ハイスクールD×D~終末世界のJUDAS~ (シュレディンガーの熊)
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プロローグ

人間達が何気なく暮らすこの世界には、人間とは違う種族が存在している

 

人間に崇められ、神の祝福を与える―――天使

 

人間に囁き、欲望を叶える―――悪魔

 

人間を羨み、共に快楽に興じる―――堕天使

 

彼等は時に救いを与え、時に破滅に導き、時に分かち合い、人々と関わっていた

 

その他にも、妖精や精霊、妖怪といった種族等、数多くの存在が人間達の生活の裏で存在している

 

異なる種族達は裏で隠れながらも、中には人間に関わったり人間の世界に溶け込んでいる者もいる

 

その存在はもしかしたら、あなたの身近にいるのかもしれない・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オッス、俺兵藤一誠

 

我らが学園の御姉様にしてオカルト研究部の部長、その実は悪魔の名家グレモリー家の次期当主リアス・グレモリー様の下僕悪魔です

 

ひょんなことから堕天使に殺された俺は、リアス様の下僕として悪魔に転生してもらった

 

命がけの戦いあり、素晴らし・・・いや、けしからんエロ展開あり、たわわなおっぱいもかわいいちっぱいもありまくりの青春悪魔ライフを満喫中です!

 

 

 

………………

 

 

だんだん夏も終わって涼しくなってきた秋の夜、いつものようにぐっすりとベッドで寝ていると

 

「イッセー。私の処女をもらって頂戴」

 

「ぶ、ぶぶぶ部長!?」

 

丸裸の部長に押し倒されていた

 

なんか前にもこんなことがあったような・・・

 

そうだ、ライザー・・・あの焼き鳥野郎との婚約騒ぎの前の日もこんな感じだった

 

「部長、一体どうしたんですか?もしかしてまたライザーの奴が来たんですか?」

 

押し倒された状態のまま、俺は部長に聞いてみた

 

もしそうならもう一度俺がぶちのめしてやろう!部長を二度も泣かせるあの焼き鳥は思いっきりぶん殴る!

 

いやそれとも別の悪魔だろうか?あれから部長の婚約者という話は聞いたことがないが、また新しい婚約者が現れて、部長にひどいことをしたのかもしれない。たとえそうでも俺はそいつをぶん殴ってやる!

 

ふにゅん

 

突然、左手が何かに触れた

 

・・・この余りある大きさ、張りのある弾力、鷲掴みがいがあるこの感触。こ、これは・・・

 

答えは・・・ハイ!部長のおっぱいです!

 

・・・いやいや!なんで部長のおっぱいが俺の左手にあるのですか!?

 

ふとよく見ると俺の左手首が部長につかまれていた

 

ぶ、部長?今日のスキンシップはずいぶんとあれですね・・・

 

落ち着け落ち着くんだ兵藤一誠。間違いがあってはならない

 

それに、俺の横にはアーシアが寝ている。もし、アーシアがもしここで目覚めようものなら・・・

 

『わ、私も混ぜてください!私もイッセーさんと・・・』

 

『アーシア!?』

 

『そう、なら三人で・・・』

 

『三人でって・・・俺にそんなこと・・・!』

 

『イッセー・・・』『イッセーさん・・・』

 

『う、ああ・・・』

 

いや、なぜ俺が襲われているんだよ!

 

・・・だがまぁ、それはそれで・・・タラー

 

―――ハッ!イカンイカン!流されるな男兵藤一誠!

 

最近アーシアに対する気持ちも変わってきたせいか普通にこんな妄想が出てしまう!

 

いつの間にか鼻から出た赤い液体を手でぬぐう

 

「ねぇイッセー、私の事が嫌いなの?」

 

部長が寂しそうな顔で問いかける

 

「そんなことありません!」

 

俺は力強く否定した。こればかりは言わずにいられなかった

 

「だって俺は、あの時から、ずっと部長の事が・・・!

 

「じゃあ・・・来て、イッセー・・・」

 

腕を広げて部長が待ちかまえた

 

い、いっちゃって良いのか俺!?

 

そうだ、昔の人が言っていた。『据えおっぱい食わぬは男の恥』と!

 

・・・こうなったら行きます!行きますよ!行きますとも!

 

俺は身体を起こして逆に部長を押し倒す

 

倒された部長のその目はトロンとしていて、顔もやや赤い。小さく吐息を吐くその様は、とてもムラっときた

 

・・・ごめんなさいサーゼクス様、部長のご両親。あと下で寝ているであろう父さん母さん。・・・兵藤一誠、今日俺は大人の階段登っちゃいます・・・!

 

「部ち―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴスッ!

 

「―――痛っ!」

 

突然の頭への衝撃に目を覚ました

 

そこは夜中ではなく、まだ明るい昼間。場所は俺の自室のベッドではなく、いつもの教室

 

俺の目の前の人物は、艶かしく顔を赤らめた部長ではなく、苛立ちで青筋を立てた教師だった

 

あ、やっぱり夢だったのですね・・・

 

周りのクラスメート等は俺の様子を見てクスクスと笑っている

 

「兵藤、私の授業で眠るとはいい度胸だ・・・」

 

目の前では薄い頭が特徴的な教師がプルプルと震えていた

 

なんてことだ、よりによってこの人か。この教師は何かと厳しい頑固おやじと学園では有名で、もし授業中に寝ようものなら―――

 

「目が覚めるまで廊下に立っていろ!」

 

ソイツは廊下に立たされるのだ。今の俺のように・・・

 

寒い。窓から吹き込む風が身にしみて眠気も覚めてきた

 

とても惜しい夢だった。・・・まぁ、夢は夢だよな?

 

「そもそも、部長とあんな関係になれるわけないよなぁ・・・」

 

俺の深いため息が秋空に淀んでいった

 

 

………………

 

 

さて、俺が悪魔に転生して大体半年が経ち、悪魔の生活にも時折驚くこともあるけど着々となじんでいると思う

 

ちょっと前に転校してきた、かつての俺の幼馴染で、部長の戦車のゼノヴィアの元仲間だった紫藤イリナも、随分とグレモリー眷属に慣れていた。今じゃあアーシアとゼノヴィアの三人でいるところをよく見る。仲が良くて何よりだ

 

新たに加わったロスヴァイセさんも今や一教師として日本の生活にだいぶ慣れてきてるそうだ。最近は100円ショップに毎日のように通ってるとか・・・

 

気がつけばこの学園には悪魔、堕天使、(自称)天使、ドラゴン、吸血鬼、北欧の戦乙女と、色んな物がごった返しになっている。これも二天龍の宿命って奴なのだろうか?

