貴方の隣でぽかぽかしていたい(切実) (茜色のLily)
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本編
序 わたし参上


公開記念なので初投稿です。

文体がおかしな所がありますがそこは御愛嬌。


 目が覚めたら水の中にいることにまずツッコミたい。体は動くし何故か息苦しさも感じない。周りを見て見ると紫や赤などの毒々しい配色された機械的なものがありますね。とりあえずここから出ましょうか。体に力を入れて拳をガラスに当てます。そのまま関節を固定し、力をガラスに流すとガラスは砕け自由への扉が開きました。

 

 さっそく出ましょ…ヴォロロロロロ…ゲッホ!ゲホ!はい…ゲロリましたね。肺に入ってた不思議水のせいですねこれは。便利かと思いましたがこれはダメですね。あと少し血の味がするのもマイナスポインツ。

 

さて、今わたしは裸族の仲間なので服を探しましょう。ん?なんか胸が重くて揺れているような…

 

オッパイプルンプルン‼︎

 

うん!きっと見間違いだ。わたしに素晴らしい双丘が出来てるはずが…

 

ナンテコッタイ \^o^/

 

…はっ!息子は!?わたしの息子は…すっと股間を見る。きっと…きっと見覚えのある息子が…そこには息子の姿はなく、毛の一本もない綺麗な子ども部屋しかありませんでした。あぁ…追いつけないまま大人になってしまったのか息子よ。まぁいるかどうかなんて前世の性別覚えてないから知らないですけど。

 

 ふぅ…大方堪能したので次は服を探しましょう。幸運なことに寒くはないですか日本人として服は着ましょうね。おっ服が入ってそうなとこ発見。オープン…見なかった。わたしは何も見なかった!いやだってダメでしょあの服は!どっちもヤバイじゃん!…見間違いかもしれませんのでもう一度…

あっ(察し)ふーん…

 

 

 手首のボタンを押すとプシュと音を立てて中の空気が抜けて体にフィットする。はい完璧にプラグスーツですありがとうございました。しかもスーツ黒ベースかつ白が混ざっててNo.07とあるんですよ。クッソ!エヴァの世界でも劇場版エヴァンゲリオンQの世界じゃないですかやだー。

 

 あぁ、なんでプラグスーツのNo.だけで分かったかというと、序と破までは零から六までの機体しか登場しないんです。QではMark04、Mark09などのMarkシリーズが出てきます。七号機は本編に登場しておらず空白の14年に出てきた機体なのか、四号機のように消されたかもしくはIでMarkシリーズとして出てくるのか考察がいくつもありました。結局存在してない機体なんですが破以降の機体だとわたしは推測しています。というかMarkシリーズだったらゼーレ関係なのでできれば関わりたくないので、消されていることを願いましょう。

 

 ここでぇ、皆様にぃ…いかにこのQの世界がクソなのかを説明しましょう。(RTA風)まずはこの世界には世紀末よりヤベェインフィニティの成り損ない達がいることです。考察班ではニア・サードインパクトによりリリスが生み出した新しい生命体と定義しています。だが未完成であるので簡単に言えば単なる殺戮者です。リリスが封印されていればいいのですがまだだった場合はわたしはヒッキーになりたいと思います。

 

 次にL結界があることです。この世界の至る所にあり、人間はそれが強い所だと生きていけないらしい。因みに、シンジ君達はエヴァの呪縛にかかっているのでL結界は特に問題ないです。アスカは使徒化とかビースト使って呪縛に、仮称アヤナミ・レイはそのように作られたかMark09の擬似神化で呪縛に…という説が強いですね。マリも考察班ではエヴァの呪縛にかかっていることでエヴァに乗り続けられるようにしてると言われていますね。…ゲンドウ君とだいたい同じ歳なのにニャーとか言ってるかなりやべー奴だと個人的にっ!…危なかった後少しで奴の電波に捕まるとこだった。

 

 そして何よりもクソなのは食料がないです。わたしが知ってる限り食料がありそうな組織は2つしかないです。この真っ赤な大地で食物が育つ訳ありません。もし育ったとしても生命の実やら知識の実とか出来そうで嫌ですね。という訳で食料を探しにいきましょう。いくぞー!

 

…TS?少女探索中…

 

ここはかなり広くて探索が大変。わたしの推測が甘かったようですね。

ん?ファ!?うーん(気絶)

 

いや…まだだ。もしかしたら廃棄された…えっ何ここめっちゃ広い…あっ不思議水もといLCLだ。なんでこんなに…

 

うーん(心の活動限界)

 

 ネルフのマークがありました。どうやら本部とそんなに離れてない支部のようです。…ほんと…支部だけならどれだけよかったことか。はい。エヴァがありました。バチカン条約どうなった!?ああもうきれてたねちくしょうめーが。しかもこのエヴァ見たことないんですよね。顔は初号機やMark06みたいに顎長ですか目の部分ぽいとこがないんですよ。暗くてよく見えないだけかもしれませんが。何と言えばいいのでしょうか…顔を覆うタイプの仮面や兜をかぶってる感じでしょうか。顔面に金属の装飾有りますし。十字架とは中々キッツイです。特にこの世界だと。角は二本で後ろに伸び肩パッドは付いてます。後は中身がまともだったらいいのですが…。

 

 よし、探索を続けましょう。エヴァ?あんな厄ネタ無視です無視!探索を進め休憩スペースで食料を見つけた。かなりの量があり消費期限も余裕だったのでしばらくは保つだろう。次はL結界の確認です。ここは地下にあるのでエレベーターで地上に向かいます。発電所が生きてるということは…まぁ厄ネタなので触れないでおきましょう。わたしがL結界無効だったらこっから旅立つぞ。

 

 エレベーターの扉が開くとそこには真っ青な空!真っ赤な大地!月はあんなに大きい!はい、ニア・サードインパクト後ですね。後は…うん発令所が天高くにあるのでリリスも封印済みですね。近くの丘を登って辺りを見渡すと一部ですが町がまだ残っていますね。まぁ…Markシリーズ対国連軍してますけどね。と言うことはシンジ君と初号機はまだ宇宙ですね。そしてここに居ても特に変化はないのでわたしは人間じゃ無さそうです。ご飯でも食べようと思い支部に戻ろうと視線を向けた瞬間わたしは膝から崩れ落ちました。

 

「クッソ…あっわたしの声可愛い…ではなくて、なんで封印柱が刺さってるのですか…」

 

 そうです。めっちゃ刺さってるのです。封印柱というのは使徒やエヴァを文字通り封印する為に用いられるものです。ロンギヌスやカシウスより大きく力は劣りますが、量産可能なのでよくネルフやヴィレで使われてました。これアケロンより多くないですか?何そんなにヤバイのあのエヴァ?本当はここらへんにバイクが転がってたら盗んで、行先も分からない旅に出ますよ。覚えてたてのタバコを蒸したいと思いながらエレベーターに乗ります。

 

 あのエヴァがいるとこまで戻ってきました。そこでふとLCLが丁度鏡のようになっていたので自分の顔を確認しようと思います。素晴らしい体に良い声、後は顔だけなのでちょっとワクワクしながら覗きこみます。

 

お''!?

 

 次は膝から崩れ落ちるのではなくもはや頭から崩れ落ちました。完璧な土下寝だと絶望の淵で思いました。いや不細工だった訳じゃないんですよ。むしろめっちゃ美少女。でもね、顔が完全に綾波レイなんですよ。

 

「はぁ〜(クソでか溜息)厄ネタ〜溜息でも可愛い声〜」

 

土下寝から南蔵院の涅槃像の体勢に移行し考える。今自分でも分かります涙目になってます。喜べ綾波の涙目ですよ。

 

 …なるほどさっきまで入ってたのはダミープラントですか。なんで今更初期型(わたし)作ってるのでしょう?考察の話になりますがMark04にはおそらくアヤナミ・レイが乗ってます。Mark04は人型ではなく異形の姿形をしてますので、パイロットも人型にこだわることはないのでしょう。なので首だけのアヤナミ・レイをダミープラントで作り、これもまたダミープラグで制御されたエヴァに入れて兵器としています。

 

 これには他の意見もありシンジも量産されているのではないかと言われているです。本物のシンジ君かどうか疑っている描写が理由ですね。話を戻しましょう。基本初期型を作る場合は何かの役割がありました。ぽか波や仮称アヤナミ・レイにも。そして少なくともこの2人とシンジ君には繋がりがありました。Qの最後ではおそらく仮称アヤナミ・レイが繋がりを持っています。

 

 じゃわたしは?……もしこのアヤナミの魂とわたしの魂がある状態なら大分計画を進められるだろう。ここの記録を読むか…。起き上がり、制御室のパソコンを開いた。どうやら本格的に廃棄されたみたいでデータは残ってなかった。何日もこの施設を探して回った結果ようやく目的のものを見つけた。

 

 

「ふ。ふふふ…やっと…見つけた。金庫に入れようとこのエクスカリバールには勝てないと知りなさい」

 

さて早速読んでいきましょう。…ふむふむ…グッハッ!メーデーメーデーわたしの心のキャパがやばいです。誰でもいいので抱きしめて下さい。碇君だとなお良い。ゲンドウ君は通報です。

 

I know. I know I've let you down〜

 

おっと…心のサードインパクトが起きてしまいましたがわたしは元気です。まぁ内容としてはこうです。

 

『使徒の残骸を復元してくっつけてエヴァにしちゃおう!この前は一体だけでエヴァを作ったからダメだったんだよ。何体もくっつければ大丈夫だ!人や神に似てるし。せや!パイロットにも使徒混ぜっぺ。そうすればシンクロ出来るはずや!パターンブルー?全部に他のエヴァの部位打ち込んであるからオレンジや!』

 

 みたいなものでした。最初は何言ってんだコイツと思いましたが良く見るとまぁ化け物です。簡単に言うと使徒のキメラをエヴァにしただけです。はいトリガー待ったなし。まぁさっさとインパクト起こしたいゼーレにとっては最強の鬼札ですが、ミサトさん達にとっては最悪もいいとこです。パターンブルーとかないの?はい…何故かありません。(震え声)わたしにも使徒が入っているようで、試しに「ATフィールド展開」と言ってみたんですよ。まぁ、出たよね。これなのにブルーじゃないんですよ。途中で変化するお決まりとかいらない。

 

 んで、これまでのシンクロテストは全部失敗。当たり前すぎる。そもそも使徒入りパイロットがわたしだけなので、予備パイロットがシンクロした結果、パルス反転、精神異常、プラグ深度マイナス値ほとんどのパイロットが精神壊れて廃棄されました。シンクロ初期は海に沈んでいるみたいとかいう言葉の後に、悲鳴や懇願、錯乱したのち上記の通り。いやだってこのエヴァ第九使徒も入ってるんですよ。そりゃそうなりますよ。これあれですね。クトゥルフ耐性ないとダメなのでは?これはもうわたし自身もトリガーですね。

 

 なので時がきたらこのエヴァとシンクロして逃げましょう。幸いゲンドウ君はここをまだ知らないのでその隙に逃げます。活動時間は大丈夫かって?コイツほぼ活動時間無限ですね。確か活動限界はあるんですよ。ただ今色々起動してるんですけど…活動時間ざっと14年くらいありますね。今も増えてます。一応ケーブル外したら減りました。正直シンクロしたくない…。

 

さぁいよいよです。このエヴァとシンクロの時です。因みにこのエヴァの名前はエヴァンゲリオン第7号機です。今更第とかついてても驚きやしませんよ。ダミープラントの方は破壊しておきました。後々面倒になるので。ダミープラント側に回ってた電力を制御装置等に回してエントリープラグの準備です。うーんプラグ内は普通。ではいきましょう。

 

『システムオールグリーン、パルス安定、神経接続良好、プラグ深度固定。エントリースタート』

 

うん、映像と変わりませんねモニターも安定。シンクロ率は50%ぐらいですか。わたしが使徒だからでしょうか?

 

パキッ!

 

「ですよね〜」

 

 はい。侵食汚染が始まりました。確かに海の様な感じですね。ヌッ!白いものが上から降ってきました。海雪でしょうか?(すっとぼけ)目を凝らすとそれはわたし自身でした。あらら、大分スクラップな状態で落ちていきますね。ですがわたしは見慣れているので問題ありません。正直侵食タイプの使徒に触手プレイされると思っていたのですが杞憂でした。あっそんな思考を読んだ様にスクラップなわたしを再生させてわたしにくっつけてこないで下さい。普通の人なら自分の顔を持つ人が大勢にじり寄ってきたら悲鳴もんなんですが、わたしは可愛いので問題ありません。さて、少し意識を沈めてみましょう。するとどんどん海の底へと沈んでいきます。いつのまにかスクラップが消えてました。底はまだまだ先のようですね。

 

 長いこと沈みやっと底が見えてきました。まぁ底が結界に近いです。底に立つとそれ以上は沈まず、下を見るとそこは満天の星空。上を見ると反射しているのかそこにも星空があった。うん…綺麗です。この世界に来て初めてそう思いました。どうやらこの底に行くには擬似シン化しないといけなさそうですね。え?やりませんよ。ここでフォースインパクト起こしたいのですか?…おそらくわたしが上手く制御しないと速攻でインパクトですね。火力はどのエヴァより高いと思いますが。しばらくはこの星空を眺めていましょうか。…ほら逃げちゃダメだっていうじゃない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『LCL排水。パイロット浮上』

 

「ゲッホ、ゲホ!…パイロットは毎回LCL吐くの?」

 

 毎回毎回これは辛過ぎる。どうやって排水してんのかな。あっその設定あったわ。えっとこれをこうしてっとよしこれでゲロらなくて済みます。にしてもエヴァの中に3年もいるなんてね。おかげで誰かがここに来たのか、ベークライト投入されて固められてましたね。まぁ破壊しましたが。にしてもこのエントリープラグも特別性なのか浄化装置が長持ちしすぎてる。もしくはわたしが使徒に近いからか。まぁどうでもいいですね。さて何か変わった所を探しに探索にいきましょう。行くぞー!

 

 いい星空です。エヴァの中とは違った良さがありますね。…あのでっかい流れ星は碇君と二号機の人ですね。

 

「…お帰りなさい。碇君」

 

…さて封印柱は大分弱まってますね。ベークライトで固めて安心したのでしょうか。これで制限なく動かせますね。まぁまだわたしは動きませんが。さて武器でも集めましょう。踵を返しネルフ支部へ戻った。

 

 

 

 

-----------------------------------------------------------------------------------------

 

「エヴァMark06の建造に続き、Mark09の完成は近いか…。葛城一佐いや今は艦長か…彼女達による第7号機の封印に初号機の奪還。ゼーレのシナリオ通りだな」

 

「ああ。だが、槍とゼーレの少年とMark09はこちらにある。後は奴さえ揃えばいい」

 

「自分の息子ぐらい名で呼んでやれ。運命を仕組まれていようとな。ユイ君もそれを望んでいただろう」

 

「あれにかけてやるものなどありはしない」

 

「難儀な家族だ…。エヴァンゲリオン第13号機の建造が始まったぞ。もう後戻りはできんな」

 

「ああ。我々の計画まで後少しだ』

 

全てを代償として捧げる男とそれを見守る男。その背中が語るものは何か…。おそらく子どもにも大人にも理解されないだろう。

 

-----------------------------------------------------------------------------------------

 

「艦長。あのエヴァを破棄するだけでよかったのですか?破壊し、この艦に組み込めば約40%以上の性能向上が見られましたのに何故?」

 

「…これは極秘ですが貴方なら大丈夫でしょう。今の私達ではあのエヴァの相手をするのは早すぎるからです。これを」

 

ミサトは懐に入れていた書類を渡し、それを読み込んだリツコの顔色が見る見る悪くなる。

 

「これって…有り得ないわ!」

 

「えぇ、信じたくはないけど…あのエヴァはネルフやゼーレの切り札になりえるものよ。…パイロットもね。この艦が完成次第、そのエヴァの殲滅に向かいます。この情報はその時まで知らせないよう」

 

「…それはそれで残酷な話ね」

 

「世の中には知らない方が良いものが多いから…。シンジ君もそう」

 

「…そうね。私達が後押しした結果がこれだもの。しかし、強引にでもインパクトは止めなければいけない」

 

「えぇ、そうね」

 

大人になりすぎた彼女達は子ども達を憂い、それでも強引に前を向いて進む。

 

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「にゃっくし‼︎」

 

「汚いわよ!コネメガネ‼︎」

 

「あ''〜誰か噂してる気がするにゃー」

 

「誰がアンタの」

 

「いや〜電波にピピっとね。それよりさワンコ君どうだった?」

 

「あんたには関係ない」

 

「またまた〜ほんとは心配で心配でたまらないのじゃないの〜?」

 

「うるっさい‼︎関係ないって言ってるでしょ⁉︎今さらあんな奴に同情する奴が…」

 

「…わたしはもう彼と過ごした人達しかいないと思うけどにゃー」

 

「…ふん!」

 

「姫さ、あのエヴァ見てどう思った?」

 

テレビゲームに興じていた手が止まる。

 

「どうって何よ?」

 

「そのままの意味にゃ。私は正直ゼーレやネルフを舐めてた」

 

「…そうね、あのエコヒイキがどれだけ愛想があったかよくわかったわ。私はともかくまさか人の手で使徒と融合させるなんてね」

 

「そいつにあったら姫どうする?」

 

「どうもこうも…速攻で殺されるか封印されるのが落ちよ」

 

二人の猫科は人類の為に今日も生きる。

 

 

 

 

 

 

 

 




起動するのは最悪のエヴァンゲリオン第7号機

それに対抗するヴィレ

ついに激突する二人のレイ

一体彼女は何者なのか、シンジの心を満たせるのか

次回 破 綾波レイ さーて次回もサービスサービス‼︎


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破 綾波レイ

綾波がたくさん出て来るのでこのように分けます。
破までの綾波→ポカ波
Qの綾波→黒波
主人公の綾波→ぱち波

好きなもの書くってたのし〜勢いで書いたのでおかしなところあってもご愛嬌。という訳でどうぞ。


 ヤッベ…間違って起動させてしまいました。すぐシンクロ切りましたがこれは捕捉されましたね…。あ''ー↑もうヤダァ''!絶対ヴィレがくるじゃないですか。ネルフはハッキリ言ってシンジ君以外道具揃ってると思うので来ないことを願いましょう。Mark04けしかけてきたら絶許。さて、ここでヴィレについて振り返っておきましょう。

 

 かつてのネルフ職員がゼーレによって解散されられた後おそらく人類補完計画を知りそれを潰そうとミサトさん達が立ち上がってできた組織です。彼等はかなりの戦力を持っており、かつ訳の分からない兵器ばっかりのネルフよりも分かりやすいものなのでわたしの心に優しいです。現在明かされているのは希望の艦のヴンダーに各種の軍艦、活動できるエヴァ二機に主機の初号機、武器と人員と食料。はい、普通に厄介です。ここに来てベークライト注入とか色々しやがったのは彼等ですね。因みにわたしが必死こいて探した資料と飯も盗られました。

 

テメェェ!ナニシテェンダァ''ァ''!

 

 わたしが隠しておいたこの世界では珍しい缶詰もほとんど発掘されて、外に埋めて置いたものはコア化し、嫌がらせかと思うほど綺麗に盗られました。エヴァの中に入れて置いたサバ缶と焼き鳥、サトウのご飯で生活を強いられたと思うと涙が止まりませんでした。仕方がないのでその内ネルフ本部に盗みに行こうと思います。流石に水だけだと一年持つかどうかです。話がそれました。それで、もう場所は割れているので速攻くると思ったのですが意外と来ないので逆に不安になりました。もしかしたらここはL結界の濃度が高く人を送れないか、それともヴンダーがまだ起動していなのか。まぁ後者でしょう。碇君や初号機が戻ってきてからそんなに時間は経っていないですし、よし、ガバはなかったと安心して戻ろうとしたら

 

「君のような勘のいいマダオは嫌いだよ…ゲンドウ君…」

 

 はい、くんなと願っていたネルフからの刺客、Markシリーズがやってきました。クソが!しかもMark09もいるし。急いでエヴァに乗り戦闘準備です。流石にMark09相手に生身のエクスカリバールでは歯が立ちません。コアブロックくらいATフィールドか弱かったらいいんですけどね。あれぐらいならわたしだけでも破れます。つくづくわたしが人間じゃないと思います。

 

『エントリースタート…シンクロ率80%安定』

 

 これが汗と血の結晶ですね。実はヴィレの連中に発電室を破壊されたので頑張って直してた綾波印の発電設備でこのシステムが動いています。前よりもずっとグレードダウンしていますが、外部電源とエントリープラグ挿入装置を使えるようにしたわたしを誰か褒めて欲しいものです。それにほら!汗だくの綾波レイですよ!何故かあったつなぎ上半身脱いで作業してるんですよ!?…この身体でも発汗機能があって少し安心しました。さてシンクロが完了したので殲滅しましょう。こちらの武器は肩に装備されたプログレッシブナイフだけです。武器を集めようとしても何処にもないのでヴィレが持っていったのでしょう。…原作壊してもいいからあの艦ぶっ壊そうかな?本当ロクなことしませんね。やーい。お前らの年齢アラフォー。婚期逃し〜…なんかイヤな予感がしましたのでこの辺で勘弁してやりましょう。(震え声)

 

 さて、戦闘です。エヴァの操作なんて映像や資料だけではよくわからないのです。自分自身の動きに合わせたり、左右にある前後するレバー使ったり、目標をセンターに入れてスイッチだったりいっぱいあります。まぁわたしの場合エヴァを自分の肉体として動かすという考えが一番しっくりきます。幸いこの日エヴァの身体能力は高いので大抵のことは出来るはずです。では、

 

「エヴァンゲリオン第7号機、起動」

 

 

 

「新たなエヴァンゲリオンの反応を捉えました!」

 

「何処⁉︎まさか…」

 

「識別出ました。エヴァンゲリオン第7号機だと思われます」

 

「えぇー⁉︎だって前行った時はうんともすんとも言わなかったじゃん!しかもパイロットもいなかったし、ダミープラントはすでに破壊されてたし…意味が分かりません‼︎」

 

「煩いのぉ。パイロットは何処かに隠れていてその後シンクロしたことぐらいわかるだろう。あそこのL結界濃度は異常だ。そんなに細かく調べてる暇なんてなかったさ」

 

「目標のエヴァ、ネルフのエヴァと会敵すると思われます!」

 

「全エンジン始動!これよりエヴァンゲリオン第7号機の殲滅に移ります。なんとしてもあのエヴァを破壊するのよ!また、碇シンジの捕縛も同時に行います」

 

「しかし葛城艦長!先ほどの戦闘により主翼と甲板にダメージがあります。もしそこを狙われたとしたら…」

 

「…アレを野放しにしたら希望の艦ですら意味がないわ…マリ!『準備OKでーす』アスカ!『二番コンテナ準備頼むわ』二人は碇シンジの捕縛、エヴァ第7号機の地上迎撃を。現時刻をもってエヴァ第7号機の殲滅作戦に移行する!」

 

 

 

 

 

ガキンッ! 

 

 金属がぶつかり合う音が辺りに響く。一際大きな音が響くと十字架を描き爆発が起こる。その中心には黒い悪魔がいた。十字架をその顔に貼りつけていてもその佇まいは決して罪を受け持った者ではない。成り損ないどもをその腕で砕き、脚で潰す。ここに人間がいたらこう思うだろう。神だと。もっともあの黒き悪魔は神などではない。だが彼の畏れが悪魔を神としているだけだ。人間にありがちのことだが、畏れを抱く相手を自分よりも格上の存在として受け取りやすい。それが自分の理解を超えるものならば尚更だ。『神は創造物である』これは実に的を射ている。そう、人間の畏れが生み出した超常の存在が神なのだ。それがたとえ全てを破壊する者だとしてもだ。だが、ここには悪魔と始祖の器と神の遣いの紛い物達がいるだけだ。

 

 

 

 

 

 ふぅー!気持ちイイ!ストレス発散としては中々使えますね。やはりこのエヴァの身体能力は他のエヴァを大きく超えています。まず普通の拳でMark04程度のATフィールドならばワンパンです。また、爆発に巻き込まれても全くダメージがないことやMark09の中和攻撃が一切通ってないことからATフィールドやそもそもの外装が頑丈なことが分かりました。改めて動かすと変態スペックですね。完全に無双系のゲームのようです。ですが今のところ武器無しで戦っていますが感触というか殴った時の反動がかなり自分に返ってきてますね。高いシンクロ率とこの機体の性能のせいだと思われます。なので、ここら辺から殴る蹴るというよりも投げたり千切ったり埋めたりする技にします。

 

 さて、問題のMark09ですがコイツ首無しなんですよ。しかもジェット付き。つまり碇君が誘拐された後ですね。……あ''あ''あ''あ''!!これはまずいです!碇君が誘拐されているということはヴンダーはもう起動してるということです。つまりさっきの起動が捕捉されてすぐに彼等がきますね。ナンテコッタイ。ここでシンジ君が取り返されてしまうとカヲル君と会えずに心が折れます。確実に。この世界のことを教えてくれるのは現状カヲル君しかいないので…おそらく何もしないまま彼が過ごすと承認欲求が強い彼は潰れて壊れます。そうなると原作崩壊は確定で何が起こるか分からないので全力で阻止しましょう。なのでまずは

 

『…そちらのパイロット。こちらに敵対する気持ちはない。それにその手には人がいるだろう。ここで終わりにしないか?』

 

ここはなるべく低い声にしましょうか。話し方も中性的に。碇君に気が付かれると面倒です。

 

『…ダメ。それは命令じゃない』

 

ンァー!んの!ゲンドウ君!そんなに従順な綾波がいいのか!?はぁー、おそらく碇君を釣る為の餌ですね。ならば命令をよく聞く人形の方が効率的です。まぁ人形じゃなくなる可能性があるのが初期型なんですけどね。

 

『そちらの命令が何かは知らないけど、追手の処理が完了次第そちらの方へ出向こう。これでどうかな』

 

『…了解…3番ドックに来て』

 

 交渉は成立しました。戦闘は常にこっちに分がありましたし、今ここで碇君やMark09を失うのは悪手だとゲンドウ君もわかっていたようですね。Mark09はジェットを使って離脱。そして目標は猛スピードで接近中…続いてはヴィレ戦ですかね。あのお二人は強いですからね〜こっちも頑張っていきましょう。

 

上から来るぞ!気を付けろ!

 

『うおおおおぉぉぉぉ‼︎』

 

はい、上から赤い流星ネコこと改二号機が薙刀を構えながら落ちてきました。ここはサッと避けて様子見です。空のヴンダーには8号機ですか。これは厳しそうですね。まぁ負けませんけど。

 

『…今日はいっぱいエヴァが来る日だね』

 

『…チッ!やっぱり綾波型か…すぐに降参する気はある?そっちの方が楽なんだけど』

 

『…わたし自身使徒が混じってるのは知ってる。けどだからと言って自由じゃないのは嫌』

 

確実に拘束&DSSチョーカー付けられて解剖か殺処理くらいます。しかもDSSチョーカーなんてわたしにつけて、なんらかの拍子にパターンブルー出たら即首がポーンです。まぁ後々彼らに会いに行きますけども。

 

『アンタもアイツと同じガキか‼︎?もう一度世界をめちゃくちゃにしたいわけ⁉︎』

 

『もうめちゃくちゃだし。この際いいんじゃない?というかわたしは世界をどうこうする気はないよ?』

 

『アンタがなくてもこっちは世界が終わる爆弾を放置しておけないってぇの!さっさとそれから降りろ!』

 

『無理。目的達成してないしこの後、来てって誘われたから』

 

『ッ!このっなら八つ裂きにしてそこから叩き出す!』

 

 2号機が突っ込みその手の薙刀でわたしを切り刻もうとしますが、甘いです。わざとATフィールドを張らずに彼女を至近距離に誘い込み、脚を踏み鳴らして体重をかけます。そしてその重心移動を利用して掌底を打ち込む。2号機は派手に吹っ飛び、更に至近距離に彼女がいた為援護射撃も飛んできません。なので8号機の下へ向かいましょう。えっ?上空を飛ぶヴンダーにどうやって行くのかって?もちろん飛んでいきます。あれぐらいの高さなら助走ジャンプで届くと思います。はい、普通に届きましたね。8号機は目の前ですが相手は銃を持ってますのでこちらはナイフで対抗しましょう。こいよ真希波…銃なんて捨ててかかってこい!

 

『…これは予想外…まさかこの高さに届くなんてね。やっぱり異常だねその機体』

 

『…それには同感。それにシンクロしてるわたしもだけどね』

 

『…!随分とオリジナルに似せているね?それも命令?』

 

『オリジナルの方がもっと清楚で頑固。わたしは偽者だよ』

 

(使徒と合わさったことにより遺伝子データが崩れた?それともわんこ君のお気に入りみたいになったとか?これは調べがいがあるわね)

 

 

 

 

 なんかまたフラグが立ちましたね。まぁいいでしょう気にしたら負けです。8号機なんですけど射撃がクソ上手いってことしか分からないんですよね。パイロットの性格上近接戦闘も強いと思いますが劇中では射撃でしか攻撃してないので不安です。ですが、この変態エヴァには負けます。基本性能バカですし弱点らしい弱点ってシンクロとか反動がすごいって位じゃないですか。ですが、AA弾は止めて下さい。あれ受けて平気なのは13号機ぐらいですから。

 

 考えごとをしていたら戦闘開始しましたね。あちらさんは銃をブッパしてきますが、そのままATフィールドで受けましょう。逆に回避するとヴンダーから落ちたり、壊したりしてしまうので。ここでヴンダーを壊すと初号機関係で面倒になるので止めておきます。おっと射撃をやめてどっか行きましたね。おや今度はライフルですか。いいでしょう、受けて…ッ!秘技弾丸切り!そして緊急回避!

 

 急旋回したぱち波は8号機が撃ち出した二発のトゲのような一発目はナイフで切り二発目の弾丸をスレスレで避けそのままヴンダーの先端部まで転がり出ていった。

 

…まさかAA弾打ってくるとは思わなかった。しかもヴンダーの主砲の近くまで来てしまった。アカン。ヴンダーのATフィールドて固定されました。そのままエネルギー弾撃ってこないで〜!割とやばいですこれ。ATフィールドは中和されてるからこのままでは意味ないし、かと言ってこのままずっと撃たれたら流石に硬い装甲も壊れる。…シンクロ率上げてそのままATフィールド全開にして脱出しましょう。深く沈み込むような感覚に身をまかし、深く、深く息を吐き準備は完了です。

 

『ATフィールド全開…!』

 

 バチッ!と弾けるような音がした後に7号機の周りの空間は歪み始める。ヴンダーに中和されていようが、より強いATフィールドで捻じ曲げていく。もうヴンダーの攻撃は届かずATフィールドがまるで生き物のように形を変える。そして彼女のATフィールドに呑まれて動けない8号機の腕を綺麗に切り飛ばしATフィールドで格納庫に突き飛ばす。

 

『ぐっ…⁉︎ツウゥ…懐かしいわねこれ…確かに封印せざるを得ないわね…!』

 

(ふむ。一枚のATフィールドの全開出力はこんなもんですか。8号機所は格納庫にぶち込みましたし2号機は動いてない…丁度良いので2号機に死なない程度の強襲をかけてみましょう)

 

彼女はATフィールドを脚に集中させ機体を空へ投げ出した。そのまま2号機に向かって落ちて行く。それはまるで第八使徒のように

 

『メテオストライク』

 

『アスカ‼︎避けて‼︎』

 

『姫‼︎全力でそこから逃げるにゃ‼︎』

 

『うおおおおぉぉおああああ⁉︎』

 

ヴンダーがATフィールドを咄嗟に張ったものの、着弾した瞬間大地は割れるどころか辺り一帯が陥没するほどの衝撃が走った。その場から即座に離脱した2号機にも少なくないダメージが入った。

 

『ちち…ウッ…ホント…化け物ね』

 

『…油断大敵…』

 

『え?』

 

いつのまにか2号機の懐に入ったぱち波は上段の回し蹴りを叩き込み、体を浮かせる。続けて浮いた脚を振りまわしてヴンダーの方向に向かって投げ捨てる。ATフィールドで更に吹き飛ばすおまけ付きだ。

 

『戦いの基本は肉弾戦闘』

 

 

『…ぐっ…アッ、…』

 

 

「神経接続28%カット!ハーモニクス下げて!」

 

「ダメです!パイロット意識不明!シンクロが切れます!」

 

『姫‼︎起きろ!こんなとこで死ぬ玉じゃないだろ⁉︎』

 

『マリ‼︎2号機及びパイロットを回収!一時退去します!総員撤退!』

 

『合点承知‼︎』

 

ヴンダーは去って赤い大地には黒い機体だけが残っていました。はい。勝利ですね。変態スペックすぎて草生えます。これでまだ能力の半分以下しか使ってないのですから恐ろしい…。死にはしてないと思いますが先の友好関係に支障がありそうです。さてこのまま指定された3番ドックに向かいましょう。

 

 

少女移動中

 

 着きましたか。思ったより遠い所でしたねこの3番ドック。ではここらで降りときましょう。なんか弄られたら嫌なのでATフィールドを張っておいて、ネルフ本部を探索します。むっ!ピアノの音が聞こえます。この曲は碇君とカヲル君の連弾ですか。ということは黒波には会っていますからあまり彼に会わない方がいいですね。では黒波を探しましょう。おそらくダミープラントのところにいるのでそこを目指して歩きましょう。

 

 ふーむ…かなりの量の武器ですね。予備パーツも引く程ありますし。ですが全て量産がしやすいものです。ふと思ったんですけどバレットライフルなんて劇中で活躍しましたか?ATフィールドを中和してもあんまダメージがなくて後半は相手のATフィールドが強すぎて使えないと言う始末。ですが、数の暴力とは怖いものです。予告編をみた限りだと地面を覆う数の量産機がいました。白うなぎよりはマシかと思いますけどね。

 

 そういえばアレは旧劇の世界で残ってたものでアレが新劇ではアダムなんじゃないかという考察もありましたね。うなぎは複数いたからアダムスとは複数になりセカンドインパクトの時には四体のアダムスらしき者がいた。四体でセカンドインパクトが起きたからバチカン条約では一国のエヴァ保有数は3機までだったのかも知れません。ですが疑問も生じます。新劇の使徒はアダムスのどれから生まれたのか分からないのです。うなぎから使徒生まれるってなんか嫌ですね。他にも色々ありますが、ダミープラント前に着いたのでまた今度にしましょう。

 

「へーい!約束通りきましたよ」

 

「…!私…?」

 

「おや、私ときみは同じ顔しているね。もしかして生き別れの姉妹?(すっとぼけ)」

 

「…あなた…あのエヴァに乗っていたパイロット?」

 

「そうだよ」

 

「…こっち」

 

 語録を軽くスルーした黒波に手を引かれて何処に連れて行かれるぱち波。遠目から見れば仲の良いコスプレ姉妹だが近くで見ると似過ぎて逆に怖い。だだっ広い空間に二人の足音だけが響く。連れて行かれたのは第13号機の建造所だった。そこはダミープラントとよく似た紫や赤黒い配色が並び巨大な球にいくつものパイプやコードが刺さっている。

 

(うーわ…。大分気持ち悪い建造所だなと思っていましたが想像以上ですね。LCLの匂いが濃いです。うわっ…今この球体動きましたよ。本当わけわかんねぇ奴で作ってますね。ここのエヴァは!)

 

ぱち波が乗っている機体の方が解析しにくいというのは秘密である。

 

「…さっさと登場したらどうですかゲンドウ君?」

 

「……」

 

はい。ネグレクト親父ぃの登場です。はい相変わらずの顔ですね。全く顔色とか見えませんので面向かって探り合いとかしたくない相手です。

 

「…何者だ?」

 

君がそれ聞く?見た目通り君の奥さんの情報を使って造られた綾波レイの初期型ですけど⁉︎この奥さん大好き人間め!てか一番成長していて中学生とか…このロリコンめが!バックベアード様に連れ去れてしまえ!

 

「はぁ〜…。綾波レイですよ。造る計画たてた本人に聞かれると思わなかった」

 

「…それはすでに分かっている」

 

ふむ…幾分か動揺しましたか。さてどうしましょうか。ここはゲンドウ君の計画に少し加担しましょうかね。ヴィレにも加担しますけど。新しい使徒作って、フォースインパクト起こして、カヲル君をまみらせて、フォースを止めるまでがQでのゲンドウ君のシナリオですし、まだ全員死ぬほどのイベントはありません。特にどこにも属さないわたしはコウモリ野郎になる方が楽しそうです。

 

「で?…ここに呼び出して何するの?悪いけどあのエヴァは使わせないよ。アレは使い方間違えると全部壊すよ」

 

「…時が来ればまた話す」

 

「それまでは支部の方にいた方がいい?」

 

「…いや、第3の少年の相手でもしてやれ」

 

ういっと適当に返事をして黒波に手を引かれて退室する。…碇君ですか…少し胸がポカポカした。

 

 

 

 

「良かったのか碇。あの子とあのエヴァは計画に必要ないだろう?」

 

「使えるものは全て使う。計画の助けになると判断したまでだ」

 

「これは老人の勘だが、あの子の場合絶対に何かを起こすぞ。ユイ君と同じようにな」

 

「……」

 

ゲンドウと長い付き合いの冬月は、碇がバイザーの下でかなり焦っていたことを見逃さなかった。ゲンドウも大学時代の彼女に似ていることで大分心が掻き乱されたようだ。手の震えが止まってない。

 

「冬月…少し頼む」

 

そう言って、何処かに行くゲンドウ。

 

「やれやれ、昔とまったく変わっとらんな。さて、いつ捕まるか」

 

老人の楽しみを一つ増やしたぱち波だった。

 

…いつまで手を繋いでいればいいのでしょう?ダミープラント前の黒波の部屋に連れてこられたのですが彼女がわたしの手をずっと握ってるんですよ。不思議そうに繋いだら手を見たり握ってきたり…なんかポカ波入ってませんかこの黒波?

 

「…どうしたの?そんなに気になる?」

 

「いいえ、ただ私と同じなのに違う感じがするから不思議なだけ」

 

なんで分かるんですか?えっ混ざってるの分かるの?はぁ〜変なフラグが立ちましたね…。まぁいいか。最悪シナリオの為にわたしがこの子たちを守ればいいんだし。

 

「そうだろうね。わたしは使徒が入ってるから。多少君とは違う」

 

「…そう」

 

「だが、違うからこそ良い。綾波レイは複数いるが君はわたしの目の前にしかいない。…わたしと手を繋いでいるのは君であってわたしではない」

 

「…貴方の言ってること…分からないわ」

 

「別に今理解しなくてもいいよ。ただ君は君だということを覚えておいた方がいい」

 

そう言って手を離すと彼女も手を離した。不思議そうに手を見つめている。もう少し背中を押してあげようかな。

 

「わたしと手を繋いで連れて来いって命令された?もし違うなら、それが君だ」

 

そう言ってぱち波は部屋から出て行った。一人残された黒波はやっぱり不思議そうに手を見つめている。

 

「私は綾波レイ。彼女も綾波レイ。でも彼女は私じゃない。なら…私は何?…綾波レイ…これが本当の私なの?」

 

表札の名をなぞりながら、ポツリとそう零した。

 

 

 

 

 

 

 

 黒波に伝えるべきことは伝えたので、碇君に会いに行きましょう。ここでぇ、皆様の為にぃ碇シンジについて説明いたします。(RTA風)Qでのシンジ君は本来のメンタルよりずっと傷付き易くなっており、下手に真実を告げたりするとカヲル君との繋がりが結べなくなり原作崩壊してしまうので気をつけていきましょう。そうですね。シンジ君に自分の事を告げるのは冬月先生との会話後かカヲル君と繋がりを持った後がいいですね。よくシンジ君はクソ雑魚メンタルとかめんどくさい男だなと思われがちですが、こうなるのも仕方ありません。

 

 まずは幼少期。記憶はありませんが目の前で母親を失います。そして父親からも捨てられます。親戚の家でも歓迎されていない描写が目立ちます。そしてそのまま思春期真っ盛りの中学生。いきなり父親に来い言われ、兵器に乗り、怪物と戦い、痛い思いをしたもののエヴァに乗る事にしました。父親は自分以外の家族を持っていて、居候先でも裏では監視されて、一度は逃げ出しますが、誰かの為にもう一度エヴァに乗りました。しばらくは普通の中学生らしい日常を過ごせましたが、父親のやり方に反対し逃げ出します。やっぱり気になる子を助ける為にもう一度エヴァに乗り、上司も応援してくれ、助け出したと思ったのに目が覚めたらあの扱いです。そりゃ雑魚メンタルにもめんどくさくもなりますわ。

 

 因みに、考察班ではニア・サードインパクトは碇君に原因がある事を基として、アスカやミサトさん達はあえてその事を言わなかったのではないかという考察が出ています。何故言わなかったかと言うと、『綾波を助けようとしたのに、初号機に取り込まれてここにはいないし、トウジやケンスケ達を犠牲にするし、さらに世界をあんな風に変えてしまったのよ』と面と向かって言われたら、おそらく碇君即メンタルブレイクしますよ。まぁどの道メンタルブレイクは避けられないんですけどね。

 

 長々と喋りましたが碇君に会うと多分黒波と勘違いされると思うので、髪を伸ばしましょう。使徒化して背中にかかるくらいまで伸ばします。後は使徒化を切れば…

 

 綾波レイ ロングヘアーver

 

の完成です。こうすれば彼はわたしと彼女を別々に見てくれます。まぁポカ波と勘違いされる可能性もありますがね。では…いくぞー!

