盾のヒーローと幼馴染の電撃姫 (虹姫琴魅)
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1話 電撃姫の回想

初めまして、虹姫琴魅(にじひめことみ)といいます。
ハーメルンでは、初の投稿となります。何ぶん思いつきと自分が、こんな感じの話が見たいというだけで書き始めた物です。

少しでも楽しんでいただければ幸いです。

2020.2.6更新
メッセージにてアドバイスを頂き考えさせられました。
二次ファン末期に初めて小説を書き二次ファン閉鎖に伴い別サイトに移転し続け始めてすぐに仕事の部署異動になり、忙しさに全く書けずにサイトのパスを忘れてしまう始末…

ほぼ処女作と言っていい今作を、早く盾の世界まで行きたいと大切な導入部分を書きなぐっていました。

稚拙な文章は、行き成り良くなる事は、ありませんがもう少し丁寧に書いてみようとは思います。


私の大好きな幼馴染の緑谷出久の思い出は、幼稚園の頃から始まる。

 

緑色系の縮れた髪の毛とそばかすが特徴的で、オールマイトをはじめ活躍するヒーローたちを瞳を輝かせて語る男の子

 

でも、その男の子は無個性だった。

 

中国の軽慶市での「発光する赤児」が、発見されたとの報道以降に次々と超常的な能力【個性】を持つ人が報告されるようになり今では、世界人口の8割が個性を持つ超人社会になっていた。

 

元々人は、少数派を下に見たり馬鹿にすることがある。それが、個性…超常的な能力が無いという誰の目にも見える形であれば尚更であり、子供の未成熟なコミュニティであればさらに顕著にその傾向が出てしまう事もある。

超人社会の前には、ちょっと、運動神経が悪かったり勉強ができなかったりすると馬鹿にされたり時には、エスカレートして虐めに発展することも珍しい話では無かったのだから…

 

出久もまた無個性故にいじめの対象になっていた。

無個性なのにヒーローになると夢を語ることも馬鹿にされたり虐められたりする1つの原因だったのかもしれない。

 

出久が、目を輝かせて話し憧れているヒーローたちは、皆…強個性の持ち主だから…

 

オールマイトの超パワー。

 

エンデヴァーの爆炎

 

Mt.レディの巨大化

 

どれも、超人社会の世界でも強力な個性だ。

地方のマイナーなヒーローを含めても無個性でプロヒーローに成っている人はほぼ居ないと言っていい。

 

 

幼稚園の子供にだってヒーローは、凄い個性があって強いからヴィランをやっけて捕まえていると思っているのだから…

 

無個性なのにヒーローに成れるわけないだろうと出久の夢を否定し馬鹿にする。

無個性のくせに生意気だと時に暴力をふるう。

 

それでも、出久は、諦めなかった。どんなに馬鹿にされてもヒーローに成ると憧れるオールマイトのように成りたいと語り、私にヒーローの事を話し始めると止まらなくなり私の知らないマイナーなヒーローの事も嬉々ととして話す、ちょっと頑固で変わった男の子というのが、出久に対する私の最初の印象だった

 

 

最初は、無個性で可哀想という同情だったのかも知れない。

 

出久が、馬鹿にされていたり虐められているのを見つけると

 

「こらーっ、出久を虐めるな」とその場に走っていく

「うわっ、御坂だ」と出久を馬鹿にしていた子たちが、雲の子を散らすように逃げていく

 

私の個性は、この頃からかなり強力なものだった。個性【電撃】で100万ボルトを超えていたと思う。

 

「出久は、私が守ってあげるから一緒にいてよね」とヒーローを目指す男の子に対して今思えば随分酷いことを言っていたととも思う…

 

そんな事から私が、出久の側に付いていくことが多くなり自然と一緒に過ごす時間も増えていった。

 

その後もしばらく同い年なのに妙にお姉さんぶって出久に接していたのも今思えば赤面ものだと思う。

 

そして、一緒に過ごす中で出久のヒーローよりもヒーローらしくある男の子としての姿が、心の中でどんどん大きくなっていた。

 

子供は、時に残酷なことをすることがある。無邪気ゆえに残酷さ、無知ゆえの残忍さと言えばいいのだろか‥‥

 

例えば、おもちゃの拳銃を手に入れたとき、壁や空き缶だけでなく、野良猫や蛙、鳩などに向けて撃つ、自慢半分、悪戯半分に友達に向けて撃つなど遊び感覚で行う子もいる。

 

個性のある子の場合、自分の個性を試したい凄さを見せびらかしたいと玩具の銃の代わりに小動物に個性をぶつける子も多い。

 

その場面を目撃すると出久は、迷わず飛び出して行った。

個性の標的にされた小動物を庇い、いじめられている子を助けた。ヒーローのように格好良く虐め子を退治する訳ではない。

小動物やいじめらている子の代わりに殴られ、個性の標的にされる、それでもいじめっ子が、諦めるまでまたは、私が助けに行くまで耐え続け「もう大丈夫」と怯えている虐められていた子に手を差し伸べる姿は、ヒーローよりもヒーローらしく思えたのを今でも覚えている。

 

小学交に上がった時にいつも何かを誰かを助けに飛び出す出久に聞いたことがあった。

 

「何人もいる虐めっ子の前に出るのは怖くないの」と

「相手からの個性とか怖いと思わないの」と

 

出久は、少し考えるように目を瞑ると

 

「考えたことないや、助けを求める顔を見たら足が手が体がかってに動いてるんだ」と自分の手を見ながら言う。

「でも助けた後は、凄い怖かったと思うんだけどね」と自分の頬を右手の人差し指で擦りながら恥ずかしそうに言う。

 

「やっぱり、出久は凄いね、お爺ちゃんの言っていたヒーローみたい」

 

 

