心の闇を抱える姉は弟達に救われ、弟達のために強くなる。 (水音ワールド)
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ルフィがやってきました。

他にも完結してないのあるのに、考えたら止まらなくなってしまったので書きます。私がオリ主を書く事になるとは思わなかったな〜。
私の他の作品を見てる人はだいたい予想はつくと思いますが…ひとつだけ。

私が二次小説を書くとき、まず考えるのはどうやってエースを救い出すか、です。原作もそれはそれで面白いので、否定派とかではありませんが、エースが三兄弟と再会するところが見たい。そんな気持ちから書き始めました。共感してくれる人がいると嬉しいです!



「エース!待ちなさい!怪我の手当て!」

 

東の海(イーストブルー)にあるドーン島、コルボ山には山賊の他に2人の子供が住んでいる。15歳の少女ユーナ、10歳の少年エースだ。ユーナはエースの怪我を心配してそう叫ぶが、やんちゃなお年頃のエースだ。聞くわけもなく…。

 

「大丈夫だユーナ!こんなもんツバつけときゃ治る!!」

 

そう言って、飛び出していった。

 

「ったく…」

 

「ほーっときゃいーんだよ。」

 

ため息をつくユーナに話しかけるはこの家の主カーリー・ダダンだ。

寝っ転がりタバコをふかして、ぶっきらぼうに見えるが根は優しい。

ユーナはその事をこの10年間一緒にいて知っている。

 

(そんなこと言って、ほんとはエースのこと心配してるくせに…)

 

言葉に出して言えば、素直じゃないダダンの事だ。怒り出すだろう。ユーナは心にその言葉を留めた。

 

 

少し経った頃、扉を叩く音がこの家に響いた。

 

「おいダダン!ダダンはおるか!?」

 

その声に聞き覚えがあるダダンは顔を青くし、急いで扉を開けた。

 

「ががが、ガープさん!ホントもうボチボチ勘弁してくれよ!!エースのやつもう10歳だよ!」

 

ダダンはそう言って来訪者モンキー・D・ガープに伝えるが、ガープは何知らぬ顔でダダンに伝える。

 

「今日からここに世話になる孫のルフィじゃ。」

 

「「「えええええ!!!」」」

 

そんなこんなでこの家に仲間入りしたルフィ。エースを追いかけては怪我をして帰ってくる、という日が何日か続いていたある日事件が起きる。この日もユーナはエースにあしらわれて怪我をしているであろうルフィのために救急箱を持って宝の隠し場所に向かっていた。いつもなら大体この辺にルフィが転がっているのだが…今日はいない。無事にエースとサボの元にたどり着いたんだな〜と思っていたユーナだったが、隠し場所について嫌な予感がした。2人は必死に今まだ集めていた宝を袋に詰めていたのだ。

 

「な、何してるの?2人とも。」

 

「あっ!ユーナ!ちょっと手伝ってくれ!!」

 

「この場所がバレたんだ!早く場所をうつさないと!!」

 

そんな2人にユーナは心を落ち着かせてここについてからずっと疑問に思っていた事を問う。

 

「ルフィは?ここにくる途中いなかったし、ここまで来たんじゃないの??」

 

ユーナの言葉を聞いて、2人の動きがぴたりと止まる。

その問いにはサボが答えた。

 

「ルフィってやつは…さっきブルージャムの奴らに連れてかれた。この宝の場所を聞き出すために…」

 

その答えにユーナは息を飲んだ。エースはそんなユーナの反応にしってか知らずか、呑気にいう。

 

「大丈夫だ。あいつは嘘がつけねーやつだ。すぐ喋って帰ってくるさ。」

 

「……が…ある?」

 

ユーナがボソボソと言った言葉はエースとサボの元には届かなかった。

 

「「ユーナ??」」

 

連れていかれたルフィの心配より宝の心配をしている2人に…

1人もルフィを助けに行こうとしないところに…苛立つユーナはまくし立てる。

 

「ルフィが喋ったとして無事に帰ってくる保証がどこにあるの!?!?相手は海賊だよ!?それに…あの子は喋らない。ルフィははそういう子なのよ!!あなた達は、拷問されるだろうあの子の気持ちが!恐怖が!…わからないの!?」

 

そう言ってユーナは走り出す。

止めるエースとサボを無視して…

走るユーナの顔色は悪く、震えていた…。

ルフィがいるであろう建物を覗いたユーナ…その時、

その少女から、聞こえるはずがない何かが切れるような音が鳴った。

 

 

しばらく経ってエースとサボもルフィの元に到着し、驚く。

そこにいたのは倒れたルフィと無傷で立ち尽くすユーナがいた。

 

「ユーナ!ルフィ!!大丈夫か!?」

 

サボが呼びかけるも、反応がなく何もない場所を親の仇でも見るかのような瞳で見つめていた。エースはこの10年間一緒にいてこんな冷たい目をしたユーナを見たことがなかった。まるで別人のようで、遠くに行ってしまいそうで怖くなったエースはユーナの元に駆け寄り体を譲ろうとしたが、ユーナの体に触れる前にまるで透明な壁があるかのように阻まれた。

 

「くそっ!なんだこれ!!おいユーナ!!しっかりしろ!!ユーナ!!」

 

ユーナの正面に回り透明な壁を叩きながら呼びかけ続けるエース。

その声が徐々にユーナの耳に届いたのか、エースの目と視線が合う。

 

「…え…す…?」

 

そう呟いたユーナはそのままスイッチが切れたようにエースにもたれかかるようにして意識を失った。

 

「ユーナ!!!」

 

サボはルフィを抱え、エースにダダンの元へ行こうと伝え2人は走り出す。その後、ポルシェーミとその部下数名を見たものは誰もいない…。

 

 

 

 

「ダダン!!ユーナが…!!」

 

ダダンの元についたエースとサボは急いでユーナを見せる。

それを見たダダンは顔を強張らせ、何があったか聞く。

 

