蛇王龍INヒロアカ世界(ほのぼの) (揚げ物・鉄火)
しおりを挟む

蛇王龍、蛇神様になる

勢いに任せて書きました。
出来ればアドバイスが欲しいです。
時系列的には、原作開始の遥か昔です。

では、どうぞごゆっくり!


目が覚めたらよくわからない山に居た。

(あれ…ここどこだ?)

なんか剣みたいにめっちゃ尖った岩が大量にある凄く高い岩山の頂きに巻き付いて(・・・・・)居た。

色々と疑問があるけど…

(そもそも自分は、誰なんだ?)

それが一番の疑問だ。

(確かどこか歩いてたら急に眠くなって…う〜ん、ダメだこれ以上思い出せない)

これ以上思い出そうとすると頭に靄がかかるようだ。

(というかよくよく見たら今の自分って…凄くデカイ白蛇の怪物になってるな)

自分の体を見ると蛇の癖に2本の前脚、後ろ脚の部分は、斧の先端みたいな感じで剣のような背びれに白蛇のような鱗そして尻尾の先端は、左右対称の鋭い形になっている。

 

(ん?頭に何か思い浮かんで来たぞ…蛇王龍ダラ・アマデュラ?…それが自分の名前なのか?)

取り敢えず自分の名前を確認出来た。

て言うか龍なんだね。

それはそれでいいけど

(…これからどうしよう)

(出来れば何かしらの情報が欲しい所だけど…この山の近くに村とかってあるのかな?無いかもしれないな…うん。どうしようかなぁ…)

 

なんて考えていると見すぼらしい服を着た若者が歩いてきた。

(誰だこの人?)

 

「あ、あなたは…貴方様は、この地を守られる蛇神様なのでしょうか?」

『…フシィ』(知らないよそんな奴)

喋ろうとしたら声が出なかった当たり前の事だ。

 

「お、お願いします!どうか…どうか私達の村をお守り下さい!」

『フシャァァァァ!』(何勝手なこと言ってんの?)

 

「お、お願いします!どうか、どうか…私達の村をお守り下さい…お願いします…どうか…この通り…」

『グルシャァ…』(ちょっとぉ…)

『ギシャァァァ!!』(あー、もう!断れないじゃないか!)

『シャァァ!』(とっとと要件を言え!それか情報を寄越せ下さい!)

「おお…わ、我々を守っていただけるのですか…?」

『…』コクッ

「あ、ありがとうございます!ありがとうございます蛇神様!」

頷いたら泣きながら感謝してきた

 

 

 

数日後、この場所や今自分がいる山についていろいろと情報を貰った。

(えーと、この場所は、よくわからん名前の源のなんちゃらって奴の領土でこの山は千剣山って言うらしいね。ふ~ん…クッソ昔の日本かぁ)

『シャァァ…』(どうしよう…?)

「いかがなさいましたか?蛇神様」

ため息交じりに呟いたのが聞かれたらしい。

『シィィィ…』(いや、なんでもないから気にしなくていいよ…)

「そうですか…では、何かあればお知らせください!我々にとって貴方様のお役に立つのが一番の喜びですから!」

『シィィ…』(そうか…)

(なんでこの人だけこっちの言ってる事が理解できるんだろう?)

あれからこの人は自分の住んでいた村に帰ってどうやったかは、知らないけど村人全員説得してからここに戻ってきた。

 

(それでまあ当然、バケモノだ、なんだ、言われたけど村の長老みたいな婆さんが「へ、蛇神様じゃ~!」とか言ったら手の平を返したようにめっちゃ祈り始めたんだよね…)

その後は、この山の近くの湖で暮らすとか言って本当に暮らし始めた。

 

それから数年経ったころ湖の中に巨大な気配を感じて知らせたが言葉が通じないのを思い出しどうしようかと考えていたらこの人が話しかけて来た。

「蛇神様、何か近づいておられるのですか?」

『ギュシイィィ!ギシャアァァ!』(湖の中から何か来るから早く逃げて!出来るだけ遠くへ逃げて!)

「分かりました!みんな湖から離れるんだ!何か来るらしいぞ!」

「なに!?」「それは本当か!」「蛇神様がそう言っているんだ、本当に決まっているだろう!」「は、早く逃げなくては!」

とパニックになった。

 

(なんで言ってることが通じたのだろうか?不思議な奴だな…それよりも今は、湖の中の敵に集中するか…)

言葉が通じた青年のことを不思議に思いながら湖の中から出て来たそれを見る。

 

湖の中から出て来たのは、バカデカいワニ。

深い緑色の鱗に尻尾の先端付近に左右計4本生えた鋭い棘。

背中からは、刺々しい剣のような背びれを生やし脚の爪は、ナイフの様に鋭かった。

何者も噛み殺してしまうと思わせる強靭な顎にこれまた鋭く太い牙、そして獲物を見逃さずどこまでも追い続ける執念を感じさせる瞳孔が縦に割れた黄金色の目。

そして何よりも一番目を引くのは、その巨体。

目視で測ったが優に50メートルを超すであろう巨大生物。

『『グルァァァアアアアアアア!!』』

それが二匹も居た。

普通なら恐怖し逃げ惑う光景だろう。

だが不思議な事にこの光景を見て自分は、まったく別の感情を抱いていた。

 

『シィィ…』(美味そう…)

この体になって初めて食欲を感じた。

そこからの行動は、早かった。

 

スウーッ…

思いっきり息を吸い

『ギシャアアアアアアアアァァァァァァ!!!!』

出せる限り大きい声で咆哮をあげてから二体の()に向かって突撃した。

 

『『グルァァァアアアアアアア!!!』』

当然、目の前の二体の()もこちらに気づいたが時すでに遅し、片方を限界まで開けた口で捕食。

ほんの一口で巨大生物を丸のみにしてしまった。

 

『…ルァアアアア!!!』

もう一体は、仲間が喰われたことに気が付き怒りながら突進してきたが…

 

ドズンッ…ズシャ!

ブシャアアア!!

 

尻尾の振り下ろしで体を真っ二つに切り裂かれそのまま絶命した。

 

『グルシャアアアアアア!!』

そのまま本能に従い勝利の雄叫びをあげた。

 

「へ、蛇神様が我々を守って下さったぞー!」

「我々をあの二体の怪物から守って頂いたぞー!!」

「蛇神様ー!」

「蛇神様ー!ありがとう!!」

いつの間に帰って来た村人達が騒いでいた。

「さすがは、蛇神様!我々の守護神であられるお方だ!」

見れば言葉が通じる青年も一緒になって騒いでいた。

 

『シャァァ…』(うん、どういたしまして…)

『シャァァァ』(あ、そうだ。このワニあげるよ)

そう言いながら左前脚で先ほど真っ二つにしたワニをみんなの前に置く。

「よ、よろしいのですか?」

『シャァァ!』(うん、そのワニの肉で宴でも開きなよ!)

「ありがとうございます!蛇神様!」

 

「みんな、蛇神様のご厚意でこの怪物の肉を頂けた!宴だー!!」

「「「「「おおーっ!!!」」」」」

その声と共に村人達(特に男)から歓声が上がった。

「久しぶりの肉だ!」

「お前達、酒樽持ってこい!」

「私たちが料理するわよ!」

「若い衆、手伝いな!」

「料理人に逆らったら飯抜きよー!」

ワイワイガヤガヤ

 

村人達が盛り上がっているのを見ながら今後の事を考える。

(出来ればもっと一緒に居たいけど、いつまでも一緒に居られるわけじゃないからな。そうだなぁ…期限を決めよう。あと…う~ん、300年くらいかな?うん、そのくらい経ったらこの地に回避不能の災いが訪れるって言っておこう)

(…けど今は、みんなと一緒に居られる時間を大切に過ごそうかな?)

 

いつか訪れるであろう別れを惜しみながら目の前の幸福を大事にしようと心の中で誓い村人達が酔いつぶれ朝が明けるまで一緒にいた。




はい、てなわけで第1話でした!
次回は、かなり時が進む予定で原作開始の100年くらい前、個性が誕生し始めたあたりの話になります。

では、次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蛇王龍、大切な者を失い新たな力を得る

第二話です。
一気に時間が進みますがまだ個性社会には、触れません。
本当にすみません。
無理矢理感が強いですが擬人化させました。

では、どうぞ。
ごゆっくり!

あと、お気に入り登録者数55人とUA数が1300を突破です!
本当にありがとうございます!


あれからかなりの年月が経った。

 

私の言葉が理解できる青年は、添い遂げる相手を選ばずその生涯を私と共に過ごし天寿を全うした。

 

彼を失ったとき私は、心にぽっかりと穴が開いたのを感じた。

まるで大切な何かを落としてしまったような。

 

『ギュアアアアアアアアア!!!ギュアアアアアアン!!!!』

その失った何かが彼だと気づいた時、私は恥も外聞もかなぐり捨てて大泣きした。

彼を失い共に逝く事の出来ない自分の肉体を傷付けようと体をうねり捻りまくった。

だが、私の体は、一向に傷付かず周りの土地を抉るだけに終わった。

 

「へ、蛇神様!?」

「いかがなさいましたか!蛇神様?!」

「た、大変だ!蛇神様がお怒りだ!!」

「に、逃げろー!!!」

 

私は、その時初めて気づいた。

自分は、こんな体でありながらあの青年に恋をしていたのだと。

 

私の事を恐れず、私の言葉を理解し、私と一生を過ごしてくれたあの男に自分が恋したことを初めて知った。

 

私は、この体になってから今まで満足に生きていたのは、みんなに崇められていた時でも湖から偶に這い出てくる()を喰っている時でも偶にやって来る偉そうにしている奴らを追い返している時でもない。

彼と一緒に居る時だけ私は、最高に幸せで満足していた。

 

だが彼がいなくなった今私は、どうすればいいのだろう?

 

私は、勝手に守り神として崇められていた。

それは、それで悪くなかったが彼がいないこの土地を守っても意味があるのだろうか?そう考え始めてしまった。

 

そんな事を考えてから数年経ったある日。

村の代表の男が私の前にやって来た

「へ、蛇神様…?」

『…?』(なに?)

「じ、実はですね…我々、別の土地に移住しようという事になりましてですね。そ、それで蛇神様への別れの挨拶とともに最後の貢ぎ物を渡そうと思いまして」

『シィィ…』(貢ぎ物?果物とかか?)

「は、はい!えーっと、ですね。こちらの生娘(・・)を蛇神様に…」

『シィィィ…』(ふ~ん…)

(どっちかと言うと生贄みたいな感じだね)

 

心の中でそう呟きながら差し出された女の子を見る。

 

歳の程は、12、3くらいだろう。

肩にかかるくらいの黒髪に日本人とは、思えない赤と青のオッドアイ。

精一杯綺麗におめかしされた朱色が差す頬にキリッとした眉と綺麗に伸びたまつ毛と綺麗な小鼻、その小さな口には、紅を塗られたのであろう光沢のある赤になっている。

そしてかなり良質な生地で作られたであろう白装束から見える手足は、少し力を込めれば折れて仕舞いそうな程に細く繊細である。

だが妙に落ち着いた子供だった。

(なんだろうねこの子は?怖くないのかな?それともただ我慢しているだけなのかな?)

 

「で、では、蛇神様。失礼いたします!」

村の代表は、それだけ言い残し逃げるように村に帰って行った。

 

 

 

そしてこの場には、私と生贄の娘だけが残った。正直、気まずい。

「…初めまして蛇神様。私は、シロナと申します。貴方様の血肉になりに来ました」

『…!?』(ハアッ!?)

