とある科学の幽体離脱(レイスフォーム) (トラバサミ)
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第一話・・・背後霊って怖くない。…え、怖くない?あ、そうですか。

 また新作を書いてしまった。どうしよう?


 気が付いたら常盤台中学のお嬢様、御坂美琴に取り憑いていた。……何を言ってるかわからないと思うが俺も何を言っているのかわからない。超高速とか瞬間移動とか、そんなちゃっちなものじゃ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わった気分だぜ。

 さて、現実逃避していても仕方ない。さっきまで何があったのか思い出してみよう。…ホワンホワンホワン~~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 やあみんな。俺は転生者なんだよ。……まって!逃げないで、怪しい奴じゃないんだよ。ほんとなんだよ。

 ついさっき車に引かれたと思ったら、突如少年の体に転生していた。しかも体や言葉が勝手に出てくる。まるで自分の体じゃないみたい。……っというより

 

「……息子さんには……、”解離性同一性障害”の疑いがあります。」

 

 目の前の医者に突然告げられた、俺こと佐藤太郎。……の人格の一人……というか、転生した時の意識の俺。

 この障害はいわゆる多重人格で、俺の場合は二つの人格だ。そしてそのうちの一人が、俺。っというか、転生した時の意識の俺。俺の場合、二つ分の記憶やその他を共有できるが、もう一人はできない。よっいぇ俺は一方的に相手の事を知っているが、相手は知らない。しかも、時々俺の意思で体を動かせるときがある。その時の様子の変化から医者に連れていかれた結果、このような事態になりました。…(^O^)オワタ

 そしてどうやら”学園都市”とかいうところに行かねばならなくなった。そこは科学が超進歩してるからすぐに症状を治せるかもしれないって。……ん?学園都市?

 

 

 

 ……こことあるの世界やん。……

 

 

 

 

 どうやら俺は、あの作品の世界に来てしまったらしい。どうしよう、原作知識にわかなんだけど。アニメしか見てないんだけど。特に一方通行の話近全く知らないんだけど。……まあ大丈夫か。

 そんな風に楽観的になっていると、いつの間にか学園都市で能力開発を受けていた。そして診断された能力は……

 

「幽体離脱(レイスフォーム)……、要は幽体離脱ね。意識を自分の体の外に飛ばせ飛ばしている間、意識体は一切の物理的干渉を受けず行えない。そもそも視認できない。更に、別の人間に憑依することが出来る。ただし憑依は十分程度…か。……レベル2ってところですね。……今まで発見されたことのない能力です。」

 

 ……マジか。まったく知らないオリジナル能力出てきたよ。明らかに戦闘とかには使えないだろうけど。まさかこんな能力が手に入るとは、これでテストとかカンニングし放題なんじゃ。やったぜ。

 そんなクソみたいなことを考えながら俺は、結構学園生活を満喫していた。……正確にはこの世界もう一人の俺なんだが。そうやって過ごしているとある日。

 

「……ついに、手に入れたぞ!」

 

(なんだ?何を手にいれたんだ?)

 

 今まで眠っていてわからなかったが何かを買っていたようだ。……ん?音楽ファイル?なんだそれ……、まさか!幻想御手《レベル・アッパー》⁉それはやばい!やめろーーー!あぁああああああああ!

 

 そして俺は昏睡状態に陥った。……はずだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(何が起きてんだ?なんで目の前に御坂美琴?)

 

 う~む、分からない。取り憑いていたといったが、どちらかというと背後霊みたいだ。彼女が歩いているとそれに引っ張られるようについて行ってしまう。…怖いな。取りあえず話しかけてみるか、無駄だろうけど。

 

(お~い!御坂美琴さ~ん。)

 

 って聞こえるわけないだろ。そう高をくくっていると

 

「……!誰!どこにいるの!」

 

 そんなことを突如言い出した。……なに?

 

(……もしかして、聞こえてらっしゃる?)

 

「……!また!どこにいるの!姿ぐらい見せなさいよ!」

 

 そういって、彼女は周りを見る。……まじか。今まで憑依して、意識をのっとている間しか喋れなかったからちょっと感慨深い。

 

(……あぁ、怪しいものじゃないんだ。ただちょっと面倒なことになっていてな。)

 

「面倒なこと?私からすれば、あんたのほうがずっと面倒よ。」

 

 おうふ、すごい言われよう。まあ当然か。取りあえず、幻想御手の事は伏せて何があったのか答える。…まあ、適当でっち上げた嘘であるが。

 

「……ふ~ん、幽体離脱ね。能力が暴走してあたしに取り憑いたと。…それを信じると思ってんの?」

 

 ですよね。そんなの信じるのはどっかのつんつん頭ぐらいだ。まあそれでも……

 

(信じてもらうしかないんだよな~。そうじゃないとどうにもならないし。)

 

 それ以外に選択肢はない。すると御坂さんが

 

「……分かったわ。いまは信じてあげる。」

 

 ………え?まじで?

