二つの日本召喚 (死滅殺鬼)
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登場国家紹介(随時更新予定)


とりあえず書いてある内容ですが、投稿されていくにつれ変更されることをご了承ください。

10/28 国家を2つ追加
12/11 国家を1つ追加、国家5つを州に変更
1/8   国家を2つ追加


文明圏外

└世界の文明国における第一、第二、第三文明圏に属さない国々の総称。文明国が「地球基準で近代ないし近世レベルの文明」もしくは、「独自の魔法文明」を有するのに対して、文明圏外国は中世レベルの文明にとどまっている国が多く、文明国とは国力・技術力に歴然とした差が存在している(例外あり)。

第三文明圏

└世界に三つある文明圏の一つ。フィルアデス大陸の南半分からできている。列強第四位のパーパルディア皇国が中核を成す文明圏で、文明圏としては最も東側に位置している。分野によってブレもあるが、技術水準はおおよそ地球でいうところの17~19世紀初頭の近世レベル。他の文明圏以上に文明圏外国を見下す傾向が強く、第一、第二文明圏からは文明国として見ていない国もある。

第二文明圏

└世界に三つある文明圏の一つで世界の西側に位置し、ムー大陸全域とその周辺海域で構成される。地球でいうところの18世紀から20世紀半ばほどの技術力を持ち、文明圏の実力では神聖ミリシアル帝国を擁する第一文明圏には劣るが、列強第四位のパーパルディア皇国のみが中核を成す第三文明圏を上回る。

第一文明圏

└世界に三つある文明圏の一つ。西側に第二文明圏、東側に第三文明圏が存在する位置関係もあり、「中央世界」とも呼ばれる。独自の文明が各国で栄えており地球での例えが難しいが、ジェット機に近いモノを持ってるため、20世紀半ば位と思われる。

地球

└転移前の日本国と大日本帝国が存在していた惑星の名称。転移後の日本人からは「旧世界」とも呼ばれる。

新世界惑星と比べて直径は4割程度しか無いが、重力、大気組成、自転周期は非常に似通っている。第二次世界大戦以降、大きな戦争が無かったが近年起こりそうな時に日本国は転移した。なお、大日本帝国は第二次世界大戦中に転移したと思われる。

???

└不明

過去に存在した国

└不明

場所不明

└不明

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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文明圏外

 

 

 

 

日本国

・政治形態:立憲君主制

・公用語:日本語(転移に巻き込まれた外人数によっては、準公用語が制定される予定)

・首都:東京都

・天皇:和仁

・元号:安久

・総理大臣:遠江 優音

・領土:千島列島、北海道、本州、四国、九州、尖閣諸島、他複数の孤島

・人口:約1億2,500万人(来日外国人、外国在住日本人を含まない)

・憲法:日本国憲法(民定憲法)

・概要:主に四つの島で出来ており、四方を海に囲まれている島国。そのため、地続きの国境は存在しない。日本語を流用する日本人が大半を占め、内訳は大和民族、アイヌ民族、琉球民族、他多数の多民族国家。もともと、地球のユーラシア大陸の東に位置していたが現在は惑星名不明の大東洋に位置する。もともと差別主義が少ないため、異種族を見ても特に何もかんじない(たまに興奮してる者もいる)。

 

 

 

 

 

大日本帝国

・政治形態:君主制(実質、立憲君主制)

・公用語:日本語(他複数)

・首都:東京都

・天皇:裕仁

・元号:昭和

・総理大臣:東條 英樹

・領土:南樺太、千島列島、北海道、本州、四国、九州、尖閣諸島、台湾、他多数の孤島(朝鮮、満州、委任統治領は含まれない)

・人口:約9,910万人

・憲法:大日本帝国憲法(欽定憲法《ただし今後、変わる可能性あり》)

・概要:四つの島と四方を海に囲まれているのは日本国と同じ。日本語の強制が一部あったが、現在は禁止されている。ユーラシア大陸の東に位置していたが現在は惑星名不明の大東洋、日本国の東に位置する。もともと人種による不当な差別により戦争を始めた部分があり、異種族を見ても特に何も感じない。なお軍部は最初から負けると分かっていたらしい。

 

 

 

新生オースリ・ロデニウス連合王国

・政治形態:立憲君主制

・公用語:以下の州を参考にしてください

・首都:ラデニウク州

・領土:ロデニウス大陸全土

・人口:約5,710万人

・憲法:作成中

・概要:以下の州が併合し生まれた新国家。まだ、完全ではないが着々と国家基礎が固まりつつある。

 

 

 

クワ・トイネ州

・公用語:クワ・トイネ語

・都市:クワ・トイネ

・州知事:募集中

・範囲:ロデニウス大陸北東部

・人口:約1,250万人

・概要:国民の約三割を亜人が占める多種族州。食糧自給率を100%オーバーというある意味チートな生産場所であり、家畜ですらうまい飯を食べているという。水と食糧がただで売買されることもあるが、水道水はかなり危険な様子。二つの日本との出会いで国内のインフラ、軍事力が飛躍的に上がり料理などもさらに豊富になった。国内のほとんどの食糧を生産している。

 

 

 

 

クイラ州

・公用語:クイラ語

・都市:ザ・クイラ

・州知事:募集中

・領土:ロデニウス大陸南東部

・人口:約760万人

・概要:国土のほとんどが不毛の地であり、食糧が育たずほぼ全てクワ・トイネ州に任せている。その代わりに鉱物や油田が多くあり、それを双方の日本に輸出することで昔国家資金が潤った。また、日本国から缶詰やレトルトなどの長持ちする食品を輸入することで、国内の食糧事情も良くなった。国内のほとんどの鉱物資源の生産地。

 

 

 

 

ロウリア州

・公用語:ロウリア語

・王都:ジン・ハーク

・州知事:募集中

・領土:ロデニウス大陸西中央部

・人口:約2,400万人

・概要:併合する前は上二つの元国家に戦争をしかけた。しかし、今は国のほとんどの海軍力を受け持つ。また漁業も盛んである。

 

 

 

 

アカーム

・公用語:ロウリア語

・都市:ナイト・カーム

・州知事:

・人口:約700万人

・憲法:不明

・概要:日本から手にいれた文書で『騎士道』を読み、それを中核としている。国のほとんどの陸軍力を受け持つ。大規模な演習場を持っている。

 

 

 

 

リセイケル共和国

・公用語:ロウリア語

・都市:フルメイス

・州知事:募集中

・人口:約600万人

・概要:航空事業が盛んな州。国のほとんどの空軍力を受け持つ。竜騎士の訓練もここで行われる。

 

 

 

 

フェン王国

・政治形態:封建制度

・公用語:不明

・首都:アマノキ

・剣王:シハン

・領土:逆勾玉形の島全土

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:第三文明圏近くに存在する文明圏外国。教育として剣を中心に習い、十武道を習う。それ以外の情報はまだ少ない。

 

 

 

 

ガハラ神国

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:勾玉形の島全土

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:第三文明圏近くに存在し、フェン王国と対称となる島に存在する文明圏外国。フェン王国に大日日露蔵(だいにちにちろぐ)を軍祭に招くよう推薦した国ということ以外不明。

 

 

 

 

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グラ・バルカス帝国

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:日本と同じ転移国家以外はあまり分かっていない。ただ、原作と違いレイフォルとは仲が良いようだ。第二文明圏に出した宣戦布告も解除している様子。

 

 

 

 

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第三文明圏

 

 

 

 

パーパルディア皇国

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:ロウリア王国を支援していた国。それとは別に行動をしていたが、不備が重なり遅れている様子。

 

 

 

 

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第二文明圏

 

 

 

 

 

パカンダ王国(現グラ・バルカス帝国パカンダ領)

・政治形態:君主制?

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:グラ・バルカス帝国が始めて接したこの世界の国。だが列強の庇護の下で傲慢な態度をとり、あろうことか皇族に処刑宣言をする。これに怒ったグラ・バルカス帝国により一夜にして滅んだ。これには確実にこの国が悪いためレイフォルも何も言えない。

 

 

 

 

レイフォル

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・:憲法:不明

・概要:パカンダ王国を保護していた国。パカンダ王国が滅ぼされて怒り、グラ・バルカス帝国に報復しようとしたがスパイの情報でパカンダ王国の方が悪いと分かったためグラ・バルカス帝国に謝罪した。現在、旧パカンダ王国を共同貿易中継地としての利用をグラ・バルカス帝国と計画している。

 

 

 

 

ムー王国

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:ロウリア王国に観戦武官を派遣していた国。日本の艦船を見て驚いている様子から、日本より造船技術、航空技術は遅れている様子。

 

 

 

 

 

 

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第一文明圏

 

 

 

 

神聖ミシリアル帝国

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:この世界のことを全て知ってるかのような国。ムー王国の言動から技術力が高いことが伺える。

 

 

 

 

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地球

 

 

 

 

中華民国(1941年)

・政治形態:民主制?

・公用語:中華民国国語

・首都:南京または重慶

・統治者:蒋介石(重慶)、汪兆銘(南京)

・領土:中国大陸全土を主張

・人口:約4億4000万人

・憲法:不明

・概要:1912年に親日家である孫文によって建国された国家。ただ現在は領有権をめぐり他の漢人国家と対立し争っている。しかし、満州事変により大日本帝国と対立したあとは他の漢人国家といやいやながらも協力し、抵抗していたが大日本帝国が消滅すると再び内戦を再発した。また、親日家の汪兆銘政権(南京)と反日家の蒋介石(重慶)の間でも内戦が起こり、中華民国は分裂の危機に瀕している。

 

 

 

 

中国共産党(1941年)

・政治形態:共産制?

・公用語:中国語

・首都:不明

・統治者:毛沢東

・領土:中国大陸全土を主張

・人口:不明

・憲法:不明

・概要:中華民国から独立するような形で誕生した国家?ソ連の素晴らしい共産主義を広めようとするため他の漢人国家と対立し争っている。しかし、満州事変により大日本帝国と対立したあとは他の漢人国家といやいやながらも協力し、抵抗していたが大日本帝国が消滅すると再び内戦を再発した。また盧溝橋事件や大日本帝国の休戦協定を邪魔した国家でもある。

 

中国には他にも複数の国家?(軍閥)が存在するが、ここでは省略する。

 

 

 

 

満州国(1941年)

・政治形態:君主制?

・公用語:満語(中国語)、日本語、モンゴル語、ロシア語

・首都:新京(しんきょう)

・統治者:康徳帝(こうとくてい)

・領土:満州全土(現中国北東部)

・人口:約4,300万人

・憲法:不明

・概要:清王朝の復活と、ソ連の脅威から中国を守るために日本が建国させた国家。五族協和と王道楽土を掲げている。当初はどの国も目もくれて無かったが近代化が進み発展してくると、領土を主張し始めた。関東軍がいたことや日本人が政治を行っていたため国家としてきちんとしていたが、大日本帝国が消失すると皇帝の耳を貸さずに政治家たちは、賄賂などで腐敗していった。(中国の王朝は最終的に腐敗して崩壊しているので、あくまで個人の意見です)

 

 

 

 

蒙古自治邦政府(1941年)

・政治形態:不明

・公用語:中国語(北京官語)、モンゴル語、日本語

・首都:張家口市

・統治者: 徳王(デムチュクドンロブ)

・領土:満州国の西隣?

・人口:約5,500万人

・憲法:不明

・概要:勘違いされやすいが大日本帝国の傀儡国家ではなく、中華民国臨時政府「汪兆銘」の傀儡国家である。もともと三つの政府に分立していたものを大日本帝国の主導のもと統合して生まれ、大日本帝国とともに防共が行われていた。しかし、大日本帝国の消失した途端に中国共産党に攻められそのまま滅亡、併合された。

 

 

 

 

朝鮮半島(1941年)

・政治形態:分裂中

・公用語:朝鮮語(日本語あり?)

・首都:なし

・統治者:なし

・領土:朝鮮半島内?

・人口:不明

・憲法:なし

・概要:大日本帝国に併合され多額の援助金と技術により発展していった。しかし、大日本帝国の消失により今後の政策で三つの派閥に分裂した。大日本帝国に一度保護国になったことを知る若者たちを中心とした独立を目指す魏環(ぎわ)帝国、清(中国大陸)の属国になったことを知る若者たちを中心とした属国を求める魁慶(みい)王国、ソ連による併合を望む若者たちを中心とした朝鮮共産党の三つ巴による内戦が勃発している。

 

 

 

 

ナチス・ドイツ第三帝国(1941)

・政治形態:独裁政治

・公用語:ドイツ語

・首都:ベルリン

総統(フューラー):アドルフ・ヒトラー

・領土:西ヨーロッパ全域?

・人口:約7,000万人

・憲法:ヴァイマル憲法?

・概要:ナチス党によるドイツ支配が始まり、アーリア至上主義も原因の一つになる、もともと第一次世界大戦の敗北でドイツの物価などが高騰していたりとひどい状態を変えようとしたのが大元であった。領土拡張を続けついにはソ連にまで手を出そうとしたが、大日本帝国の消失により戦線を縮小し、現在の領域を守ることに専念し始めた。

 

 

 

 

大英帝国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)《1941年》

・政治形態:立憲君主制

・公用語:英語

・首都:ロンドン

・国王(皇帝?):ジョージ6世(ウィンザー朝三代目)

・領土:イギリス全土及び世界各地の植民地

・人口:約3,400万人

・憲法:なし?

・概要:大英帝国は正確にはいくつかの王朝に別れており、現在のウィンザー朝が成立したのは1917年であるため約900年近い歴史を持っていると認めていいのか難しいところ。第一次世界大戦でアメリカに多数の支援をしてもらい、世界的に地位が落ちていくことになる。日英同盟を三度に渡りアメリカの要求で破棄しているが大日本帝国とは仲が良いようだ。しかし、第二次世界大戦が近づくにつれ仲が悪くなり始めたが大日本帝国の消失のあとはその意思を継ぐように人種差別撤廃に乗り出していく。そのため中国へ出していた支援なども打ちきり、イギリス領インド帝国の解放、植民地の破棄を画策する。

 

 

 

 

アメリカ合衆国(1941年)

・政治形態:連邦制?

・公用語:英語(別名:米語)

・首都:ワシントンD.C(コロンビア特別区)

・大統領:フランクリン・デラノ・ルーズベルト(第32代)

・領土:北アメリカ中部及び多数の植民地

・人口:約1億3440万人

・憲法:アメリカ合衆国憲法

・概要:イギリスからの移民が影響しているのか白人至上主義がとても根強い。またフィリピンと台湾が近くにいたことで日本と対立し、満州鉄道の権益も共同できなかったことに腹を立てていた。そこに日独伊三国同盟を利用し日本を戦争へと巻き込ませた。特にルーズベルトは大日本帝国の真珠湾攻撃で戦争ができることに喜びを感じ、パーティーを開いたと言われている。だがその相手の大日本帝国が消失したことにより今まで手を出せなかったアジアへと進出を始める。しかしそれに反発した反政府組織が結成され、第二次南北戦争という内戦が勃発する。内戦とアジアへの侵攻でアメリカは分裂の危機に瀕している。

 

 

 

 

ソビエト社会主義共和国連邦(1941年)

・政治形態:連邦共和制?

・公用語:ロシア語

・首都:モスクワ

・最高指導者:ヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・スターリン

・領土:ユーラシア大陸の北部全域(ほぼ)

・人口:約1億1010万人

・憲法:ソビエト社会主義共和国連邦憲法

・概要:複数のソビエト共和国から成り立った連邦国。特にスターリンが行った大粛清は有名である。労働者のためとして作られた国だが軍事力も何故かある。大日本帝国の消失を気に、旧ロシア帝国の時にあったアジア南下を再び始めた。そのため保護国であったモンゴルさえも潰し満州国へと迫っている。

 

 

 

 

中華人民共和国(通称:中国)《2025年》

・政治形態:共和制?

・公用語:中国語

・首都:北京

・国家主席:(めい)朗剛(ろうごう)

・領土:中国大陸全域(台湾を含まない)

・人口:約14億人

・憲法:中華人民共和国憲法

・概要:中国共産党により建国された国家。つい最近まではアジア進出を目論み、軍事力、経済力を強化していったが2022年のパンデミックが原因で経済が悪化、それに沿うように軍事力も落ちていった。それが関係しているのか分からないが日本が日米同盟を破棄したあと、早い段階で日中同盟を結びにかかった。また日本からアジアへの覇を唱えないことを世界的に宣言し、今まで行ってきたことに対する謝罪金を各国に送った。日本国が消失したあと混乱が生じたが再び日本国が戻ってくるのを信じ、日本国がいた海を守るため艦隊を出港させた。それに合わせるかのように起きたロシアの国境越えは政府に動揺を起こした。上からはロシア、東にはアメリカ、大国である2ヵ国を相手に戦争を始める。

 

 

 

 

大韓民国(通称:韓国)《2025》

・政治形態:民主制?

・公用語:韓国語、韓国手話言語

・首都:ソウル特別都市

・大統領:(しん)慶雲(けんうん)

・領土:南朝鮮、他複数を主張

・人口:約5,200万人

・憲法:大韓民国憲法

・概要:嘘で成り立っているような国家。どの国からも基本的に嫌われており民主主義ではあるが、老人の中には軍国主義または日本統治時代がよかったという人がいるくらいこの時代では珍しく腐敗?しているらしい。特に問題視されたのは東日本大震災の際にお金を要求をしたりと酷かったりする。またそれ以外にもマッカーサーライン(1951年廃止)を元に勝手に規定した李承晩ラインを使い竹島を違法に占領。勝手に独島を命名しているがほとんどの国は了承していない。そして日本国が消失かしたあとは独島も失ったこともあるのか大統領が政治に見向きもせず遊ぶばかり、軍も統制できず一部では反政府軍がでる始末。これに国民は呆れを感じ国外へと逃亡する。それと同時に北朝鮮が再び南下してきた。録な軍の統制もできず蹂躙される韓国に未来はあるのか。

 

 

 

 

朝鮮民主主義人民共和国(通称:北朝鮮)《2025年》

・政治体制:独裁政治

・公用語:朝鮮語

・首都:平壌(ピョンヤン)

・朝鮮労働党委員長:(きむ)健無(けんむる)

・領土:朝鮮半島全域を主張

・人口:約2,600万人

・憲法:朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法

・概要:ソ連と中国により作られた傀儡国家?二ヶ国の支援を受けているせいかそれなりに軍事力はある。この時代では珍しく独裁政治であり、首都以外はほとんど荒野みたいになっている。日本が消失し韓国が腐敗になった所につけこみ、仮国境を越えて侵攻している。

 

 

 

 

中東義勇軍

・賛同国家:アラブ首長国連邦、イエメン、イスラエル、イラク、イラン、エジプト、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、シリア、トルコ、バーレーン、パレスチナ、ヨルダン、レバノン

・公用語:アラビア語、ヘブライ語、クルド語、ペルシア語、トルコ語

・指導者:レイドル・ゴルグ・ブィーエ(トルコ)

・軍人数:正規軍人 600万人 民間軍人 800万人

・概要:第五次中東戦争が起きていたが、日本が危機に瀕していると聞いてすぐに休戦、義勇軍を発足させ陸海空軍のほとんどを日本かいた領域に差し向けた。なお、陸空軍の一部は中国北部のロシアとの国境線に派遣した。

 

 

 

 

イギリス連合王国(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)《2025年》

・政治形態:立憲君主制

・公用語:英語

・首都:ロンドン

・国王:ルイ14世

・領土:イギリス全土

・人口:約6,700万人

・憲法:なし?

・概要:植民地を失ったイギリスは帝国から王国へと変化した。白人至上主義は最初こそかなり残っていたが、日本との出会いで少しずつ薄れ今では差別主義者はほとんどいない。日本と秘密裏に交わした日英同盟に乗っ取り、日本のいた領域に大艦隊を派遣した。

 

 

 

 

アメリカ合衆国(2025年)

・政治形態:連邦制?(ほとんど独裁になりつつある)

・公用語:英語(別名:米語)

・首都:ワシントンD.C

・大統領:ハルーズ・カイラル(第47代)

・領土:合衆国50の州

・人口:3億2,800万人

・憲法:アメリカ合衆国憲法

・概要:2代前の大統領から次第におかしくなっていき、ほとんど独裁状態になりつつある。在日米軍の基地拡大と補助金の増額などを日本に持ちかけたりして日本との同盟関係が破綻し、それに伴うかのように条約なども破綻していった。またアメリカからやったわけではないが、日本との同盟・条約が破綻したので他の国も自ら破綻していったのはアメリカにとって誤算だった。軍の召集をかけたが一部の軍が本土から出ていき日本に裏返ったことにかなり腹を立てていた。そして残った軍で日本の海に侵攻した。日本が消滅していたものの領海を広げるチャンスと侵攻を開始した。本土では反政府軍が表れ第二次南北戦争が勃発。アメリカはアジアへの侵攻と国内の内戦で分裂の危機に瀕している。

 

 

 

 

ロシア連邦

・政治形態:連邦共和制

・公用語:ロシア語

・首都:モスクワ

・大統領:ヒドゥール・カートィワチ・オーメル(第5代)

・領土:ユーラシア大陸の北部のほとんど

・人口:1億4,700万人

・憲法:ロシア連邦憲法

・概要:ソ連崩壊後に誕生した国家。日本とは対等な立場を見せてはいるが、かなりの野心家であり数回『領空侵犯』を行っている。軍事的行動の兆候がなかったため、ロシア国内でも中国への南下に疑問視しているものたちがいる。今後、反政府軍が表れる可能性は大いにあり。

 

 

 

 

 

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???

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過去に存在した国

 

 

 

 

ラヴァーナル帝国(魔帝)

・政治形態:不明

・公用語:不明

・首都:不明

・統治者:不明

・領土:不明

・人口:不明

・概要:この世界の住人たちの言葉に時々出てくる国名。ロウリア王国が日本と同一視するほど国力は高いようだが、民度は悪い?これ以上の情報はなし。

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場所不明




なお未登場の国家は登場次第、追加する予定です。


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二ツノ太陽ハ、異界ニテ交差セリ
帝国の転移


いろいろと出してますが、また出します。また批判などもあるかもしれませんが、人には人のやり方があるので、批判するなら勝手にやってください。それではどうぞ。

8/5 加筆訂正
8/6 加筆訂正


1941年12月8日 深夜

 

首相官邸会議室

 

 そこには三人の男がいた。そして、みなため息をついている。

 

「はあ、やってしまった。まさか、米国外交官に伝えるはずの宣戦布告の詔書が攻撃の2時間後にやっと通達したと言うことは、完全に奇襲攻撃となってしまった」

「あちらの大使館との行き違いがあったのだ、悔やんでも仕方ない」

「それに国際法上、俺たちは資源貿易を禁止された故の自衛戦争だ。先に攻撃になってしまったのは、こちらも悪いと思うが……」

 

 男たちはその後も今後の問題をどうするか話していた。問題は戦争の異常な拡大の可能性や資源の急速減少による資源調達、軍人や国民の食糧などその他いくつもの問題が山積みとなっていた。とりあえず今解決できる問題は至急行い、今後の増える課題の見積りなどを行うことで今回の簡潔会議は終了となった。

 

「今回の会議は以上とし、ここからはまた一国の大臣として聞いておきたい。大和(やまと)型戦艦の建造はあとどれくらいの期限で完成するのだ。山本」

「それについては俺より伊藤の方が詳しいだろう。なあ、大艦巨砲(たいかんきょほう)主義者さんよ?」

「はいはい、変な挑発はやめてください山本さん。艦艇自体はすでに完成しおり、今は試験航行を行っている。大和型戦艦の一番艦は遅くても今月の16日までに就役予定です」

 

 大和型戦艦は4年前に起工しブロック工法にて建造をしてきた。軍事機密のため船渠(ドック)の周りは高い塀で囲まれ、見下ろせる高い山には憲兵が厳重に警備を行い、天皇ですら厳重に取り調べを行ってから入れるほどだった。

 

「ただ、設計を担当した松田と(まゆずみ)いわく、問題が多く不沈艦とはいえないらしい。その代用ともいえるのが、⑤計画で提出した改大和型と超大和型です」

「あれか、あんなの造れるのか?大和ですら4年前から建造してやっと完成間近なんだ」

「確かにそうですね。主砲すらまだ完成してないですし、船渠も大分県で急ピッチで進めている状態だしな……」

 

 改大和型戦艦は大和型の改良型として設計され、超大和型に関しては発展型として51cm連装砲の開発を行っている。⑤計画では戦艦以外をあわせて159隻の建造を予定している。

 

「そもそも戦艦を主体にした計画案なんぞ古いんじゃないか?もう時代は航空主兵なのだ」

「確かに航空機も良いかも知れんが、母艦が沈めば意味がない。だったら強固な軍艦の大艦巨砲こそが帝国海軍の伝統なんだ」

「古い思想ばっか捉えてると頭が固いぞ。どんどん新しいのを出すのも伝統なんだ」

「伝統は引き継いでいくもの。今、引き継がず、いつ引き継ぐのだ」

「なんだと?」

「そっちこそ」

 

 二人が話から外れ、海軍内での論争になっていると、そこに東條が口を挟んだ。

 

「それは海軍内でやってくれ。今は関係ないんだ」

「す、すまん」

「申し訳ない」

 

 東條は再びため息をつき話をした。

 

「戦争をしたくてやってるわけではない、それは同じだろ。先代の総理、近衛殿も貿易回復のため何度もアメリカに訪れたが、状況は悪化するばかり、しまいには8月に石油さえも貿易禁止された。近衛殿も逃げてしまうよ」

「確かにそうだな、いくらなんでもドイツと同盟を組んでるだけなのに、なぜ私たちに矛を向けられるのか分からない」

「ああ、特にドイツは自分たちこそが最も優れた人種だと言い、俺たちも見下してくる、特に悲惨なのはユダヤ人だろう。ただユダヤ人なだけで拷問され、実験道具として扱われ、しまいには殺される。狂ってるとしかいいようがない」

「矛を向けるべきはドイツだ。それにドイツとは別に国民を大事にしない国もある」

「中華民国の蒋介石と中国共産党の毛沢東か」

 

 この時、ドイツ(ナチス第三帝国)はユダヤ人に大虐殺(ホロコースト)を行っており、最終的に900万人以上とされている。また中華民国及び中国共産党は権力のためになら、国民は死んでもかまわないという思想のもと日本軍以上に国民もしくは自国兵士を殺しているとされている。

 

「そういや東條、南京や満州にいる陸軍はどうなっている」

「今は戦闘は起きず、内部の復興を手伝ってるところだ。あいつら焦土作戦とかいう最悪な行為をするから、そこから中国の領土の復興費用がこのまま45年までに国家予算を越える見積りだ」

「はっ、嘘だろ。今の日本の国家予算は約20億円だろ。それを越えるってのか?」

「恐らく47億円はいく予算だ。このままでは今の国家総動員法を更に重くすることになる」

 

 当時の一万円(1945年)を今のお金(2017年)に換算すると約156万円になり、国家予算は今のお金で約312兆円、中国への復興費用は約734兆円に昇ると言われている。

 

「国家総動員法か……、戦時のみに使用とはいえ民に苦しい思いをさせるのは、俺たち軍人や大臣にしても心苦しいのに、天皇陛下は俺たち以上に心苦しいだろう。国を守るためとはいえ、民が死んでいく姿を天皇陛下は一番見たくない姿だ」

「勝つことなんて最初から考えてなどいない。せめて引き分けにでもできれば万々歳だ」

「まあ先代の日清・日露の戦争の時もそれで生き残ったからな」

 

 三人は話したいことを話して、重い足取りで会議室をあとにした。

 

───────────────────────────

翌日

 

 東條家の屋敷が勢いよく叩かれ、東條英機はなにごとかと急ぎ軍服を着て、外に出た。そこには木村兵太郎中将が息を切らし佇ずんでいた。

 

「東條、大変だ!」

「何があった?」

「中国にいた関東軍やアジアに進出していた陸軍が突然、国会議事堂前に現れた!」

「なんだと!?」

「陸軍だけじゃない!海軍も出撃したはずの艦艇が母港にいつの間にか戻っている。これは戦争どころじゃない!」

「……分かった。すぐに御前会議を行うことを陛下や各大臣に連絡しろ!」

「了解!」

 

 これにより緊急御前会議が行われ、二・二六事件以来のクーデターかとの発言もあったが、それとは違うとのことですぐに否定。その他にも多数の意見が出たが、納得するものが無かったが天皇陛下の一言により、会議室は沈黙の時を迎えた。

 

「異世界への転移、そう考えるのが妥当だろう」

 

 天皇陛下の声は透き通るように聞こえた。しかし、そんなことがあり得ないと思った東絛は天皇陛下に質問した。

 

「しかし陛下、あくまで陸軍と海軍が国に突然戻ってきたというのは、異世界転移でなくても可能だと思われます。こちらもはっきりいってあり得ない話ですが時空間のねじれなので偶然いたということも考えられます」

 

 東絛の話のほうがまだ納得がいく。突然、異世界転移と言われても、その証拠がどこにも無いのではいくら陛下であっても信じられない。東絛の話にも納得したかのような天皇陛下は服の中から一通の手紙を出した。

 

「陛下、その手紙は?」

 

「皇居に送られてきた手紙だ。差出人は不明、しかもその執筆者は初めて日本語を書いていると思われる。書かれていた内容をここで読み上げよう」

 

『ふタつの日のまるは異界にてンイし、交差スル。ふたツのひのマルの転移は世界ヲ静カに狂ワす。新ナせカイの夜明ケの鍵トナルくニのカた方はせん争開始直ゴ、もう片ほうは第さんじせかイ大せんのチョク前に(現代語訳:二つの日の丸は異界に転移し、交差する。二つの日の丸の転移は世界を静かに狂わす。新たな世界の夜明けの鍵となる国の片方は戦争開始直後、もう片方は第三次世界大戦直前に)』

 

 その内容はまるでこのことを示唆しているかのようで、天皇陛下が異世界転移を唱えた理由も納得できる。天皇陛下の助言に東絛は感謝した。

 これにより、御前会議は終了した。決まった内容は以下の通りである。

 

○異世界転移の可能性を第一に国民に恐怖を抱かせないようにする

○建造中の兵器は10日以内に完成・就役するものを除き、建造を一時停止する

○海軍による哨戒行動を行い、周辺区域及び領土(北方領土、対馬、台湾などの本国から離れている島々)の確認

 

であった。

 

───────────────────────────

 日本が消失した地球では混乱が巻き起こっていた。

 

 中国大陸では共同の敵を無くし、内戦が再発。

 日本という後ろ盾が無くなった満州国は政府内で賄賂が飛び交い腐敗、蒙古自治邦政府は中国共産党に侵略され滅亡。

 朝鮮半島では独立(親日)派、属国(親中)派、併合(親ソ)派で対立し朝鮮三派内戦が勃発。

 ドイツは同盟国及び仮想敵国である日本を失い、戦線を縮小。

 イギリスは日本の人種差別撤廃に未来を感じ、ドイツのユダヤ人虐殺に対する報復を決定。

 アメリカでは日本という敵が無くなった今、戦争の意味は無いのにも関わらずアジアへの侵攻を開始。政府への不信感から第二次南北戦争が勃発。

 ソ連は日本という抑止力が無くなった今、臆する敵は無しと判断しアジアへの南下が開始。

 

 日本の消失は世界の歴史そのものを大きく狂わした。戦争を止められる国がいなくなった今、全ての国は戦争から戻れない。

 

 世界は『弱肉強食の世界』にある、国家の興廃は誰にも分からない……



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皇国の転移

本来は日本国と書いたほうが良いのですが、前回『帝国の転移』と出しており、となると国家というより天皇陛下が君臨する国ということで、皇国にしました。(昔の日本は大日本帝国という認識があるので帝国、今の日本は帝国ではないものの天皇≒皇帝ですので皇国)
約一週間で投稿できました。

7/10 加筆・修正
2/5 誤字修正


2025年8月15日 

 

 国会議事堂

 

 国会議事堂では会議が行われていた。参加者は各大臣であり、主に報告と今後の世界情勢に対する日本の立場などであった。

 

「2020年の東京オリンピック後に起きたデフレですが、去年の10月から徐々に回復、今年の3月にはデフレは脱却でき現在はインフレに向かっております。また税金に関してですが二重税金や軽減税率の見直し、そして税金の使い道を再確認しており、現在判明したものについてはしかるべき処置をおこなっております」

 

 そう言うのは財務大臣の皆内(みなうち)修太郎(しゅうたろう)である。見た目はチャラそうな人だが、お金の使い方を知っている。彼は財務省の仕事としてデフレ脱却担当とともに財政の建て直し、内閣府特命担当とは税金の使い道の考え方改革などを行い、参考にしたのはイギリスやスウェーデンなどのやり方だ。もちろん、税金をいきなり引き上げなどはせずおもに軽減税率の方向性だ。

 

「続いて食糧自給率についてです。第一次産業を一に考える方針で、今ある田畑を再利用することで徐々に回復。また日本産の米を国内だけで消費せず、アフリカなどの発展途上国に寄付することで世界の餓死者は減少しました。その他、海外からの輸入品に対する検疫を強化いたしました」

 

 そう言うのは農林水産大臣の山西(やまにし)冬助(とうすけ)だ。見た目はいかにも農業をしていてそうなぽっちゃり系の人であり、実際に実家が農家である。そのため知り合いに農業や林業、漁業の人たちがいたため、その苦しみをよく分かっている。彼は農林水産省の仕事として第一次産業の労働者に対する支援、諸外国への食糧援助を行い、食糧自給率を30%から45%にまで回復させた。特に思い切り行ったのはフードロス分の食糧輸入のカットである。

 

「次は学校教育の見直しと小中学生の体力低下ですが、まず学校教育については義務教育においても嫌なことがあれば不登校は構わず、スクールカウンセラー及び教育委員会がその間の小中学生を、親とともに面倒を見ます。親が仕事などで居ないときは許可をもらえば面倒を見れるようにしました。また小中学生における体力低下は各都道府県で確認をしたところ、公園などの遊び場が禁止になっていることが原因であり、老朽化したものは新品にすること、怪我などについては自己責任ではありますが、痛みを知ることで暴力に対する認識を深めることをスポーツ庁との連携で行っております」

 

 そう言うのは文部科学大臣の山谷(やまたに)康平(こうへい)である。見た目はいかにも勉強ができますといった眼鏡をかけており、実際いくつもの検定一級をもっている。彼は知り合いがうつ病になったあとに自殺したことをきっかけに政治への関心を持ち、今の政府はおかしいと思い政治家になった。その後、自殺者を無くすように教育の見直しを行い、運動不足の解消のために国立競技場を民間体育館にすることで運動を出来るようにし、また色んな人たちの交流の場所にもした。

 

「続いて労働環境の問題についてですが、知り合いにアポなし臨検を行ったところ、かなりの企業は労働時間を遥かに越えていたり、文書を改ざんなどを行っておりかなりの労働基準法を違反しておりました。然るべき処置を随時おこなっております」

 

 そう言うのは厚生労働大臣の鬼神(おにがみ)怪龍(かいたつ)である。見た目は完全にヤクザであるが、筋の通らないことが嫌いであり、以前勤めていた会社の社長を半殺しにしている。理由は低賃金な上に備品などを実費で払わせられたり、1日20時間働かせられたためである。そのためそういうのに不満を持ち裏社会に入ったものに連絡をとり、数々の企業の悪事を潰しており、一部の人から「悪事潰しの鬼龍」と崇拝されている。

 

「続いてですがキャッ!」

 

 突然、地面?が揺れ始めた。しかし、またかと感じた大臣たちは再び会議を再開した。

 