何を言い出すかと思ったらとんでもない事をサラッと言ってきた。

 

「なぜ私がこんな生贄紛いの事をするのかと言いますとそれは、私の持つ不思議な力(個性)故にございます」

こっちが驚いている隙に聞いてもない事を喋り始めた。

「私の持つ不思議な力は、物に人の形を与える力(擬人化)にございます」

『シィ…』(へえ、そんな力があるんだ…)

 

「ですがこの不思議な力を持った私は、村で怪物を見るような目で見られていました」

『シィィ…』(私の知らない所でそんなことが…)

「そして今から約200年前、前村長が亡くなられた直後に蛇神様が暴れられ村の人達は、いつまた暴れ出すかわからない蛇神様を恐れ崇める事をやめて蛇神様を暗殺しようと貢ぎ物の中に毒物を混入させたり、わざと外部の者達を入れて蛇神様を襲わせました」

『シュアア』(あの人が死んでから妙に侵入者が多いと思ったらそう言う事だったのか)

今まで守ってきた村人達の本当の顔を知り怒りがこみ上げて来た。

 

「ですがどのような手を使っても蛇神様には、傷一つ付けることが出来ずにいました。そこで大人たちは、蛇神様の報復を恐れこの地を捨てることにしたのです」

『…』(なんて身勝手な…)

 

「そこで僅かな時間稼ぎとして私を生贄に出されました」

『…』(とことん屑だな…もう守ってやる価値すらない)

 

「最後に一つだけ私から蛇神様へのお願いがあります。おそらく私を喰らえば私の力は、蛇神様へと移行します。その力で蛇神様は、人の姿を取る事が出来るでしょう…ですので自由になった蛇神様には、こんな土地を守らず世界を回って自由に生きてほしいのです…あと、出来れば村人達にちょっとだけお仕置きしてくださいね?」

『シュアアア!』(君を喰らうのは、ちょっと気が引けるけどいい考えだ。お仕置きもちゃんとやっておくよ!)

もう守る価値もない村人達にどんなお仕置きをするか考えながら彼女の提案を聞き入れ頷く。

 

「ありがとうございます蛇神様!では、どうぞご遠慮なく!」

彼女は、そう言うと両腕を思いっきり広げ私は、彼女の気持ちに応えるべく出来るだけ苦しまないように一口で回りの土地ごと彼女を喰った。

が…

 

『ギュアアアアアアア!!』(イッタアアアア!!)

彼女を喰った直後に体中に痛みが走り始めた。

 

その痛みにのたうち回り、周囲の地形を変えまくった。

 

『シュアア…』(痛い…)

が、しばらくして痛みが治まったので村の方向を見た。

『シィィィィ…』(あいつら本当に逃げてやがる…)

なんと村人達がさっそく村から逃げ出していた。

 

なのでこの200年の間に使えるようになったブレスを撃つため口の中にエネルギーを溜めていく。

『ギュアアア…』(消えろ…)

 

 

 

 

『我々の子孫も守って頂けるのですか?』

『シュアア!』(うん、そのつもりだよ!)

『うわー!ありがとうございます蛇神様!いえ、ダラ・アマデュラ様!』

『シュア…?!』(急に名前呼びって…それって!)

『いかがなさいましたか蛇神様?』

『シ、シャアア!』(な、何でもないよ!)

『では、蛇神様!約束ですよ?』

『シュウ!』(もちろん!)

 

 

 

『シュアア…』(そう言えば約束したね…)

ブレスを放つ直前に大切な彼と交わした約束を思い出した。

『シィィィ…シュアア…』(彼との約束を破るわけにもいかないね…今回は、あの人に免じて村の破壊だけで済ませましょう…)

そう呟きながら眠りについた。

 

 

 

『…』(そろそろかな?)

村人達が出て行ってから一か月程たったある日、久しぶりに目を覚まし誰もいない事を確認し

『ギュアアアア!!!』(降り注げ!死の凶星!)

空に向かって叫びを上げる。

すると遥か上空から大小様々な隕石が村の跡地に降り注ぐ。

 

『シュイ!シャア!』(うん!これでもうここに用はない!)

 

 

「帰ろ帰ろ!」

そのまま人間態へと姿を変えて、世界を旅する事にした。

 

 

 

 

 

「でも、たまに帰って来て湖から這い出てくる餌を食べないとなぁ…」




はい、てなわけで2話でした。
擬人化したときの姿は、『擬人化』の個性を持った少女の髪を白くした以外すべて同じです。

次回から日記形式に挑戦して行こうと思います!
では、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蛇王龍、旅をする

お待たせしました第三話です。
今回は、日記形式に挑戦してみました。
ちゃんと出来てるか分からないので変なところがあったら教えて下さい。

後書きの方に擬人化した蛇神様(蛇王龍)の大体のイメージ画像を載せました。良ければ見て言って下さい。

では、どうぞ。ごゆっくり!


%&月$”日

今日から日記を書いていこうと思う。

実は、日記帳をもっと早くに買っておいたのだが書く時間が取れずにいた。

まあそんな事を言っても仕方がない。

 

私が守護していた村を離れてどこに行こうか?と迷ったがなんとなく面白そうなので西に向かうことにした。

ついでに名前が無いと不便なので名前を自分で作った。

 

村のみんなに蛇神様と呼ばれていたから性を『蛇神』に名をこの力をくれたあの娘っ子の名前を借りて『シロナ』にした。

まあそれも置いておこう。

取り敢えずこの国(日本)をずっと西へ西へと時々寄り道しながら気の赴くままに歩き続けていたら海に着いたので元の姿(蛇王龍)に戻ってから海を渡っていると変な穴に吸い込まれた。

けどちゃんと何処かの大陸に辿り着いた。

 

その大陸を歩いていたらなんかすごい恰好をした人達が争っていた。

話しを聞いてみたら三つの大国のどれが大陸を支配するかで争っているとのこと。

よくわからないので素通りしようと思っていたら、その軍で最強の武将?の人が呼び止めて来た。

なんでも私からただならぬ気配を感じたのでお手合わせ(一騎打ち)願いたいとのこと。

 

一騎打ちの前に名乗るのが流儀ではないか?と聞くと笑いながら「確かにそれもそうだな!」と言ってくれた。

「私の名は、蛇神シロナ。海の向こうの国で守護神と崇められていた者である!」

「俺の名は、呂布奉先!守護神であるお前に一騎打ちを申し込む!」

と、まあこんな感じで呂布さんとの一騎打ちが始まった。

 

結果だけ言うとギリギリ勝てた。

慣れないロリッ娘の姿でデカい馬に乗る身長が2メートル近い筋肉ムキムキの大男と槍一本で戦ったのだ。むしろ褒めて欲しいくらいだ。

戦った後の呂布さんは、清々しい笑顔を浮かべて笑っていた。

私と戦えてこの上なく満足したとのこと。

その晩は、一緒に酒を飲み交わした。

ついでに姉弟の契りを交わした。

 

翌朝には、また戦いが待っているので向かうらしい。

私もずっと西を目指すつもりなので「多分もう会う事はないだろうが私たちは、ずっと姉弟だ!」と言ったら照れ隠しなのか私の頭をわしゃわしゃしてくれた。

 

私の旅は、まだ続く。

 

#%月@g日

今日はこのまま歩き続けようと思っていたが変な谷に迷い込んでしまって困っていたらなんか鼻先の一本角が自慢のすごくデカいトカゲ(ドラゴン)に会った。

そいつは、自分の事を老山龍ラオシャンロンと名乗った。

話しを聞いてみると谷の外の世界を見に行きたいけど大きすぎるから行けないで困っているとの事。

それを聞いた私は、彼に交渉を持ちかけた。

出口に案内してもらう代わりに人の姿を与える事を提案したら最初は半信半疑だったが自分の本当(蛇王龍)の姿を見せると納得してくれた。

さっそく彼に力を使ってみると素敵な老紳士に姿を変えた。

人間の姿を得られてすごく喜んでくれてお礼として鱗を貰ったが正直反応に困る。

 

ラオシャンロンさんは、そのまま都に向かうと言っていた。

私は、ひたすら西へ歩き続けると言ったら『気を付けて行くんじゃぞ』と言ってくれた。

結構うれしかった。

 

%&月!#日

ラオシャンロンさんと別れてからそこそこの時間が経った頃、私はまた別の場所へと移動していた。

移動中また変な穴に吸い込まれた。

目が覚めると今度は、背の高い古代の物であろう植物が大量に自生していた。

 

疑問に思いながらも歩いているとこの姿(蛇王龍)なる前(前世)の記憶で見た恐竜とか言う奴が居た。

いろんな恐竜達と喧嘩(捕食)しながら歩いていると白いドラゴンに呼び止められた。

 

話しを聞いてみるとそのドラゴンは、ミラルーツと言って世界最古のドラゴンらしく別の世界からやって来た魂が入り込んだこの肉体に興味を持ったので私を呼んだらしい。

ミラルーツさん(後述はミラさん)によるとあの変な穴はミラさんの力によって作られた物でラオシャンロンさんが都に行けず癇癪を起こすという本来あるべき歴史を変えるために私を過去の世界へと連れて来たと言っていた。

とんでもない力だな~と感心していたが元の時代に戻れるか聞いてみると『時間に数年分の誤差が生じるけど君の種族的に言えば特に問題ないよ』と言っていた。

じゃあさっそく返してくれと頼んだがもう一仕事頼みたいと言われた。

正直気が進まなかったが『引き受けないと元の時代に戻してやらないよ?』と説得(脅迫)されたため仕方なく引き受ける事にした。

 

仕事の内容は、この近くの火山に住み着いた『ゾラ・マグダラオス』とやらを追い出すか人の姿を与えて無害にして欲しいが最悪討伐しても構わないとのこと。

早く元の時代に戻るためその『ゾラ・マグダラオス』を討伐するために火山に近づいたが熱すぎたためミラさんに文句を言ったら『じゃあ君の熱耐性を底上げしてあげるから今度こそ頑張ってね』と言ってきた。

こんな事が出来るなら自分で言った方が良いんじゃないか?と聞いたが『自分が行くと手加減出来ずに世界を壊してしまうかもしれない』と言っていた。

たしかにそれは嫌なので自分が向かう事にした。

火山に着いても討伐対象が見つからなかったのでもう一度文句を言いに帰ろうとした時、突然火山が動き出した。

どうやら私が立っていた火山は、討伐対象の『ゾラ・マグダラオス』だったようだ。

その規格外のデカさを持つゾラさんに火山から出て行くように頼んだが『貴様のようなチビに命令される筋合いは無いわ!』とか言われて大人げなくキレてしまい元の姿に戻っての戦闘が始まった。

 

%&月!$日

大人げない戦いは、三日三晩続き…恐竜が絶滅した。

 

『生きる火山』と言っても過言では、無いほどのゾラさん(熔山龍)と『歩く天災』と称される(蛇王龍)が周りへの被害を考慮せず本気で殺し合ったのだ。

周囲の土地は、とんでもない事になった。

あちこちで火山が噴火し隕石(凶星)が大量に降り注ぎ地殻変動により何度も大津波が発生して津波の水がゾラさんに掛かり一気に蒸発して雨が大量に振ったりお互いの本気ブレスの衝突によって辺り一帯の生物を消し炭にしたりといろいろ酷かった。

中でも一番酷かったのは、お互いの移動時に巻き起こる周囲の土地への被害。

ゾラさんは、歩く度に溶岩をまき散らしながら地震を発生させ、私は移動中に周囲の土地を抉りながら凶星を降らし地殻変動によって発生させた地割れでゾラさんを転ばせた。

と、まあこんな感じの世界終焉のような戦いを止めに来たミラさんの攻撃により超巨大隕石が降って来て戦いは引き分けのまま終わった。

 

