虹の彼方に (リメイク版) (けにおう)
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設定など
設定集、プロローグ


設定集はネタバレ注意です!
気に入らない方はプロローグまで気合いでスクロールしてくだちい。

随時更新します!


 プロフィール

 

天宮 煌之介

 

階級 柱

 

呼吸法 虹の呼吸

 

容姿 少しボサボサ気味な茶色がかった黒髪 瞳は紫 体は細いが筋肉量は凄まじい。どこぞの恋柱みたいな性質の不思議ボディ

 

羽織 空色ベースで背中に白のラインが入っている

 

日輪刀 玉虫色 角度によって色の見え方が少し変化する

 

身長 175cm

 

体重 72kg

 

誕生日 5月3日

 

年齢 18歳(原作開始時点)→20歳(炭治郎最終選別突破時点)

 

性格 優しいが責任感を感じやすい

 

好きな食べ物 天ぷら、鶏肉料理、蕎麦、甘味

 

苦手な食べ物 貝類、魚卵

 

特技 暗算、文章読解、料理

 

趣味 縁側でのんびりと茶を飲むこと、料理、お菓子作り、読書

 

座右の銘 人に優しく自分に厳しくただし稽古は死ぬ気で

 

現在の鬼殺隊最強と言われる柱。8歳の時に両親が鬼に食われ2歳下の妹、琥珀と2人きりになり、その後独学で剣術、全集中の呼吸常中、虹の呼吸を習得した。

だが、鬼に恨みがある訳ではなく、自らの力がある限り、同じ境遇の人を生み出さないようにしたいという思いを持って鬼殺隊に入隊した。

12歳で最終選別を受け、半年で下弦の弐と肆を倒し柱まで上り詰めた。柱になったタイミングは悲鳴嶼さんと同じで最古参。

柱に任命された帰りに鬼に襲われていた胡蝶姉妹を助けて行く宛のない2人を屋敷に住まわせ、医療の知識を与え、怪我人の治療や鬼に恐怖を抱いて精神的ダメージを受けた人のケアをしてもらっている。そのため2人は鬼殺隊に入らない。

原作開始時点では18歳で炭治郎が鬼殺隊に入った時には20歳。

唯一義勇の言葉を完璧に理解している人。

柱合会議の際はいつも手作りのお菓子や料理を皆に振る舞う。

腕相撲の強さは宇髄さん以上だが悲鳴嶼さんには善戦するものの勝てない。

 

柱から見た彼の印象

 

・音柱 派手に強いな!虹の呼吸なんてド派手な技を使いやがって!羨ましいぜ!

 

・岩柱 奴は強い…だが、救えなかった人への責任感を強く感じすぎている。

 

・風柱 天宮はつえぇ。歳は下なのに悲鳴嶼さんと肩を並べてやがる。それに天宮が作るおはぎは店の物より美味い。

 

・恋柱 煌之介くんはとっても優しくて強いの!素敵だわ!お菓子もたくさん作ってくれるわ!あれ凄いの!どこの店で食べる物より美味しいのよ!

 

・水柱 煌之介は俺の友達だ…

 

・蛇柱 天宮の強さは認めざるを得ない。鏑丸も奴には懐いているようだ。

 

・炎柱 うむ!煌之介は強いぞ!鬼殺隊の中で最強だ!何度か手合わせしたが全く敵わん!

 

・霞柱 いつもお菓子をくれる人。

 

その他のキャラから見た煌之介

 

・天宮琥珀 兄さんはなんでも出来ます!天才です!すごいです!かっこいいです!尊敬してます!

 

・竈門炭治郎 とても優しい匂いがします。稽古もつけてくれてます。

 

・竈門禰豆子 うー!うーうー!(お兄ちゃんみたい!)

 

・我妻善逸 なんなのあの人!強すぎでしょ!命救ってもらっといて何だけど頭おかしいよあの人!!しかもイケメンとか!!てか禰豆子ちゃんに触るなァァァァァ!!!!

 

・嘴平伊之助 俺には分かるぜ!あいつはつえぇ!今は勝てねぇがいつかは俺が勝つ!

 

・胡蝶カナエ 煌之介くんがいなかったらしのぶと私は死んでたわ。それだけでなく行く宛のない私達を引き取ってくれたのよ。第2の家族みたいなものね!だとしたら私は煌之介くんと琥珀ちゃんの姉ね!

 

・胡蝶しのぶ 煌之介さんはすごく優しいです。あれだけ罵った私を受け入れてくれました。

 

・栗花落カナヲ 私を引き取ってくれた兄みたいな存在。作ってくれる料理も美味しい。

 

・神崎アオイ 煌之介様は柱としてお忙しい中でも蝶屋敷の仕事や機能回復訓練を手伝っていただいてます。本当に頭が上がりません。

 

・きよ やさしい!

 

・すみ つよい!

 

・なほ かっこいい!

 

・産屋敷耀哉 煌之介は柱の中でも歳は若い方だが行冥と並ぶ最古参でとても心優しい。それによく持ってきてくれてるお菓子はとても美味しい。あまねや子供達にも好評だよ。

 

・不死川玄弥 俺の鬼食いを理解してその上で俺に稽古をつけてくれた。あの人はとても優しい。

 

・村田さん 会ったことないです。凄い人だとは聞いています。

 

・サイコロステーキ先輩 俺も雑魚鬼を狩りまくって即行で階級を上げて金を稼いでやる!

 

キャラの年齢は

27歳 悲鳴嶼さん

23歳 宇髄さん

21歳 冨岡さん、伊黒さん、不死川兄、カナエさん

20歳 煉獄さん、オリ主

19歳 甘露寺さん

18歳 しのぶさん、オリ主妹

16歳 玄弥、善逸、カナヲ、アオイ

15歳 炭治郎、伊之助

14歳 無一郎くん

12歳 きよ、すみ、なほ

 

虹の呼吸

壱の型 小赤啄木鳥 ーこあかげらー

・光速の斬撃。斬られたものはしばらく斬られたことに気づかないこともある。

 

弐の型 一騎橙閃 ーいっきとうせんー

・最速の抜刀。霹靂一閃の踏み込みを意識している。

速さ的には霹靂一閃・神速<一騎橙千<火雷神

 

└ 一騎橙千・絶

・火雷神とほぼ同速だが火雷神より少し遅い。

 

参の型 黄粱一炊の夢 ーこうりょういっすいのゆめー

・ほぼ同時に最大5箇所を斬り裂く。

 

└ 参の型 改 黄粱一炊の夢・幻

・斬られたという幻覚を見せる。これも最大5箇所出せる。

 

肆の型 早緑月 ーさみどりづきー

・虹のような弧を描く一閃。他の型に繋げやすく起点になりやすい型。

 

伍の型 青天霹靂 ーせいてんへきれきー

・姿を最大5秒認知出来なくする。。体力の消耗が激しい。気配や匂い、音も消すことが出来る。

 

└伍の型 改 青天霹靂・影

・姿を消すだけでなく別の場所に気配、匂い、音が同じの幻影を生み出す。

 

陸の型 大伽藍 ーだいがらんー

・相手を木っ端微塵にするほどの連撃を前方に繰り出す。周りを巻き込まないよう細心の注意が必要。

 

漆の型 山紫水明 ーさんしすいめいー

・山のように力強く、水のように流れるような斬撃。どれだけ硬いものでも綺麗に真っ二つにする。かなりの技術と集中力が必要。

 

捌の型 虹霓 ーこうげいー

・見えない斬撃を飛ばして攻撃する。軌道や速度、太刀筋を変えることも出来る。連撃も出来る。手刀でも出せる。虹の呼吸の奥義で、習得できたのは創り出した初代と煌之介のみ。

 

終の型 夢幻泡影 ーむげんほうようー

・煌之介が生み出した最終奥義。壱〜捌ノ型のどれかの斬撃を繰り出した後に伍の型の応用で相手の認識外に行き、また斬撃の繰り返し。体力消耗が激しく、肉体に負担が多く掛かるため繰り返しすぎると死に至る危険もある。

 

 

原作前に登場する柱紹介

 

水柱 島原茜

義勇の前任の水柱。育手は鱗滝左近次では無いが義勇とは任務で一緒に行動することが多い。花柱の島原桜は双子の妹。ツンツンしたい年頃のいい子。身長が妹より低いのが悩み。オリ主と同い年。

 

花柱 島原桜

フレンドリーな花柱。基本的に頼まれた事を断れない性格。実力は柱の中でも上位である。カナヲに花の呼吸を教える人。姉に毒を吐かれると辛い。オリ主と同い年。

 

炎柱 煉獄槇寿郎

まだ酒に溺れていない頃のお父さん。年齢不明。だが柱の中で1番年上なので慕われている。最近息子が可愛すぎて辛い。

 

風柱 嵐山さん

皆に嵐山さんと呼ばれる謎の人物。本名を何故か秘匿する。後に不死川実弥の育手となる。年齢も不明

 

土柱 谷山喜助

モテないことで悩む陽気なお兄さん。十文字槍という特殊な日輪刀をを扱う。すぐに調子に乗るタイプ。オリ主の8歳年上。

 

雪柱 氷川冷泉

とにかく冷たい。体も冷たいし態度も冷たい。特に土柱に冷たい。人と関わるのが苦手。オリ主の3歳年上。

 

葉柱 佐々木小次郎

あの英雄と同じ名前を持つことを恥じている。ござる口調で武士のような格好を好む。土柱と同い年。

 

岩柱 悲鳴嶼行冥

言わずも知れた我らが悲鳴嶼さん。みんなから怖がられてて少し悲しい。1度蝶屋敷で食べた炊き込みご飯をまた食べたいと思っている。

 

 

おまけ キメツ学園での煌之介と琥珀

 

天宮 煌之介

 

キメツ学園の国語教師。

かなり詳しく内容を教えているのでかなり分かりやすいと生徒からの評判は高い。

バレンタインで貰えるチョコの数は星の数ほど。その内の半分は妹の琥珀が作っている。ホワイトデーにちゃんとお返しでお菓子を作る。そのお菓子の評判がまた高く、その為だけにチョコを渡す生徒もちらほら。

たまに調理実習の授業に無断で参加し怒られることがある。そこで本格フレンチを作ったという逸話があるが真相は定かではない。

また、調理部の顧問をしている。

ハイカラバンカラデモクラシーのライブを見てすぐに彼らに演奏中止を命じたが彼らのライブに感動した富岡さんと本気の喧嘩になってその話は無くなった。

 

天宮 琥珀

 

高等部3年蓬組。しのぶと同じクラスに所属している。また、保健委員に入っている。

過激派のファンは兄の煌之介にコネを作ろうと企むが琥珀による鉄拳制裁をくらい保健室に送られる。(それでいいのか保健委員)その事でよく愈史郎と言い争うことになるがこれは琥珀が悪いと煌之介も言っている。

バレンタインに琥珀が抱えていた大量のチョコに胸を躍らせる男子は多いがそれが全部煌之介の腹の中に行くことをまだ知らない。

当然のように調理部部長。

ハイカラバンカラデモクラシーのライブ禁止運動のリーダーをしている。

 

 

─────────────────────────

 

 

 

 

プロローグ

 

ある山の奥に家族が住んでいた。父と母に、兄と2歳下の妹の4人暮らしだった。その一家は決して貧乏という訳ではなく、不自由なく幸せに過ごしていた。

 

ある日突然父が言った。この世界には鬼がいると。そんな鬼を狩りながら生活していると。少年は信じなかった。鬼なんて創作物の中にしか出てこない怪物だと笑った。しかし父は真剣だった。母も真剣な顔つきだった。

だが少年は決して信じることはなかった。

 

だが、彼が8歳の時、信じざるを得ない状況へと陥ってしまった。鬼が出たのだ。父と母は2人の子供を真っ先に逃がした。後で自分たちも追いかけると言って。夜になるまではここに戻って来てはいけないと言って。

 

兄妹は辛うじて生き延びた。夜が明けて彼らが家に戻った時、言葉を失った。辺りは血塗れで、家の中には父と母と思しき骸が転がっている。少年は己の無力さを嘆いた。少女はただ大声を上げて泣いた。

 

その後、家にあった呼吸法の書物、剣術についての書物を読み漁った。そして2人はひたすら修行をした。

 

自分たちのような境遇の子を生み出さないようにするために。

 

兄は物覚えが良く、また、剣術の才能があった。そのため、一家に伝わる呼吸法と全集中の呼吸、更には全集中の呼吸・常中までをも身につけ、藤襲山へと向かった。そして難なく最終選別を突破した。

 

一方妹は才能が無かった。なのでなかなか全集中の呼吸を習得出来ない。しかし、諦めることはなかった。だが、兄が最終選別を突破したことで徐々に焦りが出ていたからだろうか、兄が任務に行っている時に過労で倒れてしまった。

 

兄は帰ってきた時、呆然とした。ただ1人の家族が倒れていたのだ。介抱したことで何とか命に別状はなかったものの、以降、妹には刀を握ることを禁じた。

 

その代わり、彼女には家事を頑張ってもらった。鬼殺隊という仕事は家を開けることが多いので、1人にすることもあるが、なるべく一緒にいるように心がけた。そして全力で甘やかしつつ彼女が刀を握らないように見張った。

 

その結果………

 

 

「俺の妹はとんでもないブラコンになった。」




ちょくちょく細部の変更をします

オリキャラ7人、槇寿郎さんと悲鳴嶼さんの設定を追加しました


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本編
蝶との出会い


なんとか4000字…
このくらいの文字数で続けていく予定ですがネタ次第で減ったり増えたり減ったり減ったりすると思います!減る方が多いです多分!


少年はひたすら黙って夜道を走っていた。屋敷の近所に鬼が出たと言う。

 

「くそ!柱合会議の帰りでこれかよ!ほんとに多いな鬼!さっさと滅びろよ!」

 

訂正、鬼への愚痴を零しながら。こんな物騒なことを言うのはなぜか。

 

鬼が悪だから?存在してはいけないものだから?人に対して害でしかないから?

