ラブライブ!サンシャイン! 小原家の長男(養子)の日常は飽きない。 (腹巻きおにぎり)
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プロローグ

〜別れも出会いも突然である〜

 

なぜこうなった・・・。それが今1番聞きたいことだ。僕、白樺 悠はこの金髪ロングヘアーの美人に連れられて、黒塗りの高級車に乗っている。「ホントはヘリコプターで移動したかったけどしかたないわね。」なんて言ってた。え、小学校どうしよう。まだ3年生だよ?どうするの?てか、何者?この人。あと何処に向かってるの?僕はこの後施設に行くんじゃないの?なんてことを悶々と考えてたら隣に座ってる金髪美人が話しかけてきた。

 

「ゴメンなさいね。事情を告げずに急に連れ出す形になってしまって・・・」

「え、あ、いえ・・・大丈夫です。」

 

事の発端は父の死だった。父は世界を股に掛ける腕の立つ料理人で、家に帰ってくることは決して多くはなかったが、たまにふらっと帰ってきて作ってくれる父の料理はどれも美味しかった。僕はそんな父が大好きだった。父から沢山の料理を学んだ。

だが、父がイタリアへ行く際の飛行機で墜落事故が起き父は帰らぬ人となった。父は多額の遺産を残してくれていたが、母は「悠が大きくなったら使う」と言って頑なに父の遺産には手をつけようとはしなかった。女手一つで僕を育ててくれた。母は身を粉にして働いてくれた。だがそれが祟ったのか母は体を悪くし父の死から2ヶ月後にあとを追うように亡くなった。僕は一人になった。葬式は親戚が執り行ってくれたが親戚内でも僕をどうするかで揉めてたらしい。そんな時に登場したのがあきらかに周りとは雰囲気の違う、金髪美人だった。そして僕を見つけるや否や、僕の手を取り

 

「あなたがシラカバユウくんですネ?」

 

僕はだいぶキョドりながら

 

「え、は、はい・・・」

 

と言った。そうしたら元気ハツラツに

 

「OK!!では私に付いてきてくだサーイ!!!!」

 

と、言い、外に停めてあった黒塗りの高級車に乗せられて、今に至るという訳だ。

僕はこの2時間弱の出来事に思いを巡らせていると、隣に座る金髪美人が口を開く。

 

「私はあなたのお父さんに頼まれてあなたを連れ出したのデース。」

 

頼む?僕のお父さんが?何を?疑問符が飛び交う頭の中少し頭痛がしてくると

 

「あなたのお父さんが亡くなる2週間前に突然『何かあったら俺の息子を頼む。遺産はある程度残してあるから自由に使ってくれ、こんなことを頼むのは図々しいとは思うが、何度も一緒に仕事をした事のあるアンタしか頼める人が居ない。』ってね。」

 

と、言われたが、父が何を思ってのことなのかは良くは分からない。母からも何も聞かされてないし。というかそもそも、自分が死んでしまう、ということを予期してたのだろうか。色々なことに考えを巡らせていても話は依然として僕のことを待たずに進んでいく。

 

「とりあえず私のvery cuteなマリーに会ってもらいマース!あなたよりもひとつ年上だけれどそこはそんなに気にしなくていいわ!仲良くしてあげてね!」

 

「マリー?それって誰ですか??」

 

「私の娘よ!とっても可愛いのよ〜!!」

 

娘か・・・当然女の子なわけであるよな。この金髪美人の娘だと、相当可愛いんだろうなぁ・・・。僕一人っ子だし。お姉ちゃんか、悪くない。むしろ楽しみなまでであるな。などと少し期待してると、

 

「Hey!ユウ!あれが私たちのmy homeデース!!」

 

と少し遠くにある、海辺のでかい建物を指さす。

 

「うぉぉぉ・・・でっけぇ家・・・って、家?あれが?なんかデカすぎてホテルみたいですね!!」

 

「oh!いい所に気がつきましたネ!!あの建物は『ホテルオハラ』私はそこの経営者なのよ!!」

 

まじか、経営者かよ、しかも『ホテルオハラ』てこの人もしかして「オハラさん」なのか?にしても社長さんかよ。すっげぇなぁ!

 

「オハラさんって社長さんなんだね!!」

 

「これから家族になるわけだし『オハラさん』はちょっと他人行儀すぎない?」

 

「いや、なんて呼べばいいか聞いてないし・・・」

 

「前はなんて呼んでたの?」

 

『前は』という言葉を聞いて少し寂しさが込み上げてくる。オハラさんはそれを察してくれのか

 

「その、ね。今のはデリカシーに欠ける発言だったわ。ゴメンなさい。」

 

と言って、ふわりと抱きしめてくれた。あぁ人に抱きしめてもらうなんていつぶりだろうか。学校のテストで100点を取った時に両親に抱きしめてもらってたことをふと思い出した。そうすると決壊したダムのように涙がとめどなく出てくる。僕はこうやって誰かに優しく抱きしめて欲しかった。「かわいそう」なんて言葉は要らなかった。葬式の時から泣かないと決めていた。僕が泣くと天国の2人も悲しんでしまうと思ったから。だけどやっぱり寂しかった。苦しかった。もう誰からもこうやって温かみを貰えないと思っていたから。

 

「大丈夫デスカ?」

 

泣き止むのを待ってくれてた。やっぱり優しい人だと思った。

 

「まぁ、呼び方はなんでもいいd・・・「ありがとうね。お母さん。うれしかった。」

 

オハラさんは目を丸くして、驚いた顔した。そして少ししてから優しい目でこう言った。

 

「私は大丈夫デース。No problem!!」

 

天国のお母さん、お父さん。ありがとう。産んでくれてありがとう。ホントはもうちょい一緒に居たかったけど、泣かないで頑張ります。天国から見守ってね。と、心の中で天国の2人に言った。

 

 

 

 