「詳しくはわからねぇ。ただ、こいつがブルージャムの奴らに捕まって…それを知ったユーナが助けに行ったんだ…。」

 

それを聞き、大体の予想がついたダダンはドグラにユーナを寝かせてくるように伝えたあと、サボとルフィを見る。

 

「で、ルフィはともかくてめーは誰だ?」

 

「俺は、サボ…。悪い、ユーナとルフィを俺たちの事で巻き込んで危険な目に合わせた…!」

 

そういい、唇を噛み締め頭を下げるサボ。

 

「あぁ、エースと同じくクソガキだと聞いてるよ。ったく、嫌だ嫌だ、ガキがどんどん増えてくよ。」

 

そう言ったダダンはルフィを見てため息を吐く。

 

(ルフィに怪我はなし…いや、この顔色からして大分血が出たはずだ。治ってるが正しいか…)

 

「とりあえずさっさと風呂入ってクソして寝ろ!ガキども!!ルフィは大丈夫だ。すぐ眼を覚ますだろうよ。」

 

そう言ってその部屋を後にしようとするダダンにエースは聞く。

 

「ユーナは大丈夫だよな?すぐ眼を覚ますよな!?」

 

ルフィが大丈夫だと聞いて安堵していたサボだが、エースの言葉にハッと気づく。ダダンがルフィ“は“と言ったことに。

 

「…さぁな。だが、これだけは言っとく。これはユーナの持っている能力の暴走による副作用だ。」

 

「能力?暴走?なんだよそれ!!」

 

「それ以上を知りたいなら!!…それ相応の覚悟と代価を持って本人に直接聞くんだな。」

 

そう言って今度こそダダンはその場を後にした。

残されたエースとサボはその場から動くことができなかった…。

 

 

 

しばらくして、ようやく動き出した2人はお風呂に入っていた。

2人の間に会話はない。ただ思いつめたような顔をしている。

風呂を出て、布団に入り込んだサボとエース。この沈黙を破ったのはエースだった。

 

「なぁ、サボ。代価ってなんだ?」

 

「俺たちが知りたい情報を得るための、代償…かな。」

 

「金…じゃねぇよな。」

 

「うん。ユーナにとって隠したい秘密を俺たちは聞くんだ…その代価は…俺たちの隠したい秘密ってことじゃねぇか?」

 

「だよな…」

 

この日、部屋から話し声が聞こえることはなかった……。

 

 

次の日の朝、ルフィの元気に起きる声でみんなは眼を覚ます。

 

「あーー!よく寝たーーーー!!!」

 

その声に昨日は考え事をしていて寝れてなかったエースはルフィを勢いよく殴る。

 

「うるせぇぇぇ!!黙れ!!」

 

「俺はゴムだからきかん!!…ん?…痛くねぇ!!んん??あれ?…本当に痛くねぇ!!ってか傷がねぇ!?!?」

 

そんなルフィの反応に??を浮かべるエースとサボ。

 

「お前何言ってんだ!元から怪我してねぇーだろうが!」

 

「まぁまぁ、きっと捕まった恐怖から気を失って変な夢でも見たんだろ。ま、とりあえず、何事もなくてよかったな、ルフィ!」

 

そんな2人の反応にもっと??を浮かべたルフィは昨日のことを思い出して、反論した。

 

「夢じゃねぇぞ!確かに俺、捕まって、吊るされて、トゲトゲがついたやつで何回も殴られて…めちゃくちゃ痛かったんだからな!!血もドバドバ出てたし!!」

 

2人は驚愕した。

ルフィが怪我もなく倒れていたことからとっととしゃべって気絶させられたか気絶したかのどちらかと思っていたからだ。きっとルフィが無傷でいるのはユーナの能力ってやつだとエースとサボは気づく。

 

「お、まえは、喋らなかったのか?そんな目にあわされてどーして喋らなかったんだ!!喋れば助かるのに!!」

 

「ユーナが言ってたんだ!!エースと仲良くしたいなら、エースにとって必要な存在になれって!!しゃべったら必要な存在になれねぇし、もし、言われたこと守れなくてユーナにまで嫌われたら俺は1人になる!!1人になるのはいてぇのよりつれぇ!!だから俺はユーナとも!サボとも!エースとも!!友達になりてぇ!」

 

そんなルフィの告白にエースは声を震わせながら聞いた。

 

「お前は俺が必要なのか?…生きてて欲しいのか?」

 

そのエースの問いにルフィは何言ってんだ?という顔で。

 

「当たり前だ!!」

 

「そうか…。でも俺から必要とされるのにはルフィはまだまだ力不足だな!」

 

「なにおう!!俺のパンチはピストルのように強いんだ!!」

 

「へー、やってみろ」

 

サボはこの会話でエースがルフィを認めたことに気づく。

ルフィは気づいていないだろう。この会話で初めて、エースがルフィの名前を呼んだことに……。

 

その後、部屋の中で騒いでいた3人を怒ったダダンが家から追い出すのだが、追い出された3人は仲良く笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まず1話!
ここまで見てくれてありがとうございます!



