もしも獪岳が桃太郎の子孫で真っ直ぐな性格だったら (木入香)
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もしも獪岳が桃太郎の子孫で真っ直ぐな性格だったら

 最初に言っておきます。続きません。
 流行に乗っちゃった感じです。
 本人を漂白剤で真っ白にしましたので、それが言葉遣いの変化ということでご容赦を。
 アニメ観て、桃先輩と呼ばれていた獪岳さん。桃と来れば桃太郎と思いましたが、獪岳さんと絡めたものがないようでしたので筆を執りました。
 後書きに設定を置いておきますので、もし、この設定使いたいとかありましたら、ご自由にどうぞ。
 というか設定が本編で、本文は蛇足です。
 ちなみに、作者は獪岳さんのことはそんなに好きではないです。好きなキャラは禰豆子ちゃんです(王道)。


 とある日の夜。那田蜘蛛山(なたぐもやま)は戦場と化していた。

 鬼。それも十二鬼月(じゅうにきづき)と呼ばれる鬼の上位一二人で構成される内の一人が、この山にいるだけならともかく、その鬼を中心とした鬼の集団が闊歩(かっぽ)しているともなれば、この惨状(さんじょう)も納得出来るものである。

 

「これは(ひど)いな」

 

 一人の青年が、地面に転がった元は人間であったであろう血肉の(かたまり)を見て眉をひそめる。(くび)回りに勾玉(まがたま)のような装飾が光る青年の格好は、背中に大きく”滅”の字が(きざ)まれた黒の()(えり)に、その上から同じ黒色に所々に灰色の三角模様が入った着物を(ラフ)に羽織っているものだ。

 しかしここは夜の山の森。街灯などもある訳なく、月明かりが枝葉の隙間から頼りなく地面を照らしている程度の光量の中で、全身黒を基調とした衣装に身を包んでいる青年の格好は、闇に溶けてしまって分かりづらい。

 黒く乱雑に()ねている短髪の髪を()き上げ、元々悪い目付きを更に細めて暗闇の奥を見つめる。

 

「”獪岳(かいがく)”さん、これは……」

 

 獪岳と呼ばれたやや細身で長身の青年は、後ろから声を掛けてきた青年へ振り返る。そこには、彼と同じような黒の詰め襟を身にまとった若い男女数人が立っており、周囲へ警戒というよりは、(おび)えた表情を浮かべて落ち着きなく視線を動かしていた。

 獪岳を含めた彼等は、夜な夜な人を襲い、食らう化け物。鬼を狩る為に組織された集団。鬼殺隊(きさつたい)の面々である。

 鬼とは元々人間である。(はる)か一〇〇〇年程も昔に鬼となり、現在に至るまで討伐(とうばつ)適わず、その血を分け与えることで鬼へと変貌(へんぼう)させる元凶、もしくは始祖(しそ)の男。その鬼の首魁(しゅかい)の頸を跳ねることが、長らく続く、鬼殺隊の信念である。

 

「俺からあまり離れるなよ? ここは敵地のど真ん中だ。怖いのは分かるが、必要以上に緊張するな」

「は、はい」

 

 同行している隊員へ注意し、自身も腰から下げた(さや)から一本の日本刀を抜く。日輪刀(にちりんとう)と呼ばれる、特殊な金属から生まれる唯一鬼を倒すことが出来る武器である。持ち主の技量と特性によって色を変えるその刀。彼の手の中にあるそれは、刀身が黄色に輝いていた。

 鬼は日差しを浴びると塵と化して死んでしまう。それはどれだけの強さを誇る鬼、十二鬼月であっても例外なくだ。もしくは、鬼にとって禁忌の名があり、それを口にすればたちまちに血の(のろ)いによって消滅してしまう。しかし、言ってしまえばその二つだけである。それさえ注意すれば、頭が(はじ)けようが、心臓を穿(うが)たれようが、全身を細切れにしようが、再生し(よみがえ)ってしまう。

 弱点の少ない鬼を、能動的に倒す為に生み出されたこの武器であるが、どこを斬っても良いという訳ではなく、正確に鬼の頸を斬らなければ意味がないという所で、鬼殺隊の苦労がよく分かる。