 

これから先もこの街に悪魔や堕天使、天使等、人ではない方達がどんどん集まってくるだろう

 

・・・そういえばここ最近になって、イリナとはまた別の、教会の人がこの街にやってきた

 

神父がいなくなって廃屋の状態で放置したままだった街唯一の教会に

その新しい神父がいるらしい

 

アーシアを助けた時の、フリードやレイナーレと戦った時のあの教会だ。そう言えばコカビエルの時も一度あそこで戦ったと木場から聞いたな

 

その教会の事をクラスメイトから聞いた翌日アーシアと一緒に見に行ったけど、いつ崩れ落ちてもおかしくなかった程のボロボロの廃屋は立て直したばかりの綺麗な教会に変貌していた

 

そのときに神父さんを見たけど、ブロンドヘアに知的な眼鏡のイケメンだった。歳はおそらく20ちょっとって感じの若い男。あんな人が神父なら、すぐにでも人が集まるだろう。特に女性・・・ちくしょう

 

後で部室でそんな話をしたらイリナの知り合いだとか。後、『もしかして私ってあまり期待されてない!?』とイリナが騒いでいたな

 

死ぬかもしれない時が何度もあったけど、騒がしくて笑顔であふれる今がとても楽しいと思っている

 

そんな日常がいつまでも続けばと思っていた。だが、また新たな危機が迫っていることを、この時の俺は想いにもよらなかった・・・




初めての方は初めまして!御存じの方はどうも!シュレディンガーの熊です

初めてクロスに手を出してみて思ったより手がかかったけど頑張っていきます

ハイDの時系列は9巻後、修学旅行後のつもりです

毎度の駄文でしょうがよろしくお願いします


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第一話・・・捜索

最近近辺の街で大勢の人が行方不明になっているとニュースで騒がれていた

 

証拠とか痕跡が何もなく、人がふと消えたそうだ

 

この街でも既に何名か行方不明になっている人がいると警察に依頼が入っている

 

ウチの学園の生徒も既に何人か行方知れずになったらしく、会長さんや匙等生徒会が集団登下校を促していた

 

以前にも英雄派の連中が神器使い達を引き抜いていたからそれではないかと、アザゼル先生に聞いた

 

『そんな一都市に神器使いが集まってるわけないだろ。もしそんな場所があるなら俺が真っ先に捕まえてるだろうがよ?』とさも当たり前な顔をなさっていた

 

『まぁ、リアス・グレモリーの管轄内の人間をさらうことで、俺達を誘い出しているという考えも悪くはない、悪党の定番だ。だが、そのやり方はかなり回りくどいな。ぶっちゃけ今までの英雄派らしくない』とも言っていた

 

となると、英雄派とは別件でこのあたりの人はさらわれているのが高いことになる

 

修学旅行前にも英雄派の神器使い達が襲ってきて大変だったというのに、この街もやけに物騒になってきたものだ

 

気をつけてと部長に言われながらも、一般人の事件ならば関わることはないと思っていた。思っていたのだが、その夜にはこの事件に首を突っ込むことになるのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の娘を、どうか探してください・・・!」

 

人が寝静まる夜、俺はいつものように自転車で依頼者の元へ飛ばす。たどり着いたのは街灯が一つポツンと照らされた小さな空き地だった。そこに一人、40代前半ほどのおっさんが立っていた。話しかけづらい雰囲気だったが意を決して話しかけたら、そう言われた

 

「あの、そういうのは警察に頼んだ方が良いんじゃないすか?」

 

「警察にはとっくに届けたさ。だがいつまで経ってもあいつらは『まだ捜査中です』と言って濁すばかり・・・」

 

俺はちらりとおっさんを見直す。そこら中皺や汚れでボロボロの衣服に、ボサボサの頭、目元は深い隈、鼻をつんざく体臭・・・何日もの間、一睡もしないで娘を探していたというのが良く分かる有様だった

 

「妻が早死にしちまって・・・男手ひとつで育てた大事な娘なんだ」

 

そういうおっさんの顔には涙がこぼれていた

 

「・・・全財産でも、俺の命でもいい!だからどうか、どうか娘を・・・!」

 

おっさんは地面に膝をつくと、頭にこすりつけるように頭を下げる――いわゆる土下座の体勢をとりだした

 

「あ、頭をあげてくださ「どうか、お願いします・・・」」

 

止めてもおっさんは頭をずっと下げていた、ずっと

 

・・・リアス部長がライザーに婚約されそうになった時はパーティー会場に乗り込んだ。自分の腕一本を犠牲にライザーを殴り飛ばした。アーシアがディオドラの野郎にさらわれた時はとても心配した。死んだと言われた時は放心して覇龍になったそうだ

 

それほどまでに俺は部長が好きだ。アーシアも傍で守ってやりたい。でも、それは朱乃さんでも、子猫ちゃんでも、ゼノヴィア、イリナ、ロスヴァイセさんでも、木場やギャスパーだろうと、俺は同じことをすると思う。同じように俺は皆が大切なんだ

 

これはたぶんこのおっさんのとは違うと思うけれど、俺の大切な人たちが突然いなくなったら、俺もこのおっさんみたいに、一睡もできないほど心配するし、命を掛けてでも助けると思う

 

そんなことを考えていたら、俺は答えが出ていた

 

「・・・契約、承りました。俺が娘さんを必ず見つけます。対価はその人を連れ戻したその時に、改めて受け取りに行きますので」

 

「あ、ありがとう!」

 

もうすぐサイラオーグさんとの試合もあるし、勝手にこんな依頼受けるのはマズイだろうけど、俺はおっさんの頼みを断ろうとは思えなかった

 

依頼を承った俺に、おっさんは深々と頭を下げてただ『ありがとう』と言い続けていた

 

 

………………

 

 

「娘さんの名前は・・・こぎくちゃん、か」

 

翌日の放課後、ソファーに座り込んで昨夜のおっさんから渡された娘さんの写真を見ていた

 

写真には肩まで伸びた黒髪に儚げそうなイメージの優しい女の子が映っていた。俺の一つ年下と聞いたから、今は高校一年生だろう。あのおっさんからこんな可愛い子が生まれるとは・・・

 

ふと、俺は写真のある部分に目が移る

 

 

「・・・・」ゴクリ

 

生唾を飲み込んで写真の女の子を見る

 