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兄弟になりました。

 

 

あの日から、数日経った。

だが、いまだユーナが目覚める気配はない。

エース、サボ、ルフィはユーナが目を覚ました時、喜んでくれるように毎日いつものお肉だけでなく山にある果物もとってきていた。

 

「今日も目を覚まさねーな…」

 

「ユーナ…」

 

「叩けば起きるんじゃねーか??」

 

「「やめろ!」」

 

そんな会話ももう10回目だ。変化のない日々に虚しくなった3人はとってきた果物を横に置き、自分たちの部屋に戻った。

 

 

みんなが寝静まった頃、ダダンから連絡を受けていたガープはユーナの元へ行く。布団の横に座り込み、大きな手をユーナの頭に置いて優しく撫でるガープの顔は苦しそうだ。

 

「まだ、心の傷は深く残っているようじゃな…」

(当然じゃ、大の大人でも耐えられるものではない…)

 

そう呟くガープに、いつのまにか目を覚ましていたユーナははにかんで言った。

 

「…今回はちょっとフラッシュバックしちゃっただけだよ…あはは、久々にどじっちゃった。」

 

そのことに驚き、目を見開くガープ。

 

「起きとったか…」

 

「ついさっきね…大丈夫だよ。ガープさんがそんな顔しないで。私はこの場所で新しい“人間“として幸せに暮らせてる。あの頃、こんな生活ができるようになるなんて思っても見なかった…。これもあの人とガープさんのおかげだよ。」

 

本当に幸せそうにそう語るユーナに、ガープは瞳をうるわせてただ「そうか」と呟いた。

 

 

次の日誰よりも早く起きて、朝ごはんの準備を始めていたユーナは起きてきたみんなに何事もなかったように挨拶をする。

 

「あっみんなおはよう!朝ごはん出来てるよー」

 

そんなユーナにいつも通り返事をするダダン、エース、ルフィ。

だが、ユーナが倒れてからここで生活し始めたサボはワナワナの震えながら、ユーナを指差して言う。

 

「ゆ、ユーナ!!目が覚めたのか!!」

 

そんなサボの言葉に我に帰ったルフィはユーナに抱きつき、ダダンは瞳をうるわせながら、悪態をつく。

 

「ユーナ!!!」

 

「ったく、今度おんなじことしやがったら承知しねーぞこのガキ。」

 

それぞれの反応に、自分はちゃんと愛されていると実感したユーナは心の中でみんなに感謝の気持ちを言いながら、返事をした。

 

「みんな、ただいま!」

 

その言葉に、ずっとここにいたのに何言ってんだ。と言いながらも「おかえり、ユーナ!」と返すみんな。だが、ユーナが目覚めてから一言を言葉を発しない者がいた。エースだ。そんなエースの様子に心配になったユーナは下を向きこっちを見ようとしないエースの顔を覗き込んだ。

 

「え!エース!?どうしたの!?」

 

覗き込み、ユーナは驚く。あのエースがだ。あのエースが唇を噛み締めながら泣いていたのだ。そのことに気づいた全員驚きすぎて硬直している。

 

「うるせぇ!こっち見んな!!バカ!」

 

そう言いながら、ユーナ達から顔を背けるエース。

そんなエースにユーナはニヤリと笑い、からかう。

 

「な〜にエース、泣き虫は嫌いなんじゃなかったっけ〜」

 

「なっ!!おれは泣いてねー!!」

 

ユーナにからかわれ、涙を乱暴にぬぐって泣いてないと証明するようにユーナの方に顔を向けたエースは突然抱きついてきたユーナに驚き、本当に涙が引っ込んだ。

 

「ありがとう。エース。エースがあの時呼び起こしてくれたから、私はまたここに戻ってこれた。本当にありがとう。」

 

さっきのからかう口調から突然真剣な声色でお礼を言うユーナにエースは戸惑いつつも、言葉を返す。

 

「ったりめーだろ。ユーナの帰る場所はここなんだからな。」

 

「うん!」

 

そんな2人のやりとりに目をうるわせていたダダンはそれを誤魔化すようにご飯を早く食べろと急かすのだった。

 

 

 

 

食後、エースはユーナに大事な話があると言ってコルボ山に呼び出した。呼び出された丸太の元へ行くと、エースだけでなくサボやルフィの姿もある。

 

「えっと、どうしたのみんな?大事な話って?」

 

ユーナの問いに、3人は顔を合わせて頷いた後丸太の上にダダンの酒と盃を4つ置く。

 

「話の前に、やることがある。」

 

「…」

 

エースの真剣な眼差しに、息を飲むユーナ。

 

「ユーナは知ってたか!?盃を交わすと兄弟になれるんだってよ!スッゲーよな〜!」

 

ルフィが言った“兄弟“という単語にピクリと反応する。

 

「…兄弟…」

 

「そうだ。ユーナ、俺たち兄弟になろう。絶対に切れない絆を作ろう。そして…ユーナの背負う闇を俺たちにも背負わせてほしい。」

 

サボの言葉に3人がどうしてそんな事を言い出したのかわかったユーナは嬉しいような悲しいような苦しいようなそんな複雑な顔をした。

 

「あはは、兄弟か〜それもいいね。でも、私の持つ闇をあなた達に背負わせることはできない。エースも、サボもルフィも私にとってはその闇を忘れさせてくれる光なの。これは譲れない。」

 

そんなユーナの返事にある程度予想していたエースとサボ。

ルフィは不満げに唇を尖らせる。

 

「えー!ユーナは兄弟にならねーのか!?」

 

「ルフィ、ユーナも必ず兄弟になるからちょっと待ってろ。」

 

話を進めるため、ルフィに遠回しに喋るなというとユーナに向き合う。

 

「ユーナの言いたいことはわかる。でも俺たちは!ユーナを守りたいんだ!何も知らねー今のままじゃ、また……。俺はもう、あんな思いしたくねぇ!」

 

エースは今でもユーナが倒れた時のことを思い出すと、手が震える。ユーナがどこか遠くに行ってしまいそうで怖いのだ。

 

「ユーナ。俺にも秘密がある。みんなには言ってなかったけど、俺は…貴族の息子なんだ…」

 

その告白に驚き声を上げる3人。

 

「まぁ、驚くよな。なんで貴族の息子がこんなとこにいるんだー。って。でも、お前らには悪いけど俺は親がいても1人だった。あいつらが見ているのは俺じゃない。地位だけだ。…生まれも育ちもかんけーねぇ。貴族の息子だろうと、俺は俺だ。鬼の血を引いていようが、エースはエースだ。ルフィもルフィだし、どんな闇を抱えていてもユーナはユーナだ。俺たちは誰もお前を否定しない。兄弟の絆にそう誓う。」

 

