ヒーリングっど♥プリキュア 〜癒しの楽園物語〜 (シロX)
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第0話 新天地♥すこやか市に到着!

ヒープリ小説です!今回の作品は『サモンナイト3』とのクロスオーバー作品となっております!これを機に知って貰えたら嬉しいです

新シリーズ始動です


『──遂に見つけた…』

 

『──父さん!』

 

とある親子は、洞窟の最深部にある『剣』を見つけた

 

『──回収する』

 

その父親が剣を抜こうとするも

 

『──フン!うぐぐ!……駄目だ抜けない』

 

『──俺が抜くよ』

 

『──父さんでも無理なんだよ?いくらなんでも──』

 

 

『──ほっ!抜けた!』

 

大人の男性でも抜けなかった剣を、小さな子供の力で抜けてしまった

 

『──綺麗に抜け…!?』

 

 

『我を継承するのだ』

 

 

頭の中でそう聞こえた

 

『──ハァ…ハァ……!』

 

『──大丈夫か!?』

 

『──う、うん』

(今のは一体…?)

 

剣は布で包み込みその場を後にした

 

そして、自前で用意した船で帰るのであった

 

『──フッフッフ!家に帰ったら赤飯!』

 

そんな浮き足立つ親子に反して、雲行きが怪しくなってきた

 

『──嵐が来るか…』

 

空が曇り、風が吹き荒れ、海が荒れ狂う

 

『──父さん!アレ!』

 

『──人…なのか?』

 

空に人と思える影が見えた

 

そして謎の影から何が飛び出た

 

『『──…!?』』

 

そして船が真っ二つに割れ大破する

 

何もかもが海へと投げ出され消えていった

 

(──父さん…!駄目だ…息が、続かない…)

 

暗い海の中に沈み、自分の父親に手を伸ばす

 

(──何でも、いい…!父さんを助けられる、力が欲しい…!)

 

その時、洞窟で聞こえた謎の声がした

 

 

『力が…欲しいか…?』

 

 

(──えっ…?)

 

 

『ならば、我を手にせよ。生き延びたくば、我を継承するのだ』

 

 

(──継承って…?)

 

 

『さぁ、手を伸ばして掴み取れ!』

 

朦朧とする意識の中でそれ(・・)を掴んだ

 

 

 

 

 

『──ゲホッゲホッ!』

 

何とか陸まで上がり父親を運ぶ

 

『──父さん!父さん!!』

 

呼吸も無く、心臓が止まってる

 

『──起きて!起きてよ!!』

 

蘇生治療もするも手遅れだった

 

『──あ…ぁぁ…!うわああぁぁぁぁあああ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!?」

 

「どうしたのよ?」

 

彼は目を覚ました。覚ました目には小さな雫が垂れていた

 

「大丈夫だよ…ちょっとね」

(夢か…)

 

さっきのは全て夢だった。だけど、その夢は過去の出来事の記憶

 

(あれからもう8年か…)

 

「もう少ししたら着くわよ『すこやか市』に」

 

「うん」

 

彼は手に持つ付箋だらけでボロボロの手帳に目を移す

 

(すこやか市は久し振りだな。いつ以来かな?)

 

そんな事を思い出しながら座して待つ

 

「見えて来たわよ。いいよね、緑が町が沢山あってこの景色」

 

「確かに良い場所だね。小さい頃に何回か来た程度だけど、此処なら静かに暮らせそう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼の名前は蒼咲 蓮花(あおさき れんか)。

今日から彼はこの町『すこやか市』に引っ越して来た




安定の船から海への流れ!

新主人公をこれから宜しくお願いします!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第1話 心にキュン♥花寺のどかと運命の出会い!!

まだ2話しか放送されてないから、キャラの喋り方が掴めてない

ほいっと本編をどうぞです


「荷物は既に家の中にあるから整理してね」

 

蓮花の母親はそう言って、蓮花を車から降ろした

 

「頑張るのよ」

 

「ありがとう」

 

そして2人は別れた

 

「さてと、少し荷物を片付けてから町を見回るか」

 

蒼咲 蓮花。彼は、今日から1年間この新しい家で住む事になった

新しい家だが、細かく言えば祖父母の家だ

 

「〜♪」

 

何故1年間住むかと言うと、理由は2つ

 

1つは勉強。蒼咲家は家族揃って考古学者だ。蓮花もそれに通ずる大学に進学を決めていたのだが、落ちてしまい今は浪人生

 

「寝室はここか」

 

頭は賢い方なのだが、名前を書き忘れた事で受験は失敗に終わる。テストの内容的には合格間違いなしだけど、念の為と思いもう一度勉強をする

 

2つ目は、父親が遺した手帳を基にある物を調べる為だ

 

「爺ちゃんの書斎はここか」

 

亡き父が長年調べてた物を引き継ぎ、今も尚その謎を追い掛けて調べてる。その事もあり、蓮花は考古学者になるため勉強に励んでいた

 

「片付けも済んだし町を見に行くか」

 

自分の荷物を整理し終えた蓮花は、愛用のダッフルコートを着て家を出て町を散策する事に

 

 

 

「温泉にハーブショップ、鍼灸院、リフレクトソロジー。選り取り見取りだ」

 

「うわっ!」

 

「んっ!?」

 

建物を見ながら歩いてると髪を2つに結んだ少女とぶつかってしまった

 

「いたた…」

 

「悪い!怪我は無いか?」

 

「大丈夫大丈夫!…って割とイケメン!?」

 

「い、イケメンって…それよりよそ見をしてすまない」

 

(あれ?めっちゃデジャブを感じる)

 

じーっとコチラを見る少女に手を貸して起こす

 

「本当にすまなかった!」

 

蓮花は手を振って少女と別れた

 

 

 

 

 

「随分と遠くまで歩いたな」

 

蓮花は今、海沿いの道を歩いている

 

「あっ…」

 

歩いてるとランニングしてる人とすれ違い、シュシュが落ちるのを目にした

 

「君!シュシュを落としたよ!おーい!」

 

「えっ?あっ…」

 

蓮花はその人、少女にシュシュを手渡した

 

「はい、確かに渡したよ」

 

「ありがとうございます」

 

「いえいえ、お礼ついでに聞いても良いかな?」

 

「え、えぇ」

 

「この辺でのんびり出来る公園とかあるかな?」

 

「それでしたら──」

 

場所を聞いて蓮花はランニング少女と別れた

 

「前にも似たような…」

 

そう言葉を溢してまた走り出した

 

 

 

 

 

「花がいっぱい咲いてる!」

 

蓮花は大きく息を吸い込み美味しい空気を体全体で堪能する

 

「生きてるって感じ」

 

駆け回る子供、花を見る人、ベンチでゆっくりする人と様々人達がいる

 

蓮花はこのゆっくり出来る環境の中で、ボロボロの手帳を開き読み上げる

 

「古の時代、3本の魔剣がこの世に存在した」

 

碧の賢帝───シャルトス

紅の暴君───キルスレス

紫紺の蛇刀───バルバリーア

 

「魔剣を扱うにも、剣と波長と合う資質の持ち主で無ければ扱う事は出来ない。そう、選ばれし所有者『適格者』にしか扱えない。そして、その魔剣を扱う者達の事を皆『抜剣者(セイバー)』と呼ぶ」

 

ペラペラとページをめくる

 

「魔剣は普段から物理的に存在しない。所有者自身が鞘となり内に秘められている。使い手の意思、もしくは使い手が危機に陥った時に出現する」

 

最後のページに差し掛かる

 

「使用した場合の特徴としては、使い手の爆発的な身体強化と見た目の変化」

 

これが、蓮花の父親が自力で魔剣について調べ上げた全てである

 

だが、魔剣については未だに謎ばかり。だから蓮花はこの謎を引き継いだのだ

 

「先は長そうだな。ふぅ…」

 

パタリと手帳を閉じて一息つくと、足下に1匹の子犬が寄り添って来た

 

「この子…誰かのペット?」

 

首元にリボンが結ばれており、頭にもハートの装飾で着飾っている

 

「ラテ〜!」

 

「ワン!」

 

飼い主らしき少女が走りながら『ラテ』と言う名前を口にすると、子犬が元気良く反応した

 

「ハァ…すみま…せん……」

 

「君大丈夫?」

 

「はい…少し体力が…ハァ…無いだけで」

 

「と、とにかく座りなよ」

 

「ありがとうございま…あっ…」

 

ベンチに座ろうとすると、走って疲れたのか足が縺れてバランスを崩す

 

「おっと!気を付けて」

 

「あ、ありがとうございます」

 

蓮花は少女の体を抱いて体勢を整えさせる

 

「何か飲み物を買って来るよ」

 

蓮花はそう言って自販機を探しに行った。

その途中である事に気付いた

 

(セクハラで訴えられない…よね)

 

蓮花が謎の恐怖感に襲われてる中で、少女はベンチに座り頬を赤くしていた

 

「〜〜っ///」

 

「のどか、顔を赤くしてどうしたのラビ?」

 

「えっ!?そ、そう?そう…なんだ///。恥ずかしい所を見られちゃったからね〜///」

 

「1人で何話してるの?」

 

飲み物を買って来た蓮花が帰って来た。1人で会話する少女に疑問を持つ

 

「ななな何でもないです!!///」

 

「?…あっそうだ!」

 

蓮花は重要な事を思い出した

 

「自己紹介がまだだったね。俺は蒼咲蓮花。宜しく」

 

「わたしは『花寺のどか』!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

花寺のどか、彼女との出会いが全てを変える




数年前から魔剣に惚れて今回に合わせて結構念入りに調べてましたけど、誤りがあれば先の物語で訂正して行きます。多分大丈夫だと思うけど

簡単にオリ主をまとめてみた

蒼咲 蓮花(あおさき れんか)
8月7日生まれ/18歳/173cm
本作の主人公。静かに勉強と調べ物をする為に、すこやか市に引っ越して来た青年。
優しく、穏やかな性格に知識、運動神経と共にどれをとっても優秀な人。只、名前の書き忘れのミスで大学受験は失敗し浪人生である。


容姿
髪は黒で前髪がちょっと目に掛かる位の長さである。
黒のシャツに赤色のチェックを着て、更に愛用のベージュ色のダッフルコートを着込んでいる。
穏やかな性格も加えて顔も整っており、周りからは「イケメン」と言われるも本人は少し抵抗がある。


家族構成
祖父母に母親がいる。父親に関しては、8年前に起きた事件により他界。家族全員が考古学者。


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第2話 2人でお手当て♥キュアグレースと碧の賢帝(シャルトス)

今回は初めての共同作業!別に深い意味は無い

では本編をどうぞ


「蒼咲さんも引っ越して来た人なんですね!」

 

「のどかちゃんもなんだね。後、蓮花で良いよ」

 

「じゃあ、わたしものどかで構いません!」

 

話をする事で、お互いに距離が縮まり下の名前で呼び合うまでに進展した

 

「蓮花さんが調べてるのは何ですか?」

 

蓮花は手帳の中身をのどかに見せてあげた

 

「魔剣?」

 

「ファンシーに魔力が秘められてるのか、まだ何故そう言われてるのか分からないんだ。まぁ、それを調べたりするのが考古学者なんだけどね」

 

「ふわあ〜!カッコイイですね!」

 

「ありがとう」

 

「ワン!」

 

のどかの手に収まってたラテが蓮花の膝の上に乗り出した

 

「のどかとラテを見てると、何か俺と近しいものを感じる」

 

「え…」

 

「…変な事言ったね。忘れてくれ」

 

「は、はい」

 

ラテをのどかに返してベンチから立つ

 

「散歩の途中だったね。長々と話しをして悪い」

 

「蓮花さんはこれから何処へ?もし大丈夫でしたら一緒にどうですか?」

 

「いいの?」

 

「はい!引っ越しして来た人同士、これからも仲良くしたいと!」

 

満面の笑みで言われたのもあるが、断る理由も特に無いので蓮花も一緒にお供する事になった

 

 

 

蓮花達が散歩する場所からちょっと離れた場所では

 

「生きてるって感じ」

 

「それ、俺にやらせろよ」

 

2人の男性が石を拾って何やら話していた

 

「やれるの?」

 

1人は暗緑色のショートヘアに青白の肌の少年。

赤錆色のロングコートに黒色のベストと緑色のシャツを着用し、黒いズボンとロングブーツを履いている。

名前は『ダルイゼン』

 

「お前らの力なんてすぐに扱える」

 

もう1人は、赤髪でミリタリージャケットを全開にジーパンを履いてちょっとガラの悪い人だ

 

「そこで黙ってれば良いんだよ。この俺『鬼麿 紅牙(おにまろ こうが)』に任せとけばな!」

 

「人間のくせに…それなら今回は見物にするよ」

 

「覚醒しろナノビョーゲン!」

 

紅牙が手の平からナノビョーゲンと言われる、小さい妖精を呼び出して石のエレメントに憑依させた

 

「メガビョーゲン!」

 

憑依したナノビョーゲンが大きく成長し、大きな岩石から赤黒い手足を出してメガビョーゲンへと変わった

 

「蹂躙しろ!メガビョーゲン!」

 

「メガビョーゲン!」

 

 

 

「へちっ!」

 

「えっ?どうしたの?」

 

急にラテの調子が悪くなると同時に、近くの場所から大きな怪物が出現した

 

「もしかしてビョーゲンズ!?」

 

「ビョーゲンズ?」

 

「あっ!」

 

蓮花が聞き慣れない単語に反応すると、のどかは「しまった!」みたいな反応をして手を口に当てる

 

「とにかく避難しよう!ラテも調子が悪いみたいだ」

 

「のどか!」

 

懐からラビリンがひょっこりと頭を出して小さな声で声を掛ける

 

「え、でも…」

 

ちょっとした言葉に蓮花は反応した

 

「『でも』って何?」

 

「それは…」

 

「何が起きてるのかは分からないけど、逃げるのが最優先」

 

「のどか!早くしないとラテ様も地球も危ないラビ!」

 

蓮花とラビリンに挟まれ葛藤する

 

「行くよ!」

 

立ち尽くすのどかの手を掴むと

 

「…!」

 

思わずのどかは振り払ってしまった

 

「あっ…」

 

「…なるほどね。少し話してのどかの性格も良く分かったよ。でも駄目だ」

 

「どうして!」

 

「君は女の子なんだよ!あんな怪物を倒せる力を君は持ってない。勇気だけでは何も救えない」

 

そう告げられるも、のどかの気持ちは変わらなかった

 

「それでも嫌です…」

 

「嫌って…」

 

「わたしなら助けられます!わたしがプリキュア になって、ラテもエレメントさんも助けたいの!」

 

「プリキュア ??」

 

またも謎の単語が出てきてますます混乱する

 

「のどか!それは言っちゃダメラビ!」

 

「ラビリン、それは言ってるのと同じペエ」

 

「正体もバレてるしな」

 

次々とペギタン、ニャトランと出てきて収集がつかないところまで来てしまった

 

「これはどういう…のどか、君は一体?」

 

「後で全てお話します。ですからお願いします!」

 

自分より小さな子供、それも女の子に頭を下げられて困ってしまう。だけど彼女は本気だった。

抱き抱えられて苦しむラテを見て蓮花は決断した

 

「…本当に何とか出来るんだね」

 

「はい!」

 

「なら俺も行く」

 

「…はい」

 

着いて来る事に少し迷ったが、悩んでる時間が無いので一緒に行く事にした

 

メガビョーゲンが暴れてる場所に走って着いた

 

「ラビリン行くよ!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

ヒーリングステッキとラビリンが一体となり、花のエレメントボトルをはめ込む

 

「エレメントレベル上昇ラビ!」

 

「「キュアタッチ!」」

 

『キュン!』

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

 

 

のどかがキュアグレースへと変身した。

ピンク色のロングヘヤに、コスチュームは胸に薔薇の飾りを着けてパフスリーブのワンピースであり、緑のリボンのついたショートブーツを履いている

 

「変身した?」

 

蓮花は木陰に隠れてその様子を見ていた。

そして、その疑問に答えてくれたのがペギタンとニャトラン

 

「あれがプリキュア ペエ!」

 

「プリキュア ならメガビョーゲンを浄化出来るんだ!」

 

「プリキュア …キュアグレース」

 

蓮花が感心してる時、グレースは戦闘を繰り広げていた

 

『キュン!』

 

「キュアスキャン!」

 

ヒーリングステッキと一体となったラビリンが、メガビョーゲンの中にいるエレメントを探す

 

「見つけた!石のエレメントさんラビ!」

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンの口から吐き出される攻撃

 

「はっ!」

 

グレースはそれをジャンプしてかわした

 

「高い!」

 

「そりゃあプリキュア に変身したからな!」

 

「凄い!…ん?」

 

グレースが避けた場所をよく見ると、花や木が黒く変色して中には枯れてるのも目にする

 

「植物が!」

 

「ああやって地球を病気にしてるペエ」

 

「だからビョーゲンズを倒さなくちゃいけないんだ!」

 

3人が呑気に喋ってる間にグレースがピンチに陥っていた

 

「うわっ!」

 

「グレース大丈夫ラビ!?」

 

「大丈夫!行くよラビリン!」

 

それでも立ち上がって、メガビョーゲンに立ち向かうグレースの姿を見て蓮花は飛び出さずにはいられなかった

 

「待て!人間の力では無理だ!」

 

「知ってるよそんな事…あの時からね」

 

蓮花はペギタンにラテを預けてグレースの元へと走って行く

 

「メガ!」

 

「「うわああ!!」」

 

(届いて!)

 

メガビョーゲンの攻撃が当たる直前に、蓮花が飛び出してグレースを抱えて何とか危機を脱した

 

「蓮花さん!?駄目ですよ!下がってください!」

 

「それは無理な相談だよ」

 

「無理も何も人間の力では無理ラビ!」

 

「…本当はグレースと同じだよ。俺も助けたい」

 

蓮花はグレースを降ろしてあげる

 

「俺も戦う」

 

「だ・か・ら!!無茶にも程があるラビ!」

 

「待ってラビリン!…戦えるのですか?」

 

「後で説明する」

 

「フッ…!わたしたち似た者同士ですね!」

 

思わず吹き出すグレースに蓮花も笑みが溢れる

 

「呑気に笑ってる場合じゃないラビ!」

 

「メガ!」

 

蓮花は右手を空に向ける

 

(非力だった8年前とは違う)

 

意識を体の内側にあるモノに集中させる

 

『我を呼べ…我を、召喚せよ…』

 

(本当はこんな得体の知れないのを使いたくなかった)

 

『生き延びる力を欲するなら』

 

(でも、みんなを救えるなら)

 

『我を、抜き放て!!』

 

メガビョーゲンが近づく時、蓮花から碧色の光の柱が包み込む

 

「この力を使う!!抜剣覚醒!」

 

光の柱を見たダルイゼンと紅牙が目を見開いた。特に紅牙は興奮していた

 

「あの光は…?」

 

「見つけた!見つけたぞ!俺達が探し求めてた3本目(・・・)の魔剣!!」

 

光が収束して剣の形になっていき、蓮花の右手に現れる

 

「来い!碧の賢帝───シャルトス!!」

 

剣を掴むと光りが当たりを包み込んだ

 

「蓮花…さん?」

 

グレースが見たのは見た目が大きく変化した蓮花の姿だった

 

黒く短かった髪が腰まで伸びて白く染まり、肌の色も白く、瞳は碧色、そして手にするのは碧色に輝く不思議な剣。その持つ手も剣と同化して、肘まで碧のラインが入ってる。

背中にも茨の冠のような光の輪も出現してる

 

剣は、光り輝く碧色に天使の羽のような装飾がついてる両刃剣

 

「蓮花さん…ですよね?」

 

「見た目は大きく変わってるけどね。そこはお互い様でしょ?」

 

「あはは…」

 

「メガビョーゲン!」

 

「来るラビ!」

 

今度は突進して来る。だがそれを蓮花はジャンプして蹴り返す

 

「ふわあ〜!」

 

「俺が斬り伏せる。グレースは隙を突いて浄化を!」

 

「は、はい!」

 

蓮花は碧の賢帝を構えて走り出す

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンが攻撃を仕掛けるも

 

「ハアァァ!!」

 

足を止める事もなく全て切り捨てる

 

「フッ!」

 

空高くへ大きくジャンプしてメガビョーゲンの上を陣取った

 

「メガ!?」

 

「覚醒剣!」

 

体を回転し落下しながら連続で切って切りまくる

 

そして着地と同時に、回転の勢いを利用して体を捻り剣を突くように構えエネルギーを集約させ

 

「賢帝解放!!」

 

突き出された剣から碧色の波動が放たれて、直撃したメガビョーゲンが後ろに大きくバランスを崩して倒れた

 

「グレース!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

ヒーリングステッキの肉球を3回タッチ

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

ピンク色の光線がエレメントと包み込むように助け、メガビョーゲンを見事に浄化させた

 

「ヒーリングッバーイ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

浄化された事によりメガビョーゲンに汚された草木が元に戻り、浄化をするが早かった為ラテの体調もすぐに良くなった

 

メガビョーゲンが倒されダルイゼンは目を細めるが、紅牙は新しい玩具を見つけた子供みたいに意気揚々としていた

 

「碧の賢帝、やはり凄い力を持つがまだまだ。俺の持つ魔剣『紅の暴君(キルスレス)』には程遠い」

 

そして2人は何処かへ消えた

 

メガビョーゲンの浄化に蓮花は喜びもあるが、体力の消耗も激しかった

 

「クッ…!ハァ…」

(あの時に使った以来だから体がまだ慣れてなかったか…)

 

「蓮花さん!?」

 

「大丈夫だよ。ふぅ〜…」

 

碧の賢帝が消えて元の姿に戻った

 

『力、望みし時あらばいつでも喚ぶがいい』

 

『我は、お前の心と共にある…』

 

 

 

 

 

//////

 

「地球も無事、エレメントも無事、ラテも無事で勝利だね」

 

「蓮花さん!ありがとうございました!」

 

「もう…のどかもそうだけど、蓮花もあそこまで無茶な人とは思わなかったラビ!」

 

「ごめんな。あと…」

 

「はい」

 

「その子達は何?」

 

先程までの緊迫した場面、そんな事は気にしていられなかったけど、改めて見ると流石に「何コレ?」となる

 

「それはその…話せば長くなるけど……」

 

「それなら後日でも。俺もさっきの姿の説明しなきゃね。約束だし」

 

空を見れば陽が傾いている。そろそろ帰宅時間だ

 

「途中まで送るよ」

 

「いえいえ!大丈夫です!」

 

「本当に?」

 

「え…あ、それは……お願いします」

 

じーっと見つめる蓮花に折れて途中まで見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼咲蓮花は、碧の賢帝を抜き放った事により抜剣者としてプリキュア と共にビョーゲンズと戦う事を決めた。

その選択が彼にとって、良い事なのか悪い事なのかはまだ分からない




エレメントさんをよく分かってないで御座る。「何か色々と宿ってるんでしょ?」の感覚です

オリ主がお手当てというよりガッツリ切っちゃってる件

後、抜剣者の読み方「セイバー」であってますけど、作者はそのまんま「ばっけんしゃ」と読んでる。多分どっちの読み方でも大丈夫ですけど、前者が公式認定なんですよね

ここまでの拝読ありがとうございました!




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第3話 踏み出す勇気♥キュアフォンテーヌ誕生!

若干サボってました

本編へどうぞ〜


「……」

 

蓮花は今、魔剣についてパソコンで調べてる

 

時間は深夜の2時。部屋いっぱいの本棚に囲まれた書斎で明かりをつけて何時間も睨めっこしてる

 

カタカタと軽快な音が鳴り響く

 

「う〜ん…」

 

今度は本棚からいくつか本を取りページをめくり始める

 

そしてそのまま朝を迎えた

 

 

 

 

 

////////

 

「蓮花さんの家は……ここかな?」

 

のどかは蓮花の家の前に来ていた。ラテも抱き抱えて、ラビリン達もカバンに埋め込まれていた

 

何故家に来たかと言うと、蓮花は魔剣、のどかはプリキュア について話し合う為だ。

先日の戦いにお互い説明も無くビョーゲンズと戦っていたので今日ゆっくりと説明する

 

「…あれ?」

 

「出ないラビ」

 

インターホンを押すも蓮花は玄関から出て来ない

 

「開いてる?」

 

扉も鍵が掛かっておらずお邪魔する事にした

 

「お邪魔しま〜す。蓮花さ〜ん」

 

「ワン!ワン!」

 

「あっ、ラテ!」

 

ラテが家の中を颯爽と駆け回る

 

「ラテ様!」

 

「ラテ様はラビリン達に任せるラビ」

 

ラビリンとニャトランにラテを任せて、のどかとペギタンは蓮花を探す為に2階へと足を運ぶ

 

「蓮花さん?」

 

のどかはひと部屋ずつ確認して探し、蓮花が居ると思われる書斎に辿り着いた

 

蓮花は机に突っ伏して寝ていた

 

「寝てるペエ」

 

「今日は帰ろうか?」

 

部屋を出ようとする時蓮花が目を覚ました

 

「のど…か…?」

 

「えっ?ごめんなさい!起こしてしまいましたか?」

 

「だ…大丈夫。今何時だ?」

 

「夕方の4時過ぎですけど…」

 

それを聞いてハッと一気に目が覚める

 

「そんなに!?ごめん、リビングに待っていて!すぐに用意するから!」

 

多少ドタバタしたものの、身を整えてリビングに集まった

 

「飲み物は何がいいかな?お茶にジュースに、コーヒー、紅茶と…」

 

冷蔵庫に棚と色々とあさり持って来たのは

 

「やっぱり子供だからジュースだよね。後、お茶菓子でも」

 

ようやく一息ついて話しをする

 

「約束通り話をしようか」

 

「はい」

 

「さてと、どこから話したらいいもんか…。手っ取り早くアレを見せた方が早いな」

 

「アレ…ですか?」

 

蓮花はボロボロの手帳をのどかに渡した

 

「前に見せたと思うけど、詳しい事は全部この手帳に書いてあるからゆっくり見て貰えば済むかな?」

 

のどか達は渡された手帳をまじまじと読む

 

「改めて見ますと凄いですね。蓮花さんも『魔剣を使っている』の解釈でいいんですか?」

 

「ああ、俺は碧の賢帝(シャルトス)の適格者」

 

「蓮花1人で調べたのか?」

 

「いや、全部父さんが調べた。でも、8年前に亡くなってね、俺はそれを引き継いだだけだよ」

 

「ごめんなさい…」

 

触れてはいけない話題に触れてしまって全員が俯く

 

「何でのどかが思い詰めるんだ?よくある事故だよ」

(だと良いんだけどな…)

 

8年前の事故に少し負に落ちない事があった。だけど今はそんな話をする為に呼んだんじゃない

 

そんな考えをすぐに払い除けて、今度はのどかに話を振る

 

「今度はのどか達、プリキュア について頼むよ」

 

「それなら私たちが説明するラビ!」

 

3人の妖精達は、それぞれ指示棒とボードを取り出して蓮花に説明する

 

「ビョーゲンズについてはもう大丈夫ラビ?」

 

「ビョーゲンズって大雑把に言うと、地球を病気にして自分達の住む場所を広げようとする敵…で、合ってるかな?」

 

「実は地球の他にも、私たちが住む『ヒーリングガーデン』も襲われたラビ」

 

「ヒーリングガーデンは僕たちのような、地球のお手当てをする動物『ヒーリングアニマル』が沢山いるペエ!」

 

「そして俺たちは見習い。襲撃時に女王である『テアティーヌ』様が俺たちに王女のラテ様を託されたんだ。パートナーを探し出して、ビョーゲンズと戦うために」

 

蓮花はメモをとりつつラビリン達の話しを聞く

 

「なるほどね。パートナーを探してるって事は、あと最低2人はプリキュア になれる可能性があると」

 

「理解が早くて助かるラビ!」

 

「簡単にまとめると……ビョーゲンズは悪い奴らだから、パートナーとなる人を見つけてプリキュア となって皆んなを救う!」

 

「かなり短縮したな…」

 

これにて一応お互いに説明し終えた

 

 

 

 

 

////////

 

そして次の日の朝、蓮花は町中を歩いていた

 

「あっ!蓮花さん!」

 

歩いてると登校中なのか学校の制服を着たのどかとバッタリ出会った

 

「おはようございます!」

 

「おはよう」

 

「今日は何処へ行くのですか?」

 

「気の向くままに何処までも」

 

「うん?」

 

ちょっと言ってる意味が分からず首を傾げる

 

「それより登校中でしょ?時間は大丈夫なの?」

 

「あっそうだった!放課後会いましょう!」

 

のどかは元気良く手を振って走って行った

 

「さてと、帰って勉強勉強!」

 

 

 

 

 

家で勉強して昼過ぎの事、昼食を取ってると外からカリカリと音が聞こえて来た

 

「何だ?」

 

窓の方を見ると音の正体はニャトランだった

 

「お昼でも食べに来たの?」

 

「パートナー探しだ!」

 

「パートナーね。それなら何で此処に?」

 

「…」

 

「おいで、何か作ってあげるから」

 

結局蓮花と一緒にお昼を食べる事になった。

食べた後は、蓮花も一緒にニャトランのパートナー探しを手伝う事にした

 

「心の肉球にキュンとくる人を探すのか。大変だね」

 

「付き合って悪いな」

 

「いいよ別に」

 

パートナーを求めて数時間

 

 

「あの子は?」

 

「う〜ん…」

 

 

「あの子可愛いよ」

 

「肉球にキュンとまでは…」

 

 

時間はあっという間に過ぎて、チラホラと学生が下校する姿が見える

 

「ニャトランが求めるパートナーはどんな子?」

 

「俺はノリの合う奴だな!」

 

「ニャトランらしいね」

 

ほっぺをぐりぐりと弄りながら歩いてると

 

「貴方が碧の賢帝の使い手」

 

何人もすれ違う人の中でそんな声が聞こえた

 

「ッ!?」

 

突然の声とゾッとする様な寒気を感じ、更には体の中にある碧の賢帝も反応をして蓮花を苦しめさせた

 

「うっ!?熱い…ぐぅ……!」

(何だよ?これ…は!さっきの違和感、それに碧の賢帝まで)

 

あまりの苦しさにその場に蹲る

 

「れ、蓮花!?」

 

「だ、大丈夫…」

 

立つも、フラフラしてよろけてしまいすぐに膝をつく

 

「本当に大丈夫なのか!?」

 

「やっぱ無理……。原因は分からないけど、碧の賢帝が!」

 

碧の賢帝が勝手に出てくるのを必死で抑え付ける

 

「ハァ…ハァ……こんな事、初めてだ」

 

「蓮花、後は1人で探すから帰った方がいい」

 

「そ、そうだね。お言葉に甘えるよ」

 

ニャトランは蓮花に気を使って別れた。蓮花はもう少し落ち着く為にベンチに座ろうとすると、山の方で大きな影が見えた

 

「?」

 

目を凝らしてよく見ると、メガビョーゲンが暴れてるのを目にした

 

「あれはメガビョーゲン…。という事は、のどかも」

 

 

 

 

 

////////

 

メガビョーゲンが暴れる現場では、のどかがキュアグレースに変身して戦っていた

 

「ハァァ!!」

 

「メガ!?」

 

メガビョーゲンの攻撃も簡単にかわして、キックをお見舞いする

 

「凄い…!」

 

グレースが戦ってる側では1人の少女もいた。その様子を見て感心もするが、今現在の状況に困惑しつつもある

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンの激流攻撃もジャンプしてかわすが、不幸にもその攻撃が木を薙ぎ倒して少女の方へと飛んで行く

 

「グレース!」

 

「…!?」

 

咄嗟の事で少女も身動きが取れず目を瞑ってしまう。もうダメかと思うその時

 

「伏せて!」

 

木々をかき分けて声と共に、一つの影が少女の前に飛び出した

 

「来い!碧の賢帝!!」

 

その瞬間、木は大きく割れて少女に当たる事は無かった

 

少女の危機を救ったのは蓮花だった

 

「大丈夫…って君はランニング少女!?」

 

「ら、ランニング少女?何処かでお会いしましたか?」

 

「蓮花さ〜ん!ありがとうございます!」

 

「こっちこそ遅くなってすまない」

 

「危機一髪だったラビ」

 

蓮花の姿を見たグレースはすぐに合流した

 

「グレース、こんな所に人を連れて来たら駄目じゃないか」

 

「本当だ、沢泉さんが何で此処に?」

 

「ま、待って!一応聞くけど花寺さんだよね?」

 

「それは…」

 

「グレースの知り合いなの?」

 

「あっ!蓮花さん!!」

 

「えっ?……あっ!もしかして正体知られて無かったの!?」

 

「やっぱり…」

 

時すでに遅しとは正にこの事だ。意外にも蓮花が正体をバラすという失態を犯した

 

「ごめんね!後でちゃんと説明するね!」

 

「とにかく隠れてて!俺達が何とかするから」

 

「花寺さん…」

 

そして蓮花とグレースは再びメガビョーゲンに立ち向かって行く

 

「メガビョーゲン!」

 

「うわっ!!」

 

「グレース!」

 

メガビョーゲンの攻撃を正面から当たり空中へと突き飛ばされ

 

「メガ!メガ!メガ!」

 

「きゃあ!!」

 

追い討ちを掛けるように連続での連射攻撃。頑張って捌くも、数で圧倒されてしまい重たい水弾がグレースを襲った

 

「こっちだメガビョーゲン!」

 

少しでもグレースから注意を逸らす為に蓮花が動く

 

「覚醒剣!賢帝解放!!」

 

「メガビョーゲン!」

 

碧の賢帝の波動とメガビョーゲンの激流が激突する

 

「くっ…!押されてる!?何で!?」

 

碧の賢帝の力が前よりも格段にパワーダウンしている事に気付く

 

「ぐわはっ!」

 

激流が力の弱った碧の賢帝の波動を蓮花ごと呑み込んだ

 

「どうしよう…どうしたらいいペエ。僕には何も出来ないペエ…」

 

「わたしに出来る事は無いの…?」

 

ペギタンは助けたいと気持ちはあるが、何も出来ないと悲観的になる。一方で沢泉は自分にでもやれる事を探す

 

「…っ!もしかして…」

 

沢泉はペギタンを見てある事を思い付き決心した

 

「ペンギンさん!」

 

「ペエ!?」

 

「もしかして、あなたもああやって戦えるんじゃない?」

 

「ペエ…」

 

「出来るのね!じゃあわたしにも手伝わせて!」

 

沢泉が思い付いたのは、グレース達と同じように変身して戦う事だった。

だけどペギタンは

 

「無理ペエ!」

 

「どうして!?」

 

「自信無いペエ…。ラビリンでも苦戦してるのに、こんな僕の力じゃ君を危ない目に合わせるだけペエ…」

 

自分の力不足で、他の人が傷付いてしまう事に恐れている。内気な性格の彼には、あと一歩の勇気が出なかった

 

「でも、あなたも皆んなを助けたいんでしょ?」

 

「ペエ!?何でそれを!」

 

「ごめんなさい、お風呂で聞いちゃった。…怪物はわたしも怖いわ。でも、それ以上に大切なものを守りたいの!」

 

 

「メガ!」

 

「ハァ!」

 

力を込めて剣を振るうも弾き飛ばすのが精一杯

 

(駄目だ!剣に力が入らない)

 

「メガビョーゲン!」

 

「しまっ──」

 

「ぷにシールド!」

 

剣に意識を集中して油断してた所にグレースとラビリンが助けに入る

 

「大丈夫ですか!」

 

「大丈夫だ!」

 

両頬を叩いて気持ちを入れ替える

 

 

「どうしても守りたいの!あなたは?」

 

「……守りたいペエ」

 

「わたしはあなたより大きいから、少しは力になれると思う。もし勇気が足りないなら、わたしのを分けてあげる」

 

沢泉はペギタンに手を差し伸べる

 

「大丈夫、わたしがいるわ!」

 

その時、ペギタンの両足の肉球が反応した

 

「わたしは『ちゆ』。あなたは?」

 

「僕、ペギタン!」

 

2人の勇気が水の様に交わった時、ヒーリングステッキが現れた

 

「ちゆ、この水のボトルをヒーリングステッキにセットするペエ!」

 

「分かったわ!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

ヒーリングステッキとペギタンが一体となり、水のエレメントボトルをはめ込む

 

「エレメントレベル上昇ペエ!」

 

「「キュアタッチ!」」

 

『キュン!』

 

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

 

「ラビ!?」

 

「沢泉さん!?」

 

「あの子もプリキュア に!」

 

沢泉ちゆはキュアフォンテーヌとしてプリキュア に変身した

 

水色のロングヘアを二つ分かれにして、青色のハートのついたティアラが装着されており、コスチュームは胸に雫の飾りをあしらったパフスリーブのワンピースであり、白と緑のフリルがついている。そして青色のロングブーツを履いている

 

「ペギタン行くわよ!」

 

「ペエ!」

 

変身すると同時に素早くメガビョーゲンへと走って行く。

メガビョーゲンの激流攻撃にも、華麗にかわし攻撃へと移りダウンさせる

 

「フォンテーヌ、肉球にタッチするペエ!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

フォンテーヌ達もグレース達と同様に、キュアスキャンが出来てエレメントを見つけ出す

 

「あそこに閉じ込められている、水のエレメントさんを助けるペエ!」

 

「分かったわ!」

 

尚もフォンテーヌはメガビョーゲンへと近づくが

 

「きゃあ!」

 

相手の手数が勝り吹き飛ばされ、更にそこから追撃が来る

 

「させないよ!」

 

「ハァ!」

 

蓮花が追撃する手を斬撃で弾き、グレースが足に飛び蹴りを食らわしてバランスを崩させてフォンテーヌへの追撃を防いだ

 

「今だよ!フォンテーヌ!」

 

「メガビョーゲンを浄化するペエ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングストリーム!」

 

螺旋回転する水流が、メガビョーゲンの体内にいる水のエレメント助けて浄化させた

 

「ヒーリングッバーイ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

「ふぅ〜ん、まあまあね。でも、キングビョーゲン様には敵わないんだから」

 

そう言ってビョーゲンズは去って行った

 

「あの人もビョーゲンズなの?」

 

「シンドイーネラビ」

 

シンドイーネ、彼女もまたダルイゼンと似た様な服装をしたビョーゲンズの一味

 

「それにしても、今日の蓮花は調子が悪かったのラビ?」

 

「え?何でそう思うの?」

 

「何て言うか、動きがぎこちないって言いますか…」

 

「そう?まぁ、体調管理に気を付けるよ」

 

そう言って誤魔化した。恐らく原因は碧の賢帝にあるのだろうと思い、碧の賢帝に目を落とす

 

 

 

 

 

////////

 

「これで自然の声を聴けばいいのね」

 

聴診器を源泉から溢れ出る蒸気に当てると、水のエレメントが出て来た

 

「体調はどうペエ?」

 

「ありがとう皆さん!ここの温泉はもう大丈夫です!ただ…」

 

浄化するのに時間が掛かってしまい、未だにラテの具合いは良くなっていなかった

 

「私の力を分けて差し上げて下さい。お嬢さん、その水のエレメントボトルを!」

 

「これね」

 

沢泉は水のエレメントにボトルを翳すと、ボトルにエレメントの力が蓄えられた

 

「これをラテ様の首輪に」

 

ボトルをラテの首輪に着けてあげると

 

「ワフーン!」

 

具合も良くなり元気になった

 

 

 

 

 

夕方、山の上にあるハートの形をした高台へ

 

「ペギタンありがとう。わたしの大切なものを守れたのは、あなたのお陰よ」

 

「僕の方こそ、ちゆがいたから頑張れたペエ。だから、その…これからも僕と一緒にお手当てして欲しいペエ!」

 

「もちろん!助けて貰うだけで、後は放り出すだけなんて出来る訳無いわ」

 

ペギタンにもパートナーが出来て一先ずは安心した

 

「ねぇペギタン、良かったらわたしの家に住まない?」

 

「いいのペエ!?」

 

「のどかも沢山匿うの大変でしょ?」

 

「のどか…!」

 

「駄目?」

 

「ううん、ありがとう!ちゆちゃん!」

 

お互いに名字から名前呼びになって、のどかと沢泉にも絆が生まれた

 

「それはそうと…あなたはこの前会った人ですよね?」

 

「自己紹介が遅れたね。俺は蒼咲蓮花だ。宜しく」

 

「『沢泉ちゆ』です。宜しくです、蒼咲さん」

 

「俺は名字呼びなんだ…」

 

「年上ですから。わたしの事は名前で構いません」

 

その後は、ニャトランにもちゆの事を紹介して今日が終わろうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅牙が言ってた、碧の賢帝の適格者はあの子で間違い無いね」

 

「いつまで様子を見るつもりだ?」

 

「そうだな…次は暴れても良いかな?」

 

「なら…抜剣!!」

 

紅牙は剣を抜き放ち紅の暴君(キルスレス)を手にする

 

「準備運動でもしてくる」

 

「程々に…ね」

 

ビョーゲンキングダムでは、次の出撃に備えて紅の暴君を振るい続けるのであった




最後の締めが思い付かなかった!!

次は、ひなたとニャトランのコンビだ!未だにニャトランのキャラが掴めないよ…しくしく

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第4話 可愛く大変身♥キュアスパークル見参!

やっとこさ出来ました!

本編をどうぞです!


「お待たせしました蓮花さん、こんにちは」

 

「こんにちは」

 

今日は学校は休日。のどかの家にお邪魔する為、ちゆと一旦合流して家へと向かう事になっている

 

「「……」」

 

だが、合流したもののお互い何も話す事無く歩き続ける

 

「「あの!」」

 

「ちゆが先でいいよ」

 

「蒼咲さんからで」

 

「「じゃあ!」」

 

話すも譲るも息が合わずに中々話せない

 

「のどかから聞いたんですけど、この町には調べ物をする為に引っ越して来たって聞きました」

 

「う〜ん、半分正解。受験失敗したから勉強しに来たのが強いかな」

 

「えっ!?落ちたのですか!」

 

「名前の書き忘れでね」

 

「意外とおっちょこちょいですね」

 

「あはは…」

 

「「……」」

 

そして振り出しに戻った。ちゆは何か話題がないかと考えながら、蓮花をチラチラと目を移す。

そんなちゆの様子に気付かない筈が無い

 

「どうしたの?」

 

「あ、いえ…その……今日も天気が良いですね!」

 

「そうだね。最近は晴れの日が続いて、洗濯物も乾きやすくて助かるよ」

 

何とか話題を保ちつつ花寺家に到着した

 

「さぁ、上がって!」

 

「「お邪魔します」」

 

「いらっしゃい!」

 

玄関ではのどかのご両親がお出迎えしてくれた。父親のたけしが、外でののどかの様子を聞こうとした時、奥からドタバタと慌ててのどかが走って来た

 

「蓮花さん!ちゆちゃん!来てくれてありがとう!わたしのお部屋に行こ!!」

 

「何だよのどか!?お父さん達に友達紹介してくれるって…」

 

「ごめんなさい!また落ち着いてからで!」

 

来て早々に、2人はのどかに手を引かれるまま奥へと連れて行かれる

 

部屋に入ると、ぐったりとしてるラテを発見した

 

「元気が無いね」

 

「慣れない環境で疲れたのかも知れないわね。動物病院で診てもらうのはどう?」

 

「それなら『平光アニマルクリニック』て所をこの前見かけたよ」

 

「そこは確か同じクラスの平光さんのお家よ」

 

「じゃあ、その平光…」

 

「『平光ひなた』です」

 

「その子の所にお邪魔しようか」

 

「「はい!」」

 

という訳で、偶然にものどか達と同じクラスの子が動物病院をしてる所なので、早速ラテを連れて行く事にした

 

「ひなたちゃんってどんな子かな?」

 

「そうですね…光みたいです!」

 

「一言で言うなら、騒がしいですかね」

 

「光に騒がしい。どんな子か楽しみだよ」

 

 

 

 

 

「はい、これで大丈夫!」

 

病院に着き診察も終わった。やっぱりと言うべきか、疲れが溜まっていたのが原因との事だ

 

「2人、ひなたの同級生なんだって?」

 

「はい、今年から同じクラスで」

 

「わたしは転校して来たんです」

 

「君は?」

 

「俺は只の他人で、今回は2人の付き添いです。ところで、噂のひなたちゃんの姿が見えませんけど出掛けているんですか?」

 

此処へ来てから、ひなたと言う子とは一度も会ってないのだ。話を聞く限りで興味を惹かれた子なので、蓮花は会えるのを楽しみにしていた

 

「ひなた…妹なら隣町のゆめポートに友達と買い物に出掛けたよ」

 

「妹!?」

 

「もしかしてお兄さん!?」

 

「と、父さんと間違えたね…」

 

「「すみません!!」

 

「それにしても残念だ。ひと目でもいいから、ひなたちゃんに会いたかったんですけど…」

 

不在中と聞き落胆してると診察室のドアが勢い良く開かれた

 

「お兄!お兄!!お兄!!」

 

「ひなたちゃん!?」

 

「噂のひなたちゃん?あの子なら前に一度会った事ある」

 

「お前、友達と出掛けたんじゃ?」

 

勢い良く登場したのは平光ひなたちゃんだった。友達と出掛けた筈のひなたちゃんが何故此処にいるかと言うと

 

「やばいっ!見て見て喋る猫発見!!」

 

「う゛ぇ゛!?」

 

「「!?」」

 

ひなたの言う喋る猫とはニャトランだった。パートナー探しで別行動してる筈のニャトランが、うっかり喋ってしまう所でも見られたのだろう。

勿論その事について、蓮花達3人と鞄の中に隠れてるラビリン達も驚かずにはいられなかった

 

「喋る猫?また聴き間違えたんじゃないの?」

 

「また!?俺はそこに1番驚きですよ」

 

案の定、お兄さんは信じて無いがムキになって喋ろうとすると、ちゆが瞬時に口を塞ぎ一応誤魔化す

 

「そう!聴き間違い!」

 

「モゴモゴ!!」

 

「ひなたちゃん、わたし喉渇いちゃた。隣のカフェに行きたいな〜…」

 

「それではお世話になりました。失礼します」

 

強引にひなたを外へと連れ出してこの場は収まった

 

そして外ではお姉さんの「平光めい」がカフェ経営して、ジュースを飲んで一息ついていた。因みにお兄さんは「平光ようた」

 

「それにしても君がひなたちゃんか」

 

「お兄さんも2人と知り合いだったんだ!」

 

「会った事合ったんだ」

 

思わぬ偶然。まさか、もう既に会っていたとは知らず蓮花自身も驚く

 

「引っ越して来た時偶々ね。蒼咲蓮花だ」

 

「ひなただよ!」

 

「平光さん、蒼咲さんは年上なんだから言葉使いに気を付けなきゃ」

 

「ひなたでいいよ『ちゆちー』」

 

「ちゆちー…」

 

「俺は気にして無いから別に今のままで構わないよ」

 

「れんれん優し〜!」

 

「れ、れんれん?」

 

言葉使いは気にするなと言ったものの、「れんれん」と言う渾名には不満があるようだ

 

「ちょっとその渾名は…」

 

「駄目だった?それなら……『蒼っち』!」

 

「もう一言」

 

「え〜!」

 

腕を組んで唸り考える

 

「お兄さんだから……『蓮兄』ならどうかな?」

 

「うん、それなら大丈夫だよ」

 

「蒼咲さん良かったんですか?」

 

「ああ、こうゆう子にはこの距離が一番接し易くて助かるよ」

 

「さっすが蓮兄!」

 

「俺に妹が居たとしたら、ひなたみたいな子が居たら毎日が楽しいんだろうな」

 

そんな事を少し思い浮かべてみる

 

「真面目なちゆは長女かな?ひなたは元気いっぱいの次女で、可愛いのどかは三女だね」

 

「わたしが可愛いですか?」

 

「のどかっち、試しに蓮兄の事を『お兄』って呼んでみたら!」

 

「調子に乗りすぎよ」

 

「蓮花さんの事を…」

 

真に受けたのか、のどかが蓮花の方へ顔を向け

 

「れ、蓮花お兄…ちゃん……///」

 

恥ずかしながらも、甘えるような潤んだ上目遣いで「蓮花お兄ちゃん」と呼んでくれた

 

「蓮花お兄ちゃん幸せ」

 

「ほう、のどかっちはお兄ちゃんと呼ぶのか。フムフム…」

 

「恥ずかしいよ〜!」

 

「ちゆちーはどうなの?」

 

「わたし!?わたしは…別に……」

 

「本当は呼びたくて堪らないんでしょ〜!」

 

渋るちゆに煽りをかける

 

「そんな事は!…でも一度だけなら」

 

ちゆは蓮花の方へ向けて

 

「う〜!やっぱりいいです!」

 

「え〜!折角記念に撮影して後で送ろうと思ってたのに」

 

「そんな事はしなくていい!!」

 

「それより!さっきの猫なんだけど!」

 

ひなたが話題を切り替えて喋る猫のニャトランについて話す

 

「やっぱダメそうラビ」

 

「しょうがない」

 

「?」

 

蓮花の膝の上で隠れてるラビリン達の声が聞こえたと思ったら、ニャトランが飛び出して机の上によじ登る

 

「俺の名前はニャトラン!」

 

「「!?」」

 

「ほら喋った」

 

出て来たと思ったら自分から喋り出した

 

「3人共初めまして」

 

「初めまして!あたし、ひなた。ニャトラン何で喋れるの?」

 

「それが分からないんだ。産まれた時から俺だけが喋れてさ」

 

「そうなんだ!すご〜い!!」

 

「喋れる猫で押し通そうとしてるラビ!」

 

「凄い度胸ペエ」

 

結構無理がある設定をひなたは簡単に信じ、ラビリン達はそれに関心する

 

(一応誤魔化せれたけど…)

 

(これで…)

 

(良かった…のかしら?)

 

それでも、蓮花達は少々不安を拭い切れずにいた

 

「なぁひなた、俺の事他の人には秘密にしてくれよな」

 

「勿論だよ!てか最初からそのつもりだし、見せ物みたいになったら可哀想じゃん!」

 

「でも、お兄さんに報告しようとしたよね?」

 

「それは、見せ物になる前に保護するとか、迷子ならお家探すとか、早くお兄に相談って思ったら慌てちゃって!」

 

突発的な行動とは言え、ちゃんとその先の事を考え、優しい心を持っていた

 

「ひなたちゃんって優しいんだね」

 

「あたしなんて全然全然!」

 

「あっ、ひなた友達は良かったのか?結構長居してるけど」

 

「えっ、えええぇぇぇーーー!!!」

 

スマホで確認すると2時間の大遅刻らしい。急いで支度して隣町まで向かう

 

 

 

 

 

////////

 

集合場所である広場に到着したが、友達の姿は無かった。しかも連絡も通じない状態でてんてこ舞い

 

「多分、買い物に夢中で気づいてないんだろう。そんなに落ち込まないで」

 

「はぁ…やばい。またやっちゃった…」

 

「またって?」

 

「あたし目の前の事でいっぱいになって、すぐ他の事忘れちゃうんだよね」

 

「任せとけよひなた!」

 

ひょっこりと、ひなたのフードの中から隠れてたニャトランが出て来てフォローする

 

「ひなたは、俺を助けようとして遅れたんだってちゃんと説明してやるからさ!」

 

「そんな事したら、友達にもバレちゃうペエ…」

 

「正体を隠したいのかバラしたいのかどっちラビ…」

 

ニャトランが話す訳もいかないから、蓮花達から話す様に決めて友達探しを再開するのであった

 

 

 

そして友達探しの途中、ビョーゲンズが現れた事によりラテの体調が悪くなる

 

「ビョーゲンズか。ひなたをどうしようか」

 

「よし、俺がひなたを遠ざける!」

 

「頼んだよ!」

 

「ひなた、あっちの方が怪しいぜ!俺の勘は当たるんだ!」

 

「嘘!本当?ありがとニャトラン!」

 

遠ざける事に成功して、ラテを診断する為に移動しようとするが

 

「蓮花さんどうしたんですか?」

 

「ごめん…フフ……余りにもひなたとニャトランの流れるやり取りが面白くて」

 

蓮花は顔を背けて笑いを堪えようとし、その様子にのどかは苦笑いする

 

「意外と蒼咲さん愉快ですね」

 

「急ぐラビ!」

 

「「「は、はい!」」」

 

ラビリンに怒られて急いで場所を変えて聴診器を当てる

 

『キラキラ、鏡が泣いてるラテ…。とっても近いラテ…』

 

「2人共急ごう」

 

 

 

ゆめポートの広場になんともオシャレなメガビョーゲンが暴れていた

 

「のどか!ちゆ!蓮花!」

 

「いくラビ!」

 

 

 

「「スタート!」」

 

「「プリキュア ・オペレーション!」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!!」

 

 

 

「来たなプリキュア !」

 

メガビョーゲンの近くに筋肉隆々の巨漢が現れた

 

「あれは!?」

 

「ビョーゲンズの『グアイワル』ラビ!」

 

「貴様らの力、この俺に見せてみろ!やれ、メガビョーゲン!」

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンが身に付けてるマフラーでの攻撃。3人はジャンプで交わして、フォンテーヌはそのまま蹴りへと繋げる

 

「タァァッ!」

 

「メガ!」

 

「きゃあ!」

 

フォンテーヌの蹴りを腕で受け止め、体を回転させた勢いでマフラーによりフォンテーヌは地面へと叩き付けられる。

だが、上からグレースがハート型のエネルギー弾を放つ

 

「メガ!」

 

「止められた!?」

 

グレースの攻撃もそう簡単には通じず、メガビョーゲンのバリアーで止められる

 

「メガァ!」

 

止めるだけでは飽き足らず、その攻撃を着地するグレースへと跳ね返す

 

「跳ね返したペエ!」

 

「グレース!」

 

「俺に任せろ!」

 

蓮花がグレースの前に立ち、碧の賢帝を両手に持ち変えて剣に力を込める

 

「いっけえぇぇ!!」

 

大きく振り下げて跳ね返した攻撃を両断する

 

そして蓮花は確かめる様に、碧の賢帝を軽く素振りをする

 

(剣に力が戻ってる。これなら大丈夫そうだな)

「2人共大丈夫?」

 

「はい」

 

「それよりも、技を返してくるなんて…」

 

「これは一筋縄ではいかないぞ」

 

技を返して来る敵にどう立ち回るか考えてる。

その蓮花達の様子を避難した筈のひなたが近くで見ていた

 

「嘘…。え、何…プリキュア ?」

 

「ひなたちゃん!?」

 

「何でこんな所に居るの!?」

 

「どうしよう見られてたペエ…」

 

「もう!ニャトラン何してるラビ!」

 

プリキュア の事がバレて皆んなが焦る中で、ニャトランは静かにひなたの事を試す

 

(さぁ、ひなたはここからどう出るニャ…)

 

信じられない出来事は目の前で起きた事に対しての一言。

それは

 

「えぇ〜〜!!可愛い〜〜!!」

 

だった

 

「「「えっ?」」」

 

「は?」

 

「メガ?」

 

思ってた反応と違い、ビョーゲンズも含め素っ頓狂な声が出てしまう

 

「何々メチャクチャ可愛い〜!どうやって着替えたの?魔法?誰デザイン?その光ってる剣は何?もう超可愛い〜〜!」

 

「プッ…ニャハハハ!」

 

興奮するひなたに対してニャトランは笑いが溢れる

 

「ひなた、さっきまであんなにびびってたのに何だそれ?」

 

「だってつい。…そう言われたら怖くなって来ちゃった」

 

「えぇ…」

 

「もう…」

 

「ひなたちゃん!」

 

テンションの上下が激しく変わり、蓮花達も対処に困ってしまう

 

「あっ!いかんいかん。メガビョーゲン!」

 

ついひなたのペースに呑まれたグアイワルも、切り替えてメガビョーゲンに指示を飛ばす

 

気を許してしまった隙に、グレースとフォンテーヌがマフラーで締め付けられる

 

「しまった…!」

 

「コラー!そこの怪物2人を離しなさいよ!これ以上何かしたら只じゃ済まさないからね!!」

 

「ひなたは危ないから下がってて!」

 

「フン、メガビョーゲン!」

 

「メガ!」

 

「ひなた!」

 

「うわっ!?」

 

足で踏み付ける所に、蓮花がひなたの首根っこを掴んで強引に下がらせて、代わりに碧の賢帝で受け止める

 

「重い!」

 

ひなたを守ったが、踏み付けた風圧でビルの中へ飛ばされた

 

「ひなた!」

 

すぐさまニャトランが飛ばされたひなたを追いかけて安否を確認する

 

「無事かひなた!」

 

「ちょっと飛ばされただけ、これくらいへっちゃらへっちゃら!それより、ニャトランこそ大丈夫?何ともない?」

 

「えっ?」

 

飛ばされた自分よりニャトランの心配をするひなた

 

「フッ…お前最高だよ!やっぱ俺ひなたの事気に入ったぜ!」

 

そんなひなたを見て、ニャトランも感じ取り手を差し出す。差し出す手には肉球が光っていた

 

「なぁひなた、俺一緒にプリキュア になんないか?」

 

ニャトランはひなたに心にキュンと来てプリキュア に誘う

 

「えっ?あたしもなれるの?」

 

「あの怪物…ビョーゲンズから地球を守るんだ」

 

「地球を守る…」

 

「そう、お前の中の好きなものや大切なもの。お前の手で守るんだよ!ひなた、お前なら出来る。てか、俺はお前と組みたい!」

 

「…うん、分かった」

 

返事を返すひなたの目は決まっていた。ニャトランの誘いに意を決して手に触れると、眩い光と同時にヒーリングステッキが現れる

 

「ひなた、この光のボトルをヒーリングステッキにセットするニャ!」

 

「OK!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

ヒーリングステッキとニャトランが一体となり、光のエレメントボトルをはめ込む

 

「エレメントレベル上昇ニャ!」

 

「「キュアタッチ!」」

 

『キュン!』

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

 

「いかん!2人が3人に増えた!」

 

「えぇ〜!めっちゃ可愛い!すご〜い!!」

 

自分の姿が変わった事にも驚き更に興奮する

 

金髪の猫耳型シニヨン付きツインテールであり、黄色のハートのティアラが着けている。コスチュームは、黄色の光マークの飾りをあしらったノースリーブのトップスで、二の腕にアームファーを着用。緑のフリルのついた、かぼちゃパンツを着用して、茶色のオーバーニーソックスと黄色のロリータパンプスを着用していた

 

「こうなったらメガビョーゲン行けぇ!」

 

「メガ!」

 

「来る!?」

 

「跳べ!」

 

ニャトランの指示の下で、スパークルはメガビョーゲンの攻撃を全て避けて建物の上へと着地する

 

「うわすご!」

 

「俺のパートナーこのまま行くぜ!」

 

「OK!」

 

素早い動きで、グレースとフォンテーヌを締め付けていたマフラーを破り、顔にも蹴りを入れて怯んだ隙に蓮花も足裏から脱出する

 

「大丈夫?」

 

「ありがとう!」

 

「このまま畳み掛ける!碧の賢帝!」

 

剣に波動を溜め得意の必殺技をぶつける

 

「賢帝解放!!」

 

「メガ!」

 

同じ様にバリアーを張り、碧の賢帝の波動を受け止めてそのまま跳ね返す

 

「碧の賢帝でもダメなのか…」

 

「任せて!」

 

「ぷにシールド!」

 

咄嗟にスパークルが蓮花を庇いぷにシールドで守り

 

「クッ…タァー!!」

 

返って来た攻撃を更に跳ね返すという荒技をやってのけた

 

「さぁ!一気に倒しちゃおう!!」

 

「倒すんじゃない!浄化するんだ!」

 

「浄化?どうやるの?」

 

「取り敢えず、肉球タッチするニャ!」

 

「OK!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

キュアスキャンでメガビョーゲンの中にいる光のエレメントを見つけ出す。

 

「えっ!なんか可愛いのいる!」

 

「あそこに捕まってるエレメントさんを助けるんだニャ!」

 

「あ〜そうゆう事!」

 

「デビュー戦このまま決めるぜ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!」

 

煌めく電撃を帯びた光のエネルギーが、光のエレメントを包み込む様に助け出した

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

「勝ったの?やったー!あたしすご〜い!イエイ!お疲れ〜!お疲れ〜!」

 

グレース、フォンテーヌ、蓮花と勝利のハイタッチを交わす

 

「随分と興奮してるね」

 

「いや〜テンション上がる!」

 

 

 

 

 

////////

 

聴診器でエレメントの声を聴くのだが

 

「俺の分はやっぱり無いんだね…」

 

「蓮花は予備のを使うラビ」

 

「ありがとう」

 

光のエレメントから力を分けて貰い、ラテも元通りに体調が良くなって一件落着

 

「プリキュア か〜!のどかっちもちゆちーも凄いね!蓮兄も決まってたよ!何か、戦うお医者さんって感じ!」

 

「お前もだぜひなた。これからも俺と一緒にお手当てしてくれるよな?」

 

「良いよ!だって皆んな困ってるんでしょ!」

 

ひなたの了承も得て、晴れてニャトランもコンビ結成

 

「これから宜しくね!」

 

「宜しく!のどかっち!ちゆちー!蓮兄!」

 

「フフッ!」

 

「これで全員揃った!」

 

その後、夕方になってしまったがひなたの友達と合流が出来た。

友達2人も遅れて来るのは想定内との事で、お咎め無しで終わりを迎える

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどかとラビリン、ちゆとペギタン、ひなたとニャトラン全員がお互いのパートナーを見つけて要約プリキュア 全員が揃った。

地球のお手当ての為、4人の奮闘劇はこれからだった




初期メンバーは揃った事で次回は振り返りです!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 テイク1 「うわっ!めっちゃNGテイクあるじゃん!?」

新しい試みです。只振り返るのもつまらないので、各1話からのNG集を作ってみました!

では!よ〜い…アクション!!


第0話「新天地♥すこやか市に到着!」より

 

すこやか市に車で向かうシーンから

 

 

 

 

 

「見えて来たわよ。いいよね、緑が町が沢山あってこの景色」

 

「そうだね」

 

「それに天文台まであるなんて!」

 

「えっ?天文台?母さん車止めて」

 

車止めて蓮花は町の方へ足を運ぶと

 

「おかしいな、天文台があるなんて聞いてないけど。…あっ、そこの君達ちょっといいかな」

 

蓮花は偶々通りかかった女の子2人組に話し掛けた

 

「この町ってすこやか市で合ってる?」

 

「いえ、ここは『観星町』です」

 

「観星町!?」

 

蓮花は、慌てて携帯の地図アプリを使って現在位置を確認すると

 

「本当だ…」

 

「あの、大丈夫ですか?」

 

「あ、あぁ。引き止めてごめんね。また縁が合ったら!」

 

蓮花は急いで母が待つ車へと走って行った

 

「さっきの方、大丈夫でしょうか…」

 

「きっと大丈夫ルン!それより早くロケットに戻って、皆んなでスタードーナッツ食べるルン!」

 

 

 

 

 

////////

 

第1話 「心にキュン♥花寺のどかと運命の出会い!!」より

 

ラテと初めて出会うシーンから

 

 

 

 

 

「先は長そうだな。ふぅ…」

 

パタリと手帳を閉じて一息つくと、足下に1匹の子犬が寄り添って

 

「ワフーン!」

 

来なかった

 

「え、あ!?ラテ!?」

 

「ら、ラテ〜!あれいない!?」

 

「あそこラビ!」

 

ラテは猛ダッシュで走り去って行った

 

尚、確保に10分程掛かった

 

 

 

 

 

////////

 

第2話 「2人でお手当て♥キュアグレースと碧の賢帝(シャルトス)」より

 

碧の賢帝を抜剣するシーンから

 

 

 

 

 

意識を体の内側にあるモノに集中させる

 

『我を呼べ…我を、召喚せよ…』

 

(本当はこんな得体の知れないのを使いたくなかった)

 

『生き延びる力を欲するなら』

 

(でも、みんなを救えるなら)

 

『我を、抜き…ゲホッ!ゲホッ!』

 

(は?)

 

『最近、ウイルスが充満してるから辛い…』

 

「カットです監督!!?」

 

 

 

テイク2

 

 

 

意識を体の内側にあるモノに集中させる

 

『我を呼べ…我を、召喚せよ…』

 

(本当はこんな得体の知れないのを使いたくなかった)

 

『生き延びる力を欲する「ピンポーン♪」あ、宅配便だ』

 

「宅配便!?貴方は一体何処で声を当ててるの!?」

 

『母さん、今日のご飯は何?』

 

「自宅だ!自宅で撮影してるよ!」

 

 

 

 

 

////////

 

第3話 「踏み出す勇気♥キュアフォンテーヌ誕生!」より

 

のどかが蓮花の家に入るシーンから

 

 

 

 

 

「蓮花さんの家は……ここかな?」

 

のどかは蓮花の家の前に来ていた。ラテも抱き抱えて、ラビリン達もカバンに埋め込まれていた

 

「…あれ?」

 

「出ないラビ」

 

インターホンを押すも蓮花は玄関から出て来ない

 

ガチャガチャ

 

「のどか?」

 

「開かないよ〜鍵が掛かってる!」

 

本来なら開く扉が開かないのであたふたする

 

「蓮花さ〜ん!入れて下さい!」

 

 

 

 

 

////////

 

第4話「可愛く大変身♥キュアスパークル見参!」より

 

外でジュースを飲むシーンから

 

 

 

 

 

「〜♪」

 

「あの〜蓮花さん?」

 

「〜♪」

 

「蒼咲さん」

 

ジュースが美味しく、飲むのに夢中でのどかとちゆの声が聞こえて無かった

 

「蓮兄!!」

 

「ブッ!ゲボッゲボッ!…ど、どうしたの!?」

 

「蓮兄台詞忘れてるよ」

 

「俺からだった?」

 

台本をチェックしてやっと気付いた

 

「すまない!もう一度頼むよ!」




5話分投稿したらNG集を出すつもりでいます。楽しまれたら幸いです!
次回はオリストを挟みます

ここまでの拝読ありがとうございました!



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第5話 断罪の剣!紅の暴君(キルスレス)の伐剣者!!

話の都合上、出さざる終えなかった紅の暴君!

本編スタートです


「ハァ…ハァ…ハァ……」

 

ひなたとニャトランのコンビ結成の日の夜、蓮花は自分自信も力を付けるためにまず、体力強化を図ることにした

 

自宅からハートの形が目立つ高台まで、夜のランニングをしていた

 

「へぇ〜、ここからの夜景はまた一段と綺麗だ」

 

夜景を堪能した後は、その場で軽くストレッチを始める

 

(これでプリキュア は3人揃った。後は──)

「俺も剣の力を高めなくちゃ」

 

訳も無く碧の賢帝(シャルトス)を喚び出す

 

(それにしても何で俺が選ばれたんだろう?)

 

『それは、お前が適格者だったから』

 

予想もしなかった。突然碧の賢帝から声が聞こえる

 

『我が力の源は、精神(こころ)

 

『精神の強さを具現して刃と為すのが、我が能力なり…』

 

「それはどういう意味?」

 

『強き精神と、強き想い。このふたつを備えぬ者我を用いる、資格無し』

 

蓮花の声に碧の賢帝は答えてくれる。なので少し質問をする事にした

 

「だけど、俺はその時小さな子供だった。とても、その資格に取るに足る人物だったとは思えない。父さんの方がよっぽど強い精神の持ち主」

 

『だが、それだけでは継承には至れぬ』

 

「えっ?」

 

『完全なる継承を果たして、初めて我は本来の姿となる。波長、輝き、カタチ、全てを満たす可能性を持つ者……故に「適格者」なり』

 

(凄い、父さんが調べた通りだ!)

 

一度剣を納めて抜剣状態を解くが

 

『継承せよ…全てを…』

 

「なっ!?」

 

碧の賢帝が強引に抜剣しようとする

 

『ひとつに…』

 

(もういい!引っ込め!引っ込むんだ!)

 

何とか碧の賢帝を出さずに済んだ

 

「何で勝手に出てこようとする?」

 

そう思ってると、後ろから手を叩く音が聴こえた

 

(人!?まさか見られた?)

 

「張り切ってるな。隣いいか?」

 

「う、うん。君は誰かな?」

 

「鬼麿紅牙」

 

「俺は蒼咲蓮花」

(良かった、この様子だと見られてはなかったね)

 

「フッ…」

 

遂に紅牙は一般人として蓮花と接触した。当然、紅牙がビョーゲンズの仲間だという事は、蓮花は全く知らない。

その事もあり、堂々と話し始める

 

「こんな時間に運動なんて、何かスポーツでもしてるのか?」

 

「スポーツ…では無いけど体力は付けなければと思ってね」

 

「そうだな、最近は怪物騒ぎもあるからな」

 

(その騒ぎの中心人物が、目の前にいるなんてとても言えないな…)

 

「スポーツで無いなら何で体力を?」

 

「こ、考古学者を目指してるから、その時に備えての体力作り…かな?」

 

「考古学者って事は何かを調べるって事だよな?例えば……魔剣、とか?」

 

紅牙が口にした単語に大きく反応する

 

「何で…魔剣の事を?」

 

「お前も調べてるとは。実は俺も調べてる」

 

「そうなんだ!ねぇ、どこまで知ってるか教えて貰っても構わないかな?」

 

「構わないぜ」

 

結構な無茶なお願いに、あっさりと返事を貰えたので更に浮き足立つ

 

「魔剣が所有者の精神とリンクしてるのは知ってるか?」

 

「一応」

 

「…魔剣を手にした奴は、力をフルに引き出す為に精神と一体となるんだ」

 

蓮花は手帳にその事を書き込み始める

 

「だけどな、そいつの精神状態によっては剣の力は大きく左右する事になる。強い精神を持つ程力は強大化して、逆に弱い精神なら剣は本来の力より更に弱くなる」

 

(精神の強さが具現って言っていたもんな。やっぱり弱くなる事もあるのか)

「それにしても良くここまで調べたね。今ので数年ぶりの情報だよ。どこで知った情報?」

 

「それはだな」

 

紅牙が近付き、蓮花の腹に手をやると

 

「俺も適格者だからだよ!!」

 

拳を握り、腹に強烈な一撃を蓮花に与えた

不意を突かれ踏ん張る事も出来ずに、大きく後ろへ飛ぶ

 

「うがぁ…な、何するんだ…!」

 

「俺は鬼麿紅牙。お前と同じ適格者であり、ビョーゲンズと手を組んでいる」

 

「適格者…ビョーゲンズ!」

 

「俺達の目的は3本の魔剣の回収。お前の魔剣を寄越せ」

 

「この…!」

 

蓮花は右手を高く掲げて喚び出す

 

「待ってた!」

 

紅牙も右手を掲げる

 

「「抜剣!!」」

 

「来い!碧の賢帝!!」

 

蓮花から碧の光の柱は立つ。そして紅牙からも光の柱が立つが、それは目を見張るものだった

 

「紅い…まるで血の色だ」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!!」

 

碧の賢帝同様に、紅牙は喚び出された剣を握る。その剣は、装飾は少なく至ってシンプルな両刃剣

 

紅の暴君を掴むと抜剣者特有の姿へと変貌した。その姿は、抜剣覚醒した蓮花と殆ど変わらなかった

 

掴む右手は血の様に真っ赤に染まっており、同化し、赤のラインが入っており腕と背中にも光の輪がある。瞳も同様に赤く、髪の長さは変わらないが、色が赤から白へと変色している

 

「同じ姿…」

 

「そう、同じ姿で同じ魔剣。魔剣だって反応してる」

 

碧の賢帝に目を移すと、カタカタと震えて何か反応をしていた

 

「もう一度と言うぞ、剣を渡せ」

 

「悪いけど、この力を手放すつもりは無い!」

 

「…継承した者を殺さない限り、剣は活動を停止しない。それなら殺して奪うまで───覚悟がいいか?」

 

「碧の賢帝!」

 

碧と紅の剣がぶつかり合う

 

「君、どこからどう見ても人間だろ?何でビョーゲンズ何かに!?」

 

「ビョーゲンズなんか関係無い!最強の適格者は俺だと証明するだけだ!」

 

碧の賢帝を振り払い蓮花の腹に蹴りを食らわせて距離が開く

 

「この人強い!」

 

蓮花は更に山奥へと走り出した

 

「クヒヒ!逃すかァ!」

 

 

 

 

 

「クチュン!」

 

「ラテ!?」

 

「この症状はビョーゲンズラビ!」

 

「急いで3人に伝えないと!」

 

 

 

 

 

「覚醒しろ!ナノビョーゲン!」

 

蓮花を追いかける最中に、土のエレメントを使ってメガビョーゲンを作り出した

 

「メガビョーゲン!」

 

「メガビョーゲンまで!?」

 

「クヒヒ…あはははははっ!」

 

狂った様に笑い、紅牙は木々をなぎ払いながらメガビョーゲンと共に追い掛ける

 

(2人相手は分が悪い。撹乱して分断する!)

 

蓮花は木々を足場にして、森の中を縦横無尽に動き回る

 

「そこだ!!」

 

「クヒッ!」

 

「…ッ!?」

 

上から叩きつける様に切り込むも、簡単にそれを紅の暴君で受け止められた。

地面と一体となっているメガビョーゲンが、蓮花を掴んで大きく振りかぶり投げ捨てる

 

「オラァァ!!」

 

受け身の取れないまま、紅の暴君の斬撃が蓮花を襲う

 

「ハッ!…クッ!」

 

投げられるも、空中で体勢を整えて上手く地形を活かして斬撃を全て交わす

 

「全部防ぐなんてやるなぁ」

 

「分断が駄目なら必殺の一撃で」

 

木の影に隠れて好機を待つ事にした。隙を突いて至近距離で碧の賢帝をぶつける

 

「おい何処にいる!俺と戦え!!」

 

紅牙の声は虚しくも森の中に響き渡るだけで、返事は返って来なかった

 

「見つけろメガビョーゲン」

 

土の中に潜ってメガビョーゲンは蓮花を探し始めた。その様子を息を潜めて蓮花は見ていた

 

(よし、1人になった今がチャンス!)

 

そう思い一歩踏み出すと

 

「メガ!」

 

足下からメガビョーゲンの手が出て来て足を掴んだ

 

「何で居場所が!?離…!?」

 

容赦無く蓮花を振り回して木や地面へと叩き付ける

 

「地面に潜る事で、踏み出す足音で探知して捕まえる。良く出来たメガビョーゲンだろ?」

 

「負けるか!」

 

メガビョーゲンの手を切り脱出し、即座に剣にエネルギーを溜める

 

「賢帝解放!」

 

理想とはいかなかったが、至近距離での攻撃にメガビョーゲンは大きくダメージを負った

 

「まさか、それで本当にメガビョーゲンを倒したつもりか?」

 

その言葉に反応するかの様に、メガビョーゲンが再び体を大きく見せて立ち塞がる

 

「メガビョーゲンを浄化出来るのはプリキュア だけだ。魔剣ではダメージは与えれても、浄化をする事など不可能」

 

「そんな…」

 

「メガビョーゲン、お前は森でも病気にでもしてろ。…さてと、こっちもそろそろケリをつけようぜ!」

 

紅の暴君に力が一気に高まるのが分かった。想像以上の力の前に、一歩下がってしまった。そしてそれが命取りとなった

 

「ヒヒヒヒッ!」

 

紅の暴君を持つ右手の光の輪が、蓮花を捕らえる為に消えて蓮花の足下から出現し体を拘束した

 

「覚醒剣!」

 

「諦めるか!」

 

剣に禍々しいオーラを纏わせながら突っ込んで来るに対して、碧の賢帝でなんとか防御しようと抵抗する

 

「無駄だ!暴君蹂躙!!」

 

破壊の一撃は蓮花の体を大きく切り裂いた

 

「ぐわっ!!…うぐぅ…」

 

「あぁ?」

 

斬撃で大きく吹き飛ぶが紅牙は違和感を感じた。切り裂いた筈なのに血は殆ど出ずに手応えも無い。よく見ると、碧の賢帝が蓮花の体に被る様に攻撃から守っていた

 

「まだ抗うのか?」

 

「俺はまだ死ねない!」

 

「だったら死ぬまで蹂躙してやる!!」

 

 

 

 

 

////////

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

その頃のどか達は、プリキュア に変身して二手に別れたメガビョーゲンを浄化していた

 

「蓮花の姿が見えないラビ」

 

「この荒れよう…もしかしたら何かあったのかも」

 

「ラテはわたしに任せて!2人は蓮花さんをお願い!」

 

「分かったわ!」

 

「行くよフォンテーヌ!」

 

グレースはラテを、フォンテーヌとスパークルは蓮花を探しに別れた

 

荒れる森の中を辿る様に2人は奥へ進んで行く

 

「蓮兄ぃ〜!何処にいるの〜!」

 

「蒼咲さ〜ん!返事をして下さい!

 

名前を呼びながら進むと広い場所に出て来た。そして蓮花の姿も発見した

 

「蒼咲…さん……」

 

「嘘…」

 

発見するもそれは悲惨な姿になっていた。体中傷だらけで服も血で赤く染まっていた

 

「2人共…」

 

「メガビョーゲンにやられたの!?」

 

「メガビョーゲンでこんな傷はつかないニャ」

 

「じゃあ一体誰が…」

 

「俺だよ」

 

フォンテーヌ達の前に紅牙が姿を見せた

 

「蒼咲さんと同じ抜剣者…?」

 

「何言ってる?コイツと俺とでは全然違う」

 

「違う?」

 

「俺は抜剣者より強い存在『伐剣者』だ」

 

伐剣者───紅の暴君を持つ者を意とする呼び名。抜剣者を超える程の能力と極限まで高まった力を有してる

 

「2人共逃げるんだ…!」

 

「何言ってるの!蓮兄を置いて逃げるなんて出来ない!!」

 

「わたしもよ!」

 

「なら仲良く蹂躙してやる!!」

 

「どけぇ!!」

 

フォンテーヌとスパークルを強引に退かして紅の暴君の剣を受け止める

 

「もっと力を入れたらどうだ!!」

 

「くっ…うわああ!!」

 

傷だらけの体に気合いの鞭を打って跳ね除ける

 

「クヒヒヒッ!ヒヒッ!もっと!!」

 

着地と同時に紅の暴君の斬撃

 

「早…く…!!」

 

斬撃を防ごうとするも体中の傷が少し開き、蓮花の動きを鈍らせる

 

「蓮花さん!」

 

「ぷにシールド!」

 

後ろからグレースが飛び出して、ぷにシールドで斬撃を防御する

 

「凄い力ラビ!」

 

「それでも!ハァァ!!」

 

斬撃を押し返して紅牙へと跳ね返す

 

「やるなぁ」

 

「グレース…早く逃げる…よ!」

 

紅牙がこちらに向かい歩いて来るが、グレースとスパークルに肩を支えて貰いながらその場を離れようとする

 

「あははっ!逃げろ逃げろ!だが、逃がさない!」

 

「わたしが時間を稼ぐから2人は蒼咲さんを!」

 

「「うん!」」

 

フォンテーヌ1人が紅牙に立ち向かおうとするのを、蓮花が掴まえて引き止める

 

「蒼咲さん?」

 

「行っては駄目だ!」

 

「だけど!」

 

「お喋りはそこまでだ!」

 

連続で振るう紅の暴君の斬撃。だが蓮花は、3人の前に出て碧の賢帝で結界を張り守る

 

「なんて猛攻…だけど防げない訳でも無い!」

 

「蒼咲さん!」

 

「もう無理だ!俺を置いて行くんだ!」

 

「それだけは絶対出来ません!!」

 

「この!分からず…や……!?」

 

その時、蓮花の言葉を遮る様に赤い水が飛び散った

 

「がふっ……」

 

それは血飛沫だ。結界の外から紅の暴君が蓮花の腹部を貫いたのだ。突然の事に、全員が何が起きたかの状況も分からず唖然とする

 

「随分と手こずらさせやがって。まぁ、これで1人死んだ…と」

 

剣を引き抜くと蓮花は力無くフォンテーヌに体を預ける様に倒れ、碧の賢帝を落とし抜剣状態が解ける

 

「あ…蒼咲さん?」

 

「碧の賢帝は貰って行く」

 

碧の賢帝を拾いその場を去ろうとするが

 

「待ちなさい…」

 

「何だ?フォンテーヌって言ったか?仇討ちでもするか?アハッ!」

 

「お、落ち着くペエ!」

 

パートナーであるペギタンの声も届かず、フォンテーヌは走り出した。

ステッキと剣が鍔迫り合う。だがそれも、呆気なくステッキを弾き飛ばされて、無防備な状態になり首を掴まえ締め上げる

 

「あ…!」

 

「「「フォンテーヌ!」」」

 

「お前にとって奴は何だ?仲良しこよしの友達か?ビョーゲンズと戦う仲間か?それとも大切な存在の……恋人か?」

 

(く、苦しい…!)

 

首を掴む手を必死に剥がそうともがくも、抜剣覚醒の状態の紅牙に力で勝つなど不可能

 

「ごふっ…ちゆ…」

 

吐血して目を覚ますが意識は朦朧としてる。死に抗い、生を掴もうとする

 

(また、あの時と同じ…)

 

傷付く彼女を守る為に更に欲する

 

(欲しい…力が)

 

『全てを…継承せよ…!』

 

「欲しい…大切な人を守る、力が!大切な!彼女を守る力が!!」

 

その応えに呼応して紅牙が持つ碧の賢帝が光り輝く。そして剣は蓮花の元へと戻り覚醒する

 

「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 

抜剣覚醒すると同時に紅牙に斬りかかる

 

「何!?」

 

流石の不意打ちに驚きフォンテーヌを掴む手を離す。無事、フォンテーヌもお姫様抱っこで救い出した

 

「ゲホッ…蒼咲さん?」

 

「もうこれ以上誰かが傷付くのは見たくない!ちゆは俺が守る!!」

 

先程までの覚醒より、力を増してる事に紅牙は少し苛ついていた

 

「魔剣の力を更に引き出した…。笑えねぇ」

 

それだけ言い残して去って行く

 

「蒼咲さん…あの」

 

「ちゆ…良かっ、た…」

 

笑顔で語り掛けると糸が切れた人形の様に崩れ落ちる。抜剣状態も解け、無理に動いた為に血が止めどなく流れる

 

「蒼咲さん?蒼咲さん!蒼咲さん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄れゆく意識の中、何度も何度も自分の名前を呼ぶ声が聞こえて心地良く目を閉じた




一気にパワーバランスが崩れましたよ。

後、ちゆかひなたのどちらかを目立たせようと悩んだ挙句、ちゆに決まった!ヒロイン未定となると、それなりに全員と絡ませなければならないからね

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第6話 ギクシャクな2人♥絆深める水族館

ここ最近、他ユーザと通話しながら充実に過ごしてる

本編をどうぞ~!


あの夜の戦いの後、血達磨になった蓮花を急いで病院に運んだ。重症だったとはいえ、命に別条か無く無事で済んだ。だが、未だに目を覚ましてはいない。

のどか達は毎日、蓮花のお見舞いに行き1週間が過ぎた

 

そして今日はひなた1人で蓮花の様子を見に来た

 

「蓮兄会いに来たよ~…っていない」

 

「どうやら目を覚ましたようだな」

 

「ひなたにニャトラン!こんにちは」

 

病室にいないと思いきや、背後から現れて挨拶をしてくれた

 

「蓮兄!体はもう大丈夫なの?」

 

「大丈夫。驚異的な速さで傷も治ったって言われた。多分、剣が原因だろう」

 

「良かった~。皆んなめっちゃ心配したんだよ!」

 

「ごめんな。でも、心配で言うとひなたも心配」

 

その言葉に首を傾げる

 

「落ち込んでいるのが顔を見れば分かるよ」

 

「顔に出てた!?」

 

「何か悩みがあるなら言ってごらん。口に出すだけでも楽になるよ」

 

「実は────」

 

ひなたはちゆに対する気持ちを蓮花に打ち明けた。

それは「自分に怒っている」「プリキュアを辞めた方がいい」と感じてしまう程に悩んでいた

 

「何でそう思うの?」

 

「あたし物覚え悪いし、おっちょこちょいだし、このままだと迷惑掛けちゃうなって…」

 

「そんな事は無いよ。誰にだって苦手な事はあるから」

 

「蓮兄にも苦手な事があるの?」

 

「それはね……」

 

だが、よくよく考えてみると蓮花の苦手な事は殆ど無かった。成績もよければ、運動神経もそれなりに良い方なのだ。

無言になる蓮花を見て更に意気消沈してしまう

 

「だ、大丈夫だよ!ひなたはまだ若いから!」

 

「う~…」

 

「分かった。今度2人だけで出掛けよう!」

 

「何でそうなる?」

 

「蓮兄約束だよ!」

 

「ひなた切り替え早!それでいいのか?」

 

何とか元気づける事に成功した……のか?

面談の終了時間も近付いて、ひなたとの話を終わらせて帰って行った

 

「少し保険をかけとくか」

 

蓮花はスマホを取り出して、とある人物に電話をする

 

「もしもし、花寺さんのお宅で宜しいでしょうか?」

 

 

 

 

 

////////

 

「おはよう!」

 

「おはよう」

 

「お、おはよう」

 

のどか達は水族館へ来ていた

 

「全員揃ったわね」

 

「待ってちゆちゃん、もう少ししたら…あっ!こっちですよ~!」

 

のどかが待っていたのは

 

「「蒼咲さん!?(蓮兄!?)」」

 

「遅れてすまない」

 

「いえいえ、わたし達も今来たばかりですので」

 

「何でいるの!?」

 

「入院中の筈では?」

 

当然と言えば当然の反応だ。のどかだけが事情を知っているので説明する

 

「蓮花さんに水族館に誘ってもらって」

 

「その日に合わせて退院したんだよ」

 

「怪我は大丈夫なんですか?」

 

「ちゃんと治ってるよ。心配させてごめんな」

 

「わたしの方こそ、あの時勝手な事せずにいうこと聞いていたら…」

 

俯くちゆに優しく頭を撫でてあげた

 

「今日は盛大に楽しもう!」

 

「はい!最初は何処に行く?」

 

「あっ!あたしイルカ……ううん、ちゆちーの行きたい所に行こう!」

 

「わたしは何処でもいいわよ」

 

ちゆの返答に何故かひなたが困った様子でこちらを見ていた。

その様子に、蓮花とのどかは察して

 

「じゃあね、わたしイルカ見たい!」

 

「そうだな。ショーももう少しで始まるし。ラテも構わない?」

 

「ワン!」

 

イルカショーを見に行く事にした

 

ショーはとても楽しく見れてひなたも大満足だった

 

「面白かった~!あたし、イルカ見たかったんだよね~!」

 

「そうなの?だったら、最初に言ってくれたら良かったのに」

 

「えっ…まぁ、そうなんだけどさ~…」

 

「ひなたも意外と気を使うのね」

 

何か思ったのか足を止めて無言になってしまう

 

「ひなた?」

 

「っ!大丈夫大丈夫!次行こう!」

 

「大丈夫かな…」

 

ひなたの後ろ姿に心配をしつつも、次の場所へ移動する。次はクラゲだ

 

「意外とめっちゃ可愛い!」

 

「そうね、夢みたい」

 

「ちゆちー、何か教室にいる時と感じが違うね」

 

「わたし、そんないつも怒ってる?」

 

「じゃなくて、何か雰囲気柔らかいっていうか」

 

いつもと違うちゆの姿を見て距離が縮まったと感じて更に

 

「あわわ…あわ~!」

 

「プッ…!フフフフ…あわわって…泡見てあわわ…ンフフフッ!」

 

わざとでは無いにしろ、ひなたのダジャレがちゆを笑わせた。更に調子に乗ったひなたは、連発でダジャレを言いちゆを笑い苦しめる

 

「何が起きてるラビ?」

 

「これ面白いかペギタン…ニャニャ!あいつ何処行った!?」

 

ペギタンに声掛けるも、そこには姿が無かった

 

そこからが大変だった。心当たりがある場所を探すも広い水族館。簡単には見つからなかった

 

そして不運は重なる

 

「クチュンッ…!」

 

「ラテ!」

 

「こんな時にビョーゲンズかよ!」

 

「早く何処かで診察ラビ!」

 

場所変えて診察をすると

 

『ここの泡が泣いてるラテ…』

 

「急いでメガビョーゲンを探しましょう!被害が大きくなる前に!」

 

「待ってよ!ペギタンを見つけるのが先でしょ!」

 

ここで意見の食い違いが発生した。ちゆはメガビョーゲン、ひなたはペギタンと意見が割れる

 

「でも!」

 

「ペギタンだってちゆちーの事探してるよ!」

 

「メガビョーゲンだってほっとけない!」

 

「どっちも探そう!」

 

のどかが2人の会話に入り提案する

 

「ペギタンはわたし達の大事なお友達だし、それにメガビョーゲンを見つけてもペギタンがいないと、ちゆちゃんプリキュアになれないでしょ」

 

「「…」」

 

「ねっ!早く見つけてお手当しよ!」

 

のどかが上手い事まとめた。どっちも大切な事だからこそお互いに必死になる。だから同時に探す事にした

 

「分かったわ」

 

「行こちゆちー!」

 

ひなたがちゆの手を引いて2人で走って行った

 

「わたし達も行きましょう!」

 

「良し!」

 

こうして二手に別れて探すのだった

 

「さっきはありがとう。2人をまとめて」

 

「わたしにとって、どっちも大切な事ですから」

 

「頼りにしてるよ」

 

 

 

 

 

////////

 

「あれはメガビョーゲン!」

 

蓮花達が見た光景は、ちゆとひなたがシンドイーネが取っ組み合いになっている光景だった

 

「「2人共上!!」」

 

「「えっ?」」

 

見上げるとペギタンが宙に投げ出されていた

 

「のどか!」

 

「は、はい!アイタ!」

 

キャッチしようものどかでは捕まえれずに頭に当たり、その反動で跳ねたところをちゆが滑り込みで見事にキャッチした

 

「にしても危なかったね」

 

「のどかっちナイス!」

 

「えへへ!」

 

ペギタンを取り返した事に喜ぶが、ちゆだけは無言で立ち上がり

 

「皆んな…お手当するわよ!」

 

「「「は、はい!」」」

 

ちゆの怒りの発言で3人は怯えつつも返事して変身の準備をする

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

「小賢しい!」

 

「えっ?小賢しいってどういう意味?」

 

「メガ!」

 

戦闘中にもかかわらず、シンドイーネの言った言葉の意味に疑問を持つ。その隙を突いて来るも巧みに避けて、フォンテーヌが弾き返す。ついでにスパークルに言葉の意味を説明する

 

「生意気って意味よ!」

 

「えっ、めっちゃ失礼じゃん!」

 

「2人共集中!来るよ!」

 

メガビョーゲンから吐き出される攻撃。しかしグレースがぷにシールドで防ぐ

 

「蓮花さん!」

 

「お料理の時間だ」

 

メガビョーゲンの懐に潜り込み剣の柄の部分で打ち上げる

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

キュアスキャンで泡のエレメントを見つけ出した

 

「フォンテーヌお願い!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングストリーム!」

 

螺旋回転する水流がメガビョーゲンを貫き浄化した

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

////////

 

お手当した後も、ちゆはひなたの軽率な行動に説教していた

 

「ひなたちゃんと聞いてる?今日は偶々上手くいいようなものの、これからはああいう無茶は慎んでよね!分かった!」

 

「これから?」

 

「うん!これからも4人で一緒に頑張ろうね!」

 

「それじゃ、帰ろっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

共にお手当する仲間、そして友達として絆が更に深まった1日だった




う~ん。頑張りはしたが、もっと書ける気がする

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第7話 ひなたとの約束♥2人でウキウキなお出掛け

ひなただよ!

本編をどうぞです!


いつもなら、書斎に篭って勉強か魔剣について調べるの2択だった。でもここ最近は、平光アニマルクリニック併設のカフェで至福のひと時を過ごすのが当たり前になっていた

 

「ここのジュースは美味しいです」

 

「毎度ありがとうね〜」

 

子供の様にウキウキと飲んでると、学校から帰って来たばかりのひなたが声を掛けた

 

「蓮兄じゃん!」

 

「ひなたお帰り」

 

「のどかっちから聞いたんだけど、家から殆ど出ないって聞いたけどどうしたの?」

 

「ここのカフェは最高と言えば分かるかな?」

 

「うんうん!あっ、蓮兄今度の土曜日って暇?」

 

「暇だけど…前の約束かな?」」

 

「そう!あたしと出掛けよう!」

 

そんな訳で、土曜の休日にひなたとお出掛けの約束をした

 

 

 

 

 

////////

 

そして土曜日

 

「蓮花さん今日いるかな?」

 

「のどか最近、蓮花の家に頻繁に行く様になったラビ」

 

「えっ!そ、そうかな〜」

 

のどかは特に用も無く蓮花に会いに行く

 

そして少し離れた向かいからは

 

「助けて貰ったお礼を改めて言わないと」

 

「見えて来たペエ」

 

ちゆは蓮花に少し前に助けて貰った事をお礼する為に会いに行く

 

そして

 

「「あっ」」

 

同じタイミングで2人が家の前で出会した

 

「偶然ね。のどかはどうして此処へ?」

 

「蓮花さんに会いたいな〜と思って。ちゆちゃんこそどうして?」

 

「わたしは、助けて貰った時のお礼を」

 

「「……」」

 

2人して家の前で立ち尽くしてると、遠くから声が聞こえて来た

 

「やばいやばい!遅刻だー!!」

 

声の主はひなただった。ひなたは、玄関前に走ってインターホンを鳴らす。

のどか達はと言うと

 

((お、思わず隠れちゃった…))

 

何故か咄嗟に身を潜めていた

 

「何で隠れるラビ?」

 

「「さ、さぁ?」」

 

「蓮花が出て来たペエ」

 

体を隠して頭だけで様子を確認すると、蓮花とひなたが楽しそうに話す所を目撃した

 

「約束でもしてたのかしら?」

 

「移動するよ」

 

話してる間にも蓮花とひなたは移動して行った

 

「追い掛けましょう」

 

「追い掛けるの!?」

 

 

 

 

 

「どうしよう!財布をまた忘れてちゃった!!」

 

「財布忘れたの?」

 

バスに乗る直前にひなたが財布を忘れた事に気が付いた。モタモタしてるとバスは行ってしまうので

 

「お金は俺が出すから行こう!」

 

「えっ、悪いよそんな」

 

「いいからいいから!」

 

手を引いてバスに駆け込んだ

 

発進して、行く先はゆめポート

 

「蓮兄本当にごめん!後でお金は返すよ!」

 

「気にしないで良いよ。遠慮なく言って」

 

「う〜!蓮兄大好き!!」

 

 

 

「ひなたちゃん、蓮花さんとあんなに引っ付いてる」

 

「もう少し様子を見ましょう」

 

 

 

「へぇ〜、タピオカね」

 

「蓮兄飲んだ事無いの?」

 

「最近の流行がよく分からないからね」

 

「それならあたしが沢山教える!ついて来て!」

 

ひなたが蓮花をエスコートしながら色々と駆け回った

 

特に服に関しては熱が入っていた

 

「蓮兄なら絶対似合うよ!」

 

「ふ、服か。あまり意識した事無いから似合うかどうかイマイチ…」

 

「それならあたしが見繕って上げる!」

 

 

 

「相変わらず、ひなたって強引ね。蒼咲さんが困ってる」

 

「それがひなたちゃんの良い所でもあるけど」

 

 

 

「蓮兄はもっと自分を磨いた方がいいよ!素材は完璧なんだから。これ着てみて」

 

「褒めてくれるのは嬉しいけど、自分自身そう言われるのは苦手なんだよ。ありがとう」

 

あれやこれやの試着して数十分。何着か服を買ってその場を後にした

 

「ひなたはセンスがいいな。今度から服を買う時は頼もうかな」

 

「いいよ!蓮兄を一番理解してる自信結構あるよ!」

 

「大きくでたな」

 

「にひひ!」

 

「次は…」

 

蓮花が次の行き先を考えてると、ひなたの方から腹の虫が聴こえて来た

 

「あはは…」

 

「何か食べるか。ひなた、あそこでいいか?」

 

蓮花が見つけたのは喫茶店。そこで軽く食べる事にした

 

「さてと、何食べるか」

 

「はいはい!ミックスベリーが食べたい!」

 

「俺は……バナナショコラで」

 

此処でも、少し離れた席でのどかとちゆは2人の様子を見ていた

 

「少しは遠慮はしなさいよ!」

 

「まぁまぁ」

 

「のどか、私も何か食べていいラビ?」

 

「いいよ!」

 

 

 

「う〜ん!美味しい!」

 

「それは良かったよ。ところで、今日はニャトランを見掛けてないけど…」

 

「俺なら此処にいるぜ!」

 

ぴょこんとひなたのフードの中から顔を出していた

 

「2人の邪魔をしちゃ悪いって思って出なかったんだよ」

 

「別にいいのに」

 

「蓮兄!蓮兄のも食べたい!」

 

「いいよ。はい」

 

差し出されたスプーンに、ひなたは何の抵抗も無く口に入れる

 

「美味しい〜!はい、蓮兄お返しだよ!」

 

「頂きます」

 

蓮花も蓮花でひなたのスプーンを口へと運んで行く

 

「お前らよくそんな恥ずかしい事出来るな」

 

「そう言われると…なんか恥ずかしくなって来た〜」

 

顔を赤らめさせ、自分がした事に恥ずかしさを覚えた

 

「ねぇ蓮兄。蓮兄って……好きな人っている?」

 

「いないけど」

 

「ふ〜ん。そうなんだ〜」

 

「逆にひなたは?」

 

「あ、あたし!?あたしは今はいないよ!」

 

「今はなんだ」

 

「あー!今からかった!」

 

そんな冗談混じりの会話中に、何処からか爆発音が聞こえて来た

 

「何!?」

 

「行ってみよう!」

 

 

 

 

 

////////

 

「メガビョーゲン!」

 

音の聞こえる方で紅牙とメガビョーゲンが暴れていた

 

「随分と速い到着だな!おい!」

 

「紅牙」

 

「この前の続きと行こうじゃないか」

 

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

血の様に赤い剣が2人に向けられる

 

「蓮兄行くよ!」

 

「ああ!」

 

「わたし達も!」

 

隠れていたのどか達も避けられぬ事態に飛び出る

 

「のどかっち!?ちゆちー!?何で2人が此処にいるの!?」

 

「それは後!変身するよ!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

「俺が紅牙を引き付ける!皆んなはメガビョーゲンを!」

 

「蓮兄気を付けてね!」

 

「そっちも頑張れ!」

 

グレース達と一旦離れ、今度こそ抜剣者同士の一騎討ちとなる

 

「この前俺に倒されたのを覚えて無いのか?」

 

「それでも、やらなきゃいけない」

 

「クヒヒッ!じゃあ死ね!」

 

「ハァッ!」

 

飛び出す紅牙を受け止め、その衝撃で地面を抉りながら後退する

 

「魔剣の強さは精神(こころ)!今の俺は、皆んなの想いでいっぱいだ!負ける訳にはいかない!」

 

鍔迫り合いも一瞬。気合いで紅牙を跳ね除け、碧の賢帝にエネルギーを溜める

 

「勝負!」

 

「面白い!」

 

紅牙も紅の暴君にエネルギーを溜め始め

 

「「覚醒剣!」」

 

「賢帝解放!」

 

「暴君蹂躙!」

 

直接剣で斬りかかり、凄まじいエネルギーが激突する

 

「碧の賢帝!」

 

「ぐう!」

 

碧の賢帝が紅の暴君に力でギリギリのところで勝った

 

更に追い討ちを掛けるように、蓮花の後ろからスパークルは現れる

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!」

 

「がああぁぁ!!」

 

電撃のエネルギーが紅牙を呑み込んだ

 

「糞ったれ!!」

 

何とか耐えたものの大ダメージを受けてしまってる

 

「スパークル、メガビョーゲンは?」

 

「バッチし!お手当て完了だよ!」

 

「みたいだよ。どうする?」

 

「今度はぶっ潰す!!」

 

そう吐き捨てて紅牙は立ち去って行った

 

 

 

 

 

////////

 

「大事になる前で良かった〜」

 

「そうね」

 

「ねぇ、何で2人が此処に居るの?」

 

ひなたの言葉に、のどかとちゆはビクッと反応する

 

「た、偶々よ!偶々!」

 

「おおお手当ても済んだし早く帰ろう!」

 

「怪しい…。でもいっか!じゃあ、あたし達はまだ残るから!」

 

ひなたは蓮花の腕を絡ませて、2人に手を振り歩いて行く

 

「待って!やっぱりわたし達も行くわ!」

 

「蓮花さん!ひなたちゃん!置いてかないで〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やれやれと思いながら、自分達のパートナーの背中を見つめる妖精達であった




やばいよ!のどかとの絡みがめっちゃ少ない!!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第8話 ラテを追い掛け三千里♥始まる伐剣者の兆し

色んな小説書いてたら1週間経ってしまった!
申し訳ございません!

では本編スタートです!


「こんにちは~」

 

「蓮花待ってたラビ!」

 

今日は花寺家にお邪魔させて頂いてる。昨日、のどかから電話があってラビリンと一緒にラテのお世話をして欲しいとの事だ。たけしさんは建築家、やすこさんは今日から運転業者の仕事を再開するので、信頼されてる蓮花に一任された。

 

「動物のお世話は初めてだ。ラビリンに頼る事が多いかもしれないが大丈夫?」

 

「任せるラビ!」

 

2人で話していたら、ラテが家の中を歩き回ってた。のどかの母親である、やすこさんを探してるようだ

 

「ラテ、のどかの母さんは仕事で出掛けてるから此処にはいないよ」

 

「帰りは夕方って聞いたラビ。ラビリン達とお留守番するラビ!」

 

「ワン…」

 

 

 

 

 

////////

 

「蓮花さん、今日もよろしくお願いします」

 

「皆さんも頑張って下さい」

 

次の日も、花寺家でお留守番。今回は、ペギタンとニャトランも一緒で賑やかだ

 

「さ~て、何する?人間がいないって事はのびのびし放題じゃん!」

 

「ニャトランは、いつものびのびしてるラビ」

 

「ラテ様、中に戻るぺエ」

 

中に戻ってラテのご飯をあげるも、殆ど手付かずの状態。そして元気も無い様子

 

「大丈夫ラビ?お腹痛いラビ?」

 

心配するラビリン達なのだが、ニャトランは違って相変わらず能天気だった

 

「こんないい天気だ。庭で日向ぼっこでもすりゃ、気も晴れるって!」

 

「そうだな。ついでにお散歩でもさせるか」

 

ニャトランの案に蓮花も賛同して窓を開けた。その時、ラテの顔色が一気に変わり、勢い良く外へ飛び出した

 

「ほらな、すぐ元気に──」

 

と思っていたら、そのままラテは何処かへと走り出してしまった。世間一般で言う脱走だ

 

「「「「あーー!!」」」」

 

「もう、蓮花が窓開けちゃうからラビ!」

 

「い、急いで追い掛けるよ!」

 

ラテは止まる事も無く、街の方へと行った。蓮花も全力で走ってはいるが如何せん相手は犬。子犬とは言え、とても足が速くて追いつけない

 

「ラテ様~何処行くラビ~!」

 

途中、地面に付いてる臭いを嗅いで立ち止まった。チャンスと思い、走るスピードを一気にあげるが、下校中の小学生達に道を塞がれてしまって蓮花達も足を止めてしまう

 

「ごめんね。ちょっと通らしてもらうよ」

 

「蓮花、ラテ様があんな遠くぺエ!」

 

「あ…!」

 

「どうしたの?」

 

何かに気付いたラビリンが3人に指示を出す

 

「蓮花達はラテ様を追ってほしいラビ!ラビリンはのどか達に知らせに行くラビ!」

 

「いいけど…」

 

「今別れて大丈夫ぺエ?まだ、ラテ様の行き先が分からないのに」

 

「きっと、のどかに聞けば分かるラビ!」

 

ラビリンは学校、蓮花達はラテを再度追いかけ始める

 

 

 

 

 

ラテの動きが止まった。場所を確認しようと辺りを見渡すと、「すこやか運送」の会社を見つけた

 

「何で運送会社?」

 

考えてると事態を聞きつけたのどか達と合流した

 

「迂闊ですよ。蒼咲さん!」

 

「返す言葉もありません…」

 

「ちゆちー、そんなに怒ったらシワが出来ちゃうぞ~」

 

「何か言ったかしらひなた?」

 

3人を無視して、のどかはラテの気持ちに察する

 

「ラテは、お母さんに会いたかったんだね」

 

ちゆが率先して会社の方に顔を出して、やすこさんがいるかどうか聞きに行ってくれた

 

「聞いてきたわよ。恐らくいちご農園にいるみたい」

 

「それなら戻って来るまで待っていよ!」

 

ひなたの提案で帰って待つことにした。その間に、ラテは何でそこまでしてやすこさんに会いに行ったのか聞いてみた。

どうやら、のどかとラビリンが学校に行っている間は、やすこさんが面倒を見てくれてたらしい。そのせいもあってか、親であるテアティーヌと姿を重ねていた。突然の変化で寂しくなったのが脱走した理由

 

のどかもそれを知って気付けれなかった事に謝る。のどかも病院での生活で似たような事があったから、痛いほど気持ちは分かる

 

「ちゆ、のどかって昔は病院で生活してたのか?」

 

「聞いてなかったんですか?」

 

「ああ…。そうか病院で…」

 

のどかがラテを撫でていると、体調が急変した

 

「これってビョーゲンズだよね!」

 

『あっちで、いちごさんが泣いてるラテ』

 

「いちごって…!」

 

「お母さんが危ない!!」

 

 

 

 

 

 

////////

 

いちご農園まではかなりの距離がある。移動手段が足しかないので頑張って走ってはみるが

 

「のどか大丈夫?」

 

「はい、ありがとうございます」

 

4人の中では、のどかが一番体力が無くて転びそうになったところを蓮花が受け止める

 

「今回はわたし達だけでお手当するわ。のどかは、後でラテと一緒に来れば」

 

「行くよ。わたしもラテも」

 

「だけど…」

 

「危ないのはいちごだけじゃない!大好きなお母さんもなの!!」

 

「のどか…」

 

「わたし達が寂しい時、お母さんは助けてくれた。今度はわたし達が助ける番なの!」

 

「ワン!」

 

大好きなお母さんが危険な目に合ってる。助けたい気持ちをバネにして走り出す

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

「皆んな!」

 

蓮花は腰を低くしておぶさる体勢になる

 

「俺に乗れば速く着く」

 

のどかは背中に、ちゆとひなたは両腕に乗る

 

「3人共振り落とされないでね!」

 

「「「うん!」」」

 

蓮花は器用に3人を抱えていちご農園に向かう

 

 

 

 

 

いちご農園に着いた。だが目にした光景は、ダルイゼンと離れた場所にやすこさんが気絶してる姿

 

「許せない!」

 

「のどかいくラビ!」

 

「うん!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

 

変身し戦闘体勢に入ると、ビニールハウスからメガビョーゲンが襲って来た。ジャンプで避けて、繰り出される触手も弾き、斬ってゆく

 

「囲い込んで抑えるぞ!」

 

四角形に囲い込んで蓮花は小さな結界、グレース達はぷにシールドを盾にして四方向から突撃する

 

「くぅ…!」

 

「一気に決める!」

 

蓮花が碧の賢帝にエネルギーを溜めようとすると

 

「メッ…ガ!」

 

「クソ!」

 

「「「きゃあ!」」」

 

メガビョーゲンが4人を振り払う。それぞれ体勢を整えるが、グレースだけ様子が変だった

 

「な、何これ!?」

 

「靄で土が蝕まれたせいラビ!」

 

原理は知らないが、赤黒い靄がグレースの動けなくしていた

 

「グレース!」

 

「今助けるし!」

 

助ける為にグレースの元へ行くが、メガビョーゲンが壁となり足止めを食らう

 

「「きゃあ!!」」

 

更には、いちごの形をしたハンマーがフォンテーヌ達に降り注ぐ。勢い乗ったメガビョーゲンの攻撃は止まらない。ぷにシールドで防ぐも防戦一方

 

「いいの?お前は行かなくて。ああ、動けないんだっけ?」

 

動けないグレースを知りながら、何も出来ないグレースを挑発する。

そしてダルイゼンが動き、足下にある靄をすくい上げていラビリンにずりつける

 

「貴方達、何でこんな酷い事するの!?」

 

「酷い?何が?」

 

「地球を病気にして、皆んなを苦しめる事だよ!」

 

「決まってるだろ。俺はその方がが居心地が良いからさ」

 

「自分さえ良ければいいの!?」

 

「いいけど?」

 

そして、グレースの左頬にも靄ずりつける。自分勝手なダルイゼンに、グレースは言葉を失い立ち尽くしてしまう

 

「ついでだ。このまま片付けちゃうか」

 

右手に紫のエネルギーを溜め始めて止めをさそうとする

 

「終わりだよ」

 

「やめろォォォォォ!!」

 

蓮花がグレースの前に立ち、碧の賢帝で振り払う

 

「抜剣者か」

 

「グレースに手を出すな!!」

 

蓮花の感情に碧の賢帝が呼応してより同化している

 

「蓮花さん…」

 

「か弱いプリキュアを護る勇者のつもり?安心しなよ。2人纏めて──殺してあげるから」

 

手をこちらに向けて溜めたエネルギーを放つ時

 

 

 

 

 

「今…何て言った?」

 

 

 

 

 

蓮花を中心に物凄い風が巻き起こる。碧の賢帝も力が更に増して、剣を持つ腕も肩まで碧のラインが入り侵食していく。碧の賢帝と深く同化してる証拠だ

 

「「「ッ!!?」」」

 

グレース、ラビリン、ダルイゼンが突然の豹変に足が竦む

 

「殺してみろ。その瞬間、微粒子すら残さず消し去る事になるが…別に構わないだろ?」

 

「蓮花…さん……」

 

先程の突風で靄は全て吹き飛んだが、見たこともない蓮花の様子に恐怖を感じて動けずにいる

 

「覚醒剣」

 

碧の賢帝を振り上げると、波動のエネルギーが刃を形取りメガビョーゲンを優に超える程の大きさになる

 

「蓮花さん…やめて…」

 

「賢帝…」

 

「お願いです…それだけは絶対に…!」

 

「解…」

 

「蓮花さん…!蓮花さん!!」

 

「放!」

 

「やめてーーーーー!!!」

 

突如、蓮花とダルイゼンの間に紅い閃光が割って入った。それを見て、蓮花は振り下ろす寸前で止まった

 

紅い光の中から、抜剣覚醒した紅牙が現れてダルイゼンに掴み掛る

 

「お前一体何をした!答えろ!!」

 

「何って怒らせただけだよ」

 

アイツ(・・・)から聞いただろ!俺達抜剣者の事を!!」

 

「少し試しただけだよ」

 

「ふざけんな!その『少し』で魔剣を壊すところだったんだぞ!!」

 

言い争いをしてる隙にグレースは蓮花へ駆け寄る

 

「蓮花さん…」

 

「………メガビョーゲンを倒す(・・)ぞ」

 

浄化では無く倒すと言ってしまう程に、今蓮花は怒っている。だけど、紅牙が乱入してからは少し落ち着きを取り戻してる。侵食も肘まで治っていた

 

「ハアァッ!」

 

フォンテーヌ達を襲う触手を全て切り捨ててピンチを救う

 

「ペギタン、フォンテーヌ!今だニャ!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

キュアスキャンで苦しんでる実りのエレメントを見つけた

 

「てーい!」

 

スパークルも追撃しダウンさせる

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

螺旋回転する光線がエレメントと包み込み、メガビョーゲンを見事に浄化させた

 

「「お大事に」」

 

 

 

「グレース!ラビリン!」

 

浄化が終わると蓮花は2人の心配をする

 

「怪我は無いか?」

 

「うん…」

 

「平気ラビ…」

 

「良かった」

 

蓮花は、ダルイゼンに触られたグレースの頬をさする

 

「本当に良かった…!」

 

「蓮花は大丈夫ラビ?」

 

2人は自分達の事より蓮花の心配をする

 

「大丈夫だよ。怖がらせてしまってごめんね」

 

 

 

 

 

////////

 

『ありがとうございます。皆さんのお陰です!』

 

「どう致しまして」

 

だけど、ラテの具合は悪いまま。いつも通りにエレメントさんか力を分けてくれるのだが

 

「実りのエレメントボトルラビ!?」

 

今回はボトルを貸してもらい回復した

 

『ボトルは差し上げます!これからも、地球の為に使って下さいね!』

 

しかもそのまま貰ってしまった

 

「貰ってしまった。ラッキーだね」

 

「ラッキーなんてものじゃないラビ!エレメントボトルはすっごく貴重な物ラビ!」

 

「エレメントはこの星のあらゆるものを作ってるすっごい物なんだぞ!」

 

ボトルを貰う事事態がレアケースらしく興奮するヒーリングアニマル達。自分達が預かっている三つのボトル以外は見たことも無いらしい

 

「本当に大切な物を貰ってしまったな」

 

その後は、目を覚ましたやすこさんに会いに行き下まで車に乗せてくれた

 

 

 

 

 

「3人共ありがとうね。のどかに付き合わせてしまって」

 

「全然大丈夫です!友達ですから!」

 

「のどかにこの街を知ってもらうとわたしも嬉しいので!」

 

「実はこの子ね、病気で学校を休んでた時期があったのよ。それで仲良しの友達も中々作れなくてね、だからこんなに早く良い友達が出来てすっごく嬉しい。これからも宜しくね」

 

ただ友達が出来ただけなのに、こんなに嬉しく言ってくれる人は初めてだ

 

今日のお手当も皆んな無事に済んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビョーゲンキングダムでは今もまだ言い争っていた

 

「そもそもアイツは俺の獲物だ!手を出すな!ちゃんと聞いてるか!」

 

「うるさいな…」

 

「いつまで怒っているつもり?」

 

「呆れた奴だ」

 

幹部3人は紅牙にほとほと困っていた。そこへ新たな人物が現れる

 

「それなら早く殺して碧の賢帝を回収してくれない?」

 

「チッ…分かってるさ」

 

「それならいいの。それとダルイゼン」

 

謎の人物は、今度はダルイゼンにさっきのプリキュア達との戦闘について話す

 

「言ったよね、あまり怒らせては駄目と。下手をすれば剣が耐え切れず壊れてしまう。あの使い手はまだ完全に継承をしていない」

 

「知ってるよ」

 

「2人もお願いね」

 

「お前達を見ていれば分かる」

 

「そうね」

 

「なら私はこれで」

 

謎の人物は紅牙を連れてビョーゲンキングダムの何処かへ消えた

 

「しかし魔剣って本当に厄介よね。あの状況で死ななかっただけでも奇跡的よ」

 

「想いの強さ…負の感情(・・・・)が高くなる程剣の力が上がり、伐剣者へと近付くだっけ?」

 

「ああ。そして最終的には────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自我を失い、暴走する殺戮マシーンに変わる」




魔剣の恐ろしさを知ってもらったところで今回はここまでです!

ここまでの拝読ありがとうございます!


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第9話 尾行から逃げきれ♥貴方は一体何者?

またすぐに書かなくちゃ…

では本編スタートです!


「のどかがビョーゲンズだと疑われてる?」

 

学校から帰って来るなりとんでもない事を聞かされた。「益子道男」と言う人物から色々と疑われてるらしい

 

「濡れ衣もいいところよ!」

 

「のどかっちは、ビョーゲンズを浄化してるプリキュアだってちゃんと説明しよ!」

 

「駄目ラビ!」

 

「プリキュアの正体は、絶対知られたら駄目なんだぺエ」

 

「だよね~…」

 

「もし、プリキュアって知れたらそれこそ一大事ラビ!そうなったら…」

 

ラビリン達の深刻な表情に、プリキュアの正体がバレてしまったら大変な事態になる事が予想される。聞く勇気を振り絞ってそれについて聞き返すと

 

「「「さぁ?」」」

 

気の抜けた返答だった。どうやら本人達は、その肝心な部分は知らないようだ。寧ろ、バレる事など無いと自負する

 

「『さぁ?』って…」

 

「諦めてくれる様子はないの?」

 

「多分無理です。あの調子だと、スクープをものにするまで毎日尾行します」

 

「間違っているとはいえ厄介ぺエ」

 

「自分のせいでちゆ達にも迷惑をかけてしまう」。そう思っての気持ちから、のどかはある事を提案する

 

「ちゆちゃんとひなたちゃんは、暫くわたしと離れてた方がいいかも。益子君が疑っているのが、わたしだってハッキリしたわけだし」

 

不安を感じながら今日は解散した

 

 

 

 

 

////////

 

そして次の日。外を歩いてたら、制服姿ののどかを目にした

 

「のどかお帰り。そんなに慌ててどうしたの?」

 

「蓮花さん!実は今日も尾行されてるんです。さっきも、ちゆちゃんとひなたちゃんのお陰で助かりましたけど…」

 

「なら、俺が傍についておくよ。その方がより安心出来るでしょ?」

 

「でも…」

 

「ほら、家に帰るよ」

 

蓮花がのどかの手を差し出す。その手を受け取ろうか少し迷いもしたが

 

「では…宜しくお願いします」

 

蓮花に身を委ねて、手を繋いで家まで帰宅した

 

家に着いて着替えもしてから、お留守番していたラテと一緒に3人でお散歩に出掛けた

 

 

 

「雨がまた降ってきそうですね」

 

「のどか、ちょっといいか?後ろから付いて来てるのって」

 

振り返ると、道の真ん中に明らかに不自然なゴミ箱があった。隠れているつもりなのか知らないが、完全にバレバレの尾行

 

「はぁ…。蓮花さん走りますから付いて来て下さい!」

 

益子を巻こうとする為、のどかは道を外れて林の中を走り出した。蓮花ものどかの後ろに付いて行く

 

「あの子まだ追って来るよ」

 

「はい。…あっ!」

 

「のどか!」

 

走ってると、のどかは足を滑らせてしまう。蓮花は倒れそうになるのどかを、庇って自分が下敷きになる

 

「イタタ…」

 

「蓮花さん大丈夫ですか!?」

 

「大丈夫。ラテも怪我は無い?」

 

「ワン!」

 

「すみません!お二人共、怪我はありませんか!?」

 

尾行していた益子も転んだ2人の安否を確認する

 

少し場所を変えてのどかを休ませる。律儀な事に益子は、のどかが座る岩に布を被せて汚れない様に気遣う

 

「すみませんでした」

 

「取材するのもいいが、あまりしつこいと大変な事にもなりかねない。俺が咄嗟に庇えたからいいものの、下手をしたら怪我をするところだったぞ」

 

「その通りですね。取材する相手に敬意を払う事を忘れては、ジャーナリストとは言えませんから」

 

少しやりすぎな益子に厳しく叱り、それを受け止めて深く反省をする

 

「いつもそうです。しつこく取材して、学校でも煙たがられてます」

 

「ひとつ聞いてもいいか?君は何で新b「すこ中ジャーナルです」ごめん。そこら辺は良く知らないんだ…」

 

「益子君はどうして煙たがられても、すこ中ジャーナルをやっているの?」

 

蓮花達が益子に、何故ジャーナリストとして活動している理由聞く

 

「雨上がりの蜘蛛の巣って見た事ありますか?」

 

「「え?」」

 

「すごく綺麗なんですよ!」

 

話を聞くと、初めて雨上がりの蜘蛛の巣を見て感動した事を小学校の壁新聞に書いて、先生が褒めてくれたのがきっかけ。そして今の彼を創り上げた

 

「でも、つい取材に夢中になり過ぎて皆んなに煙たがられて…」

 

「…夢中になる事があるって素敵だと思う。初めて記事を書いた時の気持ちって、きっとその雨上がりの蜘蛛の巣と同じ様にキラキラしてたんだね」

 

益子の話を聞いて強く共感する

 

空から小雨が降って来た

 

「話しはここまでだね。そろそろ帰ろうか」

 

「はい!蓮花さんも家に来て下さい!益子君、お話し聞かせてくれてありがとう!」

 

「いえ…それよりも」

 

益子は2人に気付かれない様にカメラのシャッターを切る

 

「花寺さん、もしかして…」

 

 

 

 

 

////////

 

のどかの家にお邪魔して、雨も上がってテラスでのんびりしていると、ちゆとひなたが会いに来てくれた

 

「下に降りようか」

 

「行こうラテ」

 

下で待っている2人の元へ行こうとすると、ラテの体調が悪くなった

 

「ビョーゲンズ?」

 

『あっちで雨さんが泣いてるラテ』

 

「雨が泣いてる!」

 

「雨?」

 

「とにかく行きましょう!」

 

 

 

 

 

メガビョーゲンが居た所は、少し前に蓮花達が居た場所だった

 

「グワイワルラビ!」

 

「皆んな変身だ!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

「出たなプリキュア!それに抜剣者!時は来た!我が勝利の記念日!」

 

「メガ…ビョーゲン!」

 

「「「きゃあぁぁぁ!」」」

 

「うわっ!」

 

メガビョーゲンが繰り出す雨粒が、4人にクリーンヒットし大きく弾け飛ばされる

 

だが、すぐに体勢を整えて土煙の中から4人が飛び出る

 

「「「「ハアァァ!」」」」

 

息の合った同時攻撃で、空中に居たメガビョーゲンを地に引きずり降ろした

 

「スパークル!ニャトラン!」

 

「OK!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

ダウンしてる隙にキュアスキャンでエレメントを探し出す

 

「あそこ!雨のエレメントさんだ!」

 

エレメントを見つけ狙いをつけようとすると、またもメガビョーゲンの攻撃が4人に降りかかる

 

「皆んな下がって!」

 

蓮花の指示に従って後ろに隠れる。蓮花は碧の賢帝で結界を張り攻撃を全て防ぐ

 

「グレースチャンスラビ!実りのエレメントさんの力を借りるラビ!」

 

「分かった!実りのエレメント!」

 

花のエレメントボトルと実りのエレメントを交換して、ヒーリングステッキに装着する

 

「ハアァァ!」

 

実りのエレメントの力を込めたエネルギー弾がメガビョーゲンを直撃する。再度花のエレメントボトルに付け替える

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

螺旋回転する光線がエレメントを救い出して、メガビョーゲンを見事に浄化させた

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

////////

 

「雨のエレメントさん、体調どうですか?」

 

『ありがとう!私はもう元気です!』

 

雨のエレメントもラテも無事お手当完了。ふと木の方へ目をやると、雨で濡れた蜘蛛の巣が綺麗に輝いていた

 

「スクープですよ!」

 

「益子君!?」

 

急に現れた益子に、慌ててラビリン達は木の陰に身を隠す

 

「怪物を追い払ってくれた女の子達がいました!名前は…え~と……そうプリキュア!」

 

姿だけではなく、プリキュアの単語まできっかりと覚えられていた

 

「花寺さん、君は怪物とは無関係でした。ぼくの勘違いです。大変な失礼を」

 

いつの間にか、のどかかの疑いが晴れて今度はプリキュアに興味が移った。急いで記事にする為に、その場を立ち去ろうとするが足を止める

 

「花寺さん、ぼくは既に真実を掴みましたよ。君が隠している秘密をね」

 

「へぇ!?か、隠してる秘密?」

 

「そう……そこの男性とお付き合いしている事をです!」

 

「「えっ?」」

 

「「本当に!?」」

 

ちゆとひなたが大きく食いついた

 

「一緒に手を繋いで歩いたり、楽しく家でお喋りをしたりと証拠があります!」

 

「ただの友達なんだけど…」

 

「安心してください!恋愛の邪魔をする気はありません!では失敬」

 

新たな誤解を生んでしまい益子は今度こそ立ち去る

 

「のどか、2人が付き合ってるって本当の話なの?」

 

「蓮兄!!」

 

「それは…」

 

「逃げるよのどか!」

 

「あっ!蓮花さん!」

 

蓮花はのどかの手を引いて問い詰める2人から逃げ出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

間違ってるとはいえ、意外にも付き合ってるって言われて少し嬉しい気持ちののどかだった




オリ主が学校に行って無い分、大幅なカットが今回目立ちました。
次回からは、その問題を解決させます

ここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 テイク2 「今回はひなたちゃんとのNGテイクが多いね」

NGテイク2です!
最後ら辺が適当になりがちですけど、楽しめれたら嬉しいです!

では!よ〜い…アクション!


第5話 「断罪の剣!紅の暴君(キルスレス)の伐剣者!!」より

 

蓮花が紅の暴君に貫かれるシーンから

 

 

 

 

 

その時、蓮花の言葉を遮る様に赤い水が飛び散った

 

「がふっ……」

 

それは血飛沫だ。結界の外から紅の暴君が蓮花の腹部を貫いたのだ。突然の事に、全員が何が起きたかの状況も分からず唖然とする

 

「な、なんじゃこりゃあーー!!」

 

「「「えっ?」」」

 

「何だよその台詞。急なアドリブとかやめろよ」

 

蓮花の突然アドリブで現場は固まり、カットになってしまった

 

「ごめんな。腹に穴が開くとどうしてもやりたくて」

 

 

 

 

 

////////

 

第6話 「ギクシャクな2人♥絆深める水族館」より

 

イルカショーのシーンから

 

 

 

 

 

ショーはとても楽しく見れてひなたも大満足だった

 

「思ったよりびしょ濡れになっちゃった!」

 

「ハンカチで拭いてあげるからこっち向いて」

 

「は〜い!」

 

イルカぎ跳ね上げた水しぶきでひなたの体はびしょ濡れ状態。蓮花が顔などハンカチで拭こうとすると

 

「……」

 

蓮花は拭くのを止めて、ひなたの上着を脱がせて代わりに自分のコートを着せてあげた

 

「蓮兄どうしたの?」

 

「ひなた…前。す、透けてるよ…」

 

ひなたの質問に目を逸らしながら答える。蓮花が指差す方へ目を落とすと

 

「〜っ??!///」

 

ひなたは気付いてコートで前を隠す

 

「蓮兄もしかして……見たの?///」

 

「と、取り敢えず乾かそうか…」

 

「うん…///」

 

服が乾くまで、2人は目を合わせず無言の空気が続いていた

 

 

 

 

 

////////

 

第7話 「ひなたとの約束♥2人でウキウキなお出掛け」より

 

蓮花達の様子を伺うのどか達より

 

 

 

 

 

「あわわ!蓮花さんとひなたちゃん、まるで恋人同士の関係みたい!」

 

「そ、そうね。でもそれがどうしたって話よ」

 

のどかは両手で顔を隠しながら指の隙間から2人を見て、ちゆは少々動揺しながらもコーヒーを口に運んでいく

 

「蒼咲さんみたいな人には、もっと落ち着いた女性の方が似合うのよ。ひなたみたいな子には相性がきっと──」

 

「あっ!2人でお互いのスプーンで食べさせ合いっこしてるよ!」

 

その瞬間、ちゆはコーヒーを机にぶち撒けて頭を机に打ち付ける

 

「ちゆ!?」

 

「急にどうしたの!?」

 

「あああ蒼咲さんって、ひひひひなたみたいな子が好みだったの…!」

 

ちゆの激しい動揺で場は一変。即座にカットになった

 

 

 

 

 

////////

 

第8話 「ラテを追い掛け三千里♥始まる伐剣者の兆し」より

 

蓮花がのどか達をおぶさって連れて行くシーンから

 

 

 

 

 

蓮花は腰を低くしておぶさる体勢になる

 

「俺に乗れば速く着く」

 

のどかは背中に、ちゆとひなたは両腕に乗る

 

「3人共振り落とされないでね!」

 

「「「うん!」」」

 

蓮花は器用に3人を抱えていちご農園に向かう

 

「よいしょっ──」

 

「あわー!ストップ!蓮兄ストップ!」

 

立ち上がろうとする時、ひなたがストップをかける

 

「どうしたのよ?」

 

「変な所は触って無いつもりだけど」

 

「…あたし、やっぱり走って行こうかな〜…」

 

ひなたは蓮花の腕から降りる

 

「急にどうした?」

 

「いや〜その〜……このシーンを撮る前に甘い物沢山食べたから、ね…」

 

ひなたの言葉を聞いた他2人も蓮花から降り始める

 

「わたしもやっぱり自分で走ろうかなぁ…」

 

「そ、そうね。良い運動にもなるし」

 

「2人まで!?」

 

驚く蓮花にラビリンが肩をポンと叩く

 

「少しは女の子の気持ちにもなってみるラビ」

 

「女の子の気持ち?……あっ」

 

蓮花は察した。

だけど

 

「俺は気にしないよ」

 

「「「気にしますよー!!(なるのーー!!)」」」

 

 

 

 

 

////////

 

第9話 「尾行から逃げきれ♥貴方は一体何者?」より

 

蓮花とのどかが付き合ってると誤解されたシーンから

 

 

 

 

 

「のどか、2人が付き合ってるって本当の話なの?」

 

「蓮兄!!」

 

「それは…」

 

「蓮兄酷いよ!あたしにあんな事させておいて!」

 

いきなりひなたが泣き崩れ始める

 

「してないしてない!」

 

「あんな事?あー分かった!既成g──」

 

ニャトランが良からぬ事を喋ろうとしたので口を塞いだ

 

「ニャトラン、俺は何もしてない。嘘でも、今の世の中は厳しいから社会は許してくれないの。分かった?」

 

蓮花の圧の掛かった笑顔がニャトランの首を縦に振らせた

 

「ひなたも、俺を社会的に殺さないで」

 

「えへへ!ごめんね〜!」




今回のNG集はひなたとの絡みが多かった!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第10話 スランプ発生♥空へと大きく跳べ!

ちゆちー最高!フッフーーー!!!

では本編をどうぞ!


「陸上してるちゆちゃんは、生きてるって感じがするよね」

 

「分かる〜!ハイジャンの時は、めっちゃ生きてるって感じ!」

 

只今の時間帯は学校が終わり放課後。グランドでハイジャンプの練習中のちゆに向けて、応援をしながらその様子を見守っていた

 

「春の大会が近いだったよな?」

 

「はい。……蓮花さん!?」

 

「蓮兄!…何で白衣なんて着てるの?」

 

ひなたの言う通り蓮花の今の格好は、白のカッターシャツ上に白衣にスラックス履いている。まるで保険の先生の様に

 

「助手で保険の先生をやってるんだよ。この前、すこ中の保健の先生が怪我してたから応急で治療したら、この通りバイトとして助手をしてる」

 

「そんな事出来るんだ〜!」

 

「普通は出来ないよ。養護教諭の資格が無いと本当は保険の先生はやったらいけないんだよ。資格は後々取得するとして、今回は校長の許可を得てバイトという名目で助手をしてるんだよ」

 

「蓮兄凄くカッコいい!!」

 

「今度遊びにでも来てね。それよりも2人はどうしたの?グランドに入って見て行かないの?」

 

のどかとひなたは、ちゆの姿をフェンスの外から様子を見ていた

 

「いや〜、邪魔しちゃ悪いかな〜と思って」

 

「そうなんだ。…あっ、益子君じゃないか」

 

三人で話しをしているとカメラを持った益子が現れた

 

「実はとっておきの情報を入手したのです!」

 

カメラを手渡されて撮られてる写真を見てみると、すこやか中とは別の学校の陸上部の写真が撮られていた

 

「我がすこ中陸上部の永遠のライバル、西中陸上部。その実力を推し量るべく、この僕すこ中ジャーナル編集長自ら取材に赴いた訳です」

 

「取材と言うより敵情視察なんじゃ…」

 

「ゴホン!…それよりもコレをご覧下さい。コレは、県大会の最高記録を、そして沢泉さんの自己ベストを超えています」

 

益子からの情報を聞いて3人は不安な気持ちになる。そんな話し合う4人にちゆが突然背後から声を掛ける

 

「何見てるの?」

 

「「わっ!」」

 

「ど、どうしたんだ?休憩か?」

 

「ナイスタイミング!ぼくのスクープ写真を是非!」

 

益子が写真を見せようと近寄ろうとすると、後ろからひなたが言わせない様にフェンスへと突き飛ばした

 

「益子君大丈夫か?」

 

「何でも無いよ!か、可愛いクラゲの写真を見てたのー…」

 

「そうそう!クラゲクラゲ!西中陸上部の写真とか全然見てないし!」

 

「ひなた、それ言ってしまってるよ…」

 

「あっ…」

 

もはや言い訳が出来ないので、先程の話も含めて素直に写真を見せてあげる。

やはりと言うべきか、ちゆは難しい表情をしていた

 

「気にならないと言えば嘘になるけど…」

 

「けど?」

 

「陸上は自分との戦い。わたしのライバルはわたしだから!」

 

ちゆは元気良く練習に戻って行った

 

「わたしのライバルはわたし」

 

再び集中して跳ぼうとするが

 

「っ!?」

 

足に引っ掛かり失敗に終わった。しかも、ミスは殆どしないと聞く

 

「大丈夫かな…?」

 

丁度運良く、練習が終わり今日はそのまま帰宅した

 

 

 

 

 

////////

 

(昨日の事…)

 

蓮花は昨日のちゆが気になってしょうがないらしい

 

「…まだ時間は大丈夫だね」

 

蓮花は支度をして、学校とは別の方向へ足を運んだ

 

 

 

「蒼咲さん」

 

「ちゆ〜!…ってのどかにひなたも?」

 

「もしかして」

 

「蓮兄も?」

 

どうやら、皆んな思っている事は同じの様だ

 

「俺はこれから、学校に行かないといけないから一緒には無理だけど」

 

蓮花はちゆを引き寄せて耳元で呟く

 

「頑張れ。今日も応援してるよ」

 

「〜っ!?///」

 

耳元で呟やかれたのがこそばゆかったのか、頬を赤く染め上げる

 

「じゃ!遅刻するなよ」

 

「大丈夫だよ!蓮兄は心配性だな〜!」

 

蓮花は手を振ってのどか達とは別れた

 

案の定、のどか達は遅刻ギリギリで正門をくぐっていた

 

その日の放課後は1人残って遅くまで練習していた。ちゆの姿を心配の目で見てるのは、蓮花達だけでは無くパートナーであるペギタンも見ていた

 

次の日も日曜なのにちゆは、ペギタンに心配されながらも学校へ行き練習に励みに行く

 

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…んっ!もう一度!」

 

「今日は日曜だよ」

 

「蒼咲さん?」

 

「差し入れ」

 

蓮花はスポーツドリンクをちゆに渡す。ちゆも一旦休憩に入り、ベンチに一緒に座る

 

「体を休めるのも練習の内だよ」

 

「蒼咲さんだって、わたしが練習をしてるのを知っての差し入れですよね?」

 

「まあね」

 

ちゆは体が冷めない様に、その場で屈伸運動をして調整する

 

「わたしは…限界を超えたい」

 

「そのやる気、若いっていいね」

 

「蒼咲さんが言いますか?」

 

「何で?」

 

「蒼咲さんだって、お父さんの為に仕事を引き継いだり、大学に向けての勉強、それにわたし達の面倒まで。何から何まで大変じゃないですか」

 

自分では当たり前だと思っていたが、他の人から見たら結構ハードな事らしい

 

「ちゆは優しいね」

 

「蒼咲さんも」

 

「…そうだ。折角2人っきりなんだから、もっと色々と話さない?楽しかった事、悲しかった事、珍しかった事。勿論、ハイジャンプの事でも」

 

「…勉強とか?」

 

「ま、真面目だね…」

 

「逆に蒼咲さんはありませんか?…魔剣についてなど」

 

ちゆの口から魔剣の言葉が出て来た。蓮花もそれは予想外で固まってしまう

 

「わたしを守ってくれたあの時や、いちご農園での時もそうでした。蒼咲さん達が持っている物は、とても危険な物ではありませんか?」

 

「…危険と言えば危険だよ。この前の時だって、自分を見失いそうにもなったしね」

 

「大丈夫ですよ。もしもの時は、わたし達が蒼咲さんを助けます」

 

「じゃあ俺も、どんな事があっても絶対皆んなを守る!」

 

2人の約束。指切りでその誓いを建てる

 

「長話しちゃったね、そろそろ帰るよ」

 

「こちらこそ、付き合わせてしまってすみません」

 

「練習程々にね」

 

 

 

 

 

////////

 

そして迎えた春の大会

 

「2人共それは?」

 

「ちゆちゃんの応援に使うんです!」

 

「蓮兄も持ってね〜!」

 

「ちゆちゃんだ!蓮花さん!」

 

3人はグランドで緊張してるだろう、ちゆに見える様に広げた。「空へ!限界突破!」と書かれた横断幕だ

 

「ありがとう!皆んな!」

 

それを見たちゆのやる気度は高まる。何か吹っ切れた様子で競技に挑む時

 

「メガビョーゲン!」

 

突然競技場からメガビョーゲンが現れて、ブレスがグランドを凍らせる

 

「今日の為に皆んな必死で練習して来たのよ!それを台無しにするなんて!!」

 

「ちゆ!こっちだ!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

変身しての開始でフォンテーヌ、スパークルと連続のキックでメガビョーゲンの体勢を崩す。そして、グレースが即座にキュアスキャンでエレメントを見つけ出した

 

「氷のエレメントさんラビ!」

 

「場所は右肩!」

 

だが、メガビョーゲンもやられてるだけで収まらずにすぐに反撃する

 

「固まってちゃ駄目ニャ!散れ!」

 

グレース達が散らばる中で蓮花が避けた先には

 

「如何やら今は落ち着いてる様だな」

 

抜剣覚醒した紅牙は待ち伏せをしていた

 

「悪いけど、今日は相手をしてる暇は無いよ」

 

「それは無理だな。俺は暇だから相手をしてくれよ」

 

蓮花は止むを得ず構えると

 

「危ない!蓮花さん!」

 

グレースの声に反応はするが一歩遅かった。メガビョーゲンの攻撃によって、蓮花の足が氷漬けにされて身動き出来なくなってしまった

 

「しまった!」

 

「このまま蹂躙してやる!覚醒剣!」

 

「暴君蹂躙!」

 

剣に怒りのオーラを纏わせ動けない蓮花に斬りかかる

 

「それなら!」

 

蓮花は碧の賢帝を逆手に持ち替えて碧の波動を溜める

 

「賢帝解放!」

 

賢帝解放を足下の氷に向けて放ち、氷からの脱出に加えて紅牙の攻撃も避ける。

そしてそのままグレース達の元へ飛んで行く

 

「俺を無視か!」

 

「言ったよね。今日は相手をしてる暇は無い!」

 

合流すると、丁度フォンテーヌがメガビョーゲンの注意を逸らして欲しいとの要望があった

 

「何か案があるの?」

 

「はい。わたしがあの氷の障壁を越えてみせます」

 

「良し分かった!グレース!スパークル!」

 

蓮花の呼び声で方向転換して駆け出す

 

「ハァァ!」

 

「やぁ!」

 

「いけぇ!」

 

蓮花は斬撃で壁を切り刻み、グレースが障壁の周りを走り、スパークルは攻撃の受け止めてそれぞれフォンテーヌから注意を逸らす。

そしてフォンテーヌはメガビョーゲンへと走って近付いてく

 

「ペギタン、わたしの事応援や心配をしてくれてありがとう!」

 

フォンテーヌはハイジャンプの要領で空高く跳び、メガビョーゲンを覆う氷壁を跳び越えてみせた

 

「フォンテーヌ!」

 

「いけぇぇ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングストリーム!」

 

 

「ヒーリングッバーイ…」

 

「「お大事に」」

 

 

 

「してやられたか…」

 

ダルイゼンと紅牙は、メガビョーゲンが浄化された事よりその場から離脱した

 

 

 

 

 

////////

 

「今回もお手当て無事に終了だね」

 

「でもラテ様がまだ…」

 

地球や氷で変形した地形は元に戻ったが、ラテの体調はまだ戻っていなかった

 

「氷のエレメントさん、パワーを少し分けて貰えないペエ?」

 

『はい!』

 

ちゆの手に氷のエレメントボトルが現れた

 

「貴重なボトル、これで2個目だニャ!」

 

受け取った氷のエレメントボトルでラテが回復した

 

全てが元通り……とはいかなかった

 

「大会は残念な事になっちゃったね…」

 

「うん。今日の為に皆んな頑張って来たのに…」

 

「こればかりは仕方ないよ」

 

3人が話してると、ちゆがバーに向かってダッシュ。

蓮花達が目にしたのは、堂々とバーを跳び超えるちゆの姿だった

 

跳べたちゆ自身も驚いたが、すぐに笑顔でサムズアップで喜んだ

 

「やったーー!!」

 

「ちゆちゃーーん!!」

 

のどかやラビリン達が勢い良くちゆへとダイブする

 

「ちゆ、カッコ良かったペエ!もう大丈夫ペエね」

 

「うん、皆んなのお陰でね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分の限界を超えて更に成長したちゆ。目標とする、場所にまた一歩近付いた。青く澄んだ空へと目を向けて




オリ主が学校へ行ってしまい、当初の目的から遠くなってゆく

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第11話 平凡なこの日♥らぶ・ラブ・LOVE・みー

ちょっとした小休憩

では本編どうぞ〜!




日曜の朝から、何気なく過ごす今日この頃にあるお客さん達がやって来た

 

「「お邪魔します」」

 

「やっほー!蓮兄!」

 

「待ってたよ3人共」

 

今日はちゆの提案で4人で勉強会で蓮花の家に集まった。プリキュア も大事だか、のどか達はまだ中学生。学業を疎かには出来ない

 

「取り敢えず席に座って。今何か出すから」

 

蓮花は何か飲み物とお菓子を台所から取り出す

 

「はいどうぞ。さてと…何から手をつける?」

 

「数学からはどうかな?公式を覚えたら勢いに乗れるから」

 

「そうね。では蒼咲さん、宜しくお願いします」

 

 

 

 

 

「ひなた、そこの公式はね…」

 

「ちゆちーの説明よく分かんな〜い!」

 

勉強の苦手なひなたはちゆが面倒を見て

 

「うん、その調子で」

 

「10x+11y…合ってますか?」

 

「正解。次の問題は…」

 

のどかは蓮花が勉強をみていた

 

のどかは直向きに勉強を頑張っている一方で、ひなたは愚痴を溢して一向に進まず足踏みをしてる

 

「ちゃんとしなさいよ!」

 

「分からないものは分からないの!それより、ちゆちーは勉強しなくてもいいの?」

 

「わたしは大丈夫よ。教える側も勉強になるもの」

 

珍しく胸を張って言い切る

 

「仕方ない。ちゆ交代だ」

 

「大丈夫ですよ。それにひなたは手強いです」

 

「それどういう意味!?」

 

「まあまあ。ちゆ、確かに教える側も勉強にはなるけど自分を疎かにしては駄目だよ」

 

そう言われては何も言えず、渋々蓮花と席替えをした

 

(やった〜!蓮兄が相手なら、ちょ〜楽出来る!)