 しかし、この男は違う。

 

虎狼丸(ころうまる)。どうだ?」

「ワゥーン……」

 

 獪岳の足下で地面の匂いを()ぐ柴犬のような目鼻立ちがハッキリした中型犬は、主人の問い掛けに自信なく(うな)った。

 

「やはり、この山全体を包むこの悪臭では、猟犬(りょうけん)の探知でも厳しいか。津々(しんしん)はどうだ?」

「キーキー……」

 

 次に話し掛けたのは、自身の右肩に乗っている、体長二〇センチ弱のニホンザルのような猿の子供である。しかしこちらも反応(かんば)しくなく、鬼の行方を追うことは出来ていない。

 そこへ、一羽の鳥が月明かりを(さえぎ)って影を作る。

 

女木(めぎ)か? どうだそっちは?」

 

 女木と呼ばれた鳥は高度を落とし、獪岳の目の前で地面に降り立った。

 

曇天(どんてん)! 曇天!」

「見つからず……か」

 

 言葉を話す鳥。鬼殺隊の隊員一人一人に鬼を探したり、情報のやり取りを行ったりする為に与えられる、鎹鴉(かすがいがらす)と呼ばれる(からす)である。しかし、獪岳の前にいるのはどこからどう見ても、(きじ)である。風の噂。というか手紙で、(すずめ)を与えられたと自身の弟弟子本人から聞いたので、そういうこともあるのだろうと納得する。

 犬、猿、雉の三匹の動物を引き連れたこの男、獪岳は、桃太郎(ももたろう)を先祖に持つ桃太郎の血を引く者なのである。

 

「とりあえず、闇雲に歩き回るより、頂上を目指そう。これだけ広いのだから、こちらから探しに行くのは得策ではない。他の隊も生き残って、上へ移動していると信じて進むしかない」

「分かりました」

 

 再び歩みを初めてしばらく。他の隊員の死骸(しがい)は時折見掛けるものの、鬼の姿はなく、また気配も感じない。(むくろ)の様子を見るに、新しいものではなく、少し時間が経っているもののようだ。

 

「この場にはもういないのかもしれないな。あるいは、他の隊へ襲撃に行っているのか。女木、援軍要請(ようせい)がないかの確認も込みで、再び周囲の索敵(さくてき)を頼む」

涼風(りょうふう)! 涼風!」

 

 了承の意味である言葉を残し、鎹鴉の雉は再び夜の空へと舞い戻っていった。

 しかし、相棒の返事を待つことなく事態は急変する。

 

「あん? 何だぁ?」

 

 彼等の目の前に立つのは、元服(げんぷく)を迎えたかどうか程度の見た目の白い着物と白い肌をした男の鬼であった。

 

「女木……怠慢(たいまん)だぞ」

 

 そう(つぶや)き、日輪刀を構える。とある技の為に、通常の長さよりも少しだけ短くし、重心位置を若干手元に近く中央寄りにさせた刀の切っ先を相手へ向けた。

 

「あん? お前、何か嫌な匂いするなぁ。お前食っても美味(おい)しくなさそうだ」

「あぁそうだ。俺は食っても美味(うま)くない。むしろ、俺の血はお前らにとっては毒だ」

「あっそ、まぁだからと言って、殺さない理由にはならないけどね。それに、後ろの奴らは、美味しそうだ!」

「やらせねぇよ。テメェ程度、俺一人で十分だ」

「死ねぇえええ!」

 

 突如(とつじょ)鬼の背中から虫の(あし)のようなものが複数生え、それが伸びて触手のようにうねり、一斉に襲い掛かってきた。

 

「ふんっ」

 

 ―― 雷の呼吸 ()ノ型 稲魂(いなだま)

 

 一回の接触で五回斬るという素早い連撃によって、四本の脚を斬り飛ばした。

 

「まだまだ増やすぞ! おりゃあ!」

 

 本数が倍以上になり、勢いも増して襲い来る。しかしそれも……

 