 

…少女突撃中…

 

「やっほー。会いに来てあげましたよサードチルドレン君?」

 

「えっ綾波⁉︎どうしたの?持ってきた本面白くなかった?」

 

「本?わたしは本なんてもらってませんし、君の知ってる綾波ではないですよ?」

 

「…確かに髪の長さが違うけど綾波は綾波だろ?長い髪も似合ってるよ」

 

はい。この天然ジゴロ。綾波殺しとはこいつのことだ。血は争えないなぁ!?ゲンドウ君!

 

「まぁ、確かにわたしは綾波だけど、ちょっと事情が違う。さて、単刀直入に聞きましょう。綾波レイと会った?」

 

「?さっきもというか、たった今もこうして会ってるじゃないか」

    

「違う。貴方と一緒に過ごした綾波とよ」

 

「…何を言ってるんだよ綾波。あの時ちゃんと…」

 

「悪いけど、貴方と一緒に過ごした記憶はないわ。だってわたし達はまだ生まれてないもの」

 

「…ぇ?」

 

「とにかくわたしが貴方に伝えたいのは、君と過ごした綾波レイと目の前にいる綾波レイは違うということよ。少なくとも君が思う綾波レイは貴方をほっといたりしない。そこをよく考えて」

 

「綾波!君が何を言ってるのか全然分かんないよ‼︎」

 

「まだ分からなくていい。ただ、真実を受け止める覚悟はしておいた方がいい」

 

そう言ってぱち波は踵を返して部屋を出て行った。

 

「待ってよ!綾波!綾波‼︎…綾波…どうしちゃったんだよ…!」

 

シンジは訳も分からず頭を抱えるばかりだ。一緒に過ごした綾波じゃない?ははっそんなな馬鹿な。あの時ちゃんと助けたんだ。きっと忘れているだけなんだ…。だってさっきまで綾波と話してたんだあの綾波と。…待て…なんだ…この矛盾。そもそも髪ってあんなにすぐ伸びるものなのか?綾波と別れてから十分もたってない。さっき綾波に本を手渡してきたばかりだ。シンジは部屋を飛び出して綾波の部屋へ向かう。

 

「綾波!綾波!聞きたいことがあるんだ!」

 

「…何。碇君」

 

「さっき僕の部屋に来た⁉︎」

 

「…いいえ。命令じゃないもの。行ってないわ」

 

「…はっ…はは…そう、そうだよね。ごめん綾波。急に来て」

 

「……顔色が悪いわ。どうかしたの碇君?」

 

「…ッ!なんでもない!大丈夫だから‼︎」

 

そう言ってシンジは逃げるようにダミープラント前から出て行った。

黒波の寝袋の中に隠れてたぱち波が出て来てこう言った。

 

「ふむ…鈍感な彼でも気が付いたね。まぁ信じたりはしないだろうけど」

 

「…いきなり来たと思ったらなんで私の寝袋に入ってるの?」

 

「隠れる場所がここしかなくてね。いやー黒波の良い匂いがしますなぁ」

 

黒波は無性にこの自分と同じ顔を引っ叩きたい気持ちになった。セカンドインパクト以前にあったとされる綺麗な紅葉の葉がこの世界にも咲いた瞬間であった。

 

 

 碇シンジは簡素なベットの上で一人縮こまっていた。ぶつぶつと何か言っているのがまるでお経のようだ。

 

「さっきの綾波は綾波じゃない…じゃああの綾波は誰?…そもそも、

綾波は一人じゃない?」

 

そこまで考えてシンジは頭をを振ってその考えを払う。そんなはずないと何度もそう言い聞かせた。だが、もしかしたらの想像が止まらない。

 

(…また彼女に会えたらもう一度聞こう)

 

そう考え、最悪の想像から夢の世界へシンジは逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ネルフとヴィレを行き交う綾波レイ

彼女は運命の子供達と繋がりを持つ

彼女は一体何者なのか、彼女の目的はなんなのか

フォーインパクトの抗争でついに明かされる

次回 Q 人と使徒 さーて次回もサービスサービス‼︎


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幕間 音が与えるもの

はーい。日常回です。時系列はぱち波が黒波と寝た後ですね。音楽関係で運営に怒られたのに懲りない作者です。幕間という名の掘り下げ?になってしまった。

大分文体がおかしいけどそれもご愛嬌。


 予想外な事になりました。碇君が早々に我々がポカ波ではないと気づきました。ここまでは予定通りです。そのように背中を押しましたから。しかし、彼はそれを受け入れ始めました。さらに、黒波が原作よりもロストポカ波が少ないです。主にわたしのせいですが。

 

碇君はポカ波を助けたということを信じてます。そこに綾波は複数あるという情報がプラスされて、ざっくりと定義するなら『ポカ波は助けたけどここにはいない。けど黒波とわたしも気になる』という感じですね。

 

まぁ当のご本人は部屋でうんうん悩んでたりそこら辺をウロウロしてましたけど大体こんな感じでしょう。綾波を助けた。けど助けた綾波とは違う綾波が2人いる。なんで?ってなりますもんね普通。そして、受け入れ始めるというのは、わたし達を別々につまり、わたしとして見てくれるということです。やだ…シンジさん。かっこいい♡

 

 

おかしぃだろぉ!君そんなにメンタル強くないじゃないですか。すごく主人公してるけどそうじゃない。あっれー?これもイレギュラー(ぱち波と機体)のせいですかね?

 

因みに綾波レイの真実は冬月先生が教えてくれます。この時点で彼が綾波レイのことに触れているとメンタルブレイクの要因は世界と綾波レイの正体、父親の計画ですかね。

 

ふむ。改めて考えると少しまずいですね。このタイミングで彼らに修正がかかると守りきれないです。繋がりを持ったほうが良さそうですね。黒波との繋がりはかなり強くなりましたけど。

 

いや〜日本の聖典を見せたのは少しどじっちゃいましたね。彼女ははっきり言うと無垢ですから何色にも染められるのですよ。その結果、いろんな色を混ぜすぎて黒になっちゃいました。

 

具体的にいうと、喰われました。美味しくいただかれました。すごい声でました。そして、マグロじゃなくてよかったとかではなく行為自体がよかったと思う辺りわたしはもうダメかもしれません。聖典は彼女に必要以上のものを与えたようですね。

 

それで、これはヤバイと思って回収しようとしたら、黒波にまた寝袋に連れ込まれて、生命の成り立ちについて、また、聖典で学んだことを肉体言語と実践演習を通して説得させられたのでそのままです。黒波には勝てなかったよ…。

 

まぁ、それでも彼女は自分というものを見失ってないですからね。アヤナミ・レイの中でもわたしに次ぐ極めて異質な存在です。わたしとの繋がりが誰よりも強く、黒波がいてわたしがいる状態ですね。なのでより直接的な世界からの排除が少なくなりました。

 

では、少しだけ繋がりについて説明しましょう。簡単に言えばわたし(異物)をこの世界に繋ぎ止める概念みたいなものだと捉えてください。詳しくはわたしにもわかりません。ただ、これが無いと世界に消されやすくなります。もっともそれ以上に個人的な理由があるのですが今は割愛します。

 

 

という訳でやってきましたピアノ前。わたしの計画は

 

『誰もが立ち止まり耳を傾ける音楽を奏でよう!そしてそのまま飯とか食って仲良くなろう!大作戦』

 

です。

どうですかこの完璧な作戦。音楽好きな彼らは食いついてくることは間違いありませんし、ゲンドウ君はわたしが何かやらかすと飛んでくるので問題ありません。黒波?あぁ…。彼女はゲンドウ君にわたしのストッパーの役割を任させているので、ゲンドウ君が呼びます。

 

…できれば、できれば彼女は碇君とカヲル君にちょっかいをかけないで欲しい。無理だろうけど。彼らに兄貴、姉貴達は早すぎる。はい。気分を取り直して弾く曲を決めましょう。有名なピ●●●ストや曲のリスペクトでもいいんですが…。やめときましょう。世界が怯えてしまいます。なら…

 

 

 

〜♪〜♫

 

「なんだろ。ピアノの音だ。カヲル君がまた弾いてるのかな?」

 

シンジは聞こえてきた音楽に惹かれて広場までやって来た。そこにはカヲルもいた。

 

「カヲル君?君がここにいるということは…ピアノを弾いてるのは誰?」

 

「やぁ、シンジ君。それは自分の目で見てみるといい」

 

そう言いながら彼は手招きする。ピアノから少し離れた所から覗き込むとそこにはピアノを弾く髪を伸ばした綾波がいた。

 

……彼女は助けた綾波じゃないって言っていた。Mark09の綾波にもあの後聞いてみたがやっぱり彼女ではなかった。それでも受け入れられるようにしたかった。姿形が同じだからって自分の求める綾波とするのは違う。その行為は初めは必要としてくれるから、褒めてくれるからと肯定していた。でも、違った。そう扱われることの辛さを知った。だから僕はしたくない。そう思ったんだ。それに流石にあんなことをする彼女をあの綾波だとは思えない…。

 

 

 彼女が奏でる音は綺麗だった。僕の知らない音だった。彼女の歌声はとても悲しくて、それでも背中を押してくれるような…そんな声だ。その歌は『誰かにまた会える』という約束の歌だろう。僕に別れの時が来ると言っているように聞こえてしまった。この歌のように彼女も眠ってしまうのだろうか。

 

「…〜♪」

 

拍手の音が響く。

 

「上手だね。僕も知らない曲だ」

 

「うん。とても綺麗だったよ。えっと…」

 

「好きなように呼んでいい。君がそう理解してるなら大丈夫」

 

「…そっか…そうだね。綾波」

 

…このスケコマシめえ…!素敵な笑顔で呼ぶなんて反則ですよ。毎回思うのですが、碇君やアスカ達は中学生が放っていい色気を超えていますよね。なんですか?あの綾波の柔らかスケベボディーは。なんですか?アスカの健康的なエロスボディーは?話が逸れました。とりあえず彼らを呼ぶことはできましたね。後は、

 

「…見つけた」

 

「いきなり上から降ってこないで下さい。碇君達がドン引きしてますよ」

 

「大丈夫。怪我してない」

 

「怪我してなくても三階ぐらいの高さからパルクールしながらやってくるって普通ドン引きですよ?」

 

はい。黒波がいつのまにかこんな能力を備えていました。これのせいでわたしはどんなに逃げても捕獲されます。使徒化してないと安定した3次元移動できないのに黒波は普通にできるので怖いです。恋する乙女は強いってね。おっとゲンドウ君も来ましたね。顔が青いですが大丈夫ですね。

 

「ふむ…揃いましたか。ではこれよりネルフ音楽会を開きます」

 

はい、2人ともポカーンとしてないで黒波と冬月先生みたいに拍手なさい。はいそこ。頭を抱えて首を振らない。強制イベントですよ。覚悟おし!

 

「では、わたしはさっき弾いたので碇君達お願いします」

 

「えっ、いきなり言われても…」

 

「大丈夫だよシンジ君。連弾は何回かやっただろう?ほら。行こうじゃないか」

 

「ちょちょっと待ってよカヲル君!」

 

うーむこの薔薇色。続けなさい。

 

〜♪

 

2人の連弾の音は不思議なものだった。わたし達はいつのまにか森の中にいた。彼らは口を開けていないのに会話をし、それはまるで小鳥のようなさえずり。

〜♫

曲調が変われば表れるものも変わった。次は絵画展にいるみたいだった。ピアノの旋律が風景を、高低が感情を、強弱が色を、それを合わせて全体で一つの絵を描いていた。

〜♬

主にカヲルが手を引きシンジが後についていく。まるで先程の光景のような連弾。いつか、逆の光景を見ることはできるのだろうかと一人の異物は考えていた。

 

2人の演奏は終わり拍手が鳴る。いや〜いいね。こういった高潔で綺麗な音楽がこの世界にはあってる。さて、次はゲンドウ君だ。

 

「…貴様…」

 

「君も少しは息抜きをしたらどうだい?」

 

「…ふん…誰のせいでこんなに疲れていると思っている」

 

誰のせいでしょうかね(すっとぼけ)

 

「何。いいじゃないか碇。私も手を貸そう」

 

「…今回だけだ」

 

そう言ってゲンドウはチェロを持ち出してきた。冬月はヴァイオリンだ。ではわたしはピアノを。

 

チェロの低く響くような音に合わせてヴァイオリンの高音が旋律を刻む。ゲンドウが奏でる音は重く、自分の意志を持った音だ。あまり一般の人達にはいい音に聞こえないだろう。だが、わたしには彼らしいと、素直だなとそう感じさせる音だった。重い音だ。彼の肩には何がのっているのだろうと考えてしまう。そんな音を刻む彼は薄く微笑んでいた。あぁ、あの時も同じように不器用な微笑みをしていたのを思い出した。

 

ヴァイオリンの高音は気高く美しい。それは良く彼の性格を表したものだ。そんな老人が何故あのような計画に賛同するのか。この演奏を聞くとなんとなく理解できる。彼らは凹凸なんだろう。薄汚れても、重い罪を背負っても諦めない人。潔癖で人らしくありたい臆病な人。そんな印象をわたしに与えた演奏だった。

 

また拍手が溢れる。彼は少し恥ずかしそうだ。

 

「…次は私」

 

一番の不安要素、黒波。さてどんな演奏…を…ちょっと待ってください。その机はどっから持って来たんですか。そして何をするつもりですか?

 

おもむろに黒波は机を叩き出しリズムをとり始めた。

 

ん?この春風を感じさせるリズムは…。おい!それはマズい!

 

「イラッシャイマセエェ〜↑。ナナナ〜」

 

やめて!色んなとこから怒られる!あっー困ります!黒波様困ります!

 

全力を以って違う曲に変えさせました。生贄はわたしです。泣きたい。

 

黒波が奏でる音は儚さが目立っていた。シンジはこの曲を知らなかったが彼女を表現している曲だと感じた。しかし、曲が進むにつれて違うことに気づいた。

 

まともな曲でびっくりしているぱち波です。

…彼女はもう人形ではありません。それでも、まだ何をしていいのかわからないのでしょう。わたしは手出しできません。糸が切れた人形が再び動くには糸をつけ直すか人間になるかの二択ですから。彼女は後者を選び頑張ってますから。頑張る方向が不安ですが…まぁ大丈夫でしょう。

 

その後、音楽会は進みそのままみんなでご飯を食べた。そこでまたぱち波の食料が提供されたことに一悶着あったが無事に終わることができた。それぞれが部屋に戻る中でぱち波だけがピアノの側にいる。彼女はピアノと向き合うと一人曲を奏で始めた。

 

その曲は自分に対する嫌悪、世界に対する憎悪、心の葛藤といった負の感情が入っていた。その中にも優しさや思いやり、愛が入っているのは彼女らしい。彼女の歌声は廃虚の街に響く。

 

「…わたしは、この世界をどうしたいのだろうね」

 

世界を変える力がある

 

それだけだ

 

心構えなんてガタガタだ

 

今日触れ合って見て改めて分かった

 

わたしは異物だ

 

何度も消されてきた

 

それでも諦めきれなくて、ここに辿り着いた

 

音が止み、痛いくらいの静寂が夜を支配する。月と星々だけが彼女の姿を見る。

 

…あぁ、わたしきっと怖いんだ

 

彼等をわたしの手で一度失うことが

 

碇君はすごいなぁ

 

わたしなんて考えただけで身体が震えるのに

 

消えるのには慣れたはず

 

なのに

 

触れ合ってしまったから

 

消えるのも怖いんだ

 

貴方の側にいたい

 

もうわたしは忘れてしまったから

 

そこにいるのは帰る場所を忘れ、悲しみと恐怖に震えるただの少女だった。膝を抱える少女の上から音が一つ流れた。その音は彼女を優しく包む。

 

「…何しに来たんですか…黒波」

 

「……」

 

黒波は黙ってぱち波の隣に座る。

 

「笑っていいですよ。こんなわたしを」

 

いつものように戯けてみせるが、顔は膝から離れない。黒波は彼女の顔に手を添え顔を上げさせる。彼女の赤い眼は揺れていた。その眼を見たまま口付けをする。

 

「…なんで…」

 

優しいキスだ。こんなキスをされた記憶はもうない。

 

「…なんでですか…異物であるわたしに…放って置い」

 

口付けでその口を閉ざす。キスされるたびにぱち波は自分の瞳と心が揺れるのを感じた。そのまま彼女の胸に抱きすくめられる。頭を撫でられる感触は初めてだ。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大丈夫、貴方は消えないわ。私が側にいるもの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう呟かれた言葉がきっかけだった。

 

 

「うあ''…ひっぐ…うあぁああ‼︎ああああああ!」

 

黒波は彼女が泣き止むまで頭を撫で続けた。

 

廃虚の街に響く迷子の少女の泣き声

 

それは少しだけ人間らしくなった証だった 

 

 

 

 




ぱち波を泣かせたいと思ってやった。反省も後悔もしてない。普段おちゃらけてる人はなにか隠してるというあるある設定。何度も消され、ループしてる為、現実世界の自分を忘れている。

曲名だけならセーフなので音楽会で演奏した曲のイメージをば

ぱち波・ぼくらのレットイットビー

シンジ&カヲル・人生のメリーゴーランド

ゲンドウ、冬月、ぱち波・残酷な天使のテーゼ

黒波・からくりピエロ

迷子の少女・とても素敵な六月でした


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幕間 本当の音

…コロナをぱち波ウイルスで駆逐したいと思っている今日この頃。アンケートありがとう茄子!見たくないって方もいるようなのでエッチシーンは別にしました。

なんで、シリアル化を目指してたのにシリアスになってんですかね。誰か教えてエロい人。まぁ、エヴァだからねしょうがないね。つか、この話ヴンダー編の前に投稿すればよかった.…。後で、並び変えときます。
短くてもそれはご愛嬌。


 誰もが意図していないものの取得。彼女が得た自分らしさというものだ。彼女は綾波レイに変わりはない。だが、他のアヤナミ・シリーズと同じなのかと言われれば違うと言わざるを得ないだろう。

 

綾波レイはリリンと同じ思考能力を持ち感情もある。唯一違うところを挙げるならば、第三者の手で人格を作られる点だ。

 

では、それに魂はあるのか

 

魂がなければそれは肉の器に過ぎない。動き、考え、感情に酔うことこそがリリンの特権なのだから。魂が入った綾波レイのクローンのみが綾波レイとして存在できる。

 

魂は目に見えるものではないだろう。多くのリリンは魂の理を知らない。それは神の領域にあるからだ。

 

今まで、魂について多くの考察が挙げられてきた。だが、どれも正しいと断言できるものではない。その考察の根拠も結局は人間の想像力で作られているからだ。想像力はリリンの強みであった。その想像力により、神も魂も人間が創ったと言ってもいい。

 

余談だが、本当に神がいるとしても神を神と定義付けるのは誰なのか。神自身なのか。違う。他者だ。どんなに凄まじい力を振るったとしても他者がいなければ自分を測る事すらできない。

 

話しを戻そう

魂について分かっている事を挙げるとするならば、

 

・魂という言葉は人が生み出したもの

 

・魂を扱える能力は人類に備わっていない

 

・現時点で魂を創る事は不可能

 

これらが挙げられるだろう。

 

器は作れても魂は造れない。綾波レイはリリンの模造品であり、魂の場所が違う。魂があるとしても、それがリリンと同じものだとは思わない。しかし、変質を始めた。それは『リリンは自ら進化出来ない』という定義を根底から覆すものだ。

 

いや、進化というのは些か大袈裟かもしれない。なぜなら、変化はとても小さいものだからだ。変化が起こっているのは心…つまり精神面。進化というよりは成長と呼ぶ方が適切だろう。

 

魂というものは人知を超えて造られている為ひどく複雑かつ曖昧…そして完全だ。故に不完全な模造品の魂だからこそこういった変化が起きるのかもしれない。もっとも…彼女レベルの刺激がないと変化は起きないだろうが。

 

…おそらく、世界にとっては不都合だが、子ども達にとっては良い事なのだろう。

 

一体何処のどいつのせいなのか…

 

     

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

私は綾波レイ。…だと思う。もう一人の私に会って自分を見つけなさいって言われた。

 

綾波レイは複数人いる。私も彼女もそして、碇君が『綾波』と呼ぶ綾波レイ。それぞれに役割があったという。私の役割は命令通りに動くこと。

 

それをあまり重要視しなくなった。これが自分らしいことをなのか。彼女に聞いても

 

ーーーそれはわたしが決めることじゃない

 

とはぐらかされてしまう。自分らしいって難しい。

 

ある日、彼女が映像を見せてきた。よく分からなかったけど、自分らしさを得られる気がした。…なんで彼女は碇司令に追いかけられているのだろう?

 

彼女は表情がある。でも、私には誰よりも表情がないように見える。

 

…違う。仮面を被ってるだけだ。それで無理矢理表情を作ってる。それに気づいてから、私は彼女を遠目で追うようになった。私は綾波レイなのか疑問に思っていた。けど、彼女も綾波レイなのか。彼女の歪さを見ると考えてしまう。

 

 

その日、夢を見た。

 

気が付くと廃墟の屋上にいた

 

不思議な空だった。まるで、全ての時の空模様を重ねたみたいな…

 

明るいのに暗い

 

青い空に星が輝く

 

鏡のように割れている部分もあった

 

そこだけは、青い海を空に映して、同じ色になっている

 

太陽らしきものはなく、月と星々だけが、廃墟の街を照らす

 

不思議な空の下で一人、座っている人影を見つけた

 

それは、長い髪を風にさらされながら、座っている少女だった

 

 

「…まって…!」

 

彼女だった。手を伸ばしてみるけど、そこで目が覚めた。伸ばした手は虚空を掴んでいた。彼女の歪さはあの空のようだと一人呟いた。

 

 

彼女は時々誰もいない街に座っていた。あの夢がちらつき、私がどうして此処にって言う聞くと何でもないと答える。その時の顔はいつもと同じだった。

 

…頬に水滴がついていたからその滴を啜った。しょっぱかった。分からないけど手を頭に添えてたと思う。それなのに、彼女の目からはまた滴が出てきた。啜っても減らない。それは涙と言って悲しい時や嬉しい時に出るらしい。

 

彼女は泣きながら笑った。でも、その笑顔だけは嫌いだった。ただ漠然と、彼女が流すその涙は消してしまいたかった。

 

痛い

 

胸の奥が痛かった。検査をしても異常は見当たらない。泣いてる彼女は見ると痛い。あの涙をつけたまま笑う彼女見るともっと痛くなる。

 

時間が経てば治ると思ったのに、まだ痛い。酷くなってる。

 

私が彼女を探して、見つけた時はいつもの表情を浮かべた彼女がそこにいる。

 

たまに、泣いてる姿を見かけることがある。隠れるように泣いている。隣に座って涙をすくう。嫌な泣き方だと思った。見るたびに胸が痛くなるから。

 

 

 

その涙だけなくなってしまえばいいのに

 

 

 

 

痛みに耐えきれなくなって、彼女を連れてきた。彼女が泣く理由を知った。あの空の意味も知った。

 

初めて声を荒げた。

 

本気で誰かを殴った。

 

初めて泣いた。

 

初めて誰かを愛しいと思った。

 

 

抱きしめた貴方(・・)が泣いたから、指でその滴を拭った。…悲しげな赤い瞳は揺れていた。貴方自身のように。

 

だから、そっとキスをした。

 

優しく、触れるようなキス。

 

一度離してから、もう一度キスをした。

 

貴方の存在を私に刻み付けるように長いキスを。

 

上唇、下唇を舐め合い、舌を絡ませる。涙の味よりもキスの味の方が甘かった。お互いの口から出る音はとても興奮した。

 

貴方のとろんとした目には私が嫌いな涙はなかった。初めてだった私達は溺れるように互いの身体を求めた。粘液の快楽は怖かったが、貴方を強く感じられた。

 

裸で抱きしめ合って眠るのもあなたは好きだ。お互いの心臓の音が聞こえるほど抱き合いながら眠れば…冷たい朝に『おはよう』という温かい言葉が生まれた。

 

 

…貴方は忘れてしまうけども…私は覚えてる…

 

 

 

音楽会の後、また貴方は泣いていた。音でその涙を拭った。抱きしめながら、側にいることを約束した。ぼろぼろと私の胸で泣く貴方を見て、本で読んだ『嘘つき道化師』を思い出した。

 

あぁ、貴方にそっくりだ。

 

 

『笑う道化師は何を想う』

 

 消える貴方は何を思う

 

『悲しむ観客は何を思う』

 

 残る私は何を想う

 

 

あの本の終わりは道化師が消えることでハッピーエンドになる。でも、物語のように上手くいかない。彼女と貴方は同じだから、片方が消えればもう片方も消える。彼女も貴方も消えて欲しくないなんて我儘だろうか。

 

泣き疲れた貴方を部屋に連れて行く。貴方が足を踏み入れるようになってから私の部屋は変わった。悪くないと思ってる自分がいる。

 

ベットに下ろして、キスをする。舌を絡めれば…

 

「…ん!?…んー!んむー!」

 

ほら、起きた。長い髪をすきながら口内を蹂躙する。聖典や師匠曰くヤルなら徹底的にやった方がいいらしい。もちろん、気遣いや優しさを忘れないように。

 

息継ぎの為口を離すと銀の糸が引かれる。これはまだまだ、序の口。 

 

 

 

 性別すらも曖昧な彼女は生まれたての人間を愛し愛された。それは彼女の仮面にヒビを入れた。

 

それは優しく甘い毒のようだ。二人はそれを分かっていて飲み込む。

 

ー汚れた少女達だ

 

十戒や神の教えを知る者ならばそう答えるだろう。間違いではない。事実あの二人は汚れた。

 

だが、ひどく人間らしい

 

 

 

 

 

 

ただひたすらに貴方を求めた。

 

貴方も私を求めてくれた。

 

碇君が探している綾波レイもこんな気持ちだったのだろうか。

 

あたたかい

 

私を受け入れてくれた貴方はきっと優しいひとだったのでしょう。だから、私も貴方を…

 

 

 

二人は同じ寝袋に入って眠っていた。

 

黒波は目を薄く開く。

 

アルビノ特有の赤い目。神秘的で何処か近寄り難い。少しだけ、黒に染まりつつあるその目にあたたかなものを抱きながら胸元の頭を撫でる。

 

「…貴方は、私が覚えている。…安心して」

 

胸の中で動く気配がした。背中に腕を回したぱち波はボソリと言う

 

「…わたしも君を覚えてる。もう忘れない…忘れたくない」

 

きっと、彼女は悲しい世界の朝に温もりを与えた。

 

 

 

 

 

 

 

 二人はピアノの前にいた。あの時から二人だけの音楽会が開かれるようになり、今日もまた、音が奏でられる。その後に二人でご飯を食べる。

 

黒波はふと横を見た。いつもの歪な表情だ。でも、その横顔はどこにでもいる少女のよう。仮面がヒビ割れた証拠だ。

 

 

彼女は嘘をつく。じゃないとこの世界に消されてしまうから。だから、音で、目で、身体で話すしかない。

 

でも、彼女はそれを人に見せるのを嫌う。

 

一人の時にしか彼女は本当の音を奏でない。消えると知り、傷付いた。もう傷付きたくないから嘘に隠れるようになった…。

 

ー『もう期待しないって決めたのに』

 

ー『傷付きたくないのに』

 

ー『傷付けたくないのに』

 

彼女は繋がるたびに弱くなる。もうATフィールドは使徒化しないと展開出来ない。これから先もっと弱くなる。心もボロボロになる。

 

それは貴方が望んだことだから、止めはしない。

 

 

 

でも…

 

 

 

もう少しくらい欲望に正直になってもいいよね?

 

 

貴方の顔を手で挟んで、綺麗な赤い目を見る。少し赤くなってるのは貴方らしい。

 

 

傷付いてボロボロになっても

 

 

傷付けて罪に押しつぶされそうになっても

 

 

     

    貴方を愛しています

 

 

 

真っ赤になって口をぱくぱくさせてる貴方は可愛かった。

 

 

 

 

世界は、彼女に祝福に近い呪いを送った

 

ーそれは、偽物の幸せと絶望に溢れていた

 

 

運命の少女は、彼女に呪いに近い祝福を送った

 

ーそれは、彼女を苦しめるけど

 

ー必ず貴方の手をとってくれる(助けてくれる)

 




参考文献の曲…『ピエロ』

何気に黒波の視点初めて。

はい。(文字数稼ぎの)質問返信コーナーでーす。

皆様が疑問に思っている事を適当にお答えしましょう。(聞いてない)

「世界から消されるってなんなん?」

消えます。パシャって。普通に死ぬ事もあるけど。

「エヴァパイロットってぴーしていいの?」

ダメです。旧劇設定だと生命の誕生について肉体言語で話し合うとシンクロできなくなると思います。成長しちゃいますからね。

しかし、新劇では分からないのでセーフってことで。ぱち波と黒波だし大丈夫、大丈夫。それに二人とも多分夜の運動会するほどシンクロ率上がるでしょ。

「作者って変態さん?」

これでも性癖の始まりは極小だったんですけど、広がりは無限だったみたいです。

「作者ってホモ?」

公園のベンチにつなぎ着て座ってるんで遊びに来てくださいね。

なんで『作者ってレズなんですか』とかないんですかねぇ…まぁどれもいけますけど。


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Q 人と使徒

なんか長くなったので分けました。そして後編はデータが消えました。世界滅びろ。さて、かなりのキャラ崩壊なので気をつけて下さい。

ぱち波のプラグスーツカラー
全体は黒で白のラインがいくつか入っている。えっちぃ。

感想ありがとうございます。やる気に繋がるので感想くださると嬉しいです。誤字があるのもご愛嬌。


はい、あの機体があることですでに原作崩壊が起きてる事に絶望しいっそ開き直ったいつもニコニコ這い寄る偽天使(ガチ)綾波レイです。

 

 前回は黒波の潜在能力の高さに恐れをなしたところで、引き続き本部探索です。ここにはご飯や水があるので食糧面では味を除いて問題なしです。…マジでなんなんですかあのご飯。碇君とか普通に食べてましたけどあれだよ?その…歯応えが一切同じの数十年前の病院食だよ?ジュース的なのは美味しくない野菜ジュースを水で810倍くらい薄くしたやつですね。まだ水の方がマシです。ですが我慢です。この世界に食えるものがあるだけで幸運なのですから。話がそれました。

 

 では、探索の話といきましょう。前にも確認した通りエヴァの予備パーツや量産武器が大量にあるので幾つか拝借しておきましょう。作中であまり役に立たなかったバレットライフルも7号機のスペックなら化けると思いますし。この生産場は深めにあり第三ドックまで運ぶには流石に綾波ボディーでは無理なので生産ラインから常にそこら辺を回っているラインに切り替えて各種武器をコンテナごと運びます。あとはエヴァで持ち運ぶだけなので楽です。 

 

 次は移動手段の確保ですね。これはすぐ達成できました。なんせそこら辺に積み重なっている自転車を一つ貰うだけですので。多少痛んでますが、ここは綾波工房の腕の見せ所。工具と材料さえあれば直せます。最悪使徒の不思議パワーを使います。では、工具を取りに第三ドックにいきましょう。エントリープラグ内にしまってあるので盗まれる心配もありません。第三ドックに持っていきましょう。

 

少女移動中…

 

 はい、第三ドックにつきました。此処もまぁ普通じゃないですね。全体的に紫色ですぐ近くにMark09置いてあります。ネルフ本部のエントリープラグ挿入装置とか自動ですし、特に手を加えることもないんですけど、乗ってる機体が機体なので絶対何かされていると思います。よって一旦此処から出して違う所に置きましょう。さて、さっさと工具箱を取り出し……は?

えっ…ちょっと待ってください。ATフィールド破られてるし全然機械が動かないんですけど!?…ん?英語で警告文が出てきましたね。ちょっと待って下さい。訳します…

 

『既に機体は凍結済みにより管理者の決定がない以上作動できません」

 

……………………。

 

「テメェェナニシテンダァ‼︎?」 

 

女の子がしていい言葉では無いと分かっていましたが仕方がないと思います。きっとどっかの骸骨さんもそう思っていますよきっと。はい、ガチガチに拘束具をつけられてます。おのれゲンドウ。しかもわたしじゃこのシステムにアクセス出来ない様になってるし…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヨシ…手動で外そう」

 

 大丈夫です。旧劇でも停電したとき手動でやってました。まずは赤い水を排水します。これは排水するための穴があるはずなので潜ってそれをこじ開けましょう。穴の位置は制御モニターから不正アクセスして表示させています。フッフッフッ…こっちの方はガバガバだなゲンドウ君!入念な準備体操をしてからプラグスーツを脱ぎ、エクスカリバール片手に赤い海に飛び込むぱち波。

 

バールだけ装備の女の子が素潜り…エロスの前に恐怖を感じる。どちらにしも性槍抜錨しちゃうけどね。

 

(主に生命の危機等を感じた場合、リリンは本能的に子孫を残そうと発情します)

 

おっ!ありましたありますた。これですね。それじゃこじ開けていきましょう。そーれ約束された撲殺の釘貫〜。よし開きましたぁぁあぁアアアアァァァ‼︎

 

ボボボボ‼︎ボハッ!

 

「ゼー、ゼー、そりゃ吸い込まれるわ…しかも使徒化してないと割とわたしリリンより5倍くらい頑丈なだけだし…服着て生命綱つけよ…」

 

 少しトラブルもありましたが赤い水の排水が終わりました。次はエントリープラグとアンビリカルケーブルのロックですね。これは…エクスカリバールの出番ですね。釘抜の要領でボルトの間に突っ込んでやれば…はい外れました。どんどん外していきましょう。イッキ!イッキ!

ゲッ…プラグ内が改造されてますね。わたしが乗っていたエヴァは次世代のコックピットではなかったんですよ。あの下の方がチカチカする感じじゃなくてツルツルの方。まぁ嬉しいっちゃ嬉しいんですけど、絶対何か仕込んでますよね?自爆プログラムとかダミーシステムとか。

 

「…改造しましょう」

 

 工具がこっちあるなら勝ち確です。取り外すくらいなら出来ますよ。さて、大体こ↑こ↓らへんにあったと思います。エヴァQで使われたダミーシステムは第13号機に付けられていてカヲル君とのダブルエントリーシステムを乗っ取り操作を切りました。その時に反応したのがここのチカチカするところ。ここから接続が切れていたので大方ここに埋め込まれています。オープン!ビンゴですね。黒い円盤型の装置がありましたので外しておきましょう。好奇心でダミーシステムの中身を覗いてみましたが、ヤバイですね。小さな脳と思われるものが回路と電子チップで繋がれてました。しかも複数。なるほど、複数の脳で戦闘パターンを組み込み攻撃すると。うん、破壊☆。後は自爆プログラムの解除ですね。コイツはやり方が分からないので使徒の不思議パワーでなんとかしましょう。ふむ……なるほど…ん?あっ…

 

女神なんてなれないままわたしは生きる〜♪

 

おぼつかない足取りでエントリープラグから出て来たぱち波はすぐ横の挿入装置の足場に膝と手を突き項垂れた。いわゆるorzの姿勢である。

 

「もーヤダ…なんなんですかこのエヴァ…。もういっその事ことコイツでガフの扉開いて下さい。扉どころか部屋ごと破壊すると思いますけど」

 

 はい、お察しの通りまたコイツがやらかしました。自爆プログラムをつけたまではよかったのでしょう。制御リミッターさえありませんでしたからね。ですが、ただのエヴァではないのがこの第7号機予想はしていましたが予想の360°上の方向に飛んで行きました。コイツには取り付けられませんようにという考えも虚しく、取り付けられた自爆プログラムはなんということでしょう。キメラ使徒達が取り込んで無効化してしまったではないでしょうか。これもう自立してね?こっわ‼︎パイロット乗ってないのに活動すんな!ご丁寧に人の手はいらねぇ!とばりに拒絶しよってからに…。

 

は〜い、ぱち波のガバガバ考察はーじまるよー。

 

 何故わたしがこんなにも絶望してるのかというと、ゲンドウ君やゼーレの計画にめっちゃ貢献しそうな機体だと改めて分かったからです。エヴァンゲリオンというものは人の域に留まっている間はまぁ普通?の兵器なんですけど、今回の様に動いたりするともうこれは人の域を超えてることになります。例えるなら、神経が切れているのに動き出すとかですかね。初号機は内部電源が切れて人で言うなら神経が切れた状態で動き始めました。

 

そこからあの熱き戦いです。あの状態は擬似シン化第1覚醒形態と呼ばれています。擬似シン化とは神に近くなることで、正に人では出来ない事ができるようになります。目からビームとか使徒への干渉とか。今回の自爆プログラムの解除も第7号機が自分でやった事で人が掛けた枷を取り払ったと考えると…ヤッベェ。つまり第7号機には意思があって、人の域を超えた事ができるということです。

 

さて、皆さんよく考えてみてください。擬似シン化第1覚醒形態は純粋に人の願いを叶えます。碇君もそれでポカ波を助け出しました。そしてわたしは一応願いを持っていました。はい、そうです。自爆プログラムのことです。つまりコイツは擬似シン化第1覚醒形態なのでは?使徒本体を使っているから当たり前やん。と思ってる貴方。使徒は神ではありません。あくまでも天使という役付けになっています。

 

新劇の世界では魂の器に魂を入れ、肉体に取り込ませることにより、神に近い者になる事ができます。わたしはそれを一度やっています。ベースが天使の神のごとき存在は容易に第13号機を超えるインパクトを起こせるのは確定なので、確実にこの事実が知られたら計画に組み込まれるか、不穏分子として消されます。わたしごと。フザケルナァ!

 

…擬似シン化第1覚醒形態と言うことは、あの底はそれ以上の覚醒形態にならないといけないということですか。人の域を超えるとすればこのエヴァは元々人じゃありませんし、というか他のエヴァも中身は厳密には人じゃ無いし…。人の域に留まらないことを擬似シン化というのかもしれませんね。今はギリギリ人の域に留まっているので、この形態は『擬似シン化半覚醒形態(仮)』とでも名付けましょう。

 

因みにこのエヴァ第7号機は第二から第十までの使徒から作られているとあの資料から分かっています。なので使徒が使っていた攻撃も一部再現してみようと思います。第四使徒の光の槍とか第六使徒の加速粒子砲とか。

よし!元気が出ました。作業続けましょう! 