私の曽祖父は、御年80歳になるが、超が付く武術家である。身体強化、火拳、雷拳、などの個性を持つ武道家と言うのが世間での認識だった。

 

私は、生まれた時から個性が強く、使い方を間違えれば人を傷つけ、下手をすれば殺してしまう程だったため,物心がついた時から現在も継続してお爺ちゃんに個性の扱い方の訓練と暴走しないように精神的な鍛練つけてもらっている。

 

そんな鍛練をしている時に何度か出久の話をしたことがあったのだ。

 

「人の記憶に残る多くのヒーローはな、皆こう言っているんじゃ 考えるよりも早く心が体が先に動いているとな…まるで其の子のようじゃな」と

 

出久の話を聞き

 

「お爺ちゃんの言う通り、出久は、助けを求める顔を見たら助けようと体が先に動くって言ってたの…でも、無個性だからいつも馬鹿にされて、ヒーローなれる筈が無いって言われてて」悔しさに涙を浮かべなら言う私の頭の上に手を置き

 

「お爺ちゃんはな、実は無個性なんじゃよ」と私の頭を撫でながら言う

 

「嘘、お爺ちゃん手から火が出たり、ビリビリしたりしてたお」

 

「あれはな、ご先祖様が、人喰いの鬼を倒すための剣術の技だったのもなのじゃ、鍛錬と特殊な呼吸法で出来るものなのじゃ、刀を持つことが難しくなったのでの、素手の武術の技に変化したがの」と言いながら「雷の呼吸、一の型:、雷拳」と深い呼吸と共に拳に雷を纏わせる。

 

「出久も出来るようになるの?」

 

「直ぐには、無理じゃよ…厳しい鍛錬に耐え、諦めずに修行を続ければの」

 

「お爺ちゃん、今度、出久をここに連れてきていい?」と聞くとお爺ちゃんは、優しく微笑みながら頷いてくれた。

 

 

翌日、私は、出久に「あたしのお爺ちゃんね。無個性だけどヴィランに勝ったんだよ」と教えると

 

「本当に、凄いや」目を輝かせながら会ってみたいと言う

 

緑谷出久7歳、小学2年生で私の曽祖父で無個性の鬼滅の拳士の弟子になったの。




反省をして書いてみました。

説明文が増え、読み辛かったりして居ないか心配です。


誤字脱字や解り難い、読みにくい等あれば知らせていただければ幸いです。


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2話 電撃姫の回想2

早く盾の世界に行きたいので回想は、駆け足になります。


2020,1.10

修正してみました。

少しでも読みやすくなっていればよいのですが…


私のお爺ちゃんは、出久の事を気に入ったようで、出久が、語る理想のヒーロー像やオールマイトへの憧れを無個性でも諦めたくないという思いを優しい眼差しで聞いていた。

 

翌日からの修行は、ある意味で地味なものだった。

お爺ちゃんの家の裏山をランニング代わりに走り回ることから始まった。

舗装された道路と違い、足場も悪く傾斜もあり時には岩から岩にへジャンプしたり2~5メートルの岩壁を登り降りしたりとハードではあるものの、よくある、根性スポ根やものや少年漫画でよくある休みなく何時間、十数時間とやるものではなく、出久の体力の向上に合わせて少しづつ時間と距離を伸ばしていった。

 

また、ただ走るだけでなく、山にいる動植物や所々にお爺ちゃんが書いたマークや数字を観察確認するようにさせていた。

 

これは、ヒーロー活動においてヴィランに対しての戦闘力だけではなく、地形の確認や周囲の様子確認が大切なためであり、常に周囲に気を配らなければならないからだ。

 

例えば、戦闘中に逃げ遅れて隠れたいた人を巻き込んでしまったり、逆に敵の伏兵に気がつく事が出来なければ、負傷者を増やしてしまったり、ヴィランを取り逃がしてしまう事もあるからだ。

 

ある意味、観察力、洞察力とそれに伴う判断力は、ちょっとした戦闘力や個性の強さ以上に重要なファクターでもある。

 

まずは、基礎体力と観察力や判断力の訓練を中心に行い。

 

その後、柔軟を念入りに行いその後に筋トレを行う。筋トレは、一般のスポーツクラブ行うものより少し多い位であった。

 

出久は、現役ヒーローの逸話やヒーローもののアニメなどの訓練などの所謂、超人的な修行を予想していた為

 

「僕は、個性が無いから…何倍も、何倍も頑張らないといけないんです」

 

「努力と無茶は、まったく違うものじゃ…確かに現役ヒーローたちの逸話では、常人では考えられないような修行をするもの居るがの、それは、自身の個性や回復系の個性を持つ者が側にいたりするからじゃ」

 

でもと呟く出久の頭をなでながら

 

「根性や無理でもやろうとする精神は、譲れない場面では確かに必要じゃ、力の差を精神で補うことは確かにある。じゃがな出久よ、それは、誰かを助ける為であって、無理な修行して体を壊すかもしれない危険を冒すことかの?」

 

「でも、それじゃ、何時になったら出久は、お爺ちゃんみたいに強くなれるの?」

 

出久が、修行するようにりちょくちょく修行に参加するようになった美琴が質問すると

 

 

「何度もいうがの体も出来ていない時に無理をさせたらそれこそ、故障したり下手をすれば壊れてしまうからの…まずは、気と呼吸法、全集中の呼吸をマスターすることからじゃの、これをマスターすれば多少無茶をしても大丈夫だからの、それこそヒーローの逸話のような修行の始まりじゃ」

 

気と聞いて出久の瞳が、輝くが

 

「氣って、アニメみたいに○○波ってビーム(気弾)出したり力を何倍にもするやつ?」と美琴が聞くと

 