 

様々な理由があるが彼にとっては少し違う。鬼に対してではなく、亡くなっていく人に対しての無力感からだ。彼はいつも救えない命に対して責任を感じているのだ。

 

「間に合えよ俺の足!死人の顔とそれに悲しむ顔は見たくねぇ!頼む!」

 

ようやくたどり着いた時、鬼が2人の少女を食べようとしていた。近くからは鉄のような匂いが充満している。

 

「くそっ!少し遅かったか!」

 

そう言って、鬼の頸を刎ねる。

 

 

 

カナエside

 

 

私は恐怖した。異形の存在に。

 

いきなり現れたそれは両親を食い殺した。

 

私は妹と共に一心不乱に逃げた。

 

だが、鬼は速かった。

 

すぐに追いついて私達の正面に立った。

 

終わった。すぐに私達も行くからね。

 

両親に心の中で告げて目を瞑った。

 

だがいつまで経っても攻撃が来ない。

 

そして私が目を開けた時、肩から下のみになった異形と血の付いた刀を持った少年が立っていた。

 

 

 

煌之介side

 

 

今回の鬼は弱かった。と言っても一般人からすればそんなことは無いが。

 

だが血気術を使ってこなかったし鬼になったばかりだったんだろうな。

 

なんて考えてると2人の少女がじっとこちらを見ていた。一応声を掛けてみるか。

 

「お前ら、無事か?」

 

「はい、怪我はないです」

 

姉と思われる方が答えた。

 

「なら、良かっt「良くないわよ!父さんと母さんが殺されたのに!気軽に良かったなんて言わないで!」っ!…すまない。2人の気も知らずに。気に触ったのならいくらでも謝る」

 

妹と思われる方に噛み付かれた。狂犬みたいだな。今もめちゃくちゃ睨んでる。

 

「しのぶ、助けてもらってその言い方はダメよ」

 

「でも…」

 

「いいんだ。俺は言われ慣れてる。どれだけ罵ってくれても構わない。君達の親を死なせてしまったのは俺の力不足のせいだ。」

 

「っ!この“人殺し”!」

 

「しのぶ!」

 

頬を叩く乾いた音が響く。

 

「それ以上はお姉ちゃんが許さないわよ!この方に謝りなさい!」

 

「っ!…ごめんなさい…」

 

姉に気圧されたらしく素直に(目を逸らしながら)謝ってくれる。

 

「いいんだ。君の気持ちは痛いほど分かる。俺も君達と同じような境遇だから」

 

そう言って妹の方の頭を撫で…ようとしたら手を弾かれた。これは姉も苦笑い。まぁこれは俺が悪いな。うん。とりあえず(誤魔化すために)自己紹介しとくか。

 

「俺は天宮煌之介。鬼殺隊の虹柱だ。今日就任したばかりだがな」

 

「…鬼殺隊?虹柱?」

 

姉の方が何言ってるのか分からないと言わんばかりに首を傾げる。

 

「あぁ、説明しないと分からないよな」

 

俺は姉妹にこの世に鬼が存在していること、人を鬼に変える鬼舞辻無惨のこと、そして、それらを滅するための政府非公認の鬼殺隊の存在について話した。

 

「そうだったんですね。私は胡蝶カナエです。こっちで拗ねてるのは妹のしのぶ。あと、遅くなってしまったけど助けてくれてありがとうございました」

 

「改めて、鬼殺隊 虹柱の天宮煌之介だ。敬語は要らない。歳はそんな変わらないだろう?それに敬語を使われるような大した人間では無いからな」

 

「そうなの?分かったわ」

 

「さてお前ら、行く宛はあるのか?」

 

「…これからは日銭を稼いで生活していくわ」

 

カナエが苦々しい顔で答える。うちに人手が必要だったしこいつらに頼んでみるか?

 

「…そうか。じゃあお前らにとっておきの仕事があるんだ」

 

「え?」

 

「とある兄妹がな、屋敷を貰ったんだがそこは2人で暮らすには少し広すぎて困ってるんだ。そこで医療の勉強をして鬼殺隊士用の医療施設にしようとしてるんだが兄は鬼殺隊士だから妹1人しかいなくて人手が足りないんだ。そこで医者をやらないか?もちろん住み込みだし合わなければいつでも辞めてくれて構わない。3食付いて給金もたんまり出る。休日もちゃんと与える。どうだ?」

 

「やります!是非やらせてください!」

 

しのぶの方が食い気味に答える。カナエも頷いている。

 

「そうか。じゃあ近いし早速家に行くぞ」

 

そう言って2人を担いだ。

 

「歩けますけど!」

 

しのぶは言うが

 

「悪いが俺が早く帰りたいんだ」

 

そう言ってひたすら走る。そしてあっという間に屋敷に着いた。

 

「ここだ」

 

そう言って扉を開ける。

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさい兄さん!ご飯にしますか?お風呂にしますか?それとも琥珀にしますか?そうしましょう。琥珀にしましょう。きっとそれが最善だと神様も言っています!そうと決まれば布団へ行きましょう!…っと、その方達は?」

 

一瞬で態度を変えてカナエ達について聞いてくる。2人とも琥珀の態度の変わりようにかなり驚いているようだ。

 

「カナエとしのぶだ。鬼から助けた。とりあえず行く宛も無いようだったから住み込みで医療の勉強をさせることにしたんだ」

 

「そうでしたか。私は妹の琥珀です。どうぞ上がってください。ちょうど人手が足りなくて困っていたところなんですよ」

 

「ありがとう。私は胡蝶カナエ。こっちは妹のしのぶよ。これからよろしくね。ほら、しのぶも挨拶なさい」

 

「胡蝶しのぶです。よろしくお願いします」

 

かなりぶっきらぼうに挨拶をするしのぶ。これはなかなか手強いな…

 

 

 

しのぶside

 

 

速すぎて怖かったけどいつの間にか着いていたらしい。てか屋敷広!。

 

この広い屋敷の主人は誰かと思ったら天宮さんだそうだ。

 

はぁ、私も姉さんも医者になりたいと思ってたから来たけどこんなやつと一緒に暮らすの?耐えられなかったら即出ていってやる!それと姉さんに何かしたら絶対に許さないんだから!

 

なんて睨みを効かせてたら天宮さんの妹が出てきた。てかこの妹やばい。天宮さんのこと好きすぎでしょ。この男のどこがいいんだろうか…

 

はぁ…これからの事を考えると憂鬱だ…

 

 

 

煌之介side

 

 

「腹減ってないか?」

 

2人に聞いてみる。カナエは苦笑して頷いているがしのぶはそっぽを向いた。しのぶのその態度に琥珀は異を唱える。

 

「兄さんが飯食わせてくれるって言ってんのにその態度はなんです?兄さんのこと舐めてるんですか?」

 

「落ち着け琥珀。しのぶも疲れてるんだろう。だから食べれたらでいい。もし無理なら何か食べやすいお粥でもおにぎりでも作ろう」

 

「…食べれます」

 

しのぶはかなり渋って答えた。多分腹は減ってるんだろう。

 

「はぁ…兄さんは優しいですね。こんな失礼な人には道端の雑草でも食べさせればいいのに。まぁ兄さんのそんな所も素敵なんですけれど!」

 

琥珀も何とか許してくれた。かなり刺々しい言葉が聞こえた気がするけどまぁ気のせいかな。

 

「分かった。じゃあすぐ作るから待っててくれ」

 

「あ、私も兄さんのお手伝いをします!」

 

「大丈夫だ。そんな手のかかるものは作らないから。琥珀は2人と親睦を深めてくれ」

 

琥珀は早くしのぶと仲良くなって欲しい。喧嘩とかされても止めれる気がしないしな。いや、琥珀は止まるか。でもこの調子だとほんとにいつか喧嘩しそうだな。カナエにも相談して何とかしないと…

 

 

 

カナエside

 

 

どうやら煌之介くんがご飯を作ってくれるらしいわ。

 

お腹は空いてるからとても助かるけれどしのぶはかなり渋ってたわね。

 

それに琥珀ちゃんとかなり険悪な雰囲気になってたからお姉ちゃん心配だわ。これは早く煌之介くんと相談して何とかしないとね。私が1番年長なんだから!

 

軽やかにリズムを奏でる包丁の音を背景に打開策を考えてるととてもいい匂いがしてきたわ!煌之介くん相当料理上手ね。完成が待ち遠しいわ!

 

 

 

しのぶside

 

 

はぁ…

 

ほんとになんなんだろうあの人は。

 

お節介というか何というか。まぁ、助けてもらってそんなこと思うのは失礼だしやめておこう。

 

それよりも彼の妹が怖いんですけど。ずっとこっちを睨んでる。

 

なんて恐怖しているとお腹が空いてきた。そしてそれを待ってましたと言わんばかりに鼻腔をくすぐる美味しそうな匂い。

 

くっ!天宮さん!あなたの料理には屈するしかないようね。おとなしく(楽しみに)料理を待つとしましょう。ええ、食材に罪はありません。美味しく味わっていただきますとも。

 

 

2人が空腹と戦っている事なんて露知らずひたすら料理を続ける煌之介。彼の料理が出来るまで2人が必死にキャラを保とうとしていたのは作者も知らない。

 

 

 

琥珀side

ふふん。どうやらこの姉妹は兄さんの作ってる料理に心を奪われかけてるようね!

 

それもそうね。だって兄さんの料理は天下一品ですもの。その辺のお店で食べるものより美味しいに決まってるわ。

 

まぁ私は兄さんの出す料理ならたとえ生肉だろうと雑草だろうと完食してみせるんですけどね!!

 

煌之介side

 

 

もうすぐ料理が出来る。今作っているのはオムライスというハイカラな洋食だ。

 

家庭ではあまり見かけないかもしれないが、簡単に作れてとても美味しいので俺も琥珀もとても気に入っている料理だ。

 

さて、これを食べた時の彼女らの反応が楽しみだ!

 

なんて考えながら調理していたらあとはケチャップと呼ばれる調味料をかけるだけになった。

 

そこに器用にケチャップでそれぞれのデフォルメされた似顔絵を描く。しかも無駄に上手い。

 

「出来たぞー」

 

そう言いながら人数分の料理が乗ったお盆を持って行く。

 

「美味しそうね!見たことないけどなんて言う料理なの?」

 

「これはオムライスっていう料理だ。ケチャップっていう調味料と具を混ぜて炒めたご飯を卵で包んだ料理だ。そして仕上げのケチャップで描いたお前たちの似顔絵は俺の最高傑作だぜ!」

 

わぁっと感激しているカナエと必死に涎を我慢してオムライスを凝視するしのぶ。まぁ腹減ってるみたいだしこれ以上我慢させたら可哀想だよな。

 

「それじゃあ、みんな手を合わせて」

 

「「「「いただきます!」」」」

 

カナエは1口食べてすぐに

 

「美味しい!こんな美味しい料理を作れるなんて煌之介くんはすごいわね!」

 

と絶賛。

 

しのぶは怪しみながらも1口食べて

 

「っ!?」

 

一心不乱に食べ進める。

 

どうやら2人の口に合ったようだ。このまま仲良くなれるといいんだがなぁ。琥珀がどうもしのぶの方に敵意を向けているみたいだし早く何とかしたいところだ。




次かその次くらいの話でしのぶちゃんをデレさせてやります!


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お買い物

早めに出来たので出します!

原作前はなるべく早く飛ばし飛ばしで進めていきたい。けどオリ主と柱の一人一人との絡みが欲しい…悩む…

あ、今回短めです!次回は長めにしようと思います!


煌之介side

 

オムライス騒動から一夜明け更に日が落ち夕方…

 

任務を終わらせた後に2人の部屋の家具や衣服が必要だろうと思いカナエとしのぶを連れて街に繰り出した。

 

「とりあえず家具から見に行くかなぁ」

 

「煌之介くん、本当に買ってもらっていいの?安い買いものじゃないでしょ?」

 

「姉さん、天宮さんがいいって言ってるんだしこいつの財布を空っぽにしてやりましょ!」

 

「しのぶ…」

 

「気にしないでいいよカナエ。金はかなり稼いでるから。たとえ高級品だとしても2人分の家具と衣服買うだけじゃ俺の財布は空にならないよ。残念だったなしのぶ」

 

「くっ!絶対に泣きべそかきながら謝らせてやる!」

 

「フッフッフ、かかってきなさい」

 

「まぁ、2人とも仲良くなったの?お姉ちゃん嬉しいわ!私も仲良くしないとね!煌之介くんも私の事お姉ちゃんって呼んでみない?」

 

「カナエお姉ちゃん?」

 

「あらあら〜」

 

カナエはとても嬉しそうな顔をしている。

 

「ちょっと姉さん!こんなやつが私の兄になるなんて嫌よ!琥珀ちゃんが妹ならまだしもこいつはだめ!」

 

え?酷くない?

 

「しのぶ、そんなこと言ったら煌之介くんが可哀想よ。彼も私の弟になったんだから」

 

カナエはほんとに天使だなぁ。しのぶもこれくらい素直だったらなぁ

 

まぁ素直じゃないのもしのぶのいい所だと思うがな。

 

「はぁ、分かったわよ姉さん」

 

「っ!?しのぶが、素直、だと!?」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!?ほんっと失礼な人ですね!わ、私だって一応助けてくれたあなたには感謝してるんですよ!」

 

しのぶが、感謝?待って泣きそう…

 

「カ、カナエ!」

 

「えぇ、煌之介くん!」

 

「「しのぶ、超かわいい!」」

 

「っ!?」

 

あ、顔真っ赤になった。

 

 

しのぶside

 

 

もうっ!なんなんですかこの人は!姉さんも姉さんでふざけてるし!