 

「マジよ。」

 

 マジか、ありがとうございます!……あ、そうだ。

 

(一人でぶつぶつ言ってると気味悪がられると思いますよ。)

 

「じゃあ、どうしたらいいのよ。」

 

(とりあえず、心の中でなんかしゃべってみて。多分何とかなると思う。)

 

 俺がそういうと

 

(……こんな感じ?)

 

(…お、流石レベル5。あっさりクリアしたな。)

 

(おだててんの、それ?……まあいいわ。これからあんたどうするのよ?)

 

(さあ?少なくともあんたについていくしかないんだよな。)

 

(……はあ~、分かった。しばらくはうちにいさせてあげる。風呂とか覗かないでよ。)

 

(マジ⁉もちろんだ。ありがとうございます。…ああ後、とりあえず声をかけて、まったくといっていいほど何の反応もなかったら多分いなくなってると思う。)

 

(……?そう。)

 

 そういった御坂さんがこちらを見てくる。…え

 

(なんでこっちみたの?)

 

(…え?なんか気配がしたから後ろ向いたんだけど。)

 

 ……。俺は無言で彼女の前へ行く。すると

 

(……?今度は前から気配がするわね。)

 

 ………。まちがいない。彼女は俺の居場所が気配で察知できるようになっている。……なんでさ?

 

(御坂さんが感じている気配は俺の気配だ。…ったく、どうやってんの?)

 

(…え、うそ、ほんとに?)

 

 冗談でこんなことは言いませんよ~、たくマジか。これからは女子寮で生活か。……楽しそうだな。

 そして御坂さんの寮へ行く……その前に

 

(とりあえずあんたのことを調べさせてもらうわよ。…名前は?)

 

 PDAを介し、ハッキングで書庫(データベース)にアクセスして俺の事を調べ始めた。

 

(……佐藤太郎。)

 

 そういうと彼女はその名前の人物を調べ上げその情報を見ていく。そこには俺が説明したとおりの事が乗っていた。

 

(……どうやら本当みたいね。)

 

(だから言ったじゃん。…っていうか、まだ疑ってたんだね。俺氏泣く。)

 

 そんな俺の泣き言を無視し

 

(……とりあえずよろしくね。改めて、御坂美琴よ。)

 

(こちらこそ、佐藤太郎だ。)

 

 こうして、俺と超電磁砲の奇妙な生活が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第二話・・・みこっちゃんは喧嘩ばかり。ゴリラですか貴女は?

 


 御坂美琴に取り憑いてからそれなりにたつが、今のところ不自由がない。っというか、飯も食わなくてもよくて寝る必要もなくて風呂に入る必要もないというのは便利かどうかわからない。そして、常盤台中学半端ないわ。授業とか見学してたけど、明らかに中学生のやるものではなかった。こいつら天才すぎる。あと、食峰操祈とのやり取りも面白かった。っというか

 

(上条さんとの絡みも見たい。)

 

 切実にそう思った。今のところ上条さんは記憶をなくしてはいないのだろう。なにせ、幻想御手の事件に関りもしていないから。いや、最近関わり始めたな。だが、それも些細なことだ。

 そうやって思考を巡らせていると

 

「ぎゃああああああ!今度はカードが飲み込まれて出てこないーー!!不幸だぁーッ!!」

 

 キタぁあああああ!上条さん来ましたわぁあああ!すると案の定御坂さんが勝負を仕掛けた。っというか、今日は決闘の日だったっけ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんでもって、ひと悶着あり河川敷へ

 にしてもな~。幾ら自分を特別扱いしない相手が嬉しいからって決闘はねーだろ決闘はとは思うけど、これも御坂さんの数少ない楽しみ(自覚は無いだろうが)だからなぁ。

 なんとも激しい親愛の表現だこと。……親愛の表現だよな? なんか不安になってきた。

 

「いつでもいいぜ、かかってきな」

 

 うわぁ、すごいめんどくさそう。そらそうだよな。めんどくさいよな、こんなのに絡まれるとか。

 しかもその態度を余裕と受け取ったのか御坂さんが

 

「言われなくてもこっちはずっとこの時を――」

 

 やる気マシマシじゃん。

 

(……あの~、恐れ多いんですが、今日はもう暗いですし、また今度に持ち越しというのは……)

 

 そう問いかけるが

 

「――待ってたんだから!」

 

 だめだちっとも聞いてねえ。せめて怪我なく終わりますように。そう願い、事の成り行きを見守る俺。

 御坂さんが電撃を放つと、それを片手で打ち消す上条さん。……さすが『前兆の感知』だな。あんなの反応できねえぞ、普通。

 電撃が聞かないのは分かっていたのか、今度は砂鉄を磁力で集め剣を作る。

 

「触れるとちょーっと血が出るかもね!」

 

 ちょっとで済むか。人死ぬわ。明らかに人間の動きじゃねえ。

 しかし上条さんは難なく逃げ回り打ち消す。流石っすね。どっちが人外か分からねえ。

 そしてそんな状態を正しく認識している彼もまた人外であるのだが、当の本人には知る由もなかった。

 