「取り乱してすいません。続いてですが外交関係を報告します。アメリカとの交渉は決裂、アメリカ海軍はハワイ近海に主力を集めています。中国との交渉は良好になり、アジアに対し覇を唱えないことを条約で締結。ロシアは北方領土を返還する書類を作っています。韓国は竹島を侵略してから数十年たちますが返す見込みは見えません。また中東においては第五次中東戦争が勃発しておりましたが、日米の交渉の決裂を機に日本を守るため中東義勇軍を派遣するとのことです」

 

 そう言うのは外務大臣の鳳凰院(ほうおういん)六月(むつき)である。見た目はいかにも良いところのお嬢様であり、実際そうである。また身長は低すぎてよく警察に職質される。家の事柄でよく外国の人たちと仲良くなり、その中には日本は好きだが母国は嫌いという人が多かった。そのため、日本と友好的な国々と交渉をとり、現地へ赴くなど海外から重要人物とされている。しかし、アメリカとの交渉が決裂してしまったことを、彼女は自分のせいだと落ち込んでいる。

 

「続いてだが、日本の防衛面を報告する。先ほど六月がいった通りアメリカ海軍の第三、第四艦隊がハワイに集結していることが分かった。それ以外の艦隊も続々とハワイに集結していることが確認された。中国に関してはアメリカの行動を宣戦布告行為と受け取り、日本を守るとのことだ。韓国に関しては竹島違法統治に関する軍事力を強化している。中東においては六月がいった通り戦争を休戦、日本に義勇軍を送るとのこと。アメリカの行いに対し自衛隊も見てみぬふりはできません。そのための中期防衛力整備計画(2025)を策定した。全ては国家と世界の安寧のため、自衛隊は粉骨砕身がんばる方針だ」

 

 そう言うのは防衛大臣の東栄(とうえい)戦帝(せんてい)である。名前はあれだがれっきとした女性で、背が政治家のなかでは異様に高い。曾祖父が日本軍に従軍していたこともあり、自衛隊に入隊後、実績を積み女性で初めて海上幕僚長になった経験がある。またその時の部下からはその圧倒的すぎる訓練から『美神の悪夢』と言われている。

 

「報告は以上だな。我が内閣は戦後初の戦争に向かう危惧がある。だが勘違いをするな?いいか、これは我が国を世界を安寧に戻すための自衛戦争だ。アメリカの蛮行をこれ以上見逃すことはできない。俺たちはいつまでもアメリカの言いなりではないと、示してやれ!」

 

 そう言うのは内閣総理大臣の遠江(とのえ)優音(ゆうね)である。名前と見た目のせいでよく女性と間違われるが、れっきとした男性である。彼は歴代総理大臣の中で最も若く、そして日本の未来を大きく変えた人物である。彼は野党からの非難がたくさんあるが、民衆からの評判はとても良い。

 会議は終了し、ちょっとした雑談が始まった。

 

「なあ、いくらなんでも地震長くないか?東日本大震災も5分で一回は止まってたぞ。もう、15分近くたってる」

「そもそも最近、大きい地震が立て続けに5回以上おきとる。これは異常そのもの」

 

 皆内と山西はそうため息をついた。

 

「自衛隊も現地派遣が足りておらず、中国・中東に支援部隊を頼んではいるが、アメリカと緊張が高まるなか、難しいらしい」

「そもそも外国人からしたら、地震は悪魔の仕業だと思ってる人が多いらしいです。日本では世界屈指の天災国ですからあまり違和感がないので、外国人から頭大丈夫と心配されたことがあります」

 

 東栄と鳳凰院も同じくため息をつけた。

 

「すまん、裏社会のやつらと連絡とってまだ悪事を働いてる企業がないか聞いてくる」

「本来は裏社会の人たちと仲良くなりたくないが、悪徳企業を潰すには仕方ないのですね」

 

 鬼神は席を立ちスマホを出しながら会議室の端に行き、山谷は皮肉な言葉を言うものの、その重要性を見ていた。

 突如その時大きな揺れを襲った。スマホを出すため手をポケットに入れていた鬼神は転倒し壁に激突。そして何故か総理の頭の上にタライが落っこちて遠江は悶絶しつつ机の下へ。他の大臣も速やかに机の下に入ったが、背が高い東栄は頭をぶつけて普段聞かない可愛らしい声を出した。

 数分後、揺れは収まり各大臣は机の下から出てきた。そして総理が一言、

 

「誰だ、俺の頭の上にタライが落ちる様に仕掛けた奴」

「それ確か以前の財務大臣がノリと勢いで仕掛けたらしい。俺も特に気にしてなかったから放置してた」

「何でノリと勢いで仕掛けてるんだ。バカじゃねぇの」

「それより地震についてです。弱い揺れだと思ったら強い揺れがきたもの」

 

 そう三人が話していると会議室のドアが勢いよく開けられた。

 

「大臣たち、大変です!各国との通信が不可能になりました。また、衛星もGPSも使えない状態になっています」

 

 息を切らしながら副総理大臣は報告した。

 

「内容は分かったが、お前ドアの裏見てみ」

 

 遠江はそう言った。副総理大臣は?を浮かべながら見ると、そこには頭を抱えている鬼神がいた。

 

「お前、ドアの後ろに人がいないか確認しろよ。壁に激突して腰やったと思ったら、今後はドアに頭やられて恨みでもあんのか、俺に」

「い、いえ…」

「ったく、今回は不問にしてやるから状況を教えろ」

「はっ、はい!」

 

 副総理大臣は先ほどの話と捕捉を加えて説明した。

 

「なんだ、それ?おい、遠江。どうすんだ?」

「とりあえず民衆に落ち着いてもらうのが先だろう。事態は急を要する。すぐに報道陣を呼んで来てくれ、副総理」

「わ、分かりました」

 

 遠江総理はマスコミを通し現況を報道した。まず、落ち着くこと、そして何かあったら互いに助け合うことを。

 

───────────────────────────

太平洋海上 海上自衛隊第1護衛隊群 護衛艦『いずも』

 

「艦長、イージスシステムにエラーが発生しました!?」

「何、どういうことだ?」

「わ、分かりません……」

 

 イージスシステムにエラーが発生し、復旧作業をしていると、今度は第一分隊(砲雷科)の艦内哨戒部署のレーダー員から通信が入った。

 

「今度は何だ!?」

『レーダーに異常発生!艦隊配置を確認できず』

「何だと…」

 

 艦長はすぐに復旧作業を急ぐように言った。すると護衛艦『こんごう』から通信が入った。受話器を取ると、

 

『こちら《こんごう》、イージスシステム及びレーダーに異常発生。現在、復旧作業を急いでいるが治らない』

「『こんごう』でもか!?」

『そう言うとは《いずも》でも同じことが起きているのだな』

「ああ…」

『第5護衛隊、全艦が現在イージスシステム及びレーダーが使えない。第1護衛隊はどうだ?』

「今、確認する。しばし待ってくれ」

『了解』

 

 艦長はすぐに各艦に連絡をとった。どの艦も「使えない」と返事がくる。艦長は再び『こんごう』に連絡した。

 

「こちら『いずも』、第1護衛隊も同じく全艦がイージスシステム、レーダーが使用不可能だ」

『了解、この後はどのように動く?」

「目視による見張りを行いつつ帰港する。なるべく離れず行動をしろ」

『了解』

 

 彼らはまだ知らない。これが新なる歴史への幕開けを……

 

───────────────────────────

 日本の消失は世界を絶望の淵へと追い込んだ。

 

 アメリカは再び軍事主義を唱え、アジアに侵攻。民衆の中には反政府軍が現れ、第二次南北戦争も勃発。

 中国は日本との条約を守りアメリカを阻止するため太平洋へと大艦隊を出撃させる。

 これを好機と見たロシアの南下は中国へ新なる脅威を生み出した。

 中東は日本がいた海を守るため、太平洋にいる中国に向け義勇軍を派遣する。

 日本がいなくなり独島も消滅した韓国は大統領が遊びに呆け、国民は国外へ逃亡。

 北朝鮮は韓国の腐敗に浸け入り国境線を越え、朝鮮戦争を再発させた。

 イギリスは日本と秘密裏に結んだ日英同盟の元、太平洋へ大艦隊を派遣した。

 

 世界は第三次世界大戦へと突入する。それを望んだ他でもない、人自身である。人間の欲望は再び甦る。

 

       世界が進む先は

        『平和』

         それとも

         『戦争』

          なのか…

      それは誰にも分からない……




人はとても愚かで醜い生き物です。今でもどこかで、戦争が起きている。異なる思想を互いに理解でき認めあえる世界が来れば良いものですね

日本の食糧自給率ですが、現段階で約38%でした。過剰に低くしてしまい申し訳ございません


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日の丸の接触

自分にはやはり定期更新は無理だった。変なところもあるかもしれませんが、あくまで凡人が書いたものなのであしからず。それではどうぞ。

5/25 誤字修正
6/2 誤字修正
10/17 加筆訂正

 2020年に『はたかぜ』が練習艦隊第1練習隊に異動しましたので、『まや』に変更しました。


大日本帝国 旧南シナ海 

 

 現在、政府からの命により第三艦隊の第十六戦隊『足柄(あしがら)』『長良(ながら)』『球磨(くま)』、第五駆逐隊『朝風(あさかぜ)』『春風(はるかぜ)』『松風(まつかぜ)』『旗風(はたかぜ)』は哨戒活動を行っていた。

 

第三艦隊 旗艦『長良』

 

 軽巡洋艦『長良』は目視による哨戒活動を行っていた。まだ、電探が全ての艦に行き渡っていないため仕方ないが、その代わり水上偵察機として『零式水上偵察機』を使い哨戒活動の幅を広げている。『足柄』『球磨』も同じく水上偵察機を発艦させ、同じく哨戒活動を行っている。第五駆逐隊は水上偵察機はないため双眼鏡による目視哨戒を10人体制で行っている。

 

「高橋司令官、今のところ異常は見られません。気がかりなのは中国大陸などが見えないことですかね」

「そうだな、フィリピンすらも見えないということは政府の言う通り、地球ではないのかも知れんな、直井艦長」

 

 二人はフィリピン攻略作戦において、『長良』で初めて会った。高橋伊望司令官は連合艦隊参謀長の経験から、今作戦の計画を練っており、兵員から信頼されている。直井艦長は目立った成績はないが、いくつかの艦もしくは部隊の長になることが多く、多分すごい人というのが兵員たちの噂。

 

「しかし、もしここが異世界だとしたら地球はどうなっているのですかね」

「おそらく、戦争は想定していた期間よりも長くなりそうだ。アメリカやソビエトなどの国々が日本がいなくなったのを皮切りに、アジアへの侵攻を開始するだろう」

 

 そう二人が話していると艦橋から伝声管で報告が入った。

 

『艦の直線約四〇〇〇に未確認艦を発見、どうしますか?』

「未確認艦の艦種は何だ?」

『空母1、巡洋艦2、駆逐艦5です』

「分かった、総員戦闘用意!俺が『撃て』というまで発砲するなよ!」

 

 その命令はすぐに電文で他の艦にも届いた。すべての艦が臨戦態勢になったのを確認し、自身が指揮所にて双眼鏡を使い未確認艦を見た。

 

「ふむ、灰色の艦か。しかし、砲が一門しかないのが気がかりだな」

 

 高橋司令官は双眼鏡を下ろし、伝声管にこう言った。

 

「敵か味方か分からん以上、攻撃をするな。ただし攻撃された場合は、正当防衛として攻撃することを許可する」

 

 高橋司令官はそう言い再び双眼鏡で、未確認艦を確認した。すると、見たことない飛翔体とプロペラのついてない機体がこちらに飛んできた。すぐに彼は各艦に伝えた。

 

「対空戦闘用意!ただし攻撃するな!正当防衛以外の攻撃は、日本の恥だと思え!」

 

 再び戦闘用意をするように言った。攻撃を仕掛けないに、何度も言いながら。

 

「司令官、あの奇妙な形に似たものを以前見たことがあります」

「何?一体どこで見たのだ、艦長」

「ドイツであれに酷似したものが作成されていました。しかし、運用まではいかず、まだ計画段階のものです」

「ふむ、なるほど。ではあれの名前は聞いたのか?」

「はい、確かドイツ軍人は『フープシュラオバー(ヘリコプター)』といっていました」

フープシュラオバー(ヘリコプター)か……」

 

 高橋司令官は直井艦長の話を聞き、次世代の航空機はあれになるのか、と心の中で考えていた。仮称『フープシュラオバー(ヘリコプター)』は数分ほど旋回した後、先ほどから見えている船に向かって行った。

 

───────────────────────────

日本国 旧太平洋

 

 現在、政府からの命により第一護衛隊群の第一護衛隊『いずも』『まや』『むらさめ』『いかづち』、第五護衛隊『こんごう』『あけぼの』『ありあけ』『あきづき』は哨戒活動を行っていた。

 

第一護衛隊 旗艦『いずも』

 

 ヘリコプター護衛艦(DDH)『いずも』以下各艦は、先日の衛星情報が遮断されたため、予備電力を使いイージスシステムとレーダーを使い、哨戒活動を行っていた。また、いつシャットダウンが起きても対応出来るように、目視による哨戒活動も行っている。

 

「司令、南鳥島から東に来てから、本来あるはずのウェーク島が見当たりません」

「そうか、もしかするとここは地球とは別の世界なのかもな、幕僚」

 

 二人は防衛大学からの知り合いで、約4年以上の付き合いがある。司令と呼ばれたのは海将補の高宗(こむね)真良(しんらえい)、第五次中東戦争において真っ先に艦隊を避難民保護のために派遣し、その功績を称えられ将補に昇任した。幕僚と呼ばれたのは一等海佐の厳前(いつまえ)ひいな、彼女は司令と同じく第五次中東戦争において真っ先に避難民保護を遂行したため、『中東の英雄』の一人に数えられている。

 

「しかし、アメリカとの緊張が高まっっている中でのこれだ。地球は混乱してるぞ」

「確かにそうですね。それに、第三次世界大戦になってもおかしくない情勢だったので、おそらくなってると思います」

 

 そう二人が話していると第一護衛隊司令が近づいてきてこう言われた。

 

「距離四○の位置に所属不明艦7隻を確認しました。どういたしますか?」

「艦種は分かるか?」

「レーダーと艦橋による目視から憶測するに、汎用護衛艦4隻、ミサイル護衛艦2隻、多機能揚陸護衛艦に匹敵する護衛艦1隻です」

「…この艦に匹敵するほどの大きさか、幕僚どうする?」

 

 幕僚のひいなは少し考えた素振りを見せるとこう言った。

 

「とりあえず哨戒機を発艦させましょう。SH-60J/Kを一機、護衛機としてF-35Bを2機を出せば良いでしょう。少数で行うことで相手に敵対心を見せないことが肝だと思います」

「そうか、隊司令。すぐに艦長にこの事を言え、事態は常に最悪を回避できる形で考えるようにとな」

「了解しました」

 

 第一護衛隊司令はすぐに艦長のもとへ行き、作戦を伝えた。すぐにそれは実行され、機体は10分も立たずに飛び立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数分後……

 

 3機の機体は何事もなく、戻ってきた。その内容は隊員から艦長、艦長から隊司令へと伝達された。

 

「司令、もしかしたら我々はタイムスリップした可能性も含められます」

「どういうことだ?」

 

 隊司令からの言葉を受けた真良は首をかしげ、質問をした。

 

「えっとですね、隊員から渡された写真がこれなんですけど…」

「どれどれ……!?」

 

 真良は驚愕した。彼は軍事マニアだからよく分かる。そしてこう言った。

 

「これ、軽巡洋艦『長良』だ。他の艦も『足柄』や『球磨』など、旧日本海軍の艦艇だ」

「あれ、ですが『長良』は天津諸島の西方に沈んでるのが発見されてますし、『球磨』は中国業者に違法サルベージでその鉄屑が盗まれていて、『足柄』はバンカ海峡付近で沈められたんじゃあ……」

「だから隊司令はタイムスリップした可能性もあると言ったんだろ……」

 

 真良は呆れていたが、ひいなもまた軍事マニアで各艦の最初から最後まで全て暗記している。しかしそれと同時にもう一つの疑問が彼女の頭にあがった。

 

「ですが、タイムスリップしたらしたで、中国大陸やフィリピンが見えないのはおかしくないですか?」

「ふむ、確かにな。そう考えると……」

 

 真良とひいなは顔を見合せ同時に言った。

 

「「大日本帝国も転移した」」

 

 そうすれば納得がつく。すぐに真良は通信長に本国に伝える様に命令した。そしてある艦員にこう命令した。

 

「未確認艦に発光信号を行う。発光内容は…」

 

 その後、未確認艦に発光信号を送り、返答が返ってきた。内容は『我、帝国海軍第三艦隊旗艦《長良》。艦ヲ密着サセ会談ヲ行ウ。武装ハ全テ解除セリ』だった。おそらく同じ日本人だからか、こちらの言い分に応えてくれた。そして護衛艦『いずも』と軽巡洋艦『長良』は密着状態になり、『いずも』側で会談を行うことになった。各艦の艦長や各部隊の司令など幹部が集まった。

 

 始めに『高宗真良』から自己紹介が始まった。

 

「私は日本国海上自衛隊第一護衛隊群の司令を務めております、高宗真良と申します。よろしくお願いいたします」

 

続いて厳前ひいなが自己紹介をした。

 

「私は日本国海上自衛隊の第一護衛隊群幕僚を任命されています、厳前ひいなです。どうぞよろしくお願いします」

 

 次に第一護衛隊司令、第五護衛隊司令、各艦の艦長と続いた。

 次に大日本帝国側の自己紹介が始まった。始めにしたのは高橋伊望だ。

 

「私はフィリピン攻略のため編成された、第三艦隊の司令官の高橋伊望だ。よろしく頼む」

 

 続いて中村俊久が自己紹介をした。

 

「俺は中村俊久だ。第三艦隊の参謀を担当している、よろしくな」

 

 次に艦長、各司令所の長と続いた。全員の自己紹介が終わったあと、高宗が口を開けた。

 

「ではまずは私たち、日本国の現状を伝えます。我が国が考えている状況は、国家自体が転移したということです。今まで出来たことが突然できなくなることは、自分たちがいた時代ではないこと、そして大陸が見えないことから地球ではないことです」

 

 その言葉に高橋は反応した。そして口を開けた。

 

「やはり貴官らもそう思うのか。我が国は天皇陛下が差出人不明の手紙をお受けになり、上層部から事態を説明されたのだ。そのための哨戒活動で、貴官らと会えたのは幸運なのだろう」

 

 その後も色んな話をしあい、大日本帝国側が本国に連絡がつき日本国側に使節団を派遣し、会談を行うことが決定した。




二つの国の軍隊は一緒になり、わかり会えた。しかし、そのあとにアメリカが関連してくればどうなるのだろうか。それは誰にもわからない。という感じですかね。

 ヘリコプターは読者からの誤字報告にて、ヘリコプターはドイツ語でフープシュラオバーと言うようです。御指摘ありがとうごさいました。



 日本海軍の『空母1、巡洋艦2、駆逐艦5です』について質問があったのでお答えします。空母は知っての通りいずも型です。では残りの巡洋艦と駆逐艦の区分けについてです。巡洋艦は「軽巡洋艦」が大正期に5,500t型(排水量)が多数配備されたので、それ以上の艦艇になる『まや』と『こんごう』を巡洋艦とします(天龍型の次級である球磨型から)。それ以外の艦艇はすべて駆逐艦に分類させています。なお、これは基準排水量が5,500tを越える艦艇を指しました。駆逐艦に分類したものでも満載排水量では5,500tを越える艦艇も存在します。護衛艦には常備排水量が載っていなかったので基準排水量を元にしています。長文失礼しました。

「一〇式艦上戦闘機」から「零式水上偵察機」に変更しました。


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重要な会談

二週間位で投稿はできるかな(一週間前には作ってあったたけど投稿するのが面倒だっただけ)会談の内容は思い切り飛ばしてます。書けと言われても、そこまで書く内容も無かったから

5/8 加筆・修正


2025年8月20日(大日本帝国側1941年12月14日)

 

日本国元太平洋側 東京湾

 

 元在日米軍横須賀海軍施設から4隻、海上自衛隊基地から4隻が先ほど出港した。出港した8隻の内2隻は数機の戦闘機を発艦させた。その戦闘機の先には数隻の艦艇がこちらに向かってきていた。その艦艇は大日本帝国からきた使節団を乗せたものであり、その艦艇たちの旗艦は『長門(ながと)』、そして姉妹艦である『陸奥(むつ)』、帝国海軍の中ではある軍艦を除き最大の姉妹戦艦である。『長門』は世界初の41cm砲を搭載し、妹艦の『陸奥』共に世界のビックセブンの一角であり、国民たちの誇りでもある。その他に護衛艦として第六駆逐隊の『(あかつき)』『(ひびき)』『(いかづち)』『(いなづま)』が隣接して来ていた。

 彼女たちを迎えた艦艇たちは元アメリカ海軍所属の史上最大の空母ニミッツ級原子力航空母艦『ロナルド・レーガン』、その護衛艦としてタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦『シャイロー』、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦『マスティン』、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦『リンドン・B・ジョンソン』、アメリカの本国との縁を切り日本側に付いた者たちである。アメリカ軍の約8割が日本側についており軍艦に対する港が足りていないのが現状である。

 もう一方の日本国海上自衛隊所属の新型艦であるいぶき型多機能揚陸護衛艦『くらま』、あきつしま型多機能護衛艦『おとわ』、あがの型ミサイル護衛艦『さかわ』、あかつき型汎用護衛艦『にじ』の計4隻が迎えにいった。中期防衛力整備計画(2019)で新たに作られ、就役もまだしていない、いわば秘蔵艦である。

 

───────────────────────────

大日本帝国海軍 戦艦『長門』

 

 戦艦長門の艦長および使節団派遣艦隊の司令官を兼任している矢野(やの)英雄(ひでお)は使節団の一人であり内閣・陸軍の大臣を兼任している東條英機、聯合艦隊司令長官である山本五十六にこう話していた。

 

「あれが未来の軍艦なのですかね。山本元帥がおっしゃった通り、空母が主体に見えます。三笠に乗りこの長門に乗っている私にとっては何だが複雑な気持ちになります」

「そうか、矢野殿は三笠にも乗ったことがあるのか。私は戦艦は遠距離から確かに攻撃は出来るが命中率が低い。なら航空機で真上から爆撃すれば確実に強い。だから空母の方が強いと思っているのだ」

「今はそんなことより、会談のことに関してだろう。相手が同じ日本とは言え、未来である可能性が高いのだ。我々が蛮雄として罵られているかもしれないのだ。それでもせめて対等の立場をとれねば、陛下に顔見せが出来ん」

 

 山本と東條は会談で何を話すかについて決めていた。自分たちが叩かれる覚悟で挑んでいた。

 

───────────────────────────

翌日11:30 国会議事堂 会談開始

 

 国会議事堂には日本国の遠江内閣と大日本帝国の東條内閣(使節団)が向かい合う形で座った。回りには与党や野党が座っている。通常ではありえない会談が始まった。

 

「まず先に聞きたいことがある。あなた方は大日本帝国の方々で間違いないか?」

 

 遠江が一番疑問に思っていたのはそれである。本物かどうか分からない以上、会談はできないのだ。

 

「ああ、私たちは大日本帝国の使節団としてここに来た。我が国が求むのはあなた方と対等の関係である」

 

 東條は遠江の質問にそう返した。それに遠江は

 

「対等の関係ですか。あなた方は私たちに何を望むのですか?」

 

と返す。遠江は日本悪玉論を信じておらず、だからこそ真意を確かめたかった。

 

「単純なことだ。不可侵条約や貿易、可能なら軍事同盟の三つが主なものだ。観光などは我が国の戦時体制が解いてからになる」

「戦時体制?あなた方は戦争中なのですか?」

「なんて言ったらよいのか、中国との戦争が泥沼化し、アメリカとの戦争がおきた翌日に転移したとみられる。この世界が安全と分からない限り、戦時体制は続くだろう」

 

 その言葉に議事堂内は大騒ぎになった。すぐに遠江総理が場を静めさせたおかげで、酷くはならなかったが。

 その後、様々なものに関するものが話し合われていた。

 

───────────────────────────

一方その頃……

 

 東條総理が一般公開を許可したため、今となっては見られない日本海軍の軍艦に観光客が押し寄せていた。もちろん軍事機密や国家機密になるところは公開はしてないが。

 一般公開の最中、戦艦長門の会議室に今回の派遣艦隊の各艦の艦長たちは集まっていた。参謀なども含め多くの幹部たちもだ。今後の海戦術についてである。海軍内では大鑑巨砲主義と航空主兵主義の戦術で言い争っていた。

 

「もう決着はついた。今後の海軍の主力は航空機で決定だ」

「ふざけるな、まだ戦艦が沈んだとは分かってないだろう?」

 

 会議室は激論が交わされいつ終わるかも分からなかった。その時、防音されているのにも関わらず大きな声が聞こえてきた。

 

『ふざけんじゃねぇぞ!!』

 

 会議室の皆は全員アイコンタクトで会議を終了し、急いで外に出た。そこには、軍艦を見に来たであろう観光客と報道陣が睨みあっていた。

 

「おい、てめぇもういっぺん言ってみろ!なあ!」

「だから侵略国家の大日本帝国を全国放送することが私たちが行うことだと言っているだろう!」

「先人たちを侵略者よばわりしやがって、恥ずかしくないのか!」

「我が国の汚点を侵略者といって何が悪い!」

「真実も知らない癖に嘘ばっか報道しやがってこのマスゴミども!」

 

 完全に一触即発状態であった。そして、ふっきれたかのように誰かが報道陣の一人を殴ると、たちまち殴り合いになった。報道陣が機材などを使って観光客を殴ったことにより、更に頭に血が上った軍事マニアの一人が模造品の刀を持ち出し斬りつけた。もちろん刃は無いため外傷がないが、力いっぱいやったため骨が折れたのは確実だろう。そこはたちまち乱闘騒ぎになり、老若男女問わず血だらけになっている。

 

「静まれい!!」

 

 誰かがそういったことにより、一瞬で場は静かになった。そして声を発したであろう方を見ると大日本帝国海軍の矢野がいた。

 

「何が原因で乱闘になったかは聞かん。我々が悪いのであれは謝罪ももちろんする。だが、同じ日本人同士でなぜ争う?意味が分からない。仲良くしろとは言わん。だが、血を出すような行いはやめろ。以上だ、見学をするなら静かにしてくれ」

 

 この矢野の発言により、全員肝が冷えたのは確実だろう。あちらは戦争の経験がある軍人だ、目に僅かながら殺気が入っていたのだ。

 

「……あの軍人さんに命じて今回はこれで許してやる。次、ふざけたことを報道しやがったら、お前らの事務所を攻撃するからな」

 

 ことの発端になった人物は矢野にお辞儀をし静かに見学を再開した。彼と一緒に報道陣を殴った人たちも、矢野にお辞儀をし静かに見学を再開した。一方、報道陣はそそくさと帰っていき、海軍からは呆れとともに、命をかけて守った国民の子孫があそこまで愚かになっていることに心を痛めた。

 

───────────────────────────

場所は戻り国会議事堂

 

 2時間にもわたった会談は以下の内容で決定した。

日日(にちにち)不可侵条約

②日本国による大日本帝国のインフラ整備

③日本国による大日本帝国の医療・コンピューターなどの精度向上

④大日本帝国による日本国の防衛力強化

⑤日日貿易

⑥以上のことをふまえ、国交樹立を継続する

⑦軍事同盟に関しては先送りとする。

 

 主に7つのことが決まり、細かな内容は後々決まることにとなった。本来、出会うはずのない2ヶ国はどこへ進むのか。それはまだ分からない……




マスコミではなく一部のYouTuber(真実を報道する番組など)は、彼らの話を熱心に聞き大日本帝国の軍人から好印象を受けていました。また、軍人の一部は軍艦の居住区に戻ったあと泣いているものもいました。


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邂逅!ロデニウス大陸!
接触


一日遅れました、すいません。やっと本編開始です。どうぞ!

6/28 誤字修正
9/23 加筆訂正
10/21 加筆訂正


中央暦1639年1月24日午前8時……

 

クワ・トイネ公国軍第六飛龍隊

 その日も快晴であった。ワイバーンをと呼ばれる飛竜を操り、飛竜隊の一員である竜騎士マールパティマは、眠そうながらも公国北東の哨戒を行っていた。ここ連日、ロウリア王国軍の活動が活発になっており、何か行動を起こした場合に迅速に行えるようにしているため、ほぼ休みなしに飛び続けているのだ。

 

「ふわぁ~」

 

 彼と彼の相棒である飛竜はすでに三日間以上、哨戒をしている。休憩は食事の時に下に降りるくらいで、それ以外は常に飛行していた。空が好きで飛竜隊に入隊した彼も、さすがに眠くなってきており、目の隈がとても濃いように見える。今日の哨戒が終われば休日が来るので、なんとか頑張っているが限界がかなり近いようだ。その時だった。その眠気を一気に吹っ飛ばすことが起きたのは。

 

ゴゴゴゴゴゴ………

 

 

 突然、彼に強い風圧と経験したことのない耳鳴りが起きた。それだけではない。ミシミシと骨が軋む音がし自身が着ていた鎧の一部にはヒビも入っている。

 

「な、なんだぁ!?」

 

 すぐにその風圧がした方を見ると巨大な未確認騎が飛んでいた。いや未確認騎にしては翼が羽ばたいていない。竜とはまた別のものだろう。たが領空に入られたのは確実だ。すぐに彼は通信魔法具を使い司令部に報告した。

 

「我、未確認騎を発見。直ちに捕縛に移る、現在地……」

 

 高度差はほとんど変わらないように見える。すぐに彼は未確認騎に近づこうとするが、どれだけスピードを出しても近づいた感じがしない。それどころか離れているように感じる。彼はその異常さに気づき、再び司令部に報告した。

 

「未確認騎の捕縛に移ろうとするが、追い付けない!速すぎる!目標は……、マイハーク!本土マイハークに向かい進行中!繰り返す!マイハーク方向へ進行中!」

 

 報告を受けた司令部は蜂の巣をつついたような大騒ぎになり、司令部につけられた避難を知らせる鐘が大きく鳴り響いた。港に船を泊めそこで漁をしていた船員も、買い物をしていた民間人も問わず、全員が大騒ぎになり避難区域への押し入りが来ていた。軍がなんとか押さえ込んでいるものの、いつ暴動が起きるか分からない状況まで来ている。その時だった。耳障りな音が聞こえたのは。

 

 空を見上げると、ワイバーンよりも大きい飛翔体が悠々と侵入している。軍ではすでに第六飛竜隊が飛び立っている。そして運が良いのか、悪いのか未確認騎の正面に向かい合った。そして直ちに捕縛準備のための威嚇ブレスを行った。どの隊員もがやったと思った。だがその未確認騎はその炎の中、更に高度を上げていった。すでにワイバーンは最高高度4000mに到達している。これ以上、高度を上げようとすれば人も飛竜も命の保証がなく、誰もがその未確認騎をただ見つめるしかなかった。

 

「我、未確認騎を確認。捕縛準備のための威嚇ブレスを実行するも、まるで効いていないかのように更に高度を上げ、追跡は不可能である」

 

 第六飛竜隊の報告を聞いたマイハーク防衛騎士団・団長イーネは空を見上げた。少し前に侵入してきた未確認騎はマイハークの上空をずっと旋回していた。飛竜による地上攻撃手段はブレス(火炎弾)以外みつかっていない。過去に岩や矢による攻撃手段が検討されたことがあったらしいが、ワイバーンが飛べず不可能と、過去の演習報告書に書かれていた。目を凝らせば報告にあった白い機体に赤い丸が見えるのが分かる。イーネはある可能性を危惧していた。飛行機械。列強の一角、ムーが所持するものだ。魔法とは別の機械というもので繁栄している国である。そして未確認騎を見ていると、それは北東へ向かい帰っていった。その瞬間イーネは驚いたように跳び跳ねた。

 

「バカな!北東には海しかないのだぞ!」

 

 彼女が驚くのは無理もない。未確認騎が帰っていったのは北東方面、大東洋と呼ばれる大きな海しかないのだ。かつて未発見の大陸を見つけると言い旅立った冒険者は一人も生きて還ってこなかった。代わりに還ってきたのは見るも無惨な亡骸だけだった。

 

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クワ・トイネ公国 政治部会

 

 国の各代表が政策を行うために集まる会議で、首相であるカナタは悩んでいた。いや、カナタだけではない。ここにいる皆が頭を抱えていた。それは昨日マイハークで起きたことが書かれた『未確認騎領空侵犯報告書』である。内容は以下の通りだ。

 

○ワイバーンよりも巨大な未確認騎であること

○ワイバーンよりも速い速度で高高度を飛んでいること

○マイハーク防衛隊騎士団長イーネ曰くムー国の飛行機械に似ていること

○国籍は不明で白い機体に赤い丸が描かれていること

 

 これにカナタは頭を抱えていた。

 

「皆のものはどう思う。意見を聞きたい」

 

 情報分析部が手を挙げる。

 

「この報告書にはムー国の飛行機体ではないか?と書かれているが違うと断言できる。そもそもムーの飛行機械に描かれているのは五つの花弁を持つ桜と呼ばれている花だ。それにムー国の飛行機械は約350km、今回の飛行機械は600kmを遥かに越えている。ムー国ではないのだが……」

「だが、何だ?」

「ムー国の遥か西方、文明圏外に新興国が突如出現。付近の国家を潰し回り、まるでこの世界の覇権を握るかのように第二文明圏のすべての国家に宣戦布告したと、諜報部に情報が入ったそうです。彼らの武器・兵器は不明です」

 

 会場にわずかな笑いがおきるが、次の一言でみんな再び黙った。

 

「ですがその国がそのような行いをしたのは列強レイフォルの保護国『パガンダ王国』が、その国の皇族を処刑宣言しバカにしたからです。結局、処刑はされませんでしたがそれで怒ったらしいです」

「それはその国……名前はなんと言うのだ?」

「グラ・バルカス帝国、別名として第八帝国を名乗っています」

「そうか、それはグラ・バルカス帝国側を一方的に責めるわけには出来ないな」

 

 カナタはそのグラ・バルカス帝国に哀れみを見せた。

 

「しかしそのグラ・バルカス帝国はムー国から更に西の方にあり、ムー国までの距離が我が国からでも2万km以上も離れています。ここまで来れる可能性ははっきり言って皆無です」

 

 結局会議は振り出しへ戻る。解決の糸口は見つからないのだ。飛行機械ではなく飛行魔導も考えられたが、そもそもそんな国がこんな辺境に来るわけがない。首相部は頭を悩ませた。

 味方なら接触してくればいいもの、敵であれば偵察も考えられるがこの辺にあんなものを持った国が存在しない。

 

 その時、外交部の若手幹部がドアを勢いよく開け入ってきた。息を切らし服は汗のせいか濡れている。

 

「何事か!」

 

外務卿か怒鳴り付ける。

 

「待て!余程のことなのだろう、話を聞こう。話せ」

「報告…します…」

 

 息切れのせいか上手く話せていない、しかしその内容はだいたい分かった。それが以下の内容だ。

 北海に全長200mを優に越える2隻の船が出現、海軍が臨検したところ片方には日本国と名乗る国が、もう片方には大日本帝国と名乗る国の大使が乗っていた。敵対の意志は双方とも無いとのこと。また捜査を行うと以下の事項が判明した。

○日本国及び大日本帝国は、前触れもなくこの世界に転移した

○元の世界との情報が遮断され、哨戒機による哨戒を行い付近に陸地を確認。その際に貴国の領空に侵入したことは日本国並びに大日本帝国共々、謝罪したい

○クワ・トイネ公国と会談を行いたい

 

とのことだった。外務卿であるリンスイはそのことにこう返した。

 

「領空侵犯をしておきながらも、会談をしたいと?ふん、舐められたものだな。さっさと追い返せ」

 

 そう言うリンスイにカナタは

 

