ゲロインに転生したのでメインヒロインは諦めました。 (くれ悪)
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初のオリジナルです。
楽しんでいただけたら幸いです。


みんな、ゲロインって知ってるかい?

 

その名の通りみんなをドキドキさせるヒロインのはずなのに極度の緊張や乗り物酔い、暴飲暴食からゲロを吐くヒロインのことを指す。有名どころで行くと、銀○の神○ちゃんとがが当てはまるだろう。

 

……え、何故こんな説明をしてるかって?まぁ、そんな事は聡明な君たちなら分かり切ってるだろう。そう僕はギャルゲーの世界に転生し、その攻略ヒロインの中のゲロインに転生したのである。

 

普通の会社員だった俺はテンプレ通りの居眠り運転に轢かれこの世界に転生したのだ。……うん、言いたい事は分かってる。それってテンプレすぎねぇか?何度同じネタ繰り返すのか?ってわかってる言いたい事は分かってる。

 

でもね、転生してしまったものは本当にしょうがない。しかもよりによって転生先が最強の魔法使いでもないし、剣聖の子孫でもないし、社長の息子でもない。普通の一般的な女の子だ。強いて言うならば、人より少しだけ緊張しやすく、人より少し乗り物に弱いだけの女の子だ。

そして、考えてもみてくれ。告白の時やデート中にゲロゲロする女の子を彼女にしたいかい?いいやしたくない(反語)。

 

だからこそ俺は攻略ヒロインにならずにメインヒロインの良き友人ポジションになるんだ!!!!

 

そう、思ってた。

 

「……なぁ、鈴蘭。俺な、お前のこと。ずっと好きだったんだ!!!」

 

「え?嘘……だろ。それは……本当に。うっ……!うぇぇぇ!!!」

 

今日も俺のゲロが見事に滝を作る。恐らくゲームだと虹がかかるんだろうな。

 

本当に何でこうなった。

 

ーーーーーー

 

『ドキドキ!!愛してる学園!!!』

 

ぶっちゃけ、製作陣がテキトーに決めた感満載のタイトル。実際製作スタッフのSNSでは『まぁ、タイトルは仮だから笑。プレイヤーがそれぞれ相応しいと思うタイトル付けてくれよ!笑』と丸投げされたほどである。

 

まぁ、タイトルに反して内容は面白くそれぞれのヒロインの重い過去や未来の話などストーリーにはとても評価が高い作品だった。アニメ化も成功してたし(ここ重要)。

 

ヒロインも隠しキャラ合わせて5人いて、それぞれに色んなストーリーがあった。

 

ここまで説明してきて分かると思うが俺は前世このゲームの愛好者だった。クリアしても衣装のダウンロードコンテンツが来れば新しく買い始めからスタートする程にはこのゲームの事が好きだった。

 

ヒロインをそれぞれ紹介していくことにしよう。

 

天神 蘭(てんじん らん)

ゲームパッケージの中心になっているメインヒロインだ。性格は明るく天真爛漫、元気!を擬人化したみたキャラだと言われている。しかし、このゲーム唯一死亡する可能性があるキャラだ。見た目は長い茶髪をツインテールにしており左目の下にある泣き黒子がチャームポイントだ。ちなみに帰宅部だ。

 

小倉 華(こくら はな)

背が小さく小動物系で恥ずかしがり屋の後輩だ。文学部に所属しており放課後はいつも部室に篭って本を読んでおり、好きなジャンルはミステリー。まぁ王道を行く眼鏡っ子だ。少し色彩の薄い髪色ショートカットにしている。彼女のストーリーは涙なしでは見ることができない。俺は泣いた。

 

飯塚 香織(いいづか かおり)

作中では姉御、お姉さまと呼ばれているレディースの少女だ。作中に出てくる暴走族華血娘魅(かちこみ)の総長で喧嘩をすれば男女関係なしに勝ってしまうほど強い。しかし、本当は可愛いものが好きというこれまた王道的展開の少女だ。長い金髪を後ろで縛っている。

 

柳川 美海(やながわ みみ)

茶道部の部長で胸でかい、腰しまってる、お尻大きい!と多分この作品の中では1番エッチな人じゃないかと思っている。おっとりなお姉さんで口癖は「あらあら」と余裕のある態度をとっているが甘える時は年相応の感じの甘え方でそのギャップにやられたプレイヤーはたくさんいるんだろう。綺麗な長い黒髪をしている。

 

春日 鈴蘭(かすが すずらん)

ゲロイン。一応隠しキャラでストーリーも面白いのだが、いちいち吐く。本当に大事なところでいつもゲロゲロしてしまう。主人公と手を繋ぐと吐き、キスしても吐き、告白するときも吐いてた。プレイヤーからは、こいつ吐かない時あるの?吐かない鈴蘭ちゃんは鈴蘭ちゃんじゃありません。一回病院に連れてあげて下さい。と散々な言われようだ。製作陣もちょっとやりすぎちゃったてへっ!許してね!と言ってた。うん、本当にやりすぎだと僕も思うよ。

 

「はぁ、本当にさぁ。なんでこうなっちまったんだろう」

 

「え、鈴蘭ちゃんどうしたの?」

 

俺の前に座ってる女の子が首を傾げて見てくる。

 

「ううんなんでもないよ。うん、本当に……」

 

俺は日本人の固有スキル愛想笑いで受け流す。目の前に座ってる女の子は俺が前世で愛してやまないゲームのメインヒロインである天神 蘭だ。

そう、さっきも言ったけど転生しちゃったのである。メインヒロインでもなく、隠しキャラ。しかもゲロインってね?