 

本当に腹が立つ。けど、心の奥が暖かく感じるのは何故だろう。

 

この新しく始まる日常を受け入れているというのだろうか。

 

「しのぶ〜、ほら〜、お兄ちゃんって呼んでみ〜?ほらほら〜」

 

いや、考えすぎだ。こんなやつとの日常を私が認めているはずがない。

 

とりあえず考えるのをやめよう。今はこいつをぶん殴らないと。

 

「ほら〜しのぶ〜呼んでmぐはぁっ!?」

 

私の中に渦巻くこの気持ちはなんなんだろう。

 

 

煌之介side

 

そんなやり取りをしていると家具店に着いた。

 

「とりあえず必要な家具はなんだ?確かまだ布団しかなかったよな?箪笥と机、椅子は買うとして、壁掛け時計と本棚と照明器具もいるかな。机は2人の部屋に置く1つでいいとして、椅子は部屋に2つと食堂にも2つ買うか。」

 

「ちょ、ちょっと、そんなに買って大丈夫なの?」

 

「そうよ、無理しなくていいわ」

 

「問題ないって言ったろ?金は相当な額貯まってるんだよ。お前らの想像出来ないくらいには鬼殺隊で金稼いでるからな」

 

「鬼殺隊ってそんなに給料いいんですね。」

 

「まぁ常に死と隣り合わせだからな。それくらいじゃないと割に合わない。まぁ忙しすぎて使う暇もあまりないが…」

 

「なら私たちがしっかりと使ってあげますね!」

 

「ははは…まぁ全部使って生活出来ないようにするのはやめてくれよ。」

 

「私も流石にそこまで鬼じゃないですよ。生活費だけは残します。」

 

「お、おう。なら良かった。」

 

一通り買い物を済ませ夜も更けて来そうなので早めに服屋に向かおうとした時、

 

「カァー、煌之介ノ屋敷ニ上弦の鬼ガ現レタ!至急、向カエ!妹ガピンチダ!」

 

俺は2人を置いて全速力で駆け出した。

 

鬼というのは残酷な生き物だ。

 

せっかく掬いとれた命をいとも簡単に奪う。

 

「ハァ、ハァ、間に合えよ!」

 

屋敷に着いた時、血の匂いはしなかった。

 

 

琥珀side

 

 

兄さんが任務から帰ってきてすぐに2人を連れて買い物に行った。

 

琥珀は付いていかなかった。

 

なぜなら…

 

「兄さんが帰ってきた時に美味しい手料理でもてなして癒してあげるんだから!」

 

兄さんに美味しい料理を食べて貰いたかったからだ。

 

あの2人の歓迎会も含めているが、あくまで本命は兄さんの為だ。

 

なんて考えながら料理を作っていると不意に戸を叩く音がした。

 

「はーい!」

 

火を止めて玄関へ行く。

 

戸を開けるとそこには頭から血を被ったような風貌で虹色の瞳を持つ何かが立っていた。

 

人間じゃない。そう確信した時、何かが話しかけてきた。

 

「やぁ、かわいいね君。ここに住んでる人かな?名前教えてよ!」

 

なんてふざけた事を言っている。

 

「ひ、人に名前を聞く時は自分から名乗るのが礼儀よ?」

 

少し声が上ずりながらも答える。

 

「それは失敬!俺は童磨。君の名前はなんだい?」

 

「天宮琥珀」

 

「琥珀ちゃんかー。うん!名前もかわいい!そうだ!いい事思いついた!」

 

なんだろう、嫌な予感しかしない。多分この鬼はほかの鬼よりも圧倒的に強い。そんな鬼がまともな感性を持ってるとは思えない。

 

「ねぇ琥珀ちゃん?俺と一緒に生きない?俺の中で一生俺と共に過ごそうよ!うん、それがいい!」

 

「っ!?わた、しは兄さんと一緒に生きると決めているの!見ず知らずのあなたと一生を共にするなんてありえない!」

 

殺される覚悟で反抗する。こんな奴に食べられるくらいなら自害でもした方が良い。

 

「うーん、いい案だと思ったんだけどなぁ。じゃあ直接その兄さんに許可を取ろう!それなら文句ないでしょ?」

 

頭おかしいのかこいつ。私が全力で嫌悪しているのに気がついていない。本当に許可を出してもらえると思っているのだろうか。

 

とりあえず家にいる連絡用の鴉を飛ばして兄さんに知らせないと。

 

「私の兄さんは鬼殺隊で最強の柱。兄さんがそんな許可を出すはずがないでしょ!兄さんの手に掛かればあなたなんて殺されるのよ!」

 

「大丈夫!多分君のお兄さんじゃ俺は殺せないよ。それに許可を出さないなら俺がお兄さんを殺して勝手に許可を取るしね。」

 

こいつ、やばい。何とか兄さんが来るまでは時間を稼がないと!

 

「な、なんで私の所に来たの?他にもかわいい子はたくさんいると思うんだけど。」

 

「うん?急にどうしたの?あ!分かった!」

 

やばい!時間稼ぎに気づいた!?

 

「これから俺と添い遂げる為にお話をして仲良くなろうとしてくれてるんだね!いやぁ、その気になってくれて嬉しいなぁ!」

 

…良かった。気づかれてないみたい。兄さん…お願い、早く帰ってきて!

 

「君を見た時に俺ピンと来ちゃったんだよね!今までたくさんの女の子見てきたけどその中でも君が1番かわいいと思う!他の女の子よりも輝いている!だから君が欲しい!俺と一緒に暮らそうよ琥珀ちゃん!」

 

そう言って近づいて抱きしめてくる。

 

気持ち悪い…なんかこいつの体に吸収されてるみたい。

 

あぁ、兄さん、ごめんなさい。琥珀は先にお父さんとお母さんの所で兄さんの活躍を楽しみに見ながら待ってます。

 

兄さんがこっちに来た時にたくさんお話聞かせてください。

 

だからといって私が行ってすぐにはこちらに来ないでください。

 

あなたにはたくさんの人に囲まれて看取られて欲しいから。

 

だから、私たちの分まで幸せに生きてね。さようなら。

 

「にい、さ、ん」

 

「琥珀ちゃん、これからよろしくね。」




最新話で絶望したのでこちらも絶望させようと思いました。反省はしてません。

あと週1投稿から週に1回以上投稿にしようと思います。

通算UA600越え、お気に入り16件ありがとうございます!

誤字脱字の報告、感想などあればよろしくお願いします!


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家族

割と長めですがご都合主義的な展開になってしまいました。反省します。


煌之介side

 

 

屋敷に着いた。けれど誰もいない。

 

玄関に琥珀の髪飾りが落ちていた。

 

彼女と最後にどんな会話をしただろうか。

 

もう琥珀と二度と会話が出来ないのだろうか。

 

そう思うと鬼に対して、そして俺に対して怒りが湧いてくる。

 

「あぁぁぁあああああああぁぁぁっ!!鬼はまた、俺から家族を奪うのか!神様はまた、俺の家族を見殺しにしたのか!残されたたった1人の家族をも、俺から奪うのか!その上姿を拝ませてもくれねぇ!俺が何をしたって言うんだよ!何かしたのなら懺悔するよ!だからもう、俺に構わないでくれよ!ほんの些細な幸せをも俺から奪って楽しいのか!?俺は幸せになっちゃ駄目だって言うのか!ふざけるなぁァァァァ!!」

 

「煌之介くん…」

 

「天宮さん…」

 

カナエとしのぶが帰ってきた。

 

「…すまない、2人とも、今は頭を冷やしたいから1人にして欲しい。金は渡しとくから腹が減ったら適当に外で食ってくれ。」

 

涙と怒りを極力抑えて冷たい声で2人に言う。

 

2人は察したようで何か言いたそうにしながら部屋に戻って行った。

 

2人には申し訳ないと思う。

 

俺なんかが2人を引き取ってしまったから。

 

その証拠に、うちに連れてきてすぐにこれだ。

 

俺には2人を引き取る資格なんてなかったんだ。

 

2人の事はお館様に預けようか。

 

お館様は信用出来る。きっと2人の事も良くしてくれる。

 

それか悲鳴嶼さんもいいかもしれない。

 

彼は孤児を集めて暮らしていたらしいから。

 

他にも信用できる人はたくさんいる。

 

俺はどうすればいいのだろうか。

 

「琥珀…」

 

そう呟いて目の前が真っ暗になった。

 

 

カナエside

 

 

「そんな、琥珀ちゃんが…」

 

ものすごい速さで走って行った煌之介くんを追いかけて家に帰った時、煌之介くんの悲鳴のような叫び声が聞こえた。

 

鬼に琥珀ちゃんを殺されたらしい。

 

正直、どうすればいいのか分からない。

 

私は彼女と会話をしていないのだ。

 

ただ、彼の状況を見るに下手に喋りかけたりしない方がいいと思う。

 

なので私たちは彼が調子を戻すまで様子を見守ることにした。

 

煌之介くん、あなたは私たちに陽だまりをくれたの。

 

あなたは強い。だから乗り越えて、笑顔を取り戻して欲しい。

 

けれど私たちには見守る事しか出来ない。

 

どうかお願い、復讐に身を滅ぼされることにだけはならないで。

 

昨日までのあなたを待ってるから。

 

 

煌之介side

 

 

「ここはどこだ?」

 

しばらく自暴自棄に陥りぼーっとしているといつの間にか見たことない景色が広がっていた。

 

辺り一面彼岸花が咲き誇る花畑のようだ。

 

「綺麗だ。琥珀にも見せてやりたい。」

 

「兄さん!!」

 

「っ!琥珀か!?」

 

「兄さん!何してるんですか!早く現実に戻ってください!」

 

「…でも、あっちに俺の事待ってるやつなんてもういないだろ」

 

パシンっ!

 

「寝ぼけたことを言わないで!!兄さんの行動に救われた人はたくさんいる!」

 

「でも俺は大切な人を不幸にする。一緒にいるといつか不幸な目に合わせてしまう。俺にはもう家族もいない。俺が1人でいる方がきっと幸せになれるんだ。俺も、他人も」

 

「家族ならまだいる!!一緒に暮らしている人がまだいるでしょ!あの2人は兄さんが戻ることを信じて待ってる。だから、2人のところに行ってあげて」

 

「家族、なのかな。俺はまだ全然2人のことを知らない。それに、取り乱して2人に冷たくしてしまった。一瞬だけ彼女たちを引き取ったことを後悔した。誰かに託そうとまで考えてしまった。こんな俺に家族になる資格なんてあるのか?」

 

「まだ間に合うよ。2人とも兄さんのこと信じてる。早く戻ってあげて。取り返しがつかなくなる前に。そして新しい家族になってあげて。2人はきっとそれを望んでる」

 

「2人が…」

 

「兄さん、前を向いて。歩みを進めて。2人の居場所を作ってあげて。次に私と会うのは兄さんが死んだ時です。兄さんのこと、しっかり見守ってますから!」

 

「琥珀、こんな不甲斐ない俺の妹として生まれてきてくれてありがとう。俺は琥珀の分まで生き抜いてみせる。そして琥珀を食った鬼を必ずこの手で葬り去る。それだけは絶対に成し遂げてみせるから。しっかりと見ててくれ!」

 

「…あの鬼は頭から血を被ったような風貌で虹色の瞳に上弦の弐と刻んまれていました。兄さんが非常識的にすごく強いことは分かってます。ですがどうか無理はしないで、生きることを優先してください。カナエさんとしのぶさんの為に。」

 

「分かってる。カナエとしのぶは俺の家族だ。だから絶対に悲しませたりなんてしない。約束だ!」

 

「はい、約束です。破ったら地獄行きですよ?ではまた、ここで会いましょう。」

 

「ああ、またな!琥珀!何十年後か分からないけど俺は必ず会いに来るから!」

 

「えぇ、待ってます」

 

そう言うと琥珀は少しずつ透け、笑顔を残して消えた。

 

そして、意識の覚醒が近づいてきたのかだんだんと暗くなってきた。

 

ありがとう、琥珀。お前がいたから強くなれた。俺が必ず仇を取る。だから、待っててくれよ。

 

 

しのぶside

 

 

屋敷は誰かが住んでいるなんて考えられないくらいに静まり返っていた。

 

天宮さんは疲れたのか眠りについている。

 

深夜なので姉さんも眠っている。

 

私は眠れなかった。

 

あの叫びを聞いてしまうととても眠ることなんでできなかった。

 

もし彼が少しでも私たちを助けに来るのが遅れていたら私もああなっていたのかもしれないと思ったから。

 

天宮さんは琥珀ちゃんのことを『残されたたった1人の家族』と言った。

 

なら私たちは彼にとってなんなんだ?

