ちょっとした青春の一ページ (欲有夢無)
しおりを挟む

ちょっとした青春の一ページ

初投稿です。拙い部分も多いと思いますがボリュームもそんなに多くはないので、よろしければ見て行ってやって下さい。



 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン...

 

 

 

「起立、礼」

 

『ありがとうございましたー』

 

 

 

室長の挨拶に合わせクラスの全員が頭を下げる。

そして顔を上げると否や荷物を纏めて部活に行く者や、仲の良い友達同士で集まったりと各自、放課後を好きに過ごしていく。

 

 

そんな中、僕は帰る人達の波に乗るようにして教室を後にした。

 

 

外に出るとこの時間帯になっても眩しい日差しが、体を照りつける。

 

 

ふとグラウンドに目を向けると、先程終礼が終わったばかりというのに部活生達がそれぞれの部活の準備を進めていた。

 

 

そんないつも通りの風景を後目に夏の日差しに焼かれつつ校門に向け歩いていく。

 

 

 

 

 

 

僕の名前は大畑 秀慈。

 

その辺に居るごく普通...ではないかもしれないけど、一応高校二年生だ。

 

最近はよく家を空けるようになった義父のおじいちゃんに育てられながら、そこそこ充実した毎日を過ごしている。

 

両親はまだ僕が四つん這いの時に事故で死んでしまったらしい。まぁ、中学校より前の事なんてさっぱり覚えて無いけどね。

 

 

 

__無駄に広い家に帰っても誰も居ない。

 

 

 

中学の頃はそれを寂しいと思ったりすることもあったけど、最近は別にそんなことも無くなった。

 

友達はそんなにいないけど、部活仲間や、前からやけに突っかかってくる自称天才の後輩、そのブレーキ役の剣道少女、

 

 

 

そしてその中でも特に、最近は__

 

 

 

 

「遅かったですね先輩。女性をこんなに暑い中、校門前で待たせるなんてどうかと思うんですが?」

 

 

そう、彼女が出来たんだ。

 

 

「あぁ...申し訳ない、今日も先生の"ありがたいお話"が長くてね。」

 

 

取り敢えず、少し頬を膨らませてお怒りな彼女に謝罪をする。

 

 

「だ・と・し・て・も、可愛い愛しの後輩が待ってるんですから、急いで来ようとするとかの甲斐性は無いんですか?」

 

 

そう言うと腕を組んでプイッとそっぽを向いてしまった。

 

しまった、これはどうやらだいぶ機嫌を損ねてしまったみたいだ。

 

これはどうしたものかと頭を少し掻きながら考える。

 

 

 

それにしても、だ。

 

彼女のする動き、その一挙一動がどれも全て普段の彼女との凛とした感じとのギャップで更に愛おしく見えてしまう。

 

誰もが見ても美人と答えるような端整な顔立ち、更にそれを引き立ててくれる首筋まで伸ばしてある少しボリュームのある綺麗な黒髪、そしてバランスの良いボディーライン。

 

まるでモデルでもやっているような容姿に

彼女の真面目で優しい性格も相まって、

学年問わずで彼女のファンは結構いるらしい。

 

 

まぁ僕もその内の一人になってしまった訳だが...

 

 

 

__っとそんなことよりも彼女のご機嫌を治すことを考えねなければ。

 

 

「申し訳ございませんマドモアゼル。

お詫びと言ってはなんですが、最近駅前に出来たカフェにでも行きませんか?」

 

「もちろん、先輩の奢りですよね?」

 

「Of course.」

 

ちょろい。

 

バッと勢いよくこっちを向いた彼女に執事っぽい丁寧なお辞儀をして返す。

 

恋人が機嫌を悪くした時にはエサで釣るに限る。と、いうのを前にじいちゃんから教わった。

 

お財布には負担が掛かるが家は結構な裕福なので問題は無い。

 

「それじゃあ早速行きましょう。私は日差しにずっと当たっていたせいで喉がからからです。」

 

 

そう言うと手をこっちに差し出してくる。

 

何をして欲しいかは直ぐに理解したが、わざとよく分かってないような顔をしてみる。

 

 

「ほら、どうしたんですか?もしかして先輩は彼女と手を繋ぐことも出来ないぐらいの根性なしなんですか?」

 

 

はやく、はやく、と手をグイグイとこちらに差し出してくる彼女。

 

普段は、どちらかというとクールと思われている彼女がこうやって自分だけ、では無いかもしれないが子供っぽい一面を見せてくれる。

それが堪らなく嬉しい。可愛い。

 

 

「あぁ、しっかりとエスコートさせてもらうよ。」

 

 

そう言って彼女の細く、力を入れれば直ぐに壊れてしまいそうな手を、

割れ物を扱うよりも優しく、手に取った。

 

 

「_____あっ」

 

 

一瞬、彼女の赤くなった顔が見えた気もしたけど気にせず、彼女の手を取ったまま

スタスタと歩き出す。

少しでも自身の赤くなった頬を冷ますために。

 

 

「先輩。」

 

「ん?」

 

 

しばらく歩いていると後ろから呼ばれた。

 

何かと思って後ろを振り返ろうとすると、柔らかな感触とともに彼女が腕に抱きついてきた。

そして、まるで花が咲いたような笑顔をを浮かべると

 

 

 

「これからもずっとエスコートしてくださいね、秀慈先輩。」

 

 

 

「あぁ、もちろんだ。」

 

 

 

~Fin〜

 




初めまして欲有夢無と申します。
今回ハーメルンの仕様にもっと触れてみよう、ということで短編を一つ書かせていただきました。

如何だったでしょうか?初めて自分でストーリーを考え文章に起こすというのしたので色々と不出来なところが多かったかもしれません。

ですがもしよろしければ感想や評価を付けていただけると今後の励みと参考になります。

連載化の予定はありませんが、新しくクロスオーバー物をそのうち上げようかな、とは思ってたりします。

次の機会があればまたお会いしましょう。

最後まで読んでくださりありがとうございました。



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。