とも離れて異国の地で生活を余儀なくされているから、寂しがっているのだと思ったからだ。

 少しでも、彼女の孤独を癒やしてあげられれば……。私はそう思い、彼女に声をかけた。

 

「嬉しい! 1日中響を独り占め出来るのね!」

 

「わわっ……! マリアさんって、こんな感じの人だったんですね……」

 

 すると、マリアさんは子供のように無邪気に笑い。私を力強く抱きしめる。

 私は全身に彼女の柔らかさを感じながら、いつもの彼女とのギャップに驚いていた。

 

「もう、“マリアさん”って呼ぶの止めてくれない? “マリア”って呼び捨てにして欲しいの。あと、敬語も禁止。よそよそしくなるから……」

 

「えっ!? でも、マリアさんは年上だし……」

 

 そして、マリアさんは私にタメ口で話して、呼び捨てにしてほしいと懇願する。翼さんよりも年上の彼女を呼び捨てって、さすがにまずいんじゃないかと思うんだけど……。

 

「マリアで、お願い」

 

「う、うん。分かったよ。マリア……」

 

 しかし、涙目の上目遣いでお願いされたら聞かないわけにはいかない。私はマリアさんをマリアと呼ぶことにした。

 なんか、今まで敬語で話していた年上の人を呼び捨てにするのって背徳感がある……。

 

「はい。よくできました。えらいわ。響……。ちゅっ」

 

 マリアはそれに満足したのか、私の唇を奪い、頭を撫でて笑いかける。ニコニコと微笑む彼女は本当に嬉しそうだった。

 

「そっか、欧米ってこんな感じにコミュニケーション取るんだ……」

 

「じゃあ、マリア。また、日曜日に」

 

「ええ、楽しみにしてるわ。大好きよ、響……」

 

 部屋を去るとき、マリアはもう一度私を抱きしめて、キスをした。

 私も今日1日で、マリアのことを大好きになった。これもすべて未来が背中を押してくれたおかげだ。

 

 

 

 

「ただいまー。未来ー。あれ、未来?」

 

「……クンクン。けほっ、けほっ……」

 

 私が寮に帰ると、未来が出迎えてくれたのだが、彼女はジィーっと私を見つめたかと思うと、私の匂いを嗅いで(むせ)る。

 それはもう、煙たそうに咳をしていた。

 

「ど、どうしたの? 未来……、私ってそんなに臭うかな?」

 

「何これ……。今までにないくらい他の女の人の匂いがするんだけど……。何をしたらこんなに……」

 

 未来は私から女の人の匂いがするとか言う。“女の人の匂い”? ああ、そういうことか。

 

「あー、マリアの香水の匂いだよ多分。ちょっと疲れて一緒のベッドで寝ちゃったから」

 

 マリアは独特の香りがしていた。私はいい匂いだと思っていたけど、未来には合わなかったみたいだ。気を付けなきゃ。

 

「えっ? マリアさんと同じベッド!? 何でまた、そんなことを?」

 

「いやー、マリアと仲良くなろうとしてさー。これが思いの外、体の相性が良くて。未来の言ったとおり、色々と試してみてよかったよー」

 

 私はマリアとの相性が抜群だったことを未来に報告する。未来のアドバイスに従って動いてマリアと仲良くなれて本当に良かった。

 あと、切歌ちゃんや調ちゃんとも前よりも親交が深められたような気がする。

 こうやってみんなと絆を深めるのって大事だよね。

 

「へ、へぇ……。よ、よかったんだぁ。というか、何で響は急にマリアさんのこと呼び捨てにしてるのかな? なんか、いきなりマリアさんが響にとって“オレの女”みたいになってるような気が……」

 

 鋭い未来はマリアのことを私が呼び捨てにしていることに敏感に気付く。

 そうだ、マリアと私の関係が劇的に変わったことも彼女には話しておかないと。

 

「うん。なんかねー。マリアがそうして欲しいって言うから。敬語も禁止って。欧米人だからなのか、仲良くなったらキスとか凄くするから驚いちゃった」

 

 マリアはとても愛情表現が情熱的な人だった。多分、5分に1回くらいキスしてきたんじゃないかな? 

 愛くるしい表情の彼女と唇を重ねる度に、彼女との関係がより深まるのを感じた。

 

「き、キス? うう……、私だってまだしてないのに……」

 

「ん? どうしたの、未来」

 

 そこまで話すと未来の表情が泣きそうな表情に変わっていた。

 どうしたのだろう? 何か言いたいことがあるのだろうか? それともお手洗いでも我慢しているのか?

 

「……したい」

 

「へっ?」

 

「わ、私だって響とキスしたい!」

 

 未来は大きな声で私とキスがしたいと口にした。顔を真っ赤にさせて、俯きながら彼女は私に主張する。

 

「キスしたいの? わかった」

 

「えっ? あっ……、んっ……、んんっ……」

 

 それならと思い、私は未来の唇を奪う。そして、優しく彼女に長いキスと短いキスを交互にする。

 未来の唇は薄いが弾力があり、唇を重ねると心地が良い。

 

「どう? マリアからは上手だって褒められたけど……」

 

「ひびきぃ……、ふにゃあ……」

 

 キスを終えると未来はのぼせたような顔をして、そのままふらついて尻もちをつきそうになった。

 貧血でも起こしたのかな? 陸上をやってた彼女がそうなったことは今までなかったけど……。

 

「ちょ、ちょっと未来!? 大丈夫?」

 

「大丈夫じゃないよ。このキスは犯罪的……。するだけで足腰の力が抜けちゃって……」

 

 未来は私とのキスが気持ちよくて立っていられなくなったと私に伝える。いや、それは大袈裟じゃないかな……。

 

「そ、そうなの……? 確かに落ち着くけど……。じゃあ、私シャワー浴びるね」

 

「ちょっと待って響! あの、もう一回……、して欲しいの……」

 

 私が汗でベタついた体をキレイにしたいと彼女に声をかけると、未来はもう一度キスしたいと私にねだる。

 目を潤ませて、私の手を握りながら。

 

「えっ? いいけど。ほら、ちゅっ……」

 

「んっ! んんっ……、んっ……」

 

「あー、未来もマリアと一緒で舌を絡ませるの好きなんだ。これ、気持ちいいから好きー」

 

 未来は私の舌に激しく舌をからませてきた。彼女から甘酸っぱい味を感じながら、私も未来の肩に腕を回して未来の舌の感触を全身で味わう。

 どうやら未来はマリアと同じで舌を絡ませるキスが好きみたいだ。

 