 

家族じゃないのだろうか、ただの雇ってる従業員としか思ってないのだろうか。

 

別に私はそれで構わないだろうと思っていた。

 

ではなぜ心が痛むんだろう。

 

本当はわかってる。私は彼と家族になることを望んでいるんだ。彼に兄になって欲しいと思っているんだ。

 

もっと姉さんみたいに素直になりたいな。

 

 

煌之介side

 

 

目が覚めた。

 

どうやら俺はいつの間にか眠ってしまっていたらしい。

 

「あれ?」

 

手になにか感触がある…

 

「しのぶ?」

 

しのぶが俺の手を握ったまま眠っていた。

 

何か苦しそうな表情をしている。

 

空いた手でしのぶの頭を撫でてみる。

 

「っと、しのぶが目を覚ました時に何されるか分からんな」

 

しのぶの手を離し俺のベッドに寝かせる。

 

「しのぶは軽いな」

 

そう言い残して俺は台所に向かう。

 

頭に血が昇っていたとは言え2人にはほんとに申し訳ないことをした。

 

育ち盛りの子が飯を外で済ませるなんて良くないだろう。

 

うんと美味しい朝飯を作るとしよう。

 

献立は味噌汁、卵焼き、アジの干物、沢庵、ひじきの煮物、そしてホカホカのお米だ。

 

朝飯はこれに限ると思う。1日の元気の源となるのだからしっかりと栄養のバランスを取らないと。

 

割と早めに出来上がったので庭で素振りをすることにした。

 

最近は柱になったりで忙しくてあまりできていなかったので腕が鈍らないようにしないとな。

 

「…、997、998、999、1000!」

 

「お疲れ様。精が出るわね」

 

素振りを終えるとカナエがタオルと水を持ってきてくれていた。

 

「ありがとう。早起きだな。もしかして起こしてしまったか?」

 

「ううん。いつもこのくらいの時間に起きてるから。それに美味しそうな匂いもしてたし。」

 

「そうか」

 

気まずいなぁ。昨日はあんな態度取ってしまったから申し訳なさであんまり顔見て話せねぇや。

 

「そう言えばしのぶが見当たらなかったんだけどどこ行ったか知らない?」

 

「ああ、しのぶなら俺の部屋で寝かせてるよ。朝起きたらしのぶが手握っててくれたんだよ」

 

「あらまぁ、懐かれたのかしらね?」

 

「そうだったら嬉しいことこの上ないね。お兄ちゃんとしての面目が保てるよ」

 

「そう、私たちの家族になってくれる決心をしたのね?」

 

「ああ、カナエの弟として、しのぶの兄として生きていきたいと思った。琥珀が安心して成仏するために。そして何より2人の笑顔がある生活のために。…こんな俺でも家族として認めてくれるか?」

 

「もちろ「もちろんです!」…あらあら」

 

「しのぶ…」

 

「あなたには感謝しています。住むところを提供してくれていること、美味しい食事を作ってくれたこと、将来の夢の手助けをしてくれていること、そして何より命を助けてくれたこと。あの時は気が動転していてたくさん失礼なことを言ってしまいました。本当にごめんなさい。…兄さん。」

 

「ああ、俺たちは家族だ!カナエ、しのぶ!昨日はごめんな!俺も琥珀を失って気が動転していた。だから2人に冷たい態度を取ってしまった。本当にごめん!」

 

「…でも兄さんはなんでそんなすぐに立ち直れたんですか?」

 

「俺はもう孤独かと思った。けど夢の中で琥珀に叱られてまだ2人家族がいることに気付かされたんだ。本当に琥珀には頭が上がらない。」

 

「そうだったのね。琥珀ちゃんは私たちの仲を気づかせてくれた。本当にいい妹を持ったのね。煌之介くん。私のしのぶも負けてないけれどね!」

 

「カナエ、私たちのしのぶだろ?」

 

「うふふ、そうね」

 

「もう、2人とも!からかわないで!」

 

カナエとお互いに向き合って笑う。

 

しのぶは呆れながらもにっこりしている。

 

ああ、こんな幸せな日々が続けばいいのに。

 

いっそ鬼殺隊を辞め、鬼のことも忘れて2人とずっと一緒に楽しく暮らしたい。

 

だが現実に鬼は蔓延っている。

 

鬼を狩らなければ幸せなんて掴めない。

 

鬼舞辻無惨、お前が人を鬼にするせいでたくさんの人の幸せが失われている。俺は人から幸せを奪うお前を許さない。

 

お前の頸は俺が、俺たち鬼殺隊が必ず断ち切ってみせる!

 

震えながら待っていろよ、鬼舞辻無惨!!

 

だが今は幸せを噛み締める時間だ。少しくらい鬼殺隊のことを忘れてもバチは当たらないだろう。

 

「カナエ、しのぶ、一緒に朝ごはんを食べよう!」

 

「ええ」 「はい」

 

味噌汁を温め直してみんなで朝食を食べる。2人とも美味しそうに笑顔で食べてくれている。それが本当に嬉しい。

 

「2人には今日から本格的に医療の勉強をしてもらう。と言っても俺には知識がないから独学になってしまうが。医学と薬学の書は琥珀の部屋にあるから好きに使ってくれて構わない。それと他に必要なものがあれば随時報告してくれ。買ってくるから」

 

「分かったわ。私たちも鬼殺隊の役に立てるように頑張るわね!」

 

「兄さん、私たちがすぐに医者として働けるように頑張りますから。兄さんは安心して任務を頑張ってください。」

 

「任せた、だが流石に独学だと不安だし危ないからお館様に頼んで教師を雇ってもらうことにする。それでいいよな?」

 

「ええ、その方が心強いわ」

 

「是非お願いします」

 

お館様に手紙を書いて鴉に運んでもらう。

 

「じゃあ今日は任務で出なきゃいけないから留守を任せるよ。勉強を怠らないように。昼飯は作れるか?」

 

「ええ、私たちも家では手伝いをしていたからある程度は作れるわ」

 

「じゃあ保管している食料で適当に作って食べてくれ。どれだけ使ってくれても構わないから。晩はいつ帰るか分からないけど遅かったら自分たちで作ってくれ」

 

「分かったわ。くれぐれも気をつけてね」

 

「ああ、2人を残して死ぬわけにはいかないからな。意地でも帰ってくるさ」

 

「その言葉、信じていいんですよね?」

 

「もちろんだ!俺は柱だからな。他の隊士の前ではそんな簡単に死んでられねぇよ」

 

そう言って家を出る。

 

今日も鬼を狩るために。

 

人々の幸せと安寧を守るために




もしかして最終回!?こんなすぐ終わるの!?
残念ながらまだ終わりません。まだまだ妄想が続きますので。
俺の妄想力を舐めるなよォ!
そのイメージを言語化するのがムズいんですけどね!(白目)

一応これにて胡蝶姉妹編は終わりです。
次は多分派手派手な元忍のあの人が登場すると思いまする。
設定集を少し変更し、主人公の見た目などについてを追加しました。


お気に入り24件、通算UA1300越えありがとうございます!圧倒的感謝!


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感情死滅系少女

宇髄天元が出ると思ってました。でもカナヲ出したい欲に負けました。
文章量少なめです。多分次回もそんな長くないです。

あ、ドッカンバトルでLRベジット引いたのとバンドリのイベラン上げのためしばらく投稿頻度下がりそうです。遊びまくるので。


煌之介side

 

 

俺と胡蝶姉妹が家族になって2年が過ぎた。

 

2人とも知識をしっかりと身につけ現在は医者として十分働けるようになった。

 

俺の屋敷を蝶屋敷と名付け鬼殺隊の医療施設として十分な役割を果たしている。

 

だがまだ人手が足りない。人員募集中だ。

 

隠の人が手伝ってくれてはいるが彼らにも自分たちの仕事があるのでいつまでも頼ってはいられない。非常に困った。

 

なんて考え事をしながら巡回している。

 

真面目にやれって言っても鬼いないし。

 

基本的に俺の区域はあまり鬼が出ない。

 

まあ俺が狩りまくったからなんだけど。

 

だから警戒しているのか俺の区域に足を踏み入れる鬼はあまりいない。

 

まあ平和なのが1番だわな。

 

平和かなー…

 

平和だと良かったんだけどなー…

 

人攫いか?人売りか?

 

遠くに縄で手を縛った少女を引っ張るおっさんがいる。

 

「はぁ、脅威は鬼だけじゃないもんな。仕方ない、事情を聞くとしよう」

 

おっさんの元へ急ぐ。

 

「おっさん、その少女はどうした?攫ったのか?」

 

「あぁ?こいつは親に売られたんだ。だから俺がどうしようと勝手だろうが」

 

「いやいや、絵面が良くないだろ。なんで縛ってるんだ?」

 

「見て分かるだろ。蚤だらけで汚いからだよ。それに逃げられるかもしれねぇからな」

 

「はぁ、初めまして、俺は天宮煌之介だ。君の名前は?」

 

少女に尋ねる。

 

「……」

 

答えてくれない!悲しくなっちゃうよ!

 

「こいつに名前なんかねえよ。親が付けなかったからな」

 

相当劣悪な環境で育ったんだな。可哀想に。

 

「もういいだろ?離れろや。これ以上は金払ってもらうぞ」

 

それだ!

 

「おっさん、この子は言い値で買う。いくらだ?」

 

「あ?てめぇガキだろうが。金なんか持ってんのかよ?」

 

こいつめんどくさいなー。

 

「じゃあこれでいいだろ!!」

 

財布を投げつけて縄を奪い取り少女を抱える。

 

「おい!待ちやがれ!」

 

「じゃあなおっさん!俺の金、大事に使えよ!」

 

多分あの中には1ヶ月は遊んで暮らせるくらい金が入っている。

 

少女1人の値段よりは格段に安いだろうがあのおっさんにはちょうどいいくらいだろ。

 

カナエたちにどう言い訳しようかなー。

 

カナエは何とか説得できるだろうが問題はしのぶだ。

 

最近俺に対してやたら辛辣だ。反抗期ってやつかな。

 

「ま、少女の命には変えられないよな。」

 

少女を抱えてひたすら走る。

 

 

少女side

 

 

もう何もかもどうでもいい。

 

ある日突然プツンと音がしてからは何も感じなくなった。

 

他の兄弟は全員親の暴力で死んだ。

 

私は目が良かったので致命傷を見極めながら何とか生き延びていた。

 

悲しい、虚しい、苦しい、寂しい、そんな感情も次第に無くなっていった。

 

親に売られたときでさえ何も感じなかった。

 

でも彼は違った。

 

「君の名前は?」

 

話しかけられたとき、何だか嬉しかった。

 

抱えられたときは胸がドキドキした。

 

この人なら私をこの闇から救い出してくれる。

 

そう確信した。

 

 

煌之介side

 

 

少女を連れて屋敷に帰ってきたとき、カナエとしのぶにものすごく問い詰められた。

 

「人攫いですか!?何してるんですか兄さん!」

 

「いや、買ったんだって」

 

「煌之介くんは人身売買をしていたのね…じゃあ私たちも…」

 

「違うって!この子が売られそうになってたから金を払って安全なとこに置きたかったんだよ!」

 

「フフフ、冗談よ。煌之介くんがそんな事しないってことは私たちが1番分かってるわ」

 

「本当に心臓に悪い冗談だな!?」

 

心臓が飛び出るかと思ったわ!

 

「兄さんはシスコンですもんね。少女を連れてきて妹を増やすことは想定出来てました」

 

「嫌な想定だな!それに俺が好きなのは妹だけじゃないぞ。家族が好きだ」

 

勘違いされては困る。

 

「はぁ、本当に兄さんは仕方ない人です。で、この子の名前は何ですか?」

 

「あぁ、それが無いらしいんだよ。親が付けなかったんだとさ」

 

「そんなの酷いわ。そうだ!私たちが付けてあげればいいんだわ!」

 

「カナエにしてはいい提案だ」

 

「本当ですね。姉さんにしてはいいアイディアだと思いますよ」

 

「2人とも酷いわ!私のことをなんだと思ってるのよ!」

 

うーん、

 

「「頭があまりよろしくない」」

 

「もう怒ったんだから!しばらく2人とは口聞いてあげない!」

 

「だってさしのぶ。じゃあ俺たちは2人でカナエと口聞かないようにするか」

 

「そうですね兄さん。姉さんは口聞いてくれないようなので仕方ないですね」

 

しのぶとの完璧なコンビネーションプレイがカナエに炸裂する。

 

「ごめんなさい2人とも!私が悪かったわ!だから口聞かないなんて言わないで〜!」

 

なんてやり取りの後にみんなで笑い合う。

 

そんな中少女はずっと真顔で俺たちのやり取りを見ていた。

 

「それにしても笑わないですね、大丈夫なんですか、この子」

 

「まぁ、育った環境が相当劣悪だったみたいだからな。恐らく自分の感情とか全部殺してるんだろう。これは長い目で見ながら付き合っていかなきゃいけないな」

 

「そうね。でも大丈夫よ!この子はこんなに可愛いんだもの!」

 

「姉さんは楽観視しすぎですよ…」

 

「そういや名前、どうするんだ?」

 

「そうねぇ……カナヲ!栗花落カナヲなんてどうかしら!」

 

「いいじゃないか」

 

「姉さんにしてはまともで良かったです」

 

カナエにしてはまともな案を出して名前はカナヲに決まった。

 

「じゃあカナエ、カナヲを風呂に入れてやってくれ。汚れたまま放って置くのも可哀想だろ」

 

「わかったわ」

 

「しのぶは風呂から出た後のカナヲの怪我の治療を頼む」

 

「分かりました。兄さんは何をするんですか?まさか何もせずに待ってるなんて言わないですよね?」

 

「あぁ、俺は飯を作る。カナヲがうちに来た記念だ。うんと美味いもんを食わせてやりたいからな」

 

そう言って台所へと向かう。

 

何を作ろうか。

 

みんなで仲良く食べれる物…

 

そうだ、すき焼きにしよう。

 

きっとカナヲも喜んでくれるはずだ。

 

早速準備に取り掛かるとするか。

 

 

カナエside

 

 

あら、いい匂いがしてきたわ。

 

カナヲをお風呂に入れていると不意に美味しそうな匂いが漂い始めた。

 

煌之介くんったら、カナヲに美味しい料理を食べさせるために腕を振るってるわね!

 

「いい匂いがするでしょ?これは煌之介くんが作ってるのよ。煌之介くんの料理はすごく美味しいわ」

 

「私が、食べて、いい、の?」

 

カナヲが喋った!?

 

「えぇ、いいのよ!カナヲはもう私たちの家族なんだから!遠慮なんてしないでいっぱい食べていいのよ!」

 

そう言うとカナヲは俯きまた無言になる。

 

「フフ、ある程度洗い終わったわね。じゃあおめかししてしのぶのとこに行きましょうか」

 

しのぶの昔の服を着せてみる。

 

「似合ってるわね!髪も括りましょう」

 

サイドテールにしてみる。

 

「とっても可愛いわカナヲ!早速しのぶに見せに行きましょう!」

 

しのぶの驚く顔が楽しみだわ!




長くなりそうなのでカナヲ編2つに分けます。
次回は食卓を囲みますよ。

そしてその次こそ宇髄さん出したい。


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団欒

19巻買いました!実弥さんかっけー!!好き!!