「まあ落ち着きなさい。会談はともかく領空侵犯について謝罪をしたいそうではないか。一度、話を聞いてみるのを悪くないと思うぞ」

 

 そう話す。また

 

「それに転移については真意は分からんが、それを抜きにすれば話に筋が通る。それに海軍が追い返さないところを見ると、丁寧な対応だったのではないか?」

 

 カナタの質問に職員は

 

「はい、臨検をしたものたちによると見たこともないほど丁寧な対応だったらしく、とても心地よかったと言っています」

「片方は帝国がついているのにも関わらず、傲慢な態度をとらないとはどこぞの皇国とはえらい違いだな」

 

 カナタはそう考えリンスイに言った。

 

「私は会談をしてみたい、リンスイはどう思う」

「職員の話を聞き考えが変わった。会談しても良いと思う」

 

 政治部会は日本国と大日本帝国と会談をする方針で固まった。




 グラ・バルカス帝国は日本と原作通りか、仲良くするか検討中です。


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日日桑久四国会談

また、1日遅れました。作成は終わってるのについつい忘れてしまう。今回もすいません。では、どうぞ

7/19 小説内容の一部変更


 日本国と大日本帝国との出会いに伴い、会談が行われることが決定した。問題は場所だ。どの場所でやるかで船や馬車を出す必要がある。また、日本国と大日本帝国の大使が来たときにいなかったクイラ王国も参加したいとの旨があり、双方の日本は許可をした。そのため四ヶ国による会談になったのだが、クワ・トイネ公国はとても見せられる会議室はなく、クイラ王国に関してはほとんどが荒廃した荒野だ。すると日本国か大日本帝国になるのだが、どちらの国に行けば良いのか分からない。そして大日本帝国の大使が『日本国は我が国にとって未来から来たから、日本国でやろう』ということになり日本国で会談が行われることが決定した。

 

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中央歴1639年1月31日

 

 あの事件から一週間後の今日、日本国に会談のための使節団がクワ・トイネ、クイラとも集まっていた。場所はクワ・トイネで最も大きなマイハーク港である。空は雲が無く快晴であったが、使節団の誰もが暗い顔をしていた。いや、中には笑顔のやつもいたが

 

「船旅か……」

「どうかされたのですか、ハンキ将軍。お顔も優れないようですが…」

「ヤゴウ殿……今は外務局出向なのだから将軍はやめてよい」

「解りました。で、どうされたのですか?」

「いや、今から船旅だと思うと気が重くてな……。お主が思っているほど、良くはないぞ。船旅はいつ転覆するか分からないし、日も中まで入らない。それに衛生面が悪く、疫病になるものも少なくない。それにあまり良い食べ物を置けず、ほとんどが塩辛いものだ。それに水は節約のためほとんど飲めないし、海水なんて飲んだら一巻の終わりだ。日本国は2日で着くと言っておるが、間違いだと思っている。通常では考えられない速度で航行しなければ無理だ」

「私もそう思います。ですが見たこともない鉄竜を持つ国です。おそらく、我々の常識には当てはまらないと」

 

そんな話をしていると、まもなく時間になる。

すると島の影から異様に大きな白塗りの船が現れた。

誰もが愕然とした。

その超巨大な船は沖合いに停泊した。

田上は説明をした。

 

「今回はあの沖合いの船に乗り、我が国『日本国』へ向かいます。この港に接着したかったのですが、水深が浅かったのであそこに停泊いたしました。それでは小舟に乗り、船に向かいます」

 

その船から小さな舟がこちらに3隻ほどきた。その小舟に乗り船に近づくとその大きさと共にもう一つ気づいた。

 

「な、何だあの船たちは!」

 

 島の影に隠れて見えなかったのだろう。他に四隻ほどの船が囲むようにいるではないか。

 

「田上殿、あの船たちは何だ?」

「あの船たちは大日本帝国側が派遣してくださった護衛艦です。全部、日本国だけに任せると面子が丸つぶれするから、せめて護衛だけでも。とのことだったので」

 

 大日本帝国から派遣されていたのは、『鬼・華の二水戦』の異名を持つ第二水雷戦隊の一角、第十六駆逐隊だ。編成は『初風(はつかぜ)』『雪風(ゆきかぜ)』『天津風(あまつかぜ)』『時津風(ときつかぜ)』である。それを田上から聞きハンキはまた驚いた。そのあとも、どんな風に動かしているのか聞きながら時間は過ぎていった。

 

───────────────────────────

二日後……

 

「本当についてしまった……」

 

 ハンキ以下使節団は本当に二日でついてしまい、動揺を隠せなかった。

 

「もうそろそろ、福岡市に着きます。ここでバスや電車などを乗り継ぎ、ホテル新日航まで向かいます。そこで我が国における基礎知識、おいては今後の予定についてホテルでご説明させていただきます」

 

 福岡市博多港が見えてきた。そこには高層建築物が建ち並び、都市高速と呼ばれる奇妙な魔物が走っている道が見える。その魔物について聞くと彼らは『車』と言っており、一世帯に一台を持っているらしい。20代~60代が基本的に持っており、グレード(等級)の差はそれなりにあるらしい。なお、これは日本国側で大日本帝国側はまだ、富裕層しか持てないらしい(田上は事前に大日本帝国の様々な事を調べた)。

 我が国、クワ・トイネ公国で例えれば国民一人一人が馬車を持っている同然のこと、『豊か過ぎる』と言っても過言ではない。

 

 ホテルに着き基礎知識を学ぶ。文字は読めないため、口頭の言葉を紙に書くだけだが、その紙も上質である。しかし、彼らにとってはそこまで高価でもないらしい。どれだけ発展しているのか、最早分からない。その後も、教育や刑法、憲法、法律など様々な事を勉強した。若い者には覚えることが多すぎて、机に頭を突っ伏しているのもいる。特にわからなかったのは『科学』だ。科学は魔法や魔導とは全く違い、内容がはっきり言ってちんぷんかんぷんだ。

 

「田上殿、これは必ず全部覚えなければいけないのか?」

 

 ハンキは田上に質問をする。彼も覚える内容が多すぎて、頭がパンクしかけているのだ。

 

「全部覚えなくても、構いませんよ。逆に自分が知りたい分野に絞れば、効率が良いですよ」

 

 この答えにハンキは自分が覚えた方が良いものだけを選別し、記録した。そして更にハンキは質問した。

 

「田上殿、ここはかなり発展しているようが、首都はもっとすごいのか?」

「もう比較になりませんね。福岡市はあくまでも一地方都市ですし、そもそも首都は政治を行っているところです。政治を行ってはいないが、首都に近いくらい発展しているところを都市と言うのですよ。まあ、人の出入りが激しいせいなのか首都の方が汚いと言われてしまうので、お恥ずかしいかぎりです」

「そうなのか、それと田上殿。できれば日本軍を見たいのだが、できるか?」

「憲法は改正されましたが、我が国では軍と呼ばれるものはないですね。代わりに自衛隊というものがありますが」

「では、その自衛隊を見ることはできるか?」

「今、確認してみます。少しお待ちください」

 

 田上は小さな光る板を持ち出し、何かしていた。何かを確認できたのか再び戻した。

 

「ハンキさま、明日ちょうど航空自衛隊築城基地で航空祭が行われるそうです。戦闘などはありませんが展示飛行があるので、それでよろしければ手配いたしますが」

「おお、頼む」

 

 ハンキは上機嫌だった。今回は外務局として来ているが、軍人として血が騒いだのだろう。

 

「他に参加する人はいますか?いましたら来賓席をご用意しますが」

「では、私もお願いします」

「私もだ」

 

 ヤゴウとメツサルが手を挙げ、ハンキとヤゴウ、メツサルは明日航空祭に行くことになった。

 

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翌日

 

 ハンキとヤゴウ、メツサルは築城基地の来賓席に着いた。

 

(高速道路では奇妙な魔物のせいで頭が回らなかったが、今回は鉄竜を見れる。そういえばマイハークのイーネは、飛行機械だとか言ってたな……)

 

 やがて航空祭が開催された。

 

 一般市民がぞろぞろと中に入っていき、その中には日本人とは違う肌色の人たちもいた。外国人にも見せているということは、それほど信頼されているのだろう。クワトイネ公国やクイラ王国ではあり得ないことだ。

 

『ただいまよりブルーインパルスによる展示飛行が行われます。右側の空をご覧ください。ブルーインパルスのT-4計六機が時速約850kmで進入して参ります』

 

!!!!!!

 

「田上殿、今850kmと言ったか!」

 

 三人はとても驚いた。何故ならワイバーンの最高速度は約235km、それの約4倍ちかい速さなのだ。そしてその六機は空中で3様々な曲技飛行を行った。特に彼らが青ざめたのは、カリプソやバック・トゥ・バックなどの通常飛行に背面飛行で上下で飛行である。普通の神経では出来るわけがない。

 

「あの飛行機たちは最高速度はどれくらいなのだ?」

「T-4は練習機ですが有事のために最高速度はマッハ0.9になります。戦闘機ですと、F-15Jがマッハ2.5になります。音速を越えますと、衝撃波が生じるので、今回は時速850kmに押さえているようですが」

 

「………………………」

 

 三人はただただ圧倒され、もう終わりに近くなっていた。

 

「今年も見られますかね」

「見られるとは?」

「恐らく……あっ見えました。あそこにいる人です」

 

 そこには迷彩服を着た男性が建物の上で拡声器と呼ばれるものを使い、何か話していた。

 

『えっ~とですね、じゃあ質問タイムに行きましょうか?今の皆さんテンション高いんで質問いっぱい来ると思います!はい、質問ある人っ!』

 

 何かを話しており質問を聞いていた。どんな質問があるのか分からなかったので、とりあえずハンキは静観した。

 

Q:彼女は出来ましたか?

『彼女ですか?長いことやってると縁もあるようで、僕にもやっと彼女が出来ました!』

 

 会場は盛大な拍手に包まれていた。

 

『いや~嬉しいですね。こんな大勢の人にお祝いされると。では神様にお礼いいましょうか。神様ありがとうございまーす!』

 

 一斉に大きな笑いが会場中に響いた。

 

『まあ、こんなことしてるから逃げられるんでしょうけどね……』

 

 ハンキたちも年甲斐もなく笑ってしまった。その後も彼の話は続き、とても良かったと彼らは感じた。

 

その日のハンキの日記

『町に溢れんばかりの高層建築物、様々な所から入り乱れる高速道路、都市や町を繋ぐ大規模流通システムの鉄道。

 これらを魔法を使わず科学というもので作る日本というのが恐ろしくなってきた。

 しかもここは首都ではなく一地方都市に過ぎず、驚愕以外の何物でもない。

 その豊か過ぎる日本を支える軍事技術は自分たちの想像を越えていた。

 鉄竜と思われたものは飛行機と言い、最も速いものだとマッハ2.5、音速を軽く越えている。しかし、これだけの軍事力を持っていながら、日本は防衛のために持っているという。それにこれだけの軍事技術ならたくさんの国家予算があるものだと思ったら、1%ほどしかないという。たったの1%でこれだけの軍事技術が出来るとは、やはり豊かとしか言いようがない。

 それに飛行機の用途は一つではなく哨戒機や戦闘機など様々な機体に別れ、戦闘機との闘いになれば我が国のワイバーンは勝つことが不可能だ。

 彼らと友好関係を構築することは絶対条件だ。

 彼らを敵に回すのは列強よりも恐ろしく感じる。相手の機嫌を損ねてはいけない。損ねれば首がとぶと思った方がいい

p.s.航空祭の彼はとても面白かった』

 

 ハンキは日記を書いた後、ヤゴウとメツサルに会い深夜まで話した。三者とも日本の評価は好ましいものだった。

 

───────────────────────────

翌日

 

 かつての地球と比べ汚染物質が少なく、日本の空気は連日澄んでいた。そして、田上に起こされたハンキたちは新幹線というものに乗り、東京に着いた。新幹線の速さに驚き、更に振動の無さに更に驚いた。今日は特にすることが無いため、田上の誘いで江戸博物館という所にいった。そこには昔の日本人について知れたが、昔から日本人というものは勤勉な性格だというものが分かった。何故なら、昔の書物などは基本的に残ることが少ない。理由は単純、支配する長が以前の長の書物や建物を壊したり焼くのだ。その歴史の勉強は彼らが更に日本を知ることができた。

 

───────────────────────────

翌日

 

 ついに日本の国会議事堂に着いた。中に案内されるとすでに日本国と大日本帝国の首相陣が座っていた。ハンキたちが入ってきた途端、全員が立ちこちらにお辞儀をし、再び座った。なんと礼儀正しい人たちなのか。そして、ハンキたちも案内された席に座った。

 各席の前方にはその国の国旗もしくはそれに通ずる旗が置かれていた。

 日本国には鉄竜にも描かれていた、白い生地に赤い丸の旗だった。

 大日本帝国は、日本と同じ白い生地に赤い丸の旗ともう一つ、赤っぽい生地に金の菊の旗だ。

 クワ・トイネ公国は緑色の生地にU字の様な稲穂、その中に女神がおり白いリボンが描かれた旗だ。

 クイラ王国は上に白・下に黄色の生地に赤い円、そこに鷹とツルハシと下方にある赤い円の上に10個の桜が描かれた旗だ。

 

 そして会談が始まった。日本国と大日本帝国が二ヶ国に頼んだのは、食糧と鉱石・原油である。食糧は日本国・大日本帝国を合わせて約1億トン、もちろん一国だけでなく複数の国からも考えてだ。これに関しては7400トンまでクワ・トイネ公国が対応できるとのことだった。クイラ王国はそもそも輸出できるほどの食糧が無いため、辞退した。鉱石・原油はクイラ王国で加工価値が見つかってないものが、それかもしれないとのことで確認した後に輸入。クワ・トイネは輸出できるほどの鉱石・原油が無いため辞退した。

 

 その後も四ヶ国の会談は続き、以下の内容が決定した。

 

①日日桑久不可侵条約

②日本国によるクワ・トイネ公国及びクイラ王国のインフラ整備

③大日本帝国によるクワ・トイネ公国及びクイラ王国の軍事力強化

④日日桑久貿易(食糧や鉱石・原油なども含む)

⑤為替ルートの作成

⑥以上のことをふまえ、国交樹立を継続する

⑦日桑久三国同盟、日本国は先送り

 

 主に7つのことが決まり、細かな内容は後々決まることにとなった。四ヶ国の接触は世界の新たな時代への一歩となった。常に変化し続ける世界の渦に、彼らは飲み込まれていく。




大日本帝国は形状『天皇陛下』が国家元首なので、菊の家紋の旗を一緒にしました。赤い線が放射線状になってるのは、軍旗な上に当時の日本では陸軍と海軍で見た目が違うので。


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動乱

少しずつ世界が変わっていく瞬間ですね。さて、二つの日本はどこまでこの世界に干渉するのか、見所ですね。では、どうぞ!

6/28 誤字修正
7/14 誤字修正
8/23 加筆訂正


中央歴1639年3月22日

 

 あの会談からもう二ヶ月は経とうしていた。二つの日本との接触は、クワ・トイネ公国とクイラ王国を嵐のように変えていった。食糧や鉱石・原油の輸出により双方はこれまで以上に、お金が回っていた。二つの日本はこれらの引き換えに様々なものを輸出してくれた。

 まず日本国からは繋ぎ目が分からないくらい精巧な道路、都市間を大規模流通システムの鉄道、高層建築物のノウハウなどを構築させようとしていた。これらが完成すれば各都市の流通が活発になり、今まで以上の発展をするだろうと経済部から試算の報告が連日届いている。

 続いて大日本帝国からは様々な武器・兵器が輸入された。もちろん、それらはあくまで貸与されたものであり、自分たちで開発ができるようになったら返す約束をしている。

 陸軍に貸与されたのは三八式歩兵銃と九九式八糎高射砲だ。対人と対空の武器で、陸軍でありながら空軍を撃墜することが可能なのことに、驚いた。

 海軍に貸与されたのは河内(かわち)型戦艦『摂津(せっつ)』、浦風(うらかぜ)型駆逐艦『浦風』、江風(かわかぜ)型駆逐艦『谷風(たにかぜ)』だ。三隻はすでに除籍が決まっていたが、戦争によりそれどころではなくなり、ずっと鎮守府に居座っていた。だが、彼らにとっては小型という駆逐艦でも自分たちの船より、大きかったため驚いた。

 空軍に貸与されたのは九七式戦闘機だ。使用されてはいるものの製造されたのはすでに5年前だったため許可がおりた。なお、ワイバーンなどは対地戦闘用と哨戒用として使用されることになった。

 

 首相であるカナタは顔をにやけていた。その手元には『クワ・トイネ公国のインフラ整備報告書』と『クワ・トイネ公国軍備拡大計画』である。先ほどの内容は全てここに書かれており、ほんの一部にしか過ぎない。

 

「すごいものだな……、日本国と大日本帝国とやらは。明らかに三大文明圏、いやもしくはそれ以上だ。彼らとの出会いが我々の生活水準を完全に変えてしまった。」

 

 首相のカナタはそんなことを秘書に語りかけた。

 

「しかし彼らが平和主義者で助かりました。大日本帝国も日本国も最近、戦争になっていましたが、それは経済断交などによる国家存亡をかけた仕方ないものでしたので」

「ああ、それに大日本帝国から貸与された武器や兵器も日本国には一部(・・)劣るものの、我々の常識を外れている」

「ですが一部は『新世界技術流出防止法』により中核的技術は貰えませんでしたが、それでもやはりすごいものです」

「……さて、ロウリア王国がそれまで待ってくれるかだな」

「どうでしょうかね……」

 

 変わりつつある景色を見ながら二人は夕日を感じていた。

 

───────────────────────────

ロウリア王国 王都『ジン・ハーク』 

 

 ハーク城 御前会議

 

 満月が輝き綺麗な夜、春とはいえまだ肌寒い。王城には松明が大量に挿され、薄暗い会議室でこの国の未来を決める重要な会議が始まろうとしていた。

 

「王よ、全ての準備はもう整いました」

 

 白銀の鎧を着た黒ひげの男性が進言する。彼の鎧は所々ひび割れているが、それは戦闘によるものではなく異常な筋肉により、鎧が耐えられていないようだ。

 彼の名は将軍『パタジン』

 

「二ヶ国を相手に勝つことは可能か?」

 

 威厳を保ちつつ話すのは大王『ハーク・ロウリア34世』である。ロウリアを統治し続けて34代目の王だ。

 

「一国は田畑を耕すほどの頭しかなく、一国は不毛の大地でそもそも戦いを知らない。どちらも亜人の集まりしかすぎず、負けることなど全くもってありません」

「1ヶ月前に接触してきた日本国と大日本帝国とやらの情報はあるのか?」

 

 双方の日本はすでにロウリア王国と国交開設をしようとしたが、クワ・トイネ公国とクイラ王国とすでに国交を結んでいたため門前払いを受けていた。また、双方の日本は亜人差別に対し酷い嫌悪感を持っていたので、一度きり来ることは無かった。

 

「ロデニウス大陸の北東に現れたたかが新興国の二ヶ国です。それにここからも約1,000km以上離れており、脅威とは思えません。

 更にスパイからの情報によればワイバーンすら知らない、いわば極度の蛮族と思われます。情報はまだ少ないですが……」

 

 ワイバーンのいない国家など普通はないが、そういう飛竜がいないと空の支援が無いため戦いに勝てる見込みなどない。

 ワイバーンのみで騎士団が壊滅することは少ないが、精神的ダメージはとても高い。

 

「そうか……そうかそうか!やっと我が国の念願なロデニウス大陸の統一か出来るのか!忌々しい亜人共を駆逐し根絶やしに出来ること、私は嬉しく思うぞ!」

「統一の暁には、あの約束をお忘れ無く。クックックッ」

 

 真っ黒なローブを着た男がロウリア王にささやく。男性でも吐きそうな位、気色悪い声でだ。

 

「解っておるわ!」

 

 ロウリア王を怒声を上げながら、肘付きを殴る。

 

(ちっ!三大文明圏外だがらってバカにしやがって。ロデニウスを統一したら、フィルアデス大陸も統一してやる!)

 

「将軍、今回の概要を説明せよ」

 

 ロウリア王は足を組み直し問う。

 

「はっ!説明させていただきます!今回の作戦総兵力は50万人、内10万人は念のため本土防衛兵力とし、残りの40万人で侵攻を行います。手始めにクワ・トイネ公国の国境都市『ギム』を攻め落とします」

 

 興奮しているのか声がとてもハキハキてしおり、少し早口である。

 

「兵站に関しては奴らは家畜でさえ旨いものを食っています。現地調達いたします。『ギム』を落とした後は、さっさと首都『クワ・トイネ』を落とします。脆弱な防壁なので簡単に破れると思います。それと並行し、4400隻からなる大艦隊をマイハーク北岸に強襲揚陸し経済都市を制圧します。

 食糧をクワ・トイネに頼ってるクイラなど、その供給を止めてしまえば、簡単に干からびます」

 

 さらに彼は続ける。

 

「それに加え奴らの兵力は5万ほど、我々の戦力の前に勝てる見込みなどなし。圧倒的物量の前に奴らは降伏するでしょう。6年もの歳月を待ったかいがあります」

「クックックッ………、ついに………ついにだ。今宵は今までで最も良い日だ。クワ・トイネとクイラに対し戦争を許可する!」

 

 その後の王城には喧噪が包まれた。

 

 

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クワ・トイネ公国 日本大使館

 

 日本大使館は大日本帝国と日本国の共同大使館として使われていた。そこにクワ・トイネ公国外交官が急ぎの用事があるとのことで、立ち会っていた。

 

「えっと、何か不便なことが起きたのですか?」

「もしかして、我が国の兵器が暴発、もしくは兵士が犯罪を起こしたのか?」

 

 日本国の外務省キャリア『田上』は自分たちが頑張ってやって来たインフラに、何か不便があったのかと思いそう言った。

 大日本帝国の駐在武官『栗林忠道』は自国の兵士が犯罪を起こした、または兵器が暴発したのかと思いそう言った。

 

「いえ、日本国のインフラで不便と感じたことはないですし、大日本帝国の兵器が暴発、或いは兵士が犯罪を起こしたなどは聞きません」

「では、何があったのですか?」

「……ロウリア王国が国境沿いに軍を集結していることが、分かりました」

 

 田上と栗林は驚愕の顔をした。そして二人とも同じことを言った。

 

「「戦争……ですか………」」

「はい」

 

 田上は問う、なぜ戦争が起きたのかを。返答は屈辱的なものだった。『亜人差別』又は『種族差別』である。栗林もこめかみに怒りがこみ上げているのが見える。

 

「援軍を出せないでしょうか?」

 

 田上と栗林は難しい顔をした。援軍は一個人で決められることではないため、国家と連絡をしなければならない。

 

「我が国、日本国は憲法で軍隊を持てないため援軍は出せません。一応、本国に伝えますが……」

「我が国、大日本帝国は私の決断で援軍は出せない。本国にて確認します。良い結果がくればいいものです……」

 

 二つの日本は戦争が無くなり、平和と思った矢先にこれだ。援軍を断り何千万人の餓死者を出すか、援軍を出しクワ・トイネ公国・クイラ王国を救うか、答えは一択だった。援軍を出すことを僅か3週間で決めたのだった。




ついに動き出したロウリア王国、ロデニウス大陸内での争いは如何に!そして二つの日本は援軍を出すことを決める、新たなる戦争の幕開けです。

以前、書かれていた浦風型駆逐艦江風ですがイタリア海軍に引き渡されて、日本には別の江風がいたようです。皆様に謝罪いたします。

次回『ギムの惨劇、そして二つの日本の決断』です。題名からもう分かってると思いますが、お楽しみに!


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ギムの惨劇、そして二つの日本の決断

さて、ついに恐れていた事態がきましたね。どこまで耐えられたのでしょう。では、どうぞ

7/15 加筆訂正
10/21 加筆訂正


クワトイネ公国西部

 

国境より20kmに位置する町『ギム』

 

 中央歴1639年4月11日午後

 

 クワトイネ公国『西部方面騎士団』『西部方面第一・第二飛龍隊』

 西部方面騎士団団長モイジは酷い焦燥感に漂っていた。この西部方面を守る西部方面隊の兵力『歩兵2500人』『弓兵200人』『重装歩兵500人』『騎兵200人』『軽騎兵100人』『飛龍24騎』『魔導師30人』を、自分の命令一つで失うことに。そしてクワ・トイネ公国にしてはかなりの戦力だが、ロウリア王国と比較すると月とスッポンくらいの兵力差がある。先ほどからずっとこちらの通信を無視しており、宣戦布告なしの奇襲攻撃をすると思われる。

 

「団長、市民の疎開は完了しました」

「そうか………、後はどれだけ持ちこたえられるかだな」

「そうですね……」

 

 西部方面騎士団はクワ・トイネ公国内では国境付近ということもあり、かなりの戦力が集中している。だが、あちらにここを攻略するであろうロウリア王国の軍を見ると、その強さは全く見えないのだ。

 

「司令部への増援要請はまだなのか?」

「……あいにく司令部も宣戦布告されていない以上、動けないみたいです。我々が壊滅して始めて動くと思います」

「そうか、宣戦布告されていない以上こちらも動きようがないということか。仕方ない、そう言えば聞こえが良いものだな」

 

 それぞれの思いをのせ時間は無常にも刻一刻と過ぎていった……

 

 

───────────────────────────

翌日の早朝

 

 突如、ギムの西側国境付近に不審な赤い煙が上がった。と、同時に通信用魔法から、緊迫した通信が入る。

 

「ロウリアのワイバーン多数、国境をギムへ侵攻!同時に歩兵……数万が侵入した!繰り返す!ロウリア王国が国境を越え侵攻した!直ちに防衛戦よ…………」

 

 通信用魔法が突如途切れた。おそらく殺されたと思われる。先ほどの赤いのろしは、侵攻の合図だと確認した西部方面騎士団長モイジは吼えた。

 

「敵はこちらへ侵攻を開始した!ここで少しでもこらえるぞ!第一、第二飛竜隊は全騎上昇!軽騎兵は側面からかく乱しろ!騎兵は遊撃、指示あるまで待機!前列に重装歩兵、中列に歩兵、後列に弓兵を配置しろ!列は乱すなよ!魔導師は攻撃は良い、支援だけに集中しろ!」

 

 次々と飛竜が舞い上がる。隊を三つに分けての攻撃、第一部隊は水平攻撃、第二部隊は最大高度まで、第三部隊は歩兵の支援に。

 だが、その方法は敵に丸わかりだった。第一、第二部隊は早々と墜とされ、第三部隊もその餌食となり死体が味方に墜ち、戦線は混乱し僅か一時間足らずで壊滅した。

 

 ロウリア先遣隊副将アデムはイライラしていた。なぜなら、ギムの市民が一人も見つからないのだ。

 

「貴様、市民をどこにやった?」

「ふん、蛮族に誰が教えるものか」

 

 アデムは更にイライラし、顔が真っ赤になっていた。そして

 

「下等種族が人間様に逆らうな!」

 

 そう言い彼は勢いでその首を斬った。

 

「ちっ!おい、こいつをそのへんの魔獣の餌にしてやれ」

「は、はい!」

 

 アデムはモイジを魔獣が集まる所に捨てると、すぐに城塞都市エジェイへ向かって侵攻した。

 

 

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西暦1942年3月8日《中央歴1639年4月13日》

 

大日本帝国 御前会議

 

 会議室は重い空気に包まれていた。それもそのはずクワ・トイネ公国のギムがロウリア王国によって支配されたのだ。市民こそ疎開し逃げれたものの、兵士は皆殺しにされた。

 

「今回の件、意見があるものは手を挙げよ」

 

 陛下は重い口を開きそう言った。そして、その陛下の言葉に東條が手を挙げた。そして、東條は話した。

 

「今回のロウリア王国のギム占領及び兵士の虐殺は、とても許されざる行為ではありません。それに民間人に対しても暴行をしようとしていたらしく、もしも疎開が少しでも遅ければもっと悲惨でした。今回クワ・トイネ公国から申請されている援軍は、出すべきと私は思います」

 

 東條が話し席に座った後、向かい側の嶋田が手を挙げこう述べた。

 

「今回の東條及び陸軍の案に海軍は賛同する。戦争こそはあまりしたくないが、ロウリア王国のしていることは許されない。なら、援軍を出し友好国であるクワ・トイネ公国とクイラ王国を助けるのは、我が国の責務である」

 

 犬猿の仲とも言える陸海軍が今回に関しては意見が合致した。そして更に嶋田は続ける。

 

「そして今回の援軍で確認したいこともある。これは海軍だけの問題ではないのでな」

「海軍だけの問題ではない、どんな問題だ?」

「それについては今回の議題とは別に話したい」

 

 それにより東條と嶋田は天皇陛下に『以上です』と言い、座った。そして天皇陛下は口を開いた。

 

「此度の件、陸海軍共によくぞ承認してくれた。今回の援軍派遣の件は、友好国であるクワ・トイネ公国とクイラ王国を守るため陸海軍は協力し作戦に挑んで欲しい。これにて今回の御前会議を終了する」

 

 天皇陛下が立ち重臣たちも立った。そして重臣が陛下に礼をした。天皇陛下は顔を上げよと言い、重臣たちは顔を上げた。

 

「先ほど海軍大臣である沢本が話した議題についてこのまま行う」

 

 重臣たちが『了解しました』と言う前に更に天皇陛下は続けた。

 

「と言いたいところだが、ちょうど昼時だ。お腹が減ってしまってな」

 

 重臣たちが一斉にコケそうになったが、なんとかこらえた。

 

「わ、分かりました陛下。では昼食を取り、午後1時半に嶋田海軍大臣の議題でよろしいでしょうか?」

「ああ、頼んだ」

 

 そして天皇陛下が会議室から出ていき、重臣たちも昼食を取りに出ていった。そして予定通り午後1時半に会議が行われた。

 

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西暦2025年11月14日《中央歴1639年4月13日》

 

日本国 緊急会議

 

 会議室は重い雰囲気に包まれているのは確実だった。理由などいわなくても分かるであろう。かつて日本も経験し、また経験する可能性があったからだ。

 

「今回、クワ・トイネ公国の町『ギム』がロウリア王国によって占領された。どのような動きを行うか決めたい」

 

 防衛大臣の東栄が手を挙げ述べた。

 

「彼らの行っていることは、かつての欧米列強が行った選民思想に近いものだ。憲法のせいで私たちは援軍として出せない。なら武装勢力として鎮圧する、これなら出すことができる。地球でのあれはアメリカの経済断交による国家防衛のために自衛隊を動かせたが、今回は訳が違うからな」

 

 今度は農林水産大臣の山西が手を挙げ述べた。

 

「兵站に関してはクワ・トイネ公国から支給される携帯食で良いでしょう。日本だけ良い携帯食は差別を産み出してしまうので」

 

 山西の話が終わり遠江は他に話すことがある人がいるか聞いた。すると国土交通大臣の(ひいらぎ)(ゆかり)が手を挙げた。

 

「例え海上封鎖をしたとしても限界があると思います。そのため海上保安庁も一部動かした方が良いと思います。この辺は海賊も出るとのことですので、ロウリア王国とは別の危険が迫ります」

「分かった、私から話を通しておこう。他はあるか?」

 

 遠江は会議室を見渡し、誰も手を挙げてないのを確認した。

 

「今回のは友好国である『クワ・トイネ公国』及び『クイラ王国』を守るための『ロウリア王国』の武装勢力鎮圧だ。彼らの非人道的行為は無視してはならない。では、解散!」

 

 会議は終了し各省は仕事のため一目散に散った。

 

 

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クワ・トイネ公国 政治部会

 

 会議は重い沈黙から始まった。それもそのはずだ。国境都市『ギム』がロウリアの手に落ちたのだ。市民こそ疎開で逃れ命を繋いだものの、騎士団は全滅した。『悪夢』それ以外の何物でもない。それに敵兵力陸軍総勢50万人、海軍総勢4400隻、空軍総勢500騎以上、勝つ見込みがない。

 

「何か報告があるものはいるか……」

 

 首相であるカナタは弱々しい声で質問をした。その声に反応したのは、外務卿であった。

 

「どういう報告だ……」

「政治部会が始まる前に日本大使館から連絡がきました」

「内容は何だ……」

「はい、まずは大日本帝国から読み上げさせていただきます。『今回のロウリア王国によるギム陥落は、我らの友好国家《クワ・トイネ公国》及び《クイラ王国》の安全を危惧するものとしこれを抑圧しなければならない。クワ・トイネ政府からの要請があれば我が国は援軍を出すことを宣言する』となります。続いて日本国です『ロウリア王国の武装勢力によるギム大虐殺は非人道的行為であり、これを見逃すことは大抵できない。貴国政府からの要請があれば我が国は武装勢力鎮圧のために、自衛隊を派遣することをここに誓う』とのことです」

「双方とも援軍を送ってくれると考えて良いのか?」

「はい、大日本帝国は軍隊を持っていますが、日本国は憲法により必要最低限の防衛戦力しか持てません。我が国でいえば騎士団しか持てない様なものと考えれば分かりやすいかと。そのため憲法を大幅解釈してロウリア王国を武装勢力と見なすことしたのでしょう。双方ともクイラ王国ほどではないですが、工業と呼ばれるものが中心のため食料自給率が低く、我が国からの輸出が途絶えれば餓死者が出るものと考えたのでしょう」

 

 先ほどまで死んだ様な顔をしていたカナタの顔に、生気が戻り始めた。絶望的なこの状況をひっくり返すことのできる唯一の一手が現れたのだ。

 

「すぐに双方の日本にロウリア王国に対する援軍及び武装勢力鎮圧への応援を要請しろ!食糧などはこちらで用意することもな!それと『陸・海・空』の往来を敵対勢力鎮圧のまでの間、無制限に開放することもだ!あとは……軍務卿!」

「はっ!」

「全騎士団及び全飛竜隊に双方の日本に協力するように伝えろ!」

「了解しました!」

 

 先ほどまでの弱々しい声はどこへいったのか、怒気のこもった様な声で次々と指示をしていった。この戦いが今後の運命を変えるものだとは、まだ誰も知る予知は無かった……




早いた段階でヤられてしまいましたね、そして二つの日本も決断が纏まったようです。

さて、次のお話は
『日本参戦!そしてロデニウス海戦前夜』です!
更新がんばりますね


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日本参戦!そしてロデニウス海戦前夜

マスコミがまた出てきます。あとは想像してください。では、どうぞ

8/6 誤字修正


 ついに静観していた日本国及び大日本帝国は、遂に援軍を出すに至った。その際、日本国で放送された内容を見てみよう。

 

日本国 国会

 

 国会にはマスメディアが集結していた。何でも政府から緊急会見があるとのことで、たくさんのマスコミが押し寄せていた。『N○K』~『富○テレビ』、中にはYouTubeで活動している『T○E FA○T』まで色んな業界がいた。そんなマスコミが見守る中、首相の遠江総理が会場へ入ってきた。カメラのシャッター音が無機質に鳴り響く。そして遠江総理の口が開いた。

 

「本日この場に、マスメディアの皆さんを集めたのは重大な発表を国会で決めたことを報告に関してです。これから話す内容は日本経済を破滅するかもしれない、その懸念を感じ決定した内容です。まず話すのはクワ・トイネ公国で起きたことです」

 

 そう言うと遠江総理はクワ・トイネ公国の略歴らしきものを載せた、報告書を見せた。

 

「これはクワ・トイネ公国と接触した日から書いてあるものになります。私が注目して欲しい部分はこちらになります」

 

 遠江総理が指差すところには『西暦2025年11月13日《中央歴1639年4月12日》国境都市ギム陥落 ロウリア王国に占領』と書かれていた。

 