デカい。推定92(元浜直伝3サイズスカウター参照)。朱乃さん、部長、ロスヴァイセさんに次いでかなりのサイズのおっぱい様だ

 

「・・・・?」ストーン

 

ついつい向かいのソファーに座っていた小猫ちゃんの方を見ていた。彼女はいつものようにお気に入りのお菓子を黙々と食べていた

 

決して見比べたかったわけじゃなくて、偶々見ちゃったんです

 

・・・やっぱりデカいな、この子(こぎくちゃん)

 

「・・・何を見てにやついているのですか?」

 

俺の視線に気づいた小猫ちゃんが俺の方を見返した

 

その時俺はとっさに写真を後ろに隠した

 

探し人の写真だと普通に言えばよかったのだが、本能的に見せてはマズイと思ってしまった、俺のバカ

 

「・・・なぜ隠すんですか?」

 

「いや、その、なんていうかこれは・・・その・・・」

 

ガチャ

 

「失礼します」「む?イッセーに子猫だけか」「ふたりだけでなにをしてたの?」

 

部室にやってきたのはアーシア、ゼノヴィアにイリナ、お馴染みの教会トリオだ

 

「いえ、イッセー先輩が隠し事をしてるそうで」

 

「何かしら。隠されるほど気になるわ!」

 

「いや、別にそんな大したものじゃ・・・」

 

「なら見せても問題はないのではないか?」

 

ゼノヴィアの言うことは正論だ。だが、『しろと言われると、より一層したくなくなる』というのが人間の心情であり悪い癖なわけで・・・・・つまりここまで来ると意地でも見せたくない、というのが俺の応えです

 

「・・・先輩はそれを見て、いやらしい顔をしていました」

 

そんな顔してたの俺!?エロエロでごめんなさい!

 

「もしかしてまたエッチな物ですか?」

 

アーシアさん、またってどういうことですか?思われても仕方ないですけど

 

「もしそうならイッセーの性癖を知るために確認する必要があるな。家にあった書物関連以外にも別の好みがあるかもしれない」

 

うんちょっと待って。今聞き捨てならない言葉が聞こえたんだけど!?

 

え、何?書物って、もしや俺の秘蔵ッ子達の事か!?

 

部長やアーシアが俺の家で一緒に暮らすようになってから、朱乃さんゼノヴィア小猫ちゃんと、今ではグレモリー眷属の女の子たちと一緒に住んでいる。松田元浜とかがきいたら即自殺するだろうな。・・・さて、一緒に暮らしてる上での問題は色々あるけどやはり一番悩んだのは俺の秘蔵のエロ本たちだ

 

決して彼女らに興味がないわけではない。でもそれとは別に読みたいんです!だって青春と性欲真っ盛りの男子高校生だもん!

 

最初にアーシアが来た頃は見つからない程度にベッドの奥とかに隠していたが、部長が住むようになってからは隠そうとしても部長にはお見通しだったりで、隠すのに苦労したっけ・・・。和平会談後には家を改築して、朱乃さんやゼノヴィアも住むことになった。その頃にはそこら辺に隠しても直ぐにバレてしまっていた。そして、今や小猫ちゃんにイリナ、ロスヴァイセさんと、もの凄い大所帯になっていて、読む時間すら危ぶまれるほどになった

 

つまるところ現在は彼女らに絶対に見つからないよう、それはもう金と時間を掛けて、家のあらゆる場所に隠したのだ

 

・・・だというのに、それがもう見つかったというのか・・・!?

 

「床下だとか、天井裏など、物を隠すにしてはまだまだ甘すぎるぞイッセー。壁に埋め込むという発想は悪くはなかったがな」

 

「私は止めようと言ったんだけどね、ゼノヴィアったら一度決めたら止まらないから・・・」

 

「何を言っている。『これだけ探しててなぜ幼馴染物がないのよ!』と躍起になってたのはイリナの方ではないか」

 

「た、確かに『私そういう対象で見られてないの!?』って思って意地でも見つけようと探し回ったけど、決してやましい気持ちでしたわけじゃないの!・・・いやでも、したことは事実。ああ、主よ!邪な行為をした私をお許しください!」

 

なんか隠し方を指摘されたり、己を戒めて祈っているが、とどのつまり俺の子供たちはとっくに彼女らに見つかってしまったというのは理解した

 

なんてことだ。この間のエロゲの時といい、俺の性癖がどんどんさらされ続けていく・・・

 

俺が膝をついているとアーシアが何かを発見した。一枚の写真だった・・・ってしまった!

 

「なんでしょう・・・」

 

「写真みたいね」

 

「・・・美少女です」

 

「うむ。可愛らしい女の子が映っているな」

 

ズイッと横からイリナとゼノヴィアに子猫ちゃんまで覗きこむ

 

「ねぇイッセー君、この女の子とどういう関係なのかな?」

 

「いや、別にそんな関係なんてないけど・・・」

 

「関係ないのならなぜ彼女の写真を隠すような真似をしたのか、そこが引っ掛かるのだが?」

 

「そ、それは・・・」

 

「私たちに言えないような深い関係ってことなの!?」

 

「そんな!?イッセーさんはこの女の人とどういった深い関係なんですか!?」

 

「だからそんなんじゃなくって・・・」

 

「「「「イッセー(さん)(先輩)」」」」

 

美少女四名がもの凄い剣幕で詰め寄ってきたので、俺は事情を告げることしかできなかった

 

 

――――――――

 ―――――

  ――

 

「―――っていうことなんだ」

 

「行方不明の女の子・・・最近このあたりで起きてる事件ですか」

 

「この間の依頼人が友人が一人いなくなったと言っていたな」

 

「明らかに怪しいわね。はぐれ悪魔かはたまた禍の団か・・・」

 

「そのお父さんも早く安心させてあげたいです」

 

とりあえず分かっていただいて何よりです

 

「それにしても・・・確かにイッセーの好きそうな女の子だな」

 

ゼノヴィアが改めてこぎくちゃんの写真を見直す。それは紛れもなく胸の部分を見ていた

 

胸が大きいからって好みというわけではありませんよ!?・・・大きなおっぱいは大好きだけどね!