 

「先ずは基礎しっかりと覚えよう。だから──」

 

ドン!と、ひなたの目の前に幾つもの参考書を積み上げる

 

「……」

 

「復習も兼ねて1年生の問題から解いていくよ」

 

「あーっ!あーっ!何も見えないし、何も聞こえな〜〜い!!」

 

「見苦しいよ。諦めて解いちゃおう!」

 

「うわ〜ん!蓮兄の鬼!悪魔!真面目人間!」

 

「縄で括り付けられたくなかったら頑張ろうね」

 

それを聞いてひなたは無言で手を動かし始めた

 

それから勉強会は続いて時間は11時を回った

 

「お昼の買い物に出掛けるから、ちゃんと勉強してるんだよ〜」

 

「わん!」

 

蓮花はラテも連れ出して一緒に買い物に出掛けた

 

「2人共、蒼咲さんが帰って来るまで頑張るわよ!」

 

「あたしは勉強したくない」

 

「ひなた、貴方ねぇ…」

 

「それよりもずっと気になってた事があるの!」

 

ひなたが気になってた事は

 

「のどかっちとちゆちーは、蓮兄の事どう思ってるの?」

 

「えっ!?どう思ってるかって言われても…」

 

「只普通の頼りになるお兄さんじゃない。それ以外に何があるの?」

 

「そうだよね。蓮花さんってお兄ちゃんのイメージがある」

 

ひなたは指を振る

 

「あたしが言いたいのは……異性としてどう思ってるかだよ!」

 

「「なっ!?」」

 

「改めて思うんだよ。蓮兄ってカッコイイじゃん!だから、告白されるなんて星の数だったり!」

 

「確かに蒼咲さんはそうね。ひなたはどうなのよ」

 

乙女チックな話にちゆまでも乗ってしまった

 

「あたし?好きだよ」

 

照れる仕草など無く、当たり前の様に答える

 

「…友達として?」

 

「え、何々〜!ちゆちー妬いてんの?」

 

「や、妬いてなんか!?」

 

「2人共早く勉強した方が…」

 

のどかが話題を変えようとするが、ひなたはまた

 

「それなら勝負しようよ!蓮兄を照れさせた人の勝ちってことで!」

 

「何でそうなるのよ!?」

 

「ジャンケンで順番決めるよ!のどかっちもね!」

 

「待ってよひなたちゃん!?」

 

「ジャンケン──」

 

 

 

 

 

////////

 

「ただいま」

 

「わん!」

 

荷物を抱えた蓮花とラテが帰って来た。そして玄関ではひなたが待っていた

 

「蓮兄おかえり!ご飯にする?お風呂にする?それとも、あ・た・し?」

 

「ご飯。後、お菓子も買って来たから3時にでも食べよ」

 

「お菓子!?やったー!蓮兄ありがと〜!」

 

即答でご飯と答えられた挙句に、ひなたはお菓子で逆に釣られてしまった

 

「今度はわたしね!」

 

「ちゆ頑張るペエ!」

 

後になって作戦が失敗した事に気付いたひなたは、机でうつ伏せで凹んでる

 

そしてちゆのターン。ちゆは一緒にお昼を作って距離を縮める作戦だ

 

「流石旅館の娘。手際が良いからお手本になる」

 

「あ、ありがとうございます」

 

だが、別に何の進展もなく時間だけが進む

 

(何か…何か話さないと!)

 

「ちゆ鍋が沸騰してるよ!」

 

「えっ!?あ、すみません!!」

 

慌てて火を止めようとしたら、沸騰した鍋の泡がちゆの頬に散る

 

「ちゆ大丈夫!?火傷はしてないか?」

 

「お、大袈裟ですよ」

 

「何も無いならいいんだ。もう座って休憩でもしてて」

 

結局何も起きずにご飯だけが出来てしまった

 

食事も済ませて蓮花は自分の勉強もする為、一度書斎に道具を取りに行った

 

「のどかっちは何もしないの?」

 

「わたしは今のままが楽しいから別に…」

 

「流石のどか!いつでも蓮花を落とせる余裕の表れラビ!」

 

「そうじゃないけど」

 

「何の話をしてる?」

 

帰って来た蓮花は不意に声を掛ける。思わず皆んなビックリして変な声を出す

 

「べべべ別に何もありません!全然!何も!!」

 

「そう?あ、ひなたに追加のプレゼント」

 

ひなたの頭の上に2冊の参考書が置かれ、それを手に取った彼女の目は光を失った

 

「最後まで頑張るよ」

 

 

 

 

 

////////

 

「今日はありがとうございます」

 

「ごめんね。長い事付き合わせちゃって」

 

帰る時間は夕方。それまで全員集中して勉強に力を入れていた

 

「それより大丈夫ラビ?」

 

蓮花は疲れ果てて寝てるのどかをおんぶ

 

「これくらい大丈夫だよ。じゃあ先に失礼するね」

 

「はい!また明日!」

 

「蓮兄バイバ〜イ!」

 

ちゆとひなたは手を振って別れた。蓮花は花寺家へと足を進める

 

「れんかさ〜ん……むにゃ」

 

「夢の中まで蓮花の事を考えてるラビ?」

 

「どんな夢なんだろう。良い夢だといいね」

 

「ラビ!」

 

「わん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何気ない今日がまた終わる。楽しい夢を見ながら

 

「れんかさん……すき〜……」




結局何をしたかったのかよく分からなかった

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第12話 思い出を作ろう♥可愛さ満点衣装チェンジ!

今回は少し長めになっております

では本編スタートです!


今日は、皆んなで花寺家にお邪魔させてもらい遊びに来ていた

 

遊びに来て早々、ひなたが自分が投稿した動画を皆んなに見せていた。その動画にはニャトランも一緒に撮っていた

 

「ニャトランちょい出ししたら、急に再生回数増えちゃって!ヤバくない!」

 

「俺の魅力半端ねぇ〜しな!」」

 

「何目立ってるラビ!」

 

「ヒーリングアニマルだってバレちゃうペエ!」

 

「猫のフリしてるから大丈夫だって」

 

次の動画を観せてもらうのだが、バッチリ飛んだり喋ったりしていた。言った傍からこれでは説得力も無く、顔を引き攣ってしまう。流石にこれは投稿しなかった

 

「あはは…。ん?あれって、のどかっちの写真?」

 

ひなたは本棚に置いてあるのどかの写真に目が入った

 

「うん、お父さんが撮ってくれて」

 

「見せて見せて!」

 

写真には小さい頃ののどかの姿だった

 

「小さくて可愛らしいね」

 

「てゆうか、のどかっち今と全然変わんないし!」

 

「そうね」

 

だけど見ていて気付いた。どれも小さい頃の写真ばかりで、最近の写真が1枚も見当たらない

 

「休んでた間は、あんまり撮って無かったから」

 

完全に地雷を踏んでしまった。少し前まで、のどかは病院生活をしていたので撮れてないのは当たり前

 

「ごめん!そうだよね本当ごめん!!」

 

「ううん。今はすっかり元気満タンだし!」

 

「…うん?そういえば…」

 

写真についてやり取りをしていたら、ひなたが何かを思い出して出掛ける事になった

 

やって来た場所はゆめポート

 

「ふわぁ〜!わたし、また来てみたかったんだ〜!」

 

「でしょ!此処って1日居ても飽きないんだよね〜!ファッションでしょ!可愛い雑貨に!スイーツとかもめっちゃ美味しいし〜!」

 

「わたしも偶にしか来ないけど、洋服は割と此処で買うわ」

 

「今日は何を買うんだ?」

 

「NO!!今日行くのはあっち!」

 

ひなたが指指す方には「angel photo」というイベント会場だった。内容は至って簡単なもの。衣装をレンタルして撮影するイベントだ。ただ、人気のイベントで可愛い衣装はすぐに取られてしまうらしい

 

その内容を聞いたのどかは大興奮で溢れていた。対してちゆは

 

「あっ…、折角だけどわたしは…」

 

「ちゆはやらないペエ?」

 

「俺は普段とは違うちゆの可愛い姿を見てみたいな」

 

「絶対似合いませんよ……。蒼咲さんに似合わない姿を見られたくないし…」

 

「似合うよ。後、最後何て言ったんだ?」

 

最初の部分は聞き取れたが、最後はちゆがボソッと小さく呟いてたので蓮花の耳には通らなかった

 

「まあまあ、とにかくやってみようよ〜!」

 

遠慮するちゆの背中を、蓮花とひなたが押して強引に会場に入らせた

 

 

 

 

 

////////

 

「どっちもイマイチね」

 

「私は似合ってると思うよシンドイーネ」

 

「そんな事言って!もお〜!」

 

ビョーゲンキングダムでは、シンドイーネと謎の人物もファッションについて話していた

 

「おい、準備はまだか?」

 

「紅牙ね。時間掛けてオシャレしてる女性にそれはないわよ。少し萎えたわ」

 

「そんなもんに時間掛けてたまるか」

 

横でうるさく喋る紅牙を無視しながら、シンドイーネは身なり整える

 

「それより紅牙、自分の心配をしたらどうなの?」

 

「はぁ?」

 

「それについては私から話すよ。紅牙こっちへ来て」

 

謎の人物は紅牙と2人っきりで話す

 

「皆んなにはもう伝えてる。……紅牙、貴方には次なんてないよ」

 

「それはどういう意味だ?次が無いって…」

 

「簡単よ。いつまで経っても魔剣を回収出来ない役立たずは用済みって意味よ」

 

「何だと!?」

 

「事実よ」

 

完全にキレてしまった紅牙は、謎の人物の襟に掴み掛かる

 

「俺の他にもダルイゼンも負けてばっかだろ!どうして!」

 

「私が体内にナノビョーゲンを取り入れ強化をし、更には魔剣の力も使ってる。なのにどうして?どうして負け続けるの?」

 

「黙れ!!」

 

「それだけの力を得ても勝てないのは問題よ。だから次失敗したら……貴方に未来は無い」

 

「黙ってれば調子に乗りやがって!!」

 

「出来たわよ…って何やってるのよ?」

 

言い争う2人にシンドイーネが声を掛ける。どうやら支度は整った様子だ

 

「目的を達成すれば良いだけの話」

 

「ちぃ!」

 

「では2人共、いってらっしゃい」

 

 

 

 

 

////////

 

のどか達は皆んなでビーズメーカーでアクセサリー作りをしていた。ひなたを中心に、皆んな色とりどり可愛く仕上がっていた。

蓮花はその様子を笑顔で見守りながら、ラビリン達を人目につかない様に体で隠していた

 

「キッヒッヒ!蓮花が隠してるお陰で、自由にビーズメーカーを使えるぜ!」

 

「きっとラテ様も喜ぶペエ!」

 

隠れてアクセサリーを作る様子をコッソリ伺う

 

「へぇ〜、綺麗に出来てるね」

 

「そんな事無いラビ。キッチリ白、黄、赤の順番ラビ」

 

ラビリンからキツイ言葉を聞いたペギタンの動きが止まる

 

「大体でいいんじゃね?どれも可愛いんだからよ」

 

「ダメラビ。やり直すラビ」

 

「ラビリンは厳しいペエ…」

 

「あはは…」

 

ラビリン先生からやり直しと言われたので、もう一度作り直し始めた

 

更に色んなアクセサリーを作って、巡って、とうとう衣装選びに突入する。

ドレスコーナーには、物凄い勢いで騒ぐ女性の皆様が獅子奮迅のご様子

 

「スーパーの特売セールの競争だ」

 

「その例え、結構現実的ですね…」

 

「一々引いてる場合じゃないって!意地でも可愛いのゲットしなくちゃ!それ〜!」

 

「お〜!」

 

人間の荒波にひなたが進軍し、それに続きのどかも宝の山を目指して走り出す。

ちゆに関しては完全について行けず、引き攣った表情をしていた

 

「ちゆは行かなくていいの?」

 

「わたしはゆっくり決めますので」

 

「それなら…あっちなら人が少ないから見に行こう」

 

「そうですね。あの競争に入れる勇気はありませんから」

 

蓮花とちゆは一緒にトコトコと少ない場所へ移動した

 

「ちゆ、これとか似合うと思うけどどうかな?」

 

「わたしには少し派手過ぎる様に見えます」

 

「そうか?なら…」

 

ちゆの衣装選びを手伝いながら、突入した2人を横目で気にする

 

ひなたは慣れているのか、上手い事衣装選びは順調に見えた。

問題はのどかの方だ。周りに流されて目を回していた。即座に蓮花とちゆが助けに行く

 

「のどか大丈夫?」

 

「ふぇぇ〜…」

 

「何処かで一旦休もう。ひなたを呼んで来るよ」

 

「お願いします」

 

のどかはちゆに任せて蓮花はひなたを探す

 

「居た居た!ひなた!」

 

「あ…」

 

「ひなた?」

 

「のどかっちは…?」

 

「ちゆに任せた。一緒に行こう」

 

「あ、あたし、のどかっちに飲み物買って来る!」

 

すぐさま走り出した。蓮花は少し元気のないひなたを見て心配していた

 

 

 

 

 

のどかはベンチに座って休んでいた。そして、蓮花とひなたは飲み物を買って合流した

 

「ごめん!本当にごめん!!」

 

「えっ?」

 

「ダメダメだよね…のどかっちが辛かったのに全然気付かないで」

 

「ひなた…」

 

さっきの自分の身勝手な行動で、のどかに無理をさせてしまった事にかなり罪悪感を感じた

 

「あたしってば、つい周りが見えなくなるって言うか、1人でドンドン突っ走っちゃって。これ飲んで落ち着いたら帰ろう!そうしよう!」

 

「しょうがないな。それなら帰る支度でもするか」

 

蓮花もちゆも帰るのに賛成だった。でも、のどかは違った

 

「ひなたちゃん。わたし、まだ帰らないよ」

 

「え?」

 

「だって、こんなにドキドキするくらい楽しいんだもん!帰りたくないよ」

 

友達とのお出掛け。楽しい時間をのどかはまだ味わいたいと願う

 

「ちょっと疲れちゃったのはそうだけど……ぷはっ!生きてるって感じ!」

 

「のどかっち…」

 

「だから、ひなたちゃん…」

 

「わん!」

 

のどかがひなたに何か言おうとするタイミングで、ラテは急に走り出して何処かへ行ってしまった

 

「あたしが追い掛ける!3人は休んでて!」

 

「あっ…言っちゃった」

 

ひなたはニャトランと一緒にラテを追い掛け走って行った

 

 

 

 

 

////////

 

「もう少し美しいものがあるかと思って来てみたけど…。やっぱり人間界って本当センス無いわね〜」

 

「馬鹿な事言ってないでさっさと片付けるぞ」

 

「崖っ淵の人が吠えてるわね」

 

「チッ…!」

 

シンドイーネはショーケースに入れられてる宝石に狙いを付けた

 

「進化しなさい!ナノビョーゲン!」

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンはイベント会場近くで大暴れ。その様子を建物の上から見物する

 

「俺も準備はしておくか」

 

 

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

紅牙は抜剣覚醒して、蓮花が来るのを密かに待つ。そしてやって来た

 

「ニャトランいくよ!」

 

ひなたがだけメガビョーゲンを早く察知して、変身しようとする。

だが紅牙の狙いは、蓮花と碧の賢帝(シャルトス)のみ。プリキュア になど微塵も興味など示さない

 

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

 

流石に放置し過ぎたせいもあり、ひなたはキュアスパークルに変身した

 

「またプリキュア じゃないの!メガビョーゲンやっちゃって!」

 

「ビョーゲン!」

 

「ほら、そっちも早く行って来たら?」

 

「分かってるよ!」

 

既に戦闘は始まっていた。スパークルは壁を蹴ったりして縦横無尽に飛び跳ねる

 

「かったぁ!」

 

休み無く攻撃をするも、メガビョーゲンの頑丈な体には傷ひとつ付かなかった

 

「残念でした!そんなヘナチョコキックじゃ、ビクともしないわよ。紅牙!」

 

「オラァ!」

 

「スパークル危ない!」

 

「きゃあ!」

 

メガビョーゲンばかりに気を取られて、紅牙の存在に気付かなかった。紅の暴君の攻撃をニャトランが寸前でぷにシールドで防ぐも、圧倒的に力で負けてしまい地面に叩き付けられた

 

「速い…!」

 

「蓮花じゃなきゃ相手にならないな」

 

「まだまだ!」

 

「立って向かって来るなら容赦はしない!」

 

紅の暴君の力が増幅した

 

「覚醒剣!暴君蹂躙!!」

 

「「ぷにシールド!」」

 

ぷにシールドで必殺技を受け止めようとするが、暴君の一撃はそんなやわでは無かった。多少は持ち堪えたが、簡単にシールドが破れて大ダメージを負ってしまう

 

「があ…あっ!……うぅ…」

 

「スパークル!」

 

「や〜ね。プリキュア 3人だって大して強くも無い癖に、たった1人で何とかしようなんて、ほ〜んと考え無しなんだから!」

 

今のスパークルにとってその言葉程効くものは無い。イベント会場での出来事を思い出してしまう

 

「あ、あたし…また…また、やっちゃった…」

 

落ち込むスパークルだが敵は待ってはくれない

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンの拳がスパークルに襲い掛かるがシールドで防ぐ。

状況は防戦一方

 

「スパークル!」

 

「メガ!?」

 

横から抜剣覚醒した蓮花が飛び蹴りを食らわして、スパークルの危機を救う

 

「スパークル!」

 

後から、のどかとちゆ達も追い付いた

 

「待ってて!すぐに変身するから!」

 

 

 

「「スタート!」」

 

「「プリキュア ・オペレーション!」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

 

「大丈夫?怪我は無い?」

 

「…ごめんね。あたし、また1人で突っ走っしっちゃって。今日のイベントもそうだし、今だってこんな事に…」

 

勝手な行動が深刻な事態を招いてしまった。改めて重く感じて落ち込むスパークルに、グレースは優しく手を握る

 

「スパークル、さっき最後まで言えなかったけど。今日自分の事そっちのけで可愛いアクセサリーとか、わたし達に似合うのを探してくれたよね。わたし、もう楽し過ぎて胸がいっぱいになっちゃった!」

 

「わたしも、最初はドレスで写真なんてって思っていたけど、その…ワクワクしたわ!」

 

「1人で突っ走る事が全て悪い訳では無いよ。言い換えれば、それぐらい一生懸命にやってるって事だよ」

 

蓮花達は怒るどころか、今日のスパークルに楽しい気持ちやドキドキ感を貰った事に感謝していた

 

「ありがとう。わたし、そんなスパークルが好き」

 

最後のグレースの一言で、恥ずかしさが頂点に達して顔を赤らめる

 

「そそ、そんな風に言われたらあたし、もう照れる〜!!」

 

さっきまで暗かった空気が一変、とても和やかな雰囲気になりいつも通りに戻る

 

「ちょっとちょっと!このシンドイーネを忘れてるんじゃないでしょうね!?アンタもいつまで寝てんの!紅牙も突っ立ってないで動きなさいよ!」

 

痺れを切らしたシンドイーネの怒鳴り声が聞こえる

 

「うるさい!そんな事は知っている!!」

 

地面を掛け走り一直線、蓮花に向かって来る

 

「俺の狙いは最初からお前なんだよ!!」

 

「ハァァ!!」

 

息を吐く暇も無く無我夢中で剣を振るう。だがその嵐の様な猛攻を全て受け流す

 

(もう少し……ここだ!)

 

「っ!?」

 

「少しずつ大振りになって来てるよ!何をそんなに焦っているの?」

 

蓮花は一瞬の隙を突いて、蹴り飛ばしてメガビョーゲンとぶつかる

 

「この…!?」

 

蓮花が体を横に少しズラすと、グレースがステッキを紅牙達に向けて構えていた

 

「実りのエレメント!」

 

エレメントの力が宿ったエネルギー弾が紅牙達に直撃する

 

「グレース今ラビ!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン」」

 

キュアスキャンでエレメントと見つけ出した

 

「宝石のエレメントさんラビ!」

 

「浄化させてたまるか!」

 

「フォンテーヌ!氷のエレメントボトルを使うペエ!」

 

「分かったわ!」

 

水のエレメントボトルから氷のエレメントボトルに取り替える

 

「氷のエレメント!ハァッ!」

 

ステッキから吹雪を放ちメガビョーゲンを凍らせる。巻き添えで紅牙の動きも封じる

 

「えぇっ!?氷で!?」

 

「動けない今がチャンスだ!」

 

「よっしゃいくぜ!」

 

「うん!」

 

 

 

「「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

メガビョーゲンを浄化されてシンドイーネは捨て台詞を吐いて立ち去った。残ったのは紅牙のみ

 

「……」

 

 

 

 

 

////////

 

「やったねスパークル!」

 

「うん!…やばっ!良い事思いついちゃった!ドレスこれで良くない?」

 

スパークルは今の状態、プリキュア の姿で写真を撮ろうと言い出す

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

「まぁ、ありっちゃありだよな」

 

「2人共調子に乗らないの」

 

「全く…」

 

すぐに調子に乗るスパークルとニャトランに、蓮花とちゆは呆れる

 

「だよね〜…。だったらやっぱり──

 

 

 

 

 

「これにしよう!!」

 

ひなたが用意したのは、3人のイメージカラーのドレスだった

 

それからは、ドレスに合わせてそれぞれアクセサリーやネイルで一工夫付ける

 

「じゃ〜ん!」

 

煌びやかに衣装チェンジした3人はとても可愛い

 

「2人共めっちゃ似合ってる!」

 

「ひなたもね!」

 

「そうだ!」

 

ひなたが蓮花に詰め寄る

 

「蓮兄!あたし達可愛いでしょ!」

 

「とっても綺麗だよ」

 

「蓮兄、惚れたら駄目だよ〜!」

 

「大丈夫。既に3人に惚れているから」

 

「「「えっ!?///」」」

 

冗談のつもりで言ったのだが、蓮花はそれに真面目に答える

 

「蓮花、ひなたに合わせてる?」

 

「合わせてるって何が?」

 

「…嘘偽り無く喋る蓮花には毎回驚かせられるラビ」

 

「聞いてる僕たちが恥ずかしいペエ」

 

その後はすぐに撮影。そして撮って貰った写真を手に取って各々感想が溢れる

 

「めっちゃ良い感じ〜!」

 

「ふわぁ〜!お姫様だ〜!」

 

「わたしの顔…」

 

「引き攣ってるね」

 

「あっそうだ!のどかっち、ソレあそこに飾ったら良いじゃん!のどかっちの部屋の写真コーナー」

 

思い出したかの様に喋るが

 

「ひなた、最初からのどかの為に写真撮りに来たんでしょ?」

 

「えぇ!?何で分かんの!?ちゆちー天才?」

 

「貴方が分かり易いのよ」

 

幼い頃の写真しか無いのどかの為に、イベントに参加してのどかの思い出作りにやっていたのだ

 

「ひなたちゃん」

 

「はい!!」

 

「ありがとう!!」

 

のどかの精一杯の笑顔と感謝の言葉に、ひなたはまた顔を赤くして照れてしまう

 

「また写真撮ろうね!今度は蓮花さんも一緒に!」

 

次の思い出作りの約束をする。今日も4人から笑顔が絶えなく続いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

「さて紅牙…分かってるよね?」

 

謎の人物は手を翳すと、紅牙の体内にあるナノビョーゲンが出て来て手の中に収まる

 

「ぐぅ…!」

 

「次は魔剣。紅の暴君を返しなさい」

 

ジリジリと寄って来る。けれど紅牙は紅の暴君を渡そうとはしなかった

 

「ふざけるな!これは俺の剣だ!誰にも渡すつもりは無い!!」

 

「仕方ないね」

 

「おい、暴れるなら離れてやれよ」

 

「分かってますよ」

 

グワイワルに言われて、2人は少し離れる。

そして手を天に翳す

 

 

 

「蹂躙しろ!紅の暴君!」

 

「喰らい尽くせ!紫紺の蛇刀(バルバリーア)!」

 

 

 

謎の人物も抜剣者だった。最後の一本、紫紺の蛇刀の所有者だ

 

見た目は曲刀。他の魔剣と同様に紫の色を漂わせてる。

 

腕のラインも、背中に浮かぶ光輪も紫だ

 

「紅牙に紫紺の蛇刀を見せるのは初めてだったね」

 

「それがどうした!」

 

大きく振りかざす。これ以上の負けはあってはならない。蓮花達と戦ったダメージが抜けて無いが、その疲れが無いかの様に怒涛の連撃で攻め立てる

 

一方で謎の人物は受け流すばかりだ

 

「どうしたどうした!その程度か!」

 

「……」

 

力の限り振るう。

だが少しずつ、紅牙の動きが鈍くなる

 

「な、何だよ…。何でそんな涼しい顔を出来る?」

 

「そろそろ攻めようか!」

 

たった一振りだ。その一振りで紅牙は大きく吹き飛んだ

 

「があっ!?」

 

吹き飛ばされても尚立とうとするが、すぐに膝を着いてしまう

 

「何がなんだか分からないって顔だね」

 

「何しやがった!」

 

「紫紺の蛇刀の能力よ。今度教えてあげる。でも…」

 

紫紺の蛇刀を大きく振り上げる

 

「今度があればね」

 

「クソッ!」

 

「むっ!?」

 

紅牙は紅の暴君を地面に突き刺して目隠しで土を煙りたたせ、そのまま逃走を図った

 

「逃げられちゃった」

 

「何が逃げられたよ。逃した癖に」

 

「追い掛けなくて良いの?魔剣、集めてるんだろ?」

 

「別に良いよ。それに、紅牙の逃げた先は予想つく」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎の人物は紅牙が居た場所を眺めていた




次回は、アニメがもう少し放送されてから書こうと思ってたオリストを、急遽次に持ってきます!

そして紫紺の蛇刀も登場!

では!ここまでの拝読ありがとうございました!


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第13話 昨日の敵は今日の友♥集まったお医者達!

新メンバーです!

ではどうぞ〜!


「ねぇねぇのどかっち!これから遊びに行っても大丈夫?」

 

「うん!いいよ!」

 

「やったー!」

 

放課後、のどかとひなたは帰りながら花寺家に遊びに行く話で盛り上がっていた。

蓮花とちゆは学校で仕事と部活中

 

「それでね〜…のどかっち」

 

「なんで貴方が?」

 

愉快に帰る2人の前に見覚えのある男性が話しかけて来た

 

 

 

 

 

「ちゆ、今日もお疲れ様。一緒に帰ろうか」

 

「はい!」

 

正門を通り抜けようとする時、先に帰った筈ののどかとひなたが待っていた

 

「のどかにひなた、どうして2人が?」

 

「忘れ物か?」

 

「そ、それは…」

 

「蓮兄に会いたいって人が…」

 

2人が目を向ける方向に振り向くと

 

「何で貴方が!?」

 

「紅牙…」

 

かなり暗い表情をした紅牙が立っていた

 

「少し、話出来るか?」

 

「…いいよ」

 

「駄目です蒼咲さん。絶対罠です!」

 

蓮花の手を取り引き止める。けれど、蓮花は優しく手を離す

 

「心配されなくても大丈夫だよ。だから──」

 

「それならわたしも付いて行きます。別に構わないよね?」

 

「…あぁ」

 

「じ、じゃああたしも!」

 

「わたしも付いて行きます!」

 

結局全員が付いて来る事になった

 

紅牙が話す場所として選んだ所は、町を一望出来るハートの形が目立つ高台。2人が初めて顔を合わせた場所だ

 

「話って何?」

 

「それ、は、だなぁ…!」

 

蓮花に指を指してプルプルと震わす

 

「うぐ……な……まに!」

 

それに加え、言葉も飛び飛びで正直何言ってるか分からない

 

「だぁーーっ!!俺と戦いやがれクソッタレ!!」

 

「「「「唐突!?」」」」

 

「無茶苦茶ペエ…」

 

「はぁ…。一回だけだよ」

 

「蒼咲さん!!」

 

「わっ!?」

 

渋々で受け入れる蓮花にちゆが耳元で怒鳴る

 

「蒼咲さん!蒼咲さん!!あ・お・さ・き・さ・ん〜〜っ!!」

 

「ちゆ聞こえてるよ!そして痛いよ!」

 

自分の置かれてる状況を理解してない蓮花の耳を強く引っ張る

 

「本当に聞こえているんですか!!」

 

「ちゆは俺の母さんかな?」

 

「怒りますよ…」

 

「心配してくれてありがとう。でも大丈夫だから」

 

「蒼咲さんを見す見す殺させません」

 

ちゆは、蓮花が紅牙に刺された時の事を言っているのだろう

 

「大丈夫!」

 

「蒼咲さん!?」

 

「ちゆ危ないペエ!」

 

蓮花は紅牙の近くに歩み寄る

 

「蓮花、お前と戦うのはこれで最後だ」

 

 

 

「「抜剣覚醒!!」」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「うおおォォォォ!!」

 

只懸命に走る紅牙に、蓮花は構えず冷静に動きを観察する

 

「っ!?」

 

蓮花は紅の暴君を振り上げる瞬間を狙い、軽く下から切り上げた

 

伸び切った腕は踏ん張る事が出来ず手から離れ、紅の暴君は綺麗に地面に突き刺さった

 

「勝負あり…かな?」

 

碧の賢帝の刃先を突き付けて勝利宣言した

 

「剣のポテンシャルでは勝っていた…」

 

「今回は、単純に動きが分かり易かったからだよ。これで満足出来た?」

 

「ああ…」

 

紅牙も完全に負けを認めて紅の暴君を拾う

 

「蓮花…その、あれ…何だよ」

 

(急に潮らしくなっちゃった)

 

「俺をそっち側に入れてくれないか?」

 

紅牙の言葉は意外なものだった。蓮花達の仲間に加えて欲しい頼みだった

 

「今更!…蒼咲さん?」

 

「何か訳が?」

 

「…捨てられたんだよ。彼奴らに。俺は魔剣を手に入れて、強い事を証明すればそれで良かったんだよ。地球をどうこうには最初から興味など無い」

 

「行く宛ても無いから俺達の所へ?」

 

「その通りだ。勝手な頼みなのは承知の上だ!俺は彼奴らを倒したい!只それだけなんだ」

 

一緒に戦ってくれる事は嬉しい。だけど反対の者もいる

 

「捨てられたとは言え、元はビョーゲンズの仲間なんですよ!そんな簡単に信じられません!いつか裏切るに違いないです!」

 

「…俺は信じるよ」

 

「わたしも!」

 

「あたしも!」

 

「ラビリン達は?」

 

「えっ!?う〜ん…」

 

少し考えたがすぐに答えは出た

 

「蓮花が言うなら大丈夫だと思うラビ」

 

「何かあれば守ってくれればいいし!」

 

ラビリン達も賛成の意見

 

「ニャトランの言う通り、何かあれば俺が必ず守る。約束する」

 

「…はぁ、分かった。なら、蒼咲さんを信じます」

 

「ちゆからの許可も出たという事で…」

 

蓮花は紅牙の手を引いて笑顔で迎え入れる

 

「これから宜しく!」

 

こうして理由は違えど、ビョーゲンズと戦う仲間が1人出来た

 

「ところで何処に住むんだ?」

 

「それなら考えてある」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日

 

のどか達は久し振りに蓮花の家に遊びに行く

 

「いらっしゃい」

 

「お邪魔します…?蓮花さんお客さんが居るんですか?」

 

のどかは玄関に見覚えの無い靴がある事に気が付いた

 

「…入れば分かるよ」

 

「「「??」」」

 

リビングに足を運ぶと紅牙がソファーに座って漫画を読んでいた

 

「「「何で!?」」」

 

「わざわざ実家から荷物持って来て、俺の家に引っ越して来たんだよ…」

 

「よう!昨日振り!」

 

「『よう!』じゃないです!蒼咲さんに迷惑を「あーー!その漫画!!」ちょ、ひなた!」

 

ひなたは紅牙が読んでる漫画に注目する

 

「その漫画って『蝶々さんこんにちは!』じゃん!」

 

「ひなたちゃん知ってるの?」

 

「知ってるも何も、今女の子に人気の少女漫画なんだよ!!」

 

「『蝶々さんこんにちは!』を知ってるなんて、やはりひなただな」

 

紅牙とひなたは自分達の知ってる漫画に大興奮してる

 

「本は毎回最低5冊は買うな。自分用、保存用、鑑賞用、布教用、サイン用」

 

「サインなんて貰ってるの!?ねぇ!見せて!!」

 

「それならあげようか?」

 

「いいの?やったー!!」

 

紅牙は、昨日までの出来事が嘘みたいにもう打ち解けていた

 

「鬼麿さんが少女漫画を読んでるなんて意外過ぎる…」

 

「少女漫画だけじゃないよ。荷物の中を見たら可愛い縫いぐるみ、お裁縫道具があったよ」

 

「何でそんな物が?」

 

「俺の趣味だ」

 

ひなたとの会話を終わらせてた。そして、荷物は全部自分の趣味だと言う

 

「俺の趣味は可愛い洋服とを作ってはフリマで売ってたり、縫いぐるみを買ったりする事だ」

 

「見かけによらず女の子っぽいラビ」

 

「そうだ、ヒーリングアニマル共に確かめたい事がある」

 

「な、何ペエ?」

 

紅牙はメジャーを取り出してラビリン達の体を採寸する

 

「俺の目に狂いは無かったな。これを着てみろ」

 

紅牙はラビリン達にドレスとタキシードを渡した。それを着てみると、ピッタリサイズだった

 

「ふわぁ〜!!」

 

「よくこんな物作れたわね」

 

「何これ!?ちっちゃい!」

 

「さっき測ったばかりだよね?」

 

「俺はメジャー使わなくても、見た感じで測っている。最高の特技だ」

 

紅牙は見ただけで、相手の身長、スリーサイズすらも見抜ける観察眼の持ち主だ

 

「今渡したのは昨日徹夜で作ったやつだ」

 

「コッチー凄いね!」

 

「コッチー…だと?」

 

勝手にひなたが付けた渾名に紅牙が反応たした。しかも良くない反応

 

「せめて俺も『紅兄』と呼べ!俺、一人っ子だから弟や妹に興味があるんだよ」

 

「紅牙ってこんな人だっけ?」

 

「子供が好きだからよ。将来は幼稚園か保育園の先生になろうと思うんだよ」

 

「ますます、わたし達の中の鬼麿さんのイメージが崩れるわ…」

 

今まで、敵としての紅牙しか知らなかった為に、このギャップの変わりように困惑する皆んな

 

「そうだ、折角だからお前らの服も何か作ってやるよ」

 

「えっ!マジ!?」

 

「俺の目に掛かれば、スリーサイズも丸分かりだ。ちゆは上から…」

 

「い、言ったら叩きますよ!!」

 

乙女の秘密をバラされたく無い為、リビングで紅牙とちゆが駆け回る

 

「蓮花さん!」

 

「ん?」

 

「これから、いつも以上に騒がしくなりますね!」

 

「そうだ──」

 

「そこ!!」

 

蓮花が言い掛けたその時、目の前でちゆが紅牙に飛び蹴りを仕掛け、一瞬でリビングが大惨事になった

 

「のどか、ひなた。…片付けるの手伝って」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅牙が仲間になった事で、これから先楽しい日常が始まり、皆んなでお手当てをする




改めて紹介

鬼麿 紅牙(おにまろ こうが)
7月1日/17歳/169cm
高校3年で蓮花より一つ年下。見た目や口調の割には、可愛い物や少女漫画が大好きな青年。勉強面も家庭科が特に優れてる。他の教科も、勉強してなくても80点は余裕で取れる優秀な奴。
特技は、メジャー無しで体型を見ただけで事細かく採寸出来る。身長、体重、スリーサイズも。
口癖もとい決め台詞は「蹂躙してやる!」との事。

容姿
赤みがある髪の毛に短髪。少し目付きが鋭いのが特徴。ミリタリージャケットを全開にジーパンと履いて、ちょっとガラの悪い

ちょっとした小話
「蝶々さんこんにちは!」は2000万部を最近突破した少女漫画。既刊7巻。アニメ化をしてから人気が出始めた。今では、ドラマ化も決定している。

また簡単に説明しました。主人公やオリキャラ、頭がハイスペック過ぎる。

ここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 テイク3 「今回も中々の出来でしたね」

作者の悪い癖が出てしまいました

では!よ〜い…ア゛ク゛シ゛ョ゛ン゛!


第10話 「スランプ発生♥空へと大きく跳べ!」より

 

始めのハイジャン失敗シーンから

 

 

 

 

 

「わたしのライバルはわたし」

 

再び集中して跳ぼうとするが

 

「あっ…」

 

思わず飛び越える。本来なら失敗する筈のシーン

 

「これは〜…」

 

「失敗ですか?」

 

「成功なんじゃ?」

 

「物語的には失敗よ。頑張って失敗しなくちゃ!」

 

「「「う〜ん…」」」

 

 

 

 

 

////////

 

 

第11話 「平凡なこの日♥らぶ・ラブ・LOVE・みー」より

 

蓮花とラテが買い物から帰ったシーンから

 

 

 

 

 

荷物を抱えた蓮花とラテが帰って来た。そして玄関ではひなたが待っていた

 

「蓮兄おかえり!ご飯にする?お風呂にする?それとも、あ・た・し?」

 

(ひなた、アドリブ入れるなら教えてくれれば……少し悪戯でも仕掛けるか)

 

「蓮兄?」

 

「ひなた!」

 

蓮花はひなたを玄関で押し倒す。これには、ひなたも予想外でパニック状態に陥る

 

「れれれ蓮兄!?///」

 

「俺は…ひなたが欲しいな?」

 

「タンマタンマ!!?」

 

「待てないよ。からかった罰だよ」

 

蓮花はひなたの耳たぶを甘噛みをし始める 

 

「ひゃう!?」

 

噛んだり、吸ったり、囁いたりとして、ひなたは体が火照って気持ち良い快感を覚え始める

 

「まっ…ふぇ♡……れんにぃ〜……♡」

 

流石に大人気無かったと感じ、蓮花はひなたから体を退かせる

 

「悪戯なんて駄目だぞ」

 

「ふぁい……♡」

 

 

 

 

 

////////

 

第12話 「思い出を作ろう♥可愛さ満点衣装チェンジ!」より

 

ひなたが用意したドレスを皆んなが着るシーンから

 

 

 

 

 

 

「じゃ〜ん!」

 

煌びやかに衣装チェンジした3人はとても可愛い

 

「2人共めっちゃ似合ってる!」

 

「ひなたもね!」

 

「そうだ!折角だし!」

 

ひなたの目が蓮花の方へ向く

 

「な、何かな?」

 

「蓮兄を女装させたらどうなるのかなあ〜?」

 

ひなたに続いてのどかとちゆもこちらへ向く

 

「蓮花さんの女装…!ふわぁ〜!」

 

「美味s……似合うと思いますよ?」

 

「今明らかに美味しそうと言おうとしたよね?」

 

「蓮兄覚悟〜!!」

 

 

 

 

 

////////

 

 

第13話 「昨日の敵は今日の友♥集まったお医者達!」より

 

ちゆが紅牙に飛び蹴りをかましたシーンから

 

 

 

 

 

蓮花が言い掛けたその時、目の前でちゆが紅牙に飛び蹴りを仕掛け、一瞬でリビングが大惨事になった

 

「のどか、ひなた。…片付けるの手伝って」

 

「片付けなんてどうでもいいんだよ!このゴリラ女をなんとかしろよ!!」

 

「誰がゴリラ女ですか!」

 

「ちゆ、暴れたら蓮花に怒られるペエ!」

 

紅牙は物を投げては家の中を滅茶苦茶にしていく

 

その様子を見て、蓮花は涙を流すのであった

 

「蓮花さん…最後まで付き合いますよ」

 

「流石にこれはねぇ…」




ヒロイン悩みまくり〜

ここまでの拝読ありがとうございます!


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第14話 カッコ良く決めろ♥蓮花の決め台詞!

前々からオリ主の決め台詞が欲しいと考えてたので、1話丸々使って決めました!

ではスタート!


「のどか、遊びに来てやったぞ!」

 

「こんにちは!紅牙さん!蓮花さん!」

 

久し振りにのどかの家にお邪魔する事なった。流石に人数も増えてきたせいもあり、部屋の中が窮屈に感じる

 

「お邪魔していきなりだが、蓮花の決め台詞を決めようと思う」

 

「何々?そのカッコイイ企画!!」

 

「それ必要か?」

 

「必要だ」

 

紅牙はボードとペンをそれぞれ皆んなに配る。勿論ラビリン達も参加だ

 

「因みに、俺の『蹂躙してやる!』は好きな漫画から取った」

 

「『蝶々さんこんにちは!』の少女漫画?」

 

「そうだ」

 

「「「どんな漫画…?」」」

 

未だに漫画を読んで無い3人は、更に内容が気になり始める

 

「そもそも、決め台詞が無いとお手当てするのにやる気が無いと思われるだろ?」

 

「ノリノリでお手当てしろって事か?」

 

「そうだ。プリキュアにだって決め台詞はあるんだ。考えて貰うぞ」

 

 

 

 

 

 

 

それから10分程経ち

 

「良し、全員出来たな。順番に発表するぞ。先ずは俺から」

 

 

『俺は誰よりも神に愛されてるだろ?』

 

 

「そんな恥ずかしい台詞を毎回言うの!?」

 

「この台詞の良さが分からないなんて…馬鹿だな?」

 

「馬鹿は君だよ紅牙」

 

表現の問題に難があり、紅牙の案は没となった

 

「次はあたし!」

 

 

『魔剣の錆になるがいい!』

 

 

「駄目ね。それに、お手当てするのに倒しちゃお手当ての意味が無いわよ」

 

「えぇ〜!?」

 

ひなたも没となり次はのどかだ

 

「わたしは…これです!」

 

 

『ラブラブズッキュン!撃ち抜きます!』

 

 

「何この子可愛い」

 

「蓮花さん!?」

 

「のどかっちはメルヘンだなぁ〜!」

 

改めてのどかの可愛いところを知り、次はちゆの発表

 

「わたしはこれよ」

 

 

『メディカルチェックといこうか?』

 

 

「意外と良いかも!」

 

「流石ちゆちー!」

 

「どうせ偶々だろ?」

 

蓮花の中ではかなり気に入ってくれたが

 

「ラビリン達も見ないと決めにくいな…」

 

「ラビリン達は3人で考えたラビ!」

 

「これペエ!」

 

 

『皆んなの健康は、俺が守る!』

 

 

「それだ。もうそれで良いよ」

 

若干の適当さが感じられる返事だが、蓮花の口から台詞が決まった

 

「やったぜ!」

 

「こんなんで良いのかよ?」

 

「シンプルなうえに、『健康を守る』。良いじゃないか」

 

蓮花の決め台詞は、ヒーリングアニマル達による合作『皆んなの健康は、俺が守る!』に決まった

 

「決めたからには絶対言えよな?」

 

「色々と無理矢理だな…」

 

「お前がヒーリングアニマル共の案が良いから妥協したんだぞ。本当なら、数十という候補の中から選んで貰うつもりだった」

 

「かなり考えてたんだね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

半端無理矢理蓮花の決め台詞が決まったが、頑張って使って行こうと努力するのであった




内容は適当だったが、決め台詞はちゃんと決まりました!

後、地味に「蝶々さんこんにちは!」の内容が垣間見えた。とんでもない内容だな(苦笑)

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第15話 焦るお手当て♥守りたいグレースの意思

中々のハイペースで投稿してる気がする

では本編をどうぞ〜!


「おはよう、のどか!」

 

「あ!ちゆちゃん!おはよう〜!」

 

今日は校外学習。少し離れた場所へと移動する為、すこやか駅で待ち合わせをしていた

 

「どうしたの?凄く嬉しそう」

 

「えへへ!今日の校外学習が楽しみ過ぎて、1時間も前に着いちゃった!」

 

「1時間も!?」

 

お出掛けは基本車ののどか。電車でのお出掛けは初めてで、それに興奮して朝からウキウキ

 

「ひゃ〜!改札で引っ掛かったらどうしよ〜!!」

 

「引っ掛かってみたいのね…」

 

のどかの変わった楽しみにちゆが苦笑いをしていると、小銭を落としたお婆さんを見た。すぐさま小銭にを拾おうとすると

 

「すみません!落とし物です!」

 

「あ、ちゆちゃんありがとう」

 

偶々通り掛かった自転車に激突してしまうと思い、ちゆが避けて貰う様に呼び掛けてくれた。もう少しの所で事故になっていた

 

「危なっかしいのよねのどかは。早く助けたいのは分かるけど、もう少し周りも見なくちゃ」

 

「うん、気を付ける」

 

全部拾い集め終わったが、まだ小さなお守りが見つからない。そこへギリギリでひなたが集合場所に到着した

 

「何してんの?」

 

「お守りを落としちゃったんだって」

 

「う〜ん…ああいう所に落ちてんじゃない?」

 

ひなたが指すのはグレーチング。中を覗いて見ると、隙間に落ちていたのを見つけた

 

お守りをお婆さんに渡して一件落着。丁度その時、私服姿の蓮花がすこやか駅に到着した

 

「遅れてすまない!」

 

「蓮兄があたしより遅いなんて珍しいじゃん」

 

「消毒液が切れてて慌ててコンビニで買っていたんだよ」

 

蓮花も何かあった時の為の人として同行している

 

「それはそうと…何で鬼麿さんまで?」

 

蓮花の後ろには紅牙が立っていた

 

「悪いか?俺も校外学習で行き先が同じだけだ」

 

「鬼麿さん、ちゃんと学校に行っていたんですね」

 

「偏見はやめろ。これでも、ビョーゲンズに居た時でもちゃんと学校は通っていた」

 

駅の前で5人が喋ってると、のどか達の担任からもうすぐ点呼があると呼ばれた

 

「早いとこ行くか」

 

皆んな切符を買って改札口を通る。蓮花と紅牙もカードで改札口を通ろうとするが

 

ピンポーン!

 

「あ?」

 

そんな電子音が鳴り響き、改札口が閉まる

 

「紅牙、残高不足って表示されてるよ。ちゃんと管理しなくちゃ駄目だよ」

 

「るっせー!!」

 

「俺の様に常にメモをしてないからそうなるんだよ」

 

蓮花はカード入れに残りの残高がメモされていた

 

「後ろの人に迷惑が掛かるからちゃんとしないと──」

 

ピンポーン!

 

「ん?」

 

蓮花も改札口で引っ掛かった

 

「ダハハッ!お前も引っ掛かってやんの!」

 

「おかしいな。お金はあるのに…」

 

もう一度カードを翳すが通り抜け出来ない

 

「蓮兄、めっちゃ拒否られてる」

 

原因は只のエラーだった。駅員が何とかしてくれて改札口を後に出来た

 

「いいな2人共。わたしも引っ掛かってみたかった…」

 

「のどかっち、それマジ?」

 

 

 

 

 

////////

 

「はぁ〜…最近、キングビョーゲン様にお会い出来なくて寂しい…」

 

「ハッ!ちっとも結果を出せないお前の顔なんか、見たく無いんじゃないか?」

 

今日もビョーゲンキングダムでは、シンドイーネとグアイワルが口喧嘩をしていた

 

そんな2人に巻き込まれたく無いのか、ダルイゼンはさっさと地球を蝕む為にその場から立ち去る

 

「待ってダルイゼン。私も行くわ」

 

「へぇ〜、自分から動くなんて珍しい」

 

謎の人物もダルイゼンと共に地球へ行く

 

「使える駒が無くなったからね。これからは私も同行する」

 

「ふ〜ん」

 

 

 

 

 

////////

 

「ふわぁ〜!大っきい川!」

 

「本当だ」

 

のどかは、初めての搭乗目を輝かせて小さな子供の様に窓を見る。蓮花も、そんなのどかの姿が可愛く思い一緒に楽しむ

 

「ひなた、さっきはよく分かったわね」

 

「何が?」

 

「お守りの場所」

 

「あ〜、あたしよく落とし物するからさ〜『経験者は語る!』的な?」

 

「何の自慢にもなんねーぞ」

 

厳しい指摘にひなたは苦笑いをする

 

「蓮花さん見ました?今、お魚跳ねてたの!」

 

「ちゃんと見てたよ。のどかは何でも夢中になれて良いね」

 

「ガキじゃあるまいし…」

 

「コラ!」

 

蓮花が紅牙に軽くチョップする

 

「のどかに失礼だよ。こんなに楽しくしてるんだ。邪魔をしたら駄目だよ」

 

「蓮花さん!蓮花さん!ほら見て下さい!」

 

「うっ!?」

 

興奮するあまり、のどかは蓮花に頭突きする感じに顎を跳ね上げた

 

「れ、蓮花さん!?ごめんさない!大丈夫ですか?」

 

「大丈夫大丈夫!のどかが楽しいならそれで充分だよ」

 

「まるで親バカだな」

 

 

 

 

 

蓮花達が着いた場所はガラス美術館

 

そこにはとても綺麗で繊細に造られてた、数々の美術品が展示されていた

 

「グラス可愛い〜!リアルに欲しい!」

 

「この木のオブジェも幻想的で素敵!」

 

「うん!ガラスなのになんか生きてるって感じがする!」

 

のどか達はその芸術作品に目を奪われてるが

 

((よく分からん…))

 

蓮花と紅牙はイマイチ良さが分かって無い様だ

 

「蓮花、芸術って何が凄いのか理解が出来ない。俺がおかしいのか?」

 

「いや、俺も綺麗だとは思うけど何が凄いのかはさっぱりだ」

 

そんな話をしてると、作者の「長良」がやって来た

 

「それは私が、初めて実用品じゃない物を造った思い出の作品なの」

 

「そうなんですか!」

 

長良さんは、美しいガラスを見て自分を作ろうと思ったのがきっかけでこの道に進んだらしい。そして、その可能性を広げる為にフランスまで留学して、何かを掴んで今の美しい作品が出来上がったとの事

 

「技術と情熱の結晶なんですね!」

 

「午後の体験学習も是非楽しんで行ってね!」

 

「「「はい!」」」

 

展示物も見て場所を移動する為に廊下を歩きだす

 

「楽しみ〜!」

 

「あたしあんなの作れるかな〜?」

 

「…?」

 

「のどか?」

 

のどかが急に窓の外を気にし始めた

 

「窓の外に誰がいたような…」

 

「誰もいないけど…」

 

のどかは窓の外にある木をじーっと眺める。そして木の陰から出て来たのは

 

「え…?」

 

「わん!」

 

「えぇ!?」

 

ラビリン達だった

 

急いで外に出て此処へ来た訳を話す

 

「ごめんペエ。僕は止めたペエ」

 

「だって、何かあった時に遠いとアレだし〜」

 

「ラテ様が一緒ならビョーゲンズが現れてもすぐ分かるラビ!」

 

「わん!」

 

「要するに、此処が気になって来たんでしょ?」

 

蓮花の言葉にヒーリングアニマル達は頷く

 

「困った奴らだ…」

 

「まぁ、バレなきゃいっか!」

 

「確かに理には適っているしね」

 

「皆んな見つからない様にね」

 

元気に返事する。やれやれと思いつつも腰を上げようとすると、ラテの体調が急激に変化した。察した蓮花達は、急いで建物中へ入って行く。

生徒達が逃げる方向へ向かうとグワイワルとメガビョーゲンが居た

 

「ほら見ろ!俺たちが来て良かったろ!」

 

「そういう事にしとこっか!」

 

「気楽な奴だ。とにかく騒ぎを鎮めるぞ!」

 

「「「うん!(OK!)」」」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「やめなさいメガビョーゲン!」

 

「なぬ!?早いぞ!それにお前は紅牙!」

 

「今は、蓮花やプリキュア達の味方なんでな!遠慮無く蹂躙してやる!」

 

紅牙が先行して蓮花が続いてメガビョーゲンへと走って行く

 

「食らえ!」

 

「ハァッ!」

 

重なる魔剣の一撃。メガビョーゲンは怯むが、それでも負けじと吐き出される汚染攻撃で反撃をする

 

「あたし達も負けてられないよ!いくよフォンテーヌ!」

 

「ええ!」

 

フォンテーヌ達も蓮花達に負けじと仕掛ける。そしてグレースは、自分の作品を心配する長良を発見した

 

「早く安全な場所に逃げて下さい!」

 

「でも!」

 

「大丈夫。大切な作品はわたし達が守ります!」

 

長良は蓮花達の戦う姿を見て、グレースの言う通りにその場から避難する

 

グレースもメガビョーゲンへジャンプして前へ出る

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

「光のエレメントさんラビ!」

 

「良し!早速蹂躙してやる!」

 

「蹂躙蹂躙ばっか言ってないで手を動かして!」

 

「お前もあの台詞を早く言えよ!!」

 

2人が無駄な事で言い争ってるとラテがくしゃみをする

 

「ラテ大丈夫?」

 

「待ってて、さくっとお手当て終わらせちゃうから!」

 

「クゥ〜ン…」

 

だが、ラテの鳴き声は収まらなかった。それどころか苦しく鳴く一方

 

「何だか様子がおかしいわ」

 

「診察するペエ」

 

フォンテーヌが急いでラテの元へ駆け寄り、聴診器で声を聴くととんでもない事を耳にする

 

『遠くのあっちで、大きな川が泣いてるラテ。あっちの遠くで、黄色いお花さんが泣いてるラテ』

 

「なんてこと!?」

 

『少し遠くで、小さな木が泣いてるラテ』

 

「皆んな!別の場所にもメガビョーゲンが発生したわ!」

 

「「ええ!?」」

 

「しかも3箇所!」

 

「考えたな」

 

「おいおい、ラテが可哀想だろ」

 

「つまり、メガビョーゲンが同時に4体現れたって事ペエ!」

 

「ほう、シンドイーネはともかくダルイゼンやアイツも動いていたか。運が悪かったなプリキュア」

 

「一旦立て直す!フォンテーヌ!」

 

蓮花の指示で、フォンテーヌは天井に向けて光弾を放ち、それをわざと爆破させ煙りで目隠しにして作戦を立てる

 

「どどどどうしよう!?」

 

「手分けしよう!わたし達5人いるんだもん!」

 

「そうね、きっと1体は電車から見えたあの川沿いに居るわ。スパークルそっちをお願い!」

 

「うん分かった!」

 

スパークルは早速川の方へ向かって行った

 

「3体目と4体目は黄色い花が咲いてる場所と小さい木がある場所ペエ!」

 

「黄色い花はわたし達が探すわ。木の方は蓮花さんと鬼麿さんが」

 

「待てよ。俺達はお手当ては出来ないぞ」

 

いくら強大な力を持つ魔剣でも、プリキュアみたいに浄化をする事は不可能。それでも蓮花は

 

「見つけるだけになるが紅牙は木の方を頼む。俺はグレースと急いでお手当てをする。浄化出来ない2人が固まるよりかはマシな筈だ」

 

こうして全員が散らばって、各地に現れたメガビョーゲンをお手当てする為に走り出す

 

先ずは美術館のメガビョーゲン。蓮花とグレースとラビリンで相手をする事に

 

「ほう、お前達も散らばったか。戦いの第二幕と言ったところだな。此処は大方蝕んでしまった事だし、場所を変えようではないか」

 

メガビョーゲンがトゲを引っ込めて動きやすい形態に変わる

 

「追って来いプリキュア!抜剣者!」

 

「いくよグレース!」

 

「うん!」

(この素敵な美術館を…絶対病気になんてさせない!)

 

 

 

 

 

それぞれの場所で様々な戦いが繰り広げていた

 

「きゃあ!」

 

「グレース!」

 

「グレースどうしたラビ?」

 

「わたしがぶつかったら、大切な作品が壊れちゃう…」

 

グレースは作品を庇いながらの戦いに苦戦を強いられている

 

 

 

 

 

「いたぞ!メガビョーゲンとシンドイーネだ!」

 

スパークル達は川沿いで暴れるメガビョーゲンを発見して、交戦を始める

 

「お手当ては、パパッと終わらせちゃうし!」

 

「メ〜ガッ!」

 

持ち前のスピードで浄化をしようとするが、いつもより攻撃が重く、強いメガビョーゲンに悪戦苦闘する

 

「そうか、美術館から此処まで結構距離あったろ?到着まで時間掛かった分、メガビョーゲンが育っちゃったんだ!」

 

「えぇ〜!?」

 

 

 

 

 

「居たわ!あそこよ!」

 

「黄色い花はタンポポの事だったペエ」

 

フォンテーヌの方もダルイゼンが蝕む場所までようやく辿り着いた

 

「見つけるのに時間が掛かったから、その分メガビョーゲンが強くなってる筈ペエ!フォンテーヌ気を付けるペエ!」

 

 

 

 

 

「オラァ!」

 

紅牙もメガビョーゲンを見つけ交戦していた

 

「やっぱり、プリキュアの方へついたの」

 

「見つけた…!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「喰らい尽くせ!紫紺の蛇刀(バルバリーア)!」

 

 

「今度は負けねぇ!」

 

「その前にひとつ良い事教える。紫紺の蛇刀の能力は、刀身から相手の力を吸収し、自身の威力へと変化させる力」

 

余裕のつもりか、紫紺の蛇刀の能力を喋った

 

「だったら!力を奪われる前に蹂躙するまでだ!」

 

「それでこそ紅の暴君に選ばれた者。伐剣者の力、改めて見るとしよう」

 

 

 

 

 

「きゃあ!」

 

グレースは作品を壊さない様に慎重に狙い定めるが、そのせいでいつもより力を発揮出来ずにいる

 

「グレース、作品を壊したくないのは分かるラビ!でも、時間が掛かれば掛かる程メガビョーゲンが育って強くなっちゃうラビ!」

 

「メ〜ガ!」

 

「駄目!!」

 

「グレース危ない!」

 

無茶な戦いに蓮花がフォローする

 

「戦いづらい!」

 

グレースをカバーしつつ、メガビョーゲンを相手に作品を傷付けない様に立ち回るのは至難の業。蓮花も集中力を切らさない様に剣を振るい続ける

 

「グレース!これ以上メガビョーゲンが育つ前に、3人で力を合わせるラビ!」

 

「どういう事?」

 

「全員で確実にお手当てをするんだな」

 

「発生時間が遅いメガビョーゲンなら浄化しやすいラビ!川の方なら早く見つけられやすいラビ!」

 

ラビリンの提案通りに蓮花は一旦離れようとするが

 

「嫌…」

 

「グレース?」

 

「だって、此処を離れてる間に取り返しがつかなくなっちゃったらどうするの?この素敵な作品たちは?造った人の…長良さんの想いは!」

 

「でも…」

 

「グレース気持ちは分かるが…」

 

「わたしは絶対守りたい!此処を離れたくない!!」

 

ラビリンの声を聞かず目の前の事に集中する。聞こえは良いが悪く言えば、周りの意見を聞かずに自分勝手に行動してる

 

「実りのエレメント!」

 

実りのエレメントボトルをセットして、ステッキの先端から更にピンクの剣が形成される

 

「グレース落ち着くラビ!」

 

「ハァ!」

 

「グレース!このまま守り切れなかったら同じラビ!」

 

「ラビリンの言う通りだ!皆んなと合流するんだ!」

 

それでも尚聞く耳を持たず、ひたすら攻撃を仕掛ける

 

「フッ!」

 

「メガ!?」

 

「駄目!!」

 

攻撃は直撃するも、倒れそうになるメガビョーゲンを、グレースは作品を守る為にメガビョーゲンを支えた。結果、メガビョーゲンを助ける形となった

 

「メガビョーゲンを助けてくれるとは感謝するぞプリキュア!」

 

「あぁ!!」

 

それでもメガビョーゲンは容赦無くグレースを投げ捨てる。落ちる先は作品の真上。落下すれば傷付いてしまうのは間違いない。目を閉じ、傷付かない様願う時

 

「クッ!」

 

「蓮花!」

 

蓮花がグレースを空中でキャッチして、グレースも作品も大事には至らなかった

 

「危機一髪だったラビ。ありがとうラビ!」

 

「それよりも。グレース、どうしてラビリンの言葉を聞かない?」

 

「皆んなを待っていられないよ!早くしないと…」

 

「グレース、怒るよ?」

 

「怒ったって構いません!早くお手当てを──」

 

「っ!!」

 

蓮花は全く聞き入れないグレースの頬を叩いた

 

「え…?」

 

「言ったでしょ?俺だって怒る時は怒るよ」

 

「だって…でも!」

 

「無鉄砲にも程がある!何度も言ってるでしょ!何でラビリンの意見も聞かないんだ!!」

 

あまりの蓮花の怒号にグレースは涙ぐんでしまう。蓮花自身も、今回ばかりは放置出来なかった

 

「1人で何でも出来ると思ったら大間違いだ。ラビリンだって心配してるぞ」

 

蓮花はグレースの目元の滴を優しく拭う

 

「いきなり怒ったりしてごめんな」

 

「いえ…」

 

「一度外へ誘き出すぞ」

 

「はい!」

 

蓮花とグレースは斬撃でメガビョーゲンを外へ弾き出す

 

「メ〜〜ガーー!!」

 

縦回転でこちらに突進して来る

 

「これ以上好き勝手はさせない!皆んなの健康は、俺達が守る!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「賢帝解放!」

 

 

碧の賢帝の波動で突進して来るメガビョーゲンを弾いた

 

そこへ丁度フォンテーヌとスパークルが合流した

 

「2人共大丈夫?」

 

「間に合って良かった〜!」

 

「最後頼むよ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

「「お大事に」」

 

 

 

////////

 

「エレメントさん大丈夫?」

 

『皆さんよお陰で私達は助かりました』

 

美術館のお手当てが終わり、沢山の光のエレメントを無事助ける事を出来た

 

「グレース!良かったラビね!」

 

「うん…」

 

「先ずは一体。気にしたら駄目だよ」

 

落ち込むグレースに元気づける

 

『ささやかですが、これを』

 

光のエレメントは、エレメントボトルに更に力を分けてくれた

 

「いいの?」

 

「まだ、苦しんでる他のエレメントさん達もどうか助けてあげて下さい。宜しくお願いします』

 

「分かった!」

 

 

 

 

 

「先に川の方をお手当てしましょ!」

 

2体目のメガビョーゲンに向かう為、林の中を駆け抜けて行く

 

「ごめんなさいラビリン。やっぱりラビリンの言う通りだった…」

 

「ラビ?」

 

「あのままだったら…わたし1人だったら、きっと守り切れなかった。もっと大変な事になってた」

 

グレースは先程の事を気に病んでいた

 

「ちゃんと、周りを見て考えなきゃって朝ちゆちゃんも言ってくれたのに」

 

「そこまで思い詰めなくても」

 

「ううん。本当に助けようと思うなら、目の前の事だけじゃ駄目なんだよね…」

 

「グレースは一生懸命だったラビ。そういう事もあるラビ」

 

目の前の事に張り切り過ぎてしまう。それをしっかり反省して、ラビリンがフォローする

 

「ラビリン、またわたしが間違えそうになったら、その時はまたちゃんと言ってね」

 

「勿論ラビ!」

 

「蓮花さんも迷惑を掛けてしまって…」

 

「俺の方こそ怒り過ぎたね。謝るよ」

 

「怒ってくれて嬉しいです。わたしの事を見てくれて」

 

「いつだって見てるよ。どんな時でも、君をね」

 

お互いに笑顔になり、急いで川にいるメガビョーゲンへと走る

 

残りのメガビョーゲンは3体。水のエレメント、花のエレメント、木のエレメントを助ける為に街へ飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

一方で紅牙の方は今も尚交戦していた

 

「やるなぁ!」

 

「紅牙こそ1人で良くやってる。そんな貴方に、もう一つ教えてあげる」

 

「何を?」

 

「私、碧の賢帝の所有者である蓮花にはもう会っているのよ」

 

「それがどうした?」

 

「実は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

語られる言葉に紅牙の表情はますます厳しくなり、蓮花と会わせるのは非常に不味いと感じた。

何故なら、もしそれを知ってしまえば彼は間違い無く暴走するからである




もう少ししたら、謎の人物の名前が明かされる!「謎の人物」で通すのもシンドイね

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第16話 奇跡の誕生♥新たなヒーリングボトル!

新しい玩具の誕生だ!

では本編をどうぞ〜!


美術館のメガビョーゲンを浄化し、今は川沿いに居るメガビョーゲンとお手当ての途中

 

「確かに強いけど!」

 

「お手当て出来ない相手じゃないね!」

 

「グレースお願い!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

「「お大事に」」

 

 

 

苦戦を強いられると思われたが、メガビョーゲンの隙を突いての浄化技。見事に2体目もお手当てが完了した

 

そして助けてもらった水のエレメントから、フォンテーヌは力を分けて貰った

 

「ワン…!」

 

「どうしたんだラテ?」

 

蓮花が聴診器でラテの声を聞く

 

『小さな木が喜んでるラテ…』

 

未だに弱ってるラテが頑張ってその事を伝えた

 

「小さな木…紅牙はどうやってメガビョーゲンを浄化出来たんだろう?」

 

 

 

 

 

////////

 

「暴君蹂躙!!」

 

キュアスキャン出来ない紅牙は、メガビョーゲンの至る所を切り裂く

 

「居た!木のエレメント!」

 

そしてようやく見つけ出した。手を伸ばして、強引に木のエレメントをメガビョーゲンから引き剥がした

 

 

 

「暴君蹂躙!」

 

 

 

エレメントのいないメガビョーゲンはそのまま消滅した。これで3体目も無事に退けた

 

「クソ!…ハァッ…思ったより苦戦した!!」

 

「中々、だけどメガビョーゲンは前座。本当の戦いはこれからよ」

 

紅の暴君と紫紺の蛇刀の魔剣同士の戦いが火花を散らす

 

 

 

 

 

////////

 

ダルイゼンが使役するメガビョーゲンの元へ行くと

 

「ここまで侵食が進んでるとは…」

 

蓮花達の目の前には、一面に広がる草原が汚染されて赤黒く広範囲に侵食されてる光景

 

「あれ?居なくなったと思ったら仲間連れて戻って来たんだ。大丈夫?お手当て出来る?メガビョーゲン結構育っちゃったけど」

 

「メ〜ガビョーゲン!」

 

ダルイゼンの奥を見ると、今までの比ではないくらい巨大に育っていた

 

「ちょちょ嘘でしょ!?あんなでっかくなっちゃうの!?」

 

「俺たちだって初めて見たニャ!」

 

「び、ビビってる場合じゃないラビ!」

 

「そうだよ。絶対お手当てするんだから!」

 

4人は一斉に飛び出してメガビョーゲンに仕掛ける

 

「メガ!」

 

「クッ!?」

 

「メガ!!」

 

「「「「アアッ!」」」」

 

最初の攻撃を結界とシールドで防ぐも、畳み掛ける一撃に対応出来ず全員纏めて地面に叩き付けられる

 

「いった〜い!全然当たんない、てか近付けない!」

 

「全部あの手でガードされちゃうペエ!」

 

「くっ……うわっ!?」

 

グレースが立とうとすると何故か足下が滑り転がそうになった

 

「地面も蝕まれて傷んでるラビ!」

 

「皆んな前を見るんだ!」

 

足下を気にする間にも、メガビョーゲンは次の攻撃を仕掛ける。タンポポの花の種子を撒き散らす

 

「何でタンポポの種なんて…?」

 

蓮花が手を伸ばして触ろうとすると

 

「うわっ!」

 

「蓮花さん!」

 

蓮花の目の前で爆発する。グレースは駆けつけた起き上がらせる

 

「大丈夫ですか?」

 

「俺の事いい!早く逃げるぞ!」

 

種子から逃げるも、足場の悪い状態で逃げ切るのは不可能。途中から結界とシールドを張って爆発を防ぐ

 

「お手当てどころか、防ぐのも精一杯!」

 

防御一辺倒の蓮花達に最悪の事態になる。蓮花達をすり抜けた一部の種子がラテの所へとふわふわと飛んで行く

 

急いでラテの所へ行き再度結界とシールドを張るも、それすらも防ぎきれない量の爆発が襲い掛かり蓮花達は遥か彼方へ吹き飛ばされた

 

「あ〜あ、これでプリキュア ともヒーリングッバイかな?」

 

「メガ、ビョーゲン!」

 

様子のおかしいメガビョーゲン。そして何かの種を吐き出した。種は、赤黒い触手を出して何処かへ移動した

 

「良い感じに育ったじゃん」

 

 

 

 

 

////////

 

「……か!」

 

 

(う…ぅん…)

 

 

「のどか!しっかりしろ!」

 

「れん…か…さん?」

 

何処かの森の中へと飛ばされた蓮花達。気絶して起きると変身が解除されてる事にも気がつく

 

「一応ラテも無事だよ」

 

「良かった。じゃ、早くメガビョーゲンを浄化しに行かないと」

 

のどかが意気込んで立ち上がるが

 

「本当にお手当て出来るのかな…」

 

「まさか、あんなに強くなってるとはニャ…」

 

「ラビリンたちも、あんなに成長したメガビョーゲンを見たのは初めてラビ…」

 

「正直怖かったペエ…」

 

「浄化するにしても、まだまだ時間は掛かる。つまり、もっと強くなってるって事だよね」

 

「そんなのもっと無理じゃん!」

 

成長したメガビョーゲンの強さを目の当たりにして、ちゆやひなた達は弱気になっている。考える事もネガティブに

 

「思ったけど、このまま成長が続いたらどうなるの?」

 

「今病気にされてる所は二度と戻らなくなるラビ…」

 

「「そんな!?」」

 

「二度か…」

 

ラビリンの言葉に更に不安が広がる

 

「駄目そんなの。絶対浄化しなきゃ!」

 

「分かってるラビ。でも、どうしたらいいラビ?」

 

「力の差が圧倒的過ぎるニャ…」

 

「あたし達、やり方間違ったのかな?だってメチャメチャ強かったよ!あたし達が皆んなビビんないで、手分けしたまま頑張って自分の担当浄化出来てたら、あんな強くなんなかって事でしょ!?」

 

遂には、自分達の選択が誤りだったかを考え始めてしまう

 

「ごめんペエ…僕たちの判断が良くなかったペエ…」

 

「ペギタンのせいじゃないわ。わたしも賛成したもの…」

 

気の落ち込みが深くなり完全に諦めの空気が流れる

 

だけどまだ、2人は諦めてなかった

 

「諦めるにはまだ早い」

 

「蓮花?」

 

「皆んなどうした?何で弱気になる!」

 

「あんなに強くなったんだ。勝てる筈が…」

 

「俺達が必要なのは力じゃない。本当に必要なのは気持ちだ!」

 

「「気持ち…」」

 

蓮花は諦めてない。それはのどかも同じだった

 

「蓮花さんの言う通りです!諦めなきゃいいんだよ!皆んな、見捨てるつもりで花のエレメントさんを最後にした訳じゃないでしょ?」

 

「「…」」

 

「全部のエレメントさんを助けたい気持ちは変わらないでしょ!だったら、どんなに難しくてもお手当てを続ける。それしか無いんだ」

 

「でも、解決策が分からないんじゃ…」

 

「俺はもう、失いたく無い」

 

蓮花の脳裏に浮かぶのは父親の姿。大切なものを守らなかった苦い過去

 

「戦う事に諦めてしまったら、それこそ本当に勝てなくなる。だから、もう少しだけ頑張ろ?その先にある希望を目指して」

 

風が吹く

 

「そうラビ!ラビリンたちはまだまだ頑張れるラビ!」

 

「ラテ様も頑張ってるペエ!」

 

「俺たちが絶対元気にしてやんないとな!」

 

「その為には先ず早くこの森から出ましょ!」

 

「そうだよ!レッツゴー!ゴー!!ゴー!!!」

 

その風は、皆んなの不安な気持ちを追い払い、新たな気持ちの風を吹かせた

 

気持ちを引き締めメガビョーゲンの元へ行こうとするが

 

「ひなた何処に行くんだ?」

 

「勿論メガビョーゲンの……あれ?どっから来たっけ?」

 

蓮花達はメガビョーゲンの攻撃で吹き飛ばされて此処にいる為、自分達が何処にいるかも把握出来て無かった。迷子になってしまった

 

ラテに聞こうとするも、症状が思ったより重くてとても話が出来る状態では無かった

 

「うわーん!ガチのガチでどっちに行ったらいいの〜!?教えて森さ〜〜ん!!」

 

ひなたが叫ぶと、森から様々なエレメントが大量に出て来た

 

エレメント達はある方角の方へ進んで行った

 

「もしかして導いているの?」

 

『お願いします。どうか、私達の仲間を助けて下さい!』

 

「うん!絶対助ける!」

 

蓮花達はエレメント達が導く方向へ走る

 

進んで行くと蝕まれている場所を発見する

 

「もう少しラビ!」

 

「…出口だ!森を抜けるよ!」

 

 

 

 

 

////////

 

森を抜けた先には、ダルイゼンとメガビョーゲンが未だに辺りを蝕んでいた

 

「また戻って来たの?懲りないね」

 

「皆んな行くラビ!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

変身して早々にメガビョーゲンへと飛び出して行く。それに合わせて、メガビョーゲンも種子での爆発攻撃を仕掛て来る

 

「すげぇ作戦は無いけどニャ!」

 

「諦めなければ、ちょっとずつ体力を削る事が出来るペエ!」

 

「そしたらいつか!チャンスが来るラビ!」

 

蓮花とグレースが前に出て、フォンテーヌとスパークルは2人の援護をする

 

「1人じゃ無理でも!」

 

「わたし達はが力を合わせれば!」

 

「きっと出来る!」

 

フォンテーヌとスパークルがメガビョーゲンの両手を押さえ付け、グレースがメガビョーゲンの頭を蹴り飛ばす

 

「絶対に助ける!」

 

体を仰け反ったメガビョーゲンに、更に蓮花が上から斬り付け地面へと叩き付ける

 

「やったラビ!この調子ラビ!」

 

喜ぶのも束の間、メガビョーゲンの尻尾が、まだ空中にいるグレースを叩き落とす

 

「グレース!」

 

「メガ!」

 

押さえ付けるフォンテーヌとスパークルも、お互いにぶつけられ

 

「なっ!?」

 

メガビョーゲンが起き上がった事により蓮花は宙へ飛び

 

「メガー!」

 

起き上がった反動を利用して、蓮花に頭突きをかます

 

「まだまだ!」

 

それからも諦めずに仕掛けるも、気合い一辺倒ではどうにもならなかった。吹き飛ばされ、薙ぎ払い、蓮花達の攻撃が全く通らなかった

 

体力を削るどころか削られて満身創痍

 

「分かっただろ?無理なものは無理なんだって。見ろよ、アイツは諦めてるぜ」

 

「え…」

 

「まさか…!」

 

ダルイゼンの言葉に嫌な予感がし、グレースはキュアスキャンで花のエレメントの様子を見ると

 

「エレメントさんは、メガビョーゲンに力を使い果たされる寸前ラビ!」

 

「エレメントさんが消えたら!」

 

「この辺りの蝕まれた土地はもう終わりペエ…」

 

病気の進行が思ったより早く、花のエレメントも体力が限界に近づいて来た

 

「エレメントさん諦めないで!」

 

「貴方を助けたいのはわたし達だけじゃない!」

 

「先に助けた光のエレメントさんも、水のエレメントさんも、後とにかく沢山のエレメントさんも!皆んな皆んな言ってたんだよ!!」

 

「頼まれたからには…助ける以外の選択肢は無い!」

 

「だからお願い!一緒に頑張って!わたし達と一緒に!!」

 

諦めず前へと進む。皆んなの想いに応える様に花のエレメントも復活する

 

そんな頑張りも虚しく、メガビョーゲンの攻撃を食らってしまう

 

「お大事に…なんてね」

 

楽勝ムードのダルイゼンだが

 

「ッ!?」

 

その時、三つの光の柱が立つ。グレース、フォンテーヌ、スパークルとそれぞれ光り輝き立ち上がる。そして、手には見たことも無いボトルが握っていた

 

「これは…?」

 

「俺たちも初めて見るボトルニャ」

 

「でも、凄いエレメントパワーを感じるラビ!」

 

「きっと、エレメントさん達が力を貸してくれたんだ。皆んなで地球の病気と戦おって!」

 

新たなボトルを手にして3人はヒーリングステッキにセットする

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

緑あふれるオアシスを背景にヒーリングステッキを構える

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

ステッキからピンク、水色、黄色の螺旋状のエネルギーを放ち花のエレメントを救いだした

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「ふぅ〜ん。プリキュア も成長するんだ」

 

 

 

 

 

////////

 

「エレメントさん、お加減いかがですか?」

 

『まだ、完全に元通りではありません』

 

浄化出来たとは言え、大地がチラホラと枯れてる部分がある

 

『でも、長い時間を掛けて少しずつ戻っていくと思います!プリキュア の皆さん本当にありがとうございました!』

 

「エレメントさん、ラテ様も時間が経てば治るラビ?」

 

流石に、ラテも今回ばかりはグッタリとしていた

 

『大丈夫。先程生まれたエレメントボトルを差し上げて下さい』

 

新しいエレメントボトルでラテを治療出来るので、ラテにエレメントボトルをセットすると

 

「わふ〜ん!」

 

すぐに元気になった

 

「あんなに具合が悪かったのにこんな元気になるなんて」

 

「ミラクルなヒーリングボトルだ!」

 

「そうラビ!これは『ミラクルヒーリングボトル』と名付けるラビ!」

 

ラビリンの命名で新たなヒーリングボトルの名前が決まった

 

「そう言えば紅兄はどうしたのかな?」

 

「確かに随分と遅い」

 

ラテの具合も良くなってるって事は、紅牙の方は何かしらの方法でお手当てが出来たのだろう。だけど帰りが遅い

 

そんな事を考えてると

 

「ぐわっは!!」

 

森の中から紅牙が吹き飛んで出て来た

 

「紅牙!!」

 

ボロボロの姿を見て蓮花達は駆け寄る

 

「蓮花!?クソ!ここまで誘導されたって事かよ!!」

 

「まだまだ詰めが甘いよ紅牙」

 

現れたのは黒いコートを羽織った人物。声から察するに女性

 

「蒼咲蓮花ね?」

 

謎の人物はコートを脱ぎ捨てる

 

長く綺麗な薄紫の髪色に、白いシャツの上にロングカーディガンを羽織り、ジーパンを着込んでる女性が姿を見せる

 

「私は天道 紫苑(てんどう しおん)。同じ適格者で紫紺の蛇刀(バルバリーア)の所有者よ」

 

「適格者!?」

 

「蓮花、久し振りね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新たな適格者「天道紫苑」。紅牙がまだビョーゲンズに居た頃に命令を出していた人物。その人物が蓮花にどう関わって来るのか




良し!それなりに書けた?
次回はどうなるかやら

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第17話 復讐の刻、暴走する殺戮マシーン

もうちょっと内容をエグくしたい。そして当然の様に展開も早い

では本編をどうぞ〜!



「久し振り?それはどういう意味?」

 

紫苑は蓮花の持つ碧の賢帝に目を向ける

 

「プリキュアとビョーゲンズと出会ってから剣を抜き始めて……短期間でここまで力をつけるなんてね…」

 

(この人何処で…?)

 

碧の賢帝(シャルトス)が急にカタカタと動き反応する。前にも似た様な現象が起きたのを思い出す

 

「碧の賢帝?」

 

「改めて、蓮花久し振りね。8年振りね」

 

「誰なんだ君は?俺は君を知らない」

 

紫苑はやっぱりといった表情をする

 

「それなら教えてあげる。蓮花、貴方の──」

 

紫苑が喋ろうとする時、紅の暴君(キルスレス)が振り抜かれる。寸前のところで紫苑は後ろに避ける

 

「それ以上喋るんじゃねぇ!!」

 

「それは無理よ。彼は改めて思い出して貰う。そして!」

 

紅の暴君と紫紺の蛇刀(バルバリーア)が甲高い音をだしながらぶつかる

 

「魔剣の力を全て出させる!」

 

「させっかよ!」

 

「蓮花良く聞いて!8年前の事故、貴方のお父さんは事故で死んだ。だけどそれは、事故でも何でもない」

 

「お前ら!蓮花に話を聞かせるな!!」

 

だが、全く状況が理解出来てない3人は動く事が出来ない。紅牙も紫苑を相手に精一杯

 

「貴方のお父さんを殺したのは!」

 

「やめろ!!それ以上言うなぁぁぁ!!」

 

「私よ!!」

 

「……父さんを殺したのが君?」

 

8年前の出来事がフラッシュバックする。蓋をしていた壺が開かれる

 

「あの時…確かに他に居た。それが…!」

 

「そう!紫紺の蛇刀を持った私よ!碧の賢帝を回収しようと思ったけど…残念ね。手元が狂ったわ。でも良かったね」

 

「何が…」

 

碧の賢帝を握る腕がドンドン侵食されていく

 

「マズい!怒りが…負の感情で魔剣の力が引き出されて、蓮花の体を蝕み始めてる!」

 

「邪魔よ紅牙!」

 

隙を見せた紅牙に、容赦無く腹に蹴りを放ちグレース達の所まで転がる

 

「紅兄!」

 

「大丈夫ですか!?」

 

「俺より…グッ…蓮花を!」

 

紫苑は蓮花に近付く

 

「お父さんが死んだから今の君がある。大切な人達を守れている。良かったね、感謝しないと」

 

「何が良かった…?何が感謝だ!魔剣のせいで人が死んだんだよ!何も思わないのか?」

 

「思わない。魔剣を集めるのが私の人生。他人の人生に興味なんて無いわ」

 

それを聞いた蓮花は碧の賢帝を落とした。覚醒状態も解けて俯くばかり

 

「これで終わりよ」

 

蓮花に突き刺そうとする。蓮花も避ける気など無く意気消沈だが、何かが紫紺の蛇刀を弾いた

 

碧の賢帝だ。所有者である蓮花を、碧の賢帝が勝手に浮かび上がり守った

 

「許さない……許さない!!」

 

怒りに身を任せて再度抜剣覚醒した

 

「体の奥まで突き刺さる様なこの力。怒りによって、ようやく本来の力に目覚めたわけね!」

 

「オオオォォォ……オオオオオオォォォォォォォォッ!!!」

 

碧の賢帝が蓮花の左腕を完全に侵食した。そして肩から顔へと、碧の賢帝と持つ左から碧のラインが走る

 

「殺シテヤル…殺シテヤル!!何モカモ!」

 

「フフフッ!遂に伐剣者へと足を踏み入れたわね!」

 

「ウオオオオォォォォォォォォ!!」

 

叫ぶ雄叫びはもはや人の声では無い

 

「何!?なんなの!?」

 

「鬼麿さんこれは?」

 

「魔剣は所有者の精神の強さによって力が上下する。特に負の感情は魔剣にとっては最高の食材。怒りで碧の賢帝の力で跳ね上がった」

 

「それって凄いじゃんか!」

 

「確かに凄いが…」

 

蓮花の様子をグレースと紅牙は心配の目で見守る

 

「父サンヲ…人間ヲ穢スナァァァァァ!!」

 

ラッシュラッシュラッシュ。蓮花の猛威は止まる事は無く、逆に攻撃のスピードが上がってゆく

 

「捌き切れない…!」

 

刀身に触れて力を吸収はしてるものの、防御に手一杯で紫苑は攻めあぐねている

 

「アアアアアァァァァァッ!!」

 

「しまっ!?…クッ!」

 

防御する紫紺の蛇刀を強引に剥がして、ガラ空きとなった腹に蹴りが炸裂した

 

「殺ス!コロス!コワシテヤルウゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

「これ以上は危険ね」

(下手をしたら魔剣を壊しかね無い)

 

紫苑は危機感を感じて撤退を考える

 

「それなりに紫紺の蛇刀も高まったわ。後の処理は頼んだわよ」

 

「おい!待ちやがれ!!」

 

紫苑は姿を消した。蓮花を残して

 

「フシュウゥゥ……ッ!」

 

「止まったラビ?」

 

「蓮兄!」

 

「待て!」

 

紫苑が居なくなった事で蓮花は動きを止める。スパークルが蓮花の元へ行こうとするが、それを紅牙が止める

 

「俺が行く」

 

何があるか予想がつかない。紅牙はゆっくりと近づき、手の届く範囲まで来た

 

「おい、蓮──」

 

名前を呼びながら、後ろから肩に手を掛けようとした時

 

「っ!?」

 

蓮花が振り返ると同時に腕を掴んだ。そしてそこからの切り替えが早かった

 

「アアアッ!」

 

近づいて来た紅牙に狙いを変えて、何度も何度も紅牙の腹に拳を減り込ませる

 

「がっ!?…ゴフッ…」

 

膝が崩れ落ちそうな所を、顎を蹴り上げて強引に立たせる。逃げようとする紅牙の襟を掴み上げ、顔面を殴りつける。完全にサンドバッグ状態だ

 

「フシャアァァ!!」

 

回し蹴りを食らわせ紅牙は大きく吹き飛んだ

 

蹴り飛ばされたのが幸い、蓮花の攻撃の嵐から抜け出す事が出来た

 

「鬼麿さん!!」

 

「魔剣の力に取り込まれて、自我を…失ってやが…る!」

 

「そんな!」

 

「獲物を俺達に切り替えて殺すつもりだ!早く逃げろ…!グッ……暴走は止まらない!」

 

紅牙の言う通り、暴走してる蓮花の目がこちらに向けられてる

 

「元に戻す方法は無いんですか!?蓮花さんを助けたいです!」

 

「3つある。一つは蓮花を気絶させる。二つ目は、碧の賢帝を取り上げる。そして三つ目が……」

 

「勿体ぶらないで早く言ってよ!」

 

「……蓮花を、殺す事だ」

 

それはあまりにも衝撃的過ぎる。勿論、それに賛成する者はいなかった

 

「そんなの絶対駄目です!」

 

「だろうな。だったら答えは一つ」

 

殺すのは全員が反対。気絶なんて今の蓮花には自殺行為。ならば

 

「碧の賢帝を取り上げるのが手っ取り早い」

 

「分かりました」

 

「皆んな、蓮花を助けるニャ!」

 

「いくぞスパークル!」

 

「ガッテン!」

 

付け焼き刃の連携攻撃。紅牙は上からの斬り下げ、スパークルは側面からの蹴り。同時に違う方向からの攻撃なら通ると思ったのだが

 

「えっ!嘘!?」

 

「こっちにだと!?」

 

その場でジャンプして、空中にいる紅牙へ斬り伏せた

 

「紅兄!」

 

「スパークル来るぞ!」

 

落下の勢いを利用して、そのまま上からの攻撃へと転じる

 

「わっ!」

 

スパークルも俊敏に避けるも、着地と同時に蓮花はスパークルを追い掛ける

 

「ぷにシールド!」

 

「オオオォォォォ!!」

 

鋭い横一線。間一髪の所で防いだが、たった一撃でシールドが破られてしまった

 

 

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!」

 

 

 

すかさず、スパークルの浄化技を放つも

 

「ウゥゥゥゥ…ッ!フシャアアアァァァ!!」

 

吠える咆哮でヒーリングフラッシュを掻き消した

 

「やばい!一旦下がるぞ!」

 

だが遅い。蓮花は手から口に碧の賢帝を咥え、両手を地面に着けてそのまま走り始める。その姿は弱者を全力狩る獣そのものだ

 

「だっ!?」

 

走る勢いに任せて、追い付いたスパークルに頭に回し蹴りを食らわす

 

「あぅ……」

 

「スパークル立つんだ!」

 

立とうとしても立てない。スパークルは先程の攻撃で、軽い脳震盪を起こしていた

 

そんな状況でも暴走した蓮花は止まらなかった。スパークルに近付き蹴り飛ばす

 

「うがっ!」

 

石ころを蹴り飛ばすかの様に、執拗いスパークルを苦しめる

 

「れん……にぃ……」

 

最後の止め。スパークルを上空へ投げ飛ばして碧の賢帝を構える

 

地面に落下する瞬間を狙って目の前で叩き付けるつもりだ

 

「フォンテーヌ!グレース!」

 

「ニャトラン合わせるラビ!」

 

碧の賢帝を大きく振り被る

 

「ウオオォォォォ!!」

 

「「「ぷにシールド!」」」

 

スパークルは落下速度に加え、蓮花の攻撃も合わさり思いっきり地面へと叩き付けられた

 

「あ、危なかったぜ…」

 

土煙りが晴れると、変身が解けたひなたが倒れていた。攻撃が当たる直前、ラビリンとペギタンが蓮花の攻撃にシールドを張り、ニャトランは地面との間にシールドを張って威力と衝撃を緩和させた

 

絶妙なタイミングでなんとかひなたを救った。だが、完全にひなたは戦闘不能となってしまった

 

「こっちに来るラビ!」

 

蓮花は次の標的を変えてグレースとフォンテーヌへ猛ダッシュする

 

「グレース後は頼んだわよ!」

 

「フォンテーヌ!?」

 

フォンテーヌは1人で蓮花へ駆け出す

 

「ペギタン、最後まで付き合って!」

 

「ペエ!」

 

「オオオォォォォ!!」

 

蓮花は結界を身に纏い鎧として防御力を高める

 

「氷のエレメント!」

 

凍らせて動きを止めようとするも、表面の結界が凍るだけで動きを封じるまでには至らなかった。凍らせても、また結界を張り直されてフォンテーヌの攻撃を無意味とする

 

「踏ん張るわよ!」

 

蓮花とフォンテーヌが激突する。結界とシールドの力比べだ

 

「なんて力…!」

 

「押さえ込むので精一杯ペエ!」

 

「アアアァァァァァ!!」

 

それでも止まらない。フォンテーヌを吹き飛ばして、グレースに向かって突進する

 

「蓮花さん止まって下さい!!」

 

「フシュウゥゥゥゥッ!!」

 

「み、実りのエレメント!」

 

実りのエレメントで剣を形成し、近接戦闘に持ち込もうとする

 

「ウガアァァ!!」

 

「クッ!?」

 

碧の賢帝を受け止めるも、あまりの威力に足が地面に沈む

 

「コロスコロス殺す殺す殺スゥゥゥゥゥゥウウウッ!!!」

 

「蓮花正気に戻るラビ!」

 

「言っても無駄だ!」

 

横から紅の剣が振り下ろされる

 

「ッ!!」

 

碧の賢帝、紅の暴君、ヒーリングステッキと三つの剣が鍔迫り合う

 

「グレース!」

 

「はい!」

 

「「ハァァ!!」」

 

「ッ!!?」

 

二人掛かりでやっと蓮花を押し退ける

 

「グレース大丈夫か?」

 

「はい、なんとか…」

 

大丈夫と言うが、明らかに体力の限界が近付いてる。これ以上の戦闘は危険と感じて紅牙はある決断をする

 

「グレース、悪いが蓮花を殺すつもりで倒す」

 

「そ、そんな!?話が違います!!」

 

「本気でしなければこっちが殺される!加減なんてしていたらあっという間だぞ!」

 

紅牙は一度集中して紅の暴君の力を溜める

 

「行くぞ蓮花!」

 

「やめて下さい!お願いします!!」

 

「お、おい!」

 

グレースは紅牙にしがみ付いて懇願する

 

「フシュウゥゥゥゥ…」

 

その間にも蓮花は破壊の一撃を込め始める

 

「あんなの放ったらひとたまりもないぞ!」

 

穿つ前に仕留める。紅牙はグレースを振り解き全力で阻止しようと走る

 

「させるか!」

 

だがそれを読んでいたかの様に、蓮花は力を溜めるのを中断して紅牙に斬りかかる

 

「コイツ!?」

 

暴走してる筈なのに頭は良く回る。不意を突かれ、防御に急いで切り替えるも一瞬の判断が遅くなり脇を斬られる

 

「うぐっ!」

 

致命傷は避けれたものの、それでも傷は浅くはなかった

 

邪魔者がいなくなった事を確認して、蓮花は再度碧の賢帝に力を溜める

 

「ラビリンまだいける?」

 

「大丈夫ラビ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

 

碧の賢帝の波動とヒーリングフラワーがぶつかる。だが、激突し合って間も無くグレースが押され始める

 

「押し返せないラビ!」

 

「でも絶対諦めない!蓮花さんを元に戻すんだ!!」

 

それでも、どんなに気合いを入れようと状況は変わらず、逆に悪くなる一方

 

(ダメ…力…が……)

 

とうとうグレースの限界が訪れてしまった。このまま、グレースが力を抜いたらひとたまりもない。そんな絶対絶命なピンチにひとつの影を目にする

 

「この瞬間を待っていた!」

 

「紅牙!?」

 

 

「覚醒剣!」

 

「暴君蹂躙!」

 

 

波動砲を出してる機を狙い、碧の賢帝をはたき落とした

 

「!?」

 

「この!剣から離れろ!!」

 

紅牙は地面に落ちた碧の賢帝を蹴り飛ばして遠ざける。蹴り飛ばされた碧の賢帝は、光の粒子となり消え、蓮花も覚醒状態が解けてその場に崩れ落ちる

 

「蓮花さん!!」

 

「グレー…ス…」

 

「無理は駄目です。ゆっくり」

 

 

 

 

 

////////

 

蓮花の暴走も終わり、蓮花達は美術館に戻るのだった。紅牙がひなたをおぶさり、のどかが蓮花の肩を担ぐ

 

「今回は上手くいったが、次はこうは上手くいかないぞ」

 

「…皆んな聞いて」

 

蓮花が注目を集めて皆んなは足を止める

 

「俺はここまでだ。今日中にでも皆んなの前から消えるよ」

 

「何でですか!?」

 

「蓮兄一体どうしちゃったの!?」

 

「見たでしょ?怒りに身を任せた結果があれだよ。このままじゃ、いつか皆んなを傷付けてしまう」

 

「だからって、そんなの納得出来ないラビ!」

 

「…ちゆちゃん代わってもらってもいい?」

 

皆んなが蓮花が消える事に反論する中で、のどかは黙って蓮花の前に立つ

 

「蓮花さん…」

 

「ごめんね。のどか」

 

「ッ!!」

 

その言葉を聞いた瞬間、のどかは蓮花の頬を叩いた

 

「のどか…?」

 

「何で…そんな事言うんですか?何でそんな悲しい事を言うんですか!!」

 

目に哀しみの涙を流して激しく怒る

 

「わたしはっ…!謝って欲しくて助けた訳じゃっ……無いです…!言って…ましたよね?」

 

 

『── 1人で何でも出来ると思ったら大間違いだ!』

 

 

「……」

 

「独りで抱え込まないで下さい!辛いなら辛いって、助けて欲しいならそう言って下さい!わたしが…わたし達がいつも側に付いてます!」

 

「…」

 

「蓮花さんが好きだから!!…好きだからずっと側に居て欲しいです」

 

のどかは小指を蓮花に出す

 

「約束です」

 

蓮花は無言で小指を出して、のどかの指と絡ませて指切りする

 

「分かった。約束」

 

 

 

 

 

そして帰りの電車。今日のお手当てで疲れ果てて居眠りをする

 

その様子を蓮花と紅牙は優しく見守る

 

「蓮花お前……約束守る気ねぇだろ?」

 

「気付いていた?」

 

「どうしてなんだ?」

 

「分かるんだよ。碧の賢帝を抜けば抜く程力は増すが、その分自分じゃ無くなっていくのを…」

 

「だが、それでも抜き続けるのだろう?大切な人達を守り、ビョーゲンズから地球を守る為に」

 

「暴走するだけならまだ良い。皆んなが元に戻す為に頑張ると思うから。だけど、もしもの時は自分から消える。誰になんと言われようとね」

 

蓮花は受け入れた。その先に待つ代償を

 

(……)

 

そんな2人の会話を静かに盗み聴きする者が居たが、その者に2人は気付く事は無かった

 

 

 

 

 

////////

 

「はぁ…まさかあの暴走を止めるなんて」

 

紫苑は少し落胆する。だけどすぐに切り替えて表情を戻す

 

「次の計画に移ろうか。あの子は今何処に居るのか…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「観星町…。魔剣と同じ『星』の地名。少し立ち寄ってみるか」




オリ主のカルマ値が物凄く跳ね上がった回

次回からは特別編です。前作組との絡み合いです!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 テイク4 「今回もドタバタしたね」

調整で早めのNG集です。

やりたい放題のNG集をどうぞ!


第14話 「カッコ良く決めろ♥蓮花の決め台詞!」より

 

ひなたの考えた決め台詞を発表するシーンから

 

 

 

 

 

 

「次はあたし!」

 

 

『魔剣の錆になるがいい!』

 

 

「それ良いな。採用」

 

「俺の決定権は?」

 

蓮花が断る前に紅牙が反射的に答える

 

「カッコイイだろ?ひなたの案で決定だな」

 

「ですけど、これはNGですよ」

 

「やり直しラビ」

 

ラビリンがカチンコを叩いてカットとなった

 

 

 

 

 

////////

 

第15話 「焦るお手当て♥守りたいグレースの意思」より

 

のどか達が改札口を通り抜けるシーンから

 

 

 

 

 

「早いとこ行くか」

 

皆んな切符を買って改札口を通る筈なのだが

 

ピンポーン♪

 

「ひゃ〜!本当に改札で引っ掛かったよ〜!」

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

のどかで改札口が閉まってしまった

 

「蓮花さん蓮花さん!写真を!写真を1枚記念に!」

 

「う、うん。のどかがそれで満足するなら…」

 

何故か閉まる改札口をバックにピースするのどかを撮る

 

「お前ら馬鹿か!?」

 

 

 

 

 

////////

 

第16話 「奇跡の誕生♥新たなヒーリングボトル!」より

 

皆んなでメガビョーゲンを倒す為に森を抜け出そうとするシーンから

 

 

 

 

 

 

「その為には先ず早くこの森から出ましょ!」

 

「そうだよ!レッツゴー!ゴー!!ゴー!!!」

 

その風は、皆んなの不安な気持ちを追い払い、新たな気持ちの風を吹かせた

 

気持ちを引き締めメガビョーゲンの元へ行こうとするが

 

「ひなた何処に行くんだ?」

 

「勿論メガビョーゲンの……あれ?どっから来たっけ?」

 

「そんな時はコレだ」

 

蓮花は枝を持って地面に立てた

 

「まさかとは思いますが…」

 

「ほっ!」

 

手を離すと無造作に枝が倒れて

 

「良し、あっちだ」

 

「じゃあレッツゴー!」

 

「「待って待って!」」

 

蓮花とひなたが歩き始めるのを、のどか達全員で引き止める

 

「え、駄目だった?」

 

「「当たり前です!!」」

 

「蓮花って時々抜けてるよな?」

 

「ちょっと心配ペエ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第17話 「復讐の刻、暴走する殺戮マシーン」より

 

紫苑が蓮花の過去を話すシーンから

 

 

 

 

 

紅の暴君(キルスレス)紫紺の蛇刀(バルバリーア)が甲高い音をだしながらぶつかる

 

「魔剣の力を全て出させる!」

 

「させっかよ!」

 

ピロロロ…アイガラビリィー♪

 

「蒼咲蓮花ァ!」

 

「「んんっ!??」」

 

「何故8年前の事故で、貴方のお父さんが事故で死んだのか」

 

アロワノ-♪

 

「何故──」

 

「止めろ止めろ!!」

 

紅牙が急いで中断させた

 

「どうしたのよ?」

 

「『どうしたのよ?』じゃねーよ!無茶苦茶じゃねーか!世界観を壊すなや!!」

 

「…メタ発言はご法度よ」

 

「誰のせぇや!誰の!!」




次回こそ前作組とのコラボ編です

ではここまでの拝読ありがとうございました!


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第18話 物語は突然♥星と魔剣は出会った!

自分の前作とのコラボです。なので前作オリ主も当然の様に出てきます

前作主人公の詳しい詳細は後書きにメモしてあります

あと今回は、前作組しか出てきませんのでご了承下さい

ではスタートです!


「さぁ皆んな遅れるなよ!目指すは『すこやか市』!」

 

「遅れるなよって、流星が寝坊した癖に何を言ってるのよ」

 

観星町の中心街でワイワイ騒ぐ4人が居た

 

星空流星、天宮えれな、ユニ、プルンスの4人でリュックを背負って準備していた。本来は、フワを含めた8人ですこやか市にピクニックする予定でいたのだが、流星が寝坊した為に先行で他の人を先に行かせる羽目になった

 

「じゃあ、行きますか!」

 

4人がバス停に向かおうとすると、見慣れない男性が目の前に現れた

 

青白い肌の色に緑の髪色、赤錆色のロングコートを羽織り、黒いズボンを着て居る

 

「問おう。貴様らプリキュア を知っているか?」

 

「…知らないな」

 

「馬鹿な相手をするのはやめるニャン。行きましょ」

 

明らかに不審な男をスルーしようと横を通ろうとすると

 

「知っているかと聞いている」

 

前に回り込み通らせない様にした

 

「…少し荒っぽいんじゃないのか?」

 

「人の話しを無視するからだ」

 

「これ以上無視するならどうする?」

 

「決まっている」

 

 

 

「照らし出せ!星屑の輝煌(アスティカルン)!」

 

 

 

「俺は『ハキケン』。ビョーゲンズであり魔剣の使い手」

 

星屑の輝煌は両刃の剣で銀色だった

 

流星達は仕方ない感じでリュックをプルンスに預ける

 

「厄介な相手に絡まれたね」

 

「銃刀法違反だよ」

 

「さっさと変身するわよ」

 

流星達はインクボトルを模したペンダント『スターカラーペンダント』、そしてペン型のアイテム『スターカラーペン』を手に取る

 

 

 

「「「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」」」

 

「宇宙を照らす!灼熱のきらめき!キュアソレイユ!」

 

「銀河に光る!虹色のスペクトル!キュアコスモ!」

 

「全てを包み込む母なる惑星!キュアアース!」

 

 

 

「まさかプリキュア 本人とは。だが、聞いていた話と違うが…」

 

「望み通りのプリキュア だよ。さぁ行くぜ!」

 

アースとソレイユが挨拶代わりに蹴りを入れる。しかし、2人の蹴りを両腕で容易くガードした

 

「ニャン!」

 

両腕が使えない隙を突いて、コスモは猫の手でハキケンの腹にダメージを与えた

 

「舐めてると痛い目にあうぞ?おっとゴメン。既に痛い目にあったな!」

 

「この程度で痛いだと?意外と拍子抜けだな」

 

挑発に挑発で返されてアースは少しカチンと来た

 

「ププッ!言われてるニャン!」

 

「コスモがな!」

 

アースは懐から新たなペンを取り出す。

見た目は変身用のスターカラーペンなのだが、持ち手の部分が紅色と少し違いがあった

 

 

「スターカラーペンダント!カラーチェンジ!」

 

「キュアアース ビッグバンスタイル!」

 

アースが使ったのはギャラクシースターカラーペン。ビッグバン、スーパーノヴァ、ブラックホール、プライムと全部で4種類。

 

スタイルチェンジした事により、アースのパーカーの色が紅色に変色した

 

「うおぉぉぉ!」

 

ビッグバンの力を得たアースの攻撃力は一撃必殺。ハキケンも防御するが強烈な一撃に後退するばかり

 

「良い攻撃だ。それでも!」

 

「クッ…!」

 

「魔剣には程遠い」

 

防戦一方と思われたが、猛攻のアースを弾き飛ばして悠々としている

 

「思ったよりやるね」

 

「動いてるの僕だよ!」

 

「アースが必要以上に動き過ぎなのよ」

 

「え、何?僕が悪いの?ねぇ僕が悪いの!!」

 

「3人共喧嘩してないでちゃんとするでプルンス!」

 

プルンスに言われて気を取り直す。アースは懐から更に2本ペンを取り出す

 

パールライトブルーをベースに3枚の羽にハートが装飾されたペン。持ち手の部分が黒く塗り潰されたペン。内、黒いペンをコスモに渡す

 

 

「スターカラーペンダント!カラーチェンジ!」

 

「キュアアース プライムスタイル!」

 

今アースが使ったのはプライムペンと呼ばれる物。ビッグバン、スーパーノヴァ、ブラックホールの3種の力を兼ね備えたペン

 

コスモに渡したのはブラックホールペン。使えば視覚内なら何処でも空間移動が出来るペン

 

そして、プライムペンを使ったアースの姿が変わる

 

髪が白くなり、青色のシャツに白スーツを包み、プリキュア のエンブレムが入ったライトブルー色のマントを翻していた

 

「一気に決めるぞ!」

 

 

 

「宇宙に輝く星々よ、その光を集わせ全てを照しだせ!」

 

「ギャラクシースターカラーペン!ブラックホール!クルクルチャージ!」

 

「プリキュア !プライムシューティング!」

 

「プリキュア !てんびん座ソレイユ・シュート!」

 

「プリキュア !レインボースプラッシュ!」

 

 

 

それぞれの必殺技で勝負を決める

 

「フッ…」

 

ニヤつくハキケンに3人の大技が襲う

 

「フッフッフッ!どうよ!」

 

「これで決まれば良いんだけど…」

 

「ソレイユやめて!この場面でその台詞はマズいよ!」

 

土煙りが晴れるとハキケンは無傷で立っていた

 

「貴様らの攻撃など全て通用しない」

 

「今の一斉攻撃でも無傷となると厄介だな」

 

「楽しい余興だったぞ」

 

剣に力を込めてエネルギーが集まる

 

「ソレイユ、コスモ、プルンス。背中に隠れてて」

 

アースは更に新たなペンを取り出そうとする時

 

「と思ったが辞めだ。続きは後で」

 

「は?何言ってるんだ?」

 

「目的のプリキュア は貴様らでは無かった。俺は他のプリキュア を排除する為に呼び戻された。その後でも相手をしてやる」

 

「あ、おい!ちょっと!」

 

ハキケンはそう言うと何処へ消えて行った

 

 

 

 

 

////////

 

「あたし達以外にもプリキュア が居るみたい」

 

「それにビョーゲンズって言っていたわね」

 

「これからどうするでプルンス?」

 

3人が色々と悩んでるが流星は違っていた

 

「取り敢えずピクニックの続きをしよう!」

 

「な、何でそうなるでプルンス?」

 

「考えても仕方ない。次も襲って来るなら、ひかる達と合流した方が何かと都合もいいし」

 

「それは確かにそうでプルンスが…モヤモヤするでプルンス」

 

「そうだね。流星の言う通り先ずはひかる達と合流しよっか!」

 

えれなとユニもその意見に賛成して荷物を背負う

 

プルンスも気になるがそれを取り払って行く事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目的地はすこやか市。そこで思わぬ物語があるのはまだ彼らは知らない




星空 流星 (ほしぞら りゅうせい)
21歳(15歳)/155cm
前作主人公

フワのワープで別の世界線から呼ばれた青年。フワのワープで影響で若返った。と言っても身長に関しては、全く伸びなかったので体内の健康年齢などが若返った程度。とにかく人と繋がりたい。
そして、前作のヒロインであるまどかと付き合ってる

容姿
黒の短髪でレンズが四角い眼鏡を常にかけてる。
無印で白のTシャツにダブルジッパーの服を着込み、短パンジャージと言ったラフな服装

プリキュア
ひかる達と同様にプリキュア の力をを所持してる。皆んなと違い、ピンクの部分が白色のペンダントとペンを持つ。
プリキュア ネームは「キュアアース」。地球のプリキュア

格好は上半身はパーカーを着て、手にはグローブしかも手の甲に星型の模様。
下半身は腰マントにカーゴパンツを履いてる。全体的に白く裾部分に金のラインが入ってる。
ギャラクシースターカラーペンを使う事でパーカーの色が変色する

ギャラクシースターカラーペン
旅する中で手に入れたペン。全部で4種
ビッグバンの力で一撃必殺を繰り出す「ビッグバンペン」。色は紅
スーパーノヴァの力で圧倒的な高速移動「スーパーノヴァペン」。色は藤色
ブラックホールの力で攻撃を吸収&瞬間移動「ブラックホールペン」。色は黒
3種の力を同時に使える「プライムペン」。色はパールライトブルー


てな感じで簡単に説明しました!気になる方はしたの読んで見て下さい!一応完結済みです
https://syosetu.org/novel/195917/





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第19話 噛み合う歯車♥集まるプリキュア と適格者

構成全4話の予定でお送りしています

ではスタートです!


「ふわあ〜!生きてるって感じ!」

 

「うん。いい天気で生きてるって感じ」

 

「わん!」

 

今日は蓮花とのどかとラテで公園にお散歩していた

 

「今日は何か良い事ありますかね?」

 

「あったら良いね〜」

 

のんびりと日向に当たりながら歩いてると

 

「キラやば〜っ☆可愛い子犬!!」

 

こちらに向かって猛ダッシュで、マゼンタ色のツインテールをした女の子がやって来た

 

「この子何て名前なの?」

 

「ラテって言います」

 

「家のイエティと遊ばせたいなぁ〜!」

 

「わん♪」

 

ツインテールの女の子がラテを撫でてると、更に女の子2人がやって来た

 

「ひかる、いきなり走らないでルン!」

 

「突然どうしたのですか?」

 

「ごめんごめん!」

 

青緑のボブカットの少女と青紫のロングヘヤーの少女

 

「えっと、君達は…」

 

「そうだった!わたし『星奈ひかる』!宇宙と星座が大好きな中学2年生!」

 

「『羽衣ララ』ルン!」

 

「『香久矢まどか』と申します」

 

「改めて宜しく。俺は蒼咲蓮花」

 

「わたしは花寺のどか!」

 

お互いに自己紹介を終える

 

蓮花はひかる達がリュックを背負ってる事に気がつく

 

「3人は何処から来たの?」

 

「観星町からです。本当は他の友達とご一緒の予定でしたけど…」

 

「流星って子が寝坊したルン」

 

「ひなたちゃんみたいな子だね…」

 

「2人は何をしてたんですか?もしかして恋人関係とか?」

 

ひかるは、蓮花とのどかが2人でいる事に触れる。もしかしてそういう関係なのかと

 

「「違うよ」」

 

「もしかしてお友達ですか?」

 

「というより、蓮花さんはお兄ちゃんみたいな?」

 

「それに俺は18歳、のどかは14歳だよ。大人と子供で歳が少し離れてる。それで恋人関係は無理だよ」

 

笑顔で蓮花は話す

 

「確かに歳が離れてますよね…」

 

「大人と子供ルン…」

 

「な、何故わたくしに?」

 

ひかるとララは、まどかに目を向けながらそう呟く

 

「流石まどかさん」

 

「ルン!」

 

「べべべ別に良いではありませんか!!」

 

「「?」」

 

激しく動揺するまどかの様子に、2人は何が何だかさっぱりだった

 

「それよりもですよ!」

 

「はぐらかしたルン」

 

「ララ?」

 

「何も言ってないルン…」

 

「フフッ…あ、ラテ!?」

 

ラテは急に、のどかの腕が飛び出して何処かへと走り去って行った

 

「のどか、ラテ様を追い掛けるラビ!」

 

懐からラビリンの声が密かに聞こえて、のどかはラテを追い掛け様とする

 

「ラテを追い掛けるのわたしも手伝うよ!」

 

ひかるがそう提案した。それに乗っかり、ララとまどかも手伝わせて欲しいと言う

 

「それなら頼もうかな」

 

「では早速──」

 

そんな和気藹々と会話を弾ませて探そうとする時、近くで悲鳴が上がる

 

「え、何?」

 

騒ぎとなる場所を見るとメガビョーゲンが暴れていた

 

「のどか!」

 

蓮花とのどかはアイコンタクトでお互いの役割りをハッキリする

 

「皆んな、ここは避難しましょう!」

 

「オヨ!?逃げるルン?」

 

「君達が居ても意味が無いでしょ?早く避難を!」

 

強引にひかる達を避難させて、蓮花だけでメガビョーゲンに立ち向かう

 

「ラテも心配だ。今回は早めにお手当てをする!」

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

 

「ハァッ!」

 

「メガ!」

 

碧の賢帝とメガビョーゲンの拳が激しく激突する

 

「メガビョーゲン!」

 

「碧の賢帝!」

 

結界を張り攻撃を防ぐが、思ってたよりメガビョーゲンが強く足が地面に減り込む

 

「だけど、相手に出来ない程じゃない!」

 

結界を大きくしてメガビョーゲンを跳ね除ける

 

「蓮花さん!」

 

ひかる達を避難させてグレースが戻って来た

 

「良し!畳み掛けるよ!」

 

「やぁ!」

 

蓮花が斬り込み、グレースがステッキで援護をする。浄化させるタイミングを2人で測る

 

「強くは無いけど!」

 

「中々近付けないラビ!」

 

「メ〜ガーーー!!」

 

「くっ…何だ?」

 

メガビョーゲンの遠吠え。そして何処からともなく、ナノビョーゲンが現れてはメガビョーゲンと合体し始める

 

「こんなの見た事の無いラビ!?」

 

メガビョーゲンが更に力を付けて蓮花達に襲い掛かる

 

「きゃあ!」

 

「グレース!…ぐわっ!」

 

パワーアップしたメガビョーゲンの前に、呆気なくやられて抜剣覚醒と変身が強制的に解かれる

 

「つ、強い!」

 

「どうすれば…」

 

「のどかちゃん!蓮花さん!」

 

2人の元へひかる達が戻って来た。先程の戦いの一連を見ていたのだ

 

「何で戻って来たの!?」

 

「ごめんなさい!でもほっとけないよ!」

 

「ひかる、まどか変身ルン!」

 

「はい!」

 

ひかる達はスターカラーペンダントとペンを構える

 

 

 

「「「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」」」

 

 

 

「宇宙(そら)に輝くキラキラ星!キュアスター!」

 

「天にあまねくミルキーウェイ!キュアミルキー!」

 

「夜空に輝く!神秘の月あかり!キュアセレーネ!」

 

 

 

「「「えぇ〜!?」」」

 

「先程の様子を見てました。わたくし達もプリキュア です!」

 

「キラやば〜っ☆兎が喋ってる!」

 

セレーネは自らプリキュア と名乗り、スターはラビリンに興奮する

 

「スター、今は目の前の敵に集中するルン」

 

「あはは!ごめん!」

 

「メガ!」

 

「ルン!」

 

喋る途中でメガビョーゲンが攻撃するが、それをミルキーがシールドで完璧に防ぐ

 

「はぁぁ!」

 

そしてセレーネが両手で押し返した

 

「「「プリキュア !」」」

 

「スター・パンチ!」

 

「ミルキー・ショック!」

 

「セレーネ・アロー!」

 

3人の必殺技がメガビョーゲンに炸裂。パワーアップしたメガビョーゲンを沈める

 

「オヨ。意外と楽勝ルン!」

 

「まだ油断は出来ません!」

 

「この調子で行くよ!」

 

更に追撃を仕掛ける。その様子に感化されて、蓮花とのどかは立ち上がった

 

「俺達も…負けてられないね!」

 

「ラビリンわたし達も!」

 

「ラビ!」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

 

「来い!碧の賢帝!」

 

 

再び覚醒と変身を終えてスター達の後に続く

 

「2人で息を合わせるラビ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

「賢帝解放!」

 

 

グレースの技に碧の賢帝が加わり威力倍増した

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「剣からビームが出たルン」

 

「どういう原理なんでしょう?」

 

「それにしても助かったよ。ありがとう」

 

「いやいや!それ程でも〜!」

 

全員変身を解除して元の姿に戻る

 

「ひかる、縫いぐるみはもう終わりフワ?」

 

「縫いぐるみが喋ったラビ!?」

 

「喋る兎にもビックリですけど…」

 

「それよりもいいルン?ラテを探さなくてルン」

 

「「あっ…」」

 

最も重要な事に今更気付いた

 

「折角ですし、ラテを探しながら改めてお互いの事を話しましょう」

 

 

 

 

 

////////

 

そして、蓮花達が変身した時間まで遡る

 

ラテはフラフラしながら歩いていた

 

「くぅ〜ん……」

 

「弱ってる犬発見!至急保護します!」

 

「ちょっと流星!」

 

偶々通り掛かった流星御一行は弱ってるラテを発見した

 

「可哀想に。よしよし」

 

「近くに動物病院は無いのかな?」

 

流星はスマホで地図を開けて動物病院を探してると

 

「おい、何でお前らがラテを?」

 

目付きが鋭いく、赤みがかった髪をした怖い青年が絡んで来た

 

「紅兄?」

 

「鬼麿さん?」

 

次々と人が集まって来た。紅牙、ひなた、ちゆの順番に姿を現す

 

「2人共見ろよ。ラテを掻っ攫いやがった」

 

「言い掛かりだ!」

 

「そうよ。そもそも、この子の飼い主なら何で面倒を見てないのよ?」

 

「チッ…。蓮花とのどかの奴何してんだ」

 

流星達は輪っかになり話し合う

 

「どうする?僕の第六感が危険信号を発令してるよ」

 

「でも、後ろの2人の子は信じてもいいんじゃ?」

 

「甘いわね。人なんて腹の中では何を考えてるのか」

 

「ユニ厳しい…」

 

少し話合った結果は

 

「渡さん!動物病院へ連れて行く!」

 

「良しぶっ潰す!」

 

「だったら対抗する」

 

ラテを巡っての騒動が巻き起こる

 

 

 

「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」

 

「抜剣覚醒!」

 

 

「全てを包み込む母なる惑星!キュアアース!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「ねぇペギタン、ラテのあの症状って…」

 

「恐らくビョーゲンズの仕業に違い無いペエ」

 

「待ってろよラテ!」

 

紅牙は紅の暴君を構えて、アースはプライムスタイルで身構える

 

「行くぜえぇ!!」

 

紅の暴君を力一杯振り抜くが

 

「…」

 

「なっ!?」

 

紅牙は黒い穴に吸い込まれたと思ったら、アースの背後に移動していた

 

「何々今のは!?」

 

「いつの間にか、鬼麿さんの位置が一瞬で移動した?」

 

その後も紅牙は、紅の暴君を振り回すも全く当たらず空振りし、移動の繰り返するばかり

 

「糞!何で当たらねぇーんだよ!」

 

「その剣、僕達を襲った奴が持ってたのと似てる」

 

「やっぱり警戒すべきね」

 

「何の話しをしてやがる!」

 

紅の暴君の形状が星屑の輝煌(アスティカルン)と似てる事から、ラテを渡すまいと更に必死になる

 

「この!」

 

紅牙の攻撃は通った……とはいかなかった

 

「軽い軽い」

 

アースは紅の暴君を片手で受け止めた

 

「さてと、子犬の体調もあるし」

 

紅牙を蹴り飛ばし距離を開ける

 

「終わりだよ」

 

アースが両手を構えて瞬間、地面からメガビョーゲンが這い出て来た

 

「メガビョーゲン!」

 

「くちゅん…」

 

「そんな、タイミング最悪じゃん…」

 

だがアースはお構い無く

 

「邪魔」

 

紅牙に放つ筈の攻撃を、割り込んで来たメガビョーゲンに放って消滅した

 

「メガビョーゲンをたった一撃で…」

 

「なんて奴ニャ…」

 

「ふぅ…ん?」

 

拍手する音が聴こえた。振り向くとハキケンが立っていた

 

「メガビョーゲンを一撃で沈めるとは侮っていた。それに」

 

ハキケンは、ちゆ達の方へ目を向ける

 

「目的の者達を見つけた」

 

 

 

「照らし出せ!星屑の輝煌!」

 

 

 

「あれは魔剣!?」

 

「出たな!ビョー……何だっけ?」

 

「ビョーゲンズでプルンス!」

 

「「「ビョーゲンズ!?」」」

 

「俺の目的は貴様らだ!」

 

ハキケンはちゆ達へ向かって行く

 

「ちゆ!ひなた!」

 

紅牙はハキケンの攻撃から2人を守る

 

「その程度では俺には勝てん!」

 

「舐めるな!」

 

紅牙の連続斬り。だがそれを、まるで分かっているかの様にかわしていく

 

「星屑の輝煌で貴様の動きなど全て視えてる!」

 

「だったら!暴君──」

 

「遅い!」

 

ハキケンが紅の暴君を踏み付けて、動きを完全に封じ込めた

 

「だっ!この!」

 

「星屑の輝煌は未来を読み取る(・・・・・・・)ことが出来る」

 

「鬼麿さん!」

 

紅牙に魔剣が振り下ろされる時、アースが紅牙の前にワープしてハキケンを蹴り飛ばす

 

「グッ…」

 

「まだ決着が付いてなかったよね?」

 

「…ならば貴様から!」

 

アースは、懐から金色のペンを取り出した。形はシャイニートゥインクルペンと凄く似て、本来は真ん中はハートの形なのだが、このペンは丸型にパワーアップしたフワの姿が刻まれていた

 

 

 

「スターゲイザーペン」

 

 

 

大きな爆発が起きてハキケンは吹き飛んだ

 

「一体何が…っ!?」

 

「今度の敵は未来が視えるのか」

 

土煙りが晴れるとそこには

 

「来いよ。その未来視で、僕の88手全てに王手を掛けてみろよ」

 

色取り取りの動物に武器をを構えたアースの姿が居た

 

更に容姿まで変わっていた

 

通常の変身と変わらないが、白色から金色に変わり全体的に煌びやかなになり、両肩からクロス状にベルトが巻きつきペンが収納される。そのペンの数は88本

 

「星座の力か…!」

 

「さいだん座」

 

ハキケンの足下から四角形の形に線が引かれて、光の檻が形成される。ハキケンを拘束した

 

「これで動きを封じ込めたつもりか!」

 

「甘い甘い。飴玉の様に甘いね」

 

未来視でアースの動きを読むが、88の星座の力がそれを阻んでハキケンの攻撃が全く通らない

 

「本気を出し過ぎでプルンス」

 

「はい捕まえた!」

 

アースは後ろからハキケンを地面に押し付けて捉えた

 

「降参するのが賢明だよ?」

 

「…降参?俺がするとでも?」

 

ハキケンが指を鳴らすと、その場に居た全員が一瞬にして消えた

 

残ったのはハキケンのみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これで残るは…」

 

ハキケンが次に狙うは、別の場所に居るプリキュア だった




スターゲイザーペン
88の星座の力、能力を使用出来る優れ物。一応、プリンセススターカラーペン扱い

ここまでの話で前作組しか活躍してない

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第20話 あの空の向こうへ♥いざ救出の時!

どうしてもネタに走りたがる作者です

では本編スタートです!


「何で牢屋に入ってんだよ!この野朗!!」

 

「いや〜参った参った!アハハ!」

 

ハキケンにその場に居た全員が、何処かの場所の知らない牢屋に強制的に移動させられた

 

紅牙は荒れて、流星は呑気に笑っていた

 

えれなやちゆ達はと言うと

 

「2人もプリキュア なの!?」

 

「そうそう!」

 

「鬼麿さんが、先走って少し誤解を招いてしまってすみません!」

 

お互いの事について詳しく話していた

 

「こうなったら力づくで!!」

 

紅牙は痺れを切らして魔剣を喚び出す

 

 

「紅の暴君!」

 

 

しかし牢屋に声が響くだけで何も起こらなかった

 

「ふざけるな!!」

 

「そんなに怒るなよ。カルシウム足りてるか?」

 

「足りてるわ!寧ろ、栄養バランス考えまくって毎食作ってるんだよ!!」

 

「あーはいはい。そんなに声を張らなくても」

 

 

 

 

 

////////

 

こちらでも、全てを話し終えた蓮花達

 

「ひかる達は、宇宙の平和を守る為にプリキュア に」

 

「のどかちゃん達は、地球のお手当ての為なんだね!」

 

「お互いの素性を知れて良い雰囲気の所悪いんですが、ラテを探すのも手伝ってくれませんか…?」

 

蓮花とのどか、ひかるで話す中でララとまどかは必死に探していた

 

「全然いないルン!!」

 

「どうすればいいラビ!」

 

「お、落ち着いて。紅牙達にも連絡して一緒に探そう」

 

紅牙の携帯に電話を掛けるも繋がらなかった

 

「何で圏外?」

 

「どうしましょう」

 

「う〜ん…」

 

唸る皆んなの前に奴が現れた

 

「見つけた。最後のプリキュア 」

 

「貴方は?」

 

「先程のメガビョーゲンはどうだったかな?」

 

「ビョーゲンズラビ!?」

 

ハキケンは星屑の輝煌を構えて襲い掛かった

 

「皆んな危ない!」

 

 

 

「抜剣!」

 

 

 

咄嗟だったが、碧の賢帝を喚び出して星屑の輝煌を受け止める

 

しかし、不安定な体勢で受け止めてしまった為、体に力が入っていない

 

「蓮花さん!」

 

「その魔剣、碧の賢帝か。先程の青年も紅の暴君を持っていたな」

 

「この人やっぱり!」

 

星屑の輝煌を受け流して、振り解いた隙に一度距離を取る

 

「だから紅牙達と連絡が取れないのか」

 

「もしかしたら、流星君やえれなさんも!」

 

「隙を突いてあの場所に送った」

 

ハキケンは空へ指を指す

 

「嘘…」

 

「これは流石に…」

 

ギリギリ肉眼で視える遥か上空、大きな建物がそこに浮かんでいた

 

「キラやば〜っ☆浮遊城だ!!」

 

「あんな高い所まで行く手段なんて無いラビ!」

 

「AIがいれば簡単ルン。でも…」

 

ララの相棒であるAIはこの場にはいない。囚われてると思われる流星達を助け出す手段は無い

 

「あ、でも。フワのワープなら行けるんじゃ?」

 

「「「ワープ!?」」」

 

「ワープだと?」

 

早くも天の助けが舞い降りた

 

「皆んな捕まるフワ!」

 

「え、え!?本当にワープ出来ちゃうの?」

 

「行かせるか!」

 

「フ〜ワーープ!」

 

ワープし、星屑の輝煌は虚しくも空を裂く

 

「逃したか。だが、あの城からは逃げられない」

 

 

 

 

 

「っと!」

 

「あっとっと!」

 

「ラビ!」

 

フワのワープで空中の城まで一気に辿り着いた。蓮花達は慣れてなかったせいか着地でよろけるが、ひかる達は慣れてるものなので上手く着地した

 

「ここは…あっ!見て下さい!」

 

のどかが指す方向に石で出来た扉があった

 

「明らかに罠だな。少し作戦をたててから…」

 

「皆さん早く行きますよ!流星君達が待っています!」

 

蓮花の言葉を遮ってまどかが先行する

 

「ちょっとまどかちゃん!」

 

「蓮花さん行きましょう」

 

「流星の事となったら、誰もまどかを止められないルン」

 

気持ちの先走りだけで進むひかる達に、蓮花達は呆気に取られていた

 

中に入ると、歩く道は歪で暗い空間が続いてる

 

「皆んな気を付けて。足場が悪い」

 

「これくらいの足場の悪さ。わたくしには関係ありません!」

 

「えぇ…」

 

かなり入り組んだ城内。進むにつれてとある部屋に辿り着いた

 

「オヨ。この部屋もハズレルン」

 

「待って!あれ見て!」

 

ひかるは無造作に置かれてある、スターカラーペンダント、スターカラーペンとヒーリングステッキを見つけた

 

「のどかこっちペエ!」

 

「ペギタンの声が?」

 

「こっちでプルンス!」

 

更に、ペギタンやニャトランにプルンスが縄でがんじがらめにされて捕まっていた

 

「ペギタン!ニャトラン!」

 

急いでラビリンが縄を解いてあげた

 

「どうしたのラビ?」

 

「俺らも分からない。気付いた此処に」

 

「早く皆んなを助けよう!」

 

 

 

 

 

そして最終的に辿り着いたのが

 

「ちゆちゃん!のどかちゃん!」

 

「「のどか!(のどかっち!)」」

 

牢屋越しに3人は手を取り合って再会出来た事に喜ぶ

 

「流星君大丈夫でしたか?」

 

「まぁね!」

 

やっと全員が揃った

 

「あ!ラテ!」

 

「わん!」

 

ラテが蓮花達と共に居た事に知って安堵する

 

「どうでも良いけど早くここから出ましょ」

 

そう言ってユニは牢屋の扉を開ける

 

「はぁ!?何で開いてんだよ!?」

 

「わたしは怪盗。こんなの朝飯前ニャン」

 

「だったらそれを早く言えよ!無駄な時間を過ごしてしまったじゃねぇか!」

 

「鬼麿さん落ち着いて。そんな事より早く行きましょう」

 

「そんな事って…」

 

流星達は、自分達の変身アイテムをのどか達から受け取りこの城から脱出を始める

 

「痛た!」

 

「大丈夫?」

 

暗い場所もあり流星は躓いて、ひかるの手を貸りて貰い起きるが

 

「マジかよ…」

 

起きると流星の眼鏡のレンズが外れていた

 

「少し待ってろ、今から直す」

 

カチャカチャと調整しながら作業する。そんな流星に、ユニは自分のサングラスを掛けてあげた

 

「おい勘弁しろよ!」

 

「どうかされましたか?それに流星君は何故ユニのサングラスを?」

 

「どうもこうも無い、悪いがみんなで勝手にやってくれ。僕は知らん!」

 

「まどか少し外してくれない?」

 

言われるがまま、少しショボくれてまどかは皆んなの輪に入る

 

「怒る事ないでしょ。それしか無いんだから我慢するのよ」

 

ユニは背中をポンポンと叩いて落ち着かせようとするが、流星は少し苛立ちを感じサングラスを荒っぽく外す

 

「怒るよ!こんな暗い場所でグラサンなんか掛けて!そんな事するのは、刑事ドラマぐらいだぞ!?」

 

「流星、皆んなが見てるわよ」

 

「知った事か!目が悪い上にグラサンなんて掛けたら、今度こそ視界不良で死んじまう!あ゛ぁ゛〜ゾッとする!!」

 

「いいじゃない刑事ドラマで。探偵なんでしょ?それより眼鏡直ってるね。行くわよ」

 

「あのね……いや待てよ。グラサンに刑事と言ったら……よし!なんか調子出て来た!」

 

流星は何か思い出して、ポケットからスマホを取り出して音楽を流した

 

流れるロックバンドの音楽に合わせて胸を張り、大きく肩を揺らしグラサンを掛けながら、皆んなの所へ歩き出して

 

「YEEEEAAAAAAAAAAAAHHHHHHH!!!!」

 

「「「「「!!?!」」」」」

 

突然の叫び声に全員がビクついて振り返る

 

「うるさっ!」

 

「え!?何アレ?」

 

「眼鏡直ったルン?」

 

「まぁ…それで進展はぁ?」

 

「「「「???」」」」

 

急にヌルっとした口調に低い声を出して困惑させる

 

「ひ、光が見えたから後もう少しだと思いますけど…」

 

「そいつはぁ、ご苦労なこったぁ」

 

若干怯えながらも、のどかは丁寧に教えてくれ、ちゆとひなたはヒソヒソとプルンスと話す

 

「急にどうしたの?」

 

「叫んだと思ったら口調もめっちゃ変わるし」

 

「平常運転、ただの茶番でプルンス」

 

「どうやら当たりのようだなぁ。光が指し示す方向に行けば出られるだろう」

 

「「いや、それは当たり前」」

 

ちゆとひなたの2人がツッコんでいく

 

「それにしてもこんな所、どうやって作ったんだろう?町の人達に知られる訳には…」

 

蓮花の疑問に流星はサングラスを外して爆弾発言をした

 

「証拠隠滅。爆破して燃やせばいい」

 

「何を言ってるのラビ!?」

 

「燃えろ、全部燃えちまえ」

 

((((この人、本当にプリキュア なんだろうか…?))))

 

蓮花達は何を考えてるか分からない流星について行けず、逆にひかる達は慣れているので敢えて何も言わず無視を決めていた

 

そんな茶番劇を繰り広げながら、光がある方向へ進むと広い場所へと出て来た

 

「何だ此処?来る途中こんな部屋は無かった」

 

「闘技場みたいな場所だな」

 

蓮花と紅牙が先頭で様子を見ると、幾つもの石像が建ってある

 

「不気味ですね。流星君?」

 

「この状況…どっかで…」

 

何やら流星が考えてる時、大きな地響きが鳴った

 

「な、何事ペエ?」

 

「皆んな周りを見て!」

 

ちゆの言葉で周りを見ると、先程まで見ていた石像が全て動き出していた。その数は29体。しかもその内の1体はかなりの大きさ

 

「思い出したルン!ノヴァ星と同じルン!」

 

「それだ!」

 

「そんな事言ってないでどうするの?石像相手なんてあたし達初めてだよ!」

 

「任せてひなた!俺と紅牙で何とかするから」

 

「お前まさか…この場所では魔剣が使えないの知らないのか?」

 

「え?」

 

魔剣が使えない事に困惑してる内に、石像がこちらへ着々と向かって来ている

 

「ここは任せてもいいかな?」

 

流星は皆んなの前に出てペンダントと構える

 

「流星君が戦うの?」

 

「どんな状況にも即座に対応出来る力を持ってるのは僕。そっちは脱出して。後で追い掛ける」

 

「1人で相手をするんですか!危ないです!わたしも──」

 

「待って下さい」

 

のどかも一緒に戦おうとするが、それをまどかが肩を掴んで止める

 

「流星君に任せましょう。大丈夫ですよね?」

 

「楽勝!」

 

「…分かりました」

 

のどかはまどかの言う事を聞いて、流星だけを残して皆んなは城を出る事にした

 

「相手が石像なら本気でやれるな」

 

流星はペンダントにペンを指し込んでキュアアースに変身する

 

「勝負だ!」

 

 

 

 

 

のどか達は急いで外へ出る為に走る。その途中、ひかるがまどかに質問した

 

「それにしても良かったのですか?」

 

「何がですか?」

 

「流星君とやっと会えたのにまた離れる事になって」

 

それを聞いたまどかは足を止める

 

「……」

 

「ま、まどかさん?」

 

「…少し用事を思い出しました」

 

回れ右するまどかをえれなが捕まえた

 

「任せておいて何で引き返すの?」

 

「それは流星君と!」

 

「そんなのは今までもしてたし、終わっても出来る事だからそれは後回しよ」

 

「あー!流星く〜〜ん!」

 

えれなとユニに引き摺られながら先を急いだ

 

「と、とても愛に溢れてるね」

 

「馬鹿なだけだろ」

 

そして城の外へと出て来れた

 

「おい此処って空の上だったのかよ!?」

 

「マジ!?どうやって浮かんでるの!?」

 

「プルンスお願いルン!」

 

プルンスが風船の様に大きく膨らむ

 

「乗るでプルンス!」

 

「落ちねぇだろうな?」

 

「大丈夫でプルンス!」

 

「鬼麿さん怖いんですか?」

 

「はぁ?怖くねぇし!全ッ然余裕だし!」

 

と言いつつも恐る恐るプルンスに乗る

 

「紅牙さん、やっぱり怖いんですね…」

 

「うるせぇ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、城に捕まっていた皆んなを救出に成功したのどか達。地上に舞い降りるのだが、その地上ではハキケンが待ち構えていた




次回でスタプリ組との共闘が最後です

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第21話 これからも一緒♥無限大ヒーリング☆

この1話で全部纏めて、凝縮したので場面の切り替えが多いです

ではスタートです!


「居た!ハキケンだ!」

 

地上に降りて早々にハキケンを発見した

 

「あの城から脱出するとは。想定内」

 

「城から出ればこっちのもんだ!大人しく蹂躙されやがれ!」

 

「悪いが簡単に倒される訳にはいかない」

 

ハキケンは何十体のナノビョーゲンを生んで、それを各地に散りばめる

 

「これでまた分散。集まってもらって悪いがさよならだ」

 

「卑怯だぞ!!」

 

「戦いに卑怯なんて言葉は存在しない。戦いは、生きるか死ぬかだ」

 

「くちゅん!」

 

「ラテ!」

 

先程散らばったナノビョーゲンが各地で、エレメントを取り込んで地球を蝕み始めた

 

「こうなったら皆んなで手分けをするしかないよ!」

 

「賛成ルン!」

 

「のどか、俺と一緒に戦ってくれないか?」

 

「例え魔剣でも負けません!」

 

「此処は任せたニャン!」

 

こうして、全員がメガビョーゲンを浄化するのに幾つかのチームに別れた

 

ララ、えれな、まどか、プルンスの4人。ちゆ、ひなた、ペギタン、ニャトランの4人。紅牙、ユニの2人。そして蓮花、のどか、ひかる、フワとラテの5人となった

 

勿論、ハキケンの相手をするのは蓮花達のチームだ

 

 

 

 

 

「何とか片付いたな。でも、この城どうしよう…」

 

一方、アースの方は空中城の処理に困り果てていた

 

 

 

 

 

「見つけたルン!」

 

「早いとこエレメントさん?を助けよう!」

 

「そうですね。そして皆さんと合流です!」

 

 

 

「「「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」」」

 

 

「天にあまねくミルキーウェイ!キュアミルキー!」

 

「宇宙を照らす!灼熱のきらめき!キュアソレイユ!」

 

「夜空に輝く!神秘の月あかり!キュアセレーネ!」

 

 

 

 

 

「少し数が多いわね」

 

「なんのこれしき!」

 

「ちゆ変身ペエ!」

 

「パッパっと決めてやるニャ!」

 

 

 

「「スタート!」」

 

「「プリキュア ・オペレーション!」」

 

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

 

 

 

「今までのストレスを一気に晴らしてやるぜ!!」

 

「全く単細胞のコンビは疲れるニャン…」

 

「んだとぉ!?」

 

「足手纏いにならなでよね!」

 

 

 

「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」

 

「銀河に光る!虹色のスペクトル!キュアコスモ!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

 

 

「皆んなの健康は、俺達が守る!」

 

「のどかちゃん!」

 

「はい!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

 

「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」

 

「宇宙(そら)に輝くキラキラ星!キュアスター!」

 

 

 

 

 

////////

 

「思ったより強いルン!」

 

「だけど負けないよ!」

 

「ミルキー!ソレイユ!」

 

ミルキーとソレイユがジャンプすると同時に、セレーネの矢がメガビョーゲンを貫いてゆく

 

「メガ!」

 

「ルン!」

 

メガビョーゲンの攻撃をシールドでしっかりと防御し、ミルキーの肩を使ってソレイユは天高く跳ぶ

 

「ハァッ!」

 

ソレイユのかかと落としが、メガビョーゲンの頭を減り込ませた

 

「このまま畳み掛けるでプルンス!」

 

 

 

「「「プリキュア !」」」

 

「しし座ミルキー・ショック!」

 

「てんびん座ソレイユ・シュート!」

 

「やぎ座セレーネ・アロー!」

 

 

 

3人の技が大量のメガビョーゲンを纏めて浄化させた

 

「やったルン!勝利のピースルン!」

 

「誰に向けてやってるの?」

 

「この小説を読んでる、ごく僅かな読者に向けてルン!」

 

「ではわたくしもピースです!」

 

「何やってるでプルンス…」

 

 

 

 

 

////////

 

「フォンテーヌ!」

 

「フッ!」

 

スパークルが拘束して、フォンテーヌが飛び膝蹴りでメガビョーゲンを倒す

 

「フォンテーヌとのコンビは無ッ敵!」

 

「ナイス連携!…ってスパークル前前!!」

 

「うわっ!?」

 

「「ぷにシールド!」」

 

油断したスパークルをフォンテーヌはすかさず守り、そしてカウンターでステッキで弾き返す

 

「2人共油断大敵ペエ!」

 

「調子に乗り過ぎよ」

 

「「ご、ごめん」」

 

スパークルは両手で顔を叩いて切り替える

 

「お手当て頑張るよ!!」

 

2人で光弾をメガビョーゲンの足元に放ち、土煙りを出して視界を奪う

 

 

 

「「エレメントチャージ!!」」

 

『『キュン!キュン!キュン!』』

 

「「「「ヒーリングゲージ上昇!」」」」

 

「「プリキュア !」」

 

「ヒーリングストリーム!」

 

「ヒーリングフラッシュ!」

 

水流と電撃が重なり合い、大量のメガビョーゲンを次々と浄化する

 

「「「ヒーリングッバ〜イ」」」

 

「「「「お大事に」」」」

 

 

 

 

 

////////

 

「オラオラどうした!もっと熱くなれよ!!」

 

「あ〜もう!うるさいニャン!!」

 

凸凹コンビの上手くいかないと思ったこの2人だが、意外にも息ピッタリだった。

コスモのトリッキーな動きで撹乱させ、紅牙の一撃必殺で次々となぎ倒してゆく

 

「これで止めだ。蹂躙してやる!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「暴君蹂躙!」

 

 

地面に大きく斬り付けてメガビョーゲンの足場を崩す

 

 

 

「レインボーパフューム!行くニャン♡」

 

「プリンセススターカラーペン!おとめ座!クルクルチャージ!」

 

「プリキュア !レインボースプラッシュ!」

 

 

 

足場を崩されて、動きが止まったメガビョーゲンを全て浄化した

 

「やるな」

 

「貴方もね」

 

2人はハイタッチを交わして、お互いを認め合った

 

 

 

 

 

////////

 

「プリキュア !スター・パンチ!」

 

「ハァァッ!」

 

蓮花達は未来予知の能力に悪戦苦闘する。奮闘して攻撃をするも、全て星屑の輝煌(アスティカルン)に斬り伏せられてしまう

 

「実りのエレメント!やぁ!」

 

「ぬるい!」

 

またも一刀両断されて爆発するが、煙りの中から蓮花が飛び出す

 

「どうだ!」

 

だがそれも止められてしまう

 

「未来は絶対!完全なる勝利!貴様らでは勝てぬ!」

 

「そんなの反則ラビ!」

 

「だったらこっちも反則すれば良い」

 

グレースの後ろからアースが現れた

 

「アース!」

 

「遅くなって悪い!城を木っ端微塵にするのに時間が掛かった」

 

「本当にしたんだ…」

 

 

「スターゲイザーペン!」

 

 

 

アースは前の戦いで圧勝したスターゲイザースタイルに変身する

 

「これで勝ち確だ」

 

「いい気になるなよ」

 

突如、ハキケンの空気が変わった。荒れ狂う風が巻き上がる

 

「星屑の輝煌の真の力を思い知るが良い!」

 

星屑の輝煌に纏っていた銀色のオーラが、ハキケンの目に宿る

 

「多少変わっても僕には勝てないよ!」

 

アースは、かに座のペンを使って刀2本を召喚する

 

「フッ!…中々当たんないな!」

 

「言っただろ。未来は絶対」

 

力が上がった魔剣は末恐ろしくなった

 

「折れたァ!?」

 

星座で作られた剣でさえも容易く打ち砕いた

 

「だからって怯んでいられないよ!」

 

蓮花とスターが別方向から攻撃するも

 

「ああっとと!」

 

まるで全部お見通しの様に難無く避けた

 

「今までのはほんの小手調べ。星屑の輝煌の本来の力は、常に未来を見据える事だ」

 

「常にって事は何しても無駄って事なの」

 

「それなら時間を止めてやる!」

 

アースは最終手段であるペンを取り出す

 

「とけい座!」

 

「それも読んでいる!」

 

古時計が現れるも一瞬で真っ二つにされる

 

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

「賢帝解放!」

 

 

「通用しない」

 

不意打ちすらも避けてアースに被弾する

 

「アース!」

 

「本当に全部視えてるみたいだな…」

 

「どうしますか?」

 

「何かありますか?」

 

「これ以上長引いてもジリ貧。切り札の投入としますか!」

 

アースは自分の変身用のペンを取り出す。手に取ったペンは虹色へ変色する

 

 

 

「レインボーイマジネーションペン!」

 

 

 

ペンを挿し込んだ瞬間、ペンダントから虹色の輝きが溢れ出す。

6つの星が装飾された王冠に赤のマント。イマジネーションスタイルに変身する

 

「綺麗…!」

 

「まだ強くなるんですか…!」

 

「行くよ。蓮花、グレース!繋がろうぜ!」

 

「「はい!」」

 

アースを先頭に一斉に走り出す

 

「どんなに姿が変わろうと、未来は変えられ…うぐっ!?」

 

アースの未来を読み取ろうとすると、ノイズが走って苦しめる

 

「な、何だ?読み取れない!?」

 

「当たり前だ。レインボーイマジネーションは僕の想像を現実にする。多分未来を読んでも、それを書き換えてしまうから視えないんじゃ?」

 

「それなら力で勝負だ!」

 

ハキケンは飛び上がる

 

「星屑の輝煌の全てをぶつける!」

 

「アース!」

 

「分かってる!皆んな頼んだよ!」

 

レインボーイマジネーションペンのもう一つの強み。それは、アースが繋がりを持った人々を描き召喚出来る

 

アースが描いたのはミルキー達

 

「フワ!」

 

 

 

「みんなの思い!重ねるフワ〜!」

 

「シャイニートゥインクルペン!」

 

「声を重ねるフワ!」

 

「キラキラ〜!」

 

「トゥインクル!」

 

「キラキラ〜!」

 

「トゥインクル!」

 

「「「「「イマジネーションの輝き!なりたい自分に!」」」」」

 

「星の力輝くフワ〜!」

 

「思いを重ねて!」

 

 

「虹色に輝く想いよ繋がれ!」

 

スター達はトゥインクルスタイルに姿を変化させ中心にいるフワと構える。

そしてアースは、光がペンに集まり、六芒星を描く

 

「「「「「プリキュア!スタートゥインクル・イマジネーション!」」」」」

 

「プリキュア !ギャラクシー・イマジネーション!」

 

皆んなの想いを乗せた星はハキケンへと放たれる

 

「それがどうした!」

 

だが直線に進む技に対して横に避ける

 

「貴様らの悪あがきもここまでだ!」

 

「いいや。狙い通り」

 

避けられたと思われたが、軌道を変えて戻って来る。そしてそれをバックに、蓮花とグレースも構える

 

「グレース決めろ!」

 

碧の賢帝を振り抜き、グレースはそれを足場にしてハキケンに突っ込んで行く

 

そしてアース達が放った技がグレースを包み込み、ヒーリングステッキへと力が凝縮していく

 

 

「賢帝解放!」

 

 

更におまけと言わんばかりに、碧の賢帝の力も上乗せする

 

「ありがとう皆んな!行くよラビリン!」

 

「ラビ!」

 

 

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングスターライト!」

 

 

 

皆んなの力を貰い受けたそれは、星の如く輝き、全てを癒す浄化の光りとなりハキケンを呑み込んだ

 

「────ッ!!?」

 

言葉も発する間も無く、ハキケンは光りと共に消え失せた

 

星屑の輝煌も浄化の光りを受けて砕け散った

 

 

 

 

 

////////

 

「いや〜、何とかなるもんだな!」

 

「わん!」

 

「ラテも良くなったし!」

 

「魔剣も破壊した。もう脅威は無くなった筈です」

 

「あ、見て下さい!ちゆちゃん達だ!」

 

のどかが、こちらに走って来る皆んなの姿を発見した

 

「蓮兄〜!」

 

「のどか!」

 

「ひかる!」

 

「流星君!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゆとひなたはのどかは抱き合い、まどかは流星にダイブする

 

そしてこの後待つのは、皆んな楽しみにしていたピクニックの時間だ




最後が雑!だって思いつかないもん!