そのあとは、ミラさんによる私たちへのお説教タイム。

私に『確かに最悪討伐してもいいとは、言ったけど周りへの被害も考えなくちゃいけないだろう?』とめっちゃ笑顔で言われた。逆に怖かったです。

ゾラさんは、説教中に何度か反論していたが文句のつけようもない完璧な正論を食らって意気消沈していた。

その後ゾラさんにも私の力を説明した(させられた)ら『楽しそうじゃねえか!』とノリノリで擬人化に応じた。

それを見たミラさんは、『興味深いね。またいつか…と、言いたいところだけど次いつ会えるか分からないから私も擬人化させてくれないかい?』と言ってきたので力を使おうとしたが全く変化が起きなかった。

どうしたものか?と考えていると『どうやら力の差が大きすぎると能力が通じないみたいだな』とゾラさんに(・・・・・)言われた。

よりにもよってゾラさんにだ!よく分からないけどなんかムカッとしたのでゾラさんの脛を蹴ったら結構痛がっていた。

いい気味だと思ったがミラさんに『君も案外大人げないね…』と言われた。解せぬ。

 

%月!=日

ミラさんに元の時代に戻るための穴を作ってもらい入ろうとしたら『またいつか君の力を貸してれるかい?』と聞かれたので問題ないと言ったら『じゃあ今度は…』とか言い出したので逃げるように穴に入った。

 

穴を出るとちゃんと元の場所に戻っていた。

なのでそのまま旅を続けた。

 

 

本人視点

 

 

それからいろんな物を街を文化を見て知って体験した。

その度に何かしらの記念品を貰って行った。

何人もの学者達に教えを乞うた。

その度に私は少しずつ知識を増やして行った。

 

何人もの強者に勝負を挑まれ悉く返り討ちにした。

剣士を槍使いを短刀使いを大剣使いを大槌使いを弓士を暗殺者を銃使いを狙撃手を拳士を自分の事を地上最強と信じて疑わない者達を私は、倒して行って彼らの技を戦闘技術を動きを特殊な呼吸法を見て盗み真似て完璧以上に仕上げ自分だけの戦闘技術へと昇華させた。

その度に私の名は世界最強として全世界に轟いた。

 

その後は、いろんな国々の成長を歴史を終焉をただひたすら見て視て観て…見続けた。

熱い国に行った寒い国にも行った緑があまりない国その逆に緑が生い茂る国、進化を望む国、進化を望まず文化を守り続ける国、侵略する国される国…

私はありとあらゆる物を知った。

 

知り学び体験した。

だが、何をしても私の心は満たされなかった。

そんな中途半端な毎日を過ごしていた。

 

そのまま、また数百年の時が経った。

 

 

そして遂に…ついに私は、おおよそ千年ぶりに自分の故郷に戻った。

私の故郷は、荒れ果てていた…

草が生い茂り我が家(千剣山)が占領され湖から出て来たであろうモンスター達による独自の生態系が出来上がっていた。

 

それを見て自分の心がどんどん満たされていくのを感じた。

私は、自分の故郷に住み着いた溢れんばかりの餌を見て千年ぶりに身震いをし蛇王龍の姿に戻ってから思いっきり咆哮を上げた。

 

『ギュルシュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!!』

 

私の声を聴いたであろう餌たちは、自分達の細胞の奥深くに刻まれた天敵の記憶を思い出したのか私から逃げようとする者、恐怖で動けずにいる者、捕食者という立場に居たため私に食われることに納得できない者、己の家族を群れを守るために私に立ち向かおうとする者など反応は、様々だった。

 

私は、それに歓喜しひたすらに餌達を喰いまくった。

だが途中で考えた今ここで餌を全て食い尽くしてしまうのはどうか?と…捕食者の頂点に立つ者達を全て食い尽くしたら見逃してしまう可能性のある小さい餌達にどう対処すればいいのだろう?と…

なので私は、考えた私がこの土地の圧倒的捕食者になり数年に一度のみ大量に繁殖するであろう餌達を捕食しに来ようと考えた。

そうと決まれば話は、早い。

私は、自分の嘗ての住処である千剣山の麓にある洞窟に入り長い眠りについた。

 

 

それからどれ程の時間が経ったのであろうか?

餌達は、私の予想通りに繁殖していた。

その餌達を食らいながら歩いていると外の世界でなにか面白い事が起きている話を聞いた。

 

 

面白いものなら見に行こうとすぐに外の世界に出た。

 

 

そこで私が見たのは、一部の人間たちが不思議な力(個性)を持っているところだった。

私は、それを見てまだまだ楽しめそうだ!と心を躍らせながら街に向かった。




やっと…やっと。個性社会に触れる事が出来たぞー!!
ハイ、ポンコツ作者のせいでやっと個性社会を認識させる事が出来ました…
ですが次回の第四話でガッツリ個性社会に触れて行きます!

そして物語の始まりとなったあの兄弟に接触したり無意識のうちに原作改変したりしてしまいます。

では、また次回!さようなら!!

蛇神 シロナのイメージ画像です。

【挿絵表示】


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蛇王龍、個性社会を知る

お久し振りです!
今回は、初めて個性社会に触れました。
あまり上手くは出来ていませんが出来る限り頑張りました。

では、どうぞ。ごゆっくり!



 

私が引き籠っていた山から街に降りて始めに見たのは…個性(不思議な力)を使って銀行強盗をする男。

 

その男はどうやら自分の体を鉄のような外殻で覆い次々と警察の特殊車両を壊していく。

「ハーッハッハッハッハ!このメタルマジロ様を止めれるもんなら止めてみやがれ!」

 

男はそう言ってこちらに走ってきた。

「ハハハハ!どけ小娘!ひき殺すぞ!」

「…ていっ!」

「ゴブァァッ!!?」

なので300年ほど前に覚えた対象物への内部破壊を行い迫ってきた男の内部組織をめちゃくちゃに破壊した。

 

「ありゃ~?意外と脆いものじゃな」

殴ってみたら思ったよりも脆かった。

相手は個性(不思議な力)を持っていたからもっと苦戦すると思ったら意外とあっさり終わった。

 

「き、君!」

「ん?なんじゃ?」

さっさとこの場を離れようと思ったら警察の特殊部隊っぽい服を着た男に呼び止められた。

 

「今こいつを倒したのは君の個性か!?」

「個性?なんだそれは?妾が使ったのはただの武術じゃよ。ところでその個性とはなんじゃ?」

「え?し、知らないのかい…?」

なぜか分からないが『個性?』とやらについて質問したら心底驚かれた。

 

「知らんものは知らん。とっとと教えてくれんか?」

「あ、ああ…個性と言うはな「隊長!」なんだ!?」

「また別の場所で(ヴィラン)が暴れています!」

「何!?」

部下っぽい人間が来たのでとっとと退散した。

(ああいう場合は大抵何かしらの面倒事に巻き込まれるのが相場だからさっさと逃げよう…)

今までの経験から色々と考察し逃げる事が最善の手と判断した。

 

「じゃが…おかげで聞きそびれたのう…」

(適当に誰か捕まえて聞いてみるか?)

逃げながら適当に誰か捕まえるより本か何かで調べるほうが早いと思ったので適当な図書館に立ち寄った。

 

「こんにちは」

店に入るとすぐに館員が挨拶してきた。

が…

「猫耳…?」

なぜか猫耳を生やしていた。

「はい、これが私の個性『猫』です。可愛いでしょう?」

「そうじゃな…よく分からないがファンタジー世界に迷い込んだ気分になったぞ。それよりも『個性』とやらについて書いてある書籍をありったけ見せてくれんか?」

店員の言葉に曖昧な返事を返し適当にやり過ごした。

 

「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」

「うむ」

館員に案内された部屋には山積みとんでもない量の本が置いてあった。

「ほほう…これはすごい量じゃなぁ…」

「では、ごゆっくりどうぞ」(*- -)(*_ _)ペコリ

 

「ああ、ちょっとお主!」

「はい、なんでしょうか?」

館員が一例して立ち去ろうとしたのですぐに呼び止めた。

「お主にはここまで案内してもらった恩があるからのう。礼をせんと妾の流儀に反する」

そう言って懐から小さな袋を取り出し館員に手渡した。

「あのー…これは?」

「それか?それは金剛石じゃな。一般的に言う所のダイヤモンドじゃ、妾ここまで案内した礼じゃ遠慮なく受け取れ」

「あ、ありがとうございます!」

館員は何度も頭を下げて部屋から出て行った。

 

 

「さてと…」

山積みにされていた本から適当に一冊取って開く。

 

本には個性が初めて確認された人物の生年月日と個性を確認された病院の情報、あとは初めて確認された個性やそれからも確認され続けた個性を種類別で分けた時の呼称などが事細かく記されていた。

 

また別の本には個性が発現する年齢のグラフや発現した個性の登録法や個性所有者に対する世間の反応を纏めた資料など様々だった。

その後もひたすらに本を読み漁った。

 

~8時間後~

 

「ふむ、なるほどのう…個性は突然誕生した物であり世界中にそれが広まったのは恐らく『シンクロニシティ』とやらのせいだと考察されておるのか」

「まったく…この世界は本当に面白いのう!1300年近く生きておるがこんな面白い事を見たのは初めてじゃ!クハハハハハハハハ!!愉快愉快!」

 

「お客様!館内ではお静かに!あともう閉館の時間です。ご退館願います」

いつの間に閉館の時間になったらしく館員がやって来た。

 

「む?もうそんな時間なのか。時が経つのは早いのぉ…」

「何をお年寄りみたいな事を言ってるんですか?まだ読み足りないのであればまた明日お越しください」

「うむ、それもそうじゃな。では、また明日」

そのまま図書館を出たら夜になっていた。

 

「適当に宿でも探すとするか…」

そのまま適当に歩いているとちょうどいい感じのホテルを見つけたので適当に入った。

 

「現在、空いている部屋はロイヤルスイートルームだけで御座いますが?」

「そこで構わん。3拍3日の代金はどのくらいじゃ?」

「畏まりました。3泊3日ですと…合計.120万円ほどで御座います」

「思ったよりも高い…金塊と宝石で払わせてくれぬか?現金はあまり持ち合わせておらんのでな」

そう言いながら懐から4キロの金塊と色取り取りの宝石を受け付けの男に渡した。

 

受け取った男は一瞬驚いた顔をしたがすぐに戻った。

「っ!?…畏まりました少々お待ちください。鑑定人を呼んで参ります」

「なるべく早く頼むぞ。とっとと休みたいからな」

「はい」

そして男は奥の方へと消えて行った。

 

「さてと…なにか良いニュース無いかな~?」

エントランスのソファに座り新聞を手に取る。

 

「…差別化が進むと同時に個性持ちが増えて来ている…社会は混乱の真っ最中…各国でも同じ現象が起こっている…個性を悪用する者達が出て来ている…それに対抗する者達も現れている…か」

トサッ…

新聞を読み終えるとテーブルに投げ捨て溜め息を吐く。

「はあ…」

 

「碌なものが無いな…下らな過ぎるぞ。もっとマシな物はないのか?」

「失礼。ここよろしいですか?」

「ああ、構わんぞ」

一人で愚痴っていると若い紳士的な男性が前の席に座ってた。

 

「失礼ですが…先ほどあなたはこれらのニュースを見て下らないと嘆いておりましたが、それはどういう事でしょうか?」

「なんじゃ?お主、聞いておったんか?」

「ええ、まあ。偶然聞こえてしまいましてね」

「そうか…」

(怪しさ満点だな…)

目の前の男を軽く観察した。

 

短い黒髪に黒目。

立派な黒いスーツに黒いネクタイと金のネクタイピン。

光沢のある黒い革靴と白いYシャツ。

 

(随分と立派な服を着ておるが…殺気が隠しきれておらんな)

「素人か…」

「なに?」

おっと聞こえたか。

「そのままの意味じゃ。お主…殺気を隠しきれておらんぞ?」

「…ふふふ。隠して居るわけじゃないからね…君にだけ殺気をぶつけているんだよ」

「…ブフッ!」

しまった。つい吹き出してしまった。

 

「なにが可笑しいんだい?」

「いやー、すまんすまん。お前のぶつけてきた殺気が微弱過ぎてな。つい吹き出してしまっただけじゃよ…」

「そうかい…」

私の言葉を聞いた男は自分の右腕を剣の形に変え始めていた。

ガシッ!ググッ…

その腕を素手で掴み顔を近づける。

 

「………良いか?殺気とは…こう放つんじゃよ?」

ズンッ!