「これは我が国の友好国であるクワ・トイネ公国に対し、宣戦布告なしの戦争をロウリア王国は行い、国境都市のギムが陥落しました。市民こそ疎開で逃れたものの防衛していた騎士は全滅、また付近の村では報告が遅れ疎開が出来ていないところもあります。このロウリア王国の行いに対し、我々は自衛隊を派遣することを国会にて決めたことを報告します」

 

 その言葉にすぐに反応したのはN○Kであった。

 

「戦争になるのですか?」

「戦争になるかもしれないです。ですが我が国の存亡に関わる致し方なきことだと理解してもらいたい。今回の派遣については大日本帝国も行うため、戦闘よりかは後方支援及び難民保護を中心した行動を自衛隊で行う予定です」

 

 この言葉にマスコミは大慌てした。後方支援とはいえ戦場に自衛隊が派遣するのだ。その後、戦争が終わるまで番組のほとんどが自衛隊派遣に関するものになったのは、言うまでもない……

 

 

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大日本帝国 大本営発表

 

 人々は日本国から輸入された液晶テレビやラジオに耳を傾けていた。それは仕方もない。大東亜戦争の開戦に流れた言葉があったのだ。それが以下の内容だ。

 

『臨時ニュースを申し上げます、臨時ニュースを申し上げます。大本営からの重大な発表がございます』

 

 すると場面は軍人たちに変わった。

 

天佑(てんゆう)保有(ほゆう)万世一系(ばんせいいっけい)皇祚(こうそ)()メル大日本国皇帝(だいにほんこくこうてい)忠実勇武(ちゅうじつゆうぶ)ナル汝有衆(なんじゆうしゅう)(しめ)ス。朕茲(ちんここ)友好国(ゆうこうこく)デアル桑久(くわく)()侵略(しんりゃく)サレシ、桑久国(くわくこく)(たい)シテ援軍(えんぐん)(おく)ス。(ちん)陸海軍(りくかいぐん)(よろし)全力(ぜんりょく)(きわ)メテ呂国(ろこく)交戦(こうせん)(こと)(したが)フヘク(ちん)百僚有司(ひゃくりょうゆうし)(よろし)各々(おのおの)()職務(しょくむ)(ひき)()権能(けんのう)(おう)シテ国家(こっか)目的(もくてき)(たっ)スルニ努力(どりょく)スヘシ。(おおよ)国際条規(こくさいじょうき)範囲(はんい)(おい)一切(いっさい)手段(しゅだん)(つく)遺算(いさん)ナカラムコトヲ()セヨ。(おも)フニ文明(ぶんめい)平和(へいわ)(もと)列国(れっこく)友誼(ゆうぎ)(あつ)クシテ()東洋(とうよう)治安(ちあん)永遠(えいえん)維持(いじ)各国(かっこく)権利利益(けんりりえき)損傷(そんしょう)セスシテ(なが)帝国(ていこく)安全(あんぜん)将来(しょうらい)保障(ほしょう)スヘキ事態(じたい)確立(かくりつ)スルハ朕夙(ちんつと)()国交(こっこう)要義(ようぎ)()旦暮敢(たんぼあ)(ちが)ハサラムコトヲ()ス。(ちん)有司(ゆうし)亦能(またよ)(ちん)()(たい)シテ(こと)(したが)列国(れっこく)トノ関係年(かんけいとし)()フテ益々親厚(ますますしんこう)(おもむ)クヲ()ル。今不幸(いまふこう)ニシテ呂国(ろこく)釁端(きんたん)(ひら)クニ(いた)豈朕(あにちん)(こころ)ナラムヤ。帝国(ていこく)(じゅう)桑久(くわく)保全(ほぜん)()……(現代語訳:天の助けによって先祖代々皇位を継承してきた家系に属する大日本国の皇帝は、忠実にして勇敢な汝ら国民に以下のことを知らせる。朕はこの文書で友好国のクワ・トイネ公国とクイラ王国がロウリア王国に侵略されたことに対する、援軍を送ることにする。朕の陸軍と海軍は、ぜひとも全力をつくしてロウリア王国と戦ってほしい。また朕のすべての部下らは、それぞれの職務や権限に応じて国家の目的が達成されるように努力してほしい。国際的な条約や規範の範囲で、あらゆる手段をつくして誤ちのないように心がけよ。朕の考えは、文明を平和的なやりかたで発展させ、諸外国との友好関係を促進することによって、東洋の安定を永遠に維持し、また、各国の権利や利益を損なわないようにしながら、末永く日本帝国の将来の安全が保障されるような状況を確立することにある。これは朕が他国と交渉する際に最も重視していることがらで、常にこうした考えに違反しないよう心がけてきた。朕の部下らも、こうした朕の意思に従ってさまざまな事柄を処理してきたので、外国との関係は年がたつにつれてますます厚い親交を結ぶに至っている。今、不幸なことにロウリアと戦う事になったが、これは決して朕の意志ではない。日本帝国がクワトイネ公国とクイラ王国の保全を重視してき……)』

 

 その後も援軍の辻が話された。これは後に『援軍の詔書(勅)』と呼ばれることは間違いないだろう……

 

 

───────────────────────────

中央歴1639年4月25日 マイハーク港

 

 遂にロウリア王国が4000隻を越える大艦隊を出港させたという情報が入ってきた。クワ・トイネ公国マイハーク海軍基地に司令部があるクワ・トイネ公国海軍第ニ艦隊は哨戒中の戦船を集結させていた。突撃船20隻、装甲船20隻、カタパルト船5隻、バリスタ船4隻、総旗艦1隻の計50隻で構成されている。それに火矢のための油なども用意されていく。

 

「第ニ艦隊が集まるのは結成以来かもしれないな。第ニ艦隊だけでこれだけの数がある」

 

 提督パンカーレはそんなことを呟く。更に彼の呟きは続く。

 

「だが、敵は4000隻をこえる大艦隊だ。80倍以上の戦力差がある、生き残れれば不幸中の幸いかもな」

 

 側近に愚痴をこぼす。どれだけ頑張っても圧倒的な数量の差に勝つものはない。彼には恐怖が込み上げてきた。

 

「愚痴を言っても仕方ないですよ……それと提督、海軍本部から魔信が届いています」

 

 側近の一人で若くして幹部に登り詰めたブルーアイが言う。

 

「分かった、読んでくれ」

「了解です。えっと、『本日夕刻、大日本帝国及び日本国から派遣されし16隻の艦艇がマイハーク沖合いに到着する。なお、作戦に参加するのは内8隻でもう半分は海上警備を行う。彼らは我が軍より先に本作戦を実行するため、観戦武官2名を双方の日本に一人ずつ搭乗するよう求む』とのことです」

 

 一瞬パンカーレは頭が真っ白になった。

 

「たったの16隻だと!しかもその内戦闘に参加するのはその半分、勝算はあるのか彼らは……。それに観戦武官を搭乗するよう求むというが、死ねと言ってるものだ。死ぬと分かっていて部下を送り出すことはできない」

 

 辺りに沈黙が流れる。

「私が行きます」

「俺も行くぞ」

 

 ブルーアイとミドリが発言する。

 

「だが……」

「自分でいうのもなんですが、私は剣術No.1です。一番生存率が高いのは私です。それに……」

「アイツらはみたこともない兵器を使用する。第一艦隊に貸与されている戦船だってそうだ」

「二人とも………すまない!」

「了解しました!」

「了解だ!」

 

 ブルーアイは日本国の護衛艦?に、ミドリは大日本帝国の戦艦に乗ることなった。

 

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日本国 第一訓練護衛隊郡米人第一部隊旗艦

 

 自衛隊は戦闘訓練こそあるものの、実戦経験は戦後80年以上一度も起きてない。そのため元米軍が戦場に一隻派遣された。それを見たブルーアイは目が点になった。恐ろしく大きいのだ、自国の船が豆粒に見える、そう言っても過言ではない。その甲板を彼はヘリコプターなるもので見た。その甲板は平らだった。そこから彼はあるものを想像した。

(こ、これは騎馬戦を基本にしたものなのか!そうかなるほど、これだけ大きければ人員も馬も運べる。なんと、進んだ船なのか!)

 実際には違うが彼はそう解釈していた。その史上最大の空母『ニミッツ』を見て理解しようとした。

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ニミッツ原子力航空母艦『ニミッツ』

全長:333m

最大幅:76.8 m

基準排水量:80,000 t以上

速力:30kt以上

搭載機数:最大90機以上

建造費:約6億7,900万米ドル

世界で初めて量産された原子力空母であり、そして史上最大の空母である。

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 そしてその大きな甲板に乗る。こ、これは鉄で出来ているのか!?どうやって浮かんでいるのだ?やがて自衛官に案内され、艦内に入る。明…るい?なぜ?周りが鉄だから燃え移るのを心配せず何か燃やしているのか、それとも光の魔法か……

 

 やがて彼は艦長と会う。

 

「Hello!Nice to meet you!」

「は、はろー?」

 

 彼は困惑した。日本語とは別の言葉が話されたのだ。

 

「艦長、英語じゃなくて日本語で喋ってください」

「oh…sorry……」

 

 そんな言葉を言ったあと再び彼は言葉を言った。

 

「コンニチハ!ハジメマシテ!」

「あっ、こちらこそ初めまして」

「シカシ、マモトモムリイウヨ。ワタシガニホンゴニガテナノシッテルデショ?」

「片言とは言え、それだけ喋れたら十分でしょ」

「ゲド、ゼンブハナセルワケデハナインダカラ、ソノトキハホンヤクオネガイネ」

「はいはい」

 

 彼は自衛官に向けていた顔をこちらに戻した。

 

「ハジメマシテ、コノshipのCaptainをマカサレテイル『カルサー・オリオント・マミル』ダヨ。ヨロシクネ!」

「クワ・トイネ公国第ニ艦隊観戦武官のブルーアイです。この度はよろしくお願いします」

「デハサッソクデスガテキノジョウホウデス!テキノイチハモウハアクズミナノデ、アトハツブスダケデス!テキノKingdom of Louriaはヒッジョーニオソイ5ktデス。アシタノアサシュッコウシテモヨユウデマニアウノデ、Relaxシテクダサイ!」

 

 ブルーアイはなんとなくだが、分かった。彼らは8隻だけで挑むつもりだ。本当に勝てるのだろうか?確かに甲板は広く軽く見ただけでも数十人はいるが、盾などもなしで危険と不安が彼には降り積もった。

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大日本帝国 特別派遣艦隊旗艦

 

 日本軍は史実では不幸になってしまった艦隊を編成していた。その内4隻は海上警備とはいえ、戦場に出されたのは幸運なのかもしれない。そうスリガオ海峡で壊滅した『西村艦隊』の編成だ。史実では7隻の編成なので三隈(みくま)が組み込まれた。その旗艦を見たミドリは、顔を青くした。城が浮かんでいたのだ。いや、とてつもなく変な形になっているので城かどうかは怪しいが、とにかく城が浮かんでいた。そして小舟で近くまで行くとその大きさは自国の船を凌駕していた。彼が乗っていた船は彼を下ろしたあと、戻っていった。どうやらこの船には搭載されていないようだ。

(で、でかい!しかしこんな複雑な形では人を出しづらくはないか?だが、このでかい棒がついてるやつはなんなのだろうか?)

 彼はこの船の仕様が全く分からなかった。無理もない、この文明圏外では見ることは皆無に等しいのだから。それでも彼は考えた、その史上最も不幸な艦に数えられる『山城(やましろ)』を見て。

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扶桑(ふそう)型戦艦『山城』

全長:224.94m

最大幅:34.60m

基準排水量:39,130t

速力:24.6kt

主兵装:四一式35.6cm連装砲6基

建造費:220万円前後

 純国産初の超弩級戦艦として建造されたが、性能の悪さ故に活躍の機会が少なく姉『扶桑』とともに不幸型戦艦もしくは洋上の違法建築と呼ばれる

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 彼は驚いていたが近くの軍人は何も言わなかった。彼は恥を掻いたと思いながら、近くの軍人に案内を頼んだ。その人物は快く引き受けてくれた。艦内に入るとさらに驚いた、明るいのだ。しかし、魔法具らしきものはなく、火を燃やすものもない。彼は首を傾げながらもついていった。

 

 やがて彼は艦長と会う。

 

「初めまして、ワシは小畑長左衛門という。ワシよりかは司令官に聞いた方が作戦内容も頭に入るだろう。司令官!」

 

 彼が司令官と呼んだ先には一人の男がいた。こちらに顔を見せたとき、ミドリは背筋に寒気がはしった。優しい目をしているが、とても恐く感じたのだ。

 

「どうした?」

「今回の作戦、ワシより司令官の方が詳細に知ってると思ったので、お呼びしました」

「別におめが言っても構わねぁのに……」

 

 突然、言葉が変わったことにミドリは首を傾げた。

 

「司令官、今は観戦武官がいるので秋田弁はやめて標準語にしてください」

「おっと、すまない」

 

 司令官と呼ばれた人物は軽く咳をすると、こう言った。

 

「初めまして、特別派遣艦隊及び日本国の艦隊2つの総指揮を任されている西村祥治だ。よろしく頼む」

「クワ・トイネ公国第二艦隊にて観戦武官として派遣されました、ミドリといいます。こちらこそよろしくお願いします」

「それでは作戦内容をいいましょう。まず彼らの位置ですが、日本国の未来レーダーによりすでに場所を把握しております。また、映像も送られましたが、おおよそ5ktととても遅い速度ですがこちらへ向かってきております。なに、大丈夫です。敵の攻撃が来ないアウトレンジ戦法でいきますので」

 

 ミドリはアウトレンジ戦法がよく分からなかったが敵の射程圏外から一方的に攻撃をするといっていたことから、自分たち8隻だけて挑むのではないかと。だが、どのような方法で攻撃をするのか全く検討がつかないのが、唯一の恐怖だ。

 

 

 

 ミドリは艦内を歩いていると、二つの声が聞こえた。

 

「不幸だわ……まさか私が旗艦に選ばれるなんて……」

「運が悪いのは建造されてからずっとだよ!みんなのお役にたてるよう頑張ろうよ!」

 

 1つは成人女性の声で、もう1つは少し幼さが残る声だ。ミドリは声が聞こえた場所に行くと、二人の女性がいた。何があったかと思い近づくと

 

「誰!?」

 

 ミドリはその声にビックリした。

 

「別に何にもしないからでておいでよ~。まあ、敵のスパイだったら撃つけどね」

 

 ミドリは怖さと葛藤しつつも近づいて行き、自分のことを話した。

 

「わ、私はクワ・トイネ公国より観戦武官として派遣されました、ミ、ミドリと言います。お二人の声が聞こえたので、何かあったのかと思い近づきました」

 

 ミドリは緊張しつつもロデニウス式敬礼で自己紹介をした。

 

「そういえば、西村さんと小畑さんが言ってましたね。はあ、不幸だわ……」

「ちょっと!それだとあの人に言ってるように聞こえますよ!」

「ご、ごめんなさい。あなたに言ったわけじゃないの!」

「い、いえ大丈夫ですよ」

 

 ミドリは二人の姿にくぎづけになっていた。片方は白い巫女服と呼ばれるものを着ている黒のボブカットの成人女性、もう片方は黒い巫女服と呼ばれるものを着ている姫カットで狐のお面を乗っけている少女、だった。

 

「あ、あの、お二人の名前をお聞きしても大丈夫ですか?」

「別にいいけど……」

「自己紹介!いいよ、やろうやろう!」

 

 すると成人女性が光った。光が止むと奇妙なものが彼女に付いていた。

 

「扶桑型戦艦2番艦、山城です。『欠陥戦艦』とか『艦隊にいる方が珍しい』とか、いいたい放題ね…。

でも、いいの。最後の時も、扶桑姉さまと一緒に戦えれば……」

 

 その自己紹介が終わったあと、少女も光り奇妙なものが彼女に付いていた。

 

「あの、扶桑姉さまの妹やまひ…山城です!生まれつきで運が悪いんですけど、姉さまのおかげで元気に育っています!

こう見えても連合艦隊の旗艦も務めたのです!コウクウキ……?なんですか?美味しいものですか?」

 

 ミドリは彼女たちのしゃべっている単語の内、1つだけ聞き覚えがあった。それは『山城』という言葉。小畑艦長や西村司令官が言っていた、この軍艦の名前だ。彼は質問をした。

 

「あなた方は何者なんですか?」

 

 帰ってきた答えは想像を越えていた。

 

「私は艦娘と呼ばれて……」

「私はKAN-SENと呼ばれてるよ!」

 

 それでもミドリはよく分からなかった。そのため艦娘の山城がこう言った。

 

「船の精霊と言ったら分かりやすいかも……」

 

 それでやっとミドリはなんとなくだが分かった。その後はいつ現れたか話してくれたが、彼らのいう転移のあとなので現在究明中とのことで詳しいことは分からなかった。




以前だしたアメリカとの戦争の危惧ですが、まだ国民に発表していないためマスコミは戦後初の戦場派遣(現地)だと思っています。また最後の方に出てきた『艦娘』と『KAN-SEN』はまだ活躍しません。あとあと活躍するかもしれませんが、戦闘かどうかは日本次第です。

 援軍の詔書ですが現代語訳を付けました。また援軍の証書は日露戦争時の『露国に対する宣戦の証書(勅)』を元にしていますので、少しおかしいところがあるかもしれませんが、大目に見てください。

 読みづらいとのことで、カナをつけました。長かったため時間がかかってしまい、申し訳ありません。

では、次の題名は
『ロデニウス大戦勃発!鉄血制裁による、女神の微笑みはどちらに』です。また来てくださいね


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ロデニウス大戦勃発!鉄血制裁による、女神の微笑みはどちらに

皆さん、三週間ぶりです。二週間投稿だと言っていましたが、リアルが多忙で遅れてしまいました。また、来月から本業が始まるので投稿頻度は悪化することをご了承ください。それではどうぞ

6/2 誤字修正
6/7 誤字修正
7/2 誤字修正
7/18 加筆訂正


翌日早朝

 

 双方の日本に一人ずつ派遣されたブルーアイとミドリは、とあることに驚愕していた。それは速力だ。第三文明圏外で主流なのはガレー船という、オールを利用して動かす船と風を利用する帆船だ。ガレー船はともかく、帆船は大風のときは使えない。ちょうどよい風でも6ktいけばいい方だ。それとは別に疑問に思っていたことがあった。船と船の間隔が大きく一部の船に関しては見えない。唯一近いのは、大日本帝国旗艦『山城』と日本国第一訓練護衛隊群米人第一部隊旗艦『ニミッツ』だ。おそらく、情報交換のためわざと近いのだろう。そして、艦隊は西へ回頭を行った。やがて、水平線の向こう側に影が見えた。影の正体はロウリア王国海軍の大艦隊だった。

 

──────────────────────────

ロウリア王国東方討伐海軍 海将『シャークン』

 

「この光景、いつ見ても爽快な気分になる」

 

 シャークンの目に見える光景、それは船にうもれて海が少ししか見えないそれほど大量の船が堂々と前進する。たくさんの水夫がたくさんのバリスタが、とにかく全てにおいて数が超越していた。

 

 六年、そう六年だ。この大艦隊を準備するのにかけた歳月。とても長かった、だが亜人を滅ぼすためにも屈辱的な要求にも耐えた。そのお陰で、これだけの戦力を持つのはロデニウスで我が国以外いないだろう。これだけの戦力、フィルアデス大陸も手中に……

 

(いや、文明圏のパーパルディア皇国には砲艦と呼ばれるさらに強力な戦船があるらしい。さすがに求めすぎたか……)

 

 一瞬頭をよぎらせた野心を打ち消す。第三文明圏に挑むにはまだ足りない。彼は気分を高めようと東の海を見据え………ん?

 

 何かが飛んでくる。箱に棒と回る板?をつけた奇妙な物体が浮かんでいた。

 まさか飛竜……にしては違う気がする。なんだ、あれは……。

 

 その奇妙な物体は自分たちの上に止まると、中から人が現れた。

 

「Surrender immediately. Pirates!」

 

 何か言ったようだが全く分からなかった。中から別の人がその人の頭にチョップをかけ、声を発した。

 

「こちらは日本国海上自衛隊及び大日本帝国海軍です。あなた方はギムにおいて虐殺を行いました。これ以上の虐殺行為は国際平和を乱す行いです。直ちに引き返しなさい。繰り返す……」

 

 人が乗りそして話している。しかし、友好国ではなく敵対国なので、容赦なく矢を放った。それに怯えたのか知らないが、それは旋回し東の空へ立ち去っていった。

 

 しばらくすると向こう側に小島が見え……小島?いや、違う!あれは船だ、とてつもなく大きな!

 

 小島と思ってしまうほど大きな船は常軌を逸した速度で、最前列の帆船脇に回り込み、同時並走した。その距離僅か300m足らず。

 

「すぐに引き返せ!さもなければ貴船を砲撃する!繰り返す、すぐに引き返せ!さもなければ貴船を砲撃する!」

 

 図体はでかいもののたかだか一隻、こちらの4400隻と比べれば他愛もない。海将『シャークン』は攻撃を命じた。帆船は右に旋回し、駆逐艦に距離を詰める。そして100mを切ったところで火矢が駆逐艦を襲う。見たところ損害は見えないが、その船は弓矢の有効射程から離れていく。そして距離は3kmを離れた。

 

 

「ぶっ~!見た目だけかよ、この雑魚が!調子に乗るんじゃねぇよ~!」

 

 火矢を当てた一人が服を脱ぎ捨て挑発をする。しかし、海将『シャークン』は別のことに着目していた。

 

(火矢の攻撃が通らない上に、速度が速い。それに帆も無いとは奇妙な船だ……)

 

──────────────────────────

大日本帝国 特別派遣艦隊第一部隊旗艦『山城』

 

 ミドリは怯えていた。戦地へ着た瞬間、兵士たちの顔が修羅になったのだ。とても話しかける雰囲気ではないほどに、恐ろしい顔になっているのだ。

 

「駆逐艦『満潮(みちしお)』より報告、敵船団より攻撃を受けたとのことです。ただし、損害はゼロ。1つ言えるならば、塗装が少し溶けた位でしょう」

「分かった、全艦に繋げ。日本国の艦艇にもだ」

 

 西村はすぐに命令した。

 

「各艦に繋がりました。司令官、これを」

「ああ、ありがとう」

 

 西村は通信員から渡されたインカムを付けた。

 

「これより本作戦を行う。敵船団の艦艇はガレー船やガレアス船を中心とした、我々からすれば超旧式船だ。負けることはないが慢心はするな。では、海戦を始める祝砲を行う。全艦、砲撃用意!外すなよ、撃てー!」

 

 各艦の主砲は敵船団に砲塔を旋回し、砲撃した。

 

──────────────────────────

ロウリア王国東方討伐海軍 海将『シャークン』

 

 目の良いシャークンは駆逐艦『満潮』の僅かな動きも見逃さなかった。

 

「なんだ、あの奇妙な棒は?」

 

 次の瞬間、耳をつんざくほどの大きな轟音が鳴り響いた。

 

「な、なんだ……爆発したのか?」

 

 しかし、敵船には爆発痕は見当たらない。疑問に思っていると、前方にいた船団のほとんどが突如大爆発した。船であったであろうもの、人であったであろうものが空を舞い飛散し落下してくる。自分たちの船にも人のパーツであったものが落ちてきた。

 

「な、なんだと!?あの距離からこれ程の攻撃!?はっ!全員、散開!散開せよ!密集するな!」

 

 経験上にない計り知れない威力、それを目にした者たちは驚愕と恐怖が襲った。

 

「通信士!すぐにワイバーン部隊に上空支援の要請を送れ!『敵主力船団と交戦、上空支援を要請する』と!」

 

 直撃を免れた船でさえ爆風で穴が空き、水夫を乗せたまま沈んでいく。計7隻から放たれた20基41門の砲撃は攻撃を仕掛けた船周辺の船団を木っ端微塵にした。

 海将『シャークン』は再び攻撃が来ないことにこう判断した。

 

「あれほどの攻撃、連続で撃てないのだろう……。艦隊、速度落とせ。ワイバーン部隊とともに畳み掛けるぞ」

 

 彼の判断は吉と出るか凶と出るか、それはすでに分かっていた……

 

────────────────────────── 

ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

 そこには今か今かと待っているワイバーン350騎がいた。そんな時に通信士に魔信が入った。

 

「東方討伐軍より魔信入りました。『敵主力船団と交戦、上空支援を要請する』とのことです。なお、敵の攻撃により約100隻がすでにヤられたようです。その他、敵船は我々の船より巨大との報告も」

「ほう……敵主力か。よし、全350騎を上げよ」

「ま、待ってください。すでに先遣隊として150騎を上げています。万が一のことがあれば……」

「万が一?我が精鋭なるワイバーン部隊が負けるとでも思っているのか?」

「い、いえそういうわけでは……」

「なら愚問だ、350騎全て上げよ。敵主力船団を全滅すれば大戦果なのだ。戦力の逐次投入はすべきではない」

「わ、分かりました……」

 

 ワイバーンは次々と飛翔していった。

 

──────────────────────────

日本国 第一訓練護衛隊郡第一部隊 『あきつしま』

 

 最新イージス艦『あきつしま』はワイバーン部隊をすでに捉えていた。

 

「先ほどの攻撃で退いてくれなかったか……」

 

 艦長の松山(しょうざん)はため息をついていた。そして戦艦『山城』から伝達がきた。

 

『こちら《山城》、対空性能はそちらの方が高い。実力を見せて欲しい』

「こちら『あきつしま』、了解しました」

 

 通信士はインカムをつけつつ、艦長に報告した。

 

「『山城』より伝達、対空戦闘は日本国に全て任せるとのこと」

 

 報告を聞いた松山は日本国所属の各艦(ニミッツ含む)に伝達した。 

 

「全艦、対空戦闘用ー意!射程内に入り次第、要撃!」

 

 そして、各艦から発射された対空ミサイルは目標へと向かっていった。

 

──────────────────────────

ロウリア王国東方討伐海軍 海将『シャークン』

 

 突如、敵の巨大船から煙が出る。そして高速の何かが光の尾を引きながらロウリア艦隊上空を通りすぎていった。シャークンはそれに気付いていたが、『脅威なし』との判断をした。これが間違いだったことを気付くにはもう遅かった。

 

「さて……ワイバーン部隊がそろそろ到着する。総員、突撃用意!」

 

 しかし、そのワイバーン部隊を悲劇が襲った。突然、ワイバーン部隊の一角が爆散したのだ。そして爆散したワイバーンは黒い塊となり、次々と落ちていく。十数秒後にはまた別の一角が、そしてまた一角と落ちていく。歴史上、一度も体験したことがないのは確実だった。

 一時的だが、それが止まった。ワイバーン部隊にはもう200騎まで減っていた。その先には複数の船が、ワイバーン部隊は一番近い灰色の船に襲いかかった。しかし、先ほどの光の攻撃がさらに威烈に襲いかかる。ワイバーンは着実に減っていき、もう部隊と言って良いのか分からないところまで減っていた。そして50騎ほどになったところで、砲撃が行われる。着実に1騎ずつ確実に減っていく。残り3kmまで近づいた時にはもう3騎しかいなかった。それと同時に敵の砲撃も止んだ。

 

「魔導が切れたようだな、仲間の無念をはらしてやる!」

 

 そして火球を生成し攻撃をしようとした途端、仲間の2騎が突然ミンチとなり、落ちていく。最後の1騎も彼らのあとを追った……

 Sea RAMから発射された近接防空ミサイル、高性能20mm機関砲(ファランクス)、対空ミサイルには少し劣るものの、ワイバーン相手には十分であった。

 

 不気味な静けさが海に漂った……

 

「…………………………」

 

 一騎落とすだけでも至難の技、それが文明圏外となればなおのこと。しかし、そのワイバーンが見えるだけでも200騎以上が落とされた。夢、そう思いたいがこれは現実。それは悪夢にも近い。

 

「我々は得体の知れないものに敵対してしまったのではないか……」

 

 海将『シャークン』は絶望する。何をすれば勝てるのか、そもそもが勝てるのか、もう分からなくなっていた。

 そう思っているのも束の間、先ほどからちらちら見えていた他の艦が現れた。そのなかにはまるで城を思わせるようなものもいる。

 

 計7隻により悪夢……いや地獄が打ち出された。

 後にロデニウス沖大海戦と呼ばれる歴史を変えた一角に刻まれることは、もう確定であった……

 

 海将『シャークン』は二つの選択肢を迫られていた。『降伏』か『撤退』か、どちらにしてもロウリア王国で無能として罵られることは確定であった。降伏すれば捕虜として処刑される可能性が高く、『撤退』すれば国家反逆罪として処刑されるだろう。そんな時だった、敵船から再び声が聞こえた。

 

『ロウリア王国海軍は投降せよ、されば命は保証する。繰り返す、ロウリア王国海軍は投降せよ、されば命は保証する。投降するならば、白旗を上げよ』

 

 本当かどうかは分からない、だが本当ならば命だけは助かる。それに戦闘前に忠告をしてくるほどだ、おそらく大丈夫だろう。彼は決断をした、『降伏』を。そのことを魔法通信で各艦に通達した。そして、白旗を上げた。

 

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大日本帝国 特別派遣艦隊第一部隊旗艦『山城』

 

 彼らに降伏するように要求した。そうしてくれれば、流す血も少ない。そして数分後、白旗を上げた。すぐに西村は次の行動にうつった。

 

「直ちに内火艇、カッター、救助艇を下ろし敵兵を救助せよ」

 

 各艦の搭載艇が次々と下ろされ敵兵を救助しにいった。また、敵船はニミッツの甲板や大日本帝国の艦艇の甲板に載せた。折れない様に慎重に載せていたが、さすがに多すぎた。降伏し鹵獲した船はかなり沈めたとはいえ、まだ1000隻以上いるのだ。最終的にほとんどの敵船はロープで引っ張ることになった……

 

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 パーパルディア皇国から観戦武官として派遣されていたヴァルハルは震えていた。彼はガレー船などでどのようにクワ・トイネ公国を滅ぼすかを期待し、それを記録する任務としてだ。だが……敵が用意した船は、見たこともないものだった。

 

 砲船というのは分かる、だが我が国とは違う砲船だ。我が国が使用する砲船は戦列艦と呼ばれる、大砲を横に並べ艦隊運動をするときに同航戦・反航戦などで戦う船だ。それに我が国の戦列艦の大砲の飛距離は約2km、だがあちらの船はそれの倍以上離れたところから撃っている。しかも、大砲が横にではなく船の上(・・・)に載っているのだ。それはムー王国と神聖ミシリアル帝国の二ヶ国のみしか実装されていない。しかしそれ以上に恐ろしかったのは、ワイバーンに対する行動だ。我が国ではワイバーンにはワイバーンをもって落とす。だがあちらの船は、船の上から攻撃した。いや、正確には船から出した何かで攻撃した。彼らは初弾必中どころか全弾命中させた、一撃当てるのも苦労する我が国を超越している。

 

 ヴァルハルはありのままのことを魔信で本国に連絡するのであった。

 

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 パーパルディア皇国とは別に情報収集のために来ていた者がいた。イタリーン、『ムー王国』より観戦武官として派遣されていた。彼の目的はただ一つ、ムー王国では古い戦法『白兵戦・衝角戦』を使うガレー船が4400隻(数だけ見ればムーを圧倒的に上回る)、どのような形で勝つのかを見極めることだった。だが、それは叶わぬ夢となった。それは何故か、敵の船だ。敵の船には少なくとも戦艦、重巡洋艦、駆逐艦、空母の四種が存在していた。しかも戦艦に関しては我が国のつい先日就役したばかりの『ラ・カサミ級戦艦』よりも大きい、それに速度も『ラ・カヅチ級駆逐艦』に匹敵する速さである。『ラ・カサミ』の最高速度は18kt、『ラ・カヅチ』は31kt、少なくても25kt以上は出ている計算になるのだ。

 

 しかも敵が警告の際に飛ばしてきたのは我が国でも妄想段階(・・・・)の航空機だ。あれは我が国のもつ複葉機とは違い速度は出せないようだが、上昇速度は桁違いだ。そして何よりあの対空攻撃は何だ!奇妙な光の矢が飛んでいったと思ったら、その場所にいたワイバーンが堕ちていく。しかもその発射間隔はとても短く、約300騎以上いたワイバーンを約3kmを切ったところで全滅させた。我が国ですらワイバーンを使った訓練では対空機銃、対空砲では必ず損傷判定がおきる。

 

(これは世界の歴史を必ず動かす、本国に急いで伝達しなければ!)

 

 そう考えた時、彼は一つの失態を犯していたことに気付いた。それは……

 

(カメラ、本国に忘れてきた……)

 

 である。とりあえず目と耳の情報を紙に纏め本国に送ることにした。

 

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大日本帝国 特別派遣艦隊第一部隊旗艦『山城』

 

 西村司令官は敵兵及び敵船の収容を完了したことを報告された。

 

「よし、それではマイハーク港で捕虜を引き渡したあと、母港へ帰投する」

 

 そして西村司令官はミドリの方向に向いた。

 

「さて、戦闘は終了しました。これよりマイハーク港へ帰投します」

 

 しかしミドリは反応しなかった。

 

「……ミドリさん?」

 

 そう言われやっと彼は意識を取り戻した。先ほどの戦闘の凄まじさに呆然としていたのだ。

 

「はっ、申し訳ありません。して戦闘は……」

「終了いたしました、我が艦隊の完勝です」

 

 彼はついに気絶した。頭がついていけなくなったのだ。

 

「ミドリさん!?軍医!すぐに医務室へ!」

「了解!」

 

 ミドリは担架に運ばれ医務室へと運ばれていった。そのあと恥ずかしさのあまり、家に籠ったのはまた別のお話……




ムー帝国のものはRed Octoberさんの『鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。』を参考にいたしました。なお本人にも許可をいただけました。
 原作では語られていませんでしたか、ロウリア王国の4400隻の襲撃は世界史及び日本史で習ったであろう蒙古襲来の弘安の役における元が用意した軍船の数と同じなんですよね。やっぱり元にしていたのかな?