「しょ、勝負あったみたいだな!」

 

 ちょっとうれしそうに言う上条さん。しかし

 

「さあ、それはどうかしら?」

 

 打ち消され舞った砂鉄を目くらましに、右手から電流を流そうとする・・・が

 

「!」

 

 右手であるため、当然通用しない。そんな様子を見かねた上条さんが左手を振りかぶると

 

「…きゃ!」

 

 ………可愛すぎんだろ。さっきまで自分を殺しかねないやつの変容ぶりに呆れた上条さんは

 

「ギャー!! マ……マイリマシター」

 

 クソワロタ。これはひどい。御坂さんマジ切れモード突入。そりゃそうだな。演技ヘタすぎるもん。もっとうまくやれよ。

 案の定、御坂さんは羞恥で顔を真っ赤にして

 

「ふっざっけんな――!、まじめにやんなさいよ!」

 

「だって、お前ビビってんじゃん!」

 

 うん、滅茶苦茶ビビってたね。御坂さん、顔真っ赤にして否定しても説得力ないっすよ。

 その後も上条さんは御坂さんをおちょくり電撃を浴びせられ、そのまま鬼ごっこ開始。上条さん、この子の事よろしくね。

 その後、上条さんに逃げ切られ寮に帰ってきた御坂さんは

 

「……ただいま~。……あれ?黒子いないのか。」

 

(…ちょっと、佐藤。私着替えるから、部屋出てなさいよ。)

 

(りょーかいりょーかいっと。)

 

 もちろんちゃんと出る。どうせこの後の展開も知ってるしな。

 そう思い、俺は部屋を後にした。……背後から白井黒子の叫び声が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第三話・・え、音楽ファイル?…トラウマだからやめて。

 

 七月十八日、晴れ。

 世間を騒がせた連続虚空爆破事件が御坂さん達の手で無事解決された。これ割とやばいよね。やっぱこの町の倫理観おかしいだろ。

 連続虚空爆破事件(虚空爆破なんて中二的名前付けるとはさすがだと佐藤は学園都市の警察組織に賞賛を送ります)って言うのは量子変速って能力を使って風紀委員を狙った連続爆破事件だ。

 犯人はいじめられっ子で、助けてくれない(実際は手が回らないだけ)風紀委員を逆恨みして狙った犯行。同情は出来なくも無いけど手段も目的も全部狂ってる典型的な例だ。最終的には口を滑らした所を御坂さんがお説教&鉄拳制裁、その後捕縛。

 まあ直前の死人が出るレベルの爆発を上条さんが防いで近くに居た御坂さん、初春さん、幼女を助けて死傷者0だったからそれで済んだんだけどな。死人出てたら社会的に人生オワタだったろうし、それ所か御坂さん達に何かあったら白井さん辺りに物理的に人生を強制終了させられただろう。

 

(……ねえ、あんたはなんか詳しいこと知らないの?)

 

(うん、何が?)

 

(幻想御手よ、さっき佐天さんが話してたでしょ?)

 

 そういえばそんな話をしていたような。まったく聞いていなかった。にしてもレベルアッパーか。

 

 幻想御手――簡単に言えば聞くだけで能力強度が上がる不思議なアメ的な音楽ファイルだ。

 まあこの手の物に有りがちな副作用もばっちり内蔵していて、使用して数日の内に必ず昏睡状態に陥るって寸法だ。それにしても、俺の知らない間に大分イベントが進行してたみたいだな。……うーん、どうするべきか。そりゃ細かい所以外は全部知ってるけど。俺が教えたことで未来が変化するのも怖いしな~。……よし。念の為音楽ファイルだって事は黙って――

 

(それで?どうなの?)

 

(あぁ、そんな音楽ファイルは知らないな。)

 

(えっ)

 

(えっ)

 

 …………しまったああああ!いっちまったあぁあああ!

 

(何で音楽ファイルの話……って、アンタ何か知ってるわね!)

 

 ひえぇええええええええ!眼力やっば!!超怖え。

 

(いいいいいや、おおおお俺は何もももお)

 

 ……いや、落ち着け俺。相手は中学生だぞ。ここでしゃっべたらプライドとかそういうあれが―――

 

(しらばっくれてんじゃないわよ!いいから吐きなさい!)

 

 …………はい

 

 全部吐いた。プライドもくそもなく、中学生相手にビビッて。俺のプライドという名の幻想はぶち殺されたようだ。

 

 

 

 

 

 

 風紀委員第一七七支部の床に正座する俺を、腕を組んで睨み付ける御坂さん。白井さんはパソコンを操作する手を止めてその光景を訝しげに見ているな。まあ傍から見れば御坂さんが床を見て考え事をしてるように見えなくも無いだろうからな。

 

(――なるほど、ね。レベルアッパーって言う名前の特殊な曲を聞いてアンタは能力が暴走した。んでそれがウェブ上のどこかにアップロードされていると。)

 

(……うっす)

 

 完全にばれた。最も、やったのは俺ではなくもう一人の俺だが。もちろんそれは話していない。ややこしくなるだけだしな。

 

(で、その場所は?)

