東方神喰者 (wing)
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Mission 1 幻想入り

みなさん、初めまして。wingです。この小説がにじファンにあった頃からお読み下さってくれました方、おはこんばちは(おはようございますとこんにちはとこんばんはの略)。この小説にようこそおいでくださいました。駄文ですが楽しんでいただければ幸いです。


それは、フェンリル極東支部(通称アナグラ)の神機保管庫エリアにアラガミが侵入した事件による騒ぎが収まった直後の頃のことだった―――――

 

 

 

 

 

 

 

医務室にて

 

 

コウタ「おっす!どうだ、体調は良くなったか、リーダー?」

 

 

声をかけられた少年はうなずく。

 

 

コウタ「相変わらず無口なヤツだなー」

 

 

?「…」

 

 

 

読者の皆、俺は藤木コウタ。フェンリル極東支部の第一部隊に所属してる。そして今俺が話してるヤツは俺とほぼ同時に入隊し、俺の親友!今は第一部隊の隊長をやってる戌亥(いぬい)レイジだ。こいつは基本的に無口で、たま~に無茶なことするヤツだけど、神機使いとしての腕はピカイチだぜ!それに避けの技術も高いしね。なぜかって?こいつ道場をやってる家の生まれでさ。空手、柔道、剣道など日本で生まれた武道を全般的に教えてる道場で、中でもあいつは並外れた強さなんだってさ。たまに参考にさせてもらってる。でも確かあいつ、入隊する少し前に道場がアラガミに襲われたらしくてさ…生き残ったのはあいつだけなんだとか…

 

おっと、なんか暗くなっちまったな。それにしても、いくら神機が壊れたからといって、リンドウさんの神機を使うとはな。無茶しやがって…ん、誰か来たようだ。

 

 

アリサ「失礼します」

 

 

コウタ「おおアリサか、お前もお見舞いか?」

 

 

アリサ「ええ、体調が良くなってきたとはいえ、心配ですから…」

 

 

コウタ「…お前、レイジがそんなに気になるのかぁ?」

 

 

アリサ「…どういう意味ですか?」

 

 

コウタ「お前さ、あの事件から、毎日レイジんとこ行ってんじゃ~ん」

 

 

アリサ「なっ、ち、違いますよ!何を言い出すんですか!/// からかわないでください!」

 

 

すると、まあまあと止めに入るレイジ。うん、平和だなあ。

今俺が話していた相手はアリサ。えっと、アリサ・イリーニチナ・アミエーラだったっけ。フェンリルロシア支部からここ極東支部にやってきたんだ。入隊当初は高飛車な態度で人間関係がぎくしゃくしてたんだけど、今は反省して仲良くやってるよ。

そしてしばらく俺達三人は楽しく雑談をした。俺達が去った後から、リッカさん、ソーマ、第二、第三部隊のメンバーも…ん?ソーマ?…まあとにかく、何をしても人気者だなあいつ。ちょっと羨ましい。こうして、またいつもの明るいアナグラが戻ってきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~その日の夜~

 

 

レイジは夕飯を食べ終え、医務室のベッドに戻り、一刻も早く復帰できるように早めに寝ようとすると、

 

 

?「体調はどうですか?レイジさん」

 

 

一人の少年に呼び止められた。そして特に異常がないことを伝える。

 

 

?「そうですか。よかった」

 

 

?「まったく、あそこで普通他人の神機使おうと思うかしら?」

 

 

?「あ、アーティさん。ケガと体調は大丈夫ですか?」

 

 

アーティ「ええ、まだ少しフラフラするけど」

 

 

話についていけていないと思うので、少し長くなるが説明をする。レイジの体調を心配する少年はレン。神機保管庫にアラガミが侵入した際、突然現れて助けてくれたのは彼である。そしてケガのため体中の所々に包帯を巻いた少女。彼女はアーティ。偶然にもアラガミがアナグラに侵入するのを一番に発見し、交戦。しかし彼女は体調不良だったため満足に動けず、攻撃をいくつか食らってしまい、神機格納庫の隔壁に吹き飛ばされ、激突。隔壁は崩壊、彼女も叩き付けられたダメージで戦闘不能、レイジはリンドウの神機を使おうとしたが侵喰の苦痛でまともに動けず。万事休すかと思われたその時に、レンが現れ助けてくれた―――――――――というワケなのである。

 

 

アーティ「あんたがいなかったらマジで死ぬとこだったわ、ありがと」

 

 

レン「いえいえ、お気になさらずに。今日はお二人とも早く休んだほうがいいですよ」

 

 

アーティ「レイジ、夜更かししちゃダメよ」

 

 

レイジは余計なお世話だと思ったが、あながち間違いではないから何とも言えない。ここは素直に聞いておくべきだろう。リンドウを早く助ける意味でも。そういうワケでこの日はいつもより早く眠りについた。

 

次の日、レンに復帰しても大丈夫かどうか尋ねた。彼は医療班に所属している。そしてアラガミ化した人間の治療法の研究をしているため、彼に診てもらうのが手っ取り早い。結果、問題ないと診断され、雨宮ツバキ、ペイラー・サカキ博士に復帰の報告をすることにした。雨宮ツバキは主に第一~第三部隊の指揮官および教練担当。ペイラー・サカキ博士はフェンリル創設メンバーの一人。フェンリル極東支部アラガミ技術開発統括責任者だ。さらに神機使いたちの教育もしており、講義を開くこともある。現在はアーク計画事件で亡くなったサカキの友人であり元極東支部長でもあるヨハネス・フォン・シックザールに代わって極東支部長を兼任している。

レイジは支部長室に向かい、ツバキとサカキに復帰の申請をする。

 

 

サカキ「予想以上に早いね。もう大丈夫なのかい?」

 

 

医療班に診てもらい、復帰の申請を許可してくれたことを伝える。

 

 

サカキ「わかった。もしまた腕に違和感があったら、すぐに知らせるんだよ。じゃあツバキ君、君の用事を済ませたらどうだい?」

 

 

ツバキ「わかりました。ではレイジ。フェンリル本部から極東支部に神機使いが一人派遣される。第一部隊のメンバーを出撃ゲート前に集合させろ。」

 

 

その指示を受けた後、レイジは第一部隊メンバーを集合させる。招集をかけてから十分ほど経過した頃、

 

 

ツバキ「待たせたな。本日からフェンリル本部の意向により、フェンリル本部直属の特殊部隊、FSAT(フェンリルスペシャルアサルトチーム)から一名、第一部隊に配属されることになった。よろしく頼むぞ」

 

 

すると、ツバキの隣に立つ少女が緊張した様子で自己紹介を始める。見た目的にはレイジ、コウタと同じくらいの年齢だろう。

 

 

サヤカ「は、初めまして!ここ最近極東地域で強力なアラガミが増えているためフェンリル本部の意向により本日付でFSATから第一部隊に配属になりました!行方(なめかた)サヤカです!よろしくお願いしますっ!」

 

 

かなり緊張しているようだ。少し噛みそうになったが、皆そんなことは気にせず、笑顔で迎え入れた。

 

 

コウタ「女の子ならいつでも大歓迎だよ!」

 

 

アリサ「アリサです、よろしくお願いします(今の言葉どこかで聞いたような…)」

 

 

ソーマ「よろしく頼む」

 

 

サクヤ「よろしくね、サヤカちゃん」

 

 

サヤカ「はいっ!よろしくおねぎゃっ…お願いしますっ!」

 

 

思わぬところで噛んだため、皆(ソーマ以外)から笑い声がこぼれた。サヤカは赤面している。

 

 

ツバキ「サヤカ、早速だが入隊の手続きを済ませた後、レイジとアラガミ討伐に向かってもらう。こっちだ」

 

 

サヤカ「あ、はい!」

 

 

二人はエレベーターで役員区画に向かう。

 

 

コウタ「あの子けっこう可愛かったな!」

 

 

アリサ「あなたはそんなところににしか興味がないんですか…。それにしても、FSATから派遣だなんて、異例ですね」

 

 

サクヤ「そうね、最近強力なアラガミが増えてるからかな」

 

 

ソーマ「またアナグラが賑やかになるな」

 

 

しばらくの間、彼女の話題で賑わうアナグラであった。

 

 

~数時間後、贖罪の街~

 

 

サヤカ「レイジさん、今回のミッション、お疲れ様でした!すごくカッコよかったです!それに、それは鞘…ですか?それに神機を収めて背中に背負う人は初めて見ました!まるで漫画の主人公の勇者みたいです!」

 

 

レイジは少し謙遜し照れ笑顔を見せる。とはいえ彼は武道を取り入れた戦法を使うため、動きに無駄が少ない。その上レイジは手先が器用で、神機を背中に背負うような形で収める鞘は彼が作った。神機用にアレンジしたものだ。レイジは目を輝かせてこちらを見るサヤカに過大評価しすぎだと謙遜をし続けていた。一方のサヤカも、FSATに所属しているだけあり、無駄な動きが少ない。彼女は狙撃を得意とするため銃身はスナイパー「ステラスウォーム真」を使っている。刀身はショート「ナイフ極」、装甲は「ヘラクレス堅」だ。ちなみにレイジはアサルト「ファランクス極」 バスター「神斬りクレイモア真」、装甲「剛支援シールド真」である。

 

 

サヤカ「それにしても、最近のアラガミ、妙に集団で要領よく動くようになりましたよね。まるで誰かが指揮してるみたい…」

 

 

レイジは同感した。本来群れることのない種が他種のアラガミと連携して襲うようになっているのだ。例えば、コンゴウ種が索敵をし、発見したら雄叫びを挙げて他種のアラガミを呼び寄せる。コンゴウ種の間だけでならこの行動はたびたびみられたが、他種のアラガミを呼び寄せることはしなかった。

 

 

サヤカ「いったい何があったんでしょうね」

 

 

これに対し、レイジは一つ心当たりがあった。これについては後で述べるが、その心当たりは彼にとってそれはトラウマな出来事なのだ。なので、違うだろうとあまり深く考えないことにした。

討伐したアラガミを捕喰し素材を回収、少々雑談しながら帰投していると、

 

 

 

 

 

「グアアアアアアアアア!!」

 

 

サヤカ・レイジ「!?」

 

 

突如、アラガミ「ヴァジュラ」が襲いかかってきた。しかしあまりに距離が近いため、装甲の展開が間に合わず、ヴァジュラのパンチがサヤカに直撃した。

 

 

サヤカ「うあッ…!」

 

 

サヤカは大きく吹き飛ばされ、崖ギリギリの所で留まった。レイジは慌ててサヤカの所に走り、様子を見る。すると、彼女の頭から出血、ピクリとも動かない。攻撃のショックにより気絶しているようだ。このままでは危ない。一刻でも早く帰投しないと。直感でそう思ったレイジは目の前で襲いかかろうとしたヴァジュラの撃退を試みる。その瞬間、

 

 

「グオオオオ!!」

 

 

なんともう一体のヴァジュラがレイジが攻撃しようとしたヴァジュラの背後から飛び込んできた。サヤカの推理とレイジの「心当たり」が的中したような気がした。反射的に装甲を展開する。刀身がバスターのため、アドバンスド・ガードで攻撃を防ぐのには成功したもののジャンプによる勢いのせいで衝撃が大きく、体制が崩れてしまう。背後には崖。運の悪いことに足がサヤカにぶつかり、レイジはバランスを崩し二人とも崖から落下してしまう。下は薄暗くてよく見えない。せめてサヤカだけでもケガを減らそうとレイジが下に回る。そして二人はそのまま、奈落へと落ちて行ってしまった。

 

 

 

 

 

 

?「お前達、崖の下に行くよ。今日はごちそうだねぇ。きちんと平等に分けて喰うんだよ」

 




作「以降移転作業でーす」

弟「更新ペースは」

作「気に入らないとことか直していくつもりだからそう早くならないかも」

弟「にじファンで得た読者あんま待たせんじゃねーぞ、お気に入り件数多くねーんだから」


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Mission 2 迷路

皆さんおはこんばちは、wingです。今回から幻想郷の世界でお話が始まります。それではどうぞ


気が付くと、レイジは崖の下にあった大穴の底に倒れていた。ゆっくりと起き上がると、

 

 

レン「レイジさん!無事でよかった」

 

アーティ「ん、ようやく起きたのね」

 

 

レイジは驚愕した。二人はミッションに参加していないはずだ。なぜここにいるのだろう?ふと上を向くと、大きな穴の下から橙に染まる空が見える。かなりの高さだ。よく生きていたものだとレイジは思った。次に周囲を見渡してみた。するとあることに気付く。…サヤカがいない。彼女と一緒に落ちて来たはずなのに、どこにも見当たらない。ありえない。これは夢なのか?レイジはだんだん混乱していく。するとレンが彼を落ち着かせるように、

 

 

レン「レイジさん、僕達だって困惑しています。僕は医務室を出ようとしたらいきなりこんな所に…」

 

アーティ「あたしなんか便所に入ろうとしたらここに来ちゃったのよ。まったく、早く用を足したいのに」

 

レン「とにかく、ここを出る方法を探しましょう」

 

 

レイジはとりあえず通信機器を取り出しサヤカと繋がるか試してみる。しかし地下深くにいるためか、ノイズ音しか聞こえない。次に通信機にある非常時用ボタンを押した。このボタンを押せば極東支部に無線を繋ぐことができる。だが聞こえたのはノイズ音のみ。

 

これで通信手段は断たれてしまった。残る方法は、この壁を登り地上に出るか、さらに地底の奥に続く洞窟から地上を目指すか。前者はほぼ無理だろうという理由で却下。地底の奥への道を進むことにした。

 

 

レン「それにしてもここ、地底で灯りも何も無いのに、明るいですね。壁が光ってるのかな…?」

 

 

アーティ「それよりもレイジ、あんたユーバーセンス使えるんでしょ?それでこの道がどこに続くか見て頂戴」

 

 

レイジはユーバーセンスのスキルを持っている。これは、補足した対象の位置や目標とするものの位置、地形も離れたところから見通すことが出来る。レイジはこれを発動する際、左目が紫色に変化し、目の中央はレーザーポインターで当てられたかのような赤い点が発光する。

 

アーティに言われるがまま、ユーバーセンスを発動させる。今三人がいる場所も含めて、ここの地形が手に取るようにわかる。だが地上に出る道へはかなり距離があるようだ。その上ここの地形はかなり複雑に入り組んでおり、ユーバーセンスを解除したらすぐに迷ってしまうだろう。なので今はこの状態を維持、レイジが先頭に立って進み、三人の現在地から一番近い比較的広く開けた場所に向かうことにした。

 

そして歩くこと五分ほど。ひとまずの目標地点に着いた。しかし…

 

 

アーティ「うわっなによここ、蜘蛛の巣でいっぱいじゃない」

 

レン「うーん、広い場所なら誰かいてもおかしくはないと思ったんですけど…違ったみたいですね」

 

 

するとレイジは何かを見つけたのか急に立ち止まり、顔を上に向けている。

 

 

レイジ「…」

 

 

何を見ているのかと尋ねようとするレン。その時、

 

 

?「おや、見つかっちゃったようだね」

 

 

突然天井から声が響いた。

 

 

レン・アーティ「!」

 

レイジ「…」

 

 

神機を構え天井からの声の主に警戒するレン。レイジとアーティは警戒の体勢をとらずそのまま声の主を見続けている。なんと声の主は少女だ。しかも天井に張り付いている。

 

 

?「こんな所に来るなんて物好きな人間だねぇ。待てよ、もしかしてここが私達妖怪が住む地底だということを知らずに来たのかい?」

 

 

妖怪という言葉に疑問を抱いたが、レイジは素直にうなずく。少女は何か細い糸のようなものでゆっくりと降りてくる。

 

 

?「私は黒谷ヤマメ、土蜘蛛の妖怪さ。あんた、ここ等辺では見ない格好だね。外来人かい?」

 

 

少女の言っていることが理解出来ず首を傾げる三人。

 

 

ヤマメ「~、なんか説明めんどくさいや、キスメ、代わりに説明しといておくれ」

 

 

すると、キスメという人物(?)がヤマメの背後からひょっこりと姿を現した。大きな桶に少女が中に入っているような容姿だ。

 

 

キスメ「もう、そのくらい自分で言えばいいのに…。初めまして。私は釣瓶落としの妖怪、キスメです。今あなた達と私たちがいる所、どういう場所かご存知ですか?」

 

レイジ「…(首振り)」

 

キスメ「…本当に何も知らないんですね、今のあなたの反応で外来人だと確信しました。ここは幻想郷といって、あなた達のいた元の世界とは隔離された場所にあるんです。そして外来人とは、あなた達のようにひょんなことからこの幻想郷に迷い込んだ人達を指します」

 

 

三人は完璧には理解できなかったが、異世界に迷い込んだことは理解した。

 

 

ヤマメ「そういうこと。…さて、ここからが本題だ」

 

 

ヤマメは真剣な表情でレイジを見つめ、言い放つ。

 

 

ヤマメ「外来人だろうが誰だろうが、ここはただの人間が来る所じゃない。ここから先はたくさんの妖怪がうろうろしてるから人間には危険だ。遊び半分でここに来たのなら、即刻来た道を戻るんだね」

 

レン「…困りましたね。今から戻っても何もないですし…レイジさん、どうします?」

 

 

レンの言葉を気にも留めず、レイジは全く動じずにヤマメを見続けている。

 

 

しばらくの沈黙が続いた後、引き返す気がないと悟ったヤマメは、

 

 

ヤマメ「引き返す気はないようだね。…わかった。それなら、ここを通っても大丈夫な人間かどうか、私達と弾幕ごっこで決めるよ!」

 

 

そう言い終わらないうちに、ヤマメとキスメは弾幕をレイジに向かって展開してきた。密度が高くヤマメ達の姿が見えない。

 

 

レン「レイジさん、危n (ガシッ)アーティさん!?」

 

アーティ「大丈夫よ。見ててなさい」

 

レン「えっ…?」

 

 

ふとレイジの方を見る。するとレイジは、二人を相手にして、あれだけの弾幕を全て綺麗に避けている。その上余裕の表情を見せている。しかしレンはレイジの動きに気になることがあった。

 

 

レン「すごい…あれだけの弾幕を避けきってる…でもなぜ反撃しないんですか?」

 

アーティ「あんたは知らない人をいきなり斬ったりするの?」

 

レン「するワケないじゃないですか。・・・あ、なるほど」

 

アーティ「そゆこと」

 

 

一方で、キスメは遠くからの攻撃は当たらないと思い、釣瓶落としの名の如く真上から落下して攻撃しようと考えた。弾幕で姿をくらましながらレイジの真上に飛ぶ。そしてレイジが自分に注意が行っていないことを確認し、彼の頭に目掛け真っ直ぐに落下した。

 

 

キスメ「(ごめんなさい…!)」

 

 

渾身の体当たりはレイジに直撃―――――――

 

 

 

 

 

するはずだったが、すでにレイジは攻撃を察知しており、当たる直前にかわした。

 

 

キスメ「…あれ?(ヒュッ)ひゃっ!?」

 

 

外れたと思った時には、キスメの眼前に正拳を突き付けられていた。キスメは驚いて動きが固まる。

 

 

キスメ「ま…参りました…」

 

ヤマメ「あんた…やるね」

 

 

妖怪に勝てる人間はそうそういない。ヤマメは遠くから比較的低密度の弾幕でレイジの実力を測っていたが、キスメを呆気なく降参させたため、本気でいこうと考えた。

 

 

ヤマメ「これで一対一か。じゃそろそろ本気を出させてもらうよ!」

 

 

するとヤマメは1枚のカードほどの大きさの紙を取り出し、頭上に掲げ高らかに宣言する。

 

 

ヤマメ「瘴気「原因不明の熱病」!」

 

アーティ「なにそれこわっ」

 

 

その恐ろしい名前の通り、今までよりも圧倒的な密度の弾幕が張られる。

 

 

ヤマメ「こいつはスペルカードといってね、今まで私たちが放った弾幕よりも強力だよ!」

 

 

多数の弾が一斉に襲い掛かる。流石に密度が高いため、数回服をかすりはしたものの、レイジは全て避けきった。

 

 

ヤマメ「まだまだ!」

 

 

何度も何度も繰り返し弾幕を展開する。だがレイジは一向に回避を続けるだけで反撃の動きを見せない。いつまでも攻撃を仕掛けようとしないため、ヤマメはナメられていると思ったのかだんだん苛立ち始める。ついには痺れを切らしてレイジに突進してきた。

 

 

ヤマメ「このぉおおお!なんで攻撃しないのさ!あんた私をナメてんの!?」

 

キスメ「ああっ!?ヤマメちゃん、ただの小手調べなのに直接攻撃はダメですぅ!」

 

 

爪を立てたヤマメの手が襲い掛かる。まともに妖怪の攻撃を受ければきっとタダでは済まない。しかしそこでもレイジは冷静だった。ヤマメの腕を受け流しつつ掴み上げ、足を引っ掛けてうつ伏せに転倒させる。そして起き上がられないよう片膝で背中を抑えながら掴んだ腕を締め上げる。ヤマメはたまらず悲鳴を上げる。

 

 

ヤマメ「痛い痛い痛い痛い痛い!!ま、参った!参ったからやめておくれえええ!」

 

キスメ「今後はすぐに怒っちゃダメですよ?」

 

ヤマメ「わかった!わかったから!ひぎいいいいいいい!」

 

アーティ「ね、あたしの言う通りだったでしょ」

 

 

レンはただただ言葉を失うのみだった。




作「(移転作業中…)」

弟「(exvsプレイ中…)」

作「…」

弟「あ、墜ちた」

作「m9っ(^Д^)」


弟は大変な極限の絶望をくれていきました


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Mission 3 ダンス・パーティ

みなさんおはこんばちは、wingです。今回は旧都でのお話。
それではどうぞ。


ヤマメ「いたた…あんた、人間のわりにはやるじゃないか」

 

レイジは拘束を解き、ヤマメはゆっくり起き上がりながらつぶやく。

 

 

ヤマメ「さてと…あんたはこれからどうするつもりなんだい?…出口はどこかって?ああそれならキスメに任せなよ。この先に地下街があるんだ。今日はそこで一服していきなよ。私なんか疲れたし、あんたももっとここについて知りたいだろ?」

 

 

三人はお言葉に甘えて、案内をお願いすることにした。再び一行は迷路のような道を進んでいく。

 

 

キスメ「なんで私はこんな役回りなの…」

 

ヤマメ「私説明めんどいから」

 

キスメ「私ェ…」

 

 

十分くらい歩き続けた後、一行は広い空間に出た。ヤマメ達と会った場所よりも遥かに広大で、江戸時代の街並みのような風景が視界いっぱいに広がっていた。ヤマメの説明によれば、地底にあるので、一部分を除き日光が当たらないためほぼ常に夜の状態であるらしい。

 

 

ヤマメ「着いたよ、ここが地下街だ。今日はとりあえず私の友人のいる宿に行くとしようか」

 

キスメ「こっちですよー」

 

レン「すごいですね…ほとんど日本の江戸時代の街並みみたいです」

 

 

ちらほらと建物の中から妖怪達が楽しそうに宴会をしているのが見える。その様子がレイジ達にはとても美しく、羨ましく見えた。

街を歩き始めて間もなく、

 

 

キスメ「到着!」

 

ヤマメ「おーす、勇儀~いるかい?ってまだ宴会やってたの!?昼からやってたよね!?」

 

 

昼から宴会をしていたため、その場にいたほとんどの者達は酔いつぶれ、ダウンしていた。しかし一人だけピンピンしている人物が一人。彼女が星熊勇儀である。

 

 

勇儀「ははは、酒が無くなるまでが宴会さ!あんたも飲んでくかい?…ん、後ろにいるのは誰だ?」

 

ヤマメ「ああ、こいつは外来人だよ、なんでここに迷い込んだか知らないけど。ただの人間だったら追い払ってたとこだったけど、なかなか強いからここに連れてきても大丈夫だと思ってね。名前は…なんだっけ(神機使い返答中…)そうそう、戌亥レイジだ」

 

勇儀「ふうん…強いのか」

 

ヤマメ「(げッ!しまった!こいつは…!)」

 

勇儀「よし!レイジ!宴会が終わったら表で待ってな!私と一勝負しようじゃないか!あと、準備運動忘れんなよ!」

 

レイジ「…」

 

アーティ「ねぇ…ここには出会ったら即バトルってヤツしかいないのかしら」

 

レン「さあ…」

 

ヤマメ「レイジ…あいつは鬼だから、妖怪よりも遥かに強い力を持ってる。でも悪気はないんだ、許してやっておくれ。・・・気をつけなよ」

 

レイジ「…」

 

 

あまりに唐突だったため、断ろうにも断れず、ヤマメもなぜか勇儀と決闘すること前提で話しかけてくるので、仕方なく外で「準備運動」をすることにした。

 

神機使い運動中…

 

レイジは相手が鬼ということで生半可な戦い方では自分に何が起こるかわからないと思い、レン、アーティと共同で運動することにした。その内容とは、まずレイジを挟むようにレンとアーティが立つ。そして二人は全力で神機でレイジを攻撃。それを避け続けるというかなり危険な準備運動である。

 

 

レン「準備運動なのになんでこんなことしなきゃならないんですか…」

 

アーティ「さあね。相手が鬼だからじゃない?」

 

レン「それにしてもこの「準備運動」、危険すぎやしませんか?僕としてはもう止めたいんですけど…」

 

アーティ「あら、あたし達はいつもアラガミと命のやりとりをしてるのよ?それなのにあんたは(オウガ)とやるのは嫌なワケ?」

 

レン「上手いことを言ったつもりですか…。こんな時にボケたって何も面白くありませんよ…」

 

アーティ「そこはノリなさいよ」

 

ヤマメ「なんかレイジのヤツ、すごい動きだね…」

 

キスメ「それになんだかキレがあって綺麗に見えます。あれを見てると私達が負けたことに納得できそう」

 

ヤマメ「私はあんま認めたくないんだけどねぇ…」

 

 

アーティ「ゆ~れる ま~わる 振れる 切な~い気持ち~(棒)」

 

 

そして、決闘の時は訪れた。決闘と聞いてやってきた妖怪達がたくさん集まっており、二人の決闘の開始を今か今かと待っている。それから間もなく宿の中から颯爽と勇儀が現れ、妖怪達から声援が送られる。しかし、なぜか彼女の手には宴会で使っていた杯が。レイジは疑問に思い、なぜなのか聞いてみると、

 

 

勇儀「ああ、これかい?いやなに、私は鬼だからさ、普通に戦うとすぐ私が勝っちまうんだよ。そこでハンデとして杯から酒を一滴もこぼさずに戦うルールを自分に課してるワケさ」

 

 

なるほど、と感嘆の表情を見せるレイジ。

 

 

勇儀「さあてお喋りはここまでだ、試合開始だ!」

 

 

その時。

 

 

「グアアアアアアアアア!!」

 

全員「!?」

 

 

咆哮が響いた方向を見ると、なんと無数のオウガテイルが地下街を襲っているのが見えた。妖怪達は追い払おうと応戦するが・・・

 

 

妖怪「な、なんだこいつrぎゃああああ!」

 

妖怪「攻撃が効かnがぁッ!!」

 

妖怪「馬鹿な!ヴゾダドンドkぐあああああ!」

 

 

アラガミは今のところ神機か同じアラガミの攻撃しか通用しないことがわかっている。よって妖怪達の攻撃は跳ね返され、オウガテイル達は次々と妖怪達を喰らっていく。

 

 

アーティ「アラガミがなんでこんなとこにまで…いくわよ二人とも!」

 

レン「はい!ここを全力で守りましょう!」

 

 

レイジ達三人はオウガテイルの群れの中に飛び込む。

 

 

勇儀「あっおい!…まったく、せっかく面白くなるとこだったのに。怪物ども!決闘は大人しく鑑賞するのがマナーってもんだよ!」

 

 

勇儀も負けじと群れに向かって走る。

 

 

キスメ「ヤマメちゃん、ddどうしよう…」

 

ヤマメ「落ち着け!とりあえず逃げ遅れたヤツを探して安全なとこに避難するよ!」




たとえ旧地獄でもそこの住人は地上と大差なく平和に暮らしている・・・と言う光景も、幻想郷ならありえそう。幻想郷は常識に囚われない世界だから。


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Mission 4 ダンス・パーティ2

皆さんおはこんばちは、wingです。地底でアラガミ騒ぎ、さぁ大変なことになってしまいました。
それではどうぞ。


アーティ「とりあえず、一旦分かれて各個撃破よ!」

 

レン「はい!皆さんお気をつけて!」

 

 

あまりに数が多いため、三人は一度バラバラになり、広範囲を索敵しつつ、オウガテイルを発見次第撃破していく作戦をとった。

 

 

アーティ「一通り片付いたら勇儀がいた宿に集合しなさい!」

 

レン「わかりました!」

 

 

三人はそれぞれ違う方向に走り出す。レイジはまず逃げ遅れた者がいないか確認しながらオウガテイルを撃破していくことにした。建物が多い場所を一通り回っていき、建物の中を確認する。時々建物の中から奇襲を受けたが、問題なく返り討ちにし、逃げ遅れた妖怪達を逃がしていった。するととある妖怪が逃げる際に、

 

 

妖怪「おい兄ちゃん!あのバケモノどもを倒せるんだろ!?だったらヤマメちゃん達のところに行ってやってくれ!俺達を逃がすために街に残ってたんだが、バケモノどもに囲まれちまったんだ!勇儀さんが助けに行ってるらしいがあの数じゃ心配だ、援護してやってくれ!」

 

 

それを聞くとすぐにレイジはヤマメ達の救出に向かった。

 

 

ヤマメ「こりゃまずい、囲まれちまったね…」

 

キスメ「私達の攻撃が全然効かないなんて…」

 

勇儀「私もこんなに堅い奴らと戦うのは初めてだ…。十発くらいぶん殴ればいけるけど、キリがないね」

 

キスメ「まだ私死にたくないですぅ…」

 

ヤマメ「諦めるな!きっと何か…方法があるはずだ!」

 

勇儀「皆逃げ切ったようだし、後はこいつらをなんとかするだけだけど…どうしたものか」

 

 

ヤマメ、キスメ、勇儀は必死に抵抗を続けるが、勇儀以外の攻撃は全く通用しない。その上勇儀の攻撃もかなりの回数を叩き込まなければ倒すことはままならず、次第に追い詰められてしまった。

 

 

ヤマメ「くッ…」

 

キスメ「うわ~~ん」

 

勇儀「参ったね…」

 

 

オウガテイル達の牙、大きな尾が三人に襲い掛かる。万事休すか…誰もがもうダメかと思ったその時、

 

 

「グアアッ!」

 

 

オウガテイル達の中の一体が悲鳴を上げた。その後、次々とオウガテイルが血を吹き出しながら吹き飛ばされていく。

 

 

ヤマメ「なんだ?…ん、あいつは…レイジ!」

 

 

ヤマメ達の目には、大量のオウガテイルを、たった一人で薙ぎ倒していくレイジの姿が映っていた。あんなに倒すのに苦労していたオウガテイルを、たった一撃でばたばたとやられていくのを見てヤマメ達は呆然としていた。そして最後の一体を倒すと、レンとアーティが戻ってきた。

 

 

レン「そちらはどうでしたか?こちらは特に問題はありませんでした」

 

アーティ「こっちも大丈夫よ。でもまだこれだけの数がいたなんてね…レイジ大変だったわねー」

 

勇儀「…ふぅ、助かったよレイジ。危ないところを助けてもらってありがとうな。それにしてもあんたはすごい武器を使ってんだねぇ。…え、この怪物どもを倒すための武器?で、お前はこいつらを倒す仕事をしている?へえ~、そいつは驚きだね。どおりで強いワケだ!」

 

ヤマメ「はッ!そうだ地霊殿は!?」

 

キスメ「そうだ!地霊殿の安全をまだ確認していないんでした!」

 

勇儀「しまったな、だがいつまたあいつらが街に現れるかわからないし…仕方ない。レイジ、すまないがお前が地霊殿のヤツらを助けてやってくれないか?私達はここの事態の収拾をつけないといけないからな。地霊殿の場所はあっちだ、頼んだよ」

 

 

そう言うと勇儀達は逃げた妖怪達を呼び戻すため、街を後にした。レイジ達は勇儀に言われた通り、地霊殿に向かう。

 

走って行くこと5分。地霊殿がレイジ達の前に姿を見せ始める。ここもやはり、アラガミに襲われているようだ。

 

 

レン「レイジさん、僕達で地霊殿周辺のアラガミを倒してきます!レイジさんは中を!」

 

アーティ「今度はザイゴートとコクーンメイデンもいるわね」

 

 

レン、アーティは地霊殿周辺の群れの中に飛び込み、神機を振り回し、倒していく。レイジは進路上のアラガミを薙ぎ倒しながら地霊殿の内部に走り込む。

レイジが入口に入ると、

 

 

 

バターーーン!!

 

 

 

突然、開いていた入口の扉の閉まる音が響く。これ以上内部に入れないために閉めたのだろうか。レイジは一瞬疑問に思うが、自衛のためなのだろう、仕方ないと深く考えないことにし、アラガミを片っ端から始末することにした。

 

 

~地霊殿1F~

 

 

地霊殿の内部では、ほぼ戦争状態となっていた。これ以上侵入を許すものかと少女の姿をした妖精が弾幕で攻撃している。しかし地下街のときと同様、一方的に妖精側がやられてしまっている。レイジは妖精達を援護しようと走り出すが…

 

 

妖精「ん、ねーねーあいつなんだろ?」

 

妖精「あいつだけかっこうがちがうね」

 

妖精「わかった!きっとあいつはかいぶつどものりーだーだよ!」

 

妖精「たしかにそれっぽい!」

 

妖精「あいつをやっつければかいぶつどもはにげるはず!」

 

妖精「やっちゃえーーー!!」

 

レイジ「…!?」

 

 

なんと、アラガミ達に向けて放たれていた弾幕の矛先が、一斉にレイジに向けられた。レイジは自分は敵じゃないと訴えようとするが、妖精達は聞く耳を持とうとせず激しく攻撃を続ける。攻撃を避けながら訴えるチャンスを狙うが、絶え間なく弾幕が張られるためこのままでは埒が明かないと思い、仕方なく弾幕を避けながらアラガミ達を倒すことにした。そんな状況が10分程続き、気が付けば一階にいたアラガミは全滅しいなくなっていた。この状況を見て、妖精達はレイジの行動に疑問を持ち始める。

 

 

妖精「ねーねー、あいつさっきからこっちをこうげきしてこないよー?」

 

妖精「きがついたらかいぶつがいなくなってる」

 

妖精「あいつなにしにきたんだろ」

 

妖精「もしかしてたすけにきてくれたのかな」

 

妖精「さあ…」

 

 

妖精がざわつき始め、弾幕を張らなくなったが未だ警戒を解かないためひとまず近くにあった二階に続く階段に避難することにした。階段を上る途中、二階でも地霊殿の住人に襲われるかもしれないと思ったレイジは、強化パーツ「ガード強化3(ガード範囲拡大、総合被ダメージ減少)」と「討伐部隊(カリスマ、駆除部隊)」を神機にセット。深呼吸をし、二階に上がる。すると意外なことに、二階には誰もいなかった。変だと思い三階、四階も調べてみるがアラガミの姿は見当たらない。一階にだけアラガミが集中していたということがどうしても気になってしまう。なぜなら地霊殿を襲撃したアラガミの中には空を飛べるザイゴートがいるのだ。なぜもぬけの殻なのか考え込んでいると、

 

 

 

ズドンッ!!

 

 

レイジ「!」

 

 

何かを撃ち出す音がどこからともなく鳴り、レイジに向かって弾丸が飛んでくる。それを避け、音がした方向に注意を向ける。

 

 

?「あんたで最後?怪物どもなら、私の太陽パワーで皆消し飛ばしたよ」

 

?「気を付けてお空、あいつだけ格好が違う。親玉の可能性があるよ」

 

空「はい、こいし様。では、あいつを囲んで一気に終わらせちゃいましょう」

 

こいし「よーし、お燐!お空!いくよ!」

 

燐・空「はい!」

 

 

すると、突然現れた少女達、こいし、燐、空はレイジを三角形になるように素早く囲み、こいし、燐はスペルカードを、空は砲塔のようなものをレイジに向けた。レイジは完全に誤解されていることを悟る。するとすぐに、レイジは神機を背中のホルスターに収めた。自分は敵ではないことを示そうとしたのだ。しかし…

 

 

燐「…?どうしたのさ、怖気づいたのかい?」

 

空「諦めたんじゃないの?」

 

こいし「どの道やっつけるだけだけどね!一斉に撃つよ!」

 

燐「はい!妖怪「火焔の車輪」!」

 

空「爆符「メガフレア」!」

 

こいし「本能「イドの解放」!」

 

 

三人が口々に叫ぶと、空からは太いビームが、こいし、燐からは激しい弾幕。先程の様子からまたも話し合う余地はなさそうだ。とりあえず、どう避けるか辺りを見回す。

 

 

ドカーーーーン!!

 

 

三人の攻撃がぶつかり、爆発を起こす。もくもくと煙が上がり、三人は爆発した場所を注視する。

 

 

燐「やった…のかな…?」

 

空「なーんだ、思ったより弱かったね」

 

こいし「…あ!二人とも!あれを見て!」

 

 

煙が薄くなった頃、ようやくレイジの姿が見えてきた。するとレイジは、うつ伏せになって頭を手で押さえているのが見えた。どうやら弾幕を食らう直前に伏せて攻撃を間一髪かわしたようだ。

 

 

空「な、なんてグレイズ…!」

 

燐「たまたまだよ!次はこうはいかないんだから!」

 

 

今度は燐が近接攻撃、空が後方支援という形で攻撃を仕掛けてきた。息の合ったコンビネーションでレイジを追い詰める。

 

 

燐「どうしたっ!避けてばかりじゃないか!」

 

空「早くやられてよね!」

 

 

そしてとうとう壁際に追い詰められてしまった。

 

 

燐「追い詰めた、もう逃げられないよ」

 

空「止めに一発でかいのぶち込んでやる」

 

燐「さあ、終わりだッ!」

 

 

空は砲塔のようなものにエネルギーをチャージし始め、燐は爪でレイジを引っ掻こうと飛びかかった。

仕方ない…反撃するしか…

意を決し、レイジは神機を抜く。そして二人を一閃―――――

 

 

燐「あ…あれ?消えた?」

 

空「…うにゅ?…あ!お燐!リボンが斬れてる!」

 

燐「…わああああ!ホントだ!ってお空!その制御棒どうしたの!?」

 

空「え…ああああ!まっぷたつになってるうううううう!!」

 

燐「うう…今日やっと一人で結べるようになったのにぃ…」

 

空「私の制御棒がぁ…」

 

燐・空「さとりさまあああああああ!!」

 

 

二人は泣きながら上の階へ逃げていった。

レイジはやれやれと一息つく。しかしそれもつかの間、ドンッと誰かに突き飛ばされる。倒れこみ、振り返るが誰もいない。するとレイジの背後から

 

 

こいし「こっちだよ」

 

レイジ「!」

 

 

なんとこいしが音もなくレイジの後ろに立っていた。しかし声に反応して振り返った時には、またいなくなっている。

 

 

こいし「よくも私の大事なペットを傷つけたな…」

 

 

声のする度に何度も振り向くが、こいしの姿は見えない。

 

 

こいし「無駄だよ…あなたに私の姿は見えない。いや、正確には無意識に見えないと思い込ませてるの」

 

 

必死にこいしを探すレイジ。するとまた突然背後から、レイジの耳に囁くように

 

 

こいし「だから無駄なんだってば…」

 

 

気づいた時には、至近距離から弾幕を放たれ、レイジは吹き飛ばされていた。床に倒れこみ、起き上がろうとするがダメージが大きく、ままならない状態でいた。

 

 

こいし「まだ動けるんだ…。でも苦しいでしょ?楽にしてあげる…」

 

 

そう言うとこいしは再び姿を消しレイジをかく乱させようとする。

彼女の居場所を捉えるには―――

するとレイジの脳裏にある言葉が。

 

 

 

 

「それよりもレイジ、あんたユーバーセンス使えるんでしょ?それでこの道がどこに続くか見て頂戴」

 

 

 

 

すっかり忘れていた。自分が全てを見通すスキルを持っていることに。これでこいしの位置がわかる。

レイジは立ち上がり、ユーバーセンスを発動。左目の色が変化する。姿は見えないままだが、こいしは自分のすぐ目の前にいることがわかった。

 

 

こいし「死ぬ準備はできた?くらえッ!」

 

 

こいしは急に姿を現し弾幕を放つ。大方目の前に現れて驚いている隙に攻撃しようと思っていたのだろう。しかしもうその戦法はレイジには通用しない。レイジは後ろに下がり、神機を捕喰形態に変え、弾幕を喰らう。

 

 

こいし「えッ!?わッまぶしッ!」

 

 

捕喰形態から剣形態に戻すと、レイジから眩い光が溢れる。レイジはバースト状態になったのだ。その時、彼の瞳から青白い炎のような、オーラのようなものが溢れ出す。これはレイジにのみ起こる現象だ。

話が変わるが、過去にサカキ博士がこの現象を不思議に思い、調べてみたところ、こんなことがわかった。

 

 

 

 

~回想~

 

サカキ「レイジ君、その目、アラガミのものだね?」

 

コウタ「は!?なんだよそれ、レイジ、なぜ黙ってたんだよ?」

 

レイジ「…」

 

コウタ「おい…なんで黙るんだよ、おい!」

 

アリサ「コウタ、落ち着いてください!ここでリーダーを責めても意味はありませんよ!」

 

サクヤ「その通りよ。…レイジ、もしかして、それは君の家がアラガミに襲われた時に…?」

 

レイジ「…(コク)」

 

サカキ「詳しくは聞かないでおくよ。それに、その目でも日常生活に問題はないようだしね。さて、データによれば君は捕喰攻撃をすると、それだけでリンクバーストLv.3並みに能力が上昇するようだ。つまり通常の三倍以上だね。…ん?受け渡し弾をもらって大丈夫なのかって?ああ、君はこれまでに何回かもらったけど大丈夫なんだろう?。心配はいらないよ。ん~、実に興味深い!」

 

コウタ「相変わらずだな、博士…」

 

 

~回想終~

 

 

 

 

バーストしたことによって、先程よりも遥かにレイジの動きは俊敏になり、状況は一転した。

 

 

こいし「あ、あれ…速すぎてよく見えない…。でも、姿をくらませば!」

 

 

こいしの「無意識を操る程度の能力」で、レイジに姿を無意識に見えなくするようにする。しかし、レイジはじっとこいしのいる方向を見つめている。

 

 

こいし「な、なんなの…!?まさか、私の居場所がバレてるの!?」

 

 

レイジはその通りだというかのようにうなずく。

 

 

こいし「う、嘘だ嘘だ!そんなの嘘に決まってる!」

 

 

自身の能力が効かないなどありえない、そんなはずないとこいしは半ばパニックに陥り、レイジを引き裂こうと突進しこいしの腕が振り下ろされる。しかしレイジは瞬間移動したかのようにその場からいなくなっていた。

 

 

こいし「え…(ブンッ)ッ!?…う、うあぁ…」

 

 

何かを振るような音が聞こえたので振り向くと、目の前で神機を突き付けるレイジの姿が。こいしは恐怖のあまり涙が溢れ、その場に座り込んでしまった。

 

 

こいし「いやだ、死にたくない、死にたくない!いやだよぉ…!私はただ、皆と平和に暮らしたかっただけなのに!」

 

 

戦意喪失を確認した後レイジは神機をしまい、こいしの目線に合わせてしゃがみ、自分は敵ではないことを話し始める。優しく、諭すように。

 

 

こいし「…ほんと?だってお燐とお空を傷つけたのに…」

 

 

あれは自衛の意味で応戦しただけだということ、本来はアラガミという怪物を倒すために地霊殿に来たこと、燐と空にケガは負わせず、装備を破壊しただけだということなど、誤解を解くために、丁寧に説明をした。

 

 

こいし「そうなんだ…てっきり、人間の仕業かと思ってたよ。地底の妖怪はあんなことしないから、きっと人間が地上の怪物を送り込んだんだと思って…。だからあいつらが襲ってきたとき、殺されるんじゃないかと思った。昔、私のお父さんとお母さんは人間に殺されて…私とお姉ちゃんもケガしたの。それで今日あいつらがやってきた時、まだ人間に命を狙われているんだと思ったら、すごく怖かった。とにかく…怖かったよぉ…」

 

 

こいしは完全に泣きだし、レイジは優しく頭を撫でてなだめた。するとこいしは突然レイジの胸に飛びつき、

 

 

こいし「本当は、あなたと戦うのも怖かった…うっく…あなた、人間だよね…ねぇ、本当に私達の味方なの…?」

 

レイジ「(コク)」

 

こいし「ひッ…うあぁぁん…」

 

 

しばらくこのままにしておいてやろう…レイジは胸の中で泣くこいしの頭を撫で続けた。

 

 

時は少し遡り、燐達が逃げる際に叫んだ人物、さとりは――――――――

 

 

さとり「あんなところにまで怪物が…。幸いこの階にはいないみたいだけど、攻撃が効かないなんて厄介で仕方ないわ。地底にあんな姿をした者はいないし、地上から来たとしか思えないわね…。誰の仕業かしら…」

 

燐・空「さとりさまああああ!」

 

さとり「どうしたの、そんな泣き顔で(少女読心中…)…侵入者の親玉らしき者が!?」

 

空「そうなんです!戦ったんですがなんかあいつ強くって!制御棒がぁ…」

 

燐「なんか人間っぽい感じでしたけど・・・あぁ、リボンがぁ…」

 

さとり「……」

 

燐「…あの、さとり様…?」

 

さとり「人間…敵…!!」

 

空「さとり様…!?」

 

さとり「…お燐。代わりのリボンをあげるからこれで結びなさい。お空。制御棒の予備はまだたくさんあったはずよ。早く準備を済ませて返り討ちにしましょう」

 

燐・空「…はい」

 

空「(なんかさとり様…怖い)」

 

 

鬼気迫る表情のさとりに燐と空は若干恐怖心を抱き、侵入者―――――レイジを始末する準備を急いだ。

 




作「TNTNって何だろうな」

弟「いつどこから発生したんだろうな」


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Mission 5 地獄

皆さんおはこんばちは、wingです。今回は作者暴走回になってしまいました…あと、残酷描写が出てきます。色々な意味で、閲覧注意です。


さとり、燐、空は、レイジを討つ準備を済ませ、レイジがいる四階へ足早に向かっていた。だが燐、空はレイジの行動を思い返し、侵入者にしては妙な戦い方をしていたなと疑問に思い始めていた。

 

 

さとり「(そういえば、こいしがいない…早く探さないと…。まったく、人間が…今更私達に何の用なのよ…!)」

 

燐「あの…さとり様…実はその…あいつのことなんですが」

 

さとり「何?」

 

 

さとりは「今私に話しかけるな」というような鋭い視線を燐に向ける。

 

 

燐「あ…いえ、何も…」

 

空「あの…さっき、あいつと戦ってて、少し思ったんでs」

 

さとり「大丈夫よ、あなた達は私が守るわ」

 

 

空の発言を妨げるように、さとりは言葉を重ねた。

 

 

燐「(うわぁ…完全にこいし様のことで頭が一杯になってるよ…)」

 

空「(こうなるとさとり様、心を読むことすら忘れちゃう時があるもんなぁ…)」

 

さとり「(この子達にも、こいしにも、もうあんな悲しい目には合わせたくない…絶対に守ってみせる…!)」

 

 

一方、レイジ達は―――――――

 

 

こいし「ぐすん…やっぱり、人間は悪い人だけじゃないんだね」

 

レイジ「…」

 

こいし「わかってたつもりだったんだけど、人間を見る度に、昔のことを思い出しちゃってね…でも、これで人間嫌いが少しは治るかも。あなたのような優しい人間に出会えたから…」

 

 

こいしは徐々に泣き止んでいるが、まだレイジの胸にしがみついている。

 

 

こいし「そういえば、まだ誤解して攻撃したことを謝ってないね。…ごめんね」

 

 

レイジは気にすることはないと微笑みかける。こいしも、彼の微笑みを見て安心したのか自然と笑顔になっていた。

暖かい雰囲気が彼らの周辺を包み込む。しかしそれは長くは続かず、一人の少女によって一瞬で打ち破られる。

 

 

さとり「こいし!」

 

こいし「お姉ちゃん!お燐、お空も無事でよかった!」

 

 

部屋の奥から現れたさとりは声を張り上げてこいしを呼ぶ。しかし後ろにいる燐、空の様子がおかしい。どこか不安そうな顔をしている。こいしは一瞬嫌な予感がしたが、深く考えず素直に家族の無事を喜んだ。しかし…

 

 

こいし「大丈夫!?ケガはない!?」

 

こいし「うん、大丈夫だよ。お姉ちゃんも大j」

 

さとり「人間め!私の妹に触るなあ!!」

 

 

こいしの予感は的中、今のさとりは今回の事件を人間の仕業と思い込み、家族を守ることに躍起になっていた。さとりはレイジに突進、彼の首を掴み、そのまま壁に叩きつける。レイジは振りほどこうとさとりの腕を掴むが、思っていたよりも力が強く、振りほどけない。妖怪故の力だろうか。

 

 

こいし「お、おおお姉ちゃん!?」

 

さとり「今の私達があの頃のひ弱な少女のままだと思いましたか…?もしそう考えていたのならば、それは大きな間違いですよ…人間…!!」

 

こいし「お姉ちゃん!やめてよ!お姉ちゃんなら心を読んでこの人の本心がわかるでしょ!?」

 

さとり「人間如きにこの能力を使うまでもないわ!人間は「悪」!人間はいつだって自分勝手で、自らの利益のために私達妖怪は住処を追われ、虐殺され続けてきた!」

 

空「さ、さとり様、別にそうと決まったわけじゃ」

 

さとり「そうに決まってるわ!これは事実なのよ!…ねぇ、人間。あなたにこの気持ちがわかりますか?妖怪退治と称して罪のない妖怪までもが虐殺され、毎日彼らに怯えながら過ごしていた私達の気持ちが…!」

 

 

レイジにとっては何が何だかさっぱり、さとりは滅茶苦茶なことを口走ってゆく。さらに首を掴む手をさらに強く締め付ける。

 

 

レイジ「…ッ!」

 

燐「さとり様!お止め下さい!」

 

さとり「あなたには、私達の苦しみの片鱗を味わわせてあげましょう…。妖怪の恐ろしさを、思い知らせてあげます」

 

レイジ「……!」

 

さとり「…何か言いたそうな顔ですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「…ふざ、けるな…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さとり「…は?」

 

レイジ「さっきから聞いてれば…言いたい放題言って…俺は…人間(おれたち)は…お前に定義されるほど…ッ、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「簡単な存在じゃない!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジは思い切りさとりの腹を蹴り、首から手を離させる。レイジは強く首を絞められていたため、咳込む。

 

 

さとり「ぐッ…!そんなに死にたいのですか?いいでしょう、では眠りを覚ます恐怖の記憶(トラウマ)で眠るがいい!!」

 

こいし「お姉ちゃん!!やめてえええ!」

 

さとり「想起「テリブルスーブニール」!!」

 

 

さとりはスペルカード名を叫びながら、レイジの目を覆うように顔面を掴む。するとレイジの視界には、あの忌まわしい事件の光景が…

 

 

一方、地霊殿周辺では―――――

 

 

レン「ふう、ようやく終わりましたね」

 

アーティ「そうね。…はッ!レイジが危ない!!」

 

 

突然アーティは地霊殿の入り口に走り出す。そして閉じられた扉を蹴破り、中に入っていった。

 

 

レン「アーティさん!?あっ待って下さいよー!」

 

 

 

レイジがまだゴッドイーターになる2年前――――――

 

夜、戌亥道場にて

 

 

レイジ父「よし、今日の稽古はここまで!!」

 

弟子「ありがとうございましたー!」

 

レイジ母「お疲れ様、あなた、カナ」

 

カナ「ねえ母さん、レイジは?なんか昼から見かけないんだけど」

 

母「ああ、あの子ならフェンリル支部からの呼び出しで出かけてるわ。あの子、神機使いになって人々を守るのが夢だって言ってたから、きっと張り切ってるでしょうね」

 

父「ははは、違いない」

 

 

戌亥一家は父、母、レイジの姉にあたるカナ、レイジの四人家族だ。戌亥家はみな武術に長けており父は柔道、母は剣道、カナは空手を得意分野としている。レイジはどれにおいても突出した才能を持ち、どれも得意だ。この日、レイジは神機の適合候補者に選ばれたということで極東支部で手続きをしに出かけていた。父、カナは稽古で掻いた汗を拭き、母は二人にスポーツ飲料を持ってくる。弟子達は雑談しながら帰宅の準備をしており、まるで絵に描いたように幸せな生活を送っていた。

しかし…

 

 

 

 

ズドーーーーーン!!

 

 

 

全員「!?」

 

?「お邪魔しまーすww」

 

 

なんと突然、アラガミ達が道場の壁を突き破って内部に侵入してきたのだ。幸せな日常は一瞬で地獄と化した。ふざけた口調で道場に侵入してきたアラガミは、上半身には妖艶な女性、下半身には禍々しい巨大な四肢。対照的な容姿を持つ、「ヴィーナス」だ。

 

 

ヴィーナス「さあお前達、こいつらが今日の夕飯だ、残さず食べるんだよ」

 

 

すると壁に開けられた穴からたくさんのアラガミが侵入し、弟子たちを喰らっていく。喰われた者達の肉片が飛び散り見るも無残なことになっていた。

 

 

父「お、お前ら…!!貴様ぁああよくも!」

 

カナ「あ、あれ…アラガミ!?」

 

母「逃げるわよ!あなた!早く!」

 

父「俺がこいつらを食い止める!その隙にお前らは逃げろ!」

 

 

母、カナは無茶だと父に逃げるよう急かすが、父は全く逃げる素振りを見せないため断腸の思いで二人だけで逃げ出すことにした。

 

 

ヴィーナス「おや、あたしらから逃げられると思ってるのかい?…お前達」

 

 

彼女が指示すると、そばにいたオウガテイル二匹が二人を追い始める。

 

 

父「くッ!させるか!」

 

ヴィーナス「おっと、あんたはあたしと遊ぶんだよ」

 

父「何が遊ぶだ!俺の可愛い弟子たちを殺しやがって!許さんぞおおお!」

 

ヴィーナス「おお、こわいこわい(笑)でも、あんたのような威勢のいいヤツは嫌いじゃないねぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころレイジは、念願の神機使いになれると意気揚々と帰宅の道を歩いていた。この知らせを聞いて家族はどんな反応をするか楽しみだ。想像を膨らませながら家に続く曲がり角を曲がると、

 

なんと上半身だけで倒れているカナの姿が。あまりに無残な状態なのでレイジはひどく驚愕した。

 

 

レイジ「…!?」

 

カナ「レイジ…なの…?」

 

レイジはカナの背中に手を回して抱きかかえ、顔をこちらに向けさせる。

 

カナ「かあ、さん……父さ…んが…」

 

 

そう言うと、カナは静かに目を閉じた。

 

 

レイジ「…!!」

 

 

ふとレイジはカナから続く血の跡を見つけ、目で辿る。現在の場所からそこまで離れていない場所に、誰かの左腕が無造作に転がっているのを発見した。

 

 

薬指に指輪をはめている。あれは恐らく、母の…

 

レイジはわけがわからなくなり、呆然と、ふらふらと家に向かう。その家もかなりの部分が破壊され、中に入っても、無残な死体、死体…

すると、父がいないことに気付く。辺りを見渡して探していると、

 

 

ヴィーナス「探しているのはこいつかなぁ?」

 

レイジ「!」

 

 

レイジの背後から声が聞こえる。振り向くと、レイジの父親―――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――の生首を持っているヴィーナスの姿が。

 

 

ヴィーナス「首から下はこのヴィーナスがおいしくいただきましたwwやっぱ引き締まった肉はうまいね~」

 

 

レイジは絶望し、その場にへたり込む。すると突然、レイジの目の前で爆発が起きる。運の悪いことに、爆発で飛び散った破片がレイジの両目を切り、彼は両目を押さえもがき苦しんでいた。

 

 

ヴィーナス「わっバカ!クアドリガ何やってんの!?勝手に邪魔すんじゃないよ!」

 

クアドリガ「ガウ…」

 

ヴィーナス「喰わないのかだって?もうお前腹一杯なんだろ!?ちょっとは腹八分を覚えたらどうだい!?まったく、あたし達が生きていくためにも、人間どもを余計にけしかけさせないためにも、無闇な手出しはすんな、いいね?」

 

クアドリガ「(´・ω・`)」

 

ヴィーナス「…本当はあたしだって自由に暮らしたいのさ…でもどこに移り住んでも、いつも行った先の住人に邪魔されちまう…もうこの世界が、あたし達の住める最後の場所なんだよ。あんたは長いこと一緒にいたからわかるだろ?」

 

 

ヴィーナスはレイジを片手で拾い上げる。レイジは目を押さえ、じたばたともがいている。

 

ヴィーナス「坊や、今日のとこは見逃してやるよ。ウチの連れが悪いことしたね。お詫びといってはアレだが、受け取りな」

 

 

すると、ヴィーナスは突然自らの両目を取り出し、レイジの目玉も取り出そうと指を動かす。

 

レイジ「…!!」

 

ヴィーナス「暴れるんじゃない…もう少しで終わるから我慢しな、男だろ?…よっ、こうして…ほい、交換終わった。…ちょっとものが見えにくいねぇ坊やの目は。まあさっきの爆発で切れちまったから仕方ないか」

 

 

ズバンッ!!

 

 

クアドリガ「グガァ!?」

 

ヴィーナス「!?」

 

 

突然、クアドリガが血を吹き出し倒れる。どうやら神機使い達がやってきたようだ。メンバーの中にはリンドウの姿もあった。

 

 

ヴィーナス「ちッ…ここに来たとなると、もう表のヤツらはやられちまったか…」

 

リンドウ「おい!お前、その子に何してやがる!!」

 

ヴィーナス「え?ケガの治療」

 

リンドウ「お前達アラガミに、そんな情があるとは思えないがな!…ん?お前、喋れるのか?」

 

ヴィーナス「そうだよ。それが何か?」

 

リンドウ「へ~…ってあぁったく、お喋りしてる場合じゃないだろ俺…。そいつを放せ!」

 

 

リンドウはヴィーナスに飛びかかり、一太刀浴びせようとする。ヴィーナスはそれを避け、

 

 

ヴィーナス「そのつもりだよ、こいつにはもう用はないし。じゃあね~」

 

 

ヴィーナスはポイとレイジを投げ捨て、道場を後にする。

 

 

リンドウ「あっこんの待ちやがれ!…くそッ、あの速さじゃ追いつけないな」

 

神機使い「さ、もう大丈夫だよ。立てるかい?」

 

レイジ「ッ…」

 

 

レイジは未だ目を押さえて苦しんでいる。

レイジの目の辺りを中心に、何かに蝕まれるような、痛みなのかよくわからない感覚に襲われる。とにかく苦しい。すると目を押さえていた手の内側から、目から流れ出たのだろうか、血が滲み、滴り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「ううううあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁあああぁああああああぁ!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こいし「!?目から血が…!?」

 

 

レイジは蘇る感覚にたまらず絶叫し、目を覆うように顔を掴むさとりの手の内側から、血が滴るのが見え、それに一瞬怯むこいし。

 

 

さとり「痛いですか!苦しいですか!私達はそれを長い間経験してきたのです!」

 

 

さとりは握りつぶさんとするばかりに手に力を籠める。こいし、燐、空は見るに耐えられなくなり、三人がかりでさとりを羽交い絞めにし、レイジから距離を置かせる。

 

 

燐「さとり様…いくらなんでもやり過ぎです!」

 

空「私達は人間を憎んでなんていませんよ!」

 

さとり「放して!放しなさい…ッ!人間なんて…人間なんて!」

 

 

さとりは腰にしがみついて制止させようとしたこいしを振り払い、こいしはしりもちをつく。いつまでも暴走を止めないさとりに、こいしはとうとう堪忍袋の緒が切れた。

 

 

こいし「突撃「無視すんなゴルァアアアアアアアアアアアアア!!!」」

 

さとり「がはぁッ!?」

 

燐・空「!?」

 

 

まるでラグビー選手の如き低めの姿勢からのタックルでさとりに突撃。さとりは大きく体を反らしながら吹き飛んだ後倒れこみ、大きく咳込む。

 

 

こいし「お姉ちゃん!いい加減にしてよ!確かにこの人は人間だけど、私達を苛めたあいつらとは違う!ここを襲った怪物だって、ほとんどこの人がやっつけてくれたんだよ!!それに今の人間はお姉ちゃんが思ってるほど意地悪な存在じゃないの!実際、地底に引っ越してからは何事もなく楽しく暮らせたし、たまに地上に出かけても問題なかったでしょ!?ならもういいじゃない!」

 

燐「(やっぱり…おかしいと思ってたんだ。だからあたい達に極力攻撃してこなかったんだね)」

 

さとりはようやく我に返り、勢いだけによる行動を恥じる。こいしはその様子を見ると、普段の口調に戻し、

 

 

こいし「ここは全てを受け入れる幻想郷なんだよ?なら、人間も妖怪も、仲良く暮らしたっておかしくないんじゃない…?」

 

さとり「…」

 

燐「さとり様、今回はあなたが悪いです。今あなたがしたことは、罪のない者を苛めているも同然ですよ…。どうか冷静になって下さい」

 

空「うにゅ!外にいた怪物が皆倒されてる!」

 

燐「いい知らせだけど、肝心な時によそ見しないでくれるかなぁ…」

 

さとり「…ええ、確かに短絡的過ぎたわ。あのことが絡むと、どうもいても立ってもいられなくなってしまう…そこのあなた、…先程はごめんなさい。あの…少しよろしいですか…?」

 

 

さとりはレイジに語りかける。しかしレイジはぐったりとした様子で、目は虚ろになり、目からの出血も止まってきてはいるがまだ余韻がある。さとりは自身の能力で心を読もうとするが彼は完全に放心状態となっていたため、何も読み取れなかった。

 

 

さとり「あ…」

 

レイジ「―――」

 

燐「さとり様、今は彼の前にいない方が良いかと。精神に大きく傷を負っているようですから」

 

さとり「…お燐。私はここに残るわ」

 

燐「さとり様!」

 

こいし「いいんじゃない?多分、その方がいいよ」

 

燐「ですが…!」

 

こいし「私、この人のおかげで少しだけど人間嫌い、治ったんだ!お姉ちゃんもこの人とお話してごらんよ!きっと私みたいに人間嫌いが治るかもね!」

 

燐「ですが彼のあの状態を考えr」

 

こいし「いいのいいの!二人きりにしてあげよ!さ、邪魔者はとっとと退散しよっか!」

 

燐「わわわ…」

 

空「あ、こいし様ぁ、どこ行くんですか~?あ、お燐、その体勢のままHA☆NA☆SEって言ってみてw」

 

燐「誰が言うか!」

 

 

こいしは燐を引っ張って下の階へ行く。窓の外を見ていた空はそれを見て無意識につられてついていった。

さとりとレイジだけが部屋に取り残され、しばらくの静寂が場の空気を支配する。しかしいつまでも黙っているわけにはいかないと思い、さとりは口を開く。

 

さとり「先程は本当に申し訳ありませんでした。私は古明地さとり。覚の妖怪で、この地霊殿の主です。私をお姉ちゃんと呼んでいた子は妹のこいし。猫の風貌をしていた子はお燐、翼がある子はお空。あの二人は私のペットです。あなたのお名前は…?あ、無理に言わなくてもいいですよ。頭に思い浮かべてくれればそれを読みとりますので…(少女読心中…)戌亥レイジさん…ですね。まずは私の部屋に移りましょう。そこで少し横になって下さい」

 

 

レイジは大きな精神的負荷を与えられてしまったため、動くのもままならない。ゆっくりと立ち上がるレイジをさとりは補佐し、彼の歩くペースに合わせ、少しずつ彼女の部屋に向かった。

 




弟「ちょさとりん暴走させすぎだろ」

作「気が付いたらこうなってた。後悔はしていない」

弟「「無意識なら仕方ない」ってか?前書きであんなに未練たらしくしてたくせによ…」

作「レイジが初めて喋ったよ!トラウマも見せたよ!」

弟「でも喋らせた結果がこれだよ!カ〇ーユみたいになっちまってんじゃねぇかよ…」

小説を書くのは難しいですね・・・


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Mission 6 爪痕

皆さんおはこんばちは、wingです。一話一話の尺の長さが伸びてきている気がします。区切りって難しいですね。それでは本編どうぞ。


一方、アーティ、レンはレイジを探して地霊殿の至る所を走り回っていた。

 

 

アーティ「どこ…どこなのよ…!!」

 

レン「一体どうしたんですか、さっきから真剣な顔して…」

 

アーティ「普段あたしが真面目じゃないとでも言いたいの!?今レイジがヤバいのよ!」

 

レン「レイジさんを見ていないのになぜわかるんですか!?」

 

アーティ「てぃきーんときたのよ!」

 

レン「…」

 

アーティ「ノリなさいよ!」

 

レン「…いつも通りですね」

 

 

同時刻、さとりの部屋に着いたレイジ達。レイジは神機入りのホルスターを部屋の入口近くに立てかけ、さとりは近くにあったソファーにレイジを寝かせる。レイジの目からの出血も止まり、目に光を取り戻し始めていたので、それを見てひとまず安心する。

 

さとり「しばらくはここで休んでいて下さい。何かありましたら声をかけて下さいね」

 

とはいえ、さとりは何をすればいいのか思いつかず、とりあえず少し散らかっている部屋の片づけをすることにした。しかし元々そこまで散らかっていなかったため、すぐ終わってしまった。何をしようか戸惑う彼女を見て、レイジは微笑を浮かべる。

 

 

さとり「ど、どうかしましたか?」

 

 

レイジは黙ったまま、微笑を浮かべ続けている。さとりは心を読み、彼女のぎこちない挙動を心中で笑っているのを読み取る。

 

 

さとり「な、何を考えてるんですかもう…///…ん?」

 

レイジ「」

 

 

レイジは眠くなっていたのか、静かに寝息を立てていた。

 

 

さとり「(…そういえば、こいしがよくあのソファで勝手に昼寝していたわね)

 

 

さとりはレイジが横になっているソファに腰掛ける。そして膝の上に彼の頭を乗せる。いわゆる膝枕をしたのだ。

 

 

さとり「(こうして、よく唄を歌ってあげたっけ…)」

 

 

そう思うと、こいしを膝枕していた時によく口ずさんでいた唄を歌い始めた。

 

 

レン「この部屋かな…」

 

 

その頃、レン達は別行動をし、レイジを探していた。現在レンはさとりの部屋に入ろうとしている。

 

 

レン「失礼します…」

 

さとり「!…どなたですか?」

 

レン「えッ…!?いや、あの、僕はレイジという人を探してたんd」

 

さとり「レイジさんのご友人ですか?彼ならここにいますよ」

 

レン「えっ…あ、本当だ、…ってレイジさん?眠っている…」

 

さとり「えぇ、まあ…」

 

レン「よかった…とりあえず無事で安心しました」

 

するとアーティがドアを乱暴に開け、中に飛び込んできた。

 

 

アーティ「レイジッどこ!?…あ、レン、いたの?」

 

レン「仮にも他人の家なんですから乱暴にしないで下さいよ…。レイジさんならここで眠っています」

 

アーティ「そう…よかった…ふぅ」

 

さとり「あなたもレイジさんのご友人ですか?」

 

アーティ「!…どうしてわかったのよ」

 

さとり「…「なぜ自分の姿が見えるのか」ですか?」

 

アーティ「…はぐらかさないで答えなさいよ」

 

さとり「申し遅れました。私は古明地さとり。覚の妖怪で、この地霊殿の主です。そして私はこの第三の目で相手の心を読むことが出来ます。私があなた達を見ることができる要因は恐らくこの能力でしょう。あなた達は彼n」

 

 

さとりはレン達の正体を口にしようとするが、レンがすかさず止める。

 

 

レン「待って下さい。そのことはレイジさんの前では言わないでくれますか?もしかしたら起きてるかもしれませんので」

 

さとり「…わかりました」

 

アーティ「ふうん…。覚だけにさとりってワケね…」

 

レン「だからって声に出す必要もないんじゃないですか…?」

 

アーティ「ノリなさいよ」

 

レン「嫌です」

 

アーティ「…で、レイジは大丈夫なの?こいつの顔に血の跡が見えるんだけど、何かあったの?」

 

 

さとりは急に落ち込んだ表情になる。

 

 

さとり「…何もなかったといえば、嘘になります…」

 

アーティ「あ?どういうこと?…まさかあんた、レイジに何かしたんじゃないでしょうね」

 

さとり「…はい」

 

アーティ「…!」

 

 

アーティはさとりに詰め寄り、胸倉を掴み上げる。

 

 

アーティ「あんたいったい何をしたのよ!」

 

さとり「わ…私は今回の事件を人間の仕業と思い込み、家族を守ることばかり考えていました…」

 

アーティ「あいつに何をしたかって言ってんのよ!!」

 

レン「アーティさん!落ち着いてください!暴力はいけませんよ!…さとりさん、すみません。続きを話して下さい」

 

 

レンが間に入り、アーティを制止させる。

 

 

さとり「一言で言えば、怪物を倒しに来ただけの彼を今回の事件の犯人と思い込み、スペルカードで彼のトラウマを見せ、精神を傷つけました…」

 

レン「先程あなたは、心を読めると言いましたね。レイジさんを襲ったとき、その能力は使わなかったのですか?」

 

さとり「…あの時は家族を守ることで頭が一杯だったため、能力を使うことを忘れていました…。その時まで人間は全て悪だと思い込んでいたので、どうせ彼も同じなのだろう…ならば心など読むだけ無駄だと、完全に彼のことを無視していました」

 

アーティ「フン、どっちが悪よ。覚も心を読むのを忘れることがあるのね?」

 

レン「アーティさん!なんでそんなにケンカ腰なんですか!彼女は家族を守るためだったんです、人間が悪というのは僕も納得いきませんが仕方ないじゃありませんか!アーティさんがさとりさんの立場だったら、同じことをするかもしれないでしょ!」

 

 

アーティは不意を突かれたのか、何も言い返せず、不満そうに舌打ちをし、体を背けた。

 

 

さとり「いえ、お気になさらずに。今回は完全に私が悪いと思っています…本当に申し訳ありませんでした。こんな私は、嫌われても仕方がありません…」

 

 

嫌な間が空き、険悪な雰囲気が部屋を覆う。しばらくの沈黙の後、アーティが体を背けたまま、口を開く。

 

 

アーティ「…で、結局レイジの容体はどうなの」

 

さとり「はい、順調に回復してきています。先程は、私に微笑みかけるほどd」

 

アーティ「あっそ。それを聞いて安心したわ。レイジがあんたを許してるならあたしも許す。さっきは悪かったわね」

 

さとり「えっ…!?いえ、お気になさらずに…」

 

レン「もう、びっくりしましたよ…」

 

アーティ「さて、やっと一息つけるわね」

 

レン「ここに迷い込んでから、殆ど休みなしで行動してきましたからね」

 

 

レンとアーティはレイジが横になっているソファーの反対側にあるソファーに腰掛ける。すると、妖精がボロボロの姿で部屋の中に入ってきた。

 

 

妖精「さとり様…大変です…」

 

さとり「どうしたの!?…その様子じゃ、かなりまずいことが起きたようね」

 

妖精「今までより大きなバケモノが…空さん…が…管理している…灼熱地獄…に…」

 

 

言い終わらない内に、妖精は倒れこみ、気絶してしまった。

 

 

さとり「大丈夫!?しっかりして!…くっ、お空たちが心配だわ…今すぐ向かわなくては…!お二人とも、レイジさんを頼みます!」

 

 

さとりは大急ぎで地下に向かう。

 

 

レン「あっ!待って下さい!まずいですね…僕達三人以外では、大型アラガミにほぼ勝ち目はありません!僕達も行かないと…」

 

 

しかしレイジを置いていくわけにもいかない。仕方ないので、アーティが下層に行き、レンが留守番をすることにした。しかし…

 

 

アーティ「じゃあ行ってくr…あッ!」

 

レン「どうかしましたか?…えッ!?」

 

 

なんとソファーで眠っていたはずのレイジが忽然と姿を消していた。立てかけてあった神機もない。恐らく妖精の言葉を聞いて飛び出したのだろう。二人も急いで灼熱地獄に向かった。

 

 

その頃、灼熱地獄では―――――――

 

 

燐「くッ…こいつ、なんて硬さだ…!」

 

空「何度もメガフレアを当ててるのに!」

 

こいし「全然効かないなんて…どうしよう」

 

 

こいし達はレイジをさとりに任せた後、灼熱地獄で妖精も交えて遊んでいた。そんな時、突如空からアラガミが降下、こいし達を襲う。そのアラガミは、「ハンニバル」だ。

ハンニバルは炎に耐性を持っている。地霊殿を襲ったアラガミのほとんどは火属性に弱かったため空のスペルカード、爆符「メガフレア」によって倒されていたがハンニバルには通用せず、一方的に攻撃を受ける形となり妖精達は壊滅状態、こいし達も打開策が見つからず徐々に追い込まれてしまう。

 

 

空「撃ちすぎたかな、疲れてきちゃった…」

 

燐「弱点は…弱点はないのか!?」

 

こいし「やられるわけにはいかないのに…どうすれば…!」

 

 

ハンニバルは止めの一撃を決めようと腕を振りかぶる。

 

 

さとり「待ちなさい、怪物!」

 

 

ハンニバルが腕を振り下ろそうとしたその時、上空からさとりが現れ、弾幕を放ち攻撃する。

 

 

空「さとり様!こいつ、私のスペカでも歯が立ちません!」

 

さとり「あなた達!私がここで注意を引くから、逃げなさい!」

 

燐「そんな…!一人で戦うなんて無茶です!」

 

こいし「…はっ、そうだ…!ねえお空、あの怪物、マグマに突き落とせないかな?メガフレアはダメージを与えられなかったけど、のけぞらせることはできたでしょ?」

 

空「そっか、そうすればなんとかなるかもしれませんね!」

 

 

敵を倒せるかもしれない作戦を思いつき3人の顔に明るみが出る。こいし、燐は空にメガフレアを安全に撃たせるために注意を引く。

 

 

さとり「何をやってるの!早く逃げなさい!」

 

こいし「嫌だね!」

 

燐・空「嫌です!」

 

こいし「お姉ちゃん、こいつをマグマに突き落としてみようよ!もしかしたら倒せるかもしれない!」

 

さとり「…仕方ないわね。あなた達、ケガをしてるみたいだから私が先頭になるわ。絶対に無理をしないで」

 

こいし「うん、わかった」

 

 

さとり、こいし、燐でハンニバルの攻撃が空に向かわないように引き付けつつ、崖際に誘い込む。空は制御棒にエネルギーを集中させる。そして――――

 

 

空「チャージ完了!爆符「メガフレア」、皆離れて!」

 

 

さとり達は真上に飛び、射線上から退避する。空はそれを確認し、渾身の一撃を放つ。

 

 

空「地獄に…落ちろおおおおおおお!!!」

 

 

ハンニバルは背中を向けていたため空の攻撃に気付かず、メガフレアが直撃する。ハンニバルは踏み留まろうと踏ん張るが、少しずつ崖の方向へ押されていく。もう少しで落下するところまで押されたその時、

 

 

ハンニバル「グオオオオオオオオ!!」

 

ハンニバルの背中の逆鱗が壊れ、炎が溢れ出す。それはまるで翼のようだ。そして腕に炎の剣を纏い、メガフレアを切り裂き、消滅させる。

 

 

空「え…」

 

こいし「うそ…」

 

 

最後の希望を文字通り断ち切られ、愕然とする。だがハンニバルはそんな暇も与えず、上空にいるさとり達に向かってジャンプし、ハンニバルは長い尻尾で攻撃しようとする。

 

 

さとり「(はッ!!まずい!)」

 

 

咄嗟にさとりは前に出て燐達をかばう。しかし三人とも攻撃を食らってしまい、地面に叩き付けられる。

 

 

さとり「ぐはッ!」

 

こいし「あうッ!」

 

燐「うあッ!」

 

 

大したダメージにならなかったため3人はすぐに起き上がるが、打つ手なしの状況に絶望し始めていた。

 

 

空「あと少しだったのに…!」

 

こいし「そんな…」

 

燐「どうすれば…」

 

さとり「くッ…!」

 

 

さとりはハンニバルの前に立ち、両腕を広げる。

 

 

さとり「(この子達だけでも守らなければ…!)」

 

こいし「お姉ちゃん…!?」

 

 

ハンニバルはかまわずパンチをしようと左腕を振りかぶる。すると燐が上空に何かを見つける。

 

 

燐「…?あっさとり様、あれ!」

 

さとり「え…?」

 

 

さとりは上に視線を向ける。何かがこちらに落ちてきているのが見える。よく見ると、なんとレイジの姿が。

 

 

さとり「レイジさん!」

 

 

さとりには、彼はまさに絶望的状況を覆す希望の光のように見えた。ハンニバルは既にさとりにパンチをしようと左腕を振り始めている。レイジは落下しながら神機を捕喰形態に切り替え、左腕を喰いちぎった。

 

 

ハンニバル「グォオオオオオオ!!」

 

 

ハンニバルは悲鳴を上げ、痛がっている。レイジはその隙に状況を確認。さとり達に下がるよう伝える。

 

 

こいし「え、1人で大丈夫なの!?」

 

レイジ「…」

 

さとり「(少女読心中…)わかりました。皆、ここは彼に任せましょう」

 

空「え、でも…」

 

さとり「彼ならきっとやってくれるはず。「自分はそのための存在」だと()っていたから」

 

 

四人は前線から下がり、レイジを見守る。

ハンニバルは痛手を負わされたことにより怒りで活性化し、雄叫びを上げる。レイジの神機は先程喰らったハンニバルの左腕を喰い終わり、剣形態に戻る。レイジは再びバースト状態になり、弾丸のような速度で敵に向かってダッシュする。ハンニバルは迎え撃とうと爪で攻撃。レイジはギリギリで避けつつ、ハンニバルの右腕の勢いを利用して刃をめり込ませる。両腕をやられたハンニバルは立つことがままならず、よろよろとしている。

 

 

さとり「…すごい」

 

こいし「なんか私達必要ない感じ?」

 

 

さとり達はレイジのあまりにも圧倒的な戦いぶりに驚くばかり。レイジは止めに神機を右肩に置くような形で構え、神機に意識を集中させる。すると刀身に紫のオーラが発生し、巨大な刃が形作られる。ハンニバルはそれに気づいたのか、フラフラとした足取りでレイジに向かってくる。そしてレイジは、神機を振り下ろす。スペルカード風に言えば、

 

両断「チャージクラッシュ」といったところか。

 

ハンニバルは真っ二つになり、ズズンと崩れ落ちる。動かなくなったのを確認し、レイジは神機でハンニバルのコアを捕喰しながら皆の無事を確認する。

 

 

燐「…これで騒ぎも落ち着きそうですね」

 

さとり「そうね。…レイジさん、危ないところをありがとうございました。いとも容易くあの怪物を倒すとは…その武器には何か秘密があるのですか?」

 

こいし「もしかして、その武器じゃないと倒せないとか?」

 

 

レイジは今回の事件で現れた怪物、「アラガミ」について説明した。

 

 

空「へー、つまりあんたじゃないとあいつらを倒すのは難しいんだ」

 

燐「どうりでお空の大技しか攻撃が効かないわけだよ…」

 

 

一方で、アーティ達は灼熱地獄と地霊殿を繋ぐ階段を走り下りていた。

 

 

アーティ「ようやく見えて来たわね」

 

レン「あ、あの様子だと、終わったみたいですよ」

 

アーティ「ん、あれハンニバルじゃない。レイジちゃんと"あのこと"知ってるかしら…って!」

 

 

気付いた時には、ハンニバルは再び動き出していた。ハンニバルはコアを失っても再び生成できるので、不死身なのだ。レイジは初めてそれを見た時驚いたが、コウタを守ろうと必死だったため、よく覚えていない。その上、さとり達と会話しながら階段に向かっている。よって、完全に後ろが無防備な状態なのだ。

 

 

アーティ「レイジ!後ろ!!」

 

レイジ「?」

 

 

レイジは後ろではなく、先にアーティのいる方向を向いてしまった。レイジから緊張感が感じられず、アーティとレンは焦る。ハンニバルはすぐそこまで迫っている。

するとさとりがこれに気付き、

 

 

さとり「はッ!危ない!」

 

 

さとりはレイジに跳びかかりながら突き飛ばす。ハンニバルの腕がさとりの左腕かすめていく。レイジはようやく状況を把握し、まずさとりの様子を確認する。すると、直撃しなかったものの彼女の二の腕にガラスの破片で切ったような傷が出来ていた。傷は浅いが出血が多めだ。爪が掠ったのだろう。

 

 

こいし「ああっ!お姉ちゃん!」

 

さとり「ぐぅ…ッ、私よりも、あの怪物を…!」

 

空「よくも!くっそーこいつ、なんで墜ちないのよ!墜ちろおおお!」

 

 

空はメガフレアを発射し、ハンニバルを崖の下へ吹き飛ばす。マグマに突き落とされたハンニバルは、苦しそうにもがき、マグマの底へ消えて行った。いくらハンニバルでも、マグマの中では蘇らないようだ。

 

しかしレイジは後悔で頭がいっぱいだった。ハンニバルは倒しても蘇ることをすっかり忘れていた。今更思い出した自分を責める。そこにようやく階段を下り終えたレンとアーティがやってくる。

 

 

レン「レイジさん!さとりさんに何かあったんですか!?」

 

レイジ「…」

 

燐「さとり様、大丈夫ですか!」

 

さとり「ええ、腕を掠めただけだから…」

 

アーティ「…あーあーやっちまったわねレイジ」

 

さとり「いたた・・・(スッ)わっ」

 

 

レイジはさとりをおんぶして階段を上り始める。大事に至らなかっただけまだいいが、喜ぶことなど出来なかった。自分の不注意でケガをさせてしまったことに変わりはないのだ。あの時ハンニバルの特徴を身を以て知っていたはずなのに…

事態は収拾したが、レイジとしては複雑な心境だった。

 




作「…」

弟「…」

作「…」

弟「…なあクソ兄貴」

作「あ?」

弟「気になったんだが、レイジとサヤカの容姿はなんだ」

作「ああ、それはキリがいいとこで登場人物紹介のページ作るから待っとれ」


とりあえず、サヤカsideを一通りキリつけてから登場人物紹介作ります。


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Mission 7 抱擁、喧騒、地底にて

皆さんおはこんばちは、wingです。ようやくレイジsideに区切りがつきそうです。それではどうぞ。


アラガミ地底襲撃事件はハンニバルの撃破により、事態は沈静化されていった。地下街ではもうすでに普段の活気を取り戻している。

 

 

勇儀「今日は大変なことがあったけど、とりあえず無事解決したし、今日はいつもより騒ぐぞー!」

 

妖怪達「おーーーーーー!!!」

 

ヤマメ「いやあ~、動いた後の酒はうまいねぇ」

 

キスメ「あれ、そういえばレイジ君は?」

 

ヤマメ「ん、まだ地霊殿のとこにいるんじゃないかな」

 

キスメ「一緒にお酒飲みたいですぅ」

 

 

パルスィ「…私人の多いとこ嫌いなんだけど」

 

勇儀「いいじゃんか、今日は皆そろって宴会なんだ、お前だけ仲間外れにはさせんぞ!」

 

パルスィ「そのお気楽な頭が妬ましいわ…」

 

勇儀「どうした?飲まないのか?」

 

パルスィ「だ、誰も飲まないなんて言ってないわよ」

 

勇儀「ならほら、飲んだ飲んだ!」

 

パルスィ「ちょ、注ぎ過ぎ!」

 

 

地下街でワイワイと賑わっている一方で、地霊殿の屋上。地霊殿の遥か上空では、空が見えるほどの大きな穴が開いており、満月になりかけの月の光が地霊殿を照らしている。レイジは屋根の上で体育座りをして夜空を見つめていた。

 

 

レンとアーティはレイジのそばで彼の様子を案じている。

 

 

アーティ「あんたはホントワケのわからない性格してるわね。あれくらいでそんなに落ち込むなんて」

 

レン「言い方をもう少し考えましょうよ…」

 

アーティ「だってあれから二時間経ってるのにまだいじけちゃって、男のくせに情けないわ」

 

レン「数えてたんですか…」

 

 

すると、さとりが屋根に上ってきた。するとアーティは何かを思いついたのか、レンの腕を引っ張り、レイジがいる場所とは反対の場所に行き、隠れながら様子を見る。

 

 

レン「(…なんですかいきなり!?)」

 

アーティ「(ちょっといいこと思いついちゃったわ。あたし達じゃレイジを何とかできそうにないから、さとりと二人きりにさせてみよw)」

 

レン「(…まあ、さとりさんは心を読めますし、レイジさんの気持ちをよく理解してくれるかもしれませんね・・・って隠れる意味あるんですか?)」

 

アーティ「(ッるさい、黙んなさいよあんた、聞こえたらどうすんのよ)」

 

レン「(ンンンーーーッッ!)」

 

 

さとり「あら、レイジさん。よくここへの行き方がわかりましたね」

 

 

レイジは顔を伏せ、さとりの方を向こうとしない。さとりはレイジの隣に座る。

 

 

さとり「私はこの場所が好きなんです。こうしてきれいな月が見えるから…」

 

レイジ「…」

 

さとり「あなたも、ここを気に入ってくれたみたいですね。嬉しいです」

 

レイジ「…」

 

さとり「「勝手に人の心を読まないでくれ」…ですか?あぁ、つい癖で。ごめんなさい」

 

レイジ「…」

 

さとり「(「今の俺は、お前に顔向けできない」…か。あの時のことを気にしているのね)」

 

さとり「レイジさん。私はあのことを気にしてなどいません。むしろ、私の方があなたにひどいことをしました」

 

 

レイジは顔を伏せたまま、首を横に振る。

 

 

さとり「あなたは…優しいんですね。実をいうと、あなたのような人間には…今まで会ったことがありませんでした。だから、「人」のために何かをしてあげようと思ったのは…こんな気持ちになれたのは、あなたが初めてです。なぜだかわかりますか…?」

 

 

レイジは再び、首を横に振る。

 

 

さとり「許してくれたからです。トラウマを思い出させることは、心の傷をさらに深くする…誰がやられてもこの上ない苦痛になるでしょう。そして私はそれをあなたにやった。それでも、あなたは私を責めることなく私を茶化していましたよね」

 

レイジはピクッと反応する。

 

 

さとり「あなたを部屋に運ぶ時、内心、ヒヤヒヤしていました。もし元気になったあなたが私を責めたら…自分で勝手にやったことだから自業自得なんですが、それでも、…責めませんでしたよね」

 

レイジ「…」

 

さとり「正直言って、怖かったんです…責められるのが…。私は自分の能力のせいで昔から多くの人間に忌み嫌われていました。だから…」

 

 

さとりの声が少しだが震える。

 

 

さとり「許してくれて…嬉しかった…!」

 

レイジ「…」

 

さとり「初めてなんです。私のこの能力、「心を読む程度の能力」による力を目の当たりにして、自分の容体を気にせず笑ってくれた…。何度もアラガミから私達を救ってくれた…。あなたには、本当に感謝しています」

 

さとり「それと、私がケガをしたことは気にしないでください。あれは私が勝手にやっただけですから…」

 

 

レイジはゆっくりと顔を上げる。だがさとりの方には向いておらず、顔もよく見えない。

 

 

さとり「レイジさん。私はあなたを許します。あなたが私を許してくれたように…。貸しだとか、借りだとか、そんなものではありません。こんな私でも、受け入れてくれる「人」に出会えたから…私からも、何かをしてあげたい…」

 

 

さとり「だから……泣かないで…」

 

 

さとりはレイジの頬に手を添え、ゆっくりと顔を自分の方向へ向ける。レイジは涙を流していた。

 

 

さとり「私はあなたを許します。そして、私はあなたを受け入れます…」

 

レイジ「…ッ――――――」

 

 

さとりは、震えた声を漏らしつつ涙を流すレイジをそっと抱き寄せた。それはまるで母親のように優しく、温かかった。

 

 

さとり「あなたは不思議な方ですね…。灼熱地獄に行くのに階段を使わず落下してくるような豪快な方と思えば、私のことを心配してくれる繊細な面もある…。性格とは複雑なものですね」

 

アーティ「(グスッ、いきなり現れて脅かそうと思ったけど、さとりの温かさに心を打たれたわ…)」

 

レン「(イイハナシダナー(´;ω;`)…って、さっきと目的が違うじゃないですか…)」

 

さとり「…レンさん、アーティさん、そこにいるのでしょう?」

 

アーティ「!?…にゃ、にゃーん」

 

 

アーティは猫の鳴き真似で誤魔化そうとするが、レンは素直に姿を見せた。

 

 

レン「えーと…やっぱりバレてました?」

 

さとり「ええ、私がここに来た時からわかっていましたよ」

 

アーティ「マジか…でも雰囲気的にね、出てくるべきじゃないと思ってたのよ」

 

さとり「お気遣いありがとうございます(絶対嘘ね…)」

 

アーティ「ん、なんか街が賑やかになってるわね」

 

さとり「恐らく今回の騒ぎが収まったので皆集まって宴会をしているのでしょう。皆さんも行きますか?」

 

 

アーティ「そうするわ、腹減ってきたし」

 

レン「お言葉に甘えさせて頂きます」

 

 

一行は地下街に足を運び始める。その様子を、地底の天井に開く大きな穴の上から眺める影が一つ。

 

 

?「うーん、いい眺めだね。とはいえ、なんかあの二人を追ってたらわけわかんないとこに迷い込んじまうし、ひとまずちっこい奴らを地底に送って様子を見てみたら、あの坊やがいるときたもんだ。しかもあたしの目を有効利用してるじゃないか…こいつは予想外だし、厄介だね…。ん、どうした?…今から襲ったらいけないかって?やめとけ、今は展開的にやめといた方ががいいのさ。…ん?今度は何…へぇ。もう一人の方が竹林の方に…。わかった。じゃあその竹林に行くとするか。おっと、お前とお前はあの坊やの監視を続けろ。何かあったら連絡しな」

 

 

そう言うと、影はその場を後にした。

 

 

?「さて、もう一人の方ははどれほどやれるのかな…?」

 

 

一方で、レイジ達は夕飯をまだ食べていないという意味でも、勇儀達の無事を確認する意味でも、宴会に参加することにした。

 

ヤマメ「おお、珍しいね。さとりが宴会に来るなんて」

 

さとり「ええ、皆さんの無事を確認しがてら夕飯を頂こうと」

 

キスメ「レイジ君も来てくれて嬉しいですぅ」

 

こいし「お姉ちゃん遅いよ!早くしないとなくなっちゃうよ!」

 

空「あ、さとり様ぁ、お先に失礼してまぁwすww」

 

燐「あんた飲みすぎだよ…ベロンベロンじゃないか」

 

空「何だとぉ?私は酔ってなんかいなあい!」

 

燐「それを酔ってるって言うんだよ…」

 

勇儀「おお、レイジ!こっちへ来い!一緒に飲もう!」

 

 

宴会場では、大勢の人数が集まって食っては飲み、騒いでいた。レイジは勇儀に引っ張られ、酒を勧められる。レイジはまだ未成年だ。しかし飲めないとは言っては気分を害すると思い、あまり好きではないと答えた。

 

 

勇儀「そいつは残念…でもまあ腹が減ってんだろ?たらふく食っていけばいいさ!宴会は楽しむことが一番大事だよ!」

 

 

辺り一面に様々な料理が並べられている。レイジはありがたく頂くことにした。

 

 

こいし「はいお姉ちゃん!あーん」

 

さとり「熱ッ!!ちょっとそれ熱すぎ!」

 

レン「…幻想郷って、こんなに平和なんですね…今日はアラガミが襲ってきたのでいまいち実感湧きませんが」

 

アーティ「私達の世界じゃ考えられないわね…毎日がこんなに平和だったらいいのに…。なんか羨ましいわ」

 

パルスィ「…?」

 

勇儀「ん、どうしたパルスィ」

 

パルスィ「…いえ、何も」

 

勇儀「宴会中は笑顔以外の表情は必要ない!さぁ、もっと飲むぞ!」

 

パルスィ「あっだから注ぎ過ぎよ!」

 

 

こうして、宴会では皆幸せに過ごしていた。そして宴会終了後―――――

 

 

レン「で、なんでこうなるんですか…」

 

アーティ「知らないわ」

 

 

状況を説明すると、宴会後、レイジは勇儀に再び決闘を申し込まれ、宴会場の外で行うことになった。勇儀は少し準備をするため、宴会場の中にいる。その間、レイジはレン、アーティと共に再びあの「準備運動」をすることにした。決闘を見に来た妖怪達は決闘する場所から少し離れた場所にいるレイジを見て驚愕している。

 

 

こいし「なんか、すごいね…」

 

さとり「そ、そうね…(レンさん、アーティさん、お疲れ様…)」

 

パルスィ「妬ましいわ、あの動き…」

 

ヤマメ「伊達にあの怪物どもと戦ってるワケじゃないみたいだしね。こいつは期待出来そうだ」

 

キスメ「楽しみですぅ」

 

 

そして、勇儀は準備が終わり、颯爽と宿から姿を現す。以前と同様、酒の入った杯を持っている。観客達は歓声、拍手を送る。レイジは勇儀の真正面の位置になるように立つ。レイジにも、歓声と拍手が挙がった。

 

妖怪「いい勝負しろよー!」

 

こいし「がんばれー!」

 

ヤマメ「簡単に捻り潰されるんじゃないよー!」

 

 

レイジは無反応はいけないと思い、笑顔で手を軽く振る。そのはにかんだ表情に、何人かは心打たれてしまった。

 

 

ヤマメ「(なッ、何だ…今の…!?)」

 

キスメ「飲みすぎでヤマメちゃんの顔、赤いですぅ」

 

さとり「……!」

 

こいし「ん、お姉ちゃん顔が赤いよ?」

 

さとり「えッ?あ、いや、きっとお酒を飲んだからよ」

 

こいし「ふーん(お姉ちゃんたら、素直じゃないなあ)」

 

パルスィ「あんな顔ができるなんて…少しドキッとしたじゃない…妬ましい妬ましい…。勇儀!」

 

勇儀「お?」

 

パルスィ「あ、あんたが勝ったら、その…私、美味いお酒持ってるから、それあげるわ」

 

勇儀「おお!それはいいね!この勝負、負けられないな!」

 

パルスィ「わ、私が応援するくらいなのよ、絶対勝ちなさいよね!」

 

アーティ「レイジ、下手な戦いすんじゃないわよ」

 

レン「レイジさん、…えーと、頑張ってくださいね」

 

勇儀「さあ余興はここまでだ!レイジ、遠慮はいらない、全力でかかって来な!」

 

 

勇儀は身構え、レイジを睨み付ける。一方レイジは神機はしまったまま自然体のままで勇儀を見つめている。全員に緊張が走り、周りが静かになる。

 

 

勇儀「どうした、そっちから来てもいいんだぞ?」

 

レイジ「…」

 

 

レイジからは、一切乱れを感じさせない落ち着きが見て取れた。勇儀は自分の目は間違っていなかったと、心の中で喜ぶ。

 

 

勇儀「じゃあ、先手はいただくッ!!」

 

 

勇儀は地面を力強く踏み出し、レイジに向かって走る。とても杯に酒を入れているとは思えないバランス感覚とスピード。しかしレイジは未だ自然体のままだ。勇儀は杯を持っていない方の腕でストレートを放つ。レイジは食らう直前で頭だけ動かし、攻撃をかわした。

 

 

勇儀「…ほう」

 

 

両者ともに落ち着いた表情。今度は続けざまに腕を振るいだす。レイジは最小限の動きで攻撃をかわしていく。

 

 

勇儀「私の目は間違っていなかったようだ!ここまで面白いヤツは久しぶりだな!さて、次はこいつでいくとしようか!」

 

 

勇儀は一旦距離を取り、スペルカードを取り出し、高らかに宣言する。

 

 

勇儀「力業「大江山颪」!」

 

 

すると、大型の弾が無数に現れ、突風のようになだれ込む。かなり広範囲にわたって弾幕が張られるため、レイジだけでなく観客もグレイズする。

 

 

ヤマメ「ちょ危なッ!?」

 

空「ほえ~」

 

燐「あんたまだ酔いが醒めてないのかい…」

 

空「そんなこtふぎゃッ!!」

 

燐「ああっ!?お空がピチュッた!」

 

勇儀「おっと、悪い悪い。さあレイジ、ここまで来て、私の酒をこぼさせてみな!私はここにいるぞ!」

 

 

勇儀は自分の位置を示し、レイジに反撃のチャンスをちらつかせる。レイジはちょん避けで避けつつ、勇儀のもとに移動する。それからまもなく勇儀の近くに辿り着く。

 

 

勇儀「お前のその避けっぷり、シビレるねぇ!さぁ、このまま肉弾戦を始めようじゃないか!…おっと」

 

 

なんと、嵐のように乱れ飛ぶ弾丸の真っ只中で格闘戦を仕掛けてきた。一見して勇儀が有利に見えるが、レイジが近くにいるため、勇儀にも弾が飛んでくるのだ。

 

 

勇儀「ほらほら、どうした?弾が怖くちゃ私に勝つことはできないよ!」

 

 

弾幕を避け、尚且つ勇儀の格闘攻撃も捌きつつ反撃のチャンスを狙わなければならない。思考よりも、ほぼ直感だけで動く状態になっていた。すると、

 

 

勇儀「うおッ!?」

 

 

勇儀に弾が当たり、一瞬バランスを崩す。レイジはすかさず杯にめがけダッシュする。しかし、

 

 

勇儀「まだまださ!」

 

レイジ「ッ!!」

 

 

勇儀は即座に体勢を戻し、レイジの背中を蹴り飛ばす。鬼の一撃は非常に重い。倒れこみ少し咳いた後、すぐに起き上がるが距離が離れてしまっている。レイジは再び勇儀を中心に乱れ飛ぶ弾幕の嵐をかいくぐりながら勇儀のもとへ向かおうとする。すると勇儀の方からレイジの方へ走ってきた。

 

 

勇儀「無駄にスタミナを奪う真似はしないさ!さあ、どんどん来い!」

 

 

弾幕の中で激しい攻防が繰り広げられる。レイジの健闘に観客達も激しく声援を送り続けている。そのまま10分が経過した。

 

 

勇儀「ふう…まさかここまでやるとはね。お前はすごいんだな」

 

 

勇儀は疲れる様子が見られず、笑い声を上げる。レイジは息が切れてきているが、まだ落ち着いた表情が見られる。

 

 

勇儀「さぁ、そろそろ決着を付けようじゃないか!四天王奥義「三歩必殺」!」

 

 

先程までの弾幕を消し、次のスペルカードを使う。レイジは名前を聞いて、直感で三発目の攻撃で決めるつもりだと思った。勇儀の杯を持っていない方の腕に光が集まり、レイジに突進する。

 

 

勇儀「1!」

 

 

一発目、レイジめがけフックを放つ。念のため距離を空けようと大きめに避けた。するとを振るった腕から弾幕が。

 

 

勇儀「2の!」

 

 

二発目、今度は裏拳で薙ぎ払うように攻撃。同じく振るった腕から弾幕が張られ、レイジの逃げ場をなくしていく。

 

 

勇儀「さあん!」

 

最後の一撃はレイジの懐に一瞬で潜り込み、アッパーを決めようと腕を振るい始めていた。左右は弾幕で逃げ場がない。レイジは意を決し、勇儀の頭上を飛び越えるようにジャンプした。勇儀の拳がレイジに迫る。

 

 

勇儀「終わりだ!」

 

 

しかしレイジは避けるためにジャンプしたのではなかった。勇儀の頭上で彼女の腕を掴み、アッパーの勢いを利用して腕を掴んだまま回転し地面に叩き付けた。

 

 

勇儀「うおっ!…あっ」

 

 

勇儀は倒れたまま、杯を確認する。すると、酒が杯から思い切りこぼれてしまっていた。

 

 

勇儀「ふっ…あっははははは!参った!私の負けだ!」

 

 

勇儀は倒れたまま高笑いをした。

 

 

観客達は一瞬ざわつくが、それから間もなく大きな拍手が送られた。

 

 

妖怪「二人ともよくやった!」

 

妖怪「兄ちゃんやるじゃねーか!」

 

こいし「わーーレイジすごーい!」

 

ヤマメ「お疲れさーん!」

 

 

勇儀、レイジはお互いの健闘を称え、握手を交わした。

 

 

勇儀「いやあ、あそこで反撃されるとはね、私もまだまだってことだな。お前との決闘、楽しかったよ」

 

 

レイジも笑顔で答える。束の間の平和を存分に楽しんだレイジであった。

 

 

次の日の朝、地霊殿玄関―――――

 

 

さとり「…もう、行ってしまわれるのですね」

 

レイジ「(コク)」

 

 

レイジ、レン、アーティは支度を済ませ、玄関で持ち物を確認していると、さとりが現れ声をかけた。

 

レン「さとりさん、昨日はお世話になりました」

 

さとり「いえ、気にすることはありません。ところで、あなた方はこれからどちらに向かわれるのですか?」

 

アーティ「ああ、レイジがね、連れを探しているのよ。でも地底にはいないようだし、これから地上で探そうと思ってね」

 

さとり「そうですか…あ、地上への出口はここから少し距離があります。私が案内しますね」

 

レン「助かります」

 

 

玄関を出ようとすると、こいしが外に立っていた。

 

 

さとり「こいし…また夜更かしして地上をほっつき歩いてたでしょ」

 

こいし「うん、月が綺麗だったから」

 

さとり「まったくもう…これで三日目よ。睡眠をとらないと、体を壊すわよ」

 

こいし「まあまあ、それよりさ、人里を無意識に歩いてたらね、「外来人が博霊神社の境内に幻想入りしたらしい」って噂してたよ」

 

 

聞き覚えがない場所だが、それを聞いてレイジ達は安心した。

 

 

さとり「思わぬ朗報ですねレイジさん。その上場所まで明らかなのは幸いなことです。ついてきてください、地上への道はこちらです」

 

 

レイジ達はほっと胸を撫で下ろし、地上に向かった。

 




作「ようやくサヤカsideに切り替えられそうだ」

弟「つーか今回までレイジ達サヤカのこと忘れてたことね?」

作「…」

弟「…」

作「…まぁ、アラガミの騒ぎがあったからな」

弟「…」


次回はサヤカsideいきます!