 ―― 雷の呼吸 弐ノ型 稲魂 ”改・十戒(じっかい)

 

 五回斬る斬る技を二回連続で繰り出すことで対処する。

 それに動揺(どうよう)したのか、鬼が半歩後ろへ下がるも、すぐにその場で(とど)まった。

 

「本気で行くぞ! ここでオメェらを殺さなきゃ、俺がアイツに殺される!」

 

 背中から生やした脚の本数は、先程の二回とは比較にならず、目の前一面を(おお)()くすが(ごと)く広がっていた。

 獪岳の後ろに控える隊員から怯えの息遣いが聞こえるが、先頭に立つ彼は軽く「フンッ」と鼻を鳴らす程度で表情を変えず、再び技を繰り出す姿勢へと移る。

 

「うぉぉおおお!」

「うるさいな。全く」

 

 ―― 雷の呼吸 弐ノ型 稲魂 ”改二・十五夜(じゅうごや)

 ―― “改三・二十重(はたえ)

 

 一五連撃、二〇連撃を素早く繰り出し脚を斬り飛ばすも、まだまだ数がある。

 

「面倒だな。だが、これで終わりだ」

 

 ―― ”改四・五十雀(ごじゅうから)

 

 一瞬で五回斬る技を、立て続けに一〇回放つことで五〇回斬る。理屈では分かるが、これを息も乱すことなく行う彼の能力(ちから)は底が知れない。

 ただし、これはあくまで邪魔な脚を斬っただけ。本体の頸を斬らなければ意味がない。そこへ素早く(ふところ)まで飛び込んだ獪岳は、地面スレスレの所から一気に刀を振り上げた。

 

 ―― 雷の呼吸 ()ノ型 熱界雷(ねっかいらい)

 

 本来なら下から上へ斬り上げて斬撃を飛ばす技であるが、彼はそれをあえて直接斬ることにした。だが、元々刀身が平均のより短くしてある為、ギリギリの所で避けられてしまう。とはいえ刀が届かなくとも斬撃は届いた。これにより、無事に右腕を斬り飛ばすことに成功した。

 しかし、鬼の脅威(きょうい)はその再生力にある。すぐに斬られた右腕が元に戻ろうと生え始める。

 

「あっぶねぇな! だが、これで……」

「油断し過ぎだ」

「!」

 

 振り上げた姿勢から、今度は更に踏み込んで一気に振り下ろした。すると再生の始まった右腕を、今度は刀身で(とら)えることに成功し、不格好な右腕を再び宙へ飛ばしてしまった。

 

「だから! 何度斬っても無駄だってんだよ! この頸を斬らない限りはな! すぐに再生してテメェの頸、へし折ってやる!」

 

 しかし、鬼の右腕が再生する気配がなく、一瞬の沈黙が辺りを(つつ)む。

 

「お、おい、何だよこれ……何で再生しないんだよ!」

「さっき言っただろ? 二度は言わねぇよ」

「っ! まさか!」

 

 獪岳の血は桃太郎の血。日輪刀がない時代でも鬼を討伐することを可能とした先祖の血。それに触れれば痛みを生じ、長くもしくは大量に触れれば皮膚が焼け(ただ)れる。体内へ取り込めば、量にもよるがたちまちに死へと至る毒薬。

 (むし)の呼吸の使い手が、藤の毒へと辿(たど)り着く(はる)か昔から使われた手法。鬼の(けが)れた血を浄化する聖なる血。鬼が嫌がるのも当然だ。彼の中に流れるそれは、鬼にとって天敵であることから来る防衛反応だからである。

 そして、その血を刀身へ流し込むことで相手の再生能力を(うば)い、確実に追い詰める。それを可能とすべく、手数を増やす為に弐ノ型をひたすら鍛錬(たんれん)し、少ない動作で素早く斬れるように刀身も短くした。

 才能の差(ゆえ)(いち)ノ型のみ使うことは適わなかったが、それでも鬼を倒す武器を手にしたことで自信が付き、より前向きに生きることが出来るようになっていた。

 