て事で今回でスタプリ組とのお話は終了です。そして今回の話、この出来事は今後触れる事はありません。いわば、番外編と考えてくれたら方が早いです。

次はNG集挟んで本編ストーリーに戻ります

ここまでの拝読ありがとうございます!


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NG集 テイク5 「この小説はこの僕が乗っ取ってやる!」

NG集だよ〜ん!

ではアクション!


第18話 「物語は突然♥星と魔剣は出会った!」より

 

アースとハキケンが挑発し合う場面から

 

 

 

 

 

「舐めてると痛い目にあうぞ?おっとゴメン。既に痛い目にあったな!」

 

「この程度で痛いだと?意外と拍子抜けだな」

 

挑発に挑発で返されてアースは少しカチンと来た

 

「痩せ我慢すんなよ!バーカバーカ!」

 

「馬鹿って言った方が馬鹿だ」

 

「はい今アンタも馬鹿って言ったからアンタも馬鹿だよ!」

 

「貴方達!子供じゃあるまいし、いい加減にしなさい!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第19話 「噛み合う歯車♥集まるプリキュア と適格者」より

 

アースがスターゲイザースタイルになるシーンから

 

 

 

 

 

「来いよ。その未来視で、僕の88手全てに王手を掛けてみろろん(・・・・)

 

「「「みろろん?」」」

 

「来いよ。その未来視で、僕の88手全てに王手を掛けてみろよ」

 

「「言い直した!!」」

 

アースは何事も無かった様に言い直したが遅い。

勿論カットだ

 

 

 

 

 

////////

 

第20話 「あの空の向こうへ♥いざ救出の時!」より

 

牢屋から出るシーンから

 

 

 

 

 

「どうでも良いけど早くここから出ましょ」

 

「そうですね!」

 

そう言ってまどかは素手で柵をこじ開けた

 

「「「「!!?」」」」

 

「え、何それ?ちょっと怖いんですけど」

 

これには流星もドン引き

 

「愛の力です!」

 

「それは納得」

 

だがその言葉ひとつで丸く収まる

 

「納得出来ねぇよ!!完全に人間業じゃねぇよ!!お前は馬鹿か?」

 

 

 

 

 

////////

 

第21話 「これからも一緒♥無限大ヒーリング☆」より

 

ミルキーが勝利のピースするシーンから

 

 

 

 

 

「やったルン!勝利のピースルン!」

 

「誰に向けてやってるの?」

 

「この小説を読んでる、ごく僅かな読者に向けてルン!」

 

「ではわたくしもピースです!」

 

「じゃあ僕もピースで」

 

アースがナチュラルに割り込んでカメラ目線でピースし始める

 

「あたしもピースピース!」

 

「スパークル!…でもわたしもピース」

 

スパークルに続いてグレースも参加して、次から次へとピースし始めて最後に残ったのが

 

「俺だけかよ!!」

 

紅牙だった

 

「紅兄、ここは空気を読んで」

 

「いいよ!やってやる!ほらこれで満足だろ!」

 

かなり嫌々するも

 

「はい皆んなおふざけは終わりだよ」

 

「おいコラ前作主人公裏に来いや」

 

「僕は用事が無いので遠慮します」

 

 

 

 

 

紅牙とコスモがハイタッチするシーンから

 

 

 

 

 

「やるな」

 

「貴方もね」

 

2人はハイタッチを交わ──

 

「「あれ?」」

 

せなかった

 

「おい、そこは合わせろよ!!」

 

「貴方こそ合わせなさいよ!」

 

まさかの最後で息が合わなかった

 

「それに紅牙、今回貴方NG出し過ぎよ!撮影時間押してるのよ!」

 

「何で俺が全部悪いみたいな言い方何だよ!?お前ら鬼か?」

 

「鬼は貴方でしょ?」

 

「…確かにそうだ。……って違う違う!」




次回から本ストーリーに戻ります!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第22話 高めろチーム力♥皆んなでえいえいおー!

ビョーゲンズ側にも新メンバー追加ですね!意外と好きかも

では本編をどうぞ!


「緊急ミーティング?」

 

ラビリンに言われて、何故か緊急ミーティングをする羽目になった。

ここ最近、蓮花の家に集まる事も多くなり今回も皆んな家にお邪魔している

 

「そんなまどろっこしいのやってられるか!」

 

「じゃあ紅牙は外で遊んで来たら?はいお金。大切に使うんだよ」

 

「よっしゃ!これでゲーセンで…って違うだろ!?俺は子供か!!」

 

「皆んな、美味しい紅茶と茶菓子があるから」

 

「話聞けや!!」

 

「真面目に聞くラビ!」

 

一度ラビリンは咳き込み、前回の戦闘について振り返る。

話しの議題は、成長するメガビョーゲンに対してどう対応するか

 

「単純な話、早いとこ片付ければいいだろ」

 

「それが前回出来なかったから話し合ってるんだよ」

 

「そんなの気合いの問題だろ?ガッ!とやってズバッとすれば!」

 

「鬼麿さん、もう喋らないで下さい。話が全然進みません」

 

「畜生…」

 

部屋の隅で三角座りしてしょぼくれる紅牙を無視して話しを戻す

 

「でもさ、この前3人で出した技……あ、え〜と何だっけ?」

 

「プリキュア !ヒーリングオアシス?」

 

「そうそれ!あれで、メガビョーゲンをドーン!って浄化したじゃん!」

 

「その技のポイントは?」

 

「3人揃って出す事よね?」

 

「成る程、そういう事か」

 

蓮花は話しの流れで、ラビリン達の言いたい事がハッキリした

 

「もしかして、チームワークを高めて欲しいの?」

 

「話が早いペエ。だから…特訓しかないのかなって事になったペエ…」

 

「「特訓!!」」

 

その言葉にひなたと、隅っこに居た紅牙が食い付いた

 

「名付けて『プリキュア ・チームビルディング大作戦』ラビ!」

 

「ふわあ〜!大作戦!特訓なんてわたし初めて!」

 

「練習はともかく特訓は誰だって初めてなんじゃないかな…?」

 

初めてに興奮するのどかに対して、蓮花は苦笑いしか出なかった

 

 

 

 

 

////////

 

一方、時を同じくして

 

ビョーゲンキングダムでは、キングビョーゲンに呼び出された幹部達と紫苑が集まっていた

 

『合わせたい者がいる』

 

後ろから靴音が聞こえて来た。4人は振り返ると見た事も無い奴が居た

 

左耳のピアスに、金髪を持つヤンキーのような格好をしたネズミの様な獣人が居た。そして手には、布で覆い尽くされた長い棒状の物を持っていた

 

「ちーっす!キングビョーゲン様只今参上っす!」

 

『来たか、バテテモーダ』

 

登場早々にバテテモーダは丁寧に一人一人挨拶する

 

「ども〜!ダルイゼン兄貴!」

 

「兄貴…」

 

「随分とお調子者ね」

 

「そこはその〜、急成長の注目若手って事で大目に見て下さいな〜。ねっ、シンドイーネ姐さん!」

 

「アンタに姐さん呼ばわりされる覚えはないわよ!」

 

「呼ばせて下さいな〜!二面麗しいかな〜!シンドイーネ姐さんの類稀なる美貌!」

 

嫌がってたシンドイーネが軽く丸め込まれる

 

「輝かしいかな!グアイワル先輩の明晰なる頭脳!」

 

「シンドイーネもグアイワルも丸め込まれてどうするの」

 

「これはこれは!最強の適格者である紫苑嬢!」

 

「はぁ…」

 

「誇らしいかな!ダルイゼン兄貴の沈着にして冷静なるハート!」

 

ダルイゼンを「兄貴」、シンドイーネを「姐さん」、グアイワルを「先輩」、紫苑を「嬢」と呼び慕う

 

「御四名様の活躍は、こ〜んな小さい頃からよ〜く知ってます!自分も、御四名様の様にバリバリ地球を蝕みたいっすよ〜」

 

『ではバテテモーダ行くが良い!』

 

早くも出撃の許可を得られて思わず感動する

 

「御四名様、先ずはこのバテテモーダの初舞台!特とご笑覧あれ!…っと前に!」

 

出撃する前にバテテモーダは紫苑へと近づく

 

「紫苑嬢これを!」

 

「これは何?」

 

バテテモーダは先程から持っていた物を紫苑に手渡す

 

「魔剣を持つ紫苑嬢の方が詳しいかと!…『原始の魔剣』」

 

「っ!?」

 

「では!行って参ります!」

 

紫苑に渡して改めて出撃した

 

「これがあの原始の魔剣…!」

 

布を取ると、刀の様な形状をして柄頭から切っ先まで全て骨だけで作られた魔剣。だが、所々ヒビが入っており今にも折れそうな状態

 

「知ってるのか?」

 

「全ての魔剣の始まり。この魔剣から色んな魔剣が派生していったのよ。だけど…」

 

紫苑はまた布を被せて仕舞い込む

 

「駄目ね、力を全く感じ無い。これじゃあ只の骨よ」

 

「使わないの?」

 

「使えないのよ。…この剣どうしたものか」

 

 

 

 

 

////////

 

蓮花達が特訓する場所として来たのは、人目の付かない採石場だった

 

「此処で特訓するの?」

 

「滝に打たれるとかじゃなくて?」

 

「階段を兎跳びで登ったり?」

 

「綱渡りとかしないよね?」

 

「それだと個人の特訓になっちゃうよ」

 

それぞれの思い浮かんだものは全て違ってたらしい

 

「チームワークを強くすると言ったラビ!」

 

「テーマは以心伝心ペエ!」

 

「心と心を伝え合うラビ」

 

「テレパシーを使える様になるって事?いやそれ無理ゲー!!」

 

「違うニャ!言葉が無くても、お互いの考えてる事が分かれば連携が取りやすいだろ?」

 

そんな訳で一度ラビリンとニャトランで手本を見せてもらう

 

2人は大きく体で何かを伝え合ってから、お互いに向かい合って走り出した。そして見事にラビリンは下を転がり、ニャトランはそれを飛び越える形でぶつからず成功した

 

「心が通じ合ってる感じするする!」

 

更にもう一度ラビリンとニャトランが見せ付けるのだが、今度は今度はお互いに飛んでしまい頭同士でぶつかる

 

「「いっ〜た〜…」」

 

「最初の時点で辞めておけば好印象で終わっのによ…」

 

起き上がった2人は喧嘩をし始める始末

 

「ま、まぁこの様な事にならない様しっかりと特訓するペエ」

 

「どうやって?」

 

「ジェスチャーゲームペエ」

 

という訳で最初の特訓はジェスチャーゲーム

 

先行はちゆからなのだが

 

「ほっ!んっ!…う〜ん!」

 

「しっかり見て考えれば分かるラビ!」

 

4人が考える中でひなたが先に答える

 

「はい!『オッス!俺、沢泉ちゆ!温泉だ〜いすき!』」

 

「ハズレ!」

 

「ちゆは『俺』とか言わないペエ!」

 

次はのどか

 

「はい!『こんにちは。わたし、沢泉ちゆです。温泉だ〜いすき!』」

 

「ハズレ!」

 

「自己紹介から離れてラビ」

 

「答えは何かな?」

 

「今のは『右側を攻めて!わたしがビョーゲンズを引き付ける』だったっペエ」

 

「うぇ〜…それ全然伝わんないし〜」

 

誰一人としてちゆのジェスチャーは伝わらなかった

 

更に引き続き、今度はお題で出される動物の真似をするのだが

 

「ふわぁ…全然合わないね」

 

「でも皆んなバッチリ可愛いく撮れたよ」

 

「撮ってくれたの?見して見して!」

 

3人は休憩しながら蓮花が撮った写真を観始める

 

「こうなったら…蓮花!紅牙!2人はどうなのラビ!」

 

「何で俺達まで…」

 

「う〜ん…」

 

蓮花と紅牙は家での生活を思い出してみる

 

 

『──蓮花』

 

『──はい』

 

『──ん』

 

 

『──紅牙』

 

『──ありがとな』

 

 

思い出したのは二つ。お互いが体ごと背を向けてる状態で物の受け渡しが出来たり、一度も口に出して無い筈なのに、欲しい物を買って来てくれたりの事だった

 

「「別に大した事は…」」

 

「「「凄すぎるラビ…(ペエ)(ニャ)」」」

 

蓮花達とのどか達の差に心配して、ラビリン達はヒーリングルームバックの中に入って行った

 

ラビリン達は連携に繋がるものを探っていた

 

「ドミノ倒し。チームワークと忍耐力の強化に有効かも知れないラビ」

 

「ラビリン、本当にこれでいいペエ?」

 

「確かに、ひなたたち疲れてたよな」

 

「こんな事続けてて、逆に3人の気持ちがバラバラになっちゃったら…」

 

チームワークを高める特訓に失敗し続けると、逆にそれを気にして乱してしまう恐れがある。そんな不安に駆られる

 

「分かってるラビ!」

 

だけどそんな事はラビリンも百も承知

 

「本当は、プリキュア の手を借りずにラビリンたちだけで地球のお手当てが出来れば…それが一番ラビ。だけど…」

 

「俺たちだけじゃビョーゲンズを浄化出来ない…」

 

「それに、この前の強くなったメガビョーゲンと戦った時、3人共ボロボロで…苦しそうで…あんな辛そうな目にもう合わせたく無いラビ」

 

ラビリンののどか達に対する気持ちは美しい。そして自分達の無力な事も。それ故に、特訓で失敗し続けるのどか達に焦りを感じていた

 

「その通りペエ。ごめんラビリン!」

 

「良し!先ずは3人の事を励まそう!絶対に出来るって!」

 

そんな思いやりの気持ちが伝わったのか、ペギタンとニャトランはラビリンを元気付けて、もう一度皆んなで挑戦する事を決める

 

再び皆んなの所へと戻ると

 

 

「ちょっと蓮兄くすぐったいよ〜!」

 

「じっとしててね」

 

「蓮花さん!今度はわたしがやります!」

 

 

「ちゆ、いつも思うがお前…」

 

「何ですか?」

 

「うなじと肩出してエロいな」

 

 

5人はそれぞれで背中文字ゲームで笑い遊んでいた。蓮花、のどか、ひなたは楽しくやってる反面、ちゆは紅牙に十字固めを決めてお怒りのご様子だった

 

「緊張感ゼロペエ…」

 

「大丈夫かニャ…?」

 

「不安しかないラビ…」

 

5人の様子に更に不安が降り積もる

 

「クチュン!」

 

「ラテ!?」

 

ラテがくしゃみをして体調が悪くなる。ビョーゲンズが現れた証拠だ

 

『大っきな車さんの中で、小っちゃな石さんが泣いてるラテ』

 

急いでビョーゲンズが居ると思われる場所へ走り出す

 

 

 

 

 

そこではショベルカーの姿で暴れるメガビョーゲンを発見した

 

「皆んな!」

 

「「うん!」」

 

「いつでもいけるよ」

 

「やってやる!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「「「ハアァァ!」」」

 

グレース達は上からの攻撃でメガビョーゲンの体勢を崩そうとするが

 

「「「きゃあ!?」」」

 

何者が割って入りグレース達を跳ね除けた

 

「何だ今のは?」

 

「如何やら新手の様だな」

 

「ちぃーっす!アンタ達がプリキュア と碧の賢帝と紅の暴君の適格者っすか!初めてまっして〜!」

 

「だ、誰ニャ?」

 

「あんな奴、俺が居た時にはいなかった」

 

見た事も無い敵に動揺する

 

「はいはいは〜い!自己紹介しまっす!自分、この度ビョーゲンズ注目若手として新登場したバテテモーダっす!」

 

「バテテモーダ?」

 

「しくよろプリキュア に適格者!そして多分さよなら。だって自分、アンタらに負ける気がしないんで」

 

「馬鹿が舐めやがって!蓮花行くぞ!」

 

「ああ!」

 

「勇ましいけどやっぱ負ける気しないっすわ。何故って?自分強いから」

 

「その余裕いつまで続くかな!」

 

「蹂躙してやる!」

 

「バテテモーダオンステージ開幕!」

 

飛び出す蓮花と紅牙に、バテテモーダは2人の間をすり抜けてグレース達へ突撃した

 

「「何!?」」

 

「自分から戦うなんて…!」

 

今までの敵とは違い自ら戦いに来る敵に焦る

 

「だってさ、見てるだけなんてつまんないっしょ!」

 

グレースを飛び越えて、壁に着地してからスパークルへと攻撃に向かう

 

「やっぱ自分から盛り上げていかないと!」

 

「クッ…!」

 

スパークルへ数度攻撃を加えて後退するが、フォンテーヌがそこへ駆ける

 

「おほ〜!楽しい楽しい!良いね〜!」

 

「はぁ!」

 

「思った以上にパワーあるっすね!でも」

 

「てやぁ!」

 

フォンテーヌとスパークルの拳を受け止める

 

「効かない!何故って?自分の方が…強いから!!」

 

「「きゃあぁ!!」」

 

「スパークル!フォンテーヌ!」

 

簡単に攻撃を凌いだだけじゃなく、それを容易く弾いて逆にフォンテーヌ達を吹き飛ばした

 

「あらら〜、もうちょっと盛り上げていこうよ」

 

余裕シャクシャクなバテテモーダ。無視された蓮花と紅牙も囲い込み攻撃を仕掛ける

 

「悪いけど盛り上げるつもりは無い!」

 

「さっきからベラベラとうるせぇーんだよ!このネズミ野郎!」

 

「今度はそう来たっすか!」

 

適格者2人による連続連携攻撃。それでも息の合った連携も、アクロバットな動きで全て避けられた

 

「「クッ…!」」

 

手こずってるその隙にもメガビョーゲンは地球を蝕んでいる

 

「チッ…放置し過ぎた。おいグレース!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

キュアスキャンで宝石のエレメントを見つけ出した。すぐさま助ける為にグレースは走り出すが

 

「はぁぁ!」

 

「い〜れて!」

 

「あぁ!!」

 

「グレース!」

 

走るグレースにバテテモーダが横槍を入れられて吹き飛んだが、蓮花がグレースを体で受け止めクッションとなる

 

「グレース、蓮花しっかりするラビ!」

 

「なんて戦闘力…」

 

「紫苑嬢が言ってた通りっすね」

 

「紫苑…」

 

紫苑の名を聞いて蓮花は反応する

 

「弱いから守り切れず、捨てられる。本当に…無様っすね」

 

「「っ!!」」

 

採石場に碧と紅の光の柱が立った

 

「クヒッ!あまり調子に乗んじゃねぇーよ…」

 

「碧の賢帝!」

 

「紅の暴君!」

 

「盛り上がって来た〜!」

 

力を上げる2人だがグレース達はそれを止める

 

「蓮花さん待って下さい!」

 

「鬼麿さん!」

 

「紅兄!それは駄目だって!」

 

2人はグレース達の言葉で落ち着きを取り戻す。深呼吸して心を穏やかにさせる

 

「…ありがとう。頭に血が上って」

 

「ヒヤッとしたラビ」

 

「もう一度、今度は皆んなで!」

 

「はい!フォンテーヌ!スパークル!」

 

前回の二の舞にならない様、今度は全員でバテテモーダに立ち向かう

 

「せいやぁ!」

 

「っ!けどまだまだ!」

 

先程より力の込めて蹴りにバテテモーダは一瞬動揺する

 

「はっ!」

 

「おほ!ちょい強め!」

 

グレース、フォンテーヌと続き

 

「うおりゃ!」

 

スパークルのかかと落とし。全てガードされたが、3人の連携が機能し始めてる

 

「何回やっても──」

 

「それで終わりじゃないよ!」

 

「っ!?」

 

今度は蓮花と紅牙。2人は剣の力を高める

 

「皆んなの健康は、俺達が守る!」

 

「この技で蹂躙してやる!」

 

 

「「覚醒剣!」」

 

「賢帝解放!」

 

「暴君蹂躙!」

 

 

碧の賢帝の波動で宙へ飛ばされ、無防備になった状態からの紅の暴君で斬り伏せる

 

「ホギャーー!?」

 

斬り伏せられて、メガビョーゲンとぶつかり横転した。これでメガビョーゲンは動けない

 

「やべっ!」

 

「今だよ!」

 

「皆んな、ミラクルヒーリングボトルラビ!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「アハハ!良いじゃん良いじゃん!強いじゃん!」

 

メガビョーゲンが浄化されて負けてしまったというのに、バテテモーダは笑い拍手して敵であるプリキュア を褒め称える

 

「笑ってる。何なのアイツ?」

 

「フハハッ!負けたのは自分じゃないんで、メガビョーゲンなんで。ま、今日はこれで引き上げるっす」

 

「それが賢明だな」

 

「それにしても、戦うのって超楽しいわ」

 

「戦うのが…楽しい?」

 

これまでの相手とは一味違う。地球を蝕むより戦う事に快感を得ている

 

「勝ったと思って油断しない方が良いっすよ。注目若手新人、自分で終わりじゃ無いかも知れないよ?」

 

「何ですって!?」

 

「この前、アンタらが手こずったメガビョーゲンの事覚えてるすか?自分、アイツから生まれたんすよね」

 

「生まれたって!?」

 

「新人レギュラービョーゲンズバテテモーダ爆誕訳っす!」

 

そして律儀にお辞儀をして退散して行った

 

 

 

 

 

////////

 

「バテテモーダ…強かった…凄く…」

 

「うん…」

 

(ひなた?)

 

今回もお手当てを成功したが、新たな敵に未だにひなたの心は揺れ動いていた

 

「それでも俺達が勝った」

 

「うん!皆んなで力を合わせれば大丈夫!」

 

「ええ!鬼麿さんの言う通り、今日だって力を合わせてメガビョーゲンを浄化出来たもの!」

 

「そうだな!皆んなぴったり息が合ってた!」

 

「特訓なんてしなくても大丈夫だったペエ!」

 

「まぁ、ラビリンは最初からそう思ってたラビ!」

 

強い敵が現れた今日でも、ちゃんと撃退出来た事に皆んな楽観的になる

 

それでも

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひなた、大丈夫?」

 

「蓮兄……」

 

ひなたは蓮花の服を掴む。その手は少し震えてた

 

(ひなた…)

 

まだ1人、ひなただけは不安を隠し切れ無かった




紅牙のキャラが初登場時と今と比べたら凄い温度差。だけど発案から逸れて無いので大丈夫!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第23話 素直になって表して♥ひなたの気持ち!

完全にアニメに追い付いて、滅茶苦茶暇してた作者でございます。
と言っても新たに小説を書き始めたので追われる日々です

では久々にスタートです!

(キャラの口調が心配)


「良し!問題無し」

 

「良かった〜」

 

今日はラテの健康診断で、ひなたの家でもあるアニマルクリニックに来ていた。今回診察をしてくれたのは、ひなたの父親『平光てるひこ』さんだ

 

「だよな!何せ約2ヶ月の間外に出れなかったからな!」

 

「え?2ヶ月?」

 

のどかは紅牙の言う『2ヶ月』のワードの意味を理解していなかった

 

「はぁ?だってあれだろ!最近流行ってる新型ウイルス名前。ほら、コロ──」

 

紅牙の言葉を遮る様に、二つの鉄拳が顔面へと減り込まれる

 

「何しやがる!?」

 

蓮花とちゆは紅牙の肩に手を乗せて言う

 

「紅牙、この世には触れてはいけない事が沢山あるんだよ」

 

「鬼麿さんって本当に残念な人ですね…」

 

「お前らだって自粛してだろうが!!」

 

「「はて?」」

 

「馬鹿にしてんのか?」

 

一触即発になる前にのどかが紅牙を落ち着かせる

 

「トリミング終わったからワゴン出してくるね」

 

そこへ、ひなたのお姉さんのめいさんが出て来た。といってもすぐさま出掛けた

 

「めいさん、トリマーもやってワゴンでカフェもやって凄いね〜!」

 

「家はさ、何でも出来ちゃうんだよね〜…。アタシなんてプリキュアも辞めそうなのに…」

 

「ふぅん」

 

「プリキュアをね…」

 

「「「「……」」」」

 

「「「「えぇ!?」」」」

 

ひなたの突然の発言に意味が理解出来ずに、一回間を置いてから反応してしまった

 

 

 

 

 

////////

 

「初仕事は楽しんだようだなバテテモーダ」

 

「いやいやいや!楽しんだだけで、先輩方に比べたらまだまだ!」

 

『良いなお前達。今後、より活発な働きを期待してるぞ』

 

一同、キングビョーゲンに了解の意で返事する

 

「ちょっと!キングビョーゲン様の前だからって良い格好は辞めてくれます〜?」

 

どうやらシンドイーネは、バテテモーダの態度に未だ苛つきを感じている

 

「滅相も無い!謙虚な気持ちでやらせて頂いておりますんで!」

 

「それよ!その態度が余計にムカつくのよ!!」

 

バテテモーダの態度なついて、他3人にも話を振るが

 

「別に。どんな性格だろうと、ナノビョーゲン出せる奴が増えたのなら捗りそうで良いじゃん」

 

「バテテモーダ、あの嫉妬でうるさい奴ほっといて俺と一緒に来い!新人のお前に、先輩の仕事ってものを見せてやろう」

 

「私もダルイゼンと同意見。紅牙の代わりがバテテモーダ。戦闘能力は高くて良いじゃない?それと何日かは、原始の魔剣について改めて調べるから」

 

紫苑とダルイゼンは何処かへと行き、グアイワルはバテテモーダを連れて地球を蝕みに行った。

残ったシンドイーネだけ1人で喚き散らす

 

 

 

 

 

////////

 

「ひひひひひなた!プリキュア辞めるってどゆ事ニャ!」

 

「近い近い!…てか、辞めるとは言ってないし」

 

「原因は何かな?言ってご覧」

 

ひなたが言うには、どんなに頑張って浄化しても更に強い敵が出て来てしまう。そんな終わりの見えない戦いに意味を考え始めた…らしい

 

「あ…それよりそのジュースはどう?」

 

いきなり話題が変わってしまったが、言われるがままに蓮花達はジュースを飲む

 

「うん、美味しいよ」

 

「いつももの味とは少し違うけど」

 

「確かに味が変わってるね」

 

「ほら!ほらね!お姉の味には届かないんだよ!アタシが作ると!」

 

いつもと違う味がするとの感想を聞いて、益々落ち込み始めるひなた

 

「ひなたが作ったのか?」

 

「アタシ、ちっさい頃から水泳も体操もダンスも他にも色々と、お兄やお姉の真似して頑張っても同じに出来ないの。何しても全部駄目…」

 

どんなに頑張っても、その努力が報われず結果に出ない事がやる気喪失となり続けれずにいる

 

「だからプリキュアも辞めちゃうかもって事?」

 

「分かんない…」

 

「待て待て!オレはひなたがダメだなんて思った事は──」

 

「結果が伴わないと自分のやってる事に迷いが生まれる。そういうの分かるわ。こういう事は理屈じゃないから」

 

「お手当ても危険な事ペエ。無理に続けさせるのは良くないペエ」

 

「そんニャ!?」

 

ちゆも陸上選手だからか、メンタル面での心配は理解してる。ペキダンもフォローをしてひなたの為に心配をする

 

「ゴメンゴメン!今すぐ辞めるって話じゃ無いし!」

 

ニャトランに気を遣ってか、ひなたは笑顔を作って頬ずる。

だけどそれはカラ元気。蓮花達はその様子を心配する

 

「くちっ!」

 

ラテがくしゃみをした。この様子で、ビョーゲンズが現れたのを全員が察知する

 

その時だった。ラビリン達にも異変が起きたのは

 

「ラビリン前髪が!」

 

「どうしたの?」

 

ラビリン達の前髪が、突如何かに引っ張られる感じに逆立つ

 

「ニャトランそのおでこ何それ!?」

 

ニャトランの前髪に隠されてたおでこから見えたのは、魚の模様をしたものだった

 

「やめろ見るニャ!」

 

ニャトラン的にはそれが恥ずかしかったのか、枕に頭を突っ込んで隠す

 

「それより、おいのどか。ラテは何て言ってる?」

 

『上の方でパチパチしたプロペラさんが泣いてるラテ…』

 

「上?」

 

一度外に出て空を見上げるも何も無い。満天の青空が広がってるだけ

 

『パチパチのプロペラさんあっちラテ…』

 

「移動したみたいだな」

 

「行ってみましょう!」

 

 

 

場所を変えて住宅街へ移動するも

 

「メガビョーゲンが現れたにしては平和な風景ペエ」

 

ペキダンの言う通りいつもと変わらない雰囲気

 

「痛っ!?」

 

「大丈夫ですか?」

 

偶々見かけた住人が家に入ろうとして、ドアノブに手を掛けると静電気で手が痺れる

 

「大丈夫よ。一度放電したから」

 

そう言ってもう一度ドアノブに手を掛けると

 

「あ痛!」

 

一度放電したにも関わらず何故かまた静電気が走る

 

「痛!?」

 

別れようとした隣の家の人も同じだ。静電気でドアノブに触れず家に入る事が出来ないでいた

 

「まだ静電気が多発する季節では無い筈。のどか、ラテの様子は?」

 

『今此処じゃ無いラテ。あっちの上で泣いてるラテ…』

 

「えっ!?また!」

 

 

 

今度はのどかの母親のやすこの職場

 

そこでは、静電気で機械にトラブルが発生したらしい

 

「また静電気…」

 

『今度はあっちのうえで泣いてるラテ…』

 

「また〜!?」

 

 

 

またも所変わって和菓子屋と喫茶店前

 

「参ったぞ。どうする?」

 

「そうだな。ん?ちゆ」

 

ちゆは店の前で機械トラブルで途方に暮れてる人達に話し掛けてみる

 

少し話すとこちらへと戻って来た

 

「ちゆちゃんどうしたの?」

 

「さっきからあっちこっちで起きてる静電気問題、きっとメガビョーゲンの影響よ」

 

「そういえば、全部ラテが教えてくれた所でパチパチって!」

 

ラビリンとペキダンは何故かニャトランを押さえ付けて、おでこを凝視し続ける

 

「……証拠発見!」

 

「なるほど。静電気はメガビョーゲンが通った跡だったのか」

 

「ラテ、今は何処に居るか分かる?」

 

のどかはラテの声を聴こうと聴診器を当てるのだが

 

「聞いても意味なく無い?」

 

「あぁ?」

 

「行っても見えないし、どうせまた逃げられるし…」

 

「おいひなた!何探す前から──」

 

「さっきから何だその態度はよぉ!!」

 

喋るニャトランを退かして、紅牙がひなたの胸ぐらを掴む

 

「ちょっと紅牙!」

 

「うるせぇよ!ネチネチと愚痴りやがって!やる気あんのか!?」

 

「…ひっぐ…!」

 

紅牙の怒号にひなたは目に涙を浮かべ始める

 

「泣くな!!」

 

「紅牙!!」

 

蓮花は胸ぐらを掴む腕を掴む

 

「それ以上は辞めろ」

 

「ッ!」

 

蓮花の気迫に押されて紅牙はたじろぐ

 

「分かったか?」

 

「…分かったよ」

 

紅牙はひなたから手を離した。それを見て蓮花もまた手を離す

 

「ひなた大丈夫?」

 

「…うん」

 

そこへ1人の女の子がひなたの姿を見て走って来た

 

「大変なの!めいちゃんが閉じ込められちゃった!あっち!」

 

 

 

 

 

////////

 

案内された場所へと行くと、そこではワゴン車に閉じ込められていためいが居た

 

「大丈夫ですか!」

 

「今助けるし!」

 

「触っちゃ駄目!危ないから!」

 

ひなたが車のドアノブに触る直前で、めいが注意して触らないようにさせた

 

「暫くしたら静電気も収まるよ」

 

ひなたを安心させて車から遠ざけようと促す

 

「ほら行って行って!」

 

「でも!」

 

それでもひなたは食い下がらない

 

「…ひなたちょっといい?」

 

「蓮兄!?」

 

蓮花はひなたの手を引いて車を引き剥がした

 

「あの大丈夫ですか?」

 

「紅牙君でしょ。ありがとうね心配してくれて」

 

「いえ、俺は別に…」

 

 

 

「ひなた座って」

 

蓮花はひなたに芝生に座らせようとさせる。ひなたも隣に座る

 

「ひなたはどうしたいと思ってるの?」

 

「お姉を助けたい!」

 

「なら俺達が今するべき事は?」

 

「それは……」

 

蓮花はひなたを肩に抱き寄せる

 

「別に良いんだよ人と違って。だってそれが当たり前なんだから」

 

「当たり前…?」

 

「ジュースにしたってそうだ。確かにお姉さんと同じ味を作るには出来ない。でもね、ひなたが作るジュースをお姉さんは真似出来ない。何故だか分かる?」

 

ひなたは分からないの返事の代わりに首を振る

 

「それはね──ひなただからだよ」

 

「アタシ…だから?」

 

「人は皆、自分らしさと言う個性を持ち合わせている。だから喧嘩したり、友達になったりするんだよ。それはとても素晴らしい事だよ」

 

「蓮兄…」

 

「ひなたがもしプリキュア辞めても俺は何も言わない。だってそれが普通なんだから。強敵相手に怖いよね、辛いよね、苦しいよね。ひなたはまだ中学生で女の子。やりたい事は沢山ある」

 

蓮花はひなたに落ち着いて貰う為に、優しく頭を撫でて眠気を誘ってしまう程の声量で話す

 

「この世に意味の無い事は無い。意味があるからこそ存在する。それがきっと何処かで役に立つ」

 

蓮花は立ち上がり手を伸ばす

 

「最後に決めるのはひなた自身だよ。自分の胸に聞いてみて。そして素直な自分の気持ちを声に出したら良いよ」

 

「──っ!」

 

和やかな笑顔がひなたの顔を照らす

 

「助けたい…。アタシ!助けたい!」

 

ひなたは蓮花の手を取り素直な気持ちを吐き出した。そして、今のひなたの表情は清々しい程煌めいていた

 

「あ〜あ、言いたい事全部蓮花に言われた気がする」

 

「色々と吹っ切れたようね」

 

「良かったね!」

 

「ニャトラン、ちゆちー、のどかっち!」

 

「おいお前ら」

 

紅牙が4人を呼んで集まる

 

「これ見るラビ」

 

ラビリン達が見つけたのはドローンだった。しかもそのドローンがビョーゲンズに襲われた形跡がある

 

そして気付く

 

「そっか、今回のメガビョーゲンは空を飛べるんだ!

 

「だから目撃情報も無く、あっちこっち移動出来たのね!」

 

「目撃…」

 

ひなたはスマホを操作してその目撃情報があるかどうか調べる

 

「あった!目撃情報!駅から北へ行ったっぽい!」

 

「良かったね。ひなたも出来る事はあるんだよ」

 

「うん!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

 

 

////////

 

「どうだバテテモーダ!少しずつ広範囲を蝕むという、このグアイワル様の繊細かつ高度なテクニックは!」

 

「かぁー!流石先輩っす!新人の自分には全く思い付かないっす!」

 

空から辺りを蝕むメガビョーゲンの上で、呑気に喋るグアイワルとバテテモーダの姿

 

「そうかそうか。この俺の子分になりたいか!良いだろ特別だ!」

 

「…?アザっす先輩光栄っす!」

 

若干の間はあったもののバテテモーダは元気に返事を返す

 

けれどもそんな時も束の間

 

「ぬわぁ!?」

 

「うわぁ!?」

 

メガビョーゲンのお腹に黄色い光弾が直撃して、メガビョーゲンの体勢が崩れ真っ逆さまに墜落する

 

「やーーーっっと見つけたよ!メガビョーゲン!」

 

先程の攻撃はスパークルのものだった

 

「おおっと、プリキュアと抜剣者じゃないすか!ちーっす!」

 

「遅かったじゃないか。今からメガビョーゲンを浄化出来るのか?」

 

「するよ!絶対!」

 

「お手並み拝見と行こう!」

 

メガビョーゲンが高速で上空へと飛んだ。そして電光石火の如く蓮花達に突進して来る

 

ジャンプして避けるも

 

「きゃあ!」

 

その速さに対応出来ずにグレースが無防備に食らう

 

「グレース後ろ!」

 

「はっ!」

 

「ぷにシールド!」

 

ラビリンの機転でシールドを張るも防ぐので精一杯だった

 

「メガァ!」

 

「今だ!」

 

後ろへ後退したメガビョーゲンが一瞬動きが止まる。それを狙いスパークルとニャトランがエレメントを見つけ出す

 

「「キュアスキャン!」」

 

「雷のエレメントさんだニャ!」

 

「行けぇ!メガビョーゲン!」

 

再度高速で突進して来る攻撃に紅牙が合わせる

 

「暴君蹂躙!」

 

だが圧倒的な移動速度に避けられてしまい、空振りに終わり直撃を貰う

 

「クソ!」

 

「なるほど、雷みたいな動きニャ!」

 

「雷が何?アタシ、こう見えて雷が怖かった事が無いんだから!」

 

「何だその理論はよ…」

 

「とにかくやる気充分ラビ!」

 

「俺達も続くぞ」

 

近くにある建築物を利用してメガビョーゲンに空中戦を挑むが

 

「メガガガガ!」

 

全員で攻撃しようにも捉える事が出来ずカウンターを貰う

 

「きゃあ!」

 

「あぁ!」

 

「うわぁ!」

 

「フォンテーヌ!グレース!」

 

「スパークル!…ッ!」

 

蓮花達も地面へ叩き付けられたグレース達の心配をするが、そんな暇も与えてはくれず2人もグレース達の側に落とされる

 

「貴様らがこれ以上頑張っても無意味だ。諦めろ」

 

「アタシもそう思っていた。けど!蓮兄が教えてくれた!意味の無い事なんて無いって!この頑張りにも意味はある!!」

 

蓮花の言葉を口に出して自分を鼓舞する

 

「そしてアイツだけは!!」

 

スパークルが走ってメガビョーゲンへと向かって行く

 

「グレース行くぞ!」

 

「はい!」

 

それに続いてグレースと紅牙も走る

 

「とにかくあの動きを封じないと!」

 

「俺に任せて!」

 

蓮花は碧の賢帝を天へと振り上げて構える

 

「ハァァァ!」

 

碧の賢帝に波動を溜め始める。だがその溜め方がいつもと違う

 

波動のエネルギーが剣を纏い、空高くモヤが伸びる

 

「見せてあげる!俺が編み出した賢帝解放の応用技を!」

 

高く伸びたモヤが刃の形となり超ド級の長剣と姿を変えた

 

 

「覚醒剣!」

 

「賢帝解放・応用編!」

 

 

 

振り下げる碧の賢帝のロングレンジからの攻撃。メガビョーゲンはそれを避けるも

 

「逃すか!」

 

蓮花は碧の賢帝の軌道を変えて縦から横へと振り回す

 

「メガ!?」

 

横一文字が直撃し最後に縦一文字で斬り倒す

 

「メガガ!?」

 

「スパークル皆んな!任せたよ!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「あちゃ〜、やられちゃいましたね先輩」

 

「フン!今日の所はこんなものだ!勉強になったかバテテモーダ?」

 

「はい、アザっす!」

 

 

 

 

 

////////

 

メガビョーゲンを浄化出来て、すこやか市は元通りになった。

勿論、ヒーリングアニマル達の前髪も元に戻る

 

「エレメントさん、お手当て遅れてごめんね!」

 

『いいえ、お陰で助かりました!ラテ様もお辛かったでしょう。どうぞ、コレを使って下さい!』

 

ひなたの手に雷のエレメントボトルが出現する

 

「雷のエレメントボトルだ!」

 

「ありがとう!エレメントさん!」

 

貰った雷のエレメントボトルで、ラテの体調を治して今日のお手当ては完了した

 

 

 

 

 

「お姉!良かったちゃんと出れたんだ!」

 

「言ったでしょ、時間経てば直るって。でも心配してくれてありがとうね。皆んなも」

 

めいも何とか無事に外へ出る事が出来た

 

「アタシもありがとね。バテテモーダとかまだ全然居るけど、それでも今アタシが頑張れば皆んなを助けられるんだもんね!意味無くなんか無いんだよね!」

 

「わん!」

 

「蓮兄!ありがとう!」

 

「どう致しまして」

 

「それでね、あの…ね」

 

ひなたは何やらもじもじし始める

 

「何でそんなに優しくしてくれるの?」

 

「何でって決まってるじゃん!」

 

ひなたの手を握る。ひなたは少しドキっとして頬が少し赤くなる

 

「大好きだからだよ」

 

「「「おぉ〜!!」」」

 

「だだだ大好きってそんな///」

 

「勿論、のどかとちゆもね!」

 

それを聞いた周囲の全員がすんっとなった表情に変わる

 

「わん!」

 

「ラテも大好きだよ〜!…皆んなどうしたの?」

 

ひなたは蓮花の前に立ち、ワナワナと体を震わせながらボソボソと何か言う

 

「…か」

 

「ん?」

 

「蓮兄の、蓮兄の…馬鹿ァァァ!!」

 

「何で!?」

 

「蓮兄の馬鹿!阿保!間抜け!鈍感!!」

 

ひなたは涙目になりながら芝生を走って行く

 

「ひなた!?何で?ひなた!」

 

蓮花もその後を追い掛ける

 

「あの女誑しが…」

 

「「あはは…」」

 

「いつも通りニャ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひなたの迷いも蓮花という光のお陰で晴れて輝きを戻った

 

「蓮兄!!」

 

ひなたは口パクでだが大きく口を開き

 

(大好き!!)

 

その言葉を素直に口にした




はい、公式で追加戦士が発表されました。
何でや!何で前作主人公とプリキュアネームが被るんねん!!
あれか!もうそのネタを作れと公式からのネタ提供ですか?

と、いう訳でヒロインも確定しましたのでタグを変更します

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第24話 大声で叫べ♥すこやかフェスティバル開催!

私は祭りが苦手です。他にも言いたい事あったけど忘れた!

では本編スタート!


「蓮花、今日は祭りだってよ」

 

「あ〜、そうだね」

 

「わっしょい祭りだぞ!すこやかフェスティバルだ!」

 

勉強する蓮花はわざと無視していた。それでも騒ぎ立てる紅牙

 

「はぁ…何一緒に行きたいの?」

 

「何でそうなるんだよ。誰がテメェ何かと──」

 

「俺は今してる問題が終われば行く予定だけど。紅牙は行かないんだね」

 

「馬鹿野郎!俺は誘ってんだよ!普通一緒に来るだろう!!」

 

つくづく面倒な性格をしてる紅牙に蓮花は少しお疲れ気味。別に嫌とかは思ってはいない。

只蓮花は

 

(ひなたみたいにもっと素直なら話しやすいのに…)

 

日々そう思っていた

 

 

 

 

 

////////

 

「ええ!?いいんすか?でもこれ、グアイワル先輩の大事なおやつじゃないっすか〜!」

 

所変わってビョーゲンキングダムでは、グアイワルがバテテモーダに自分のお菓子をあげていた

 

バテテモーダの性格上、お礼は言うものの遠慮無く頂いた

 

「いいかバテテモーダ。お前には期待しているぞ!」

 

「任せちゃって下さいよ〜。グアイワル先輩の為なら、例え火の中水の中、洗剤の中っすから〜!……ケッ、何つってな」

 

「どうした?」

 

「いや、何でも無いっす!では、早速地球を蝕んで来るっす!」

 

一瞬だがバテテモーダの本当の顔が見えた。グアイワルにはそれに気付かなかったが

 

 

 

 

 

////////

 

「さて何処回るか」

 

「出店を回るのもいいけど、こういうイベントには多分……やっぱり」

 

蓮花と紅牙が歩く前方にちゆとペギタンの姿を発見した

 

「ちゆ、こんにちは」

 

「蒼咲さん!こんにちは!」

 

「よっ!暴力娘!」

 

「……蒼咲さん1人ですか?」

 

「無視かよ…」

 

「当たり前ペエ…」

 

ちゆも紅牙の扱いにも慣れて来た様子。それに、このやり取りもいつも通りだ

 

「ちゆは1人?のどか達の姿が見えないけど」

 

「わたし、家の手伝いを終わらせてから来たんです。この連休にお客様が沢山訪れて、お菓子用意したり、お風呂の掃除をしたりね」

 

「なるほどな……蓮花、ペギタン、ちゆと2人で話させてくれないか?」

 

「?」

 

蓮花とペギタンは疑問に思いながらも、ペギタンは蓮花の肩に乗り2人っきりにさせる

 

「急にどうしたんですか?」

 

「別に……今度旅館手伝いに行く」

 

それを聞いてちゆの表情は、過去最高の驚く表情へと変わる

 

「鬼麿さんがわたしに優しく。明日は雪でも降るのかしら?」

 

「冗談でも気遣いでも無く本気だ。お前だってのどか達と遊びたい年頃だろ?」

 

「確かにそうですけど。でも本当に何でですか?」

 

「何となくだ。だが理由を付けるとしたら」

 

紅牙はちゆの頬に手を添える

 

「ちゆ、俺はお前に……」

 

真剣に見つめる紅牙にちゆは、今まで体験した事の無いドキドキ感を感じていた

 

(心臓が高鳴る。この気持ちは…)

 

「お前に……」

 

「──ッ!」

 

ちゆは思わず身構えて目を強く閉じる

 

「顔が赤いし熱いぞ。大丈夫なのか?」

 

「えっ?」

 

ちゆは紅牙に言われて両手で頬を押さえる。鏡で見ないと分からないが、確かに熱は感じた。恐らく顔も赤いのだろう

 

「だ、大丈夫です!それより鬼麿さんは何か?」

 

「…知らないな。話はここまでだ。蓮花とペギタンの所へ行くぞ」

 

「ちょっと!」

 

強引に話を切り上げて蓮花達の所へ

 

(わたしのこの気持ちって……いや、そんな事は無いわ。只少しビックリしてドキドキしただけ)

 

ちゆは先程の高鳴りを、うんうんと頷き自分で納得して気にしない様にしていた

 

 

 

 

 

「あっ!ちゆちーに蓮兄!後、紅兄も!」

 

暫く歩いてると、のどかとひなたと出会した

 

「皆んなこぞって集合だね」

 

「わたし達、丁度出店を回ろうとしていたんです!」

 

「俺達もだよ!」

 

ひなたは、蓮花とのどかの手を引いて連れて行く

 

「2人はまだアレを食べてないよね?すこやか名物のすこやかまんじゅう!早く行こ!!」

 

「ひ、ひなたちゃん!?」

 

連れて来たのは、ひなたが言うすこやかまんじゅうが売られてある出店

 

「すこやかまんじゅうは、6種類の野菜を使ってるらしいぞ」

 

「お!そこの人の言う通りだ!イチゴにカボチャに小松菜に、どれも美味しくて体に良いんだ!」

 

「食べたいラビ!」

 

目をキラキラさせたラビリンが、人の居る前で声を漏らしてしまった。当然、目の前に居る距離なので店の人も気付いた

 

「今声が…?」

 

「いえ、食べたいなぁ〜って…わたしが」

 

「6個入りを1セットと、個別を2つで!」

 

ちゆと蓮花が上手い事誤魔化した

 

場所も変えて、足湯に浸かりながらすこやかまんじゅうの味を堪能する

 

「こんなお饅頭あったんだ!」

 

「わたし、子供の頃から大好きよ!」

 

「わたしも〜!」

 

「美味しく食べやすい」

 

初めて食べる蓮花とのどか、そして小さい頃から食べてるちゆ達も満足だった

 

ラビリン達も美味しいと絶品と評するが

 

「もっと食べたいラビ!」

 

「オレも〜」

 

「食べ過ぎペエ」

 

ひとつだけでは満たされな無いらしい

 

「そういえば今日ね、病院で先生にすっごく元気だって言われたの!」

 

「えっ、本当!のどかっちやったじゃん!」

 

既に元気なのだが、お墨付きを貰い嬉しくてしょうがない

 

「わたし、この街に引っ越して来て更にパワーアップしてる気がする!」

 

「それなら、思う存分に楽しく出店を回るか!」

 

「よ〜し!レッツゴー!」

 

紅牙とひなたの掛け声と共に、皆んなは次の出店に向かう為に腰を上げると

 

「蓮花蓮花」

 

ラビリンが蓮花を呼び止めた

 

「さっきのすこやかまんじゅうをまた食べたいラビ!」

 

「ズリ〜ぞ!オレも!」

 

ラビリンとニャトランは、あの味が忘れられないらしく蓮花と買いに行こうとせがむ

 

「ペギタンは?」

 

「ボクも良いペエ?」

 

「構わないよ」

 

「早速行くラビ!」

 

「そうだね。…のどか、ちょっとラビリン達借りて行くね。紅牙、3人を宜しくね」

 

蓮花は断りを入れてから、のどか達と別行動する

 

 

 

「すみません。すこやかまんじゅうを3つ」

 

また店に出向いてラビリン達の分だけ買う

 

「ありがとうラビ!」

 

「どう致しまして」

 

ペギタンは味わって食べるのだが、ラビリンとニャトランは瞬きしてる間に完食してしまった

 

「2人共もっと味わって食べるペエ」

 

「蓮花蓮花!」

 

またもキラキラした瞳でラビリンがこちらを見ている

 

「あはは…流石に3回目は気まずいかな」

 

「え〜!!」

 

「ラビリン、我儘は駄目ペエ。蓮花が困ってるペエ」

 

「う〜ん」

 

蓮花もラビリン達の為にもう一度店に行こうと思ってると

 

「ラビリン見て」

 

蓮花は1枚の紙が貼ってあるのを見た

 

「コンテストラビ?」

 

「優勝商品を見て」

 

「優勝商品…すこやかまんじゅう100個ラビィィィィ!?」

 

「ラビリン声が大きいペエ!」

 

肩に乗るラビリンから大きな声。蓮花も鼓膜が破けたかと錯覚するぐらいの声量

 

「イイじゃん!蓮花参加したら?」

 

「蓮花だけじゃ駄目ラビ!保険を掛けておくべきラビ」

 

とてもとても悪い顔のラビリン。何か嫌な予感をしながらも、参加用紙に名前を書き始める

 

 

 

 

 

「だ〜れがグアイワルの子分になるかっつ〜の」

 

バテテモーダもすこやか市で歩いていた。どうやら、今まで猫を被っていた様だ

 

そんなバテテモーダの前に紫苑が現れた。手に飲食を持って

 

「それが貴方の本心かしら?はむッ…」

 

「し、紫苑嬢!?へへ、何の事だか…」

 

「別に誤魔化さなくても良いわよ。それより食べる?」

 

紫苑はすこやかまんじゅうをあげる

 

「私も貴方の事は…はむッ…駒としか…もぐもぐ…見ていないから…っ…安心して」

 

「そうすか。てか、喋るか食べるかどっちかにして欲しいっすよ。聞き取りにくい」

 

「だって美味しいもの。子供の頃から大好きなの」

 

「まあ確かに…美味しいっすね」

 

紫苑の食べる姿を見てひと口で平らげた。バテテモーダにもすこやかまんじゅうはお気に召したようだ

 

「私達は駒だ。キングビョーゲンに使える駒だ。駒は駒らしく与えられた役目を果たせば良いのよ。運命には逆らえないのだから」

 

「自分にはよく分からないっす。只ひとつ言える事は、自分は紫苑嬢の事は他の奴らと違って好きっすよ」

 

「お互い、目的の為に頑張りましょうか」

 

「では早速──進化ベイベー!ナノビョーゲン!」

 

 

 

 

 

////////

 

突如として街にメガビョーゲンが現れた

 

「蓮花!急いでのどか達と合流するラビ!」

 

「分かった…て、のどか?」

 

「蓮花さん!何処に行ってたのですか?」

 

「えっ!?それは…その」

 

「それより今は変身ラビ!」

 

ラビリンが誤魔化して変身を促した

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「来い!碧の賢帝(シャルトス)!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「ちぃ〜っす!プリキュア と抜剣者!ご機嫌いかがっすか〜?」

 

「フン!アンタ来たから超最悪!」

 

「スパークル、笑顔だよ。笑顔」

 

蓮花の背中に隠れて頬を膨らます。蓮花もスパークルのご機嫌を取ろうとしてなだめる

 

「お〜怖!んじゃ、いくっすよ!」

 

「メガビョーゲン!」

 

突進して来るメガビョーゲンだが、蓮花達はジャンプして避ける

 

「そんな単調な攻撃が当たるとでも?」

 

「ビョー!!」

 

メガビョーゲンは狙っていたのか、扇風機を模した腕で空中にいる蓮花達に向けて風を放つ

 

「ちょ!?」

 

「グレース!スパークル!」

 

「フォンテーヌも掴まれ!」

 

山の方へ全員なす術もなく纏めて吹き飛ばされた

 

「蓮花さんありがとうございます!皆んな大丈夫?」

 

「こっちも鬼麿さんのお陰で何とか」

 

「ビックリした〜!」

 

「休んでる暇は無いぞ!」

 

遠くは吹き飛ばしたにも関わらず、もう既にメガビョーゲンが追い付いて更に風を起こして近付けさせないようにする

 

「また〜!?」

 

「うわわ!蓮花さん動けないです〜!」

 

「目も開けていられない!」

 

蓮花は木に捕まってグレースを支え、スパークルと飛ばされない様に木に掴んでいた

 

「なら!」

 

「任せて!」

 

風による攻撃を免れた紅牙とフォンテーヌは、隙のある足元に攻撃する

 

「風が止んだ」

 

「このまま!」

 

大勢の崩れて風が分散した。よろけるメガビョーゲンにすかさずスパークルも、木の枝で勢いを付けての蹴りをお見舞いする

 

「「キュアスキャン!」」

 

「風のエレメントさんラビ!」

 

更にグレースのキュアスキャンでエレメントも特定した

 

「このまま一気に浄化するよ!」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルでの光線で攻撃して動きを封じ込める

 

「暴君蹂躙!」

 

今が好機だと思い、紅牙も紅の暴君で斬り倒そうと走るが

 

「メガ…ビョー!!」

 

風の向きを地面へと移してその勢いで空へと飛んだ

 

「また空かよ!それなら蓮花の出番だ!」

 

「賢帝解放・応用編!」

 

前回同様に、碧の賢帝の間合いを広げて斬る作戦に変えたのだが

 

「メガガガ!!」

 

「落ちて来る!?」

 

空中に留まるかと思いきや、落下に合わせて体当たりして来た

 

「「「きゃあぁぁぁ!!」」」

 

「「うわぁぁぁ!!」」

 

またもや吹き飛ばされて街の方へ戻って来た

 

「おっかえり〜メガビョーゲン!さぁ!ドンドン蝕んじゃって!」

 

「駄目!」

 

グレースは、着地と同時にバテテモーダの顔に両足で蹴りを入れて攻撃した

 

「此処は、すこやか市の皆んなが作り上げたお祭り会場なの!色んなトラブルにもめげずに歩んで来た。この街の元気が詰まってる!」

 

「そうよ、それを蝕むなんてわたし達が許せない!」

 

「えぇ〜?そこを何とか許して下さいよ〜」

 

「許せるかって!!」

 

「スパークル、前貰った雷のボトルを使うんだ」

 

「あ〜!蓮兄さっすが!」

 

今思い出したかの様にスパークルは返事をして、雷のエレメントボトルをセットする

 

「雷のエレメント!」

 

「メガビョーゲン!」

 

「ハァァァ!!」

 

いつもの光線とは違い、電撃を帯びた攻撃がメガビョーゲンを痺れさせた

 

「浄化だ!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

 

 

////////

 

浄化も出来て、風のエレメントの体調を確認。そこでとある情報が聞けた

 

『それにしても、プリキュア と抜剣者に会えるなんて本当に久し振りです!』

 

「久し振り?」

 

『わたしが前に会ったのは、ずっとずっと昔でしたから』

 

「それは伝説のプリキュア !のどか達の前のプリキュア ラビ!」

 

風のエレメントが言う前のプリキュア は、前の世代の人の事らしい

 

「そのプリキュア はテアティーヌ様のパートナーだったラビ」

 

『その女の子はこの街に住んでたんですよ』

 

「「「この街に!?」」」

 

更に明かされる事実

 

『はるか昔、この土地に住む1人の少女が音楽を奏でる事で、人間のみならず動物やエレメントの心と病を癒していたのです!』

 

「プリキュア もそうだが、俺達と同じ様にその時代に抜剣者も居たのかよ!?」

 

「ちょっと紅牙」

 

蓮花を押し除けて紅牙が話に食い付く

 

『はい。そのプリキュア と共に3本の魔剣を束ねてビョーゲンズと戦っていました』

 

「確かに、魔剣は古代の時代から存在はしてるらしいけど、まさか先代のプリキュア と共にとは」

 

『ですが悲しい事に、その途中で命を落としてしまいました。自分が大好きなその少女と、人を、街を守る為に』

 

「先代の抜剣者も苦労したんだな」

 

風のエレメントとの話が終わると、のどかは空を見て黄昏ていた

 

「のどかっち?」

 

「それも、すこやか市の元気の秘密なのかなぁって。わたしもいつかこんな風に、皆んなを元気にするプリキュア になりたいな」

 

(それにしても、大事なものを守る為に先代の抜剣者は命を落とした。それ程ビョーゲンズは脅威で強敵。俺もやはり覚悟を決めて…)

 

蓮花も改めて覚悟を決めて拳を握り締める。その様子に気付いてるのは1人だけ

 

そして丁度遠くから大きな声が聞こえて来た

 

「あっ!始まっちゃったラビ!早く行くラビ!」

 

「何処に?」

 

「蓮花アレを出すラビ!」

 

ラビリンに言われて、蓮花は先程ラビリン達と書いてた用紙を取り出す

 

「大声コンテスト?」

 

「コンテストの商品はすこやかまんじゅう100個ラビ!」

 

「優勝頼んだぜ!」

 

「え?」

 

当然全員固まる。そして蓮花も追い討ちを掛ける

 

「因み全員強制参加。皆んなの分の名前を書いて参加申請出したから」

 

「「「えぇ〜〜!?」」」

 

「何かやってんだよ!?」

 

 

 

「スマホ新しいの欲し〜〜い!!」

 

 

「沢泉の温泉最高〜!!」

 

 

「来年は大学合格する〜!!」

 

 

「最近、俺の扱いが雑いんだよ〜〜!!」

 

ひなた、ちゆ、蓮花、紅牙の順番で叫ぶ

 

そして最後はのどか

 

「わたし、すっごく…生きてるって感じ〜〜!!」

 

 

 

 

 

「ちょっと元気過ぎじゃん!」

 

「元気過ぎだろ」

 

「のどかがあんなに声を出せるなんて驚きだよ」

 

「じゃあ頂くわねのどか」

 

「どうぞ召し上がれ〜!」

 

蓮花達の目の前には優勝商品のすこやかまんじゅう100個。優勝したのはのどかだ

 

「それにしてもこの量食べ切れるかな?」

 

「大丈夫大丈夫!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すこやかフェスティバルは幕を閉じた。皆んな笑顔で溢れている今日を大切にしながら




次回はちゆと紅牙をメインのオリストです

ひなたのあの声量を超えるのどかって…

では、ここまでの拝読ありがとうございました!


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第25話 交わる想い♥自分の本当の気持ち!

ちゆと紅牙がメイン!

ではどうぞ〜


「ノート良し!参考書良し!筆箱良し!珈琲良し!」

 

只今、蓮花は久し振りに大学に向けての勉強を1人でする事に。かなり気合いが入ってるのか、準備物に指差し確認までしていた

 

(紅牙は用事があると言って出掛けたし、今日はのどか達とは約束してないからゆっくり勉強出来るな!)

 

蓮花はリビングの机に座って、優雅なひと時を過ごそうとしていたのだが

 

「蓮兄遊びに来たよ〜!!…ってどうしたの?」

 

現実は無慈悲である。神は蓮花を見捨てたのだ

 

突然の来訪者の顔を見ないようにして、顔を机に突っ伏してしまう始末

 

「ねえねえ!蓮兄開けてよ!」

 

庭の窓をバンバンと叩きひなたは家に入ろうとお願いする

 

「ナニカゴヨウカナ?ヒナタ?」

 

「遊ぼ!」

 

「これから大学受験へ向けての勉強をするんだけど…」

 

「蓮兄なら大丈夫だよ!頭良いから!」

 

そう言ってくれるのは本当に嬉しい。だけど今は、本当に追い込まれている状況なのだ。

ビョーゲンズとの戦いやのどか達と遊ぶ日々で、勉強なんて殆ど手を付けてない

 

今回ばかりは蓮花も心を鬼にする

 

「ひなた、受験はそう簡単じゃないんだよ。今回は悪いけど諦めて」

 

「…は〜い」

 

蓮花の心中を察したのかトボトボと帰って行った。

申し訳ない気持ちでいっぱいだが受験も大事

 

「さてと、え〜っと何々?この問題は──」

 

気を取り直して机に向かって問題を解こうとしたが

 

「ジャジャーン!」

 

ひなたが家に上がり込んで居た

 

「…もうどうにでもなって」

 

蓮花は両手を大きく広げた。ひなたは、犬の様にはしゃいで飛び込んだ

 

蓮花は完全に諦めてムード。今日もまた勉強出来ない日となってしまった

 

 

 

 

 

////////

 

紅牙はというと旅館沢泉の前に来ていた

 

「…行くか」

 

「鬼麿さん?」

 

旅館に入ろうとしたところで、紅牙の姿を見てちゆが声を掛ける

 

「何か用事ですか?」

 

「前言った通り手伝いに来た」

 

「本当に手伝いに来たんですか!?」

 

「旅館の人には職業体験として話がついた。悪いが案内を頼む」

 

「いつの間に。随分と根回しが早い…」

 

旅館に入ってちゆの母親である「なお」と挨拶を交わしてから着替える

 

「どうよちゆ!この俺の着こなし術は!」

 

「意外に和も合いますね」

 

「さぁ手伝うぞ!掃除、洗濯、料理、何でも御座れのお利口さんだ!」

 

(感じがいつもと違うから話しにくい…)

 

そんな訳でちゆの指導の下で手伝いを始める

 

先ずは風呂場の掃除

 

「にしても、この広さを1人で掃除してるのか?」

 

「はい」

 

「頑張るんだな」

 

「……」

 

ちゆの背中がむず痒くなる。集中出来て無い状態で掃除してると

 

「きゃっ!?」

 

「ちゆ!」

 

水で足を滑らせてしまった。偶々近くで掃除してた紅牙は、後ろから包み込む感じにちゆを受け止めた

 

「おい大丈夫か?」

 

「はい、ありがとう…ッ!?」

 

声のする上へと顔を上げると、思ったよりお互いの顔が近く、ちゆは驚いて紅牙の顎を頭突きする感じで跳ね上げた

 

「うごぉぉぉ……」

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「んな訳ねぇだろ!!舌まで噛んだわ!!」

 

「お、鬼麿さんの顔が近……恐ろしかったからよ!!」

 

「はぁ!?意味分かんねぇよ!!」

 

次は部屋の掃除

 

「布団はこっちへ」

 

「おう…って、この布団ほつれてるぞ」

 

「本当。今は皆んな忙しいから後で直すとして…」

 

「俺が直すから道具持って来い。すぐ終わらせる」

 

ちゆは言われた通り手芸道具を渡し、紅牙は手慣れてる事もありすぐに終わらせた

 

「本当器用ですね」

 

「見たか?見たよな!俺の手捌きを!」

 

 

 

 

 

「おいちゆ。わざわざ、ゆめポートまで来て買い物するものか?近くの店にあったろ」

 

「わたしに言われましても…」

 

2人は只今買い出し中。近くの店に行けばある物を、何故かゆめポートで買って来るよう言われたのだ

 

「あれとそれとこれだな」

 

「後これもです」

 

ゆめポートまで来たからといっても何も変わらない。只々、買い物をしてすぐに終わらせた

 

買い物袋を手にポート内を歩いてると、ちゆはショーケースに飾られてあるウェディングドレスに目がいく

 

「へぇ〜、こんなんに興味あるのか?」

 

「そうゆう訳では無いですけど綺麗だなと」

 

女の子なら一度は夢を見て憧れる純白のドレス。興味が無いと言いつつも、本音はそうでもなかった

 

「未来の旦那が可哀想だな」

 

「なっ!?それはどうゆう意味ですか!」

 

「お前、すぐ俺に暴力振るうだろ?旦那が心配だ」

 

「それは鬼麿さんが──」

 

紅牙はちゆの唇に指を当てて静かにさせる

 

 

 

 

 

「だから俺がお前の旦那になってやる」

 

 

 

 

 

「……えっ!?///」

 

突然の物言いに少し間が空いたが、すぐに言葉の意味を理解して顔を赤くする

 

「お前の相手を出来るのは俺だけだ」

 

「え、あ、あの///」

 

「…と言うのは簡単だ。誰がお前となんか」

 

その瞬間紅牙は天を見上げていた

 

「ちょっとはその気になっていたわたしが馬鹿でした!」

 

頬を膨らませてプンスカと怒るちゆは、1人何処かへと行ってしまった

 

紅牙はというと、殴られた顎を押さえてちゆの背中を眺めていた

 

 

 

 

 

(やっぱり鬼麿さんは鬼麿さんでした)

「はぁ…」

 

溜め息を吐きつつ歩いてると誰かとぶつかってしまった。紅牙の事を考え過ぎていた

 

「すみません!」

 

すぐさま謝って立ち去ろうとしたのだが

 

「ちょっと待てよ」

 

腕を掴まれてしまった。ちゆは嫌な予感がし、振り解こうとするが力で負けている

 

相手は男。しかも大人なのだ

 

「こっち来い」

 

強引に引き込まれて、ちゆは人気の無い所へ連れ去られてしまった

 

「まさか謝って済むと思っているのか?本当に許しを請うつもりなら!」

 

男はちゆの両腕を掴んで更に動きを封じた

 

「それなりのものを払って貰おうか」

 

「離して!」

 

振り解けない。逃げたくても逃げられない

 

(嫌…誰か助けて!)

 

迫り来る恐怖に涙を流しながら怯えてると

 

「何面白い事してんだよ。俺も混ぜろや」

 

(──ッ!)

 

紅牙がちゆを見つけた

 

「誰だ!」

 

「そんなお決まり文句を聞きに来たんじゃねぇよ」

 

紅牙は男の腕を掴んだ

 

「言ったろ?俺も混ぜろや」

 

掴む手の握力が増す。紅牙の髪色が徐々に白く染まっていく

 

「あが!?」

 

ミシミシと嫌な音を立てる。男は反撃しようと拳を作り攻撃しようとするが

 

「俺の女に、手を出すな!!」

 

紅く光る瞳が男を射抜く。それだけで相手は殺されると思う程の恐怖を感じた

 

「鬼麿さん…!」

 

紅牙は最後の言葉を冷たく言い放つ

 

「消えろ。蹂躙されたくなければ」

 

男は怯えながら走って2人の前から消えた

 

「全く手間を掛けさせるな」

 

髪色や瞳の色が元に戻り安堵の息を吐く

 

「帰るぞ」

 

素っ気ない態度で帰ろうとするのだが足止める

 

「…ウェディングドレスから始まった会話、一部本当だからな」

 

「へぇ〜一部ですか……一部!?」

 

ウェディングドレスから始まった会話と言うと、紅牙が旦那がどうこうと言う話も含まれているのだろう

 

「あの!一部って何処のですか!」

 

「うるさいぞ!さっさと悪い虫が付く前に帰るぞ!」

 

繋がれる手を見てちゆの鼓動は速くなる。そしてそれは紅牙も同じ

 

(チッ!やっぱり俺はコイツの事を──)

 

(わたし、やっぱり鬼麿さんの事を──)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

((──好きになったみたいだ))




内容としては強引でした!チャンチャン!

自分の気持ちには気付いたが、相手の気持ちにはお互いに気付いて無いので片思い。
両思いなのに片思い。

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク6 「俺は泣くぞ!泣くからな!!」

紅牙に対する待遇良くない?まぁ作者は、この小説の中ではお気に入りのキャラです

そんな訳で振り返りです


第22話 「高めろチーム力♥皆んなでえいえいおー!」より

 

蓮花が紅牙をゲームセンターに行かそうと促す場面から

 

 

 

 

 

「じゃあ紅牙は外で遊んで来たら?はいお金。大切に使うんだよ」

 

「よっしゃ!これでゲーセンでも行くか!」

 

紅牙は本当にお金片手に出掛けようとする

 

「待って下さい!」

 

「グエッ!?」

 

ちゆは紅牙の襟を掴んで引き止めた

 

「本当に行く人がいますか!?」

 

「此処に居るわ!」

 

「あぁ…そうでしたね。鬼麿さんはそういう人でしたね」

 

ちゆは哀れみの目で紅牙を見つめる

 

「何でそんな顔をする!ふざけてんのか!」

 

「どっちがですか!」

 

喚き散らす2人の様子に一同は

 

(((仲が良いな〜)))

 

と、悠長に考えていた

 

 

 

 

 

////////

 

第23話 「素直になって表して♥ひなたの気持ち!」より

 

蓮花の新技の賢帝解放・応用編を放つ場面から

 

 

 

 

 

「賢帝解放・応用編!」

 

凄まじい長さの剣へと変わったのだが

 

「重い…」

 

「蓮花さん!?」

 

碧の賢帝の重さに耐え切れず、蓮花はそのまま後ろ向きに倒れてしまった

 

「アイツ馬鹿だろ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第24話 「大声で叫べ♥すこやかフェスティバル開催!」より

 

紅牙が大声で叫ぶ場面から

 

 

 

 

 

「最近、俺の扱いが雑いんだよ〜〜!!」

 

「「当たり前〜!!」」

 

「お゛い゛!!」

 

蓮花とひなたの声に速攻で紅牙が反応した

 

「2人共そんな事を言ったら失礼よ」

 

「そうだ言ってやれ!」

 

ちゆの意外な助け舟に乗っかるも

 

「これでも鬼麿さんは真面目なのよ。これでも」

 

「馬鹿にしてんな?馬鹿にしてるよな!何で俺だけ物語が進むに連れて、こんな扱いを受けなきゃいけないんだよ!!」

 

「紅牙さんはネタ枠ってわたし聞きました」

 

「グハッ!?」

 

純粋なのどかの返しに吐血して倒れてしまった

 

「のどかっちの言葉が一番パンチあるよね…」

 

 

 

 

 

////////

 

第25話 「交わる想い♥自分の本当の気持ち!」より

 

紅牙が旅館沢泉の前に居る場面から

 

 

 

 

 

紅牙はというと旅館沢泉の前に来ていた

 

「…行くか」

 

「ちょっと君いいかな?」

 

旅館に入ろうとした時、警察官の人に呼び止められた

 

「…何だよ」

 

「さっきから気になって見てたけど、この旅館に何か用事でもあるのかい?お名前を聞いても?」

 

(職質かよ!?)

 

「君は何処の子かな?」

 

「んなもんどうでもいいだろ!」

 

「仕方ない。一緒に来てもらうよ」

 

警察官が紅牙を連れて行こうとする時

 

「鬼麿さん!?」

 

「ちゆーー!!」

 

良いタイミングでちゆが来てくれた。これでようやく解放されると思った

 

しかし

 

「鬼麿さん…大人しくした方が良いですよ」

 

「やらかした事前提かよ!?助けろよ!!」




次回は……飛ぶ

ここまでの拝読ありがとうございました


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第26話 永遠の大樹♥友情誓う5人の絆

キング・クリムゾン!

ではスタートです


「「のどかとラビリンが喧嘩した?」」

 

ちゆとひなたは先日の事を2人は話していた

 

「色々大変だったよ!」

 

「でも仲直りした分、より相手の事を思いやる様になったのよ」

 

「ハッ!喧嘩なんてやるもんじゃねぇな!」

 

「そう言えば、蓮兄達は何処行ってたの?家に行っても誰も居なかったけど?」

 

丁度、のどか達が喧嘩してた日は2人揃って出掛けていた

 

「紅牙と一緒に、魔剣について1日中外へ出て調べてたんだよ」

 

「進展はありましたか?」

 

「いや、何も発見は無かったよ」

 

「それよりも、この先って永遠の大樹じゃないのか?」

 

紅牙の言う永遠の大樹とは

 

その木の下で友情を誓い合った友達は、永遠に友達で居られると言う

 

「そんな伝説があるなら、もっと早く教えてくれれば良いのに」

 

「悪いがそんな迷信を信じる俺では無いんだな」

 

「でも、ちゃっかり付いて来てるじゃないですか」

 

「のどか、あれじゃないの?」

 

蓮花は大樹の木を見つけた。胸を膨らますのどかは、キラキラした目で待ち望んでいたのだが

 

「これが永遠の大樹?」

 

のどか達の目の前には確かに大樹なのだが、木の上部分がへし折られた形跡がある

 

今の大樹を、大樹と呼ぶには些か難しい

 

「そいつはもう寿命なのさ」

 

男性の声がした。振り返ると、1人の老人が此方へ歩いて来た

 

「酷い嵐の晩があっただろう」

 

「確かに前にあったな」

 

「紅牙知ってるの?」

 

その人が言うには、ただでさえ寿命が近付いてるのに嵐による暴風でトドメをさされたらしい

 

「近い内に役所の連中が切り倒しに来るそうだ」

 

「だろうな」

 

「永遠の友情を誓いに来たのか?」

 

この人もその噂話を知っていたらしい。大勢で足を運んだ蓮花達を見てそう言った

 

「はい」

 

「無駄足だったな。ご覧の通り、この木は終わりかけのつまらん木だ」

 

そして最後に忠告をされた

 

「永遠なんて信じるな」

 

それだけ言うと立ち去って行った

 

「何か感じ悪〜」

 

「ねぇどうする?友情の誓いする?」

 

ちゆが尋ねるがのどかの反応はイマイチ

 

「のどか?」

 

「あのお爺さん、凄く哀しい目をして大樹を見てた。この木に何か思入れがあるんじゃないのかな?」

 

「それなら、エレメントさんが何か知ってるかも知れないラビ」

 

皆んな、大樹に聴診器を向けるのだが

 

「俺のが無い」

 

「予備は蓮花にあげてしまったラビ」

 

「チッ!おいちゆ、半分貸せ!」

 

「鬼麿さん!?」

 

紅牙は、ちゆの持つ聴診器を半分だけ無理矢理取り、顔を密着させる感じでイヤーチップを耳に入れる

 

(ち、近い!//)

 

「全く…」

 

改めて大樹に宿る木のエレメントに話しかける

 

「聞きたい事があるんだニャ」

 

「さっきのお爺さんの事何だけど」

 

木のエレメントの話によると、昔男性2人と女性1人の3人組が永遠の友情を誓いに訪れたという

 

それから長い年月が経ち、この大樹に訪れるお爺さんがその時に誓い合った1人「哲也」さんと言う人物だった

 

毎日毎日、哲也はたった1人でこの木を訪れる

 

『皆さん、わたしのお願いを聞いては貰えませんか?』

 

「ラビ?」

 

『日出夫さんと史さんを探して、此処に連れて来て欲しいのです。この木はもうすぐ切り倒されてしまいます。この機会を逃したら、あの3人はきっと2度と…』

 

お願いをされたのだが手掛かりが全く無い。どうすれば良いか聞いたら

 

『あの頃3人は、『純』と言う名前の喫茶店によく通っていたそうです』

 

「分かった。わたし探してみる!」

 

のどかの性格上、こういう時は必ず行動に起こす。のどかは探すと決めた

 

「永遠を誓い合った友達が、バラバラになっちゃうなんて悲し過ぎるよ!でしょ?」

 

「そうね」

 

「ひなた何か分かる?」

 

「待ってね……あった!」

 

 

 

 

 

「喫茶 純」を発見してその店へと行ってみた

 

「お仕事中にすみません。ちょっと伺いたい事があるんです。日出夫さんと史さんと言う方をご存知ありませんか?」

 

「3人組で50年前良くこのお店に通ってた人達何ですけど」

 

「そうね、そのお二人なら」

 

何か言い掛けた時店の扉が開く

 

「日出夫さん、史さん毎度」

 

入店したのは探していた2人の人物だった

 

そして、蓮花達は2人に哲也について説明した

 

「あの、大樹まで行って貰えませんか?」

 

のどかがお願いするが、2人は黙ったまま俯いてしまった

 

紅牙が2人の事を観察してると、左の薬指に付いてる指輪に気付いた

 

(なるほどな。だから会いにくいって訳か…)

 

ジッと見つめている紅牙に史が笑い掛けて来た

 

「ッ!」

 

紅牙もそれだけで目を逸らす

 

「今になって思えば、実にちっぽけな事が原因だった。でも、あの頃の私達にとっては本当に、本当に深刻な問題だったんだ…」

 

「だけど、それだけで会いに行かないって言うのもどうなんですか?」

 

珍しく丁寧な言葉で紅牙が尋ねるも

 

「生きるという事は変わっていく事なの。今更顔を合わせても、私達もう話す事なんて何も無いわ」

 

 

 

 

 

夕方になりもう一度大樹へ行くと哲也が大樹を眺めていた

 

「お嬢ちゃん?」

 

「2人は喫茶純に居ます!2時頃にいつも来てるんです!だから!」

 

「藪から棒に何を?」

 

「だから会いに行って下さい!そうすれば、そうすればきっと!」

 

哲也に2人が居る事を精一杯伝えるが

 

「40年ぶりにこの街へ帰って来た。時期にまた街を出る。此処にはもう戻らん。だからいいんだ、終わったことだ」

 

それは過去の事。終わった事にしようとする

 

「だったら!どうして毎日此処に来てるんですか!約束を信じてらからでしょ?永遠の友情を信じているからでしょ?」

 

哲也はそのまま何も言わずに帰って行った

 

「わたし怖いんだ。いつかわたし達も、友達でいられなくなっちゃう日が来るんじゃないかって…」

 

「なら誓おうぜ」

 

「えっ…」

 

紅牙がのどかの肩を叩いてそう言った

 

紅牙は手を出し、ひなた、ちゆとその手に重なる

 

「蒼咲さんも」

 

「…あぁ」

 

蓮花も手を重ねる。それを見て、のどかも最後に重ねた

 

「わたし、花寺のどかは大樹に誓います」

 

「沢泉ちゆは誓います」

 

「平光ひなたは誓います」

 

「蒼咲蓮花も誓います」

 

「お、俺も誓う」

 

天を見つめ大樹に誓う

 

「「「「「永遠に友達でいる事を!」」」」」

 

「…かぁ〜!恥ずかしいわ!」

 

「何言ってるのですか」

 

「もう夕方だ。帰ろうか」

 

目的の誓いも果たし、解散しようとする時

 

「ちょっと待って!皆んなにお願いが──」

 

 

 

 

 

////////

 

「まさか『ありがとうフェス』を開こうと提案するとはな」

 

「のどからしいね」

 

夜。未だに大樹の下に居る蓮花と紅牙が呟く

 

「永遠の友達……案外それも悪くないな」

 

「本当に変わったね紅牙」

 

「あぁ、強さしか求めていなかった頃と比べたら変わった。俺も、本気でこの先もお前らと友達で居たいと願ってる」

 

「俺もだよ」

 

「それは無理よ」

 

第三者の声がした。その声の主は

 

「紫苑」

 

「テメェ、何しに来た!」

 

「別に何も、この大樹が切り倒されるって聞いたから、最後に一目でもと立ち寄ったのよ」

 

その言葉通り、今の紫苑からは全く敵意が感じられない。立ち寄ったと言うのは本当みたいだ

 

「で、『それは無理』ってどうゆう事だ?」

 

「その言葉の意味よ。私も含め紅牙は幸せにはなれない。絶対に」

 

「何を言ってる?」

 

「良く聞きなさい。魔剣に選ばれた適格者、そして抜剣者。私達は絶対に死ぬ運命なのよ」

 

「喧嘩なら買うぜ」

 

全く聞き入れようとしない紅牙に呆れて溜め息を吐く。そして大樹に寄り掛かる

 

「過去に選ばれた者達は皆短命。これは運命なのよ」

 

「君は一体どこまで知っているんだ?」

 

「…ある程度。でも、これから起きる事も全部知っている」

 

「これから起きる事?」

 

「そう、私と紅牙は死ぬ。でもね蓮花、貴方は違う。限られた者にしか辿り着けない領域『絶剣者』に1番近い存在」

 

絶剣者。蓮花も紅牙も聞いたことの無い単語

 

「絶剣者は、抜剣者の頂点にして極致。地を割り、天を裂き、全てを吹き飛ばす暴風を生み出す」

 

「俺がその絶剣者に近い存在…」

 

「かつて、キングビョーゲンと戦ったプリキュアは知っているかしら?その時、共に戦った抜剣者も絶剣の領域に入れた者なのよ」

 

「ちょっと待て!何故そこまで俺達に情報を教える?」

 

紅牙は何か裏があると思い警戒する

 

「これも運命。そして、蓮花だけでも幸せになって欲しいの」

 

「蓮花の親を殺しといて幸せだと?ふざけるな!!」

 

「仕方のない事よ。私の目的には必要不可欠。不幸になって幸せになってね」

 

そして紫苑は暗闇の中へと消えて行った

 

「何が言いたかったんだ?アイツ」

 

(不幸になって幸せに?それに絶剣者に彼女の目的…)

 

紫苑に言われた事を思い出して考える

 

「おい蓮花」

 

「うん?」

 

「気にすんな。お前には俺やのどか達が付いてる」

 

「あ、あぁ…」

 

 

 

 

 

////////

 

そしてフェス当日。大樹の丘には沢山の人で溢れかえっていた

 

だけど、その人混みの中には3人の姿は何処にも見当たらなかった

 

「一体何処に…のどか!」

 

「あっ!」

 

蓮花が哲也を発見したのだが、背中を向けて帰ろうとしてるところだった

 

「どうしよう、哲也さんが帰っちゃう!」

 

「くしゅん!」

 

「「えっ!?」」

 

哲也を発見したのも束の間、ラテがくしゃみをした。ビョーゲンズのバテテモーダが現れたのだ

 

「メガ、メガ、メガビョーゲン!」

 

「何でラップなんだ?」

 

「それよりも大樹が大変ペエ!」

 

大樹に居た木のエレメントがメガビョーゲンに取り込まれた

 

「急いで変身を!」

 

茂みに向かって走る途中、メガビョーゲンに向かって声を上げる者がいた

 

「出て行け!此処は、この木は俺達の場所だ!」

 

哲也だった。更にその声を聞いて、日出夫と史も駆け寄る

 

「お前ら来てくれたのか」

 

「ビョ、ビョ、メガァ!」

 

メガビョーゲンの攻撃が3人に向けられた

 

 

 

「「抜剣!!」」

 

 

 

「賢帝解放・応用編!」

 

蓮花と紅牙が抜剣覚醒して、碧の賢帝(シャルトス)の賢帝解放・応用編でその攻撃を弾き返した

 

「逃げて下さい!」

 

変身を終えたグレース達も参戦した

 

「暴君蹂躙!」

 

紅牙も紅の暴君(キルスレス)で牽制する

 

「大樹はわたし達に任せて!」

 

「さぁ!」

 

そして手を取り合い避難をする3人。それを庇う様に、グレース達はぷにシールドで避難する時間を稼ぐ

 

「哲也さん達、3人でまた会えたね」

 

「それじゃあ今度は!」

 

「「「わたし達5人の友情を見せる番!」」」

 

お手当ての最中にも関わらず思わず笑みが溢れる。3人の姿を見てグレース達も気合いを入れる

 

「今回のメガビョーゲン力が強い!サイドから切り込むよ!」

 

「秒で蹂躙してやる!!」

 

グレース達が引き付けてる間に、蓮花と紅牙はメガビョーゲンの両側から攻め立てる

 

 

「「覚醒剣!」」

 

「賢帝解放!」

 

「暴君蹂躙!」

 

 

「メガァ!?」

 

2人の斬撃を食らいメガビョーゲンの体勢が崩れた

 

「「キュアスキャン!」」

 

「木のエレメントさんは右肩ラビ!」

 

グレースとラビリンのキュアスキャンでエレメントを発見。そして、ミラクルヒーリングボトルをセットする

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

 

 

////////

 

お手当ては完了した。だけど

 

「エレメントさん!エレメントさん!!」

 

「こんな事ってあるのか…」

 

「メガビョーゲンに蝕まれて寿命が尽きちゃったラビ!」

 

大樹は完全に縦に割れていた。もはやどうする事も出来ない

 

「返事をして!エレメントさん!」

 

「まだ残って居たのか?怪我は無いか?」

 

そこへ哲也達が心配して戻って来た

 

「でも大樹が…」

 

「お嬢さん達、ご覧なさい」

 

史に言われて、割れた大樹の中を覗くと新しい植物が生えていた

 

「枯れた大樹から新しい生命が!」

 

「永遠の大樹は本当に永遠なんだね!」

 

「自然の力って凄い!」

 

そして和解が出来た3人から喫茶店に誘われた

 

『皆んなの友情の誓いが永遠になります様に』

 

密かに、木のエレメントはそう願って見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誓った友情が続くと信じて、穏やかな表情で喫茶店に向かって行くのだった




はい、本当は前の話を書こうとしましたが、やる気が起きずにすっ飛ばしました。
だが私は謝らない

次回はオリストです

ここまでの拝読ありがとうございました


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第27話 定められた運命、逃れられない抜剣者

前書きで喋る事が無い!

ではスタート!


「此処は…?」

 

見渡す限りの闇。だけど、ひっそりと闇の中にのどかの姿が見えた

 

「のどか!」

 

声を掛けてのどかの元へ行こうとすると

 

「っ!?」

 

のどかの体を剣が貫いた。

のどかだけじゃない。ちゆやひなた、紅牙も斬り刻まれる

 

「何がどうなって…!!」

 

後ろ姿だが、白く伸びた髪の毛が特徴の人物。犯人と思われる人物を見つけた

 

「皆んなをよくも!!」

 

蓮花は碧の賢帝を喚び出して斬り掛かる

 

「ウオォォ!!」

 

だが容易く蓮花の碧の賢帝を弾き飛ばした

 

そしてその人物の顔を見た。それは見間違える事は絶対にあり得ない。

 

何故なら

 

「な、何で…!?」

 

「よう、俺」

 

蒼咲蓮花、己の自身なのだから

 

「ドッペルゲンガー…そんな訳ないか。それなら夢なのか?」

 

「当たりだ。只の夢だが……夢では無い」

 

「また…。何が言いたい」

 

偽蓮花は蓮花に向けて碧の賢帝を向ける

 

「今見てる風景は未来のお前の姿だ」

 

「未来の…俺?」

 

偽蓮花の背後から何者かが襲い掛かる

 

「のどか!」

 

プリキュアに変身したのどかが偽蓮花に攻撃したのだ

 

偽蓮花は難無く碧の賢帝(シャルトス)でステッキを受け止め、弾き返した

 

「夢だからな。殺しても現れるってか」

 

「やめろ!」

 

グレースに振りかざす碧の賢帝を、蓮花の持つ碧の賢帝で防御する

 

「夢だろうと誰も…死なせない!」

 

「いいや死ぬ。それが定めであり運命だ!!」

 

偽蓮花の持つ碧の賢帝が蓮花の体を貫いた。いや、正しくはすり抜けたと言うべきか

 

「そんな…」

 

すり抜けた碧の賢帝は、後ろに居たグレースの腹を突き刺さる

 

「グレース!!」

 

急いでグレースの腹を抑える。だが止め処なく血は流れ出る。止まらない、止められない。何をしてももう遅い

 

「──ッ!!!」

 

蓮花の持つ碧の賢帝が大きく光る。碧の賢帝は蓮花の体と同期し、蝕む

 

「コロ、ス…!」

 

一瞬で偽蓮花の体をバラバラにした。血飛沫が舞い、蓮花の服を、体を赤く染める

 

「ハァ…ハァ…」

 

「今の太刀筋、何の躊躇も無かった。化け物の誕生だなぁ」

 

目の前にはバラバラにした筈の偽蓮花が居た

 

「周りをよく見ろよ」

 

言う通り見渡せば、蓮花は血の池に立っていた。そしてその池には、のどかやちゆ、ひなたと紅牙が倒れていた

 

「お前は化け物なんだよ。この魔剣を手にした時から。化け物!悪魔!」

 

「違う!」

 

「孤独に生き、朽ち果てるんだな」

 

「違う違う違う!違う!!」

 

「前を見ろ…逃げるな!!」

 

偽蓮花は蓮花の襟袖を掴みあげ、トドメの言葉を言い放つ

 

「皆んなを殺し、地獄に堕ち、お前はこうなるんだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ッ!!」

 

蓮花はベッドから起き上がった。夢から覚めたのだ

 

「最悪だ…」

 

 

 

 

 

////////

 

蓮花は海沿いの浜辺を1人で歩く

 

 

『── 皆んなを殺し、地獄に堕ち、お前はこうなるんだ!!!』

 

 

悪夢を思い出してしまう。夢なんて時間が経てば、忘れるだろうと思っていたが甘かった

 

「はぁ…」

 

そんな蓮花の姿を1人、遠くから見ていた者が居た

 

「蓮花さ〜ん!」

 

「のどか…」

 

純粋な笑顔で蓮花に話し掛ける

 

「蓮花さん何をしてるんですか?」

 

「海を見に」

 

「そうですか。あ、さっき紅牙さんと会いました!皆んなも呼んでいますから、もう少しで来ますよ」

 

「そうか…」

 

何度話し掛けても空返事ばかり。それに疑問を思ったのか、首を傾げて心配する

 

「体調でも悪いのですか?」

 

「全然だよ。心配してくれてありがとう」

 

「あ、蓮花!皆んなが来たラビ!」

 

ラビリンの言う通り、こちらに向かってちゆ達が歩いて来る

 

のどかとラビリンと一緒に歩き出すと

 

「そろそろいいかな?」

 

「のどか!ラビリン!」

 

蓮花が2人を覆い被さる様に伏せる

 

伏せる瞬間、浜の砂が大きく舞い散った

 

その正体はもう知っている

 

「紫苑!」

 

「フフッ!」

 

紫紺の蛇刀(バルバリーア)が蓮花に襲い掛かるが、使い手の危機を察知して、碧の賢帝が蓮花の意思に反して出現し防御した

 

「蓮兄!」

 

「丁度良かった。のどかをお願い」

 

のどかをひなたに任せ、入れ替わりで紅牙が紅の暴君(キルスレス)を構えて来る

 

「この野郎!いきなりかましてくれるなぁ!」

 

「何度でもかますよ。貴方達が…蓮花が真の力に目覚めるまでは!」

 

抜剣者3人の魔剣が火花を散らす

 

「アタシ達も行くよ!」

 

「待ってひなた!わたし達では力不足よ…」

 

「でも!」

 

助けに入るかどうか揉めてる時、蓮花がのどか達の所へ吹き飛ばされる

 

「蓮花!クソッ!」

 

「ハァッ!」

 

「なっ!?」

 

とうとう紅牙が魔剣を手放してしまった

 

(殺される!)

 

死を覚悟した

 

だが

 

「…どうゆう事だ?」

 

紫苑は紅牙を手にかける事はせず、代わりに布に覆われた骨の剣を差し出す

 

「持ちなさい」

 

「ふざけてるのか?」

 

「どうしたの?剣よ。私を殺すには武器が必要よね?」

 

「…いいだろう。その挑発に乗ってやる」

 

紅牙は紫苑を殺せるならと、背に腹は変えられずその剣を手に取る

 

「…あぁ、どうやら紅牙では無いようね」

 

「何を…がはっ!?」

 

剣を渡したと思ったら、紅牙を蹴り倒し奪い返した

 

「次は蓮花よ」

 

「賢帝解放!」

 

奪った隙を突いて碧の賢帝の波動を放つ

 

「無駄よ!」

 

碧の賢帝の波動を、紫紺の蛇刀切っ先で防御しその力を吸収する

 

「まだだ!」

 

今度は碧の賢帝の刀身に波動を纏わせ走る

 

「賢帝解放・応用編!」

 

「本気で相手してあげる!」

 

紫紺の蛇刀の刀身からも、紫の波動が纏い始める。そしてだんだんと剣が変形する

 

「何あれ!?」

 

「剣がうねってる?」

 

「これが紫紺の蛇刀の覚醒剣!」

 

 

「蛇刀覚醒!」

 

 

波動のエネルギーによって生み出された幾つもの蛇。その蛇が、碧の賢帝に巻き付き力を吸収する

 

「グッ!」

 

しかも力も強い。振り解こうにも、巻き付ける力が強過ぎて碧の賢帝を振れない

 

「だけど、応用編の真骨頂はここから!」

 

振れないなら伸ばせばいい。力を吸収されながらも、刀身を伸ばして紫苑へと届かせる

 

「──ッ!」

 

紫苑は上体を後ろへと逸らして、碧の賢帝の攻撃から避ける

 

そしてそこからの切り替えが早かった。蛇の様に柔らかい体をうねらして、碧の賢帝を掻い潜り目の前まで接近する

 

「はい」

 

紫苑は、さっきの剣を今度は蓮花に押し付けた

 

「これは…?」

 

「それは原始の魔剣。魔剣の始まりと言えば分かるかな?」

 

何も力を感じ無い只の骨。だけど、蓮花はその魔剣の魅力に取り憑かれていた

 

原始の魔剣を掴むと、頭の中から声が聞こえて来た

 

『繋がった…。ようやく、完全な形で繋がった…』

 

その声は以前にも聞いた声だ

 

『断たれた回路を繋ぐ為の部品を、見つけ出すまでの時は…。同じカタチ、同じ輝きの魂。これぞ正に「適格者」なり!』

 

(頭に流れ込んで来る…!)

 

『全てを「継承」し、完全なる力の解放をもたらす、封印を解き放つ鍵よ!我を解放せよォォッ!!』

 

「ア──」

 

「蓮花…さん?」

 

蓮花の様子がおかしい事に、のどかが一番早く気付いた

 

「あ、アア、ガァ…グ、ギィイ…!」

 

蓮花が苦しむのに連動する様に、碧の賢帝の輝きが増していく

 

「アアアああOA1G1アァァAAぁあ11ァあ!?」

 

言葉でない言葉を発しながら、蓮花は発狂し始めた

 

「フフフッ…アハハ!ハハハハハッッ!!!」

 

紫苑も、蓮花のその様子を見て歓喜の声を上げる

 

「鬼麿さん、一体何が起きてるのですか!?」

 

「知るか!だが、急いであの原始の魔剣を引き剥がさないとマズい気がする!」

 

「ちゆちゃん!わたし達も変身しよう!じゃないと蓮花さんが!!」

 

「分かったわ…」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」

 

 

 

「雷のエレメント!」

 

変身してすぐにスパークルはエレメントボトルを使う

 

雷を帯びた攻撃が蓮花を襲うが

 

「邪魔よ!」

 

紫苑がそれを阻止する

 

「私の目的を阻む者は容赦無く消すよ」

 

「実りのエレメント!」

 

「氷のエレメント!」

 

今度はグレースとフォンテーヌで蓮花を止めようとする

 

『オー、ト…ッ。ディフェン、さ、さ作動…』

 

2人のエレメントの力を掛け合わせた攻撃も、碧の賢帝が作る結界で防御された。

更にそのまま、結界は蓮花を中心にドーム状に包み込んで近付けさせないようにする

 

「エレメントさんの力が通用しないペエ!?」

 

「それにこれじゃ近付けないラビ!」

 

「3人で力を合わせるニャ!」

 

「「「うん!」」」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

 

「それ…無駄よ」

 

3人の渾身の浄化技も蓮花には届かなかった

 

『照合確認終了…。継承行程、読み込みから、書き込みへと移行中……』

 

「もう…ダメなの…?」

 

スパークルはその場で崩れ落ち涙を流す

 

ヒーリングオアシスでも結界を突破出来なかったんだ。自分達が持てる手札は全て使い切った

 

「蒼咲さん…」

 

フォンテーヌもスパークルも心が折れ掛けだ

 

救う手段はもう無い

 

「それでも…それでもわたしは諦めたくない!!」

 

「「グレース!?」」

 

ヒーリングステッキを紅牙に投げ渡して、グレース1人で蓮花へと特攻する

 

「蓮花さん!」

 

グレースは、結界をこじ開けるように両手で破ろうとする

 

「戻って来て下さい!」

 

「無理よ!運命には逆らえない!」

 

「そんなの…間違ってます!」

 

グレースの力が更に強くなり、結界にひびが入り出す

 

「結界にひびが!?そんな事って!」

 

「地球だけじゃない!その人の心も、わたしは……お手当てしたい!だから!!」

 

結界が破れた。だが、結界内から膨大なエネルギーが放出し、グレースを痛め付ける

 

「これ以上はやめろ!お前の体が保たないぞ!」

 

「グゥゥ……!蓮花さん!!!」

 

グレースの手が原始の魔剣を手に届いた

 

「蓮花さんを…返して!!」

 

遂に蓮花を原始の魔剣から引き剥がした

 

『回線、遮断…ッ!?ば、バカ、な…ッ!?』

 

「キャッ!?」

 

グレースは尻餅をつき、原始の魔剣は浜辺に放り投げられた

 

『シ、システム…ッだ、だダウン…ッ!?あ、アアぁあァァ…ッ!?』

 

「魔剣の機能が…」

 

蓮花から引き剥がした事により、原始の魔剣は機能停止し只の骨の剣と戻った

 

「蓮花さん!」

 

「ありがとう。…下がってて」

 

ひと息つけるかと思ったが、紫苑がそうはさせなかった

 

「…駄目じゃないの」

 

「蓮花来るぞ!」

 

「あ、あぁ」

 

満身創痍の蓮花を強引に立たせて2人は魔剣を構える

 

「逆らっては駄目じゃない!!」

 

一瞬で2人を地面へと叩き付けて、首を押さえ込む。今までと比べて尋常じゃない速さで、2人は反応すら出来なかった

 

「役目を果たすのよ。定めを受け入れなさい。運命によって決められた役を最後まで演じ切るのよ!!」

 

抜剣してるとはいえ、女の子の力とはかけ離れた怪力で2人を持ち上げて投げ飛ばす

 

「次はこう上手くはいかないわ。目的は必ず果たす」

 

紫苑は原始の魔剣を回収して立ち去ろうとするが足を止める

 

「これは警告。蓮花、着々と化け物になり始めてるわよ。最後に忠告。…魔剣の力を解放しない限り、私を倒す事は不可能よ」

 

紫苑は何処かへと消えて行った

 

 

 

 

 

////////

 

「蓮兄!!」

 

ひなたが思いっきり抱き付き心配した

 

「アタシ達がどんだけ心配したと思ってるの!」

 

「あはは…ごめんなさい…」

 

「蓮花さん本当に大丈夫ですか?」

 

「あぁ、全部のどかのお陰だよ。ありがとう」

 

3人の様子をちゆと紅牙は見守っていた

 

「鬼麿さん、あの原始の魔剣って何か知っていますか?」

 

「知らん。だがな…」

 

「『危険な物には違いない』ですか?」

 

「危険な物だけで済めばいいけどな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

最悪の運命が始まりを告げようとする




ややこしや〜

ここまでの拝読ありがとうございました


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第28話 ちゆの奮闘劇♥悩めるおもてなし

前話の話を読み返して思う。完全に迷走中だなぁって…
書いてる本人がそれ言ってしまったら、色々とヤバいけど…
なので、結構落ち込み気味です

ではスタート!


お昼休み。蓮花は、のどか達と一緒にお昼を共にしていた

 

そして、ちゆが今度旅館の手伝いをすると話をしていた

 

「ちゆちーも、遂に旅館の女将やるんだ〜!」

 

「違うわひなた、お手伝いをするだけよ。この前より、少しだけ深くお手伝いするけど」

 

「紅牙が旅館の方へ出掛けてた時か」

 

「はい。それに女将は祖母ですし、若女将は母です」

 

「でも、おばあちゃんとお母さんが女将をしてるって事は、将来はちゆちゃんも女将に?」

 

のどかの言う通り、普通に考えればちゆが将来的に女将をする

 

「いずれそうなるね」

 

 

 

 

 

////////

 

旅館でのお手伝いの日

 

ちゆのお手伝いを頑張っていた。部屋の掃除、器などを下げたりとしていた。

そのお手伝いの中でちゆは、ある疑問に辿り着く

 

「ねぇお母さん。女将は、お客様に合わせてお部屋の飾りを選んでるの?」

 

「そうよ。常連さんには好みの物を。新しいお客様には、歓迎の手紙をいつも用意してるわ」

 

今までの異なった飾り付けなどは、おもてなしの心あっての事だった

 

「あんな風に、お客様の好みを察しておもてなし出来るなんて、女将にはまだまだ気付かされる事が沢山あるわ」

 

「凄い…!けどもうひとつ気になってる事が」

 

「何かしら?」

 

「何で鬼麿さんが此処に居るんですか?」

 

なおの背後、紅牙が居る事をちゆは見逃さななかった

 

「俺は若女将に英語を教えていたんだ」

 

「今日来るお客様に外国の方が居るのよ。ちょっとでも喋れる様に昨日お願いしたのよ」

 

ちゆの見えない所で、紅牙は旅館に訪れて英語のレッスンをしていたのだ

 

「時間が無いから急場凌ぎだがな。ちゃんと教えれてますかね?俺、他人に教えるのって苦手なもんですから」

 

「大丈夫よ。説明も分かりやすくて助かるわ」

 

「それにしてもいつの間に連絡先の交換を…」

 

「この前来た時だ」

 

先日、お手伝いに来た時に信頼を勝ち取ったらしく、何かあればと連絡先を交換していたのだ

 

「若女将さん、そろそろ時間です。多少の会話のキャッチボールは出来ると思います」

 

「ありがとうね」

 

「ちゆも頑張れよ。では失礼します」

 

紅牙が頭を下げて旅館から出て行った

 

 

 

 

 

////////

 

「よ〜し決めた!ちゆちー家に見に行こう!」

 

「わん!」

 

蓮花、のどか、ひなたは集まっていたが、ひなたがちゆの家に行こうと誘い出す

 

「でも、お仕事の邪魔かも知れないよ」

 

「だから、ちょっと外から覗くだけだって〜」

 

「それでも周りをウロチョロするのは良くないよ」

 

ひなたの意見に2人は反対する

 

「え〜!」

 

ひなたが文句を言ってると、紅牙を視界に捉えた

 

「紅兄ぃ〜!」

 

「何だひなたか。どうした?」

 

「今からちゆちー家に行こう!」

 

「もう見に行った。てか、用事で呼ばれたんだ。今はその帰りだ」

 

「なら、外から覗くだけでもアリだね!」

 

ひなたは紅牙の腕を引っ張り旅館へと足を運んだ

 

蓮花とのどかは苦笑いしながらも、ひなたの後をついて行った

 

 

 

そして着いた旅館前

 

「あれぇ〜?ちゆちー居ないのかな?」

 

のどかとひなたはこっそりと旅館の中を覗いていた

 

「ちゆもお手伝いで忙しいんだ。ほっとけよ」

 

「紅兄は冷たいな〜」

 

「あはは…あ、ちゆ」

 

「「ッ!?」」

 

「嘘に決まってんだ…ろ…」

 

蓮花の一言でその場でのどかとひなたはパニックを起こす。紅牙も固まってしまう

 

「何してるの?鬼麿さんも忘れ物ですか?」

 

「いや、こいつらがよ」

 

「頑張ってるのをちょっとだけ見に来たの。ごめんね、忙しい時に」

 

「今は大丈夫よ。それにわたしも、皆んなに丁度会いたかったから」

 

「何かあったのか?」

 

「ううん!何でもないわ」

 

何かを笑顔で誤魔化したが、紅牙には通用しなかった

 

「ちゆ、まだ時間良いか?」

 

 

 

何か察した紅牙は、ちゆを海へと連れ出した

 

「エミリーさんを笑顔にした〜い!!」

 

来て早々に、ちゆは心に溜まってるモヤモヤを叫び散らした

 

「悩みなら聞いてやる」

 

「はい、実は──」

 

旅館に来た外国人の客に、すこやか市の名物・名所を余す事なく紹介したが、エミリーと言う子はどうも楽しくないといった感じだった。

それを気にしてか、ちゆは落ち込んでる

 

どうして楽しくないのか蓮花達に相談する

 

「どうやって、女将みたいにおもてなしをしたらいいのか分からなくて…」

 

「お前は良く頑張ってる。それに、別に女将さんみたくしなくていいんだ。お前は…ちゆはちゆらしくおもてなしをしたらいいんだ」

 

紅牙は、ちゆに元気付けたり、ちょっとしたアドバイスを言う

 

「ありがとうございます。でも、此処へ来て叫んだらちょっとスッキリしたわ」

 

「お〜!さっすが紅兄だね!海に連れて来て正解!」

 

「ちゆの事なら何でもお見通しだ。俺の観察眼舐めるなよ。ちゆ鑑定士一級と呼ぶがいい」

 

「フフ…何ですかそれ」

 

紅牙のちょっとした冗談でちゆに笑顔が戻る

 

「ちゆは海が好きなんだよな」

 

「…女将のおもてなしと同じ。何かエミリーさんが好きなもの…」

 

「何か閃いたか?」

 

「はい。ありがとう皆んな。わたし、もう戻るわね!」

 

「ちゆ待つペエ〜!」

 

ちゆとペギタンは旅館へと戻って行った

 

「俺達も帰るぞ」

 

「はい!あ、そうだ。蓮花さんちょっと家に来てもらっていいですか?」

 

 

 

 

 

蓮花はのどかに誘われてお邪魔する事にした

 

「どうしたの?」

 

「いえ、先日は色々とありましたので大丈夫かなと」

 

のどかは、原始の魔剣に取り込まれそうになった時の事を心配していた

 

「うん」

 

「分かりました。蓮花さんがそう言うなら」

 

のどかも気になっていた事がスッキリした

 

「それよりも雨が小降りになって来たね」

 

「くちゅん!」

 

ラテの様子が急変した。この症状はビョーゲンズが現れた証拠だ

 

『あっちで雨さんが泣いてるラテ…』

 

「急いで皆んなと合流するよ!」

 

2人は急いで家を飛び出して、ビョーゲンズが現れた方向へと急いだ

 

 

 

 

 

「シンドイーネ!」

 

場所は公園。そこには、シンドイーネと長靴の形をしたメガビョーゲンが居た

 

「皆んないくラビ!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

 

「蓮花俺達もだ!」

 

「分かった!」

 

グレース達が変身して、蓮花達も抜剣しようとするが

 

「来い!碧の──」

 

 

『── 皆んなを殺し、地獄に堕ち、お前はこうなるんだ!!!』

 

 

「いくぞ蓮…おい蓮花どうした?」

 

蓮花はその場で蹲り震えていた

 

「…ない…よ」

 

「何?」

 

「出来ない…。碧の賢帝(シャルトス)を喚ぶなんて出来ない…」

 

「なっ!?こんな時に何言ってんだ!」

 

紅牙が何言っても、今の蓮花には先日の見た夢を思い出して碧の賢帝を抜剣するを拒んでいる

 

「仕方ない。俺達だけでやるぞ…ってフォンテーヌ!」

 

先に飛び出したのはフォンテーヌだった

 

「ハァァ!」

 

フォンテーヌの飛び蹴りも、メガビョーゲンはジャンプして避けた。そして、それを利用しての攻撃を仕掛けて来る

 

「フォンテーヌ!」

 

紅牙が間一髪のところで、フォンテーヌに飛び込んで避けた

 

「メガメガメガ!メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは、先程まで降って出来た水溜りを利用して、グレース達を近付けさせないようにする

 

「全然近付けないし!」

 

「良い子ねメガビョーゲン。そのまま全部蝕んじゃいなさい!」

 

勢いづくメガビョーゲンは公園を蝕む

 

「ダメェェェ!!」

 

それを見てフォンテーヌは取り乱して無防備に飛び込んで行く

 

「ああ!?」

 

「フォンテーヌ!」

 

無情にもフォンテーヌは吹き飛ばされてしまう

 

「メガー!」

 

倒れたフォンテーヌにメガビョーゲンが追撃を仕掛ける

 

「クッ…!此処は…」

 

ぷにシールドも間に合わず、素手で巨大なメガビョーゲンのを受け止める

 

「大切な公園なの!」

 

「大切?こんな地味な公園の何処が?」

 

「この公園で、あの子が笑ってくれるかも知れない!だから!」

 

「てゆうか、大切とか言われたますます…蝕みたくなっちゃう!」

 

メガビョーゲンは更に体重を掛けてフォンテーヌを潰しに掛かる

 

フォンテーヌも限界に近付いて来た

 

そんな時

 

「えっ…?」

 

メガビョーゲンズを支える手が少し楽になった。

何故なら

 

「させないよ!」

 

「この公園は!」

 

「俺達で守るんだ!」

 

グレースとスパークルに紅牙が、フォンテーヌの分まで持ち上げていた

 

「皆んな…」

 

「気合い入れろよ!」

 

「うん!」

 

「せーのっ!」

 

スパークルの掛け声で4人は力を入れ、メガビョーゲンを押し退けた

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

「あそこラビ!」

 

キュアスキャンでエレメントを見つけたが、メガビョーゲンが起き上がりまた水飛沫で近付けさせないようにする

 

「俺が道を開く!」

 

紅牙は紅の暴君(キルスレス)の波動を、自分自身に身に纏わせる

 

 

「覚醒剣!」

 

「暴君蹂躙・改!」

 

 

紅き波動を纏いながら特攻する

 

「食いやがれ!!」

 

水飛沫を蒸発しながら突進しメガビョーゲンを押し倒した

 

「今だ!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

 

 

////////

 

「エレメントさん、お加減いかがですか?」

 

『もう大丈夫です。ありがとう!』

 

エレメントの方は無事だが、未だラテの調子は戻らないでいた

 

『コレをどうぞ』

 

「雨のエレメントボトルペエ」

 

「ありがとう、エレメントさん」

 

雨のエレメントがボトルを貰い、ラテは体調を元に戻りこれで終わりかと思ったが

 

「何故碧の賢帝を抜かなかった?」

 

紅牙は碧の賢帝を抜かなかった蓮花に怒っていた

 

「ごめん…」

 

「謝れば済むと思うなよ。地球が大変な事になるんだぞ!」

 

紅牙は蓮花に掴み掛かる

 

「紅牙だって聞いたでしょ。紫苑が言ってる事が本当なら化け物に近付いてる」

 

その場の全員が沈黙する

 

「怖いんだよ…。化け物になって皆んなを傷付ける事が…。認めるしかないんだよ」

 

「蓮花お前!」

 

「俺には悪魔の剣が宿っている!化け物だって認めるしかない!!」

 

「いい加減に──」

 

紅牙が飛び突こうとする時

 

「人間だよ!!」

 

ひなたが前に出て大声で叫んだ

 

「化け物なんかじゃない。蓮兄はアタシ達の蓮兄だよ!!」

 

「……分かった」

 

ひなたの言葉が届いたのか返事をした

 

でも、蓮花はその場から立ち去って行った

 

「蓮兄…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、ちゆ達はエミリーと公園で遊び友達と呼べるかは分からないが、そこで同じ年齢の子達と遊び友好を深めた。

だけどその場には蓮花の姿は居なかった

 

最後は、エミリーを見送る。ちゆは改めて旅館の仕事が大変だと知ると同時に、この旅館で沢山の人を笑顔にしたい。そんな気持ちを芽生えさせた




ちゆの出番が多いと必然的に、紅牙の出番も多くなる

ここまでの拝読ありがとうございました


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第29話 撃ち抜くハート♥ズッキュンニャトラン!

ウェウェイ!

ではスタートです


今日も元気にひなたの所の店で皆んなは集まっていた。蓮花を除いて

 

「ニャトランてば、ラテ様のお世話をサボるなんて!」

 

どうやらラビリンは、ニャトランが来なかった事に腹を立てていた

 

「部屋にも居ないし何処に行ったんだろ?」

 

パートナーであるひなたも、ニャトランが何処へ行ったのかも分からずじまいだった

 

「何かあったのかなぁ?」

 

「案外、ひょっこり帰って来たりしてな…ってひなたアレ」

 

紅牙が指差す方には、お客なのか女性がクリニック前に立っていた

 

「こんにちは〜!今開いてますよ!」

 

「あの、病院の方?」

 

「はい!パパが院長やってます!平光ひなたです!」

 

「先日引っ越して来た『日下織江』です。実は店の前で怪我をしてるこの子を拾って」

 

織江の手の中にはニャトランがいた

 

「ニャトラン!?」

 

「飼い主さんですか?良かった。簡単には手当てはしたんですけど心配で…」

 

怪我をしたと聞くが、当の本人は何か幸せそうな表情と言ったところだ。

心配してたひなたは、安心の表情では無く何とも言えない表情となっていた。後から来た紅牙達も同じ反応をする

 

その後は保護して織江は帰って行った

 

「一体どうなってるラビ!」

 

「怪我したって織江さん言ってたけど大丈夫なの?」

 

「大丈夫……いやダメだ…」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「またしょうもない事だな。俺は帰る」

 

「駄目です」

 

1人帰ろうとする紅牙の耳を、ちゆが引っ張り引き止める

 

「こんなの初めてなんだ。あの人を見た瞬間。心にズッキュン来ちゃったんだよ!」

 

のどかにラビリン達5人は、背中を向けてヒソヒソと話し出す

 

「ズッキュンってどう言う意味かな?」

 

「多分、キュンよりずっとキュンって事じゃないかしら?」

 

「馬鹿2人共。こういう時のズッキュンってのはな──」

 

「プリキュア は心の肉球にキュンと来た人と組むラビ!」

 

「つまり、キュンよりズッキュンの人と…」

 

「おいお前らな…」

 

紅牙の話を一切聞こうとしない4人に呆れる

 

「「「「パートナー交代!?」」」」

 

「俺の話を聞けよ!?」

 

勝手に膨らます妄想に紅牙は振り回されつつある

 

「そりゃズッキュン来ちゃうよね〜!織江さんと仲良くなれるといいね!」

 

「だよなぁ〜!」

 

「「まさかの応援ラビ!(ペエ!)」」

 

ひなたの予想外の行動に驚きの連続。本当にパートナー交代の危機に焦りを感じ始める

 

「会いに行こっか!手当てして貰ったお礼しなきゃ!で、お近付きになっちゃお!」

 

「ラビリン達も行くラビ!」

 

「行くペエちゆ!」

 

「そうね!」

 

「俺は面倒だから…痛ででで!!」

 

紅牙を引っ張りながら織江が経営する店へと向かう

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませ〜…さっきの!」

 

「こんにちは!ちゃんとお礼を言いたくて来ちゃいました!」

 

ニャトランはというと、ひなたのフードの中に隠れてしまっている

 

「こ、心の準備が!」

 

「何やってんだよ…」

 

「あの、此処は何のお店なんですか?」

 

「アロマショップなの。アロマオイルやアロマキャンドル。香りを扱うお店ね」

 

織江は試しに、紅牙達にその香りを体験して貰うことに

 

「ふわぁ〜!」

 

「何だかスッキリするわね!」

 

「香りには人を癒す効果があるの。気分や目的によって香りを使い分けると良いわ」

 

「キャンドルもあるんですよね?」

 

「あるわよ」

 

紅牙の言葉に、わざわざアロマキャンドルまで点けてくれた

 

「そうなんですね!……織江さん?」

 

のどかは、キャンドルの火を見つめる織江の様子が変と思い声を掛ける

 

「な、何でもないわ!」

 

織江は誤魔化した。のどかもそれ以上は聞かない様にした

 

「おいひなた」

 

隠れてたニャトランがひなたに部屋の奥を見るように仕向ける

 

「うわっ!?段ボールの山!」

 

奥には未だに未開封の段ボールが幾つも積み重なっていた。開店したばかりらしく、片付けが全然終わって無いのが原因

 

「手伝うぜ!」

 

「わわわっ!?」

 

「今の声は?」

 

ニャトランが大声で言ったせいか織江にも聞こえてたらしい。それをひなたがフードで隠し通す

 

「お、俺です!て、手伝うぜ!」

 

紅牙もフォローに入り何とか誤魔化しきれた

 

「で、でも…」

 

「1人じゃこの量は大変ですよ。手伝わせて下さい」

 

のどかとちゆも手伝いに賛成で、全員で取り掛かる事になった

 

しかしながら利用も多く、全員で手伝ってるとはいえ中々終わらない

 

「まだこんな…」

 

「大丈夫か?」

 

「ありがとう紅兄」

 

バテルひなたに心配の声を掛けてる。その横では、ニャトランが小さな体で段ボールを運んでる姿を目にする

 

「無理しない方がいいペエ…」

 

「見つかったら大変ラビ」

 

「それでも手伝いたいんだよ!」

 

織江の為にという原動力でニャトランを駆り立てる。そんなパートナーの姿を見て、ひなたももう一踏ん張りする

 

片付けは順調に進み、店内はより綺麗に仕上がった

 

「綺麗になったはいいが、時間も経ってるのに客が来ないな」

 

「そういえば、わたし達が来てから他のお客さんを一度も見てないわね」

 

開店したばかりの事もあるが、ここまで来ないのは些か問題である

 

「じゃあ宣伝しよ!こんな素敵なお店知ってもらわなくちゃ損だよ!」

 

「宣伝なら…呼び掛け?」

 

「へいらっしゃい!…って違うし!こうゆう時はチラシを作って配る!」

 

「それなら、宣伝用チラシが入った段ボールもあったわね!」

 

「確かにあるけど、配るところまでは手が回らなくて…」

 

「手ならここにあるから任せて!」

 

そんな訳で次の手伝いはチラシ配り

 

町中を歩き、配り、貼り付けてアピールを掛けまくる

 

それからチラシも全て配り終えて、ひと段落する為足湯に浸かって足の疲れを癒す

 

ただ、ニャトランがまだ不満そうにしていた

 

「チラシ配りオレも手伝いたかった…」

 

「一緒に周ってくれたじゃない」

 

「もっとちゃんと織江さんの役に立ちたいんだ」

 

「一途なもんだな」

 

まだ役に立ちたいと願うニャトランに、ひなたがある提案をする

 

 

 

場所を移動し、ひなたの部屋へとお邪魔する事になった。

そこでは、ひなたの案でビーズでお店を飾ろうというアイディアだった

 

「よし、頑張る!」

 

気合いを入れてビーズ作りに励む

 

「ニャトラン一生懸命だね」

 

「そうね、ちょっと心配になるくらい…」

 

「恋は盲目ってやつだな」

 

そしてビーズ作りとは別に、ニャトランは織江の為だけに作ったビーズを完成させていた

 

「オレ、これを渡して気持ちを伝えるんだ!」

 

「気持ちって…!」

 

ラビリンは最悪な未来を想像してしまう。ニャトランのパートナーが、ひなたから織江になるという想像を

 

「どうしたらいいペエ?」

 

「こうゆうのは当人達が決める事だから」

 

「イイじゃんイイじゃん!応援してるよニャトラン!」

 

まさかの了承を得た。こうなった以上誰も止められない

 

あるとすれば

 

「恋に敗れる事を祈るしかないな。そん時は大爆笑してやる」

 

「はい、最低ですね」

 

 

 

 

準備を整えて織江が居るアロマショップへ

 

「喜んでもらえるかな?」

 

「気持ちめちゃ込めたし大丈夫だよ!」

 

だがその道中でラテの体調が急変する

 

『いい香りの炎さんが泣いてるラテ…』

 

「いい香り…もしかして!」

 

思い当たる節はある。急いで織江が居るアロマショップへ急いだ

 

 

 

 

 

////////

 

アロマショップに着くと、キャンドルをモチーフにしたメガビョーゲンが暴れていた

 

ひなたは織江に渡す荷物をベンチに置いて変身する

 

「紅兄、蓮兄は来ると思う?」

 

「分からん。連絡はしたがアイツ全然出ねぇ」

 

「わたし達だけで頑張ろう!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「ちょっと!何してくれちゃってんの!」

 

「お!プリキュア ち〜っす!あれあれ?今日は何か1人少ない気が?」

 

メガビョーゲンの近くにはバテテモーダが居た

 

「バテテモーダこんにゃろう!」

 

「これ以上好きにさせないよ!」

 

「メガ!メガ!」

 

4人で一気に攻めるも、メガビョーゲンが吐き出すロウによって近付けないでいる

 

「近付けない!」

 

「んじゃ、こっちから近付いてあげるっすよ」

 

「フォンテーヌ!」

 

フォンテーヌに接近するバテテモーダに、紅牙は庇う様に前へと躍り出るも

 

「がっ!」

 

「あぁっ!」

 

バテテモーダの蹴りに飛ばされ、庇ったフォンテーヌごと吹き飛ばされる

 

「フォンテーヌ!紅牙さん!」

 

「よそ見しな〜い!」

 

いつの間にかグレースの背後へと近付き、鋭い爪でグレースを引っ掻く

 

「にゃろ!」

 

けれど、すぐさまスパークルが牽制に入りグレースを抱えて距離を置く

 

「いいねいいね、やっぱり戦うのは楽しいっすね〜」

 

「やっぱり強い!」

 

今度はロウソクを使っての遠距離攻撃。ジャンプして避けるも、その流れ弾が先程ベンチに置いた荷物へ飛んでゆく

 

「やばっ!」

 

スパークルは急いでベンチの方へ走り飛び込む

 

「キャアッ!」

 

間一髪の所で荷物は無事だったがスパークルへのダメージは酷いものだった

 

「「「スパークル!」」」

 

倒れたスパークルに駆け寄ろうとするもバテテモーダが立ちはだかる

 

「ダメダメ!よそ見ダメェ!」

 

「クソッ!暴君蹂躙!」

 

 

 

「スパークル!」

 

「だいじょび、だいじょべ。ほら、ニャトランの大切な物無事だったよ」

 

「でも、スパークルが大丈夫じゃ無いニャ!」

 

スパークルが身を挺して守った荷物は無傷。でも、それよりもスパークルの身を案ずる

 

「へへ…ニャトラン、アタシに言ってくれたじゃん?プリキュア になる時、好きなものや大切なものを守るんだよって。守りたいんだニャトランの気持ち」

 

「あっ…」

 

「アタシはさぁ、ひとつの事に集中するのって苦手じゃん?だから何かを特別に好きってのを分かんないんだ。でも、ニャトランの特別な好きを守る事が出来る」

 

ひとつの事に夢中にはならないけど、その夢中になっているニャトランを守る事が出来る。スパークルはそう伝える

 

「それがすっごく嬉しいの!だって、一生懸命のニャトランカッコ良かったもん!」

 

一生懸命の姿を見て嬉しくてしょうがなかった。そんなニャトランを今日は応援したいから。だから頑張れる

 

そしてそれはニャトランも同じだった

 

「カッコイイのはスパークルニャ!今日だっていっぱいアイディア出して、ひとつの事に満足しないでズンズン進むスゲェヤツだと思ってたニャ!」

 

「やった!アタシ達両思いじゃん!」

 

「あったり前だぜ!

 

2人の気持ちが通じ、その笑顔はフォンテーヌにも見えていた

 

「両思いってそうゆう使い方で合ってるペエ?」

 

「いいんじゃないかしら?あの2人の間では、ちゃんと通じ合ってあるようだから」

 

スパークルは気を取り直して立とうとするが

 

「何これ?抜けない!」

 

スパークルの両脚に、メガビョーゲンが放ったロウが固まって身動きが取れないでいた

 

「メガ!」

 

「ヤバい!メガビョーゲンが!」

 

動けない事をチャンスと思い、メガビョーゲンの目がこちらへ向けられる

 

「メガァ!」

 

またもロウソクの弾がスパークルへ発射された

 

「「うわあぁぁ!!」」

 

大きな土煙りを上げる。直撃した

 

「1人脱落〜……ん?」

 

だが晴れるとそこには、蓮花が碧の賢帝(シャルトス)の結界でスパークルを守っていた

 

「ようやくおでましっすか!んじゃ!」

 

バテテモーダが走り出す

 

「楽しませてもらおうか!」

 

力を込められた膝蹴りが炸裂……かと思いきや、蓮花はそれを片手で受け止めていた

 

「なっ!?」

 

「…賢帝解放」

 

蓮花は、ゼロ距離からの賢帝解放でバテテモーダを吹き飛ばした

 

「うぐっ…前より力が上がってる。楽しくなって来たっす!」

 

「今度は決め…くっ…!」

 

蓮花は右腕を抑えて蹲る

 

「蓮花のヤツまさか!」

 

蓮花の腕をよく見ると、碧の賢帝の侵食が進み腕全体が同期していた

 

「くっ…フォンテーヌ!雨だ!雨のエレメントボトルを使うんだ!」

 

「え、あ、はい!」

 

少々困惑したが言われた通り雨のエレメントボトルをセットする

 

「雨のエレメント!」

 

水色の水流が空へと流れ、それが空を曇にして雨を降らせた

 

それにより、ロウソクの火が全て消えてメガビョーゲンが弱まる。更に、固まっていたロウも溶けて砕け散る

 

「火が消えて弱まったんだ!」

 

「グレース今ラビ!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

「火のエレメントさんラビ!」

 

「皆んなミラクルヒーリングボトルニャ!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「いいとこまで行ったんすけどねぇ〜。ま、今回は紫苑嬢に朗報っすね!」

 

 

 

 

 

////////

 

『ありがとう!私はもう大丈夫です!』

 

「あの、ラテ様の元気が戻らないので力を分けて貰えませんかラビ」

 

『勿論です』

 

そしてひなたの手に火のエレメントボトルが現れる

 

「ありがとうペエ!」

 

火のエレメントボトルを使ってラテはすっかり元気になる

 

ただ、ここでひとつの問題が発生する

 

「…」

 

蓮花が何も言わずに帰ろうとする

 

「待ちやがれ。あれはどうゆう事だ?」

 

それを紅牙が引き止める。そして先程の姿について問い質す

 

「…何が?」

 

「誤魔化すな!何だよあの腕は!?碧の賢帝に…魔剣に魂を売るつもりか!?…それとも暴走前提でやっているのか?」

 

「……」

 

「ねぇ蓮兄答えて?」

 

黙る蓮花にひなたも心配して優しく声を掛ける

 

「化け物だっていい。皆んなを守れる…お手当て出来る力が必要なんだ。ちゃんと制御出来てる」

 

「出来る出来無いの問題じゃない!どうしてそうするんだ?お前だって魔剣の恐ろしさぐらい知ってるだろ!」

 

「くっ…!知ってるよ!!」

 

蓮花らしくも無く声を荒げてのどか達をビクつかせる

 

「好きで剣の力を暴走させてる訳じゃない!強くなる為だ!」

 

「強さだけを追い求めて何になる!破滅の道を進む事になるぞ!!アイツらの顔を見ろ!!」

 

目を向ければ、のどか達は心配の目で蓮花を見ていた。そして密かに恐怖の色も窺える

 

「このままだと紫苑の思う壺だ!お前は言いなりじゃないか!」

 

「ッ!…うるさい!!」

 

耐え兼ねた蓮花は紅牙を殴り飛ばす

 

「鬼麿さん!」

 

「蓮花さん何で!?」

 

「蓮兄!やめてよ!」

 

紅牙はちゆの肩を借りて起き上がり殴られた頬を撫でる。口からは血が流れ出ていた

 

「次暴走したら最後だぞ…俺はお前を────絶対殺す!!」

 

蓮花は何も言わずに立ち去った

 

そして、蓮花の中で何かひび割れた様な音がした

 

 

 

////////

 

蓮花とのいざこざが終わってすぐの事。織江が紅牙達の事を心配して急いで戻って来た

 

「大丈夫でしたか?」

 

「アタシ達は全然。それで…」

 

ひなたが荷物を渡そうとする時

 

「やぁ!ちゆちゃん!ひなたちゃん!」

 

織江の後ろから1人の男性が走って来た。その男性はちゆとひなたの事を知ってるようだ

 

「知り合いか?」

 

「日下さん家の『炎』さんよ」

 

「今隣町で働いてて!」

 

「実は、結婚を機に戻って来たんだ」

 

「「「「結婚!?」」」」

 

「え゛!?」

 

紅牙達も驚いたが、それと同時にニャトランがショックを受ける

 

「あっ!」

 

そこでのどかは思い出す。何故織江がアロマキャンドルの炎を見て様子がおかしかったのかを

 

「そうゆう事だったんだ」

 

2人の邪魔をしてはいけないと思い、紅牙達はその場を離れる事にした

 

 

 

 

 

そしてひなたの家の前のカフェでニャトランを慰めていた

 

「いいんだ。織江さんの心からの笑顔を見られたから…俺はそれで──」

 

言い掛けるニャトランにひなたがジュースを差し出す

 

「グミマシマシにしたよ!これでアゲアゲになろ!」

 

「ひ゛な゛た゛〜!」

 

悲しむニャトランを優しくひなたは撫でて落ち着かせる

 

「ハハハッ!マジでフラれやがった!俺の言った通りだな!てか哲也さんの時もそうだが、この町はリア充ばっかだな!傑作傑作!」

 

「鬼麿さん…」

 

「俺達もいつかなれるといいなちゆ!」

 

「な、何でそこでわたしが出るんですか!?」

 

「前言ったろ!」

 

「前?……〜っ!///」

 

ちゆは、少し前に出掛けた事のやり取りを思い出して顔を赤くした

 

「そう言えばのどかは、スパークル交代の事心配していなかったラビ?」

 

「2人なら大丈夫って信じてたもん!」

 

のどかの笑顔で終わると思いきや

 

「ラテどうしたの!?」

 

「くぅ〜ん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お手当てを無事終わって元気になったラテだが、またも体調を崩す

 

そして、蓮花にも最悪の運命が待ち受ける




脱線はしない様に気を付けてるけど、このままだと危ない気が…

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク7 「最近はNGが少なくなって来たラビ!」

ではスタート!


第26話 「永遠の大樹♥友情誓う5人の絆」より

 

浄化を終えた直後の場面から

 

 

 

 

 

「メガビョーゲンに蝕まれて寿命が尽きちゃったラビ!」

 

大樹は完全に縦に割れていた。もはやどうする事も出来ない

 

「返事をして!エレメントさん!」

 

「聴診器使えば聴こえるんじゃね?」

 

「そんな事言ったらめっ!」

 

周りからの非難の視線が紅牙に突き刺さる

 

 

 

 

 

////////

 

 

第27話 「定められた運命、逃れられない抜剣者」」より

 

のどかが浜辺で走って来る場面から

 

 

 

 

 

「蓮花さ〜ん!」

 

「のどか…」

 

「わっ!」

 

のどかは途中躓いて転んでしまった

 

「のどか!?」

 

「うぅ…口の中に砂が」

 

「だ、大丈夫?」

 

「は、はい!まだまだ行けますよ!」

 

 

 

 

 

////////

 

第28話 「ちゆの奮闘劇♥悩めるおもてなし」より

 

出番が少ない為、その裏で蓮花が何をしていたか

 

 

 

 

 

「暇だ…」

 

出番の少ない蓮花は木陰で暇を持て余してした

 

「ゲームでもしようか…」

 

蓮花は携帯ゲームを取り出してゲームをやり始める

 

それから数十分後

 

「素材集めが非常に面倒臭い…。ねぇ紫苑、素材集めするの手伝ってくれない?」

 

「いいわよ。私も暇だから」

 

「お前らゲームしてんじゃねぇよ!?」

 

「「だって暇だもん…」」

 

頬を膨らませてふてくせる

 

「暇だじゃねぇんだよ!ぶっ殺すぞ!」

 

「わっわっ!姉さん聞きましたか?あの人野蛮な言葉を発言しましたよ」

 

「聞いた聞いた。や〜ね最近の子は野蛮で」

 

「何おばさんめいた会話してんだよ。真面目にやれ!」

 

「「出番下さい!」」

 

「知らねぇよ!この小説書いてる奴に言えよ!!」

 

紫苑はしくしくと泣き始める

 

「酷い!そんな言い方は無いわ!」

 

「い〜けないんだ!いけないんだ!紫苑を泣かしたら駄目だよ」

 

「あの、だから……も゛う゛!!」

 

わしゃわしゃと頭を抱えて対処し切れないでいた

 

「何々ゲーム?アタシもやる!」

 

「お前は引っ込んでろ!!話がややこしくなる!」

 

「えっ!?アタシまだ何も言ってないよ!」

 

 

 

 

 

////////

 

 

第29話 「撃ち抜くハート♥ズッキュンニャトラン!」より

 

蓮花が紅牙を殴り飛ばす場面から

 

 

 

 

 

「ッ!…うるさい!!」

 

耐え兼ねた蓮花は紅牙を殴り飛ばす

 

「お、鬼麿さん!?」

 

「気絶しちゃってるよ…蓮兄どうするの?」

 

「南無」

 

蓮花は手を合わせて拝んでいた

 

「勝手に殺すなよ!」

 

「あ、起きた」

 

「南無。成仏して下さい」

 

「誰が幽霊だ!ぶっ飛ばすぞ!」

 

「の、呪われる!?」

 

「よ〜し分かった。切り刻んでやるからそこを動くなよ」

 

腕まくりをして紅の暴君片手に振り上げる




1000文字埋めるのがシンドイ

ここまでの拝読ありがとうございました


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第30話 立ち向かう強さ♥現れる謎のプリキュア !

も゛う゛い゛や゛た゛〜!

ではスタート!


「ブァックション!……やだな〜、もう誰っすか?俺は噂をしてるのは?パイセン達っすか?」

 

「…してないけど」

 

「プリキュア 達じゃないの?」

 

「なるほど、俺ってば人気者っすね〜」

 

ビョーゲンキングダムでは、バテテモーダのやり取りに何だが投げやりに返事をするダルイゼン達

 

「そんじゃ、熱いリクエストに応えちゃおうかな。と、その前に紫苑嬢を見なかったすか?」

 

出撃する前にキョロキョロと紫苑を探し始める

 

「アイツがどうしたのよ?」

 

「いやね、『今度は私も連れて行って』って仰っていたから」

 

「紫苑ならさっき…フン、噂をすれば何とやらだな」

 

グアイワルが視線を向けると、紫苑が原始の魔剣を持って歩いて来た

 

「丁度良かったっす!探してたんすよ!」

 

「そう、実は私も探していたのよ。バテテモーダの報告通りなら、次相対した時に蓮花は…」

 

妖艶な笑みを浮かべる紫苑

 

「時は来た。重なる魔剣の力を解放する時が…ね」

 

 

 

 

 

////////

 

ラテが体調を崩した原因は風邪だ。度重なるお手当ての疲れで、弱った所に風邪になった

 

のどかの家に全員が交代してラテの看病をする事になった

 

 

「ちゆちゃん、今日は部活いいの?」

 

「どうしてもラテが心配で」

 

「そっか。良かったねラテ」

 

「今日はわたし達が側に居るからね」

 

ちゆは部活を休んで

 

 

「「ジャーン!」」

 

「可愛い毛布ラビ!」

 

「これ、ウチに来る飼い主さん達がめっちゃ良いって言っててさ〜!ラテも安心して眠れるかなぁって」

 

「ありがとうひなたちゃん!」

 

ひなたはラテに毛布をプレゼントをしたり

 

 

「ラテもヒーリングアニマルとはいえ犬だ。体調を崩した体には、人間と同じ様に栄養を取らなければならない。そんな訳で、犬の健康維持に欠かせない5大栄養素を詰め込んだ料理を作って来た」

 

タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルの全てを詰め込み、ラテが食べやすい様に調整して紅牙は作って来た

 

「俺の全てを詰め込んだ最高傑作だ!」

 

「紅牙さんが作って料理ならラテもすぐに元気になるよ」

 

紅牙は料理と、皆んながラテを思って色々とやってくれてる

 

 

 

 

 

そんな夜、紫苑とバテテモーダは何を媒体にして蝕もうかと悩んでいた

 

「今夜は夜風が気持ち良いわね。…あら、これなんてどう?」

 

紫苑はバテテモーダが寄り掛かってる、ポールに結ばれてる鯉のぼりに目を付けた

 

「いいねいいね!それで一丁やってみよう!」

 

「ちょっと待ってくれる」

 

バテテモーダがメガビョーゲンを生み出そうとする時、紫苑はそれを止めた

 

「私にもうこの力は必要無いわ。折角だから、今から生み出すメガビョーゲンの力の足しにでもしといて」

 

紫苑は手の平からナノビョーゲンを生み出して、バテテモーダに渡した。見た目は普通のナノビョーゲンだが、蓄えてるエネルギーは桁違いのものを持っていた

 

「これ貰っちゃって良いんすか!?」

 

「ええ」

 

「んじゃ!──進化ベイベー!ナノビョーゲン!」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日

 

「……」

 

蓮花は手を洗っていた。だが手には何か汚れた形跡は無かった

 

「…ッ」

 

ふと鏡を見ると、血塗れののどかの姿が見えた

 

「……」

 

蓮花自身も困惑するが洗うのを辞めない

 

「…ッ」

 

今度はひなたの姿が映し出された。血に塗れた姿で

 

「…」

 

それでも洗い続ける。目に見えない汚れを落とす為に

 

石鹸を使って落とす

 

何度も何度も何度も

 

洗って…

 

 

 

 

 

洗って!

 

 

 

 

 

洗って!!

 

 

 

 

 

 

洗って!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!!」

 

鏡を殴り壊しリビングへ足を運び、棚や椅子に机と言った家具を壊していく

 

リビングは壊れた破片が床に散り滅茶苦茶になってしまった

 

今この家には蓮花1人しか居ない。幸いか、紅牙は今実家に帰って居ない

 

「…?」

 

そんな時インターホンが鳴る。玄関を出るとひなたが居た

 

「…何の用?」

 

「いや…ね。蓮兄大丈夫かなぁって」

 

先日の事もあって、ひなたは蓮花の事が心配になって様子を見に来たのだ

 

「それで蓮兄…ってその手何!?」

 

ひなたに言われ視線を落とすと、左手の甲から血が流れていた。さっき鏡を殴った時に皮が裂けて出血したのだ

 

「手当てしないと!」

 

「別にしなくていいよ」

 

「駄目!とにかく入るよ!」

 

ひなたは蓮花の家に入り薬箱を探すのだが

 

「何…これ?」

 

ひなたは部屋の中が滅茶苦茶になっている事に絶句した

 

「それより手当てするんでしょ?」

 

蓮花は床にバラけてる薬箱を拾いひなたに渡す

 

只々無言の空間が支配する

 

「出来たね。なら帰ってくれるかな?」

 

「で、でも!」

 

蓮花はひなたとニャトランを強引に家の外に追い出した

 

「蓮兄お願い!少しでも話を──」

 

話も聞かずに閉め出した

 

「ひなた帰ろうぜ」

 

「うん…」

 

「元気だせよ。蓮花だって今は1人になりたいだけだ。時間が経てばまた…」

 

「ありがとう」

 

気を遣ってくれるニャトランに感謝の言葉を言いながら、ひなたはのどかの家へと歩いて行った

 

 

 

 

 

のどかの家に着くと、のどか、ちゆ、紅牙の3人が騒がしく話していた

 

「どしたの?」

 

「すこやか山にメガビョーゲンが現れたの!」

 

「ラテの体調も悪いせいか察知出来なかったんだよ。色々被って面倒だ」

 

そんな愚痴を言ってると、ラテが自分を責める様に目を強く瞑っていた

 

「大丈夫。ラテのせいじゃないよ」

 

「今はお手当てが先だな。今回はラテはお留守番だ」

 

「ええ、そうね。危険過ぎるわ」

 

ラテを置いて行く方針で決まったのだが、ラテはのどかに「一緒に連れて行って欲しい」という必死な目で訴え掛ける

 

「…分かった。一緒に行こう」

 

のどかはそんなラテを見て結局連れて行く事にした

 

 

 

 

 

////////

 

すこやか山に着いたのだが、完全に出遅れていた。山の殆どがビョーゲンズによって蝕まれていた

 

「これ以上は絶対させない!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「蹂躙しろ!紅の暴君(キルスレス)!」

 

 

 

「「「「ハァァァ!!」」」」

 

蝕むメガビョーゲンを4人のキックで仕掛けるが、あっさりと受け止められ返された

 

「ちい〜っす!プリキュア ちゃんじゃねぇの!今回はもう来ないかと思ったぜ!」

 

「来るし!」

 

「流石にデカくなってるな。気を付けろよ!」

 

「メガァ!」

 

その戦闘をラテは遠くで見守る事しか出来なかった

 

「「キュアスキャン!」」

 

「風のエレメントさんラビ!」

 

「グレース危ない!」

 

「きゃあ!」

 

しかし、キュアスキャンでエレメントを見つけるもメガビョーゲンに捕まってしまった

 

「「「グレース!」」」

 

捕まってしまったグレースを見て、スパークルは助けに走り出す

 

「待てスパークル!」

 

「駄目ェェェ!!」

 

あと一歩手が届く所でスパークルも捕まってしまった

 

「さぁて残るは2人。全員捕まるまで時間の問題だな」

 

「フォンテーヌ、背中合わせで行くぞ」

 

「はい!」

 

メガビョーゲンのしなる腕を紅牙が弾き、フォンテーヌがその援護をする

 

「暴君蹂躙!」

 

斬り刻む紅牙だが、その横をすり抜けてフォンテーヌへと襲い掛かる

 

「フォンテーヌ!」

 

「鬼麿さん!」

 

紅牙がフォンテーヌを蹴り飛ばして自分が身代わりとなって捕まった

 

「クッ…しまった!」

 

助けられたが、メガビョーゲンも逃しはせずフォンテーヌの背後から近付き捕らえた

 

全員がメガビョーゲンに捕まってしまって身動きが取れなくなった

 

「あーっと言う間にゲームオーバーじゃないすか!自分、この世に生まれてからまだ何日?こんな早くプリキュア をやっつけちゃって大丈夫?」

 

勝利を確信したバテテモーダは高笑いして心地良い気分を味わってる

 

「まだ、終わってないんだから…」

 

「はいはい、終わってない終わってない。で、どうするんすか?」

 

「ふざけやがって!」

 

「ふざけてますよ。それに何も出来ない!て事でドンドン蝕んじゃって!」

 

そんな4人をラテは見てるしか出来なかった

 

そんなラテに1人の人物──紫苑が近付いた

 

「いいの助けなくて?今彼女達を助けられるのは貴方だけよ」

 

「くぅ〜ん…」

 

「私は貴方が言ってる事は分からないわ。でもね、大切と思うなら勇気を出さなくちゃ。でなければ強くもなれないし、その一歩すら踏み出せない」

 

「わん…!」

 

「…いい目になったわ。なら行って来なさい。貴方が…ラテが大切な者達の所へ」

 

踏み出せずにいたラテの背中を、敵である紫苑が後押しした

 

「わん!わん!」

 

ラテは走り出して、メガビョーゲンに生えてる尻尾に噛み付いた

 

けれども敵う筈も無く簡単に振り解きラテを飛ばす

 

それでもラテは曲げない。助けたい思いで一心不乱にメガビョーゲンに立ち向かう

 

「きゃん!」

 

「ラテ!」

 

「死んじゃうよ!!」

 

(紅の暴君をわざと暴走させてもいいが、それだとグレース達にも危険が及ぶ…!後の事を考えて、それだと状況が悪化するだけだ)

 

紅の暴君の力を出し切ればメガビョーゲンの拘束など振り解けるが、後の事を考えてそれは出来無いと判断する

 

「きゃん!」

 

何度も倒れてもラテは諦めずに立ち上がる

 

(ラテも…ラテもママみたいに地球さんをお手当てするラテ!)