 

「そんな、年下に負けた・・・」

 

イリナは膝をついていた。その横でアーシアは胸に手を当てて、ある決意表明をした

 

「イッセーさん好みの大きさになるためにも、私頑張ります!」

 

「手伝おう。私はアーシアの友達だからな」

 

「当然私も手伝うわよ」

 

「ありがとうございます。ゼノヴィアさん、イリナさん」

 

三人の仲が良くて喜ばしい事だ。俺の前でそういった話をするのは置いといてだけど・・・

 

「・・・それで、私の胸と見比べていたのですね?」

 

一方横では小猫ちゃんがジト目で俺の顔を見ていた

 

「だ、大丈夫だよ小猫ちゃん!お姉さんの黒歌もだいぶご立派なお胸でしたし。いつか小猫ちゃんだってなるよ」

 

・・・たぶん

 

「そ、それに!小さいには小さいなりにいいところもあるよ!ほら、有名な人もこう言ってたし。『貧乳はステータスだ!希少価値d――グエッ!」

 

ドスッ!と、小猫ちゃんの手刀が俺の喉元を的確に突いてきた

 

小猫様!それマジで死んじゃうから!?

 

俺は喉を押さえながらソファから転げ落ちた

 

「私だっていつかは・・・」

 

小猫ちゃんは何かいってたと思うけど今はのどの痛みに悶えていて聞くどころではなかった

 

 

………………

 

 

HERO

 

「どうしたんだ曹操?」

 

「いや、少し右眼が疼いただけだ」

 

それ(・・)は急ごしらえで着けたものだから気をつけてくれよ?間違いなく成功してるだろうけど、絶対の保証はできないからね」

 

「気をつけておこう。・・・それで、ハーデスとの交渉はどうなった?」

 

「ああ。なんとか龍喰者(ドラゴン・イーター)の召喚許可にこぎつけることができたよ。随分と細かい条件付きだったけど。しかも代わりとでもいわんばかりの死神まで寄越してきた」

 

「ハーデスも随分と慎重なようだな。だが、サマエルさえあれば十分心強い。あれならばオーフィスを殺すことも可能のはず・・・フフフ」

 

「そんなに楽しみか?」

 

「ああ、彼らと再び相まみえるのが待ち遠しいよ。作戦は近いうちに決行しようと思う」

 

「分かった・・・と、言いたいところだが。・・・どうやら彼ら(・・)が動き出したようだ」

 

「!・・・そうか、遂に・・・、居場所の特定はできるか?」

 

「今も探してるが、中々てこずらせてくれる。そもそも彼等の力は神器の物とは別だ」

 

「・・・人間でありながら人とは一線を隔した存在。悪魔やドラゴンよりも厄介だよ・・・本当に」




なるべく簡素に両作品の紹介

ハイスクールD×D

ある日悪魔に転生した変態スケベ高校生イッセーこと兵藤一誠は、自分の主にして学校一の美少女リアス・グレモリーとのイケナイことや自分だけのハーレムを作るという夢を実現させるために彼女の下僕として日夜頑張る、友情と努力と勝利とエロのファンタジーな物語である・・・たぶん




JUDAS

人に触れる事を禁じる呪いをかけられた男JUDASは、666人の命を狩りとり、「人間」としての自分を取り戻すまで「死」という名の救いを人々に与え続けていた。そんなある時、かつての仲間であった十二使徒たちが亡き主の復活のために『ヨハネの黙示録』を起こそうとしていた


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第二話・・・男の娘

第二話投稿・・・JUDAS側のキャラ登場です



そういえばハイD17巻が遂に発売じゃないか!

確か百均戦乙女回・・・ヨシ、急いで金を用意しなくては!


どうも、兵藤一誠です

 

あの後、依頼人のおっさんの事を部長に話した

 

「サイラオーグとのレーティングゲームの件もあるし、せめてそういった話は先に私に話してほしかったわね」

 

「スミマセン」

 

部長は若干呆れたような顔をしていた。申し訳ありません

 

「ホント、イッセーらしいわね。・・・いいわ。ただし、自分で受けた依頼である以上、自分で責任を取りなさい」

 

「――はいっ!」

 

責任・・・重い言葉だな。考えたくないけど・・・もし、娘さんが見つからなかったら、俺はおっさんになんと言えば良いだろうか?・・・いや、やめよう。とにかく今は探すことに専念だ

 

といっても、手掛かりがない今、街を虱潰しに探すしかない・・・う~ん。これは普段の依頼なんかよりも辛いな

 

「リアスお姉様、私イッセーさんと一緒にこぎくさんを探します!」

 

なんて考えているとアーシアが手伝うと言ってくれた

 

「先程も言ったように、私も手伝うぞ」

 

「もちろん私も手伝うわよ。迷える子羊を救うのはミカエル様のAの役目だもの!」

 

ゼノヴィア、イリナも張り切った様子だ

 

「僕も捜索に協力させてもらうよ」

 

木場・・・ありがたいが顔が近い

 

「・・・私も一緒に探します」

 

「ぼ、僕もイッセー先輩のお手伝いをします!」

 

小猫ちゃん、ギャスパーまで・・・

 

「あらあら。では私は、お得意様の中にそういうのに詳しい方がいるから、そういった情報を聞いてみますわね、部長?」

 

「そうね。行方不明者の話は、前々から私と朱乃も調べてたし、皆イッセーを助けたいみたいだしね」

 

「部長、皆・・・」

 

 

「では私は行方知れずになった生徒の親御さんの方から、話を聞いてみましょう」

 

と、ロスヴァイセさんも協力してくれるみたいだ

 

「ククク、すっかり中心人物だなイッセー」

 

アザゼル先生はいつものようにソファーにどっかりと座って笑っていた

 

「俺達の方でも以前から、英雄派に備えてに、不穏な動きはないかとこの街を見張らせている。もしその嬢ちゃんを見かけた奴がいたら、知らせてやるよ」

 

なんだかんだで先生も手伝ってくれるようだ

 

皆優しいな、ホント!こうなれば何が何でも見つけなきゃな!待ってろよおっさん!