「もう、俺のせいで誰かが代わりに犠牲(ぎせい)になる所なんざ、見たかねぇんだよ」

「な……ぐっ……」

「終わりだ」

 

 斬り飛ばされた右腕の断面から侵入した少量の獪岳の血液。その量こそほんの(わず)かでも、十二鬼月の足下にも(およ)ばない程度の鬼の身体は、体内から確実に(むしば)まれ、身体の自由を奪っていく。が、命を取るまでの量ではなかったようで、このまま放置していたらいずれは復活してしまう。

 それを見逃すはずもなく、ゆっくりとした歩みで接近した獪岳は、そのまま素通りするように自然に頸を斬った。

 

「一応確認するが、怪我人はいるか?」

「い、いえ。大丈夫です」

「分かった。じゃあ、このまま進むぞ。お? 今ので階級が(きのと)になったか。まぁどうでも良いか」

 

 倒した鬼のことなど既に頭の中にはなく、手の甲に浮かぶ文字にのみ注視していた。

 この時の他の隊員の心は一つになった。何故これだけの強さで(きのえ)ではないのだろうか。そして柱ではないのだろうか。と。しかし、そんなことに当の本人が気付く様子もなく、周囲の散策を始めた。

 その時、彼の耳に(かす)かにだが聞き慣れた音が届いた。

 

「雷鳴……? もしかして……いや、そうか、”善逸(ぜんいつ)”、お前もいるのか。泣き虫の(くせ)に頑張っているみたいだな……よし、行き先を変更する」

「はい?」

「他の隊員と合流出来るかもしれん。こっちだ」

「は、はい!」

 

 彼の足取りは、いずれ自身を越え、柱へと至るであろう弟弟子に会えるだろうということで、若干軽いものとなっていることに獪岳本人は気付かず、その早まったペースに、他の隊士は全力で付いていくのであった。

 

 

 

 

 そして明け方。空の(はし)(うっす)らと白く輝く頃に、獪岳達は多くの人達が蜘蛛(くも)にされた現場へと到達した。

 そこでは上下だけでなく顔も目だけを出した黒子(くろこ)のような出で立ちの集団、(かくし)(せわ)しなく負傷者の治療に当たっていた。鬼と戦う力が足りない、剣の才能がないとされた後処理部隊がこうして大勢動いているということは、状況は解決したと判断して良いだろう。

 獪岳の部隊は、散開してそれぞれ隠の手伝いを行っていた。その中で一人、獪岳は一人の弟弟子の姿を探す。

 

「あれ? いねぇのか? っかしぃーなぁ……」

「え、あれ? 獪岳兄さん……?」

「善逸か!」

 

 声に反応して素早く振り返るも、そこには見知った姿はなく、ただ全身が包帯でグルグル巻きにされたミイラが木にもたれ掛かっているだけであった。ミイラと違う点を挙げるなら、治療済と書かれた紙が貼り付けられている所だろうか。

 

「ミイラ?」

「僕だよ!」

「善逸か! 何でお前ミイラなんだよ!」

 

 想像していた姿と違ったこと、そしてそのギャップで笑いが込み上げてきた獪岳は、お腹を抱えて痙攣(けいれん)する。

 

「あ、酷いよ兄さん!」

「はははは、悪い悪い。だけど、その格好は……ぷっくくくくく」

「何しに来たのさ」

「いや、お前の雷の音を聞いてな。援軍に来たつもりだったが、全部終わっていたみたいだな」

「あ……うん」

「守ったんだな」

「守れたのかな……?」

「守れたさ」

「へへ、そうだと良いな」

 

 周囲がバタバタと動き回っている中で、この空間だけポッカリと穴が()いたように静かであった。

 

「そこの隊士。手が空いているなら手伝って下さい」

「ん? 俺か。分かった」

 

 隠の要請を受けて動き出すも、すぐに足を止めて振り返る。

 

「じゃあまたな。見舞いには行くつもりだ」

「う、うん。頑張って」

「おう」

 