エースとルフィも同じ気持ちのようで頷いた。

ダダンの酒を開けて、盃に注いでいくエース。そしてそれを手に取りユーナに1つ手渡した。

 

「ダダンに言われたんだ。ユーナの事を知りたかったらそれ相応の覚悟と代価を払えって。代価は…俺達には難しくてわかんねぇ。でも、これが!俺たちの覚悟だ!!受けとってくれ、ユーナ!」

 

背負わせたくない気持ちもまだある。でも、信じてみたいと思った。兄弟になりたいと思った。ユーナは恐る恐る盃を手に取り、大きく深呼吸をした。

 

「ほんと、君たちには敵わないな〜。後悔しても知らないからね!」

 

ユーナが盃を手に取った事で3人は嬉しそうだ。

それぞれも盃を手に取ると、4つの盃が重なり音がなる。

 

「今日から俺たちは、兄弟だ!!」

 

「「おう!!」」

 

「うん!」

 

こうして、姉1人、真ん中2人、弟1人という4人兄弟がここに誕生する。この4人は今後世界を大きく揺るがす存在になるのだが、それはまだ先の話…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




2話も見てくれてありがとうございます!


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ユーナの過去が明かされます。

この話は少し残酷な描写があります。
苦手な方は回れ右してください。


兄弟になったのだから秘密は無しだ。

そう言いたげな3人の瞳にユーナはポツリと少しずつ昔話でもするように話し始めた。

 

「昔々、あるところに不思議な模様の実を食べた少女がおりました。その実は悪魔の実と呼ばれ、食べたものに力を与えます。その少女が食べたのは“キョヒキョヒの実“と呼ばれ、とても珍しいものでした。その少女の噂を聞きつけたある男はその少女を買い、自分の所有物にしたのです。」

 

 

ー12年前ー

 

3歳の少女は自分に何が起こったのかわからないまま鎖に繋がれ、歩いていた。首には重たい海楼石の首輪。同じような格好をしていた男が首輪を外そうとして爆発した事で、少女もこの首輪が怖いものと分かっているため、ただ、歩くしかなかった。そして連れてこられたある1室…そこで少女は人間以下の烙印、“天駆ける竜の蹄“を背中に焼き付けられた。その後、天竜人の間で話題になる奴隷がいた。

その奴隷は悪魔の実"キョヒキョヒの実"の能力者で、自分の身のあらゆるものを拒絶することができるのだ。攻撃も光も音も痛みも老いも怪我でさえも。だから天竜人達はわざわざ海楼石の刀や銃弾を持ち寄り奴隷を痛めつけることを楽しんでいた。

 

「この奴隷は最高だえ〜。刺してもよし、撃ってもよし。何をしてもすぐに治るからやり放題だえ〜。」

 

そう言って天竜人は奴隷の足に思いっきり刀を刺した。

 

グサッ!

「グッ!ああああ!!」

 

悲鳴が聞こえても笑顔を絶やさず、容赦なく刀を抜く。

そうすると海楼石で封じられていた拒絶の力が戻り、傷がみるみる治っていく。それが楽しくてしょうがないのだ。

 

「面白いえ〜!今度はこっちだえ〜!」

 

天竜人は今度は銃を持ち、奴隷に狙いを定める。

 

バンッ!バンッ!バンッ!

「ああああああ!!」

 

だが、今度はなかなか傷が治らない。

理由は簡単、弾が貫通せずに体に残っているからだ。

天竜人もそれに気づくと、先ほど使った刀を弾のあるところにねじ込み弾を強引に取り出す。

 

「ガッ!ああああ!…ハァハァ…もう、やだよ、ころして…!」

 

奴隷はあまりの痛さに殺して欲しいと願うが、天竜人にとってそれはおもちゃを無くすことになる。当然聞き入れることはなく、急所以外のところを狙って攻撃を繰り返した。

 

何日何年、そんな日々を送ったのだろう。

逃げたくても拷問のような時間が終わるとすぐに海楼石付きの首輪がはめられ、動くこともできず、ただ淡々と時が過ぎていき、次第に奴隷は感情を失っていった…。

 

そんな中、好機が訪れた。

看守が首輪をつけ忘れたのだ。奴隷の瞳からはわずかに光が戻り、1人こっそり逃げ出した。だが、疲れ果てた奴隷にとってこれから生きる元気はなかった。生きたとしても一生ついてまわる奴隷の印。奴隷は赤い土の大陸(レッドライン)から飛び降りた。その顔に失っていた涙と笑みをこぼしながら…。

 

「これで…じゆうだ。」

 

 

 

次の日、天竜人達は海軍本部に捜索を命令した。天竜人にとってあれほど最高の奴隷はいないからだ。海軍大将まで巻き込んだ大捜索をもってしても最後まで奴隷を見つけることができなかった。その後、どうしても諦めきれない天竜人はある命令をする。それはその奴隷を指名手配することだ。その奴隷は5歳でありながら、高額の値をつけられた。

 

ONLY ALIVE

"不死身の妖女"

XENO

฿ 35,000,000-

 

 

 

 

「これが、私の過去。」

 

自分の手配書を見せながら、そういうユーナは自分の体を抱きしめて震える体に耐えていた。エースとサボとルフィは想像をはるかに超えるユーナの壮絶な過去になかなか言葉が出てこない。

 

「あは、人間以下の私なんか姉とは呼べないよね!いいの!少しの時間だけど、みんなと兄弟になれて嬉しかった!あなた達は3人兄弟!私は赤の他人!それが1番いいんだよ!」

 

ユーナは作り笑顔でそういい、その場を離れようとした。

そんなユーナをエースは追いかけ抱きしめた。

 

「ユーナ!俺たちにとってユーナは奴隷でも人間以下でもねぇ。俺たちと同じ人間で、俺たちの兄弟だ!!」

 

そこにサボとルフィも来て、涙を浮かべながら…ルフィは号泣だが。それぞれの気持ちをしっかりとユーナに伝える。

 

