召喚した少女が世界最強 (焼肉定食)
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プロローグ

忍びの王がスランプ気味なので新作出します


「おっ。また当たった。」

「お前どんな確率で 星7引くのかよ。」

 

と虹色に光っている画面を見ながらクラスメイトと話している少年がいた

 

「ってよっしゃアスナきた!!」

「っ!!」

「マジか?」

「ちょ、嘘だろ!!」

「って星7サチもいるじゃねーか。どんだけ運がいいんだよ。」

 

とワイワイ盛り上がる他のクラスの男子グループの中心となっている少年。上田和人は男子グループでかなりの大規模なグループを築きあげていた。

女子からはかなり批判的な目で見られているのだが気にせずありのままの自分を見せている和人は全く気にしない。しかし男子からの人望はかなり高いのだ。

 

「くそ〜俺また爆死だよ。」

「爆死はきついよな。これ10連一回3000円近くするのに。」

「それな。学生じゃ辛いよな。」

「爆死も多いけどな。やっぱり。」

「それでもほぼ二回に一回は 星6があたるお前ずるいだろ。それにお前の課金額いくらだよ。」

「限度額いっぱいの三万。」

 

と膨れる友達に苦笑する和人。ついでに両親はギャンブラーでプロ契約を結んでいるほどの実力であり、かなり暮らしに裕福がある。

和人自身株式を買っていて数千万という資産を稼いでおり、かなりの裕福した暮らしが続いている。

 

「おはよ〜和人。また課金したの?」

「鈴。おはようさん。」

 

とちっちゃい、貧乳と呼ばれる幼なじみでロリっ子の谷口鈴が話しかけてくる。

 

「……なんか和人変なこと考えなかった?」

「なんにも。」

 

とジト目で和人を見る鈴に呆れたようにしている

 

「まぁ和人だから仕方ないか。」

「オッケー。お前ちょっとそこのロリっ子表にでろ。」

「あぁ!?」

 

といつも通りの日常にクラスメイトは呆れたように二人を見る

 

「まぁ鈴、和人くん落ち着いて。」

「えりりん。おはよ〜」

「相変わらず仲良いな。お前ら。」

「まぁ、いつものことだしな。」

「そうそう。一つのスキンシップだよ。」

「言いながら二人とも頰をつねるのやめようよ。」

 

と苦笑しているショートカットの女子。中村恵里が苦笑する

するとガラガラと扉が開く。するとこのクラスで一番の嫌われものの南雲ハジメが入ってくる

 

「おっ。ハジメ。おはようさん。」

「あっ。和人くんおはよう。」

 

ハジメに挨拶する。和人自身話が合う友達のうちの一人だ

 

「見てよ。アスナとサチ特別版。」

「えっ?ってすごい!!」

「だろ!!」

 

とワイワイゲームの話題で盛り上がっていく

 

「ちょっと雫ちゃん。」

「香織、諦めなさい。上田くんに南雲くんと話を遮られて怒られたの分かっているの?」

「うっ。」

「ちゃんと上田くんなら話すタイミングを作ってくれるわよ。あなた、上田くんの協力で南雲くんと付き合い始めたんでしょ。」

「そうだけど私より上田くんと話す機会が多いのは間違っていると思う。」

 

と近くには八重樫雫と白崎香織という二大女神と呼ばれる二人の姿があった。

和人は恵里、雫、香織、鈴の4人で恵里とは中学時代に鈴とトラブルに巻き込まれた時以来の付き合いである。

ハジメが嫌われているのは人気ものの香織と付き合っているからである。元々ハジメに香織が話しかけれて嫉妬の視線が集まっていたのでそれなら香織に告白させた方が早いとこっそり後押しをした結果である。

 

「どうしたの?」

「いや、安心と信頼の面倒ごとを押し付けられたなって思って。ハジメ昼休憩開けておいて彼女の機嫌取れ。」

「あはは。ごめんね。」

「本当いいよなぁ〜南雲。白崎さんと付き合えて。」

 

と隣のクラスの戦国守が苦笑する

 

「和人は彼女作らないのかよ。」

「作らないな。てかこの学校で恋人できたら奇跡だぞ。」

「好きな人とかいないのか?」

「ん〜いないなぁ。てか戻れよ。お前1分で始業だぞ。」

「あっやべ。康太戻ろうぜ。」

 

とバタバタし始める和人達。これも日常の一幕である。

 

 

 

雫と和人は昼食の時間ずっと耐えていた。

 

「ハジメくんこれ美味しい?」

「う、うん。美味しいよ。」

「はい。あ〜ん。」

「へ?」

 

というのも目の前で繰り広げているのはバカップルのいちゃついている模様をただただ見続けているもよう。それをずっと甘い空気の中にいる雫と和人はお互いに無表情で昼食にありついていた

 

「そういえば和人は最近私たちと食べているけど他の人との付き合いは大丈夫なの?」

「大丈夫だ。そこら変はちゃんとバランスとっているから。」

「あなたってそういうところ本当にうまいわよね。」

「ハジメの性格上デートとか土日に遊びに行けることは少ないしな。俺は優待で結構外に連れまわすことが多いし。土日を他の友達に回せばいい。俺は運動や勉強もあんまり苦じゃないし。」

 

和人はゲームばっかりではなく勉強も運動も両立させており、土日の午前中は市内の草野球チームに所属しているほどである。また鈴や恵里の買い物に付き合ったり友達とカラオケに言ったりなど交友関係をしっかり保っているのだ。

 

「……本当あなたって不思議な人ね。」

「ん?」

「うん。確かに和人くんっていつの間にか仲よくなったよね。」

「そうだね。天之河くんとは結構険悪みたいだけど。」

「あいつのご都合主義の頭はどうも合わないんだよ。あいつもぬらりくらりと掴み所がない俺の性格は合わないだろうよ。」

 

和人はぬらりひょんのごとく掴み所がない性格をしており、いつも逃げ道を用意してある。また、反光輝派としてはこの学校では有名で二大勢力の一角をになっていた。さらに教師陣に限っていうならば和人の方が評価が高いのだ。

 

「自分でいうのね。」

「生憎自覚はあるからな。治すつもりはさらさらないが。」

 

そうやって大げさに表情を作る和人と呆れたような雫をしていたところで

 

凍りついた。

 

純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れたからだ。その異常事態には直ぐに周りの生徒達も気がついた。全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様――俗に言う魔法陣らしきものを注視する。

 その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

 自分の足元まで異常が迫って来たことで、ようやく硬直が解け悲鳴を上げるクラスメイト。未だ教室にいた社会科担当の愛子先生が咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。



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召喚

和人は目をギュッと閉じていた光から目を守っていたのだが、ざわざわと騒ぐ無数の気配を感じてゆっくりと目を開いた。そして、周囲を呆然と見渡す。

原作と同じく縦横数十メートルもある巨大な壁画。

三十人近い人々が、クラスメイトの乗っている台座の前にいたのだ。まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で座っている。

彼等は一様に白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏い、傍らに錫杖のような物を置いている。その錫杖は先端が扇状に広がっており、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられていた。

その内の一人、法衣集団の中でも特に豪奢で煌びやかな衣装を纏い、高さ三十センチ位ありそうなこれまた細かい意匠の凝らされた烏帽子のような物を被っている七十代くらいの老人が進み出てきた。

 そんな彼は手に持った錫杖をシャラシャラと鳴らしながら、外見によく合う深みのある落ち着いた声音で和人達に話しかけた。


「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 

イシュタルの話をまとめるなら戦争に参加してほしいってことだった

人間族と魔人族が何百年も戦争を続けており一時は均衡状態だったが、魔人族による魔物の使役でバランスが崩れ、人類の危機ってことらしい

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。我々人間族が崇める守護神、聖教教会の唯一神にして、この世界を創られた至上の神。おそらく、エヒト様は悟られたのでしょう。このままでは人間族は滅ぶと。それを回避するためにあなた方を喚ばれた。あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。あなた方には是非その力を発揮し、〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

正直ありきたりの話だなと思っていた。そうやしていると

愛子先生が突然立ち上がり猛然と抗議する

 

「ふざけないで下さい! 結局、この子達に戦争させようってことでしょ! そんなの許しません! ええ、先生は絶対に許しませんよ! 私達を早く帰して下さい! きっと、ご家族も心配しているはずです! あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」

 

ぷりぷりと怒る愛ちゃん。彼女は今年二十五歳になる社会科の教師で非常に人気がある。百五十センチ程の低身長に童顔、ボブカットの髪を跳ねさせながら、生徒のためにとあくせく走り回る姿はなんとも微笑ましく、そのいつでも一生懸命な姿と大抵空回ってしまう残念さのギャップに庇護欲を掻き立てられる生徒は少なくない。

 

今回も理不尽な召喚理由に怒り、ウガーと立ち上がったのだ。「ああ、また愛ちゃんが頑張ってる……」と、ほんわかした気持ちでイシュタルに食ってかかる愛子先生を眺めていた生徒達だったが、次のイシュタルの言葉に凍りついた。

 

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です」

 

