戦姫転生ゼロフォギア (真紅林檎)
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無印編
転生なんだけど何かおかしくね?


どうも、真紅林檎です。
今回からシンフォギアとゼロワンの小説に取り掛かります。
・・・D×Dの方に関しては何と言いますか、あまりの巻数の多さに打ちのめされ絶望したときにシンフォギアの方を思いつきまして。
そこでゼロワンと組み合わせてみました。
それでは第一話、どうぞ。


突然なんだが、みんなは人生の中で一番後悔してることはないか?

テストでひどい点を取ったこと。運動会で足を引っ張ったこと。仕事で失敗したこと。いろんなことがある。もちろん俺にも後悔はあるぞ。

例えばついさっきコンビニの帰りで期間限定の明太カルビおにぎりを坂道に落としてそのまま転がっていってあれまだ封を開けてないからまだいけるって思って慌てて追いかけてやっと追いついたと思ったらトラックに轢かれたことだな。はっはっはっ…!

 

「いや笑えるかぁ!!?」

 

笑えるかぁ!!、笑えるかぁ!、、笑えるかぁ、、、

 

誰もいない真っ白な空間で俺は一人叫んだ、なんか叫び声が空間内に響いた…虚しい。

俺は『継菜 真汰(つぐな まなた)』、ごく普通の高校生なんだがさっき説明した通りトラックに轢かれてこの真っ白な空間にいる。

くっそ~、あの時おにぎりを追いかけなければこんなことにはならなかったのに。

・・・というか、この世界誰もいないのか? さっきから俺以外何もないぞ。

 

「お~い、誰かいないか~?」

 

真汰は空間に叫んだ。

・・・しかし何も起きなかった。

 

「ちょっと~返事くらいくださ~い」

 

真汰は返事を待った。

・・・しかし何も起きなかった。

 

「・・・早くしないと年甲斐もなく泣き叫びまくるぞ」

 

真汰は空間に脅迫した。

・・・! 上空から段ボール箱が落ちてきた。

 

「おっ、言ってみるものだな。・・・てかこれなんだ?」

 

俺は降ってきた段ボール箱を開くと、中には手紙とその下に布で包まれた何かがあったのでまず手紙を読んだ。

 

『拝啓 継菜 真汰様へ』

 

「無駄に達筆だなおい」

 

『突然の手紙失礼します。私は転生神、輪廻転生を司る八百万の神の一人です。この度あなた様は人間世界にて『面白い死に方をした人間百人目記念』としてこちらの世界まで来てもらいましたw』

 

「あっヤバイ。手紙読み始めてすぐだけど猛烈に殺意が湧いた」

 

『つきましては明太カルビおにぎりを追いかけてそのままトラックに轢かれた真汰様に転生を与えに来ました』

 

「一言余計すぎるわ! ていうか転生?」

 

『本来真汰様の魂はトラックに轢かれた瞬間冥府に送られ別の人間として生まれるはずですが、私としてはこんな面白い死に方(w)をした真汰様を気に入りました』

 

「なぜだろう、まったく嬉しくない」

 

『そこで真汰様には人間世界とは違う別の世界に転生させることにしました。だけどその世界は死亡フラグがビンビンに立ちまくる世界なのでまた真汰様が面白い死に方をしてしまうかもしれません』

 

「この手紙破り捨てようかなぁ…?」

 

『まあそれも面白いんですけどねw』

 

その一文を見た瞬間、俺はいつの間にか手紙を破り捨てていた。

だが手紙はすぐにくっついて元通りになり、新たな文字が浮かび上がる。

 

『それとこの神は神パワーで作り上げた特別な紙ですので破っても元に戻ります』

 

「なんだよ神パワーって…」

 

俺はまだ見ぬ神様に苛立ちながらも手紙を読み直す。

 

『それで死なないように私からささやかなプレゼントを贈りました。どうぞご確認ください』

 

俺は中身の布を取り外すと中にベルトといろんなアイテムがあった。

 

『内容物は『飛電ゼロワンドライバー』と『各種プログライズキー』『プログライズキーコネクタ』『各種アタッシュウェポンシリーズ』『特別仕様飛電ライズフォン』でございます』

 

「ああ、これって仮面ライダーのやつじゃん。それより特別仕様?」

 

『特別仕様ライズフォンを使えばゼアがなくても自由にライズホッパーを呼び出せます』

 

「なるほど、便利なものくれたな。少し見直したわ」

 

『ちなみにこちらのセットの代金は勝手に真汰様の貯金から下ろさせていただきました。返品は不可です』

 

「前言撤回。ろくなことしねぇ」

 

『さて、それでは真汰様が転生する世界について説明します。転生する世界は『戦姫絶唱シンフォギア』の世界でございます』

 

「名前からして死亡フラグは感じないけど…」

 

『正直説明するのがめんどくさいのでもろもろの説明は転生したときに直接頭の中に送ります』

 

「おい省略すんな駄目神」

 