そんなこんなで、家・・・とはどうも呼び難い豪勢な建物に到着した。入口から入るとフロントには見たこともないようなでかいシャンデリアがぶら下がってた。ホテルの中をグルグル見回してると、奥からこれまた金髪の同い年ぐらいの女の子が走ってきた。

 

「ママ!おかえりなさい!!そっちの男の子は?誰?」

 

「マリー。この子はユウ、あなたの弟になる子よ。OK?」

 

「どうもこんにちは。しらか・・・じゃなくて僕は悠。小原 悠です。よろしくお願いします」

 

と、言い握手の手を差し出す。うーん少し距離を詰めすぎた?かな?そうすると

 

「私は小原 鞠莉!よろしくね!!」

 

と、言い握手をする。

 

「じゃあマリー?あなたのお部屋に連れってあげて。荷物はもう入れてあるから、仲良くしてね。」

 

「うん!!分かった!!行きましょ!!」

 

と言い元気よく腕を引っ張られる。うーむこの元気さはやはり遺伝か。けどこの人がお姉ちゃんならそんなに悪い気はしない。だからかは分からないが自然にこう言った。

 

「姉ちゃん。少し引っ張りすぎ!もっとゆっくり行こう?」

 

そうすると足を止め振り返り黄金色の美しい瞳をキラキラさせてこう言われた

 

「マリーに弟が出来たのよ!こんなにワクワクすることはないじゃない!!」

 

「けど俺ら血が繋がってないんだよ?それでもワクワクするの?」

 

「血がどうこうなんて関係ないと私は思うわ!だってあなたは私を『お姉ちゃん』と呼んでくれたじゃない?だから私はそれで十分だと思うの!!」

 

そう言って彼女はまた走り出す。ここに来てほんとに良かった、と心の底から思った。

 

 

 

白樺 悠、改め、小原 悠の人生が始まったのである。

 

 

 


最後まで読んで頂きありがとうございます。初投稿ですゆえ誤字脱字がありましたらご指摘ください。ネタが集まり次第投稿する形です。日常系が書きたく投稿しました。話のネタの提供があればコメントして頂けたら幸いです。



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なんやかんやでテスト期間は楽しく過ごせる。

テストってやっぱめんどくさい。しかしそんなことも言ってられる訳もなく、まぁ共学化テスト生として、恥ずかしい事態は避けたいって理由もあるが、それを抜きにしても俺は今、割と真面目に中間テストに向けて勉強をしている。

その向かいで「こんな、数式わかるわけないじゃん・・・」だの「なんでいちいち、都を変更するかな・・・」とぶつぶつ言っては、スマホをいじるみかん頭の幼馴染みに面倒見を頼まれたのも俺が真面目に勉強をしてる理由の一つである。ほんとーにめんどくさい。

 

「ねぇー!!悠くんあたしもう飽きたー!!勉強やだよーーー!!」

 

そういいながら俺の足をげしげし蹴ってくるこいつをどうにか黙らせたい。

 

「はいはい高海さん、蹴るの痛いからねやめようかね。痛いから。」

 

「だって楽しくないんだもん!!勉強つまんないーー!!」

 

「理由になってねぇよ・・・ってか千歌おまえ元々は曜と梨子の3人でやってたんだろ?」

 

「うっ・・・それはまぁ・・・その、なんと言いますか、えへへへ・・・」

 

「まぁ、あらかた想像はつく。お前が、真面目に勉強してる梨子にちょっかいでも出して、梨子にキレられて家から追い出されたんだろ?」

 

「・・・おっしゃる通りです」

 

「そんなことだろうと思ったよ、はぁ、全く・・・」

 

「面目ない・・・」

 

まぁ、千歌の事だしそんなだろうと思ってたが、まさか本当にそうだったとは。まぁ千歌の気持ちもわからなくもない。テスト勉強の時に限って部屋の掃除とかしたくなるよな・・・あれなんなんだろうな。

 

「でもこのままだとお前テストやばいんだろ?・・・って言うよりもやばいよな。え?そうだろ?ん?」

 

こう言って、千歌の目を見ると少し見つめ合ってからふいっと目を逸らす。あーこれは中々な状況だな・・・、やむを得ないか・・・

 

「仕方ねぇから、わかる範囲でだが俺が勉強を教えてやる。んでその後にちゃんと梨子に謝りに行くぞ。いいな?」

 

「おぉぉ!悠くんならそう言ってくれるとおもってたよ!!持つべきものはやっぱり悠くんだよ!!それで・・・そのついでに勉強頑張ったら悠くんの作るお菓子食べたいなー、なんて・・・」

 

めんどくさいから「無理サファリパーク」なんて言ってやろうと思ったけどコレを言うともっと面倒くさそうなことになりそうなので、

 

「まぁ頑張ってると思ったらな?御褒美で作ってやるよ」

 

そう言うと、目の前で「やったー!悠くんの作るお菓子〜!」なんて言ってはしゃいでる姿は可愛いものである。あれ?もしかして俺ってもしかしてちょろい?

 

〜3時間後〜

 

「ん〜〜〜っ。つっかれた〜。ねぇ悠くんお菓子まだーー?」

 

そう言って伸びをして、千歌は俺に催促をしてくる。

 

「はいはいもう少し待ってくれ。今持ってくから。」

 

3時間もぶっ通しで勉強するとは・・・1回集中し始めると物凄い集中力だし、何より割と物覚えがいいし、応用もきく、毎回こうであったらいいのに・・・

 

「いやーー!今日も悠くんの作るシュークリームは美味しいね〜。」

 

「作ればまだあるけど、梨子達の所に持ってく分も考えて食えよ。小学生の時みたいに、5個も6個も食べて腹こわすとかやめてくれよ?」

 

「さすがにもうそんな事しないよ!!もう!!ばっかにしてくれちゃって!!」

 

そう言って腕を組んで頬を膨らませている千歌とブレイクタイムを過ごしていると、俺の部屋の扉がノックされる

 