 

 コックピットの修理も完了したので、第1〜15の拘束具のロックを外していきます。と言うもののこれが結構デカくて先程のように出来ないのですよ。という訳で本気を出します。

 

「…シングル・オーロラ・ヴェーブ」

 

神の使者(偽)キュア・レイ。

 

自分でやってて死にたくなりました。今度黒波にもやらせましょう。まぁ使徒化したところであんまり変わりはないです。A Tフィールドが強くなるのと身体能力上昇、不思議パワーが使えるようになります。前回伸ばした髪結構鬱陶しいですね…適当に結んでおきましょう。さてと、さぁバッター大きく振りかぶって〜……

 

ズガァン‼︎

 

 

 

 

「なんだろう、今の音…」

 

「確かに気になるね…見に行ってみるかいシンジ君?」

 

「…うん…行こう」

 

今日もカヲルとピアノを弾いていたシンジは突然聞こえて来た騒音の原因を探るべく探索を開始した。

 

「ここからだ。あの音が聞こえて来たのは」

 

「ここは、第三ドックだね。Mark09が収容されていると聞かされているよ。このまま進んでみよう」

 

「うん。少し怖いけど、冒険してるみたいでワクワクするよ」

 

「ボクも同じ気持ちさ。好奇心はリリンの大切なものの一つだからね。特に君と一緒ならどんな所でも楽しめるとボクは思うよ」

 

「渚君…」

 

「カヲルでいいよ」

 

二人の周りはなんだか薔薇の花が咲き乱れているようだった。おかしいですね?薔薇なんてニア・サードインパクトで消えたと思っていたが違ったらしい。(すっとぼけ)

 

えっその花は二人の心の間に咲くものだって?ホモと淑女(腐)は帰ってくれないか。

 

「この先だ。…カヲル君…やっぱり怖いから一緒に見てもらってもいい?」

 

「おやすいごようさ。手も繋いでおくかい?」

 

「い、いいよ、流石にそこまでしなくても…」

 

「ボクは迷惑とは思ってないよ」

 

「…///」

 

シンジは顔を若干赤くさせながら手を差し出し、カヲルは満足げに手を握る。

 

この反応である。シンジ君はそういう素質があるのだろうか。そういえば、この子加持さんに迫られた時も叫び声を上げたものの頬を赤く染め、嫌がるというよりジト目で相手を上目遣いて睨むという男の娘…ゲフンゲフン男の子だった。コイツがヒロインでいいんじゃね?

 

そんな感じの第三ドックについた二人はこっそりと音の発生現場を覗き込んだ。

 

「ヘーイ、プレイボール。ストライク(ズガァン!)ストライク(ズガァン!)ストライク(ズガァン!)バッターダミーエンジェル」

 

そこには、バールを振りかぶって拘束具のロック部分を破壊する綾波レイがいた。この作業を無表情でやっている。しかも時々バールをクルクル回して行進を始めるので正直言ってかなり怖い。

 

「…ナニアレ…」

 

「…こんな事は…」

 

その光景を見た二人はしばらく思考を停止した。先に復帰したのはカヲルだった。

 

「…おかしい…こんなこと今までなかった…リリスの契約に反している…。それに彼女は…」

 

カヲルはぶつぶつと自分の世界に入ってしまった。

 

「はっ!カヲル君!あ、あれって綾波だよね…?」

 

1週間程前は彼女に言われた言葉の真意を聞くために会おうとしたが、嫌な妄想が続き彼女と会うことから逃げずっとカヲルと過ごしていたシンジは、もうそんなことなどすっかり頭から抜けていた。

 

「…おそらく彼女も…ん?…あぁそうだね…大分…エネルギッシュだけど」

 

「何やってるんだろう?あのエヴァに乗りたいのかな」

 

「おそらくね。しかし…」

 

「ねぇ、カヲル君。あのエヴァもしかして僕たちが乗る第13号機?」

 

「いや、違うよシンジ君。第13号機はまだ完成していない…。あのエヴァは僕も知らないんだ」

 

二人の間に沈黙が流れる。視線で会話をしてとりあえず、あの綾波の奇行を観察することに決定した。

 

 

 

 

「…ふぅ。これで全部外せた」

 

作業を終わらせて使徒化を切る。中々難しいですねロックだけを破壊するのは。後で修理しておくので許してくれめんす。では、続いて自転車の修理に入ります。こちらは簡単ですね。油を指してチェーンを締めるだけですからね。…よし。終わりました。後はエントリープラグ挿入装置をこっちで起動させてミッションコンプリートです。勝ったな。風呂入ってくる。

 

 

 

 

「なんか自転車を直し始めたけど…」

 

「…そうだね。彼女を知る者からしたら異様な光景だねこれは」

 

普通の女子中学生はバールをフルスイングしたり回転させながら行進しません。まずはそこに論点を当てない彼らも大概である。そこに新たな声が加わる。

 

「…ここで何か騒音が聞こえたのだが…」

 

「父さん⁉︎」

 

碇ゲンドウの登場である。若干疲れが見えるのはおそらくぱち波のせいだろう。

 

「父さん、綾波がなんか変なんだ!」

 

「…またか…」 

 

するとゲンドウは通信装置を起動して誰かと話し始めた。

 

「ああ、俺だ。冬月、レイを第三ドックに呼べ。…そうだまたやった。……分かった…ハァ…」

 

シンジは生まれて初めて父親の疲れた溜息を見た。

 

 

 

 

 

 

 

よーし準備完了です。あばよ!ゲンドウ君また会お「…行かせない」

 

ゑ?

 

いつのまにか後ろにいた黒波に羽交締めをされ拘束されるぱち波。

 

「なんで!」

 

「………命令だから」

 

「HA☆NA☆SE!」

 

「ダメ」

 

ファーック!おのれぇゲンドウ!貴様わたしが黒波に強くないことを利用しよってからに…。もう許さなねぇからなぁ。というかその沈黙はなんですか黒波サン。(震え声)

 

ズルズルと引き摺られていくぱち波。ふと顔を上げてみると奴らがいた。そう…ゲンドウ達である。ゲンドウを中心にシンジとカヲルを傍に置いている。シンジはやっぱり綾波は2人いたことにショックを受けたが、先程父親に「…頼む」と、頭を下げられてまで一緒に来て欲しいと言われたことによる嬉しさも相まってもう頭は混乱状態だ。カヲルもカヲルで、持ち前の五感の高さで聞いた「…勘弁してください、冬月先生」というシンジ君の父上に似つかない様子に、困惑している。ゲンドウはもういっそのこと葛城一佐に丸投げしてやろうかという腹を見せかけている。きっと貴様もうコイツに振り回されてしまえという奴だ。これを見て腹抱えて笑っていられるのは冬月だけだ。

 

「…少しは大人しくしたらどうだ…」

 

半分懇願みたいなものである。

 

「…黒波を拘束してくだ「ダメだ」…」 

 

 

 

彼女みたいなのを止める者を拘束してたまるかとそれだけは絶対に阻止することを改めて誓うゲンドウ。自分の妻のクローンをつくっておいてなんだが、たまたま同じ顔を持つ人が、ああなるのは辛いと学んだ。

そのまま連れて行かれるぱち波。おそらく行き先はダミープラント前の黒波の部屋だろう。ゲンドウはシンジ達に振り返り懐から出した缶詰を手渡す。

 

「…報酬だ」

 

そう言ってそそくさと第三ドックから出て行った。2人ともポカーンとしていたが、我に帰り

 

「えっと、そろそろ夜だし一緒に食べようよ」

 

「…そうだね。君と一緒に食事か…楽しみだよ」

 

そう言って2人も出て行った。

 

「それわたしの缶詰ー‼︎」

 

なんて声は聞こえないふりをして。

 

 

ところ変わって黒波の部屋。原作はハリボテの部屋だっだがぱち波の手によってプレハブみたいな部屋にBefore afterしていた。とは言っても内装はシンプルでベット、テーブル、寝袋、ランプ、テレビ、ビデオプレイヤーが置いてあるだけだ。前よりは生活してる感が出ているが。引き摺られて来たぱち波はポーイと黒波にベッドへ投げられる。

 

「…グフッ…もう少し優し…んむぅ!?」

 

「ん…」

 

「んっ…ぷはぁ…えぇ…」

 

「こうすると元気になるって言ったから」

 

「一部がね。…キスはおいそれとしないの…」

 

「…そう…」

 

 

 

 

 

…ここにキマシタワーを建てなきゃ…じゃない。何故こんなことになっているかというと…はいわたしのせいです。ちょっとね、黒波はクールすぎるから少しお茶目さを出してみようと思って、日本が核を持たない理由をビデオで見せたらこうなりました。あるぇー?性癖拗らせないように◼️夢系は見せなかったんだけど…やはりあの姉貴たちは不味かったのでしょうか?もしくは日本の聖典か?とまぁこんな感じの、クールで不思議な雰囲気だけど油断するとハートにクリティカルしてくるナイスバディな中学生になりました。ゲンドウ君が疲れている理由もこれです。ちょっとやらかした時にちょうどゲンドウ君が訪ねて来てですね…あの時の顔すごかったなぁ。ギリギリで踏み止まったみたいなので大丈夫でしょう。さて、缶詰を盗られたのでご飯を取りに行きましょう。黒波さーんそろそろ抱いて下さいな。えっちょっお待ち下さい!あっ!誤字です‼︎

 

 

 

 

 

ガタッ!と何かが倒れた音がして後に女性らしくない声がダミープラント前に響く。発生源は簡易な壁で囲われた黒波の部屋だ。おそらくまたぱち波が黒波に紅葉をつけられたのだろう。

 

だがしかし、今回はそうでは無かった。

 

ぱち波はベットの上で黒波に両手首を片手で抑えられており、馬乗りにされているので身動きも取れない状況。黒波はいたって冷静だが、ぱち波は冷汗ダラダラである。

 

 

 

 

 

 

 

「…すいません、許してください…」

 

「ダメ」

 

お慈悲〜

やばいです。わたしいま喰われそうです。やっぱ、そういったやつも制限しておくべきでした。

 

「…じゃあケツドラ「煮るなり焼くなりすきしろこのやろう!」…そう」

 

ダメだ…黒波の戦闘力が高すぎる…

 

「………せめて優しく…」

 

「…♡」

 

 

アッー♀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ、今回はただ普通に寝るだけなんですけどね。…同じ寝袋で。こっち理性がんがん削られるので、少しわたしの話をして落ち着きましょう。

 

 

 

 わたしはいつもの転生者ですが、何故わたしがこんなに行動しているか。まぁみんな幸せに〜とかこの世界を楽しもうというクソみたいな理由ですけどね。後半はともかく前半はほぼ無理ですね。世界の修正力的なのが働いているのか、どうにも原作と離れすぎると無理矢理原作に寄せてくるんですよね。これがかなりわけわからんものなのであまり原作崩壊はしたくないんですけどね。時代によって変わるのでその判定は以外とガバガバなんですが、モブが原作を変えようとすると高確率で修正が入ります。(全敗)Qの世界の悲劇というか、メンタルブレイクの原因ってほぼほぼ事前に防げるものなんですが、修正力でシンジ君は違う意味でメンタルブレイクします。

 

まずは前回のようにこの世界のことについてヴンダー内でシンジ君が知った場合、メンタルブレイクし鈴原妹やミサトさん達に謝り倒し、そのままフォースインパクト後の碇君と化します。そこから鈴原妹とアスカ、マリのおかげでなんとか復活はしますが、原作通りに拐われます。そこではエヴァに頑なに乗りませんが、槍の事でカヲルの説得に応じて、結局乗り込みます。

 

その後、アスカに怒られ槍も違うことが重なり、碇君は槍を抜きません。しかしゼーレが仕掛けた強化ダミーシステムにより完全自律型となった第13号機が槍を抜きフォース発動。碇君はすでに強制的な操作により生死不明。アスカとマリは碇君の悲鳴を間近で聞いたのでメンタルがゴリゴリやられました。碇君にはこの世界のことを自分で知ってもらう必要があることがわかりました。

 

 次に、彼に槍を抜かせなければいいのではないかと思いましたが、槍は絶対抜く必要があります。というか抜くしかないです。リリスに刺さっててもあれは骸なのであまり意味はありません。第12使徒だけならヴンダーの戦力で殲滅できますし。何が問題なのかというと13号機が『アダムスの生き残り』だからです。覚醒しなければ大丈夫というものじゃないです。

 

そもそも、13号機が起動した時点でリリスの結界は破られますし、槍も絶対抜きます。その後カヲルが槍で封印するんですけど、これをやらないとここで終劇になります。アダムスの生き残りは前に考察したように白うなぎだと仮定するとまぁそれっぽいですね。アダムス関係は基本厄ネタなので触れないで、原作のままでいきましょう。

 

 せいぜいわたしにできることは、少しでも碇君へのあたりを弱めるぐらいですか。まぁ、わたしのシナリオを進める道具は揃ってますし、気が向いたらそっちもやってみようと思います。

 

 

「…わたしも寝よ」

 

とてもいい香りがしました。まる。

 

 

 

おはよーございまーす。キマシタワー建設から何日かたって色々と交流もありましたが、ネルフ本部から少し離れることになります。理由はヴィレに行く必要があるからです。主に繋がりを持つために。おそらく碇君がメンタルブレイクする時期なのでちょうどいいですね。恥ずかしながらぱち波は碇君に嘘つけないので、普通より深めに心抉っちゃうのです。という訳で、エクスカリバールと非常用バックを持っていざ出陣。いくぞー

 

…少女移動中…

 

「北西の方角から移動物体を感知しました!」

 

「総員第一種警戒態勢!」

 

「りょーかーい…はぁ!?識別パターンオレンジ!?」

 

素っ頓狂な声を上げたのはヴンダー主砲制御担当の北上ミドリ。

 

「おいおい北上。それはないだろう。生存者がいたとしてもここら辺はL結界濃度が濃い。生きているわけないさ」

 

青葉シゲルが呆れたように言う。

 

「まだ若いと言うのに目がやられたか…」

 

「違うっつーの‼︎マジでそうなんですって‼︎早くそっちでも確認作業してください‼︎」

 

『…本当だ…!艦長!どうしますか?」

 

「…警戒態勢を維持!すぐに救出隊を送って!」

 

「…艦長…。あの…」

 

日向マコトがおそるおそる声を上げる。あのよく声を張り上げる日向が言葉に詰まっているのを珍しく思う船員は日向の言葉を待つ。

 

「…最大モニターで出します」

 

そこには赤い大地を優雅に自転車で横断するぱち波の姿があった。

 

「「「…えっ…」」」

 

「…アスカ…マリ…第7号機のパイロットが現れたわ。すぐに拘束に向かって」

 

ほぼ反射でアスカ達に連絡を入れて椅子に座り込んだ。

 

「…こうも目的のものにすんなり会えると罠を疑うわね」

 

リツコの言葉にミサトは心で深くうなづいた。

 

ヴンダーを肉眼で確認しました。さて、どう出るでしょうか。…エヴァを投入ですか…大分焦ってますね。さて、どうコミュニケーションを取りましょうか。

 

『…本当にいるし…死にに来たの?』

 

「いえ、遊びに来ました」

 

『コネメガネ!ブラスター弾の使用を許可!』

 

『あいよー』

 

「ちょっと待って!助けて!お願いします‼︎あぁア''ア''ァァァ!」

 

なんの躊躇もなく撃ってきましたね。ここは誠心誠意こちらに敵意がないことを証明しましょう。

 

『ねぇー姫ー。なんか彼女本当にそんな理由で来そうなんだけど』

 

バールを背負い巧みなハンドリングでブラスター弾を避け切ったぱち波はそのまま両手を挙げて降伏のポーズをとっいる。

 

『どうする?ミサト』

 

『…拘束してここに連れてきて』

 

『了解』

 

「…ありがとう」

 

『…!…チッ!』

そのままぱち波はドナドナされていった。

 

 

 

 

 知らない天井だ。というか天井というより箱に入れられているので天井も何もないですが。さて、どうにか潜入出来ました。今までの借りを返してやる。む…箱が開きましたね。わー!周りには沢山の銃口手首にはめっちゃ頑丈そうな手錠、勿論首にはDSSチョーカーが付いてます。

 

「…今から質問に偽りなく答えてもらいます」

 

リツコさんの声です。大方目の前のガラスみたいな壁の向こうにいるのでしょう。

 

「貴方の名前は?」

 

「綾波レイ」

 

「年齢は?」

 

「24歳、学生です」

 

リツコさんの眉がピクリと動きました。もっ…もしかして…

 

「…偽りなくと言ったはずよ」

 

知ってた。

 

「まぁ、年齢はわからない。目が覚めたのはインフィニティの成り損ないが活動を停止した後」

 

「……次の質問に移ります。貴方は使徒?」

 

「…それは貴方達も知ってるんじゃない?」

 

アウチッ!この箱電気椅子としても併用しているのですか。

 

「質問しているのはこっちよ。もう一度聞くわ。貴方は使徒?それとも人間?」

 

「…リリンじゃないし使徒でもない。ただの紛い物」

 

「…それはどういう…」

 

は?

 

「あんたら科学研究班がこの子を使徒とくっつける案を上に流したんでしょうが。知らないとは言わせない。一体何人の綾波レイを使った?零号機の比ではないでしょ」

 

「…貴方の質問に答える義務はありません」

 

(…やっぱりこの子知ってる…。確かにその案は上層部に流した。でも、すぐに凍結された計画を何故…)

 

「何故、その計画を知っているのかしら」

 

「資料を読んだ」

 

「その資料は何処に?」

 

ヴィレが持っていったんじゃないんかい。…いや極重要なものだけを抜き取ってヴィレが持っているのはデコイで中核をなすもの資料はゼーレに取られたと考えた方がいいですね。きたない。流石ゼーレきたない。

 

「…貴方達が持っていったものにない資料なら今頃ゼーレの手の中。デコイをつかまされたわね」

 

「……そうみたいね」

 

バンッ!と大きな音をたててこの部屋に入って来たのはアスカとマリだった。

 

「貴方達まだ尋問は終わってないわ」

 

「はいはーい、艦長から尋問役に引っ張られてきた姫と私でーす!なんでも私達の方が口を割る可能性が高いと出たらしいので」

 

「…そう…なら任せるけど、10分で終わらせなさい」

 

「…了解…」

「了解にゃ!」

 

そう言ってアスカにDSSチョーカーの発動キーを渡して出ていった。

 

「………」

 

「………」

 

「…アンタは…アイツなの?」

 

沈黙を破ったのはアスカだった。

 

「いや違う。彼女とわたしは違う存在」

 

「…ッ!ならなんで!!そんな顔できるのよ!?人形でしょ!アイツ以外!アイツと同じ顔しないでよ!」

 

…どうやら抑えてた感情の栓が抜けてしまったようですね。まぁアスカもアスカでシンジ君やポカ波との時間は楽しい時間と感じていましたからね。…やっぱり第九使徒は好きになれませんね。次シンクロした時逆にこっちから侵食してやりましょう。

 

「…わたしは人形じゃない。だからここにいる。そして貴方のいう綾波レイもネルフにいる綾波レイも人形じゃない。肉体や魂は偽物であっても人であることに変わりない。まぁわたしは別だけど」

 

思いっきり力を入れて手錠を破壊する。使徒化も最大で拘束具を取り払っていく。もちろんDSSチョーカーが起動するけどそれはわたしには効かない。

 

「…わたしはここに情報を得て持ってきた。どう使うかは貴方達次第」

 

一切の油断もなくチョーカーのキーを向けるアスカにそう声をかける。

 

「アンタ…死ぬわよ…さっさと戻りなさい!」

 

「嫌。貴方に聞きたいことがある」

 

柱の回転が始まった。あと1分ってところですか…。

 

「この言葉を聴いてるものにも聞く。貴方達は碇シンジを助けたい?」

 

………………

 

決して長くはない。むしろ短い時間だった。なのにアスカ達は流れる時間がゆっくりに感じた。心の奥底では、いやもう口に出してしまいたいくらいには彼を助けたい。けれど、彼が自分のした事を知ってしまえば…。背中を押した結果がこの世界なのだと知ったら、彼は壊れてしまうだろう。元々強いやつではなかった。むしろ守ってやらなければならない、そんな事を考えさせる奴だったのだ。なら、このまま何も知らずに自覚のない罪の咎を背負い非難の目で見られていた方がまだ…

 

「…碇君はこの世界について知る。綾波レイの真実にも母親についても。彼はその罪から貴方達とまたあの日のように暮らす為に、エヴァに乗る。言うなれば世界を壊す儀式の生贄として…貴方達はどうするの?」

 

『…私達はフォースを止めなければなりません。なので、貴方の事を一時信用し情報を話してもらいます。碇シンジ君を保護する為にも』

 

ボソリとスピーカーからミサトの声が流れる。DSSチョーカーの回転は止まっていた。

 

「…そう」

 

助けるとは言わずに保護ですか。ミサトさんらしいですね。言えないだけでさっさと突き放せばいいのに、あの時間が彼女に色を与えたのでしょう。いや与えてしまった。それほどまでにアスカやポカ波を含めた彼女達にとってのあの日の時間や隣人は重要な存在になってしまったようですね。

 

………………

 

まって。結構心にくるのですが。考察でよくあったものですが実際にこの目にするとマジつらたにえん。しかも今回わたしは重要なポジにいますし。あっ胃も痛くなってきました。まぁそれはともかくこっちに情報を流す事である程度わたしも動けるようになります。問題は…ぐずってるアスカをどうにかする事ですね。えっ?黒波は大丈夫なのかって?はは!とりあえずわたし頭の中ではマミのテーマでも流れていると答えておきましょう。

 

 

「………別の意味で殺しに来てるね今回」

 

 

 

 

 

 

 

 

「レイ!やめろ!レイ!」

 

「綾波!いや、綾波じゃないけど綾波!それはまずいって!』

 

「離して…離せ」

 

黒波はぱち波を追いかける為自転車を引っ張りだしているところをゲンドウに見つかり捕まったところだが、黒波は全力抵抗。ゲンドウにバックブリーカーをかまし、騒ぎを聞きつけたシンジにゲンドウは助けを求めるが、コブラツイストで沈める。何処から見つけてきたのか不明だがバールを片手にMark09の拘束具に向かっている。それを碇親子が全力で止めているのだ。ぱち波の知らない所で物語は加速する。




抱いてください ✖️

どいてください ○

この間違いをした時、わたしの中にこの黒波が誕生した。黒波ファンの方にごめんなさい。その内頭空っぽにして日常編を書きたい。



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幕間 心、重ねて

この話が出来た訳

友達「ねぇ、このネタやって」

作者「多いし難しいし作者が変態だと思われる」

友達「なら勝負で決めるわ」
   
作者「なんで?…ちょっやめ…」  

友達「ごち」

作者「…ァヘェ♡」

という訳で私がただで変態の汚名を受けると思うなよ友人!貴様も変態だ。…元からだった。

はい。という訳で大分酷いです。なんとか設定に合わせましたが酷いです。それでも、私は悪くない。それもご愛嬌ってことで


アイツが来てから、船の中は少し変わった。アイツが話した真実がバカガキに対する憎悪を弱めた。でもそれは、極秘の情報を抜いた状況だから。アイツの持っていた情報はとんでもないものだったことがミサト達を見てよく分かる。

 

 

 

「…それは信じられないわ」

 

「いえ、事実です。受け入れて下さい。艦長」

 

それは過去にシンジと触れ合った人々の心を震わせる。そして、淡々と進む中で待ったをかけるべき情報が出た。

 

「あのエヴァがそんな役割を…?」

 

「そう。起動さえ出来てしまえばもう『ガフの扉』は開いてるようなもん」

 

「詳しく話しなさい」

 

「第13号機はダブルエントリーで碇君ともう一人のパイロットが乗る予定。多分槍を抜く為だね」

 

「もう一人のパイロットの名は?」

 

「すみません…本名を知らない。碇君は渚君って呼んでた」

 

「分かりました…。情報提供ありがとう」

 

「待って」

 

待ったをかけたのは北上だ。

 

「ねぇ、貴方…こんな事してどうするつもりなの?まさかあの子どもを助けたいだけって訳?」

 

普段マイペースな北上が目を鋭くしてぱち波を睨む。

 

「あいつも同じ様な考えを持ってたらしいじゃん。その身勝手な考えのせいで、世界がこんな事になったんだけど」

 

厳しいが事実だった。シンジはポカ波を助ける為だけに結果としてこの世界を作った。だが、友を犠牲に、世界を犠牲に、自分を犠牲に…その果てにどうなったのかをぱち波は知っている。だからぱち波は北上の目を見て言った。

 

「そう。事実、彼のせいでこうなった。でも、彼の願いは叶っていない。彼と過ごした綾波レイはいない。それを知ってる貴方達に残ったのは彼に対する憎悪だけではない」

 

では、質問します。

 

 

なぜエヴァに乗せて戦わせてる事を当たり前にしてるの?

 

 

 

わたし(綾波レイ)を使った実験になんとも思わない?

 

 

 

身勝手ではないですか?

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなのは屁理屈だと言い返すのは容易い。『大人は汚いんだ』と『世界を守るためだ』と魔法の言葉を使えばいい。だが…

 

「仕方なかった。で済む事でしょうか?彼等もわたし達も。話が逸れました。情報提供する理由ですか…わたしはこの世界やルールを壊したいからですかね」

 

 

結局エヴァ世界のミサト達とシンジ達がしたことは似ているのだ。

 

大人達が悪いのか。違う

 

子ども達が悪いのか。違う

 

誰も悪くない。

 

「人の心が世界を乱す…。正にその通りですね」

 

ぱち波はそう呟いた

 

 

 

その時彼女が話した内容は極一部の人々を除いて極秘となった。それは私達パイロットにも聞かされていない。むしゃくしゃする。…アイツは私達の部屋にいる。移動には私かコネメガネの許可が必要。

 

「という訳で、全てを吐きなさい。今ここで」

 

「…大佐…助けてくれ…」

 

はい。ヴィレに潜入し、敵対心Maxの中生きるぱち波です。さて、今の状況ですが、ヴンダーの外でアスカに簀巻きにされさらに、宙吊りにされています。

 

なんで?

 

いや、理由は分かってますけどこれはあんまりではないですか。おいそこの赤い悪魔!わたしより胸ないくせに。あっ、やめて!揺さぶらないで!

 

「で。話すの?それとも死ぬ?」

 

「なにそのクソみたいな選択…話します!話しますから!わたしの命綱の近くでシザーマンのマネするのやめて」

 

とりあえず、宙吊りからは逃れられました。簀巻きはそのままですが。

 

「ミサト達に何を話したのか偽りなく、詳しく言いなさい」

 

「因みに拒否権「サッカーって知ってる?」…なんでもございません」

 

わたしを蹴り落とすつもりか

 

「はぁ、まぁ君なら大丈夫かな」

 

 

…少女説明中…

 

 

「…という訳です」

 

「で…アンタはどう思ってるの?あいつのことを」

 

強い風が心を乱す中でこの世界の空と大地は交わる。

 

 

 

ある少女は青い…まるで深い深い海のような瞳を

 

ある少女は赤い…まるで遠い昔の海のような瞳を

 

互いに自分の瞳に入れている。

 

「君達は…やっぱり子どもだなと…。成長している途中だから見守りたいって思ってた」

 

「……」

 

「思ってたんですよ。しかし、それにしては余りにも君達に優しくない。この世界のルールだから、方針だから、それに納得出来なかったわたしは…」

 

「ここに来たってことね」

 

「君が言う…碇君に対する気持ちは今のわたしには…分からないわ。彼女のようにポカポカする訳でもない。ただ…側に居たいと思ってしまう。」

 

「…アンタもウルトラバカなのね」

 

呆れた顔で溜息をつくアスカ

 

「それは愛してるってことよ。腹ただしいことにね」

 

「…愛してる…」

 

好きではなく愛してる。

 

愛とは難しいしわかりづらい。

 

恋とも、好きという感情とも違う。

 

友に、家族に、恋人に

 

向ける相手によって名も姿も変える。

 

「…わたしが誰かを愛するなんて、考えたことなかったですね」

 

嘘だ。愛してしまったら、消えるのが辛いから。その人に忘れられるのが怖いから考えることすら避けていた。

 

「…つくづく、碇の血は怖い」

 

「そうね。あいつはそういう奴よ」

 

いつの間にか風は弱くなっていた

 

 

 

 

「というより、なんでこんな重い話を簀巻きの状態でしなければならないのですか?」

 

「…ほんと…締まらないわね…ふふ。まるで本で見た冬の犬みたい」

 

 

あら、可愛い。この子も大分笑えるようになりましたね。ぐっ…くっそしんどい。(泣)いや、ここは気分を変えて少しノリに乗って見ましょうか。

 

 

「おまん…ワシをわろうたな…?」 

 

「はいはい」 グイッ

 

「なんじゃー!っていったい!頭、頭打ちました!あ、あ、そのまま引きずらないで下さい。側頭部が死にますよ」

 

「ぱち波、散歩に行くわよ」

 

ニッコリと笑うアスカ様。わーなんて美しいのだろう(棒)

 

カチャン☆

 

「えっ?」

 

 

首を見るとDSSチョーカーにリードを付けられている。いつのまにこんな機能が出来たのか…。

 

「待って!助けて!お願いします!…ぁぁぁあああア''ア''ア''ア''あああああぁぁぁぁ…」

 

 

 

アスカはそのままヴンダー内をぱち波を引きずったまま散歩した。(二足歩行です)赤いライオンの高笑いが響いた。

 

「…もっとほかにあったじゃん…」

 

なんでわたしはこんな恥辱を受けているんでしょうか。くっそ、アスカの目が輝いてやがる。

 

「コネメガネもたまには良いこと言うわね…」

 

コネメガネテメェ!ナニシテンダァ!わんこ枠は碇君ダルォ!はぁ…これもイレギュラー…いや元々この人SとMどっちもいける人でしたね。

 

「部屋に着いたから、これ外してくれない?流石に恥ずかしい」

 

「アンタに恥ずかしいって感情あったのね」

 

「失礼にも程があるぞ貴様」

 

沈黙が流れる

 

「ねぇ…」

 

リードを引っ張られ至近距離で見つめ合う二人…

 

「キスってした事ある?」

 

「…ありますけど」

 

「ふーん。ネルフにいる綾波レイと?」

 

「……」 コクリ

 

キス以上の事ヤッてます。なんて言えるか。

 

「そう…、なら私とも出来るわよね?」

 

「はい?(疑問)…はい(承諾)…するの?(確認)」

 

「えぇ」

 

「…なんで!?」

 

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

 

「わたしは彼女と散歩?をしていたと思ったらいつのまにか百合の花がさいた」

 

な…何を言っているのかわからねーと思うが 

 

わたしも何を言われたのかわからなかった…

 

頭がどうにかなりそうだった…修正力だとかキマシタワーだとか

 

そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ

 

もっと恐ろしいものの片鱗を…

 

味わうことになるから誰か助けてください。あんな溺れてしまいそうなペーゼでお腹いっぱいですよ。あっ無理ですか。せめて初めての時のように優しくしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女とキスをするたびに自分の心が波打つのを感じる…。また一枚…壊されましたか…。

 

黒波と比較するのならば彼女は優しく、溺れてしまいそうな口付け。アスカは『もっと』と思ってしまう恋人同士の口付け。どちらもわたしを人にしてしまう。

 

「ん…ちゅ…」

 

「…アス…カ…ん…あ」

 

その後、わたしがアスカに押し倒された所でマリに見られてふたりでミサトさんに怒られた。たまにわたしに甘えてくるようになるのはまた別の話。

 

 

 

 

…どうも。始末犬の真似したらガチの雌犬にされそうになったぱち波です。

 

「大分ブルーになってるけど大丈夫?」

 

「パターンブルー…使徒です。使徒でした。使徒は此処にいます。使徒です。よろしくお願いします」

 

「新手の精神汚染かにゃ?」

 

あーあーあー。深く関わるのはわたしの心が死にそうになりますねほんと!彼女達がわたしを支えてくれるのはとても嬉しいのですが方法をどうにかして貰えませんかね?かなりしんどいんですよ?色々な意味で。え?『嫌なら嫌って言えば』ですか…別に…嫌って言うわけじゃ…ただ後々辛くなるというか…うーん…

 

まとめます。原作キャラときゃっきゃっうふふキマシタワーするのはいい。むしろバッチこいです。しかし、わたしのシナリオ的に問題があります。ヒロイン攻略していくと主人公の精神力が下がるゲームと同じです。そのゲームでのわたしの立ち位置はこんな感じですね。

 

世界『チルドレンソウル‼︎』

 

『ヒロインカード!(黒波)』

 

ぱち波『ヴァああああ!』

 

『ヒロインカード(アスカ)』

 

『ヴァああああ!』

 

『ヒロインカード(マリ)』

 

『……………』

 

『マリガチ勢召喚』

 

『ヴァああああ!』

 

もうやめて!ぱち波のライフはほとんどないわ!

 

 

話が逸れました。まぁ、『人肌を知った者はそれ無しでは生きていけない』とか『一度味わった快楽は忘れられない』とか言いますし、わたしはもう一人で居られる自信ないです。これも全部黒波って奴のせいなんだ!(自業自得)

 

「…つらたにえん」

 

「大分まいってるわね。そんなに辛いならやめればいいのに」

 

「だが、断る。わたしがいる時点でもう無理でしょ」

 

「姫の話からするとそうなるにゃ〜。ところで君のシナリオってナニ?」

 

目を細め、ぱち波の挙動を一切見逃さないように見るマリ。ぱち波は溜息をつくと

 

「……なんで知ってるんですか?」

 

「…いや〜普通、あんなエヴァとパイロットいたら疑わない方がおかしいし」

 

「おのれ、ガバ&イレギュラー」

 

調べやがりましたねこのネコメガネ。はっ!この為か!わたしにアスカと自分の部屋を提案したのは!

 

「で、具体的に世界をどうするつもりなの?」

 

そこまで調べてやがりましたか…。

 

「言えないわ」

 

「世界に消されるから?」

 

「………そう」

 

「言った瞬間に?」

 

「いや、すぐには来ない。けどほぼ確実に」

 

「じゃあこれだけは聞かせて。私達を…世界を壊す?」

 

しばらくの沈黙があった後に彼女はこくりと頷いた。

 

「こんな事を言うのも変だけど…頑張りなさい可愛い天使さん…ん」

 

「…ん」

 

目の前に緑の瞳がレンズごしに見えた。少し下の感覚は心地良い。だが、それよりもわたしの瞳にわたしは吸い込まれていた。

 

ドクンッとまた彼女は心が波打つのを感じ、心の壁が完全に破壊されたことを悟った。

 

なんで、わたしにそんなに優しい目をできるんですか。そういう人でしたっけ。あぁ、そうでしたね。それが君の問題児たる所以でした。

 

誰かの優しさが愛がこんなにも暖かいなんて思い出したくも知りたくなかったです。

 

つかなんでわたし自分からキスしやすいように首を傾けたんですか。そろそろやばいですねわたし。

 

 

「…こんな時は飲むに限ります。マリも来てください」

 

「おっ?どっかいくのかにゃー?もしかしてベッドルーム?私たべられちゃうのかにゃー」

 

「わたしの唇をたべた人が何を言ってるんですか。しかもここが寝室みたいなものですけど。わたしが持ってきたバッグを取りに行くんですよ。回収されましたし」

 

マリに同行してもらい、移動するぱち波。首にはリードが装着されている。

 

「もう、ツッコミませんよ」

 

「じゃあ、ツッコんで良い?」

 

「やめないか!」

 

この人にリードつけたほうがいいんじゃないですか?無駄だと思いますけど。

 

「あっマリさん。どこに行くんですか?」

 

「いや〜この子が散歩したいっていうから仕方な「違います」…自分の持って来たモノをさがしてるんだって」

 

「あぁ〜それなら艦長の部屋にあるはずだよ」

 

「じゃあ行きましょう。ありがとう…サクラ…でしたっけ?」

 

「はい。ところで何を持って来たんですか?」

 

「あっそれ私も気になる」

 

えー。言いたくないのですが。だって取り分が…あーはいはい分かりましたからリードをぐいぐいしないで下さい。

 

「食料ですよ。まぁお酒とか嗜好品が多いですけど。わたしの楽しみですよ。少し分けますから内緒にしてくださいね」

 

キラキラした目でコクコクと首を縦に振る二人。やっぱりレーション以外は珍しいのですね。お酒とか絶対ないでしょうし。コア化したものを元に戻せるなんて流石不思議パワーですね。廃墟の街を徘徊したかいがありました。

 

歩いているとかつてヴィレの乗組員、青葉シゲル、日向マコト、伊吹マヤと出会った。

 

「…どこへ行くんだ?」

 

「艦長室」

 

ガッとぱち波の肩を掴んだのはマヤだ。

 

「何しに行くつもり」

 

ふえぇ。マヤさんなんでこんなになってるの?純粋だった君を返して。

 

「マリ。貴方こいつを艦長に合わせて良いと思ってるの?」

 

「いやぁー、散歩ついでに用事があって…」

 

散歩でいいですよもう。

 

「もういい、鈴原、こいつは何しに行こうとしてるんだ?」

 

「実は、彼女がお酒などの嗜好品を持ってきているらしくてよかったらどです?」

 

「「「私達も同行する」」」

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

「ブリッジしながら叫ぶ人初めて見た」

 

わたしも初めてした。サクラ貴様ァ!なんですかその笑みは!オンドゥルルラギッタンディスカー!

 

「だってウチ…べっぴんさんだから…」

 

なんでやねん。おい、世界なにしてんですか。アレやばい妹筆頭じゃあないですか。

 

「丁度、休息の時間だしな」

 

「くうくうってお腹が鳴りました」

 

「…ぱち波大丈夫?顔色悪いけど…」

 

「…いえ、ちょっと胃痛が…」

 

怖い。時折こっちに向ける笑顔が怖い。黒波とは別方向にわたしに恐怖を与えてきます。誰かー彼女だけの味方連れてきてー。イレギュラーが過ぎますわ。

 

はい。なんやかんやで艦長室につきました。しかし鍵がかかっていて入れません。ハッキングしましょう。

 

バキン!…あっ…

 

「よし」

 

「ぱち波さん?」ガッ

 

「待って」

 

リード引っ張らないで

 

「これ怒られるの私達なんですよ?」

 

「わたしが直すから…」 

 

「自分で壊したんやから当たり前や」

 

…無理…怖い。

 

さて、部屋に入ってみるとそこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かぁー!!くうぅー!数年ぶりのビールはやっぱ最高ね!」

 

「あら、このワイン美味しいわね」

 

「おつまみもあるし〜♪お肉なんていつぶりかしら」

 

「えぇ、久しぶりの動物性タンパク質ね。ちょっとよこしなさい」

 

「やーよ。アンタそっち食べたでしょ」

 

二人が晩餐していた。

わたしの楽しみで。

職員に内緒で。

 

わたし達の心は今一つになった。

 

 

 

 

 

それを最後の晩餐にしてやる

 

 

 

「テメェエエ!ナニシテンダァ‼︎」

 

「アッハッハ…裏コード…」

 

「先輩…不潔です…」

 

「もしもし、北上か?艦長室にきてくれ。いい事があるぞ。後いい加減メガネを本体だと思うのやめろ」

 

「あぁ、アスカか?艦長がおよびだ。艦長室にきてくれないか。あぁそうだ。頼むよ」

 

「これは…許せないなー、いくら艦長と副艦長といってもちょっと見過ごせないかなー❤︎」

 

「はっ!違うのよ…えっとこれは…」

 

「持ち物に食料があり、その検査よ」

 

「そう!それよ!」

 

必死に弁解する二人。

 

「へぇ…それで最後の一口まで食べてしまうんですか…。普通に装置一発でわかるでしょ。という訳で、お仕置きです」

 

ヴンダー内に悲鳴が響いた

 

「…今日だけは神に感謝。肉が美味い!」

 

「酒!飲まずにはいられない!」

 

「甘いものなんて久しぶりだわ」

 

二人を除くヴィレ職員に嗜好品を配り終わったぱち波です。 DSSチョーカーの反応を切ってもらって、使徒化すればこんなの簡単です。おのれサクラ…。わたしがせっせと集めていた至高の嗜好品が…!