 力強く頷いて、今度こそ獪岳はその足を進める。その時、木々の間から漏れ出た強い日の光をその背に受け、黒い衣装が光を反射して白く見えた。その背を見た善逸は、彼の中に天を見たと思ったと同時に、絶対に追い付いてみせると決意を固めることとなった。

 こうして、那田蜘蛛山で起きた悪夢は、日の出と共に終わりを迎えたのであった。




 書き始めはノリ。終わり方は適当。まぁ竜頭蛇尾(りゅうとうだび)ですよ。はいはい。
 本編はアニメしか観ていませんが、色々な二次創作を読むにあたって、自然とネタバレ知識も入ってきますので、まぁ先の展開はある程度は知っています。
 今回登場した鬼はオリジナルです。鬼の家族の一人、兄蜘蛛と累の間のポジションという設定です。名前などなくすぐに倒されましたのでどうでも良いですね。



 以下、長い長い設定的な物(ただの書き殴りなので、非常に見づらいです)

・時代
 大正時代とあり、考察サイトなどによると大正元年~3年(1912~1914年)頃と推測されている。
 鬼舞辻無惨(きぶつじむざん)が鬼となったのが約1000年前の平安時代ということは、912~914年前後。しかし、無惨が1000年“以上”もの間『青い彼岸花』なるものを探しているということは、794~912年の間ということになる。
 私が検索した考察サイトではそれ以上の詳細な情報は得られなかったので、大きく幅を取って、かつ分かりやすくする為に800~900年の間とする。


桃太郎(ももたろう)
 この物語の重要な役割。
 全国各地に桃太郎伝説はあり、一番有名な所だと岡山県(おかやまけん)だと思われるが、今回の物語に使用するのは香川県(かがわけん)高松市(たかまつし)鬼無(きなし)に伝わる桃太郎である。
 ※桃太郎に登場する『きびだんご』のきびとは、現在の岡山県に昔あった吉備国(きびのくに)からだから、岡山県で決定じゃんという話は受け付けません。独自設定だから良いの。
 お婆さんが川から流れてきた桃を持ち帰って、お爺さんと一緒に食べた所、たちまちに若返って性欲に火が点き、そして後に生まれたのが桃太郎と名付けられた”少女”であった。
 香川の桃太郎伝説では桃太郎は女の子という説がある。あまりに可愛いので、鬼に攫われないように男の名である桃太郎と名付けたのだそうだ。桃の節句は女の子の日だから女の子としたとの考察も出来る。
 少女は、男の名に恥じぬ程の活発で元気な子供だったとされている。
 各地に散らばる桃太郎伝説の多くは、室町時代から江戸時代の間に物語として書かれ、それが現代の絵本の元になったとされている。そして、その大本となる出来事の一つが、平安時代の書物に記されているらしい。あくまでらしい(重要)。適当に調べただけですからね。

菅原道真(すがわらのみちざね)
 承和(じょうわ)12年6月25日(845年8月1日)生
 延喜(えんぎ)3年2月25日(903年3月26日)没(享年57歳)
 仁和(にんな)2年(886年)1月16日~ 仁和6年(890年)の間、讃岐守(さぬきのもり)(讃岐国司)として讃岐国(現在の香川県)に赴任。
 在任中に訪れた集落で「稚武彦命(わかたけひこのみこと)が3人の勇士を従えて、海賊退治を行った」という地元に伝わる昔話を漁師から聞き、それを各地に広めたとされており、これが起源とされているが詳細は不明。
 そもそも日本書紀(にほんしょき)(奈良時代成立の歴史書)には稚武彦命の名は出ても、讃岐で活動していたという記載はない模様(吉備で鬼退治をしていたという話はあったらしい。あれ?)。

 本来ならこういう話があったという昔話であるが、そこをついこの間行われたこととして改変し……
「この娘が3匹の動物と共に鬼を討った」と紹介されるという形に変更する。
 桃太郎当時13歳。

・桃太郎(通称:桃、おもも)
 13歳と年齢は低いが、当時からすれば成人間近。下手したらとっくに結婚していてもおかしくない為、問題ない。年齢を13歳とした理由は後述。