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Mission 8 ターン・オブ・サヤカ

皆さんおはこんばちは。wingです。今回はサヤカsideでのお話です。それではどうぞ。


その頃、レイジと共に崖に落下してしまったもう一人の神機使い、サヤカは、暗闇の中を彷徨っていた。

 

 

サヤカ「…ここ…どこなんだろ…なんか、ボーっとする…」

 

 

サヤカの意識ははっきりせず、目の前には暗闇しかない。

 

 

サヤカ「私…死んだのかな…」

 

 

すると、誰かの話し声が聞こえたような気がした。

 

 

「――――」

 

サヤカ「…誰…?」

 

 

サヤカは声を聞こうと声のする方向に向かう。すると、突然眩い光が暗闇の中の一点から溢れ出した。

 

 

サヤカ「…ッ!」

 

 

するとサヤカの目にどこかの部屋の天井が映っていた。どうやら自分は寝ていたらしい。ゆっくりと起き上がり、周囲を確認する。見たところ、病室のようだ。そして自分はベッドに横になっていたこと、上着だけだが服を変えられていることを把握し、ベッドから降りる。するとサヤカの様子を見に来たのだろうか、一人の女性が部屋に入ってきた。

 

 

?「あら、目が覚めた?」

 

サヤカ「え、あっはい!」

 

?「びっくりしたわ、博霊神社の境内に倒れていたあなたをそこの巫女とそのお友達が運んでくれたのよ」

 

サヤカ「博霊神社…?巫女?…と、とにかくその人達が助けてくれたんですよね、ではその人にお礼を言わなければ…くっ!?」

 

 

サヤカの頭に激痛が走り、その場にしゃがみ込む。

 

 

?「ああ、ダメよ無理に動いたら!あなたのケガを診てたんだけど、左腕に打撲、そして頭蓋骨が骨折してたのよ」

 

サヤカ「ええ!?そんなとこ骨折してなんで私生きてるんですか!?…う!いたた…」

 

?「大声を上げないの、頭蓋骨を元に戻すのは大変だったわ…」

 

サヤカ「…すごいですね…。あなたはいったい…?」

 

?「おっと、そういえば自己紹介してなかったわね。私は八意永琳。この幻想郷で医者をやってるわ」

 

サヤカ「私は行方サヤカです。…え、幻想郷?私、確か…神社の境内?う~ん」

 

永琳「説明が少し難しいわね…。えっと、ここは幻想郷といって、ここは忘れ去られた存在がここに流れ着くの。でも最近は、幻想郷の外の世界の人がここに迷い込んでしまう事件が増えているのよ。私達はそういう人達のことを、外来人って呼んでるわ」

 

サヤカ「わ、私幻想郷って場所、知らないです…。じゃあ私も、その外来人ってことになるんですか?」

 

永琳「そうね」

 

サヤカ「…は!レイジさんは!?」

 

永琳「ん、お友達?」

 

サヤカ「はい、私がここに運ばれたとき、もう一人運ばれたりしませんでした!?」

 

永琳「いえ、見てないけど…」

 

サヤカ「そうですか…。はぁ、これからどうしよう…」

 

?「師匠~!郵便物を持って来ましたよ!…あ、目が覚めた?君、大丈夫?」

 

 

郵便物を持って一人の少女が部屋に入ってきた。彼女の頭には兎の耳が。サヤカは目を丸くしている。

 

 

サヤカ「…あ、ええ、なんとか。永琳さんのおかげで頭は大分治ってるみたいです」

 

永琳「ふう、診察の依頼の手紙がこんなに…今月も忙しくなりそうね…。あら?」

 

 

永琳は郵便物を見ながら溜息をつくと、新聞が目に止まる。新聞自体はよく読むのだが、一面となっている記事の写真に、見慣れないものが写っている。

 

 

永琳「サヤカちゃん、これに見覚えはない?」

 

 

永琳はサヤカにその新聞記事を見せる。

 

 

サヤカ「…レイジさんだ、レイジさんが写ってる!地底ってとこにいたんですね…」

 

永琳「この人がレイジって子なの?あなたと同い年かしら?」

 

サヤカ「ええ。私の憧れでもあるんです。私達の世界では、彼は有名人ですから」

 

永琳「へ~、一度会ってみたいものだわ。…おっと、そろそろ昼食の時間ね。今から作って持ってきてあげるわね。優曇華、しばらくお願い」

 

 

優曇華「わかりました~。さて、まだ名乗ってなかったね。私の名前は鈴仙・優曇華院・イナバ。長ったらしいから優曇華でいいわ。あなたの名前は?」

 

サヤカ「あ、はい!私は外来人の行方サヤカと申します!以後、お見知り置きを!」

 

 

なぜか敬礼のポーズでぎこちない感じで自己紹介するサヤカ。それを見た優曇華は必死に笑いをこらえている。

 

 

優曇華「自己紹介で外来人って言う人初めて見たww」

 

サヤカ「そ、そんなに変でしたか?」

 

優曇華「いやいやww気にしなくていいからwそのままでいいよww」

 

サヤカ「…はあ…」

 

 

しばらくの雑談が続いた後、永琳が食事を作り終えてサヤカと優曇華がいる病室に永琳が戻ってきた。

 

 

永琳「サヤカちゃん、ごめんね。ちょっと食材が足りなくて味噌粥を作ることになっちゃったわ」

 

サヤカ「あ、いえいえお気になさらずに!ありがたくいただきます!」

 

永琳「私達は違う部屋で食べるから、何かあったら知らせて頂戴」

 

サヤカ「わかりました」

 

 

永琳と優曇華は病室を後にし、サヤカは早速味噌粥を食べ始める。ちょうど腹の虫がなり始めた頃だったので、ものの5分で平らげた。使い終わった食器をベッドのすぐ傍の机に置き、声を張り上げて、

 

 

サヤカ「永琳さん!御馳走様でした!お粥とても美味しかったです!台所に食器を運びましょうか?」

 

永琳「もう食べ終わったの?早いわね。食器はそのままにしておい頂戴、後で私が持って行くから。あなたは今は休んだ方がいいわ。傷が塞がったばかりだからね」

 

サヤカ「わかりましたー!…ッ!いたた…また声を張り過ぎたかな…」

 

 

サヤカはベッドに横になり、しばしの休息を取る。30分後、段々退屈になってきて窓から外の景色を見ることにした。すると、なんとザイゴートが竹林の中を漂っていた。

 

 

サヤカ「あれはザイゴート…!ここは幻想郷のはずなのに、なんで…!?」

 

 

彼女はポケットに入っていた「回復錠」を飲み頭の傷の回復を早め、神機を取りに行こうと部屋を後にする。幸い神機を探すのにさほど時間はかからず、玄関に置いてあった。どたどたと走り回るサヤカが目に止まったのか、永琳が声をかける。

 

 

永琳「サヤカちゃん、どうしたの?まだベッドにいなきゃいけないじゃない」

 

サヤカ「永琳さん!新聞のあの記事、読みましたよね?その記事に載っている「怪物」が、ここの近くにいるんです!」

 

永琳「なんですって…!?」

 

サヤカ「ええ、さっき窓から外の景色を見ていたらそいつがいたんです!ちょっと倒しに行ってきます!」

 

永琳「あっ!ちょっと!その体じゃ無茶よ!…行っちゃったわね。優曇華!」

 

 

永琳達が食事をとっていた部屋から優曇華が顔を出す。

 

 

優曇華「何ですか?」

 

永琳「あの新聞、あなた読んだ?」

 

優曇華「ええ、あの変な怪物が地底に現れたってヤツですよね」

 

永琳「そいつらが今、永遠亭の近くにいるらしいわ」

 

優曇華「ええっ!?た、大変じゃないですか!」

 

永琳「さっきサヤカちゃんが怪物を退治しに行っちゃったのよ、あの体じゃ心配だわ、優曇華、あなたがサヤカちゃんを守ってあげて。私は姫様の無事を確認するわ」

 

優曇華「わ、わかりました!」

 

 

その頃、サヤカは永遠亭周辺のアラガミを倒して回っていた。

 

 

サヤカ「ふう…周辺は一通り終わったかな」

 

優曇華「サヤカちゃん!…わ、すごいわね。その体でこんな数を倒せるなんて」

 

サヤカ「ええ、携帯してる回復薬を飲んだおかげで何とかやれました。あ、そうだ優曇華さん、一つ伝えておかないといけないことがあるんです。実はこの怪物達は私と、あの新聞に載ってたレイジさんしか倒すことは出来ないんです」

 

優曇華「…なんで?」

 

 

サヤカはアラガミについて懇切丁寧に説明した。

 

 

優曇華「それは厄介ね。要するにあなたの持つその武器か、同じアラガミによる攻撃、よほど強力な攻撃じゃない限り倒すことは出来ないのね」

 

サヤカ「はい」

 

優曇華「私達は薬の開発も行ってるから、そのオラクル細胞…だっけ?それがあれば、私達でも対抗できる手段を作れるかもしれない」

 

サヤカ「実は私の体にもオラクル細胞があります」

 

 

意外な答えに、優曇華は驚愕する。

 

 

優曇華「ええ!?あなたの体にもあるの!?オラクル細胞が!?」

 

サヤカ「ええ、人体用に調整されたヤツですけど、基本的には同じだと思います」

 

優曇華「…じゃあ、あなたの血、ちょっと貰ってもいい?」

 

サヤカ「え…別に構いませんが、オラクル細胞を使った実験をする時は専用の道具を使うと聞いたことg」

 

優曇華「うじうじしてたら何も始まらない!ほら、こっち!」

 

サヤカ「え、ちょっと…」

 

 

優曇華に手を引っ張られながら永遠亭へ。優曇華に促されるままサヤカは献血、優曇華はそれを調べることにした。

 

 

優曇華「へえ…これはすごいわね。細胞一つ一つが考えて、何でも喰らうことができるなんて」

 

サヤカ「(あれ、おかしいなぁ…下手にオラクル細胞に触れたら浸喰されちゃうはずのに、なんで…?おかしいなぁ…)」

 

優曇華「わーすごーい」

 

サヤカ「…対抗手段を作るなら、オラクル細胞の強力な細胞結合を破壊、もしくは弱めるものを作るのが手っ取り早いと思いますが…出来ますか?」

 

優曇華「武器に応用するなら私にもできるかも。私はこれでも元軍人だからね」

 

サヤカ「ええ!?そうなんですか!?」

 

優曇華「そうよ。私と師匠、姫様は月からここ幻想郷に来たんだけど(略)」

 

サヤカ「つ、月…幻想郷って、何でもアリなんですね」

 

優曇華「そ。ここでは、あなた達の世界の常識はほぼ通用しないの」

 

サヤカ「(私たちの常識が通じない…だから採取されたオラクル細胞も優曇華さんを浸喰しない…?なんだか混乱しそう)」

 

 

すると、永琳が実験室に入ってきた。

 

 

永琳「あら、優曇華、自分で薬の開発?珍しいわね」

 

優曇華「あ、師匠。今ですね、あの怪物達の体細胞、オラクル細胞っていうのを(略)」

 

永琳「へえ、サヤカちゃんの血を使って…ありがとねサヤカちゃん」

 

サヤカ「いえ、そんなに大したことではありませんよ」

 

優曇華「で、私達でもアラガミに対抗できるものを開発中なんですが、どういう形に作ればいいのか迷ってまして…」

 

永琳「うーん、そうね…。あ、優曇華、あなたがこないだ拾ってきた鉄砲の弾に使ってみたら?」

 

優曇華「ああ!それがありましたね!ちょっと持ってきます!」

 

サヤカ「鉄砲…?」

 

永琳「一週間くらい前だったかしら。私が永遠亭の周りの掃除をしていたら、外の世界から来たと思われる鉄砲が落ちてたのよ。兵器についてはあの子の方が詳しいから渡してみたんだけど、えらく気に入っちゃったみたいでね…あの子、暇な時はいつもあれ使って射的とかしてるわね」

 

サヤカ「へえ~」

 

 

しばらくして、優曇華が銃を持って戻ってきた。スナイパーライフルのようだ。しかしなぜか息を切らしている。

 

 

優曇華「た、大変大変!アラガミがわんさかこっちに向かって来てます!」

 

永琳「何ですって!?仕方ないわ、サヤカちゃん!無理を言うようだけど、アラガミ達をしばらくの間食い止めてくれないかしら!?優曇華!私も薬の開発を手伝うわ!」

 

サヤカ「問題ありません。防衛任務ですね!了解しました!」

 

 

サヤカはすぐに外に飛び出し、アラガミ達を食い止める作戦を開始した。

 

 

サヤカ「うわあ、さっきよりも遥かに多いなぁ…。でも、小型ばかりだからいける!」

 

 

サヤカは銃形態でアラガミを次々と撃ち落とす。レイジは剣で戦うことが多く、得意である一方、サヤカは射撃を得意としている。射撃ならば攻撃範囲が広いため、永遠亭を守る意味でも、動き回り過ぎて傷口を開かせない意味でも有効な戦法だ。サヤカの射撃は正確に、確実に仕留めている。そんな堅実な戦い方が功をなし、10分後には、ほとんどのアラガミを一掃することが出来た。

 

 

サヤカ「ふう…大分数が減ってきたし、対して強そうなのもいなさそうだし…ってあれ?」

 

 

竹林の奥の方から何かがこちらに向かってくるのが見える。よく見ると、それはハガンコンゴウだ。しかも普通よりも大きい。

 

 

サヤカ「で、でかい…!」

 

 

ハガンコンゴウはサヤカを見つけると雄叫びを上げる。

 

 

サヤカ「(あの動きは、稲妻!)」

 

 

敵の動きを見て即座に攻撃を予測。案の定、稲妻攻撃の予兆として足元が光り出す。横にかわし、残りの小型アラガミを撃ち落とす。すると巨大な稲妻がサヤカの近くに落ちた。

 

 

サヤカ「(やばっ…火力が…違いすぎる…!)」

 

 

予想以上に強力な稲妻だったため、背筋が凍りつく。それに気を取られていたため、ハガンコンゴウに攻撃のチャンスを与えてしまう。ハガンコンゴウは丸まって転がり突進してきた。電気を纏っているため、見た目よりも攻撃範囲が広い。サヤカは反応が遅れてしまい、直撃しなかったものの、電撃を食らってしまう。

 

 

サヤカ「うわわあああわっわわわああああああ!!!」

 

 

全身に電撃が走り、痺れてその場に倒れ込む。体に力が入らず動けない。ハガンコンゴウはサヤカを鷲掴みにし、そのまま握り始めた。

 

 

サヤカ「くっ…!しまった…!」

 

 

もがいて振りほどこうとするが、体が麻痺して動けず、さらに相手が通常の個体より大きいため、力もより強い。サヤカは一気に絶体絶命に陥った。

 

 

サヤカ「(ま、まずい…息が出来ない…!痺れて動けないし、どう…すれば…)」

 

 

息が出来ず、どんどん体が締まっていく。意識も遠くなり、死が目前になったその時、

 

 

バンッ!!

 

 

突然銃声が響き、ハガンコンゴウの頭部に命中する。掴んでいたサヤカを放し、頭を押さえている。

 

 

サヤカ「ゲホゲホッゲホッゲホッ…優曇華さん、助かりました」

 

 

優曇華が永遠亭の屋根の上からスナイパーライフルを構えている。

 

 

優曇華「お待たせ!とにかく時間がないから即席で作ったんだけど、弾丸にオラクル細胞を練り込んでみたわ!」

 

 

サヤカ「十分です!さあ、反撃開始といきましょう!」

 

 

優曇華「あのアラガミの怯み具合から見て、頭が弱点ね?」

 

サヤカ「よくわかりましたね、その通りです!私が陽動します!優曇華さんは狙撃に集中してください!」

 

優曇華「了解!」

 

永琳「私も手伝うわ」

 

優曇華「えっ師匠!?」

 

 

遅れて永琳が現れた。弓を持ち、矢立を担いでいる。

 

 

永琳「流石に矢には仕込めなかったけれど、足手まといにはならないわ。人数が多い方が注意を逸らしやすいしね」

 

サヤカ「応援ありがとうございます。永琳さん、私が前に出て陽動しますので、援護をお願いします。優曇華さんは奴の頭を狙ってください」

 

優曇華「頭ね。わかったわ、無理しないでよ?」

 

サヤカ「ええ!」

 

 

永琳は注意分散のために、優曇華はにハガンコンゴウの頭部に狙いを澄ませ、射撃する。サヤカは剣形態に変え永琳達に矛先が向かないよう接近戦を仕掛ける。ハガンコンゴウはサヤカを払いのけようと腕を振るう。サヤカは剣を振っている途中だったが、刀身がショートブレードなので、アドバンスドステップで避けつつ足を斬り、ハガンコンゴウを転ばせる。

 

 

サヤカ「今です!止めを刺しましょう!」

 

 

サヤカは優曇華の邪魔にならないよう射線を空ける。すかさず優曇華は弾を撃ち、サヤカは銃形態に変形させハガンコンゴウの弱点属性である神属性のレーザーを撃ち込む。2人の攻撃はハガンコンゴウの頭を直撃し、頭を吹き飛ばした。

 

 

優曇華「やった…のかな?」

 

サヤカ「…ええ、動く気配はありません。討伐完了です」

 

永琳「丁度いいわ。サンプルを貰っていきましょう。私もなんだか興味が湧いてきちゃった」

 

サヤカ「なら、このアラガミのコアを使いますか?何かの役に立つかもしれませんし」

 

永琳「そんなものまであるの?今日は退屈せずに済みそうね」

 

 

サヤカはハガンコンゴウからコアを摘出、サンプルのオラクル細胞を摂取し、安堵の深呼吸をしながら永遠亭に戻った。

 




作「最近ゴッドイーターバーストやってねぇな…」

弟「ん、何狩ってんの」

作「ピルグリムでコンゴウ×4」

弟「あそこマジキツイんだよなぁ、まあリスポーンするほどじゃねえが」

作「ふっ俺もリスポーンは一回もしてないぜ…」

弟「オチた回数言ってみろ」

作「23回」

弟「よくリスポーンしなかったよな、そんなにオチて…」


自分は戦える味方の人数が少なくなるまでは回復錠使わない主義です(キリッ)


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Mission 9 主人公は遅れて出るもの

皆さんおはこんばちは。wingです。今回もサヤカsideです。それではどうぞ。



永琳「…すごいわね。とても人間とは思えない回復力だわ」

 

サヤカ「私達神機使いはアラガミと戦うため自ら体内にオラクル細胞を取り込んでますから、携帯してる回復薬を使ったってのもあるんですが、回復力も高くなるんです」

 

 

戦いの後、サヤカのケガの回復速度に驚く永琳。普通の人間ならば、まだ動くこともままならない状態なのだ。

 

 

永琳「…うん。もう頭も腕も完治してるみたいね」

 

サヤカ「よかった、ありがとうございます。…これからどうしようかなぁ」

 

 

サヤカがこれからの行動について考えていると、玄関から誰かが走り込んできた。

 

 

?「おい!なんか竹林で妙な怪物の群れを見たんだがこっちに来なかったか!?」

 

永琳「あら、妹紅じゃない。そいつらなら、主にこの子がやっつけてくれたわ」

 

妹紅「え?そいつが?…まぁ、何事もなかったならいいんだが」

 

サヤカ「あ、あの…あなたは…?」

 

妹紅「おっとすまない。私は藤原妹紅。ここの竹林の案内人をやってる」

 

サヤカ「案内人?この竹林はそんなに広いんですか?」

 

妹紅「ああ、ここは迷いの竹林といってな、目印にできるものがほとんどない。だからとても迷いやすい場所なんだ。無計画に入ったら、まず抜け出せないな」

 

永琳「そう。だから妹紅が迷った人たちを出口に連れてってあげる案内人をやってるのよ」

 

サヤカ「私、何気なく恐ろしい所にいるんですね…。あ、そうだ永琳さん、私博霊神社って所に行きたいです。まだお礼を言っていませんから」

 

永琳「いいわよ、レイジ君って子も探さないといけないんでしょ?気をつけて行ってらっしゃい」

 

サヤカ「ありがとうございます!レイジさんを見つけたら、また来ますね!」

 

妹紅「博霊神社に行くのか?なら任せておけ、私についてこい」

 

 

サヤカは永琳、優曇華にお礼を言い、服を着替え妹紅と共に永遠亭を後にする。

竹林の中は静かで、風が竹の葉を揺らす音しか聞こえない。

 

 

サヤカ「わあ…ホントに竹しかありませんね」

 

妹紅「まあ竹林だからな。あんまり私から離れるなよ。迷っちまうからな…あ、そういえばまだ名前を聞いてなかったな」

 

サヤカ「はい、私は行方サヤカと申します。一応私は外来人…って人らしいです」

 

妹紅「やっぱりな。その服といい、その武器といい、何となく想像はついてたよ」

 

サヤカ「目立ちますよね、この格好は…」

 

妹紅「気にすることはない。この幻想郷じゃ、その程度じゃ誰も驚かないよ」

 

サヤカ「ほっ、助かりました」

 

 

雑談をしていると、竹が生えていない場所に出た。どうやら出口のようだ。

 

 

妹紅「着いたぞ。ここが竹林の出口だ。お前は博霊神社に行くんだったよな。なら(少女説明中…)いけるか?」

 

サヤカ「大丈夫です。ご親切にありがとうございました」

 

妹紅「気にするな。もしまたここに来ることがあったら、竹林に入った後、私の名前を大声で呼んでくれ。すぐに駆けつける」

 

サヤカ「わかりました。ありがとうございました、妹紅さん!」

 

 

サヤカは手を振りながら、竹林を後にし博霊神社に向かった。

 

少女移動中…

 

 

一方、博霊神社――――――

 

 

?「ふーん…地底に怪物ねぇ…文のヤツ、こういう時だけまともな記事書くのよねえ」

 

?「普通の攻撃が効かない怪物なんて、見たことも聞いたこともないぜ…これは異変だな」

 

?「そうね。また地底に行く必要があるわね」

 

?「じゃ、早速行こうぜ霊夢!」

 

霊夢「お昼食べてからね。新聞によれば、こいつが解決してくれたみたいだし」

 

 

霊夢と呼ばれた少女は記事の写真に写るレイジを指さす。

 

 

?「誰だこいつ?見ない顔だな、外来人か?」

 

霊夢「多分ね。今回の異変は、こいつと共にやってきた可能性が高いわ。魔理沙、私はひとまずお昼を作るけど、あんたも食べるでしょ?」

 

魔理沙「おう!」

 

 

霊夢は昼食を作りに台所に向かう。魔理沙は新聞を読みながら考え事をする。

 

 

魔理沙「(そういや今朝神社に遊びに行ったら、血だらけで倒れてるヤツがいたよな…あいつもこいつと一緒に来たヤツなのか・・・?見慣れない格好だったし)」

 

 

一方サヤカは博霊神社に到着、「博麗の巫女とその友人」を探していた。

 

 

サヤカ「(神社ってここだよね…。誰もいない…なんでだろ)」

 

 

サヤカは神社の境内に誰もいないことを不思議に思う。とりあえず賽銭を入れようと賽銭箱を探す。

 

 

サヤカ「あった…。えーと財布はここかな…っと、fc(フェンリルクレジット)だけど…いいよね」

 

 

チャリーン

 

 

霊夢は台所にいるにも関わらず、その音を聞き逃さなかった。霊夢は目を光らせ、弾丸のような速度で外に飛び出た。

 

 

魔理沙「うおッ!?」

 

 

魔理沙は驚き、霊夢の後を追う。

 

 

霊夢「今!お賽銭入れたわね!?あんた!」

 

サヤカ「え、あ、はい…いけませんでしたか?」

 

霊夢「あありがとおおおおおおおおお!!!」

 

 

霊夢は突然抱き着いてきた。

 

 

魔理沙「どうしたんだよ霊夢、お前が満面の笑みなんて珍しいな…ん、お前は…」

 

霊夢「ねぇあんた、いくら入れたの!?いくら?いくら?」

 

サヤカ「あの…ここでのお金の単位は何ですか?」

 

霊夢「円よ?」

 

サヤカ「あ、ごめんなさい…私が入れたの、fc(フェンリルクレジット)ってお金です…」

 

 

霊夢はそれを聞いた瞬間凍りつく。しばし間が開いた後、

 

 

霊夢「…はっ、あんた誰?」

 

 

さっきの行動は完全に無意識だったようだ。

 

 

魔理沙「…ああ、こいつぁアレだ、朝私が遊びに行った時神社の前で倒れてたヤツだぜ」

 

サヤカ「あ、あの!その時はありがとうございました!ちょうどお礼を言おうとここまで来たんです」

 

霊夢「お賽銭くれなきゃお礼とは認めないわ」

 

魔理沙「まあそう言うなって。私は霧雨魔理沙。でこいつは博霊霊夢ってゆうんだ、よろしく頼むぜ」

 

サヤカ「私は行方サヤカと申します。永琳さんから話は聞いています。助けてくれてありがとうございました」

 

魔理沙「いいっていいって。それよりも丁度良かったぜ。私達はこれから昼飯なんだ、お前も食うか?」

 

サヤカ「ええと、実はもう永琳さんのところで食べて来ちゃいました…」

 

魔理沙「そうか。まあとにかく上がっていけよ、小腹が空いたら余りを食えばいいしさ」

 

サヤカ「すみません、お言葉に甘えさせていただきます」

 

 

サヤカ、魔理沙、霊夢は神社の中に入る。霊夢は台所に戻り、魔理沙はサヤカを居間に連れて行く。

 

 

魔理沙「なあお前、この記事に見覚えはないか?」

 

 

魔理沙は新聞を見せようとする。サヤカは見せられる前に答える。

 

 

サヤカ「ええ、永琳さんのところで読みました。地底にアラガミが現れたってヤツですよね」

 

魔理沙「…アラガミ?お前、何か知ってるのか?」

 

 

少女説明中…

 

 

魔理沙「ふ~ん、大体事情はわかったぜ。普通の攻撃が効かないってのは本当だったんだな…」

 

 

すると霊夢が鍋を持って居間に入ってきた。

 

 

霊夢「お待たせ~。とりあえず味噌煮込みにしたわ」

 

魔理沙「おお、お前にしては豪華な料理じゃないか」

 

霊夢「うるさいわね、さっさと食って地底調べるわよ…あんたは食べないの?」

 

サヤカ「ええ、昼食はもうとりましたから」

 

 

少女食事中…

 

 

霊夢「御馳走様。さて、サヤカ…って言ってたわね。洗いざらい吐いてもらうわよ」

 

魔理沙「なんでこいつが犯人みたいな口ぶりなんだよ…」

 

霊夢「今回の異変はこいつと、記事に載ってたヤツが最も関連していると睨んでるわ」

 

魔理沙「まあそれは間違いじゃないと思うけどさ。こいつは何も悪いことしてないと思うぜ?」

 

霊夢「それくらいはわかってるわ、私はただ「こいつと記事に載ってたヤツが関連している」と言っただけよ」

 

サヤカ「…霊夢さんの言う通りです。私は元の世界でも、アラガミと戦う毎日を送っていました」

 

霊夢「アラガミ…記事に載ってた怪物のことね。まずはそいつらについて詳しく教えて頂戴」

 

サヤカ「わかりました」

 

 

サヤカはアラガミについて説明し始める。霊夢と魔理沙は真剣な表情でそれを聞く。

 

 

霊夢「なるほど、大体理解できたわ。今回の異変は骨が折れそうね」

 

サヤカ「厄介事を持ち込んでしまってすみません…」

 

霊夢「気にすることはないわ。ここは全てを受け入れる幻想郷。害となる存在じゃなければどんなヤツでも歓迎するわ」

 

魔理沙「さ、行こうぜ地底に!」

 

サヤカ「あ、ちょっと待って下さい。今永琳さん達がアラガミに対抗するための手段を研究しているそうです。まずはそこに行きませんか?」

 

霊夢「それもそうね。いざという時にあんたの足手まといになるのは癪だし」

 

魔理沙「じゃ、ちょっとバビューンと飛んでくるぜ、サヤカはここで待ってろ、すぐ戻ってくるからな」

 

 

すると霊夢と魔理沙は竹林に向かって速いスピードで飛んで行った。サヤカはそれを見て唖然としている。

 

 

サヤカ「そ、空を飛んだ…!?しかも単体で…優曇華さん、あなたの言う通り私の知ってる常識がどんどん覆されていきます…」

 

 

何もすることがないので体操でもしようかと思った頃、魔理沙の言う通り、程無くして戻ってきた。

 

 

サヤカ「はやッ!?竹林まで結構距離ありましたよ!?」

 

魔理沙「諦めろ、ここは幻想郷だぜ?」

 

サヤカ「はあ…あ、まだ支度してないんでした、ちょっと待っててください」

 

 

サヤカは神機を取りに屋内に戻り、すぐにまた現れる。

 

 

魔理沙「じゃ、改めて地底に行くとするか!」

 

霊夢「サヤカは魔理沙の後ろに乗りなさい。魔理沙、いけるわね?」

 

魔理沙「大丈夫だ、問題ない。サヤカ、しっかり捕まってろよ!」

 

サヤカ「はい!」

 

 

三人は地底を目指し、真っ直ぐに跳んで行った。

 




弟「お前ホント味噌好きだよな…」

作「何が悪い」

弟「味噌粥といい味噌煮込みといい、全部お前の好物じゃねえかよ」

作「諦めろ、ここは幻想郷だぜ?」

弟「その理屈で大体のことが許されるとこが幻想郷の怖いとこだな…」


次回は再びレイジsideに戻ります。


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主要登場人物(Mission1~Mission9現在)

注意!ここでは、第一話から第九話を読んでいない方は閲覧を推奨しません!他にも、ゴッドイーターバーストをやってなかったらわからない知識、その他の知識が必要だったり、これからのちょっとしたネタバレも含みます!嫌いな方はバックして戻ることを推奨します!





















戌亥(いぬい)レイジ

 

主人公。だから無口。何故かって?例えるなら任天堂のゲームの主人公の大半は無口なことから

 

年齢:コウタ曰く「俺と同じか少し年上っぽいけど・・・」推定15~16?

 

性別:男

 

顔:1

 

髪:黒、17

 

声:2

 

服装:F正式上衣 レッド、ナーヴァルスリット

 

装備:神斬りクレイモア 真、ファランクス 極、 剛支援シールド 真

 

制御ユニット:ゴッドイーター

 

強化パーツ:ガード強化3、討伐部隊

 

フェンリル極東支部第一部隊隊長。基本リアクションで対話している。セリフはないのに説明をするって矛盾してるけど登場人物達の会話が成立出来るからいいよね。無口キャラを扱う時に大助かり。

 

バレットは今のところ使っていないが、高燃費な(二回連続で撃てない)弾しかないらしい。よって剣で戦うことが多い。バレットエディットしてたらなぜかヤバい威力を持つバレットを作ってしまい、しかもそれを全属性で作り、携行してるとか。

 

幻想入りした後地底を出ようとするときまでサヤカのことを忘れて宴会を楽しんだり、ユーバーセンスが使えるのを忘れていてこいしに苦戦するなど意外に忘れっぽい。

 

神機用のホルスター(革製)を作ってたりと、手先は器用である。

 

道場の家の出身。父、母、姉のカナとの4人家族。父は柔道、母は剣道、姉は空手が得意。レイジは日本で生まれた武道は皆得意で、父より強い。武道を取り入れた戦い方をするため、人によっては綺麗に見えてしまうことがあるらしい。

 

ゴッドイーターになる2年前、彼が留守中にヴィーナス率いるアラガミ達に襲われ、家族、門下生が全員死亡。彼も目をやられてしまうが、どういうワケかヴィーナスが自らの目と彼の目を交換し、助けてくれた。彼の目は負傷前は日本人らしい黒い瞳だったのだが、この時からスカイブルー色となる。

 

現在はその目を有効利用し、バースト時には両目の瞳から青い炎のようなオーラが溢れ出す。どこぞのブラック・〇ック・シューター?捕喰攻撃を当てるだけでリンクバーストLv.3程の能力上昇幅。・・・この主人公には強キャラ成分が含まれています。嫌いな方は気をつけてください。

 

 

 

行方(なめかた)サヤカ

 

レイジと共に幻想入りした神機使い。大ケガして幻想入り

 

年齢:レイジと同じ

 

性別:女

 

顔:1

 

髪:黒、23

 

声:2

 

服装:FSAT ホワイト上、F強襲下衣 レッド

 

装備:ナイフ 極、ステラスウォーム 真、 ヘラクレス 堅

 

制御ユニット:レンジャー

 

強化パーツ:貫通強化3、全耐性強化

 

フェンリル本部の特殊部隊、FSAT(フェンリルスペシャルアサルトチーム)から極東支部第一部隊に派遣された新型神機使い。

 

レイジとミッション中、アラガミの奇襲により頭蓋骨骨折という致命的なケガを負ったが、霊夢、魔理沙、永琳によって助けられる。それからはレイジを探すため現在地底へ向かっている。

 

FSATに所属しているためか、名乗るときに敬礼するクセがある。

 

緊張すると言葉を噛んだりなどかわいいドジを踏んでくれるが、やはりFSATに所属してるだけあって戦闘中の行動には落ち着きが見られる。ドジっ子は見てるだけなら可愛いよね。・・・緊張したら噛むって結構普通じゃね?

 

レイジとは真逆で狙撃が得意。銃身がスナイパーなのでバレットもレーザー系がメイン。スキルにトリガーハッピーが付いてるので燃費もレイジとは真逆。

 

 

 

レン

 

レイジとアーティがピンチに陥った時に突然現れ助けてくれた謎の神機使い。

 

年齢: 不明

 

性別: 男

 

装備:この小説内での設定だが、宝剣 楊貴妃 真、シヴァ 秘、トリスメギトス 衛

 

どこからともなく突然助けに現れた神機使い。医療班所属。アラガミ化した人間の治療法及び予防法の研究をしている。

 

アーティによく無茶振りされたりと、振り回されることが多い。

 

ゴッドイーターバーストをやった人には、レンが何者かは・・・

 

なぜかアーティへのツッコミ担当に任命してしまった作者。無意識って恐ろしい。

 

中性的な顔立ちをしている。女装もきっと似合うはず。

 

何故かアラガミに狙われにくい。よって後方支援を得意とする。

 

 

 

アーティ

 

年齢:不明

 

性別:女

 

装備:クレイモア 極、ファランクス 極、リジェクター 真

 

強化パーツ:大剣強化2、神風セット

 

現時点では述べられていないが、実はレイジが神機使いになってから初めて出会った神機使い。つまりコウタよりも先に出会ったということになる。

 

アネットよりもひどい攻撃大好きっ娘らしい。ガードとか絶対にしない。ある意味、潔い。そのかわりカウンターと避けの技術は高い。そこんとこがアネットとは違った。

 

レンによく無茶振りをするが、スルーされる。

 

「レンと会話が出来ている・・・!?」

 




弟「何だよこれ」

作「あ?」

弟「レイジとサヤカの外見、お前のキャラじゃねーかよ」

作「いいじゃん、出したかったんだもん」

弟「俺のも出せよ」

作「出して欲しかったんかい・・・」


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Mission 10 大掃除

皆さんおはこんばちは。wingです。今回は紅魔館編となります。それではどうぞ。


その頃、レイジ達は地上に出た後見送ってくれたさとりとこいしに礼を言った後、博霊神社に向かうことにした。レイジはユーバーセンスを発動させ、脳内で博霊神社への近道を探す。現在は森の中。すると、途中で湖と大きい屋敷があるのが脳内の地図でわかる。だがそれらを迂回していけば大丈夫だろうと、特に心配することなく進んでいた。

 

 

アーティ「・・・ねえ」

 

レン「はい?」

 

アーティ「なんか・・・肌寒くない?」

 

レン「そういえばそうですね・・・。あ、湖が見えてきましたよ。結構霧が濃いですね」

 

アーティ「ちょっと顔洗おうかしら」

 

 

森の中を歩いていると、綺麗で広大な湖が見えてきた。だがこの辺りだけ霧がかなり濃く湖の向こう側が見えない。アーティは一足早く顔を洗おうと駆け出した。

 

 

アーティ「うわ冷たッ!何よここ、お冷やみたいに冷たいじゃない!」

 

レン「先程からの気温の低さ・・・何かと関係してるのでしょうか・・・?」

 

 

すると、湖面がだんだん凍り出していく。

 

 

アーティ「なんかさっきから変よここ・・・霧も出てるしプリティヴィ・マータでもいるのかしら」

 

レン「確かにここまで急速に水面が凍るのは変です。警戒した方がいいかもしれm」

 

?「へへーん、びっくりしたー?」

 

 

遠くから少女らしき声が聞こえた。声の主を探すと、凍った湖の真ん中に二人程立っているのを見つけた。姿ははっきりとは見えない。

 

 

?「ねえねえ、びっくりした?これ全部あたいがやったんだよ!」

 

?「多分聞こえてないと思うよ・・・」

 

 

距離が遠くてよく聞こえないため、レイジは少女達の姿が見える場所まで近づく。地霊殿にいた妖精と似たような雰囲気だが、姿は全く違う。

 

 

?「びっくりした?」

 

 

無邪気に問いかけてくる妖精。悪気は全くないようだ。正直に驚いたとうなずく。すると隣にいた妖精が丁寧な口調で話しかけてきた。

 

 

?「ごめんなさい、急に脅かすようなことをして。どこかへ行く途中ですか?」

 

 

ユーバーセンスで道のりは把握できるが、少しでも情報が多い方がいいだろう。というワケで二人の妖精に博霊神社に行く過程で危険なものがないか訊くことにした。

 

 

?「うーんそうだなあ、よし、弾幕ごっこであたいに勝ったら教えたげる!」

 

?「チルノちゃん唐突過ぎ!それに戦う必要なんてないでしょ!」

 

チルノ「え~、なんか最近弾幕ごっこしてないし、展開的にやった方がいいかな~って。いいでしょ大ちゃん?」

 

大妖精「展開って何!?メタいよ!」

 

 

チルノと呼ばれた妖精はスペルカードを掲げ宣言する。

 

 

?「氷符「アイシクルフォール」!ほら、大ちゃんも一緒に!」

 

大妖精「やだよ・・・」

 

 

大妖精はあからさまに拒否の表情を見せる。チルノは仕方なく一人で戦うことに。レイジに向かって弾幕を展開する。

 

 

アーティ「・・・ハァ。弾幕って割には正面ががら空きね。レイジ、あいつに生半可な気持ちで戦うことの愚かさを教えてやりなさい」

 

 

アーティは呆れている。レイジとて例外ではない。とはいえ無視して逃げるには少々弾幕が邪魔だ。仕方ないので歩いてチルノの元に行き、軽くチョップを当てた。

 

 

チルノ「痛い!な、なんであたいの攻撃が当たってないの!?」

 

大妖精「思いっきり正面安地だったよ・・・」

 

 

チルノの味方である大妖精すら呆れの表情をしている。

 

 

チルノ「く・・・約束は約束だし、仕方ないわ。神社でしょ?それならあっち」

 

 

チルノは左を向いて指さした。だが大雑把すぎて全くわからない。

 

 

大妖精「そっちじゃないよ・・・」

 

チルノ「え、そーだっけ?」

 

 

大妖精はチルノの問いに答える気も失せ、代わりにレイジの質問に答える。

 

 

大妖精「博霊神社はこの先です。途中で紅魔館というお屋敷がありますが迂回していけば大丈夫です。危険なものは特にはありませんが、気をつけてくださいね」

 

 

レイジは礼を言い、湖を後にした。暇になった妖精二人。何をしようか考えてると、チルノが森の中で何かが動いているのを見つけた。

 

 

チルノ「・・・?」

 

大妖精「チルノちゃん、どうしたの?」

 

チルノ「・・・あそこでなんか動いてたような」

 

大妖精「・・・?何もないよ?」

 

チルノ「おかしいなぁ・・・」

 

 

その頃、とある森の中――――――――

 

 

?「もう一人の方も中々やるようだね・・・。ん、どうした?・・・ふうん、坊やは今そこにいるのか。じゃあ先回りして、お前達はここを襲え。あの坊やならきっと助けに駆けつけるだろうさ・・・。え、作戦の意図がわからない?しょうがないね・・・。ここの住人は神機使いじゃないから、一部を除きあたし達を傷つけることすら難しい。だからそいつらはあの坊やにとって足枷にしかならない。そこをお前たちが囲んで一気に仕留めようという寸法さ。わかったかい?・・・・・・さて、今回はちょっと質を上げようか」

 

 

――――レイジside――――

 

 

レイジ達は現在、紅魔館の真横の塀のところに着いた。

 

 

アーティ「これが紅魔館・・・ひどいセンスね。建物どころか塀まで真っ赤・・・目が痛いわ」

 

レン「・・・お二人とも耳を澄ませてください、アラガミの声が聞こえます」

 

アーティ「ん・・・ホントだ。それに・・・誰かが戦ってるわね」

 

 

三人は急いで音がする方へ向かった。すると、紅魔館の門の中にアラガミが次々となだれ込むのが見えた。

 

 

アーティ「さっさと終わらせましょ」

 

レン「同感です!」

 

 

一方、紅魔館庭園―――――

 

 

?「おかしい・・・!こいつら、何回攻撃しても倒れない!」

 

?「美鈴!大丈夫!?援護するわ!」

 

美鈴「咲夜さん!こいつらなんかおかしいんです!攻撃が効いてる感じがしません!」

 

咲夜「なら、追い払うだけよ!お嬢様と紅魔館は何としても守らないといけないわ!」

 

 

状況を説明すると、紅魔館の門番、紅美鈴は門の前で立ち寝していたところ、何かにぶつかり、はっと目を覚ます。すると見たこともない怪物(オウガテイル)が門を通ろうとしていたので追い払おうとしたが無視され、拳法やスペルカードを使っても全く効いている様子がない。必死に食い止めようとするも、後から後から増援が現れ、美鈴だけでは捌ききれない状態になってしまう。それをいち早く発見した紅魔館のメイド長、十六夜咲夜は妖精メイドを引き連れて美鈴の援護に回っている。

しかし咲夜達が援護に入っても状況は変わらず、ついには紅魔館の内部に侵入されてしまった。

 

咲夜「くっ!お嬢様が・・・!妖精達、美鈴を援護しなさい!美鈴!私はお嬢様を助けに行ってくるわ!」

 

美鈴「わかりました!」

 

 

この状況で戦力の分散はかなり危険だ。しかし紅魔館と主を見捨てるわけにもいかない。だが状況はさらに悪化していくばかり。妖精達がどんどん喰われていく。

 

 

美鈴「(このままじゃ皆やられる!どうすれば・・・!)」

 

 

そう思いながら戦っていると、心なしか段々敵の数が減っているような気がした。怪物の死体がちらほら見かけるようになってきている。すると、誰かが怪物を切り裂いているのがチラッと見えた。だが前の敵で手一杯だ。振り向けない。美鈴はやっとの思いで門を最初に通った怪物を倒した時には、庭園にいた怪物は全て倒されていた。驚きつつも礼を言おうと怪物退治を手伝ってくれた人物を探す。見つけたと思った時にはその人物は紅魔館の入口に入ろうとしている。

 

 

美鈴「あっちょっと!」

 

 

声をかけた時には、もうすでに中に入ってしまっていた。追いかけたいところだが、負傷した妖精達の面倒や荒らされた庭の手入れなどをしなければならないためその場を離れられなかった。

一方、レイジ達は紅魔館の内部に侵入したアラガミを掃討するため、一旦バラバラになって各個撃破していくことになった。レイジはアラガミを倒しながら廊下を進む。時々どこからともなくナイフが飛んできたりしたが、気にせず奥へ進んだ。

 

 

咲夜「(あいつ、何者かしら・・・?ヴァンパイアハンターではなさそうだけど、注意しておいた方がいいわね)」

 

 

レイジは両開きのドアの前に辿り着き、ドアを開く。すると本がズラリと並んでいる。図書館のようだ。すると、誰かがすでにアラガミに襲われているのを発見した。

 

 

?「ひええええ~!パチュリー様あああ!助けてください~~!」

 

パチュリー「わかってるわ小悪魔!日符「ロイヤルフレア」!」

 

 

一人はアラガミに追い掛け回され、もう一人はスペルカードで撃退を試みている。しかし攻撃が効くはずもなく、あっという間に追い詰められてしまう。

 

 

パチュリー「な、なぜ・・・攻撃が効かないの・・・!?」

 

小悪魔「うわ~~~ん」

 

 

二人に危機が迫る。レイジは二人を囲むアラガミの群れに飛び込み、切り倒していく。突然現れたレイジを二人は唖然として見ている。そして図書館にいる全てのアラガミを倒し、神機をしまって二人の無事を確認しようと振り向く。

 

 

パチュリー「あ、あなたは・・・」

 

 

パチュリーが喋りかけた時、

 

 

咲夜「そこのあなた、止まりなさい!」

 

レイジ「!」

 

 

どこからともなく咲夜が現れ、一瞬の内にレイジの周囲にナイフを設置、飛ばしてきた。逃げ場がないため、神機の装甲を展開して攻撃を防ぐ。強化パーツ「ガード強化3」のおかげで、どの角度からの攻撃も防げる。

 

 

咲夜「(全部防がれた!?)」

 

?「咲夜、少し早まり過ぎよ」

 

咲夜「すみません、お嬢様」

 

 

お嬢様という言葉に、この館の主なのだろうかとレイジは思考を巡らせる。すると部屋の奥からその主が現れた。だがレイジの予想とは違い、どう見ても小学生くらいの身長だ。咲夜も含めこちらを疑っている様子なので、神機はしまっておく。

 

 

?「・・・あら、人間なのね。あなた」

 

 

レイジは意図がよくわからなかったが、とりあえずうなずく。

 

 

?「あなたに少し訊きたいことがあるの。いいかしら?」

 

レイジ「・・・」

 

?「今朝、新聞で読んだのよ。地底での出来事のこと」

 

 

幻想郷には新聞があるらしい。ならばあれだけの騒ぎが起これば、新聞に書かれるのは当然だろう。

 

 

?「あなた、その時地底にいたのよね?」

 

レイジ「・・・?(コク)」

 

?「・・・話の意図が見えていないみたいだから簡単に言うわ。昨日起こった謎の怪物の地底襲撃。そして今回の紅魔館襲撃。どちらもその場所にあなたがいた・・・つまり」

 

レイジ「・・・」

 

?「私はあなたが今回の異変の原因だと睨んでいるわ」

 

レイジ「・・・!?」

 

 

完全に誤解されている。地底の時でも似たような疑いをかけられた。だが自分は偶々居合わせただけで何もしていない。誤解だと訴えるが、

 

 

?「証拠は?」

 

レイジ「・・・!」

 

 

一言でレイジは言い返せなくなってしまう。無実の証拠などあの状況で確保できるわけがない。まず犯人扱いされるなんて思ってもいなかったから、証拠を持っていようと考えるわけがない。だが相手は証拠を見せなければ納得しない様子だ。レイジは頑なに自分は犯人ではないと訴え続ける。

 

 

?「証拠がないなら、私はあなたを捕らえなければならない。まずはその背中の剣を没収させてもらうわよ。抵抗したら・・・わかるわね?」

 

 

紅魔館の主はレイジの神機を取り上げようと歩き出す。

 

 

咲夜「お嬢様、私が代わr」

 

?「いいわ、これくらい自分でやれる」

 

 

咲夜は主の身を案じて声をかけるが、構わない、と歩き続ける。咲夜は抵抗されないようにレイジの腕を掴んで拘束し、主は彼の背中に回り、神機の柄を掴む。すると、

 

 

「触るな!!!」

 

?「ッ!?」

 

 

レイジではない誰かの声が頭に響き、手に痛みが走る。すぐに手を放したため侵喰はしていない。

 

 

咲夜「お嬢様!・・・あなた、何をしたの!」

 

?「ふ・・・抵抗したわね。なら、あなたの身の安全は保障しないわ・・・!」

 

 

すると咲夜がナイフをレイジにめがけ投げつけてきた。レイジは容易にかわす。

 

 

?「咲夜、ちょっと武器を取ってくる。その間、お願いね」

 

咲夜「かしこまりました」

 

 

主は一旦その場を後にする。咲夜はこちらを睨みつけ、ナイフを両手に持つ。

 

 

咲夜「お嬢様を傷つける者は何人たりとも許さない!覚悟!」

 

 

また戦わなければならないのか・・・内心げんなりするレイジ。どうやら幻想郷の住人は何か揉め事があったらとりあえず弾幕勝負、というまるで何かのルールで決められたような行動をとる傾向にあるようだ。

咲夜はナイフで弾幕を展開する。もしかしたら今までで最も危険な弾幕かもしれない。気をつけつつも無駄に体力を使わないように最小限の動きで避けていく。弾幕よりも、レイジは咲夜の動きが気になっていた。咲夜は瞬間移動しながらナイフを投げ続けている。彼女は見た目だけなら人間だが、幻想郷の住人は何かと特別な能力を持っている。もしかしたらこの人も・・・レイジはそう思っていると、咲夜は懐中時計を取り出し、スペルカード名を宣言する。

 

 

咲夜「時よ止まれ、幻世「ザ・ワールド」!」

 

 

すると、咲夜以外の全ての動きが止まる。時間を止めていられる時間はそこまで長くないので、さっさとレイジの周囲に大量のナイフを設置する。

 

 

咲夜「さっきは防がれたけど、今度はどうかしら・・・?」

 

 

避ける隙間を埋めるようにナイフを設置した咲夜。これで勝負は決まったも同然と思ったのか、得意げにつぶやく。

 

 

咲夜「そして時は動き出す・・・」

 

 

止まった時を再び進めさせようと指を鳴らし、ナイフが一斉にレイジに襲い掛かる。

 

 

レイジ「!」

 

 

咲夜は完全に勝ったと思い込み、レイジに背を向けたまま笑みを浮かべている。するとパチュリーが咲夜に話しかける。

 

 

パチュリー「咲夜、舞い上がるのはきちんと確認してからにしなさい。後ろを見て」

 

咲夜「?」

 

 

パチュリーに言われるまま、振り返る。

 

 

咲夜「!?・・・馬鹿な、逃げ場などなかったはず・・・!」

 

 

なんとレイジは両手にナイフを持ち、口にもナイフをくわえている。全て掴み切れてはいないがどうやらナイフを掴んで無理やり脱出するための隙間を作ったようだ。

 

 

パチュリー「忘れていない?スペルカードは争い事が起きた時に、無闇に死者を出さないように作られたのよ?だからスペルカードに完璧なものはないの」

 

咲夜「・・・すっかり忘れておりました・・・申し訳ありません」

 

 

レイジはナイフをバラバラとその辺に捨てる。どうやって説得しようか考えていると、主が戻ってきた。

 

 

?「あら、咲夜を相手にして無傷とはね。なかなかやるじゃない」

 

咲夜「お嬢様・・・」

 

?「下がりなさい咲夜。後は私がやるわ。他の皆も手は出さないで頂戴」

 

咲夜「・・・はい」

 

パチュリー「・・・」

 

咲夜は渋々と後方に下がる。今度は主と戦うことになりそうだ。

 

 

レミリア「冥土の土産に教えてあげるわ。私の名はレミリア・スカーレット、この紅魔館の主よ」

 

 

主の名はレミリアというらしい。レイジもとりあえず名乗ることにした。

 

 

レミリア「フ・・・決闘でもないのにわざわざ名乗るなんて、几帳面なのね。まあそれは置いとくとして」

 

 

レミリアは手に長い槍を持っている。咲夜が持っても長いと感じられるほどだ。見た目は子どもだが、背中の羽根、長い槍を軽々と持っていることから人間ではないだろう。

 

 

レミリア「さあ、覚悟はいいかしら」

 

レイジ「・・・」

 

 

レミリアは槍を構え、レイジを見据える。レイジは自然体のまま相手が動くのを待つ。程無くしてレミリアは飛び出し、槍を振り始めた。振るスピードはかなり速いが、道場で薙刀も長年鍛錬していたレイジには当たらない。

 

 

レミリア「避けるのは得意なようね。ならこれはどう?神槍「グングニル」」

 

 

スペルカード名を宣言すると、レミリアの槍を持っていない方の手に光の槍が現れた。二刀流になりそのままレイジに攻撃をしかける。攻撃の感覚が短くなり、避けるのが難しくなる。

 

 

レミリア「どうしたの?ちょっとは抵抗してみなさい」

 

 

レミリアは露骨に反撃のチャンスをチラつかせてきた。だがレイジは惑わされず攻撃が来るまでは決して動かないスタイルを徹底する。

 

 

レミリア「・・・ノリが悪い人間ね。せっかく反撃のチャンスを与えてあげたのに、後悔するわよ」

 

 

今度はレミリアはコウモリに化けてバラバラに散ってゆく。姿をくらまして一気に止めを刺そうとしているようだ。姿を消しているため、声が部屋中に反響する。

 

 

レミリア「あくまでも攻撃しないならもう終わりにするわね。安心しなさい、痛いのは少しの間だけ。すぐに眠らせてあげる・・・」

 

目では見つけられないと思い、レイジは目を閉じ、わずかな音や気配を感じ取ろうと意識を集中させる。これは父から教えてもらった技だ。父が言っていたことを思い出す。

 

 

―――――いいかレイジ、敵と戦うなら、周りの気配、わずかな音にも注意が必要だ。相手が見えなくても反撃の糸口はある。これはあくまでも俺の経験だが、敵はこちらを襲うならいつまでも隠れたまま動かないことはない。襲うなら、何かしらの動きをするはずだ。その時に隠れた気配に乱れが生じる。それを感じ取るんだ。・・・え、ちょっと解りづらいだって?わかった、俺が実践するから、レイジ、どこからでもいい、好きなタイミングでかかってこい―――――

 

 

レミリア「(ふふ・・・どこから攻めようかしら)」

 

 

―――――まずは目を閉じ、集中するんだ――――

 

 

レミリア「(あの辺がよさそうね)」

 

 

レミリアは気配を消したまま、背後から音もなく近づいていく。

 

 

―――――敵はいつかこちらを仕留めようと動き出すだろう。たとえどんなヤツでも気配を隠しきることは出来ない。その時一瞬、空気に乱れができる―――――

 

 

レミリア「(所詮人間・・・この私に盾突いたことを後悔するがいい)」

 

 

―――――その時まで、集中し続けるんだ。己の耳で、体で感じるんだ、敵の気配を―――――

 

 

レミリア「(あなたのは、どんな味がするのかしら・・・)」

 

 

レミリアはレイジの首筋に顔を近づける。

 

 

――――んで、気配を感じたらすぐに―――――

 

 

レミリア「(いただきます・・・)」

 

 

――――ぶん投げる!!

 

 

レミリアはレイジの血を吸おうと口を開け始めていた。レイジはその「気配」を察知し、即座に振り向きながらレミリアの腕を掴む。振り返った勢いを利用して背負い投げをし、地面に叩き付ける。

 

 

レミリア「ぷぎゃッ!!」

 

 

まさか気付かれるとは思っておらず、素っ頓狂な声を上げる。

 

 

咲夜「あっお嬢様!」

 

レミリア「なんの、やったわね人間・・・うッ!?」

 

 

思っていたよりもダメージが大きく、さらに体に痛みが長く残っており、レミリアは起き上がれない。

 

 

――――痛いだろレイジ?不意を突かれると、ただの背負い投げでもいつもよりダメージが大きくなるんだ。上手く決まれば相手はすぐには動けなくなるだろう。これこそまさに――――

 

 

一撃必殺、ってヤツだ。

 

 

レミリア「・・・くッ・・・!」

 

 

レミリアはやっとの思いで起き上がれたが、未だダメージが響いているのか動くことがままならなず、また姿勢が崩れる。

 

 

レミリア「やるじゃない、人間・・・。いいわ、事情を聞いてあげる」

 

 

ようやく降参したレミリア。主が降参すれば、部下も無闇に攻撃をしてくることはないだろう。レイジは一息つき、レミリアに手を差し伸べる。

 

 

レミリア「あ・・・悪いわね・・・。いたた・・・あなた、強くやりすぎよ」

 

 

レイジに補佐されレミリアは立ち上がる。すると、美鈴が図書館に飛び込んできた。

 

 

美鈴「あ、やっと見つけました、さっきはありがとうございました!」

 

 

どうやらレイジに礼を言うためだけに紅魔館内を走り回っていたようだ。とりあえずレイジも無事かどうか尋ねる。

 

 

美鈴「ええ、あなたがいなければ皆やられるところでした。あなたは命の恩人です!」

 

 

レイジは買い被りすぎだと謙遜する。そんな様子を見てレミリアは不思議に思う。

 

 

レミリア「え・・・何言ってるの?こいつは容疑sy」

 

美鈴「何を言ってるんですか、この人は何もしてません!もしこの人が犯人だったら私達はとっくにやられてますよ!さっき庭にいた怪物達を一掃してくれたんです!・・・姿はよく見えませんでしたけど」

 

レミリア「・・・・・・」

 

咲夜「あ~・・・私を含め完全に勘違いだったようですね、お嬢様・・・」

 

レミリア「・・・う~・・・!」

 

 

レミリアは恥ずかしくなり、頭を抱えしゃがみ込んだ。それを見て咲夜は鼻血を噴出する。

 

 

咲夜「ぐはあッ」

 

美鈴「あっ!?咲夜さんしっかりしてください!」

 

パチュリー「咲夜、いつか貧血起こすんじゃないかしら・・・」

 

 

突然のアクシデントに紅魔館メンバーは困惑した。

 




作「なんだろ、紅魔組との絡みはすんごい書きやすかったよ!」

弟「なあクソ兄貴、話の腰を折るようだが」

作「?」

弟「輝夜は?」

作「・・・・・・あ」


忘れてたワケじゃないんだからね!


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Mission 11 シンパシー

皆さんおはこんばちは。wingです。今回は作者の好きなキャラであるあの子が・・・ウフフ。それではどうぞ。


レイジと途中で別れたレンとアーティ。彼らも紅魔館内のアラガミを一掃し、玄関に集まっていた。

 

 

レン「お疲れ様です。こちらは特に大きな問題はありませんでした・・・どうなさいましたか?」

 

 

アーティはなぜか苛立った表情をしている。

 

 

アーティ「あ?#・・・いや、なんでもないわ、こっちも異常なし」

 

レン「(あなたに異常はみられますけどね・・・)」

 

 

言ったらぶん殴られそうな気がするので心の中でつぶやく。

 

 

レン「・・・レイジさん、遅いですね」

 

アーティ「あいつなら四階で今レミリアってヤツと紅茶飲んでるわ」

 

レン「終わったら一旦集まろうってことになってたのに、完全に忘れてますね・・・」

 

アーティ「褒めても何も出ないわよ」

 

レン「あなたに言ったつもりじゃないんですけどね。褒めてすらいないんですけど」

 

アーティ「ノリなさいよ」

 

レン「何にノれっていうんですか・・・」

 

 

一方、サヤカ達は地底に向かう途中、紅魔館上空を飛んでいた。魔理沙が下を見ると、いつもと違う光景が目に入った。

 

 

魔理沙「お?なんか紅魔館の庭がえらいことになってんな」

 

サヤカ「あ、ホントですね。・・・もしかしたらレイジさんがいるかもしれませんね。これだけの数を全て倒せるのは私達以外で彼ぐらいでしょうから」

 

霊夢「行先変更ね、一旦紅魔館へ寄って住人の安全確認よ」

 

魔理沙「おk!」

 

 

霊夢、魔理沙は地上に降下し、サヤカは途中で飛び降りる。そしてアラガミ達の死体を調べ始める。

 

 

魔理沙「サヤカ、何やってんだ?それからなにかわかるもんでもあんのか?」

 

サヤカ「・・・この斬り傷・・・間違いない、レイジさんはここにいます」

 

霊夢「なら、早く中に入りましょ。レイジってヤツにも話を聞いてみたいし」

 

 

三人は足早に屋敷に入っていった。

 

 

レン「ん、あれは・・・あ、サヤカさんじゃないですか」

 

アーティ「一体どこをほっつき歩いてたんだか・・・まあ無事ならいいけど」

 

霊夢「レミリアー!どこー?美少女巫女が遊びに来たわよー」

 

アーティ・魔理沙「自分で美少女とかないわー」

 

霊夢「うるさいわね、自分に自信を持つことは大事なの」

 

サヤカ「ここには誰もいないようですね・・・奥に行ってみますか?」

 

 

サヤカ達三人は屋敷の奥へ、レン、アーティは真っ直ぐレイジのいる部屋に向かった。

 

 

レン「それにしても、またピタリとレイジさんの居場所を当てましたね。やっぱりアレですか?」

 

アーティ「てきィーんときたのよ」

 

レン「あなたの勘はすごいですね・・・」

 

 

その頃、レイジはレミリアに連れられて、ティータイムを過ごしていた。

 

 

レミリア「本来は咲夜が淹れてくれるはずだったんだけど、あの状態だから。あなたを誤解したことへの謝罪の意味でも私が淹れてくることにしたわ。どう?」

 

 

レイジは紅茶の知識はほとんどない。とりあえず味は良いので美味しいと言っておくことにした。

 

 

レミリア「今、なんて言おうか焦ったでしょ?」

 

レイジ「・・・;」

 

レミリア「ふふ、気にしなくていいのよ」

 

 

レミリアに茶化されながら紅茶を飲む。紅茶を飲み終えた頃に霊夢達が部屋に入って来た。

 

 

霊夢「あ~いたいた。ちょっとレミリア、返事くらいしなさい・・・って」

 

サヤカ「レイジさん!よかったあ無事だったんですね!」

 

 

サヤカはいきなり走ってきてレイジに抱き着く。飛び込みながらのため倒れそうになったがなんとか姿勢を維持し踏みとどまる。レイジは驚きながらもサヤカの無事を確認する。

 

 

サヤカ「あっごめんなさいっ嬉しかったものでつい・・・///あ、ケガはもう大丈夫です。・・・ほらね」

 

魔理沙「お前がレイジってーのか?私は霧雨魔理沙。普通の魔法使いだぜ」

 

霊夢「私は博霊霊夢。神社の巫女をやってるわ。サヤカから大体話は聞いてるけど、地底にいたのはあんただし後で教えてくれない?」

 

 

レイジは構わないとうなずく。

 

 

レミリア「席が空いてるから霊夢達も座りなさい。さてレイジ、まず私にあの怪物のことについて教えてくれないかしら」

 

 

レミリアはアラガミのことを何も知らない。まずはレミリアにアラガミとは何なのかを説明し、次に地底で起こった事を説明した。

 

 

レミリア「地底に突然現れた・・・ねぇ」

 

魔理沙「どっから湧いてきてるんだ・・・?」

 

霊夢「よくわからないけど、確か地上から地底を一望できる場所が何か所かあったはずよ。恐らくそこから侵入したんでしょうね」

 

魔理沙「話を聞く限りじゃ大した対策もやってないようだしな・・・どうしたものか」

 

霊夢「私が対アラガミ用の結界でも張ってこようか?元々あそこを調べに行くつもりだったし」

 

 

そう言って霊夢は立ち上がる。レイジは一人では危ないとついていこうとする。

 

 

霊夢「大丈夫よ、永遠亭で・・・あ~あんたは知らないか。まあそういうとこがあんだけど、そこに住んでる医者がね、私達でもアラガミに対抗できる薬品を作ってくれたのよ。それのおかげで私と魔理沙はスペルカードで十分戦えるわ」

 

サヤカ「(えっ、永琳さん、作っちゃったの・・・!?幻想郷って・・・すごい)」

 

 

どうやってその薬品を作ったか知らないが、アラガミに対抗出来る手段があるなら問題ないだろう。広範囲を攻撃できるスペルカードなら尚更だ。

 

 

霊夢「あら、もう夜なのね。じゃあちょっくら行ってくるわ。今日はあっちで夜を過ごすとしようかな。あ、それと魔理沙はここに残ってなさい。レイジとサヤカがここにいる今、再びここがアラガミに襲われる可能性は高い。戦力は多い方がいいわ」

 

魔理沙「こういう時のお前の予想は半ば予言だからな・・・用心しとくぜ。お前も気をつけろよ」

 

 

霊夢は部屋を出る。レミリアは何かを考えている様子だった。

 

 

レミリア「・・・私も永遠亭に行った方がいいのかもね」

 

魔理沙「自分の身を守りたいならそうした方がいいぜ。あそうだ、永遠亭に行った時永琳から聞いたんだが、近々対アラガミ用のアイテムを兎達を使って幻想郷中に売りに行かせるそうだぜ。咲夜にでも買いに行かせたらどうだ?」

 

レミリア「いい仕事するわね、永琳。で、どんな形なのかは教えてくれたの?」

 

魔理沙「いや、あの時はまだ構想の段階だったそうだから教えてくれなかったぜ。私としてはパワフルなのがいいな。爆弾とか」

 

サヤカ「人里で売るには危なくありませんか・・・?」

 

レミリア「・・・纏めると、今は早めにそのアイテムを手に入れるか、永遠亭へ行きスペルカードをアラガミにも効くようにしてもらうようにするしかないってワケね」

 

魔理沙「そういうこった」

 

レミリア「なら私は永遠亭に行くわ。誰かに頼らなければいけないというのはちょっと癪だけど、いざという時に何も出来ないのはもっと嫌だしね。なるべく早く戻ってくるわ」

 

 

レミリアも外に出るため部屋を後にし、残ったのは魔理沙、サヤカ、レイジ、そしていつの間にか部屋に入って来たレンとアーティだ。

 

 

サヤカ「これからどうします?交代で見張りでもしますか?」

 

魔理沙「用心するに越したことはないが、まずは腹ごしらえといこうぜ。見張りなら門番が自然とやってくれるさ。・・・さて、咲夜を探すとするかね」

 

レン「なら僕達で見張っていましょう」

 

アーティ「そうね、腹減ってないし」

 

 

少女&神機使い食事中・・・

 

 

魔理沙「ふう、御馳走さん」

 

サヤカ「わざわざすみません。私達の分まで作っていただいて」

 

レイジ「・・・(ペコリ)」

 

咲夜「気にしなくていいのよ。それよりお嬢様を見なかった?さっきから見当たらないの」

 

魔理沙「ああ、あいつ永遠亭に行ったぜ」

 

咲夜「なッ!?私に黙ってなぜそんな遠い所へ・・・心配だわ」

 

魔理沙「大丈夫だって。スペルカードをアラガミにも効くようにしてもらうだけだぜ」

 

咲夜「でも、もし道中であの怪物達に襲われたら・・・」

 

魔理沙「心配性だな、問題ないぜ」

 

咲夜「どうしてそう言い切れるの・・・」

 

魔理沙「今は夜だからだ。それにいざとなったらコウモリにでもなって姿をくらませられるしな」

 

咲夜「ああお嬢様、どうか御無事で・・・」

 

 

夜11時、魔理沙は一人門へと向かっていた。

 

 

魔理沙「じゃ私達はそろそろ寝るから、しっかり門番頼むぜ」

 

美鈴「ええ、最近何故か夜に眠くなりにくいので大丈夫です」

 

魔理沙「まあ昼にしっかり寝てるしな」

 

美鈴「それは大声で言わないで・・・」

 

 

その頃サヤカとレイジは咲夜に寝床の案内をされていた。

 

 

咲夜「今回の襲撃で大半の部屋が荒らされちゃってね、快適に使える部屋がここくらいしかなかったのよ。大人数用の部屋だけどいい?」

 

サヤカ「構いませんよ。案内ありがとうございます」

 

 

礼を言い、中に入るとベッドが七つほどある広い部屋。伸び伸びとした空間、たくさんのベッドが何故か眠気を誘う。遅れて魔理沙もやってきた。

 

 

サヤカ「アラガミが襲って来たりとか何かあった時のために、服はそのままで寝ましょう」

 

魔理沙「なんでお前らがいたところを襲ったのか気になるが・・・まあ考えても仕方ない。さっさと寝ようぜ」

 

サヤカ「ええ、おやすみなさい」

 

魔理沙「おやすみだぜ」

 

レイジ「・・・」

 

 

夜12時。レイジはトイレに行こうと起き上がり、眠気がとれない時のゆっくりとした足取りで寝室を出る。だが肝心のトイレの場所がわからない。仕方ないので近くにいた妖精メイドに訊くことにした。

 

 

妖精メイド「二階から上のトイレは現在掃除中なので、一階に降りてすぐ左にあるトイレをお使いください」

 

 

礼を言い一階のトイレで用を足す。手を洗った後寝室に戻ろうとトイレの入り口から出ると、トイレの前で待っていたのだろうか、特徴的な羽根を持つ少女が目の前でレイジをじっと見つめていた。背丈はレミリアと同じくらいだろう。

 

 

?「ねえ、こっちへ来てくれない?」

 

レイジ「・・・?」

 

?「お願い」

 

 

何をしたいのかよくわからないが、レイジは少女に向かって歩き始める。

 

 

?「こっち」

 

 

少女は階段へ向かい下へ下り始める。現在位置は1階。ここから先は地下に続いているようだ。レイジは後について行くように階段を下りていく。段々周りが暗くなり、蝋燭だけが不気味に階段を照らしている。階段を下り終えると、今度は地下牢がある廊下を進んでいく。横を見れば牢屋、中には骸骨が見えることも。なぜこんなものがあるのか?不審に思い始めるレイジ。すると目的地に着いたのか、少女は足を止める。そこには誰かを閉じ込めるためにあるかのような大きく、堅く重そうな扉があった。

 

 

?「ここ、私の部屋・・・入って」

 

 

扉を開け、こちらを招き入れる。何故か期待の気持ちが浮かばない。恐る恐る入ってみると、これまでの道と同じように薄暗い。部屋には大きめのベッドが一つ、火が付いた蝋燭が一本、一部分が千切れたぬいぐるみがたくさんあった。ゆっくりとドアを閉める音が響いた後、少しの沈黙。少女は少しうつむいたまま動かない。レイジは何か用があるのか訊こうとする。

 

 

?「やっと来てくれた・・・」

 

レイジ「・・・?」

 

?「やっと来てくれた!私と遊べる人!」

 

レイジ「!」

 

 

少女は急に顔を上げ、歓喜とも狂気ともいえる笑顔でレイジの肩を掴み壁に押しつける。レイジは腕をどけようとするが、ビクともしない。

 

 

?「ねえねえ、あなたお姉さまに勝ったんでしょ!?妖精メイドが話してるのを聞いたの!」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「私はフランドール!フランって呼んでいいよ!」

 

 

名乗ってきたのでとりあえずレイジも名乗っておく。警戒は解かないままフランの話を聞く。

 

 

フラン「ふうん・・・ねえレイジ」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「あなたは、私と遊んでくれる人間?」

 

レイジ「・・・!」

 

 

危険を感じ、咄嗟に突き飛ばした後距離をとる。フランは倒れたまま笑い声を上げ、浮き上がるようにして起き上がった。

 

 

フラン「あははははは・・・お姉さまを負かした人間を見られるなんて霊夢と魔理沙以来よ。・・・なら、私とも遊べるよねえ!」

 

 

フランはスペルカードを取り出し宣言する。

 

 

フラン「あははは、禁弾「過去を刻む時計」!」

 

 

宣言が終わると、十字型の弾をブンブンと投げてきた。レイジは弾の動きに合わせて潜り抜けるようにかわしたり、伏せたりして避けていく。人を呼びつけていきなり襲って来るなんて正気の沙汰じゃない、早くここから脱出しないと・・・そう思ったレイジは避けながら扉へ向かう。しかしそれを感付かれてしまったのか、フランは弾を両手に持ち激しく回転させながら突進してきた。

 

 

フラン「なんとぉおおおおおおお!!」

 

 

レイジは逃げられないと思い、神機で防ごうと背中に手を伸ばすが感触がない。寝室に置いて来てしまったのだ。

仕方なく避けることにした。ギリギリで避けたため、頬をかすめ、血が滴る。

 

 

フラン「ダメだよ、逃げちゃ・・・まだ全然遊び足りないよ」

 

 

フランは勢い余って地面に激突したが、何も起こらなかったかのように立ち上がった。この相手を無力化するのはかなり厳しい。手元に神機がない以上、隙を見計らって脱出するしかないだろう。

 

 

フラン「次行くよ!禁忌「フォーオブアカインド」!」

 

 

今度はフランが四人に分身し、また十字の弾を飛ばしてきた。四人いるので密度も四倍。次第にレイジは追い詰められていく。こんな時に神機があったら・・・忘れっぽい自分をつくづく情けなく思うレイジ。すると不意に右手に重みを感じた。見てみると、なんと神機を持っている。しかも刀身が「鮫刃ノコギリ 真」に切り替わっている。

フランは驚き、喜んでいる。手品だと思っているようだ。

 

 

フラン「すごーい!何もないところから武器が出てきたあ!・・・え、自分でもわからない?・・・まあいいや、続きをやろ!」

 

 

フランと分身達は引き続き弾を飛ばしてくる。レイジは弾を次々と斬り、打ち消していく。

 

 

フラン「ヒュウ、弾を斬れるなんてすごいね。ならこれはどう?禁忌「レーヴァテイン」!」

 

 

次のスペルカードを宣言。すると四人の手に燃え盛るような赤いオーラを纏う剣が現れ、それを振り回して攻撃してきた。柄が少し大きいため両手剣のようだが、刃は異様なほど長い。その上剣を振った軌跡から弾が飛んでくるため、かなり危険だ。しかし四人ともレイジに接近しているため、彼は逆に考えチャンスだと思った。その矢先にフラン達が剣を振り下ろしてくる。これを見逃さず、回転しながら神機を振り、レーヴァテインを断ち切った。分身も何故か一緒に消えてしまった。フランは一瞬の出来事に驚愕している。

 

 

フラン「わ、私のレーヴァテインが・・・簡単に・・・!?」

 

 

神機の刀身の刃にはオラクル細胞が配列されている。それによる斬撃は斬るというより喰い裂くといった表現が正しいだろう。オラクル細胞はあらゆるものを喰らうことが出来るため、事実上斬れないものはあんまりないのである。

唖然としている隙にレイジは部屋を出ようと駆け出す。

 

 

フラン「あっ待って!」

 

 

フランの声に構わず走り続ける。

 

 

フラン「・・・どうして、そんなに私を避けようとするの・・・?」

 

 

突然落ち込んだ口調になり、レイジは足を止める。

 

 

フラン「私はただ、楽しく遊びたいだけなのに・・・皆私から遠ざかろうとする・・・。霊夢や魔理沙と遊んだ時だってそう・・・「さっさと終わらせて帰ろう」って顔してたの・・・」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「私の能力、ありとあらゆるものを破壊する程度の能力のせいで近寄りがたいと思われるのは仕方ないと思ってる・・・。でも私は壊すつもりなんてないの!」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「私と遊んだ人は皆壊れてしまった・・・でも霊夢と魔理沙は壊れず、私を返り討ちにした。私ね、その時嬉しかったの!やっと自分と対等に遊べる人に出会えたって・・・嬉しくて仕方なかった!・・・けど、あの二人は私を叩きのめしたらすっきりとした顔で帰って行った・・・」

 

 

フランは涙を浮かべ、レーヴァテインを握りしめる。

 

 

フラン「どうして!?どうして誰一人純粋な気持ちで私と遊んでくれないの!?495年間ずうううううううううううううううううううううううううううっと我慢してたんだよ!?一人で!!私を受け入れて楽しく遊んでくれる人をずうううううううううううううううううううううううっと待ってた!!!やっと出会えたと思ったら避けられるなんて・・・ひどすぎるよ!もう一人はいやだ!!孤独はいやだ!!私は誰も壊すつもりなんてない!!でも何回そう言っても誰も信じてくれない!どうしてどうして!!ねえどうして!?」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「私と遊んでッ!壊れないようにするから!・・・お願い・・・お願いだから・・・」

 

 

 

フラン「誰か私を信じてえええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」

 

 

 

悲痛の叫びが部屋中に木霊する。レイジの心にもそれは深く響いていた。フランの叫びが、昔の記憶を呼び起こす。

 

レイジが家族を失った後、彼は施設で過ごしていたが、彼は常に孤独だった。理由は主に彼の目を不気味がって遠ざけられたことからだ。

 

 

「お前なんで日本人のクセに目ェ黒くないワケ?」

 

「アラガミに目ェ交換されたって?おいおいお前アラガミ化ってヤツになんねェよな?そんな危なっかしい状態でなんでここにいンだよ」

 

「お前と一緒にいたらアラガミが寄ってきそうだあっち行け」

 

 

あの時の自分とフランを照らし合わせる。

 

 

フラン「うわあああああああ!」

 

 

悲しみと憤りを剣に乗せてこちらに走ってくる。壊さないと言っておきながら矛盾しているように見えるが、彼女は不器用ながらもただ純粋に遊びたいだけなのだ。レイジは決めた。もうこの子を「避けない」と。この子が満足するまで遊んであげようと。レイジは神機の装甲を展開し、攻撃を防ぐ。何度も連撃が来ようとも、避けられる攻撃もすべて防いでいく。それはまるでフランの気持ちを受け止めているようだった。急に回避行動をしなくなったことが気になったのか、フランは一旦攻撃の手を止める。

 

 

フラン「ぐすん・・・急に避けなくなったけど、どうしたの・・・?」

 

 

レイジはもう遊ばないのかというような表情を見せる。それを見てフランは少し動揺する。

 

 

フラン「え・・・遊んで・・・くれるの・・・?」

 

 

レイジは微笑みと共にうなずく。フランはそれを見てどれほど嬉しかっただろうか。喜びの涙を流しながら次のスペルカードを手にする。

 

 

フラン「ありがとう・・・ありがとう!じゃあ次いくよ、禁忌「恋の迷路」!」

 

 

フランを中心に弾幕が張られる。しかし一か所だけぽっかりと何もないところがある。そこをくぐっていけそうだ。

 

 

フラン「レイジ!ここまで来れるなら来てごらん!もし来れたら・・・コインいっこ!」

 

 

唯でさえ弾幕を避けるのは大変なのにコインいっこ。レイジはクスッと笑いながら、弾幕の迷路へと突っ込んでいった。

 

 

時は少し遡り、レイジ達が寝ようとする頃、レンとアーティは紅魔館の四階で窓の外から見える景色を眺めつつアラガミが来ないか監視していた。

 

 

レン「曇ってきましたね。雨が降らないといいのですが」

 

アーティ「折り畳みでも持って来ればよかったわね。・・・ねえ、突然だけど吸血鬼って何に弱かったかしら」

 

レン「弱いというより、苦手って程度だったはずです。一般的に知られてるのはニンニクとか、日光、銀、十字架、流水・・・てとこですね」

 

アーティ「流水ってのは聞いたことないわね。風呂とか入れないんじゃない?」

 

レン「さあ・・・どこまでが流水の範疇なのかはわかりませんが」

 

 

しばらく雑談をしているとアーティは何かを感じ取ったのか窓からバッと顔を逸らす。

 

 

レン「・・・どうかしましたか?」

 

アーティ「・・・ハァ。レイジのヤツ、まァた厄介事に巻き込まれたわ」

 

レン「えっ!?どこでですか!?」

 

アーティ「地下に行くわよ」

 

 

二人は急いで地下へと駆け下りた。

 

 

レン「うわぁ・・・気味が悪いですね」

 

アーティ「明らかに怪しすぎるでしょここ。まったく、アイツは知らない人についてっちゃいけないって教わらなかったのかしら」

 

レン「あ、あそこの中から音がしますよ」

 

 

フランの部屋の前に着き、耳を傾ける。激しい轟音が鳴り続けているのがわかる。

 

 

レン「中で一体何が・・・」

 

アーティ「弾幕勝負でも仕掛けられたんじゃないの」

 

レン「まずいですね、助けに行きましょう」

 

アーティ「そうしたいけど、この様子じゃ介入出来る余地はなさそうね。しばらく待ちましょ」

 

 

5分後―――

 

 

レン「音が聞こえなくなりましたね」

 

アーティ「もう入っても大丈夫そうね。お邪魔しまっす!」

 

レン「扉は足で開けるものじゃありませんよ・・・」

 

 

中に入ると、部屋は荒れ、所々に陥没した跡がみられる。レイジを探して見渡すと、隅の方で壁にもたれて座っているのが見えた。傍にはレイジに寄り添うようにフランがレイジにもたれかかっていた。

 

 

レン「レイジさん!・・・よかった、眠っているだけのようです」

 

アーティ「フ・・・流石レイジね」

 

レン「あ、頬を切ってますね。念のため絆創膏を・・・」

 

 

レンはポケットに会った絆創膏をレイジの頬に貼る。

 

 

アーティ「大丈夫そうだし、四階に戻るわよ」

 

レン「ええ」

 

 

近くにあった毛布を寝ている二人ににかけ、部屋を後にした。

 




作「フランちゃんウフフ!」

弟「うふ、うふふ、うふふふふふふふふ」

作「バカ!それを言ったらヤツが・・・!」

魔理沙「私の物まねか?ずいぶんと上手いんだなぁ・・・?」

弟「し、しまった・・・!」

魔理沙「消し飛べ!ファイナルスパーク!」

作・弟「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!」


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Mission 12 めざめるパワー

皆さんおはこんばちは。wingです。テスト直前になるほど他のことしたくなる時ってありません?それではどうぞ。


次の日の朝、サヤカは魔理沙よりも早く起床した。周囲を見渡し、今は朝であること、自分以外誰も起きていないことを確認する。

 

 

サヤカ「ふあ~あ・・・(まだ二人とも起きてないのかな・・・あれ、レイジさんがいない・・・?)」

 

 

レイジが寝ていたベッドを見ると、レイジの姿が見当たらない。トイレかなと思い、サヤカもトイレへ行こうと寝室を出る。すると出会い頭にパチュリーが現れた。かなり慌てている様子だ。

 

 

パチュリー「はあ・・・はあ・・・魔理沙、魔理沙はいる!?」

 

サヤカ「いますけど、まだ寝ていm・・・わわっ」

 

 

パチュリーはサヤカを押しのけ、魔理沙を起こそうと揺さぶる。

 

 

パチュリー「起きて、起きなさい!フランが、フランが!」

 

魔理沙「・・・あー?フランがなんだよ・・・」

 

パチュリー「フランが最近また暴れやすい時期に入ったから地下に続く階段に結界を張って通れなくしてあったんだけど、今朝見たら破れてたのよ!」

 

魔理沙「へーそれは大変だな・・・・・・な、なんだってーーー!?」

 

 

魔理沙は驚愕しガバッと飛び起きる。

 

 

魔理沙「まずいな、なんだってこんな時に・・・ん、レイジは?」

 

サヤカ「さあ、私が起きた頃にはすでにいなk・・・」

 

3人「まさか!!!」

 

 

3人は一目散にフランの部屋へ向かった。

 

 

魔理沙「サヤカ、もしかしたら最悪の場面を見るかもしれない・・・。覚悟しとけよ」

 

サヤカ「えっ縁起でもないこと言わないでください!ってゆーかフランっていう人はそんなに危険なんですか?」

 

パチュリー「ええ、あの子は少し精神が安定しない時があるから。それに一番危ないのはあの子の能力、「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」・・・。その気になれば、私達なんてあっという間に木端微塵に出来るの。今はただ彼とあの子の無事を願うしかないわね・・・」

 

サヤカ「そ、そんな人がいたんですか・・・昨日は会わなかったのに・・・」

 

パチュリー「最近また凶暴になってきたから落ち着くまで地下に閉じ込めてたんだけどね・・・」

 

魔理沙「だがどんなもので閉じ込めてもほぼ無意味だ。あいつにとっては紙同然だからな」

 

サヤカ「レイジさん・・・」

 

 

フランの部屋に辿り着き、扉を開け中の様子を確認する。かなり荒れていたため3人の脳裏に最悪の結末が見え隠れする。しかし3人の予想とは違い、まるで兄妹のように寄り添って眠るレイジとフランの姿が目に入った。

 

 

魔理沙「ふう、無事だったか・・・。しかしこいつ・・・何モンだ?ほぼ無傷だぜ・・・」

 

サヤカ「ああ~、よかったあ~」

 

パチュリー「あの様子だと、フランに相当懐かれたようね。もう少しだけこのままにしてあげましょう」

 

 

安堵の息を吐き、地上階へ出ようと部屋を後にする。すると、部屋を出るのを待っていたかのようにフランが目を開いた。

 

 

フラン「ふふっその通り、レイジは私のお気に入り☆また機会があったら遊ぶんだから・・・」

 

 

フランはレイジを見てつぶやく。まだレイジは眠ったままだ。

 

 

フラン「・・・。・・・・・・ちょっとなら、・・・いいよね」

 

 

何かの衝動が湧きおこり、レイジの首筋に顔を近づけて噛みつく。

 

 

カプッ、チューチュー・・・

 

 

フラン「!?」

 

 

突如舌に痛みが。フランは驚き、ぺっぺと血を吐く。それに気づいたのか、レイジが目を覚ます。

 

 

レイジ「・・・?」

 

フラン「うえーっぺっぺっ!なにこの血、痛い!不味いとかそんなレベルじゃない!痛い!」

 

レイジ「?」

 

 

レイジは状況がわからず、?な顔をしている。

 

 

フラン「うぇ・・・あなたの血、どうなってるの?あなた本当に人間?なんか噛みつかれるような痛みだったけど」

 

 

レイジは神機使いなので血にはオラクル細胞が含まれる。体内のオラクル細胞が別の物質(フランの舌)に触れたため、捕喰しようとしたのだ。噛みつかれるような痛みは、恐らくそれが原因だろう。幸い侵喰はされていない。何ともなかったことに不思議に思いながらレイジは痛みの原因を説明し、次いでアラガミのことも説明した。

 

 

フラン「へ~、でも私は多分永遠亭ってとこに行かなくてもいいと思うよ。だって私の能力は「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」だから、そいつらなんてきゅっとしてドカーン!」

 

 

フランが手を握ると、壁の一部が爆発した。

 

 

レイジ「・・・!?」

 

フラン「そうだ、昨日さ、何もないところから武器出したよね?どうやったの?」

 

 

そういえばそうだとレイジは思った。あの時は考える余裕はなくとりあえず有効利用したワケだが、どうしてああなったのか。ひとまず神機を手にしてみる。刀身は確かに「神斬りクレイモア 真」から「鮫刃ノコギリ 真」に切り替わっている。元の世界では、刀身を変える時はターミナルを使って装備変更の手続きをし、リッカが換装を行ってくれるのだ。だが幻想郷には彼女のような整備士はいないため装備の換装は出来ない。不思議に思いながら、ダメ元で刀身が変わるよう念じてみた。自分でも何をやってるんだろうと溜息をつく。するとフランが喜んだ表情をしている。

 

 

フラン「わーすごい!なんか変わったー!」

 

 

刀身を見てみると、今度は「鬼斬りクレイモア 絶」に変わっていた。

 

 

フラン「今のどうやったの!?・・・え、ダメ元で念じてみたら出来た?すごーい!レイジは多分「装備を自由に換装出来る程度の能力」があるんだね!」

 

 

フランは手品を見ているかのように大喜びしている。レイジはフランの言葉を聞いて、ある場面を思い出す。地霊殿で妖精に襲われた後のことだ。

 

・・・どこから強化パーツを取り出したのか?