しのぶside

 

 

兄さんが少女を連れてきた。

 

どうやら親に売られた子を人売りから(無理矢理)買い取ったらしい。

 

私は少し不安になった。

 

新しい妹が増えたことで私のことを放り出すのではないだろうか。

 

私のことを妹として扱ってくれなくなるのではないだろうか。

 

良くない想像が何度も頭をよぎる。

 

特に最近は素直になるのが恥ずかしくて冷たく当ってしまうから嫌われているかもしれない。

 

ううん、兄さんは優しいから多分気にしていない。

 

頭では分かっているはずなのだがやはり不安感が拭えない。

 

いっそ私も姉さんみたいにバk…天然だったら良かったのに…

 

「しのぶー、カナヲの治療おねがーい」

 

「分かりました姉さん。先に診察室へ行っていてください」

 

「りょうかーい!」

 

考えるのはやめて早く診察室に向かおう。

 

兄さんの料理のいい匂いもしてるから早く終わらせて食べたいな。

 

 

煌之介side

 

 

だいたい具材に火が通ってきたな。味もしっかり染みている。あとは3人を待つだけだな。

 

そう思っていると3人が入って来た。

 

「兄さん、治療も終わりましたよ。どうやら致命傷は避けていたみたいでそこまで酷い怪我は無かったです」

 

「そうか、カナヲが無事で良かったよ。それにしても可愛いな。似合ってるよ、カナヲ」

 

そう言ってカナヲの頭を撫でてみると一瞬不思議そうにこちらを見たがされるがままに大人しくしている。

 

「ずるいわ煌之介くん!私も撫でる!」

 

2人でカナヲを撫でる。何ともシュールな光景だ。

 

「しのぶもどうだ?」

 

「そうよ!しのぶもカナヲを撫でましょ!」

 

「もう!兄さんも姉さんもふざけてないで早くご飯にしましょうよ!カナヲもお腹すいてるでしょうし!」

 

「そうだな。カナヲ、一緒にご飯を食べようか。沢山あるから腹いっぱい食べてくれ」

 

みんなで食卓の席に着く。隣にカナヲを座らせ向かいの席にカナエとしのぶが座っている。

 

「今夜はカナヲが来たから記念にすき焼きを作った。肉も沢山あるからしっかり食べてくれ。カナヲも遠慮しなくていいからな」

 

カナヲはただ黙ってすき焼きを見つめていた。

 

「カナヲもこういう風に手を合わせて」

 

カナヲが俺をまじまじと見つめ同じように手を合わせる。

 

「「「いただきます!!」」」

 

2人が肉を取り合い始める。

 

「あ、姉さん!そのお肉は私が狙っていたんですけど!」

 

「残念だったわねしのぶ!早い者勝ちよ!」

 

「落ち着けお前ら。肉はまだまだあるんだから仲良く食べろ。飯はその方が美味いぞ」

 

このペースだとすぐに無くなりそうだな。早めに取っとかないと…

 

ふとカナヲに目をやると、

 

「…」

 

2人とすき焼きを交互に見ていた。

 

「カナヲ」

 

呼びかけるとこちらを見る。

 

「ほら、取り分けてやったから、しっかり食えよ」

 

カナヲにたっぷりと具を盛り付けた器を渡す。

 

「私が、こんなに食べて、いいの?」

 

「あぁ、好きなだけ食べればいい。カナヲはもう、俺たちの家族だからな!」

 

2人も頷いている。

 

一瞬だけカナヲの目に光が灯った気がする。

 

そしてカナヲはゆっくりと食べ始めた。

 

「美味いか?カナヲ。おかわりもまだまだあるからしっかり食べろよ」

 

カナヲは食べながらも頷いた。

 

俺も無くならない内に食べておこう。

 

出汁がしっかり染みていて美味い。うどんと合いそうだな。雑炊にしてもいいかもしれない。

 

まぁそれは後で考えるとして、今はこの団欒を楽しむとしよう。

 

「姉さん!またお肉ばかり取って!野菜も食べてくださいよ!私たちの食べるお肉が無くなります!」

 

「しのぶ、これは戦争よ。先にお肉を取った方が勝者なの。敗者は野菜を食べてなさい!」

 

「兄さん!姉さんをどうにかしてください!本当にお肉しか食べないし言及したらこんな言い訳ばかりするんです!もうお鍋の中に野菜と豆腐しか残ってません!」

 

「落ち着けしのぶ。まだ冷蔵庫に肉は沢山ある。無くなったら追加しよう。カナエ、主役のカナヲが全然肉を食べれてないんだから少しは野菜も食え!」

 

「はーい。カナヲ私のお肉分けて上げるわね。特別よ?煌之介くんもあまり食べれてないわよね?私のお肉あーんして食べさせてあげましょうか?」

 

「貰おうか(馬鹿野郎!そんなのに釣られると思うなよ!)」

 

本音と建前が反対になってしまった。参ったな。

 

「あらあら〜」

 

「兄さん、心の声が出てますよ。気持ち悪いので姉さんに色目使わないでくださいね」

 

「冗談だよしのぶ。そんな辛辣なこと言わないでくれ。心が痛む」

 

「そうよしのぶ。煌之介くんにそんなこと言ったら可哀想じゃない」

 

カナエ……天使かよ…

 

「姉さんは兄さんを甘やかしすぎです!兄さんもすぐに綺麗な女の人に騙されそうですから気をつけてください!」

 

しのぶ、精一杯毒を吐いてるように見えるが実際はただ俺の心配をしているだけ。可愛すぎかよ…

 

「何ニヤニヤしてるんですか兄さん!私は兄さんのしんぱ…コホン、兄さんの為ではなく私の為に言っているんですよ!兄さんが騙されてお金を失ったら私たちも困るんですからね!」

 

「ハハハ、可愛いしのぶの為に騙されないよう気をつけるよ。安心しろ、カナエやしのぶ、カナヲに匹敵するような美少女は多分世の中に存在しないだろうからな。そんな家族を持てて俺は幸せだよ」

 

「あらあら〜、嬉しいことを言ってくれるわね煌之介くん。私も煌之介くんに助けて貰った上に家族が増えて嬉しいわ!」

 

「な、何恥ずかしいこと言っているんですか。頭打ちましたか?」

 

「………」

 

三者三様の反応を示す。

 

俺も少し恥ずかしくなって熱くなる。

 

「あら、照れてるわね!可愛いわ!」

 

「自分で言ってて恥ずかしくなったんですか?おかしい人ですね」

 

「………」

 

「やめてくれお前ら、そんな微笑ましそうな目で見ないでくれ…カナヲまで……やめて、羞恥心で死にそう」

 

穴があったら入りたい…

 

ってカナヲまで!?感情戻ったの!?いや、気のせいか。一瞬だけ微笑んでた気がしたけど違ったか?

 

とりあえず落ち着け、俺。平静を保て。

 

「はぁ、別に恥ずかしがってない。今言ったこと全て真実だし、お前らのことは全力で幸せにするって約束するよ。その為に今は肉を焼くとしよう。じゃんじゃん食べろ!」

 

「わーい。煌之介くん、ありがとう!」

 

「カナエ止まれ。それはまだ焼けてない。」

 

「姉さん!もうお肉は取らないでください!さっきいっぱい食べてたでしょう!私たちがお肉食べてるのを見ながら野菜を食べててください!」

 

「しのぶ、これは戦争よ。勝者が肉を食べられるの。敗者が食べられるのは野菜だけよ」

 

「さっきと同じことを言わないでください!兄さん!姉さんを止めて!私がみんなにお肉を取り分けますから!」

 

「あいあいさー!」

 

カナエを羽交い締めにする。

 

「やめて煌之介くん!これじゃあ私が幸せになれないわ!約束をやぶるの!?」

 

「くっ、それを盾にされると何も出来ないな!仕方ない、カナヲ、行け!」

 

「カ、カナヲ?どうしたの?お姉ちゃんに近づいても何も無いわよ?ちょ、やめて!離して!お願い!私にはお肉を食べる使命があるの!それを果たさないといけないのよ!」

 

「………」

 

カナエを無言で羽交い締めにするカナヲ。これ面白いな。

 

さて今のうちに肉を…

 

「あ、兄さん、分けましたよ!」

 

そこには半分以上の肉を自身の器に盛り付けたしのぶの姿があった。

 

俺とカナヲの器には少量の肉と野菜、カナエの器には山盛りの野菜が入っていた。

 

……敵はここにもいたか。仕方ない、この手は打ちたくなかったんだが…

 

「はぁ、具材無くなったな」

 

そう言って鍋を台所に持っていく。

 

そしてしばらくして2つの器を持ってくる。

 

勝ち誇っていたしのぶとカナエの顔が凍った。

 

「カナヲ、あんまり食べれてないだろ?鍋焼きうどんを作ったんだ。食べてくれ」

 

カナヲは2人を見て少し申し訳なさそうにしながら食べているように見える。

 

さて、俺も食うか。

 

「兄さん、ずるいです!私たちにもくださいよ!」

 

「そうよ!カナヲばっかり贔屓しすぎじゃないかしら!」

 

「お前らのせいでカナヲが全然食えなかっただろうが。だからこれは公平な処置だ。カナヲ、こいつらのことは気にせず食えばいい。可哀想だなんて思うな」

 

「カナヲの分は分かりました。では兄さんのをください。姉さんと分けますから」

 

「俺はカナヲよりも食べてないんだよ!主にお前らの喧嘩を止めてたせいでな!俺にもこのうどんを食べる権利はある!だいたい、お前らもう腹いっぱいだろ?もう食べれないんじゃないか?」

 

そう言って俺も容赦なく食べる。

 

その光景を2人は終始無言で、恨めしそうに見ていた。




結構先まで構想は出来てるんですけどもそれを文章にする文才がなくて…
投稿はかなり遅くなりますけれども暫くは執筆を続けていくつもりです。
それとリメイク前の物を削除させて頂こうと思います。もはや何もかもが違う作品となってしまっているので。

通算UA2400、お気に入り39件感謝です!
感想、批判、誤字報告等あれば容赦なく書き込んでください。


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派手な男

19巻でカナエさんの年齢がどうやらしのぶさんと3歳差、つまりオリ主の1つ上だったことが判明したので変更しようかと思います。


煌之介side

 

 

カナヲが来てから1年ほど経った。

 

あれから蝶屋敷のメンバーも増え、賑やかに過ごしている。

 

神崎アオイ

 

彼女は最終選別は突破したものの、恐怖心で最初の任務に行けなかったらしい。

 

最初こそ落ち込んでいて俺と目が合う度に気まずそうな顔をしていたが今ではしっかりと蝶屋敷の機能回復訓練の湯のみと鬼ごっこの担当と看護師の指揮を担うようになっている。

 

アオイは俺が鍛えているのでそこらの隊士では勝てない。具体的には階級“庚”の隊士くらいには強い。が、本人は気づいていない。

 

寺内きよ、中原すみ、高田なほ

 

彼女たちは全員親が鬼に殺されて1人になっていた所を保護した。

 

3人は同い年なのですぐうちとけて仲良くなった。

 

今では看護師兼機能回復訓練の体ほぐし担当として働いてもらっている。

 

舐めた態度を取る者には徹底的に痛めつけて良いと言い聞かせたので3人を見て罵倒すると痛い目を見ることになる。

 

カナヲは未だ感情は薄いものの、時折見せてくれる表情の変化はある。

 

家事も看護もあまり得意では無いようで自分に出来ることを模索しているように見える。

 

しっかりと自分の道を見つけて欲しいと思う。

 

カナエとしのぶは医者としてしっかりと隊士の傷を心身共に癒している。

 

最近では薬の調合にハマっているらしく様々な薬を試させられる。

 

稀に致死性はないが毒も混ざっているので少し毒の耐性が出来てしまったのは内緒だ。

 

2人とも可愛いのでいやらしい目で見る奴も多いがそいつにはしっかりと睨みをきかせる。

 

さすがに柱の睨みには勝てないようで諦めてとぼとぼ帰っていく隊士の姿が蝶屋敷ではよく見られる。

 

お前は何してんだよ!と思うかもしれない。

 

特に変わらず任務と巡回を行っております。

 

お館様曰く、厳しい任務の多い柱の中で3年続けられる者は多くないらしい。

 

そしてこれから甲の隊士との合同任務だ。

 

俺は合同任務の時はいつもお土産にお菓子を作って持って行く。

 

階級が下の隊士は遠慮して受け取ろうとしてくれないが無理矢理口の中にねじ込む。

 

すると箍が外れたかのように食べ出す。最初からそうしてればいいものを。

 

今日はきびだんごをつくって持ってきた。他意はない。お供にしようとかそういう魂胆などない。

 

待ち合わせ場所に着いた時、すごく派手な装飾を身にまとって袖無しの隊服を着た男がいた。

 

「よお、あんたが虹柱さんか?」

 

「あぁ。俺は虹柱、天宮煌之介だ。お前が甲隊士、宇髄天元だな?」

 

「そうだ。それにしても地味だなぁ。虹柱っつーから派手な奴が来ると思ってたんだが。素材がいいのに勿体ないぞ?」

 

めっちゃ失礼な奴だった。

 

「余計なお世話だ。お前が派手な生き方をするように、俺には俺の生き方があるんだよ」

 

「それもそうだな。悪かった」

 

「謝る必要はない。これ、良かったら食ってみてくれ。俺が作ったんだ」

 

「菓子作んのかよ!やっぱ地味だな!お前!」

 

「うるせぇ!いいから食え!!そして菓子職人に謝れ!」

 

無理矢理口にねじ込む。

 

「う、うめぇぇぇ!なんだこれ!?派手にうめぇじゃねぇか!やるな、お前!」

 

「口に合って良かったよ。あとさっきから思ってたけどお前って言うな」

 

「悪かったな、天宮。それとこれを嫁に食わせたいんだが持って帰っていいか?」

 

「あぁ、構わないよ。なんなら屋敷に余りが沢山あると思うから帰りに寄ってくか?そんな多く持ってきて無いからな」

 

「おう、そうさせてもらうぜ。嫁、3人いるからな。さすがに奪い合いになるかもと思ってたんだ」

 

「へぇー」

 

嫁いるんだ。3人。ん?3人?嫁が?