『それではこれにて説明を終わります。この手紙を読み終えた瞬間すぐに転生が始まります。ドライバーの使い方は装着したときに頭の中にラーニングされますので安心してください。』

 

「やっと解放されるのか…」

 

『それでは最後に一つだけ、転生する世界は『戦姫』ということですので、その世界に適した体に変更して転生します異論は聞きませんそれではさようなら』

 

「変更?」

 

と思った瞬間俺の視界は白から部屋へと変わる。

部屋の雰囲気からしておそらく転生した自分の自室であることがわかる。

ふと部屋の端に大きめの鏡があったので最後の文が気になった俺がのぞき込むと…。

 

 

 

そこには俺(女)が映っていた。

 

「…」

 

視界をそらすと机の上に手紙があり読むと…。

 

 

 

『女の子にしちゃいました☆』

 

粉々に破り裂いてごみ箱に捨てた俺は悪くない。

破り捨てて俺は誰もいない部屋の中心で女の声で叫んだ。

 

 

 

 

「駄目神ぃぃぃぃぃ!!!」

 

こうして、俺の第二の人生が始まった…。




はい、今回の主人公は神の悪ふざけでTSってしまいました。
いや~一度でいいからTS物作ってみたかったんですよね。
だけど彼はかわいそうですね~…まあそうなるように書いたんですけどw

・・・ゴォォォォォォ。

んっ?何か飛んできt。

パンチング!カバンショット!(カットイン演出

ズガアァァァァン!!


・・・・・・・・・・・・・じ…次回も、お楽…しみに……ガクッ。


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俺が令和No.01 その名はゼロワン

「どうも継菜 真汰だ、作者は前回のあらすじの一撃で入院してるから退院するまで俺が前書きとあとがきを担当するぞ。早速だがあとがきにて新しいタグに関して教えておくので待っててくれ。それでは第二話開始だ」


前回のあらすじ。

 

 

転生したら女になっていた。

この一言に尽きるな。

手紙を破り捨てた俺は先ほどとは別の手紙を苛立ちながらも読み始める。

 

『えっと・・・どうも、先ほどの手紙はすみません』

 

「なんか急に丁寧になったぞ?」

 

『実は先ほどの手紙が上司にばれてボロボロに怒られました』

 

「えっ。ばれるの早くない?」

 

『現実の世界と神の世界では時間の流れが違いまして、その世界にとっての一秒はこちらでは何時間もありまして先ほどまで説教を受けてました』

 

「何だろう、神にこういうのもあれだけど…ざまあみろ」

 

『それで上司にちゃんと説明をしろと言われ真汰様のいる世界について説明させていただきます…』

 

「よし、ここからは真面目だな」

 

『真汰様のいる世界ではノイズと呼ばれている指定災害が存在がいます。彼らは普通の武器が全く効かず、触れた人間を自らと共に炭素へと変えてしまうのです』

 

「なんだその人類絶対殺すマン的存在は…それで人類滅んでないよな?」

 

『ですが、聖遺物から作り出した対ノイズ用の武器『シンフォギア』によって人類はノイズへの対抗策を手にしました』

 

「あれ?じゃあ俺いらないじゃん」

 

『ですが、シンフォギアは過去未来においても使用者が数少なく危機的状況には変わりません』

 

「上げて落とすな上げて落とすな」

 

『そこで、真汰様にこの世界の運命を変えてもらうためゼロワンのアイテムをお渡ししこの世界へ転生してもらいました』

 

「なるほど…あれ?ところでアイテムはいずこへ?」

 

部屋を見渡すが、先ほどの一式が入っていた段ボール箱はどこにも見当たらず、あるといえば机の上に置いてあるキー一つだけだった。

 

『それと、アイテム一式は邪魔にならないように机の上に置いたキーに収納させていただきました。流石にあの量を持ち歩くのは大変ですからね』

 

「まあ確かにスペースに困るからな」

 

『通常のゼロワンではノイズに対抗できないためこちらである程度改良させていただきましたので、問題なく戦闘が行えます』

 

「ご都合主義…とは言えないな。こっちはマジで命かかってるからな」

 

『お次に、この世界での真汰様について説明させていただきます。今の真汰様は『継菜 真(つぐな まな)』様という名前になっておりますので』

 

「真…真汰から一文字取っただけなのに女みたいな名前になったな」

 

『それでは最後に、真様に個人的なお願いがあります』

 

「個人的なお願いって…いやな予感しかしないな」

 

『明日のコンサートにて『天羽 奏』をどうかお救いください。明日のコンサートのチケットは導入してありますのでどうかお願いします』

 

俺は手紙を読み終え机に置き、もう一度鏡で自身の姿を見た。

男のときより縮んだ身長。確か前は170cm位あったから…10cm近く縮んだか?

髪も前の黒髪からブロンドのロングヘアーになっている。なんかハーフみたいだな…駄目神の趣味か?