 

(確か、どこかの音楽配信系サイトにある隠しページでダウンロード出来たと思う。詳しくは覚えてないけど、サイトのタイトルの一部分が入り口だったような……はず。)

 

 俺が一応記憶していることを話すと

 

「はぁ……。黒子、ちょっといい?」

 

「……えぇ、構いませんが?」

 

 そういって、二人は色々調べていく。すると

 

「……ビンゴ!」

 

 どうやら見つかったらしい。流石風紀委員だな。まあだからといって木山先生までたどり着くわけないだろうが。

 

(…ったく、アンタは)

 

 …う、めっちゃにらみつけてくる。仕方ないじゃん、いつの間にか手に入れてたんだもん。

 

(今の状態に成った心当たりがあるなら何でそれをもっと早く言わないのよ。まさか、いつまでもそのままでいるだったの?)

 

 ……その通りだとは言えない。正直戻る方法もわからなかったし、戻ってもあんまり変わらなかっただろうし。

 

 ――まあよくよく考えたらみ御坂さんみたいな年頃の女の子が、霊モドキとは言え好きでもない男に四六時中付き纏われるのは(勿論プライベートには配慮してるけど)嫌だよなぁ。

 

(マジでごめん。迷惑だったよな。)

 

 これに関しては謝るしかないな。そうやってシュンとしてると

 

(……別に迷惑とは言ってないでしょ。まあ、その、反省してるならいいのよ。あんたを待ってくれる人だっているだろうし。)

 

 ……あれま

 

(あれか、ツンデレだな。そういうのはもっと分かりやすくないと気づいてもらえないぞ。……特にどっかの誰かさんには。)

 

(…な!なんで急にあいつの話が出てくるのよ!あのバカは別に関係ないじゃない!)

 

(…あのバカって?どの馬鹿?)

 

(なっ!)

 

 別に上条さんとは一言も言ってないしな。そういうと御坂さんは

 

「黒子ー、知り合いに信用できる精神系能力者居ない? ちょっと消したい霊がいるんだけど」

 

(ごめんなさい。許して下さい。)

 

 見えないだろうが、思いっ切り土下座をかましていた。

 ………あっ、そういや今更だけど俺が御坂さんに情報を漏らしたせいでイベントフラグが幾つか折れた気がする。まあ上条さん関連は統括理事長様がなんとかしてくれるでしょう。アレイスターさん尻拭いヨロシクっす。

 

 そうやって俺は、すべてを丸投げた。あと、御坂さんには許してもらった。

 

 

 

 

 

 

 



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第四話・・・いつの間にか見えてるって?そんな馬鹿な!

  

 御坂さんの尋問から一夜明けた今日、俺達は風紀委員としての白井さんの随伴で水穂機構病院に来ている。虚空爆破事件の犯人が取調べ中に意識を失って病院に搬送されたと連絡が来たのだ。これだけ聞くと警備員がやらかしたように聞こえるけど実際のところは、レベル・アッパーの副作用が出ただけだ。

 まあそんな事分かるのは俺と幻想御手の製作者、後は白井さんと御坂さんも恐らくそうだろうと考えてるみたいだ。

 当然何も知らない病院の人間にとっては原因不明、そんな患者がこの病院含めていたる学区で何人も運び込まれている異常事態だ。

 病院関係者は白井さんに事情をアレコレ聞かれていたが芳しい返答を返す事ができない。

 そんな手に余る患者をどうにかしようと、病院は専門家であるあの女を呼んだのだ。

 

「お待たせしました」

 

 そう、あの女・・・

 

「水穂機構病院院長から招聘を受けました――」

 

 怪人脱ぎ女だ!

 

「…?では改めて自己紹介だ。木山春生、大脳生理学を研究している。専攻はAIM拡散力場だ」

 

 脱ぎ女は、なぜか一瞬こちらを見てそういった。…………なんでこっち見たの?

 まいっか。別にこの女が犯人だとか、脱ぎ女だとかは言わない。ここまで来た以上、自然と正体は割れるだろう。原作改変も怖いし。

 御坂さん達は予定通り木山に幻想御手の事を相談した。

 ただ原作とちょっと違うのは既に幻想御手の現物が確保されてる事だ。

 ……ん?御坂さんなんかそわそわしてるな、トイレにでも行きたいのか?

 

「ふむ、既に現物を確保しているわけか」

 

「ええ、生憎現物は持っていませんので後ほどお送りしたいと」

 

 この辺は、原作にはなかった展開だな。こういうのを見ると、改めて自分が二次元の世界で好き放題やってんだなって思う。

 

「んー、しかし聴覚しか使用しないものではその現象は困難だよ。学習装置と言う特殊な装置はあるが、それも五感を使用して脳に電気的信号を送り込むものだからな。調べては見るが、あまり期待はしないでくれ。」

 

 ま、当然そういう流れだわな。自分が犯人なんだから、そこにたどり着く糸口を簡単にさらすはずもないし。

 

「け、けど!実際にそれを使って倒れた人だって――」

 

「お、お姉さま?少し落ち着いて。」

 

(御坂さん?)