 

本来は強化パーツもターミナルを利用して手続きしリッカにつけてもらう。地霊殿にいた時すでにこの能力が発現していたのだろうか。とりあえず悪い面はなさそうなので今後は有効利用できそうだ。

 

 

フラン「ねね、話を戻すけど、さっき言ってたアラガミってのが来たらさ、そいつらと一緒に遊ぼ!」

 

 

フランの能力は一見すれば心強い戦力になるだろう。しかしそれがアラガミに効くかどうかはわからないし、幻想郷の住民を戦いに巻き込みたくはない。レイジはダメだと首を横に振った。

 

 

フラン「え~いいじゃ~ん」

 

 

レイジは頑なに首を横に振る。この地下なら比較的安全だろう。アラガミが襲って来たらここにいるようにフランに言い付ける。フランは不満そうな表情をする。

 

 

フラン「レイジ、私言ったよね?一人はいやだって・・・。私、レイジともっと遊びたいの、ねぇいいでしょ?」

 

 

それでは理由にならないとフランの要求を拒否する。フランは頬を膨らませる。

 

 

フラン「うー、けちー」

 

 

すると突然、ドーンと音が鳴り、部屋が振動する。もしかしたらアラガミが来たかもしれない。レイジは地上階に出ようと部屋のドアを握る。フランは懲りもせずついて来ようとするのでここに残っているよう再度言い付ける。

フランは不満げな顔でレイジを見送った。・・・しかし、

 

 

フラン「・・・もう出てもいいかな。ウフフ、レイジと一緒に怪物退治・・・楽しそ~☆」

 

 

フランは間を置いて地上へ向かった。

 

 

魔理沙達はレイジ達の様子を確認した後、地上階に上り朝食の準備をしていた。その途中で激しい音と振動が響く。只事ではないとすぐに理解した。

 

 

魔理沙「来やがったか・・・霊夢の予想の的中率には脱帽だぜ」

 

サヤカ「今すぐにアラガミと戦えるのは私達二人だけ・・・。レイジさんを起こしに行きたいですが余裕がありませんね、早急に撃破しましょう」

 

 

一方、レンとアーティは寝ずに見張りをしたのが裏目に出たのか、朝になるころには二人とも眠ってしまっていた。レンは窓にもたれて座っており、アーティは立ったまま腕を組み壁にもたれて眠っていた。

 

 

レン「zzz・・・」

 

アーティ「zzz・・・」

 

 

ドーン!

 

 

レン「・・・ん(ガチャッ)わああああああ!」

 

アーティ「zzz・・・」

 

 

揺れが起こったと直後にレンが目を覚ました。しかし振動によって窓が開いてしまい、レンは落ちそうになる。なんとか手で踏ん張り、ぶら下がることで落下は免れた。。

 

 

レン「あ、アーティさん!助けてくださーい!」

 

アーティ「zzz・・・」

 

 

起きなさそうなので、大きな声で呼ぶ。

 

 

レン「アーティさーん!た・す・け・てええええええ!」

 

アーティ「・・・ああ?#・・・誰よ朝っぱらからうるさいnぶっはwwww」

 

レン「は、早く助けてください!」

 

アーティ「wwwwダサッwwwwwwダサすぎwwww」

 

レン「お願いですから早くううう!」

 

アーティ「え~、このくらいの高さなら飛び降りれるでしょ。原作OPでソーマがやってたじゃない」

 

レン「あなたは何を言っているんだ」

 

アーティ「とにかく引き上げればいいんでしょ、よいしょっと」

 

レン「ふう・・・助かりました、ありがとうございます」

 

アーティ「ん・・・何あれ」

 

レン「アラガミ・・・!?あんなの見たことがないですよ・・・」

 

アーティ「・・・ざっと四体か。早いとこ門番とサヤカ達を助けましょ」

 

 

魔理沙とサヤカは屋敷の外に出て、激しく争う様子が伺える門に向かった。美鈴はかなり苦戦している。

 

 

美鈴「あ、やっと来てくれましたか!気をつけてください、今までよりも強力です!」

 

サヤカ「ど、どの個体も見たことがない・・・!完全なアンノウンです!」

 

魔理沙「なんてこった、サヤカも知らないアラガミたぁ骨が折れそうだぜ。よーしなんかテンション上がってきたあ!」

 

サヤカ「ハメを外さないでくださいよ!」

 

 

美鈴に加勢し、サヤカと魔理沙も攻撃を開始する。サヤカも見たことがない四体のアンノウン。うち三体は右腕が銃砲になっており、左腕には鋭い爪を持つヤクシャ。残りの一体はヤクシャより一回り大きく、ヤクシャに鋭い爪がある腕をもう二本付け足したような風貌のアラガミ。ヤクシャのリーダー的存在のヤクシャ・ラージャだ。非常に統率力が高く、連携してサヤカ達を射撃して攻撃する。三対四なので、劣勢からのスタートとなった。

遅れてレンとアーティが屋敷の外に出る。

 

 

レン「三対四ですね。僕達が加勢すれば少しは有利になるでしょう」

 

アーティ「門前は木が多くて意外と狭いわね。私達は門の中から援護した方がいいかも」

 

 

レンとアーティも銃形態でサヤカ達を援護する。これで五体四のはずなのだが、なかなか優勢に回ることが出来ない。少しずつ押され、門の中に入られてしまった。

 

 

サヤカ「まずいですね、こちらが押されてます!」

 

魔理沙「弾幕を張っても肩についてるヤツで防がれちまうな・・・スペルカードは元々殺傷力高くないし」

 

 

 

ヤクシャとヤクシャ・ラージャの肩には、侍の鎧の一部がくっついたような部位、肩鎧がある。この部位で魔理沙の攻撃はほぼシャットアウトされてしまう。スペルカードは元々争い事をなるべく穏便に解決するために作られたものなので殺傷力は決して高くなく、アラガミに通用するようになったとはいえ堅い部位にはほぼ効果はない。美鈴はスペルカードをアラガミに通用するようになっていないので完全に足手纏い状態。よって、サヤカ、レン、アーティしか攻撃が上手く通っていない。戦っているうちにヤクシャ・ラージャはレンとアーティの援護射撃に気付いたのか、ヤクシャ一体を向かわせた。

 

 

サヤカ「しまった!紅魔館が!」

 

魔理沙「くっそ、手が離せねえ!このままじゃ・・・!」

 

アーティ「やっとこっちに来たわね、銃撃とかあたしの性に合わないわ」

 

レン「紅魔館は何としても守らなければなりません。確実に仕留めましょう」

 

 

アーティは剣形態に変え、ヤクシャが接近するのに合わせて構える。すると二人の頭上から突如誰かが飛び出し、ヤクシャを真っ二つに両断した。突然乱入したのはレイジだった。

 

 

アーティ「ちょっとレイジ!勝手にあたしの出番持ってくんじゃないわよ!」

 

レン「ジャンプしながらのチャージクラッシュですか、上手いですね」

 

アーティ「・・・チッ、真打登場となっちゃあたしらはまた後方支援ね」

 

サヤカ「あ、レイジさん!すみませんが手伝ってもらえませんか!」

 

 

レイジはすぐにサヤカ達の元に駆けつけ、援護する。レイジの加勢により、少しずつ押し返し始めた。その頃フランは玄関を出てレイジ達の様子を見ていた。

 

 

フラン「日傘持ってきてよかった☆ウフフ、皆びっくりするかな~?」

 

 

フランもさりげなく戦場に飛び込み、戦い始める。

 

 

魔理沙「おお、フランじゃないk・・・っておいいいいいい!?ここは危険だ!今すぐ離れろ!」

 

美鈴「妹様!お下がりください!」

 

フラン「やだ。私はレイジと一緒に遊ぶの」

 

魔理沙「こんな時にレイジに弾幕勝負仕掛けんなよ!」

 

フラン「違うよ、レイジと一緒にこいつらと遊ぶの」

 

魔理沙「援護頼むぜ」

 

美鈴「切り替えはやッ!!」

 

 

レイジは溜息をつく。あれだけ言っておいたのに来るなんて・・・。困った表情をしているのに気が付いたのか、フランは日傘を持っていない腕をヤクシャに向けて伸ばした。

 

 

フラン「レイジ、私もこいつらと遊べるってこと、証明してあげるよ。・・・きゅっとしてドカーン!」

 

 

フランが手を握ると、ヤクシャがドパーンと破裂した。

 

 

レイジ「・・・!?」

 

フラン「そーれもういっちょ!ドカーン!」

 

 

残ったヤクシャも破裂し、粉々になってしまった。これで後はヤクシャ・ラージャ一体のみ。しかし全員一瞬の出来事に唖然としている。

 

 

フラン「どお?」

 

レイジ「・・・(゚д゚)」

 

サヤカ「・・・(゚д゚)」

 

美鈴「・・・(゚д゚)」

 

レン「・・・(゚д゚)」

 

アーティ「・・・(゚д゚)」

 

魔理沙「・・・(´∀`)」

 

ヤクシャ・ラージャ「・・・(゚д゚)」

 

 

ヤクシャ・ラージャは状況が悪いと判断し、一目散に逃げ出した。すると突然目の前で大きな音と共に土煙が舞い上がった。

 

 

美鈴「今のも妹様ですか?」

 

フラン「いや違うよ?」

 

魔理沙「おお、あいつだ」

 

 

上空を見ると、レミリアが日傘を差し、グングニルを持っている。さっきの爆発はグングニルが刺さった時のものだろう。

 

 

レミリア「紅魔館の敷居を跨いでいいのは、私が認めた者だけ・・・。何も知らずに迷い込んだ愚かなアラガミ・・・あなたはここで永遠に眠る運命よ」

 

魔理沙「わお厨二くせっ」

 

フラン「お姉さまとも一緒に遊べるね、レイジ!」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「フラン・・・!?フラン、ここは危ないから屋敷に戻ってなs」

 

フラン「お姉さままでそんなこと言うの?やだね!」

 

魔理沙「大丈夫だレミリア、実際こいつのおかげで大分片付いたようなもんだからな」

 

レミリア「・・・はぁ。もう勝手にしなさい」

 

 

レミリアも加勢し、まさにフルボッコ状態。卑怯に見えるが、生かしたら今後の障害になるだろう。あっという間にヤクシャ・ラージャを追い詰める。止めを刺そうとレイジは神機を捕喰形態にし、喰らおうとする。しかしまだ動く力が残っているのか、かわされてしまった。フランはレイジの神機を見てあることを思いつく。

 

 

フラン「(そういえばレイジの武器、自在に換装出来ていたから・・・もしかしたら!)レイジ、これ食べさせてみて!」

 

フランはスペルカードをレイジに向かって投げた。神機はまだ捕喰形態から剣形態に戻っていない時だったので、勝手に喰らってしまった。

 

 

レイジ「!?」

 

 

神機は剣形態に戻り、バーストする。すると刀身がフランの使っていた禁忌「レーヴァテイン」と同じものになっていた。大きさもバスターと同程度だ。

 

 

フラン「やったー!大成功ーー!」

 

サヤカ「えっ!?これは・・・」

 

魔理沙「フランのレヴァ剣がレイジの武器になったぜ・・・」

 

レミリア「皆何をしてるの、早く止めを刺すわよ!」

 

 

レミリアは一人戦いながらこちらに向かって声を張り上げる。レイジは急いで向かい、剣を振り下ろす。またしてもかわされてしまったが、地面に剣が当たると大きく陥没し、爆発が起きた。かなりの威力を持っているようだ。

レミリアは驚いているがあまり気にしないことにし、敵の足をグングニルで斬り転ばせる。今度は外すまいとレイジはチャージクラッシュの構えをとる。フランは面白がってレイジの真似をする。

 

 

フラン「お姉さま、離れてて」

 

レミリア「紅魔館を壊さないでよ」

 

 

溜めが完了すると、レイジの刀身(レーヴァテイン)は異様なほど伸びていた。普通のチャージクラッシュでもリーチが長くなるのだが、それとは比にならないほどだ。二人で縦に振るとまたかわされるかもしれないので、フランに横に振るよう伝える。

 

 

フラン「わかった!いくよー、せーのっ!」

 

 

フランはレイジに当たらないよう少し飛んでから横に振る。レイジは真っ二つにせんとばかりに思い切り縦に振り下ろす。どちらの攻撃も命中し、また爆発を起こす。ヤクシャ・ラージャは跡形もなく消し飛んでしまった。

 

 

魔理沙「・・・パねェな」

 

美鈴「ああ・・・庭の手入れまだ終わってないのにさらに大変なことに・・・(泣)」

 

サヤカ「・・・(゚д゚)」

 

レン「・・・(゚д゚)」

 

アーティ「・・・(¬ー¬)=3」

 

 

全てのアラガミを殲滅。フランは満足そうな顔をしている。神機をしまおうとすると、まだ刀身がレーヴァテインのままであることに気付く。

 

 

フラン「もしかして、もうレイジの武器の一つになったのかもね。そうだとしたら・・・「技を取り込む程度の能力」ってとこかな?」

 

 

試しに別の刀身に切り替えた後、もう一度レーヴァテインに変わるよう念じてみる。するとちゃんと念じた通りになった。フランの言葉の通りなら幻想郷内で喰らった全てのアラガミの攻撃が使えることになる。しかし何回か試してみた結果、今のところ取り込んだのは禁忌「レーヴァテイン」だけのようだ。元の世界では絶対にありえない能力に驚くばかり。しかも自分にはそれが2つもあるというのだから尚更である。レイジはスペルカードを喰われて問題ないか訊くが、予備がたくさんあるらしくフランはその中の一枚を見せた。とりあえず一安心する。そう思ったのも束の間、レミリアがレイジの背中をポンと叩く。

 

 

レミリア「レイジ、あれを見なさい」

 

レイジ「?」

 

 

レミリアが指さした方向を見ると、玄関のドアが見事に木端微塵になっていた。レイジはチャージクラッシュをした時、ヤクシャ・ラージャどころか玄関のドアまで吹っ飛ばしてしまったのだ。

 

 

レミリア「あの攻撃からして縦に振ったあなたのせいね。元通りにしなさい。それまでご飯抜きだから」

 

レイジ「・・・」

 

 

皆の視線を浴びながら一人落ち込むレイジであった。

 




弟「ゴッドイーターにもレヴァ剣あったよな」

作「確か「レーヴァテイン B」とか「レーヴァテイン EB」だったな」

弟「紛らわしいな」

作「この小説内ではこの二つは出ません。今後この小説内でのレーヴァテインはフランのスペカを指します。期待されていた方、ごペンなさい」

弟「こいつバスターしか使わねェからな・・・・。」


紛らわしいでしょうが、ご了承ください。


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Mission 13 カリスマ

皆さんおはこんばちは。wingです。今回は束の間の平和?な一日です。それではどうぞ。


アラガミを殲滅した後、レイジ以外のメンバーで朝食を取りに食堂に向かった。

 

 

レミリア「じゃ、しっかり直しておきなさい」

 

フラン「終わったらまた遊ぼ!」

 

魔理沙「悪ィな、先に飯食ってるぜ」

 

美鈴「今日は朝食は何でしょうかね~」

 

サヤカ「あの、私にも手伝えることがあったら言ってくださいね」

 

 

レイジは玄関の修理を任され一人ぽつんと佇む。

 

 

レイジ「・・・( _ )」

 

アーティ「あたしの出番勝手に横取りするからバチが当たったのよ」

 

レン「あ、工具箱が置いてありますよ。これで後は材料だけですね」

 

 

誰が置いてくれたのだろうか。玄関の近くに工具箱があった。

 

 

アーティ「中途半端な心遣いね」

 

レン「まあまあ、まずは倉庫を探しましょう。木材を探さないと」

 

 

妖精メイドに訊き、道のりを教えてもらう。周りを見るとメイド達はアラガミに荒らされた部屋を綺麗にすることで忙しそうだ。三人は倉庫に向かい材料になりそうなものを探す。

 

 

レン「わぁ、ここもなかなか広い」

 

アーティ「お、これよさそう」

 

レン「意外にたくさんありますね、ありがたく使わせてもらいましょう」

 

 

神機使い物色中・・・

 

 

アーティ「とりあえずこれぐらいありゃ大丈夫でしょ。じゃあんたらはその木材、あたしはドアに付ける器具とか定規とか、道具系を持ってくわ」

 

レン「うっ、中々重い・・・レイジさん意外に力強いんですね・・・表情が歪んでいない・・・」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「伊達にバスター使ってるワケじゃないのよレイジは。あんたも見習いなさい」

 

レン「・・・はい」

 

 

レイジ達は玄関まで重い材料を運び、一息つく。レイジはすぐに製作に入る。理由は他でもない、朝食と呼べる時間までには食べておきたいからだ。

 

 

レン「すごく慣れた手つきですね・・・。以前作ったことがあるんですか?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

アーティ「こいつ手先は器用だからね、それに昔ドアの修理の手伝いをしたことがあるそうよ」

 

レン「へえ~、これなら早めに終わりそうですね」

 

 

30分経過、本来ならば朝食を終えているはずの時間。レイジは一人で骨組みを完成させ、残るは内側を埋める木材をはめ込むだけ。その頃には朝食を食べ終えたフランがドアの修理をじっと見ていた。サヤカも来ており、レイジの慣れた手つきに驚いている。

 

 

サヤカ「すごいです・・・まだ朝食を終えたばかりの時間でこれだけの大きさのものなのに、もうここまで進んでるなんて」

 

フラン「レイジー、まだ終わらないの?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

フラン「はーやーくー」

 

 

かがんで作業をするレイジの背中にフランは飛びつく。背中が重たくなるだけで腕の動きが制限されることはなかった。ドアが完成、後は蝶番などの器具を取り付け、玄関に取り付けるのみ。ドアを持ち、立てようと立ち上がる。フランは退屈なのか、羽根をぱたぱたと動かしていた。

 

 

フラン「まーだー?」

 

 

もうすぐ完成目前、確実に作業をこなすことに専念する。すると足に妙な感覚がした。歩こうとしてもその場から進まない。下を見ると、足が床から少し浮いていた。恐らくフランが羽根を動かしているからだろう。レイジは微笑でやれやれと思いつつ、フランに降ろすように言う。

 

 

フラン「玄関は結構高さがあるから私があなたを抱えながら飛ぶよ。そうしながら作業した方が楽だと思うよ?」

 

 

確かにドアの大きさを改めて見ると結構な大きさだ。これでは蝶番を付ける時に手が届かなくなるが脚立でも持って来れば大丈夫だと考えていた。しかしそれが近くにない。よってフランの提案に乗ることにした。すると脚立を使うよりもかなり楽で思ったより早くドアの取り付けが終わった。

 

 

アーティ「乙」

 

フラン「わぁ、なんか壊れる前より綺麗な気がする!」

 

サヤカ「いいコンビネーションでしたね、レイジさん!」

 

 

完成して喜んでいるレイジ達を影からこっそりレミリアが覗いていた。

 

 

レミリア「(・・・あいつの背負い投げの仕返しに玄関の修理押し付けたのに、なんでフランが楽しそうに手伝ってんのよ!どおりで朝食の時いつもより明るい顔してたわけね・・・なんか妹を取られた気分だわ・・・)」

 

咲夜「お嬢様がコンプレックスをお持ちになるとは珍しいですn」

 

レミリア「違う!って、あなたいつの間にいたの!?なんで考えてることが分かったの!?」

 

咲夜「顔に全て出ておりましたわ」

 

レミリア「う~・・・」

 

咲夜「では彼の分の朝食の用意をしますので、失礼致します」

 

 

そう言うと咲夜は一瞬で姿を消した。

 

 

レイジは存分に朝食を楽しみ、息抜きに紅魔館内を探検しようと思い、図書館へ行ってみることにした。道中、フランにばったり会う。

 

 

フラン「あ、レイジぃ探してたんだよ?ねえねえ、かくれんぼしよ!」

 

 

たまには何も考えず遊ぶのもいいだろう。レイジはうなずき、フランの誘いに乗る。

 

 

フラン「じゃあレイジが隠れて!私鬼やるから!30秒数えるからその間に隠れてよ!」

 

 

レミリア「・・・・・・」

 

 

紅魔館内でかくれんぼだと、探す側としてはかなり大変になりそうだ。レイジはひとまず図書館に向かい複雑に並ぶ本棚に隠れることにした。

 

 

パチュリー「・・・あまり暴れ回らないでよ」

 

魔理沙「あいつはそんなことしねーだろ」

 

パチュリー「「彼からは」、ね」

 

魔理沙「・・・どういう意味だ?」

 

パチュリー「・・・すぐに解るわ」

 

 

まるでこちらのやっていることを理解しているかのように本を読みながら注意を呼びかけるパチュリー。確かにここの本棚は異様に高さがある。倒したらドミノ倒しになって大参事になりそうだ。そういうワケで足音を立てずに動こうと考えた。図書館の中では静かにしているべきだし、こうすればフランにも気付かれにくくなるだろう。しばらくそのまま本棚で身を隠しつつフランが近づいていないか耳を澄ませる。意外にも中々やって来る気配がない。少し暇になってきて、近くにあった本を読んでみることにした。しかし内容が難しく興味も湧かなかったためすぐ棚に戻してしまった。中々見つからないなと思いながら振り返ると、なんとフランが背を向けて本を読んでいる姿が。

 

 

レイジ「・・・!」

 

 

レイジの後ろでずっと本を読んでいたようだ。レイジは一瞬驚くが、まだこちらに気付いていないようなのでこっそりとその場を離れる。図書館は広く隠れる所が多いので少し離れれば大丈夫だろう。しかし行く先々でフランの姿が。どうやら禁忌「フォー・オブ・アカインド」を使っているようだ。しかしそうだとしてもおかしい。レイジが行こうとする場所にフランがいるのだ。もしかしたら・・・

 

既に見つかって、遊ばれている・・・?

 

気付いた時にはもう遅かった。四人のフランはすでに彼を囲むような位置で逃げ道を塞いでおり、不敵な笑みを浮かべてこちらを向く。

 

 

フラン「ここ、広いから隠れやすいと思ってたでしょ・・・?でも残念。隠れる側の人って大体は隠れやすそうな場所に行くからね。早く見つけられてよかったよ」

 

 

本棚に隠れた頃から既にバレていたらしい。囲まれているため、引き付けてすり抜けるように脱出するしかない。フラン達はじりじりと近寄り、一斉にレイジを捕らえようと飛び込む。レイジはフランの下をくぐり抜け全力で走る。

 

 

フラン「まてまてー!」

 

 

図書館を抜け、階段を利用したり曲がり角を利用するなどなるべく見通しの良い場所を避けて通る。フランも人数の差を利用し回り込んでレイジを追い詰めようとする。静寂なかくれんぼから一転して白熱した鬼ごっこ。それを見ていた皆も温かい目で見守る。一人を除いて。

 

 

廊下

 

サヤカ「あ、楽しそう・・・私も混ざろうかな」

 

 

図書館

 

パチュリー「ゲホゲホ、喘息が・・・こあ、吸入器頂戴」

 

小悪魔「どうぞ」

 

魔理沙「隙があったらどっちかに訊いて混ぜてもらおうかな」

 

 

紅魔館の門

 

美鈴「あ、妹様じゃないでsうわっ!?」

 

フラン「ねえ、レイジ見なかった?」

 

美鈴「鬼ごっこですか?私は見ていませんよ」

 

フラン「ありがと、じゃ!」

 

美鈴「・・・これでいいんですか?」

 

レイジ「・・・Σb( _ )」

 

 

洗濯室

 

咲夜「あら、妹様。どうなさいましたか?」

 

フラン「洗濯中にごめんね、レイジどこか知らない?」

 

咲夜「いえ、私は見ておりませんが」

 

フラン「わかった、ありがと!」

 

咲夜「・・・あんなに明るい顔をされた妹様は初めて見るわね・・・。まあ、いいことに変わりないけど」

 

 

エントランス

 

アーティ「さっきから何してんのかね、あいつそこらじゅう駆け回って。家ン中で暴れ回っちゃいけないって教わらなかったのかしら」

 

レン「いいじゃないですか。二人とも楽しそうですし、許してあげましょうよ」

 

アーティ「・・・。まあ、こういう時間も必要よね」

 

レン「見ているだけでも、平和な気持ちになれますね・・・ん」

 

 

アーティは暗い表情をしている。気になって声をかけようとすると、アーティは小声でつぶやく。

 

 

アーティ「・・・追い掛け回されるのは・・・嫌ね」

 

レン「・・・?」

 

アーティ「・・・何でもない」

 

レン「???」

 

 

するとレミリアがレン達の近くで誰かを待っているように立っているのが見えた。

 

 

レミリア「・・・」

 

レン「ん・・・?どうしたんでしょうか」

 

アーティ「あ?・・・レミリアのヤツ、なんか難しい顔してるわね」

 

 

一方レイジはフランをなんとか振り切り、息を整えながら歩いていた。曲がり角を曲がり、レン達がいた場所に着く。

 

 

レミリア「・・・!」

 

 

レイジは前後を確認しながらレミリアの横を通り過ぎようとすると突然、レミリアがレイジの手を掴んだ。

 

 

レミリア「待って」

 

レイジ「?」

 

レミリア「来なさい」

 

レイジ「???」

 

アーティ「・・・なんか変な予感がするわ」

 

レン「後を追ってみますか?」

 

 

無理矢理レミリアに手を引かれ、階段を上り三階の広い部屋に連れられる。中は何だか厳かな雰囲気を放つ部屋だ。部屋の中に階段があり、その先に玉座らしき椅子がある。絵に描いたような「主の間」という感じだ。レミリアは椅子に座る。レイジは息を整えようと深呼吸をし、フランが来ないかドアを注視。レイジはレミリアが安全地帯へ連れてってくれたと思っている。しかしレミリアが意図していたのはそれではない。後から遅れてレンとアーティが部屋に入って来た。

 

 

レミリア「フランの遊び相手をしてくれたようね。お疲れ様。あなた、夜になるまでやってたのよ?気付いてた?」

 

 

レイジは窓の外を見る。確かに夜になっていた。今日は満月のようだ。

 

 

レミリア「さて、突然だけど、もうフランとのかくれんぼはもうおしまい。今度は私と遊んでもらうわよ」

 

レイジ「・・・?」

 

レミリア「何故かって?あの子にあまり親しくなり過ぎるとあなた、・・・いつか突然壊れるかもしれないからよ」

 

 

レイジは意味が理解出来なかった。確かに初めて会った時のフランは少し気が触れているところがあり危険だった。しかし今は自分を気に入り、普通に遊ぼうとしている。壊すつもりなど微塵もないはずだ。仲がいい者ならば特に。

 

 

レミリア「あの子の能力、もう見たでしょ?あなたには実感がないかもしれないけど、あの子は壊すつもりがなくても間違って壊してしまう時があるの。つまり能力を完全に制御出来ていない。もし壊れたのが大切な人であるほど・・・あの子は心を痛めると思うわ」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「そんなことにならないように、私はずっとあの子を地下に閉じ込めていた。自分でも最低なことだと思ってるわ・・・。でも大事な人を失う悲しみであの子の心が壊れないようにするには、こうするしかなかったのよ」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「なんとかしなければと思っていた・・・いつまでも地下に閉じ込めておくままにはいかない。あのままでは遅かれ早かれ、別の苦しみでフランの心は壊れてしまうとね・・・。そこにあなたが現れ、フランを解放してくれた。・・・あの子は嬉しかっただろうし、私としても嬉しかったわ。壊れずに傍にいてくれて・・・薄暗い地下から与えられる苦痛からあの子を救ってくれて・・・礼を言うわ」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「あなたはフランにとって、光のような存在でしょうね。・・・でもあの子のためにも、あなたのためにも、これ以上絆を深められては困るワケ。あなたを失った時の悲しみが大きくなってしまうから。あの子にはこれ以上、大切な人を失う悲しみを味わわせたくないの」

 

レイジ「・・・?」

 

レミリア「親しければ親しいほど失った時の悲しみは大きくなる。ならばいっそ親しくしない方が、あなたは壊れないしあの子も傷つかないわ」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「さて、話題を変えて私との遊びについてだけど・・・。私は屈辱を忘れない女。あの時は昼だったから背負い投げ一回だけで降参してしまったけど、だからと言って失態を晒したままでは私のプライドが許さないの」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「・・・何も今じゃなくたってねえ」

 

レミリア「レイジ、私ともう1度勝負してもらうわよ。私のカリスマを取り戻す意味でも、あれで終わりってワケにはいかないから」

 

アーティ「わーめんどくせェタイプ」

 

 

レイジは渋々レミリアの申し出に乗ることにした。断る余地がなさそうだからだ。しかし申し出ののタイミング的に、単にフランと遊んでいるのを羨ましがっているようにも思えた。

 

 

レミリア「勘違いしないでよね。別にあなたとフランが遊んでるのを見て羨ましいと思ったワケじゃないんだから!」

 

アーティ「本音が出たわね」

 

レン「本音が出ましたね」

 

レイジ「・・・」

 

 

姉妹揃って不器用なところがあるようだ。レミリアがスペルカードを手にしたその時、

 

 

フラン「レイジ、ここかっ!?」

 

レミリア「フラン!?」

 

 

フランが突然ドアを開け、中に入って来た。レミリアとしては最悪のタイミングといえる。

 

 

フラン「ウフフ、もう逃がさないよレイj・・・あれ、お姉さま?」

 

レミリア「何?今私はレイジと遊んでるんだけど。邪魔しないでくれる?」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「あ~!横取りなんてずる~い!レイジもレイジで勝手に誘いに乗っちゃダメだよ!」

 

レミリア「フラン、今は勝負中なの。邪魔しないで」

 

アーティ「おまえは何を言っているんだ」

 

フラン「やだね!レイジは私のお気に入りなの!お姉さまになんて渡さないもんね!」

 

 

フランはレイジの腕に抱きつき、ベーッと舌を出す。レミリアは段々冷静さを失っていく。

 

 

レミリア「・・・う~・・・ちょっと!レイジはあなたと出会う前から私のお気に入りだったのよ!そっちこそ横取りしないで!」

 

 

レミリアとフランの間で口論が始まった。しかしどう見ても子どものケンカにしか見えない。

 

 

レン「すごく・・・可愛いです・・・」

 

アーティ「姉の方もなんだかんだ言ってお子ちゃまね。カリスマもへったくれもないわ」

 

 

レミリアとフランは腕で押し合いをしている。レイジはやれやれと溜息をする。そして二人を呼び止め、彼は一つ提案を持ちかけた。

 

 

レミリア・フラン「・・・え?」

 

 

その提案はなんと、レミリアと戦いながらフランとの鬼ごっこも同時にやる、というものだった。吸血鬼姉妹二人は目が点になっている。

 

 

フラン「え・・・、お姉さまと戦いながら私と鬼ごっこ?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

 

レミリアはレイジの言った意味を理解すると、高笑いをし出した。カリスマというもののためだろうか。

 

 

レミリア「ふ、ふふふ・・・あっはははははは!何それ?最早勝負どころじゃないじゃない!あははははは・・・!気に入ったわ。流石は私のお気に入りの人間ね」

 

フラン「うー、レイジは私のお気に入りなの!でも、面白そうだね」

 

レン「二人を同時にって・・・大丈夫なんですか!?レイジさん!」

 

 

レミリアは空中に浮かび上がり、フランはレイジに今にも飛び掛かろうとしている。

 

 

レミリア「忘れていない?夜は私達吸血鬼の時間よ。この時点であなたの勝つ確率は低くなっている・・・」

 

フラン「そ。それでも「「「私達は手加減なんてしないよ?」」」」

 

 

ふと横を見ると、三人のフランの分身が部屋に入って来ており、口を揃えていた。

 

 

レミリア「あなたにとって限りなく無謀といえる提案にわざわざ乗ってあげたのよ?精々楽しませて頂戴」

 

フラン「ウフフ、私達に勝ったら、コインいっこ!」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「・・・今日はいい十五夜ね。本気で遊ぶわよ」

 

 

 

 

レミリア

     「こんなにも月が紅いから」

フラン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア

    「楽しい夜になりそうね」

フラン

 

 

 

 

レイジはスッと身構え、彼女達と対峙した。

 




作「スカーレット姉妹と遊べるとは・・・羨ましい!」

弟「俺らただの人間じゃすぐに壊れちまうぞ」

作「主人公補正がほしい・・・」


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Mission 14 ゴールデンエイジ

皆さんおはこんばちは。wingです。スカーレット姉妹と遊ぶレイジの図。
では、本編どうぞ。


フラン「じゃ、一番乗りィ!」

 

 

フラン達は一斉にレイジを捕まえようと飛び出した。押し倒す勢いで捕まえたいのか、必ず飛び込んで来る。フランはあまり戦略的に考えてはいないようだ。ただ遊ぶことを楽しんでいる。

 

 

フラン「お姉さまに勝ったら、私も負けを認めてあげる。でもそう簡単にいくかな?」

 

レミリア「さて、そろそろ私も動くわね。実質5対1だけど容赦はしない」

 

 

レイジはいつでも来いと言わんばかりにレミリアに視線を向ける。

 

 

レミリア「ふ・・・じゃあ始める前に一つ言っておくわね」

 

 

レミリアは大きく深呼吸をする。その後レイジに向かって声を張り上げた。

 

 

レミリア「ぎゃおー!たーべちゃうぞー!」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「・・・」

 

レン「・・・」

 

アーティ「・・・」

 

 

ギャグのつもりだったのか、驚かすつもりだったのかわからないが、明らかに緊張感が緩んでしまう一言だった。あまりの白けっぷりにレミリアは困惑した。

 

 

レミリア「・・・ちょっと!少しは驚きなさい!驚けないなら反応しなさい!」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「・・・ここ冷房効きすぎじゃない?」

 

レン「ここに冷房はないみたいですよ・・・」

 

フラン「・・・お姉さま、もうそれやめよ?誰もウケる奴なんていないよ」

 

レミリア「う~・・・!」

 

 

思いっきりスベり、レミリアは顔を赤くする。

 

 

レミリア「レイジ!特にあなたよ!リアクションを期待してたのに、逆に恥をかかせるなんて!」

 

 

早速冷静さを失ってしまったレミリア。

 

 

フラン「お姉さま、そんなことで怒っちゃダメでしょ。仮にもここの主なんだから」

 

レミリア「・・・そうね。ありがと、少し落ち着いたわ」

 

 

レミリアは一旦深呼吸した後、フランの飛びつきを避け続けるレイジに向きなおす。

 

 

レミリア「いきなり取り乱して悪かったわね。仕切り直しよ」

 

 

弾幕を展開し、レイジを攻撃する。前後左右どこからも気をつけなければならない状況だ。しかし弾幕は上手く利用すればフランの動きに制限がかかる。フランは弾幕が少し邪魔そうだ。

 

 

フラン「お姉さま、その弾幕邪魔!」

 

レミリア「文句ならレイジに言いなさい」

 

フラン「う~・・・弾幕が邪魔で上手く追いかけられない・・・」

 

 

レイジは弾幕を上手く利用し、フランの動きに制限をかけ続ける。レミリアに対しては、こちらに近接戦を仕掛けるまで回避に徹する。

 

 

レミリア「どうしたの、怖気づいちゃったとか?」

 

 

レイジは首を横に振る。一方でフランはレミリアの弾幕にイライラしている。

 

 

フラン「お姉さま、これ以上邪魔するならドカンするよ!」

 

レミリア「仕方ないでしょ、弾幕だもの」

 

フラン「あーもう、邪魔だなぁ・・・ドカーン!」

 

 

フランは自分とレイジの周辺を飛んでいる弾を打ち消し始めた。残りの分身達でレイジを捕らえようと迫る。レイジはフランの分身達の突進を避け、必要な時は投げ飛ばし、捕まるまいと奮闘する。

 

 

レミリア「・・・弾幕を消されちゃ、近接戦しかないじゃない。まあいいけど」

 

 

フランの突進に紛れ込むようにレミリアもレイジに向かっていく。

 

 

レミリア「いくわよ」

 

 

グングニルを振り回しレイジを攻撃し始めた。レイジはひたすら回避を続ける。

 

 

フラン「そこッ!」

 

 

背後から抱き着こうとフランが飛び掛かる。レミリアはレイジの真正面、これはチャンスだ。二人を引き付けてから一気にしゃがみ回避する。フランは反応しきれずにレミリアの頭に抱きついた。

 

 

フラン「捕まえt・・・あれ?」

 

レミリア「フラン、何やってるの!私よ!」

 

フラン「ああ、ごめんごm (ドンッ)わあ!?」

 

レミリア「ぶっ!」

 

 

レミリアにしがみついたままのフランの背中を押し、二人とも転ばせる。レミリアが下になっていたため、僅かだがダメージを与えた。

 

 

フラン「くっ・・・二人(?)掛かりなのにすごいね、レイジは」

 

レミリア「・・・やってくれるわね」

 

 

二人は起き上がり、再度レイジに向かって走り出す。いつの間にか立場が逆転しているような気がするが、あまり気にしないことにする。

 

 

レミリア「これはどうかしら・・・?紅符「不夜城レッド」!」

 

 

宣言が終わるとレミリアの周囲から赤いオーラが溢れ出した。両腕を広げると十字方向にオーラが伸びる。

 

 

レミリア「(グングニル)がダメなら・・・」

 

 

オーラを纏いレイジに体当たりする。上下左右への範囲が広いため斜め下をすり抜けるようにして避ける。

 

 

レミリア「このスペカは体当たりのためだけではないのよ」

 

 

そういうとレミリアは腕を前に突き出した。するとオーラも真正面へ伸びていく。

 

 

フラン「へえ、そういう使い方もあったんだ」

 

 

まだ攻撃が続くとは思わず、レイジは慌てて回避する。腕をかすめ、熱っぽさを感じた。

 

 

レミリア「フン、まだよ」

 

 

もう一方の腕を薙ぎ払うように動かす。体当たりをかわした後のすれ違いでお互いの距離が少し離れていたため、オーラが迫るスピードはかなり速い。避けようと体を動かす前に攻撃を食らってしまった。

 

 

レイジ「ッ・・・!」

 

レミリア「ようやく一撃・・・手こずらせてくれるじゃない」

 

 

レミリアが転んで受けたダメージとレイジにオーラが当たったダメージ、量だけならレイジの方が不利だといえる。しかしレイジにとってはまだ余裕の域。これぐらいの痛みなどアラガミとの戦いで慣れているのだ。

 

フラン「ふう・・・ちょっと疲れてきた・・・」

 

レミリア「朝からずうっと遊んでたものね、無理もないわ。昼食の時間になって呼びに行っても聞く耳持たなかったじゃない。「2人とも」」

 

レイジ「・・・( _ ;)」

 

 

そう言うと再び体当たり攻撃を仕掛け、避けられたらオーラを鞭のように振るい攻撃する。反撃をしたいところだが周囲を覆うオーラのせいで逆にダメージを受けるかもしれない。迂闊に手が出せない。今出来ることはないか周囲を見渡す。自分を捕らえようとフランと分身達が群がっている。しか一人だけ息が切れている。先程の会話から本物のフランだろう。これを見てレイジは一つアイディアを思いつき、その後レイジは後ろへどんどん下がり始めた。

 

 

レミリア「どんなに距離をとっても意味はない・・・食らいなさい」

 

 

レミリアは両腕を交差するように動かし左右からオーラで攻撃をする。レイジはこれを狙っていた。フランの分身は未だ元気に追いかけてきている。フラン本人は疲労で少し距離がある。レイジとフランの分身はレミリアの攻撃範囲内だ。フラン達は気付いていないのか、レイジにしか目が行っていない。

 

 

フラン(分身)「壁に追い詰めた、今度こそお!」

 

 

分身達は一斉に飛び込む。今だと思い、レイジはスライディングで真下をすり抜ける。分身達は壁にぶつかり痛がり出す。そこにレミリアの攻撃が。

 

 

フラン(分身)「いたた・・・ふぎっ!(ピチューン)」

 

フラン(分身)「う~ん・・・ぎゃっ!(ピチューン)」

 

フラン(分身)「~・・・、あれ、レイj (ピチューン)」

 

フラン「ああっ!?分身がぁ!」

 

レミリア「なっ!?まさかレイジ、狙ってたわね!?」

 

 

味方を攻撃してしまい焦るレミリア。レイジは姿勢を立て直す。

 

 

フラン「うー・・・#私を攻撃したらドカンするよ!」

 

レミリア「気をつけるわ・・・」

 

 

レミリアは現在使用しているスペル、紅符「不夜城レッド」を止め、再び神槍「グングニル」に変えることにした。フランは疲労しているため、動きが鈍くなっていた。レイジも朝から動きっぱなしだったため疲労がかなり溜まっている。だがレミリアはまだピンピンしておりグングニルを投げて攻撃してくる。

 

 

数分後

 

 

レミリア「ふう・・・けっこう長引いてるわね」

 

フラン「ハー・・・ハー・・・」

 

レミリア「・・・少し休みなさい。無理をしたら体を壊すわよ」

 

フラン「う~・・・まだ、レイジと・・遊・・・ぶ(パタン)」

 

 

疲労が限界に達し、フランは座り込んでしまう。レイジは傍に来て様子を見る。

 

 

フラン「あはは・・・ごめん・・・疲れて動けないや」

 

 

壁にもたれかけさせフランを休ませる。

 

 

レミリア「・・・これで1対1・・・か」

 

レイジ「・・・」

 

 

気付けばレミリアはレイジの目の前でグングニルを突き付けていた。

 

 

レミリア「・・・驚いた?フランを巻き込むワケにはいかなかったから中々好きに動けなかったの。手加減しないと言っておきながら、実は100%の力を出せていなかった・・・ごめんなさいね」

 

レイジ「・・・!」

 

レミリア「お詫びといってはアレだけど、今度こそ本当に本気で相手してあげる」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「・・・形から入った方がいいかしらね。ちょっと着替えてくるわ、その間に疲れをとっておきなさい」

 

 

形から入る主義なのだろうか、レミリアは服を着替えに一旦部屋の外に出た。レイジはポケットから「レーション」を取り出し飲み込む。これでひとまず疲労は回復した。フランにもレーションを渡す。

 

 

フラン「なにこれ・・・?え、これ一つで疲れを吹き飛ばすだって?眉唾だなぁ・・・(ゴクン)・・・おお・・・なんか元気出てきた!ありがとう!」

 

レイジ「・・・(ニコ)」

 

フラン「あれ、お姉さまは?・・・ふーん、着替えに行ったんだ?やっぱりお姉さま本気じゃなかったんだね。多分私がいたからかなぁ」

 

 

どうしてわかったのか訊いてみる。すると、

 

 

フラン「多分お姉さまはカリスマ全盛期の時に着てた服を着てくるんじゃないかな。あの頃はカッコよかったなぁ・・・今は可愛くなっちゃったけど」

 

アーティ「全盛期とかあったのね・・・」

 

レン「その時の服を着てくるとなると、当時の力で攻めて来るかもしれません。気をつけてください」

 

 

程無くしてレミリアが戻ってきた。

 

 

レミリア「待たせたわね」

 

 

声に反応しレイジはレミリアの方へ向く。今まではピンクがかった色が主の服だったが、全体的に黒い服装でスカートではなくズボン、コートのような上着を着ており、まさに主と呼ばれる者が着るのにふさわしい外観だ。ナイトキャップのような帽子は被っていない。

 

 

レミリア「ふふ、咲夜ったら私がこれに着替えてるところを見て目が点になってたの。あの顔は傑作ね」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「じゃ、場所を移動しましょうか」

 

レイジ「!」

 

 

いつの間にか目の前にレミリアが立っていた。そしてレイジの手を握り、窓を開け紅魔館の屋上へ上って行く。屋上は意外に足場は悪くない。十分に動き回れる。

 

 

レミリア「今日は本当にいい夜ね」

 

レイジ「・・・」

 

 

二人は向き合い対峙する。屋上は風が直に吹き付け、互いの服が音を立ててなびいている。先程までとは違い明らかに当時のものと思われる威厳と風格がレミリアから感じられた。

 

 

レミリア「これを着ていた頃の私を皆は「カリスマ全盛期」とか言うけれど、カリスマなんてそんなもの出そうと思えばいつでも出せるのよ。ただ本気じゃなかっただけ。それに幻想郷(ここ)ではそこまで固執する必要もない」

 

 

ならば今までのちょっと間の抜けた行動は演技なのだろうか。それについて訊いてみる。

 

 

レミリア「いいえ、素よ?私は私、今も昔も変わらないわ。・・・さて、お喋りはここまでにして始めましょうか。レイジ、その剣を抜きなさい」

 

 

神機はどんな相手も切り裂いてしまう。レミリアを、アラガミ以外の生き物を傷つけるためのものではない。レイジは神機を抜くのを拒んだ。

 

 

レミリア「躊躇わなくていいのよ?。心臓や脳を完全に吹き飛ばされなければ再生出来るから」

 

 

レミリアに大ケガをさせる意味などどこにもない。笑えない冗談だ。

 

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「抜きなさい。私はそれを使うあなたと遊びたいの」

 

 

レイジは断固として神機を抜くのを拒み続ける。そこにフランが下の階から上ってきた。

 

 

フラン「やっほ。応援に来たよ」

 

レミリア「・・・フラン、もう大丈夫なの?」

 

フラン「うん。レイジが元気になるものくれたから」

 

レミリア「そう、よかった」

 

レイジ「・・・」

 

 

一方で、レンとアーティは庭園に降りてそこから三人を見上げ、様子を見ている。

 

 

アーティ「あいつ何を躊躇ってんだか・・・地底の時は対人戦で普通に神機使ってたクセに。ホント、ワケのわからないヤツよ」

 

レン「・・・え、そうだったんですか?僕は見た覚えがないんですけど」

 

アーティ「・・・」

 

レン「???」

 

 

 

レミリア「じゃあ、始めましょ。神槍「スピア・ザ・グングニル」」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジは身構え、若干姿勢を低くする。

 

 

レミリア「・・・いくわよ」

 

 

レミリアは一瞬でレイジの目の前に接近し攻撃を仕掛ける。かなり速い。反射的にレイジは神機を抜き装甲で防御する。スペルカードがアラガミにも効くようになっているからか、レミリアの力が上がっているからか、衝撃が大きい。

 

 

レミリア「・・・フン」

 

レイジ「・・・!」

 

 

レミリアがぐっと前のめりになるとレイジはどんどん後ろへ押されていった。必死に踏ん張ろうとするが止まらない。遂には走り出されて壁に押しつけられる。

 

 

レイジ「ッ・・・!」

 

 

必至に押し返そうと腕に力を籠めるがビクともしない。その時一瞬押さえつけられる力が緩んだ。チャンスだと思った時には弾かれるように後ろに押され壁にぶつかった。

 

 

レミリア「力で人間に劣るとでも?くすくすくす・・・」

 

 

確かに吸血鬼と人間とでは力に差があるのは明らかだ。そのかわり人間の最大の武器は知恵だ。知恵で人間はアラガミと戦えるまでに至れた。力でダメなら技で勝負。体勢を戻すと、今度はマシンガンのような速さで突きを連発してきた。避けながら反撃の機会を伺う。目が慣れた頃、ふと足に違和感を覚える。すると屋根の端に追い詰められていることに気付いた。このままでは落ちてしまう。

 

 

レミリア「このままだと落ちるわよ?」

 

 

わかっていると言うかのように絶え間なく動くグングニルを掴み、突きの勢いに乗せて屋根から伸びる時計台へ放り投げる。レミリアは吹き飛びながら体勢を戻し、足でぶつかる衝撃を吸収する。

 

 

レミリア「今度は遠距離からいくわよ。はあッ!」

 

 

グングニルに力を籠めたかと思うと、一気に巨大化、それを振り回して遠くから攻撃してくる。その上レミリアは空中を飛んでおりこちらの反撃手段が一気に少なくなる。が、攻撃を食い止めるくらいならば神機は使ってもいいだろう。ひとまず神機を捕喰形態に変え、こちらに迫るグングニルを喰らい折る。

 

 

レミリア「!?私のグングニルが・・・!?」

 

 

レミリアは再びグングニルを出し、こちらを攻撃。バースト状態になったレイジは機敏な動きで楽々とかわす。しかしこれでは攻撃を打ち消しただけで反撃の手段となったワケではない。どうするか考えていると、フランがレイジに何かを投げ渡してきた。

 

 

フラン「レイジ!私のレーヴァテインだよ!お姉さまの(グングニル)には私の(レーヴァテイン)!これ大事!」

 

 

とりあえず渡されたレーヴァテインを使えと言いたいのだろう。破壊力が高いので使うのを躊躇うが神機を使うよりはマシだろう。レイジは神機を鞘に納め、レーヴァテインを構える。

 

 

レミリア「ふふ、これでようやくあなたも納得の行く攻撃手段が手に入ったわね。あなたの本気、早く見せて頂戴な」

 

 

レミリアは大型グングニルを再び振りはじめる。レイジも負けじとレーヴァテインを振る。刃が交わると爆発が起き、レミリアの攻撃が弾かれる。こちらにもかなりの衝撃が伝わってくるが、威力だけならレーヴァテインの方が上なのだろうか。まだ踏ん張れる域だ。

 

 

レミリア「くっ・・・!」

 

 

今度は突きで攻撃してくる。レイジはジャンプでかわし、グングニルの上に乗る。それを踏み台にしてさらにジャンプしチャージクラッシュの構えをとる。

 

レミリア「させるか!」

 

 

グングニルを投げ、攻撃させまいとする。無意識にチャージクラッシュの構えをしてしまったことに気付きレーヴァテインを見ると、リーチが大幅に伸びていた。この幻想郷に来てから妙に不思議なことばかりだ。ひとまず考えるのは後回しにしてレーヴァテインを振り下ろすと、グングニルを真っ二つに叩き折った。(レーヴァテイン)がそのままレミリアに迫る途中、レイジは剣の向きを変え面の部分でレミリアを攻撃、レミリアは屋根に叩き付けられた。陥没しているため、かなりのダメージを与えた(与えてしまった)だろう。

 

 

レミリア「く・・・今のは効いたわ・・・グングニルを斬られるなんてね・・・」

 

 

笑みを浮かべながら起き上がり、再度グングニルを手にする。先程から何故グングニルしか使わないのか気になり、訊いてみる。

 

 

レミリア「確かに他にスペルカードはあるけど、あなたとはこれでやりたいのよ」

 

 

そう言うと再び接近戦を仕掛けてきた。槍(グングニル)と剣(レーヴァテイン)が激しく交わり、火花が散り、小さな爆発が起こる。接戦が続き、さらに数分が経とうとしていた。

 

 

レミリア「ふ・・・やるじゃない。この高揚感は霊夢達以来、いやそれ以上かしら。本気の私について来れるなんて、大したものね」

 

レイジ「・・・(息切れ)」

 

レミリア「次の攻撃に残る力を全て籠めるわ」

 

 

レミリアは上空に飛び上がり、グングニルに力を溜める。するとどんどん槍が紅くなっていく。レイジはいつでも攻撃が来てもいいようにチャージクラッシュの構えで待ち構える。レーヴァテインが攻撃が来るのを心待ちにしているかのように燃え盛る。

 

 

レミリア「光栄に思いなさい。この私の全力全開の攻撃を受けられるのだから」

 

 

溜めが完了しレイジを見据え、渾身の一撃を放つ。

 

 

レミリア「この槍を・・・止められるものなら、止めてみろおおおおおお!!!」

 

 

圧倒的なスピード、パワー、威圧感と共にグングニルが迫ってくる。思わず装甲を展開いてしまいそうなほどだ。しかし逃げるワケにはいかない。全力には全力で返す。レイジはいつも以上に燃え盛るレーヴァテインを思い切り横に薙ぎ払うように振る。槍と剣がぶつかった衝撃で爆発が起き、レイジは吹き飛ばされ倒れ込む。すぐに起き上がってレミリアの方を見ると、なんと彼女の胴体にグングニルが突き刺さっていた。どうやら跳ね返したらしい。

 

 

レミリア「がッ・・・!う・・・あッ・・・!」

 

 

グングニルが刺さったまま吹き飛び、時計台に釘付けにされる。ガクッと体の力が抜けるとグングニルは消え、まっさかさまに落下。レイジは急いで駆け付け、レミリアを受け止める。刺さったところに傷はないようだ。ケガをしていないことにホッとする。

 

 

レミリア「ふ・・・まさか跳ね返されるとはね。・・・負けたわ」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「・・・ねえ」

 

レイジ「?」

 

レミリア「この体勢・・・ちょっと・・・」

 

レイジ「・・・!」

 

 

夢中だったため、お姫様抱っこしていることにようやく気付いたレイジ。二人とも恥ずかしくなり、目を背け顔を赤くする。フランはけらけらと笑いだす。

 

 

フラン「二人とも似合ってるじゃん」

 

レミリア「茶化すのはよしなさい・・・///」

 

レイジ「・・・///」

 

 

レイジは一度下ろし、神機をしまってからレミリアを背中におぶった。

 

 

レミリア「・・・なんだか、昔を思い出すわね」

 

レイジ「?」

 

レミリア「何でも・・・ないわ・・・」

 

 

レミリアはゆっくりと目を閉じ、脱力する。あのレーヴァテインの一撃と最大威力のグングニルを食らってダメージが大きくないワケがない。レイジもかなり疲弊しているため、ゆっくりと屋内へと戻っていった。

 

 

アーティ「剣で跳ね返すたァやるじゃない、レイジのヤツ」

 

レン「一時はかなりヒヤッとしちゃいましたね。じゃ、僕達も戻りましょうか」

 

アーティ「そうね、今日はガッツリ寝るとしようかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レン「・・・!」

 

アーティ「・・・どうしたの」

 

レン「気のせいかな・・・」

 

アーティ「?」

 




作「全盛期・・・か」

弟「おぜうの全盛期・・・あんま想像つかんな」

作「俺はとりあえずカリスマに溢れカッコよかったと解釈する」

弟「その頃のおぜうを見てみたいな」

作「ならばフランちゃんも・・・ウフフ」

弟「・・・変な想像してんじゃねェだろうな」


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Mission 15 ゴールデンタイム

皆さん、おはこんばちは、wingです。夏の暑さウザすぎワロエナイ。でも小説投稿は負けずにがんばります。では本編どうぞ。


レイジとスカーレット姉妹が遊んで(?)いる頃―――

 

 

サヤカ「(もう夜かぁ・・・とはいっても何もやることないし、図書館にでも行ってみようかな)」

 

 

レイジとフランに自分も混ぜてもらおうとするも中々タイミングが掴めない上にフランは夢中で、レイジは必死になっているため、完全に存在を認識されていなかった。

 

 

サヤカ「(結局鬼ごっこに入れてもらえなかったけど、あの時のレイジさんの必死な顔・・・ww)」

 

 

サヤカ「(そういえばここでも・・・戦ってばっかりだなぁ・・・元々ここは平和な場所のはずなのに)」

 

 

溜息を吐き、段々平和という言葉の意味を間違って解釈しているような気すらする。

 

 

サヤカ「(ああダメだダメだ・・・ネガティブになっちゃいけない・・・)」

 

 

沈んだ気分になっても何も解決しないと思い、とりあえず今後の行動について考えることにした。まずは今までの状況を整理する。

 

・アラガミの攻撃で気を失う時までは贖罪の街にいた

 

・目が覚めたら幻想郷という異世界に迷い込んでおり永遠亭の病室で寝ていた。近くにレイジはいなかった

 

・新聞でレイジは地底にいたことを確認、そこでアラガミ襲撃が起きていた

 

・程無くして永遠亭もアラガミに襲われるが、撃破

 

・竹林を抜け博霊神社へ。霊夢、魔理沙と出会い、行動を共にする。霊夢、魔理沙のスペルカード強化

 

・地底を調べに行こうとしたが紅魔館の庭がえらいことになっていたため様子を見に進路変更

 

・紅魔館内でレイジと合流。情報整理。その後霊夢は地底を調査しに外出、レミリアはスペルカードの強化のために永遠亭へ

 

・次の日の朝、未確認アラガミが紅魔館を再び襲う。途中でレミリアが帰還、フランとレイジの活躍により撃破。しかしレイジが玄関も破壊したためレミリアが彼に修理をさせる

 

・玄関修復後、レイジとフランが昼食を忘れて遊びまくる

 

・夜になってから急に二人の姿が見当たらなくなり、静寂が訪れる。休憩か?

 

最後辺りははどうでもいい内容かもしれないが、一応これまでの行動から何か掴めないか記憶を辿り探していたのだ。その内、ある言葉が浮かんだ。ヤクシャ・ラージャの襲撃前夜で魔理沙が言っていたことについてだ。

 

 

―――なんでお前らがいたところを襲ったのか気になるが―――

 

 

サヤカ「・・・」

 

 

サヤカはその言葉について考えながら図書館へ。魔理沙を探して今後の行動の方針を相談しようと考えた。そう思った矢先に、背後から魔理沙が話しかけてきた。

 

 

魔理沙「ようサヤカ、探したぜ。ちょっといいか?」

 

サヤカ「私もあなたを探してたとこでした。なんでしょう」

 

魔理沙「いやなに、これからお前らはどうするつもりなのか訊いておこうかと思ってさ。レイジに訊こうと思ってたけど遊んでばっかだからな、さっきから」

 

サヤカ「そうですね。私もあなたにそれについて相談しようと思ってたところで」

 

魔理沙「そーなのかー」

 

サヤカ「とりあえず幻想郷(ここ)に迷い込んでからの行動を振り返ってみたんですが、手掛かりとなるようなものはまだ・・・」

 

魔理沙「・・・なあ、唐突なこと言うけど、お前元の世界に帰りたいって思わないのか?なんかお前らから全然焦りを感じねーんだけど」

 

サヤカ「えっ・・・!?」

 

 

唐突な言葉に言葉を失う。魔理沙は不思議そうな顔をしている。

 

 

魔理沙「意外なリアクションだな。早く帰りたいって言うと思ってたのに」

 

サヤカ「えっあっいや、早く帰りたい気持ちはあるんですよ!?元の世界の皆はきっと心配してるだろうし!でも今はここにいるアラガミをどうしようかってことで頭が一杯になっちゃって、えっと、あの・・・」

 

魔理沙「とりあえず落ち着け」

 

サヤカ「は、はい」

 

魔理沙「幻想郷をそんなに心配してくれてるなんて、お母さんうれしいぜ・・・」

 

サヤカ「冗談言ってる場合じゃないでしょ・・・」

 

魔理沙「そうだぜ。そこで今後の方針の相談といこうじゃないか」

 

サヤカ「あ、はい」

 

魔理沙「昨晩寝る前に私が言ってたこと、覚えてるか?」

 

サヤカ「ええ」

 

魔理沙「あれからずっと気になっててな・・・だが一つわかったことがある」

 

サヤカ「何ですか?」

 

 

魔理沙は新聞を読むパチュリーから新聞を借り、サヤカに見せる。

 

 

魔理沙「これを見て気になることはないか?」

 

サヤカ「・・・今朝ののアンノウン襲撃の記事以外には特に・・・」

 

魔理沙「だが逆に、これ以外で大した事件はない」

 

サヤカ「・・・」

 

魔理沙「お前も薄々気付いているかもしれないが、これらの意味することは「お前とレイジがいた場所以外では何も起きていない」ということだ。サヤカ、幻想郷に来る前から、何か変わったことはないか?」

 

サヤカ「えっと、最近アラガミ達が要領よく動くようになってきたってことぐらいしか・・・・でも永遠亭で襲われた時は動きが戦略的ではなかったんですけど」

 

 

魔理沙は頭を傾けて考え込んだ表情をする。サヤカも一緒に考え込む。しばらくした後、先にサヤカが口を開く。

 

 

サヤカ「ええと・・・とりあえず私とレイジさんを狙っている・・・てことですよね」

 

魔理沙「それはもうわかってんだ。しかしわからねーんだよな・・・問題は何故そんなことをするかなんだよ。お前なんか恨まれるようなことしたか?」

 

サヤカ「アラガミはほぼ獣のような存在ですからそこまで知能が高いとは思えません・・・でも急に戦略的な動きになったということは、もしかしたら指揮を執れるほどのアラガミがいる可能性があります」

 

魔理沙「なるほど・・・指揮を執れるなら知能も高い・・・ならそいつをやっつけちまえばいいかもな!」

 

サヤカ「でもどこにいるのかわからないし、仮にそいつを倒しても全て決着がつくワケじゃないんですよ」

 

魔理沙「・・・?」

 

サヤカ「言い忘れていたのですが、例えアラガミを倒しても、死体は霧散して倒された場所とは別の所で新たな個体を作り出すんです」

 

 

これには意外と思い、驚愕する魔理沙。

 

 

魔理沙「な、なんだって!?何故早く言わなかったんだよ!」

 

サヤカ「すみません、昨日の昼に言うべきでしたね・・・忘れてました」

 

魔理沙「じゃあ・・・アラガミを倒しても、結局はその場凌ぎにしかならないのかよ!?・・・あっそうだ、他に倒す方法があるんじゃないのか?」

 

サヤカ「アラガミの体は全てオラクル細胞で構成されています・・・霧散した細胞をなんとか出来ればいいんですが、それすらも排除する方法は私達の世界でもありません」

 

魔理沙「・・・どうすりゃいいんだ・・・?」

 

サヤカ「・・・(アラガミを根絶する・・・か)」

 

 

元の世界では神機でアラガミを討伐することが一種のビジネスとなってしまっている。アラガミを討伐し報酬をもらう、そんな日々の繰り返しにいつの間にか満足してしまっている。魔理沙とこうして話し合うまではここまでアラガミの根絶について深く考えたことはなかった。

大人達は地球上からオラクル細胞を排除することは不可能だと言うが、神機というアラガミでもある武器を作れるのなら、霧散したアラガミの処理方法だってなんとかなるのではないのだろうか・・・?

サヤカはふと仮にアラガミが地球上からいなくなった時を考えてみる。

 

地球はどうなるか?地球の自然はアラガミが現れる前の三割ぐらいしか残っていない。皮肉なことに、植物を捕喰したアラガミの光合成によって地球の大気は保たれているのだ。もしそのアラガミがいなくなれば、地球上の生命は死滅してしまう・・・!

 

・・・神機使いはどうなる?アラガミがいなくなれば存在する意味がない。神機使いの中には家族を養うために戦う者もいる。職を失い、路頭に迷うことになるだろう。その上フェンリル側としても、定期的に行われる静脈注射のための偏食因子の製造も出来なくなる。偏食因子の供給がなくなれば神機使いは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――皆、アラガミ化する・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サヤカ「・・・!」

 

 

サヤカは今、アラガミが排除不能な理由がわかったような気がした。排除出来ても出来なくても、いずれアラガミが地球上に残り、それ以外は誰もいなくなる。いつの間にかアラガミに依存しなければ生きていけない社会の中にいる。これは、運命なのだろうか・・・?

冷や汗が頬を滴り、恐怖で頭を抱える。

 

 

魔理沙「お、おいどうした?嫌なことでも思い出したのか?」

 

サヤカ「え、いや、ななんでもありません」

 

魔理沙「そうか・・・つってもどうしたものか・・・その霧散した後の対処法がわからねえ」

 

 

う~んと再び考え込むと、パチュリーが新聞を読むのを止め、こちらに話しかける。

 

 

パチュリー「どうやら困っているようね」

 

魔理沙「パチュリー?」

 

パチュリー「話は聞かせてもらったわ。アラガミは倒すと霧散して別の場所で新たな個体を作り出すんでしょ?そうさせない方法を今丁度見つけたわ。なんで見つかったのか自分でも不思議な気持ちよ」

 

サヤカ「本当ですか?」

 

パチュリー「ええ。簡単なことよ、あなたの武器の剣、弾とかにちょっと細工をしておけば彼らを霧散させずを消滅させられるのよ」

 

サヤカ「出来るんですか?」

 

パチュリー「出来るけど、私だけじゃ完全には出来ないの。そこで魔理沙の友人の河童の所に行って来てほしいのよ」

 

魔理沙「にとりのとこか、わかったぜ。・・・ん、レイジはどうすんだ?」

 

パチュリー「あなた達が出かけている間、彼には幻想郷を見回ってもらうわ。今のところ二人がいた場所しか襲ってないらしいけど、もしかしたら人里とかを襲うかもしれないしね・・・ああそうそう、彼は主に剣で戦うみたいだから私の方でなんとかするわ」

 

サヤカ「え・・・刀身だけならあなたでもなんとかなるということですか?」

 

パチュリー「ええ、さっきまであなたの武器を勝手ながら調べさせてもらったのだけど、いけそうよ。でも今朝の襲撃の時のあなたの弾、見た感じ河童に任せた方がいいと思ってね」

 

 

パチュリーは傍にあった机の引き出しから小さな瓶を取り出しサヤカに渡した。中身には何もない。

 

 

サヤカ「これは・・・?」

 

パチュリー「幻想郷からアラガミを排除するための切り札よ。あ、中身は肉眼じゃ見えないものだからね」

 

魔理沙「これをにとりんとこに持ってきゃいいんだな」

 

パチュリー「その通り。でも今日はもう遅いし、明日になったら行ってきて頂戴」

 

サヤカ「わかりました。じゃあレイジさんにも知らせないと・・・」

 

魔理沙「つってもあいつ、今どこにいんだろな?そういえば物音が殆どしないぜ」

 

パチュリー「ちょっと待ってて」

 

 

パチュリーは机に置いてある水晶玉を持ち、注視する。しばらくした後、居場所がわかったようだ。

 

 

パチュリー「・・・ハァ。彼ったらレミィとも遊んでたみたいね」

 

魔理沙「多分羨ましがってレミリアのヤツが無理矢理引っ張って来たんじゃないのか?w」

 

パチュリー「・・・レミィ・・・そんなにレイジに負けたのが悔しかったのかしら」

 

サヤカ・魔理沙「?」

 

パチュリー「・・・何でもないわ」

 

サヤカ「えと、・・・じゃあレイジさんの居場所を―――」

 

 

一方、レイジはフランにレミリアの部屋へ案内してもらい、部屋のベッドに寝かせようとする。

 

 

レミリア「・・・必要ないわ」

 

フラン「あ、目が覚めた?」

 

レミリア「あなた達には気絶したかのように見えただろうけど、意識はあったわ。ただ身を委ねていただけよ」

 

フラン「強がり言っちゃってぇ」

 

レミリア「本当よ。・・・レイジ」

 

レイジ「?」

 

レミリア「とりあえず下ろして頂戴」

 

 

レミリアは背中から下りた後、近くの椅子に座る。

 

 

レミリア「あなたはこれからどうするの?ずっとここにいても私は全然構わないけれど、あなたとしてはそうもいかないんでしょ?」

 

 

確かにその通りだ。元の世界に戻らなければならないし、アラガミもなんとかしなければならない。とはいってもどこへ向かえばいいのかわからない。腕を組んでレイジは考え込む。するとレミリアは何かに反応しピクリとする。

 

 

レミリア「・・・これはちょっとまずいかもね」

 

レイジ「?」

 

レミリア「レイジ、白玉楼へ行きなさい。そこからあなたにとって重要な運命を感じるわ」

 

レイジ「???」

 

フラン「お姉さまの能力は「運命を操る程度の能力」なの。だから運命を読むことだって出来るよ」

 

 

運命を操る・・・よく考えてみると強力すぎる気がしてならない。なら今こうしているのも運命を操ってこうなっているのだろうか。まさかとは思ったが訊いてみることにした。

 

 

レミリア「私は普段能力は使わないから安心しなさい、今のこの状況も私の操った運命じゃないから」

 

 

無用な心配だったようだ。次の目標は白玉楼。しかし今は夜。今日はここで休んで次の日に行くことにする。

 

 

レミリア「さ、夜も更けて来たし晩ご飯といきまs」

 

サヤカ「レイジさん」

 

 

レミリアが喋っている途中でサヤカと魔理沙が入って来た。

 

 

サヤカ「レイジさん、突然ですが今後の行動について話したいことがあります」

 

レミリア「それならこちらも決まったところよ。彼には明日白玉楼に行ってもらうわ」

 

サヤカ「そうだったんですか。でも一応こちらの考えも言っておきますね。私と魔理沙さんは明日妖怪の山という所に行き、その間レイジさんは幻想郷を見回ってアラガミの襲撃があったら鎮圧する、という方針でした」

 

 

レイジは幻想郷中を見回る、ということに少し無理があるのではないかと思いそれについて指摘する。

 

 

サヤカ「大丈夫です。幻想郷はそこまで広いってワケじゃないみたいですよ。といっても狭いワケでもないんですが・・・。そこで魔理沙さんの提案で、空を飛べるということでフランちゃんと一緒に行動してもらうことになりました」

 

レミリア「・・・え?」

 

魔理沙「それとアラガミどもが騒ぎ出したら、その位置を知らせるレーダーとなる結晶をパチュリーからくれたぜ」

 

フラン「わーいレイジと一緒だー!」

 

 

フランはまたレイジといられることに大喜び。魔理沙はレイジにレーダーとなる結晶を渡す。レミリアは認めたくないような顔をしている。

 

 

レミリア「・・・・・・」

 

フラン「・・・なぁに、不満?」

 

レミリア「・・・・・・」

 

魔理沙「いいじゃんか、今回は保護者付きだぜ?」

 

レミリア「・・・」

 

 

未だ不満そうな顔をしているので、レイジもレミリアを説得する。するとレイジには甘いのか、渋々承諾する。

 

 

レミリア「・・・わかったわ」

 

フラン「やったー!(>∀<)ノ」

 

レミリア「・・・ただし、フランにもしものことがあったら、本気で殺すわよ。遊ぶじゃなくてね」

 

レイジ「(コク)」

 

レミリア「・・・さ、晩ご飯にしましょ」

 

レミリアは立ち上がりドアに向かって歩きだす。レイジ達もついて行くように歩きだした。食堂に向かう途中にサヤカは明日の行動の説明をする。

 

 

サヤカ「私達は明日妖怪の山で魔理沙さんの友人である河童の方の所に行ってきます。目的は、霧散後のアラガミを消滅させるために神機を強化してもらうことです。」

 

 

ならば何故別々に行動するのか。強化のためだけなら自分もついて行けばいいはずだとレイジは考える。レイジの表情を見てサヤカは付け足すように説明をする。

 

 

サヤカ「ちょっと言い方が変でしたかね・・・。レイジさんはよく刀身のみで戦いますよね?刀身部分だけならパチュリーさんでもなんとか出来るみたいなんですが、私はよく銃撃をするので・・・バレットの強化は河童の方に頼らないといけないみたいなんですよ」

 

 

それならば、確かにとうなずける。レイジはこれまでも、幻想郷に入ってからもバレットは使っていない。別に彼は銃撃を嫌っているわけではない。アラガミとの戦いの中では銃撃の必要がある状況も出てくるし、銃撃の方が倒しやすいアラガミもいる。しかし道場の出身ゆえ、彼にとっては剣で戦う方が楽なのだ。もう一つ理由があり、一時期ターミナルの調子が悪い時があり、その時に彼はそれを知らずにバレットエディットをしてしまい、本来ならオラクルチップの容量上作ることも撃つことも出来ないはずの組み合わせで作ってしまったため、強力過ぎるものが多い。連発したら下手をすると銃身が持たないくらいの弾もある。ターミナルの不調を知ってからレイジはバレットを極力使わないようにしているのだ。

 

 

サヤカ「レイジさんの分のバレットも持って行くつもりですので、明日になったら渡してくださいね」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

 

魔理沙「レミリア、食堂はそっちじゃないぜ?」

 

レミリア「ちょっと着替えにね」

 

魔理沙「そういえばいつもの服装じゃねーな。なんだそれ?」

 

レミリア「・・・思い出の品よ」

 

魔理沙「?・・・なんでそんなモンを?」

 

レミリア「あなたには教えてあげないわ」

 

魔理沙「???」

 

 

~更衣室~

 

 

レミリア「・・・勢いでこんなの着るべきじゃなかったかしらね。結局負けちゃったし」

 

 

服を眺めながら溜息を吐く。

 

 

レミリア「ごめんなさい・・・・・・おt」

 

 

レミリアが独り言をいっていると部屋の外からノック音が鳴り、ドアの方を向く。

 

 

レミリア「誰?」

 

咲夜「咲夜です。夕飯が出来ましたのでお呼びに参りました」

 

レミリア「・・・よく私がここにいるとわかったわね」

 

咲夜「普段お嬢様がお召しにならない服でしたので、夕飯の頃には着替えるためにここにいらっしゃるかと思いまして」

 

レミリア「・・・そう。そんなにおかしかった?」

 

咲夜「いえ、私は初めて見るので・・・驚いたまでです。失礼ながら、あれは何なのか教えていただけますか?」

 

レミリア「・・・思い出の品・・・ってところね」

 

咲夜「思い出・・・ですか」

 

レミリア「待たせたわね、行きましょ」

 

咲夜「はい」

 

 

普段着る服に着替え終わり、更衣室を出て食堂へ向かった。

 

 

 

少女&神機使い団らん中・・・

「いただきまーす」

「レイジ、これ1口飲んでみる?トマトジュースなんだけど」

「お姉さま、人間は血なんて飲まないの知ってるでしょ」

「・・・冗談に決まってるでしょ、本気にしないの」

「・・・」

 

「(がつがつ)」

「(ばくばく)」

「魔理沙さんと門番さん、すごく大食いなんですね・・・」

「(ゴクン)あ、そういえばまだ自己紹介してなかったですね。私は紅美鈴といいます。門番はいつもこれくらい食べてないと大変ですから」

「外来人の行方サヤカです、よろしくお願いします」

「私は図書館の司書を務めております、小悪魔です」

「小悪魔・・・さん?もしかして」

「ええ、実は名無しなんです。でもニックネームはありますよ。「こぁ」っていうんです」

「へぇ、かわいい名前ですね~」

「そう言われると照れちゃいます///」

 

 

夜の12時。皆眠気がし始めるころに就寝の準備をしていた。レイジとサヤカが寝る場所は昨日咲夜が案内してくれた寝室だ。昨日と同じく魔理沙との三人で寝ることになった。

 

 

サヤカ「いいな~レイジさん、一瞬で着替えられるなんて羨ましいです」

 

魔理沙「フラン曰く「装備を自由に換装出来る程度の能力」だったか?服装も変えれるのか・・・」

 

サヤカ「私、隊員服なので上を一枚脱ぐくらいしか・・・」

 

 

着替える時にレイジはふと思った。刀身を変えられるのならもしかしたら・・・そう思い、寝間着姿の自分の姿を思い描くと本当に思った通りの姿になっていた。こんな時に自分の能力が役に立つなんて思ってもおらず、少し優越感を感じるレイジ。思わず笑顔がこぼれてしまう。

 

 

サヤカ「じゃ、おやすみなさ~い」

 

魔理沙「おやすみだぜ」

 

レイジ「・・・」

 

 

午前3時、レイジはベッドの中で目を覚ました。時計を見るとまだ夜であることを確認する。周りを見るとやはり全員眠っている。しかし、腹が妙に締め付けられるような感覚がする。見てみると、後ろから抱き着くようにワンピース姿のフランが眠っている。

 

 

レイジ「・・・!?」

 

 

レイジは驚き、ガバッと起き上がる。急に起き上がったためか、フランも目を覚ます。

 

 

フラン「・・・ん~?」

 

 

眠そうにフランは目を擦る。寝ようとする時には確かいなかったはずなのに・・・

 

 

フラン「・・・えへへ、びっくりした?皆が寝るのを見計らってこっそり来ちゃった」

 

レイジ「・・・」

 

 

そう言うとフランは再び横になって寝る体勢に入った。吸血鬼は確か夜に起きているはずだ。レイジは気になり、そのことについて訊いてみる。

 

 

フラン「普段は夜に起きてるよ。異変が起きたら人間と同じ感じで暮らしてる。異変の時はよくお客さんがここに来るからね。・・・さ、明日は早いから早く寝よ!」

 

レイジ「ッ」

 

 

無理矢理体を引っ張られ、ベッドに引きずり込まれる。しかもがっしりと捕まっており、身動きすらままならない。言っても離れそうにないので、仕方なくこのまま寝ることにした。フランはすっかりレイジにご執心のようである。

 




作「アラガミがいなくなった後の地球・・・か」

弟「・・・どうあがいても絶望な気がすんだが」

作「支部長はこのことも考えて行動を起こしたのかな・・・」

弟「もうそれは悪魔の証明ってヤツだろうよ・・・」


アラガミが仮に地球上からいなくなったとしたら・・・人類はどうなるのでしょうか。


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Mission 16 蒼穹の半月

皆さんおはこんばちは。wingです。ヒャァ我慢できねェ次話投稿だ!
それでは本編どうぞ


朝を迎え、太陽が上り始めた。しかしカーテンを引いてあるため部屋の中は暗いままだ。今日もサヤカが先に起き、カーテンを開けようとした時ふと昨日の朝のことを思い出す。そういえばあの時はレイジはすでにいなかった。まさかと思いレイジの方を向く。今日は普通に寝ているようだ。しかし何か様子がおかしい。レイジの表情は歪んでおり、苦しそうだ。悪夢でも見ているのかとレイジの寝るベッドに近づく。

 

 

サヤカ「(ん、これは・・・)」

 

 

毛布から見覚えのある羽根がはみ出ている。もしやと思いめくってみると、フランがレイジの腰に抱きつきながら眠っていた。レイジが苦しそうな表情なのは多分結構な力で抱きついているからだろう。

 

 

サヤカ「(寝る前は確かいなかったよね・・・まいいや、起こそう)レイジさーん、朝ですよー」

 

 

反射運動を起こすかのように、レイジの目はカッと開かれる。首を絞めた手を放した後ように、息が荒い。

 

 

サヤカ「だ・・・大丈夫ですか?うなされてたみたいですけど」

 

 

レイジは悪い気分を吹き飛ばそうと顔を洗いに立ち上がる。するとレイジの腰に重みが。フランは未だレイジにしがみついている。

 

 

フラン「zzz・・・(-ω-)」

 

レイジ「・・・」

 

サヤカ「あらら・・・ちょっとそのままでいてください。フランちゃん、起きてくださーい」

 

フラン「・・・う~ん・・・あ、おはよ」

 

サヤカ「寝ながらレイジさんにしがみつくなんて器用ですね」

 

フラン「うん、レイジは私のお気に入りだから」

 

サヤカ「答えになってないような気が・・・」

 

 

フランも顔を洗うということで腰にしがみついた状態で洗面台へ。レイジはフランを降ろし、先に顔を洗わせる。

 

 

サヤカ「あ・・・あの」

 

フラン「なーに?」

 

サヤカ「吸血鬼って流水が苦手と聞いたことがあるんですけど・・・違うんですね」

 

フラン「そうでもないよ。雨とか川の水、海水なんかはダメだけど顔洗ったりシャワー浴びる程度なら平気なほう」

 

サヤカ「そうなんですか・・・ごめんなさい、変なこと訊いちゃって」

 

フラン「いいよ」

 

 

フランが顔を洗い終わり、レイジ達も顔を洗う。水の冷たさで眠気が飛んでいき、さっぱりとした気分になる。魔理沙がまだ起きていないのでサヤカが起こしに向かった。

 

 

サヤカ「魔理沙さーん朝ですよー」

 

魔理沙「ん・・・おー・・・朝か・・・」

 

フラン「魔理沙ー!寝坊は許さぁん!」

 

魔理沙「おドゥッ!!?」

 

 

ゆっくりと起き上がる魔理沙に思い切り飛び込むフラン。しかも腹に直撃。これはいい目覚め(笑)になりそうだ。

 

 

魔理沙「ッつー・・・これはいい(?)眠気覚ましだぜ・・・」

 

フラン「でしょー?」

 

魔理沙「・・・てかなんでお前がここに」

 

フラン「一人で寝るのつまんなくて」

 

魔理沙「ふーん」

 

 

腹を押さえながら洗面台へ向かう魔理沙。レイジ達は魔理沙より一足早く着替え始める。レイジは昨晩やった瞬間着替えをした。

 

 

サヤカ「いいですねホントに・・・」

 

フラン「わーすごーい☆」

 

 

全員の着替えを済ませた後魔理沙に連れられて食堂へ向かう。しかしフランだけはまだ普段の服装になっておらずサヤカが気付き訊いてみると地下に置いてきたらしく、途中で別れ着替えてから食堂に向かうとのことだった。

 

 

フラン「じゃまた後でねー」

 

魔理沙「おー・・・あ、そういや朝のトイレ行ってなかったな、先行っててくれ」

 

サヤカ「あ、はい」

 

 

魔理沙もトイレのため一旦別れ、レイジとサヤカだけになる。

 

 

サヤカ「・・・」

 

レイジ「・・・?」

 

 

ふとサヤカの方を見ると何か考え事をしている様子だった。いつもより明るさがなかったため気になるレイジ。しかしこれからのことを考えているのだろうとあまり気にしないことにした。誰しも考え事をすることはあるものだ。

食堂に着くともうすでにレイジとサヤカを除いた面々が席に座っていた。途中で別れたはずのフランと魔理沙もそこにいた。

 

 

魔理沙「おう、意外に歩くのおせ-んだなお前ら」

 

フラン「先食べてるよー」

 

レイジ「・・・?」

 

 

フラン、魔理沙と別れてそう時間は経っていなかったはず。こちらもいつも通りに歩いてたはずだ。席に座りながら何故そんなに早かったのか訊いてみる。

 

 

フラン「ご飯          だよ

      早く食べたかったから

魔理沙 飯           だぜ」

 

 

実に解りやすい回答だった。

 

 

サヤカ「だからってそんなに急ぐ必要もないんじゃ・・・」

 

魔理沙「おまえは何を言っているんだ、善は急げというだろ?」

 

サヤカ「急がば回れともいうじゃないですか」

 

フラン「諺ってややこしいね」

 

魔理沙「だな。反対のことを言ってるのが結構ある気がするぜ」

 

 

という感じで、何故か諺で話題が絶えない朝食となった。

 

 

 

~朝食後、寝室~

 

 

サヤカ「よし、準備おk」

 

魔理沙「私も準備おkだ」

 

 

そろそろ出発するか、と意気込む二人にレイジが呼び止める。

 

 

サヤカ「?なんですか・・・ああ、いけない忘れるとこでした!」

 

 

レイジは昨日サヤカ達が妖怪の山へ向かう時にバレットを持って行くということでサヤカに自分のバレットを渡そうとしていた。少し多めなので、何か袋に入れるなどして運びたいところだが、生憎サヤカはそれをもっていなかった。とりあえずレイジのバレットを受け取るサヤカ。しかし両手でも少し持ちきれない。

 

サヤカ「あ、落としちゃった・・・やっぱり袋か何かに入れた方がいいかなぁ」

 

魔理沙「お、あったぜ」

 

サヤカ「最高にいいタイミングですね」

 

魔理沙「私の荷物を漁ってたら丁度いいのが見つかった、ほら」

 

 

魔理沙は持っていた荷物から小さめの袋を見せた。

 

 

サヤカ「・・・?なんか小さくありません?」

 

魔理沙「だけどな、見た目以上にたくさんの量が入るんだぜ。私の行きつけの道具店で見つけたんだ」

 

 

とは言われてもいまいちすぐには納得出来ない。こんなものに入り切るのだろうか。疑いながらもバレットを入れていく。すると―――

 

 

サヤカ「おお・・・全部入ったのに詰め込んだ感がしませんね」

 

魔理沙「スゲーだろ?これは私も重宝してるんだぜ」

 

 

かさばった感じもしないので、恐らく魔法でも掛かっているものなのだろう。どういう仕組みなのか気になったが教えてもらう必要もないのでそこまで気にしないことにした。

 

 

サヤカ「じゃ、行きましょうか」

 

魔理沙「おう」

 

レイジ「(コク)」

 

 

寝室を出、紅魔館の玄関へ向かう。これからの旅に緊張と期待の気持ちが湧いてくる。

 

 

サヤカ「なんだかこういう気分になるのは久しぶりな気がします」

 

魔理沙「私はもう飽きるくらい味わったんだがな」

 

フラン「じゃ、行ってくるね!」

 

レミリア「気をつけてね。レイジ、頼むわよ」

 

咲夜「行ってらっしゃいませ、妹様。日傘をお忘れなく」

 

美鈴「気をつけてくださいねー!」

 

パチュリー「魔理沙、帰ってきたら昨日勝手に「借りて」った本、返してもらうわよ」

 

魔理沙「げ、もう気付いてたのか・・・死んだら返すぜ」

 

パチュリー「・・・気をつけてね」

 

 

門を出て森を歩いて行き、湖を過ぎるところまでは一緒に行くことになっている。木漏れ日が幻想的で美しい。

 

 

魔理沙「ああそうだ、昨日渡したあの結晶、持ってるか?」

 

レイジ「(コク)」

 

 

うなずきながらレイジはズボンに付いているポーチから取り出す。

 

 

魔理沙「言い忘れてたことがあった。それについてなんだが、アラガミとの距離で光る色が変わるんだ。青く光ったら遠くに、黄色く光ったらちょっと離れたとこに、赤く光ったら近くに、といった感じで光るぜ。しかも方角まで教えてくれる優れモンだ、パチュリーからの借りモンだから失くさないでくれよ」

 

 

効果がユーバーセンスと似ている。ユーバーセンスと合わせて上手く使えば戦いになった時に有利に立ち回れるかもしれないと思い、結晶をまじまじと見つめる。結晶は今は光っておらず透明に透き通っていた。

 

 

サヤカ「改めて見ても、この幻想郷の自然は綺麗ですね・・・私達の世界ではここまで豊かな自然はないに等しいから羨ましく思えます」

 

フラン「私も外に出たことは殆どないから初めて見るものが多いよ」

 

 

レイジ達がいた地球にはアラガミに自然を破壊しつくされ、このような豊かな自然を見ることは殆どない。フランの場合は自らの能力の強力さ故に地下に長い間いたため彼女もまたこの豊かな自然を知らない。三人揃って感嘆の声が漏れる。

 

 

魔理沙「あんまり見惚れて本来の目的忘れんなよな~」

 

サヤカ「そ、それはもちろんわかってますよ、ええ!」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジとフランはうそだといいたそうなめでサヤカをみている!