 

本当にどうしてこうなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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2

どーもです。
お気に入りしてくれる人がいてとても嬉しいです。
感謝感激雨あられです。


口の中が酸っぱい。

腹の奥から湧き上がってくる気持ち悪さを吐き出す。

この動作を何回か繰り返す。

 

「はぁ、はぁ。死ぬ、気持ち悪い。もう絶対飲まない。本当に飲まない」

 

大学で所属しているサークルの飲み会で死ぬほど飲まされた。なんとか家に帰ってきたが元よりそこまで酒に強くない俺は現在トイレとお友達になっている。

たしかに酒は美味しいが許容範囲を超えたらもう拷問だ。なんで大学生って生き物は許容量超えても飲むんだ。本当に謎だ。気持ちいいぐらいに酔っ払ってそのままベッドで眠りにつくのが1番いいはずなのに。

 

「うっ!うぇぇぇ!ゲホッゲホッ。はぁはぁ」

 

胃の中にあった食べ物が吐き出される。ああ、勿体ない。飲み代三千円も払ったのに全部トイレに食わせてる。三千円ドブにしたな……。

 

「み、水。口の中気持ち悪い」

 

部屋の中を探すが水が見当たらない。……あ、そういえば全部飲み干したのか。買いに行こ。

 

フラフラした足取りで財布を持ちドアを開ける。住んでるアパートの1階に自動販売機がある。

 

エレベーターに乗ろうとする。しかしエレベーターの乗り口には現在故障中と貼り紙が貼ってあった。

そうだった、文句言いながらあがってたの忘れてた。

 

「うっ!」

 

また、吐き気に襲われる。ああ、気持ち悪い。口の中が胃液の酸っぱさとツーンとした匂い。それがアルコールのにおいと混ざり合い更に気分が悪くなる。

 

「早く水買お」

 

ぶつくさ言いながら階段を降りる。気分悪い。死にそう、いや、本当に死ぬ。ゲロ吐きてぇし、てか寝たい。眠い。

 

その時、俺は足を滑らせた。元々酔っ払っており足元が覚束なく気分の悪さが認識を誤らせた。

 

あ、口注ぐぐらいなら水道使えばよかった。本当に今更の事を思い出し階段を転げ落ちる。全身を打ちつける。痛い、痛い、痛い。

 

ようやく、踊り場と言うところで頭を思いっきりぶつける。そこで俺の記憶が途切れた。

 

ーーー

 

「あ!目を覚ましました。先生呼んできますので待っててね」

 

いきなり目の前に看護師さんが現れた。……あ、病院に運ばれたんだ。良かった。

起き上がろうとするが身体に力が入らない。動けない。

 

「鈴蘭!!」

 

部屋の中に見慣れない女の人が入ってきた。病室間違えてますよー。

声が上手く出ない。

 

「良かった!良かった!本当に良かった!鈴蘭死んじゃったらお母さん生きていけないんだから!良かったよぉぉ!!」

 

その女の人が俺の体を抱きしめながら泣き始めた。……え?いや、その、ちゃいますよ?ワイ、そんな名前ちゃいますよ?テンパリすぎてエセ関西弁が出てしまった。

 

「……だ……れ?」

 

俺の口から聞き覚えのない声が出る。あれ、自分もっと野太い声だったはずだけど?今は可愛らしい女の子の声だ。

 

「え?な、何言ってるの、お母さんよ。お、お母さんだよ?」

 

「あ、うん」

 

なんだか、そう言われて納得してしまった。だが決して記憶にある俺の母親じゃない。そもそもウチの母はもっと老いてる。

 

そんなこんなしてると、病院の先生が来た。

 

「鈴蘭ちゃん、大丈夫かい?階段から落ちたけど意識が戻って良かったよ。どこか痛むところはあるかい?」

 

どうやら、この人も俺の名前を間違えるようだ。……てか、ちゃん?俺と間違えられる女の子って可哀想だろ。どんだけゴツいんだよ。

 

俺の母親を名乗る不審者が体を起こしてくれる。あれ?自分の腕ってこんなか細かったか?てか、この胸の膨らみはなんだ?

 

「鏡、鏡を貸してください」

 

「鏡かい?ああ、はい」

 

先生は机の上のスタンドミラーを渡してくれる。

 

その鏡を覗き込む。

 

そこには眼鏡をかけ、伸び放題の黒髪の冴えない男じゃなく。可愛らしく、美人の類いに入る女の子がいた。

 

「う、うぇぇぇ!」

 

そして、俺はいきなりリバースをした。

 

これが俺の転生後初のゲロとなった。

 

 

 

 

 



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