『悠くーんいる?』

 

何となくそろそろだと思い扉を開けるとそこに居たのは「よっ」っと手を上げる曜と、後ろに少し緊張しながら立っている梨子だった。

 

「もうそろそろ来る頃かと思ってたよ。」

 

「いやー、千歌ちゃんが逃げ込むならココかなーってね。」

 

さすが曜だな、千歌の事は大体分かってる、

 

「今ちょうど、おやつタイムだったんだ。まぁ少し入ってけよ。」

 

「えっ!いいの!!悠くんお菓子はたまらなく美味しんだよねー!梨子ちゃん!食べていこーよ!!ホントーに美味しんだから!!そうこうしてるうちに千歌ちゃんに全部食べられちゃうかも!」

 

そう言って曜は小学生みたいに少しはしゃぎながら小走りで奥へと進む。

 

「さっきシュークリームを作ったんだ。梨子も食ってくだろ?」

 

そう言って梨子に入室を促すと少し申し訳なさそうに

 

「ありがとう・・・。その・・・千歌ちゃん、落ち込んでたりした?私、結構強めに言っちゃったし・・・」

 

どこまで優しいんだこの女の子は!!パーペキ(パーフェクトカンペキの略)に千歌が悪いのに千歌の事を案ずるなんて・・・

 

「まぁ落ち込んでたりもしたが、千歌もそれなりに反省はしてたから気にしなくてもいいだろ。」

 

「そう・・・けどやっぱりちゃんと謝らないとね。ありがとうね悠くん。」

 

と言ってニコッと微笑む彼女の顔はとても美しかった。なんであんな大人びた表情できるんだ?同い年だよな?あまりの美しさに少しだけドキドキしながら

 

「ま、まぁ、謝るならそれでもいいだろ。仲直りは大事だからな。それに、その荷物の量だとこのあとも勉強してくんだろ?甘いもん食ってリフレッシュした方がいい。」

 

「じゃあお言葉に甘えさせてもらうわ」

 

そう言って2人で奥の部屋に入ると、そこには最後の1個のシュークリームを巡って真面目にジャンケンをしてる2人がいた。これはまた作り足さないとな。

 

「作り足すからその間に仲直りしとけよ?曜は俺と一緒にシュークリームつくるぞ〜。」

 

「了解であります!!久しぶだな〜シュークリームつくるの」

 

曜は物分りがいいから、言いたいことを察してくれた。二人きりの方が話しやすいだろうしな。そうして俺と曜が少し奥のキッチンへ向かうと千歌が口を開く

 

「梨子ちゃん、さっきはごめんなさい。千歌の事を思って色々言ってくれてたのに、千歌は真面目に勉強しなかったし・・・」

 

「ううん、あたしの方こそごめんなさい、言い方ってのも他にもっとあっただろうし・・・だからこれでおあいこよ?」

 

「許してくれるの?」

 

「そうね。今回は私も悪いわけだしね。」

 

どうやら仲直りは済んだようだ。そんなタイミングでシュークリームの生地が出来上がる。

 

「曜はあといいぞ、クリーム入れる作業は俺がやっとくから。」

 

「分かった!!」

 

と言い曜は「なんだか2人だけで仲良くなっててずるいぞー!」なんていいながら二人のもとに駆け寄って3人で他愛もない話に花を咲かせている。

 

 

 

まぁこんなテスト勉強もたまにはアリだろ。とか思いながら俺は大量のシュークリームを3人のもとへ持っていく。

 

 

 


最後まで読んで頂きありがとうございます。お気に入り登録して頂いた皆様には感謝しかありません。感想の方もお待ちしてます。書くモチベになります。ぼく自身センター試験が終わり少しだけ書く時間が少し出来ました。一般試験も残ってますが、更新出来たらと思ってます。

 



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理事長さんは癒されたい

あーーーー、疲れた。理事長って案外大変なもんねぇ・・・。昔なら疲れた時は悠を部屋に呼んで、一緒にお茶とか、あるいはちょっとお出かけしたりショッピングなんかしたりで疲れを解消してたんだけどあと一緒に寝るとか、

けど、最近はそれが出来てない・・・それはなぜかと言うと・・・

 

______________________________

 

土曜日、朝に急に鞠莉さんに呼びだされた私と果南さんは共にとあるカフェに来てるのですが・・・

いつもとは考えられないくらいに元気の無い鞠莉さんの口から想定外の言葉が出てきました。その内容というのは・・・

 

「「悠(さん)に避けられてる?」」

 

は?あの?悠さんが?鞠莉さんを避ける?

 

「そうなのよ、帰国してからだいぶ経つけどね?何回も何回もお出掛けに誘ってるんだけど、全然OKをださないのよ・・・。ハァ・・・」

 

ガックリ、という言葉が今この世で1番当てはまると言っても過言では無いくらいに首を落として落ち込んでる。そんな鞠莉さんを横目にアイスココアを飲みながら果南さんが

 

「悠が鞠莉を避ける、かぁ・・・・・・、鞠莉なんかした?」

 

「なんかするもクソもないわ・・・だって家でだって少ししか会話しないもの・・・」

 

クソって・・・しかし明らかにテンションが下がってますわね・・・、けど以外でしたわ、家ですこししか会話しないなんて、あの仲のいい2人ならもっとしてると思ったのですが。

 

「なにか本当に思い当たる節はありませんの?」

 

「本当に何も無いんだってば・・・はぁ、もうホントーにどうしようかしら・・・」

 

「こりゃ相当だね・・・あはは・・・」

 

果南さんが、いつもとは違いすぎる鞠莉さんに苦笑いを浮かべていると、

そうだ!と言わんばかりの顔で落としていた頭を急に上げる。

 

「曜とちかっちなら何か知ってるかもしれないわ!」

 

「そうですわね、あの二人なら何か話を聞いてるかも知れませんわね。私達も何か分かりましたら連絡致しますわ。」

 