 

「どぅぇぇぇぇぇ!?多くない!?日本はいつから一夫多妻制になったんだよ!?まさか都会では普通なのか!?」

 

「うるせぇな。別にいいだろ。派手に生きるには法なんて関係ねぇんだよ。それに元忍だから一夫多妻が普通だ」

 

「はぁ。ま、3人とも同意してるなら俺から言えることなんてないな」

 

「俺は神だからな。口出しはさせねぇよ」

 

「へぇ、何の神なんだよ?」

 

冗談半分で聞いてみる。

 

「いい質問だな。俺は派手を司る神…祭りの神だ!」

 

「なるほど」

 

よく分からん。話を逸らそう。

 

「あー、今回は十二鬼月がいる可能性がある任務だ。どんな血気術が使われるかわからないが死に至る可能性は十分にある。宇髄、死ぬ覚悟はしとけよ」

 

「おう、鬼殺隊に入った時点で死ぬ覚悟は出来てるがな」

 

「それもそうだ。…じゃあ早速任務に取り掛かるとしよう。俺は東の方から聞き込みをする。宇髄は西の方を頼む。終わり次第ここで合流して聞いた話をまとめよう」

 

「了解だ」

 

そう言って宇髄と別れ聞き込みを開始する。

 

村では刀を隠しておかないといけないから少し面倒だ。

 

そんな愚痴を心に溜め込みながらも聞き込みをしているとある程度情報が固まってきた。

 

どうやらこの村では1日に1人、生贄を捧げているらしい。

 

そうしないと鬼に襲われるそうだ。

 

もう8人の人が生贄にされたらしい。

 

だからなのかこの村には生気がない。人々がまるで死人のように過ごしている。

 

「クソ、鬼は生贄として人を食らっているのか。何とも鬼らしい卑劣なやり方だ。本当に腹が立つな…」

 

村長に自分が鬼狩りであることを話し、今日は俺が生贄として向かうと言っておいた。

 

これでこの村の負の連鎖を断ち切れるといいのだが…

 

宇髄と合流しこの話をする。どうやらあちらも同じような話だったらしい。

 

「ま、鬼の頸は俺が派手に刻んでやる。天宮の手は煩わせねぇよ」

 

宇髄はやる気満々のようだ。

 

「分かった。だが十二鬼月だったら話は別だ。あいつらを舐めてかかって行くと必ず死ぬ。そうでなくとも十二鬼月に近しい力を持つ鬼の場合、俺も手を出すからな」

 

「分かってる。だが十二鬼月なんてそうそういねぇだろ?」

 

「いや、なったばかりの下弦なら割と会うぞ。去年だけで4体は狩った」

 

「3ヶ月に1体狩ってるじゃねぇか!そんなにいるのか!?」

 

「結構頻繁に補充されてるっぽい。今まで狩った下弦のほとんどは伍か陸だった。とは言え十二鬼月に選ばれるくらいだから厄介な血気術は持っていた」

 

「まじか……極力注意するとしよう。」

 

「あぁ、宇髄の今の階級は甲だから十二鬼月を狩ったら柱候補になる。だから期待している」

 

「俺の実力も見ずに期待してくれんのか?」

 

「その足運びや鍛え抜かれた肉体を見れば宇髄がかなりの実力者だって分かるよ」

 

「現役の柱にそんな評価して貰えるとは嬉しいねぇ。これは期待に応えねぇとな!」

 

「村長が言ってたんだけど、この村には温泉があるらしい。そこで気合いを入れるとしよう」

 

「まじか!それはありがたいねぇ!この村に来るまでに結構汗かいたんだよ!」

 

「無駄に山奥にあるからな」

 

「じゃあ早速行こうぜ天宮!」

 

俺たちは山奥にある秘湯へと向かった。

 

「いやーすげぇいい湯だなぁ。今度嫁たちと来ることにしよう」

 

「それにしても宇髄、髪下ろした方がイケメンじゃね?」

 

「何言ってんだ?こんな地味な格好で街を歩けるかっての」

 

「いやいや、十分派手だし。それに宇髄みたいな派手な装飾付けまくってる奴そうそういないぞ。少なくとも俺は見たことがない」

 

「ま、そうだろうな。俺が世界で1番派手に決まってるだろ」

 

「ああ。俺の見てきた中では宇髄が1番派手だな。柱も結構個性的なメンバーが多いが宇髄ほど目立つやつはいない」

 

「もっと褒めろ!それにしても天宮、お前結構着痩せするタイプなんだな。かなり派手な筋肉じゃねぇか。もっと全面に押し出せよ」

 

「そう言われてもなー…肌出すのあんまり好きじゃないんだよ」

 

「女々しい奴だな。そっちの気があるのか?」

 

「ばーか。そんな訳ねぇだろ。今でもかわいいかわいい姉妹たちのことばっか考えてるよ」

 

「シスコンかよ!近親相姦はやめとけよ?」

 

「そういうやつじゃねぇよ。家族愛だ。それに全員拾ってきた子たちだから万が一があっても問題は無い……はず…」

 

「はぁ…お前もいろいろあったんだな。あと、決めるなら早く決めろよ。こういう職業だ。いつ死ぬかわかんねぇからな」

 

「あぁ……そう、だな」

 

そこからお互い無言になる。

 

死、か……

 

俺が死んだら蝶屋敷の皆が悲しむだろう。

きっと琥珀にもすごく怒られる。

 

だから、まだ死ねないよな。

 

何があっても死ぬ訳にはいかない。皆のために。

 

「そろそろ上がって迎え撃つ準備するか」

 

宇髄が切り出した。

 

「そうだな。そろそろ鬼が生贄を取りにやって来る時間だ」

 

さて、今宵も鬼を狩るとしよう。




次回は遂に初の戦闘描写です。なるべく頑張りまする。

あと他のオリジナル柱や〇寿郎さんについての補足も設定集に追加しようと思います。


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恨み

戦闘描写頑張ったけど自信ないなぁ…


煌之介side

 

 

村の方を宇髄に任せ、俺は鬼が生贄を取りに来るという祠の前に来て鬼を待っていた。

 

「鬼狩り殿、本当に大丈夫ですかな?」

 

「村長……安心してください。この村の悪鬼は必ず滅殺してみせます」

 

っ!鬼の気配!?

 

「村長!急いで村に下りて宇髄を呼んできてくれ!」

 

下から上昇してくる鬼の気配に咄嗟に反応しその場から飛び退く。

 

そして俺のいた場所には爪を突き立てた鬼が立っていた。瞳には下陸と刻まれている。村長は走って逃げている。

 

「俺の爪を躱したのはお前が初めてだぜェ。お前、柱かァ?」

 

「下弦の陸か…」

 

「そうさ!お前はこの村での9人目の生贄となる鬼狩りだぜェ。村にいるもう1人は10人目だァ!」

 

「この村ではってことはほかの村でも生贄として隊士を食ってるんだな?」

 

「ケケケケケ……鬼狩りだけだと腹減るし栄養も偏るからよォ。移動する度に村の奴らも全員食ってんだよなァ。あんま美味しくねェし肉も少ねェけどよォ、空腹なら仕方ねェよなァ!今まで村人と隊士合わせて150は食ったぜェ」

 

「もういい。お前はさっさと殺す」

 

『虹の呼吸 弐ノ型 一騎橙閃』

 

一瞬で頸を切ろうと迫る。

 

『ー血気術ー 恨盾』

 

「ケケケケケ…俺の血気術は厄介だぜェ。俺に恨みを抱いて死んでいった奴の魂を武器に出来るんだァ。しかも恨みが強いほど硬く鋭くなるぜェ」

 

なんて鬼にとって有利な能力だ…鬼に殺されて恨みを抱かない人なんて普通はいない。死してまで鬼に弄ばれるとは…酷すぎる…

 

「どこまで死人を冒涜すれば気が済むんだ!安らかに眠らせてやれ!」

 

「いやだねェ!」

 

『ー血気術ー 恨爪』

 

「くっ!」

 

『虹の呼吸 陸ノ型 大伽藍 三連』

 

なんとか防ぐが、

 

『ー血気術ー 恨矛』

 

技を出し切った後の隙を狙って矛のような形の魂を打ち出してくる。

 

(っ!油断した!まずい!)

 

『音の呼吸 肆ノ型 響斬無間』

 

「ったく、柱のくせに情けねぇな」

 

ギリギリの所で宇髄が駆けつけてくれた。

 

「少し怒りで心を乱してしまっていた。助かった。感謝する」

 

「ケケケケケ……お前がもう1人の鬼狩りだなァ。見たところ柱では無さそうだが大丈夫かァ?今しがた柱が手こずってたのを見たろォ?大人しく恨みを抱いて殺されなァ!」

 

『-血気術- 恨魂・乱舞』

 

殺された人の魂が凄い速さで俺たちの周りを縦横無尽に飛び交う。

 

「これは当たったらまずそうだな」

 

「回避に専念するかァ?させねェけどなァ」

 

『ー血気術ー 恨爪』

 

冷静になって観察してると大して脅威でも無いように感じる。

 

見える斬撃なんて飛んで来ても怖くない。

 

飛んで来た爪を躱す。

 

『音の呼吸 伍ノ型 鳴弦奏々』

 

「なんか思いついたか、天宮」

 

宇髄が飛び交う魂を切り飛ばしながら近づいてくる。

 

「いや、冷静になると大した脅威に感じなくなってきた」

 

「ケケケケケ……何強がり言ってんだァ?為す術ないんだろォ?強がるなァ!」

 

「うるさいな。お前こそ人の魂に頼らなきゃろくに攻撃も出来ない雑魚じゃないか」

 

「ケケケケケ…挑発には乗らねェぜェ」

 

『ー血気術ー 恨爪』

 

めいっぱい酸素を取り込む。

 

『虹の呼吸 陸ノ型 大伽藍 三連』

 

「ケケケケケ…さっき同じことして死にかけただろォがァ!!」

 

『ー血気術ー 恨矛』

 

型が終わる前に咄嗟に呼吸を切り替える。

 

『虹の呼吸 肆ノ型 早緑月』

 

矛を弾く。

 

「何だとォ!?」

 

呼吸を切らさないようそのまま次の斬撃に繋げる。

 

『虹の呼吸 壱ノ型 小赤啄木鳥』

 

『ー血気術ー 恨盾』

 

俺の斬撃は防いだ。だが盾が奴の視界を塞ぐ。

 

「宇髄、今だ!」

 

「派手に任せろ!」

 

『音の呼吸 肆ノ型 響斬無間』

 

その瞬間、鬼の頸が飛んだ。

 

「やったか!」

 

おい、その言葉はダメだ。そう思った時、奴の体が膨れ上がった。

 

「宇髄、伏せろ!」

 

「よくも俺の頸を斬りやがったなァ!鬼狩りを食いまくって強くなってさっさと上弦に上がる予定だったってのによォ!許さねェ!俺の怨みでてめェらも道連れだァァ!」

 

『ー血気術ー 無限怨針』

 

奴の死体から大量の針が噴出される。

 

『音の呼吸 壱ノ型 轟』

 

『虹の呼吸 陸ノ型 大伽藍 十連』

 

「まずいな、斬っても斬ってもキリがない!2人だけだとさすがにジリ貧だ!」

 

「喋ってる暇なんてないぞ宇髄!死にたくなけりゃ死ぬ気で斬れ!」

 

その時、俺たちの周囲に花が舞った。

 

『花の呼吸 弐ノ型 御影梅』

 

「遅くなってごめんね。煌之介くん」

 

「来てくれただけありがたい、桜」

 

鴉で近くの柱を呼んで貰ったのだがどうやらかなり近くにいたらしい。

 

「君が甲隊士の宇髄天元君だね?私は花柱、島原桜。よろしくね」

 

「俺は宇髄天元。元忍だ!柱が来るとは心強いねぇ!」

 

「忍って実在したんだ!凄い!」

 

針を切り伏せながら雑談に興じる。

 

2人だとキツかった針が1人増えただけでこんなに楽になるとは…

 

そして遂に奴の体が散り、針も消える。

 

「助かったよ。本当にありがとう、桜」

 

「ううん、鬼の頸を斬ったのは2人でしょ?それに比べたら大したことなんて出来てないよ」

 

「いやいや、もし島原が来てなかったら俺たちは間違いなく死んでた。感謝するぜ!派手にな!」

 

「はぁ…?まぁそこまで言うなら受け取るとしようかな」

 

「あぁ、ぜひ受け取ってくれ。受け取りついでにきびだんごも食え」

 

「お、ありがとう!煌之介くんのお菓子、やったー!すごく急いで来た甲斐あったよー!姉さんに自慢しよーっと!」

 

それはまずいな…茜の事だ、俺が殺される。

 

ちなみに彼女の姉、島原茜は現鬼殺隊の水柱だ。

 

「やめて。帰りに蝶屋敷に寄ってきびだんご持ち帰ってくれ。桜にだけあげたとしたら茜に殺されるから」

 

「わかったー。わざわざありがとうね!」

 

「おう。茜によろしくな」

 

「うん!」

 

「なぁ、地味にハブるのやめてくれ」

 

「悪い悪い、宇髄も怪我ないか?」

 

「あぁ、派手に無事だぜ!」

 

「そっか、皆怪我なく下弦の陸を倒せて良かった。宇髄もこれで柱に近づいたな」

 

「おう!…だが疲れたな。早く帰りてぇ。」

 

「それもそうだ。一応村長に挨拶して帰るとするか」

 

「そうだね!」

 

こうして俺たちは村を襲う鬼たちを無事退治し村長にお礼をされた。

 

だが生贄と称して俺たちを嵌めていたことは許されることでは無い。

 

その説明をした所、この村全体を鬼殺隊向けの休養地とするらしく、後にお館様とも相談した結果それが決まった。

 

しっかりと任務で疲れ切った隊士を癒して士気の上昇に繋がると幸いだ。

 

俺は帰りに蝶屋敷でお土産にきびだんごを持たせた。

 

宇髄の嫁からは大絶賛だったらしく、たまに蝶屋敷に顔を出しては俺に菓子を作らせる。

 

不満ではないが一応まだ俺が上司ではあるので少し遠慮を覚えて欲しい。

 

1度それを言ったら、

 

「死地をくぐり抜ける仲間に上司も部下もねぇ!」と言われた。

 

俺はその言葉に感動して大量の菓子を作って持ち帰らせた。

 

今考えたら上手く言いくるめられただけかもしれない。いや、絶対そうだな。今度来た時茶菓子にわさびめっちゃ入れてやろう。

 

それと任務から帰った翌日に茜がわざわざお礼を言いに来た。

 

「あの程度のきびだんご如きで調子に乗らない事ね!あれくらい、あたしにだって作れるわ!今度は絶対あたしの方が美味しいお菓子を作るんだから!で、でも、貰ったからには一応礼を言っておいてあげないことも無いわ!」

 

そう言って帰って言った。

 

割と付き合いが長いので彼女のことはだいたい分かる。ツンツンしたいらしいけど普通にいい子だ。

 

最初の頃は彼女のことがよく分からなかったけど今では良き料理のライバルだ。

 

そして最近カナヲの様子が変だ。

 

なんかずっとこっちを見ている。特に鍛錬中に俺をよく見ている。

 

目が合うと何かを言おうとして口がもごもごしているが結局逃げる。

 

なので鍛錬中見ていたカナヲを呼び出して話を聞いてみる。

 

「カナヲ、最近様子が変だがどうかしたか?俺に言いたいことがあればなんでも言ってくれ。俺に出来ることならなんでもするから。」

 

我ながらカナヲには甘いと思う。

 

みんなに内緒でよく色んな食べ物をあげている。決して餌付けでは無い。最近はカステラをあげた。

 

「…えっと、兄さん!私に、稽古をつけてください!」

 

今まで聞いたことないような大きな声でカナヲは言った。




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番外編:中高一貫!!キメツ学園物語

ここに来て番外編です。キメツ学園の話を1度やってみたかった。

全3話の短編です。1番最後が異様に長いですけど気にしないでください!