それから…この体だ。

 

「明らかに盛ってるよなあの神・・・」

 

妙に胸が重たい…。世の女性はこんな重しを毎日つけて生活してたのか?だとしたらすげえな。

 

「はあ…もう色々疲れたしもう寝よう」

 

気づけば窓の外は真っ暗だった。導入していたチケットを見て時刻を確認してからベットに倒れた。

シャワーとか、飯は明日の朝にしよう…。

 

「天羽 奏…救えってことは明日その人が亡くなるってことなのか?ならなんとかしないとな・・・」

 

俺は睡魔に襲われそのまま瞼を閉じる…。

 

「・・・いや待て俺女の体じゃん風呂どうすればいいんだ!?」

 

・・・ことはできず結局その日の夜は悩みに悩んだ上、頭の中に直接この世界について叩き込まれて頭痛を起こし悩みと頭痛のダブルパンチで眠れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、結局一睡もできなかった俺は頭を押さえながらシャワーを浴びた。

自分の体とはいえ中身は男子高校生だから流石に抵抗として目をつぶるわ。

シャワーを浴びて服に着替えて頭の中に叩きこまれた地図を頼りにコンビニで弁当を購入した。

料理?簡単なのはできるけどやる気力さえない。

朝と昼を終えてそろそろ時間なのでチケットとキーを持ってコンサート会場へと向かった。

 

 

 

「初めてコンサート会場に来たけどでかいな…」

 

前世も含めてコンサートなんて無縁だった俺にとって初めてのコンサート会場はとてつもない威圧感を感じる。

コンサート会場に圧倒されていると突然風に乗って紙が飛んできた。

それをキャッチすると今度は見知らぬ女の子がやってきた。紙の次は女の子か…。

 

「あの、それ私のチケットなんですけど…!」

「ああ、君のだったのか。ちゃんと持っとけよ」

「あっはい!ありがとうございます!」

 

手にした紙が女の子のチケットだとわかり、すぐに返すとお礼を言いその場を離れる。

あの様子だと相当楽しみだったんだな、このコンサートが。

俺もコンサートを楽しもうと気持ちを切り替え会場内に入っていく。そして途中のポスターでとあることに気づく。

 

「ツヴァイウィング・・・えっ?天羽 奏?」

 

神が助けを願ったのはまさかのアイドルだった…。

 

 

 

会場に入りチケットに書かれている席に座って待っていると、突然会場が暗くなる。

もしやと思い心待ちにしていると歌が流れだし、ステージライトが点く。

そこからステージの中央から二人の女性が現れた。

赤と青、対照的な髪色をした二人『天羽 奏』と『風鳴 翼』の登場に観客のボルテージは急上昇する。

そして会場内に二人の歌声が響き渡る。

 

「・・・すげえ、生だとこんなに違うのか…!」

 

今まで音楽はCDや動画で聞いてきた俺にとって、改めて歌手の凄さを感じた。

そんなすごい歌を歌っている二人の歌に魅了されていた。

魅了されながらも最後まで静かに聞き惚れているといつの間にか歌が終わってしまったが、観客たちのアンコールの掛け声が響く。

 

「よっしゃあ!もっと盛り上げていくぞー!!」

 

その掛け声にさらに会場内は盛り上がり、二曲目に入ろうとしたその時。

 

 

 

ステージの一部が爆発を起こした。

 

観客がざわつきだすと突然空から何かが降ってきた。

 

それは昨日手紙に書いてあった、そして頭に叩き込まれた知識にあった世界の厄災。

 

「ノイズ・・・!!」

 

突然現れたノイズたちは次々と会場内の観客たちに襲い、触れた人を灰にしていく。

 

「本当に炭化する力があるのか!あいつらは」

 

すぐに安全な場所に移動しようとすると、ノイズが逃げ遅れた女の子に近づいていた。

女の子は恐怖でその場に立ちすくんでいる。

 

「くっそ!間に合え!!」

 

俺は女の子に向かって走り出し、ノイズが襲う直前にギリギリ女の子に抱き着き何とか回避する。

 

「だぁ!危ねえ…!」

 

「あ・・・ありが・・・とう。お姉・・・ちゃん…」

 

「お礼はいい、さっさと逃げろ!」

 

「う・・・うん!」

 

女の子はすぐにその場から離れる。後ろを振り返るとそこにいたノイズたちはもういなくなっていた。

別の人間を狙いに行ったのかと考えていると、観客席から落ちたところに誰かがいた。

それは会場前でチケットを拾ってあげたあの女の子だった。

 

「おい!早く逃げろ!」

 

「は、はい・・・痛っ!!」

 

立ち上がろうとするが、足を抑えてその場にうずくまる。まさか足を傷めたのか!?

そしてノイズはだんだんと女の子に近づいていく。

俺はすぐに女の子の元に駆け寄ろうとすると。

 

「おりゃああ!!」

 

突然鎧を着た女性がボロボロの槍を振るいノイズを薙ぎ払う。

いや、よく見たらその人は奏さん本人だった。じゃああれがシンフォギアなのか?