「ま、マリアさんとも……。まずいよ。クリスだけだと思っていたのに……」

 

「じゃあさ、もう少しお布団の中でキスしてみる?」

 

「――でも、そんなことどうでもいいとか思っている自分が怖い。うん、早くベッドに行こう! その後、一緒にお風呂に入ろう!」

 

「う、うん、未来……。すごい力だね〜」

 

 私がベッドに誘うと、未来は凄い勢いで私をベッドに連れて行って私をそこに押し倒した。

 そして私たちは抱き合って何度も何度も唇を重ねる……。

 未来は泣きそうな顔をして笑っていたけど、悲しいのか嬉しいのかよく分からなかった。

 

 その後、二人でお風呂に入ったんだけど、そこでも未来は私を求めてきて……。一晩中、彼女とずっと戯れるみたいな感じになっていた――。

 

 

 そして、翌朝……。私たちは登校するために寮を出た。すると、寮の前で私たちを待っていたクリスちゃんと遭遇する。

 

「あっ、クリスちゃん! 迎えに来てくれたんだ」

 

「お、おう。早くお前の顔が見たかったからな」

 

 私がクリスちゃんに声をかけると彼女は照れくさそうにそっぽを向きながら返事をする。

 私の顔が早く見たいって嬉しいな……。

 

「わざわざ、寮の前まで来なくても学校ですぐに会えるよ。クリス……」

 

「うっ……、いいじゃねぇか。あたしが響に会いに来ちゃいけねぇのかよ?」

 

「ダメとは言ってないよ。泥棒猫、間違った、クリス()()……」

 

「本音がタダ漏れじゃねぇか! これはいくら恩人が相手でも譲れねーぞ」

 

 でも、なぜか未来とクリスちゃんは険悪な感じだった。知らないところで喧嘩でもしたのかな?

 

「あら、偶然ね。響、これから学校?」

 

 そんなことを考えていると、驚いたことにマリアがジョギングウェア姿でこちらに駆け寄ってきた。

 偶然、このあたりをランニングしていたのだろう。

 

「ま、マリアさん……、どうしてあなたまでここに……。ランニングなのにいつも以上にお化粧までバッチリして……」

「あの人、自分が世界的なスターってこと忘れてないか? サングラスすらしてねぇから、ざわ付いてるぞ……」

 

 未来とクリスちゃんは喧嘩を止めて、ポカンと口を開けながらマリアを見ていた。

 確かにマリアは目立つ。立っているだけでオーラがある。だから、軽く人がこの辺に集まってきた。

 

「さぁ、行きましょ、響」

 

「えっ? なんか、クリスちゃんと未来が言い争ってたけど……」

 

「痴話喧嘩じゃないかしら? あなたには関係ないわよ」

 

 そして、マリアは私の腕を組んで歩こうとする。未来とクリスちゃんにお構い無しで。

 肩に顔をくっつけながら甘えるような仕草をするマリアはとても可愛らしかった。

 

「お、おい! なんだあれ……! マリアって、響とあんな感じだったか?」

「よく分かんないけど、良くないことが起きてるの」

 

「待てよ、響。あたし、今日もお前に弁当を作ってきてやったんだ」

 

 ヒソヒソ話をしていた未来とクリスちゃんだったが、私が一歩前に踏み出すと、クリスちゃんが私に弁当を手渡してきた。

 

「あっ! そうなんだー。ありがとう、クリスちゃん!」

 

「ふふん」

 

「雪音クリス……、あなた……」

 

 弁当のお礼をクリスちゃんにすると、クリスちゃんは得意そうな顔をする。それを見たマリアは何故かムッとした表情をしていた。

 

「響、今度の日曜日にさ。また水族館に行かない?」

 

「いやー、日曜日はマリアと遊びに行く約束してるんだー」

 

「「……っ!?」」

 

 未来から誘いを受けた私だが、生憎マリアとの約束の日と被ったので彼女にそれを伝える。

 すると、未来とクリスちゃんは驚いた顔をする。まぁ、マリアとはこれまでそんなに仲良くなかったから驚くよね……。

 

「そうよ! 私たちデートするの。今から楽しみ。何を着て行こうかしら」

 

 マリアは急に上機嫌になってニコリと二人に微笑みかける。いやー、マリアとデートってよく考えたら緊張するなー。

 

「なんでだよ! おい、響! あたしと特別な関係になりたいって言ったよな!」

 

「うん。だから、クリスちゃんと凄く仲良くなれて嬉しいよ」

 

「そ、そうか……。へへっ……」

 

 そんな話の中で、クリスちゃんは自分と特別な関係になることを確認してきたので、私は素直にそれが嬉しいと伝える。

 すると、クリスちゃんは頬を桃色に染めて嬉しそうな顔をした。

 

「簡単に引き下がっちゃって……」

「んだと!」

 

「残念ね。雪音クリス……。響は私のモノよ」

 

「いや、それは認めねぇ! 響はあたしが……!」

 

 私はそろそろ登校しないと遅刻しちゃうなと気にしていたが、クリスちゃんと未来にマリアが加わって、また言い争いみたいなことを始めている。

 どうしたんだろう? ギスギスした感じになっているけど……。

 

「響! 私、ずっと響のことが好きだったの!」

 

「なぜ、ここで告白!?」

 

「ずっと、言えなかったけど、好きなの……、響……」

 

 すると未来がいきなり私の両手を握って「好きだ」と言ってくれた。

 顔を茹でダコみたいに赤くして……。

 

「未来……。私も未来が好きだよ」

 

「響ぃぃぃぃ!」

 

「どうしたの? 未来……、急にそんな……」

 

 私は自分も未来が大好きだと伝えると、未来はガシッと私を抱きしめてきた。

 人がいっぱい見ているけど、まぁいいや。

 

「嘘だろ……。じゃあ、何だったんだ?」

「私たち……」

 

「良かった……。響は最後には私の……」

 

「マリアもクリスちゃんも大好きだし。最近、好きな人が増えて嬉しいんだ。私……」

 

 私は特別な関係の人が増えてとても嬉しいことをみんなに伝える。

 未来もクリスちゃんもマリアも私にとってかけがえのない人たちだ。大好きで、ずっと一緒に居たいと思えるくらい。

 

「「えっ?」」

 

「じゃ、学校に行こう。遅れちゃうよ」

 

 私は自分の想いを3人に伝えられたことに満足した。

 でも、私にはまだ試練は残っている。

 

 それは――クリスちゃんの“ふともも”を堪能することだ。

 これだけ仲良くなってもなかなか言い出せないんだよね〜。よし、今日こそ頑張るぞ〜。

 

 




マリアは恋人になると、甘えてきそうとか勝手に思ってます。
未来は基本的にチョロインかな。
クリスはツンデレでヤンデレでチョロい。
お気に入り登録とか感想とかしてくれると狂喜乱舞する人です。


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クリスちゃんの部屋にて

ついに、響が念願の……!