 

 

………………

 

 

とまぁグレモリー眷属総出で行方不明者の捜査が始まったわけで

 

部長と朱乃さんは情報屋へ話しを聞きにとどこかへ跳んでいき、ロスヴァイセさんはアザゼルを引きずりながら行方不明の生徒の家へ、ギャスパーはネットワークで調べるとかで家に戻り、残った俺、アーシア、ゼノヴィア、イリナ、木場、小猫ちゃんの6人は二手に分かれて街の中を探し回ることにした

 

いつもと変わらない街並みを俺はキョロキョロと見渡す。すると・・・

 

「御譲さん、暇ならちょっと俺達と遊びに行かない?」

 

「ながく引きとめたりはしないからさ」

 

「あの、その・・・」

 

俺達の2,3ほど歳上の若い男三人が桃髪の子を囲って話しかけていた。こんな真昼間からナンパかよ。顔は良く見えないが、可愛らしい女の子の方はオロオロして困った様子に見えた

 

そんな様子が見てられなくて、俺は助けに行くことにした

 

「おい、アンタら何やってんだ?」

 

「あん?何か用?」

 

「俺達忙しいんだけど・・・」

 

俺が話しかけた途端急にガラが悪くなった。まぁナンパ中に話しかけられたら不機嫌になるのも分からなくはない。途中で話しかけられるどころか、ナンパ出来たためしもないけど

 

「なぁそこの彼女たち、こんなダサい男より、俺達と一緒に遊ばないかい?」

 

男の一人が俺の後ろにいたアーシアとゼノヴィアに声を掛ける

 

俺はアーシア等に近寄る男との間に割り込む

 

「おい、二人には手を出させねぇぞ!」

 

アーシア達を連れてくだって?そんなのさせるかよ!

 

「イッセーさん・・・」

 

 

 

「私も手伝おう、イッセー」

 

「げ!あのときの・・・」

 

アーシアの後ろにいたゼノヴィアがこっちの方へ顔を向けた途端、男どもは蒼い顔をしだした。もしかして知り合いだった?

 

「む?お前達は聖地に行った時の・・・」

 

「「「ご、ごめんなさいでしたーーー!!」」」

 

男たちは声をそろえてその場を走り去っていった

 

・・・とりあえず大事にならなくてよかったけど、あの人たちに何をしたんだよゼノヴィア

 

「お怪我はありませんか?」

 

「あ、ありがとうございますぅ・・・」

 

桃髪の子は深々と頭を下げて、俺達に感謝の言葉を告げる

 

その子は顔をあげて、遂にその顔を拝んだ。ほんわかとした可愛らしい美少女!

 

「助けてもらってありがとうございますぅ。僕ああいった方とおはなしするのが苦手で・・・」

 

・・・・ん?僕?

 

「・・・なぁ、こんなこと聞くのは失礼かもだけど。・・・もしかして男?」

 

その子はきょとんと首をかしげて答えた

 

「ほえ?僕は正真正銘男ですよぅ?」

 

あ~マジでか。コイツもギャスパーと同じ女装野郎だったのかよ

 

しかもこいつもギャスパー同様、女装が似合いすぎて女の子に見えて仕方がない

 

「ギャスパーさんと同じ方でしょうか?」

 

「男とは到底思えない格好だな」

 

「えっと・・・僕の名前はイブ=真久蘭といいます」

 

「俺は兵藤一誠。イッセーって呼んでくれ」

 

「アーシア・アルジェントと言います」

 

「ゼノヴィアだ」

 

「本当に助かりました。実はいつもああいった人たちに良く声を掛けられるんですぅ」

 

「女々しい格好をしているからであろう」「女の子の格好をしてるからだろ」

 

「!?」ガーン

 

俺とゼノヴィアのツッコむと、イブは分かりやすいぐらいに驚愕し、今度は表情が暗くなった

 

「ううぅ・・・ぼ、僕だって好きで女の子の格好をしてるわけじゃないんですぅ」

 

はぁ?嫌々で女装するって?

 

自ら望んで女装する奴なら心当たりがあるけど、とても似合うダンボール吸血鬼とか、人なのにどう見ても人と思えない漢女な常連さんとか・・・

 

「ジューダスですぅ・・・。ジューダスが勝手に僕を女の子と間違えて・・・以来自分が悪い癖に僕に女の人の格好をさせようとするです・・・人でなしですぅ・・・僕がいやがることばかりするですぅ・・・」

 

酷く怯えた様子でイブは答えた

 

男に無理やり女装させるとは、とんだ男の娘好きの変態もいるもんだな。森沢さん?はて一体誰だっけー(棒)

 

怯えるイブの手をそっとアーシアは手に取る

 

「安心ください。主はあなたを何時までも見守っておりますよ」

 

「アーシアさん・・・」

 

「ふむ。そのような変態がいるのか。私が直接出向いて悔い改めさせてやろう」

 

お、落ち着けゼノヴィア!一般人相手に殴ったら相手死んじまうから!

 

「・・・でも、誰にもジューダスをとっちめられないです・・・そう、誰にも・・・」ボソッ

 

イブが何かぼそりと言っていたが、よく聞き取れなかった

 

「コホン。・・・まぁ、相手もそうだけどよ、お前にも問題があるぜ?そういうのは自分の意志ではっきりと言わなきゃ駄目だ」

 

「自分の、意志・・・」

 

「そう!男ならビシッ!とな」

 

「・・・はい!僕、頑張ります!」

 

「ヨシ!そのいきだ。まぁもしそれでも駄目だったら―――」

 

俺はポケットから一枚のチラシをイブに渡した

 

「あなたの願い、叶えます・・・?」

 

「イッセー、それは悪魔のチラシでは?」

 

そう、悪魔家業でお馴染みだった簡易魔方陣付きのチラシだ。こういうところからお得意さんをつくるのだ!真面目だな、俺・・・

 

「怪しいと思うだろうけど、案外叶えてくれるかもしれないぜ?」

 

「クスッ・・・ありがとうございます」

 

オロオロしていたイブは可愛らしい笑顔を見せる。・・・男だよな?

 

「じゃあな、イブ!」

 

「さようなら」

 

「気をつけるのだぞ?」

 

「あ、はいですぅ!」

 

イブに別れを告げて俺は再び捜索を再開した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーさん、カッコいい人でした・・・。僕もいつか、ああいう男気のある人になりたいです!そのためにも、まずは男らしい格好を・・・」

 

≪イ~ブ~、次のバイト先メイド喫茶にしようぜ?当然メイド服でだ≫

 

「だから女の子の格好はやめてくださいですぅ~!」




どうも、駄文を読んでいただきありがとうございます

二話目をやっと投稿できた。心情かくのがまぁ辛い辛い・・

とはいえ、どんどん書いていきたいと思いますのでこれからもよろしくお願いします

意見感想評価誤字脱字報告いつでもおまちしております



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第三話・・・神父

一か月振りの更新すいません


平日の放課後、辛い授業も終わってクラスメート達が帰って行く。俺もいつものように部室に向かうため鞄を手を取る

 

「俺たちも部長たちのところに行くとしますか」

 

「ごめんなさいイッセーさん。私少し寄りたい所があるので・・・」

 

「ああ、分かった」

 

申し訳なさそうに頭を下げるアーシア。ほんと可愛らしい

 

「私も同行してよいか、アーシア?」

 