だがノイズたちは今度は奏さんを狙い攻撃を仕掛ける。

ノイズの攻撃を槍で何とか捌くが槍にはどんどん亀裂が入っていき、ついに槍の一部が砕け後方に勢いよく飛び散る。

そしてその一部が女の子の胸を貫く。

 

「しまった!!」

 

「っ!!やばい!!」

 

奏さんが近くのノイズを薙ぎ払い、すぐに女の子に近づく、俺も慌てて観客席を降り駆け付ける。

 

「おい!しっかりしろ!!」

 

「頼む、しっかり目を開けてくれ!生きるのを諦めるな!!」

 

俺と奏さんの必死の呼びかけに答えたのか、女の子はゆっくりと目を開ける。

俺が安心すると、奏さんはボロボロの槍を持って立ち上がる。

その目は何かの決意を秘めていた。

 

「あんた、その子を連れてここから逃げろ」

 

「っ!何するんだ?」

 

「今からどでかいのをかまして、あいつらを倒してきてやる…」

 

そういうと、彼女はノイズの方を向く。

 

「・・・一度、体の中、全部空っぽにして思いっきり歌ってみたかったんだ・・・今日はこんなに聞いてくれる奴等がいるんだ・・・あたしも全力で歌うよ」

 

そして、少しずつノイズの群れに近づいていく・・・が、その人の肩を俺は掴んだ。

 

「何で止めるんだ!?」

 

「そんなボロボロの体で行かせたくないんでね」

 

「だから、どでかいのを「それを使ってあんたは無事でいられるのか?」っ!?」

 

「・・・やっぱりか、大抵大技にはデメリットがつきものだからな・・・」

 

かまをかけてみるが、案の定引っかかった。おそらく自分の命を懸けた大技を打つ気だったのだろう。

 

「だったらどうすればいいんだよ!!ほかに方法でもあるのか!」

 

「俺があいつらを倒す」

 

「はっ?」

 

俺は奏さんを後ろに下げ、代わりに前に出る。

 

「やめろ!ノイズは普通の人間には倒せないぞ!!」

 

「大丈夫、俺も普通の人間じゃないから。それに、お偉いさんにあんたを助けてって頼まれたからな」

 

「えっ?」

 

そう答えノイズたちの方を向き、手にしていた『ゼロワンプログライズキー』のスイッチを押す。

 

アウェイクン!

 

音声とともにキーは消え、代わりにゼロワンドライバーとライジングホッパープログライズキーを手にしていた。

俺はドライバーを装着すると、頭の中にドライバーの使い方がラーニングされていく。

 

「ラーニング完了」

 

一瞬でラーニングを完了し、プログライズキーのスイッチを押す。

 

 

ジャンプ!

 

キーを起動させ、ドライバーにスキャンする。

 

オーソライズ!

 

スキャンすると、上空からまた何かが降ってきた。

それは巨大な黄色いバッタ。『ライジングホッパーライダモデル』は俺に敵意を見せずむしろ俺を守るように立ちふさがる。

 

「っ!?なんだあれは!」

「でかい・・・バッタ!?」

 

突然現れたライダモデルに後ろと離れた場所にいた二人は驚いている。

俺は二人を気にせずキーを開き、構える。

 

「変身!」

 

掛け声とともにキーをドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

差し込むとともにライダモデルは飛び跳ね俺の上に来ると、空中で分解しパーツが俺の体に装着される。

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

突然異質な姿に変身した俺に二人は驚きを隠せない。

 

「お前…一体…」

 

後ろの奏さんの質問に俺は答える。

 

「仮面ライダーゼロワン。それが俺の名だ!」

 

今ここに、令和最初の仮面ライダーが生まれた。




「どうも最後まで読んでくれてありがとう。早速タグについて教えよう。実はあのアホは『既存のプログライズキーだけじゃあれだしオリジナルも考えよう!各種プログライズキーって書いたし作り放題だ!』っと馬鹿なことを言っていましたが、あいつだけでは絶対無理なので憶測ながらコメントでオリジナルプログライズキー案を書いてくれたら幸いです。あのアホみたいに無理して作らなくても大丈夫です。それではこのあたりで、それでは次回もお楽しみに。さて、今からガトリングでも喰らわしてやろう…というか俺の声なんか聞いたことあるんだが…?」

【作者の勝手な想像】 継菜 真(CVまどか☆マギカ 佐倉 杏子『理由』色々と合いそうだったから。


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初陣!勝利!そして連行!