 場に静寂が満ちる。重く冷たい空気が全身に押しかかっているようだ。誰もが何を言われたのか分からないという表情でイシュタルを見やる。

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」

 

 愛子先生が叫ぶ。

 

「先ほど言ったように、あなた方を召喚したのはエヒト様です。我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということですな」

「そ、そんな……」

 

愛子先生が脱力したようにストンと椅子に腰を落とす。周りの生徒達も口々に騒ぎ始める。

未だパニックが収まらない中、光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。その音にビクッとなり注目する生徒達。光輝は俺以外の注目が集まったのを確認するとおもむろに話し始めた。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

救うか。

呆れたように和人は光輝の方を見る。

しかし和人は戦う気はないが教会の動きが読めない今は従っておいた方がいいと思い静観する。

どうせ本気で助けようと思っているんだろう光輝に呆れたように見てバカらしく思った和人はただのんびりと時の流れに身を任せた。

 

 

 

 

翌日から早速訓練と座学が始まった。

 

銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。対外的にも対内的にも〝勇者様一行〟を半端な者に預けるわけにはいかないということらしい。

 

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

メルドは非常に気楽な喋り方をする。どうやら堅苦しいのが苦手なのか他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 〝ステータスオープン〟と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

「アーティファクト?」

 

アーティファクトという聞き慣れない単語に天之河が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 なるほど、と頷きクラスメイトは、顔を顰めながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。俺も同じように血を擦りつけ表を見る。

 

上田和人 17歳 男 レベル:1

天職:召喚術師

筋力:20

体力:20

耐性:9

敏捷:10

魔力:1000

魔耐:9

技能:召喚魔法・豪運・配下強化・技能共有・契約魔法・言語理解

 

うぉ。魔力特化型か。地味に豪運や契約魔法とか地味に気になることが多いな。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に〝レベル〟があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

まぁ当たり前だよな。ってことは人間ではなければ上限が決められていないのか?

少し色々と聞きたいことがあるのだけどそれは後にしようか

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」

 

メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば〝才能〟だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

…召喚術師。これが俺の才能?

と不思議に思っていると

 


「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

あっこれあかん奴だろ

魔力特化型としてもやりすぎている。

それに召喚術師って恐らく珍しいんじゃないか?

とか色々思っていると

早速、光輝がステータスの報告をしに前へ出た。そのステータスは……

 

天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

 

うわぁ器用貧乏で収まりそうなステータスだな

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

「いや~、あはは……」

 団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜くだろう。てか追い抜かないと勇者と呼ばれる所以はない

 

そういえば召喚魔法ってどう使うのだろうか?

 

「召喚。」

 

と小さく呟いてみる。

これくらいならばと油断したのが悪かった

目の前に幾何学模様の魔法陣が浮かび上がり発光を始める

 

「えっ?」

「な、なんだ?」

 

と急遽ざわざわし始めるクラスメイトと若干冷や汗をかく

そして一瞬であるがかなり光を、魔法陣が発する。

手で目を隠して光を直接入らないようにするとするとざわざわと声が聞こえてくる

そうやって目の前には腰辺りまで伸ばした紫色髪に紫色の服の女性が現れる。

 

「……嘘だろ。」

 

それはアニメやライトノベルで見てきた容姿とほとんど変わらなかった

 

「イタタタっ。ってここは?ボクは死んだはずじゃあ」

 

その紫色の剣士である少女の名前は知っている人ならすぐに答えられた

二刀流を使ってないとはいえ黒の剣士に二度勝利したSAOでのヒロインの一人

 

SAO、絶剣のユウキだ




もしかしたら気づいていたかもしれませんがソードアートオンラインよりユウキを召喚しました。
一応次回にユウキのステータスを書こうと思います。


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剣姫ユウキ

「えっ?ここは?ALOの中じゃないの?」

「……ちょっと待って。さすがにこれは予想外だな。」

 

顔を引きつったような和人が頭を抱える

恐らくユウキと和人が一番混乱しているのだろう。

ユウキの口調からすると恐らくマザーズロザリオ終了後。ユウキが死んだ辺りで召喚されたのであろう。

 

「和人くんどういうこと?もしかしてこれ和人くんが関係しているの?」

「えっと。俺のジョブが召喚術師なんだけど。………えっ?召喚って言っただけで魔法陣が現れて。」

「そしたらボクが呼ばれたってこと?」

 

和人が頷く。

 

「…召喚術師?聞いたことない天職だな。」

「いや。突っ込むところはそこじゃないでしょ。……へ?どういう事だ?」

 

というより何でユウキが召喚されたんだ?普通魔物とかじゃないのかと和人が疑問に思っていると

 

「もしかして死者を召喚できる技能じゃないのか?」

 

と幸利が和人に告げる

 

「どういう事だ?」

「ユウキは死んだって言っていただろ?恐らくマザーズ・ロザリオ後のユウキの可能性が高いんじゃないのか?」

「それは同感だけど。それでもラノベのキャラがそのまま召喚されるか?見た感じALOの姿だぞ。」

「ちょっと待ってなんで二人はボクの名前を知っているの?そういえば和人って。キリト?」

「違う。キリトとは違う世界だからな。俺たちの世界にはVRMMOはないしよくてまだVRくらいだぞ。」

「へ?それじゃあナーヴギアとかは。」

「ねぇよ。プレ○テ4の個人でやるゲームがVRに対応しているだけだ。」

 

みんながキョトンとしている中、和人とユウキは普通に話している

一応その間にもこっちの情報を告げるとへぇ〜と面白そうにしている。

 

「つまりボクはキリトが主役の物語の登場人物の一人ってことになっているの?」

「そうだな。一応ヒロインって立場だし、ゲーム盤であるならHIVが治って普通に生活を送っている状態だろうしな。」

「そういえばボクはまだHIVでの可能性って。」

「100%ではないけどないと思うぞ。というよりもそれはゲーム内のユウキという体になっているだろ?髪長いし病気の体であるならばショートカットの少女だろ?」

「あっ。確かにそうだね。」

 

どうやら納得したらしくポンと手を一回叩くユウキ。

 

「つまりこの世界でも飛べるのかな?」

「ステータス見てみたら?」

「そっか。」

 

すると右手を前にやるユウキ。

しかしウインドウは出てこない。

 

「ん?もしかして。メルドさんステータスプレートもう一枚持ってきてくれますか?」

「えっ?あ、あぁ。」

 

急いで戻っていくメルドさん。そしてステータスプレートを持ってくるとユウキに説明する和人。時々ゲームの話題に移転したりするのだがそれでも仲が悪いってことはなさそうであり、お互い気楽に話している。

そしてユウキのステータスを見ると全員が絶句した

 

紺野木綿季 15歳 女 レベル1 

天職 剣姫 

 

筋力:1000

体力:1000

耐性:1000

敏捷:3000

魔力:500

魔耐:1000

技能:全属性耐性・物理耐性・戦闘時回復・片手剣・剣技・神速・縮地・先読・転生人・高速魔力回復・気配感知・闇魔法適正・精霊化・忠誠心(上田和人)・限界突破・言語理解

 

うわぁ。これはすげぇや。

さすがSAO登場人物、最強の一角を担っている戦士なだけあってかなりステータスがぶっ飛んでいる。

 

「えっと、これって強いの?」

「一般人の平均がレベル1で10なんだよ。」

「…チートだ。」

「それもレベル1だろ?俺魔力特化で1000だぞ。」

「精霊化ってもしかしてALOのことじゃないのかな?」

「でもどうやってやるんだ?」

 

と色々二人で話していると

 

「ねぇ、二人とも鈴たちのこと忘れてない?」

「「えっ?」」

「二人とも盛り上がるのもいいけど今はみんなのステータスを伝える時間だよ?」

 

そして和人は思い出す。そういえばそうだったなと

 

「あ〜悪い。ちょっと少し回り見えてなかった。」

「えっとごめんね。」

 

すると笑い声が漏れてしまう。

少し不機嫌になる鈴を片目にユウキとその後もずっと話をしていた



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和人とユウキ

感想いつもありがとうございます
今日の返答は少し遅れます


「ま、参りました。」

「……強すぎるだろ。」

「へへん。どう?」

「雫ちゃんが10秒も持たないなんて。」

 

あれから二週間がたったある訓練前の自主訓練

雫が木刀を寸止めされていた

 

「ユウキやっぱ強いな。」

「えへへ。」

「ステータスだけではないわね。一振り一振りが綺麗で実践向きね。」

 

と実際のユウキはかなり実践的な剣技を使用していた。ユウキ曰く対人戦にはコツがあるらしい。

 

「そういえば和人はどうなの?」

「う〜ん。こっちは魔物は一度倒したものであれば使役はできるようになっているな。」

「ハジメくんも言っていたけどなんでユウキちゃんが召喚されたのも分かってないんだよね?」

「あぁ。召喚術には結構魔力を消費するし一度倒した魔物しか召喚できないんだよなぁ。一応精霊化を使って魔物を狩っているんだけど。なんでユウキが召喚されたのかはまだ不明だな。」

 