「あ、はい。全然大丈夫です」

 

「ってことは部室に行くのは俺とイリナか」

 

「あ、私も用事あるから」

 

「イリナも?」

 

「この間来たっていう神父さんとちょっとお話にね」

 

明るい笑顔でイリナは答えた

 

神父っていうとあのメガネのイケメンさんか

 

「そういえば、この間この街に来た神父はイリナの知り合いと聞いたな」

 

「実はそうなの。私がイッセー君とお別れしてこの街からイギリスへ引っ越した時、お父さんが教会で働いてる間、幼い私は教会の孤児院に預けられていたの。その時に出会ったのが、孤児院で一番の年長者だった聖 空人(ひじり そらひと)さん。面倒見が良くて優しくて・・・そう、皆のお兄さんみたいな人だったな・・・私にとっても」

 

「それだけかなー?」

 

三人の話に割って入ったのは、アーシアにエロい事を教えているけしからん眼鏡ッ娘、桐生だ。帰ったんじゃなかったのかよ

 

「それはどういう意味かな桐生さん?」

 

「いやいや、もしかしてその神父さんのこと実は好きだったんじゃないのかな~?って」

 

「うえぇ!?」

 

突然の言葉にイリナは顔を真っ赤にして慌てだす

 

「あれあれ?もしかして図星?」

 

「あ、いや、確かに空人さんはかっこよくて優しくて頼りになる人だったけど、決して好きという感情かどうかって言うのは・・・」

 

必死に言い訳をするイリナの様子は、その表情を見なくても分かるほどにとても動揺していた

 

それを見てキラーンと桐生の眼鏡が輝く

 

「おやおや~?これは兵藤一誠ハーレムの危機かな?」

 

と、面白そうと顔に描いてるほど分かりやすい表情で離れた席にいた俺の方を見る

 

俺がいつハーレムを作ったんだ、いつ。まぁでもハーレム作るのは俺の目標の一つですけども!

 

「そそそ、それじゃあ私はもう行くから!また後でね!」

 

イリナはサッと鞄を持って教室を出て行ってしまった

 

その後、アーシアも学校を出ていったので、俺は一人で部室に向かった

 

 

………………

 

 

街の外れにある大きな教会。私、紫藤イリナは久方ぶりの知人に会いに来た

 

教会の前には一人の男性がいた。五年近く経っても、あまり変わらなかったようだ

 

「久しぶりだね、イリナちゃん」

 

「お久しぶりです、空人さん」

 

聖空人、九つ年上の優しい神父さん。彼に招かれて私は新しい教会の中に入った

 

真新しいパイプオルガン、曇りなき輝かしいステンドグラス、真っ白に美しい聖マリア像。新築そのものって感じね

 

ここが以前コカビエルと一戦交えた、ボロボロの教会だったとは到底思えないわ

 

空人さんの後ろについていくと、小部屋へと案内された。談話室みたいな感じかな?

 

ソファに腰を掛けるよう促され、私は席に着く

 

「空人さん、お変わりがないようで・・・」

 

「そういうイリナちゃんは本当に変わったよね。最初に来た頃なんて院の男の子たちよりもやんちゃだったっけ」

 

「今更昔の事掘り返さなくてもいいじゃないですか!・・・まあ、私だってこんな魅力的な女性にになりましたけど?」

 

「そうだね。綺麗になったよ」

 

空人さんはニコリと笑った。今も変わっていないあの優しい笑顔を

 

綺麗、か・・・

 

改めて、私は随分と変わったと思う。院に預けられたばかりの頃は、男の子達とヒーローごっこをするようなやんちゃだったっけ。そのせいで周りの女の事はく上手く馴染めなかったけど、あの子のおかげで・・・

 

「!そういえば、空葉ちゃんは元気ですか?」

 

そう、空人さんには実の妹がいる。聖空葉ちゃん。私の二つ下の元気な女の子。孤児院での最初のお友達で、あの頃は私も妹のように可愛がっていたものだ

 

よく考えてみれば、エクソシストとして教会に属して、ゼノヴィアとパートナーを組んで、聖剣の因子をもらってエクスカリバー使いになって・・・・教会で働くようになってからあまりに忙しくて、空人さんや孤児院の人達とは全くと言って良いほど関わることはなくなったのだ。今頃、皆どうしてるのかな・・・

 

「妹は・・・亡くなった」

 

「え・・・!?」

 

衝撃的だった。まさか空葉ちゃんが・・・

 

「・・・流行り病だった。だが、発見が遅くて・・・」

 

暗い表情で空人さんはうつむいてしまった。空葉ちゃんの事を悔んでやまないのだろう

 

ミカエル様のAでも、私には亡くなった空葉ちゃんを救うことも、天に導くこともできない。けど、祈ることならできる!

 

「きっと空葉ちゃんも天の国に導かれて、報われてますよ。彼の御霊が天の国で安らかなる事を・・・」

 

私は誠心誠意、深く祈った。・・・祈りは届いてますよね、ミカエル様?

 

「天の国、か・・・。なぁイリナちゃん。・・・人は死んだら、どこに行くんだろうね?」

 

「え?それは天の国じゃないでしょうか?聖イエス様がそうおっしゃってましたし」

 

すると突然、空人さんの雰囲気が変わった。暗いというより、重いというか、どこか黒い・・・

 

「私は思うんだ。天の国に行けば本当に幸せなのかと・・・」

 

「空人さん・・・」

 

「・・・いやすまない。久しぶりに会ったのにこんな暗い話をするなんて」

 

「いえ、振ったのは私のほうですし」

 

空人さんは再び明るい表情に戻ると雑談に入った。普段の彼と同じに見える。でも、先ほどの様子を見て理解した。無理をしてるって・・・。それもそうだよね、実の妹が死んじゃったんだもん。悲しくないわけない。でも空人さんは同じように優しく笑っていた。きっと私を励ますために・・・

 

そう思うと、空人さんの顔が見れなくなってきた

 

ふと、桐生さんの言葉を思い出す

 

『好きだったんじゃないのかな~?』

 

「―――ッ!」

 

顔が熱い。今私の顔はかなり赤いだろう

 

いやいや違う!・・・と思う。これは、そう!恋愛ではなく友愛とか敬意!それなのよ!そもそも私には既にイッセー君と言う心に決めた人がいるんだから、それじゃあ浮気になってしまう!それは駄目よ紫藤イリナ!ミカエル様のAなのにそんな堕天するような真似は・・・!いやでも、以前から堕天しそうになってること多くないかな私。この間もイッセー君の隠してたDVDを――――

 

なんてことが頭で渦巻いていると、空人さんがスッと立ちあがった

 

「・・・すまないけど、私はこれから用事があるので出かけなくては」

 

「え、あ、じゃあ私も帰ります!」

 

いくら知り合いとはいえ、他人の教会に一人と言うのはいささか居心地が悪い。というか、今の状態でここに居座れない。それに、そろそろ帰らないと皆が心配するだろう

 

私も席を立ち、部屋の外へ向かう。その時、何か金属がぶつかるような音がした

 

ふと下を見ると、足元近くに何かが落ちていた。あれは・・・十字架?