次の瞬間、周囲の人間に異常なまでの圧力が加わった。

パリン!

ピシッ!

ピキキ…!

その次に照明や窓ガラスが割れ始めた。

 

「はっ…はあっ!フュー…フュウ!な、なんだこれは…!?」

ついでに目の前の男は息苦しくなったのか過呼吸になっていた。

「な~に、ちと殺気を飛ばしただけじゃよ」

「ちと?少しだけだと!?少しだけなのにこの威圧感!貴様いったい何者だ!」

「何者でもないさ。強いて言えば…世界最強の生物かな?」

「世界…最凶?」

「あ、そうそう。お主に一つ忠告じゃ」

「妾の進む道を邪魔するようであれば完膚無きなまでに叩き潰すぞ。それだけ覚えとけ、それじゃあの~」ひらひら

そのまま男の手を離し先程の受け付けの男の元へと向かう。

 

 

 

若き紳士(後のオール・フォー・ワン)サイド

 

「はぁ…」

男は一つ溜め息を吐いた。

 

「まさか、あれ程とはね…完全に規格外の化け物だ。彼女の事は後回しにしよう…」

彼は、このホテルに入りなにか良い個性を持った人物が居ないかを探そうとしていた。

その時、異常な存在感と威圧感を放っていた巫女服のような服を着た少女を見つけた。

彼女に近づき殺気をぶつけて話を聞き出し仲間…いや、奴隷として扱おうか彼女の『個性』を奪おうと考えていた時、彼女から「素人か…」と言われた。

 

その言葉を聞いた瞬間ムキになってしまい彼女に全力の殺気を放ったが…

「あれは…確かに世界最凶だねぇ」

逆に異常なまでの殺気をぶつけられた。

 

(悪い事は出来ないねぇ…このまま行けば必ず彼女と対立してしまう)

「もう少し…慎重に動くとしようかな」

男はこれからの事を考えながらホテルを後にした。

 

 

蛇神サイド

 

「で、では、こちらがお部屋のカードキーになります。御用が御座いましたらお気軽にお申し付けください。では、失礼いたします」

そう言いながらホテルマンの男が帰ろうとしたが呼び止めた。

「お主!」

「ひゃい!?」

「…?このカードキーとやらはどう使うんじゃ?」

「へ?あ、はい。こちらはですね…」

使い方が分からなかったので部屋の機能も教えて貰い完璧に理解した。

 

「ふ~む、便利なもんじゃの~」

「説明は以上になります。では、失礼致します」

「お主!」

「はい!」

部屋の説明を終わらせた男が帰ろうとしたのですぐに呼び止める。

「これをやる」

「あの、これは?」

懐から小さな革袋を取り出し手渡すとなぜか首を傾げた。

「宝石じゃ。好いた女子にでもくれてやれ」

「う、受け取れません!」

「そうか…なら主はその宝石を『名も知らぬ妖精にプレゼントされた』と言う事にしとけ。それならば問題なかろう?」

「は、はい!ありがとうございます!」

男は何度も頭を下げながら礼を言ってきた。

 

「良い良い…明日の朝食は8:00から11:30までの間だったか?」

「はい。その通りで御座います」

「そうか…分かった。帰って良いぞ」

「かしこまりました。では、失礼します」

そう言いながらホテルマンの男は帰って行った。

 

 

「さてと…どうしようかの~?」

無駄に広い部屋を眺めながら一人呟く。

 

「とりあえず…体を洗うか」

歩きながら服を脱ぎ捨てシャワールームに入る。

 

「無駄に豪華じゃの…これならあの人(愛しの君)と一緒に入りたかったなぁ」

1000年以上も昔に死んだ想い人の事を思い出しながら髪紐を解く。

 

「…」

シャー

「うわっ!真っ黒!」

シャンプーで髪を洗っていると泡が真っ黒になっていた。

 

すぐに洗い流しもう4回ほど髪を洗うとやっと白くなった。

「どんだけ汚かったんじゃ?」

自分の髪の汚さに多少恐怖を感じながらも無駄にデカい湯舟…露天風呂に肩まで浸かった。

「ふぃ~、疲れが一気に消えていく感覚じゃな…悪くないどころか最高じゃな!」

久々の休息に満足し両手両足を思いっきり伸ばす。

ゴキゴキ!メキッピキッ!

「はぁ~気持ちいのぉ…」

 

風呂に浸かる事30分

「そろそろ、出ようか」

ザバァ…!

風呂から上がり近くにあったバスタオルで体を拭き部屋にあった浴衣に着替える。

 

「完全に子供じゃな…クスッ」

自分の姿を鏡で確認し少し笑ってからルームサービスで食事を頼む。

 

 

「ご馳走様…けふっ」

食事を終え適当にテレビを点けるとニュース番組をやっていたので見る事にした。

「おーまいがー…妾じゃないか」

ニュースで自分が銀行強盗を一発で沈めそのあと逃げ出した事について報じられていた。

ピッ

「…寝よ」

そのまま1時間近くニュースを見ていたが何も面白そうな話題が無かったのでさっさと寝る事にした。

 

 

「柔らか!!?眠くなる!グゥ…」

ベッドに入ると昔招待された英国の王族用のベッドを思い出す柔らかさだった。

そのまま眠気に抗えず瞼を閉じ眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ああ、愛しの君…いつまでもお待ちしております…グゥ」

 

 




はい、という訳でした。
次回は多分弟の方に会えると思います。
宝石や金塊の出所は蛇王龍の住処付近の湖から出て来るモンスター達の鱗などから採取できます。
では、また次回!

質問等があれば遠慮なくして下さい。
と言うか感想下さい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蛇王龍、買い物をする

皆様お久しぶりです。
久々に筆が進んで一気に書き上げたので投稿します。

では、どうぞ。ごゆっくり!


「ふぁ~…むにゃむにゃ」

入ってきた朝日の光に邪魔されて起きる。

 

「う~ん…今何時なんじゃ?」

部屋に掛けてあった掛け時計の時間を見ると7時を少し越した時間だった。

「ふ~む、中々いい時間じゃな。朝食までまだ時間あるし…風呂に入ろうかのぅ」

朝食までの時間を潰すために数十年振りの朝風呂に入る事にした。

 

 

「はぁ…蕩ける~…生きてて良かった~」

無駄に長い人生?いや蛇生を過ごしてて良かったと思える程このホテルのサービスは完璧だった。

 

(今日はどうしようかのぅ…)

今日の予定を考えながら風呂でのんびり寛ぐ。

(散歩がてら社会がどうなっているかを見に行くか…いや、その前に情報収集にでも行ってみようかのぅ…)

「まあ、細かい事は後で決めるとするか…さっぱりしたら上が…服どうしよう?」

大変今更ながらもの凄く大事な事に気づいた。

(昨日の奴を着るか…いや、あれは汚過ぎるし…う~ん)

如何するべきか考えていたが悩んでても意味がないと思ったのでそのまま風呂で寛ぐ事にした。

 

 

「そろそろ上がろうかのぅ」

ザバァ…

風呂から上がり何か着る服を探していると昨日まで着ていた服が綺麗に洗濯され畳まれていた。

 

「…凄いサービスの良さじゃな」

サービスの良さに感心(恐怖)しながら折り畳まれた服に着替えた。

 

 

着替え終わり部屋から出てすぐにエレベーターに向かった。

「一階はエントランスで二階は荷物置き場…三階はスタッフルーム等でそれ以降は一切覚えておらん。食事処はどこじゃ?」

案内板で探しているとやっと見つけた。

「八階か…じゃが妾の入場チケットには36階と記されているんじゃが?まあ、取り敢えず行ってみるか」

案内板とエントランスで貰ったチケットの数字が違う事に違和感を覚えながらエレベーターに乗り込む。

 

「……」

チーン!

『45階です』

途中でエレベーターが止まり扉が開くと素敵な老紳士と優しそうな奥様が乗ってきた。

 

 

「おはようございます。素敵な紳士と素敵な奥様」

「ほっほう!これはこれはご丁寧にどうも。おはよう素敵なお嬢さん」

「ご丁寧にありがとうね素敵なお嬢さん」

丁寧な挨拶をするとあちらも丁寧なあいさつを返してくれた。

 

「どこの階までですか?」

「あら?よろしいの?」

「時間は、まだあるので」

「優しいのぅ。では、39階を頼めるかな?」

「お爺さん、朝からお酒ですか?」

「良いじゃないか最近飲んでおらんし」

「そういう問題じゃありません!まったく」

『39階です』

突然、老夫婦が喧嘩を始めたが既にボタンを押しておいたので目的の階に着いた。

「着きましたよ?」

「ありがとうねぇ、お嬢ちゃん」

「ほっほっほ!感謝するぞ」

二人は礼を言ってエレベーターから手を繋いで降りて行った。

 

「仲睦まじいのぅ…憧れるな…」

『ドアが閉まります』

色々と考え事をしていると扉が勝手に閉まった。

「空気が読めん奴よのぉ」

そのまま待っているとエレベーターが目的の階で止まった。

 

『36階です』

「着いたか…ん?」

エレベーターから降りると高級感溢れる店の入り口の横に顔に傷が付いた一人の大柄の男が立っていた。

 

「どのようなご用件でしょうか?お客様」

「朝餉を食しに来ただけじゃ」

「朝餉…で御座いますか」

「うむ、そうじゃ!」

「では、入場券をご拝見します」

「これか?」

「失礼致します…」

入り口の男に受付で貰ったチケットを手渡すと上着の内ポケットから単眼ルーペを取り出しまじまじと見始めた。

 

「なるほど…少々お待ちください」

チケットを確認した男は何処からか通信機を取り出し話し始めた。

「レア度SSS。最上位のお客様だ。最高の御持て成しの用意を。さもなくば我々の首が(物理的に)飛ぶ。早く!今すぐに!」

何かヤバい言葉が聞こえたが気にしない事にした。

 

ガチャ

「お客様。こちらへどうぞ」

少し待っていると入り口の扉が開き紳士服を着こなした初老の男性が出て来た。

 

案内され入店すると400年ほど昔、何処かの国の王族の晩餐会に招待された時に入った城にも負けず劣らずの豪華な内装だった。

「随分と立派じゃのぅ」

「ありがとうございます。ではお客様こちらへどうぞ」

案内された場所を見るとそこそこの大きさの個室だった。

 

「本日はいかがなさいますか?」

「良く分からんから…主ら…ホテルの総料理長に一任する」

「っ!か、かしこまりました」

一任すると言う言葉に男は体を震わせ部屋から出て行く。

 

「今日は…散歩でもしようかのぉ」

「お待たせいたしました」

今日の予定を頭の中で決めながら待っていると総料理長らしき男性が料理を持ってきた。

 

「総料理長自らか?随分と緊張しておるようじゃが、お主大丈夫か?」

「問題ございませんお客様」

「そうか…」

手が震えているのが見えたが本人が大丈夫だと言ったのでそれ以上の追求はやめた。

 

 

 

 

「はむ…」

もっきゅもっきゅ…

ゴクッ…

「美味…なのじゃが」

「なぜお主がここに残っておるのじゃ?」

口に含んだ物を飲み込み横を見るとなぜか総料理長が立っていた。

「大事なお客様のご要望にお応えするため常に待機しておかなければならないので」

「あっそ…好きにせい」

「ゴクゴク…フゥ」

カチャ…フキフキ

 

「ご馳走様。美味かったぞ」

「ありがとうございました」

朝餉を食べ終え店を後にする。

 

そのままの足でホテルを出て町に散歩しに行く。

 

 

「相変わらずじゃな…」

外に出ると相変わらず個性を持たない者達がデモ活動をしていた。

 

 

「フハハハハ!退けどけ!邪魔だ人間共!!」

ドゴ――ン!!