 

そんなラテの背後からバテテモーダは近付き手荒に抱き上げる

 

「よ〜ちよち!踏み潰されたいのかな?握り潰される方が良いのかな?」

 

「バテテモーダ!」

 

「なんすか?」

 

「ラテを離しなさい。今すぐに!」

 

紫苑は鬼の様な形相でバテテモーダに近付いて行く

 

「急にどうしたんすか紫苑嬢。こうゆう時は人質にするのがセオリーってもんじゃないすか?」

 

「貴方達ビョーゲンズの目的は地球を蝕む事。ラテは関係無い筈よ。こちらに渡しなさい」

 

「えぇ〜」

 

「いいから早く!!」

 

紫苑とバテテモーダがラテの取り合いをしてると、山の向こう側から風が強く吹き抜ける

 

その風は2人を吹き飛ばした

 

「あれ!?」

 

「ラテがいない!?バテテモーダ、ラテを何処へやったの!」

 

「知らないっすよ!」

 

その風は一点に集中して竜巻を発生させていた。そしてその中心に居る人物は

 

「プリキュア ラビ!」

 

「先代のプリキュア ニャ!?」

 

「テアティーヌ様のパートナーだったプリキュア そっくりペエ!」

 

現れたのは新たなプリキュア だった

 

「ラテ様、貴方の望みわたくしが叶えましょう。地球を蝕む邪悪な者よ。最後の時です。清められさない」

 

そのプリキュア は飛び上がると一瞬で姿を消して

 

「なっ!?」

 

拘束されていたグレース達を解放した

 

そしてそのプリキュア は軽く飛び出して、メガビョーゲンを軽く押す

 

「メガァ!?」

 

メガビョーゲンはくの字に曲がり、空中へと蹴り飛ばす

 

更に有無を言わせない追撃がメガビョーゲンを襲う

 

「メガ…メガガガ!!」

 

謎のプリキュア は、メガビョーゲンの猛攻を動き難い空中で掻い潜りそのまま攻撃へと展開する

 

「何だアイツ!?」

 

「プリキュア よ今です」

 

「は、はい!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

 

「蛇刀覚醒!」

 

荒れ狂う紫紺の蛇刀の攻撃がヒーリングオアシスを打ち消した

 

「悪いけど、まだメガビョーゲンを浄化されては困るのよ」

 

「紫苑…!」

 

「いい加減出て来たらどうなの?何処かで見てるんでしょ?蓮花!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

紫苑の言う通り、蓮花は木陰に隠れてその様子を見ていた。誰にも気付かれない様に




レンガザンナズェミデルンディス!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第31話 覚悟の時、入り混じり合う抜剣者

一気に畳み掛けるよ!

ではスタート!


「貴方もビョーゲンズですか?」

 

「私は只の協力者で抜剣者。…と言ってもまだ適格者だけどね」

 

「抜剣者…変わるものなのね」

 

謎のプリキュア が紫苑を睨み付けるが、紫苑はそっぽ向いて相手にしない

 

「私は蓮花にしか興味が無いの。退場…してくれる?」

 

「ラテ様を守るのは私。退場するのはそちらでは?」

 

「んなもんどうでもいい!!」

 

2人の間に紅牙が割って入る

 

「紫苑!テメェを倒すのは俺だ!!」

 

「いいや違う…紫苑を倒すのは俺だよ」

 

木陰に隠れてた蓮花が現れた

 

「待っていたわ!バテテモーダ、紅牙の足止めをお願い出来る?」

 

「任せて下さいっす!」

 

紫紺の蛇刀(バルバリーア)!」

 

紫苑は土煙りを上げて目をくらます

 

「逃すか!」

 

「アンタの相手は俺っすよ!」

 

「クソ!」

 

紅牙はバテテモーダに邪魔をされて、蓮花と紫苑の後を追えなかった

 

「グレース!フォンテーヌ!スパークル!俺が行くまで蓮花を頼んだぞ!」

 

グレース達に託して、紅牙はバテテモーダと戦う事にした

 

「私も手伝います」

 

「そうかよ」

 

謎のプリキュア も紅牙と共に戦う事を決めた

 

 

 

 

 

碧の賢帝(シャルトス)…」

 

碧の賢帝を喚び出すと、瞬時に右腕全体を蝕んでいった

 

「どうやら覚悟を決めたのね。自分の運命を受け入れて」

 

「御託はもういいだろ。君を倒して、この負の連鎖を断ち切ってみせる。例え、それが間違った道だったとしても。これ以上魔剣で誰かが傷付くのは嫌だから!!」

 

「いいよ!その怒りを全部ぶつけるのよ!そして内なる力を解放しなさい!そうすれば私の目的は…完成する!!」

 

「蓮兄ィィィィィ!!」

 

スパークルは大声で呼び掛けるも、その声は届かず蓮花は紫苑に向かって走り出した

 

「食らえ!」

 

「面白い!面白い!!」

 

碧の賢帝と紫紺の蛇刀がぶつかる度に、その衝撃が近く居るグレース達やメガビョーゲンを吹き飛ばす

 

「これじゃあ近付けないよ!」

 

「でも近付かないと蓮花さんが!」

 

「ちょっとずつ前に進むしかないわ!」

 

蓮花の猛攻は止まらない。荒ぶる碧の賢帝が紫紺の蛇刀を押して行く

 

だが、ぶつかる度に紫紺の蛇刀は碧の賢帝の力を吸収してパワーアップする

 

「もっとだ!もっともっと力を!!」

 

蓮花もそれは知っている。だから暴走するのを承知で、更に碧の賢帝と同期を進めて力を上げていく。長期戦は不利になるのは確実だから

 

「覚醒剣!賢帝解放!」

 

放出される波動が一直線に紫苑に向かった放たれた

 

けれども、その波動を一刀両断しながら力を吸収した

 

「この程度で私に勝てると思ってるの?もっと殺すつもりで来なさい!!」

 

「だったら望み通り!」

 

碧の賢帝を天に掲げて力を溜める

 

「それでいい」

 

紫苑も、紫紺の蛇刀を腰に構えて邪悪な波動を刀身に纏わす

 

 

「「覚醒剣!」」

 

「賢帝解放・応用編!」

 

「蛇刀覚醒!」

 

 

碧と紫の剣が入り混じり合う。紫紺の蛇刀によって作り出された蛇が、蓮花の体に纏わり付き力を奪い取る

 

「アグゥゥゥ!」

 

「ハァッ!」

 

紫紺の蛇刀で碧の賢帝を斬り付けて、刀身に纏っていた波動を破壊した

 

「そんな!?」

 

「これで…止めよ!」

 

「蓮花ァァァ!!」

 

蓮花に止めを刺される時、紅牙が目の前に立ち紫苑の攻撃から己と紅の暴君(キルスレス)を盾にして庇った

 

「うおおおぉぉぉ!!グッ…アアアァァァアア!!」

 

紫紺の蛇刀の勢いは止められずに、蓮花を巻き込んで2人は木々の中へと吹き飛ばされた

 

「紅牙…これは」

 

紫苑は地面に落ちてる破片に目を落とす

 

その破片は魔剣の物だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動き始めた運命は止まらない

 

次の行動で彼の行く末が決まる




話の展開上まだ続きます

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第32話 溶け合う二つの光♥果てしなき蒼(ウィスタリアス)の誕生

サブタイで分かりますよね?あの剣が満を辞して登場ですよ!

ではスタート!


紫紺の蛇刀(バルバリーア)の力は、碧の賢帝(シャルトス)紅の暴君(キルスレス)の力を凌駕していた。その証拠に碧の賢帝は砕け散り、紅の暴君は刀身にひびが入り使い物にならなくなっていた

 

だが、今蓮花はそんな事を気にしてる場合では無い

 

「紅牙…紅牙、紅牙!何で!!」

 

「蓮…花」

 

2人は重傷だっだが、蓮花は紅牙のお陰で何とか動けているが、紅牙の方は体中傷だらけで額から血が流れ出ていた

 

「何で庇ったんだ…?あのまま放って置けば良かったのに…何で!?」

 

「アイツらにとって、お前が大切で掛け替えの無い存在だから…だ」

 

「それは紅牙も同じ事だよ!死なないで!!」

 

「俺は、死なねぇよ…」

 

「これからどうすれば良い?」

 

紅牙は力を振り絞りこう答えた

 

「運命に逆らうんだ」

 

「運命に逆らう…?」

 

「そうだ、お前になら出来る!だから…お手当てする、ん…だ……」

 

紅牙から力が抜けていくのが分かった

 

「紅牙…」

 

蓮花は一粒の滴を落とす。そして砕けた碧の賢帝を握り締めて抜剣する

 

紫苑に怒りの目を向けて

 

「私達が扱う魔剣は心の刃。その源が弱まれば鈍以下の代物に過ぎない。そして同時に剣の破壊は、所有者の心が砕けた散った事に他ならないわ」

 

「紅牙さん!」

 

「鬼麿さん!」

 

グレース達も紅牙の側に駆け寄る

 

「皆んな…頼んだよ」

 

「待って蓮兄!蓮兄!!」

 

スパークルの呼び声すらも無視して紫苑の元へと歩いて行く

 

「これで私の目的は泡となって消えたわ。…今更そんな鈍以下の魔剣に興味は無いわ」

 

「誰が鈍以下だ…」

 

碧の賢帝を握る腕が再度同期して、今度は体中をその碧のラインが走り一体となってしまった

 

「うおおぉぉォォォ!!あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ア゛ア゛ア゛!!!!」

 

砕けた刀身が碧の賢帝の波動でその形を形成していく

 

「──ッ!!?」

 

怒りの咆哮がすこやか市全体に響き渡る

 

「フシュウゥゥゥゥ…」

 

「蓮兄辞めて!!」

 

「「スパークル!?」」

 

スパークルはヒーリングステッキを置いて、蓮花の前に止めに入る

 

「お願い…だから!」

 

スパークルは涙を流して恐怖していた。けれどその感情は蓮花に対してでは無く、蓮花の怒りに恐怖していた。いつ、目の前に居る人物を殺してしまうかの感情に

 

「ド、ケェェェええ!」

 

「退かない!」

 

「ジャマだあぁああAAアアァぁA1!?!!」

 

スパークルの首を掴み上げて息の根を止めようとする

 

「あぐぅ…!」

 

もはやスパークルの事など認識していない。目の前に居る者全てを殺そうとする化け物に成り果ててしまった

 

「「スパークル!!」」

 

心配する友人達に迷惑を掛けないように、笑顔で返して蓮花の腕を掴む

 

「アタシ…蓮兄に、ならいいよ」

 

聞こえない。スパークルの腹に膝蹴りが入る

 

「ガッ!」

 

スパークルはその一撃で力を失い抵抗する腕を下げてしまう

 

「グルルゥウ…!」

 

蓮花は手を離してスパークルを地面へと転がす

 

「かはッ!…ゲホ…ッ!ぁ…」

 

スパークルは肺に空気を溜め込んで力を入れ、蓮花を体全体で止める

 

「蓮兄にだけ、辛い思いをさせるのは嫌!アタシだって、蓮兄の力に…うっ!?」

 

スパークルの髪を持ちそのまま殴り飛ばした

 

「うわぁぁ!」

 

それでもスパークル突進して蓮花を止める

 

「蓮兄!!」

 

初めての事だった。スパークルが蓮花を殴ったのは

 

「アア?」

 

我を失った蓮花でさえも困惑していた。何故なら、もう殆ど力の無い相手から殴られたからなのだ

 

「ヒィ…な、た…ぁ?」

 

そのお陰か、少しだけだが蓮花は自分の意識を取り戻せた

 

「…どうシテ、こんな無茶ナ真似をしたんだァ?死んでいたってオカシクは無かっタんだよ!」

 

意識を取り戻した蓮花は今の状況を察してスパークルを叱る

 

「……」

 

「黙ってたらナニモ分からないダロ!!」

 

「だって…だって、どうしても蓮兄を助けたかっただもん!!」

 

涙声になりながらもスパークルは自分の意思を伝える。そして変身も解除されて元の姿に戻っていた

 

「蓮兄達の剣は心の剣なんだよね?それが折れて紅兄もあんなになっちゃったから、こんな風になっちゃって……それが原因なら、アタシ達が側居てあげないと蓮兄がおかしくなっちゃうじゃん!!」

 

「ひなタ…」

 

「こんな蓮兄もう見たくないよ!アタシ耐えられないよ!!だから…だから…っ!」

 

「…っ」

 

「元気付けて、くれたもん!あの時だって…っ」

 

 

『──ひなたがもしプリキュア辞めても俺は何も言わない。だってそれが普通なんだから』

 

 

『──この世に意味の無い事は無い。意味があるからこそ存在する。それがきっと何処かで役に立つ』

 

 

『──最後に決めるのはひなた自身だよ。自分の胸に聞いてみて。そして素直な自分の気持ちを声に出したら良いよ』

 

 

「だからアタシは…頑張れたんだよ!蓮兄が落ち込んだら励ましてあげる!蓮兄が変な所に行こうとするならめっちゃ止める!電車の中で聞いてたんだもん!蓮兄何処にも行かないでよ!!」

 

「聞いてイタノか…?」

 

蓮花は初めて自分が暴走した時の会話を、ひなたに聞かれていた事に今初めて知った

 

「絶対許さないから!絶対っ、アタシの側に居てよ!ずっとずっと一生アタシの事だけ…見てよ!!その為ならっ、アタシは何でもするからぁ…うわああぁぁぁぁああっ…!」

 

蓮花の胸の中で全てを吐き出して泣きじゃくるひなた。蓮花はそれを只抱き締める事しか出来なかった

 

「蓮兄…泣いてる?」

 

いつの間には蓮花は泣いていた

 

「ありがとうひなた。ちゃんと届いたから約束するよ。何があってもひなたやのどか達を悲しませない。ずっと側に居る」

 

「うんっ!」

 

蓮花とひなたはおでこ同士をくっ付けて笑い合った

 

そしていつの間にか、碧の賢帝に侵食されていた体が元に戻り始める

 

「こんな事が…!?」

 

紫苑も驚くしかなかった。あそこまで暴走してた蓮花を言葉のみで意識を取り戻させ、更には侵食までも戻したのだ

 

「ひなた、一緒に手を取ってくれないか?」

 

「勿論!」

 

蓮花は右手で、ひなたは左手で砕けた碧の賢帝を持つ。そして輝く色が碧から蒼へと変色した

 

「暖かい。蓮兄の気持ちが流れ込んで来る」

 

「俺も感じるよ。ひなたの気持ちが」

 

砕けた破片が碧の賢帝へと集まり元の形へと戻る

 

「宝石みたいに綺麗…!」

 

蓮花にも変化が訪れた。抜剣覚醒し、見た目は変わらないが碧だった瞳、光輪、腕のラインが蒼に変色した

 

「蒼い碧の賢帝…?」

 

「違うよ。これはもう碧の賢帝じゃない。新しく生まれた変わったんだよ」

 

手に持っただけで感じる。この魔剣は碧の賢帝とは似て異なる代物だと

 

「前の様に、魔剣によって心の力を引き出してでは無く、自分自身の意思でこの力を振るう。つまりは、心の強さがそのまま剣の力になる」

 

「有り得ないわ…」

 

「名付けるなら、果てしなき蒼の意味を持つ名前──『ウィスタリアス』。それがこの剣の名前だ!」

 

輝いていた光りは弾けて、果てしなき蒼の姿を現す。

見た目は碧の賢帝と変わらないが色が蒼になっていた

 

「ニャトラン!」

 

「分かったニャ!」

 

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

 

ひなたも再度プリキュア に変身して蓮花の隣に移動する

 

「いくよスパークル!」

 

「OK!」

 

2人は未だに浄化していなかったメガビョーゲンへ走る

 

サイドに分かれて両側から仕掛ける

 

「メガ!」

 

「やぁ!」

 

スパークルはジャンプして避けるが、しなるメガビョーゲンの腕はスパークルを追い続ける

 

「させないよ!」

 

素早く蓮花がフォローに入りメガビョーゲンの腕を斬り落とす

 

「「皆んなの健康は、俺達(アタシ達)が守る!!」」

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「蒼穹無限!」

 

賢帝解放となんら変わらないが、威力は絶大に上がっていた。

蒼い波動がメガビョーゲンを飲み込み浄化した

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

 

 

「新しい魔剣、果てしなき蒼。思ってたのと違うけどまぁ…良いんじゃない?」

 

 

 

 

 

////////

 

「何とかなったな。問題は…」

 

蓮花が見つめる先にはラテが力を使い果たして倒れていた

 

「俺は紅牙を見てくる。皆んなはラテを」

 

のどか達はラテの体を見て重傷と見て心配する

 

「風のエレメントさんに頼もうぜ!また、エレメントボトルを分けて下さいって!」

 

「その必要はありません」

 

風のエレメントに頼もうとしたところ、あの謎のプリキュア が光り、変身が解けたと思ったら手の平には風のエレメントボトルを握っていた

 

「エレメントさんじゃないのに、風のエレメントボトルを生んだペエ!?」

 

それをラテに与えてラテは傷を癒して治った

 

「人間界で負った病が残ってしまうですのね。あぁ…お気の毒なラテ様」

 

「先代のプリキュア って大昔の人よね?」

 

「何でラテの事知ってんの?」

 

「その前に何で現代に現れたラビ!?」

 

「プリキュア さん、貴方は一体誰何ですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎のプリキュア の介入、そして蓮花とひなたの絆で新しく誕生した魔剣

 

ここから始まる、新たな運命がくるりと回り始める




遂に果てしなき蒼が登場!長かった…

ヒープリの世界に刀鍛冶なんて登場させれませんから、そこはこう…事情という物ですよ

次回は分岐ルートです。サモナイ3知ってる人なら誰もが知るアレですよ


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カルマエンド お手当ての代償

カルマエンド!

ではスタート!


紫紺の蛇刀(バルバリーア)の力は、碧の賢帝(シャルトス)紅の暴君(キルスレス)の力を凌駕していた。その証拠に紅の暴君(・・・・)は砕け散り、碧の賢帝は刀身にひびが入り使い物にならなくなっていた

 

「クソったれ…が…!」

 

蓮花と紅牙は、大ダメージを受けて傷だらけになってしまった

 

「意外と渋といね紅牙」

 

「クッ!」

 

紅牙は蓮花を庇う様に前に立つ。砕けた紅の暴君を向けて

 

「紅…牙!」

 

「貴方は何も出来ず死んでいく。ここで終わる運命を呪いなさい」

 

「やめろ…やめてくれぇぇぇぇ!!」

 

紫紺の蛇刀は、最も容易く紅牙の心臓を貫いた

 

「紅牙ァァァ!!」

 

引き抜かれ剣から血が溢れ出る

 

「蓮…花…がはっ……生きろ、よ?」

 

その言葉を最後に、紅牙は息を引き取った

 

「あぁ…あ…っ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(また、守れなかった)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(誰も傷付かないように手に入れた力なのに…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(なのに俺は…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(また、大切なものを失ってしまった…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(それは…俺が弱いから?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(俺の心が弱かったせいで、自分じゃ何も解決出来なかったから)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(彼は……っ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(だったらもう、やめる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(そんな甘い考えは捨てるから。だから…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「剣よ…」

 

蓮花は碧の賢帝を手に取り抜剣覚醒する

 

「その絶対な力を……こいつをぶちのめす為の力を与えてくれぇぇぇぇェェエエエぇぇぇ!!!」

 

「なっ、ああぁぁぁ!?」

 

膨大なエネルギーは紫苑を吹き飛ばした

 

「凄いエネルギーラビ!」

 

「ハハハッ!怒りによって本来の力が目覚めたのね!これよ!私はこれを待っていたのよ!」

 

碧の賢帝の同期が今まで以上に進行していた

 

「コロス…ッ!ブチノメス!ナニモカモ、ハカイシテヤルゥゥゥ!!」

 

完全に暴走している。蓮花は雄叫びをあげながら憎悪を撒き散らす

 

「キサマノソンザイヲ!アトカタモナクケシテヤルウゥゥゥッ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

(ここは何処?)

 

蓮花は辺りを見渡す。だけど何も無い。闇が広がるばかりの虚無の空間

 

 

『ぎいやぁぁぁ!!』

 

 

「ッ!?何だ、今の声?いや悲鳴なのか…」

 

何も無い筈の空間から、人の悲鳴の様な声が響いた

 

 

『いやぁ……!ひっ、あぁぁ!!』

 

 

今度は違う人の悲鳴。蓮花も何が何だ分からない

 

『聞こえるか、適格者よ』

 

今聞いた声は覚えのある声

 

『我らの声が…苦痛の声が…』

 

「剣の意志…なのか?」

 

時折、碧の賢帝から聞こえる声だった。その声が訴える様に聞こえた

 

 

『痛い…っ!し、死にたく…があぁぁぁッ!』

 

 

「何なんだ…何なんだ!!こんな事をしても、思う通りになるとでも──」

 

『力を望んだのは、お前ではないか?』

 

「…ッ!そ、それは…」

 

否定は出来ない。言葉で嫌と答えても、意志はそれを望んだのだ

 

『我はそれに応えた。その結果お前は既に、我の一部となっているのだ。この悲痛なる無念、我を形作るモノたちの叫びが聞こえるのがその証拠』

 

 

『憎いイィィ…っ』

 

 

『恨めしいぃぃ…っ』

 

 

『苦しい、よぉ……』

 

 

「これが、憎悪によって形作られてたものなのか…。苦しみ、悲しみ、無念……そして」

 

 

『殺してやるぅぅぅ!』

 

 

『壊してやるぅぅぅ!』

 

 

『みんな、みんなっ!なにもかも、全て、破壊してやるぅぅぅぅッ!!』

 

 

言葉だけでも分かる。暴走したら自分の同じなのだ。憎悪に呑まれ、殺意や破壊衝動に駆られる、負の感情に支配される

 

『それこそが我が力。狂おしき憎悪によって、我は形作られたのだ。遥か昔、この土地にて朽ちていった魂達の無念によって…』

 

「そんな…」

 

『さぁ、お前も加われ?』

 

剣が誘う

 

『理不尽な暴力によって、大切なものを奪われた怒りと絶望……それを晴らす為に我らと共に、ひとつの存在となるのだ!!』

 

「う、うわああぁぁぁぁ!!」

 

その時、一筋の光が差し込む

 

そこから声がした

 

 

『蓮……ん!』

 

 

『ぬぅ…っ!?』

 

 

『…花…ん!蓮…花…ん!』

 

蓮花を呼ぶ声がする

 

 

『蓮花さん!』

 

 

光りが辺りを照らし出す

 

 

 

 

 

「蓮花さん!!」

 

 

 

 

 

////////

 

「ウゥ……」

 

「蓮花さん!!」

 

完全に意識を奪われていて気付かなかったが、グレースが目の前に居て身体を支えてくれていた

 

「のどか…」

 

蓮花も意識を取り戻すと同時に元に戻っていた

 

「紫苑は…?」

 

「フォンテーヌとスパークルが」

 

目を向けると、涙を流しながらステッキを振る2人の姿が映る

 

「そう…か。なら、俺もっ…早く!」

 

「それだけ駄目です!」

 

グレースは蓮花を止める

 

「蓮花さんはもう充分頑張りました。ここからはわたし達だけで」

 

「離してのどか…」

 

「離しません!何の為に皆んなが、紅牙さんが無茶をしたか分かっているのですか!?」

 

止める手が更に強くなる

 

「本当にわたし達の事を思っているのなら、黙って引いて下さい!!」

 

「グレースも、本当に俺を思っているのならその手を退けてくれるかな?」

 

「そんなの……やっぱりあの時の約束を破るんですか?何処かへ行ってしまうんですね…」

 

「何処にも行かないよ」

 

「嘘はやめて下さい!知っているんですよ!約束をした帰りに聞いたんです!!」

 

グレースが言ってるのは、恐らく初めて暴走した日。紅牙と2人で密かに話していた事だろう

 

「結局傷付いてるのは蓮花さんだけじゃないですか!わたし達は何も…何も出来ていない…」

 

「大丈夫。グレース達はお手当てを出来ている。だから…これからも頑張って欲しい」

 

蓮花はグレースを振り解き紫苑の所へ

 

「蓮花さん!!」

 

 

 

 

 

「何故勝ち目の無い勝負に挑むの?」

 

「そんなの関係無いし…!」

 

「このくらい…!蒼咲さんが今苦しんでる痛みに比べたら…っ!」

 

奮闘はしたが、やはりといった結果だった。フォンテーヌ達では歯が立たなかった

 

「そう、なら……二度とそんな口が聞けないくらい壊してあげる!!」

 

振りかざす紫紺の蛇刀がフォンテーヌに襲い掛かる

 

 

 

 

 

 

「させないっ!」

 

巻き起こる風圧が紫苑を吹き飛ばした

 

「何で…何で!」

 

「蒼咲さん…」

 

「遅れてごめん」

 

「馬鹿野郎!何で来るニャ!」

 

助けに来た蓮花。だが、それを喜ぶ者は誰1人としていなかった

 

「グレース、ラビリン!どうして止めなかったペエ!?」

 

「止めたラビ!止めたけど…」

 

「それが蓮花さんだから…」

 

グレースとラビリンも、もう止める事はしなかった

 

「これで全部終わらせる」

 

碧の賢帝を抜く。そして薄れゆく意識の中で蓮花は

 

 

 

 

 

(一度だけ…一度だけで良い)

 

 

 

 

 

(ありったけの力を貸して欲しい…)

 

 

 

 

 

(例えの力が憎しみでも、悲しみでも構わない)

 

 

 

 

 

(これから待ち受ける運命を受け止める)

 

 

 

 

 

(後悔は…無い)

 

 

 

 

 

(だから…だから!)

 

 

 

 

 

(最後にお手当てを……皆んなを守らせて!!)

 

 

 

 

 

「ウゥオオオォォォォォォォォォッッ!!」

 

「フフッ!その力、存分に見せなさい!」

 

「オオオォォォォォォォォォッ!!!!」

 

 

 

 

 

////////

 

「これは予想外…だわ…っ!強過ぎる!?」

 

力を解放させた蓮花は凄まじかった。メガビョーゲンは浄化では無く、跡形も無く消し飛ばし、紫紺の蛇刀の力を圧倒していた

 

紫苑の身体は今まで以上にボロボロだ。血塗れの身体がそれを物語っている

 

「フシュウゥゥゥ……」

 

一方で蓮花は全くの無傷。紫紺の蛇刀の刃が届く事はなかったのだ

 

「……死ね」

 

動けない紫苑に剣は容赦無く身体を貫いた

 

「が……っ!」

 

「死ね…シネ…ッ!」

 

何度も何度も突き刺す

 

「しね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねシネ死ね死ねシネしね死ね死ね死ねしねシネ死ねぇぇぇェェェエエぇぇぇ!!!」

 

只々、目の前のモノを突き刺す

 

突き刺して突き刺して突き刺して突き刺して突き刺して突き刺して突き刺して突き刺して

 

それでも足りない

 

足りない足りない足りない足りない足りない

 

肉を裂き、骨を断ち、内臓を抉り取り、血肉を貪り喰う

 

「あ……ぁ………ぁぁ…」

 

それでもまだ息してるのが奇跡だった

 

だがそれもお終い

 

「フウゥゥ…ッ。フウゥゥ…!」

 

「ま、剣の力が…っ、こ、こまでとは……フフッ!」

 

「し、オン…」

 

「どんな、気分…?圧倒的な…力で、全てを踏みにじるの、は…」

 

「ダマ、レ…」

 

蓮花は紫苑の頭を持ち上げ力を込める

 

「有無を言わせぬ力で、都合の悪いものを全てを消し去るのはさぁ!?」

 

「だマれエえエえエぇェぇェぇェぇェェェぇぇぇぇェェっッ!?!?!!??」

 

瞬間、蓮花の手の中が弾けた

 

怒りに任せて紫苑の頭を握り潰したのだ

 

肉片が飛び散り、目玉や頭蓋骨なども地面を転がる

 

頭部を無くした身体は、噴水の様に血を噴き出しながら人形の様に倒れた

 

「蓮花さん…っ!」

 

「来ルナアアァァァ!!」

 

意識を乗っ取られていたが、ようやく収まりついた

 

「俺に……っ……近付くな!コロシテ…シマう…から…っ!」

 

それでも、内なる憎悪を抑え込むのがやっとの状態

 

「ごめんね。今度こそ、皆んなとはもう居られない」

 

「そんな事ないよ!!」

 

「蒼咲さんはいつだってわたし達の隣に居ました!だから!」

 

心に染みる言葉を貰うけど

 

「ありがとう。でもね、越えてはいけない一線を越えてしまった。もう一緒には居られない…」

 

「それでもわたし達は!」

 

蓮花は首を横に振る

 

「だからお願い。俺や紅牙の分まで、この地球をお手当てして?」

 

「蓮花さん…っ」

 

「……さよなら」

 

そして蓮花は何処かへと走り去って行った

 

「蓮花さぁぁぁぁんっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それっきり、あの人はわたし達の前から姿を消してしまった

 

誰よりも優しくて、強くて、そのせいで傷付いてしまって

 

それでも、最後まで皆んなを守ってくれた人を

 

わたしは絶対忘れません

 

だから探す

 

例え、どれだけ時間が掛かってしまっても構わない

 

この世界の何処かに居る、あの人を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

此処は何処の森の奥深い場所

 

1人の女性が森の中を歩いていた

 

「ふわぁ〜!」

 

女性の名は花寺のどか

 

「う〜ん、此処ら辺だと思うんだけど」

 

のどかは更に奥地へと足を進め

 

そして

 

「あ!」

 

目的地に到着した

 

「やっと見つけましたよ蓮花さん」

 

のどかは隣に座り話す

 

「探すのに随分と時間掛かっちゃいました!」

 

のどかはこれまでの出来事を話す

 

「結構大変だったんですよ。ちゆちゃんやひなたちゃんは忙しくて無理だったので、私が頑張って来ました!」

 

そしてのどかは寄り添う

 

「だから、今だけ独り占めさせて下さい」

 

そしてのどかは静かに眠った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

白骨化した遺体の隣で

 

何故その白骨化した遺体が蓮花と分かったのか?

それは、胸部の辺りに碧の賢帝が突き刺さっているから

 

 

 

 

 

あれから30年以上が経っていた

 

のどかはその時間を全て、蓮花を探すのに費やしたのだ

 

後悔など無い

 

自分で決めた道だから

 

「蓮花さん……大好きです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END




カルマエンドは要するにバッドエンドです

まさかのオリキャラ全員死亡エンドでした!

分岐としては、碧の賢帝か紅の暴君のどっちかが砕けたかによって分かれ目となっております

後、カルマルートはのどかエンドみたいなもんです。
以上!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第33話 風と炎♥キュアアースと不滅の炎(フォイアルディア)

キュアアースの変身バンク中のラテ、思ったより元気してんじゃん

ではスタート!


「生まれた…?それに人間では無い?なんか頭が痛くなって来た…」

 

よよよと倒れる蓮花

 

「わたくしは、ラテ様を助けたいというテアティーヌの願いによって生まれました」

 

今、謎の女の子の話を詳しく聞く為にのどかの家に集まっていた

 

尚、紅牙は治療の為蓮花の家にて安静中

 

「願いを聞き届けた地球が、風のエレメントを使ってわたくしを生み出したのです」

 

「地球っていきなり人間作れるの!?凄くない!」

 

「ですから人間ではありません。強いて言えば精霊の様なものです」

 

精霊少女の正体は地球が生み出した精霊だった

 

「そもそもヒーリングガーデンは、お手当ての為に地球が自ら生み出した存在ラビ」

 

「最初に生まれたヒーリングアニマルが、テアティーヌ様なんだよ」

 

ラビリン達、ヒーリングアニマルも地球によって生み出された存在。精霊少女も、先代のパートナーに似ている事もその事に関係している

 

「それでは」

 

精霊少女はラテを抱えてテラスへ出て行く

 

「わたくしは、ヒーリングガーデンに参ります。大切なラテ様を安全な場所にお連れしなくては」

 

「まさかまさか!」

 

ひなたは嫌な予感がする

 

そして予感は的中した。精霊少女は、テラスを飛び越えようと走り出した

 

「ちょっと此処一応2階なんだよ!」

 

「あっ…」

 

蓮花は抜剣し、その身体能力で精霊少女を空中で抱き抱えた

 

「おっとと!」

 

「そうでした。風のエレメントの力はボトルに変えてしまったから、もう飛べないのでした」

 

「蓮兄ナイスキャッチ!大丈夫〜?」

 

蓮花は精霊少女を下ろして剣をしまう

 

「ラテ様がご無事でしたら問題はありません。それと貴方もありがとうございます」

 

「あ、あぁ…」

 

「では参りましょう」

 

全員が呆気に取られて、精霊少女の背中を眺めていた

 

「って、驚いてる場合じゃないわ!」

 

「ラテ様を追い掛けるラビ!」

 

全員靴を履いて外に出て追い掛けようとするが、蓮花だけは未だに惚けていた

 

「ちょっと蓮兄追い掛けないと!」

 

「あ、あうん!」

 

蓮花は見惚れていたのだ。感謝の言葉を言われた時、美しいその笑顔を向けてくれた彼女に

 

 

 

 

 

「待つラビ!」

 

精霊少女は展望台まで足を運んで、蓮花達はやっとの思いで追い付いた

 

「何でラテ様を連れて行っちゃうラビ?」

 

「わたくしの使命はラテ様をお守りする事。その為に、わたくしは生まれたのです」

 

しかし、その事にラビリン達は納得いかなかった

 

「テアティーヌ様がラテ様を連れて来いって言ったのかよ?」

 

「いいえ」

 

「やっぱりペエ」

 

ラテを連れて帰る行動は、全部精霊少女の独断だった

 

「テアティーヌ様がそんな事言う筈無いラビ!だって…だってテアティーヌ様は──」

 

 

『──ラテ、お母さんの代わりに王女の務めをお願いね』

 

 

「あの時、どんな思いで、どんな決意で小さなラテ様を送り出したか!」

 

何も知らない精霊少女に、腹も立ち涙が溢れる

 

「だから…だから、ラテ様はラビリン達がお守りするラビ!」

 

ラビリンはラテを取り返そうと、精霊少女に突っ掛かる

 

「ラテ様を連れ帰るなんて」

 

「そんな事させないペエ!」

 

ニャトランとペギタンも、ラビリンに続き精霊少女とラテを引き剥がそうとする

 

「テアティーヌ様の願いから生まれたのに、何で分からないラビ!」

 

「待って!やめて!」

 

のどかは4人の間に入り、一旦引き剥がして落ち着かせる

 

「本当に分からないんだよ。精霊さん」

 

「そうね、きっと地球とテアティーヌさんとの間に行き違いがあったのよ」

 

「それに生まれたばっかなんだし」

 

「お互いちゃんと話した方が」

 

そこでのどかはラテに聞く事にした

 

「ねぇラテ、ラテはどうしたい?ママの所へ行きたいなら、ちゃんとそう教えてね」

 

『ラテは、ラテは…』

 

言葉にしようとした時

 

「くちっ!」

 

「ビョーゲンズペエ!」

 

『あっちの屋根で、お日様が泣いてるラテ…』

 

「屋根でお日様?」

 

「ソーラーパネルを設置してる工場があるわ!」

 

ビョーゲンズが現れた場所は分かった。

ただ、ラテをどうするかの問題は

 

「お願い精霊さん。ラテの話、ちゃんと聞いてあげてね」

 

「…分かりました」

 

精霊少女に聴診器を渡して、蓮花達は急いでビョーゲンズが現れた場所へ向かう

 

1人残った精霊少女は、のどかに言われた通りラテの話を聞く事にする

 

「ラテ様、大丈夫ですか?」

 

『ラテのお願い聞いて欲しいラテ』

 

「勿論、何なりと」

 

『のどか達の所に…のどか達の所に行きたいラテ!』

 

「ですが…」

 

 

 

 

 

////////

 

「見つけた!メガビョーゲン!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

 

 

「メ〜ガ…ビョーゲン!」

 

腕から放つ電撃をフォンテーヌはジャンプで避け、そのまま踵落としで攻撃する

 

「キャア!」

 

しかし、受け止められ弾き返された

 

「フォンテーヌ!」

 

すぐさまグレースがフォローに入り、空中でフォンテーヌの体勢を整えさせる

 

「メガァ!」

 

「ハァァ!」

 

身動きの取れない空中。攻撃されない筈も無くメガビョーゲンが襲い掛かるが、スパークルがぷにシールドで防いだ

 

「今だよ!」

 

「──ッ!」

 

蓮花は、足が地面に減り込む程の勢いで飛び出し距離を一気に縮める

 

「ハアッ!!」

 

振り裂く横切りで、たった一撃でメガビョーゲンを沈めた

 

「良し!」

 

「これならいける!」

 

今の果てしなき蒼は、碧の賢帝(シャルトス)の時と違って暴走する事は無い。なので、蓮花は最大限に力を発揮する事が可能となっている

 

「アイツはまだか。とりま、試してみるか」

 

この騒ぎを起こしたバテテモーダは、緑の石をメガビョーゲンに取り込ませた

 

それから様子がおかしくなる

 

「メガァァァ!!」

 

「何!?」

 

「メ〜ガ〜……ビョーゲン!」

 

「果てしなき蒼!」

 

顔から照射される光線。蓮花はグレース達の前出て結界を張る

 

「危なかった。皆んな大丈夫?」

 

「はい、それよりも」

 

「急にでっかくなったんだけど!」

 

メガビョーゲンは、先程よりも大きくなり強さもかなり上がったのだ

 

「実験大成功!どうですキングビョーゲン様!自分発見しちゃいました!簡単にメガビョーゲンを急成長させる方法を!」

 

成長したメガビョーゲンの強さは強力なものだった

 

「それなら!」

 

蓮花は果てしなき蒼をしまい、いつの間か持って来た紅の暴君(キルスレス)を構える

 

「それ鬼麿さんの!」

 

「預かってきた」

 

 

それは紅牙を治療してる時

 

『──蓮花、これを持って行け』

 

『──これ紅の暴君!?でも何で?」

 

『──まぁ、お守りみたいなもんだ』

 

 

託された紅の暴君だが、今の蓮花には扱えてはいなかった。何故なら、まだ継承(・・)していないからだ

 

よって、今の蓮花は生身の状態でメガビョーゲンと対峙してる

 

「とにかくやるしかない!」

 

 

 

 

 

奮闘する蓮花達の近くで、ラテのお願い通りに精霊少女は一緒に姿を現していた

 

「ラテ様、これ以上は危険です」

 

「くぅ〜ん、くぅ〜ん!」

 

「お話されたいのですか?」

 

精霊少女は聴診器を当てて声を聴く

 

『ラテは此処に居たいラテ。ヒーリングガーデンには帰りたく無いラテ』

 

ラテの答えは既に決まっていた。帰りたくは無いと

 

「ラテ様、お母様にお会いしたくないのですか?」

 

『会いたいラテ。でもラテは此処に居るけど、ラテも皆んなと一緒にお手当てしてるラテ!』

 

「あの方達と一緒に?」

 

ラテも大好きなお母さんに会いたい。でも、それよりも大事な事が目の前にある

 

「いけません!わたくしは、お手当てよりラテ様の方が大切なのです!ラテ様をお守りしたいのです!」

 

精霊少女もラテという存在が大切

 

それでも

 

『そのお顔で、そんな事言わないでラテ。精霊さん、ママのお手当てのパートナーそっくりラテ。なのにそんな事言われたら悲しいラテ。地球さんが泣いてるのラテだけが分かるラテ。それしか出来無いけど…』

 

ラテは精霊少女に手を差し出す

 

『お願いラテ。地球さんから貰ったパワー、ラテを守る為よりお手当てに使って欲しいラテ!』

 

精霊少女はラテの手を取り、風のエレメントボトルを握る

 

「ラテ様、貴女をお守りする為のこの力……貴女の願いの為に使わせて頂けますか?」

 

「わん!」

 

 

 

 

 

「葉っぱのエレメント!」

 

「雨のエレメント!」

 

「火のエレメント!」

 

グレース達、3人のエレメントボトルを使ってやっとメガビョーゲンにダメージを与えた

 

「チャンスラビ!」

 

「このまま一気に!」

 

「いかないんだなこれが」

 

「「「キャアァァ!」」」

 

振り返ると、バテテモーダがグレース達に襲い掛かった

 

「皆んな!この!」

 

「よっと!」

 

バテテモーダは紅の暴君を簡単に受け止めた

 

「クッ!」

 

「そんな力の無い攻撃、痛くも痒くも無いんすよ!」

 

「がはっ!?」

 

腹に蹴りを食らい、グレース達の所まで転がる

 

「さぁどうする?プリキュア!」

 

倒れる蓮花達に、メガビョーゲンは光線を放つ準備に差し掛かる

 

「お待ちなさい!」

 

「ラテ!精霊さん!」

 

「ラテ様」

 

「わん!」

 

「参りましょう!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア・オペレーション!」

 

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

 

「このキュアアース、ラテ様の想いを受けお手当て致します!」

 

アースは颯爽と駆け走り、たった一撃でメガビョーゲンを倒した

 

「皆さんはメガビョーゲンを。コレ(・・)は、わたくしが引き受けます」

 

「うん!」

 

蓮花達はメガビョーゲンを、アースはバテテモーダの相手をする事になった

 

「『コレ』って、言ってくれるじゃないすか!」

 

バテテモーダの攻撃を、アースは余裕で避けて背後を取った

 

「名前など知る必要ありません。今、この場で浄化します」

 

「ッ!貴様一体何もんだ!?遥か昔、キングビョーゲン様とやり合ったてのはマジなのか!?」

 

アースは鋭い攻撃も、流れる様な動きで攻撃を全て避ける

 

「わたくしではありません」

 

「ハッ!」

 

気が付くとアースはバテテモーダの上に飛んでいた

 

「その力によって、わたくしは生まれました」

 

そして、空中に居るにも関わらず一瞬で姿を消した

 

「があぁぁぁ!!」

 

キョロキョロと探すバテテモーダに、背後から容赦の無い蹴りが突き刺さった

 

「な、なんてスピードだ…」

 

 

 

 

 

「「キュアスキャン!」」

 

「太陽のエレメントさんラビ!」

 

エレメントを見つけられたが、またも強力な光線を放とうとエネルギーを溜め始める

 

「皆んな下がって!」

 

「メガァ!」

 

紅の暴君とメガビョーゲンの光線が激突する

 

「ウグゥゥ!」

 

蓮花がズルズルと押され始める

 

「負けてたまるか!紅の暴君!!」

 

「メガァ!?」

 

紅の暴君から炎が溢れ、メガビョーゲンの光線を弾き返した

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「燃え上がれ!不滅の炎──フォイアルディア!!」

 

 

 

完璧に継承した事により、紅の暴君が碧の賢帝と同様に新しく生まれ変わった

 

柄や刃は全く同じだが、真紅の輝きが橙色へと変わり、瞳や腕のラインも明るい赤に変わった

 

「厄介な奴が次から次へと!メガビョーゲン!行くぞ!」

 

「メガァ!」

 

「一発逆転下克上だァァ!!」

 

バテテモーダとメガビョーゲンが同時に仕掛けて来た

 

「アース!」

 

「はい!」

 

蓮花とアースは背中を合わせ息を合わせる

 

「ハァ!」

 

不滅の炎を地面に突き刺して、バテテモーダ達を逃げられない様に巨大な4つの炎の柱が囲い込む

 

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

そして風のエレメントボトルをセットする

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

アースウィンディハープから、無数の羽を纏った荒々しい竜巻が放たれる

 

 

「覚醒剣!」

 

「炎帝業火!」

 

不滅の炎から炎が噴き出し放つと、4つの炎の柱も合わせる様に四方から襲い掛かる

 

2つの技が合体し、炎の竜巻がメガビョーゲンを浄化させ、バテテモーダも巻き込んだ

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「オレの野望が!!ヒーリングッバーーイ!!」

 

 

「お大事に」

 

 

 

「2体同時に!?」

 

「てか、威力あり過ぎ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

太陽のエレメントも何事も無くお手当ては完了した

 

「なぁなぁ、そんじゃこれからずっと2人で一緒にお手当てするって事か?」

 

「はい。ラテ様が望む限りは」

 

「わん!」

 

精霊少女も、これから一緒に地球をお手当てする仲間として加わった

 

「やった!アタシ達もう最強過ぎじゃん!」

 

「アース、これから宜しくラビ」

 

「でも、この姿でアースって呼ぶのちょっと変な感じね」

 

流石に変身後の名前で呼ぶには違和感を感じる

 

「そうですか?では、皆さんで名前を付けて頂けませんか?」

 

「う〜ん、じゃあね…アースっち!」

 

「言うと思った」

 

「それだと同じだよ」

 

蓮花とニャトラン、名前がまんま過ぎて却下した

 

「『アスミ』ちゃん!」

 

「アスミ?」

 

「アースだからアスミ。分かりやすい」

 

「どうかな?」

 

「わん!」

 

「ラテ様が宜しいのなら」

 

精霊少女の名前は、のどかが「アスミ」と命名した

 

「じゃあアスミちゃんで!」

 

「宜しくねアスミ!」

 

「宜しくアスミン!」

 

「アスミちゃん、アスミ、アスミン。どれがわたくしの名前でしょう?」

 

「「「え!?」」」

 

「アスミが名前で、あとは愛称と受け取れば良いよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい友達、キュアアースことアスミが一緒にお手当てする事になった

 

これから先、アスミとどう過ごして行くのか




オリ主、強化月間に入りました!
そして、キュアアース!マジで、何処かで特別回でも作って前作主人公と絡ませたい!!
それに、やりたいネタも更に増えた

次回は、あの人も強くなる!誰が強くなるんですかねぇ?

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第34話 アスミ初めての人間界♥癒しの翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)

1番覚え難い魔剣の登場

ではスタート!


「今日は疲れたねぇ〜」

 

「1日に2回もお手当てしたもの」

 

「しかも、2体とも鬼ハード。加えて蓮兄も」

 

「誠に申し訳ない…」

 

皆んな、明日は日曜なので1日使って休息を取る事に決めた

 

「じゃあわたしこっちだから」

 

「また学校で」

 

「まったねぇ〜!」

 

「帰ったら紅牙の看病か…」

 

4人はそれぞれの帰路に別れるのだが

 

「「「「あっ!」」」」

 

そこである事態に気付いた

 

「待って待って待って!」

 

「アスミは何処に帰るの?」

 

全員がアスミの存在を忘れていた

 

「帰りません。ヒーリングガーデンには帰らない事になりましたので」

 

アスミは生まれたばかりで住む場所が無い。本来ならヒーリングガーデンで暮らすのが普通なのだが、ラテの意思もあり帰れないと決めたばかり

 

「じゃなくて!」

 

「アスミちゃんのお家は何処なの?」

 

「わたくしに家はありません。強いて言えば地球全体でしょうか」

 

「スケールデカ!?」

 

「いや寧ろ正解な答えだ。現に俺達も地球に住んでいる。だから…」

 

「蒼咲さん、深読みし過ぎです」

 

その間にもアスミは道端で寝転んで休もうとする

 

「アスミちゃん!こんな所で寝たら駄目だよ!」

 

「そうなのですか?」

 

「壊滅的に人間界の常識が無いペエ…」

 

「…仕方ない。ひとまずは俺の家にでも…」

 

「待って下さい!」

 

蓮花が自分の家に連れて行こうとする時、のどかが待ったを掛ける

 

「わたし何とかする」

 

 

 

 

 

「紅牙ただいま〜」

 

「おかえりさん。今回はどうだった?」

 

「詳しく説明はするけど、その前にひとつ…」

 

「?」

 

蓮花はアスミの事を説明した。それに加えて紅の暴君(キルスレス)に関しても

 

「はぁ!?紅の暴君をお前が継承したから、俺はもう使えないだと!?」

 

「そ、そうなっちゃうね…」

 

「これから俺はどうやってお手当てすれば良いんだよ!」

 

「本当にすみません…」

 

起きてしまった事はもう戻らない。紅牙も諦めてそれ以上は言及しなかった

 

「なら、しっかりアイツらを守れよ。蓮花も浄化出来る力を手に入れたが、結局はプリキュア頼みなんだから。俺達の希望だけは守り抜かないと」

 

「希望って、紅牙らしく無いね」

 

「るっせぇー!」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日、いつもの場所でのどかとアスミが来るのを待っていた

 

「鬼麿さん、傷はもう大丈夫ですか?」

 

「あぁ、この通だだだだだだだ!?」

 

肩を回そうとすると激しい痛みが身体中を刺激する

 

「この分ですと最低でも半月は安静にしないと」

 

「そんな悠長に言ってられるか!」

 

「…」

 

「いたたたたたたたた!!?やめろこの馬鹿ゴリラ女!!俺を殺す気か!?」

 

無理強いする紅牙の肩を、ちゆは思いっきり摘み上げる

 

「やっぱり痩せ我慢じゃないですか。駄目ですよ」

 

「この野郎…」

 

「そういえば蓮兄。…蓮兄?」

 

「あ、うん何かな?」

 

ひなたに呼ばれるが、少し反応が遅かった。蓮花はボーッとしていたのだ

 

「蓮花、お前昨日から何か上の空だが何かあったのか?」

 

「そういう訳では無いけど、アスミが気になってね」

 

「惚れたか?」

 

「え゛っ!?」

 

「どうだろう?まだ自分でも分からないよ」

 

そんな浮かれた話をしているとラビリンが飛んで来た

 

 

 

 

 

「誰かが増えようが減ろうが、俺のやる事には変わりない」

 

「あらそうなの?」

 

「お前いつの間に…」

 

ダルイゼンの後ろから紫苑が密かに付いて来ていた

 

「なら、そろそろ自由に動こうかしら?」

 

「いつも自由に動いてる奴が言う台詞か?」

 

「あれでも結構抑えてる方よ」

 

「ふ〜ん……今日はあの剣は置いて来たのか?」

 

いつも外に出る時は持ってる、原始の魔剣が手元に無い事に違和感を感じた

 

「もう時間の問題よ。紫紺の蛇刀(バルバリーア)に貯め込んでいた力を全部移し換えた。復活の時はそう長くは無い」

 

「これでお前も目的達成だな」

 

「何か勘違いしてるようね。復活はあくまで通過点に過ぎない。その後が重要。まあそれが吉と出るか凶と出るか。もし凶となったら……この世の終わり」

 

「……」

 

 

 

 

 

////////

 

「なんかまたでっかくなってない?」

 

「時間は掛かってない筈よ!」

 

「どんな相手でも俺達のやるべき事は変わらないよ!」

 

「おっしゃ!…て、うわっ!?」

 

紅牙は意気揚々と前へ出るも、蓮花が強引に下がらせた

 

「紅牙はもう戦えない。悪いけど見ていて」

 

「ちぇ〜」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

 

 

「「「「ハァー!!」」」」

 

グレース達のキックでメガビョーゲンが倒れる

 

「速やかに浄化しましょう」

 

アースがすかさず攻撃を加える。メガビョーゲンを翻弄しながらまたもメガビョーゲンを倒した

 

「さっすがアース!」

 

やはりアースは充分強かった。たった1人で圧倒しているのだから

 

「フォンテーヌ今の内ペエ!」

 

『キュン』

 

「「キュアスキャン!」」

 

「エレメントさんはあそこね」

 

「確認しました」

 

アースが一気に畳み掛けようとする時、メガビョーゲンは身体中に生えてる花びらを飛ばして追撃を許そうとしなかった

 

「果てしなき蒼!」

 

蓮花が果てしなき蒼の結界で4人を防御して、ダメージを負わずには済んだ。しかしながら後退はさせられる

 

「簡単には終わらせてくれないわね!」

 

「それなら地道にコツコツと!」

 

蓮花達は着実にダメージを与えつつ、メガビョーゲンの隙を狙っていた

 

その様子を見て、メガビョーゲンを生み出したダルイゼンは何か思い付き、メガビョーゲンの背中に乗り何かを毟り取っていた

 

「ダルイゼン!」

 

「何企んでるラビ!」

 

「さぁね?企むと言ったらアイツの方じゃね?」

 

グレースが振り向くと紫苑が紫紺の蛇刀を振りかざしていた

 

「グレース!」

 

グレースの危機にアースが飛び込み、紫紺の蛇刀を両腕で防ぎ切った

 

「成る程ね。強いじゃないの」

 

紫苑は一度距離を置いた

 

「体が自然と動いていました。少し分かったような気がします。お返しに人を助けたいという気持ち」

 

「人を助けたい気持ちね。それは私だって同じよ!」

 

「紫苑!」

 

グレースとアースの前に紅牙が立つ

 

「貴方はもう抜剣者じゃない。勝ち目なんて無いわ。満に一つも」

 

「蓮花にも言ったがコイツらは俺達の希望だ。その希望を壊させない!」

 

「なら…その減らず口から排除するまで!貴方には何も興味は無いんだね!」

 

「──ッ!!」

 

それは一瞬の出来事だった

 

何でこの様な状況になったのか理解は出来なかったが、目の前に起きた真実だけは理解出来た

 

「紫紺の蛇刀が折れた?いやそれよりも!」

 

「この剣は?」

 

紅牙自身すらも分からなかった。自身の手に持ってる金色に輝く剣に

 

そして剣は光りの粒子となり消えた

 

(僅かだけどあれは紛れもない…)

 

「ッ!この!」

 

少し間が空いてしまったが紅牙は紫苑に掴み掛かる

 

「くっ!離しなさい!」

 

紫苑は紅牙を振り解いが折れた紫紺の蛇刀を奪われてしまった

 

そして紫紺の蛇刀は翠色に輝き姿を変えた

 

「そうかこれが!」

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹──ヴェルディグリオン!」

 

 

 

「継承した!?成る程ね、これでやっと抜剣者に」

 

翠遠の息吹は風を巻き起こして紅牙の身体の傷を癒していく

 

「痛みが引いていく」

 

「メガビョーゲン!」

 

「翠遠の息吹!」

 

紅牙が剣を地面に突き刺すと、地面から翠色のツタが大量に生えてメガビョーゲンを拘束する

 

「面白い剣だ!傷を癒したり敵を拘束する!俺好みとはいかないが、これならいくらでも蹂躙出来る!」

 

「紅牙」

 

「分かってる。いくぞアース!」

 

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「翠嵐疾風!」

 

二つの嵐に羽とツタが入り混じり合いメガビョーゲンを浄化させた

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「お大事に」

 

 

 

「まさか、紅牙が先に絶剣者としてその兆しを見せるとは。それに遂に揃ったわね。蒼天、浄火、息吹。少し計画繰り上げて最終段階へ移行しようか」

 

 

 

 

 

////////

 

「こうやって、そっとコップを合わせるんだよ」

 

「分かりました」

 

「じゃあ、アスミが無事にのどかの家で暮らせるという事で」

 

「かんぱ〜い!」

 

「乾杯」

 

全員がコップを合わせて、改めてアスミを歓迎する

 

「この様な経験が、いつかわたくしに何か変化をもたらすのでしょうか?」

 

「うんきっと。わたしも新しいこと経験するの凄く楽しみ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これから初めての事をいっぱい経験する

 

そんな想いで胸が熱くなってきた




まさかの紅牙君が強奪して強化。

次回は一度NG集挟んでからネタ回を挟みます。その後オリストを挟もうか悩んでる途中

ではここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 テイク8 「撮影裏での出来事が多いペエ」

仕事しながらしてるので、書く時間が無いで御座る

ではNG集です!


第30話 「立ち向かう強さ♥現れる謎のプリキュア !」より

 

蓮花が家の中で暴れるシーンから

 

 

 

 

 

「…ッ!!」

 

鏡を殴り壊しリビングへ足を運び、棚や椅子に机と言った家具を壊していく

 

「痛い…」

 

蓮花は痛みに耐え切れずに蹲ってしまった

 

「あんなに強く殴るからだろ」

 

「蒼咲さん、絆創膏と氷です」

 

「救急車!?救急車呼んだ方がいいよね!ねぇ!!」

 

「ひなたちゃん落ち着いて!110番だよ!」

 

「それは警察だ!119番の間違いだろ!お前ら一旦落ち着けよ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第31話 「覚悟の時、入り混じり合う抜剣者」より

 

撮影現場での裏側

 

 

 

 

 

「なんと言いますか…わたくしが置いてぼりなんですが…」

 

「大丈夫ラビ」

 

「ボク達も置いてけぼりペエ」

 

「それに、ここら辺の話は蓮花達中心だから気にするな」

 

新キャラの登場に全く触れないので、どうしたらいいのか困っているキュアアース

 

 

 

 

 

////////

 

第32話 「溶け合う二つの光♥果てしなき蒼の誕生」より

 

撮影現場での裏側

 

 

 

 

 

「そう言えば、あの新しい紫のプリキュア って『キュアアース』って言う名前らしいよ」

 

「ちょっと待って下さい。その名前どっかで聞いた事ありませんでした?」

 

「あるある!」

 

「え〜と…」

 

ちゆの言葉で、3人は思い出そうとする

 

そして浮かんで来たのは

 

「「「「前作主人公!?」」」」

 

「前作主人公の性格を考えたら、これを知ったら此処に乗り込んで来るんじゃ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第33話 「風と炎♥キュアアースと不滅の炎!」より

 

撮影現場での裏側

 

 

 

 

 

「アスミ、お前って見た目は大人っぽいが中身は赤ん坊なんだよな?」

 

「急にどうしたのですか?」

 

この2人の組み合わせはかなり奇妙

 

「大変なんだな。何か困った事があれば相談しろ」

 

「ありがとうございます」

 

「紅牙が珍しく良い奴演じてるぜ!」

 

「待ちやがれこのニャンコめ!!」

 

茶化したニャトランをずっと追い掛け始める紅牙だった

 

「ニャトラン!紅牙!いい加減にするラビ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第34話 「アスミ初めての人間界♥癒しの翠遠の息吹」より

 

紅牙が紫紺の蛇刀を奪うシーンから

 

 

 

 

 

「くっ!離しなさい!」

 

紫苑は紅牙を振り解いが折れた紫紺の蛇刀を奪われてしまった

 

「ウェ〜イ!ウェ〜イ!盗んでやったぜ!」

 

「滅茶苦茶煽ってるペエ…」

 

「どうした来いよ!ビビってんのか?オイ!」

 

「お、鬼麿さんもうその辺に…ひっ!」

 

紫苑が怒りのオーラを放ち、紅牙の両眼を潰した

 

「ちゆちゃん、私何か間違った事してる?」

 

「いえ!全然!そんな事ありません!!」




何故に紅牙が目立つ?

次回はアスミが常識知らずなのを利用した日常回

ここまでの拝読ありがとうございました


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第35話 知識を教えよう♥奪われる初めて

平和な日常

ではスタート!


のどかがアスミに教えるように、蓮花も何か教えようと考えてた

 

「俺達が教えられるものと言えば…」

 

「「勉強」」

 

「まぁ、お2人は頭良いですからある意味ピッタリですね」

 

「そんな訳で」

 

蓮花は机の上に大量の本とノートをばら撒いた

 

「また皆んなでお勉強って事で」

 

「えぇ〜!」

 

「わたくしは楽しみです」

 

ひなたは苦い表情に、アスミはまだ知らぬ知識にわくわくしていた

 

 

 

 

 

「であるからして──」

 

「「「……」」」

 

「ふわぁ〜…」

 

「おいそこのツインテール欠伸するな」

 

「にゃ!?何その呼び方酷くない!?」

 

のどか、ちゆ、アスミは真剣にノートととっているが、ひなたには退屈過ぎて欠伸をする。しかし、それを紅牙に厳しく注意された

 

「19800のビデオデッキが2割引!ボーナス一括払いで5%OFF!!今ならポイント還元が13%付いて…さて、いくら!?」

 

「先生!紅兄が遊び始めました」

 

「2人共、突然のネタ振りは困るよ」

 

真面目にしてたと思ったらすぐこれだ。ほとほと困ってると、アスミが嬉しい事を言ってくれた

 

「面白いですね。もっと本を読みたいと思います。他にはどのような物がありますか?」

 

「それなら書斎に沢山あるからでついて来て」

 

蓮花はアスミを連れて2階の書斎へ案内した

 

「これは…!」

 

アスミもこれには驚いた。壁ギッシリに敷き詰められた本棚と本の山

 

アスミは本を手に取り色んな本をめくる

 

(アスミ…)

 

アスミの横顔に惹かれて、蓮花は無意識にアスミの頬へ手を伸ばす

 

「どうかなされたのですか?」

 

「え?──ッ!?」

 

蓮花は、今自分が何していたのか理解して手を引っ込める

 

「ご、ごめんね。邪魔しちゃって…」

 

「いえ。…そちらの本は何の本でしょう?」

 

机の上にある本をアスミは手に取り蓮花へと見せる

 

「何でこの本が?」

 

それは、紅牙とひなたが愛読してる「蝶々さんこんにちは!」だった

 

「はぁ…勝手に入って此処で読んでいたな」

 

「蓮花この本は何でしょうか?」

 

「それは漫画って言って、ちょっとした娯楽の一種だよ」

 

「なるほど、それは素晴らしいものですね」

 

アスミも適当に本をめくっていき、とあるページで止まった

 

「蓮花、これは一体何をしているのでしょうか?」

 

アスミが見せたのは、主人公とヒロインのキスシーンの場面。どうやらアスミは、キスという行為が分からないようだ

 

「…これは『キス』って行為で、主に好きな人同士が愛を確かめ合う証で、お互いの唇をくっ付けるんだよ」

 

「蓮花はのどか達とキスはした事あるのですか?」

 

「な、何でそうなるの!?」

 

「蓮花はのどか達の事嫌いなのですか?」

 

かなり面倒な言葉を覚えさせてしまった。詰め寄るアスミに、蓮花は後退り腰に机がぶつかる

 

「そんな事はない!のどか達は勿論、アスミだって好きだよ!友達として」

 

「わたくしはキスがどんなものか気になります。好きでしたら、わたくしとして貰えますか?」

 

「ア、アスミ?君の思う好きと俺の思う好きに食い違いが…」

 

アスミは、蓮花の両肩を固定して顔を近づける

 

「おい蓮花、いつまで書斎に篭ってるつもりだ?いい加減……」

 

紅牙はとんでもない場面に遭遇してしまった

 

蓮花とアスミがキスしてる場面に

 

「どうしたの紅兄?」

 

「蒼咲さん大丈夫ですか?」

 

「何かあったの?」

 

次から次へと外野が集まり見てしまう

 

「な、何やってんだお前ら!?」

 

急いで紅牙は2人を引き剥がす

 

そこからは先は地獄絵図だった

 

 

「馬鹿じゃないのか!」

 

「これは不可抗力!」

 

「キス…意外と気持ち良いものでした」

 

 

「ち゛ゆ゛ち゛〜〜!アタシまだあんな事した事無いのに〜!!」

 

「落ち着きなさいよ!ねぇニャトラン何とかならない?」

 

「オレに振るなよ!」

 

 

「ふわぁ〜!ふわぁ〜///」

 

「のどかちょっと興奮し過ぎてラビ」

 

「ど、どうなっちゃうペエ!?」

 

 

ある者は必死になり、ある者は号泣し、ある者は興奮していた。修羅場と化したこのカオスな状況

 

それに混じってインターホンが鳴り響く

 

「お、お客さんだ!助かった!」

 

「おい待て!話はまだ──」

 

蓮花は逃げる様に玄関へと走る

 

「すみません!遅くなって……しま…い」

 

扉を開けて蓮花は言葉を失う

 

何故なら

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは」

 

インターホンを鳴らしたのは紫苑だったから




のほほほんと終わると思いきや!ですよ

次回、紫苑の目的など全て明かされます

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第36話 目覚めろその魂♥ 揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)降臨!

オリストだ!

ではスタート!


「こんにちは」

 

「何で紫苑が此処に…」

 

「それを説明する為に来たのよ。でも時間が掛かると思うからお邪魔するわよ」

 

紫苑が靴を脱ごうとする時、頬に剣の切っ先が向けられる

 

「何でテメェが此処に居んだよ紫苑」

 

追い掛けて来た紅牙達も紫苑を確認した

 

「それを説明しに来たのよ。このやり取り2回目よ」

 

「知るかそんなもん!此処で斬る!」

 

「ちょっと待って下さい!」

 

ちゆは紅牙を押さえ付ける

 

「離せ!」

 

「……いいよ。話だけなら聞くよ」

 

蓮花は、紫苑を家に招き入れる許可を出した

 

 

 

全員の厳しい視線の中で紫苑は構わずソファーに腰を掛ける

 

「で、話とは?」

 

「ビョーゲンズを抜けて来たの」

 

「待って、この流れ何かデジャブを感じるんはアタシだけ?」

 

「だからそっちの輪に入れさせてくれない?」

 

ひなたの言う通り、これは紅牙の時と同じ流れだった

 

「はぁ?ぶざけんんっ!?」

 

「鬼麿さん静かにして下さい!」

 

ちゆとペギタンが紅牙の口を塞いで黙らせた

 

「ちょっと頭痛くなって来た。一応聞くけど何で?」

 

「…私の計画が最終段階へと移行したからよ」

 

紫苑の計画。これまで対峙した時に、何度もその言葉を口にしていた。けれども、その計画の内容を一度も話した事が無いので詳細までは知らない

 

「あの、その計画の内容を教えて貰えませんか?」

 

「そうね。…私の目的は──魔剣の破壊」

 

「破壊…ですか?」

 

「でもそれって変じゃないか?元々剣を集めていたのに、それを破壊するって」

 

矛盾している。誰もがそう思っていた

 

「集めていたのは効率的に破壊をする為。後、力が欲しかった」

 

「力…」

 

「魔剣を回収し、その力を全て集結させて全ての魔剣を破壊する」

 

「じゃあじゃあ!何で蓮兄にあんな酷い事をすんの!何も関係無いじゃん!」

 

「原始の魔剣。アレが見つかったのは予想外。あの剣が覚醒するとどんな剣でも破壊する事は可能なの。だから…」

 

蓮花を利用して、その力を我がモノにしようとしていた

 

「それに、貴方の父親を殺したのは感情を昂らせて絶剣者に覚醒させる為。でも、今はもうその必要は無くなったけどね…」

 

紫苑は全てを話した。普通は許せない行為を幾つもしたんだ

 

蓮花は

 

「まぁ良いんじゃないのかな」

 

あっさりとそれを許した

 

「はぁ!?お前それで良いのかよ?親を殺した奴が目の前にいるんだぞ!」

 

「それがどうした?復讐して何になる?それじゃあ、暴走してるのと何ら変わらない」

 

蓮花の言う通りだ。復讐だけでは何も変わらない。それはもう痛い程理解している

 

「くちゅん!」

 

「ラテ!?」

 

「ビョーゲンズが現れたラビ!」

 

「行くよ!」

 

全員、家を飛び出してビョーゲンズが現れた場所に走る

 

 

 

 

 

////////

 

場所は少し広い草原。木の姿をしたメガビョーゲンが暴れていた

 

「シンドイーネ」

 

「紫苑じゃないの。キングビョーゲン様を裏切ってプリキュア の方に寝返るとはね!」

 

「これが私の選んだ運命よ」

 

「なら、プリキュア 共々倒れなさい!!」

 

「後は頼んだわよ」

 

「挑発するだけして俺達任せかよ!?」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「「地球をお手当!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

 

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは木の腕を伸ばして攻撃してくる

 

「させっかよ!」

 

翠遠の息吹のツタでメガビョーゲンの腕に絡み付きへし折る

 

「隙あり!」

 

スパークルが走り、メガビョーゲンに蹴りを食らわす

 

「「ハァァ!」」

 

今度は、グレースとフォンテーヌとのダブルパンチ

 

「メガ!」

 

しかし体勢を崩しながらも、メガビョーゲンは腕を伸ばしてグレース達に攻撃する

 

「ハッ!」

 

「フッ!」

 

すぐに蓮花とアースが2人の前に飛び出して腕を切り落とす

 

「スパークル今だよ!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

「木のエレメントさんニャ!」

 

「良し!このまま──」

 

人は勝利を確信した時程隙を見せる

 

「「「「キャア!?」」」」

 

「「何!?」」

 

地面らメガビョーゲンのツタが伸びて蓮花達を拘束した

 

「蓮花!不滅の炎(フォイアルディア)を使いなさい!」

 

「そうか!──来い!不滅の炎!」

 

喚び出した不滅の炎は、蓮花の体に絡み付くツタを切断した

 

「蓮花、3本の魔剣を束ねるのよ」

 

「3本の魔剣を?」

 

「蒼天の果てしなき蒼、浄火の不滅の炎、息吹の翠遠の息吹。浄化の力を得たこの3本を束ねる事で、貴方は更なる力を得られる筈よ」

 

「…」

 

「お願い信じて」

 

紫苑の目は本気だ。本気で蓮花達の輪に入ろうとしている

 

「分かった信じる。俺はどうすれば良い?」

 

「先ずは3本を持つ事が必須条件。紅牙から翠遠の息吹を奪いなさい」

 

「聞こえてんぞゴラァ!!」

 

「借りるよ!」

 

ギャーギャー騒ぐ紅牙から翠遠の息吹を奪──借りる

 

「だぁぁああ!この野郎!!」

 

「鬼麿さん静かにして下さい!蒼咲さんが何かしようとしています」

 

蓮花は集中している

 

「そうよその調子」

 

「輝け!果てしなき蒼!燃え上がれ!不滅の炎!吹き抜けろ!翠遠の息吹!」

 

3本の魔剣が蓮花の上に並び立つ

 

「今よ!」

 

 

 

「想いをひとつに!真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光──ブランリュゼール!」

 

 

 

辺り一面に白い光りが包み込んだ

 

「あれが本来の抜剣者の姿!救い、切り開く者」

 

新たに誕生した魔剣──揺るぎなき曙光は3本の剣が合体した物

 

白く輝くその剣は、レイピアの様に刀身が細く、柄の部分が3つの剣が合体したようになっている。

 

容姿も従来のとは異なり、白くなった髪と瞳以外は殆ど変わらずだった

 

「この町を害するもの全てを拒み、全て浄化する!ビョーゲンズを切り裂く剣となり、穢れを跳ね除ける盾となれ!」

 

揺るぎなき曙光を地面に突き立てると、その余波で光りの波が起き、蝕まれた大地が元に戻る

 

「ハッ!」

 

そして、一瞬でメガビョーゲンのツタを切り、グレース達を解放させた

 

「な、何なのよこの力は!?」

 

「皆んなの健康は俺が守る!」

 

揺るぎなき曙光を天へ掲げると、蓮花の周りに蒼、橙、翠の剣が浮遊していた

 

「食らえ!」

 

剣先がメガビョーゲンに向けられ波動を溜め始める

 

 

 

「真・覚醒剣!」

 

「蒼炎翠光!」

 

4つの波動がメガビョーゲンを呑み込み浄化させた。その威力は他の魔剣を寄せ付けない

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

 

 

 

 

「これで信じてくれたかしら?」

 

「わたくしは、この人が皆さんの言う悪い人の様には見えません」

 

「だがよアース!コイツは殺人者なんだぞ!」

 

紅牙はそれでも納得は出来ていなかった

 

「紅牙ありがとう。でも、もう良いんだ」

 

「…分かったよ。本人がそこまで言うなら何も言わん」

 

蓮花は紫苑に手を差し伸べる

 

「仲直りの握手」

 

「そうね、握手」

 

 

 

 

 

////////

 

「ひとつ良い?」

 

「何?」

 

「どうして紫苑まで俺の家に居るんだ!?」

 

朝起きると、紫苑が勝手に荷物を空き部屋に移動させていた

 

「大丈夫、問題無いわ」

 

「大有りだ!」

 

「蓮兄皆んなで遊びに来た…よ…」

 

ひなたを先頭にのどか達も家に上がり込んだが、紫苑を見て固まってしまった

 

「蒼咲さん、もしかして…」

 

「頼む、言わないで…」

 

「紫姉も蓮兄の家に居候するんだ」

 

「私は普段、大学に通ってるから」

 

「何処の大学に通っているんですか?」

 

紫苑は生徒手帳を見せると

 

「おい蓮花、此処って確か受験で落ちた所じゃねぇか?」

 

「本当だ。しかも学科も同じ」

 

「蓮花落ちたの?」

 

「コイツ名前を書き忘れたんだとよ!笑えるぜ!」

 

蓮花は紫苑の生徒手帳で顔面をしばいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫苑も新たに仲間に加わり、より一層騒がしくなる蒼咲家だった




アスミが全然会話に参加してない問題

それと、これで碧・紅・紫・蒼・炎・翠・光。先生達が使っていた原作の魔剣を出し尽くしました!
他シリーズでも魔剣は存在しますが、この小説では今のところ上記のしか登場させていません

それ以外で出て来た魔剣は、全てオリジナルです。
原作知らない人の為の補足知識でした

そして紫苑が加わった事により、この先の物語は暫くシリアスも無い優しい世界が続きます。余りあるネタの出し放題です

では、ここまでの拝読ありがとうございました!


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第37話 これが好き♥ラテが大好きなアスミ

天道 紫苑(てんどう しおん)
10月10日生まれ/18歳/171cm
大学1年生で蓮花とは同い年。蓮花や紅牙と同じく、頭が良く秀才な人。通ってる大学は、蓮花が受けた学校で学科。
夢では無いが、自分のやりたい事は考古学で世界を見て回りたいとの事。その為、考古学を勉強中。
戦闘面は、幼い頃から適格者として魔剣を振るっていたので、戦闘経験や技術といった実力面は2人より勝っている

容姿
スタイルも良くモデル体型。
長く綺麗な薄紫の髪色に、白いシャツの上にロングカーディガンを羽織り、ジーパンを着込んでる


前回、書ききれなかったので紫苑の詳細データを作成しました
ではスタート!


「アスミちゃん、今朝は嬉しそうだったな」

 

「そりゃあそうでしょ!アタシも自分の部屋貰えた時めちゃ嬉しかったし!」

 

アスミはやっぱり、花寺家に住む事になり個人部屋を貰った事の話をしていた

 

「でも大丈夫かしら?家にアスミ1人で」

 

「そう言われてみると」

 

ちゆに言われて改めて気付いた。アスミは、未だに人間界の常識を理解していない事が沢山ある

 

「ラビリンもラテも居るんだし1人じゃないって。心配ないない!」

 

「あの皆んな少しいい?」

 

「何蓮兄?」

 

「…何で皆んなして保健室に居るの?」

 

今のどか達が居る場所は、自分達の教室では無く蓮花が居る保健室に居るのだ

 

「イイじゃん別に!」

 

「まぁ、皆んなの顔が見れるのは嬉しいけど」

 

「でしょでしょ!」

 

「でも、だからと言って此処を溜まり場にするのは良くないよ。後、ひなたはベッドに寝転がらない」

 

蓮花はひなたを持ち上げてベッドから下ろす

 

「此処は、具合が悪くなったりする人が来る所。元気な3人は教室に戻る」

 

「蓮兄が側に居ないと元気が出ない病に掛かっちゃったよ〜」

 

ひなたは何かしらの理由を付けて離れようとはしなかった

 

「…ちゆ」

 

「ひなた行くわよ。お騒がせしました」

 

「い〜や〜だ〜!蓮兄と一緒に居たいの〜!」

 

完全に駄々を捏ねる子供を引き摺る絵になっていた

 

「のどかちょっと」

 

「はい?」

 

ちゆとひなたが出て行く中で、蓮花はのどかを引き止めて座らせる

 

「医者からは問題無いと言っていたよね?でも、体調が少しでも悪いと思ったらいつでも此処へ来てね」

 

「お気遣いありがとうございます」

 

「じゃ、またお昼に」

 

 

 

 

 

////////

 

「のどかっち、慌てて帰っちゃったね」

 

「わたし、余計な事言ったかしら」

 

「アスミンの事?」

 

「えぇ、心配させてしまったのかも」

 

放課後、のどかは急いで帰宅して今はちゆとひなたの2人だけ。余計な心配事を増やしてしまったと心配する

 

「あら2人共お帰り」

 

「紫姉!」

 

「天道さんも今帰りですか?」

 

「えぇ、大学生は厳しいのよ」

 

丁度、大学帰りの紫苑にもバッタリと会う

 

「のどかちゃんは?」

 

「家に居るアスミを心配して先に帰って」

 

「そう。あら?あれってアスミちゃんじゃないの?」

 

紫苑が指差す方向には確かにアスミの姿があったのだが、少し様子が変だった

 

「あ、あれどういう事!?」

 

アスミの体は、奥の景色が見えるくらいまで透けていた。それを不思議に思い数人の人達が集まっていた

 

「ひなた、天道さん周りの人を惹き付けて。わたしはアスミを連れて行くから」

 

「分かった。行くわよひなたちゃん」

 

「でもどうやって!」

 

紫苑はアスミの前に出て話始める

 

「これは一体?」

 

「これは科学実験ですよ。光りの屈折を利用して、周りの背景に溶け込むクリームを塗っているのですよ。お手軽で光学迷彩の出来上がりって訳ですよ」

 

「ワァースゴイナー!」

 

「アスミ走るわよ!」

 

その隙にちゆは、アスミの手を引いてその場から退散した

 

 

 

 

 

「ん?よっ!ちゆじゃねぇか!」

 

「鬼麿さん」

 

「何でアスミそんなに薄くなってるんだ?」

 

今度は紅牙と会った。勿論、アスミの体の事にも気付いた

 

「あ〜と、え〜と…鬼麿さんも来て下さい!」

 

「お、おい!いきなりなんだよ!」

 

ちゆは、紅牙も巻き込んで自分の家に招き入れた

 

 

 

「実はわたくし、ラテに避けられてるようなのです。どうしていいのか分かりません」

 

アスミは事の顛末を全て2人に話した

 

「それが原因で体が消えちゃいそうペエ」

 

「そんなに悲しいのねアスミは」

 

「悲しい?」

 

「そう、今のその気持ちを悲しいって言うのよ」

 

「そう…ですか…」

 

まだ理解は出来てない。そんな悲しい空気になり掛けた時

 

「お姉ちゃん、お母さんが『おやつどうぞ!』だって〜」

 

そこへ弟のとうじが引き戸の前で呼ぶ声がした

 

「ようとうじ」

 

「紅牙兄ちゃんも来てたんだ」

 

「ありがとうとうじ」

 

2人一緒に出て来た事にとうじは気になった

 

「ねぇ、お姉ちゃん達って付き合ってるの?」

 

「そんな訳あるか」

 

「えぇ、絶対無いわ」

 

それを最後にピシャリと戸を閉めた

 

「これは?」

 

「おやつのすこやか饅頭よ」

 

アスミは初めて食べるすこやか饅頭。そのお味は

 

「美味しい」

 

その後も、満足そうな顔をして出された饅頭を1人で平らげた。そして、体の透明度も無くなり殆ど実体化するまで戻った

 

「胃もたれしないのか?」

 

「良かった。アスミは甘い物が好きなのね」

 

「好き?美味しい事を『好き』と言うのですか?」

 

「『好き』はそれだけじゃないわ。他には…」

 

好きと言う感情を教える為、ちゆは別の好きを教える事になった

 

 

「温かい」

 

「心もポカポカするペエ」

 

「これもわたしは『好き』よ」

 

次はアスミを足湯に浸からせてみる

 

「美味しくて、温かいもの。『好き』と言うのは良いものですね」

 

「でも、『好き』は良いものばかりではないの。時には辛いけど、でも好きを辞められないものもあるわ」

 

「それは随分と難しい」

 

「先日の…き、キスも好きな人同士がやる行為なの」

 

先日というのは、蓮花とアスミが色々とやらかした事の日だ

 

「ちゆ、折角だからハイジャンプの練習でも見せたらどうだ?」

 

「それ良いアイディアです!」

 

 

 

 

 

////////

 

そして次の日の放課後。全員がちゆの練習を見に来ていた

 

「ちゆちゃんバー高めにしてる?」

 

「チャレンジ!チャレンジ!」

 

しかし、いつもより高めに設置した事もあり成功は一度も無かった

 

「ちゆ、何故失敗してばかりなのにそんなに何度も跳ぶのですか?」

 

「それは、わたしがハイジャンプを好きだから」

 

「好き?美味しくも温かくもないのに?」

 

「練習はハードだし、失敗もするけど、でもわたしはハイジャンプが好き。どうしたら上手く跳べるのか?もっともっと高く跳びたいっていつも考えてる。この気持ちは、止めようと思っても止められない。『好き』って、きっとそういうものよ」

 

どんなに壁が立ちはだかっても、成功した時の達成感が嬉しいからハイジャンプを好きと胸張って言う

 

「その事ばかり考える…止められない気持ち?」

 

「アスミの心にもあるんじゃないかしら?そんな『好き』の気持ちが」

 

まだ悩んでいると、ヒーリングアニマル達が偶々通り掛かった

 

「あらどうしたの?」

 

「お散歩の途中で寄ってみたラビ」

 

ラテは、アスミを見るや否や距離を取ってしまった

 

「ラテ…」

 

また落ち込んでしまい、アスミの体が薄く透明になり始める

 

「あぁ〜アスミン駄目駄目!」

 

「くちゅん!」

 

アスミが消え掛けてしまう時、ラテがくしゃみをした。しかも学校の敷地内から悲鳴が聞こえる

 

「学校に現れたか」

 

「紫苑さん、アスミちゃんをお願いします!」

 

「任せて」

 

この状態ではまともに戦えない。なので、アスミと紫苑を除いた皆んなでお手当てをする事に

 

場所は校庭のグランド。そこでは、シンドイーネと水道の蛇口の姿をしたメガビョーゲンが居た

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

 

 

「メガ!」

 

両腕から水が放射されるが、それを正面から突破してフォンテーヌが踵落としで攻撃する

 

「「タァ!」」

 

そして、グレースとスパークルでメガビョーゲンの足を崩してダウンさせた

 

「フン、コッチにはコレがあるのよ」

 

シンドイーネは緑色の石をメガビョーゲンへ埋め込ませた

 

「メメメメガァー!!」

 

「使えるわメガパーツ」

 

「気を付けなさい!メガパーツは急激にメガビョーゲンを成長させて、強くさせる物よ!」

 

「説明ありがとね紫苑!」

 

メガパーツによって成長したメガビョーゲンは、急激に地球を蝕み始める

 

「メェガァ!ビョーゲン!」

 

強化されたメガビョーゲンから水が高圧射出される

 

「図に乗るなよ!」

 

紅牙が正面から、翠遠の息吹の巻き起こす風で吹き飛ばそうとするも

 

「なんて…力…!ぶわっ!?」

 

「紅牙!」

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンは辺り構わず水を放出し部活で使う道具を蝕む

 

「皆んなの道具を蝕むなんて!」

 

今度はグレース達3人で仕掛けるも、呆気なく放出される水に呑み込まれてしまった

 

 

「燃え上がれ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

 

果てしなき蒼から火力の強い不滅の炎に切り替えて、上空から仕掛ける

 

「メガ!」

 

「炎帝業火!」

 

不滅の炎の炎が、メガビョーゲンの水を蒸発して力では勝ったが

 

「しまった!」

 

「メガ!」

 

破られる事を知っていたのか、攻撃をし終わった蓮花へとまたも放出した

 

メガビョーゲンが暴れる衝撃でサッカーボールがラテへと転がる

 

「ラテ!」

 

「アスミちゃん!?」

 

サッカーボールがラテにぶつからないよう、アスミは駆け寄りラテを守る。紫苑もアスミの跡を追いラテの元へ

 

「怪我は大丈夫ですか?」

 

「クゥン…」

 

「良かった…」

 

ラテに怪我が無くてホッとすると同時に、アスミはちゆの言葉を思い出す

 

 

『──アスミの心にもあるんじゃないかしら?そんな「好き」の気持ちが』

 

 

「その事ばかり考える…止められない気持ち」

 

ようやく、ちゆの言葉の意味を理解した

 

「ラテ、わたくしはラテの事が好き。いいえ、大好きなのです。だから少々心配し過ぎてしまったようです」

 

「…」

 

「これからはラテの気持ちを第一に考えて、ずっとお側に居たいと思います」

 

「わん!」

 

ラテもアスミの気持ちが伝わり側へ駆け寄る

 

「参りましょうラテ!」

 

体はもう元に戻りアスミはラテと共に行く

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア・オペレーション!」

 

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

 

「アンタが新しいプリキュア ね!いいわ、私が捻り潰してあげる!」

 

シンドイーネが悠長に喋る間に、アースはメガビョーゲンの頭の蛇口を蹴り飛ばして回転させた

 

「チャンス!」

 

スパークルも勢いに乗り蹴りで回転させる

 

よろめくメガビョーゲンに、グレースはすぐさまエレメントを見つける

 

「「キュアスキャン!」」

 

「水のエレメントさんラビ!」

 

「ここは氷のエレメントを使うペエ!」

 

「氷のエレメント!」

 

またもメガビョーゲンが腕から水を放出する瞬間

 

「ハァッ!」

 

それを狙って腕を凍らせて放出口から出ないように固めた

 

「紅牙借りるよ!」

 

「あ、ちょい蓮花お前!…こんのまたかよ!!」

 

蓮花は翠遠の息吹を勝手持ちメガビョーゲンへと走る

 

 

 

「真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

 

 

「食らえ!」

 

蓮花の一閃でメガビョーゲンは膝を突いた

 

「もう!私は大好きなキングビョーゲン様にお会いしたいだけなのに!」

 

シンドイーネも自分の大好きなものの為に戦うが、それをアースは一蹴する

 

「大好き?」

 

「そうよ大好きよ!悪い?」

 

「いいえ、大好きは悪くありません。ですが、貴女の大好きの為にわたくしの……皆さんの大好きを傷付ける事は許しません!」

 

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「お大事に」

 

アースの怒りの浄化技でお手当ては完了した

 

 

 

 

 

////////

 

「ラテ様は、アスミに怒られちゃうと思ってたラビ」

 

ラテがアスミに対して避けていたのは、そういう理由だったらしい

 

「わたしも病気の時お母さんにすっごく心配されてたけど、それだけ大切に思ってたって事だよね」

 

「それはつまり…」

 

「『好き』と言う事よ」

 

帰る途中、夕陽が皆んなを照らし出す

 

「この世界にも、わたくしの心の中にも、まだまだ知らない事が沢山ありそうですね」

 

今度はどんな事があるのか、アスミは密かに楽しみにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでちゆは、紅牙の事が好きなのですか?」

 

「今の流れで何でそうなるんだよ!?」

 

「違うのですか?」

 

「「違う!」」

 

「ハモッた!」

 

「「ハモッてない!!」」




次回はまたも日常回!アニメ本編が終わる事に1話ずつ挟もうと思います!
有り余るネタを一気に消化して行きます!

ではここまでの拝読ありがとうございました!


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第38話 秀才達の遊戯♥逆さ喋り対決!

「面倒だぁ…面倒だぁ…」と思いながら書いた内容です

ではスタート!


今日も晴天。のどか達は蓮花の家に遊びに来ていた

 

「蓮花さんお邪魔します」

 

「蓮兄遊びに来たよ〜!」

 

玄関でそう叫び、リビングに行くと蓮花達3人で訳の分からない事を喋っていた

 

「!ッハ……ねのい低が長身番1はで中の人3のこてっ方貴、牙紅ぇね」

 

「!ってがやしに鹿馬」

 

「「「「??」」」」

 

遊びに来たのどか達はちんぷんかんぷん。それを見た蓮花が説明する

 

「こんにちは。今、3人で『逆さ喋り対決』をしているんだよ」

 

「逆さ喋りですか」

 

「今日1日逆さ喋りで過ごして、普通に喋った人が負けって言うゲームだよ」

 

「!トウア花蓮」

 

すぐさま紅牙が反応した

 

「らかだんいなれ取き聞てんなり喋さ逆。ょしでいいに別は手相達かどの」

 

「!!いなさに死。ねわいなもうよしうど。いさ小も器、ばれけさ小も長身」

 

「!ろだ口悪にから明はェメテ!苑紫かて。よたっか分」

 

「そんな訳で、のどか達は気にしないでゆっくりしてね。お茶も出すね」

 

蓮花にゆっくりして行ってと言われるが、正直言って気になり過ぎてチラチラとよそ見をしてしまう

 

「に内以秒3。いさなしを事い白面に当適か何、牙紅。ね暇もてしにれそ」

 

「…りかっば俺で何。ろだるぎ過り振茶無」

 

「蓮花、わたくしには何を言っているのか分かりませんが、理解は出来ているのですか?」

 

「一応ね」

 

ただ、この分だと中々終わらない。3人共頭の回転が早いのだ

 

そこで紫苑はある事を思い付き、目配せで蓮花に合図を送る

 

「?けっだんなはのもき好の牙紅」

 

「…ぁなだうそ、ぁま?たしうどに急」

 

「ねのもだき好大がんゃちゆちは牙紅」

 

「えっ!?//」

 

「いつまでそのネタで弄るつもりだ!」

 

「「!トウア牙紅」」

 

「あっ…」

 

完全にしてやられた。紅牙の性格を利用した2人の作戦だった

 

「羊子れな哀。ねのい低も能知ばれけ低も長身」

 

「なんめご」

 

「こ、こんなふざけた奴らに俺が…」

 

「天道さん、あまり鬼麿さんを苛めないで下さい」

 

流石に心配になったのでちゆが助け舟を出したが

 

「ちゆ…この世は弱肉強食よ」

 

「紫姉厳しい〜」

 

そんな訳でゲームを再開するが

 

「ねわたき飽」

 

「かるめ辞らな」

 

「ちょっと待て!!」

 

「「何?」」

 

突然切り上げる2人に対して紅牙は待ったを掛ける

 

「最後までやれよ!紫苑から言い出した事だろ!お前ら勝ち逃げする……ハッ!」

 

紅牙は何かに気付き、形相の顔で2人を睨み付ける

 

「まさか最初からこれが狙いだったのか!?俺だけ悔しい思いをして、お前らは高みの見物!」

 

「いや、そんな訳…」

 

「そうよ!気付くのが遅かったわね!」

 

蓮花は「何言ってんだ?」の表情をする

 

「もう一度勝負だ!」

 

「戯け。敗者の分際でこの勝者たる私に命令するつもり?図々しいにも程がある」

 

もうついていけないと思い蓮花はのどか達の所へ

 

「ねぇ皆んな、外で遊ばない?」

 

「放って置いていいラビ?」

 

「ならラビリンは2人の側に居る?」

 

ラビリンは一度2人の事を見て

 

「嫌ラビ」

 

騒ぐ2人を置いて蓮花はのどか達と一緒に公園へ出掛けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝負しやがれ!」

 

「ならジュースを買って来なさい」

 

「言ったな!待ってろ!速攻で買いに行くからな!」

 

紅牙は飲み物を買いに出掛けた

 

「やっぱり馬鹿ね」




読めない事は無いので、ルビはわざと付けませんでした。

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第39話 これが可愛い?♥可愛いは正義です!

可愛いって可愛いらしいよ

ではスタート!


「見て見て〜!可愛いよ〜!!」

 

只今アスミは、ひなたに誘われて色んな服を着せられていた。大人っぽいものから子供っぽいものまで多種多様に

 

「ひなたは先程から、『可愛い』と繰り返しますが『可愛い』とは何ですか?」

 

「えっ?」

 

「好きとは違うのですか?」

 

「可愛いは可愛いだよ。ねぇ?」

 

アスミの疑問に答えようと努力はするが、イマイチピンと来ない。「好き」と「可愛い」は似て非なるものかと

 

「確かにどう違いが…」

 

「考えた事も無かったな」

 

「難問をぶつけるわね」

 

頭が良いと評判の抜剣者組も悩ますばかり

 

皆んなが皆んな、「好き」と「可愛い」について語るが

 

「ますます分かりません」

 

アスミは余計に混乱する

 

「そうだ!」

 

ひなたは、お姉さんのめいに頼んでラテを可愛く大変身させた

 

 

「ラテ可愛い!」

 

「はいはいラテこっち向いて!」

 

紅牙は、自慢のカメラでのどかとラテを一緒に写真で撮る

 

「お姉、急だったのにありがとう!」

 

「時間があればもっと可愛く出来たんだけど。今日はここまでねラテちゃん」

 

「わん!」

 

「ね!可愛いって思うっしょ!」

 

これが可愛いとアスミにラテを見せるが

 

「ラテをこんなにも喜ばせて頂いて感謝致します」

 

「何かちょっと違うな…」

 

そんな事を言いつつも紅牙はカメラを回す

 

「ひなた、そろそろいいかな?」

 

「ヤバ!ゴメン皆んなこの後用があるんだった!」

 

「それなら付き合うよ」

 

ようたに呼ばれて一度部屋から出て待つ事に

 

「連れて来たよ」

 

ようたは連れて来たのは、まだ小さな子犬だった

 

「ウチで預かっている保護犬の『ポチット』だよ!」

 

「ポチじゃなくてポチット?」

 

「眉毛がポチッとしてるから」

 

命名はひなたらしい。単純だが、ひなたらしいネーミング

 

「ひなたちゃん、少し触ってもいい?」

 

「いいよ!でも…」

 

のどかが触ろうとすると、ポチットはひなたの腕から降りて足元に隠れてしまった

 

「ごめん!驚かせちゃった?」

 

「違う違う。この子、アタシ達以外には臆病で…」

 

そんな訳で、ひなたの言う用事を皆んなでお供するのに場所を移動する

 

 

 

 

 

「ありがとね。アタシの用に付き合ってくれて」

 

「ううん、ラテもいつもと違うドッグラン楽しいと思うから」

 

ひなたの用事とは、ポチットをドッグラン会場へ連れて発散させる事だった

 

「でも、ポチット怖がらないかしら?」

 

「大変だと思う。けど、少しずつ色んな事に慣れて欲しいからパパとお兄に相談して決めたんだ」

 

「ひなた、最近は病院のお手伝いしてるんだぜ」

 

「お手伝いって言ってもほんの少しだよ。前は『絶対無理だ〜』って思ってたけど、今はアタシにもできることぎあるかもって思えて」

 

自分の出来る事、やりたい事を手探りで探してる。以前と違ってひなた自身も変わろうとしている

 

「今のひなたちゃん、とっても可愛いわよ」

 

「も、もう揶揄わないでよ!」

 

「ポチットももっと可愛くなろうね」

 

「…」

 

「可愛い」の単語にまたも反応して、アスミの足が止まる

 

「「アスミ?」」

 

それに気付いた蓮花とちゆが同時に声を掛ける

 

「お2人も、ポチットが可愛いですか?」

 

2人は顔を見合わせてから

 

「そうだけど」

 

「えぇ」

 

「可愛い筈なのにわたくしは何も感じません。何故なのでしょう?」

 

「可愛いかどうかは人それぞれだから」

 

「人、それぞれ…。と言う事は、人では無いわたくしは『可愛い』は分からないのですね…」

 

可愛いと言う気持ちを理解出来ないアスミに、ちゆが「人それぞれだから」とフォローしたつもりが逆効果になってしまった

 

先日の様に、アスミの身体が透けるぐらい透明になりつつある

 

「アスミアスミ!ちゆはね、可愛いの捉え方は色々とあるって言ってるだけだから!」

 

「そうですか…?」

 

「そうそう!わたしや蒼咲さんでも、可愛いの捉え方に違いがあるから!」

 

2人で、アスミが消えてしまうのを何とか阻止する

 

 

「あの3人何してんだ?」

 

「さぁね?」

 

「それにしても、蓮花は良くアスミの事を気に掛けてるラビ」

 

「…ッ!」

 

ひなたは、蓮花とアスミのやり取りをジッと見ていた

 

「…」

 

更にその様子を紅牙が観察していた

 

 

 

 

 

////////

 

「「ふわぁ〜!」」

 

ようやく着いたドッグラン会場

 

「ワンちゃんがいっぱいだ〜!ラテ、それじゃあ遊ぼっか!」

 

「ポチットも友達いっぱいいるよ」

 

ラテは元気良く歩き出したが、後ろを振り返るとポチットは未だにゲージの中に縮こまっていた

 

「大丈夫。アタシやニャトランが居るし可愛いお友達いっぱいだよ!」

 

それからは、蓮花達も含めてとにかく動いて遊ぶ。ラテも他の犬と交流を深め、ポチットもちょっとずつ自分から前へ出ようと頑張っていた

 

「かなり写真撮ったな」

 

紅牙は、ラテとポチットとの写真を沢山撮っていた

 

「見せて下さい」

 

ちゆは気になりカメラの画面を覗く

 

「ほらほらポチットや〜」

 

紫苑もポチットに指を出して舐められている

 

「…」

 

蓮花はというと、ひなたとアスミの2人が話してる姿を見ていた

 

「本当に蒼咲さんアスミを見ていますね」

 

「は?」

 

紅牙は蓮花の目の動きをジッと見ていた。その視線の先には

 

「そ、そうなのか?」

 

紅牙から見ると少し違うかったらしい

 

「そろそろわたし達も行きましょう」

 

紅牙とちゆに続いて蓮花達もひなた達の所へ歩き出す

 

「2人共何話してるの?」

 

「それはね紫姉!ポチットとどうやって仲良くなれたか話してたの!」

 

「可愛いじゃなくて?」

 

「それでしたらわたし、可愛いについてずっと考えてたの。『可愛い』って、相手を見ている内に『思わず守りたくなる』。そんな気持ちだと思うの」

 

「なるほど、『可愛い』は先ず興味を持って相手を見る事からなのですね」

 

それを聞いてみていざ実践

 

「失礼致します」

 

早歩きでポチットの目の前まで接近したが、いきなり近寄って来た為か怯えて隠れてしまった

 

「良く見せて貰えません」

 

「うん、まぁ、そりゃそうだろ」

 

「くちゅん!」

 

ラテがくしゃみをした。これはビョーゲンズが現れた合図だ

 

急いで場所を移して声を聴く

 

『近くでトウモロコシさんが泣いてるラテ』

 

「しゃーない。今日も蹂躙してやるぞ!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「「地球をお手当!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「燃え上がれ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

 

 

「紫姉、2人をお願いね」

 

「スパークル達も気を付けて」

 

スパークルは、ラテとポチットを紫苑に預けてメガビョーゲンの対処をする

 

「メガビョーゲンは、わたしとグレースと蒼咲さんで食い止める。その間に、スパークル達は皆んなを安全な場所へ!」

 

暴れるメガビョーゲンに3人は走る

 

「ハァ!ダァ!」

 

「「ハァァ!!」」

 

フォンテーヌがメガビョーゲンの攻撃を受け流し、その隙に蓮花とグレースでメガビョーゲンを攻撃してドッグラン会場から距離を開けさせる

 

「さあ、一緒に逃げましょう」

 

アースは女の子を抱えてると

 

「ワン!」

 

「──!」

 

飼い犬であろう犬が隣で呼び掛ける

 

「一緒に行きましょう」

 

アースは女の子を、ひなたは他の人を抱えながら、紅牙が翠遠の息吹のツタで犬も含めて大人数を安全な所へ避難させていた

 

「氷のエレメント!」

 

「実りのエレメント!」

 

フォンテーヌが動きを封じ、グレースがピンクの光球で穿ち

 

「やれ!不滅の炎!」

 

不滅の炎を振りかざして、炎の竜巻を発生させてメガビョーゲンを焼き焦がす

 

「今の内にキュアスキャンラビ!」

 

「そう簡単にはいかせん!」

 

しかし、グアイワルが現れてメガビョーゲンにメガパーツを付与した

 

「メガビョーゲン!!」

 

「大きくなったペエ!」

 

「それでもやるしかない!」

 

「メ〜ガァァ!」

 

体からトウモロコシの種を撒き散らして攻撃するが単調な攻撃。3人は避けて事を済ますが

 

「メガ!!」

 

強化されたメガビョーゲンの攻撃のバリエーションが増え、頭の根っこでグレースとフォンテーヌを捕まえた

 

「やれメガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは大きく頭を捻り、その勢いで2人を地面に叩き付けるつもりだ

 

「2人共!」

 

蓮花は2人が地面に叩き付けられる直前、受け止めようとするが耐え切れず蓮花も大ダメージを負ってしまう

 

「フッ!」

 

すかさず、アースが手刀でメガビョーゲンの根っこを切り離した

 

「大丈夫!?」

 

「やはり厄介だな」

 

「メガー!!」

 

メガビョーゲンがまたも種を拡散して攻撃する

 

「ハァァ!」

 

「蹂躙してやる!」

 

アースは弾き、紅牙は切り裂く

 

「「タァァ!!」」

 

そしてその背後から、スパークルがシールドを張りながら体当たりする

 

「メガ…!」

 

一度は大勢を崩されたものの、メガビョーゲンはその状態から攻撃大勢に入った

 

「──!?」

 

「ゲン!」

 

攻撃をモロに食らいスパークルも倒れてしまった

 

「どうだプリキュア !」

 

「ぐ、グアイワル。此処は人と動物が皆んなで遊ぶ場所なの。アンタ達はお呼びじゃないっての!」

 

「人間と動物が遊ぶ?下等生物にかまけてくだらん」

 

スパークルの言葉にグアイワルは、外道な言葉で一蹴する

 

「わん!わん!」

 

そんな時、スパークルの前にポチットが身を挺して守ろうとメガビョーゲンの前に出た

 

「ポチット危ないよ!」

 

「おい紫苑!何で世話を出来ない!」

 

「これはポチットが選んだ事よ。それを私は見届ける」

 

「うるさい下等生物だ。やれ」

 

グアイワルは無慈悲にメガビョーゲンに指示を飛ばした

 

「メガビョーゲン」

 

一粒の種がポチットへと飛んで行く

 

「ダメェェェ!!」

 

スパークルは手を伸ばすが届かなかった

 

直撃かと思った誰もが思った

 

「?」

 

しかし、土煙が晴れるとポチットの姿が無かった

 

「下等生物ではありません」

 

「「アース!」」

 

「ポチット!」

 

直撃する瞬間、アースの超スピードでポチットを救ったのだ

 

「彼は人間と共に生き、笑い、互いを思い合っている。その姿はとても…とても抱き締めたくなる姿です」

 

「メガビョーゲン!」

 

「メガ!」

 

アースは飛び上がりメガビョーゲンの攻撃を躱し、受け流し

 

「ハァッ!」

 

吹き飛ばした

 

「「キュアスキャン!」」

 

「実りのエレメントさんだニャ!」

 

「今、助けに参ります」

 

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「お大事に」

 

 

 

「まぁいい、今回はコレを手に入れるのが目的だからな」

 

その手にはメガパーツが大量に持っていた

 

 

 

 

 

////////

 

「ポチット君、新しい家族が決まったんだよね?」

 

「うん、来週迎えに来るんだ」

 

「新しい家族ともきっと仲良くなれるわ」

 

「でも、お別れするのは寂しいですね」

 

「「「「「えっ!?」」」」」

 

「アスミちゃんが寂しいって口にするなんて初めてね」

 

アスミはポチットの前に座り

 

「ポチット、今更ですがわたくしは貴方とお友達になりたいと思っております。人とは違う身ですが、仲良くしてくれませんか?」

 

差し出す手をポチットは舐めて答えてくれた

 

「アスミン、ポチットも仲良くしたいって!」

 

「可愛い…!」

 

アスミの中でも「可愛い」というのが分かり始めた

 

「ひなた不思議ですね。わたくしの中で、可愛いがドンドン膨らんでいきます」

 

「『可愛い』に限界は無いんだよ!」

 

頬擦りするアスミを紅牙は1枚

 

「いい笑顔だ」

 

写真を撮った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

またひとつ、アスミの中で新しい感情が芽生えた




次回はいつものNG!

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク9 「オレってば全然NG出してない!スゲェ!」

ドリームステージ観に行きました!

ではスタート!


第35話 「知識を教えよう♥奪われる初めて」より

 

紅牙がネタ問題を出題する場面シーンから

 

 

 

 

 

「19800のビデオデッキが2割引!ボーナス一括払いで5%OFF!!今ならポイント還元が13%付いて…さて、いくら!?」

 

「6割引だったし…」

 

「「夏休みだよ!新ファ──」」

 

「2人共駄目だよ」

 

「「は〜い」」

 

意外にものどかが注意をした

 

しかし

 

「3年F組!」

 

「「DJ先生!」」

 

「次、次、次の問題は〜紫、紫、紫苑さん♪」

 

「3xです!」

 

「チキチキチキチッチ〜チキチキ、違います」

 

「傷付くわ…」

 

「もう蓮花さんまで!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第36話 「目覚めろその魂♥揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)降臨!」より

 

真剣覚醒するシーンから

 

 

 

 

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!燃え上がれ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

最後の魔剣を喚び出す

 

「吹き抜け…ちょ、翠遠の、あのもう持てない!!」

 

3本の魔剣を抱えて真剣覚醒しようとするも、魔剣が脇から落ちる落ちる

 

「蓮花落ちてるよ。はいはい、拾って拾って」

 

「持てないよ。1本くらい持ってよ」

 

「2人共、漫才してる場合ではないですよ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第37話 「これが好き♥ラテが大好きなアスミ」より

 

撮影の裏側から

 

 

 

 

 

「好きと言えば、花占いもあるんだよ」

 

「花占いですか?」

 

のどかは花を一輪摘み取り

 

「こんな感じに花弁をちぎりながら、好き、嫌い、好き、嫌いって言うの」

 

「え…花が可哀想です…」

 

「あ゛っ!」

 

アスミはパラパラと落ちる花弁を見て哀しんでいた

 

「あ、ああアスミちゃん!他の!他の場所に行こう!」

 

 

 

 

 

////////

 

第38話 「秀才達の遊戯♥逆さ喋り対決!」より

 

撮影後の話から

 

 

 

 

 

「それにしても3人は本当に頭が良いペエ」

 

「どうだ!この類稀なる才能の塊!」

 

「最初に負けた人の才能なんてたかが知れてるわ!」

 

「何で俺ってこんなにも弄られるんだろう…」

 

「しょうがないよ!紅兄はそういうキャラだから!」

 

ひなたがフォローしたが、それはしたとはとても言えない。寧ろ、遠回しに「弄られキャラ」と言っている様なもんだ

 

 

 

 

 

////////

 

第39話 「これが可愛い?♥可愛いは正義です!」より

 

ポチットが紫苑の指を舐めるシーンから

 

 

 

 

 

「ほらほらポチットや〜」

 

「わふ!」

 

ポチットは紫苑の指を噛んだ

 

「「ポチット!?」」

 

「ぽ、ポチット離して貰える?」

 

しかし、離すどころか深く噛み付く

 

「痛い!痛い!!痛い!!!」

 

「ポチット駄目だよ!」

 

のどかは引き離そうとするもポチットは離さない

 

「のどかちゃん痛いよ!!の゛と゛か゛ち゛ゃ゛ん゛!!!!」

 

やっと離してくれたと思ったけど、もう手遅れ。噛まれた指はお見せ出来ない状態だった

 

「痛いよ…痛いよぉ……」

 

紫苑は泣きながら指を押さえていた




ちょっと最後のくだりがツボです

ここまでの拝読ありがとうございました


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第40話 夢中になったその気持ち♥アタシが求めるモノ

ヒロインらしいヒロイン

ではスタート


「……痒いな」

 

蓮花は勉強中に、耳の痒みを訴え始める

 

「耳垢でも溜まってるのか?」

 

そう言って蓮花は、耳掻きと綿棒にテッシュと取り出す

 

「蓮兄これから耳掻きするの?」

 

「うん、痒いからね」

 

「へぇ〜」

 

「……」

 

「……」

 

耳をほじろうとする手を止めて、ゆっくりと声のする方へ振り向く

 

「いや何で!?」

 

「へ?何が?」

 

「怖いよ。ナチュラルにひなたが隣に居る事がとても怖い」

 

声の主はひなただった。最近、ひなたが蓮花の家に居る事が当たり前になって来た

 

「今日はどうしたの?紅牙と紫苑は2人で出掛けて居ないよ」

 

「暇だったから!」

 

「来るのはいいけど、毎回暇で来られたら溜まったもんじゃないよ…」

 

そんな事を言いつつも、結局はひなたを家に招き入れる

 

「折角だから、ひなた耳掻きされてみない?」

 

「いいの!?」

 

「いいよ。ほら、こっちへおいで」

 

蓮花は膝枕を作り、ひなたは頭を寝かせる

 

「ジッとしててね〜…」

 

「ふわぁ…気持ち良い〜…」

 

優しくほじくりられる事で、ひなたは快感を覚える

 

「あぁ〜そこそこ〜…」

 

「何か普通に綺麗だね。最近掃除したの?」

 

「ううん、2ヶ月…は放置してたかも」

 

「…次は綿棒挿れるよ」

 

「く、擽ったい…!」

 

「はいはい動かない」

 

ひなたの頭をガッチリと固定して動かさない様にする。そして次は反対側の耳

 

ひなたは大勢を変える。方向的に、ひなたの目の前は今蓮花の腰が見える

 

「うわヤバ!蓮兄めっちゃ良い匂いする!」

 

ひなたは、蓮花の腰に顔を疼くめる

 

「わわわわー!」

 

「コラひなた!」

 

わちゃわちゃをしながらも、ひなたの耳掃除は終わった

 

「次はアタシがやる!」

 

「自分で出来るから別にしなくても…」

 

「いいから横になってよ!」

 

半端無理矢理ひなたに寝かせられて、耳掻きをやられる事に

 

「え〜とっ……人にやるの初めてだからどうしよっか…」

 

「ひなた今何言った?」

 

「べ、別に何も!」

 

気を取り直して、いざ耳掻きを挿れる

 

「ん〜?良く見えない…」

 

「ひなた耳引っ張っり過ぎ!」

 

よく見ようとして、耳たぶを引っ張り過ぎて蓮花が痛がってしまった

 

「ごめんごめん!……こんな感じかな…えい!」

 

「うっ!?」

 

今度は勢い良く挿れてしまった

 

「やっぱり自分で…」

 

「ダメダメ!!」

 

なんやかんや格闘しながらも、途中からコツを掴んだらしく上手くなってきた

 

次第に、蓮花は気持ち良くなりウトウト眠り始めた

 

「蓮兄?…寝ちゃったんだ」

 

ひなたは蓮花の頬を優しく撫でて、1人喋り出す

 

「ねぇ蓮兄、アタシさぁ蓮兄とアスミンが話してる所を見るとムッとするの」

 

そう語り掛けるも、当の本人は寝ていてひなたには気付いていない

 

「アタシ前言ってたじゃん。何やっても全然長続きはしないし無理だって。でもそんなアタシでも、特別で夢中になれるものを見つけたよ」

 

ひなたはだんだんと蓮花の顔を覗き始める

 

「アタシ蓮兄の事大好きなんだよ。のどかっち、ちゆちー達と違う大好き。蓮兄だけの…特別な大好き。だから……」

 

ひなたはゆっくり蓮花の顔に近付き、口と口が重なる1cm

 

 

 

 

 

 

「今帰ったぞ〜」

 

「あらひなたちゃん?何してるの?」

 

紅牙達が帰って来た。すぐさまひなたは、顔を上げて何食わぬ表情で接する

 

「耳掻き!途中で蓮兄は寝ちゃったけど…」

 

「ほら蓮花起きなさい。ひなたちゃん困ってるわよ」

 

「…うぇ?何……あ゛ごめんひなた」

 

「ううん」

 

「ひなた、ついでだから何か菓子でも食ってけ」

 

結局、何も起きる事は無く終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(アタシって嫌な子…)




ひなたは可愛い!!!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第41話 最強絶剣覚醒♥天衣無縫の善なる天威(ヴァルベギオン)

現状、気持ち的にシンドイもあり雑なカットが多いです…




今日は久し振りにのどかの家にお邪魔している

 

「おおらか市に行ってみない?」

 

そう紫苑が提案した

 

「実はね、アスミちゃんが好きそうな場所を見つけたのよ」

 

「おおらか市って確か…電車で2時間以上掛かる場所ですね」

 

「そう!この前、大学の帰りに綺麗な湖があるって聞いたのよ」

 

「そういえば、紫苑が通ってる大学って丁度おおらか市だったね」

 

紫苑はアスミにその湖の雑誌の記事を見せる

 

「どうかな?」

 

「はい、言ってみたいです」

 

一目でアスミは気に入ってくれた。

そして、今度の日曜にお弁当を持ってその湖へハイキングする事に決まった

 

 

 

 

 

////////

 

「めっちゃ気持ち良い〜〜!!」

 

そんな訳で湖にやって来た。目の前に広がる広大な湖、そして周りは緑豊かな場所

 

来て早々に皆んなはしゃいでは遊び、遊んだ後は自分達が作って来たお弁当を交換したりと食べる

 

一度皆んな落ち着き、それぞれリラックスする。その中で、アスミは風で揺れる木々の音を聞いていた

 

「アスミちゃん、もしかして何か聞こえる?」

 

そんなアスミに紫苑は気になって声を掛ける

 

「いえ、想いが伝わってくるのです」

 

「想い?」

 

「自然の想いがわたくしに伝わって来ます」

 

「そういうの羨ましいわ。アスミちゃんはあまり知らないと思うけど、私は今まで蓮花達に酷い事をした悪人。そんな悪人には自然の声はおろか想いなんて…」

 

「そんな事はありません」

 

俯く紫苑にアスミはその言葉を否定する。紫苑は驚いた表情で顔を上げた

 

「紫苑は悪人ではありません。ちゃんと良い心を持った善人です」

 

「…意外ね。でもまぁ……ありがとうね」

 

その時、林の中から小鳥の鳴き声が聴こえた

 

鳴き声が聞こえる林の中へ歩くと、やっぱり小鳥が道の真ん中で座っていた

 

「巣から落ちたのかしら?戻してあげないと」

 

紫苑は小鳥を抱いて巣に戻そうと手を伸ばした時

 

「駄目!触っちゃ駄目よ」

 

女性がこちらに歩いて来ながら、それを駄目と注意した

 

「この子は多分巣立ちの時なんだよ。まだ上手く飛べないだけ」

 

「どうしたの?」

 

「何やってるんだ?」

 

そこへ、ちゆと紅牙が聞き付けて来て、後から蓮花達もやって来た

 

「親鳥が近くで見てるかも知れない。人間が勝手に連れて行っては駄目よ」

 

「そうすると親鳥は何処へ?何故助けに来ないのかしら?」

 

「わたくし達が居ると親鳥も近付けません」

 

「そう、人が近くに居る事自体野生の雛にとっては大きなストレスなの」

 

その女性は、その雛鳥を道から外した所に丁寧に置く

 

「すぐにここから離れましょう」

 

「はい。あの…貴女は?」

 

「私は『樹 サクヤ』。おおらか市で樹木医をやってるの」

 

樹木医は樹を専門とした医者だ。サクヤは、紫苑と話ながらも樹の診断をして作業を進める

 

「サクヤさんは凄いですね」

 

「そんな大袈裟よ」

 

その時、風が木々を靡かせる。サクヤは、その靡く音を聴きいる

 

「樹が話してる」

 

「風が吹いただけでしょう?」

 

「そう。でも話してるよ。樹がお互いに『元気?』って掛け合ってる。風って、自然の想いを届ける力を持ってるんじゃないかな……な〜んて、私の思い込みだけとね」

 

「そんな事ありません。サクヤさんは本当に自然の想いが分かる。いえ、分かろうとしてる。此処の自然が素敵なのは、きっとサクヤさんが居るからです。わたくしも此処が大好きです」

 

 

 

 

 

////////

 

「くちゅん!」

 

後日、展望台で集まっているとラテがくしゃみをした

 

『この前遊んだおっきなお水さんが泣いてるラテ…』

 

「それっておおらか市の湖?」

 

「大変!大変!」

 

その場に居なかった、蓮花とひなたが慌ててやって来た

 

「皆んなこれを観てくれ」

 

2人がスマホであるニュースを観せる。そのニュースには、おおらか市上空で怪物が飛び回り湖の方へ飛んで行ってる内容だった。

そして観てる途中で、サクヤと思わしき人物が湖の方へ走って行く姿を見かけた

 

「抜剣して、皆んなを連れて行ったとしても最低でも1時間は掛かる」

 

「電車よりマシだ!俺達で連れて行くぞ!」

 

蓮花と紅牙は喚び出そうと準備をするが、アスミは目を閉じて何かをしようとしていた

 

「アスミちゃん?」

 

紫苑はアスミに近付こうとすると、アスミを中心に竜巻の様な風が発生する。

その風は天へと舞い起こり、おおらか市の湖が見えた

 

「あれを通れば湖に行けます。行きましょう地球のお手当てに!」

 

輪になって手を繋ぐと、吸い込まれるように風で舞い上がり潜った

 

 

 

 

 

「着いた!」

 

「何だお前達?」

 

気絶するサクヤの前に、大きな鳥のビョーゲンズが現れた

 

「貴方こそ誰なの!」

 

「オイラは『ネブソック』って言うんだぞ!」

 

バテテモーダに続いて新たなビョーゲンズ

 

「サクヤさんが守ってる自然を……許せません!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「「地球をお手当!」」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

 

 

「またお前達か」

 

「ダルイゼン!」

 

「兄ちゃ〜ん!こいつら何だ?」

 

「いっつも兄ちゃんの邪魔をするんだ」

 

「えっ?」

 

紫苑はダルイゼンとネブソックを見比べる

 

「腹違い?」

 

「違う」

 

「兄ちゃん!こいつら倒したら褒めてくれる?」

 

ダルイゼンは「まあ褒めてやる」みたいな態度を取ると、ネブソックのテンションが上がり突風を巻き起こしながら突撃して来た

 

「ガハハハ!」

 

「「「キャア!?」」」

 

「弱ぇ〜楽勝!」

 

グレース達を吹き飛ばした事に調子付き今度はアースへ向かう

 

「ガハハ!」

 

「フッ!」

 

無闇に突進するネブソックを、アースはたった一蹴りでカウンターした

 

「言う程大した事無いじゃん。いや、アイツが強いのか」

 

ネブソックの実力は生半可ものではない。アースが強過ぎるだけ。ダルイゼンも薄々気付き始めてる

 

「何だよお前!」

 

今度は翼でを大きく広げて鋭い羽を連続で速射させる

 

「「やらせるかぁぁ!!」」

 

蓮花はアースを結界で守り、紅牙はツタでグレース達を攻撃から身を防ぐが、ネブソックの攻撃は辺り構わずの為流れ弾が木を薙ぎ倒して、それが紫苑とサクヤへ倒れようとする

 

「危ない!」

 

アースは2人を突き飛ばして代わりに木の下敷きになってしまった

 

「アース!」

 

「早く逃げて下さい!」

 

「だけどアースが!」

 

紫苑は木を退かそうと持ち上げようとするが、魔剣を持たない彼女は只の一般人。到底持ち上げるなんて不可能

 

「そこを動くなよ!」

 

ネブソックが追撃に仕掛けて来る

 

「──ッ!」

 

紫苑はアースを覆い被さるように庇い、背中に幾つもの羽が突き刺さる

 

「がはっ…!」

 

紫苑は吐血し、その場に崩れ落ちる

 

「何故庇うのです?」

 

「嬉しかった…の。こんな私を善と呼んでくれるアースに。だから、ね……今の私に出来る事をしようと思うのよ」

 

紫苑の身体が淡く輝きだす

 

「これが私が選んだ運命。私はもっと皆んなと一緒に!!」

 

輝きは増して空色のオーラが紫苑を包み込む

 

「人は変われる!例え間違った道を進んでも、それを戻せる力がある!この力で……善の力で全てを救い、切り開いてみせる!!」

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「包み込め!善なる天威──ヴァルベギオン!」

 

 

 

空色の両刃剣が紫苑の手の中に。そして剣の側面には、誰も見た事の無い文字で言葉が彫られてある。しかし紫苑だけはその文字が読める

 

悪なき精神で断ち切れ──と

 

「何だこの力は?」

 

「この力は絶剣。抜剣者を超える抜剣者。私が絶剣者よ!!」

 

絶剣者──抜剣者の頂点にして極致の覚醒。絶剣者の精神そのものが剣となり力となる。

抜剣者の精神が極限にまで高まった瞬間、絶剣の領域に入れる

 

絶剣覚醒は、抜剣覚醒と違い容姿は髪色と瞳の色しか変わらない

 

「ここは私に任せて」

 

瞬間、紫苑の姿消える

 

「ぐぺっ!?」

 

そして空中に居たネブソックの腹に重たい拳が突き刺さる

 

「楽勝ね」

 

「こんの〜!!」

 

だが強くても空中では身動きが出来ない

 

「隙あり!!」

 

チャンスと見て、ネブソックは鋭い足の爪で攻撃するが

 

「ありゃ!?」

 

攻撃は空を切り裂く

 

「こっちよ」

 

「ッ!」

 

「こっちこっち」

 

「ッ!!?」

 

「何処見てるのよ?」

 

声のする方向へ目を向けるが紫苑の姿が見当たらない

 

そして気付いたら真上に陣取っていた

 

紫苑は善なる天威の力で、超高速移動を可能とし空中浮遊を披露していた

 

「ハッ!」

 

剣で切りつけて湖へ沈ませる

 

「アース行けるかしら?」

 

「はい!」

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「天威絢爛!」

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

紫苑の超高速剣舞でネブソックを切り捨て、最後にアースが止めの浄化でネブソックを倒した

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

////////

 

サクヤも気が付いて無事お手当てが終わった

 

「それにしてもさっきの凄かったな〜」

 

「前に俺達に話してた絶剣者になった…のでいいのかな?」

 

「私もあまり実感は無いけど恐らくそうよ」

 

「空をビュンビュン飛んでドカーンだもんな!」

 

横ではしゃぐニャトランを見て、絶剣者になり得た理由を考える

 

「私の善の心に反応して、その領域に入れたと推測してる」

 

「俺にもあの力がある可能性があるのか…」

 

「まぁこの話は一先ず置いとくとして、アスミ帰りもお願いラビ!」

 

ラビリンはおおらか市に来たトンネルで帰ろうと提案したが

 

「えっ?」

 

「ほら、ここまで来たトンネル!」

 

「あぁ…出来ません。アレは、とても力を使うので続けては出来ないのです」

 

「「「えぇ!?」」」

 

「て事は電車で帰るの!?」

 

「今日俺お金持って来てないよ!」

 

「仕方ないわね。私達がおぶって帰るしか手はないわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局蓮花達が抜剣して、のどか達を抱えて1時間掛けてすこやか市に帰ったとさ




モチベが下がってるとはいえ、書かないと次の話に進まないので何とか頑張って書く

紫苑の覚醒回をサクッと終わらせる。一応彼女の最終と言うか最強みたいな形態です。

善なる天威の能力は2つ
超高速移動と空中浮遊の2つです

勿論、身体的なスペックも抜剣と比べて倍以上となっています

次はちゃんと書けるようにします


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第42話 大切な人と一緒に♥思い出紡ぐこの日

まぁ、こんなもんでしょう

ではスタート!


「皆んな良く聞いて欲しいの」

 

ちゆの家に突然呼ばれた女性陣達。

ちゆの表情がいつも以上に真剣だ。かなり深い事情があるに違いないと感じる

 

「わたし、鬼麿さんに…こ、告白しようと思うの」

 

「紅牙が何かやらかしたのね!!」

 

キラキラとした瞳で紫苑は興奮する

 

「天道さん告白(・・)ですよ!告発(・・)じゃないですよ!?」

 

「冗談よ。でも告白なんてパパっとすれば良いんじゃないの?」

 

「そうだよちゆちー」

 

このお調子者2人は、事の重要性を分かっていない

 

「何か気になる事があるの?」

 

「えぇ。わたし、鬼麿さんに色々とやらかしてる自覚はあるの。それで…」

 

「ちゆは好きだけど、紅牙は嫌いかも知れない。と言う事でしょうか?」

 

「正にそれよ」

 

ちゆは、この一方的な気持ちに不安を抱いていた。こちらが好きでも、相手はどう思っているのか。そのせいで告白に踏み込めないでいた

 

「大丈夫だよ。ちゆちゃんならきっと上手く行くよ!」

 

「のどか…!」

 

「それじゃあ女性陣で願でも掛けましょうか!」

 

 

 

 

 

////////

 

「お前らを呼んだのは他でもない」

 

今度は紅牙が、蓮花の家にちゆ以外の皆んなを呼び集めた

 

「俺…ちゆ事が好きみたいなんだ…」

 

((この人もか…))

 

のどかと紫苑は全く同じ事を考えていた

 

「それはめでたい事だね。でも何で俺達を呼んだんだ?」

 

「俺、自分の性格を良く知ってるつもりだ。今まではふざけて接していたが、ちゆはそれを嫌がって俺の事を嫌っていると考えてるんだ…」

 

紅牙の悩みは殆どちゆと同じ内容だった

 

「大丈夫だって!だって、ちゆちーも紅兄の事が…ふがっ!?」

 

ひなたが全て話す前に紫苑が口を閉じさせた

 

「ひなたちゃん駄目よ。こういうのは知らない方が後々盛り上がるものなの」

 

「そうなのですか?」

 

「アスミちゃんも丁度良いわ。この機に恋愛について知るのも悪くないわ」

 

紫苑はひなたから手を離して紅牙へと向き直る

 

「ところで紅牙、貴方は人に頼るのはいいけど何か自分で考えたの?」

 

「ああ!告白すると同時にプレゼントする!王道だがこれが1番の筈だ」

 

「まあ確かに。それでそのプレゼントの内容は?」

 

「結婚前提での指輪だ!」

 

その瞬間、紅牙の頭にハリセンが叩き込まれた

 

「貴方は馬鹿なの?そんなに性犯罪者になりたいの?あぁそうか、紅牙は元から馬鹿だったわね。これは失礼」

 

「何想像してんだ!?」

 

「アスミちゃん覚えといて。男は皆獣よ。きっと、ちゆちゃんに襲い掛かってアレやコレやとして食べちゃう……じゅるり」

 

「テメェの方がよっぽどド変態じゃねぇか!!

 

「何よ!ちゆちゃんがアンアンと喘いで、トロンとした表情をして『欲しいよ…』て言って、快楽に溺れ堕ちるちゆちゃんの事何て全然想像してないもん!」

 

流石に今の発言には紅牙も引いてしまった

 

「と、とにかく!なら──」

 

 

 

 

「というのはどうだ?」

 

「紅牙も結構ロマンチストラビ」

 

「なら決まりだな」

 

「わたし応援しています!頑張って下さい!」

 

 

 

 

 

////////

 

紅牙はちゆを海が見える浜辺へ呼び出した

 

「ここで会ったが100年目」

 

「100年って、少し前に会ったばかりですよ…」

 

自分の緊張をほぐす為にわざとその様な事を言ったのだが、ちゆがバッサリと切り捨てた

 

「き、今日はお前に言いたい事があって呼んだ」

 

「…わたしもです。とても大切な」

 

いつまでも立つのも悪いと思い、2人は一緒にその場に座り込んだ

 

しかし

 

「「……」」

 

((どう切り出そう…))

 

お互いが、話すタイミングを見計らって黙りの状態が続く

 

(鬼麿さん中々話さない。なら今が良いわね)

 

(何ビビってんだ俺!何か喋れ!言うぞ。3、2、1の合図で言うぞ。行くぞ!)

 

「「おい(あの)」」

 

((あっ…))

 

失敗した。同じタイミングで、話し掛けたせいでまた黙ってしまう

 

((被ってしまった…))

 

「お、おいちゆ」

 

「はい」

 

(言え!言え!!言え!!!)

「さっき何を言おうとしたんだ?先に言えよ」

 

思っていた言葉と全く違う事を言ってしまった。それどころか、ちゆに譲ってしまった

 

(オイオイオイ!チキンなのか?あぁ?俺はチキン南蛮なのかニャ?蹂躙すっぞゴラァ!!)

 

弱気な自分に苛立ち責め立てる

 

紅牙は色恋沙汰に関しては無力という事が判明した

 

「…あれから半年近く経ちましたね」

 

「あ、あぁ。確かにな」

 

「初めて会った時はお互い敵同士。嫌な人と感じていました」

 

「だろうな」

 

「でも、わたし達と一緒に戦うようになってからは印象が変わった」

 

ちゆは、これまでの紅牙の姿を思い浮かべる

 

少女漫画好きな彼、意外と優しい彼、一緒に居れば楽しい彼。そんな一面を沢山見て来た

 

「本当は誰よりも優しく、気遣う鬼麿さんの事が……好きになりました」

 

「そうか………そうか!?」

 

少し間を置いて驚く

 

「待て待て待て!!?」

 

「駄目…ですか?」

 

ちゆは三角座りに座り直したと思ったら、そこから上目遣いでそう聞いて来た

 

「だあぁぁぁ!!先越されたぁぁぁぁ!!」

 

「え?先越されたって…」

 

「俺も!俺、その話をする為にお前を呼んだんだ…」

 

「という事は………ッ///」

 

紅牙の言葉の意味を理解したちゆは、顔から火が出た

 

「コレ」

 

紅牙はちゆに縦長の長方形の箱を渡した

 

「開けても良いですか?」

 

「どうぞ」

 

箱の中身は金色のロケットが入ってあった

 

「綺麗…!」

 

ちゆはロケットを開けると

 

「?」

 

普通なら写真が入れられてるが、紅牙が渡したロケットの中身は何も入っていなかった

 

「あの…」

 

「思い出はこれから作っていけば良い。それだけの事だ」

 

何も無いロケットの中身。それは、これから2人で一緒に思い出を作って行こうと言うメッセージだった

 

「それともう一つ。左手を出してくれ」

 

紅牙はちゆの左手を取り、薬指に絆創膏を巻いた

 

「今は絆創膏だが……いつかちゃんとした物をやる」

 

「鬼麿さん、これプロポーズですよ」

 

「俺の告白だが告白ではない。プロポーズだ!」

 

「フフッ!」

 

ドヤ顔をした紅牙にちゆは笑みを溢す

 

そしてそっと紅牙の手を、指を絡ませる

 

「これからもずっと宜しくお願いします///」

 

「これから、どんな事が合ってもお前を守る。お前は俺の希望だからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、ちゆはいつになったら俺の事を名前で呼ぶんだ?」

 

「どうでしょう」

 

「何だよそれ」




この2人は早い段階でくっ付ける予定でした。
蓮花のヒロインが決まったら、紅牙のヒロインも自動的に決まる

結構サラッとした内容でしたけど、2人の性格を考えればこれくらいが丁度良いと感じました

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第43話 獅子奮闘の紅牙♥ペギタンを見つけ出せ!

手抜きでは無い!断じて手抜きでは無い!!

ではスタート


「〜♪」

 

只今お買い物から帰って来て、気分が上がっている紅牙

 

「プリンの素が安売りしててラッキーだぜ。ちゆ達も誘ってパーリーとシャレこも……何だ?」

 

歩く正面、ちゆがペギタンの名前を叫びながら歩いているのを見つけた

 

「ちゆじゃねえか。どうしたんだ?」

 

「鬼麿さん!……実はですね──」

 

ちゆの説明によると、お昼までは一緒に部屋に居たものの目を離してる隙に何処かへ出て行ったきり帰って来てない

 

「なるほどな、それでずっと探してるのか…。皆んなにも声を掛けて探そう」

 

紅牙はスマホで全員を呼び出して、事情を説明してペギタンを捜索するよう頼んだ

 

 

 

しかし、捜しても捜してもペギタンは見つからなかった。気付けばもう夕暮れ時

 

「ちゆちゃん…」

 

「全然居ない!」

 

「ったく、パートナーに心配掛けて何やってんだペギタンの奴」

 

「ううん、悪いのはわたしよ…」

 

居なくなった原因は聞かされてないが、様子を見る限りちゆに非があると言える

 

「只今戻りました」

 

何か手掛かりを掴んでアスミとラテが捜索から戻って来た。アスミは、ラテの嗅覚を頼りにペギタンの匂いを嗅いで足跡を辿っていた

 

「進展はあったかしら?」

 

「はい、ですが……」

 

アスミはとある公園へ案内した。改めてラテに匂いを嗅いで貰う

 

『ここで匂いが無くなってるラテ。きっと誰かに連れて行かれちゃったラテ』

 

最後に居たと思われるベンチで匂いが途切れていた

 

「……」

 

浮かない表情するちゆを見て紅牙は

 

「ちゆ心配するな。俺がペギタンを見つけてやる」

 

「俺達も…と言いたいが明日は学校があるしな」

 

「大丈夫だ。俺が学校を休んで捜し続ける。ペギタンを見つけるまでは家には帰らないからな!」

 

そう言って紅牙は走り出した

 

「しょうがない子ね。でも、今は紅牙に甘えて私達は帰りましょう。もう暗くなるから」

 

紫苑に言われて全員帰宅する

 

 

 

 

 

捜し続けて数時間が経過した。時計の針は深夜の2時を回っていた

 

何も食べず、1度も休憩などせず、泥まみれになりながらも草木をかき分けてペギタンを必死に捜していた

 

「ペギタン何処に居るんだ?ちゆやラビリン達が心配してるぞ」

 

住民は寝静まっている為、大声で叫ばず小声でペギタンを呼ぶ

 

「このままじゃ埒が明かない。奥の手を使うか」

 

紅牙は先ず抜剣し聴診器を取り出す

 

「エレメント起きてるか?」

 

『はい、どうされましたか?』

 

「このヒーリングアニマルを見なかったか?」

 

『いえ』

 

「分かった。すまないな」

 

紅牙は至る所に居るエレメントから情報を集め始める。そして、聴きながら夜の町を飛び回った

 

 

 

 

 

////////

 

朝となりお昼となり、とうとう学生達が帰り始める時間になった。紅牙は寝る間も惜しんで捜索した結果

 

「見つけた!」

 

とうとうペギタンを発見した。急いで学校に居る蓮花に連絡して集めさせる

 

ペギタンを連れて行ったのは小さい少女だった

 

「鬼麿さん!」

 

「こっちだ!」

 

思いのほか来るのが速かった

 

「うげぇどうしたのそのクマ!?」

 

ひなたは、紅牙の目の下のクマに驚いた

 

「それよりもあっちだ!ペギタンは公園に居る」

 

ちゆは、それを聞いて公園に走り出した

 

「ペギタン?」

 

「元居た場所に戻って来ましたね」

 

「てゆうか、こんなチビっこが犯人?もう、最近若者は〜」

 

「わたし達も若者なんじゃ…」

 

ちゆはペギタンが見つかって安堵の涙を流す

 

「本当の飼い主さん…!?」

 

女の子は飼い主であるちゆが現れて動揺していた

 

「ペエー!エェ!?」

 

ペギタンもちゆが来てくれて飛び付こうとするが、それを女の子が阻止してまた連れてどっか逃走した

 

「待って!!」

 

「また鬼ごっこか!!!」

 

紅牙は溜まりに溜まったストレスが解放し、それに反応してか翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)が頭の上をクルクルと荒ぶり回り、地面からツタが何本も生えてお互いにペチペチ叩いていた

 

「「うわ〜…」」

 

「相当溜まっていたのね…」

 

のどかとひなたは何も言えず、紫苑は同情するしか無かった

 

「くちゅん!」

 

「ビョーゲンズ!?」

 

タイミングも悪くビョーゲンズまで現れた

 

「紅牙、貴方はちゆちゃんと一緒にペギタンを追い掛けて」

 

「ビョーゲンズは何とかするラビ!」

 

「ペギタンを頼んだぜ!」

 

「分かったわ!」

 

「今度は逃がさなねぇ!!」

 

ちゆと紅牙は猛ダッシュで女の子を追い掛ける

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

「クソ!見失った!」

 

女の子は2人を突き離した。また一から出直しとなってしまう

 

「ペギタン…うぅ……」

 

「泣くなちゆ!」

 

紅牙は強引にちゆの顔を上げさせる

 

「絶対見つかるから!な?」

 

「鬼麿さん…」

 

「ほら立てよ……あ」

 

偶然上を見上げると、ペギタンがこちらに飛んで来るのが見えた

 

「ちゆ〜〜!!」

 

「ペギタン!」

 

やっとちゆの元にペギタンが帰って来た

 

「急がなくちゃペエ!」

 

「えぇ!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹!」

 

 

 

 

 

////////

 

一方で蓮花達は、神社に出現したメガビョーゲン相手に手間取っていた

 

「鬱陶しいわね!」

 

「避けてるだけじゃ駄目ラビ!」

 

「オーホッホッ!やっぱり5人じゃ無理だったわね!」

 

「これで6人よ!」

 

その言葉と同時に、メガビョーゲンの頭にフォンテーヌの膝蹴りが降り掛かる

 

「プラス7人!これで全員集合だ!」

 

茂みの奥から紅牙も出て来て合流した。

翠遠の息吹のツタでメガビョーゲンを締め上げて苦しめる

 

「ストレス発散で蹂躙してやる!!」

 

締め上げた状態で、メガビョーゲンを何度も地面に叩きつけ弱らせる

 

「今だフォンテーヌ!」

 

『キュン』

 

「「キュアスキャン!」」

 

「宝石のエレメントさんペエ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングストリーム!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

////////

 

「終わった〜〜!!」

 

浄化し終えた直後、紅牙は疲れ果ててその場に倒れて眠り始めた

 

「流石に今回はお疲れのようね」

 

フォンテーヌは膝枕をし、紅牙を優しく寝かせる

 

「紅牙にも迷惑を掛けてしまったペエ」

 

「それは良いとして…今の紅牙汚いわよ」

 

「はは、そうですね。でも今はゆっくりさせていたいんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、ちゆに色々とお礼の意味も込めてお世話になる紅牙だった




捜索隊の方に焦点当ててたら、内容が薄くなってしもうた。
更に最近では、紅牙の方が主人公してるなと感じて来た

ここまでの拝読ありがとうございました


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第44話 入れ替わっちゃった♥プリキュアと抜剣者達!

去年もやりましたけど、こういうネタは面白い…筈!

ではスタート!


「おいどうすんだよこれ…」

 

「これは参ったね…」

 

蓮花達は非常に困っていた

 

「ねぇペギタン、どうにかならないものかしら?」

 

「こればっかりはどうにも出来ないペエ…」

 

「まさかこうなるとは──

 

 

 

 

身体が入れ替わるなんて」

 

 

 

 

 

「全くラビ!何をどうしたらそうなるラビ!!」

 

蓮花はひなたと、紅牙はちゆと、紫苑はのどかと入れ替わっているのだ。

何が原因かは各々知っている

 

「まさか、おしくらまんじゅうの衝撃で…困ったもんね!」

 

「呑気に言ってる場合じゃないラビ!」

 

「ラビリンの言う通りこれからどうすれば…」

 

「一度各自帰ろう。もう夕方だ」

 

「おい待て!それって…」

 

 

 

 

 

入れ替わった事は仕方ないので、蓮花、紅牙、紫苑はそれぞれ入れ替わった方の自宅へと帰った

 

「お邪魔しま〜す」

 

「紫苑…じゃなくてのどか、ただいまの間違いラビ!」

 

「そっか!てへペロ!」

 

「紫苑、のどかは普段その様な事はしないですよ」

 

紫苑の方は、ラビリンとアスミとラテの監視の下で少しの間過ごす事に

 

「お帰りのどか」

 

「ただいまお母様」

 

「え?急にどうしちゃったの?」

 

言った側からすぐにこれだ。突然の事でやすこは困惑していた

 

「え、あ……じ、冗談だよお母さん!」

 

「そうなの?もうビックリしたわ」

 

(何とか上手く誤魔化せたラビ。けど…)

 

紫苑はのどかの部屋に入ると、ラビリンの怒号を聞かされる

 

「もう!一体何考えてるラビ!次はこうはいかないラビ!」

 

「私の口はどれだけ秘密を隠し通せるかしらねぇ〜」

 

紫苑…と言うよりのどかは意地悪そうな顔をしていた

 

「あ〜!何かが喉から出ようとしているわ〜!」

 

 

 

 

 

「ペギタン、ちゆは普段どんな感じに過ごしてるんだ?」

 

ちゆと入れ替わった紅牙は、部屋に入って考えていた

 

「普通ペエ。家のお手伝いもそうだけど、勉強もしていたペエ」

 

「勉強か…」

 

紅牙は、通学鞄の中を拝借しノートを手に取る

 

「俺に自主勉は不必要だが、ちゆには必要だよな」

 

紅牙はノートに書き込み始める

 

「何書いてるペエ?」

 

「今勉強してる所、俺が分かりやすく整理してる」

 

紅牙はその夜、付箋やら色ペンを使ってノートを綺麗にまとめ上げる

 

 

 

 

 

「ひなた、今日はよく食べるな…」

 

「そ、そう?」

 

ひなた…ではなく蓮花は、ようたとめいと兄弟だけで夕食を食べていた

 

「お前確か、最近お菓子を食べ過ぎたからダイエットしてるって言わなかったか?」

 

「そう言えばそうね。おかわりもしたけどもういいの?」

 

知らなかった。まさか、この年頃でダイエットをしてるとは思いも寄らなかった

 

(どうしようか…。この時期の子供は食べて育つのに…)

 

蓮花は茶碗片手に考えた結果

 

「き、今日だけ…」

 

 

 

 

 

////////

 

「ていうか感じだったぜ」

 

次の日、蓮花達が学校に行ってる間にラビリン達は昨日の家での様子を報告していた

 

「紫苑さんって偶に面白いよね」

 

「鬼麿さんに後でお礼を言わないと」

 

「そんなぁ〜!!折角2Kg落としたのに〜……」

 

各々、良い人もいれば不満の人もいる感想だった

 

「蓮花達は今は学校って言う所に居るのですよね?」

 

「そうラビ。3人共上手く演じてるか心配ラビ…」

 

心配するラビリン。しかし、その心配は的中していた

 

 

 

 

 

授業と授業の間の休み時間。教室では3人は孤立していた

 

 

「平光さん、何読んでいるの?」

 

「ひも理論。超弦理論とも言うね。簡単に説明すると──」

 

 

「沢泉さんが手芸?」

 

「あぁ?俺の事馬鹿にしてんのか!?」

 

 

「人生とは、それ即ち旅。終わりのない果てしなき旅なのよ!!」

 

 

蓮花はひも理論について熱く語り、紅牙はちゆらしからぬ言動をし、紫苑は窓を開けて変な事を叫んでいた

 

3人はやりたい放題。元に戻った時の事を全く考えていなかった

 

そして授業では

 

「これより抜き打ちテストする」

 

それを聞いた瞬間、教室の中はブーイングの嵐が飛び交う

 

テストの内容は、抜き打ちしては少し難しい問題ばかりだった

 

しかしながら

 

(へぇ〜、最近の中学にしてはレベルが高いじゃないの)

 

(ちゆならこれくらい楽勝だな)

 

(ん…ひなたの平均点っていくつだったかな?……ま、いっか)

 

15分程で全ての問題を解いた

 

 

 

 

 

放課後、蓮花の家に着いた

 

「「「完璧に演じ切れました」」」

 

学校での生活を報告した。3人は学生の頃と同じ過ごし方で1日頑張ったと

 

「本当ラビ?」

 

しかし、ラビリンは眉を潜めて怪しんでいた

 

「ちゃんと読書していたよ」

 

「俺は手芸を」

 

「私は黄昏てたわよ」

 

「…ならいいラビ」

 

「それよりも元に戻る方法は見つかったの?」

 

学校での生活より目の前の問題

 

「「「それが全く…」」」

 

のどか達は、ラビリン達と一緒に元に戻る方法を手探りで探しては見たものの、何一つ良いものは無かった

 

「こうなったら最後の手段だよ!」

 

ひなたは蓮花の肩を掴む

 

「昔、頭に強い衝撃を与えれば元に戻るって、どっかのTV番組が言ってた」

 

「なんてあやふやの情報…」

 

呆れる紫苑を無視してひなた実践してみる

 

「てやあぁぁ!!」

 

鈍い音が鳴る

 

「「いっった〜〜!」」

 

「2人共大丈夫?」

 

「ひなたちゃん戻った?」

 

2人は自分の身体を見ると

 

「「戻ってる…」」

 

「あら簡単ね。こんな展開はもう少し引っ張るのかと思っていたわ」

 

紫苑はのどかを寄せておでこを引っ付ける

 

「ちょっと我慢してね?」

 

「は、はい!」

 

「俺達もやるか」

 

「そ、そうですね」

 

2度3度と頭をぶつけて全員元に戻った

 

これで無事解決……とはならなかった

 

 

 

 

 

「のどか、昨日様子がおかしかったけど何かあったの?」

 

「え?」

 

 

「このノート読みやすい…!」

 

 

「これは悪い夢。いやいやいや、これは体重計が壊れてるんだ。きっとそう!アタシは何も見てない……」

 

 

そして学校では、クラス中3人を遠目で見ていた

 

「なんかアタシ達見られてない?」

 

「そうね」

 

「皆んなどうしたんだろう?」

 

そして先生が入って来た

 

「昨日のテストを返す前に。花寺、沢泉、平光は前へ」

 

3人は疑問に思いながら前へ出ると

 

「昨日のテストで満点を取れたのはこの3人だ。皆んな拍手!」

 

「「「!!?」」」

 

手渡されたテスト用紙を見ると本当に満点だった

 

「それにしても、平光がこんな点数取るなんて先生は嬉しいぞ!」

 

「あ、あ〜……うん」

 

「次も期待してるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この後、蓮花達3人が酷く怒られたのは語る必要も無い




最初と最後が雑いのは当たり前

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク10 「記念すべき10回目ですね!」

特に報告する事ナッシング!