 

しゃがみこんだまま私はそれを拾い上げた。女性が十字架のような態勢を取った物だ。十字架には首にかけたり腕に巻くための鎖がつながれていた

 

こんな十字架、今まで見たことがない。これは一体どこの物なの・・・

 

「イリナちゃん?」

 

「――!な、なに空人さん!」

 

「いや。急にしゃがんだまま動かないから・・・大丈夫かい?」

 

「あああ何でもないです。大丈夫ですから!」

 

私はすぐに立ち上がりそのまま教会を後にして家に帰った

 

アーシアやゼノヴィア、オカルト研究部女子部員皆が住んでいるイッセー君の家へ

 

拾った十字架をポケットに突っ込んだまま




駄文を読んでいただきありがとうございます

やっとこさ三話です。って、未だ事件が起きていないなんなのこれ・・・。始まったばかりでまだふらつき感ありますけど、どうか暖かい目で読んでいただけたら幸いです

意見感想評価誤字脱字報告いつでもお待ちしております

この話におけるJUDASのキャラ達の説明っていりますかね?


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第四話・・・予期

気が付けば10ヶ月も間が空いてました




捜索を始めて早一週間。未だにこぎくちゃんは見つからない。あれだけ言ったのにまだ見つけることができない自分に歯がゆく思うぜ

 

とはいえ、悪魔であると同時に学生の身である俺たちは、昼間の間の捜索は使い魔に頼み、学校へ通っている

 

そう、俺は他人よりちょっと(・・・・)おっぱいが大好きな、健全な普通の男子高校生・・・のはず。うん

 

さて、昼休みに俺は、クラスメートであるアーシア、ゼノヴィア、イリナの教会三人組とこれまでの捜索について話し合いながら、廊下を歩いていた

 

「しかし、周辺の町の隅々まで探したというのに、手掛かりの一つも見つからないとは・・・」

 

「これは明らかにただの人間にできる事じゃないわね」

 

「ということはこちら側の、か・・・」

 

「はぐれ悪魔さんとかでしょうか?」

 

見知らぬはぐれ悪魔にもさん付けするアーシア

 

「ありえなくはない。だが、我々の活躍を知らぬ者は早々居ないだろう」

 

確かに。コカビエルの暴走、旧魔王派の襲撃、悪神ロキとの戦闘、京都での英雄派の謀略。たった半年の間で数多くの大事件を乗り越えたリアス・グレモリーとその眷属達。その成果は全勢力に知られているはず・・・

 

「だから、我々の事を知って尚ここに来る者は、余程の愚者か、自信のある強者のどちらかだろう」

 

前者であればなんら問題はない。だけどもし後者だったら・・・

 

ヴァーリや曹操、サイラオーグさん。当然俺なんかよりも上にいるであろう強者達か・・・

 

ふと考えていると前方に段ボールの山が視界に入った。それはこっちに近づいており、進む先にはイリナが立っている

 

「―――!イリナ!前!」

 

「ふえ?ーーーキャッ!」

 

ドンガラガッシャァァァァンッッ!!

 

俺達よりも前を歩いて、後ろにいる俺達と話していたイリナは前に気付かず、やってきた人とぶつかってしまった。相手が持っていた段ボールの山が宙を舞い、大きな音を立てて崩れていった

 

「イリナ!無事か!」

 

「ごごごごめんなさいですぅぅっ!」

 

「お、お前は――!?」

 

「あ!イッセーさんですぅ!」

 

「イブぅ!?」

 

そこには以前町を歩いていた時に男たちに絡まれていたところを助けた、どう見ても女の子にしか見えない男の娘、イブがお尻から段ボールにハマっていた

 

「だれかと思えばイブじゃないか」

 

「ゼノヴィアさんもお久しぶりです。またあえて僕とっても嬉しいですぅ」ニパー

 

柔らかな笑みを浮かべて俺達に挨拶するイブ

 

「・・・あれ?んー!んー!・・・うわ~ん!抜けないですぅぅ!!」

 

段ボールから抜け出せず涙目でジタバタするイブに苦笑いを浮かべた

 

「なんていうか、ギャスパー君に似てますね」

 

アーシアの言葉も分からなくはない。引きこもりではない社交的?なギャスパーってのはこんな感じなのかもしれない

 

とりあえず俺は手を差し伸べてイブを助けてあげた

 

「えへへ、また助けられちゃいました」

 

「お前、この学校の生徒だったのか?」

 

「いえ、実はあの後もお仕事を探していて、でも何処に行っても見つからなくて、途方に暮れていたところを助けてもらいましたぁ」

 

学校に通っている俺達より幼いであろうイブが、仕事を探しているなんていうのも凄い。っていうか、悪魔や天使堕天使、吸血鬼と、人じゃないもので溢れてるこの学校で働くというのかよ・・・・

 

「一体誰が―――」

 

「私です」

 

「か、会長さん?!」

 

馴染み深い声に振り向くと、そこにはいつの間にか生徒会長こと支取蒼那がいた。その後ろには副会長の森羅椿姫さんがいつものように付いていた

 

「公園で段ボールにくるまってうずくまっている彼の姿がかわいらし・・いえ、見ていられなかったので、私が保護しました」

 

今妙なこと口走ってたような気がするけど、気のせいだよな?

 

「そして、イブさんから事情を聞いた会長が、人員不足だった購買部を勧めたというわけです」

 

「はい。僕、ここの購買部に雇ってもらったんですぅ」

 

よく見ると口の開いた段ボールの周りにシャーペンやノートといった文房具が転がっていた。さっきの衝突でこぼれたのだろう

 

「かいちょーさんには感謝の気持ちでいっぱいですぅ」ニパー

 

「―――っ!・・・なんでしょう、この彷彿とさせる庇護欲は・・・」

 

「落ち着いてください、会長」

 

「・・・コホン。そう言えば貴方達、ここ最近頻発する失踪事件を調べているそうですね」

 

咳を一つついて話題を変えた。というか、こういうのに弱いんですね会長。匙、お前の明るい未来は遠そうだ

 

「椿姫」

 

「はい。こちらを・・・」

 

椿姫さんがどこからか紙束を俺に手渡す。これは、生徒名簿?