鞠莉さん、少しだけ元気になりましたわね。やはりこの方はやはりこうでなくては。

 

 

______________________________

 

急に鞠莉ちゃんからメッセージが飛んできた。なんだろう?次のライブの日程とかかな?? なにこれ、よくわからんメッセージがきたぞ。わたしの家で一緒に勉強している曜ちゃんにメッセージを見せる。

 

「曜ちゃん見てこれ、鞠莉ちゃんからメッセージきた。」

 

曜ちゃんに携帯の画面を見せる

 

「えーっとなになに?『最近悠から何か聞いてない?どんなことでもいいの!!愚痴みたいなものでもいいから言ってなかった?』ってどゆこと?」

 

「いや、私も聞きたいよ。」

 

少し時間を置いてまた、メッセージが入る。

 

「『留学から帰ってきて以来、悠から少し避けられてる感じがするの・・・。だから、曜とちかっちならなんか知ってるかなーって』だって、千歌ちゃん、悠くんからなんか言われた?」

 

「んーー、特に言われた覚えはないと思うけどなー・・・何かあったっけな・・・曜ちゃんは?」

 

「私も特に思いつかないんだよね。でも悠くんが鞠莉ちゃんを避けるなんて本当にどうしたんだろうね。」

 

『特に何も聞いてないなぁ〜力になれずにごめんなさいなのだ・・・』と、送った。

 

『No problemデース!!何か思い出したら教えてねっ!』と返信が来て、白いアザラシが親指をグッと立ててるスタンプが送られてきた。

 

(ん?そーいえば、『行き詰まった時どういう風に接せられるのは嫌か』とか前に聞かれた気がするなぁ・・・なんて答えたっけか、確か・・・あぁそうだ!『なるべくほっといてほしい』とかなんとかって答えたっけ。これ言った方がいいかな・・・)

 

「千歌ちゃんみかん食べる??」

 

「うん!!食べる食べる!!あーん」

 

「はいはい、ほら千歌ちゃんあーん」

 

(なんかさっきまで考え事してた気するけどまぁいいや)

 

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ちかっちと曜も聞いてないとなると、いよいよ八方塞がりデース・・・

こんな時は、沼津の方で甘いものでも食べようかしらね。

ストレスを食に向けると後々大変だけど、生憎、そんなことを言ってられる精神状態じゃない。手持ちのお金もあ割とるしいいわよね

服装も万が一悠に会っても大丈夫なように、少しいいモノを着てきたけれど、それも無駄になりそうね。

 

〜マリー移動中〜

 

お金持ちって言う自覚はあるけどそんなにブランド品を身につけようとは思わない。ってこの前果南に言ったら、

 

「その発言はお金を持ってる人にしか言えないよ・・・」

 

って言われたけどそんなに変かしら。服っていうのは着る人が重要なのであって服自体が良くても着る人間がダメであればなんの価値もないただの布よ。そんな捻くれた事を思いながら、歩いていると男物のショップを見つけ、「あのジャケットは悠に似合うかしら」だの「悠にあの靴を買ってあげたら喜ぶかしら」なんて思ってしまう。今更だが、やっぱり悠のことが大好きであると心の底から思う。けど、この「好き」は、どっちの意味だろうか、単に弟として?それとも・・・良くない考えが頭の中を支配していく。顔が途端に熱くなる。これ以上このことを考えるのは良くないわね。少し私の服を買ってから帰ろうかしら。ふと、手首に付けている時計に目をやると気づけば夕方の6時を回りそうになっていた。バスが出るまではあと30分くらいしかない。

このバスを乗り逃がせば次は8時に近いバスだ。時刻表を見るとこんなことを考えてしまう。

 

(帰りが遅くなれば悠は心配して迎えに来てくれるかしら・・・)

 

さすがの私もこの思いつきには引く。我ながら相当危険な考えだ。

 

「悠にあのジャケットでも買って帰ろうかしらね。」

 

結局今日は甘いものを食べた事と、悠についてしか考えてなかった。

 

(ふふっ、私はやっぱりブラコンかもね)

 

そう思い悠に似合いそうな紺色のジャケットを買って、バス停へと歩く。

 

〜マリー移動中〜

 

内浦に帰ってきた。

少し期待してた、悠がバス停の近くで待っているのではないか、と。全くもって神サマもほんとーに意地悪ね。

歩いて帰りたい気分だったから少し遠いが歩いて帰ることに決めた。バッグの中でメッセージが来たことを知らせる電子音が鳴るが開く気にもならない。どうせ果南かダイヤ辺りだろう。バス停を出て家の方角へ歩く。少しだけ遠回りして帰ろう。そう思いいつもとは違う海辺の方を歩く。

夜の海沿いはなんだか哀しい雰囲気を漂わせておりつられてこっちまで感傷的になってしまう。

 

だいぶ歩き少し疲れた。そうやって生じた心の隙間にこんな考えがくい込んで来る。

悠は本当に私の事を嫌いになってしまったのだろうか、と。せっかく本当の姉弟のようになったのに。このまま溝が出来たまま私は卒業してしまうのだろうか。

 

「・・・い!まっ・・・ぇ・・・!!」

 

2人で旅行に行きたかった。私が卒業してから2人で旅行に行きたかった。

 

「おい!!まっ・・・!!ね・・・ちゃん!!」

 

さっきから、後ろでなんかうるっさいわね、1発ビシッと言ってやろうかしら。こっちはノスタルジックな気分なのよ!雰囲気台無しよ、あーあ悠が迎えに来てくれたらどれだけ嬉しいことか、ほんっと今日はいい事なしだっt・・・

 

「おいっ!!待てって!!姉ちゃん!!」

 

そう言われ後ろから手首を掴まれ、

 

「メールに返事くらいよこせよ!めっちゃ心配したんだぞ!!」

 