「そういう個性なら出来るかもしれんが…普通は、火事場のクソ力位の身体強化程度じゃな。身体強化なら呼吸法の方が、断然に上じゃ…ただな、気をマスターすると相手の氣の流れや生命の鼓動と言うか波動と言うかを感じることがで出来るんじゃよ、相手の気配や殺気を感じやすくなるからのマスターして損はないはずじゃ」

 

「え~っ波って出来ないの」とガッカリした様子の出久

 

「出来た人間を見たことがないの、じゃが気と呼吸法をマスターすれば、かなり無茶な修行をしても体が壊れることはないしの当面は、基礎体力と気と呼吸法の修行じゃの」

 

その説明の通り、最初の1年は、山での走り込み、武術の型の反復動作、適度な筋トレ、瞑想(気の練り方)(呼吸法の訓練)柔軟訓練、反射訓練(カードや水のは行ったコップを使った)を徹底して行うのだった。

 

小学校3年の冬には、気を感じれるようになり4年の春には気を操り身体強化や相手の気の流れを感じれるようになった。4年の夏には、全集中の呼吸も使えるようになった。

 

出久は、気が操れるようになった時も体が、軽く感じ今まで以上に動ける感覚に驚いたものだが、全集中の呼吸が出来た時は瞬間的ではあったが…下手な身体強化の個性以上の身体能力の上昇に驚きよりも歓喜に震え、そして自然に涙が溢れたのだった。

 

それは、喜びの涙だった。無個性であり、母親と美琴以外にヒーローに成るという夢を否定され続け出久にとって、初めての希望でもあったのだから…

 

 

何時のも裏山での訓練も高度になっていた。

今までは、よじ登っていた大岩や岩壁も気と呼吸法での身体強化で飛び越え、木々の間を連続で蹴り移り地面に足を付けることなく森をぬけていった。

 

そんな訓練を繰り返し道場にに戻った時に出久は、師匠に声を掛けられた。

 

 

「出久や、小川の大岩の側に咲いていた花の色は、何色じゃった?」

 

「黄色と白の花が咲いていました」

 

「ほっほほ、よく見ていたのでは、大岩に印をつけておいたのじゃが気がついたかの?」

 

「えっ、印ですか…」両目を閉じ、「うぅ~ん」と記憶を探りなが思い出そうとするするが、元々、ゆっくり観察しながら歩いているわけではなく周りを気にしながらとはいえ、全集中の呼吸法で身体能力を上昇させた状態で走り抜ける短い時間での事なのだから完全に見落としていたのだろう…

 

「う~んう~ん」唸りながら頭を捻ってもなんの印かは出てこなかった。

 

「僕、確認してきます」と言うなり出久は、裏山へと走っていく。

 

30分ほど走り大岩に到着し調べると岩の傷に紛れるように矢印があるのがわかった。

 

「この先に何かあるのかな?」と呟きながら矢印の先にある双子岩の間をを見てみると封筒が1つ岩に引っ掛かる様に置かれている。

 

「なんだろうこれ」と封筒を開けてみると中から1枚の写真が…

 

これって美琴ちゃんの写真…なんで水着の写真なの!?…

 

最近の海水浴に行った時の写真なのか…海で綺麗な貝殻を拾って、満面の笑みを浮かべる美琴ちゃんの写真だった。

 

出久も男の子である。小学4年生と言えば異性に興味を持って当たり前の年齢でもある。

 

それに美琴は、年齢の割にかなり発育が良いのだ…特に胸部においては、胸が大きく4年生で体育の時に男子の視線を集め恥ずかしそうにしている6年生の先輩並に大きい為に出久も顔を真っ赤にしながらついつい見てしまう。

 

封筒の奥にメモ書きが有り、師匠の字でいつも頑張っている出久へのご褒美じゃと書かれている。

 

ご褒美って師匠…これ、美琴ちゃんに見つかったらどうするんですかと思いながらもついつい写真を見てしまい。

 

顔を真っ赤にしながら・・・つい写真をポケットに入れてしまう出久であった。

 

この写真については、師匠が、出久のことを気に入っただけではなく、美琴の両親も出久の事をいたく気に入った為でもあった。

 

何せ娘が、毎日のように出久のことを話すのだから…

最初、幼稚園の頃は、私がいないとしょうがないんだからとお姉さんぶって話す娘を微笑ましく見ていたが、段々と出久は、凄い、ヒーローよりもヒーローらしい、私も負けてられない、絶対に一緒に雄英に行くんだと言い最近では出久と一緒に時折、修行にも参加するほどだ。

 

両親も初恋真っ盛りでデレ多めと言う娘の姿を見て多少心配したものの、何度か家にあそびに来た出久を見て、優しく無個性と言うハンデを努力で克服しようとし決して諦めない姿、そして雄英高校に行くため勉強も疎かにせずにしっかりと修行と両立している好感が持てる子だったため、本人たちが大きくなってもお互いに好意を持っていたら別に反対することもないと思ったのだった。

 

両親にとって父方の祖父である出久の師匠が、悪戯半分に頑張っている出久にご褒美をあげようとしているの知り今回の事を思いついたのだが…これは、娘の水着姿をと言うよりかは、出久の真面目な性格と幼少期からあまりに近すぎたために娘が異性としてあまり見ておらずに友達としか見ていないのではないかと思ったからだ。

 

あまり異性としての認識のない距離間の近いお友達関係は、ひょんな事から異性として意識している関係より、1段2段すっ飛ばしてしまうことがある。それよりも異性とある程度認識し適切な距離感でイチャイチャする分には問題ないと思ったからでもある。

 

出久としては、美少女の上にスタイルもいい美琴に十分ドキドキしているので、ある意味で大きなお世話だった訳だのだが…

 

その日からしばらく、美琴は、出久に合うたびに出久が顔を真赤にするので不思議に思う日が続くのだが

 

閑話休題

 