 

 なんでこんな必死に……、まさか、俺のためか?

 

「……君はそれを使用した人間と面識があるのか。すまない、私の話し方に配慮が足りなかったな。」

 

「……あ、いえ、すみません。こちらこそ、急に大きな声を出したりして。」

 

(御坂さん)

 

(……何よ?)

 

(いや何、ありがとうな。)

 

(………そう思ってんなら、さっさと助かる方法を探しなさいよ。)

 

(…ああ)

 

 もっとも、それもすぐにやってくるだろうが。

 

「……ところで少し気になっていたんだが。」

 

「え、何ですの?」

 

「いや、御坂さんと一緒にいる、その…微妙に透けている男性は何者なのかと。」

 

 ………………………………え?

 

「……え、木山さん、こいつが見えるんですか⁉」

 

 ……マジか。それは初耳だわ。

 

「……?あぁ、見えるが。」

 

「あの、一体誰の事を言っておられるんですか?」

 

 一切の事情を知らない白井さんだけが、まったくついてこれていない。

 にしても見える人間がいたとわ。もしかしたら、頑張ればみんなに姿を見せることもできるかもな。

 

(ふんぬ~。)

 

 ………どうだ!

 

「「「……」」」

 

 なんかみんながこっちを見てるような?………俺を見てるのか。はっはっは。……………さらば。

 そうやって姿を消し逃げる。すると後ろから。

 

「ひ、ひいいいいい!なんか出ましたの!」

 

「…あいつって、ああいう容姿だったんだ。」

 

「……彼は一体?」

 

 なんかいろいろ言われているが、それは今はどうでもよくて。さっさとすたこらっさっさーと。

 そうやって俺は逃げまくった。…そういえば、いつの間にか御坂さんから離れて活動できるようになってんな。気づかなかったわ。……ていうか、あの脱ぎ女、まったく脱いでなかったじゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、佐天さんたちがファミレスにやってきたりといろいろあったらしいが、正直街を一人でぶらりしていたから全く介入していないんだよな~。

 それから、佐天さんがぶっ倒れたという報告が来たらしい。ようやく事件は収束に向かうな。佐天さん、止めてやれなくてごめんなさい。

 

「黒子っ、佐天さんが倒れたって……! やっぱり幻想御手がらみなの……?」

 

「ええ、どうやらその線のようですの。」

 

 すごい必死だ。……これで愉悦を感じるほど、俺は外道ではない。

 その後カエル顔の医者に会い

 

「幻想御手の患者達の脳波に共通するパターンが見つかったんだよ。」

 

 御坂さんたちはこの病院の医者であるカエル顔のおっさんに呼び止められて、モニターに映された患者の脳波パターンを見ている。

 このカエル顔のおっさんは通称冥土帰しって呼ばれる凄腕の医者だ。何が凄いって外科技術が神レベルなのは勿論(絶対なんか危ないことしてただろ)、薬学や医療工学にも通じててそれらを駆使し、「患者を生きて連れてくれば(肉体の欠損や精神的なものも含めて)必ず治す」って有言実行しちゃう通り名に名前負けしない凄まじい人なのだ。

 しかも患者第一で、必要なものは何でも揃えるって言う聖人っぷり。なんだこの完璧超人。

 んでこのカエル顔のおじ様が言うには、幻想御手を使用した人間は脳波が無理矢理に正されて植物状態になってるって事らしい。そういやそんな設定だったな。その正された脳波に共通する部分が木山春生の脳波と一致した、と。

 これで木山さんが犯人だと判明した。

 

(…とりあえず、犯人は分かったな。)

 

(……そうね、でもどうしてそんなことを?)

 

(……ま、それなりの事情があるんじゃねえの?)

 

 もちろん知っているがここでいう必要はない。そしてカエル顔の医者が

 

「これは僕の予想なんだが、脳波によってネットワークを構築してるんじゃないかな?」

 

「脳波のネットワーク?」

 

「うん、そこで最強の発電能力者である君に質問したいんだが――」

 

 話をまとめると、幻想御手は能力のレベルをあげると言うよりも使用者達の脳をネットワークで複数並列演算器とする事を主眼にしたものだ。

 レベルが上がったように見えるのはネットワークで繋がった同系統能力者同士で無意識に協力しているようなもので、本来の意味で言えばこっちが副作用なのだ。

 まあどっちにしろ使用者は他人の脳波を強要され続けるから昏睡状態になるのは変わらないのだが。

 ……と、まあ俺の脳みそだとこの解釈が限界だ。大外れはしてないと思うけど。

 つーか原作の知識あってコレとか俺の頭残念すぎて萎えるわ。

 

(うん? 今更だけど何でアンタだけネットワークに取り込まれてないのかしら? アンタの能力の特性?)