そう言われ、抱きしめられる。悠だと認識するのに2、3秒かかった。

 

「なんかあったかと思うじゃん・・・なんもなくて良かった・・・」

 

悠が少しだけ汗ばんでる感じがする。走って迎えに来てくれたのだろうか。ん?さっきメールがどうとか言ってたわね、抱きつく悠を引き剥がし、バッグの中にある携帯を取り出しメールを見る。

 

『今日、姉ちゃん、バス帰り何時?着いたらバス停で待ってて!外暗いから迎えにいく!=͟͟͞͞( ˙-˙ )งダッシュッ!!!』

 

と、送られていた。

 

「どうせ見てなかったんだろ!俺にはこまめに連絡しろ〜、とか言うくせに姉ちゃんは全然連絡返さないの何なの!!全く!!」

 

あー神サマ、最高だわアナタ。ほんっと最高よ。さっきは意地悪なんて言ったことを謝るわ。

それに、迎えに来てくれたってことは多分果南とダイヤから事情は聞いてるだろうしね!だから多分なんでもお願い事は聞いてくれるはず!!それなら・・・

 

「疲れた」

 

私はそう言ってしゃがむ、歩き疲れた子供のように

 

「は?」

 

「おんぶして」

 

「いや、さすがにこの歳なっておんぶは・・・」

 

「じゃあ、私、ここから動かない」

 

「えーー・・・」

 

「帰ったら悠の作るオムライス食べたい。早く帰りたいからおんぶして。」

 

「わかったよ・・・ったく・・・」

 

そう言って私が手に持ってる荷物を受け取り悠がしゃがむ、

 

「ほれ、早う乗らんかい。わがままお嬢様。」

 

「やったーーー♡」

 

「よいしょっと・・・おもっ」

 

「ちょっと!そんなに重くないでしょ!」

 

「暴れんなって、落ちるぞー」

 

こんな風にふざけ合うのはやはり楽しい、果南やダイヤとふざけ合うのとは違う楽しさがある。

 

ぐでーっと悠の背中にもたれかかる、そして耳元で囁くように

 

「ありがとうね、悠」

 

と言うとこっちを見ずに、だけれど耳を真っ赤にして、しっかりと

 

「おう」

 

と言う。全く、悠ったら照れちゃって〜可愛いわね〜、やっぱり。

途中、悠がこんな事を言う

 

「その、今までのは別に避けてたとかそーゆー事じゃなくて、俺は、姉ちゃんがすごい人っての知ってるから頑張ってる姉ちゃんの邪魔しちゃいけないって思ってて・・・その・・・今度からは俺にも出来ることあったら遠慮なく言って欲しい。最近あからさまに姉ちゃん元気なかったし・・・」

 

なーんだ、そーゆーことだったのね。やっぱり優しい子よねこの子はけどマリーを勘違いさせた罪は思いしまだまだ許す気はないわよ。

とことん私の疲れを取ってもらうわ!!!!!ふっふっふっふっ・・・

 

 

〜小原姉弟移動中〜

 

部屋に着いた。さすがにホテル内でのおんぶは恥ずかしい、と言われたので仕方なく手を繋ぐことで私は妥協した。

 

「オムライスでいいんだろ?他になんか食いたいものある?」

 

「んー、特にないけれど・・・強いて言うならたっぷりの愛情を入れておいてね?」

 

「はいはいたっぷり入れときますよー」

 

そう言って部屋の少し奥にあるキッチンへ悠は向かう。元々この部屋にキッチンは無かったが悠が料理をすると言うから私が頼んで部屋に取り付けさせた。うーむやっぱりブラコンかもしれない。

そうこうしてる間に悠は野菜を切っている、早くお風呂に入ってしまわなければ。

 

 I have to take a bath in a hurry!

 

______________________________

 

オムライスは一番最初に姉ちゃんに出した料理だ。今はホテルオハラの料理人(バイト)としてだが厨房にたまに立つ、これも父のおかげかもしれない。父が愛してやまなかったこの職業を俺も体感してみたい、そう思い小5でホテルの料理長に弟子入りしたのが物凄い昔の事に感じているが割と最近だった。

昔の思い出に浸っているとバスルームの方から陽気に歌う声が微かに聞こえる。俺の料理を楽しみにしてくれている人が居ると思うと自然と作業も丁寧になる。

 

「よし、ケチャップライスは出来た。あとは卵なんだが・・・」

 

オムレツ風にしたい気分だったのでそっちにしようと思う。これ、めっちゃ練習したんだよなぁ・・・

 

少し熱を抑えたフライパンに溶いた卵(3個分)を一気に入れる。フライパンは前後に、箸は卵をかき混ぜるようにぐるぐるする。たまごが半熟になったらフライパンの奥側に卵を返してあとはフライパンを叩いて揺らし、卵の向きを調節する

 

「ほっ、ほっ、ほっ」

 

よしこんな感じだろう。あとは少し形を整えて・・・っと

あとはこれをケチャップライスに乗っけてぱっくり開けばオムライスのできあがりだ、シャワーの音が聞こえないからそろそろ風呂から上がって来るところだろう。

 

「niceな湯加減だったわ〜」

 

「そうか、そりゃよかった」

 

「ん〜〜、いい匂いね、やっぱりオムライスにして正解だったわ」

 

「持ってくから早く座って」

 

「はーーーい」

 

ケチャップライスの上に乗っかった少し分厚いオムレツを開く。そうすると中から半熟の卵が出てくる。

そこに出来たてのデミグラスソースをかければ出来上がりだ。

 

「頂きマース!!」

 

 

〜マリーお食事中〜

 

そこからは姉ちゃんの今日の愚痴や今までの愚痴、ココ最近は本当はこうしてほしかったとか留学中の話とか、色々した。え、酔っ払ってる訳じゃねぇよな?ってくらいの勢いで話すから少し気圧された。

 