「さてどうも皆さんこんにちは。継菜 真です。えっ作者ですか?あの人なら全身棘だらけで入院期間が伸びました。まあ全部自業自得だがな。まあそれはともかく今回もどうぞご覧ください」


『使用BGM REAL×EYEZ』

 

「さあ、行くぜ!」

 

ゼロワンに変身した俺はライジングホッパーの特性で強化された脚力でノイズの大群に突撃する。

接近しノイズの一体に拳を振るうと、拳はノイズに当たりノイズだけが灰になる。

 

「おお…さすが神が改良しただけあるな。これなら炭化の恐れもないな!」

 

改良でノイズに触れるようにしてくれた神に感謝しながらも、俺は近くのノイズたちに攻撃する。

一体一体確実に倒していき、途中ノイズに囲まれるがライジングホッパーの跳躍で抜け出すが。

 

「おわっ!?高っ・・・って危なっ!!」

 

想定よりも高く飛びすぎてステージの天井のパイプに捕まる。あっぶね~・・・ジャンプは加減しないとな。

 

「よっと、じゃあ今度はこいつだ」

 

『アタッシュカリバー!』『ブレードライズ!』

 

俺は手を放し、落下中にアタッシュカリバーを取り出し展開しそのままノイズの群れの中に突っ込んだ。

次々とノイズを切り倒していきながら、コネクタについているキーを取り出す。

 

「数が多いしこれで行くか!」

 

ウェーブ!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ホエールズアビリティ!

 

取り出した『スプラッシングホエールプログライズキー』をアタッシュカリバーに装填し、刀身に藍色の水のようなエネルギーがチャージされ、トリガーを押す。

 

 

スプラッシング!カバンストラッシュ!

 

アタッシュカリバーを振るうと、津波状の斬撃がノイズの群れを呑み込み多くの数を減らす。

 

「・・・すげえ威力だな、っと驚いてる暇ないな」

 

威力に驚愕する間もなくノイズが突撃してきて、回避しながら武器を取り換える。

 

『アタッシュアロー! アローライズ!』

 

アタッシュアローを構え、近づいてくるノイズを的確に打ち抜いていく。

 

「こいつら固まって襲ってくるな…ならこれで」

 

ノイズの動きを見て、集団で行動してることがほとんどだと感づきコネクタから別のキーを取り出す。

 

リボルバー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ヘッジホッグズアビリティ!

 

アタッシュアローに『ガトリングヘッジホッグプログライズキー』を装填し、レバーを引くと先端に緑色の棘状のエネルギーが溜まる。

 

 

ガトリング!カバンシュート!

 

レバーを離すと、チャージされたエネルギーが無数の棘になり大量のノイズを貫いた。

その一撃が効いたのかほとんどのノイズがいなくなり、残りは巨大なノイズ一匹だけになった。

 

「お前たちの運命は、ここで終わりだ!」

 

俺はアタッシュアローを投げ捨てドライバーのキーを押し込む。

 

ライジング!インパクト!

 

俺は能力を駆使し巨大ノイズに急接近し蹴り飛ばし、そこから連続キックをぶつけとどめの一撃を与える。

 

 

ライジング!インパクト!

 

とどめの一撃を食らい最後のノイズは爆散した。

 

「よっしゃあ!『グキッ!』足が!?」

 

必殺技を決めた俺だが着地で勢いをつけすぎ足をひねりそのまま転がりながら瓦礫に突っ込んでしまった。

せっかくかっこよくとどめさせたのにこれって…恥ずかしい。

その後俺は瓦礫をどかし周りにノイズがいないのを確認し、そのまま奏さんたちの元へ駆け足で向かう。

ノイズは全滅させたがあの子が重症なのは変わりがない!

俺はライズフォンを取り出しすぐに救急車に連絡しようとすると、急に謎の集団が現れる。

俺は突然現れた集団に警戒すると、いつの間にかコンサートの衣装に着替えた翼さんが来た。

 

「案ずるな、彼らは私たちの味方だ」

 

そう答えると集団はボロボロの奏さんと重傷を負った女の子を速やかに病院に搬送していった。

とりあえずこれで何とかなったな…と安堵すると俺は謎の集団に囲まれる。

 

「・・・ゑ?」

「すいません。奏やあの子を助けてくれたことには感謝します。ですがあなたのその力について少しお聞きしてもいいでしょうか」

「・・・えっと、一応拒否権は?」

「この状況で察してください」

 

ですよね。と思いつつ取り出したままのライズフォンをドライバーに認証させる。

 

『Changing to super bike motorcycle mode.』

 

すると認証したライズフォンが巨大化&変形してライズホッパーになった。

いやこれ物理法則どうなってるの?と考えるもすぐにライズホッパーに乗りアクセルを捻り即座に集団の包囲を抜ける。轢いてないけどごめんなさい!

 

「なっ!?逃げるのか!」

「すまない!後のことは任せる!」

 

そう言い残し俺はその場から走り去る。

ハッハッハッ!いきなりスマホがバイクになるなんて予想してなかったようだな、さらばだ諸君!