修行の話に戻そう

 

 

 

4年生夏以降、気の練り方や全集中の呼吸が出来るようになると常に気と全集中の呼吸を継続する常中の訓練と水、炎、雷、風の呼吸法の訓練と組み手が加わった。

 

そして、小学校6年生になる頃には、気と全集中の呼吸の常中もマスターした出久がいた。




あと1話か2話で異世界に行きたいな


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3話 電撃姫の回想3

お気に入り登録してくださった方、ありがとうございます。



出久が、お爺ちゃんの弟子になったばかりの頃は、幼稚園の時と同様に無個性なのにヒーローになるんだと努力しヒーローの研究ノート何冊も作る出久を同級生の多くは、馬鹿にしていた。

 

無個性なのにヒーローになんて成れる訳がないと馬鹿にし、出久が武術を習っていると知るとサッサと諦めればいいのに何を無駄な努力をしているんだと蔑んだ。

 

中には、出久の努力も知らずに多少の武術など、個性で強化されたヴィランに敵うものかと個性を使いちょっかいを掛けてくるものもいた。

 

元々、個性の有無やその強さで弱い人間を下に見がちなのだ。

 

そして6年生にもなれば、自分の個性の強さでは、ヒーローには成れないと諦める子も出てくる。

 

個性を持っている自分でもヒーローに成れないと親や周りから言われ中学受験であったり親の言う自分の将来への道に切り替えているのに…

 

無個性の弱虫が、何でヒーローを目指しているのか、何で諦めないのか

 

体を鍛える? 

 

武術を習う?

 

常人ならベンチプレス120キロで凄いと言われるのに対し身体強化をもつヴィランは、それこそ、車やトラックをぶん投げてくるのだ。

 

それでも折れない、個性のない自分より劣っているはずの出久に対しての気付かない嫉妬のようなものが彼らには有ったのかもしれなかった。

 

出久は、馬鹿にしてくる子や個性も対して個性で強化もしていない武術が通用するものかとちょっかいをかけてくる子に対しても攻撃的な呼吸法の技を使うことはなかった。

相手の攻撃を躱し、受け流しながら鍛えた脚力で相手を振り切ることが常であった。

 

下校時の帰り道に

 

「何でやり返さないの」と聞くと

 

「僕が、師匠の弟子になったのは、ヒーローになるためで仕返しをする為じゃないしね」と当たり前のことのように言う

 

出久のように虐められていた経験がある子が、強い力を持つと仕返しに力を使ったり、自分より弱い者に対して攻撃的になったり虐めたりすることが多々あるのも事実だったりするのだが…

 

「やっぱり出久は、凄いね」

 

「えっ? 何が?」と何の事かと私の方を見て言う

 

「いいの、私が、凄いと思っただけなんだから」と出久の右腕に抱き着きながら笑顔で答えると

 

「ちょっ、美琴ちゃん」と顔を真っ赤にして慌てている。

 

その様子が可笑しくてもっと”ギューッ”と強く抱き着いてみる。

 

その様子を同じ方向に帰る下校中の男子が、嫉妬に満ちた目で見ているのだが…

 

実は、出久への嫌がらせは、個性社会の中で無個性であること。無個性なのにヒーローに成りたいという身の程知らず(周りから見れば)な事もあるが、学校でも強個性の持ち主で美少女、しかも気さくで明るく性格も良い美琴が出久にべったりなのが男子たちにとっては気に入らないというのが結構、大きな割合だったりするのだった。

 

ちなみに出久に夢中の美琴は、他の男子の視線なんて全く気付いてなかったりする。

 

其のせいでほぼ毎日、出久は休み時間に多数の男子相手に追いかけっこをする羽目になるのだが…

 

翌日の給食時間、この学校は、クラス内なら好きにグループを作って食べていい為…

 

出久の前に自分の席を持って美琴がやってくる。

 

満面の笑顔で「出久、一緒に食べよう」と

 

その様子に、ある男子は、つまらなそうに…

ある男子には、嫉妬の籠った目で…

 

そして今日も又・・・・




次回、かっちゃん登場予定です^^


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4話 電撃姫の回想4

遅くなり申し訳ありませんでした。

かっちゃん登場です^^

長くなりそうなど分けました。


出久の気と全集中の呼吸法は、日々の鍛錬のおかげかその練度を増していた。

 

全集中呼吸法をマスターした頃から、ヒーロー真っ青な鍛練になったが、お爺ちゃんすら【努力の鬼】【信念の超人】と言わしめたほどで

 

いくら全集中の呼吸の常中をマスターしたと言え、数日に一度は、基礎訓練のみで休ませる休息日をお爺ちゃんが無理矢理取らせるほどだった。

 

そんな中、気による気配感知と周囲への観察力、空間把握能力が急速に高くなっている様子が見られる。

 

これは、意外にも学校での追い駆けっこが役に立っていた。

 

廊下を全力疾走をするときには、人とぶつからない様にまた、教室や曲がり角、階段などの死角から突然誰か出てくることもあり得るからだ。

常に気を練り、現状で感じ取れる最大範囲の気の流れを読み持ち前の観察力と合わせ周囲を把握しながら逃げているからだ。

 

また、なかなか捕まらない出久に業を煮やして背後からボールや放出系の個性を飛ばしてくる者もいる。

 

それを躱すか、射線上に他の生徒や壊れそうなものがある場合は、キャッチしたり弾いたりと一瞬で判断しなければならない。

 

一人で裏山を走りながら周囲を観察するよりもよほどいい訓練になっていた。

 

今では、背後から投げられたボールを振り向かずにキャッチできるほどになっていた。

 

今日も8人ほどの男子生徒を振り切り一息ついた出久に

 

「テメェクソデク!!3回連続で、俺から逃げ切ったからっていい気になってんじゃねぇぞゴラァ!!」

 

そう怒鳴りながら、大股で出久に向かって歩いていくのは、ベージュの髪を逆立て、赤い目に三白眼の少年…爆豪勝己だ。

 

「かっちゃん、別にいい気にもなってないし…追いつかれてる事のほうが多いんだけど…」

 

「やかましい!! 無個性に連続で逃げられてんだ、今日は、ゼッテェーひっ捕まえる」

 

今日日、田舎でも行かなければ見ないような、見事なメンチを切りながらそう言ってくる爆豪の様子を後ろに下がりなが出久は観察していた。

 

……かっちゃん、何で裸足なんだ?