では次の題名は
『海戦報告と新たな事象の表れ』です。
期待せずにお待ちください(笑)


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海戦報告と新たな事象の表れ

みなさん、お久しぶりです。約1ヶ月ぶりの投稿になりました。すみません、こんなに遅くなってしまって。では、どうぞ

7/2 誤字修正
8/10 誤字修正


ロウリア王国 ワイバーン本陣

 

『敵船を確認、これより火炎ほうしザザザ……』

 

 それを最後に通信は途絶した。この通信は約三時間前の出来事だ。

 

「まさか……全滅?いや、350騎も上げているのだ、帰ってこないのはおかしい」

 

 彼はそう思いつつも時間は過ぎていき、翌日となっていた。彼は悟った、ワイバーン部隊が全滅したことを。ロデニウスひいては世界において飛行機械や風竜よりは弱いものの、空戦において負けなしといわれた生物だ。しかもワイバーンは貴重であり、数を揃えるのも容易ではなくパーパルディア皇国の援護によりこれだけ揃えられたのだ。

 だからこそ、敵主力艦隊を発見し飛び立っていた精鋭350騎は大戦果をあげ、笑顔で帰ってくるはずだった。だが現実は一騎も帰って来なかった。ワイバーン部隊だけではない、東方討伐海軍からの通信も切れた。もし帰ってこれたとしても、二度と動けない体になっているだろう。だがそれ以上の問題があった、ロウリア王への報告だ。おそらく怒り狂い、私は殺されてしまうだろう。その前にもう一つ命令を下しておこう。

 

「先遣隊に竜騎士団の内、半分を本陣へ寄越すよう伝えろ」

 

 その後、彼はロウリア王に殺され………なかった。その理由は後で説明しよう。

 

──────────────────────────

中央歴1639年4月30日 クワ・トイネ公国『政治部会』

 

「ロデニウス大陸沖海戦の戦果は以下の通りとなります」

 

 参考人招致された観戦武官ブルーアイとミドリが、政治部会において報告する。そこに記載されていたのは次の通りだ。

 

『ロデニウス沖大海戦戦果報告書及び今後の日程

 

○大日本帝国及び日本国の混合艦隊は16隻の戦船を派遣、内8隻は海上警備行動を行い残りの8隻が戦場へ出撃

○大日本帝国及び日本国の混合艦隊は敵船4400隻を8隻で相手にし、3000隻以上を撃沈、1000隻以上を拿捕

○大日本帝国及び日本国の混合艦隊は敵ワイバーン約350騎を船からの攻撃のみで撃墜

○捕虜に関してはクワ・トイネ公国に任せる、ただし虐待は禁止。念のために大日本帝国捕虜収容所勤務の軍人及び、日本国自衛隊隊員を数人派遣するのを容認してほしい

○上の項に違反(捕虜虐待)を行った者に対しては、こちら側で拘束・処理を行わせてもらうことを許可してもらいたい

 

 その他、詳細な資料は正確な数字が分かり次第、渡します。以上をもって報告を終わりにします       』

 

 その報告書を置き一人の人物が言葉を発した。

 

「たったの8隻、普通では勝つことは不可能に近い。だが、彼らは見たこともない兵器を使う。捕虜虐待は禁止ということは、この世界では珍しいが敵にも温情を持つのだな。もう一度問う、この報告書に偽造はないな?」

「はい、一切の偽造はございません」

「もし偽造が発覚したならば、我ら二人は死刑となってもかまいません」

「ではロデニウス大陸沖海戦については以上で終わりとして、次の議題に行ってもよいかね、カナタ首相」

 

 彼の目先にはカナタがいた。彼は静かに頷いた。

 

「では次の議題へ移る。次は陸についてだ。現在、ロウリア王国陸軍は城塞都市エジェイに向かって侵攻している。そしてその行いに対しての日本が行いたいことがこれだ」

 

 彼は先ほどの『ロデニウス沖大海戦及び今後の日程』とは別の資料、『城塞都市エジェイ防衛戦における簡易基地の建設』が配られた。

 

「彼らは城塞都市エジェイを守るため、近くに簡易基地を作れるところを求めている。誰か良い案はないか?」

「ダイタル平野はどうだ?あそこはここに書いてある『縦横3km』を容易に達成している」

「ふむ、あそこは荒廃しているし特に問題ないな。外務卿、双方の日本に簡易基地構築の許可を与えよ。好きにせよ、とな」

 

 一部の若者からは反感があったが、国のためと言ったら渋々了承はしてくれたが、やはり血気盛んな若者が多い様だ。だが日本の必要性を分かってくれたのは幸いだった。

 

──────────────────────────

ロウリア王国 御前会議

 

 会議はもう凄いとしか言いようがないほど、荒れていた。無理もない、4400隻という大艦隊が壊滅したのだ。それだけではない、350騎にものぼるワイバーンに関しては殲滅された。

 

「敵が魔導兵器を使ったというがどこにそんな証拠がある!?」

「証拠があろうが無かろうが、あれだけの艦隊と飛竜隊が全滅したのだ!魔導兵器以外に何がある!?」

「それ以外に機械兵器はないのか?」

「あんなワイバーンも知らない蛮国が機械兵器を使用するわけあるか!?たわけ!」

 

 もう無茶苦茶だった。まるで罵声を罵声で返す、そういっても過言ではないほどに。

 

「静まれ」

 

 その中に一つの凛とした声が透き通り、会議室は静まり返る。声を発した人物を見ると、そこには大王ハーク・ロウリア34世が玉座から立っていた。そして歩きながら語った。

 

「今、我々が対峙しているのは見たこともない兵器を使う。それが魔導兵器なのか機械兵器なのかは分からない。だがそれよりも大事なのは亜人を滅ぼすことである。なに、敵が如何に強い武器をもってしても、それを使いこなす技量と実力がなければ宝の持ち腐れにしかならん。我が軍は数も技量も実力も、ロデニウスで右に出るものは一切いないのだ。すべての勝敗はすでに決まっているのだ!数と技量で潰すのだ!」

 

 その言葉に臣下達は立ち上がり拍手の嵐になった。

 

「さすが陛下、分かっております!」

「そうです、敵がどんな武器が使おうとも我が精鋭なるロウリア王国軍に勝つことは不可能です!」

「国王陛下万歳!!」

 

 その後、ハーク・ロウリア34世が退場するまで、『国王陛下万歳』の合唱は続いた。

 一方、退場し自室へ戻ったハーク・ロウリア34世は大量の汗をかきつつ、布団にくるまった。

 

(あんな強い敵を潰す?ふざけるな、できるわけがない!あの大艦隊もあの大飛竜隊も6年もの歳月をかけて準備したのだ。それが一瞬で木っ端微塵になった。勝つことなど不可能だ……)

 

 先ほどの御前会議での威厳はもうどこにもなかった。ただただ敵に怯えていた……

 

──────────────────────────

第三文明圏 列強 パーパルディア皇国

 

 薄暗い部屋、そこでは水晶を通し報告を受けていた。 オレンジ色に光ったあと、観戦武官ヴァルハルから送られてきた報告書を見た。

 

「大日本帝国に日本国?初めて聞く国名だな、何々……」

 

 報告書を読み進めて行く内に彼は顔をしかめていった。

 

「イルークさん、どうしたのですか?」

「ヤックか、これを見てくれ」

「?、分かりました」

 

 ヤックはイルークにいわれた通り水晶を見た。彼も顔をしかめはじめた。

 

「百発百中の攻撃に我が国よりも強い攻撃?はは、ヴァルハル先輩も長時間蛮地にいたのか、幻でも見えるようになったのですかね?」

「さあな、だが一応このことは頭にいれておこう。もしかしたら、ということがあるからな」

「分かりました、ですが上にはどう伝えます?」

「う~む……」

 

 二人は上に伝える報告書をどうするか、悩むことになった。

 

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第二文明圏 列強 ムー王国

 

 ムー王国では軍部が荒れていた。荒れているといっても素行などではない、ある問題についてだ。先日、技術士官マイラスが無線機にて、ロウリア王国に観戦武官に出ていた『イタリーン』からの報告だ。紙も届いていたがそれには信じがたいことが書かれていた。それは以下の通りだ。

 

○敵の艦隊は我が国よりも大きい船を持っている

○航空機は複葉機と単葉機を併用しており、また我が国では妄想段階の回転翼機を所持している

○対空性能も百発百中ともいえる異常さであり、戦艦らしきものの砲撃は『ラ・カサミ』よりも遠くから行っている

○ただしクワ・トイネ公国及びクイラ王国のものらしき旗はなく、どの艦も赤い丸の旗と太陽の旗を掲げている

 

 それについて議論がされていたのだ。新たな国という意見、今まで存在を隠していた国という意見、そして我が国と同じ転移した国という意見、三つの意見が交差していた。どれかが正解なのかもしれないし、すべて不正解かもしれない。ただただ分からなかった。だが一つだけ言えることは、古代帝国時代の時に交流を持っていた国が使用していたのが赤い丸だった。転移する数日前に突如として文明が消えていたが、それの子孫という可能性もある。だが『イタリーン』がカメラを忘れていたがために、証拠がなかったためあとあと輸送することになった。その費用が軍備から抜かれたのは少し軍部にとって痛かったのは、また別の話。




 少し変えた部分もありますがご了承ください。またムーのやつは前回に引き続きRed Octoberさんの『鎮守府が、異世界に召喚されました。これより、部隊を展開させます。』をリスペクトしています。

さて次の題名は
『救出作戦発令!難民エルフたちを保護せよ!』
です。期待せずにお待ちください


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救出作戦発令!難民エルフたちを保護せよ!

皆さん、お久しぶりです。約1ヶ月ぶりですね。暇なときに書いてたら何気にストックが溜まってました。来週から長期休暇になるので、一週間投稿になります。ではどうぞ。

7/28 加筆訂正


中央歴1639年5月1日 クワ・トイネ公国ギムより東方約30km地点

 

 息を荒く吐きながら、歩いている集団がいた。彼らはエルフ種エルフ族に分類されるもの達で、自分たちの村から東へ約10kmほど歩いていた。理由は聞くまでもない、ロウリア王国軍から逃げるためだ。ではなぜギム陥落後より二日後でありながら、村から10kmしか歩けていないのか、その理由は『エルフたちの村は外界との交流が少ないゆえに、ギム陥落の報が遅れてしまったのだ』。

 

 その中に一人の少年がいた。少年の名はパルン、パルンはまだ幼い妹『アーシャ』と共に疎開をしていた。親はというと、母は病気により早期に他界、父は軍の召集により予備役のため軍務に。父は『パルン、妹のアーシャを頼んだぞ。お前はお兄ちゃんなんだから』と笑ってパルンに言ったあと、家を出発していった。

 

 疎開集団の速度は一向に早くならない、それどころか少しずつ遅くなっている気もする。無理もない、子供から老人、中には妊婦もいるのだ。それに周辺を警戒するためさらに神経を使う。とはいえ武器を持ち周辺警戒をしているのは軍務を逃れた若者、わずか10名。小さい村とはいえ200人近くいるのだ。それでもあと25km、あと25kmを完走すれば味方の軍事基地に到着する。その時、足音が聞こえた。だが人間ではない、まさか……

 

「ロウリアの騎馬隊だ!」

 

 後方で叫び声が聞こえる。パルンは振り替えると約3km後方にロウリアの騎兵隊が見える。その騎兵隊は父からよく聞いていた、ロウリア王国ホーク騎士団所属第15騎馬隊、別名として『残虐なる騎馬賊』といわれるほど荒れており、それを指揮する隊長『赤目のジョーヴ』に目をつけられたら生きては還れないといわれほどだ。

村人たちは先ほどよりも速度を上げ走る、だが相手は馬だ。馬の最高速度は約90km近く、エルフを人間と同じだとすると平均速度は約45km、2倍近く速いため追いつかれるのも時間の問題だった。

 

──────────────────────────

ロウリア王国ホーク騎士団所属 第15騎馬隊

 

 隊長である赤目のジョーヴは舌なめずりをした。

 

「獲物……発見」

 

 200名位の女や子供が無防備に草原を走っている。まるで襲ってくれといわんばかりに。ギムでは市民を疎開されておりいい思いができずイライラしていたところだ。

 赤目のジョーヴにどす黒い感情が駆け巡る。

ロウリア王国東部諸侯団所属の中でも精鋭と言われ、一騎当千を謳われるホーク騎士団、その中にある第15騎馬隊は特に荒くれ者の集まりだ。彼らの先祖は犯罪者でありながらロウリア王国拡大期に活躍し、爵位を賜った特殊な貴族たちだ。

 特に隊長のジョーヴは先祖の血を濃くひいており、残虐な性格である。気に入らないことがあれば信用している部下でさえ戦場で殺し、戦死扱いにするほどに。

 

「さて……殺戮(パーティー)の時間だ」

 

 ジョーヴは静かに剣を掲げるとこういい放った。

 

「さあ、亜人共を皆殺しにするぞ!獲物だ!突撃ー!」

「ヒャッハァーー!」

 

 第15騎馬隊は奇声を上げ、エルフの集団に向かい突撃した。

 

──────────────────────────

 少年パルンは妹のアーシャの手を引き走った。

 

「大丈夫だ、何があってもお兄ちゃんがまもってあげるからな。心配するなよ!」

「うん、お兄ちゃん!」

 

 自分たちを殺しにくる悪魔の集団。一体僕たちが何をしたというのだ。なぜ、神様は僕たちを見捨てるのか。せめて……せめて妹だけでも守らないと!

 パルンは一つ思い出したことがあった。小さい頃、お母さんからよく聞いた神話を。

 

『パルン、昔の昔、ものすごく昔の話をしようか。私たちが想像もできないほどの昔、まだ国という概念もなかった時代、エルフ族は魔族というのと戦っていたのよ。けどね、魔族はとても強くてエルフ族はエルフの神がすむ神林にまで追い詰められたの。けどそれが魔族の狙いだったの。魔族がしようとしてたのは神森を殲滅すること、もちろんみんな必死に抵抗したわ。けど、多くのエルフが還らぬ人になってしまったの。その中には歴戦の戦士たちもいたわ、それほどまでに魔族は強かったの。エルフの神(緑の神)は創造主である太陽神に祈ったの。それに答えるかのように太陽神は使いを送ってくれたのよ。太陽神の使い達はね、空を飛ぶ神の船や、鋼鉄の地竜を使って、雷鳴のような轟きと共に大地を焼く強大な魔導をもって、魔族を焼き払ったわ。主力軍を焼き払われた魔族は、神森より撤退したわ。先祖のエルフ達は助けてもらったお礼に、金銀財宝を太陽の使いに渡そうとしたのだけど、決して受け取らずに神の船に乗って去っていったらしいわ。その結果、私たちエルフ族は救われ、この世界の各地に散らばったわ。数多くあった神の船、そのうちの一つは故障して、この地に残っているわ。その神の船は、時空遅延式保管魔法をかけられて、クワ・トイネ公国内の聖地リーン・ノウの森の祠の中に大切に保管されているのよ。私が元気になったら連れていってあげるわ』

 

 お母さんは本当にあった話だといっていた。だからこそ僕は祈る。

 

 (太陽の神様!もし僕の声が聞こえてるのなら、今助けてください。僕は生贄になってもいい、せめて妹のアーシャだけでもお願いです。僕たちを殺そうとしてくるロウリアの魔の手からお助けください!)

 

 けど何も起きない、なんで?やっぱりあれは神話だったの……。

ついにロウリア騎馬隊の声も聞こえてきた。もう誰でもいい、助けて。太陽の使いでもなくてもいいから

 

「神様!どうか僕たちをお救いください!僕が犠牲になってもいいですから!!」

 

──────────────────────────

日本国陸上自衛隊 特別派遣部隊第三戦闘団

 

 日本国は陸上自衛隊から六つの戦闘団を、航空自衛隊から二部隊、海上自衛隊から一個艦隊を派遣していた。その中の一つ、速度を優先した陸上自衛隊の航空部隊が第三戦闘団だ。

 

「団長、あれがエルフの疎開集団ですかね」

「おそらくな、すぐに第五戦闘団に連絡しろ。エルフたちを発見、ただちに輸送部隊を派遣してくれと」

「団長!3番機より伝達!」

「どうした?」

「エルフたちの後ろより騎馬隊が接近、旗はロウリア王国のものです!」

「何!?」

 

 すぐに団長は双眼鏡を使いエルフたちの後ろを見た。そこには報告のとおり騎馬隊がいた。この時、彼は苦渋の決断をした。

 

「全機、安全装置(セーフティ)解除!敵騎馬隊を殲滅せよ!」

「団長!?我々が命令されているのはエルフたちの目視確認です!そこに戦闘許可ははいっておりません!」

「命令違反の罰はすべて俺が受ける。目の前で一般人が殺されるのを黙って見てられない」

「……分かりました。全機、目標『ロウリア騎馬隊』、これを殲滅せよ」

『了解!!』

 

 各機に取り付けられている機関銃を使用可能状態にし、敵騎馬隊に近づいたところで攻撃を開始した。

 

──────────────────────────

 パルンは突然の音に耳をふさいだ。彼だけではない、全員がだ。エルフ族は風を感じるために耳が敏感なのだ。そして先ほどの音が聞こえなくなり、ロウリア騎馬隊の方を見ると全滅していた。そしてパルンは恐る恐る空を見上げた。そこには空飛ぶ方舟が存在した。そして彼はあるものを見つけた。それは……

 

「太陽だ、太陽のシンボルが描かれてる!太陽神様の使いだ!」

 

 すると村人たちの近くの上空で空飛ぶ方舟は止まり、縄を下ろして降りてきた。

 

「怪我人たちを一ヶ所に集めろ!ロウリア騎馬隊に関しては、武装解除をさせてから死体を埋葬!」

『了解』

 

 奇妙な服装をした人物が仲間と思われる人たちに命令していた。拡声器は使ってないもののとても大きな声でしゃべったので耳がキーンとした。ロウリア騎馬隊を圧倒する魔導、怪我人たちを含めた自分たちを何かの労働力にすると思ったが、彼らは怪我人を一ヶ所に集めたあと白い布みたいなものや、奇妙なものを使い治療していた。

 

 パルンは悪い人たちじゃないと思い、一歩前へ出た。

 

「助けてくれてありがとう、おじさんたちは太陽神様の使い?」

「(太陽神の使い?神話とはいえ天皇陛下の先祖は太陽神の天照大御神だし、国旗や軍旗も太陽を元にしてるからな。それに子供のいうことだし、日本の組織か聴いているのだろう)うん、そうだよ。ここまでよく頑張ったな」

 

 団長はパルンの頭を撫でながら笑った。

 パルンは自衛隊員の手をそっと掴むと、足をつき跪いた。これにはさすがに驚き手を離してしまった。そして彼はこう言った。

 

「そこまでせんでええ、ワイらは当たり前のことしただけや。君は助かった、それでええ」

 

 その言葉にパルンは心地よさを感じ、ずっと神経を尖らせていたためか眠ってしまった。団長は静かに彼を抱き上げ、膝枕をして第五戦闘団を待つことにした。




第三戦闘団とかは『gate 自衛隊』を模範しています。ちなみに第三戦闘団団長は最後の言葉通り、関西人です。あと、太陽の使いは過去回想として入れました。変な風に感じたらごめんなさい。

さて次の題名は
『龍の咆哮 ①』
です。いつも通り期待せずお待ちください。


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龍の咆哮①

一日遅れで投稿します。さて遂に陸戦の始まりです。どんな風になるのかはまだ分からない。戦闘描写は多分なかったと思いますけど、楽しんでくれれば幸いです。では、どうぞ

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8/7 誤字修正
8/11 誤字修正
8/12 加筆訂正


ロウリア王国 軍事会議

 

 ロデニウス沖大海戦における敗北は士気の低下を避けるため、幹部を除いた全員に箝口令が敷かれた。またロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊においても衝撃が走っていた。ホーク騎士団の最高戦力とも名高い第15騎馬隊が東方約25kmで消息をたったのだ。魔信により何度も問いかけているが、ザーザーという雑音以外なにも聞こえない。それに加え導師からはワイバーンや魔導兵器などは感知されてないとのことでさらに不気味さが増す。そして何より、馬すらも帰ってこないのだ。騎馬隊ということは人がヤられても馬だけ帰ってくることは多い、だがそれすらもないのだ。

 

「一体何が起きているのだ、我々が戦っているのは本当にクワ・トイネ公国なのだろうか。それに東方討伐海軍が帰ってこないがためにさらに敵の情報が分からない。何か意見があるものはいるか?」

 

 東部諸侯団を指揮するジューンフィルア伯爵がみなに問う。

 

「魔法が感知されていない、そして導師の間で話題になっている話がある」

「何だ、申してみよ?」

「……機械兵器、それ以外は考えられない」

「機械兵器だと!?あれは列強ムーのみの特権ではないのか!それにムーは今回、我が国(・・・)に対し観戦武官を送っている!はっ、まさか……」

「ギム陥落のあとに参加してきた大日本帝国と日本国、この二つの国に対して分かってることが一つある。ワイバーンなどを含む魔法系統(・・・・)を一切知らない」

 

 会議室に沈黙が広がる。そんなときに頭の痛い指令書が届いた。指令主は主将名だか中身はアデムが書いたものだ。『悪魔の化身』の二つ名をもつ恐怖の副将アデムだ。

 

『城塞都市エジェイの西側3km先まで兵を集めよ。そこで、本隊合流まで待て』

 

 あそこは他の町村とはわけが違う。対ロウリアの最前線として建設された城塞なのだ。だが命令に逆らえば家族もろとも皆殺しにされる。家族を守るためにも逝かなければならない、二度と帰れないと思っていても。

 そしてロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊の約2万名の兵たちは、東へ歩を進め始めた。

 

──────────────────────────

城塞都市エジェイ

 

 城塞都市エジェイではかなりの戦力が集中していた。クワトイネ公国軍西部方面師団約3万人が駐屯しており、内訳はワイバーン50騎、騎兵3000人、弓兵7千人、歩兵2万人という大部隊でだ。

 将軍ノウは今回のロウリアの進攻をこの城塞都市エジェイで跳ね返せると当初は思っていた。だかスパイからの情報によりその考えは変わってしまった。パーパルディア皇国、その国がロウリア王国の後ろ楯にいることが判明したのだ。どれだけ頑丈に造られた城壁も、第三文明圏にかかれば赤子を捻るよりも簡単だ。顔に出さないが彼は怯えていた。

 

「ノウ将軍、大日本帝国陸軍及び日本国陸上自衛隊が参りました」

 

 彼は二ヶ国の軍の到着をとても喜んだ。だが、悔しさもあった。他国の力を借りなければなにもできないのかと。だからこそあることをきちんと話そうと思っていた。彼らは大日本帝国から第5軍の第11師団、もともとは満州東部の守備をするために結成された。日本国からは第一、第二戦闘団の第六普通科小隊と第四戦車小隊、第六戦闘団から第五通信隊、第七後方支援隊衛生隊、基地建設・整備のための第5施設群が派遣された。

 

コンコン……

 

 ドアがノックされる

 

「どうぞ」

 

 将軍ノウは立ち上がり、彼らを迎える

 

「失礼します」

 

 一礼し中に入る人物が四人

 

「日本国陸上自衛隊の総指揮を担当します、第一戦闘団長の大内田です」

「大日本帝国陸軍の第5軍第11師団長、鷹森(たかもり)です」

 

 自分が着ている気品のある服とは違い日本国はまだら模様の服に、大日本帝国は勲章こそついてるものの服自体は茶色である。それに報告では鎧を着けずに戦うらしい(・・・・・・・・・・)、正気なのか?

 

「皆さま方、よくぞおいでくださいました。私はクワトイネ公国西部方面師団将軍ノウといいます。このたびは、我が国のために援軍を派遣していただきありがとうございます。感謝いたします」

 

 まずは社交辞令から入る

 

「双方の日本の団長、師団長どのロウリア軍はギム陥落をし、まもなくここエジェイへ向かってくるでしょう。しかし、この都市は城塞としての機能もあります。そう簡単に破られることはありません。ただ……」

「ただ?」

「ただロウリア王国の後ろ楯には列強のパーパルディア皇国がいるらしく、この城塞も落とされてしまうかもしれません。ですが!ですがこの戦いは私たちの戦いであり、あなた方を巻き込みたくない!できれば我が国だけで守り抜きたいのです!」

 

 将軍ノウは言った。わざわざ遠いところから援軍を派遣してくださったのに、それを無下にするような発言だ。普通の国ならば『ふざけるな!』といって無理やり参加するか、了承してさっさと帰ってしまうかのどちらかであろう。だが双方の日本は違った。

 

「……何、当たり前のことを言っているんですか?」

「え……」

 

 将軍ノウはまさかの発言に驚いた。

 

「自分たちの国を守りたいのは当たり前、それが自分が守ってる区域なら尚更な」

「それにこの作戦の最終決定権を持つのはノウ将軍、あなたなのです」

「で、ですが私はあなた方の援軍を断ろうとしたのですよ!?」

 

 将軍ノウの言葉に四人がため息をついた。そして声を発した。

 

「自慢ではないですが、我が国が過去において他国の軍と協力したのはたったの一度だけです」

「それに同盟を組んでいるからって信用はするな、裏切られることもある」

「だからこそもう一度いいます、この作戦の最終決定権はあなたにあります。ノウ将軍、作戦命令を」

 

 将軍ノウは涙を出しそうになった目をこすり、堂々した態度で言った。

 

「今回の作戦は城塞都市エジェイの防衛である。双方の日本はこちらからの要請、もしくはそちら側からの要請がない限り陣地で待機せよ!」

「「了解!!」」

 

 双方の日本の将は退室した。ノウは思った。これは神からの贈り物ではないかと、少しでも彼らにいいところを見せようと張り切ったのだった。

 

──────────────────────────

 ロウリア王国東部諸侯団クワトイネ先遣隊約2万の兵は、特に大きな障害を受ける事なく、城塞都市エジェイの西側約5kmの位置まで進軍をしていた。残り3km進んだ場所が指示された場所なのだが、ジューンフィルアはここで野営することを決意する、何故か。

 いやな予感がしたのだ。彼らはこの場所で1週間とどまる事を決めた。

 

──────────────────────────

 ノウは焦っていた。双方の日本に良いところを見せようとしているが、敵が毎日のように城壁近くまで来て煽っているのだ。それが昼夜問わず何回も行われるのだから、兵士たちの士気が下がっていた。ワイバーンを使って強襲をかけようとも考えたが、そんな気力も兵士たちにはもう無かった。

 

(くそ、このままではじり貧だ。一体どうすれば……)

 

ちょうどその時、伝令兵がこちらに向かってきた

 

「双方の日本軍より伝令が来ました」

「なに!今すぐ読め!(頼む良い連絡であってくれ)」

「はっ!『エジェイ西側5km付近に布陣する軍は、ロウリア軍で間違いないか?ロウリアであるなら、支援攻撃または強襲を行ってよろしいか?又、攻撃を行うに際しクワトイネ兵を巻き込んではいけないため、ロウリア軍から半径2km以内にクワトイネ軍はいないか確認したい』との事であります」

「そうか、ついに動いてくれるのだな。分かった、支援攻撃いや強襲の許可を出す。双方の日本の戦い方を見せてくれ、とな」

「はっ!」

 

──────────────────────────

日本国陸上自衛隊並びに大日本帝国陸軍臨時基地(通称:日本共同基地)

 

 通信員はインカムを付けた状態で司令官に報告した。

 

「大内田司令官、城塞都市エジェイにいる通信員から返信ありました。強襲の許可をもらったようです。なお、我々の戦い方を見せてくれとのことです」

「ふむ、あまり戦闘はしたくないのだがな……。大内田殿はどうする?」

「とりあえず戦闘の用意だけはしておきましょう。とりあえず紙で撤退するように勧告します。撤退しなかったら仕方ありませんが、攻撃します」

「さて吉とでるか凶とでるか、少しでも退いてくれれば無駄に殺傷しなくてすむんだけどな」

 

 鷹森中将はそう言いつつ参謀の岡田大佐とともに作戦を練った。大内田陸将は生伊(いくよし)陸将補とともに撤退勧告用のチラシ?を作成した(本来は禁止されているが、今回は特例で認められた)。

 

──────────────────────────

翌日

 

 空は快晴といわんばかりの空だった。空気もいつもより澄んでいる気もする。こんな日が作戦決行日でとても良かったと思う。そして敵はエジェイで立て込もって防衛するようだ。だが我が軍が毎晩威嚇を行っているため、士気の低下が期待できる。攻めより守りの方が強いというが、この2万という数に対抗できるのか。ジューンフィルアは仲間すらも見下しながらエジェイを見ていた。その時、仲間の一人が東の空に白い点を見つけた。

 

バタバタバタ………

 

「な、なんだあれは!」

「新型の飛竜……とも言い難いですね。なんでしょうか?」

 

 例えるならば箱に棒と板をくっ付けた感じだ(語彙力皆無)。その物体は軍の上空で止まった。弓も届かない高度、そう思っていると白い何かが落ちてきた。ヒラヒラ舞い落ちるそれは紙だった、それも上質な。ジューンフィルアはその紙を取った瞬間、凍りついた。我が国でしか使用されていないロウリア語で書かれていたからだ。

『ロウリア王国軍に勧告

 二時間以内に荷をまとめ、退却を開始セヨ。さもなくば、貴軍を攻撃ス。 

    日本国陸上自衛隊第一戦闘団団長 大内田 和樹 

    大日本帝国陸軍第11師団師団長  鷹森  (たかし)

 ついにきたか、日本という国が。わざわざ攻撃を教えてくれるとは律儀な国だな。我が軍は二万人、隊列を組んで待つとしよう。

 

──────────────────────────

日本共同基地

 

 遂に予定の時間がきた。大内田は生伊から報告を聞いた。

 

「敵は依然として動かず、逆に密集し防御を高めようとしてるようです。まるで古代ローマの戦法『テストゥド』ですね」

「よく知ってんな、そんな戦法。さて我々自衛隊は120mm

迫撃砲RT(2代目)を使用してから89式5.56mm小銃で精密射撃しますが、そちら側はどうするのですか鷹森殿」

「こちらは射撃から参戦しようと思います。日本国から一部だけ兵器を購入したとはいえ、慣れてないやつが多いので。三八歩兵銃で突撃します」

「分かりました、では我々は後方支援をしますね」

「ああ、頼む」

「では……エジェイ防衛作戦開始!」




原作と違いノウ将軍は親日よりにしています。変な風に感じたらごめんなさい。武器の詳細はあとで『武器・兵器紹介』で投稿すると思うのでお待ちください。

さて次の題名は
『龍の咆哮 ②』
です。いつも通り期待せずお待ちください。


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龍の咆哮②

今週は火曜日に投稿できました。原作の日本国召喚のグラ・バルカス帝国との戦いも真ん中?位になってきましたね。日本が勝つとは思いますが、どれくらいの被害を被るのでしょうかね。相手は旧式とはいえ戦艦、主砲が最低でも35cm砲以上。現代日本は対空・対潜に特化した船が多いですから。前置きはこれくらいにして本編へどうぞ。

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 ジューンフィルアは、2万の大軍が隊列を整えているのを眺め、満足していた。兵たちの士気も錬度も高い。今回は未知なる敵、日本だが負けることはない。さて、海軍の尻拭いをしてやるか

 

 その時、異常なほどの恐怖が襲う。まだ、敵は見えない。にも関わらず、攻撃されている感じがする。

 

ドォォォォォン!

 

 前方で突如、爆発が起きる。なんだ、一体どこから……彼は目を細め見る。なんとかかろうじて見えたが、敵は2kmもの離れたところから攻撃していた。

 

「な、なんてところから攻撃してるんだ!総員、敵は東方より攻撃している。進め!」

 

 全員が歩を進めると、先ほどまでの砲撃が止んだ。なんだったんだと思いつつ進軍していくと、草の茂みから人が現れた。次々と殺られていくが、まだこちらが多い。行けると思った瞬間に別方向から攻撃された。次々と殺され、そして走馬灯が見えたときには、自分の頭は撃ち抜かれていた。

 

 戦場としてはあり得ないほどの静寂が訪れる。その後、鷹森は大内田に作戦完了のハンドルサインを送り、大内田はそれを通信員に伝達、通信員はエジェイにいる通信部隊に伝達した。

 

「さて死体は埋めますか」

「埋めるんですか、間接的とはいえ敵なのに」

「……かつて松江少将という人がいました。彼の口癖は『彼らは捕虜ではない。祖国のために立派に戦った戦士である』、世界大戦の際ドイツ兵たちに言った言葉だ。当時の陸軍省から捕虜に対して甘い、と言ってましたが陸軍省も分かっていました。だがらこそ彼の口癖は今の陸軍省の基礎にもなっています」

「敵に敬意をですか、そうですね。敵とはいえ同じ人間、国のために戦った戦士ですもんね。かなりいますので手分けして埋めてあげましょうか」

「ああ、俺たちも一緒にやるぞ。下士官を教育するなら上官が行動を示さないとな」

「そうですね」

 

 スコップなどは持ってきていないため、手作業で掘り進め死体を埋葬した。

 

──────────────────────────

城塞都市エジェイ

 

 ノウ将軍は自らが出した強襲命令でどんなことをするかと思えば、最初に聞こえたのは地鳴りの様な轟音だ。日本軍は大規模魔法を使ったのかとおもえば、次にはダダダダという音が聞こえる。これは日本軍から貸与され練習している三八式歩兵銃の音に近い、まさか全員がこれと同じ銃をもっているというのか!?やはり、日本軍を敵にまわずして正解だったようだ。そして日本軍の通信員なるものから、作戦が終了したことを知らされた。

 

「これが日本軍の強さなのか、我々は彼らに追いつけるのだろうか……」

 

 勝利の喜びと彼らの力に頼ってしまった悔しさが、彼に重くのし掛かった。

 

──────────────────────────

クワ・トイネ公国政治部会

 

 エジェイ防衛戦の報告として将軍ノウは招かれた。

 

「ふむ、なるほど日本軍は我々に貸与している三八歩兵銃と同じものを全員が持っていると、その前に聞こえた轟音は結局なんなんだ?」

「はっ、日本軍に聞いたところ大砲というもので簡単にいえば我々に貸与している九九式八糎高射砲の対地用だと思えばいいとのことです」

「それなら轟音がしたことに納得がいくな」

 

 エジェイ防衛戦の報告が終わると新しい資料が配られた。双方の日本からだ。なになに、『ロウリア王国首都攻撃許可申請書』ね……、ロウリア王国首都攻撃許可申請書!?