 

「ここ数日になって不登校となっている生徒の詳細です。生徒の安全を守るのも、生徒会の本分です。そして、リアスとともにこの地を管理するものとしても、このような事件は早急に解決すべきことですから」

 

眼鏡に手を添えて会長は応える

 

「ありがとうございます」

 

「リアスを宜しく・・・」

 

『失礼します』と会長と椿さんはその場を去っていった

 

「何としてでも、見つけないとな・・・」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと!?」

 

ズボッと段ボールの山からイリナの顔が飛び出した。首だけ見える状態で、涙目で訴えるイリナに視線が移る

 

「ああ、すまないイリナ。すっかり忘れていた」

 

「全くもう・・・最近私の扱い酷いとおもうんだけど・・・」

 

ゼノヴィアが手を差し伸べてふてくされるイリナを起こした

 

「・・・おい、何か落としたぞ?」

 

「え?・・――っ!」

 

何が落ちたのか見てみる。シャーペンやノートが散らばっている中、銀色に輝く何かを見つける。それは十字の形をしたものであった。十字架?

 

「イリナさん。それは・・・」

 

「な、何でもないの!なんでも!」

 

イリナはさっとそれを拾い上げポケットに突っ込んだ

 

「あ、ほらもうすぐ次の授業が始まるわ!」

 

「あ、ああ。じゃあなイブ」

 

「は、はいです・・・」

 

イブに別れを告げた俺たちは、イリナに背を押されながら教室へと戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《オイ。アレが何だか気付いたよなぁ、イブ?》

 

「・・・」

 

《ククク・・・・祈る準備をしとくんだなぁ?》

 

「・・・・」

 

 

………………

 

 

放課後

 

「ゴメン!急用を思い出したから先帰ってて!」

 

「おい、イリナ!」

 

これから部活だと言うのに、ゼノヴィアの制止も振り切って、イリナは教室を飛び出してしまった

 

「イリナは私が追おう。イッセーとアーシアは部室に行って部長に伝えて欲しい」

 

「ああ。分かった」

 

鞄を一誠へと投げ渡し、ゼノヴィアはイリナを追いかけていく

 

一先ずゼノヴィアに任せて一誠とアーシアは部室へと駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

「そう、イリナが・・・教会の件もあるし、少し心配ね」

 

部室にて事情を説明すると部長はそう告げた。協会の件?

 

「え?あの教会がどうかしたんですか?」

 

「その教会のことですけど、天界や教会本部から要請されたものではないらしいですわ」

 

それって不正規に建てられたってことですか?

 

「ああも堂々と出てきたものだったから、気付かなかったわ」

 

あまりの迂闊さに歯噛みする部長。まぁ確かに、お手製の菓子まで振舞われ、爽やかに挨拶してきた神父を怪しいとは俺も思わなかった

 

「皆さん、ただいま戻りました」

 

「おうお前ら、面白い情報を手に入れたぜ?」

 

とここでロスヴァイセさんとアザゼル先生の教師組が部室に入ってきた

 

「何か収穫はあったのかしら?」

 

「はい。行方不明の生徒さんの自宅を調べてみましたら、こんな物を・・・」

 

ロスヴァイセさんが布越しで掴んでみせたのは十字架だった

 

これってさっきイリナが落としたものに似ている

 

「まだ詳しく調べてねぇが、コイツの製法からして、そんじょそこらの一般人が手にできる代物じゃねぇ」

 

それってつまり特殊な製法ってことか?

 

「それとだ。町中に仕掛けておいたカメラが、行方不明になった一般人達を捉えていた。ここ一ヶ月にいなくなった奴らは皆、どうも直前に同じ場所に向かって行ったようだ」

 

それってまさか・・・

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この町にできた新しい教会だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「イリナを見失ってしまった。ここは・・・教会の近くか」

 

イリナを追っていたはずなのだが彼女を見失い、いつの間にか教会の敷地内に迷い込んでしまったようだ

 

「・・・ん?あれは聖神父」

 

レンガ造りのある建物ーーー形から聖堂だろうーーーの裏手で怪しい動きをする彼を見かけた私は、近くの茂みに身を潜めその様子を伺った

 

なぜこのような人気のない場所に彼は来たのだろうか・・・

 

聖堂の壁に触れて何かを探っているかに見える。すると、ゴゴゴゴと、壁の一部が動き出した

 

重々しい壁の奥へ聖神父が入っていくと、壁は再び閉じていった。閉じ切った壁に耳を当てるゼノヴィア。カツーン、カツーンと足音を拾う。足音は段々と小さくなり聞こえなくなったのを確認するとゼノヴィアは辺りの壁を手探りで調べだした

 

「確かこの辺り・・・!」

 

スゥ、と指先に触れていたレンガの一つが奥に沈んだ

 

ゴゴゴゴ

 

すると、目の前の閉ざされた壁が再び開かれた。成る程、そういう仕掛けだったのか

 

壁の向こうは下に向かう階段だった。光の届かない空間だが所々の壁際に置かれた燭台の火が仄暗くも照らしていた

 

「隠し扉に地下空間・・・一体何を隠しているのだ?」

 

音を立てぬようゆっくりと、階段を降りた

 

やがて階段は終わり、平坦な地下階層に着いた。降りた先にはただ一直線に道が続いているようだ

 

『・・・シイ・・・・ウゥ・・・』

 

道の奥深くから何かが微かに聞こえる

 

『・・・ウゥ・・・アァ』

 

これは---声だ。何か苦しんでいるような、呻き声の様なものが極僅かであるが聞こえた

 

まさか、誰か監禁されているのか?

 

いざという時に備え細心の注意を払って声のする部屋へと向かった

 

・・・正直なところ、最初から間違いだった。ここに自分一人で中に入らず、リアス部長達に連絡するべきだった

 

声のする所―――半開きの扉からは小さな光が漏れている。私は恐る恐る扉の隙間から覗いて――――ソレを見つけてしまった

 

これはなんだ?いや、なぜこうなった?

 

目前に存在する異形に私は目が離せず、声も出なかった。私の意識はソレだけに奪われていた

 

故に私の背後に誰かがが立っていることに気付けなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見てしまったんだね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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