 

…サクラには勝てなかったよ…

 

「ねぇ、アンタあれはいいの?後でどやされても知りませんよ?」

 

北上さんですか。何気にわたしと普通に話してくれる職員の一人です。あの質問についてよく議論してます。この人はずいぶん優しくて義理堅い。後碇君の気持ちが分かる。でも世界をこんな風にしたこと、仲間が消えた原因を許せない。どちら側にも立てる人です。

 

元々彼女は碇君に憎悪に近い感情を持っていましたが、わたしのせいで中途半端にしてしまったのかもしれませんね。それでも、碇君の気持ちを考え、彼の願いを壊す決断をした強い人だとわたしは思いますよ。

 

「…いいんじゃない?わたし達に内緒で娯楽を楽しんでた罰です」

 

めちゃくちゃ泣いてるけど無視です。ほーらビフテキの匂いですよー。

 

「あーあ。アンタが来て変わったよねー艦の中も私達も」

 

「そんな変えたつもりはないんですけどね」

 

「変わったつーの。…感謝はしておく」

 

「有り難く受け取っておくわ」

 

チンと二人の酒を入れた入れ物が音を出す。ぱち波はお酒は本音を出すときに便利ですねと思った。

 

「ていうか、アンタお酒飲んでいいの?」

 

「ヘっへっへ…こいつぁわたしの相棒よ」

 

「うっわ、ジジくさ」

 

「まぁ、お酒を飲める歳にはなってるでしょう。あそこでマリがアスカに絡み酒してるけど」

 

「あら…二号機パイロットも大胆ね。酔いが覚めたら暴れるんじゃない?」

 

おや、長良さん。…大分出来上がってますね。顔赤いですよ。

 

「隔離で」

 

なんですかその微笑みは。いつもクールな彼女が笑うとマイハートロックンロール

 

「君も一緒の独房に入れとくよう申請しておく」

 

ナンテコッタイ 

 

やめろ。大変なことになるぞ!わたしが!

 

「ちょっ待ってください長良さん…て、北上ぃ!離せコラ、流行らせコラ!」

 

「…私達のストレス発散にも付き合って貰いますよ…!」

 

いやだあー死にたくないー!

 

『お酒は飲んでも飲まれるな』皆も気をつけよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぱち波はヴンダーの外にいた。そこはとても強い風が吹いていた。

 

「ありゃ…立つことすら出来ませんか」

 

手すりにつかまりそのまま座るぱち波

 

わたし(異物)、エヴァ、槍、もう少しです」

 

でも、やっぱり…

 

大きすぎる月が彼女を照らす

 

きっとそれは少女が戻って来る為の道標

 




時系列はヴンダー潜入の少し後かな。
あった系の原案まで考えた友人はきっと変態さん。一応、あっち系の方も見たいって言う人がいたら書きます。


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シンQ 人の為の天使と人を知った使徒

『エヴァってなんだっけ?』データが消え、作り直したこの話に対する総評。あれぇー?こんな展開じゃなかったぞ?まぁ面白そうって言われたので投稿します。キャラ崩壊注意です。

感想、評価ありがとうございます!評価バーに色がついた時には下着姿でネクタイと靴下履いていたことにすら誇らしく感じました。また、日常編も投稿するつもりなので気長にお待ち下さい。わたしの絶対領域には1万2千枚の特殊装甲が付いているので安心してください。誤字があってもそこはご愛嬌。


 はい。ヴィレに侵入することに成功した偽天使ことぱち波です。あれから拘束はとかれ(DSSチョーカーは付けてる)情報を提供した後にアスカ達の部屋に案内されました。しかし、本日ちょっとトラブルがありまして、マリの頼みもありぐずり出したアスカをなだめることになりました。

 

あのアスカの状態はあれです。第八使徒殲滅後の精神状態に近いですね。肉体年齢が止まっているとはいえ、アスカの精神面を14年の月日が多少鍛えているはずです。しかし、それは外側だけでしょう。元々アスカはメンタル面がそんなに強くありません。

 

 旧劇では母親のことから、自分にプライドを持ち自分は特別だと言い聞かせてきました。そういうものはやはり脆く、精神攻撃にやられてしまいます。というか、旧劇のアスカはそのATフィールドを張ってないというか、張る位置がちぐはぐしていて、必要以上に他者の心に入ったり、自分の心に取り入れていました。ですが、そこに母親の愛情が入り『自分のことは母親が認めてくれる』と考え他者と自分のATフィールドの位置を認識しあの強力なATフィールドを使えたのでしょう。まぁ、みんなのトラウマになりましたけど。

 

ここで少しATフィールドについて確認しておきましょう。旧劇では人が持っている心の壁とか生きる衝動として捉えられています。それがなければ人は形を保てず、LCLに還元してしまうものでした。新劇にこの設定が続いているのか変わっているのかはわたしは分かりません。…この手の考察が難しすぎるのが悪い。なんで考察班は精神系とか心理学系のお話に詳しいのか、謎が多くツッコミどころ満載です。すごーい!君は難しいことも知ってる考察隊員なんだね!

 

話が逸れました。

また、新劇でもあの人形があるので、母親と何かあったと思いますがよくわかっていません。しかし、旧劇と同じようなプライドを持ちますが、碇君やポカ波と過ごしていく内にヒカリと友達になり、ポカ波を人として認め、誰かと一緒にいることが楽しいと感じるという旧劇とは違った成長を見せています。それを壊したのがあの第九使徒です。

 

………絶対こっちから侵食してやる。もう許さねえからなぁ…(ねっとり)

 

 結果、隔離されている間に触れ合った人間や心を許した人々が死にまたは消え、メンタルがまた弱くなったと考えています。その原因が気になっている相手でもあるのでさらにダメージか入っていますね。先程も

 

「…グスッ…バカシンジ…ヒカリ…えこひいき…みんな……あぁ''…守れなくて…ごめん…」

 

なんて零していたので大分ダメージ入ってますね。わたしの心にもダメージが入ります。普段の彼女は絶対にこんなこと言わないとマリからのお墨付きをもらいました。今はもう泣き止みわたしの膝の上ですやすやと寝ています。いや、日課の検査帰りにマリと会って、部屋に入った途端アスカがいきなりわたしとマリに飛び付いて来てまた泣き始めたんですよ。それがその…マリとわたしの母性本能を刺激してしまいまして。かなり甘やかしましたね。まぁそのおかげで、いまはこうして眠っているんですけどね。

 

もしかしたら、この女の子はまだ何か隠しているのかもしれません。アスカを救えるのはおそらく、彼しかいないのでしょうね。ウッ…。また心にダメージがいきました。そろそろ血反吐吐きますよ。

 

 

「姫の新しい一面を知れて私はハッピー。それじゃ、次は君のことを知りたいな」

 

…ふーむ…どう説明したらいいでしょうか…

 

「わたしのことどれくらい分かってる?」

 

「ぜーんぜん。分かってるのは第7号機のパイロットで使徒が埋め込まれている事とアヤナミ・シリーズの事だけ」

 

思ったより少ないですね…。何故どのように作られたかは知っていなさそうです。

 

……ぱち波が存在する理由はあの資料の通りです。ですがわたしはどうなのでしょう?

 

ぱち波はアスカの髪を撫でながら自分の記憶を遡ってみた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて目覚めたとき、そこには誰もいなかった。いやこの世界でわたしが存在している以上誰かはいたのでしょう。けど見える範囲には誰もいなくて、怖かったのを覚えている。不思議なことにここがどんな場所なのかは記憶があった。少し、悲しかった。でも、やっぱり彼らしいなと思って眠りについた。

 

次に目覚めた時は、人が沢山生活していた。そこに彼の姿があった。どうやらクラスメイトと打ち解けることができたみたい。そして…彼女を意識するようになった。微笑ましく思いながら眠りについた。

 

今度は叩き起こされた。元気っ娘がいつのまにか彼の側に混じっていた。とても綺麗に思えた。子供たちが成長した。知っているから止めたかった。でも、止めなかった。彼等が大人になろうとしていたから。

不安を抱えつつも眠りについた。

 

最後は、よく分からない。そこに存在していた。ただそれだけ。彼に会った。結末を知っているからこそ、彼に手を差し伸べようとした。けれど、彼は…。何度も繰り返した。そして目を覚ました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここで、ぱち波が目覚めたと。はぁ〜我ながら女々しいことしてましたね。結局、この世界壊れるから余計なことはすんなと言いたいのですね。いや、従いませんけどね。

 

前にQ世界がいかにクソかということを説明しましたが追加事項です。はっきりと言いましょう。この世界には再生させるかインパクトさせるしか選択肢がないです。

 

因みに、世界の延命なんてほぼ出来ません。この赤い大地と海でどうやって生きていくのでしょう?L結界を無力化してもあまり意味はありません。あの装置だって限られてますし、そもそも星として、というかQ世界が終わるように設定されているのが一番の理由ですね。リリンが生き延びてあの世界のままで生きるなんて想定されてないです。本当はフォースインパクトで終わる予定だったんですよね。つまり、Qの時点で完結する予定だったのに、原作では防いでしまったイレギュラーなのです。原作なのに。

 

話が逸れました。

新劇の場合、一旦生物を全部消して次のステージ…つまり進化させるがのがフォースインパクトやファイナルインパクト。(たぶん)で、生物はそのままで世界の方を再生させるかのがカヲル君の言っていたカシウスとロンギヌスを使う方法なのでしょう。わたしは後者にかけたいと思いますけどね。道具も揃ってますし。

 

…めっちゃ心と胃が痛くなってきました。こえぇ…こえぇよ…。だってイレギュラーすぎる存在がこ↑こ↓にいますけど。乗ってるエヴァもイレギュラーがすぎますけど。

 

あぁ''ぁ''もうヤダァアア!

 

逃げちゃダメだの精神で頑張っていきます。(震え声)

 

「おーい!大丈夫?プルプル震えて」

 

「…ごめんなさい。えーと、わたしとあのエヴァは廃棄予定だったゼーレの保険の一つ。ゼーレが秘密裏に回収した使徒の残骸を復元して、アヤナミ・レイに移植し第7号機にシンクロ出来るパイロットを作ろうとした。だが、計画は上手くいかず凍結された。なんらかの理由でその後に生まれた成功例が…」

 

「貴方ってわけね」

 

「そう。多分、ゼーレやネルフに対して不信感を持った国連軍がゼーレに隠してつくってたんじゃない?エヴァに対抗するために」

 

あの支部設備が整ってる割には外壁とかボロボロでしたからね。襲撃した結果ですねー。よくゼーレから隠せましたね。…いや、あの機体自体がゼーレの目的の近道にもなるから泳がされてただけですね。

 

「あり得るわ…」

 

 

「ん…あれ…?」

 

どうやらアスカが起きたようですね。ふむ。身体面での不調は無し。

 

「…おはよう」

 

「ッ!」

 

あっぶな。急に起き上がってこないでください。びっくりしましたよ。

 

「…アンタ…」

 

真っ赤な顔で地の底から聞こえてくるような重低音ボイス…うーん逃げちゃダメかな?(恐ろしく速い掌返し)

 

「いや〜あんな可愛い姫の顔見たの久しぶりだったにゃーん。その子の胸に顔を埋めながらわたしの手を掴んで離さないところなんてもう、ぎゅんぎゅんきたよね」

 

なんでこの人は火に油を注ぐんですかね?ヤバイよ?目の前の赤い猫が百獣の王になってるよ。

 

「しかもさぁ、『…行かないで…もう…1人は嫌…』なんて言われたらもう甘やかすしかないじゃん!」

 

あっもうこれダメですね。ガソリンぶちまけるどころか生命の実と知識の実を融合させることに等しいです。

 

Q 何が起こるんです?

 

A 大惨事大戦だ。

 

その瞬間、ヴィレ内部で獣の咆哮と2人分の悲鳴が響いた。

 

 

「ずっ…ずびばぜんでじだ…」

 

綺麗なマリの顔がボコボコですね。まぁわたしもタンコブつくってますが。ちょーいたい。

 

「で?結局アンタの目的はなんなのよ」

 

「…また甘えてもいいんで「は?」…なんでもないです」

 

身体が震える。怯えているのか⁉︎このぱち波がっ⁉︎

 

「………でも、たまには………いいかも………」

 

堕ちたな

 

消えるような声でそうこぼしたアスカ。五感その他も敏感な彼女にはバッチリ聞こえていたようだ。

 

「わたしの目的は…『幸せを誰かのそばで感じたい』かな」

 

「はぁ?なによそれ」

 

そのままの意味なんだけどね。この世界にはみんな幸せハッピーエンドがないのが悪い。旧劇の場合はよく考えて、碇君が他者と一緒にしていたいと願い、人間として成長したエンドだと捉えても、重いです。必要であったとはいえ首締めは重すぎます。…ふと思ったんですけど、何かとアスカの血筋って首関係多くないですか…?キョウコは首吊り自殺するし、アスカは碇君に首締められるし、新劇も3号機に乗ったアスカもろとも初号機には首折られてますし…。

 

はっはーん…。さてはエヴァ製作委員会はアスカ虐めんの好きだな(迷推理)アスカファンの方達に

 

『お覚悟を』…チャキ…

 

されても文句は言えませんねこれは。とづまりすとこ。

 

「まぁそんな感じだから、フォース止めましょうそうしましょう」

 

「…アンタがあいつに少し似てる理由がわかった気がするわ」

 

「…でもオリジナルと違いすぎるわ〜」

 

いつものように、ゆるく駄弁っていたら、新たなエヴァンゲリオンの反応を捕捉したらしい。さて、そろそろクライマックスですね。ここら辺で修正力さんが出しゃばってくるので、叩き潰しましょう。

 

「…わたし、この戦いが終わったらサイクリングに行くんだ」

 

「流れるようにフラグを立てないでよ」

 

「私を置いて姫達は先へ進んで!」

 

「アンタも行くのよ‼︎」

 

あーもうめちゃくちゃだよ。でもまぁ、楽しそうなのでよしとしましょう。ネルフ組は大丈夫でしょうか?

 

 

 

数日前のネルフ本部では、シンジがこの世界の真実に触れ、黒波が一緒に過ごし、使徒から助けた綾波ではないと知ったところだった。また、この手でトウジやケンスケを結果的には殺してしまったと知り、父親との繋がりを捨てる。そこに渚カヲルが現れて、希望の槍としてロンギヌスとカシウスの説明をした。彼と繋がりを持ち再びあのみんながいる世界に戻そうと決意した。そんな中シンジは冬月副司令との会話を思い出していた。

 

 

冬月に連れられて来た部屋は電力が不安定であった。しばらくした後に奥の方には碇ユイが初号機コアに取り込まれる様子が写っていた。そして綾波レイの正体は碇ユイの情報をもとにつくられたクローンであることを知った。

 

『碇はな…昔から君の母親に振り回されていてな…。彼女が行おうとしたコアへのダイレクトエントリーだって碇は反対し続けた。だが彼女は頑固でね。我々の前で碇にさそり固めをきめ納得させていたよ。碇は少しの間松葉杖生活を送ったがね。だが、実験は失敗し彼女の情報だけが残った。彼女を慕ってたものは、嘆いたよ。とくに碇は酷かった』

 

長い沈黙が走る…

 

『君の知る綾波レイは初号機に保存されている。これも碇の計画のうちだ。…そして、これは特に関係のない話だが…君たちと関わったもう1人の綾波レイは碇の天敵だ。父親に反撃したいなら協力するといい。なに、私も楽しませてもらったのだ。それを分け合うのも悪くないだろう』

 

強い味方ができた瞬間だった。

 

時間軸をもどそう。何故彼がこのことを思い出しているのかというと…

 

 

 

 

 

目の前で綾波ではない綾波にバックブリーカーをきめられている父親を発見したからである。

 

「えっ…ちょ…!綾波!…じゃないけど…綾波!なにやってるだよ!?」

 

できればシンジは綾波ではない綾波を避けたかったが流石にこれを無視するほどシンジのメンタルは逞しくなかった。

 

「グッハ…!…ハ''ー…ハー…シンジか…!頼む…!レイを止めてくれ…!」

 

ガチの懇願だった。口の端から血を流してバイザーが少しひび割れているのにもかかわらず、迫力がある。

 

「う、うん」

 

はじめはざまぁみろと思っていたが流石に不憫に思えてきて助けることにした。

 

 

 

コブラツイストで一発KOだった。もちろん関節をきめられた痛みはもちろんあったが、黒波の身体に密着していたので思春期真っ盛りのシンジにはそっちの方がダメージがあった。その内一人称も変わるかもしれない。だが、そんなことになったらぱち波が密かに考えていた『碇君調きょ…育成計画』か始動するのでぜひとも気をつけてもらいたいところだ。

 

「…まて…レイ…!先程エヴァンゲリオン第13号機が完成した。明日には出撃できる。…その時に必ず奴も来る…」

 

「…そう…」

 

黒波は歩みを止める。ゲンドウは作戦を伝えると言って黒波を連れていってしまった。シンジ君はどうしたのかって?

 

彼は己のむすこを沈めるために走って部屋に戻り、ドアも開けっ放しで筋トレを始めてるよ。冬月はその姿を見てやはり親子だなと考えていた。

 

因みにゲンドウも大学時代のでユイに技をきめられ、よくむすこと闘っていた。当時のゲンドウは素直にソレはユイに嫌われると考えていたので筋トレと喧嘩で発散していた。これが素行が悪いと噂されていた理由だ。今でも服の下はバキバキになっている。

 

そして、運命の日。シンジとカヲルはプラグスーツを着込み、エヴァンゲリオン第13号機に乗った。もちろん黒波もバックアップとしてMark09に乗っている。Mark09は頭が無いが正常に稼働しており、大鎌を装備して第13号機とセントラルドグマを降下していく。

 

「これが…リリスの結界…?これは…まるで大きな蓋だ」

 

「そう。この14年間誰の侵入も許していない。それを突破する為のダブルエントリーシステムさ」

 

セントラルドグマ最下層への入口を塞いでいるのは黒い壁のようなもの。リリスが生前作り出したものだと聞かされていた。

 

「大丈夫。僕たちならできるさ」

 

「うん…」

 

2人のシンクロ率が高まり、同調していく。

 

「テンポを合わせよう。あの音楽会を思い出して」

 

『…ッ!』

 

第13号機の足が触れる直前にリリスの結界は渦を巻くように崩れていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…第13号機がリリスの結界を突破しました。穴は開いたままです。どうぞ』

 

『了解。作戦開始!』

 

 

『…援護射撃頼むわ』

 

『オッケー』

 

始まりましたね。わたしはいまセントラルドグマの横穴に潜んでいて偵察係やってます。ここでわたしの装備を見てみましょう。

 

頭・インターフェイス・ヘッドセット

耳・通信機器

首・ DSSチョーカー

服・新型プラグスーツ

右手・エクスカリバール

左手・アンパン味の固形レーションとバッグ

 

はい。ここに生身で繰り出すとか艦長酷すぎる。まぁ少しは戦えますけど、体格差ってのはでかいんですよ?…たぶんこの前のこと根に持ってますね。確認してみましょう。

 

『今、第13号機がリフトから降りました。そして、こないだのこと根に持ってますね?どうぞ』

 

『了解。そのまま作戦通りに。………………約束は守ってもらうわ』

 

ヒェ…。食べ物の恨みは恐ろしいですね。…というか貴方達は自業自得ですからね⁉︎という訳で、食料をかっさらいましょう。いくぞー!

 

…少女収集中…

 

ふー。こんなもんですか。むっ!下で動きがあったみたいですね。行ってみましょう。

 

 

 

 

「ついたよ。セントラルドグマ最下層。サードインパクトの爆心地だ」

 

「…アレは…エヴァ?」

 

「エヴァMark06。自律型に改造されたその末路さ」

 

シンジ達はリフトから降り、髑髏の山に足を下ろす。その後ろにはMark09が佇んでいる。

 

 

「あそこに刺さっているのが目標物?」

 

「そう。ロンギヌスとカシウス。2本の槍を抜くには魂が2つ必要だからね。そのためのダブルエントリーシステムさ」

 

「…なら、あっちの綾波でもいいんじゃないの?」

 

「いや、彼女の場合魂の場所が違う。変化しようとしているけどね。さぁ、始めるよ」

 

歩みを進めるシンジに何かに気付いたカヲルは待ったをかける。

 

「ちょっと待って。……槍の形状が同じ…?」

 

「…カヲル君?どうし…ッ!」

 

『どぅうりゃあああアアァアァア!!』

 

『アスカ…!』

 

上から降って来た2号機の攻撃を第13号機のビットが受け止める。

 

『…バカシンジ…やっぱり乗っているのね』

 

『…そうだよ。槍を抜いて、世界を救うんだ…』

 

『…はぁ…ガキね…本当にそんなことができると思ってるの?』

 

2号機が突貫するのをMark09が阻もうとするが、銃弾によって足止めされてしまう。

 

『今回は遅れなかったわね』

 

『いや〜私ってばやれば出来る子だから』

 

『あっそ。そっち頼むわ』

 

『あいよー』

 

「アダムスの器さん…。足止めはさせてもらうにゃん」

 

マリは次々に弾丸を放ち、しかも全て急所をとらえている。

 

 

 

だが、黒波は大鎌で放たれた弾丸を全て切り裂いた。

 

『はぁ!?ちょっ…マジ!?』

 

「…何処…」

 

(ヤバない?この銃の弾速既存のものよりずっとはやいはずなんだけど…あれ、あの機体に乗ってるのがゼーレの暫定パイロットだよね?ぱち波の話だと黒波って呼ばれてたアヤナミ・シリーズの。…そーいえば、この子がネルフ組で一番やばいって言ってたような…)

 

『見つけた』

 

『へ?うおぉおぉお!?』

 

壁の隙間に潜んでいた8号機に向けて大鎌で壁そのものを抉るという君それどこで習ったの?と聞きたい攻撃を仕掛ける黒波。一体ナニ波のせいなのか(すっとぼけ)

 

『よっしゃー!こうなりゃヤケクソだい!』

 

互いに真正面で向かい合い…

 

『…いざ…』

 

『尋常に!』

 

 

『勝負(にゃ)!』

 

周りを置いてった熱い戦いが始まった。

 

 

『…バカシンジ!またサードインパクトを起こすつもり!?』

 

『違う!僕はただ、あの時みたいに…!』

 

『…いい加減夢から覚めなさいよ…』

 

それでも私は…私だけは…彼を…

 

『…分かっているさ…そんなこと。でも…諦め切れないんだよ!』

 

『…このっ!分からず屋のバカシンジ!』

 

アスカの攻撃が激しくなる。それを防いでいるのはシンジだけだ。

 

「カヲル君!どうしたのさ!」

 

「ロンギヌスとカシウス…2つの槍が必要なんだ。なのに、ここにあるのは同じ槍が2本…」

 

『君が信じるものが正しいとは限らない。偽天使なぱち波からの助言だよー』

 

「…そうか、そういうことか!リリン!」

 

「カヲルく…グッ…!」

 

突然2人のエントリープラグ内に衝撃が走り、シンジは頭に走る激しい痛みにより、頭を抱え出す。

 

「!接続が切れた…?はっ!シンジ君!大丈夫かい!?」

 

頭を抱えてたシンジは顔を上げ、操縦桿を握りしめる。

 

「…槍を抜いて…みんなを救うんだ…!」

 

 

第13号機は槍へ向かい出した。すでにその目は赤く染まっている。

 

『バカシンジ!バカシンジ!!…アイツが言ってた通りね』

 

シンジ達を止めようとしたがエネルギーが切れてしまう。

 

「チッ!こんな時に!」

 

 

 

 

『どうしたのさ、急に動きを止めちゃって』

 

『…操縦が効かなくなった…?』

 

『…やっぱりか…姫!スペア行くよー!』

 

(…ここまで干渉してくるとは、世界のルールを決めた神様は意地が悪いわね)

 

そして、第13号機は槍の目の前まで来ていた。

 

『コネメガネ!AA弾の使用を許可!』

 

『あいよー!』

 

マリがATフィールドを貫通する弾を放つが、第13号機に吸収され隠された腕が現れる。

 

『…!ATフィールドが無い…やっぱこの機体は…』

 

『…槍を抜かなきゃ…槍を抜かなきゃ…槍を抜かなきゃ…』

 

『シンジ君!シンジ君!!…使徒やリリンの力じゃ無い…世界が彼を動かしてるのか…!?』

 

カヲルは何とかして機体を止めようとするが、止まらない。槍に手をかける。

 

 

 

『やめるんだシンジ君…!これは僕らの槍じゃない…!』

 

4本の腕に力を入れる

 

『負けるな!バカシンジ!!』

 

カヲルとアスカの叫びが響き機体は動きを止めた。

 

 

しかし、その瞬間第13号機を囲むように赤い影が降って来て、4本の腕に纏わり付き無理矢理槍を抜き放った

 

 

 

 

…修正力さんが全力を出して来た件について。

 

どゔじでだよ''ぉ''ぉ''!

 

碇君が思いの外メンタル強くて、シンジさんになってたのになにしてくれてんですか!?あーあーご丁寧にMark09でMark06の首を切ってくれやがってまぁ。おそらく黒波は大丈夫でしょう。ここまで無理矢理修正してきたの初めてですね。ていうか、このままだとシンジ君原作よりもメンタルブレイクしますよ。気がついたらフォースインパクトの始まりの儀式の中にいて、カヲル君はDSSチョーカーにより死ぬ寸前。その後も自分の意思では無いにしろ、(むしろそっちの方がたち悪い)結果としてまた友達を殺したことに…

 

ヤッベェ。ガチで修正入れてきましたね。わたしの計画だと碇君には原作と同じようにメンタルブレイクしてもらい、そのアフターケアを充実させるために今まで行動してきたのですが…それ以前に完全に今回のインパクトで終わらせる気ですね。インフィニティのなり損ない達も動員させてきましたし。さて、動きますか。

 

『こちらぱち波。作戦失敗。第13号機が外に出るからどうにかよろしく。あとアダムスの器にも気を付けて。どうぞ』

 

『無茶いうな!』

 

『…確率的にわかってましたけどぉ…やっぱり現実になると辛いというか…』

 

『日向さんと北上さんうるさいです。リカバリーも大切ですよ?あと艦長。チョーカー外して。どうぞ』

 

『…何の為に』

 

『一、第7号機使う。ニ、最悪その船奪われる。三、対抗するにはうってつけ。どう?』

 

『…そうした方がいいのではないでしょうか。手札が多い方が有利。また、不穏分子を手中に収めておいた方が良いかと』

 

おや、意外なリツコさんからの後押し。不穏分子いうな。もっとやばいわボケ!

 

『…いいでしょう。反応を切ります』

 

その通信を最後にぱち波は耳につけた通信機器を外して破壊する。

 

よし。 DSSチョーカーが反応しなくなったので、これもぶっ壊しましょう。反応がなくなったと言っても使徒化による反応が消えただけで覚醒形態になろうとするとマミります。多分覚醒みたいなことしますからねしょうがないね。

 

「ふんっ!よし。取れました」

 

バキャ!という音がしましたが、壊したのではなく取り外した音です。

後は…

 

「うっ…おえェ…かなりでかいやつ仕込んでましたね」

 

はい身体に埋め込まれていた自爆装置を不思議パワーで取り外しました。これをつけたのはリツコさんでしょう。だから後押しをしてくれたんですね。フハハハハ!お見通しだわ!

 

使徒化して第三ドックまで飛んで行きましたが何ですかコレ。インフィニティどもが第7号機に纏わりついてるんですが。は?ちょっ待てよ!わたしにインフィニティをぶつけてんじゃねぇ!こちとら持って帰らないと後が怖い食料抱えてるんですよ!?

 

 

 

「まぁ、使徒化したわたしの敵ではないんですけどね」

 

インフィニティといってもなり損ないなので、そんなに強くないです。エクスカリバールと目力砲で殲滅できます。さて、この纏わり付いているインフィニティなんですが…硬いんですよ。わたしの目力砲でもやっと一体壊れるだけですし。えっ?全力じゃないからだって?しょうがないですね。全力でやってやりますよ。

 

「スゥー、ヌゥン!ヘッ!ヘッ!ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛↑ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ''ァ゛!!!!

ウ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ!!!!!

フ ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛ン!!!!

フ ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥン!!!!」(とっても綺麗なソプラノボイス)

 

よし。壊れました。早速乗っていきましょう。

 

『エントリースタート。パルス安定。シンクロ率114,514%』

 

一応使徒化しないでシンクロしましたが、これが最高値ですね。さて嫌な予感しかしませんが、使徒としてシンクロしてみましょうか。…使徒化した瞬間、プラグ内は星海となりました。

 

はい、3年間遊んだところに来ました。

あっ。見つけましたよ。キミの本体がやらかしてくれたんだけど、どう責任とってくれんの?え?『ボクらはもう別個体だから関係ない』って?ダメです。というかキミでしょ。前にシンクロした時、綾波を再生させてわたしにくっつけてきたの。はい、顔をそらさない。わたしの目を見て話して下さい。…正直な子は好きです。ていうか、そこの青正八面体と女体盛り食ったやつ!キミ達もチラチラみてただろ!

 

『正直、興奮した。直接触りたい』

 

『リリンの女性は我らにリビドーを与えるとみた』

 

「最強格の使徒の威厳がガタ落ちだよ」

 

もしやと思いましたが第7号機に使われている使徒達全員堕天していました。まぁ人の手が加わった時点で堕ちますけどね。

 

『『…元気出して』』

 

『わしらがおるわい』

 

サキ&シャムマジ天使。時計の師匠マジおじいちゃん。お前ら見習え!

 

『『それでそれで』』

 

『あの時の彼女の味は格別だった』

 

ゼルぅ!有害図書館してんじゃないよ!さんはちコンビを巻き込むな!

 

『…大丈夫?おっぱい飲む?』

 

黙れ!リリン達泣きますよ!?こんな淫乱な母親から生まれたと知ったら!

 

『だってわたしずっと貼り付けられてたし、自由に生きたかったし』

 

だから今クソ自由なんですね。いいから服を着て下さい。ダイナマイツなんですから。サキ達の教育に悪いです。…無駄に仮面の下は美女なので困ります。

 

『…もうすでに疲れた。じゃ、バル君頼んだやつよろしく。最強格の使徒(笑)キミ達の力借りるからね。リリス『ママ』…ママは受け入れの準備して。他のみんなはフォローに』

 

『『『了解』』』』

 

『それにしても、これでよかったのか』

 

師匠が聞いてくる。

 

『うん。いつまでも世界の言う通りに動くもんですか。キミ達もそうでしょう?』

 

『ホホ…違いない…!』

 

準備完了、士気、覚悟よし。システムオールブルー。

 

「いくよ。エヴァンゲリオン第7号機、起動!」

 

とんでもない天使達を連れた黒き悪魔が目覚めた。

 

 

 

『ありゃ…これはしっちゃかめっちゃかな状況ね』

 

『…私はヴンダーに行くわ。コネメガネはあのバカをお願い』

 

『ラジャ!』

 

すでにヴンダーはMark09によってほぼ掌握されており、墜落している最中であった。

 

『うぉおりゃあ!』

 

改2号機がヴンダーの主翼に乗りMark09と会敵する。速攻でかたをつけようとコアを狙い撃ちしたがゼーレの仮面に防がれてしまった。

 

『ずっる!ゼーレとぱち波のやりそうなことね』

 

誠に遺憾である。byぱち波

 

『コード・777(トリプルセブン)

 

獣化形態となってMark09に襲いかかるアスカ。

 

『…ナイスタイミング。エントリープラグ上部にコアらしきものがあるから、それとって。脱出できない』

 

『…開口一番がそれか!図々しいにも程があるでしょ!?』

 

『…ヘルプミー…』

 

『…あぁもう!機体を少しだけ止めなさい!それぐらいできるでしょ!?』

 

『…了解』

 

黒波がエントリープラグ内に持ち込んだバールゴミニアドで浮かびあがっていたゼーレマークを貫いていく。アスカは黒波に教えられたとおりにエントリープラグの挿入口を噛みちぎった。

 

『…I’ll be back…』

 

そう言い残して黒波は脱出した。そこからコアを直接打ち抜いた。

 

『逆だし…。…次会ったら2人まとめて殴ろう』

 

しかし、直ぐにMark09は再生してしまう。

 

『コイツ全身コアか…!…これしかないか…ゴメン2号機!』

 

2号機の自爆装置を起動させ脱出するアスカ。それに巻き込まれてたMark09は消滅する。

 

 

 

 

はずだった。

 

『目標殲滅していません!』

 

『肉眼確認によるとインフィニティが改2号機を引き離したらしいです』

 

『マズいわ!このままだとヴンダーが!』

 

『システム内侵食されていきます!ダメです!防げません!』

 

世界の干渉である。基盤であるヴンダーさえ落ちてしまえばリリン達は戦う術を失うことを世界は知っていた。だが、黒き悪魔を世界は知らない。

 

『報告!新たな侵食被害が発生!勢力を拡大…いやMark09の侵食も飲み込んでいきます!』

 

ゼーレの紋章が浮かんでいたモニターが乱れ始め、このようなテロップが流れ始めた。

 

〜Now loading〜

 

〜Installing Pachinami Virus〜

 

『『『なんてもん流してんだあのバカ(ぱち波)は!!』』』

 

 

第三ドックから出て武器を回収してからヴンダーのところまで来ました。Mark09がまだ健在ですね。まずはヴンダーの侵食から解決しましょう。フッフッフ…これがわたしの秘策だ!バル君が40秒で用意してくれました。

 

その名も『ぱち波ウィルス』それはどんなものにでも侵食、掌握していき最終的に侵食したものを修復した後に消滅するウィルスです。もちろん有害なものは破壊されます。因みに、作業中はモニターにわたしが真顔でダンスしている映像が流れます。たまにウィンクするかもしれないのでお見逃しなく。

 

さて、Mark09とのバトルなんですけど、どう殲滅しましょうか…。全身がコアである以上、攻撃手段が限られますし。今もバレットライフルを撃ちまくってますが、再生されてジリ貧です。弾丸の一発一発にドリル状のATフィールドを張ってるんですけど。そもそも、アダムス関係にATフィールドありませんでした。やっぱ使えねぇじゃねえかバレットライフル!プログレッシブナイフで切り刻んでも再生するし…よしこんな時は火力だ。ゼル、ラミ出番ですよ。

 

Mark09の光線を掻い潜り、第7号機は距離を取った。背中の装甲がスライドするとそこから左右2対の黒い包帯のようなものが出てきた。それはムチのようにしなっている。また、左腕は青い水晶のようになっていた。

 

「無限回復するなら、その回復量よりも深刻なダメージを与え続ければいい」

 

2対の帯はMark09の四肢を貫き固定する。青い左腕は変形し、生成した擬似的なコアにエネルギーを貯めていく。それを止めるようにインフィニティ達が現れるがヴンダーにつけられた青い染みから黒い棘が飛び出し命を奪う。

 

『ナゼダ!キサマラハカミダロウ!ナゼワレラノジャマヲスル!?』

 

『キサマラ…!セカイガオワロウトソンザイデキルダロウ!?』

 

インフィニティ達を介して、世界は言い放つ。

 

『確かに存在できる。けどそれはわたしじゃない。彼等じゃない。この世界にいるからわたし達なんですよ』

 

次であの黒波やこんな個性的な使徒たちに会えるとは限らないしね。

 

『それに君たちは勘違いをしています。わたし達は神でも天使でもないです』

 

エネルギー充填完了

 

『神や女神になれなくても、生きたいと願った偽堕天使の集まりですよ』

 

光が迸りMark09とインフィニティ達は完全に消滅した。

 

 

 

 

 

『Mark09の消滅を確認しました!』

 

『レイ!まだなの!?』

 

『そのウィルスはある程度修復するまで消えません。そもそも、主機が損傷した状態てフォースは止められませんよ?』

 

そのとおりだった。それに…

 

「「「ぱち波ちゃんFOOOOOOOOOO!!!」」」

 

「こっちもウィンク頂戴!!」

 

「ぱち波の商品はこちらで販売してはるで〜」

 

これで、どうやって戦えばいいのだろうか。ミサトは頭を抱えると同時に彼女へのお仕置きを考えることにした。しかし、自ら命令した食料を人質にとられ、なにもできないのはまた別の話。

 

さて、最後の作業です。第13号機に干渉する必要があるので近くまでいきましょう。翼が背中から出てももう驚きません。そのまま飛んでいきましょう。

 

「うわぁぁあぁぁ!!」

 

わたし大絶叫。第13号機の腕が拘束されてるから槍を自分で刺せないじゃないですかヤダァ!マズいですよ。ガフの扉を閉じるには槍をブッ刺す必要があります。それにカヲルさんの余命も僅かです。ってヤバイヤバイヤバイ!カヲル君が碇君に辞世の句を詠み始めました。リリ『ママ』マッマ!準備は!?『バッチリ』よし。ならば、突撃〜!

 

高速でエヴァ第13号機に突撃したぱち波は腕に纏わりついているインフィニティたちを破壊し、2本の槍をもぎ取った。

 

『歯ぁくいしばって碇君!』

 

2本の槍を13号機の胸に突き刺す。

 

間に合えー!!

 

第13号機の目から2つ光が消え、落下し始める。

 

『マリ!よろしく!』

 

『あいよー!!』

 

ふぅー間に合いました。あっぶな。あと0.810秒遅れてたら失敗してました。まぁ成功したのでよしとしましょう。ガフの扉が閉じられたので使徒化を切り、地上におります。ここら辺にしましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

『…さて、気分はどうだい?新入り君』

 

『ここは…まさか』

 

『そう。エヴァンゲリオン第7号機の中だよ』

 

そうです。カヲル君をエヴァの中に保存してみました。いや〜うまくいってよかったですね。肉体が死ぬ前に魂をこっちに呼び込んでみました。というかママが引っこ抜きました。あの時ロンギヌスの槍とアダムスの生き残りがあったので無理矢理アンチ・ATフィールド発生させ、カヲル君にぶつけていたそうです。母は強し。はっきりわかんだね。

 

『…しばらくはここにいることになる。そのうち身体は作るから我慢してね』

 

『いや、消えるはずだった僕を救ってくれたんだ。感謝しかないよ』

 

『とりあえずわたしは戻るから。あと君の仲間が歓迎パーティー開いてる』

 

そう言ってわたしは意識を浮上させた。

 

 

 

 

 

「…………」

 

碇シンジはエントリープラグ内で膝を抱え泣いていた。また自らの手で友達を殺してしまった罪悪感や自分を説得しようとしてくれた人達への申し訳無さがぐちゃぐちゃになって、シンジを動けなくさせていた。

 

「いつまで泣いてるつもり?」

 

凛とした声がプラグ内に響く

 

「…わたしの事…助けてくれないんだ」

 

その言葉にシンジは反応を示さない。まるで抜け殻のようだ。しかし、心の中ではマリの言葉もあり確かに揺れ動いている。

 

アスカは一度置いていこうとしたが踵を返し、シンジに蹴りを入れる

 

「まだ甘えてる…」

 

そして、虚なシンジをそっと抱きしめて

 

…いい加減自分や周りから逃げることをやめなさいよ…私が支えるから…。大丈夫だから…。

 

アスカがボソリと溢す

 

少しの間だけ、シンジとアスカだけの時間は続いた。

 

 

「あぁーもう!立つくらい一人でできるでしょ!ん?」

 

そこに黒波が現れる。

 

「…私に一発殴られなさい」

 

スッと拳を構えるアスカ。

 

「……」

 

無言でおもむろに荒ぶる鷹のポーズをとる黒波。この勝負、アスカの腹筋崩壊により黒波の勝利となった。

 

「…何してるの?」

 

「こっちのセリフよ!!真顔であのポーズは反則…クク…ゴホン!まぁいいわ。貴方にも聞きたいことがあるし、とりあえず合流できるとこまで歩きましょ。ほら」

 

そう言ってシンジの手を引っ張って歩くアスカ。その拍子に落とした

S-DATを黒波が見つめる。

 

赤い大地を歩く三人。あの時と違い世界も自分達も変わった。運命を仕組まれた子供達はどんな結末を辿るのだろうか。この世界のようになってしまうのだろうか。

 

 

 

 

 

 

「ヘーイ!チルドレン達!乗ってくかい?」

 

台無しである。自転車に乗って空気を読まず颯爽と現れたのはぱち波だ。

 

「いや〜結構遠いところに落ちちゃってね。探すのがたいへウゴォオ…!」

 

ぱち波に腰の入った黒波のタックルが入り、しっかりと手首を押さえてマウントを取った。

 

「……黒波サン…?」

 

冷汗ダラダラのぱち波

 

野獣の目をした黒波

 

「…キスかケツドラム…どっちが「キスで!でもここではまっ…アッー』♡」

 

シンジの目を塞ぐ保護者アスカ。しかし彼女自身は食い入るようにそれを見ていた。

 

「…ぜー、ぜー、前より戦闘力が跳ね上がってるんですけど」

 

自業自得である。

 

「では、いきましょうか」

 

「…えぇ」

 

「…黒波サン。わたしにセミみたいにくっつくのやめません?」

 

「嫌」

 

「何しに来たのよアンタ…」

 

「いや〜アスカが寂しがってそ「ふん!」…前が見えねぇ」

 

「で、何しに来たの」

 

「ま、アスカと同じよ」

 

「あっそ」

 

「…碇君、今は休みなさい。わたし(アヤナミ・レイ)達を受け入れてくれて嬉しかったよ」

 

シンジの頭を撫でぱち波はそう言った。

 

彼女達はまた歩き始める。イレギュラーな彼女によって結末がどう変わるのかは分らない世界となった。そんな世界でも前よりも少しだけ優しい風が吹いていた

 

 

                           

 

 

 

 

 




ファイナルインパクトを阻止する為に赤い大地を疾走するエヴァ8+2号機

1人塞ぎ込んだ碇シンジは温かな風の中で希望を見つける

ぱち波と黒波が行うダブルエントリー、頭を抱える碇司令と葛城艦長

運命の子供達は一体何処へ行き着くのか、繋がりは彼女をどう動かすのか

次回 シン・エヴァンゲリオンI

さーて最後までサービスサービス!