・筍組の問題児

 

 

ここはキメツ学園。由緒正しき学園である。

 

俺はここで国語教師を担当している天宮煌之介だ。まだ新任なので教師歴の長い悲鳴嶼先生の補佐をして学ぶため1年筍組の副担任を任されている。

 

だがこのクラスがなかなかの問題児揃いだ。

 

問題児1人目、竈門炭治郎。

彼はパン屋の息子でとても礼儀正しく基本は良い子なのだがいつもピアスを付けており、注意しても外すことは無い。

よく冨岡先生に怒られている。

 

問題児2人目、嘴平伊之助。

彼は猪突猛進な性格で常に制服を着崩している。炭治郎くんと違って礼儀の欠片もない。

よく冨岡先生に怒られている。

 

そして問題児3人目、我妻善逸。

彼は1番の問題児かもしれない。髪を金色に染めていて問いただしても地毛だと言い張るので困っている。冨岡先生もよく怒りの鉄拳制裁を食らわしている。そんな彼は風紀委員なのだがいつも女子の荷物だけ妙に綿密にねっとりとした視線で見ているので苦情が絶えない。本当に困ったものだ。

 

また、この3人と宇髄先生でハイカラバンカラデモクラシーというバンドを組んでいるのだが、このバンドがとてつもなく破滅的な音楽を奏でるので文化委員と協力してなんとか文化祭には出さないように話し合っているが未だいい案は出ていない。

 

 

・ハイカラバンカラデモクラシー

 

 

「俺がなんとかしよう」

 

そう言った冨岡先生は何故か彼らの音楽に魅せられて彼らを応援するようになった。ミイラ取りがミイラになるとはこの事だ。

 

「はぁ……」

 

「大変だな、胡蝶」

 

「えぇ、天宮先生どうにかしてくださいよ。このままだと文化祭で失神者が多数でて保護者から苦情が沢山来ます。助けてください」

 

「そうは言ってもなぁ……」

 

なんかないかなぁ…奴らを文化祭で演奏させない方法は。

 

「オーディション」

 

栗花落がポツリと呟いた。

 

「「それだ!!」」

 

簡単な事じゃないか。オーディション制にして奴らを落とせばいい。少し汚いかもしれないが他の生徒の為だから仕方ない。

 

こうして無事彼らをオーディションで落として文化祭は大成功したのだった。

 

ちなみにその他のバンドは全員受かっているので彼らからすごい勢いで苦情が来たが無視した。冨岡先生は残念そうな顔をしていた。

 

 

・密着!天宮先生の1日 〜とある密偵の調査報告〜

 

天宮煌之介の朝は早い。妹と自分の朝食と弁当を作るのに時間をかけるからだ。

 

彼はそこら辺がうるさい。栄養をしっかりと取らせようと生徒にも口うるさく言ったり時間が空いてると調理実習に無断で参加したりしている。

 

朝食を食べると学校へ向かう。徒歩ですぐ行ける距離なのでペースはゆっくりだ。

 

学校に着くと彼はすぐ机に向かって小テストの採点やその日の授業の確認をする。

 

「うむ!天宮先生のその姿勢はとても素晴らしいものだ!俺も見習おう!」

 

同期の煉獄先生が褒めてくれる。

 

「ったく、地味な作業ばっかで飽きねぇのかよ。もっと派手に採点しろよ。0か100だけでいいんだよ」

 

宇髄先生は少し辛口だ。恐らくまだ文化祭の件を根に持っているのだろう。伊黒先生並のしつこさだ。

 

「おい天宮、今失礼なこと考えただろ」

 

「いえ」

 

伊黒先生は察しがいい。

 

彼の作業が終わった時、ちょうど朝礼が始まった。

 

産屋敷理事長はお忙しい身でありながらこの朝礼だけはいつも欠かさず顔を出し、挨拶をしてくださる。そのためどの先生も理事長を尊敬している。

 

それが終わるとチャイムが鳴り悲鳴嶼先生と共に筍組のHRへと向かう。連絡事項を告げるといつも教室を出るのだが、今日は1限目がこのクラスの授業のため教室に残って生徒との雑談に興じる。

 

「天宮先生!今日は小テストありますか!」

 

「いや、今日は作ってないよ。作った方が良かったか?」

 

「いえ、先生のテストはとても難しいし平均点以下だと居残りもあるので無くて良かったです!」

 

「ふむ、正直者め。だが残念だったな。今日は小テストを返す予定だ。もちろん平均以下は居残りな」

 

「「「「「えー」」」」」

 

こんな感じでやり取りをしていると1限目のチャイムがなる。

 

「お前ら席つけー。座らねぇと強制的に居残りだー」

 

すると蜘蛛の子を散らすように集まっていた生徒たちが席に戻った。そして日直が号令をかける。

 

「じゃあ授業を始める。まずは昨日の小テストの返却からな。今回の平均は60だ」

 

生徒たちからブーイングが飛ぶ。だがそんなのお構い無しに返却を開始する。天宮先生は名前を呼んでも来なかった場合点数も高らかに叫ぶので点が低いことを恥ずかしく思う生徒は大人しく従う。

 

「我妻善逸」

 

「はい」

 

彼は勉強は出来る。素行は悪いが。今回も平均を大きく上回る95点だ。

 

「いい点だ、我妻。これからも頑張れよ。」

 

「ありがとうございます!」

 

「竈門炭治郎」

 

「はい!!」

 

返事はとてもいい。だが点数は35点。居残り決定だ。頭が堅い炭治郎は国語が苦手なのだ。

 

「先生!!点数が間違ってると思うのですが!!」

 

「何も間違ってないぞ竈門。お前は35点だ」

 

「ハハハハハ!だっせぇな権八郎!」

 

「嘴平伊之助、0点」

 

「あぁ!?なんか文句あんのか!!」

 

「文句しかねぇわ!このシャツ全開の馬鹿野郎!ちょっとは勉強しろ!」

 

こいつはもうダメだ。勉強以前の問題だ。小学校の勉強からやり直した方がいい。

 

こんな感じで一人一人の事を思いながら思いながらテストの返却をする。

 

そしてささっと授業に入る。

 

「竈門、ここ読め」

 

「はい!春はあけぼの………」

 

「じゃあ続きを嘴平」

 

「俺に命令するんじゃねぇ!」

 

「廊下に立ってろ阿呆」

 

こんな感じにテストの点が低い者をよく当てる。

 

「今回の居残りは8人だ。放課後、この教室に残っておくように」

 

授業が終わるとそれだけ告げて教室を後にする。2限目は彼の授業が入っていないため2年菫組の調理実習へと行くらしい。今回は許可を取っているとの事。

 

そして家庭科の先生に追い出されたらしい彼は職員室で大人しく珈琲を飲んでいた。

 

3限目~4限目も1限目と大して変わらない授業風景で、小テストをして生徒からの大ブーイングを食らったりブーイングした生徒の点数を-10するという権力の使い方をしていた。

 

そして昼休み。

 

彼は冨岡先生と階段で座って昼ごはんを食べていた。

 

天宮先生は弁当を持参しているが冨岡先生は竈門家の営むパン屋で買ったフランスパンを食べている。

 

「冨岡先生はいつもパンですよね。料理しないんですか?」

 

「(俺は料理は苦手なんだ。だから)俺には関係ない話だ」

 

「俺は料理好きですよ。冨岡先生の分も作りましょうか?」

 

「(俺なんかの為にわざわざ忙しい天宮先生の手を煩わせる訳にはいかない。だから)必要ない」

 

「でもそれだと栄養が全然取れませんよ?」

 

「(それは俺の健康の問題だ。だから)お前には関係ない」

 

会話が成り立ってないようにも見えるがこれでも2人は仲がいい方だ。冨岡先生の口べたを完全に理解していて、更に言いたいことを読み取ってくれる人は冨岡先生にとって初めての存在なのだ。彼も良く思っている…はず

 

あんな会話で昼休みを終え、5限目が始まる。昼飯の後という事で眠たい生徒も沢山いるようで、天宮先生は5限の授業の時はあえて何らかのビデオを見せ、眠っている生徒を叩き起し、次の授業までに眠気を落とせるようにしている。

 

6限目に1年かぼす組の授業に行った彼は割れた窓と血塗れの不死川玄弥の姿を見て「ああ、5限目は不死川先生だったんだな」と察して玄弥に同情の念を送っていた。不死川玄弥は不死川実弥先生の弟で、かなり仲が悪いように見える。というか兄が一方的に弟を突き放している。彼らには仲良くなってほしい。そう、割れた窓を見ながら思っていたと彼は語る。

 

全ての授業が終わり放課後、居残りの生徒も帰ったので彼は自身の受け持つ調理部へと向かっていた。

 

すると後ろから恨みのような念を感じ振り向く。そこにはあらん限りの憎悪で天宮先生を睨む我妻善逸と申し訳なさそうにしている竈門炭治郎の姿があった。

 

「どうした?何か用か?」

 

「モテる秘訣を教えてください!」

 

「はぁ?モテてる?俺が?冗談だろ」

 

「これだからデフォルトイケメンは!!でも俺は知ってますよ!あなたがこの学校で1番バレンタインチョコを貰ってるって事をね!」

 

「あんなもん義理で渡してるだけだろ?それにあれの半分以上が琥珀からのだしな」

 

「はァァァ!?琥珀先輩だとぉ!?学園トップクラスの美少女じゃん!絶対に許さねぇ!それに!その貰えて当然みたいな言い方!!いいか!?世の中にはなぁ!チョコが1個も貰えない奴もいるんだよぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「モテたいならその態度を何とかしろ。阿呆らしくて目も当てられん。冷静沈着なクール男子の方がモテるぞ」

 

「そんなんでモテたら苦労はしねぇんだよ!結局顔か!?そうなんだろ!?俺みたいなやつがクールに気取っても寒いだけだろ!?」

 

「もういいだろ善逸!天宮先生に失礼だ!帰るぞ!!」

 

ここで空気と化していた竈門炭治郎が止めに入る。

 

「いやぁぁぁぁ!!離せよ炭治郎ぉぉぉ!!俺もモテたいのぉぉぉぉ!!」

 

連れ去られていく我妻善逸の姿を終始哀れな目で見つめる天宮先生であった。

 

仕事を終わらせ家に帰ると彼はすぐに晩飯を作り始める。疲れていると簡単なもので済ませようという気持ちになるが、彼はいつもしっかりと自炊する。真面目なものだ。私に沢山食べさせたいというのが大きいのだろうが彼は些か頑張りすぎるところがあって、琥珀はいつも心配しています。しっかり休んでほしいです。




次こそ続きを出しませう


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カナヲの決意

申し訳ありません!モンストやってて少し遅れました!
戦闘は分けたいので今回はかなり短めです。次は多分長くなります。


俺は困惑していた。

 

カナヲが自分の意志を表明している。俺はカナヲの成長を喜ぶと共にどうするべきなのか分からないままでいた。

 

「カナヲはどうして鍛えてほしいんだ?別にそんなことしなくても幸せに暮らせてると思うんだが……」

 

普段の生活を見ていればこんなこと聞かなくても分かるはずだ。なぜ現役の鬼殺隊の柱に鍛えて欲しいのか、カナヲは何を焦っているのか……

 

だがその時の俺は気が動転していたようで、カナヲに話を聞くまで理解できなかった。

 

「私は、今、ここで何の役にも立てていません。なので、鬼を狩って、兄さんの手伝いをしたいです」

 

「別にカナヲは気にしなくてもいい。ここでのんびりと暮らしていても咎める人なんて居ない。むしろ自分から死地に飛び込むなんて選択を取るならカナエやしのぶは黙っていないだろう。俺もカナヲには平和に暮らしていてほしい」

 

「お願いします兄さん、私に、居場所をください!私はこのまま兄さんたちに甘えて生きていたらきっと私は申し訳なさでここに居られなくなる、そんな後悔はしたくないんです!」

 

ここまで鬼気迫るカナヲを今まで見たことがあっただろうか。それどころか想像したこともない。こんなカナヲの姿を見てしまったら軽々しくカナヲの考えを否定なんて出来る訳がない。

 

「はぁ……分かったよ。けど、カナエたちとも話を付けなくちゃならない。今日の所は見学だけにしてくれ」

 

「ありがとうございます!師範!」

 

師範か…悪くないな。そう言えば今まで誰かに剣を教えたことなんてなかった。俺にカナヲを鬼の手から生き延びるまでに育てられるだろうか……

 

そう思っていた時期が俺にもありました。

 

なんとかカナエたちの許しを得てカナヲに剣を教えてすぐに分かった。カナヲには剣の才能がある。俺の剣技を少し見ただけでほとんど再現出来ている。全集中の呼吸もすぐに出来た。ただ…

 