そしてその近くに銀行の扉を壊しながら強盗をする者が現れる。

 

「このボンバー・デビル様に道を開けやがれ!!」

その男は体のあらゆる所から数種類の爆弾を生み出し周囲に投げつけるという何とも傍迷惑な暴れ方をしていた。

 

「そいやー!!」

「ぐばぁっ!!?」

なので男の手を掴んで地面に叩き付けた。

 

「やっぱり脆い…どこかに骨のある奴は()らんもんかのぅ…はっ!」

などと呟きながら歩いているとある重要な事を思い出した。

 

「家を買わないと…」

今後、人間社会で暮らしていく為にも家が必要だと思い出し適当な不動産会社に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

~数分後~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「犯人逮捕にご協力感謝します!」」」」(`・ω・´)ゞ

「あ、どう致しまして…?」(`・ω・)ゞ?

私に敬礼してる警官が4人。

その警官たちとは別に10人くらいの警官たちがトカゲのような大男(気絶中)を拘束している。

私の近くに散乱するブランドマークの紙袋と大量の新品の服。

そして私の買った物を奪って逃走しようとしたが結局失敗して捕まったおばさんが「小娘の癖に贅沢しすぎよ!ちょっとくらい分けたっていいじゃない!」とキーキー騒いでる。

なぜこんな事になってるんだろう?

 

 

順番に思い出そう…

確か私は、家を買う前に服を買おうと近くの服屋に入り片っ端から買った。

それが終わったら家を買いたいから不動産屋に相談して何かいい家が無いか聞いてみたが探すのに暫くかかるの事で三日後にもう一度行くことになった。

不動産屋から帰っている途中で日用品とかを買おうと考え雑貨店に入り適当に見ていたら変なおばさんに難癖付けられて追い返した直後に銀行強盗をしたであろうトカゲ男がパトカーに追い回されていた。

なのでそのトカゲ男を一発殴って沈めている間にさっきのおばさんが私の買った服の入った袋を持って逃走しようとしたが近くに居た警官に取り押さえられた。

で、「あの子にあげるって言われたから貰ってやったのよ!」とか言い出したが「あんた誰?」って返したらキーキー騒ぎ出した。

 

ホントにどうしてこうなった?

私は普通に暮らしたいのに何故か問題に巻き込まれる。

どうやら私は、不運な星の下で生まれたようだ。

 

「ハァ…」

少し落胆しながらホテルに戻り買った服やらを殆ど預けてから、また買い物を向かう。

 

 

 

 

「本日、二度目の犯人逮捕にご協力感謝します!」

「うん…どう致しまして…」

もうヤダ…今日3回目のヴィラン遭遇だよ?

もうイヤになっちゃうよ…マジでふて寝したい気分だよ。

これなら350年程前に体中に刺青の入った桃色髪の戦闘狂と戦った時の方が何倍もマシだ…何故か目に文字が刻まれていた彼奴は殴っても殴っても再生するけど楽しめたから良かった。

あとは、六つ目の滅茶苦茶強い痣持ちの剣士との戦いも楽しかった。始めてミラさん(ミラルーツ)以外で死ぬかと思った。一回、相手が透けて見えてギリギリ攻撃を躱して最終的に引き分けた。

だけど私の鱗から作った剣が2回も折れたので実質負けだと思う。

『貴様は…道を極めし者か…?いや…少し違うようだ…だが…その熟練度…中々の物だ…貴様も…鬼に…』とか言ってたけどどう言う意味なんだろうか?今だに理解出来ない。

 

鬼と言えば…背中が鬼の顔みたいな男とか筋肉が凄い褐色のアメリカ人とか『海皇』と名乗るスーパー老人とか白亜紀から来た大男とか世界最強の大剣豪と戦った時も楽しかったなぁ…今、思い出したけど自分も『海皇』の称号を得てた気がする。

たしか…今から400年前くらいに偶然立ち寄った武術大会で優勝したら『海皇』の称号を貰った。名乗るタイミングが無いから完全に忘れていた。

あと、私と同じくらいの身長のご老人と合気道対決もしたが結局勝敗は、あやふやになった。ついでに他数人とも戦わされたが最終的に私より小さいご老人から『これはほんの礼じゃ』とか言って30キロくらいのお金を貰ったのは良い思い出だ。

 

ご老人で思い出したが『セバス』と名乗る紳士的なご老人も居たなぁ…あとは、黒い全身鎧(フルプレート)に身を包んだ骨の人も凄く強く紳士的だった。ただ仲間の美女はめっちゃ毒舌だった。

名前は、覚えてないがまたいつか会いたいと思う。

 

名前を思い出せないで思い出したが『ジュワッ!』とか『チェアッ!』って言いまくる紅と白の光の巨人の居る世界に移動した際、『擬人化(個性)』が解けて蛇王龍(本当の姿)を見られてその巨人に怪獣と間違えられ攻撃されたことがあった。

最終的に誤解が解けたから良かった物のあのまま続いていれば確実にどちらかが死んでいたかもしれない。

最後は、なんか変な黒いセミみたいな奴に負けてたけどあれは、しょうがないと思う。

 

『強敵が居なくて暇じゃ!』って言ったら変な黒い穴(別世界への入り口)を開けてくれたミラさんには感謝しかない。

今度お礼にお饅頭でも持って行こう。丁度知り合いの茶屋が創立百年で新作を作っているらしいし今度訪問しよう。

 

だが…こいつら(ヴィラン達)は、大抵一撃で沈むしなんも楽しくないし数だけ多いしで、もうイヤになった。

 

(つまらん!帰る!もう絶対に帰る!)

などと心の中で拗ねていると…

 

「フハハハハ!!この俺を止めれるものなら止めてみやg「チェアアアア!!!」グバアアアア!!!??」

新たなヴィランが突っ込んで来たので反射的に飛び蹴りを食らわせた私は悪くない。

 

 

「犯人逮捕にご協力…「もう良い…」あ、はい」

これ以上の面倒事は嫌なのでとっとと退散した。

 

 

 

 

 

 

 

その数日後、我が人生?いや蛇生最大の買い物をした。

家の事で色々希望を出していたら『家を買うより新しく建てた方が早いですね』と言われたので土地やら建築費に人件費全て込々で30億位で購入した。

 

「妾の貯金の3%も持って行かれた…」と呟いたら不動産屋のお兄さんに微妙な顔をされた。

現金一括で払ったのが悪かったのだろうか?

ついでに家が完成するまで暫くの間(4~5年)は、ホテル暮らしが確定した。

 

「家が欲しい…」

私の呟きは、誰にも届く事なく温かく吹く風にかき消された。




と、まあ…こんな感じでした。
次回は…原作ぶっ壊しに行こうかな?考えて置きます。

質問等ございましたらご遠慮なく下さい。
というか質問お願いします。

では、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蛇王龍、建てるついでに破壊する

どうもこんにちは。
今回は、久しぶりに日記形式に挑戦しました。

過去が明かされていないのを良い事に色々と捏造しまくりました。
では、どうぞ。ごゆっくり!


%&月¥’日

久しぶりに日記帳を買ったので早速書いていこうと思う。

 

家を建てるための土地やら何やらを全て買い終わってから数日経ちホテルからチェックアウトを済ませたある日。

ミラさんに「ホテルに滞在するだけじゃお金が減る一方だから何かお金を稼ぐ方法でも探してみれば?」と言われたので仕事を探そうと思ったが先にホテルを本社ごと丸々買収してから仕事探しに向かった。

ホテルを買収するのに貯金の12%程度(120億円)を持って行かれたが個人的にあまりダメージは無いのでそのまま仕事を探しに向かった。

 

何度か面接してみたが何処も雇ってくれなかった。

やはり小娘みたいな体なのがいけないのだろうか?

 

帰り道にミラさんに話掛けられたので話を聞いてみると知り合いが仕事を紹介してくれるとの事。

勤務内容は(私が買収した)ホテルの夜間警備らしい。

最近個性持ちの悪人が増えてきたので警備の依頼が殺到してるとの事。

少し迷ったが「今なら給料が通常の5倍だよ?」と言われたのでバイトとして雇われる事にした。

 

 

%&月=~日

面接を受けたら「ちょっと実力を計らせてくれるかな?」と言われたので了承すると訓練場(?)に連れて行かれた。

そこでは数十人の屈強な男達が武術の訓練をしていて「誰でも良いから一人選んで組んでみて」と言われたので一番強そうな奴を選んで組んでみたが思ったよりもあっさりと倒せた。

相手は柔道の元世界チャンピオンらしいが普通に一発殴ったら勝手に気絶した。

おかしい…背中が鬼の顔みたいな赤髪の男は私の比較的本気に近いパンチを食らっても「ほう…やるじゃねえか。久しぶりに食いごたえのありそうな奴だ」とか言えるほどの余裕があったのにこの男は「普通のパンチ」で気絶してしまった。

「普通のパンチ」と言えば黄色い服に赤い手袋、そして白いマントのハゲた人と戦った時に「連続普通のパンチ」を食らってボコボコにされた思い出がある。

最終的に謝られたがあれは軽くトラウマに成りかけた。

 

そのような事を考えていると雇い主に「合格!今夜から頼めるかな?」と言われたのですぐに了承した。

夜、書く時間は無いので今日はここまでにする。

 

 

%&月#’日

昨晩ホテルを巡回中に何か物音がしたので同じ警備員の中村さんと一緒に見に行くと変な仮面を被った男と魔法少女らしき女の子達が戦っていた。

中村さんが「お前達何をやってるんだ!」と叫んだ瞬間、仮面の男が「邪魔だ!」と言いながら謎の攻撃を仕掛けて来たのですぐに中村さんを転ばせ攻撃を避けさせた。

 

それを見た仮面の男が驚愕している隙に『縮地』で近付き『八卦掌』を使って連続で攻撃を食らわせてから『打震』を食らわせかなり強めに『菩薩の拳』と『マッハ突き』の合わせ技で上半身の殆どの骨を確実に破壊してから念のため『感謝の正拳突き』に『攻めの消力(シャオリー)』を加える矛盾を成功させ10秒で150発の拳を全身に叩き込みトドメに『旋風流水轟気空裂拳』で確実に仕留めた。

 

これだけ食らわせてもまだ息をしていた仮面の男(他作品のボスキャラ)に如何トドメを指すべきか考えていると先ほどの女の子達と仮面の男が淡い光に包まれながら消えてしまったのでそのまま巡回を続けた。

巡回中、中村さんに「さっきの技は何?」と聞かれたので「ただの防衛術です」と答えたら微妙な顔をされた。

 

その後は特に何も無く朝が来たので仕事を始める前にミラさんに渡された紙に書かれた住所に向かった。

今は、そこで日記を書いている。

 

ミラさんは、昔のコネを使って警備が万全なこの高層マンションを格安で購入したらしい。

どのように買ったか聞いてみたら「うん?ふふふ…世の中には知らない方が良い事もあるよ?」と答えたのでそれ以上何かを聞く事は止めておいた。

 

そう言えば600年前に擬人化が成功してから度々消えてはホクホク顔で帰って来ることが多いがそれと関係あるのだろうか?