「よ、よく来たな。歓迎するぜ。響……」

 

「うん。お邪魔します。そういえば、クリスちゃんの部屋に1人で来るのって初めてかも」

 

「そうだな。誰かしら来てたから、こうやって二人きりになるのは初めてだよな」

 

 ある日の放課後、私はクリスちゃんの部屋に呼ばれた。クリスちゃんの部屋で二人きりというシチュエーションは初めてで、正直言って私は少しだけいやらしい気持ちになっている。

 そして、心に決めた。今日、私はクリスちゃんの“ふともも”を堪能する!

 

「ねぇ、どうする。映画でも見る? 師匠が勧めてくれた映画があってさー。まだ見てないから……」

「い、いや。あたしは、その、響とええーっと……、こうしていたい……。なぁ、たまには良いだろ?」

 

 いきなりがっつくのも不自然だと思い、慎重に事を進めたい私はクリスちゃんと映画を見ることを提案する。

 しかし、わからないもので、クリスちゃんはいきなり私の腕にその豊満な胸を押し付けて、くっついて居たいと懇願した。

 

 クリスちゃんの柔らかい胸の感触と、彼女の甘えるような言葉づかいで私は不覚にも欲情してしまう。

 やはりクリスちゃんは恐ろしい。自分の武器をよく理解している。彼女の武器はもちろん、どんな高級メロンも敵わないほどの、2つの大きな果実である。

 

 いや、私はちゃんとわかっている。大きさならマリアさんが勝っていることを。

 しかし、より唆られるのは、マリアっぱいよりも断然クリスっぱいだと私は断言したい。

 

 ギアを纏ったときの戦闘スタイルのせいなのかもしれないが、クリスちゃんのお胸様は暴れん坊将軍なのだ。

 彼女を見ているとおっぱいというものは、こうも縦横無尽に動くのかと感嘆させられる。その動きたるや、もはや別の生き物である。

 

 この魅力的な果実が今、私の腕に密着している。こんなの我慢できるはずないではないか……。

 

「クリスちゃん。可愛い〜〜。ほら、こうするともっと(あった)かいよ」

 

 私は堪らずクリスちゃんを正面からギュッと抱きしめた。今度は、私の胸とクリスちゃんの胸がこんにちはをする。

 ああ、なんで下着なんて人間はつけなきゃいけないのだろう。というか、衣服を着ていることがこんなに虚しくなるなんて……。私は衣服越しにクリスちゃんの体温を感じることがもどかしくて仕方なかった。

 

「響、もっと強く抱きしめてくれないか? 痛ぇくらい……」

 

「いいよ。このくらい? クリスちゃん、もしかしてドキドキしてる?」

 

 クリスちゃんが強く抱きしめろとか、嬉しすぎる命令を出すものだから、私はルンルン気分でギュッと彼女を抱きしめる腕に力を込めた。

 ああ、私は今、クリスちゃんの鼓動を自分の胸で感じている……。

 

「なんだよ。珍しく鋭いじゃねぇか。――っ!? んっ、んんっ……」

 

「んっ……、ちゅっ……、んんっ……。――ほら、こうしたら少しだけ落ち着かない。それとも、嫌だった?」

 

 そして、私は切なそうにしているクリスちゃんの唇を奪う。彼女とのキスは初めてだったが、今までで一番唇の感触が良かった。

 プルンとした、グミのような心地良い感触は軽いキス程度でも私に十分な快感を与えてくれる。

 

「い、嫌なはずねぇだろ? もっかいしてもらえるか」

 

「もちろんだよ。クリスちゃん。ちゅっ……、んっ……」

 

「んんっ……、んっ……、ぷはぁ……。――ひ、響! あ、あたし、もう……」

 

 今度は舌を絡ませてみる。クリスちゃんも私の舌に応えて激しく舌を動かす。

 舌というのは味を感じる器官だけあって、多くの神経が通っているらしい。キスという行為は、その生物学的な知識が確からしいことを私に知らしめてくれた。

 

「く、クリスちゃん……、あっ……!」

 

「お前の全部が欲しい! 今だけでいいから、あたしだけのモノになってくれ!」

 

「おおっ! すごい積極的なクリスちゃんだね。いいよ。何でも好きにして……」

 

 クリスちゃんの舌を堪能していると、彼女は急に私を力任せにソファの上に押し倒して馬乗りになる。

 下から見上げる感じで見るクリスちゃんは妖艶で、私は彼女にめちゃめちゃにして欲しいという衝動に駆られ、その願望を口にした。

 

「響……! 好きだ。お前が好きで好きで仕方ねぇ! んんっ……!」

 

「く、クリスちゃん? ――っ!?」

 

「これは、あたしのモノっていう印だ。響……」

 

 まず、クリスちゃんは私の首筋に吸い付いてキスマークを付ける。跡がくっきり残るくらい強烈に……。

 彼女の独占欲が爆発しているのか、何度も念入りに彼女の印を私の首筋に刻んできた。

 

「んっ……、だ、ダメだよ。そ、そんなところを舐めたら……」

 

「なんだ、ここが弱いのか。その表情、すげぇ可愛い……」

 

「んっ、んんっ……、クリスちゃん……。ダメだって……」

 

「響……、お前のことを愛してる。だから……。ちゅっ……、ちゅっ……、んんっ……」

 

 印を刻んだ後は、クリスちゃんは一心不乱に私の首筋を舐めだした。ぺろぺろと舌を這わせて丹念に、私の反応を覗いながら……。

 首筋は私の感じるポイントだったらしく、私はあまりの快感に恥ずかしい声が出てきた。

 

「んんっ……、しゅごい、クリスちゃん。なんで、舐めるだけで、こんなに……。もう身体中がクリスちゃんの……」

 

「へへっ、これで響はあたしの……」

「あたしのモノにはさせないよ。クリス」

 

「み、未来ぅ!」

 