 

 

サヤカ「・・・(・・;)」

 

魔理沙「・・・そろそろ湖を抜ける頃か。でも変だな、いつもはあの氷精がいて結構冷えるのに今日は珍しく見かけないな」

 

サヤカ「氷精・・・ですか?」

 

魔理沙「ああ、そいつは普段この湖の近くにいて周りの空気が冷えるんだが、今はその肌寒さもない・・・どこ行ったんだろな」

 

 

レイジは魔理沙の言葉を聞き以前この湖の近くを通った時のことを思い出す。確かにあの時は局所的に気温が低かった。しかし外出くらいはするだろう。考え過ぎではないかと話しかける。

 

 

魔理沙「・・・まあそうだな、(あいつ)のことだしフラッとどっかに遊びにでも行ったんだろな(笑)」

 

サヤカ「???」

 

 

あまり緊張感のない雰囲気のまま湖を過ぎていった。

 

 

魔理沙「じゃ、こっから別行動だな。気をつけろよー」

 

フラン「大丈夫だよ、そっちもね」

 

サヤカ「また後で会いましょう!」

 

 

お互いに手を振りながら別れていく。それぞれのやるべきことをやるために――

 

 

 

~サヤカside~

 

 

早いこと終わらせようということで、空を飛んで妖怪の山へと向かうことになった。サヤカは魔理沙の後ろに捕まる。

妖怪の山。文字通り妖怪で溢れかえっている山だ。とはいってもそこには天狗と呼ばれる妖怪の中でも強力な種族が多く住んでいるらしい。天狗を中心に様々な妖怪が住んでいる、といった感じのようだ。また妖怪の山は一つだけではなく付近の二つ三つほどの山もひっくるめて妖怪の山と呼ばれている。

 

 

魔理沙「で、その山の妖怪の中でリーダー的ポジションなのが天狗なのさ」

 

サヤカ「天狗かぁ・・・そんなにすごいんですか?」

 

魔理沙「まあ、機動力なら全妖怪中トップといってもいいだろうな。私の知ってる天狗にまさにそういうヤツがいるし」

 

サヤカ「はあ」

 

魔理沙「ほーら見えてきたぞ、あそこだ」

 

 

魔理沙が前方に向けて指を指す。指された方を見るといくつかの山が地平線上に現れていた。どうやらあれが妖怪の山らしい。しかし普通の山にしか見えない。どこにでもありそうな感じだ。

 

 

サヤカ「・・・いまいち妖怪の――って感じがしませんね」

 

魔理沙「当たり前だ、山ってのはあんなモンだ」

 

サヤカ「ですよねー」

 

魔理沙「じゃ、飛ばすぜッ!」

 

サヤカ「え、うわッ!?」

 

 

魔理沙が前屈みになるとギュンとサヤカの体に強力な慣性とGがかかった。必至に捕まってなければ振り落とされそうなくらいだ。こんなスピードで体が後ろに倒れない魔理沙にサヤカはすごいと思った。

 

 

サヤカ「く・・・かなりヤバいです・・・!」

 

魔理沙「なーにもう少しで着く。それまでの辛抱だ」

 

サヤカ「くうっ・・・」

 

 

まだ見た感じかなりの距離があるのに大丈夫なのかと思いつつ魔理沙にしがみつく。あとどれくらい我慢すればいいのか・・・そう思った頃に急ブレーキがかかった。慣性により今度は魔理沙にぶつかる勢いで体が引っ張られる。

 

 

サヤカ「わわっ!・・・今度は何ですか?」

 

魔理沙「・・・着いたぜ。・・・だが、まずいな」

 

サヤカ「・・・?」

 

 

 

前を見ると、辺り一面に山の景色が見える。本当に着いたようだ。しかし所々からたくさんの人影が見える。地上ではなく空中に。

 

 

サヤカ「・・・人?」

 

魔理沙「・・・どうやらよ」

 

「そこの2人、止まれ!」

 

魔理沙「お前一人でにとりンとこへ行かなきゃならねーようだぜ」

 

サヤカ「!?」

 

 

魔理沙は急に高度を落とし、サヤカに降りるよう促す。地図とバレットの入った袋を渡され、簡単な説明をされる。その間にも何人かがすでに襲い掛かっており、魔理沙が弾幕で退けながらサヤカに話続ける。

 

 

魔理沙「あいつらは天狗だ。狙いはお前。んでそれは地図だ。・・・てめえら説明の邪魔すんな」

 

天狗「ぐあっ!」

 

サヤカ「え!?あ、えっ」

 

魔理沙「行け!早く!」

 

サヤカ「でも、なんでこんなk」

 

魔理沙「聞こえないのか!それを持ってさっさとにとりンとこへ行け!」

 

サヤカ「・・・ッ」

 

 

魔理沙は自ら囮となり天狗たちの相手をしている。何故自分を狙っているのかわからないが、このまま傍にいたら捕まってしまうかもしれない。仕方なく魔理沙の無事を祈りながら走り出した。

 

 

魔理沙「・・・行ったか」

 

 

魔理沙は襲い掛かる天狗を蹴散らしながらサヤカが見えなくなったのを確認する。すると天狗たちの中で白狼天狗と呼ばれる内の一人が魔理沙に声を掛けた。

 

 

?「魔理沙さん、なんで彼女をこんな所に連れて来たんです?」

 

魔理沙「言ってもどーせあいつのこと追い払うつもりなんだろ?もみもみ」

 

椛「椛です!変なあだ名つけないでください!」

 

 

天狗の1人、椛は低く唸り魔理沙を威嚇する。

 

 

魔理沙「おお、こわいこわい」

 

椛「・・・ッ!この・・・!」

 

?「はいはいそこまでそこまで。落ち着いて落ち着いて」

 

魔理沙「・・・文か」

 

 

怒りに身を任せそうになった椛を制止させて現れたのは烏天狗の文。魔理沙は丁度いいと思い、文にこの襲撃の理由を訊くことにした。

 

 

文「どーもー!清く正しいsy」

 

魔理沙「そのセリフ飽きたよ。で、なんでいきなり襲ってきたんだ?もっと穏便にいってもよかっただろうに」

 

文「・・・最後まで喋らせてくださいよぉ。まそれはいいとして、理由は至極簡単。彼女にこの妖怪の山に入られたくないんです」

 

魔理沙「・・・やっぱりか」

 

文「おや、もう予想はついていたと?」

 

魔理沙「まあな。ここに来る時に薄々こうなるんじゃないかとは思ってたぜ。だがまさかこうも大人数で出迎えてくれるとはな」

 

文「まあこれは不本意ですがね。いやーしかし私もここに住む者としても新聞を作る者としてもびっくりです。存在するだけでアラガミが寄ってくるなんて恐ろしい話ですよ」

 

魔理沙「・・・。でも、こうまでする必要はないんじゃないか」

 

文「そういうワケにもいかないんですよ。魔理沙さん、あなたがいるからねぇ」

 

魔理沙「・・・あ?どういう意味だ?」

 

文「もし彼女だけでここに来ていたら、ここまで手荒にするつもりはありませんでした。「事情があって立ち入り禁止」とか、そんな感じで忠告する程度にしようと思ってたんですよ」

 

魔理沙「なんで私が悪いみたいな感じになってんだよ」

 

文「いやぁ、あなたは忠告する者をブッ飛ばして入りかねませんから」

 

魔理沙「ああ、把握」

 

文「さて、お喋りばかりもアレですし本題といきましょうかね」

 

魔理沙「・・・」

 

文「最後の警告です。彼女を連れてお引き取り願えませんか?」

 

魔理沙「やなこった」

 

文「あやや・・・即答するこたァないじゃないですか」

 

魔理沙「アラガミから幻想郷を守るためなんだ、お前らこそこんなことは止めろよ」

 

文「生憎そうはいかないんです。悲しいことに」

 

魔理沙「だったらどうする、やるかァ?ん?」

 

文「不本意ですがそうさせてもらいましょう」

 

 

魔理沙は八掛炉を持ち、周辺に弾を撃ち始めた。天狗たちは容易にそれをかわす。

 

 

文「そんな当てずっぽうじゃ当たりませんよ」

 

魔理沙「当てる気などそんなにないさ!」

 

椛「・・・?どういうつもりですか」

 

文「囮ですよ」

 

椛「・・・はっ」

 

魔理沙「なんだ、今頃気付いたのか。お前は頭も犬ッコロなのか?」

 

椛「なっ・・・何をふざけたことを!」

 

文「落ち着いて。今のは注意を引こうとするためのただの挑発ですから」

 

椛「ッ・・・はい」

 

文「じゃあ、そこのあなた達五人で彼女を取り押さえてきてください。なるべくケガさせないように」

 

「はっ」

 

魔理沙「っ、させるか!」

 

文「おっと、あなたの相手は私達ですよ」

 

魔理沙「邪魔すんなああああ!」

 

 

魔理沙と文率いる天狗達との戦いが始まり、その喧騒がサヤカの耳にも聞こえていた。しかし振り向いている場合ではない。一心不乱ににとりの居場所に向かって走った。

 




作「ゴッドイーター2・・・マダー・・・?」

弟「ファミ通の記事でたまーに見るけどな」

作「ほしい!!!」

弟「ッかましいな・・・」

作「ブーストハンマーとチャージスピアか・・・どんな技が使えるのか」

弟「作品発表からかなり日にち経ってんのに新情報が来ねぇ」

作「新情報マダー?」


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Mission 17 ゴッドキラー

皆さんおはこんばちは。wingです。今回は二人ほどキャラ崩壊注意回です。キャラがよくわかんない・・・口調とか色々・・・。ご了承願います。


~レイジside~

 

 

サヤカ達と別れた後、レイジ達は白玉楼へと足を運ばせt・・・たいところだが、肝心の白玉楼への行き方を訊くのを忘れてしまった。どうしようかと足を止め考える。辺りを見渡しても木ばかりで、目ぼしいものは見つからない。

 

 

フラン「どうしたの?白玉楼はあっちだよ」

 

 

フランは現在の進行方向に向けて指を指した。以前行ったことがあるのだろうか。もしそうならどんなところなのか教えてほしいものだ。

 

 

フラン「どんなとこかって?私も知らないよ」

 

レイジ「・・・?」

 

フラン「魔理沙が地図くれたの。ほら」

 

 

いつの間にかフランの手に地図が。いつの間に渡されたのか。・・・とにかく地図があるのなら心強い。

・・・と思って見てみると、明らかに大雑把な地図だ。大まかな場所しか書かれていない。しかし最低限の情報は書かれているのでツッコみたくてもツッコめない。とりあえずこれで道に迷わなくて済む。安堵の息を吐いた直後、レイジの背後から聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

 

アーティ「あんたの忘れっぽさにはホント呆れるわね」

 

 

振り返るとそこにはレンとアーティの姿が。いつn(ry 行きの時は確かいなかったような・・・

 

 

フラン「どしたの?」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「いつの間にとか言いたそうな顔ね。出発する時からずっといたわよ」

 

 

・・・深く考えるのはやめることにした。今はまず白玉楼へ向かうことに意識を向ける。もちろん結晶が光っているかどうか目を配りながら。

 

 

レン「白玉楼・・・真珠でもあるんでしょうか」

 

アーティ「・・・ないとは思うけど、幻想郷(ここ)ならあり得ない話じゃないかもね。ねえ、もし山のように真珠があったらどうする?」

 

レン「どうするって言われても・・・。勝手に持ってこうとは思いませんね。見たらすごく理性を揺さぶられそうですけど・・・。まあ、どんな場所かは行ってみなければわかりませんね」

 

アーティ「そうね、レミリアの言う「重要な運命」ってのも、行ってみないとわかんないし」

 

レイジ「・・・」

 

 

重要な運命―――自身に関連することといえばまずアラガミが思い浮かぶ。重要というのだから相当な事件でも起こるのだろうか。あるいは自分が知っている誰かがいる可能性がある。現に突然幻想入りというのを自分がしてしまったのだから、他の誰かが前触れもなく幻想郷に迷い込む、なんてこともありえることだ。この先にあるものが何だったにせよ、運命を操れ、読めるレミリアが「重要」というのだから気を引き締めていく必要がある。

そう思った矢先に結晶が突如光り出した。色は青、遠くの方にいるようだ。光った結晶から一筋の青い光線が前方に向かって伸びていく。この先でアラガミが騒ぎを起こしていることを示す光。レイジ達はすぐに走り出した。

 

 

アーティ「早速来たか、まったく懲りないヤツらね」

 

フラン「来た来た☆今度はどんなのと遊べるのかな~」

 

レン「騒ぎが起きているところがもしかしたら白玉楼かもしれません。レイジさん、ユーバーセンスを使ってみてください」

 

 

レイジはうなずき、ユーバーセンスを発動させる。左目の色が変わり、脳内で現在位置と周辺の地形を示す地図が表示される。今回は結晶から伸びる光線も脳内地図に表示されていた。しかし光線の行く先を見てみると、なんと途中で途切れてしまっている。しかも途切れた地点付近にアラガミが一匹もいない。いったいどういうことなのか・・・?とりあえず光線が途切れている場所まで向かう。

森の外れ、少し開けた場所に出た。木のない空間が円形状に広がっている。その中心の所で光線は途切れていた。途切れている場所の半径2~3メートルくらいの空間に歪みが出来ており、それを透かして木々が歪んだように見える。

 

 

レン「何でしょう・・・あれ・・・」

 

アーティ「森の中にこんなのがあるとはね・・・。でも光線はあそこで途切れている・・・ということは」

 

フラン「あそこの中にいるんだね!よーし!」

 

 

フランはそう言うと真っ先に歪みの中に飛び込んでいく。歪みに触れた瞬間、フランの姿は一瞬にして消えてしまった。

 

 

レン「消えた・・・!?」

 

アーティ「てゆーよりはどっかに飛ばされたって感じね。光線があそこを示していることからみて、飛び込めってことじゃない?もしかしたら白玉楼へ行けるかもしれないし」

 

 

するとアーティも歪みに向かって走り出した。フランと同様、歪みに触れた瞬間にアーティの姿が消えてしまう。

 

 

レン「また消えた・・・。どうやらどこかに瞬間移動出来るようですね。僕らも行きましょう、こうしている間にもアラガミは襲撃を続けています」

 

 

レンも歪みへと走り、消えていく。レイジも後を追うように走り出す。この先は一体どこなのか、どうしてアラガミがこの先にいるのか、色々と気になることがあるが、考えている時間はない。一刻も早く襲撃を止めなければならない。少し複雑な感情を抱きながら、レイジは歪みの中へ消えていった。

 

 

 

 

 

~アラガミ襲撃10分前、冥界~

 

 

白玉楼へ続く階段で、白玉楼の庭師、魂魄妖夢は毎日の日課として掃き掃除をしていた。普段は白玉楼には妖夢と主の西行寺幽々子の二人だけで暮らしているのだが、この日は客人がいた。

 

 

妖夢「あの・・・掃除を手伝ってくれるのはありがたいんですけど、こんな所で油を売ってていいんですか?永琳さんを探さないといけないのでしょう?」

 

?「まあそうだけど、あの方には恩があるの。連行して来いと言われているけど、私達にその気はないかなぁ」

 

妖夢「そんな理由で仕事ほっぽらかしていいんですか・・・」

 

?「まあ月の皆は地上に降りたがらないし簡単にはバレないよ」

 

 

現在妖夢が話している相手は月からの使者、綿月依姫。姉の豊姫と共に永琳連行の指示を受け地上へ降りたのだが、彼女達には連行する気はないらしい。かつて永琳に師事しており今でも尊敬しているため恩を仇で返すようなことはしたくないそうだ。よって最近は任務を任されて地上へ降りる度にこうしてさりげなくサボっているのである。

 

 

依姫「それにしても、ここの階段はすごく長いわね。これを普段はあなた一人で掃除しているの?大変じゃない?」

 

妖夢「ええ、確かに時間は掛かりますけど、慣れてますから」

 

依姫「慣れとは恐ろしいものね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

~白玉楼~

 

 

幽々子「あ゛~・・・暇ね・・・」

 

豊姫「そう?確かにやることはないけど」

 

 

居間にて、こたつに入りながらだら~と突っ伏している幽々子。向かいには桃を食べながら外の景色を眺める豊姫。現在暇を持て余しているところである。

 

 

幽々子「・・・な~んか面白いこと起きないかしら」

 

豊姫「願って起こるようなものじゃないでしょうに」

 

幽々子「・・・あそうだ、今日はなんでこんなとこに?ここには特にこれといったものはないけど?」

 

豊姫「月から仕事に来たのですけどね・・・やる気が起こりません」

 

幽々子「あ~わかるそれ。「やらなきゃいけないことがあるけどめんどいからやりたくない」ってヤツでしょ?私もあるある」

 

豊姫「う~ん、あなたの想像してるのとはちょっと意味が違うかも」

 

幽々子「え~じゃあどういう意味?」

 

豊姫「教えな~い」

 

幽々子「いいじゃな~い」

 

豊姫「教えてほしい~?」

 

幽々子「ほしい~」

 

豊姫「あなた、胃の容量に自信は?」

 

幽々子「え?・・・あるけど、どうしたのいきなり?」

 

豊姫「いやね、ちょっと桃の大食い勝負でもやろうかと思いまして。暇だし」

 

幽々子「ふ・・・後悔するわよ」

 

豊姫「まあ勝てなかったとしても、いい勝負は出来ると思います。少々お待ちを」

 

 

そう言うと豊姫は目を閉じ、指を鳴らそうと手を動かす。

 

 

豊姫「んん~~~・・・」

 

 

かなり多くの量を呼び出そうとしているからか、表情が少し歪み、手は力んでプルプルと震える。

 

 

幽々子「大丈夫?無理しなくていいのよ?」

 

豊姫「大丈夫、もう少し・・・えい!」

 

 

バキッ!!

 

 

力み過ぎたせいか指を鳴らした瞬間妙に生々しい音が響いた。豊姫は手を押さえて苦しんでいる。

 

 

豊姫「もッ・・・桃は・・・?」

 

幽々子「部屋中にいっぱい出てきたから多分上手くいったんだろうけど、指大丈夫?」

 

豊姫「まだ・・・まだ終わらんよ!(指的な意味で)」

 

幽々子「そう・・・じゃ、始めましょうか」

 

 

こうして、突然大食い勝負は始まった。大食いなので、急がなくてもいいのが楽である・・・はず。

 

 

豊姫「早食いは自信ないんだけど、これならそれなりにいける方なの」

 

幽々子「私はどっちでもおkだけどね。ま、早食いじゃないから時間を気にせずのんびり食べれるのがいいわね」

 

 

部屋中に溢れる桃に二人は半分体が埋まった状態で食事(?)を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、白玉楼へ続く階段では――――

 

 

妖夢「もうそろそろ終わりますね」

 

依姫「じゃ、さっさと終わらせて休憩といきましょうか。喉乾いてきちゃった」

 

 

階段の掃き掃除が終わる直前までの段階になり、終わりが見えてきたことで安堵の息を吐く依姫。早く終わらせようとペースを上げて掃除していく。すると視界に見慣れないものが。階段を団体で上ってくるところを見て気になった依姫は妖夢に尋ねた。

 

 

依姫「ねえ、あれって、幽霊か何か?」

 

妖夢「え、・・・ん~何でしょう、私もわかりませんね」

 

 

階段を上ってくるそれらは、次第に二人のいる場所に近づいてくる。そして目前のところまで来た時、噛みつこうと襲い掛かってきた。

 

 

妖夢「なっ!?」

 

 

咄嗟に真横に避け、階段のない場所に着地する。二人とも驚きの色を隠せない。

 

 

依姫「襲ってきた!?」

 

 

二人は次の攻撃が来るかもしれないと戦闘態勢に入る。どこからかはわからないが凶暴な妖怪でも侵入してきたのかと推測する。

 

 

妖夢「いきなり襲ってくるなんて・・・妖怪はここまで凶暴じゃないはずなのに!」

 

依姫「いや・・・少しだけど、神の気を感じる」

 

妖夢「えっ!?か、神!?」

 

依姫「でも、どれも見たことがない・・・。一体何なんだろう・・・」

 

 

妖夢と依姫は刀を握り、襲ってきた怪物に警戒する。しかし怪物は二人を無視して階段を上り続ける。

 

 

依姫「・・・?私達には用がないの・・・?」

 

妖夢「はっ、このままでは幽々子様達が危ない!」

 

依姫「とりあえず食い止めましょう!・・・なんなのかしら、一体彼らは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

~冥界入口~

 

 

歪みの中へ入ったレイジ達。辺りは薄暗く、夜の道といった印象。本当にどこかに飛ばされたようだ。ユーバーセンスはまだ発動中なので、どこに向かえばいいかはすぐにわかる。その上結晶が道のりを教えてくれるので、レイジ以外も道に困ることはない。光線が示す先には、異様に長い階段が見える。アラガミの大半は階段に集中しているようだ。

 

 

フラン「よーし、さっさとやっちゃお!レイジ!」

 

レン「先頭にいるアラガミ達の侵攻が止まっています。誰かが足止めをしているかもしれません」

 

アーティ「ならとっととやっつけてやんなきゃね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖夢「くっ・・・攻撃がまるで効いていない!」

 

依姫「これは厄介な相手ね・・・」

 

妖夢「どうします!?このままでは私達の身も危ないです!」

 

依姫「ッ・・・仕方ない、私がここで食い止めるから、あなたはお姉様達に安全な所に避難するように伝えて!」

 

妖夢「そ、そんな!無茶ですよ!」

 

依姫「わかってる!でもこのままだと皆やられるわ!」

 

妖夢「・・・ッ、わかりましt」

 

 

妖夢が仕方なく依姫を置いて幽々子達の元へ向かおうとすると、階段の下の方から誰かの声が聞こえてきた。こんなところに誰が?と思って見てみると、楽しそうにアラガミをきゅっとしてドカーンするフランが。楽しさで笑い声を上げている。そしてフランが取りこぼしたアラガミを斬り倒すレイジの姿があった。

 

 

フラン「あはははははは!楽しいね~!」

 

アーティ「・・・ガキってのはよくわかんないわ」

 

レン「ん、あそこにいるのは足止めをしていた人達でしょうか?無事みたいですね」

 

アーティ「余所見してる場合かっての!まだこんなにいるのに!」

 

レン「どうやらあそこから先にアラガミはいないようです」

 

アーティ「あっそ!」

 

妖夢「・・・え・・・彼らは・・・?」

 

依姫「あの怪物達をいとも容易く・・・はッ」

 

 

妖夢はポカンとしている。ふと依姫はレイジへ視線を向けると、彼の持つ神機にとある気を感じた。

 

 

依姫「(・・・!?この気は・・・!)」

 

 

咄嗟に依姫は刀を強く握りしめる。硬い表情をする彼女に妖夢が声を掛けた。

 

 

妖夢「どうしました?」

 

依姫「彼のあの武器・・・ただの剣じゃない」

 

妖夢「・・・え?」

 

依姫「まさか・・・。信じたくはないけれど・・・」

 

妖夢「???」

 

 

フラン「よっし、おーしまいっと!」

 

レン「今回は結構骨が折れましたね」

 

アーティ「足場が悪くって仕方なかったわ」

 

レイジ「・・・」

 

 

階段での戦いだったため、足場の悪さから少し討伐に手間取ってしまった。息を整えながらお互いの無事を確認する。どうやら全員無事なようだ。よかったと安心していると、

 

 

依姫「そこのあなた、ちょっといい?」

 

 

依姫はレイジに声を掛ける。レイジも無事かどうか尋ねた。

 

 

依姫「ええ、おかげで助かったわ。ありがとう。突然だけど、あなたに一つ訊きたいことがあるの」

 

レイジ「?」

 

 

するといきなり依姫は刀を突き付けてきた。レイジはワケがわからず困惑する。妖夢もこの行動には意外だったようで、焦りだす。

 

 

依姫「あなたは「神殺し」?」

 

レイジ「・・・?」

 

アーティ「ハァ?何言ってんのこいつ」

 

妖夢「依姫さん、神殺し・・・て何ですか・・・?」

 

依姫「文字通りの意味よ。神を殺せるくらいの力を持つ者・・・。先程の怪物達から少しだけど、神の気を感じた。私は彼らが何なのかはわかららないけれど、神の一種であることは確か。神は普通は倒せない。倒してはならない。それを易々と倒し、禁忌を犯すあなたは、神殺しの可能性がある」

 

アーティ「おまえは何を言っているんだ」

 

 

神殺し・・・神機使いは神を「喰らう」者であって神殺しではない。アラガミはその荒ぶる様から八百万の神に喩えて「アラガミ」と名付けられたが、厳密に言えばただのモンスター。決して神の一種ではない。・・・そのはずなのに、依姫の言う限りではそんなアラガミ達に「神の気」というものがあるらしい。本来神ではない存在が神になれることなどあり得るのだろうか。とにかく自分は依姫の言う「神」を殺す存在ではないと訴えた。

 

 

依姫「ならその武器は何なの?神を軽々葬れる剣など、そこらへんにあるものではない。あなたが神殺しである可能性は十分にある」

 

妖夢「依姫さん!彼らは私達を助けてくれたんですよ!?なのにいきなりワケのわからないことを言っt」

 

依姫「妖夢、一口に神といっても全ての神が優しいわけではないの。いきなり襲ってきたとはいえ、警戒して様子を見るだけだったらに攻撃してこなかったでしょ?それに神殺しは地上でも月でも居てはならない存在。・・・あなたは神を殺すことがどういうことかわかっているの?」

 

 

妖夢の言葉を遮るように口を挟み、その後レイジに向かい神を殺すことを咎める。

 

 

アーティ「わかんないわね。神は救いの手を伸ばしてくれなかったし、あたしらには崇拝する神などいないから」

 

レイジ「・・・」

 

 

アラガミは神ではない。ただの怪物だ。名前がそうであって決して神ではない。そして自分は神の名を騙る怪物をこの世から消すために戦っている。レイジは誤解を解こうと真剣に依姫に訴えた。

 

 

依姫「・・・」

 

アーティ「いい加減イライラしてくるわね。話を聞かないヤツはこれだからもう・・・」

 

レン「押さえてください・・・怒ってはいけません」

 

 

依姫は突き付けている刀を下ろし、一歩後ろへ下がった。ようやく理解してくれたかと張りつめた空気が緩む。しかし・・・

 

 

依姫「ふッ!」

 

レイジ「!」

 

 

なんと突然レイジに斬りかかってきた。レイジは驚きつつもそれをかわす。

 

 

妖夢「よ、依姫さん!?」

 

依姫「・・・今のはほぼ全力で振った。不意を突いたのにそれを容易く避けてみせたあなたを見て確信に変わったわ。あなたは間違いなく神殺し!」

 

アーティ「なんでそーなる」

 

依姫「妖夢、ここでは確か揉め事が起こったらスペルカードルールでケリを付けるのね?」

 

妖夢「そうですけど、いけまs」

 

依姫「我が名は綿月依姫!神霊の依り憑く月の姫なり!神を屠りし大罪人よ、神に代わり、我が刃にて裁きを下す!」

 

 

刀を構え、こちらを見据える依姫。その背後から気のせいだろうか、数え切れないほどの神のような姿をしたオーラが彼女を包んでいた。その姿は神々しいともいえる雰囲気を放っている。

 

 

フラン「おー・・・」

 

アーティ「・・・もうイライラを通り越して呆れるわ」

 

レン「残念ですが、もう話は聞いてくれそうにないですね・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豊姫「・・・!」

 

幽々子「ん?どうしたの?」

 

豊姫「あの子、変なことしてないかしら・・・」

 

幽々子「よっひゃんおほほ?あいよううやあい?もぐもぐ(訳:よっちゃんのこと?大丈夫じゃない?)」

 

豊姫「あの子、ちょっと突っ走り過ぎちゃうところがあるから・・・ていうか口に含んだまま喋ってはいけませんよ」

 

幽々子「いいやんウェふに~(訳:いいじゃん別に~)」

 




弟「俺のよっちゃんがこんなに猪突猛進なわけがない」

作「儚月抄コミック持ってねーもん!wikiとかで大体のキャラはわかるけど口調とか全然わかんねえ!」

弟「月は謎が多いなまったく。・・・で、次は無双でもさせるつもりか?」

作「さあ・・・」


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Mission 18 プロテクトウェポン

皆さん、おはこんばちは、wingです。これからの数話はレイジsideでの話とサヤカsideの話を交代制でいきます。それではどうぞ。


~サヤカside~

 

 

サヤカは一人山の中を奔走。魔理沙が足止めをしてくれているが、たった一人では何人か取りこぼしてしまうだろう。地図を渡してもらっても見ている内に発見されてしまうかもしれないので、魔理沙がサヤカを逃がす直前に言っていたことを頼りに山の中を進んでいた。

 

 

 

 

 

―――てめえら説明の邪魔すんな―――

 

―――ぐあっ!―――

 

―――え!?あ、えっ―――

 

―――まっすぐ走れ!そしたら川が見える!上流へむkうわっと!ったく最後まで喋らせろよな!このッ!チッ・・・行け!早く!―――

 

 

 

 

サヤカ「魔理沙さん・・・」

 

 

魔理沙は無事だろうか。走っている間、心の中で常に魔理沙の無事を祈っていた。時々弱気になってはそんな自分に大丈夫だと言い聞かせたり、もう頭が一杯といっても過言ではなかった。そうしている内に突然視界が開けた。目の前には川。山で一騒ぎ起きているというのに、まるで気にも留めていないかのように静かだ。ただマイペースに水は下流へ流れ続ける。サヤカは今まで綺麗な川を今まで見たことがなかったので一瞬見とれてしまった。そのおかげで魔理沙の無事を願うあまり混乱した思考が正常に戻る。

 

 

サヤカ「(確か上流へ行けって言ってたよね・・・よし)」

 

 

川の流れを確認し、上流へ向かう。川の付近は見渡しが良いため、木々に紛れながら行くことにした。

 

 

サヤカ「(ん、あれは・・・)」

 

 

上流へ向かい始めてまだ間もない時に大きな岩が一つ、サヤカの行く手を阻むかのようにそびえていた。とはいっても少し木が茂っている所を通って迂回すれば難なく通れる。それに岩の裏側は木や草が一層多く茂っており、隠れることも出来そうだ。先程から殆ど走りっぱなしだったので、体が休息を求め勝手に動いていた。岩陰で一息つき、まだ見ていなかった魔理沙からの地図を読むことにした。

 

 

サヤカ「(うわ、すごい大雑把・・・これ見るくらいならさっきの説明の方がまだわかりやすいよ・・・)」

 

 

思っていたよりも遥かに低レベルの地図におもわず溜息を漏らす。

 

その時。

 

 

「どう?見つかった?」

 

「いや、まだ。ここらへんにいるはずなんだけどなぁ」

 

サヤカ「・・・!」

 

 

誰かの声が近くで聞こえた。会話からして自分を探しているのだろう。サヤカは見つからないよう注意しながら岩陰から様子を見る。

 

 

「さっきここを通ったのかな、匂いがまだ濃い」

 

「じゃさっさと探そ。まったく、めんどくさいなぁ」

 

サヤカ「(匂い・・・?会話を聞く限り嗅覚が鋭いのかも)」

 

 

自分を探していると思われる天狗は二人。白狼天狗で、獣の耳がある。あの容姿で獣耳ということは、人間より感覚が鋭いのかもしれない。会話から聞き取れた限りでは嗅覚が優れていること。しかし視覚や聴覚も鋭い可能性もある。サヤカは天狗の動きに注意しながらその場を離れようと姿勢を低くして動き出す。音が極力鳴らないよう気を付けて進み森の中へ入っていく。どうにか距離を離し、天狗達も辺りをキョロキョロしているだけで気付いていない様子。一安心して歩みを進めようとした。すると突然、

 

 

パキッ

 

 

サヤカ・天狗「!」

 

 

足から何かを折ったような音が聞こえ見てみると、木の枝を踏んでいた。しかも川の水が流れる音以外は何もなかったので天狗達に音を聞かれてしまった。

 

 

天狗「誰だ?」

 

サヤカ「(や、やばッ!!)」

 

 

天狗達は音のした方向、サヤカのいる場所へ近づいてくる。サヤカは急いでその場から離脱した。慌てて動いてしまったためバレたかと思い振り返ってみたが、こちらを補足した様子は見られなかった。

サヤカは慌てて飛び出した勢いのまま走り、川を視界に入れながら上流へ。天狗達が完全に見えなくなったところで足を止めた。

 

 

サヤカ「ふう・・・(なんとか撒いたかな・・・川の水もより綺麗になってきてるし、そろそろ着くかも)」

 

 

そう思っている頃には、目の前に変わったものが見えていた。山の中に紛れるようにして工房のような場所がある。もしかしたらここに魔理沙の言っていた河童、にとりがいるのだろうか。周囲に追っ手がいないことを確認し、工房へ向かって歩き出した。工房の中にも天狗がいる可能性は否めないので、身を隠せそうな場所に隠れながら見える範囲の隅々まで目を通しておく。一通り様子を見て大丈夫だと判断し奥へ進んでいった。

見渡す限り機械で一杯だ。それに開放的な作りになっている、というよりむしろ家の断面を見ているかのようだ。不思議な構造をしているとはいえ、ここに住む者は相当の技術力を持っているのだろう。恐らくにとりという河童が住んでいる可能性が高い。一体どんな人 (?)なんだろうと思いながら工房を歩き回る。すると台所のような場所に辿り着いた。そこで冷蔵庫の中を漁る少女が一人。まだこちらには気付いていない。

 

 

?「~♪」

 

サヤカ「(あの人が・・・にとりって人なのかな・・・?)」

 

 

少女は冷蔵庫から胡瓜を取り出し、心待ちにしていたのか急に踊り出した。

 

 

?「まんまん満足☆一本満足☆(ボリッ)」

 

サヤカ「・・・!?」

 

?「まんまん満足☆一本満足☆(ボリッ)」

 

サヤカ「・・・(゜Д゜)」

 

?「とってもヘルシーで私、満足☆・・・なーんてね、ははははは」

 

サヤカ「・・・」

 

 

少女はようやくこちらに気付き、こちらも驚くほど驚いた。

 

 

?「ひゅいッ!?!?」

 

サヤカ「・・・(゚д゚)」

 

?「・・・み、見た・・・?」

 

サヤカ「・・・(コク)」

 

?「・・・(゚д゚)」

 

サヤカ「・・・(゚д゚)」

 

?「みいいいいたああああなあああああ!!!」

 

 

顔を真っ赤にしてこちらに飛び掛かってきた。表情が恐ろしいもの(にちょり)へとなっているが、見られたことへの恥ずかしさで顔が赤くなっているからか怖さは殆ど感じられない。突然飛び掛かってサヤカを押し倒し、ぽかぽかと殴っているが、サヤカは冷静さを保てていた。

 

 

サヤカ「あ、あのっ」

 

?「このこの!人ん家に勝手に入ってくんじゃなあああい!///」

 

サヤカ「あのっ、ちょっといいでs」

 

?「うるさいうるさい!覗きなんて万死に値する!///」

 

 

 

 

サヤカ「あなたはッ!!」

 

?「ッ!?」

 

 

話を聞いてくれそうになかったので、サヤカは叫ぶようにして呼ぶと、少女はビクッと動きが止まる。

 

 

サヤカ「・・・にとりさんですね?」

 

にとり「え・・・?なんで私の名を?」

 

サヤカ「魔理沙さんが教えてくれました。あと、あなたに用がありまして」

 

にとり「なんだ、魔理沙の友達だったんだね。盟友の友は盟友さ!」

 

 

意外にあっさりと受け入れてくれた。にとりに案内され、リビング(でもやっぱり開放的で外から中が丸見え)と思われる部屋に来た。そこでサヤカはにとりにここを訪ねた理由を話した。もちろん、アラガミに関してのことも。

 

 

にとり「へえ・・・私は基本ここにいるからそんなことが起きているとは知らなかったよ」

 

サヤカ「え、新聞とか読んでないんですか?」

 

にとり「いや、私は読んでないよ。機械を弄る方が面白いから」

 

サヤカ「・・・ここにある機械は全てあなたが?」

 

にとり「そうだよ。これくらいは軽い軽い・・・おっとそうだ、君の武器を強化するんだったね。・・・あ」

 

サヤカ「・・・?」

 

にとり「そういえば・・・魔理沙はどうしたんだい?」

 

サヤカ「あ・・・」

 

 

すっかり忘れていた。ここに来た理由を話してた時に何故気付かなかったのか。アラガミについて解り易く説明しようとするあまり魔理沙のことを話しそびれていた。サヤカが言い辛そうに口を開こうとすると、

 

 

文「魔理沙さんならここですよ」

 

サヤカ「!」

 

 

突然外から声が聞こえ振り向くと、文が立っていた。他にも椛やサヤカが見た白狼天狗などおよそ6人くらいが文の後ろにいた。それだけではない。椛の隣に、縄で縛られた魔理沙がいるのだ。ちなみに魔理沙を拘束している縄は椛の腰に巻きつけてある。サヤカは驚愕し、魔理沙の無事を確かめようと名を叫ぶ。

 

 

サヤカ「魔理沙さん!」

 

魔理沙「わりぃ・・・しくじっちまった・・・」

 

文「慣れないことを無理にするからですよ」

 

魔理沙「・・・るせェな」

 

 

魔理沙はあからさまに反抗的な態度を見せる。文は気にせずに笑顔でサヤカに話しかけた。

 

 

文「初めましてサヤカさん。私は幻想の伝統ブン屋、射命丸文と申します。以後お見知り置きを。あそれと「文々。新聞」はお読みですか?アレ、私が書いてるんです。驚きました?」

 

 

普段のサヤカなら素直に感嘆の声を漏らしていただろう。しかし今はそんなことはどうでもいい。魔理沙を助けなければ。

 

 

サヤカ「・・・魔理沙さんを放してやってくれませんか」

 

文「あやや、無視ですか・・・もちろん解放しますよ。あなたが山から出てってくれればねぇ」

 

サヤカ「どうして出てかなきゃいけないんですか」

 

文「それはあなたの存在が私達に害をもたらすからです」

 

サヤカ「・・・?」

 

にとり「どういうことだい?文。見た感じ危ないとは思えないけど」

 

文「にとりさん、危ないのは別に彼女じゃァありません。彼女がいることでアラガミが寄ってくるんですよ。間接的にってことなんです。アラガミはサヤカさんともう一人、レイジさんという人でなければ倒すのがそれはもう面倒なことでして」

 

サヤカ「・・・!」

 

 

文の言い回しが耳に障り、サヤカはイラつきを覚える。

 

 

にとり「今サヤカから話を聞いてたけど、そのアラガミってのを幻想郷から排除するため武器を強化するために私を訪ねてきたみたいだよ?」

 

文「あや~そーだったんですか。ならばあなたが山から出張していけばよかったじゃないですか」

 

魔理沙「サヤカへの嫌味のつもりか?あいつはそこまで外向的でないことを知ってるくせに」

 

文「あなたは黙っててください。一応捕虜なんですから」

 

魔理沙「・・・チッ」

 

サヤカ「私は用が済むまでは下りるつもりはありませんが」

 

文「あやや、困りましたねぇ。こちらとしては穏便に済ませたいのですが」

 

サヤカ「魔理沙さんを縛っておいて穏便も何もないでしょ」

 

文「全くです。自分でも矛盾してるとは思ってるんですよ」

 

サヤカ「・・・ならなぜこんなことを?」

 

文「あなたをここから追い出すためです」

 

サヤカ「・・・私は追い出されるつもりもないです」

 

文「う~ん困りました。・・・・・・ならば仕方ありませんねぇ。こうなったら力づk」

 

にとり「そこまでだ!」

 

 

埒が明かないと思ったのか、大きめのリュックを背負ったにとりがサヤカの前に出て立ち塞がった。サヤカはもちろん、文も目を丸くしている。

 

 

にとり「サヤカは依頼主だ!文、君達がサヤカを追い出そうとするのなら、私は君達をムットバス!」

 

文「にとりさん・・・そこで噛まないでくださいよ」

 

にとり「う、うるさいな!とにかく、そっちが力ずくで来るのなら、こっちだって黙っちゃいないよ!」

 

 

にとりがやる気になってしまったため空気的にこのまま戦闘に入るかと思われた。サヤカは戦闘態勢に入っているにとりを制止し、にとりの前に出て文に話始める。

 

 

サヤカ「射命丸さんでしt」

 

文「文で結構ですよ」

 

サヤカ「・・・文さん。あなたがあの新聞を作っているのなら、アラガミがどれくらい危険な存在なのかわかっているはずです。でも、これは多分あなたも知らないことだと思います。実はアラガミは私達の武器でも完全に葬ることは出来ないんです。死んだアラガミの体は霧散し、別の場所で新たな個体を作り出すんです」

 

 

それを聞いた天狗達(文以外)はざわつき始める。文は天狗達を「静かに」と軽く注意し、サヤカへ向きなおす。

 

 

文「あや~それは大変ですねぇ。今日はネタに困らなくて済みそうです」

 

サヤカ「・・・別に好きにしてくれて構いません。でもこれだけは言わせてください」

 

 

上手く説得できるかわからないが、サヤカは思ったことを素直に吐き出す。

 

 

サヤカ「私達はゴッドイーター。神の名を騙る怪物を喰らい世界を守る存在です。私は奴らをこの世から排除するためににとりさんを頼ってここに来ました。文さんの言いたいことはわかります。私だって同じことをするでしょう」

 

文「・・・」

 

サヤカ「ここは私達のいた世界とは違うけれど、私達の世界にない素敵なものがたくさんある。私はそれらを守りたい。こんな素晴らしい世界で、皆が苦しむ姿は見たくありません。私はこの世界を守るため、新たな力を得るためにここに来ました。・・・どうか魔理沙さんを放し、退いてはくれませんか」

 

文「・・・嫌だと言ったら?」

 

サヤカ「その時はあなた達を倒してでも、この世界を救う努力をするつもりです・・・!」

 

にとり「サヤカ・・・」

 

 

サヤカは神機を持つ手を強く握りしめる。文以外の天狗達はサヤカの言葉を宣戦布告と見なし身構える。

 

 

魔理沙「バカ、そんなことをしたらこの山中の天狗を敵に回すことになるぞ・・・!」

 

 

魔理沙はサヤカに制止を呼びかけた。しかしサヤカは少しも動揺せず文の目を見続ける。すると文は突然笑顔で返してきた。

 

 

文「わかりました。いいですよ」

 

 

以外にもあっさりと認めてくれたので、面食らったような顔をするサヤカ。サヤカだけでなく文以外の全員が驚いたような顔をしている。

 

 

サヤカ「・・・え」

 

文「それだけの固い意志を持っているのなら問題無さそうですね」

 

椛「え・・・いいんですか?」

 

文「いいんです、私達はアラガミ対策は一応考えてあるでしょ?」

 

椛「た、確かにそうですけど、驚異はなるべく少ない方g」

 

文「椛、あんまりしつこいと嫌われますよぉ?」

 

椛「で、でもぉ・・・」

 

文「さ~皆撤収~。大天狗様へは私から報告しときますんで、各々持ち場に戻りましょ~」

 

 

サヤカ「・・・よくわかんないけど、わかってくれた・・・のかな」

 

にとり「みたいだね。私も安心したよ」

 

魔理沙「あんのカラスぅ・・・縄解いてから帰れよ・・・畜生、やっぱ自力じゃ無理だ、サヤカ、にとり、手伝ってくれ」

 

サヤカ「あ、はい」

 

にとり「やれやれだね・・・」

 

 

文達は帰っていったが、魔理沙はそのまま放置されていた。とりあえず縄を解いてやり、服に着いた汚れも払った。その時には太陽が真上に上ってきていたので昼食を取ることにした。しかし・・・

 

 

サヤカ「胡瓜ばっかり・・・」

 

魔理沙「ああ、河童だから仕方ないとはいえ、いい加減飽きるぜ・・・」

 

にとり「どうしたの二人とも?食欲ないのかい?」

 

サヤカ「何か他にないんですか・・・」

 

魔理沙「胡瓜以外でな・・・」

 

にとり「うーん、他には胡瓜味のビールとか、胡瓜味の初恋ジュースとか、胡r」

 

サヤカ「胡瓜しかないじゃないですか・・・」

 

魔理沙「初恋ジュースって何だよ・・・」

 

 

結局文の行動の意図がわからなかったが、その日の昼食は忘れられない思い出になったそうな(笑)

 




作「そろそろ涼しくなってきたな」

弟「学校ウツダ・・・(´A`)」

作「同感」

弟「リアルに幻想入りしたらって思ったことねーか」

作「同感。もし幻想入りしたらこうしたいとか最近登校時間によく妄想してる」

弟「・・・」

作「・・・」

弟「・・・現実見ようぜ」

作「ウツダ・・・(´A`)」


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Mission 19 ゴーストファイター

皆さんおはこんばちは。wingです。今回はゴッドイーターバーストに出てきたセリフが後半から出てきます。ネタバレ注意です。相変わらず綿月姉妹のキャラ崩壊の可能性ありなのでこちらも注意です。原作ゼリフ入れたらかなり文字数増えちゃった


~レイジside~

 

 

白玉楼にてレイジは依姫に突然濡れ衣を着せられ、勝負を仕掛けられてしまった。レンの言った通り聞く耳を持とうとせず説得を試みようとしても

 

 

依姫「問答無用!」

 

 

の一言でバッサリだ。その上場所が階段と足場が悪く、足元をきちんと確認しなければすぐ体勢が崩れ、攻撃を受けてしまう。依姫は足元を見る様子がみられないのにも関わらず転ぶことはおろか躓きさえしない。もしかしたらレイジを倒すことで躍起になっているのかもしれないが、依姫は落ち着いた表情をしているのでそれはないだろう。とはいえ先程から依姫が攻撃、レイジが避けという状況が続き、膠着状態となっている。なんとかしなければならないが、いい方法が思いつかない。

 

 

アーティ「あいつったらもう・・・傷つけないようにとか変なとこに気ィ使うもんだから押される一方じゃない。正当防衛として反撃してもいいだろうに、ホントワケのわからないヤツよ」

 

レン「いえ、神機は人に対しては非常に危険なものです。レイジさんの気持ちはわかります」

 

フラン「うー、ワンパターンでつまんない・・・私も混ざろっと」

 

 

変わらない状況に飽きてきたフランはふわふわと依姫の背後側へと飛んでいく。レイジからは避けながらその姿が見えたが、依姫の激しい猛攻により注意を向けられない。依姫の後ろに来たフランは意外な行動に出た。

 

 

フラン「わっ!!」

 

依姫「あわあっ!!?」

 

 

あまりにも場違いな行動に全員びっくり。依姫の驚きっぷりにもまたびっくり。依姫は驚きで息を荒くしながら今度はフランに刀を向ける。

 

 

依姫「忘れていた・・・。あなたも彼らを倒していた一人だったわね・・・あなたは何者?」

 

 

レイジはフランを傷つけさせまいとフランの前に出て立ち塞がる。しかしフランが「私にも出番ちょうだい!前回私空気になりかけたんだから!」とレイジを押し退け前に出た。

 

 

フラン「私はフランドール!フランドール・スカーレット!レミリアお姉さまの妹で吸血鬼だよ!」

 

 

腰に手を当て、高々と声を張り上げて自己紹介する。

 

 

依姫「(レミリア・・・吸血鬼・・・まさか彼女に妹がいたとは・・・。しかも彼らを簡単に葬っているところをみると彼女よりも注意が必要ね)あなたは何故、ここにいるの?」

 

フラン「決まってんじゃん、幻想郷中にいるあいつらをムッコロスためだよ!」

 

依姫「殺す・・・ですって・・・?」

 

 

わなわなと怒りを露わにする依姫。誤解をさらにエスカレートさせてしまったようだ。

 

 

依姫「・・・やはりあなたも、神へ仇なす存在なのね」

 

フラン「違うよ、吸血鬼だよ」

 

依姫「そんな吸血鬼、修正してやる!」

 

 

また話を聞かずに斬りかかってきた。レイジが再び前に出て攻撃を止めようとすると、妖夢が突然飛び出してきて楼観剣で受け止めた。

 

 

依姫「妖夢・・・!?」

 

妖夢「依姫さん!いい加減にしてください!彼らの行動を見てまだ気付かないんですか!まだ一度もあなたを攻撃しようとしていないでしょ!」

 

依姫「演技である可能性は否めないわ。そこをどいて」

 

妖夢「嫌です!」

 

 

鍔迫り合いの状態から妖夢は刀に力を籠め依姫を押し退ける。

 

 

依姫「そう・・・ならば仕方ない」

 

 

そう言いながら依姫は刀を地面に突き刺した。すると妖夢の周りに何本もの刃が地面から現れて取り囲んだ。

 

 

妖夢「えっ!?これは・・・」

 

依姫「動かないでね。動いたら祇園様の怒りに触れるわ・・・終わったらすぐに解放してあげるから」

 

妖夢「くっ・・・」

 

アーティ「あいつ、味方を躊躇なく・・・!」

 

フラン「味方を動けなくするのはいけないよ」

 

 

拘束されることで感じる苦痛をフランは嫌というほど理解している。外のことをあまり知らなくても、これだけはよくわかるのだ。

 

 

依姫「まさかこんな所で急用ができるとはね・・・」

 

 

依姫は刀をもう一本抜き、また地面に突き刺した。無数の刃がレイジとフランを囲む。動いたら危険なことが起きるらしいが、大体想像はつく。刃がこちらを襲ってくるなりするのだろう。レイジは自分と刃の位置を確認する。この時点で首を動かしていたため「動く」ことになってしまっているが、刃に動きはみられない。恐らく抵抗をするといけないのだろう。とりあえずフランに下手に動かないよう伝えておく。

 

 

依姫「抵抗を止めなさい。これからあなた達を月へ連行し、然るべき罰を受けてもらいます」

 

フラン「ねーねー、月ってさ、空よりずーっと高いうちゅうってとこにあるってお姉さまから聞いたの。うちゅうには空気がないってことも聞いたんだけど、私達が行ったら死んじゃうんじゃない?」

 

依姫「月面付近には空気があるから死ぬことはないけれど、(むこう)で重罪を言い渡されることは確かね。下手をすると向こうで死ぬことになるかもしれない」

 

フラン「ん~・・・しけいってヤツ?死ぬのはやだなぁ」

 

依姫「私もあまり誰かが死ぬのを見るのは好きじゃないけどね・・・」

 

妖夢「そんな・・・彼らは私達を助けてくれたのに・・・!」

 

アーティ「れいじィ、もういい加減ブッ飛ばしてもいいと思うんだけどぉ?とりあえずその周りに生えてるヤツぶった斬っちゃいなさいよ」

 

 

アーティは完全に呆れ果てた口調でレイジに決着を付けるよう話しかけてきた。言われなくてもやるつもりだ。横薙ぎにして一気に切り崩さないと「祇園様の怒り」とやらに触れるため、フランに伏せるよう言っておく。

 

 

フラン「うー」

 

 

返事をした後しゃがみガードをするフラン。その愛らしさに一瞬口が緩むがすぐに気を取り直し、神機に手を伸ばした後周囲を薙ぎ払うようにして一気に振り抜く。地面から生えていた刃は皆バラバラになった。

 

 

依姫「なっ・・・刃の檻を破った・・・!?」

 

フラン「よっし、反撃開始ー!禁忌「レーヴァテイン」!」

 

 

フランの手に長い剣が現れ、大きく振り回し始めた。剣が階段に当たると深く抉れて軽い爆発が起きる。

 

 

依姫「なかなかの威力ね・・・でも」

 

 

依姫は軽々と避け、フランの眼前に迫り剣を振り下ろす。

 

 

依姫「技は未熟!」

 

フラン「うッ!?」

 

 

フランはなんとか依姫の攻撃を受け止められたが、無理な体勢で受け止めてしまったため次第に押され弾き飛ばされてしまった。レイジは吹き飛ぶフランを受け止める。

 

 

フラン「あ・・・ありがと、レイジ」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「うー、もう本気出しちゃう!禁忌「フォーオブアカインド」!」

 

 

今度は4人に分身して攻撃を始めた。しかしこれも容易にかわされている。

 

 

依姫「頭数だけ増やしても私の敵ではない!」

 

フラン(分身)「ふぎゃっ!(ピチューン)」

 

フラン(分身)「ぶっ!!(ピチューン)」

 

フラン(分身)「えっうs (ピチューン)」

 

 

フラン「あれ・・・」

 

レイジ「・・・!?」

 

レン「分身とはいえ、ここまであっさりとやられるなんて・・・」

 

アーティ「5秒も経ってないんじゃない?」

 

 

あまりの速さに呆然とするフラン。レイジ達は驚いている。依姫は依然として落ち着いた様子である。

 

 

依姫「無駄な抵抗はやめなさい」

 

フラン「む、無駄かどうかわかるもんかい!」

 

依姫「無駄じゃない抵抗もやめなさい」

 

フラン「う~・・・なら、とっておき見せちゃうもんね!レイジ、離れてて!」

 

レイジ「・・・?」

 

 

一体何をするのか気になったが、レイジはとりあえずうなずき、距離を置く。

 

 

フラン「夢幻――――幻月!!」

 

 

フランが両腕を前に突き出すと、圧倒的な量の弾が高速で発射された。あまりにも速く、まるで暴風域のただ中にいるかのように激しく乱れ飛ぶ。

 

 

依姫「なるほど、これは中々避けるのが難しそう」

 

 

依姫はそう呟きながら刀を構える。彼女の体が段々淡い光で包まれる。

 

 

依姫「天宇受売命(あめのうずめのみこと)」

 

 

スペルカード名にしては珍しい名前だ。「みこと」の時点で神か何かの名前にしか聞こえない上攻撃する気配がみられない。何をするのか全く読めない中、フランの弾幕が迫ってくる。依姫は回避行動に移るが、その避け方が非常に特異なものだった。

 

 

フラン「あれ・・・?」

 

レイジ「・・・!?」

 

妖夢「これは・・・」

 

レン「踊っている・・・!?」

 

アーティ「・・・(避け専用のスペカ・・・?でもそれだけではないはず・・・)」

 

 

避けているはずなのに、舞を踊っているようにしか見えない。刀を使った演舞を見ているかのようだ。その美しい動きに思わず魅了されそうになる。

 

 

依姫「この舞はただ避けるためのものではない」

 

フラン「う~、当たれ当たれ!」

 

 

フランは弾幕を当てようと必死になるが、依姫は華麗な動きで避けていく。この状況がしばし続いた後、状況は悪化する。

 

 

ドンッ!

 

 

突然依姫は刀を地面に突き立てる。すると地面から再び無数の刃が現れ、フランの体を拘束した。身動きが取れなくなり、弾幕も消えてしまう。

 

 

フラン「うっ!!」

 

レイジ「!」

 

 

刃を断とうと神機を振ろうとするが、今度はフランが身動きが取れないような配列になっており、断とうとすればフランをも傷つけてしまう。しかもフランがもがけばもがくほど刃がより強く縛り付けてしまうため、すぐに助けられない。素手で外そうとしてみるがやはりビクともしない。刀の峰の部分が体に当たっているため傷をつけられてはいないが・・・

 

 

依姫「フランドール・・・と言ったわね。そろそろ終わりにしましょう。大丈夫、殺しはしないから・・・「天照大神(あまてらすおおかみ)」」

 

 

依姫は刀から手を放し、目を閉じて小さな声で詠唱を始めると、段々彼女の体を包む光が強くなる。天照という言葉を聞きレンが急に走り出し、レイジに向かって声を張り上げた。アーティも遅れて走り出す。

 

 

レン「レイジさん!装甲を展開してフランさんを守ってください!早く!」

 

アーティ「ちょレンッ!急にどうしたの!?・・・ああそゆこと、把握」

 

 

突然のことだったのでレイジはレンの言っていることに一瞬頭が追いつかなかったが、すぐに理解した。恐らく日光を放つかもしれないから三人で日陰を作ろうということなのだろう。日光を放つとすれば吸血鬼にとって危険な技だ。レンの心中ではまず自分が神機の装甲を展開し、フランから見て前に立つ。アーティはフランの眼前で装甲を展開、レイジはレンの右隣で防御体勢に入って影を作る。この構想をレイジとアーティに伝えようと口を開いた時、

 

 

レン「えっ!?」

 

アーティ「レイジ!?」

 

フラン「う~っ動けない~!」

 

 

なんとレイジは装甲を展開しながら依姫に向かってダッシュしているのだ。

思いもよらない行動に二人は驚愕する。

 

 

依姫「~~~・・・(ドガッ!)はぐッ!!?」

 

 

なんと装甲を構えながら詠唱中の依姫に体当たり。そのまま押し倒す体勢になる。レイジは装甲をたたみ刀身を依姫の首筋に宛がう。

 

 

依姫「くっ・・・しまった・・・!」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「なる、あたし達が防御体勢を取ると先読みして詠唱に集中してるとこを狙ったのね」

 

レン「結果的に「装甲を展開してフランさんを守り」ましたね・・・」

 

フラン「レイジ~・・・」

 

妖夢「さっきから私空気すぎる・・・」

 

 

依姫は無念と思いながらに目を閉じる。抵抗しないことから死を覚悟しているのだろう。しかしレイジは殺すようなことはしない。

 

 

依姫「・・・止めを刺さないの?」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジは神機を持っていない方の腕でフランのいる方向へ指を指す。その後妖夢の方にも指を指した。

 

 

依姫「・・・?解放しろと・・・?」

 

レイジ「(コク)」

 

 

レイジが立ち上がった直後、遠くから誰かの声が聞こえてきた。

 

 

豊姫「あなた達!何をしているの!?」

 

依姫「お、お姉様・・・」

 

レイジ「・・・?」

 

レン「レイジさん、ひとまず彼女に状況を説明しておきましょう。また怪しまれるかもしれませんし」

 

アーティ「こいつより物分かりがいいと安心だけど」

 

レイジ「(コク)」

 

 

 

 

~数分前、白玉楼、居間~

 

 

 

豊姫「幽々子さん」

 

幽々子「んー?あーい?(訳:んー?なーに?)」

 

豊姫「先程から妙な気配がするので大食い勝負一時停止してもよろしいですか?」

 

 

すると幽々子はピタッと固まった。

 

 

豊姫「あ、すみませんそっちじゃないです。少し外の様子を見に行きたいので一時中断をs」

 

幽々子「よっひゃんうウェひょ?むっしゃむっしゃ(訳:よっちゃんでしょ?)」

 

豊姫「ええ、神霊を降ろしているかもしれないので・・・」

 

幽々子「よっひゃんそんあこほれきうお?すをいわえ~。ああほれはほもかく、いっへらっひゃい。もぐもぐ(訳:よっちゃんそんなこと出来るの?すごいわね~。まあそれはともかく、いってらっしゃい)」

 

豊姫「すぐ戻ってきますね」

 

 

 

 

~現在、白玉楼へ続く階段~

 

 

 

レイジは豊姫にこれまでの状況を説明した。途中で

 

 

豊姫「さっきのあの体勢を見て思ったんだけど、私の妹に何をするつもりだったのか教えてくださる?」

 

 

笑顔なのにドス黒いオーラを背後から放ちながら訊いて来たりとまたまた誤解されそうになったが、しっかりと説明したので納得してくれた。依姫も誤解していたことをようやく理解し、レイジに謝罪した。

 

 

豊姫「ごめんなさい、この子は一度こうだと決めたら中々考えを改めないところがあるの。決して悪気があったわけじゃないので、どうかお許しください」

 

 

畏まってペコリと頭を下げ謝罪する豊姫。そこまでする必要はないと頭を上げるように言う。

 

 

豊姫「ありがとう・・・。依姫、2人を」

 

依姫「あ、はい」

 

 

依姫が地面に突き刺してそのままだった2本の刀を抜き、フランと妖夢を解放する。

 

 

フラン「う~・・・おおっやっと抜けれた!」

 

妖夢「ふう、一件落着ですね」

 

依姫「二人とも・・・ごめんなさい」

 

妖夢「いえ、いいんです。自分が間違ってたことに気付けたのなら」

 

フラン「次は負けないんだからね!」

 

 

なんとか一件落着。しかし豊姫は依姫のやったことに憤りを隠せないでいた。先程レイジに向けた「笑顔だけど怒ってる」表情を依姫に向ける。それを見た瞬間、依姫の顔は真っ青になっていった。

 

豊姫「依姫。私あなたに地上で神降ろししちゃいけないって言ったでしょう?第二次月面戦争が起きる少し前、博霊の巫女さんが神降ろしの練習してたことを月の皆はあなたがやってると思い込んでたの、忘れていない?危うく反逆罪になるとこだったのよ?」

 

依姫「あ・・・はい」

 

豊姫「あの時はあの巫女さんが偶々月に来たから誤解を解くことが出来たけど、今回はそうもいかないのよ?あなた後先のこと考えてた?」

 

依姫「う・・・」

 

豊姫「・・・表、出ましょうか」

 

妖夢「ここ、表ですよ・・・」

 

豊姫「あ・・・ゲフン、じゃあ、ちょっと屋上へ行きましょ・・・久々に・・・キレちゃったわ」

 

妖夢「ここから白玉楼までちょっと距離あるんですけど・・・」

 

豊姫「・・・。じゃあ白玉楼に着いたら二人きりで「お話し」しましょうか・・・」

 

 

豊姫は満面の笑みを浮かべる。対照的に段々涙目になる依姫。

 

 

依姫「ひぃぃ・・・!」

 

アーティ「まあ自業自得ね・・・ってなんでこいつこんなに怖がってんの?」

 

レン「あまり考えるのは止めておきましょう・・・」

 

フラン「ねーねーよっちゃん、なんでそんなに怖がってるの?お説教くらい私は泣かないで聞けるよ?」

 

依姫「そのことについてはノーコメントで・・・(よっちゃんって・・・)」

 

豊姫「どうしたの?」

 

依姫「ひぎぃっ!?nnnn何でもありません!!」

 

 

 

~白玉楼、居間・縁側~

 

 

 

幽々子「おふぁえり~。あら、おひゃふはん?むぐむぐ(訳:おかえり~。あら、お客さん?)」

 

豊姫「ええ、依姫が盛大に持て成してくれていました」

 

依姫「う・・・」

 

妖夢「幽々子様、口に食べ物を含みながら喋っちゃいけまs・・・ってゆーかこんな数の桃がどこから!?」

 

幽々子「ああ、ほよてゃんわもっへきへくれはをよ、もぐもぐ(訳:ああ、豊ちゃんが持ってきてくれたのよ)」

 

妖夢「いったいどうやってこんな量を・・・」

 

アーティ「・・・あいつ何言ってるかさっぱりだわ」

 

レン「僕もです。それでも通じるってすごいですね・・・」

 

フラン「???」

 

幽々子「よっひほよてゃん、おおんいひょうぶおトゥドゥきやうわよ!もごもご(よっし豊ちゃん、大食い勝負の続きやるわよ!)」

 

豊姫「すみませんが、今からこの子に話さなくてはならないことがあるので、それが終わった後でよろしいかしら?」

 

幽々子「(ゴックン)む~、早くしてよね。私食欲抑えるの苦手なのよ」

 

豊姫「それでは失礼」

 

 

豊姫と依姫がその場を後にする。

 

 

幽々子「で、そちらは確か、レミリアの妹さんだったわね。え~っt」

 

フラン「フランドール!」

 

幽々子「そうそうそうだったわね。で、あなたは初めましてかしら」

 

レイジ「(コク)」

 

幽々子「とりあえず上がってきなさい。桃でも食べながら二人が戻ってくるのを待ちましょう」

 

妖夢「(さりげなく食欲抑えるの諦めた・・・)」

 

フラン「はーい」

 

レイジ「(コク)」

 

レン「お邪魔します」

 

アーティ「邪魔するなら帰r」

 

レン「そこでボケはいりませんよ」

 

アーティ「・・・い、言ってみたかっただけよ、そんなスッパリいくことないじゃない」

 

 

幽々子に誘われるがまま白玉楼でお邪魔することになったレイジ達。小腹も空いてきたところだったので、居間を埋め尽くさんばかりの桃を何個か頂くことにした。

 

 

アーティ「ん、なかなかいい」

 

レン「僕は桃を生で食べるのは初めてですね。今までこんなに美味しいものを食べたことはないような気がします」

 

フラン「んぐんぐ、おいしー☆」

 

幽々子「こらこら、食べ物を口に含んだまま喋らないの。お行儀が悪いわよ」

 

妖夢「どの口が言うんですか」

 

幽々子「いいこと教えたげる。桃はね、7月中旬から9月上旬くらいまでのものが美味しいらしいの」

 

フラン「へー」

 

妖夢「無視ですか・・・」

 

幽々子「それと、美味しい桃の選び方はね、傷がないのはもちろん、色が綺麗なもの、左右対称で形がいいもの・・・」

 

 

いつの間にか幽々子が桃講座を始め、そのまま数十分間集中して聞いていた。

 

 

幽々子「――――とまあ、こんな感じね。何か質問ある人~」

 

 

シーン

 

 

幽々子「じゃあ、これでおしまいとしましょうか。あなた達はこれからどうするの?」

 

 

レイジはポケットから結晶を取り出す。騒ぎが終わった直後だからか結晶に反応はない。特に行かなければならない場所もないので、しばらくは厄介になることを伝える。

 

 

幽々子「そう。こんな所でよければ、ゆっくりしていってね。あそうだ、丁度形のいい桃をいくつか見つけたから分けてあげる」

 

フラン「ありがとー♪」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「・・・あ、なんかトイレ行きたくなっちゃった」

 

幽々子「トイレならそこを右に進んで、縁側沿いに歩いて行けば着くわよ」

 

フラン「わかった・・・うっ、なんか暗い・・・。レイジ~ついて来て~」

 

アーティ「じゃあたしもついてこうかな、暇だし」

 

居間にある時計を見てもまだ昼近くだ。どうして依然として暗いままなのかわからないが他にやることもないのでついて行くことにした。

 

 

 

 

妖夢「今日はいつになく食べ物関連で力説してましたね」

 

幽々子「まあね。本当はフランちゃんのためにやったようなものよ」

 

妖夢「え?何故ですか?」

 

幽々子「あの子、何百年も地下に幽閉されて生きてきたそうじゃない。あのままで大丈夫なのかなーって思ってね」

 

妖夢「・・・はあ」

 

幽々子「ここに来ているということは、自由になれたのかもね。でもレミリアがそう簡単に解放するとは思えないから、きっと彼のおかげかもしれないわね」

 

妖夢「彼は・・・外来人・・・?ていう人なんでしょうか」

 

幽々子「でしょうね。彼はきっとお家事情を知らないまま紅魔館に迷い込んで、フランちゃんと出会い、あの子が自由になるきっかけを作った。フランちゃんも彼と出会って外に興味を持ち、レミリアをなんとか説得、外に出れるようになった・・・ってとこかしら」

 

妖夢「へえ・・・よくそこまで読めますね」

 

幽々子「確信はないんだけどね。まあどういう経緯があったにせよ、フランちゃんはようやくこの世に生まれることが出来たってことね。・・・ああ社会的な意味でよ?あの子にはいろんなことを知って、経験してほしいわ」

 

妖夢「あの、何故そこまで・・・?」

 

幽々子「ふふ、まだ小っちゃい頃のあなたを思い出してね。あの頃もああしてあなたに色々教えてたっけねぇ・・・」

 

妖夢「ええ、食べ物の話ばかりでしたけど」

 

幽々子「食べ物ナメちゃいけないわよ、料理のノウハウも私が教えたんだから(ドヤッ)」

 

妖夢「まあ確かに、素材の選び方とかも幽々子様の教えのおかげですし、料理が上手になった時も・・・」

 

幽々子「ふふふ、あの子が将来レミリアに負けないくらいに賢くなったらどうなるかしらw」

 

妖夢「そっちが本音ですね、わかります」

 

 

 

 

 

 

縁側を歩きながら外を見ていると、白い風船みたいなものがいくつも飛び回っているのが見えた。先程の桃講座で幽々子がさりげなくここが冥界であることを教えてくれたので、大体想像はつく。白玉楼には真珠などなく代わりに幽霊が沢山いるようだ。トイレに着き、レイジとアーティはトイレの傍で壁にもたれながら外の景色を眺める。いくつもの霊魂が踊るように空を飛び回っている。それらを見ている内に、レイジは段々切ない気分になってきた。

 

 

レイジ「・・・」

 

 

死んだ家族を思い出す。父、母、カナ、三人の魂はここにいるのだろうか。あんなにも無残な死に方をしたのだ、さぞや無念だったに違いない。レイジの目頭が少し熱くなる。

 

 

アーティ「・・・家族のことでも思い出したの?」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「・・・あー・・・、気にしちゃったなら、ごめん。・・・それにしても、幽霊って見えないモンだと思ってたわ。幻想郷(ここ)では違うのね」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「こんなにはっきり見える幽霊なんて、あたしは全然怖く思えない。見えないからどこにいるのかわからなくて、恐怖を生み出すのに」

 

 

レイジも幽霊と聞いたところで怖いとは思わない。会ってみたいと思ったことはないし霊感もないので見たこともない。アラガミの方がよっぽど恐ろしく思えてくる。しかし、今だけは・・・会ってみたい。たとえ幽霊でも、いなくなった家族とまた会いたい。

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「――――――」

 

アーティ「ん、何か言った?」

 

 

レイジは何も言っていないと首を振る。だが彼の表情で言いたいことがわかったような気がした。

 

 

アーティ「(・・・・・・)」

 

 

しばらく二人とも黙ったまま景色を眺め続ける。まさに幻想的な風景だった。しかしそれはレイジに過去を思い出させ、憂鬱な気分にしてしまう。実はアーティはこのような辛気臭い雰囲気の中にいるのが苦手だったりする。

 

 

アーティ「・・・フラン、遅いわね」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「腹でも壊したかしらね」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

アーティ「・・・・・・ああもうやだこの空気!辛気臭いったらありゃしない!何よたかが景色を見ただけでひどく感傷的になっちゃって!あんたはホントワケのわからないやつだわ!」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジは何も反応しなかったため再び沈黙が訪れる。アーティは気分が落ち着かないので適当に言葉を探し吐き出していく。

 

 

アーティ「・・・もうここに迷い込んで四日目・・・か。幻想郷(ここ)から帰る方法が全然見つからないわね」

 

 

確かにそうだ。今頃極東支部ではパニックになっているに違いない。極東支部の主力である第一部隊の隊長を務めるレイジがいなくなることは支部に大きな打撃を与えるだろう。それだけでなくレンやアーティ、ここ最近極東地域に強力なアラガミが増えていることを考慮しフェンリル本部がFSATの人員を割いてまで極東支部に派遣したサヤカまでもが行方不明になってしまったのだ。(実はサヤカはFSATの中でも屈指の狙撃精度を持っていたため、その才能と実績が認められて上層部は彼女を狙撃隊の隊長に昇格させようかと検討していた)

こんな突然の出来事があっては本部も動揺を隠せないはず。幻想入りしてから四日目。もしかしたら四人仲良くMIA (作戦行動中行方不明、死亡扱い)になっているかもしれない。リンドウと同じように。

そんなことを考えていると、フランがようやくトイレから出てきた。腹の調子でも悪かったのだろうか。

 

 

フラン「ううん、トイレから出ようとしたらレイジがなんか落ち込んでる顔してたのが見えたから気になって様子見てただけ。何かあったの?」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「・・・何もないならいいけど。じゃあもどろっか」

 

レイジ「(コク)」

 

 

居間に戻ろうと来た道を戻るレイジ達。途中にある襖の前を通り過ぎようとした時、襖の向こうから聞き覚えのある声が。

 

 

依姫「ああッ・・・ゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴペンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ(ry」

 

レイジ・アーティ「・・・!?」

 

フラン「レイジ、早く行こ。もうすぐ1万字越しちゃうから」

 

アーティ「メメタァ・・・」

 

 

居間の襖が見え始める。すると縁側でレンが桃を手に一人佇んでいるのが見えた。フランは暗い所が怖いのか、さっさと中に入っていった。

 

 

アーティ「レン、一人でどうしたの?あんたも昔のことを思い出してる感じ?」

 

レン「よくわかりましたね。その通りなんです。実は、リンドウさんのことで・・・ちょっと」

 

アーティ「ふーん。さっきこいつも同じような感じで泣きそうなツラしてやがったのよ。ここの景色、そんなにすごいの?」

 

レン「ええ、とても。話が変わりますけど・・・あ、ちょっと愚痴入るかもしれません。・・・実は僕、リンドウさんと一緒に戦ってたことがあるんですよ」

 

アーティ「・・・へぇ」

 

レン「彼は僕にとって最高のパートナーでした・・・。はぁ・・・リンドウさん、ひどいですよね・・・。皆置いてけぼりにして、一人でどっか行っちゃうなんて」

 

レイジ「・・・」

 

レン「そんな今でも、リンドウさんは本当に皆に慕われているんですよね」

 

 

懐かしむ表情でレンは空を見上げながら話し続ける。

 

 

レン「数も数えられないような、(バカ)なのになあ・・・」

 

アーティ「さりげなくひどいこと言うわね」

 

レン「あ、そういえばレイジさんの初陣の時、オウガテイルと戦っていた時でもやってましたね」

 

レイジ「・・・?」

 

レン「うーん、リンドウさんにしては上出来の緊張のほぐし方なのかなぁ・・・」

 

 

なぜそんなことを知っているのか?レイジは不思議に思った。

 

 

レン「そんなあなたももう・・・立派なリーダーなんですよね・・・。神機使い達を導き、皆に慕われてる・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

レンはレイジに顔を向ける。その表情は真剣そのものだ。

 

 

レン「だからこそ、あなたに伝えるべきことがあります。「アラガミ化した神機使いの処理方法」です。ここで言うのもなんですが」

 

アーティ「おいちょと待て。なんで今その話をするワケ?これからの行動を考えるのが先じゃないの?」

 

レン「確かにそうですが、レイジさんはこのことを知らないかもしれませんし、僕はリンドウさんが死んだなんて信じたくないんです。彼をまた捜索する機会があった時のことを考えれば、知っておいて損はないでしょう?」

 

アーティ「・・・」

 

 

レイジはアラガミ化という言葉自体は何回か聞いたことがある。ほぼ言葉通り、人間がアラガミになってしまうということだろう。処理方法についてまではまだ知らない。

 

 

レン「アラガミ化は、偏食因子の定期的な供給が無くなった結果、オラクル細胞が暴走することによって起きる急速な変異現象です」

 

レイジ「・・・」

 

レン「アラガミ化が進行した結果、二度と人間には戻れません」

 

アーティ「だろうね」

 

レン「また、人間によって培養されたオラクル細胞は極めて多彩な変異を遂げる傾向にあり、一般的な神機が通用しない事態が極めて多い・・・」

 

アーティ「・・・あれ、そうだっけ?」

 

レン「ええ」

 

レイジ「・・・」

 

レン「・・・そんな、アラガミ化した神機使いの処理方法として、最も効果が高いのは・・・」

 

アーティ「・・・(wktk)」

 

レン「適合した者にしか扱えないという矛盾が孕むため、決定的な対策とは言えませんが・・・」

 

 

レイジは段々レンの話を聞くのが嫌になっていた。というより寧ろもう先を聞きたくない。無意識のうちに彼は首を横に振っていた。

 

 

レン「アラガミ化した本人の神機を用いて――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レン「――――殺すことでs」

 

 

 

 

ドンッッ!!!

 

 

アーティ「!?」

 

 

レイジはこれ以上喋るのを止めろと言わんばかりにレンの両肩を掴み思い切り壁に押しつけた。レンが手にしていた桃が叩きつけられた拍子に手から落とし、縁側をコロコロと転がっていく。レイジは怒りが籠った目でレンを睨みつける。彼の瞳の色はスカイブルー。しかし心なしか瞳の色が赤みがかっており、怒りの感情が表れているのがわかる。それを見てレンは彼の言いたいことをすぐに理解した。

 

 

レン「・・・あなたの言いたいこともわかります。でも今は研究が滞ってて、こうするしかないのが現状なんです」

 

レイジ「・・・!!!」

 

アーティ「・・・レイジ・・・」

 

 

レンの淡々とした口調にさらに怒りを募らせるレイジ。

 

 

レン「・・・リンドウさんを探して、運よく彼に出会えたとしましょう」

 

レイジ「・・・」

 

レン「・・・もし・・・その時、彼がアラガミになっていたらどうしますか?」

 

アーティ「え・・・?」

 

レン「あなたは、その「アラガミ」を殺せますか?」

 

 

そう言いながら、レンはレイジの腕を掴む。するとレイジの視界が歪んだ。なんと感応現象が起きたのだ。咄嗟のことに思わず目を瞑る。

 

 

レイジ「ッ・・・」

 

 

 

 

 

ゆっくりと目を開けると、リンドウを置いて逃げる少し前の場面が見えてきた。サクヤが瓦礫越しに必死にリンドウに声を掛けているのがわかる。コウタの説得でやむを得ず撤退する第一部隊。リンドウはサクヤ達が撤退していく足音を聞きながら呟く。

 

 

「・・・行ったか」

 

 

リンドウはぐったりとした様子で瓦礫にもたれかかっている。口には煙草が。煙草を吸い、フーッと一息吐く。その直後、アラガミが教会のステンドグラスが割れてできた隙間から入って来た。ディアウス・ピターだ。

 

 

「はあ・・・ちょっとぐらい休憩させてくれよ・・・体が持たないぜ・・・」

 

 

リンドウはまた煙草を吸い、大きく煙を吐く。煙草を投げ捨ててゆっくり立ち上がり、アラガミのいる方へ歩き出した。

その後は激しい戦闘が繰り広げられる。体が持たないと言っておきながら、中々善戦しているリンドウ。そんな中、リンドウとピターの攻撃が同時に出た。その時、

 

 

ガキンッ!

 

 

お互いの攻撃が弾かれたと思うと、リンドウは突然右手首を押さえ苦しみだした。ピターの攻撃が腕輪に当たったらしい。

 

 

「シクッたな・・・・・・やるな」

 

 

痛みでふらつきながらも、彼の表情から絶望はみられない。ピターは捕喰しようと頭を前に突き出してきた。リンドウはカウンターを狙おうと突きを繰り出す。

 

ズシュッ

 

口の中にまでリンドウの腕が入り、一瞬喰われたのかと思われた。しかし喰われたのは神機と腕輪。腕輪は腕と融合しているのでよっぽどのことがなければ外れない。ピターを怯ませたものの、無理に外れたからか彼は激痛で屈み悲鳴を上げる。

 

 

「ぐっ・・・うおぁおおおぉぉぉ!!」

 

 

神機も、腕輪も喰われた。まさに絶体絶命の状況。すると高台から人影が見えた。よく見ると、なんとシオがそこにいた。

シオは無言のまま高台から飛び降り、リンドウをチラと見てからピターの方へと歩いて行く。ピターは雄叫びを上げて威嚇する。しかしシオが目の前に立ってじっと見つめると、ピターは急に大人しくなり教会から去っていった。リンドウはそれを見て安心したのか倒れ込み、意識を失う。シオがリンドウへ近づき、様子を見ているところで視界がブラックアウトした。

 

 

・・・この記憶は一体何なのだろうか。何故レンではなくリンドウが出てくるのか?レイジに考える時間を与えず、視界がまた明るくなる。

今度は鎮魂の廃寺。夕方のとある小屋の中に彼らはいた。リンドウの腕が異形のものに変貌している。恐らく腕輪を失くしたことによりアラガミ化してしまったのだろう。シオは彼の腕の様子を見ているようだ。

 

 

「くっ・・・」

 

「!」

 

 

リンドウが右腕を押さえ呻き声を上げる。シオはそれにびっくりしたのか、ガラクタが山積みになっている場所の裏へ隠れてこっそり顔を覗かせる。

 

 

「ん・・・?」

 

 

リンドウはシオへ目を動かそうとすると、右腕に違和感がした。

 

 

「腕・・か?これは・・・俺の腕・・・か?」

 

 

急に瞼が重たくなり、また意識を失うリンドウ。シオは動かなくなったのを確認すると再び彼の腕を見つめるのだった。

夜。再びリンドウは目を覚ました。しかし体が思うように動かせないようだ。

 

 

「腹・・・減ったな・・・」

 

「ハラ・・・ヘッタ・・・ナ?」

 

「んー?お腹空いた・・・だ」

 

「オナカ・・・スイ・・・タ・・・ダ?」

 

「お腹空いた・・・」

 

「オナカ・・・スイタ・・・」

 

 

空腹で頭が正常に働かない。殆ど意味のない会話が続いた後、空気は一変する。

 

 

「ぐっ・・・ぐあああ・・・がぁああああああああああ!!!」

 

 

リンドウの右腕からもやのようなものが溢れ出し、途端に激痛が走り悲鳴を上げる。シオはそれを見るとすぐにリンドウの右腕に手を添えた。するともやが出なくなり、右手の甲に青い光が灯りだした。リンドウの表情が穏やかになっていくのを見る限り、痛みを押さえているようだ。

 

 

「お前・・・ありがと、な・・・」

 

「・・・(ニコ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・ッ」

 

 

視界がまたブラックアウトしたかと思うと、目の前にレンの顔が見えた。記憶の再生が終わったらしい。驚きの事実にレイジは唖然とし、レンの肩を掴む腕から力が抜けていく。レンは静かに腕をどけ、落ちた桃を拾って彼に背を向けながら口を開く。

 

 

レン「・・・この世界はいつだってわがままで、理不尽な選択を迫り・・・それが、歴史として連綿と続いて行く」

 

レイジ「・・・」

 

レン「あの時のリンドウさんの選択は・・・皆を幸せな現実に導いたのでしょうか・・・?彼なら逃げようと思えば、逃げられたはずなのに」

 

 

レンは頭をレイジの方へ向け、さらに意味深な言葉を投げかける。レイジは壁の方を向いたまま俯いている。

 

 

レン「そしてあなたは、どんな選択をするんですか?」

 

レイジ「・・・」

 

レン「・・・・・・僕にしては変な話をし過ぎましたね。ちょっとトイレへ行ってきます」

 

 

レンは桃をかじりながらトイレの方へ歩き出した。レンは普段の口調に戻していたが、彼の言葉がレイジの心の中で、体の中で反響しているような感覚がしてしまっていた。何故か体が動かない。

 

 

アーティ「一体何なのよあいつ・・・。それに幻想郷(ここ)にリンドウが来るなんて思えないし。あの人もそこまで(バカ)じゃないでしょ。・・・ほらレイジ、なにボーっと突っ立ってんの。はよ戻りましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽々子「あ」

 

妖夢「?」

 

幽々子「彼と自己紹介するの忘れてたわ。どおりで名前が浮かばないワケね」

 

妖夢「あ・・・」

 




作「なんかさ、意味もないのに後書き書くのダルくなってきた」

弟「てかこんなとこ読むヤツなんていんの?こんなgdgd感maxな後書きなんか」

作「報告することがあったら書くこと出来んだけどな」

弟「・・・」

作「・・・」


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Mission 20 鳴かない蛍

皆さん、おはこんばちは。wingです。大学生活を送る時に一番厄介なのは宿題ですね。小レポートとかいちいちめんどくさいものばかりだもん・・・。まあ仕方ないか。それでは本編どうぞ。



~サヤカside~

 

 

あれから天狗達がこちらに干渉しなくなっていた。何故かはよくわからないが、文が他の天狗達に説明したのだろう。現在はにとりの工房の中のダイニングで昼食(胡瓜のオンパレード)を食べ終わる頃だ。

 

 

サヤカ「あの人、何がしたかったんでしょう・・・」

 

にとり「さあね。あいつはなんか掴みどこがないってゆーか、・・・よくわかんないヤツだよ」

 

魔理沙「今から思い返すと、やっぱり囮とかやるんじゃなかったぜ。こっちは人間一人。相手は妖怪の中では強力な天狗。力量差的にも人数的にもどう考えても無理があったな」

 

サヤカ「ごめんなさい・・・」

 

魔理沙「お前のせいじゃない。・・・まぁ文の言う通り確かに慣れないことはするもんじゃねーな」

 

にとり「魔理沙もアリスとかパチュリーみたいに魔法使いになっちゃえばいいのに。そしたらある程度いけたかもよ?」

 

サヤカ「?それはどういう・・・?」

 

魔理沙「・・・あー何て言うのかな、同じ魔法使いでも種族そのものが「魔法使い」ってヤツがいるんだ。パチュリーはそれだな。アリスってのは私の友人でそいつも魔法使いだぜ」

 

サヤカ「じゃあ、魔理沙さんは魔法使いなんd」

 

魔理沙「いや違う。私は人間だ」

 

サヤカ「えっ、でも自分で空を飛んだりしてるのに」

 

魔理沙「あー・・・、アレだ、元々の種族に愛着があるのさ。サヤカ、例えばの話だが、お前は人間から別の種族になりたいと思ったことあるか?妖怪とか」

 

サヤカ「・・・ないですね」

 

魔理沙「私が言いたいのはそういうこった」

 

サヤカ「なるほど」

 

にとり「でも魔法使いより魔力が枯渇しやすいのは気になるでしょ?」

 

魔理沙「まあな。だがそれは大した問題じゃないぜ」

 

 

そんな雑談をしている内に、昼食(笑)を食べ終えた。

 

 

にとり「ふう、ごちそうさま・・・おっとまだ一本残ってた」

 

サヤカ「胡瓜は好きな方ですけど、ここまで胡瓜尽くしとは・・・」

 

魔理沙「ん、にとり、なんだよそれ。胡瓜に何かけてんだ?」

 

にとり「ん、失恋フレーバー」

 

魔理沙「・・・さっきの初恋ジュースとかいうヤツといい、お前の食事には一生ついていけそうにないぜ・・・」

 

サヤカ「絶対ブルーな気持ちになりますよねコレ・・・。おかしいですよにとりさん・・・」

 

にとり「そお?普通に美味いんだけどなー」

 

魔理沙「ワケがわからないぜ」

 

 

 

~にとりの工房・作業場~

 

 

 

さっさと用事を済ませようということで、昼食後後片付けをした後、作業場へやってきた。作業場というだけあってそれらしい構造になっており、作りかけの機械などもあった。

 

 

にとり「じゃ、始めよう・・・と言いたいけど、まずは君のそれを見せてもらうよ。構造がわからなきゃどうしようもないからね」

 

サヤカ「あッ!」

 

 

そう言いながらサヤカの持つ神機に手を伸ばす。サヤカは慌ててにとりの手から神機を遠ざけた。

 

 

サヤカ「触っちゃダメです!」

 

にとり「・・・?なんでだい?」

 

サヤカ「これは私以外の人が素手で触ったら危険なんです!」

 

魔理沙「・・・だからなんでだ?パチュリーのヤツも神機を勝手に調べて手を加えてたらしいけどケガとかしてなかったぜ?」

 

サヤカ「これは触れるのが扱う人以外だと痛みが走りオラクル細胞に侵喰されてしまうんです。恐らくパチュリーさんは魔法を使えますから手で触れることはなかったと思います。ちなみにこれは私以外の人が触ると危険です」

 

魔理沙「おいおい、使い手以外のヤツが触ったらオラクル細胞が蝕むだなんてどんだけワガママな武器なんだよ」

 

サヤカ「私達の世界でもこれは問題視されてるんです・・・」

 

にとり「なるほど。これは興味深いなぁ」

 

 

と言いつつ、注意したのに神機に触れようとする。

 

 

サヤカ「だから触らないでって言ってるじゃないですか!」

 

にとり「ああごめんごめん。いっぺんどんな感じなのかなって思ってさ」

 

魔理沙「大した度胸だぜ・・・」

 

にとり「それより、これについてもっと詳しく教えてくれないかな。不思議な部分が多すぎる」

 

サヤカ「わかりました」

 

 

サヤカは神機の大まかな構造、特徴をにとりに教えていく。サヤカは神機の構造について専門的な知識はあまりないが、変形させてみたり、各形態を見せるなどしていった。

 

 

 

~20分後~

 

 

にとり「うん、大体わかったよ。それにしてもまさかの生体武器とはね。これを扱うのは初めてだ」

 

魔理沙「サヤカ、弾も見せなきゃいけないんじゃないか?」

 

サヤカ「あ、そうでしたね。ふう、今日は忙しくなりそう・・・」

 

 

サヤカは魔理沙から貸してもらった袋からバレットを取り出す。

 

 

にとり「おお、結構たくさんあるんだね」

 

サヤカ「ええ、もう一人の方の分もありますので」

 

魔理沙「そいつもサヤカと同じ武器を使うんだぜ、名前はレイジってんだ」

 

にとり「へえ、一度会ってみたいなぁ。まあとりあえずその弾みたいなものも調べるとするかな」

 

 

 

~少女調査中・始~

「ちょっと撃ってみますね」「じゃ的当てだぜ、この失恋フレーb」「ああッらめえ!それはらめ!らめだっt」「こんなものが存在して何になる!撃て!狙い撃つんだ!」「それを撃てばいいんですか?」「だかららめだってサヤカ!自分が今、何を撃とうとしているのか、お前本当にわかってるのか!」「にとり!動くと撃つ!(サヤカが)」「なんか趣旨変わってるような気が・・・」「ゾンナコドヤッテミロ!ワタスィァクサムヲムッコロス!」「お前変なとこで滑舌悪くなるな」「にとりさん、バレットについて知ってもらうためなので・・・ごめんなさい!」「頼むからモウヤメルンダッ!!」「狙い撃つぜえええええええええええええええ!!!!!」「らめええええええええええええええええ!!!!!!!!」

 

 

バシューン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女調査中・終

 

 

 

 

にとりは好物をダメにされてしまったことに大泣きし、サヤカと魔理沙は後悔の念が湧き始めていた。

 

 

にとり「うわ~~~ん」

 

サヤカ「ああ・・・やっぱり悪ノリなんてするんじゃなった・・・」

 

魔理沙「さて、問題はどうやってこいつをなだめるかだ」

 

にとり「わ~~~アレが家にある最後の残りだったのに~~~」

 

魔理沙「ああ悪かった悪かったって。で、アレは人里で売ってんのか?」

 

にとり「知らないよ~~」

 

サヤカ「うわ、やってしまいましたね・・・」

 

魔理沙「しゃーないな、この様子じゃアレ持ってこないと落ち着きそうにねえ。ついでに胡瓜も買ってくるか。人里へ行くぞ、サヤカ」

 

サヤカ「人里・・・ですか。そこにはさすがに妖怪とかいませんよね?」

 

魔理沙「お前は何を想像してんだ?流石にそれはないぜ?」

 

サヤカ「あ・・・そうですよね。にとりさん、ちょっと人里へ行って失恋・・・なんたらを探してきます。胡瓜も買っておきますね」

 

にとり「ぐすん・・・アレないと元気出ないよ」

 

魔理沙「(あんな名前からして明らかにテンション下がりそうなモンをか・・・?)」

 

サヤカ「神機・・・どうしようかな。抜き身で人里を歩くワケにはいかないし」

 

魔理沙「レイジのあの鞘みたいなのはないのか?」

 

サヤカ「ありませんね。私はアレを作れる程器用じゃありませんから・・・」

 

にとり「布がそこにあるから巻いていきなよ・・・うう」

 

 

にとりは体育座りをしながら指を指す。その方向には、テーブルの上に長い布があった。サヤカは礼を言いつつ神機に布を巻いた。

 

 

魔理沙「・・・変なモンだな。人に対しては危ないのに、物に触れるのは大丈夫なんだな。「侵喰」ってよくわからないぜ」

 

サヤカ「元の世界でも未だに謎が多いものですからね。あ、にとりさんバレットは置いてきますね。まだ詳しく見せていないので・・・」

 

にとり「・・・さっきので大体はわかったよ」

 

魔理沙「じゃバビューンと行ってくるぜ」

 

 

サヤカと魔理沙は足早に工房を後にした。にとりは未だ体育座りで顔を伏せていたが、二人がいなくなると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にとり「ふ・・・ふふふ・・・」

 

 

うずくまりながらのため声が籠る。その後ガバッと立ち上がり、

 

 

にとり「ふはははは!フレーバーを失ったのは予想外だったけど、魔理沙達が探してくれるみたいだからよしとするか!胡瓜も買ってくれるみたいだし!あいつにしては珍しいよね、自ら奢ってくれるなんてさ!」

 

 

にとりは意気揚々とサヤカの置いていったバレットに目を通しながら呟く。

 

 

にとり「・・・まあ、概ね・・・計画通り(ニヤリ)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すると、誰もいないはずなのにどこからか声が聞こえてきた。

 

 

魔理沙「聞こえてんぞ~」

 

にとり「ひゅいッ!?その声は魔理沙!?」

 

 

声のした方へ振り返ると、そこには魔理沙とサヤカの姿が。

 

 

にとり「ええッ!?は、早すぎでしょ!」

 

魔理沙「諦めろ、ここは幻想郷だぜ?」

 

サヤカ「魔理沙さんスピード出し過ぎですよ・・・。腕千切れるかと思ったじゃないですか・・・」

 

にとり「・・・(゚д゚;)で、手に入ったのかい・・・?」

 

魔理沙「ああ、なぜか人里で売ってたぜ。新商品ってでかでかと宣伝してたからな」

 

 

魔理沙は紙袋の中から失恋フレーバーを取り出してにとりに見せる。

 

 

にとり「へえ・・・(゚д゚;)まあ・・いいか、ありがとう」

 

サヤカ「胡瓜も十本ほど買いました」

 

にとり「おおありがとう、どれどれ、・・・うほっ、いい胡瓜・・・」

 

魔理沙「お前今すんごい変な顔してたぞ」

 

にとり「!?ああごめんごめん。今日のはいい形してるなあと思ってね」

 

魔理沙「ふーんそうかい。とりあえずサヤカの武器と弾の改造済ませようぜ」

 

にとり「魔理沙、気が早すぎるよ。まだサヤカの・・・何て名前だっけアレ」

 

サヤカ「神機でs」

 

にとり「そうそうそう。さっきサヤカが神機の大体の構造を見せてくれたけど、まだまだ気になるところも、調べなきゃいけないところも沢山あるんだ。いくら私でも、すぐになんとか出来るワケじゃないんだよ。ましてや生体武器となるとね」

 

魔理沙「・・・そうか。でも急ぎめで頼むぜ、いつアラガミが山に攻めてくるかわからない、下手したらここをピンポイントで狙ってくるかもしれないしな。天狗を怒らせたら面倒だ」

 

サヤカ「・・・にとりさん、出来ますか?」

 

にとり「な~に任せときなって!最近ヒマで仕方なかったからさ!こいつは腕が鳴るね!」

 

 

 

 

~少女作業中~

「サヤカも付き添ってもらうよ」「ええ、もちろんそのつもりです」「その間ヒマになるな」「じゃ掃除お願い」「・・・ま、ヒマ潰しにはなるか・・・」「さて、神機の変形機構のあたりは大体わかったんだけど、~~~・・・」「ええ、それはこうでこうなってて、私はそこまで詳しいってワケじゃないんですけど、~~~・・・」「・・・」「~~~・・・」「~~~、~~~・・・」「・・・・・・」「~~~~なのかー」「~~~、~~~~」「・・・やっぱヒマだな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~一時間後・ダイニング~

 

 

 

魔理沙「・・・あまりにもヒマだから念入りにやりすぎたぜ・・・。我ながら恐ろしい程に部屋が輝いてるな・・・」

 

にとり「ただいま~ってひゅいッ!?」

 

サヤカ「ここ、どこですか・・・?」

 

 

サヤカ達がダイニングに戻ると、見違えるほどに綺麗な部屋になっていることに驚愕する。所々が日光に当たって輝いており、鏡のように物が映る部分も。

 

 

魔理沙「おまえは何を言っているんだ、にとりの家だぜ」

 

にとり「ま、魔理沙・・・これを、君一人で?」

 

魔理沙「ああ、つってもあんまりヒマだったもんだからいつも以上にやっちまったが」

 

サヤカ「魔理沙さんって、もうちょっと大雑把な人だと思ってました・・・(これまでの行動からも、口調からしても)」

 

魔理沙「失礼なヤツだな。私だって女なんだ。こういう繊細さが必要なことはしっかりするぜ。魔法だって同じだ」

 

にとり「何はともあれ、ありがとう。こっちもとりあえず改良の目処が立ったよ」

 