 

出久が、気がついたのは爆豪が裸足であることだった。

 

小学生が、履くスニーカーはクッション性も高く衝撃を吸収してくれるので運動をする場合は裸足より履いたほうが良いはずなのだが…

 

かっちゃんが、意味もなく裸足になるわけが無いはず…まさか!?

 

出久が、自分の勘を信じてジャンプすると同時にその下を猛スピードで爆豪が通過する。…両手の手のひら・両足の足の裏で連続の小爆破させながら文字通り飛んできたのだ。

 

ジャンプし2階のベランダ縁に捕まりながらそのスピードに思わず

 

「速い!!」と驚き呟いてしまう。

 

今までは、両手で爆裂飛行だったけど両足も同時に爆発することで速度を上げたのか…双発エンジンの飛行機が4発エンジンのを積んようなものだと思えばいいんだろうか

 

しかも手や足といった可動域の大きい部位なのだ、今まで2箇所(両手のみ)でやっていた、姿勢制御や制動も4箇所でやるのだから運動性も格段に上がっている

 

「流石、かっちゃんだ、普通なら両手の爆破のコントロールだけでも大変なのに両手・両足の4箇所の爆破コントロールをただ飛行するだけでなく追尾飛行出来る精度でするなんて」

 

フィギュアスケートのジャンプのように両手足の爆破をうまく使い、くるりと向きを変える爆豪を見ながら2階のベランダ縁に体を引き上げ、同じように3階のベランダに縁に飛び移るとそのままベランダの縁を走りながら非常口を目指す。

 

「待ってって言ってんだろうがゴラァ!!」

 

爆豪は、怒鳴りながら空中という遮蔽物のない空間を一直線に出久に向かって飛んでいく。

 

出久は、ベランダに縁からベランダに飛び降りて爆豪を躱すと再びベランダの縁に飛び乗り4階ベランダ縁に向かいジャンプし縁を掴むとベランダの縁の壁を蹴り空中へ飛び出していく。

 

先程まで出久の居た場所に爆音を響かせ飛んできた爆豪が、出久の予想外の動きに驚く。空を飛べない人間が、4階からダイブしたようなものなのだから当然だろ…

 

「おい、クソデク!! 」と思わず慌てたような声を出しながら振り向くと

 

出久が、飛んだ先に校旗や国旗、祝日などに旭日旗などを掲げる…学校の屋上より高く伸びるポールがあった。

 

出久は、両手そのポールを掴むと消防隊員よろしく滑り降りていく。

 

その様子を見ながら爆豪は、肩を震わせながら

 

「クソデクがぁぁぁ!!、テメェは、武術じゃなくてパルクール習ってんのかぁぁぁ!!、絶てぇぇぇ逃さねぇぇからなぁぁ!!」

 

と叫びながら出久の逃げた方へと爆音を響かせ飛んでいくのであった

 




次で回想編は、多分終わりにあると思います。


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5話 電撃姫の回想5

お気に入り50越え…正直ビックリしています。

お気に入り登録して下さった方、本当にありがとうございます




「クソデクがぁぁぁ!!、テメェは、武術じゃなくてパルクール習ってんのかぁぁぁ!!、絶てぇぇぇ逃さねぇぇからなぁぁ!!」

 

そう叫びながら出久に向かって急降下爆撃機よろしく4階の高さから降下してくる爆豪を出久は、横っ飛びで避けると遮蔽物の無い広い校庭では、空中を移動する爆豪を躱し続けるのは厳しいと考え校舎裏へと走っていく。

 

防災倉庫の上に飛び乗るとその横にある体育倉庫の屋根に飛び移る。

勢いを殺さずにそのまま体育館へとジャンプすると体育館の2階通路(ランニングコース)の窓の外枠に捕まり屋根の縁へと飛び両手で屋根の縁を掴むと屋根によじ登る。

 

アーチ状の屋根の上をフェイントを織り交ぜまた、傾斜の高低差を利用し逃げ続けるが、爆豪は、両手足の爆破を上手くコントロールし引き離されることなく時には、先回りし徐々に出久の行動範囲を狭めていく。

 

出久は、何とか状況を打破し逃げようとさらに細かいフェイントを入れ引き離そうとするが……

 

ボンボンボンボンボンボンとマシンガンの様に連続した小爆発音が響く

 

思わず後ろを振り返り音の正体を確認しようとした出久が見たものは‥‥‥

 

両足の爆破を推進力とし両腕の指先に汗を集め順番に連続して小爆破することで一昔前のシューティングゲームの自機のドット移動のように細かい方向調整、移動調整をしている爆豪の姿だった。

 

えっ、嘘だ…あのマシンガンみたいな連続爆破を爆破方向、爆発力を完璧にコントールしてるの!?