「エースの言う通りだ。いったろ?ユーナはユーナだ。話してくれてありがとう。今の話を聞いて世界貴族を憎むことはあっても、ユーナを嫌いにはならねーよ。」

 

「うっグスッ。ユーナ!お゛れ゛!海賊になって!えっぐ…グスッその天竜人ってやつに会っだら…うぅ…ぶっ飛ばしてやっからな゛!」

 

3人の変わらない態度にユーナは涙が止まらなかった。

受け入れてくれるかどうか、怖かった。こんな私を受け入れて、兄弟にしてくれたこの3人にユーナは守りたいと強く思った。

 

「ありがとう…!3人とも…!本当にありがとう…!!グスッ…でもルフィ、天竜人はぶっ飛ばすのはまずいよ…」

 

「「「えっなんで??」」」

 

ルフィだけでなくエースとサボにも言われて、ユーナは涙を引っ込めてつっこんだ。

 

「ダメに決まってるでしょ!!捕まるわよ!!」

 

「「「どのみち俺達海賊になるんだから一緒だ。」」」

 

「そっ!!うだけど…はぁ、まぁいいや。どのみちいっても聞かないだろうし、その時のエース達の仲間に止めるの託す。」

 

しばらくの沈黙が続き…4人は吹き出した。

 

「「「「あはははははは!」」」」

 

「あー、喋ったらスッキリした!!」

 

そう言って大きく伸びをするユーナにサボは少し疑問に残ってたことを書く。

 

「そういえばユーナ、この手配書ゼノって書いてあるけど…ユーナは偽名か?」

 

「ん?ああ、違うよ。どっちも本名!言ってなかったね、私の名前はユーナリー・D・ゼノ。改めてよろしくね!弟達!」

 

「ああ、姉貴!」

 

「エースは姉貴か〜俺は姉さんかな〜。」

 

「おれは!!ねぇちゃん!」

 

「あはは、わぁ、新しい響〜!」

 

「じゃあ、ルフィ俺のことはにぃちゃんと呼ぶんだぞ。」

 

「エースはエースだ!」

 

「なんでだよ!!!」

 

「もういいだろ、いつも通りで。」

 

「だね!!」

 

そんなにこやかな会話を覗き見していた人物が2人いた。

1人はガープ。ユーナの晴れた顔を見て安心したのと同時に孫が増えた事が嬉しいようですごくにこやかだ。

そしてもう1人のダダンは、言わずもがな大号泣だった…。

 

 

 




3話ありがとうございます。
ユーナの過去は考えながら私病んでるのかな…って思いました。


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ユーナ、旅立ちます。

エース達と兄弟になった日の夜。

ユーナは外で1人お酒を飲むガープの元へ行く。

 

「ガープさん。ごめんね。今日あなたの大切な孫と兄弟になった。後悔はしてない…けど、あなたには恩を仇で返す形になってしまった。本当にごめんなさい。」

 

そう言って頭を下げるユーナ。

そんなユーナの頭をぐしゃぐしゃと撫でるとガープはユーナを抱きしめた。殴られ、怒鳴られることを予想していたユーナはガープの行動に戸惑う。

 

「そうか…兄弟になったのか。それは良かった。お前さんはなかなか認めてくれなかったが…これでユーナも正式なわしの孫じゃ!!辛い時は泣きついてこればいい!寂しい時は甘えてこればいい!わしは何があろうと、ユーナを愛しとるぞ!」

 

「が…ガープさん…」

 

「こらっじいちゃんと呼ばんか!」

 

そうやって怒るガープに本当に自分がその家族の輪に入ることを許されたと感じるユーナは泣きながら初めてガープを祖父として呼ぶ。

 

「お…じい…ちゃん……うわぁぁぁぁぁぁん!本当は…怖かったの!エース達に私の過去を知られて、もう一緒にいられなかったらどうしようって!!私みたいな、汚れた存在がその輪に入ることは許されないって!!私が幸せであればあるほど!…怖い!今度はエースが…ルフィが…サボが!おじいちゃんが!不幸になったらどうしようって!!」

 

初めて聞くその本音にガープの頬には涙がつたう。

ユーナはまだ15歳。そんな子が自分の幸せを怖いと感じるこの世界が…世界貴族がガープは憎いとさえ思う。せめてこの子が、もう2度とあんな思いをしないように守ろうさっきよりも力強くユーナを抱きしめるのだった…。

 

しばらく溜まっていた涙を出し続けていたユーナは、疲れ果てて眠ってしまった。そんなユーナを布団に寝かせるとガープはエースとサボ、ルフィに大切な話があると言って外に連れ出した。

 

「なんだよじじぃ。大切な話って。」

 

「ユーナのことじゃ。」

 

その返答にさっきまでのだるそうな雰囲気は消え、一気に真剣な顔つきになる3人にガープは満足そうに頷いた。

 

「お主ら、兄弟になったんだってな。ユーナに聞いたぞ。」

 

力強く「おう!」の返事をする3人。

 

「じゃあ、話しておく必要がある。…ユーナの能力、いや悪魔の実についてじゃ。」

 

「ユーナとルフィが食べたやつだな!」

 

「そうじゃ。悪魔の実の能力者は海に嫌われ、カナヅチになる。それは知っておるな?」

 

ガープの問いに頷く3人。

 

「人間離れした力を手に入れても元は同じ人間の体。無茶な使い方をすれば、当然体にダメージがたまり、がたがくる。」

 

「じゃあ、今回…ユーナは無茶したから数日間目を覚まさなかったのか?」

 

「そうじゃ。ユーナの拒絶の力は万能ではない。拒絶するものが大きければ大きいほど当然リスクも伴う。…まぁ、ユーナもこのことはわかっておるし普段無茶をすることはないんじゃ。ただ…」

 

ここで言葉が詰まるガープに3人は??マークを頭に浮かべ続きを促す。

 

「「「ただ??」」」

 

ガープは拳を強く握り、辛そうに話した。

 