精霊化は思った通り魔力を200前後消費することによって妖精に変化する技能で『リンクスタート』と言うとユウキはインプ、和人はケットシーに変化し和人にいたっては俊敏500と筋力と体力が300上がり、気配感知と弓術を覚えることがわかったので、和人は弓を使い空中からの狙撃をするのが基本になっていた。

一度雫が和人の尻尾を触り変な声を出したのでクラスメイトに笑われることがあったのだがそれは別の話

 

「そっか。」

「でも清水の言う通り死んだ人、もしくは魔物だけ召喚する職業で間違いはなさそうだな。」

「それじゃあユウキちゃんは。」

「……ユウキの世界線悪いけど死んでいるって思った方が良さそう。」

「そっか。」

 

少し落胆しているユウキに苦笑する

 

「でも原作通りならばシウネーたちの容態はかなり改善されているはずだぞ。シウネーの一つの薬が劇的に聞いて白血病細胞が消えたらしい。」

「ほんと!?」

「あぁ。ユウキの葬式でアスナと会話している時に話していたからな。他のメンバーもかなり体調は回復していたはずだ。シウネーはアリシゼーション編では三代目スリーピング・ナイツのリーダーになっていたからな。」

「よかった。」

 

 

するとホッとしていたユウキに少し苦しげな和人。

そして雫と香織が訓練に向かいユウキと二人になるとはっきりと弱々しく告げる

 

「…ごめんな。」

「えっ?」

「本当なら平和な世界で召喚できたらよかったんだけど。こんな危険で戦争をしないといけない状況に巻き込んでしまって。」

 

和人自身ユウキが普通の学校生活を望んでいることは知っていたし普通の生活を送らせてあげたいと思っていた。

香織や雫、鈴や恵里に連れ出され訓練時間以外は街中にでることが多くなったのだ

ユウキの過去を知っているのはどうやら幸利、ハジメの二人であることは間違いはなさそうだ。

するとキョトンとしていたユウキは笑っている

 

「ううん。ボクは転生できてよかったと思っているんだ。身体検査も体調も問題ないんだって。もちろん免疫も普通の人たちよりも強いって。日本みたいに医療が発達しているわけではないけど。病気にかかっている可能性は低いらしいんだ。」

 

体力ゲージが寿命を表すことも知られていて、体力が多い人ほど長生きしやすいと言われている

それは体の免疫が数倍に増え、体が頑丈になると呼ばれているかららしい。

なのでユウキはこの世界では長生きするだろうと言われるのが医者の報告により告げられていた

 

「それに…ボクは前の世界でのくいはないんだ。ボクの想いは多分アスナやキリトが伝えてくれると思うから。シウネーも白血病が完治したらしいし。アスナはキリトがいるから。それにボクは和人に感謝しているんだよ。」

「感謝?」

「うん。だって和人ってボクに命令することもないし連れていって欲しいところにも連れていってくれる。和人のクラスメイトのみんな優しいからね。それに毎日が楽しいんだ。ボクはずっとゲームの中で暮らしていたから。ご飯だって美味しいし。それにボクのことを心配してくれる優しいご主人様がいるし。」

「……へ?」

 

不意打ちで片腕に抱きついてくるユウキの姿に

 

「ありがとう。ボクのことを一人の女の子だと見てくれて。」

 

実はこれは和人が戦争の参加をユウキに強制させなかったことになっていた。

ユウキは契約魔法によって束縛できるはずの和人が未だに契約魔法を自分にかけていないことに感謝をしていたのだ。

和人は元々束縛する気はおろかユウキを戦場に出す気はさらさらになかった。ゲームとリアルは全然違い魔物であれど死の恐怖は拭えてないはずだと理解していた。死ぬと言う行為を一番理解しているのはユウキなのだから。

 

「……たく。俺たちも行くぞ。」

「うん。」

 

と上機嫌なユウキと顔を真っ赤にして複雑そうに歩く和人

嬉しく照れ臭い気持ちと女の子だから当たり前だろって気持ちが入り混じっていたことが嬉しさ半分もう半分を複雑にしている様子だった。

またそのイチャついていた様子をずっと目の前にいた浩介は気づかれなかったショックよりも砂糖を吐きたい気持ちでいっぱいだったのことだ。浩介に暴露され夕飯の飯が全くわからなくなった和人がいるのは言うまでもないだろう

 

そしてその日の訓練後いつもなら夕食の時間まで自由時間となるのだが、今回はメルド団長から伝えることがあると引き止められた。何事かと注目する生徒達に、メルド団長は野太い声で告げる。

 

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

とざわざわと騒ぎ始める生徒たちにユウキと和人はただ目を合わせるのであった。



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ガイア

物語の関係上ヒロインを追加することになりました
恐らく知らない人も多いかもしれないですが恐らく後4話いないで出て来ると思います


「……なるほど。そんな過去があったんだ。」

「だから最初に健康診断を受けさせたんだね。」

「あぁ。」

 

とオルクスの大迷宮に入る前日。香織がハジメと和人の部屋に入ってきたので和人が気をきかせ鈴と恵里の部屋に避難をし、ユウキの過去についてあらかじめ話していた。

 

「紺野さんはそう言っていたけど体調は?」

「本当にいいみたいだぞ。一応日本にもどったら病院に行くつもりだけど恐らく問題はないと思っているな。」

「そっか。ならいいけど。」

「……珍しいね。和人がここまで女子関わりを持つなんて。」

 

すると鈴がちょっとむくれたような顔をしているが和人は少し真剣そうに呟いた

 

「まぁな。あいつ鈴と似ているから少し扱い困るんだよ。」

「……うん。ちょっと分かるかも。」

「どういうこと?」

「あいつも俺たちと同じぼっちの人間だってこと。いきなり知らない男性に召喚されて知らない世界で戦争に参加しろって言われているんだぞ?普通に怖いだろ。それも俺が普通に戦争に参加してほしくないって言っているんだ。てかユウキ自身まだ年下なのもあるしそれにユウキのことを嫌っている人間だっている。」

「……檜山くんのこと?」

「あぁ。後は天之河もだな。彼女を解放しろって俺に直接的に言ってきたけどユウキがきっぱり断ったからな。」

 

あれはさすがにキョトンとしてしまった。

和人は光輝の意見は基本的に間違ってはいないと思っていた

束縛しているつもりは無いのだが何故か俺と一緒にいることが多いユウキはそういうふうに命令しているんじゃないのかと言われたことがあった。

それは檜山たちの小悪党組と光輝なのだが若干女子もそう言う目線で見られたことがあったことは鈴から聞いていた

それが一週間前にあったのだけど全部一刀両断だったらしい

光輝に至っては本当に決闘をやってボコボコにするほどだったのでユウキもちょっと苦笑ぎみだったのだが。

 

「俺そんなに懐かれるような真似したかな?」

「……本当無自覚なんだね。普通なら光輝くんみたいにユウキちゃんに戦争に参加してほしいって言うはずだけど。」

「あんな。いくらVRMMOで戦ってきたけど俺らよりもユウキは年下ってことわかっているのか?ステータスでは確かにあいつは俺たちよりも確かに強いけど。あいつも女の子だろ?」

「……なんで気遣いはできるの?」

「そりゃ?こいつらの面倒を見てきたら自然に。」

「鈴たちのせいじゃなくて社交界に出る機会が多いからでしょ?」

 

鈴の方を少し苦笑したように見ている和人。すると鈴が剥れるが恵里はなるほどと感心していた

和人は二人と違い思ったことをすぐに切り込んでいくスタイルで鈴の内気な性格にもへこたれず自分のペースを保ち続けていた。

正直なところ和人は女性の扱いが上手く、パーティーや社交術に関してはかなり常連でもあったのだ。

 

「そういや。この三人で集まるのも久しぶりだな。」

「そうだね。最近ユウキに付きっきりだったしね。」

「まぁそれに関しては俺の責任だけどお前らも少しなんか考え込んでいただろ?だから妙に話辛かったんだよ。」

「へ?」

「気づいてないと思っていたのか?特に恵里。お前何を企んでいる。」

 

あれから数日間ずっと恵里が何かを隠していることは知っていた。

それは鈴も気づいていたはずだ

そして恐らくユウキを殺そうとしていたことも気づいているはずだ

恵里の転職はユウキと相性がいい。

呪術師。

呪いをかけることにより

……人を暗示することができる職業だ

 

 

「それに俺の元からの能力についてはお前らは知っているだろ?」

「……なるほど。付けてたってわけだね。」

「あぁ。生憎な。お前一度前歴あるしな」

「はぁ。」

 

……潰されて嬉しいボクがいるのは平和ボケしているのかな?