菅原高視(すがわらのたかみ)
 貞観(じょうがん)18年(876年)生
 延喜13年7月21日(913年8月25日)没(享年37歳)
 当時10~14歳の頃まで父:道真と一緒に讃岐へ。そこで13歳の頃に桃と出会い、結婚。
 高視の妻は、菅原宗岳 (名前の読み方分かりません)の娘と記録にあるが、そこを変更して桃に置き換える。
 そして、その二人の子孫が桃先輩で有名な獪岳(かいがく)である。

日輪刀(にちりんとう)
 呼吸の誕生は、『始まりの呼吸』である『日の呼吸』の使い手である継国縁壱(つぎくによりいち)が生きた大正時代より400年前の戦国時代と、漠然とだが記されているのに対し、日輪刀がいつ頃から使われていたのかなどの詳細は書かれていないのか、見つけられなかった。
 少なくとも戦国時代よりも前、鎌倉時代か、遅くとも室町時代には刀という明確な武器として使われているはずと考えている。
 鬼の(くび)を斬り飛ばすことで倒すことが出来る唯一の武器。それ以外だと、鬼に日差しを浴びせる。鬼舞辻の(のろ)いを受けさせるくらいしか手段がない。

・桃太郎!
 川から流れてきた桃を食べたら若返ったということは、天からもたらされた果実であることは必至。そしてその2人から生まれた子に天の加護がないとは言えない。その加護とは、その身に流れる血は悪しき血を浄化する力がある! つまり! 『BLOOD+』である!(違
 これによって、日輪刀がない時代でも特殊な呼吸法がなくとも鬼と戦うことが出来ていた。なんだってー!

・高視の父
 菅原道真の最期とその後の出来事については有名であるが、雷神となって災いを振りまいたとされる。この伝説から、道真を『天神様』や『雷神様』、『火雷神(ほのいかずちのかみ)』と呼ばれるようになった(あれ? 『火雷神』って善逸(ぜんいつ)の……そして獪岳の死因って……うん、やめとこう)。
 つ、つまり、長男である高視にも、十分にその神となれる血が流れている! そして、天の血と雷神の血を引いた者同士が掛け合わさったことで、とんでもない子が生まれた。
 獪岳が雷の呼吸に適正がある理由ということにします。

・鬼が唯一殺すことが出来ない存在であるが……
 しかし、後に道真は死去するし、京は荒れるし、色々と大変だし、鬼が暴れるしでそれ所ではなくなり、鬼に対抗出来る手段である生まれながらにしての人間兵器の存在は、細々と血が絶えぬように繋がるだけで、表舞台に出てくることはなかった。

・無惨の追跡? 小心者だからね。
 後に日輪刀の登場。そして呼吸の登場でそっちも捜索所ではなくなったし、全く表に出てこないから手掛かりもなく、お手上げ状態。ということで、目の前の対処を行っていたらいつの間にか大正時代になっていた。

 ということで、桃太郎の血を引いている獪岳は親からもそのことを伝えられて真っ直ぐに育つも、流行病によって両親を失った。しかし、それでも桃太郎の血を受け継いだ者として、信念を持って幼くも修業を行うようになる。
 その後、悲鳴嶼行冥(ひめじまぎょうめい)の寺に孤児として預けられ、他の子供達と一緒に過ごしていたが、ある日、山に1人で修業していた時、いつもより力が入ってしまい、気付けば日が沈んでしまっていた。そこでバッタリ鬼と遭遇。初めての遭遇だったが、先祖が鬼退治をしていたことから、恐怖を振り払って自身も寺の人達を守る為に素振り用の木の棒を振るって戦う。
 しかし、鬼の力は凄まじく、子供の身体ということもあってあっという間に倒されて木に叩き付けられてしまう。このままでは鬼に食べられてしまうと隠していた恐怖が表に出るも、血の匂いを嗅いだ鬼が「お前、嫌な匂いする」と言って標的を寺へ変更。移動してしまう。本来なら藤の花のお香を焚くことで、鬼を寄せ付けない結界となっていたのだが、生憎(あいにく)と獪岳の血の匂いに翻弄(ほんろう)された鬼の嗅覚に藤の匂いが乱入する暇もなく、寺へと辿り着いてしまった。
 寺の人達を守らなきゃという一心で、這いつくばって寺に戻った時には朝となっており、目の前には惨状が広がっていた。
 生存者は僅か2名。悲鳴嶼行冥と、その後ろでずっと隠れていた沙代(さよ)だけであった。血だらけになりながらもどうにか生きて帰ってきた獪岳を発見した行冥は「よく無事で帰ってきた」と抱き締めて泣いてくれた。しかし、獪岳の内心は、自身が鬼を取り逃がしたことで、寺の仲間達の命を奪ってしまったという責任感が渦巻いていた。
 その後は、沙代の証言から行冥は死刑囚となって、そこから産屋敷耀哉(うぶやしきかがや)と出会い、死刑囚の身から解放され鬼殺隊(きさつたい)に入隊する。同じく、獪岳も正義の心から鬼殺隊に入隊を希望するも、まだ若すぎるということから桑島慈悟郎(くわじまじごろう)の元で修業をするよう言われ、送られる。
 それからは、弟弟子の我妻(あがつま)善逸も加えて2人で修業するように。