魔理沙「おお、それはよかったな。あとは実行に移すだけか」

 

サヤカ「ええ、ようやく一息つけそうです」

 

 

ひとまず休憩を取ることにし、にとりは冷蔵庫にサヤカ達でも興味を持ちそうなものがないか探し始める。サヤカと魔理沙はリビングに移動しソファーに座ってくつろいでいる。

 

 

サヤカ「なんだかここ、とても親近感が湧いてきます」

 

魔理沙「私にとっちゃ変わったモンだらけにしか見えないがな。だが便利といえば便利だな」

 

サヤカ「ふう・・・」

 

魔理沙「・・・あーなんか疲れたぜ、掃除念入りにやったから無駄に体力使っちまった」

 

サヤカ「・・・」

 

 

サヤカは顔を天井に向け完全に脱力した体勢になる。幻想郷に迷い込んでから、ここまで落ち着ける時間はあっただろうか。今までの出来事を振り返ると、目まぐるしく思えてくる。恐らくこの束の間の休息もすぐまた目まぐるしい日々に埋もれるのだろう。そう思うと、少し気分が滅入る気がした。

 

 

魔理沙「・・・なんか完璧な脱力を見た気がするぜ・・。そんなに疲れてんのか?」

 

サヤカ「ここに迷い込んだ時といい、紅魔館の時でも永遠亭の時でも、たとえ一瞬でも、ここまで心置きなく落ち着ける時間ってあったかなぁ・・・て思いまして」

 

魔理沙「・・・まあアラガミが幻想郷(ここ)に来てなければ、こうも忙しくならなかっただろうな」

 

サヤカ「・・・」

 

魔理沙「なあ、突然だけどお前、何か悩んでないか?」

 

サヤカ「え・・・?」

 

魔理沙「紅魔館の図書館で、私がお前に今後の話をしようと話しかけた時があったろ?あん時お前様子が変だったから、気になってさ」

 

サヤカ「・・・・・・大した問題じゃないでs」

 

魔理沙「私でよければ相談に乗るぜ」

 

サヤカ「・・・ここで話す意味、ないと思います。元の世界でのことなので」

 

 

紅魔館の図書館でのことを思い返し、サヤカの表情が少し険しくなる。あれはあくまでも推測の域を出ないが、ありえない話でもないように思えたため恐怖を感じたのだ。神機使いもそうでない人間も、やがてアラガミによって滅ぼされる未来。アラガミを地球から排除出来ても、アラガミに依存しきった社会が適応しきれずに後の人類に破滅をもたらす未来。ならば今自分がしていることに意味があるのか。サヤカは心の片隅で心配し続けているのだ。出来ることなら話したい。しかしこれは元の世界での問題であって幻想郷の住人には関係のないこと。だから言っても意味はないだろうと、サヤカは黙秘を続ける。そんな中、にとりがお盆と少し小さめのやかんを持って部屋に入ってきた。

 

 

にとり「いや~、こないだ霊夢から貰った緑茶があるのをすっかり忘れてたよ」

 

魔理沙「おお、それがあるなら最初から出してくれよまったく~」

 

にとり「はいどうぞ」

 

 

にとりはサヤカと魔理沙の前に湯呑みを置き、彼女もソファーに座った後持っていたやかんと湯呑みをテーブルの上に置く。

 

 

サヤカ「・・・ありがとうございます」

 

魔理沙「ようやく口直しが出来るな」

 

 

緑茶を飲んでほっとする3人。一気に飲み干した後、にとりがサヤカに話しかけた。

 

 

にとり「ねえサヤカ、ちょっと気になったことがあるんだけどさ」

 

サヤカ「はい」

 

にとり「君がここに来てアラガミについて話してくれた時と、さっき君と神機の改良について話し合ってた時に思ったことがあるんだ」

 

サヤカ「・・・?」

 

 

にとり「・・・もしアラガミがいなくなったらさ、君らはどうするの?」

 

 

サヤカ「・・・!」

 

 

あまり考えたくないことを聞かれてしまった。サヤカはピクと反応する。

 

 

にとり「さっき、君の右手首につけてる腕輪、取れないって言ってたよね。それのおかげで自分の体がアラガミ化しないようにしてくれてるって」

 

魔理沙「へえ、お前のその腕輪、そういう役目があったのか」

 

サヤカ「・・・ええ」

 

にとり「定期的に偏喰因子を注射してオラクル細胞の暴走を防いでるって聞いて思ったんだけどさ、なんかおかしくない?」

 

サヤカ「・・・」

 

魔理沙「・・・?どういうことなんだ?」

 

にとり「サヤカ達神機使いはさ、アラガミを倒すために存在するワケでしょ?なのになんでアラガミの細胞を体に取り込まなきゃいけないのさ?」

 

サヤカ「・・・私も疑問に思ったことはあります」

 

にとり「腕輪で体をオラクル細胞に喰われないように制御して、定期的に注射して。・・・なんか、変なんだよね。・・・まるでアラガミを倒さなければならないはずが、アラガミなしじゃ生きてられないような体にしてるっていうか・・・そんな気がするんだよね」

 

 

サヤカ「・・・」

 

 

あまり考えたくない。なんでこうなったかなんて、自分だってわからない。サヤカは段々変な気持ちになっていく。

 

 

魔理沙「なるほど、確かにそりゃ変だな。てことはアラガミがいなくなったら、サヤカ達の世界の人間は・・・」

 

サヤカ「・・・誰も、生き残れない」

 

にとり・魔理沙「・・・!」

 

 

もうここまできたら話すしかないだろう。先程魔理沙が悩みを聞こうとしていたことからも。サヤカは魔理沙の方へ顔を向けながら口を開く。

 

 

サヤカ「魔理沙さん、さっき悩みがあったら話してくれって言いましたよね・・・今から言うのが私の悩みです」

 

 

考えたくない、嫌だという気持ちを胸の中でで押さえつけ、笑顔を作る。しかし殆ど隠せていない。悲しげに笑っている、そんな表情だ。

 

 

魔理沙「・・・何だ?」

 

サヤカ「紅魔館の図書館で話をした時、思ったんです。そういえば、ここまでアラガミを根絶しようと考えたのは初めてだなって」

 

魔理沙「・・・」

 

サヤカ「今から思い返すと、不思議に思ったんです。元の世界で私達はアラガミを討伐して、報酬を貰って・・・そんな生活にいつの間にか満足している自分がいることに気づいた時、人類はなんで本気でアラガミを根絶しようとしないのかなって」

 

にとり「・・・」

 

サヤカ「アラガミは倒しても霧散して別の場所で新たな固体になるって私言いましたっけ」

 

魔理沙「ああ」

 

にとり「うん」

 

サヤカ「神機を作れる技術があるなら、霧散したオラクル細胞をなんとかすることだって不可能じゃないと思うんです。でも大人達が言うには、地球上からオラクル細胞を排除することは不可能だと言うんですよ」

 

にとり「・・・」

 

サヤカ「そこで私、考えてみたんです。もし地球上からアラガミがいなくなったらどうなるかって」

 

魔理沙「ほう」

 

サヤカ「私達の住む世界には、自然が殆どありません。幻想郷(ここ)で例えるなら、今の3割弱と考えてくれればいいかと」

 

魔理沙「ええッ!?3割もないのかよ!?おいおい、それじゃ酸素が足りなくなって皆死んじまうぜ!?」

 

サヤカ「ええ、でも私達の住む地球の大気は保たれているんです。何故だかわかりますか・・・?」

 

にとり「・・・アラガミ、だね」

 

サヤカ「・・・その通りです。アラガミは捕喰したものの性質を受け継ぎます。そして植物を捕喰したアラガミが光合成してくれているおかげで大気が保たれてるワケなんです。・・・皮肉ですよね」

 

にとり「ふうん、だとするとそれがアラガミを根絶出来ない大きな理由っぽいね」

 

サヤカ「恐らく。それともう一つ、私達神機使いにも問題があります」

 

魔理沙「?」

 

サヤカ「仮にアラガミがいなくなったら、神機使いの命を繋ぐ偏喰因子の製造が出来なくなります」

 

魔理沙「・・・えっと、確か神機使いは偏喰因子ってのをを定期的に注射しないといけないんだったな?・・・はッ」

 

 

魔理沙は言葉を続けようとした時、ふとその先がわかったような気がして、はっと口の動きが止まる。

 

 

サヤカ「・・・もしそれが出来なくなったら、私を含め神機使いは皆、アラガミになってしまいます」

 

魔理沙「そんな・・・」

 

にとり「君が最後に注射したのはいつだい?」

 

サヤカ「幻想郷に迷い込む前日ですね。なので当分は大丈夫かと」

 

サヤカ「長々とした説明になってしまいましたが、私が今悩んでるのは、さっき言った2つの理由でアラガミの根絶が出来ないことから私達に未来があるのかってことなんです」

 

魔理沙「・・・?ちょっと意味がよくわからないぜ」

 

サヤカ「仮にアラガミを根絶出来ても、光合成するアラガミまでいなくなるから酸素が欠乏して生物が死滅してしまうこと、根絶することで偏食因子が作れなくなって神機使いがアラガミ化してしまうこと・・・。かといって放っておけば確実に人類は滅亡の一途を辿ってしまう。どの道アラガミが地球上に残って、私達は滅んでいく・・・そう思うと、今私がしようとしてることに意味があるのかなって・・・」

 

魔理沙「・・・」

 

サヤカ「私・・・怖いんです」

 

 

サヤカの表情はより悲しみの色が強くなり、腕を抱え込む。魔理沙は励ましの言葉をかけようとするが、言葉が見つからず黙り込んでしまう。するとにとりは少し考え込んだ後、口を開いた。

 

 

にとり「いいやサヤカ、決して無駄なんかじゃないよ。君は間違ってない」

 

サヤカ「え・・・?」

 

 

サヤカは顔を上げ、にとりの方へ顔を向ける。にとりは立ち上がって力強くサヤカを見つめている。

 

 

にとり「少なくとも君が今やっていることは幻想郷では無駄にはならない。まだここは君のいた世界と違って自然豊かだ。今ならアラガミをやっつけることに躊躇しなくたっていいんじゃないのかい?」

 

サヤカ「あ・・・」

 

にとり「それに、ない技術はこれから作ればいいじゃないか。必要なら、私も手伝ってあげるよ」

 

サヤカ「そんなことしてくれて、いいんですか・・・?」

 

にとり「君は私の盟友なんだ!君が幻想郷(ここ)の住人じゃなくても私は・・・・いや、私達は、君達に不幸になってほしくないんだ」

 

サヤカ「にとりさん・・・」

 

魔理沙「お前が帰った後でも私達は「元の世界に帰ったからその後のことなんて知ーらない」なんて思わないぜ」

 

サヤカ「でも・・・」

 

魔理沙「「なんでそんなに優しくしてくれるのか」ってか?」

 

 

魔理沙はサヤカの目の前に移動し、目線に合わせてしゃがみ、優しく語りかける。

 

 

 

サヤカ「一人でくよくよ考え込むなんてつまんないことは諦めろ。ここは幻想郷だぜ?」

 

 

 

サヤカ「・・・」

 

 

聞き慣れた言葉のはずなのに、何故か目頭が熱くなる。サヤカは溢れ出る感情を必死に押さえていた。しかしそれも魔理沙にはお見通しだったようだ。サヤカの頭に手を置き、くしゃくしゃと動かす。

 

 

魔理沙「くどいようだが、幻想郷(ここ)は全てを受け入れる場所。お前が今我慢している気持ちだって、ありのままに出しちまったっていいんだ」

 

サヤカ「・・・う」

 

にとり「それに、今回の異変は君だけの問題じゃない。私達も全力で解決に向けて努力するつもりだし、君の手助けだってするよ」

 

 

サヤカは遂に押さえていた感情が漏れ出し、小さく泣き声を上げ始めるサヤカ。魔理沙はサヤカの頭を撫で続ける。

 

 

魔理沙「私達はいつだってお前の味方だぜ」

 

サヤカ「・・・はい」

 

にとり「・・・涙が枯れた後でもいい、気持ちが落ち着いたら改良を始めようか。じゃ、私は先に作業場に戻ってもう少し君の神機を詳しく調べてみるよ。あとあの弾もね」

 

 

にとりはそう言い残して部屋を後にした。サヤカは涙を拭い、魔理沙へ向きなおす。

 

 

サヤカ「・・・ごめんなさい、ネガティブになってしまって。今は泣いてる場合じゃありませんよね」

 

 

あまりにも泣き止むのが早いため、魔理沙はまだ無理をしているのかと心配する。

 

 

魔理沙「確かにその通りだが、・・・もう大丈夫なのか?心のケアだって時には必要だぜ」

 

サヤカ「もう大丈夫ですよ。幻想郷(ここ)に迷い込む前も、苦しくて泣いたことは沢山あったのでもう慣れっこです」

 

魔理沙「・・・じゃあ最後にもう一杯だけ飲んでいくか」

 

 

魔理沙はテーブルに置いてあるやかんを持ち、サヤカの湯呑みに緑茶を注ぐ。心遣いに感謝しながらサヤカはネガティブな考えを振り払うように一気に飲み干した。

 

 

サヤカ「ふう、では行きましょう」

 

魔理沙「おう」

 

 

どんな辛い未来が想定される事態にあっても、決してやる前から諦めない。サヤカはこの時心に決めた。自分が想像した未来とは違う、皆が笑って暮らせる世界を守ってやるんだと堅く、堅く決心した。

 




弟「なあクソ兄貴」

作「?」

弟「サヤカが能力持ちになるのはいつだ?」

作「もうすぐかな、まだ詳しくは考えてない」

弟「レイジがもう2つも持ってるからさ、そろそろヤツにも能力覚醒とかあってもいいんじゃねーかと思ってな」

作「キラキラバシューン!」

弟「おいやめろ、俺は種死アンチなんだ」


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Mission 21 氷皇炎舞

皆さんおはこんばちは。wingです。ここ数年泳ぎに行ってないなぁ・・・


~レイジside~

 

 

ひとまずレイジは居間に戻ることにした。未だにレンの言葉が突き刺さったまま抜けないような気分のままだが。居間に戻るとフランと幽々子が楽しそうに談笑しており、さながら親子のようである。・・・そういえば自己紹介をするのを忘れていた。フランはもう自分の名前を教えたのだろうか。

 

 

フラン「おかえり、トイレ行ってたの?」

 

レイジ「・・・」

 

幽々子「?・・・レイジ君なんか暗い顔してるけど?」

 

 

それを聞いた時はっとしていつもの表情を作ろうとする。とはいっても明るいとはいえないものだ。

 

 

アーティ「無理してるのバレバレよあんた」

 

 

やはりこういう時の無理な演技はバレやすいようだ。軽く溜息を吐く。それを見てフランはとんでもないことを言いだした。

 

 

フラン「そうだレイジ、弾幕ごっこしよ!」

 

アーティ「なん・・・だと・・・」

 

レイジ「・・・」

 

幽々子「あらあら、突然どうしたの?」

 

フラン「なんかレイジ元気ないもん、弾幕ごっこしたら元気になるかなと思って」

 

幽々子「う~ん」

 

 

幽々子は少しの間考え込んだ様子を見せるが、いい考えが浮かばなかったのか適当に流した。

 

 

幽々子「ま、いいんじゃない?」

 

妖夢「本当に大丈夫なんでしょうか・・・。人間と吸血鬼とではちょっと無理があるのでは?」

 

幽々子「きっと大丈夫よ、主人公補正があるから」

 

妖夢「あの、メタ発言はお控え頂きますよう・・・」

 

フラン「じゃ、表出よっか♪」

 

 

そう言いながらレイジの手を引っ張るフラン。どうしてこうなるのか不思議で仕方がない。出来ればこれからの予定を考えておきたいのだが・・・

 

 

アーティ「ま、息抜きだと思ってテキトーに付き合ってやんなさい」

 

フラン「そういえばレイジの弾幕、まだ見たことないなぁ。見せてよ」

 

 

無茶振り過ぎる。バレットはサヤカに渡してしまっており手元にあるのは殆ど無いはずだ。何かあるだろうかと思ってとりあえずバレットを入れるポーチを漁っていると、幻想郷内で神機で捕喰したアラガミ、弾幕から構成されたアラガミバレットがあった。それを見て一瞬レイジは凍りつく。するとアーティがレイジの傍に来てバレットを覗き込む。

 

 

アーティ「?どした・・・oh」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ「・・・うn、それはやめといた方がいい」

 

フラン「どうしたの?」

 

 

声を掛けられたのでそちらへ向くと、もうすでにスペルカードを手に今か今かと待ち侘びているフランがいた。しかもさっき見たような形と色だ。嫌な予感がする。

 

 

フラン「よっちゃんには当たらなかったけど、レイジならどうかなぁ?」

 

 

あからさまに不敵な笑みを浮かべる。

 

 

フラン「夢幻「幻月」!」

 

アーティ「/(^o^)\」

 

レイジ「・・・( _ |||)」

 

 

レイジの嫌な予感は完璧なほどに的中、あの高速の弾幕が一気に襲い掛かってきた。今はこんなことで無駄に体力を消費している場合ではないというのに。とりあえず先にフランをどう止めるか考えてから、今後どうするか考えておくことにした。そんな中、レンがトイレから戻ってこようとしていた。

 

 

レン「ただいm」

 

アーティ「ちょ!なんてタイm」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチューン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティ「ああっ!レン!」

 

レン「ッ・・・いきなり何ですか・・・!?」

 

アーティ「フランがレイジにまぁた弾幕ごっこ仕掛けたのよ!」

 

レン「・・・見るからに激しいですね」

 

アーティ「あんな暴風域の中よく避けていられるわねあいつ・・・」

 

レン「でもすごい必死そうです、余裕はないでしょうね」

 

 

夢幻「幻月」は膨大な密度かつ高速の弾幕を展開する、フランのスペルカードの中で最強のスペル。安全地帯などは当然なく、また安定した避け方が出来ない構成となっているため一切気を抜けない。するつもりがなくてもちょん避け状態になり、見てる側も危なっかしく思えてしまう。フランがその場から動いていないのが唯一の救いか。

 

 

幽々子「あらあらあら」

 

妖夢「すごく心配になってきました・・・」

 

フラン「もう少しッもう少しッ・・・!」

 

レイジ「・・・ッ・・・!」

 

アーティ「このままじゃジリ貧ね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豊姫「~~~・・・わかった?」

 

依姫「はい、肝に銘じておきます・・・」

 

豊姫「さてと、・・・あ、結構時間が経っちゃったわね、幽々子さんを待たせてしまったわ」

 

依姫「(疲れた・・・)」

 

 

綿月姉妹は居間に向かおうと足を進める。その途中、二人の視界に何かが高速で飛んでいく光景が入ってきた。何だろうと思って向かってみると、

 

 

豊姫「Σ(゜д゜)」

 

依姫「なっ・・・これはどういう・・・!?」

 

 

まさかこんなことになっているとは思うはずはないだろう。二人はどう反応に困っている。

 

 

幽々子「遅かったわね~、こっちは中々面白いことになってるわよ~」

 

豊姫「あの、状況の説明を・・・」

 

幽々子「それがなんとカクカクシカジカ」

 

豊姫「え、カクカクシカジカ・・・!?彼、大丈夫かしら・・・」

 

依姫「大丈夫でしょう、彼は私を一度負かしていますので」

 

豊姫「なにそれすごい」

 

 

心配する豊姫に問題ないと口を挟む依姫。幽々子はそれを聞いて驚いた表情を見せる。

 

 

幽々子「あら、よっちゃんってすごく強いはずよね?てかあの子達がここに来る前にレイジ君とやりあったの?」

 

依姫「ええ。自分も弱くはないと自負しているのですが、彼の戦い方、特に避け方はとても不思議なものでした。いくら攻撃しても当たりそうで当たらない・・・今思い返しても不思議な感じです」

 

 

一方レイジはというと、慣れてきたためかさっきよりは余裕を持てるようになっていた。このままいけばフランの方から諦めてくれるかもしれない。

 

 

フラン「ねーレイジー、当たってよー」

 

アーティ「当たれと言われて当たるヤツがいるかっての」

 

レン「あれ、一発だけでも意外と痛いですよ」

 

レイジ「・・・」

 

 

確かに弾幕は当たると意外にもダメージが大きい。以前こいしの弾幕を受けたことがあるのでレンの言うことが無駄によく理解出来る。比較的穏便な戦闘手段とはいえ、弾幕の威力は使い手の力の影響を受けているのかもしれない。

 

 

フラン「そっか、弾幕が当たらないのは私が動いてないからだ!よーし」

 

 

するとフランは弾幕はそのまま、自ら移動して弾幕の飛ぶパターンを乱す。しかしこの時にはレイジはほぼ完全に慣れていたので容易に対処できた。・・・それでもたまに被弾しそうになるが。

 

 

依姫「・・・彼はもうパターンを掴みきったようですね」

 

幽々子「そうみたいね、表情に余裕が出てる」

 

 

フラン「うー少しは当たってよー、このままだと読者から「gdgd引っ張りすぎ巻きで」とか言われちゃうよー」

 

アーティ「おまえは何を言っているんだ」

 

 

言っていることが何なのかわからないが、確かにこのままのでは埒が開かない。ならばそろそろ終わらせようと、レイジは弾幕を避けつつフランの元へ走り出した。

 

 

フラン「ウフフ、弾幕を撃てないなら近接戦しかないよね。いいよ、乗ってあげる。私もそろそろ飽きてきた頃だし!」

 

 

フランは弾幕を消しレーヴァテインを出す。対してレイジは神機を使わずに相手をしようとしているようだ。

 

 

妖夢「え、無手で・・・?」

 

フラン「ステンバーイ、ステンバーイ・・・」

 

 

レイジは依然走り続け、フランはレーヴァテインを構えてレイジの接近を待つ。二人の間合いが詰まってきたその時、

 

 

依姫「ん・・・あっ2人とも、危ない!」

 

フラン「え?」

 

レイジ「!」

 

 

依姫が突然叫び、2人は動きを止める。空から何かが落ちてくるような音がする。音の大きさからもうすぐ傍にいるかもしれない。レイジは空を見る前にフランを抱えて回避行動を取った。レイジの後ろでズーンと大きな音が響く。

 

 

フラン「わっ!?」

 

幽々子「あらあらあら」

 

アーティ「チッ、またアラガミか・・・」

 

レン「気をつけてください!またアンノウンです!」

 

 

レイジとフランが起き上がって振り返ると、明らかにアラガミと思われる怪物がそこにいた。全体的に青色、背中の突起から霧状の何かを吹き出している。ブースターの役割を持っているのだろうか。骨格がハンニバルに似ており、冷徹さと荒々しさを合わせ持っている。そのアラガミの名はカリギュラ。「氷の皇帝」の二つ名を持つアラガミだ。カリギュラは咆哮を上げてレイジとフランへに突進する。2人は左右に別れるようにして避けた。

 

 

アーティ「・・・ん、どっからか変な気配がするわね」

 

依姫「お姉様、裏手からも妙な気配がします」

 

豊姫「な、何が、どうなっているの?」

 

依姫「私にもわかりませんが、恐らくレイジ君が先程話していた「アラガミ」という怪物なのでしょう」

 

幽々子「うーん、・・・じゃ、こうしましょ」

 

 

二人の会話を聞いていた幽々子はしばし考え、思いついたことを話し始めた。

 

 

幽々子「レイジ君、フランちゃん、裏手の方からも攻め込まれてるみたいなの。私達はそっちへ行って相手してくるわ。悪いけどあなた達はそいつをお願いするわね」

 

フラン「うん、任せといて!」

 

 

そう言うと幽々子、妖夢、綿月姉妹は裏手の方へ向かった。アーティ達も彼女達の援護のために裏手に行くことにし、戦闘中のレイジに声を掛ける。

 

 

アーティ「ならあたし達も裏手に行くわ。レン、あんたも来なさい」

 

レン「ええ。レイジさん、二人だけになりますがいけますか?」

 

レイジ「(コク)」

 

アーティ「なるべくこっちもケガ人出さないようにやってみるから、やられんじゃないわよ!」

 

レン「もしそちらが先に討伐を終えたらこちらに合流を!」

 

レイジ「(コク)」

 

 

これでこの場に残ったのはフラン、レイジ、そしてカリギュラ。それぞれの視線がぶつかり合う。

 

 

フラン「こいつは中々面白そうだね~」

 

「グオオオオ!」

 

 

カリギュラはフランに向かって突進し、パンチをしようと腕を振るう。殴るために腕を振ったなら容易にかわせる。しかしカリギュラのパンチは殴るためのものではなかった。

 

 

ジャキンッ!

 

 

フラン「!?」

 

 

フランはパンチを容易にかわしたが、直後にカリギュラの手首から巨大なブレードが現れたのだ。予想もつかない攻撃に、咄嗟にフランはレーヴァテインを出して防ぐ。

 

 

フラン「くッ!・・・よっと。あ~びっくりした~」

 

 

仕込み刀のようなものなのだろうか。外観からはまったくといっていいほどわからなかったため、驚きを隠せない二人。しかしあまりボヤボヤしている場合ではない。裏手ではレンとアーティが幽々子達を守るようにして戦っているだろう。早めに終わらせようとレイジは神機を手にし、カリギュラに向かって走り出す。

 

 

「グルゥアア!」

 

 

今度はおもむろに両手首からブレードを展開し、切り刻もうと腕を振るい始める。レイジは刃の乱舞をかわしながらカリギュラの懐に潜り、胸部を一突きしようと神機を突き出す。するとカリギュラの背中の方から「バシュッ」という音がした後、彼の視界から突然姿が消えてしまった。恐らく背中のブースターのような器官を使って飛んだのだろう。攻撃が空振りし、どこへ行ったのか探そうと辺りを見回す。

 

 

フラン「レイジ上ッ!」

 

レイジ「!」

 

 

フランの声を聞いて反射運動のように上を向くと、もうすでにこちらに向かって垂直落下しているカリギュラの姿が目に入った。回避行動に移るのに十分な間隔が空いているが、ここはあえてカウンターを狙うことにした。レイジはゆっくりと構え、フランはレイジを助けようとスペルカードを使おうとするが、間合いを考えると間に合わない。お互いの距離があと3、4メートルくらいになった時、レイジは真上にジャンプ、カリギュラは手首からブレードを出して横薙ぎに腕を振るう。

 

 

フラン「あっ危ない!」

 

 

こう言うのも無理はない。攻撃が来ている中であえて飛び込んでいるのだから誰でも危ないと思うだろう。レイジも少々強引な手だとは思っている。しかしいつ倒せるかわからないので、それならば早めにケリを付けてアーティ達の加勢に回りたい。攻撃が目の前に来た時、レイジは体を捻るようにして回転、ブレードを紙一重でかわす。空振りしたカリギュラの腕を踏み台にもう一度ジャンプ、カリギュラの背中を捉えた。狙いは背中のブースターのような器官。これを潰せば空に逃げられることもなくなり、機動力もガタ落ちするだろう。すかさず神機を振り抜く。カリギュラはなんとか避けようとするが間に合わず、ブースターに直撃、大きな破裂音と共に砕かれた。

 

 

フラン「おおっすごーい☆」

 

 

カリギュラは悲鳴を上げて地面に激突。いい感じにダメージを与えたが、まだ致命傷ではないだろう。止めを刺そうとレイジは落下しつつ神機を突き出す。

 

 

「グァアッ!」

 

 

これ以上食らうものかと言わんばかりにカリギュラはバックステップで攻撃をかわし、レイジの急降下突きは地面に突き刺さる。流石に簡単にやられてはくれないようだ。

 

 

フラン「やるじゃんレイジ、さ、パパッと終わらせちゃおうよ」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「よーし、禁忌「クランベリートラップ」!」

 

 

フランがスペルカードを使用、するとカリギュラの周囲に魔方陣のようなものが現れ、そこから弾幕が展開された。カリギュラは手首のブレードを振り回して弾幕を切り刻む。

 

 

フラン「あ、気を取られてるみたい。レイジ、出番だよ!」

 

 

弾幕を捌こうと躍起になっているようだ。攻撃するなら今がチャンス。レイジは弾幕に巻き込まれないよう注意しながらカリギュラの懐に潜り、神機を捕食形態にして腕を喰らおうとする。しかし相手が周囲を薙ぎ払うようにブレードを振り回しており、狙いが定まりにくい。捕喰攻撃が外れてしまい、しかもブレードが腹をかすめていった。

 

 

レイジ「ッ」

 

 

幸い服をかすめた程度で済み、安堵する。カリギュラはレイジを捕捉し攻撃しようとするが、そうするとフランの「クランベリートラップ」が全身に命中してしまう。かなり鬱陶しそうだ。

 

 

「グオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 

あまりに鬱陶しかったのか、咆哮を上げるカリギュラ。怒りで活性化したようだ。すぐさまカリギュラは大きく息を吸った後、何かを吐き出してきた。見る限りでは冷気のブレス。食らったらまず氷漬けだろう。サッと後ろに下がってそれをかわす。その後もカリギュラは周囲に向かってブレス攻撃をした。何をしているのかと気になったが、すぐに理解することになる。

 

 

フラン「あれ、弾幕が出なくなっちゃった」

 

 

カリギュラの周囲を見てみると、魔方陣が凍り付いている。やがて魔方陣はパキンと割れてしまった。

 

 

フラン「・・・スペルブレイクされちゃった。でもまだスペカはあるもんね!禁忌「レーヴァテイン」!」

 

 

今度はフランも前線に出て戦い始めた。近接戦は遠距離より危険が伴う。フランの安全を考えあまり前線に出したくはないが、本人が言うことを聞いてくれない。

 

 

フラン「やっぱ近接戦は楽しいね!・・・え、危ないから下がれって?やだね!こーんなに楽しいんだもん!」

 

レイジ「・・・」

 

 

しかし、フランが前線に出てから戦況が良くなってきている。カリギュラの額を割り、尻尾を切断したりと(ゲームでは出来ません)、どんどん圧倒している。

 

 

「グウウアアアッ!」

 

 

苦し紛れにブレードでレイジに攻撃してきた。レイジは避けずに神機を捕喰形態に変えてブレードを喰らい折り、バースト。カリギュラは痛みで怯む。

 

 

フラン「おおっカウンター!カッコいい!私もやってみよ!」

 

 

カウンターは真似して出来るほど簡単ではない。やめるように言うが・・・

 

 

フラン「やだね!あんなに面白そうなの見せられて黙ってられないよ!」

 

レイジ「・・・」

 

 

レミリアの気持ちが少しわかるような気がする。そう思っている間にも、カリギュラはもう片方のブレードでレイジに攻撃してきていた。

 

 

レイジ「・・・!」

 

フラン「それっもーらい!」

 

 

ドカーン!

 

 

突然、レイジを攻撃しようとしたカリギュラのブレードが爆発。「きゅっとしてドカーン」をしたようだ。これで両腕のブレードが破壊された。

 

 

フラン「どお?私だってやれば出来るんだからね!(ドヤッ)」

 

レイジ「・・・」

 

 

呆れて物も言えないが、おかげで相手の攻撃範囲を大幅に減らせたのも事実。まだ敵は倒れそうには見えないが、そろそろ止めを刺しておきたい。レイジは力強く踏み出して走り出す。カリギュラもやられるものかと氷の槍を作り出し、構える。

 

 

フラン「いい加減倒れてほしいよ」

 

「グオオオオオオ!」

 

 

カリギュラは低めにジャンプした後、貫こうとすべくこちらに突進してきた。かなりのスピードだ、斜め前に避けつつ反撃するのが望ましいだろう。攻撃を引きつけてから、一気にかわし、斬り抜けるようにして神機を振る。

 

 

レイジ「!」

 

 

しかし振っている時に気が付いた。反撃するにはリーチが若干足りない。

 

 

ズバァッ!!

 

 

レイジ「・・・?」

 

 

見当違いだったのだろうか。驚くほどクリーンヒットした手応えを感じた。カリギュラの体は上下真っ二つに別れ、血しぶきを上げて崩れ落ちる。

 

 

フラン「わ~☆レイジそれ何~?」

 

 

フランが神機を指さして喜んだ表情をしている。何なのかと思いレイジも神機を見てみる。すると刀身の先から、仕込み刀のような刃がその姿を覗かせている。普段の3倍ほどリーチが伸びており、折り畳み式、おまけに見た目も悪くない。(ちなみにこの時レイジの神機の刀身は「神斬りクレイモア 真」)

 

 

フラン「避けながらそれで攻撃したの見てびっくりしちゃったよ~」

 

 

恐らくブレードを捕喰した時に能力を写し取ったのだろう。幻想郷(ここ)に迷い込んでから発現した自らの能力によって。

 

 

フラン「あっそうだ、裏手で皆がまだ戦ってるんだった!早く行こ!」

 

レイジ「(コク)」

 

 

神機を捕喰形態にしてコアを回収し、裏手へ向かう。刀身から更に伸びる刃の戻し方がわからないので神機を肩に担いで移動した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティ「ふい~」

 

レン「なんとか終わりましたね・・・」

 

 

一方、アーティ達もレイジ達がカリギュラを倒し終わるのとほぼ同時に討伐を終えていた。裏手の方ではカリギュラがもう1体、さらに小型のアラガミもいたようだ。

 

 

アーティ「まさか表にいたアイツと同じヤツがもう1体いたとはね」

 

レン「しかも小型のアラガミの群れも一緒に・・・。今回は流石に疲れました」

 

幽々子「・・・終わったのかしら」

 

依姫「ええ、これで全部のようです」

 

妖夢「ふう・・・死ぬかと思いました・・・」

 

アーティ「フン、全くよ。こいつら守りながら戦うのはもうこりごり」

 

レン「まあまあ・・・」

 

 

うんざりした表情で愚痴をこぼすアーティ。そこにレイジとフランがやってきた。

 

 

フラン「あれ、そっちの方が数多かったんだ」

 

幽々子「ええ、おかげで手間取っちゃったわ。そっちはどう?」

 

フラン「こっちも無事に終わったよ。私とレイジの華麗な連携プレーを見せたかったな~」

 

アーティ「そんなに絶好調だったらもっと早く来れるでしょ・・・って、それ何!?」

 

幽々子「あらレイジ君、それは?」

 

 

レイジの神機を見て驚いている。それもそのはず、刀身が驚くほど長くなっているのだから。とりあえず理由を説明する。

 

 

アーティ「・・・あいつのブレードみたいなの喰らったらこうなってたァ?」

 

レン「レイジさん、どんどんパワーアップしていきますね・・・」

 

幽々子「相手の技を取り込めるなんて、面白い武器ね」

 

 

とはいえ、戻し方がわからない。紅魔館の時のように、念じたらなんとかなるだろうか。

 

 

――――カシン、ガシャガシャ、カチン。

 

 

フラン「あ、戻った」

 

幽々子「まあそのままじゃかさばって邪魔くさいからね~」

 

 

「さぁ、お茶でも飲もう」な感じの雰囲気になったのも束の間、依姫が突然声を張り上げて呼び止める。

 

 

依姫「・・・!皆さん、まだ終わっていません!奴はまだ倒れていない!」

 

豊姫「え?何を言って」

 

 

 

 

「グウウウウウウ・・・」

 

 

 

妖夢「・・・ええっ!?」

 

幽々子「あらあら、こっちはもう疲れてるというのに」

 

豊姫「そのようには見えませんが?」

 

幽々子「一々気にしないの」

 

アーティ「・・・チッ、往生際の悪いヤツね」

 

レン「動けなくなる程のダメージをはずですがね・・・」

 

フラン「まだ遊び足りないのかな?いいよ、遊んであげる」

 

レイジ「・・・」

 

 

全員が再び戦闘態勢に入り、再び動き出したカリギュラの様子を窺う。

 

 

「オオオオオオオ!!」

 

 

雄叫びを上げ、氷の槍を作り出す。最後の抵抗ということか。

 

 

レン「――――来ます!」

 

レイジ「・・・!」

 

 

 

その時。別の方向から何かが突然飛び出してきた。

 

 

「ゴアアアアアアアア!!」

 

 

!?

 

 

カリギュラを含めその場にいた全員が咆哮がした場所に視線を向ける。このとき”それ”は跳躍しているところだったので詳しい姿はわからない。しかし見たことがあるような気もした。”それ”は紫色に燃える槍を持っていて、カリギュラに狙いを定めているようだ。カリギュラも氷の槍で攻撃する。

 

 

ガッ!シュウウウウウウウ・・・!

 

 

相反する属性の攻撃がぶつかり合い、蒸気が激しく立ち上り双方の槍が消滅する。蒸気のせいでカリギュラと乱入者の姿が見えない。

 

 

アーティ「珍しいこともあるのね、アラガミの方から片づけるなんて」

 

レン「・・・」

 

 

バキッッ!!

 

 

蒸気で視界が晴れない間に、何かを殴りつける音が響く。その後蒸気の中からカリギュラがすごい勢いで吹き飛ばされ塀に叩き付けられるのが見えた。カリギュラは倒れ込み、ピクリとも動かない。

 

 

フラン「わぉ」

 

 

ようやく視界が晴れ、突如やってきた乱入者の姿が明らかになる。すると現れたのは・・・

 

 

レイジ「・・・!」

 

アーティ「ハンニバル・・・?」

 

 

レイジ達の視界に入ったのはハンニバルだった。どおりで見たことがあると思ったワケだ。しかしハンニバルとは正反対の体色をしており、全体的に黒い。黒いハンニバルはカリギュラをしばし眺めた後、こちらに顔を向ける。

 

 

レイジ「・・・」

 

「グルル・・・」

 

 

しかし不思議なことに、威圧感を殆ど感じない。黒いハンニバルから漂う雰囲気が、自分の知る誰かに似ているような気すらした。すると途端に黒いハンニバルは篭手のある右腕でパンチをしてきた。ハンニバルの射程内にいたアーティ、レンはそれぞれ違う避け方で避ける。レンはバックステップ、アーティはしゃがんでかわした。

 

 

アーティ「ッつ・・・」

 

 

アラガミとの戦いでどこか負傷したのだろうか、外見からは見当たらないが、アーティが片足を押さえている。しかしハンニバルは待ってくれるはずもなく空振った腕をもう一度振り裏拳攻撃。

 

 

レン「あっ危ない!」

 

アーティ「チッ・・・うごッ!!」

 

 

アーティはなんとか避けようとするが足の痛みのせいで思うように動かず、裏拳が直撃してしまった。10メートル程吹き飛んでしまったが地面に着いた時に受け身を取って体勢を立て直した。ズザザーッと滑り止まったところでレンが無時を確認しに向かう。

 

 

レン「大丈夫ですか!?」

 

アーティ「このくらい大丈夫よ・・・」

 

 

そう言いつつペッと血反吐を吐く。あの様子ではアーティはあまり無理をさせてはいけないだろう。

 

 

レン「一旦離れましょう、レイジさん、すみませんがこの場はお任せします」

 

 

黒いハンニバルはレンが喋っている間に飛び上がって幽々子達のいる方に落下しながら殴り掛かろうとしている。レイジは急いで幽々子達のいる所へ走り、バラバラになるように退避するよう伝え、自分は待ち構えて装甲を展開する。

 

それを聞いた全員がそれぞれバラバラな方向に回避する。レイジは避けずに装甲を展開したまま待ち構えている。これで少しでも気を引いておきたい。

 

 

「グルオオッ!」

 

 

ガッッ!!

 

 

レイジ「ッ・・・。!?」

 

 

ハンニバルのパンチを受け止めたと思った瞬間、突然視界が歪みだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ここは、どこだ・・・――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――俺は・・・・・・何だ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――神機・・・どこやったっけ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――エイジス――――そうだ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――エイジスはどっちだ――――

 

 

 

 

 

 

 

―――ああ・・・。俺、死んだのか・・・?―――

 

 

 

 

誰かの視点での映像のようだ。とはいっても声ですぐにリンドウのものだとわかった。どうやら鎮魂の廃寺付近を彷徨っているらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ああ・・・眠いな――――

 

 

 

 

 

 

すると目の前が点滅し始め、視界が不明瞭になる。今のリンドウはかなり危険な状態だ。思考がまともに働いていない。息が荒く、アラガミ化した右腕を押さえてヨロヨロとした足取りだ。侵喰も進行しているはず。

 

視界の点滅が終わると、辺りが木で一杯の場所にいた。森の中にいるようだ。リンドウはボーっとしたまま歩き続ける。しかしここで妙な光景が目に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なのあいつ!弾幕が効かないし凍らせようとしてもすぐ割られちゃうよ!」

 

「あんなの見たことない・・・!これって異変!?」

 

「そうかもしれないけど知らないよ!あいつどうすんのさ!?」

 

「今は・・・逃げるしか・・・」

 

「そんなのやだッ!あたいは最強なのに、最強のあたいが、こんな怪物なんかに~!」

 

 

「・・・?」

 

 

 

 

・・・妖精がいる。しかもチルノと大妖精だ。プリティヴィ・マータに追いかけられているらしい。逃げ回っているが、やがて回り込まれてしまい、絶体絶命のピンチに。それを見てリンドウは無意識の内にプリティヴィ・マータに向かって足を進めていた。

 

 

「うう~~、このままじゃやられちゃうよ!」

 

「ち、チルノちゃん、あ、あっちから何か来る・・・」

 

「え・・・?」

 

 

大妖精がリンドウの存在に気づき、視線を向ける。新手かと思っているようだ。リンドウは始め歩いて接近していたが段々速度が上がり、やがては走り出し、侵喰された腕が変形し剣の形になる。

 

 

「ひっ・・・!」

 

「うぉぉおおおおおおお!!」

 

 

声を張り上げ、斬りかかるリンドウ。二人はもうダメだと思い込み、咄嗟に目を瞑る。

 

 

 

ズバアッ!!

 

 

「グアアアアアアアアアアアア!?」

 

 

 

しかし斬られたのはプリティヴィ・マータだった。顔を割られ、悲鳴を上げた後力なく崩れ落ちる。

 

 

「・・・あれ?」

 

「助けてくれた・・・?」

 

「ッ・・・フウッ・・・ハァ・・・」

 

 

アラガミを倒したリンドウは剣形態になっている腕を元に戻し、苦しそうに再び歩き出す。

 

 

 

 

 

 

――――アラガミ・・・か?――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの、助けてくれて、ありがとう・・・」

 

 

リンドウは無視して歩き続ける。

 

 

「ちょっとアンタ!一体誰なの?見かけない格好だけど?」

 

 

 

 

 

 

 

 

――――誰だ、俺を呼ぶのは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、聞いてるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――くらくらするな――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとリンドウは突然苦しみだした。

 

 

「うぅ・・・ぐ・・・」

 

「え・・・!?」

 

 

突然の事態に困惑するチルノと大妖精。しばし経った後、落ち着いたかと思うとリンドウは上半身をだらりと脱力。その後突然咆哮を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐぉおッお・・・・・うわああああああああああああああッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

視界が暗転し、やがて晴れると、塀が目の前に現れた。しかし妙に視点が高い位置にある。地面が少し遠くに感じる。リンドウ自身も気になったのか、チラと自分の体を見た。するとリンドウの体は完全に黒いハンニバルへと変貌していた。しかしリンドウは何故か気になっていない様子。アラガミ化で思考の一部が狂ってしまっているのだろうか。

黒いハンニバル(リンドウ)は塀を超えると、カリギュラと幽々子達を発見。途端にリンドウは自分でもわからない衝動に駆られる。

 

 

 

 

 

 

 

――――アラガミかあああああ!!  よくも仲間を!うおおおおおっ!――――

 

 

 

 

ここからは完全に我を忘れているようにも思えた。無意識の内に紫色に燃える槍を作り出し、カリギュラに突進。衝突する氷と炎の槍。立ち込める蒸気。

 

 

 

 

 

 

 

――――他のヤツらは何やってる!?・・・ちっ、浅いか!――――

 

 

 

 

カリギュラは目の前が蒸気で遮られ動きが止まっている。黒いハンニバル(リンドウ)にはカリギュラの姿が見えているのか、この隙を逃さず拳を握りしめて思い切り振りかぶる。

 

 

 

 

 

――――くたばれえええええ!!――――

 

 

 

バキッッ!!

 

 

 

生々しい音と共にカリギュラは吹き飛ばされ、塀に叩き付けられる。その後倒れ込み、動かなくなったのを確認する。

 

 

 

 

 

―――お前らさえいなければ・・・どこだ・・・全員無事か・・・うッ!?―――

 

 

 

 

 

 

 

蒸気が晴れ、視界に幽々子達が入ってくる。無事を確認しほっとするのも束の間、体が勝手に動き出した。

 

 

 

 

――――うあッ、何なんだ・・・。 やめろ――――避けろ!!――――

 

 

 

自分の体が勝手にアーティ、レンを攻撃しようとしている。右腕がもうすでに殴り掛かろうと振りかぶっており、止めようとするも中々止まらない。逃げるよう叫ぶが相手には聞こえていない。

 

 

 

 

 

――――避けてくれ!!頼む!!――――

 

 

 

 

リンドウの望み通り、なんとかパンチを避けてくれた。しかし奥から誰かがこちらに向かってくるのが見えた。こっちに来るなと言おうとするが、その途端に体の制御が効かなくなり裏拳をしてしまい、アーティを吹き飛ばす。更に自身の体は空に飛び上がり落下しながら攻撃しようとしている。

 

 

 

 

 

 

――――うろちょろしてんじゃねえ誰だ!!――――

 

 

 

 

その”うろちょろしているヤツ”を見ると、それはレイジだった。

 

 

 

 

 

――――ッ、新入りか!?うおおおおおお止まれえええええええ!!――――

 

 

 

 

どうにかして暴走する体を制止させようとするがそうもいかず。結果的にパンチをしてしまう。レイジが攻撃を受け止めてくれたのが幸いか。

 

と、ここで視界がまた暗転。気が付くと目の前で拳を装甲にぶつけたまま動かないハンニバルの姿が。どうやら記憶の再生が終了したらしい。

 

 

 

「グルルッ」

 

 

 

黒いハンニバルは腕を戻し、しばらくレイジを見続けた後、振り返り、塀を上ってどこかへ去っていった。

 

 

妖夢「すごい・・・防御しただけで追い払った・・・」

 

 

事態にようやく収拾がついたと安堵する一同。しかしレイジはその気分になれなかった。

 

 

レイジ「・・・・・・」

 

 

さっきまで見ていた記憶で確信したことがある。まずリンドウはアラガミ化して黒いハンニバルになってしまったこと。そして彼が何らかの原因で幻想郷に迷い込んでしまったこと、この2つだ。

 

何故アラガミ化が進行してあんな変わり果てた姿になってしまったのか。

・・・恐らくサカキ博士が依頼したミッションでシオを捕獲した時のことを考えると辻褄が合うかもしれない。あの出来事が起こる前まで、恐らくシオはリンドウを保護した後鎮魂の廃寺付近に定住、”ゴハン”の時間に外出する時を除きずっとリンドウの傍に居ただろう。レンと感応現象が起きた時、リンドウの意識が戻るまでずっと傍にいたのを見たのだから、この可能性は十分にあり得る。そしてレイジを含む第一部隊が鎮魂の廃寺でミッションを遂行している時にシオは偶々食事をしに外出、そこをサカキ博士らと共に捕獲。・・・こういった流れだろう。

 

 

幽々子「とりあえず建物に被害はないわね。よっし、皆、お茶でも飲みましょうか」

 

妖夢「でも庭の方はメッチャクチャに・・・。これ全部片さないといけないんですよね・・ハァ」

 

依姫「私も手伝ってあげるから、そう落ち込まないで。まずは一旦休憩しましょう」

 

レン「レイジさん、アーティさんのケガの治療をするので先に戻ってますね」

 

アーティ「・・・別にいいって・・・ッつ・・・」

 

レン「やせ我慢しても意味はありませんよ。さ、ゆっくりでいいですから・・・」

 

 

 

フラン「・・・ん、レイジどうしたの?あいつが逃げてった方に何かあるの?」

 

 

問題はリンドウが何故、幻想郷(ここ)に迷い込んだのかだ。ただ歩いて幻想郷に入れるワケがない。・・・もしかすると、レンと感応現象を引き起こすまでリンドウのことを「忘れて」いたことが原因だろうか。キスメ曰く、「幻想郷は忘れ去られた存在が辿り着く場所」。支部長がリンドウの死を告げる話を聞いた後、皆が完全に「リンドウは死んだ」と思い込んでいたからだろうか?皆が彼を「死んでいなくなった存在」と思い込み、アラガミとの戦いの日々の積み重ねによって皆の記憶から薄れていったことでリンドウが幻想郷(ここ)に来てしまったのだろうか?

 

 

フラン「ねー、レイジったらー」

 

 

どういう経緯があったにせよ、あのままリンドウを放っておくワケにはいかない。なんとかして助け出さなければ。まだ彼が死んでいないとわかった以上、助ける方法は絶対にあるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――リンドウさんの足跡を辿って、運よく彼に出会えたとしましょう―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――もし・・・その時、彼がアラガミになっていたらどうしますか?―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――あなたは――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その「アラガミ」を殺せますか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「 レイジッ! 」

 

 

 

 

レイジ「・・・!」

 

 

フラン「もう、さっきからボーっとしちゃって・・・一体どうしたの?」

 

 

レイジは何でもないと軽く微笑する。

 

 

フラン「うー、絶対何か隠してる!あんなに真剣な顔してたんだもん、絶対考え事とかしてたでしょ!」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「ねーねー、何考えてたのか教えてよー」

 

 

フランがこの問題に関わる必要はない。これは自分で解決すべきことなのだ。そう、他の誰でもない、自分が。

 

とはいえ、どうすれば助けられるのか、それはまだわからない。レンは「アラガミ化した人間の治療法は見つかっていない」と言っていた。しかしだからと言って始めから諦めたくない。

 

今、レイジの中でリンドウを必ず救い出すという決意と、どうすれば助けられるのか、自分は本当に助けられるのだろうか、という複雑な思いが渦巻いていた。

 




作「冥界って避暑地によさそうだな、行ってみたいな」

弟「今楽にしてやる」


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Mission 22 濁る晴空

皆さん、おはこんばちは、wingです。・・・言うことがない(・_・;)これがネタ切れか・・・


気持ちを入れ替え、サヤカは作業場に向かう。にとりは既に作業に入っているようだ。すごく集中しているのがわかる。こちらが近づいても気づいていないのだから。サヤカはにとりに声をかける。

 

 

サヤカ「集中してるところでごめんなさい、私に何か手伝えることはありますか?」

 

にとり「うんうん、これでこうなって・・・」

 

 

すぐ傍で声をかけたが全く気づいていない様子。相当自分のために尽力してくれているのがわかる。

 

 

魔理沙「・・・気付かないか。目の前で手ェ振ってみたらどうだ?」

 

サヤカ「はい」

 

 

にとりは台の上にある神機をマニピュレーターでいじりながら色々頭の中で模索している。いつの間にマニピュレーターを作ったのか気になるが、サヤカはにとりの目の前に手を出しながら再度声をかけた。

 

 

サヤカ「にとりさん、ちょっといいですか?」

 

にとり「ん、ああ夢中になってて気づかなかったよ。何だい?」

 

サヤカ「えっと、何かお手伝い出来ることはないかなーとおm」

 

にとり「あー!それがさ!」

 

 

ご機嫌に声を張り上げるにとり。目の前で大きな声を上げられたのでサヤカの耳が一瞬ビリビリする。

 

 

サヤカ「ッ・・・」

 

にとり「あっ・・・悪いね。で話を戻すけど、手伝ってくれる必要はないよ!」

 

サヤカ「え?」

 

にとり「つまり、完成した!」

 

サヤカ「はやッ!!」

 

魔理沙「諦めろ、ここは幻想郷だz」

 

サヤカ「にしたって早すぎません!?」

 

魔理沙「にとりは私も驚くほどの速度でものを・・・まぁ主に機械を作れるんだ。今回は神機っつー特別なモンだから結構時間かかったようだがな」

 

サヤカ「・・・。本当に、出来たんですか?」

 

にとり「大丈夫だ、問題ない。ついでにメンテナンスもしといたよ」

 

サヤカ「す、すごい・・・。では・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと撃ってみますね」「じゃ的当てだぜ、この失恋フレーb」「ああッらめえ!それはらめ!らめだっt」「こんなものが存在して何になる!撃て!狙い撃つんだ!」「それを撃てばいいんですか?」「だかららめだってサヤカ!自分が今、何を撃とうとしているのか、お前本当にわかってるのか!」「にとり!動くと撃つ!(サヤカが)」「なんか趣旨変わってるような気が・・・」「ゾンナコドヤッテミロ!ワタスィァクサムヲムッコロス!」「お前変なとこで滑舌悪くなるな」「にとりs」

 

 

 

 

にとり「ちょっと待ったああああああああああああああ!!!!!!」

 

 

 

 

にとりはデジャブを感じ、大声で叫ぶ。サヤカと魔理沙の鼓膜が激しく振動し、一瞬耳を押さえる。どうやらにとりはかなり発声量が大きいらしい。

 

 

 

魔理沙「ッ・・・!何だよ急に」

 

にとり「おかしいじゃないか!わざとだよね!?これ絶対わざとだよね!?前もこんなことやったじゃん!?」

 

魔理沙「・・・あー・・・そうだったかな」

 

 

魔理沙は露骨にとぼけた表情をしてみせる。

 

 

にとり「サヤカもサヤカだ!絶対わざとノッてるよね!?そんなに私が泣いてるとこ見たいの!?」

 

サヤカ「・・・あの、さっきもこんな流れになったってホントですか?」

 

にとり「・・・(ダメだこいつ・・・早く何とかしないと・・・)ホントだよ」

 

サヤカ「・・・ごめんなさい」

 

にとり「・・・まあ試験運用は必要だからね。じゃあそこに的があるから、撃ってみなよ」

 

サヤカ「はい」

 

 

目標は結構遠くにある。神機が剣形態になっていたので銃形態にし、片膝を突いた姿勢で構える。狙った先にはいくつかの的。的は普通の空き缶だが、1つだけ形が違うものがあった。

 

 

にとり「ああっ!?あんなとこにフレーバーがああああ!?」

 

 

にとりは慌ててフレーバーを回収、代わりに空き缶を置いた。サヤカは構え直し、狙いを澄ませる。するとサヤカの目の前に見慣れないものが。よく見るとスコープが付いていた。サヤカの銃身が狙撃向きであることを考慮し取り付けてくれたのだろう。視点倍率も変えることが出来るので、射程距離が改造前より伸びている。ありがたく思いながら意識を空き缶に集中させていくサヤカ。その傍らでにとりと魔理沙が少し揉めている。

 

 

にとり「魔理沙。君の仕業だよね、これ#」

 

魔理沙「Huh?何の事だかさっぱりだぜ?」

 

にとり「う~~・・・!もう怒ったぞ~!私を怒らせるとどうなるか思い知らせてやる~!」

 

魔理沙「へッ上等だ、かかって来やがれ!」

 

 

サヤカ「・・・すいません、静かにしてもらえませんか」

 

 

魔理沙「魔符「スターダスt

              (!?)・・・・・はぃ・・・

にとり 河童「のびーるa                」

 

 

スコープを覗いたままたった一言静かに言っただけなのに、二人はサヤカから謎の威圧感を感じ、一瞬で沈黙した。

 

 

サヤカ「・・・何も黙らなくたっていいのに」

 

魔理沙「あ、いや、なんつーか・・・アレだ(なんか・・・気圧されたっつーか)」

 

にとり「邪魔しちゃったみたいだし、ね・・・(急に声のトーンが落ちたからなぁ・・・)」

 

サヤカ「私、別に怒ってませんよ?」

 

 

二人が急に顔色を伺うような様子になり、サヤカは不思議に思うがあまり気にしないことにした。空き缶を1つずつ撃ち落していく。にとりの工房の中とはいえ空き缶はそれなりに遠い場所にある。それを正確に撃ち抜いていくのを見て驚く魔理沙とにとり。

 

 

魔理沙「おおすげえ」

 

にとり「あまり間を置かずにこの正確さ・・・確かにすごいね」

 

サヤカ「いやぁにとりさんの改造のおかげですよ」

 

にとり「そう言ってもらえると嬉しいな~」

 

サヤカ「スコープが付いて狙いやすくなったのは嬉しいんですが、使ってみた感じどう変わったのか・・・」

 

にとり「ふふん、大丈夫さ。君と改造計画を立てる時、君が渡してくれたあの瓶の中身を使ってちゃんとアラガミが跡形もなくなるようにしといたし、それに」

 

 

そう言うと、にとりは銃身の根元を指さした。そこには何かのスイッチが。

 

 

サヤカ「?(こんなのあったっけ?)」

 

にとり「押してみ?」

 

 

言われるままスイッチを押してみる。すると・・・

 

 

ガキン、カシン、カシン、ガシャン。

 

 

サヤカ「変形した・・・」

 

にとり「それでもっぺん撃ってみなよ」

 

 

にとりはもう一度空き缶を並べようと動き出す。その間サヤカは変形した銃身を眺める。銃口を中心にフレーム部分が3つに別れるような形になり、中から砲塔が姿を現している。口径が変形前より大きい。にとりが缶を並べ終えてこちらに戻った後、サヤカは何が起こるのか内心ドキドキしながら引き金を引いた。

 

 

 

ダダダダダダダダン!!

 

 

サヤカ「うわわっ・・・!」

 

魔理沙「Wow」

 

にとり「どうだい?口径を拡大して威力を上げてみたよ。連射出来るけど、長距離というより中距離向きかな。その形態で狙撃も一応出来るよ。でも威力大きいし連射出来るからブレやすいけど」

 

サヤカ「長距離用の弾種も威力は高い方なんですけどね。遠い場所へ飛んだ時威力が落ちるといけないんで・・・。それにしてもこれは、衝撃が強めですね」

 

にとり「まあそこは慣れるしかないね。あと、こういうも使えるよ」

 

 

にとりはサヤカに1つバレットを渡す。何だろうと思いながら装填し、撃ってみた。しかし普通のレーザーだ。変わったところと言えば、弾速がかなり速いくらいだろうか。

 

 

にとり「あ、伏せt」

 

 

ドーン!!

 

 

空き缶に当たったレーザーが突如爆発。にとりが伏せるよう言うがタイミングが遅すぎる。にとりと魔理沙は伏せ、サヤカは驚きでしりもちをついた。

 

 

サヤカ「ちょっ爆風やばッ!工房大丈夫なんですか!?」

 

にとり「大丈夫だ、問題ない。・・・まあちょっと爆発が強すぎたけど、こういうのも撃てるのさ。アラガミの中にはこうやって吹っ飛ばさないと倒せないのもいるんじゃないかと思ってね」

 

サヤカ「狙撃に爆発って・・・まあ・・・いっか」

 

にとり「他にも、マスタースパーク程じゃないけど、太めの照射レーザーだって撃てるよ」

 

魔理沙「それはすげーな!やっぱ弾幕はパワーだぜ、なあサヤカ!」

 

サヤカ「そ・・・そうですね」

 

にとり「さらに!」

 

 

にとりはサヤカの手を掴み、柄の付け根付近にあるスイッチを押させる。するとシールドが展開した。

 

 

魔理沙「・・・これがどうしたんだ?」

 

にとり「銃形態ではシールドを展開出来なかったからね。展開できるようにしたのさ」

 

サヤカ「わあ・・・これはありがたいです!」

 

にとり「どういたしまして。他には・・・そうだ、消音機能もつけといたよ。これで静かに、パワフルに攻撃できるって寸法さ!」

 

サヤカ「一気にすごくパワーアップしましたね・・・主に中距離面で」

 

魔理沙「河童の技術力はやっぱすげーな」

 

にとり「確かにサヤカの言う通り、主に改良点として中距離戦に対応出来るようにしてみたんだ。長距離用の銃と近距離での剣、なら中距離にもと思ってね」

 

サヤカ「ご協力ありがとうございました。大切に使わせてもらいますね」

 

にとり「どういたしまして」

 

サヤカ「しかしこれはすごい・・・幻想郷には私の知る常識なんてないんですね。何でもアリって感じ」

 

魔理沙「今更何言ってんだ。・・・さて、これからどうしようかな」

 

サヤカ「う~ん・・・白玉楼ってとこへ行ってみます?レイジさんはそこに向かってるはずですし」

 

魔理沙「ん~、・・・まぁ用は済ませちまったし、もうここに留まる理由も特にないし、・・・行ってみるかな」

 

 

魔理沙は出掛ける準備に入ろうと箒を探す。サヤカはにとりに再度礼を言い、支度を始める。

 

 

にとり「もうお別れかぁ、もうちょっとここにいたっていいのに」

 

サヤカ「そうしたいのは山々なんですけど、今回の異変が終わるまではそうもいかないんです」

 

魔理沙「どこだったかな箒・・・あああったあった」

 

 

 

~にとりの工房 屋外~

 

 

サヤカ「無事に解決したら、またここに来ますね」

 

にとり「いつでも待ってるよ、困った時はいつでも相談してね」

 

魔理沙「世話になったな、じゃそろそろ行くぜ」

 

にとり「うん、気をつけてね~」

 

 

魔理沙は箒にまたがって待機している。サヤカもまたがり、さあ出発だと意気込む。

 

 

 

 

「オオオオオオオン・・・!」

 

 

魔理沙「・・・?何の音だ?」

 

サヤカ「・・・結構近いです」

 

にとり「なーんか、嫌な予感が・・・」

 

 

何か大きな音が響いた後、森の奥の方から鳥が逃げるように飛んでいくのが見えた。

 

 

ミシッ・・・ミシッ・・・バキバキッ

 

 

魔理沙「今度は何だ?」

 

サヤカ「木が薙ぎ倒されてる・・・まさか」

 

 

サヤカは一瞬工事か何かかと思っていたが、先程の大きな音のことを考えるとそうは思えない。それに工事しているとは思えないほど木が倒される音が鳴り続けている。さらにはその音が大きくなっている。

 

 

魔理沙「あー・・・これは流れ的に・・・アレだな」

 

サヤカ「ええ・・・十中八九」

 

にとり「まったく、もうちょっとマシな展開にできないのかなぁ作者は」

 

魔理沙「おまえは何を言っているんだ」

 

 

そして、木を薙ぎ倒してこちらに近づいてくる何かが、その姿を現した。

 

 

 

「オオオオーーーン・・・!」

 

 

魔理沙・にとり「デカアアアアアアいッ説明不要ッ!!」

 

サヤカ「まさか、ウロボロスが来るなんて・・・」

 

 

現れたのは、なんとウロボロスだった。低い雄叫びが山中に木霊する。

 

 

魔理沙「おいおいマジかよ!アラガミにはこんなデカいヤツもいんのか!?」

 

サヤカ「ええ。その上、破壊力も高いです」

 

魔理沙「まあデカけりゃ当然だわな。でもどうやってここまで来たんだよ、天狗達が黙って通すはずないだろ?」

 

にとり「確かにそうだね、ここは山の奥の方なのに・・・よくここまで来れたもんだよ」

 

 

あの巨体でどうやってここまで何事もなかったかのように来れたのか不思議に思う魔理沙とにとり。サヤカは1つ心当たりがあった。口に出そうとする直前でウロボロスが触手を振り上げた。

 

 

サヤカ「あっ・・・左右に避けて!!」

 

魔理沙「何ッ!?うおっ」

 

にとり「くっ」

 

 

スダアアン!!

 

 

魔理沙「う~わ、とんでもねーリーチだな」

 

サヤカ「・・・何故あいつがここまで来れたか、心当たりがあります」

 

魔理沙「マジか!?教えてくれよ!」

 

サヤカ「その前にこのアラガミを倒しましょう!」

 

魔理沙「・・・まぁそうだわな、こんな状況じゃ」

 

にとり「私は後ろに下がろうかな・・・手元に役に立てそうなものがないし」

 

 

にとりは自分の工房を守ることに専念しようと後ろに下がる。魔理沙は最前線へ、サヤカは魔理沙の後方で支援射撃。

 

 

魔理沙「全部被弾させたらどうなるだろうな?魔符「スターダストレヴァリエ」!」

 

サヤカ「あっ待っt」

 

 

魔理沙はウロボロスの真上に飛びスペルカードを使う。すると☆の形をした弾幕が散りばめられ、ウロボロスの背面に全弾命中。

 

 

魔理沙「へっ全弾命中!これなら早く終わりそうだz・・・何ッ!?」

 

 

ウロボロスの背部は非常に堅い。魔理沙は背部に弾幕を当てたが運悪くそこが堅い部位だったためダメージは殆ど入っておらず、傷がついていない。

 

 

魔理沙「んなのありかよ・・・」

 

サヤカ「魔理沙さん!背中に攻撃は効きません!奴の目に貫通性の高い技を当ててください!」

 

魔理沙「早く言ってくれよ!そして弱点目なのかよ!真正面からやり合わないといけないってのか。他に弱点はないのkうわわぁっ!」

 

サヤカ「あっ・・・今みたいにビームも撃ってくるんで気をつけて!他に弱点はなくはないですけど・・・うおっと危ない!・・・あるとすれば、足です!足は破砕系の攻撃が効きやすいです」

 

魔理沙「足ィ?こっからじゃよく見えねえし危ねえな、とりあえず目を狙えばいいんだな!?」

 

サヤカ「ええ!」

 

 

魔理沙はウロボロスの正面で戦うサヤカの近くに戻っていく。

 

 

魔理沙「サヤカ、そっちは順調か?」

 

サヤカ「攻撃が激しくって・・・なかなか有効打を与えられてないです」

 

魔理沙「私が援護すりゃいけるだろ、いくぜ、光符「アースライトレイ」!」

 

 

魔理沙が次のスペルカードを使用。ウロボロスの目の前に複数の魔方陣が横並びに配置される。そこからレーザーが放たれ、ウロボロスの目に命中した。

 

 

魔理沙「おおう怯んでる、じゃ一気に畳みかけるとしますか!」

 

 

 

「ウオオオオオオオン!」

 

 

 

ウロボロスが低い咆哮を上げ、目が光り出した。どうやら活性化したようだ。その後すぐに直立の姿勢になる。

 

 

魔理沙「お、立ったぞ」

 

サヤカ「二人とも、距離を置いて目を背けて!」

 

にとり「え?」

 

魔理沙「?何言ってんだ、今がチャンs」

 

 

カッッ!!

 

 

ウロボロスの目から激しい閃光が。この攻撃は衝撃波も発生させ、活性化時にしか行わないので魔理沙達にはにわかに信じ難かったのだろう。しかもかなり早い段階で活性化したので行動パターンの変化がわかるはずもない。にとりは比較的遠距離にいたこととサヤカの言葉に反応して目を背けていたため無事だったが、魔理沙は攻撃をしようと突撃している最中に攻撃が来たので反応し切れず、直撃してしまった。

 

 

サヤカ「ッ・・・!」

 

にとり「うおっまぶしっ」

 

魔理沙「うあああああああっ!!」

 

サヤカ「!!」

 

 

閃光の直撃で吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。

 

 

サヤカ「大丈夫ですかっ!?」

 

魔理沙「なんとか・・・あれ、目の前が、真っ白だ・・・。うっ、おまけにくらくらする・・・」

 

サヤカ「(しまった、スタン!)にとりさん、すいませんがしばらく魔理沙さんを頼みます!」

 

にとり「え、ああわかったよ、でも無茶しないでね!」

 

サヤカ「わかってるつもりです」

 

魔理沙「くっ・・・畜生っ・・・」

 

 

魔理沙が行動不能になり、単身戦うことになってしまった。しかし危険をもっと早く伝えられれば、こんなことになるはずはなかったのかもしれない。

 

 

サヤカ「(こんなザマで、人類の守護者だなんて・・・)」

 

 

神機を剣形態にし、一気にケリをつけようと走り出す。ウロボロスも迎え撃とうと触手を地面に突き刺し、下から攻撃してきた。だが速く動いていればまず当たらない。サヤカはウロボロスの眼前に飛び込み、目を突き刺そうとする。その時、

 

 

ビュウン!

 

 

サヤカ「っく!」

 

 

攻撃が当たる前にウロボロスが近距離からビームを放った。一瞬の予兆で攻撃が来ると察知しアドバンスドジャンプでビームの射線から逃れた。ウロボロスの頭に乗り、そこから目に向かって剣を突き立てる。

 

 

サヤカ「今度こそっ!」

 

 

グサッ!

 

 

「ガアアアアアア・・・!」

 

 

悲鳴を上げ、頭を振ってサヤカを振り落とそうとする。サヤカは頭にしがみつきながらもう一度突き刺した。

 

 

「ガアアアアアアアッ!」

 

 

サヤカ「わっ!」

 

 

先程より強く揺さぶられ、サヤカは振り落とされて地面を転がる。起き上がろうとする時には、ウロボロスの触手がサヤカを叩き潰そうと迫っていた。

 

 

サヤカ「!」

 

 

急いでシールドを展開するが、防ぎ切れるかどうか不安だ。目前まで触手が迫ってきた頃、

 

 

バシュウウウウウウン!!

 

 

サヤカ「!?」

 

サヤカの真上を突如太いビームが通り抜け、ウロボロスの触手を蒸発させた。後ろを振り返ると、魔理沙がミニ八掛炉を構えているのが見えた。

 

 

魔理沙「悪ィな、チョンボったぜ」

 

サヤカ「もう、大丈夫なんですか?」

 

魔理沙「めまいは治ったが、まだ視界がチカチカするぜ。だけどお前1人だけで戦わせるワケにゃあいかんからな」

 

サヤカ「無理させてごめんなさい・・・後方支援をお願いしていいですか?」

 

魔理沙「任せろ、今度はヘマしないぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちら設置完了です」

 

「こちらも設置しました」

 

椛「いつでも大丈夫です、文さん」

 

文「よっし、起動させてくださーいっ!」

 

 

 

 

カチッ

 

 

 

 

 

パシュッ

 

 

 

 

 

 

 

サヤカ「・・・?」

 

魔理沙「ん、空が・・・」

 

 

空の色が突然青からピンク色に染まり出す。それだけでなく自分たちの周囲もピンク色がかって見える。まるでベールか何かに覆われたような感じだ。ウロボロスがやったのかと目を向けると、そうでもなく。

 

 

 

「オオオオオオ・・・!」

 

 

 

ウロボロスはガクガクと震え苦しんでいる。いったい何が起きたのだろうか。ますます状況がわからなくなるサヤカ達。そこに、あの天狗が飛んできた。

 

 

 

魔理沙「何がどうなってんだ・・・?ん、あれは・・・文か!」

 

サヤカ「えっ?何で今ここに・・・?」

 

 

魔理沙が空を再び見上げると文の姿があった。文はサヤカ達のいる場所に着地する。

 

 

文「どーもー戦闘中失礼しm」

 

魔理沙「文!なんか空の色が変だぞ!何が起こってんだ!?」

 

文「ああ、これですか、これはアラガミが進入してきた時のための対策なんですよ」

 

魔理沙「これが対策だって?どうやってこんな現象を起こしてるんだ?」

 

文「簡単に言いますとねー、これは結界なんです。そしてこれを発生させるための装置があるんですね。アラガミを囲むように配置して、スイッチを押すだけ。これで結界を発動させられるというワケです。永淋さんと霖之助さんの合作アイテムなんですよ~」

 

魔理沙「へ~、結界・・・って永淋と香霖だって!?なんであいつらが・・・!?」

 

文「それは後で説明しますね。サヤカさん、止めをかっちょ良く決めてくださいっ」

 

サヤカ「あっはい」

 

 

 

「ウオオオオオオオオン・・・・!」

 

 

 

ウロボロスは苦しみながらも近づけさせまいと損傷の少ない触手で攻撃してきた。神機を捕喰形態にして触手を喰い千切る。文はその様子をカメラで撮影していた。

 

 

文「か~っこいい~ww」

 

椛「こんな時でも撮影ですか・・・」

 

 

触手が大胆に喰い千切られたためにバランスがとれず、大きな音を立てて体勢が崩れる。バースト状態になったサヤカは銃形態に変形させ、片ひざを立てる姿勢でウロボロスの顔目掛けて狙いを定めた。

 

 

サヤカ「成層圏の果てまで・・・狙い撃つ!!」

 

 

 

 

ズドォッッ!!

 

 

 

銃口から目に見えない程の速度で直線が描かれた。直線はウロボロスの顔を簡単に撃ち抜き、体を突き抜ける。その後ウロボロスは爆発し、跡形もなくなった。残るのは僅かに残る弾の軌跡。

 

 

 

 

サヤカ「・・・ふぅ」

 

魔理沙「おっしゃあ!勝ったぜー!」

 

文「いい止めでしたね~!今日もネタに困らなさそうです!」

 

にとり「おお、終わったかぁ」

 

 

わっと喜びの声を上げる一同。魔理沙がサヤカの元に走り寄ってくる。

 

 

魔理沙「やったなサヤカ!レーザー一本で跡形もなく吹き飛ばすなんてすごいぜ!」

 

サヤカ「でも、また皆に迷惑かけちゃいましたね・・・」

 

魔理沙「だーいじょうぶだって、これぐらいでネチネチ言うようなヤツはいねーよ!」

 

文「そうですよ、いいネタもゲット出来ましたし!寧ろ、この山を救ってくれたことに礼をいいたいくらいですよ~」

 

サヤカ「い、いやそんな」

 

魔理沙「あそうだ文、あの結界を発生させる装置を作ったヤツが永琳と香霖って、どういうことなんだ?なんであの2人が共同で・・・?」

 

文「多分永琳さんから話を持ちかけたんじゃないでしょうか。永琳さんはあくまで医者であって職人ではありませんからねぇ。霖之助さんはあなたが持つミニ八卦炉を作れる程の人ですし、彼に相談するのがいいと思ったのでは?」

 

にとり「私もやろうと思えば出来ると思うんだけどなぁ。なんで私に相談しなかったんだろ?」

 

文「今回の異変はそうそうボヤボヤしていられませんからね、霖之助さんの方が距離的に近かったからそっちに相談することにしたんじゃないでしょうか」

 

魔理沙「なあ、そのアイテム見せてくれよ」

 

文「はいはい、椛ー」

 

椛「はーい」

 

文「ちょっとコレ貸してもらっていい?」

 

椛「いいですよ」

 

 

椛からそのアイテムを借り、魔理沙達に見せる。形は円柱状で側面に起動スイッチらしきボタンがあり、平たい面の部分には何か意味ありげな模様が描かれている。

 

 

魔理沙「へえ、これがあの結界を発生させるアイテムか」

 

文「1つあれば人里の家2軒分の広さを三角錐の形をした結界で守ってくれる優れモノ!効果は2週間、アラガミ以外に効果はないから蚊取り線香感覚で使えるんですよ~。まあ今回は相手が大きかったのでこれ4つを囲むように配置して使いましたが」

 

魔理沙「値段とかあんのか?」

 

文「ん~、私達はもしものことを考えて多めに注文してみたんですが、驚くほど安かったですよ。確か1個・・・50円くらい?」

 

魔理沙「さっすが永琳だ・・・金に対する欲がねーな。それならほとんどのヤツが気軽に買えるな」

 

サヤカ「す、すごいですね・・・(対アラガミ装甲壁みたい・・・)」

 

にとり「それ、私にも見せてよ!」

 

文「え、いいですけど、なんでそんなに目を光らせてるんですか?」

 

 

にとりは文から装置を半ば奪い取るようにし、隅々まで目を通し始めた。

 

 

にとり「ふむ、へ~・・・」

 

文「あやや、夢中になっちゃってますね・・・。にとりさーん、後でちゃんと返してくださいよー」

 

にとり「おお、なるほど・・・」

 

魔理沙「・・・全然聞いてねーな。まあいい、後で私から言っとくよ」

 

文「わかりました。・・・さて、そろそろ私達は戻りますね」

 

魔理沙「おう、じゃーなー」

 

 

文達が工房を後にし、一時の静寂が訪れる。とても先程まで戦闘状態だったとは思えない。木々が薙ぎ倒されている場所意外からは、普段の穏やかな雰囲気が漂っている。

 

 

魔理沙「・・・なんか急に静かになったな・・・」

 

サヤカ「・・・あ、そういえば魔理沙さん、さっき「なんでこんな山奥まで来れたのか」って言ってましたよね」

 

魔理沙「ん、ああそうだな」

 

サヤカ「アラガミは、突如現れることがあるんです。・・・地面から」

 

魔理沙「・・・へ?地面?」

 

サヤカ「なんていうか、こう・・・地面からズバッと生えてくるような感じです」

 

魔理沙「なにそれこわい」

 

サヤカ「今回私達を襲ったアラガミ、ウロボロスも、恐らくその方法で侵入したのかもしれません」

 

魔理沙「なるほど、お前のいた世界で人類の危機に立たせる存在なだけはあるぜ・・・」

 

サヤカ「・・・(だから、私が皆をきちんと守れるようにならなきゃ・・・)」

 

 

ウロボロスは元の世界でも少人数で、且つ無傷で倒すのは困難を極める。だが「相手が強い個体だったから多少の被害は仕方ない」とは言ってられない。大切な人々に傷ついてほしくない。荒らされた自然を見つめ、サヤカは再び決意を固めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にとり「あ・・・そういえばさサヤカ」

 

サヤカ「?」

 

にとり「今まで忘れてたんだけどさ、私の作った追加装備で戦ってたら、早めに倒せたんじゃない?」

 

サヤカ「あ・・・」

 

魔理沙「もっと早く言えよ・・・」

 




2012/7/24

作「もうすぐ2012年も折り返し地点か・・・」

弟「(ex○sプレイ中・・・)」

作「そうだ、番外編を・・・」

弟「こりゃまた突然な」

作「ギャグ要素が少ないんだもんゴッドイーターって」


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登場人物紹介(Mission 22まで)

注意!ここはネタバレが容赦なく含んであります。ネタバレが嫌いな方は閲覧を推奨しません!




















 

戌亥(いぬい)レイジ

 

本作の主人公。基本喋らない典型的な主人公。

 

服装:F正式上衣 レッド、ナーヴァルスリット

 

装備:神斬りクレイモア 真、ファランクス 極、 剛支援シールド 真

 

制御ユニット:ゴッドイーター

 

強化パーツ:ガード強化3、討伐部隊

 

能力:装備を自由に換装出来る程度の能力・技を取り込む程度の能力

 

本作の主人公。基本無口。原作通り。主人公補正率がかなり高く、本気モードのレミリアを負かしたり、公式チートで有名な綿月依姫に対しても、彼女の攻撃を全てかわし切ったり、一瞬の隙を突いて首筋に刃を突き付け降参させるなど、とんでもない戦績を残している。原作でも主人公補正率は高めなので、だいたい原作通り。(入ったばかりの第一部隊にすぐ馴染む、異常なスピードで出世するなど)

 

道場をやっている家の出身で、大体の日本の武道に通じている。しかし幻想郷内では主に背負い投げを使っている。多分得意技なのかも。

 

神機使いになる2年前、道場にヴィーナス率いるアラガミの群れに家族を皆殺しにされる。自身も両目をやられてしまうが、何故かヴィーナスが目を交換して彼を助けた。負傷前の彼の目の色は黒色、交換後はスカイブルー色となる。神機使いになった後、バースト時に目から青いオーラが溢れ出したり、怒りが露わになった時に赤くなることが発覚。ヴィーナスの目によるせいか。

 

忘れっぽさは相変わらず健在。レン、アーティと紅魔館に侵入したアラガミを撃破した後落ち合う約束をしたことを忘れてレミリアとティータイム、白玉楼への行き方を聞くのを忘れてしまうなど

 

紅魔館で能力が2つも発現していることが発覚。両方ともフラン命名。「装備を自由に換装出来る程度の能力」は、念じるだけで自動的に装備が切り替わるという能力。実はこれ、地霊殿にいた時にすでに発現していた。「技を取り込む程度の能力」は、神機で捕喰したものの技を自分のモノに出来るという能力。しかも前述の「装備を自由に換装出来る程度の能力」で写し取った技をいつでも使えるのでレイジ単体の火力がかなり上がると思われる。21話時点ではフランの「レーヴァテイン」と、カリギュラの隠し刀が使用可能になっている。

 

紅魔館にて、フランに懐かれる。おまけに一緒に外で行動するようになる。フランちゃんに振り回されるレイジマジお兄ちゃん。ここに「レイフラ」という新しい組み合わせが・・・。

 

紅魔館を後にする前に、パチュリーからアラガミの位置を示す結晶をもらう。これは普段無色透明だが、アラガミが騒ぎを起こしたりすると光だし、距離によって光る色も変わり、方角まで教えてくれる優れもの。ユーバーセンスと組み合わせれば相乗効果が期待できるだろう。借り物なので、大事にしている。・・・レイジは借りパクなんてしないよ。

 

実は作者にとって「作中で最も扱いづらいキャラ」らしい。何故かって?無口だからじゃない?

 

この主人公には強キャラ成分が含まれております。能力発現以降はさらに増し増しです。だってチート姫を負かしちゃうんだもん。

 

 

 

 

行方(なめかた)サヤカ

 

段々主人公格に上ってきている。がんばれ

 

服装:FSAT ホワイト上、F強襲下衣 レッド

 

装備:ナイフ 極、ステラスウォーム 真、 ヘラクレス 堅

 

制御ユニット:レンジャー

 

強化パーツ:貫通強化3、全耐性強化

 

フェンリル本部の特殊部隊、FSAT(フェンリルスペシャルアサルトチーム)から極東支部第一部隊に派遣された新型神機使い。

 

元の世界での常識が殆ど通用しないことが原因なのか、自己紹介の時に敬礼をしなくなった。自身のクセがなくなるほど幻想郷は素晴らしい世界だということだね。

 

狙撃の技術ははすこぶる高い。元の世界ではFSAT狙撃隊の隊長にされる予定だったそうだよ。隊長になれるよ!やったねサヤカちゃん!・・・その前に幻想入りしちゃったからおじゃんになったけど。

 

にとりに銃身を改造してもらい、対長距離に向くスナイパーの銃身が対中距離にも対応出来るようになった。しかも火力がさらに上がっているためサヤカびっくり。弾幕はパワー派の魔理沙もびっくり。可変倍率スコープも取り付けられ、銃形態でガードできるようにもなった。これでもう何も怖くない!河童の技術力は世界一ィ!

 

狙撃に集中している時は彼女から謎の威圧感が溢れるらしい。ケンカ中だったにとりと魔理沙を静かな一言で黙らせた。

 

博霊神社に着いた頃から魔理沙と一緒に行動しており、友情度がダダ上がり中。魔理沙に悩み事を打ち明けられるまでに至った。ここに「マリサヤ」という新しい組み合わせが・・・

 

にとりの工房では、魔理沙と悪ノリするなどお茶目な一面を見せる。しかし一方で1人で考え込みがちな面も。

 

 

 

 

 

・レン

 

レイジとアーティがピンチに陥った時に突然現れ助けてくれた謎の神機使い。

 

装備:この小説内での設定だが、宝剣 楊貴妃 真、シヴァ 秘、トリスメギトス 衛

 

 

どこからともなく突然助けに現れた神機使い。医療班所属。アラガミ化した人間の治療法及び予防法の研究をしている。でも結果出せてないよね。どうしてでしょう。

 

アーティによく無茶振りされたりと、振り回されることが多かった。紅魔館編以降からほとんど無茶振りされなくなっている。白玉楼では、レイジがフランのトイレの付添いから戻る途中、縁側で黄昏ていたレンに突然シリアスな雰囲気全開な口調で話をされたり、逆に無茶振りする側に?

 

しかしそれでもアーティへのツッコミ担当は彼の役目。白玉楼ではアーティの無茶振りの出鼻を挫く高等テクも披露した。

 

中性的な顔立ちをしている。女装もきっと似合うはず。1回でいい、ガチで見たい。(真剣)

 

何故かアラガミに狙われにくい。よって後方支援を得意とする。幻想入りしてからまだ1回しか被弾してない。(その1回目はフランの弾幕)

 

レイジと感応現象を起こした時、レイジには彼のではなくリンドウの記憶が再生された。どうしてでしょう。

 

 

 

 

・アーティ

 

装備:クレイモア 極、ファランクス 極、リジェクター 真

 

強化パーツ:大剣強化2、神風セット

 

21話時点でも述べられていないが、実はレイジが神機使いになってから初めて出会った神機使い。つまりコウタよりも先に出会ったということになる。どうしてでしょう。

 

アネットよりもひどい攻撃大好きっ娘らしい。ガードとか絶対にしない。ある意味、潔い。そのかわりカウンターと避けの技術は高い。白玉楼では、足を負傷していて尚且つアラガミの攻撃を避けきれない状況でもガードしないという徹底ぶりを見せてくれた。・・・そこはガードしようぜ。つまらん意地なんか張ってないでさ。

 

レンによく無茶振りをするが、スルーされる。紅魔館編以降ではつまらなくなったのか振る回数が激減、白玉楼では遂に出鼻を挫かれるというカウンターを喰らった。

 

レイジから離れた場所にいても彼の居場所をピタリと当てる超人的な能力を持つ。レイジが危険な目に遭っていることを察知すると額に稲妻が走る。「てきィーんときたのよ」・・・こいつ、ニュータイプ!?

 

 

 

 

 

 

・霧雨魔理沙

 

ふつーの魔法使い。

 

 

博霊神社に遊びに行って新聞読んでたら変わった記事が載ってたんだぜ。異変だと思って霊夢とそれについて話してたら見かけないヤツが参拝してたぜ。あいつ・・・神社の境内で頭が血だらけになって倒れてたヤツじゃねーか!・・・・・・ん、参拝?・・・参拝・・・だと・・・!?

 

新聞を見る限りじゃ、アラガミどもはサヤカやレイジのいる場所付近で現れると考えられるな。しかも普通の攻撃は効かないときたもんだから厄介だぜ。仕方ないから永淋に頼んでスペルカードをあいつらにも効くようにしてもらったぜ。・・・サヤカのヤツ、永淋とこでアラガミのこと教えたんだろうな、永淋のヤツ対応がえらくスムーズだったぜ。ちなみに現在、永琳とこ行ってスペルカードをアラガミに効くようにしてもらったヤツは私と霊夢、レミリアだぜ。・・・少ねーな。

 

今から振り返ると、サヤカとすごく仲良くなった気がするぜ。博霊神社の時からずっと一緒だったもんな。「マリサヤ」?・・・よくわからんが、私とサヤカの友情の証ってことでいいな。

 

にとりンとこでウロボロス・・・?とかいうアラガミに襲われたぜ。ある程度ダメージを与えたら、ヤツの目が光り出したぜ。その後いきなり目の前が真っ白になったんだぜ。なんかめまいもしてきて体がろくに動かせないんだぜ・・・おうe(ry 後からサヤカに聞いてみたらスタン状態とかいう名前の状態異常なんだそうだぜ。・・・何だそりゃ。まるでゲームとかでありそうなんだぜ。すぐに治ったし。

 

私は平常運転だぜ。特に変わった設定とかはないんだぜ。強いて言うなら・・・そうだな、4次元袋を香霖とこの店から借りた程度だぜ。

 

 

 

 

 

 

~地霊殿~

 

 

・古明地さとり

 

地霊殿の主。(さとり)の妖怪で、第三の目で相手の心を読むことが出来る。

 

 

原作では霊夢や魔理沙などの人間に対しても落ち着いた対応をしているが、本作中では、人間大嫌い。どれくらい嫌いかってゆーと、妹の近くに人間がいたらものすごい勢いで突っ込んで襲い掛かるほど嫌い。さらには妹やペットの制止の言葉も聞かずレイジをハートフルボッコする始末。・・・俺の知ってるさとりんと違う。幼い頃、両親を人間に殺されてしまい、以降人間を憎むようになったらしい。だがレイジが地霊殿に群がるアラガミから家族を救ってくれたことを知り、その後も灼熱地獄でハンニバルに襲われた時にもレイジが助けに来てくれたことから、人間に対する見方を改めた。・・・おいそこ、今も幼いとか言うんじゃない!確かに幼いけど!

 

妹のこいしはもちろん、お燐やお空といったペット達も含めた家族を大切にする優しい少女。しかしいざ彼女達に危機が迫ると守ろうとするあまり心を読むことすら忘れてしまうらしい。

 

レイジやヤマメなど家族以外に対しては丁寧な口調で話す。とても小5・・・なんでもない。

 

 

 

 

 

・古明地こいし

 

さとりの妹で同じく心を読める覚だが、今は第三の目を閉じてしまっており心を読めない。代わりに無意識による力を手に入れた。無意識って恐ろしい。

 

無意識にあてもなくフラフラしているイメージを持たれやすいが、本作では地霊殿を襲うアラガミからお燐、お空と協力して家族を守ろうと頑張っている。しかし地底の住人を助けようとするレイジを敵だと誤認してしまい、無益な争いを起こしてしまった。さとりと違って「人間が怖い」タイプ。レイジの優しさに触れ、人間恐怖症が和らいでいく。

 

戦闘力は高めのランクに入ると思われる。「無意識を操る程度の能力」で自身の姿を「無意識に」見えないと思い込ませ、死角から攻撃するのが主な戦法。この戦い方でレイジを苦しめた。レイジがユーバーセンスを使うまでは。

 

暴走するさとりんを止めたり、空気読んでさとりとレイジを2人きりにさせたりと、とてもいい子。

 

 

 

 

 

・火焔猫 燐

 

さとりとこいしのペットその1。通称お燐。

 

 

お空とは親友。ペットの中ではしっかり者。

 

レイジを発見した時、こいし同様敵のリーダーと勘違いして襲い掛かる。空との連携は非常に鮮やか。まさに阿吽の呼吸というヤツだろう。

 

おさげのリボンはチャームポイント。レイジが地底に迷い込んだ日にようやく1人で結べるようになったそうな。しかしレイジにバッサリいかれる。

 

 

 

 

 

・霊鳥路 空

 

さとりとこいしのペットその2。通称お空。

 

 

灼熱地獄を管理している。・・・管理してるところを実際に見てみたい。

 

普段右手に制御棒をつけているが、取り外し可能。予備も複数あるらしい。取り外し出来ないとご飯の時とか色々大変だからだろう。しかし1本レイジにバッサリいかれる。

 

地霊殿2階から上に侵入したアラガミは殆ど彼女に倒されたらしい。あん時は火属性に弱いヤツが大半だったから、おそらく属性ダメージで押し切ったんだろうね。

 

鳥頭と言われるほど間の抜けた行動が多いキャラとして有名だが、本作ではあまり⑨な行動はみられない。お燐との連携は非常に鮮やか。持ち味である高い火力で対アラガミ戦でも活躍。実は永琳を頼らずにアラガミ(弱点が火属性)を倒せる数少ないキャラだったりする。火力だけなら地霊殿組の中では勇儀に次ぐ位置なのかも。

 

 

 

 

 

 

・星熊勇儀

 

鬼。その中でも強力な力を持つ四天王の1人。酒と宴会をこよなく愛する。

 

 

レイジ一行がヤマメとキスメに地下街に案内され、宿に着いた時に出会った。戦闘狂っぽいところがあるのか、「レイジは強い」とヤマメが口にしてしまったことが原因でレイジに決闘を申し込んだ。しかし1回目はアラガミ襲撃で中止となってしまうが、事態が収まった後再び申し込む。「どう考えても無理だろ」的な空気が読者の皆さんの心中で漂う中、レイジは予想を覆しやがりました。姐さんの「酒をこぼさず戦う」スタイルを破りやがった。・・・バナナ(わなだ)ッ!粉バナナ(これはわなだ)!!いくら主人公補正があるからって、おかしいじゃないか!それがバナナ(わなだ)という証拠!・・・しかし笑って健闘を称える姐さんマジ寛大。

 

地底の住民とは仲がよく、誰もが彼女を慕っている。嘘を嫌う鬼ゆえだろうか。人間であるレイジに対しても友好的に接していた。

 

彼女にとってのアラガミは「10発くらいぶん殴ればいける程度の敵」。さっすが姐さんマジパネェっス。

 

 

 

 

 

 

・水橋パルスィ

 

橋姫。ぱるぱる。

 

 

本作では勇儀との決闘のシーン、宴会のシーンのみと出番が少ない。おい作者どういうことだ

 

「妬ましい」を口癖のように言い、気を許す人物がいなさそうに見えるが、勇儀とは比較的友好的である。ツンデレっぽいところもみられる。勇パルは俺のジェラシー。

 

 

 

 

 

 

・黒谷ヤマメ

 

土蜘蛛の妖怪で、地底のアイドル。

 

 

レイジ達が幻想入りしてから最初に出会った人物。本作では地底の門番的存在。レイジが地底に入っても大丈夫なヤツかどうか確かめるために弾幕勝負を仕掛けた。しかし軽くのされてしまう。

 

ちょっとめんどくさがりな性格。説明とか道案内はキスメに押し付ける。でもアラガミ襲撃の際は妖怪達を逃がそうと奮闘している。さすが地底のアイドル。

 

 

 

 

 

 

 

・キスメ

 

釣瓶落としの妖怪。いつも桶に入っている。

 

 

ですます口調。最近どんどんこういった口調のキャラが増えてきて作者絶賛後悔中。幸いキスメは「~ですぅ」と口にすることがあるのでまだ区別しやすい方。

 

ヤマメとよく一緒にいる。だが道案内とかを押し付けられたりとちょっと不憫。

 

得意技はやはり急降下で相手にぶつかること。秋の日は釣瓶落とし

 

アラガミ襲撃の際はヤマメ、勇儀と共に妖怪を逃がしつつ戦っている。1面中ボスだからってナメちゃいかんよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~永遠亭~

 

 

 

 

 

・八意永琳

 

永遠亭に住まう医者。材料さえあればどんな薬も作れる。

 

 

どんな種族であっても、差別など一切せず親切に病気やケガを診てくれる。魔理沙と霊夢が瀕死の重傷を負ったサヤカを運んで突然やってきた時も、的確な治療を施した。・・・頭蓋骨骨折を驚くほどのスピードで治せることには流石にびっくり。

 

サヤカが永遠亭を去った後、今後のことを考え誰にでもアラガミから身を守れるようなアイテムを作ろうと考える。しかし自身は医者であって道具を作る技術はない。そこで道具屋を営む森近霖之助と手を組み、「対アラガミ用結界発生装置(仮称)」を開発。永琳自身は金儲けには興味がないため、1個50円という安さで売り出した。霖之助はきっと驚いただろう。・・・どうやって作ったんだ。

 

 

 

 

 

・鈴仙・優曇華院・イナバ

 

元軍人の月の兎。現在は永遠亭に住んでいる。

 

 

永琳の弟子。だが医療のための薬品よりも兵器開発のための薬品を開発する方が得意のようだ。

 

銃器が大好き。趣味は永遠亭の前に落ちていたスナイパーライフルで射的をすること。

 

元軍人だったためか銃の扱いに長けており、ハガンコンゴウが攻め込んできた時は愛用するスナイパーライフルでサヤカを援護した。

 

 

 

 

 

 

・藤原妹紅

 

「迷いの竹林」の案内人。不老不死。

 

永遠亭にアラガミが向かっていくのを目撃して何事かと思い後を追う。しかし永遠亭に着いた時には事態は沈静化されていた後だった。足が遅い?