と恵里は見抜かれていたのに少し笑顔を浮かべてしまう

 

「……やめとくよ。すぐに見破っていそうだし。」

「素直だね。」

「そりゃボクが和人に勝てるわけがないからね。あんなバケモノを相手にしたら負けるだろうし。」

「化け物って。まぁあいつらか。」

 

とある二人を思い出してしまう。

 

「そういえばあの二人は呼び出さないの?」

「呼び出してもいいけど今はガイアで忙しいだろうしな。どうせ契約が薄くなったとかで脳筋お嬢様が今頃探しているだろうしほっといてもきそうな気がする。」

 

ありそうだと苦笑する二人に和人は息を吐く

 

「でもユウキは何で呼べたの?召喚についてはある程度推測がついたって言っていたよね。」

「あぁ。一応な。元々あっちでは平行同一世界についての実験データを集めていたからな。予測はついた。簡単に答えるなら、あいつはゲームの世界線では生き残っていることが大きいだろうな。」

「えっ?」

「すなわち並列世界で別の世界線では未だに生き残れる可能性があった。即ち死なずにいられる世界軸があったからこそその延長軸に乗ったんだろうよ。召喚が急に反応したのもそれが原因だろう。普通ゴブリン呼び出すにも2節の詠唱は必要だしな。」

「すなわち寿命を使い切らずに死んだから召喚されたってこと?」

「そうなる。それとその世界線と近いこととか色々仮説があるだろうけど。一番可能性が高いのはこれだ。」

 

 

寿命が不確定なキャラがいるとこうなることが多い。特にゲームと原作でルートがあるユウキはまだ寿命が残っていたと答えるのが最適だろう。

 

「なるほど。だから死んだ人間しか召喚できないんだね。」

「そういうことだな。後は他の世界線から契約している人くらいは呼び出すことはできそうだな。同じ世界線での転移の魔法陣の解析は終わったからな。」

「……仕事早いね。」

「あいにく戦争とか参加する気がないしな。さっさと帰りたい。」

 

鈴も恵里も同じく頷く

 

「でもできるの?」

「分からん。召喚と転送じゃ魔法陣は大きくことなることは確実だからな。」

「ほへ〜。」

 

と普通ならありえないことに二人は和人の話を聞いている

それもそのはず和人は表の顔はただの学生だ。

しかし裏の顔は違う

 

魔法法人ガイア  取締責任役

 

という日本の裏で活動している魔法使いの一族だ。




二人?トータスに来る人を決めました。
一応一人は男の予定ですが、人間じゃないからセーフだと思いたい。
ヒロイン枠には当然入る予定です、もしかしたらユウキよりもチートになるかも
脳筋娘と親バカ執事です


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オルクスの大迷宮

オルクスの大迷宮に潜り込み数時間が経った後

 

「それでね。優花先輩から教えてもらったんだ!!」

「ふ〜ん。そういえば園部の家って洋食店だったか。」

 

和人とユウキと話している。相変わらずの明るさでクラスのムードメイカーとなっていたユウキと和人は後方でのんびりと話していた。

というのも迷宮に訓練しているとはいえ和人にとっては迷宮自体初めてではない。和人は昔色々あって戦争に参加したり、異世界に渡って世界を救ったりしているのでもちろんのごとく迷宮攻略もしたことがあるのだ。

まぁ恵里と鈴は新入りなので攻略したことはないと思うのだが、もしかしたらあの執事や我儘副代表に連れていかれててもおかしくはないだろう。

しかし何でこんなに小さい奴ばっかり俺の周りにいるんだろうな。

ユウキと恵里は140cmくらいの少女であり、鈴に至っては130cmほどしかない。俺が身長が185cmくらいであるので全員見下ろす形になる

それもほぼあれがない。膨らんでいるはずのあれが

すると鈴が急に和人の尻尾に触っている

 

「ひゃう。す、鈴。尻尾触るのやめろ!!」

「なんか失礼なこと考えなかった」

「考えてねぇよ。マジでこれ変な感覚になるからやめろ!!」

「和人くんそれどんな感覚なの?」

「説明しづらいんだよ。元々猫の尻尾もケモミミも人間にないなんだから。変な感じなんだよ。」

 

こういう時真面目な委員長かガイア直轄の学校の教師がいてくれたらなと思ってしまう。

遊んでいるように見えるのだが実はこのケットシーは気配感知とテイムにすぐれている種族であり索敵をきっちりこなしている。罠感知能力も多く精霊化を使っている時のステータスは

 

上田和人 17歳 男 レベル:10

天職:召喚術師

筋力:300

体力:200

耐性:100

敏捷:600

魔力:1000

魔耐:100

技能:召喚魔法・豪運・配下強化・契約魔法・技能共有・弓術[+狙撃]・気配感知・飛翔・言語理解

 

となっている。まぁ魔力を使って一回変化してしまえばそのステータスを維持できるのでかなり強化されているといっていいんだけど。

そしてビクッと何かを捉える

 

「後400m先モンスターと遭遇します。」

「お、おう。」

「精霊化便利だね。鈴が使ったらどうなるんだろう?」

「さぁな。案外ノームになったりして。」

「もう。和人くん。そんなことを言ったらダメだよ。」

 

と他所から見たらいちゃついているようにしか見えない会話をしているのだが、この姿になった和人たちはかなり連携も取れており、勇者パーティーよりも強いのだ。

 

光輝は少しイラついていた。和人の周辺には和人についてくれる人間がいて自分の思い通りにならない人間が存在していたからだ

そういちゃついているようにも見えるのが自分たちよりも強いのだそりゃイラつきたくもなるだろう。

 

「てかハジメもすげぇな。ステータスオール10くらいなのによくあんな戦法取れるな。」

 

というのはハジメの戦い方に素直に感心してしまう

 

ハジメが碌に使えもしない剣で戦うと思っていた。ところが実際は、錬成を利用して確実に動きを封じてから、止めを刺すという騎士団員達も見たことがない戦法で確実に倒していくのだ。

 

「僕は錬成しかないからね。こうやって戦うくらいしかできないから。」

「安全第一だしな。まぁ俺も弓で攻撃するし。」

 

どの口が言うのかと二人の少女からジト目で睨まれるが無視をする。和人のメイン武器を知っている二人にとってはふざけた回答なのだろうけど。

というよりも和人の相棒曰く三代目に当たる能力持ちのせい日々強化し続けているらしいのだが。

 

時に20層が過ぎ迷宮の各階層は数キロ四方に及び、未知の階層では全てを探索しマッピングするのに数十人規模で半月から一ヶ月はかかるというのが普通だ。

 現在、四十七階層までは確実なマッピングがなされているので迷うことはない。トラップに引っかかる心配もないはずだった。

 二十階層の一番奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一階層への階段があるらしい。

すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。

 

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 

 メルド団長の忠告が飛ぶ。

 その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。

 

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

 メルド団長の声が響く。光輝達が相手をするようだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。光輝と雫が取り囲もうとするが、鍾乳洞的な地形のせいで足場が悪く思うように囲むことができない。

 龍太郎の人壁を抜けられないと感じたのか、ロックマウントは後ろに下がり仰け反りながら大きく息を吸った。

直後、

 

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 

 部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

 

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

 

 体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。

 まんまと食らってしまった光輝達前衛組が一瞬硬直してしまった。

 

「ユウキカバー。」

「任せて。」

 

弓矢を引きしぼり狙撃していく和人と詠唱に入る恵里たち。

ロックマウントはその隙に突撃するかと思えばサイドステップし、傍らにあった岩を持ち上げ香織達後衛組に向かって投げつけた。見事な砲丸投げのフォームで! 咄嗟に動けない前衛組の頭上を越えて、岩が香織達へと迫る。

準備していた魔法で迎撃せんと魔法陣が施された杖を向けた。

 

しかし、投げられた岩もロックマウントだった。空中で見事な一回転を決めると両腕をいっぱいに広げて香織達へと迫る。しかも、妙に目が血走り鼻息が荒い。香織も恵里も鈴も「ヒィ!」と思わず悲鳴を上げて魔法の発動を中断してしまった。

 

「こらこら、戦闘中に何やってる!」

「はぁ〜。」

「狙撃!!」

 

弓を振り絞って矢を放つ和人とユウキのコンビは圧巻だった。的確に一撃から二発程度で敵を殺していく。ユウキ自身も和人の弓矢の扱いには驚いていた。

香織達は、「す、すいません!」と謝るものの相当気持ち悪かったらしく、まだ、顔が青褪めていた。

 そんな様子を見てキレる若者が一人。正義感と思い込みの塊、我らが勇者天之河光輝である。

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

 

 どうやら気持ち悪さで青褪めているのを死の恐怖を感じたせいだと勘違いしたらしい。彼女達を怯えさせるなんて! と、なんとも微妙な点で怒りをあらわにする光輝。それに呼応してか彼の聖剣が輝き出す

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ――〝天翔閃〟!」

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

メルド団長の声を無視して、光輝は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。

 その瞬間、詠唱により強烈な光を纏っていた聖剣から、その光自体が斬撃となって放たれた。逃げ場などない。曲線を描く極太の輝く斬撃が僅かな抵抗も許さずロックマウントを縦に両断し、更に奥の壁を破壊し尽くしてようやく止まった。

 パラパラと部屋の壁から破片が落ちる。「ふぅ~」と息を吐きイケメンスマイルで香織達へ振り返った光輝。香織達を怯えさせた魔物は自分が倒した。もう大丈夫だ! と声を掛けようとして、笑顔で迫っていたメルド団長の拳骨を食らった。

 

「へぶぅ!?」

「この馬鹿者が。気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

 メルド団長のお叱りに「うっ」と声を詰まらせ、バツが悪そうに謝罪する光輝。ユウキも香織達に寄ってきて苦笑いしながら慰める。

 その時、ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

 