「ユーナの過去をお主ら聞いたじゃろ。あの子の過去は…酷いものじゃ。あんな事をされて平気なわけがない。10年経った今でもまとわり付いてくる記憶に支配され暴走することがある。何かが引き金となってな…。」

 

エースとサボは思い出す、2人が駆けつけた時のユーナの様子を。

周りが見えてなくてただ、全てを拒絶するように立つユーナにエースは触ることもできなかった。

 

「あの時のユーナは別人のようだった…感情をなにもかも失ったみたいに…冷たい目をしてた。」

 

「…感情を殺さなければ耐えられなかったのじゃろう…。いいか?能力の暴走はユーナの自己防衛が働いた結果じゃが、それを続けていれば必ずがたがくる。お前ら3人…弟としてしっかりユーナを支えてやるんじゃ。」

 

エースとサボ、ルフィはその事を知りもっともっと強くなる事を3人で誓い合と、次の日から100本勝負が日課になった。時々ユーナも参加しながら4人切磋琢磨して力をつけていく。そんな兄弟にあんな悲劇が起こるなんて、この時は誰も思っていなかった…。

 

 

ある日、いつものように100本勝負をしていた4人。結果はユーナ300勝0敗。エース152勝46引き分け102敗。サボ150勝46引き分け104敗。ルフィ0勝300敗となった。

 

「くそー!ユーナ!お前能力なしにしろよ!!」

 

「うーん。わたしもそうしたいんだけど…なかなか…ごめんね?」

 

そう、ユーナは攻撃が来ると無意識に拒絶してしまい、バリアを張ったように誰の攻撃も届かないのだ。

 

「まぁまぁ、エース。落ち着けって!海賊旗作るんだろ?」

 

「そうだぞ!エース!早く俺たちの海賊旗つくろうぜ!!」

 

そんなエースをなだめるサボはそう提案するとルフィも早く早くと急かした。そう、ダダンたちに独立すると宣言して秘密基地を作った4人。あと残すは4人の海賊旗を作り、飾るだけなのだ。

 

「そうだな!!行こうぜ!」

 

そう言って秘密基地へ走る3人を微笑ましく見ながら追いかけるユーナ。

 

「やっぱり俺たち兄弟の頭文字をとって、YASLか?」

 

「そうだな。その後ろにばつ印を入れれば立派な俺たちの海賊旗だ!」

 

「いいな〜それ!!かっちょい〜〜!!」

 

そう言って地面に棒でイメージ図を描いていく3人だが、ユーナは黙ったまましばらく考え込んでいた。

 

「ユーナ?どうした?」

 

サボがそう問いかけるとユーナは考えがまとまったようで、こう提案する。

 

「ねぇ、あのさ。わたしの下の名前ゼノじゃない?だから、ASLにして後ろのばつ印をXと考えれば、4人の頭文字が入るし、何よりそっちの方がまとまりが良くない?」

 

それを聞いたサボが「なるほど」と言ってさっきの書いた横にユーナの案の海賊旗を書く。たしかにこっちの方がまとまりはいいが、エースは微妙な顔だ。

 

「たしかにまとまりはいいけどよ?これじゃはたから見りゃユーナが入ってねーじゃん。」

 

「そうだけど。見て、これだと私がみんなを見守っているような感じがしない?これからみんながそれぞれ海に出てそれぞれが海賊旗を持つのだとしたら、みんなの海賊旗に私の名前が入るの!それを想像したらなんだか、常にみんなの側にいるような気持ちになるかな〜って思ったんだけど…だめかな?」

 

そんなユーナの提案にそれぞれ自分の海賊旗を想像してみる。

 

「…それ、いいな。」

 

ボソッとサボが呟く。

 

「たしかに…もし、俺たちがそれぞれ違う道に行ったとしても、これならユーナが近くにあるみたいだな!」

 

「これがいいと思うぞ!俺!!」

 

「決まりね!」

 

こうして、赤いA青いS黄色いLの後ろに白いばつ印を書いた海賊旗がその秘密基地に建てられた。

 

 

その数日後、サボが家族の親に連れ戻された。

サボの幸せを考え、連れ戻しにも行けずただ、サボがいない毎日を過ごす3人はある日ブルージャムに誘われ、荷物運びの仕事をする。それが、事件の始まりだった。

 

燃え上がる不確かな物の終着駅(グレイターミナル)にブルージャムに行く手を阻まれる3人。ユーナの拒絶の力で火や煙を防ぎ、なんとか逃げ延びるも、その後3人の元に届いた知らせに絶望するしかなかった。

 

 

サボの死。

それも今もユーナを苦しめている存在である世界貴族の手によるものだ。悲しみに明け暮れるエース達の元にサボからの手紙が届く。その手紙を読み、サボの分まで生きることを決めた3人はある誓いを立てた。

 

「俺たちは悔いのないように生きるんだ!いつか必ず海に出て!思いのまま生きよう!!誰よりも自由に!!出港は…17歳だ!!」

 

 

 

色々あったが、2年という月日はなんとも早いものだ。

ユーナは17歳になり、エースとルフィに見送られながら一足先に海に出た。

 

「みんなと違って海賊になりたいわけじゃないけど…やりたいことは決まってる…。私もこれでおじいちゃんとは敵同士か〜。」

 

ユーナがやりたいこと…それは自分を苦しめ、サボを殺した天竜人を潰すこと。そのためにユーナはある組織に入る…。

“革命軍“ガープの息子であるドラゴンが率いる組織は、ユーナと同じく元奴隷も多い。この場所でユーナは自分のために、兄弟のために戦う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いやーこの話書いてて私どれだけ書くの下手なんだ!って思いましたねはい。まとまらないし、話はトントン拍子で進んでくし、ほんと読みづらくてごめんなさい。
これからもオリジナルが結構増えてくからもっと読みづらくなると思うけど、これからもよろしくお願いします!