「お、お、お前、どうしてここに!?」

 

 私がクリスちゃんの舌技に降参寸前になっていたとき、唐突に未来の声が聞こえた。

 なんで、ここに未来がいるの? 私は心臓が飛び出しそうになるくらい驚く。

 

「じゃーん。合鍵だよ。クリス」

 

「じゃーんじゃねぇよ。返しやがれ!」

 

「とにかく、クリスが響と二人でイチャイチャするのは許せない」

 

「んだと! 響を連れて帰るって言うのかよ!」

 

「それも出来ない。私は好きな人は束縛しない主義なの」

 

「どーだかな。じゃあ、何しに来やがった。まさか、邪魔するだけか?」

 

 未来は前に私が渡したクリスちゃんの部屋の合鍵を使って入ってきたらしい。

 しかし、どうして未来はここにやって来たのだろう? クリスちゃんとなんか言い争ってるみたいだけど……。

 

「混ぜて……」

 

「はぁ?」

 

「だから、私も混ざって3人でしようって言ってるの。別にいいでしょ? クリスって、最初は私のこと好きだったんだし」

 

 未来は3人で仲良くしようって提案する。さらにクリスちゃんが未来のことを好きだとも言っていた。

 へぇ、そうだったんだ。知らなかった……。

 

「――っ!? な、何を根拠にそんなっ!?」

 

「ふふっ、カマかけただけなのに顔が真っ赤なんだ。嘘つけないんだね……。んんっ、ちゅっ……」

 

「んんっ……、んっ、んっ……」

 

 クリスちゃんが顔を真っ赤にして動揺していると、未来はおもむろにクリスちゃんの唇を奪う。

 うわぁ、すっごい情熱的なキス……。

 

「へぇ、クリスはこんな感じなんだね。確かに響が夢中になるのも分かる気がする」

 

「み、未来……?」

 

「ねぇ、響。クリスと仲良くするの、私も一緒に混ぜて。お願い」

 

「言ってること、全然わからないけど……。――楽しそうだね!」

 

 未来は3人で仲良くしようともう一度提案する。

 よくわからないけど、何か楽しそうなので、私はその提案を飲む。

 そして、私と未来はクリスを寝室に連れて行って、彼女を押し倒した――。

 

 

「お、おい。やめろ、なんでお前も……」

 

「じゃあ、クリスの弱いとこを探しちゃおう。ここはどうかな。ちゅっ……、ぺろぺろ……、んっ……、んっ……」

 

「ば、バカ! んなとこ、舐めんじゃねぇ……。んっ、あんっ……」

 

 未来はおもむろにクリスちゃんのシャツを捲って、彼女のヘソにキスをして、その周囲を舐めはじめた。

 クリスちゃんは悶えるような表情で、未来を引き剥がそうする。

 

「じゃあ、私はさっきクリスちゃんに舐めて貰った首筋をいただきまーす。んっ……、ぺろっ……」

 

「ひゃんっ……、んっ……、やめろって……」

 

「あ、クリス……、今かわいい声出たね」

 

「出てねぇよ。ひんっ……、べ、別に、お前に舐められたって、どうってこと……、んっ、んっ、ない、んんっ……!」

 

 そして私はさっきのお返しとばかりにクリスちゃんの首筋を舐める。

 クリスちゃんの反応はとっても可愛くて、私は夢中になって彼女を(ついば)んだ。

 

「へぇ、じゃあここはどう?」

 

「ば、バカ……、そんなとこ……」

 

「未来、すっごくイキイキしてる……」

 

 未来は今度はニコニコしながらクリスの腋に顔を近付けた。

 み、未来って、こんなに積極的だったっけ。

 

「スンスン……、汗いっぱいかいてる……。クリスの匂いすごいことになってるよ。ほら、響も嗅いでみて」

 

「ほ、ホントだ。別に臭くないけど、クリスちゃんの匂い……、すっごく濃い……」

 

「や、やめてくれっ! そんなとこ嗅ぐな! 本当に怒るぞ! んんっ……、あっ、んっ……、そ、そんなとこ……、やめろっ……、舐めないで……、んっ、んっ、んんっ……、ひゃんっ……」

 

 クリスちゃんは腋の匂いを嗅がれて、これまでにないくらい恥ずかしいそうな顔をして、未来が舌を這わせると、体をくねらせて可愛い声を上げていた。

 なんか、背徳感がすごくて体が熱くなってきた。

 

「クリスちゃんの気持ち良さそうな顔――かわいい……。ちゅっ……」

 

「み、耳は……、ホントにダメだ……」

 

「えっ? どうしてダメなの?」

 

「よ、弱いんだよ……、ひんっ、んっ……、んっ……、あんっ……、んんっ……、だから、んん、ひゃめ、て……、んっ……」

 

 私は気持ち良くなってるクリスちゃんの顔を見て堪らない気持ちになり、彼女の右耳にキスをして、啄むように耳に吸い付いた。

 クリスちゃんは耳が弱点らしく、さっきまでよりももっと大きな声を出しながら体をくねらせる。

 

「じゃあ、私はもう片方を頂きます」

 

「た、頼む、ほ、本当に……、んんっ、やめ……、んっ、お願いだっ……」

 

「うーん。しょうがないなー。じゃあ、“雪音クリスは耳を舐められ気持ち良くなっちゃいます”って、言ったらやめてあげる」

 

「――っ!? だ、誰がんなこと……、んんっ、んっ、んっ……、ひゃんっ……、いいまふ、言うから、んんっ……、ひゃめて……」 

 

 クリスちゃんの弱点を見つけた未来は悪い顔をして、彼女に恥ずかしい言葉を言わせようとする。

 うわぁ、未来がクリスちゃんを完全に弄んでるよ……。私は未来の知られざる一面を見た――。

 

「うん。待ってるから、早く言って」

 

「ひゃい、あ、あたし、ゆきゅね、くりぃすは、んんっ、耳を……、んっ、んっ……、舐められて、んんっ、ひもちよく、あ、んんっ……、なっひゃいまふ……」

 

 そして、クリスちゃんは未来に耳を舐められながら、悔しそうな顔をして言われたとおりの宣言をする。

 涙目になっているクリスちゃんは確かに虐めたくなるかもしれない……。

 

「くすくす、クリスったら……、はしたないんだから」

 

「て、てめぇ……、ひぃんっ……、んっ、んっ……」

 

「んっ……、んんっ……、ぷはぁ……、よしよし、素直なクリスはかわいいよ」

 