 

迷いの竹林で道に迷った人を案内してあげるのが仕事。サヤカを竹林の外へ送ってくれた。

 

男っぽい口調で話す。思いっきり2次設定。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~紅魔郷~

 

 

 

・レミリア・スカーレット

 

永遠に紅い幼き月。カリスマ500歳児。

 

 

フランの姉。もしかしたらレイジの主人公補正の一番の被害者なのかもしれない。3回ほどやってみてもレイジに勝てなかった。これはひどい。おぜう様マジ不憫。

 

フランの能力を気にかけ彼女を地下に閉じ込めていたが、フランにとって最善の策ではなかった上に逆に精神を病ませてしまい、現在のような「気が触れている」と言われるまでの状態にさせてしまう。どうすればいいか悩んだまま約495年経過。そんなある日、紅魔館へのアラガミ襲撃と共にレイジが転がりこんできた。そしていつの間にか彼がフランを地下から与えられる苦痛から解放したことを知り、姉としてレイジに心底感謝する。・・・それにしても495年て・・・なんて気の遠くなるような放置プレイなんだ。

 

長い間フランを閉じ込めていたからか、関係は微妙。不器用なのかも。フランがレイジに速いスピードで自分以上に懐いていくのを見て嫉妬する。

 

アラガミのことをレイジが説明した後、咲夜にも黙って単身永遠亭へ赴きスペルカードを強化してもらう。本当は家族のことをとても思ってくれているのだろう。

 

フランが外に出たがっているのを聞くシーンにおいて、外に出てはいけないというような態度を見せるが、本当は出してあげようか迷っていた。不器用なおぜう可愛いすぎる。

 

ちょっとカッコつけたがりなところがあり、ヤクシャ・ラージャ戦では空から攻撃して厨二っぽいセリフを発した。

 

レイジは彼女のお気に入り。執事にでもしようかと考えてたり考えてなかったり。

 

カリスマガードを見た者は萌え死にます。咲夜さんが1発KOされるんだもん、間違いない。

 

 

 

 

 

 

 

・フランドール・スカーレット

 

悪魔の妹。フランちゃんウフh(殴

 

 

レミリアの妹。年齢は495歳くらい。人生の大半を地下で過ごしていた。薄暗い地下に長時間いたことで段々精神が不安定になり、気が触れるまでになってしまった。普通の人が彼女を見たら「狂っている」と言ってしまうだろう。友達も作れず1人で過ごす時間が大半だったため、自分と遊んでくれる者を求め続けた。しかしそこで自身の能力が悪い方向に働いてしまい、彼女の元へ訪れる者をことごとく破壊してしまう。霊夢や魔理沙のことを知った時は自分との遊び相手になってもらおうと試みるも、向こうはその気は全く無く弾幕ごっこで彼女をさっさとぶちのめした後さっさと帰ってしまい置いていかれたフランの精神はますます不安定に。レイジのことを知った後は、わざわざ彼の元へ赴き自室へ案内してまで遊ぼうとする。この時のフランは友達欲しさのあまり狂気が垣間見えた。レイジも危機感を覚え隙を見て逃亡を図るが、フランの悲痛の叫びを聞いて彼の脳裏に過去の記憶が呼び起こされ、似た者同士と共感、フランが満足するまで一緒に遊んであげようと決意。フランは生まれて初めて自分と遊んでくれる存在を見つけ喜びの涙を流しながら心行くまで彼と遊んだ。

 

その後フランはレイジをお気に入りに登録し、彼と共に行動するようになる。今では突然彼に弾幕ごっこを吹っかけて遊ぶほどの関係で、さながら兄妹のようであることから「レイフラ」というカップリングが発生。箱入り娘であるため、純粋で年齢を思わせない幼稚な性格。

 

レイジに発現した能力を最初に目撃した。また、その能力に名前を付けた人物でもある。ネーミングセンスは・・・どうなんだろ。悪くないとは思うがなぁ。

 

ヤクシャ&ヤクシャ・ラージャ戦においては、自身のレーヴァテインをレイジの神機に喰わせて技を写し取らせるという、咄嗟の閃きで取った行動が彼の2つ目の能力の発現に貢献した。隠れた才能が垣間見える。

 

「ありとあらゆるものを破壊する程度の能力」のおかげで、永琳を頼らずアラガミを倒すことが出来る。ヤクシャ2体をきゅっとしてドカーンで瞬殺。ヤクシャとヤクシャ・ラージャに苦しめられた人々はこれを見て世界に絶望し、グノーシス化したとか。

 

白玉楼にて、幽々子に桃について色々教えてもらう。フランが知識を十分につけたらどうなるだろうね。今の僕には想像できない。

 

 

 

 

 

 

・十六夜咲夜

 

紅魔館の完全で瀟洒なメイド長。

 

 

何故かメイドの中で彼女だけ人間。他のメイドは皆妖精。ナニコレ珍百景。

 

ナイフ投げが得意で、一瞬でたくさんの量のナイフを投げられる。「時間を操る程度の能力」で時を止め、相手の周囲にナイフを配置して攻撃することも出来る。

 

おぜう様を愛してやまない。おぜうがカリスマガードなど愛らしい仕草をした時のみ血符「ブラッドスパーク」を使用可能。それぐらい大好き。

 

そんな場面以外では至って真面目なメイド長。どんなことがあっても真面目に対処する。

 

 

 

 

 

 

紅美鈴

 

紅魔館の門番。特技は立ったまま眠れること。

 

 

拳法の達人。同じく武道に通ずるレイジとの絡みが期待されたが、会話を交わすシーンがほとんどない。

 

昼によく寝てしまうおかげで、夜でもきちんと門番をすることが出来る。昼夜逆転しないようにね。

 

紅魔館をアラガミが襲撃した時、スペルカードがアラガミに聞かない中、ゴリ押しでオウガテイルを1体だけだが倒した。よくがんばったで賞。

 

門番の他にも、庭園の手入れもしている。しかしレイジとフラン、アラガミに滅茶苦茶にされる。

 

 

 

 

 

・パチュリー・ノーレッジ

 

動かない大図書館。喘息持ち。

 

 

紅魔館アラガミ襲撃事件において、アラガミに襲われているところをレイジに助けられた。

 

フランが暴れやすい時期に入るたびに、地下に続く階段に結界を張っていた。でもフランにとっては紙同然。

 

レイジとサヤカに結構大事なアイテムを渡してくれたり、異変解決に積極的。・・・なんかゲームでよくいそうだねこういう人。

 

レイジとサヤカの神機を独自で調査。刀身に魔法をかけ、討伐したアラガミが霧散せずそのまま消滅するようにしてくれた。・・・ええ、ご都合主義ですとも。

 

 

 

 

 

 

・小悪魔

 

図書館の司書。名無し

 

パルスィよりも出番が少なく、セリフも2つのみとレミリアに次ぐ不憫キャラ2号。

 

本作での最初の出番は、アラガミに追い回されるところ。これはひどい。

 

 

 

 

 

 

 

 

・チルノ

 

紅魔館の近くにある森の湖に住む氷の妖精。

 

 

レイジ達が湖に着いた時、水面を突然凍りつかせてびっくりさせようとする。彼が博霊神社への道のりを教えてもらおうと尋ねるがいきなり弾幕ごっこを仕掛ける。なんて無茶苦茶な。しかし正面安地のスペルカードを使ってしまいレイジに呆れられながらチョップをかまされる。その後もいい加減な方向を指指して道を教えようとしたりといいとこなし。親友の大妖精にも呆れられた。

 

白玉楼でレンと感応現象を起こした時には、プリティヴィ・マータに追い回される彼女と大妖精の姿が映っていた。いつ襲われたのかはわからなかったが、なんと行方不明で死亡扱いされたリンドウを目撃していることが発覚。彼に助けられ、話しかけようとするところでリンドウの様子が変に。それ以降何があったかは不明。

 

 

 

 

 

 

・大妖精

 

チルノの親友。実はテレポート出来る。愛称は大ちゃん。

 

 

チルノと共にレイジ達の前に現れるが、弾幕ごっこには参加せず。知らない人には丁寧な口調で話す。本作では無茶苦茶なことをするチルノを白い目で見るなど突き放した態度がみられる。

 

彼女もチルノと同様、プリティヴィ・マータに襲われる中リンドウを目撃している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~妖怪の山~

 

 

 

・射命丸文

 

妖怪の中でも高い力を持つ天狗。幻想郷で新聞を出版しているブン屋でもある。幻想郷最速の素早さ。おお、はやいはやい

 

 

記者であるため、情報を集める速度も速い。レイジとサヤカのこともいち早く察知し新聞に載せた。ご丁寧に写真も載っていて、「いつ撮った」と誰もが思うだろう。

 

誰に対してもですます口調。東方キャラってこんな口調である比率が高い気がする。

 

永琳が霖之助と共同作業していることを知った後はいち早く予約。仕事の速さに定評のあるようです。

 

にとりの工房へ訪れようと山に入ったサヤカを追い出そうとするが、サヤカの強い意志のある言葉を聞いた後はコロッと態度を変えて山に滞在することを了承し大人しく放置させている。まるでサヤカを試していたかのようだ。

 

ウロボロスがサヤカ達を襲撃した時は「対アラガミ用結界発生装置(仮称)」を使って援護。やたら仕事してくれる文さんでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・犬走椛

 

白狼天狗で文の部下。もみじもみもm(殴

 

 

ちょっと怒りっぽい。それ故か魔理沙の挑発に面白いほど乗ってくる。なるほど、だから椛はいじられキャラなんですね!

 

みだりに渾名で呼ばれたくない。魔理沙が勝手に渾名をつけて呼んだ時は声を張り上げてまで拒否している。

 

 

 

 

 

 

・河城にとり

 

河童の妖怪。人間に友好的だが、恥ずかしがりらしい。

 

 

妖怪の山の奥で1人ひっそりと暮らしている。河童は非常に高い技術力を持ち、サヤカ達が今後のアラガミ撲滅のために改造が必要となった時、彼女に白羽の矢が立った。

 

テンパったり噛んだりすると口調がどこかで聞いたことのある言語みたいになる。ねえ知ってる?その言語には検定があるらしいよ。

 

サヤカが某傭兵の如くにとり宅へ潜入すると、にとりは一本で満足できるCMの歌を歌いながらきゅうりを頬張っていた。彼女がサヤカの存在に気付くと、にちょり顔で襲い掛かるが、恥ずかしさのあまり顔が赤くなり怖さが激減。東方満足棒。

 

にとり宅で昼食を取ることになった時、原作ゴッドイーターに出てきた「初恋ジュース」「失恋フレーバー」を好んで飲食していることが発覚。ワケがわからないよ。原作で失恋フレーバーは構想の段階のまま発展がなかったため幻想入りしたのだと思われる。初恋ジュースは「胡瓜味」が幻想入り。人気がなかったからだろうか。胡瓜味・・・こんなの絶対おかしいよ。

 

サヤカの銃身を改造してくれた。基本的な性能アップや、追加装備として可変倍率スコープ、銃身を中距離用形態に変形できるようにしたりと、依頼人の要望以上の仕事をにとりは1ばn・・・1日足らずでやってくれました。お値段異常、にとり♪・・・ええ、ご都合主義ですとも!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~白玉楼~

 

・西行寺幽々子

 

白玉楼に住む幽霊の姫。妖夢と共に暮らしている。

 

 

ブラックホールの如き胃袋の持ち主。某ピンク玉といい勝負出来るね。

 

天真爛漫でマイペースな性格。面倒見もよく、知識の少ないフランに知識を与えようと桃の美味しい食べ方を教える。食べ物に関する知識は豊富のようだ。幼少期の妖夢に料理のノウハウも教えていたらしい。

 

フランがレイジに庭で強力なスペルカードを使った時も白玉楼にアラガミが侵入した時も、特に慌てることもなく落ち着いた様子だった。マイペース。

 

豊姫と桃の大食い勝負をする。しかし依姫が問題を起こして帰ってきたため中止に。

 

 

 

 

 

 

 

・魂魄妖夢

 

白玉楼に住む庭師。幽々子に仕えている。

 

 

日課として白玉楼付近の掃除をしている。剣の鍛錬も欠かさず行っている。

 

白玉楼に訪れていた綿月姉妹の依姫と階段の掃き掃除をしていたところ、階段を上って白玉楼に近づいてくるアラガミの群れを発見。撃退を試みるが歯が立たず、どんどん押されるがレイジ達の介入により助けられる。

 

不憫キャラ第3号。依姫が勘違いでレイジに刃を向けて勝手に争いだすし、止めようとしても祇園様の力によって刃の檻に閉じ込められるし、散々な目に合う。

 

幽々子が口の中がいっぱいの状態で何かを喋っても完璧に意味を理解できるほどのリスニング力の持ち主。長年仕えているからこそ成せる業である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~月~

 

 

 

 

 

・綿月依姫

 

神霊の依り憑く月の姫。公式チート。

 

 

原作で猛威を振るったチート並みの強さは本作でも健在。東方キャラの中でも屈指の強さを持つフランを圧倒したが、レイジには攻撃が全く当たらず、一瞬の隙を突かれて首筋に刃を突きつけられる。主人公補正には勝てなかったよ・・・

 

1回こうだと思い込むと中々止まらないタイプ。レイジを神殺しだとかワケわからないこと言って襲い掛かってくるし、敵ではないはずの妖夢に制止を呼びかけられても祇園様で動けなくして黙らせちゃうしでまさに猪突猛進。

 

戦闘では自身に神を降ろして戦う。1回濡れ衣を着せられそうになったのに地上でやっちゃっているところを見ると、その件のことは頭から抜けている様子。

 

月から永淋を連行するという任務で地上に降りているが、任務に消極的。実は綿月姉妹はかつて永淋の弟子であり、今も恩を忘れておらず尊敬している。よって私情が入ってしまい永淋を連行することを渋っている。とはいえ月に手ぶらで戻るワケにもいかないため、白玉楼でサボタージュしていた。

 

 

 

 

・綿月豊姫

 

綿月の依姫の姉。

 

 

丁寧な口調で話す。手に持つ扇子は月の最終兵器。その扇子でどんなことが出来るかって?怖すぎて言えんよそんなこと。

 

依姫はチート並みの戦闘力を持っていたが、姉の方は不明。公式でも描かれてないんだもん、謎は謎さ。

 

桃が好物。自身の能力で居間を埋め尽くすほどの桃を呼び出した。意外と大食い。

 

依姫と共にサボタージュなう。永淋は恩師だから連行なんて恩知らずなことはしたくないなう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・ヴィーナス

 

妖艶な女性の上半身と禍々しい獣のような下半身を持つアラガミ。

 

 

アラガミ達のリーダー的存在。本作中では言葉を話す。レイジの家族を殺した張本人。どういう意図なのか、両目をやられた彼と目を交換した。

 

レイジとサヤカが2人で任務中、ヴァジュラを使って2人を崖下に突き落とす。その後2人の後を追うが、恐らく幻想入りしたと思われる。もしこれが本当なら、何故レイジとサヤカのいる場所付近を狙って襲うのか?謎である。

 

10話以降から行方がわからなくなっている。しかしレイジとサヤカがどこかへ行くたびにアラガミをけしかけて襲わせているため、どこかに潜伏していると思われる。

 

メタな発言がたまにみられる。何のことを言っているのか、今の僕には理解できない

 

 

 

 

 

 

 

・雨宮リンドウ

 

フェンリル極東支部の元第一部隊隊長。軽い言動が目立つが実力は確かなもの。

 

 

行方不明になり死亡扱いされた彼が、幻想郷に迷い込んでいることが発覚。一時期シオに保護されていたがサカキ博士の企てで捕獲され、再び1人で彷徨うことに。幻想入りした時にはチルノ達が近くにいることも気づかないほど意識が朦朧とし、アラガミ化が進んでおり、白玉楼へ辿り着いた時にはもう完全に黒いハンニバルへと変貌してしまった。しかしまだ自我は残っており、レイジ達へ牙を向く体を必死に押さえつけていた。

 

レイジはレンとの感応現象を通してこのことを知る。彼の生存は喜ばしいことだが、レンが「もう手遅れ」的な発言をしたためレイジは葛藤に苛まれる。

 

どうやって幻想入りしたのかは不明。白玉楼を去った後どこに行ったのかも不明。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・博霊霊夢

 

楽園の素敵な巫女。

 

 

ある日境内で頭から血を流して倒れていたサヤカを魔理沙が目撃、すぐ後で霊夢もそれを知り2人で永遠亭に運んでいった。サヤカの命の恩人の1人。

 

彼女の予想はかなりよく当たるらしく、魔理沙に「半ば予言」と言われるほど。地底で異変が起きていることを新聞を通して知った時すぐに、レイジ及びサヤカが異変に最も関連していると推測した。ドンピシャすぎて\すげぇ/

 

地底を調査しに向かう途中、紅魔館で異変が。一旦進路変更し、事態収拾後は小休止を挟んで単身地底に向かっている。彼女は「地底に一晩泊まってから次の日に戻る」と言っていたが、数日経っても未だに紅魔館に帰還していない。どうしてでしょう。そして皆もいつの間にか霊夢のことをすっかり忘れている。

 

なんでこんな最後らへんで紹介するのかって?べ、別に忘れてたワケじゃないんだからね!

 




輝夜・てゐ・守矢組「解せぬ」


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Mission 23 真に恐ろしいのは?

みなさんおはこんばちは、wingです。長編番外編を終えて今回から本編へ戻ります。それでは本編どうぞ。


~レイジside~

 

 

白玉楼での騒ぎは一段落し、アラガミの処分、庭の整備を始めるレイジ達。ここの庭は枯山水となっている。遥か昔、かつて日本と呼ばれた極東地域にこういった形式の庭が存在していたらしいが、今ではもう見られない。なんでも庭そのものが芸術のひとつとなっているそうだが、先の戦いの後なので思い切り荒らされている。この庭はそれなりの広さを持つため元通りにするのに時間が掛かりそうだ。ひとまず黒いハンニバル(リンドウ)に殴り飛ばされたカリギュラが激突した塀は崩れているかどうかを見ておく。若干ヒビが入っているだけで崩れる心配はなさそうだ。その後カリギュラを神機に捕喰させ処分、カリギュラはその後消滅する。

 

 

フラン「そういえばさレイジー、アラガミも血みたいなの吹き出すみたいだけど、これって本当に血なのかな?・・・え、似てるけど違う?・・・やっぱそうなんだ・・・最近あんまり血吸ってないなぁ」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「・・・」

 

レイジ「・・・?」

 

フラン「・・・うー!(ガブッ)」

 

レイジ「!?」

 

 

最近血を吸っていないことに飢えでも感じていたのだろうか。突如レイジの手に噛みついてくるフラン。端から見たら犬に手を噛まれているようにも見えるかもしれない。だがフランはすぐに怯んだように口から手を放す。

 

 

フラン「げえっぺへっぺっ!う~舌痛い・・・やっぱりダメかぁ・・・」

 

レイジ「・・・(溜息)」

 

 

カリギュラを始末した後、階段に向かうことにした。あそこでアラガミの群れの死骸がまだ残っているかもしれない。

 

 

フラン「ねーレイジ、こんなとこに来て何するの?ん、ここの掃除?」

 

 

やはり何体かは既に霧散してしまっているようだ。白玉楼に来る前に処理しておくべきだったと後悔する。

 

 

 

~5分後・白玉楼の縁側~

 

 

レン「あ、おかえりなさいレイジさん」

 

レイジ「・・・」

 

レン「アーティさんのケガは思ったよりも大したことはありませんでした。今は居間の方で休んd」

 

アーティ「あたしがどうかした?」

 

レン「あっ・・・!?手当てしたばかりなのにあまり動いたr」

 

アーティ「あたしは頑丈な方だから大丈夫だって。それよりレイジ、悪かったわね、足引っ張っちゃって」

 

レイジ「(首振り)」

 

レン「何も悪かったことはありませんよ。あんな状況で大事に至らなかっただけでもラッキーなことです」

 

アーティ「・・・まぁ今考えたら、あたしら初見かつほぼ無策でよく倒せたなぁ」

 

レン「そう言えば、紅魔館の時もそうでしたね、・・・なんであんなにうまくいったんだろう・・・」

 

アーティ「ここが幻想郷だからじゃない?」

 

レン「・・・あぁなるほど、・・・ってそんな理由でいいんですか・・・」

 

アーティ「レイジ、フランどうした?一緒にいたんじゃなかったの・・・あ?またトイレ?」

 

レイジ「(コク)」

 

アーティ「ふうん・・・じゃあいつがトイレから戻ったらどうする?あまりここに長居するのもアレじゃない?」

 

レン「そうですね・・・でもただぶらぶらするワケにもいかないし・・・」

 

アーティ「とりあえず黒いハンニバルがどこ行ったか探す?放っとくとまずいわよアレ」

 

レン「あ、そういえばそうでしたね、それでいってみましょう」

 

 

確かに黒いハンニバルの行方は気になる。もし人里にでも行ってしまったら大変だ。次の目的が決まった直後、フランの声が聞こえてきた。

 

 

フラン「レイジー!どこー!あっいた!」

 

 

縁側の曲がり角から明るい笑顔で走ってくる。その元気さはコウタと似ている。

 

 

フラン「これからどうする?もうここでやることなくなっちゃったけど・・・え、あの黒いのを探すって?いいね、面白そう!」

 

アーティ「こいつは孤独以外に怖いものはないのか・・・」

 

 

 

~白玉楼、居間~

 

 

幽々子「あら、もう行っちゃうの?」

 

レイジ「(コク)」

 

幽々子「もう少しゆっくりしていってもいいのよ?・・・ん?さっき逃げた怪物を追う?あ~そういえば1体逃げたのがいたわね。確かに放っておくままというのはまずいかも。私も何かお手伝いしたいところだけど・・・」

 

フラン「大丈夫だよ、私とレイジ、2人ならどんなヤツも楽勝だよ!」

 

レイジ「・・・」

 

幽々子「・・・そう。じゃああの黒いのは任せてもらってもいい?」

 

フラン「うん、任せといて!」

 

妖夢「幽々子様、最近の新聞の記事で見たのですが、永遠亭に行ってみるというのはどうでしょう?最近幻想郷中で今回のような事件が起こっているそうですよ」

 

豊姫「ここ以外にも・・・?」

 

幽々子「ふむ・・・考えておこうかしらね」

 

フラン「そろそろ行っていいかな?」

 

幽々子「あらごめんなさい、早く見つけないといけないんだったわね。気を付けていってらっしゃ~い」

 

フラン「うん!それじゃあねー!」

 

レイジ「(ペコリ)」

 

 

 

 

 

 

アーティ「うわ、こんな長かったんだここの階段・・・」

 

レン「一番下まで見えませんね・・・」

 

フラン「なんか歩いて降りるの面倒だなぁ・・・そうだ」

 

 

何を思いついたのか、フランはレイジの背後へ周り込む。レイジは気になり振り向くが、

 

 

フラン「前向いてて。レイジ抱えて飛んでいけば早いかなって」

 

アーティ「その発想はなかった」

 

 

あまり気が進まないが反論する意味もないのでフランの言う通りにしておく。するとフランはぐいとレイジの胴を抱えて飛び上がり、一気に飛び出した。吹き抜ける風が心地よく、意外にも爽快な気分だ。しかし自分の方が身長も体重も上のはず。

 

 

フラン「ん?ああ全然平気だよ。確かにレイジの方が背高いし重いだろうけど、私にはどうってことないね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティ「随分と楽しそうなこって」

 

レン「・・・とりあえず、急がないと置いていかれますね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「・・・ふぅ、ようやく出番回ってきたか。かれこれ10話以上出番なかったなぁ・・・」

 

オウガテイル「メメタァ・・・」

 

ヴィーナス「・・・あ?なんであたしが幻想郷(ここ)にここにいるってバラしてんのかって?ああ、作者の野郎が番外編で力尽きたっていってたからあたしが「もうバラそうか」っつったら喜んで賛成しやがってさ。ったくアイツ伏線の使い方もうちょいなんとかならないかなぁ・・・あんな表現じゃ読者の皆もあの「?」があたしだって簡単に気付くっつーの」

 

オウガテイル「メメタァ・・・」

 

ヴィーナス「・・・おや、あんたいつの間にそんな鳴き真似覚えたんだい?」

 

オウガテイル「ガウ」

 

ヴィーナス「・・・大将がメタいこと言うからツッコもうとしたら出来てしまったって?・・・いや普通出来ないと思うんだけど・・・」

 

オウガテイル「・・・」

 

ヴィーナス「さぁてあの坊やは今何してんのかなぁ・・・。最近ここの住人があたしらを警戒する動きが出てきたし無闇に見張りを送れないんだよなぁ・・でもあのリンドウがアラガミ化して幻想郷に迷い込んでるって話らしいしこっち側に引き込んどきたいんだけどなぁ・・・」

 

オウガテイル「(ジェスチャー中)」

 

ヴィーナス「ん?・・・あたし?・・・の目・・・?が、・・・あの坊やの目・・・?何言ってんだい、そんなこと知ってr」

 

オウガテイル「(ジェスチャー中)」

 

ヴィーナス「あ?まだあんの?・・・あいつの?・・・視野?・・・でいいの?・・・ああそうかそうか。で?・・・あたしが、・・・あいつの視野で・・・物を、見えないか・・・?」

 

オウガテイル「(コク)」

 

ヴィーナス「・・・あ~なるほどねわかったわかった言いたいことわかったよ。つまりあの坊やの目は元々あたしのだからあいつの視点でものが見えないかってことだね?」

 

オウガテイル「(コク)」

 

ヴィーナス「いいアイディアじゃんそれ!じゃ早速・・・つってもどうやればいいか・・・目ェ凝らせばいいかな?・・・おお?・・・・・・見える、見えるぞ!あたしにも敵が見える!」

 

ヴァジュラテイル「ガウアー(言いたいだけッスよねそれ)」

 

ヴィーナス「やかましい、作者はガンダム好き(自称)だから仕方ないだろ、文句なら作者に言え」

 

オウガテイル「メメタァ・・・」

 

 

 

妖精「あ!見つけた!最近あちこちで暴れ回ってる怪物!」

 

妖精「私達の自然を壊すなー!」

 

妖精「妖精は自然そのもの!妖精の怒りは自然の怒り!」

 

妖精「私達の仲間を喰らうバケモノめ!」

 

妖精「青き清浄なる世界のために!」

 

妖精「お前を殺す」

 

 

 

 

ヴィーナス「わあぉ団体さんのお越しだぁ!お前達、おやつの時間といこうかね!」

 

 

 

数十秒後――――

 

 

 

ヴィーナス「ごちそーさん。妖精ってのは大したことないんだねぇ、ま、こっちの方が数が多かったってのもあるけど」

 

妖精「・・・う」

 

「ガアアアアア!(うほッまだ生きてるの見っけ!いただきー!)」

 

「ガアアアアア!(アホか俺のものだー!)

 

「~・・・(あそこに行きたい・・・けど行けない)」

 

ヴィーナス「ほい取ったどー」

 

「グゥウ!(あっ大将ずるい!)」

 

妖精「いやああ!喰われたくない!いや!いっう、あ、あっあああああああああああ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「・・・きゅっぷい。これで全部か」

 

「orz」

 

「orz」

 

「(´・ω・`)」

 

「orz」

 

ヴィーナス「はっはっは、次があるさ・・・ん、あれは・・・洞窟?・・・下に向かってるってことは地下か?・・・先がよく見えんなぁ、まいいや、しばらくはここを拠点にしてみるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~レイジside~

 

 

フラン「地面が見えてきたね。・・・はい到着!」

 

 

階段を飛行で下りるという初めての体験だったが、悪い気分ではない。ここから少し先の辺りで出口があるだろう。ユーバーセンスで出口を確認、今レイジとフランが立っている場所は階段を下りてすぐ、舗装された道路に立っている。出口は道なりに真っ直ぐ進めば見つけられそうだ。位置を確認し終え、アーティとレンが追いついてきているかどうか振り返る。思ったより追ってくるスピードが速く、あまり間もなくして追いついたようだ。アーティは階段の端をまるでレールの上を滑走するかのように下りており、レンは数段飛ばしで急いで下りてきていた。

 

 

アーティ「いきなり置いてくんじゃないわよまったく。下りてくのめっちゃ大変だったんだから!」

 

レン「はぁっはぁ・・・何回か転びそうになりました・・・」

 

フラン「ねぇ、ここからちょっと進んだ辺りが、私達がここに飛ばされた場所だったよね?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「なら早く行こ!あの黒いのほっといたらまずいでしょ?」

 

 

そう言いながら前を走って行くフラン。後を追うようにレイジも駆け出す。しばらく走っていると、景色が歪んで見える場所を発見した。森の中で見たのと似ている。フランは立ち止まることなく歪みに飛び込んでいき、消えていく。

 

 

アーティ「そういやここってさ、冥界なんでしょ?こんな簡単に出入りできるようにしていいワケ?」

 

レン「確かに気になりますけど、今それを考えるのはやめておきましょう・・・」

 

 

確かに今それについて考えても意味はない。アーティはあまり納得いかない様子だったが深く考えないことにしたようだ。フランを待たせるわけにはいかないのでさっさと歪みに飛び込む。そして次の瞬間、視界一杯に森の景色が広がっていく。

 

 

フラン「来るの遅いよ、早く行こう・・・ってどこへ行けばいいのかな」

 

アーティ「ほらレイジ、ユーバーセンス」

 

レイジ「・・・・・・」

 

アーティ「・・・・・・。(・・・遅いわね。まさか、見つからない?)」

 

フラン「・・・・・・。まだー?・・・え、自分の見える範囲にはもういない?」

 

アーティ「チッ、遅かったか・・・・・・ん、ねぇ、あの結晶は反応しないの?パチュリーからもらったヤツ」

 

 

早速結晶を取り出すレイジ。だが結晶はまるで真実を隠すかのように透き通っている。

 

 

アーティ「・・・完全に見失ったみたいね」

 

フラン「う~んどこ行こう・・・」

 

アーティ「一応人里へ行ってみる?念のためだけどさ」

 

レン「そうですね、何もしないよりは・・・」

 

フラン「どこ行くの?・・・人里?わかったー・・・あ!」

 

レイジ「?」

 

フラン「日傘忘れて来ちゃった・・・ちょっとあの歪んでるとこ行ってくる!」

 

 

 

 

 

 

 

~人里~

 

 

フラン「危ない危ない、日傘忘れてたことに気付けてよかったよ」

 

アーティ「レイジ、これ、フランに」

 

レイジ「?」

 

 

どこで拾ったのだろうか、アーティから大きな茶色い布を渡される。マントのように纏うことが出来そうだ。

 

 

アーティ「道中で見つけたヤツなの。落し物かしらね」

 

レン「・・・?何故それを使う必要が?」

 

アーティ「今からあたしらは人里に入るのよ?そこに妖怪とかが入って来てみなさいよ、パニックになりかねないわ。羽根だけでも隠しとかないと」

 

レン「ああ、なるほど・・・」

 

フラン「ん、レイジどうしたの?・・・これを纏うの?・・・まいいか、日光を防げるし」

 

 

フランに茶色い布を纏わせ、人里に入る。木造の建物が多く活気に満ちており、日本の江戸時代の街並みを想起させる。だが里の人々を見ていると、和服に洋物の靴を履いていたり、頭髪が「ちょんまげ」と呼ばれるスタイルでないことから幻想郷は明治時代の頃の世界なのかもしれない。フランは見たことのない景色に感嘆の声を漏らし続けている。

 

 

レン「見たところここは襲撃を受けてはいないようですね」

 

アーティ「来るだけ無駄だったようね・・・まレイジのユーバーセンスで見つけられなかったんなら当然か」

 

 

周囲を見る限り襲われた様子はなく、いつもの状態という雰囲気を醸し出していた。だが自分達の存在はやはり目立つようで通り過ぎる人々の視線が集まる。しかし警戒してはいないようだ。

 

 

アーティ「どうする?見たところ異常無さそうだしどっかで飯食っとく?今日あたしらしっかりとした食事をとってないでしょ?」

 

レン「そう言えばそうでしたね。もうとっくにお昼ですし」

 

 

そういえば今日はしっかりと食事をとっていない。周囲を見渡して飲食店でもないか探す。すると意外にも近くにあることに気付いた。傍に立てられた看板に店の名前が書いてあるのだが、非常にシンプルな名前だ。

 

 

アーティ「「飯や!」・・・」

 

レン「シンプルでいい名前じゃないですか」

 

フラン「ごはんごはん♪早く行こうよ♪」

 

 

入口で垂れ下がる暖簾をくぐり店内へ。中は客で賑わっており空いている席が少ない。空いている席を探し出して座る。1つ1つの席が横に広くあと2,3人は座れるかもしれない。レイジは席の隅に置いてあったおしながきを取って机上に広げる。

 

 

店員「いらっしゃい!お、あんた達、見かけない顔だな、外来人か?」

 

アーティ「ちょ1発で当てた!?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「私は違うけどね」

 

店員「はっは、驚いたか?あんたは最近新聞で話題になってんだぜ?突然現れた怪物どもを倒して回ってるってさ!」

 

レイジ「・・・」

 

店員「・・・ん、そっちのお嬢ちゃんは新聞でも見ないな。お連れさんかい?」

 

フラン「そうだよー」

 

店員2「あんた!お喋りもいいけど仕事しなさいよ!」

 

店員「おおっとそうだった、何か注文はあるかい?」

 

 

神機使い注文中・・・

 

 

店員「確認させてもらうぞ、海老天うどん3つと中華そば1つ、だな?」

 

レイジ「(コク)」

 

店員「おし、そんじゃちょいと待っててくれよ!」

 

フラン「外ではこんな風にしてご飯食べるんだね、なんか新鮮だなぁ」

 

レン「古き良き時代・・・て感じがしますね」

 

アーティ「・・・いいわね・・・本当に」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昔・・・アラガミが出てくる前はさ、すげえ平和だったみたいだよ?」「きっとみんな、ニコニコしながら平和に暮らしてたんだろーなー」「ウチに帰ったらさ、家族が笑顔でお出迎えでさ」「笑いながらご飯食べて、夜更かししてゲームで遊んじゃったりして」「寝る時は、明日何しようかなーって、楽しいことだけ考えて」「そんでまた、当たり前のように次の日が来るんだよ」「・・・こんな悲惨な未来なんて、想像もつかなくてさ・・・」

 

 

 

 

 

レイジ「・・・」

 

 

 

?「すまない、ここに座らせてもらってもいいかな?」

 

フラン「いいともー」

 

レイジ「・・・?」

 

 

ふと近くで女性の声が聞こえてきた。レイジが顔を向ける前にフランが返事を返し、女性は礼を言いつつ席に座る。

 

 

 レン

―――――――――――――――――

―――――――――――――――――

アーティ フラン レイジ

 

 

上のような位置に座っていたので、1人くらい入れても問題はなかった。

 

 

?「おや、君は最近新聞で話題の少年じゃないか。戌亥レイジ、といったか。まさかこんなところで会えるとはな」

 

フラン「へー、有名人だねレイジ」

 

慧音「私は上白沢慧音。寺子屋で教師をしている者だ、よろしく頼む」

 

フラン「・・・なんか、普通の人間とは違う匂い」

 

慧音「ふ、やはりわかってしまうか、フランドール・スカーレット」

 

フラン「え、私を知ってるの?」

 

慧音「ああ、私は歴史を喰らい、そして創る程度の能力の持ち主だ。だから君のことも私の知る歴史の内に入っているよ」

 

フラン「へー・・・なんだか、不思議な感じ。人間にしか見えないはずなのに」

 

慧音「私は半人半獣だからな。わかる者にはわかってしまうか」

 

フラン「はん・・・じゅう?けもの?」

 

慧音「そうだ。ここの大人達は皆知っている。寺子屋の生徒たちには内緒にしているがな」

 

 

店員「おお慧音さんじゃないか!今日は何にするんだい?」

 

慧音「そうだな・・・いつもので頼むよ」

 

店員「わかったぜ、ちょいとまってな!」

 

 

フラン「なんで大人しか知っていないの?」

 

慧音「あー・・・例えばの話だが、もし君が親しくしていた友がいたとして、そいつが実はとんでもない怪物だと知ったらどう思う?」

 

フラン「それはびっくりしちゃうなぁ。私は気にしないけど」

 

慧音「まぁそういう人もいるだろう。だが中には恐れて距離を置く人もいる。教育者という立場上、自分の正体を易々と明かすわけにはいかないんだ」

 

フラン「なんだか難しいね」

 

慧音「まぁな」

 

 

店員「ほ~いおまたせー!天ぷらうどん3つ、中華そば2つだ」

 

フラン「あれ、2つ頼んだっけ」

 

慧音「おや、君と同じ料理だったらしい。偶然だな」

 

フラン「そうなんだ、それじゃいただきまーす♪」

 

店員「いいなぁあんたら、慧音さんと一緒に飯が食えてよぉ?・・・とそうだお嬢ちゃん、あんたはどっから来たんだい?外の人間にしちゃあ変わってるよな」

 

フラン「私は外の人じゃないよ、紅魔k (パシッ)んぐッ」

 

 

話している途中でレイジが素早く手でフランの口を塞いだ。

 

 

アーティ「ずずーっ・・・(レイジGJ)」

 

店員「ん?悪いもっかい言ってくれ」

 

慧音「あー・・・この子は例の怪物に襲われたことがあってな、この少年が助けてくれたんだ。帰るところがないそうだから一緒に連れているそうだ」

 

店員「うわ、それは可哀想にな・・・。少年、しっかり守ってやれよ」

 

レイジ「(コク)」

 

店員2「あんた!サボってないでこっち手伝いな!」

 

店員「ああ、わかったよ、今行く!」

 

 

フラン「・・・別に隠さなくたっていいのに」

 

 

口を塞がれたことに不服そうなフランに慧音は顔を近づけて小さめの声で話しはじめた。

 

 

慧音「何を言っている、ここには君と私を除いて人間しかいない。しかもこんなに大勢の人がいる中で吸血鬼が紛れ込んでいると周りに知られてみろ、一瞬でパニックに陥るぞ」

 

フラン「なんでパニックになるの?ワケがわからないよ」

 

慧音「ならば君は、ここにいる全ての人間から罵りの声を浴びたいのか?」

 

フラン「え・・・そ、それは・・・」

 

 

慧音は顔を少し俯かせた後、話を続ける。

 

 

慧音「・・・私は幼い頃、君がしようとしていたことをしてしまった。あの時の私も何故それがいけないのか理解出来なかった。私が半獣であると知った者達は途端に、罵り、蔑み、苛めだした」

 

フラン「え・・・」

 

慧音「これは私に限った話ではない。似たような境遇にあった妖怪は他にもいる」

 

レイジ「・・・」

 

 

慧音は顔を近づけて前屈みだった姿勢を元に戻す。顔が俯いたままの彼女からは悲壮感を漂わせていた。

 

 

慧音「もう絶対に繰り返してはいけないんだ・・・!あんな・・・」

 

 

フラン「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「レミリアよりもヤバいわねこいつは」「まったくだ、あいつはここまでイカれてはいないぜ」「うわっと!くッ・・・!気味が悪いわねあんたの笑い声は!」「下手すりゃマジで壊されるな!」「あんたの言う「遊び」なんかやってらんないわよ、こっちの身が持たないわ」「とんでもないヤツがいたもんだなぁ。・・・んじゃとっとと帰るとするか。ふぅ~・・・生きた心地がしなかったぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧音「・・・っと、少し長く話し過ぎたな。切り替えるとしようか」

 

フラン「あ、うん」

 

慧音「君達はここに何か用があって来たのか?」

 

 

神機使い説明中・・・

 

 

慧音「ふむ、それは厄介だな・・・君の言う通り、今のところここで異常は起きていない」

 

フラン「どうしよう・・・なんか詰んだ気がするよ」

 

慧音「手掛かりも何もなしか、これでは探しようがない・・・」

 

アーティ「あ・・・なんか流れ読めた気がする」

 

レン「え?」

 

アーティ「そろそろここ、襲われるかも」

 

レン「そ、そんな!?なんでそう言えるんです!?」

 

アーティ「思い返してみたらさ、あたしら行く先々でアラガミに出くわしてんのよね。今までのパターン通りなら・・・」

 

 

その時、レイジのズボンに付いたポーチから光が溢れ出した。赤い光だ。取り出すと無数の線が様々な方向に向いている。

 

 

アーティ「ほら来た。レイジ、先行ってくる」

 

レン「レイジさん、僕もお先に行かせてもらいます!」

 

慧音「ん、それは?」

 

フラン「赤い光・・・これって、もう人里にアラガミがいるってこと?」

 

慧音「アラガミ・・・?まさか、そr」

 

 

慧音が言葉を続けようとした時、店の外から叫び声が聞こえてきた。

 

 

 

「ば、バケモノだーーー!」

 

「いつの間に入って来たんだ!?」

 

「た、助けてくれーーーー!」

 

 

只事とは思えない様子に店内の客がどよめき始める。

 

 

慧音「この声は!?レイジ、まさか、奴らなのか!?」

 

レイジ「(コク)」

 

慧音「くっ、まさかこんなところにまで来るとは!レイジ、フランドール、私は皆を安全な場所に避難させる!すまないが皆を守ってくれないか!」

 

フラン「おっけ!行こうレイジ!」

 

レイジ「(コク)」

 

店員「慧音さん!一体何が起こってるんだ!?」

 

慧音「どうやら例の怪物が里に侵入したらしい!全員慌てず、私の指示通りに動いてくれ!」

 

店員2「あ、あんた・・・」

 

店員「大丈夫だ、あの少年達がなんとかしてくれるさ・・・!」

 

 

 

~人里・北大通り~

 

 

アーティは北へ伸びる大通りを走っていた。

 

 

アーティ「防衛班の真似事はこれっきりにしたいわね・・・」

 

 

里の人々がアーティの進行方向と逆に走っていることから方角は合っているだろう。人が少なくなってくると、多数のアラガミがこちらに向かっているのが見えた。大型から小型まで様々だ。アラガミ達はアーティを発見すると周囲を囲みだした。

 

 

アーティ「・・・まったく。いい加減飽きたけど付き合ってやるか」

 

 

 

 

 

 

~人里・南西大通り~

 

 

レン「アーティさんどこ行ったんだろう・・・見失ってしまったなぁ・・・」

 

 

「うわあああああ!」

 

レン「!」

 

 

子どもの悲鳴が響く。振り向くとザイゴートが追い掛け回していた。レンはすぐに銃撃して撃ち落とす。

 

 

レン「この大通りは里の中央に向かって道が伸びているからアラガミが侵攻しやすいな・・・っと、やっぱりこの道を通ってきた!」

 

 

通りの奥から逃げ惑う人々が見える。早くしなければ犠牲者が出てしまう。

 

 

レン「・・・勝手なことはさせないぞ、アラガミ!」

 

 

 

 

~人里・南東大通り~

 

 

レイジ「・・・」

 

 

ズバン!

 

 

「グァアッ!」

 

 

ザンッ!

 

 

「ゴオオッ!」

 

 

神機使い奔走中・・・

 

 

アマテラス「ウォオオオオン・・・・!」

 

レイジ「・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

~人里・中央広場~

 

 

フラン「日傘よーし。さて、どこから来るのかな・・・」

 

 

人里の中心部は見晴らしの良い広場となっている。ふと目を見やると、慧音が逃げ惑う里の人々に安全な場所へ避難させようと大声で呼びかけ、誘導しているのが見える。

 

 

慧音「皆落ち着いて、慌てずにこちらへ避難するんだ!」

 

 

たった1人だけなのに、人々が驚くほど慧音の指示通りに動いている。流石に困惑した様子ではあるが、彼女をとても信頼しているのだろう。そんな中、アラガミが突如広場に現れた。ボルグ・カムランと、火と雷を操る堕天種の2体の合計3体だ。

 

 

「うわあああ!何だあれは!」

 

「もうこんなところまで来やがったのか!?」

 

「殺される!うわああああああ!」

 

 

慧音「あっ待て!慌てるな!バラバラになるんじゃない!」

 

 

アラガミが目の前に現れたことで人々はパニックに陥り、バラバラに逃げ出してしまった。このままでは犠牲者が出てしまう。

 

 

フラン「・・・もう、自分の正体を隠すどころじゃないかな・・・」

 

 

フランは羽根を隠していた茶色い布を脱ぎ捨てた。里の人々の中には1人だけ佇んでいるフランを見てさらに驚きの声を上げる。

 

 

「お、おいこの子背中に羽根があるぞ・・・!?」

 

「ま、まさかこいつも!?」

 

「に、逃げろ!」

 

「うわああああああ!!」

 

「もう何が何だかわからねええええええ!」

 

 

フラン「・・・」

 

 

店内での慧音の言葉でなんとなく予想はしていた。しかし自分を恐れ逃げていくのを見て嫌な気持ちにならないワケがない。胸を針で貫かれるような感じだ。だが今は悲しみに暮れている場合ではない。まずはアラガミを倒すのが先決だ。

 

 

フラン「慧音・・・せんせ、あなたの気持ち、よくわかるよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――もう絶対に繰り返してはいけないんだ・・・!あんな―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「はは・・・本当に怖いのって、何なんだろうね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああああああ!」

 

「こっちに来るなあああああ!」

 

「死にたくなあああああい!」

 

 

 

 

 

 

フラン「今は、やるべきことをやらなきゃ・・・皆を守らなきゃ!もう、繰り返させない!」

 




この世で最も恐ろしい存在って何だろう、って考えたことはありませんか?

僕個人としては「ヒト」と「病気」だと思います


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Mission 24 暗所の灯

みなさんおはこんばちは。最近エクバ厨のwingです。それではどうぞ。


~サヤカside~

 

 

工房の外にて、サヤカと魔理沙はにとりに別れを告げる。

 

 

サヤカ「では、そろそろ行きますね」

 

にとり「なんだか寂しいなぁ、会ってから1日も経っていないはずなのに」

 

魔理沙「なーに、すぐにまた会えるさ」

 

にとり「おっとそうだ!」

 

 

にとりが何かを思い出し、工房へ戻っていく。だが間もなくして戻ってきた。

 

 

サヤカ「・・・?」

 

にとり「ふう、忘れるところだったよ、はいこれ」

 

魔理沙「・・・何だそれ?」

 

 

にとりがサヤカに何かを手渡す。何かを差し込む入れ物のようだ。

 

 

にとり「サヤカが持ってる神機、抜き身のままだと気味悪がられると思ってね。鞘も作っておいたよ。革製だけど」

 

サヤカ「何から何まで、本当にありがとうございます」

 

魔理沙「おお、これでレイジと一緒だな!・・・ておい、どう見てもこのサイズじゃ収まらないぞ?」

 

にとり「ああ、サヤカ、これには刀身の状態で入れておいてね。銃身の状態だとかさばるから。何よりこれは鞘だしね」

 

サヤカ「ああ確かに、剣形態だと容量が少なくて済みますよね」

 

 

サヤカの神機は刀身がショート、銃身がスナイパーであるため、剣形態にした方がコンパクトに収まる。早速神機を剣形態にして鞘に差し込み、鞘から伸びる紐を肩から下げる。神機は腰の辺りで横向きの位置になっている。

 

 

にとり「どうかな、抜きやすくしてみようと思ったんだけど」

 

サヤカ「いいですねこれっ文句なんてありません!」

 

魔理沙「はっは、けっこうキマってるじゃん。大事にしろよ?」

 

サヤカ「もちろんでs」

 

 

文「はーいちょっとすいませんね~」

 

 

会話の最中に突如空から文が割って入って来た。

 

 

文「何度もすいませんね・・・おや、なかなかイケてますね」

 

にとり「私が作ったんだよ(ドヤッ)」

 

文「それよりもサヤカさん、事件です」

 

にとり「それより・・・(´・ω・`)」

 

サヤカ「事件?」

 

文「ええ、なんと人里でアラガミが大量発生中だそうです」

 

サヤカ「ええ!?すぐに助けに行かないと!」

 

文「レイジさん達が食い止めているそうですがあの数では対処出来ないかもしれませんね」

 

魔理沙「人里を守ろうとなるとレイジ達だけじゃ人数が全然足らないな、私達も行くぞ!乗れ!」

 

サヤカ「はい!・・・あ、皆さん!ありがとうございましたー!」

 

 

サヤカと魔理沙は急いで箒にまたがり、人里へ向かうべく空へと飛び出した。

 

 

文「・・・私もお手伝いしたいんですがねぇ」

 

にとり「行けばいいじゃない、人里の方にも新聞配達やってんでしょ?」

 

文「ちょっと仕事が・・・まぁ大したもんじゃないんですけど」

 

にとり「大したことないんなら尚更」

 

文「いや、椛がうるさくってね・・・」

 

椛「文さん!探しましたよもう、こんな所でサボってたんですか!」

 

文「はいはい今行きますよっと・・・じゃ、そろそろ行きますんで」

 

にとり「うん、じゃーねー。・・・サヤカ、魔理沙、絶対に死なないでよ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~レイジside~

 

 

 

 

アーティ「チッ、なんて数なのよ・・・鬱陶しいわね!」

 

 

 

 

 

 

 

レン「里の人達は無事なのかな・・・確認する余裕がない・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・!」

 

 

 

 

 

 

 

フラン「なんか増えてきてる?・・・まぁいいや、壊してやるだけ!」

 

 

 

現在、レイジ、レン、アーティは各大通りでアラガミの侵攻を止めようと奮闘、フランは広場で取りこぼしたアラガミを迎え撃つという形になっているのだが、アラガミのあまりの量にレイジ達は捌き切れず、広場に集まるアラガミが多くなっていた。

 

 

 

ピピピッピピピッ

 

 

レイジ「・・・?」

 

 

ズボンのポケットから何やら音がする。この音は久しく使っていなかった通信機の音だ。

 

 

レン「レイジさん、アーティさん、聞こえます!?」

 

アーティ「あ!?何よこのクソ忙しい時に!」

 

レイジ「・・・?」

 

レン「よかった、無事みたいですね」

 

アーティ「んなこと言ってるヒマがあったら体動かせっての!」

 

レン「聞いてください!まず、まだ逃げ遅れている人はいませんか!?」

 

アーティ「このあたりにはもういないわ!意外と逃げ足が速かったおかげでこっちは犠牲者は0!」

 

レン「レイジさんは!?・・・なるほど、そちらも同じですか」

 

アーティ「あんたの方はどうなのよ!」

 

レン「こちらにはまだ逃げ遅れた子どもが2人ほど!今護衛しているところです!」

 

アーティ「そんな状態で通信してくんな!」

 

レン「まだ話したいことがあるんです!今、里の中央付近にアラガミが集まってきてるんです!恐らく僕達が取りこぼしたのが徐々に増えているのでしょう!」

 

アーティ「チッ・・・あそこはフラン担当だったわね、このままじゃ全員揉みくちゃにされてやられてしまうか・・・!」

 

レン「ええ、ですから手が空いたらでいいです!フランさんを助けてあげてください!日傘で片手が使えない上に今はまだ日中、本来の力を出せないはずですから!」

 

アーティ「あたしは無理!」

 

レン「そうですか・・・ん、レイジさん?・・・そちらには大型が1体だけなんですか?」

 

アーティ「・・・あー、こっからでもなんか見えるわね、あれ・・・てあれ第1種接触禁忌種のアマテラスじゃない!さりげに混ざんなし」

 

レン「レイジさん、無理を言うようですがあなたの方が先に手が空くかもしれません、終わり次第フランさんを援護してあげてください!フランさんを危険な目に遭わせるワケにはいきませんから・・・」

 

アーティ「・・・で!?他にはもうない!?」

 

レン「あとは・・・あれですね!」

 

アーティ「?・・・あぁあれか!リンドウが散々言ってたヤツ!」

 

レイジ「・・・」

 

レン「「死ぬな 死にそうになったら逃げろ そんで隠れろ」

 

アーティ「運が良ければ不意をついてぶっ殺せ」でしょ!わかってるわよそんくらい!」

 

 

プツンッ

 

 

アーティ「さてtあっこら待て逃がすかよおおおおお!」

 

 

 

レン「・・・よし、あとはこの子達を避難させれば、ある程度自由に戦えるようになる・・・!」

 

 

 

 

 

レイジ「・・・」

 

「オオオオオオ!」

 

 

1度周囲を見渡す。混戦のさ中だったため気付かなかったが、里の人々は近くにはもういないことがわかった。これでアラガミ討伐に集中出来るが、どうやらこのアラガミは火属性の攻撃を主軸としているようで、女神像のような部位から炎のビームを撃ってきたり、上から巨大な火球を投げてきたりしている。しかも里にある家屋は殆どが木造。火事を起こさないためにも立ち回りが重要となってくるので、如何せんあまり自由に動けない。立ち位置はなるべく家屋から離れた道路の真ん中付近で戦い、火の攻撃はなるべく装甲で防ぐことにする。

まずは体を支える腕触手から攻めていく。至近距離まで近づき触手に攻撃を当てていく。ウロボロス種は瞬発力が低めなので攻撃が当たりやすい。ウロボロスであれば触手を斬るのは容易いのだが・・・

 

 

「・・・」

 

 

悲鳴らしき声が聞こえない。不審に思い触手を見てみると、なんと殆ど傷がついていない。通常のウロボロスであれば全く効かないなんてことはない。驚いている内にアマテラスはレイジを上から押し潰そうと圧し掛かってきた。急いでかわし弱点を探していく。足、背中、羽・・・どれもいまいちだ。残りは顔にある女神像のような部位だけだが、そこからは炎を放射状にして発射したりとかなり危険だ。

 

 

レイジ「・・・?」

 

 

ふとレイジは思った。女神像付近がどうして危ないのか。敵の正面は危険であるというのはよくあるが、それにしては・・・。もしかしたらそこが弱点ではないだろうか。

 

 

ザンッ

 

 

「オオオッ・・・」

 

 

怯んだ。やはりこの部分が弱いようだ。早速攻撃を開始する。早くフランの援護に回っておきたいので角に捕まって集中攻撃をかけ始めた。アマテラスはレイジを振り落とそうと悲鳴を上げながら頭を振り回す。予想はしていたがかなり力強い。だが振り落とされるまいと角にしがみついたまま神機を振りかぶり、意識を集中。アマテラスは身の危険を感じたのか女神像を青く光らせる。ゼロ距離で火炎ビーム攻撃をするつもりだ。刀身に紫のオーラを纏い刃を形作られる。レイジは思い切り必殺の一撃を女神像に叩きこんだ。

 

 

「ガアアアアア!」

 

 

叩き斬り、突き刺し、2度と起き上がれないように滅多切りにする。火属性攻撃を持つ大型アラガミはこの場所では早急に排除しておかなければならない。これでもかというくらい斬りつけた後、アマテラスは地面に崩れ落ちた。・・・広場に近い場所まで来てしまったようだ。後ろを振り返れば広場が目前にある。アマテラスの背後側を覗き何もないことを確認し、神機に捕喰形態にする。

 

 

その時。

 

 

「オオオ・・・!」

 

レイジ「!」

 

 

なんとまだ生きていた。しかも女神像が青く光っており、射線上には広場の中央で楽しそうにきゅっとしてドカーンを繰り返しているフランが。彼女はアマテラスの存在にまだ気づいていないようだ。急いでトドメの一撃を叩き込むレイジ。だがアマテラスは悲鳴を上げつつも撃つまでは死なんとばかりに火炎レーザーを発射した。

 

 

レイジ「!」

 

 

レイジは射線上にいただけでなく至近距離にいた。慌てて装甲を展開し防ぐ。激しい衝撃で手元がブれ、体が焼けそうなくらいの熱気に襲われる。横に逸れたいがフランに攻撃の矛先を向けさせたくはない。

 

 

レイジ「・・・!」

 

アマテラス「オオッ!」

 

 

ゴオッ!

 

 

突如アマテラスはビームの照射をやめ、すかさず大きな火球を投げつけた。だが死の直前だったためか飛距離が少し届かずレイジから3m程前で着弾し、爆発。爆風でレイジは大きく吹き飛ばされた。幸い装甲を展開したままだったので大したダメージにはならなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

慧音「いいぞフランドール!もう少しだ、しっかり守ってくれ!」

 

フラン「おっけ!」

 

 

「(ずてーん)うわ!?」

 

「ガアアア!」

 

フラン「させない!がしっとしてっ―――――ドカーン!」

 

 

逃げていく人々の中に1人、男が転んでしまったところを襲っているのを発見。すかさずフランは高速で飛んでいきザイゴートを掴む。敵の体を握り締め、最後は腕を突き出しながら能力で破壊する。戦いの直前にレイジから跡形もなくなるくらい破壊するように頼まれたため、破壊されたザイゴートは文字通り消し飛んだ。

 

 

「あっ・・・」

 

フラン「大丈夫ー?」

 

「え、あ、ああ・・・」

 

 

男は慌てて返事を返すとさっさと逃げていく。フランは彼の素直に喜ぶべきかという戸惑いの表情が少し気になってしまった。

 

 

フラン「・・・仕方ないのかな・・・。おっとまだアラガミは残ってるんだった、どんどん壊すぞー!」

 

 

気を取り直してアラガミを能力で破壊していく。段々数が少なくなってきているが未だ途絶えることのないアラガミの襲撃は続く。

 

 

フラン「それそれ!ドッカンドッカーン!」

 

慧音「・・・すごいな・・・こんな大群を次々と・・・」

 

フラン「慧音せんせは逃げなくていいの?」

 

慧音「ん?」

 

フラン「この辺りにもう人は見かけないけどいいの?逃げなくて」

 

慧音「なんだ、その話か。私は逃げないぞ?まだ君達が残っているからな」

 

フラン「私達は逃げるつもりはないよ?」

 

慧音「だろうな。ならば私は君を援護する」

 

 

慧音はフランと背中合わせに立ち、敵を見据える。

 

 

フラン「こいつらは並の攻撃じゃ効かないそうだよ」

 

慧音「わかっている。だがボーっと見ているのも変だと思ってな」

 

フラン「ウフフ、じゃいこっか。絶対に壊れないでねっ!」

 

慧音「もちろんさ」

 

 

戦闘再開。フランは迫るアラガミを能力で次々と破壊していく。慧音はスペルカードで弾幕を張りフランのフォローに徹する。彼女の弾幕はまだ未強化のためアラガミに通用しないが注意を逸らすことで少しでもフランに攻撃が行かないようにしている。

 

 

フラン「守るために壊すってなかなか楽しいね!」

 

慧音「私としては微妙な気分だが・・・この状況では仕方あるまい」

 

 

その後も順調にアラガミを撃破していき、アラガミの数も減少傾向になってきた。勝機が見えてきたと思ったその時―――

 

 

ズドーン!

 

 

慧音「何だ!?」

 

フラン「ん?・・・レイジ!?」

 

 

突然の轟音。そこへ振り返ると爆発が起きていた。そしてこちらへ吹き飛ぶレイジの姿も。

 

 

レイジ「(ドサッ)ッ」

 

フラン「レイジ!」

 

 

別の場所で戦っていたレイジがいきなりここまで吹き飛ばされてきたことに驚き、急いで彼の元へ駆け寄るフラン。この時右からアラガミが迫っているのに気付いていなかったが慧音がすかさず注意を呼びかける。

 

 

慧音「フラン右だ危ない!」

 

フラン「!このっどいて!(ドカーン)大丈夫?」

 

 

心配そうにレイジの顔を覗きこむフラン。レイジは大丈夫だとうなずき立ち上がる。

 

 

フラン「無理して壊れちゃったら嫌だよ?」

 

 

大事に至らなかったことにひとまず安心すると、今度はどこかから子どもの泣き声が聞こえてきた。

 

 

男の子「あーんあーん!おねーちゃ~ん・・・!」

 

女の子「ううっぐすっっ、早く!泣いてないdえぐっ早く走って!」

 

 

レイジ・フラン「!」

 

 

慧音「何ッ!?しまった、まだ逃げ遅れていた子がいたのか!」

 

 

まさかレンが守っていた子どもだろうか。一難去ってまた一難とはこのことか。更に運の悪いことに―――

 

 

ボルグ・カムラン「ガアッ!」

 

女の子「ひぃッ!?」

 

男の子「わーーーーーー!」

 

 

慧音「―――――!!」

 

 

頭よりも、体が先に動いた。レイジとフランは同時に子どもの元へダッシュ、慧音は今にも尻尾の針で攻撃を仕掛けようとしているボルグ・カムランの後脚に飛び蹴りを食らわせる。だがあまり怯む様子もなく攻撃を仕掛けてしまう。レイジは子どもの前に出て針を防御。フランは子どもを抱えて一旦距離を置く。日傘を持っている腕も使って2人とも抱えられるとはなかなか器用だ。

 

 

フラン「ふう危ない危ない。ね、ケガはない?」

 

男の子「え・・・あ・・・」

 

フラン「ちょっとここで待ってて」

 

 

付近にアラガミは見当たらないので子ども達にその場で待機するように言っておく。一方レイジはボルグ・カムランの針と自らの装甲とで押し合いの状態になっていた。このままでは攻撃が出来ない。装甲に突き立てられた針を無理矢理横へ押しのけて振り払う。そこへフランが

 

 

フラン「その危ない尻尾は壊しちゃおうねえ!」

 

 

バキインッ!

 

 

何か鈍器で殴られたように鈍い音と共に針ごと尻尾が破壊される。フランの能力はこういう場面では非常に心強い。ボルグ・カムランは主軸となる攻撃手段を失ったことに驚いたのか怯んだ様子を見せる。

 

 

慧音「さ、私と一緒に行こう」

 

男の子「あ、あう・・・」

 

慧音「なに、心配しなくても私がついてるし、この里の守護者がいるからな」

 

女の子「う、うん!」

 

 

隙を見て慧音が子ども達を確保、避難場所へ連れて行くためにその場を後にする。

 

 

慧音「(とはいえ避難場所まで少し距離があるな、途中で何度も襲われるだろう)フランドール!すまないが私がこの子達を避難させるまで援護してくれないか!」

 

フラン「守ればいいんだね、わかった!」

 

 

フランも慧音の援護のために追従を始め、その場に残ったのはレイジのみ。周囲にアラガミが増え始めてきたので白玉楼で手に入れた新しい力を試すことにする。ボルグ・カムランの弱点は氷・雷属性なので、まず刀身を雷属性の「鬼斬りクレイモア 真」に換装。そしてカリギュラから手に入れた能力 (武器と言った方がいいかもしれない)、仕込み刀を展開させる。・・・普段の3倍程の長さ、やはりとんでもない長さだ。

換装やらなんやらしている時にアラガミ達は何もしないはずはなく当然襲い掛かってくる。始めに目の前のボルグ・カムランに向かって振り下ろす。

 

 

ズッドオオオン!

 

 

斬撃と共に激しい雷が落ち、ボルグ・カムランは跡形もなく消し飛んでしまった。どうやら仕込み刀を展開している時は剣の威力だけでなく属性の威力も増幅されるらしい。攻撃の後でもバチバチと電気が刀身を走り回っている。予想以上の強力さに驚きたくなるが周りのアラガミがまだ残っているので後回しにし、手当たり次第に排除を開始する。剣を振るうたびに稲妻が軌跡を描き、斬られたアラガミは電撃に体を貫かれる。普通は属性武器を使っていても火が溢れたり雷が落ちたりするようなことは起こらないのだが・・・今は気にしても仕方がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~南東大通り~

 

 

フラン「一体どこから湧いてくるのかなぁ、まぁ楽しいからいいけど」

 

慧音「いいぞ、その調子だ」

 

フラン「あとどれくらいで着くのー?」

 

慧音「あと少しだ、さぁ、皆急ごう」

 

男の子「ううう~」

 

女の子「慧音せんせーが一緒だから!ほら、泣かないで!」

 

フラン「(・・・お姉ちゃん、今どうしてるのかな・・・)」

 

 

慧音達は避難場所まであと少しの地点を駆けていた。アラガミが襲い掛かったところをフランが即座に破壊する。1発で倒せてしまうためかなり順調に進めていた。

 

 

慧音「よし、着いたぞ」

 

フラン「もっと手強い敵いないかなぁ」

 

慧音「何を言う、君より強い者でも現れたら私達にとってはたまらないぞ。そんなことを言うものではない」

 

フラン「はーい」

 

 

小言をいいながら避難場所までやってきた。かなり大きな建物の中にあり、建物の中に避難所があるという。中に入ると商品が所狭しと並んでいるが無視して奥へ進んでいく。一番奥には、竪穴と地下へ続く階段があった。元々木の蓋がされてあったようだが今は近くの壁に立てかけられている。2人の子どもを地下に逃がし終え、一息つく。

 

 

フラン「地下が避難場所?」

 

慧音「ああ、地震とかだったら別に非難する場所があったんだが、今の状況では地上は危ないからな。この巨大な商店が倉庫に使っている広い地下室がいいと思ってここにしたんだ。里の人全員が入っても全然余裕があるし、食料も保存されている」

 

フラン「へー」

 

慧音「さぁ、まだ一仕事残っているぞ。奴らを片付けなければな」

 

フラン「うん!」

 

 

まだ外には多数のアラガミが残っている。里の人々の不安と恐怖を消し去るために、レイジの加勢に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃レイジは先程の雷の一撃の後、別の属性だとどうなるか試していた。

火属性で仕込み刀を展開させると、刀身の周りの空気が熱気で陽炎のように揺らめき、振るえば業火を纏って敵を塵も残さず焼き尽くした。

氷属性の場合、刀身から常に冷気が漂い、振るえば冷気が吹雪のように襲い掛かって斬った対象はもちろんその付近の敵も氷漬けになった。

神属性の場合、薄いが神々しい虹色のオーラが刀身を包み、振るえば衝撃波を放って敵を吹き飛ばした。

念のためもう1度雷属性を試してみた。刀身にはビリビリと稲妻が走っており、振るえば雷となって斬撃と共に敵を穿つ。縦に振れば落雷が敵を貫き、横や斜めに振れば刀身から溢れる稲妻が一気に襲い掛かる。

属性なしの場合、剣攻撃が通りにくい部位でも容易に叩き斬ることが出来た。無属性の刀身は属性付きのものより刀身そのものの威力が高い。そのせいだろうか。

 

一通り試してみたが、まさに圧倒的。周囲を囲む程いたはずのアラガミがどんどん消し飛んでいく。

 

いずれもアラガミに対して非常に強力な攻撃力を誇るということがわかった。しかしここには家屋が多く存在するため属性武器を使用すれば攻撃範囲の広さが災いして家屋を破壊してしまいかねない。今後は基本的に仕込み刀は使わず、必要な時に使う方針にする。そう決心した時、後ろからこちらを呼ぶ声が響いた。

 

 

魔理沙「おーい!レイジー!」

 

サヤカ「レイジさん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数分前・サヤカside~

 

 

にとり達に別れを告げた後、サヤカと魔理沙は急いで人里へ向かっていた。

 

 

サヤカ「ふぐぅぅ・・・!」

 

魔理沙「キツいだろうが我慢してくれ、レイジ達を一刻も早く助けないといけないからな!」

 

サヤカ「Gが・・・まだ、慣れそうにないです・・・!」

 

魔理沙「別に慣れる必要なんてないさ、少なくとも箒で飛ぶなんてことはお前の世界じゃありえないんだろ?」

 

サヤカ「そうですねっ・・・少なくとも生身で飛行なんてことは・・・!」

 

 

急を要する事態のため飛ばして行かなければならないことには妥協しているつもりだが、容赦なく圧し掛かるGに音を上げそうになる。必死に魔理沙にしがみつくのがやっとで周りの景色など見ている余裕がない。どれくらいの間飛び続けているのかわからなくなってきた頃に魔理沙がサヤカに声を掛ける。

 

 

魔理沙「ようやく見えてきたぞ。もう少しの辛抱だ」

 

サヤカ「ぐぬぬ」

 

 

人里が見えてきたところでさらに加速する魔理沙。空気が激しく顔にぶつかって目を開けていられない。そしてようやく―――

 

 

キキーッ

 

 

サヤカ「あわぁっ」

 

魔理沙「何だありゃ・・・」

 

サヤカ「・・・?」

 

 

里の入口へ到着。だが突然急ブレーキをかけ、降下せず何かを見ている魔理沙。サヤカも魔理沙の視線の方向を見てみると、里の中央の辺りで奇妙なことが起きていた。ここからでははっきりとは見えないが、家屋がない広場のような場所で、そこからアラガミがポップコーンのように上空に弾け飛んでいるのが見えた。

 

 

魔理沙「何が起こってるんだ・・・?」

 

サヤカ「何か大きな力で吹き飛ばされてるようですね」

 

魔理沙「まさかアラガミじゃないよな」

 

サヤカ「フランちゃんとかじゃないでしょうか」

 

魔理沙「うーん、行ってみないとわからないな。・・・里の住人は既に避難したようだな、じゃ行くぜ!」

 

 

 

 

~南東大通り~

 

 

魔理沙「おらおらどけどけえ!」

 

サヤカ「大通りのようですね、一本道だと挟み撃ちに遭いやすい・・・!」

 

魔理沙「ならこっちがやってしまえばいいだけさ!」

 

サヤカ「まぁそうですね!」

 

魔理沙「魔符「スターダストレヴァリエ」!」

 

 

魔理沙がスペルカードを使用。弾幕を張って自分を援護するのかと思ったが・・・

 

 

魔理沙「突進バージョン!」

 

サヤカ「!?」

 

 

なんと弾幕を張るのではなく箒にまたがり星を噴射して突進する攻撃だった。確かにこの一直線となっている大通りでは道を切り開くのに有効ではある。

 

 

魔理沙「このまま突っ切って里の中央まで行くぜ!」

 

サヤカ「ちょ・・・噴射された弾幕がバラバラに散って上手く進めないんですけど!」

 

魔理沙「おっと悪ィな、それは仕様上仕方ないんだ、突進をかわされた時のための弾幕なんでな、避けて進んでくれ!」

 

サヤカ「まったくもう・・・」

 

 

はた迷惑な弾幕だが、散りばめられた弾幕は次々とアラガミに当たり、倒されていく。サヤカは取りこぼしのないようアラガミを倒していきながら里の中央広場へ進んだ。

 

 

 

 

~中央広場~

 

 

サヤカ「ふぅ・・・やっと着いた・・・」

 

魔理沙「・・・(゚д゚)」

 

サヤカ「え?・・・!?」

 

 

魔理沙の弾幕が思いもよらず邪魔になってしまい魔理沙より大きく遅れて広場にやってきたサヤカ。魔理沙が何故か呆然とした様子で何かを見ており、サヤカも視線の先を見てみると、驚くような光景があった。

 

 

 

 

落雷と電撃が敵を貫き、炎が敵を焼き尽くし、冷気が近寄る者全てを凍らせ、美しい斬撃の軌跡を描きながら衝撃波を放ち、硬そうな部位もバッサリと斬り捨てる。普通の3倍ほどの長さの剣を振り回すレイジがただ1人、アラガミを倒し続けていた。

 

 

サヤカ「え・・・え?」

 

魔理沙「なぁ・・・あいつ、あんなこと出来たのか?」

 

サヤカ「いや、私はレイジさんと会ってまだ長くないのでよくわかりませんが・・・」

 

魔理沙「・・・とりあえずあいつを手伝ってやるか」

 

サヤカ「そうですね」

 

魔理沙「おーい!レイジー!」

 

サヤカ「レイジさん!」

 

 

 

 

~レイジside~

 

 

レイジ「・・・?」

 

魔理沙「よう、お前らだけだと大変だろ?助けに来てやったぜ!」

 

サヤカ「レイジさん今のどうやっt・・・あ、いや後で聞きます」

 

魔理沙「なぁ、フランはどうした?・・・ふーん、慧音と一緒に子どもを逃がしにね・・・。あいつも随分と変わったなぁ」

 

サヤカ「魔理沙さん危ない!」

 

 

ドドドドドドドドン!

 

 

レイジ「・・・?」

 

魔理沙「おお流石はにとり製、悪くない火力だ」

 

サヤカ「レイジさん、こっちはもう改造を済ませました。あとこれはサービスで作ってもらったんですよ。中距離で真価を発揮出来るそうで」

 

魔理沙「さて、フラン達が戻るまでひと暴れするか!」

 

フラン「ただいまー!あれ、魔理沙にサヤカ?」

 

魔理沙「おお、人里が襲われてると聞いてな、今着いたばっかなんだ」

 

慧音「君は・・・霧雨魔理沙か。ん、もう1人いるな」

 

サヤカ「あ、私は行方サヤカと申します」

 

慧音「上白沢慧音だ、よろしく頼む」

 

 

 

「グウウウウウ・・・」

 

「グルルル・・・」

 

 

慧音「応援が来てくれたのはありがたいが・・・まだ少し人数に不安が残るな」

 

魔理沙「でもこれ以上誰を呼ぶんだよ?」

 

慧音「あと1人くらいなら足りるだろう。・・・すぅー・・・」

 

 

不意に大きく息を吸い込む慧音。限界まで吸った後、

 

 

 

慧音「もこたああああああああああん!!!」

 

 

 

全員「!?」

 

 

誰かの名前だろうか、空に向かって大声で叫ぶ慧音。しかし呼ばれた本人は現れない。

 

 

魔理沙「おい誰を呼んだんだよ、来ないじゃんか」

 

慧音「まぁ数分は時間がかかるだろうが、来てくれるはずだ」

 

サヤカ「(もこたん・・・まさか・・・)」

 

慧音「さて、掃除を始めるか」

 

フラン「さぁ、どんどん壊しちゃおうねぇ」

 

 

サヤカ、魔理沙が応援に駆けつけ、フランと慧音が帰還したことによりこちらが優勢に回る。まずは広場に群がるアラガミを殲滅する。そして何分か経った時、レイジは南西大通り方面が少し騒がしいのに気が付いた。

 

 

慧音「・・・来たか」

 

魔理沙「・・・?来たって何が」

 

慧音「さっき私が呼んだ人物さ」

 

サヤカ「あ、ホントだ誰かこっちに走って来てる」

 

 

 

「―――――――!」

 

 

魔理沙「・・・何か叫んでいる?」

 

 

 

「――――ぉぉぉぉぉおおおおおおおお!」

 

 

段々走ってくる人物の姿が明らかになってくる。その人物はこの中ではサヤカと慧音が知っている。彼女の突進を阻止しようとアラガミが襲い掛かるが止まらない。炎を操れるらしくその力で弾き飛ばしている。

 

 

 

 

妹紅「だあああれがもこたんだあああああああああああああああああ!!!」

 

 

 

 

ドオオオオオン!

 

 

「グアアッ!」

 

「ゴアアアッ!」

 

「グガッ・・・!」

 

 

 

 

 

妹紅「(ズザザーッ)慧音!もこたん言うなと言ってるだろうが!」

 

サヤカ「妹紅さん!?」

 

妹紅「ん・・・サヤカ!?どうしてお前がここに!?」

 

慧音「おや、知り合いだったのか」

 

妹紅「ああ、以前竹林の外へ案内したことがあってな・・・ってそうじゃない!慧音!もこたんと呼ぶのはやめろと言っただろ!」

 

慧音「すまないな、どうしても助っ人が欲しくて呼んだんだよ」

 

妹紅「何だって?・・・まさかさっき勢いで吹っ飛ばしちまったヤツらのことか?」

 

慧音「そういうことだ。もう後はわかるな?」

 

妹紅「・・・まったく、呼ぶなら呼ぶで別の言い方があっただろうに」

 

慧音「よし、私と妹紅で南東大通りへ向かう。・・・ふむ、残り2つの大通りは数が少なくなっているな・・・魔理沙、君は南西大通りへ。サヤカ、君は北大通りへ向かってくれ」

 

魔理沙「あいよ」

 

サヤカ「了解」

 

慧音「そしてフランドール、レイジ、君達には逃げ遅れた者がいないか探して回ってもらう。もしかしたらまだいるかもしれないしな。無論、奴らの排除も行ってもらう。いけるか?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「全然余裕!私達2人いれば怖いものなし!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピピピッピピピッ

 

 

アーティ「あ?誰よ・・・(ピッ)もしもし」

 

レン「レンです!そちらは大丈夫ですか?」

 

アーティ「あんたの中のあたしはそんなにか弱いの?」

 

レン「違いますよ、ただ無事を確認したかっただけです」

 

アーティ「ふぅん・・・あたしは今も変わらず、クソ忙しいわ。あいつはそうでもないみたいだけど」

 

レン「あぁ、レイジさんですか・・・えっと・・・あれは一体何だったんでしょう?」

 

アーティ「・・・見たところ、白玉楼で出会ったアンノウンから得た仕込み刀と属性付きの刀身を組み合わせて使ったみたいね。今はやってないみたいだけど」

 

レン「僕もさっきチラッと見ましたけど、とんでもない威力でしたね・・・」

 

アーティ「あんな長い刀身でチャージクラッシュとかするなよ?絶対するなよ?」

 

レン「僕にフリ入れたって意味ないでしょ」

 

アーティ「・・・まぁとにかくあたしは大丈夫、あんたはツッコめる余裕があるしレイジもきっと大丈夫でしょ。さ、まだ仕事の途中だしお喋りは終わりにしましょ」

 

レン「ええ、お気をつけて」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~少女&神機使い奮闘中・・・~

「こっちの方がいいかな?」「ここもいいなぁ」「ここかっ?」「ここかー?」「・・・」「きゅっとしてドカーン!」「がしっとしてドカーン!」「両手でドカーン!」「・・・」「この辺りは誰もいないみたいだね。・・・ん、今度はそっちに行くの?わかったー」

「大通りは直線状に伸びているな・・・なら、マスタースパークで一気にやっちまおうか!恋符「マスタースパーク」!」「・・・よし、あともうひと踏ん張r・・・え!?なんで太いビームが!?わあああ!」「どうかな?・・・はっはー!アラガミを一掃してやったぜ!やっぱり弾幕は、パワーだな!」「・・・あ・・・危なかった・・・」

「・・・にとりさん、早速使わせてもらいます!」「・・・ん、サヤカ?応援にk(ダダダダダダダダ!)うおおっ!?何あれ・・・あいつの銃身スナイパーだったわよね・・・なんでアサルト並みの連射性を・・・まこれで1人の時よりは楽になるか」

「妹紅!君もアラガミを倒せるのか!?」「は!?言ってる意味がわからないぞ、アラガミって何だよ!?」「幻想郷で最近問題になっている怪物達のことだ!レイジ曰く、アラガミは生半可な攻撃は通用しないらしい!」「レイジ?・・・ああサヤカの隣にいたヤツか!」「新聞で呼んだ情報では、私達でも彼らに対抗できるようにするには、永遠亭に行けばいいとのことらしいが・・・!」「「永遠亭?・・・ああそういえば昨日輝夜に変な薬もらったな!「最近幻想郷で問題になってる怪物をスペルカードで倒せるようになる」とか言って、使ってみたんだが・・・あれって本当に必要なのかな、あの怪物と戦う時だけ本気でやれば」「もちろんそういうのも有りだとは思うが、スペルカードなら広範囲を攻撃出来る!効率を踏まえるとスペルカードの方がいい、ということじゃないのか!?・・・妹紅後ろだ!」「おっと危ない!・・・まぁよくわかんないけど、手数が増えたってことでいいんだよな!」「そうだな・・・さて、殲滅に集中しようか」「だな、喋りすぎてたせいか少し敵が多い気がする」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~落日・中央広場~

 

 

魔理沙「こっちは終わったぜ、マスタースパークで消し飛ばしてやったよ」

 

サヤカ「こちらも終わりました。いやぁ意外に数が多くて大変でした」

 

アーティ「何時間ぶっ通しで戦ってたんだろあたし・・・あ゛ーきっつ・・・」

 

レン「同感です・・・今なら地面の上でも寝れますよ・・・」

 

慧音「ひぃふぅみ・・・あとはレイジとフランだけか」

 

フラン「ただいまー!」

 

妹紅「お、戻ってきたな」

 

慧音「お疲れ様。そちらはどうだった?」

 

フラン「逃げ遅れた人はいなかったよ、今日は楽しかったねー♪」

 

アーティ「解せぬ」

 

慧音「あー・・・、とりあえず皆無事で何よりだ。皆は私の家で休んでてくれ、私は避難した人々をを呼んでくる」

 

 

そう言って慧音は1人その場を後にする。空ではもう太陽が沈みかけており、太陽から反対側を見ると、もう夜空が垣間見える。

 

 

妹紅「じゃ私についてこい、慧音の家はこっちだ」

 

魔理沙「今日は疲れたぜ、もう寝ちまいたい気分だ」

 

サヤカ「そういえば、被害はどれくらい出たんでしょうか」

 

妹紅「慧音曰く家屋が十数件ぐらいで死者は0だそうだ。奇跡としか思えないな。サヤカ、レイジ、一体お前達は何者なんだ?」

 

サヤカ「私達はゴッドイーター。破壊の限りを尽くす神を倒すための存在・・・てとこですね」

 

魔理沙「今絶対カッコよく言おうとしたろ?w」

 

サヤカ「い、いや違いますよ(汗)」

 

フラン「へー、ゴッドイーター・・・面白い名前だね!なら私はゴッド・デストロイヤー!」

 

妹紅「神を喰らう者・・・か、確かに面白い名前だな。だが幻想郷(ここ)には神なんて結構いるぞ?」

 

サヤカ「私達はアラガミしか喰わない偏食家なんですっ」

 

妹紅「ははは、じゃぁ普通の食べ物は食えないのか」

 

レイジ「(首振り)」

 

妹紅「・・・いや、揚げ足を取っただけからな?真顔で否定しないでくれ・・・」

 

魔理沙「お前は本当に表情の変化が少ないよな。まるで人形みたいだぜ」

 

フラン「そういえばそうだね、なんで?」

 

レイジ「・・・」

 

レン「僕も少し気になったことがありますね・・・」

 

アーティ「あいつの家族が殺される前まではもっと明るいヤツだったんだけどね」

 

レン「え?」

 

妹紅「ま、性格なんて人それぞれだし聞いたって仕方ないか。・・・さ、着いたぞ」

 

 

そうこうしている内に到着したようだ。表札に「上白沢学習教室」と書かれている。どうやら教室と家が一緒になっているようだ。玄関を開けると、目の前に教室と思しき部屋が見えた。多くの子供達が集まるためか、下駄箱が玄関を入ってすぐ左手に見える。下駄箱に靴を入れ、床へ上がる。教室の奥には廊下がありそこを進むと階段がある。恐らく2階が彼女の住居となっているのだろう。2階もなかなかの広さで、妹紅が案内してくれた部屋はある程度の人数が入っても余裕があるくらいの広さ。今日はここで厄介になりそうだ。

全員しばらくその部屋で寝転がったり伸びをして休憩し、一息ついたところで慧音が帰ってきた。

 

 

慧音「ただいま。皆疲れ切っているな」

 

妹紅「あれは流石に疲れるって・・・あ、でも慧音とレイジと・・・えっと」

 

フラン「フランドールだよ!」

 

妹紅「ああ悪い悪い。お前達3人は最初からずっとその場にいたんだろ?疲れなかったか?」

 

慧音「もちろん疲れたさ」

 

フラン「楽しかった!」

 

レイジ「・・・」

 

魔理沙「慧音はともかく、フランドールとレイジはなんでそんなに涼しそうな顔してんだ・・・」

 

サヤカ「2人とも・・・すごいです」

 

慧音「おっとそうだ、フランドール、玄関で君に用がある人が待っている、下へ行こう」

 

フラン「私に用?」

 

 

~慧音宅・1階玄関~

 

 

フラン「あ!あの時のおじさん!」

 

店員「ようお嬢ちゃん、お前さんがこいつらを助けてくれたんだって聞いてな、礼を言いに来たんだ」

 

店員2「ほら、ありがとう言いなさい」

 

女の子「わかってるよ~」

 

男の子「お姉ちゃん!僕に言わせて!」

 

女の子「え?一緒に言えば」

 

男の子「やだ!僕が先!」

 

女の子「わ、わかったよ~」

 

 

フランが目の前にいるのに少し緊張しているのか、若干俯いてフランに向かう男の子。

 

 

男の子「あ、あの!た、助けてくれて・・・ありがとう!」

 

フラン「あ・・・ど、どういたしましてっ」

 

女の子「ありがとう!お姉ちゃん!本当に助かったよ!」

 

男の子「あのね、あの変な怪物から助けてくれた時、・・・びっくりしちゃった」

 

フラン「・・・そう、だよね。私は妖怪で、吸血鬼だから・・・」

 

男の子「ううん!お姉ちゃんカッコよかった!せんせーと逃げてる時も、僕達を守ってくれてたんでしょ?」

 

フラン「あ、うん」

 

女の子「だから、お礼言わないとって思って・・・」

 

フラン「・・・うん、私も嬉しいよ。皆無事で・・・本当によかった」

 

女の子「そうだ!ほら、あれ渡さなくちゃ」

 

男の子「あ、そうだ・・・はい」

 

フラン「?これは・・・」

 

 

男の子は小さな袋を渡す。中を見てみると、金平糖が入っていた。

 

 

店員2「それは金平糖っていうんだよ。甘くて美味しいの」

 

フラン「わぁ・・・ありがとう・・・!」

 

店員「慧音さん、お嬢ちゃん、ありがとうな。あとあの少年にもありがとうって伝えといてくれ。里の皆を代表して礼を言う」

 

慧音「わざわざお礼を言いに来てくれるとは、私も礼を言わないといけないな。ありがとう。君達も、ありがとうな」

 

男の子「うん!せんせーありがとう!」

 

女の子「ありがとう!」

 

店員「・・・さーて、もう日も沈んできたし帰るとするか。まだ営業時間中だからな」

 

店員2「ほんと、どうなるかと思ったわね~」

 

男の子・女の子「ばいばーい!」

 

慧音「体を壊さないようにな、気を付けて帰るんだぞ」

 

店員「おう!・・・おっとそうだお嬢ちゃん、またここに来ることがあったら、ぜひうちの店に来いよ、待ってるからな!」

 

店員2「その時は歓迎してあげるわね」

 

フラン「・・・うん!ありがとう!絶対行くよ!」

 

店員「じゃーなー」

 

 

 

 

 

 

慧音「・・・さて、部屋に戻ろう・・・ん」

 

 

店員家族が帰った後、2階へ上がろうとフランに声を掛ける。だがフランは玄関を向いたまま動かない。

フランは、涙を浮かべていた。喜びに満ちた表情をしており、それを見た瞬間、慧音は彼女の気持ちを悟った。

 

 

フラン「・・・嬉しいな・・・」

 

慧音「・・・」

 

フラン「今まで・・・こんな風にお礼を言われたこと・・・あったかな・・・」

 

慧音「・・・」

 

フラン「もうちょっと、怖がられると思ってた・・・私にお礼を言いに来るなんてこと・・・ないと思ってた・・・ッ」

 

慧音「・・・よかったな、お菓子までもらうことが出来て・・・嬉しいだろう?」

 

フラン「うん・・・とっても嬉しいよ・・・」

 

 

フランは金平糖の袋をぎゅっと抱きしめる。そこに慧音がフランを優しく抱き寄せる。フランはされるがまま、慧音の体温を感じていた。

 

 

フラン「暖かいよ・・・人の・・・・・・うぅ・・・とっても、暖かい・・・」

 

慧音「・・・人間はとても恐ろしい面を持つ・・・だが、それだけではないということを、忘れないでほしい」

 

フラン「うん・・・忘れない・・・忘れないよ・・・」

 

慧音「・・・さぁ、そろそろ戻るとしようか」

 

フラン「・・・うん!」

 

 

涙を拭い、2階への階段を上っていく。疲れはいつの間にか吹き飛んでしまっており、フランは軽い足取りで仲間のいる部屋へ戻っていった。

 




作「ゴッドイーター2の新情報マダー?」

弟「「アリサが出るよ」のあたりから全然進展がねーな」

作「ホームページもまだ更新ねーな・・・」

作・弟「新情報マダー?」


はい。7/25時点、新情報を切実に待っております。発売日すらまだ詳細不明・・・心配です


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Mission 25 Close for You

みなさんおはこんばちは、wingです。暑い日が続くとやる気が失せてしまいますね。小説の移転作業も辛いものへと早変わり。それではどうぞ。


レイジ「・・・」

 

 

気が付くとレイジは暗闇の中に立っていた。周囲を見渡しても何も見えない。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・けて

 

 

 

 

 

レイジ「・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

レイ・・・・・・

 

 

 

 

 

少女の声だ。だが弱弱しく小さいので耳を澄まさないと聞き取りづらい。

 

 

 

 

 

 

 

た・・・・け・・・て

 

 

 

 

 

誰かがいるのかもしれない。前に手を伸ばしてみるが何もなかった。自分の腕すらも見えない暗闇の中でただ手を伸ばしただけでは意味がないだろう。だが人は暗闇の中では何かないか探ろうとする。「溺れる者は藁をも掴む」と似た感じだろう。ひとまず前に進むことにする。手は前に出したままに。

 

 

 

 

 

 

レイジ・・・・・さ・・・

 

 

レイジ「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・はっダメ!やめてぇ!

 

 

 

 

何かに反応したのか、突然大声を上げる。気になってレイジは声の聞こえた方向へ向かう。すると突如、大きな白い手がどこからともなくレイジの右腕を掴み上げた。

 

 

 

レイジ「!」

 

 

 

自分の腕が見えないような暗闇の中だというのに、その白い手ははっきりと見える。誰のものなのかは未d

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「よお、坊や」

 

 

レイジ「――――――!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガツン!