ではスタート!


第40話 「夢中になったその気持ち♥アタシが求めるモノ」より

 

撮影の裏側から

 

 

 

 

 

「ひなた、本当に練習はしなくてもいいの?」

 

蓮花は、他人に対して耳掻きを初めてやるひなたに問い掛ける

 

「大丈夫!紅兄でバッチし練習したから!」

 

「何が『練習したから!』だよ!人の鼓膜何回も破きやがって!」

 

怒る紅牙の両耳から血が流れていた

 

翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)で治せれるから良いものを!こちとら痛いんだぞ!」

 

「だから大丈夫だって!蓮兄なら失敗しないし」

 

「『蓮花なら』ってなんぞや!?」

 

 

 

 

 

////////

 

 

第41話 「最強絶剣覚醒♥天衣無縫の善なる天威(ヴァルベギオン)」より

 

変身直後のダルイゼンとの会話のシーンから

 

 

 

 

 

「兄ちゃ〜ん!こいつら何だ?」

 

「いっつも兄ちゃんの邪魔をするんだ」

 

「えっ?」

 

紫苑はダルイゼンとネブソックを見比べる

 

「腹違い?」

 

「違う」

 

「嘘おっしゃい!あんなに慕ってくれてる弟が居るのよ!なんて贅沢な…」

 

「お前は近所に住むおばさんか?」

 

「兄ちゃん、ソイツはおばさんなのか?」

 

紫苑の顔に血管が浮き上がる

 

「蓮花、不滅の炎で焼いて焼き鳥にでもしてあげて。私が責任を持って食べるから」

 

表情は笑顔だが、言葉は裏腹に「おばさん」呼ばわりされて非常に怒っていた

 

「このおばさん怖え〜よ!」

 

「ひっぐ…うわぁぁんん!!アース、私を癒して!!」

 

「よしよし紫苑。わたくしが癒してあげます」

 

怒りを通り越してアースに泣き付いてしまう

 

 

 

 

 

////////

 

第42話 「大切な人と一緒に♥思い出紡ぐこの日」より

 

撮影の裏側から

 

 

 

 

 

「『思い出はこれから作っていけば良い。それだけの事だ』…プッ!」

 

「アハハハハッ!似てる!似てるわよニャトラン!」

 

紅牙の台詞を、紫苑とニャトランが面白可笑しくしていた

 

「『それともう一つ。左手を出してくれ』」

 

「う、うん…!」

 

「『今は絆創膏だが……いつかちゃんとした物をやる』」

 

「「アハハハハッ!ハハハハッ!」」

 

2人はツボにハマったのか床に転がりながら大声で笑っていた

 

「はぁ、腹が捩れるわ!!」

 

「紅牙も何であんな台詞を思い付くんだ!?」

 

「ニャトラン、天道さん、そろそろ笑うの止めた方が…」

 

ちゆが苦笑いしながら注意するも、その背後から翠遠の息吹を構えながら紅牙が近付いていた

 

 

 

 

 

////////

 

第43話 「獅子奮闘の紅牙♥ペギタンを見つけ出せ!」より

 

紅牙のストレスが解放されたシーンから

 

 

 

 

 

「ねえねえ、蓮兄や紫姉も剣をグルグル出来るの?」

 

「玩具じゃないんだから出来るわけないよ。ねぇ紫苑?」

 

「出来るわよ!」

 

善なる天威はグルグル回るどころか、リズムに乗ってダンシングしていた

 

「ふわぁ〜!」

 

「素晴らしいですね!」

 

「わん!」

 

ひなたは蓮花にキラキラした目で見ていた

 

「そんな目で見ても出来ないよ」

 

 

 

 

 

////////

 

第44話 「入れ替わっちゃった♥プリキュアと抜剣者達!」より

 

蓮花達が学校に行ってる間、のどか達の様子

 

 

 

 

 

「見て見て!アタシ、こんな高い所まで手が届くよ!」

 

「ふわぁ〜!紫苑さんの身体綺麗!」

 

「2人共、感激するのは良いけどお昼なのよ。何か作るわよ」

 

「…って、勝手に動くなよ!アテレコ難しいんだぞ!」

 

撮影中にも関わらずに、フライパン片手に持って割り込む

 

「何でフライパン?」

 

「今から飯作るんだ」

 

「じゃあアタシハンバーグ!」

 

「マジか!?オレもハンバーグで!」

 

「またお前らは勝手に……それなら材料買って来る」

 

紅牙はその場を後にした

 

「結局何がしたかったラビ?」

 

「さ、さあ?」




ウホッ!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第45話 ビックサプライズ♥アスミの驚き顔!

恋ってなんだろう

ではスタート!


「ひなたちゃんまだかなぁ?」

 

いつものメンバーでお出掛けするのに、バス停で待ち合わせていた。しかしながら、ひなたとニャトランの2人がまだ来ていない

 

「「わーーっ!!」」

 

すると、背後からひなたとニャトランが驚かして来た

 

それぞれビックリ驚いて声を上げる

 

「キャアァァァァ!!」

 

女の子の声が辺りに響き渡る。のどかでもちゆでも無い。その人物は

 

「鬼麿さん?」

 

「ひなたビックリするだろ!!ったく…」

 

「いやいやいや!今紅兄変な声出してなかった?」

 

「何だよ、いちいち人の驚いた声に反応するな」

 

女の子の様な悲鳴は紅牙からだった

 

「それよりも俺はアスミの方に注目だ。お前、表情一つ変えていなかっただろ?」

 

「そうですか?わたくしも驚きましたが」

 

「紅牙くらいビックリしてくんないと、驚かしがいがないんだよな」

 

「そうなのですね。わたくしも、それくらいビックリしてみたいですね」

 

それを聞いたひなたは、何やら思いついた様で企みの笑顔で蓮花達の方へ目を向ける

 

 

 

 

 

////////

 

後日ひなたから連絡があり、アスミをビックリさせたい為にサプライズがしたいと言って来た。蓮花達も、それに賛成して協力する事に

 

それぞれ、使う物など準備する。その途中で、蓮花はアスミの様子が心配になり少し探してみる

 

「確か…ちゆやひなたが言うには、ラテを連れて外を歩いているって」

 

「あ、蓮花…」

 

見渡しながら歩いてると、ふと目の前にアスミが現れた

 

「アスミ探していたんだよ。何か元気が無いけどどうしたの?」

 

「いえ…大丈夫です」

 

そう言うが、アスミの表情はとても暗かった

 

「嘘だよね?」

 

「いえ本当に──」

 

「アスミ」

 

蓮花はアスミを抱き寄せる

 

「嘘は駄目だよ。そんな悲しい顔をして大丈夫なんて言わないで」

 

「蓮花から見たら、わたくしは悲しい顔をしていますか?」

 

「まあね。何があったのか話を聞かせてくれない?」

 

 

 

 

 

「そう、そんな事がね」

 

アスミが話し掛けようとするが、皆んな自分を避けてる様に散らばり去って行く

 

何でこんな状況なのかは蓮花とラテは知っている。しかし、ここでそれを言ってしまったら色々と計画が水の泡となる

 

「わたくしは嫌われているのでしょうか?」

 

「そ、そんな事ないよ!今回は偶々!偶々用事があるだけで!」

 

「わたくしを避けてまでですか?」

 

「違う。皆んなアスミを思ってるんだ」

 

何とか暗くなるアスミを元気付けようとするが、段々とアスミの身体は薄く透明になり始めてる

 

「わん!わん!」

 

ラテも焦って、蓮花とアスミの周りをグルグル駆け回る

 

「…俺は、アスミの事好きだよ」

 

それを聞いてこちらを見てくれた

 

「君の事いつの間にか目で追っているんだ」

 

「わたくしの事が好きだからですか?」

 

「好きだよ。特別で、大切な存在だと自分でも気付いてる。この気持ちに嘘はない」

 

「ありがとうございます…!わたくしも蓮花が好きです!」

 

 

 

「……」

 

 

 

2人が良い雰囲気を醸し出してる様子を、ひなたは建物の影から見ていた

 

ひなたは、少しモヤモヤしていた。自分に対して『好き』と言う言葉は一度も言われた事無い。アスミに言って自分には何も

 

これは嫉妬なのだ

 

(ダメダメダメ!)

 

ひなたは首を振って変な考えを捨てる

 

(蓮兄はアスミンを選んだんだよ!アタシがどうこう言える立場じゃないし、もう応援する側なんだよ!でも……)

 

未だに蓮花に好意があるひなたは諦めれずにいる。だが、蓮花はアスミを選んだ

 

その現実に受け止めれずにいる

 

「ふんふん!」

 

ひなたは両頬をペチペチと叩いて気持ちを切り替える。

今自分は、アスミをのどか達の元へ案内する為に此処に居るのだ

 

「蓮兄〜!アスミ〜ン!」

 

「ひなたか。アスミ、目を瞑ってくれない?」

 

「は、はい」

 

「俺が手を引くからゆっくり歩いて」

 

蓮花がアスミの手を引く。そしてその後ろから、ひなたが細々と付いて来る

 

 

 

 

 

////////

 

「着いたよ。目を開けてご覧」

 

「はい…」

 

目を開けると、スイカに竹で作った流しそうめんが置いてあった

 

「ええ!?」

 

「「「サプラ〜イズ!」」」

 

「皆さん!?」

 

更に、空には花火が打ち上げられる

 

「あれは?」

 

「やっと驚いたな」

 

「アスミちゃんを驚かせる為に、皆んなでこっそり準備してたんだよ!」

 

「驚いてみたいって言ってたでしょ?」

 

「そういう事でしたか!」

 

アスミも今日1日避けられてた意味にようやく理解した。暗い気持ちから一転して、笑顔になり身体が元に戻った

 

「蓮花さんとラテも引き止める様にしてたんだけどね」

 

「お2人も知っていたのですか?」

 

「ごめんな。まさか、あそこまで避けられてる事に意識するとは思わなかったんだ」

 

蓮花とラテは申し訳無さそうに謝る

 

「オレ達も流しそうめんの組み立てに苦労したんだぜ」

 

「ラビリン達の力作ラビ!」

 

「竹を集めるの大変だったペエ!」

 

「完璧な物を作りたく設計は俺が担当したが、目視でy(ヨクト)単位を割り出すのは苦労したぜ全く」

 

「本番はこれからよ!」

 

ちゆが取り出したのはお手製と思われる浴衣だった

 

「因みに、浴衣も全て俺が縫った!どうだ?良い仕上がりになってるだろ?」

 

「紅兄のセンスエグい!」

 

「それ褒めてんだよな?」

 

初めての浴衣、初めての流しそうめん。未知なる体験にアスミの笑顔は膨れ上がる

 

打ち上がる花火にもアスミは釘付けだった

 

「どうアスミちゃん?沢山ビックリ出来た?」

 

「ええ!わたくし、ビックリが大好きになりそうです!」

 

アスミの横顔に蓮花も満足していた

 

「ところで、紫苑はどちらへ?」

 

「紫苑さんなら、打上君達と一緒に花火のお手伝いしてる筈だよ。なんでも『お世話になるばかりじゃ気が引ける』って言ってたの」

 

「そろそろこっちに来る筈だけど」

 

「俺が電話する」

 

紅牙が電話しようとすると、丁度良いタイミングで紫苑から連絡が来た

 

 

 

 

 

////////

 

「さてと、私もそろそろ行かないと」

 

後の事は打上家に任して紫苑は皆んなの所へ行く

 

けどその道中で違和感を感じる

 

(見られてる?誰かしら?)

 

様子を伺いつつもバレない様に道を進むも

 

(シツコイ、と言うよりマズいわ。これ以上進むと…)

 

蓮花達が居る場所にもうすぐ着いてしまう。誰だか知らないが、下手に皆んなを危険な事に巻き込む訳にはいかない

 

「──ッ!」

 

紫苑は走った

 

(不審者なら警察に、もしビョーゲンズなら浄化するまで!)

 

林に入り、入り組む道をジグザグに走るがそれでも追い掛けて来る

 

(もう!)

 

紫苑は身軽な体で木の上へと飛び乗った

 

(突き刺してやろうかしら?)

 

紫苑は気配を消して静かに潜む。

付いて来る人物は真下を通った

 

(誰だろう?暗くてよく見えないわ)

 

謎の人物は周りを見渡した後、歩いて何処かへ行った

 

「ふぅ…行ったわね。さて、そろそろ降りようかし──」

 

木から降りようとすると、紫苑の視界が傾いていくのが分かった

 

「ちょっ、え!?」

 

紫苑が登っていた木が倒れようとする。それに気付いて、急いでその場から飛び出して地面に足をつく

 

「一体何が?……これって」

 

倒れた木を見ると切られていた

 

けれど妙だ。切られた断面があまりにも綺麗過ぎる

 

「……はぁ、私が甘かったようね」

 

先程何処かへ行った人物が戻って来ており、紫苑の後ろに近付いているのが足音で気付く

 

「貴方は誰?」

 

謎の人物は答えない。暗くて顔は見れない、そして性別も

 

「……」

 

謎の人物は前に手を出すと力が膨れ上がるを感じた。そして手には、紫苑が一度手にした事のある剣が握られていた

 

「原始の魔剣。それはビョーゲンズを抜ける時に、ビョーゲンキングダムに置いて来た剣よ。何故貴方が──」

 

紫苑が喋っているにも関わらず、謎の人物は剣を突き出して攻撃して来た

 

「ッ!?」

 

思わぬ攻撃から横に回避した。間一髪だったが頬から熱く、赤い血が流れ出た

 

「クッ…!」

 

攻撃はそれだけでは終わらない。近付いて剣を振り回す。抜剣してない為、紫苑は経験からの予測だけで避けるしかない

 

「どうやって手に入れたの!」

 

「……」

 

「話を…聞きなさい!!」

 

全く話を聞かない相手に紫苑は苛立つ。牽制で回し蹴りを出して距離を取る

 

「話は聞かない、いきなり襲い掛かる、それに魔剣を所持してる。もう容赦はしないわよ」

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「その力…そうか絶剣者か」

 

黙りしていた人物は、紫苑の姿を見てようやく口を開いた

 

「もう遅い!!」

 

超高速で近付き連続で切りつけるも、全ていなされる

 

「ハァァァ!!」

 

絶剣と魔剣の激しいぶつかり合い。そして紫苑は知りたくない真実を知った

 

「…とうとう力を取り戻したようね」

(私もどんな力か把握してない。力を使われる前に殺す!)

 

紫苑は木々を利用しての超高速で撹乱させる

 

(これぐらい幻惑させれば捉えられない!)

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「天威絢爛!」

 

 

 

蓮花や紅牙でもこれを防ぐのは容易ではない。相手も、紫苑の動きに諦めたのか静止してる

 

「終わりよ!!」

 

背後から縦に切る

 

「…」

 

更に縦、横、左右と四方八方から仕掛け飛び跳ねる

 

最後の一撃として力いっぱい振り抜くが

 

「──ッ!?」

 

善なる天威の勢いを止められた

 

それどころか、相手の身体には傷らしいものは全く見られない。無傷なのだ

 

「…どれだけ動いても、結局自分に降り掛かって来るんだ。後はそれを避ければ良いだけだ」

 

(この声男!?いや、それよりもこの距離は──)

 

足を止めてしまって棒立ち。しかも、未だに得体の知れない魔剣相手にこの至近距離。

バックステップで距離を置こうとすると

 

「がはっ!?」

 

紫苑の背後から、腹に2本の剣が貫いた

 

「剣…?そんな、何処から……?」

 

剣は独りでに浮遊しており、腹から抜き出る

 

「ふぐぅ……!」

 

2つの穴から血が流れ出る

 

男が原始の魔剣を天へ翳すと、空中から多種多様の剣が生成され紫苑に襲い掛かる

 

「クッ…!」

 

ジャンプして躱すが、傷口の痛みが紫苑を苦しめる

 

先程までのキレのある動きは殆ど無い。動けばそれだけ血が流れ落ち、紫苑の意識を奪っていく

 

絶剣で剣を打ち払っているのに折れる気配が無い

 

「この剣まさか…」

 

「勘がいいな。そうだ、生成する剣は全て魔剣」

 

道理で折れない訳だ

 

「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛!!?!」

 

そして遂に剣が紫苑の脚を裂き、悲鳴が響き渡る

 

脚の筋肉の筋を大きく裂かれて、紫苑は地面を転がり落ちる

 

「うぅ、脚が…痛い!ッ脚がぁ…!?」

 

もう紫苑に立ち上がる力は無い。それでも諦めず、剣を杖の様にして起き上がろうとするが、更に剣が追撃をかます

 

横一閃

 

紫苑の喉がパックリ裂かれて血が辺りの草木に飛び散る

 

それを最後に紫苑は力尽きて無様に倒れる

 

「フシュ……シュ…」

 

僅かだが呼吸はしてる。しかし、裂かれた喉からは泡を吹いて、満足に呼吸は出来てない

 

「…」

 

男は、紫苑のポケットからスマホを取り出して電話する

 

『おい紫苑!いつになったら来るんだ?』

 

「……」

 

『聞いてんのか?』

 

電話の相手は紅牙だ

 

「天道紫苑は死んだ」

 

『…お前誰だ?何を言って──』

 

男は会話の途中で切り、スマホを捨ててその場から立ち去った

 

残されたのは紫苑のみ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紫苑は必死に命の手綱を繋いでいたが────耐えれずその手綱を手放してしまった




様々な進展があった回でした
次回はオリストと予定しております

ここまでの拝読ありがとうございました



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第46話 突然の襲撃、傷つく友たち

オリスト書くとか言っていましたが忘れて下さい

ではスタート!


「うぅ……ん…」

 

「ようやく目を覚ましたか」

 

「此処は…?」

 

「蓮花の家だ。細かく言うとベッドの上だ」

 

紫苑が目を覚ました

 

「私は確か……」

 

「何があったか知らないが、お前道端で死にかけていたぞ?」

 

奇跡的な回復。それも翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)のお陰だ

 

「2日は寝込んでいたよ。何があったの?」

 

紫苑は2日前の夜の事を全て話した

 

持ち主が現れた原始の魔剣の事

 

「厄介な相手が現れたね」

 

「全ての魔剣を作り出すのか……。だがそれがどうした?」

 

「えっ…?」

 

「紫苑の言う事が本当なら確かに厄介だ。でも俺達のする事は何も変わらない。これまで通りお手当てするまでだ」

 

呆気に取られた表情をする。自分達より強い存在が現れたと言うのに、紅牙はそれでもやる事は変わらないと言う

 

「でも、そんな相手をのどか達と戦わせる訳にはいかない」

 

「次から現れたら俺達が相手をする。そもそも魔剣関連は俺達の問題だ。ちゆ達に迷惑を掛ける訳にはいかないからな」

 

「そうね、あの子達を巻き込ませる訳には。……原始の魔剣が復活となると私達の死期が近付いて来たわね」

 

「お前の言う運命か。下らん。俺達は死ぬ事はおろか、負ける事は絶対無い。…俺達3人ならな」

 

「もう話しはここまでにしよう。紫苑は回復したとは言え、体力までは戻ってないんだから」

 

蓮花は布団を紫苑に被せて部屋へ出て行った

 

 

「俺はさっきちゆに呼ばれたから行くけど紅牙は?」

 

「俺は紫苑の世話をする。何か買って来る」

 

 

そんな会話が部屋の外で聞こえた。紫苑は何か安心して天井を見上げる

 

「『俺達3人なら』か…。紅牙も随分と変わったものね。これもあの子達と出会ったお陰かしら」

 

そして紫苑は新たに胸に刻み込む

 

(だからこそ、あの子達を…この居場所を奪われる訳にはいかない。例えそれが、私の命と引き換えになったとしても)

 

拳を握り、自分の命を懸けて仲間達を守る事を決意した

 

「そうだ、折角だし今の内にアレを調べておかないと」

 

紫苑はベッドの隣に置いてあるノートパソコンを開く。そして一つのフォルダを開いた

 

(原始の魔剣が復活となると……やっぱりね)

 

そのフォルダには原始の魔剣についての詳細が記されていた

 

原始の魔剣はとある王様の為だけに造られた剣。その王様か受け継ぐに値する者にしか扱えない代物

 

そしてその王様が初めての抜剣者

 

死ぬ直前王様は己の魂を剣に宿し、派生する魔剣にもその魂が宿っていく

 

「まるで呪いね」

 

他の説明などを飛ばして1番最後のページへと差し掛かる。

そのページには王様の名前が記されていた

 

レンカ

 

たったその3文字だけだった

 

「初代抜剣者『レンカ』。いつの時代も皮肉な運命ね」

 

 

 

 

 

////////

 

蓮花はちゆに呼ばれた場所へ来る途中で、橋の上でのどか達3人が居る所を発見した

 

「やあ皆んなお待たせ」

 

「蓮花さん!もう遅いですよ!」

 

「蒼咲さん、天道さんの具合いは大丈夫ですか?」

 

「傷は紅牙が治しているから命に別状は無いけど、体力の回復にはまだ時間が掛かる。元気は元気だよ」

 

「紅兄は?」

 

「看病。同じ時に家に出て買い物しに行ったよ」

 

 

 

 

 

////////

 

「かなり血を流していたからな、やっぱり食べさすなら肉だろ」

 

紅牙は、肉屋で大量に肉を買い足していた

 

「それにしても…32円。また蓮花にでも小遣い貰うか」

 

空っぽ寸前の財布を逆さまにして嘆いていると、男が話し掛けて来た

 

「鬼麿紅牙18歳。抜剣者で翠遠の息吹の使い手」

 

「あぁ?何だお前は?」

 

「答える必要性は無い。ここでお前は死ぬからな」

 

「はぁ…どうしていつもいつも変な奴に絡まれるんだ俺は。いいぜ相手してやる」

 

紅牙は付いて来いと言わんばかりに背を向けようとすると、それを見た外野が集まって来た

 

「何だ喧嘩か?」

 

「大人が子供相手にかよ」

 

「…少し静かにして貰おうかな」

 

男が手を翳すと、外野2人の腹に剣が1本ずつ突き刺さった

 

「なっ!?剣だと!?」

 

「これで静かになった」

 

「ふざけんな!一体何を考え…て……その剣、なるほど紫苑が言っていたのはお前か」

 

紅牙は、男が手にしてる原始の魔剣で気付いた。そして、目付きも鋭くなり戦闘体勢に入る

 

「始めるぞ」

 

その言葉が合図となりいきなり襲い掛かって来た

 

「おわっ!?」

 

突如現れた魔剣が、上から襲い掛かって来るも横に飛んで避ける

 

「野郎!」

 

紅牙は走り出して拳を振るった

 

「…」

 

しかし、そんなものは容易く躱されてしまう

 

「な〜んてな!」

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹!」

 

 

 

そのまま抜剣覚醒して、先程貫かれた通行人2人を抱えて屋根の上へと跳んだ

 

「翠遠の息吹、この2人を癒してくれ」

 

小さな風が2人を優しく包み込んで傷の回復。だが、今紅牙が背を向けている事をチャンスだと思い、男は魔剣を4本飛ばした

 

「それがどうした!」

 

地面から這い出たツタが魔剣を弾いた。紅牙は、2人の手当てが終わりツタで何処か安全な場所へと移し替えた

 

「これで遠慮無く蹂躙出来るぜ」

 

紅牙も負けじと飛び降りながら、ツタと共に四方八方から攻撃を仕掛けた

 

「……」

 

だが逆に男は、魔剣を信じられない数を生成して迎え撃つ

 

「多過ぎる!?」

 

急いでツタを目の前に出して、それを足場に使い後ろへと下がる

 

未だに追撃するツタは、生成された魔剣によって串刺しになり見るも無残になった

 

「お前は何者だ!狙いは何なんだ?」

 

「言っただろ?答える必要性は無い」

 

「そうかよ……なら力付くで聞くまでだ!!」

 

そんな粋がるも、紅牙は後ろへと振り返り逃走した。そして路地裏へと消える

 

「…!」

 

男も追い掛けて路地裏へと入ると、ツタの猛攻が始まる

 

逃げたと思わせてからの奇襲だ

 

「そんなものか」

 

原始の魔剣を強く握るとツタは一瞬で切り刻まれた

 

「奇襲でも駄目か…」

 

急いで大通りに出て次の作戦へと移る

 

「逃すか」

 

「逃げるか!これでも食らいやがれ!!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「翠嵐疾風!」

 

 

路地裏から出て来た瞬間を狙い、翠遠の息吹を振りかざして嵐を巻き起こす

 

「…」

 

しかしそれを物ともせず、魔剣の壁が嵐を防ぎ切った

 

「クソが!!」

 

そしてまたも走り出す。男は逃す訳も行かず追い掛けて来る

 

「だったらこいつならどうだ!!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「真・翠嵐疾風!」

 

 

振り返り様に暴風を身に纏い、ツタが刀身と一体となり突進する

 

「遅い」

 

これも避けられた。直線上に走る紅牙を、只単に横へと避けられる

 

「にゃろ!!──翠嵐疾風!」

 

避けられたしまったが、そこから更に機転を掛ける。身に纏っていた暴風を剣に乗せて、翠嵐疾風へと攻撃を変えた

 

「芸の無い奴」

 

男が暴風を吹き飛ばそうとすると、足元からツタが伸びて身体を拘束した。逃げようにも逃げれない

 

拘束を解いた直後、翠遠の息吹の攻撃が直撃した

 

「うぐっ…!?」

 

「芸が無いって?ハッ!笑わすな!」

 

紅牙は真・翠嵐疾風で特攻した時、男とすれ違う瞬間ツタの種を辺りに撒き散らしていた。

避けられても今の状況になる様に。もし避けなかった場合でも、下からの攻撃なら見て反応したとしても遅れが生じる

 

紅牙は路地裏に逃げた時から、この三段構えの作戦を考えていた

 

奇襲が駄目なら正面から。それでも駄目なら、相手の余裕を利用する

 

「俺達抜剣者を舐めんじゃねぇよ。終わりだ。蹂躙されろ」

 

膝を突く男の上から、十数本のツタが男を呑み込んだ

 

「やった決まったぜ!折角だ、死人の顔でも拝んで──」

 

紅牙が死に様を覗こうとした時、両肘両膝を4本の剣が貫いた

 

「ガアァァアアッ!?」

 

「子供にしては良くやった……と言うべきか?」

 

「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!?ク゛ソ゛ッ゛タ゛レ゛!!」

 

男は背後に居た

 

「…少しは黙ろうか?」

 

男は左手で紅牙の顔を掴んだ。そしてゆっくりと、親指を紅牙の左眼の瞼へと入れていく

 

「まさかお前…!や、やめ──」

 

瞬間、親指が左眼の中へと侵入しグチャグチャと弄る

 

「ア゛ア゛ア゛ッ゛ッ゛!!」

 

そして、男が突き放す様に手を離すと左眼から血が溢れ出る

 

「ヴェ、翠遠の息吹!!」

 

翠遠の息吹の風が、顔や両肘両膝を包み込み傷を癒すのだが

 

「な、何だよこれ……左が見えねぇ…」

 

完璧に治療した筈なのに。恐る恐る左目に手をやると何か違和感を感じた

 

「お前の探し物はコレか?」

 

見える右目だけで男の手元を見ると、眼玉を転がして持っていた

 

理解した。この違和感は眼が無い事を表していた。抉り出されたのだ。先程、指を入れられた時に強引に

 

「返しやがれよ…俺の眼玉」

 

「返したところで何になる?」

 

無情にも男は眼玉を握り潰した

 

「例え翠遠の息吹で傷は癒せれても、千切れたものをくっ付けたり再生する事は不可能だ」

 

「この…!」

 

紅牙は翠遠の息吹を振りかざそうとするが膝から崩れ落ちた

 

(クソッ!限界か…)

 

「ここで死ぬのは少し惜しいな。…慈悲をくれてやる」

 

男は止めを刺さずにその場から消えた。気配が完全に消えた所で安心するかと思いきや、紅牙は地面に拳を叩き付ける

 

「〜〜〜ッ!クソ!!!」

 

生かされた。死んでもおかしくない状況なのに生かされた。それは紅牙にとっては屈辱だった

 

悔しさで地面に打ち付けた拳から血が垂れる

 

 

 

 

 

////////

 

紅牙が街中で戦闘を繰り広げる時と同じくして、蓮花達も気球型のメガビョーゲンの出現により相手をする事に

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「燃え上がれ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

 

 

会場にメガビョーゲンを呼び出したのはグアイワルだった

 

「俺の研究の成果を見るが良い!ほらよ!」

 

グアイワルは。1度にメガパーツをメガビョーゲンに取り込まさせて一気にパワーアップを図った

 

「メガビョーゲン!」

 

「これはデカイ!」

 

グアイワルの思惑通り、大量のメガパーツを取り込んだ事により今まで以上に成長したメガビョーゲンになってしまった

 

「どうだ!これぞ俺が編み出した最強のメガビョーゲンだ!」

 

「メッガ!!」

 

「「「「キャアァァァ!!」」」」

 

メガビョーゲンのブレスでグレース達は想像以上の深傷を負う。蓮花は不滅の炎の結界で防御はするも、その威力は目を見張るものだった

 

しかしながら、それでも尚アースは恐れず1人突っ走る

 

「あと少しだったのに。あと少しで勝てそうだったのに!とんでもない邪魔をしてくれましたね!!」

 

アースの怒りの篭った拳がメガビョーゲンの顔にヒットする。

だが効いていなかった。弾力のある気球に対して、力が分散して威力半減

 

「メガ!」

 

「ッ!」

 

「アース危ない!」

 

跳ね返った攻撃に体勢が保てずにいたアースを、蓮花が空中で抱えて助け出した

 

「危機一髪!アース前に出過ぎだよ」

 

「ありがとうございます」

 

「さあ!この調子でドンドン蝕め!」

 

アースの攻撃が効かなかった事で勢い付き、メガビョーゲンは更に蝕み始める

 

「フォンテーヌ!氷のエレメントを使うペエ!」

 

「ええ!──氷のエレメント!」

 

「させるか!」

 

「キャア!」

 

エレメントボトルをセットすると同時に、グアイワルがそれにいち早く気付き阻止する

 

「スパークル、キュアスキャンすっぞ!」

 

「でも、こんなに攻撃されたら全然スキャン出来っこないよ!」

 

「俺が盾になる!」

 

蓮花は不滅の炎を地面に突き刺して炎の柱を二つ建てる。それにより、メガビョーゲンの攻撃を全て受け流し、スキャンする為の隙を作り上げた

 

「「キュアスキャン!」」

 

「ど真ん中に空気のエレメントさんが居るニャ!」

 

「さて、どう切り崩か…ん?」

 

蓮花がどう攻め込もうか考えてると、メガビョーゲンが風に煽られているのを目にした

 

「風か……そうだアース!」

 

蓮花は目配せでアースに指示を出す

 

「承知しました」

 

その意図が伝わり、アースウィンディハープで風のフラフープを作り上げた

 

「ハッ!」

 

メガビョーゲンの足元に輪っかが通り、そして弾けて風が舞い上がる

 

いくら巨大なメガビョーゲンでも媒体してるのは気球。風で煽られれば、自由を失い簡単に宙へと飛ぶ

 

「フッ!」

 

ハープを奏で、風を操りメガビョーゲンを地面へと真っ逆さまに落ちた

 

「蓮花行きましょう」

 

「分かった…え、何で?…あ、はい!」

 

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「炎帝業火!」

 

 

アースに言われるがままに蓮花は剣を振るい、メガビョーゲンを浄化させた

 

「お大事に」

 

 

 

 

 

////////

 

『ありがとう。貴方達のお陰で助かりました』

 

「くぅ〜ん…」

 

『コレをラテ様に』

 

アスミの手には、空気のエレメントボトルが手渡された

 

「ご親切にどうもありがとうございます」

 

貰ったエレメントボトルでラテの体調も良くなり事態は収まった

 

「ふわぁ〜!あと少しで棚がいっぱいだね!」

 

「全部埋まったら、な〜んか良い事あったりして!」

 

 

 

 

 

「大会も無事終わった事だし俺は帰るとするかな」

 

「もう帰るのですか?」

 

「紫苑の面倒を見なきゃだからね」

 

蓮花ぎ帰ろうとする時、ふと何か耳にした

 

「今何か聴こえたような…」

 

「蓮花さんもですか?」

 

「気になるラビ…」

 

「なら、帰る前に様子を見てくるよ」

 

回れ右して林の奥へ向かうと

 

「待って下さい。わたしが見に行きます」

 

「でも」

 

「蓮花さんは紫苑さんの様子を見て行って下さい」

 

「そう?じゃあ一応待っておくよ」

 

「ありがとうございます!」

 

のどかの言葉に甘えて結局見送った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その選択が、のどかを危険な目に遭わせるとは露知らずに




紅牙は眼玉抉られ、のどかはメガパーツを埋め込まれる。色々と大変な回だな〜

ここまでの拝読ありがとうございました


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第47話 蝕ばまれるのどか、明かされるダルイゼンの秘密

この回は色々と面白かったです〜!

ではスタート!


「蓮花、先程から何を見渡しているのですか?」

 

「あ、いや。のどかの帰りが遅くて」

 

蓮花は、林の方で気になる声を聞いたのどかの心配をしてウロウロしていた

 

「少し様子を見て来る」

 

「それならわたし達も行きます」

 

ちゆ達も心配して付いて来る事になったのだが

 

林の中を歩いてると、倒れたのどかにラビリンが呼び掛け、その側にダルイゼンが立っているのを目にした

 

「なっ!?」

 

蓮花は急いで不滅の炎(フォイアルディア)を喚び出して、ダルイゼンに向けて斬撃を放つ

 

「のどか!!」

 

「おっと、遅かったね」

 

斬撃を避けられたが、のどかから離れさす事は出来た

 

「これは…一体どういう事だ?何をした!?」

 

「キュアグレースにメガパーツを入れてやったのさ」

 

普段はメガビョーゲンに対して使用するが、今度はのどかに──人間に直接使用したのだ。

この先どうなるかは完全に未知数だ。のどかの表情を見ればとても苦しいのが理解出来る

 

理解出来ないのは

 

「何で?意味分かんない!?」

 

「どうしてそんな事を!?」

 

「それは後のお楽しみって事で。それと最後に言い忘れてた。キュアグレースを心配するのもいいけど、他の仲間の事ももっと心配したら?大変な事になってるかもよ?」

 

そう言ってダルイゼンは立ち去った。

追い掛けたい気持ちもあったが、今はのどかの事が心配だ

 

「急いで病院に連れて行こう。やすこさん達の元へ帰るよ」

 

蓮花はのどかを抱えてやすこ達と合流した。そして、ビョーゲンズの事だけ伏せて、突然倒れた事だけ伝えて病院へ運ばせた

 

「ねぇ、治るよねのどかっち」

 

「それは…」

 

「鬼麿さんに頼んで治して貰うのはどうかな?」

 

「それナイスアイディア!蓮兄急いで電話!」

 

言われて電話を掛けるも出る事はなかった

 

「駄目だ繋がらない」

 

 

『──他の仲間の事ももっと心配したら?大変な事になってるかもよ?』

 

 

「もしかして、ダルイゼンが言ってたのって…」

 

何か嫌な予感を感じる蓮花だった

 

結局、家に帰っても紅牙は不在で連絡は一切取れなかった

 

 

 

 

 

////////

 

『ダルイゼン、近頃地球を蝕む事が疎かになっている様だが?』

 

「ああ、ちょっとした実験をね」

 

ダルイゼンは、ここ最近の動きをキングビョーゲンに説明する

 

「俺達みたいなテラビョーゲンがもっと居れば、メガビョーゲンを作れる人手が増える。その方が結果的に捗ると思って」

 

『進化を待たずに増やそうと言う事か?』

 

ダルイゼンの効率的な判断に、キングビョーゲンも理解の出来る判断をした

 

「だからって、まさかプリキュア を宿主に選ぶなんて」

 

「面白いだろ?」

 

「全てにおいて、興味無さそうなお前が珍しい」

 

「どういう風の吹き回し?」

 

「…別に、只の気まぐれさ。それより」

 

ダルイゼンは後ろの方を向く。その目先には、2人の男性が何やら話し込んでいた

 

1人は、少し前に戦闘があった事を物語る様な姿。もう1人は

 

翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)の使い手を逃したと聞いた。説明が必要だ。話せ」

 

「…少し楽しみ過ぎました」

 

「何の為にお前を──」

 

「重々承知です。今度会ったら」

 

「そうだ忘れるな。地球を支配する前に、今現代に生きる抜剣者を根絶やしにする。良いか分かったか?」

 

「分かっております。我が王よ」

 

 

 

 

 

////////

 

翌日、いつものカフェで集合する蓮花達だったが、のどかの心配をしてジュースが中々喉に通らないでいた

 

「のどかが前に掛かっていた病気も、メガパーツが原因だったのかしら?」

 

「可能性はあるペエ」

 

「テアティーヌ様が元気だった頃も、メガビョーゲン全てをすぐに浄化出来ていた訳じゃないからな」

 

幼い頃の病気もメガパーツが原因と推理する。嘘だと思うが、それはあながち間違っていないそうだ

 

「初期段で、浄化出来ないまま育って進化しちゃう個体もいるペエ」

 

その進化した個体が、キングビョーゲンやダルイゼン、シンドイーネ、グアイワルと言った知性の持つ者が例に上げられる

 

「ええぇぇぇ!?アイツら元々メガビョーゲンなの!?メガビョーゲンの、何がどうなってああなっちゃう訳〜!?」

 

「それだと、紅牙や紫苑はどう説明するんだ?2人もメガビョーゲンを生み出していた。だけど普通の人間だった…」

 

「そんなの決まってるだろ?魔剣がそうさせなかったんだよ」

 

覚えのある声が聞こえた。振り返ると紅牙が立っていた

 

「紅牙!?昨日何で電話に出なかったんだよ」

 

「悪い。色々あってな」

 

「色々…その左目の眼帯と何か関係があるのですか?」

 

ちゆは、紅牙の左目の眼帯について問いただした

 

「昨日、紫苑が言っていた男と遭遇した。それでこんな風に」

 

紅牙は眼帯を外して蓮花達に見せた

 

「「「「!?」」」」

 

「見ての通り左眼を持ってかれた。今朝も、義眼を作って貰う為に病院に行ってたんだ」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「ああ。それより風の噂で聞いたぜ。のどかが倒れたって」

 

紅牙に言われてハッとなった

 

「紅兄!紅兄の剣でのどかっちを治せない?」

 

「無理だ」

 

キッパリと即答した

 

「翠遠の息吹はあくまで傷までだ。体内に入ってる物を除去するなんて芸当は出来ない。それにこの左眼が何よりの証拠だ。血管とか繋がっているならともかく、完全に抉り出されたらお手上げだ」

 

「じゃあ本当に何も無いのですか?」

 

「こんな時は紫苑に聞いたらどうだ?」

 

紅牙は、スピーカーにして紫苑に連絡する

 

『あら紅牙?家出したのかと思ったわ。どうしたのよ』

 

「のどかの事知っているか?」

 

『知ってるわよ。体内にあるメガパーツを摘出出来る方法を見つけてる途中……あったわ』

 

どうやら、電話しながら見つけたみたいだ

 

「本当か!?」

 

『う〜ん、見つけたのはいいけどこれは参ったわ』

 

「はぁ?何だよそれ?」

 

『「水鏡の魔剣」って魔剣があるのよ」

 

水鏡の魔剣──目に見えるものも、見えないものも全て問答無用で断ち切れる魔剣

 

切る事に関しては、蓮花達が持つ魔剣よりかはある意味強い

 

『でもねコレ、他の考古学者が見つけているのだけど…』

 

「なら買えよ」

 

『馬鹿言わないで。自分の研究材料を他の人に金を貰ってまであげると思う?もし買えたとしても、コレが本物がどうか実際に見ないと分からないわ』

 

「分かったありがとう」

 

紫苑との連絡はこれで終わった

 

「水鏡の魔剣は諦めよう」

 

「えぇ〜!また振り出し?」

 

ひとつの希望を見つけたと思ったら、それが手の届かない所だった

 

ますます暗くなる一同を見て

 

「のどかに会いに行きましょう」

 

「でも、ご家族が動揺してる時に行くのは…。それにわたし達が行ってもお手当てしてあげられる訳でも…」

 

「でも、皆さんも不安で心配なのですよね?」

 

「そうだな。顔だけでも見せに行くか!」

 

 

 

 

 

すこやか総合病院でのどかの病室を探してると

 

「わんわん!」

 

ラテが飛び出して病室のドアを開けようとする

 

「のどかの病室!」

 

「失礼します!」

 

アスミがドアを開けると、ラビリンの手を握って苦しんでもがくのどかが居た

 

「うぅ…!」

 

「のどか!?」

 

「どうしたの?」

 

「分かんないラビ。急に苦しみだして」

 

「何で手が光ってんの?」

 

その場にいる全員が今起きてる状況を呑み込めずいる

 

「ラビリン何をしたんだ」

 

「2人で話してただけラビ!」

 

原因を追求する間にも、のどかの症状は悪化している

 

「ラビリンが付いてるラビ!この手は離さないラビ!!」

 

「わん!わん!」

 

「ラテ、何かお考えが?」

 

アスミがラテの言葉を聞く為に聴診器を取り出した

 

『のどかの中で、ビョーゲンズが苦しんでるラテ』

 

プリキュア の力が作用して、体内にあるメガパーツを追い出そうと抵抗してる。

この苦しみの原因は正にそれだ

 

「のどか!」

 

「ラビリン…!」

 

ラビリンの手を必死になって掴み願う

 

「悪い悪いメガパーツ!のどかの体から!」

 

「わたしの体から…!」

 

「「出てって!(ラビ!)」」

 

その言葉と同時に、光が溢れてメガパーツと思われる黒いモヤが体が出て病室の窓から外へと出て行った

 

「追い掛けっぞ!」

 

「紅牙!…俺達はさっきの黒いのを追い掛ける!」

 

蓮花と紅牙は窓から外へ飛び出して跡を追い掛ける

 

「待って下さい!此処一応2階何ですけど……」

 

ちゆがそう言うが、2人は既に飛び出した後だった

 

 

 

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「燃え上がれ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

 

 

蓮花達は飛び降りながら抜剣覚醒し、そのまま受け身を取り走り出す

 

「待ちやがれこの糞ッタレ!!」

 

「何処へ行くんだ?」

 

林を掻き分けた先には、木の上でダルイゼンが寛いでいた

 

「ん?早いな、もう出てきたのか?これじゃあまた、ネブソックみたいに未成熟な奴かな?」

 

「何が未成熟だ?」

 

「もう来たのか?そっちも早いな。まあ丁度良い。見なよ、キュアグレースの中で育ったメガパーツが、一体どんなテラビョーゲンに進化を遂げるのか」

 

黒いモヤは段々と、人の形へと変化し遂にその姿を見せる

 

「…!」

 

「あの姿」

 

「ああ、完全にダルイゼンと同じ姿だ」

 

「あれって…?」

 

更に、のどか達も到着した

 

「ダルイゼン違う。僕『ケダリー』。仕事、地球病気にする」

 

ケダリーは両手から、赤黒いモヤを飛ばして周辺を蝕み始めた

 

「とにかく来たんならお手当てだ!」

 

「のどかは平気ラビ?」

 

「うん。行こう!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

 

「ぷにシールド!」

 

これ以上蝕まれては非常にマズい状況化。グレースとラビリンが防いだ

 

「邪魔」

 

ケダリーは上へ飛んで空中から仕掛ける。だが、フォンテーヌ、スパークル、アースがそれを読んでおり一斉に飛んで襲い掛かる

 

「「「ハァァァッ!!」」」

 

しかし、3人の猛攻を受け身の取り難い空中で全て避け、更にカウンターで叩き落とした

 

「皆んな大丈夫!?」

 

「凄まじい柔軟性です」

 

「もう、タコじゃないんだから!」

 

「プリキュア 邪魔する。先に始末する」

 

今度はケダリーから仕掛けて来た

 

「翠遠の息吹!」

 

翠遠の息吹のツタがやっとケダリーを捕まえて縛り上げる

 

「これで決めろ蓮花!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「炎帝業火!」

 

 

紅牙が捕まえて蓮花が攻める。お手本の様な連携で攻めるも

 

「コレ、邪魔」

 

ケダリーは簡単にツタを引き千切り、翠遠の息吹の拘束から抜け出した

 

更には不滅の炎を片手で受け止めた

 

「何だと!?蓮花!」

 

「そんな…こんな事って…」

 

予想外の出来事に蓮花は動きを止めてしまった

 

「…」

 

「がっ!」

 

ケダリーのサマーソルトで蓮花の顎が跳ね上がった

 

紅牙もフォローする為向かうも、死角となる左に回り込まれて無様に蹴り飛ばされた

 

(グッ…!やはり片目か!)

 

それから6人は奮闘し続けるが、ケダリーから繰り出される予測不可能な動きに翻弄されて攻めるどころの話ではなくなった

 

「キャア!」

 

「「グレース!」」

 

「蓮花、もう一度だけで少しの間隙を作って貰えませんか?」

 

「分かった」

 

蓮花と紅牙が目配せて合図する

 

果てしなき蒼(ウィスタリアス)!不滅の炎!翠遠の息吹!」

 

 

「真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

 

「うおぉぉぉ!!」

 

蓮花は、蝕まれた辺りを浄化しながらケダリーへと突進する

 

「…」

 

ケダリーも遠距離で応戦するも、揺るぎなき曙光が張る結界で蓮花は守られて攻撃は一切通じなかった

 

 

「真・覚醒剣!」

 

「蒼炎翠光!」

 

 

蒼、橙、翠の3本の剣が回転しながら波動砲を撒き散らす

 

「…!」

 

ケダリーの逃げる場所を潰した

 

「空気のエレメント!」

 

その一瞬の隙を逃さずにアースがケダリーの動きを完全に封じ込めた

 

「…!?」

 

空気のエレメントによって、空気の球体の中で暴れて脱出を図ろうとするがそう簡単には破れずにいる

 

「皆さんお願いします!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「クッ…僕消える!ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「ケダリーは浄化したわ!」

 

「この勢いでダルイゼンも浄化するラビ!」

 

5人で一斉に飛び出した。だが、ダルイゼンは余裕の表情をして前へ出る。普段の彼からして、前へ出る事はとても珍しかった

 

そして地面に拳を叩き付けて、5人を一気に吹き飛ばした

 

「アイツ、意外と無茶苦茶だ!」

 

土煙りが晴れると、倒れるグレースの目の前にダルイゼンが立っていた

 

「思い出したよ。俺を育てたのは、キュアグレースお前だって」

 

「え…?」

 

「メガビョーゲンの一部だった俺を、お前の中で成長してこの姿になったのさ」

 

突きつけられた真実に只々絶句するしかなかった

 

「全く面白い。ますます気に入ったよキュアグレース」

 

「「気に入らねぇぇぇ!!」」

 

「?」

 

ダルイゼンが上を見上げると、蓮花は果てしなき蒼を構えて蒼穹無限、紅牙は翠遠の息吹で真・翠嵐疾風で襲い掛かる

 

(此処で殺す以外の!)

 

(選択肢無し!)

 

「…また会おうぜ」

 

攻撃される前にダルイゼンが立ち去った

 

2人の攻撃は空振りに終わった

 

「逃したか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は病院へ戻り、元気になった事を報告して何とか退院した

 

そしてのどかは、自分が育ててしまったダルイゼンに決意を新たにする




水鏡の魔剣はサモナイ4で出て来た魔剣。詳細が良く分からん
あと、久し振りに色んな魔剣出してみた!

今後のヒープリが楽しみです

では、ここまでの拝読ありがとうございました!


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第48話 胸がドキドキ♥初恋物語!

割と急展開過ぎるよ

ではスタート


「〜ッ!美味しいです!」

 

「それは良かった」

 

今日は珍しく、アスミ1人で蓮花の家に遊びに来ていた。しかし、相手をしてるのは紫苑

 

紫苑とアスミと2人っきりになる事はとても珍しく歓迎していた。

それもあって、普段は作らないであろうクッキーを作って食べせていた

 

「いつもはラテを連れてるのにどうしたのよ?」

 

「ラテは、のどかの事を心配してお留守番をお願いしております」

 

「まあ、あんな事があったばかりだしね。紅茶もどうぞ」

 

「親切にどうも」

 

アスミは紅茶を一口飲み、真剣な眼差しで此方を見つめる

 

「ど、どうしたの?」

 

「紫苑は頭がとても良いと皆さんが言っていました。そうなのですか?」

 

「自分で言うのも何だけど、それなりに賢いわよ。IQは確か……164。蓮花が162で、紅牙が159」

 

「…わたくしの疑問にお答え出来ますか?」

 

「相談?良いよ何でも言ってみなさい」

 

女性同士、腹を割って話せる事もある。友達の悩みも、いつか自分に降り掛かるかもと思い真剣に話を聞く

 

「最近、蓮花を見てると胸がドキドキするんです」

 

「………うん?」

 

「この気持ちは何なのか。楽しいとも、悔しいとも違う。紫苑は分かりますか?」

 

「何々!!アスミちゃん蓮花に恋しちゃった訳訳なのかなぁ!!?」

 

紫苑もやっぱり女性だった。こういう色恋沙汰の話になった途端、目の色を変えて子供の様にはしゃいで興奮する

 

「『恋』ですか?恋って何ですか?」

 

「説明しよう!簡単に説明するとね、特定の異性を猛烈に好きになったり、大切に思ったり、もうずっと一緒に居たいと思う感情なの!!」

 

「好きとはまた違うのですか?」

 

「少し意味合いが変わるわね。友達以上の…特別な貴方にだけの好き……かしら?」

 

「友達以上で特別ですか…むむむ」

 

更に考え込む。実際、言葉で言っても分からないのは仕方のない事

 

なので少し質問して、改めて自分の気持ちを知って貰う事にする

 

「アスミちゃん、最近蓮花の事を見てる?」

 

「そうですね……はい。最近ですけど」

 

「蓮花と向き合うと緊張しちゃう?」

 

「あまり意識はしていませんが……これも最近ですかね」

 

「これで最後。誰でもいいから頭の中で思い浮かべて名前を言って」

 

アスミは考える。そしてすぐに思い付いた

 

「……蓮花」

 

「ふむふむ、これに診断終了。まあ、その結果は」

 

「……」

 

「間違いなく蓮花に恋しちゃってるわよ」

 

「わたくしが蓮花に恋を…」

 

「運が良かったわねアスミちゃん」

 

紫苑はスマホを取り出して電話をする

 

「あ、蓮花今暇〜?」

 

かなりわざとらしい言いようで、蓮花を呼び出した

 

「良い話を聞かせて貰ったお礼に私が後押しする」

 

「?」

 

「相手の出方を伺ってたら他の人に取られちゃうからね。蓮花が帰って来るまで、色々とアドバイスをしてあげるわ」

 

 

 

 

 

////////

 

「ただいま〜。紫苑、用事って何だ?」

 

しかしながら、紫苑の姿は何処にもなく代わりにアスミが正座して待っていた

 

「蓮花おかえりなさい」

 

「紫苑は?」

 

「紫苑でしたら、先程入れ替わりで出て行きました」

 

「え…こっちは図書館で勉強してたのに」

 

呼び出した本人がいない事に困ってると

 

「蓮花、わたくし新しい感情を知りました。聞いてくれますか?」

 

「え、うんまぁ…紫苑はいないから構わないけど。それでどんな感情を知ったの?」

 

「好きよりもっと好き……恋について学びました」

 

「ほ〜、紅牙とちゆに感化されたのかな?それで誰に恋をしたのかな?」

 

蓮花もこの話に上機嫌で聞こうとする

 

「蓮花です」

 

「俺ね……俺ですか!?」

 

アスミは蓮花に更に詰め寄る

 

「紫苑に言われ初めて気付きました。この気持ちが好きと言う感情」

 

「アスミ…」

 

「今度は前とは違います。ですから受け入れて下さい」

 

アスミは両腕を蓮花の首にまわし、引き寄せてキスする

 

「んっ…ふぅ」

 

「アスミ…アスミ!」

 

蓮花はアスミを強引に引き剥がした

 

「嫌でしたか?」

 

「…少し考えさせてくれ。答えはちゃんと出すから」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスミの気持ちを知った蓮花。蓮花はそれを苦悩しながら、これから答えを探すのだった




何してこんなに内容にしたがるのか不思議である

ここまでの拝読ありがとうございました


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第49話 抱え込むのどか♥ストレス発散しよう!

ではスタート!


「アスミちゃん!遊びに来たよ〜…ってどうしたの?」

 

のどかの家のアスミの部屋に、紫苑が遊びに来た

 

部屋に入って早々紫苑が目にしたのは、ラビリン達が手を大きく挙げて何かしら頑張りを見せる場面に遭遇した

 

「紫苑!実は、のどかがストレスを溜めてるかも知れないラビ!だから、その発散方法をこれから探しに行く所ラビ!」

 

「ストレス?……ああ、先日あんな事があったものね」

 

ダルイゼンとの関係に重荷を感じて、ストレスが溜まってる事を言うラビリン達。

紫苑もそれを察して協力する事にした

 

「ところで紫苑、学校はどうしたんだよ?」

 

「あんなものサボったに決まってるじゃない」

 

「それを平然と言え、更に行動出来る紫苑は凄いペエ…」

 

「あら?皮肉で言ったのかしら?」

 

「全然!!」

 

紫苑の笑顔の裏に恐怖して、ペギタンは物凄い勢いで首を左右に振りまくる

 

 

 

 

 

そんな訳で紫苑達が最初に来た場所は

 

「此処が、ちゆのストレス発散というか気分転換スポットペエ」

 

青い細波で色んな事を洗い流してくれる浜辺に来た

 

「やっぱり、この海を見てモヤモヤする気持ちを浄化させてるの?」

 

「違うペエ。例えば──」

 

 

『ペギタンのラップが見た〜〜い!!』

 

 

「何だそりゃ!?」

 

ちゆの場合は、お気に入りのこの場所で大声を上げて発散してるらしい。

只、何故その言葉をチョイスしたのかは不明である。寧ろ気になる

 

「それ以来、ボクはラップを練習してるペエ」

 

「練習してるラビ!?」

 

「今では、1秒に1枚ラップを掛けられるペエ!」

 

「それラップ違いよ…」

 

ペギタンの言うラップは、食材保存でも使われるラップだ。音楽の「お」の字も当てはまっていなかった

 

「でも、ラップでのどかが気分転換出来るとは思えないラビ」

 

「んじゃ、次はひなた流で行くか!」

 

一度のどかの家に帰り、ニャトランがありったけの道具を持ち運んだ

 

「アクセサリー作り!美容タイム!雑誌で情報収集!最後にオレとスキンシップ!」

 

紫苑とアスミ2人で言われた通りやってみたのだが、やった本人達は

 

「忙しいですね」

 

「ひなたちゃんって意外と暇なのね」

 

ひなたが毎日、何かしら動いていないと気が済まない事を知っただけ

 

 

 

「へぶしっ!」

 

「どうしたのひなた?風邪?」

 

「う〜ん…誰かアタシの噂してたりして!」

 

 

 

「紫苑達はどんなストレス発散してるラビ?」

 

まだ若いとはいえ、のどか達より年は上。多少の人生経験のある紫苑達に話を振ってみた

 

「蓮花は部屋に引き篭もってノートを書いてるわね」

 

「何で?」

 

「全く勉強に励めないから、発散も兼ねて勉強してるのよ」

 

「それは申し訳ないラビ…」

 

「紅牙がどうペエ?」

 

次に紅牙なのだがそのまんまだった

 

「紅牙は棒針で編み物してるわ」

 

「余計ストレスが溜まりそうだな」

 

「後は、蓮花に切り掛かっていたわね」

 

「「「どういう状況!?」」」

 

「では紫苑はどうなんでしょう?教えてくれますか?」

 

「私?私はね……一度家に来てくれるかしら?」

 

場所を変えて蓮花の家に

 

「少し待っててね」

 

紫苑は家に入ってはすぐに出て来た。

手には鍵とヘルメット2つ持って、1つをアスミ手渡した

 

「私は最近バイクにハマってるわ」

 

紫苑は家の裏に移動して、シートを取るとオンロードバイクが目に映る

 

「飛ばして行くわよ!!」

 

アスミとラビリン達を乗せて家を飛び出した

 

街中だろうとお構い無く、法定速度をぶっちぎりでオーバーした。

途中、後ろから白いバイクが追い掛けて来て、それを振り切ったのは良い思い出

 

 

 

 

 

////////

 

「中々見つからないわね。そろそろのどかちゃん達も帰ってくる頃だろうし」

 

「わたくしは、もう少し探しても宜しいですか?」

 

「まだ探すの?」

 

「のどかはいつも一生懸命です。だから、のどかの為にわたくしも頑張りたい」

 

紫苑とアスミが歩いてると、下校途中ののどか達と出会した

 

「あれ?皆んな」

 

「のどか、ちゆ、ひなた」

 

「此処、学校の近くだったの?」

 

アスミはのどかに近づいてストレートな事を言った

 

「のどか、気分転換にどんな事をしたいですか?」

 

「え?」

 

「どうしたのいきなり?」

 

最近、のどかが走り過ぎている事を説明した。返って来た言葉は勿論、のどかを心配する声だった

 

「どれくらい走ってるの!?急に増やすと体に悪いわよ!」

 

「あ!急にお弁当がデッカくなったのもそのせい?」

 

どうやら、学校内でも様子が変わったいたそうだ。ちゆとひなたも、それを聞いて今初めて知った

 

「あ、あのねでもね、単にもっと鍛えなきゃって思って」

 

「オーバーワークは厳禁よ。それをして良いのは単細胞の紅牙だけよ」

 

「何気に紅兄ディスってるし…」

 

その時、トランペットの音が聴こえた

 

「あの子達は?」

 

「吹奏楽部の『菅原有斗』と『金森ことえ』って子です」

 

2人は練習に勤しんでいた

 

「焦り過ぎ」

 

「うん、気を付けます」

 

「じゃなくて、風邪なんて誰でも引くんだから気にし過ぎ。1人で頑張ればどうにかなる程、吹奏楽は甘くないよ」

 

「うん!」

 

短い会話を済ませた後、また2人で吹き始めた。

練習の邪魔にならないように、のどか達はその場を後にして下校した

 

「のどか?」

 

「…何か、金森さんとわたしって似てるのかなって」

 

「…くちゅん!」

 

「「ビョーゲンズ!?」」

 

のどかが何か考え事してる途中でビョーゲンズが現れた

 

「出たわね」

 

「参りましょう!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「トランペットね」

 

グレース達がトランペット型のメガビョーゲンを見つけた。しかし此処は学校のすぐ近く。安易に戦闘を繰り広げようとすると、他の人達を巻き込んでしまう

 

「アースは皆んなの避難を!わたし達はメガビョーゲンを」

 

「分かりました」

 

アースは避難誘導する為に離脱し、グレース達だけで対処する事に

 

「ハァァ!」

 

フォンテーヌが蹴りで先制攻撃を仕掛ける

 

「メ〜ガ〜!!」

 

「クッ…キャア!?」

 

しかし、その蹴りを腕のバルブで受け止め跳ね返した

 

「火のエレメント!」

 

今度は遠距離からの攻撃で対処するも

 

「メガビョーゲェェェン!」

 

ベルから放つ光線で、火のエレメントの攻撃が打ち消された

 

「嘘!?」

 

更に今度は、ベルを上にして上空へ攻撃を放った。そして拡散して、雨のように地面へと降り注ぐ

 

「回避よ!」

 

フォンテーヌとスパークルはジャンプし紫苑は高速で躱すが、1人だけその猛攻の中を駆けて行く者が居た

 

「グレース危ないラビ!」

 

「危なくても動いていれば何かきっかけが見えて来る筈!」

 

強引に走るグレースは危険を承知で策を考える。だが、考えてる途中という事は、今は無策で走ってる事になる。

正に「無謀」の2文字に尽きる

 

「葉っぱのエレメント!」

 

「メガビョーゲェェェン!」

 

葉っぱのエレメントも、火のエレメントと同様に掻き消されて攻撃が通らない

 

(少しでも突破口を!)

 

「待ちなさいグレース!」

 

懐に入ったグレースは、早々に勝負を終わらせようとキュアスキャンの体勢に入ったが

 

「キャアア!!」

 

「「グレース!」」

 

無防備な状態を晒してしまい反撃を貰ってしまう

 

「クゥ……」

 

「メガビョーゲェェン!」

 

「ぷにシールド!」

 

メガビョーゲンが足で踏み潰そうとするが、ラビリンがシールドを張って耐え抜いた。

だが力では圧倒的にメガビョーゲンが上

 

「「ッ!!」」

 

そこへ、紫苑と避難を済ませたアースが支える感じで駆け込んだ

 

「「ハッ!」」

 

「メガ!?」

 

力を振り絞って2人は押し上げた

 

 

「「覚醒剣!」」

 

「蒼穹無限!」

 

「翠嵐疾風!」

 

 

大勢が崩れたメガビョーゲンに蒼い波動が背中から撃たれ、地面に倒れた追い打ちに風の槍が襲い掛かる

 

翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

そして、メガビョーゲンの四股をツタで巻き付けて動けないようにした

 

「何とか間に合った!」

 

「鬼麿さん!蒼咲さん!」

 

間一髪の所で蓮花と紅牙がやっと合流出来た

 

「グレース大丈夫ですか?」

 

「ありがとう。アース、紫苑さん…」

 

「グレース違うよ」

 

「えっ?」

 

てっきり怪我の云々かと思いきや違ったらしく、思わず変な声が出てしまった

 

「グレース、どうして焦るのです?」

 

「ッ!」

 

「自分でも焦ってる事に気付いているのでしょう?」

 

アースと紫苑が言っているのは、今のグレースの心情の事

 

「だって…だって、わたしがダルイゼンを作り出しちゃったから…。そのせいで地球が……だから、わたしが何とかしなきゃって…もっと頑張らなきゃって……」

 

自分でも焦ってる事は知っている。だけど焦ってしまう。自分が知らなかったとはいえ、自分が定かした事の罪は重いのだと感じていた

 

それが最近、のどかの様子を変えていた原因だった

 

「グレースは、テラビョーゲンを作りたいと思ったのですか?」

 

「そんな事思わないよ!」

 

「そうです。貴女はそんな事望みませんよね。金森さんの風邪と同じです」

 

「グレースは何も悪くないのよ。だからもう自分を責めないで」

 

2人の言葉でグレースは少し肩の荷が降りたのか、先程までとは違い表情に余裕が生まれた

 

「「キュアスキャン!」」

 

「音のエレメントさんはあそこペエ!」

 

フォンテーヌとペギタンがエレメントを見つけた

 

「ここは真剣覚醒で──」

 

「お前ばっか腹立つ。俺にも使わせろ!」

 

「ちょ、紅牙!これは俺の剣!」

 

真剣覚醒する蓮花に、紅牙は果てしなき蒼(ウィスタリアス)を奪おうとする

 

不滅の炎(フォイアルディア)に関しては元は俺のだろ!いいから寄越せ」

 

「嫌だよ!」

 

「この!」

 

「貴方達邪魔よ!」

 

取り合いする2人を小突いて紫苑が前へ出る

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「天威絢爛!」

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

 

紫苑が一瞬にしてメガビョーゲンとすれ違うと、両手両足を切られて身動き取れない隙に、アースが浄化を果たした

 

 

 

 

 

////////

 

「のどか〜〜!」

 

変身を解くとラビリンはのどかに抱き付いた

 

「のどかがそこまで自分を責めてるって思わなかったラビ!気付かなくてごめんラビ!」

 

「ううん。わたしこそごめんねラビリン」

 

「焦るのどかは心配ですが、頑張るのどかは大好きですよ」

 

「わたしもよ。これからはわたし達の事を頼ってね」

 

「それそれ!1人で抱え込んじゃうの禁止!」

 

「ラビリン達も居るラビ!」

 

のどかは見渡して改めて実感する。すぐ隣に、頼ってくれる友達が居る事に

 

しかし、お手当ては出来たがラテの体調は良くなっていない

 

「音のエレメントさん、ラテ様に力を分けて頂けないラビ?」

 

『勿論です。コレを』

 

そうして、アスミの手元に音のエレメントボトルが差し出された

 

それを使いラテの体調も良くなり、エレメントボトルを飾ってある棚がこれで全て埋まった

 

「エレメントボトルがいっぱいペエ!」

 

「全部埋まったら何か起こる気がしたんだけどな〜」

 

「気のせいだろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、のどかはちゃんとしたメニューへと戻して、今度はアスミと一緒に朝のランニングを始めた




何気に警察を振り切った紫苑…
最近、誰かしらアスミと絡む話が多いで御座る

ここまでの拝読ありがとうございます


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NG集 テイク11 「皆んなと居るのが楽しいラテ!」

U・x・U

ではスタート


第45話 「ビックサプライズ♥アスミの驚き顔!」より

 

流しそうめん組み立ててる時

 

 

 

 

 

「ペギタン、左上に後3μ(マイクロ)m」

 

「こ、こうペエ?」

 

「行き過ぎ。4cmまでズレた」

 

「こ、紅牙…まだなのか?オレ腕が震えて来た…!」

 

只今、y(ヨクト)m単位で紅牙が流しそうめんの位置を計算してる為、竹を持ってるヒーリングアニマル達はほとほとに疲れていた

 

「完璧な流れにする為には、細部までズレを修正しなくてはならない」

 

「匠の技ラビ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第46話 「突然の襲撃、傷つく友たち」より

 

抜剣者組がベッドで会話してるシーンから

 

 

 

 

 

「お前の言う運命か。下らん。俺達は死ぬ事はおろか、負ける事は絶対無い。…俺達3人ならな」

 

「俺達3人なら……プッ!」

 

「オイ何で笑うんだよ!」

 

紫苑に連れられて、喋った紅牙も少し笑っている

 

「だって…だって!」

 

「紅兄本当に…ハハッ!」

 

「笑い過ぎなんだよ!お前ら!」

 

蓮花とのどかは蹲って堪えていた

 

「れ、蓮花さん駄目ですよ!わ、笑ったら…!」

 

「の、のどかだって…フフ…ッ」

 

「わたくし知っています!……それは『中二病』と言われるものですね!」

 

それが起爆剤となったのか全員笑い出す

 

尚、そのシーンを撮るのに6回ほど撮り直した

 

 

 

 

 

////////

 

第47話 「蝕ばまれるのどか、明かされるダルイゼンの秘密」より

 

蓮花と紅牙が病室から飛び出すシーンから

 

 

 

 

 

「待って下さい!此処一応2階何ですけど……」

 

「「えっ!?」」

 

2人は慌てて、窓の淵に手を引っ掛けてぶら下がる

 

「危ない!」

 

「急に外へ飛び出しますからビックリしました」

 

「ちゆ、お前もよく冷静になっていられるな」

 

「蒼咲さんはともかく、鬼麿さんは別に驚きもしませんでした」

 

「その言葉が一番傷付くぞ」

 

改めて、地面にマットを敷いて撮り直しとなった

 

 

 

 

 

////////

 

第48話 「胸がドキドキ♥初恋物語!」より

 

紫苑とアスミとの会話のシーンから

 

 

 

 

 

「自分で言うのも何だけど、それなりに賢いわよ。IQは確か……164。蓮花が162で、紅牙が159」

 

「高!?あっ…」

 

頭が良い事は知っていたが、そこまで良いとは知らずにちゆは声を上げてしまった

 

「し、仕方ないよ!誰だって驚くよ!」

 

「そうね。紅牙の頭の悪さにね」

 

のどかがフォローしたと思ったら、紫苑の毒の入った言葉が耳の中を通る

 

「どこがだよ!159もありゃ凄いぞ!!」

 

「ですが、数字では1番下ですね」

 

「この野郎…ん?」

 

悔しさに呟く紅牙の肩にちゆが手を置く

 

「大丈夫です。そんな鬼麿さんでもわたしは好きですよ」

 

「ちゆ……それはどういう意味だ〜!」

 

「ひひゃいへふ〜!!」

 

何故か馬鹿にされた様な気分になり、ちゆの両頬を思いっきり摘み上げる

 

 

 

 

 

////////

 

第49話 「抱え込むのどか♥ストレス発散しよう!」より

 

蓮花と紅牙のストレス発散方法を聞くシーンから

 

 

 

 

 

「紅牙は棒針で編み物してるわ」

 

「余計ストレスが溜まりそうだな」

 

「後は、蓮花に切り掛かっていたわね」

 

「それはどんな事なんでしょう?」

 

「簡単よ。『叩いて被ってジャンケンポン』を魔剣に置き換えてるだけよ」

 

「「「命懸け!?」」」

 

蓮花は手加減しそうなのだが、紅牙の場合全力で振り抜くのが容易に想像出来てしまう




U・x・U

ここまでの拝読ありがとうございました


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第50話 奇跡爆誕♥蓮花とアスミの 時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)

U・x・U


「蓮花、少しよろしいでしょうか?」

 

「何かな?」

 

アスミは本を持って蓮花と何か話していた

 

「アスミちゃん、いつも以上に蓮花さんと仲良くなってるね〜」

 

「確かにそうだけど」

 

のどか、ちゆが言うように距離がかなり近いのだ。

お互いの頬が、今にもくっつきそうな程

 

「あんなにアスミって蓮花と仲良かったラビ?」

 

「でもでも!見てるこっちとしては美味しいよ!!」

 

「相変わらず紫苑は興奮してるな〜」

 

しかしながら、そんな2人の様子を見て不機嫌な人がいる

 

「……距離が近い」

 

ひなただ

 

「そうだ!折角2人が仲良くしてる事だし、一緒に出掛けてみるのはどう?」

 

「まぁ!それは良い提案です!」

 

紫苑の突然の提案にアスミは賛成のご様子なのだが

 

「おい待て。最近、例の男の出没は多くなってる。今度は蓮花が襲われる危険性がある」

 

紅牙は反対意見だった

 

「いいか蓮花、俺達は狙われている。暫くは俺達3人で行動するんだ。のどか達の力を借りて撃退もいいが、これは俺達の問題だ。だから──」

 

「あの〜鬼麿さん」

 

「何だ?」

 

「2人共いません…」

 

「えぇ…」

 

いつの間にか、蓮花の手を引いてアスミが外へ連れ出していた

 

「良いわよ良いわよ!その調子よ!」

 

(紫苑の奴…まさか、な)

 

 

 

 

 

////////

 

「出て来たのはいいけど何処行くの?」

 

「何処行きましょうか?」

 

「そりゃあそうだよね…」

 

「わふ!」

 

蓮花はラテの頭を撫でながらこれから行く先を考える

 

「ま、何処でもいいか。アスミと歩けるだけでも楽しいから」

 

「わたくしも、蓮花と歩けるだけで楽しいですよ」

 

「そ、そうか?」

 

そうしてアスミは蓮花の手を握る

 

「参りましょう」

 

特に行き先は決めてはいないが歩き続ける。

適当に公園、花畑とのんびりと過ごす

 

 

 

 

 

「生きてるって感じだな」

 

「急にどうしたのですか?」

 

「いやね、こうして何にもなく歩いてるのが嬉しくてね。もし父さんが生きていたら、こんな何気ない日常を過ごしていたのかも知れない…」

 

「ですが、過去があって今があります」

 

アスミは蓮花の前に立って励ます。

アスミも、蓮花の過去の事は紅牙と紫苑から話は聞いていた

 

「悲しい事かも知れませんが、蓮花が魔剣を持たなければわたくし達は出会う事もありません。ですから…上を向いて下さい」

 

「…はは、そんなつもりじゃなかったんだけどね」

 

「そうだ。下ばかり見られては困る」

 

良い雰囲気になりつつあるこの状況で、とある木の陰から男が話し掛けた

 

「貴方…もしかして2人を襲った奴か?」

 

「そう。フッ……大きくなったな蓮花」

 

「どうして俺の名前を?いやそれよりも、どうして紅牙達をあんな目に?何で俺達を襲う?答えろ!!」

 

自分の名前を知られていたのを動揺に、今まで引っかかっていた謎を全て曝け出す。

いつの間にか、声色も震えていた

 

「相変わらずその探究心には参る。…何故お前の名前を知ってるかって?そんなのは簡単」

 

男は陰から出て来て、その正体をとうとう現す

 

「俺がお前の────父親だから」

 

「「ッ!?」」

 

「君は初めてだね。俺は『蒼咲始』。宜しく」

 

「何で…?あの時死んだ筈…」

 

「死んださ。でも我が王と、この原始の魔剣の力によって蘇った」

 

「一度死んだ人間が生き返るなんて有り得ない!!」

 

蓮花の中ではそんな魔剣の話は聞いた事のない

 

「魔剣はその『有り得ない』事が出来る!そもそもこの世に一体何本の魔剣があると思う?……数百本だよ蓮花」

 

「だからって…」

 

「さて次は目的だな。お前達を襲った理由と関係してる。俺達は地上にいる、適格者の可能性を持つ者全てを消す。過去も現在も、そしてこれから生まれて来る未来も」

 

「何で…何でそんな事を!!」

 

「相手を根絶やし、蹂躙し、破壊し、圧倒的な力で屈服させる力。なのにお前達ときたら、魔剣には縁のゆかりも無く、真反対である浄化能力を与える。それは先代の抜剣者も同様」

 

話してる間、始は蓮花の目の前まで歩いていた。そして手を差し出す

 

「こっちに来い。そんな訳の分からないお飯事して腐るより、こちらに来て地球を蝕み、支配しよう、な?」

 

「ッ!お断りだ!」

 

その手を払い退ける

 

「例え父さんでも俺達のお手当ての邪魔をするなら──斬る!!」

 

「そうだよな。じゃなきゃ、ここまで成長しない。それなら──遠慮無く行くぞ」

 

突然、真上から4本の剣が降り注いだ

 

「アスミ!ラテ!」

 

蓮花はその反射神経で奇襲とも言える攻撃を回避した

 

「危ない…」

 

「のどか達を呼びましょう!

 

「わん!」

 

「逃すか。メガビョーゲン!」

 

今度は何も無い場所から、突然背後にエアコン型のメガビョーゲンが現れた

 

「なっ!?」

 

「まさか、原始の魔剣がただ魔剣を生成するだけの能力だけだと思うな。その魔剣の能力も全て扱える」

 

始とメガビョーゲン、挟まれてしまいアスミとラテが逃げる隙を塞いだ

 

「こうなったらやるしかない!」

 

「はい!」

 

「わん!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア・オペレーション!」

 

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)

 

 

 

変身すると同時に2人は二手に分かれて飛び出した。

蓮花は始、アースはメガビョーゲンへと仕掛ける

 

「食らえ!」

 

「ッ!」

 

果てしなき蒼と原始の魔剣が鍔迫り合う。

本来なら原始の魔剣が力は上だが、果てしなき蒼の力は所有者の心の持ち用次第で天井知らずの力を得る。そのお陰で、蓮花は何とか互角の勝負をする

 

「ハッ!クッ…!ゼアッ!!」

 

「流石だな。抜剣者となり剣の力を引き出している。しかし……」

 

始の背後から数本の魔剣がセットされ、蓮花に向けて射出される

 

「ッ!」

 

蓮花は上体を反らして躱す事に成功したものの

 

「しまっ──がはっ!」

 

大勢の悪い状態から、足を引っ掛けられてバランスを崩し、始の拳が蓮花の腹に突き刺さった

 

「実力はこっちが上。その程度で勝とうと思うなら甘いぞ!」

 

「蓮花!」

 

アースが蓮花を助ける為に動く

 

「だよな。お前達は他人の為に動く」

 

「メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは、両腕のブレードをブーメランの様に飛ばしてアースを襲った

 

「ああっ!」

 

「アース!」

 

「蓮花…う、後ろ」

 

倒れるアースに駆け寄り振り返ると、始が既に剣に波動のエネルギーを溜め込み、技を放てる体勢でいた

 

 

「覚醒剣」

 

「崩洛塊土」

 

 

原始の魔剣を振りかざすと地面が崩壊し、浮き上がった岩石が2人に襲い掛かる

 

「果てしなき蒼!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

2本の魔剣を突き立て、結界を二重にして展開する

 

「クッ…攻撃が激し過ぎる!」

 

そして打ち付ける岩が結界を破壊し、2人はまともに直撃してしまう

 

あまりの威力の前に変身が解け、無様に倒れてる姿が始の目に映る

 

「まぁ、こんなもんだろう……?」

 

「メ、メガ!」

 

メガビョーゲンは口から何やら種2つ吐き出した

 

「ああ…メガビョーゲンの種」

 

始は、メガビョーゲンの種を掴み上げて2つとも大きな袋に詰め込んだ

 

「ついでだ」

 

更にメガビョーゲンの体を一部千切り、メガパーツの収穫もし始める

 

「わん!」

 

体調が悪い中、ラテは2人を起こそうとするが蓄積したダメージで動けないでいる

 

「ラテ、アスミ…」

 

体に鞭打って、上体を起こして立ち上がろうとする蓮花の前に始が立ちはだかる

 

「蓮花悪いな。でもこれで分かった筈だ。お前では勝てない」

 

アスミとラテに覆い被さり、2人を庇おうとした時

 

 

 

「実りのエレメント!」

 

 

 

「ッ!」

 

割って入る様に、ピンク色の光弾が放たれて辺りを土煙りで覆った

 

「蓮花さん!アスミちゃん!ラテ!」

 

グレースと紅牙は3人に駆け寄り、フォンテーヌ、スパークル、紫苑の3人は守る様に始と対峙する

 

「酷い怪我!」

 

「待ってろ、今治療してやる」

 

「ふぅ〜ん、プリキュア も来たか。まぁ、騒ぎ過ぎたってのもあるな」

 

「やっぱり貴方ですか」

 

「わんわん!」

 

剣を構える紫苑の前にラテが通さない様に吠える

 

「ラテ?」

 

「どしたの?」

 

スパークルと紫苑で聴診器で声を聴く事に

 

『あの人、蓮花のお父さんラテ』

 

「えぇ!?」

 

「でもおかしいわ。蓮花の父親は私が…」

 

「我が王によって蘇った。そんな事どうでも良いだろう?」

 

「ああ!そんな事どうでも良い!!」

 

治療を終えた紅牙が声を荒げて剣を向ける

 

「左眼の借りは今ここで殺して返す!」

 

「駄目、だ…!」

 

傷は無くなったものの体力までは回復しておらず、フラフラになりがら立ち上がる

 

「皆んなはメガビョーゲンを…」

 

「はぁ?駄目だ!」

 

「そうだよ!蓮兄は休んでで!!」

 

「嫌だ…嫌だ!嫌だ!!嫌だ!!!」

 

「蓮兄…」

 

「俺が…俺がやらないと!」

 

これは我儘だ。子供が駄々を捏ねてるのと同じだ

 

「来い!果てしな──」

 

「蓮花」

 

そっと、アスミが名を呼んで止める

 

「わたくし達の事、そんなに頼りないですか?」

 

「…そうじゃない。さっきので分かったんだ。父さんは今の俺達よりも強い。それなら、お手当てを優先に誰かが犠牲に……」

 

「それでわたくし達が『はい』と快く返事をすると思いますか?」

 

「……」

 

そんな事はとうに知っている。1番近くで、いつも一緒にお手当てして来たのだから。

でも、だからこそこれ以上巻き込めない

 

例えそれが同じ仲間であっても。抜剣者とプリキュア では戦ってる世界が違う。

プリキュア は地球をお手当てに対し、抜剣者達は命のやり取りをしているのだ

 

今まで平凡に生きていた彼女達を、自分達の勝手な都合で壊したく無い

 

「わたくし達が手を取り合えば、今この状況も打開出来ます。ですから──」

 

アスミは蓮花に手を出す

 

「共にお手当てしましょう」

 

「そうだね……そうだよね!」

 

蓮花はアスミの手を取った

 

「話は済んだ?なら、少し心が痛むが実の息子を排除する!」

 

 

「覚醒剣」

 

「豪雷旋風!」

 

 

電撃を纏った暴風が蓮花達へ襲い掛かる

 

「アスミやろう」

 

「はい」

 

「俺達の!」

 

「わたくし達の!」

 

「「お手当てを!!」」

 

瞬間、蓮花達を中心に竜巻が発生し始の放った攻撃を跳ね除けた

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「舞い上がれ!時を経て繋がる二つの風──テルアスペレスト!!」

 

 

 

風のエレメントボトルが神々しく輝き、薄紫の魔剣が形を成して蓮花の手の中に収まる

 

「何なんだその剣は…!?」

 

「この剣は、俺とアスミの中で生まれた魔剣だ!!」

 

「蓮花!」

 

覚醒と同時にアスミも変身して蓮花の隣に立つ

 

「分かれてやるよ!俺達3人で父さんの相手を。アース達4人でメガビョーゲンを!」

 

「「「「うん!」」」」

 

「行くわよ!」

 

「蹂躙するぜェェ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

「メガビョーゲン!」

 

「「ぷにシールド!」」

 

メガビョーゲンのブレードを、フォンテーヌとスパークルが2人で正面から防御し

 

「ハァッ!」

 

グレースがピンク色の光弾で攻撃

 

「参ります!ハァァッ!」

 

「メガ!?」

 

グレースの攻撃で怯んだところをすかさずアースが攻め立てる

 

「メ、メガ!メガ!メガビョーゲン!!」

 

「音のエレメント!」

 

メガビョーゲンの口から吐く風を、アースが音のエレメントボトルを使って相殺する

 

そして、その爆煙の中からグレース達3人が飛び出した

 

「葉っぱのエレメント!」

 

「氷のエレメント!」

 

「火のエレメント!」

 

 

 

 

 

「真・翠嵐疾風!」

 

ツタを張り巡らせて、その上を風を纏い突き進んで行く

 

「ウラアァァ!!」

 

「覚醒剣──烈火連斬!」

 

原始の魔剣を一振りすると、何百という炎の斬撃が降り注ぐ

 

だが紅牙は、その攻撃の嵐の中を突き進んで突破する

 

「貰った!!」

 

「ッ!」

 

突き出す翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)を紙一重で、始は避けるが紅牙の背後に紫苑が潜んでいた

 

「だっ!?」

 

「絶・覚醒剣──天威絢爛!」

 

紅牙の頭を踏み倒して超高速の連撃を食らわす

 

「うぐぁ!?」

 

「蓮花!」

 

上空から薄紫の風を剣に宿しながら現れる

 

「クッ!覚醒剣!──賢帝解放!!」

 

碧の波動が蓮花へ放射されるが、時を経て繋がる二つの風の力で降り掛かる攻撃を風が吹き飛ばす

 

「特攻のつもりか!──暴君蹂躙!」

 

しかしそれも、風でコーティングされた蓮花の身体には刃が通らなかった

 

「そこだ!」

 

「この!」

 

風の拳が防御する始の腕に減り込み吹き飛ばされる

 

「なんて力…」

 

「メガァァ!?」

 

「メガビョーゲン!?…そういう事か」

 

吹き飛ばされて立ち、隣には倒れたメガビョーゲン。

二手に分かれての集団戦。そして、弱ったところで一気に纏めてお手当て

 

その事に気付いたがもう遅い

 

「「キュアスキャン!」」

 

「風のエレメントさんラビ!」

 

「皆んなの健康は俺達が守る!!」

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「狂飆爆烈!!」

 

 

 

4つの竜巻を発生させ、それを始とメガビョーゲンにぶつける

 

「か、体が…!?」

 

「め、メガ…!?」

 

「終わりだ!!」

 

時を経て繋がる二つの風で竜巻事薙ぎ払うと、上下に割れ一気に弾け飛んだ。

それにより、風のエレメントもメガビョーゲンから切り離して浄化させた

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「一応取りたい物は取れた。ここは一度引くべきか」

 

浄化されない始は、傷だらけの身体を気にして撤退を余儀無くする

 

 

 

 

 

////////

 

「アスミありがとう。君のお陰で勝てたよ」

 

「いえ」

 

「ったく!だからあれ程言ったろ?これからは全員で固まって──」

 

「はいはい。それは後でね」

 

説教が始まりそうな予感がし、紫苑は紅牙を連れ去った

 

「蓮兄良かったね。その…アスミンと一緒に剣が…」

 

「ああ。それにしてもひなた、元気無いけどどうしたの?」

 

「そ、そう?アタシは元気だよ!」

 

和かに笑顔で返すのだが、声は無理してるように聞こえた

 

「そう?でも、何か悩みがあったら言ってね。相談ならいつでも聞くから」

 

「うん!」

 

さっきよりも声のトーンが上がった。これで良しと思うと

 

「蓮花!」

 

「何アスミ?」

 

「帰りましょう!」

 

すぐにアスミが蓮花の手を引いて連れて行ってしまった

 

「あっ蓮兄……」

 

そしてまた下を向く

 

(ひなた…)

 

蓮花もチラッとひなたの様子を見て、また気分が下がってるのに気付いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

謎に包まれてた男の正体を知った蓮花達。そして、原始の魔剣に対抗出来る新たな魔剣を手に入れた

 

またひとつ、運命の輪が回る




本来なら紫苑に持たせる剣でした。なんなら、予定外の強化です

U・x・U


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第51話 動物園を守る♥浄化の救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)

秋映画はその年のプリキュア 単体で観たかった派

ではスタート


「最近ひなたが落ち込んでいるんだ。どうしたら元気になると思う?」

 

「ひなたが?わたしはそう見えませんが…」

 

「この会話に俺は必要なのか?」

 

今日は珍しく、蓮花がちゆに相談する為家に訪ねて来た。紅牙も若干引っ張られながら連れて来られた

 

「あと、他にも相談があるんだ。紅牙を連れて来たのも理由があるんだ」

 

「「?」」

 

「俺、この前アスミに告白されたんだ」

 

「え?あ…そうなんですね」

 

「ふ〜ん」

 

意外と乾いた返答だった

 

「思ってたのと全然違う…」

 

「そんなものは自分次第だろ?好きなら好きで付き合えよ。嫌なら断るんだな」

 

「蒼咲さんってアスミの事好きじゃないんですか?いつも見ていましたし」

 

ちゆの言う通り、今まで蓮花はアスミの事を見つめる事が多かった

 

でもそれは

 

「それは、アスミの事が心配だからなんだよ。今だからこそ良くなっているけど、初めて会った時は右も左も分からない状態でしょ?だから、俺が目を付けてないと危ないかなぁって」

 

「「過保護だな(ですね)」」

 

「でもまぁ、薄々気付いてたけどな」

 

「……は?」

 

紅牙から言われた事。呆気に取られて変な声が出てしまった

 

「俺の特技は何だ?」

 

「鋭い観察眼……俺の事観察してたのか?」

 

「それは置いといて、お前本当はアスミじゃなくて──」

 

「うん…まあね」

 

蓮花は、アスミではなくひなたをいつも見ていた

 

「ハッ!…これが『恋』と言うやつか!?」

 

「「……」」

 

2人は蔑むような目で無言で見つめる

 

「でも俺、アスミに告白されたんだよ……どうすれば」

 

「ひなたの事は好き、だけどアスミに告白された。単純な事だろ?」

 

「それはそうだが、アスミを傷つけたくない」

 

「蒼咲さんは優しいですね」

 

「その優しさが邪魔をしてるけどな」

 

この状況、恋人同士となってる2人もほとほとに困る

 

「それにさ、アスミを断ったとしてひなたと上手くやって行けるかな?年が離れてる訳だし」

 

「……1935年、エルヴィン・シュレーディンガーは量子力学のコペンハーゲン解釈を説明する為に箱の中に猫を1匹を入れ、そこにいつ蓋が開くか分からない毒ガスの入った小瓶を一緒に入れて置く実験を提案した。さて、蓋が開き毒ガスが漏れたかどうか外から見えないので、箱を開けるまでの間、猫は生きているとも又死んでいるとも解釈出来る」

 

「………えっ?」

 

蓮花は、紅牙の説明に理解出来ておらず口を開けて呆然としていた

 

「…いきなり何?要点が見えないのだけど」

 

「当然だ、これから言う所だ。まさかシュレーディンガーの猫を知らないのか?」

 

「そう言う事じゃなくて…」

 

シュレーディンガーの猫ぐらいは知っている。蓮花が聞きたいのはそれでは無い

 

「言う前に分かったら超能力があるとしか──」

 

「だから要点は何!?」

 

流石の蓮花も、こんな遠回しの説明に苛ついて声を荒げた

 

「シュレーディンガーの猫と同じ様に、お前とひなたが付き合うとどうなるかは、現段階では良いとも悪いとも言える。上手く行くかどうかは、蓋を開けた時初めて分かるものだ」

 

「……分かった。取り敢えずひなたとデートすれば良いって事だね」

 

「なぁ〜んでそんな事になるのか?もう一度一から説明しよう。1935年、エルヴィン・シュレーディンガーは────」

 

また、シュレーディンガーの猫を聞かされる事になってしまった。蓮花は勘弁してくれと言わんばかりに、顔を両手で隠して下を向いた

 

 

 

 

 

「なら動物園に行こう」

 

(何でそうなるんですか…?)

 

唐突な発言にちゆは苦笑いする

 

「動物園にでも行って、ひなたと2人っきりにしてやるから。勿論金はお前持ちな」

 

(鬼麿さん…言ってる事は凄いまともなのに考えてる事は酷いです)

 

「ありがとう。言われなくてもお金は全て出す。ちゆ達の分もな」

 

(それで良いんですか蒼咲さん?)

 

 

 

 

 

////////

 

「そんな訳で俺達は只今『すこやかZOO』と言う動物園にやって来ました!」

 

「どうしたのですか?」

 

「駄目よのどかちゃん。あんな挙動不審な人に近づいちゃ」

 

紅牙の言う通り、蓮花達はすこやかZOOに来ていた

 

「それにしても虎はやっぱ迫力があるな!俺の仲間は最高にワイルドだぜ!」

 

「え?虎と猫って仲間なわけ?」

 

「仲間だよ。虎は、哺乳綱食肉目ネコ科ヒョウ属。そして猫は、食肉目ネコ科ネコ属」

 

「??」

 

蓮花は割と簡単に説明したつもりが、ひなたは容量オーバーで頭から煙が舞い上がっていた

 

「お兄さん良く知ってるね」

 

聞き慣れない声がしたので隣を見ると、のどか達より年が離れてる少年が立っていた

 

「因みにソイツはアムール虎の雄。虎の中では一番デカい種類なんだ」

 

「ふわぁ〜!良く知ってるね!」

 

「あのアムール虎は体重が250kgにもなるのね」

 

「虎がお好きなのですか?」

 

「猫と同じって思うと虎も可愛いよね!」

 

「紅牙、貴方鬼なんだから勝てるよね?」

 

「負けるわ」

 

「アムール虎って虎の亜種だったよね?」

 

「何かバラバラでウケる」

 

少年の言う通りで、蓮花達一人一人違う言葉を漏らしていた

 

「にしてもこの動物園意外と広いな」

 

紅牙はパンフレットを見ながら呟いた。それを聞いてか、少年はある提案をしてくれた

 

「もしかして、お姉さんとお兄さん達は此処来るの初めて?それなら俺が案内してやるよ!」

 

そう連れられて一度中央広場へ戻って来た

 

「この動物園は、世界の地域別に色んなゾーンに分かれているんだ。次はどんな動物が見たいの?」

 

全員が考える中で、ちゆは少年が1人だという事に疑問に思った

 

「そういえば貴方は1人で来てるの?」

 

「いや、お父さんと──」

 

「孝太〜!」

 

少年の声を遮る様に遠くから名前を呼ぶ声が聞こえた。

やって来たのは、のどか達の担任の教師の丸山先生だった

 

「「「こんにちは!」」」

 

「君達も来ていたのか」

 

「初めまして。わたくし、風鈴アスミと申します」

 

「鬼麿紅牙です」

 

「天道紫苑です。どうぞ宜しくを」

 

軽く挨拶を済ませて本題へ移る

 

「んじゃ、次は何処へ行きたいの?」

 

再度考え始めるのだが

 

「キリン!絶対キリン!」

 

「ラッコかな?」

 

「わたしはハシビロコウが見たいわ!」

 

「俺は猿だな」

 

「私は蛇かしら?」

 

「動物と触れ合える所に行ってみたいなぁ〜!」

 

「わたくしは何処でも構いません」

 

ここでもバラバラに答える。それぞれの動物はパンフレットで見る限りでは、あっちこっちにエリアがバラけていた

 

「行きたい所バラバラじゃん…」

 

そう言われてもしょうがない。一体何から周ればいいのか孝太が悩んでいると、丸山先生が助け舟を出す

 

「だったら端から順番に見て行くか」

 

「じゃあ取り敢えずコッチ!」

 

孝太を先頭に一同が歩く最中で、孝太は思っていた事を口にする

 

「にしてもさ、お姉さん達本当キャラバラバラじゃない?」

 

「キャラ?」

 

「そ、話す事とか雰囲気とか。なのに良く仲良く出来るよね。俺だったら絶対無理」

 

「孝太君誰かと喧嘩でもしたのかしら?」

 

「そうなんです。実は友達と喧嘩してね。今日も本当は、その子の家族と一緒に来る筈だったんだが…」

 

「アイツ色々と面倒臭いんだよ。だからもう友達なんて要らね」

 

友達は要らないと言う孝太に心配しながら、それぞれが見たい動物エリアに案内してくれた

 

見た感想はやはりバラバラ。それぞれの個性が表に出るものばかり。しかし、全員その場で沢山楽しんでいた

 

孝太は、全員がバラバラの筈なのに仲が良い事に疑問を持っていた

 

 

 

 

 

////////

 

『グアイワル、ダルイゼン。メガパーツを使った試みはどうだ?』

 

「少しずつ結果が出て来てる所です」

 

「こっちもそんな感じかな」

 

ビョーゲンキングダムでは、メガパーツを使っての実験についての報告を話合っていた

 

1人を除いて

 

「は〜い!キングビョーゲン様!私もメガパーツを使って──」

 

『特にダルイゼン。お前のテラビョーゲンを増やすという試みは実に興味深い』

 

「はいは〜い!このシンドイーネもキングビョーゲン様の為に──」

 

『期待してるぞダルイゼン』

 

シンドイーネが完全に話の輪に入れずキングビョーゲンは去ってしまう。と言うより、大した結果を出していないシンドイーネなど眼中に無かった様子

 

「さてと、期待はさて置きまたメガパーツを取りに行く…?」

 

その場を去ろうとする時、胸元にメガパーツが放り投げられる

 

「何のつもり?」

 

メガパーツを寄越したのは始だった

 

「先日、代わりにメガビョーゲンを出してくれたろ?その分のお礼だ。取っておけ」

 

「ふぅ〜ん…」

 

ダルイゼンは素直に受け取り地球を蝕みに行った

 

「いくら死人が蘇ったと言っても所詮は人間か。メガビョーゲンを生めなければ、メガパーツの使い道も無いと言う訳か。俺にも一つ寄越せ」

 

「お前は何もしてないだろ?それに今はまだ人間だ」

 

 

 

 

 

////////

 

「孝太?」

 

蓮花達が楽しんでると、不意に後ろから名前を呼ばれる声がした

 

振り返ると、孝太と同じくらいの少年と父親と思わしき人物が居た

 

「きっと喧嘩した友達ね」

 

「仲直りのチャンスじゃん」

 

しかしながら、そのチャンスもすぐに無駄となる

 

会って早々に、孝太と友達である秀一と喧嘩を始める

 

喧嘩の中身は実に年相応のものだった。虎とライオンのどちらが強いかと言う言い争い

 

「辞めた辞めた!あ〜面倒臭え!」

 

「僕だって!」

 

「さぁ次行こうぜ!」

 

どこか寂しさがある背中を見てのどかが元気付ける

 

「ねぇ、少し早いけどご飯にしない?わたしお腹空いちゃった!」

 

「うん…」

 

「もう11時か…」

 

紅牙はスマホの時計を見て初めて気付いた

 

皆がお昼にする為に移動する時、紅牙は蓮花の脇を肘で突く

 

「蓮花」

 

目だけで、ひなたを誘えと合図を出していた。蓮花もそれが通じてこっそりとひなたに話し掛ける

 

「ひなたひなた」

 

「何?」

 

「ちょっとだけ2人だけで周らない?」

 

それを聞いた途端、ひなたの瞳はキラキラとして食い付いた

 

「行く!!」

 

大声を出してしまったので全員が注目する

 

「悪い!俺、もう少し見て周りたいから皆んなは先行ってて。あと、ひなたも借りてくよ」

 

「2人共気を付けて」

 

「さぁ、俺達は一足先に休憩でもしとくぞ〜」

 

ちゆもそれに気付いて紅牙と共に皆んなを誘導させる

 

 

 

 

 

「蓮兄見て見て!カバだよ!大っきい口!」

 

のどか達の人目を気にしなくなったのか、先程よりも大はしゃぎで叫んでいた

 

「それにしても蓮兄から誘うなんて嬉し!」

 

「それは良かったよ」

 

ひなたは、腕を組んでは強引に引っ付いて一緒に歩く

 

「なぁひなた、何で最近落ち込んでいるの?何か悩みでもあるの?」

 

「えっ!?そ、それは…」

 

何故知っていると言った表情で目を逸らす

 

とても言える訳が無い。その悩みの種が蓮花だと口が裂けても言えない。ましてや、アスミと仲良くしてる事が原因とは

 

「無理に問うつもりは無い。嫌なら嫌で答えなくても良いよ」

 

「ごめん…」

 

「さてもう少し見て周ろう!楽しんで行くよ!」

 

「うん!」

 

仲良く歩く2人の姿は、周りの人から見ればそういう関係だと思う事も

 

「にひひ!」

 

そんなひなたの幸福な時間は一瞬にして奪う。

大きな地響きが鳴る。何事かと地響きの中心には、メガビョーゲンが園内で暴れていた

 

「「メガビョーゲン!?」」

 

丁度蓮花のスマホからも紫苑から着信が入る

 

『蓮花、メガビョーゲンが現れたの。ひなたちゃんと一緒に来て!』

 

「こっちでも確認してる。合流しよう!」

 

通話を切ってひなたに合流する事を呼び掛ける

 

(あ〜もう最悪!!)

 

折角の良い雰囲気を邪魔されてひなたは少々不機嫌になる。愚痴を溢すのを何とか堪えて蓮花と共に走り出す

 

 

 

 

 

////////

 

「皆んな!」

 

「蓮花さん!」

 

蓮花達の前には、メガビョーゲンにダルイゼンが居た

 

「ダルイゼン!!」

 

のどかではなく、紅牙がダルイゼンに過剰反応していた

 

「行くよ皆んな!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「舞い上がれ!時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「「キュアスキャン!」」

 

「葉っぱの根元の所に葉っぱのエレメントさんがいるペエ!」

 

人混みが多い園内で早いとこ決着をつける為、変身早々フォンテーヌがエレメントの場所を特定する

 

「行くぞスパークル!」

 

「OK!」

 

「メガ!」

 

紅牙がツタ、メガビョーゲンは葉っぱを鋭く細めてツルの様にして攻撃し合う。

力では圧倒的に翠遠の息吹が上回り、メガビョーゲンの体を拘束

 

「やあぁぁ!!」

 

動けなくなった所をスパークルが飛び膝蹴りをかます

 

「ハァァ!」

 

「ハッ!」

 

そしてフォンテーヌとアースの連携で追撃をし

 

「これで!」

 

「どう!」

 

蓮花は風の斬撃、紫苑は高速で葉っぱを切り刻む

 

「トォォッ!!」

 

最後にメガビョーゲンの頭にグレースが踵落としで決める

 

「やれやれ、あれじゃメガビョーゲンが育たない。仕方ない」

 

ダルイゼンは悪戦苦闘するメガビョーゲンを助けに入る

 

「ッ!?」

 

突然目の前に現れて、アースは一度距離を置く

 

「相手になるよ。プリキュア 、抜剣者」

 

そして一気に距離を詰めてフォンテーヌとスパークルを吹き飛ばした

 

「「キャアッ!」」

 

「1人で俺達を相手にするつもりか!」

 

「舐められたものね!」

 

入れ替わりで紅牙と紫苑は仕掛ける

 

「うわっ!?」

 

「なっ!?…うっ!?」

 

しかし、翠遠の息吹を掴んでは放り投げられ紫苑と激突する

 

「この隙に!」

 

「悪いけど」

 

「ッ!?」

 

メガビョーゲンに斬りつける所で、ダルイゼンが蓮花の前に颯爽と移動して真剣白刃取りで剣を受け止めた

 

そしてそのまま、蓮花の頭を掴み背中に肘で殴り地面に減り込ます

 

「メガビョーゲンが育つまで大人しくしてくれるかな?」

 

「メガビョーゲン!」

 

「良い感じに育ったじゃん」

 

ダルイゼンは、メガビョーゲンの体の一部を切り取りメガパーツを入手する

 

「折角だし」

 

始に貰ったメガパーツをメガビョーゲンに埋め込んだ

 

「メメメガガ!メガビョーゲン!!」

 

「行け」

 

「させっかよ!フォンテーヌ!」

 

「はい!」

 

紅牙とフォンテーヌが攻撃を掻い潜り、当てたとしても

 

「えっ!?」

 

「効いてない!」

 

2人の攻撃に対してビクともしていなかった

 

「アタシに任せて!」

 

スパークルが走り抜けるも一瞬で捕まえられ、地面に叩き付けられる

 

「スパークル!大丈夫!?」

 

「大丈夫…ありがとう紫姉」

 

今度は蓮花とグレースが攻撃を避けながら突っ込むも

 

「ぷにシールド!」

 

「クッ…!」

 

「ハッ!」

 

シールドに群がってる葉っぱを片付けるのに精一杯

 

「厄介ですね…」

 

「これ以上成長されたらマズい」

 

「少し攻撃の趣向を変えようか。メガビョーゲン!」

 

ダルイゼンの指示で、メガビョーゲンは葉っぱを園内に向けて攻撃をし始める

 

「皆んな急いで防いで!ぷにシールド!」

 

フォンテーヌの言葉で、攻撃より防御に移し替えて動物園を守る

 

「この手数捌き切れねぞ!」

 

「でもやるしかないっしょ!」

 

「これ以上好き勝手させない!」

 

「待って下さい!」

 

全員が防御する中で蓮花は、アースの静止を振り切って単独でメガビョーゲンに突っ込む

 

(この状況を打破してこそ価値がある!)

 

蓮花は、時を経て繋がる二つの風をしまい覚醒を解除する

 

そして、手を前に翳しながら走る

 

(皆んなも!動物園も!この地球も全部救ってみせる!)

「だから俺に力を貸してくれ!内に秘める剣よ!!」

 

蓮花の胸の奥が虹色に輝き、新たな剣を喚び覚ます

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「切り拓け!救い切り開く虹霓──ジオエヴァレンド!!」

 

 

 

虹色に輝く剣を振るいながら切り込む

 

「メガッ!?」

 

「多少剣が変わってもどうする事も出来ない。メガビョーゲン!」

 

「メ、メガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンの攻撃は蓮花を通り越して、グレース達に襲い掛かる

 

「「「キャアッ!」」」

 

「皆さん大丈夫ですか!?」

 

「うん大丈……あれ?全然痛くない?」

 

グレースは自分の体の異変に気付いた

 

「わたしもよ」

 

「アタシも!」

 

それはフォンテーヌもスパークルも一緒だった

 

「…何をした?」

 

「ッ!…皆んなの痛みは俺が全部引き受ける。それが救い切り開く虹霓の能力。ダメージの肩代わりだよ」

 

3人に痛みが無い訳が明らかとなった

 

「これで一気に決める!」

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「極限浄化!」

 

果てしなき蒼(ウィスタリアス)以上の虹の巨砲が、メガビョーゲンを飲み込み浄化した

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

 

 

「お疲れ〜」

 

ダルイゼンはメガパーツの補充が目的で、メガビョーゲンが倒されても大した痛手とならずその場を後にした

 

 

 

 

 

////////

 

「な、何とかなった…クッ!」

 

蓮花はその場で膝を突く

 

「おい蓮花大丈夫か!?」

 

「へ、平気…」

 

だが、顔色が悪くとても大丈夫とは思えない

 

「救い切り開く虹霓。確かに強力な絶剣だが、ダメージを肩代わりって事はお前に負担が…」

 

「でも、俺が皆んなの代わりになれば」

 

「……蓮花、その絶剣は使用を控えるように。お願い」

 

「ん…うん」

 

何故だか、紫苑に言われて納得してしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方で、丸山親子に身の危険が迫ってる事はまだ知らない蓮花達

 

これから、彼らと彼女達のお手当ての真価が問われる




一応、蓮花の最終形態ですな。ダメージの肩代わりってデメリットしかない

次回はいよいよ4人の合体技ですな!

では、ここまでの拝読ありがとうございました


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第52話 終わりなき進化♥ヒーリングっどアローでお手当て!

満を辞しての強化フォーム!天使ですね!いや天使!

ではスタート!


「蓮花、あの絶剣は控えるように。貴方の身を滅ぼすわよ」

 

「だけど──」

 

「お前は1人で何とかしようとし過ぎる。もっと俺達を頼れよ」

 

蓮花の絶剣について3人が話し合っていると、グレースがこちらへ向かって来た

 

「3人共大変なの。ラテの体調が悪くなったの」

 

「…ビョーゲンズを倒したのに?」

 

「何かあるか調べに行きますので一緒にお願い出来ますか?」

 

「分かった行こう」

 

こうして、ラテが反応する場所へと移動すると

 

 

 

 

 

「居たラビ!

 

「何だ、普通のメガビョーゲンじゃん」

 

蓮花達の目の前には、フラスコを背負った人型のメガビョーゲンが立っていた

 

「ギガビョーゲン!」

 

メガビョーゲンは咆哮を上げると、全身から赤黒の光線は放出し園内全域を一瞬で蝕んだ

 

「一気にあんなに蝕めるペエ!?」

 

「お手当てを急がないと!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

先ずは、いつもの様に苦しむエレメントを見つけ出すのだが、そこには信じられない人物が映し出されていた

 

「先生!?」

 

そう、グレース達の担任の丸山先生だった

 

あまりにも衝撃的過ぎる。これまで、人間が媒体となったのは無い。初めてのパターン

 

「ギガビョーゲン!」

 

果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

同時に結界を展開して防御はしたが、威力が強過ぎて三重の結界が破られてしまった

 

「オーホッホッホッ!」

 

声の主はシンドイーネだった。しかし、その姿はいつもと少し違っていた

 

「どう?プリキュア 、抜剣者。この私が生み出した新種のビョーゲンズ。『ギガ(・・)ビョーゲン』の力は!」

 

「ギガビョーゲンだと!?」

 

蓮花達が相手にしていたのには、いつものメガ(・・)ビョーゲンでは無くギガ(・・)ビョーゲンと言うやつだ

 

「私はね進化したのよ。この体にメガパーツを取り込む事によってね」

 

「確かにメガパーツはビョーゲンズの成長を早める物だけど……普通考えついてもやらないわよ!」

 

「さあギガビョーゲン!お前の力を見せつけなさい!」

 

「ギガビョーゲン!!」

 

全員がジャンプで避けてそこから攻撃に展開するのだが

 

「クッ…きゃあ!!」

 

ステッキを構えるグレースにギガビョーゲンは、手で払い退けて地面へと叩き付けた

 

「ハァッ!…うっ!」

 

フォンテーヌでも裏拳で殴られ近付けず

 

「スパークル!」

 

「ハァァァ!!」

 

蓮花がスパークルを投げ飛ばして、そのスピードに回転を付けて蹴りを入れたが全くビクともせず、逆に吹き飛ばされてしまった

 

「ヤバい!」

 

「なんて攻撃力!」

 

「これまでのメガビョーゲンとは比べ物にならない程強くなっています」

 

「そうね、私達の魔剣で太刀打ち出来るか…」

 

だからって怯んではいられない

 

「先生を返して!」

 

グレース達が派手に動いて、ギガビョーゲンに近付こうと必死になるが

 

「「「キャアアア!!」」」

 

「「うわあぁぁ!!」」

 

蓮花とアースを除いた5人は、それぞれ別方向に吹き飛ばされて変身が強制的に解かれてしまった

 

「「皆んな!(皆さん!」」

 

「ハッ!」

 

蓮花はギガビョーゲンの頭上を超えて、果てしなき蒼と交換して不滅の炎(フォイアルディア)を喚び出した

 

「抜剣覚醒!──炎帝業火・応用編!!」

 

不滅の炎の刀身が煮え滾るマグマの炎に包まれて、巨大な刀身へと変貌する

 

「決める!!」

 

ギガビョーゲンの肩に向けて剣は振り下ろされたが

 

「うおおぉぉ!!」

 

ギガビョーゲンの身体が凄まじく強固なもので、逆に不滅の炎の刀身が砕け散った

 

「不滅の炎の炎帝業火が破られた!?」

 

動揺の一瞬、動きを止めた蓮花は叩かれて覚醒状態が解かれてしまった

 

「蓮花!…ああ!?」

 

アースも蓮花に気を取られた隙を狙われて、茂みの中へ飛ばされて変身が解除された

 

「やった!やったわ!遂に手に入れたのよ!プリキュア や抜剣者を凌駕する程の力を!!」

 

シンドイーネは、高笑いした後にキングビョーゲンにその姿を見せる為に、ギガビョーゲンを連れてその場を後にした

 

 

 

 

 

////////

 

シンドイーネが去った後、のどか達4人は園内の様子を見る為に別れた。そして蓮花達は

 

「う…〜〜〜ッ!!」

 

「おい蓮花大丈夫か?」

 

「ゲホッ!ゲホッ!……ああ、何と…〜〜ッ!!」

 

トイレに篭って吐瀉物を吐いていた。 救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)の能力であるダメージの肩代わり、そして先程での戦闘で身体が悲鳴を上げていた。

身体が身の危険を感じて、警告するかの様に吐かせているのだ

 

蓮花の体調は酷いものだった

 

「無理そうね。蓮花、貴方は帰りなさい」

 

「…帰る訳にはいかない。まだギガビョーゲンがいる!」

 

「だけどね…」

 

「言うだけ無駄だ。こうなった蓮花は言う事聞かない。お前も知ってるだろ?」

 

紫苑は蓮花の目を見つめる。その瞳の奥はまだ闘志を燃やしていた

 

「はいはい分かりました」

 

蓮花達はトイレから出てのどか達と合流した

 

「孝太君…良かったの?置いて来て」

 

「はい、此処に居れば安全ですし」

 

「おい蓮花大丈夫か?顔色悪いぞ」

 

ニャトランが蓮花の体調不良に気付いた

 

「大丈夫。それよりもラテの具合いも悪い。ギガビョーゲンが現れたの?」

 

「港の方に現れたラビ」

 

「やるぞ。やるしない。最後までお手当てするんだ」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「舞い上がれ!時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹!」

 

「包み込め!善なる天威!」

 

 

 

 

 

////////

 

港では、ギガビョーゲンが近くの街を手当たり次第に蝕んでいた

 

そこへ、走って追い付いた蓮花達の姿が映る

 

「ハッ!」

 

「ギガ!」

 

「きゃあ!」

 

スパークルの攻撃を跳ね返して、更にはそこから張り手で遠ざける

 

「ハァァァッ!」

 

「ギガ!」

 

「クッ!」

 

フォンテーヌの拳も片手で簡単に振り払われた

 

「あ〜らプリキュア ちゃんに抜剣者達また来ちゃったの?ギガビョーゲンにこれっぽちも敵わなかったくせに」

 

「うるさいな!」

 

「今度こそ絶対に引かないわ!」

 

「必ずギガビョーゲンを浄化してみます!」

 

「約束したの。プリキュア が先生を助けるって!!」

 

ギガビョーゲンの光線を全員が避ける事に集中して、少しでもギガビョーゲンに近付こうとしている

 

「ギガビョーゲンの攻撃は強力ラビ!」

 

「まともに食らうと復帰するのに時間が掛かる!」

 

「とにかく避ける事が大事ペエ!」

 

「その上で、ちょっとずつ少しでも体力削って一気にヒーリングオアシスに持ち込むラビ!」

 

蓮花達はヒット&アウェイで攻防を繰り広げる

 

「音のエレメント!」

 

アースが怯ませて、グレース達で光弾を連続で撃ち放つ

 

けれども、一瞬の動きを封じるだけで全然効かないでいる

 

「ギガー!」

 

「ぷにシールド!」

 

「グウゥ!」

 

シールドの上からでもグレースの体は大きく後退しダメージが通る

 

「雷のエレメント!」

 

「雨のエレメント!」

 

「実りのエレメント!」

 

「「「ハァァァ!」」」

 

それぞれ3方向から一斉にエレメントの力で連撃する

 

「翠遠の息吹!」

 

そして、翠遠の息吹のツタでギガビョーゲンの両腕両脚をがんじがらめにして、蓮花と紫苑が一撃を加える

 

「覚醒剣!──狂飆爆烈!」

 

「絶・覚醒剣!──天威絢爛!」

 

竜巻が発生させて、その風に紫苑が乗り毎秒何百という数の斬撃を与える

 

「ギガ!?」

 

「覚醒剣!──真・翠嵐疾風!」

 

竜巻がギガビョーゲンを空中へ放り投げられると、そこには紅牙が待ち受けて追突させる

 

地面へと強烈に叩き付けられ

 

「空気のエレメント!」

 

アースが、ギガビョーゲンの目の前まで接近して空気でグレース達の距離を離した

 

「「「今だ!!」」」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

 

「ギガビョーゲン!」

 

だが思わぬ反撃をされる。ヒーリングオアシスに合わせて、ギガビョーゲンが背中に背負ってるフラスコから巨砲を放ち相殺させた

 

「「「ッ!?」」」

 

「皆さん!…ああ!」

 

爆風によってアースはグレース達の所まで吹き飛ばされた

 

「そ、そんな…」

 

「ヒーリングオアシスを弾き飛ばすなんて…!」

 

「まだだ!!」

 

「行け!」

 

紅牙は翠遠の息吹を蓮花に投げ渡した

 

「果てしなき蒼!不滅の炎!翠遠の息吹!」

 

 

「真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

 

「真・覚醒剣!──蒼炎翠光!!」

 

4つの輝きがギガビョーゲンを撃ち抜き膝を突かせた

 

「ヒーリングオアシスで駄目なら絶剣でお手当てするまでだ!!」

 

揺るぎなき曙光を投げ捨て次の魔剣を喚ぶ

 

「馬鹿やめろ!!」

 

「駄目よ!許可出来ないわ!!」

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「切り拓け!救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)!」

 

 

「2人共構わず突っ込め!」

 

「クソが!」

 

「もう!」

 

2人はやけくそになりながらも、蓮花に言われた通り走り出した

 

「ギガビョーゲン!!」

 

「きゃあ!」

 

「紫苑!…うがっ!?」

 

紫苑は地面に打ち付けられながら歩道へ、紅牙は建物に叩き付けられてしまう

 

「かはっ…!ま、マズイ…」

(口から血が。それに息が…)

 

「動けない…!それよりも…」

 

紅牙は肋骨が折れてその破片が左の肺に刺さり、紫苑は右脚が完全に砕かれてしまった

 

しかし、2人が気にしてるのは蓮花の方だった。

蓮花の方へ目を移すと、膝を突いて天を仰いで泡を吹いていた

 

救い切り開く虹霓で2人の痛みが一気に蓮花に降り掛かり、そのショックで失神直前の状態になってしまったのだ

 

「ギガビョーゲン!!」

 

無慈悲にギガビョーゲンの拳が突き刺さり、蓮花は倒れてしまった

 

「これで分かったんじゃない。ヒーリングアニマルだの人間だの、ましてや魔剣など雑魚がいくら集まったって進化した私の力に太刀打ち出来ないって」

 

「ハァ…ハァ…」

 

「そこで這いつくばって眺めてなさい。この星全てがキングビョーゲン様色に染められていくのをね!!」

 

「ギガビョーゲン」

 

山も海も何もかもが蝕まれていく

 

「そんな…これ程までに力の差があるとは…」

 

「くぅ〜ん…」

 

「申し訳御座いませんラテ。わたくしでは、これ以上お役に立てません……」

 

「俺達も限界だ…」

 

紅牙と紫苑がお互いに肩を借りながらグレース達の所までやって来た

 

「俺は肺をやられ、紫苑は右脚が粉砕骨折。それに蓮花はショック死寸前だった」

 

「翠遠の息吹で傷を治すにしても、これ程まで深手を負わされてしまったら時間も掛かる。私達はもう使い物にはならないわ」

 

「そんな!アースや蓮兄達が無理ならアタシなんか…」

 

「これ程絶望に満ちた気持ちは、わたくしは感じた事がありません…」

 

蓮花達は完全に戦闘不能、アースも力の差を見せつけられて打ちひしがれ、自分達の持つ技でさえも通用しなかった

 

絶望の淵に立たされた

 

しかし

 

「「それでも」」

 

「わたしは諦めたくない…!」

 

「ラビ…!」

 

「先生も、ビョーゲンズのせいで苦しむ人の気持ち分かるから」

 

「そんな、大切な人の無事を祈る孝太君の気持ち分かったラビ!」

 

「ギガビョーゲンがどんなに強くても」

 

「放って置く訳にはいかないラビ!」

 

グレースとラビリンだけはまだ諦めてはいなかった。自ら鼓舞して奮い立たせた

 

「…先生達だけじゃ無いわ。地球をビョーゲンズに奪われたり、沢山の生き物も苦しむって良く分かった」

 

「そうペエ。エレメントさんも皆んな苦しむペエ」

 

「フフ…先生の言った通りだ。アタシ達、キャラバラバラが良いんだって話」

 

「誰かが挫け掛けても誰かが立ち上がる。そうしたらこうして、次々勇気が湧いてくる!」

 

フォンテーヌ、スパークルと折れ掛けた心を持ち直して立ち上がった

 

「アース、わたし達まだ頑張れるよ」

 

「ラビリン達ヒーリングアニマルと人間のパートナー、それに地球と風から生まれたアース!」

 

「そして、いろんなエレメントさんから力を預かってるペエ!」

 

「蓮花達だって側に付いてるニャ!」

 

「こんなに沢山の人が、沢山の人達が集まってるんだもの!」

 

「まだまだ行けるよ!そんな気して来ない?」

 

3人はアースに手を差し伸べる

 

「わん…!」

 

「…はい!皆んなで手を取り合えば必ず!」

 

ようやくしてアースも持ち直した

 

「後は…頼んだよ…!」

 

目を覚ました蓮花はグレース達に最後の望みを託した

 

「蓮花さん達の分までお手当て頑張って来ます!」

 

グレース達はギガビョーゲンの前まで躍り出た

 

「「「「わたし達は!お手当てを諦めない!!」」」」

 

その時、それぞれの持つエレメントボトルが大きく輝き始めた

 

そして、輝きはひとつとなり新たなエレメントボトルを誕生させた

 

「新しいエレメントボトル!?」

 

「今まで集まったエレメントさんの力がひとつになったラビ!」

 

「わふーん!」

 

そしてラテを中心に、ヒーリングステッキにアースウィンディハープもひとつになって、新しい姿となった

 

注射器にも似た弓矢となった武器「ヒーリングっどアロー」となる

 

「ラテ様が、ボク達の力をひとつに纏めてくれたペエ!」

 

「さっすがヒーリングガーデンの王女様だぜ!」

 

「わん!」

 

「グレース!皆んなの力で浄化するラビ!」

 

「うん!」

 

 

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

グレース達の姿が変わり、スペシャルヒーリングっどスタイルへ変わった

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

ヒーリングっどアローの持ち手を引き、癒やしの力を溜め込む

 

「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」

 

最上とも言いえる癒やしの浄化技を放つ

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

強力な浄化技で、ギガビョーゲンを浄化し蝕まれていた場所全て元に戻った

 

「嘘でしょ!?あんなに蝕んだのに!!」

 

シンドイーネは退散して行った

 

「綺麗…!」

 

「流石プリキュア だな!」

 

「まるで白衣の天使…!フローレンス・ナイチンゲール」

 

紫苑、紅牙、蓮花とその姿に見惚れていた

 

 

 

 

 

////////

 

グレース達は蓮花達へと駆け寄った

 

「どうだった蓮兄!新しいプリキュア の服凄くなかった?ゴージャス盛り盛りでさ〜!」

 

「羽まで背負っちゃってさ!」

 

「もう、ファッションショーじゃないのよ」

 

「地球から新たな力を託された象徴ペエ!」

 

未だに興奮が抜け切れてない

 

「これは『スペシャルヒーリングっどボトル』と名付けるラビ」

 

「これがあれば、またギガビョーゲンが出て来ても皆んなを助けられる。ありがとう地球さん」

 

「これからも、皆んなで力を合わせてお手当てを続けましょうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや、それは無理な話だ」

 

「「「「「「「ッ!?」」」」」」」

 

その瞬間、全員背後から今にも殺されるような殺気を察知する

 

「な、何この変な感じ?」

 

振り返ると、始とその隣には邪悪なオーラを放っている長い白髪の青年が居た

 

「父さん……と誰だ?」

 

「我を知らぬとは…。正直言って幻滅」

 

「その声!」

 

蓮花には聞き覚えがあった。まだ果てしなき蒼になる前、碧の賢帝(シャルトス)から時折り聴こえていた声だ

 

「我が王よ」

 

始は、両膝を突いて原始の魔剣を差し出す。その姿は完全に忠誠心を表していた

 

「王ですって!?」

 

「天道さん、何か知ってるのですか?」

 

「魔剣を扱う王は歴代の中でたった1人だけ」

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「滅び尽くせ!原始の魔剣!」

 

 

 

覚醒状態になった。しかし見た目は完全に蓮花達とは正反対。白だった長い髪は黒へと変色した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「抜剣者レンカ。古の時代の一国の王であり、最初の抜剣者よ」




次回からオリスト3話分挟みます!
更にはヒロインである、ひなたの精神をズタボロにさせます

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第53話 敗北の二文字、壊れた光のプリキュア

戦闘シーンだけで約2500文字…

オラに文章力を分けてくれえ!!

ではスタート!


「愚かな人間共。我の国を汚した罪は万死に値する」

 

「やるしかなさそうだな」

 

「で、でも!蓮花さん達は!」

 

「もう傷は治った。全員でやれば!」

 

抜剣者3人は再度覚醒する

 

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

「「うおおぉぉ!!!」」

 

紅牙と紫苑が2人して突っ込んだ

 

(こっちはもう限界もいい所だ!)

 

(それでも早く終わらせる!)

 

だが

 

「「ッ!!?」」

 

一瞬で2人は全身を氷漬けにされた。突然の事で理解出来なかった。

レンカは只、剣を地面に突き付けてるだけ

 

(野郎…!)

 

(もう既に仕込まれていたのね…!)

 

「常に相手の一歩……いや、更にその先を見据えるものだ」

 

原始の魔剣から、2人に向かって氷が張っていた。2人が戦闘体勢に入った時から既に手は打たれていた

 

「鬼麿さん!!」

 

「紫苑さん!!」

 

今度は両腕を広げると

 

「「キャアッ!」」

 

何処からともなく現れた巨大な腕がグレース、フォンテーヌを壁端へと吹き飛ばした

 

「蒼穹無限!」

 

蓮花は紅牙と紫苑に向けて技を放つ。

そして、土煙りの中から紅牙と紫苑が飛び出した

 

「翠嵐疾風!」

 

「天威絢爛!」

 

蓮花のお陰で自由になると同時に、今持てる最大の力で最高の技で襲い掛かった

 

「その程度で、我を止められると思うなッ!」

 

地面が盛り上がり、2人を勢い良く突き上げる

 

「うがっ!?」

 

「ああっ!?」

 

「紅牙!紫苑!」

 

アースが2人を助けようと駆け出すと、足元に眼玉が見開いた

 

「キャアァァッ!!」

 

眼玉を踏んだ途端、大きな爆発がアースを襲った

 

「一体何が起きているんだ!?」

 

「分かんないよ!」

 

この一連の流れで蓮花とスパークルはパニック状態に陥ってしまう

 

「お前達の言うお手当てはこんなものか?後代の抜剣者と何も変わらない」

 

「何だと!」

 

「思い上がるなッ!たかが魔剣、たかが絶剣、たかがプリキュア 如き。我を倒せると思ったその思想。浅はかな」

 

もう一度原始の魔剣を突き立てると、蓮花の周りを何十という魔剣が包囲した

 

「蓮兄!!」

 

「妄想、幻想、思想、理想、空想。そのような絵空事を並べるばかり」

 

レンカはようやく一歩踏み出した(・・・・・・・)

 

ビョーゲンズよりももっと恐ろしく、悍ましい生き物。威勢のあるスパークルも

 

「あ…あぁ……」

 

「スパークル逃げろ!」

 

その圧倒的な力。スパークルは恐怖して動けずにいる。ニャトランの声など耳に入ってなどいない

 

時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)

 

周りを囲んでいた剣を暴風が全て吹き飛ばし、怯えるスパークルの元へ走り抜ける

 

「これが本来の原始の魔剣の力」

 

 

 

「覚醒剣」

 

「原始超動」

 

 

 

赤黒い巨大な波動がスパークルへと押し寄せて来る

 

「ぷにシールド!」

 

ニャトランが咄嗟にシールドを張るも

 

(ダメだ!これじゃあ気休めにもならない!)

 

「ッ!」

 

スパークルが強く目を閉じると

 

「スパークル!ニャトラン!」

 

蓮花がスパークルの前に出た

 

不滅の炎(フォイアルディア)!果てしなき蒼!時を経て繋がる二つの風!救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)!」

 

一度に4本の魔剣を喚び出し、更には同時に結界を重ね合わせる

 

「ッ!!?」

 

波動が結界にぶつかった瞬間、不滅の炎が張った結界が消し飛んだ

 

「何だと!?」

 

その後、果てしなき蒼の結界も十数秒で破られた。

ジリジリと時を経て繋がる二つの風の結界にもヒビが入る

 

「負けるかァァァァ!!!」

 

だが、そんな雄叫びも知らずが結界は儚く散り散りとなり、残るは救い切り開く虹霓の結界のみ

 

「蓮兄…」

 

「守るんだ!!絶対に!!」

 

「どんなに足掻こうと時間を割くだけ。万に一つも、勝ち目など無い」

 

そして最後の結界が破られた

 

 

 

 

 

「その身に刻め。貴様らがどれだけ腐っているかを」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

原始の魔剣より、街は滅茶苦茶になっていた。

道路は抉れては溶けており、周辺の建物は半壊が多く目立っていた

 

そしてその中には人影が2人。

青年が覆い被さる様に少女を庇っていた

 

「ぅ……あ、……」

 

「ひな…た…。だ、大丈夫…か……?」

 

「だいじょ……ッ!!?」

 

ひなたは蓮花の姿を見て絶句した

 

「そんな…蓮兄……何で!?」

 

蓮花は体中から血を大量に流し、背中は原始の魔剣の波動によって、背中が溶けて背骨が剥き出しになっていた

 

結界が破れて、攻撃が当たる直前で蓮花が庇ったのだ。

変身はお互いに解けたが、ひなただけは無事

 

「我が身を投げ打ってのその行動。評価に値しよう。しかし……」

 

「蓮兄ぃ…蓮兄ぃ……」

 

「哀れなものだ」

 

いつの間にか、蓮花達の前に現れ見下すレンカ。

ひなたは、只蓮花の名前を呼んで泣く事しかなかった

 

「叶うなら、次は…我に逆らえぬ人間になり生まれ変わるのだ」

 

剣を振り下ろす時、ひなたが蓮花の上に覆い被さった

 

「や、やめ…て」

 

寸前で手が止まる

 

「お願い……蓮兄を、殺さないで……お願い…!」

 

「…何のつもりだ?」

 

ひなたは涙目になって哀願していた。いつ殺されてもおかしくないこの状況で

 

「蓮兄だけは…っ…れん、にぃ…だけっ…は……」

 

「何も、何も思わないのか?」

 

「ぐずっ……」

 

「守られて、戦う意志を捨て、敵である我に……お前は一体何なんだ?全く持って理解し難い」

 

レンカはひなたの胸ぐらを掴み上げる

 

「あぁ……がっ…」

 

「お前みたいな人間は歴史上初めてだッ!」

 

ひなたから手を離して、逆に蓮花の左腕を掴み上げ

 

「ゲホッ…!ゲホッ!……蓮に──」

 

肩から左腕を切り落とした

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ッ゛!!!?!?」

 

「蓮兄!?蓮兄!!蓮兄ィィィィィ!!!」

 

「この嘆きから耳を背けるなッ!」

 

「嫌ぁ…嫌ぁ……嫌ぁぁァァァァッ!!!」

 

ひなたは、強く耳を塞いで何も聞こえないにする

 

「聞こえる叫びを聞こえぬ叫びに変えて、無視して踏みにじるつもりか!?」

 

「ひな…た゛…ッ!」

 

「お前の愚かな行為で、この状況を作り上げたのだ。お前せいで!貴様のせいでッ!!」

 

「アタシのせい…!アタシの、せいで!!蓮兄が…ッ!!!」

 

レンカは背中を向けて最後にこう言い放った

 

「……腐った魂など、殺す価値も無い」

 

原始の魔剣を始に投げ渡した

 

「良いのですか?」

 

「あのプリキュア の魂は壊れた。その他に、あの程度の者達など危険視するまでも無い」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシがぁ、蓮兄を……」




う〜〜ッ!マンボウ!!
???

ここまでの拝読ありがとうございました


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第54話 大好きだよ♥2人だけの溶け合う二つの光(スパークルセウス)

いよいよです!

ではスタート!


レンカに敗北した蓮花達は、治療をする為に家にお邪魔するのであった

 

「ほい、治ったぞ」

 

「ありがとう」

 

見るも無惨だった背中は元通りとなった。

左腕だけを除いて

 

「切られたんじゃどうする事も出来ないな…」

 

「右だけで何とかするよ。これからの私生活がちょっと大変だけどね」

 

「気にするところそこかよ…」

 

肩から無くした左を摩りながら

 

「皆んなは?特にひなた」

 

「お前に比べたらなんて事ない。絆創膏貼って済んだ。ひなたはなぁ……」

 

蓮花の家に担ぎ込まれた時は、意識を失っていた為皆んなの容体を気にしていた。今は、自室のベッドで紅牙と2人だけ

 

紅牙はバツが悪そうにリビングへと連れて行った

 

「蓮花さん!!」

 

「もう良いのですか?」

 

「やっぱり左腕は…」

 

のどか、アスミ、ちゆが心配して駆け寄ってくれた

 

「ひなたは?」

 

3人は、部屋の隅へと顔を向けた

 

そこにはフードを深く被り、顔を見られまいと俯いて座り込むひなたの姿だった

 

そんなひなたを元気付けようと、紫苑やラビリン達が声を掛けているが全然届いてはいない様子

 

「紫苑、皆んな」

 

「蓮花…」

 

「ひなたの奴、完全に塞ぎ込んじまってよ…」

 

「2人だけで話しても良い?」

 

「…分かったペエ」

 

蓮花はひなたの前に屈んで優しく声を掛ける

 

「ひ〜なた」

 

「……」

 

「どうしたの?蹲って」

 

「……」

 

蓮花でも中々反応してくれない

 

「もしかして、この左腕を気にしてるの?」

 

「…ッ」

 

「左腕」。その言葉でやっと反応してくれた

 

「そんな事より何か食べよう。連戦続きでお腹空いてるだろうしね」

 

「………で」

 

食事の準備をしようと立つ時、ひなたがようやく口を開いてくれた

 

「…んで………何で…何で怒らないの!!!」

 

「ひ、ひなた?」

 

「アタシのせいで蓮兄の腕が……なのに何で怒らないの?何で責めないの!?」

 

自分のせいでこんな事態になったのにも関わらず、その自分を全く責めようとしない。その事に腹を立てて怒鳴り散らす

 

「怒ってよ!ねぇお願いだから!!怒って責めてよ!!!」

 

「無理だよ…」

 

「え…?」

 

「ひなたを責めるなんて…怒るなんて出来ないよ」

 

「ッ!」

 

ひなたは蓮花を突き飛ばして家から飛び出した

 

「ひなた!…追い掛ける!!」

 

蓮花はシャツを軽く羽織り、遅れて飛び出した

 

「わたし達も追い掛けるわよ!」

 

「うん!」

 

「駄目だ」

 

のどか達も追い掛けようとするも、紅牙に止められてしまう

 

「これはあの2人の問題だ」

 

「ですが!」

 

「ひなたが受け止めるしかないんだよ。まぁ、蓮花が優し過ぎてそれが余計に重荷になってはいるがな」

 

 

 

 

 

「ひなた待って!」

 

「来ないで!」

 

「…ッ!捕まえた!!」

 

走るひなたを、ようやく石橋の上で捕まえた

 

「嫌!離してよ!!」

 

「分かった!分かったから!」

 

蓮花は急いで手を離して、ひなたを落ち着かせる

 

「ひなた…」

 

「…何でそんなに優しくしてくれるの?」

 

「優しく?当たり前だよ。俺はひなたの事が好きだから」

 

「じゃあ何でアスミンばっか見るの!?」

 

ここでアスミの名前が出て来たのが不思議だった。何がどうひなたと関係するのか

 

「アタシ、蓮兄に見て貰いたくて必死になってるのに…。アタシと蓮兄の好きは全然違う!違うの!!」

 

(違う?……もしかして!)

「あのな、ひなた──」

 

「知らない!もう蓮兄の話なんて聞きたくない!!」

 

聞き耳持たず。ひなたの勝手な会話は続く

 

「もう優しくしないでよ!!でないとアタシ…っ……くるしいよぉ……」

 

我慢してたものが込み上げる

 

何もかも全部吐き出して

 

「こんな想いするなら────好きになるじゃなかった!!!」

 

「ひなた!」

 

「蓮兄なんて大嫌い!!!」

 

 

 

 

 

////////

 

ひなたは、蓮花を再度振り切って林の奥へと逃げ込んだ

 

「ハァ…ハァ……ひっぐ……あぁ…っ」

 

 

『蓮兄なんて大嫌い!!!』

 

 

「蓮兄…れんにぃ……あああァァァッ!」

 

こうするしか無かった。自分からその想いを断ち切るしか

 

好きだった彼を嫌いと言い放った。大嫌いと叫んでしまった。

ぐちゃぐちゃな感情が、ひなたの心をもっと苦しめていた

 

「蓮兄ぃ…蓮兄ぃ…!あた…っ…アタシぃ……大好きなのにっ…嫌いって……でも、アタシのせいで……っ」

 

泣きじゃくるひなたの前に、誰かが近付いて来る足音が聞こえた

 

「見つけた。プリキュア だな」

 

「ひっぐ……え?」

 

始だった

 

「我が王の命令は絶対。だが、プリキュア という存在はこの先邪魔になる可能性あるからな」

 

始は、原始の魔剣をひなたの喉元に突き付ける

 

「悪く思わないでね」

 

振り下ろされる剣。しかし、甲高い音を立てて始の手から離れた

 

「全く、本当に親不孝もんだな。蓮花」

 

寸前の所で、蓮花が魔剣を投げて弾き飛ばしたのだ

 

「偶には親孝行もサービスしてくれよな」

 

「する気は無い」

 

「はいはい、そうです…かッ!」

 

「メガビョーゲン!」

 

始が剣を拾うのと同時に、メガビョーゲンが何処からともなく現れた

 

 

 

果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

 

「…」

 

始が手を挙げると、幾つもの魔剣が空中でセットされ、メガビョーゲンも攻撃大勢に入る

 

「やれ」

 

「ッ!」

 

ひなたを中心に結界を展開し、蓮花はその攻撃を薙ぎ払う

 

「蓮兄!」

 

「ハハハッ!1人で全て捌くつもりか?しかも片手で!」

 

「ッ!」

 

魔剣を中心に弾き返すが、メガビョーゲンの相手もしなければならない。弾き返しそびれた剣は結界が守ってくれてる。だけど、結界もそう長くは持たない

 

「メガ!」

 

「クソッ!」

 

「ほらほら!」

 

剣に集中してるとメガビョーゲンが、逆にメガビョーゲンを相手にしてると剣が。どちらも疎かには出来ない

 

結界の耐久限界もそろそろ

 

「やらせるか!!」

 

結界が破れると、ひなたを庇う様に剣を構えて迎え撃つ。しかし、やはりと云うべきか全ては無理だ

 

ひなたに降り掛かる攻撃は全て防いでみせるが、自分に対する攻撃は受けきる

 

(絶対に!ひなただけは守るんだ!!)

 

己の身を犠牲してでも守りたいものがある

 

「グッ…だはっ!」

 

折角回復した体も剣で切り傷が増え、メガビョーゲンに殴られた痕が痛々しく増え続ける

 

「そうやって、また見るだけか?」

 

「あ……」

 

「良かったな。自分の代わりに傷付いてくれる人が居て」

 

「ああ……ああッ!」

 

「これで終わりだ」

 

とうとう力尽きてしまい、蓮花はその場で崩れ落ちる

 

「蓮兄!……あぁ…」

 

もう駄目だ。ひなたの心は今にも崩れ落ちる寸前

 

自分がもっとしっかりしていれば。もっとちゃんと出来ていれば

 

(もっと…ちゃんと──)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「守って…や、る……」

 

蓮花は何とか体を起き上がらせる

 

「ひなた…泣かないで……。そんな顔をされると、俺も泣いてしまうよ…」

 

「だってぇ…だってェェ!!」

 

「ひなた…君は本当に可愛いね。だから…せめて……笑顔を見せて、もっと可愛い顔を見せてよ。俺は、そんな君が────

 

 

 

 

 

大好きなんだから」

 

 

 

 

 

「アタシもぉ…アタシも本当は!」

 

蓮花は、ひなたを抱き寄せて耳元で呟く

 

「ありがとう」

 

「蓮兄…れんにぃ……っ……うわあァァァァァァ!!」

 

泣きじゃくるひなたを、只々優しく背中を撫でて包み込む

 

「ごめん蓮兄!ごめん!ごめん!!」

 

「謝るのは俺の方だよ。ずっと好きで居てくれてありがとう」

 

お互いの気持ちがやっと伝わった。大好きの気持ちがいっぱい、沢山、溢れ出る程流れ込んで来る

 

「茶番は終わったのか?なら!

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「烈火連斬!」

 

 

 

「フッ……ッ!?」

 

放った炎の斬撃は確かに蓮花達へと向けられた。しかし、気付くと斬撃は返されて始の頬を擦り、後ろの木々を切り裂いた

 

「…何をやった?」

 

蓮花へ目を向けると、光のエレメントボトルと同じエンブレムをしたシールドが展開されていた

 

「ひなた!」

 

「蓮兄!」

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「煌めけ!溶け合う二つの光──スパークルセウス!!」

 

 

 

光のエレメントボトルが神々しく輝き、蓮花とひなたの手の中に1本の魔剣が握られていた

 

その剣は、黄色に輝き日向の様に暖かいものだった

 

更には、切られて無い筈の左腕が生成されていた

 

「その腕、魔剣の波動によって作られたものか」

 

「メガビョーゲン!」

 

「もう効かないよ!」

 

蓮花は左手だけで攻撃を受け止めた

 

「メガ!?」

 

(これが魔剣によって作られた腕。今なら何でも出来る!)