 

「まさか双方の日本は自分たちだけでロウリア王国の首都を落とすつもりか?」

「いくらなんでもそこまで頼るのは我が国の面子が……」

「私は双方の日本の案に賛成します」

「同じく賛成、それが最も合理的かつ最善の手」

 

 政治部会は国内及びロウリアにおける陸、海、空の戦闘許可をした。

 

──────────────────────────

ロウリア王国クワトイネ征伐隊東部諸侯団所属ワイバーン小隊『竜騎士ムーラ』

 

 彼は先遣隊の消息が途絶えた地点へと向かっていた。偵察隊として来てはいるが全員確認場所は別々である。ちょうど空は快晴であり風も弱かった。だが、先遣隊はおろか死体すら確認できなかった。

 

「どういうことだ、何がおきて……むっ、あれは何だ」

 

 彼の目に入ったのは1m程の木のなにかと旗であった。

 

「まさか……」

 

 彼はその場所に降りるとそこには自国の旗と木の部分にロウリア語でこう書かれていた。

 

『青春と幸福を母国の為に捧げた勇敢な陸の英雄たち、ここに眠る』

 

 ムーラはその時、気づいた。自分たちが戦っていたのは蛮国などではない、高潔な国だということを。彼は泣いた、思いっきり泣いた。

 

 

それを遠くから見ていたものたちがいた。いずれ来ると思い待っていた日本軍及び自衛隊だ。何かあれば攻撃しようと思っていたが、中止した。彼は仲間のために泣いているのだ、そこに水を注すわけにいかず、泣き終わるまで待つことにした。




『青春と幸福を母国の為に捧げた勇敢な陸の英雄たち、ここに眠る』は史実のアリューシャン方面の戦いで日本軍が命を落とした米兵のために十字の墓標と『青春と幸福を母国の為に捧げた勇敢な空の英雄たち、ここに眠る』という墓碑が収められたことを元にしています。戦時下にあっても敵兵に対する尊敬を忘れない心に、自分は感動しました。

さて次の題名は
『ロウリアの栄光は終わりを告げる』
です。
名前からバレバレだと思いますが、いつも通り期待せずお待ちください。


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ロウリアの栄光は終わりを告げる

また一日遅れました、申し訳ございません。今回、三つの航空機が登場します。詳細はあとでだしますのでお待ちください。では、どうぞ。

8/19 加筆訂正



ロウリア王国東部諸侯団

 

 副将アデムはイラついていた

 

「どうなっているのですかぁ!」

 

 アデムは近くにいた部下を殴り飛ばした。その理由は突然、偵察隊12騎の魔伝が切れたのだ。悲鳴もないものだから、余計に気味が悪い(日本軍に捕虜として現在、収監中)。

 

「げ、現在調査中でして……」

「そんなことは分かっておるのだ!具体的なことを話せんのか貴様は!」

 

 アデムは報告をした者に罵声を浴びせた。室内は静まり返っていた。そこに将軍パンドールは口を挟む。

 

「そこまでにしておけ、アデム。下っぱとはいえ大事な部下だ、死んでしまってはもとも子もない」

「申し訳ございません、パンドール閣下」

「では話を切り替えるぞ、まず本軍の護衛は何騎用意した」

「はっ、ワイバーンを50騎ほど用意しました。理由としましては、すでに200騎以上が未帰還になっていますゆえ、念には念を入れております。本軍が壊滅しましては、意味がないので」

「ふむ、確かに合理的だ。ネズミの一匹も逃さんよう警戒を怠らないよう、竜騎手にいっておけ」

「了解しました」

 

 将軍パンドールが外に出ると、50騎のワイバーンは10騎ずつの交代で警戒をしていたその時だった。東の空からワイバーンに向かって光の矢が吸い込まれるかの様に追尾し、そしてワイバーンは爆散した。

 

「き、奇襲だ!」

 

 突然の攻撃に将軍パンドールは驚きつつも命令を出すも、いきなりのことで兵士たちも動きが鈍く、すぐに動けなかった。それに敵は空中にいるため、こちらからは手は出せない。ワイバーンに中射程空対空ミサイル『AIM-7F/M スパロー』が直撃し、落ちていく上をF-15(イーグル)はマッハ1.2というスピードで過ぎ去っていく。だが、交代による警戒だったためF-15が撃墜したのは10騎のみ、まだ40騎も残っていたため、すぐに全騎を上げた。

 そして上げた瞬間にワイバーンよりも遥かに高いところからまた別の機体が突入してきた。それはキ43 一式戦闘機「隼」であった。隼は機首にある12.7mm機関砲による攻撃でワイバーンを穴だらけにし再び上昇していった。脅威は去ったがもう少ない航空兵力『ワイバーン』を失ったことは大きかった。すぐにパンドールは立て直そうとしたが、また攻撃は終わっていなかった。

 

「パンドール閣下、まだ何か来ます!」

「何!?」

 

 アデムの言葉に再び空を見上げる、先ほどの来ていた二種類の機体と全く異なることを一瞬の内に彼は理解した。

 

──────────────────────────

大日本帝国陸軍第陸航空軍第百飛行師団第7飛行隊

 

「ワイバーンとやらはすべて叩き落としてくれたようだな」

「そうですね、敵は地上から攻撃する手段を持ってなかったので助かります。これで安全に爆撃できますね」

「よし各機体に連絡、これより敵の本拠地を爆撃する」

「攻撃方法はどうしますか?」

「水平爆撃で構わん。戦車のように動くわけでもないし海軍がやってる急降下爆撃はこの機体では不可能だ」

「了解しました」

 

 そしてロウリア王国東部諸侯団の上空でキ21 九七式重爆撃機は100kg爆弾を連続投下した。

 

──────────────────────────

ロウリア王国東部諸侯団

 

 空を見上げていると、先ほどの機体が黒いものを次々と落としていった。何かはわからない、だが途轍もないほどの死の予感を感じる。そしてその黒いものが地面に接触した瞬間大爆発した。将軍パンドールはこの時、自分が死んだことを悟った。敵は蛮族などではない、化け物だったのだ。そして、ロウリア王国東部諸侯団の本拠地は壊滅した。

 

──────────────────────────

数日後……

 

ロウリア王国首都ジン・ハーク『ハーク城』

 

 六年という長い列強の支援という名の間屈辱的な要求に耐え、そしてロデニウス一の軍事力を達成した。亜人どもを使い潰して、訓練の的にもして最強の軍隊を作り上げた。資源も底につくまで投じ、数十年いや数百年にもわたる高額の借金もして作り上げた軍隊。だが途轍もないほどの力をもつ大日本帝国と日本国という国家によってその目標が完全に潰された。その時、彼は頭にある言葉を思い出していた。

 

『復活の刻来たりし時、世界は再び我らにひれ伏す。我は太陽、すべてをあまねく国家なり』

 

 かつて神に反逆した伝説の国家『ラヴァーナル帝国』、通称『魔帝』である。あの武器、あの兵器、あの異常なまでの強さ、間違いない。我はとんでもない国に歯向かってしまった。悲鳴が聞こえる、近衛兵たちの声だ。もうダメだ、おしまいだ。

 

 タタタタ………ドン!

 

 王の謁見の間に彼らが現れてる、まだら模様と茶色い服を着た奇天烈な軍がなだれ込んでくる。そのなかに5人ほど青色を基調とした服を着る兵士がいた。見慣れない武器、見慣れない服装、やはり魔帝だったのだ。

 

「も、申し訳ございません、魔帝様!」

 

 青い服を着た男性がハーク・ロウリア34世に近づく。

 

「魔帝というのはよくわかりませんが、日本国警視庁の青木と申します。あなたには殺人教唆罪、暴行教唆罪、他多数の犯罪において指示を行い実行した罪で逮捕します。現在、逮捕状は別の者が持っていますが、緊急ですので逮捕いたします。中央歴1639年5月19日、午前10:34、殺人教唆罪及び暴行教唆罪、他多数の犯罪を指示した罪で逮捕」

 

 ハーク・ロウリア34世の両手に手錠がかけられた。




そういえばげんさのハーク・ロウリア34世はどうなったんでしょうか?自分はなろうでしてかみてないので。おそらく牢屋なのかな、それとも立憲君主制になって途中で戻ってるのかな?まあ、いいや。

ハーク・ロウリア34世の逮捕についてですが、読者から指摘がありました。指摘くださった方、勉強になりました。

F-15のスピードに関してはですが、Maxスピードはテスト飛行以外、おそらくしない感じだったので遅くしました。また、ミサイルを撃ったあとにスピードを上げて離脱しています。

九七式爆撃機の爆弾についですが、750kgは最低搭載量のようです。最大爆装の1,000kgに変更をし、100kg爆弾の連続投下にしました。一機約10個落としています。指摘してくださった方々ありがとうございます。勉強になりました。

次の題名は
『戦後処理』
です。期待せずにお待ちください。


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戦後処理

戦後処理となりますが、日本は完全中立です。ここで一言添えるとしたらあの裁判は違法ということですね。わかったとしても公言しないでくださいね。では、どうぞ。


西暦2025年12月23日

 

日本国長崎刑務所(仮捕虜収容所)

 

 そこにはクワ・トイネ公国に収まりきらなかった捕虜及び暴行未遂のクワ・トイネ、クイラ軍人が収用されている。また捕虜でも素行の悪いものと暴行を行ったクワ・トイネ、クイラ軍人は大日本帝国の臨時捕虜収容所に収用されている。

 

「ここが当分の間、あなたが入る場所です。今まで豪遊を行ってきたあなたにはものたりないかも知れませんが、自分が収監されてわかるものもあります。衣食住ともに粗悪ですが、ここは刑務所なのでそんなことは求めないでください」

 

 そういわれ入れられたのはハーク・ロウリア34世である。

 

「へ、陛下!」

 

 そう言うのはロデニウス沖大海戦で行方不明になっていた、海将シャークンである。

 

「シャークンか、ちょうどよい。聞きたいことがある」

「は、はい」

「お前は日本をどう思う」

「日本をですか……」

「ああ……」

 

 ハーク・ロウリア34世は長い間ここに収監されていたシャークンなら、何か感じるものがあると思ったのだ。

 

「そうですね、衣服はこんな感じで食事も不味く住み心地は確かに悪いです。ですがそれ以上に日本は親切ですね。」

「親切?」

「はい、刃物など危険物などは無理ですが本や食べ物、飲み物などは頼めます。まあ、そこまで多くはできませんけどね。それに不定期ですが、新聞なども配ってくれます。しかも丁寧にロウリア語で書かれているので読めますし、わかりやすかったです。そして、一つ分かったことがあるのです」

「それはなんだ?」

「この国『日本』は80年以上もの間、国同士の戦争も内戦も起きてないのです」

「なっ、そんなにも長い間おきないものなのか」

「自分も疑問に思い聞いてみたのですが、デモというのはおきるのですが国同士の戦争は80年していないどころか、放棄しています。そして内戦に関しては80年どころか150年近く起きていないのです」

「それはものすごく平和なのだろうな」

「はい、見ただけでも平和というのが分かります。陛下を前に言いづらいのですが、ずっと戦争を行ってきた責務から一時的にも離れてここまで楽しいことは、無かったです」

 

 それはハーク・ロウリア34世が見たこともないほどのシャークンの笑顔だった。その時、彼は気づいたのだ。民を苦しめていたのはほかでも自分だったことを。彼の目にはいつの間にか涙が溢れていた。

 

「へ、陛下!申し訳ございません、ですきた真似を」

「いや、いいのだ。お主の話を聞いてやっと目が覚めた。そうか長い間、迷惑をかけてしまったな」

 

 シャークンはどうしていいか分からず困惑しつつも、ハーク・ロウリア34世に何度も謝った。

 

「謝罪はもうよい、それより聞きたいことがある」

「な、なんでしょうか?」

 

 シャークンは先ほどの様に日本のことを質問されると思い、その答えを頭のなかで考えた。

 

「この国は『ラヴァーナル帝国』、魔帝だと私は思うがお主はどう思う」

「えっ、日本がですが?」

「ああ」

 

 まさかの質問に困惑しつつも彼は答えた。

 

「……それはありえません」

「ほう、ありえないと言いきったか」

「はい、この国はラヴァーナル帝国と全く違うことがいくつもあります」

「例えば何がある」

「まず、この国には差別主義者が少ないです。それに差別的発言は憲法というもので禁止されています。そして、決定的な違いはこの国は魔法を物語のなかでしか知りません」

「なに!?ということはまさか!」

「はい、この国の人は魔法の使い方を知りません。あくまで彼らには、空想のものでしかありません」

「ということはラヴァーナル帝国ではないのだな」

「ええ、この国は科学というものでなりたっているのです」

「科学?その辺を詳しく」

「私も本をもらってみた程度ですが……」

 

 ハーク・ロウリア34世とシャークンの話は夜深くまで続いた。

 

──────────────────────────

西暦2025年12月28日

 

日本国東京都千代田区『最高裁判所』午前9:00

 

 この裁判所には中立国として日本国、大日本帝国。戦勝国としてクワ・トイネ公国、クイラ王国。敗戦国としてロウリア王国。計5ヶ国の地位の高い者が集結していた。参加予定の無かった二人も急遽参加することになった。大日本帝国国家元首『天皇(裕仁)陛下』、日本国国家象徴『天皇(和仁)陛下』の二人である。

 

日本国参加者

最高裁判所長官:井上(いのうえ) 俊一(としかず)

大法廷代表:山田(やまだ) 卓和(くわと)

総理大臣:遠江 優音

防衛大臣:東栄 戦帝

外務大臣:鳳凰院 六月

第126代天皇:和仁(むつひと)

 

大日本帝国参加者

総理(内務・陸軍)大臣:東絛 英機

海軍大臣:嶋田(しまだ) 繁太郎(しげたろう)

外務(拓務)大臣:東郷(とうごう) 茂徳(しげのり)

第124代天皇:裕仁(ひろひと)

 

クワ・トイネ公国

首相:カナタ・イルメート大公(公爵)

外務卿:リンスイ・ホルベール侯爵

軍務局将軍:ハンキ

公国海軍第2艦隊参謀:ミドリ

公国陸軍西部方面師団司令官:ノウ

 

クイラ王国

国王:ライドル・クイラ・ボルネック(第16代)

外交総括:メツサル・レード侯爵

総合騎士団長:ミレイユ

水軍提督:イベルト

 

ロウリア王国

国王:ハーク・ロウリア34世

防衛騎士団将軍:パタジン

王宮主席魔導師:ヤミレイ

海軍将:シャークン

陸軍将:ミミネル

 

 井上が口を開く

 

「それではすべての国の代表者が集まりましたので、これより桑久呂戦争の討議を始める。まず始めに……」

 

 井上の言葉を遮りハーク・ロウリア34世が手を挙げる。

 

「ハーク・ロウリア34世、どうかいたしましたか?」

「まず始めに言わせてもらいたい。我が国は如何なる損害賠償もすべて受けます」

 

 これには各国が驚いたがすぐにリンスイが立ち上がり公言した。

 

「ふざけるな!我が国の民をいたぶり殺しておいて、何がすべての損害賠償を受けるだ!偽善者のつもりか!」

「……分かっている、虫のいい話なのは。だがこの数日この日本という国にいて自分がどれだけ愚かだったかを知った。私はクワ・トイネ公国及びクイラ王国双方だけでなく、国民にですら迷惑をかけた。いや迷惑どころではない、言葉では説明できないほどの愚行をした。これはどんな罪をどんな刑をかけられても、文句はいえない。これが今のロウリア王国の気持ちだ」

「……調子が狂うな、だがあなたの気持ちを理解した。だがらといって今までの罪が無くなるということがないことを理解しろ」

 

 リンスイはそう言い座った。突然の公言に戸惑ったものの井上裁判長が「静粛に」と言ったためしずかになった。

 

「ではロウリア王国は不平等条約でも構わないということでよろしいでしょうか?」

「はい、それが今できる最大の償いですので」

「分かりました、それでは討議を続けます。まず日本国並び大日本帝国は今回の条約の仲介者であり、中立国であるためロウリア王国への損害賠償を放棄します」

 

 この発言には双方の日本以外の国が驚いた。一番の功労者は日本であるにも関わらず、その席を降りたのだ。これにはたまらずカナタが公言する。

 

「ま、待ってください!この戦争に勝てたのは日本の方々のおかげなのです。それでは私たち国の面子が」

「今、大事なのはそこでない」

 

 そう発言したのは東絛であった。

 

「我が国と日本国が行ったのは援軍だ。あくまで補助であり、条約に介入する権利はない」

「で、ですが」

「戦争を始めたのはあくまであなた方『三ヶ国』である。我が国は頼まれただけだ。そこを忘れるな」

「わ、分かりました。ですが、援軍のお礼は致します。そこは譲れません」

「いらないといっているのだかな……」

「東絛、彼らは国を背負ってきている者だ。わがままくらい聞いてあげなさい」

「へ、陛下!分かりました、カナタ首相。援軍のお礼だけもらいましょう。日本国もそれでよろしいでしょうか?」

「どうしますか陛下?」

「戦後処理は彼らに任せておけば間違いない。我が国は平和ボケしているため、分からないのでな」

「分かりました、日本国も大日本帝国と同じく増援部隊のお礼だけで十分です」

 

 双方の日本以外の国は驚いた、あれだけ強気に出ていた東絛首相をあんなにもあっさりと納得させたことに。

 

「それでは討議を続けます。まずロウリア王国の処遇についでですが……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2時間後……

 

「では討議の結果、以下の内容で条約締結でよろしいでしょうか?」

 

条約内容

第一条:ロウリア王国は旧支配地域の今後の独立を認める。

第二条:ロウリア軍、クワ・トイネ軍、クイラ軍、大日本帝国軍、日本国自衛隊は、国境越えをしている部隊を全面撤退。

第三条:ロウリア王国はクワ・トイネ公国及びクイラ王国に対し、賠償金金貨4億枚ずつ払う(分割可)。

第四条:大日本帝国、日本国、クワ・トイネ公国、クイラ王国にいるロウリア人捕虜を返還し、虐待もしくは処刑してはいけない。またロウリア王国も同じくクワ・トイネ人捕虜、クイラ人捕虜を返還し、虐待もしくは処刑してはならない。各軍に協力した者たちにいかなる処刑もしてはいけないし、させてはいけない。

第五条:大日本帝国は各国の軍事面を、日本国は各国のインフラ面を強化する。またそれにおける従事者に各国も協力し、自国の発展を促す。

第六条:今後のロデニウス大陸における戦闘行為を永久に禁止する。ただし、訓練や賊の逮捕などはここに含まれない。

第七条:クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国の三ヶ国は相互協力をし政治・経済の発展を促す。

第八条:人種、種族、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別してはならない。ただし、体の造りによっては区別する。

第九条:以上の内容に沿って、各国は国交改善・樹立を継続する。

 

 誰かは分からないが拍手をしたため、それに呼応して全員が拍手した。

 

「賛成多数と認め、ここに条約締結を承認します。調印者『大日本帝国首相 東絛 英機』、『日本国首相 遠江 優音』、『クワ・トイネ公国首相 カナタ・イルメート公爵』、『クイラ王国国王 ライドル・クイラ・ボルネック』、『ロウリア王国国王 ハーク・ロウリア34世』、今後の国交改善向上を再確認しもう一度拍手をお願いします」

 

 先程よりもより一層大きな拍手がされた。そして、井上の「解散」の言葉で全員、席を立って各場所へ戻った。本来であればハーク・ロウリア34世はあと数年、収監される予定だったが嘘発見器などでの検査の結果『更正の余地あり』ということで、ロデニウス大陸を発展させるという名目で仮釈放された。3年間の仮釈放で問題がなければ、そのまま釈放することになった。またロウリア王国は日本と同じ『立憲君主制』を採用し、政治は国民に任せることが決定した。ただし、重要案件は国王が確認するのは変わらない。

 

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『桑久呂戦争』

・年月日:中央歴1639年4月12日~中央歴1639年5月19日(条約締結日は5月27日)

・場所:ロデニウス大陸及びその近域

・結果:クワ・トイネ公国、クイラ王国の勝利。国王逮捕によるロウリア王国の敗北。

・交戦戦力:クワ・トイネ公国  | ロウリア王国

      クイラ王国

      大日本帝国

      日本国

・損害:軍人 約4,000人     |軍人 約400,000人

    捕虜 約1,000人     |捕虜 約40,000人

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パーパルディア皇国支配領海

 

「ちっ、あと少しで亜人共を皆殺しにできると思ってたのに、邪魔が入った。仕方ない、今度はこの国で亜人共……いやロデニウス大陸の奴らを全員、皆殺しにするか」

 

 暗闇の海の中に気味の悪い声が響いた。




ハーク・ロウリア34世より自分はアデムの方が亜人を嫌ってると思います。まあ、そんなことはおいときますか。それと来週からまたリアルが忙しくなるので、1ヶ月一つでストックを作成しときます。多くなったら、1ヶ月二つ投稿するかも。

さて、次の題名は
『各国の思惑』
です。いつも通り期待せずにお待ちください。


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幕間 その1
各国の思惑


みなさん、お久しぶりです。最近、総理大臣が代わりましたね自分は………いや、何でもないです。では、どうぞ。

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10/4 誤字修正
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1/27 加筆訂正


グラ・バルカス帝国(通称第8帝国)情報局

 

 ピーピピーピーピーピピーピー

 

 並べられた電気式受信機に、無機質な電子音が連続して鳴り響く。現代の者が聞けば信号形式は違えど、モールス信号と聞き間違うだろう。

 

「閣下、ロデニウス大陸に派遣していたスパイから報告があったのですが……」

 

 質素ではあるが、スッキリとした黒い制服の男が報告を始める。

 

「む、どうした。顔にシワなんか寄せて」

「実はロデニウス大陸における戦争はロウリア王国の敗北、クワ・トイネ公国、クイラ王国の勝利で終戦しました」

「ロウリア王国の圧勝で終わると思っていたのだがな、戦力分析を見誤ったか……」

「いえ、それは無いと思われます」

 

 戦力分析を見誤ったと言ったことを完全否定されたことに、少し頭にきた彼は少し強気に声を発した。

 

「ほう、私の意見に歯向かうとは余程のことなのだろうな」

「えっとですね、ロデニウス大陸の戦争に第三者が関わっていたのです」

「第三者だと?」

「はい」

 

 それは全く予想だにしなかった出来事だった。

 

「ロデニウス沖での海戦にて回転砲塔を使用した船が多数確認されています。その中でも一際目を引いたのは戦艦と空母の2隻の様です。戦艦はベ・テルギス級戦艦の前級として建造計画(・・)がありましたケフェウス級戦艦と似ているとのことです。空母に関しては我が国より一回り以上大きいとのことです」

「何!?戦艦はともかく空母は我が国より大きいだと?」

「はい」

 

 閣下と呼ばれる彼はあることを考えた。

 

(まだ少数派だが、航空主兵論を唱えるものたちがいる。もしかすると、大艦巨砲主義ではなくそちらが発達した国なのか)

 

「閣下?」

「ああ、すまない。他に気になる情報はあるか?」

「えっとですね、対空能力はとても強いというのとその国も転移国家だというのが分かっています」

「我が国と同じ転移国家か……、引き続き調査を命じておけ」

 

 調査続行の命令を出すと彼は一息ついてこう言った。

 

「レイフォルとの国交はどうなっているんだ?」

「はい、外務局によれば最初こそ険悪でしたが少しずつ緩和している様です。なので、速急に宣戦布告宣言を取り消しているようです」

「まあ、敵対国家を増やしたところで意味がないからな。相手がまだ頭のいい国家で良かった」

「ええ、以前のパカンダ王国とかいう国は大変失礼でしたからね。そういえば、それに対する謝罪としてレイフォルが貿易における関税免除などを出しています」

「ふむ、レイフォル……いやこの世界の特産物が少しでも入ってきたら、元の世界との違いがよく分かるな」

 

 そう言って閣下と呼ばれた人物は報告をしてきた人物を下げた。

 

──────────────────────────

ムー王国 軍事会議

 

 今回の会議には軍の幹部のみならず、技術士官のマイラスやロウリア王国に派遣されていたイタリーンなども混ざっていた。

 

「それではロデニウスにおける戦争の軍事報告をしてもらおう。イタリーン!」

「はっ!」

 

 イタリーンは返事をしたあと、写真を出した。白黒の写真で現在の人たちが見れば、昔のものだと思うがムー王国では一番最新のものだ。イタリーンは写真一枚一枚を指差し、説明をした。

 

「まずはこちらの写真です。すべての軍艦の中でも一番艦橋が高く戦艦だと思われます。ですが、我が国で就役したラ・カサミ級と違う点が複数見受けられました」

「違う点とは何だ?」

「はい、まず艦橋なのですが前と後ろの二つに分かれている我が国とは違い前方に一ヶ所だけ置かれています」

「なっ、それでは索敵は疎かになるぞ!」

「いえよく見てください。艦橋自体は複雑に適当に組み合わせて乗っけた様になっていますが、これだけ高ければ前後二つに分ける必要が見当たりません」

「言われてみれば……」

 

 さらにイタリーンの話は続く。

 

「そして主砲に関してですが神聖ミリシアル帝国の魔導戦艦に匹敵すると思われます」

「何、我が国よりも確実に大きいと?」

「はい、少なくとも35cmはあると思いますが遠くから撮影したため、正確には分かりませんでした」

「ふむ、他には何がある」

「主砲の数ですが連装砲が六基確認できました。その他にも副砲や機銃が多数ありました」

「連装砲六基……、考えただけでも恐ろしい」

「戦艦に関しては以上で次は空母になります」

 

 航空母艦(略称:空母)は我が国と神聖ミリシアル帝国しか持っていない(正確にいえば神聖ミリシアル帝国は航空魔導母艦《略称:魔導空母》のため少し違うが)。他の国では竜騎母艦(通称:竜母)が主流であり、それ以外の国で空母を使っているという噂は聞いたことない。

 

「実は先程の戦艦の近くで航行していたのですが、先程の戦艦よりも遥かに大きな船体をしていました」

「何?」

「我が国でも確かにラ・カサミ級戦艦よりもラ・ヴァニア級航空母艦の方が60mも全長が大きいですが、こちらに関しては少なくとも100m以上の違いがあります」

「100m……」

「ラ・カサミ級の前級であるラ・ジーフが約114mですのでそれくらいの差があると思ってください」

 

 会議室に静寂が訪れる。戦艦と空母の全長の違いが異常だったのだ。

 

「そして、この国の主力の航空機を撮影したものがこの二枚になります」

「なっ、これは!」

 

 その二枚の写真には決定的な違いがあった。一枚の写真にはプロペラのない単葉機、もう一枚にはまだ妄想段階の回転翼機だったのだ。

 

「プロペラのない航空機となると神聖ミシリアル帝国のような天の浮舟なのか?」

「いえ、魔法らしきものは感知されなかったので、機械でしょう。おそらく我々が考え付かないエンジンを使っていると思われます」

「なるほど、単葉機の方はよく分かった。問題はこの回転翼機だ、32回に及ぶ実験をしてもなお、飛行が成功していないのだぞ」

「ええ、私もこれを見たときは驚きました。それに上昇力も高く飛行速度もそれなりにあります」

「その技術見習いたい」

 

 技術士官であるマイラスがそう呟く。彼が言うのだから高度な技術だということがわかる。

 

「今までのモノは国力の発展や技術の進歩でどうとでもなります。一番問題にはこの二つです」

 

 その二つの写真には見たことないモノが写っていた、一枚目には空を飛んでいく筒状のモノ、二枚目には海中を進む謎の白い線。

 

「この二つは何なのだ?」

「それが分かれば苦労はしません、我が国では少なくとも考案されたことがないものです」

「マイラスはどう思う?」

「……私も設計や技術士官として他国に派遣されることがありますが、見たことがありません。おそらくこの国しか持たない兵器なのだと思います」

 

 その後も引き続き軍事会議は続いた。最終的にあちら側から接触してこない限り動けないのが、かなりの痛手であった。

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パーパルディア皇国 第3外務局

 

 局長であるカイオスはため息をついていた。

 

「どうされたのですか、局長?」

「ロウリアの野郎があれだけ支援したにも関わらず負けやがった」

「!?」

「第三者がよくわからん以上、これ以上動けない」

「そうなのですか……」

「ああ、それとフェン王国に出してた領土借用を5年延期するように伝えろ。蛮族相手に出せる皇国監査軍を強化する、皇帝陛下には私から通しておく」

「了解しました」

 

 パーパルディア皇国は正規軍から監査軍に至るすべての軍隊を更なる高みを求め強化をし始めた。すべてを支配するため、新たな覇王になるため、後戻りすることは許されない……

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神聖ミリシアル帝国 帝国情報局

 

 第一文明圏に属し、また列強の中で一番主導権があるのが神聖ミリシアル帝国だ。今、この国の情報局であることが話題になっていた。内容は第三文明圏外の戦争だ。通常であれば『またか』で、すぐに無かったことにされるのだが今回は違った。

 

「第三文明圏外で機械動力(・・・・)の艦船が目撃されたのは本当なのか?」

「あくまで噂程度ですが情報はあります」

「ムーの艦船ではないのか?」

「目撃されたという艦船にはムーの旗とは違うものが、掲げられていたようです。また、ムーにも確認しましたがロウリア王国に観戦武官は派遣したが艦船は派遣してないとの言質をとっています」

「第二文明圏の第八帝国といい、何が起きているのだ……」

 

 彼は虚空の彼方を見上げ、再び呟いた。

 

「魔帝でも復活するのだろうか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日すべての歴史が狂い始めたのは、誰も分からないし誰も知ることはない………




グラ・バルカス帝国は覇権国家にしませんでした。どこの小説でも悪役な立場が多かったので、違いをいれたかったんです。

さて、次の題名は
『閑話 二つの日本の国家時勢』
です。いつも通り期待せずお待ちください。

 一部の文を削除し、新たな文を挿入いたしました。理由と致しましてはリアルを持ち込んでいたから、となります。ご指摘くださった方、感謝致します。


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閑話 二つの日本の国家時勢

みなさん、お久しぶりです。まず忠告ですが今回の話は一部というよりほとんどの人が歪曲した歴史に見えると思います。その際は二次創作なので暖かい目でみてくれると幸いです。では、どうぞ。

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大日本帝国

 

 1945年12月14日の日本国との会談以降、こちらの日本はもう一つの日本から試験的に導入した医療、コンピューターシステム、その他多数のモノを使いすごく驚いた。特に医療においては、不治の病とされていた『結核』、台湾で感染者が多発していた『マラリア』、それ以外にも既存のワクチンでは治療できなかった病気に対する特効薬が見つかったことは、当時の日本の死亡率を大きく低下させた。またコンピューターシステムは元来の演算能力を遥かに越えており、最新の測距儀である倒分像立体視式十五米二重測距儀(15m測距儀)ですら敵わない。特にレーダーシステムは島などを誤認していたこともあまり信頼されていなかったが、島を誤認しないためレーダー導入に消極的な者達もレーダー導入に賛成した。

 だが日本からの書籍や動画などを視聴したことにより、軍事関係者が告発される事態が発生した。特に陸軍の将クラスで無理な作戦の決行、玉砕や民間人への暴行傷害、人命軽視、青年将校など、かなりの人数が逮捕された。また海軍でもそれなりの人物が逮捕され、その中には『造船の神様』といわれる平賀譲もいて日本全土を震撼させた。

 そして軍事技術において陸軍では日本国から試験的に導入した『89式5.56mm小銃』、『74式戦車』その他多数、海軍ではレーダー、高角機関砲、ミサイル、魚雷などが、そして双方の軍で共同に導入されたのは退役した『F-4EJ』、爆撃機として『P-3C』など様々である。また、爆撃機はともかく戦闘機は求められる性能が違うこともあり、装備に関しては陸海軍で分けることになった。

 陸海軍は仮想敵国であった『ソ連』または『アメリカ』が無くなったことにより、互いをいがみ合うことが少なくなっていくことにもなった。それ以外にも日本国との出会いにより、訓練などで過度な内容は体罰として厳しく処分されることにも繋がった。ただし、一部の訓練は上級部隊の訓練として残った。

 それ以外にも憲法の一部改正、徴兵制度の見直し又は撤廃、陸軍省、海軍省の合併の案が出されたが、見送りになった。また、日本との出会いだけではあるが、軍事的脅威なしとされ戦時体制が解かれた。

 

──────────────────────────

日本国

 

 2025年8月20日の大日本帝国との会談以降、こちらの日本はもう一つの日本で残っている建造物を元に、壊れている建造物や作品の復旧が行われた。中には原爆ドームを以前の広島県産業奨励館にする案もあったが世界平和や文化遺産登録の件もあり却下された。その代わり、原爆ドーム付近に広島県産業奨励館の博物館が作られ写真が展示されることになったりと、良いこともあった。

 また、自衛隊及び米人部隊は能力向上のために大日本帝国から教官を派遣してもらったところ、米人部隊の方で脱落者が多発(海軍が多いため)、自衛隊でもいたがレンジャー部隊ということもあったのか、そこまで落ちる者がいなかった(とはいえ参加した40%以上は落ちている)。

 そして日本国から大日本帝国へも軍事技術の勉強として使節団が派遣されていた。何故か。理由は30cm以上の大砲だ。実は第二次世界大戦以降、航空主兵論が発達した地球ではその技術が失われていた。技術が失われてた理由としてはほとんどの設計図が焼却処分されてしまったことにある。そのため、30cm砲以上は開発不可能になっていたのだ。だが、大日本帝国との出会いにより開発が可能になったかもしれないのだ。なぜ疑問系なのかというと、技術を覚えられるのは彼らの技量次第であるため分からないのだ。だが製造可能になれば兵器の開発の幅が大きく向上することになる。

 それ以外だと災害派遣の要請であろう。連続大地震の結果、各地で被災者が溢れているのだ。当初は旧日本軍というのもあり批判されたが、自衛隊と同じように接してきたので快く受け入れられた。一部では差し入れをしようとしたが頑なに断られたらしい。

 

──────────────────────────

日本国 2025年8月26日(1945年12月20日)

 

 特別VRルーム第二会場

 

 大日本帝国から再び使節団を招いていた。理由としてはあの戦争のあと、どうなったのかを教えるためだ。彼らはすでに日本が敗北したことは我が国との出会いで分かったらしいのだが、どう負けたのかを知りたいらしい。だが、東條と山本が奇妙なことを言っていた。「やはり負けたか」と、まるで知っていたかのようにだ。

 

「では過去にN○Kで報道されたものとYo○Tu○eにおける情報を元に作成した昭和前期から今までのことを映します。それとこちらをお付けください」

 

 東條と山本たちはいわれるがままそのヘッドギアを被った。

 

「では、始めます」

 

 一瞬だが脳内に電気が走り、目をつぶる。痛みが無くなり、目を開けるとそこには昭和前期の映像が流れていた。

 

『1926年、大正天皇の崩御により裕仁様が新たに即位し昭和の時代を迎えました。第一次世界大戦後の我が国では大正デモクラシーの風潮を受け継ぐ形で政党政治が行われるようになりました。ですが、恐慌に継ぐ恐慌が重なり政府に対し国民は怒りをあらわにします。

 そして1931年、日本を揺るがすことがおきます、満州事変です。関東軍の暴走により中国北部は支配され、傀儡国家「満州国」が建国されます。その結果、日本は国際的に孤立する道を歩んでいくことになります。

 そして1936年に大きな事件が起こります、二・二六事件です。陸軍の皇道派である青年将校たちが起こしたクーデターにより、松尾伝蔵内閣総理大臣秘書を含む政治家5人、警察官5名が死亡し警察官1名が重症を負いました。ですが、天皇の意思に逆らったことは大変重罪で、首謀者の死刑や逮捕が相次ぎました。

 その翌年には謎の発砲事件「盧溝橋事件」が発生します。これによる日中衝突により、日本は45年までの長い間「日中戦争」が始まります。

 日本はこの期間にノモンハン事件、日独伊三国同盟、日米通商航海条約の失効、さまざまな歴史的事件が起こります。そして、ナチス・ドイツ第三帝国によるポーランド侵攻により、第二次世界大戦が始まります。

 そして1941年に石油輸出も禁止された日本は、ついに戦争の火蓋を切りました。太平洋戦争の勃発です。日本のアメリカのハワイ、真珠湾攻撃で始まり最初は連戦連勝を重ねていきますが、1942年のミッドウェー海戦で敗北を喫します。主力空母の4隻を失ったことは、日本で多大な衝撃を受けます。ガタルカナル島、大東亜会議、ビルマ、中部太平洋、マリアナ、フィリピン、神風特別攻撃隊、沖縄戦、ひめゆり部隊、本土空襲、硫黄島、そして坊ノ岬沖で史上最大の主砲を持つ大和が沈没します。大和沈没により、日本本土への空襲はさらに激化しました。東京大空襲により東京は焼け野原になり、そして広島・長崎に史上最悪の兵器「原子爆弾」が投下されました。これにより日本は「ポツダム宣言」を受け入れ事実上の無条件降伏をします。

 敗北した日本をGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)による支配を受けます。これは1952年のサンフランシスコ平和条約締結の間まで続きました。その間に起きたのは東京裁判、アメリカの沖縄統治、ソ連の北方領土占領、韓国の竹島占領、さまざまなことが起きました。東京裁判ではアメリカを中心とした戦勝国による軍事裁判であり、東條英機を含む7名が死刑になりました。そして、日本はGHQの主導で憲法を改正します。その9条には戦争放棄が制定されました。日本は平和主義国家へと成り代わっていきます。

 そして時代は昭和中期へと移ります……』

 

 その後も休憩を含めながら続いて行った。

 

『そして治仁(なさひと)様が子供である和仁様に譲位し、日本は安久の時代へと移り変わります。2020年に東京オリンピックが開催され、世界は大熱狂しました。しかし、その反面として経済が悪化しデフレとなっていきます。2021年末期には未知のウイルスの発生により世界各地でパンデミックが多発、日本でも緊急事態宣言が発令されました。2022年に未知のウイルスによる人種差別が問題となりアメリカとの関係が悪化しました。株の大暴落も発生し第二次世界恐慌が発生、世界各地で経済不況が相次ぎました。そして、世界恐慌による経済不況により世界中で軍事行動が活発化しました。そして中東で第五次中東戦争が勃発、アメリカのイラン・イラク侵攻、アメリカとの経済断交、自衛隊戦力拡大、在日米軍の日本支持と日本を取り巻く環境は変わっていきます。そして2025年この異世界に転移しました。』

 

全ての視聴が終わったあと、東條英樹がただ一言こう言った。

 

「所々、違う箇所がある上におかしなところがある」

 

 その発言に一部を除いた多くの人物が驚いた。

 

「え、えっとどの辺でしょうか?」

「まず、満州事変だ。あれは関東軍の暴走ではない。関東軍の意思だ」

 

 その発言に歴史専門家の一部が陸軍を批判した。

 

「やっぱり、関東軍は最低だな。やっぱり、クズのあつま」

「なんだと?」

 