というか助けたあとのことは考えてないから逃げるの一手しかないんだよね。

まあいきなり逃げたことに関しては本当に悪かったな・・・いつかあった時に謝るか。

 

 

 

 

 

 

「すみません。数日前の仮面の人ですか?少しお話があってきました」

「」

 

玄関開けたらスーツを着たイケメンが立っていた。早いなあ。

はっ!いやいや待て待てO☆TI☆TU☆KE俺。とにかくここは何とかごまかして。

 

「ちなみにあなたのお顔については奏さんから聞いて防犯カメラなどをチェックして貴方がどこにいるか調べさせていただきました」

「プライバシーが全然ねえっ!?」

 

俺は膝から崩れ落ちる。畜生逃げ場がねえ。

完全に俺=会場の仮面戦士だと調べられ、俺は逃げようとしたら目にもとまらぬ早業で手錠をかけられた。

何この人?曲芸師?マジシャン?(OTONAです)

結局俺はそのまま連行されました。

 

 

 

 

 

車に乗せられたどり着いたのは大きな学校だった。

 

「こちらへ、今日は休みなので生徒はいません」

 

俺は黙ってその人について行くと、エレベーターに乗り込む。

 

「あっ、危ないですから手すりにつかまってください」

「ゑ?ちょっと待って捕まってっていうけど今手錠が・・・」

 

俺が自分の状況を説明しようとした瞬間。

 

エレベーターが急降下した。

 

「あるぅぅuuuuuuuu!?」

 

そして俺は少しの間絶叫マシン張りのエレベーターを味わった。

降ろせぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

 

 

 

 

 

「さあ、着きましたよ」

「」

 

急降下から数分経ち、ようやく停止したのだが俺はもう満身創痍だった。

そして満身創痍の俺のことを気にせずエレベーターの扉が開くと…。

 

「ようこそ!人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!!」

 

大量のクラッカーが鳴り響き、まるでパーティー会場のような場所でいろんな人が出迎えていた。

しかも垂れ幕には大きな文字で『熱烈歓迎!継菜 真様!』と書かれていた。

そんな光景にいろいろ言いたいことがあるがまず一言言わせてくれ…。

 

何これ…?




「正直言わせてくれ、マジで死ぬかと思ったぞあのエレベーター」
「はははっ!まあ最初は誰でもああなるよな」
「えっちょ奏さん!?なんでいるの!」
「ああ、なんか作者が『今回セリフなかったから俺の代わりにあとがきを頼む…ガクっ』って言ってきたぞ」
「今度は火と氷を交互に浴びせ続けてやる…」
「にしてもすごいなお前。ノイズと戦えるなんてよ!」
「まあな、そこら辺については次回説明させてくれ」
「おう、わかった。まあ私二課にいないんだけどな」
「えっ?じゃあどこに『病院』あっすいません」
「いいって、それじゃああれいくか」

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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二課からの勧誘

俺復活!!というわけでどうも真紅林檎です。
「こいつ復活したけど登場するぞ継菜真だ。ていうか今回は投稿に時間かかったな」
ああ、それにはわけがあってね…ゲームにはまって書く時間が減った。
「えっと、ショットガンとライオンのキーは…っと」
待ってライオンって爆発の奴だよねごめんなさい許してください!
「・・・たくっ、今回だけだからなじゃあ今回もどうぞご覧ください」
ゆ…許された。


「いや本当に…何これ?」

 

エレベーターを降りた瞬間、熱烈な歓迎を受けた俺は呆気にとられている。

そんな俺に紅いスーツを着た男性が近づいてきた、てかガタイいいなこの人。

 

「突然の連行すまなかったな。俺は風鳴弦十郎、この二課の司令官だ、よろしくな」

 

「あっどうも…じゃなくて!いきなり何この状況!?出かけようとしたらそこの人に秒で捕まってわけもわからず連行されたんだけど!?」

 

俺は後ろに指さすが、すでに先ほどの男性はいなかった。嘘だろいつの間に!?

 

「いやすまない。あの時みたいにすぐに逃げられたらこちらとしてもあれだからな…」

 

「いやだとしても、いきなり玄関に知らない男性がいたら逃げるでしょうが。本当にびっくりしたからな」

 

「ああ、次からは気を付けよう・・・それで継菜 真君。君をここに招待したのには二つの理由があるんだ」

 

「・・・一つは何となくわかりますけどね」

 

そう言いながら、俺は懐からプログライズキーを取り出す。

 

「まあ、説明するより実際見せた方が早いよな」

 

アウェイクン!

 

起動させると、プログライズキーが消え代わりにゼロワンドライバーとライジングホッパープログライズキーが現れる。

 

「なっ!?いきなり別のものになった!」

 

周りが驚いているのを気にせず、ドライバーを身に着けスイッチを押す。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

ドライバーにスキャンさせると目の前にデジタルな数字と共にライジングホッパーライダモデルが現れる。屋内だとこういう風に出てくるのか。

 

「巨大なバッタ…だと!?」

 

「安心してください、危害は加えないので…変身」

 

ライダモデルは特に飛び跳ねる様子はなく、周りを確認して俺の方に近づいてくる。そしてキーを展開しベルトに差し込む。

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

そのままライダモデルが分解し、パーツが装着され俺はゼロワンに変身する。

 

「バッタが装甲になった…」

 