「やっぱり虹の呼吸の適正がないな…」

 

虹の呼吸だけはカナヲに出来なかった。何度もやってみているがどうしてもこれだけが出来ない。

 

「そう落ち込むな。この呼吸は家に代々伝わる呼吸だ。むしろそう易々と出来てしまったら困る。一度カナヲの日輪刀の色を確認してみよう」

 

そう言ってまだ色の変わってない日輪刀を渡す。カナヲが刀を抜くと徐々に薄紅色に染まり始めた。

 

「これは……桜と同じ色。花の呼吸だな」

 

「花の、呼吸……」

 

何となくカナヲが残念そうな顔をしているように見える。というか完全に残念そうにしている。

 

「うーん…五大呼吸のどれかだったらなんとかなったかもしれないが派生の呼吸は俺が教えるのは難しいな。こればかりは仕方ないだろう。呼吸の方は桜に頼むとしよう」

 

「師範、私に虹の呼吸は使えないんですか?」

 

「あぁ。こればかりは生まれつきの才能だから仕方ない。色が変わるだけマシな方だ。中には色が変わらず才能がないとされる剣士も沢山いるからな」

 

「わかり、ました。私は花柱様の元で花の呼吸を習得してきます」

 

「そうと決まれば桜の屋敷に行くとしよう。土産用のお菓子を作って来るから少し待っていてくれ」

 

「分かりました」

 

一口サイズのパンケーキを作り、念の為刀も持ってカナヲと共に島原姉妹の屋敷へと向かう。蝶屋敷から行くには山を越えなければならないが、カナヲの身体能力強化の為に三割程度の速度で走り、着いて来れてることを確認してだんだん加速する。屋敷に着いた時にはカナヲはかなり息を切らしていた。

 

「カナヲ、大丈夫か?」

 

「……なんとか、無事です」

 

その返答を聞いて屋敷の戸を叩く。するとすぐに桜が出てきた。

 

「あ、煌之介くんにカナヲちゃん、どうかしたの?」

 

「桜、頼みがあるんだが……」

 

カナヲの事を伝える。

 

「そういう事ね。煌之介くんの頼みだし、花の呼吸の継承者がいなかったからもちろんいいよ。任務の合間になるからしばらく掛かると思うけどそれでもいいかな?」

 

「あぁ。それとしばらくカナヲをここに置いといて欲しいんだがいいか?もちろん食費とかは払う」

 

「うん、その方が効率いいもんね。いいよ。食費も払わなくていいよ。お金はあるから。蝶屋敷の維持費とか結構かかってるんでしょ?」

 

「何から何まで済まない。この恩は必ず返すよ」

 

「あはは、期待してるね」

 

「あぁ、期待していてくれ。それとこれ、つまらないものだが良ければ茜と食ってくれ」

 

「わざわざありがとう!姉さんも喜ぶよ」

 

「茜は任務か?」

 

「うん。十二鬼月の可能性があるから炎柱の人と共同任務だって」

 

「槇寿郎さんか、だったら大丈夫だな」

 

槇寿郎さんは俺が隊士になった時から柱を務めているベテランだ。彼が向かったなら安心だ。

 

「じゃあ俺はそろそろお暇するよ。カナヲのことよろしくな。カナヲも頑張れよ」

 

「ばいばーい」

 

「師範、お元気で」

 

2人に別れを告げ蝶屋敷へと帰る。そして山を下っている途中、鴉が大急ぎで飛んできた。

 

「カァー!南南東ノ方角ニ上弦ノ壱、出現!水柱ト炎柱ガ交戦中!急イデ向カエ!」

 

「なっ!?」

 

俺は全速力で駆け出した。絶対に助けてみせる!




通算UA5200、お気に入り60件ありがとうございます!!


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上弦の壱

ご都合主義満載です。戦闘描写拙いです…


「柱か…よく鍛えられている…良い肉体だ…」

 

私は今、目の前の鬼に戦慄している。6つの目、瞳に刻まれる上弦の壱の文字。こいつが正真正銘の十二鬼月最強の鬼。下弦など比べ物にならない程の重厚な気配がする。怖気が止まらない。手が震える。

 

「茜くん、いけるか?」

 

「はい、なんとか」

 

槇寿郎さんはすごい。こんなにも恐ろしい鬼と対峙して尚、平静を保っている。私も落ち着け、冷静になれ。

 

「ふむ…先程までと気配が変わった…動揺を鎮めたか…精神力は…悪くないようだ…」

 

「行くぞ!」

 

「はい!」

 

『炎の呼吸 壱ノ型 不知火』

 

『水の呼吸 肆ノ型 打ち潮』

 

「炎と水か…なかなか悪くない…連携だ…」

 

気づくと目の前には何もおらず、後ろから声が聞こえた。

 

「だが…まだ…足りない…」

 

急いで振り返り刀を構えるが、

 

『月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮』

 

まずい!間に合わない!

 

『炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天』

 

「ぼさっとするな!!死ぬぞ!!」

 

槇寿郎さんが咄嗟に迎撃してくれた。

 

「すいません…助かりました…」

 

やっぱり私じゃ力不足だ…せめてあと1人、煌之介か桜が来てくれたら…

 

「ふむ…咄嗟の判断…良い剣技だ…そちらの女は…戦闘中に考え事か?…」

 

「茜くん、君は退いたほうがいい。ここは俺が何とかする。君はこの戦いから身を引け」

 

「でもそれじゃ槇寿郎さんが!」

 

「気にするな!まだ若い芽を摘む訳にはいかない!」

 

悔しい…私じゃ足でまといになるんだ…心じゃ分かってても受け入れることが出来ない…涙を流しながら走る。

 

「良い判断だ…あの女を庇いながらの方が…死ぬ確率は高かった…だが…真なる目的はお前達では無い…虹の柱だ…お前達は奴を呼び出す…釣り餌に過ぎない…」

 

微かに鬼の声が聞こえた。

 

 

煌之介side

 

 

近くの山だからかなり早く駆けつける事が出来そうだ。茜も槇寿郎さんも絶対に殺させない!それに、上弦の壱を倒せば上弦の弐の情報も聞き出せるかもしれない!急げ!

 

山の中腹辺りにそれはいた。

 

瞳に上弦の壱と刻まれていて6つの目を持つ鬼…鴉に聞いた特徴と合致する。今まで殺した鬼が赤子に思える程におぞましい気配。これが上弦の鬼。その頂点に座する者…

 

「来たか…虹の柱…」

 

「はっ、俺を待ってたって言うのかよ」

 

「あぁ…お前が遅いから…2人の柱が重症だ…死んではいない…欠損はあるがな…」

 

急いで辺りを見渡すと血溜まりの中でうつ伏せに倒れる2人の姿があった。槇寿郎さんも酷いが茜の方が特に酷い…左腕が胴から離れている…

 

「なぜ殺さなかった?慈悲でもかけたか?」

 

「違う…殺すと…お前は冷静で無くなる…そんなお前と…戦っても…意味がない…」

 

「どういう事だ…お前は戦いを楽しんでるってのかよ?」

 

「違うな…私は…歴代の虹の柱を…全て葬ってきた…私の友…天宮虹之介の…血を継ぐ者を…探すために…」

 

「っ!?じゃあ俺の父さんも!?」

 

「そうだ…最後に殺したのは…七年前…その時…兄妹は…逃がした…その兄がお前だ…」

 

俺の年は15、七年前は8、つまり俺の両親が殺され、琥珀と共に逃げたあの日、襲ってきた鬼はこいつで間違いない。

 

「そうか、ようやく父さんと母さんの仇を討てる。感謝するよ、神様」

 

『虹の呼吸 弐ノ型 一騎橙閃・絶』

 

「素晴らしい…これは…虹之介を…越える程の才能だ…お前…名は…なんという…」

 

「天宮煌之介だ。軽く躱しておいて随分な賞賛ありがとうよ」

 

「なんと…同名か?…いや…字は違う…だが…間違いなく…奴の血を…濃く受け継いでいる…お前を殺せば…私は…縁壱を…越えられる…」

 

「はっ、どんな事情か知らねぇけどお前には殺されない!俺にはお前以外にもまだ仇討ちが残ってるからな!」

 

『虹の呼吸 伍ノ型 青天霹靂』

 

「ふむ…伍ノ型か…だが格段に違う…虹之介は姿のみで…五感は騙せなかった…」

 

『虹の呼吸 参ノ型 黄粱一炊の夢』

 

「ふむ…同時に5箇所…やはり虹之介よりも…強いな…お前は…間違いなく…歴代最強の…虹柱だ…」

 

軽く避けてそう言う…ほんとに化け物かよ…

 

「此方も抜かねば…無作法というもの…」

 

『月の呼吸 壱ノ型 闇月・宵の宮』

 

「ぐっ!」

 

咄嗟に後ろに飛び避けたが斬撃の中にある不規則な三日月型の斬撃が胸を切り裂く。だが奴は手を緩めることなく続けて斬撃を繰り出す。

 

『月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月』

 

『虹の呼吸 陸ノ型 大伽藍 三連』

 

「ふむ…良い判断だ…避けていれば…そのまま刻んでいた…」

 

「お褒めに預かり光栄だ!」

 

『虹の呼吸 捌ノ型 虹霓』

 

不可視の六連撃が奴の頸に迫る。

 

「捌ノ型か…虹之介以外が使ったのは初めてだ…やはり素晴らしい…だが剣筋が見えた…見切るのは難しくない…」

 

そう言って躱す。だが、これでいい。

 

「ならばこれならどうだろうか」

 

『炎の呼吸 玖ノ型 煉獄』

 

後ろから槇寿郎さんの刀が鬼の体を抉る。

 

「まだ死ぬわけにはいかないのよおぉぉ!」

 

『水の呼吸 玖ノ型 水流飛沫・乱』

 

死角から急接近した茜が更に攻撃を加える。

 

「小賢しい…大人しく地を這っていれば…よかったものを…む?…奴はどこへ消えた…伍ノ型か…厄介な技だ…」

 

少し奴の苛立ちを感じる。その気配がおぞましい。恐ろしい。逃げてしまいたい。だが許されない。奴の頸は斬らないと!

 

「微かな気配…そこか…」

 

『月の呼吸 弐ノ型 珠華ノ弄月』

 

そこにいた全員の目に切り刻まれた煌之介の姿が映る。

 

「「煌之介!!」」

 

「虹柱は…死んだ…」

 

この技は上弦の鬼にも効果があるようだ。同僚にも伝えていない技だから知らないのは当然だろうが…

 

「残念だったな!そっちは幻影だ!」

 

『虹の呼吸 漆ノ型 山紫水明』

 

「…っ!?」

 

上弦の壱は驚愕しているように見える。なんとか一矢報いる事が出来たようだ。そして刃が頸に触れた瞬間───

 

 

 

──ベベン

 

琵琶の音が辺りに響き、それと共に俺の刃は空を切った。

 

 

黒死牟side

 

 

まずい…失敗した…無惨様に叱責されてしまう…

 

「黒死牟、どういう事だ?貴様は痣が出ていないような剣士にも劣るのか?これまでの修行とやらはどうした?貴様は何年の時を費やした?あの鬼狩りよりも少ないのか?」

 

「申し訳ありません…奴は…戦国時代の柱の血を濃く継ぐもの故…」

 

「だからなんだ?貴様は仮にも上弦の壱なのだ。そのような体たらくでどうする。今回は今までの功績を加味して許すが、次は無いぞ」

 

「はい…申し訳ありません…」

 

このように怒りで血が滾るのは何百年ぶりだろうか…

 

天宮煌之介…貴様は必ず…私が殺す…!

 

 

煌之介side

 

 

あの鬼は何処へ消えた!?血気術か!?気配がまるごと消えたから恐らくこの場には居ない。クソっ!とどめを刺し損ねた!

 

「煌之介、さっきのは何だ?」

 

槇寿郎さんが尋ねてきた。

 

「伍ノ型の応用ですよ。まだまだ試作段階だったんですが上手くいって良かったです。そんなことより2人は怪我の具合、大丈夫なんですか?」

 

「俺はなんとか大丈夫だ。それより茜くんの方が心配だ。片腕を失っているのだから」

 

あれだけ失血してて普通に動けるなんて…この人も大概だな…

 

「そう、ですね……動けるか、茜」

 

「ちょっと厳しいかも…最後に振り絞って動いたせいで血がほとんどないわ。止血はしてるんだけど、さすがに怪我が多すぎる…」

 

「すぐに隠が来る。それまでに応急処置をしよう」

 

しのぶから預かっている持ち運び用救急箱と包帯を取り出し茜の治療を進める。

 

「だいぶひどい怪我だ…剣士を続けることも難しいだろう。これからどうするんだ?」

 

「まぁ、一線は退くよ…片腕失った訳だしね。育手にでもなろうかな…」

 

俺は茜のその言葉に返事が出来なかった。軽はずみに答えていい事じゃない気がしたから。

 

「槇寿郎さんも、立っているだけで辛いでしょう?軽い治療だけでも施せばかなり楽になるはずです。こっちに来てください」

 

「あぁ、感謝する。だが煌之介も無理をするな。その胸の傷、かなり深いだろう」

 

「見抜かれてましたか。えぇ、俺もかなり辛いです。でも、俺より深い傷を負ってる人の前で挫けるわけにはいきませんから」

 

「そうか。強いな、煌之介は」

 

「ありがとうございます」

 

そこからお互いに無言で治療を進める。

 

「虹柱様!炎柱様!水柱様!隠、ただいま到着致しました!」

 

「後藤、助かるよ。いつもありがとな」

 

「いえ!柱の皆様の功績に比べたら私など到底及びません!」

 

「そんな事ないさ。後藤たち隠がいるから安心して俺達が戦えるんだ。誇っていい」

 

「虹柱様……ありがとうございます!!」

 

涙を流しながらお礼を言う後藤。周りにいる隠も何だかうるうるしているように見える。

 

「じゃああとは頼んだ。俺は、もう限界だ」

 

そして俺の意識は途切れた。




設定集の方にオリキャラ7人、槇寿郎さん、悲鳴嶼さんの設定を追加しました!


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