最近は無くなったが正直、別世界の各国首脳会談に乗り込んで各国の闇を生放送のカメラの前で証拠事ばら撒くのは、やめて欲しい。

世界情勢が滅茶苦茶になるしミラさんだけならまだしも私まで指名手配になるしで本当に苦労した。

 

最近で言えば帝国(帝都)と革命軍(ナイトレイド)の両方に喧嘩を売って無理矢理戦わされた。

楽しかったから良かったが次からは、やめて欲しい。

特にあの氷使いの女将軍との戦いは、我が蛇生の中でもトップクラスに楽しかった。

時間停止を脳筋理論で無理矢理突破した時の顔は見ものだったが途中で邪魔が入ってトドメを刺せなかった。

 

散々愚痴を書いたがミラさんには感謝しか無い。

私が暇にならないように色んな世界に連れて行ってくれるし最初の方はお世話になりっぱなしだった。

今じゃ私が世話をする側だがそれでも住処を与えてくれるなんて本当に優しい()だ。

 

取り敢えずご飯を作って食べ終わったら寝ようと思う。

今夜もバイトがあるので今日は、ここまでにしようと思う。

 

 

$月*/日

あれから色々あってかなりの期間が開いてしまった。

具体的には、3年程の期間が開いてしまった。

この間何をやっていたかと言うと簡単に言えば学校を作っていた。

 

最近、個性を悪用するヴィランが増えているがそれに比例して個性を使って人々を守る者も現れているので国家として彼らをヒーローと称して存在を公認しようと考えたらしい。

それを首脳会談で提案したが却下されたがそこに『謎の美女X』と色取り取りの仮面を被った『古龍隊』と名乗る男女数人の『耳元で囁く攻撃』により手の平を返したように満場一致で了承した。

 

『謎の美女X』は、私の恩人であるミラさんに良く似た格好をしていて『古龍隊』の人々は、私が昔ミラさんの頼みで『擬人化』させた古龍と呼ばれる最強クラスのドラゴン達にそっくりだったがきっと気のせいだろう。

だって彼らは、別の世界に置いて来たし私の旅について来たのは、古龍扱いされてるらしい巨大な蟹だけだし途中で別れたからどうなったかは分からない。

 

まあそれは置いておくとしてヒーローが公認の存在と成りそれと同時にヒーローを育成するための機関が必要なのでヒーロー学校を建てる事になったらしい。

だが思ったよりも資金が集まらずこのままでは、学校を建てるのは数十年先の話に成ってしまうので早急に大金が必要とのこと。

施設やら設備やらを完備するために必要な額は約500億円程必要らしい。

 

「誰か500億をポンと出してくれる優しいヒーローみたいな人いないかな~?人じゃなくて蛇でも良いんだけどな~?」とチラチラとこちらを見ながら会議の席で話すミラさんの圧力に負け貯金の約半分、つまり私の総資産の約1割を持って行かれた。

その代わり私の資産に関する税金は、全て国が負担してくれた。

 

それから色々と忙しくなり教師役や土地探し、『個性』の使い方を教えられる人間を教育出来る圧倒的強者が始まった。

人を探すのは比較的簡単だった。

それもミラさんが裏で色々手を回してくれたり別世界へのゲートを開いたりしたからだろう。

 

教師達は一瞬で集まり選定役や教師の教育役は、私が今まで擬人化させてきた古龍達が担当した。

そこからは色々と酷かった。

特に教師を強くすると言う名目でやった組手では、大半の教師がボロボロになってしまい授業を決める所ではなかった。

 

このような騒ぎ以外にも生徒を募集しようという案が出たが生徒を募集するためには「学校のトップが超有名人の必要があります!」と誰かが提案しとんとん拍子に話が進みいつの間にか私が校長にされていた。

そのまま生徒を募集したらいきなり100人ほど集まったが流石に全員教えきれないのでグループ分けにした。

 

戦闘や救助活動に使える個性を持っているヒーローになれる素質を持つ者達をヒーロー科。

ヒーローの装備品を作ったり援護のための道具を作りたい者達をサポート科。

これからのヒーロー達が経済にどのような影響を与えたりヒーローをどのように売り込むかを考える経営科。

 

大きくこの3つに分けて貰ってそれぞれ教える事になったが正直苦労しまくった。右も左も分からない状態で教えていたので怪我人が続出した。

そんな中で大活躍してくれた生徒が居た。

その生徒の名は、伏せて置くが個性は『治癒』だった。

相手の患部に口づけする事で人体の治癒力を極限まで高め傷を治療する。

その代わり体力を大きく消耗させるデメリットがあったが些細な事に過ぎない。

 

こんな感じで建てたこの高校の名は、英雄(ヒーロー)をの二文字を逆にして雄英となった。

つまりこの高校の名は、『雄英高校』。

私がお金を出したから私立にするか聞かれたが丁重に断らせて貰った。

 

今日はここまで。

 

 

$月><日。

普通に外を散歩していたらオール・フォー・ワンと名乗るスーツの男が絡んで来たので顔面に右ストレートを食らわせようとしたが簡単に受け止められた。

滅茶苦茶嫌な予感がしたので人間態で出せる限界ギリギリのパワーで天高く蹴り飛ばしてから蛇王龍の姿に戻って大陸を真っ二つに割り山を幾つも消し飛ばす全力全開ブレスを食らわせDNAの一片も残さず完全にこの世から消滅させた。

 

帰ったらミラさんに「勝手にブレスなんか撃っちゃだめだろう?」の言葉から説教が始まり結局3時間近く怒られた。

事情を説明しようとしたが「言い訳しない!」と言われ黙らされた。

 

解せぬ。

 

 

$月/\日

今日は、動画投稿サイトに擬人化して美男美女だらけの『古龍隊』のみんなで踊ってみた動画を投稿したりした。

 

結構楽しかった。

 

あと、校長の座を捨てて千剣山に帰った。




と言うわけで…今回は、雄英高校を創設しました。ついでに全ての元凶を消し飛ばしました。
原作?そんなの…ウチにはないネ。
あとで原作破壊か何かそれらしいタグを入れて置きます。

出来れば次回か次々回で最終回にしたいと思います。

では、また次回!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

蛇王龍、再開して幸せになる。

なんと連載中の作品を10件も抱えておきながら7ヶ月も音沙汰無しの二次創作小説家がいるらしいです。
中にはもう2年近くいじってない作品があったりする中で新しい作品を書こうとしている愚者らしいです。
いったい誰なんでしょう?

はい、自分です。
最後に投稿した年末の『ヴィランお兄ちゃん』から一切なんの反応もせずに今に至ります。
この7ヶ月の間ですが燃え尽き症候群になったり、『ヴィランお兄ちゃん』のR-18版を書いたり、ちょくちょく色々と書いたり消したり、蛇神様IN刃牙ワールドを書いたり、ネカフェに魅了されたりしていました。

作者です。
何をどう書けばいいかも忘れてしまった状態で筆を執って一週間で書き上げました。
なので、さっさと幸せにして、とっとと完結させようと急ぎ足にしました。

では、どうぞ。ごゆっくり!


高校の校長としての立場を捨てて我が家である千剣山に帰って来てから数日経ったある日。

 

「でででん!でででん!でででででででん!でででん!でででん!でででででででん!でででん!でででん!でででででででん!!で~ん!で~んで~んで~~ん!」

某怪獣王のテーマを口ずさみながら千剣山が佇む通称.帰らずの森を歩く我らが蛇王龍。

 

「ギェェェェェ!!」

「ギシャアアア!!」

「グルァアアアア!!」

「ほいっと」

時折襲い掛かって来る土地の中心部から出て来た猛獣たちを徒手空拳で打ち倒して進む様は、まさに支配者そのものと言えるだろう。

 

 

 

「ひ~ま~じゃ~♪ひ~ま~じゃ~♬本当にひ~~ま~~~じゃ~~~~♫」

そのまま拳一つで従わせた六つ足の虎型の猛獣の背に乗っかり森を散策する事、約3時間。

 

「う~む…完全に迷ってしもうたわ!!なっはっはっはっはっはっはっはっは!!!」

完全に道に迷ってしまったようだ。

 

そのまま適当にバカ広い帰らずの森を歩き続けると、やっとの思いで森を抜け出せた。

その森を抜け出して一番初めに見たのは、湖の近くに寝そべっている我が盟友ミラさんだった。

 

「ミラさんや、何をしておるんじゃ?ここは一応、妾の住処じゃぞ?」

「うん?そうだね。でも君に一つ言って置きたい事があったからここまで来たんだよ?」

「そうか…して、要件とは何じゃ?」

ミラさんの言葉に答えを急かすと溜め息を一つ吐かれた。

 

「はぁ…君は昔っからせっかちだよね。まあ、いいや」

「要件って言うのはだね…数年前に前世持ちの子供が生まれたって事さ。それも君の時代の君の守護していた村の出身らしいよ?」

「はっ…えっ?い、今…なんて?言った…の?」

馬鹿な有り得ない。ミラさんの言葉にさっきまでの馬鹿高いテンションも消えた。

 

「しかもね…『蛇神様は何処ですか?』って探し回っているらしいよ?」

「う、うそ…でしょ?」

「もっと言うなら、『ダラ・アマデュラ様』を探しているらしいよ?」

「は、はは…ハハハハ…アハハハハハ!ハハハハハ!!」

ミラさんが続々と伝えて来る情報に脳が処理落ちを起こしてしまいそうだ。

私の本当の名であるダラ・アマデュラは、愛しの君にしか教えてない。

つまり前世の記憶を持って生まれた子供は、愛しの君という事になる。

 

まさか、ありえない。あの人が…あの方が、愛しの君が…転生したのか?

しかも前世の記憶を保持したまま…転生した。しかも私を探している。

他ならぬ私を…ああ、ヤバい涙が止まらない。

あの人を…愛しの君を千年も愛し続けた甲斐があった。

早く迎えに行きたい…だけど、いきなり現れたら相手の家族にも迷惑が掛るだろう。

愛しの君を婿として貰うのであれば相手方にそれなりの対価を支払う必要がある。

 

「ミラさん。妾の財産の3割を手土産に持って行く。愛しの君の現在の住処を教えてくれ」

「う~ん、別にいいけど…怒らないでね?今、彼は…」

ミラさんに愛しの君の現在の在処を聞いた。

ミラさんは、多少渋っていたが答えてくれた。

 

「忌み子として家族から結構酷い扱いを受けているみたいだね」

その答えを聞いた瞬間、私の中で何かが音を立てて切れた。

 

「ちょっくらお礼参りに行って来る。なに、大したことはしないさ。ただ地図上から奴らの家を消し飛ばす程度の事しかしないさ」

「うん。一回落ち着こうか?」

さっそく向おうとした所で頭を掴まれて止められた。

 

クッ!動けん!!