 そして、何か文句を言おうとしたクリスちゃんの頬をペロリと舐めた未来は、今度は優しく口づけをして、彼女の頭を撫でる。

 クリスちゃんはよく躾けられた子犬みたいに大人しくなり、しばらく夢中で未来とキスをしていた。

 

「未来がクリスちゃんをこんなに上手く扱うなんて……」

 

「響、今度は私を気持ち良くして……。ほら、お願い……。ちゅっ……、んんっ……」

 

「んんっ……、んっ、んっ……、未来……」

 

「響ぃ、好き……、んっ、ああ……、んんっ……」

 

 そして、クリスがグッタリとして倒れると、未来は私の目を見つめて、キスをねだる。

 私がそれに応じると、未来は先日よりもさらに上手くなった舌捌きを遺憾なく発揮して、私の口内を占領しようとする。

 

 あ、これ凄いかも……。“男子、三日会わざれば刮目して見よ”とか言うけども、これは男子だけに当てはまる言葉じゃないよ。

 未来の舌技はまさに私にそんなことを思わせるほど見事で、脳が蕩けそうになった。

 

 甘酸っぱい未来の味が私の脳内を埋め尽くそうとしたとき、未来はおもむろにスカートを捲って足を開く――。

 

「ほら、響って、ここで挟まれるのが好きなんでしょ? いいよ。いくらでも……、してあげる……」

 

「未来……、ありがとう。私のために……」

 

 未来はニコリと微笑んで、私に“ふともも”を差し出す。これには私も脱帽である。

 彼女は私の嗜好を理解してそれを全力で受け止めてくれようとしているのだ。

 

「おいで、響――ああんっ……、んっ、んんっ……、ん、んんっ……、しゅ、しゅごいよ、ひびき……、んんっ……」

 

 私は夢中になって未来の股に飛び込んだ。未来は私の顔を優しく“ふともも”で挟み込み、一生懸命に力を入れてくれる。

 その感触は温かく、そして柔らかく優しい。私は夢中になってその感触を堪能する。

 

 数分後、未来は体をビクン、ビクンと脈打つように痙攣させ、ばたりと横になってしまった。

 

 

「な、な、な、なんつーことをしてんだ。お前ら……」

 

「ぷはぁ……、未来の“ふともも”スベスベ〜」

 

「ふふっ、クリスには出来ないでしょ」

 

 クリスはその光景をあ然とした表情で見ていて、未来は倒れながらも彼女を挑発するような言葉を口にしていた。

 

「はっ、大チャンスの予感――」

 

 未来の挑発的なセリフを聞いたとき、私はドキリとした。

 夢にまで待った状況が近づいて来たことを察したからだ。この挑発にクリスちゃんが乗ってくれれば――。

 

「で、で、できらぁ! ほ、ほら、響! あたしの“ふともも”で、挟んでやるよ!」

 

「――っ!? つ、ついに、夢が……」

 

 強がりながらおもむろに股を開くクリスを見て私の興奮は最高潮に達していた。

 

 私の脳内物質が狂喜乱舞している――。

 

 頭の中でβ-エンドルフィン、チロシン、エンケファリンが……、バリン、リジン、ロイシン、イソロイシンが……、勝利のダンスを踊っている。

 

 とにかく、ついにこの瞬間がやって来たのだ。

 

「や、優しくしてくれよ……」

 

「ごくり……。う、うん。じゃ、じゃあいくよ……」

 

「ん、んんっ……、じゃあ、挟むぞ……」

 

 私はクリスちゃんの股間と久しぶりの再会をする。クリスちゃんのソコからはとても言葉では言い表すことが出来ないような強い香りが放たれていて、私はもう匂いだけでトランスしそうになっていた。

 

「お、お願い……、クリスちゃん……、あっ……」

 

「お、おい、響? んんんっ…、あはんっ……、んっ、んっ……、ひぃんっ……、んっ、んんっ……、ひゃんっ……、ああんっ……、んんっ……、ひゃばい、これ、ひゃばっ……、んんっ、んっ、んっ……、も、もう、あたし……、――っ!? んんっ……!」

 

 クリスちゃんの“ふともも”はもはや兵器だった。ムチっとした感触はどんなクッションよりも心地よく、濃縮された香りは人の思考を停止させ、艷やかな声は私の嗜虐心を十分に刺激する。

 ああ、世の中にこんなに気持ちの良いことがあるなんて……。

 

 天国というのはここにある。私の達成感を漫画で例えると、ワンピースと十尾と崩玉をいっぺんに手に入れたくらいである。

 

 つまり、世界を手に入れたに等しいということだ。そう、クリスちゃんの“ふともも”は世界に等しいのだ。

 ああ、私は世界を手に入れてしまった。この瞬間こそが“全”であると私は断言したい。

 

「クリスちゃん……! すごい……、すごいよ……、想像を超えてる……」

 

 私はもう暴走を止められなかった。クリスちゃんが何度も体を痙攣させて、息を切らせていたけど止めることが出来なかった。

 

 気が付いたとき、私の顔は口にはとても出せないような芳醇な香りの液体でずぶ濡れになり、クリスちゃんはグッタリとして気絶していた。

 

 

「はぁ……、はぁ……、バカ……、どうしてくれんだ? これ……、シーツも下着も替えなきゃいけねぇじゃねーか」

 

「ご、ごめん……」

 

 数分後、意識を取り戻したクリスが涙目になって、私を睨む。

 しまった――どう考えてもヤリすぎた……。

 

「すご……、明らかに食いつきが私と違う……」

 

「――でもよぉ。ま、まぁいいや。どうせ、替えるんだったら……、もう一回……、その、してくれねぇか?」

 

 しかし、クリスちゃんは足をモジモジと動かすと、恥ずかしそうにもう一回して欲しいと懇願する。

 

 ――なんて日だ! 私はそんなことを叫び出したいと思っていた。

 

 クリスちゃんはこんな欲望の悪魔と化してしまった私を受け入れるというのだ。

 

「く、く、クリスちゃん!」

 

「んんっ……、さっきより、激し……、あんっ……、んんっ……!」

 

 私は再びクリスに突撃する。そして、クリスちゃんの“ふともも”を、いや、“世界”を堪能する。

 これに勝る快楽というものは恐らく存在しないだろう。クリスちゃんの“ふともも”の温もりを感じながら私はそう確信していた。

 

 しかし、世の中は広い。まだ私が知らない未知の世界があるのかもしれない。

 だから、これからも自分に正直に生きていこう。

 私はそう誓った――。ああ、それにしても、クリスちゃんの“ふともも”は最高だなぁ……。

 




響は目的を達成しちゃったんですけど、書きたいシチュエーションが出来たら、適当に投稿していくスタイルにしていきます。
やりたいことは色々とありますので。
それは、置いといて“ひびみくクリ”は如何でしたか?
未来はなぜだかSっ気を出したくなりました。


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翼さんの部屋にて

ひひつばも悪くない、そうだろ?