 

(…いや、実はすでに取り込まれているかもしれない。)

 

(?…、どういうこと?)

 

(……そうだな、御坂さんには一応話しておこう。)

 

 そうして俺は話した。自分が二重人格であり、この自分は副人格に過ぎないことを。

 

(……そう。それでも、あんたはあんたよ。……あれ?でもおかしくない?二重人格だろうと脳は一つしかないし。それならやっぱりあんたも取り込まれてなきゃ…)

 

(御坂さん、俺の能力の力忘れてない?)

 

(……?……あ!)

 

 俺の能力は幽体離脱(レイス・フォーム)、意識を自由に体の外に飛ばせる。この力でギリギリ難を逃れていたのだろう。……最近は結構変化しているが。っというかあれか。木山さんが俺の姿見えたのは幻想御手の影響だったのかもな。

 

「お姉様!! ――木山春生の所行った初春と連絡が付きませんの……」

 

 ついに来たか!出番だぞ、ヒーロー!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 通報を受けた警備員が黒幕の居城に踏み込むも、既に木山さんと初春さんの姿は居ないとの事。

 んで痺れを切らした御坂さんがついに出陣を決意。

 その後も、白井さんが動こうとしたが、

 

「こんな時ぐらい『お姉様』に頼んなさい」

 

 とのことでした。イケウーメンだ!

 

「…ところでお姉さま。ファミレスで現れた男とは、一体どのようなご関係で?」

 

 ……こいつはどこにいても変わらないんだな。

 

 

 

 

 

 

 

「警備員が……全滅?」

 

 こーれはひどい。木山先生最強かよ(一方通行忘れるな)。

 

(……ん?御坂さん!あの。道路脇にある青いスポーツカー!)

 

(っ! あれはっ!)

 

「初春さんっ、しっかりして!!」

 

「――安心していい、戦闘の余波を受けて気絶しているだけだ。命に別状は無い。」

 

(来たか!大ボスが!)

 

『さてさてさーて、最終決戦だな。』

 

 …ん?なんか声が聞こえたような?っていうか俺の声だな。喋れるようになったになったのか。二人ともこっち見てるし、姿も見えるのか。

 

「御坂美琴、学園都市に七人しか居ない超能力者、さらに君は……例のレベル・アッパーの使用者か。君の事は調べたよ。だからこそ言える、立ち去りなさい。君は何の役にも立てないぞ。」

 

『…っは、なめんなよ脱ぎ女。こっちはあんたのおかげでいろいろパワーアップしてんだぞ。』

 

「ほう、面白い。…私のネットワークには超能力者は含まれていないが――」

 

 木山さんの目が赤くなった。吸血鬼みたいだな。

 

「君たちに一万の脳を統べる私を止められるかな?」

 

『…へ、行くぞ、木山先生。能力の貯蔵は十分か!』

 

「……なに言ってんのよあんた、気が抜けるから黙っててくれない?」

 

 くらえ必殺、十億ボルト!

 

「…なに!っく」

 

 …………………え、なんか出たんだけど。

 

「ちょっとあんた!なんで私の電撃が使えんのよ⁉」

 

『いや、むしろ俺が知りたい――』

 

 ……もしかして御坂さんに憑依しているからか。彼女に憑依すれば彼女の電撃が扱える。つまり、能力者に憑依していればそいつの能力が使い放題ってわけか。……この能力強くない?

 そんなことを御坂さんに言うと

 

「……私のアイデンティティ取らないでくれない?」

 

 すみません。まあ今はそんなことより

 

「…これは流石に驚いた。まさか、レベル5と同等の電撃が出せるとはな。君の能力は未知の部分が多いようだ。」

 

『…へ、余裕ぶってろ。すぐにぶっ倒してやる。』

 

 もっとも、そんなつもりはさらさらないが。この状況だ。そういうしかない。

 

「…!行くわよ。足引っ張んないでよ!」

 

『…おう、背中は任せな。”相棒”』

 

「……誰が相棒よ、ったく。」

 

 そんなことを言いながらも、けっこううれしそうだな。そして、最終決戦が幕を開けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦いは終始木山のペース……っということにはならなかった。恐らく俺の介入の影響だろう。結構善戦していた。っていうか俺の体、なんか物理攻撃無効化してたんだけど。けど、能力のダメージは受けたな。何となく仕組みが分かってきたぞ。そして

 

「つーかまーえたー♪」

 

「…く!しまった!」

 

 俺がおとりになり、御坂さんが至近距離から電撃を放った。さて、これからが本番だな。

 

「っ!?」

 

(なに?何が起きて…)

 

 目をそらすなよ。御坂さん。それが学園都市の闇だ。…っていうか、俺も見えるんだが。これはあれか、御坂さんと俺が繋がっているからか。

 

「がふっ、げほっ、がはっ!! ――観られた、のか……!?」

 

「なんで、あんな事を……、ねえ?」

 