「仮面ライダーゼロワン、それがこの姿です」

 

俺は変身を見せると、キーを取り外し変身を解く。

 

「なるほど…。つかぬことを聞くが、君がそれを作ったのか?」

 

「いや、これはとある偉い人が作ってくれた俺専用のアイテムだ。ノイズと戦えるように調整してね」

 

「まさか聖遺物以外でノイズと戦えるとは…その人はどうしている?」

 

「残念ながら、この世にはいないよ」

 

まあ、神様だからな。この世にはいないっていうよりこの世界にはいないって言った方が正しいか。

 

「そうか…それはすまない」

 

「別に気にしてないよ、まあこの力についてはこんな感じだな。それでもう一つの理由って何ですか?」

 

「ああ、むしろこちらが本命だろうな」

 

そういい、弦十郎さんは真剣な顔で俺を見る。

 

「継菜 真君。君に、これから我々とノイズを撃滅するのに協力してほしい!」

 

「…なるほど、勧誘ってわけか」

 

「もちろん、君のその力については決して口外はしないと約束しよう!だから頼む!協力してくれ!」

 

そういい、弦十郎さんは頭を下げる。

これだけでわかる、この人は悪い人じゃない。

それほどまでの熱意を感じた。

・・・ここまでされたら、断れないよな。

 

「わかった、そういうことなら協力するぜ」

 

「っ! いいのか!?」

 

「あんたが悪そうな人には見えないし、それにひとりじゃ心細かったからな」

 

そういって俺は手を差し出す。

 

「二課の歓迎。快く受け入れるぜ」

 

「ああ、こちらこそ、よろしく頼む。そして改めてようこそ、特異災害対策機動部二課へ」

 

弦十郎さんも手を出し握手をする。

 

こうして、俺は二課と協力することとなった。

 

 

 

 

弦十郎さんと握手を交わした後、俺はほかの二課の面々と会話をする。

二課の研究者『櫻井了子』さん、オペレーターの『藤尭朔也』さん、同じくオペレーターの『友里あおい』さん、そして先ほど俺をドナドナしたのがエージェント兼マネージャーの『緒川慎次』さん、そしてもう一人。

 

「あの時は逃げてすみません」

 

「いや、謝らなくてもいい。むしろあの時奏を止めてくれてありがとう」

 

「いや…ところで奏さんは?」

 

「ああ、奏は絶唱を使わなかったけど今までの無茶が響いて今は入院している、この後見舞いに行こうと思っているのだが…あなたも来てくれないか?」

 

「えっ、いいんですか?」

 

「奏にあなたが入ってくれたことを言わないとな」

 

そういって手を差し出す。

 

「改めて、私は風鳴翼。ツヴァイウィングの一人で『天羽々斬』の装者だ」

 

「俺は継菜真。仮面ライダーゼロワンだ」

 

あいさつを交わし、俺は翼さんと握手をする。

 

 

 

 

 

歓迎パーティーを終え、俺は翼さんと共に奏さんが入院している病院の病室に来た。

 

「おっ、翼…とお前あの時のバッタ女!」

 

「いやバッタ女って、否定はしないけど…」

 

病室に入ると、包帯を巻いてるが元気そうな奏さんがベットにいた。

 

「奏、彼女は今日から我々と共に協力してくれる」

 

「継菜真だ、よろしくな」

 

「そうなのか!そういうことなら歓迎するぞ…けどその前に一つ聞いていいか?」

 

「? 何だ」

 

「何であの時私を止めたんだ」

 

奏さんは真剣な顔でこちらを見る。

 

「・・・理由は二つ、一つはあの時と同じボロボロな状態で行かせたくないから…もう一つは奏さんの言葉かな」

 

「言葉?」

 

「あの時言ってたよな、生きるのを諦めるなって。けど自分が無事じゃすまなくなる大技を撃つっておかしいと思って。だってそれって自分の命を諦めてるような気がして…だから止めたんだ」

 

「・・・そういうことか」

 

俺の答えに奏さんは納得したようにベットに寝転がった。

 

「確かに、生きるのを諦めるなって言っといて自分が死んだんじゃ意味もないか」

 

「奏…」

 

「ありがとな、私を止めてくれて。んでもって歓迎するぜ。これからよろしくな」

 

そういって奏さんは握りこぶしを差し出す。

 

「ああ、よろしくな」

 

俺も答えるように握りこぶしで奏さんに拳に軽くぶつける。




因みに今回の奏の質問の答えに関しては俺自身一期見て本当にそう思って書きました。
「お前ってそういうの気にするタイプなのか」
まあ、そんな感じかな。後前回のゼロワンは心が震えたな~。
「まさかの迅パワーアップ復活だもんな」
前よりイケメンになりおって・・・けしからんいいぞもっとやれ。
「作者ってああいう展開が好きなのか?」
まあね、それじゃあ久しぶりにあれいきますか。

「「それでは次回もお楽しみに!」」

「因みに今度なんかやらかしたらアタッシュショットガンにアサルトシャイニング装填してフルチャージで撃つぞ」
オーバーキル過ぎませんかそれっ!?