エアーズロック位なら余裕で引き抜ける妾の剛力を持ってしても一歩も動けぬとは…やはりミラさんは化け物だ。

 

「ミラさん!離してくれ!さっさと愛しの君を助けに行かねばならぬ!!」

「うん、分かってるよ?でも何も準備しないで行けば君が誘拐犯扱いされるよ?」

「むっ…!それは困る」

愛しの君を迎えにはいきたいが世間から誘拐犯扱いされるのは嫌だ。

最悪の場合は、マネーパワーと今までの人脈をフル活用して事件を揉み消せばいいが…少し面倒なのでやめておこう。

 

「では、どうすれば良いのじゃ?」

「簡単さ。君が彼を迎えに行っても問題ない状況に追い込めばいいのさ」

「ほう?」

ミラさんの提案を聞いた瞬間、頭の中に今後の予定を立て始める

確実に迎えに行けるように少しだけ状況を操作しよう。

準備は…半年もあれば完璧に出来るだろう。

 

「ミラさんや…少し協力してくれぬか?」

「ふふ…いいよ。人員はどのくらい欲しい?」

「ざっと500人。それだけ居てくれれば楽に助け出せるからのぅ…くふふっ」

待っておれよ?愛しの君…いや、旦那様!

 

 

 

 

僕には前世の記憶という物がある。

可笑しい事を言っていると思うかもしれないが事実だ。

 

と言っても遥か昔の、それも平安時代の頃の記憶。

しかし一町民としての生を受けた記憶では無く、山のように大きい白い蛇の神様の庇護下にある村で暮らしていた。そんな記憶だ。

僕は生前の人生を全てその蛇神様の下に仕える事で過ごし、そのまま天寿を全うした。

村の初代村長として蛇神様の言葉を聞き、皆に伝えるのが僕の生前の役目だった。

蛇神様のそばで生活し、蛇神様の話を聞き、村の皆の相談を受ける。そんな毎日だったが充実した人生だったと思う。

しかし、いくら蛇神様の言葉を理解できても僕も所詮は人間。

88歳で天寿を全うして逝った。

死ぬその瞬間まで蛇神様は僕のそばに居てくれた。

山を何周もするほどの巨体を器用に動かし寂しいそうな声(?)を出しながら僕の最期を見届けてくれた。

死ぬ前に『僕のために泣かないで下さい』と伝えたかったが、その前に目を閉ざしてしの言葉を伝える事が出来なかった。

 

沈みゆくはずの意識が急激に浮上して行き、強烈な光に目を閉じてしまった。

困惑しながらも情報を取り入れる為に少しずつ目を慣らして目を開けた。

目を開けて初めて見た景色は、比較的古風な家の天井だった。

振り向こうとするが動かないので目だけを動かしていると着物を着た初老の女性が僕を覗きこんだ。

僕を見たその人が突然顔を強張らせて大声で何かを叫びながら走って行ってしまった。

 

その反応に呆然としているとさっきの女性が走って行った方向から複数人の慌ただしい足音が聞こえて来た。

ふすまを勢い良く開けて入って来たのは、厳格が人の姿をしたような和装の黒目黒髪の男性と大和撫子を体現した値段の想像が着かない程の美しい着物を着た和風美人。

男性が僕を見るや否や廊下向けて叫び出し、数秒後に先程の女性が慌てて部屋に入って来た。

男性が入って来た女性に対して激昂し、勢いよく何かを息巻いていたがあまり良く聞き取れなかった。

そうこうしているうちに美しい着物の女性が僕の所に来て脇に手を入れて体を持ち上げた。

 

「…っ」

僕の目を見た女性が突然目を潤ませて僕を抱きしめた。

そのまま小さな声で「ごめんね…ごめんねぇ…」と繰り返していた。

 

何が何だか分からず目を瞬かせていると先程の初老の女性が「奥様!」と僕を抱きしめている女性に駆け寄った。

その瞬間、僕はやっと理解した。

 

どうやら僕は、転生してしまったようだ。

 

それからしばらくして僕の地獄が始まった…わけでも無かった。

今世での母に当たる女性と引き離されて武家屋敷の一室に軟禁状態にされて授乳やその他の世話のタイミング以外での接触を禁じられていたようで僕を見るたびに泣いていた。

その姿から前世の母を思い出し泣き止んでくれるように手を伸ばして頬を撫でたが余計に泣かれた。

とまあ、どう考えても赤ん坊に対してするべき対応では無かったが生憎こちらは前世で安倍晴明と芦屋…道真(?)が二人掛かりで挑んでも、(みなもとの)……なんちゃらが他の四人組と一緒に挑んでも、八つ首の大蛇(八岐大蛇)が戦いを挑んでも敵わない程度には強い蛇神様の下で暮らしたのでこの程度はまったく苦にならない。

 

強いて言うなら話し相手が欲しいくらいだが、この問題も最近解決した。

どうやらこの世界には、最近になって『個性』と呼ばれる不思議な力を持つ者達が生まれ始めており、世界中で混乱が起こっているらしい。

そしてその『個性』とやらが僕にも発現したようだ。

 

僕の個性は、『多重言語理解』。

その能力は、文字通り様々な言語を理解出来るもの。

分かりやすく言うと『今まで聞いた事の無い言語を理解した上でその言語を完璧に扱える』というもの。

聞き取り、発声、執筆のいずれも完璧に理解可能で、その国特有の嫌味やブラックジョークも理解出来てしまう。

あと、なんでかは分からないが動物の言葉も理解出来る。

 

例えば

敷地の塀に泊まった鳩の会話だと

『この前さ、いつもの公園に行ったんだよ』

『おう』

『そしたらよぅ…変なガキが俺を追いかけ回されたんだよ』

『おぅ…災難だったな』

『それだけならまだしも、そのガキの母親が変な板ばっかり見ててちっとも注意しねぇんだ!』

『うわー…ひでぇ』

『だからその場に居たみんなで一斉投下してやったわけよ!』

『それはえぐいwww』

こんな会話だった。

 

うん。

鳩がそんな会話をしているなんて知りたくなかった。

 

とりあえずこの個性のおかげで飽きる事は無かったし、この国の現状をある程度知る事が出来た。

母に泣かれて育てながら5年の月日が経ち、僕の個性()も父に知られた頃に我が家に『ミラ』と名乗る白い長髪の女性が訪れた。

 

その女性の話によると、どうやら僕を養子として迎え入れたいらしい。

話の中で『忌み子』や『個性持ち』に『不気味な能力』などの言葉が聞こえて来て、母はまた目に涙を溜めて父は何処か考え込むような顔をして、小さく唸っていた。

やがて「また後日、伺います」と言ってその人は去っていった。

 

 

その日、日が落ち使用人たちも寝静まった頃に父と母が部屋で何かを話していた。

耳を澄ませて会話の内容を盗み聞きすると、どうやら相手に僕を養子として出す条件として相手に無理難題を吹っ掛けるつもりらしい。

 

内容としては、希少鉱石『オレンジダイヤモンド』を50カラット、希代の画家.フィンセント・ファン・ゴッホの作品の一つ『ひまわり』にサインが書かれた作品を二点、直系10センチの真珠だけで作られたネックレスを四つ、インペリアル・イースター・エッグを5種類、既に絶滅した植物、最後にかつて存在したとされる『生きる天災』とも謳われた化け物(大蛇)から採取出来るらしい『蛇王龍の尾殻』と呼ばれる希少な素材。

これら全てを1週間以内に集める事が出来れば僕を養子として譲るらしい。

この内容をまとめた上で分かりやすく言うと「うちの子に近づくんじゃねぇ、この野郎」と言う意味らしい。

両親に愛されている事を再認識しながら眠りに着いて翌朝を迎えた。

 

翌朝、何故か猛烈に嫌な予感がして目を覚ますと同時に玄関のチャイムが鳴り昨日訪れたばかりの女性が訪ねて来た。

両親は嫌そうな顔を隠しもせずに彼女を迎え入れ、座布団に座らせてからもてなしに『ぶぶ漬け』を出した。

一方の女性は、それをテーブルの端に移動させて養子の話を切り出した。

 

待ってました、と言わんばかりに両親が昨日考えていた条件を書類に纏めてその女性に突き付ける。

僕を養子にする条件が書かれた書類を読んだ女性は、一つ小さく頷いてから書類をカバンに仕舞い契約書を取り出した。

こちら側の提示した条件を満たした場合、問答無用で僕を『蛇神 シロナ』なる人物の養子にする旨が書かれた契約書にサインするように言われた両親は卑下そうな顔をしながらもサインをした。

 

サインされた契約書を確認した女性…ミラさんが書類を鞄に仕舞って一つ頭を下げてから出て行った。

これで二度と会う事は無いだろうと安心していた。

しかし、僕たちは嘗めていた。あの白髪の女性(ミラさん)と蛇神 シロナなる人物の力を…

 

 

あれから5日ほど経ったある日、彼女は再びやって来た。

今度は、彼女より小さい同じような白髪の女性を連れて来た。

 

「ん?…フヒッ」

その女性は、母の後ろに隠れる僕を一目見ると血のように真っ赤の瞳を大きく見開いてその口元を歪ませ不気味な笑い声を零した。

両親はそんな彼女を不気味がっていたが僕だけはなぜかすごく懐かしい気持ちになった。

長い間失くしていたものをやっとの思いで見つけたようなそんな気分になった。

 

家に上がった女性二人組が座布団に座り机を挟んで両親と向かい合っている。

両親(主に父)が二人に対して値踏みするような睨み付けるような視線を向けている。

 

「うん…美味しいよ」

「…結構なお点前で」

片手で茶器を持ったミラさんに対して小さい方の女性が両手で茶器を掴み正しい作法でお茶を飲んだ。

 

「さて…本日お伺いさせて頂いたのは、先日の息子さんを養子として譲り受ける件についてです」

「御託は良い。さっさと話しを進めろ」

「…かしこまりました」

ゆっくりと話しを始めたミラさんの言葉をぶった切るように父が催促した。

それに対してミラさんは、特に何も言う事無く懐から一通の封筒を取り出し、その中に仕舞われている三枚の紙を取り出した。

 

「さて…こちらがあなた方の提示された条件です。こちらが契約書、そしてこちらが養子縁組の書類です」

ミラさんが並べた書類を順に説明していき、両親の目を見る。

 

「貴方方の提示された条件を満たす事は自体は…正直に言いますとそこまで難しくはありませんでした」

「しかし、如何せん面倒な事が起き調達するのに時間が掛かった次第でして…」

そう言ってミラさんが苦笑いする。

 

条件を満たすのは難しくなかった。

 

その言葉に父が目を見開き母が顔を青くする。

ミラさんの横に座っていた女性は、お茶菓子を食べながら当然だ、とばかりに頷いていた。

 

「全て…揃ったと言うのか…?」

「あぁ…そんな!」

父が心底ショックを受けたような声で呟き母が両手で顔を覆った。

 

「さて、一つずつお見せしましょう」

「んぐ…」

その言葉を合図にお菓子を食べていた女性が右手の人差し指と中指を立てて空中で円を描くように手を動かす。

彼女の手の動きに合わせて空中に火花が飛び散り、やがて円の形になり遂には穴のような形になった。

その穴に戸惑うことなく手を入れて何かを探すように手を動かすと、やがて中から太陽のごとき輝きをした宝石を取り出す。

 

「まずこちら、ご希望通り50カラットのオレンジダイヤモンドです。鑑定書付きでどうぞ」

テーブルに置かれたオレンジダイヤモンドの横に一枚の紙が置かれる。

 

「続いて…ゴッホの『ひまわり』を二点」

ミラさんの言葉に合わせるようにテーブルの上に二点の絵画が置かれる。

 

「続きまして、大粒の真珠のネックレスを四点」

「インペリアル・イースターエッグを五点」

「すでに絶滅した白亜紀の植物、イチョウモドキです」

ミラさんの言葉に合わせるように価値が計り知れない物が次々と並べられて行く。

両親は呆然とその光景を眺める事しか出来ないでいた。

 