「私だって学校再建の為にすごい頑張ってるのよ!!それなのに統合するのを早める〜、とか言われたらそりゃこっちだってそれを食い止めるためにもっと頑張るじゃない?そう思うでしょ?と言うかそう思って!!」

 

「うんうんそう思う。すごいそう思う。」

 

まぁ実際頑張ってるのは事実だしな、少しの間はしっかり甘やかしても問題はないだろう。

 

「姉ちゃんは頑張ってるよ。素直に尊敬する、だからさ俺に出来そうなことならなんでも言ってよ。」

 

ぶっ飛んだお願いじゃなければある程度は聞くつもりだ、なーんて思ってると早々にその決意揺らがせるような事を行ってくる。

 

「じゃあ!!今日は一緒に寝るわよ!!異論反論抗議質問は受付まセーン!!!」

 

「・・・・・・は?」

 

「だから〜小さい時にみたいに一緒に寝るのよ」ヤレヤレ

 

「いや、そんな当たり前みたいな言い方されても・・・」

 

「いやなの?」

 

「・・・恥ずかしいだろ、普通に」

 

「えーー別になんの問題もないわ!昔みたいに寝るだけよ!!」

 

昔みたいってまぁそーゆー事なんだろうな・・・うん、そこが問題なんだよね〜

けどなんでも言ってと言ったしな。男に二言はねぇですよ!!

 

「んー♡やっぱり悠と寝る時はこうでなくちゃね〜♡」

 

そうこの寝方だ、いわば、「抱き枕状態」これが昔みたいに寝るということ。昔はそうでも無かったがこの歳になると大層恥ずかしい。

感じようとしなくても色んなものを感じ取ってしまう。なんでこう女の人っていい匂いするんでしょうね。あと柔らかいし。何がとは言わんけどね!!

 

「留学中もホントは寂しかったんだからね?毎日電話したかったし、悠の作る料理だって食べたかった。お姉ちゃんすごい我慢したし、頑張ったのよ?だから、ね?これくらい許して?」

 

「別に怒ってるわけじゃねぇよ、ただ何となく恥ずかしいと言いますか・・・」

 

「そう・・・ふふっ、なんか安心したわ」

 

「は?安心?どうして?」

 

「ん??教えなーいデース」

 

訳わかんねぇよ・・・そんなこんなだけどふつうに眠くなってきたな。もしや抱き枕状態って安眠効果有り?

 

「あー眠くなってきた、俺寝ても起こすとかやめてくれよ?」

 

「えー?どうしようかな〜」

 

「ベッドから叩き落とすぞ?そんなことしたら」

 

「そんな事しないから、はやくねなさい?明日はあたしと一緒に東京までショッピングなんだから」

 

「何それ初耳で目が覚めそうなんですけど」

 

「あれ?言ってなかったかしら?けどまぁそういう事だから明日は9時に出発よ!」

 

割と早いのね・・・まぁこのままいけば安眠コースだし問題は無いと思うけど・・・

朝飯は俺が作るか・・・

 

「はいはい、姉ちゃんこそ早く寝てくれよ?朝意外と弱いんだから」

 

「oh......まぁ何とかするわ」

 

「さいですか、俺もう眠いからおやすみ」

 

「えぇおやすみなさい、悠」

 

 

______________________________

 

端的に言うとすごい眠れました。それはもう普段の6時間睡眠とは日にならないくらい眠れましたよ。えぇこれはすごい。

 

「ふわぁ・・・、うしっ朝飯作るか」

 

左腕に引っ付く姉ちゃんを起こさないようにゆっくりとはがし、朝ごはんを作るべく俺は支度をはじめる。

 

______________________________

 

いい匂いにつられて目が覚める。この感覚は本当に久しぶりだわ。さ、今日はとことん悠とイチャつくわ!!悠が作るエッグトーストを食べ、あれやこれと準備をする。少しガーリーな服を選ぶ。白のロングスカートに淡いピンクのブラウスを着よう。こんな時間でさえ胸が高鳴る。これじゃまるで恋する乙女じゃない?この服を着たらどんな反応をするだろうか。いつもと違うリップを付けたらなんて言ってくれるだろうか。様々な期待が胸を埋め尽くす。

 

 

「こんな気持ち初めてだわ・・・」

 

この気持ちをどうすれば良いのだろうか、今はまだ分からない。答えも出したくない。もうちょっと燻らせておきたい。

少しぼーっとしてると部屋の外から

 

「姉ちゃん準備できたー?そろそろ行こうぜー」

 

「OK!今行くわ!」

 

部屋の扉を開けるとそこには私があげたジャケットを着てる悠が立っている

 

「どうかな?このジャケット、姉ちゃんが昨日くれたやつ似合ってる?」

 

「もちろん似合ってるわ。マリーが選んだんですもの似合ってるに決まってるわ。自信を持ちなさい!」

 

「そ、そうか。なら問題ねぇな。あ、あと」

 

「?なぁに?どうしたの?」

 

「今日もすげぇ可愛いな。姉ちゃんやっぱりすげぇよ」

 

〜〜〜〜っ!!あーー朝から最高の気分よ。今日は最高の休日だわ!これで当分の間は頑張れそうね。

 

「さ、行きましょ!!」

 

そう言って右手を差し出す。

 

「えー、まじ?」

 

「まじよ、まじまじ。早くしないと電車が行っちゃうわ!ほらちゃっちゃとしなさい!」

 

「ったく、はあ、まぁいっか」

 

恋人繋ぎをしてホテルを出る。何だか恋人みたいね・・・ふふっいい気分だわ!

自然と鼻歌を歌ってしまう。さぁ急がないと今日が終わっちゃうわ!