 

「これならどうだ!」

 

「蓮兄右!」

 

今度は右から魔剣

 

「ひなたこっち!」

 

ひなたを抱き寄せて、溶け合う二つの光を翳すとシールドを張り剣を受け止める

 

「お返し!」

 

受け止めた剣は、そのまま始へと跳ね返した

 

「チッ!」

 

始も原始の魔剣で弾き返し距離を置く

 

「逃がさない!」

 

左腕を大きく前へ突き出すと腕が長く伸びた

 

「伸び…クソ!」

 

伸びた左腕が始の足首を掴んだ

 

「せ〜のっ!」

 

そしてメガビョーゲンの所へ投げ飛ばす

 

「皆んなの健康は俺達が守る!!」

 

「蓮兄行くよ!」

 

2人で一緒に、溶け合う二つの光を握る

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「剣光神癒!」

 

 

 

振り下ろされた剣から、黄色に輝く波動がメガビョーゲンに突き刺さる

 

「プリキュア でないと媒体となったエレメントの場所は分からない!無駄な一撃だったな!」

 

「だったら体中診察するまでだ!」

 

波動はメガビョーゲンの体内を駆け巡り、媒体となっていた光のエレメントが飛び出た

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「もうメガビョーゲンじゃ太刀打ち出来ないな。面倒になったが頃合いだな」

 

メガビョーゲンが浄化され、始もその場を立ち去った

 

 

 

 

 

////////

 

「あの…蓮兄、アタシ……」

 

「帰ろっか」

 

「あ…ぁぁ……」

 

蓮花は手を差し出す。その手にひなたは怯えながらも手を取ろうとする

 

「ひなた」

 

まだ躊躇うひなたに優しく抱き付いた

 

「大丈夫。ちゃんと伝わってるよ。ひなたの大好きの気持ち」

 

「うん…!」

 

 

 

 

 

「いつの間にか仲直りしちゃってるね」

 

少し離れた場所で、蓮花とひなたの様子を見るのどか達

 

「一件落着と言いたいけど…」

 

紫苑はアスミの方をチラリと

 

「どうかされましたか?」

 

「あ〜いや、アスミちゃん。良いのかなぁ〜って」

 

「…良いのです。御二人が笑顔なので。わたくしも何と言いますか……嬉しいのです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

紅い夕陽が2人の祝福を祝っていた

 

「もう蓮兄、また怪我しちゃってるよ」

 

「あはは……」

 

「ちょ!?こんなとこで倒れないでよ!?蓮兄ぃぃ〜〜!!」




結構長く引っ張りましたが、ちゃんとヒロインとくっ付きました〜!
そんでもって左腕は失った状態ですが、抜剣すれば生えてくる様にしました〜。トカゲだ〜

新しい魔剣「溶け合う二つの光」は、反射能力です。今作の主人公、守りに入ってるなぁ〜

ここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 テイク12 「もうNGじゃないラビ!?」

2周目に入りました〜

ではスタート


第50話 「奇跡爆誕♥蓮花とアスミの 時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)」より

 

撮影後の裏話

 

 

 

 

 

「俺って人望無いんだろうか…」

 

「ッ!?…ど、どうしたんですか!?」

 

弱々しく声で話し掛ける紅牙に、水分補給してるちゆは思わず吹き出しそうになった

 

「だってよ、何かしら渡される台本がネタばかりだし、今回の話だって蓮花とアスミに無視されるし……」

 

「だ、大丈夫ですよ!皆んなが無視してもわたしは無視しませんよ!」

 

「それ、お前以外皆んな無視してるよな?」

 

「ん゛っ…!」

 

そんな返しされるとは予想外だった。ちゆもくぐもってしまう

 

 

 

 

 

////////

 

第51話 「動物園を守る♥浄化の救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)!」より

 

フォンテーヌがキュアスキャンした直後のシーンから

 

 

 

 

 

「「キュアスキャン!」」

 

「葉っぱの根元の所に葉っぱのエレメントさんがいるペエ!」

 

「……プッ!」

 

「「「「「「え?」」」」」」

 

急に吹き出したフォンテーヌに全員が注目する

 

「え?何々?」

 

「フォンテーヌどうしたの?」

 

「何かありましたか?」

 

「ご、ごめんなさい…フフッ」

 

「フォンテーヌ、笑う要素なんてひとつもねぇぞ!」

 

 

 

 

 

////////

 

第52話 「終わりなき進化♥ヒーリングっどアローでお手当て!」より

 

蓮花が嘔吐する場面から

 

 

 

 

 

「おい蓮花!吐け!吐けよ!!」

 

「無理だ!」

 

「いいから吐きなさい!」

 

何とかして、蓮花に吐かせようと奮闘する紅牙と紫苑。しかし、やらないといけないとはいえ、やる本人からすれば凄く嫌な事なのだ

 

「のどかちゃん達が外で待っているのよ!」

 

「最後の手段だ。紫苑、ちょっと抑えてろ」

 

「蓮花大人しくしなさい!」

 

羽交い締めで完全拘束し、その間に紅牙が口の中に指を強引に入れ込む

 

「ちょ待って!待って!お願い!分かった!自分でやるから!待って、待って!助けて!うわァァァァァ!!」

 

その断末魔は外に居るのどか達にも耳が届いた

 

「中で一体どんな事されてるラビ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第53話 「敗北の二文字、壊れた光のプリキュア」より

 

撮影後の裏話

 

 

 

 

 

「なぁ蓮花、この腕どうすんだ?」

 

ニャトランがぷかぷか浮きながら、偽物の左腕を運んで来た

 

「捨てるペエ!」

 

「何だペギタン?怖いのか?」

 

意地悪そうな顔をしてニャトランが追いかけ回す

 

「ちゆーー!助けてペエーー!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第54話 「大好きだよ♥2人だけの溶け合う二つの光(スパークルセウス)」より

 

撮影後の話

 

 

 

 

 

「あー、あー、叫び過ぎて喉が痛いよ〜」

 

「ひなた!そんな貴女にのど飴よ!」

 

ササッとのど飴を用意する紫苑

 

「3種類あるけどどれにする?」

 

ミントグリーン、ミントフレッシュ、ホワイトミント

 

「全部ミントじゃん!?」




もはやNG何処行った?

ここまでの拝読ありがとうございました


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第55話 何でもない平和♥新しい未来へ

今回から、また日常回を復活します!

ではスタート!


「蓮兄い〜〜!あ〜そ〜ぼ〜!!」

 

そんな大きく叫ぶ人物は平光ひなただった。彼女は、蒼咲家の前に居た

 

「?」

 

いつもなら、叫んだら出て来るのだが出て来ない

 

「ありゃ?」

 

インターホンを鳴らしまくる。迷惑極まりない。もし紅牙が居るなら、恐らく怒って飛び出して来るだろう

 

「誰も出て来ない……もうしょうがないなぁ〜!」

 

最後の手段である。合鍵を使っての合法侵入

 

「蓮兄〜?」

 

一階を手当たり探したが居ない。ならば二階と蓮花の寝室を覗くと

 

「蓮兄?」

 

散らかった部屋のベッドでぐっすりと寝ていた。本が開かれており、紙が部屋中に散らばっており、蓮花の魔剣が立て掛けてあったり置いてある

 

「うわぁ〜、アタシの部屋より散らかってるし」

 

足の踏み場を確保しながら、ベッドに近付いて蓮花を起こしてみる

 

「蓮兄〜もうお昼だよ〜」

 

「すぅ…すぅ……」

 

「蓮兄!蓮兄!蓮兄!蓮兄ぃ〜!」

 

しつこく起こすも中々起きてくれない

 

「むぅ〜!……潜っちゃお」

 

ガサゴソとひなたは布団の中に潜り込んだ。そして、ひなたはスマホを取り出して蓮花の寝顔を写真で撮り始める

 

「蓮兄の寝顔ゲット〜」

 

そんな事をしてると、蓮花が寝ながら右手をひなたの方へ弄っていた

 

「うぇ!?///」

 

「ん……んぅ…」

 

蓮花は意図せずに、ひなたの胸元に顔を埋めて匂いを嗅いでいた

 

(ヤバい!ヤバいヤバいヤバい!)

 

普段、蓮花はこういう事は絶対にしない。それも相待ってひなたの恥ずかしさは爆発寸前だった

 

「うぅ〜!蓮兄くすぐったいよ〜!」

 

「う…んっ?」

 

「あ、蓮兄起きた?」

 

「ひな、た?……あれ?」

 

ようやくして目を覚ました蓮花。埋めていた顔を上げて初めてひなたが居る事、そしてその体勢に気付いた

 

「ごめん!ごめんね!」

 

「ううん。アタシも変な事しちゃったし」

 

少し気不味い空気が流れる

 

「あ〜蓮兄、剣どうすんの?」

 

「そ、そうだな。片付けるよ」

 

魔剣達は蓮花の体に戻っていく

 

「ふわぁ〜……着替えるからリビングで待っててくれる?」

 

「ほ〜い!」

 

 

 

 

 

「お待たせ。待った?」

 

「全然!…あ、蓮兄」

 

ひなたが蓮花の元へ歩き、シャツのボタンを閉め始める

 

「ちゃんと着れてないじゃん。アタシが面倒見てあげる!」

 

「いや、そこまでしなくても…」

 

「アタシがそうしたいの!偶には、アタシにも手伝わせて!」

 

ひなたは台所へ向かい、髪をポニーテールに結び直して冷蔵庫の中を弄る

 

「ひなた、パンケーキ以外作れるんだ」

 

「アタシだってちゃんと作れるよ!」

 

とまぁ、ひなたに任せるのだが

 

 

 

 

 

「何、コレ…?」

 

皿に出された物を凝視する

 

「料理……」

 

「えぇ…」

 

「いや〜!蓮兄の冷蔵庫の中珍しい物ばっかだったから!」

 

だからと言って、何をどう料理すればこんな物が出来上がるのかが気になる

 

「なら一緒に作ろ」

 

「蓮兄のケチンボ!」

 

「ケチンボ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わちゃわちゃしながらも、2人で仲良く料理してお昼を過ごすのであった




前書き、後書きで言う事無いと何か適当に書いちゃう!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第56話 職場体験始動♥とうじのおかみ修行!

着物姿も可愛い!!

ではスタート


今日は職場体験。のどか達学生達は、ちゆの実家である「旅館沢泉」でお仕事体験をする事なっていた

 

アスミは撮影係として、蓮花も紫苑のフォローの元で一緒にする事になっていた

 

紅牙はというと

 

「俺教える側なの?」

 

「鬼麿さんは、何度かお手伝いされているのでわたしと一緒に」

 

「そ、そうか」

 

改めて職場体験の説明をする事に

 

「お客様の前では笑顔でお願いしますね」

 

「皆さんには主に、旅館の裏方の仕事を体験して貰います。私も見ますが、細かいやり方などは娘のちゆがお教えします」

 

「分からない事があれば何でも聞いて下さい」

 

そんな皆んなを、ラビリン達は隠れながらもその姿を見届けていた

 

「流石ちゆペエ。カッコいいペエ」

 

本当はペギタンも一緒にお手伝いしたかったが、生憎見つかったらいけないと言う事なので今回は見守る事にした

 

「息子のとうじも、皆さんと一緒に旅館の仕事について勉強させて貰いますので」

 

「あ、あの!弟のとうじです!宜しくお願いします!」

 

(お手伝い出来ないのなら、せめてとうじの仕事振りでも見させて貰うペエ)

 

 

 

 

 

////////

 

「うんしょっと!蓮花調子はどう?」

 

「どうも何も、右手しか使えないからな…」

 

「蒼咲さん天道さん大丈夫ですか?」

 

蓮花と紫苑の2人で掃除してる所に、ちゆが様子を見に来てくれた

 

「何も問題ないよ」

 

「分かりました。気を付けて下さい」

 

そしてちゆは、その場を後にする。

廊下を歩いてると、バッタリ紅牙と出会す

 

「のどか達は大丈夫だ。そっちは?」

 

「大丈夫です」

 

そんな時、誰かが転んだ音が聴こえた

 

「何だ?」

 

転んだのはとうじだった。周りを見ると、座布団が大量に散乱していた

 

「とうじ!?もしかして、ふた部屋分をいっぺんに?」

 

「その方が早く終わると思って」

 

「身の丈以上に運ぶと危ないぞ」

 

ちゆと紅牙で、分けて3人で運ぶ事にした

 

「はりきるのは良い事だけど、少しずつ分けて運んだ方がいいわ」

 

その様子をペギタンも一部始終を見ていた

 

「やれやれペエ」

 

次は場所を変わって、とうじはお風呂場の掃除を張り切ってする

 

「お風呂掃除で挽回しなきゃ!」

 

「失敗しないかこっちが心配ペエ…」

 

「わん!」

 

とうじが掃除してると、入浴時間でも無いのに1匹の子犬がやって来た。迷い込んだんだろう

 

「わん!」

 

子犬はとうじの横を通り抜けて、湯船をジーっと見つめる

 

「ダメダメ、飼い主さんと一緒じゃない……あー!ダメだって!!」

 

子犬が入ろうとするのをとうじが止めに行くが、子犬はスラリと横に避けてとうじが飛び込む様な感じで湯の中に落ちてしまった

 

「大変ペエ!」

 

その騒ぎを聞き付けて次々と人がやって来た

 

「どうしたの!?」

 

「今度は何だ!?」

 

「大変!」

 

「ずぶ濡れじゃん!」

 

流石に、これにはとうじも落ち込んでしまった

 

「あの…」

 

「大丈夫よ。此処は任せて濡れた服を着替えて来て」

 

「ごめんなさい…」

 

その場はのどかとひなたに掃除を任せる事になり、ちゆは紅牙を連れて客室のチェックしに行った

 

「ふわぁ〜、流石ちゆちゃん。突然の事に慌てずにこの場を仕切って!」

 

「うんうん!ハイジャンのちゆちーもカッコいいけど、旅館のちゆちーもめ〜っちゃカッコいい!」

 

 

 

 

 

その後、各自小休憩して次のお手伝いをしようとする時ある場面に紅牙が出会してしまった

 

(ちゆ?とうじ?)

 

ちゆがとうじを外へ連れ出していた。紅牙もその後をこっそりと付いて行った

 

「ミスは仕方ないけれど、お客様の前で溜め息なんて。おもてなしの心を無くすのだけは見過ごせないわ」

 

「うん…」

 

「落ち着くまで休んでなさい」

 

ちゆに厳しく注意されたとうじ。肩を落としてその場を離れた

 

とうじが行くのを見計らって紅牙が出て行く

 

「お〜怖!」

 

「鬼麿さん見ていたんですか?」

 

「部外者の俺には関係ないってか?」

 

「それは、その…」

 

ちゆは口籠もってしまう。どうやらその通りらしい

 

「…さっき他の人がお前を呼んでたぜ」

 

「はい、分かりました…」

 

何か悪い事をしてしまった気持ち。ちゆは旅館内に戻って行った

 

「さてどうすっかな。この気不味い空気はよ」

 

紅牙は紅牙で、どうにかしようと考えてるとペギタンが目の前に現れた

 

「紅牙」

 

「何だペギタンじゃねぇか?」

 

「お願いがあるペエ」

 

 

 

 

 

「とうじ、隣良いか?」

 

紅牙は、落ち込むとうじの隣を座り込む。そして、アスミに貸して貰ったカメラで今日撮った写真を一枚一枚見せてく

 

「皆んな良い所がある。俺や蓮花にのどか達と」

 

「でも、僕には何も無いや。それどころか、悪い所ばかりだよ…」

 

「何言ってんだ。お前にだって良い所は沢山ある」

 

 

『とうじは、ちょっと不器用な所もあるけどとっても一生懸命で優しい子ペエ。お風呂でずぶ濡れになったのも、子犬を守ろうとしたからなんだペエ!』

 

 

この言葉は、人前に出られない代わりに頼まれたペギタンの言葉だった。今日一日中、ずっととうじの事を見守ってた事を伝えた

 

「お前の事は、ちゃんと誰かが見てる」

 

「そんな人が…」

 

「あんまり悲観的になるなよ。誰にだって失敗はある。俺やちゆだってそうだ」

 

最後に、とうじの背中をトントンと叩いて安心させた

 

「じゃ、俺は行くからな」

 

紅牙は仕事の続きをしようと廊下を歩いてると、ちゆとペギタンと出会った

 

 

「紅牙ありがとうペエ」

 

「ありがとうございます」

 

「気にすんな。それに、ペギタンの言葉をそのまま伝えただけだ。お礼を言われる程でもない」

 

先程まで気不味かった空気から一変し、良い雰囲気になろうとするときアスミがラテを抱き抱えてやって来た

 

「ちゆ、紅牙、ペギタン!」

 

「「アスミ?」」

 

「実は──」

 

アスミが何か言い掛けた時、外から物凄い大きな音が鳴り響いた

 

「外で何か起きてるだと!?」

 

外へ出ると、ギガビョーゲンが旅館目掛けて歩いて来るのを目にした

 

「なるほどな」

 

「行きましょう!」

 

「お姉ちゃん何処行くの?」

 

お手当てしようと考えてると、背後からとうじに呼び止められた

 

「えっとその、あっちにお客様が居ないか見て来るわ!お母さん達を手伝ってて!」

 

「分かった!」

 

何とか誤魔化してこの場から離れさせた

 

周りに人が居ない事を再確認してお手当てを開始する事に

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「燃え上がれ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「来たなプリキュア 、抜剣者!」

 

「グアイワルじゃん」

 

「丁度良い。俺の生み出したギガビョーゲンのパワーを、お前らで試してやる!」

 

グアイワルも、シンドイーネと同じ様に進化して独自でギガビョーゲンを生み出す事に成功していた

 

「ペギタン!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

「あれは…力様!?」

 

旅館に来ていたお客さんの1人が、ビョーゲンズの餌食にとなっていた

 

「ギガビョーゲン!そのパワーでこの辺り全てを蝕みまくるがいい!!」

 

「ギガッ!」

 

「させないわ!」

 

グレース達3人でギガビョーゲンの攻撃を防ぐ。しかし、防ぐ攻撃の漏れが辺りを蝕んでいく

 

「やはりギガビョーゲン。パワーが桁違いですね」

 

「でも、負けない!」

 

3人で攻撃を弾き飛ばし、それに合わせて紫苑とアースが飛び出した

 

「「ハァッ!」」

 

2人の攻撃が通りギガビョーゲンが背中から倒れた

 

ギガビョーゲン相手に善戦してる。そう思っていると、ギガビョーゲンに向かって1匹の子犬が走って行く。そしてその子犬を追い掛けるとうじも

 

「危ない!そっちに行ったら駄目だ!」

 

「とうじ!?」

 

子犬を捕まえたとうじを、フォンテーヌが庇う為に危険を承知の上で前へ出た

 

「ギッガー!」

 

「大人しく寝ていろ!」

 

蓮花は、波動で作り上げた右腕を伸ばしてギガビョーゲンの額に拳を叩き付ける

 

立ち上がろうとしたギガビョーゲンは、また倒れ込んでしまった

 

しかし油断は禁物。ホッとするフォンテーヌだが、ギガビョーゲンは倒れた状態から手足をバタつかせて、そのままフォンテーヌへ攻撃する

 

暴れるギガビョーゲンに蓮花やグレース達は殴られ、その拍子で薙ぎ倒された木がフォンテーヌととうじへと倒れてく

 

防御はしたものの、そのまま隣にある小さな川に落ちてしまった

 

「大丈夫?」

 

「は、はい!」

 

急な事だとはいえ、フォンテーヌは見事にとうじと子犬を守り切った

 

「良くワンちゃんを守ったわね!怖かったでしょ?」

 

「うん。でも、大切なお客様だから!」

 

「後はわたし達に任せて。必ず守ってみせるから!」

 

フォンテーヌは急いで蓮花達と合流する

 

 

 

 

 

「これでどうだ!──炎帝業火!」

 

「ギガ!」

 

不滅の炎の一撃も、ギガビョーゲンは片手で弾き飛ばした

 

「力で不滅の炎が負けた!?」

 

迫り来るギガビョーゲン。そしてようやくフォンテーヌが合流した

 

「フォンテーヌ!氷のボトルを使うペエ!」

 

「氷のエレメント!」

 

「ギガー!」

 

フォンテーヌとギガビョーゲンの攻撃がぶつかり合う

 

「沢泉はわたしが守る!!」

 

更にステッキの出力が跳ね上がりギガビョーゲンを追い込む

 

「凄い!強い想いがフォンテーヌの力になってる!」

 

「俺だって負けてられねぇ!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「翠嵐疾風!」

 

 

巨大なツタと嵐が追い討ちを掛けて、ギガビョーゲンを吹き飛ばした

 

「皆んな!」

 

「ラテお願いします!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

 

 

////////

 

浄化も終わり力が目覚めた。子犬もどうやら力が飼い主らしく、ようやくして子犬を渡せれたとうじだった

 

「お客様の笑顔を見るのって嬉しいんだね」

 

「ええ、わたしもとうじに負けないようもっと頑張らなくちゃ!」

 

そしてとうじはある事を気にする

 

「ねぇもしかして、僕の事ずっと見ててくれてたのってお姉ちゃん?」

 

「フフッ…さぁね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自分には分からなくても、誰かは見ててくれてる。

ちゆもとうじも、2人揃ってまた一歩一人前に近付いて行く




次回は小ネタ万歳!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第57話 三次元なチェス♥俺と俺の会話でよしよし

今回はどんな日常でしょうか

ではスタート


「チェックメイト!」

 

「また負けた…」

 

「これで俺の4戦4勝」

 

蓮花と紅牙は2人でチェスをしていたが

 

「それ本当にチェス何ですか?」

 

「ふわぁ〜!立体ですね!」

 

「これは三次元チェスって言ってね。まぁ、普通のよりかなり難しいんだよ」

 

蓮花達は、説明しながら後片付けをする

 

「はぁ…」

 

「そんなに落ち込まないの。確かに紅牙如きに4敗もするのは悔しいけど」

 

「如きってなんだよ」

 

「少し励まして貰うか」

 

「OK!蓮兄バッチこい!」

 

ひなたが両腕を広げて抱きしめる体勢になるが

 

「いや、別にそれは大丈夫」

 

「ええ!?あ、分かった!お手当てだね。ニャトラン!」

 

「それも違う。…これは見せた方が早いね」

 

そう言って、蓮花は物置部屋にある物を探し始めた

 

 

 

 

 

「持って来たよ」

 

リビングに戻って来た蓮花の手には、今は珍しいビデオデッキとビデオテープを持っていた

 

「何それ?」

 

「何の機械ですか?」

 

「2人共知らないの?今で言う、DVDとかの再生機よ」

 

ひなたとのどかは知らないが、ちゆはどうやら知ってるみたいだ

 

「こんなもん再生して何すんだよ?」

 

「言ったでしょ。励まして貰うの。小さい頃の俺に」

 

コードを繋いでいざ再生

 

画面にはまだ幼い姿の蓮花が映し出されてた

 

「蓮兄可愛い〜!!」

 

「まだ幼い頃の蓮花ですね」

 

『やぁ、俺』

 

「やぁ、俺」

 

「「「「「「!!?」」」」」」

 

全員が驚いた。普通、いくら自分が録画したビデオだとしてもそれに返事を返すなんて

 

『随分と落ち込んでるようだね』

 

「落ち込んでるも何も、紅牙に三次元チェスで連敗だよ」

 

『そうか…連敗したんだ』

 

のどかとちゆがヒソヒソと話し出す

 

「凄いよ会話してる」

 

「ええ、してるわね」

 

『そこに居るのは俺の彼女とかかな?』

 

「うぇ!気持ち悪り!」

 

「蓮兄って超能力使えるの!?」

 

録画された蓮花は、さもそこに居るかの様に話してる。

それに紅牙は気持ち悪りがり、ひなたは何かしら能力があると勘違いしてる

 

『それじゃあ、そんな俺に励ましの言葉を掛けてあげるよ』

 

「やっと本題ね。そろそろ私、お手洗いに行きたかったから」

 

『その前に確認をしなければね。もし本当に俺なら、今俺が考えてる事ぐらい分かるよね?』

 

「え、まだなの?そんな合言葉みたいなのは良いから」

 

紫苑が愚痴るも映像の蓮花は勝手に話を進める

 

「『昨日食べたのは、キュウリの漬け物』」

 

『……正解だよ!』

 

「よくもまぁ分かったわね…いや、覚えてるのかな?」

 

『気を取り直して』

 

全員がゴクリと生唾を呑む

 

『それは──

 

プツンッ!と、そこで画面が真っ暗になった

 

「「「「「「ええぇぇぇ!!?」」」」」」

 

蓮花以外の全員が大声で叫ぶ。

無理もない。一番肝心な部分から真っ暗で何も映らないからだ

 

「そこ映れよ!一番聞きたいところだろ!?」

 

「真っ暗だよ。でも俺の顔が映ってる…儚いね。悲しそうな表情をしてる」

 

「もしかて…」

 

ちゆは、テープを取り出してフィルムの部分を眺める

 

「蒼咲さん、これカビがありますよ」

 

「え?…本当だ。あ〜、それでダメになったのか」

 

「それではもう観れないのですか?」

 

「というより捨てるしかないね」

 

蓮花は肩を落としてゴミ袋にテープを仕舞い込む

 

「最近失敗続きなんだよ」

 

「蓮兄が失敗するなんて珍しいじゃん」

 

「スマホのOSをアップグレードしたら、変換ミスでキスマークを間違えて送信してしまうんだよ」

 

「あれは偽りの愛だったのか…。てか、やっぱ変換ミスかよ。送られた時寒気を感じたぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、その日ひなたに慰めて貰った蓮花だった

 

「よしよし蓮兄」




三次元チェス、ビデオテープ、変換ミスのの3つのネタをこの1話に凝縮しました。
小ネタばかりだから、こうするしかないんだよ

ここまでの拝読ありがとうございました


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第58話 わたしの先生♥励まし励まさせられる

今回は内容ハブみです

ではスタート!


珍しく蓮花達3人で散歩をして展望台へ来ていた時

 

「蓮兄〜!紫姉〜!あと紅兄」

 

「おい」

 

カフェでのんびりとしてるのどか達4人と出会した。付け加えると、1人の大人の男性も一緒に居た

 

「おかえりなさい。その方は?」

 

「この人は、わたしが入院してた時に診てくれた先生で『蜂須賀』先生なの!」

 

「どうもです」

 

「蒼咲蓮花です」

 

「天道紫苑です。そして……うん」

 

「紹介しないのかい!…んんっ、紅牙と言います」

 

3人は挨拶した後、一緒に席に着いて話の輪に入る

 

「手紙で教えてくれた通りのお友達だね」

 

「手紙ですか?のどかちゃんは一体どんな風に書いてくれたのかな?」

 

「『頼りになる蓮花さん』、『お姉ちゃんみたいな存在の紫苑さん』、『わたし達の事を心配してくれる紅牙さん』って書いていたよ。本当に良いお友達に巡り会えたね」

 

「「「嬉しい!」」」

 

「恥ずかしいですよ〜!」

 

 

 

 

 

////////

 

その日の夕食

 

「のどかちゃんは家族皆んなで、沢泉で蜂須賀先生とお食事だって」

 

「紫姉コレむっちゃ美味しい!」

 

「久し振りに会えた先生とのお話。盛り上がると良いね」

 

「この野菜うめぇな!」

 

「ああ…その前に良いか?何でひなたとニャトランが俺達と一緒に夕飯食ってんだよ!?」

 

「うぇ?」

 

紅牙の言葉に、ひなたとニャトランは首を傾げてこちらを向く。

紅牙の言う通り、ひなた達は今蓮花達と夕飯を共にしていた。明らかに違和感感じるこの場にツッコまざるしかなかった

 

「さっきも言った様に、のどかちゃんは家族で沢泉でお食事。勿論アスミちゃんも。ちゆちゃんは元々実家だから。ひなたちゃんだけ仲間外れは悲しくない?」

 

ひなたとニャトラン以外は皆んな沢泉に居る。それを気にしてか、紫苑は夕飯のお誘いをしたのだ

 

「気にすんなよ!」

 

「お前ら2人の行動には参るよ…」

 

 

 

 

 

////////

 

次の日朝、蜂須賀は帰って行った。何でも海外へと旅立つそうだ

 

「あっちー先生帰っちゃったんだ」

 

「また変な渾名つけて…」

 

「のどかっち寂しい?」

 

「ちょっと。でも、沢山元気貰ったから!」

 

その時、ラテがくしゃみをした

 

「ビョーゲンズですね!」

 

『あっちで、のどかのお医者さんが泣いてるラテ…』

 

「「「ええ!?」」」

 

「皆んな急ぐラビ!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

 

 

「「「「ハァァァッ!」」」」

 

ギガビョーゲンを見つけたグレース達4人で攻撃し、蝕むのを一時中断させる

 

「来たねプリキュア 、抜剣者」

 

「ダルイゼン!あ、貴方!」

 

「うっそ!ダルイゼンまで進化しちゃったの!?」

 

「面倒な野郎が増えたか」

 

とうとうダルイゼンまでもが、ギガビョーゲンを生み出せる程まで進化してしまった

 

「今はギガビョーゲンを先に!」

 

グレース以外の全員で、俊敏な動きで撹乱しつつコツコツとダメージを蓄積させる

 

「グレース!」

 

「「キュアスキャン!」」

 

「先生はあそこラビ!」

 

「蜂須賀先生今助けます!」

 

キュアスキャンを終えてグレースもお手当てに参加する

 

「へえ〜、知り合いなんだ」

 

グレースは振りかぶる拳を上手く避け、勢いは殺さずにギガビョーゲンの顔面に右拳を打ちつけた

 

「ッ!キャア!」

 

しかし効く筈もなく簡単に弾かれた

 

「うおぉぉおりゃっ!」

 

入れ替わりでスパークルが回転を付けて頭に踵を落とす

 

「うわぁぁ!?」

 

だがこれも通じない

 

「フォンテーヌ!」

 

「ええ!」

 

アースが大きく風を巻き起こし、己とフォンテーヌを宙へと上げて威力の底上げに目隠しの意味も込めて、2人合わせてギガビョーゲンを蹴りつける

 

「「ッ!」」

 

2人の蹴りすらもダメージらしいものは入ってない

 

そして、蓮花と紅牙が飛び上がり必殺の波動を放つ

 

「蒼穹無限!」

 

「翠嵐疾風!」

 

「ギガ!」

 

魔剣の力でも無傷

 

「駄目だ!全然効いてねぇぞ!?」

 

(やはり、ギガビョーゲン相手に普通の魔剣じゃもう…)

 

ギガビョーゲン相手に果てしなき蒼、不滅の炎、翠遠の息吹の魔剣では殆ど役に立たない事を思い知らされる

 

「ギガ!」

 

ギガビョーゲンは、指先から両手合わせて鋭い刃を出した

 

「何アレ!?危ないじゃん!」

 

「避けて!!」

 

紫苑の言葉と共にギガビョーゲンが刃を飛ばす

 

「キャア!」

 

「クゥ…!」

 

グレースと紫苑は避けるのに遅れてしまい直撃する

 

「うわあぁぁ!」

 

「スパークル!」

 

ギガビョーゲンの追撃に、崖下に落ちるスパークルを蓮花が左腕を伸ばして上手い事掴んだ

 

「危機一髪!」

 

「蓮花!」

 

「しま──」

 

一安心するにはまだ早かった。スパークルを助けるのに動けない所へ攻撃。

2人もろとも崖下へ落ちてしまった

 

「スパークル!蒼咲さん!」

 

「フォンテーヌ来るぞ!」

 

今度はギガビョーゲンの腹からガトリング様な物が出て、弾丸の嵐が2人を襲う

 

「翠遠の息吹!」

 

「ぷにシールド!」

 

結界とシールドで防御を固めるも無惨に打ち砕かれ、2人も崖下へ転落する

 

唯一残ったアース。

ハープを奏でて風の斬撃を繰り出すが、効く筈無く捕まり投げ飛ばされた

 

「そろそろ諦めたら?」

 

「絶対に諦めない!」

 

「ッ!」

 

「絶対助ける!先生にもっと沢山の人を助けて助けて貰う為に!!」

 

その言葉でダルイゼンの怒りが爆発する

 

「チッ!馬鹿馬鹿しい!」

 

ダルイゼンは、ギガビョーゲンと応戦するグレースの背中目掛けて赤黒い球体を連弾で放つ

 

「ああっ!」

 

「「グレース!!」」

 

グレースを助けようとするも、アースと紫苑の前にはギガビョーゲンが

 

いつもとは違いグレースに対して感情的になり、普段ならしない荒々しい交戦を仕掛ける

 

「人の為に頑張って!何になるんだ!自分の事だけ考えてる方が幸せだろ!!」

 

激しい猛攻にもグレースは耐え抜く

 

「これで終わりにしてやるよ」

 

邪悪なオーラがダルイゼンの左手に集中する

 

「ウォォォォ!!」

 

決まったかと思われた攻撃。だがそれをグレースは受け切った

 

「ッ!」

 

「貴方には分からないかも知れない。だけどわたし達は!助け合ったり、支え合ったり、そうやって生きてるんだよ!!」

 

「ラビ!」

 

「「キャアッ!」」

 

「アース!紫苑さん!」

 

ギガビョーゲンを2人だけ相手にしてる。しかし防戦一方

 

「ギガ〜!」

 

「ダメ!」

 

 

「雷のエレメント!」

 

時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!──狂飆爆烈!」

 

 

崖下から飛び出したスパークルと蓮花が、雷撃と暴風でギガビョーゲンを攻撃する

 

「ハァッ!」

 

そしてフォンテーヌも一緒に飛び出し、ステッキで蒸気を出して目眩ます

 

「行け!アース!紫苑!」

 

「音のエレメント!」

 

ハープを奏でて、視界を封じたギガビョーゲンに四方八方から音の光弾が降り注ぐ

 

「絶・覚醒剣!──天威絢爛!」

 

光弾に紛れ、善なる天威で切り刻む

 

「皆んな!いくラビ!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

「フン…俺は俺だ」

 

 

 

 

 

////////

 

「気を付けてラビ」

 

蓮花達は、蜂須賀を遠くで見送っていた

 

「先生、先生みたいにわたしも頑張るね」

(ビョーゲンズから皆んなを守れるように!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その想いは、これからものどかを支えるだろう




次回も日常回!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第59話 もっともっと♥スキンシップでぎゅうぎゅう!

イチャイチャ…なのか?

ではスタート


「蓮兄!」

 

 

「蓮兄?」

 

 

「蓮兄見て見て!」

 

 

「この動画ヤバくない!?可愛いの塊だよ〜!」

 

 

 

 

 

「……」

 

蒼咲蓮花は困っていた。ここのところ、ひなたが何かと構ってくる

 

いや、少し違う。確かに困ってはいるが嫌ではない。寧ろ嬉しい事なのだ。

だが、こう毎日というのはどうなんだろう

 

「蓮兄悩み事?」

 

現に今もそうだ。皆んな蒼咲家にいつも集合するのだが、ひなただけは朝早くから家に来ているのだ

 

「ひなた、今日何時に来た?」

 

「え?う〜ん、蓮兄の家に着いたのが…9時半前後って感じかな?」

 

「もう少し遅くてもいいんだよ」

 

「イイじゃん!イイじゃん!」

 

そう言ってひなたは、蓮花の膝の上に座ってもたれ掛かる

 

(近い…)

 

「ンフフ〜♪」

 

ひなたはかなりの上機嫌。何でこんなに上機嫌なのか聞いてみる事に

 

「ひなた〜、何でそんなに機嫌が良いんだ?良い事あったの?」

 

「それ聞く?蓮兄が側にいるからに決まってるっしょ!」

 

そしてひなたは、蓮花に軽くキスをする

 

「アタシね、もっと蓮兄とこうして触れ合いたいの///」

 

「スキンシップ?」

 

「……蓮兄が何処か遠くに行ってしまう気がして」

 

「俺はいつも側にいるよ?」

 

「そう言う意味じゃなくて!何かこう……あー!全ッ然言葉に表せないんだけど!アタシ、こんなに語彙力無かったっけ?」

 

さっきからコロコロと表情が変わるひなたに、蓮花はのほほんとした顔で見つめる

 

「でも確かに。受験が合格したらすこやか市ともお別れだな」

 

(あっ…忘れてた)

 

いつもすぐ側に居る事が当たり前で忘れていたが、蓮花が此処へ来たのは勉強の為だ。地球をお手当てする為に居るのではない

 

「前は何処に住んでたの?」

 

「ちょっと遠いかな。津成木町って所に実家があるんだ」

 

「割と遠い…。てか、紫姉と同じ学校ならこっちに残った方が近くない?」

 

「うん。だからおおらか市に引っ越しするの」

 

「それでも遠い〜…」

 

ひなたは、ぐで〜っと蓮花にもたれ掛かり腰に両腕を回す

 

「もし引っ越しても偶には遊んでくれる?」

 

「勿論。俺はひなたの事が大好きだからね」

 

「蓮兄めっちゃう〜れ〜し〜い〜!!」

 

蓮花はひなたを座り直させて背中から抱き付き、首筋に顔を近付けて匂いを嗅ぐ

 

「ひゃ!?れ、蓮兄何してるの?」

 

「ひなただけズルイ。俺もスキンシップ」

 

蓮花は立ち上がり、右腕でひなたを抱き抱えてクルクルその場で振り回す

 

「ひゃ〜!蓮兄〜!」

 

「結局、俺もひなたとあまり離れたくはないな」

 

「これからも一緒に居ようね!」

 

「ああ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ならなら!スキンシップいっぱいしよ!」

 

「いっぱいしようね」




彼氏彼女というより兄妹だよ

さらっとオリ主の出身地を呟いてく

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク13 「ふわぁ〜!前と違ってNGが少ないですよ!」

もう12月だ!ヒャッハァー!

ではスタート!


第55話 「何でもない平和♥新しい未来へ」より

 

蓮花が起床をする直前のシーンから

 

 

 

 

 

「うぅ〜!蓮兄くすぐったいよ〜!」

 

「う…んっ?………うん…」

 

「えぇ〜!?」

 

起きる筈が再度夢の中へと旅立ってしまった

 

「蓮兄?蓮兄!本当に寝ちゃった…」

 

ひなたはどうするか、カメラに視線を向けてSOSを発信するが

 

「ひなたちゃ〜ん!頑張れ〜!」

 

「アレ、蒼咲さん寝ていませんか?」

 

「寝ていますね」

 

気付いて無い者、気付きそうな者、気付いてる者と分かれており現場は混沌と化した

 

 

 

 

 

////////

 

第56話 「職場体験始動♥とうじのおかみ修行!」より

 

ちゆと紅牙の裏でのシーンについて

 

 

 

 

 

「とうじに注意する所を見て思ったのだけど」

 

紫苑が2人にニヤつきながら尋ねた

 

「「…何?」」

 

「子育てに悩む夫婦みたいね!」

 

「「ブッ!?」」

 

何かよからぬ事を言い出すのは覚悟していたが、少々斜め上を行っていた

 

「あ〜、それオレも思ってた」

 

「アタシも〜」

 

「なんて言うか、『厳しいお母さんと少し甘いお父さん』って感じがする〜!」

 

「「のどか!!」」

 

 

 

 

 

////////

 

第57話 「三次元なチェス♥俺と俺の会話でよしよし」より

 

撮影後の話より

 

 

 

 

 

蓮花と紅牙は未だに三次元チェスをしていた

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァ!!」

 

「チェックメイト」

 

「ギャアァァァァァァッ!!」

 

「うるっっっさい!!!」

 

紅牙の叫びに紫苑が怒る

 

「ねぇまだしてるの?アタシ達と遊ぼうよ〜」

 

ひなたはゆさゆさと蓮花の体を揺する

 

実はこの2人、撮影が終わって数時間もチェスをしているのだ

 

「もう少し…」

 

「……」

 

ひなたの我慢の限界

 

「どーんっ!!」

 

ひなたは盤と駒をひっくり返して強制終了させた

 

それを見て2人は唖然。駒を持った手が完全に止まる

 

「フンスッ!」

 

「「…」」

 

2人はゆっくりとひなたに近付き

 

「え、何?」

 

両側から腕を持って部屋の奥へと連れ去った

 

「あんな人達ほっとけば良かったのよ」

 

「ひなたちゃんらしいと言えばそうですけどね…」

 

いつものひなたの行動に紫苑は呆れ、のどかは苦笑いを浮かべていた

 

 

 

 

 

////////

 

第58話 「わたしの先生♥励まし励まさせられる」より

 

蓮花達とひなたとの夕食シーンから

 

 

 

 

 

「さっきも言った様に、のどかちゃんは家族で沢泉でお食事。勿論アスミちゃんも。ちゆちゃんは元々実家だから。ひなたちゃんだけ仲間外れは悲しくない?」

 

「ねぇねぇ!今度作り方教えて!」

 

「おーい、違和感感じないが台詞間違えてるぞ!」

 

「?」

 

食べるのに集中し過ぎてしまったらしい

 

 

 

 

 

////////

 

第59話 「もっともっと♥スキンシップでぎゅうぎゅう!」より

 

蓮花がひなたを抱いて振り回すシーンから

 

 

 

 

 

蓮花は立ち上がり、右腕でひなたを抱き抱えてクルクルその場で振り回す

 

「ひゃ〜!蓮兄〜!」

 

しかし、片手もあってズリ落ちてしまった

 

「あっ…」

 

「あいでッ!?」

 

ひなたの後頭部が床に直撃。物凄い呻き声で痛みに震えていた




ここまでの拝読ありがとうございました


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第60話 ハイジャンプに懸ける想い♥遥かな未来へ

最近投稿スピードが遅い!
頑張るん!

ではスタート!


季節は秋。時の流れというものは早いものだ

 

そして大会も。

今日蓮花達は、秋の陸上大会を観戦しに来ていた。何故観戦かと言うと、ちゆもハイジャンプの選手として出場しているからだ

 

「次跳べたら優勝だね」

 

「観てるこっちが緊張するぜ」

 

「だよね!前もそうだけどちゆちーの緊張が伝わって来るよ!」

 

そしていよいよ

 

 

 

 

 

「「「「「「「乾杯!」」」」」」」

 

「優勝おめでとう!」

 

「感動しました!」

 

「だよねだよね!」

 

最後の難関を見事跳んで優勝の美を飾れた。しかも、すこ中が優勝した競技はハイジャンプのみという

 

「中学時代であれだけ跳べるとなると、将来は世界でも通用するわよ」

 

「世界…」

 

世界。その言葉にちゆが少し考えた

 

「あらごめんなさい。変な事言っちゃったかしら?」

 

「いえ。世界なんて考えた事なかったので」

 

「そうなんだ。少し勿体無い気がするけど」

 

「別にいいだろ?大会で優勝したからと言って、世界目指さなきゃいけないなんて」

 

確かに紅牙の言う通りだ。そもそもちゆには旅館の事もあるのだ

 

 

 

 

 

////////

 

「おはようちゆちゃん!」

 

「おっは〜!」

 

「おはよう。あ、蒼咲さんもおはようございます」

 

「おはよう」

 

次の日朝、いつも通り登校する3人。それを校門の前で花に水やりをする蓮花も挨拶をする

 

「丁度良かった。実は──」

 

「おはようございます!」

 

「うわっ!?」

 

蓮花が言い掛ける最中、突然現れた益子に挨拶される

 

「実は益子君がちゆの取材をしたいって言ってたんだよ」

 

「取材?わたしに?」

 

「オフコース!昨日の対抗陸上大会で、我が校唯一の優勝者沢泉ちゆさん!その特集号を組む事になりました!タイトルはズバリ!『すこやか中のハイジャンプリンセス!大空を飛ぶ可憐ならその姿は鳥か!?はたまた蝶か!?ちゆ!!沢泉!!すこやかに舞う!!』

 

物凄い勢いの早さで喋る益子に少々苦笑いを浮かべてしまう

 

「ふわぁ〜、長いタイトルだね」

 

「そしてダサ」

 

「もう少し簡略はしないの?」

 

「失敬ですね!それに、ちゃんと省略バージョンもありますよ!…うえっ!?」

 

益子の熱暴走も一瞬で冷める。昨日の競技を見た後輩達が、益子を突き飛ばして熱い声援を送る

 

「後輩達から愛されてるね」

 

 

 

 

 

そして放課後の練習でも周りからの熱量が凄かった。グラウンドの周りを見渡せば沢山のギャラリーで溢れ返っていた

 

「すると、旅館のお手伝いをしながら家ではどの様なハイジャンプを?」

 

「基本、家では跳んでないけど…」

 

「沢泉さん」

 

益子の取材途中で先生に声を掛けられた

 

「明日の放課後、週刊陸上トップがインタビューをしたいんですって」

 

「えっ!?わたしにですか?」

 

「『未来を担う期待の陸上界のホープ』って事で、西中の高美ツバサさんとのWインタビューになるそうよ」

 

「陸上界の未来を担うって…」

 

少し大袈裟な事に戸惑いを隠されなかった

 

 

 

 

 

そして次の日の放課後。校門前に紅牙がオンロードバイクに寄り掛かかって待ち構えていた

 

「鬼麿さんがどうして学校に?それにそのバイクは天道さんのじゃないですか」

 

「この後インタビューだろ?送ってやるよ」

 

ヘルメットを投げ渡してエンジンを掛ける

 

「乗れよ」

 

「じ、じゃあお願いします」

 

「またねちゆちゃん!」

 

「また話聞かせて〜」

 

 

 

競技場に着いてちゆは軽くお礼する

 

「帰りも送るからよ。観客席の方でゆっくり観てるぜ」

 

「何から何までありがとうございます」

 

「気にすんなよ。また後でな」

 

ちゆの取材を席から大人しく見守ってる。距離がある為、内容までは聞き取れ難く退屈な状況になるが、あっという間に時間は流れて夕方

 

紅牙は駐車場でちゆを待っていた

 

「遅いな。着替えるだけなら時間掛からない筈だが…」

 

そう思ってるとやっとちゆが戻って来た

 

「お、ちゆ!…ちゆ?」

 

しかし何があったのか分からないが、取材が終わった直後までは笑顔だったのに、戻って来れば浮かない表情をしていた

 

「ちゆ何かあったのか?」

 

「あ…いえ、大丈夫です」

 

「そうには見えないが…」

 

その暗い気持ちは次の日になっても引きずっていた

 

 

 

 

 

////////

 

久し振りにのどかの家で集まって昨日の話を聞こうとしたが、当のちゆは出された飲み物ばかり飲んで黙り込んでいた

 

「どうしたの?学校でもずっと黙り込んじゃって」

 

「眉間にシワも寄せていたし」

 

「何かあったのですか?」

 

「う、ううん。何でも…」

 

そう言ってまたカップに口を近付けようとするが、それを紅牙が止める

 

「中、もう入ってないぞ」

 

「え?あっ…」

 

何か隠し事をして、誤魔化そうと飲んでいた飲み物も空になっている事に気付いていなかった

 

「…高美さんに、わたしのハイジャンはお遊びだと言われたの」

 

「んだよそれ…」

 

「わたしだって真剣にやってる。負けたら悔しい。でもわたしは、海と空が溶け合うあの青い世界に近付きたい。その想いでやってるの!それの何処がいけないの!?」

 

これまでハイジャンプに込めて来た想いを全否定された。それが腹立たしくて仕方ない

 

でも何も悪くはない

 

「いけなくない!いけなくない!」

 

「…彼女、海外に行くから日本ではもう戦えないって。それでわたしが、ハイジャンで世界とか考えてないって言ったから…」

 

「それで?機嫌取りで『これから世界目指します』って言うのかよ?」

 

少し挑発めいて紅牙が話す

 

「さっきちゆ自身が言ったように、青い世界に近付きたいから跳ぶんだよな?それとも何だ?他人にどうこう言われたくらいで、お前のハイジャンに対する真剣な想いはその程度だったのか?」

 

「お、おい紅牙」

 

「ならお遊びだと言われてもしょうがないよな!口だけなら何とでも言えるさ!そんなの真剣にやってる奴らに失礼だ!そんな他人に言われて、中途半端な答えを出すくらいならいっその事辞めてしまえ!!」

 

あまりのいいように、ちゆは泣き出してしまう

 

「わ、わたしは…っ……この想いを糧にして、やってきたの!…真剣にやって来たもん…っ…中途、半端な気持ちっ…なんて……っ…」 

 

反論するちゆを見て、ニヤリと紅牙は笑う

 

「反論するか?だったらそれで良いじゃねぇか!」

 

「えっ…?」

 

「ちゆはちゆなんだ。何も悪くない。いつも通りにその想いを胸に跳べば良いだけの話だろ?変に悩む必要なんて無い」

 

今度は泣き止んで呆気に取られていた

 

「何だよその顔は?人が折角元気付けてあげたのによ」

 

「え!?あれで励ましてんの!?」

 

「面倒な心理誘導ね…」

 

「うるせぇ!」

 

ちゆは涙を拭いて上を見上げる

 

「そうよね。悩む必要なんて最初から無かったのよ。わたしは、わたしの想いで跳ぶ!

 

 

 

 

 

////////

 

次の日。紅牙はこっそりとちゆの練習姿を見ていた

 

「これで何度目だ?」

 

ちゆは、先日の大会記録より更に上に挑戦していた

 

しかしながら簡単にはいかない。何度も何度も失敗の繰り返し。でもちゆは諦めずに跳んでいた

 

そして

 

「お!」

 

ちゆは、誰もが無理と思われた高さを跳び越えたのだ

 

「フッ、良かったな……て、おい。何処行くんだよ?」

 

跳び終えて早々にちゆは校門を抜けて何処かへ走って行った。その後にのどかとひなたも追い掛けるのを目にする

 

 

 

 

 

追い掛けて、陸上競技場前の信号でちゆがやっと止まった

 

「ま、待ってちゆち〜…」

 

「はぁ…はぁ…」

 

「どんだけ体力あるんだよ…マラソンじゃあるまいし」

 

ちゆの元へ辿り着くと、辺りを一緒に散歩していたアスミやラビリン達、蓮花と紫苑も居たのだ

 

そんな時、ラテがくしゃみをした

 

「くちゅん!」

 

「ラテ!」

 

「ビョーゲンズです!」

 

『あっちで、お姉さんが泣いてるラテ…』

 

ラテの指差す方向は競技場だった

 

「あっちは…まさか!」

 

「行こう!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「煌めけ!溶け合う二つの光(スパークルセウス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「ギーッ!ギギーッ!」

 

競技場に着くと、シンドイーネとギガビョーゲンがその場でずっとジャンプをしていた

 

「出たわね!鬱陶しい奴ら!」

 

『キュン!』

 

「「キュアスキャン!」」

 

「高美さん!」

 

高美はギガビョーゲンの体の中心に居た

 

「あら?アンタのお友達?」

 

「いいえ、ライバルよ!」

 

「ライバルぅ〜?」

 

「彼女を返しなさい!」

 

「お断り!」

 

フォンテーヌの蹴りとシンドイーネの蹴りが空中で交差する

 

蓮花達も急いでギガビョーゲンを浄化する為に攻撃を加えようとする

 

「ギッギー!」

 

しかし、ギガビョーゲンはかなりの高さでジャンプして攻撃をかわした

 

「うわっ!?ギガジャンプ!」

 

「ギッガ!」

 

空中から巨大なバネをいくつも飛ばす。それをジャンプで難無く避けるのだが

 

「跳ね返った!?」

 

蓮花達に当たらず地面に当たったバネは、そのぶつかった反動でまたも予測不可能な攻撃となり襲い掛かって来た

 

「クッ!」

 

蓮花が咄嗟にシールド展開して更に跳ね返すが、バネも地面に当たって跳ね返って襲う

 

「埒があかないわね!正に無限ループ!」

 

「言ってる場合じゃないですよ!」

 

フォンテーヌとシンドイーネの方は、フォンテーヌが積極的になってるも中々シンドイーネを切り崩せず苦戦していた

 

「彼女のパワーをこんな事に使わせない!」

 

「ライバルなら丁度良いじゃない。居なくなった方がさ」

 

「違う!彼女が居てくれるからわたしはもっと跳べるの!」

 

フォンテーヌの重たい一撃がシンドイーネの顔を歪めさせる

 

「ライバルなんて邪魔で目障りでムカつくだけよ!消えりゃ良いのよ!!」

 

「貴女には分からない!」

 

「分かりたくもないわよ!」

 

挑発に乗って反撃するも、綺麗に避けられそのまま客席まで蹴り飛ばされた

 

「ギガーッ!」

 

「フッ!」

 

隙を見てギガビョーゲンも拳を振り抜くが、フォンテーヌはジャンプしてかわす。

そして、ギガビョーゲンも対抗する様にその後ろをジャンプして追い掛ける

 

「もっと…もっと高く!」

 

勢いが止まらない。先に跳んだ筈のフォンテーヌの方がより長く、高く跳躍していた。これにはギガビョーゲンも届かない

 

「雨のエレメント!」

 

下から追い掛けてジャンプするギガビョーゲンを、激しい水流が地面へと一気に叩き付ける

 

「何すんのよ!」

 

空中で身動き出来ないフォンテーヌに、シンドイーネは両手を構えて攻撃しようとするも

 

「翠嵐疾風!」

 

嵐を纏ったツタがそれを妨害した

 

「頼んだぞ!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

 

 

////////

 

目を覚ました高美とちゆは、先日の件を謝罪していた。そして、その会話の中でちゆはハイジャンで世界を目指すと言った。

世界という最高の舞台で、最大のライバルと共に競い合い、高め合ってそこで会おうと約束した

 

「何だよ。結局ハイジャンで世界目指すんじゃねぇか。ま、俺には関係無いけどな」

 

「その割には紅兄笑ってるじゃん!」

 

「フフッ、紅牙さんも嬉しいじゃないんですか?」

 

「笑ってる、嬉しい……。ま、人の幸せを笑うのは良い事だな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ライバルという存在は、きっとちゆを高めてくれるだろう




次回は日常回では無くオリストを挟みます

ここまでの拝読ありがとうございました


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第61話 覚醒への咆哮♥才能が開花するとき

最弱から最強へ

ではスタート!


「紅牙視える?」

 

「ああ、視える」

 

紅牙は右目を瞑り、左目で周りの景色を見ていた

 

「流石義眼だな。視力も同じ様に視える」

 

只今病院で説明を受けた紅牙は、ようやく義眼を手にして付ける事が出来た

 

「このままゆめポートまで行くか」

 

「そうだね。のどか達もそろそろ着いてる頃だろうし」

 

今日は皆んなでゆめポートでお買い物。

蓮花と紅牙の2人は、一度病院に寄ってから合流予定

 

 

 

 

 

////////

 

一方で

 

「…とても興味深い本ね。買おうかしら」

 

「何を買うのですか?」

 

只今お買い物中の紫苑達。

アスミは、紫苑が手に取る本を覗き見していた

 

「『人間とは』という本よ。色々と考えさせられるのよ」

 

「ひなたみたいにファッション雑誌は買わないのですか?」

 

「ファッション雑誌ね…」

 

雑誌のコーナーへ行ってみる。そこでは、ひなたがいくつかの雑誌を持って悩んでいた

 

「何悩んでるの?」

 

「どっちも欲しいんだけど……」

 

どうやらポケットマネーと相談中のようだ

 

「そんなの私が買ってあげるわ」

 

「いいの!?あ、でも…」

 

「良いのよ。蓮花のポケットマネーだから」

 

「蓮兄…ありがとう」

 

この場に居ない蓮花に向けて、密かにお礼を言うひなただった

 

「ところでアスミちゃんは欲しいものはある?」

 

「特にはありません。こうやって、皆さんとお買い物をするだけで満足です!」

 

そして、のどかとちゆが他のコーナーからやって来た

 

「居た!ひなたちゃん、紫苑さん欲しかった本は買えたの?」

 

「買えたよ。ん〜、そろそろ蓮花達も来る時間帯だからカフェでゆっくりしない?」

 

「賛成!それならアタシが美味しい所案内するよ!」

 

 

 

 

 

「ゆめポート。まだあったのか。懐かしい」

 

そして別の場所、始が久し方のゆめポートを懐かしんでいた

 

横を歩く人の声、笑顔で話す人達、それぞれその人達は楽しむ

 

「でもなぁ…」

 

始は何かを感知取っていた

 

「此処に適格者の可能性を持った人間が何人かいる。あぁ、楽しい時間があっという間に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

壊れる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆んな何注文する?」

 

「わたくしはこの──」

 

カフェで一息の最中、大きな爆発音と衝撃が体全体を響かせた

 

「わっ!?」

 

「何なの!?」

 

「外から聞こえて来ました!」

 

「私見てくるね」

 

紫苑が一足先に外へ行くと、浮遊する剣がゆめポート中を暴れていた

 

「これはもしかして……居た!」

 

屋根の上、始が剣を操りながら高みの見物をしていた

 

「紫苑さん!やっぱりこれって…」

 

「ええそうよ。ゾンビが暴れてるわ」

 

「ゾンビって…まぁ間違ってはないペエ」

 

「最悪な状況だな。蓮花も紅牙もいない状況で」

 

「それでもやるラビ!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

グレース達の姿を見て始は攻撃するのを辞めた

 

「悪いけどお前達に構ってる暇は無い」

 

「そっちに無くてもこっちはあるの!」

 

スパークルが飛び出して、ステッキから光弾を一発放つ

 

「ッ!」

 

最早、避けるのも面倒と思ったのか始はその攻撃をわざと受ける

 

「相手は強敵ラビ!一気に畳み掛けるラビ!」

 

「雨のエレメント!」

 

「実りのエレメント!」

 

更にエレメントボトルを使って光弾を放つ

 

「無駄だ!」

 

2本の魔剣がセットされ、波動を放ってエレメントの力を撃ち落とした

 

「無駄じゃない!」

 

撃ち落とした事により煙が生じて、その中から紫苑が不意に現れた

 

「ハァッ!」

 

「クッ!」

 

不意の突いた攻撃は原始の魔剣によって防がれた。しかしその攻撃は防がれたとはいえ、始の体の芯まで衝撃が届く

 

「少し見ない間に腕を上げたな」

 

「私だけの力じゃない!」

 

紫苑は両腕を広げて叫ぶ

 

「皆んなの力よ!!」

 

「…なら」

 

原始の魔剣で空間を切り裂く。そして裂いた中から1人の人物──レンカが現れた

 

「わざわざ我を呼び出すとは…」

 

「申し訳ございません」

 

「良い。その方が時間も掛からない。それに…」

 

レンカはスパークルの方へ目を向ける

 

「な、何?」

 

「その目、少しは覚悟を持つ様になったか」

 

「蓮兄だって頑張ってるもん!アタシだって!!」

 

「それが、無駄だとまだ気付かないのか?」

 

「無駄なんかじゃない!わたし達は、わたし達のお手当てして地球を救う!ビョーゲンズからも!貴方達からも!」

 

グレースの言葉にレンカは少し考え、そして始の前に出る

 

「やはり、お前もまた思い上がった者の1人でしかなかったという事か。ならば、証明してみせよ」

 

「証明?」

 

「その腐った思想を口では無く、力で…我を倒して証明してみせるがよいッ!!!」

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「世界を一つに!果てしなき漆黒──ウィスベクタリアス!」

 

 

 

その剣は、果てしなき蒼と全く同じ形状をしていた。だがひとつだけ違う事がある。それは、闇よりも深い闇。漆黒の色をした絶剣、それが果てしなき漆黒

 

「「「「「ッ!!?」」」」」

 

「な、何アレ…?」

 

「この肌に刺さるような力は…!」

 

スパークルは怯え、アースはただならぬ気配を感じ取り震えていた

 

「アレも絶剣なの!?」

 

「恐らくその筈。でもコレは!」

 

「蓮花さんや紫苑さんと違う!?」

 

レンカからは怒り、悲しみ、憤怒、憎悪、殺意といった負の感情がオーラとなり辺りに撒き散らす

 

「魔剣の始まりが原始の魔剣とすれば、絶剣の始まりは果てしなき漆黒。お前達に、我を超えられるかッ!!」

 

「ッ!?」

 

一瞬で紫苑との距離を詰められた

 

「ゼアッ!」

 

瞬時に善なる天威で防ぐが、重たい一撃が全身にのし掛かる。その衝撃波がグレース達を吹き飛ばす

 

(重たい!同じ絶剣なのにこの出力の差…!)

 

そしてレンカは拳ひとつで紫苑を弾き飛ばす

 

「グッ…!」

 

「援護します!」

 

フォンテーヌがすぐさま紫苑の元に駆け寄るが

 

「…ッ!」

 

レンカの放った斬撃がそれを通さない

 

「駄目!近付けない!」

 

「紫苑さん!」

 

「紫姉!」

 

「紫苑!」

 

「消えろ」

 

刀身に纏った漆黒のオーラが紫苑へ

 

 

 

 

 

溶け合う二つの光(スパークルセウス)!」

 

 

 

 

 

紫苑の目の前に光のエレメントのシールドが展開され、果てしなき漆黒を弾き返した

 

「ごめん!遅れた!」

 

「逃げ惑う人達を避けるのに時間掛かっちまった」

 

間一髪の所で、蓮花と紅牙が紫苑を庇って攻撃を防いだ

 

「いくら数を増やしたところで…」

 

「今度は勝つ!」

 

「…いいや、不必要な時間を費やすだけだ」

 

レンカはひとつの袋を取り出した。そして中から

 

「それは!?」

 

「メガビョーゲンの種、メガパーツ。この意味が知らないとは言うまい」

 

「ヤバい!全員で全力で止めるニャ!」

 

「これ以上強くなったら手に負えないペエ!」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

「「覚醒剣!」」

 

「絶・覚醒剣!」

 

「剣光神癒!」

 

「翠嵐疾風!」

 

「天威絢爛!」

 

 

 

全員の浄化技が降り掛かる

 

「決まったラビ!」

 

「おし!」

 

「……」

 

この状況なのに、始は声どころか微動だにしない。不気味な空気が漂う

 

瞬間、溶け合う二つの光を持つ左腕が切り落とされた

 

「な、に…!?」

 

「蓮花さん!」

 

「アレで我を倒せると思っていると?」

 

「「ッ!?」」

 

いつの間にか、グレースと蓮花の間に移動していた

 

「この!」

 

「やぁ!」

 

蓮花は左腕を再生して溶け合う二つの光を手に収め、グレースはステッキにエネルギーを溜めて放とうとする

 

「ぬるい」

 

「「ガッ!?」」

 

だがそれを、レンカは2人の首を掴み阻止する

 

「グレース!蓮花!」

 

(振り解けない!)

 

(このままじゃ息が…!)

 

「…!」

 

2人を壁際へと放り投げ瓦礫の下敷きになる

 

「「蓮花!グレース!」」

 

(クソ!守りの中心である蓮花がやられたら勝ち目なんて無いぞ!)

 

「皆んな見て!」

 

「え、あの姿って…!」

 

全員目を疑った。レンカのその姿を

 

種を身体に取り込み一気にテラビョーゲン。そしてメガパーツで更に進化した。

今のレンカはビョーゲンズと同じ様になり、且つ絶剣を所持してる

 

「最悪だ…最悪の組み合わせだ!」

 

「よそ見をしてる暇は無いぞ」

 

今度はスパークル、アース、紫苑の目の前に現れた

 

(嘘!?)

 

(なんて速さ!?)

 

(というより反応出来ない!私の絶剣でも追い付けない!)

 

あっという間に3人も吹き飛ばされてしまった。更には変身も解けてしまう

 

「……」

 

「ぁ…」

 

「紫苑!」

 

レンカは気絶する紫苑を掴み上げる

 

「紅牙と言ったな。お前が格下とみる」

 

「てめ……ふ、ふざけんなァァァ!!」

 

紫苑を投げ捨て紅牙へ目を向ける

 

「蹂躙してやる!!」

 

しかし、それを片手で受け止めた

 

「終わりの時だ」

 

剣先を紅牙の目の前まで持って行き、波動を溜める

 

「鬼麿さん!!」

 

フォンテーヌは波動を放たれる前に、紅牙を突き飛ばして代わりに自分が波動を受けた

 

「くはっ!」

 

「ちゆ!!ペギタン!!」

 

直前でペギタンがシールドを張ってくれたものの、ちゆも変身が解けてペギタンと共に地に伏せる

 

「うわぁァァァ!!──真・翠嵐疾風!!」

 

地面を抉りながら突進する紅牙の両手首を掴んで、その勢いを殺して封じ込めた

 

レンカは剣を引き寄せて身体を近づけさせ、膝蹴りで紅牙の鼻をへし折る

 

「あがっ…」

 

「……先ずは1人」

 

レンカはちゆに向けて歩き出す

 

「や、やめろ…!」

 

手を伸ばすが身体が言う事を聞かない

 

(何でだよ…何で俺はこんなにも弱いんだ…!勝たなくちゃいけないのに!ちゆは、俺の大切な希望なんだ!大切な人を守れなきゃ意味が無い!ここでやらなければ、いつやるんだよ!!!)

 

地面に倒れていた筈が、一瞬でレンカの背後に回り込み手刀で果てしなき漆黒をはたき落とす

 

「…ッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……フゥ」

 

「お、鬼麿さん…?」

 

「ほう、面白い。────絶剣か」

 

 

 

 

 

////////

 

「グレース、ラビリン大丈夫か?」

 

「はい、なんとか…」

 

「ラビ…」

 

蓮花は瓦礫の中から這い出て、グレースを助け出した

 

「くっ…皆んな大丈夫か?」

 

ひなた、アスミ、紫苑にも呼び掛けて安否を確認する

 

「痛った〜」

 

「はい…」

 

「ええ、大丈夫よ。それよりもこの状況どう見る?」

 

 

 

 

 

今蓮花達の目に映るのは、ちゆとペギタンを庇う紅牙の姿だった

 

(絶剣…だが、まだ半分しかその力を引き出せていない)

 

紅牙は確かに絶剣覚醒を果たした。しかしその手に握る絶剣は、剣と言うにはあまりにも形が歪んでいた

 

「その様な半端で…本当に人間というものは愚かだで杜撰な生き物」

 

「黙れよ。テメェも元は人間だろうが。死人の分際が」

 

「…半覚醒とはいえ、絶剣を持ち喚く様になったか。その減らぬ口、聞けぬ様にするッ!」

 

「来いッ!」

 

「鬼麿さん?…きゃあ!?」

 

「ペエ!?」

 

紅牙は、ちゆとペギタンを抱えてレンカから逃げ出す

 

「逃さぬッ!」

 

背中を見せる後ろから、レンカの斬撃は襲って来る

 

「ペエェェェェ!!?」

 

ペギタンが絶叫する中で、建物を使って全力で避ける

 

「振り落とされるなよ!」

 

「鬼麿さん!キャアッ!」

 

更にレンカの斬撃が速くなる。紅牙も歪む剣で弾き返す

 

「鬼麿さん!わたしを置いて下さい!その方が良いです!」

 

「駄目だ。アイツ、どうゆう理由か分からないがお前を狙ってやがる」

 

「え?」

 

紅牙に向けられた攻撃かと思えば、その目で観察して視えた結果、斬撃は少し自分よりズレてちゆの方へ襲って来てる

 

「紅牙気を付けるペエ。レンカは攻撃と同時に地球も蝕んでいるペエ!」

 

ペギタンの言う通り、レンカの斬撃が建物に直撃するとその場所が蝕まれてる。

ビョーゲンズの力を有した今のレンカなら、地球を蝕む事も容易く行える

 

そしてようやく、斬撃の攻撃を掻い潜り地面に足を着けた

 

「でしたら隠れます!」

 

「下手に隠れるより、俺と一緒に居た方がよっぽど安全だ!いいか、絶対俺の側から離れるなよ!俺が苦しいと思うぐらい抱き付いとけ!!」

 

「は、はい///」

 

紅牙はちゆを片手で抱き上げ、片手で絶剣を構える

 

「「ッ!」」

 

レンカが一歩足を踏み出した時、紅牙の目の前まで距離を詰めて来た

 

しかし紅牙はそれを予測していた。あの化け物じみた動き。だが逆にそれが紅牙からしたら分かりやすく、絶剣で鍔迫り合う形で受け止める

 

「うおおぉぉォォォッ!!」

 

紅牙は片手でだけで剣の打ち合いをする。甲高い音が絶え間なく鳴り響き、火花が飛び散る

 

「我が王援護します!」

 

始も少しでも隙を作らせようとし、魔剣をセットするが

 

「ッ!」

 

打ち合いをしていた筈の紅牙が、突然姿を消した

 

「何処行っ──」

 

見失った事に動揺し、探してるとセットされた魔剣全てが破壊された

 

(そんな!?俺でも破壊された事すら認識出来なかっただと!?)

 

(貰った!)

 

姿を消した紅牙は始の真上を取った。そのまま振り下ろすが、レンカがそうはさせなかった

 

始の隣を物凄い風が吹き抜ける。瞬時に移動して始を庇う様に絶剣で防いだのだ

 

お互いに一度距離を置いて、再度激しい剣と剣のぶつかり合いが始まる

 

(我が王と互角!成長スピードが速過ぎる!)

 

まだまだハンデはあるものの、紅牙は満足出来る戦いを繰り広げてる。蓮花や紫苑だと、ここまでの事は出来ない

 

これが紅牙が持つ才能であり潜在能力

 

(半覚醒でここまで…。魔剣を持つべくして、この世に生を受けたような才能)

 

「これでどうだッ!」

 

「ッ!」

 

紅牙の剣を受け止め、そのままいなして捌いてく

 

(これ以上交戦して開花させるのは非常に危険。退くべきか、それとも……)

 

レンカの頬から冷たく赤い血液が流れ落ちる

 

考える事に意識し過ぎたせいか油断し、初めてレンカに傷を付けた

 

「……」

 

「ハァッ…ハァ……」

 

(鬼麿さん、息が上がってきてる。もう体力が…)

 

「……終いだな」

 

レンカは果てしなき漆黒を身体の中に収め、戦闘態勢を解いた

 

「ハッ!俺の力に怖気ついたか?」

 

表では息巻いてるが

 

(よっしゃ!早く帰ってくれ!!)

 

心の中では、この状況を早く脱したい気持ちでいっぱいだった

 

「貴様、鬼麿紅牙と名乗ったな。評価を改める必要がある」

 

レンカと始は立ち去って行った

 

 

 

 

 

////////

 

「ちゆ、ペギタン大丈夫だったか?結構乱暴にしちまったが」

 

「鬼麿さんが守ってくれたお陰で大丈夫です!」

 

「紅牙凄かったペエ!」

 

「良かった。でも…」

 

辺りを見渡せば半壊のゆめポートが目立つ。蝕まれた場所は、レンカが立ち去ると消えたのだが

 

揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)でやってみる」

 

蓮花は揺るぎなき曙光喚び起こし、地面に突き立てる。

地面にから暖かな光が溢れ出して建物が修復されていく

 

「お!揺るぎなき曙光で出来ちゃった。何でも試すものだね」

 

「にしてもさ〜、アイツらまで強くなってビョーゲンズの力を手に入れちゃったんだよ。これからどうする?」

 

ひなたの言う通り、現状では太刀打ち出来る人がいない。

頼みの綱である紅牙の絶剣も不完全。今回みたいに半覚醒とはいえ、いつでも喚び出せる訳でもない

 

ビョーゲンズの事も含め、これからの事は問題の山

 

「わたくし達のやる事は変わりません。お手当てを続けましょう!」

 

「わん!」

 

「アスミちゃんの言う通りだよ!皆んなで力を合わせて頑張ろう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不安要素はまだある。それでも蓮花達はお手当てを続けるしかなかった




現状の強さランキング
レンカ>紅牙>>>蓮花>紫苑>始

今回の話までは紅牙が1番最弱でしたが!
正直蓮花と紫苑はあまり差は無いんですけど、能力の多様性を考慮した結果がアレです。
紅牙もまだ未完成な状態なので変動する可能性もあり

3人の1番の強さは
蓮花が能力の多様性
紅牙がポテンシャル
紫苑が経験

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第62話 想いを繋げて♥南の島での青春ビーバレ!

秋なのに海はおかしいと思うのは私だけでしょうか?

ではスタート!


ある日突然、アスミとラビリンから南の島の海に行こうと誘われた。

今年の夏は、ドタバタしており海なんて全く行けていなかった。なので断る理由が無く、寧ろ喜んで返事をして誘われる事にした

 

「それにしても、よくよく考えると何故秋の今何だ?少し遅くないか?」

 

「確かにそうね。でも良いじゃないの。あ、私水着取りに一旦家に帰るわね」

 

「んじゃあ俺も」

 

紅牙と紫苑は持ち物を取りに一度家に帰って行った

 

蓮花はというと

 

「…俺一人になっちゃった」

 

いつも2人が騒ぎ立てて明るい蒼咲家なのだが、2人いっぺんに居なくなるとこうも静かになると少し心寂しい

 

「…俺も実家にしか水着無いから買いに行かないとな」

 

蓮花は荷物持って近くの店まで水着を買いに行く。玄関を出る時、ふと振り返ってしまう

 

「……」

 

 

 

 

 

////////

 

「ちゆ、お前だけ荷物多くないか?」

 

集合場所に着いた蓮花達なのだが、皆んな片手程度の荷物の筈がちゆだけは何故か大きなバックを背負って待っていた

 

「気合いの入りようが凄いな」

 

「べ、別にいいではありませんか!!」

 

「さぁ行きますよ」

 

アスミが手を翳すと、いつかのワープで南の島へと移動した

 

「ふわぁ〜!本当に南の島だぁ〜!」

 

青い海、照りつける太陽、自然が溢れる大地。湧き上がる興奮を抑えられなかった

 

「帰りは夕方になりますよ」

 

着替えと準備運動を済ませいざ海へ

 

ひなたがテンション上げて飛び込もうとする時、ホイッスルが鳴り響いた

 

「「「え?」」」

 

「これより、ビーチバレー合宿を始めるラビ!!」

 

「「「えぇ〜!?」」」

 

突然のラビリンの言葉に全員が驚いていた

 

「「ビーチバレー?」」

 

「唐突ね」

 

「ラビリンの事はコーチ、ラテ様の事は監督と呼ぶラビ!!」

 

パチパチと手を叩くアスミ。この状況、彼女は最初から知っているみたいだ

 

「ラビリン、ラテ。正に『燃えよビーバレ!』のコーチと監督みたいです!」

 

「「「「『燃えよビーバレ!』?」」」」

 

蓮花達とひなたは聞き慣れない様子

 

「ビーチバレーを題材にしたスポ根アニメよ」

 

「あ〜!最近ラビリン達欠かさず観てるアレ?」

 

「そうラビ!皆んなと一緒にビーチバレーで青春するのが夢だったラビ!!」

 

「ふわぁ〜青春!」

 

この手に関してはのどかは大盛り上がり。前の特訓の時もそうだった

 

「青春アニメなの?」

 

「青春スポ根アニメね」

 

「最近アニメなんてチェックしてないな」

 

「スポ根!何だか生きてるって感じ!」

 

「のどかはこういう類の好きだよね」

 

「さぁコーチについてくるラビ!」

 

どうやらこちらに拒否権は無く、ラビリンの一言でビーチバレーが開催された

 

「えぇ〜!?海は?…もう待ってよ〜!」

 

ひなたは泣く泣く皆んなの後を追うしかなかった

 

 

 

 

 

コートを作り、チーム分けをして早速練習を始める。最初はのどか達4人でやる事に。のどか、ちゆにひなた、アスミと組んでする

 

運動神経の良いちゆとアスミの接戦で白熱していた

 

「2人共カッコいい!」

 

「弟が好きで時々やってるのよ」

 

のどかとちゆが喋ってるにも関わらず、アスミは容赦無くボールを叩き込む

 

「すみません。話をしていたのにボールを返してしまって」

 

「ううん。変に手加減するのは、アスリートとして恥ずべき事よ」

 

「もう2人には教える事は無いラビ。コーチは感無量ラビ!」

 

「わん!」

 

いつの間にか、ビーチバレーで更に友情が高まるのを見て蓮花と紅牙は苦笑いをしていた

 

((温度差が凄いな…))

 

紫苑は、早くやりたくてうずうずしていた

 

「よ〜し、わたしももっと頑張ろう!ひなたちゃんお願い!」

 

「OK!いくよ!」

 

ひなたが上げたサーブを返そうとするが、触れることもなく隣に落ちてしまう

 

それを見てラビリンがアドバイスを与える

 

「のどか!良いラビ?オーバーハンドパスで大事な事は、ボールの落下地点に素早く移動する事ラビ!それから受ける瞬間、重心は出来るだけ下げるラビ!」

 

「すみませんコーチ」

 

「でも、さっきより上手くなったラビ!ドンマイラビ!」

 

そんなラビリンの指導を見て蓮花、紅牙、ひなたは思った

 

「何か思ってたのと全然違う」

 

「スポ根ならこうも優しくは無いよな?」

 

「そうそう、『根性出せ!』とか『やる気が足りない!』とか。怒鳴ってそう」

 

「そんなコーチは時代遅れラビ」

 

ひとつ前の時代の人達が聞けば涙目になる事を言うラビリンだが

 

「と、ビーバレでも言ってましたね」

 

「初心者にはスポーツの楽しさを伝えるラビ!」

 

「と、ビーバレでも言ってましたね」

 

「楽しければ自然とやりたくてなるラビ!」

 

「と、ビーバレでも──」

 

「はいはい分かったよアスミ。あまり言うな。聞いてて悲しくなる」

 

受け売りというのは充分分かったので紅牙が止めに入る

 

「ビーチバレー楽しいよ!凄っごく生きてるって感じ!」

 

「フフ、それはビーバレでは言ってませんでした」

 

「よ〜し!今度は蓮花達もやってみるラビ!」

 

「なら蓮花は紫苑と組め。俺はそうだな……ひなた来い」

 

「アタシ?」

 

「蓮花は片腕が無いからな。バランスを考えてこの組み合わせが妥当だろう」

 

そんな訳でサーブは蓮花と紫苑ボールからスタート。

蓮花は片腕で器用にボールを指先で回して鳴らしていた

 

「蓮兄いけそう?」

 

「大丈夫!それじゃあ行くよ!。…それ!」

 

サーブは蓮花。そしてひなたへボールが回り

 

「紅兄!」

 

「おし」

 

少し高く上げたボールをゆっくり狙いを定めて

 

「ほらよ!」

 

蓮花へスパイクで決める。当然、片腕だけじゃレシーブは出来ずボールは外へ出てアウトになる

 

「酷いな〜」

 

「今度はこっちから行くよ!」

 

サーブの交代。今度はひなたが打つ

 

「オーライ!」

 

蓮花がレシーブでボールを上げようすると

 

「蓮花交代!」

 

咄嗟に紫苑と交代した

 

紫苑が上げたボールを蓮花がトスする

 

紫苑は地面を踏みして高くジャンプ

 

「バッチこーい!」

 

「お前の攻撃止めて──」

 

瞬間、ひなたの頬を掠めてボールがコートへ思いっきり叩き付けられた

 

「「…えっ?」」

 

浜辺であるにも関わらず、ボールは空高くバウンドした

 

「此処浜辺だよね?」

 

「何で浜辺なのにボールが5mもバウンドするんだよ…」

 

「穴である蓮花を最初に狙って来るとは良い度胸ね2人共」

 

紫苑はポキポキと片手で骨を鳴らしいた

 

「そっちがその気なら本気で相手してあげるわ」

 

紅牙とひなたは一気に血の気が引いた

 

「紫苑、ひなたも居るんだから手加減しないと」

 

「紅牙が相手なのよ。負けは許されないのよ」

 

「執念超えて最早使命感の域だよ…」

 

「ラビリンは、恐ろしい兵器を誕生させてしまったラビ…」

 

流石のラビリンも引いてしまった

 

 

 

 

 

それから少し時間が経ち、休憩も兼ねてお昼を取った

 

「コーチお願いがあります!わたし、もっとラリーを続けたいです!特訓して下さい!」

 

のどかは、午後もビーチバレーをしたいとラビリンにお願いする

 

「ラリーを続けるのが苦手なのですか?」

 

「ううん、苦手って言うより好きなの。手から手へボールが繋がれていくの凄く面白くて、ボールを落とさない限りずっと続いていくんだもん。だから、ちゃんと受け止めてちゃんと返せるようになりたいの!」

 

「嬉しいラビ!のどかがビーチバレーを好きになってくれて!」

 

のどかの言葉に、より一層ラビリンに火がついた

 

「任せるラビ!このコーチが立派な選手にしてあげると約束するラビ!あの海に懸けて!!」

 

「はいコーチ!」

 

「これが青春なのですね!」

 

「これはもうスポ根だと思う!」

 

「これこそ青春スポ根よ!」

 

「「「どれでも良いんじゃない…?」」」

 

相変わらず、蓮花と紅牙とひなたはついて行けれなかった

 

「ふぅ…くちゅん!」

 

我慢してたようなくしゃみをラテがした

 

「まさかすこやか市にビョーゲンズ?」

 

「困ったわね。アスミの力がまだ戻り切って無いわ」

 

『あっちでヤシの木さんが泣いてるラテ…』

 

ラテが示す方向は島の反対側だった

 

 

急いで反対側に来たのだが

 

「居ないわね」

 

「もしかして入れ違った?」

 

『今度は向こうラテ…』

 

今度はさっき蓮花達の居た方から。結局、島を一周してしまう羽目になった

 

 

「メガビョーゲン!」

 

やっと出会えたと思ったら、折角作り上げたコートを蝕んでいた

 

「ラビリン達の青春が…」

 

「皆んな!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「煌めけ!溶け合う二つの光(スパークルセウス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

今回はヤシの木型のメガビョーゲンに、竹刀にスポーツのコーチみたいな格好でグアイワルだ

 

「チッ!こんな所まで追い掛けて来るとは…。メガビョーゲン!特訓の成果を見せてやれ!」

 

「特訓ラビ!?」

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンは頭に付いてるヤシの実をひとつ取り、サーブの構えをとる

 

「赤道直下が編み出した技!食らえ!激アツ!赤道直下サーブ!!」

 

「うわっ!」

 

「フッ!」

 

「あぶね!?」

 

メガビョーゲンが放ったサーブは炎を纏い打ち出された。予想外の攻撃方法だったが、何とかそれをスパークル、蓮花、紅牙の3人は避けた

 

「スッゲェ威力…ニャニャ!?」

 

3人の他にも他の者へ攻撃される。最初の餌食となったのはアースだった

 

「ああっ!?」

 

「アース!大丈夫?」

 

正面からまともに食らって心配するのだが

 

「はい!次は必ず繋げます!」

 

「繋げなくていいし!避けて!」

 

「メガ!」

 

またもサーブ攻撃する

 

「フォンテーヌ避けろ!」

 

「ハァッ!…キャア!」

 

しかし、紅牙の指示とは真反対にフォンテーヌはサーブした攻撃を拾いに行って逆にダメージを貰いに行った

 

吹き飛んだフォンテーヌを蓮花達3人で支えると

 

「「「何で当たりに行くの!?」」」

 

3人揃って声を上げた

 

「体が勝手にレシーブを…」

 

「アスリートヤバ!」

 

「ちゃんと集中しろ!この馬鹿共が!!」

 

「さ、来ォォォォいィィィィィ!!!」

 

紅牙が注意してる最中、大きな声がしたので振り返ると

 

「「紫苑まで!?」」

 

紫苑もレシーブで攻撃を止めようとしていた

 

「もしかして…」

 

あと1人、スパークルは嫌な予感を感じながらその人物を見ると

 

「キャアァァ!!」

 

「やっぱりグレースまで!」

 

グレースまでもレシーブをしていた

 

「…これはもしや俺もやる流れなのか?」

 

「「やらなくていい!!」」

 

「このビッグウェーブには?」

 

「「乗らなくていい!!」」

 

「あ、もしかしてフリ?」

 

「「違う!!」」

 

蓮花までレシーブしようとするのを、紅牙とスパークルは全力で止める

 

「お願いだ!お前までやり始めたら収集がつかなくなる!」

 

「絶対やっちゃダメだよ蓮兄!」

 

「……やっぱりフリ?」

 

そんなふざけた事を言った蓮花に、翠遠の息吹とヒーリングステッキで頭を殴った

 

「どうだこの威力!この必殺技を生み出す為に、地獄の強化特訓をしたからな!ビッシビシに鍛えたぞ!!」

 

グアイワルはスパルタ特訓でメガビョーゲンを強く育てたらしいが

 

「そんな鬼コーチ時代遅れラビ!選手の未来を潰しちゃうラビ!!」

 

「酷い!」

 

「引くわ〜…」

 

「酷いのはこの現状の有り様なんだけどね…」

 

「そんな歪んだ指導をアスリートとして認める訳にはいきません!」

 

「恐怖が支配する特訓なんて無意味だと言う事をここで証明してみせるわ!」

 

「一から出直して来なさい!!」

 

グアイワルの指導方針に反対する皆んな。そんな輪から抜けている紅牙は

 

「もう終わった?」

 

砂でお城を作っていた

 

「よ〜し皆んな行こう!」

 

全員で円陣を組み

 

「プリキュア 〜ファイ!」

 

「「「「「「お〜!!」」」」」」

 

手を添えて気合いを入れ直すなのだが

 

「お〜……て、やってられるか!」

 

紅牙は思わず翠遠の息吹を地面に叩き付けて激しく怒る。

だが、それを見たグレース達は逆に白い目で紅牙を見つめる

 

「紅牙さんやるんですよ」

 

「偶には空気を読んで欲しいラビ」

 

「鬼麿さんはアスリートとしての誇りは無いのですか?」

 

「ちゃんとしなくてはいけません」

 

「少しぐらい付き合いなさいよ」

 

完全に紅牙が悪者扱いをされてしまい

 

「フォンテーヌの言葉が一番傷つくなぁ…」

 

凹んでしまった

 

「もうグレース達に合わせよっか」

 

「ソウダネ」

 

蓮花とスパークルも殆ど諦めていた

 

「ごちゃごちゃとうるさいわ!」

 

「メガビョーゲン!」

 

先程の必殺サーブが来る。それをグレースはレシーブする為に駆け出す

 

「ボールを返す時大事な事は!」

 

「落下位置に素早く移動する事ラビ!そして重心は!」

 

「出来るだけ下げて!」

 

「両手を上げるラビ!」

 

「はい!コーチ!」

 

「ぷにシールドトス!」

 

強力な攻撃をシールドを使って上手く空へ上げる事に成功した

 

「今だわ!──氷のエレメント!」

 

打ち上げたヤシの実を氷のエレメントで丸型に凍らせ

 

「アースお願い!」

 

「はい!ハァァァ!!」

 

最後にアースのアタックで止め……の筈がメガビョーゲンはそれを躱した

 

「避けた!?」

 

「勝負をしないとは卑怯です!」

 

「アスリートとして恥を知りなさい!」

 

グレース達はガムシャラにしてる。もう1人、先程まで熱くなっていた紫苑はというと

 

「もうついて行けないわ!!」

 

「「「それな」」」

 

3人のノリに最後までついて行けずにいた

 

「うっさい!行け!」

 

「メガ!…メガ?」

 

「えっ!?弾切れ!?」

 

次の玉を取る為に実を掴もうとするが全て使い切ってしまった

 

「グレース!実りのエレメントボトルを使うラビ!」

 

「実りのエレメント!」

 

「ラビ!ド根性ラビ!」

 

実りのエレメントボトルとぷにシールドの応用で、ビーチボールサイズのピンクのボールが出来上がった

 

「エレメントボール完成ラビ!」

 

「そんな使い方出来んの!?」

 

「フォンテーヌ!」

 

「ええ!スパークル!」

 

エレメントボールはフォンテーヌからスパークルへと繋ぎ

 

「えっ!?うわわっ蓮兄!」

 

「紫苑!」

 

「っと、紅牙!」

 

「面倒だな!アース!」

 

「決めて下さいグレース!」

 

蓮花、紫苑、紅牙、アースへと渡り最後はグレースと繋がった

 

「皆んなが繋いだボールを!気持ちを!今届ける!」

 

フィニッシュはグレースのアタック

 

「面白い!返り討ちしてやれ!」

 

「メガァ!」

 

そしてそれを真っ向からメガビョーゲンは立ち向かう

 

「メガ〜!」

 

しかし、気持ちのこもったボールを打ち返せず弾き飛ばされた

 

「「キュアスキャン!」」

 

「あそこだ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

////////

 

そして夕暮れ

 

「ねぇ、もう一回アレやらない?」

 

「アレってどれペエ?」

 

「コレ!」

 

のどかは手を出した。それは、先程の掛け声の時にやった手を添えてからの掛け声の事だった

 

「プリキュア 〜ファイ!」

 

「「「「「「「お〜!!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮花達の青春はこれからもまだまだ続いて行く




ビーチバレーを題材にしたアニメといえばきららの◯◯レシーブを思い出す

次回は頑張ればオリスト。出来なければ普通にアニメ本編です。日常回はその後ですかね

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第63話 大事な宝物♥皆んなとの大切な時間

オリストでした

ではスタート!


「それにしてもいっぱい写真撮ったわね」

 

紫苑は、これまで紅牙が撮影した写真を見て呟いていた。

そろそろ現像して整理したいと言っていたので、珍しく紫苑が買って出た

 

「この前のビーチバレーの写真もある。動物園、浴衣、あら?おおらか市に行った時の写真まで」

 

カメラを操作して思い出に浸ってると、ある事に気付いた

 

「そういえば、こんなに撮ったのに全員で撮った写真が1枚も無いわね」

 

撮った写真は数知れず。しかし、きちんと全員で撮った写真は過去一度も無い

 

そこで紫苑は考えた

 

 

 

 

 

////////

 

「「「「「写真を撮りたい?」」」」」」

 

「そう」

 

「写真なら沢山撮ってますよね?」

 

「あぁ、そう言う意味ではないの。全員の集合写真を撮りたいのよ」

 

全員が集まった時、紫苑が写真を撮ろうと提案した

 

「現像して、アルバムを作って整理しようと思ったの。でもね、3人や4人とか写ってるのはあるけど、ちゃんと全員が写ってる写真が無いのよ」

 

「そうラビね」

 

「私の我儘聞いて貰えるかしら?」

 

「はい!わたしも皆んなと一緒に写真撮りたいです!」

 

のどかがそう言って、それに乗っかり全員賛成する

 

「じゃあ何処で撮るの?」

 

「ごめんねひなたちゃん。場所まではまだ決めてないの」

 

「無難に家の前で撮ると言うのはどうですか?」

 

「どうせ撮るなら他の場所が良いわ」

 

「では街へ足を運びますか?」

 

「街へねぇ…」

 

ちゆ、アスミの意見に頭を悩ましていた

 

「考えても埒があかないから外へ出よう」

 

蓮花の提案で外を周りながら撮影場所を見つける事になった

 

 

 

 

 

「滑り台乗ろうぜ!」

 

「ニャトラン待つラビ!」

 

「2人共写真ペエ!」

 

「此処ならどうよ!」

 

先ずはひなたの案で公園にやって来た

 

「う〜ん、でも…」

 

紫苑は横目で紅牙を見ると

 

「ラビリン達写真撮るぞ」

 

「「「ピース!」」」

 

「わん!」

 

遊具で遊ぶラビリン達を紅牙が写真を撮っていた

 

「皆んなで撮るには少し違うかなぁ…」

 

 

 

 

 

「此処ならどうですか?」

 

のどかが連れて来た場所はすこやか中学校

 

「あ!アタシ教科書忘れてたんだ!取りに行って来る!」

 

「それなら俺も付いて行くよ。もし校舎内に居る人に聞かれたら面倒だからね」

 

蓮花とひなたは教科書を取りに分かれた

 

「すこ中っても私達関係無いし…」

 

「なら次だ!」

 

 

 

 

 

「すこやか市の観光地なら?」

 

蓮花は、地元の観光地ならどうかと聞く。これなら集合写真も違和感無く撮れる

 

「観光しに来たんじゃないのよ!!」

 

「「えぇ…」」

 

しかし、紫苑の一言でそんな甘い考えは吹き飛ばされた

 

もうどうしたら良いのか分からず、蓮花と紅牙は嫌な顔をする

 

「文句ばかり垂れてんじゃねぇよ!!」

 

「お黙り!何一つ案も出して無い人がしゃしゃり出ないでくれるかしら?」

 

「んだと!!表へ出ろよゴラァ!!」

 

「もう既に表ですよ〜!」

 

「2人共喧嘩なんて辞めて下さい!!」

 

何とかちゆが仲裁して騒ぎにならずに済んだ

 

「でも観光地ねぇ…」

 

紫苑が考えながら歩き、角を曲がると誰かとぶつかってしまった

 

「ちょっと!何処見て歩いてんのよ!」

 

「あらごめんなさい。少し考え事をしていたもの…で……」

 

ぶつかった相手はシンドイーネだった

 

「「ッ!?」」

 

お互い瞬時にバックステップで距離を置く

 

「何で此処に!?」

 

「シンドイーネペエ!」

 

「居たら悪い?…ん?」

 

シンドイーネは、紅牙が首からぶら下げるカメラに目が行く

 

「丁度良いわ!──進化しなさいナノビョーゲン!」

 

「なっ!?」

 

カメラに宿ってる光のエレメントが媒体とされ、カメラ型のメガビョーゲンが生まれてしまった

 

「メガビョーゲン!」

 

「あ〜!俺のカメラが!!」

 

「さぁ!蝕みなさい!」

 

レンズから放たれる光線が辺りを蝕む

 

「よくもやってくれたわね…」

 

「何?聞こえな〜い!」

 

「その穢れた魂浄化してやるわ!!」

 

「皆さん参りましょう!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「舞い上がれ!!時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「覚悟しなさい!!」

 

「紫苑さん待って下さい!」

 

1人勝手に飛び出して先行する

 

「私達の思い出をこれ以上穢される訳にはいかないのよ!!」

 

「メガ!」

 

メガビョーゲンが光線を放つも、圧倒的スピードでひらりと躱してく

 

「無駄よ!今の私を止められないわ!」

 

「あらそう?それならこれでどう?メガビョーゲン!」

 

「メガ!」

 

今度は光線では無く、代わりにシャッター音が鳴る。

そして何故か紫苑の動きが瞬間的に止まった

 

「ッ!?」

 

時が止まった様に、完全に動きを止められた。全く身動きが出来ない

 

「フフッ!メガビョーゲン!」

 

「メガビョーゲン!」

 

放たれる光線を無防備な紫苑を呑み込んだ

 

「がはっ!…うぐ…」

 

「紫苑さん大丈夫ですか!?」

 

蓮花達の所まで吹き飛ばされた。痛みにも耐えながら、傷付いた体を鞭を打って強引に立ち上がろうとする

 

「グレース!天道さんをお願い!皆んな!」

 

フォンテーヌの掛け声で全員が飛び出した

 

「無駄よ!メガビョーゲン!」

 

「メッガー!」

 

シャッター音が鳴り、また動きを封じられた

 

「ぐぎぎ〜!動けないよ〜!」

 

「この攻撃の仕組みが何となく分かった来た。だが…」

 

スパークルがもがくも指一本すら動けない。紅牙は何か仕組みを理解したが、それが今は実行出来ない

 

「メガビョーゲン!」

 

当然、動けない蓮花達は恰好の的。防御も出来ずに簡単に打ちのめされた

 

「アッハッハ!呆気ないわね!!」

 

「私達が、そう簡単に倒れると思う…かしら?」

 

紫苑はグレースの肩を借りながら立ち上がった

 

「『私達』ね」

 

「その言い方は何よ…」

 

「アンタ、自分が仕出かした事を忘れてるの?自分の目的の為にソイツらを襲っていたんでしょ?」

 

「そ、それは…」

 

ここで以前の自分の事を思い出された。思い出した事により、少しずつ罪悪感の念に囚われ始める

 

「よくもそれで仲良しごっこが出来るわね!その無神経な事に関しては褒めてあげるわ!」

 

「そんなつもりは──」

 

「他人を駒としか見てない!使えなくなったら直ぐにポイッ。そんなアンタが正義の味方ずらしてプリキュア の仲間。笑っちゃうわ!所詮、アンタもこっち側なのよ!一緒に居たらいけない悪なのよ!!」

 

どんなに周りが赦してくれても、自分がやった事に対しての罪は一生消えない

 

自分は悪なのだ。そんな奴が一緒に居て良い筈がない

 

自責の念に心が蝕まれてく

 

深く、深く、深く

 

そんな沈んで行く中で一筋の光りが差し掛かった

 

「そんなの関係ないよ!!」

 

横で聞いてたグレースが声を上げた

 

「紫苑さんはいつもわたし達に優しくしてくれた!面倒を見てくれた!今だって地球の為に頑張ってくれてる!そんな人が貴女達と一緒な筈がない!!」

 

「グレース……でも私は──」

 

「紫苑や皆んながいるから今のラビリン達があるラビ!誰一人欠けちゃいけないラビ!」

 

「「一緒に居て何が悪いの!?(ラビ!?)」」

 

深い闇の念に蝕まれていた心が、光りに照らし出されて輝きを取り戻した

 

「グレース、ラビリン……ありがとう」

 

「わたし達の方こそいつもありがとうございます」

 

「ラビ!」

 

「何良い雰囲気になってんのよ!?ムカつく!!メガビョーゲン!!」

 

メガビョーゲンがレンズを向けようとする時、青と黄色の光弾が降り掛かった

 

「アタシ達が居るのも忘れないでよね!」

 

「グレース!天道さん!大丈夫ですか?」

 

復帰したフォンテーヌにスパークル、蓮花達も集まった

 

「無駄な事で悩みやがって」

 

「そうねごめんなさい」

 

「とりま早くお手当てしよっか!」

 

「ですがどうするのです?こちらの動きや攻撃を止められてしまっては、お手当てのしようがありません」

 

「「「考えがある」」」

 

蓮花達3人の声が重なった。少しビックリしたが笑みを浮かべる

 

「なら紫苑に任せよっか」

 

「しくじんなよ」

 

「ええ!」

 

紫苑は全員に指示を飛ばす

 

「何ごちゃごちゃ話してんのよ!」

 

「メガ!」

 

放たれる光線だが蓮花がそれを切り捨てた

 

「「「ハァァァッ!」」」

 

蓮花、紅牙、アースの3人でメガビョーゲンに突っ込む

 

3人が交戦の隙に、フォンテーヌとスパークルは一列に並ぶ様にジャンプした

 

「ぷにシールド!」

 

スパークルはフォンテーヌに向けてシールドを張る

 

「氷のエレメント!」

 

そして展開したシールドを氷漬けにした

 

「ハッ!」

 

最後に凍らせたシールドをメガビョーゲンへと蹴りつけた

 

「メガビョーゲン!」

 

だがそんな攻撃は通じないと言う様に、メガビョーゲンがシャッターを切った。

 

これで動きは止まった。氷のシールドは空中で静止するが、何故か同様にメガビョーゲンの動きも止まってしまった

 

「メ、メガ?」

 

「ちょっとどうしちゃったのよ!?」

 

「簡単よ。氷に反射してる自分も撮ったからよ」

 

「「キュアスキャン!」」

 

紫苑とグレースが走りながらキュアスキャンでエレメントを見つける

 

「光のエレメントさんラビ!」

 

「行くわよ!グレース!ラビリン!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「天威絢爛!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

 

 

////////

 

メガビョーゲンを浄化して、撮影する為蓮花達が移動した場所は

 

「やっぱり此処かしら」

 

展望台だった

 

「ほら、お前の要望で振り回されたんだ。準備ぐらいしろよ」

 

紅牙は紫苑にカメラを渡して、皆んなと並び付く

 

紫苑は三脚を立てて、綺麗に写る様に準備してると

 

 

「ふわぁ〜楽しみ!」

 

「鬼麿さんもう少し詰めて下さい」

 

「あだ!?足踏んでる!」

 

「オレ達は何処に立ってればいいんだ?」

 

「ニャトラン達はひなた達に抱えて撮って貰ったらいいよ」

 

「写真出来たらアタシ達にも頂戴!」

 

「これも良い経験ですね、ラテ」

 

「わん!」

 

「何か緊張するペエ」

 

「別に普通ラビ」

 

 

並ぶだけなのにこの騒ぎよう。

しかし嫌ではない。これこそが彼女の求めた場所なのだから

 

(魔剣を破壊する事が私の運命だと思ってた。でも──)

 

「紫苑さん大丈夫ですか?」

 

「大丈夫よ。もうタイマーセットしたからそっちに行くね」

 

紫苑は急いで皆んなの元へ並ぶ

 

(これこそが、この出会いこそが私の運命。本当にありがとうね。皆んな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日撮れた写真は、ずっと紫苑が肌身離さず持ち続ける




停電してたからまだアニメ観れてない…

ここまでの拝読ありがとうございました


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第64話 悩みと不安♥勉強と友達の大切さ!

作者はガチで0点取った事あります

ではスタート!


学校が終わり夕方頃、ちゆから一本の電話が入った

 

「はい、もしもし蒼咲です」

 

『あ、蒼咲さん?今大丈夫ですか?』

 

「大丈夫だけどどうしたの?」

 

『鬼麿さんや天道さんも居ますか?』

 

「居るよ」

 

受話器を紅牙達の方へ向けると

 

 

「屈辱だ…。紫苑に勉強を見られるなんて…」

 

「貴方今年受験生でしょ?いいからここの問題を解きなさい」

 

 

勉強中の2人の声がちゆの耳に入る

 

『それは丁度良かったです!また、わたし達の方も勉強を教えてくれますか?』

 

「良いよ。何処に行けば良いかな?」

 

『ひなたの家に』

 

 

 

 

 

////////

 

ひなたの家に向かい、部屋と上り込んでみると丁度始める頃だった

 

「「「お邪魔します」」」

 

「蓮兄達まで呼んだの!?」

 

「必要戦力よ」

 

「というより過剰戦力ラビ」

 

「んんっ、では始めるわよ」

 

ちゆは英語の教科書を開いてひなたに見せる

 

「分からない所は何処?」

 

先ずは相手の分からない所から攻める。それが出来たら自信にも繋がり、勉強をする向上剤ともなる

 

ところが

 

「分からない所が分からない」

 

「分からない所が分からないってどう言う事なのか分からないのだけど…」

 

「え〜!?分からない所が分からないのが分からないってのが分かんないし〜!」

 

「どうして!?分かんない所が分からないって言うのが分からないのが分からない方が分からないわ!」

 

「分からない所が分からないって言うのが分からないのが分かんないって言うのが分かんないのが分かんない!!」

 

勉強が出来ない人特有のパターンに入ってしまった。勉強を教えに来た蓮花達とのどかは困惑してしまう

 

「お前ら止めろ!そんなに分からない分からないばっか言ってたら、俺達の視覚と聴覚がゲシュタルト崩壊起こすわ!!」

 

とうとう紅牙が怒髪天になってしまった

 

「分からない所が分からないのを考えてるのに、お前らが分からない分からないばっか言うから、俺までその分からない所が分からなくなって分からなくなって来てるんだ!!」

 

「3人共静かにしなさい!!分からない分からない言ってたら何も分からないし、分からないばかり言うから何話してるのか分からなくなって分からなくなり、私まで分からなくなって分からなくなって来てるのよ!!」

 

紫苑まで分からない発言に加わってしまい収集がつかなくなってしまった

 

「うるさい…」

 

「ですね…」

 

「ラビ…」

 

 

 

 

 

一旦落ち着き、今度はのどかが教える事になった

 

「例えばね、この『Satisfaction』って単語を見るとサティスさんって言う外国の人が、ハクション!……ってくしゃみしてるビジュアルを思い浮かばない?」

 

「??」

 

(((なるほど、そういうやり方で覚えさすのか)))

 

のどかの勉強方法にちゆは難しい表情しており、対して蓮花達はその教え方に関心していた

 

「浮かぶ!めっちゃ浮かぶ!」

 

「でね、くしゃみをするとスッキリ満足するでしょう?だからSatisfactionは『満足』って覚えられるよ!サティスさんお大事に!」

 

「お大事に〜……って、そんなやり方で覚えられんのかよ!?」

 

「覚えられるよ。でもこのやり方、本当は歴史とかの方が良いんだけどね」

 

「歴史の方はゴロ合わせすれば良いのよ」

 

ゴロ合わせとは少しズレているが、ひなたはこのやり方なら出来ると言った

 

「それなら『hundred』。百って単語を覚えてみようよ!hundredで思い浮かぶビジュアルは?」

 

「手!」

 

「うん!」

 

「手といえば指が5本!」

 

「うん!」

 

「5本と言えば風邪!」

 

「「…うん?」」

 

何かおかしくなって来た予感がし、返事に疑問の濁りが付く

 

「風邪と言えば熱。熱と言えばお湯。お湯と言えばお風呂と言えばシャンプー。シャンプーと言えば──」

 

「待って待って!ひなた、今何の単語の連想をしてるの?」

 

「…あれ?何の話してたっけ?」

 

「ひなた〜!」

 

完全に脱線してしまった

 

「もう少し真面目にしてくれないと…」

 

「むぅ〜!そんな事言うなら蓮兄達はどうなの!?」

 

「どうって?」

 

「蓮兄達だって悪い点数取った事あるでしょ!」

 

少々、自分だけこんなに当たりが強いのが嫌だったのか蓮花達へ謎の点数の提示を要求する

 

「まぁ点数だけなら低いのは取った事あるけど…」

 

「教えてくれたらちゃんとやる!蓮兄達もこんな低かったんだ〜…と、比べれて自信が付くかもしんないし!」

 

3人は顔を見合わせた後、仕方ないと言った感じで喋る

 

「私は中学の時の0点ね」

 

「俺も同じだ」

 

「俺も同じだよ」

 

あまりの予想外の回答で、のどか達は口を開いて動かなかった

 

「てゆうか、やっぱり蓮兄達も低い時あったじゃん!しかもアタシより酷いし!」

 

プンスコと怒るひなただけど

 

「でもそれには理由があるのよ」

 

「偶然だね。俺もだよ」

 

「俺もだ」

 

「どんな理由ラビ?」

 

「「「問題が簡単過ぎたから」」」

 

この3人、あまりにも問題が簡単過ぎて逆に解いたとしても、何のメリットも無いと判断して白紙で終わらせたらしい

 

「え、じゃあちゃんと解いた場合は…?」

 

「ノー勉80点以下は取った事無い。勿論、家庭科に関しては100点以外有り得ない」

 

「俺は流石に90点は取れる様に努力はしたよ」

 

「屈辱の96点ってところね。オール100点の戦歴に傷が付いてしまったわ」

 

「理不尽だ!!」

 

改めて、3人の頭の良さに思い知らされたひなたはうち剥がれてしまった

 

「時間も時間だし帰るよ」

 

蓮花達は一度家に帰る事にした。残るのどか達はそのまま泊まりで勉強を続けるのだった

 

 

 

 

 

////////

 

「かなり気まずい空気ペエ…」

 

「何やってんだ?」

 

次の日、ひなたの勉強内容が気になって家に向かってる途中、公園でのどか達が木陰から覗いてる姿を見かけた

 

「あれを見て見るラビ」

 

自分達も覗いて見ると、ひなたと女の子が一緒に座っていた

 

「ひなたちゃんの親友で、えりこちゃんなんだけど…」

 

「今仲直りの途中ラビ」

 

「仲直りね…」

 

密かに見守ってると

 

「くちゅん!」

 

ラテがくしゃみをした。そして、木々の中から松の木のメガビョーゲンが現れた

 

えりこは、危険を感じてひなたを連れて逃げて行った

 

「仕方ない。ひなた抜きでお手当てするよ!」

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「煌めけ!溶け合う二つの光(スパークルセウス)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「えりこ、さっき『ナターシャ』って」

 

メガビョーゲンから逃げるた2人は、遊具に身を潜めて話していた

 

「ごめんね、本当はいっぱい話したい事あったのに。久し振りに会ったから緊張しちゃって…会いたいって思ってたのがわたしだけで、ナターシャはもっと仲の良い子を見つけたのかと思って…。そしたら、新しい友達の事話すからその……ヤキモチ妬いちゃって!」

 

「エリザベス…!」

 

お互い、何か誤解が解けて一件落着の雰囲気だったが

 

「メガビョーゲン!」

 

そこへメガビョーゲンがやって来た

 

「ハァァッ!」

 

「フッ!」

 

「食らえ!」

 

「ハッ!」

 

グレースと蓮花達がメガビョーゲンからひなた達を遠ざけた

 

「今のうちに!」

 

フォンテーヌはひなたを、アースはえりこを安全な所へ避難させた

 

「ありがとう!」

 

「そっちは上手くいったようね!」

 

「ひなた変身だ!」

 

「了解!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

 

蓮花達は、フォンテーヌ達と合流するまでメガビョーゲンとシンドイーネと交戦していた

 

「やっちゃいなさい!」

 

「メガ!」

 

「グレース隠れて!」

 

蓮花が溶け合う二つの光でシールドを展開し、攻撃を跳ね返す

 

「松の木って刺さると意外と痛いのよね」

 

「当たらなければどうということないだろ?」

 

「全く、群れてばっかね!アリキュア!」

 

「アリ?」

 

「キュア?」

 

蓮花とグレースは、シンドイーネが言った事に首を傾げた

 

「蟻みたいに無駄に群れてるって意味!!さぁ!踏み潰しちゃいなさい!」

 

メガビョーゲンが足を上げると

 

「「ハァァッ!」」

 

そこへフォンテーヌとスパークルがキックで、それを阻止した

 

「ハァッ!」

 

更にアースも反対側から仕掛け、体勢が崩れキュアスキャンをする隙が出来た

 

「「キュアスキャン!」」

 

「木のエレメントさんだ!」

 

「皆んな!ミラクルヒーリングボトルラビ!」

 

「久し振りのヒーリングオアシス!私好きなんだよね〜」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「お大事に」」」

 

 

 

「覚えてなさいチリキュア!……あ、塵の様にちっぽけって意味よ」

 

 

 

 

 

////////

 

「ナターシャ!」

 

お手当てが終わると、えりこがひなたの所へ走って来た

 

「無事だったんだねナターシャ!」

 

「エリザベスも良かった!」

 

2人は笑い合い、抱き合って仲良くなっていた

 

「何だか良く分からないけど良かったよ。後は勉強何だけど…」

 

 

 

 

 

後日、のどか達は小テストを返された。

ちゆは満点を維持、のどかは僅かながら上がっていたが

 

「何で!?何で下がるの!?」

 

「蒼咲さん達にも協力して貰って勉強したわよね!?」

 

ひなたは前回よりも酷く下がっていた

 

「いやぁ〜、あの後エリザベスとめ〜〜っちゃ話盛り上がってさ!一緒に居られなくても友情は壊れないって確信した!だから勉強するの辞〜めた!」

 

「「えぇ…」」

 

「…な〜んて!」

 

ひなたは参考書を持って約束する

 

「のどかっちとちゆちーと一緒の高校行きたい!その気持ちだけは変わらないもん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ひなたの勉強生活はまだまだ続く




分からないの所のくだりの字面がヤバ過ぎ。
書いてる途中頭がイカれました

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク14 「蓮兄、ゲシュタルト崩壊って何?」

WAO!

ではスタート


第60話 「ハイジャンプに懸ける想い♥遥かな未来へ」より

 

ちゆが紅牙の言葉で泣いてしまうシーンから

 

 

 

 

 

あまりのいいように、ちゆは泣き出してしまう

 

「あ〜!紅兄がちゆちー泣かした!!」

 

「え、あ…違う!」

 

「ちゆちゃん大丈夫?」

 

「うん…」

 

「泣かすのは良くないと思います」

 

「「謝れ」」

 

紅牙はハンカチを渡してちゆに謝った

 

 

 

 

 

////////

 

第61話 「覚醒への咆哮♥才能が開花するとき」より

 

紅牙が、ちゆとペギタンを抱えて逃げるシーンから

 

 

 

 

 

「鬼麿さん?…きゃあ!?」

 

「ペエ!?」

 

紅牙は、ちゆとペギタンを抱えてレンカから逃げ出す

 

「…キャアァァァァァッッ!!?」

 

「ペエェェェェェェ!?」

 

「そ、そんなに驚くか!?」

 

「おおおお鬼麿さん!!めめめ眼が!!」

 

「左眼が無いペエ!?」

 

紅牙は一度ちゆ達を下ろして左眼を確認すると

 

「義眼が落ちてるし」

 

「怖いですよ!!」

 

「ホラーペエ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第62話 「想いを繋げて♥南の島での青春ビーバレ!」より

 

スパークルの「引くわ〜…」の台詞シーンから

 

 

 

 

 

「引くわ〜…」

 

「スパークルごめん。それもう一回お願い」

 

「え?…引くわ〜」

 

「さっきの表情で」

 

「ひ、引くわ〜……これで良いの蓮兄?」

 

蓮花はスパークルの両肩に手を乗せ

 

「もう一度!!」

 

何度もせがんだ

 

「蓮花はどうしたのでしょう?」

 

((ちょっと開いたら駄目な扉を開いたな…))

 

 

 

 

 

////////

 

第63話 「大事な宝物♥皆んなとの大切な時間」より

 

最後、全員で写真を撮るシーンから

 

 

 

 

 

「大丈夫よ。もうタイマーセットしたからそっちに行くね」

 

紫苑は急いで皆んなの元へ並ぶ

 

「……あら?」

 

中々シャッターが切らないからカメラの様子を見ると

 

「セット出来てなかったわ!」

 

「さっきまで何準備してたんだよ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第64話 「悩みと不安♥勉強と友達の大切さ!」より

 

「分からない」を言うシーンの台詞合わせ

 

 

 

 

 

ちゆとひなたは台本を凝視していた

 

「これ『分からない』の単語が異様に多いのですけど…」

 

「アタシ噛まずに言えるかなぁ?それより覚えれる?」

 

「何回か撮り直す覚悟でしないと無理ね」

 

台詞を覚えれるかどうか少々不安な2人

 

「と、取り敢えず合わせてみましょう」

 

「りょ!」

 

 

 

 

 

「分からない所が分からないって言うのが分からないのが分かんないって言うのが分からな……アタシ何回『分からない』って言ったっけ?」

 

「あ〜もうひなた!あと少しだったのに!」

 

「そんな事言われてもこんなん絶対無理だし!」

 

「そもそも誰何ですか?こんな台本を作ったのは!」

 

ちゆが怒る中で1人手を挙げた

 

「ごめんね…」

 

蓮花が申し訳なさそうに弱々しく手を挙げていた




ここまでの拝読ありがとうございました


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第65話 衝撃の事件♥秀才の留年危機一髪!

留年…だと…?

ではスタート!


「鬼麿ちょっといいか?」

 

「?」

 

鬼麿紅牙。彼は、これから帰ろうとする時担任の先生に職員室に呼び出された

 

「何すか先生?俺、これから用事があるんすけど」

 

「お前最近、学校を欠席する事多くなってないか?」

 

「え、そうすか?でもそんなん関係ないすよ。俺、超優秀ですし!」

 

本人の言う通り、紅牙の成績はクラスに違わず校内1位の頭

 

しかし、そんな優秀な人でもどうにも出来ない問題がひとつだけある

 

「鬼麿お前、このままだと留年するぞ」

 

「……はぁ?」

 

「出席日数が足りなくなってきてる」

 

 

 

 

 

////////

 

「そんな訳だ。留年しそう」

 

「え、馬鹿じゃん」

 

紫苑の冷たい言葉。でも、それを言われても仕方ない

 

「え!?紅兄ってアタシより馬鹿なの!?」

 

「んな訳ねぇだろ!?お前よりかは頭の育ちは優秀だ!」

 

「そうよひなたちゃん。馬鹿なんて失礼よ!屑で糞で鈍間で、生きてる価値もよく分からない下劣な下等生物のヒューマン野郎と誇らしく優雅に敬意を持って呼ぶべきよ!!」

 

「言い方!」

 

唸る紅牙にアスミが肩を叩いて振り向かせる

 

「元気出して下さい!Mr.アブノーマル!」

 

「……」

 

そう笑顔で言われた

 

「どうしたのです?」

 

「わざとか?わざとなのか!?お前、それ誰に教えて貰った!?紫苑か?」

 

「蓮花です!」

 

「蓮花ァァァ!!」

 

紅牙は蓮花追い掛け回す。アスミは何故その様な事になっているのか分からなかった

 

「アスミちゃん、アブノーマルって言うのはね」

 

のどかがその意味を教えると、アスミは顔を真っ青にして紅牙に頭を下げる

 

「申し訳ありません!」

 

「気にすんな。全部違う意味で吹き込んだコイツが悪い」

 

蓮花は首根っこを摘まれて確保されていた

 

「鬼麿さん、足りないのは出席日数だけなんですよね?」

 

「そうだが?」

 

「では、もう普通に授業に出ればそれで済むんじゃないのですか?」

 

至極当たり前の事を言われた

 

「かったりぃんだよ。それに、お手当てだって大切だろ?」

 

「お手当てを理由にしないで下さい。学生である内はちゃんと勉強しないと大変ですよ」

 

「その勉強は!学校行かなくても基本さえ知っていれば大丈夫だって!」

 

「その基本を学びに行くのが学校ですよね!変な事言わずにちゃんと学校に行って下さい!!怒りますよ!!」

 

ちゆの言葉に全員が固まってしまった

 

「ちゆちゃん、お母さんみたい」

 

「ちゆちーが鬼になった!」

 

「ちゆちゃん怒ると怖い…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後日、ちゆが朝早くから蒼咲家の前に到着し、紅牙を引っ張りながら登校するという出来事が暫く続いた




実は欠席していたのです。はい
てか、主人公一言も喋ってなかった!!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第66話 呑気な1日♥天国と地獄の勉強会!

普通の日常回なのに、いつもと対して変わらない文章量

ではスタート!


「泊まりで勉強合宿しない?」

 

蒼咲家で遊んでると、蓮花がそう提案した

 

「勉強ってこの前したばかりだろ?」

 

「ひなた、勉強後の英語のテストは何点だったか覚えてるよね?」

 

「え〜!?紅兄の言う通りこの前したばかりだから。それに、そんなの忘れ──」

 

「覚えてるよね?」

 

目の前まで蓮花の顔が迫って来た

 

「まさか、もう忘れたとか言わないよね?あんな点数取ったんだよ。この先の将来何があるのか分からないんだよ。後、点数忘れたのなら俺が代わりに言ってあげようか?勿論窓を開けて大きな声で」

 

ひなたは怯え

 

「…25点です」

 

結局答えるしかなかった

 

「うん!偉い偉い!良く言えました!」

 

「う…うわ〜ん!れんにぃ怖いよ〜!!」

 

いつも以上に圧を掛ける蓮花に、ひなたは泣き出してしまった

 

「泣いても駄目だよ。後、のどかとちゆも参加だよ」

 

「「えっ!?」」

 

「何か問題があるの?」

 

自分達にも火の粉が降って来るとは思ってもみなかったので、動揺を隠せれなかった

 

「あ!お母さん達の許可も取らないと〜…」

 

(のどかっちナイス!)

 

「許可は取ってある」

 

「手を回すのが早いですね…」

 

「蓮花ってそういうものよ」

 

親公認もあり渋々受ける事となった

 

「でもアスミはどうするラビ?」

 

「そうだよ!アスミンだけ勉強しないのはズルい!」

 

「どうする?」

 

アスミはそもそも精霊なので、勉強をしなくても良いのだ。

でも、一部からは抗議の声が

 

「…分かった。アスミのレベルに合わせた問題も作る」

 

「おい作るって俺達に作らせる気じゃないよな?」

 

「そこは安心して。問題は全部俺が責任持って作る。紅牙達はそれをコピーしてくれれば良いから」

 

そして蓮花はファイルから数枚のプリントを3人に手渡す

 

「泊まりは土曜と日曜の1泊2日。そのプリントは金曜まで提出ね。でないと、それぞれのレベルに合わせた問題が作れないからね」

 

(バックれちゃおうかなぁ〜…)

 

勉強嫌いなひなたがそう考えるが、蓮花はそんな考えなどお見通しだった

 

「別に強制ではない。別にやらなくても構わないよ。でも俺は待ち続けるよ。ずっと」

 

柔かに笑うその表情。本気で来るまで何時間も待ち続ける気なのだ

 

それを見たのどか達は

 

(((あ、駄目だ…)))

 

雰囲気で察したのか逃げる事など不可能と分かり、提出期限までプリントと睨めっこする事にとなった

 

 

 

 

 

////////

 

そしてお泊まり勉強会の日

 

「先ずは採点したプリントを返すね」

 

ちゆ、のどか、ひなたの順で返すと同時に一言言う

 

「ちゆは良く勉強出来てるよ」

 

「それでも87点です。蓮花さんが作った問題少し難しかったです」

 

「のどかもちゆと同じ様に努力はしてる様だね」

 

「83点!?もう少し取れてると思ったんですけど…」

 

「最後にひなただけど…」

 

蓮花は少し怪訝な表情でプリントを返す

 

「28点…」

 

「赤点ラインは30点。前より落ちてないか?」

 

「蓮兄が作った問題ムズイ…」

 

「まぁいいよ、予想通りだから。それじゃあ、それぞれ能力に見合った人が勉強見るから」

 

 

 

 

 

「ちゆ…俺必要か?」

 

「はい。鬼麿さんの説明はとても分かりやすいので助かります」

 

 

「のどか、ここの計算はさっきやった公式を使って応用すれば解けるよ」

 

「あ!そういう事でしたのね!」

 

 

ちゆと紅牙、のどかと蓮花で勉強をしていく。

紫苑はひなたとアスミの勉強を見ているのだが

 

「勉強は楽しいですけど…」

 

「全然分かんない…」

 

「アスミちゃんは掛け算。これは何回も復唱したりして覚えるしかないわ。ひなたちゃんは……」

 

紫苑もひなたに苦労していた

 

「紫姉、何で数学なのに英語が出てくんの?」

 

「それは公式だから仕方ないのよ」

 

「え〜!?意味分かんない!」

 

「え、そう?それじゃあどう教えましょうか……」

 

紫苑でさえも頭を悩ませる程、ひなたの相手は難しい

 

「10時か……一度休憩しようか」

 

「あ゛〜終わった〜!」

 

「2人共ちょっと」

 

蓮花は、紅牙と紫苑を部屋の隅へと呼びつけた

 

「順調そう?」

 

「ちゆは問題無い」

 

「アスミちゃんは問題は無いけどひなたちゃんがねぇ…」

 

横目でひなたを見る。のどか達と楽しく団欒する姿

 

「お昼から講師交代。紫苑はのどかを見てくれる?」

 

「分かったわ。お昼ね」

 

 

 

 

 

「お昼からは講師を変える。のどかの担当を紫苑。ひなたは俺が引き受ける」

 

「え、何で何で?」

 

「それはね──」

 

「ひなたが思ったより重症だから」

 

「ストレートね…」

 

紫苑に被せて蓮花はハッキリと言い切った

 

「アスミはそのまま紫苑に教えて貰って」

 

「分かりました」

 

「良し!始めるよ!」

 

 

 

「「……」」

 

「「「……」」」

 

「ひなた、国語の問題を解くにあたって、ヒント或いは答えはその問題の真上の文に答えが出てる。その上でやってみて」

 

「そんな事言われても、登場人物の気持ちなんてアタシ分からないよ〜!」

 

「だから!それについてのヒントや答えは問題の真上の文に隠されているんだよ!」

 

のどか達が勉強する横で、激しく言い争う蓮花とひなた

 

「もっと簡単に説明してよ!」

 

「これ以上の説明は無い」

 

「れ、蓮花」

 

「もう少し分かりやすく説明してあげたら?」

 

いつも以上に厳し目の蓮花。それを見た紅牙と紫苑が助け舟を出すのだが

 

「…2人は黙ってて」

 

「「はい…」」

 

低いトーンで言われ、何も言えなくなった2人は泣く泣く引き下がった

 

「さ、邪魔者は居なくなった。再開するよ」

 

「悪魔だ……悪魔の使者がここに居るよ!!」

 

「ん、何?悪魔的なハードな内容が良いって?良いよ!」

 

「ちっがぁぁぁぁぁっう!!!」

 

 

 

 

 

そして1日が終わる。夕食も済ませ、お風呂に入ってゆっくりと時間を過ごす

 

ちゆ、アスミ、ヒーリングアニマル達。のどか、ひなた、紫苑と女性陣が先に分かれて湯船に浸かる

 

「蓮兄の勉強しんどいよ〜…」

 

ひなたは、湯に口をつけてブクブクと泡を立てて文句を言っていた

 

「のどかっちは良いよね。途中で紫姉と交代したから楽になって」

 

「そうかな?蓮花さんの時とあまり変わらなかったけど」

 

「ええ!?何それ!?何でアタシだけ厳しいの…?」

 

髪に伝う雫が溢れ落ちる。そして、黙っていた紫苑が口を開く

 

「それはひなたちゃんの為を思っての事よ」

 

「アタシの為?」

 

「事実ひなたちゃんって頭悪いじゃん。せめて全教科50点以上を目標として蓮花は計画してるのよ」

 

「それは分かるけど…」

 

「飴と鞭ってところね。甘やかしてきた分、勉強では手抜きなどしない。全部ひなたちゃんの為なのよ。それだけは分かって欲しいの」

 

 

長時間のお風呂から上がり髪を乾かして、リビングの隣の大きな和室で布団を敷いて寝る事になった

 

「明日も早いから寝るよ」

 

「…」

 

「珍しいね。ひなたが何も言わないなんて」

 

「そう?おやすみちゆちー」

 

 

 

 

 

////////

 

「う〜やばっ、寒い」

 

夜中睡眠途中だったが、お手洗いに行きたくて起きたひなた。用を済まして和室に戻ろうとすると、2階へと続く階段から明かりが点いてる事に気が付いた

 

気になって2階へと上がり、明かりが点いてる部屋を覗き込むと

 

(え…?)

 

1人書斎でペンを走らせている蓮花を見た

 

「何やってるの蓮兄?」

 

「ん?ひなた?」

 

ひなたが声を掛けてようやく気付き、手を止めて顔を上げた

 

「もう夜中の2時は過ぎてるんだよ」

 

「ひなたこそどうしたの?」

 

「アタシはトイレ。何書いてたの?」

 

ひなたが蓮花の隣に来て見てみると、幾つもの用紙に手書きで問題文が作られていた。それだけじゃない、ひなた達が書いたノートにも赤ペンで一言書いたり、採点もしていた

 

「え、コレ全部蓮兄が書いたの?」

 

「うん。一人一人レベルに合わせた問題をきちんと書いてね」

 

無言で書き続ける蓮花に少し聞いてみる事にした

 

「アタシ、やっぱダメな子だよね…」

 

「え?」

 

「だって、蓮兄夜遅くまでアタシ達の為にやってるのに。それに出来ないからって蓮兄に当たったりして…」

 

「…いや、俺も少し厳しくし過ぎたよ。ひなたは少し皆んなより遅れてるからね。俺みたいに浪人とかしたら嫌だから。結局、全部自分の為なんだよ。ごめんね」

 

蓮花は立ち上がってひなたの手を握る

 

「俺達、1人じゃあどうしようもないね。これからは2人でやって行こう?ゆっくりと」

 

「うん」

 

「寝よっか」

 

明かりを消して、和室へと移動して布団を被ろうとすると

 

「ねぇ蓮兄、一緒に寝てもいい?」

 

枕を持ってひなたがお願いして来た

 

「おいで」

 

ひなたは活き活きと布団の中に入るが

 

「う!?さ、寒い…!」

 

蓮花はさっき程まで書斎に居たのだ。布団の中は冷たいのだ

 

「こうすれば暖かいよ」

 

「っ///」

 

ひなたに抱き付いてお互いに体温を上げようとする

 

「ンフフッ!あったかいよ蓮兄///」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蓮兄!今日も厳しくお願いします!!」

 

「ひなたどうしたのかしら?」

 

「分かりません」

 

「きっと嬉しい事があったんだよ!」




次回は何書こうか…

ではここまでの拝読ありがとうございました


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第67話 迫り来る時間♥変身してマッハGOGO!

ひなたならやりかねそう

ではスタート


「ひなた起きなさい!遅刻するよ!!」

 

「あと5分〜……むにゃ…」

 

「一応起こしたからね」

 

 

 

 

 

「ちょっと!何で起こしてくれなかったの〜!!」

 

ひなたは慌てて2階からリビングへ下りて来た

 

「何回も起こしたのよ。なのに『あと5分』って毎回言うから。一度痛い目に遭えば嫌でも分かるでしょ?」

 

「そんな事言ったって〜!」

 

「朝ご飯は?」

 

「いらない!」

 

玄関へ靴を履く時にまた気付いた

 

「鞄!!」

 

大切な鞄を忘れてまた2階へと駆け込む

 

「何だひなた遅刻か?」

 

「もうそれ!紫姉みたいに変身してパパッと学校に行けた…ら……それだ!」

 

「あ、ちょひなた!?」

 

ひなたは、ニャトランを鞄に詰め込んで部屋を飛び出る

 

「やっぱパン1枚くらい食べてく!いってきま〜す!!」

 

食パン片手にひなたは家を飛び出して、茂みの中に隠れる

 

「ぷはっ!何すんだよ!」

 

「ニャ〜トラン!」

 

ひなたは、ヒーリングステッキ片手に笑顔で顔を近付ける

 

「まぢで?」

 

「マジマジ!」

 

「しゃあねぇな!」

 

 

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

 

 

 

(今日のお昼コンビニで買おうかしら)

 

朝、紫苑は大学へ行く前にお昼のご飯の確保をする為にコンビニへ歩いてる

 

「ん?」

 

ふと家の屋根に目を向けると

 

 

「やっぱ速い〜!」

 

 

屋根の上をジャンプして飛び移り、鞄を背負って、食パンを咥えたスパークルが目に映る

 

「何やってるのよあの子?」

 

 

 

 

 

////////

 

「ほっ!到着!」

 

流石に気を配ったのか、学校裏から見つからない様に登校した

 

「時間時間〜」

 

スマホの画面から時間を確認した。何とか5分前に登校しており、遅刻にはならなかった

 

「やっぱ変身した方が速いね!」

 

「さ、早く変身解くぞ」

 

「大丈夫大丈夫!こんな所に他の人が来るわけ──」

 

「ひなた?」

 

後ろを振り返ると蓮花がジョウロを持って立っていた

 

「れれれれ蓮兄!?」

 

「何でプリキュア になってるの?ビョーゲンズでも現れたの?」

 

「そ、それはね〜…」

 

どう誤魔化そうかと考えてると

 

「蒼咲さん、そろそろ時間です……」

 

「ゲッ!?ちゆちー!?」

 

一緒に花壇の水やりをしていたと思われるちゆもやって来た

 

「『ゲッ』て何よ。それに何でプリキュア 変身してるのよ?」

 

「び、ビョーゲンズがね〜…」

 

「嘘ね」

 

「酷い!」

 

「さあ、何でプリキュア に変身してるいるのか説明してくれるかしら?」

 

笑顔で迫るちゆに、スパークルは冷や汗が止まらない

 

「……遅刻しそうだったから変身したら間に合うかなぁ〜って」

 

「何考えてるのよ!もし誰かに見つかってしまったらどうするつもりよ!?」

 

「だ、大丈夫だって!バッチ気を付けて──」

 

「2人共そこまでにして…メール?」

 

しつこく問い詰めるちゆ

 

そして蓮花のスマホから一通のメールが届いた

 

「ひな…今はスパークルか。スパークル、本当に見られてないんだよね?」

 

「もちもち!」

 

「今紫苑からメールが届いたんだけど見て」

 

 

『勘違いなら良いけど、この子スパークルだよね?本人に聞いてみて。宜しく( ̄^ ̄)ゞ』

 

 

顔文字付きでのメール。どうやら、今朝見かけたスパークルの写真を添付もされており、それを2人に見せる

 

「「……」」

 

「す、凄いなぁ〜。噂のプリキュア じゃん!ねっ!ニャトラン!」

 

「あ、あぁ…」

 

「スパークル。遅刻で変身するって事は、まさか部屋とかで変身して自撮りとかしてない?」

 

「ギクッ!」

 

蓮花の言葉にスパークルはビクつかせる

 

「スパークルスマホ貸しなさい」

 

「自撮りなんてしてないし!」

 

「なら……貸せるわよね?」

 

結局、プルプルと震えながらちゆにスマホを渡した。

スマホを操作して写真を探ると

 

「あったね」

 

「ありましたね」

 

2人がスパークルへ目を移すと、スパークル本人は完全に目が泳いでる

 

「溶け合う二つの光、キュアスパークルだよ?」

 

ちゆは、スパークルの首の袖を掴んで引き摺る

 

「ちゆちー?」

 

「蒼咲さん、先生に少し授業が遅れると伝えてくれますか?」

 

「え!?まさか今からお説教なの!?嫌々!!」

 

「ほ、程々にね…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、スパークルは正座されながら長いお説教を受ける事になった




最近、ひなた絡みの日常回が多いな(苦笑)

ここまでの拝読ありがとうございました


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第68話 忠誠の心、王を崇める者

遅くなりました!

新シリーズのキャラデザが発表されましたね。もうすぐヒープリも終わりかぁ…

ではスタート


「「「すっご〜〜い!!」」」

 

のどか、ちゆ、ひなたの3人が声を上げる

 

「それは良かったよ」

 

今蓮花達が来ているのはとある遺物博物館学。

その博物館学は、蓮花の父親の友人である「石山」が管理運営している。

今日は石山の招待で此処へ足を運んでいる

 

「蓮花、あっちを見て来ても良いですか?」

 

「うんいいよ。あ、でも1人だと迷子になってしまうから…」

 

「それなら俺が付いて行く」

 

アスミとラテに紅牙が付いて行き、3人は分かれた

 

「蓮花さん!」

 

「蓮兄!」

 

「「行こう!」」

 

「ふ、2人共!」

 

のどかとひなたが手を引っ張る時、後ろから声を掛けられた

 

「楽しんでるかな蓮花君」

 

「石山さん!この度は招待ありがとうございます」

 

「そんな畏まらなくて良いよ。昔からの馴染みじゃないか」

 

「「こんにちは!」」

 

のどかとひなたも石山の存在に気付いて挨拶をする。

そんな2人を見て石山は少し蓮花を揶揄う

 

「蓮花君、君も彼女を2人も持つプレイボーイになるとはね」

 

「のどかは違います!」

 

「じゃあ、もう1人とは彼女なんだね。蓮花は本当にモテるね」

 

「もうやめて下さいよ〜!」

 

背中をバシバシ叩かれる

 

(蓮花さんが)

 

(遊ばれてる)

 

いつもの優しい表情をしてる蓮花なのだが、石山を前にすると困り果てた表情をしていた

 

「皆んな楽しんでるそうだね」

 

石山は、少し離れたちゆと紫苑の方に目を向ける

 

 

「面白いわね。遺物の他にも資料も置いてあるなんて」

 

「なんて書いてあるんですか?」

 

「う〜ん、これは──」

 

 

「あの子知ってるよ。確か天道紫苑ちゃんだったね」

 

「紫苑を知ってるの?」

 

「紫苑ちゃんは一度会ってるんだよ。それよりも」

 

石山は真剣な表情で蓮花に大事な話をする

 

「改めて言うけど始──お父さんの事は残念だったね」

 

「あ…いえ……」

 

「蓮花君も、お父さんと同じ考古学者を目指してるんだよね?もし良かったら、僕らのチームに入って学ばない?」

 

「…え?」

 

予想だにしない話だった

 

「別に今すぐとは言わない。大学に入ってきちんと卒業した後。どうかな?」

 

「え、あ…その…」

 

なんとも歯切れの悪い返事。その訳はもう言わずと知れた事

 

石山は知らないが始は生きてる。しかし今の始は蓮花達の敵

 

蓮花の心はとても揺れ動いていた

 

元々は始の為と思ってこの道を選んだ。しかし今となっては

 

「もう少し考えても良いですか?」

 

「意外だね。昔の蓮花君なら飛び付いていたのに。『父さんの代わりにこの謎解くんだ!』と言っていたのに」

 

「今は少し事情が変わって…。石山さん、のどか達をお願いします。俺は外の風に当たって来ます」

 

 

 

 

 

のどか達を石山に任せ蓮花は改めて考えていた

 

(確かに昔は父さんの背中を追い掛けてここまで来た。でも敵となってしまった。そんな人の背中を俺は追い掛けても良いのだろうか…?)

 

懐から付箋だらけの手帳を取り出して見つめる

 

「将来…。そういえば、ちゃんと自分がしたい事なんて考えた事なかったな」

 

そんなまだ見えぬ先の事を考えてると、視界の端に見覚えのある人影が映った

 

「あの人って…」

 

後を追い掛ける。途中、角を曲がって直後足を止めてしまう

 

「…やっぱり父さんだったんだね」

 

蓮花が見つけた人影は始だった。

人も来る様子も無く、影が辺りを覆い尽くす場所で2人は睨み合う

 

「どうしてこんな所に?」

 

「友人に会いに来ただけだ。ついでに地球を蝕みにな」

 

「蝕むって…此処は石山さんの博物館学なんだよ!石山さんが苦労して運営してる場所を壊すのか!?」

 

「ああ」

 

「…いい加減にしてよ。家族や友人より大切だと言うの!?」

 

蓮花が大声を上げて怒りを露わにする。幸いな事か、この場には2人しか居ない。多少の大声では誰も気付かない

 

「蓮花、俺は恩返ししなきゃならない。生き返らせた恩を仇で返すのはどうかと思う。それに、我が王の考えも一理はある」

 

「ふざけるな!!」

 

始に掴み掛かろうとする時、始の周りから突風が吹き荒れ蓮花を吹き飛ばした

 

「蓮花、もうお前達は敵だ。だからもう容赦無く殺す」

 

そして始は布袋を持ち、中からメガビョーゲンの種とメガパーツを取り出した

 

「遊びの時間は終わりだ」

 

種とメガパーツを同時に取り込み、始はテラビョーゲンへとダルイゼン達と同様に進化を果たす

 

「果てし──」

 

「遅い!!」

 

 

 

 

 

////////

 

「蓮花さん遅いですね」

 

「そうだね。よし、僕が様子を見に行ってくるよ」

 

「すみません。お願いします」

 

のどか達と別れて石山は外へ出て蓮花を探す

 

「蓮花く〜ん!何処に行ったんだろう…?」

 

探し歩いてるとすれ違う人とぶつかってしまった

 

「すまない」

 

「いや──ありがとう」

 

瞬間、石山の体に異変が起きる

 

 

 

 

 

「くちゅん…!」

 

「ラテ!?」

 

アスミが聴診器でラテの声を急いで聴く

 

『あっちで蓮花のお兄さんが泣いてるラテ…』

 

「お兄さん?……もしかして石山さんですか!?」

 

「…アスミちゃん、蓮花を探しに行ってくれないかしら?少し嫌な予感がするの」

 

石山に異常が起きたという事は、蓮花の方にも何か遭ったと仮定するのが自然

 

「それならアタシも蓮兄を!」

 

「駄目よ。あまり人数を減らすとお手当ての方にも支障が出る。アスミちゃん、お願い出来るかしら?」

 

「分かりました。行きますよラテ」

 

お手当てと蓮花探しと二手に分かれて行動する事になった

 

 

 

「「「スタート!」」」

 

「「「プリキュア ・オペレーション!」」」 

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「絶剣覚醒!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「来たか」

 

「貴方は始さん!?」

 

グレースがいち早く始の存在に気が付いた。

そしてその姿を見て言葉を失う

 

「そんな…あれって…!」

 

「どうだ。俺もビョーゲンズの力を得た」

 

「石山さんは何処…?」

 

「此処だよ此処。診察すれば?」

 

「「キュアスキャン!」」

 

言われるがままグレースはギガビョーゲンをスキャンすると、やはりと言うべきか石山が被害者となっていた

 

「何でこんな事をするんですか!?石山さんは友達じゃなかったの!?」

 

「君は本当に面白いな。蓮花と同じ事を言ってる」

 

「でしたら!」

 

「これ以上の話は無意味だよ。いくら会話を求めたとしても変わらない。平行線のままだ」

 

「ギガビョーゲン!」

 

ギガビョーゲンが戦闘体勢に入ると、その背後に何百という数の魔剣が出現する。

そして、剣先をグレース達に向けられ波動のエネルギーを溜め込む

 

「この世は残酷なんだよ。花寺のどか」

 

そして一斉砲撃が始まった

 

 

 

 

 

////////

 

「くぅ〜ん…」

 

「無理をすみませんラテ。ですがもう少しだけ頑張って下さい」

 

アスミは、ラテの嗅覚を頼って蓮花を探してる。

そしてそれもあと少し

 

『あとちょっとラテ…』

 

建物の角を曲がると蓮花を発見したのだが

 

「蓮花!?」

 

木陰で傷だらけになって倒れてる蓮花を見つけた

 

「蓮花!蓮花しっかりして下さい!」

 

「あす…み……」

 

アスミの呼び声で何とか目を覚ました蓮花。しかし声から察するにかなり弱ってる状態

 

「そうだ…!父さんが…!」

 

「知っています。今グレース達がお手当てをしています」

 

「なら早く行かないと…グッ!」

 

「駄目です蓮花!」

 

無理に動こうとして身体の傷が開いてく。ひとつひとつは浅い傷だが、それでも重症なのは変わりない

 

「だ、大丈夫だよ。だから急いで皆んなの所へ」

 

 

 

 

 

////////

 

「素直に諦めたら少しは楽だよ」

 

「そ、そんなの出来ないです!」

 

「でもグレースこのままじゃ…」

 

ラビリンの言う通りこのままだと確実に負ける。辺りを見渡せば、立っているのはグレースのみ

 

ちゆとひなたは変身が解け気絶し、紅牙はその2人の介護。紫苑はこの中で一番大怪我を負っているのにも関わらず、ちゆ達の治療を優先してる為激しい痛みと体力の限界で動けずに居る

 

「蓮花さんとアスミちゃんが来るまで耐えるしか無いよラビリン」

 

「…分かったラビ。グレースはラビリンが守るラビ!」

 

「そのガッツは認める。けれどね」

 

グレースの目の前から姿が消えた

 

「何処?」

 

そして次の瞬間、グレースの顔面は地面へと減り込んだ

 

「グレース!」

 

「今の君では時間稼ぎにもならないな」

 

始は、瞬時にグレースの背後へと回り込んで後頭部を掴み地面に叩き付けたのだ

 

これでグレースは動かなくなってしまった。しかしまだ変身は解けていない。けれどもう戦えない。

それでも始は容赦はしなかった

 

「威勢が良かったのは最初だけか?」

 

埋め込まれた頭を掴み吊し上げる

 

「ぁ……」

 

「グレースから手を離すラビ!!」

 

「それは無理だな!」

 

「がはっ!」

 

動けないグレースの腹に膝が減り込む

 

「俺達は殺し合いをやってるんだ。いちいちそんな事を聞く奴はいないんだよ」

 

殴り、蹴り、グレースを嫌と言うほど痛め付ける

 

「がっ…ギィ……あ゛…!!」

 

「このままだとグレースが死んでしまう!!紅牙!!」

 

「分かってる!!」

 

「させるか!!」

 

2人が動こうとする時、周りを取り囲む様に魔剣が幾つもセットされる

 

「「ッ!?」」

 

「動くなよ。動くと死ぬぞ」

 

突き付けられる剣に固まる。

特に紅牙はちゆとひなたを庇ってる。下手に動くと2人共巻き添えを食らう

 

「ぶっ…!!」

 

「グレース!!」

 

もう戦うどころか立ち上がる力も無い。それでも意識だけは保つ

 

「あ…ぁ…はぁ……」

(倒れたら…だめ……)

 

「…流石に腹が立つな!!」

 

グレースを掴み上げ溝打ち。それで完全に気絶し変身が解けてしまった

 

「のどか!!」

 

「よく見とけ。これが実力の差だ!」

 

振り抜く拳

 

だがそれを

 

「グッ!」

 

蓮花が右手で受け止めた

 

「蓮花!!」

 

何とか間に合った蓮花。後に遅れてアスミとラテもやって来た

 

「その傷でよく間に合ったな」

 

蓮花の右手に力が入り、始の拳からは血が流れる

 

「俺達は負けない!!」

 

左手で果てしなき蒼を持ち切りかかる

 

「危ない!」

 

しかし原始の魔剣で防がれる

 

「お前もいい加減鬱陶しい…ぞ!」

 

「グッ…!」

 

腹を蹴られ距離を置かれるが、同時にのどかも一緒に助ける事が出来た

 

「アスミ!のどかを頼んだよ!」

 

「まさか一人で戦う気ですか!?」

 

「そうだ!父さんもギガビョーゲンも俺一人で対処する!」

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「切り拓け!救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)!」

 

 

 

「ギガビョーゲン!」

 

「石山さんを返せ!──極限…」

 

「そう簡単にお手当て出来るとでも思っていたのか?」

 

技の一瞬の隙、始はそれを逃さず大量の魔剣の波動で一斉に襲い掛って来る

 

極限浄化の体勢に入ってしまってる。どんなに頑張っても中断する事は不可能

 

だから、その場で薙ぎ払う様に回る

 

「これでどうだ!──極限浄化・乱!」

 

円を描きながら波動砲が魔剣を全て撃ち落としてゆく

 

「ふぅん」

 

今度はアスミとのどかの方へと向けられる

 

「クッ!」

 

蓮花は急いでアスミ達の方へ走る

 

「防ぐんだ!救い切り開く虹霓!」

 

結界を展開し防御へ回る

 

しかし、いくら絶剣とはいえ数の暴力では敵わない

 

一斉砲撃により大きな爆発と壊れた結界の破片が辺りに飛び散る

 

「蓮花!アスミ!のどか!」

 

土煙りが晴れると何とか無傷の3人が居た

 

「流石絶剣といった所だ。けれど、救い切り開く虹霓だったか?その剣の特性なら助けなくても良かった筈だが?」

 

「ふざけるな!!そんなの見殺しと変わらない!!」

 

「見殺し?当たり前の事実を言ったまで。それの何がいけない?」

 

「それ本気で言ってるの?」

 

「俺はいつだって本気だ。この世は弱肉強食。プリキュア は弱い。だからここで死ぬ」

 

瞬間、蓮花からとてつもない殺気が放たれる。近くに居たアスミとラビリンは勿論、始でさえも背筋が凍った

 

「あぁそうかよ。なら──」

 

蓮花は手帳を取り出してそれを破り捨てた

 

「親子の関係はここまでだ」

 

「…そうか。ならこっちも遠慮無く殺してやる!!」

 

またも数百を優に超える数の剣が展開され、本気で殺そうと始も殺気立つ

 

「ギガビョーゲン!」

 

「ギガ!」

 

ギガビョーゲンは蓮花達を無視して蝕む為、何処かへと移動して行く

 

「行くぞ!!」

 

今度は砲撃ではなく、剣そのものでの一斉速射され直接殺しに掛かって来た

 

ビョーゲンズになり進化したとしても正面からの攻撃など、今の蓮花には通用しない。

溶け合う二つの光(スパークルセウス)のシールドで、全てあらぬ方向へ弾き飛ばす

 

「確かにその剣は本当に優れた防御を持っている。だが絶対ではない」

 

次々とシールドで弾いていたが、少しづつ脆い部分から突き刺さりヒビが入る

 

「「蓮花!」」

 

「わん!」

 

「無駄だ!そのまま全員殺して……何だその構えは?」

 

シールドで防御すると同時に波動のエネルギーを溜めて剣を構えていた

 

左手で相手に狙いを定め、魔剣を持つ右手で顔横で剣先を構える

 

「ラビ!?蓮花もう限界ラビ!!」

 

剣が深く刺さり、ラビリンの横を通り抜けた事により焦りがより一層高まる

 

「今は駄目だ!もう少し!」

 

「何を企んでるのか知らないがそのまま死ね!!」

 

「壊れるラビ!!」

 

シールドが砕けた瞬間、蓮花はそれを見逃さなかった

 

(ここだ!)