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ユーナ、アラバスタへ

お久しぶりです。


ユーナが革命軍に入って早5年が経つ。

そんなユーナが今か今かと楽しみ待っているのが、エースの記事だ。

兄弟で夢を語り合った時、エースは「名声を手に入れる!」と言っていたので、絶対に新聞に載るとユーナはふんでいる。

 

「ユーナ!お待ちかねの今日の新聞だぞ〜!」

 

そう言って新聞を持ってきた人物がいる。

ユーナは5年前、革命軍に入隊してとても驚いた。

自己紹介をしたその日にドラゴンに案内されたのがコアラというユーナと同じ元奴隷の少女の元だ。歳も近いし、お互い気があうだろうとのことだった。そして、その少女のいる子供達の訓練場に向かうと見覚えのあるシルエットを見た。青いどこか貴族を思わせる服に鉄パイプを振り回して戦う金髪の少年。そう、サボだ。サボが生きていたのだ。ユーナはその姿を見て泣き崩れてしまい、ドラゴンには驚かれたものだ。その後、事情を説明するとドラゴンは言いづらそうに言葉を濁しながらサボが記憶喪失だとユーナに伝えた。最初はそのことにただショックが大きくてどうサボと接していけばいいのかわからなかったが、死んだと思っていたサボが生きていたのだ。それだけでいい。それ以上を望んだらいけないと、「はじめまして」そう挨拶をした。なのでサボとユーナが兄弟だと知るのは今はドラゴンのみ、そのドラゴンも事情を説明する時に出したルフィの名前に父親だと言われてまたこれびっくり。不思議な縁だとユーナは思ったのだった。

そんなサボが持ってきた新聞を受け取り中を開くと、ユーナは目を輝かせ1枚の紙を見て嬉しそうにわらっている。

 

「きたきたきたー!エースがきた!みて!サボ!これ、私の兄弟なの!!かっこいいでしょ〜!」

 

そう言ってエースの手配書をサボに見せるユーナ。

初めて見るはしゃぎように驚きながらサボはその手配書を見る。

 

「へー。これがユーナの兄弟か。俺と同じくらいか??」

 

「正解!同い年だね!」

 

ユーナは心の中で(あなたも兄弟なんだけどね。)と思いながらサボの問いに答えると、手配書を大事そうに持って自分の部屋に戻った。そして壁に貼ると満足顔だ。

 

「さて、ルフィは3年後か〜。楽しみだな。」

 

ユーナはエースの手配書を触るとポツリと話しかけた。

 

「ねぇ、エース。サボは生きてたよ。私たちの兄弟はあいつらに殺されてなんかなかった。私たちのことは忘れちゃったけど、ちゃんと生きてる。」

 

いつのまにか出ていた涙をふき、頬を叩くとユーナは任務に出かけるために準備を始めた。

 

 

数ヶ月後、ユーナは休暇をもらいエースに会いに行った。エースは私が革命軍に入ったと聞いてとても驚いていたが、ユーナの過去を知っているためすぐ納得していた。途中ルフィの話やサボの話が出たが、ユーナはサボが生きているということ伝えようか迷ったが、やめた。このことはルフィと3人であったときに話したいと考えたからだ。だからそのことを伏せて近状報告をし、たくさん話した。

 

そしてあっという間に月日が経ち、3年。ルフィが出港する年になった。この3年でエースは白ひげ海賊団2番隊隊長にまで上り詰め、一気に有名になった。サボは次期総長と言われるほど強くなった。もちろんユーナも革命軍の中で上の方に入っている。だが、ルフィの活躍は想像以上で、エースもユーナも毎回驚かされる。アルビダがら始まりモーガン、バギー、クロ、クリーク、そしてアーロン。ルフィの首に懸賞金がついた時はエースとユーナは揃って仲間に自慢し、その仲間たちにブラコン認定されたのは、言うまでもない。

そんなある日ユーナはルフィとエース2人がアラバスタに向かっているという情報を入手した。アラバスタには王下七武海の1人クロコダイルは革命軍内で調査対象に含まれている…ユーナはアラバスタに行くためその任務に立候補した。

 

 

「ここがアラバスタ。ふ〜…暑いな。」

 

ユーナはついて早々、気温の高さに驚いた。

そして、流石にきついと感じたユーナはボソッと呟き能力を使う。

 

「熱の拒絶“ヒート“」

 

これによりユーナは熱気を感じなくなり、気分も良くなったので早速任務に取り掛かりつつ2人の情報収集をする。

 

「あの〜この辺りで麦わら帽子を被ったうるさいぐらい元気なやつと、オレンジの帽子を被ったそばかす男見ませんでした?」

 

「いや〜見てないねー。」

 

「そっか〜、どうもありがとう。」

 

だが、なかなか情報は集まらない。どうしたもんかと思案していると、突然目の前に見覚えのある麦わら帽子が勢いよく横切った。「メシー!」という叫びとともに。

 

「……ルフィだね。あれは。」

 

なんともルフィらしい行動に若干呆れながらも変わらない姿に嬉しく思うユーナは、ルフィが飛んで行ったお店に向かう。

ルフィが突き破った壁から中を覗いたユーナは何件も巻き込んだであろう形跡を見て顔を引きつらせた。

 

「…1回離れよう。」

 

巻き込まれることを恐れ、離れて様子を見守ることにしたユーナは数分後、お店から慌てて出てくる3人の人物を見て驚いた。ルフィとスモーカー遅れてエースだ。ルフィだけでなくエースも一緒にいるとは運がいいとユーナは思いながら追いかけるとルフィは仲間たちと合流、そしてエースがルフィに伸びるスモーカーの手を防ごうと能力を使ったところだった。

 

「陽炎!」

 

突然自分たちを守る様に現れた炎に驚き逃げる足を止め振り返るルフィ達だが、なぜ自分たちを助けたのか分からず困惑している。ルフィ以外は。

 

「エース?」

 

「変わらねーな。ルフィ!」

 