「すー、すー」

 

「あっ、翼さんだ! 疲れて寝てるのかな? こんなところで寝たら風邪引きそうだけど……。起こすのも悪いし……」

 

 ある日、S.O.N.G.でメディカルチェックを終えた私は急に空腹を覚えたので食堂へと足を伸ばした。  

 食堂には人気はなく、誰もいないのかと思っていたが、飲みかけのドリンクと共にうたた寝をしている翼さんを発見する。

 こんなところで眠っているなんて、よほど疲れが溜まっているのだろうか?

 

「すー、すー、ううっ……、そ、そんなっ……、ぐすっ……、うわぁっ……!」

 

 起こそうかどうか迷っていると、突然翼さんは苦しそうな顔をして、顔を歪める。

 そして、叫び声を上げて目を覚ました……。恐らく、嫌な夢でも見たのであろう。

 

「つ、翼さん? 大丈夫ですか?」

 

「――はっ!? た、立花か……、す、すまない。恥ずかしい所を見せた……」

 

 私は思わず翼さんの肩を抱きながら、声をかける。彼女は私に気が付いて、驚いた表情をした後に気まずそうに顔を背ける。

 気丈な彼女のことだ。後輩の私に弱いところを見せたのが恥ずかしかったのだろう。

 

「全然恥ずかしくないですよ。私なんてもっと恥を晒してますから!」

 

「自信満々でそういうことを言うのもどうかと思うが……」

 

 私なんて翼さんと初対面のときにご飯粒を付けていると指摘されて、顔から火が出るような思いをした。

 だから、翼さんのうたた寝なんて全然、へいきへっちゃらですってアピールをしたんだけど、そのやり方がまずかったのか、彼女は困ったような顔をしていた。ありゃりゃ、空回っちゃったかな?

 

「えへへ。怖い夢でも見ていたんですか?」

 

「うむ……。ここのところよく見るのだ。エルフナインはイグナイトモジュールを発動させたとき強烈に脳波に焼き付いた記憶が原因なのでは、と分析していた……。おかげで、最近寝不足だ……。防人としてこのような体たらくは許せないのだが……」

 

 イグナイトモジュールはシンフォギアの暴走を制御して戦闘力に特化させようという機能なのだが、確かに発動させる度に精神へと負担はかかる。

 翼さんには特に心への影響が強いみたいだ……。それが原因で日常生活で悪夢に悩まされるくらい。

 彼女は本当に悩んでいるみたいで、弱々しく微笑み項垂れていた。

 

「眠れないのって、それだけでストレス溜まりますよね」

 

「立花でも眠れないときはあるのか?」

 

「そんなー、翼さん、酷いですよ〜。私だって悩んだりして……。――あっ、でも、私にはよく眠れる方法があります」

 

 眠れないというのは辛いと翼さんに同情していると、ふと頭によく眠れるかもしれない方法が思いついた。

 これなら翼さんも熟睡できるかもしれない。私はそれを翼さんに提案しようと思った。

 

「よく眠れる方法?」

 

「はい! それは添い寝です! どんなに辛い日も未来と一緒に寝たら、あら不思議。すんごく良く眠れるんですよ〜」

 

 私が最近よく眠れなかったのは未来と喧嘩していた期間だけだということに気が付いた。普段は未来と仲良く抱き合って寝ていたりするので、どんな辛い日も彼女のおかげでよく眠れるのである。

 未来は私の日だまりのような存在で、いつも私を包み込んでくれる。

 

「そ、添い寝? た、立花はその小日向と……。えっ? い、一緒に寝てるの?」

 

「私と未来は仲良しですから」

 

「いや、立花と小日向の仲が良いことは前から知っているが……。仲が良いと一緒に寝るものなのか?」

 

 翼さんは仲が良い人と添い寝をすることに驚いているみたいだ。

 しかし、重要なのはそこじゃない。問題は眠れないことなのだから、その状況を打破するのに添い寝が有効というならば、翼さんにもそれを実践してもらいたい。

 

「そうですね。最近だと、マリアとかクリスちゃんと一緒に寝たりとか……」

 

「雪音はともかくとして、マリアまで……。そ、そうか。確かに私には奏以外に親しい友人はいなかったからな。し、知らなかった」

 

 私は翼さんに親しい人と添い寝をすることはそんなに変ではないと主張するために、クリスちゃんやマリアと寝たりしていることを話す。

 

 クリスちゃんは抱っこされるのが好きで、いつも後ろから抱きしめて欲しいとねだる。

 マリアは、絶対におやすみのキスをして眠る。そして、ベッドの中だとものすごく甘えてくる。

 

「だから、翼さんも1人じゃなくて誰かと一緒に寝れば、よく眠れるかもしれません」

 

「な、なるほど。しかし、私には一緒に寝てくれるような……」

 

「じゃあ、私じゃダメですか? 今日、翼さんの所に泊まりに行きますよ。ちょうど明日はお休みですし」

 

 翼さんに添い寝を提案し、彼女が相手がいないと口にしたので、僭越ながら私が立候補する。

 この機会に翼さんとさらに仲良くなりたいと心にそんな想いを秘めながら。

 

「立花が私と添い寝? い、いいのか? 私とその一緒に寝るなんて」

 

「良いも何も、翼さんは私にとって命の恩人ですし、とっても大事な人ですよ。それに私は人助けが趣味なんです」

 

「――た、立花。ありがとう。私も立花のことを大事な友人だと思っている」

 

 翼さんは少しだけ顔が明るくなり、今日の夜に一緒に寝る約束をした。

 あー、翼さんの所に泊まりに行くなんて初めてで緊張するなー。

 ちゃんと、翼さんに安心感を与えて、今日は私が彼女の日だまりになれるように頑張らなきゃ……。

 

 

「――よく来てくれた、立花。そ、その……、散らかっていてすまない。今、片付ける……」

 

「待ってください。翼さん。普段どおりの環境のほうがよく眠れるかもしれません。私は気にしませんから、このままで寝ましょう」

 

 翼さんの部屋に上がり込んだ私は、案の定、台風が過ぎ去ったみたいに散らかっている部屋と遭遇することになる。

 最初は驚いたが、これが翼さんだしそういう所も人間っぽくて可愛らしく感じられる。

 

 私はなるべく普段のままが良いと思い、この部屋の状況のまま寝ようと提案した。

 

「そ、そうか? 気にならないのなら、このままで……」

 

「じゃあ、早速ベッドに入りましょう!」

 

 ふと、ベッドに目をやると脱ぎ散らかした下着が無造作に掛け布団の上に放置されている。

 昨日付けてた下着をそのまま放置していたのかな? それとももっと前……?