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シン冒頭 かつての味方と敵

コロナで大変なことになってますが、その中でも頑張ってる皆様に感謝を込めて投稿。エヴァも延期になりましたが逆バニー姿で待機してます。
コロナのワクチンの名前はPACHINAMIと名付けて欲しい…。

ガバガバ考察注意。それもご愛嬌ってことで


 はい。今日も今日とてクソみたいな世界にいる偽天使ことぱち波です。今は、テクテク赤くなった世界を一人で散歩しています。アスカ達とは一旦別行動です。ミサトさんからエヴァをとって来いだそうです。何故私が行かなければいけないかというと、前にもお話しした通りL結界密度が高いところは人間は入れないのです。

 

 自転車はアスカに渡しましたし、使徒化すると見つかるのでしょうがなく歩いています。

 

 ゲンドウ君達が見た浄化された世界もこんな感じでしたね。まぁガフの扉が残っていたっぽいけど。というかそもそもの世界を終わらせるのが世界の意思なのだとしたら、その理由はなんなんのでしょうね?今更ですが、そう思いました。世界に意思があるなら終わらせるにも理由があるはずです

 ループしている…。これがわたしだけなのか、世界の方なのか…。世界の方であったならそれはおかしいです。壊したいのに元にもどす意味がありません。じゃあ、わたしだけがループしている…?そんな特殊能力あったかなぁ?(すっとぼけ)

 

 ループしてるのがどちらにしても…この世界はもうイレギュラー…つまり原作通りですね。

 にしても…真っ赤っかですね全てが。目が痛い。海も陸も赤くなり空だけが青に染まっている。と言ってもインパクト時には全てが赤くなりますけど。…あんの黒き月も引っ張り出されてます。てか球体じゃなくね?宇宙船みたいなんですけど。

 

 あーそういえば、アダムとリリスって宇宙人でしたね。ほんとはた迷惑な。まぁ、彼らが来なければわたしたちは生まれてないんですけどね。 

 リリスとの契約…裏死海文書外伝…ネブカドネザルの鍵…結構ループしているはずなのに訳わかめなこの重要マテリアル。なーんか考察されまくってましたけど、どれもしっかりとした考察で絞り切れないんですよねー。

 

 ここでぇ、皆様のためにぃその考察のまとめをしましょう。まずはリリスの契約。これはリリスとリリンが結んだ契約で内容は断片的にしか分かってない。ゼーレの願いはいつもの魂をガフの部屋に持って行き浄化?進化?をすること。

 リリスはガフの扉を開けるかわりに使徒の殲滅、つまりアダムの子孫の殺害を願う。Mark06の建造。多分こいつが鍵で何かしらの重要な役割を持っていたはず。だから、建造方法が他と異なり究極のエヴァンゲリオンと呼ばれていたのかもしれない。

 

 次にネブカドネザルの鍵。これは旧劇で言うとこのアダムの肉体見たいな位置づけでしょうか。これも色々な考察がありました。特に面白かったのか、ゼーレのモノリスにも同じものがあるのでゼーレみたいになる為のものという考察でした。

 このゼーレみたいになるというのが引っかかりますね。一体あんなモノリスになって何がいいんだか…。まぁカヲル君がいた月に出現出来てましたしどうせその程度の能力でしょう。

 

 裏死海文書。死海文書からゼーレが隠した文書のこと。いわゆる予言書みたいなもの。それが旧劇では白き月に入ってた。多分、新劇にも白き月があるんだろうけど出てこないんですよね。というか、アダムじゃなくてアダムスというのが更に謎。コイツがアダムと同じなのかで考察も分かれている。

 

 旧劇の世界の続きとして新劇の世界があるとするならば、白ウナギが残ってるはずなので、あれをアダムスと新劇では呼ぶとか。一応S2機関持ってるし。旧劇のラストで海は赤くなってるから新劇の海は赤いと説明がしやすいですよね。

 

 

んで、リリスは………………………あれ…?

 

 

 

『分かっているよ。あちらの少年が目覚めたんだろう』

 

『碇シンジ君』

 

『青い海は赤い海と違う』

 

『第二の使徒リリス。私達の祖先と呼ばれているわ』

 

『匂いが違う』

 

『あれはリリス……その骸だよ』

 

『世界は終わることを望む』

 

『原作がイレギュラー』

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なるほど…とりあえず保留で。とんでもない厄ネタに引っかかりましたねこれ。

 

「ハァ〜(くそでか溜息)ほんっと嫌になります」

 

「じゃあキスする?」

 

「(し)ないです」

 

 というかなんでいるんですか黒波。わたしはエヴァとってくるだけですよ?

 

「赤い人に見張ってろって言われたから」

 

 アスカコラァ!そんなにか!そんなに信用ないのか!

 

『アンタ、自分の行動を思い出しなさい』

 

 アスカが全面的に正しい。アスカ自身彼女を信頼しているが、それとこれとは話が違うだろう。

 

 

 

「結局黒波も乗せるけど、大丈夫なの?」

 

 この機体変態だよ?色んな意味で。

 

「…肩とか手の中にいるよりはいい」

 

まぁ、確かに。

 

そしてエヴァに乗るため、エントリープラグを開いみるとそこにはとんでもないものがあった。

 

「…なんで?」

 

 

 

 

『エントリースタート、ハーモニクス双方異常なし。シンクロ率86.9%安定』

 

 

はい。審議の時間です。

 

『誰ですか?シートとかプログラムとか神経系システムにアクセスしてダブルエントリーシステムにしたのは?』

 

今はあの空間で歓迎会と称して馬鹿騒ぎをしていた使徒どもを正座させて尋問している。

 

『『『面白そうだなって思って』』』

 

『歯ぁくいしばれ変態ども』

 

『いや、アンタの方が…』

 

『黙れゼル。お前と一緒にするな』

 

(同じぐらい変態なんだよなぁ)

 

 その他の使徒達はそう思った。

 

 

 

…少女お仕置き中…

 

 

…クソ面倒なことをしてくれましたね…!黒波とシンクロとか…しかも黒波がわたしの後ろに座るタイプだから…もうお分かりですよね?

 

『はぁ…癒しが欲しい』

 

『大丈夫、おっぱい揉む?こ↑こ↓感じるんですよね?』

 

『わたしの胸を揉むな。やめい。ドリルすな。わたしをスプラッシュマウンテンにするつもりか』

 

 なんでこんな子にになっちゃったんでしょう。えっ?わたしのせい?いやいや、わたし黒波を性的に見たことなんてありませんよ。全く、失礼ですね。わたしは!ただ黒波を幸せにする気持ちでおっぱいおっぱいなんです!

 

…ビー…ビー…

 

「パターン青…早速潰しにきましたか」

 

 贋作使徒のおいでましですね。全くなんであんなものを作ったかな…。一体一体が通常兵器超えなんだから自重してほしいですわ。

 

「陽電子砲装備に擬似ロンギヌス装備…おまけにライフルとナイフ装備の歩兵…戦力向けすぎですね」

 

 しかも全機強化されてるし…なんですかあれ。装甲が弾け飛んでますけど。

 

「…偽装コクーンにもいるわね…黒波。射撃よろしく〜」

 

「了解」

 

 さて、壊すか

 

「「エヴァンゲリオン第7号機起動!」」

 

 空中からの攻撃や陽電子砲の狙撃を避けつつ、歩兵を殲滅していく。陽電子砲でも7号機のATフィールドを破れず、逆に利用される始末。歩兵のバレットライフルを奪い、展開した第3、第4の腕で対空攻撃を続けている。

 

「目標をセンターに入れてスイッチ…」

 

「ん…どこのスイッチ押してんですか!そこのスイッチ押してパワーアップするのはどこぞの乳龍帝だけですよ!」

 

 エントリープラグ内は騒がしくも凄まじいスピードで殲滅していく二人。

 

「…ムッツリさんは侵食開始…お師匠はそこから奇襲。38コンビはATフィールド制御して潰して」

 

「天使達はエネルギー機関増大…変態ども!変態たる理由を火力で示せ!」

 

 

『誰がムッツリですか⁉︎』

 

 

 

 

 歩兵の身体に触れるたびに青い斑点が増殖して機体を乗っ取っていく。さらに、地面まで広がったそれから黒い棘が飛び出し脆いATフィールドもろとも貫いていく。

 7号機が展開するATフィールドは特殊で常時形を変化させている。時には盾に、時には武器に変化することも可能だ。

 

 

 これらを生み出す膨大なエネルギーは普通のエヴァでは無理だ。使徒を複数使い、さらにダブルエントリーシステムで制御することで実現する。

 

 

 破壊の限りを尽くした黒き悪魔の周りには荒れた大地と十字架が残っていた。

 

『…状況終了。お疲れさま』

 

 戦闘終了です。負けませんよそりゃ…。ダブルエントリーシステムになったことで制御しやすくなりましたし。というかまずいですね。ロンギヌスのコピーと思って甘くみてたらアンチATフィールド付きでした。この量を量産されるとまずいです。ロンギヌスの槍の雨とか怖すぎる。

 

ヌッ?

 

「黒波。ちょっと出かけますよ」

 

「どこに?」

 

「ちょっと遠いところ」

 

茶目っ気たっぷりに笑うぱち波だった。

 

 

 

 

 ここはパリ上空。そこには葛城艦長率いるヴィレがいた。彼らはユーロネルフのエヴァの予備パーツや武器弾薬を回収する作戦を立てた。フォースでの抗戦でエヴァ二機を大幅に損傷してしまったからだ。機能停止しL結界に閉ざされたユーロネルフを復活させる…L結界除去をするためユーロネルフの封印柱を起動させることが今回の作業だ。

 

「16年ぶりのパリ…かつて花の都と謳われた街がこの有り様とは…痛ましいわね」

 

 プラグスーツに似た服を着たリツコが柱の上に立ち街を見下ろす。その視界に広がるのは赤一色。大地も建物も道も全てが赤に染まっている。これがいわゆるコア化と呼ばれる現象の結果なのだろう。ニア・サードインパクトで引き起こされた産物だ。

 

「予想よりもL結界密度が高い…封印柱の起動オペは今より810秒とします」

 

 マヤと3人の若い隊員が封印柱に接続し、作業を始める

 

「なんだよ予定より114秒短いじゃん。帰投時間考慮してんのかなこれ」

 

「…この恥ずいスーツのおかげなのが腹立つ。アイツが作ったこれ、本来のスーツよりも長くL結界密度が高いとこで活動できるから背に腹は変えられないし…こういうのは、アイツらだけにして欲しいわ」

 

「でも、北上先輩…あの子に着せ替え人形にされていませんでしたか?サイズ合わせの為に…あの子から聞きましたが満更でも…ヘブゥ!」

 

「…今度余計なこと言ったらそのメット割るわ」

 

「いいから…口の前に手を動かせ」

 

「動かしましたー」ジャブジャブ

 

そんなくだらない言い訳を溢す北上にマヤは近づき…

 

「げぼばぁ!」

 

思いっきり腹パンをお見舞いした。

 

「手を 動かせ 」

 

「「「はい!」」」

 

 封印柱の解読を進めていくマヤ班。北上は作業の邪魔が入らないかお腹をさすりながら目を光らせている。

 

「どう?アンチLシステムは起動できそう?」

 

「はい。ステージⅢからのReDoでいけそうです」

 

 それができる理由は前任者がいたからである。中のパネルには血でこう書かれていた。

 

 後を お願い  

 

 

 

 我が生涯に一片の悔いなし‼︎

 

 

 

「…貴方達の思いは引き継ぐわ…」

 

マヤは手を合わせ、目を瞑りながら感謝と敬意を捧げてた。

 

 

「うっわなんですかこれ…。本当にこんなのに触れていいんですか?」

 

「…この世界においてこんな言語見たことない」

 

「いいから、作業始めるわよ」

 

 作業を開始してすぐに北上が叫んだ。

 

「来ました!エヴァ44A航空特化タイプ…4時方向から接近中!」

 

 そこには隊列を組みまるで二人羽織のような姿のエヴァが飛行していた。いや、これをエヴァと呼んでいいのか分からない。もはや、人の形を留めておらず、ペストの仮面をつけおそらくロンギヌスの模造品であろうものを頭?につけている。

 

「…自ら軍隊を編成するとはもはや、新たな生物ね。マリ!迎撃を頼むわあと514+46秒もたせて」

 

「がってんでい!全ての敵をあっしが一気に引きつけるよー。たっちゃん、ながらっち!操演よろぴくーっ!!」

 

 そう言ってマリとエヴァ8号機は上空に吊るされていく。今の8号機は腕がなく円状の機械に腕がついており、360度回転させることができる。腕にはマシンガンが装備されており、全方位から射撃も可能だ。

 

「うーん…面白いけど違和感あるなぁこれ。せめて、人型の可動域は踏襲してほしい。にゃ!」

 

 44Aに向けて銃を乱射するマリ。彼らのATフィールドは脆く、次々に破壊されていく。しかし、数が多く油断すれば一瞬で囲まれてしまうだろう。

 

 

「8号機、44A第1波と抗戦中。続いて第二波を確認。作戦通りです。作業残り時間あと420秒」

 

 マヤ班のメンバーはより速く手を動かしていく。人類とは違った技術の集合体のため、ヴィレが所有する高性能なデバイスでも8ビット並だと若手の隊員が愚痴を零している。

 

「エヴァ同様人外未知の未解明システムですもの…人類の言語じゃ楽に制御できないわよ」

 

(ホントはあの子のエヴァよりマシって言いたい)

 

マヤは14年たっても苦労していた。一体誰の仕業なのか

 

「あの子…なんでこれを解明できたんでしょうか?」

 

「さぁ。使徒と合体するとそういうものもわかるんだろ」

 

「…ステージⅣをクリア…時間がおしてます」

 

「焦らず、まくわよ」

 

「「「はい」」」

 

マヤの力強い言葉によって気を引き締め、オペのスピードを上げていく

 

 

 

 一方空では戦闘が続いていた。空中移動はヴンダーの立体操舵によって行われている。マリは細かく指示を出し、44Aを殲滅していく。

 

「んーーにゃーー!んにゃにゃにゃにゃにゃ〜!にゃにゃにゃにゃ」

 

 全方位に散らばる敵を撃ち抜いていたが連射のしすぎで砲身が折れてしまった。その隙に第4波がやってきて8号機を取り囲む。数の暴力とは恐ろしいものだ。いくら一機一機が弱くとも集まれば大きな脅威となる。そんなピンチの中でもマリは好戦的な笑みを浮かべていた。

 

 

「作業残り時間あと360秒!」

 

 こちらもピンチに陥っていた。人類未解明システムの壁は厚くどうにも時間が足りない。せめて、ステージⅣから始められてればよかったのかもしれない。

 

「ダメです!ステージⅤへのショートカット見つかりません!」

 

「ダメって言うな。奥まで探して」

 

「無理です!残り時間じゃデータの上書き間に合いません!」 

 

「無理って言うな!」

 

「しかし…整備」

 

「弱音を吐くな!これだから若い男は…!」

 

 整備長。最後まで聞いてあげて下さい。

 

(私なんて、これの数倍訳わかんないエヴァの解明したのよ!無理だったけど!あの子の言ってることが異世界の言葉に聞こえたわ!もうやぁ…あまいもの食べたい)

 

 整備長は強気にメンバーを激励していたが心では泣いていた。そっとしておこう。一体誰がこんなに整備長を追い詰めたのか。因みに、その原因が甘味を持ってくることに気づいてない。

 

 マリは次々突貫してくる44Aを蹴りや体当たりですっ飛ばしていく。最後には一機を盾にして他の機体を集めまとめてぶん投げて破壊した。

 

「ふふーん。お茶の子さいさいにゃ」

 

 第4波を殲滅した瞬間、偽装虚空にヒビが入った。

 

「ほほう。使徒もどきがおとりを使うとは…洒落臭い!」

 

 偽装虚空を破壊して現れたのは、数機のエヴァらしきモノ。陽電子砲を四体のエヴァが担ぐ形で一体化しているモノは下半身の触手のようなもので砲身を固定している。

 また、エヴァの下半身二つで支えて自律している発電システムをのせた機体も多く襲来した。

 

「出ました!ボスキャラです!」

 

「エヴァの軍事転用を禁止したバチカン条約違反の代物.…。陽電子砲装備の陸戦用4444cとお付きの電力供給特化型の44Bのダブル投入とは…冬月副司令に試されてるわね私達…」

 

 現れた機体は歩みを止め、エネルギーをチャージし始める。

 

「44Bに高エネルギー反応。増大中!」

 

「全艦、対地防御シフト!総員、対飛燕防御!」

 

 リツコの指令により旋回していた全艦が重なり、まるで花の形のような防御体制を取った。船底には第六使徒の時に使われた盾の改良型を取り付けてある。

 

「4444C発射体制に入りました。44B大電力を発電中。エネルギー超高電圧エネルギーシステムへ…4444C全給電システム開放!陽電子加速システムも起動…きます!!」

 

 北上が声を上げた瞬間。4444CからATフィールドすら容易く破る狙撃が放たれた。改良型の盾も破壊され、リツコ達に破壊された戦艦が突っ込んでくるのをギリギリでマリが防いだ。しかし、次撃たれたらリツコ達は跡形も無く消え去るだろう。

 

「再び44Bに高エネルギー反応!大出力電力放射装置に蓄電中。って早っ!4444C早くも発射態勢!?ちょーマズい!!第二射すぐにきます!激ヤバですぅー!!」

 

 やばい状況を更に悪化させるべく、偽装虚空からさらに44Aが多数襲来し8号機を取り囲む。既に陽電子加速装置が起動されておりすぐに発射できる。

 

「チッ!邪魔!!早く4444Cをやらないと全部おじゃんになる!」

 

 8号機の足掻きも虚しく4444Cに近づけない。

 

「ロックされました!これは…無理ですね…」

 

 北上が計算し自分たちの生存率がほぼゼロなことを知り溜息を吐いた。

 

「あーあ。最後に美味しいもの食べたかったなぁー」

 

ビー!!ビー!!ビー!!

 

(後方から高エネルギー反応…?)

 

 かつて人類を守った陽電子砲が今、人類に向けられ放たれた。

 

 

 

 

 

しかし、その青白い光線は同じレベルの光線で相殺された。

 

『…間に合った』

 

『諦めるのは少し早いですよ北上さん』

 

高速で飛来したのはぱち波達だ。7号機の腕は青い水晶体になっている。背中に展開した黒い帯で8号機周辺の44Aを貫いていく。

 

『いや〜助かったニャ〜』

 

『全く、贋作だからって油断できないですね』

 

 はい。日本からすっ飛ばしてきました。途中邪魔が入りましたが轢き潰してきたので問題ないでしょう。さて、陽電子砲装備でさらに電力供給付きですか…。先程戦った奴よりも強力なやつですね。というかあれヤシマ作戦で使われたやつじゃないですか?

 

『…我に…』

 

ん?なんですか変態。

 

『我に!任せよ!』

 

 ラミエルがそう叫ぶと7号機の腕は肩まで水晶体に変化し、形を変化させていく。黒波のシートには狙撃用のシステムが展開された。

 

『ここで会ったが14年!今度は負けんぞ!』

 

変態が進化した…だと…!

 

擬似的なコアが複数出現し、エネルギーを貯めていく。しかし、装填速度は相手の方が早い。

 

『…マリ!陽動お願い!』

 

『合点承知!いくよながらっち!』

 

 マリが折れたエッフェル塔を持ち4444Cに突撃する。そちらに気を取られてるうちにこっちは誤差を修正しておこう。

 

「黒波。トリガーよろしく。こっちで色々しとく」

 

「わかったわ」

 

 気温、気圧、重力…そして抑止。全部計算に入れてギリギリまで修正…

 

『マリ!避けて!』

 

ピッ!lock-on

 

『っ!』

 

 黒波がトリガーを引き加速粒子砲が放たれる。8号機が避けた瞬間4444Cが陽電子砲を放つもこちらの加速粒子砲が上回った。

 

「…かつての人類の敵に守られるとは思って無かったわね」

 

 

 敵を殲滅できてもまだ終わらない。まだ戦いは続いてる。

 

「残り作業時間後30秒!」

 

 

「アルゴリズム解除!」

 

「最終セキュリティロック解除!」

 

「アンチLシステム、ステージⅤを全てクリア!」

 

「アンチLシステム起動!」

 

 アンチLシステムが起動した瞬間赤く染まっていたパリの街に色が戻った。更にユーロネルフと全凍結システムも再起動し、地下から物資が次々に現れる。

 

 作戦は成功だ。

 

 

 肩で息をすることマヤにリツコは労いの言葉をかける。残り時間は11.4514秒だった。まさにタッチの差だ。

 

 

「おぉー。復元されてますね」

 

封印柱にこんな機能があるとは…人類もまだまだやりますねぇ!

 

『レイ!アンタどこ行ってたの!?』

 

『いや〜ちょっとね。あっ黒波も一緒でーす』

 

『…シンジ君は一緒じゃないのね』

 

あらら、まだ放浪してるんですか。まぁ、きっとどっかにいるでしょ。

マリもなんか見つけ出すとか言ってるし。

 

 

「君が始めたことよ碇君。大丈夫、わたしがなんとかするからさ」

 

ボソリと呟いた言葉は黒波にも聞こえずLCLに溶けていった。




前半のガバ考察について
ワンチャン作者はシンジとカヲル君の生まれた世界は別だと考察してます。そうした方が色々都合がいいのです。
 多分旧劇の続きっぽい世界と、新たに作られたつまり新劇の世界みたいな。

考察はまとめてあり、物語に活かすだけなんですが、苦手なのでとりあえず日本が核を持たない理由の人たちでも突っ込んでおかばいいと思い始めました。



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シン 夢と真実と天使

待ちきれなくて妄想したシン・エヴァンゲリオンです。ガバ考察超注意。それもご愛嬌ってことで


 黒波は与えられたベットで眠っており、ぱち波はその横で佇んでいる。

 

「ごめん。貴方を連れてはいけない。どうか健やかに」

 

ぼそりとつぶやいたぱち波は蜃気楼のように消えた。

 

 

ここは臨時隔離封印施設。現在はエヴァンゲリオン第7号機が封印されている。封印柱により貼り付けにされ、頑丈な拘束具により起動はおろか動くこともできそうにない。

 

「アンタ、何処に行くつもり?」

 

 アスカの声が聞こえた気がした。

 

「…また七号機を使わせろってアンタ…これの重要性が分からないの?」

 

 北上たちを助けたと言っても無断で使徒化を使用したことは重い罪だ。まだあの機体のことは解明しきれてない。ただ分かっているのは、少なくとも疑似シン化形態と対抗できる程のエネルギーを保有している。

 いうなれば使い方によってはインパクトを単機で起こせる最悪のトリガー。それを使わせろというのはNoと言うほかない。

 

 

「……はやく」

 

 ミサト達の思いもアスカの声も無視して出撃の準備を進めるぱち波をアスカは押し倒し拘束する。

 

「ふざけるんじゃないわよ!アンタもバカと同じ道を辿るつもり!?」

 

「……」

 

アスカに押さえつけられたまま溜め息を吐くぱち波。 

 

「ごめん、アスカ」

 

ぱち波に突如として生えた翼がアスカを包み眠らせてしまう。

 

 

アスカは悟った。もう、私の夢は叶わない。

 

 

 

『シンクロ率68%安定』

 

 ここまで下がりました。あいつらがダブルエントリーシステムを作ったのはこのためですか。リリンに近くなるたびにわたしはあいつらとの繋がりが弱くなっていきます。

 

 拘束具を破壊しヴンダーから脱出するぱち波。今は色々と改造途中だから追っては来れない。

 

『…せっかく作ってやったのに』

 

『すねるなむっつり。彼女は人だ。我らではない』

 

『泣くでないぞ幼きものよ。その身が天使であるなら』

 

『女体盛り…すいません。マジ勘弁して下さい』

 

『本当に、行くのかい?」

 

 うん…計画を進める前に真実を確かめに。もう少しだけ付き合ってもらいますよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というわけでたった一つの真実見抜く見た目は美少女、中身は人外!その名も名探偵レイ‼︎が赴く場所はネルフです。

 

 なぜかというとセントラルドグマ最下層…つまり黒き月に用事があるのです。まぁ今は地上に転がってますけどね。

 

 が、もちろん防御は硬いです。何ですかあれ。パリで戦ったやつが可愛く見えますね。バチカン条約違反はもちろんのこと、新たな生命を生み出していませんかあれ。

 インフィニティをベースにエヴァの予備パーツで無理矢理シンクロ…いや、パーツそのものを自らの身体として認識していますね…。

 インフィニティの名の通りに活動限界はなし。パターン青の反応から劣化版であるけどS2機関あり。正に使徒擬きですね。

 仮設5号機や使徒へのシンクロ…四号機の実験と神の力の集大成がこれとかナニコレ笑えない。

 

「穴から虫みたいに出てくるわね」

 

多分あそこが生産工場なんだけど、私が用事あるのリリスがいたとこだしなぁ。

 

 

 

 

 

 

よし、正面から行こう。

 

シンクロ率落ちたと言っても使徒の能力が使えなくなっただけですし。身体能力はまだ変態だからへーきへーき。

 

「行くぞぉおおおおお!!」

 

『大和魂をみせてやれ!!』

 

『突撃ー!!』

 

『ypaaaaaaaaaaa!!』

 

 ぱち波たちは雄叫びをあげながら進軍する。それに気づいたMark04は迎撃しようとするが一瞬で十字架に還る。Mark04も負けじと次々迫ってくる。

 

『敵機確認!』

 

『敵機確認!』

 

『敵機確認!』

 

「ちぃ!パターン青…全員擬似S2機関持ちですか…!」

 

『報告。敵数およそ3000以上。現在進行形で増殖中♡』

 

「死ね」

 

『両脇から攻め込むぞぉー!』

 

 多い多い多い!馬鹿じゃないですかこの数!助けてー!集団ストーカーにおそわれてまーす!今のところワンパンで沈めてますけど、面倒なことこの上ない。これで白ウナギみたいに復活してきたらこの機体でブリッジしながらG走法しますよ!?(錯乱)

 

『『『やめて』』』

 

いいや。壊そ。

 

 量産機の首を掴むとそのまま脊髄を抜き、その引き抜いた骨で他の機体に投げつける。

 投げられた骨は装甲を容易く貫き数を減らしていく。取り囲もうとしても跳躍一つで避けられる。

 

「エヴァだろうが、異形だろうが身体の作り方はまだわたしの理解の範囲内」

 

腹に穴を開け、そこから体内のコアを握り潰す。足を掴んでくる機体にはエントリープラグ挿入口からコアを踏み砕く。

 

「コアを破壊しても死なないなら、プラグを破壊すればいいのです。無限機関があるならそれを破壊すればよし」

 

それでも迫ってくるやつは、脊髄、背骨を引き抜く。動けなくなる上に再生が遅くなりやすい。

 

何体か特別なのか何度も何度も再生してくる機体がいる。どこを壊してもすぐに再生してくるから鬱陶しい。

 

「全身がコアの存在を殺すのは難しいです。今の私では時間がかかります。なのでこうします」

 

黒き月の内壁に機体を骨の槍で関節ごとに固定する。ATフィールドを纏わせて突き刺してあるので、そう簡単には抜けない。

 

「死なない=無敵ではないです。強敵ではありますけど」

 

『毎回思うんだけど、女の子がしていい戦い方じゃないよね』

 

『だから、わしらが戦ってたのに…』

 

『ビューティフォー』

 

『…………』

 

『大変だ!新入りが気絶した!』

 

『衛生兵‼︎』

 

『SANチェック入りまーす』

 

『我に任せよ』

 

 使徒擬きが黒き悪魔に触れることなどできるはずがない。紛い物程度のATフィールドでは逆に奴らの機体が破壊される。

 

 特別な武器や能力を使っているわけではない。首をへし折り、コアを砕き、プラグを踏み潰す。

 ただ、それだけを繰り返しているだけだ。使徒の力を抜いたとしても、在り方が変わるわけではない。

 あの機体はギリギリ人の域に留まっている。それは使徒の力を持っていることだけが理由じゃない。

 

 しかし、数の暴力は確かに恐ろしいものだ。大蛇や大型哺乳類が非力に思われるアリに負けることだってあるのだから。

 黒き悪魔を囲い質量で押し潰そうとしても、悪魔がその四肢を振るっただけで紛い物の役目は終わる。

 

 これが普通のエヴァであったら活動限界の問題で一網打尽にされていただろう。

 だが、悪魔にその心配は要らない。もちろん無限ではないが少なくとも紛い物程度で活動限界は来ない。

 

 インフィニティを使っているとはいえ所詮は新人類にもエヴァにもなれない紛い物。その不完全さはリリンらしいとも言える。

 赤い大地に並び立つ十字架は悪魔に対する最後の抵抗なのだろうか。しかし、この悪魔にそんなものは意味が無い。自らその顔に十字架を付けているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんとか入口が見えたて来ましたね…。えっ?Mark04はどうしたかって?全てエントリープラグごと破壊してきました。どうせまた、増えるだろうけど。さて、結構奥の方まで来ましたね。

 

「…これがリリスの結界跡…」

 

 ぽっかり穴が開いてますけどね。これ、この機体でも壊すのしんどそうな材質ですね….マッマ、これリリスのやつで間違いない?

 

『もちろんさぁ』

 

 信者わくからやめようね。カヲル君曰くリリスの結界を壊すにはダブルエントリーシステムじゃないとダメ。アダムスの生き残りとは関係ない…?あっ知らない。ふーん…そう。

 

「………」

 

『かなり恐怖を感じた』

 

 鞭に蝋燭、猿轡〜。おっと、なんでもないです。カヲル君でさえ13号機のことは分からなかったらしいので後に考察していきましょうか。

 さぁ、着きました。セントラルドグマ最下層…横になってるから骨とか血とか大変なことになってますね。

 

 ここにあるのは…頭蓋骨と血と…これは…ヘリの残骸…。ここにあったのはリリスの首なしの骸。

 

 

そう。リリスの首なしだ。

 

 

「リリス」

 

『ママ』

 

「今回は真面目にやって。貴方はどっちのリリス?」

 

頼むから、胃に優しいものでお願いします。

 

『安心していいわよ。私はあっちとは乖離しているから』

 

 

 

 

 

 

 

「嬉しくない…うん。過去最高に厄ネタ」

 

ははっ笑えよ。こんなクソみたいな真実に辿り着いたわたしを。ここでぇ…皆さんの為に…ちょっと待ってください…

 

 

〜少女胃薬服用中〜

 

 はい、説明します。(げっそり)この首なしリリス。あれ旧劇の神リリスです。この時点でだいぶクソみたいな状況ですね。まぁだから何って話なんですけど、まずはこの世界について説明しましょう。

 

 まずですね、新劇の世界がイレギュラーだって言ったじゃないですか。そのまんまで存在自体がイレギュラーな世界だったんですよね。旧劇のあのラストから偶然生まれたのがこの新劇世界ってわけで。

 

 それで、旧劇世界のように碇君の物語が始まります。その頃、旧劇世界では月にゼーレが建造施設を整備。

 はいここポイントです。ゼーレ生きとったんかワレェ!と言いたくなりますがカヲル君が起きた時にいたゼーレは多分新劇のゼーレです。新劇のゼーレがモノリスとして旧劇世界に建造施設を設備した。

 

 Qどうやって違う世界に行けるの?

 

Aネブカドネザルの鍵だと思うんですけど。

 

 多分これ。逆にあれ何に使うの?誰か教えてエロい人!なんか魂の形を変えて悠久の時を生きるらしいです。もしかしたら、旧劇ゼーレが魂の形を変えたのが新劇ゼーレなのかもしれませんね。

 

 あと、どう考えてもセントラルドグマ最下層じゃないでしょ。ガフの扉を開き、サードインパクトを起こしたのはジオフロントじゃないですか?

 そもそも、インパクト=ガフの扉を開くことではないのかもしれませんが…。

 

 次に世界の意思についてです。この世界は終わりを望んでいるって言いましたけど、まぁその通りです。

 

 旧劇の世界から生まれた新劇世界は元に戻ろうとつまり旧劇世界と合体しようとしてたんですね。そりゃそうですよね!インフィニティ達まで使って原作よりにしたのはインパクトを起こすためなんですから。

 

 インパクト中現れるガフの扉が世界を繋ぐ門でカヲル君はそこからこっちに来た。恐らく碇君が起こしたニア・サードインパクトで中途半端に世界が融合しました。結果あのクソみたいな世界になったと。

 

 世界と言っても次元とかに区切られている訳ではないと思います。ゲンドウ君達実際行ってますしね。惑星間移動するようなロケットで。

 新劇の月にカヲル君がいたと仮定すると、ゲンドウ君と冬月副司令という組織の長が第八使徒が接近している中でロケット乗ってるとか危なすぎるし、何より月に血の跡がないです。

 

で、融合の結果リリスの骸がセントラルドグマにエントリー。元々いたのはリリスは行方不明。もしかしたら骸と融合したという可能性もあります。

 月面の巨人がリリスだとしたら神リリスと同化しているのにも筋が通る。他にも、セントラルドグマにいるのはリリスではなくアダムという考察もありましたね。

 

 Mark06が究極のヱヴァンゲリヲンと呼ばれていたのは、使徒の力をリリンのものにした機体だったから。使徒入ってましたし。光輪ついてましたし。また、Mark06は建造方法が違います。普通のヱヴァンゲリヲンはアダムかリリスのコピーです。おそらくはそのまま本体を使っているのでしょう。

 

 Qの問題機もとい第13号機ですが、アレATフィールドがないじゃないですか。ATフィールドは普通どんな生物にもあるんですよね。

 

つまり、魂…コアが無い。

 

 わたしと同じです。クローンは肉人形でしか無い。魂が入ったものだけが綾波レイとして生きられる。

 

 第13号機の魂つまりコアとなったのが渚カヲル。13番目に堕とされることにより、パターン青へ。第13号機もとい第13の使徒が魂を得たことによりフォースインパクト開始といったところでしょうか。

 

 『魂が2つ無いと槍を扱えない』

 

そう。碇君もまたコアとなっていた。これがゼーレの保険。第12の使徒によって堕とされたカヲル君。

 おそらく碇君にDSSチョーカーがついていればパターン青の反応が出たと思います。第11の使徒として

 

 因みにMark09もほぼ同じですね。黒波を贄に完全なアダムスの器となる。マリの発言からアダムスの器になるとパイロットになんらかの影響が出る。だから、早くそこを出た方がいいと言ったのでしょう。

 そういえばヴンダーで戦ったMark09はまだアダムスの器ではなく移行形態でしたね…。

 

 

 閑話休題

 

 次、インパクトの条件について。インパクトの条件ってコアとコアの接触だと思ってましたけど、もう少し複雑な条件が新劇の世界にはありました。

 

 まずは旧劇のインパクトの条件を確認しましょう。

 

 旧劇のセカンドインパクトはロンギヌスの槍と人の遺伝子によりアダムを卵に還元する際に発生。副次的なエネルギーにより南極大陸は蒸発。世界の海面水位が上がり大混乱の結果、人類の半分が死亡。

 

 サードインパクトはセカンドと何が違うかというと人類を魂と生命のスープに変え、新たなる生命に進化する人類補完計画の為に行われました。

 ゼーレはアダム系が持つ生命の実とリリス系が持つ知恵の実を合わせると神になれると知り人類補完計画を承認。

 

 使用したものは、リリスのコピーである初号機とそのパイロット(渚カヲルの代用品として)、神となったリリスとエヴァシリーズ。

 

 一方新劇では、セカンドインパクトは4体の光の巨人と4本のロンギヌスの槍が発動の鍵となっていました。

 

 バチカン条約で一国のエヴァ保有数を3体までに制限。つまり、エヴァが4体もしくはそれと似た存在4体がインパクトの条件に入る。

 

 ニア・サードインパクトの時は初号機の一機だけなので完全なインパクトではないのかもしれません。無理矢理4人に分けることもできますが。逆にフォースの時は分かりやすいですね。第13号機、第12の使徒、渚カヲル、碇シンジの4人。

 

 インパクトには覚醒が必要でガフの扉を開き魂を浄化させることがインパクトの真実ですね。そして、そこはリリンが踏み入れられない世界となる。

 

 太古からの大量絶滅プログラムとカヲル君は言ってました。このプログラムを設定したのは新劇世界の人々に知識を与えてくれたゼーレなのか、世界なのかはもう分かりません。ゼーレは消えましたし。

 

 

 

『数が揃わぬ内に初号機をトリガーとする』

 

この加持の言葉の数は残りの使徒の数なのか、光の巨人の数なのかは分かりません。

 

 最後。わたしについて。ループの件なんですけどループじゃなかった説が濃厚になりました。ガフの扉は異世界を結ぶ橋で多分わたしは毎回そこから、世界をまたいで来たというとんでも事実。

 確かにわたしはこの世界(エヴァ世界)の人間じゃないからね。ごみ感覚で捨てられましたね。

 おそらく魂がガフの部屋に入らないのでしょう。なので他の世界線に飛ばされる。

 

 

 なんてことをしてくれたのでしょう(# ゚Д゚)

 

 多分碇君のせいなので、殴っておきましょう。この機体も何処で創られたものなんですかねえ…。

 

「とらとらとら‼︎」

 

思い出しました‼この機体があったところ!バチクソ怪しいじゃん!よし善は急げだ。イクゾー!