 

「凄いや、かっちゃん、何時の間にそんな個性の精密操作出来るようになったのさ」

 

「あったりめぇだ!!、テメェが、ネズミ見てぇぇにチョロチョロ逃げ回るかなぁぁぁ!! なら、機動性と運動性をあげるしかねぇぇだろうがぁぁぁ!!」

 

体育館の屋根に逃げ場がないと判断した出久は、体育館の入り口側に走り、校舎から体育館の入り口まで続く外通路の屋根に飛び降りる。その勢いのまま地面に飛び降りようとするが、攻撃的な気の流れを感じ外通路の屋根の縁で止まるとその目の前を爆炎が炎の帯のように出久の行き先を遮った。

 

この爆炎は、直接攻撃じゃない、僕の移動範囲を制限する為の…そう思い、バックステップで逆方向の地面に飛ぼうとするが

 

「もう、遅ぇぇぇ!!、俺様の勝ちだ!! クソデクゥゥ!」

 

そう叫びながら全速で出久へ突っ込んできた爆豪の手が出久の襟首を掴む瞬間、出久と爆豪の顔面を水の膜が覆ったのだ。

 

突然の事に二人は、水を飲み込み、肺の空気を吐き出してしまう。頭を振り手で水を払おうとするが、水は二人の顔に張り付いたままだ。

 

何とか払おうするが、丁度、洗面器一杯分の水が二人の顔面に張り付いている。

 

たかが、洗面器1杯分の水と馬鹿にすることなかれ…人は、洗面器1杯分の水で溺死することがあるのだ。

 

二人の顔に張り付いた水は、6秒ほどすると流れ落ちる。

 

飲んだ水を吐き出し、新鮮な空気を求め咳き込む二人に

 

「まったく、50超えたおっさんをあっちこっち走り回せやがって」

 

そう言って二人の頭に拳骨を落としたのは、ガタイのいい、角切り頭に銀縁眼鏡をかけた男だった。

 

ちなみに、先ほどの水は、この男の個性【水操作】である。

 

「いてぇな、ただ追いかけっこしてただけだろうが、あと殴る前に口で言え、前田」

 

「教師を呼び捨てにするな、そもそも爆豪な、俺はな何度も言っているはずだぞ…個性の無断使用をするな!!とな」

 

「でも、先生、いきなり個性は無いと思います。かなり苦しかったですし。」

 

「あのな、緑谷、先生は、最初の爆音を聞いてから職員室飛び出して、二人を見つけた時からずっと【やめんかーっ】と怒鳴りながら追いかけてたんだぞ」

 

それを聞いた出久は、「あ~」と呟くと「かっちゃんの爆音で声が届かなかったんですね」

 

54歳という年齢で全集中の呼吸で身体強化をしている出久、両手足の4点バーストでスピード、機動性、運動性を段違いに上げた爆豪の二人の追いかけっこを大声で怒鳴りながら追いかけていたのだから…それは、しんどかっただろうと出久は、流石にばつが悪く苦笑いしてしまう。

 

「それなのに出久は、4階からダイブするし…ポールに手が届かなかった怪我じゃ済まないんだぞ、爆豪も当てる気はないようだったが人に向けてあの威力の爆炎を放つし…お前ら少し自重しろ!!」

 

「気を付けます」と返事をする出久に対し

 

「ちっ、しょうがねぇーな、今日のところは、この辺で終わりにしてやる」プイッと顔を横に背けながら言う爆豪

 

「今日じゃない、これからもだ」念を押すように前田先生が言う

 

これまでの様子を屋上で見ていた私は、追いかけっこも終わり、昼休みも残りわずかなのを確認すると磁力を操り屋上から2階の非常階段の踊り場まで一直線に降りると

 

「そろそろ昼休みが、終わるわよ」校舎裏の非常階段の踊り場から出久に声をかけると

 

 

「今日は、デクを捕まえたからな、次は、クソアマテメェだ」と私に指をさしながら爆豪が叫んでくる。

 

小学校に上がってしばらくして、あまりに出久に対する態度が酷く、虐めの度も過ぎていた為、一度、思わずこんがりと焼いてしまった事があり、その後、度々勝負を挑まれることがある。

 

私の個性は、幼稚園で100万ボルト、小学校1年500万、6年生で3億ボルトまで上がっている。しかもお爺ちゃんとの訓練で個性扱いもずっと行ているし、全集中の呼吸もマスターしている。

 

出久に対する態度が、酷かったため、爆豪への第一印象が悪かったこともありその都度こんがり焼いていたのだった。

 

より強くなろうとする姿勢には、多少の好感も持ち始めていた。

 

態度と言葉遣いをもう少し何とかすればなと思いながら

 

「チャイムが、鳴るまで後2分だよ、前田先生が居るんだから、個性は使えないわよ」と二人に言うと…

 

次の授業の黒木先生が、時間に厳しく説教も矢鱈と長いことを思い出したのか、二人は、慌てて教室へと走っていく。

 

その様子を見届けた美琴も非常口から校内に入り、非常口側の教室に戻るのだった。




この世界の爆豪は、美琴という自分よりも強い個性持っている存在を小1で知ったため多少、丸くなっています。

美琴に勝つのを諦めたわけでなく、勝つための努力を惜しまないと言う事と上には上がいることを知り、その上に行くには、出久よりも努力してやろうと思っています。

次話、雄英高校入学から冬休み前までをダイジェストでお送りして盾の世界へ行く予定です。


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6話 電撃姫の回想6

職場で欠勤者が何人か出て忙しくなかなか書けない状態でした。遅くなり申し訳ありません。


中学校に入ると私の個性は、10億ボルトを超えるまでになっていた。出久に負けないように試行錯誤しローレンツ力を利用して物体に電磁加速を加えて放つ超電磁砲〈レールガン)が使えるようになったのもこの頃だった。

比較的に手に入りやすいアミューズメントパークのゲームのコインを弾丸の代わり使うことが多い。

コインの場合は音速の3倍で放つと。威力と貫通力は、弾道上にある物を全て薙ぎ払うぐらい高い。空気との摩擦熱でコインが溶けてしまうため射程は50m、弾丸の速度を上げれば射程は短くなる。

 