「最後にこちら…」

そう言ってテーブルの上…では無く庭に置かれたのは、扇状の黒い鋭利な物体。

両親が、馬鹿な…ありえない、などと言っているが目の前の事実は変わらない。

 

「蛇王龍の尾殻です」

ミラさんがそう口にした瞬間、母が倒れた。

 

「し、証拠は…」

「はい?」

「証拠はあるのか!?」

自分の手を隠し持っていた小刀で突き刺し何とか気絶を免れた父が口にしたのは精一杯の悪足掻き。

せめてもの抵抗。最後の抵抗を口にした。

 

「おい…」

しかし、それすらもあっけなく返された。

 

「お主…ふざけておるのか?小童よ」

ずっと沈黙を保っていたもう一人によって。

とても若い女性のものとは思えない口調で父に対して淡々と話していく。

 

「妾が自分の背から抉り取ったモノじゃぞ?証拠も何もないじゃろう?」

「旦那様の今世の父親だから、とお主の傲慢不遜ぶりに対して何も言わずにいたが…流石にこれ以上は我慢出来ぬ!」

声色に怒りが滲み出ている女性の言葉に対して父の顔は青を越えて白くなっていく。

彼女の飛ばすが殺気が物理的圧力となり屋敷全体を揺らしている。

しかし、徐々に怒りが増していく彼女を見ていると何故か懐かしい気持ちになって行く。

 

「貴様は、一度完全に跡形も無く滅ぼしてやろう!」

その言葉を聞いた瞬間、前世の記憶の一部が鮮明に思い浮かんで来た。

 

山に巻き付く巨大で長い体。

初雪のように白い鱗。

瞳孔が縦に割れた赤い瞳。

背中や尻尾の先端に生えた黒く鋭利な刃物のような背ビレのような何か。

黒く長い鋭利な爪。

大岩ですら丸のみ出来そうな口。

全てを貫くと思わせる巨大な牙。

万物を溶かせるであろう融解性の高い猛毒。

 

それら全てを併せ持った偉大なる生物。

僕はそれをこう呼んでいた。

 

「蛇神様…」

 

僕がそう口にした瞬間、先程までの殺気が嘘のように霧散した。

 

「おやおや…」

「旦……那…様?」

ミラさんが口元に手を当てて驚いたように声を上げて、もう一人の女性…蛇神様が零れ落ちそうな程に目を見開いていた。

 

「蛇神様…」

「お主…お主!お主!」

もう一度その名を口にすると足をふらつかせながら僕の方に歩みよって来る。

その目には涙が溜まっていた。

 

「妾を覚えておるのか!?」

「お、覚えてましゅ…!」

僕の顔を両側から押さえて聞いて来たので空気が漏れて変な感じになったがはっきりと答えた。

 

「うっ、うぅ…!くふぅ…!」

僕の答えを聞いた蛇神様が顔を両手で押さえて体をくねらせながら変な声を漏らす。

かと思ったら空中に赤い魔法陣を作り出し何か操作し始めた。

 

「やめなさい!」

「アイタッ!?」

そしてすぐにミラさんに頭を引っ叩かれた。

 

「なにすんじゃ、ミラさん!」

「なにすんじゃ!じゃないでしょ!なに現実を書き換えようとしてんの!」

「書き換えようなんてしておらん!ただ、歴史の都合の悪い部分を消して都合の良いように置き換えたりして、ちょっとした歴史改変をやろうとしただけじゃ!」

「十分にアウトだよ!星見の連中(カルデア)に喧嘩売るような真似はやめてよね!?私は、もう二度とあの幸薄顔の竜殺し(ジークフリート)と殺し合いたくないの!」

「あれは、お主が悪いじゃろう!特異点のラスボスと思わしき奴を一瞬で消滅させた上に「さて…誰から死にたい?」とか言い出すし、妾に変な物(聖杯)を押し付けるし、おかげでめっちゃ苦労したんじゃぞ!?」

「…でも、そのおかげで冠位級(グランドクラス)の称号を貰えたんでしょ?良かったじゃない?」

「全然良くないわ!変な金ぴかに「次会ったら殺す」って真剣な声で言われたし、何故かバニー姿の赤い槍を持った女傑には「次は我が槍の錆としてくれよう」とか言われたし、花の魔術師には「死ね」ってシンプルに罵倒されたし、革命の旗を持った金髪聖女には天使のような笑顔で中指を立てられたし、手の甲に変な模様(令呪)を刻んだ女の子には「二度と私たちに近づかないで下さい」って言われたし、盾を持った女の子は殺気剥き出しで養豚場の豚を見るような目で睨んで来たし、一気に敵を100人以上作ってしもうたわ!組織事敵対するってナイトレイド以来じゃぞ!」

「だからと言って歴史改変はマズいよ!冠位級魔術師(グランドキャスター)の称号だけでなく至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)としての称号も失うよ!」

「構わん!むしろ要らん!こんな称号のせいで紫色の巨人(サノス)との戦闘に強制的に参加されたんじゃ!」

「どちらかと言うと上から目線な魔術師の煽りに乗った君が悪いんじゃないの?」

「知らん!大体お主のせいなんじゃ!バーカ!」

「誰が馬鹿だ!この戦闘狂!」

まるでギャグアニメのようなやり取りだったが内容がシャレにならない。

 

歴史改変とか現実改変とか誰かとの戦いとか…やっぱり良く分からない。

両親も置いてきぼりだし、何かかしらの説明が欲しい。

 

「こほん!」

そう思っていると蛇神様にマッスルスパークを完璧に決めたミラさんが一つ咳をして話を戻した。

 

「えぇー、大変失礼いたしました。それでは契約通り、息子さんを養子として迎えさせて頂きます。異論は一切受け付けておりません」

ペコリと頭を下げたミラさんが気絶している蛇神様を肩に抱えて僕の手を取った。

 

「さあ、行きましょう」

「え?」

何処に行くのか聞く暇も無く突如視界が変わり、気付いたら見た事も無い場所に移動していた。

 

「ただの転移だよ。それより、ほらさっさと起きな」

「う、うぅ~ん…ゴフッ!」

頬をペチペチと叩かれた蛇神様が吐血をしながらも目を覚まし優しい目で僕を見た。

 

「あぁ…やはり好きじゃ。お主の魂の在り方。お主の胆の据わった態度。異様な覚悟。底知れぬ潜在能力。妾を優に超える才能。その中でも一際黄金のように輝く穢れ無き純粋な魂」

「お主…妾と「僕と結婚してください!」え?」

蛇神様の言葉を途中で遮り愛の告白をした。

 

「え?…え?え?え?え?」

意味が分からず困惑しながら右を左を見ている蛇神様の手を取り顔を近づけてもう一度告白する。

 

「僕と結婚してください。これからの一生、ずっと貴女だけを愛し続けると誓います。今まで僕を待ち続けてくれた分も含めて、今世も来世も来々世もこれから何度転生しても貴女だけを愛し続ける事を誓います。僕の人生を命の全てを掛けて貴女を愛し護り続ける事を誓います。だから…貴女の残りの生を僕と共に過ごして下さい!僕に貴女の隣に居座る許可を下さい!」

「妾は…悠久の時を生きるのじゃぞ?」

「はい」

「それに…愛が滅茶苦茶重いんじゃぞ?」

「構いません」

「そ、それに…あれ?可笑しいな、涙が止まらぬ。ここ千年は、一度も流さなかったのに」

「蛇神様…」

「なんじゃ?」

「僕は貴女を愛しています。僕と共に残り一生を過ごして下さい」

「…ズルい。ずるいよぅ…そんな事言われたら…断れないじゃないか」

「蛇神様…愛してます」

「あぁ…旦那様。I Love You(お慕い申しております)…」

 

その晩、蛇王龍が住処としていた洞窟で二つの小さな影が重なった。

千年越しの愛の成就を祝福するように流れ星が降り注いだ。

一晩中、一晩中降り注いでいた。




作品完結時点の主人公のプロフィール

氏名.
蛇神 シロナ

性別.
女・雌

種族.
蛇王龍 ダラ・アマデュラ

全長.
444.4444442キロ

年齢.
1328歳(作品完結時)

一人称.
妾(わらわ)、我、余、私。

二人称.
お主、そなた、主、貴様、お前。

三人称.
お主等、貴様等、貴公等、主等、そなた達、お前さん達。

性格.
比較的落ち着いた性格だが、戦闘になるとヤバい(ヒント.猗禍座がミンチなった)。
いつものほほんとしている。
たまに上から目線な態度を取って来るが(ただの気紛れなので)気にせず普通に接して良い。

異名.
血濡れ目の白蛇
次元の旅人
終焉の大蛇

称号.
海皇
蛇神流武術・開祖
至高の魔術師(ソーサラー・スプリーム)
冠位級魔術師(グランドキャスター)
竜殺し
英雄殺し
神殺し
武の体現者


恋愛感情.
一途→ヤンデレ+依存気味
1000年以上も初恋の相手を待ち続ける一途っぷり。
1000年以上も待ち続けた想い人が現れたので徹底的に管理する。出来れば飲食物や呼吸のタイミングと排泄のタイミングまで管理したいが流石に止められた。
旦那様が望むのであれば己の全て(富・名声・肉体)を捧げる覚悟でいる。

強さ.
1000年以上も様々な世界を渡り歩いたため、超やべぇ事になっている。

比較例.
ボロスや覚醒ガロウ(村田版)と互角以上に渡り合う。
範馬勇次郎に敗北をプレゼント出来る(多分)。
佐々木小次郎(fate)の秘剣・燕返しに反応してみせる。
眼前に迫ったクーニキのゲイ・ボルクを素手で掴む。
エスデス将軍の摩訶鉢特摩(時間停止)を脳筋理論で攻略。
身体能力が八門遁甲の陣.発動状態に匹敵する。
ユーハバッハに「アレとは出来るだけ敵対したく無い」と言わしめる。
ドクター・ストレンジが「彼女は、私に匹敵する実力を持っている(才能は無い)」と評価する。
サノス(石4つ持ち)を相手にタイマン張れる。
等々…上げていけばキリが無い。

戦闘力.
あらゆる世界で最強クラスになれる程度の強さ。
DB世界でも原作終盤まで十分やっていける(超だと精々ディスポを巻き添えにして終わる)。

情報.
守護神と崇められていた蛇王龍が個性を持った最古の少女を喰らい得た人の姿。
少女との約束通り世界(異世界含める)を見て回った末に得た結論、『人間は面白い』を胸に今日も生き続ける。
1000年以上も生き続けた結果、護符に文字を書き効力を発揮するという謎の特技を手に入れた。

護符について.
護符に書いた文字が効果を発揮する。
護符に『人理焼却』・『人理漂白』と書けばその通りの事が起こるが、そうした所で何も面白くないのでやらない(その前にミラさんが止める)。

護符の作成方法.
原初のルーンと陰陽術と魔術の同時多重使用(禁忌)によって生み出されるエネルギーを特別性の紙に付与して作られる。

おまけ.
取り敢えず旦那様には、『絶対防御』・『完全防御』・『物理無効』・『物理反射』・『魔法無効』・『魔法反射』・『呪術無効』・『呪術反射』・『呪怨無効』・『呪怨反射』・『状態異常完全無効』・『即死無効』・『無敵付与』・『回避付与』・『認識阻害』・『常時回復』・『完全回復』・『自動回復』・『自己修復』・『運気上昇』・『不死身化』・『対人類悪絶対防御』・『世界意思干渉拒絶』etc.などを500種類の護符を付与しておいた。

旦那様.
主人公が1000年もの間ずっと愛し続けた人物。
主人公の異常な愛を一身に受け止めて、それをすべて受け入れた上で蛇神様を愛し続けると誓った人(とんでもねぇ胆力)。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。