「エース!エースか!おめー悪魔の実食ったのか!」

 

「ああ、メラメラの実をな!」

 

「うんうん。ほんとびっくりだよね〜。」

 

「「……!?!?!?」」

 

いつのまにかルフィの横にいて、会話に参加するユーナにみんなが驚き振り向く。

 

「や!久しぶりだね〜エース!ルフィ!」

 

「ユーナ!お前もここにきてたのか!」

 

「ユーナ?ユーナ…ユーナだ!ほんとにユーナだ!」

 

完全に蚊帳の外にされているゾロたちと海兵だが、スモーカーが目の前にいるルフィを逃すわけがない。

 

「ホワイトブロー!!」

 

それに気づき、また炎で応戦しようとするエースの肩に手を置きユーナは前に出る。

 

「エースの能力じゃ目立って他の海兵を呼んじゃうでしょ?私に任せて!…拒絶の壁“バリア“(ボソッ)」

 

何もないはずなのに透明な壁があるかのようにスモーカーの腕は阻まれてしまう。

 

「てめぇも悪魔の実の能力者か。」

 

「正解!ルフィ!仲間たちと先に行って!話は後でゆっくりしよう!」

 

「ここは俺とユーナで食い止める!」

 

そういうと「わかった!」と行って走り出すルフィとそれを慌てて追いかけるゾロ達を軽く目でおい、スモーカーに向き合う。

 

「わからねぇ。なぜ麦わらを助ける。」

 

その言葉にユーナとエースは顔を見合わせてからニヤリと笑い、声を合わせていう。

 

「「できの悪い弟を持つと兄貴(姉)は心配なんだ(よ)」」

 

「弟……。で、火拳はともかくてめぇは何もんだ?兄弟揃って全員海賊か?」

 

スモーカーは兄弟である事には対して興味がなさそうだが、謎に包まれたユーナの正体を問う。

 

「そうやすやすと教えるわけないでしょ?白猟のスモーカー大佐。行くよエース。」

 

「え?あぁ。」

 

そう言って歩き出すユーナとエース。

海兵はおいかけようとするが、四方八方見えない壁に苛まれ動けなかった。

 

「スモーカー大佐!これでは追いかけられません!逃げられてしまいます!!」

 

自分たちが持つ武器で叩きなんとかしようとするもビクともしないその壁に焦る海兵。スモーカーは微動だにせずただ、ユーナをにらんでいた。

 

「やっぱりすげーなユーナの能力は!」

 

「……うん。」

 

興奮気味にそういうエースに困ったような笑顔でそう返すユーナ。

 

「まだ…好きになれねーんだな。その能力。」

 

「……まぁね。前ほどではないけどまだ…ちょっと。」

 

「そっか。いつか、好きになる日がくるといーな。」

 

「うん。…そんなことより!ルフィに会いに行こう!なにせ8年ぶりだからね!」

 

無理やり話題を変え明るく振る舞うユーナにエースは笑顔で返す。心の中でユーナが早く過去から解放されることを願って…。

 

その頃ルフィは仲間たちと船にいた。

 

「本当なのルフィ?あの人たちがルフィのお兄さんとお姉さんって!」

 

そう問いかけるナミに満面の笑みで「ああ!」と答えるルフィ。

 

「でも、なんでルフィの兄弟がこんなところに。」

 

「エースは海賊なんだ!俺より3年前にワンピースを狙って島を出たんだ!ユーナは海賊じゃねーけど8年前にな!まさかこんなところで会えるなんてな〜!!」

 

そう言って本当に嬉しそうに笑い、エースとユーナがくるのを待つルフィ。だが、エースとユーナの実力を知らないゾロたちからすれば大丈夫なのか不安になる。

 

「でもよかったのか?ただの海兵ならともかくあの大佐の相手だぞ?」

 

「大丈夫だ!俺のねぇちゃんとにいちゃんは強えからな!」

 

ルフィの強いというセリフにチョッパーは聞き返す。

 

「強いのか。あいつ。」

 

「ああ!!エースは昔はメラメラの実なんか食ってなかったけど、俺は1回も勝てなかったし、ユーナはそんなエースに1回も負けたことねぇんだぞ!!」

 

ルフィの実力を知っている為、驚くゾロたち。

特にウソップなんか「やっぱ怪物の兄は大怪物。そしてその姉は大大怪物か。」とつぶやいている。

 

「そうさ!俺なんか負け負けだったー!あはは!!でも今やったら俺が勝つね!だーはっはっはっ」

 

それをエースとユーナが聞いてるとも知らずに豪快にそう言い放つルフィ。

 

「へーだってよエース!」

 

「誰が誰に勝つって!?ルフィ!」

 

そんな声といっしょに突然2人がメリー号に乗船した。

その際驚いたチョッパーとウソップはそれぞれゾロとサンジの後ろに隠れる。ルフィは嬉しそうに2人の名前を呼んだ。

 

「エース!!ユーナ!!」

 

そんなルフィの姿に8年ぶりのユーナはゆっくりと近づきルフィの頭に手を乗せた。

 

「本当に、おっきくなったねルフィ。あんなに小さくて私たちの後ろを必死に追いかけてた子が…強くなった…!!」

 

そうやって愛おしそうに自分を見るユーナに、ルフィは笑顔で返す。

 

「おう!ユーナとエースには負けてらんないからな!!」

 

「そっか…うん!私も負けない!」

 

そう言ってニコニコと笑い合う2人に周りはすっかり和んでいた。

その後、サンジがユーナにメロメロになったりバロックワークスに襲われたりしたが難なく撃破。エースとユーナはルフィ達としばらく共にすることにした。

 

ユーナは悩んでいた…3人で会えたら伝えようと思っていたサボのことを。どう伝えるのか…それが正解なのか間違いなのか。ユーナはわからないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一気に5年、8年とすぎていき分かりづらいな〜とは思いましたが、オリジナルにストーリーを考える頭がないので許してくださいw


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