『…御坂さん、あれはすべて真実だ。そしてあれは…、この学園都市で行われている悲劇の一つに過ぎない。』

 

「…!あんなことが、まだほかにも⁉」

 

 そりゃ驚愕するわな。だが、目をそらしてはいけない。この闇とはいずれ戦わなければならないのだから。

 

「…でも、だからって、それじゃアンタも――」

 

「君に何が分かるっ!!」

 

 ……………………

 

「あんな悲劇は二度と繰り返させない、そのためなら私は何だってする!! ………… この街の全てを敵に回しても止まる訳には行かないんだああぁぁっ!!!!」

 

 その心意気は立派だよ。素直に尊敬する。でもな…

 

『時間切れだぜ、木山先生。』

 

「…⁉ぎっ!? あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!?」

 

 ボスキャラってのはな、いつだって第二段階があるものさ。

 

「なに、アレ……」

 

 木山先生が悲鳴を上げて倒れると、頭部から白っぽい半透明の胎児みたいなのが何かに搾り出されるように飛び出した。キモっ!

 頭の上には所々途切れてるけど輪っかが浮かんでるし、これで翼があれば天使に見えなくも無かったな。キモっ!

 

「アンタ、あれ何だか分かる……?」

 

『さあな?流石にあれの正体は分からないが……今がすごーくまずい状況なのは分かる。』

 

「要は何にもわかってないってこと?」

 

 そうともいう。さて、第二ラウンド開始だ!

 

「キィィィィヤアアアァァアアァァァアアァアアア!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『"御坂”!下がれ!』

 

「!」

 

 くそったれめ、無差別すぎるわ。木山先生のありがたみが身に染みるわ。

 そのあと、二人で電撃攻撃を加えるも

 

「な、なんなのよアレ!!」

 

『再生してますね。』

 

「見ればわかるっつーの!」

 

 やばい、マジでどうしよう。なんか原作より強い気がする。

 俺が攻略法を考えていると

 

(kg苦s、w羨khg前htrswr、wktfr取m込rt)

 

 ……?なんだこの声?ずるい?うらやましい?………あ、これあれか!

 

「……!ちょっと、なんか聞こえるんだけど?」

 

『これはあれだ、あのバケモンの中にいるレベル・アッパー被害者の意識が、一人だけ助かった俺をうらやんで取り込もうとしてる。』

 

「え、大丈夫なの、それ?」

 

 大丈夫なわけがない。後付けで取り込まれるとか、何が起こるかわからなすぎる。

 すると、あのバケモンがこっちに向かって触手を伸ばしてくる。俺はそれを、電撃で迎撃する。

 

『このままじゃ、ジリ貧だな。どうします?』

 

「こっちが聞きたいわよ!」

 

 ですよね。…ん?

 

『あれは…、』

 

 御坂も、俺が見たほうをつられてみるとそこには、初春さんと木山先生が一緒にいた。

 

『……あれは放っておいてもよさそうだな。』

 

「そうね。それよりもまずは…」

 

 こいつを何とかしないとな~。っていうかどうやってこいつ倒すんだっけ?やばい、ド忘れした。

 その後も、警備員とともに応戦していると。

 

「…!再生しなくなったわよ!」

 

 やったぜ、よくわからんがうまくいったらしいな。なら後は……

 

「チャンスッ!!」

 

 再生力の無くなったバケモンに止めの電撃が――ありゃ、誘電力場みたいなので防がれてるのか?

 

「ちっ! なら――これでどうよっ!!」

 

 俺も加勢して電撃を放つ。

 うおっ、まぶしいな! うーん、眩しくて見づらいけど電撃は届いているかは微妙だな。けど熱は防ぎきれてなくて丸焦げになってるわ。

 

『いい加減やられてくんないかな?』

 

「あれはAIM拡散力場の塊だ、体表にダメージを与えても本質には影響しない!!」

 

「っ、アンタは!」

 

「…さっき私と戦った時は全力ではなかったんだな。やれやれ、敵に気を使われるとはね。」

 

「……もう敵対する気はないんでしょ? ならあんなやり方じゃなきゃ私も協力する。でも教え子が恢復してもアンタが居なくなったら、その子達どんな顔すると思うの?」

 

「――っ!? フッ、まったく君は……。」

 

『先生!、是非ともご教授願います!』

 

「君に先生といわれる筋合いはないが……、。力場の塊を自立させてる核があるはずだ、それを狙え!!」

 

『それってどこにあるんすか?』

 

「わからん!!」

 

『ぶっ飛ばすぞあんた!』

 

 最悪だ、クッソどうすれば?……………待てよ。格が危険なのはあいつもわかってるよな。ならそこを重点的に守ろうとするはず。

 

『……よし。くらえ~!』

 

 そういって俺は、幽霊みたいに飛び、奴に向かって至近距離で電撃を放つ。すると

 

『…!ビンゴ!』

 