 

「も、もう寝るのか? お風呂とかは」

 

「あ、もうそれは済ませてきました。翼さんは?」

 

「まだだ。ちょっとシャワーだけ浴びてくる」

 

 私は寮でお風呂にだけは入ってきたので、翼さんが1人で浴室に行ってシャワーを浴びる。

 浴室から聞こえるシャワーの音を聞くと、何だか私は変な気分になってしまった。

 今日は翼さんに快適な眠りを提供するために来たのだ。この衝動に塗りつぶされないようにしなくては……。

 

 

「待たせたな、立花……」

 

「うわっ、何か風呂上がりの翼さんって、いつもよりも色っぽいですね」

 

「へ、変なことを言わないで! は、恥ずかしいじゃない」

 

 パジャマ姿の翼さんの姿を見て、私はついつい本音を口にしてしまう。

 すると、翼さんは頬を桃色に染めて慌てた顔をして恥じらいを見せる。翼さんは、時々このように口調が変わるのが面白い。

 女の子の部分が垣間見えるみたいで……。

 

「だって、パジャマ姿の翼さんってなんか新鮮なんですもん」

 

 風呂上がりでパジャマ姿の翼さんは本当に色気がある。そして石鹸のいい匂いがまた、彼女の女性としての魅力をグッと引き上げている。

 

 これから私はこの翼さんと添い寝するのだ。これは自重できる自信が急激に無くなって来たぞ……。

 

「じゃあ、ベッドに入って下さい」

 

「うむ。――あっ!」

 

 翼さんは言われるがままにベッドの中に入る。その瞬間、掛け布団の上の下着が床に落ちて、それを見られた翼さんは少しだけ恥ずかしそうにしていた。

 何これ? めちゃめちゃ可愛い……。

 

「で、私も入りますので、ちょっとだけ詰めて下さい」

 

 私はそれを特に気にしていない素振りをしながら翼さんが入っているベッドの中にお邪魔する。

 元々1人用のベッドなので、かなり翼さんと私の距離は近くなる。

 

「お、思ったよりも近いんだな」

 

「もちろんですよ。ほら、お互いの体温を感じることで、安心感がありませんか?」

 

「そ、そうだな……」

 

 私と翼さんはお互いの体温を感じている。お互いの体温のおかげで急激に布団の中の温度が上がり、それが何とも言えない雰囲気を醸し出す。

 

「ねぇ、翼さん。緊張しているんですか?」

 

「…………少しだけ」

 

「じゃあ、こっちを見てもらってもいいですか?」

 

「こっちを? ――んっ……、んんっ……、んっ」

 

 翼さんは同じお布団の中に2人でいることに緊張しているらしいので、私は彼女の緊張を解すことにした。

 

 私は振り向いた彼女の唇に自らの唇を重ねる。翼さんの唇はちょっとだけ冷たかったが、とても口触りがよく、心地よい感触だった。

 

 何だろう、いつまでもこうしていたいと思うくらいの中毒性がある。

 どんなに美味しいスイーツでも食べ過ぎれば飽きるが、彼女の唇は何百、何千と重ねようが絶対に飽きない。そんな自信を胸を張って主張できるほど、彼女とのキスは心地よかった。

 

「んっ……、んんっ……、ふぅ……」

 

「――た、立花!? な、何をする!? わ、わ、私に今、接吻を……」

 

 翼さんはさすがにいきなりキスをされて、驚いているみたいで、自分の唇に人差し指を当てながら、顔を真っ赤にする。

 

「こうすると、落ち着きません?」

 

「――っ!? た、確かに……、だが……、せ、接吻というのは、好きな人同士が……、するものであって……」

 

「私は翼さんのこと大好きですよ!」

 

「だ、大好き? そ、そんなこと言われたこと今まで……」

 

 あたふたと、キスは好きな人同士が行うものだと説明する翼さんに私は愛の告白をする。

 すると翼さんの顔はさっきまでよりもはっきりと赤くなる。照れている翼さんも非常に愛らしい。

 

「翼さんは私のことどう思ってますか?」

 

「私が立花のこと? もちろん、信頼できる仲間だと思っている」

 

「そうじゃなくて、キスされて嫌とかやっぱり思っちゃいましたか?」

 

「……嫌なわけないじゃないか。でもなぁ、立花……、んっ……、んんっ……、ん……」

 

 翼さんは私がキスをしても嫌ではないと言ってくれたので、私はもう一度、彼女の唇を奪う。今度はもっと激しく、翼さんのすべてを味わうように……。

 

 翼さんも、先ほどよりも私の口づけに答えてくれようとしているのか、舌を絡ませるとそれに応じてくれる。

 私の口内は感覚全てが翼さんに支配される。

 

「んっ……、んっ、んんっ……、ちゅっ、んっ……。翼さんは……、私のヒーローです。ずっと憧れていました」

 

 私はずっと翼さんに憧れていて、助けてもらったお礼を言いたかった。

 そんな彼女と今、こうやって親しくなれていることが幸せで堪らない。私はトロンとした目つきをしている翼さんにそんな告白をする。

 

「立花……、お前の優しさや強さに私も随分と助けられた……。思えば、お前は私にとって、特別な存在になってたのかもしれん。目を閉じてくれ、今度は私が……。――ちゅっ……、んっ、んっ……」

 

「――んんっ……、んっ……、つ、翼さぁん……。好き……」

 

 翼さんは、私に優しくキスをする。何度も短いキスを重ねて、この人が愛おしいという気持ちがさらに高まり、私は再び彼女に愛の言葉を囁く。

 風鳴翼を私は愛して止まない。好きで好きで仕方がない……。

 

「私も立花のことが……、好きだ……」

 

「抱きしめても良いですか?」

 