コイン以外では、ホームセンターで手に入るペアリングを使う場合もある。これはベアリングの大きさで射程や速度が変わるが、大きいものは、その分重く携帯にも不便なためピンポン玉位の大きさの物を数個と拳大のものを切り札として1個カバンに入れている。

 

私と出久、爆豪は同じ中学校に上がり同じクラスとなった。

 

出久は中学でも無個性と云うことで馬鹿にされることがあった。主に私たちとは、別の小学校から来た子達だった。

 

そんな彼らも3か月もすると表立って馬鹿にすることは無くなった。

 

何故なら、数日おきに出久と爆豪の学校の敷地を文字通りに全体を使う壮絶な鬼ごっこが行われるのだ。

 

元々強個性の持ち主の爆豪ならわかる…例え4階から飛び降りようとも爆破の個性で飛行すら出来るのだから

 

この学校で爆豪と渡り合えるとしたら同じく強個性の持ち主の御坂ぐらいだろうと言うのがこの学校の生徒の一般的な意見なのだった。

 

それが蓋を開けてみれば爆豪との追いかけっこの中で、体育倉庫の屋根や2階ベランダの縁を飛び越えベランダまでジャンプして飛び乗る。3階ぐらいの高さからなら無傷で飛び降りる。

 

本当に無個性かと疑いたくなる位の身体能力に

 

出久が、雄英高校に行くんだと公言しても馬鹿にする人も少なくなっていた。

 

最近出久にちょっかいを掛けてくる理由は、無個性の癖にというよりは自分たちにとっては高嶺の花である美琴とイチャイチャして居る事が気に入らないという理由の方が多いのかもしない。

 

中学生になり、美琴は整った顔立ちに肩まで伸びる茶髪にピン止めを付けている。スタイルもよく胸はグラビアアイドル並みで、体育の時などは男子の視線を集めてしまう程だ。

個性、運動神経、学力も学園トップクラスでるのだが、その事で驕ったり鼻にかけるようなこともなく、活発でやや勝気なこともあるが誰に対しても飾ることなく平等に接し明るくさっぱりした性格でもある。中学一年の時にすら学年を超えてファンクラブが出来るほどに人気があったのだ。

 

そして、学校でもアイドル並みに人気のあったイケメンや、サッカー部や野球部などの運動部系のエース等、学校でも人気のある男子が美琴に告白するが軒並みお断りされ全滅している中……

 

容姿は地味で、身体能力・運動神経は高いが無個性である出久が、終始美琴を一緒に居ることが気に入らないのだ。

昼食は常に一緒に食べ、通学時・帰宅時も美琴と一緒なのだ。

しかも自分たちには見せることのない頬を赤くし優しい笑顔を出久だけに見せているのだからその嫉妬心も大きいものになるのだった。

 

美琴も中学生になり男子から告白すされることも多くなれば、出久と一緒に居る事で他の男子から嫉妬心を出久が集めている事は理解していたが‥…

 

最近の出久は、実は女子の中では優良物件としてじわじわと人気が出てきているのだ・・・・・・

 

真面目で優しくて勇敢な性格、無個性でも諦めずにヒーローに成ると修行をし極限まで体を鍛え(呼吸法の事を知らないのでそう思っている)爆豪とも互角に渡り合っている。

 

困っているといつも助けてくれる。かと言って暴力的ではなく不良やしつこいナンパから助けてくれた時も相手を倒すわけではなく

相手の攻撃(個性を含む)を受け止め、受け流し、相手の体制を崩し相手をケガさせることなく制圧するのだ。

 

容姿も悪く言えば地味だが良く言えば可愛いともいえる容姿だ。しかも学力も雄英高校に行こうというのだから成績も低い訳もない。

 

美琴、爆豪に次ぐ成績なのだ、必ず学年で五指には入っているこれで人気が出ない方が不思議なぐらいだろう。

 

同じ女子なのでそう言った女子の中のうわさは美琴にも流れてくる。

 

そのため、美琴も出久の側を感情的に離れ難くなっているのだった。

 

中学3年になったころ、ニュースにもなったヘドロ・ヴィランの事件が起き、ヘドロ・ヴィランに捕まった爆豪を出久が勇気と気転をきかせ救い出したのだ。

 

その後しばらくして、出久は修行の後や休みの日に一人で出かけることが多くなった。休日に私が遊びに行くと何時も既に出かけてるのだ。

 

数日後、学校で女子たちが出久が近くに海岸でゴミ拾いをしていると話しているのを聞いた。近くの海岸の砂浜は、潮の流れの関係か漂着物も多く

また、漂着物のゴミで汚れている為か不法投棄も多く問題になっていたのだ

 

普通なら流木や海藻、プラゴミなどなのだが、近くの海岸は大型洗濯機やドラム缶、大小のコンクリの塊などが其処ら中に落ちているのだ。

 

私が砂浜に行くと砂浜は、見違えるように綺麗になっていた。それなりに広い砂浜全体に落ちていた多量の漂着物も不法登記のゴミもその大部分が消えていたのだ。

 

あたりを見回すと、出久が、業務用の大型洗濯機を抱え砂浜を道路にとまったダンプへと走っていくの見つけた。

 

僅か数日でこの広い砂浜のゴミを一人で運んで居たのだろう。

砂浜の8割は、ゴミ一つ落ちていなかった。残りのゴミもこのペースで行けば、2~3日で綺麗になるだろう。

 

ゴミ拾いを頑張る出久に近づき声をかけるとダンプに洗濯機を積み終えた出久が近づいてくる私に気がついたのか手を振ってくる。

 

「出久、ゴミ拾いしてるの?、私も手伝おうか?」

 

「大丈夫、あと2~3日で終わりそうだし、一人でやるよ…意外と良い訓練にもなるし」

出久は額の汗を拭いながら言う

 