 真っ直ぐな心と、日輪刀がなくても鬼と戦える血を引く(ここ重要)、ある種、誰これ? みたいな別方面のチート野郎の獪岳誕生秘話である。
 頸を落とさなくても体内に大量に流し入れれば殺せる!(蟲柱「!」)
 切り落とした部位は、再生出来ないもしくは上弦でも再生が遅くなる!
 自身の血を撒き散らすだけで結界となる!
 体内に取り込まなくても、血に触れただけで軽い火傷のような状態になり、多量もしくは長時間触れ続けると焼け爛れる、いずれ壊死する!
 稀血(まれち)と違って、鬼にとっては悪臭で、藤の花よりも強い匂い(鬼にとって)。当然食べたら死ぬから食べられない。

 黒死牟(こくしぼう)と遭遇しても鬼にはされないというか出来ない。血が拒絶してしまうから。よって戦って勝つか負けるしかない。もしくは日の出まで戦うか……
 仮に殺されてしまったとしても、相手に深手を負わせることが出来れば、流入させた血液の量によっては再起不能に追い込むことも適う。もしかしたら、上弦から引きずり下ろすことも可能となるかもしれないレベル。化け物となろうとも、より汚れた血となるだけで天と神から与えられた血によって、浄化されてしまうから執念が実を結ぶことはない。
 人の道から外れてしまったが、あくまで侍の格好として死ぬことが出来る。

 本作には登場しなかった技

 ―― 弐ノ型 稲魂 改五・百千鳥(ももちどり)
 五連の斬撃を二〇回即座に繰り出すことで、計一〇〇連撃する技。

 ――弐ノ型 稲魂 改終・千歳(ちとせ)
 五連の斬撃を二〇〇回即座に繰り出すことで、計一〇〇〇連撃する技。むしろ百千鳥を一〇回繰り出す方が分かりやすい。

 現時点では使えないけど、将来的に使えるようになる技。


 生きて無限城まで辿り着けた場合。善逸との共闘も適うかもしれない可能性が、微粒子レベルで存在。



 特に何の意味もないけどお供の設定

・女木(めぎ)
 雉。鎹鴉……カラス? ♂
 天気予報が好きで、方角なども天気を交えて言う。
 予報が正しいかは別だが、当時の予報技術から考えると、十分な的中率である。

・虎狼丸(ころうまる)
 柴犬のような(・・・・)中型犬。♂
 猟犬の役割をしている。
 ベテランの風格漂う犬。実際に獪岳の前の主人は猟師で、虎狼丸を連れていた。

・津々(しんしん)
 ニホンザルのような(・・・・)猿。小猿。♀
 親ザルとはぐれ、衰弱していた所を獪岳に拾われる。
 獪岳の身体の周りを移動しながら、必要な物品を渡すなどの補助をする。
 普段は獪岳の肩か、虎狼丸の背に乗っている。


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