 

 

 

 

フラン「うっ!」

 

レイジ「っ・・・」

 

魔理沙「それ見ろ、頭ぶつけやがった」

 

妹紅「ふざけ過ぎて痛い目見ても知らないって言ったのに」

 

サヤカ「・・・あれ、レイジさん、顔色がよくないですよ?」

 

レイジ「・・・?」

 

レン「おはようございます、朝ですよ」

 

アーティ「・・・悪夢見てたわね、あんた」

 

 

どうやら夢だったようだ。僅かに乱れた呼吸を整える。しかし気になったことが1つ、なぜ目を開けた瞬間にフランの顔が眼前にあって、しかも頭をぶつけたのか。フランが額を押さえて不満そうにレイジを見ている。

 

 

フラン「う~・・・ひどいよレイジ」

 

レイジ「・・・?」

 

サヤカ「あー、えっとですね・・・」

 

 

 

~十数分前、上白沢学習教室2階・客室~

 

 

太陽が顔を見せ始める早朝、客室で慧音を除いた一行が布団の中で眠っている中、フランが最初に目を覚ました。体を起こし、目を擦りながら周囲を見渡す。

 

 

フラン「ん~・・・あれ、まだみんな寝てる・・・でももう朝だし起こした方がいいのかな」

 

 

だが普通な起こし方ではつまらないし面倒だ。フランは覚醒直後で働かない頭で考える。

 

 

フラン「・・・。そうだ、あれやってみよう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妹紅「(・・・ん、鳥の鳴き声・・・朝か)」

 

 

鳥の鳴き声に妹紅の意識が覚醒する。

 

 

妹紅「(まだ眠いな・・・目蓋がなかなか開けられない・・・昨日は久しぶりに激しく動いたからなぁ)」

 

 

フー・・・フー・・・

 

 

妹紅「(・・・呼吸音?かなり近いな・・・)」

 

 

誰かがすぐ傍にいるのかと思い目を開ける。すると視界一杯にフランの顔が。馬乗りの体勢且つキスする直前くらいの顔の近さに妹紅は驚きの声を上げる。

 

 

妹紅「わっ!?」

 

フラン「えへへ~大成功だね♪」

 

妹紅「なんだお前か・・・あ~びっくりした・・・」

 

フラン「他のみんなにもやってみよっ」

 

妹紅「・・・ほどほどにしときなよ、ふざけ過ぎて痛い目見ても知らないぞ」

 

 

サヤカの場合

 

 

フラン「・・・」

 

サヤカ「zzz・・・」

 

フラン「・・・フッ」

 

サヤカ「・・・?(パチ)近ッ!?」

 

フラン「あははは♪びっくりしたー?」

 

 

魔理沙の場合

 

 

フラン「・・・」

 

魔理沙「zzz・・・」

 

フラン「・・・フッ」

 

魔理沙「・・・」

 

フラン「・・・」

 

魔理沙「・・・(パチ)・・・」

 

フラン「・・・(ニコニコ)」

 

魔理沙「・・・おまえは何をやっているんだ」

 

フラン「驚符「朝のドキドキwake up」だよ♪」

 

魔理沙「何だそりゃ」

 

 

こんな調子で起こしていき、残りはレイジだけとなった。

 

 

フラン「あとはレイジだけだね♪」

 

魔理沙「その顔の位置だと頭ぶつけないか?こいつが驚いた拍子に、とかで」

 

フラン「ウフフ、さぁレイジ、あなたはどんな反応してくれるのかな・・・?」

 

妹紅「もうやめとけって・・・普通に起こせばいいじゃん・・・」

 

フラン「もうこれで最後だもん、やりきらなきゃね」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「・・・」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「・・・フッ」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「・・・・・・?」

 

レイジ「・・・」

 

レン「なかなか起きませんね」

 

アーティ「こいつは朝型じゃないからね・・・ま昨日は何時間も戦ってたし無理もないか」

 

フラン「ま、そのうち起きるよね」

 

レイジ「・・・」

 

魔理沙「おいフラン、顔の位置変だろ!まさにキス直前じゃねーか!」

 

フラン「レイジとなら、しちゃってもいいk」

 

レイジ「―――――!(ガバッ)」

 

 

ガツン!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サヤカ「・・・てことなんです」

 

 

サヤカから説明を受け、状況を把握するレイジ。フランに一言謝ろうとするも、

 

 

フラン「うー!(`^´)」

 

 

仕返しのつもりなのか、いきなりレイジを押し倒し、彼の頭を両手で掴み頭突きを仕掛けてきた。寸でのところでレイジはフランの頭を押さえる。まだ加減を知らないのか、両手で押さえていても正直かなり辛い。

 

 

魔理沙「おい、顔近い、近いって」

 

サヤカ「体勢が・・・」

 

妹紅「そう言うお前らも止めに入らないのか?」

 

魔理沙「見てて面白いからその気はないぜ、まだ眠ィし・・・ふぁ」

 

フラン「ふん~~~!」

 

レイジ「・・・!」

 

アーティ「オイ・・・こいつ吸血鬼とタメ張ってやがるわ・・・」

 

レン「普通力負けするはずじゃ・・・」

 

アーティ「今フランって頭押さえられてるから首だけの力でやってんのよね?ならなんとか抑えられるのかしら?てか抑えられるモンなの?」

 

レン「さぁ・・・」

 

 

レイジとフランが小競り合いを始めて少し経った後、慧音が客室に入って来た。

 

 

慧音「おはよう皆、よく眠れたk(チラ)・・・」

 

フラン「う~・・・!そっち1発やったんだからこっちもやらせてよ~!」

 

レイジ「・・・!」

 

慧音「・・・何をしているんだ?」

 

妹紅「あぁ、実は(少女説明中・・・)で、こうなっちまったんだよ」

 

慧音「なるほど、うっかり接吻をしているのかと思ってしまったがただのケンカか」

 

妹紅「・・・まぁこの体勢じゃ一瞬そう思ってしまうよな・・・」

 

 

事情を聞いた後、慧音はフランとレイジを止めに入る。

 

 

慧音「こら、やめないか」

 

フラン「うぐ~1発だけ!1発だけ~!」

 

慧音「レイジはわざとやったのではないんだ、仮にわざとだとしてもケンカはよくないぞ」

 

 

レイジもうなずきフランに故意にやっていないことを伝えようとする。しかしフランはやめようとしない。

 

 

慧音「・・・仕方ない。仏の顔も三度までだ」

 

 

そう言うとフランの頭を自らの眼前に向けさせる。そしてフランがやろうとしていた頭突きを食らわせた。

 

 

ドゴン!

 

 

フラン「う!?」

 

 

一瞬の悲鳴の後、レイジの隣で仰向けに倒れるフラン。白目を剥いて気絶してしまっている。レイジはやれやれといった表情で起き上がるが・・・

 

 

慧音「喧嘩両成敗だ」

 

 

ドゴン!

 

 

レイジ「!!」

 

 

レイジも頭突きを食らいフランと並んで白目になって倒れる。

 

 

妹紅「出たな慧音の得意技」

 

サヤカ「え、得意技?」

 

妹紅「ああ、教え子の子供達が悪さをした時とかでお仕置きとしてやっているそうだ。私も食らったことがある」

 

慧音「ならば食らえばどれほど痛いか簡単に想像出来るだろう?」

 

妹紅「えっ」

 

 

ドゴン!

 

 

妹紅「がッ!?」

 

 

妹紅も頭突きを食らって倒れる。そして白目である。

 

 

サヤカ「えっ!?妹紅さん何もしてないでしょう!?」

 

慧音「君達はなぜケンカを止めなかったんだ?」

 

魔理沙「そりゃあまだ起きたばっかで眠かったし見てて面白かったからd」

 

慧音「バカ者!」

 

 

ドゴン!

 

 

魔理沙「ヌ゛オ゛オオオオッ!?」

 

 

魔理沙も倒れた。なぜ皆白目で気絶するのかはさておき、これで今起きているのはサヤカと慧音のみ。

 

 

サヤカ「あ、あ・・・あの、ごめんなさいっ」

 

慧音「ん?」

 

サヤカ「無意識の内に傍観してしまって!・・・ごめんなさいっ!今度からはちゃんと止めますから!」

 

慧音「・・・わかった。許してあげよう」

 

サヤカ「・・・え、あ・・・」

 

慧音「自分の過ちを素直に認められるということは、いいことだぞ」

 

サヤカ「はあ・・・」

 

慧音「・・・皆気絶してしまったか。少し力加減を誤ったな、サヤカ、起こすのを手伝ってくれ」

 

サヤカ「はい(助かった・・・)」

 

 

妹紅「ん・・・もう朝か、おはようサヤカ」

 

サヤカ「(・・・あれ?)」

 

魔理沙「・・・あ~もう朝か。よく寝たぜ」

 

サヤカ「(・・・あれれ?)」

 

フラン「ん~・・・あ、おはよーせんせ」

 

慧音「お、おはよう、よく眠れたか?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「昨日は布団に入ってすぐ眠れたよ」

 

サヤカ「(・・・まさか、直前の出来事を忘れてる!?)」

 

 

どういうワケか、慧音の頭突きを食らった者全てが直前の出来事を忘れてしまっている。よって今初めて起きたと思っているようだ。真相を伝えるべきか伝えないでおくべきか困惑し、結局何も言えなかったサヤカであった。

 

 

 

~人里・北大通り出入口~

 

 

サヤカ「慧音さん、お世話になりました」

 

慧音「いいさ、困った時はお互い様だ」

 

フラン「朝ごはんおいしかった☆」

 

慧音「ああ、レイジと妹紅が手伝ってくれたのは助かったよ。あれだけの人数分は1人では大変だったからな」

 

魔理沙「料理出来たんだなお前ら」

 

レイジ「(コク)」

 

妹紅「慧音とは長い付き合いでな、里へ遊びに行ったりしてこいつの料理を手伝ってる内に段々出来るようになったのさ」

 

サヤカ「いいなぁ・・・」

 

魔理沙「サヤカが料理出来ないって知った時は笑っちまったぜ」

 

サヤカ「いいじゃないですか別に・・・。そう言う魔理沙さんはどうなんです」

 

魔理沙「あぁ、私は元々1人暮らしだからな、自炊くらい出来るぜ。キノコ限定だけどな」

 

サヤカ「ダメじゃないですか」

 

魔理沙「料理出来んヤツに言われたくはねーなw」

 

サヤカ「キノコ限定って栄養偏りまくりじゃないですか!」

 

魔理沙「諦めろ、ここは幻想郷だぜ?」

 

サヤカ「そう言って誤魔化せると思ったr」

 

慧音「はいはいケンカはやめるんだ、こんなところで争ってどうする」

 

サヤカ「あ・・・すいません」

 

慧音「わかればよろしい。・・・さて、君達はこれからどうするのかな?」

 

魔理沙「そういえばまだ決めてなかったな、どうしようか」

 

サヤカ「うーん・・・一旦紅魔館に戻りますか?今後の方針はそこで話し合いましょうよ」

 

魔理沙「ん~、まぁ特に今やらなきゃいけないことはないしそうするか。フラン、レイジ、お前らもそれでいいか?」

 

フラン「いいよー」

 

魔理沙「決まりだな。そいじゃ慧音、妹紅、ありがとなー」

 

慧音「機会があったらいつでも来てくれ」

 

フラン「せんせーありがとー!」

 

慧音「こちらこそ。また会おうな、待っているぞ」

 

サヤカ「ありがとうございましたー!」

 

 

 

 

 

慧音「・・・行ったか」

 

妹紅「サヤカにレイジ、フランドール・・・なかなか面白いヤツらだな」

 

慧音「あの子たちは将来、大物になるかもな」

 

妹紅「なに年寄りくさいこと言ってんだよ」

 

慧音「ふふ、教育者として生きているとつい、な」

 

妹紅「・・・」

 

慧音「彼らはきっと立派な大人になるさ。そんな気がする」

 

妹紅「・・・なぁ」

 

慧音「?」

 

妹紅「そろそろ教室を開く時間じゃないか?」

 

慧音「おっとそうだった、急がないと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「じゃ紅魔館へピチューンと飛んでいくか、乗れサヤカ」

 

サヤカ「はい・・・あっ」

 

魔理沙「?」

 

サヤカ「この箒の長さだと、レイジさん乗れませんよね」

 

魔理沙「あぁそうか、でもこの先は魔法の森だから歩いていくのもなぁ」

 

サヤカ「魔法の森?」

 

魔理沙「今目の前に見えてるだろ?あれのことさ。言い忘れてたけどあそこは人間には有毒な瘴気が蔓延してるんだ。私は長年住んでるから平気だが」

 

サヤカ「え・・・まさか、紅魔館のすぐ近くに広がってる森って」

 

魔理沙「魔法の森だぜ?」

 

フラン「今さらだけど2人ともよく無事だったね」

 

魔理沙「まぁサヤカはあん時お前らと別れてすぐに私と空へ上がったから何ともなかったが、レイジはどうだったんだ?」

 

フラン「うーん、特に何もなかったよ」

 

魔理沙「そうか・・・ん?そういえば少し変な感じだったって?おいおい大丈夫だったのか?」

 

レイジ「(コク)」

 

サヤカ「魔法の森の瘴気は即効性の毒じゃないようですね」

 

魔理沙「ああ、だからたまーにどこからか森に迷い込んだ人間が気付かないままぽっくり逝っちまった、なんてことがあるんだよ。私も何回かその死体を見たことがある」

 

サヤカ「どうしましょう・・・遠回りするとかなり時間掛かりますよね」

 

フラン「じゃ私がレイジを抱えて飛ぶよ」

 

魔理沙「出来るのか?片手は日傘で塞がってんのに」

 

フラン「私は吸血鬼だよ、レイジを運ぶくらい楽勝だよ!」

 

魔理沙「すっげーシュールな格好になりそうだな、まぁフランが大丈夫ってんならそれでいってみようぜ」

 

レン・アーティ「えっ」

 

 

魔法の森は、紅魔館と人里を隔てるような地形をしている。外周を回っていこうとすれば日が暮れてしまうだろう。早速空へと飛び立つ4人。

 

 

アーティ「ちょオイ!なに置いてってんのよ!」

 

レン「・・・ぶふっ、フランさんに運ばれるレイジさん・・・ふくくく」

 

アーティ「あーもう!レン!森ん中突っ切るわよ!瘴気がどうたら言ってたから全速力で行く!」

 

レン「はい・・・ふふっ・・・ふくくwww」

 

アーティ「笑ってる場合かっての」

 

 

 

 

~霧の湖~

 

 

魔理沙「さ~て、ここで少し休憩といくか、よいしょっと」

 

フラン「レイジどう?いつもと違った景色が見れたでしょ?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

魔理沙「手足がぶらーんとしてるレイジ見るとすっげー笑えて仕方なかったぜ」

 

サヤカ「あの、この辺りも瘴気が立ち込めているんじゃ・・・?」

 

魔理沙「あぁ、この辺りは開けてるから瘴気は薄いんだ。だからしばらくここにいても何ら問題はないぜ。でもここは日中は濃霧のせいで視界が悪くなる。紅魔館とは目と鼻の先だから、空からだと迷いやすいし見つけにくいんだ」

 

サヤカ「へえ」

 

 

そう言いながら手で水をすくい顔を洗う魔理沙。確かに周囲は濃霧で視界が悪く、空が見づらい。湖の向こう側も霧で見にくい。朝方でこの霧の濃さならば昼だとどうなるのだろうか。サヤカには検討が付かなかった。

 

 

魔理沙「まぁ一旦降りたのは単に私が顔洗いたかっただけなんだがな」

 

サヤカ「あぁ、そうなんですか・・・」

 

 

アーティ「っはぁっはぁっはぁっはぁ・・・あいつら・・・ちょっとはスピード落としなさいよ・・・」

 

レン「ふぅ、やっと追いつきましたね・・・今あそこで休憩してるみたいです」

 

アーティ「あそう、ならよかっtてもう出発しようとしてんじゃないの・・・」

 

 

 

一息ついたところで再出発しようとする一行。その時、魔理沙の目に2人の人影が映った。それはここに来れば高確率で会える人物。湖のほとりで並んで座っている。濃霧でシルエットしか見えないが魔理沙には誰なのかすぐに理解した。

 

 

魔理沙「(チルノに大妖精か・・・ん?)」

 

 

だがこの時はいつもと雰囲気が違っていた。魔理沙は自然に彼女達の方へ足を進める。

 

 

フラン「魔理沙?」

 

サヤカ「どうしたんですかいきなり方向転換して・・・ん?」

 

フラン「魔理沙ー?ん、なーにレイジ・・・あの先に誰かいるって?」

 

 

レイジが魔理沙の向かう先をフランとサヤカに教える。その後魔理沙の後をつけ始めた。魔理沙はその頃2人に声を掛けていた。

 

 

魔理沙「よお」

 

チルノ・大妖精「っ!」

 

魔理沙「そんな驚くこたぁねーだろ。・・・なんか元気ねーなお前ら」

 

大妖精「えっと・・・」

 

 

言おうとしたところで言葉が止まる。嫌なことでもあったのか、暗い表情だ。チルノに至っては両腕を抱えてうずくまっている。その様子から、只事ではないと推測できる。

 

 

魔理沙「・・・どうしたんだよチルノ、お前らしくもない」

 

チルノ「思い出させないでッ!」

 

魔理沙「な・・・何があったんだよ」

 

大妖精「実は、昨晩、怪物に襲われて・・・」

 

魔理沙「怪物?妖怪とかじゃないのか?」

 

大妖精「違います!あんなの・・・見たことない・・・」

 

 

はっきりと否定する大妖精。表情から恐怖の色が窺える。

 

 

大妖精「あの時、夜遅くまで遊んでて、帰りに私がチルノちゃん家に泊まることになったんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日はたくさん遊んだね~」「そうだねチルノちゃん」「もう夜なのね。大ちゃん、今日はあたいん家に泊まってく?」「えっそんな、悪いよチルノちゃん」「いいからいいから、もう夜だし、よい子は寝る時間!」「う、うん、じゃあお言葉に甘えて・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大妖精「それでここに着いた時、湖の向こう側で何か騒いでるような声が聞こえたんです。こんな夜に何だろうって、私もチルノちゃんも思いました。夜は霧が晴れるので向こう側を目を凝らして見てみたら・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、何あれ!?」「妖怪が妖精を襲ってる!?でも、なんか見たことない・・・!」「助けに行かなきゃ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大妖精「見たことのない怪物が、仲間の妖精達を襲っているのが見えたんです。違和感はあったけど、その時はあまり驚きはしませんでした。強暴な妖怪が妖精に襲い掛かるなんてことはたまにだけどあることだし、チルノちゃんがいればなんとかなると思ってたんです。でも、その時はいつもと違ってて・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う・・・!?」「た・・・食べてる・・・!?」「・・・よくも・・・よくもおっ!」「あっチルノちゃん!」

 

 

 

 

 

「何なのあいつ!弾幕が効かないし凍らせようとしてもすぐ割られちゃうよ!」「あんなの見たことない・・・!これって異変!?」「そうかもしれないけど知らないよ!あいつどうすんのさ!?」「今は・・・逃げるしか・・・」「そんなのやだッ!あたいは最強なのに、最強のあたいが、こんな怪物なんかに~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大妖精「悪夢のようでした・・・私たちの攻撃が全く効かなくて、私達を助けようとした仲間達もみんな怪物に食べられて・・・成す術もなく、私達は森の中を逃げ回るはめになってしまったんです。でもあいつはとてもすばしっこくて、すぐ追い詰められてしまって、もう駄目かと思った時、人が通りかかったんです」

 

魔理沙「人?人間か?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うう~~、このままじゃやられちゃうよ!」「ち、チルノちゃん、あ、あっちから何か来る・・・」「え・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大妖精「右腕が変な形になってたけど、紛れもなく人間でした・・・。私達は怪物から受ける恐怖のあまりその人も怪物の仲間なんじゃないかって、もう駄目だ、殺されるって思ってしまったんですよ。・・・でもその人、こっちには目もくれずに怪物を一撃で倒してしまったんです」

 

魔理沙「out of the 眼中か」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぉぉおおおおおおお!!」「ひっ・・・!」

 

ズバアッ!

 

「グアアアアアアアアアアアア!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大妖精「助かったと安心して、その人にお礼を言ったんです。でも無視されちゃって・・・」

 

チルノ「・・・あたいが名前聞こうとして無視してた」

 

魔理沙「無視?そいつとは離れてたのか?」

 

大妖精「いえ、近づいて話しかけました。・・・あ、そういえばあの人、何かを探して辺りを見回してたような・・・苦しそうな顔してたし、私達に気付いてなかったのかも」

 

魔理沙「・・・変なヤツだな」

 

大妖精「それだけならまだよかったんです。何回か声を掛けている内に、その人は突然呻き声を上げだして・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・ぐ・・・」「え・・・!?」「ぐぉおッお・・・・・うわああああああああああああああッッ!!!!!」「!?」「ぐぅううヴヴ・・・あああ゛ああ゛ォオオオ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」「う・・・あぁ・・・」「な、なんかバキボキいってる・・・」「う、うあぁ・・・あああああああ!」「あっチルノちゃん!」

 

「ゴォオオオアアアアアアアアアアア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大妖精「ものすごい叫び声を上げながらその人の体がものすごいことになって、私達びっくりして・・・」

 

魔理沙「お前らよく無事だったな」

 

大妖精「すぐに逃げたから追いかけられることはなかったけれど・・・」

 

魔理沙「サヤカ、こいつの言う「人間」に心当たりはないか?」

 

サヤカ「うーん・・・・・・」

 

魔理沙「レイジは何か知ってるか?」

 

レイジ「(コク)」

 

魔理沙「お、知ってんのか、そいつは何モンなんだ?」

 

 

レン、そして黒いハンニバルとの感応現象でその人物の動向を知っているのでうなずかないワケにはいかない。レイジはその人物について説明した。

 

 

サヤカ「リンドウさん・・・!?本当に!?」

 

レイジ「(コク)」

 

魔理沙「マジかよ・・・本当に人間がアラガミになるなんてことが・・・。しかもお前らの上司だなんて・・・」

 

アーティ「アラガミと感応現象だなんて聞いたことないわよ」

 

フラン「へー、最近は人間も変身できるんだね」

 

魔理沙「いや、それはない」

 

大妖精「な、なんかまずい感じですか・・・?」

 

魔理沙「あぁまずいな、ひとまず紅魔館へ行こう。そこで対策なり何なり考えていこうぜ。チルノと大妖精も来い」

 

大妖精「そうします」

 

チルノ「よくわからないけど、あいつをムッコロス作戦会議をするのね?行く行く!」

 

フラン「じゃ早速行こっか、れっつごー!」

 

レイジ「(グイッ)!」

 

 

ここから紅魔館はすぐそこといった距離なので徒歩で行くことになった。しかしフランがレイジを勝手に抱えて飛び出したため他のメンバーは走ることになってしまったが、運ばれるレイジの格好のシュールさに大妖精や、特にチルノの表情に明るさが戻り、普段の元気さを取り戻していた。レイジはフランに抱えられている自分の姿がそんなにおかしいのか不満に思うが雰囲気を悪くするのもいけないので黙ることに。

 

 

 

 

 

~紅魔館・エントランス~

 

 

アーティ「あのさぁ・・・」

 

サヤカ「あー・・・どうしましょう、この状況」

 

魔理沙「こいつら・・・」

 

 

 

紅魔館に帰還して約数十秒後、

 

 

 

  フラン       レミリア     レイジ

   ↓         ↓        ↓

三(ノ^ワ^)ノ   三г(#゚Д゚)」   三г(; _ )」

 

 

 

こんな状態になっていた。レミリアがレイジを追い回し、フランが面白がって2人の後を追うという形になっている。

 

 

レミリア「レイジ!!フランをそんな所へ連れて行くだなんて!一体何を考えてるのよ!?」

 

レイジ「・・・!???」←何故追いかけられているのかわかっていない

 

 

 

 

 

魔理沙「はぁ・・・もうあいつらほっといて今後の相談といくか?・・・咲夜はいないのか?仕事中か?」

 

咲夜「呼んだかしら?」

 

魔理沙「うおっ、相変わらず神出鬼没だな」

 

咲夜「こうでもしないと、仕事の全部をやってられないから」

 

魔理沙「・・・でさ、あいつらしばらく止まりそうにないから私らだけで今後の相談をしたいんだが」

 

咲夜「?何の話?」

 

魔理沙「あぁつまりだ、ちょっと皆に知らせたいことがあってな。ここじゃ何だしどこかでゆっくりと話をしたいんだが」

 

咲夜「わかったわ」

 

魔理沙「とはいえ肝心の本人(レイジ)があんな状態じゃあな・・・」

 

サヤカ「私一応レイジさんの言ってたこと覚えてますよ。それにこの子達もいることですし」

 

チルノ「早く作戦会議しよーよ!」

 

咲夜「あら、なんであなた達がここに?」

 

魔理沙「こいつらは重要な情報を持つキーパーソンだ。詳しい説明する時に必要だと思ってな」

 

咲夜「なるほど・・・じゃ私について来て。談話室へ案内するわ」

 

魔理沙「あぁそれと、パチュリーも呼んどいてくれ。~~~・・・」

 

 

 

 

 

 

 

一方でレイジはレミリアに追い回され紅魔館中を走り回っていた。いくら身体能力が普通の人間より高い神機使いでも、ずっと走っていればいずれバテる。3階の廊下にて、息が切れ始めたところをレミリアに押し倒される形で取り押さえられた。フランは自分達を見失ったようで近くにいない。最初は冗談か何かと思っていたがレミリアは本気で怒っているようで一気に空気が張りつめたものとなっていく。

 

 

レミリア「やっと捕まえた・・・まったく、手こずらせてくれる」

 

レイジ「っ・・・」

 

レミリア「白玉楼での出来事はまぁいいわ・・・私が行けと言ったしね。でも問題はその後よ」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「なんで人里へ行ったワケ!?あなたも少なからず妖怪という言葉と、人間との関係くらい知ってるでしょ!?」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「幻想郷のルールではね、人間は妖怪を恐れ、驚異になると判断された妖怪は退治しなければならないの!人里には霊夢には遠く及ばないけど妖怪退治の専門家がいるのよ!フランならやられることはないだろうけど、そもそも人里へあの子を連れていくことに抵抗を感じなかったの!?下手をすればあなたも妖怪と見なされていたかもしれないのに!」

 

 

押し倒されたレイジの肩を握り締めながらレミリアが叱責する。だが今幻想郷のルールがどうと言われても困る。確かに自分に非はあるだろうし慧音もフランを心配した様子を見せていた。今思えばレミリアにとっては目が飛び出るようなことだろう。とはいえ恐れることがルールというのは少し矛盾がある気がする。後から遅れてフランがレミリアの後方から現れるが、その場の雰囲気を感じたのか笑顔が消えていった。

 

 

レミリア「今あなたしかいないから言えることだけど、あの子を地下に閉じ込めた理由はもう1つあるのよ。それは人間の「恐れ」を見せたくなかったから。あれは私達妖怪にとって人間の最も「恐い」ところ・・・。妖怪はね、肉体的には人間より強いけど、逆にメンタル面では弱い傾向にあるの。あの子は特にデリケートだから外に出すワケにはいかなかった」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「最近あの子に明るさが見え始めていたし、親しくしているあなたがついていれば心配はいらないかもって、あなたを信用してあの子の外出を許可したのに!それをあなたは――――!」

 

 

フラン「・・・やっぱり、そういうことだったんだね」

 

レミリア「フラン・・・!?」

 

 

レミリアの言葉を遮って介入するフラン。レミリアがいつの間にと思い振り返ると、眼前にフランの開いた右手を突き付けられていた。

 

 

フラン「・・・お姉さま、私は今、あなたを無性にぶち壊したい。そんな理由で495年も閉じ込められたんだと思ったら、閉じ込められた当初の頃の恨みが一気にこみ上げてきた」

 

レイジ「・・・!」

 

レミリア「・・・私にはこうするしか・・・出来なかったのよ」

 

フラン「不器用だね。本当に・・・」

 

レミリア「・・・やめなさい、その手を下r」

 

フラン「・・・ははっ本気で思ってたの?壊さないよ」

 

 

フランが手を下ろす。まさかと思っていたレイジの肩から力が抜けていった。

 

 

フラン「お姉さまはレイジが私を人里へ連れてったことに怒ってるみたいだけど、心配いらないよ。実は里にアラガミが入ってきて騒ぎを起こしてね、その時レイジ達と一緒に里を守ったらそこの人間にお礼言われちゃったんだ。それに「またいつでも来ていい」って言われたの。もちろん私の正体を知って驚く人もいたよ」

 

レミリア「・・・辛く、なかった?」

 

フラン「そりゃあ嫌な気分だったよ。でも仕方ないじゃん?自分より強い相手が目の前にいたら、後ずさりそうになるでしょ?そう思ったら気が楽になった」

 

レイジ「・・・」

 

フラン「とにかく、レイジをそう怒らないでほしいな。レイジは何も知らなかったんだし」

 

レミリア「・・・そうだとしても、非常識だわ。あなたのような危ない能力を持っt」

 

 

ギュッ!

 

 

突然右手をレミリアの眼前で握り締めるフラン。一瞬戦慄が走るが、壊れたのは付近にあった照明用の蝋燭だった。

 

 

フラン「いつまでもあの頃のままってワケじゃ、ないんだよ?私、人里で戦ってた時に思ったの。この能力は、大切な人を守るために使おうって」

 

レミリア「・・・!」

 

フラン「今までこの力をどうやって使えばいいのかわからなかった。色々試してみても、返ってみんなの迷惑にしかならなかったからどんどんわからなくなって・・・。でもようやくわかったの!私は守るために破壊する!この幻想郷を、紅魔館のみんなを、人里のみんなを、レイジを、危険から守るために!」

 

レミリア「・・・言うようになったわね、フラン」

 

フラン「私だって、学習能力くらいあるよ」

 

レミリア「・・・レイジ」

 

レイジ「?」

 

レミリア「今回はフランに免じて許してあげる。ただし、次はないわよ」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「・・・ところで」

 

レイジ「?」

 

レミリア「他の皆は・・・どこへ行ったの?」

 

レイジ「・・・」

 




2012, 4/23での出来事

作「今日さ、デパートで電撃プレステ読んだんだよ」

弟「ふーん」

作「期待の新作ランキングってあるじゃない」

弟「(コク)」

作「ゴッドイーター2がさ、確か25位くらいでランクインしてたんだよ」

弟「なんてびみょーな・・・」

作「もう4ヶ月以上情報がない状況でも、待っている人がたくさんいるんだって改めて知ったね」

弟「・・・それで?」

作「あ?」

弟「・・・それで?」

作「・・・そんだけだけど」

弟「あそ」


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Mission 26 ツークツワンク

みなさんおはこんばちは、wingです。・・・グダりました。これはひどい。
それではどうぞ。



レイジ達が鬼ごっこ(?)をしている間、サヤカ達は談話室へ向かった。

 

 

~談話室~

 

 

魔理沙「ん?咲夜どこへ行くんだ?」

 

咲夜「ごめんね、今はちょっとやらなきゃいけない仕事があるの。悪いけど後で話を聞かせてもらうわ。では、失礼」

 

 

メイド長というだけあって仕事の量は多いのだろう。咲夜は案内を終えると一瞬で姿を消した。彼女の能力を知らないサヤカは目を丸くしている。

 

 

サヤカ「消えた・・・!?」

 

魔理沙「ん、あいつの能力知らないのか?」

 

サヤカ「はい・・・知らないです」

 

魔理沙「あいつは「時を操る程度の能力」を持ってる。操るっつっても止めるだけなんだがな。あとは空間をいじったりするとかだったかな。今のは時間を止めてどっかへ行ったんだろ」

 

サヤカ「すごい能力ですね、それって最強なんじゃ・・・?」

 

魔理沙「さあな。それを言ったらレミリアとかフランの能力も最強クラスだと思うぜ」

 

魔理沙「・・・あ、フランちゃんの能力はわかりますけど、レミリアさんのはまだ知らないです」

 

魔理沙「・・・後で教えてやるから。とっとと部屋に入るぞ」

 

 

扉を開き、中へ入る。談話室と聞くとやや狭いイメージがあるかもしれないが、あの寝室のように思ったよりも広かった。向かい合うソファーが2組並んでおり、ソファーとソファーの間には低めな高さのテーブルがある。

 

 

チルノ「おおっなんかすごい部屋ねっ」

 

魔理沙「お前らは先座っててくれ」

 

大妖精「そうさせてもらいます」

 

魔理沙「うーん、パチュリー呼ぶと小悪魔も来るだろうし、このソファーの大きさだと1組じゃ全員で座れないな」

 

サヤカ「私達が隣にあるソファーに座ればいいのでは?」

 

魔理沙「・・・そうするか。ちょっと距離空いちまうけど」

 

 

小悪魔「(ガチャッ)失礼します」

 

パチュリー「ありがとう小悪魔。魔理沙、待たせたわね」

 

魔理沙「おう、まぁこっち来て座れよ」

 

パチュリー「ここはあなたの家じゃないわよ」

 

 

パチュリーは静かに文句を呟きながらチルノと大妖精の向かいのソファーに座る。小悪魔もパチュリーの隣に座る。

 

 

パチュリー「・・・あら、あなた達がそっち側なの?」

 

魔理沙「私らよりも、当事者と向き合って話した方がいいだろ?・・・ま正確にはもう1人いるんだが」

 

パチュリー「もう1人?・・・あぁそういえばここへ来る途中、レミィが珍しく屋敷内を血相変えて走り回っているのを見たわね。何か探しているようだったけど・・・」

 

魔理沙「あー、それはレイジを追いかけてたんだ。多分フランを人里へ連れてったことにカチキレたんだろ」

 

パチュリー「へぇ、フランを人里へ・・・彼は無知というか何というか、よくわからないわね・・・で、あなたの言うそのもう1人って、彼のことでしょ?」

 

魔理沙「あぁ、だがあんな状況じゃレミリアを下手に止めようとすると面倒なことになりそうだったんでな、ほっといてきた」

 

パチュリー「・・・はぁ。彼も彼だけど、レミィもレミィ、あなたもあなたよ」

 

アーティ「禿同。あいつはたまにホントワケのわからないことするもんなぁ」

 

レン「元はといえばあなたが人里へ行くかどうか聞いたことが原因ですよ・・・」

 

アーティ「・・・Σ(・_・;)」

 

魔理沙「まぁともかく本題に入ろうじゃないか。えーと、どこから話そうかな・・・」

 

パチュリー「途中で変わった事とかあった?」

 

魔理沙「一応あったといえばあったぜ。まずは妖怪の山に入ってちょっとしたら天狗に追い返されそうになったこと」

 

パチュリー「まぁそうなるわね。天狗は余所者を易々と入れてはくれないから」

 

サヤカ「特に私を入れたくなかったようでした。なんとか説得して許してはくれたんですけど」

 

パチュリー「・・・まぁそれもわかる気がする。それと、あなた達が出かけている間に気付いたんだけど、アラガミが騒ぎを起こすときは決まってあなたかレイジのいる場所で起こっているそうね。あのブン屋もすぐに気付いたでしょう。元々余所者に対して排他的な天狗のことだから、結構なおもてなしをされたんじゃないかしら」

 

魔理沙「ああ、いつもなら1人か2人くらいで忠告から始まるはずなのにいきなり大人数でメインディッシュときたもんだ、まさかのsurpriseにびっくりしちまったぜ」

 

チルノ「???」

 

大妖精「今のは無理にわかろうとしなくてもいいかな・・・」

 

魔理沙「まぁその後なんだが、にとりのとこへ行ってサヤカの神機改造してもらった後、めっちゃでっかいアラガミが襲ってきてな。今までにないデカさだったもんでまたまたびっくりしたぜ」

 

パチュリー「?変ね、確か河童って結構山奥に住んでいるはずだけど・・・そんなに大きいのなら天狗達が見逃すはずないでしょうに」

 

サヤカ「えっと、アラガミは地面から生えてくる感じで発生するんですよ。・・・こう、ズバッて感じで。私が元いた世界では小型のものが発生するところしか確認出来てませんが、この方法で現れたとすれば説明がつくと思います」

 

パチュリー「・・・それ、結構大事なことじゃない?もうちょっと早く言ってほしかったわ」

 

サヤカ「すみません・・・」

 

魔理沙「その後は文のヤツに人里でアラガミ襲撃が起きてるって教えてもらって、現地へ急行、そこでレイジ達と合流したってとこだな」

 

パチュリー「人里で・・・?あぁ今朝新聞で読んだわ、あれのことね。あなた達の写真がしっかり載ってたわよ」

 

魔理沙「で、襲撃から里を守ったあと慧音ん家で1泊、そして翌朝出発して、帰路の途中で霧の湖で小休止取ってた時にこいつらを見かけたんだが、ちょっと元気がない様子だったんだ。・・・その理由は当事者本人から話してもらうとしようか」

 

チルノ「あんなのもう思い出したくないよ」

 

大妖精「えっと、とりあえずありのままに言った方がいいでしょうか。まず・・・」

 

 

大妖精はありのままに起こったことを話した。パチュリーは話の内容に少々驚きながらも真剣に聞く。

 

 

大妖精「・・・以上が私達が見たことの全てです」

 

パチュリー「ありがとう。嫌な事を思い出させてしまったわね」

 

魔理沙「でさ、どう思う?今の話について」

 

パチュリー「どう・・・と言われても、何か変よね」

 

魔理沙「変だってのはもう皆わかってると思うぜ」

 

パチュリー「あれね。アラガミ達が騒ぎを起こす原因が違うわね」

 

魔理沙「そうなんだよ。振り返ってみるとさ、お前も気付いた通り毎回サヤカかレイジのいる場所で起きるだろ?アラガミどもはサヤカ達が相当邪魔臭いと思ってるはずなんだ」

 

サヤカ「そんなに恨みを買われるようなことをした覚えはないんですけど・・・」

 

魔理沙「お前確かにとりンとこで言ってたよな。お前の元いた世界では自然が幻想郷ので例えると今の3割弱しかないって」

 

パチュリー「なんですって・・・?それじゃあサヤカ、あなたろくに息が出来ない世界で生きてきたの!?」

 

サヤカ「いえ、皮肉なことに酸素はアラガミの光合成によって保たれています。アラガミは喰らったものの性質を取り込むことがあるんですよ。光合成出来るアラガミは多分、植物を食べていたんだと思います」

 

パチュリー「へぇ・・・」

 

魔理沙「それに比べてここは自然で溢れてる。アラガミどもにとっては最高の餌場なんだろうな」

 

パチュリー「で、どういうワケか神機使いであるあなた達がいることを知って邪魔だと感じ、排除に必死になっている・・・て感じかしら」

 

魔理沙「だと思うぜ。だがそれだと実際の行動と辻褄が合わない」

 

パチュリー「そうよね・・・まず行動があまり効率的じゃない。あなた達を消したいならもっと別に方法があったはずなのに」

 

魔理沙「そうなんだよな。まともに戦えるのは、フランとかの一部を除いてサヤカとレイジの2人くらい。物量に任せて一気に・・・とか出来ただろうにな。あいつらは案外(バカ)なんだろうか」

 

チルノ「誰が(バカ)よ!」

 

魔理沙「誰もお前のことだなんて言ってねーよ・・・」

 

大妖精「なんでそこだけ反応したの・・・」

 

チルノ「あれ?」

 

魔理沙「・・・まあとにかく、今後お前とレイジは下手に外ぶらつかない方がいいんじゃないかなぁ」

 

パチュリー「でもさっきこの子達が言ってた、アラガミになってしまった人間をなんとかしないといけないしどの道外へ出なきゃならないんじゃない?」

 

サヤカ「そうなんですよね・・・出来るだけ早く助けてあげないと取り返しが付かないことになるかもしれませんし、あまりじっとしてもいられません」

 

魔理沙「・・・そういやさ、さっき大妖精が言ってたアラガミになっちまった人間は今どこにいるんだろ。今はあいつの方が重要なんじゃないか?・・・あーでも居場所を突き止められなきゃ作戦の立てようがない」

 

サヤカ「・・・あ、確かレイジさんが索敵に使える能力を持っていたはずです」

 

魔理沙「そんなことも出来るのか。ホント何者なんだあいつ・・・まあいい、なら早いとこレイジを呼んd」

 

レイジ「(ガチャッ)・・・」

 

フラン「あっいた!おまたせー!」

 

レミリア「おまたせ」

 

魔理沙「遅い」

 

レミリア「え・・・いやいや、あれは姉として当然の行動だと思うけど」

 

魔理沙「話したいことがあるから一旦戻ってきたのに、勝手なことしないでくれよな」

 

レミリア「う・・・なんでそんなに不機嫌そうなの?私はただ心配だったのよ?」

 

魔理沙「あんなの度が過ぎてもはやシスコンだぜ。・・・まぁこれで咲夜以外は揃ったな。じゃまずは私らがお前らと別れてから合流するまでにあったことを話しとくぜ」

 

 

少女説明中・・・

 

 

フラン「へー、そっちはそんなことがあったんだね」

 

魔理沙「じゃ、お前らの番だ。私らと合流するまでのことを教えてくれ」

 

 

神機使い説明中・・・

 

 

パチュリー「里の人間と仲良くなったの?よかったわねフラン」

 

フラン「うん、お菓子もらった時は感動しちゃった」

 

レミリア「・・・(゚д゚)」

 

フラン「大変なこともあったけど、いい旅だったよ♪」

 

アーティ「長い階段上ってワケわからんヤツに足止め食らって防衛班の真似事しなきゃいけなくなって足挫いてリンドウにぶっ飛ばされて・・・」

 

レン「散々ですね、アーティさん・・・」

 

レミリア「・・・(´;ω;`)」

 

魔理沙「・・・どうした?」

 

レミリア「なんでもない・・・」

 

魔理沙「そいで、だ。お前らはアラガミどもの動きに違和感を覚えたことはないか?」

 

レイジ「・・・?」

 

レミリア「・・・そういえば、決まってレイジとサヤカのいる場所付近で騒ぎが起こっているわね。・・・ん、ねぇレイジ、紅魔館(ここ)が最初に襲われた時、確かあなたはすぐ近くにいたでしょ?襲撃の直後、どこにいたの?門の近くとか?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「へー、不思議だね」

 

魔理沙「そう。変だと思わないか?よく考えるといまいち効率的じゃない。アラガミにとって天敵ともいえる神機使いが2人しかいない状況で、未だ始末出来ていない。物量に任せて揉み消す、とか気づかない内に周りから少しずつ侵略、とかもうちょい上手いやり方だってあるはずだ。なのにそれをしないのはどういうこった?」

 

レミリア「知らないわそんなこと」

 

チルノ「あいつらの頭が(バカ)だから!」

 

魔理沙「まぁそれもありうるだろうな。私はな、あえて戦力を小出しにしてると思うんだよ」

 

サヤカ「あえて・・・?なんでですか?」

 

魔理沙「今まで私らが出くわしたアラガミ――――、あれだけでも結構な数だったろ?本気になれば幻想郷を埋め尽くすくらいワケないと思うんだ。それをチマチマと小突くように攻めてくるってことは、私らを疲弊させてから仕留めようとしているのか、混乱させようとしているのか、どっちかかもな」

 

小悪魔「戦力差を誇示しようとしているのではないでしょうか?」

 

魔理沙「ん、・・・あぁお前がいたのすっかり忘れてたぜ」

 

小悪魔「ちゃんといますよぉ・・・ただ喋ってなかっただけで(T_T)」

 

パチュリー「魔理沙、そんなこと言わないの」

 

フラン「ねーねー、そういうのは考えてもあんま意味ないんじゃない?」

 

レミリア「それを言ったら元も子もないでしょうに」

 

魔理沙「うーん、確かに皆の言うことがあんま間違って聞こえないから困りモンだな。・・・あそうだレイジ、さっきお前らがいない時にサヤカがさ、お前が索敵に便利な特殊能力を持ってるって言ってたんだが本当か?」

 

パチュリー「それって、もしかして千里眼のようなものかしら?」

 

レイジ「(コク)」

 

 

レイジはうなずいた後、目を閉じ左手で左目を覆う。その後すぐに目を開けると、彼の左目が紫色に変化、目の中心で赤い点が光る。

 

 

魔理沙「おお目の色が変わった」

 

フラン「わーきれい☆」

 

レミリア「・・・なんかいまいち信じられないわね。レイジ、あなたのそれが本当に千里眼なら・・・・・・そうね、紅魔館(ここ)で働く妖精が全部で何匹いるか答えてみなさい」

 

レイジ「・・・」

 

 

普通ならこの問いには答えられない。だがユーバーセンスを持つレイジなら話は別だ。レイジは脳内マップで紅魔館で働く妖精の数を数え始める。しかし途中で、

 

 

パチュリー「・・・レミィ、あなたはその答えを知っているの?」

 

レミリア「・・・あ」

 

魔理沙「ぶっははははwwwオイ思わず吹いちまったじゃんかww」

 

チルノ「(バーカ)(バーカ)ww」

 

レミリア「・・・シメるわよ#」

 

サヤカ「えっと・・・じゃあ今咲夜さんがどこにいるのか当てるというのは?」

 

パチュリー「それもちょっと確認し辛いわね。あの子は仕事とかで絶え間なく移動しているから」

 

 

ならどうしようと悩みだすが、レイジがすかさず答えた。

 

 

パチュリー「・・・え?門ですって?」

 

フラン「門にいるの?ちょっと窓から見てくる!(ガチャッ)・・・あっホントだいた!」

 

レミリア「えっ嘘・・・!?(少女確認中・・・)本当だわ・・・」

 

魔理沙「すっげ・・・お前本当に人間か?」

 

アーティ「ところがどっこい、そうなのよね」

 

レン「僕らの世界ではあまり不思議なことじゃないんですよね。レイジさんみたいに目の色が変わったりはしませんけど、偵察任務を主にする人がこの能力を持っていたりしますよね」

 

レミリア「・・・あなた達の世界もなかなかブッ飛んでるわね」

 

サヤカ「アラガミなんて怪物がいる時点でブッ飛んでると思いますがね」

 

レミリア「いやそうじゃなくてね、単に戦闘力が高いだけなら霊夢や魔理沙みたいに人間でもありえることだけど、千里眼を持っているというのはちょっと・・・妖怪でもそんなにいないし、びっくりね」

 

魔理沙「・・・あ!」

 

パチュリー「?どうしたの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔理沙「今・・・霊夢どこにいるんだっけ・・・」

 

 

サヤカ「・・・あ」

 

レミリア「・・・あ」

 

大チル「?」

 

パチュこぁ「?」

 

レイフラ「?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「・・・ああー!すっかり忘れてた!どこに行ったんだっけ!?えぇっと~」

 

サヤカ「あぁ~なんで気付かなかったんだろう・・・確か霊夢さん、地底を調べに行くって言って・・・」

 

魔理沙「次の日には戻るって言ってたけど3日ぐらい経った今も未だ帰ってきていなくって・・・」

 

大チル・レイフラ「???」

 

パチュリー「それって少しまずくない?」

 

魔理沙「少しどころじゃねーかもな・・・。地底で何かあったのか・・・?」

 

レミリア「・・・なんだか嫌な予感がする」

 

魔理沙「・・・運命か?」

 

レミリア「・・・ええ」

 

パチュリー「なら尚更まずいわね。様子を見に行かないと・・・」

 

レイジ「・・・(スッ)」

 

 

パチュリーの言葉にすぐ反応したのはレイジ。行方を探すだけならユーバーセンスを持つ自分が行った方がいいだろう。

 

 

パチュリー「・・・なるほど、千里眼を持つあなたなら早く見つけられるかもしれないわね」

 

フラン「なら私も付いてく!」

 

レミリア「フラン、だm」

 

魔理沙「大丈夫さレミリア、行かせてやれよ」

 

レミリア「だけど・・・」

 

魔理沙「妹のこととなると急に心配性になるなぁ。大丈夫だよ、レイジがしっかり守ってくれるさ。実際こうして無事に帰ってきたじゃんか」

 

サヤカ「私も行きます。霊夢さんには恩がありますし」

 

パチュリー「いや、あなたは残りなさい。下手に動くとアラガミを呼び寄せてしまうわ」

 

サヤカ「でも、私がここにいたら紅魔館が危ないですよ!」

 

レミリア「そんなことは別に気にしないわ」

 

サヤカ「えっ」

 

レミリア「アラガミどもが何を企んでいるのかは知らないけれど、遅かれ早かれ幻想郷を喰らい尽くそうとしているんでしょう?氷精達が遭った例外もあるし、あなたやレイジがどこにいても大して意味はないと思うわ。それに、私は奴らが来ても全然構わない。最近あまり運動していないし、暇してたから。館のことは任せなさい」

 

パチュリー「大丈夫なの?いくらレミィといえど、アラガミが大挙して押し寄せてきたら・・・」

 

レミィ「退屈しなければ私は何が来たっていい、家族は私が全力で守る。・・・まぁ本当に危なくなったらサヤカとかパチェとかにでも手伝ってもらおうかしら」

 

魔理沙「・・・で、結局どうすんだよ?レイジだけで探しに行かせるのか?それとも誰か付いていくのか?」

 

サヤカ「レイジさん、誰か連れて行きますか?・・・あ、もし連れて行くなら紅魔館ががら空きにならない程度に・・・そうですね、2、3人くらいまででお願いします」

 

アーティ「あたしらは当然付いてくわよ」

 

レン「あんまり少人数だと危険ですし、僕もお供します」

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

誰を連れて行く?誰を残す?(レン、アーティは捜索組確定)

 

レミリア  フランドール  パチュリー  小悪魔  サヤカ  魔理沙  チルノ  大妖精

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

・捜索組(レイジ、レン、アーティ含め)

 

フランドール

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既にレンとアーティが捜索組に入ることになっているので、紅魔館の安全を考えるとこれ以上何人もぞろぞろと連れて行く必要はない。レイジに付いていくことを強く希望するフラン以外を紅魔館に残すことにした。

 

 

大妖精「・・・あれ、私達ここに残ること前提?」

 

魔理沙「湖にいるよか安全だと思うぜ?」

 

フラン「じゃレイジ、早速行こっ2回目のお出かけ♪」

 

レミリア「待ってフラン、確かに急を要する事態ではあるけれど、事前に準備をしていかないと危ないでしょ。あなたはちょっと服が汚れてるから着替えてきなさい」

 

フラン「・・・あ、ほんとだ。わかったよ~着替えてくるー」

 

 

一足先にフランが部屋を後にする。レイジは持ち物の確認をし始める。そこへ魔理沙が話しかけた。

 

 

魔理沙「レイジ、これ食ってけ」

 

レイジ「?」

 

 

魔理沙がキノコを手渡してきた。傘の色はオレンジ色で、あまり美味しそうな見た目ではない。

 

 

魔理沙「まぁ見た目はアレだが、生でも食える薬用のキノコだ。幻想郷にある森といえば大部分は魔法の森だし、瘴気が蔓延しているからな。瘴気にやられちまったヤツに食わせりゃたちまち元気に、事前に食っときゃ1日は瘴気に晒されても大丈夫な予防薬となる優れモンだ。あぁちなみに味なんだが―――」

 

レイジ「(パク)・・・ッ・・・!」

 

魔理沙「―――めっちゃ苦いからな・・・って言っても遅ェな」

 

 

レミリア「待機組はどうすればいい?」

 

パチュリー「文字通り紅魔館(ここ)で待機でしょ」

 

レミリア「まぁそうなっちゃうよね」

 

 

サヤカ「レイジさん、確か通信機持ってましたよね?私も持ってるので何かあったら連絡してください」

 

レイジ「・・・(コク)」←(ものっそい苦いの我慢している)

 

 

パチュリー「・・・なんだか急に慌ただしくなっちゃったわね。あ、アラガミになってしまった人間のこともなんとかしないと。どうやら2人が尊敬する上司だそうだから」

 

レミリア「え、そうなの?ならそっちもあまり軽視出来ないわね・・・レイジ、霊夢の安否の確認とあなたの上司の救出、どっちを先に済ませる?」

 

 

 

 

どちらを先にする?

 

➣霊夢の安否の確認   アラガミ化したリンドウの救出

 

 

 

 

レミリア「・・・そう。私が思うにあまり時間に余裕はないかもしれない。あなたのその千里眼をフル活用して霊夢を早く見つけた方がいいわね」

 

レイジ「(コク)」

 

 

今回の「お出かけ」は忙しくなりそうだ。普通に考えれば2手に別れたりなどするのが効率的だが、近頃のアラガミの行動の傾向から考えると、このような要領が悪いとしか思えない方法でいかなければならない。恐らくここにいる全員がもどかしさを感じているだろう。

 

 

フラン「ただいまー!じゃ早速行こうよ!」

 

レミリア「早まる気持ちはわからないでもないけど、身だしなみがなってないわよ。・・・ほら、襟を直して(スッ)」

 

 

早く外へ行きたいあまり身だしなみが一部分だがなっていない。レミリアが軽く溜息をつきながら整えていると、

 

 

フラン「・・・えへへ」

 

レミリア「・・・?」

 

フラン「お姉さまは世話焼きだね」

 

レミリア「・・・誰のせいだと思ってるのよ」

 

フラン「・・・そういうところ、好きだよ」

 

レミリア「・・・。ほら、終わった」

 

フラン「ありがと♪」

 

レミリア「パチェ、ちょっとこの子達を見送ってくる。・・・あぁ私1人で十分よ、あなた達は話し合いの続きでもしていて頂戴。いちいち移動するのも面倒でしょ?」

 

パチュリー「見送るくらい何ともないんだけど・・・まぁいいわ。お願いするわね」

 

 

 

 

 

~紅魔館・エントランス~

 

 

フラン「他に忘れ物とかなかったかな~・・・」

 

レミリア「あとは日傘ね。えっと―――」

 

 

どこにあったかと考え込んだ直後、咲夜がワープしてきたかのように現れる。そして日傘をフランに手渡した。

 

 

咲夜「妹様、日傘でございます」

 

フラン「ありがと。よっし、じゃ行ってくる!」

 

レミリア「・・・ケガしないようにね」

 

フラン「わかってるよ!それじゃあ行ってきまーす!」

 

 

レイジとフラン、レン、アーティが玄関から外へ出る。レミリアと咲夜は彼らの後姿が見えなくなるまで見送っていた。

 

 

レミリア「・・・?」

 




~メメタァゾーン~

チルノ「・・・」

大妖精「・・・」

小悪魔「・・・」

チルノ「・・・つまり、どういうことだってばよ?」

大妖精「・・・私も急な方向転換にちょっと付いていけてない・・・作者さん、妖精にもわかる説明をしてください・・・」

小悪魔「なら私が説明致しましょう。大体の内容としては、まず始めにアラガミという怪物の不可思議な行動について議論した後、お嬢様方が遅れて談話室へ入室。マリサヤペアとレイフラペアの互いの行動の報告をし合った後は全員でアラガミの行動について話し合い始めます。途中で魔理沙さんが、レイジさんが某白狼天狗みたいな能力を持っていることに対して本当かどうか追及、レイジさんがそれを証明しました。だがしかし!ここでのお嬢様の感嘆する言葉の中に「霊夢」という言葉を出てきて皆さんは気付きます。「そういえばまだ帰ってきていない」と!その後皆さんは霊夢さんの捜索と、大妖精さんが言っていた「アラガミ化した人間」の救出。この2つを実行することに決めました。捜索に当たるのはレイジさんと妹様。それ以外は待機組に分けられ・・・さぁ、行こうかー!・・・てとこで終わったんですよ。・・・急なことだったので皆さん少なからず慌てていましたね」

チルノ「・・・つまり、どういうことだってばよ?」

大妖精「私はなんとかわかりました・・・」

小悪魔「うーん、これ以上噛み砕いて言うとなると・・・そうですね、「話し合い→霊夢さんがいない→探しに行こう」・・・て感じでしょうか」

チルノ「うーん・・・だいたいわかったかも」

小悪魔「今回の話は後日修正が加えられるかもしれませんね」

大妖精「改めて、この物語を読んで頂いて本当にありがとうございます」

大チルこぁ「次回もお楽しみに~」


咲夜「あぁ忙しい忙しい・・・」

霊夢「解せぬ」


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Mission 27 オークワード・フェイト

皆さん、おはこんばちは。wingです。
キェアアアアアアアシャベッt(殴)

弟「それではどうぞ」



~魔法の森~

 

 

レイジ達は現在、魔法の森の中を歩いている。あのキノコを食べたおかげで、前とはどこか違う感じがしている。前回は白玉楼へ向かう時にこの森を歩いていたが、今の方が、なんというか気分的にすっきりしている感じだ。あの時は僅かに居心地が悪いような感覚がしていたが(体調に影響はなかったので記憶が曖昧)、今回はそれの微塵もない。普通に森林浴をしている気分である。ただ、今レイジ達がいる場所付近はキノコが多く生えているようで、木の根元に異様に大きなキノコが生えていたり、一部のキノコや植物から瘴気と思しき煙が漂っていたりしなければ皆素直に景色を満喫出来ていただろう。白玉楼へ向かう時はこんなものは見なかったのだが・・・。こんな場所にいるとフランの体調が気になってしまう。大丈夫だとは思うが念のため訊いておく。

 

 

フラン「ん?全然平気だよ?それよりレイジの方が心配なんだけど。大丈夫なの?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

 

やはり無用な心配だった。肉体的に強靭な吸血鬼には瘴気の毒が効かないようだ。

 

 

 

 

サワ・・・サワサワ・・・

 

 

 

 

森の環境音しか聞こえない静寂が続く。フランは相変わらず光に満ちた目で景色を眺めている。レイジはユーバーセンスを使い、以前さとり達が見送ってくれた場所を確認しながら足を進めている。まだ時刻は朝、木々の間から差し込む木漏れ日が眩しい。

 

 

アーティ「ん~朝からこんないい景色が見られるとはね~。なんか元気をもらえそうだわ」

 

レン「元の世界では荒れた土地が延々と続いてるだけですからね、ここだと心が落ち着く・・・って最近僕達こんな感じのことばっかり言ってますね」

 

アーティ「そうね、でも実際綺麗なんだから仕方ないじゃない。元の世界の皆に見せたらどんな反応するかな・・・」

 

 

確かに見事な風景だが、今は状況的にそうボヤボヤしていられない。フランには悪いが早足で行っている。歩幅の差については妥協するしかない。

 

 

フラン「あっ待って~」

 

アーティ「・・・急ぎたい気持ちはわかるけど、大事なとこでチョンボるのだけはやめてよ」

 

 

とはいえ、霊夢を助けた後どうやってリンドウを探し出せばいいのか思いつかない。ユーバーセンスは視界にいないものも見抜けるが範囲に限界はある。霊夢を捜索するに当たっては、「地底を調べに行った」という情報があるので捜索範囲を絞ることが出来るが、リンドウの場合白玉楼で会ったきり行方がわかっていない。探そうと思っても彼がいつまでも1つの場所に留まっているはずはないだろうし、そこまで広くないと言われる幻想郷でも、しらみつぶしに探すとなると一気に途方もなく感じられる。今出来る事は、取り返しが付かなくなる事態にならないことを祈ること、なるべく早く事を済ませることくらいだ。

 

 

 

~1時間後~

 

 

アーティ「お、やっと着いた。いやぁ結構歩いたわね」

 

レン「確かここ、さとりさん達が見送ってくれた場所でしたっけ」

 

フラン「一番奥が見えない・・・ここが地底への入り口なの?」

 

 

1時間歩き続け、開けた場所に出た。正面には切り立った崖と、以前さとりとこいしが見送ってくれた洞窟の入り口。早速中へ入ろうとすると・・・

 

 

バチッ!

 

 

レイジ「ッ!」

 

フラン「えっ」

 

レン「わっ!?」

 

アーティ「えっ今何が・・・!?」

 

 

 

レイジが洞窟へ入ろうとした時、弾けるような音がしたと同時に彼は吹き飛ばされた。何かがこちらの進入を阻んでいるようだ。

 

 

フラン「大丈夫?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

フラン「何もないように見えるけど・・・?なら入れるh(バチィッ)あうっ!・・・う~何なの~?」

 

アーティ「なんか・・・バリアのようなものがあるみたいね」

 

レン「近くに発生装置か何かがあるかもしれませんね」

 

フラン「・・・ん?ねーレイジ、あれ何だろ?」

 

 

フランが何かを見つけたらしくレイジに声を掛ける。顔を向けると、フランが見つけたものに向かって指を指している。その方向を見てみると、洞窟のすぐ横に何かが貼られているのがわかる。近づいてもう一度よく見てみると、札が貼られていた。恐らくこれが原因だろう。よくやったとフランの頭を撫でる。

 

 

フラン「えへへ・・・」

 

アーティ「お札か・・・霊夢が貼ってったのかしら」

 

レン「多分そうでしょうね、巫女をやっている霊夢さんなら持っていてもおかしくありませんし」

 

 

霊夢には悪いが早速剥がさせてもらうことにする。札に触れた時またバチッとなるかどうか少し不安があったが特に何もなく、あっさりと剥がせた。

 

 

フラン「よっしこれで通れr(バチッ)あわぁっ」

 

アーティ「うーん、簡単には入れさせてくれないか・・・」

 

レン「・・・あ、反対側にも1枚ありました」

 

レイジ「・・・」

 

 

ペリッ

 

 

フラン「・・・もう大丈夫だよね?」

 

レイジ「(スタスタ)・・・(コク)」

 

フラン「よっし、じゃ行こっ!」

 

 

反対側にあったもう1枚も剥がすとようやく通れるようになった。だが剥がしたままなのもアレなので洞窟に入ってから札を貼り直す。すると音が鳴った後にバリアが再び張られた。

 

 

バチッ

 

 

アーティ「・・・何してんの?」

 

レン「万が一アラガミが入ってきたらいけないから、とかじゃないですか?」

 

レイジ「(コク)」

 

フラン「早く行こうよー」

 

 

札を貼り直した後、洞窟の中を進んでいく。やはりユーバーセンスがなければ絶対に迷うほど複雑に入り組んでいる。簡単に余所者が入ってこれないようにするためだろうか。

 

 

フラン「ここ、明かりがないのに暗くないんだね。不思議~」

 

レイジ「・・・(ピタ)」

 

 

レイジは急に歩みを止め、後ろを振り返る。何かを見つめているようだがアーティ達にはわからなかった。

 

 

アーティ「・・・?どした?」

 

レン「・・・どうかしましたか?」

 

レイジ「・・・」

 

 

実は先程からレイジの脳内マップで、自分達の背後に反応が1つある。何者かがいる証拠だ。振り返っても視界には何もない。こんなことが出来るのは――――レイジは腕を前に伸ばしながら「誰か」がいる方向へ歩いていき、目の前に来たところで何かを掴み上げる動きをした。何をしているのか不思議に思う一行だが、レイジが掴み上げるような動きをした後の彼の手を見て驚愕した。

 

 

レン「帽子・・・?」

 

アーティ「・・・それって、まさか」

 

?「あちゃー、バレちゃったかぁ」

 

フラン「・・・だれ?」

 

 

レイジのいる場所付近から声がした後、声の主は姿を現した。

 

 

こいし「やぁ、久しぶり!」

 

レイジ「・・・」

 

こいし「アラガミだと思ってしまっただって?アラガミってあの怪物達のことだよね?ひどいなぁ、私はちょっと脅かそうとしただけなのに」

 

アーティ「・・・なんだ、こいしか・・・」

 

レン「少し警戒してしまいました・・・」

 

こいし「ねぇねぇレイジ、今私を見つけたのって、あの時のようになんか能力とか使ったの?」

 

レイジ「(コク)」

 

こいし「それってどんなの?」

 

 

今はあまり時間に余裕がない。ここに来る目的が「遊びに行く」とかの単純な理由だったら立ち話もいいが、悪戯心を少し含ませながらに秘密だと答えないことにし、帽子を返して再び歩き始めた。

 

 

こいし「えー、いいじゃーん」

 

フラン「あなたは・・・だれ?」

 

こいし「ん?・・・あ、私はこいし、古明地こいし。地底に住んでるけど趣味は地上でお散歩!」

 

フラン「へぇ・・・私はフランドール、フランドール・スカーレット。フランでいいよ」

 

こいし「スカーレット・・・紅・・・あ、もしかしてあの赤いお屋敷に住んでる?」

 

フラン「うん。・・・あれ、知ってるの?」

 

こいし「うん、よく地上でお散歩してるから、たまに近くを通ることがあるの」

 

フラン「あなたは・・・人間?」

 

こいし「違うよw、私は妖怪だよ、そして無意識を操れるよ」

 

フラン「無意識?・・・あれ、いない?」

 

こいし「フラ~ン、私がどこにいるのか当ててごら~ん♪あ、レイジ、居場所を教えないでね」

 

フラン「え~姿が見えなきゃ探せないじゃ~ん、レイジ~教えてよ~」

 

 

そう言いながらフランがレイジの右腕を揺すってくる。こいしはそれだとかくれんぼにならないとレイジの左腕を掴んだ。

 

 

こいし「ダーメ!教えないでよぜ~ったい!」

 

アーティ「オイ今コイツ普通に姿晒してんじゃないの」

 

フラン「う~早く教えt・・・あっみっけ!」

 

こいし「え・・・あぁっしまった!」

 

レン「これも無意識・・・だったら笑ってしまいそうですね」

 

レイジ「・・・」

 

 

その後フランとこいしはかなりのスピードで仲良くなっていき、洞窟の迷路を抜ける頃にはもう親友同然の関係になっていた。仲良くなるきっかけはほんの些細なことであることが多いが、ここまでのスピードはそうない気がする。ちなみにこの地下街は旧都と呼ばれているそうで、ここ地底は今は使われていない旧地獄と呼ばれているそうだ。旧都という名前はともかく、始めて地底を訪れた時ここが旧地獄であることをヤマメ達は教えてくれなかったが・・・。弾幕ごっこで負かしたから教えてもそう驚かないと思って教えなかったのだろうか。「旧」だから教えてもそう大した意味はない、とも考えられる。

 

 

 

~地霊殿~

 

 

現在レイジ達は地霊殿の玄関の前。今からノックして入ろうとしているとこr

 

 

アーティ「(バァン)たのもーっ」

 

レン「扉は足で開けるものじゃありませんよ・・・」

 

アーティ「久々にやりたくなった、後悔はしていない」

 

こいし「お姉ちゃーんただいまー!」

 

フラン「お邪魔しまーす!」

 

レイジ「・・・」

 

 

ノックしかけたところでアーティが扉を蹴破り、こいしとフランが元気よく中へ入っていく。

 

 

レン「まぁでも、ここなら霊夢さんがいる可能性は高いですね」

 

さとり「おかえりこいs・・・・あら、レイジさん?」

 

 

地霊殿のエントランスは非常に広い。紅魔館のといい勝負だ。だがここが地底であるためか明かりはあるもののどこか薄暗い。その薄暗い闇の中からさとりが現れた。

 

 

さとり「お久しぶりですね。またここにいらしてくれるとは、あなたも物好k・・・ん、こいし、その子は?」

 

こいし「あぁ、この子はフランドールっていうの!さっきお友達になったんだよ!フラン、私のお姉ちゃん、さとりって名前だよ!」

 

フラン「よろしくー!」

 

さとり「え、ええ、よろしくね(こいし・・・いつになくテンション高いわね・・・)」

 

こいし「さ、ついて来て!広い部屋行こ!」

 

フラン「うん!」

 

 

早く遊びたいのかさっさと奥へ走って行くこいしとフラン。あまり遊んでいる時間はないが、邪魔するのもなんだか罪悪感が湧きそうだ。保護者というのは大変だ。

 

 

さとり「まったくです。まぁ今回は家の中で遊ぶようですから幾分かは探しやすいですが」

 

レイジ「・・・」

 

アーティ・レン「?」

 

さとり「・・・さて、久々の再会を喜びたいところですがお急ぎのようですし、どこか落ち着ける場所でお話を伺いましょう。付いてきてください」

 

アーティ「話が早くて助かるわ、心が読めるっていいわね」

 

さとり「メリットよりも、デメリットの方が大きいですよ・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジ達は3階のバルコニーに案内され、柵の近くに置かれた丸テーブルと椅子に座る。

 

 

さとり「どうぞ」

 

レン「あ、わざわざ紅茶まで・・・ありがとうございます」

 

レイジ「(ずずっ)っ・・・」←熱かった

 

アーティ「おもてなしのための紅茶ってのはすぐに飲み干すもんじゃないわよ」

 

さとり「さて、今回地底(ここ)を訪れたのは、霊夢さんの捜索のため・・・ですね?」

 

アーティ「話が早すぎて大助かりだわ・・・」

 

レイジ「(コク)」

 

さとり「あなた方の(おっしゃ)った通り、彼女は3日程前からここへ訪れています。ここ地霊殿にも来ましたよ」

 

レン「何か・・・えっと、教えて欲しいことがある、とか言っていませんでした?」

 

さとり「そうですね、「前に何か変わったことはなかったか」とか「怪しいヤツが出入りしなかったか」とか、よくある質問はされましたね。あの事件の予兆となるようなことは何もなかったので私は特になかったと答えましたが」

 

アーティ「まぁ知ってるワケないよねぇ。・・・ところで、さ」

 

さとり「・・・はい」

 

 

 

フラン「それえっ禁忌「レーヴァテイン」!」

 

こいし「そんな大振りじゃ当たらないよ、本能「イドの開放」!」

 

 

バババババッバシューン!ドシューン!

 

 

フラン「えぇぇりゃ!」

 

こいし「動きが違うんだよ」

 

フラン「うッ・・・!私を、私をよくも!」

 

こいし「ッ!指先の感覚が・・・」

 

フラン「逃げるな!」

 

こいし「生の感情をむき出しで戦うようでは、俗人に勝つことは出来ても、私には通じないな!」

 

フラン「何を!」

 

 

ズババババッビシューン!

 

 

アーティ「・・・この(スッ)デンジャラスなお茶会(サッ)、どうにかならないの?(ガタッ)」

 

 

いつのまにか静かな空間から弾幕が飛び交うお茶会のようになってしまっている。全員首を傾けたり重心を後ろに椅子ごと傾けて避けたりカップに当たらないよう腕を動かしたり、上手いこと避けている。

 

 

レイジ「・・・(スッスッカタッ)」

 

レン「・・・レイジさんの方に(サッ)やたら弾が飛んできてますね・・・」

 

さとり「こいし、悪いけど弾幕ごっこをするなら場所を移してくれない?」

 

こいし「あ、お姉ちゃん達いたんだー?ごめんねー」

 

フラン「だからあそこの方がいいって言ったのに」

 

 

さとりの一言ですささーんとその場を後にする妹達。そして再び遠くで街の喧騒が聞こえる静寂が訪れた。

 

 

さとり「すみませんね、妹が迷惑を掛けてしまって」

 

レイジ「・・・」

 

さとり「「意外と面白かったから気にしていない」・・・?ぷふふっ、面白い方ですね」

 

アーティ「あんたどうかしてるよ・・・」

 

レン「話を戻しましょう。霊夢さんが地霊殿に訪れた後の行方は知っていますか?」

 

さとり「えぇ、知っていますよ。ただ・・・」

 

 

 

嫌な予感がする3人。

 

 

さとり「あの後旧都の方へ調査に出掛けたそうなのですが、そこでものすごくお酒を飲んだらしく・・・2日前にまた地霊殿(ここ)へ訪れてからずっと、私の部屋で寝ています。ひどく酔っているようでした・・・」

 

アーティ「・・・あー・・・まぁとりあえず、何かあったワケじゃぁないと」

 

さとり「はい・・・」

 

レン「・・・つまり、霊夢さんが連絡もなしに帰ってこないと思ってしまったのは・・・」

 

さとり「2日酔い・・・てところですね」

 

 

何はともあれ、事件に巻き込まれているワケではないことがわかった。無事だというだけでも安心だ。

 

 

さとり「霊夢さんの所へ案内してあげますよ」

 

アーティ「ええ、お願い(ぐびっ)」

 

レン「(カタン)丁度紅茶も飲み終えましたし、お願いします」

 

レイジ「(ごくごく)ッぐふぐふッぐふ」←むせた

 

 

 

~地霊殿2F・さとりの部屋~

 

 

さとり「こちらです」

 

 

地霊殿の2階へ下り、さとりに案内されて部屋へ招き入れる。中に入って右手には書斎のような大きな机やいくつかの本棚が並んでおり、左手にはソファーや暖炉、隅にはベッドが見える。ここは以前レイジがさとりに介抱された部屋だ。霊夢がいるとすればベッドで寝ているのだろうが、そこには彼女の姿はない。

 

 

さとり「霊夢さんはこちらです。・・・ベッドに寝かせようとしたのですが「ベッドは好きじゃない」だそうで・・・」

 

 

ベッドを見ていたレイジにさとりが声を掛ける。どうやらソファーで寝ているようだ。

 

 

霊夢「zzz・・・うふ、うふふ、うふふふふ」

 

アーティ「・・・くっそ、ムカつく程にいい笑顔で眠ってやがるわ・・・」

 

レン「顔が赤い・・・まだアルコールが抜けきっていませんね」

 

さとり「ええ、恐らく相当の量のお酒を飲まれたのでしょう・・・2日前からずっとこんな状態です」

 

アーティ「今からこいつ叩き起こしてもいい?」

 

さとり「構いませんが、あまり乱暴にしないように・・・」

 

霊夢「宇宙の真理ッッ!」

 

 

アーティが叩き起こそうとした直前、霊夢が急に叫びながら目を覚ました。

 

 

アーティ「うおっ」

 

さとり「・・・霊夢さん、目が覚めましたか」

 

霊夢「・・・ん、あれ?・・・なんだ夢か・・・」

 

さとり「・・・。実に、あなたらしい・・・」

 

レイジ「・・・?」

 

霊夢「あ、レイジ、なんであんたがここに?・・・私がいつまでも帰ってこないから心配で安否を確かめに?あ~、はははは、大丈夫よこの通り」

 

さとり「・・・霊夢さん、あなたがここで寝付いてから2日以上経過しましたよ」

 

霊夢「へー。まぁあんだけ飲んだらそれくらいは眠ってしまうわよねぇ・・・。え、あの時「次の日には帰る」と言ったんじゃなかったのかって?・・・え?私そんなこと言ってないわよ?」

 

レイジ「・・・?」

 

アーティ「あ?どういうこと?」

 

霊夢「私はあん時「今日はあっちで夜を過ごす」とは言ったけどさ、「次の日に帰る」とは言ってないわよ」

 

アーティ「なんてわかりにくい・・・始めからそのつもりなら「何日か掛かる」とでも言えっつーの」

 

霊夢「・・・なんか勘違いさせちゃったみたいね。えっとね、当初は1晩を地底(ここ)で過ごしてから帰ろうと思ってたのよ。調査してても特に何もなかったし。でもね、なーんか安心した気持ちになれなかったのよね。で、しばらくここに滞在しようかなと思いながら街の方で夜ご飯食ってたの。そこであの1本角の鬼と会って・・・」

 

さとり「宴会に誘われて食べ物とお酒を浴びるように飲んで食べた・・・そして、その後の記憶はない。ということですね?」

 

霊夢「補足ありがと」

 

レン「・・・そして、連絡出来る状態ではなくなるくらい泥酔して2日以上も寝過ごした・・・ということですね」

 

さとり「まぁ、そんなところでしょう」

 

霊夢「悪いわね、わざわざ様子見に来てもらっちゃって」

 

 

霊夢はまだ成人していないように見える。まさかこの幻想郷には酒の年齢制限が存在しないのかとレイジは不思議に思う。そういえば前回地底を訪れた時、アラガミ襲撃後の宴会でさとりやこいし達も酒と思しき飲み物を平然と飲んでいたような気がする。彼女らも見た目はまだ年端もいかない少女のはずだが―――

 

 

さとり「・・・ふふ、私はこう見えてあなた方よりも遥かに年上ですよ。軽くあなた方の10倍以上は生きています」

 

アーティ「・・・マジで!?」

 

レイジ「・・・!?」

 

レン「そんな・・・見た目はどうみても・・・」

 

霊夢「・・・?あぁその話?何を驚いてんの、妖怪ってのは大体そんなモンよ」

 

さとり「それに、何故いちいち年齢を気にしてお酒を飲まなければならないのです?」

 

レン「えっ」

 

 

何故かと言われると途端に困る3人。レイジ達も詳しくは知らないが、「成熟し切っていない体で酒を飲むと、肝臓がやられやすくなったり、ヤクみたいな依存性があったりと害になることだらけである」というようなことを教えられ、それが当たり前だと思っている。しかしここは幻想郷。余所の常識などここには存在しないことを再三痛感させられる。

 

 

霊夢「レイジ・・・さとりがいるからって全部表情だけで喋るのはどうかと思うわよ・・・。私だけ話に付いていけないじゃない」

 

アーティ「こいつは普段から顔で喋ってるわよ」

 

さとり「彼が()うには「体が大人になるまでにお酒を飲んだら、体のあちこちに害が出る恐れがある」だそうですよ」

 

霊夢「は?何それ?wwwなら私らを見てごらんなさいよ、この通りピンピンしてるでしょ?wもしレイジが言うことが本当ならさw私なんてとっくに死んでるっつーの!www」

 

レイジ「・・・( _ )」

 

レン「・・・(;^ ^)」

 

アーティ「・・・(¬ー¬)=3」

 

 

もうこの話は終えることにし、早速通信機を取り出してサヤカと通信する。場所が地底であるため繋がるかどうか不安だったが、その心配はいらなかった。

 

 

「こちらサヤカ。どうでした?霊夢さんは見つけられましたか?」

 

 

呆れる程に元気であることを伝える。理由も告げると少しの間が空いた。

 

 

「・・・な、なるほど・・・とにかくご無事で何よりです」

 

 

サヤカの向こう側で何やら騒がしい声が聞こえてくる。サヤカの通信機に興味を持ったチルノやレミリア、魔理沙の声だ。

 

 

「・・・それ・・・?・・・・・・話して・・・?」

「・・・・・・話せる・・・・・・レイジに・・・」

「私によこ・・・!・・・言いたい・・・あんだよ!」

「奪い・・・!まだ・・・なんです!」

 

 

霊夢「・・・面白い道具ね。似たようなことなら私の陰陽玉でも出来なくはないけど」

 

 

「アッー!アッー!」←チルノが大音量で

 

レイジ「(キィンッ)っ・・・」

 

 

「ちょっと!・・・もちゃじゃな・・・!」

 

 

レン「・・・緊張感が・・・」

 

アーティ「・・・一体何やってんのかしら」

 

霊夢「・・・まぁ、さ。レイジ、私はもうしばらく地底(ここ)にいるつもりだから心配しないでと伝えといて。あんたは早く戻ったげた方がいいかもね」

 

 

「(パシッ)・・・えー、レイジさん、聞こえます?すいません、いきなり話が途切れてしまいましたね。・・・え、霊夢さんが何ですか?・・・・・・そうですか、わかりました。そちらはもう心配はいらない、ということでs(プツン)」

 

 

いきなり通信が途切れた。バッテリー切れだろうか。確認してみるがまだまだ十分に使える。となると、サヤカの通信機のバッテリーが切れた可能性がある。非情にタイミングが悪い。

 

 

レイジ「・・・」

 

レン「・・・」

 

アーティ「・・・」

 

霊夢「・・・用は済んだ?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

アーティ「・・・まるでゲームの主人公みたい。わざわざ遠くまで来たのに大した収穫はなし・・・なんて」

 

レン「・・・霊夢さんの無事がわかっただけでも万々歳だと思いますよ。リンドウさんの件については帰って作戦を練ったり出来ますし」

 

さとり「お帰りですか?ならばお見送りしますよ」

 

 

外へ出ようかと動き出したところにさとりが話し掛ける。うなずいて礼を返し、フランを探すべく部屋を出る。霊夢はまだ酔いが抜け切っていないらしく部屋に残るようだ。

耳を澄ますと、下から微かに騒がしい音が聞こえる。恐らくそこでフランとこいしは弾幕ごっこで遊んでいるだろう。ユーバーセンスを使って位置を把握し、1階へ下りる。

 

 

 

~地霊殿1F・エントランス~

 

 

弾幕ごっこはエントランスで行われていた。しかし今は決着が付いたようでフランがうつ伏せに倒れており、こいしが少し離れた場所に立っている。フランが負けているという光景にレイジは内心驚く。

 

 

こいし「完璧な作戦だった(ドヤァ…)」

 

フラン「う・・・な、なんで・・・!?」

 

こいし「ふふーん、ちょっとは頭を使ったら?相手に向けてただ弾幕を張ってれば勝てるとでも思ったの?」

 

フラン「だって・・・そうじゃないと勝てないんじゃ」

 

こいし「ううん、力だけじゃダメなんだよ。力だけじゃ」

 

フラン「そう・・・なのかな」

 

こいし「うん。フランは動きが単純すぎ。それがなくなればもっといい勝負できるよ」

 

フラン「・・・ありがと。次は負けないからね」

 

 

こいしはフランの手を取り、起き上がるのを手伝う。まるで少年漫画のような光景がそこにあった。それにしても2人ともいい笑顔だ。

 

 

さとり「こいし、レイジさんがお帰りになられるわ。悪いけど弾幕ごっこはお終いにして頂戴ね」

 

こいし「えー・・・まぁいいか丁度キリのいいとこだったし」

 

フラン「仕方ないね。また今度ねっ」

 

 

 

 

 

 

~サヤカside~

 

 

レイジ達が紅魔館を出て1時間20分後、談話室にて―――

 

サヤカ「・・・やっぱり私、このままただ待ってるだけなんて出来ません」

 

魔理沙「んなこたァ私だって同じだし皆もそう思ってるだろうよ。私は今でも思うぜ、もっとマシな作戦があったはずだって。・・・誰かいい案浮かんだか?」

 

 

「・・・」

 

 

魔理沙「だよなー・・・くそっ、なんでこんな時に頭働かないんだッ・・・」

 

レミリア「・・・いい案というワケじゃないけれど、いいかしら」

 

魔理沙「?」

 

 

レイジとフランを見送って戻ってきた頃から一言も喋らずにずっと考え込むような様子だったレミリアが口を開く。全員の視線が彼女に集中する。

 

 

レミリア「・・・1時間くらい前、レイジとフランを見送った時にね、レイジから妙な感覚がしたの。まるで死地に赴くかのような・・・覚悟を決めた後のような感じがしてね、最初は気のせいかなと思っていたんだけど、この部屋に戻ってからチラチラと気になる運命が見えるのよ」

 

魔理沙「へぇ、何が見えたんだ?」

 

レミリア「それがね、1人で戦っているの。レイジが、アラガミ化した人間と」

 

魔理沙「は!?」

 

サヤカ「1人で・・・!?」

 

パチュリー「アラガミを倒す専門家とはいえ、1人というのは危ないわね。その運命を変えることは出来ないの?」

 

レミリア「出来たらとっくに変えてる」

 

魔理沙「バカな、運命を操れるお前に変えられないなんて、どんだけなんだよ・・・!どうにかならないのかよ!?」

 

レミリア「どうにかしたいけれど、出来ない。まるで、何かが邪魔しているかのような感じなの・・・」

 

パチュリー「え・・・!?」

 

 

今でもレミリアはレイジが無茶なことをしないよう運命を変えようとしている。しかし変えても変えても何かがそれを許さず、改変前の状態に戻してしまう。何故こうなるのか理解出来ない。先程までは他人の話を聞きながらだったため、何が運命の改変を邪魔しているのかわからなかったが、今度は集中してみることにした。レミリアは目を閉じ、頭の中にあるビジョンへ潜り込む。

 

そこでは、1本の運命と言う名の線が引かれている。その線はどこまでも続いており、果てが見えない。このままの運命通りだとレイジの身に危険を及ぼす運命に向かうだろう。レミリアはそうならないように安全な方向へと線を引いていくが、何者かが突如現れ、通り抜けざまに一瞬で線を消してしまう。

 

 

「誰なの!ここは私しかいない場所のはずよ!出て来なさい!」

 

 

しかし誰も現れない。待っても意味はないとまた別の線を引こうとすると、させまいと今度は右手首を掴まれた。レミリアはその時驚愕した。掴んでいる手は、右手。手首にある特徴的な赤い腕輪のようなもの。「その腕輪のようなものは何なの?」とずっと訊こうとして忘れていた彼の腕輪。そう、レミリアの手を掴んでいたのはなんと――――レイジだった。

 

 

「れ・・・レイジ!?」

 

「・・・」

 

「なんで・・・なんであなたがここに!?ここは私しかいない、私しか行けない場所のはず!」

 

 

彼は何も反応しない。ただレミリアの手首を掴んでいる。ただ無機質な表情のままで。

 

 

「放しなさい!このままだとあなた、危ない目に遭ってしまうのよ!?」

 

「・・・」

 

「黙りこくって・・・!理解に苦しむわ!何故あなたがここまで来て私の邪魔をするn・・・ッ!?」

 

 

気が付くと、レイジの右腕が異形のものと化していた。恐らく、このまま運命改変をしなかった場合の彼の未来の姿だろう。レミリアは唖然とし、彼の右腕を見つめる。

 

 

「な・・・何よ、これ・・・!?」

 

「・・・」

 

「・・・どうなってるの・・・!?」

 

 

レイジの右腕はもちろん、何よりもわからないのは、自身の腕が異形のものとなっているにも関わらず、「大丈夫」と伝えるかのような、無表情だが優しい顔をしていたことだ。

 

 

「い・・・嫌よ、あなたがアラガミになるなんて!」

 

「・・・」

 

「嫌よ!そんなの・・・!」

 

 

レミリアにはたまらなく嫌だった。自分のお気に入りが異形の怪物になってしまうのが。アラガミになってしまえば、殺さなければならなくなるかもしれない。それがたまらなく嫌だった。彼女は無意識の内に、彼を強く抱き締めていた。いつの間にか目頭が熱くなっていたのを見せたくなかったからだ。

 

 

「そうまでして・・・!私の運命改変を拒んでまで、何故あなたは1人で行こうとするの!?」

 

「・・・誰も巻き込みたくない。お前を、フランを、サヤカを、皆を。・・・俺が全部終わらせる」

 

「ふざけないでッ!」

 

「・・・今のどこがふざけていたんだ」

 

レミリア「1人で行った結果がそれ(アラガミ化)でしょう!?下手をしたらあなたを殺さなければならなくなるかもしれない!そうなったら皆悲しむわよ!?あの子(フラン)は特に!」

 

「・・・誰も死にに行くとは言っていない」

 

「ならあなたの上司を救う秘密の作戦でもあるの!?私達にも言わないような!」

 

「ない」

 

「・・・簡単に言ってくれるわね・・・腹が立つわ」

 

「・・・」

 

「・・・!あなたは一体何がしたいの!?何の策もなしに1人でアラガミ化した上司を救いに行くだなんてどうかしてるわ!(バカ)みたい!」

 

「・・・そうだ。俺は(バカ)だ」

 

「・・・え?」

 

「要領も悪い。物覚えもよくない。・・・だが」

 

「・・・?」

 

「俺は死なない」

 

 

その時、レイジの右腕が元の状態に戻っていた。

 

 

「・・・!?」

 

「・・・だから、誰の助けも必要ない」

 

「・・・あっ!待って!」

 

 

レイジは自分を抱き締めるレミリアの腕をどかし、背を向けて歩いていく。レミリアは引き止めようとするが、レイジは「来るな」と言うかのように神機を彼女の目の前に突き刺さるように投げつけ、それと同時に彼は砂のようにサラサラと消えていき、遅れて神機も消滅する。砂はどこまでも伸びる運命の線の一点の中へ・・・

 

 

「・・・この運命は俺のものだ。勝手には変えさせない」

 

「待って・・・待ちなさいよ・・・!」

 

 

完全に消えてからは、声が響くように聞こえてきた。レミリアは膝を突き、レイジが消えていった一点を見つめる。そこは今からほんの少し先の未来。ならば今ここにいたレイジは、地底にいるはずのレイジとは違う存在なのだろうか。

 

 

「俺は死なない。死にそうになったら逃げる。・・・だが最終的には必ずあの人を助け出す」

 

 

その後は、いつもの光景。自分と運命の線以外何もない空間。

 

 

「・・・(誰も巻き込みたくないがために1人で・・・何の考えもなしに救いだそうだなんて、とんだ大(バカ)だわ・・・)」

 

 

客観的に見て、もし誰も巻き込まずに終わらせたいなら何か策を考えておくのが普通だろう。それもなしに行こうとするなんてことは考えられない。いや、もしかしたらもう策を終えていたのかもしれない。現在、いつ紅魔館もしくは地底で騒ぎが起こるかわからない状況。そんな中レイジはフランだけを連れ出しその他全員を残した。待機組は何か出来ることはないか模索するも一触即発となりえないこの状況下で自分達はろくに動けない状態になってしまっている。

 

 

「・・・!」

 

 

はっとしたように、「やられた」と彼女は思った。自分達は紅魔館から迂闊に出れない状態。いや、閉じ込められているのだ。レイジによって。今の状況を利用してレイジは自分達を紅魔館から迂闊に出られないようにしたのだ。ならば何故フランを連れ出したのか?それには恐らく大した意味はない。外の世界をもっと知ろうとするフランの邪魔をするつもりはないから、それだけだろう。しかし運命上では後に彼1人になっているため、適当に理由を付けてフランも紅魔館へ戻すつもりなのだろうか。「危ない目に遭わせたくない」という気持ちはわかるが、1人だけで行くような勝手は許さない、許したくない。レイジの真意を知ったレミリアはすぐに運命を変えようと線を引いていくが、描いた線が末端から消えていってしまう。もう、呆れるしかなかった。レイジが取った行動はただフランを連れて外に出ただけなのに、こんな大変なことをしでかすとは思いもしなかったから。レミリアは複雑に渦巻く感情の中、ただ一言皮肉るように呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・流石、私のお気に入りね・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――!」

 

 

レミリア「(・・・?)」

 

 

魔理沙「―――い!おいレミリア!」

 

レミリア「はっ・・・ごめんなさい、何だったかしら」

 

魔理沙「急にソファーの上でしゃがみガードなんかして、どうしたんだよ?何かあったのか?」

 

 

集中しすぎて話を聞いていなかったらしい。何もなかったと言えば、嘘になる。

 

 

レミリア「・・・やられたわ」

 

魔理沙「あ?」

 

レミリア「してやられたわ。レイジは迂闊に外に出られないこの状況を利用して、私達をここに閉じ込めたみたい」

 

魔理沙「閉じ込めただって?何を言ってんだよ?」

 

パチュリー「レミィ、まさか何か見えたの?」

 

レミリア「・・・運命を操ろうとしたらね、邪魔をしてきたの。・・・レイジが」

 

魔理沙「何だって・・・!」

 

サヤカ「え・・・!?」

 

パチュリー「嘘・・・!?彼は・・・いや、そんなはずは・・・!」

 

大チル「???」

 

レミリア「・・・もうね、驚きを通り越して呆れてるわ、私。「邪魔をするな。1人で全部終わらせる」ですって」

 

サヤカ「そんな!無茶ですよそんなの!」

 

レミリア「変な感覚だったわ・・・私しか存在しないはずの場所にいきなり現れるんだもの」

 

魔理沙「で、結局運命は弄れたのか?」

 

レミリア「彼がいなくなってからも試してみたんだけどね、やっぱりダメだった。もうあれは運命じゃない・・・宿命ね」

 

サヤカ「宿命・・・!?」

 

魔理沙「あんのバカッ・・・!1人で勝手にカッコつけやがっt」

 

 

 

ピピピッピピピッ

 

 

 

突然魔理沙の言葉を遮るようにサヤカの通信機が鳴り響く。全員が一瞬硬直し、サヤカは通信機を取り出す。恐らく何かがあったのだろう。

 

 

サヤカ「・・・こちらサヤカ。・・・どうでした?霊夢さんは見つけられましたか?・・・え・・・あぁ・・・なるほど、とにかく御無事で何よりです」

 

魔理沙「どうした?」

 

サヤカ「・・・えぇと、霊夢さん、2日酔いでダウンしてたせいで連絡が取れなかったようです・・・」

 

 

ずっだーん!