 

 

 ぱち波が踵を返そうとするとロンギヌスの槍が7号機のATフィールドを容易く貫通して眼前に迫って来ていた。

 背筋が凍る感覚が走り何とか身をひるがえして回避に成功したが久しぶりに感じた死の気配にぱち波は震えた。

 

『こんな時に…第二、第三のアダムスの器か…!』

 

 ロンギヌスの槍のコピーを携えて現れたのは異形のヱヴァンゲリヲン。4444Cとはまた違った異形だ。

 腕を羽に見立てた翼を持ち、白と紫の不気味なカラーリング、アダムを象徴する仮面は外れかけており複数の光が漏れている。

 仮面の奥から見えるものには神聖なものを感じるが、どうにも禍々しいものが混じる。

 

『…聖ヒエロニムスと聖ヨハネの代行者か…!これだけの存在を投入してくるなんて…!』

 

「分かるように説明して下さい。女にしますよ!」

 

 説明聞いたけど聖人とか知るかボケェ!まあ、あれがアダムスの器だってことが分かればいいです。というかこいつらクソ強いんですけど。身体能力とかは空飛べるぶん普通のエヴァより機動性いいかなって程度だけど槍がヤバい。コピーだけどアンチATフィールドがしっかり発生してる。

 ATフィールドが全く意味が無い。そしてこいつら完全な全身コアですね。使徒の能力が使えない今の状態だとマジで戦い辛いです。

 

 奴らが放つ槍は早くそして正確だ。そして決してこちらに近づいてこない。反撃を避けるためだろう。

 槍は勝手に奴らの手に戻っていく性質を持つ。それに巻き込もうと槍と挟む陣形を取る。

 

 手が届かぬ距離では無いが必ず狙われた機体のフォローに回るという厄介さ…中々頭いいですね…。

 ならばこちらも頭を使って対抗しましょう。

 

 

 

 では作戦を開始します。

 

ステップ1

投擲された槍をキャッチして投げ返し串刺しにします。

 

ステップ2

もう一機の腕ごと槍を奪いプラグ挿入部分からコアに通して刺します。

 

ステップ3

頭突きし頭部を砕きます。

 

ステップ4

逃走を開始します。

 

「撤退!撤退!」

 

『不時着を試みます』

 

『ぎゅうぅぅうんん!』

 

『敵機確認!敵機確認!』

 

『ネルフノイヌメェ!』

 

「これより、作戦を開始する」

 

『了解!』

 

『了解!』

 

『了解!』

 

『やってやるさ…なんでもなぁ!』

 

『ん?今なんでもするって(以外略』

 

喧しく赤い大地を疾走するぱち波だった。

 

ーーーーーー

 

 碇シンジは赤い大地を放浪していた。彼がここにいる理由は彼自身が逃げ出したと多くの職員に思われているが、真実はぱち波がシンジを逃がしたのだ。

 何も言わず、シンジが抵抗してもただ荷物を渡されて外へ連れ出された。また、DSSチョーカーにはとある機能が付け足されていた。

 

 

 

 

なんで、生きているんだろう

 

なにもしたくない

 

迷惑をかけただけだ

 

 手の中のスイッチを握りしめる。これを押せば楽になれる。そう書いてあった。何度も押そうと思ったのに未だこうして苦しんでいる。

 

 また、友達を殺してしまった。信じたくないから逃げ出したけど知らないフリをするのにも限界がきていた。

 

 この世界の理不尽を憎んだ。なんで僕だけが

 

 自分の運命を呪った。なんで僕なんだ

 

 今日もどこかを探してる。ただ逃げているのかもわからない。

 

 

空が青い…霞んだ色の廃墟に小鳥が止まっている。どこかで聞いた波の音がする。

 

「…変な匂いだ……確か…潮風の匂い」

 

シンジが見た光景はセカンドインパクト前の光景と酷似していた。青い海があり生き物がいる証拠が風に運ばれている。目の前の海は水平線の彼方まで青い。

 

「空が…割れてる…?」

 

 空を見上げると青い空があった。

 

 青

 

それは海の青だ。鏡のような空が海になっている。鏡の空に映る海と水面に映る空がまるで合鏡のよう。

 

シンジは砂浜に座りその不思議な光景を眺める。かつて、同じベクトルの景色を誰かと見たような感じがした。

 

 

 何日か経って体が軽くなった気がする…。渡された食料も前までは胃が受け付けなかったのに、今は胃に収まり栄養になっている。スイッチを握りしめることも少なくなった。なのに、ずっとここにいたいとは思わなかった。

 

「…もう、夜か」

 

ここの夜も不思議なものだ。空と海には月と星々が並んでいた。赤い線の入った月がここが現実ではないと僕に教えさせた。

 

「…ここは、どこなんだ」

 

 僕は探索を始めることにした。ここは廃墟の海だ。ここ数日誰も来ないしいない。まだ形が残る廃墟の中にも人が生活していた痕跡はなくなっていた。

 砂浜で欠片を見つけた。それは僕の顔が映るただの鏡の欠片だった。割れ目は日に日に大きくなっているからそこから落ちてきたのだろう。月明かりに欠片を照らして見ると、鏡には少女が映り込んでいた。

 

「…君は…?」

 

シンジが鏡に問いかけると砂を踏む音が後ろから聞こえてきた。

 

「秘密。後ろを振り返ってはダメ。姿が見たいなら鏡で見て」

 

 綾波の声。鏡に映る姿も綾波だ。

 

夜が明けるまではまだ時間がある中での出来事だった。

 




これ一本の映画で謎全部回収できるかと不安な作者です。シリアスって難しいね。
 あと、Twitter始めました。呟いたり、予告とかします。活動報告にリンクあるのでどうぞ。


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シン 少年と少女

投稿空いたことをお詫びします。許して下さい。何でもしますから。そろそろ完結させなければ。久しぶりで出来がひどくてもそれはご愛嬌ということで。


「あぁもう!何でこんなに遠いのよ!」

 

「爆心地に近いからね」

 

「チリンチリンうっさいわ!」

 

「もっとうるさくできるけど?」

 

「やめなさい。こいつがかわいそうになってくるわ」

 

 バカシンジのことお構いなしねこいつ。…こいつの場合、わざとかもしれないけど「りんりんりんりりん!」

 

………

 

「何ですかアスカ?バランス崩すと危ないので離しへァッ!」

 

赤い地に沈むぱち波。ドラゴン・アスカ

 

「黒い方が真似するからやめなさい」

 

「…真横からのドラゴンスクリューは想定外…」

 

ちょっ黒波さん何で乗っかってくるんです?あー困ります!黒波様!そちら側に腰は曲がりません!困りますあー!

 

ざまぁみなさい。黒波、そいつはそのまま引きずって連れてきなさい。自転車は私とバカシンジで使うから

 

 

 

「いてて…にしても嫌なとこです。形が中途半端に残っているのがどれほど面倒なのかが良く分かりますね」

 

「……こんなとこさっさと抜けるわよ。バカシンジ!…いくわよ」

 

赤い残骸を眺めるバカの瞳に光はない。こいつがこの世界を創ったのは事実だ。ただ、それは仕組まれたものだった。えこひいきを助けようとしたこともやり直そうとしたことも。…止まろうとした意識ごと吞み込まれた。普通に生きることすら許されない子供。

 

赤い世界を歩く。ちりんとベルを鳴らしながら。

 

「私達は、何なの」

 

「んー?子どもでしょう」

 

気の抜けた声が答える。ニヤニヤしながらこちらを見るえせひいきがいた。どうしよう…すっごく殴りたい。

 

「正確には大人に片足踏み込んだ子どもです。アスカ、マリ、黒波はそんな感じですね。碇君はそうですねぇ。大人になる境界線の一歩前にいる子かな。そろそろ踏み出してもいいような気がしますけど」

 

子どもね…。まぁバカシンジがそうなのは分かるけど、何で私まで子どもなのよ。

 

「さて…?いたい!」

 

うざい。アンタはどうなのよ。

 

「わたし?あーどうなんでしょうね。体は子どもだけど色々と大人でもないですしね。うーん…。子どもで!」

 

適当ね。そんなんでいいの?

 

「はい。自己認識はその程度でいいです。自分が何者かなんて他人がいないと分からないので。ただ、自分を持っていた方がいいですよ?」

 

ふーん。じゃあアンタは頭と体が可笑しい子どもね。

 

「あれー?あっじゃあ子どもなんでアスカママに甘えてもいいですk意外!それは肘!」

 

綾波型のこいつを黒波として存在させてる時点で可笑しいわ

 

 

他愛もない話をして歩く。バカは相変わらずのまま。体ぐらい自分で拭きなさいっての!編隊組んだ変態少女達が来るわよと脅したら行動したことに頭が痛い。

 

アイツの歌を聴きながら歩く。もうすぐ回収場所に辿り着く。その前に休憩を取ることにした。えせひいきがダウンしたのだ。情けない奴。

 

「三人をリヤカーに乗せて漕ぐ自転車の辛さを知らないようですね…!」

 

「知らなーい」

 

「…知らんな」

 

「………」

 

「…碇君だけがわたしの味方です」

 

赤い大地に腰を降ろす。ここはリリスは近づけない浄化された土地らしい。どれだけ綺麗でも浄化された土地がいいものではないことだけは確かだ。

 

アイツの歌が聞こえる。

 

誰も知らない彼女だけの音楽は赤い世界に溶けていく。

 

 

 

♢♦♢

 

 夢をみていた。まだ、あいつらがいてアイツがいなかったときの夢。すぐに気が付いたし目覚めなきゃと思った。けれど、その夢が美しすぎて見入ってしまった。バカシンジとえこひいきが作った料理が並ぶテーブル

それを私たちが囲んでいた。そんなことあるはずないのに。

 

…だからアンタはここを出ていったのかしらね。

 

「どいつもこいつも………ね…」

 

自分もそうなれたらいいのに。

 

そんな言葉を飲み込んだ。

 

 

 

 コネメガネの説明によるとバカと変人は何処かに消えたらしい。DSSチョーカーの反応は生きているがどこにいるかは不明らしい。そして、あいつは7号機の封印を解いて消えた。アイツのシンクロ率はどんどん低下していて一番新しいシンクロシミュレーションテストだと20%を切っていた。それでも起動できるということは、あの機体にはまだ何かあるのだろう。

 

 私達はユーロネルフで物資補給した後にネルフとの戦闘に入った。どうやら、奴らは第13号機を復活させようとしているらしい。これが碇司令の計画なのかは不明だが次のインパクトは規模が違う。文字通りの絶滅プログラムが作動する。

 

この艦が「神殺し」なんて物騒な名前だけど、間違いじゃないかもしれない。

 

『使徒がいるなら神も存在するのは道理です。かつて神は存在していました。…胡散臭い宗教勧誘と一緒にしないで下さい。ゼーレの目的に神殺しがありましたので、おそらくいますよ』

 

背中がぞくぞくしたのを覚えてる。

 

 

そうだ

 

 

アイツが平坦な声で当たり前なことのように言ったんだ。

 

 

 

 

「『神は復活する。新たな福音として』」

 

♢♦♢

 

はい。紛れもなく天使だったぱち波です。ソロモンよ、私は帰ってきたぞ!というわけで第7号機が保管?されていたネルフ支部につきました。はい、また頭がおかしくなったわけではないです。ここLCLが満ちてたじゃないですか。これ何処から来たのかなと思ったわけですよ。違う世界からきていたらいいなぁと思います。(ホモ特有のガバ理論)

 

LCLはそこら辺にあっていいものではないです。厳重に管理されているはずです。なんせ、リリスの体液なんですから。それがガバガバ警備の中で放置って…こんな変態な機体なのにどうして?まぁ、L結界密度が異様に高いですからねここ。それに頼ったのでしょう。

 

…ンンン…?おかしいですね。

私が目覚めたのがサードインパクト直後です。月があんなことになっていましたし。あれ?でもネルフVS国連軍してた?国連軍が邪魔だからインパクト起こしたと思ってたんですが…。

 

 

……思えばあの世界色々おかしい。何であの施設コア化してないんでしょう。ネルフ本部はゲンドウ君達が行動できるくらいL結界密度が低い。でもここヴィレメンバーがほとんど滞在できないほどL結界密度が高いです。なのに缶詰とかエクスカリバールとか資料とか何でコア化してないのか。あの時、封印柱は機能してましたがユーロネルフの封印柱とは別のものでした。

 

あの世界…エヴァ世界だけどどこにも存在しない世界だとでもいうのですか?…お腹痛い…。

 

「とりあえず…ドックにエヴァ入れよう」

 

はい。とりあえず調べました。この施設コア化が進んで真っ赤です。もちろん資料はありません。そして、ここにダミープラントなかったんですけど。正確いうと私が入っていた容器が無いです。ここにはクビ波造る用のダミープラントしかない。これで私が目覚めた世界がこの世界と違うことが判明しました。ありがとうございます。次回作にご期待ください。

 

 

 

 

 

 

んなわけねぇだろおい!(炎の妖精)

はぁ~記憶力が乏しいとはいえこれはひどい。配線関係を先にいじったせいでここ見ていませんでした。さて、過ぎた事ですのでスルーします。

 問題はこれが稼働していたということです。ドン引きするほどいますね。いやこれキッツ。普通に生きてるからしんどい。これがエントリープラグに入ってるとか…。 

 

…アイデア成功した。インフィニティの成りそこないって頭ないですよね?なら、頭があればうまい感じに…これ半分マルドゥック計画じゃないですかやだー。ゲンドウ君が潰したはずなのに。やらかしたなゲンドウ君。というか7号機のせいですね。あれがマルドゥック計画の完成品だわ。ごめんねゲンドウ君。

 

…あっちの世界に行きたいな。絶対何かあるし。にしてもどうやって行こうかな…。いや…ありましたね。

 

 

 

 

 

ドックに入れた第7号機に乗り、意識を沈め、クローン綾波の残骸を抜けます。ここにいた使徒には話をしておきました。相変わらずやかましい連中でしたがどうやらこれが最後らしいです。

 海に潜るように深く沈んでいくとあの結界がありました。前は立っていられたけど今は沈んでいきますね。結界を抜けると息が続かなくなり…ボボッ!この海…!深い…!というわけで水面?目指してバタ足です。

 

『パイロット浮上、LCL排出』

 

げっほげほ!久しぶりなこの感覚。はい。戻って来ましたね。LCLに満ちたドックに私とこの機体があります。時間は…The worldしてますね。そういえば、戻るときはラグなしでしょうか。戻るのにまた3年かかったら世界終わってるんですが?

 

…やらかしたかもしれない。

 

ま、まぁ何とかなるでしょう(震え声)

 

さて、ダミープラントは…はいありましたね。私が目覚めた生まれたところです。資料は…ありました。

…この機体、原作では登場してませんがここに存在するということはあの世界に消された可能性がありますね。私みたいに。

原作で必要なものだからこの似たような世界に閉じ込めた。でもわたしがダイナミックエントリーしたことで原作に介入できるようになったと言うわけですか。外に出るとエヴァ世界と似た世界が広がっています。ですが全て偽物です。今ならわかります。

 

ぱち波は空間走るひびにエクスカリバールを差し込み広げていく。ひびが至る所に広がり外装がはがれていく。完全に破壊するとそこは今までの世界とは異なる風景が広がっていた。先程まで昼間だった空が夜の帳をおろしている。空模様も異様だった。鏡の空は波を立て、崩れ去った建物の残骸が点在する。赤い大地おろか赤という色が存在していない。

 

「殺風景ですね。海はきれいですけど」

 

移動しましょう。何処へ行くかなんて決まっていません。とりあえず今はこの世界を散策したいです。ちょうどいいので頭の中を整理しましょうか。

 ファイナルインパクトのことですが第13号機がアダムスの生き残りならあれが戻ってくる可能性があります。所謂世界の意思と呼んでるやつですけどね。

 次にゲンドウ君の目的についてゲンドウ君はインパクトをおこして元通りにするつもりです。子が子なら親も親です。碇君がさっさとシンジさんになってくれればいいんですけどね。今は何処を放浪しているのやら。死んでなければいいけど。にしても、この世界…旧劇世界に似ていて気分が悪いです。わたしあれ半分トラウマなんですよ。む。潮のにおいがしてきましたね。

 

「海ですか。青い海を見るのはいつぶりでしょうか」

 

おや、先客がいますね。それではあいさつでっ!!??!!?!????

 

 

何でここに碇君がいるんですか!?(半ギレ)

こんなとこで何してんの!?というかどうやってここに来たし。ここは一つ追求しないといけませんね。おうこら面かせや。

 

 

エッッッッッッッ!!??!!?!????

何だこのイケメン⁉シンジさんどころかシン様だよ!真顔が素敵すぎる…!まぁ目はわたし好みではないですけど。

 

さて、なんて話かけましょうか。おん?意識が…

 

♢♦♢

 

この廃墟の海には碇シンジともう一人、何者かがそこにいた。鏡の中に写る彼女は薄く微笑んでいる。彼女が僕の体に触れる姿が目に入るけど感触はない。心地いい海鳴りも今は聞こえない。

 

「君は?」

「秘密」

「なぜ直接見ちゃだめなの?」

「なんとなくよ」

「…何しに来たの?」

「碇君がいたから」

 

 鏡に向かって応答を続ける僕は他人から見たら変な人だろうな。そうシンジは他人事のように考えていた。空を見上げると赤い線が引かれた月が浮かんでいる。シンジが知っているどの月とも違う。その思考を読んだように鏡の少女が口を開く。

 

「ここは碇君がいたところではないわ。世界に取り残された異物…体のいいゴミ捨て場みたいなもの」

 

こんなきれいなところがゴミ捨て場なんて贅沢だね。

 

「そうね。でも、綺麗なものでもいらないと判断されてしまえばここに来るのよ。そんな風になってしまった」

 

どうやら声に出ていたみたいだ。…いらないものか…

 

「ははっ…やっぱり僕は必要ないのか…」

 

世界をめちゃくちゃにして皆に迷惑をかけたから当然か。

 

「いつものように逃げないのね」

 

 逃げていたさ。醜く叫んでいたさ。理不尽や責任から。僕は関係ないとかぱち波が逃げさせてくれたからとかさ。優しい大人が嫌いだ。いびつさが怖いから。逃げないで戦い続ける大人が嫌いだ。ひどく自分が醜く見えるから。

 

「だから、逃げることを正当化した?」

 

僕は頷く。でも、

 

…言葉が詰まる。逃げ出しそうなった僕は青い海を見る。

 

本当は分かっている

 

「…逃げちゃ…ダメなんだ」

 

海を見る少年はどこか大人びて見えた。夜の海が放つ静謐なものが彼をより引き立てるのかもしれない。

 

鏡の空にある海は酷くいびつに見えた。答えが見つからずに海を見つめる。そこに答えなどあるはずもないのに。

 

夜が更けていく。夜が深くなるほどに少年の目は冷たくなっていく。

 

その姿はとても大人びている。

 

 

不思議な対話は続いている。この異質な世界がシンジを狂わせているのか綾波と思われる存在と会話をするのは悪くないむしろ心地いいと感じている。

 

「なぜ、逃げ続けないの?」

「逃げるのに疲れたから」

「本当に」

「うん。疲れたんだ。罪を背負うことも生きることも」

「ならなぜ、それを押さないの」

 

手の中のスイッチを握りしめる。本当は押す勇気なんてない。でもこれを手放せずにいる。死ぬことが怖いから?いやそれ以上に、一人が怖いからだ。寂しいからだ。

 

「私と一つにならない?」

 

どういうこと?

 

「一つになれば一人になることはない。喜びも悲しみも罪だって分かち合える」

 

……

 

「だから、私と一つにならない?」

 

 かつて、それを望んだことがあった気がする。でも、傷ついてもいいから他人が欲しかったんだ。今ならそう考えられる。

 

「確かに、喜びも悲しみも分かち合うほうがいい」

 

「えぇ」

 

「でも、この罪は僕のものだ。僕自身が償うよ」

 

彼女は少し困ったように微笑んで僕の手を握ってくれた。いつの間にか彼女は隣にいた。

 

感触はないはずなのにどこかあたたかい。そう感じた。そのまま、僕らはキスをした。忘れてしまうほど短いキスを。

 

「…ありがとう。…待ってるわ」

 

 

 

 気が付いたら赤い大地に僕は倒れていた。あの不思議な景色はどこにもない。

 

「おはよう、シンジ君。また会えたね」

 

ふと、視線を上げるといるはずもない子どもがそこにいた。周りの景色に溶け込み揺らいでいる状態で。だが、そこには確かに渚カヲル本人がそこにいた。

 

 

 




忙しいので投稿がかなり不定期になります。オニイサンユルシテ。
5分で考えたぱち波の歌↓

大人になりたくないという言葉があふれる世界。
叫び続けて疲れて、喉もかれ、人になってしまった。

そんな世界で生きる。

消えない罪から、罪を重ねる。そんな人間がいる世界。
忘れることもない思いはあふれ出して世界を造る。

過去はもうない。現在もない。ただ、決まった未来の道を歩ていてる。そんな人間に憧れた。

「気味が悪い」と言われる君はどうしよもなく子供だった。地に足をつけた私はいらない存在だった。
 
それでも

この羽が千切れてしまっても、人に落ちてしまっても、あなたのそばにいよう

優しい枷を取り払え。今この時だけは。永遠なんて人間には似合わない

翼はもういらない。わたしは貴方の駒じゃない
きっと泣いてしまうだろうけど、人間らしいと思って笑っていよう

私はこの世界で生きていた


はい黒歴史。
ぱち波の考えはあくまで考察にすぎません。後フラグ建ち終わったのでこの先、鬱とかBad Endとかないです。ここからはシンジさんタイムです。


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少女の声は少年に届く

お待たせ致して申し訳ございません。しばらく見ないうちにエヴァ小説が増えていて嬉しい作者です。完結まで頑張りますのでご付き合いください。




「カヲル…君…?」

 

見上げる先にはネルフ本部で短い時間だが共に過ごした友達がいた。だが、彼は死んだはずだ。黒波みたいな存在なのか…?シンジは疑心暗鬼に陥った。

 

「心配しないで。僕は僕さ。彼女たちと面白おかしく過ごしたカヲルだよ」

…君のことをちゃんと覚えているよと、その言葉がシンジを優しく包んだ。

 

「本当にカヲル君なんだね…。どうしてここに?」

 

「我儘な子に救われてね…彼女の仲間が僕をここに戻してくれたのさ。リリスの影響かこんな不安定な存在だけどね」

 

「もしかして…あの人…?」

 

「そう。自ら人に堕ちた天使さ」

 

カヲルは彼女のことを思い出す。

 

ここにいる使徒たちはとても個性に溢れていた。生命の実が欠けたからか、知恵の欠片があるからか。今ではその理由は知ることもできない。だが、お別れとはどういうことなのか。彼らに聞いてみたら、かなりおかし、面白いことを計画していたようだ。

 

魂だけではこの世界で動けない。肉体が必要だ。使徒たちはそれを作り出すことが可能だという。最後に会った時に寂しそうな表情をしていたのを見抜ければよかった。おそらく使徒たちは消えてしまったんだろう。僕をここに戻すために。リリスが僕を消そうと必死になっている。ここまで不安定にされてしまった。我ながらふがいない…。

 

僕がここにいるのは意味があるはずだ。彼らの行動を無駄にするな。

 

「彼女は彼女なりに目的のために行動している。シンジ君の父上もね。君はどうだい、碇シンジ君?」

 

意地の悪い質問だと思う。逃げるなと伝えた方が幾分か楽だろう。何度も選択肢を間違え、多くのものを彼は失った。彼に償いの機会を与えたつもりがさらに罪を重ねさせてしまった。…僕は本当にシンジ君を幸せにできるのだろうか。

 

「うん。もう、逃げない」

 

…まいったな。どうやら僕は君に惚れ直してしまったようだ。

 

「そうか…。成長したねシンジ君」

 

「いや、そんなことないよ。僕はただ、気付かされただけなんだ」

 

「それは何だい?」

 

「自分のことも、大人になることも、本当は全部自分で気づくべきだったんだ」

 

僕にはそれができなかったから手を貸してもらったんだと彼は言う。

 

彼は立ち上がり、空を見上げる。幼さを残しつつもその横顔は彼の父上にそっくりだ。罪滅ぼしの為に彼がそのような行動をとらないとは言えない。だが、そのような目的のために行動はしないと直感した。本当に…彼は色んな意味で大人になった。

 

「…もう儀式が始まろうとしている。急ごうシンジ君」

 

「うん。行こう」

 

赤い大地をけり、僕らは走った。

 

 

 

 

 黒き月の周辺には大量の量産機がおり、黒き月上部ではエヴァンゲリオン第13号機が十字架に吊り上げられている。すでにヴィレとネルフの戦闘は始まっており赤い機体が量産機を薙ぎ払っているのが分かる。

 

ヴンダーはダメージを受けているのか機体が傾いている。

 

「主翼損害率60%!このままだと墜落します!」

 

「応急処置急いで!!ミサト!」

 

「主機全力運転!マリ!そっちの状況は!?」

 

『どーもこーも、アダムスの器と使徒擬きだらけで撃ち落としてもすぐ戻ってきてジリ貧~』

 

ヴンダーの格納庫から狙撃し続けるマリは愚痴を漏らす。赤い大地を埋め尽くす量産機と再生するアダムスの器相手に並の兵装では意味がない。

 

「主砲、反転弾装填!誤差修正は0.0001!撃てぇ!はぁ⁉よけた⁉こいつらおかしいでしょ!?」

 

「泣言いう前に精度上げろ!北上!」

 

「上げてますよぉ!!」

 

「エネルギーは常に最大値だ!なに!?サブエンジンが燃えるって?馬鹿野郎!そん時は覚悟を決めな!」

 

ヴンダーは全力運転で飛行している。そうしなければ翼を持つ相手にすぐに追いつかれ最悪、乗っ取られてしまうからだ。

 

そして、次々景色が変わる主モニターに警報と共に赤色が追加される。

 

「目標から高エネルギー反応複数!!」

 

「弾倉切り替え!エネルギー弾装填!全力運転、ゴースター!!」

 

「ゴースター!ヨーソロー!」

 

即座に反応した船員によりヴンダーが直立、浮上した瞬間レーザーがヴンダーの真下を通過した。

 

「舵そのまま。撃てぇ!!」

 

砲撃は命中し目標を離脱させることはできたが、殲滅できたわけではない。

 

「目標の反応、索敵可能範囲内に確認できません」

 

『こっちも確認できない。なんつー速さ』

 

どうやら2号機殲滅に向かったようだ。そこに黒波から報告が入る。

 

『こちら黒波。さらに目標が増えた。このままだと第13号機にたどり着く前に機体と砲台が壊れそう』

 

『このアホ波!私ごと撃つな!』

 

『でもこの通常兵器だと完全にATフィールド抜けない。接近して中和してもらわないと』

 

『私もATフィールド展開できないからやばいのよ!つーか、『JA』を通常兵器扱いすんな!』

 

アスカは改装されたエヴァ2号機をもって殲滅作戦を執行している。そのサポートに黒波が抜擢された。その理由は1人で『JA』兵器を扱えるからだ。

 『JA』は威力は抜群だ作動におそろしく時間がかかり、手順を間違えると暴発という困った兵器だ。通常、エヴァの手で使われる兵器を彼女はコンピューター制御を使っているとはいえ、単独で操作し扱うことができる。

 

 いわゆる、高性能な移動式砲台だ。それを潰そうと量産機が集結するがそれはアスカが狙いやすくなるだけだ。そもそも、量産機が固定砲台にたどり着くよりも黒波の砲撃の方が断然早い。

 

「目標離脱…?」

 

雪崩のように襲い掛かる量産機達は黒き月周辺に戻り始めたのだ。ヴンダーを襲っていたアダムスの器は第13号機の周りを旋回している。

 

 

 

 

 

瞬間、空は大地と同じ色に染められる。

 

「はぁ!?ガフの扉すら開いてないじゃない!なんで儀式が始まってんのよ!?」

 

大きな物事をする際には計画と入念な準備、方法が必要だ。この人類補完計画もそれを発動させる方法が存在する。だが、それは今のような準備や道具すらなく絶滅プログラムが始まるわけがない。

 

つまり、これはインパクトではない。

 

第十三号機の拘束具が破壊され、その手足が自由となる。足元に集結する量産機はまるで第13号機にすがっているようにみえる。

 

二体のアダムスの器がその身体を巨大なコアに変化させ、それぞれがロンギヌスの槍に纏わりついていく。

 

「覚醒…いや!擬似シン化よりもでもない⁉︎これって…!」

 

『シン化エネルギーがフォースよりも高い…⁉儀式でもないのにありえないわ‼︎』

 

異常な数値を叩き出す機器に対して今後の予測モデルを作成していく。そこで得られた答えは…人類はおろか、既存の生物は一切存在しない可能性があった。

 

『AAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaa!!!』

 

咆哮

 

第13号機を封印していた二本の槍が引き抜かれる。ロンギヌスの槍が赤く光り、どこからともなく鐘の音が響いてくる。

 

「何よ…これ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最後の執行者を肉とし、始まりの神が復活する。それは新たなる福音を広げ世界を変える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『最後の審判といったところか。世界の終わりは神自ら行う。全くもって迷惑な話ね』

 

「…封印呪詛を全て破棄!主機全力運転!」

 

『「「了解!」」』

 

ヴンダー乗組員は即座に対応し神殺しの兵装を展開していく。アスカ、マリ、黒波もまた、行動に移っていく。八号機はヴンダーから降り二号機と合流しヴンダーの援護に回る。しかし、第13号機もヴンダーが自分に害をなす存在だとわかっている。

 

「GAAAAAaaaaaaaaa!!!」

 

「目標周辺から高エネルギー反応多数…は?…反応数数十万以上⁉」

 

「長良!」

 

「了解‼」

 

計測器に量産機やインフィニティたちからも高エネルギー反応が表れた表示には誰も反応することが出来なかった。

 

『黒波!乗りなさい!』

 

『こりゃあ…不味いわね…』

 

『『ATフィールド全開!』』

 

 

 

 

 

光が溢れ、世界がぶれた。

 

 

 

 

 元々ボロボロだったネルフ本部はジオフロント諸共吹き飛ばされていた。かろうじて分厚い装甲に守られた場所に二人の男がいた。

 

「…やられたな。神がこうも強引に復活してくるとは。その上、頭も回る。自分の障害になるものを自らの肉体にしたか」

 

冬月がぼそりと呟く。口調に焦りは見えないが、額には汗がにじんでいる。ゲンドウも相槌を打つ間もなくただその光景を眺めている。

 

「詰みだな…どうする碇。もう神殺しの艦でもアレは殺せんぞ」

 

ただ沈黙を保つだけのゲンドウは唐突に立ち上がり、どこかへ向かう。

 

「…奴を迎えに行く」

 

「…今更か。息子が受け入れるかはわからぬぞ」

 

そもそも、生きているかさえ不明だ。

 

「だが、この現状を打破するには奴が必要だ」

 

ゲンドウはそう言い捨て歩みを進めるがふと、足が止まる。

 

「まったく…本当に困った家族だ」

 

そういうと冬月はゲンドウに何かを投げ渡した。ゲンドウが拳を開くとそこには古ぼけたキーがあった。

 

「年を取るとな、ボケないように趣味を増やすものなんだよ」

 

臆病者だから、結局一度も乗っていないがねと愚痴をこぼしながら冬月は戻っていった。ゲンドウはこのやり取りを昔に体験したような気がした。

 

「確か…ユイを迎えに行く時もそんな台詞を言っていましたね。感謝します…冬月先生」

 

そして、ネルフ本部には冬月のみを残すのみとなった。

 

願いのために魂さえ捧げる覚悟を持った男がその願いを潰された時どうなるだろうか。

 

心が折れて廃人となるのか、全てを諦めるのか。

 

 

その程度のことであの男が膝を屈するわけがない。

 

もしその様な男ならば、こんな世界になる道理もない、愛する妻のクローンを造る訳がない。

 

残された家族に対してあそこまで冷徹になれるはずがない。

 

30年以上前も同じ様にこうして空を眺めていた。そう、アクセルをべた踏みしているのが丸わかりな騒音を耳にしながら、こう零したのだったな。

 

「男というものはな、愛する者のためならば何処までも馬鹿になる」

 

そして、父親というというものは…

 

ひどく不器用なんだよ。

 

あの男は特にな。

 

 

 

 

 

 ああ、意識が朦朧とする。目を開けると黒波が額から血を流してコックピットの端に倒れていた。自分の額を触って見ると赤い線がLCLに溶けていった。機体は何とか無事だが目の前にはヴンダーの残骸が転がっている。咄嗟に私達の間に入ってきたのを思い出した。

 

「馬鹿。結局甘いじゃないのよミサト…」

 

『神殺しであれを殺せるとは思えないにゃー』

 

コネメガネから通信が入る。相変わらずしぶとい奴だこと。

 

「うっ…」

 

「お互い、悪運が強いわね」

 

『原型が残っているだけでも幸運だと思うけどね』

 

マリが示す先にはインフィニティの残骸しかなかった。地面を覆うほどにいたはずだが奴はそれをすべて爆発させて辺り一帯を波状攻撃したようだ。また、自転が変化したのか夜の帳がおりていた。ただの夜じゃない。月だけではなく星も近い。

 

 

 

それは世界の寿命が尽きようとしている証拠でもあった。

 

 

 

 

第13号機は上空に佇んでおり、再びガフの扉を開けようとしている。第13号機の周りには赤い粒子が旋回しており神聖で不気味な雰囲気を放っている。

 

『アレ相手に私達が戦うの?姫がよくやるくそげーじゃない?』

 

確かにそうだが私達があれを止められる人物は思いつかない。…いや、二人ほどよく知った顔が頭をよぎったがどちらもここにはいない。

 

人生が終わる前に聞いておきたいことをアスカは思い出した。

 

「アンタはあいつらのこと、どう思っているのよ」

 

アスカが黒波に質問を投げかける。疑問だったのだ。シンジとぱち波が姿を消して黒波はどう思っているのか。黒波は考えるそぶりを見せる。

 

「碇君は友達。…とても純粋で優しい人だと思う」

 

「…ふーん…ぱち波は?」

 

「愛しい人」

 

即答だった。

 

「彼女は私を変えてくれた。もう一人の綾波レイが碇君と触れ合って変わったように」

 

黒波は真っ直ぐにアスカの青い目を見てそう言った。その姿は人形には程遠く、人と呼べる存在に近かった。

 

「貴女も変わったんじゃない?」

「…そうね」

『二人共~そろそろおしゃべりは終わりにして、現状をどうにかしようかにゃ』

 

生体反応は…良かった…多少残っているわね。にしても、

 

「どうにかしろって言ったってどうにか出来る未来がみえないわね」

「第13号機は既にガフの扉を開きかけてる。ファイナルインパクトまで時間が無い」

 

…覚悟を決めなきゃね。アイツの助けなんていらない。

 

「総員戦闘準備!目標は第13号機!コネメガネは射撃で援護、黒波は…「弐号機とシンクロできた」…私のサポートで。行くわよ!」

 

『「了解!」』

 

 

 

 

 

本当は

 

私は弱くなった。

 

 

なぜなら、誰かと一緒じゃないと私は戦えなくなったから。私は一人でも平気だ。一人で戦えた。その筈だった。

 

バカシンジと関わって誰かといるのも悪くないと思ってしまった。世界がこんな風になるまで結局、私は一人を選ばなかった。

 

そうなったのは全部バカシンジのせいだ。バカにしてひっぱたいてやると心に決めている。

 

 

だから、

 

 

はやく戻って来てよ

 

 

 




ぱち波の霊圧が…消えた…?

アスカはエヴァンゲリオンの中で一番シンジを理解できると思う。綾波は教えられる立場って感じが強い。さっさとアスカと綾波を助けて圧倒的ハッピーエンドがみたい。



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消えないものを抱えて

微妙に長くなったので分けました。そろそろ終わる予定…多分きっとメイビー。

誤字脱字報告感謝です。装甲板がほぼ無くなって寒いですが頑張ります。では、どうぞ。


僕たちはインパクトの爆心地に向かっていた。途中、使徒が形状崩壊したときのような爆発が何重にも重なったような衝撃が響いてきた。カヲル君がATフィールドで守ってくれたけど、かなり深刻な事態になっているようだった。

 

彼女達の顔が頭をよぎり、僕は走る足の力を入れて強く地面を蹴る。全く運動していないと言ってもいい僕はすぐに息があがってしまう。それでも足は止めなかった。そうしなければ追い付けないと思ったから。

 

「シンジ君!」

 

カヲル君が警告した瞬間、目の前に赤い首なしの機体が現れた。その機体は首だけではなく下半身がない状態だった。

 

最悪なのはシンジを潰してしまえるほどの力をその機体は持っていたことだ。赤い手をシンジに向けて伸ばしてくるインフィニティ。カヲルが何とかしようとするが、距離が足りない。

 

『…邪魔だ』

 

人工的な光がシンジたちを照らした瞬間、凄まじいエンジン音を響かせた車がインフィニティの腕に体当たりを食らわせた。丁度、その腕がインフィニティの体を支える柱となっていたため、インフィニティはバランスを崩し転倒した。赤い粉塵が舞う中で、車からは見知った人物が降りてきた。

 

「…父さん…」

 

「………」

 

二人の間に流れる沈黙は長くはなかったが、どちらも相手の変化を感じ取っていた。

 

「…乗れ。時間が無い」

 

ゲンドウはそう言い捨て運転席に乗り込む。

 

言いたいことは沢山あったが確かに時間が無い。シンジは助手席に乗り込む。カヲルはゲンドウの登場に驚いているのかシンジとゲンドウに対して視線を行き来している。

 

「行こう。カヲル君」

 

「いいのかい…。君の父上は…」

 

「許したわけではないけど、そうも言ってられない」

 

車内は沈黙が流れているが僕にとっては父さんと一緒に車に乗っていること自体が新鮮だった。記憶を探って見ても父さんと車に乗った事は僕が覚えている範囲ではない。

 

父さんの運転はお世辞にも上手いといえなかった。ミサトさんの方が揺れとかが少なかった。でも、その強い振動が懐かしいと体が訴えている。

 

「…お前はなぜここにいる」

 

低い声により沈黙が破られた

 

「お前を利用した。今回もそうだ」

 

「逃げ出したお前がここにいる理由はなんだ」

 

逃げ出したのは僕が怖がっていただけだった。失うのが怖かったから変われなかった。

 

だから、逃げ出した。

 

それをやめただけだ。これでは成長したとは言えない。成長しようと考えるようになっただけだ。

 

利用されるのはもうどうでもいい。それが逃げることにならなければ。今更僕がここにいるのは…ただ…

 

「…大切なことを教えてもらったから」

 

するりと言葉が出てきた。そうだ…助けられなかった人たちがいた。それでも…

 

「助けたい人がいる。ありがとうって言いたい人がいる。怒鳴りたい人がいる。その人たちから逃げたくない。だから、僕はここにいるんだ」

 

僕は間違えて、失敗して、許されないことをした。でも、それを理由にして立ち止まる訳にはいかない。

 

「…そうか」

 

より車の速度が上がった気がする。

 

「大人になったな…シンジ…」

 

エンジン音で聞き取りづらかったけど、確かにそう聞こえた。カヲル君はやれやれといった感じだ。また沈黙が車内を支配するが不思議と心地よかった。

 

 

 道なき道を猛スピードで走り抜け、決戦の地へたどり着いた。そこで僕が見た光景は神聖なはずなのにどこかおぞましかった。

 

その理由は怪しげな光を放つエヴァ第13号機とその頭上にある円環だろう。カヲル君が言うガフの扉よりも鮮やかな紋様で、より近寄りがたいモノを放っている。

 

そんな存在に挑む二体の巨人がいた。片方は下半身が破壊され,すでに沈黙している。もう片方は赤い人影に飲まれて殆ど視認出来ない。

 

「アスカ!!」

 

ただ、それが2号機だと気が付いた瞬間、僕は走り出していた。

 

♢♢♢

 

「いちち…いやー助かったよゼーレの秘蔵っ子君?」

 

「いや、もう僕は違うよ。優しい天使たちに救われたからね」

 

ボロボロのエントリープラグから出てきたのは身体のあちこちから血が滲みだしているマリだ。カヲルの力によって助け出されたらしい。

 

「さてと…かなりというか、もうわけわかんないことになったわね」

 

「まぁ、死海文書のどこにも載っていない存在が介入してきたからね」

 

「初めて接触した時は、アンタと同じ匂いがしたけど、次にあった時には匂いが変わっていたんだから驚きだよ」

 

「そうなるように彼女なりに考えていたということさ」

 

「ま…私はどうでもいいにゃーん…。結末は変わらないし」

 

「過程やそこに込められる思いで変わると僕は思うよ」

 

「人間擬きがよく言う」

 

「だからこそだよ。一歩遠くから見てきたからね」

 

 世界の終末においてようやく、この世界でも不思議な存在が会合を果たす。それに意味はない。全ては還元される。だが、そこの人間擬きが言ったように過程が大切だ。消える運命にある存在が必死にこの世界に刻み込んだモノを無下にするなどこの二人にはできなかった。

 

ふっとマリの髪をなでるような風が吹いた。

 

「…ここまでのようだ。後は、頼むよ」

 

揺らぎ続けていたカヲルの身体がほころび始めた。

 

「任された。…わんこ君に何か言うことはない?」

 

「いや…彼にもう僕は必要ないみたいだ。…できれば僕が幸せにしてみせたかった」

 

「そんなんだから人間擬きなのよ。お前はわんこ君の何?」

 

その言葉を聞いたカヲルは薄く微笑んで何かを言った。だが、その言葉はマリに届くことなく消えていった。

 

「はぁ~あやだやだ。年は取りたくないわー。『友達』なんて…秘蔵っ子が人間らしいこと言うなんてね。耳が遠くなったニャー」

 

焦った表情で全力で走る初号機パイロットが遠くに見えた。

 

「そーいえば、14年前も同じ顔してたわね」

 

どっこいせとどこか年を食ったような掛け声でエントリープラグによりかかる。既にエヴァ8号機は上半身の一部しか残っていない。

 

「ありがとうエヴァ8号機。お疲れ様」

 

短く別れを告げマリは瞼を閉じる。

 

思い出されるのは全ての始まった場所。我ながらよくもまあここまで持ってこれたものだ。面白い出会いもあった。秘蔵っ子と似てるけど全く違う彼女。

 

彼女の計画は認めたくはないけど人類にとって最善のものだった。

 

「あの子といい、わんこ君LOVEの子といい、なんでお前の血族は自己犠牲をするのかな」

 

独り愚痴る人影は楽しそうに揺れる。

 

「まぁいいや。やっちゃいなよ。丁度この世界に飽きてきたころだしさ」

 

彼女の翠眼はどこか遠くの夜を見つめていた。

 

♢♢♢

 

綾波の声が聞こえる。

 

その声に導かれるまま走り続けると残骸の陰に初号機が膝をつき鎮座していた。

 

「待たせてごめん」

 

「本当にそうね」

 

残骸の中から黒いプラグスーツを着た綾波が赤い煤を付けたまま出てきた。

 

「黒波…」

 

「戻ってきたのね。取り敢えず、起動するために必要な機器は何とかした。後はお願い」

 

 黒波はアスカと共に二号機に乗り込み、戦線を保ってきたが、マリが離脱し、機体の損傷も激しくアスカは黒波だけを外に放り出したのだ。もちろん、おとりにさせる訳ではない。パイロット単体で一番生存率が高いのは黒波だ。アスカはそれを見越して外に放り出したのだ。

 

『あーもう!アンタ邪魔よ!外でミサト達を探してこい!』

 

乱暴な言葉だが優しさを感じられた。離れていくときに寂しそうな眼で黒波を見ていたことに気が付いてないとでもいうのだろうか。

 

「碇君」

 

「…なに、黒波」

 

「アスカをお願い。彼女はまだ救われていないわ」

 

「分かった。絶対助けるよ」

 

「…ありがとう」

 

父さんから渡されたトランクケースを抱えながら残骸でできた梯子を上っていく。エントリープラグ内に入り、シンクロが始まる。血に近い匂いだったはずのLCLは優しい匂いに変わっていた。

 

「ただいま…母さん…綾波」

 

『プラグ深度上昇。150を突破』

 

♢♢♢

 

「碇君に会わなくてよかったんですか?」

 

「…今更どんな顔して会えばいいのよ…」

 

かすれた声で答えるのは葛城ミサトその人だ。

 

「…最後くらい声を掛けたらどうですか」

 

「…必要ない。既に言葉は交わした。俺に対するあれこれはすべてが終わってからだ」

 

平然と現れたゲンドウはそう答える。

 

「マダオ…」

 

機器を操作する黒波から出た口撃は大人達の心を的確にえぐった。

だが、この場にいる者は共通点が存在した。

 

ミサトは子供たちを

 

ゲンドウは家族を

 

黒波はどこか遠くにいる愛しい人を

 

戦う力を持たぬ者は終末に対して祈ることしかできないらしい。

 

だが、

 

彼らは祈ることはしなかった。ただ、信じているだけだ。

 

自分よりも大切な存在を。

 

 

 

 

 

父さんやカヲル君は僕が成長したと言っていたけど、本当はわからない。

 

「大人になれ」という父さんの言葉を思い出す。

 

そういう意味での大人にはなりたくないって思っていたな。父さんみたいにはなりたくなかったから。

 

でも、今なら父さんの気持ちが理解できる気がする。

 

共感はあまりしないだろうけど。

 

母さんがどんな人だったかは覚えてないから

 

確証はないけど多分、僕は父さんに似ている。

 

臆病で、弱いくせに頑固であきらめの悪い。

 

そんな僕らはそんな人間だ。

 

父さんも僕と同じように逃げていたのかもしれない。

 

僕は父さんのように意思が強いわけじゃない。

 

アスカやミサトさんに怒られたら落ち込むし泣きたくなる。

 

 

でも、

 

 

一つだけ

 

 

少なくともアスカや綾波たちを守るときなら

 

 

僕は負けたくないと思えるし自信を持てる。

 

 

僕はその程度の人間だ。

 

アスカみたいに優秀じゃない。

 

綾波みたいに優しくもない。

 

ミサトさんのように走れない。

 

父さんのように冷徹になれない。

 

僕は誰かのようになれない。

 

 

 

 

 

適当な返事が綾波に似た声で、似合わない笑顔で返された気がした。

 

僕は僕でいいとそう改めて思えた。

 

 

 

 

 

 

 




ぱち波がいないとこんなに静かなのか。次回から登場するんで石投げないで。


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神を殺すのは

はい。後半です。50000U Aありがとうございます!励みになりました。では、どうぞ。


うん?やっと意識が戻ってきましたね。やれやれ、中々強引な子です。流石オリジナルから最も離れた存在です。行動力が半端ではないですね。オリジナルより行動力があるんじゃないかな?