 山本も聞いたことのないほどの東條の低い声に誰もが驚く。そして、東條はこう言った。

 

「貴様は満州の何を知っているのだ?歴史か?人か?経済か?俺たちがやったのは、満州の救済だ」

「どういうことですか?」

 

 その発言に先ほどひどい言葉を言った歴史専門家が尋ねた。

 

「そもそも満州は中国の領土ではない」

「!?」

 

 その発言にさらに彼らは驚いた。

 

「中国の指導者は漢人であり満州人ではない。そしていまは無き清の皇帝は満州人である。そして清が滅亡したあと中国は内戦になった。だがそこに上からソ連が攻めてきたら?」

「上からソ連……あっ!?」

「やっと分かったか?ソ連が上から攻める場合必ず満州を通る。中国は内戦中でもあるし、軍事力も乏しい。なら我が国が守らなければならない」

「そ、それは建前で実は資源を狙っていたんじゃ……」

「資源?資源はともかく満州鉄道の権益などはあったが資源は知らないな。それに経済発展してきたらアメリカや他の国々に難癖つけられてこちらは困ったものだ」

「そうだったのですね……」

「それともう一つ、なぜ我が国だけ責められてアメリカは責められないのだ!?」

「?なにがですが」

「原爆に東京大空襲、どちらも民間人を狙った行い、完全な国際法違反だ。確かに我が国も宣戦布告なしで攻撃し国際法違反なのは分かっている」

「ふざけるな!あなた方も南京大虐殺ということを行ったではないか!」

 

 この言葉に東條が顔をしかめる。そして口を開いた。

 

「南京大虐殺というのは初めて聞いたな、おい」

「はい」

「関東軍及び南京に進行した軍人たちにあとで聞いてくれ。南京で大量殺戮を行った部隊がいるかを」

「はっ、急ぎ連絡します」

 

 東條に呼ばれた軍人は本国に連絡をした。事実かどうかを確かめるためだ。転移後、関東軍と南京駐屯部隊は別々の師団に別れたため、数日時間はかかるが。

 

「すまなかったな、子孫たちにこんな汚名を着させてしまって」

「は、はあ……」

「だがそれ以外にも言いたいことがある」

 

 歴史専門家は(まだあるのか)と心の中で彼らを少し見下していた。自分たちが調べたことを真っ向から否定しつつ、さらにまだ不満があるのかと。

 

「山本、他の奴らも立たせろ」

「もちろん、分かっている」

 

 すると大日本帝国側の人たちが一斉に立った。これには驚き歴史専門家は何かされるのかと怖くなった。だが述べられた言葉と行動は全く違っていた。

 

「誠に申し訳なかった!」

 

 そうきれいな土下座である。まさか先人たちに土下座されるとは思っていなかった歴史専門家たちは困惑した。そして理由を聞いた。

 

「え、えっとどうされたのですか?」

「謝って済む問題ではないことは分かっている。だが我々がした愚行は大変重罪だ」

「どういう意味ですか?」

「『神風特別攻撃隊』で未来ある若者たちを死なせて……いや、殺してしまった。これは私一人の問題ではない。国家全体の問題だ。いくら窮地に陥ったとはそんなことをしたのは事実、未来だとしてもだ」

 

 その言葉のあとに長い静寂が訪れた。だが一人の歴史専門家が言葉を発した。

 

「確かに未来とはいえあなた方が若者たちを特攻で殺したのは事実」

「……」

 

 何も言い返せず無言になる。

 

「だがそんな特攻隊を尊敬している自分がいます」

「なぜだ、あんな人命軽視の行動を……」

「確かに人命軽視でありとても許されざる行為ではありません」

「………」

「ですが特攻をしてまでも私たちの国を守ろうとしてくださったのです。各部隊で強制や志願などと違うところはあります。だが変えられない事実があります」

「変えられない事実?」

「『勇気』です。私は戦争を美化するつもりも、神風特別攻撃隊を美化するつもりもありません。ただ彼らの行動を見て私が感じた意見を述べただけです」

 

 東條たちは立ち上がりもう一度謝罪した。あとあと謝罪金を支払うと遠江が聞いたときは、驚いたらしい。また大日本帝国では秘密裏に研究していた原子力爆弾を東條が天皇陛下に取り次ぎ、勅命で禁止させた。




 満州事変ですがあれには明確な理由がございます。それは中国大陸で日本人がいじめや嫌がらせ(アメリカの排日運動)が起きていました。しかし、日本政府が動かなかったので関東軍が動いたのです。日本政府は『国際協調』を優先した結果、『関東軍』が動くしかなかったのです。信じるか信じないかはあなた次第です。

さて、次の題名は
『ロデニウス近隣諸国の変異』
です。いつも通り期待せずお待ちください。

 なお、間で『国家紹介』と『兵器・武器紹介』を入れる可能性あり。


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新国家成立!そして新たな火種
ロデニウス近隣諸国の変異


ロデニウス近隣諸国と書いてありますが、正確にはロデニウス大陸内の国家と二つの日本のみです。ご了承ください。

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 ロデニウス大陸では桑久呂戦争のあと、ロウリア王国内から新たに二つの国家が誕生した。アカーム騎士王国と、リセイケル共和国だ。当初はロウリア王国から独立したこともあり戦争が始まるかと思ったが、ロウリア国王が日本で謝罪していたことを知っていることもあり協力体制がすぐに築かれた。ロウリア王国、アカーム騎士王国、リセイケル共和国は三ヶ国で陸・海・空の武器・兵器を分けて造りそれを交換して軍備を整えた。まず造船技術は日本に劣るものの船の生産能力が高い海の兵器をロウリア王国が担当。次に騎士の中から現れた陸に特化した者たちによる陸上兵器をアカーム騎士王国が担当。そして、空を知り尽くした竜騎士の中から現れた空に特化した者たちによる空の兵器をリセイケル共和国が担当。

 

ロデニウス大陸 中央 国家間会議館

 

 桑久呂戦争のあと、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国の国境の境目に新たに建設された国家間会議館は西北のアカーム騎士王国と南西のリセイケル共和国の五ヶ国で使用されている。

 

「さて、今回の議題だが今後のロデニウス大陸についてだ」

 

 各国の最高指導者が頷く。アカーム騎士王国の騎士王『レイ・フォルグ』が声を出す。

 

「まず私からいいかな」

「どうぞ」

 

「私から言えるのは本当に五ヶ国も必要なのかと言うこと。日本国主催のもと行われ制定された千代田条約の『第六条:今後のロデニウス大陸における戦闘行為を永久に禁止する。ただし、訓練や賊の逮捕などはここに含まれない』。これを守るためならはっきり言って五ヶ国も必要ない。」

「確かにそうだな。あの戦争のあと我が国とアカーム騎士王国は独立したとはいえ、なにか変わったわけでもない。逆に以前より軍事面やインフラ面が強化されて良いことづくしだ。それに娯楽も増えたのだ」

 

 リセイケル共和国の首相『マレドス・ミレブィーレ』がそう言う。独立したとはいえ別にロウリア王国に戦争をしかけるわけでもなく、とても平穏なのだ。

 

「軍事面、うっ、頭が……」

「大丈夫か、ロウリア国王……」

 

 頭を抱えるハーク・ロウリア34世とそれをなだめるライドル・クイラ・ボルネック。

 

「まあ、あれを経験すればな……」

 

 カナタ首相がそう言うと彼らは回想をし始めた。

 

──────────────────────────

回想

 

 桑久呂戦争のあと、ロデニウス大陸の軍事力を高めるために大日本帝国から陸軍の教育総監部、海軍の鎮守府から教育官が数名、日本国から陸自のレンジャー部隊、海自の掃海部隊、空自の航空教育集団から数名が派遣された。そしてこれがロデニウス五ヶ国の地獄の始まりだった。過度な訓練は体罰として罰されることになっていたが、今回は能力向上のため特例で許されたのだ。

 

「おい!誰が休んで良いと言った!まだお前は腕立て100回残ってんだ!さっさとやれ!

「は、はい!」

「声が小さい!もっと大きな声で返事しろ!」

「はい!」

「まだ小さい!お前は罰としてプラス200回だ!分かったら返事しろ!」

「はい!」

 

 それを遠くから見てたやつがいた。

 

「同じ日本でも大日本帝国の訓練は厳しそうだな」

「ああ、日本国にして良かった」

「きをつけ!」

 

 全員が緊張するが日本国ということで安心をしている。

 

「ただいまから、レンジャー訓練を実施する。統制事項について示す。返事については全て『レンジャー』と呼称せよ。分かったか」

「はい!あっ」

「もう一度言う、返事は全てレンジャーだ。分かったか」

「レンジャー!」「はい!あっ」

 

 教官の目が変わった。

 

「全員、腕立て伏せ用意!」

 

 その時彼らは悟った。こっちもこっちで地獄だったと。海軍側でもかなりのしごきが行われた。その後も厳しい訓練を各軍は行われた。最初は脱走するものもいたがすぐに捕まり、連帯責任で全員『腕立て伏せ』をやらされた。彼らは今までの訓練とは比較にならないほど厳しい訓練に時折、失神したり鬱状態になるものもいたが、その時はきちんと介抱してくれたため誰一人欠けることはなかった。ロデニウス五ヶ国の軍隊は文面圏外では強い部類に入るだろう。

 

──────────────────────────

回想が終わり再び国家間会議館へ

 

「まあ、とりあえずそれはおいといてだな……」

「ええ、どうしましょうか。このまま五ヶ国でやっていくか、どうするか……」

「一つよろしいでしょうか?」

「カナタ首相が珍しい」

 

 そう言うとカナタは資料を彼らに配った。

 

「カナタ首相、これは?」

「私も五ヶ国必要なのかと思っていたのです。そんなとき、日本がもといた地球と呼ばれる世界で気になる国家体制があったので」

「どんな国家体制なのだ?」

 

 資料を見るが良くわからない。そのためカナタに質問したのだ。

 

「はい、まず1つ目がこの連邦制というものです。それなりの数の国家がこれに当てはまるのですが、この連邦制は州というものにわかれています。そして州ごとに法律があり、警察や軍も存在します。この場合の最高指導者は大統領と呼ばれます」

「なるほど州ごとに法律などが違うからいわば国家の集合体ということか」

「そしてもう一つが連合王国制というものです。これは、少ないですが先ほどの連邦制に王がいる形だと思ってください。ロウリア王国の立憲君主制と同じでほとんどは国民に任せます。国王と大統領、両方が存在します」

「王がいるかいないかだろ、何が違うのだ?」

 

 マレドスがそう質問する。

 

「私としては連合王国制の方がよいと思います。なぜなら連邦制の場合、大統領のみなのでロウリア王国、クイラ王国、アカーム騎士王国の王朝が途絶えてしまうので」

「だが各王朝は生まれた時代が違うぞ。その場合はどうするのだ?」

 

 そう、それが疑問だった。確かに王朝が途絶えてしまうのは先祖に対して無礼だ。そう言うとカナタはこう言った。

 

「そこでなんですが、クワ・トイネ公国、クイラ王国、ロウリア王国、アカーム騎士王国、リセイケル共和国を合併することで新たな王朝を建てるのです。そうすれば血を流さない上に先祖代々の王朝を守ることができる」

「なるほど……数日考えさせてくれ。国王だけの意見でこれは決められない。特にあんな戦争の後だから、私は国民からの信用が低い」

「では各国とも一度国に持ち帰って決まってからということで」

「あ、もし合併するなら国王はカナタ首相だぞ」

「えっ!?」

「『えっ!?』じゃないですよ、この話を持ちかけたのはカナタ首相だし、何より一番早く日本と接触しているのだ」

「そ、それは関係ないのでは」

「関係大有りだ、日本のことを一番熟知しているだろう。他のみんなも良いよな」

「異議なし」

「我が国は一度敵対しているから、顔向けが出来ん」

「独立したとはいえロウリア王国として敵対したから私も降りる」

「右に同じく」

 

 みんながそう答えるとライドルは満面の笑みで、

 

「ということで合併したときの国王はカナタ首相で決まりだな」

「そんな~」

 

 国家間会議館には笑い声に溢れた。

 

──────────────────────────

大日本帝国 軍事会議

 

 軍事会議といってはいるが内容は今後の陸軍と海軍のことについてだ。

 

「では、議題として上がっている陸軍省と海軍省の合併だ。それについて皆の意見を聞きたい」

 

 そう言うと陸軍側の将官が口を開いた。

 

「陸軍に海軍の下になれと言うのか、そんな願いは聞きたくはないな」

「海軍だって同じだ、そもそも戦闘の仕方が違うではないか」

 

 海軍側の将官も文句をいう。

 

「下につくとか、戦闘の仕方が違うとか、そんなのは些細な問題だ」

「そうだ、今問題なのは軍の中で対立しあうことだ」

 

 陸海軍の歴戦の将官がそう言う。

 

「海軍の言いなりになることに抵抗がないのか、あなたは!?」

「天皇陛下の名の元に軍も国民も平等だ、陸海軍に優劣など存在しない」

 

 その言葉に文句を言った陸軍将官も口を塞ぐ。 

 

「戦闘の仕方が違うのにどう対処しろというのだ」

「戦闘の仕方が違うという前に、陸海軍で対立し協力しないのが問題だ。だから情報の共有も出来ないし、大事な局面で責任を押し付け合う」

 

 その言葉に文句を言った海軍将官も口を塞ぐ。

 

「今の陸海軍が行っているのは、先人たちが築き上げた日本を壊す行為だ」

「陸軍と海軍で内戦でも起こすのか、あなたたちは」

 

 この言葉に文句を言えるわけもなかった。全くもってその通りだからだ。そんなとき若輩の将官が手を挙げた。

 

「あのずっと疑問に思ってたんですが、なんで陸軍と海軍で省が分かれているんですか?確か昔は兵部省で一つの省だったのに」

「それについては後で話そう」

「分かりました」

「では、陸軍省と海軍省は合併することでいいな」

 

 全員が頷いた。

 

「今回の議題は以上だ。次は合併したあとの省の名前についてだ。そうだな、来週辺りに開こう」

 

 全員が返事をし軍事会議が終わった。

 

──────────────────────────

 日本国では、大きな変化は無かったが自衛隊に対するマスコミの対応が一部変わったところだろう。今までは海外派遣となると批判を浴びせていたマスコミの一部がこう放送、または掲載したのだ。

 

『誇り高き自衛隊、種族差別をしギム大虐殺を行った武装勢力《ロウリア》を討つ』

 

 なんときれいな手のひら返しではないか。マスコミは金のためならなんでもやるときが多い。だからこそ、マスコミへの信用を取り戻すために自衛隊を称賛したのだ。だが国民も馬鹿ではないので『金のなる木』を見つけただけと、掲示板に書く人が多かった。




さて新たな国家が出てくる可能性が高まりましたね。すでに名前も作成も終わったおります。来月までお待ちを。

では、次の題名は
『新国家の誕生、大日本帝国の軍備改装・縮小・一部拡張の成功』
です。いつも通り期待せずにお待ちください。


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新国家の誕生、大日本帝国の軍備改装・縮小・一部拡張の成功

新たな国家ぎ一つ誕生しました。まあ、分かる人は分かると思います。それではどうぞ

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 ロデニウス大陸で新たな国家が誕生した。新生オースリ・ロデニウス連合王国である。以前あった五つの国が統合され新国家として成立したのだ。そのためもともとあった国は『クワ・トイネ州』『クイラ州』『ロウリア州』『アカーム州』『リセイケル州』として再出発した。その中心に新たに円状の州『ラデニウク州』が出来た。だがそれと同時に仕事も増えた。

 その1、領土の把握。ロデニウス大陸自体は分かっているため、島の把握と州境の把握。

 その2、統一貨幣の制定。現在ロデニウス大陸には三つの貨幣がある。『クワトイネ貨幣』『クイラ貨幣』『ロウリア貨幣』だ。これらを新しい貨幣に交換する為替レートも急務である。

 その3、国家・州の軍備整理。州ごとの軍はそのままでも良いが新しく国を作る以上、正規の軍隊も必要である。各州から素質のある者を選ばれているが、民兵もいる。これについての整備は急務である。

 その4、国家外交の改正。新国家成立に向けて大事な部分として、新たな国家が誕生したことによる外交の再交渉だ。すでに宣言はしているが半信半疑の国も少なくないからだ。

 その5、納税制度の再設定。納税はただ納めればいいだけでなく、その土地ごとに決めなければ上下が激しくなる。

 その6、特産品などの把握。クワ・トイネ州とクイラ州は双方とも分かっているが、ロウリア州、アカーム州、リセイケル州は分かっていないところがあるからだ。これは急務ではないが大事である。

 

 そして国王に『カナタ』が即位した。新王朝『クトゥール朝』を制定、各王朝と公爵、代表が統合された。それと同時に政治部会は廃止、新たに政府が誕生し首相に『ヤゴウ・リーガル』が任命された。下に大統領及び省庁の大臣を一部記載する。

 

新生オースリ・ロデニウス連合王国(一部抜粋)

・国王:カナタ・イルメート(クトゥール朝)

・首相:ヤゴウ・リーガル

・外務大臣:メツサル・レード

・陸軍大臣:ハンキ

・海軍大臣:シャークン

・空軍大臣:ムーラ

その他複数の大臣がいるが、ここでは省略する。

 

 各軍の編成をおおざっぱに説明する。

 

陸軍編成

 

陸軍総司令官:ハダール

 

第1軍団 司令官:ノウ

参謀長:ギーテ

師団数10

旧クワ・トイネ公国の日本式装備を活用する部隊。他の国より亜人が多く占めているため、戦闘能力が高い。

 

第2軍団 司令官:ミレイユ

参謀長:ヒダッシュ

師団数9

旧クイラ王国の日本式装備を活用する部隊。亜人と人間が半々に属しているため、多用途な戦いに向いている。

 

第3軍団 司令官:ミミネル

参謀長:ヤミレイ

師団数14

旧ロウリア王国、旧アカーム騎士王国、旧リセイケル共和国の日本式装備を活用する部隊。人間が過半数を占めるため、第1、2軍に戦闘能力は劣るが人数は一番多い。

 

第4軍団 司令官:イーネ

参謀長:キース

師団数6

各州のロデニウス式装備を活用する部隊。主に国家の警備を担当するため、治安維持が目的である。

 

 

海軍編成

 

海軍大提督:ノウカ

 

第1艦隊 司令官:パンカーレ

参謀長:ブルーアイ

艦船数:戦艦4隻、航空母艦2隻、巡洋艦8隻、駆逐艦16隻

旧クワトイネ公国で建造された艦艇を活用する部隊。大日本帝国式装備を活用し、駆逐艦の4隻は日本国式装備を搭載している。

 

第2艦隊 司令官:イベルト

参謀長:ループレ

艦船数:戦艦2隻、航空母艦1隻、巡洋艦4隻、駆逐艦8隻

旧クイラ王国で建造された艦艇を活用する部隊。大日本帝国式装備を活用し、駆逐艦の2隻は日本国式装備を活用している。

 

第3艦隊 司令官:ホエイル

参謀長:ベアル

艦船数:戦艦6隻、航空母艦3隻、巡洋艦11隻、駆逐艦20隻

旧ロウリア王国で建造された艦艇を活用する部隊。大日本帝国式装備を活用し、駆逐艦の6隻は日本国式装備を活用している。

 

第1警備部隊 提督:ミドリ

参謀長:アメダス

艦船数:警備艇4隻

クワ・トイネ州近辺を警備する部隊。他の艦船より銃や防弾ベストなどの携帯装備が多く配備されている。

 

第2警備部隊 提督:イーヴァ

参謀長:ネフェ

艦船数:警備艇4隻

クイラ州近辺を警備する部隊。他の艦船より銃や防弾ベストなどの携帯装備が多く配備されている。

 

第3警備部隊 提督:ロベリィ

参謀長:レッカ

艦船数:警備艇6隻

ロウリア州南部、アカーム州近辺を警備する部隊。他の艦船より銃や防弾ベストなどの携帯装備が多く配備されている。

 

第4警備部隊 提督:コドゥール

参謀長:サーキエル

艦船数:警備艇6隻

ロウリア州北部、リセイケル州近辺を警備する部隊。他の艦船より銃や防弾ベストなどの携帯装備が多く配備されている。

 

 

空軍編成

 

空軍総将軍 カリネ

 

第1航空部隊 司令官:マールパティマ

参謀長:ルデリー

師団数24

クワ・トイネ州、クイラ州において日本式航空機を運用する部隊。クワ・トイネ州、クイラ州を主に警備し、臨時の際は陸軍と協力する。

 

第2航空部隊 司令官:ホトルム

参謀長:ヒティック

師団数32

ロウリア州、アカーム州、リセイケル州において日本式航空機を運用する部隊。三つの州を主に警備し、臨時の際は陸軍と協力する。

 

第1~第3飛竜部隊

師団数9

ロデニウス大陸に残っていた飛竜で構成された部隊。基本的にラデニウク州近辺を警備する。

 

合同軍 司令官:陸、空のそれぞれの大臣

参謀長:陸、空のそれぞれの副大臣

ラデニウク州を常に守る部隊。陸、空の部隊の数百名を選抜して決める特別な部隊。新しい兵器などはここでテストされてから各部隊に配備される。

 

 日本の訓練によって心身共に鍛えられた軍人たちは、足並みが以前よりも綺麗になっていた。なお敬礼はロデニウス式のものを残しているため、すべて日本式になっているわけでもない。

 

──────────────────────────

 大日本帝国の方でも大きな動きがあった。天皇中心の憲法から国民中心の憲法への改正。女性の権利の正統性、徴兵制度を強制から半志願制に変更などがあった。また総理大臣には新たに吉田茂が就任し、東條は陸軍将校へと戻った。理由としては吉田は軍に真っ向から意見を言える人であり、東條は誰かの下について動くのが向いていたからだ。

 桑久呂戦争のあと、日本の書籍や動画を元に現在使用されている武器・兵器の改善を目指したのだ。改善といってはいるが、そのほとんどは一度解体されてからの再建造になる。それ以外にも師団の編成などの調整もあった。また陸軍省と海軍省が合併され新たに『軍命省』が設立された。

 まず陸軍では増えすぎていた軍の縮小が行われた。もともと第1~第4軍だけだったが、満州や支那への駐屯、戦争長期化による師団不足で増えていたのだ。それにより兵站も不足し食糧困難、資源不足が問題だったのだ。そのため軍は6つまでに縮小された。5つの軍が日本の各地の師団をまとめ、1つの軍がロデニウス大陸に駐屯することになった。ロデニウス大陸は日本式装備をもってはいるが実戦経験が無いため、日本の駐屯は必須だったのだ。これは会議のもと、ラデニウク州に駐屯することに決まった。

 次に海軍では軍備が拡張された。旧世界よりも海が広い可能性が高く、ロウリアのように4,000隻とはいかないもののかなりの数をもつ国がいる可能性を考えると質だけでなく量も必要なのだ。特に大東亜戦争が良い例だ。なお、それにおける資材は陸軍の廃棄武器・兵器やクイラ王国の鉱石などを使っている。資金は日本国で為替をし大金を手にいれている。ただし、すべて大日本帝国の資金には入らず、3割は日本国に入る。ここにどの艦種がどれくらい竣工または建造中かを軽く記載する。

戦艦32隻竣工、8隻建造中

航空母艦40隻竣工、8隻建造中

重巡洋艦24隻竣工、8隻建造中

軽巡洋艦24隻竣工、4隻建造中

駆逐艦220隻竣工、建造中なし

潜水艦113隻竣工、19隻建造中

 その他の『艦艇』、『特務艦艇』、『特設艦艇』、『雑役船』は艦船が出たときに説明する。大日本帝国海軍はこれを機に戦力を拡大させた。ドックの心配はあったが艤装や船体を、艦娘とKAN-SENと同化させることに成功した。ただし艦娘・KAN-SEN状態の艤装な場合は威力が1/4以下になってしまうという弱点もある。なお、艦艇に戻した状態のとき、『艦娘』及び『KAN-SEN』が艦長になり副長を大日本帝国軍人が務めることになった。

 そして新たに新設された空軍は、陸軍の航空隊と海軍の航空隊が合わさって出来た。当初こそいがみ合い口喧嘩が耐えなかったが、それが原因なのか技術力が向上し今まで問題だった部分を日本国の書籍を読み解決しこれをしたら陸海両用できるのではないか、と策をどんどん練ることになっていった。

 大日本帝国の軍隊は再び初心を取り戻した。質がどれだけよくても量があってもそれを扱う人が最も大事なのだと。そのため日本国での訓練を学びそして環境を大事にする、それが大日本帝国軍の基礎となった。




大陸自体が国家になったのでオーストラリアを少し文字っていれています。

さて次回の題名は
『生ける侍の国、フェン王国』
てす。題名からもろばれですが期待せずにお待ちください。

 アンケートのご協力ありがとうございました。訓練内容を詳しく書いて欲しいという方が多くいましたので、次の幕間で書ける様に善処します。なおアンケートについてはこちらで削除しましたことをご了承ください。
 大統領を首相に変えました。ご指摘してくださいました方、ありがとうございます。良い勉強になりました。


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生ける侍の国、フェン王国

一日遅れました、すいません。いろいろあったので、溜め書きも出来てません。いつも通り1ヶ月1投稿で頑張っていきますので、何卒よろしくお願いいたします。

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 『第三文明圏』、それはフィルアデス大陸南方のパーパルディア皇国を中心とした列強国郡である。もちろんこれに属さない、『文明圏外』も存在する。それはフィルアデス大陸北方だけでなく、世界各地に点在する。その内の一つを紹介しよう、その名も『フェン王国』だ。

 フェン王国はフィルアデス大陸の東方約210kmのところに位置する国家である。縦150km幅60kmと言ってもよく分からない人も多い、簡単に言えば勾玉を逆にしたような島だ。なお対称的な形でほぼ勾玉のような形をしたガハラ神国も存在するがここでは省略する。なお、日本国は東方約500km、大日本帝国が東方約1,000km、ロデニウス大陸が南方約1,500kmに位置する。

 この国は70万人弱しかいない上に、魔法を持たない。しかし、文明圏外では五本指に入る陸軍力を持つ。それは何故か、この国は教育として『剣』、ではなく『刀』を習う。孤児であろうと庶民であろうと、刀に秀でた者は尊敬され国から勲章を貰える。逆に皇太子であろうと貴族であろうと、刀を扱えない者はバカにされる(だからといって左遷や重労働などはなくその他の道を勧められる)。刀と共に生き、刀と共に死す、それがこの国の当たり前である。正確には十武道という様々な武芸が存在し、そのなかで有名なのが剣術である。

 

 王宮武士団、それは国内で『剣豪』の勲章を持つ中でも剣王が認めた10人のみが入れる最強の集団である。その中の一人、十士長『アイン』の話を少ししよう。

 彼は王宮武士団に入る目標はもともと無かった。確かに彼は刀が好きだっが、建築の方が好きだったため推薦を断りそちらの道を歩もうとしていた。その目標を変えたのは母だった。それは雪が降り積もる寒い日だった。アインがまだ学生だった頃、母が夕食の支度中に、前々から気にしていた前髪を切るため散髪屋に訪れていたのだ。家を留守にしていた時に事件は起きた。川の近くを歩いていた0歳の赤ちゃんを背負っていた女性が手を握っていたはずの、3歳の子どもが川に落ちたのだという。その助けの声を聞いた母は夕食の支度を中断し寒い川の中に飛び込んだのだ。

 母は子どもを助けたあと、岸に上った時に急激な温度差で心臓発作を起こしたのだ。アインは戻ってきたときに、母がみんなに囲まれて倒れているのが見えすぐに近寄ったがすでに冷えていた。何度も女性に謝罪されたが、子どもが助かってよかったと女性に言い、早く帰ってお風呂に入れて上げてくださいといい、冷たくなった母を抱き上げ家の中に入った。家の台所には作り途中の料理があった。そこにもう亡き母の姿がうつった。アインは後悔して何度も泣いた。泳ぎが得意だった自分が行けば母が助かったかも知れない、自分が昨日もしくは明日散髪屋に行けば助かったかも知れない、どれだけそう思っても抱いている母は冷たかった。

 それを機にアインは変わった。建築の道ではなく王宮武士団にいくことを目指した。それはあの一瞬母が見せてくれた誇りを胸に焚き付け、修行を行った。王宮武士団は、軍であると同時に、国の治安機能を担っている。王宮武士団の項目にも『王宮武士法第2条第1項 王宮武士は、個人の生命、身体、財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧、犯罪者の逮捕、その他公共の安全と秩序の維持をもってその責務とする。』という一文がある。母はこれを行ったのだと

アインはその時、理解したのだ。

 

フェン王国 王宮第六道場

 

 王宮にいるのは剣豪たちだけではない。いくらなんでも剣王に認められた10人の剣豪だけでも足りないし、他の剣豪たちは王宮仕えとも限らないため、素質のある者を集め訓練しているのだ。

 

「アイン、ちょっといいか」

「はい、なんでしょう。マグレフ殿?」

 

 アインの上司、武将マグレフが話しかける。

 

「剣王シハンがお呼びだ」

 

 剣王シハン、フェン王国の君主である。

 

「え、私をですか?」

 

 十士長、剣王シハンに認められた剣豪とはいえ一番下っ端である。

 

「いや、私もだ。というより、全員が呼ばれている。訓練中に邪魔してすまないが」

「いえ、大丈夫ですよ。全員、今日の訓練はここまでとする!速やかに道具を片付けて退室せよ!最後の者は鍵を忘れるな!」

「「「はい!!」」」

 

 彼らは王宮に歩を進めた。

 

フェン王国 王宮

 

 アインとマグレフが着いた時にはすでに全員が集まっていた。一人ずつ紹介しよう。

 

マグレフ 階級:武将

担当武芸:薙刀(なぎなた)(じゅつ)槍術(そうじゅつ)

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中では最強である。薙刀や槍などの中距離での戦闘に長けており、知識も豊富で現場指揮官としては最高レベル。

 

モトム 階級:執権

担当武芸:弓術(きゅうじゅつ)馬術(ばじゅつ)(騎馬(きば)術)

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で側近に仕える人物。弓による長距離攻撃と馬による翻弄に長けているが、剣豪の中では一番高齢であるがゆえに体にガタがきている。最近、息子もしくは孫が代わりになってくれれば嬉しいと思っているらしい。

 

アイン 階級:十士長

担当武芸:剣術(けんじゅつ)小具足(こぐそく)

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中では最も若い。刀や脇差(わきざし)、短刀などの近距離での戦闘に長けている。なお、一部の人たちから道場の鬼といわれているが、彼は知らない様子。

 

マツヨ 階級:くノ一

担当武芸:忍術、手裏剣

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で唯一の女性。忍の家系に生まれ、忍術や手裏剣など隠密などのスパイ活動に長けている。絶賛恋人募集中。

 

キサラギ 階級:僧兵

担当武芸:棒術、杖術

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で最も背が高い。坊主頭に布などを巻き付け、棒や杖といったい突きによる戦闘を得意とする。見た目からは想像もつかないほど、臆病である。

 

レッカ 階級:道化師

担当武芸:鎖鎌術、分銅鎖

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で一番のお調子者。何故かピエロみたいな格好をしているが、本人どころか他の人もその格好をよく分かっていない。鎖鎌や分銅鎖など奇妙な戦闘方法を得意とする。休みの日は外でショーをやっている。

 

テッケツ 階級:暗殺者

担当武芸:含針術、十手術

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で素性が知れない人物。人を騙すことを得意とし、含針や十手による騙す戦闘方法を得意とする。敵以外には基本的に騙すことをせず、敵の情報を集めてくる。

 

フウガ 階級:番人

担当武芸:もじり術、捕手術

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で唯一役人を兼任する人物。役人としてでもあるが敵を殺さず捕まえることを得意とする。見た目はどうみても盗賊である。

 

ノモキ 階級:師範

担当武芸:柔術、居合術

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で最も多くの弟子を持つ。敵を組伏せたり見えないような斬撃による戦闘を得意とする。見た目はどこにでもいそうなおじさん。

 

クシラ 階級:提督

担当武芸:水術、砲術

経歴:現在、剣王に認められた剣豪の中で唯一の水軍。水上での戦いと新たにできた砲術による遠距離攻撃を得意とする。普段はずっと海にいる。

 

 アインは本当に驚いた。普段は召集されてもこない人たちもきているからだ。それほど、重要だと言うことを彼は理解した。

 

「剣王様がお見えになる。全員、気を引き締めよ」

 

 剣王シハンが中に入ってきた、全員に緊張が走る。剣王は所定の位置に座った。そして口を開いた。

 

「パーパルディア皇国と紛争………最悪戦争になるかもしれん」

「「「!?」」」

 

 全員に驚愕が走る。パーパルディア皇国は第三文明圏最強の国であり、そして列強四位のの国なのだ。その技術力の差は圧倒的でしかもこの最近動いてなかった5年でさらに拡大しているという。

 ここにどれくらい絶望的な国力差があるか記述しよう。

 

人口 約600万人対約8,500万人

戦船 斬り込みバリスタ搭載船32隻対魔導戦列艦2,400隻+竜騎母艦400隻、その他準主力船1,000隻以上

陸上武器 刀対フリントロック式マスケット銃

ワイバーン 0騎対800騎

ワイバーンロード 0騎対700騎

 

 装備の差が全く違う。こちらの主力の歩兵武器は近接武器しかない。それに対し、あちらは遠距離武器だ。それにフェン王国が一番不利なのが魔法通信だ。この国には魔法がない。理由は文献に書かれていたらしいが、紛失している。そのため遠距離間での情報交換ができない。それ以外にも問題がある。この国にはワイバーン、というより空を飛ぶ生物が住み着いていないのだ。それは隣国のガハラ神国に風竜というワイバーンよりもさらに上位種にあたる生物だ。ガハラ神国は神通力というもので風竜を18騎、味方につけている。

 そんな緊迫の中でアインは一歩前へ出た。

 

「発言、よろしいでしょうか」

「どうしますか、陛下」

「よいだろう、話せ」

「はっ!」

 

 アインは口を開いた。

 

「私は此度の戦いはほぼ確実に負けると思います。我が国の主力武器である刀は近接であるのに対し、パーパルディア皇国の銃は遠距離です。一応遠距離武器としては弓と大砲がありますが、弓では命中率に乏しく、大砲は文明国から貰えたのはたったの1門。それは水軍の船に取り付けられていますが、パーパルディア皇国はこの大砲を100も1,000もございます。我が国に勝ち目はございません」

「………」

「ですが、私はそんな理由で戦いには挑むつもりはありません。例え相手が列強であろうと、私は命をかけて戦うつもりです。私たちは武士です!お国のために戦いお国のために死ぬ!確かに名誉とかそういうのも少なからずあります。ですが今はとにかく国のために戦いたい!私はいつでも戦う覚悟はできています。陛下、発言権を許してくださりありがとうございました」

 

 アインは自分の場所に戻った。そして剣王シハンが口を開いた。

 

「皆のもの、このような事態に巻き込んで申し訳ない。今、ガハラ神国を中心に救援を頼めないか交渉している。各人、戦の準備をしておいてくれ」

『はっ!!』

 

 そして全員が解散しシハンは自室へと戻った。シハンはすでに返答された国書を見ていた。だがそのほとんどにこう書かれていた。

『相手が列強のため、心苦しいですが辞退します。申し訳ない』と、シハンはやはりと思っていた。

 

コンコン

 

「剣王殿、モトムです。入ってもよろしいでしょうか?」

「いいぞ」

「失礼します」

 

 モトムが中に入った。

 

「モトム、ただいま戻りました。如何でしたか、援軍の件は?」

「各国とも辞退するとのことだ、やはり列強という肩書きが重くのし掛かる」

 

 シハンは再び難しい顔をした。するとモトムが懐から一通の手紙を出した。

 

「つい先ほどガハラ神国より返答の国書が届きました。こちらを」

「ああ、すまない」

 