「――ちゅっ……、もちろんだ。立花……。――あっ! 耳に吐息が……」

 

 私は翼さんを抱きしめて、ふうっと耳に息を吹きかける。すると彼女は艷やかな声を上げて、身を震わせる。

 その恍惚としたような仕草は私の嗜虐心に火をつけてしまう。

 

「もしかして、翼さんも耳が弱いんですか? クリスちゃんもなんですよ」

 

「ゆ、雪音が? ああんっ……、んっ、んんっ……、ひゃ、ひゃひばな……、そ、そこをそんなに……、んっ、んんっ……」

 

 そして、私は翼さんの耳の裏側に舌を伸ばした。

 私が舌をピチャピチャと音を立てながら動かすと、翼さんはビクンと反応しながら、いつもの凛々しい感じとは大きくギャップのある可愛らしい声を上げる。

 

「翼さんって、思ったよりもずっと敏感なんですね。じゃあ、ここはどうでしょう?」

 

「あふんっ……、んんっ……、あっ、あんっ……、やめっ……、んっ、あんっ……、へ、変に……、ひぇんに……、なっひゃう……」

 

 さらに私は首筋からおヘソまで翼さんの至るところに舌を這わせた。

 翼さんは誰よりも敏感で、だんだん呂律が回らなくなり、ビクンビクンと脈打ちながら体をくねらせる。

 舌だけでは足りなので、私は翼さんの敏感そうな場所に手を伸ばして優しく撫でたりした。

 

「翼さん、かわいいです。とっても……、ちゅっ……、ちゅっ……」

 

「ひゃんっ……、や、やめっ……、そ、そんなとこっ……、吸わないで……、んっ、あんっ……、んんっ……」

 

「ちゅっ、んんっ……、んっ……」

 

 翼さんは腋も感じるらしく、パジャマのボタンを外して、私は彼女の弱いところを思い切り吸い上げる。

 風呂上がりなはずなのに、翼さんは既に汗だくで、ツンとした香りが私の嗅覚を刺激した。

 それがさらに私の欲望を高めて、彼女の感じる場所に何度も私はキスをする。

 

「だ、だめ……、ホントに……、変な……、気持ちに……、こ、怖いの……、あっ、あんっ……、何か来る……、んっ、んっ……! ――っ!? ああんっ! んんんっ……!」

  

 そんな感じで、両手と舌を駆使して翼さんの弱点であろう部分に刺激を与え続けると、彼女はだんだん声を大きくしていき、最後には叫び声を上げて、体を大きく痙攣させながら、私を力任せに抱きしめた。

 そして、その後、小さく何度かビクンと身を震わせながら脱力して、恍惚とした表情を浮かべる。

 

「翼さん?」

 

「はぁ……、はぁ……、な、何だったんだ……、今のは? 体がふわふわして……、全身の力が抜けるみたいだった……」

 

「それは翼さんが気持ち良かった証拠ですよ。嬉しい。私でそんなに気持ち良くなってくれたんですね〜〜」

 

 翼さんが気持ち良くなってくれて私には妙な達成感が生まれた。

 こんな私でも彼女を悦ばせることが出来たのが少しだけ誇らしかったのだ。

 

「……き、気持ち良く? 立花、私は……、んっ……、んんっ……」

 

「んっ、んっ……、んんっ……、ほら、こうやって2人で一緒に気持ち良くなれば、安心しませんか?」

 

「安心……? そ、そうだな。立花のことしか考えられなくなってしまった……」

 

 そして、私たちはお互いを求めるように何度もキスをして、見つめ合う。

 やはり、この人は愛らしい。強くあろうと凛々しい翼さんも好きだけど……。

 

「翼さん……」

 

「わ、私は立花が……、前よりもたまらなく好きになってしまったみたいなんだ。そ、その、お前さえ良ければ……、もう少しだけ、慰めて欲しい……」

 

「顔が真っ赤な翼さんも可愛いです! でしたら、今度は後ろから抱きしめても良いですか?」

 

「後ろから? こうか?」

 

 翼さんが私に言われるがままに背中を向けてくれたので、私の背後から胸を押し付けるようにして、強く抱きしめた。

 翼さんの髪の毛、やっぱりいい香りがする……。後でシャンプー何を使っているのか聞いてみようっと。

 

「わかりますか? 翼さん……、私の心臓が動いているの?」

 

「――立花……、お前……」

 

「私、生きてるんです。これが翼さんが、奏さんが守ってくれた命なんです……。こうやって、翼さんを抱きしめて心臓がドキドキすると、私はとても幸せな気持ちになれます……」

 

 私は翼さんに自分の鼓動を感じて欲しかった。あの日、私は生きることを諦めかけた。今日、自分は死ぬんだと思ってしまった。

 でも、私はこうやって今、翼さんを抱きしめている。これは紛れもなく翼さんと奏さんのおかげである。

 

「――立花、奏に変わってお礼を言わせてくれ……。生きていてくれてありがとう。これからも、何があっても生きてくれ……」

 

「はい。生きることを諦めたりしません。だって、死んでしまったら……、こうやって翼さんと……、んっ……、んんっ……」

 

 私が翼さんの言葉に返事をしようとすると、彼女が急に振り向いてきて私の唇を塞いだ。

 そして、今までで1番激しく舌を絡ませながら、長いキスをする――。

 

「んんっ……、んっ、んんっ……、ちゅっ――」

 

「んっ……、もう、最後まで言わせてくださいよ」

 

「言わなくてもわかってる。今宵はよく眠れそうだ」

 

 長いキスを終えて、私が返事が出来なかったことに対して不満を漏らすと、彼女は明るく微笑みながら、今日はよく眠れると言ってくれた。

 どうやら、作戦は成功したみたいだ。やっぱり翼さんの笑顔って素敵だな……。

 

「ふふっ……、翼さん……、大好きです」

 

「私も立花を……、いや、響を愛してる……、ちゅっ……、んんっ……」

 

 私が翼さんに何度目かの告白をすると、彼女は私のことを初めて名前で呼んでくれた。

 

 そして、私たちは再びお互いの唇を塞ぎ合い、何度も何度も愛を確かめ合うようにキスをする――。

 

 気付いたときには私たちは手を繋いで眠りに落ちていた――。

 

 




翼と絡ませると純愛っぽくなりますね。
この響はクリスとマリアと未来とも愛を育んでますが……。
この話だけ読むと純愛かな〜?
とりあえず、今回もR15以内に収まってよかった!
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