 

「Time is moneyってね!!!hurry up よ!悠!!」

 

 

 

この気持ちが何かを私はなんとなく察している。しかし、私はこの気持ちにはまだちゃんとした決着をつける気は無い、もう少しこの気持ちを楽しむことにする。

今日という日を楽しまなきゃね?意地悪な神サマがくれた最高な時間だもの。そう思い、私は悠と手を繋ぎ、心みたいに晴れる空の下を目的地へ向かう駅へと軽やかに急ぐ。

 

 

 


 

お久しぶりです。お気に入り登録してくれた皆様本当にありがとうございます。

感謝したありません。

 

 



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ソシャゲは楽しいがほどほどがいい

〜とある日の練習終わり〜

 

 

善子と千歌がスマホの画面を見て話をしている。

 

「ねぇねぇ善子ちゃん、ここってどのキャラ使ったらいいのかな?」

 

「そこ?そこは敵とステージそのものがが少し特殊だからそれにあったキャラを入れればいいんじゃない?あとヨハネ」

 

「このキャラとか?あ、あとこっちは?」

 

「んーどっちかって言うとこっちの方がいいと思うわよ。あともう少し全体的にレベル上げした方がいいと思うわ」

 

「えぇ〜!これでもレベル上げした方だよ〜!!まだダメなの〜?」

 

「安定して攻略するにはレベル上げする他ないの、それが嫌なら課金でもすれば?」

 

「うぐっ・・・、それはできない・・・地道にレベル上げするしかないのか・・・」

 

なんの話しをしてるかと思えば、モンスターを弾き飛ばすあのゲームの話をしてるのか。俺はウイニン○イレブンとパ○ドラぐらいしかやってねぇからなぁ。

そーいや昨日ウイ〇レで【CANAN210】とかいうプレーヤーと当たったんだがこれが引くくらい強かった。日本レート15位とか書いてたな・・・是非ともまた対戦したい・・・

そんな事を思ってると不穏な空気をまとう、とある人物が口を開く。

 

「千歌ちゃん?レベル上げもいいけど歌詞の修正箇所とか色々たのんでおいたよね?そっちの方は出来てるの?」

 

oh......ニコニコ顔の桜内梨子さん登場、ひしひしとお怒りモードなのが伝わってくる・・・

 

「あはは・・・いいワードが浮かばなくて・・・気分転換にゲームしてたら眠くなっちゃって・・・その・・・出来てないです・・・」

 

「ふーん、それなのにゲームに精を出すなんて随分と余裕があるのね。ふーん」

 

「あわわわわ・・・」

 

高海千歌!追い詰められる!!不利!!圧倒的不利!!

まぁ自業自得な部分もあるしな・・・・助け舟を出してやらんこともないが・・・

 

「まぁ梨子?まだ本番まで日数はあるんだし今日明日で完成させるようにすれば余裕で間に合うだろ?そんなに怒んなくても・・・なぁ?曜!」

 

「え?!あたし!?そ、そうだよ梨子ちゃん!!千歌ちゃんだってやればできるの知ってるでしょ!今日は私と悠くんが見張っておくから大丈夫だよ!!」

 

「悠くんと曜ちゃんは千歌ちゃんを甘やかしすぎなの!早くに歌詞を完成させてメロディと合わせて余裕を持って全体練習に移さないとダメなの!」

 

うむ、確かにそのとおりだ。桜内梨子さんの言う通りです!!全く持ってその通り!だか千歌の性格上ある程度のびのびやらせんと本領を発揮しないからなあ・・・

てか今思ったけど今夜俺も千歌の見張りをする羽目になっているのでは?

 

少々形勢が不利になっている所にさらにダイヤさんが追い打ちをかける

 

「確かに梨子さんの言う通りですわ。余裕を持って練習することはよりよいパフォーマンスに繋がりますからね。まさか善子さんも千歌さんも睡眠時間を削ってまでゲームをしてるなんて言わないですわよね?」

 

「「「ギクッ」」」

 

痛いところを疲れてしまった・・・、ん?あと2人「ギクッ」って言わなかったか?

 

「ヨ、ヨハネのこの姿は仮の姿・・・睡眠なんぞ少量でも我が魔力で補えるわ!!」

 

「それはもう夜更かししてるって言ってる様なものずら・・・」

 

と、国木田のツッコミ、善子やっぱりお前は正直で善い子だよ・・・

 

「千歌ちゃんはゲームで夜更かししないの?」

 

「曜ちゃん!!さすがに私の事なんだと思ってるの!私はお泊まりの時以外は12時を過ぎるとねむくなっちゃうんだよ!!」

 

「なんの自慢にもなってないわよ・・・もう・・・」

 

はぁ・・・と梨子がため息をつく。あと1人って誰だ?

 

コソッと周りを見渡すと姉ちゃんが口パクで「か・な・ん」と言ってくる。えー・・・果南ねぇだったの・・・てか、果南ねぇもソシャゲやるんだ。テレビゲーム派だと思ってた。向こうで善子と千歌がお説教を食らってるのを後目にほかのメンバーにもソシャゲやるのかと話題を振る。え?なんで振ったかって?気になるからだよ。

 

「なぁ、思ったんだけどルビィもスマホでゲームやったりするのか?」

 

「ル、ルビィ?ルビィはその・・・えーと・・・」

 

「ルビィちゃんはパズルゲームをしたりするずら。」

 

「へぇー!ルビィもゲームしたりするんだな」

 

「う、うん・・・けどお姉ちゃんあんまりこーゆーの好きじゃないからそんなにやってないんだけどね、えへへ」

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛天使かよ・・・健気すぎじゃろて・・・けど意外だったな、てっきりやってないものだと思ってたからな。

 

「花丸はゲームすることあるのか?スマホ持ってないとはいえ、ルビィとか善子の携帯借りてとかした事あるだろ?」

 

「1回ルビィちゃんの借りてやったことあるんだけど全然上手くできなかったずら・・・あんな操作出来ないずら・・・未来ずら」

 

未来関係なくね??まぁここは予想通りだな、問題は・・・

 

「果南ねぇはゲームするよな?もちろん、小さい時から強かったしな。ゲーム。しない訳が無い。」

 

「あ、あたし?あたしは別に・・・それを言うなら鞠莉だってある程度ゲーム強いじゃん!!!」

 

「私?私は銃を使って相手をずばばんっ!バキューン!!ってやるゲームが最近ハマってるわね!!」

 

「だから最近姉ちゃんの部屋からスラングが度々聞こえてきたのかよ・・・」

 

「アレ?うるさかった?」テヘペロ

 

「んで、果南ねぇはゲーム何やるの?」

 

「チッ、別になんでもいいでしょ!!あたしのやってるゲームなんて」

 

この子舌打ちしなかった?今?