 

 

サヤカと、話にあまりついていけていない大妖精、チルノ以外は全員ずっこけた。

 

 

大チル「???」

 

 

魔理沙「霊夢・・・あいつもあいつで何やってんだよ・・・」

 

チルノ「ねーねーそれ何ー?誰と話してんの?(パシッ)」

 

サヤカ「あっ!」

 

 

サヤカの通信機に興味を持ったのか、先程まで半ばボーっとしながらソファーに座っていたチルノがそれを掠め取る。

 

 

レミリア「そういえばそれ、遠くにいる相手と話せるのよね。氷精、ちょっと貸して。レイジに言いたいことがある」

 

魔理沙「私によこせ!私にだって言いたいことがいくつかあんだよッ!」

 

サヤカ「奪い合わないでくださいよ!まだ話してる途中なんです!」

 

パチュリー「ちょっと、落ち着きなさい!」

 

チルノ「順番は守りなさいよー!すぐ貸したげるからー!アッー!アッー!」

 

サヤカ「ちょっと!それはおもちゃじゃないんですよ!返してください!」

 

レミリア「そうよ、だから勝手に持ってっちゃダメ(パシッ)・・・えーとどう使えばいいのかしら」

 

チルノ「あっまだあたい使ってない~!」

 

サヤカ「もう!後で使わせてあげますから一旦返してください!(パシッ)・・・えー、レイジさん、聞こえます?すいません、いきなり話が途切れてしまいましたね。・・・え、霊夢さんが何ですか?・・・・・・そうですか、わかりました。そちらはもう心配はいらない、ということですね。では、レイジさん達は地底を出た後・・・あれ?」

 

魔理沙「どした?」

 

サヤカ「バッテリーが切れちゃいました・・・」

 

魔理沙「おいおいマジかよ・・・それじゃレイジがこれからやろうとする無茶を止めにくくなるじゃねーか!おいレミリア!お前が見た運命の中でのあいつ(レイジ)は他に何か言ってなかったか!?」

 

レミリア「・・・作戦はまだ考えていないが、死ぬつもりはない、とは言っていたわね。それにレイジの右腕がとんでもないことになっていたわ」

 

魔理沙「くっそ、あいつホント何考えてんだ!助けに行くはずがアラガミ化したら本末転倒だろうが・・・!サヤカ!もうなりふり構っていられねえ!レイジを探しに行くぞ!」

 

サヤカ「ええ、策もなしに1人でなんて、無謀ですよ・・・!」

 

 

我慢の限界に達した魔理沙とサヤカは部屋を飛び出した。たった1人で無謀なことをしようとしていることを知れば当然だろう。

 

 

パチュリー「なんだかますますまずいことになったわね・・・どうしたものかしら」

 

レミリア「まるで、運命がレイジの味方をしているみたい・・・」

 

 

 

 

~レイジside~

 

 

地底を出た後、レイジは早めにリンドウの位置を把握しようとフランに自分を抱えて飛行してもらいながらユーバーセンスを使っていた。空から幻想郷の至る所を回ってみたが、どうしても見つからない。ユーバーセンスをここまで使い込むのは初めてな気がする。そしてかなり集中していたせいか段々息が上がってきてしまい、可視範囲が狭くなっていた。ちなみにレンとアーティは先に紅魔館に帰らせている。

 

 

レイジ「・・・(息切れ)」

 

フラン「・・・ねぇ、一旦お屋敷へ帰ろうよ?そんなに疲れてるのに休まなかったら、見つけたって何もできないよ・・・?」

 

レイジ「・・・(首振り)」

 

フラン「・・・レイジ、休もう?あなたが苦しんでるのを見るの、嫌だよ・・・」

 

 

レイジはまだ帰りたくはなかった。せめて休むのはリンドウを見つけてから――――そう思った直後、突如彼の意識は薄れ、気絶してしまった。フランにとっては人1人くらい重く感じないが、彼の体から力が抜けたことで僅かながら重みが増すのを感じた。

 

 

フラン「ん、どうしt・・・レイジ!?」

 

 

声を掛けても返事がない。あまりの疲労で気を失ったことを悟る。フランは急いで紅魔館へ戻ることにした。

 




~名無しのコーナー「The Nameless」~


大妖精「・・・」

小悪魔「・・・」

大妖精「出番、ありませんでしたね・・・」

小悪魔「そちらはまだ「???」というセリフがあったじゃないですか・・・私なんかそれすらもなくて、存在する意味ないみたいな扱いですよ・・・」

大妖精「それは可哀想に・・・」

小悪魔「私、もう図書館に戻って仕事の続き始めてもいいですかね・・・」


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Mission 28 堕ちた信念、購う人間、正すべく奔走する人妖、届かぬ言葉、迫られる決断、それは変えられぬ血塗られた運命か

皆さん、おはこんばちは、wingです。今回はvs支部長以上に盛り上がるあのシーンだよ!原作知らない人は読むのをあまりおすすめしないよ!ちょっとアレンジしてみたけど、もろネタバレだからね!マタシャベッt(殴)

弟「やかましい」


~紅魔館~

 

 

サヤカ「・・・」

 

魔理沙「・・・」

 

レミリア「・・・」

 

 

レイジが突然気絶した後、フランは彼を急いで運んで紅魔館へ。その途中で偶然サヤカと魔理沙に鉢合わせ、共に紅魔館へ帰還。現在は2階にある、サヤカ達が泊まった事のある部屋である来客用寝室のベッドに彼を寝かせ、様子を見ている状態である。

 

 

フラン「レイジ・・・」

 

 

心配そうにフランはレイジの傍で屈み、彼を見つめる。対してサヤカ達は複雑そうな表情をしている。

 

 

魔理沙「・・・レイジを目の届く所に連れて来れたのはいいが・・・面倒なことになったぜ」

 

サヤカ「ユーバーセンスの使いすぎ・・・かなり必死にリンドウさんを探し回っていたんですね。すごく汗掻いてましたし」

 

レミリア「これで少しでも運命が変わってくれればいいなと思っていたけれど・・・今のままじゃまだ変わらなさそうね」

 

魔理沙「マジかよ・・・なんかムカつくぜ、私らじゃ足手纏いだってのかよ」

 

サヤカ「・・・それはないと思います」

 

魔理沙「あ?」

 

サヤカ「多分、責任を感じているのかもしれません。今回の異変の元凶は私達ですから」

 

魔理沙「いや確かにお前らが元凶かもしれないけどさ、私が気に食わないのは、私らはそんなことで一々怒らないし解決の手伝いをしてやるっつってんのに、こいつが1人で相談もなしに無茶しようとしてるってことなんだよ」

 

レミリア「幻想郷(ここ)で勝手に無茶されて勝手に死なれたら、あなたも元の世界にいるお仲間も、私達もいい気分はしないでしょう?」

 

サヤカ「そうですね・・・」

 

レミリア「・・・もう夕方・・・日が沈みかけているわね。そろそろ夕食の時間かしら」

 

サヤカ「早いものですね、レイジさんを探して色々飛び回ってたからでしょうか」

 

魔理沙「なぁ、飯食うんならこいつ(レイジ)はどうする?あまり疑いたくはないが、もし起きたら勝手にここから抜け出すかもしれないぜ」

 

フラン「私が見てる。まだお腹空いてないから」

 

 

レイジを見つめたまま呟くようにフランが口を開く。その表情は真剣そのもの。

 

 

レミリア「・・・なら、お願いするわね」

 

魔理沙「私らもちょくちょく様子を見に行くから、腹減ったらいつでも言ってくれ」

 

フラン「うん、行ってらっしゃーい」

 

 

ギィ・・・バタン

 

 

フラン「・・・お気に入りだもん、絶対放さないんだから」

 

 

 

 

 

 

 

~食堂~

 

 

魔理沙「・・・(もぐもぐ)」

 

サヤカ「・・・(もぐもぐ)」

 

魔理沙「・・・なんか落ち着かない気分だ」

 

サヤカ「私もです。食事中くらい切り替えていきたいとこなんですけどね・・・」

 

魔理沙「なんかこう、早く食事うぉふまへたいひふんわ(もぐもぐ)」

 

サヤカ「・・・可能性があるってだけならまだ気楽にいられたんでしょうけど・・・」

 

魔理沙「(ゴクン)運命で確定してるってのが厄介だぜ」

 

サヤカ「そういえばフランちゃんって何でも壊せるそうですよね。運命もその範囲内なんですか?」

 

魔理沙「知らね。今思えば抽象的なんだよなあいつの能力・・・ま出来ないってことはないんじゃね?」

 

サヤカ「運命を破壊・・・なんかカッコいいですね」

 

魔理沙「・・・まぁ、そうだな」

 

 

レミリア「・・・」

 

 

 

夕食後サヤカと魔理沙は真っ直ぐ寝室へ。レイジの様子はどうか見に行くが、彼はまだ目が覚めていない。

 

 

サヤカ「ご飯はまだいいですか?」

 

フラン「レイジが起きたら食べる」

 

魔理沙「あんま根詰めすぎんなよ?」

 

 

夜―――

 

 

サヤカ「じゃフランちゃん、私達はそろそろ寝ますね」

 

魔理沙「寝不足な状態で緊急事態になられてもアレだからな」

 

フラン「うん」

 

魔理沙「レイジのヤツまだ起きないのか、遅いな」

 

サヤカ「疲れれば誰でもこれぐらいは寝ちゃうものですよ」

 

魔理沙「見たところ問題はなさそうだがな・・・まあいい、先に寝るぜ。おやすみ」

 

サヤカ「おやすみなさい」

 

フラン「おやすみ~。・・・ふぁ・・・ダメ、まだ起きてなくちゃ」

 

 

 

深夜3時。その時にレイジはようやく目を覚ます。見慣れた天井、暗くなっている部屋。今は夜で、ここが紅魔館であることを悟る。起き上がるとベッドに突っ伏して眠っているフランが目に入る。起きるのをずっと待っていたのだろうか。きっとここまで運んでさらに自分の容体を心配してくれていたのだろう。夜に活発になる吸血鬼がこんな夜更けに眠ってしまっているのだ、見ただけですぐに理解出来る。しかし眠るにはあまりいい体勢とはいえない。レイジはベッドから出てフランをベッドに寝かせ、毛布を掛ける。次に周囲を見渡すと、魔理沙やサヤカ、レン、アーティが近くのベッドで眠っているのが見える。時計を見れば3時。周りは静寂に包まれている。部屋の外に出ると蝋燭の火による暖色系の明かりがほの暗く廊下を照らしている。窓を開け窓枠にもたれて、外を眺める。天気は良好で月も出ているが外の景色はここよりも暗い。少しの明かりがある門付近が比較的見やすいだろう。屋敷外となってくるとほぼ完全に何も見えない、闇の空間。不用意にそこへ入ると出れなくなってしまいそうな、そんな気がする。

 

 

レミリア「目が覚めたのね」

 

 

背後からレミリアに声を掛けられた。足音も何もなかったはずだが、確かにそこにいる。

 

 

レミリア「かなり忙しなく色んな所を探し回っていたそうじゃない、もう体調は大丈夫なの?」

 

レイジ「・・・(コク)」

 

レミリア「・・・そう」

 

 

静かで断続的な会話。レイジは窓の外を眺めたまま物思いに耽っているように見える。そんな彼に来る次の一言は、非常に返答し辛いものだった。

 

 

レミリア「・・・あなたはこれからどうするの?」

 

レイジ「・・・」

 

 

正直なところ、早くリンドウを助けに行きたい気持ちで一杯であるレイジ。感応現象で見たところだと、まだリンドウには自我が残っており完全にアラガミ化していない。しかしそれもいつまで持つか――――この1晩を逃したらいけないような気がしてならないのだ。

 

 

レミリア「・・・動きたくて仕方なさそうね。助けに行きたいのでしょう?あの人間を。でもどうやって?」

 

 

考えてることが体に出ていたらしい。その上どう助けるのかはまだ思いついていない。そもそも元の世界でもアラガミ化から救い出す方法は未だ見つかってない。・・・答えられない。

 

 

レミリア「私、気付いたのよ。今って、迂闊に外を歩き回ったら危ない状況でしょ?あなたはあの人間を見つけた時のためになるべく私達に被害が及ばないようにと思い、今の状況を利用して私達をここに留まらせ、そいつを見つけ次第フランも屋敷に帰らせてから1人で助けに行く・・・そういうハラだったんじゃないかしら」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジは何も反応しない。振り返らずただ窓の外の方を向いている。

 

 

レミリア「・・・やはり、否定しないのね」

 

 

やはりということはこちらの考えは既に筒抜けているということか。あのタイミングでここに現れるという時点でもう疑われていたのだろう。ならば言い逃れは出来まいと思い、レイジは窓枠にもたれるのをやめて1階へ降りようとしたその時、

 

 

レミリア「・・・どこへ行くつもり?」

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「答えなさい。まさかトイレというワケではないでしょう?」

 

 

レミリアが目の前で腕を広げて立ちはだかる。2人の身長差は大きいが、通せんぼするのに彼女の翼は横をカバーするのに十分だった。

 

 

レイジ「・・・」

 

レミリア「答えなさい!」

 

 

声を荒げるくらいならもうわかっているはず。なのになぜ再三確認しようとするのか。言ったところでその次の行動は目に見えている。渋々レイジは口を開いた。そこからのレミリアの反応は大体予想通りだった。

 

 

 

 

パァン!

 

 

 

レミリア「・・・ふざけないで」

 

 

レイジ「・・・」

 

 

左の頬をぶたれ顔が右へ反れる。顔の位置を戻そうとは思わずそのままの状態で立ち尽くす。するとレイジの背後から声が聞こえてきた。

 

 

フラン「・・・え・・・?」

 

 

 

~数分前・寝室~

 

 

フラン「・・・ん~、いつのまにか眠っちゃった・・・あれ?」

 

 

いつの間にか眠ってしまったフランが目を覚ます。しかし姿勢に違和感が。ベッドに横たわっており、毛布も掛けられている。このベッドはレイジが寝ていt――――いない!

 

 

フラン「ああっ・・・しまった・・・!!」

 

 

彼の面倒を見る途中、背後でサヤカや魔理沙、レミリアの話を聞いていた時フランはレイジの真意を知る。しかしうとうとして眠っている間に抜け出されたと皆が知ったら―――フランは焦り、ドアを飛び出した。今は深夜の3時過ぎ。人間ならとうに寝ている時間。抜け出されたとすればもっと前の時間かもしれない。自分が見ていると言っておきながらこんな(バカ)をするなんて、と悔恨の気持ちで一杯になる。

 

 

~紅魔館2F・廊下~

 

 

フラン「(バンッ)レイジ!」

 

 

 

パァン!

 

 

 

レミリア「・・・ふざけないで」

 

 

レイジ「・・・」

 

 

幸いにもレイジは寝室を出てすぐの所にいた。しかしいきなりレイジがぶたれている時に来たため驚きで言葉を失う。

 

 

フラン「・・・え・・・?」

 

 

レミリア「・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

レミリアは睨みつけるようにレイジを見つめ、レイジはそっぽを向いたまま立ち尽くしている。

 

 

フラン「え・・・」

 

レミリア「・・・大体予想は付くでしょ」

 

フラン「・・・まさか」

 

 

そのまさかだと言うかのようにレミリアはうなずきを返す。その瞬間フランは内から一気に湧き上がる感情に任せレイジの後ろからしがみついた。

 

 

フラン「ダメッ!」

 

レイジ「!」

 

フラン「1人ぼっちはいけないよ!1人ぼっちは辛いんだよ!?1人ぼっちは・・・寂しいよ・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

ずっと1人だったフランだからこそ、その言葉は重かった。実際に経験しているからだ。

 

 

フラン「あなたは私のお気に入りなの!お気に入りは勝手にいなくならない、勝手に遠くに行かない!いつだって傍にいるものなの!あなたは人間・・・人間ってとても脆いから、だから、1人で遠くに行ったら・・・壊れちゃうよ・・・」

 

 

人間の脆さも自身の能力により否応なしに、十二分に思い知らされているフラン。レイジは彼女の言葉に瞬間、心が揺れる。

 

 

レミリア「(運命が不安定になりかけている・・・目に見えないものすら壊せるとは、流石ね)」

 

フラン「お願い・・・1人は、ダメ・・・!」

 

レイジ「・・・・・・」

 

 

これでどうにか運命を修正出来れば完璧だ。レミリアはレイジの間違った行動を止めるべく彼に語り掛ける。

 

 

レミリア「・・・これでもなお、あなたは必要のない危険を冒してまで1人で行こうとするの?

 

 

 

レイジの表情に迷いの色が浮かび始めた。いける。このままいけば安全な道に―――そう思ったその時、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズン・・・ズン・・・ズン・・・

 

 

 

 

 

ズン・・・ズン・・・ズン・・・

 

 

 

 

 

ズン、ズ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3人「・・・?」

 

 

 

何かの足音。明らかに人のものではない。どこかで立ち止まったようだ。3人とも気になって窓の外を覗く。ここの窓はあまり大きくない。よって自然と1人で1つずつの窓から覗くこととなった。

 

門はなぜか開いている。また美鈴がうたた寝しているのだろう。アラガミが至近距離にいるというのに起きていない。

 

 

フラン「・・・あれって・・・!?」

 

 

ただし1体のみ。そのアラガミは開いた門前からこちらを見つめているように見えた。体は全体的に黒い。前傾姿勢で、竜を髣髴させるフォルム。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――ゾッ

 

レミリア「―――――!!!」

 

 

体中に一気に緊張が走った。この時運命が一瞬で結束、より強固なものになったのを悟る。そこにいるのは、黒いハンニバル(雨宮リンドウ)。元は人間だった者。そして――――レイジを破滅へ導く原因。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの時、夜遅くまで遊んでて、帰りに私がチルノちゃん家に泊まることになったんです  追い詰められてしまって、もう駄目かと思った時、人が通りかかったんです  右腕が変な形になってたけど、紛れもなく人間でした  あの人、何かを探して辺りを見回してたような  しかもお前らの上司だなんて・・・  まともに戦えるのは、フランとかの一部を除いてサヤカとレイジの2人くらい  ねぇレイジ、紅魔館が最初に襲われた時、確かあなたはすぐ近くにいたでしょ?襲撃の直後、どこにいたの?門の近くとか?  レミィ、あなたはその答えを知っているの?  なんだか嫌な予感がする  様子を見に行かないと・・・  大丈夫だよ、レイジがしっかり守ってくれるさ 実際こうして無事に帰ってきたじゃんか  アラガミどもが何を企んでいるのかは知らないけれど、遅かれ早かれ幻想郷を喰らい尽くそうとしているんでしょう?氷精達が遭った例外もあるし・・・  そう。私が思うにあまり時間に余裕はないかもしれない  誰のせいだと思ってるのよ  で、結局どうすんだよ?レイジだけで探しに行かせるのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「ダメッ!!レイジぃ――――――!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア自身にとってのみならば別にあのアラガミは大した脅威ではなく、恐怖の対象ではない。戦わなければならないなら戦う、負ける気はない。しかしあれはレイジとサヤカの上司であるためそう簡単に手を出せない。その上レイジに対しかなり危険な因子を持っているため放置も出来ない。きっと今にもレイジはここを飛び出そうとするだろう。黒いハンニバルを見て一瞬で浮かんだ予想は気持ち悪いくらいに的中、既にレイジは窓から飛び降りており着地時にローリングをしているところだった。このままではあの運命へまっしぐらだ。柄にもなく大声を上げて制止を呼びかけるレミリア。レイジは無視して走り続ける。

 

 

レミリア「ったく!フラン、レイジを追うわよ!」

 

フラン「わかってる!」

 

 

今からならまだ間に合う。レミリアとフランは一斉に窓から飛び出しレイジを追う。2人は飛べるので真っ直ぐ彼の元へ飛行する。黒いハンニバルはレイジが向かって来ているのに気付くと身を翻してどこかへ走り出す。レイジはそれを追い、さらに彼をレミリアとフランが追いかける。しかし彼女らが門を出た次の瞬間、

 

 

ザザザッ!

 

 

フラン「!?」

 

レミリア「アラガミ!?・・・ええいこんな時に!」

 

 

まるでタイミングを見計らったかのように、レイジを追う邪魔をするかのようにアラガミの群れが突如湧いて出てきた。迷っている暇はない。突破して追跡を再開するまでだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「駄~目~だァよォ~ww男の決意を曲げるようなことしちゃwwwお前らがいるべき場所は客席だよォ~w」

 

「ガアー(大将、セリフに草生えてるせいで完全にシリアスキラーっス)」

 

「グアー(安定の傍観タイムっスね)」

 

ヴィーナス「シリアスキラーなのは今に始まったことじゃないだろ?wそれにこういうボスキャラがいたっていいじゃないかって作者の野郎が言ってたしwww」

 

オウガテイル「メメタァ・・・」

 

「ウガ(メタいっス大将)」

 

「グルゥ(読者を代表してちょっとあのふざけた作者シメてきやス)」

 

ヴィーナス「てらーw」

 

「ガウ(あの、大将)」

 

ヴィーナス「あ?」

 

「ガルゥ、グル(今あそこで足止めされてるょぅι゛ょ2人、どえらい強さでっせ。あのガキ追うのに必死になってるみたいで、いつの間にか足止め班壊滅しそうっスよ)」

 

ヴィーナス「・・・WOW, もうあんなに減らしたのか。さっすが吸血鬼だねぇ、駄菓子菓子(だがしかし)

 

 

 

 

 

 

ザザザッ!

 

 

 

フラン「増えた!?」

 

レミリア「鬱陶しい!」

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「ここ最近あたしにも能力が発現したようでねぇ。いつでも自在にアラガミを生み出し、使役する「アラガミを操る程度の能力」・・・カゴメカゴメから、吸血鬼の足止めまで大体何でも可能な射撃万能機ってワケよ♪」

 

「グル~(それメインから特格まで支援(アシスト)だけの他力本願射撃機じゃないですかーやだー)」

 

ヴィーナス「部下を使役し、相手を瓦解させる・・・なんてスマートなんだ☆」

 

「ガウ(お言葉スけど大将、おらァスマートな大将なんて想像できねっス)」

 

ヴィーナス「・・・喰らうぞテメェ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~紅魔館2F・寝室~

 

 

サヤカ「(・・・?なんか騒がしい・・・)」

 

 

外がなんだか騒がしい。しかしなんとなく予想は付いていた。サヤカは体を起こし、レイジが寝ていたベッドを見る。

 

 

サヤカ「(やっぱり!全くもう・・・あれ、フランちゃんもいない?)」

 

 

フランもいないということに疑問を抱きつつ急いで支度を済ませ、神機を持ち部屋の外へ。まずは外で何が起こっているのか確認するために窓から様子を伺う。門前でアラガミが暴れているのが見える。

 

 

サヤカ「(・・・!レミリアさんとフランちゃんが戦ってる!紅魔館を守っているのかな・・・)」

 

 

もしものことを思って夜通し起きていたのだろうか。いや、ただ単に吸血鬼は夜を好む故に遅くまで起きていただけかもしれない。ひとまず2人の援護に向かうことにする。

 

 

 

 

フラン「う~っ倒しても倒しても全然数が減らない!」

 

レミリア「このっ邪魔だと言ってるのに!」

 

 

サヤカ「お2人とも!加勢します!」

 

フラン「サヤカ!」

 

レミリア「キリがない・・・仕方ない、サヤカ!フラン!先に行ってレイジを追いなさい!ここは私が引き受ける!」

 

サヤカ「えっそんn」

 

 

レミリア「 迷ってたら手遅れになるわよ!! 」

 

 

フラン「・・・わかった。サヤカ、行こう」

 

サヤカ「・・・レミリアさん、どうかご無事で!」

 

レミリア「喋ってる暇があるなら早く行きなさい!」

 

 

この場をレミリアに任せ、サヤカとフランはアラガミの群れの中を強行突破する。レミリアは2人が行ったのを確認すると、一旦後方へステップし、一息つく。

 

 

レミリア「・・・レイジを縛る下らない宿命を、絶対にぶち壊してくるのよ・・・。ほら、美鈴、起きなさい」

 

美鈴「・・・はっ!寝てません!寝てませんyってうわあ!?なんですかこの状況!?」

 

レミリア「・・・見ればわかるでしょ」

 

美鈴「・・・はい(・ω・`)」

 

レミリア「今は怒る気になれない。だから後で覚えておきなさい」

 

美鈴「・・・すみません(´・ω・)」

 

レミリア「・・・さ、いきましょ」

 

美鈴「はい!(`・ω・´)」

 

 

 

再び紅魔館の寝室。今度はアーティが目を覚ました。

 

 

アーティ「ん~・・・(なんか騒々しい・・・ま想像は付くけどさ)」

 

 

体を起こしレイジが寝ていたベッドを見る。そこに彼の姿はない。

 

 

アーティ「・・・(ま、こうなるわよね。1度決めたらすぐには折れない・・・変わらないわね、昔っから。ホント、ワケのわからないヤツよ)」

 

 

だがこのまま動かないワケにはいかない。大方外ではレミリア辺りがレイジを追おうとするもアラガミの邪魔でも入って進めない状況なのだろう。外の騒々しさで大体わかる。レンも連れて行こうと彼の寝るベッドの方へ向くと―――

 

 

アーティ「は!?」

 

 

いない。毛布をめくってみるがやはりいない。

 

 

アーティ「チッ・・・!呑気に寝てる場合じゃなかったわまったく!」

 

 

文句を言いつつアーティも神機を携え部屋を後にした。

 

 

 

~サヤカside~

 

 

森の中をひた走る。どうにか視界ギリギリの所にレイジの後姿を捉えているため止まるワケにはいかない。それに幻想郷の森は大部分が魔法の森。長居は禁物だ。

 

 

フラン「・・・あんなに必死なお姉さま初めて見たかも」

 

サヤカ「そうなんですかッ・・・?」

 

フラン「人間にあそこまで感情的になるのは珍しいね。お姉さまはあまり自分からは言わないけど、レイジのこと結構気に入ってるみたいだし」

 

サヤカ「そうなんですか・・・それにしてもあの人予想以上にッ・・・足速い!」

 

フラン「そう言うサヤカも速い方じゃない?」

 

サヤカ「そこそこ自信はある方なんですけどねッ・・・」

 

 

少しずつ引き離されている。このままではサヤカの視力で見える範囲外に到達してしまう。その時フランがサヤカに手を伸ばした。

 

 

フラン「掴まって!」

 

サヤカ「・・・はい!」

 

 

迷っているヒマはない。すぐにフランの手を取るサヤカ。するとフランは弾丸の如く飛行を始めサヤカの体はグンと引っ張られる。足は地から離れ、魔理沙と飛ぶのとはまた違った感覚だ。

 

 

サヤカ「ッ・・・(速い!このスピードなら・・・!)」

 

フラン「このまま飛ばしてくから手放しちゃダメだよ!」

 

サヤカ「ええ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンニバル(リンドウ)「・・・」

 

レイジ「・・・」

 

 

レイジはその時、逃げるようにもどこかへ向かって走っているようにも見えるハンニバル(リンドウ)をひたすら追走していた。無我夢中で追っているためサヤカ達が追跡していることに気付いていない。ハンニバル(リンドウ)がどこへ行く気なのかは知らないがいつまでも鬼ごっこを続けるワケにもいかない。どうにかして彼の足を止めたいところだ。

 

 

ダダダダダダダダ・・・!

 

 

しかしどこか挙動がおかしい。本来のハンニバル種の脚力ならば人間の走る速度より遥かに速いはず。幻想郷に来る前、少なくとも嘆きの平原で戦ったあのハンニバルではそうだった。なのにこの黒いハンニバルはまるでこちらのスピードに合わせていると思ってしまいそうな、そのくらいのスピードしか出ていない。だがそれは好機とも取れる。もしかしたらかろうじて残っているリンドウの意識が挙動を鈍らせているのかもしれない。少しずつ距離を詰め、思い切り地面を蹴って背中に飛びつく。それでもひたすらにどこかへ走るハンニバル(リンドウ)。何が目的なのか?ここから自分は何をすべきか?

 

 

レイジ「・・・」

 

 

いつの間にか背中の神機に手を伸ばしていた。そこでふと考える。これで本当にどうにかなるものなのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――また、人間によって培養されたオラクル細胞は極めて多彩な変異を遂げる傾向にあり、一般的な神機が通用しない事態が極めて多い―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――もし・・・その時、彼がアラガミになっていたらどうしますか?―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうする?・・・どうする!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サヤカ「背中に飛びついた!?ハンニバルの走りに追いつくなんて・・・!」

 

フラン「アレ結構速いのにね。あいつ本当に人間かなぁ」

 

 

サヤカ達も段々と距離を詰めていく。もう少しでレイジ達に追いつく。

 

 

フラン「レイジぃー!1人で先走っちゃダメー!」

 

サヤカ「そうですよ!何故1人で行くことに拘るんです!」

 

フラン「レイジ!レイジー!・・・ダメ、聞こえていない!」

 

サヤカ「全くもう・・・!」

 

 

声がはっきり届くくらいの距離まで近づいたがレイジはこちらに気付く素振りを見せない。背中に背負う神機に手をかけ、何かをしようとしているように見える。

 

 

フラン「・・・迷ってる」

 

サヤカ「え?」

 

フラン「レイジ!ダメだよ!迷ってるくらいならなおさら!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「・・・まったくやかましいガキどもだねぇ、男の決意を曲げるようなことしちゃいけないつってんのに」

 

「ガゥアー(あのガキもガキで今更迷ってる時点でどうかと思うんスけどね)」

 

 

ヴィーナス「仕方ないね・・・アレ出来るかな。・・・量子化☆」

 

「!?(ちょおま)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブワッ

 

 

フラン「!?」

 

サヤカ「えっ!?」

 

 

その時見たことのない現象が起きた。突如ハンニバルがまるで黒煙が霧散するようにして消えたのだ。炎や氷、雷など属性を扱うアラガミは見たことがあるが、今のような「突然消える」というような能力を持つ個体は見たことがない。レイジも一緒にいなくなってしまい後1歩のところで見失ってしまった。悔しさのあまり歯を食い縛る。

 

 

サヤカ「ここまできて・・・!」

 

フラン「・・・どっかに移動したのかな」

 

サヤカ「・・・それなら辻褄は合いますけど・・・」

 

フラン「サヤカ、落ち込んじゃダメ、まだコンティニューできる」

 

サヤカ「・・・はい」

 

 

レミリア「フラン!サヤカ!」

 

 

2人の後方からレミリアの声が響く。門前のアラガミを片付け終えたのだろう。

 

 

フラン「お姉さま!無事でよかった」

 

レミリア「それよりレイジは?」

 

フラン「それが・・・」

 

サヤカ「ありのまま起こった事を話すと・・・追いかけていたら、消えちゃったんです。突然」

 

レミリア「え・・・!?」

 

フラン「レイジがあのアラガミの背中に飛び乗って、そこから何かしようとしてたところでね、いきなり消えちゃったの。まるで煙みたいに」

 

レミリア「レイジも消えたの?」

 

フラン「うん」

 

レミリア「ならどこかに移動しているはず・・・なんとしても見つけないと・・・!」

 

サヤカ「あ、・・・ちょっと待って下さい。あれ・・・」

 

 

サヤカが何かを見つけたらしく、その方向に指を差している。その先を見ると、離れた場所にオウガテイルなどの小型アラガミが何体か固まってどこかへ走っているのが見えた。

 

 

フラン「・・・あっ!あいつらレイジのいる所へ行こうとしてるんじゃないかな?」

 

レミリア「それはやや信じ難いけれど他にレイジの足取りは見つからなさそうだし・・・追いかけてみましょ」

 

サヤカ「じゃ、見つからないように追従する形で行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴィーナス「・・・あれ、坊や達はどこ行った?」

 

「グアッ(わかんないんスか!?)」

 

ヴィーナス「いやぁ実はこの能力まだ発現したてでさぁ、わかってないとこいくつかあんだよね。実は量子化させたの初めてなんだよ~」

 

「ガルル(余計なことしかしないっスね大将)」

 

ヴィーナス「やかましい、別に坊やの居場所くらいすぐにわかるからいいだろうが。こうして視界ジャックすれば・・・ふむ、竹が見える・・・あぁ、坊やと一緒に幻想入りしたもう1人が最初に行った場所だね。じゃこの後の展開がどうなるか、すささ~んと見に行きましょーかァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・?」

 

 

 

 

一瞬目の前が真っ暗になったかと思ったら、いつの間にか竹の生い茂る竹林へと辿り着いていた。瞬間移動でもしたのだろうか。ハンニバルにそのような能力があるとは信じ難い。自分はハンニバルの背中に乗っていたはずがいつの間にか降りており、前方20メートルくらい先でハンニバルがこちらに向かって立っている。前屈みで低く唸っていることから戦闘態勢に入っている様子。レイジは神機を抜き、対峙する。

 

 

ハンニバル「グゥオオオオオッ!」

 

 

右手から紫炎を噴出させ、雄叫びを上げる。その後こちらに襲い掛かってきた。

 

 

 

 

レイジ「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「ここは・・・竹林ね」

 

フラン「行こう、早くレイジを見つけないと!」

 

サヤカ「無事でありますように・・・ん」

 

 

アラガミを追跡する内に竹林の入口へやってきた。アラガミの小集団は竹林の中へ。後を追うように3人も竹林の中へ足を踏み入れようとした時、サヤカが右に何かが動いているのを見つける。チラとしか見えなかったが、アラガミである可能性が高い。

 

 

サヤカ「・・・私がここにいるからでしょうか、どうやらここに何体か集まってきそうですよ」

 

レミリア「邪魔立てするなら消すだけよ」

 

フラン「そう、今の私達は・・・凶暴だよ」

 

サヤカ「・・・落ち着いてますね」

 

レミリア「そうでもないわ。内心居ても立ってもいられなくって仕方ないの」

 

フラン「私も。でも今は落ち着いているべきだと思って」

 

サヤカ「・・・愚問でしたか」

 

レミリア「今はお喋りしてる時間じゃないでしょ。早く行きましょ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンニバル「グオオオォ・・・」

 

 

ズズ・・・ン

 

 

レイジ「・・・」

 

 

 

 

 

倒した。倒してしまった。勢いでやってしまった。こんなことをして何になるのか。レンの言う通りならばリンドウの神機を使わない限り攻撃はあまり意味を成さない上相手はハンニバル種だ。すぐに復活する。レイジは戦闘態勢を解かないまま別の案を必死に考える。リンドウだけをアラガミからくり抜いてしまうか?無理だ。ならば止めを刺してしまうか?それは1番最後の選択肢だ。きっとあるはずだ。リンドウを助ける方法が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「ん・・・2人とも、レイジを見つけたわ。・・・あんな所にいるとは」

 

フラン「えっどこ!?」

 

サヤカ「あそこです!」

 

 

3人から50メートルほど先にレイジの後姿を視界に捉えた。これで彼らの元へ向かおうとするアラガミの小集団は必要なくなった。

 

 

フラン「よし、じゃあいつらはもう要らないね。壊れちゃえ」

 

 

ザシュザシュッ

 

 

「グオオッ!」

 

「ガウアァ!」

 

「グアァッ!?」

 

 

レミリア「道案内ご苦労様」

 

サヤカ「今のところここには私達だけのようですね、それなら・・・」

 

 

アラガミの小集団を始末し真っ直ぐにレイジの元へ。近づきながら声を掛ける。

 

 

フラン「レイジー!」

 

レミリア「倒したのね・・・とにかく無事でよかった」

 

 

しかし彼は反応を示さない。こんな時にまで無視されるといい加減イラついてくる。

 

 

レミリア「・・・レイジ、あなたねぇ!・・・ん?」

 

 

途中で視界の奥の方で何かが動いた。そこを見ると、倒れていたはずのハンニバルが復活しているところだった。1度倒したアラガミが復活するなんてことはレミリアやフランはもちろんサヤカも初めて見る光景だった。しかも・・・

 

 

サヤカ「・・・!リンドウさん!」

 

レイジ「・・・!」

 

 

ハンニバルの胸部にリンドウが浮かび上がっている。上半身と両腕以外は埋もれている状態だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――今ですよ

 

 

 

 

レイジ「!」

 

 

誰かの声が不意に左隣から聞こえてきた。振り向けば、ここにいるはずのないレンが。いつの間にここに来たのか。

 

 

レン「これを逃すと、もう、倒せないかもしれない」

 

 

彼の手には神機が。これはリンドウのものだ。普通に触れているのに、何故侵喰されないのか。

 

 

レン「さぁ、この剣を・・・リンドウに突き立ててください」

 

 

レンが神機を差し出す。レイジは無意識に手にしようとするが寸でのところで思い留まった。これはリンドウの神機だ。触れればまた侵喰される。あの時は大事に至らずに済んだが今度はどうなるかわからない。いきなり体の大部分がアラガミ化してしまうかもしれないのだ。レイジは左手を見つめる。

 

 

リンドウ「ぬぅ・・・ぅううっうあぁ・・・」

 

レイジ「!」

 

 

リンドウが呻き声にレン以外の全員の視線が集まる。

 

 

リンドウ「・・・俺のことは・・・放っておけ・・・」

 

サヤカ「リンドウさん・・・リンドウさん!」

 

レミリア「あれが・・・リンドウ・・・」

 

 

サヤカは若干涙目になりつつ彼の名を呼ぶ。それの意味は恐らくまだ彼の意識があったことからの安心、これからどうすればいいのかという不安・・・など複雑な感情からだろう。

 

 

レン「まだ・・・迷っているんですか?あなたは、もう決断したんじゃないんですか?」

 

 

リンドウ「立ち去れ・・・早く」

 

サヤカ「嫌です・・・置いていくのだけは絶対に・・・!」

 

フラン「ここまで来たからには、もう後戻りはできないから・・・」

 

 

レン「決断が遅れれば、余計な犠牲が増えるだけだ!リンドウに仲間を殺させたいんですか!?」

 

レイジ「・・・」

 

 

リンドウ「もう俺は・・・覚悟は出来てる」

 

サヤカ「え・・・」

 

リンドウ「自分のケツは・・・自分で、拭くさ」

 

 

レイジは自分の手を見つめながら俯く。見た目では落ち着いているように見えるが内心では不安、恐れ、義、焦りの感情で渦巻いている。切羽詰まった時の嫌な汗を掻いてしまいそうだ。レンはそんなこともお構いなしにリンドウの神機を差し出したままレイジに決断を迫る。

 

 

レン「さあ!この血生臭い連鎖から、彼を解放してやってください!」

 

 

一体何の連鎖なのか。以前にアラガミ化した人々が起こした悲劇だとでもいうのか。何故そこまでリンドウを殺させようとするのか。やがてハンニバルは完全に復活し、再び前屈みのポーズで戦闘態勢に入る。迷っている時間はあまり残されてない。

 

 

 

 

リンドウ「ここから・・・逃げろ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ「  これはっ・・・命令だぁッ!!  」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レン「早く!!この剣で、リンドウを刺すんだ!!」

 

 

リンドウは全員に逃げるよう叫ぶ。ハンニバルも「逃げないなら皆殺しだ」と言わんばかりに雄叫びを上げる。レンは普段では絶対にしない荒げた口調でレイジに神機を取るよう命令する。2つの命令がレイジを挟み、焦燥感はより一層加速する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうしたのさ、怖気づいたのかい? 私はただ、皆と平和に暮らしたかっただけなのに! かあ・・さん・・・・・父さ・・・んが・・・ 私はあなたが今回の異変の原因だと睨んでいるわ やっと来てくれた!私と遊べる人! もう一人はいやだ!!孤独はいやだ!! おいおいお前アラガミ化ってヤツになんねェよな?そんな危なっかしい状態でなんでここにいンだよ お前と一緒にいたらアラガミが寄ってきそうだあっち行け 中途半端な心遣いね これでいいんですか? いつか突然壊れるかもしれないからよ もし壊れたのが大切な人であるほど・・・あの子は心を痛めると思うわ ん~・・・しけいってヤツ?死ぬのはやだなぁ 私もあまり誰かが死ぬのを見るのは好きじゃないけどね む、無駄かどうかわかるもんかい! 止めを刺さないの? いえ、いいんです。自分が間違ってたことに気付けたのなら 今回はそうもいかないのよ?あなた後先のこと考えてた? どの口が言うんですか 家族のことでも思い出したの? 何よたかが景色を見ただけでひどく感傷的になっちゃって!あんたはホントワケのわからないヤツだわ! よくわかりましたね。その通りなんです。実は、リンドウさんのことで・・・ちょっと 彼は僕にとって最高のパートナーでした リンドウさん、ひどいですよね・・・皆置いてけぼりにして、一人でどっか行っちゃうなんて リンドウさんにしては上出来の緊張のほぐし方なのかなぁ そんなあなたももう・・・立派なリーダーなんですよね 僕はリンドウさんが死んだなんて信じたくないんです アラガミ化が進行した結果、二度と人間には戻れません この世界はいつだってわがままで、理不尽な選択を迫り・・・それが、歴史として連綿と続いて行く あの時のリンドウさんの選択は・・・皆を幸せな現実に導いたのでしょうか そしてあなたは、どんな選択をするんですか? あんな状況で大事に至らなかっただけでもラッキーなことです 放っとくとまずいわよアレ 完全に見失ったみたいね 昔・・・アラガミが出てくる前はさ、すげえ平和だったみたいだよ? きっとみんな、ニコニコしながら平和に暮らしてたんだろーなー ウチに帰ったらさ、家族が笑顔でお出迎えでさ 笑いながらご飯食べて、夜更かししてゲームで遊んじゃったりして 寝る時は、明日何しようかなーって、楽しいことだけ考えて そんでまた、当たり前のように次の日が来るんだよ こんな悲惨な未来なんて、想像もつかなくてさ あなた本当に人間? 例えばの話だが、もし君が親しくしていた友がいたとして、そいつが実はとんでもない怪物だと知ったらどう思う? 少年、しっかり守ってやれよ 別に隠さなくたっていいのに ならば君は、ここにいる全ての人間から罵りの声を浴びたいのか? もう絶対に繰り返してはいけないんだ・・・!あんな・・・ 手掛かりも何もなしか、これでは探しようがない んなこと言ってるヒマがあったら体動かせっての! 無理して壊れちゃったら嫌だよ? もこたああああああああああん!!! そういえば、被害はどれくらい出たんでしょうか 私達はゴッドイーター。破壊の限りを尽くす神を倒すための存在 神を喰らう者・・・か 私達はアラガミしか喰わない偏食家なんですっ ふざけ過ぎて痛い目見ても知らないって言ったのに 悪夢のようでした・・・私たちの攻撃が全く効かなくて、私達を助けようとした仲間達もみんな怪物に食べられて・・・ でもその人、こっちには目もくれずに怪物を一撃で倒してしまったんです そういえばあの人、何かを探して辺りを見回してたような しかもお前らの上司だなんて 一体何を考えてるのよ!? あなたを信用してあの子の外出を許可したのに!それをあなたは! 不器用だね。本当に 辛く、なかった? 非常識だわ 勝手なことしないでくれよな 長い階段上ってワケわからんヤツに足止め食らって防衛班の真似事しなきゃいけなくなって足挫いてリンドウにぶっ飛ばされて お前らはアラガミどもの動きに違和感を覚えたことはないか? あなたはその答えを知っているの? あんまり少人数だと危険ですし、僕もお供します 私が思うにあまり時間に余裕はないかもしれない メリットよりも、デメリットの方が大きいですよ 宇宙の真理ッッ! まるでゲームの主人公みたい あなたはこれからどうするの? 助けに行きたいのでしょう?あの人間を。でもどうやって? 答えなさい! ふざけないで 1人ぼっちはいけないよ!1人ぼっちは辛いんだよ!?1人ぼっちは・・・寂しいよ あなたは人間・・・人間ってとても脆いから、だから、1人で遠くに行ったら・・・壊れちゃうよ ああ、だからたまーにどこからか森に迷い込んだ人間が気付かないままぽっくり逝っちまった、なんてことがあるんだよ これでもなお、あなたは必要のない危険を冒してまで1人で行こうとするの? 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――混乱しちまった時はな、空を見るんだ そんで動物に似た雲を探してみろ、落ち着くぞ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

頭の中が混乱する中、ふとそんな言葉が頭をよぎる。その言葉のままに空を見上げてみるものの頭上では生い茂る竹と笹の葉で空がよく見えない。しかし隙間から綺麗な下弦の月が顔を覗かせている。・・・不思議と気分が落ち着いてくる。

 

 

 

レン「急いで!!彼を救うにはこれしか選択肢はない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「・・・・・・」

 

 

 

 

 

レイジはふっとあることを思い付いた。思えば簡単なことだった。確かに今の状況ではリンドウを救うにはどう考えても今レンが差し出しているこれ(神機)しかない。無論殺しはしない。しなくていい方法を思い付いたのだ。今、リンドウは自分で言い出した命令に背こうとしている。

 

レイジは意を決し、リンドウの神機を掴んだ。

 

 

 

 

ズバァ!

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「ぅおおおおああああああああああああああああぁ!!!」

 

 

 

 

レイジの左腕が肘まで一気に侵喰され、アラガミ化してしまった。流石に2回も触ればこうなるだろう。突然悲鳴を上げるレイジの姿を見て、今までずっと焦る気持ちを押さえていたサヤカ達3人に衝撃が走る。

 

 

サヤカ「えっ!?」

 

レミリア「あ、あぁっ・・・」

 

フラン「れっレイジいいいい!!」

 

 

サヤカは起こった事への理解が瞬間遅れ、レミリアは運命でも見たのだろうか、絶望した表情に変わり、フランは溢れ出す感情のままこちらに向かって走りながら叫んでいる。しかしレイジには彼女達を見る余裕も気にする余裕はない。寧ろアラガミ化による激痛で頭から離れているといってもいい。

 

 

苦しい。左腕を千切られた感じだ。だが踏み出してしまったからには後戻りは出来ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな簡単に諦めるのか、あんたは・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あんたの生に拘る持論は、どうした・・・!貫くんじゃないのか・・・!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今のあんたの体じゃ生きるも何もどうしようもないだろう、生きるのに絶望するのもわからないでもない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが・・・・・・俺は第一部隊隊長だ!あんたの役職だ!俺は隊員を、あんたを生きて連れ帰らなければならない!だから俺は隊長として!あんたに命令する!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「  逃げるなぁッ!!!  」

 

 

 

フラン「っ!」

 

 

痛みを振り払うようにレイジはリンドウに向かって叫ぶ。サヤカ達3人はその大声に動きが止まる。

 

 

 

 

レイジ「 生きることから、逃げるな!! 」

 

 

 

 

リンドウ「・・・」

 

 

 

 

 

レイジ「 これはッ・・・命令だ!!! 」

 

 

 

 

リンドウ「・・・!」

 

 

 

 

 

レイジ「うぅぉおぉおおおおおおおおおおおぉ!!!」

 

 

 

雄叫びを上げながらハンニバル(リンドウ)に向かい全速力で突っ込むレイジ。ここからは1発勝負。1発で決めなければやられる作戦を彼はしようとしていた。ハンニバルは迎え撃とうと拳を振るう。攻撃が当たる直前でレイジはきりもみするような形でジャンプしてかわしその勢いのままハンニバルの口へ2つの神機を突き刺す。そこから口ををこじ開け裂けさせる。するとこじ開けた口の奥で黒く丸い塊があるのを見つけた。占めたと思いそこをアラガミ化した左腕で殴りつける。

 

その時レイジは、リンドウと感応現象を起こしたのだった。

 




置いてかれた魔理沙「解せぬ」


※今回で移転作業終了。今回までかなり早いペースで投稿してきましたが、次回からペースがガタ落ちします。ひと月に2話投稿出来ればいい方かな。すみませんが、よろしくお願いします。


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Mission 29 蒼穹の真月

皆さんおはこんばちは。wingです。1ヶ月以上お待たせしてしまい申し訳ありませんorz 今回も原作パートなので原作ゼリフあり、ネタバレ注意です。
「・・・」を「…」にすれば文字数節約できるって今さら知ったよ!俺の(バーカ)(バーカ)
それではどうぞ。


感応現象の直後、レイジの意識はふっと消え、視界が真っ暗になった。まるで意識だけ持って行かれたように。そして目が覚めるとそこは見慣れた風景。彼はアナグラにいた。

 

 

 

 

 

レイジ「…」

 

 

 

 

 

周囲を見渡すが1人を除いて誰もいない。レンだけが傍にいて他に誰もいないのだ。異様なほどの静けさ。ここは自分の知るアナグラではない。そう悟った時、レイジは口元だけで笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

レン「…まさかリンドウではなくアラガミの方を、しかも原始的な攻撃をするとは…まさかこうなることを予想していたんですか?」

 

 

 

レイジ「(コク)」

 

 

 

レン「…となると先程の攻撃は何の根拠も確証もなしの賭け…てことですか」

 

 

 

 

 

驚きを通り越して呆れているのか、軽く溜息をつくレン。一方レイジは出発の準備をしている。リンドウがここアナグラにいるとは思えない。

 

 

 

 

 

レン「ならばもうここがどこかお気付きですか」

 

 

 

レイジ「(コク)」

 

 

 

 

 

予想が正しければここはリンドウの深層意識、精神世界であるだろう。リンドウが近くにいないのは想定の範囲内。これから向かう場所もレイジの中ではもう決まっている。

 

 

 

 

 

レン「なるほど…ならば早速彼の元へ向かうとしましょう。彼の意識は長くは持ちません」

 

 

2人は出撃ゲートへ向かい、リンドウを探すべく出発した。

 

 

 

 

~煉獄の地下街~

 

 

 

アナグラの外へ出た途端、いきなり煉獄の地下街が目の前に広がっていた。現実ならありえないが、ここはリンドウの精神世界。何が起こってもおかしくはない。とはいえ景色がそっくりそのまま、何も違和感がない。アラガミの数を除けば。

 

 

レン「わかっているとは思いますが、ここから抜け出すためにはリンドウの足跡を辿り、彼を見つけなければなりません。始めはここ、煉獄の地下街…彼はそこでスサノオを倒しました。特務…とかいう任務で」

 

 

そう言いつつレンはスサノオというアラガミのいる場所と思われる方向へ指を指した。かなり遠くに、マグマと道路の境界付近で佇むアラガミが見える。体の構造はボルグ・カムラン種のようだ。

 

 

レン「行きましょう。僕らもヤツを倒し、道を開かなければなりません」

 

 

いつまでもここで止まっているワケにはいかない。リンドウを一刻も救出するため、先制攻撃で大ダメージを与えようと考えた。スサノオの居場所へ走る2人。とはいえ、ここはリンドウの精神世界。幻想郷で発現した能力がここでも使えるかどうか―――

 

 

ガシャッガシンッ

 

 

…最近心配性になってきているらしい。刀身の仕込み刀が展開する音が聞こえたため無用な心配となった。スサノオは背を向けて佇んでいる。この機を逃す手はないと神機を振り下ろそうとした時―――

 

 

グルン!

 

 

突然振り返りながらの攻撃。スサノオの腕がレイジに迫る。彼は神機を降り始めているところだったため咄嗟に横に逸れるなどの行動は取れない。ならばこのまま振りぬいて腕を両断しようと、振り下ろしながら前に倒れこむ。倒れこんだレイジの頭上をスサノオの腕が通り過ぎ、刀身の刃にめり込んだ。

 

 

「ガアァッ!」

 

 

思ったよりも怯んでいる。刀身は「神斬りクレイモア 真」、もしかしたら神属性による攻撃が効いたのかもしれない。

 

 

レン「上手いですね。あの腕、神機の捕喰形態に似ているんです。下手をしたらいきなりやられるところでしたよ」

 

 

すぐに立ち上がってスサノオの腕をもう1度よく見てみる。確かに神機の捕喰形態時のそれと酷似している。レイジの攻撃を当てた左腕の方は神機の下顎部分が切断されていた。

 

 

レン「この調子で仕留めてしまいましょう」

 

 

すかさずレンがスサノオの口部へ銃撃。スサノオは残った腕で防御を試みたが間に合わず、直撃。かなり効いている。スサノオはボルグ・カムラン種であるとみて間違いないだろう。ならば次に狙うところは―――

 

 

「ガアアアッ!」

 

 

怒りで活性化。アラガミはこんなにも早く活性化するものだっただろうか。このアラガミは尾が剣の形になっており他のボルグ・カムラン種の持つ強力な刺突力に加え斬撃も出来るようになっているだろう。早めになんとかするべきだ。

 

 

レン「まずは尻尾の剣の破壊に集中しましょう!あれを破壊できれば脅威となる攻撃がかなり減るはずです!」

 

 

レンも剣を先になんとかするべきと考えていたようだ。尾を狙う際は足を攻撃して態勢を崩させてから、というのがセオリーだ。既にレンは足を狙って銃撃を始めている。レイジはスサノオの背後に回って後ろ足を攻め始めた。レンの銃撃の邪魔になるといけないので刀身は畳んで元の長さに戻しておく。

 

 

「ガァッ!」

 

 

ババババシュン!

 

 

この間にスサノオは何もしていないはずはなく、壊されていない腕と尻尾の剣先からエネルギー弾を薙ぎ払うように発射した。着弾すると同時に光柱が立つ。こういった攻撃は近距離で戦う者に被害が及びやすい。レイジはスサノオの真下に潜って攻撃をかわす。攻撃が至近距離にあると衝撃が直に来る上、何より眩しい。このアラガミも神属性を使うのだろうか。神属性の攻撃が通じる敵は神属性を扱うものが多い。この法則を頭の片隅に浮かべながら外へ脱出し、足を斬りつける。

 

 

グラッ…ドスン!

 

 

集中して攻撃したおかげか、予想より早く態勢を崩すことが出来た。尻尾が

無造作に垂れ下がる。すかさずレイジはチャージクラッシュの姿勢に入り、狙いを澄ませる。

 

 

「グァッ!」

 

 

ブンッ

 

 

レイジ「!」

 

 

ガキンッ!

 

 

レン「大丈夫ですか?」

 

 

体勢が崩れたとて、大技を狙って不用心に隙を晒せばこんな風に反撃を許してしまう。レンのサポート前提の上でのチャージクラッシュ。打ち合わせはしていないのでレンにとっては多少無茶振りだったかもしれない。そして溜めが完了し、敵の攻撃を防ぐレンに合図する。

 

 

レン「一撃で仕留めてください!」

 

 

あえて隙丸出しでチャージクラッシュをしようとしたのは、簡単に言えばさっさと倒して次へ進んでしまいたいからだ。ここはリンドウの精神世界。下手に長居すると自分たちもアラガミに意識を取り込まれてしまう恐れがある。何が起こるかわからない以上、迅速に行動すべきである。

 

叩き斬るのが剣だけでは致命傷になるとは考えにくい。いっそ最後まで振り抜いて胴体にもダメージを与えようと考えた。レイジの、敵を切り裂かんと紫のオーラを纏う大剣が振り下ろされる。空を切り、剣を叩き折り、胴体を切り裂く。胴を真っ二つにされたスサノオは少しの間痙攣した後、事切れた。そして跡形もなく消滅する。

 

 

レン「…やりましたね。お疲れ様でした。今更ですが、実はスサノオは第一種接触禁忌種なんです。ここまで完全に圧倒できたのは歴史上初めてなんじゃないでしょうか?」

 

 

微笑を浮かべるレン。歴史上初めてというのは大袈裟すぎではないだろうか。

 

 

レン「あ、そういえばこの間の人里での戦闘、あれもあんな少人数で凌げたのも歴史上初なんじゃないでしょうか?元の世界での常識なら無謀としか思えない戦いでしたよね。僕らも段々常識に囚われなくなってしまっているかもしれませんね(^ ^;)」

 

 

そうかもしれないとうなずきたいところだが、今は呑気に話している場合ではない。先を急ごうとレンを急かし、煉獄の地下街を抜けるべく走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~サヤカside~

 

 

レイジがハンニバルの口を引き裂き、何かを殴ったような動きを見せた後、彼はふっと力が抜けるように地面へ落下した。ハンニバルも同様にその場に崩れ落ちる。フランとサヤカが慌てて飛び出しレイジを受け止めた。

 

 

フラン「おっとっと…レイジ?」

 

レイジ「――――」

 

フラン「…ねぇ、レイジ…?」

 

レイジ「――――」

 

フラン「ねぇ起きてよ…ねぇ!」

 

サヤカ「何がどうなって…」

 

レミリア「どちらも気を失ったようだけど…状況がさっぱりわからない」

 

フラン「レイジ、死んでないよね…?」

 

レミリア「ちょっと見せて…うーん、意識だけ抜けちゃってる感じね。サヤカ、何か心当たりはない?」

 

サヤカ「あるにはあるんですけど、今回のような例は初めてなのでどう説明したらいいのか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~嘆きの平原~

 

 

スサノオを倒し煉獄の地下街の道を進んでいく。溶岩が溜まる場所はもちろん避けつつ。そうしている内にまた景色が一瞬でガラリと変わり、広い平原、平原の中央で竜巻が視界に入ってくる。どうやら今度は嘆きの平原に辿り着いたようだ。ここでリンドウに関する何かがあるのだろうか。

 

 

レン「…リンドウは1人で接触禁忌種のアラガミを倒していました。皆さんには「デート」って言ってましたね、覚えてますか?ここで彼が討伐したのは、ウロヴォロス。人数が少ないとより一層苦戦しやすい相手です。…え、人里で似たような敵を1人で倒したからなんとかなる?…とにかく油断せず、慎重に」

 

 

現在レイジ達は原作でいうスタート地点に立っている。遮蔽物が少ないため見晴らしがよく、目標となるウロヴォロスが巨大であるおかげで遠くからでも容易に視認できる。ただ、見晴らしがいいということは逆も然りで…

 

 

「ウオオオォン…!」

 

 

スサノオの時とは違い敵がこちら側を向いていたために容易に捕捉された。雄叫びが遠くにいるレイジ達にビリビリと響く。その後ウロヴォロスの複眼が光り出す。ビーム発射の予兆であることをすぐに察知し、レイジが左に、レンが右に分かれて射線を避けつつ接近する。ウロヴォロスの恐ろしさはやはり遠近問わず強烈な破壊力を持つことだろう。

 

 

レン「レイジさん、ここの広さなら刀身の延長をしても大丈夫だと思いますよ。少なくともリーチの広さが仇となることはないと思います」

 

 

レンに断ろうとする前に許可が出た。それなら遠慮なくと仕込み刀を展開、発射されるビームや地面から襲い掛かる触手攻撃を避けつつ懐に潜り込んだところで縦に振り下ろす。この一撃で少しでも多くのダメージを与えておき、有利な状況を作っておきたい。

 

 

ッドオン!

 

 

「オオオオオオオアアアアァァァァ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

レン「…え?」

 

 

たった一撃。たった一撃当てただけなのに、ウロヴォロスのその巨体は跡形もなく吹き飛ばされてしまった。レイジの神機の刀身はスサノオの時と変わらず神斬りクレイモア。その長大な刀身を深々とめり込ませるだけでは飽き足らず、人里で試し斬りした時のあの衝撃波で粉微塵に消し飛ばしたのだ。強力であることは理解していたつもりだったが、まさか一撃でウロヴォロスを倒してしまったことに驚愕する2人。虚無感を引き立たせる風の音が嫌なほど耳に残る感じがした。

 

 

レン「…ドン引きです」

 

レイジ「…」

 

レン「…まぁ、思った以上に早く終わりましたし、よしとしましょう。リンドウの居場所はもうすぐです」

 

 

気持ちを入れ替え、移動を始めるレンに追従する。リンドウが行方不明になった場所は贖罪の街。彼の意識が彷徨っていると思われる場所は恐らくそこか、鎮魂の廃寺。彼に関連する場所といえば、その辺りだろう。具体的な根拠はないが直感がそこだと言っているのだ。そして気になる点も1つ。今まで1つのエリアに1体ずつのアラガミと戦ってきたが、次に辿り着いた場所でもまたそのパターンなのだろうか。そこでもリンドウがかつて戦ったアラガミと戦うことになるのだろうか。思慮に耽りながらレンに次はどこに着くのか訊くと、贖罪の街と答えられた。思ったよりも早くリンドウの居場所に近づけそうだということに意外だと思ったその直後、進行方向から突然眩い光が溢れ出した。レイジは腕で目を庇い、光が収まった後に何事かと目を少しだけ開いて前を見る。すると辺り一面の景色が真っ白に変わっていた。何もない真っ白な空間。ここはどこなのか。周囲を見渡している時に、レンがぽつりと呟く。

 

 

レン「やっと…ここまで来られた…」

 

 

その直後、再び景色が変わる。教会のような建物の屋内、出入り口を塞ぐ瓦礫。ここは、あの時リンドウを置いていった時の―――

 

 

レン「リンドウはここでずっと…自分の中のアラガミと戦い続けてきたんですね…」

 

 

レンは瓦礫の方へ歩いていく。何かあるのか気になってレイジも顔を向けると、瓦礫にもたれてぐったりと座り込んでいるリンドウの姿が目に映った。ようやく見つけることが出来た。安堵の溜息を吐こうとすると、

 

 

レン「でも、もう限界です…彼の意識は消えかかっています…」

 

 

リンドウの頬に手を添えて容体を診るレン。意識が消えかかっているならば早めにここから脱出しなければならない。

 

 

リンドウ「ぅ…お前、誰だ…?ぐぅっ…!」

 

 

こちらの存在に気付き顔を動かすリンドウ。しかしレンの方に向き切っておらず、相手の顔が見えているのか微妙な位置で声を捻り出した。レンは彼の反応に心外そうな表情をしながら立ち上がる。

 

 

レン「つれないね、リンドウ…。せっかくの再開なのに台無しじゃないか…」

 

 

その後若干の間が空く。リンドウの反応を待っていたのだろうが、彼は片腕を抑えて返事をするふりを見せない。するとレンはこちらの方へ向いて歩み寄り、どこか憂えるような表情で口を開いた。

 

 

レン「これが多分、最後のお願いです。もう一度、リンドウに戦う力を与えてやって下さい…」

 

 

わかった、とうなずこうとした時、レンは不意に目を閉じて下を向く。すると彼の体が金色に光り出した。そして気が付けば左手にリンドウの神機が―――

 

 

レイジ「…!」

 

 

この時初めてレイジは気が付く。リンドウの神機を見て過去の記憶が次々に脳裏に浮かんでくる。思えば、レンの正体を仄めかすような場面はいくつかあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リッカさん、いい人ですよね…あの人は神機のことを、ほんとによく理解してくれている…」

「…実は僕、リンドウさんと一緒に戦ってたことがあるんですよ」

「あ、そういえばレイジさんの初陣の時、オウガテイルと戦っていた時でも、やってましたね」

「うーん、リンドウさんにしては上出来の緊張のほぐし方なのかなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ「なんだ…今…のは…」

 

 

過去を振り返っている内に、リンドウが立ち上がろうと動き出していた。消えかかっていた意識が戻ったのだろうか。

 

 

リンドウ「おう…お前か…。まったく、呆れたヤツだ、こんなところまで来やがって」

 

 

いつもの調子で話すリンドウに笑顔が零れる。こちらも釣られて笑みを浮かべる。

 

 

リンドウ「お前のでかい声、ちゃんと聞こえてたぞ…新入rおっと、もう新入りじゃないな、悪い悪い」

 

レイジ「…(スッ)」

 

リンドウ「「生きることから逃げるな」か…覚悟が出来てないのは俺の方だったな」

 

 

リンドウに左手に持つ神機を渡す。彼はまじまじと神機を見つめ、相棒の感触を懐かしんでいるように見えた。

 

 

リンドウ「…さーてと、さっそく生き抜くために、カッコ悪くあがいてみるかぁ」

 

 

その表情には一点の曇りもない。今のリンドウの意識は完全に生きる気力を取り戻したと言ってもいいだろう。

 

 

リンドウ「よう、リーダー…背中は預けたぞ?」

 

 

リンドウは神機を肩に担ぎ、歩き出す。レイジも並んで歩き出す。向かう先には、リンドウの意識を喰らおうとどこからともなく教会の高台に上ってきたアラガミ。リンドウの体を蝕んでいた、黒いハンニバル。このアラガミを倒さなければここから出られない。何となくだがそう感じる。

 

 

リンドウ「それにしても、こいつは新種か?特務でも見たことがない」

 

「グアアアアアアアア!」

 

リンドウ「そう熱くなんなって。言われなくても相手してやるからよ!」

 

 

いい加減とどめを刺そうとやってきたに違いない。だが負けるワケにはいかない。生きるために、2人は走り出した。

 

 

「グルォオアア!」

 

リンドウ「うおおおおおおお!」

 

 

敵は待ち構えたりはしなかった。向こうもこちらに向かって走ってきている。まさにかち合いが起ころうとしている。リンドウの神機が、ハンニバルの爪が、同時に衝突する。

 

 

ガッ!

 

 

リンドウ「チッ…!リーダー!」

 

 

攻撃が弾かれ、後ろに仰け反ってしまうリンドウ。そこですかさずサポートするようレイジの役職名を叫ぶ。現在のレイジの位置はリンドウのすぐ左後ろ。ハンニバルは右腕の籠手で裏拳をかまそうとしている。この位置からでは斬撃は届かない。仕込み刀を使えば届くだろうが展開する間に攻撃を許してしまう。ならば―――

 

 

ブゥンッ!                 ズドォ!

 

 

「ゴアァッ…!」

 

 

 

―――投げればいい。

 

 

 

リンドウ「おー、やるゥ」

 

 

レイジの神機はハンニバルの右腕を籠手ごと貫いた。もちろんこの後回収する手間は当然発生する。だが取りに行く間はリンドウより前に出ることになり注意を引き付ける陽動になる。

 

 

リンドウ「いいぞ、流石だな!」

 

 

レイジが右腕に組み付いて陽動を続ける傍らで、リンドウは神機を捕喰形態にし左腕を喰らおうとする。だが敵はさせまいと紫の炎を薙ぎ払うように吐いて接近を妨害した。慌ててリンドウは後ろへ飛び退いて回避する。

 

 

リンドウ「っと危ない…。くそ、こんなに火ィ吹いて暴れられちゃ近づけないな…!リーダー!お前の周辺が火の海になって少し近づけそうにない!しばらく持ち堪えてくれ!」

 

レイジ「…!」

 

 

暴れるハンニバルの右腕に組み付いているレイジに向かって叫ぶ。その声を聞くとレイジはアイコンタクトで「了解」と伝える。レイジとハンニバルの周囲は紫炎で囲まれ火の海と化している。リンドウの神機は旧型近接式のため銃撃が出来ない。今この時は、レイジに任せるしかなかった。

 

 

「グルァアアアアア!」

 

 

ブウンッブウンッブウンッ

 

 

レイジ「…ッ…!」

 

 

レイジは依然としてハンニバルの右腕にしがみ付き、そして突き刺さったままの自らの神機に片手をようやくかけたところである。レイジが神機を投げ、おもむろに取りに行こうとして陽動する、この行動にはまだ続きがあった。

刺さっている神機を半分抜き、そこから捕喰攻撃を行い無理矢理攻撃手段を減らすかなり大胆な策。リンドウは今でこそ生きる気力を取り戻しているが、いつもの調子で戦闘出来るかどうかが少し心配である。本人は何ともなさそうなので考えすぎかもしれないが、一応念のため、無理をさせるワケにはいかない。なるべく自分が前に出て多くのダメージを与えておきたい、そう考えたのだ。

まずは今神機にかけた片手に力を入れ半ばまで抜く。そこから神機を捕喰形態に変え、喰らおうとする。

 

 

「ガアッ!」

 

 

身の危険に気が付いたのか、腕を振り回してレイジを振り落とそうとするのをやめ、噛み砕こうとハンニバルの牙が襲い掛かる。不意に腕の動きが止まったのでレイジはバランスを崩し神機にぶら下がる体勢になった。しかしバランスを崩したのがケガの功名となったのか、ギリギリ攻撃を受けずに済む。だが安心は出来ない。レイジの周囲および下は紫炎で覆われている。このまま下りることは出来ない。今の体勢のまま捕喰攻撃をしてハンニバルの右腕を喰い千切れば、自然落下で紫炎に体を焼かれてしまう。そして今はゼロ距離での噛みつき攻撃や火炎放射のラッシュをなんとかかわしている一切気の抜けない状況だ。そんな中、状況は突然一転する。

 

 

リンドウ「うおおらあああああああッ!」

 

レイジ「!」

 

 

紫炎に阻まれて攻撃が出来ないはずのリンドウがハンニバルに向かって大ジャンプしているのが見えた。埒が明かないと思ったのだろうか。勢いをつけていたのか、人1人分の高さで燃え盛る炎の海をを軽々飛び越えている。そして彼は落下の勢いを利用して左腕に神機を突き刺した。リンドウもレイジと同様腕に組み付いた姿勢になる。

 

 

「ウガアッ!!」

 

リンドウ「ボーっとすんなリーダー!同時に両腕を喰い千切るぞ!」

 

レイジ「…!(コク)」

 

 

まさかリンドウもまた大胆な行動に出るとは思わなかったため、一瞬緊張が緩んでしまった。すぐに気を取り直し、捕喰形態にさせたままお預け状態にしてしまった自らの神機に喰らわせる。レイジの動きに合わせてリンドウも捕喰攻撃で喰い千切った。

 

 

「グギアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 

腕を喰い千切り、自然落下を始める2人の体。その直後に2人はハンニバルの胴体を蹴って炎のない場所へなんとか飛び退いた。ハンニバルはバランスが取れず仰向けに倒れる。緊迫した状況から抜け出したからか、いつの間にか自分が方で息をしているのに気づく。

 

 

リンドウ「へッ片輪にしちまやこっちのもんだ…ん」

 

 

炎が収まり倒れたハンニバルの姿がはっきりと見えるようになる。その足元に気になるものが目に入った。黒い血溜まり。ハンニバルの腕の切れ目からも黒い血が。アラガミの血は人間と同じく赤いはずだが…

 

 

リンドウ「…なんかまだ臭ぇな」

 

 

まだ倒したという感覚がはっきりとしていない。アラガミは両腕を破壊すれば死ぬというほど柔ではない。人間なら出血多量で死ぬ可能性はあるが、これは少し面妖である。ハンニバルが黒い血溜まりに沈み、血溜まりだけが残る。

 

 

ゴボゴポッボコッ

 

 

黒い液体が突如泡を立て始め、そこを中心として床の上を黒い液体で覆われていく。次第にレイジ達のいる場所に向かって浸食し始める。

 

 

リンドウ「まったく…俺も厄介なヤツに好かれたもんだなぁ…」

 

 

ゴボゴボッボコボコッゴポッ

 

 

リンドウ「あくまでも俺を逃がさないってつもりのようだな。…よう、お前が出した命令だ、とことん付き合ってもらうぞ?」

 

レイジ「(コク)」

 

 

始めからリンドウを絶対に助けるつもりでここに来ている。躊躇いなど微塵もない。

 

 

ゴゴゴゴゴ…!

 

 

リンドウ「…来るぞっ!」

 

 

地の底から湧き出てきそうな、地面の下の何かが揺れているような音。それが段々地面に近づいていき、やがて轟音と共に飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表れたのは、普通より数倍巨大な黒いハンニバル。体は元通りになり、下半身は沸騰したように泡を立てる黒い液体に沈んでいるが、その巨大さは見る者を圧倒する。予想外の展開に気圧されそうになるが、2人の生きる意志はこの程度で折れはしない。

とはいえ、この大きさだと生半可な攻撃では反撃は必至。どう攻めるか。先に動いたのは、ハンニバルの方だった。両腕を大きく後ろへ振りかぶり、2人を手で押し潰そうと襲い掛かった。リンドウは左腕を、レイジは右腕を装甲で受け止める。

 

 

リンドウ「ぐっ、おおおおおおおおおおおおお!」

 

レイジ「…!」

 

 

重い。とにかく重たい。一瞬でも力を抜けばすぐ潰されそうだ。その上長時間は持たない。早めに攻めに回りたいところだ。

 

 

「グルッ」

 

リンドウ「っ!?」

 

 

バシュッ

 

 

ハンニバルが息を吸い込むと口から紫色の光が漏れ、そして小さな光の矢を飛ばしてきた。その先にはリンドウ。彼がハンニバルの左腕を必死に食い止めているところにこの攻撃だ、庇えないし避けられない。しかしだからといって諦めはしない。

 

 

リンドウ「俺は…絶対に…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リンドウ「生きて帰る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――そうだ、それでいいんだ…リンドウ

 

 

 

 

リンドウ「!」

 

 

どこからともなく聞き覚えのある声が響く。それと同時にリンドウの神機が金色に光り勝手に動き出す。そして装甲が2つに分かれて分離しハンニバルの両腕を抑え、本体はなんとそのままリンドウを庇う形で、空中で光の矢に刺されることで攻撃から守った。まるで意志を持ったように動く自らの神機に驚きを隠せないリンドウ。さらにはいつの間にか人の姿になっているのだから尚更である。

 

 

リンドウ「お前は…俺の…!」

 

レン「リンドウ…やっとまともに話せたね…。今まで伝えられなかったけど、これだけはしっかり伝えたかったんだ…」

 

 

その身に光の矢が刺さっているのを気にもせずやっと果たせた再会を喜ぶレン。金色に淡く光っている姿は神々しさを感じさせる。

 

 

レン「僕は、全部覚えてる…。君の初陣の時の緊張も、救えなかった人への後悔も、戦い続ける日々の苦悩も…そして、愛する人たちを救うために…別れる覚悟を決めたことも」

 

リンドウ「…」

 

レン「リンドウと一緒に戦った日々は、僕の誇りだよ…ありがとう」

 

リンドウ「…ああ、俺もだ」

 

 

リンドウも笑みを浮かべて言葉を返す。相棒と共に戦った日々を思い返し、返したその言葉は短いが深みを感じさせた。

 

 

リンドウ「神機使いになって、ずっと…ずっと俺を救ってくれたんだな…感謝する」

 

レン「十分だよ…僕は…十分、報われた…」

 

 

レンが空中に浮かんだまま身を屈める。すると眩い光が溢れだし、辺りを包む。光りが収まるとレンの背後にいた巨大なハンニバルは跡形もなく消えてしまっていた。レンは地面に降り立ち、レイジの方へ向く。

 

 

レン「本当にありがとう、あなたのおかげでここまで来られました…」

 

レイジ「…」

 

レン「一緒に過ごした時間、楽しかったな…。リンドウのことで僕に掴みかかった時、「ああ…あなたの神機として生きていくのも悪くないな」と思ったくらいに…。あ、あと、白玉楼で食べたあの桃…。とても美味しかったよ。アラガミなんかよりもずっと、ずっと美味しかった…ありがとう…」

 

 

桃についての礼は幽々子に言うべきでは?と思ったが、今それを言うのは野暮というものだ。今思えば、神機であるレンにとってあの桃は確かに美味しかったものだっただろう。そもそもアラガミがどんな味であるかなど知ったことではないが。

 

 

レン「あなた…いや、「君」に出会えて、本当に嬉しかった…!」

 

 

真に幸せな顔とはこれを指すのだろう。本当に幸せそうだ。しかし幸せというものは儚く脆いもの。レンの体から光の粒子のようなものが出始める。

 

 

レン「あーあ…もっと君達と、色々話したかったなあ…」

 

レイジ「…」

 

レン「話す、ってもどかしくて、暖かくて、すごく好きだったよ…」

 

リンドウ「…」

 

レン「そろそろお別れみたいだ…」

 

 

そう言うと、リンドウの元へ歩き、片手を差し出す。リンドウはしっかりとレンの手を握りしめる。いわゆる握手だ。

 

 

 

レン「バイバイ…またね…」

 

 

リンドウ「ありがとう…俺の相棒。またな…近い内に、また会おう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~迷いの竹林~

 

 

リンドウ「……ん…」

 

 

現実でリンドウは目を覚ます。だがまだ意識がはっきりするにはもう少し時間が掛かりそうだ。何やら騒がしい音がする。知らない声が度々聞こえ、ぼやける視界の中で何かが忙しなく動いている。体は起こさないまま目を擦って周囲を見る。

 

 

リンドウ「(何だ…こりゃ)」

 

 

彼の体は元の人間の姿に戻っている。右腕はアラガミ化したままだが、思い通りに動かせるようなので問題はない。傍にはレイジ。彼はまだ目を覚ましていないが、じきにに目覚めるだろう。それよりもリンドウが気になって仕方がないのはこの状況。自分は何故竹が生い茂る場所にいるのか。しかも自身の周囲でアラガミとの戦闘が起こっている。背中に羽のある10歳にも満たないであろう少女が2人、見知らぬ神機使いの少女が1人。その周囲にはアラガミの屍の山が築かれている。彼女達はまるで自分達を守るように戦っており、いや、守っているのだ。ゆっくりと体を起こして立ち上がり、聴覚もはっきりしてきた頃にそれがわかった。

 

 

「グガッ!」

 

「グギァッ!」

 

 

レミリア「もうそろそろ終わりそうね」

 

サヤカ「やんなっちゃいますよ、毎回出て欲しくない時に出てくるんですから…!…ふぅ、これで最後ですね。殲滅完了、周囲に更なる伏兵の気配なし。お疲れ様でした」

 

レミリア「まさかここで戦うことになるとはね…サヤカ、後始末をお願い…ん」

 

 

リンドウとレミリアの視線が合う。少しの間の後、レミリアの表情は驚愕にへ染まった。

 

 

レミリア「2人とも!ちょっと!」

 

フラン「?」

 

サヤカ「?…リンドウさん!?」

 

 

何か珍しいものでも見るような表情でこちらに駆け寄ってくる少女達。神機使いの方は涙が目に溜まっている。リンドウには何が何だかさっぱり。

 

 

サヤカ「よかった…レイジさん、うまくやってくれたんですね・・・!」

 

リンドウ「お前ら…誰だ?」

 

サヤカ「あ、忘れていましたね、私は5日前にフェンリル本部所属の特殊強襲部隊、FSATから極東支部へ配属されました行方サヤカと申します。以後お見知りおきを」

 

リンドウ「FSAT?…最近極東支部のメンツがすごいことになってるな…とそれより、そこのお嬢ちゃん達は?」

 

レミリア「自己紹介の時は、先に自分から名乗るものよ?」

 

リンドウ「おっと悪い、俺は雨宮リンドウ。サヤカってのと同じく神機使いってのをやってる。よろしくな、お嬢ちゃん」

 

レミリア「お嬢ちゃんじゃない、レミリア・スカーレットという歴とした名がある。で、こっちは私の妹の…」

 

フラン「フランドール・スカーレット!フランって呼んでいいよ!」

 

リンドウ「へぇ、なんかお嬢様っぽい名前だな」

 

サヤカ「実際そうなんですよ。レミリアさんは紅魔館というお屋敷の主なんです」

 

リンドウ「そうなのか。…随分とコスプレ好きなんだな、姉妹揃って羽なんかくっつけてさ」

 

レミリア「…これは生まれつきよ、人間」

 

リンドウ「そんな馬鹿なw、こんなのは伝説に出てくるような生き物でもなけれb……ん?」

 

サヤカ「信じ難いでしょうが本物なんです、それ。ここは私たちの世界の常識が通じない場所なんですよ…」

 

レミリア「…あまりベタベタと触らないでよ」

 

リンドウ「な、なんかワケわからなくなってきたぞ、どういうことなんだ・・・?そうだ、ここがどこなのかまだ聞いていなかったな、まずはそこから教えてくれ」

 

サヤカ「えっとですね…(神機使い説明中…)」

 

 

リンドウ「ふうん…アラガミ化で意識が朦朧としてた時に見慣れない景色が見えてたような気がしたが、そんなとこに迷い込んでしまったのか。…自然豊かでいい場所だな、空気が美味い」

 

フラン「…ねぇ、レイジがまだ起きないよ…?」

 

レミリア「え…!?」

 

 

そういえば、と全員がレイジの方へ向く。彼は仰向けになって眠るように横たわっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティ「…」

 

レイジ「―――」

 

 

 

 

 

レイジの傍らにはいつの間にかやってきたアーティが佇んでおり、レイジとは対照的に立った状態で彼を見下ろしている。

 

 

アーティ「…いつまで寝てんのよ」

 

レイジ「―――」

 

アーティ「(スッ)…ほら、こっちよ」

 

 

レイジの腕輪に手を添え、まるで小さな子供に話すような、アーティらしくない優しい口調で彼に話しかける。

 

 

アーティ「そう、こっち…皆待ってるから…早く目ェ覚ましなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レイジ「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗闇の中で誰かの声が聞こえた気がした。何故だか懐かしさを感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーいレイジー!今日はフェンリル支部で手続きする日なんでしょ!起きろよこの夜型ねぼすけナマケモノ野郎!」

 

 

 

 

 

 

相変わらずやかましい姉だ。稽古で男子を軽々のしているところは見てて「生まれる性別を間違えたんじゃないのか」と何度思ったことか。まさしく男勝りといえる。

 

 

 

 

 

 

 

「……~~~…皆待ってるから…早く目ェ覚ましなさいよ」

 

 

 

 

 

 

 

急に猫撫で声になった。どうせこれで起きなかったら再び怒声が飛んでくるのは目に見えている。叩き起こされる前にさっさと起きてしまおう―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

フラン「…あっ!レイジ……レイジいいいぃぃ!わーーんよかったああぁ~~~~!」

 

 

目を覚ませば、超スピードで飛び込んでかなりの力で抱きしめてくるフラン、そして自分を見下ろしながら一斉に安堵の表情を浮かべるサヤカ、レミリア。リンドウもその中に入っている。

 

 

 

 

リンドウ「ようリーダー、お前意外とねぼすけなんだな」

 

サヤカ「ホントにもう…すごいですよあなたは」

 

レミリア「…あなたが本当に人間なのか常々疑ってしまうわ」

 

 

 

視界の右端に人影が写る。顔を向けると、アーティが彼を囲む輪から少し外れた位置に立っていた。腕を組み、横目と共に微笑みを浮かべている。

 

 

 

 

 

 

アーティ「…やっと起きたか、夜型ねぼすけナマケモノ野郎」




スサノオ「解せぬ」

ウロヴォロス「訴訟も辞さない」

ハンニバル侵喰種「レン出てきてる間は空気読めって台本にあった。リアルだったらバックスタブ余裕ッスよ?」


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Mission 30 ブラド・ツェペシュの呪詛

みなさん、おはこんばちは。wingです。最近オンラインゲームにハマりました。…ええ、よってまた遅れました。申し訳ありません。

弟「さぁお前の罪を数えろ…」


~紅魔館~

 

 

リンドウ「…なぁリーダー、お前が俺を助けようとするあまり無茶なことして、皆を心配させた罰としてこうなるってのはまだわかる」

 

レイジ「…」

 

リンドウ「でもさ、なんで俺まで一緒に罰受けなきゃならないんだ…?」

 

咲夜「私語なんてしてないで早く着替えなさい」

 

リンドウ「へいへい…」

 

 

更衣室にて、なんで自分まで…と愚痴を漏らしながら執事服に着替えるリンドウにドアの外から咲夜が注意する。どうしてこうなっているのかは、今から少し遡る―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~4、5時間くらい前~

 

 

 

リンドウ「へぇ~ここがお嬢ちゃんたちが住む屋敷なのか。…中の方も真っ赤で目が痛いな」

 

レミリア「だからお嬢ちゃんというのはやめなさい。…レイジ、それとリンドウといったかしら」

 

リンドウ「ああ」

 

レミリア「来なさい(グイッ)」

 

リンドウ「ぉおっ!?」

 

 

フラン「…どうしたんだろ?」

 

サヤカ「さぁ…」

 

 

リンドウの救出に成功したレイジは後を追ってきた仲間と共に紅魔館に戻っていた。だがこの時のレミリアの機嫌はあまりよいものではなく、紅魔館に着いた直後、真っ先に彼は手を引かれとある部屋に連れて行かれた。なぜかリンドウも一緒に。

連れて行かれた場所は、以前レイジがレミリア、フランと本気の弾幕ごっこをしたあの部屋。奥に見える階段と、その頂上にある椅子が威厳を醸し出している。2人を部屋に連れた後、レミリアはその椅子に座り、2人を見下ろす。

 

 

リンドウ「いってて…意外と力強いんだな、お嬢ちゃんは」

 

レミリア「…」

 

リンドウ「それにしても俺達をここに連れてきて、何かあるのか?」

 

レミリア「…どうやら自分の立場を理解していないようね」

 

リンドウ「…?」

 

 

いきなりここに連れられて、自分の立場が、と言われても理解するのは難しい。これは相当空気を読むのが上手い者でなければ察することは出来ないのではないだろうか。

 

 

レミリア「私、これでも怒ってるんだけど」

 

レイジ「…?」

 

レミリア「ハァ…、まず1番の原因はレイジよ。1人で行くなら行くで、なんで私たちに言おうとしなかったの?」

 

レイジ「…」

 

レミリア「巻き込みたくなかった、なんて言わないでよね。幻想郷にアラガミがはびこるようになった時から、私達は巻き込まれているんだから」

 

リンドウ「ん、この世界にもアラガミがいるのか?」

 

レミリア「そうよ。あなた達がここに来る前は退屈なほど平和だったのにね」

 

リンドウ「ちょっと待て、それじゃまるで俺達のせいみたいじゃ…」

 

 

レミリア「口答えをするな、人間風情が」

 

 

この時、一瞬でレミリアから尋常じゃない威圧感が発せられた。口調も変わり、声も2人に圧し掛かるようなものとなっていく。

 

 

レミリア「一度思い知らせるべきだったかもしれないな。ここがどういう場所であるかを」

 

リンドウ「…!?」

 

レミリア「リンドウ、私やフランが何者であるかは道中で言ったわよね。ここは私達吸血鬼が住まう場所、即ち悪魔の居城…。そんなところにたった数匹の人間が迷い込んだら、普通はどうなると思う?」

 

レイジ「…」

 

 

ピリピリと伝わってくる、レミリアの威圧感。リンドウは何も言えなくなってしまっている。

 

 

レミリア「…想像には難くないはず、殺されるのがオチだ。……こんな風にッ!」

 

 

一瞬でレミリアがレイジに急接近し、彼の首を掴み、もう一方の手で爪を眼前に突きつける。しかし彼は表情1つ変えなかった。

 

 

レミリア「レイジ、お前が今までこの館で生きてこられたのは偶然さ。もしフランがあそこで躊躇わずに能力を使っていたら、もし私がお前と全力で「遊ぶ」ではなく「戦って」いたら…お前などとうの昔に肉片になっている」

 

レイジ「…」

 

レミリア「…気に入らないな、その顔。まるでこの程度の脅しじゃ怖くも何ともないと言いたそうな表情…」

 

 

命の危機など、元の世界で何度も経験してきた。威圧感で動きにくい状態ではあるが、今更この程度では怖くも何ともない。今の気持ちを例えるなら、説教を受けて気分が落ち込むような感じだ。彼にとって、1番の恐怖は肉親や大切な人を失うこと。あの絶望は、何事にも代えることは出来ない。

 

 

リンドウ「…おいおいお嬢ちゃん、いくらなんでも冗談きついぜ…今俺達を殺して何になるってんだ?」

 

レミリア「…軽口が減らない男ね、この私に向かってなお無礼を働くか。それが何を意味するのか…わかっているのだろうな?」

 

リンドウ「ここでビビったら、俺のキャラが崩れちまうかもしれない…って作者が言ってるんでな」

 

レミリア「おまえは何を言っているんだ」

 

 

なるべく重くプレッシャーをかけているつもりなのだが、2人とも屈しようとする様子が見当たらない。それどころかリンドウはジョークを言って笑みを浮かべてさえいる。ただの人間なら気絶するか、恐怖するか、命乞いを始めるものだ。

 

 

リンドウ「なぁ、もう終わりにしないか?雰囲気悪いままはお前も嫌だろ?」

 

レミリア「…ハァ。やめたやめた。怒りを通り越して呆れちゃったわ」

 

 

レイジの首を握る手を放し、溜息をつく。先程の威圧感もすっかりなくなり、うなだれるレミリア。相当呆れ果てたのだろう。

 

 

レミリア「まだサヤカの方が普通な方なのかもね…こいつらは揃いも揃って、色々と人間離れしてるわ…」

 

リンドウ「それは褒め言葉として受け取っておくぞ」

 

レミリア「好きにしなさい、あぁなんか急に疲れた気がする…もう寝よ」

 

リンドウ「今何時だ?時計は…お、あった、って午前4時かよ。あんま眠れないじゃないか。お嬢ちゃん、悪いけど寝室借りたいんだが、どこにあるんだ?」

 

レミリア「…2階」

 

リンドウ「わかった。じゃ、リーダー行くぞ。おやすみ、お嬢様」

 

レミリア「…」

 

 

レイジとリンドウが一足早く部屋を後にする。残されたレミリアも部屋を出ようと歩き出す。

 

 

 

レミリア「…人間って、よくわからないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして翌朝、寝室にて―――

 

 

 

 

 

「―――なさい」

 

 

レイジ「…」

 

 

「―――なさ――ば」

 

 

レイジ「…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レミリア「起きなさい!」

 

 

 

 

 

 

ガバッとレイジが寝ていたベッドの掛布団をひっぺがす。まさか紅魔館の主が直々に起こしに来るとは思ってもおらず驚きで目が覚めるレイジ。レミリアの隣にはうきうきとして落ち着きのないフランの姿もあった。

 

 

フラン「罰ゲーム♪罰ゲーム♪」

 

 

何か気になる単語が耳に入ってくる。昨晩のことでまだ何かあるのだろうか。

 

 

レミリア「レイジ、あなたには罰を受けてもらうことにするわ」

 

 

突然すぎて理解出来ないレイジ。叩き起こされた直後の頭は働こうとしない。

 

 

レミリア「ほら、早く顔を洗って歯を磨いて、身だしなみを整えてきなさい」

 

 

フランに引っ張られ、ベッドから引きずり出される。ワケも分からないまま洗顔、歯磨き、寝癖直しなどの身だしなみの整理をする。なぜかレミリアやフランが同伴して見守っている。いつもと違う様子に彼の頭は混乱しっぱなし。そして…

 

 

 

レミリア「さ、この部屋に入って」

 

レイジ「…」

 

フラン「執事♪執事♪」

 

 

またも気になる単語が。だが彼の頭は覚醒したてで働いていない。フランどころかレミリアもどこかウズウズしているようにも見える。何か面白いことでもあるのか。

中に入れば更衣室。巨大なクローゼットに服がズラーっと並んでいる。何もここで着替える必要はないはず。レミリアとフランは服を漁っている。着せたいものでもあるのだろうか。

 

 

 

 

レミリア「男物を探すとなると…大変ねぇ」

 

フラン「やっぱ咲夜呼んだ方がよかったかなぁ」

 

レミリア「今あの子は朝食の準備中よ、邪魔するワケにはいかないわ」

 

フラン「お姉さまが…咲夜に気遣いを…!?」

 

レミリア「…気まぐれよ」

 

フラン「うっそだぁ~」

 

レミリア「…で、見つかったの?」

 

フラン「ううん、まだー…あ、これとかどう?」

 

レミリア「え~…これの方がいいんじゃないの?」

 

フラン「え…そんなのレイジに着せたくないよ…これでしょ絶対」

 

レミリア「レイジ、どっちがいい?」

 

 

レイジ「…」

 

 

フラン「これがいいだって!やっぱレイジはわかってくれた!」

 

レミリア「がーん」

 

フラン「さ、早く着て!」

 

 

フランが嬉しそうに服を渡す。見たところ礼服か、タキシードか、そういった類の服だ。とりあえず着てみることにする。

 

 

フラン「おー…」

 

レミリア「くっ…くやしいけど、なかなかセンスあるわね、フラン…」

 

レイジ「…」

 

 

サイズも丁度良く、鏡を見ればそれなりに様になっているあたり、フランのセンスは確かなもののようだ。だがこれの後、一体どうするのか。

 

 

レミリア「…え?何を言っているの?あなたはこの異変が終わるまで、ここで働いてもらうのよ。それがあなたに課せられた罰」

 

レイジ「…」

 

 

ようやく理解した。だからここまで楽しそうにしていたのだろう。罰ゲームをやる側は確かに楽しいものだ。

 

 

レミリア「前々から思っていたのよね、あなたをここの執事にしてみたいって」

 

フラン「うんうん、そしたら毎日レイジと遊べるしね!…あ、この際リンドウも…」

 

レミリア「いいわねそれ、男手が増えれば咲夜も大分楽になるでしょ。そうと決まれば…」

 

 

ぴゅーっとレイジを置いて部屋を後にする吸血鬼幼女たち。昨日のあの当主らしいプレッシャーは微塵も感じられない。完全に無邪気な子どもだ。

2~3分して、彼女達はやってきた。今度は咲夜も一緒にリンドウを連れている。

 

 

リンドウ「一体何なんだ…ん、リーダー?どうしたんだその恰好」

 

レミリア「見ればわかるでしょ。昨日の件の罰として、私達のしもべになるのよ。あなたも、同じ罰を受けてもらうから」

 

リンドウ「何だって?俺は何もしてないだろ!」

 

レミリア「あなたのせいで、レイジが無茶する羽目になった。だからあなたも同罪よ」

 

リンドウ「おかしいだろ!あれは仕方のないことで…」

 

咲夜「お嬢様、妹様、これから彼は着替えに入りますので、一度部屋をお出になってくださいませ」

 

レミリア「わかったわ、仮にも私の部下になるのだから、いい感じのをお願いね」

 

咲夜「お任せください。…はい、これを着て。私は外で待っているから」

 

 

リンドウ「早いな服選び」

 

咲夜「これくらいは出来ないと、ここでの仕事はやりきれないわよ」

 

リンドウ「はぁ、嘘だろ…」

 

 

吸血鬼姉妹が退室して少しした後に咲夜も退室、リンドウは渋々着替え始める。

 

 

リンドウ「…なぁリーダー、お前が俺を助けようとするあまり無茶なことして、皆を心配させた罰としてこうなるってのはまだわかる」

 

レイジ「…」

 

リンドウ「でもさ、なんで俺まで一緒に罰受けなきゃならないんだ…?」

 

咲夜「私語なんてしてないで早く着替えなさい」

 

リンドウ「へいへい…」

 

 

 

 

そして現在…

 

 

リンドウ「おーい、着替え終わったぞー」

 

レミリア「出てきて姿を見せなさい」

 

 

レイジ、リンドウが更衣室から姿を現す。2人とも執事として様になっている服装だ。

 

 

フラン「リンドウもかっこいー☆」

 

リンドウ「いやぁ、自分でもカッコいいと思っちまったよ」

 

レミリア「2人とも黙ってればかっこよく見えるのにね…レイジは大人しそうに見えてとんでもないことしでかすし、こいつは相変わらず軽口が絶えないし…」

 

フラン「これで咲夜も仕事が楽になるね!」

 

咲夜「ありがとうございます、お嬢様、妹様」

 

レミリア「…さ、これで晴れてあなた達は私のしもべとなった。これからする仕事は咲夜が教えてくれるから、しっかり働きなさい」

 

 

レイジ「…(コク)」

 

リンドウ「なんでこうなるんだ…」




魔理沙「私の出番、急になくなったな…」

霊夢「…(肩に手を乗せる)」

魔理沙「あぁ…安心しろ、これでお前は1人じゃない…」

霊夢「ううん、違うの…」

魔理沙「…?」

霊夢「次の回であなたは出番あるのよ…」

魔理沙「!」

霊夢「サヤカとの絡みが今は必要不可欠でしょ?あなたは…」

魔理沙「う…」

霊夢「ねぇ…私はどうしたらいいの…?」


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