 触手を破壊しつつ、核を探すため無差別に攻撃をした結果、残っている触手で中心をカバーしている。胴体部分か。範囲攻撃なら多少のずれもカバーできる。

 それを御坂に告げると。

 

「なるほどね。なら後は…」

 

『ありったけをぶち込むだけだ。……なあ御坂、コイン貸してくんない?』

 

 そういうと、ゲーセンコインを一枚貸してくれる。

 

『これで御坂ともお別れだな。』

 

「何言ってんのよ。あんたとは話したいこといっぱいあるんだから、副人格だからって消えるんじゃないわよ。……っていうか、何気に私の事呼び捨てにしてんじゃないわよ」

 

『……あ、ほんとだいつの間に。だめでした?』

 

「…………別に、ダメとは言ってないわよ。」

 

『そりゃどうも。じゃあ、これからも呼び捨てにするな。……御坂。』

 

「…!ふん!勝手にしなさいよ。……ふふ。」

 

 そういって、俺たちは笑いあう。そして……

 

「これが!」

 

『俺たちの!』

 

「『全力だぁあああ!』」

 

 隣り合わせで、超電磁砲を放つ。まさしく、ダブル・レールガンだな。そして見事に、奴の核を貫き通し戦いは終結した。

 こうして幻想御手事件における一人と一霊の奇妙な生活は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 幻想御手編、完!長かった!


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最終話・・・え、もう終わり?マジで!?

 

 あのよく分からない名前も忘れた怪物は、俺たちの手によって滅ぼされた。

 また、事件の首謀者である木山春生も逮捕され、幻想御手の被害者達も続々と目を覚ましたという連絡が入っている。

 すべては終わりに向かって順調に進んでいる。……もちろんそれは

 

『俺たちにもだな』

 

「……なんであんたは戻んないのよ?」

 

 今回の件で、自分がどんな状況にあるのかは大体把握した。

 今の自分はいうなればAIM拡散力場の塊。虚数学区・五行機関という奴だ。

 分かりやすく言うなら、風斬氷華と似たようなものだ。こっちは天使ではないが能力が扱えるし、他人に憑依することで永続的に姿を見せられる。最も、AIM拡散力場の塊である自分はがここまでやってこれたのは、御坂が発するAIM拡散力場を独占吸収していたからかもしれない。風斬はそういうの出来ないからな。

 

『まあ、そういうわけだ。』

 

「いやどういうわけよ?」

 

 分からんのか御坂?つまり

 

『俺はまたしばらくの間姿を消すってこと。』

 

「……」

 

『先の戦闘で御坂の能力を使ったが、あれはどうやら俺が吸収していたAIM拡散力場をもとにはなっているのだと思う。だから超電磁砲まで使った影響でもう姿を維持できない。こうしている間にも』

 

(見えなくなったわよ。)

 

(早いな。まだしゃべり切ってないのに。)

 

 理不尽だな。まあ仕方ないか。

 

(それで?あんたはこれからどうすんのよ?まさか、まだ私と一緒にいるつもり?)

 

(それこそまさか、もう独立して動けるんだ。せっかくだし、学園都市をぶらりと散歩でもしてみるよ。)

 

(………あんたはこれでよかったの?体には――)

 

(戻れない。でもいいんだ。もとよりあれは”あいつ”の体。戻ったところで何かが出来るわけじゃない。それならこっちのほうが気が楽だ。)

 

 誰にも見えないというのは寂しい。けど

 

(俺の事を知っている奴がいる。それでもう十分だ。それに、時間がたって空気中のAIM拡散力場をある程度吸収出来たら、また姿を見せることが出来る。)

 

 それも、いつになるかはわからない。そもそも、俺は風斬氷華とは違う。本当にそんなことが出来るのかも怪しい。まあそれでも

 

(お前と一緒に事件を解決したの、結構楽しかったぜ。まあ、何が言いたいかというとだな)

 

 御坂は俺の言葉を黙って聞いてくれる。

 

(ありがとうな。こんな俺を今までずっと一緒にいさせてくれて。)

 

(………どういたしまして。必ず戻ってきなさいよ。)

 

(おう、それなりに努力する。いつまでも御坂に迷惑はかけられないしな。…ただ、戻った瞬間に電撃は勘弁してくれよ。透明状態でも能力の攻撃は結構効くんだから。)

 

(うるさいわね!さっさと行きなさいよ!)

 

 そういうと、御坂がちょっとビリビリする。お~こわ。

 

(それじゃあな御坂。これからたくさんの困難があるだろうが、……まあいざってときはお前が好きなヒーロー(上条)を頼れ。)

 

「べ、別にあのバカの事は、大好きとかそういうのじゃないんだからね!勘違いしないでよね!…って、もういないし。」

 

 もはやそこには、いつも感じていた気配もなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~???~

 

 

 

 

 

 

 人ごみの中、やけに透けている男が誰の目に留まることもなく歩いていた。彼は空を見上げ呟いた。

 

『本当、退屈しないな。この街は。』

 

 

 




 まさかの完結。

 それでは別の作品にて、またお会いしましょう。


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