 

「別に恥ずかしがることないよ、夜更かしゲームしてるのダイヤねぇに黙っといてやっからさ、ほれほれ言ってみ?」

 

「・・・・・・レ」

 

「果南?もっとbigな声で言って?聞き取れないデース」

 

「・・・ウ・・・レ」

 

「え?なんて?」

 

「ウイ○レだよ・・・悪い?他の子みたいに女の子らしいゲーム苦手だからさ・・・」

 

え?ウ〇イレ?まじで?てことはもしかして・・・

 

「もしかして果南ねぇユーザー名【CANAN210】だったりする?」

 

「え!なんで知ってるの?!知ってるの曜だけだと思ってた・・・」

 

「え、なに曜もウ〇イレやってるの?」

 

これは是非とも対戦したい!!なんて思ってるとダイヤさんが

 

「千歌さんから『果南ちゃんも悠くんもよく夜更かしでゲームしてるって言ってたもん!!』と、言っていますが本当ですか?お二人共?」ビキビキ

 

oh......これは対戦なんて言ってる場合じゃ無くなってきたな・・・

 

「ほら、お二人共?こっちへいらっしゃい??」ニッコリ

 

 

〜ダイヤさんお説教中〜

 

 

終わった・・・あれから30分位みっちりお説教でした。

 

帰り際、俺と果南ねぇは罰として千歌の作詞添削を命じられた。曜も衣装のイメージを合わせたいという理由で着いてきてくれた。これはチャンスと思い、果南ねぇへのリベンジと曜への挑戦をしたが驚くぐらい強くてボコボコにされてめちゃくちゃ悔しかった。これはまた夜更かしで特訓コースだな。うん。

 

 

 

次の日徹夜したらバレてダイヤねぇにこっぴどくしかられました。

 

 

 


 

僕もウイニングイレブンにどハマりしてます。

 

 



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小原悠は食べさせる  早朝ランニング編

お久しぶりです。めっっちゃ課題とか資格勉強に勤しんでました。

これからもどうぞよしなに


 

 

朝6時、冬も本格的に始まり朝は驚く程冷え込む。二度寝したい気持ちを抑えてベットから出る。果南ねぇから朝ランのお供を命令されこんなクソ早い時間から起きている。もっかい寝たい

 

「集合まで時間あるしらいあるしゆっくり準備してもいいべ」

 

コーヒーでも飲もう、そう思った矢先に部屋の呼び鈴が鳴る

 

「あ? こんな朝早くになんだ? 」

 

今出まーす、とか言いながら扉を開けると

 

「悠! おはよう! 」

 

そう言って果南はニカッと笑う

なんでこの人こんなに元気なの?てか早くね?

 

「・・・・・・あー、うん。ちょっと待って、さっき起きたばっかだから。あと寒いから部屋入るなら入って」

 

______________________________

 

俺の静かな朝が・・・

 

「腹減ってないか?今から俺は朝飯なんだけど。てか今日は7時半からのはずだったろ。クソはえーぜ?まじで」

 

「いやー、何とな〜くね?早くに目が覚めちゃったし、ちょっと早く来れば朝ごはんくれるかな〜って」

 

「大方、後者が目当てだろ」

 

「あはは、バレちゃった? 」

 

など言いながら朝メシの準備をする。今日のメニューはたまごとアボカドのホットサンドだ。

 

「そう言えばさ? 前から思ってたんだけどこの部屋って全部悠が払ってるの?」

 

俺の自宅は本来、あの離島なんだがちょっと無理を言って高校生になる辺りから、アパートの一室を借りてもらっている。半1人暮らしって感じだ。

 

「いや、家賃だけ。水光熱費は自腹だよ」

 

「バイト何してるんだっけ? 」

 

「うちのホテルの中にあるレストランだよ。そこでキッチン入ってる」

 

「まぁ、悠の腕前だったらそうかもね〜。舟盛りだけだったら私もいけるかな? 」

 

「あっははは! 舟盛りだけだったらいけそうかもな! 」

 

そんなこんなで朝メシであるホットサンドが出来上がった。

 

「ほれ、ご所望の朝メシ。『たまごとアボカドのホットサンド』これは我ながら美味いと思う」

 

半熟のスクランブルエッグに少し粗く切ったアボカドとセパレートドレッシング風のソース和えてそいつらを挟んだ。これは美味いッ! 

 

「いただきます! うん、美味しい! やっぱり来てよかった〜」

 

「お、そりゃよかった。いただきます。うん、やっぱり美味いな」

 

ホットサンドを食べるその姿は、普段とは違い幼く見えてとても可愛いものだ。

 

「こんなに美味しいんだったら悠に毎朝ご飯作ってほしいな」

 

「・・・・・・」

 

「な、何か言ってよ」

 

「・・・・・・それ逆じゃね? 」

 

「・・・・・・バカ」

 

「はぁ? あ、ちょっと待て! 」

 

いや、だって色々逆じゃんそのセリフ!

 

そして少し拗ねた感じになりながらも

 

「ほら、早く走りに行くよ 」

 

と言い

 

「あたしだってワカメの味噌汁くらい作れるし」

 

バタン! と強めに扉を閉められた

 

 

______________________________

 

 

「この後お味噌汁食べに来て」

 

昼は大量のワカメの味噌汁だった



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