出久曰く、粗大ごみやコンクリートの塊などはダンベルと違い、掴む場所や持ち上げた後にバランスを取るのが難しく良い訓練になるとの事らしい。

 

私はしばらく出久の様子を見てると私の他に、出久の様子を見ている人がいるのに気が付いた…金髪の痩せこけた男の人だ。

 

痩せこけたと失礼な感想だが、これでもオブラートに包んだ感想である。

 

はっきり言えば、病的に痩せこけた。骨と皮だけ等などが正しい感想だと思えるぐらいなのだから‥‥

 

その男の人は、私に気が付くと

 

「いやぁ~、彼は、凄いね……僅か6日間でこの広い砂浜のゴミを殆ど撤去してしまった。」

 

そう話す男の言葉に私もうれしくなる。出久が褒められて悪い気はしないしね…。

 

砂浜のゴミ拾いを終えて1週間ぐらいした頃だった

 

出久が、何時ものようにお爺ちゃんのところにきて修行を始める前に

 

「お師匠様、美琴ちゃん……僕、個性が発現したかもしれない」とこう言ったのだった。




長くなったのでまた分けます。

なんだか、盾の世界に行く行く詐欺になりつつあるな・・・・

誤字報告有難うございます。

とても助かります。


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7話 電撃姫の回想7

キャラ視点と3人称視点の指摘ありがとうございました。

キャラ視点の場合○○視点
キャラ視点終了時は、○○視点終
と表記したいと思います。


●美琴視点

 

「お師匠様、美琴ちゃん……僕、個性が発現したかもしれない」

 

そう言って道場に入ってきた出久は、全集中の呼吸をマスターした時以上に嬉しそうな顔をしていた。

 

長年、無個性と言われ続けいたのだから……。

 

もし本当に遅咲きすぎる個性が、発現したのなら……それは、幼稚園の時から医師に【無個性】と言う現実を突きつけられた時から願って、願って止まないものを手にする事が出来たと言う事なのだから……。

 

私は、思わず出久に抱き着いていた。

 

出久は、突然抱き着いてきた私に驚いたように

 

「み、美琴ちゃん」

 

顔を赤くして驚き慌てる出久は、半分泣きながら

 

「よかったね…本当によかったね」と繰り返す私を見てそっと私を抱き寄せてその両目に涙を溢れさせながら

 

「ありがとう。僕が、無個性でも折れないで此処までこれたのは美琴ちゃんが居たからだと思う」

 

「いつも、ヒーローよりヒーローらしい」と言ってくれた。

「出久は、心はヒーローよりも凄いと思うよ」と言ってくれた。

 

母親以外の大人も同級生も皆が、夢を否定する中で美琴ちゃんだけが僕の夢を信じてくれたのだから。

そして、無個性でもヒーローに成れる可能性、師匠に出会うチャンスもくれた。

 

出久も私に何度も

 

「ありがとう」と繰り返していた。

 

出久の馬鹿……そんな風に言われたら、声を上げて泣きそうになるじゃないの‥‥…

 

でもこれは、出久の夢が叶った時なのだから……

 

私は、そっと出久から離れると涙で霞む視線を向ける。出久の胸に手を当て

 

「おめでとう、出久」と微笑む

 

嬉しくて、声を上げて泣きそうになるのを我慢しての笑顔だからちゃんと微笑んでるか心配になるけど、今できる精一杯の笑顔で出久を祝福するんだから。

 

出久は、一瞬見惚れるように私の見ると少し顔を赤くし

 

「ありがとう、美琴ちゃん」

 

そう言って拳を顔の高さにもってくる。

 

私は、その拳に自分の拳を軽く当て二人してもう一度微笑みあう

 

本当におめでとう出久と思いながら……。

 

●美琴視終

 

 

●師匠視点

 

そんな二人の様子を微笑ましく見ていた時、スマホが鳴ったため出ると懐かしい人物からの電話じゃった。

 

「お久しぶりです。お師匠様(せんせい)

 

「久しぶりだの、俊典。お前から電話とは、珍しいこともあるものじゃて」

 

電話の相手は、八木俊典(オールマイト)だった。

 

まだ、ヒーロー駆け出しの頃に弟子とまではいかないものの指南したことがある。

 

グラントリノと二人で継承する(譲渡する事ができる)個性という特殊な個性の為、

個性の制御の鍛錬とつけてやったものじゃと昔を思い出す。

 

「実は、緑谷少年から師匠が、お師匠様(せんせい)と聞きまして」

 

「ふむ、俊典よ…後継者を見つけたのじゃな……それが、わしの弟子の出久なのじゃな?」

 

「何故それを?」

 

「つい先ごろ。出久が来ての、個性が発現したとの…医者に【無個性】と診断され中学3年まで個性の発現が見られなかったのじゃ、それが、個性が、発現した日にとんと連絡もよこさんお前から電話があればな」

 

「ははは、流石ですね。それでお願いしたいことがあるのです。最初は、私が、緑谷少年にOFAの扱い方を教えようと思ったのですが……勿論、私も経験則からOFAの扱い方を教えていこうとは思っていますが、個性の制御や調整は、お師匠様(せんせい)の方が私より格段に教え方が上手いと思いまして」

 

「雄英高校の教師になる男が、情けないのうじゃが出久はわしの弟子じゃ…弟子を導くのは師匠の務めじゃからの」

 

「ありがとうございます」

安心したような声で礼を言うと電話が切れる。

 

わしが、指南した八木俊典(オールマイト)のOFAをわしの弟子の出久が継いでいくのか……これも何かしらの縁なのかもしれんの

 

そう思いながら、新たな世代になるであろう二人に視線を戻すのだった。




ルビ初挑戦です。

また、視点切り替え式の文も初挑戦です。

色々な書き方を試していきたいと考えています。


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