 

さて、遂に私だけになってしまいましたね。取り敢えず急いでドックに戻りましょうか。ひび割れが更に酷くなって欠片が落ちてくるほどボロボロですからねこの世界。

 

 

 

「とまぁ戻ってきたわけですが、なんであなたがいるんですか?」

 

「つれないこと言うねぇ。綾波型ヒューマロイド番外個体。いや、人型人造使徒試作零号機(・・・・・・・・・・・)

 

 

ダミープラントの前にいたのはNERV主席監察官でゲンドウ君にもお使いを任される程の実力を持つ人間、加持リョウジ。

 

ミサトさんたリツコさんと同期らしくゼーレの計画も調べ上げるほどの凄腕の諜報員でもある。何でこんな人がここにいる…。というか、わたしの本名知っているってことは資料読みやがったなこいつ。

 

「私はもう使徒擬き。その名前で呼ばないで」

 

「じゃ、なんて呼んだらいいんだい」

 

「ぱち波」

 

「中々面白い子だな」

 

本当なんでここにいるんですかこの人。ここ壊れかけの虚像世界なんですけど。綾波レイが言うには「体のいいゴミ捨て場」ですけど。

 

まさか…

 

「その顔は気が付いたな。そうさ。ニア・サードインパクトの後に事後処理を行っていたんだがどうやら俺はあの世界にとって邪魔だったようだ」

 

確かにこの人がいなければ、ネルフ職員を引き抜いてヴィレをつくらせる事なんてできそうもない。あれ?でもヴィレは存在していましたね。

 

つまり、この人は役目は果たした。神殺しの船を運用する組織を潰すのは原作崩壊が発生するから世界がこの人を消すことはないと思うんですが、まぁ原作でも出ていなかったみたいですけど。

 

「…さて、リリスが復活する前にお前に話しておくことがある」

 

やっぱりリリスですか。というか抑止的に大丈夫なんですかね。

 

「まず前提として世界の意思そのものがリリスの意思(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 

想定外すぎる情報を提供されて頭が真っ白になる。リリスの意思が世界の意思…?

 

「それは…つまり」

 

「そうだ。俺がここにいるのも、エヴァ第7号機がここにあったのもすべてがリリスが望んだからだ」

 

「少し整理させてください」

 

 

 

 

……シンジ君がここに迷い込んだのはそれが原因ですね。異物である私が『ゴミ捨て場』にいるのは納得できますが原作主人公がここにいるのはつじつまが合わない。

 

世界がインパクトを起こさせたいのにそれのカギとなるシンジ君を捨てることはない。しかし、ゴミ捨て場に送られた以上インパクトを起こすのにシンジ君は必要ないということになりますね。

 

シンジ君をゴミ捨て場に送る必要があった。

 

なぜ?

 

インパクト阻止をさせないため説が濃厚ですかね。エヴァ初号機とシンジ君が揃うととリリスにとってよろしくない事が起きる。逆説的に『神殺しの船』を復活したリリスは危険視していない。

 

インフィニティを通して世界が話してきましたがあれがリリスだとすると第7号機を危険視している。というよりぱち波(わたし)を警戒している。

 

今までは繋がりがあったからリリスに気が付かれなかった。今までも繋がり持って数年は安全だった。その後消されたけど。

 

なるほど。この世界はリリスの箱庭みたいなものか。基本的の介入はできないけど私みたいな存在をはじくことができた。セカンドインパクトやサードインパクトを経てより旧劇世界よせて世界に干渉できるようになったのだろう。

 

つまり、

 

 

 

 

全部リリスとゼーレが悪い。

 

「死ねばいいのに」

 

「新鮮ではあるが随分と口が悪いな」

 

取り敢えず私が情報を整理しているうちに加持リョウジは首のDSSチョーカーを外す作業に入っていた。ぱち波にはもう外す能力がない。少し乱暴に外す魂胆だったがこの場には加持リョウジがいる。彼ならば安全にDSSチョーカーを外すことができるだろう。

 

「ごめん。まとまったから続きをお願い」

 

「分かった。さて…リリスがあっちに復活したとこまではいいな」

 

頷きを返す。

 

「よし。でだ…神殺しを成立させるには初号機とシンジ君が必要だ。これが一つ」

 

取り敢えずあっちに帰ったと思いますけどリリスが絶対なんかしてきそう。まぁ、そのためにボディーガードを付けてもらったんですけどね。

 

「そして、第7号機とそれにシンクロできるパイロットが必要…これが2つ目だ」

 

ここでイレギュラーの塊を投入ですか。して、その目的は?

 

「初号機単機では厳しいの理解できるだろう。リリン殲滅の保険…というのが建前」

 

建前。

 

「本来の役割は…」

 

 

うん。まぁそうだよね。

 

「いいのかい?折角友人もできたんだろう?」

 

「やらなきゃ全滅しますけど」

 

そもそも、そういう計画でしたし。

 

内心、大義名分ができてホッとしていると少し乱暴に頭をなでられた。

 

「…世界の命運を子供に背負わせてすまない」

 

「別にいいですよ。というかこの為に造ったんでしょう」

 

「…ああ…」

 

「別に恨んでませんよ。自由に生きました。人間の感性で施してくれた事に感謝です」

 

缶詰とか日本語で書かれた資料とか丁寧でしたからね。ちゃんとお墓もありましたし。

 

「まぁ、人を守るのもまた私の義務かもしれませんけどね」

 

「そんなこと微塵も考えたことないだろう?」

 

ばれてましたか。人を守れるのは人しかいませんよね。

 

 

崩壊がここまで進んできた。そろそろお別れの時間だ。

 

「ありがとうございました。また、どこかで」

 

「おう。せっかくの良い心壊すなよ。達者でな」

 

 

 

 ぱち波は走り出しエヴァ第7号機に向かっていった。その背中が見えなくなると加持は少しだけ溜息を吐いた。

 

その後一本だけ残していた煙草に火をつける。一口吸い、白い煙を吐き出した時には彼の足は存在していなかった。

 

「まいった。情が少し移ったな」

 

加持の身体は崩壊が進み続けている。それでも立ったまま煙草をふかしているのは彼が既に消された存在だからか。その様は大人というものを象徴しているようにも見えた。

 

(ぱち波が動き出してからは驚きの連続だった。人間らしい天使か…。ぱち波…君は人間だと俺は思うよ)

 

あんなにも悩んで、苦しんで、隠して、前を向く姿が俺がよく知る人間にそっくりだ。

 

「さて、そろそろ潮時か。…ぱち波。君は人間だ。次があれば自由に生きろよ」

 

その場には火のついたままの煙草があるだけだった。それもすぐに消えるだろう。だが、ここには確かに思いを託した大人がいた。

 

 

エヴァ第7号機が格納されているドックは既に発信準備が整っていた。加持リョウジと驚くほどあっさり別れた。考えてみればぱち波の生みの親でしたね。お父さんとでも呼べばよかっただろうか…?やめときましょう。そんな柄じゃないだろうし何よりも

 

「偽りとはいえ自分の人生だけではなく、愛した女性の人生を狂わせた存在を認めるはずもないですね」

 

さっさとエヴァ第7号機のところに行きましょう。エクスカリバールは彼に返しました。ほら、御本家も最後は返してましたからね。今の装備は専用のプラグスーツ一式と外したDSSチョーカーだけ。これでどうやって戦えばいいんだ。

 

「あんまり使いたくはなかったんですけど、仕方ないですね」

 

既に搭乗準備が出来ているダミープラグに目を向ける。

 

こいつは元々エヴァパイロットの補助のために作られたものです。

 

一応エヴァの単独運用、ATフィールドを発生はできますけどパイロットが操縦した方が良いです。

 

制御リミッターを外して運用できますけど、エヴァの中身的に使わない方が安全ですね。特に起動するとき。

 

第7号機をダミーシステムで起動させる実験では暴走して辺り一帯更地になったらしいですからね。

 

ダミーシステムは補助システムとしてかなり優秀です。

 

神経接続をカットしても動くことができますし、パイロットが痛みで気絶というリスクが減ります。

 

とは言っても不安ですけどね。加持リョウジめ。もうちょっとましなヤツなかったんですか。自分軽蔑いいすっか?

 

第7号機に乗り込みシンクロを試みますが、シンクロ率は0.000000~%です。なのでシンクロシステムを変更します。これをやることによってこの変態本来の力が出せます。資料に書いてありました。

 

「…さて、やりますか」

 

ぱち波はレバーとボタンを操作し、コードを打ち込んでいく。

 

「制御リミッター接続完了。各封印機能の出力変更」

 

『Sync system change completed』

 

これで準備は完了です。

 

「後は…コードを…」

 

 

 

?おかしいですね。声が出てきません。崩壊が始まっているので早くしなければ。

 

 

「コード………」

 

 

まずい…。

 

 

「…いやだなぁ…」

 

 

思い出すな。今それを思い出したら動けなくなる…!

 

 

ぱち波は泣いていた。いや、誰か(・・)が泣いていた。

 

頭では分かっている。

 

今すぐにでもそれを口にして役割を果たさなければいけないと。

 

だが、彼女の持つ繋がりが誰かの手を止めてしまっていた。

 

これでいいのだろうか。

 

『警告…プラグ深度汚染区域突破』

 

私が彼らを救ってもいいのだろうか。

 

心の壁

 

生と死の理

 

円環の理すら無視するやり方で。

 

独善的な救い方で。

 

 

「消えたくないなんて我儘ですね」

 

 

ぽろりとどうしようもない自分に向けた言葉が落ちた。

 

この言葉に誰も拾ってくれないとわかっていた。

 

そうしてきたのだから当たり前だ。

 

名もなきどこかの誰かさんなんて誰も見つけられない。

 

誰にも知られることなく消える運命だ。

 

 

 

 

 

大丈夫、貴方は消えないわ。私が側にいるもの

 

 

 

 

 

そんな言葉を

 

そう言った貴女を

 

貴女と交わした約束を

 

私がしたいことを

 

 

 

 

思い出した

 

 

♢♢♢

 

LCLの匂いに彼女の面影を感じる。シンクロしていく程に海に沈んでいくように自分が曖昧になる。

 

…あれほど誰かに必要とされたがっていた。

 

何かの道具でも良かった。僕を見てくれた気がしたから安心したんだ。

 

それほどまでに僕は誰かと一緒にいないと生きた心地がしなかった。

 

長い時間を一人で生きる人はとても少ないと思う。

 

その人は何度も何度も抗って、折れて、立ち上がって、進む…そんな人だろう。

 

僕はそこまで強くはない。誰かが僕を支えてくれないと倒れてしまいそうになる。

 

だけど、僕を支えてくれた人たちを覚えている。

 

僕を信じてくれた人たちがいた。

 

応援してくれる友達がいた。

 

父さんとの関係を変えようとしてくれた子がいた。

 

僕の手を変わらずにとってくれた子がいた。

 

僕に希望を教えてくれた友達がいた。

 

僕に勇気をくれた子がいた。

 

「僕はまだ弱い。だから、力を貸して。綾波…」

 

それに呼応するように初号機が瞼が開かれ目標を見据える。

 

曖昧さはもうない。僕はここにいる。

 

 

どこか遠くの世界でとある少女が呟いた。

 

 

『忘れていてごめん。貴女がいるなら、安心ね』

 

震えは止まった。視界も歪んでいない。

 

『Cord Lilin.さて、神サマの計画を破壊しよう』

 

そう少女は微笑う。

 

十字架の仮面が剥がれ落ちた悪魔も嗤う。

 

System alteration ... Base Lilin

 

異なる世界であっても、長い時間が経とうとも、二人の存在は呼応する。

 

それの名は『運命』

 

「いくよ…エヴァンゲリオン初号機、起動!」

 

『いこう…エヴァンゲリオン第7号機、起動!』

 

 

 さぁ、神殺しの始まりだ

 

 

 




1ヶ月後に失踪します。


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それは少女を救う物語

最終決戦を書きてる時に特報出さないで。

黒波のあの表情で何人のアヤナミストが召されたんでしょうね?

かなりご都合だけど許して亭許して。


「珍しいですね。司令があんな茶番をするなんて」

 

「…分かっている…。あんなもの気休めにもならん」

 

シンジに向けた激励の言葉も所詮は茶番にしかならない。あれはシンジが信頼、信用している人物であるからこそ意味がある。俺が言ったところでなんの意味もない。

 

せめて、普通の生活をシンジに送って欲しかった。

 

だが、俺はシンジを利用するしか出来なかった。

 

いくら俺が初号機とシンクロを試みてもユイは応えてくれなかった。だから、人類補完計画をゼーレにちらつかせ、計画のためにユイの遺伝子からレイを造り、シンジを捨てた。

 

俺は家族のためとはいえシンジを捨て、科学研究員を利用し、世界を巻き込んだ。『家族のため』これを免罪符に掲げるほど馬鹿ではない。

 

俺は父親としても大人としても最低だろう。

 

それでも譲れないものが俺にもある。

 

「…全戦闘員の緊急退避」

 

「は?」

 

「全戦闘員の緊急退避だ。レイ。お前は負傷者の輸送を手伝え」

 

「了解」

 

黒波はヴィレ職員に説明し、退避を促す。負傷している者は彼女が背負い移動している。

 

「…シンジ君を見捨てるというの…!」

 

ミサトがゲンドウの襟を掴みながら抗議する。

 

「状況を見ろ葛城艦長。私達がここにいては奴の邪魔だ。…復活した神はどうも頭が回る」

 

はっきりと正論を言われ、言葉を飲み込むミサト。そこへ新たな声が加わる。

「それには賛成だにゃー。引き際を弁えてるねゲンドウ君?」

 

「…話は後だ8号機パイロット。いくぞ」

 

積もる話はあるが今はそれどころではない。速やかに退避していく職員。しかし、その姿をリリスはとらえていた。

 

 

 

 

 

私が乗るこのエヴァ第7号機にもう魂は存在しない。だから、機体に引きずり込まれるはずなんですが…

 

「普通ですね。いや普通(の状態)ではないですけど」

 

…あの人の魂は…よし、ちゃんとガフの部屋にありますね。

 

にしても、ガフの部屋の魂が少なすぎる。普通、現存していた生物の魂の数十倍はあるはずなんですけど。…あぁ…そういえば、魂切れが起きてたんだった。

 

あれ、これは新劇の設定だっけ。新劇は外伝の世界だしなぁー。インパクト後の世界が重要だから…多分新劇の人類補完計画って旧劇に戻ることか?…新劇とか旧劇って何だっけ。

 

まぁ、いいや。どうせ全部おじゃんにするし。

 

さて、ボロボロの世界に私はいるんですけどこれヤバイ。

 

エヴァの出力が強すぎて気を抜くと世界が簡単に壊れる。ホントよくこんなもの造りましたね。神サマを造る時点で頭わるわるですけど、これ普通にインパクト起こしたら魂諸共消滅させるエネルギーなんですがそれは。それに魂が2つある時点でアウトだよ。

 

こんなの封印されて当たり前だわ。兎も角この世界とはおさらばしないとですね。

 

アンビリカルケーブルが自動で切断される。活動限界までの時間は計算し直すのが面倒なほどある。

 

飛ぶイメージをすると7号機は翼を広げてひび割れた空の海に姿を現した。地面は既に崩壊し天に存在するものしかこの世界には残っていない。

 

「来い」

 

月に手をかざし呟く。その声に応えるように赤い線が月から墜ちる。もう片方の手を空に広がる海にかざす。透明度の高い海水の奥に赤い線が浮かんだ。

 

赤い線は7号機の手のひらに収まり槍の形に変化していく。両手に持つ槍はそれぞれ形状が異なっていた。一方は二股の赤い螺旋状の槍。一方は赤い一般的な槍の形をしているが槍が放つ存在感が異常だ。

 

それぞれの銘をロンギヌスとカシウス

 

世界を再生される為に必要なマテリアルだ。

 

「まったく。残りの2本は何処に行ったかと思えば…。虚数の海に放置するとか神様らしいですね」

 

まぁ、私は呼び出せますけどね。この機体なら造作も無いことよ。ヨシ。道具は揃ったのでこの世界を破壊して、戻りましょうか。

 

7号機はロンギヌスの槍を一筋の鋭き槍に変質させる。

 

遥か上空から不思議な空を背に槍を構えるその姿は美しかった。

 

「…壊れろッ!!!」

 

空の海に向かって投擲されたロンギヌスは轟音と共に世界を強制的に破壊していく。

 

空の海にはガフの扉に似た穴ができていた。その穴に向かってぱち波は進んでいく。彼女の後ろにはもう何も残っていなかった。

 

 

時は少し遡る。

 

起動した初号機であったが、長年主機として運用されていたため碌な装備もつけていなかった。だが、初号機はそれをものともしない強力なATフィールドを扱えるようになっていた。

 

シンジはそのATフィールドを用いてリリスが産み落とす生命に対抗していた。

 

状況は劣勢にだった。ほぼ兵力が無限のリリスに対して人類はエヴァ一機と100あるかないかの対人兵器しか手元に残っていない。ましては、アスカの反応は既に消えている。兵力も時間もない。

 

「ッ!どけ!」

 

初号機が腕を振るうといくつもの十字架を残して産み落とされたモノを殲滅していく。しかし、シンジが2号機を肉眼で確認した場所までは遠い。

 

第13号機…リリスもまた狡猾だった。一度ゼーレによって14年間も封印措置を自らに施すことになった経験から、劣化生物だが、侮れない生物という認識になっていた。

 

遠くに退避しているリリンの生き残りが見えた。リリスは考えた。奴らを殺せば、パイロットの精神を壊せる可能性がある。さらに、奴らは自分に対抗する手段がない。

 

リリスは衝撃波を波状型に飛ばした。その衝撃は容易くミサト達に届くだろう。しかし、その攻撃を文字通り身を挺して防ぐ存在がいた。

 

「こなくそぉぉおおおおおお!!!」

 

「アスカ!?」

 

「姫!ダメだ!!」

 

ボロボロの機体でATフィールドを支え、衝撃波を防ぐ赤い機体。LCLが揺れ動き、衝撃がプラグ内にも伝わってきたことがわかる。ミサトは振り返りその背中を見た。周りの職員に言葉をかけられるが十字架のネックレスを握りしめたまま彼女は動かない。

 

第二、第三波もアスカは防ぎ切った。機体は右腕が吹き飛び、胴体はひしゃげている。そんな状態でシンクロしているアスカもプラグ内で大怪我を負っていた。

 

アスカは赤く染まる視界で確かに量産機をなぎ倒しこちらに走っている紫の機体を見た。

 

激痛で声なんてでやしない。それでも言葉を残しておきたかった。

 

我儘だってことはわかっている。

 

余計なことをしたと怒られてもいい。

 

だから、

 

 

その言葉を言い終わる前に2号機は赤い槍に貫かれる。リリスは槍に貫かれたまま眼前まで持ち上げられた2号機を見て目を細めた。そしてそのままエントリープラグ諸共捕食した。

 

ただ、リリンはこの方法の方が自分のコピーに乗っている少年の心を折ることができると踏んでいたのだ。

 

少年の記憶は覗いている。一度自分の手でこの少女を殺しているため、トリガー化したじょうきょうになることはないだろう。それに通信越しに彼女の絶叫を聞いたはずだ。

 

想定していた通り、初号機は動きを止めていた。全てが上手くいったとリリスはほくそ笑んだ。

 

これが全て過ちだったと気が付かないまま。

 

 

 

 

 

アスカの姿を見た。声を聞いた。身体の震えが止まらない。

 

それなのに…操縦桿を潰すほど強く握っているのだろうか。第13号機をにらみつけているのだろうか。感情が高ぶるのだろうか。

 

確かに、聞こえたんだ。アスカには絶対に似合わない声で、聞いたことのある声で…。

 

助けて、と

 

「……返せ…」

 

ぽつりとつぶやく。初号機のATフィールドがさらに強くなり、周りの量産機を破壊していく。

 

 

 

『アスカを…返せ!』

 

 

 

 

 

シンジの目が赤くなるのと同時に初号機は発行部分が赤くなり、円環が出現する。左腕にはATフィールドで構成された腕が生え、障害物を薙ぎ払う。

 

口の拘束具が外れ咆哮する。

 

シンジは自分の背中にあたたかな感触があった。そこには綾波レイがLCLに揺られて存在していた。綾波もまた目がより赤くなっており真っ直ぐにリリスを見つめている。

 

『いくよ綾波…アスカを助けよう』

 

『えぇ。碇君ならできるわ』

 

…僕に誰かを助ける力を、世界を変える力をもう一度振るう。

 

初号機の進撃は量産機ごときでは止められなかった。それどころか、リリスまで攻撃が届くほどに初号機は苛烈だった。

 

「オオオオオォォォッ!!」

 

初号機から発せられる光線によりリリスは両断される。しかし、すぐさま再生し、空間に槍を突き刺す。

 

空間が崩れ、現れたのは番外機体。本来の役割をリリスによってはく奪された機体…Mark10がそこにはあった。零号機ベースの身体に使徒の仮面を十字に傷がありそこから赤い瞳が覗いている。そして、初号機よりもはるかに大きい。

 

Mark10はその体格から想像もできないほど素早く初号機に接敵した。強力なATフィールドによりこちらに攻撃は届かないが至近距離でMark10の瞳が光り、光線が発射される。その光線は第10の使徒のそれをはるかに超えている。しかし、初号機のATフィールドを破ることはできない。

 

「GAROROROOOOOO!!]

『邪魔をするなァッ!』

 

 

シンジはATフィールドでMark10を吹き飛ばすがダメージを負っているようには見えない。そしてついに、リリスが初号機に標準を合わせる。リリスが持つロンギヌスの槍が赤く光る。このままのシナリオであったら初号機は槍に貫かれるだろう。

 

だが、

 

それは叶わない。

 

赤い線がリリスを貫く。リリスは絶叫を上げ、ふらつく。神というものでありながら。

 

空間を破壊して現れた三本目のロンギヌスの槍がリリスを貫き、空中に静止している。

 

その背面から黒いエヴァンゲリオンが姿を現した。そのエヴァはかつての姿とは異なっていた。

 

十字架の仮面は外れ、左右非対称の瞳を持ち、機体のいたるところに赤い線が走り発光している。

 

そして、黒き悪魔の背には折れ曲がり、捻じれ、大きさもバラバラな翼とは呼べないものが生えていた。

 

異形、歪…そんな言葉が似合うエヴァンゲリオンがそこに存在していた。

 

歪な翼を広げると世界が変わった。夜の帳は消え空には海が浮かんでいた。幾つもの空模様を重ねた色が溢れ、鏡のような空も一部に存在した。世界の終わりに相応しい景色に変わっていく。

 

 

 

『オ"オ"オ"オォォォッッ!!!』

 

 

低く、響くようなおぞましい咆哮が轟いた。それに共鳴するように空の海が波打つ。

 

リリスは嫌でも理解させられた。アレは存在してはいけない機体だと。

 

 

Afraid.(恐れよ)

 

That's existence destroys the whole creation.(かの存在は万物を破壊する)

 

A symbol of ruin.(破壊の象徴が)

 

A human symbol.(人間の象徴が)

 

A black devil.(黒き悪魔が)

 

takes the beautiful world on, and has descended .(美しい世界をのせて現れた)

 

 

 

 

 

 

『…やっと会えたね元凶。世界を壊すのはお前じゃない』

 

綾波レイに似た声で誰かが言った。神に対して大胆不敵に。

 

『私だよ』 

 

 




感想が欲しい侍。


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:|| 天使が消える物語

今までこの作品を目に通して下さりありがとうございます。日常編はまたそのうち。




はい。というわけで最終決戦です。取り敢えずぶち抜きましたけどまだ元気ですね。やっぱ神サマとして完成してんじゃん。しかも、なんかでかいエヴァいるし。何ですかあれ私あんなもん知りませんよ。

 

『で、誰か。状況はどうなんです?』

 

『私たち以外は退避完了。アスカはリリスに取り込まれた。リツコさんとマヤさんによるとほぼ完全に同化してるって』

 

黒波が即座に答える。

 

『ありがとう』

 

悪知恵が働きますねあのクソ神め。それでですか初号機がシン化してるのは。うーわ。初号機に保管された魂まで出張ってきてますね。勝ったな。

 

『初号機パイロットさん。これは私がやるからそっちはよろしく』

 

『…頼む!』

 

Mark10の剛腕が放たれるが、ATフィールドで弾き飛ばす。そんでもって、エネルギーを纏わせつつロンギヌスの槍を投擲。轟音の後に十字架が刻まれる。

 

『…ちっ。生命の実持ちですか…。めんどくさい』

 

さて、この木偶は少し彼には荷が重いかな。出力がほかのエヴァと桁違いというか、エヴァとしても運用していること自体がおかしい。そんな機体だ。槍を回収してっと。この槍を呼び出す能力強いですね。対称が刺さったままであろうとそのまま戻ってきますので。

 

『…せい』

 

頸に刺さった槍をMark10に蹴りを入れて抜く。うへー。再生速度が速い…。

 

【封印システム解除。システム開放】

 

カッ!!

 

第7号機から光線が放たれMark10の身体を八割ほど消し飛ばす。だが、Mark10は即座に上半身を再生させるこちらに光線を放とうと瞳を光らせる。

 

『………』

 

Mark10の光線が届く前に衝撃波がMark10を吹き飛ばした。

 

…えー…今の攻撃は私のデストルドーを二本の槍で増幅させて叩き込んだ言わばプチインパクトなんだけど。やっぱATフィールドないか…。アンチATフィールドで倒せないとか…マジなんなん?偽神でも消せるぞ。そもそも、ATフィールド無いのになんで形保ってんですか。

 

…いやこれATフィールド内側に展開している…?なるほど。溢れ出るエネルギーを内側に閉じ込めてるからそんな馬鹿みたいな再生力なんですね。完全にシン化出来てないからでしょうね。というかまずいですね。その支えてるATフィールド消したんでエネルギーががが。

 

『なんてね』

 

形状崩壊を始めたMark10にカシウスの槍を突き刺すぱち波。するとMark10の形状崩壊は止まる。

 

折角なのでこのエネルギー使いましょう。カシウスの槍を通して機体に流し込めば…

 

『…ごっふ…キッツ…いやこれキツイ』

 

身体痛くてワロエナイ。まぁ、人をやめたんで前よりも頑丈ですけど。さて、彼はどうかな。

 

 

リリスは困惑していた。この少年はこんなにも強かっただろうか。少なくとも立ち直らないようにしたはずだ。それがどうして私の前に立ちふさがっている?

 

『…はああああッ!』

 

目障りだ。

 

お前はいらない。

 

必要ない。

 

そう精神に語りかけても止まる気配がない。こいつは違う。こんな人間は違う。私が知っている碇シンジではない。

 

『いい加減気付いた?もうお前の考えたシナリオ通りになっていない』

 

また、不完全な生命に出し抜かれた。そのどうしようもない屈辱から激しい怒りを覚えた。

 

初号機の腕がリリスのコアに触れようとした時にリリスは姿を変えた。リリスの姿は第13号機から長い髪と健康的な肉体を持つ女性の姿に変化した。アスカそのものに変化した。初号機の顔に手を添えてキスをするように顔を近づけてくる。初号機の瞳が一層深い赤になった気がした。

 

綾波を助けた時のように僕はアスカを探していた。でも、アスカの姿が見えない。黒い壁が僕の邪魔をする。

 

『碇君。私が支えるから行って』

 

黒い壁を綾波がこじ開ける。こじ開けた手が赤く染まっている。僕の身体もそう長くはもたないだろう。

 

『アスカッ!!』

 

力の限り叫ぶが声も聞こえない。

 

周りを見渡した瞬間何かに引っ張られ、僕は黒い海に沈んでいった。

 

 

 

 

 

僕はどこか来たことがある場所に横になっていた。そして、自分の上にはアスカが僕の首に手をかけていた。

 

『…アスカ…』

 

赤い目をした彼女が僕をのぞき込んでいる。首をにかかる力が増えた気がした。僕はそのまま彼女の行為を受け入れた。かつて、彼女が僕を受け入れてくれたように。

 

『………なんで……死んでくれないの』

 

首を絞める力が強くなる。

 

『…まだ…ッ…アスカを助けてないから』

 

『助けてほしいなんて思っていない!!』

 

『…うん。だから、僕が勝手に助ける』

 

『余計なことしないでよっ!!私は死にたいの!だって、私は…』

 

『…僕のそばで死んでほしい。これは僕のわがままだ。アスカ』

 

『うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!うるさい!!アンタもあいつらと変わんないわよ。どうせ私を捨てるんでしょう!?』

 

『アスカ。僕はそばにいるよ。僕だけじゃない。綾波やミサトさんだっている』

 

『嘘よ。だったらなんでこんなにも私は寂しいの…』

 

首にかかる力が弱まる。

 

『バカだなぁ。僕と同じだ』

 

僕は起き上がり泣いてる彼女を抱きしめる。憧れてた彼女はこんなにも小さかった。そう思った。

 

『大丈夫。僕がそばにいるよ。だから、僕を信じて』

 

『…なら、私を好きって言いなさいよ…』

 

消え入りそうな声でそうつぶやくアスカ。うん。誰かを好きになることなんてなかった。でも、色々考えてちゃんと君に伝えることができるよ。

 

『好きだ。だから、生きて…アスカ…』

 

『…気色悪い…』

 

抱きしめる力が強くなる。この空間も崩壊し始めた。

 

『…私も好きよ…バカシンジ…』

 

 

黒い海から2人が飛び出し、1人の少女が受け止めた。

 

アスカは誰かの体温がこんなにも安心する事を思い出した。

 

3人の子供は光の中に消えていく。

 

離れないように固く手を握り合いながら。

 

 

彼は約束をちゃんと守ったみたいでよかった。神から2号機のコアを抜き取って形状崩壊させるとはね。本物の神様相手によくやったものです。神から何かを奪うなんてさすがですね。

 

『そうです。それでこそ人間です。誰かを傷つける事、傷つけられることを受け入れることで生きていく。それが誰かを好きになること。私がここまで生きてきた理由』

 

神が不完全と評した存在はここまで進化した。私も最後の仕事を終わらせるとしましょう。

 

2号機のコアを抱いたまま地上に落ちていく初号機に手をかざす。

 

 

さて、お別れの言葉は何にしようか。

 

ふむふむ。見つけましたよ。なんかいい雰囲気だけど無視していきましょう。

 

『…お疲れ様。素晴らしい活躍でした。次は私の番です』

 

『…いい雰囲気に首突っ込んでじゃないわよ』

 

『…また、甘えてきてもいいんです…いったい!あれ、なんで感触あるんです?』

 

『愛よ』

 

『…怖いですねぇ』

 

初号機パイロットと手をつないでいる私と同じ顔をした子がこちらを見て言う。

 

『…あなたは私だけど違うのね』

 

『それは当然。中身がパチモンだからね』

 

『…でも、あなたにもいるのね』

 

『いるとは?』

 

『ぽかぽかする存在』

 

『まぁ、いたかもしれませんね』

 

私の記憶はスカスカですから。もしかしたら、いたかもしれませんね。一時期それを避けてたような気がしますし。

 

『さて、君の物語はここで終劇なわけだけど何かをのぞみはある?』

 

『…出来るなら、また皆と出会いたいな』

 

『謙虚ですねぇ。俺をモテモテにしてくれとかないんです?』

 

『僕を好きでいる人はもういるから』

 

はぁ~このすけこましめ。二人が赤くなってますよ。

 

『君らしいですね。対価としてこれをもらっていきますよ』

 

子ども達が消え始める。そろそろ限界ですね。

 

『では、さよなら』

 

『…待って』

 

初号機パイロットが私を呼び止める。

 

『君ともいつか出会えるかな』

 

…なんとも…度し難いですね。

 

『…えぇ。いつか…。…その日まで覚えていたらきっと』

 

その言葉を最後に子ども達は消えていった。ほら、君たちも行くんですよ。

 

感覚が戻ってくる。彼らの魂は解き放つことができた。

 

「…ん。はぁ…覚えていられるかなんて分からないですけどね…」

 

まぁ、やってみよう。

 

「…全制御リミッター解除。出力全開」

 

シン化の過程をぶっ飛ばしてガフの扉をこじ開ける。

 

「…せぇのっ!ごほっ…ううっ…!』

 

神が持っていたロンギヌスの槍を自身に突き刺し、カシウスの槍へと変化させる。これで道具はそろった。

 

私の人類補完計画の始まりだ。

 

ロンギヌスとカシウスの槍がそれぞれ融合し、世界を破壊して行く。

 

 

 

「…俺はまた、ユイに出会えるだろうか」

 

「さぁ?あんな先輩もうこりごりだにゃ。それよりもあいつが気なる」

 

「人間にはできないことをやろうとしている。また出会える可能性は低いだろう」

 

「私は人間だからこそできると思うけどニャー」

 

とある二人はいつもの様子で消えていった。

 

 

…どうでしょうね。取り敢えず髭の恋路は厳しくしときましょう。具体的には相手を薔薇と百合の道を示します。

 

「また、私は子どもに何かを背負わせるのね…」

 

「そうね。そのことを忘れないようにしたいけどできそうもないわ」

 

「でも、心…魂に刻むことはできると思わない?」

 

「そんなこと有り得ないわ。というには早いかしら」

 

とある二人は何かに刻み込みながら消えていった。

 

貴女たちは大人になりきれなかった。でも、私達に示してくれたものがあることを忘れないで下さいね。

 

 

消えていった。全てが消えていった。

 

「第二段階ですね」

 

融合した槍は第7号機を貫き、世界を再構築していく。

 

「げほっ!…まったく。シンクロ率が高いのも困りものですね」

 

後はもうこの機体が巻き戻った地球に墜ちて、私が消えるのを待つだけ。

 

消えることは今でも怖い。でも、あの光景を見たら別にいいかなと思ってしまった。

 

私はこの世界に生まれて幸せだったか?まぁ、幸運とは言えない人生ばかりだった。

 

それでも幸せだったのかもしれない。この世界で生きていただけで。

 

たしか…私には隣にいたかった人がいた。

 

困ったことに欠片もその人のことを覚えていない。というかほとんどの記憶が朧気だ。頑張れば思い出せそうだけど…時間がなさそうね。

 

世界から彼女は消え、その記憶も消える。

 

こうしてどこかの誰かは消えていく。

 

他者がいなければ人は生きていけない。

 

だから、彼女は消える。

 

その事に変わりはない。

 

「誰だっけ…私を繋ぎ止めていた人達は…」

 

私の声はLCLに溶けていく。そのまま、ゆっくりと目を閉じてボロボロになった記憶をあさる。その時の感情は覚えてるのにそれ以外は忘れてしまった。

 

自分の首に付けたチョーカーをなでる。もう本来の機能はない。ただの飾りだ。でもなぜか私はそれを付けなければならないと思う。

 

…あぁ…その誰かもこれを付ける意味も…

 

「せめてこの意識が消えてしまう前に思い出せたらいいな」

 

彼女の物語は素晴らしいハッピーエンドで締められる。

 

異物が消え、何の悲劇もない素晴らしい世界に変わった物語… この結末をハッピーエンドと呼ばなくて何と呼ぶのだろうか。

 

堕ちた天使の物語はここで終わる。

 

めでたし、めでたし。

 

 

 

 

 




いやー素晴らしいハッピーエンドでしたね。

あっ、誰も彼女のことを覚えていないのでぱち波は消えます。

まぁ、もしとある天使に救われたこととか、その天使が人であったことを覚えている人ががいるのならきっと…。




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:|| 翼を失い、人に堕ちた物語

はい。最終回です。どうか最後までご付き合いください。

では…グダグダでも、三流喜劇でもそれはご愛嬌ということで


シンジー。アスカちゃんが迎えに来たわよー」

 

母さんが僕を呼ぶ声が聞こえる。もう朝か…。調べもので夜更かしなんて久しぶりだ。時計を確認する。もう少しだけ眠ることができそうだ。

 

「さっさと…起きろ!このバカシンジ!!」

 

「うわぁぁぁぁぁ!?」

 

布団を引っぺがされてベッドから落ちてしまった。このアマ…勝手に部屋に入ってくるなよ。

 

「Good morning.シンジ」

 

「なんでアスカが僕の部屋にいるんだよ…」

 

「あら。美少女に起こされるなんて夢見たいでしょう」

 

できれば、綾波の方が…起こし方こんなに乱暴じゃないし…

 

ガッ

 

「…何か失礼なこと考えなかった?」

 

「ヴェッ、マリモ!」

 

危ないところだった。このままいけば僕の身体が引きちぎられていた。

 

「シンジー?遅刻するわよー?」

 

時計を見るといつも家を出る時間を過ぎている。これはまずい。

 

「アスカ急ぐよ」

 

「誰のせいよ誰の」

 

そこに鏡あるよ「は?」何でもありません。

 

僕は朝ごはんをかっ込み、制服を着る。

 

「「いってきまーす!」」

 

「いってらっしゃーい。ほら、あなたも」

 

「あぁ。いってらっしゃい」

 

「そういえばあなた。あの事シンジに伝えたの?」

 

「…………」

 

沈黙を貫くゲンドウをジト目で見つめる妻

 

「…忘れてたのね?」

 

「すまん…ユイ」

 

どうやら上下関係がはっきりしているようだ。

 

「まぁ、いいわ。すぐに会うだろうし」

 

「…そうかもな。奴はそういう人間だ」

 

二人はテレビに映るニュースを眺めてそう言った。ニュースでは世紀の大発見を大きく報道していた。

 

 

 

「まったく…月曜日から遅刻しそうだなんてついてないよ」

 

「誰かが寝坊助なせいね」

 

絶対アスカが起こしに来なければ遅刻しなかっただろうな…。

 

「…おはよう」

 

「綾波!」

 

「アンタも寝坊したの」

 

「ううん。碇君を待ってた」

 

なんて健気でいい子なんだ…。アスカにもその優しさを分けてあげてください。

 

「オイこら。なんか私とえこひいきを比べたでしょ」

 

「いや、そんなことは」

 

「碇君…。アスカも優しい所あるわ」

 

アスカの制裁を受けながら遅刻ギリギリで僕たちは教室に飛び込んだ。

 

「おっシンジ。今日も夫婦喧嘩してきたのかい?