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「極限浄化!!」

 

 

 

強引に技を放ち剣を一掃した。波動はそのまま始の方へ

 

「そんな攻撃…」

 

渾身の一撃も簡単に横移動しただけで躱された

 

「単純な直線攻撃が当たるか!」

 

「いいや、寧ろ俺が望んでいたシナリオだ!後ろをよく見ろよ」

 

波動砲の向かう先は、先程別行動で蝕みに行ったギガビョーゲンになっていた

 

「ギガビョーゲンと直線上になるのを狙っていたのさ!」

 

そして極限浄化がギガビョーゲンに直撃し、お手当ては完了した

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「ギガビョーゲン!チッ……まあいい。お前達の実力も大分測れた」

 

捨て台詞を吐いて何処かへと消えて行った

 

 

 

 

 

////////

 

「のどか大丈夫!?」

 

翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)で回復するのどかに駆け寄り身を案じる

 

「はい大丈夫です」

 

笑顔でそう返すが蓮花の心配の色は消えなかった

 

「無理させてごめんね」

 

「謝らないで下さい。それより、石山さんはどうですか?」

 

「紫苑が見てくれてる。大事には至らなかったよ」

 

それを聞いてのどかは安堵した

 

「…親子の関係を切ったのは間違いじゃなかった」

 

「え…?」

 

「もう加減はしない。これからは皆んなを守る為に全力でお手当てする」

 

「それで良いんですか?」

 

「憧れるのはもう辞めた。自分の道は自分で決めると決めたんだ」

 

心に固く誓った。背中を追い掛けるのを辞め、縁を切り、お手当てに身を任せると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蒼咲蓮花の物語はここから始まる




アニメの方では決戦直前なので、次回からは温めてある日常回(ネタ)を書きまくります

敵のインフレに味方側が誰もついて来れてない問題

ここまでの拝読ありがとうございました


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第69話 対立のその先♥明日は明日の風が吹く

オリストアニメ半々といった感じです

ではスタート


「それどういう意味よ?」

 

此処はビョーゲンキングダム。そこでは、ビョーゲンズとレンカ、始が一触即発していた

 

「何回も言わせるなよ。俺達はお前達ビョーゲンズを滅ぼすと言ったんだ」

 

「寝言は寝て言いなさいよ」

 

「冗談と受け取ったか…」

 

その時、シンドイーネの足下に一本の魔剣が突き刺さった

 

「面白い!このグアイワル様が相手をしてやる!」

 

「仕方ない。俺もやるか」

 

「キングビョーゲン様に仇なす奴はぶっ潰してやるわ!!」

 

今の出来事を目の当たりにしたビョーゲンズ一同は、シンドイーネ含め他2人も重い腰を上げて戦闘体勢に入る

 

「お前達相手に我が王が相手をするまでも無い。3人纏めて来い」

 

「少し力を付けたからって調子に乗ってるね。まあ別に良いけど」

 

「いちいち感に触る奴!前々から気に入らなかったのよ!!」

 

最初に飛び出したのはシンドイーネ。回し蹴りを食らわすが、原始の魔剣で防がれる

 

「セット」

 

防御し、蹴りを放って硬直した一瞬の隙を突いて4本魔剣を展開させる

 

「チィッ!」

 

流石に危険を感じ、もう片方の足で蹴り付けて始から距離を置く

 

「行け!」

 

シンドイーネが距離を置いて地面に足が付く狙って、魔剣が連射される

 

しかし負けじと、シンドイーネも手から放つエネルギーの刃で相殺して防御する

 

「ウラァ!!」

 

入れ違いでグアイワルが岩を投げつける

 

「単細胞が」

 

巨大な魔剣2本で岩を破壊したのだが、ダルイゼンが破壊した岩に隠れ潜んでおり飛び出した

 

(コイツ!)

 

「ッ!」

 

拳に邪悪なオーラを纏わせ始の腹に命中する。

勢いで後ずさり膝を付く

 

「フッ!」

 

更にそこへシンドイーネが横から蹴り飛ばす

 

「かはっ…!」

(ふざけた連携しやがって!)

 

立ち上がるが後ろを見れば地面が無い。追い込まれたのだ。これ以上後ろへ下がるとマグマの海へ真っ逆さまだ

 

「大口叩いた割には全然じゃないの!」

 

「本番はここから…我が王?」

 

原始の魔剣の力を解放させようとする時、レンカが始の前に立つ

 

「今度はアンタがやるの?良いわよ!まぁ、私が勝つに決まってるけれど!」

 

 

 

「絶・覚醒剣」

 

「世界を一つに。果てしなき漆黒(ウィスベクタリアス)

 

 

 

剣の柄を持つとビョーゲンキングダム全体が揺れ始める

 

「何だ?」

 

「おわっ!?」

 

「何よ!?」

 

揺れは更に激しくなり、マグマの柱が幾つも並び立つ

 

「この世界を脅かす脅威は滅ぼさなければならない!ビョーゲンズも抜剣者もプリキュア も、何もかも滅ぼさなければならないッ!」

 

剣からはとてつもない負の波動が纏われつつある

 

「それこそが、我が求める理想の楽園!王である我の長年の使命であるッ!」

 

振り抜く一撃がマグマの海を割った

 

「間違った秩序は、正さなければならない」

 

それだけを言い残し、レンカは始を連れて何処かへと消え去った

 

 

 

 

 

////////

 

「ラビリン達喜ぶかな〜?」

 

そう一人呟くのは紫苑だった。彼女は今、すこやか饅頭を手土産としてラビリン達と遊ぼうと考えていた

 

すると、ベンチの上で見覚えのある姿が居た

 

「「「はぁ…」」」

 

「くぅ〜ん…」

 

「皆んなどうしたのよ?」

 

「ラビ?紫苑?」

 

ラビリン達4人だった

 

「ラテも一緒になって溜め息なんて吐いちゃって。何か悩み事なら聞くけど?」

 

ラビリン達はそれぞれ顔を見合わせて話す決心をした

 

「来年も、ボク達は一緒に居られるペエ?」

 

「ごめん。言ってる意味が…」

 

「オレ達が地球をお手当てする為に人間界に来たのは知ってるだろ?そのお手当てが終わったらオレ達は帰らなきゃいけない」

 

「だから、来年ものどか達と一緒に居られるか不安で…」

 

出会いがあれば別れもある。始まりがあれば終わりもある。それに気付いたラビリン達は、今日まで苦楽を共にして来たパートナー達と、いつか離れてしまう寂しさを感じていた

 

「そうね。それなら尚更今をもっと大切にしなきゃね」

 

「わふ」

 

紫苑はラテを膝の上に乗せて優しく撫でる

 

「でも別に、お手当てじゃなく普通に遊びには来れないの?もし可能ならそういう世界にすれば解決じゃない?

 

「「「あ…」」」

 

「何も『お手当て以外の目的で人間界に行くのは禁止!』って訳じゃないよね?」

 

盲点だった。そんな単純明快な事にラビリン達は気付けなかった

 

「そうラビ!全部終わった後でも遊びに行けば良いラビ!」

 

「紫苑ナイス閃き!」

 

「それならもっとちゆ達と秋を満喫したいペエ!」

 

「わん!わん!」

 

さっきまで暗かった空気が一変、明るい空気に変わり来年の計画を話し合う

 

「と言っても2人は不在だと思うけど」

 

「わん?」

 

「蓮花は、おおらか市に引っ越すのはひなたちゃんから聞いてるよね?実は私も来年から引っ越すのよ」

 

「そうラビ!?」

 

紫苑まで引っ越すのは今初めて知ったこと

 

「すこやか市で、皆んなと一緒に居るのも退屈しないで良いけどもっと視野を広げてみたいのよ」

 

「何処に引っ越すペエ?」

 

「そこはまだ決まって無いわ」

 

それを聞いて思わず3人はズッコケてしまう

 

「おいおい、そんなんで一人暮らし出来んのか?」

 

「出来るわ。だって、自分の運命は自分で決めるって誓ったのだから」

 

「ラビ!」

 

「そんな訳で話はここまで!今日は皆んなに手土産を持って来たわよ!」

 

「「「すこやか饅頭!!」」」

 

「わん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気持ち良い秋の風が紅葉を飛ばす。来年こそ、皆んなでこの景色を見ようと話が盛り上がったのだ




37話の分をかなり省略し簡単にまとめました。ヒーリングアニマル組だけで書くのは少し無理があるので…

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク15 「秋と言えば食欲の秋ですね」

早い!もう15回目ですよ!

ではスタート


第65話 「衝撃の事件♥秀才の留年危機一髪!」より

 

撮影後の話

 

 

 

 

 

「そういえば蓮花さん、一度も台詞がありませんでしたね」

 

「ちょっと悲しいかな…」

 

膝を落として見るからに落ち込んでしまった

 

「で、でも!わたしも最後のひと言しか喋っていないので!」

 

「でも俺の台詞は全く無いんだよ」

 

「「「ちょっと待った!!」」」

 

「わん!」

 

そこへ、ラビリン達ヒーリングアニマルの皆が待ったをかけた

 

「ラビリン達なんてまともな台詞が無いラビ!」

 

「そ〜だ!そ〜だ!」

 

「ボク達ももっと出番が欲しいペエ」

 

『ラテも皆んなと喋りたいラテ!』

 

「なんか…ごめん」

 

 

 

 

 

////////

 

第66話 「呑気な1日♥天国と地獄の勉強会!」より

 

蓮花が勉強合宿に誘うシーンから

 

 

 

 

 

「泊まりで勉強合宿しない?」

 

「え〜嫌」

 

「企画倒れだよ…」

 

勿論そう言ったのはひなただった

 

「何言ってるのよ。ちゃんとしないと駄目でしょ?」

 

「だって〜勉強無理だもん!ちゆちーは良いよね。勉強出来るし」

 

「じゃあひなたはやらないと言う事で」

 

「え?」

 

ちゆは蓮花の腕に抱き付く

 

「わたし達は楽しく勉強してお泊まりするから」

 

「じ、冗談だよね?」

 

「?」

 

「分かりましたお願いします!一緒に勉強させて下さい!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第67話 「迫り来る時間♥変身してマッハGOGO!」より

 

紫苑がスパークルの姿を発見したシーンから

 

 

 

 

 

屋根の上をジャンプして飛び移り、鞄を背負って、食パンを咥えたスパークルが目に映る

 

本来ならこの次の台詞は「何やってるのよあの子?」の筈だが

 

「カオス!カオスよ!!」

 

このシーン実は言うと、スパークルがどんな格好で屋根を飛び回るのか紫苑は知らない

 

「情報量が物凄く多過ぎるわ!え、あ…どっからどうツッコめが良いのか分からないわ!!」

 

その為、この様に頭を抱えてパニック状態

 

それも道のど真ん中で

 

 

 

 

 

////////

 

第68話 「忠誠の心、王を崇める者」より

 

紅牙とアスミとの裏話

 

 

 

 

 

紅牙とアスミ、ラテは3人で館内を歩いていたのだが

 

「アスミ!?ラテ!?何処行った!?」

 

アスミ達と逸れてしまっていた

 

「アスミ?ラテ?」

 

「わん!」

 

鳴き声が聞こえた。振り返るとラテを抱えたアスミが居た

 

「アスミ!ラテ!」

 

「もう紅牙──迷子になっていたのですか?」

 

「……は?」

 

「では一緒に手を繋いで見て周りましょう!」

 

「わ〜いお母さん……て、俺は子供か!?」

 

 

 

 

 

////////

 

第69話 「対立のその先♥明日は明日の風が吹く」より

 

紫苑がラテを膝の上に乗せてラビリン達と話してるシーンから

 

 

 

 

 

紫苑はラテを膝の上に乗せて優しく撫でる

 

「でも別に、お手当てじゃなく普通に遊びには来れないの?もし可能ならそういう世界に……どうしたのよ?」

 

ラビリン達は、紫苑が手土産として持って来た袋を涎を垂らしながらジッと見ていた

 

「…先に食べる?」

 

「良いラビ!?やったラビ!」

 

「オレ丁度腹減っていたんだ!」

 

「紫苑ありがとうペエ。ラテ様どうぞ」

 

「わふ!」




ここまでの拝読ありがとうございました


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第70話 決断する勇気♥ちゆの将来相談!

今回もオリストアニメ半々となっております

ではスタート


「……」

 

「…ゆ」

 

「……」

 

「…い……」

 

「…」

 

「オイちゆ!!」

 

紅牙が大きな声で呼び掛けて、ちゆハッとなる

 

「な、何ですか?」

 

「青」

 

歩道を渡りたかったのだが、ちゆがボーっとしておりそれを逃してしまった

 

「え、あ…すみません」

 

「どうしたんだ?やけに元気が無い様に見えるが」

 

「あの…聞いてくれますか?」

 

 

 

 

 

落ち着ける場所を探していつもの海辺へと足を運んだ

 

「なるほどな。ハイジャンプか旅館の女将、どちらかを選べばどっちかは諦めなければならない」

 

「とうじが『旅館の方は任せて!』と言っていたのですが、小さい頃から女将はわたしがやるものだと思っていたから…」

 

ちゆは悩んでいた。大好きなハイジャンプと女将と。

今まで当たり前にしていた事が、急にどちらかしか選べないという何とも酷な選択を迫られている

 

「でもハイジャンプで世界にも行きたい!けれど、それだと旅館の方は…」

 

「だよな。辞めるには勿体無い才能だ」

 

「わたしはどうすれば……」

 

三角座りで顔を埋めて葛藤する。後悔はしたくない。けれどどちらを選んでも後悔しかない

 

「いいな。その本気で悩める程夢中になれるものがあって」

 

「鬼麿さんだって、将来は先生になりたいと言っていたじゃないですか。わたしなんて中途半端ですよ…」

 

「…全くどいつもコイツも」

 

「鬼麿さん?」

 

紅牙は少々苛立ちながらも、ちゆに優しげな目で見つめる

 

「俺、その夢はもう諦めた。てか辞めた」

 

「ええ!?」

 

「俺の夢はお前と付き合い始めてから変わった。どんな道を選ぼうとお前の隣に居る。ハイジャンプをやろうが女将をやろうが。お前を支えてやる」

 

「そんな…。わたしの為に自分の夢を捨てるなんて駄目ですよ!!」

 

「俺の夢はお前の夢なんだよ」

 

紅牙は優しくちゆにキスをした

 

「ッ!?///」

 

いきなりの行動でちゆは慌てふためく

 

「それだけだ。大した事言えなくて悪いな。でも、俺よりももっと適任な奴がお前の道を示してくれるだろう」

 

手を振りながら浜辺を後にすると、入れ違いでペギタンがやって来た

 

「ちゆ〜!」

 

「ペギタン?」

 

「ボク、ちゆがどうしたらいいか分かったペエ」

 

ペギタンもちゆの事が気になって仕方なかった。そしてペギタンも考え、遂にちゆの悩みの解決策を持って来た

 

「両方好きなんだからどっちもやっちゃえば良いペエ。ちゆなら出来るペエ」

 

「…」

 

「ボクは頑張るちゆをずっと見てきたペエ。ハイジャンも女将修行もそれにプリキュア でもペエ。どれも手を抜いたりしないで、全部頑張ってたちゆなら絶対出来るペエ!」

 

ちゆの心を動かすには後もう一押し。そして、その心を動かす決めてとなる言葉をかける

 

「それでも、まだ勇気が足りないならボクのを分けてあげるペエ」

 

「ッ!」

 

その言葉は初めてペギタンと出会った時の言葉

 

「そう…そうよね!わたしはずっとチャレンジして来た。ハイジャンも旅館の仕事も。わたしやりたい事全部やる!どっちも大切で大好きなんだもの!」

 

「ペエ!」

 

「ありがとうペギタン」

 

 

 

 

 

「フッ」

 

少し遠くで紅牙が2人の様子を見守っていた。ペギタンが来る事は最初から分かっていたらしい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(鬼麿さんもありがとうございます)




次回こそは日常回書きます。予定としては4話分ですけど、その4話分で日常回は終わります

ではここまでの拝読ありがとうございました


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第71話 憧れの妹生活♥のどかも甘えたい年頃!

こんなのどかも見てみたい。
内容は割と短かった

ではスタート!


「あ、あの皆さん少し良いですか?」

 

「「「ん?」」」

 

とある休日。のどか1人で蒼咲家にやって来た。

様子を見る限りでは何かお願いしに来たと思うが、それにしては様子がおかしい

 

「んっ///」

 

顔を赤くしモジモシとしている。いつもののどかとは違う

 

「あ、あの!」

 

「「「うん」」」

 

「今日一日だけ甘えても良いですか!?」

 

 

 

 

 

のどかに詳しい事情を聞くと、どうやら兄妹に興味があるらしく妹として甘えたいとの事

 

「天使!のどかちゃん天使過ぎない!?」

 

「良いよ」

 

「ありがとうございます!」

 

「でも俺達は何をすれば良いんだ?」

 

「そんなの決まってるじゃない!」

 

紫苑は背中からのどかに抱き付いた

 

「先ずはスキンシップよ!」

 

「ひゃ///」

 

「ああ〜のどかちゃん可愛い〜!」

 

「紫苑さん!?」

 

「違うわ。今はお姉ちゃんよ」

 

自分から言ったが少々恥ずかしい気持ちになる。でもこれは自分から望んだお願い

 

上目遣いで紫苑に呼び掛ける

 

「紫苑…お姉ちゃん」

 

それを聞いた瞬間紫苑は倒れてしまった

 

「尊い…」

 

「今度は俺だ。のどかの為だけに美味しいお菓子を作ってやる」

 

紅牙はエプロンに身を包み込み台所に立つ

 

 

 

 

 

それから暫くして出来上がったのは、見るも豪華なパンケーキだった

 

「ふわぁ〜!」

 

「どうぞ召し上がれ」

 

「はむ…ん〜!!美味しいです!」

 

「もっと欲しいのはあるか?」

 

「ありがとうございます。でもこれで充分です!」

 

のどかの満足した表情を見て、紅牙もほんのりと笑顔になる

 

「口に付いてるぞ」

 

頬に付いたクリームを優しく拭う

 

「俺の番になったけど…」

 

少し考えながらも蓮花はのどかにゆっくり近付く

 

「…」

 

「れ、蓮花さん?……ひゃあ!?」

 

蓮花はのどかを高く抱き上げた。

そして無言のまま肩車をしてあげる

 

「れ、蓮花さん!?」

 

「今の俺はお兄ちゃんだよ」

 

「そんな事言える状況ではないですよ〜!」

 

ポカポカと蓮花の頭を叩いてると

 

「ドーン!蓮兄!」

 

「インターホン鳴らしても出なかったので勝手にお邪魔しちゃいました」

 

「遊びに来ました」

 

ひなた、ちゆ、アスミと蒼咲家に上がり込んだ

 

「あ…」

 

勿論、家に上がったのでのどかが肩車されてる場面にも遭遇した

 

「あ、あ〜〜〜ッ///」

 

友達にこんな姿を見られて、のどかは恥ずかしさのあまり赤面する

 

「お、下ろして下さい蓮花さん!!早く早く!!」

 

「『蓮花お兄ちゃん』でしょ?」

 

(((どういう状況?)))

 

嫌々と言いながらも、のどかの表情は嬉しそうだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蓮花お兄ちゃん下ろして下さい〜〜!!」




只々可愛いだけだった

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第72話 悪魔の施験者♥キューティクル命!!

髪の毛ネタです

ではスタート


「蓮兄達って魔剣使うといつも髪の色が白に染まるじゃん」

 

「急にどうしたの?」

 

唐突な会話で蓮花達は困り果てる

 

「いや〜、髪の色が白くなってる状態で染めたらどうなるのかって?」

 

「まさかの実験!?」

 

「それなら──」

 

 

 

 

 

「そんな訳で紅牙を連れて来たわよ」

 

「俺に人権は無いのか?」

 

「被験者は黙ってなさい」

 

「被験者って言われた!」

 

「ちょっとした疑問だからしなくても別に…」

 

いつものパターンだと紅牙が犠牲となる可能性が高くなるので、それを思ってさっきの言った事を無かった事にしようとしても

 

「いいえ面白そうだからやるわ!紅牙が!」

 

「だから人権!」

 

紫苑は紅牙を拘束して適当なカラーリング剤を持って来た

 

「やめろ!!やめるんだ!!」

 

「大丈夫よ」

 

「紫姉辞めた方が…」

 

紅牙に目を向けると殺気立った視線を送っていた

 

「俺の髪に…キューティクルに触るな!!」

 

「キューティクルって貴方ね…」

 

「馬鹿野郎!ここまでの完璧なキューティクルを育てるのにどれだけ苦労したと思ってるんだ!!」

 

ひらひらと髪の毛をチラつかせては熱く語る

 

「小学生の頃から欠かさず手入れして、今ピークを迎えているのだ!お前は敵だ!キューティクル業界の会員番号24の力を思い知らせてくれるわ!!」

 

「あ〜はいはい。てかキューティクル業界って何よ。しかも24って結構凄いわね…」

 

「登録も年会費も無料の大手会社公認の会だ!!」

 

しかし紫苑は諦めきれなかった。こんな面白そうな実験はそうそうにない

 

「はぁ…俺が代わりにやろうか?」

 

「良いの!?被験者B!」

 

「アタシ達の事被験者にしか見てないし…」

 

蓮花椅子に座り取り敢えず抜剣する

 

「さて、色は何色にしようかしら?」

 

「オレが決めても良いか?」

 

ひょこっと現れたニャトラン。そして手に持っているのは金色のカラーリング剤

 

「派手に決めてやるぜ!」

 

 

 

 

 

ようやく抜剣状態の白髪を金色に染める事に成功した

 

「何かどっかの少年漫画に出て来るキャラみたいだな…」

 

紅牙の言う通り

 

「じゃあこの状態から戻ってみて」

 

魔剣を体の中に収めると元の黒色に戻った

 

「「「「お〜!」」」」

 

「色が戻ったね」

 

「満足したか?」

 

「ええ!じゃあ今度は被験者Cの番よ!」

 

今度はひなたとニャトランを捕まえて、逃げられない様にする

 

「「え…?」」

 

「抜剣者は分かったわ!次はプリキュア の番よ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局ひなたとニャトランも犠牲者の1人てなった

 

因みに、プリキュア も変身から戻ると髪の色も戻ったと研究資料に書かれてあった




男だって髪の毛を大事にする

ここまでの拝読ありがとうございました


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第73話 のんびり混浴♥これが背中流しだ!

混浴だ!!しかし一発ネタなので内容は薄い!

ではスタート!


「…混浴ですか」

 

アスミはラビリンとラテと共にテレビを観ていた

 

「アスミ?」

 

「わたくし、混浴してみたいです」

 

「ラビ!?」

 

「ただいま〜」

 

丁度のどかが学校から帰って来た。帰って来た事に気付いたラテが走って駆け寄る

 

「わん!」

 

「よしよしラテ。ラビリンどうしたの?」

 

「アスミが──」

 

「のどか、わたくし混浴してみたいです!」

 

「こ、ここここ混浴!?」

 

アスミの熱意ある瞳に負け、のどかはちゆに言って特別に混浴をさせて貰う事にした

 

しかし混浴は男性も居て初めて混浴が成立する

 

のどか達の知り合いで男性と言えば

 

 

 

 

 

((俺達誘うのか…))

 

2人は着替えながらもそんな事を考えていた

 

「別に良いんだけどさぁ…」

 

「アスミのお願いなら仕方ないよ」

 

「お前がそうやって甘やかすからダメなんだよ」

 

2人が浴場に行くと、既に女性陣は湯に浸かってゆっくりしていた

 

「蓮兄こっち〜!気持ちいいよ〜!」

 

「その前に体の汚れを落としてからでしょ?ひなたはちゃんと洗ったの?」

 

「…」

 

目を逸らされた。洗わずに入ったのが明確になった

 

「ラビリン達は?」

 

「ペギタン達は動物用の温泉に入ってますよ」

 

「それよりも何だお前達!」

 

「「「「?」」」」

 

「タオル巻くとか野暮な真似してんじゃねぇよ!」

 

紅牙はのどか達の身体に巻いてるタオルに文句を言う

 

「普通巻くわよ!わたし達女の子なんですから!」

 

「見ろ紫苑を!」

 

一同紫苑へ目を向ける

 

「当たり前の様にタオルを肩に掛け、堂々とした立ち姿、そして清々しい程の曝け出し!」

 

「もう何?私の裸を見ても何も無いわよ」

 

「しょうがねぇな」

 

紅牙は風呂椅子に座り込みのどか達に背中を見せる

 

「年下共は黙って背中を流しな」

 

「貴方がやらせたいだけでしょう?」

 

「ではわたくしがして差し上げます!」

 

アスミが湯船から上がり紅牙の背中に回る

 

「全く…そうだ!アスミちゃんこれを使って背中を流したら良いわよ」

 

「分かりました……こんな感じでしょうか?」

 

「ブッ!?」

 

アスミが力を込めて、上から下に掛けて撫で下ろすと紅牙は前のめりになりながら倒れた

 

「鬼麿さん!?」

 

「どうしたのでしょうか?」

 

「アスミが何でよ!それ掃除用のたわしよ!!」

 

「「うわぁ……」」

 

のどかとひなたが紅牙の背中を覗くと、多少の切り傷が出来上がっていた

 

「アハハハッ!」

 

「紫苑わざとでしょ?」

 

「こ、殺されるかと思ったわ…」

 

「ではもう一度」

 

「ブッ!?!」

 

しかし、やり直したにも関わらず更に傷が増え血が流れ出ている

 

「鬼麿さん何で!?」

 

「これは違いましたか?」

 

「金たわしで!?」

 

「次は必ず──」

 

「もういいです!もういいです!俺が死ぬから!!」

 

血塗れとなった背中を翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)で治療し、血を洗い流した

 

「蓮花さん蓮花さん!一緒に背中流し合いっこしましょう!」

 

「蓮兄アタシも〜!」

 

「はいはい。一列に並んで洗おっか」

 

3人は仲良く洗いっこし

 

「アスミちゃん髪流してあげる」

 

「お願いします」

 

アスミはシャンプーハットを被り紫苑と

 

「もう鬼麿さんは…バチが当たったんですよ」

 

「たわしで擦るなんて予想出来るか普通!?」

 

ちゆと紅牙は湯に浸かってのんびりと過ごしていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

のどか達は恥ずかしさもあったが、丁度良いリラックスが出来たのであった




次回も一応日常回ですけど、今までの様な1話区切りでは無く本編に繋がる日常回です

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第74話 ずっと一緒にいよう♥此処が皆んなの楽園!

最後の日常回です

ではスタート!


「お前ら!鍋は食いたいか?」

 

「「食べたい!」」

 

のどかとひなたが揃って大きく声を上げる

 

「急に鍋なんて……鬼麿さんよからぬ事を考えていますか?」

 

「只単にお前と鍋を囲んで食いたいだけだ」

 

「鍋とはどんなものですか?」

 

「色んな具材を温めて、色んな味付けで食べるのよ。大雑把に言うとね」

 

紫苑の説明である程度は理解した

 

「ところで何鍋をするのですか?それによっては買って来る材料も少し変わりますけど」

 

のどかの言う通り、一括りに鍋と言っても何種類とある

 

「俺はやっぱりすき焼きかな」

 

「俺は真っ赤に燃えるキムチ鍋!」

 

「スッキリ酸味のある酢を付けて食べる水炊き!」

 

「「「え?」」」

 

ここで3人の意見がバラけた

 

「すき焼き」

 

「キムチ鍋」

 

「水炊き」

 

「分かっていたけど3人共見事にバラバララビ」

 

今にも争いが起きそうな雰囲気。

そんな中でのどかが手を挙げて良い提案した

 

「全部やってみてはどうですか?」

 

「のどかっち、いくら何でもそんな事出来る訳が──」

 

「「「ナイスアイディア!」」」

 

「出来んの!?」

 

「しかしながら鍋は家に一つしか無い。だから、何人かで分かれて買い出しに行こう」

 

 

 

 

 

先ずは鍋の追加購入

 

当然支払うのは蓮花。そして蓮花に付いて行くのは2人、のどかとラビリン

 

「蓮花さん、お鍋2つも買うって結構値段が…」

 

「大丈夫!母さんからいっぱい貰ってるから!」

 

「それは…はい、あまり聞かない事にします」

 

 

 

 

 

次は食材を買い出しA班。紫苑とちゆとペギタン

 

「えのきは要りますよね?」

 

「木綿豆腐もっと」

 

「白菜もいるペエ」

 

「でもこんなに買っても良いのでしょうか?」

 

「大丈夫!お小遣いは全部蒼咲家から出てるのよ!」

 

「それはどうなんですかねぇ…」

 

 

 

 

 

そしてB班の紅牙、ひなた、アスミ、ニャトラン、ラテと言ったメンバー

 

「紅牙!コレ買っても良いか?」

 

「大丈夫だ。問題無い」

 

「紅兄勝手にカゴに入れるよ!」

 

「ドンドン入れろ!蓮花から小遣いは貰ったからな!」

 

B班の買い物カゴはとんでもない量となっていた

 

「紅牙、これって料理に使いますか?」

 

「これ…は使わないな。代わりにそっちをくれ」

 

「はい」

 

何でもやりたい放題のこのメンバーは、必要不必要は理解してるものの加減を知らずに大量投入する

 

もはや無法地帯と化してしまった

 

 

 

 

 

////////

 

「買い出しB班……何でこんなにいっぱい買って来たの!?」

 

流石の蓮花も驚いてしまう。金額も2万は優に超えていた

 

「闇鍋でも作る気なの?」

 

「作っちゃえ!作っちゃえ!多分面白いかも!楽しめるかも!やろう蓮兄!」

 

「全然楽しめれないよ!?寧ろ不安と恐怖でいっぱいだよ!!」

 

「馬鹿な事言っていないで始めるわよ。もう夕方なんだから」

 

紫苑の合図でそれぞれ準備に取り掛かる

 

 

 

 

 

「それでは手を合わせて!」

 

「「「「「「「頂きます!」」」」」」」

 

小さい鍋が3つ並べられ、それぞれ自分達が自由に受け皿に入れる

 

 

「ちゆ食べさせてやる」

 

「1人で食べれます!!」

 

 

「蓮兄はい!あ〜ん!」

 

「あ〜ん……うん、やっぱり美味しい」

 

 

「アスミちゃんどれが美味しい?」

 

「…どれも甲乙付け難いです」

 

「だよね!皆んなで食べるお鍋は美味しいです!」

 

 

「ラテ様ラテ様!水炊き美味しいラビ!」

 

「すき焼きも美味しいぜ!」

 

「キムチ鍋も美味しいペエ!」

 

「わん!」

 

 

 

蓮花は少し風に当たる為、窓を少し開けてもたれ掛かる。そこにひなたも隣に座る

 

「楽しくて、幸せで、笑顔が溢れるこの時間がとても愛しいよ」

 

「このメンツだもんね!」

 

「お手当てが終わっても皆んなとずっと一緒に居ようね」

 

「もち!」

 

今この時間に酔い浸かる。何もかも忘れて騒ぎ立てるこれこそが楽園なのだ

 

蒼咲蓮花が求めたもの

 

こんな幸せな時がいつまでも続くと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、誰もが思っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何かが壊れるなんて

 

いつも突然で、とても呆気ないもの

 

あっという間なのだから




これで日常回は全て出し尽くしました

次回からは──地獄の始まりです

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク16 「結構騒がしいNGばっかだニャ!」

上手い具合にNGが挟まった

ではスタート


第70話 「決断する勇気♥ちゆの将来相談!」より

 

ちゆにキスするシーンから

 

 

 

 

 

紅牙は優しくちゆにキスをした

 

「ッ!?///」

 

パチンと乾いた音が鳴り響いた

 

「あ、ごめんなさい。つい条件反射で…」

 

「付き合ってる相手に条件反射で叩く奴がいるか?」

 

 

 

 

 

////////

 

第71話 「憧れの妹生活♥のどかも甘えたい年頃!」より

 

のどかがお願いするシーンから

 

 

 

 

 

「今日一日だけ甘えても良いですか!?」

 

「良いわよ!さあ私のベッドで癒しのひと時を過ごしましょう」

 

「は、はい…?」

 

「「こらこらこら!」」

 

部屋に誘うとする所を2人が止める

 

「こんな純粋の塊みたいなのどかを汚す気か!?」

 

「だって甘えたいって言ってるのだから」

 

「お前の中の解釈おかしくないか!?」

 

 

 

 

 

////////

 

第72話 「悪魔の施験者♥キューティクル命!!」より

 

色を染めてから元に戻るシーンから

 

 

 

 

 

「じゃあこの状態から戻ってみて」

 

元に戻ってはみるが髪色までは戻らなかった

 

「いやアカン!?」

 

「あ、蓮兄が関西弁で喋った」

 

「あっぶね〜、俺じゃなくて本当に良かった〜」

 

「これ戻してよ!のどか達に見られたら軽蔑の目で見られるよ!」

 

「のどかちゃん達をなんだと思っているのよ」

 

「蓮花〜黒持って来たぞ〜」

 

その後は何とかして元の色に戻したとの事

 

 

 

 

 

////////

 

第73話 「のんびり混浴♥これが背中流しだ!」より

 

撮影の裏側

 

 

 

 

 

「見て見て蓮兄!バタフライ!」

 

バチャバチャと大きな水飛沫を巻き上げながら湯船で泳ぐ

 

「ひなたやめなさい!!」

 

案の定ちゆに注意された

 

「ふわぁ〜生きてるって感じ〜」

 

「気持ちの良い湯加減です」

 

「本当に気持ちの良い…ぷぺ!?」

 

蓮花の顔にお湯が掛かった

 

「隙あり」

 

紫苑が悪戯で水鉄砲をしたのだ

 

「紫苑…ぷっ!?」

 

今度は違う方向から

 

「蓮兄隙だらけ!」

 

「ひなたまで…」

 

「やられ放題だな蓮花」

 

 

 

 

 

////////

 

第74話 「ずっと一緒にいよう♥此処が皆んなの楽園!」より

 

ひなたの闇鍋発言のシーンから

 

 

 

 

 

 

「作っちゃえ!作っちゃえ!多分面白いかも!楽しめるかも!やろう蓮兄!」

 

「闇鍋…素晴らしい響きです!」

 

「アスミちゃんサイコ!サイコ!」

 

折角の鍋を台無しにされてはひとたまりも無い。紫苑は急いで阻止する

 

「アスミ、闇鍋は犠牲者が出るんだよ」

 

「そ、そうなのですか!?……ですが、何故それをひなたがやろうと言い出したのですか?」

 

「蓮花さん!わたし闇鍋をやってみたいです!」

 

純粋な眼差しで蓮花を見つめる

 

「もう皆んな!普通の鍋にするよ!!」

 

「ちゆも大変だな…」




ネタに更に掘り起こしてネタにするって結構大変

ここまでの拝読ありがとうございました


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第75話 彼の最後の希望、願いを込めた祝福の希望(ベルフェホープ)

今回から救いようの無い話が続きます

ではスタート!


「待てど暮らせど退屈だ。何か無いのか?音楽掛けるとかさぁ〜?」

 

紅牙はソファーでダラダラと座ってテレビを観ていた

 

「退屈なら手伝ってよ」

 

「今日曇りから雨だってよ」

 

「だからだよ。洗濯物畳むの大変なんだから」

 

「2人共お昼出来たわよ。食べたらのどかちゃん達と出掛けるんだから早くしなさいよ」

 

曇り空を窓から見上げ蓮花は思った

 

今日は嫌な予感がすると

 

 

 

 

 

「やって来たぞ〜!!」

 

「ひなたうるさいぞ」

 

「テンション上がるのも分かるよ。ここ最近は楽しい事ばかりだからね」

 

蓮花達は隣町の花畑まで遊びに来ていた。曇り空とはいえ、目の前に広がる大草原と大量に咲くガーベラに興奮する

 

「わん!わん!」

 

「ラテ待って下さい!」

 

「「「ラテ様〜!」」」

 

「お前ら待ちやがれ!!」

 

ラテを追い掛ける、アスミ、紅牙、ラビリン達

 

「見てのどか……ほら、ガーベラの花冠」

 

「ふわぁ〜!ありがとうございます!」

 

蓮花はのどかに花冠を被せる

 

「いい匂い…ぶっ!?」

 

「痛たた〜…めんごちゆちー!」

 

ちゆが寝転んで花を嗅いでると、ひなたが足を引っ掛けて背中にダイブした

 

「ひ〜な〜た〜!」

 

「アハハッ!本当に楽しいわね〜!」

 

全員が本当に笑顔で楽しんでいた

 

強い風が吹いた。のどかが被っていた花冠が飛んで行き、その飛んだ先に人影を見た

 

「蓮花さんあの人…」

 

のどかの言葉で全員視線の先を見ると

 

「父さん…。いや、始」

 

「お前達とこんな風に対峙するのは何度目だろうか?そんな事は関係無い…か。もう、これで、全て、終わらせるのだから」

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「統一しろ。原始の魔剣!!」

 

 

 

今までと違い最大の力で解放しての抜剣

 

立っている事も儘ならない

 

「蓮花さん!」

 

「蒼咲さん!」

 

「蓮兄!」

 

「「「「「「蓮花!」」」」」」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「抜剣覚醒!」」

 

「絶剣覚醒!」

 

「舞い上がれ!!時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

「吹き荒れろ!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

変身すると同時に、始は巨大な魔剣2本を喚び出し振り下ろす

 

「負けるか!!」

 

時を経て繋がる二つの風で、同じ大きさの風の剣を創り上げ対抗する。

剣は見事に砕け散り、それに続いてフォンテーヌとスパークルが風に乗って飛び出した

 

「氷のエレメント!」

 

「火のエレメント!」

 

だが剣を6本喚び、回転し盾と化しエレメントの力を打ち消した

 

「狂飆爆烈!」

 

「空気のエレメント!」

 

空気のエレメントも加わり、最強の狂飆爆烈が完成する

 

「崩洛塊土!」

 

地面が浮き上がり、地盤が壁となり蓮花とアスミの合体技を防いだ

 

「ッ!」

 

しかし、始の身体を強固なツタが拘束し動きを封じ込める

 

「決めろ!グレース!ラビリン!」

 

「はい!」

「ラビ!」

 

 

 

「エレメントチャージ!」

 

『キュン!キュン!キュン!』

 

「「ヒーリングゲージ上昇!」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

 

浄化技が直撃し土煙りが舞い上がる

 

「チッ…」

 

ビョーゲンズの力を得た今の始は、人間の時と違い浄化技はかなり効果があった。

膝を突き、鋭い目つきでこちらを見ていた

 

そしてチャンスと思い蓮花、紅牙、紫苑が切り掛かる

 

(今ここで殺す!)

 

(蹂躙してやる!)

 

(その肉引き裂いてやるわ!)

 

「いっけぇぇ!蓮兄!!」

 

だが不自然だった。始は防御の構えすら取らず全く動かずで受けようとしていた

 

(コイツ何考えてやがる?)

 

切り掛かる僅かな時間。紅牙は怪しんでいた

 

「…フッ」

 

そして見た。見たのだ。その鋭い観察眼で始の口角が上がり、薄ら笑いを浮かべるのを。

そして確信する。これは罠だと

 

(マズい!)

 

蓮花と紫苑は気付いていない。だが気付いたところでもう止まらない。

それでも紅牙は諦めない。翠遠の息吹のツタで3人の身体に巻き付き、少しでも防御力を上げようとする

 

 

 

「覚醒剣」

 

「憤怒爆殺!」

 

 

 

始から巨大なエネルギーが爆発し、離れていたグレース達すらも呑み込んで辺りを吹き飛ばした

 

 

 

 

 

////////

 

「ハァ…はぁ…ゔぇ、翠遠の…息吹」

 

癒しの風が紅牙を優しく包み込み傷を治してく

 

(クソ…ッタレが!)

 

剣を杖にして立ち上がる。傷は癒せても体力までは回復出来ずフラフラな状態

 

「蓮花!紫苑!……ちゆ!」

 

とにかく誰でも良いから無事を確認したい。その一心で名前を呼び掛ける

 

「ちゆ!」

 

「ぁ…お、おに…ま、ろ……さん」

 

身体中傷だらけになり、額から血を流すちゆを発見した

 

「しっかりしろ!今治してやる!ペギタンは?他の奴は?」

 

「分からな…いで、す…」

 

ちゆを治療してる途中、何処からともなく剣が射出する

 

「危ない!」

 

ちゆを庇い、それに反応して翠遠の息吹が一人でに動いて弾き返した

 

「あの野郎か!何処だ!何処にいやがる!?」

 

「鬼麿さん…あれ」

 

ちゆが指差す方へ目を凝らす。土煙りが晴れ、そこには始の姿が

 

「やはりお前は浅かったか。直前で俺の狙いに気付いたのはお前だけだ」

 

周りには、のどか達も血を流し倒れていた

 

距離が近かった蓮花と紫苑に関しては重症だった

 

(武が悪い。一旦引くか?それには…)

 

紅牙は倒れてるアスミへ視線を向ける

 

(あ〜あ、まさか俺がこんな損な役回りする羽目になるとはな)

 

「鬼麿さん?」

 

紅牙はちゆを抱いてアスミの方へと走り出す。辿り着くまでにも、倒れる仲間を拾い集める

 

始もそれを黙って見るなんて事はせず、魔剣を連続射出する

 

仲間を庇い、回復した傷がまた増える

 

(でも何故か嫌じゃない。これが最善の選択なんだ。アイツらの為なら躊躇ったりするか!)

 

「紅牙…」

 

「アスミ!無理な頼みがある!」

 

「小細工など通用するか!」

 

更に射出する剣の量が増える

 

「最後まで頼むぞ!」

 

翠遠の息吹の結界を張って防ぐと同時に、ツタが残りの者達をアスミの所へ集める

 

(やってやる!この場に居る全員俺が助ける!!)

 

 

 

 

 

『──ねぇ紅牙。俺達最後まで生き残れるのかな?』

 

『──はぁ?』

 

『──この先、何があるか分からない。最悪死ぬ事だって…』

 

ネガティブな蓮花の頭を軽く突く

 

『──ば〜か、何言ってんだ。俺達は誰も死なねぇ。誰一人犠牲を出さずにお手当てするんだ』

 

『──そうだよね。俺達は皆んなで笑顔でお手当てする!』

 

『──けれどもしそうなった時は安心しろ』

 

紅牙は右拳を突き出す

 

『──忘れるな。死ぬ時は一緒だ』

 

 

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「翠嵐疾風!」

 

 

 

翠の風が剣を全て弾いた

 

「何!?」

 

「アスミ今だ!すこやか市までワープするんだ!」

 

「は、はい!」

 

全員ボロボロな身体を引き摺りながら穴の中へ入る

 

「鬼麿さんも早く!」

 

「…」

 

しかし紅牙はちゆの声には反応しない

 

「鬼麿さん!」

 

「…悪い、俺は行けない」

 

そして代わりに翠遠の息吹をちゆに投げ渡す

 

「誰かがコイツを止めなければならない」

 

「駄目です!鬼麿さんも!」

 

「ゴチャゴチャうるせぇぞ!!お前みたいな足手纏いは邪魔なんだよ!!」

 

「足手纏いでも何でも構いません!!わたしは鬼麿さん1人にはしたくありません!!」

 

怒鳴って帰らそうと思ったが、逆にちゆは負けずに食い付いた

 

「ちゆ…。でもお前は俺の希望なんだ。お前を失う訳には…」

 

「それはわたしも同じです」

 

紅牙はちゆに抱き付く。その優しさを噛み締めながら

 

「ありがとう。ちゆ」

 

しかしちゆを穴の中へ突き飛ばした

 

「ちゆ!翠遠の息吹を蓮花に託してくれ!」

 

「鬼麿さん!!」

 

「そろそろ名前を呼んでくれたら嬉しい。だからコイツを倒した褒美として呼んでくれよな!」

 

「待っ──」

 

最後まで言い切る前にちゆは穴へ

 

そして穴は閉じてしまい、この場に残ったのは紅牙と始だけとなった

 

「それは勇気とは言わない。無謀と呼ぶ」

 

「それぐらい知ってんだよ。人に言われると腹立つな」

 

「魔剣を持たないお前に勝ち目など無い。絶対に」

 

「忘れたとは言わせねぇよ。俺にはまだ剣がある」

 

紅牙が言う剣は恐らく絶剣。しかし、初めて発現して以来全く喚び出せれていない

 

「無理だ」

 

「そんな事は無い。俺には沢山の希望を背負っている。そしてそいつらに託した」

 

紅牙の足下から淡い光の粒子が溢れ出る

 

「無理なんて言わせねぇよ。見せてやる。俺達の希望の力を!俺の全てを懸けて!!」

 

そして一気に力を解放する

 

紅牙の髪が白へと変色していき、体内から一本の剣が形取る

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「希望をこの手に!祝福の希望──ベルフェホープ!!」

 

 

 

ガーベラの花が沢山咲くこの花畑で、全てを懸けた紅牙の戦いが、今、華々しく始まろうとする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺達の希望で、お前を蹂躙してやる」




ここへ来て完全覚醒を果たした紅牙。
次回どうなるか!?

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第76話 刹那の思い出、彼が手に入れた幸せの証

この小説でも一位二位を争う程強くなった紅牙

どうなる!?

ではスタート!


「絶剣覚醒!」

 

「希望をこの手に!祝福の希望(ベルフェホープ)!!」

 

 

 

「俺達の希望で、お前を蹂躙してやる」

 

とうとう完璧な形で絶剣覚醒した紅牙。

その右手には金色の絶剣が握られていた

 

「ククク…アッハハハ!少しは楽しませてくれる!!」

 

巨大な魔剣が勢いよく振り下ろされる。しかしそれを、祝福の希望を持つ右だけで受け止めた

 

そして紅牙の姿が消えた

 

「ッ!?」

 

瞬く間に始の顔面に膝蹴りを食らわした

 

(なっ…!?)

 

紅牙は一瞬で距離を詰めたのだ。それだけでは無く、先程振り下ろされた巨大な魔剣も粉々に粉砕されていた

 

だがこれは想定内。半覚醒でレンカと互角にやり合ったのだ。完全覚醒した相手に何の策も無し相手をしてる訳では無い

 

(掛かった!)

 

未だに顔に膝が減り込む中で、始は小さく指を上げる

 

それが合図で、地面からマグマの柱が紅牙を襲う……筈だった

 

「ッ!」

 

しかしそれは避けられた。紅牙はそのまま顔を踏み台にし、素早く後ろへ交代し免れたのだ

 

(馬鹿な!?憤怒爆殺で巻き起こった土煙りに隠れて仕掛けた罠だぞ!反応が速過ぎる!)

 

見破られる自信は無かった。それなのに避けられた

 

「だが!これは避けられまい!!」

 

全ての魔剣を喚び出し展開させる。数は今まで以上。避けるのは疎か防御すらも無意味な程

 

「これで…死ね!!」

 

「…」

 

連射される剣の嵐。紅牙はその嵐の中へゆっくりと歩いて向かってく

 

紅牙は剣を一本一本丁寧に躱す。掠る事も無く

 

今の紅牙は、華々しく、可憐に、踊ってる様に見える程軽やかに避ける

 

「何でだ…何で当たらん!!」

 

数の暴力では無理と判断した始は、原始の魔剣で近接戦闘に切り替えた

 

「ハァッ!」

 

「当たるか!」

 

剣の柄を使って手首に打撃を与え、一瞬動きが止まった所を身体を回転させ、勢いを付けて腹目掛けて蹴り付ける

 

「クッ…かはっ」

 

「こんなものか?」

 

「この、餓鬼の分際で!調子に乗るな!!」

 

不意を突いて背後から魔剣を速射するも、横ステップで簡単に躱した

 

「今度はこっちから行かせて貰う!」

 

紅牙は横切りで切り付ける。原始の魔剣で防ぐも、防御の上から強引に押し込む

 

「ウラァ!!」

 

「うぐっ!?……この程度で力負けするかァァァ!!」

 

始は逆にそれを跳ね返した

 

「これで!」

 

紅牙は始の動きを見る

 

そして

 

「何!?」

 

最小限の動きのみで剣を全て躱した。そして始は一つの仮説を建てた

 

(まさかと思うが、俺の動きを観察して避けているのか?)

 

その可能性は大いにある。始はそれを確信へと変える為に仕掛ける

 

「その剣の能力見極める!」

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「幻想天命!」

 

 

 

何人にも分身し四方八方から襲い掛かる。紅牙も腰を低くして剣を構える

 

「面白い!止められるものなら止めてみろ!!」

 

囲まれて足を止めてしまう。流石の紅牙もどうしようもないと思われたが、紅牙は静かに二時の方向をの始を見据えていた

 

そして始は恐怖した

 

(そんな馬鹿な!?見破られている?絶剣覚醒状態の鋭い観察眼!もはや観察してどうこう出来るものじゃない!)

 

「そこだ!!」

 

波動の斬撃で二時の方向に居た始に食らわした。その始は本物だった

 

(まるで、未来予知だ…!)

 

確信へと変わった。紅牙は始の動きを読んで攻撃、防御をしている

 

しかし、普通の人間では相手の動きに反応してから反応する。

だが紅牙の場合、持ち前の鋭い観察眼で相手の筋肉の動き、汗の量、視線の動き、瞳孔、息遣い、視界に入るありとあらゆる情報から相手の動きを読み取っているのだ

 

その為、未来予知に近い「先読み」で紅牙はずっと交戦していた

 

(未来予知と同等の『先読み』の能力だと?それに対抗出来る魔剣は存在してない!)

 

始は斬られた腹を治療しつつ距離を置く

 

遠距離の攻撃も、ましてや近接での戦闘など先読みされて話にならない。始の攻撃は殆ど通用しない事がハッキリした

 

「お前の魔剣では俺の絶剣には敵わない。大人しく殺されろ」

 

「…原始の魔剣が全てにおいて劣ってると言いたいのか?天狗になるのもいい加減にしろ!!」

 

天高く剣を掲げて最大の波動を溜め始める

 

「お前達はこの技で一度倒された。もう一度身に染みるがいい!!」

 

「随分と見くびられたもんだ。だが丁度良い!お前を倒して俺が世界で最強という事、俺達の希望が強いと証明してやる!!」

 

紅牙も魔剣の力を最大限まで高め、腰に剣を構える

 

 

 

「絶・覚醒剣!!」

「覚醒剣!!」

 

「希望満開!!」

 

「原始超動!!」

 

 

 

金色の波動と赤黒い波動が激しく激突する

 

「うぐぅ!!」

 

僅かながら紅牙が押される

 

「無駄だ!その程度の才能など原始の魔剣の前では通用しない!!そのままくたばれ!!」

 

「俺達の力は才能だけじゃ計れない!!」

 

少しずつ紅牙が押し返し始める

 

「お前の負けだァァァァァァッッ!!」

 

紅牙の想いに祝福の希望が呼応し、原始の魔剣の波動を呑み込んだ

 

「アガぁあァァァ!!」

 

始に直撃し、地面に倒れてるところへ更に追撃を仕掛ける

 

「もう一度死にやがれェェェ!!」

 

勝敗は決した

 

始は諦めた。顔に血飛沫が飛び汚す

 

 

 

 

 

紅牙の血で

 

「ガハッ…」

 

紅牙の背後から腹に魔剣が一本貫かれていた

 

剣が引き抜かれ、左脇腹を蹴られ地面を転がる

 

「ぶはっ……お、お前…は…!」

 

「我が王…!」

 

不意打ちで襲ったのはレンカだった

 

「一連の流れを見て全て把握した。貴様の絶剣、先読みだが味方すら予測出来ない出来事ならば読み取る事は不可能。人間にしては良くした」

 

「まだ、だ!」

 

「始────終わらせろ」

 

幾つもセットされた魔剣が襲う

 

「こ…の!」

 

紅牙も先読みで魔剣を避けるが、先程貫かれた腹の傷が酷く、動きのキレを無くし剣で弾き返し始める

 

(やべぇ…翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)が無い今傷を塞ぐ手段が見つからない。こんな事なら持っとくんだった…)

 

意識が朦朧し始めた時、左足の甲に剣が地面ごと貫いて動けなくした

 

「クソ!こんな時に!」

 

足に刺さった剣を引っこ抜いたが、急に紅牙の周りに影が満ちる

 

何事かと思い空を見上げると

 

「あ…」

 

原始の魔剣で喚び出された魔剣が空を覆っていた

 

始も一連の戦闘で加減などせず、喚び出せる剣を全て喚び出した

 

「褒めてやろう。しかし、僅かながら届かなかったな。鬼麿紅牙」

 

魔剣の雨が降り注ぎ、紅牙の体中魔剣が貫いてく。

大量の鮮血がガーベラの花畑に散りばめられ、辺りを赤く染め上げる

 

「眠れ、現代に生きる抜剣者よ」

 

串刺しになった体は血に染まり、力無く前へと倒れた

 

「逃げた奴らを追う」

 

「はい」

 

その場を立ち去ろうとする時

 

「ま…ちやが、れ……」

 

大量の血を流しながら、紅牙は立ち上がる

 

「終わってねぇ……まだ、終わってねぇぞ!!」

 

「脆弱と思っていたが……改めよう。お前は確かに強い。よって、我が直々に葬ってやる」

 

「俺は…俺達は…ガハッ……」

 

よろめきながらも、祝福の希望を引き摺って行く

 

(悪い皆んな…俺、もう駄目みたいだ…)

 

負ける事を認めた訳じゃない。自分はここで死ぬというのが分かっての言葉だ

 

(だけど希望は…託した…はぁ……悔いは無い)

 

原始の魔剣が喉に突き付けられる

 

(楽しかったぜ…!)

 

目を閉じると瞼の裏には呆れてしまう程の日常が蘇る

 

(ちゆ…俺の愛しくて、大切な人。強く生きろよ)

 

「じゃあな。紅牙!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(お前達との馬鹿騒ぎ、幸せだったぜ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は残りを追え。我が処理をする」

 

「分かりました」

 

始は蓮花達を追う為すぐさますこやか市へ向かった

 

「餞別だ。埋葬は我がする」

 

レンカは、頭部と頭部を無くした体を抱えながら埋葬する場所を探し始めた

 

 

 

 

 

////////

 

場所は変わって展望台。アスミのワープで蓮花達はそこへ逃げ出したのだ

 

蓮花は、ちゆに渡された翠遠の息吹で皆んなを治療していた

 

「ラビリンで最後……はい、治ったよ」

 

「ありがとうラビ」

 

治療する蓮花達より離れて、ちゆは紅牙の帰りを待っていた

 

「ちゆちゃん」

 

「のどか…」

 

「大丈夫だよ。だって紅牙さんは強いんだもん!心配する必要はないよ!」

 

「ありがとうのどか」

 

のどかに元気付けられ、ちゆは皆んなの元へ戻る

 

そして遠くから人影が歩いて来るのが見えた

 

「ちゆちゃん!帰って来たよ!」

 

「本当だ!お〜い!紅兄〜!!」

 

「いや待ってひなたちゃん、紅牙じゃないわ」

 

全員がその人影を見て、姿がちゃんと視認出来るまで近付いて来て知った

 

「探したぜ。蓮花」

 

「何で…?」

 

誰もが紅牙の帰りを待ち侘びていた。だけどそれは違った。やって来たのは始だった

 

「何で貴方が?お、鬼麿さんは…?」

 

「アイツなら死んだ」

 

「嘘よ…」

 

「なら教えてやろう。アイツの最後、俺の剣で頭と胴体を切り捨てた。これでどうだ?」

 

ちゆはその場で崩れ落ち、現実を突き付けられて絶望する

 

「そんな…だってまだ、まだわたしは……」

 

「これが戦いだ。プリキュア 」

 

「ああ、あぁ……ウワァァァァァァァ!!!」

 

「ちゆちゃん!」

 

「ちゆちー…」

 

「ちゆ」

 

「鬼麿さん!鬼麿さん!……嫌!嫌!…鬼麿さん!!!」

 

泣き崩れるちゆをのどか達は優しく抱き合い、その悲しみを分かち合う

 

その悲痛な叫びは、全員の耳にいつまでも木霊する。

そして何処から来たのか、ガーベラの花がちゆの頭にひらひらと落ちる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅牙さん……」




祝福の希望の能力は「先読み」でした。紅牙だからこそ、未来予知と同等まで能力を引き出せた

なのだが、ここで紅牙は退場です。この小説始まる前から、紅牙はこの場面で退場させる予定でした

予定通りに進んでおります

ではここまでの拝読ありがとうございます!


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第77話 終わらない絶望、抜剣者達よ永遠に

1名脱落した後、どうなるか?

ではスタート


紅牙が死んだ。それを知った蓮花と紫苑は音も無く始に切り掛かる

 

だが2本の魔剣によって阻まれた

 

「「クソッ!」」

 

止められてしまった。そして2人の両側から魔剣が射出されが、それを察知しのどか達の所まで戻り距離を置く

 

「紅牙さん…紅牙さん……」

 

「ちゆちゃん……あの馬鹿…!」

 

「ふざけるな……ふざけんなァァ!!紅牙を、紅牙をよくも!!!」

 

溜まり込んでいた怒りが爆発する

 

「抜剣者を殺すのが俺達。激突すればこうなる事は容易に想像出来た筈だ」

 

「クッ!」

 

「まさか、誰一人も犠牲者を出さずにビョーゲンズや俺達と戦うつもりだったのか?蓮花、それはあまりにも馬鹿な考えだぞ」

 

「この野郎!!!」

 

「蓮花落ち着きなさい!!!」

 

今の蓮花は怒りに身を任せて襲おうとしている。紫苑は押さえ付けようとするも、蓮花は中々言う事を聞いてくれない

 

「ヴッ!!ウ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!」

 

紫苑は周りを見渡しながら様子を見る。

蓮花は暴れ、ちゆは泣き崩れ、それをのどかとひなたとアスミが宥め、ラビリン達は何をどうすれば良いのか分からなくなっていた

 

(皆んな精神が安定してない。このままじゃあ…)

 

そして紫苑はあるひとつの決断をする

 

(紅牙もこんな気持ちだったのね…フフ、同じ考えに行き着くなんて本当に私達お人好しになったものね。それもこれも全部…!)

 

未だ暴れる蓮花を落ち着かせる為に一度殴り飛ばす

 

「紫苑!」

 

いきなり殴られた事に癇に障ったのか、掴み掛かろうとする時紫苑は優しく抱き締めた

 

「貴方ばかり辛い思いをさせてごめんなさい。でも、これが私の選んだ運命だから」

 

始の方へ向き直り

 

「取り引きしましょう。貴方達の狙いは私達抜剣者の命」

 

「紫苑何を言って…?」

 

「私の命と引き換えに、今回のところは蓮花達を見逃してくれない?」

 

「へぇ〜」

 

「そんなの認めるか!紫苑逃げ──」

 

紫苑の手を取ろうとすると、ドーム状に結界が張られ、紫苑と始が2人っきりとなり閉じ込められた

 

「良いよ。その提案に乗ろう」

 

「認めねぇ!認めねぇぞ紫苑!!」

 

蓮花は拳で結界を破壊しようとするが、強固で逆に皮が剥がれ血が流れる

 

「蓮花!」

 

「辞めて蓮兄!手が!」

 

紫苑は優しく微笑み掛ける

 

「約束通り」

 

魔剣が射出され

 

「ッ!」

 

紫苑は弾き返した

 

「話と違うが?」

 

「何も間違ってないわ。ただ私は、このまま黙って死ぬ程馬鹿じゃないって事よ」

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「包み込め!善なる天威(ヴァルベギオン)!」

 

 

 

「行くわよ!!」

 

「紫苑!!やめろォォォォォッッ!!」

 

容赦の無い魔剣が紫苑の身体を傷付ける

 

後ろから蓮花の声が聞こえる。それでも前に進み続ける。進まなければならない

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「天威絢爛!!」

 

 

 

認識出来ない程の速さで始の背後に回り込んだ。

その速さは、蓮花達と連携していた時よりも遥かに上回っていた。蓮花達が邪魔でイマイチ全力は出せなかったが、一人となった今なら思う存分に全力が出せる

 

(この勝負に誘い込んだ時点で私の勝ちなのよ!悪いけど、私の勝──)

 

しかし始の背後、紫苑の目の前にひとつの穴が出現する

 

そして穴の中からレンカが上半身のみ乗り出した

 

(え…?)

 

突然の事で呆気に取られた

 

そこからは静かに事が進んだ

 

紫苑の上半身と下半身が見事に別れた

 

勢い乗ってしまった上半身は、そのまま放り投げ出され蓮花の目の前まで転がる

 

「し、紫苑…?」

 

「終わりだ。人間」

 

「〜〜〜ッ!!」

 

今、この瞬間、蒼咲蓮花は本当の意味で抜剣者の極致へと至った。いや、ようやく到達したと言うべきか

 

「ぅ…ッ……あ、あァ────

 

尊い犠牲の、果てに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウ゛ワ゛ア゛ア゛ア゛ァァァァァッッ!!!!」




急展開になって来ました〜

こういう展開書きたくて堪らなかった!

ここまでの拝読ありがとうございます!


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第78話 これからも友達、彼女の見つけた居場所へ

なんか色んな事がありましたが、細かい事はバニッシュしちゃいました☆

ではスタート


張られていた結界が解除され、蓮花はフラフラとした足取りで上半身のみとなった紫苑に近付く

 

「その状態では死ぬのも時間の問題だな」

 

「ッ!!!」

 

果てしなき蒼を喚び出し怒りの波動を撒き散らす

 

「殺シテヤル!!バラバラニシテヤル!!細切レニシテヤル!!マトモニ死ネルト思ウナァァァァァッッ!!!」

 

「別に相手にしても良いが…そうしてる内に紫苑が死ぬぞ?」

 

「蓮兄!」

 

「蓮花!早く治療を!!」

 

ひなたとアスミの言葉で我に帰った

 

「約束通り今回は見逃してやる。けれど、次来る時は覚悟しろ。蓮花」

 

始はレンカを連れて何処かへ消えた

 

「紫苑!今翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)で──」

 

「もう…無理よ……」

 

切断された部分に翠遠の息吹を当てようとするが、紫苑は血塗れの手でそれを静止させる

 

「何諦めてるんだ!傷を塞げば何とかなるんだ!何とか……」

 

癒しの風が傷を塞ごうとするも時間が掛かる。綺麗に治療が終わる頃には大量出血で死ぬ

 

何をしようともう紫苑は助からない

 

「まさか身体を上下真っ二つにされるなんてね……そうそうない経験だわ…」

 

「何こんな時に悠長な事言ってるんだ!」

 

「こういう冗談言わないと、悲しいだけの御涙頂戴になっちゃうじゃない…」

 

泣き崩れていたちゆやのどかも集まった

 

「ごめんねちゆちゃん、あわよくば紅牙の仇も取れたら良かったのだけど…」

 

「天道さん…」

 

「…果てしない道のりだった。だけど、たかが1年も経たずして私を善の道へと示してくれた。こんな、どうしようも無い私を…」

 

「紫苑さんは、どうしようも無くなんか──」

 

「かはっ…!」

 

口から吐き出した血が蓮花の顔や衣服に飛び散る

 

「魔剣の存在を知って、プリキュア も知って、ダメな私を誘ってお手当てを共にしてくれた貴方達は、私の人生で掛け替えの無い存在となっていた。それもとても大きな存在に。命を懸けて守りたいと思うくらい…」

 

「だったら俺達ともっと楽しい事をしよ!のどか達だって!!」

 

「無理だ。私は人として取り返しの付かない事をしている。貴方達と居る資格なんて、これっぽっちも無い。バチが当たったのよ。そんな私に相応しい最後がこの結果よ…」

 

「許さないよ…沢山約束したじゃないか!ついこの前だって、皆んなで色んな所周って写真撮って、また来年…来年も一緒に過ごすんだ!!君の運命はここで終わっていい筈がないだろ!!」

 

「いいのよ…ここが私の終点。こんな私が望んだ、私の意思で望んだ、終わりの運命」

 

最初から紫苑は死ぬつもりで挑んでいた

 

しかし死ぬ運命であっても、逃げる事は無く、最後まで大切な人達を守る為に戦って散った。

紫苑にとってそれは、とても幸せな事だった

 

「貴方達の居るこの場所は、私からすれば眩し過ぎた。いい思い出も、頑張った思い出も、悲しい思い出も全てが眩し過ぎてもう、嫌になっていた。罪悪感に押し潰されそうになって…貴方達の事が大好きだからこそ辛かった…!」

 

「何を言ってるか分からないけど、大好きなら生きてよ!俺達の事が大好きなら生きてよ!!」

 

「私だって、生きたいわよ!!」

 

紫苑は涙を流していた

 

「でも、私には生きれない。生きたところで傷付けるだけ。お手当てなんて、私には到底無理な事だったのよ。でも、そのお手伝いをして、こんな風に代わりに傷付いてあげる事が出来る。私はそれで満足よ…」

 

「それじゃあ紫苑の人生傷付いてばっかりじゃないか。満足なんて……紫苑にだって幸せになる権利があるんだよ!こんな道半ばで切られて満足って馬鹿じゃないのか!?一体何がしたいんだよ!!」

 

「全く、その通りね。でもね、何回も言ってるけどこの運命が私の幸せなのよ。だって、貴方達をピンチから救ったのよ」

 

紫苑は上着のポケットから、血塗られた写真を一枚取り出した。

その写真は、いつか展望台で皆んなと撮った写真

 

「蒼咲蓮花、貴方は最後までプリキュア と共にお手当てを完了させなさい。それが、私の最後の願いであり、恐らく紅牙の願いでもある」

 

最後の思い出を噛み締める様に写真を強く握り潰し、そして蓮花の胸へと押し付けた

 

「俺達はこれからどうすれば良いんだよ。お手当てするにしたって、紫苑や紅牙が居なければ何も出来ないよ…」

 

「ねぇ蓮花、私の可愛い蓮花。貴方にはのどかちゃん達が付いてる。最初に戻るだけ。何も心配なんて無いわよ。いつも通り、お手当てして、地球を元気にすれば良いのよ」

 

涙を流す蓮花を、優しく、力も無く、震える指先で拭う

 

「私は自分の目的の為に人を殺し、人を利用し、偽善者ぶってお手当てして、失礼な事言って、貴方達に沢山迷惑を掛けた。酷い、あまりにも酷い事をした、悪い女だけど…」

 

言葉に力が無くなって来た。もう紫苑には時間無い

 

だから最後、紫苑は力を振り絞って蓮花に言う

 

「最後にひとつ……こんな私でも、貴方達の…と、友達…になれたのか…な………?」

 

微笑む笑顔で最後の言葉を発して、力無く胸に押し付けていた手を落とした

 

蓮花は既に遺体となった紫苑を、静かに抱き締めるしか無かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

////////

 

あの後全員、一度心を落ち着かせる為それぞれ帰宅した

 

「ただいま…」

 

 

『──紫苑今日の飯何にすんだよ?』

 

『──いつものよ』

 

 

いつもなら、玄関先でこんな会話が起きる

 

 

『──ハッハ!ここは俺の特等席だ!』

 

『──子供じみた事しないの。蓮花も座ろう?』

 

 

いつもなら、こんな風にリビングで席の取り合いもしていた

 

「…」

 

いつもなら…と蓮花は考えてしまう。もう2人はいない

 

いない

 

 

いない

 

 

 

死んだ

 

 

 

 

死んだ

 

 

 

 

 

死んだ

 

 

 

 

 

「死んだ…死んだ死んだ!フフッ、皆んな!み〜んな死んだ!アハハッ!!」

 

蓮花は突然高笑いし始めた

 

「アハハハッ!ハッハッハッハッ!!フフフ…クククッ!」

 

狂った様に笑い続けて

 

それが10分程続いて

 

「あ、あは……」

 

糸の切れた人形の様に途端に倒れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから2時間が経った時、蓮花ゆっくりと立ち上がった

 

外は雨が降っていた。蓮花はそれを眺めていた

 

「あぁ…もうこんな時間か。早く夕飯の支度をしないと」

 

蓮花はいつも通りエプロンに身を包み

 

「何を作ろうか?」

 

そしていつも通りの

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅牙、紫苑」

 

日常を過ごし始める




TCGひゃっほいの私です

ここまでの拝読ありがとうございました


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第79話 ソレハツライモノ、伝説の戦士でいこう

愛の平手打ち




のどか達は今、重い足取りで蒼咲家の前に居た

 

「悲しいけど、いつまでも落ち込んでいる訳にもいかないラビ!」

 

「蓮兄に元気になってもらわないとね!!」

 

インターホンを押す

 

少しするとバタバタと音がし、勢いよく玄関の扉が開かれた。のどか達は少しビクついてしまう

 

「あ、おはよう。皆んなしてどうしたの?」

 

「それは…」

 

ちゆは表情を暗くし口を閉じてしまう

 

「折角だし朝ご飯食べて行かない?」

 

「え!良いの!?」

 

「ひなたちゃん!?」

 

食べ物に食い付いたひなたはウキウキしていた

 

「良いよ。2人(・・)も待っているから」

 

「え?2人(・・)?」

 

のどかは蓮花の言った言葉に疑問を持った

 

家に上がり込みリビングへ行くと、衝撃的な光景を目にする

 

「「「「ッ!?」」」」

 

「え…何これ?」

 

「蒼咲さん…?」

 

「これは…」

 

「蓮兄これ何なの?説明して!!」

 

蓮花はキョトンとした顔をしていた。のどか達の言ってる意味が理解していなかった

 

「どうしたの?ねぇ紅牙、紫苑」

 

蓮花は空いた二つの席に言葉を飛ばす

 

「ねぇ蓮兄──」

 

「どうしたの?朝ご飯食べないの?」

 

いつも通りの表情。しかし、その瞳には光など無く不気味だった

 

信じたくは無かったが、蓮花は狂ってしまったとのどか達は察した

 

心苦しいが、ひなたは思い切って話す

 

「蓮兄、2人はもう……もう居ないんだよ!!」

 

「ひなた、そういうのは冗談でも言ったら駄目だよ?」

 

「何で…蓮兄の分からずや!!」

 

ひなたはボロボロと涙を流して、蓮花に対して怒りを感じていた

 

「蓮花コレを」

 

アスミは、机の上にあった血塗られた写真を見せつけた

 

「え、あ……ッ!?」

 

その写真を見せられて蓮花は頭を抱えて苦しみ出す

 

写真を見た事により、無意識に蓋をしていた記憶が蘇る

 

「あァ…あ、ガッ…!ア゛ア゛ァァァァァ!!!」

 

「蓮花!?」

 

「違う!違う違う違う違う違う違う違う違う!!!こんな事望んでなかった!!!」

 

尋常じゃない叫び。それ程昨日の戦いでの精神的ダメージは酷かったのだ

 

「蓮兄落ち着いて!ね?」

 

「…俺は落ち着いてるよ?」

 

叫んでいたらと思ったら、今度は急に落ち着き何事も無かった様に会話する

 

「え…ぁ…」

 

「蓮花、情緒不安定ペエ…」

 

「無理も無いと言ったらそれまでだけどよぉ…」

 

「心に深く傷付いてるラビ…」

 

「くぅ〜ん…」

 

言っといてあれだが、ひなたはこの瞬時の変わり様に言葉を無くしてしまった

 

(そういう意味で言ったんじゃない…)

 

「ご飯が冷めちゃう。早く食べようよ。紅牙と紫苑はもう食べ終わってるよ」

 

「ッ!!」

 

「ひなたちゃん!?」

 

「急にどうしたニャ!?」

 

ひなたは、机に広がっていた食器を床へと散らかす

 

「蓮兄いい加減にしてよ!!忘れてなんて言わないよ。だけど、これじゃあ紅兄と紫姉が可哀想だよ!」

 

「可哀想?」

 

「蓮兄、もう2人は居ないの」

 

蓮花は力無くその場で崩れ落ちる

 

「…何が分かる……お前に!!何が分かる!!?」

 

勢いよく立ち上がり、ひなたを壁に押し付け目の前まで迫る

 

「分かるよ!!でも分かんないよ!!」

 

「何言ってるんだよ…」

 

「アタシ達だって悲しいし!でも、だからといって蓮兄の気持ちも全部分かっているなんて思ってもない!!それでも!!」

 

押し付ける手に滴が落ちる

 

「それでも…何かの力になれる筈だよ!アタシ達、いつだってそうして来たじゃん!!」

 

押し付けていた手をがゆるりとズリ落ちる

 

「今の蓮兄を見たらきっと、紅兄と紫姉怒っちゃうよ」

 

「…ごめん……ごめんね…」

 

「ううん、蓮兄は何も悪くないよ」

 

「ごめんなさい…ごめんなさい……」

 

 

 

 

 

////////

 

「蓮兄落ち着いた?」

 

「取り乱してごめん…」

 

「もういいから。謝るの禁止ね!」

 

「さて片付けましょうか」

 

「え?何を?」

 

ちゆは床へと指を指す

 

「あ、あれは蓮兄の為であって…」

 

「別に構わないよ。それとひなた」

 

「何?」

 

「…ありがとうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい朝が、迎えようとしている




愛の溝打ち


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カルマエンド シアワセニクラソウネ

もし蓮花が正気に戻らなかったらという感じで

アスミが写真を見せたシーンからのスタートです


「あァ…あ、ガッ…!ア゛ア゛ァァァァァ!!!」

 

「蓮花!?」

 

「違う!違う違う違う違う違う違う違う違う!!!こんな事望んでなかった!!!」

 

アスミから写真を見せられ、暴れ、叫び、苦しみ出した

 

「れ、蓮兄」

 

「なんでぇ…おれはいつも、いつも……」

 

「…」

 

「くちゅん!」

 

ひなたが手を伸ばそうとする時、ラテがくしゃみをした

 

「ビョーゲンズ…」

 

「ひなたちゃん行こう」

 

「うん…」

 

蹲る蓮花を気にするが、今はお手当てを優先するしかなかった

 

玄関へ行く為歩き出すと服の袖を蓮花が掴んだ

 

「……な」

 

「蓮兄?」

 

「いくな……行くな!!」

 

蓮花はひなたを引き寄せ、外へ出さないよう抱き締める

 

「行かせるか!ひなただけは!!」

 

「お、オイどうしちゃったんだよ蓮花!?」

 

「黙れ!!」

 

いつの間にか果てしなき蒼(ウィスタリアス)を手に取り、のどかへと刃を向けていた

 

「蓮兄!…ぐッ、痛い!」

 

締める腕に力が一層増し、逆にひなたを苦しめていた

 

「何のつもりなんだよ蓮花!ひなたを離せよ!」

 

「うるさい!黙れ!ひなたを危険な所へ行かせるか!!」

 

「危険って…ひなたも居ないとビョーゲンズには勝てないラビ!」

 

「そんなのお前達だけでやれよ!俺は…俺はもう大切な人を失いたくない!」

 

蓮花の瞳には恐怖の色が染み込んでいた。紅牙と紫苑を同時に失い、正常の判断が出来ずにいる

 

「俺にはもうひなたしかいないんだ。ひなたが、ひなた」

 

「お願い蓮兄離して。早くしないとビョーゲンズが」

 

「駄目だひなた。ひなたは俺の側に居ろ。俺にはお前が必要なんだ」

 

「お願いです蓮花さん。ひなたちゃんを──」

 

のどかがひなたの手を取ろうとするが、蓮花はそれを手で振り払う

 

「寄るな!触るな!ひなたは俺のものだ!誰にもひなたを渡さない!俺にはひなたが必要なんだよ!!ひなたさえ居れば何も要らない!地球なんてどうでもいいんだよ!!」

 

「蓮花それは──」

 

「ひなたいないと何も出来ない…ひなたが居ないと生きる意味なんて…ひなたは俺の全てなんだ……全てなんだよ……」

 

「蓮兄…あっ…」

 

抱き締められる腕を見て初めて気付いた。震えていた

 

ひなたは瞳を閉じて

 

「…皆んな、アタシの事はいいから行って」

 

「ひなた何言ってるのよ!」

 

「蓮兄は!…今の蓮兄にはアタシが必要なの。だからさ!」

 

ひなたは笑顔を見せながら涙を流していた

 

「アタシが側に居てあげなきゃ!」

 

「「「……」」」

 

「くちゅん!」

 

「…分かったよ。じゃあ行ってくるね」

 

「「のどか!?」」

 

「それだとオレどうすればいいんだよ!?ひなたが居ないとオレ何も出来ないんだぞ!」

 

のどかだって納得などしていない。してたまるかと思っている

 

けれど、今の蓮花の心の穴を埋める事が出来るのはひなたしかいない

 

「ひなたひなたひなタひなたひなたヒナたひナたヒなタヒナたひなタ」

 

のどかは、ちゆとアスミの手を引いてその場を後にしようとする

 

「のどか待って!」

 

「ひなたがまだです!」

 

「ニャトランも来るラビ!」

 

「離せよ!」

 

「もうこうするしかないペエ!」

 

ニャトランも同様にラビリンとペギタンに引っ張られる

 

「ひなたちゃん!蓮花さんの事お願い!」

 

それを最後にのどか達は家を出て行った

 

 

 

 

 

////////

 

「ひなた。俺の可愛いヒなた。もう離さない。大好キだヨ」

 

「うん、アタシも大好きだよ」

 

あれから数週間の時が過ぎた

 

地球はビョーゲンズに支配されてしまった

 

のどか達プリキュア は敗北してしまったのだ。1人欠いた状態でのプリキュア は、その場凌ぎのお手当てしか出来なかったのだ

 

今も尚奮闘はしてるものの、それも時間の問題なのだ

 

そんな地球が最悪な状態でも、蓮花はひなたを抱き締めたまま動く事は無かった

 

ずっと、ずーっと、暗い部屋の中でひなたの事を想いながら暮らしてる

 

ひなたもそれを受け入れるしか無かった

 

「蓮兄…アタシ、蓮兄がどんな姿になっても大好きだよ。だからずっと待ってるよ」

 

それでもずっと待っている。いつかきっと、蓮花の心の穴を埋めれる事を信じて

 

それが何年掛かろうと

 

「ひなた、ヒナた、ひなタ、ひナた、ひなた」

 

「うん、側に居るよ」

 

「これかラモ、これからも、ずっとず〜ット────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シアワセニクラソウネ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

END




ひなた依存エンドで終わらせてみました

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク17 「「2人揃って降板ですか!?」」

開けゴマ!


第75話 「彼の最後の希望、願いを込めた祝福の希望(ベルフェホープ)」より

 

蓮花が花冠を作るシーンから

 

 

 

 

 

「……」

 

「あの…蓮花さん?」

 

「待って、あと少し…くっ!」

 

花冠を作るのに蓮花は少々手こずっていた

 

「ここを…こうして…どうだ!」

 

のどかの目の前に見せつけるが、一瞬で解けて崩れてしまう

 

「全く見てられんな」

 

「紅牙さん」

 

紅牙はいそいそと適当な花を摘み、サクッと花冠を完成させた

 

「ほらよのどか」

 

「ふわぁ〜!ありがとうございます!」

 

「フフン!」

 

得意げな表情で蓮花達を見つめる

 

(こうなった時の紅牙さんって…)

 

(ちょっと面倒なんだよね…)

 

 

 

 

 

////////

 

第76話 「刹那の思い出、彼が手に入れた幸せの証」より

 

紅牙が、祝福の希望を喚び出したシーンから

 

 

 

 

 

「俺達の希望で、お前を蹂躙してやる」

 

「プッ!希望で蹂躙って無理があるわ!」

 

「あ゛ぁ゛!?」

 

撮影中にも関わらず、紅牙は紫苑に掴み掛かる

 

「でも確かに無理がありますよね」

 

「ちゆまで!?」

 

「紅兄ってやっぱり厨二病じゃん!」

 

「黙らっしゃい!」

 

「厨二病…更に言葉を覚えました」

 

「今すぐ忘れろ」

 

 

 

 

 

////////

 

第77話 「終わらない絶望、抜剣者達よ永遠に」」より

 

紫苑が切られたシーンから

 

 

 

 

 

紫苑の上半身と下半身が見事に別れた

 

勢い乗ってしまった上半身は、そのまま放り投げ出され蓮花の目の前まで転がる

 

「し、紫苑…?」

 

「終わりだ。人間」

 

この時紫苑は思った。いくら演技とはこの状況はしんどいと

 

(私こういう雰囲気って苦手なのよね〜。何か適当な事を考えて紛らそうかしら)

 

頭の中で思い浮かべてみる

 

(撮影後のお菓子は何かしら?それと今日の夕飯の当番は私だ。麻婆豆腐なんて如何かしら?紅牙の分には大量の唐辛子を仕込んで…)

 

時間潰しに考えていたのだが、意外にも1人で盛り上がりいつの間にか笑みが溢れていた

 

「紫苑さん紫苑さん、笑ってますよ〜」

 

「…え、そうなの?」

 

 

 

 

 

////////

 

第78話 「これからも友達、彼女の見つけた居場所へ」」より

 

瀕死の紫苑との会話するシーンから

 

 

 

 

 

「まさか身体を上下真っ二つにされるなんてね……そうそうない経験だわ…」

 

「何こんな時に悠長な事言ってるんだ!」

 

「イリュージョン!!」

 

いくら撮影中とはいえ、この状況でのそれは不謹慎だった

 

蓮花はゴミを見る様な目で紫苑を見ていた

 

「不謹慎だったかな?」

 

「そう思うなら謝ったら?」

 

「…ごめんなさい」

 

蓮花に注意されて頭を下げる

 

「もういいですよ。顔を上げて下さい」

 

「いいの?ありがとうのどかちゃん!!」

 

赦してもらえ、のどか達の側へと駆け寄るが

 

「「「キャアァァァァ!!」」」

 

今の紫苑の体勢は、両手で這い蹲りながら猛接近して来た為、それを恐ろしく思ったのどか、ちゆ、ひなたの3人は悲鳴を上げながら逃げて行った

 

「待って〜!」

 

 

 

 

 

////////

 

第79話 「ソレハツライモノ、伝説の戦士でいこう」より

 

撮影後の話より

 

 

 

 

 

「派手にぶちまけたな」

 

「えへへ!」

 

「褒めてどうするんですか!?」

 

蓮花の説得の最中、ひなたが床へとばら撒いた食器類の片付けをしていた

 

「もう、こうやって後片付けをするのが嫌ですから反対したのに…」

 

キッとした目付きでひなたと紅牙へと視線を向ける

 

「アスミ、ゴミはこっち。ラテ、今走り回ったら怪我しちゃうよ」

 

「わん!」

 

ちゆは溜め息を吐く

 

「この調子で大丈夫ですかね。無駄な撮影費が嵩む様な気がします」

 

「大丈夫だよちゆちー。必要経費ってやつだし!」

 

「不必要よ。もう…」




閉じろゴマ!


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第80話 終わりは巡り、始まりは今日も廻る

はわっち

ではスタート


蓮花達は静かで誰も居ない場所、大樹の丘へと来ていた

 

そして蓮花達の先には始が立っていた

 

「仇打ちに来たと言うべきか。抜剣者としても、プリキュア としても、人間としても覚悟が出来たか」

 

「別に俺達は復讐心とか仇打ちとかで来た訳では無い」

 

「なら、何の為に?」

 

「約束です。最後までお手当てをする。それが紅牙さんと天道さんの約束ですから」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「統一しろ!原始の魔剣!」

 

 

 

「わたし達で、お手当てをするんだ!」

 

蓮花、グレースが飛び出し、残りの3人が死角へと回り込む

 

「悪いがその連携はもう見飽きた」

 

剣を突き立て、剣から氷が張り蓮花とグレースの足を凍らせた

 

「「「ハァァァ!!」」」

 

しかしながら、剣を突き立てて使えなくなった今ならとフォンテーヌ達は構わず攻撃へと移る

 

「「「ッ!?」」」

 

けれどそれも通じない。喚び出された魔剣によって阻まれたのだ

 

剣はひとりでに動きフォンテーヌ達を弾いた後、波動弾で攻撃し牽制する

 

「それなら!」

 

「これで!」

 

動けないとはいえそれは足だけ。とにかく遠距離からの攻撃に切り替えるも

 

「ハッ!」

 

直線的な攻撃。簡単に弾かれてしまう

 

「覚醒剣!──烈火連斬!」

 

「揺るぎなき曙光!」

 

「ぷにシールド!」

 

即座に守りを固めるが防げる筈もなく打ち砕かれる

 

しかし不幸中の幸い、足を固めていた氷も砕けて2人はやっと自由となる

 

それでも戦況は変わらない

 

「実りのエレメント!」

 

「雨のエレメント!」

 

「雷のエレメント!」

 

「音のエレメント!」

 

だとしても諦める事はしない。すぐさま体勢を立て直し4人同時にエレメントの力を放つ

 

「ダァッ!」

 

原始の魔剣を思いっきり叩き付け、その衝撃で地面が盛り上がりエレメントの攻撃を全て防ぎきった

 

「スパークルは火のエレメントを!アースは空気のエレメントを!」

 

「分かったよ蓮兄!──火のエレメント!」

 

「はい!──空気のエレメント!」

 

火のエレメント攻撃に、空気のエレメントが合わさり更に火力を倍増させた

 

「例えどんな策を練ろうと無意味だ!」

 

原始の魔剣で水流の渦を発生させ、パワーアップしたエレメントの攻撃すらも打ち消した

 

「何百という数の能力を秘めているのだ。エレメント程度、全て潰してくれる!」

 

始は原始の魔剣を空に掲げた

 

「見せてやろう!本当の自然の力というものを!!」

 

晴れ晴れとしていた空が曇り空となり、雷を鳴らしていた

 

「何を…風?」

 

曇と同時に風も少しずつ吹き始めた。そして突然の竜巻き

 

「「「「うわぁぁぁ!?」」」」

 

抵抗する間もなく全員が竜巻きに煽られ、空へと飛ばされた

 

「ちょ!すんごい風!」

 

「風ってレベルじゃねーぞ!?」

 

「とにかく体勢を整えるラビ!アース出来るラビ?」

 

「これ程までの強い風となりますと、わたくしでは対処出来ません!」

 

「アース!それなら俺と一緒にやるよ!」

 

蓮花は時を経て繋がる二つの風、アースはアースウィンディハープを片手に構える

 

「いっせ〜の…痛!?」

 

回転する竜巻きに対して、逆回転の風を掛けて脱出を図ろうとする時、蓮花の頬に何かが掠った

 

「痛た!?ちょ〜痛かったんだけど何これ?」

 

「これは…石です!蓮花さん石が!」

 

「石だけならまだ良いが…」

 

下を良く見ると、竜巻きの影響で地面が抉れてその破片が風に乗って蓮花達に襲い掛かって来た

 

体中に打ち付ける石礫が視界を塞ぎ、痛めつける

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「雷帝閃光!」

 

 

 

眩い閃光が竜巻きの中へ落ちて行く

 

一瞬で竜巻きは電撃を纏い、中にいる蓮花達を焼き焦がした

 

力を無くした蓮花達は、竜巻きに飛ばされ地面へと叩き付けられた

 

「ぅ…ぅ……」

 

「くっ…」

 

「ぁ…あぁ……」

 

「はぁ…はぁ…」

 

今の一撃でグレース達は満身創痍

 

「は、グッ!」

 

蓮花も立ててるものの、それでもやっとと言ったところだ

 

「どんなに吠えようが足掻こうが無理と分かっただろ?そろそろお手当てを諦めて死ね」

 

「それは無理です…!」

 

始の言葉を否定し、逆に自分を鼓舞して足に力を入れる。

そしてその言葉に続いて他の皆も立ち上がる

 

「どんなに無理と分かっていても!」

 

「アタシ達は!」

 

「諦めません!」

 

「ッ!」

 

蓮花は最後の力を振り絞り、始に迫り鍔迫り合いに持ち込んだ

 

「これ程の差を見せつけても諦めないのか?」

 

「俺達は諦めない!」

 

「既に限界の筈だ。その状態で勝てるか!」

 

「それでもやるんだ!皆んなの想いを背負ってお手当てしてるんだ!限界なんて何度でも超えてやる!!」

 

「チッ!だったら──」

 

「「これで決めてやる!!」」

 

2人同時に飛び出した

 

「真・覚醒剣!」

「覚醒剣!」

 

揺るぎなき曙光と原始の魔剣が激突する

 

お互い一歩も引かず剣での打ち合い。互角と思えるも蓮花が僅かながら押されている

 

「ッ!!」

 

「グゥウ!!」

 

原始の魔剣が遂に蓮花を捉えた。脇腹に深く突き刺さる

 

「トドメだ!!」

 

「うぉぉぉぉおお!!」

 

蓮花は咄嗟に揺るぎなき曙光を分解し、3本へとバラけさせた

 

果てしなき蒼(ウィスタリアス)が原始の魔剣を抑え

 

「覚醒剣!」

 

不滅の炎(フォイアルディア)翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)で切り掛かる

 

炎と風の乱舞が始を傷付ける。無我夢中に、只ひたすらに目の前の敵に向かって

 

「舐めるなァァァ!!」

 

しかしその剣舞に強引に割り込み弾き返した。完全な無防備と化してしまった

 

「終わりだァァァァァァ!!」

 

「いや、まだだ」

 

その時、吸い寄せられて蓮花は後ろへと下がったのだ

 

(なっ…!?)

 

秘密は先程の乱舞の時だ。

不滅の炎と翠遠の息吹を振り回す際に、小さな竜巻きを作っており、それによって後ろへと下がる事が出来たのだ

 

そして、蓮花に気を取られて始は4人の存在を忘れていた

 

「別に狙っていたんじゃないよ。只俺は信じていただけ。皆んなの事を!!」

 

入れ替わりでグレース達4人が前へと飛び出した

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

 

放たれた浄化技で始は呑み込まれてしまった

 

 

 

 

 

////////

 

「まさか俺が、こんな青二才共に負けるなんて……ククク…ハッハッハッ!!」

 

始の体は黒い光へと変わっていく。 

プリキュア の浄化技をまともに受けたのだ。

人間の時ならともかく、ビョーゲンズの力を得た事が仇となってしまったのだ

 

高笑いをしていた始だが、急に目付きを変えて鬼の形相で睨み荒々しい声を上げる

 

「ふざけるな!!ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなァァァァァァァァァ!!!」

 

「…」

 

「きっとお前達は後悔する!醜い争いによって地球は壊れ、破壊され、そして残酷に蝕まれる!!!」

 

「だったら何度でもお手当てするまでだ」

 

「そう、だったな。お前は昔からそういう奴だった…」

 

始は蓮花の頭に手を乗せ、笑顔で言葉を掛ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前みたいな奴がいるから世の中蝕まれるんだよ」

 

それを最後に原始の魔剣を残して始は消えた

 

「……元々出会わなければこんな思いはしなかった」

 

「蓮兄…」

 

「でも、出会わなければ今の俺はいない」

 

蓮花は皆んなの方へ向き、最高の笑顔で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今の俺、最高に生きてるって感じ!」




最初からクライマックスでひた

ここまでの拝読ありがとうございました


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第81話 素晴らしい世界、蒼咲蓮花の…追懐

まさかの追懐

ではスタート


「ッドン!!」

 

突然の脅かしで、蓮花と紅牙は身体を縮こませる

 

「ッ!?心臓に悪いだろ!!!」

 

「え〜」

 

「反省する気無いね…」

 

「ええ!それが私だもの!」

 

フンスと誇った表情をして、更に2人を困らせる

 

「紫苑は人を驚かせるのが得意ですね。わたくしも見習わなくてはいけませんね」

 

「紫苑みたいな人間がもう1人居たら、俺達いつか絶対心臓止まって死ぬぞ」

 

「大袈裟ですよ鬼麿さん」

 

「でも、それ程紫苑さんは脅かすのが上手いですよね」

 

のどか達が団欒と話す中で蓮花は、お茶と手作りの茶菓子を持って来る

 

「蓮兄の手作りだ!やった〜!!」

 

「「ありがとうございます!」」

 

「はむ!はむ!」

 

「アスミン食べるの早ッ!?」

 

「オレ達の分まで残してくれよな!」

 

「それにしても…」

 

片腕が無い割には精巧に作られた茶菓子。ペギタンは疑問に思った

 

「こんな細かくどうやって作ったペエ?」

 

「結構苦労したよ。仕方ないから、わざわざ魔剣取り出して左腕も使ったよ。魔剣を背負いながら」

 

のどか達全員が想像する。そして思う

 

(((シュールだ…)))

 

「それはシュールって言うのですね!」

 

「アスミちゃん正解!最近色んな事を覚え始めたわね!偉い偉い」

 

「フフ、ありがとうございます!」

 

「余計な事は覚えるなよ。ラテ来いよ」

 

紅牙はラテを膝の上へと乗せて顎を優しく撫でる

 

「紅牙、ラテちゃんは犬よ。猫じゃないのよ」

 

「いいじゃねぇか。なぁラテ」

 

『気持ちいいラテ。それに、紅牙からいい匂いがするラテ』

 

「どうよ!」

 

わざわざ聴診器を使ってまでラテの言葉が聴きたかった

 

そして、ラテを抱き上げて頬擦りする

 

「嗚呼、ラテもそうだがヒーリングアニマルが可愛い過ぎる。貴方方は神の使いか?」

 

「照れるラビ〜!」

 

皆んながリビングでワイワイやってる時、台所で片付けをしてる蓮花にのどかが話し掛ける

 

「蓮花さん宜しいですか?」

 

「どうしたの?」

 

「わたしにも今度作り方教えて下さい。今度はわたしが皆んなに食べさせてあげます!」

 

「そうか。それじゃあ教えてあげる。のどかの手作りのお菓子楽しみにしてるよ」

 

2人で話してると間に紅牙と紫苑が割って入ってくる

 

「お菓子作りなら蓮花より俺だろ!のどか、今度俺と作ろうぜ!」

 

「毎回ミリ単位で計ってる奴と一緒だと疲れるわ。のどかちゃん、私と作りましょう!」

 

「え、えあ…」

 

迫る2人に困惑するも

 

「で、では皆んなで作るのはどうですか?」

 

「お〜そうだな。その方が面白そうだしな」

 

「賛成よ」

 

「紫苑、お前より美味く作ってるやる」

 

「それはこっちの台詞よ!」

 

 

 

 

 

////////

 

「なんて事もあったね」

 

蓮花は棚に飾ってある写真を見て呟いていた

 

「蓮花さ〜ん!皆んな揃いましたよ〜!」

 

「は〜い!」

 

蓮花は荷物を背負い、のどか達が呼ぶ玄関へと歩き出す

 

そして振り返り笑顔で

 

「行ってきます。紅牙、紫苑」

 

写真に映る2人にそう言って出掛けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『行ってらっしゃい』』




ここまでの拝読ありがとうございました


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第82話 突入ビョーゲンキングダム♥ヒーリングアニマルの想いを乗せて!

時間がなかった。サブタイ今までの中で一番長いや

ではスタート


「ひなたちゃん遅いですね」

 

「15分遅れ…」

 

「いつもの事ですね」

 

蓮花達は、久し振りに皆んなでお出掛けしようと集まっていたのだが、ひなただけ遅刻をしており4人は待ち惚けていた

 

「でもわたくし、こうして誰かを待っている時間を嫌いではありません。何だかワクワクしませんか?」

 

「分かる〜!」

 

「でも限度というものがあるわ。全くひなたは…」

 

「まぁまぁ…っと噂をすれば何とやらだ」

 

丁度タイミング良く噂していた本人から着信が掛かってきた

 

「もしもしひなた、皆んな待っている……あ、うん分かった。皆んなに伝えるよ」

 

楽しい表情から一変し、眉を顰めて携帯を切った

 

「悪いけど皆んな、お出掛けは中止だよ」

 

「急にどうしたラビ?」

 

「ひなたとニャトランが、ビョーゲンキングダムへの出入り口を発見したらしいんだ」

 

 

 

 

 

連絡のあった場所へと来てみると、ひなたの言う通りそれらしい出入り口となる穴があったのだ

 

「どっからどう見ても罠だな」

 

「そうですね。いくら何でも本拠地へと続く道を開きっぱなしにするのは有り得ないわ」

 

「でも、確かにキングビョーゲンを浄化するチャンスだよね?」

 

「キングビョーゲンとは、どれくらい強いのですか?」

 

「とにかく強いペエ。テアティーヌ様でさえ浄化し切れなかった相手ペエ…」

 

現状の戦力では歯が立たないと言われた。それ程までに相手は強大なのだろう

 

「でも、今のキングビョーゲンはテアティーヌ様と相打ちとなって弱ってる筈ペエ」

 

「もしかしたら!」

 

「なぁ〜に言ってんだ!ビョーゲンキングダムがどんなに危険な場所かオレ達も分からないんだ!そんな所にひなた達を連れて行けるか!!」

 

ラビリンとペギタンは突入する事に迷いはあるものの、チャンスと思い行く事に決めようとするもニャトランは猛反対する

 

無理もない。何せビョーゲンキングダムについての情報が一切無いのだ。道中だとしても何があるか分からない

 

「行こうよ」

 

しかし、ニャトランの猛抗議に割り込み意外にもひなたが誘い込む

 

「ちょ、おま!ちゃんと考えたのか?興味本位だったら駄目だぞ!!」

 

「考えたよ。前のアタシならビビって辞めようと言ってたと思う。でも、やってみたら何か変わるって分かったから!チャンスだもん。行った方が良いと思う」

 

その言葉で全員が賛同し頷く。それを見たニャトランは唸り迷っていた

 

「う〜〜……分かった!!ひなたが行くって言うのにオレが行かないのは有り得ないからな」

 

ニャトランも迷いを振り払って行く事を決意した

 

「それじゃあ行くよ」

 

1人ずつ順番にその出入り口に潜り抜けた

 

全員が潜り抜けた後で穴は閉ざされてしまった。

そしてその様子を、開きっぱにした張本人であるグアイワルが近くでその様子を見ていた

 

「掛かったな。プリキュア 、抜剣者。ハハハハッ!!」

 

グアイワルが笑う姿を更に遠く、レンカも蓮花達とグアイワルを見ていた

 

「本当にその選択が良かったのか?また同じ過ちを繰り返す羽目になるぞプリキュア 」

 

 

 

 

 

////////

 

ビョーゲンキングダムに突入した蓮花達。道中危険な罠などと遭遇もしたが、蓮花とアスミが排除してくれたお陰で難無く進む事に成功する

 

長く険しい道のりだったが、ようやく広い場所へと出れた

 

そして、何処からともなく声が聴こえてきた

 

『ほう、ネズミでも迷い込んだかと思えばヒーリングアニマルか?』

 

「この声は!」

 

「キングビョーゲンペエ!」

 

『という事は、その人間共がプリキュア か?』

 

「何処だ!居るのは分かっているんだ!姿を現したらどうだ!?」

 

蓮花の声に反応して、空にキングビョーゲンと思われる顔が浮かび上がる

 

『わざわざ此処に足を踏み入れるとは、命が要らないとみえる』

 

「ラビリン達が来たからには好き勝手はさせないラビ!ヒーリングアニマルの名に掛けて!」

 

「テアティーヌ様に託されたヒーリングガーデンの代表として!」

 

「お前が地球を蝕むのを此処で止めてみせるぜ!」

 

「わん!わんわん!!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「真剣覚醒!」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

 

 

『あれがキュアアースか。報告通り古のプリキュア と似ている。その実力は如何程かな?』

 

「来るわよ!」

 

フォンテーヌがいち早く危険を察知するのと同時に、キングビョーゲンが攻撃を仕掛けて来た

 

荒れ降るう光弾の雨を全員回避する

 

だが、キングビョーゲンは必要以上にアースに狙いを定めて攻撃の手を緩めない

 

「アース!」

 

援護しようと蓮花が走り出す

 

アースも負けじと逃げる体勢から切り替えて、攻撃の嵐を掻い潜りながら飛び蹴りをする

 

「ハァァァッ!」

 

しかし

 

「え!?」

 

アースの攻撃は当たりはしたがすり抜けたのだ

 

『無駄だ!』

 

「ああっ!」

 

理解出来ない事が起きて空中で止まっている所に、容姿無く攻撃が炸裂した

 

「だったらこれでどうだ!」

 

ジャンプしてキングビョーゲンの背後を陣取った蓮花。果てしなき蒼の波動エネルギーを刀身に集中させ切り掛かる

 

 

「覚醒剣!」

 

「蒼穹無限・応用編!」

 

 

だがこれもすり抜けた。切ったのはキングビョーゲンではなく地面だった

 

「果てしなき蒼の浄化技でも駄目なのか!?」

 

『知っておるぞ。古のプリキュア と歯向かっていた抜剣者。しかし今の一撃で実力は測れた。故に弱い!!』

 

先程までの攻撃とは違い、一点に凝縮しての砲撃を繰り出す

 

所有者の危機を感知した不滅の炎と翠遠の息吹が出現し、果てしなき蒼と共に結界を張り防ぐも

 

「このォォォ!!」

 

空中での受け身では踏ん張りが効く筈も無く、地面に押し込まれてしまった

 

「実態が無いというの!?」

 

「一体どうやって戦えば良いの?」

 

攻撃は容赦無く続く。避けるばかりで何も出来ない

 

「だったら片っ端から弾くしか無いっしょ!」

 

グレース達は、それぞれエレメントボトルをステッキにセットして対抗する

 

「実りのエレメント!」

 

「氷のエレメント!」

 

「火のエレメント!」

 

何とか攻撃は全て撃ち落としてはいるが、途切れる事は無い

 

「キリが無いペエ!」

 

「続けるラビ!きっといつか隙が生まれるラビ!」

 

そして終わりが突然やって来た

 

「止まった?」

 

突如キングビョーゲンは攻撃の手を止めたのだ。

その代わり、キングビョーゲン真下の地面から黒いモヤが出て形取り始めた

 

それは人型へとなった

 

「何コイツら!?」

 

人型のソレは3体現れてグレース達に襲い掛かった

 

『お前達が戦える様実態を持たせてやった。プリキュア の力我に見せてみよ!!』

 

実態を持ったからと言って戦い易くなったなど大違いだった

 

どの個体もパワー、スピード、そして予測不能な動きに付いて来れず圧倒される。

単調な攻撃しかしてこなったキングビョーゲンより、厄介な相手をする事になってしまった

 

「わん!わん!」

 

ラテが声を掛けて蓮花とアースを立ち上がらせる

 

「蒼穹無限!」

 

「音のエレメント!」

 

蓮花とアースが3人に群がるソレを分断させた

 

「今ラビ!」

 

 

 

「「「エレメントチャージ!」」」

 

『『『キュン!キュン!キュン!』』』

 

「「「ヒーリングゲージ上昇!」」」

 

「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

「プリキュア !ヒーリングストリーム!」

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!」

 

 

 

3人同時に仕掛け直撃させた

 

「「「ッ!?」」」

 

だが浄化どころか傷ひとつ付かず佇んでいた

 

「そんな…」

 

「ダメか…」

 

「諦めたら負けラビ!頑張るラビ!」

 

ソレが走って来た

 

「「「ぷにシールド!」」」

 

拳での攻撃をシールドで防いだが、腕を変化をドリルの様にさせて強引にぷにシールドを突き破った

 

「「「うわあぁぁぁ!!」」」

 

「皆さん!」

 

アースが駆け寄るも、背後からキングビョーゲンの攻撃で吹き飛ばされてしまう

 

急いで蓮花は迎撃に向かう

 

キングビョーゲンからの攻撃を果てしなき蒼の結果で防御しつつ、両手で不滅の炎(フォイアルディア)翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)を持つ

 

そして地面に剣先を擦り付け、火花を散らしながら技の体勢へと繋げる

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「炎帝翠嵐!」

 

 

 

炎を身に纏い、風でそれを渦にして攻撃力を高めるも

 

「何!?」

 

2体が剣2本を押さえ付けて技を止めたのだ

 

そして残りの1体が蓮花を蹴り飛ばした

 

「わん!」

 

ラテも立ち向かうとするも

 

「わぅんっ!」

 

拳による衝撃波で呆気なく吹き飛んだ

 

『その程度の力でよくとプリキュア を名乗れものだな』

 

「グレースしっかりするラビ…!」

 

「フォンテーヌ!」

 

「スパークル!」

 

『お前達の声など届かない。半人前のヒーリングアニマルの声などな』

 

改めて思い出される悔しくて苦い記憶

 

『お前達はあの戦いの中で何処かで隠れて居たのだろう?役立たずのヒーリングアニマルと、力の無い名ばかりの王女が束になったところで何も出来やしない』

 

「…やっぱりボク達じゃ無理なんだペエ」

 

「地球をお手当てどころかパートナーをこんな目に合わせて…!」

 

「うっ…っ!半人前のラビリン達じゃあ…っ…何にも…何にも守れないラビぃ…!」

 

悔しくて、不甲斐なくて、半人前な自分達に嫌になって泣くラビリン達だが、グレース達はステッキを強く握り締める

 

「一緒なら守れる…」

 

「これまでだって一緒に守って来たじゃない」

 

「アタシ達パートナーじゃん?」

 

「わたくしは、ラテの望みを叶える為に此処にいるのです」

 

「半人前なら、パートナー達と一緒に一人前になれば良いさ」

 

「一緒なら負けない。だから頑張ろうラビリン!」

 

身体に力を込め、何とか全員自力で立ち上がった

 

「まだまだペエ!諦めないペエ!」

 

「オレ達は最強のパートナーだ!」

 

「まだ半人前かも知れないけど、地球をお手当てしたい気持ちはもっともっと強くなったラビ!これくらいじゃ、まだ折れないラビ!!」

 

「わん!わん!」

 

『プリキュア …抜剣者…!』

 

キングビョーゲンは立ち上がる蓮花達を見て遥か昔の記憶を思い出す

 

絶望的な状況でも諦めず立ち上がる古のプリキュア 、ヒーリングアニマル、抜剣者の姿を

 

『その希望を持った目。忌々しい…』

 

キングビョーゲンは実態の持ったソノ3体を退かせた

 

『遊びは終わりだ!消し飛べプリキュア !抜剣者!』

 

一気に片をつける気だ。今までとは比べられない程のエネルギーの塊を放った

 

「「「ぷにシールド!」」」

 

「負けないラビ!」

 

「アース手を貸して!」

 

「はい!」

 

アースは更にラテと頷き合った

 

「舞い上がれ!時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

「空気のエレメント!」

 

蓮花の魔剣の力、エレメントの力、ラテから放たれる光りが合わさりグレース達の力を底上げするだけではなく、攻撃を押し返しキングビョーゲンにダメージを初めて負わせた

 

「これで決めろ!!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

『ノアァァァァッ!!?』

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

「終わったの?」

 

「多分…」

 

激戦の末、終わってみたら案外あっさりとしてしまった為か未だに浄化した事に信じられないでいた

 

「ねえアースつねって」

 

「はい」

 

「うぎゃ!強過ぎ!?」

 

「すみません」

 

「こんだけ痛いって事なら夢じゃ無いよね?」

 

「えぇ夢じゃない。わたし達キングビョーゲンを浄化したのよ!」

 

フォンテーヌの言葉でグレースとスパークルは大はしゃぎする。

ビョーゲンズ全てを浄化しては無いが、それでも親玉であるキングビョーゲンを浄化したのだ

 

「…」

 

「どうしたのですか蓮花?」

 

グレース達が喜ぶが、蓮花は難しい顔をしていた

 

(何だろうこの感じ。一番の強敵であるキングビョーゲンは倒したというのに…この胸騒ぎは一体?)

 

「礼を言うぞプリキュア 。抜剣者」

 

背後、声がしたそこにはグアイワルが立っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まだ、戦いは始まったばかりだった




一話書くのに時間が掛かり過ぎたと思った

ここまでの拝読ありがとうございました


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第83話 挫ける涙♥支えるパートナーと友達!

眠いっす…

ではスタート


キングビョーゲンを浄化した直後、蓮花達の前にグアイワルが現れた

 

「さっきの言葉はどう言う意味だ?」

 

「そのままの意味だ。お前達は俺の作戦通り此処に来て、キングビョーゲンを片付けてくれたのだからな」

 

「何でお前がキングビョーゲンを?」

 

当然の反応だ。キングビョーゲンはビョーゲンズのボス。それなのに、ボスを倒した事に怒る事も悔しがる事はしなかった。寧ろ喜ばしい事と評した

 

「決まっている!」

 

グアイワルは自分が持っているありったけのメガパーツを一度に、それも大量に体内に埋め込んだ

 

グアイワルから邪悪なオーラが大量に放ち、その姿を変える

 

「俺がキングになる為だ!!」

 

正しくその通りマントを羽織り、頭には王冠を被っていた

 

「良いぞ!力が漲っている!『キンググアイワル』の誕生だ!」

 

そこへ、異変を感じたダルイゼンとシンドイーネが同時に現れた

 

「グアイワル、これはどういう事だ?」

 

「良いところに来た。喜べ、今日からこのキンググアイワルがビョーゲンキングダムの王だ!」

 

「はぁ?冗談は筋肉だけにしなさいよ」

 

「冗談ではない。俺はずっと考えていたのだ。あんな浮いてるだけのモヤよりも、俺こそがキングに相応しい。だから邪魔者はプリキュア に片付けさせた」

 

「ッ!」

 

スパークルは事の重大さに気づいた

 

「良くて相打ちかと思っていたが、最期まで片付けてくれるとは悪くない働きだったぞ。プリキュア 、抜剣者」

 

「嘘よ!キングビョーゲン様があんな奴らになんか負ける筈がない!」

 

「でも、気配は一切感じない」

 

「嫌よ!信じないわ!私は絶対キングビョーゲン様を見つけ出してみせる!」

 

シンドイーネは、グアイワルの事をキングとは認めようとせず、キングビョーゲンを捜しに当てもなく消えて行った

 

「お前はどうだダルイゼン?」

 

「別に。俺は地球を蝕んで住み心地が良い世界が出来れば、誰がキングでも関係無い」

 

「そうか、ならば見ていろ。コイツらを片付けてすぐに地球を蝕んでやる!」

 

降り立って襲い掛かって来た。一度散開して敵の注意を散乱させようとするが、グアイワルは1人ずつに狙いを絞って最初にグレースを追い掛けた

 

「ウラァ!」

 

「きゃあぁ!!」

 

たった一撃でグレースは岩壁まで吹き飛んだ

 

「グレース!…きゃあ!」

 

フォンテーヌも人蹴りで岩壁へと吹き飛ばされた

 

「手を出すなよダルイゼン。進化した力を試したい」

 

「じゃあお手並み拝見」

 

「フッ!」

 

ダルイゼンとの会話で余所見の隙を突いてアースは拳を入れるも、簡単に片手で受け止められてしまった

 

「緩い!」

 

「ッ!」

 

アースもグレース達同様に投げられた

 

「力を試すには相手が弱過ぎた…ん?」

 

喋ってる途中、グアイワルの背後に蒼、橙、翠のエネルギー弾が直撃する

 

「キュアアースでも相手にならんと言う事は、残る歯応えのある奴はお前だけになるな抜剣者」

 

蓮花は果てしなき蒼(ウィスタリアス)を両手で握り、両肩の上に不滅の炎(フォイアルディア)翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)を携えて、地面を滑る様に接近する

 

「食らえ!」

 

渾身の一撃で振り抜くが、傷を付けるどころか最後まで振り切れず頑丈な身体で受け止められた

 

「何!?」

 

「今の俺は抜剣者を凌駕している!」

 

「うぐっ!」

 

グアイワルの手が蓮花の頭部を掴む

 

「クソ!」

 

果てしなき蒼の柄で掴む手を殴ったり、不滅の炎と翠遠の息吹が腕を切り付けるも微動にしない

 

「ちまちまとした攻撃…ハエか!?」

 

蓮花の頭部を地面に叩き付けた後、倒れて動かないのを良い事に蹴り付けて土煙りを巻き上げながら転がる

 

「火のエレメント!」

 

正面から火のエレメントをぶつけるも、身体で受けては弾いた

 

「ハァァァッ!」

 

それでもスパークルは接近し連続攻撃を繰り出すが、全て受け流される

 

「礼を言うぞキュアスパークル。貴様なら必ず罠にハマると思っていたぞ」

 

「こんの!!」

 

「おっと」

 

「きゃあ!」

 

「スパークル!」

 

がむしゃらに出す攻撃を避けてスパークルを蹴り飛ばす

 

「ッ!」

 

けれど空中で体勢を立て直し岩壁を足場にして再度突っ込む

 

「ウワァァァァ!!」

 

「落ち着けスパークル!」

 

何の考えも無しに只拳を全力で振り抜く。俊敏なスパークルなら取られられる筈が、冷静を欠いてる為動きが散漫になって当たらない

 

「教えてやろう。パンチとはこうするのだ!」

 

「ッ!うぅ…!!」

 

強力な拳だが、直前でニャトランがぷにシールドで防いだ。けれど一瞬で破られた

 

「ぷにシールドが!?」

 

「終わりだ」

 

「雨のエレメント!」

 

復帰したフォンテーヌが間に入って、スパークルの追撃を阻止した

 

「「「ハァァァッ!!」」」

 

そして蓮花、グレース、アースも同時に仕掛けるが容易くあしらわれた

 

「フン!」

 

「きゃあ!……ぁ」

 

「スパークル大丈夫?」

 

「あまり気負うな」

 

疲れが見え始めたスパークルは膝をついてしまう

 

一方でフォンテーヌとアースの2人掛かりで相手をしていたが、全くもって相手になってなかった

 

「これが全力か?」

 

「グレース行くラビ!」

 

「うん!」

 

「ッ!」

 

グレースが走り出すと同時にフォンテーヌも飛び出す

 

「ハァ!…きゃあ!」

 

「フォンテーヌ!…きゃあ!」

 

攻撃しようとしたが腕を掴まれて投げ飛ばされ、グレース事巻き添いを食らってしまった

 

投げ飛ばされただけとはいえ、2人は岩壁を何枚も貫通しては変身が解除され戦闘不能となってしまった

 

「のどか!ちゆ!」

 

アースが2人を救出しようと走るが、グアイワルがそれを阻む

 

「どうした?守ってばかりでは何も変わらんぞ!」

 

アースに攻撃し続けるが、その時蒼い縄上の物がグアイワルの体に巻き付いた

 

「大人しくしろ!」

 

それは蓮花の左腕だった

 

「で、それから?」

 

「舐めるな!」

 

蓮花は軽くジャンプして足を浮かせた後、左腕を縮ませて一気にグアイワルとの距離を詰める

 

縮まる勢いを利用してそのままタックルをかますが、体格の差故に通用しなかった

 

「その程度じゃあビクともせんわ!」

 

「だろうね!でもいくら頑丈だからと言っても、この距離で食らえばひとたまりもないだろ!」

 

蓮花は、グアイワルの腹に果てしなき蒼の剣先を突き付ける

 

「蒼穹無限!」

 

ゼロ距離での蒼穹無限がグアイワルの腹を襲い大きな爆発がする

 

グアイワルは下を向いてピクリともしなかった

 

「はぁ…はぁ…どうだ!」

 

「今のはそれなりに効いたと言ったところだな」

 

しかし、ゼロ距離での蒼穹無限でも無事だった

 

「フンッ!」

 

グアイワルは左腕を引き千切り拘束を解いた

 

「やばい…しまった!」

 

一度離れようとしたが体力の限界か、足がもつれて尻餅をついてしまう

 

「オラよ!」

 

「ッ!」

 

両手でハンマーを作り蓮花を叩き潰そうとするが、瞬時に魔剣3本が結界を張り守ろうとする

 

「なんて力だ…!」

 

しかしグアイワルの力は、果てしなき蒼らの魔剣を超えていた。

三重で張っていた結果も破られた

 

蓮花までも倒れてしまった

 

「さて残るは…」

 

「くっ…あ」

 

アースへと狙いを変えてグアイワルだが、その背後でスパークルが浄化技の体勢に入ってる事にアースは気付いた

 

「どうした?諦めたのか?」

 

「いえ、そんな事はありません」

 

アースが不敵に笑いグアイワルは察した。後ろを振り返ればスパークルが立っていた

 

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!!」

 

 

「グッ…ヌオォォ!!」

 

「絶対アタシが浄化する!!」

 

スパークルの浄化技をグアイワルは正面から受け止める

 

「オオォォ!!」

 

そしてグアイワルは、スパークルの放った技を受け流してあらぬ方向へと飛ばした

 

「そんな…!」

 

全力の一撃を持ってしても通用しなかった

 

スパークルは実力差を見せつけられ、絶望してその場にへたり込み変身が解けてしまった

 

「わふ?」

 

打ちひしがられるひなたにグアイワルはトドメをさす

 

「音のエレメント!」

 

咄嗟にアースはエレメント技を地面に放ち、大きな土煙りを巻き上げた

 

「チッ!」

 

煙が晴れとアースとひなた、蓮花達の姿は見当たらなかった

 

 

 

 

 

ひなたとアスミは、負傷したのどかとちゆを抱えてその場を離れていた

 

「少しでも奴らから離れるラビ」

 

「逃げるのが最優先だな」

 

アスミ、ひなたと一列で並ぶ最後尾で蓮花が転んでしまう

 

「蓮花大丈夫ペエ!?」

 

「だ、大丈夫。ラビリン達の言う通り先ずは避難しよう…休める場所でのどかとちゆの傷を手当てしないと…がはッ!」

 

蓮花は口から血を吐いてしまう

 

「ぐぅ…魔剣の力を使い過ぎたか」

 

「ゆっくりで良いラビ」

 

「ごめん…」

 

 

 

 

 

////////

 

何とか逃げおおせた蓮花達は、翠遠の息吹で治療しつつ今後の事を考えていた

 

「これからどうするペエ?」

 

「もう一度、キンググアイワルを浄化しに行こう。このままだと、もっと悪い事が起きるかも知れない」

 

「そうね。やるしかないわね」

 

「最初からそれしかないけどね」

 

「くちゅん!」

 

改めてキンググアイワルを浄化しようと意気込む時、ラテがくしゃみをする

 

「くちゅん!くちゅん!」

 

それも一回だけでは無い

 

『皆んなの街が泣いてるラテ…』

 

「街ってすこやか市が蝕まれているの?」

 

「早くお手当てするラビ!」

 

「でも、此処を出るにはどうしたら…?」

 

今すぐにでも街には戻りたいが帰り道が分からない

 

「アスミの力ですこやか市まで戻らない?」

 

「ワープには風のエレメントの力が必要です。ですが、此処は風だけではなく他のエレメントの力も感じません」

 

「どういう事ペエ?」

 

「完全に蝕まれているのでワープは出来ないのです…」

 

唯一の手段であるワープでさえも不可能と言われた

 

完全に帰る手段を失ってしまった

 

「…ごめん、全部アタシのせいだ。アタシがグアイワルの罠にハマったせいで取り返しのつかない事をしちゃった」

 

「別に何もひなただけのせいじゃない。俺達だって決めた事なんだ」

 

「アタシのせいだよ!!だって、ニャトランは反対したのにアタシが行こうなんて言ったせいで、皆んなも地球も困っちゃってるじゃん」

 

「こんな事にになるなんて誰も思わなかったわよ」

 

自分を責めるひなたを必死にフォローしようとするが、今のひなたにはそんなの関係なかった

 

「ううん分かってた…何やったってアタシはぁ……アタシは失敗する…ちゃんと考えたつもりでも間違えてて、迷惑掛けて……やっぱりアタシ…何もしなければ良かった…っ」

 

かつてない程の自責の念に耐え切れずひなたは泣き出してしまった

 

蓮花達も言葉を失っていた時

 

「オイオイ何泣いてんだよ?」

 

そんな時、いつもの調子でニャトランが話し掛けたのだ

 

「お前に振り回されるのオレは好きだぜ。誰だって失敗はするもんさ」

 

「でも、アタシは…」

 

「お前、失敗ばっか覚えてるから凹むんだよ。上手くいった時もあったじゃねぇか」

 

「そんなの、無い」

 

「あるよ」

 

無いと言うひなたにのどかが食い付いて言う

 

「あの時、ひなたちゃんが呼んでくれたからエレメントさん達が応えてくれたんだよ」

 

「俺達だってそうだ。碧の賢帝に取り込まれそうになった時。紅牙と紫苑を失って現実から逃げていた時も、ひなたのお陰で俺は立ち直れたんだよ」

 

ひなた自身気付いていないだけだ。知らない内に沢山の事で皆んなを助けていた事に

 

「確かにお前は失敗が多い。でも何度失敗しても立ち上がって来たじゃん。オレ、お前のそういうところ大好きだぞ」

 

「…本当ぉ?」

 

「おう。最初に心の肉球がキュンとした時より今の方がもっと好きだぜ」

 

「ニ゛ャ゛ト゛ラ゛ン゛〜!アタシも大好き〜〜!」

 

ひなたの心が折れる寸前のところでニャトランが救ってみせた

 

「だよね。今までめっちゃ失敗して来たんだもん。今更一個位増えたってどうって事ないし!」

 

「「し〜っ!」」

 

「声抑えて抑えて!」

 

「あはは、ごめんごめん」

 

「それでこそオレのパートナーだ」

 

完全に立ち直ったひなたはいつも通りの元気いっぱいに戻った

 

「ひなたが元気になったところで目の前の問題について話そうか」

 

「やっぱり出口ですか」

 

「出口って言っても…」

 

のどかとちゆが悩ませてると

 

『さっき、スパークルのキラキラで壁に穴が開いたラテ…』

 

ラテが気になっていた事を話してくれた

 

「キラキラ…ヒーリングフラッシュの事か?」

 

「それって衝撃で開いたって事?」

 

『違うラテ。此処に来た時みたいな穴ラテ』

 

「それって出入り口の事か。となると…」

 

「蝕まれて切ってる世界でも、何処か一点に集中的に浄化すれば外に繋がる穴が開くかも知れないペエ」

 

脱出の糸口が見つかった。しかしそれには色々と条件がある

 

「それならば、出来るだけ蝕みが弱い所を狙いましょう」

 

「でもそれって何処何だろう…?」

 

「う〜ん…あ!蓮兄のほら!え〜っと…揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!アレなら凄い浄化の力があるじゃん!それで強引に弱い所を作れば!」

 

「確かに良いかもしれません。蓮花どうでしょう?」

 

蓮花は地面を摩って何かを確認していた

 

「保って数分が限界だろうな。確かに揺るぎなき曙光は、どの魔剣より浄化能力が優れてるけど、ここまで蝕まれていたらそれを維持するのに相当体力を消費する」

 

「じゃあ、やっぱり弱い所を探さないといけませんよね?」

 

「そうだな。どちらにしろ、結局その結論に辿り着いてしまう」

 

 

 

 

 

////////

 

一方ですこやか市では、ギガビョーゲンと複数のメガビョーゲンを引き連れて着々と辺りを蝕むキンググアイワルが居た

 

「ハハハッ!この街を、新たなビョーゲンキングダムの首都にする!」

 

「ギガビョーゲン!」

 

「グハハハッ!もっとだ!もっと蝕め!!」

 

そんなキンググアイワルの前にレンカが降り立った

 

「貴様は…フン!レンカか、何しに来た?」

 

「我の国で何をしている?」

 

「国だぁ?ハン!この地球は俺様のものになる。何せ俺様がキングだからな!!」

 

キングという言葉にレンカは少し反応をみせた

 

「キング、今キングと言ったな?それはキングである、王である我に向けての宣戦布告とみなして良いと?」

 

「貴様もキングビョーゲンと同じだ。ただ突っ立てるだけのキングなど要らん!!俺様こそ真に相応しいのだ!ハッハッハッ!!」

 

「言いたい事はそれだけか?」

 

レンカから物凄い殺気を放ち、一瞬周りに居るメガビョーゲン達が固まる

 

「無闇に蝕む事しかない芸の無い奴。良いだろう。我の力を存分に堪能するが良いッ!!」

 

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「世界を一つに!果てしなき漆黒(ウィスベクタリアス)!!」

 

 

 

「この世に王は1人で充分。貴様らの様に何も考えず、支配しようとする者達にこの国を任せる事は出来ぬッ!!」

 

「面白い!今の俺は、プリキュア とあの抜剣者を凌駕している!!小物如き潰してくれるわ!!」

 

「外敵は排除するッ!!」

 

 

 

 

 

////////

 

ビョーゲンキングダムでは、ラテの額にあるハートの装飾からエレメントの助けを感じて一筋の光りを照らしていた

 

光りが指し示す先を見ると、一つの岩の柱だった

 

「ラテ、これは一体?」

 

「多分あの柱が脆い箇所だ。とにかく変身するよ!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

 

 

「ヒーリングっど♥シャワーで帰るラビ!蓮花お願いラビ!」

 

「良し!」

 

蓮花が剣を突き立てようとした時

 

「へぇ〜、よく気付いたね」

 

ダルイゼンが現れた

 

「でもこうしたらどうかな?」

 

ダルイゼンはわざと柱へ攻撃して帰る穴を作らせない様にする

 

「穴が作れなくなっちゃうペエ!」

 

「この!」

 

蓮花は揺るぎなき曙光を柱へと突き刺し、更に蝕みを弱くさせる

 

「そう簡単に帰らせないよ!」

 

ダルイゼンが向かって来たが、それを救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)溶け合う二つの光(スパークルセウス)時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)の3本が邪魔をする

 

「ダルイゼンは何とかする!グレース達は急いで!」

 

「分かりました!皆んな!ラテ!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

 

ヒーリングっど♥シャワーを撃ち込んだ箇所から、出口となる穴が開いた

 

「やった!」

 

スパークル、フォンテーヌ、アースと順番に穴の中へと潜り抜ける

 

「グレース行く…グッ!」

 

「蓮花さん!?」

 

グレースも連れて潜ろうとしたが、蓮花は全身から力が抜けて膝を突いてしまう

 

そしてそれをチャンスと見たダルイゼンは、穴に攻撃を仕掛けて小さくさせた

 

「穴が!」

 

「あ〜あ、置いてけぼりだ」

 

穴が閉じようとする時

 

「諦めるか!!」

 

蓮花の魔剣達が、穴へ向けて一斉に波動を放ち強引に再度大きく開けさせた

 

「何!?」

 

「グレース!」

 

「うん!蓮花さん!」

 

グレースは蓮花の腕を引っ張り一緒に穴の中へと飛び込んだ

 

ダルイゼンも追い掛けるが、寸前のところで手が届かず逃がしてしまった

 

 

 

 

 

場所は展望台

 

「「ッ!」」

 

穴が閉じる直前、蓮花とグレースが出て来た。魔剣も一緒に出て来て周辺にバラバラと落ちた

 

「助かったラビ」

 

「…見て!」

 

すこやか市へ帰って来たが、街を見ると半分以上蝕まれていた

 

「メガビョーゲン達ラビ!」

 

展望台からはすこやか市全体が見え、メガビョーゲンが彷徨いていた

 

「じゃあ、張り切ってお手当てしよっか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして蓮花達は街へと飛び出した




次回も早く投稿するぞ!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第84話 降り掛かる最悪♥復活のキング!

色々頑張って追い付いた!

ではスタート


「プリキュア !ヒーリングフラワー!」

 

 

「プリキュア !ヒーリングストリーム!」

 

 

「プリキュア !ヒーリングフラッシュ!」

 

 

「プリキュア !ヒーリングハリケーン!」

 

 

街へと飛び出したグレース達は、それぞれ手分けをしてメガビョーゲンの浄化をしていた

 

大惨事になる前に浄化は完了したが、まだギガビョーゲンが残っていた

 

助けたエレメントから、森林公園とギガビョーゲンの居場所を教えてくれてそこへ向かう

 

「蓮花、もう大丈夫なのですか?力を使い過ぎたと仰っていましたが…」

 

「安心して。アース達のお陰でそれなりに体力も回復したから」

 

 

 

 

 

////////

 

「ヌォ!!」

 

「ガハハッ!やはり抜剣者も大した事はないな!!」

 

一方でレンカとグアイワルとの戦いは未だに続いていた

 

内容は、最初こそ互角と思われていたがレンカが押され始めている

 

「その程度でよくもまぁキングを名乗れたものだなぁ!」

 

「ヌグッ!」

 

拳ひとつで大きく後退させられた

 

(我がここまで圧倒されるとは…。少しばかり力を見誤り過ぎたか)

 

「ホラよ!!」

 

放たれるエネルギー弾。レンカも対抗して波動で相殺しようとするが

 

「チッ!」

 

踏ん張ってはいるものの、地面を抉りながら下がり始める

 

苦し紛れにエネルギー弾の軌道を逸らして難を逃れた

 

「あと一押しってところだな」

 

(あの頃とは違いビョーゲンズも力を付けたか)

 

2人がぶつかり合ってるとダルイゼンが勝負に割って話し掛けて来た

 

「報告だ。プリキュア と抜剣者が人間界に戻って来た」

 

「何!?」

 

それを聞いて2人は戦う手を止めた

 

「今頃、メガビョーゲンも浄化されてるじゃないか?」

 

「ダルイゼンお前、何で足止めをしなかったんだ!?いや、何でやっつけておかなかった!?」

 

「知るかよ。自分でほっとけって言ったんだろ?」

 

グアイワルの余裕な態度が起きた事。それを逆ギレされてダルイゼンは面倒と思っていた

 

「レンカ、この決着はまた後でだ!」

 

グアイワルはマントを翻して飛び去った

 

「ダルイゼン、それは真なのか?」

 

「ああ」

 

「そうか」

 

レンカは安堵した

 

「ちょっと待て。お前、何でそんな態度を取る?」

 

「…」

 

レンカは分からなかった。自分でも何故安心したのかを

 

蓮花は敵。いずれ世界を脅かす者として排除せねばならない相手だというのに

 

「…」

 

ここへ来てレンカの心境に変化が訪れ始める

 

(無意識に認めているというのか…この我が…蒼咲蓮花を──)

 

拳を作り血が出るほど握り締めていた

 

「まぁ良い。それならば、それに相応しい器かどうか見定める必要がある」

 

 

 

 

 

////////

 

蓮花達は、住民が避難して集まる森林公園手前でギガビョーゲンに追い付いた

 

「此処から先は行かせない!」

 

「それはこっちの台詞だ」

 

同時にグアイワルも現れた

 

「また人間界で会えるとは思わなかった。今度こそ葬ってやる。この俺の手でな!!」

 

いきなり殴り掛かって来るが、それを避けてから二手に分かれて相手をする事になった

 

蓮花、グレース、アースはギガビョーゲン。フォンテーヌ、スパークルはグアイワルの相手を

 

「「キュアスキャン!」」

 

「あそこラビ!」

 

ギガビョーゲンに取り込まれてる人を見つけた。後はお手当てをするのみ

 

「葉っぱのエレ──きゃあ!?」

 

グレースがエレメントボトルをセットすると、背後からグアイワルの攻撃が刺さる

 

「「グレース!」」

 

地面を転がって行くも大勢を立て直し、次に備えようとすると急に背後からダルイゼンも現れる

 

「俺の相手もしてよ?」

 

「ダルイゼン!」

 

「今はそれどころじゃないラビ!」

 

「そう言わずに!」

 

グレースは振り切る事を試みるが

 

「炎帝業火!」

 

不滅の炎(フォイアルディア)の一撃で隙が出来て、グレースがそれに合わせて攻撃しようとするも

 

「ッ!」

 

いつまでも追い掛けて来るダルイゼンによって阻まれてしまう

 

「どうした!もう終わりか?ガハハハッ!!」

 

フォンテーヌとスパークルも苦戦を強いられていた

 

「「うるさい!」」

 

スパークルが強引に攻め込むが簡単にいなされてしまう。しかし、スパークルを攻撃した時脇腹に大きな隙が生まれた

 

「ハァッ!」

 

フォンテーヌは全力の蹴りを食らわし距離を取る

 

「やっと一撃当てたわ。この調子で…」

 

「何やってんのよグアイワル」

 

更にシンドイーネまでもが現れた

 

「キングを名乗るならプリキュア ぐらい倒してくれない?」

 

「ほう、お前この俺がキングを継ぐ事を認めたのか?」

 

「アンタのケツ叩きに来たのよ!」

 

「ッ!」

 

シンドイーネも戦闘に参加し、フォンテーヌへと狙いを定めた

 

「そんなっ!どうしよう!?」

 

「俺に任せろ!」

 

アースが正面からギガビョーゲンを相手にしてる内に、蓮花は1人でギガビョーゲンを浄化しようと攻める

 

「ッ…お願いします!」

 

アースが僅かな隙を作ってくれた。けれどそれで充分なのだ

 

「真剣覚醒!──揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

不滅の炎から揺るぎなき曙光へ切り替え、浄化技へと構える

 

揺るぎなき曙光の浄化力ならギガビョーゲンをお手当てするくらい造作も無い

 

「取った!……がっ!?」

 

だが浄化技を放とうとした時、背後から何者かの攻撃を受けてしまう

 

「蓮花!…きゃあ!」

 

加えてアースも蓮花の巻き添えをくらい揃って倒れてしまう

 

「ごめんアース。大丈夫か?」

 

「はい…それより一体何が?」

 

ギガビョーゲンへ視線を移すと、肩の上に人が立っていた

 

「レンカか…!」

 

「来ます!」

 

果てしなき漆黒(ウィスベクタリアス)!」

 

「絶剣覚醒!──救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)!」

 

両者の間に一筋の斬撃同士が激しくぶつかり合う

 

「無駄な事!貴様の絶剣では我には勝つ事など有り得ん!」

 

蓮花が放った刃が砕け散り、そのままレンカが放った刃が2人に襲う

 

「うわァァァ!!」

 

「ああっ!!」

 

「「「キャアァァ!!」」」

 

同様に、グレース達も吹き飛ばされて全員が一箇所に倒れてしまう

 

そして変身も解けてしまった

 

「力に差があり過ぎる…!」

 

蓮花達は完全に追い込まれてしまった

 

「良く頑張ったと褒めてやろう。だが、ここまでだな!」

 

「さぁ今よグアイワル。キングとして蹴りを付けちゃいなさいよ」

 

グアイワルはトドメをさす為に膨大なエネルギーを掌に集中させる

 

「遂にこの時が来た!別れの台詞は決めていた。じゃあなかばよ(・・・)!」

 

トドメをさす瞬間、背後から巨大な黒いモヤがグアイワルを丸ごと呑み込んだ

 

「「「ッ!!?」」」

 

「フフッ!」

 

呑み込まれるグアイワルもだが、味方であるダルイゼンやレンカも驚きの表情を隠さずにいた。

だが、シンドイーネは最初から狙っていたかの様に不気味に笑っていた

 

かばよ(・・・)じゃなくてあばよ(・・・)でしょ?最後まで間が抜けてるわ」

 

「シンドイーネお前!」

 

(この穢れきった魂。よもやこのモヤが…)

 

そしてモヤから這い出てきたのは、巨大な化け物だった

 

「我がキングビョーゲン。ビョーゲンズの真の王である」

 

「何で…オレ達がビョーゲンキングダムで浄化したニャ!?」

 

「それは我が身を分けた一部に過ぎない」

 

ビョーゲンキングダムで浄化したのは確かにキングビョーゲンだった。しかしそれは一部。本体ではないが為完全に浄化されていなかった

 

「シンドイーネがメガパーツで進化を見せた時から、密かに計画が進んでいたのだ。少しずつ地球を蝕んで力を蓄えるよりも、進化した僕を取り込む方が我の復活への近道であると」

 

グアイワルの進化、はキングビョーゲンにとっては最初から想定内の出来事。

何もかも最初から手の平の上で踊らされていたのだ

 

「この姿で話すのは随分と久しいなレンカよ」

 

「その様な戯言に付き合う気は無い」

 

「この光景を観るのもあの時以来。懐かしいと思わないか?」

 

「あの時以来ってなんだよ…?答えろ!」

 

レンカは蓮花達へ座った目で黙って見つめていた

 

「良いだろう現代に生きる抜剣者よ。大した事では無い。この様な光景はあの日のプリキュア と抜剣者と同じ。プリキュア を庇い、自ら死を選んだ無様に死んだ奴の話だ」

 

「俺達より前の抜剣者……前に風のエレメントから聞いた話では途中で命を落としたってまさか…!」

 

「そうだ。我が葬った」

 

レンカは目を瞑りあの日の光景を思い出す

 

「目の前で大事なものが壊された時の表情は、見ていて心地良かった」

 

「…先代の抜剣者がどの様な人かは俺にはわからない。だけど──」

 

蓮花は無意識の内に右手に力を込めていた

 

赤黒い雷が散らし、同期され始めてる事を示す様に赤黒いラインが右腕に浮かぶ 

 

「俺は皆んなを守ってみせる!!」

 

(この力は…。そうか、その魔剣を使うのか。その程度の器では扱えるとは考えられないが不可能ではない。何せ一度は繋がったのだ。果たして上手く行くか?)

 

蓮花が喚び出す魔剣を掴もうとする時、ひなたが庇う様に前へ出て来た

 

「蓮兄は絶対負けない!!」

 

「ひなた…!」

 

剣は光りの泡となって消えた。ひなたが出て来た事により、意識がそちらへと向いた為途切れたのだ

 

「折角の復活だ。我に余興でも見せてもらうとするか」

 

キングビョーゲンの目が赤く光ると、ギガビョーゲンが元気になり更にパワーアップしたのだ

 

「蓮兄やろう!」

 

「良し!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「切り拓け!救い切り開く虹霓!」

 

 

 

「空気のエレメント!」

 

アースが顔面への攻撃で動きを鈍らせ

 

「火のエレメント!」

 

「雨のエレメント!」

 

そしてスパークルとフォンテーヌで胴体へと攻撃し

 

「実りのエレメント!」

 

ダメ押しにグレースが加わる

 

4つのエレメントの攻撃を一斉に浴びたギガビョーゲンは一気に後退させられた

 

「ここがチャンスだ!」

 

 

 

「絶・覚醒剣!」

 

「極限浄化!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

 

 

浄化が終わると蝕まれていた周りは元通りとなった

 

しかし

 

「ねぇ、キングビョーゲン居ないんだけど…」

 

「ダルイゼンとシンドイーネ、それにレンカも見当たりません」

 

「見逃して貰ったか…くっ!」

 

「でも、取り敢えず皆んな無事で良かった〜」

 

「それもそうだね」

 

危険な状況だという事は変わらないが、とにかく今は皆んなが無事な事に安堵するばかりだった

 

「なら帰ろっか。もう夜も遅いし」

 

「はい!……え?」

 

「あっ…」

 

「あぁ…」

 

「?」

 

「「「あぁ〜〜っ!!」」」

 

お手当てで夢中で気付かなかったが実はもう既に夜なのだ。

蓮花は気にはしていないが、子供ののどか達からすれば大変な事なのだ

 

一同急いで家へと帰宅するのであった

 

 

 

 

 

////////

 

蓮花は家に帰宅して早々に、リビングのソファーに腰を掛けて天井を見上げていた

 

(あそこまでの差があるとは…ビョーゲンズに対抗する何か武器があれば…)

 

蓮花は腰を上げて、棚に飾ってある写真に手を伸ばす

 

「どうしようか?紅牙、紫苑、何か良い案は無い?」

 

1人でぼやいてると、後ろから何かが落ちる音がした

 

「あれって確か…」

 

落ちた物を拾い上げる

 

「コレを使えって事なの?」

 

コレを使うかどうか迷っていた。一度は手にはした事はあるが、実際に使ったかどうかは別の話

 

それでも

 

「それでも、それ程切羽詰まってる事だよね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮花は意を決してソレを使う事に決めた




未だにダルイゼンがのどかを追っかけ回す理由が分からん。次回に辺りに解明されるのか?

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク18 「まだ少し肌寒いわね」

時間が無い!とにかく書く時間が無い!

ではスタート!