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 

 その時、ふと香織が崩れた壁その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。

 

 そこには青白く発光する鉱物が花咲くように壁から生えていた。まるでインディコライトが内包された水晶のようである。香織を含め女子達は夢見るように、その美しい姿にうっとりした表情になった。

 

「ほぉ~、あれはグランツ鉱石だな。大きさも中々だ。珍しい」

「へぇ〜綺麗!!」

「本当に綺麗だね。」

 

とユウキと香織がグランツ鉱石を見てうっとりしている

グランツ鉱石とは、言わば宝石の原石みたいなものだ。特に何か効能があるわけではないが、その涼やかで煌びやかな輝きが貴族のご婦人ご令嬢方に大人気であり、加工して指輪・イヤリング・ペンダントなどにして贈ると大変喜ばれるらしい。求婚の際に選ばれる宝石としてもトップ三に入る。

 

「だったら俺らで回収しようぜ!」

 

そう言って唐突に動き出したのは檜山だった。グランツ鉱石に向けてヒョイヒョイと崩れた壁を登っていく。それに慌てたのはメルド団長だ。 しかし、檜山は聞こえないふりをして、上がっていく

 

「こら! 勝手なことをするな! 安全確認もまだなんだぞ!」

「鈴、恵里。戦闘準備だけしてろ何か嫌な予感がする。」

「えっ?あっうん。」

「了解。」

「団長! トラップです!」

「ッ!?」

 

 しかし、メルド団長も、騎士団員の警告も一歩遅かった。

 檜山がグランツ鉱石に触れた瞬間、鉱石を中心に魔法陣が広がる。グランツ鉱石の輝きに魅せられて不用意に触れた者へのトラップだ。美味しい話には裏がある。世の常である

 魔法陣は瞬く間に部屋全体に広がり、輝きを増していった。まるで、召喚されたあの日の再現だ。

 

「くっ、撤退だ! 早くこの部屋から出ろ!」

 

 メルド団長の言葉に生徒達が急いで部屋の外に向かうが……間に合わなかった。

 部屋の中に光が満ち、クラスメイトの視界を白一色に染めると同時に一瞬の浮遊感に包まれる。

すぐ様立ち上がり臨戦態勢をとる和人たち

クラスメイトの尻餅をついていたが、メルド団長や騎士団員達、光輝達など一部の前衛職の生徒は既に立ち上がって周囲の警戒をしている。
転移した場所は、巨大な石造りの橋の上だった。ざっと百メートルはありそうだ。天井も高く二十メートルはあるだろう。橋の下は川などなく、全く何も見えない深淵の如き闇が広がっていた。まさに落ちれば奈落の底といった様子だ。

 橋の横幅は十メートルくらいありそうだが、手すりどころか縁石すらなく、足を滑らせれば掴むものもなく真っ逆さまだ。ハジメ達はその巨大な橋の中間にいた。橋の両サイドにはそれぞれ、奥へと続く通路と上階への階段が見える。

 

それを確認したメルド団長が、険しい表情をしながら指示を飛ばした。

「お前達、直ぐに立ち上がって、あの階段の場所まで行け。急げ!」

 

 雷の如く轟いた号令に、わたわたと動き出すクラスメイト。

 しかし、迷宮のトラップがこの程度で済むわけもなく、撤退は叶わなかった。階段側の橋の入口に現れた魔法陣から大量の魔物が出現したからだ。更に、通路側にも魔法陣は出現し、そちらからは一体の巨大な魔物が現れる。その時、現れた巨大な魔物を呆然と見つめるメルド団長の呻く様な呟きがやけに明瞭に響いた。

――まさか……ベヒモス……なのか……



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ベヒモス戦

「スケルトンタイプとトリケラトプスに似た魔物か。久しぶりに見るな。」

「そう言っている場合なの?あれってとても強いんじゃないの?」

 

と普通に和人がのんびり解析していると恵里が不安そうに呟く

 

「あぁ。今の俺らの実力じゃあ到底叶わないだろうな。普通に黒犬と同じくらいじゃねーか?」

「黒犬って。」

「ちょっと待って。鈴たちはその時間線にいなかったから分からないのだけど。」

「まぁ、今の俺たちだったら即死ではないけど。まぁ死ぬな。うん。」

「「ダメじゃん!!」」

「まぁあのベヒモスだけだろ。撤退戦だ。スケルトンもどきだったらお前らでも殺せる。」

 

さてとそれじゃあ撤退戦と行こうか

まぁ軽く書き換えるか。

薄い秒針をイメージしてそれを微かに動かす。

微かにながら体が太くなり血液が活性化。さらに筋肉の一本一本の繊維が体全体を強化する。

 

「それじゃあ行くか前衛は引き受けるから。」

「はいはい。」

 

そしてスケルトンソルジャーと呼ばれる魔物を和人はまるで豆腐を切っているかのように自分の腕についた虹色のオーロラが切り裂いた

 

「えっ?」

 

初めて見る人は大勢いる。しかしもはや隠すことはないだろう。

 

「さて。恵里、鈴。暴れるぞ。」

 

地を蹴る。魔物狩りの時間だ。

契約魔法これが俺の地球で生まれた時から固有魔法であり能力者である仕組みだった。

契約した魔物、人間の能力を使える能力であり、別の世界線からも呼び出すことができる優れものだ

その魔物に応じた魔力またはアウロラと呼ばれる生命の元を消費することによって使役できること。

 

スケルトンくらいでは相手にならない。簡単に和人は切り裂いていく

それはとても的確で、そして簡単そうに切り裂いていく

戦闘経験のないと思っていた王国兵士も和人の奮戦には驚いていた。

実はこれは和人の前の世界が関係している                                   

和人は前の世界の能力は輪廻転生する能力者だ。

幾度もなく同じ世界で、争いと再生を繰り返していた。

そしてまた同じ人と出会い。そしてあいつとは多くの世界線で結婚する運命だった。

世界の崩壊するときは最後まで手を繋ぎそして崩壊した

二人で毒にうもれて死んだこともあったか?

あいつのためにそういえばガイアを離れることもあった。

時にはみどうっていう魔物使いに殺されかけたこともあった

和人の思い出の多くはその少女の思い出だ。

しかし崩壊の時は孰れやってきて。そして世界は壊滅する。

それでも何度も何度も出会いと別れ、崩壊を繰り返す。

幾度の時を繰り返したのか。それでも和人の隣にはあの少女がいた

しかしとある事情で和人とその少女は離れなければならなかった

そして世界軸を破って。数人を巻き込んでまで会いに来てくれるバカの姿もあった

 

『何度だって私は和人の側にいます。世界が変わっても、私が好きなのはどんな世界線でも和人だけなんですから。』

 

……そうだ。

あいつはやりのけたんだ。

世界線を離れなければならなかった和人とバカ執事を追いかけに世界を超えたのだ

 

「死ねるかよ。」

 

本当に馬鹿らしい。馬鹿らしいけど

 

「死ねないよな。」

 

あいつと一緒に死ねないのは絶対に嫌だ。

この世界の一週目。せめて長くもの時を生きたいんだ。

多くのスケルトン部隊が襲ってくる。しかしあの時の大行進ほどではない

 

 

「舐めんな。」

 

骨ごと周辺の3〜5体を奈落に突き落とす

 

「さすが和人くんだね。って恐らく一回書き換えた?」

「非常事態だからな。ブーストしていた方がいいだろ?」

「……鈴思うんだけど和人が前の世界で何をしていたのか気になるんだけど。」

 

と言いながらも結界と白色の狼の魔物を使って恵里と鈴も蹂躙を始める。

恵里は魔物使いの才能があったことが地球にいたことも判明していたので魔物の扱いには慣れている

するとユウキが驚いたようにこっちにくる。

 

「ちょっと和人それ何?」

「話は後だ。撤退戦できるよな?」

「当然。これくらいなら和人と一緒なら大丈夫かな。」

「だろうな。…やるぞ。」

「任せて!!」

 

大量の骨擬きを殺していく二人にさらに白狼が轢き殺して行く姿に徐々に生徒たちは落ち着いていく。

徐々に隊列を組み直し少しずつではあるが押し始める

……これでいい

そして光輝たちが来る頃はトラウムソルジャーは既に残りわずかになっていた

 

「これは。って上田それは?」

「俺の魔物の能力ですよ。血液を硬質化させて剣に見立てているんです。」

「血液だと?」

 

だから溶けると

赤色というよりも黒色の血液が周辺に舞い散る。

 

「こういう風にになります。」

 

悲鳴が聞こえる。大量出血に普通なら当たることだろうが和人になっては既に慣れていることであった。

 

「……ってそういやハジメは?」

「そうだ。南雲くんがたった一人であの怪物を抑えてるの!」

 

 香織のその言葉に何を言っているんだという顔をするクラスメイト達。そう思うのも仕方ない。なにせ、ハジメは〝無能〟で通っているのだから。

 だが、困惑するクラスメイト達が、数の減ったトラウムソルジャー越しに橋の方を見ると、そこには確かにハジメの姿があった。

 