 シハンはモトムから手紙を受け取った。だが内心、他の国と同じだろうと思っていた。だが手紙には気になる部分が書かれていた。

『相手が列強のため、心苦しいですが辞退します。申し訳ない。ですがその代わり、彼の国に匹敵しえる国を四つ紹介します。まず、ロデニウス大陸の国家が併合しできた新生オースリ・ロデニウス連合王国、次にムー大陸にてレイフォルより友好国の肩書きを持つグラ・バルカス帝国、最後にロデニウス大陸より東に位置する日本国及び大日本帝国、以上の四ヶ国を次の軍祭に招待してみてはどうだろうか?今年の軍祭にもいつも通り参加するが、彼らもいればいつもと違う軍祭になることは間違いない』

 シハンは驚いた。あのガハラ神国が他の国を推薦したのだ。ガハラ神国はプライドは高くないが、文明圏外ではトップに入る実力を持つ。そのため、自分と同等もしくはそれ以上の実力を持つ国以外は軍祭に推薦しない。

 

「あのガハラ神国からの推薦か……」

「何が書かれていたのですか?」

 

 モトムは国書を受け取っただけで中身は見ていなかったのだ。シハンはこう答えた。

 

「ガハラ神国がある四ヶ国を推薦した。あの国は滅多なことがない限り他国を推薦しない。しかも、その中の一つには列強第5位『レイフォル』から友好国の肩書きを持つ国もいる」

「パーパルディアとまではいかないが、プライドが高いレイフォルがですか!?」

「ああ」

 

 モトムは驚いた。レイフォルと言えば列強第5位に君臨する最強国家の一つ、そのレイフォルから友好国の肩書きを持つ国は列強の『神聖ミシリアル皇国』、『エモール王国』、『ムー王国』の三ヶ国のみだ。パーパルディア皇国に関しては犬猿の仲である。

 

「各四ヶ国に対し軍祭参加に対する招待状を届けてくれ。新生オースリ・ロデニウス連合王国と大日本帝国、日本国に対しては全員参加する場合三ヶ国共同で派遣してもらえれば助かる、と」

「なぜ、別々に派遣してもらわないんですか?」

「毎年、何ヵ国も集まるんだ。それにガハラ神国からの推薦だ、途轍もない軍事力を持つ可能性がある」

「了解しました、外国惣奉行に言っておきます」

 

 後にこれが第三文明圏を変える出来事だとは、まだ誰も知らなかった。




フェン王国が武士道といっておきながら、剣を習うのは違和感があったので刀にしました。ただし、日本刀とは別の刀になることをご了承ください。

さて次回の題名は
『軍祭という軍事披露の準備』
です。いつも通り期待せずお待ちください。


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軍祭という軍事披露の準備

みなさん、お久しぶりです。政府の対応が遅く、再び緊急事態宣言が発令されましたね。みなさんも体に気をつけてください。では、どうぞ。


中央暦1644年9月15日

 

 日本共同大使館

 

「「軍祭?」」

「はい、フェン王国という国が主催の5年に一回の軍によるお祭りです」

「軍によるお祭り……、観艦式や総合火力演習みたいなものか?」

「ですかね、それ以外だとジョージ6世戴冠記念観艦式を思い出します」

 

 田中と栗林がそう話し合う、田中は変動なく大使館を任されいる。栗林も駐在武官なのは変わらないが第6軍の司令官も兼任している。

 

「あの話の続きをいいですか?」

「すみません」

「すまない」

「では、軍祭についての説明をさせていただきます。軍祭は……」

 

 以下の内容が軍祭についての説明である。

・その一:軍祭はフェン王国主催のもと、5年に一回開かれる。

・その二:軍祭は第三文明圏外のみ参加しており、文明圏では過去にムーが来たが辞退したという。

・その三:今回新生ロデニウス連合王国の近くだったということもあり、日本国、大日本帝国も招待された。なおもう一ヶ国別で招待されている。

・その四:軍の派遣については陸、海、空のそれぞれの最高戦力を派遣してもらいたい。ただし、過剰戦力と思う場合はそちらで検討してもらいたい。

・その五:新生ロデニウス連合王国、大日本帝国、日本国の三ヶ国で合わせて派遣してもらいたい。

・その六:新生ロデニウス連合王国、大日本帝国、日本国は此度の軍祭で国交を結びたいと思っている。前向きに検討をお願いする。

 

 大日本帝国と日本国としてはとても良い案件ではあるが問題もあった。

 

「すまないが我々はフェン王国をまず知らない。どのような国なのかを教えていただきたい」

「それとどれくらいの戦力が過剰戦力にあたるのか分かる資料などはあるか?」

「フェン王国についてまず説明します。フェン王国は他の国と違い貴族が存在しません。また騎士の代わりに武士もしくは侍と呼ばれる戦闘集団が国家を支えており、最高指導者を剣王と言います。ここまでで質問はありますか?」

「栗林さん聞きました!?武士ですって!?」

「田中さん、そんな大声で言わなくても聞こえますよ。しかし武士ですか、親近感が湧きますね」

「お二人とも武士について知っているんですか?」

 

 ロ新生ロデニウス連合王国の外交官『リードック』は疑問に思った。なんで別世界から来たという双方の日本が、武士という異形の存在を知っているのか理解できなかった。

 

「えっと、栗林さんの方がまだ良く知ってますよね?」

「俺が産まれた時にはもう廃止されていたが、知り合いにはまだいたからな」

「?話が見えてこないのですが」

「おっとすまない、実は大日本帝国にとっては今から約75年以上前、日本国にとっては約140年以上前まで武士の時代だったのだ」

「えっ、どういうことですか!?」

 

 リードックは驚いた。武士を知ってるのではなく、彼らが武士の子孫だったことに。別世界でも騎士だと思っていたが日本は武士、やはり他の国とは誤差がある。

 

「その話はあとでしましょう、他にフェン王国について知っていることはありますか」

「あっ、はい。えっとフェン王国は武士というだけでも変わっているのですが、魔法を持ちません。理由については謎ですが……」

「ふむ、魔法がないと言うことは剣……いや刀一筋というところか。海軍……いや水軍が存在するのでは?」

「よく分かりましたね。ええ、水軍が存在します。切り込み船で以前我が国でも使用していた船と同類です」

「なるほど、ありがとうございます。派遣する艦隊の目処を本国へ伝えておきます。三ヶ国共同派遣艦隊ですが、大日3、日3、露2で行きましょう。派遣する艦艇の種類はそちらで決めていただけますか?」

「分かりました、政府の方に要請しておきます」

 

 その後も話は続けられた、軍祭とは別に貿易についてなど様々ではあるが、ここでは省略する。

 

──────────────────────────

大日本帝国 軍命省

 

 陸軍と海軍、空軍が集まって話をしていた。

 

「陸軍からは一個師団を出すつもりである。一応、千葉方面の師団のなかから抜粋しているから、明日までには編成可能だ」

「海軍からは重巡洋艦2隻と軽巡洋艦1隻を出すつもりです。戦艦や空母、潜水艦なども出そうと思いましたが、戦艦は過剰戦力、潜水艦は存在しないので」

「空母は何故だ?」

「日本国の方で揚陸護衛艦、見た目は空母にしか見えない艦艇を派遣するらしいので」

「了解した、空軍はどうだ?」

「空軍は新設された展示飛行部隊『レッドインパルス』を出すつもりです。日本国側も『ブルーインパルス』を出すとのことなので」

「それ、大丈夫なのか。国内でもまだ数回しか展示飛行してないだろう?」

「一応、日本国に操縦士だけ派遣させて合同練習させています。同じ民族……いや同じ国民です、心配はないでしょう」

 

 その言葉に海軍の重臣が怪訝な顔をする。

 

「おい、日本国を同じ国民だと思わない方がいい。若い連中や高齢者、自衛隊以外はな。特にマスコミは酷かったぞ」

「そうらしいな、俺は空軍になる前海軍のパイロットだったから知り合いから聞いた。それで乱闘が起きたのだろう、一体何が国民性を変えてしまったのだ。自衛隊が志願制なのは問題ない、だが愛国心が驚くほど酷い。先祖を敬わず、ただ戦犯や戦争被害者と位置づける」

「我々だって戦争などしたくなかった。だが中国との戦争の長期化と復興費用、食糧や資源の減少して存続危機の時に貿易なんて禁止されたら飢えてしまう。飢えだけではない、失業者も大量にでる。事実、何千万人が貿易禁止によって資源調達ができず失業したことか……」

「その話はあとにしよう、今はいい国家たちに恵まれているのだ。日本国、そして新生ロデニウス連合王国、まだ二ヶ国だけだが我々と肩を並べ励まし合える仲間だ」

「さて、陸海空それぞれの派遣する部隊は決まっているのだな」

「ああ」

「ええ」

「よし、とりあえずこの会議はここで終了だ。続いて別の議題に移る。内容は……」

 

 大日本帝国軍は以前と違いとても仲が良いように見える。相互理解と協力が取れる軍隊は、他国に勝るとも言えよう。

 

──────────────────────────

日本国 防衛省

 

 総理大臣、防衛大臣、防衛省関係者、自衛隊各幕僚長が集まっていた。

 

「今回はフェン王国の軍祭に派遣する部隊を決めてもらうため、集まってもらった」

「すいません、質問いいですか?」

「どうした?」

「軍祭ってなんですか?」

 

 遠江総理は軽く考える素振りを見せたあと、こういった。

 

「今でいう富士総合火力演習や航空祭、観艦式をひとつにまとめた軍の見せあいと言えばいいかな」

「なるほど、そういうことですか。なるべく最高戦力でしたよね、そうなると陸自からは第一空挺団か水陸両用機動団、もしくはレンジャーと普通科連隊の組み合わせの三つですかね」

「確か聞いた話だと陸自はあくまでデモンストレーション、武器の見せあい位だと言ってました」

「ならレンジャーと普通科連隊の組み合わせ……、いや普通科連隊のみで大丈夫かな。一応米人部隊からのお墨付きですし」

「そういえば今回、米人部隊はどうするんだ?」

 

 自衛隊各幕僚長は総理大臣と防衛大臣の方を見た。

 

「それは私が説明する。米人部隊は2個小隊を陸自から出すつもりだ。海自と空自からは出していない、海自だとイージスシステムが少し違うし、空自も使用機種や運動性能が異なる」

「分かりました、では海自の編成を説明します。今回、3隻という限定でしたので、選ぶのに苦労しましたが揚陸護衛艦1隻とイージス艦2隻に絞りました」

「空自はブルーインパルスを派遣するつもりです、すでに大日本帝国のレッドインパルスと共同練習を週5でやっています」

「士気の方は大丈夫か?」

「みんなすごいやる気になっていて、心配はないですよ」

「あと、海自から別枠でもう一隻、その護衛として海保から二隻出したいのですが、いいでしょうか?」

「なぜ?」

 

 海自の幕僚長はその辻を話した。

 

「なるほどそういうことか。了解した。では、それについての対処を考えよう」

 

 その後も会議は続けられた、もし軍祭中に何者かの(・・・・)攻撃を(・・・)受けた際の(・・・・・)対処(・・)などだ。

 

──────────────────────────

新生ロデニウス連合王国 会議室

 

 会議室には大統領、陸・海・空の各大臣が集まっていた。

 

「さて派遣する部隊だがどうするか……」

「陸軍と空軍は出さないことで決定しました。大日本帝国と日本国に比べると我が国はまだまだ小童なので」

「ふむ、了解した。海軍はどうするのだ」

「2隻という制限でしたが戦艦を出そうと思います。大日本帝国の戦艦に比べるとお粗末ですが、文明圏外ではかなりの大きさになるので」

「なるほど、どの級を出すのだ」

「出そうと思っているのは………」

 

 その後も会議は続けられた。この後三ヶ国の代表が集まり再度編成の確認を行い、日程などを取り留めた。




さてさて、遂に軍祭に近づいて参りました。どんな感じになるのでしょうね。それは次回以降のお楽しみですが。

さて次回の題名は
『一風違う軍祭(グラ・バルカス帝国)』
です。いつも通り期待せずお待ちください。


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一風違う軍祭(グラ・バルカス帝国)

少しだけ遅れました。申し訳ありません。いつまで続くのでしょうかね……

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フェン王国 沖合い

 

 フェン王国の沖合いに続々と各国の艦船が進入してきた。その中には一際大きな船があるが、それはガハラ神国の戦船である。確かにガハラ神国は風竜という特別な生物を持っているが、それはあくまで空に限ることであり海は範囲外である。なお文明圏外で最も強いと言われているのはアルタラス王国という国だが、後々登場するのでお待ちください。

 各国は待ち望んでいた。三国共同派遣艦隊は明日だが、今日はグラ・バルカス帝国が来るのだ。レイフォルから友好国の肩書きを持つ新たな国家が来るのだから。

 

上空

 

 ガハラ神国風竜騎士団長『スサノウ』は隣国の首都アマノキを中心に飛んでいた。今日と明日の二日間はフェン王国が5年に一度開催する軍祭であり、その親善として数騎飛ぶのだ。

 軍祭は文明圏外の各国が集まり、武力の見せあいをしつつ技術力の向上を図っている。もちろん各国への牽制もあるが、軍事力の高さを見せ、装備を自慢し合う。

 文明国も呼びたいがプライドが高く『蛮国の祭に興味がない』というのが本音である。もちろんそんな国ばかりではなくムー皇国(今のムー王国)が過去に一度だけ参加したらしいか技術力が違いすぎるため、それ以降の軍祭を棄権している。

 そんなことを思っていると数隻の船が近づいてきた。その船からは煙が出ており、不祥事が起きたと思ったが筒状の棒からしか出ていないため、意図的に行ってることを理解した。

 

『眩しいな……』

「んっ?ああ、確かに今日は天気が良いからな」

『いや、そうではない』

 

 相棒の風竜である『ツクヨミ』が不思議なことを言った。太陽以外に何が眩しいのだろうか、疑問がわいた。

 

「じゃあ、何が眩しいんだ?」

『あの中の数隻から線状の光が様々な方向へ照射しているのだ』

「船から光?何も見えないが……」

『それはそうだ、あれは我々の同胞が会話するときに出す光、人間にとっては不可視の光同然だ。だがあくまで似ているだけだ、同じとは限らん』

「そんなことが出きるのか飛行竜は、一体どこまでできるのだ?」

『すべての飛行竜ができるとは限らん。それと個体差がありワシは120km先までは見える。あの船は光が強い上、先が見えない』

 

 スサノウの額に汗が噴き出す。

 

「まさかあの船は魔信以外の通信手段を持っているのか。見えない場所を飛んでいる竜もわかるのか?」

『魔信なのかそれ以外なのか、見えない場所を飛んでいる竜もわかるのかは、ワシには分からん。ただ一つ言えるのは、強いということだけだ』

「あの船の数隻から、グラ・バルカス帝国はすごい国だな……」

 

 上空ではこのような会話が行われていた。

 

グラ・バルカス帝国海軍派遣艦隊旗艦『ヘルクレス』

 

 レーダー員は混乱していた。先ほどからレーダーに何か引っ掛かっているのだが、そこに飛行機械は存在せず代わりにいるのは風竜と呼ばれる飛行生物だ。

 

「まさかあの生物にレーダーが引っ掛かっているのか?」

「おそらくそうだろう、それにこちらにレーダーを照射をしているようにも感じる」

 

 司令官はレーダーに映るものは敵対国のものではないため、対空警戒を解除させた。それと同時に課題も発生していた。本国に戻り次第、報告しなければならない。

 

──────────────────────────

剣王シハン

 

「すごいものだな、あれがグラ・バルカス帝国の戦船。まるで洋上に浮かぶ城だ」

 

 正直な感想をこぼした。

 

「ガハラ神国から推薦がありましたがここまでとは、私も驚きです」

 

 将軍マグレフが同意する。

 

「では我が艦隊の編成を説明してもよいでしょうか?」

「頼む」

 

 そう言うとグラ・バルカス帝国の外交官『シエリア』が話し始めた。艦隊の編成は以下の通りだ。

 

グラ・バルカス帝国海軍派遣艦隊

ヘルクレス級戦艦 ヘルクレス/旗艦

ペガスス級航空母艦 シェアト

アリエス級重巡洋艦 ハマル、シェラタン

キャニス・メジャー級巡洋艦 アルドラ

スコルピウス級駆逐艦 スコルピウス、レサト

カノープス級駆逐艦 ミアプラキドゥス

 

 主力艦隊から抜粋した8隻が今回派遣されている。グレードアトラスター級は過剰戦力すぎるため最初から外されている。

 

「もうそろそろ砲撃を行います。こちらを」

 

 シエリアは二人に二つの筒状が並んでいるものを渡した。

 

「これは?」

「双眼鏡というものです。沖合いでは出来ず遠くのため、お持ちしました。遠くからものを見ることをできます。国交樹立のため、プレゼントいたします」

「これはありがたい」

 

 シハンたちは双眼鏡を使い船を見ていた。

 

(やはり一隻一隻が大きい、文明圏外でこれだけの大きさを揃えるのは難しいしレイフォルから友好国の肩書きを持つのも頷ける)

 

「では、もうそろそろ時間になりますので攻撃を行うと思います。もう少々お待ちを」

「了解した」

 

──────────────────────────

グラ・バルカス帝国海軍派遣艦隊旗艦 戦艦『ヘルクレス』

 

 艦内には異様な空気が張り詰めていた。国交のためとはいえ、力を見せるとなった以上仕方がないのだが恐がられないかが不安なのだ。

 

「司令、そろそろ時間です」

「……了解した、恐がられなければよいが。主砲1番塔、3番塔、砲撃用意!」

 

 砲塔が少しずつ動いていくそして目標をとらえた。

 

『仰角よし!旋回角よし!!発射準備完了~!!!』

「リィッフィーヤ!(撃て!)」

 

 ドォォォォン!!

 ドォォォォン!!

 

 凄まじいほどの轟音が鳴り響いた。それもそのはず、ヘルクレスの主砲は45口径41cm連装砲、大日本帝国でいうと長門型と同じ主砲なのだ。グラ・バルカス帝国ではヘルクレス級からグレードアトラスター型の間に数十隻の41cmを搭載する艦が存在するが、大日本帝国のいた時代では強すぎて世界で制限をかけ、一時期7隻しか存在しなかったほどだ。

 

 続いて司令は通信員に声をかける。

 

「シェアトに連絡!爆撃機を発艦し残りの2隻を沈めるように!」

「了解!」

 

──────────────────────────

グラ・バルカス帝国派遣艦隊 航空母艦『シェアト』

 

 すでにエンジンをかけられるように準備されていだ爆撃機たちが、エンジン音を鳴り響き始める。

 

「風向き良し、風速良し、天気良好、発艦に支障なし!」

「良し……発艦始め!」

 

 白旗を倒すとハダル型艦上爆撃機10機が飛び立つ。もともとはシリウス型艦上爆撃機の予定だったが、過剰とみなされ一世代古いハダル型が選ばれた。また、木造船ということもあり各船に5機で対応することになった。

 

『こちら第一部隊、右の船を攻撃する』

『了解、第二部隊は左の船を攻撃する』

 

 そして爆撃機は船の側面から爆弾を落とし始めた。爆撃方法は急降下爆撃である。

 

ヒュルルルル

ヒュルルルル

 

 そして爆弾は船に直撃した。

 

ドドドドッ

ドドドドッ

 

 その爆撃の音は耳をつんざいた。使用されたのは60kgの爆弾だ。一機につき2個、それが10個ずつ船を襲った。もちろん外れた爆弾もあるが、ほとんど当たっていた。なお急降下爆撃のため、機体が一気に軽くなりガクンとなったのはいうまでもない。グラ・バルカス帝国にはペガスス級以外にも数十隻、存在するがここでは省かせてもらう。

 

 爆撃成功の報告を受けた、艦長は通信員に言った。

 

「シエリア外交官に連絡、軍事披露は終了。と」

「了解!」

 

──────────────────────────

フェン王国沖合い

 

 連絡を受けたシエリアはすぐに剣王シハンに伝えた。

 

「シハン殿、軍事披露は終了しました」

「………」

「シハン殿?」

「はっ、申し訳ない。あまりにも凄いもので、言葉が出なかっただけだ」

「お気に召してくれたのなら幸いです」

 

(なんという軍事力、ガハラ神国が推薦するわけだ……)

 

 剣王シハンは震えていた。その強さは自身の想像を遥かに超えていたのだ。

 

「では、続いて陸軍の披露をいたします。少しお待ちを……」

 

 するとシエリアは再び無線を使い連絡した。数分後……、ザッザッという足音と共に数十名の人が歩いてきた。見た目は全身黒の格好をしており、奇妙な棒状の物を肩に軽く乗せている。そして、一切の乱れなく動く行進はシハンだけでなく、軍祭に来ていた他の国々も驚かした。乱れがないということは、規律が隅々まで行き渡っているという証拠、確かにフェン王国などの国も行進はするが足音に若干の乱れが必ずあるのだ。それがないことに、驚いていたのだ。

 

「では、軍事披露を行う前にあなた方に見てもらいたい物がございます。こちらを……」

 

 そう言って一人の人物が前に出た。それは先ほどから彼らが持っている棒状の物に近いが違う。それよりも、とある国の武器に酷似していた。それは……

 

「こ、これはパーパルディア皇国の銃ではないか!なぜ、あなた方がこれを?」

「やはり……」

「やはりとは?」

「おっと、申しわけございません。こちらの銃なのですが、パーパルディア皇国の物ではありません」

「どういうことだ?」

 

 その人物は一度深呼吸をして、こう言った。

 

「この銃は私たちがいた世界で開発され、今では競技用に使われるフャルネス銃と呼ばれています。原型は約600年ほど前と言われています」

「ろっぴゃく!?」

 

 シハンは驚いた。パーパルディア皇国が開発した新兵器『銃』が、この国では古い武器だということに。そして軍人はとある事を言った。

 

「ではこちらのフャルネス銃と我が国の基本装備であるレメリック₩38を比較してみましょう」

 

 そう言うと一人の人物が150m先のところに三つの木の的を用意した。

 

「では、まずフャルネス銃から撃ちますね。射撃用意!」

 

 フャルネス銃を持った人物が構えをとり、木の的を睨む。

 

「てっー!」

 

 バァァン!

 

「一つ目の的はかすっただけですね、では2回目です」

 

 簡単そうにいうが時間が掛かる。今回はパーパルディア皇国を元にするため、古いタイプのフャルネス銃を持ってきたため、時間が余計に掛かっている。弾を込め縄に火を付ける、その間約30秒。そして射たれる。

 

「二つ目の的はかするどころか、空を切ってしまいましたね。それでは、最後です」

 

 そして再び30秒ほどの時間がかかり、弾が発射される。

 

「やっと当たりましたね、中心に上手く当たり的が壊れましたね」

 

 それを見ていたシハンを含む彼らは恐怖を抱いた。パーパルディア皇国の銃に一切の勝ち目が無いからだ。

 

「これがフャルネス銃、パーパルディア皇国の主要な銃です。それでは、我が国の基本装備のレメリック₩38による射撃を行います。射撃用意!」

 

 レメリック₩38を持った人物が構えをとり、木の的を睨む。

 

「てっー!」

 

 バァン!!

 

『うぉぉぉ!!』

 

 一発目から当たったことに、彼らは驚いた。そして、続け様に

 

 バァン!!

 

「えっ?」

 

 二発目が先ほどよりも早く射たれたことに彼らは更に驚き、2つ目の的も壊していた。そして続け様に最後の攻撃が行われた。

 

 バァン!!

 

「これがフャルネス銃とレメリック₩38の性能の差です」

「ちょっと待ってくれ!」

「いかがされましたか、シハン殿」

「どうしてこんなに差があるのだ!?」

「では、簡単に説明しますね。フャルネス銃とレメリック₩38の大きな違いとして2つ挙げましょう。

 1つ目は装弾についてです。フャルネス銃は先込め式といい、弾を銃口の先から入れるので棒を使わないとできず、時間が掛かってしまいます。それに対しレメリック₩38は箱形弾倉と言う物を銃に取り付けています。そのため、弾を発射したあとに、空薬莢を出せば下の弾が上にくるので時間が短縮されました。

「フムフム……」

「2つ目はライフリングと呼ばれる物です。フャルネス銃は銃口の中には特に何もされておらず、ツルツルしています。そのため、撃った時の反動で実際に撃ちたい所とずれることがあります。それに対しレメリック₩38は銃口の中に溝があることで、弾を回転させます。そのため、撃った時の反動が低減され撃ちたい所に当たる確率が高くなります」

「フムフム……、勉強になる」

「おっと話しすぎちゃいましたね、我が国での軍事披露は以上となります。この後についてはシエリア外交官を通じ、連絡をお願いいたします」

 

 この日の軍事披露は終了し、明日の大日日露の到着を待つだけとなった……




グラ・バルカス帝国は三国より先に来ましたね。地球と違い軍縮条約が無かった、とさせていただきました。
次の話なのですが、リアルが忙しいことがあり執筆が終わっておりません。もしかしたら、大幅に遅れてしまう可能性もあります。ただ必ず数話作成し、投稿できるようにしますので、何卒ご理解ください。

 誤字報告をしてくれる方々に誠に感謝しています。なお、グラ・バルカス帝国の軍艦及び艦艇は『級』で統一していますので、ご了承お願い致します。


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波乱の軍祭(大日日露)

とりあえず、書き終わりました。少しばかり変なところがあるかも知れませんが、ご了承下さい。


フェン王国沖合い

 

 昨日に引き続き、ガハラ神国から推薦のあった大日本帝国、日本国、オースリ・ロデニウス連合王国の三国共同派遣艦隊が到着する。ほとんどのものが比較をしようとしていた。グラ・バルカス帝国とどちらが強いのか。オースリ・ロデニウスははっきり言って期待していなかった。だが、未知の大日本帝国と日本国には期待していたのだ。誰もがソワソワし、落ち着きがなかった。

 

上空

 

 ガハラ神国竜騎士副隊長『カグヅチ』は軍祭二日目の哨戒を行っていた。昨日は隊長の『スサノウ』がしていたが、今日は副隊長である彼が他四人と共に哨戒していた。すると、数隻の艦艇が近づいてきた。スサノウ隊長が昨日のグラ・バルカス帝国の船から煙が出ていたと言っていたが、一部を除き煙を出していた。確かに隊長から聞いていたが、それ以上に驚いたことがあった。煙を出していない艦艇は帆も無いのにも関わらず、動いているのだ。彼は理解ができなかった。

 

「どうやって動かしてるんだろう……」

『うーん、私にもサッパリだわ。けど、ツクヨミが言っていた光がこの艦艇たちにも見えるわね』

「そうなのか?僕にはなにも見えないけど……」

 

 相棒の風竜『アマテラス』がそう言う。確かにスサノウ隊長がツクヨミ殿からそう聞いたらしいが、やはり人間には不可視らしい。

 

『けど、聞いていた光と比べると違和感があるわね』

「どういうこと?」

『ツクヨミが言うには確かに眩しかったらしいけど、私にはこの光を直視できないわ』

「そこまで眩しい光なんだ、一体どういう用途なんだろう……」

『私が知るわけないじゃない、だけど私たちは会話の際に使うから通信関係のものじゃない?』

「魔信以外の通信手段……、昨日のグラ・バルカス帝国もすごいけど、この三国もすごいや!」

『ふふ、相変わらず新しいものに目がないわね』

「けど、ロデニウス大陸の国家郡はどうやってこの強さを手にいれたんだろう……」

 

 カグヅチは疑問を感じていた。つい最近まで、自分たちと同等以下の軍事力しか持たない存在しないロデニウス大陸の国々がどうしてこれほどまでの力を手にいれたのか。それは後に知ることとなるのは、このときは知らなかった……

 

三国海軍共同派遣艦隊旗艦『いぶき』

 レーダー員は先ほどから確認できる飛翔体について、艦橋にいる監視員に目視で確認してもらっていた。その存在はガハラ神国の風竜と思われる、ということで新たに風竜のレーダー情報を後々インプットすることにした。

 

「しかし、レーダーに近い能力を持つ生命体がいるとは……」

「ええ、最悪の場合を備えステルス機開発や護衛艦のステルス性能向上を帰り次第報告しましょう」

 

 これにより、一時はいらないと思われていたステルスに関する物の開発に再び着手することになった。

 

──────────────────────────

剣王シハン

 

「すごいな……グラ・バルカス帝国に匹敵してると言っていい……」

 

 先日と同じように正直な感想をこぼす。

 

「はい、まさかここまでとは思ってもいませんでした。ですが、それ以上に気になる点もあります」

 

 くノ一マツヨが答える。

 

「私が調べた情報では、ロデニウス大陸の国家郡は5年前まで、我が国とほぼ同じ兵器を使用していました。それ以降の情報がなく、不明ですが二つの日本が関係していると思います」

「おそらく、だがお主が曖昧ならワシにもわからん」

 

 マツヨの回答にシハンは確証をもてなかった。

 

「それでは、三国艦隊の編成を説明してよいですか?」

「頼む」

 

 そう言うと日本国外務省の青山は艦隊の説明を行った。艦隊の編成は以下の通りである。

 

三国海軍共同派遣艦隊

大日本帝国海軍所属 

└利根型重巡洋艦:利根(とね)筑摩(ちくま)

 川内(せんだい)型軽巡洋艦:神通(じんつう)

日本海上自衛隊所属

└いぶき型多機能揚陸護衛艦(DDV):いぶき

 まや型ミサイル護衛艦(DDG):まや、はぐろ

新生オースリ・ロデニウス連合王国海軍所属

└ジン・ハーク級戦艦:ジン・ハーク、クワ・トイネ

別途海流調査部隊

日本国海上自衛隊所属

└まみや型海洋観測艦(AGS):まみや

日本国海上保安庁所属

└れいめい型巡視船:あかつき、あさづき

 

 その説明にシハンはとある指摘をした。

 

「別途海流調査部隊と言うが、先の三国海軍共同派遣艦隊となにが違うのだ?」

「はい、ロデニウス王国経由で貴国が紛争の危険にあると位置付け、その際に海流の動きを確認し少しでも役に立ちたいと思った次第であります。基本的に介入は致しませんが、我が国々に対し非人道的行いをされた場合、動く可能性はあることを承知してくださいますようお願いします」

「ふむ、嬉しい限りだ。我が国も貴国に迷惑をかけないよう努力はしよう」

「ありがとうございます」

 

 青山はもう少ししたら披露を開始することをシハンに伝えた。青山はグラ・バルカス帝国がすでに双眼鏡を渡したことをシエリア外交官より伝えられたちめ、代わりに記録を残せるカメラをプレゼントした。双眼鏡でも驚いたシハンであったが、カメラに対してもとても驚き興味を示していた。

 

(グラ・バルカス帝国といい、二つの日本といい、こんな国が今までどこに埋もれていたのだ……)

 

 シハンは心の中で一人呟いた。

──────────────────────────

三国海軍共同派遣艦隊 戦艦『ジン・ハーク』

 

 艦内のものたちは興奮していた。軍祭というものであり、二つの日本は砲艦外交に近いものがあり、少し恐れていた。しかしロデニウス王国のもの達は違っていた。なぜなら二つ日本と国内以外に見せるのがこれが初だったからである。

 

「砲撃戦用意~、左舷二番塔及び三番塔、旋回せよ!」

『了解!』

 

 左舷にある二番塔、三番塔の主砲が旋回していく。

 

『仰角よし!旋回角よし!!発射準備完了~!!!』

「ファイア(撃て)!!!」

 

 ドォォォォン!!

 ドォォォォン!!

 

 昨日より弱いが、それでも凄まじい轟音が鳴り響いた。その主砲は45口径30.5cm連装砲、日本海軍やグラ・バルカス帝国からいえば旧式だが、文明圏外からすれば脅威であった。次に攻撃を行うのは大日本帝国海軍であった。

──────────────────────────

三国海軍共同派遣艦隊 軽巡洋艦『神通』

 

 艦内には厳かな雰囲気が垂れていた。誰もが緊迫していた、もし恐がられてしまったら、と。

 

「艦長、『ジン・ハーク』が砲撃を終了したとのことです」

「……仕方ありませんわね。雷撃の準備をお願いね」

 

 今期の『神通』の艦長はアズールレーン側の『神通』がすることになった。時期ごとに割り振られている。ここでは省くことにしよう。

 

「照準良し、旋回良し、魚雷発射管準備完了!」

「さあ、戦場に華を咲かせましょう。撃て!」

 

 魚雷は水中に白い線を出しながら、標的に向かっていった。

 

 ズドォォォン!

 

 砲撃や爆撃と違う全く未知の音に、シハン国王たちは驚いていた。そして、下から徐々に亀裂が走り真っ二つになって沈んだ。雷撃成功に感激しつつも、恐がれないかの心配が頭をぐるぐる回っていた。

 

「青山殿に伝えまして、演習は成功しました、と」

「了解しました、艦長」

 

──────────────────────────

フェン王国沖合い

 

 連絡を受けた青山はすぐに剣王シハンに報告した。

 

「演習は終わりました……、シハン殿?」

「ああ、済まない。昨日に引き続きすごいものを見せてもらって、驚いているだけだ……」

 

 昨日と同じような回答に誰にも聞こえない声で、シエリアはクスッと笑った。

 その後は陸上自衛隊及び日本陸軍による、デモンストレーションとして演技を行った。「静」と「美」を基調とした演技に誰もが引き込まれた。続いて日本空軍と航空自衛隊による空のパフォーマンスが行われた。それはとても美しく、誰もが惚れ込んだことだろう。

 

──────────────────────────

別途海流調査部隊 れいめい型巡視船『あかつき』

 

 あかつき内ではレーダーに確認された、奇妙な飛翔体の解析を行っていた。

 

「どこの国の飛行体か分かるか?」

「レーダーの反射具合からワイバーンに近いのですが、大きさ、スピードがワイバーンと一致しません。また、海自を通じてレーダーにインプットした風龍とも一致しません」

「……まみやに報告、各艦に対空警戒を厳と成すよう伝えておけ」

「了解しました」

 

 そして『まみや』に連絡が入った。

 

『こちら{まみや}、調査は順調です。何か不備がありましたか?』

「こちら『あかつき』、レーダーにて所属不明の飛行体を捕捉、対空警戒をお願いしたい」

『了解しました。ですが、我が艦は航海用レーダーしか搭載していないので、あくまで目視での警戒にあたる』

「了解です、ただいま別の通信員を通じて『いぶき』へ報告、そのまま青山殿に伝える予定です」

 

 その後、『いぶき』を通じ、外務省の青山に報告が上がった。

 

──────────────────────────

フェン王国沖合い

 

 青山は考えていた。総理から聞かされていた最悪の事態を。だが、ここで迷っていては自分の何かに反すると、そして彼は決断した。

 

「……『いぶき』艦長、全艦に伝達してください。もし、未確認飛翔体による攻撃(・・)を受けた場合、正当防衛として危害射撃(・・・・)を許可します。またそれが竜騎士だった場合、なるべく飛竜を攻撃し人は拘束してください」

『了解しました』

 

 青山は電話を切ったあと、シエリア外交官にも対空警戒をお願いした。シエリア外交官は司令長官に連絡した。しかし……

 

「申し訳ありません、青山さん。内の軍人たちは頭が固く、自国のレーダーに出てないので信じられないようです……」

「そうですよね、見ず知らずの国の人から『未確認飛翔体が来るから対空警戒をしてくれ』、と言われても信じれないですからね……」

 

 シエリア外交官は再度謝ったが、青山は気にしないようにいった。ただ、何もなく終わることを信じて……




海上保安庁を海流調査の名目で来てもらいました。ただの軍事派遣では、海上保安庁を派遣できないと思ったので。

次の投稿は現在未定となります。きちんと進めていますが、温存していた設定集を投稿するかも知れませんが、ご了承下さい。


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