第80話 「終わりは巡り、始まりは今日も廻る」より

 

撮影の合間の休憩

 

 

 

 

 

「紅牙の作るクッキーはうんめぇ〜!」

 

「別に普通の材料で適当にしただけだぞ」

 

「それでもこの美味しさ。堪りません」

 

「でもいつも同じよね?もっと楽しませなさい」

 

若干一名偉そうに方張るが紅牙は怒りを抑える

 

「それならフォーチュン・クッキーなんかどう?紅兄なら作れる気がする!」

 

「それってクッキーの中におみくじが入ってるのだよね!」

 

「え、紅牙さん作れるんですか?」

 

のどかとちゆが目を向けて聞く

 

「まぁ、作れない訳じゃないし。作ろうと思えば作れるぞ」

 

「役に立つじゃないの」

 

「お前の分だけ作らねぇぞ?」

 

 

 

 

 

////////

 

第81話 「素晴らしい世界、蒼咲蓮花の…追懐」より

 

蓮花がお茶と茶菓子を持ってくるシーンから

 

 

 

 

 

のどか達が団欒と話す中で蓮花は、お茶と手作りの茶菓子を持って来る

 

「蓮兄の手作りだ!やった〜!!」

 

「いつもありがとうございます。では、いただき……ッ!!」

 

ちゆはお菓子を頂こうとする時、湯呑みの中を見て驚く

 

「どうした?毒でも入ってんのか?」

 

「失礼な」

 

「ち、違います。湯呑みの中を見て下さい」

 

全員が中を見ると

 

「「「茶柱が立ってる!?」」」

 

「すっごいちゆちー運良いじゃん!写真撮らせて〜」

 

「ふわぁ〜、わたし茶柱が立っているの初めて見た!」

 

「そんなに驚くものなんですか?」

 

アスミやラビリン達は不思議そうに見ていた

 

「茶柱が立つ事は珍しい事だから、昔から運が良いとされてるんだよ」

 

「これでちゆちーの将来は安泰じゃん!」

 

「茶柱ひとつで騒ぎ過ぎよ…」

 

 

 

 

 

////////

 

第82話 「突入ビョーゲンキングダム♥ヒーリングアニマルの想いを乗せて!」より

 

ビョーゲンキングダムでの道中シーン

 

 

 

 

 

「ちょっとちょっと!ここのシーン何で没なの!?」

 

いきなりひなたの抗議が始まる

 

「あんなに苦労して撮影したのに!!」

 

「そんな事言われてもねぇ…」

 

「ひなた、蒼咲さんに文句言っても意味無いわよ」

 

ひなたが言うのは、ビョーゲンキングダムの道中での出来事。

皆んなで力を合わせて罠を掻い潜り、相談して苦労の末でのシーン。

それを丸々カットされたのだ

 

「アスミンはどうなの?」

 

「わたくしは別に何も」

 

「そこはもうちょい拘りを持とうよ!」

 

 

 

 

 

////////

 

第83話 「挫ける涙♥支えるパートナーと友達!」より

 

ダルイゼンが脱出の穴に攻撃するシーンから

 

 

 

 

 

グレースも連れて潜ろうとしたが、蓮花は全身から力が抜けて膝を突いてしまう

 

そしてそれをチャンスと見たダルイゼンは、穴に攻撃を仕掛けて

 

閉じ込めた

 

「ラビ!?」

 

「あ〜あ、置いてけぼりだ」

 

「本当に置いてけぼりにされた…」

 

「蓮花さんどうしましょう?」

 

「都合が良い。俺と満足するまでやろう」

 

ダルイゼンが近付いて来るが

 

「蓮花!グレースを全身全霊を懸けて守るラビ!!」

 

その後、フォンテーヌ達が撮り直しの為帰って来た

 

 

 

 

 

////////

 

第84話 「降り掛かる最悪♥復活のキング!」より

 

キンググアイワルが最後にトドメをさすシーンから

 

 

 

 

 

「遂にこの時が来た!別れの台詞は決めていた。じゃあなかばよ(・・・)!」

 

「蓮花、かばよってどういう意味なのですか?」

 

「かばよ?かばよかばよ……」

 

グアイワルの言った言葉に、撮影中にも関わらず考え始める

 

「別れ際に放つ言葉でしょ?何だろう…?」

 

流石の蓮花も、この謎を解き明かすのは難しい様だ

 

「それあばよ(・・・)の間違いじゃないの?」

 

珍しくシンドイーネが丁寧に教えてくれた

 

「あばよとかばよを間違えるなんて…フフッ!」

 

「ちゆちゃん、笑ってる場合じゃないと思うけど…」

 

「キングなのに知らないとは如何なものですか」

 

「時々アスミンエグいこと言うよね」




今回良く書けた!何故それを本編でやらない

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第85話 のどかの答え♥そして進化は止まらない

最近投稿スピードが落ちてる今日この頃

ではスタート


「今日何かのどかの様子がおかしくないと思う?」

 

昼休みに蓮花はちゆとひなたと一緒にお弁当を食べていた

 

「そうそう。今日ずっとおかしかったよ。閉まってるドアにぶつかったり、何も無い所で転んだり」

 

「理科の授業でリコーダーを吹いていました」

 

「そうなんだ。実は俺の方でも、別に何もする事なく保健室を一周回って出て行ったんだよ」

 

「さっきも、お弁当を忘れたって言って購買に行ったんですよ」

 

今日ののどかについて3人は色々話してた。しかし話す内容がどれも様子のおかしなものばかり

 

「ラビリンは何か知ってる?」

 

「それは…」

 

「何か言えない事なの?」

 

「それは、ラビリンにも詳しく教えてくれないラビ…」

 

いつも一緒に居るラビリンでさえ、のどかの様子がおかしいのが分からない

 

「それなら無理に聞かないわ。でもラビリン、貴女にならのどかは話してくれると思うわ」

 

「そ〜だよ。だってずっと一緒に居るパートナーだもん!」

 

「一番大切な友達になら話してくれると思ってるよ」

 

「わたし達が知らないのどかを、貴女はずっと見て来た筈よ」

 

「ラビリンものどかっちに聞きたい事あるんじゃないの?」

 

 

 

 

 

////////

 

「ラビリン達大丈夫だと思う?」

 

「ええ。寧ろ、わたし達は何もしない方が良いのよ」

 

「はい、今日のお茶と茶菓子だよ」

 

ちゆとひなたは放課後、蓮花の家にお邪魔して茶菓子を食べに来ていた

 

「今日のおやつは……たい焼きだ!!」

 

「いや〜、この前機械が安売りしてたから買ったんだよね。あと、ついでに業務用の綿菓子機も」

 

「蓮花ってやっぱすげぇな!」

 

「普通にお店が出せるペエ」

 

「そうだ、面白いものを見せてあげる」

 

蓮花は貴婦人と敷布の写真を見せる

 

「貴婦人、敷布と気ぐるしを寄付」

 

「「「えっ?」」」

 

ひなた、ペギタン、ニャトランは意味が分からずだったが

 

「ブフッ!!」

 

「ギャー!!ちゆちーばっちぃ!!」

 

ちゆが口にしていたお茶が、蓮花のギャグに耐え切れずひなたに吹き掛けてしまった

 

「ゲホッゲホッ!…や、やめてください……っ!」

 

ちゆは体全体を震えさせて必死に笑いを堪える

 

「まさか、ここまでウケるとは思わなかったよ…」

 

「変にギャグで笑わせないでよ。アタシだけ汚くなったじゃん」

 

部屋中笑いに包まれてると、リビングの固定電話が鳴り響く

 

「誰だろう?…はいもしもし蒼咲です」

 

蓮花は数回の相槌を打った後、電話を切った

 

「誰からだった?」

 

「のどかから。展望台にビョーゲンズが現れたらしい」

 

「分かりました。すぐに向かい向かいましょう!」

 

 

 

 

 

////////

 

展望台近くまで行くと、逃げ惑う人々で溢れ返っていた。そして、展望台上空には謎のビョーゲンズを目にする

 

「何だありゃ!?」

 

「…もしかしてダルイゼン?」

 

皆んなが謎のビョーゲンズに困惑する中で、のどかはそのビョーゲンズの正体を突き止めた

 

「あれが?」

 

「何がどうなっちゃったの!?」

 

「メガパーツを取り込んだに違いないわ」

 

「あの姿、進化に失敗したのか?」

 

「とにかくダルイゼンを止めましょう!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「真剣覚醒!」

 

「目覚めろ!揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!」

 

 

 

「「「「「ハァァァッ!」」」」」

 

変身と同時に上空から一気に蹴りをかます。

だが、巨大な怪物と化したダルイゼンに効かず跳ね返される

 

「ウゥッ!」

 

そして、身動きが出来ない空中を狙って両手からクローバーの光弾を連続で放つ

 

「「「キャアッ!」」」

 

「クッ!」

 

フォンテーヌ、スパークル、アースは直撃し、蓮花は揺るぎなき曙光で相殺するも衝撃までは殺せなかった

 

「ウッ!──実りのエレメント!」

 

グレースはぷにシールドで防いだ後、大勢を整えすぐさま大きくジャンプして攻撃へと転じる

 

やっとダメージを与えたかと思いきや

 

「グレー…スゥ…キュアグレース!!」

 

無傷な上、空中にいる無防備なグレースへと飛び込んで来る

 

しかし、ダルイゼンの頭に何かがぶつかり勢い良く地面へと落ちて行った

 

「寝ていろ!!」

 

蓮花が上から強靭な左腕でダルイゼンの頭を掴み地面へと叩き付けたのだ

 

「狙いはグレースか!」

 

押さえつけるも力ではダルイゼンが有利。蓮花を跳ね除けて解放する

 

「ハッ!」

 

揺るぎなき曙光の斬撃でダルイゼンの顔にダメージを与える

 

何とかダルイゼンの攻撃を全て防ぎ全員呼吸を整える

 

その時ダルイゼンの声がした

 

『助けてくれ…』

 

「ッ!」

 

『こんな…こんなの俺じゃない!』

 

「ダルイゼン、グレースの優しさに付け入るのはやめるラビ!」

 

『キュアグレース、お前だけが頼りなんだ…お前の中に…!』

 

自分が生きる事為に、必死にグレースに匿って貰おうと頼み込むも

 

「そしたらわたしはどうなる?いつまで?」

 

その言葉にダルイゼンの手が止まる

 

「貴方が元気になったらどうするの?貴方はわたし達を、地球を二度と苦しめないの?」

 

「ヴゥゥ!!」

 

「わたしはやっぱり、貴方を助ける気にはならない!!

 

「ウ゛ア゛ア゛ァァァ!!」

 

グレースに拒絶された事により、ダルイゼンは無闇やたらに辺りを攻撃し蝕む

 

「ダルイゼン、貴方のせいでわたしがどれだけ苦しかったか貴方は全然分かってない!!」

 

グレースは巻き上げられた地面の破片を足場にして高くジャンプする

 

「分かってたら地球を、沢山の命を蝕んで笑ったりしない!!」

 

牽制で顎を蹴り上げる

 

またま無防備となった空中のグレースに手を出そうとするが

 

「ハァッ!」

 

「火のエレメント!」

 

アースの風とスパークルの火のエレメントの力で、炎を纏う風の結界でグレースを守る

 

「都合の良い時だけわたしを利用しないで!」

 

「氷のエレメント!」

 

更にフォンテーヌの援護でダルイゼンの手を凍らせて動きを止め、腕を滑る様にして近付き攻撃する

 

「わたしは貴方の道具じゃない!」

 

今度は首筋に蹴りを入れた後後退し

 

「揺るぎなき曙光!」

 

それに合わせて蓮花は、揺るぎなき曙光を槍の様に投げてグレースは剣の上にバランス良く乗る

 

「わたしの体も、心も、全部わたしのものなんだからぁぁぁ!!」

 

グレースが揺るぎなき曙光を上手く操りながら、俊敏な動きで次々とダルイゼンにダメージを与え、最後に強烈な一撃をお見舞いし倒す

 

「ラテお願い!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

 

ヒーリングっど♥シャワーを浴びたダルイゼンなのだが

 

「最後まで浄化出来なかったラビ」

 

ラビリンの言う通り浄化し切れなかった。しかしと云うべきか、メガパーツを使う前の姿まで戻っていた

 

「馬鹿ね。あんな派手に暴れちゃ見つけてくれって言ってる様なもんじゃない」

 

「シンドイーネ!」

 

シンドイーネも、ダルイゼンの様子を見ていつの間にか現れていた

 

「キングビョーゲン様!ダルイゼンは此方で〜す!」

 

シンドイーネが声を上げると、突如雷が鳴りキングビョーゲンが現れた

 

「ようやくか。もう少し早ければ、もっと進化した状態で取り込めれたものを」

 

気絶するダルイゼンを良い事にキングビョーゲンは取り込もうとする

 

「まぁ良い」

 

「待て!」

 

そうはさせない為に蓮花は、左腕を伸ばしてダルイゼンを掴まえる

 

「いけぇ蓮兄!引っ張っちゃえ!」

 

取り込もうとするキングビョーゲン、それを阻止しようと奮闘する蓮花。綱引き状態となる

 

けれど、取り込む方が強くダルイゼンはキングビョーゲンの体に埋め込まれる

 

同時に蓮花の左腕も

 

「フフ、そのままお前も取り込んでやろう」

 

更に引っ張る力が強くなる

 

「うわっ!?」

 

「蒼咲さん!?」

 

「ちょちょちょ蓮兄!?」

 

フォンテーヌとスパークルが急いで蓮花の体を引っ張る

 

「わんわん!」

 

「蓮花早く手を離すラビ!」

 

蓮花は急いで手を離す。何とか取り込まれずに済んだが

 

「フフフ…ハハハッ!アッハッハッハッ!!!」

 

邪悪なオーラがキングビョーゲンを包み込み、その体を変化させてゆく

 

今まで動物の様な姿から一変、更に巨大化し人型へと大きく変貌させた

 

「き、キングビョーゲンが…」

 

「もっと進化したペエ…」

 

それを見たシンドイーネは興奮する気持ちを抑え切れず、語彙力を忘れた言い方で褒め讃えている

 

「我は『ネオキングビョーゲン』」

 

進化した事により名前も改めてそう名乗った

 

「時は来た。後は地球の全てを手に入れるのみ」

 

「そんな事させないラビ!」

 

「デッカくなったからってニャンだってさ!」

 

「貴方に地球は渡さないわ!」

 

「地球の皆んなの心と体、全部わたし達が守ってみせる!」

 

グレースの言葉に反応してか、ネオキングビョーゲンは軽く笑いを溢す

 

「これは面白い。ダルイゼンを見捨てながら、『地球の皆んな』と『全てを守る』と言うか。随分な思い上がりだ」

 

どうやら取り込んだダルイゼンから、今までの一連の流れを読み取ったのだ。それに対しての皮肉な言葉

 

「…ダルイゼンを追い詰めたのは誰?貴方に言われたくない!」

 

「フッ」

 

「そんな言葉には負けない。わたしは、絶対貴方を浄化する。それがわたしの今の気持ちだよ!」

 

もう言われる言葉に惑わされないグレース

 

本格的に地球の運命を賭けた戦いが始まろうとする

 

そして

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

蓮花達とネオキングビョーゲンの様子を、レンカは木陰で見物していた




オイ、主人公目立ってない。後、レンカの動きをどうしようかと未だに迷ってる

ここまでの拝読ありがとうございました


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第86話 駆け付ける者達♥そして導き出される選択

ゴニョゴニョ

ではスタート


「お前達が何をしようともう遅い」

 

ネオキングビョーゲンの体からオーラを街全体へ放つと、一瞬で全て蝕まれた

 

「くちっ!くちっ!」

 

「ラテ!」

 

「何々!?」

 

「どうなってんだ!?」

 

ラテの急激な体調の変化、そして街の変わり様に動揺を隠せずにいる

 

『皆んなの街が全部泣いてるラテ…エレメントさん達もお母さん達も皆んな泣いてるラテ…』

 

「まさか、すこやか市全体が蝕まれたのですか?」

 

「そんな…けれど一体どうやって?」

 

こうも短時間で街全体を蝕まれるなんて予想出来なかった。その事に疑問に思ってると、シンドイーネの高笑いが聞こえる

 

「どう?ネオキングビョーゲン様の最高の計画は?」

 

「計画だと?」

 

「ネオキングビョーゲン様はね、グアイワルを取り込む前から仕掛けてたのよ。ご自分の一部を散りばめて、街を取り囲んで、後から一気に蝕む計画をね。その力を発動する為には、完全なる復活…いいえ、更なる進化ぎ必要だった」

 

「それでグアイワルとダルイゼンを!」

 

「ネオキングビョーゲン様のお役に立てたのだから、アイツらもきっと喜んでいるわ」

 

いつもならラテが感知するのだが、切り離した一部が極小のものの為今まで気付かなかった

 

『街の外に泣いてる声が増えてくラテ…』

 

「もしかして、蝕みがドンドン広がってるラビ!?」

 

「という事は、放っとくと地球が蝕まれちゃうペエ!」

 

「…なら、これ以上悠長に構えてはいられない」

 

ラテをその場に置いて全員飛び出して、ネオキングビョーゲンに近付く

 

しかし、直前にて何かにぶつかり跳ね返された

 

「どういう事!?」

 

「もう一度!」

 

再度アースが近付こうとするも、あと一歩の所で届かず跳ね返される

 

「実りのエレメント!」

 

「氷のエレメント!」

 

「雷のエレメント!」

 

ならばと今度はエレメントの力を借りての攻撃をするも

 

「「「キャアァァ!!」」」

 

それでも通らず、逆に四散した力がグレース達へと返ってくる

 

「バリアか!」

 

「エレメントの清らかな力が全部弾かれちゃうペエ!」

 

「終わりか?」

 

「そんな訳あるか!」

 

今度は蓮花が仕掛ける

 

「真・覚醒剣!──蒼炎翠光!!」

 

4つの光の波動がバリアを打ち破る為にぶつかるも

 

「フッ」

 

蚊でも振り払うかの如く簡単に手で払い除けられた

 

揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)でも届かないのか…?」

 

揺るぎなき曙光は力では絶剣に劣るも、浄化力ならヒーリングっど♥シャワーとさ程変わらない。

それなのに、こうも簡単に払い除けたのだ。ネオキングビョーゲンの力は想像を遥かに超えていた

 

「諦めるか!だったら切り札を出す!」

 

蓮花は揺るぎなき曙光を体内へ戻し、空いた掌に集中させる

 

以前と同じく赤黒いオーラが蓮花の手に集まり形取る

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「薙ぎ払え!原始の魔剣!」

 

 

 

それは原始の魔剣。始との戦いの後、蓮花が回収して最後の切り札として残していた物だ

 

すぐさま必殺技の大勢に入る。強引にネオキングビョーゲンのバリアを突破する

 

「ヴグゥッ!!」

 

原始の魔剣を暴走ギリギリまで同期させて、威力を高める

 

腕のラインは赤く染まり、瞳は赤黒く変色する

 

「コレデドウダ!!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「人類滅亡!!」

 

 

今までの中でも一際巨大な波動砲を解き放ち、ネオキングビョーゲンのバリアと激突する

 

「撃チ抜ケェェェェ!!!」

 

全て出し切り大きな爆発が起きる

 

蓮花の中では手応えはあった。その筈なのに

 

「…」

 

「クッ…」

 

「ニャンだと!?」

 

蓮花の全身全霊の一撃でさえも、ネオキングビョーゲンの張るバリアを打ち砕けなかった

 

そしてひとつの事実が証明された。

浄化の揺るぎなき曙光でも、力のある原始の魔剣でさえも通用しなかった

 

全てを出し切った。それでも無理という事は、今の蓮花にネオキングビョーゲン相手には何も出来ないのだ

 

「これが現代に生きる抜剣者の力か?以前の事もあるから少々危険視はしてたが……弱過ぎる」

 

「何だと!」

 

「お前、数ある存在した中で最弱のではないか?」

 

「──ッ!」

 

その言葉に絶句し、膝を突き、原始の魔剣を手放してしまう

 

「蓮兄!」

 

「最弱…俺は弱いのか?ここまで来て俺は……」

 

ショックを受けてしまった蓮花は、己がどれだけ未熟者だったのかここで痛感させられた

 

「今度は我から行くぞ」

 

軽く指を弾いて刃を飛ばす

 

グレース達はぷにシールドで対抗する

 

大きな爆発が起こり、土煙りが晴れると全員変身が解けて倒れていた。

たったの一撃でこの惨状。もはや絶望的

 

心配してラテが駆け寄るが、その前にシンドイーネが歩いて来る

 

「プリキュア も抜剣者もお供のヒーリングアニマルも動けない。後はアンタだけ、どうする王女様?」

 

シンドイーネの手がラテへと伸びる

 

魔の手が差し掛かろうとする直前、ラテの背後から目をくらます程の光が照らし出す

 

「クッ…!」

 

堪らずシンドイーネは、その光に弾き返された

 

光が収まると1匹のヒーリングアニマルが佇んでいた

 

それ即ち

 

「「「テアティーヌ様!」」」

 

「皆んな大丈夫ですか?」

 

ラビリン達以外、テアティーヌを目にするのはこれが初めてだった

 

テアティーヌの姿を目にしたネオキングビョーゲンは、無言のまま5つの光弾をそれぞれ放つ

 

しかしそれをテアティーヌは素早く全て弾いた

 

「以前程の機敏さは無いか」

 

久し振りの対面に向けてへの挨拶代わりと言った攻撃。驚く事は疎か、寧ろ勝ち誇った様に笑う

 

「さてはテアティーヌ、不完全な回復で慌てて駆け付けたとみえる。その程度で、更なる進化を遂げた我を浄化出来ると思ったか!?」

 

ネオキングビョーゲンの攻撃を弾いたとはいえ、どうやらテアティーヌはまだ完全には回復し切れてない様子

 

「それでも私には、果たしたい使命があります!そして、信頼する仲間がいます!」

 

何か策を講じてるのか、テアティーヌは街全体へ行き届く程の遠吠えを上げて光を放つ

 

それが合図だったのか、街の各地からも遠吠えは鳴き響く。そして光も照らし出され、展望台へと集まり、ひとつのドームを作り出した

 

「あれは……う、動けぬ」

 

「仲間達の力で結界を張りました」

 

ヒーリングアニマル達の協力で蝕みの進行、そしてネオキングビョーゲンの動きも鈍らせる事に成功した

 

「皆さん、今の内にネオキングビョーゲンを浄化する手立てを」

 

「させないわ!」

 

しかし、先程吹き飛ばされたシンドイーネが戻り蓮花達を見下ろす

 

「その前に私が倒してやるわ!」

 

「皆んな変身するラビ!」

 

のどか達は変身しようとするも、さっきやられたダメージが残っており立ち上がる事も困難であった。

蓮花に至っては、ネオキングビョーゲンに言われた言葉に未だ立ち直れていなかった

 

唯一アスミだけが立てたものの、1人ではどうする事も出来ない

 

「あららもう終わり?まあそれでも手加減は無しよ!」

 

「いけない!」

 

シンドイーネが襲い掛かる寸前、アスミは風を巻き起こして全員を結界の外へとワープさせた

 

「逃がさないんだから!」

 

シンドイーネも後を追う様に消えた

 

残ったのは、未だ両者一歩も動かず対峙するテアティーヌとネオキングビョーゲンのみ

 

 

 

 

 

////////

 

「此処は?」

 

「わたくしの力で、まだ蝕まれて無い場所までお連れしました」

 

ふと後ろを振り返ると、結界で覆われてる展望台が見えた

 

「テアティーヌ様達が頑張ってくれてる内に早く浄化しなきゃラビ!」

 

「だが、あの鉄壁のバリアを突破しないとネオキングビョーゲンはビクともしないぜ」

 

「わたくし、考えたのですが…」

 

そこでひとつの案を言う

 

「グアイワル達はメガパーツ、そしてネオキングビョーゲンはグアイワル達を取り込んでいました。つまり、ビョーゲンズにはビョーゲンズの力を吸収する性質があるということです」

 

「「うんうん」」

 

「う、うん」

 

「という事は、ビョーゲンズの力と一緒にわたくし達の技を放てばバリアの向こうに届くのではないですか?」

 

「…確かにそれなら可能だと思うだけど、そのビョーゲンズの力を誰が持つと言うんだ?誰もそんな力持ってないぞ」

 

そうなのだ。ビョーゲンズの力を誰も持っていないのが一番の問題

 

この案も没となりそうだったのだが

 

「それなら問題はありません。わたくしの中にビョーゲンズを宿すのです」

 

それを聞いた全員が衝撃を受ける

 

そんなの誰も賛成する者などいない。特に彼女は

 

「駄目だよ!そんなの駄目危ないよ!」

 

唯一その痛みと恐怖を知っているのどかが止めに入る

 

「アスミちゃんに…ううん、誰にもあんな苦しい思いさせたくない!駄目!絶対駄目!」

 

『アスミは大好きで大切なパートナーラテ。どうなるか分からないラテ。危ない事して欲しくないラテ』

 

ラテもそれを危険視して説得する

 

「ラテありがとうございます」

 

ラテの言葉を聞いて、思い止まったと安堵していたがそれは間違いだった

 

「ですが、今回ばかりはわたくしの決意は変わりません。例え、ラテの思いに背く事になったとしても」

 

初めてラテとは違う、自分の意思での気持ちとその答え

 

「もう一度考え直せ!何かもっと良いアイディアが……そうだ、俺が頑張る。俺が頑張るから!」

 

蓮花はそんな危ない事をさせない為に必死になる

 

「俺の魔剣の力を全て出し切る。今度は制御出来る範囲内ではない。伐剣者になって上で全力を出し切れば!!」

 

しかし、アスミは首を縦に振らない。寧ろ横に振る

 

「何で…」

 

「その後はどうなさるのですか?」

 

「その後?」

 

「リスクがあまりにも大き過ぎます」

 

浄化の力ではない。純粋な暴力の力である伐剣者になれば……その可能性はある

 

あるのだが

 

「それは確実なものなのですか?」

 

「多分……でも──」

 

「『多分』では駄目なのです。それに、例え突破出来たとしても伐剣者となった蓮花は誰が止めるのですか?」

 

「…」

 

「闇雲に力を使えば危険なのは蓮花自身がご存知の筈です」

 

ぐぅの音も出ない。

下手をしたらネオキングビョーゲンだけではなく、暴走する蓮花まで相手をしなければならない。そうなったらお手当ての騒ぎどころではない

 

「…俺の力はもう何一つ通用しない。今更手段を選んでいられない」

 

「のどか達が悲しみます」

 

「今のアスミには言われたくない」

 

ピリピリとした空気が漂う。

誰も犠牲を望んでいない。しかし仕方ない事なのだ。誰かが犠牲にならない限り到底今の状態では勝てない

 

「わたくしには大切なものが増えたのです。ラテだけでは無く、皆さんの事も、この街の事も」

 

大切なものが増えれば守りたいものも必然的に増えてしまう

 

「ラテも、皆さんの事も人間界そのものを守りたい。欲張りたいのです」

 

「…っ」

 

「やってみれば何かが変わるかも知れないでしょう?失敗を恐れ過ぎては駄目です」

 

「…」

 

「何があってもお手当てをする。紅牙や紫苑もそれを望んでいます」

 

「クッ…」

 

「皆さんと過ごして重ねて来た経験が、今のわたくしを作っているのです」

 

「アスミちゃん…」

 

アスミの言う言葉には、今まで自分が経験し学んで来た出来事だ

 

「どんなに反対されてもわたくしは実行します。わたくしの心も、体もわたくしのものですから!」

 

『…分かったラテ。本当は、王女のラテが決めなきゃいけなかったラテ。ママ達もあんなに頑張ってるラテ。甘えてちゃダメラテ。アスミ1人にしないラテ。ラテも一緒に頑張るラテ!』

 

「ラテ…!ありがとうございます」

 

アスミの揺るぎない決意を尊重し、ラテもそれを受け入れる。そして受け入れた上で、自分自身も頑張ると

 

「こんな所に居たのね」

 

話が纏まり始めた時、シンドイーネがとうとう追い付いて来た

 

「二度とネオキングビョーゲン様には近づけさせない。私がこの場で倒してあげるわ!」

 

「皆さん!」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「絶剣覚醒!」

 

「切り拓け!救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)!」

 

 

 

「シンドイーネが持ってるメガパーツを手に入れます!」

 

「分かった!」

 

「OK!」

 

「サポートするわ!」

 

「隙を作る!」

 

シンドイーネを浄化するのも大切だが、今はアースにビョーゲンズの力を手に入れて貰う為、持っているだろうメガパーツの奪取を優先とする

 

「何?メガパーツが欲しいの?」

 

シンドイーネはその場で高くジャンプして、奪い取ろうとする5人を避ける

 

「あげる訳ないでしょ!!」

 

唯一にして最後のメガパーツを、シンドイーネは自身に使い更なる進化を果たした

 

「メガパーツが!」

 

「まだです!浄化すれば何とかなります!」

 

アースのその言葉を信じて作戦変更。早急にシンドイーネを浄化する事を専念する

 

5人は跳び上がり一斉攻撃を仕掛けようとする

 

「「キャア!」」

 

しかし、両手から放ったエネルギー弾でフォンテーヌとスパークルが直撃

 

正面から迫るグレースにも、直接ダメージを与える為降下しながら近付く

 

「ッ!」

 

ラビリンがぷにシールドで防御するも、シンドイーネの力と重力には逆らえず防御しながら落下する

 

それを助けようとアースは背後から近付こうとするも、空いてる左手からエネルギー弾を放ち牽制する

 

「キャア!」

 

グレースはなす術もなく地面へ叩き付けられる

 

グレースを地面に叩き付けた勢いを利用し、アースの真上を陣取った

 

そして両手からエネルギーを放射し、得た推進力でアースを蹴り飛ばした

 

「ぁ…」

 

「アース!」

 

「ハァッ!」

 

「うぐぁ!」

 

アースを倒した後、軌道を変えて蓮花にも蹴り付ける

 

 

 

 

 

戦況は劣勢

 

多種多様の攻撃方法、そしてスピード自慢のスパークルでさえも捉えるのが難しい程の機動力

 

キンググアイワルやダルイゼンと同じく苦戦を強いられる

 

「クッ、どうすれば!」

 

「それならアタシ良い案があるよ!」

 

「どんな?」

 

スパークルは結界内に居るネオキングビョーゲンを指差して叫んだ

 

「あー!あんな所にキングビョーゲン!」

 

「えぇ…」

 

「引っ掛かる訳無いでしょグアイワルじゃあるまいし!!」

 

当然と言えば当然の結果

 

蓮花は苦笑いし、シンドイーネは怒り出す

 

「てゆうか、キングビョーゲンじゃなくてネオ(・・)キングビョーゲン様よ!覚えなさい!!」

 

スパークルに対して怒ってると、隙を突いて背後からグレース、フォンテーヌ、アースがエレメントボトルをセットして技を繰り出す

 

「音のエレメント!」

 

「雨のエレメント!」

 

「葉っぱのエレメント!」

 

「しまった…がぁ!」

 

技は決まり最大のチャンスが生まれた

 

「ありがとうスパークル!」

 

「俺、偶にスパークルって凄いなぁ〜って感心する」

 

「嘘!本当に?ありがと〜!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

 

「こ、これくらいで…」

 

シンドイーネもダルイゼンと同じく、ヒーリングっど♥シャワーを受けても尚浄化し切れなかった

 

「わぁん!わん!わぁん!」

 

「ラテ様?」

 

ラテが何かを必死に伝えようとしてる

 

「わん!おあしすラテ!」

 

「ッ…皆さん、ヒーリングオアシスを!」

 

「「「うん!」」」

 

 

 

「「「トリプルハートチャージ!」」」

 

「届け!」

 

「癒しの!」

 

「パワー!」

 

「「「プリキュア !ヒーリングオアシス!」」」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

 

 

完璧な浄化まではせずナノビョーゲンサイズまで浄化後、すぐさまアースは自分の体内へと取り込ませた

 

「平気か?」

 

「少し違和感の様なものは感じますが、問題無く動けそうです」

 

内容は違ったが結果は変わらず成功した

 

「ありがとうございます。ラテが一生懸命伝えてくれたお陰です」

 

「それじゃあやるか」

 

「わたし達の街を」

 

「地球を」

 

「「「「「お手当てしに!!」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プリキュア と抜剣者、全てを終わらせる為に最後のお手当てを始める




連チャンの浄化技はエグく感じました。そしてアース後ろ姿がとてもシュールだった

次回で決着つきそうですね。一気に詰め込みます

ここまでの拝読ありがとうございました


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第87話 生きる喜び♥皆んなのお手当てを乗せて!

こんな早く投稿したの久し振りかも

ではスタート


「もうすぐです皆さん!」

 

アースのワープで、テアティーヌの力尽きる寸前で舞い戻って来た

 

「すみません。遅くなりました」

 

「お待たせしました」

 

「ほう、シンドイーネを浄化したか。まぁ良い、あの程度の僕また幾らでも作れる」

 

「何ソレ!?」

 

「そんな事させない!」

 

「今度こそ貴方を浄化する!」

 

全員が飛び上がりネオキングビョーゲンへと向かう

 

「花のエレメント!」

 

しかしといった所。ネオキングビョーゲンのバリアではエレメントの技は通じず

 

「何か策を講じて来たかと思えば、テアティーヌの危機に慌てて舞い戻って来ただけか」

 

グレースの持つエレメントボトルが通用しない。それでも攻撃する事をやめなかった

 

「水のエレメント!」

 

「火のエレメント!」

 

翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!──翠嵐疾風!」

 

3人で息を合わせて技を放つも届かず、ただ大きな爆煙が舞い上がるだけだった

 

「今の我にお前達の技は通用せぬ!」

 

「ッ!」

 

その爆煙に紛れ、不意を突いてアースの鋭い光線。ネオキングビョーゲンもそれに反応し、バリアを貼るも

 

「?」

 

撃ち抜かれた

 

その光景を見た蓮花達は歓喜の声をあげる

 

「貴様一体何を…もしやシンドイーネを利用したか?」

 

ネオキングビョーゲンも不足の事態で困惑し、目をこしらえてアースを見ると胸の内にシンドイーネが取り込まれている事を知った

 

「やはりビョーゲンズはビョーゲンズの力を吸収する。さぁ続けて参ります!!」

 

アースは結界内に大きな風を巻き起こして、蓮花達が空中でも戦える様に浮遊させた

 

「「「ぷにシールド!」」」

 

グレース、フォンテーヌ、スパークルの3人が、ネオキングビョーゲンの攻撃からアースを守る様にする

 

「「「「アース!」」」」

 

「ハァァッ!──音のエレメント!」

 

超至近距離に合わせて全力の攻撃を繰り出す

 

大きな爆発が起きると同時にバリアも砕かれていた

 

「バリアが崩れたペエ!」

 

「この勢いで一気に行くわよ!」

 

目的のバリアの突破は成功した。攻撃が通る今ならと仕掛けようとする時、ネオキングビョーゲンは不敵に笑った

 

「僅かに遅かったな」

 

ネオキングビョーゲンが全身に力を込めると、自分を封じていた光を弾き、それと同時に力尽きたのかテアティーヌは倒れてしまった

 

中心となっていたテアティーヌが倒れた事により、結界の維持が出来ず泡の様に消えていった

 

「結界が!」

 

「フハハハハッ!我を恐れるものは何も無い!我の勝利だ!」

 

「まだ負けてない!──救い切り開く虹霓(ジオエヴァレンド)溶け合う二つの光(スパークルセウス)時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

蓮花は3本の魔剣を囲い込む様に投げ付けて、動きを鈍らせる結界を張る

 

果てしなき蒼(ウィスタリアス)不滅の炎(フォイアルディア)!翠遠の息吹!」

 

蓮花は3本の剣を束ねて、何か仕掛けられる前に仕掛ける

 

揺るぎなき曙光(ブランリュゼール)!──蒼炎翠光!」

 

直接浄化技を叩き付けようと切り付けようとするが

 

「ハァッ!」

 

それに対抗して拳で迎え撃つ

 

「負けるかァァァ!!」

 

だが蓮花の気合いも虚しく揺るぎなき曙光が折れてしまう

 

「終わりだ!」

 

振り抜いた拳は蓮花を捉え、地面へと叩き付けた

 

「蓮花さん!!」

 

グレース達は急いで蓮花の元へと駆け付ける

 

「この程度で我を縛れると思うな!」

 

指先から光線を放ち、取り囲んでいた魔剣3本までも破壊した

 

「そんな!?」

 

「蓮花の魔剣が全て破壊された…」

 

「皆んな来るラビ!」

 

ネオキングビョーゲンは掌から光線を放ちダメ押しする

 

「ぜ、全部じゃない!」

 

蓮花はすぐに立ち上がりグレース達の前へと出て、手を翳してネオキングビョーゲンの攻撃を不滅の炎と翠遠の息吹で防ぐ

 

「蓮花駄目です!保ちません!」

 

「果てしなき蒼!──蒼穹無限!」

 

更に果てしなき蒼も加わり押し返す

 

「いけ!!」

 

更に出力が上がり何とか相殺出来た

 

しかしその代償は割りにあってなかった。不滅の炎と翠遠の息吹も破壊さた。果てしなき蒼は剣全体にヒビが入ってるものの、辛うじて手に収まっていた

 

だがこれで果てしなき蒼以外の魔剣は破壊された

 

「それでも防いだ!悪いけど後は皆んなに──」

 

蓮花が皆んなに呼び掛けてる最中、砕けた魔剣の破片に紛れて何かが飛び出して

 

「え…?」

 

蓮花の腹を貫いた

 

「油断したな抜剣者」

 

その何かとはネオキングビョーゲンの人差し指だった。人差し指を伸ばして油断の隙を突いたのだ

 

「ぶっ…」

 

指を縮ませると蓮花の腹には大きな空洞が出来、大量の血が流れ出る

 

吐血もしながら膝から崩れ落ちる

 

「待って…待ってよ!!」

 

スパークルは蓮花を膝に乗せて、流れ出る血を手で抑えようとする

 

「止まらない…何で…?何で!?止まってよ!!何で止まらないの!!?」

 

「スパー…ク、ル……」

 

震える手でスパークルの手を止める

 

「蓮…兄ぃ…?」

 

涙を流すスパークルに頑張って笑顔を作る

 

「抜剣者は短命だと聞いていたがその通りの様だな」

 

ネオキングビョーゲンは只々嘲笑っていた

 

「レンカという奴も、古のプリキュア と共に戦った奴も、他の抜剣者達も、お前も全て逆らえない死の運命なのだ」

 

「た、確かに俺達抜剣者は…魔剣を持ったが故危険な場所へ向かって行く。だがなぁ……気に入らねぇよ!!」

 

「何だと?」

 

「例えそれが決められた運命だとしても、俺達は自分の意思で考え行動して来た。残酷な最期を迎えたとしても、その人達が選んだ事だ!」

 

蓮花の言う通り、これまで死んでしまった人達は最後まで自分の意思を貫いてきた。例えそれが敵だったとしても

 

「それを軽々しく『運命』の言葉ひとつで纏められてたまるかぁ!!」

 

蓮花は右手を翳し、それに合わせて果てしなき蒼がカタカタと震えながら浮遊する

 

「のどか、ちゆ、アスミ、ラビリン、ペギタン、ニャトラン、ラテ……ひなた…後は頼んだよ!!」

 

急激に果てしなき蒼の波動の出力が上昇し、超スピードでネオキングビョーゲンへと飛んで行く

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「蒼天神威!!」

 

 

 

超強力な波動を纏いネオキングビョーゲンの腹に突き刺さる

 

「それが…どうしたというのだ!!」

 

だがそれをネオキングビョーゲンは吸収する

 

「オオォォォォォォ!!!」

 

邪悪なオーラは果てしなき蒼を包み、その光さえも吸収し体内へと取り込んだ

 

「無駄な足掻きだったな」

 

「かはっ!」

 

血を吐きながらも蓮花は翳した手をスパークルの首に引っ掛け、自分の体を引き寄せて

 

「っ!」

 

スパークルとキスした

 

「れ、蓮兄?」

 

「フッ…」

 

蓮花は最後にスパークルに笑顔を見せて胸の中で動かなくなった

 

「え…?待ってよ…嘘だよね蓮兄?」

 

「蒼咲さん…」

 

「ねぇ蓮兄…」

 

スパークルは蓮花の手を持ち上げて、自分の頬に当てさせて離すが、その手は糸の切れた人形の様に力無く落ちる

 

「蓮花…」

 

「嫌だよ…嫌だよぉ……」

 

「蓮花さん…」

 

「…約束したじゃん!!」

 

 

『──お手当てが終わっても皆んなとずっと一緒に居ようね』

 

 

「蓮兄!!」

 

涙を流し、名前を叫ぶも返ってくる言葉は無い

 

「プリキュア もヒーリングアニマルも全て我の養分となるが良い!!」

 

そして、死体と変わり果てた蓮花以外のその場にいる者達、グレース達とテアティーヌをネオキングビョーゲンは体内へと取り込んのだ

 

邪魔する者が居なくなった事によりネオキングビョーゲンは、病原菌を世界中へと撒き散らした

 

「フハハハハッ!全ては我が手に!」

 

 

 

 

 

////////

 

「此処は…ネオキングビョーゲンの中?」

 

のどかが気がつくと近くラビリン。そして周りには倒れてる友達の姿

 

「皆んな!」

 

「絶望する様な事では無かろう。生きるという事は戦う事、戦いに勝った者だけが生きる事を許される。その勝者が我ただ1人あったというだけだ」

 

「…生きる事は戦う事。そうだね、わたしもそう思う」

 

のどかはその言葉を否定するどころか、同じだと共感する

 

「わたしは病気と戦ったから今元気でいられる」

 

「のど…か?」

 

「ちゆちゃんは未来の目標に向かってずっと戦ってて、だから毎日が充実してて」

 

「…」

 

「ひなたちゃんは自分の嫌いなとこと戦いながら、いつも笑顔でドンドン強くなって」

 

「…」

 

「アスミちゃんは戦いの中で生まれて、今もずっと大好きなラテの為に戦い続けてる」

 

「…」

 

「ラビリンもペギタンもニャトランもラテも、故郷を離れて地球の為にずっと戦い続けてくれてる」

 

「「「…」」」

 

「蓮花さんや紅牙さんや紫苑さんも、自分達の運命と最期まで戦っていた。わたし達いつも何かと戦っている。戦いながら生きてる。貴方の言う通り」

 

のどかの言う様に誰もが沢山色んな事を背負い、考え、やり抜いている

 

だから

 

「だからわたしは戦い続ける」

 

ネオキングビョーゲンの顔が歪む

 

「今までと同じ…今まで以上に戦い続ける。勝つ為じゃない、負けない為に、わたしが健やかに生きる為に、大好きな人達が健やかに生きられる様に。他の全てを見下して、虐げて、奪ってく貴方みたいな存在のせいで悲しむ人が増えない様に!!」

 

「今更人間1人に何が出来るというのだ?」

 

「出来るラビ!諦めない人が居れば、勇気付けられる人が生まれるラビ!一緒に戦う仲間が増えるラビ!」

 

人間のパートナーと

 

「仲間が出来たら支え合える!」

 

「弱い心も、貫きたい想いも!」

 

「そして一緒に立ち向かえる!」

 

ヒーリングアニマル達が手を取り合い

 

「失敗しても、間違っても!」

 

「笑い飛ばしてフォローし合って!」

 

「もっと大好きな仲間になる!」

 

そうやって積み上げた絆が

 

「大切なものがドンドン増えて」

 

「もっともっと守りたくなって」

 

「もっともっと諦められなくなるのです」

 

今の彼女達を作り上げたのだ

 

「1人じゃ難しくても」

 

「皆んなで手を取り合って」

 

「諦めずに」

 

「戦い続けます!」

 

「わたし達は!」

 

「「「「生きたい!!」」」」

 

のどか達だけではない。テアティーヌやヒーリングアニマル、すこやか市の皆んな、そして地球上で生きとし生ける全ての者が『生きたい』という思いを抱き、それが光となりネオキングビョーゲンへと集まる

 

「な、何だ!?この生気に満ちた光は!?」

 

その光が、体内に取り込まれていたのどか達を外へと連れ出した。

それだけでは無い。光の一部がラテが身に付けてる装飾に。そしてヒーリングステッキへと宿った

 

「皆んなの想いです。この星に生きる全ての命が、心の肉球にキュンと来た。生きたいという叫びの結晶です!」

 

「小賢しい真似を!許さんぞ!!」

 

「この星の全ての皆さんと!」

 

「「手と手を繋いで!」」

 

「「ハートを繋いで!」」

 

「「地球をお手当てするんだ!(ラビ!)」」

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

 

「ふわぁ〜!」

 

「浮いてんじゃん!」

 

変身したグレース達の身体は光り輝き宙に浮いていた

 

「無駄な足掻きを。全ては我が蝕んだ後だ!!」

 

ネオキングビョーゲンは角から強烈な攻撃を繰り出したが

 

「「「ぷにシールド!」」」

 

ラビリン、ペギタン、ニャトランの3人のぷにシールドが合体し完璧に防ぎ切った

 

勢いに乗ったグレース達は一瞬でネオキングビョーゲンへと近付く

 

「ヴヴァァァ!!」

 

最早余裕などしてる暇は無い。ネオキングビョーゲンも全力でグレース達を倒すべく、オーラを触手の様にして攻撃する

 

「ハァァッ!ぞりゃあ!」

 

「ハァァ!ハッ!」

 

「ハッ!せやぁ!」

 

「フッ!ハァァ!!」

 

皆んなの想いを一心に受け取ったグレース達の攻撃は、ネオキングビョーゲンの攻撃を物ともせず破り、とうとう懐へと掻い潜った

 

「何!?」

 

「「「「ハァァァッ!!!」」」」

 

4人の一糸乱れぬ攻撃が決まり大ダメージを与える

 

「プリキュア ァァァ!!……うぐっ!?」

 

ネオキングビョーゲンがグレース達へ手を伸ばそうとする時、胸の辺りを抑え込み苦しみ出す

 

「一体何が……?」

 

グレースが考えてると、隣から誰かが肩を叩いていた

 

振り向くと、人の形を成した蒼い光だった

 

光の人がグレース達に何か教えるかの様に指を指していた。その先には、ネオキングビョーゲンが抑える胸の内。

蒼い光が僅かながら光っていた

 

「あれはもしや…!」

 

「間違いないわ!」

 

「やっぱ蓮兄最っ高!!」

 

その光は、最後に蓮花が放った果てしなき蒼だった。所有者である蓮花が死んで力が失われていたと思われていたが、光を取り戻し、ネオキングビョーゲンの動きを封じて弱体化させていた

 

「もしかして貴方は…」

 

グレースがもう一度蒼い光の方へ振り向くが、泡の様に消えようとしていた

 

蒼い光が消える寸前グレースはその光を掴む

 

「蓮花さん…」

 

「今ラテ!」

 

「蓮花さん、ありがとうございます!!」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

「ウグゥゥゥ!!」

 

だが弱体化しようとネオキングビョーゲンは、両手で受け止めようとして踏ん張る

 

「この我が、見習い共と人間なんぞに!!」

 

「「「「わたし達は!」」」」

 

「「「「生きる事を!」」」」

 

「「「「健やかな未来を!」」」」

 

「「「「諦めない!!」」」」

 

グレース達の想いに応え、スペシャルヒーリングっどボトルの力が上昇した

 

威力が更に上がり、その力に耐え切れずネオキングビョーゲンを呑み込んだ

 

「ウガァァァァ!!ヒーリングッバ〜イ!」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

ネオキングビョーゲンを浄化した事により、地球を蝕んでいたものが全て浄化された。

これで地球は、すこやか市は、皆んな元に戻った

 

そしてグレース達は、丘の上で昇る朝日を眺めていた

 

「浄化…」

 

「出来たのね…」

 

「はい、ですが…」

 

グレース、フォンテーヌ、アースはスパークルの方へと目を移す

 

そこには、動かなくなった蓮花を抱き抱える姿のスパークルが

 

「蓮兄見て、アタシ達皆んなでお手当て出来たよ。だからね…」

 

蓮花の頬に一滴の雫が落ちる

 

「だからね…褒めて、よっ…いつもみたいに、さぁ…れんにぃ……」

 

目元が涙で溢れ返り、視界がぐちゃぐちゃになっていた

 

グレース達もそれを見て、込み上げる嗚咽を我慢して俯いていた

 

そんな悲しみに浸る彼女達の後ろから、ある1人の人物が歩いて来る

 

「偶然か必然か。またもその光景を目にする事となるとは」

 

「え…?」

 

レンカだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネオキングビョーゲンが浄化された今となって現れたレンカ。それが何を意味するのか




主人公が死んだ!?(2回目)

次回に続きます



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第88話 相応しい者♥最初で最後の奇跡!

もうこの小説グダグダしてますよ!あ〜、オワリオワリ〜!!


「大切なものの為に犠牲となり死ぬ。今も昔も変わらない。何も」

 

「犠牲って…蓮兄を馬鹿にしないで!!」

 

「ならば今のお前の瞳に映るのは一体何だ?」

 

「犠牲なんかじゃない…無駄なんかじゃない!」

 

「それはお前から見た話。我からすれば、何も意味の無い幕切れ」

 

レンカはテアティーヌを一目見た後、静かに歩み寄る

 

「しかしながら此処で終わるのも良くは無い。それに相応しい程まで完成したというのに」

 

「何が言いたいの…?」

 

「その目は興味深い。そう、とても」

 

レンカは目を閉じると、瞼の裏にはあの日の出来事が蘇る

 

 

『──いいか2人共…何があっても、お手当てを頑張るんだ……大好きな皆んなの為に、健やかなる未来の為…に……』

 

『──分かりました…っ…最後まで諦めません!』

 

 

それは、古のプリキュア とその時代に生きた抜剣者

 

「そう思わないかテアティーヌ?」

 

「…えぇ」

 

「何故人間は自己犠牲を望むか?我はお前達の事を観察し、ずっとそれを考えていた。只無様、只無惨に死ぬというのに。だがやっと、やっとその答えを見出せる」

 

レンカは脇に抱えていた魔剣を、無造作にグレース達の足元へ投げる

 

「蓮花さんの…」

 

そしてレンカは拾ったと思われる原始の魔剣を地面へ突き立てる

 

「今一度問おう。何故お前達は他人の為にそこまで戦う?何故自己犠牲をする?何故なのだ?」

 

「そんなのもう答え言ってるじゃん──生きる為だよ」

 

「犠牲を否定して来たお前達が、生きる為ならば自己犠牲を肯定するというのか?」

 

「それを決めるのはアンタじゃない。アタシ達だよ!」

 

「この世には、お前達の愛する者達はいないのだぞ。それでも良いのか?愛する者達の犠牲で生きて行けるのか?」

 

「アタシ達はいつだって一緒だよ」

 

「…それが答えと言うのか。なれば──」

 

原始の魔剣から波動は放たれる。その波動は、蓮花と破壊された魔剣を包み込む

 

蓮花の腹の傷はみるみると治り、魔剣も元の形へと直ってゆく

 

「剣が…!」

 

更に、修復された不滅の炎(フォイアルディア)翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)が何かに反応する様に激しく輝く

 

二つの剣が大きく照らし出すと、光は人の形を成してく

 

やがてそれは、誰もが見た人物達へと変化する

 

「紅牙さん!?」

 

「紫苑さん!?」

 

フォンテーヌは紅牙、グレースは紫苑を支える

 

「スパークル、蓮花の様子は?」

 

スパークルは、蓮花の様子をじっくり見ると

 

「嘘…生きてる……蓮兄が生き返ってる!!」

 

「どうして貴方が?」

 

「…王は民無くしては生きれない。民は王無くしては生きれない。言っただろう。相応しい程まで完成した、と」

 

「じゃあ、蓮兄が王様になるって事?」

 

「…そろそろのようだ」

 

レンカの体が黒く光り、粒子へと返り消えようとしている

 

「一度死んだ者が生き返るなど世界の理から反する行為。そして、通常なら破壊された魔剣の修復には長い時間を掛けてするもの。それを無理に通したのだ。当然の結果だ」

 

原始の魔剣にもヒビが入る

 

「これがお前達の選んだ運命。それが果たして良い運命と回るものか、今度こそ高みの見物としよう」

 

最期に小さく笑いその姿を粒子へと還った

 

そして、蓮花達と魔剣の修復に力を使ったのが負担となり原始の魔剣は砕け散った

 

「紫苑…さ…」

 

「良かっ…」

 

「蓮兄……」

 

「ぁ…」

 

レンカが消えると、グレース達は蓮花達を抱きながら崩れ落ちた

 

「わん!?」

 

「皆んな強張ってた緊張が解けたのでしょう。それに力も全て出し切ったのです。無理もありません」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大切な人達と隣で眠る蓮花達とのどか達。皆んな表情は笑顔で溢れていた




こんなの私が望んだ結末じゃない!!


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第89話 何気ない日常♥肩寄せて過ごした日々

情緒不安定な感カンカンコン!

そやいスタートする!


翌日から街の様子は何ひとつ変わりなかった

 

のどか達とラビリン達はパートナーと共に仲良く日々を過ごし、奇跡の復活を遂げた蓮花達も何事も無くしていた

 

あるとすれば、街の人々の様子が少しおかしい事だ。

蓮花達やのどか達に対して、いつも以上の世話焼き、謎の手土産を貰ったりする事がある

 

実は、街の人達はのどか達の事をプリキュア だと知っているのだ。勿論、蓮花達抜剣者の存在も。ネオキングビョーゲンとの戦いで公になったのだ

 

しかしながら街の人達は、何故隠してた事については追求せず、事情があったのだろうと思い胸の内に留めている

 

因みに、正体がバレてる事に蓮花やのどか達は勿論ラビリン達もその事は知らない

 

 

 

 

 

「それにしても荷物が多いわね。紅牙、貴方一体どれだけ持ち込んだのよ?」

 

「あ〜…」

 

「居候の癖に生意気ね」

 

「せめてシェアハウスと言え。てかお前もだろ」

 

此処は蒼咲家。蓮花達は何やら荷物を纏めていた

 

「それにしてもよぉ、どうせなら左目も直してくれりゃあ良いものを。お前もそう思うだろ?」

 

「え?う〜ん、まぁ…」

 

紅牙が言っているのは、生き返った時の身体の状態を言っている。蓮花は左腕、紅牙は左目と先の戦いで欠損したのだが、それを生き返るついでに元に戻してくれなかった事に愚痴っていた

 

「生き返れただけでも有難いと思いなさいよ。バチが当たるわよ」

 

そうこうしてると、玄関の扉が開いて大きな声が聞こえた

 

「蓮兄居る〜?」

 

「うん居るよ」

 

「お邪魔しま〜す!」

 

やって来たのはひなただった。蓮花が居る事を確認してリビングへ足を運ぶ

 

「何この段ボール?」

 

ひなたが目にした光景は、大量の段ボールが山積みとなっているリビングだ

 

「俺は引っ越しの準備で、紅牙と紫苑は実家へ帰る準備をしてるんだよ」

 

「おし、後はお袋にでも言って車に積んで貰う。じゃあ」

 

「私も一度家に帰って車を持って来るわ」

 

2人はニヤニヤと笑いながら家を出て行った

 

「「ごゆっくり〜」」

 

小さく手を振って見送った後、蓮花とひなたは互いに顔を見合わせた

 

「ところで何で家に?」

 

「……あーーっ!!」

 

ひなたは慌てて外へ飛び出した

 

「紅兄!紫姉!…もういない!?」

 

「2人に用があったの?」

 

「ていうより蓮兄達に。のどかっちの家で遊ぶ約束してて、アタシが蓮兄達を連れて行くって言ったのに…」

 

「なるほどね。それでニャトランがいない訳だ」

 

「どうしよう…」

 

落ち込むひなたを連れて玄関へと戻る

 

「どちらにしろ、今日は見ての通り俺達遊べないよ」

 

「うっ!」

 

「残念だってね。ほら、もう行った方が良いよ。のどか達も待っているだろうし」

 

頭を2回ポンポンと軽く叩いて、リビングに戻ろうとすると

 

「ッ!」

 

「うわっ!?」

 

後ろからひなたが抱き付き、その勢いで顔から倒れてしまう

 

「…抱き付いてくるのは良いけど急は危ないよ」

 

「だって…」

 

「だって?」

 

抱き締める腕の力が更に強くなる。ひなたは、蓮花の背中に顔を押し付けたまま話し出す

 

「だって、ちゃんと捕まえてないと何処行っちゃうんだもん」

 

「別に何処にも──」

 

「嘘」

 

「……」

 

「アタシ達の事置いていったじゃん」

 

生き返ったとはいえ、蓮花の死はひなたの心を傷付けるには充分過ぎた

 

「…離れないよ」

 

「蓮兄…」

 

「絶対、絶対に!」

 

「うん…うん!」

 

蓮花は何とかひなたの正面に向き直り、胸の中で抱き締める

 

「何があっても、どんな事があっても、何年何十年経とうと君の側から離れないよ」

 

「アタシも離れない!もし離れ離れになっても見つけるし!だって──」

 

「俺も見つけるよ。ひなたの事が──」

 

「「大好きだから!」」

 

お互いに、おでこをくっ付けて笑顔になる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その約束は、未来永劫破られる事は無い




ヤッベェ…本来ならこの回で今週分の話終わらせるつもりだったのに、引き延ばしてしまった

ここまでの拝読ありがとうございました


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NG集 テイク19 「もう終わりが近いラテ」「色々長かったペエ」

サブタイ詰め込んだ感が否めない

ではスタト!


第85話 「のどかの答え♥そして進化は止まらない」より

 

蓮花とキングビョーゲンが綱引きする場面から

 

 

 

 

 

取り込もうとするキングビョーゲン、それを阻止しようと奮闘する蓮花。綱引き状態となる

 

「蒼咲さん!?」

 

「ちょちょちょ蓮兄!?」

 

フォンテーヌとスパークルが急いで蓮花の体を引っ張る

 

「フォンテーヌ!ドンドン引っ張って!」

 

「ええ!分かってるわよ!」

 

「蓮花さんの腕が伸びてる…」

 

「どこまで伸びるのでしょうか?」

 

「今から検証する?」

 

「「えっ!?」」

 

スパークルが突拍子もない事を言い、蓮花とフォンテーヌがビックリする

 

「グレース!アース!一緒に引っ張って!」

 

「分かりました!」

 

「「人の体で遊ぶな!!」」

 

 

 

 

 

////////

 

第86話 「駆け付ける者達♥そして導き出される選択」より

 

ラテが初めて喋るシーンから

 

 

 

 

 

「わん!おあしすラテ!」

 

「ッ…皆さん、ヒーリングオアシスを!」

 

「「うん!」」

 

「うん…え?」

 

突然ラテが喋った事によりスパークルは動揺を隠せずにいた

 

「フォンテーヌ!スパークル!」

 

「「トリプルハート──」」

 

「ちょっとちょっと!!」

 

ミラクルヒーリングボトルをセットするグレースとフォンテーヌを止める

 

「ラテが喋ったんだよ!?驚かないの!?」

 

「「…トリプルハート──」」

 

「完全スルー!?」

 

 

 

 

 

////////

 

第87話 「生きる喜び♥皆んなのお手当てを乗せて!」より

 

蓮花が死ぬシーンから

 

 

 

 

 

蓮花は最後にスパークルに笑顔を見せて胸の中で動かなくなった

 

「え…?待ってよ…嘘だよね蓮兄?」

 

「蓮花が死んだ!」

 

「この人でなし!!」

 

「……」

 

外野の紅牙と紫苑の声が聞こえ、スパークルは無言で雷と火のエレメントボトルを使って2人を焼き焦した

 

 

 

 

 

////////

 

第88話 「相応しい者♥最初で最後の奇跡!」より

 

生き返った紅牙達を受け止めるシーンから

 

 

 

 

 

「紅牙……ハッ!」

 

紅牙を受け止める瞬間、フォンテーヌの頭の中で超高速で考え始める

 

(確か自分より重い人が上に乗っかるのはいけないと聞いた事があるわ。もしわたしがこのまま受け止めてしまったら……でも今はプリキュア に変身してるし…でもやっぱり!)

 

考えが纏まったフォンテーヌのした行動は

 

「ん…」

 

「で!?」

 

体ごと紅牙を避ける事だった

 

「何しやがる!?」

 

「いえ…紅牙さん重いですから…」

 

「冗談だよな?」

 

 

 

 

 

////////

 

第89話 「何気ない日常♥肩寄せて過ごした日々」より

 

撮影後の話

 

 

 

 

 

「ひなたどうしよう!俺達の撮影時間が思ってたより押したせいで、予定より伸びてしまってるよ!」

 

ふぁい(はい)?」

 

ひなたはクッキーを頬張りながら返事をした

 

「……」

 

ふぇんにぃほはへる(蓮兄も食べる)?」

 

「せめて食べ終わってから喋りなさい!」




この小説も終わりが近い!

ここまでの拝読ありがとうございました


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第90話 それぞれの帰路♥最後の暖かな暮らし

最近お気に入り増えるが、それに比例して低評価も随時付いてくる。人それぞれですよね……

ではスタト


あれから長いようで短い時間が経ち

 

「アスミちゃんもヒーリングガーデンに行っちゃうんだね」

 

「はい、ずっとラテの側に居たいので」

 

ラビリン達ヒーリングアニマルとアスミとの別れが目の前まで迫っている

 

「うぅ…寂しいペエ…」

 

「泣くなよ!永遠のお別れじゃないっての」

 

「また、いつ進化したビョーゲンズが現れるか分からないラビ。その時に備えて、もっともっと勉強しないといけないラビ!」

 

「わんわん!」

 

ラビリンの言うように、この世界からビョーゲンズが完全に居なくなった訳では無い。いつかまた、キングビョーゲンに代わって地球を蝕もうとする奴もいる

 

しかし、それを分かっていてもペギタンは

 

「やっぱり寂しいペエ…」

 

「わたしもよペギタン」

 

一年という月日が経ち固く結ばれた今、別れというものは辛いものなのだ

 

「ひなたどうした?さっきから静かだな」

 

「べ、別に何ともないし!こ、これでも成長したし!」

 

いつも元気のひなたも離れるのは辛い

 

「ラテは王女として頑張ってね。アスミは食べ過ぎないように」

 

「わん!」

 

「まぁビョーゲンズでも、何かあったらすぐ呼べよな。いつでも駆け付けるからよ」

 

「心配無いわよ。アスミちゃんがプリキュア になれば大抵の事は何とかなるわよ」

 

「それは買い被りの気もしますが…」

 

蓮花達もその気持ちを抑えて、敢えていつも通りに接して紛らわそうとする

 

「のどか」

 

「何ラビリン?」

 

「お手当て手伝ってくれて本当にありがとうラビ。今度こそ平和な日常を……っ」

 

ラビリンも頑張って頑張って、その気持ちを押し殺そうとするけど、仕方ない事に泣いてしまう

 

「危ない事に巻き込んじゃってごめんラビ!」

 

ラビリンはいつも感じていた気持ちを吐き出した。本当に危ない事ばかりだった

 

「ずっと心配してくれてたもんね。ありがとう」

 

「うぅ…っ…」

 

「でもねわたしね、大変だったけど楽しかったよ」

 

のどかの表情は笑顔で満ち溢れていた

 

「ラビリン達と過ごした日々は、本当に楽しくて、新鮮でわたし生きてるって毎日感じてた」

 

のどかだけじゃなく、それはちゆやひなたも同じ気持ち。皆んながそう感じている

 

「ラビリン達が1人でお手当て出来る様になって、パートナーが必要無くなっても、わたし達お友達でしょ?」

 

「ラビ!ずっと友達ラビ!」

 

そして遂に別れの時間がやって来た。上空から、ヒーリングガーデンへと帰る道が開かれた

 

ラビリン達アスミはゆっくりと、その道へと誘われて行く

 

「それでは皆さんご機嫌よう!」

 

「バイバイラテ〜!」

 

「体調管理に気を付けてね!」

 

「今度会う時は気軽に話そうぜ!」

 

「テアティーヌさん達にも宜しくね!」

 

「今度は遊びに来るペエ!」

 

「いつでも待ってるわ!」

 

「皆んなもヒーリングガーデン遊びに来いよな!」

 

「うん、絶対…絶対行くから!」

 

「皆んな、元気でラビ〜!」

 

「皆んなも元気でね〜!」

 

蓮花達は、お互いに姿が見えなくなるまで大きく手を振り、いつか会える日を楽しみにし約束した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またね」




う〜ん、前回が区切りが良かったから分けたもののって感じ〜

ここまでの拝読ありがとうございました


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第91話 遂にやってきた♥此処がヒーリングガーデン!

感謝祭観てきました!そんな訳でアニメ最終回の内容を投稿します

ではスタート!


あれから数ヶ月が経ったある日の事。蓮花達は大きな荷物を抱えて展望台へと集まっていた

 

「まさかヒーリングガーデンに招待されるなんて」

 

「ニャトラン達にも会えるんだよね!めっっっちゃ楽しみ!!」

 

「楽しみなのは分かるけど、こういう時くらいは時間通りに来て欲しいわ」

 

「ご、ごめんひゃい…」

 

「今日くらいは別に良いじゃないの。ちゆちゃんも堅いねぇ」

 

ヒーリングアニマルの迎えを待っていると、空から懐かしの3人ラビリン、ペギタン、ニャトランがやって来た

 

「のどか〜!」

 

「ちゆ〜!」

 

「ひなた〜!」

 

「「「皆んな〜!」」」

 

「レッツゴー!ヒーリングガーデンラビ!」

 

 

 

 

 

////////

 

「「「うわぁぁぁああ!!?」」」

 

ラビリン達が潜って来たゲートから入ったものの、そこから出た場所は地上から遥か上空の所だった。

それ故、現在は蓮花達は優雅なスカイダイビングを楽しんでいる

 

「楽しんでない楽しんでない!!全っ然楽しんでな〜〜い!!」

 

「こんな時こそ冷静にならなくちゃ。誰かティーセット持ってない?」

 

「冷静になんて出来ませんよ!!」

 

「ティーセットならあるぞ?」

 

「「あるの!?」」

 

喋ってる間にも地面との距離は縮まってゆく

 

「あわわわ!?」

 

のどかは蓮花の体にしがみついて言葉を失っている

 

「魔剣で何とかしようか」

 

悪ふざけも良いが流石にこのままだと大変な事になる。蓮花ぎ魔剣を喚び出そうとする時、急に落下速度が落ちてゆっくりと地面に足をついた

 

「そんな酷い事するかよ」

 

焦りから一旦落ち着いて周りを見渡すと、煌びやかに光る自然が目に映る

 

「案内してやる。こっちだ!」

 

「何々?何処行く?」

 

「ヒーリングパレスペエ」

 

「テアティーヌ様達が住んでるヒーリングガーデンの中心ラビ!」

 

周りの景色に目を奪われながらも、ラビリン達の案内の下で付いて行くと大きな湖に辿り着いた

 

「のどか行くラビ!」

 

「え、でも…」

 

行くと言われてもこれ以上先へは進めない

 

「大丈夫ラビ!」

 

ラビリンが手を引いて湖へ足を踏み込ませると、のどかの足は水の上に立っていた

 

「ふわぁ〜!」

 

「波紋が消える前に渡り切るラビ」

 

「え!?」

 

それを聞いて慌ててのどかは走り出した

 

「面白そうだな!行くぞ!」

 

紅牙も足を入れて走り出した。後に続いて蓮花やちゆも走り出す

 

走り切った場所で蓮花達は大きく聳え立つ像を見ていた

 

「もしかして、テアティーヌさんのパートナーだった?」

 

「そう、先代のプリキュア ラビ」

 

「本当アスミちゃんに似てるわね」

 

「わたくしもそう思います」

 

像の陰からひょっこりとアスミとラテが出て来て迎えに来てくれた

 

「皆さんお久し振りです」

 

「わんわん!」

 

ラテはアスミの腕から飛び、ゆっくりとのどかの手の中に収まる

 

「飛べるようになって。随分と成長したわね!」

 

「まだ少しだけですけど」

 

「のどか」

 

飛べる様になっただけではなく、まだおぼつかないがしっかりと名前も喋った

 

「ふわぁ〜!名前呼んでくれるの?」

 

「最後のお手当ての頃、ちょっと喋れる様になってたけど」

 

「ち〜ゆ」

 

「は〜い!」

 

「アタシ、アタシは?」

 

「ひなた」

 

ラテが喋れる様になって一人一人名前を言わしていく。

ニャトラン、ペギタン、蓮花、紫苑と続いて次は紅牙の番となった

 

「こおり」

 

「うんうん…て、俺は氷かよ!?」

 

「残念ラビ。気にする事無いラビ!」

 

自分だけ名前を呼ばれなかったのは不服であったが、仕方ない気持ちを抑える。

そしてラテはラビリンの方へと向き

 

「すあま」

 

「え?」

 

「すあま」

 

「何でぇ〜ラビリンはラビリンラビ!!」

 

そんなラビリンに紅牙は笑顔で肩に手を乗せて

 

「気にすんなよ。す・あ・ま!」

 

「〜〜ッ!ラビ!」

 

紅牙の表情が気に入らなく、ラビリンの小さな拳が右目に突き刺さる

 

和気藹々と話してると、テアティーヌも迎えに来てくれた

 

「皆さん、ようこそヒーリングガーデンへ」

 

「テアティーヌさん!」

 

「お招きありがとうございます」

 

「こちらこそ。地球の危機に立ち向かってくれて本当にありがとう」

 

テアティーヌもあれから何事も無く、今は休む事にして気を付けている

 

「あ、そうだ!手土産があるんだ」

 

「わたしも!」

 

「アタシも!」

 

「わたしも、お母さんとお父さんがいっぱい持たせてくれて!」

 

皆んな、手に持っていた大きな荷物は全てお土産だった。皆んなして持って来たお土産を広げる

 

「せ〜の!」

 

しかし肝心な中身なのだが

 

「全部すこやか饅頭ペエ!」

 

「嘘でしょ、こんな被る事ある!?」

 

「だ、だってアスミちゃんとラビリンの大好物だから」

 

「すこやか市の名物と言えばコレよね!」

 

「だからってコレは。俺達仲良しか!?」

 

「「「「「仲良しです」」」」」

 

「そうだった!」

 

6人全員が同じ物だという失態を犯す。改めて、つくづく皆んな思っている事が同じだと実感した

 

「ありがとう、仲間達にも分けてあげたいのだけど良い?」

 

「「「「「「はい!」」」」」」

 

「それともう一つ、貴方に渡したい物があるのです」

 

テアティーヌは蓮花に3本の魔剣を渡した

 

「あの人の…先代の抜剣者の魔剣です」

 

「何でコレを?」

 

「思い出の品として持つのも良いですが、やはりコレは手にすべき者が持つべきと思うのです」

 

蓮花は3本を受け取るが

 

「コレは受け取れません」

 

テアティーヌに返した

 

「持つべき者は貴女ですテアティーヌさん。先代の抜剣者を今も忘れずに思っているからこそ、この剣は貴女に持って貰いたいのです」

 

「そうですか。では、私が預からせて頂きます」

 

 

 

 

 

そこからは、ヒーリングアニマル達が住む場所まで移動する

 

「この辺りは大人のヒーリングアニマルが住んでるペエ」

 

その途中、2人のヒーリングアニマルがやって来た。ライオンのレイオン、トラのトラインだ

 

「アスミ、ラビリン」

 

「その人達はプリキュア か?」

 

「ラビリン達のパートナーラビ!それに、蓮花達抜剣者も居るラビ!」

 

「わん!」

 

それを聞き付けた住人達が一気に集まり、蓮花達を囲い込んだ。大人から子供まで、色んな動物のヒーリングアニマルに驚きを隠さなかった

 

「多いな。お土産足りるか?」

 

「どうだろう…」

 

「取り敢えず配っちゃえ!」

 

思い思いにヒーリングアニマルと触れ合っていると、のどかは一ヶ所だけ黒くなっている場所に気付いた

 

「ラビリン、あそこは何?」

 

「キングビョーゲンが攻めて来た時に蝕まれた所ラビ」

 

キングビョーゲンが攻めて来た時期と言えばまだ皆んなが出会う前。一年以上前の事だ。

それでも未だに浄化し切れてない場所が存在していた

 

「早く元気になりますように」

 

そう願いを掛けてると、蝕まれた場所の奥から1人のヒーリングアニマルが出て来た

 

「何故人間なんか連れ込んだんだ?」

 

「サルローさん」

 

感じ悪く言うのは、年配の猿のヒーリングアニマルのサルローという人物

 

「『人間なんか』って何ラビ!」

 

「ボク達の大切なパートナーペエ!」

 

「テアティーヌ様が正式に招いてくれたんだ!」

 

いくら年上とはいえ、大切なパートナーを悪く言われて黙っていられるラビリン達ではなかった

 

「女王が人間に甘過ぎるんだ」

 

「毛嫌いするのは勝手だけど理由を教えてくれないかしら?」

 

「分からんか?人間などビョーゲンズと変わらんからだ。自然を破壊し、動物の命を奪う。ある程度は生きる為に必要な事だ。それが、人間ってものの進化でもあるんだろう?」

 

「あ、あぁ…」

 

「だが限度ってものがある!」

 

ここまで言われたら何を言いたいのかも全て分かる。けれど、今はそれをちゃんと受け止めるしか無い。そう考えてサルローの言葉を聞き入れる

 

「ビョーゲンズだって進化の果てがキングビョーゲンだ。俺に言わせりゃヒーリングアニマルは人間だって浄化していくべきなんだ。この星の為にな」

 

サルローはそう言って立ち去った。

正直これには何も言い返せない

 

「キングビョーゲンにも言われた。人間もビョーゲンズと変わらないって」

 

「そうね、人間が便利に暮らす為に空気や海を汚しているのも事実よ」

 

「そのせいで死んでしまう動物いる。何とも言えないな」

 

「私達人間を浄化ってエライ怖い事言うわね。最終的に人間を食べるとか言いそう…」

 

楽しかった空気が一変し重たい空気へと変わる。そこで改めて気付かされた。自分達人間が一番この地球を病気にしてるのではないかと

 

黙っていた紅牙も口を開くが

 

「ソノ人間オイテケ。オレタチ人間喰ウ。人間ノセイ。森、死ヌ」

 

突然訳の分からない物真似をし始めた

 

「プ…アハハハッ!紅兄似てる!!」

 

「2人共やめなさい」

 

「ちゆちーそうじゃない!そこは」

 

「「その首噛み砕いてやる!!」」

 

紅牙の物真似に大爆笑して、ひなたは笑い転げる

 

「いい加減に…しなさい!!」

 

結局、ちゆにゲンコツを貰い2人共頭に大きなタンコブを作る羽目になった

 

しかし、少しは明るい空気へと戻った

 

「くちゅん!」

 

「「「ラテ様!?」」」

 

唐突なラテの体調変化に驚く

 

「まさかビョーゲンズですか?」

 

『小ちゃい皆んなの所で、お饅頭が泣いてるラテ…』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう居なくなったと思っていたが、このヒーリングガーデンにビョーゲンズが現れた




2回に分けて投稿します。なので、バトンタッチは次です

ここまでの拝読ありがとうございました!


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第92話 念い、思い、想い♥全部の生きるを詰め込んで!

バトンタッチ!

ではスタート!


メガビョーゲンが現れた場所へと行くと、子供のヒーリングアニマル3人が捕まっていた。

しかも、メガビョーゲンはすこやか饅頭を媒体とし6体も存在した

 

「皆さん、ここはラテとわたくしにお任せ下さい!」

 

「ラビリン、わたし達にも手伝わせて!」

 

「あの子達を助けたいの!」

 

「お願い!」

 

「俺達全員で行けばすぐに終わるから!」

 

「こっちこそお願いするラビ!」

 

ラビリン達からエレメントボトルを受け取り、蓮花達も手を掲げて抜剣の体勢へと移る

 

 

 

「「「「スタート!」」」」

 

「「「「プリキュア ・オペレーション!」」」」

 

 

「「重なる二つの花!」」

 

「キュアグレース!」

 

「ラビ!」

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

「「溶け合う二つの光!」」

 

「キュアスパークル!」

 

「ニャ!」

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「「「地球をお手当!」」」

 

「「「「ヒーリングっど♥プリキュア!」」」」

 

 

「「「抜剣覚醒!」」」

 

「輝け!果てしなき蒼(ウィスタリアス)!」

 

「燃やし尽くせ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

「吹き抜けなさい!翠遠の息吹(ヴェルディグリオン)!」

 

 

 

「先ずあの子達を助けよう!」

 

「ラビ!」

 

グレースが捕まったヒーリングアニマルを助けようとすると、それを投げ付けて横をすり抜けた

 

「任せて…キャア!?」

 

地面に落ちる前に受け止めようとしたが、メガビョーゲンがそれを阻み、また捕らわれてしまった

 

「焼き饅頭にしてやらぁ!!」

 

不滅の炎の刀身に炎を纏わせ突き刺そうとする

 

「くら──」

 

「メガ!」

 

「嘘だろ!?うわっ!」

 

攻撃する時、ヒーリングアニマルを盾にした。傷付ける訳にも行かず、途中で攻撃するのを止める。けれど動きが一瞬止まり、その隙を突いてメガビョーゲンのカウンターを貰う羽目になる

 

「紅牙!あっと!」

 

蓮花も他のメガビョーゲンに邪魔をされて近づけない

 

「「ハァァァ!」」

 

今度は両側から、スパークルと紫苑が光のロープとツタを伸ばして救出を試みるも

 

「メガビョーゲン!」

 

「ちょ、ええ!?」

 

「もう!」

 

逆にロープとツタを掴み投げ飛ばす

 

「チームワーク良過ぎるペエ!」

 

ペギタンの言う通り、メガビョーゲンにしては統率の取れた動き。近付く事が困難を極めていた

 

「プリキュア !エレメントはあの赤い奴の方だ!」

 

「え?エレメントさんは1人だけ?」

 

「すこやか饅頭は6個入りで1つラビ!」

 

かなり特殊なメガビョーゲンだという事を理解した

 

「6個入りで、1つ……あぁ!!」

 

何故だかアースの攻撃の手が緩んでしまった。そのせいで攻撃を受けてしまった

 

「どうしたのどっか悪いの!?」

 

急な動きの変化に戸惑い心配する

 

「すみません…あのすこやか饅頭を攻撃する事などわたくしにはとても…!」

 

「「「好き過ぎ!!」」」

 

「「「真面目にやれ」」」

 

すこやか饅頭が好き過ぎる故、アースは泣いて悔やみ無理とへたり込んで動かない。

思わずグレース達、蓮花達はツッコんでしまう

 

「あそこまでなるともはや病気だな」

 

「でも、その好きな気持ちは分からなくもないわ!」

 

「いやでも、ちゃんとしてくれないと…」

 

アースが戦力外となってしまい、状況は一気に不利となる

 

「恐らく、アレに野生のナノビョーゲンが付いていたのだろう。人間がナノビョーゲンを持ち込んだんだ」

 

サルローのアレと言うのはすこやか饅頭の事だ

 

「だったら尚更、わたし達で責任持って浄化しなくちゃ」

 

「ごめんね皆んな。わたし達のせいで…」

 

「こんな失敗やらかすなんて思ってもみなくて…」

 

「私も、ナノビョーゲンはビョーゲンズにしか作り出せないかと思っていたわ」

 

「まさか野生のナノビョーゲンが存在なんて…」

 

「ごめんな。今すぐ助けてやるから」

 

自分達のやらかした事に悔いて、急いで浄化しようとするのだが

 

「今更なんだ?災いを持ち込むのはいつだってお前ら人間なんだ!」

 

「「「「「「……」」」」」」

 

サルローの言葉は胸に突き刺さり、そうとした言いようがなかった

 

「違う…ラテ!」

 

その時、ラテの頭の装飾のハートが光り輝き、その影響で上空にゲートが開いた

 

「うわぁぁぁ!!?」

 

そして中から1人の少女がメガビョーゲンの頭に落ちた。その衝撃でメガビョーゲンは地面に倒れ、捕まっていたヒーリングアニマル達は解放された

 

「何々?ここ何処?」

 

見た目は少女だが、衣装といいグレース達プリキュア と何か似ていた

 

「あの姿は、まさかプリキュア !?」

 

テアティーヌがそう断言したのだ。彼女は間違い無くプリキュア なのだろう

 

「誰?」

 

「あ、こんにちは!わたし『キュアサマー』。もしかして皆んなも──」

 

「危ない後ろ!」

 

フォンテーヌの呼び掛けにすぐさま反応して、喋りながら攻撃を受け流した

 

「プリキュア なの〜?」

 

「俺達3人は違うけど…」

 

「そうなの?…うわっ!?」

 

流石に油断し過ぎなのか、メガビョーゲンの尻尾に叩き倒され気絶してしまった

 

「アース、蓮花さん達と一緒にお願い!」

 

「チャンスよ!」

 

「人質も取り返したし!」

 

グレース達は今が好機と言い、ステッキからロープを伸ばしてメガビョーゲンを纏めて拘束する

 

「人間が地球に酷い事してるとか、アタシ全然分かってなかったけど!でも、今からでも遅くないよね!」

 

「これ以上酷くならない様に、最悪の未来を避ける為にわたし達に何か出来る筈よ!」

 

「そして少しでも健やかな未来を…わたし達だけじゃない。地球の沢山の皆んなが、健やかに生きられる世界にしたいから!」

 

グレース達の言葉を聞いて、サルローは唸る様に考えていた

 

「サルロー、貴方の事も分かるわ。私もいざという時が来たら、人間を浄化する覚悟はあります」

 

「テアティーヌ様…」

 

「でも、人間に深く関わった者として言わせてもらうと、人間には未来を変える力があると信じたいの。私には、さっきの見慣れぬプリキュア の存在がその希望の様に思える」

 

「…」

 

獅子奮迅するグレース達だが、圧倒的に数で不利となっている

 

「アースこの子は任せた!」

 

「宜しくね!」

 

「ですが!」

 

「て、お前ら上見てみろよ!また誰か降って来たぞ!」

 

見かねた蓮花達もグレース達の援護に行こうとする時、キュアサマーが降って来たゲートから更にもう1人の人間が降り立った

 

「……」

 

その子はキュアサマーと違い、私服姿で何やらステッキを持つ少年だった

 

「居た」

 

少年はゆっくりとキュアサマーが居る所まで歩いて来る

 

しかし、それをメガビョーゲンが見逃す筈も無い

 

「君、危ない!」

 

蓮花が呼び掛けると同時に、メガビョーゲンの拳を突然出現した青い盾がそれを阻んだ

 

「メガ!?」

 

「メガ!メガ!メガ!!」

 

連続で繰り出すメガビョーゲン達だが、硬くビクともしない盾は全て受け流し、防ぎ切っている

 

「退いてろ」

 

今度は複数の盾が出現し、盾自体が動きメガビョーゲン達を押し退けた

 

「あの方は一体…?」

 

「それよりあの子凄い。俺達が苦戦してたメガビョーゲンをたった1人で相手にしてる」

 

キュアサマーの下へと辿り着いた少年は起きる様に呼び掛ける

 

「サマー起きろ」

 

「彼女は気絶してます。無理に起こしてはいけません」

 

「そうか……それなら」

 

「おい蓮花!メガビョーゲンが来るぞ!」

 

「ク…果てしな──」

 

蓮花と紅牙が背後から来るメガビョーゲンを追い返そうと構えるが、またも青い盾が出現して攻撃を防ぎ、押し返した

 

「聞こえなかったのか?退いてろと言った筈だ」

 

少年は鋭い目付きでメガビョーゲン達を見上げる

 

「それに気に入らない。この俺を見下すのか?いいや駄目だ」

 

少年はステッキ上部に付いてるルーレットに手を翳す

 

「何人たりとも、この俺を見下す事を許さない──ルーレットスタート」

 

少年はルーレットを回した

 

『TECHNIC!』

 

そんな音声が鳴り響くと、ステッキ上部のルーレットが緑へと光を纏う

 

「まぁ、この状況なら当たりか?」

 

そして少年が走り出した

 

「まさか1人でやる気なのか?」

 

「無茶だ!1人では危険過ぎる!」

 

しかしながら、蓮花達の心配とは裏腹に上手く攻撃を避けていた

 

「フッ!」

 

少年は大きくジャンプし、メガビョーゲンの頭をステッキで叩き殴った

 

「メガ!」

 

だが空中では避ける事も出来ない

 

「蓮花早く!」

 

「分かってる!」

 

紅牙に言われなくても急いで魔剣を交換して、少年を守ろうとするけど

 

「そんなものは要らない」

 

「でも!」

 

「よく見ていろ」

 

そしてメガビョーゲンの攻撃が少年に決まってしまう直前、足裏で拳を受け止めた

 

「6体…少々面倒だな」

 

地面へやっと着地したその時

 

「ッ!」

 

「なっ!?」

 

少年が4人に分かれたのだ

 

4人となった少年は周りに居るメガビョーゲンを一気に5体倒した

 

「このまま終わると思うな。俺を見下すのが如何なるものか思い知るが良い」

 

少年は懐から新しいルーレットの盤を取り出して、基盤を入れ替える

 

『エモーショナルディスク』

 

「ルーレットスタート」

 

新しく取り替えた基盤。その盤には先程とはまた違う盤面が書かれていた

 

『GENIUS!』

 

GENIUSの盤面に矢印が止まった瞬間、ルーレットの色が緑から白へ。そして少年の空気が一変する

 

「メガ!」

 

今度こそメガビョーゲンの攻撃が当たった

 

けれど

 

「俺に逆らうのか?良いだろう」

 

直撃したにも関わらず、少年は眉すら動かさない。その他にも傷らしいものが見当たらない

 

「お願いや命令では無い。これは自然な事で至極当たり前の事だ」

 

少年は指を弾いただけで、メガビョーゲンの拳を弾き返した

 

「森羅万象、未来永劫何事も俺が正しい。俺の行動、言動何もかも全てにおいて間違いなど存在しない」

 

少年は片手でメガビョーゲンを持ち上げて空へ投げ飛ばした

 

「誰もが不可能と言うのであれば、この俺が可能にさせる。そして逆らう者がいるなら、そいつの可能を不可能にするまでだ」

 

少年は階段を登るかの様に足を上げて空中を歩き始める

 

「メガメガ!?」

 

飛ばされた筈のメガビョーゲンも今の状況に驚いていた

 

本来なら重力に従って落下する筈なのに、メガビョーゲンは浮いているのだ

 

「え〜!何アレ!?浮いちゃってるよ!?」

 

「どうなってるの?」

 

「蓮花さんこれは?」

 

「俺にも何がなんだか…」

(さっきから何かおかしい。これじゃあまるで…)

 

少年はようやっと、メガビョーゲンの頭上へと上り詰めた

 

「例え神だろうが俺に服従しろ。絶対は俺だ」

 

少年がメガビョーゲンに手を置いた瞬間、物凄い勢いで地面へと叩き付けられた

 

「這い蹲れ」

 

(これじゃあまるで、法則を無視してる様にしか思えない)

 

少年の見た目とは裏腹の力強さ、何も無い空中での歩行、そしてメガビョーゲンの浮遊。

目の前で起きてる事に整理が追い付かないでいる

 

「わん!」

 

「ラテ何を…?」

 

ラテが突然アースの視界を塞いだのだ

 

「アース、見ちゃダメラテ!」

 

「なるほど!」

 

「「「いやいやいや!」」」

 

アースはラテの目隠しをしたままグレース達と合流する

 

「アース…ってどゆこと?」

 

「これで何も見えません!」

 

「それは分かってるけど…」

 

「分かったわ!」

 

「「理解した!?」」

 

察しの良いフォンテーヌだけがラテの目隠しの意味を知った

 

「蒼咲さん達もお願いします!」

 

「この状況で!?」

 

「何も問題ありません」

 

「そ、そうなの…」

 

 

 

「「「「ヒーリングっどアロー!」」」」

 

「「「「ヒーリングアニマルパワー全開!」」」」

 

『キュン!』

 

「「「「アメイジングお手当て!準備OK♥」」」」

 

「「「「OK!」」」」

 

「「「「プリキュア !ファイナル!ヒーリングっど♥シャワー!」」」」

 

 

「「「覚醒剣!」」」

 

「蒼穹無限!」

 

「炎帝業火!」

 

「翠嵐疾風!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

「「「「お大事に!」」」」

 

「わふ〜ん!」

 

 

 

お手当てが終わり、蝕まれた場所も元に戻った

 

「あれ?」

 

キュアサマーもようやく目を覚ました

 

「お手当てを手伝ってくれたありがとうキュアサマー」

 

「いやいや、どう致しまして!」

 

「あれ?そういえばもう1人の子は?」

 

蓮花達は立ち上がって少年を探すのだが何処にも居ない

 

「本当だ。あの子にもお礼を言わないといけないのに…」

 

グレースがしょんぼりしてると、スカートの中に違和感を感じた。

確認の為下を向くと

 

「ここだよ〜!」

 

「……」

 

グレースも含めて、その場にいる全員が凍り付いた

 

「すぅぅぅぅぅはぁぁぁぁぁぁ!!」

 

何せ少年は、グレースのスカートの中に潜り込んでいたのだから

 

「クンクンクンクン!!やっぱプリキュア のパンツの匂いは極上べぶばッ!!?」

 

案の定、紅牙に蹴り飛ばされた

 

「あ、あぁ…」

 

「何すんじゃお前!!完全にグレース怯えてるじゃねぇか!!」

 

グレースは震えながらフォンテーヌの背中に隠れた

 

「最っ低ラビ!!」

 

「もうまた(・・)なの?」

 

「「また!?」」

 

キュアサマーの一言で全員一歩引く。けれど紫苑だけが近付く

 

「相変わらずの変態っぷりね」

 

「紫苑姉ちゃん!」

 

「「「「「「そして知り合い!?」」」」」」

 

「知り合いとは思いたくないけど、これでも一応親戚なのよ」

 

「そうなんだ!」

 

どうやら紫苑が知り合いの事は、キュアサマーも初めて知ったみたいだ

 

「皆んなも落ち着いてね。私の顔に免じて」

 

「それよりも紫苑姉ちゃんさ!」

 

「ん?」

 

「昔は年の割には大きいイメージがあったけど、今見ると胸ちっっっっっさ!!!!」

 

「そうなの!」

 

「でも今の紫苑姉ちゃんも好きだよ」

 

その瞬間、目にも止まらぬ速さで少年の首を両手で締め付ける

 

「テメェもう一度言ってみろ」

 

「で、でも紫苑姉ちゃんも好きだよ……」

 

「その前だ」

 

「いや紫姉が落ち着いて!!?」

 

更に紫苑の締める握力が増して行く

 

「それよりも紫苑姉ちゃんさ…」

 

「戻り過ぎだ。言葉の意味分かってんのかオイコラテメェボケあ゛ぁ゛!!?」

 

「早く謝った方が良いよ〜」

 

「の、呑気だね。助けなくても良いの?」

 

「いつもの事ですから!」

 

蓮花は遠い目をしてそれ以上何も言わなかった

 

「昔は年の割には大きいイメージがあったけど、今見ると胸ちっっっっっさ!!!!」

 

もうヤケクソなのか先程よりも大声で叫んだ

 

「ねぇグレース、ヒーリングステッキ貸して」

 

「な、何に使うのですか?」

 

「ひたすら殴る」

 

「取り敢えず落ち着いて下さい!!」

 

「グレース、ラビリンを渡すラビ!この男に裁きの鉄槌を下すラビ!!」

 

「ラビリンも変な事言わないの〜!」

 

激しく騒いでると、ラテの目の前に指輪が現れた

 

「わんわん!」

 

その指輪はキュアサマーの目の前で移動した

 

「あ!めっちゃトロピカってる〜!」

 

キュアサマーが手に取ると少年も含めて体が光り、ゆっくりと浮いてく

 

「ねぇ貴女、名前は?」

 

「わたしはキュアグレース!きっとまた会えるよね?」

 

「うん!グレースまったね〜!」

 

「待てるか!目の前に極上のアレやコレやがあるんだぞ!それをみすみす流してたま──」

 

キュアサマーは少年の脳天を肘で殴り気絶させた

 

そして2人は光りの様に弾けて消えて行った

 

「あの子、新しいプリキュア かな?」

 

「まだまだプリキュア は生まれていくのですね」

 

「チッ…仕留め損ねたわ」

 

「次は命は無いと思った方が良いラビ」

 

「さっき生命について改めたばかりなのに?」

 

 

 

 

 

////////

 

「「「色々と多大なるご迷惑をお掛けし」」」

 

「「「本当にごめんなさい」」」

 

「良いのよ。生きていれば、こういう事もあるわ」

 

テアティーヌの寛大な心で何とか許しては貰えたが

 

のどかはサルローへと歩み寄る

 

「サルローさん、わたし達頑張ります。『じゃあどうしたらいい?』とか今はまだ分からないけど、それでもわたし達にも出来る地球のお手当てを考えていきます」

 

「…」

 

「サルローさん、わたくし達も一緒に考えてはみませんか?」

 

アスミはすこやか饅頭を差し出した

 

「…そうだな」

 

和やかにそれを受け取ってくれた

 

最後にちゃんと分かってくれた所でお別れの時間だ

 

荷物を纏めて、またゲートを潜る為に空へと浮かび上がる

 

「皆んな〜!元気でラビ〜!」

 

「じゃあなぁ〜!」

 

「またねペエ〜!」

 

「わん!」

 

 

 

 

 

そして帰ってきたすこやか市

 

「帰って来ちゃったね」

 

「そうだな」

 

「これからもやる事いっぱいだね」

 

「地球のお手当ても、これから生きてく為にもね」

 

「生きてる限り戦いは終わらないって事ね」

 

「でも、そういうのも全部丸ごと──」

 

「生きてくって感じだよね!」

 

「蓮花さん!それわたしが言ようとしたのに〜!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蓮花達のお手当てはまだまだ終わらない

 

皆んなと一緒に手と手を繋いで、力を合わせて頑張って生きていれば、彼らが思い描く健やかな未来が待っている

 

お手当てはまだ──始まったばかりなのだから




キュアサマーと同時に新しいキャラが出て来ました。次回作の新主人公です。
言いたい事は分かります。説明させて頂くと、あの主人公は今現状作者が書きたいと思ってたキャラがアレです。
なので、何を言われようとアレで貫き通します

そして原作としてはこれで終わりですが、この小説ではもう少し続きます

もう暫くお付き合い下さい

では、ここまでの拝読ありがとうございました!


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第93話 また会う日まで♥新たな旅立ちの始まり

ここからはオリストです

ではスタート!


蓮花は1人書斎で黄昏ていた

 

「……」

 

今日、これからおおらか市へと引っ越すのだ。

のどか達とは暫く会えそうにない

 

「…?」

 

ふと本棚へと目を移すと気になる一冊があった

 

特に変わった本でもない。けれど、ほんの少し気になった

 

「………ッ」

 

その本に書かれていた内容はとても衝撃的なものだった

 

 

 

 

 

////////

 

時間は進み、2時半前となっていた。半頃になるとタクシーが来る。それを乗れば、すこやか市ともお別れだ

 

荷物は既に送っている。バックを片手に家を出ると、のどか達が待っていた

 

「別に見送りなんて要らないのに。それにアスミ達まで」

 

アスミ達も、わざわざヒーリングガーデンから来て見送りに来てくれた

 

「必要ですよ。蓮花さんには沢山お世話になりましたから」

 

「そうそう…て、そういえば何で紫姉も準備してるの?」

 

「実は私も今日出て行くのよ」

 

紫苑の側には、バイクに荷物が積まれてあった

 

「場所は?」

 

「『あおぞら市』」

 

「え、遠いじゃないですか?それで大学は間に合うのですか?」

 

「絶剣すれば余裕よ!」

 

「大事になりますので辞めて下さい」

 

ちゆに止められてしまった。素直にバイクで登校しようと考え直した

 

「にしても、おおらか市は遠いな。アスミ、お前の力でひとっ飛びすれば」

 

「それは名案です!」

 

「アスミを乗り物扱いしたら駄目ラビ!アスミも断るラビ!」

 

非常識人達は置いといて別れの時だ。時間となり、蓮花が呼んであろうタクシーが到着した

 

「時間だね」

 

「また来る時連絡して下さい。その時は旅館予約しますので」

 

「体調には気を付けて下さい」

 

「何かあれはすぐに駆け付けるからな」

 

「偶にはのどかちゃん達に顔を見せなさいよ」

 

「また会える日を心待ちにしております」

 

「そうだね。そうだアスミ」

 

蓮花はアスミと耳打ちをする

 

「それは本当なのですか?」

 

「うん」

 

「良いのですか?」

 

「知ってしまったらもう…」

 

「…分かりました。その時が来たら」

 

アスミとの会話も済ませ、最後にひなたに向き直る

 

「ひなた」

 

「泣かないよ。だって、会おうと思えばいつだって会えるし!」

 

安心した。また袖などを掴まれて帰さないかと思った。けれどそんな心配は無いようだ

 

蓮花タクシーに乗り込み、車のエンジンが掛かりゆっくりと走り出す

 

のどか達は追い掛けて最後まで声を出す

 

「蓮花、楽しい体験をどうもありがとうございました!」

 

「バイバイラテ!」

 

「向こうでも元気にしてろよな!」

 

「ちゃんとのどかちゃん達にも連絡しなさいよ!」

 

「オレ達待ってるからな!」

 

「蓮花も頑張るペエ!」

 

「色々とありがとうございました!お元気で!」

 

「今度もいっぱい遊んでラビ!」

 

「蓮花さんと過ごした思い出!絶対に忘れません!」

 

「蓮兄!!だ〜〜〜すき〜〜〜〜!!!」

 

車窓を開けて蓮花は大きく手を振って叫んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆んな!ありがとう!!」




残り2話で御座います

ここまでの拝読ありがとうございます!


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第94話 癒しの楽園で我思う♥それは幸せな事だと

前回の話からどうなったのか?

ではスタート!


辺りに広がる草原。空は輝き、のんびりとした平和な時間が流れていた

 

そしてそこには、木陰でもたれ掛かって寝てる青年が居た

 

その青年に近付く1人の大人びた少女居る。

その子は、その青年の隣に座り小さく呼び掛ける

 

「見つけましたよ蓮花」

 

「…ん?あ、アスミか。どうしたの?」

 

青年は蒼咲蓮花。少女は風鈴アスミだった

 

「今日の事忘れていませんよね?」

 

「忘れてないよ。一年振りにのどか達と会うのだからね」

 

2人が居る場所はヒーリングガーデン

 

「それにしても平和だね〜」

 

「そうですね」

 

のんびりと一緒に過ごしていたのだが

 

「大変ラビ!大変ラビ〜……って何してるラビ!?」

 

「日向ぼっこ」

 

「ラビリンもどうです?」

 

「じゃあ一緒に……って違うラビ!!」

 

「ノリツッコミというやつですね」

 

大慌てで飛んで来たラビリンだが、マイペースな2人に振り回されていた

 

しかしそんな悠長な事をしてる場合では無かった

 

「ビョーゲンズが迫って来てるラビ!!」

 

それを聞いた2人は顔つきが変わる

 

「大変じゃないか。何でもっと早く言わないの?」

 

「ラビリンのせいラビ!?言おうとしたラビ!!」

 

「ラビリン、皆さんの避難を。ラテも呼んで下さい」

 

「でも、ラビリン達も!」

 

「今、ラビリン達はのどか達パートナーが誰も居ない。此処は俺達に任せてくれないか?」

 

ラビリンは悔しそうにしながらも、今この状況を考えてその判断に委ねる事にした

 

「分かったラビ」

 

「アスミ行くよ」

 

「はい」

 

 

 

 

 

ビョーゲンズが現れた現場へ行くと、もう既に一部病気にされている箇所がある

 

「ヒャハハハハ!!この程度の守りで俺様を止められると思っていたのか?」

 

「中々面倒な奴が居るね」

 

「あの姿、どうやらテラビョーゲンの様です。気を引き締めて行きましょう!」

 

高い声で笑うビョーゲンズはこちらの存在に気付いた

 

「お前達が噂のプリキュア と抜剣者か?だが残念だなぁ。俺は強い。何故なら、俺がキングビョーゲンになる男だからなあ!!!」

 

「アスミ!蓮花!」

 

そこへラテが到着した

 

「随分と調子に乗ってるようだけど」

 

「貴方は此処で浄化されるのです」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア・オペレーション!」

 

 

「「時を経て繋がる二つの風!」」

 

「キュアアース!」

 

「ワン!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「舞い上がれ!時を経て繋がる二つの風(テルアスペレスト)!」

 

 

 

「「ハァァッ!!」」

 

「ドルゥア!!」

 

拳と剣が連続でぶつかり合う。数では有利な筈が、相手はそれすらもお構いなく力で捻じ伏せに来てる

 

「クッ!」

 

「強引です!」

 

「どうしたどうしたぁ!?」

 

ブランクがあるとは言えば言い訳になる。それ程力では2人を圧倒しているのだ

 

そう力では(・・・)

 

「チッ!」

 

少しずつ時間が経つに連れて、ビョーゲンズの拳は空振る様になって来た

 

「この!当たれ!!」

 

「ハッ!」

 

「べぶ!?」

 

アースは、放たれる拳を受け流して逆に顔面へと拳を叩き付けてカウンターした

 

「雑魚が調子に乗んじゃねェェ!!」

 

エネルギー弾を放つも蓮花がそれを一刀両断する

 

「空気のエレメント!」

 

ハープを奏で、空気の泡がビョーゲンズを取り込み拘束した

 

「行くよ!これが最後のお手当てだ!」

 

「はい!全力で行きます!」

 

 

 

「アースウィンディハープ!」

 

「エレメントチャージ!」

 

「舞い上がれ、癒しの風!」

 

「プリキュア・ヒーリングハリケーン!」

 

 

「覚醒剣!」

 

「狂飆爆烈!」

 

 

 

蓮花とアースの放つ嵐が敵を呑み込み浄化させた

 

「これで全部終わった」

 

「はい。今度こそ」

 

2人は変身を解除し、顔を見合わせて笑顔を作った

 

「アスミ、蓮花ありがとうラテ!」

 

「どう致しまして」

 

「ラテの為なら何でもしますよ」

 

「蓮花〜!アスミ〜!」

 

そこへラビリン、ペギタン、ニャトランの3人が駆け寄って来た

 

「遂に終わったんだな!」

 

「本当にありがとうペエ!」

 

「こっちこそ今までありがとうね。さて後は…」

 

周りを見渡せば未だに浄化し切れていない箇所がある

 

「こりゃあ、のどか達に会いに行くのは今度だな」

 

「でしたら、蓮花だけでも行って来て下さい」

 

「それだとアスミ達が」

 

「また後日行きます」

 

「…分かったよ。それなら後日また皆んなで行くとだけ伝えて帰るよ」

 

「お願いしますね」

 

 

 

 

 

////////

 

アスミ達の好意に甘えて蓮花は、用件だけ伝えにすこやか市へと降り立った

 

降り立った場所はいつもの展望台。そこでいつも待っているのだ

 

「あ!蓮花さん!こっちで〜す!」

 

のどかが手を大きく振って居場所を教えていた。

駆け寄り、その場にはいつものメンバーが居た

 

1人を除いて

 

「すみません。ひなたがまだ来てないです」

 

「気長に待つしか無い──」

 

「蓮兄ひっさし振り〜!!」

 

「うわっ!?」

 

丁度その時、背後からひなたが飛び込んで来た

 

「ひなた、まだ蓮花の事を『蓮兄』と呼んでるのか?いい加減名前で呼んでやれよ。何年経ってると思ってるんだ」

 

「え〜、良いじゃん別に!」

 

「それ前にも言ったんだけど、その呼び方の方がしっくり来るらしいよ」

 

「ひなたちゃんらしいわね」

 

「フフ、そういうば蓮花さん。アスミちゃんやラビリン達は?」

 

「あ〜、その事で今日来たんだ」

 

蓮花は来られない理由を話した。勿論、また後日皆んなで来る事も話した

 

「そうですか。残念だったな〜」

 

「とは言っても2、3日もしたら来るよ」

 

「ではもう帰るのですか?」

 

「そうだな。それだけ伝えに来ただけだし」

 

「えぇ〜!?もう帰っちゃうの!?もうちょっとゆっくりしようよ〜!」

 

ひなたは蓮花の腰にしがみ付き、帰さない様にする

 

「ひなた、蒼咲さんが困ってるでしょう。離れなさい」

 

「やだ!」

 

「やだって貴女ねぇ…」

 

蓮花は優しくひなたを離して優しく撫でる

 

「大丈夫。すぐに会いに行くよ」

 

「本当?」

 

「本当」

 

「約束だよ!」

 

「約束」

 

蓮花とひなたは指切りして絶対に会いに行く事を約束した

 

「じゃあ、またね」

 

「うん!」

 

「蓮花さんまた!」

 

「待ってますね!」

 

「今度はアスミ達も連れて来いよ〜!」

 

「お菓子も持って来てね〜!」

 

のどか達は大きく手を振って別れを告げる

 

蓮花も街に行こうと背中を向けたが、言い忘れた事があり振り返ろうとする

 

「そうだ、皆んな…うわっ!?」

 

突然の突風で思わず目を瞑ってしまう

 

そして目を開けると

 

「……」

 

そこには誰も居なかった

 

先程までの騒ぎが嘘の様に静かなのだ

 

しかし蓮花は驚く事はしない。逆に懐かしむかの様に微笑む

 

「ま、当たり前だよね」

 

まだ昼過ぎの晴れ空を見上げてぼそりと呟く

 

「それにしても時間が経つのは早いな。あれから何年経ったけな?確か…そう今年で丁度────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

300年だ」




おうおう!?予想だにしない出来事!

次回最終話です


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最終話 この出会いが運命♥生きてるって感じ!

前回のを見て「?」と思った方は、この話を見れば分かります

では最終話のスタートです!


300年経ったその世界はとても平和だった。

別段何か特別に変わった事も無いのだ

 

しかしそれで良いのだ。それが一番望んでいた世界だから

 

蓮花は花が沢山植えられている場所へと足を運ぶ。そこでゆっくりベンチに腰を掛けて背伸びする

 

「300年かぁ〜」

 

普通300年というとてつもない時間を生き長らえているなど有り得ない

 

蓮花がこの様に生き長らえているのは全て果てしなき蒼(ウィスタリアス)のお陰なのだ。

300年前でのどか達と別れるその日に見た本で知った事だが、果てしなき蒼には不老の力もある事が判明したのだ

 

それ故、歳を重ねても老いる事なく寿命という概念を失くしてしまっているのだ

 

果てしなき蒼を手にした日から、気付かない内に蓮花の時間は止まってしまったのだ

 

「それにしてもこの場所思い出すな」

 

蓮花が居る場所は、初めてのどかと出会った場所だ。

この場所から全ては始まったのだ

 

ビョーゲンズと戦い、抜剣者として戦い、プリキュア と共に戦い

 

長い長い年月が経って

 

いつも純粋な笑顔を向けていたあの子

 

しっかり者でいつも皆んなの事を気にしていたあの子

 

口に出す言葉は乱暴だけどいつも想ってくれてたあの子

 

敵対してた時もあったけど幸せな時間をくれたあの子

 

そして、いつも隣に居て光りの様に眩しく励ましてくれる大切で愛おしいあの子

 

そんな大切な人達との別れ

 

そして出会っては別れて

 

出会う度に別れては出会い

 

また別れる

 

どんなに辛くても、苦しくても、悲しくても歩き続けなければならない

 

だけどそんな嫌な事ばかりではない

 

自分達が望んだ平和な世界で暮らせれているのだから

 

1人ではない

 

アスミやラビリンにペギタンとニャトラン、そしてラテといつまでも近くに居てくれる友達が居る

 

だけど

 

それでも

 

「やっぱり寂しいなぁ……」

 

孤独なのだ

 

ヒーリングガーデンに帰れば皆んなが居る。

だけど地球には、蒼咲蓮花を知る者はもうこの世には存在しない

 

思わずホロリと涙が溢れると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぁ〜!生きてるって感じ!」

 

蓮花の隣から声が聴こえた

 

ゆっくり顔を上げると、マゼンタの髪色をした1人の少女がいつの間にか座っていた

 

「あ、こんにちは…って、どうしたのですか!?」

 

「何が?」

 

「だって泣いてますし」

 

蓮花はその少女に言われて、初めて自分が泣いてる事を知った

 

「え、あ…ちょっと昔の友達を思い出していてね。もう会えないから」

 

「遠くに離れてしまったのですか?」

 

「そんなところだね」

 

少女は足をバタつかせてると、ある事を思い付いた

 

「ではお友達になりませんか?」

 

「初対面の人に友達になろうって、君コミュニケーション力高いね」

 

「そうですか?わたしの友達はこれくらい普通って言っていました」

 

「…俺は蒼咲蓮花」

 

「わたしは──」

 

少女が名前を口にしようとした時

 

「お〜い。此処に居たのか」

 

藍色のロングヘアーに水色のシュシュで結んでる子、目付きが悪く赤みがある短髪の子、長く綺麗な薄紫の髪色の子

 

3人の中学生達がやって来た

 

「あの子達は皆んな友達かな?」

 

「はい!」

 

「見かけない人ですね。友達?」

 

「今友達になったばかりなの!」

 

「おいおい…」

 

「あら良いじゃないの!コミュニケーションは大事よ!」

 

「…あれ?」

 

マゼンタの少女が何かに気付いた

 

「やっと気付いたか。アイツならまだ来ないぞ」

 

「でもそろそろだと…」

 

どうやらまだ1人来ていない様だ。藍色の少女が時計を見て確認していると

 

「誰と話してるの?!」

 

「ッ!」

 

突然、ベンチの後ろから栗色のツインテールの少女が元気いっぱいにやって来たのだ

 

予想外の場所から出て来たので、蓮花はビックリしてしまう

 

「ちょっとビックリしたでしょ!」

 

「ごめんごめん!」

 

「いつもの様に遅れて来たわね」

 

「まぁ、それでも早い方だろう」

 

「えへへ…あ、その人誰?…って割とイケメン!?」

 

「い、イケメンって…」

 

栗色の少女はやっと蓮花の存在に気付いた

 

(そういえば懐かしいやり取りだな)

 

 

 

『──いたた…』

 

『──悪い!怪我は無いか?』

 

『──大丈夫大丈夫!…って割とイケメン!?』

 

『──い、イケメンって…』

 

 

 

「フフッ…」

 

「どしたの?」

 

「何だコイツいきなり笑って。気持ち悪!」

 

「いや、何だか君達が友達に似ていてね」

 

目の前に居る子供達は、蓮花が言うようにのどか達と似ていた。雰囲気だけではなくその騒がしさも

 

「本当に似ている…」

 

思い出す昔の記憶

 

蓮花が微笑んでると、マゼンタの少女が思い出す

 

「そういえば名前まだ言っていませんでしたね」

 

「はいはい!それならアタシから!!」

 

栗色の少女は元気いっぱいに手を挙げて蓮花の前に来る

 

(これも運命なのかな?)

 

 

『──何があっても、どんな事があっても、何年何十年経とうと君の側から離れないよ』

 

『──アタシも離れない!もし離れ離れになっても見つけるし!だって──』

 

『──俺も見つけるよ。ひなたの事が──』

 

『『──大好きだから!』』

 

 

「改めて、俺は蒼咲蓮花。宜しくね」

 

「アタシの名前は〜」

 

モノクロだった世界に鮮やかな色を塗ってくれた

 

感謝しかない。そんな君を想いながら300年間ずっと考えて生きて来た彼

 

今となっては会えない事に辛く苦しくも感じていた。それでも思い出の中だけは楽しく笑っていようと頑張って

 

頑張って今日まで

 

時の流れは残酷だと言うがそうでもない

 

だって、いつかきっと巡り会えるから

 

(やっと、君を見つけた)

 

彼の様に

 

今日もまた、生きる為に戦って生きてく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アタシ平光ひなた!宜しくね蓮兄!」




まさかのこの様な終わり方〜。実際SNでも唐突な不老でしたしね

この1年間最後まで拝読して頂き誠にありがとうございました。
結構、世間対の事を気にして思い描いていた内容は少し違う事もありました。
次回作では気にせずに書けたらと良いと思っております

本編はこれで終わりですがまだ続きます。
前作同様に後日談を設けております。とは言っても、93話と94話の間の物語となります

NG集を作り次第ボチボチと投稿していきます

ここまでの拝読ありがとうございました!


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NG集 クランクアップ 「撮影終了!皆んなお疲れ様!!」

NG集最後です

ではスタート!


第90話 「それぞれの帰路♥最後の暖かな暮らし」より

 

最後の別れのシーンから

 

 

 

 

 

蓮花達は、お互いに姿が見えなくなるまで大きく手を振り、いつか会える日を楽しみにし約束した

 

「また──」

 

「すみません、ちょっと待ってもらえますか?」

 

「ここで!?どうしたのアスミちゃん?」

 

わざわざのどかの台詞を遮ってまでストップを掛けたのだ。余程の事なのだろう

 

「まだ人間界の食べ物を全て食べていません!!」

 

「こ、今度会う時に沢山持って行くから!」

 

(((((すこやか饅頭でも持って行こうか)))))

 

 

 

 

 

////////

 

第91話 「遂にやってきた♥此処がヒーリングガーデン!」より

 

お土産を広げるシーンから

 

 

 

 

 

皆んな、手に持っていた大きな荷物は全てお土産だった。皆んなして持って来たお土産を広げる

 

「紅牙さん、それマカロンですよね?」

 

「マカロンですか!!」

 

アスミがマカロンに文字通り食い付いた

 

「もぐもぐ…美味しいです!!」

 

「あ〜!アスミンストップ!!」

 

「アスミちゃん!カメラマンさん止めて下さい!!」

 

 

 

 

 

////////

 

第92話 「念い、思い、想い♥全部の生きるを詰め込んで!」より

 

キュアサマーと少年が帰った後から

 

 

 

 

 

そして2人は光りの様に弾けて消えて行った

 

「それにしてもさっきの男の子…冗談抜きでヤバいよね?」

 

「あそこまで、二度と会いたく無いと思うのは初めて」

 

「わたしはちょっとビックリしちゃった」

 

フォンテーヌとスパークルは、グレースの手を握り強く誓う

 

((グレースだけは純粋でいて欲しいな))

 

「どうしたの2人共?」

 

 

 

 

 

////////

 

第93話 「また会う日まで♥新たな旅立ちの始まり」より

 

蓮花が車窓を開けて手を振るシーンから

 

 

 

 

 

「皆んな!ありが…痛で!?」

 

身を乗り出し過ぎたせいか、電柱に頭を思いっきりぶつけた

 

「うわぁぁ!!蓮兄〜!!」

 

「最後くらい気を付けて欲しいラビ」

 

「大丈夫ペエ?」

 

蓮花は頭を押さえてふるふると首を横に振る

 

「ちょっと痛そうだな」

 

「ちょっとどころの話じゃない…」

 

 

 

 

 

////////

 

第94話 「癒しの楽園で我思う♥それは幸せな事だと」より

 

蓮花が振り返るシーンから

 

 

 

 

 

蓮花も街に行こうと背中を向けたが、言い忘れた事があり振り返ろうとする

 

「そうだ、皆んな…うわっ!?」

 

そして目を開けると

 

「ちょっと紅牙押さないでよ!ひなたちゃんがまだ移動出来てないのよ!」

 

「そんな事言われてもな!」

 

「紅兄押さないで!」

 

まだ移動し切れていない皆んなが、グダグダと押し合っていた

 

「うわっ!?」

 

「のどか大丈夫!?」

 

「う、うん。少しつまづいただけだから」

 

「紅牙さん!!」

 

「全部俺のせいか!?」

 

「あの〜皆んな…」

 

蓮花は困り果てて、外からアスミ達が和かにその様子を見ていた

 

 

 

 

 

////////

 

最終話 「この出会いが運命♥生きてるって感じ!」より

 

蓮花とひなたが自己紹介し合うシーンから

 

 

 

 

 

「改めて、俺は蒼咲蓮花。宜しくね」

 

「アタシの名前は平光ひなた!!」

 

「早い!!」

 

「えっ?」

 

本来なら、もう少し間を置いてから名前を言うのだが

 

「ごめんごめん!」

 

「ひなたらしいけど」

 

「いや〜!」




これにて本編は全て終了です

次回からは本編の93話と94話の間の補足の物語です

ではここまでの拝読ありがとうございました!


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外伝1 君と交わる新しい流れ
紅の章 もう1つのヒーリングっど♥プリキュア


そんな訳で93話後の後日談です

今回からとあるキャラ達を中心とした話を、予定2話ずつでお送りします

ではスタート!


あの戦いから数ヵ月の時が過ぎて、時期は6月。

すこやか市はいつもの日常へと戻りつつ、新しい明日を築いていた

 

「ちゆ、迎えに来たぞ」

 

ちゆを呼ぶのは紅牙だった

 

「今行きます!」

 

旅館前で2人は待ち合わせをしており、これから出掛けるというのだ

 

2人の関係は、やっと人前で手を繋げるくらいまで進展していた

 

「そういえば、ひなたは勉強どうなってるんだ?あれから多少なり点数は伸びただろ?」

 

「ぼちぼちですね」

 

「それにしても、いつも思うが出掛けるのが市内で良いのか?我儘言って外に行っても良いんだぞ?」

 

それを言われてクスリとちゆは微笑む

 

「ありがとうございます。でも、わたしはこれくらいが丁度良いんです」

 

「そう、なんか。なら構わないが」

 

「紅牙さんは昔と比べて優しくなりましたね」

 

「何を言ってる。俺は昔から優しかったぜ」

 

「う〜ん、そうでしょうか?」

 

これまでの事を思い出してみる限りでは、碌な事が起きてない

 

初対面で蓮花に襲ったり、自分達プリキュアにもと色々とやらかしている

 

「何でそんな怪訝な目をしている?」

 

「大丈夫です。今の紅牙さんなら皆んな受け止めてくれますよ」

 

「な〜んか馬鹿にされた気分だ」

 

「気のせいですよ」

 

そんな昔話を交えながらすこやか市を、いつも通り見て周り堪能する

 

只気ままに、思うように

 

 

 

 

 

「そろそろ昼飯でも食うか?」

 

「はい」

 

太陽も真上に差し掛かる時間帯になると、何やら騒ぎが聞こえた

 

 

「メガビョーゲン!」

 

 

「「メガビョーゲン!?」」

 

突如街の中心でメガビョーゲンが現れたのだ

 

「急いで変身してお手当てしないと…あっ」

 

「ちゆ?…あっ」

 

ちゆはパートナーであるヒーリングアニマルの、ペギタンが居ない事を気付かなかった

 

「…ちゆ、ここは俺に任せて逃げるんだ」

 

「ですが!」

 

「パートナー居ないのにどうやってお手当てするんだ?」

 

「……」

 

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「燃やし尽くせ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

 

 

紅牙は強引にちゆの背中を押してその場を離れさせよとする

 

「どうせすぐ終わる。任せろ」

 

紅牙は走り出した。しかし、任せろと言ったものの不安要素はある

 

特に一番はエレメントの居場所。メガビョーゲンの体内の何処かに居るはずなのだが、プリキュアと違い抜剣者達は探す手段を持ち合わせていない

 

「片っ端から切って探りを入れるか」

 

先ずは開幕の一撃を食らわす

 

メガビョーゲンは後ろに後退し少し体勢が崩れた

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「炎帝業火!」

 

 

 

炎の柱がメガビョーゲンの体を貫き、螺旋の炎が体内を縦横無尽に駆け巡りエレメントの居場所を探し出す

 

「見つけた!」

 

そこへ一閃。己の体ごと貫きエレメントを助け出した

 

そしてメガビョーゲンも浄化を完了させた

 

「終わった!」

 

「紅牙さん!」

 

ちゆが走って来て紅牙に飛び付いた

 

「良かった無事で!」

 

「あの程度で俺が負けるとでも?でもありがとな」

 

改めて状況を整理する

 

突然のメガビョーゲン。恐らくそれは野生のナノビョーゲンから生まれた産物

 

ヒーリングガーデンからの別れから数ヶ月でだ。

まだ一回目の出現だから予測は立てられないが、もしこの調子でメガビョーゲンが出現してたら、とてもじゃないがすこやか市に残ってる紅牙1人だけでは対処が難しい

 

(かと言って、蓮花や紫苑にも頼る訳にもいかねぇ。のどか達だってパートナーが居ないんじゃ戦えない)

 

「わたし、それでもサポートはします」

 

「ちゆ?」

 

「戦えなくても紅牙さんのサポートは出来ます!」

 

どうやら、ちゆは紅牙の考えてる事はお見通しだった様だ

 

ちゆの言う事は嬉しいが

 

「駄目だ」

 

「わたしが、ペギタンといないから邪魔ですか?」

 

「別にそう言う意味では無い。地球をお手当てすると誓い合ったが、それはあくまで俺達人間が出来る範囲までだ」

 

「はい…」

 

「ありがとうな。ちゆ、お前なら分かってくれると思って──ッ!」

 

誰かの視線を感じた。しかも2人も

 

「紅牙さん?」

 

「ちゆ…嫌な予感がする。逃げろ」

 

「逃げろって…?」

 

「いいから早く!此処から今すぐ逃げるんだ!!」

 

紅牙が叫んだ瞬間、何処からともなく2つの影が襲った

 

「──ッ!!」

 

「紅牙さん!!」

 

血を撒き散らしながら、大きく吹き飛ばされた

 

「そんな…紅牙さん!紅牙さん!!」

 

「大声出すな!大丈夫だから」

 

そうは言うものの、左脇腹から大量の血が流れ出て、顔は青くなっていた

 

「止血しないと…」

 

「だから大丈夫だって!見た目より大した傷じゃない」

 

紅牙はすぐさま周りを警戒する。

先程襲って来た人影は恐らく身を隠してる

 

「一旦引くぞ」

 

「は、はい!」

 

ちゆの手を取り走り出そうと振り返ると

 

「メガビョーゲン!」

 

「「メガビョーゲン!?」」

 

すぐ目の前にはTVを媒体としたメガビョーゲンが待ち構えていた

 

(気付かなかった!)

 

「紅牙さん反対へ!」

 

2人が逃げようとすると、何者かから背中を押されてしまった

 

「「えっ…?」」

 

「メガ!」

 

そして2人はメガビョーゲンのTVの中へと消えて行った

 

そして、小さなひとつの影が後を追う様に飛び込んで行った

 

「落ちたね〜!」

 

「うん、落ちたよ!落ちちゃった!」

 

「他にも何か落ちたよね?」

 

「落ちた?落ちてないよ」

 

「そうなんだ。アハハ!」

 

 

 

 

 

////////

 

「「ッ!」」

 

2人は目を覚ますと、何処かの倉庫の中央で立っていた

 

「此処は何処だ?」

 

「倉庫…の様な気もします」

 

「外に出てみよ…ッ」

 

歩き出そうとしたが、出血が酷く膝をついてしまう

 

「救急箱探してみます!」

 

倉庫内を隈なく探して救急箱を持って来た

 

「傷を見せて下さい」

 

「結構グロいぞ…」

 

服を捲ると、ちゆの予想通りにとても深かった

 

「ガーゼで止血…」

 

「ちょっと待った。布で防ぐより焼いた方が早い」

 

「や、焼く!?」

 

「これもちゃんとした治療法だ」

 

「それは知っています。ですが、かなりの痛みがあると…それに火が無いです」

 

紅牙は、待ってましたと言わんばかりに不滅の炎を喚び出した

 

「自分で焼くと言ったが怖いな…」

 

炎を纏う刀身を見て流石に冷や汗をかく。

しかし、そんな事言ってる場合では無い

 

「1、2の、3!」

 

肉屋なら美味しそうな焼ける音がするが、それが人間の皮膚と思うとゾッとする

 

「〜〜〜ッッ!!!!」

 

「ひっ…!」

 

思わずめを背けてしまう

 

紅牙も紅牙だ。本当なら涙を流して大声をあげて泣きたいが、そんな情け無い姿を見せる訳にもいかない

 

とにかく声を押し殺して痛みに耐えるしか無かった

 

 

 

そして数分が経った

 

「ハァ…いっつ…!」

 

不滅の炎を肌から離すと、黒く焼け焦げていたが傷はなんとか塞ぎ止血出来た

 

「クソ!焼き過ぎた!俺はステーキか」

 

「ぷっ…!」

 

「えぇ…そこ笑う所か?」

 

「ごめんなさい。そろそろ行きましょうか」

 

丁寧に紅牙に包帯を巻き、動ける状態になって倉庫から出る

 

「眩!」

 

「うっ…!」

 

そこで2人が見た光景は不思議なものだった

 

「紅牙さんこれって…」

 

「撮影用の照明、カメラにその他諸々。何だこれは?」

 

何やらドラマの撮影でもしてるかの様に人で溢れ返り、それに使う道具は沢山目の前にあった

 

そして周りは倉庫だらけ

 

「あ、あの!」

 

ちゆは通り掛かった人に尋ねる事にした

 

「おや、紅牙さんと菜津(・・)さんではないですか」

 

「「んん??」」

 

「お2人共、そろそろ撮影が始まりますので準備お願いしますね」

 

「ちょっとちょっと!」

 

立ち去ろうとする人を紅牙は呼び止めた

 

「あのさっき、この子の事を何て呼びました?」

 

2人は聞き間違いを期待していたのだが

 

「『依田菜津』さんですよね?」

 

((やっぱり聞き間違いじゃなかったーー!!))

 

2人は余りの驚きに空いた口が塞がらなかった

 

軽く挨拶をしてその人を別れた

 

しかし問題はそこでは無かった

 

「え、お前…沢泉ちゆだよな!?」

 

「当たり前です!!」

 

「あっ」

 

何か他に手掛かりは無いかと探してると、見覚えのある展望台を目にした

 

「ちゆ、此処は一応すこやか市みたいだ」

 

「その様ですね。じゃあ、のどかやひなたも何処かに」

 

「噂をすれば何とやらだ。のどかとひなたを見つけた!」

 

のどかとひなたが2人で話してる所を見つけて、急いで2人の元へ走る

 

「助かった。お前らもあのメガビョーゲンの中に取り込まれたのか?てか、俺達は一体何をされたんだ?」

 

のどかとひなたは一度お互いを見合った後、真剣な表情でその質問に答える

 

「ビョーゲンズが、わたし達プリキュアと抜剣者をもう一つの日常に送り込んだんです。そこは、わたし達の世界と大雑把に似ていますけど、違う所は全然違うんです」

 

「やっぱりビョーゲンズの仕業なのね。それじゃあ、この世界ではプリキュアと抜剣者は存在してるの?」

 

「ううん」

 

「という事は、此処はプリキュアと抜剣者が存在しない世界に閉じ込められたって訳ね」

 

「そそ、流っ石ちゆちー!アタシなんて7回目でやっと理解したんだよ〜!」

 

「せめて送り込むなら分かりやすい所に送れよな。こんなピエロ工場に送りやがって」

 

「紅牙さん」

 

話が脱線しそうになったが、ちゆがストップを掛けてくれた

 

そして一番の問題を聞く事にした

 

「色々助かった。それよりどうやったらTVの世界…と言うよりメガビョーゲンから脱け出せる?」

 

「「…何?」」

 

「こんな所にいつまでも居られないわ」

 

「早く脱出方法を見つけるぞ」

 

とにかくちょっとでも情報が欲しい。のどかとひなたを連れ出そうとしたのだが、思わぬ返事が返って来た

 

「それアドリブ?」

 

「それとも追加の台詞ですか?聞いた事無いですけど…」

 

「台詞?」

 

「ひなた、また変な冗談言って」

 

「悪いがそんな冗談が通じる暇なんて無いんだよ」

 

「あの…2人とも大丈夫ですか?」

 

何かがおかしいと感じた

 

のどかとひなたは、手に持ってる本を持ってペラペラとページを捲って何かを確認してる

 

「ちょっと貸せ」

 

のどかの持つ本をひったくり中身を読んだ

 

そこには先程までの台詞が書かれてあった

 

「ん?…これ台本だ。のどかじゃない。さっきのパターンだ」

 

「でも、のどかそっくりですよ!」

 

「台詞合わせではないのですか?」

 

「名前は『悠木碧』と『河野ひより』だ。悠木碧だって!?」

 

見た目はのどかとひなたなのに、名前が全く別の人物だった

 

2人の頭の中は余計にこんがらがって来た

 

「もういい。じゃなあ」

 

台本をのどか…では無く悠木碧と言う人物に返して、その場を後にする

 

「依田菜津に悠木碧、河野ひより、色んな名前が出てくる」

 

「2人してアタシ達をからかったんだね!面白いからSNSのネタにするよ!」

 

ひなた…もとい河野ひよりはスマホでこの事をネット上に送信した

 

「『アタシのファンの皆んなへ、紅牙さんと菜津さんに騙された!』っと」

 

その様子を阿呆らしく紅牙は見て呟いた

 

「元の世界に戻るまで、脳みそに魔剣ぶっ刺して引っ掛け回したい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これより先、更に過酷な状況下になる事を2人はまだ知らない




すんごい展開になって参りました!

ここまでの拝読ありがとうございました!


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水の章 あなたがいて、きみがいて

映画が上映終わってから投稿したかったから遅くなった!

ではスタート


謎のビョーゲンズによって、自分達の住んでる世界とは別の世界へと飛ばされた二人

 

「それってつまり、他に選択肢が無いと言う事ですか……?」

 

ちゆと紅牙は結局あの後、スタッフの人達に捕まり撮影をしている最中なのだが奇妙なものなのだ

 

何せ、自分達の住んでいる世界がドラマ化しているのだから。

今までプリキュア として、抜剣者としてやって来た事がこの世界では全て作り物なのだ

 

そしてそれを、今までと同じ日常を演じろというのだ

 

あのちゆでさえガチガチに緊張している。その証拠に、台詞を言う度にカメラを気にして目線を向けてしまう

 

「カメラを見るな…」

 

「えっ?」

 

「カメラじゃないもんを見ろ!!」

 

紅牙もやはりカメラを気にしてしまう。

とにかくカメラ以外の物に集中しているが、その分目付きが更に怖くなりおかしな事になってゆく

 

「他に選択肢が無いと言う事ですか!」

 

紅牙に言われた通り天井を見て声を張ったのだが、緊張のあまり声が裏返ってしまった

 

勿論当然の如く

 

「カーーット!!頼むよ2人共!」

 

カットの連続だった

 

 

 

 

 

「こんな事いつまでもやってられっか!」

 

休憩時間までやり遂げたが、紅牙は我慢の限界を超えていた

 

「心苦しいですが抜け出しましょう」

 

2人はこっそりと抜け出した

 

「とは言っても、結局何処に行けばいいのか…」

 

「そうですね……紅牙さん」

 

歩く足を止めたのはちゆだった

 

「何かいます」

 

「ビョーゲンズか?」

 

草むらでガサゴソする何者かに身を構えると

 

「ちゆ〜!紅牙〜!」

 

何と飛び出して来たのはペギタンだった

 

「「ペギタン!?」」

 

「2人共無事で良かったペェ〜!」

 

「おま、一体どうやって?」

 

「2人がメガビョーゲンに取り込まれた瞬間に、ボクも一緒に飛び込んだんだペエ。そんな事よりこっちに来るペエ!」

 

ペギタンはちゆの手を引いて、ある場所へと誘う

 

着いた場所は少し開けた林の奥だった。そこには、何やらゲートの様なものがあった

 

「ボクもさっき見つけたペエ。多分アレが帰り道だと思うペエ」

 

「よっしゃ!それなら早いとこ帰るぞ!」

 

紅牙がそのゲートに手を伸ばそうとする時、上空からこの世界に送り込んだメガビョーゲンが降って来た

 

「うわっ!」

 

「紅牙さん!」

 

「メガビョーゲン!」

 

「ビックリした〜!マジビックリしたんだけど!!」

 

メガビョーゲンはゲートを守る様に立ち塞がり、ちゆ達を帰さない様にする

 

「番人って訳か」

 

「ちゆ!」

 

「ええ、ペギタン!」

 

 

 

「スタート!」

 

「プリキュア ・オペレーション!」

 

 

「「交わる二つの流れ!」」

 

「キュアフォンテーヌ!」

 

「ペエ!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「燃やし尽くせ!不滅の炎(フォイアルディア)!」

 

 

 

「速攻でカタをつけるぞ!」

 

「メガビョーゲン!」

 

「ハァ!」

 

メガビョーゲンが電撃を放つが、対抗して不滅の炎の炎の斬撃波で相殺する

 

「雨のエレメント!」

 

エレメントの力を得たエネルギー弾を連射で撃ち放つ

 

「メガビョーゲン如き一瞬で蹂躙してやる!」

 

 

「絶剣覚醒!──祝福の希望(ベルフェホープ)!」

 

 

 

「絶・覚醒剣!──希望満開+炎帝業火!!」

 

 

「ヒーリングッバ〜イ」

 

2本の魔剣で同時に切り刻み、メガビョーゲンを浄化してみせた

 

 

「急いで戻る…がはっ!?」

 

今度はゲートの中から突如として、紫のエネルギー弾が飛び出して紅牙を吹き飛ばした

 

「この…」

 

「一体何が?」

 

「「帰さないよ」」

 

ゲートから出て来たのは双子と思われる男女2人組。

そして、その姿は紛れも無いビョーゲンズだった

 

「ワタシ、カユイナ」

 

「ボクは弟のイタイナー」

 

「双子のビョーゲンズペエ!?」

 

「2対2…だが舐めるなよ。こっちは結婚前提で付き合ってるんだ。連携なら誰にも負けねぇよ」

 

フォンテーヌは一瞬ポカンとした表情をしたが、みるみると赤面して大声を出す

 

「けけけ結婚とか今関係無いですよね!?」

 

だが双子ビョーゲンズは口を揃えて言う

 

「「気持ち悪〜」」

 

それを言われた紅牙が石化したかの如く固まり、思わず魔剣を落としてまう

 

「ふざけんな!!俺の嫁を馬鹿にする奴は蹂躙してやる!!

 

「恥ずかしいからもう喋らないで下さい///」

 

「紅牙は正直ペエ。まぁそこが長所だけど……ぷにシールド!!」

 

話してる最中にも関わらず、カユイナがフォンテーヌへ攻撃して来た

 

「クッ…!」

 

「まさか、最後まで喋り終わるまで待ってくれると思った?残念!ワタシ、待つのって嫌なのだよね〜!」

 

「だよね〜!」

 

「この野郎!」

 

紅牙がカユイナに切り掛かる

 

「ッ!」

(奴は右手で祝福の希望を受け止めた後、右の回し蹴りで反撃して来る!)

 

カユイナの筋肉の動きで全て先読みした。それに備え、攻撃のモーションに入りながらも紅牙は次の攻撃動作を考える

 

(受け止める瞬間を狙って切り込む軌道をズラせば!)

 

だがしかし

 

「アハ!」

 

カユイナが繰り出したのは魔剣を止める手では無く、後に出す動作の回し蹴りだった

 

祝福の希望を弾き返された。それだけなら良いが、完全に動きを先読みしていたのだ。なのにそれとは別の攻撃を繰り出した事により、一瞬紅牙の動きが止まる

 

「「アハハ!!」」

 

「グッ…!」

 

カユイナの背後に潜んでいたイタイナーのダブル攻撃で、紅牙は大きく仰け反った

 

「姉ちゃん大した事ないね」

 

「そうねイタイナー。アハ!」

 

更に挑発までしてきた。紅牙が頭に血が昇りそうな自分を押し殺す

 

「紅牙さん、わたし達も一緒に」

 

「それに今は外に出る事が最優先ペエ」

 

「そうだな。目の前の目的は此処からの脱出だ」

 

紅牙とフォンテーヌは同時に飛び出した

 

「アハハ!特攻なのね!」

 

「特攻特攻!」

 

「折角だから脳の奥まで…骨の髄まで蝕んであげる!!」

 

「あげるあげる!」

 

カユイナとイタイナーも身構える

 

「ハァ!」

 

「水のエレメント!」

 

紅牙とフォンテーヌの攻撃はカユイナ達の足元に放たれる

 

((今だ!))

 

2人の狙いは視界を遮り、その隙にゲートに飛び込む作戦だった

 

「言ったよね?帰さないよって」

 

「て!」

 

ゲートまで手を伸ばせば届く距離の所で、2人は襟首を掴まれ後方へと投げ飛ばされた

 

「う…!」

 

「キャアッ!」

 

「もう飽きちゃった」

 

「ちゃった」

 

カユイナとイタイナーはゲートに足を踏み入れる

 

「待って!」

 

「もう一生そこで暮らせば〜?」

 

「せば〜?」

 

フォンテーヌが手を伸ばしたが、直前でゲートは閉じられてしまった

 

カユイナとイタイナーは元の世界へと帰れたが、紅牙とフォンテーヌは残ったまま

 

唯一の帰還方法を失った

 

「紅牙さんどうすれば…」

 

「…ひとつだけ手はある」

 

「本当ペエ!?」

 

「ああ、一か八かの賭けになるが」

 

紅牙が不滅の炎を引っ込めて、祝福の希望だけを留める

 

「フゥ……ッ!!!」

 

その時、目の前に救い切り開く虹霓と善なる天威が現れた

 

「蒼咲さんと天道さんの剣?何で?」

 

「さぁ頼むぜ。一か八かの合体だ!」

 

「え、あ合体ですか!?」

 

 

 

「心剣覚醒!」

 

「我が名の下に!悠久の絆──エルフィグラン!!」

 

 

 

それは蓮花の真剣覚醒と同じだった。しかし、これは絶剣での覚醒。

揺るぎなき曙光とは別の意味で、比較にならない程の力を有している

 

「フォンテーヌ、俺にしがみついてろ!」

 

「は、はい!!」

 

悠久の絆からとてつもないパワーを放出しながら、刀身に纏ってゆく

 

 

 

「心・覚醒剣!」

 

「心眼開闢!」

 

 

 

「きゃあ!!」

 

「ペエェ!!」

 

縦に大きく振り翳すと、空間に大きなヒビが入った

 

「よし開いた!出るぞ!」

 

紅牙はフォンテーヌを抱いたままヒビ割れたゲートへ飛び込んだ

 

 

 

 

 

////////

 

「邪魔者は居なくなったね」

 

「ね!」

 

「それじゃあこの街を蝕むよ!」

 

空に手を翳して、街全体へナノビョーゲンを撒き散らすその時、後ろから大きな衝撃と同時に空間に小さなゲートが開いた

 

「帰った!」

 

「やりましたね!」

 

「ペエ!」

 

「…どうやって帰って来たの?」

 

「簡単な話だ。空間をぶった斬ったまでだ」

 

誇らしげに掲げる悠久の絆に、カユイナは怒り心頭だった。

しかし、すぐさま落ち着きを取り戻す

 

「イタイナー……あの剣を壊すよ」

 

「は〜い!壊す壊す!アハハッ!」

 

「壊せるもんなら壊して──」

 

余裕が油断の表れ。手に持っていた筈の悠久の絆は、何故か手から離れて地面に突き刺さっていた

 

「あまり調子に乗らない事ね」

 

カユイナの拳が紅牙の腹に捻り込まれ、林の中へと吹っ飛ばされた

 

「紅牙さん!?」

 

「速いペエ!」

 

「お姉ちゃんの相手はボクだよ!」

 

「──ッ!」

 

ペギタンがぷにシールドを展開する前に、フォンテーヌも紅牙と同じ方向へと蹴り飛ばされた

 

「あ…く…ち、ちゆ…」

 

「うぅ…」

 

たった一撃で変身解除まで追い込まれてしまった

 

「今度こそ邪魔者はいなくなった。早く続きを──」

 

「勝手に終わらせんなよ!」

 

お互いに支え合って紅牙とちゆが立っていた

 

「この程度のピンチなんぞ、幾らでも超えて来た」

 

「わたし達は諦めない!!」

 

「ふぅ〜ん。で?この後はどうするつもり?そんな情け無い姿でワタシ達に勝てるの?」

 

「勝てるの?」

 

「言った筈だ。『連携なら誰にも負けねぇよ』ってな」

 

紅牙、ちゆ、ペギタンの3人は手を取り合い水色の光が3人を包み込む

 

「行くペエ!」

 

 

 

「キュアタッチ!」

 

「キュアフォンテーヌ パートナーフォーム!」

 

 

「抜剣覚醒!」

 

「交わる二つの流れ──フォルテグスル!」

 

 

 

新たな姿に変身したパートナーフォーム、そして紅牙は新たな魔剣を手にしていた

 

「何それ…そんなの聞いてない!!」

 

「ズルい!!」

 

そんな文句も最後まで聞く耳を持たず、フォンテーヌは手の平を地面に付ける事によって氷が張り、カユイナとイタイナーを氷漬けにする

 

「ッ!」

 

そして紅牙が間髪入れず、交わる二つの流れで斬り伏せる

 

「ギャフ!」

 

「ブフッ!」

 

「悪いが休んでる暇は無いぜ!」

 

交わる二つの流れの刀身がユラユラと形を変えていく。

水の様に滑らかに、自由自在に流れを変える

 

幾つもの流れに変えた交わる二つの流れで振り翳すと、刀身から幾つもの水で作り出された刃が一斉に吹き出す

 

カユイナとイタイナーは全力で避けようとするも、次々と振われる水の刃に着々と追い詰められる

 

「仕上げにこいつでどうだ!!」

 

交わる二つの流れを地面に突き刺すと、カユイナ達を取り囲む様に水面が吹き出した

 

「「…」」

 

2人が失った視界を背中合わせでカバーして警戒する

 

そして水面の壁からフォンテーヌが飛び出した

 

だがカユイナの正面

 

「目隠しをして正面から?アハハ!馬鹿は馬鹿らしく正直ものね!!」

 

回し蹴りで合わせてカウンターを仕掛ける

 

「アハハハ!終わりよ!!」

 

脚がフォンテーヌの首を捉えた瞬間

 

「ッ!?」

 

水の様に弾けた

 

「プ…プリキュア ァァァァァ!!!!」

 

カユイナが攻撃したのは、水を利用しての分身だった

 

もう少しで満足感に浸る事が出来そうな瞬間に、この様な小細工をされたのだ。カユイナの怒りのゲージが急上昇した

 

「イタイナー!!」

 

「う、うん!」

 

カユイナとイタイナーは、その場で回りながら水面の壁にエネルギー弾を乱射する

 

「これなら出て来れないでしょ!!」

 

そう思った矢先で、突然2人の前にフォンテーヌと紅牙が地面から飛び出した

 

水面の壁から出てきた訳でも無い。下から来たのだ。

地面を掘って来るにしても振動で分かる。だがしなかったのだ

 

(そんな一体……ッ!!)

 

フォンテーヌ達が現れた地面を良く見ると小さな水溜りが出来ていた

 

そして気付いた。フォンテーヌ達はその水溜りから出て来たのだと

 

「「ハァッ!!」」

 

フォンテーヌと紅牙はカユイナ達を殴り飛ばす。

不幸中の幸いか、囲まれた水面の壁からは抜け出せた

 

「と、思うじゃん?」

 

カユイナが立ち上がろうとする時、地面に氷が張られて足が凍りついて伏せた状態から動けず

 

「予め、フォンテーヌに氷を張らせていたのさ」

 

「これでようやく捕まえましたね」

 

フォンテーヌは紅牙が握る、交わる二つの流れに手を握る

 

「「これで最後!」」

 

息ピッタリで駆け出した交わる二つの流れを振り抜く

 

 

 

「覚醒剣!」

 

「神水流舞!」

 

 

 

カユイナとイタイナーの胸部を切り捨てる。

傷口からは浄化の光りが飛び散る

 

「何で…何でよォォォ!!私達はまだ全然楽しめてないのに…お前達2人だけ楽しみやがって!!」

 

「嫌だ消えたくないよ!」

 

「生まれ変わったら蝕んでやる。大切なものを全て蝕んで笑ってやる。復讐してやる……」

 

殺意の目を向けながらカユイナとイタイナーは浄化されて消えた

 

「「お大事に」」

 

 

 

 

 

////////

 

紅い夕焼けが辺りを包み込む。

展望台で2人は身を寄せ合っていた

 

「何ていいますか、今日は散々な目に遭いましたね…」

 

「これも人生ってやつだ」

 

「それはそれで嫌ですけどね」

 

「今度はちゃんと出掛けるか。その前にペギタンとも一緒に出掛けたいな」

 

「ボクの事は気にしなくていいから2人で出掛けたいいペエ」

 

「ありがとうペギタン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

交わる二つの流れは、この先も幸せな日々を過ごすのであった




戦闘はテンポ良くさせました。呆気ないのはしゃない

ここまでの拝読ありがとうございました


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