「なんだよあれ、何してんだ?」

「あの魔物、上半身が埋まってる?」

 

 次々と疑問の声を漏らす生徒達にメルド団長が指示を飛ばす。

 

「そうだ! 坊主がたった一人であの化け物を抑えているから撤退できたんだ! 前衛組! ソルジャーどもを寄せ付けるな! 後衛組は遠距離魔法準備! もうすぐ坊主の魔力が尽きる。アイツが離脱したら一斉攻撃で、あの化け物を足止めしろ!」

 

ビリビリと腹の底まで響くような声に気を引き締め直す生徒達。中には階段の方向を未練に満ちた表情で見ている者もいる。

 無理もない。ついさっき死にかけたのだ。一秒でも早く安全を確保したいと思うのは当然だろう。しかし、団長の「早くしろ!」という怒声に未練を断ち切るように戦場へと戻った。

なんか嫌な感じだな。 その頃、ハジメはもう直ぐ自分の魔力が尽きるのを感じていた。既に回復薬はない。チラリと後ろを見るとどうやら全員撤退できたようである。隊列を組んで詠唱の準備に入っているのがわかる。

ベヒモスは相変わらずもがいているが、この分なら錬成を止めても数秒は時間を稼げるだろう。その間に少しでも距離を取らなければならない。

そして、数十度目の亀裂が走ると同時に最後の錬成でベヒモスを拘束する。同時に、一気に駆け出した。

 ハジメが猛然と逃げ出した五秒後、地面が破裂するように粉砕されベヒモスが咆哮と共に起き上がる。その眼に、憤怒の色が宿っていると感じるのは勘違いではないだろう。鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……

 ハジメを捉えた。

 再度、怒りの咆哮を上げるベヒモス。ハジメを追いかけようと四肢に力を溜めた。

 

「あれ?檜山先輩って確か前衛だったよね?なんであそこにいるの?」

「「「えっ?」」」

 

ユウキの言葉で和人と香織、鈴は変な声を出す。

どういうことだと思っていると檜山が後衛の陣にいて詠唱をしている

それもとても悪意のある笑みで

 

「っハジメくん。避けて!!」

 

香織がすぐにハジメの元に掛けていく。するとハジメはぎょっとした顔だったがもう一つの火球に目を向ける。急激に止まるが着弾の衝撃波をモロに浴び、来た道を引き返すように吹き飛ぶ。直撃は避けたし、内臓などへのダメージもないが、三半規管をやられ平衡感覚が狂ってしまった。

 

「やば。俺は足止めに向かうからこっちは頼む。」

 

和人も体をもう一段階書き換えハジメの元に飛んでいく。

速さは既に1500は超えているのだろう。かなり早い速度でハジメたちに向かっていく

フラフラしながら少しでも前に進もうと立ち上がるが……

ベヒモスも、いつまでも一方的にやられっぱなしではなかった。ハジメが立ち上がった直後、背後で咆哮が鳴り響く。思わず振り返ると三度目の赤熱化をしたベヒモスの眼光がしっかりハジメを捉えていた。

 

「ハジメくん!!」

 

とその時香織がかばうようにハジメを抱きかかえる

 

「白崎さん。何で!?」

 

ハジメが驚いたようにしているがそれでも香織の頭にはハジメの元に行かないという選択肢はなかった

 そして、赤熱化した頭部を盾のようにかざしながらハジメたちに向かって突進する!

二人がもうだめだと思ったその時

 

「はぁああ!!」

「やぁああ!!」

 

と虹色のブレードと黒曜石の剣でベヒモスをパリィする妖精の姿が見れて。

 

「全ての敵意と悪意を拒絶する、神の子らに絶対の守りを、ここは聖域なりて、神敵を通さず――〝聖絶〟!!」

 

すると二人と鈴を守るように結界が張られる

 

「「鈴(谷口さん)!?」」

「二人とも結界に入って?ここじゃ巻き込まれるよ。あの二人に任せていたら大丈夫だから。」

 

と三人係で助けに来たらしい。誰もが友達や親友を守るために戦いであることを分かっていた

 

そして二人の剣とブレードがベヒモスに襲いかかる。剣を合わせるのは初めてのはずなのに二人の連携は完璧と呼べるものだった

 

「一旦叩きつけるぞ。ハジメ錬成一回できるか?」

「えっ。」

「ほんの少しでいい。少し時間を稼ぐだけだ。」

「う、うん。それくらいなら。」

 

そして赤熱化したベヒモスはパリィした和人たちめがけて振りかざしてくる

 

「回避。」

 

空中に飛び上がり全員が回避をしたと思っていた

いや回避は成功した。しかし悲鳴をあげたのは

 

橋の方だった

 

度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、遂に耐久限度を超えたのだ。

 

「グウァアアア!?」

 

 悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス。しかし、引っ掛けた場所すら崩壊し、抵抗も虚しく奈落へと消えていった。ベヒモスの断末魔が木霊する。

 ハジメもなんとか脱出しようと這いずるが、しがみつく場所も次々と崩壊していく。

(ああ、ダメだ……)

 そう思いながら対岸のクラスメイト達の方へ視線を向けると、雫が飛び出そうとして光輝に羽交い締めにされているのが見えた。他のクラスメイトは青褪めたり、目や口元を手で覆ったりしている。メルド達騎士団の面々も悔しそうな表情でハジメを見ていた。

 

「まずいハジメ。鈴。」

「香織先輩。」

 

と必死に和人たちは手を伸ばす。二人は必死に手を繋ぎ飛び上げようとするのだが

まずい羽が二人の重量が耐えきれない。

 

「和人!!」

 

鈴の目が和人を見る。鈴はいいからと訴えかけるように

 

「…見捨てるわけないだろうが。」

 

ついボソッと出てしまう

 

「ユウキ。そのまま落下しよう。浮遊に専念して落下速度を下げたらまだやりようがある。」

「えっ?うん。確かに落下はできるだろうけど。」

「分かっている。それでも全員が生き残れる可能性はそれしかないんだ。」

 

恐らく奈落はこの階層よりも難易度が桁違いに上がる。それでも全員が生き残るために和人は落ちる選択をする

 

「うん。ボクもついていくよ。」

「何で。鈴を。」

「悪い先落ちてる。」

 

そしてゆっくりと落下し始め、暗闇の中にゆっくりと落下していったのであった。



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奈落の底で

「……っ!!」

「ここは?」

 

すると和人とハジメが目を覚めるとそこには香織とユウキ、鈴の姿がいた。

 

「ハジメくん!!」

「「和人!!」」

「「うぉ!」」

 

と思いっきり抱きつかれる

 

「あ〜そういえば水流に流されたんだったか?」

「うん。鈴ちゃんは結界を張っていたからそこまで強い衝撃ではないはずだけど。」

「そっか。助かったんだな。はくしょん。」

「うぅ。寒いよ。」

 

とそういえば体が冷えているな。

 

「とりあえず火をつけないかな?」

「いや。その前に安全を確保する方が先だと思うよ。いつ魔物がポップしてもおかしくはないし。」

「俺も血液がかなり減っているからな。安全地帯を作るのは賛成だな。」

「それじゃあボクが錬成を使えばいいのかな?」

「それは一番いいだろうな。てか俺は血液補填材ないか?ちょっと貧血ぎみだから。」

「あっ。ボクがもっているよ。」

 

とサクサクすすんでいく奈落に落ちた五人。

 

「てかここ何層くらいだ?」

「さぁ。でもさっきボクが倒した兎はベヒモスよりも恐らく強かったよ。」

「……まじか。」

 

とうんざりしてしまう。それにさらっと倒したって言ったユウキが少し強くなりすぎているような気がする。

 

「でもそういえば和人はあのブレードなんなの?この世界にはあんな魔物もいるの?」

「いや。アレはまた別の世界の魔物…つーか俺の兄貴みたいな奴だよ。もう魔物になっているけど。」

「「「……えっ?」」」

「……まぁ俺達のことについては話さないといけないか。とりあえず長い話になるだろうし安全な場所を作ろうか。ついでにあいつらも呼ぼうと思っているしな。」

 

すると首を横に傾げながらもハジメが開けた穴に入る

そしてみんなが一息つくとそしてポツリと

 

「とりあえず俺についてだな。……まず俺はこの世界で産まれた人間じゃない。」

「……へ?」

「俺の元の世界は能力者と呼ばれる人間と魔物使いと呼ばれる人間がいる世界で産まれたんだ。そこで俺は魔物使いとして生活していたんだよ。」

「魔物使い?」

「あぁ。魔物を生成し、生命力を分け与えて魔物を使役する人のことだ。」

「生命力?えっそれってどういう。」

「寿命を提供して魔物と契約を結んでいたってこと。」

 

その言葉に全員の声が固まる

 

「まぁ俺の毎回の様に嫁になっていた奴も、俺も基本は30歳くらいまでしか生きられなかったからな。30過ぎても世界の崩壊が始まる場合が多いし。」

「ちょっと待ってえっ?30歳くらいしか生きられないってえっ?和人って今17歳って。」

「年齢的にはそうだけど俺は前の世界の記憶があるんだよ。だから俺も魔物をこっちでも操れるし。実際恵里は生命力を魔力に変換しての魔物の使役に成功しているからな。俺も魔物自体は結構持っているし。もちろん魔力に変換して。」