 

「その眼鏡割られたいのかしら」

 

ケンスケも懲りないなぁ。あっ…またトウジが委員長に説教されてる。大方セクハラでもしたんだろう。

 

「はーい。席についてー。ホームルーム始めるわよー」

 

ガヤガヤしていた教室に担任のミサト先生が入って来て静かになる。美人で優しい先生だから生徒からの人気が高いけど、僕やアスカ、綾波は彼女が如何にダメな大人かを知っているので微妙な表情をするしかない。

 

同じマンションの隣に住んでいて部屋に入ったことあるけど、あんな腐海に住んでて平気なんだろう。さすがに人としてどうかと思うので三人で掃除や家事を手伝っている。

 

どれだけひどいかって?綾波が「あんな大人になりたくない」と本気の顔でいうくらいひどいよ。

 

「今日は朝礼があるわよー。転校生と新任の先生の紹介よ」

 

ミサト先生の言葉にクラスが沸く。

 

「先生!転校生は女子ですか!?」

 

「残念。男の子よ」

 

『ちくしょー!!』

 

「バッカみたい」

 

男子の叫びが響く。アスカの罵倒が僕の耳に届く。仕方ないと思うけどなぁ。

 

「でも、新任の先生は美人よ。レイちゃんに少し似てるかしら?」

 

 

即座に朝礼の列を作った僕らのクラスは体育館へ移動する。さすがに綾波に似ているといわれて気にならないとはならない。

 

校長先生のありがたくも長い話が終わり、転校生の紹介が始まる。名前は渚カヲル。イケメンで多くの男子からとんでもない視線を受けても笑顔でいる鋼メンタル転校生だ。僕と視線があった気がするけど気のせいだよね。

 

そして話題の先生の説明が始まる。どうやら、海外の大学を飛び級をしてきた凄い人らしい。

 

その先生は長い髪を雑にまとめた白い肌をした人だった。何処かであったことがある感覚が走る。この感覚を僕らは何度か経験した。何でこの先生に…?

 

新任の先生は壇上に立ち、顔が見える。体育館にどよめきが起こる。それほどまでに綾波の面影が感じられたからだ。

 

「はい。というわけで先生になることを強要されたぱち波です。よろしくお願いします」

 

それだけ言うと踵を返して戻っていった。先生たちも困惑している。

 

記憶の中にある誰かもこんな適当だったなとシンジは思った。

 

 

♢♦♢

 

視界が揺れる中で瞬きをする。

 

どれだけ時間がたっただろうか。

 

まぁ、私が消えていないのでそんなに時間は立ってないと思いますが…。意識がなくなって起きたらまだ体があるんで驚き桃の木山椒の木でしたよ。

 

さて、どうしましょうか…。このまま一人とか精神が死ぬんですけど。記憶は…ダメだ。ボロボロなのに変わりないや。もう少し眠ろうかな。起きれたら思い出せればいいな。

 

 

 

誰かは棺の中で眠る。時が来るまで。

 

 

 

揺れた視界が開けてきた。

 

んん…。まだ私は存在してますか…。記憶は…あぁ少しだけ思い出せましたよ。

 

顔だけですけど。誰かを忘れたままの気がする。

 

ん…。眠気がひどい…。もう少しで思い出せそうなのに…。

 

 

 

ぱち波は棺の中で眠る。彼女が見つけ出すまで。

 

 

 

自然と目が開く。耳を澄ますと誰かの声が聞こえる。視界は…揺れていない。思い出した。私が忘れたくなかった…私が愛した彼女を

 

軋むような音を立てて扉がバールでこじ開けられる。扉から指す月明かりが眩しい。

 

「…やっと…やっと見つけた」

 

彼女の声が聞こえる。

 

「…あ…ぁぁ…」

 

上手く声が出せない。それもそうか。誰かと話すのは久しぶりだ。

 

「…く…ろ、なみ…?」

 

「えぇ。ごめんなさい。随分待たせてしまって」

 

いいよ。君がいるだけで…私はそれで充分だよ。

 

「そう。なら、堕ちた天使様?人になる覚悟はある?」

 

もちろん。

 

そう頷きを返して黒波は私の罪の証を外す。

 

そして、私は…

 

 

 懐かしい夢を見ましたね。はぁ~仕事ですか…。恨みますよマリ。あんたの研究室また荒らしてやろうか。冬月先生がいないときに。

 

「朝ごはんできたよ」

 

「ありがとう。今行きます」

 

私は黒波と一緒に暮らしている。流石に紐にはなりたくないんで働きます。ただマリ相談したのは間違いだったみたいですね。

 

朝ごはんを食べて、身支度をして準備は完了。

 

「じゃ、いってきます」

 

「……忘れ物」

 

はて?なんか忘れたっけ。確認を取るために黒波を見ると目を閉じて顎を少し上げていた。

 

「ん…。いってきます」

 

「…♪いってらっしゃい」

 

 

 

かつてかつて偽物の天使は人に焦がれて、翼を失った。世界のルールに背いたからだ。

 

それでも人を愛し、人になりかけても、人のために世界を壊し、創った天使がいた。

 

天使は誰にも知られることなく消えるはずだった。

 

逃げ出そうとも、彼女には翼はないし、彼女を縛る罪があった。

 

彼女を救ったのは人だった。

 

それは彼女から翼を永遠に失ってしまう行為だった。

 

だが、彼女は微笑みを浮かべながら人に堕ちた。

 

とても幸せそうな顔で。

 

 

 

これが名もなき誰かの物語。

 

彼女はこの世界で、人として共に生きている。

 

 

 

 

終劇

 

 




最後までこの作品を読んで下さりありがとうございます!皆さんの感想やUAでやる気がつき、完結させることができました。感謝申し上げます。

詳しいことは設定集に乗せたいと思います。


では、またそのうち。


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設定集的なナニカ

はい。設定集です。時折書き足します。ネタバレとガバ考察注意です。
本編を読んでから見た方がいいかと。

設定が酷くてもそこはご愛嬌。


2020/04/10加筆

2020/7/19/加筆、質問回答

2020/10/11加筆 

2020年11月6日 まとめ 


登場人物

 

オリキャラ

 

エヴァンゲリオン第7号機専属パイロット

 

綾波レイ (ぱち波)

 

好きなもの エヴァ世界の皆、黒波(強制)

 

苦手なもの ガバ、黒波

 

立ち位置 主人公 シリアル化要員

 

開示情報

 

.原作を知ってるだけの人がエヴァンゲリオンの世界にきたという設定。

 

ほとんどの知識が考察掲示板によるもの。旧劇や新劇の世界に転生しその度に、なんとか原作キャラを助けようとするが世界に何度も消される。その事を理解した後は影でサポートするようになった。ハックとかネルフの機械を弄れるのはその経験から

 

・Qで世界が終わるとループする。

 

今までのループで原作通りになったことは一度もない。よって逆説的に原作がイレギュラーなものだと気づく。今回のループでは新たなキャラクターとして世界に現れた。今までは原作に存在するいわばモブとして行動していたが、新たなキャラクターとして転生した為、世界の異物となっている。しかし、世界と対抗できるものがあるので彼女オリジナルのシナリオを展開。また、Q世界に喧嘩を売った回でもあった

 

・使徒化可能な特殊パイロット

 

使徒を複数使用したエヴァとシンクロする為、アヤナミ・シリーズに使徒の残骸を復元させたものを混ぜるという実験の成功作。赤木リツコ率いる科学研究員の下で極秘に行われた。その後実験は凍結され、国連軍がネルフ対抗のために再び始動。ニア・サードインパクト終息後にぱち波が転生。スペックは使徒化なしの場合、耐久性以外はリリンと同じ。使徒化後は使徒と同じ能力が使用可能。しかし、出力はエヴァに劣る

 

 

・繋がりを持たないと消える

 

この世界の誰かと繋がりを持たないと世界の異物として消されてしまう。今回のようにぱち波というイレギュラーは例外故に先例がないがぱち波は消えるとふんでいる。

 

 

・仮面を被っている

 

普段明るいぱち波だが、自分が元々誰なのか覚えていない。繋がりを得るたびに出会いと別れが繰り返されて来た。時には自分のせいで原作キャラを殺してしまったこともある。彼女の弱い部分を誤魔化すようにできたのがあのお調子者の仮面

 

 

・記憶障害を持っている

 

何度も世界に消された影響で記憶がバラバラになってしまい、つい昨日のことも忘れてしまう。完全に覚えてない訳ではないが強い意志が必要。

 

追加情報

 

.ループが世界線の移動によって成り立っていることが判明。ぱち波がいた世界は異物のゴミ捨て場。その内消滅する世界。(転生によるループ)

 

 

 

裏話

 

彼女の中身は元々一般人のため、誰かを幸せにするという難しさと辛さを知った少女をベースに作った。しかし、それではエヴァの子ども達に合わないと考え、自分を忘れ、本当の事を仮面に隠す明るい少女というのを持たせてみた。いつも明るい子は裏にないかあると言うテンプレですね。

 

〜ループの中で傷付くことも傷付けることも知った。それを受け入れて世界に抗う少女は仮面を付ける。…仮面の下で泣いている少女に気付くのは…〜

 

なんていう厨二に溢れたキャッチコピーを書こうとしたが、やめておいて正解でした。はずかし。

 

 

オリキャラ

 

「    」

 

名もなき転生者

 

好きな人 黒波

 

苦手なもの 記憶すること

 

立ち位置 シリアス 人間味担当

 

エヴァ世界に飛ばされた一般人。異物扱いされ消されるが元の世界には帰ることはなく、エヴァ世界における並行世界を移動してきた。(本人はループと誤解)

 

今回のループでは、世界線が変更することはなかったため、誰かが原作キャラとどこかで関わっている。そのため、部隊に殺されることもあった。

 

ぱち波の仮面を外すと出てくる少女。あまりにも多く転生し、元々自分が誰なのかさえ忘れ恐怖し仮面を被ることで本来の自分と思っているものを閉じ込めた。ぱち波の性格は所詮、作り物である。

 

しかし、黒波のみが彼女の仮面を外すことができ、黒波が言うには優しい人らしい。彼女は良くも悪くも人間らしいと言えるだろう。

 

 

 

オリジナル機体

 

エヴァンゲリオン第7号機

 

ネルフ支部の地下深くに保管されていたエヴァンゲリオン。デザインは黒をベースに白のラインが入っている。発光部分は黄色。頭部は初号機型だが、まるで仮面を被っているような歪さがある。また、十字架が掘られておりその奥に瞳が2つ付いている。

 

解明された情報

 

・ベースは使徒

 

このエヴァンゲリオンは形状崩壊した使徒の残骸を復元したものをエヴァパーツと組み合わせて建造している。第2から第10の使徒が使われている。かつてエヴァンゲリオン4号機による実験を遥かに超えるものであり秘密裏に建造されていた。

 

・与えられていた役割は『破壊と再生』

 

起動さえできればガフの扉を強引にこじ開けることができるゼーレの切り札だった。しかしながらこのエヴァンゲリオンを起動させることのできるパイロットを造れず、封印されることになった。国連軍が凍結した実験を再開したことを泳がせていたのもこの為である。

 

・変態性能

 

とにかく他のエヴァよりも能力が高い。ATフィールドの出力や身体能力も半分人を超えている。使徒化を用いれば使徒の能力を使用可能。弱点らしいものは、そもそもシンクロがほぼできないことと、高いシンクロ率によるフィードバックの強さ。

 

・常に擬似シン化形態

 

後に分かったことだが、擬似シン化形態に似た状態だった。これは使徒が持っている生命の実がエヴァ体内で擬似的に発生しているため。ぱち波は半擬似シン化形態(仮)と名付けた。また、一度シンクロすればパイロットがいなくても多少動ける。

 

・戦闘能力

 

通常形態は変態スペックを利用した近接戦闘。使徒化後は加速粒子砲、侵食、トイレットペーパーアタック(ゼルエルのあれ)といった使徒の能力を駆使して戦う。

 

・シンクロ率について

使徒たちとの繋がりが薄れるとシンクロ率も落ちる。使徒とのシンクロ率が落ちると使徒の能力が使えなくなる。ダブルエントリーシステムで補助可能。

 

・Code Lilin 彼女が仮面を捨てた時、悪魔もまたそれに応える

 

シンクロシステムをアダムベースからリリスベースに変更するシンクロコード。アダムとリリンの子孫がシンクロする為、即インパクトを起こせる。エヴァ第7号機をシン化のエネルギーを制御し扱うことができる機体にさせるコードでもある。

 

十字架の仮面が落ち、目元が明らかとなる。目は初号機型だが右目だけ第13号機と同じ二つ目というかなり歪な形になっている。覚醒の時に展開する翼は所々折れたり、歪んでいたりと損傷が激しい。だが、飛行することに問題はなく、衝撃波を放つことも可能。

 

このエヴァ本来の力を振るうためには「  」がシンクロする必要がある。また、槍を二本扱えるのは魂が二つあるためである。

 

この機体が起こしたインパクトはパイロット以外の魂を全てガフの部屋にぶち込み、第7号機が持つ莫大なエネルギーで世界を巻き戻すもの。そこから本来の進化の過程を通して人類が繁栄していくことになる。

 

オリキャラ三分クッキング

 

ふと考えた。

 

・エヴァはアダムやリリスのコピー 

・アダムの子供が使徒

・なら,使徒でもエヴァ造れるのでは? 

・そして13号機ってベース複数使ってるよね…

 

はい。あのエヴァンゲリオンが完成しました。いや待て。使徒は形状崩壊してはけど残骸は残ってたから問題ない。ゼーレなら復元できるでしょう。しかし、パイロットはどうしましょうか…。使徒とシンクロなんてしたら侵食させてインパクトがドーンです。…ん?

 

・エヴァの中に人の魂とか繋がりがあるからチルドレンがシンクロできる

・つまり、エヴァとパイロットに共通点があればいい(ガバガバ)

・人と使徒の遺伝子はほぼ一緒

 

これでぱち波ができました。アヤナミ・シリーズならいっぱいいるし失敗しても代えが効くので問題ないと思います。転生の理由はシリアスを壊すために兄貴、姉貴を連れてくる為です。

 

 

原作キャラ

 

 

碇シンジ

 

気になる人 ポカ波 アスカ カヲル君

 

何この人  ぱち波 黒波

 

立ち位置 主人公

 

この作品だとメンタルが強めのシンジさん。ぱち波のせいで父親に少し同情的でネルフ組と仲が良かった。アスカ達の叫びに応え、エヴァを止める漢を見せたが世界がそれを許さなかったという原作通りに不憫な子。現在、罪悪感より現在メンタルブレイク中。

 

自殺衝動から立ち直り、少しだけ大人になったシンジ君。ゴミ捨て場と呼ばれる世界にはリリスが呼び込んだことも原因の一つであるが、彼は死に場所を探していたため、その世界と波長があったと考えられる。

 

旧劇の記憶を少しばかり引き継いでいるのは、過去に「  」と出会っているため。メンタルが原作よりも強めなのはその影響。なお、影響を与えた本人は知らない模様。

 

作り直された世界では近所に美少女二人と美人なお姉さんがいるという普通の生活を送っている。

 

綾波レイ

 

好きな人 碇君

 

何この人 ぱち波

 

立ち位置 キューピット兼ヒロイン

 

通称ポカ波。今回出番がなかった子だけどシンに期待している。当時幼稚園児だった作者のハートを奪っていった子。ゴミ捨て場においてシンジを立ち直らせたヒロイン。そして、アスカ救出の時はリリスの結界をこじ開ける力技を披露した。

 

作り直された世界では養子であり、施設を出たアルビノ体質の女の子。現段階は一人暮らしだったが碇ユイの一言で碇家に住むことになる予定。

 

 

式波・アスカ・ラングレー

 

守りたかった人達 あの時に関わった全ての人

 

守ると決めた人 どっかのバカガキ

 

心を許せる人(無自覚) コネメガネ エセヒイキ バカ

 

好きな人   バカシンジ

 

立ち位置 ツッコミ要員兼ヒロイン

 

この作品の良心。この世界で彼女ほどまともで優しい少女はいない。自分も助けて欲しいのに、守ってあげたいという矛盾を抱える少女。だが、安心して欲しい。シンジさんが手を伸ばさなければ、伸ばすように背中を押す異物がいます。

 

最近、マリやぱち波との距離が近い。(無自覚)

 

過去に「   」とかかわりがあった事により原作よりも優しく、責任感が強くなった。そのため、人に対して敵意を見せる事ができないため苦しんでいた。旧劇とは逆になるが彼女は誰かを心から好きになることができた。

 

 

 

真希波・マリ・イラストリアス

 

興味があること この世界、わんこ君

 

気にしている人 姫,ぱち波

 

立ち位置 ボケツッコミ兼女友達

 

イメージは悪友。ぱち波の良き協力者。ぱち波は何気に世界の事について彼女に詳しく話している。そして原作に情報が少ないので微妙に扱い辛い子。また、黒波にも興味を持ち始めた。いいかんげんにしろよぱち波。

 

過去、「    」に救われており、ぱち波が転生していることに気が付いた数少ない人物。世界が再構築された後、勿論、彼女の事を覚えていないが黒波の説得によりぱち波の捜索に協力した。因みに研究室のメンバー全員を巻き込んだ。

 

 

 

 

仮称アヤナミ・レイ

 

気になる人 ぱち波 碇君

 

愛すると決めた人 「   」

 

人生の師匠 〇〇先輩、お菓子材料屋にいる店長他

 

立ち位置 シリアスブレイカー,圧倒的ヒロイン

 

一番の被害者。しかし,本人が楽しそうだしいいんじゃないかな?黒波は自我が薄いのでなんでもしていいかなって思ってやってしまった。誰よりもぱち波と繋がりを持ち、唯一ぱち波を制御できる人。聖典の知識に従いぱち波を喰った女でもある。戦闘能力は使徒化してないぱち波を超える。その能力はエヴァの操縦にも活かされており、変態じみた動きができる。

 

ぱち波の仮面を外せる。黒波はぱち波(「 」)を愛してる。愛してる。(重要なことなので、)圧倒的ヒロイン力。

 

多分、ポカ波以上に(色々な方向に)成長したキャラクター

 

新しい世界で唯一ぱち波を覚えていた人間。魂に記憶が刻み込まれているレベルなので忘れることがなかった。そのため、ぱち波は消えることなく存在し続けたというわけだ。仕事は探偵の皮をかぶった何でも屋で本当に色々なことをしている。その顔の広さでぱち波を見つけ出した。

 

愛、すごいなぁ。

 

 

 

渚カヲル

 

気になる人 碇シンジ君 ぱち波

 

立ち位置  男友達兼ヒロイン?

 

シンジ君の味方。どんな罪を彼が背負っていても側にいる子。しかし、彼が望む幸せに自分が入ってないことをリリ…ママに説教されている模様。実は退場させる予定だったが、ママと槍とアダムスの生き残りが揃っている事に気付き、ああなりました。

 

何というか…道案内役とシンジ君の覚悟決めのような役割を果たした。退場させる予定だったため扱いが難しい。幽霊になり消えた後は第7号機のコアに入り込んでいます。

 

転校生として登場。たぶん文化祭でシンジ君を女装させる。

 

葛城ミサト

 

立ち位置 苦労人

 

この作品では、シンジ君に罪悪感を覚えている。また、作者が好きだったお酒のシーンがないのがショックだったので書いてやった。まだまだこんなもんじゃない…。もっと残念なミサトさんを書きたい。と思わせるキャラ。なんやかんやで、ぱち波とうまくやってる。

 

日常編ではシンジたちの担任で生徒の人気者。ただ、生活面はお察し。

 

 

 

 

碇ゲンドウ

 

立ち位置 苦労人

 

2人の綾波に振り回されるお父さん。過去は捏造。素行が悪かったらしいと知り,喧嘩に明け暮れて身体がバキバキなゲンドウ君を想像してヨダレがでたので採用した。因みに某幼稚園児のハートキャッチした人でもある。碇の血は怖いものだ。

 

どうしても活躍させたかった。不器用すぎる父親であることを自覚しており、それでも直そうとしないのはユイと似た者同士なのかもしれない。

 

日常編ではユイと結婚。それに至るには熱いドラマがあるのだが割愛。

 

 

 

冬月コウゾウ

 

立ち位置 愉悦部

 

振り回されるゲンドウ君を見て、笑っているご老人。どこかの外道神父といい酒が飲めそうだと思う。

 

日常編では大学教授をやっている。ぱち波が恐れるおじいさま。油断すると課題が増える。

 

 

北上ミドリ

 

立ち位置 知り合い以上友達未満

 

見た目や言動によらず、自分の考えが正しいのか必死に悩み、ぱち波の質問にも答えた優しく誠実な性格の持ち主。その答えに正解はないがシンジの気持ちを理解しつつ、止めようとする強い人である。

 

劇中でのシンジに向ける表情が職員で一番現れていたので、そういうキャラにした。ああ見えてしっかり考えているので気に入ってる一人。

 

加持リョウジ

 

立ち位置 非道になりきれなかった親

 

リリスによって消された存在。ぱち波の研究に関わっており、ゴミ捨て場でエヴァの運用をサポートできる最低限の設備があったのは彼のおかげ。正直、本編にどうかかわってくるのかが全く予想できないキャラクターだと思う。

 

使徒

 

第7号機に使われている使徒は本体とは別物になっている。またそれぞれが自我を持つ程度には魂がある。

 

つまり、擬似的な生命の実を持っている為、擬似肉体の生成もできる。

 

 

第2の使徒 リリス

 

人類の母がどうしてこうなった。張り付けの生き方に嫌気がさしていたのか、ここではクソ自由。母性がハンパない。しかし、知識や力もありぱち波の支えになっている。因みにぱち波の影響で女体になっており、ぱち波は喰われそうになった。何故こうなったかというと、

 

・使徒の能力確認の為に動画を見ます

・リリスの場面になります。

・白い肌で、全体的にモチモチしてそうだと思います

・リリスは人類を産んだ

・つまり、母親

・閃いた

 

こうなりました。

 

第3の使徒

 

リリンに実験された経験によりリリンの心理を理解している知恵者。よく第8使徒と一緒にいる

 

第4の使徒

 

癒しの天使。ぱち波の腕によく抱かれてる。怒ると怖い。

 

第5の使徒

 

癒しの天使Ⅱ。彼はぱち波の肩によく引っ付いている。変態のストッパー。

 

第6の使徒

 

ぱち波とゼルの影響で変態化した。しかし、根は紳士で忍耐強く努力家。今は自ら女体に触れるように練習を重ねている。

 

第7の使徒

 

このメンバーのお爺さん。原作では速攻でやられたが、実は強い。上空からの攻撃にはとても弱いが、それ以外の弱点はない。正面から戦おうとすれば地面から黒棘で奇襲。狙撃だろうとデコイを持っている為次弾装填中に攻撃できる。また、黒鉄のようなものが組み合わせてできた身体などでそれを攻撃に利用すれば、エヴァの装甲を容易く貫けると本人は言っている。因みにゼルやラミもこの人を師匠に持つ。

 

第8の使徒

 

超マイペースだが決める時は決めるカッコいい奴。度胸もあるのでふとしたギャップ萌えを備える強敵。

 

第9の使徒

 

このメンバーの中の常識人。なのでよく苦労する。しかし、とても仕事が早く有能。また、むっつりである。

 

 

第10の使徒

 

最強の変態。ぱち波の影響を受けるまでもなく変態だった。普段は変態な言葉が目立つが戦闘時は無口で無慈悲。何気にぱち波と性格の相性が良い。

 

使徒たちは黒波の事務所に住んでいる。サイズは子犬から柴犬位の大きさまで変化可能。黒波が世界を回っている際に捕獲した。UMA確定なのによく外に遊びに出かける。

 

 

 

 

Q どんな世界観なん?意味わからんけど。

 

A 私にもわからない。嘘ですごめんなさい

 

世界設定についての説明

 

中盤でぱち波は世界A→世界Bと移動しています。

 

ちゃりんこアスカはアスカが眠っている際に、流れた回想です。文章力がなくて誠に申し訳ない。

 

新劇場版の世界は旧劇世界の続きと解釈してこの作品の設定を作っている。まず、原作の世界。これはそのまま。

 

ただ、Qの世界は破でシンジ君がいた世界とカヲル君が統合した世界と解釈。これらを含めて原作の世界と定義。便宜上世界Aと呼ぶ

 

次に、第一話でぱち波が目覚めた世界はゴミ捨て場の世界。原作にはないオリジナルの世界。世界Bとする。

 

元々ぱち波は世界Aに転生したが異物として消され、世界Bにたどり着いた。ここはエヴァ原作で存在しないものが存在する世界で原作を進める際に、必要ないものがある。世界Bには世界Aに関係するものが多いが世界Bに存在するものはほとんどが虚像。

 

それがエヴァ第7号機とそのパイロット、その設定(資料)。何度もエヴァ世界に行くが世界に消されてここに戻るの繰り返し。

 

7号機パイロットに転生し物語開始。異物ではあるがA世界に関係するため消されにくいとされる。つまり、物語開始は世界Bから始まった。

 

 

ぱち波について

記憶障害があるためかなりガバガバであることを忘れてはいけない。実はこの設定を消したいくらい嫌い。何やってんだ!作者ァ!

 

世界に消されるとかぱち波が言ってるけど普通に「読者)考えたら、神リリスがやってる。なぜなら、ぱち波みたいな存在は確実に邪魔になるから。実際邪魔。シンジ君も邪魔。ぶっちゃけ、人類全員が必要で邪魔。(魂とLCLだけが必要)

 

 




質問や面白い考察、何かあったら感想欄にて。(露骨な感想稼ぎ)




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日常
ある男の恋路


しばらくぶりの投稿となります。映画を見てちょっと心肺停止状態でしたが私は元気です。




一応、シンのネタバレ注意です。


この世界は特に変わったものは存在しない。エヴァンゲリオンもそれに関係する組織もまた存在しない世界だ。そんな世界にした張本人である人間は普通に生活していた。

 

忘れていた幾つもの存在や記憶を取り戻した。しかしながら、その記憶はぱち波としてあの世界で過ごした記憶である。それ以降の彼女の記憶はとうの昔に消えてしまっている。

 

だが、彼女はそれを受け入れていた。それも人間らしいだろうと微笑みながら。

 

 

 

はい、ぱち波です。自己犠牲を覚悟して世界を救おうとしたのに、普通に生き残ってしまいました。クッソ恥ずかしいです。というか黒波はまだわかるんですけど、マリも私のことを思い出した事に驚きを隠せない。本当にあなたは型破りというか、予測できないというか…。どうせ今も冬月先生を困らせているに違いない。

 

黒波とマリが協力するわ、あの研究室のメンバーまで巻き込みやがった。…これが人間の意志の力だと好意的にとらえておきましょうかね。

 

「…今日は彼らの結婚記念日ですか」

 

ソファーの上でくつろぎながら、脳裏に映し出される懐かしい思い出にふけっていた。

 

 

ここは京都大学の研究室。室長は冬月コウゾウ。そして私が知る人は他にもいる。碇ゲンドウ、綾波ユイ、そして、真希波・マリ・イラストリアス。戸籍や衣食住もすべて用意してもらった対価として研究室で働くことになったんだが、メンツが濃い。

 

ある程度マリが私をサポートしているが正直大学の研究なんて憶えていない。手探りでやっている状態だ。でも、この時期のゲンドウやユイに会えるのは少しだけ新鮮だった。

 

よくユイがゲンドウ君のことを可愛い人と言う。私は髭の彼しか覚えていないため、その感性についていけなかったが今はそうでもない。彼はシンジに似ていたからだ。一人でいるのが好きで、他人と関わることを嫌った。イヤホンをして外界を閉ざす行為にも本当に似ている。

 

そんなものはユイとマリが壊していたけどね。ユイに出会ったことでゲンドウは人生が楽しいと感じるようになった。だからこそ、ゲンドウ君はユイを失った孤独や絶望に耐えられなかった。シンジを見ることができなかった。それが贖罪だと考えて。

 

 

まぁ、これから先ユイがゲンドウの手から滑り落ちることはない。どれ程自分が傷ついたとしても自分からは決してユイの手を離さないだろう。

 

「ぱち波さん!このキャラどっちだと思いますか!?個人的には総受けだと思うんですが!!」

 

 

そのような心構えでなければ彼女の心を射止めることはできないだろうから。

 

いや、言い訳をさせてもらいたい。彼女はサブカルチャーに疎かったらしく私にそのことについて教えて欲しいといわれたんですよ。おそらく、私が雑誌や漫画を読んでいるところを見ていたんでしょう。そういうわけで聞いていたんですよ。

 

そこでですね。ちょっとゲンドウ君の恋心はどのようなものなのか気になってしまったのです(迫真)だから、BLの沼に叩き込みました。最初は男同士の恋愛など可笑しいと遠慮していましたが叩き落しました。まぁ、時代が時代なのでまだ普及していなかったですがこの私にかかればどうということはない。

 

研究室メンバーからはOHANASHIくらい、マリからは襟首をつかまれガックンガックンさせられました。

 

「わんこ君が生まれてこなかったらどう責任取るつもり!?」

 

と割と真面目に怒られました。それを踏まえても私はゲンドウが諦める未来が見えないですけどね。まぁ、彼女の趣味というか生き様を少しでもこちら側にすることができれば、ゲンドウ君の手をすり抜けるようなことはしないでしょう。

 

流石にユイ自身がゲンドウ君の手をやさしく解いてしまったら、今のゲンドウ君はその手を放してしまう可能性があります。そんなことはさせるかとばかりにお節介をしてしまいましたが、これが彼や彼女にとって良いものだと思います。

 

エゴだとしても、本音を伝える間もなく離れてしまうのは悲しいでしょう。

 

さて、この先の彼の恋路を見てみることとしますか。えっ何ですか冬月先生。…この量のレポートを明日まで…?この鬼畜教授!!

 

 

 

 

俺は…一人が好きだった。誰にも関わらずに生きていくことができたなら、孤独を感じることも責任を感じることもないからだ。

 

知識が好きだった。人間関係とは違って一方的に好きなだけ詰め込むことができるからだ。だから、知識をむさぼった。

 

ピアノを奏でることは俺の心の安寧を保った。決められた鍵盤から決められた音が出るこのプロセスが好きだったからだ。

 

俺は一人で生きてきた。過去も現在もそしてこの先もそれは変わらないだろう。そのはずだった。

 

私の人生が変わったのはユイと出会ってからだった。一人で生きてきた私の心を彼女は変えたしまった。その時から私はいつもの生活が初めて楽しいと感じるようになった。今までこの目に映らなかった存在がうつるようになった。うっとうしくも私とユイの関係を取り持ってくれた女性や彼女が所属する研究室の教授。そして諸悪の根源…。

 

そうだ。俺は碇ユイに惹かれている。この気持ちを伝えようと私なりに考えていた。いざ、その言葉を伝えようとしたときに彼女の机からとある書物が置かれているのを見つけた。

 

彼女がどのような本を好んで読むのかが気になった俺はその本を手に取ってページをめくった。

 

 

 

めくってしまった…。

 

 

……あの馬鹿はどこだ…!

 

ゲンドウは激怒した。必ずやかの暴君を殴り飛ばすのだ。ゲンドウは誰かに対して怒りを向けたことがなかった。その点に関してはぱち波もまた、ゲンドウを人と関わらせようとする行為を行っている。つまり、ぱち波の行動はゲンドウの持つ他人と関わることへの恐怖を薄めていると言えるだろう。

 

まぁ、それはそれとして、ユイを腐海の海に沈めた張本人をしばきまわす事を最優先としてゲンドウは行動を開始した。

 

「…あの…なんで私は正座させられているんですか?しかも固い床の上で」

 

「黙れ。自分の胸に聞いてみろ」

 

「…丁度いい大きさだと思っおわー!?」

 

ゲンドウは目の前の生命体に石を担がせた。普通に拷問である。

 

「ちょっ…ゲンドウこの野郎!私が何をしたっていうんだ!!」

 

ゲンドウは無言で石を追加した

 

「おおおおお…!わ、分かった!君が楽しみにしていたショートケーキ食ったことでおこっているの!?それともあれか!?君の水筒の中身を精力ドリンクに入れ替えたこと!?」

 

ゲンドウは無言でr

 

「後半は初耳だ」

 

「えっ、この状態で続けるの?鬼畜かな?」

 

ゲンドウは

 

「噓です!私に慈悲をかけてくれるいい人です!」

 

とりあえず。話し合いを行う状況が整った。

 

「それで?これはどういうことだ?」

 

俺は例の書物を諸悪の根源に見せる。

 

顔を青くして目をそらすぱち波。怒りのボルテージが上がるゲンドウ。

 

 

無言の時間がしばらく続いたところで、ぱち波は降参とばかりに両手を挙げた。

 

「…私なりに彼女の特異性を抑えた結果なんですけどね」

 

「どういうことだ」

 

ユイの特異性?彼女はごく普通の…俺に声を掛けてくれた彼女に特異性…?

 

「綾波ユイの特異性。それは、自分を大切にしていない…目的のために自分を捧げることをいとわない。それこそが自分の生きる意味だと考えている。それが彼女の特異性。…彼女は少し限度がすぎる」

 

「…」

 

「それを抑える為に何かが必要だった。正直、その本は応急処置にすぎないけどね」

 

ユイは…そのような素振りを見せたことはない。いつも優しい笑顔で…

 

「…溜め込むのよ。君と同じで」

 

困ったように微笑む諸悪の根源は、何処か懐かしそうに見えた。

 

「彼女はこのままでは元に戻ってしまう。そうなれば、彼女は自分を愛する術を知ることはない。私たちの前に現れることもない」

 

抱えていた石をおろし、その場に立ち上がるぱち波。彼女の目がゲンドウの目を見る。

 

「君はこの話を聞いてどうする?彼女に同情するのか。気にするなと伝えるのか。彼女の意思を尊重するのか。それとも…君自身が持つ言葉を伝えるのか」

 

…くだらん。なぜ俺がこいつの話に乗る必要があるのだ。そもそも、こいつの話が噓ではない証拠は何処にある?

 

ゲンドウの心の奥でジクリと何かが痛む。

 

ユイに惹かれていたのは事実。しかし、その彼女の特異性を俺に話す理由はなんだ…?俺はただ、ユイの近くにいることが出来ればそれで…っ!

 

ハッとしてゲンドウはぱち波の目を見た。何処かユイに似た目で俺を見ていた。その瞳に俺が写っている。俺を見ている。

 

「…君は…どうする?」

 

ぱち波は再度問いかける。

 

ゲンドウは無言でそれでいて迅速に踵を返し、何処かへ向かう。ドアを開けて一歩、立ち止まりそれを伝えた人間に声をかけた。

 

「…礼を言う。何か見返りはあるか?」

 

「なら、彼女の手を離さないで」

 

「わかった」

 

 

 

 

 

全く、背中を押すのも大変ですね。まさか、彼女の特異性がこんな形で現れるとは思いませんでした。私もその事実に気が付いた時は大慌てでしたよ。ユイさんをBLに叩き落すぐらいに。正直言って、私が介入した方が絶対に安全ですし、メリットも大きい。

 

それでも、彼女の手をつかむのは私ではない方がいいと思う。

 

彼女の手をつかむのは、不格好で臆病者で不器用な男。

 

昔よりも力強いその腕で、その言葉で彼女を救ってくれると私は信じている。

 

どたどたと研究室に近づいてくる足音が聞こえてきた。きっとマリが事に気が付いたんだろう。さて、怒られる準備をしようか。

 

ふと、窓の外を見ると不格好な男が全力で走っているのが見えた。

 

 

 

どんな障害があったとしても彼は必ず彼女の元へたどり着くだろう。

 

彼は元天使に信じられているのだから。

 

 

 

 

 

 

「…先生。ぱち波先生!」

 

「おう!?」

 

「もう…いつまで寝てるんですか?もう皆出かける準備できてますよ?」

 

ふむ…。どうやら眠っていたようだ。にしても、なぜここにシンジ君達が?

 

「何言ってんのよ。先生が買い物に付き合ってくれるって言ったんじゃない」

 

アスカがあきれたように言い、綾波もうなずいて肯定の意を示している。

 

あぁ、そうか。そうだった。

 

「ごめん。今準備する」

 

「…40秒で支度しな」

 

「無駄に似せてくるのやめてくれます?」

 

黒波は平常運転です。

 

着替えて荷物を持って準備完了。

 

さて、行きますか。

 

 

一つの結末を終えた世界で生きる彼女の物語はもう少しだけ続く

 




ユイの特異性は何かに没頭し、作業をしなければ自身の価値を見いだせないというものです。自身の価値が見いだせず、命を散らしてしまおうかと考えるようになった時期のお話でした。

ユイは何処か危なげない所があると思います。





ネタバレ注意


シン・エヴァの感想

いくつかの考察が当たっていたことはさておき…




ああああああああ!黒波ぃぃぃぃ!!!

鈴原サクラが桜

いい女だぁ…!

ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!


ゲンドウ!!!!

好き!!!!!







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