「えっ?地球にも魔力があるの?」

「あるぞ。平行世界では普通に魔術や魔法が発達した世界線もあるしな。まぁ俺が生きたのは既に千年は超えているから。

「「「「せ、千年?」」」」

「あぁ千年くらいかな。俺たちの世界は魔法がない代わりに科学に特化した世界線だけどな。」

 

と苦笑してしまう和人

 

「科学に特化した世界線?」

「あぁ。俺が見た中で2015年代にここまで科学が進歩している世界線は数少ない。俺もこの世界ではまだ1周目だから完全に掌握したわけじゃないけど。それでもこの世界線ではよくも悪くも科学が発達しすぎている。まぁ魔法や魔物使いが見つからないか科学に敗北した世界線なのだろうな。」

 

そう言うと話を止める

 

「……そういえばボクッて。」

「いや、ユウキは魔物ではないことは判明済みだ。それは安心してくれ。」

「そうなの?」

「あぁ。魔物って人間の構造と大きく違うからな。検査で人間の構造をしていたからユウキは人間だよ。」

 

するとユウキがほっと一安心したようにしている

 

「まぁとりあえず俺の話は終わりだな。とりあえず今後のことに移るぞ。とりあえず今の課題は食料品と戦力。それと……まぁ安全面か。さすがにこの穴を拠点にして動きたいしハジメは穴掘ってくれないか?できるだけ女子と男子のトイレ問題だけはなんとかするしかないだろ。」

「うん。とりあえずは拠点づくりだね。」

「食料品はユウキと俺が携帯食料を結構持ってきているけどそれでも10日が限度じゃねーか?」

「あっ私も少しみんなから分けてもらったよ。」

「マジ?」

「うん。ドライフルーツとかだけど。雫ちゃんや恵里ちゃんに絶対に迎えにいくから待っててって言われたよ。」

 

ユウキと香織は余裕があったからな。お別れの挨拶は済ませたんだろう。

 

「そっか。でも俺たちは俺たちでここから抜け出そうと思っているんだけど。」

「へ?」

「この迷宮を攻略する。」

 

すると全員が和人の方を見る。

 

「えっ?和人何言っているの?」

「というよりもここにいつまでも居座っていたら死ぬのは俺らだ。地上に向かうか。この大迷宮を攻略するしかない。」

「……食料的な問題?」

「いや体力的な問題。今回の事故で攻略スピードはかなり落ちるはずだ。俺たちのとところに来るには一年近くかかるかも」

 

和人の言う通り地上では安全マージンをとることになり攻略のペースはかなり落ちることになったのだった

 

「……うん。確かにただじっとここで居座っているだけならかなり厳しいかもね。飲み水もいつまで続くか分からないし。なによりも衛生的に厳しいかも。」

「でも、ここの魔物和人とボクくらいしか相手にならないんじゃない?」

「……戦力的なのは一人俺たちのガイアから魔物使いを呼び出す。そうしたら俺もあいつの技能使えるはずだし。何よりも執事がいるからな。」

 

一応非常事態ってことで地上に戻ったら大量のお菓子をおごることで許してもらおう。

 

「でも地上に戻る選択肢もあるのに。何で攻略するの?」

「……恐らくだけどここオルクス大迷宮だけど元々のオルクスの大迷宮じゃないんだよ。」

「?どう言うこと?」

「座標が全くオルクスの大迷宮から離れすぎているんだ。座標をとっていたんだけど。これ数百キロは西に逸れているな。」

「「「えっ?」」」

「うん。ボクも同じ反応だから間違えはないかな。」

 

一応ちゃんと迷宮のデータは取っていたのだ。一応トラップ対策は完全に取ってあったのでよかったのである。

 

「つまり地上に出れる線は。」

「恐らく厳しいだろうね。攻略が一番地上に出られる可能性が高いんじゃないのかな。」

「そ、そんな。」

 

絶望しかけていた鈴。しかし和人は落ち着いていた

 

「最初はとりあえず生活場所を整えよう。とりあえずハジメが武器を作るところから始めないと。」

「うん。そうだね。とりあえず穴を掘っていけばいいかな?」

「あぁ。全員の居住スペース作ってしまおうか。鈴たちはそっちで服乾かして。俺たちも向こうで乾かすから。火種くらいなら出せるし。」

「えっ?うん。」

 

と思ったよりもハジメは落ち着いていることに驚く和人。

ハジメはそのまま錬成で部屋を広げていく

 

「そういえば二人出すって言っていたけど食事の面は大丈夫なの?」

「……大丈夫じゃない。でも背に腹は変えられないし。というよりも俺は書き換えれば魔物の肉食べられると思うから。」

「書き換える?」

「あ〜使い魔の関係上俺は自分の耐性や能力を上昇させられるんだよ。Rewriteする能力を持ってる」

「何それ。」

「所謂俺が今日使っただろ。急激にステータスを上昇させた奴。あれで三倍くらいか。」

「えっ?それってずるくない?能力上げまくれば。」

「使いすぎると魔物になるっていう欠点を持っているけどな。」

 

すると全員が黙り込む。

 

「魔物?」

「あぁ。俺が今使っている使い魔は元々は人間だった。それが今は魔物になっているんだ。その前も今から呼び出す奴の使い魔がリライターだった。だから呼び出すんだよ。俺が魔物にならないギリギリを見極めるために。」

 

全員が息を呑む。それだけまずい状況ってことがわかったのだろう。

 

「そういえば魔物って食べれないの?」

「細胞が破壊されるらしいよ。」

「ハジメよく知っているな。俺も図書館で見た情報から察するに恐らく魔物が魔物を食べても平気なのは再生能力が人間よりも優れているからだな。細胞が破壊されて再生できればステータスの強化できるのになぁ。恐らく神水を見つけないと厳しいだろうけど。まぁ見つかれば奇跡だと思うけど。」

「その奇跡が起きたとすれば?」

 

ハジメの意味ありげな言葉に和人がそっちを向く

 

「どういうことだ?ってそういやさっきから錬成使いっぱなしだけどお前魔力切れてないのか?」

「うん。下に溢れている水みたいな液体を飲んだら魔力が回復しているんだよ。もしかしたら〝神結晶〟が近くにあるのかも。」

「まじか。ってもしかして豪運発動したか?」

「そういえば技能にあったね。」

 

和人の予想は当たっていて偶然にも神結晶の近くに落ち、さらにヒーラー、前衛二人に、結界師のバランスのとれたパーティーが出来上がっていた。

 

「とりあえずそれが神水だった場合。もしかしてこれを食べるの?」

「まぁな。俺は食べるけど。」

「よく食べますね〜。魔物なんて私でも食べませんよ〜。」

「お前はポテ……コでもく、……えっ?。」

 

と和人達は声をした方を振り向く。

すると一人のメガネをかけたいけ好かない執事と…オレンジ色髪型に昔から見慣れた制服を着た一人の少女が大きなリュックを背負って立っていた

 

「和人。遅れました。準備に手間取ってしまって。」

「すいません。ロリトくん。皆様の寝袋と食事の準備で遅くなりました。」

「ロリトって言うな。……まぁ助かったよ咲夜。」

 

そしてもう一人愛しい人を和人は見る

 

「悪い。心配かけちまったな。ちはや。」

「大丈夫です。わたしは和人を死んでも追いかけ続けますから。」

「死んだら追いかけられないだろうが……悪い。また力を借りるぞ二人とも。」

「はい。」

「えぇ。和人くん、」

 

もう数百年と時を過ごした二人に微笑む和人。

そこには既に絶望ではなく、絶対に生き残れるという自信に溢れた三人がいるのだった。




やっと出ました。メインヒロインの登場です。
Rewriteより鳳ちはや、咲夜です。
ついでに二人がやってきたのは咲夜の空間転移でちはやのお守りの包帯が座標になって転移してきました。


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これから

「えっと鳳ちはやです〜。こちらは……和人。もう伝えてあるんですよね?」

「あぁ。魔物使いってことも全部伝えてある。」

「そうですか。私はちはやさんの執事兼護衛と咲夜と言うものです。」

「咲夜はちはやの魔物で元リライターだからな。」

 

すると全員が驚いた様にしている

 

「えっ?どう見ても人だけど。」

「そうだな。元々人間だからこう言う風になったんだと予想できるんだけど。」

「コタロウくんも同じく人型の魔物になっていますからね。」

「そうだな。元々人だった場合人型の魔物になるのかは未だに解明されてないけどな。」

 

人型の魔物という驚きに鈴以外は戸惑いを隠せないのかキョロキョロと咲夜を見る

 

「ところで非常事態の様ですが。ここは?」

「オルクスの大迷宮。恐らく地下は100層を超えている感じかな。」

「……この世界の常識は分かりませんが。100層を超えている迷宮は。」

「未だに発見されてはいないな。しかし鉱石の関係上オルクスの大迷宮だと判断したほうがいい。同じ性質の鉱石が使われているしな。」

「なるほど。食料品は。」

 

と情報を話す和人と咲夜。それを見ているちはやにみんなは呆然としている。

和人のクラスのイメージはオタクというイメージがついている

しかし今の和人の様子は明らかにクラスの時とは違い、真面目に問題を解決に向かうリーダーのように見えた。

そして和人はこれからの方針と今後の課題について告げる

 

「なるほど。私もその意見には賛成ですね。いくらここで待つとしても限度がありますからね。」

「でも、魔物を食べるって大丈夫なんですか?」

「大丈夫じゃない。毒らしいけどちょっと面白いんだよ。その死に方が。」

「はぁ?」

「細胞がボロボロに砕けさせて死亡したらしいんだよ。でもそれって何か思い当たることはないか?もちろん死なない程度だけど。」

「思い当たること?」

 

全員が考え始める。すると錬成で神結晶と思われし鉱石に辿りついたハジメが何か思い当たったようだ。

 

「あっ。筋肉痛。」

「ハジメ正解。」

「なるほど。超回復ですね。」

 

どうやらユウキとちはやは分からないのか首を傾げている

 

「筋トレなどにより断裂した筋肉が修復されるとき僅かに肥大して治るという現象です。骨なども同じく折れたりすると修復時に強度を増すんですよ。」

「医学的には休息も大切と呼ばれているけどな。まぁ無理やり筋肉痛を起こさせて体を強化しようってわけだ。」

「そんなことができるんですか?」

「理論上では可能だな。恐らく効果があるのは。鈴。ハジメ。俺と香織かな。」

 

と俺も精霊化を解く。

すると力が抜け、筋力もかなり落ちる。ってこれって

 

「あれ?書き換えた能力が消えているな。これ。」

「う〜ん。精霊化の能力は元々ゲームのステータスのようなので実態とは別物と考えたほうがいいと思います。」

「あ〜なるほどな。」

「精霊化しているときはアクセルを一度踏んでいるのでアクセルは後は一度くらいにしておいたほうがいいかと。」

「ん。了解。」

 

アクセルとは普通の強化とは違い大きく身体能力を上げることだ。元々はコタロウという和人が使用している能力であり、元々は和人の能力ではない。Rewriteも元々は和人の能力ではなく、魔物の力を自分が使っており、1日最高3回制限。また、魔物になる可能性が低いが能力上限があることから咲夜ほどには強くなれないのである

 

「それじゃあ俺が試しにこいつ食ってみるか。ハジメ。その液体少し頂戴。」

「えっうん。いいけど。」

 

と和人は息を呑みそしてユウキが狩った狼を喰らう。すると生臭さや堅さから吐き出しそうになるが実験のため必死に喰らう。

 酷い匂いと味に涙目になりながらも、神水を飲料代わりにし、一つ食べきったところで。

 

「アガァ!?」

「「「「和人(くん)!!」」」」

 

突如全身を激しい痛みが襲った。まるで体の内側から何かに侵食されているようなおぞましい感覚。その痛みは、時間が経てば経つほど激しくなる。

 

「ぐぅあああっ。――ぐぅううっ!」

 

耐え難い痛み。自分を侵食していく何か。そしてその痛みを必死に堪える。

大丈夫だと思い少し自分の治療能力を高める。細胞を壊すのを抑えるのではなく治すことだけを考える。

咲夜もそれに気づいたのか和人を見ているようにと忠告する。命に別状はないとわかったからであろう。

体が痛みに合わせて脈動を始めた。ドクンッ、ドクンッと体全体が脈打つ。至る所からミシッ、メキッという音さえ聞こえてきた。

筋肉や骨格が徐々に太くなり、体の内側に薄らと赤黒い線が幾本か浮き出始める。

 

「これは魔物化。」

 

咲夜が呟く。いや恐らくは違う。魔物とはまた別の何かだ。

どれくらいの時がたったのだろう。

 

「はぁはぁ。」

 

痛みが治まった頃には息を吐き和人は壁によしかかる

 

「これきちい。というより、これ安全なRewriteに結構近いわ。」

「……安全な書き換えですか?」

「あぁ。恐らく魔物の特徴を自分の体に書き換えるんだよ。なんかさっきから変な感じだし」

 

温かいような冷たいような、どちらとも言える奇妙な感覚。意識を集中してみると腕に薄らと赤黒い線が浮かび上がった。

 

「気持ち悪。」

「体は大丈夫なんですか?」

「そうだな。回復できるうように再生つけたからな。てかステータス見てみるか。」

 

と和人はステータスプレートを取り出す。そこには

 

上田和人 17歳 男 レベル:4

天職:召喚術師

筋力:100

体力:300

耐性:100

敏捷:200

魔力:3000 使用魔力ユウキ1000

魔耐:300

技能:召喚魔法・魔力操作・豪運・胃酸強化・纏氷・再生・配下強化・技能共有・契約魔法・言語理解

 

「……なんでや?」

 

和人はつい突っ込んでしまう。胃酸強化は分かるとして纏雷?魔力操作?これいつ覚えたんだ?

 

「どうしたの?」

「……書き換えより上昇幅大きい。痛みは大きいけど。安全にステータスを上げられ、技能まで覚えられるのか?」

 

和人がステータスを見せるとハジメは少し驚いたようにしている。

 

「つまり魔物を食べたらステータスが上がるってこと?」

「まぁ今はそう考えるのが妥当か。ユウキとちはやはやめとけ。ちはやがもってきた飯を食べろ。」

「へ?ボクたちは何で?」

「ステータス恐らくそれ一万を簡単に超えるだろ?さすがにそこまで上がると連携が。ちはやは咲夜の力借りているだろ?」

「はい。」

「なら当分はそれで大丈夫だろ。それと。」

「一応一ヶ月分くらいの食事は用意しようと思えばご用意できますが。私だけならば地球に帰ることも可能ですし。」

「えっ?それって。」

 

そういえば伝えてなかったなと和人は苦笑する

 

「咲夜は空間転移を使えるんだよ。まぁ人間二人分くらいなら運べるけど。」

「魔力だと消費が大きいので生命エネルギーをくれるというなら。」

「帰れるの?」

「やめとけ。寿命がどれだけ減るかも分からないし、ちはやと俺は契約している分俺のところにくるのであれば消費魔力は少ないけど、地球までの座標がどれだけあるかも分からない。」

「距離的には恐らく月の三倍に当たるかと。」

「……間違いなく死ぬだろそれ。咲夜は結構古いタイプの魔物だしな。一応魔力で肉体は再生できるけど、魔力の消費は大きいんだよ。」

「えぇ。でもこれで十分ですよ。これでどの世界線のちはやさんも守ることができますし。」

「親バカめ。」

「幾度の世界線でもちはやさんとしか女性経験のないあなたに言われても。」

「うっせぇやい。」

 

話が進まないと思いながらも余計なことをと内心舌打ちをする。

実は幾度の世界線で和人がちはや以外の女性と付き合ったことはたった一度きりしかない。

その一回も早死にしていることあって和人はちはや以外の女性とつきあったことはほとんどないのだ。

 

「……てか話逸れすぎ。話戻すぞ。」

「えっと何の話だっけ?」

「魔物を食べるとステータスが上がるって話だったはずだよ。」

「そうそう。一応ちはやは結界師でもあるし、咲夜と契約している間は槍術師としても優秀だから。」

「ちはやさんって槍使えるの?」

「そうですね〜基本的には近くにあるもの全部を武器にしてますけど。」

 

近くのものが木とか電柱とか普通のものではないものばかりだろっと和人はつっこみたかったがぐっとこらえる。

ちはやは咲夜の影響で力が超人並みにあり、知能は低いものの

 

「なんか馬鹿にされた気がします。」

「気のせいだろ。まぁこいつかなり力強いから100kgくらいの槍用意しておいて。」

「「「「は?」」」」

「ちはやさんは私と契約していますから。しかしそうなると接続をしないと。」

「大丈夫契約魔法でできるから。」

 

すると全員が納得したようにしている。

 

「まぁ強化するんだったらまずは俺とハジメかな。基本前衛から中衛を担うのは俺かハジメだろうし。」

「えっ?ボクも?」

「いや。ちはやと鈴は結界師。白崎はヒーラーだぞ。咲夜とちはや。俺とユウキの連携が一番あっているし。おれは弓や銃が本当は本職だからな。というよりもハジメはステータスが低すぎるからな。俺の特化型の低いステータスとほぼ変わらなかっただろ?」

「……そうだね。」

 

すると自覚はあるのか目を伏せるハジメ。

 

「とりあえず地獄の痛みに慣れるしかないよな。香織は魔法の反復かな。」

「そうだね。ヒーラーはレベルより反復練習で回復量あげてもらったほうがボク助かるかな。」

「咲夜も嫌がらずかけてもらえよ。」

「えぇ。わかってます。」

 

といいながらもサクサク進んでいく。中心になるのは和人、ハジメ、咲夜、ユウキの四人なので

 

『『『私(鈴)いらないんじゃない』』』

 

と内心おもっていることは男性陣とユウキは全く気づかなかった

 



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