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共闘!剣と仮面

よし!なんとか日付が変わる前に書けれた!どうも真紅林檎です。
「どうも、継菜真だ」
「んでもって天羽奏だ、よろしくな」
「・・・何で奏さんがいるの?」
いや~奏さん入院中暇だと思いまして呼んじゃいました。
「まっそういうわけだ、よろしくな!」
「はあ…まあいっか。それでは今回もどうぞご覧ください」


二課に入って一週間がたった。

 

さて、俺は今何をやっているかというと…。

 

「よしっ、早速飛び降りるぞ」

 

「いやちょっと待ってくれ」

 

上空数十メートルのヘリの中だ。

 

今日の夜、俺は翼さんと共にヘリに乗ってノイズが出現した場所に移動していた。

 

俺の初任務は出現地にて発生したノイズを殲滅しつつ、要救助民を救助せよとのこと。

 

そしてポイント上空にたどり着きヘリの扉を開ける。

 

「今更だが、この高さを本当に飛び降りるのか?」

 

「着陸しようとすればノイズに襲われる可能性がある、だからノイズの攻撃が届かないこの上空から奇襲するしかないのだ」

 

「いやだけどこの高さをパラシュートなしで飛び降りるのは勇気が『行くぞっ!』駄目だ聞く耳持たねえ」

 

俺が飛び降りにためらっていると翼さんはペンダントを握り躊躇なく飛び降りる。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

翼さんの歌声と共に翼さんの体が光り輝き、その体に青い装備が身に着けられる。

 

これこそまさにノイズへの対抗策『シンフォギア』だ。

 

「マジで行くのか・・・くそっ!こうなったら腹くくるしかねえ!」

 

覚悟を決めヘリから飛び降りキーを起動させる。

 

アウェイクン!

 

ドライバーを取り出しすぐに装着する。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

「変身!」

 

上空からライジングホッパーライダモデルが落ちてきたのを確認し、すかさずキーを差し込む。

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

ゼロワンに変身した俺はスーツで強化された身体能力で地面に着地する。

 

「はぁ…はぁ…、エレベーターより怖え…って言ってる暇ないか」

 

飛び降りの恐怖を抑えて俺はアタッシュカリバーを構える。そういやここはノイズの群れのど真ん中だったな。

 

先に降りていた翼さんも刀を構える。

 

「いいか、ノイズを撃退しつつ残っている人たちを救出するぞ」

 

「了解」

 

そして俺と翼さんはノイズの群れに突っ込んだ。

 

 

 

『使用BGM 絶刀・天羽々斬』

 

 

 

翼さんは歌いながらノイズを次々と切り裂いていく。

 

俺も遅れを取らないように力を駆使しつつノイズを切り払っていくと、ライズフォンに友里さんから通信が入る。

 

『二人とも、そこのビルに逃げ遅れた人たちがいるわ。すぐに救助に向かって』

 

「っ! 継菜、ビルの人たちの救助を。ノイズは私が引き受ける」

 

「わかりました!」

 

翼さんが刀を掲げると、空から大量の剣が降ってきてノイズを一掃する。

 

 

千ノ落涙

 

 

「なんつう技だよ…危うく巻き添え喰らうところだった」

 

巻き添えを食らう前にビルに飛び込んで正解だったな…と思いつつビル内の逃げ遅れた人たちの救助に向かう。

 

 

 

通路が崩落していたので瓦礫を壊しつつ部屋に入ると、逃げ遅れた人たちが数人いた。

 

「大丈夫です、救助に来ました!」

 

救助に来たことを伝え、俺はビルの出口まで誘導する。

 

窓の外を見ると、翼さんが一人でノイズの群れと戦っている姿が見えた。

 

「・・・急いで避難させて加勢しないと」

 

俺は誘導しつつビルの外に出ると、どこからともなく緒川さんが現れる。

 

「彼らは僕たちに任せてください。継菜さんは」

 

「わかってます、急いで翼さんの方に『ノイズだ!』っ!!」

 

悲鳴の方を向くと、ノイズの数体がこっちに来ていた!

 

「くっ!早く避難を!」

 

『アタッシュショットガン!』『ショットガンライズ!』

 

俺は武器をアタッシュショットガンに切り替え、近づいてくるノイズを打ち抜いていく。

 

「これでも喰らっとけ!」

 

バレット!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ウェアウルフズアビリティ!

 

『シューティングウルフプログライズキー』を差し込みトリガーを引くと、青色の狼たちがノイズに食らいつき倒していく。

 

 

 

 

シューティング!カバンショット!

 

近くのノイズを殲滅し、俺はすぐに翼さんの元に駆け付けるが、予想以上にノイズの数が多い。

 

「くそっ!このままじゃらちが明かないな…ならこいつの力を借りるか!」

 

俺はライジングホッパーを外し、別のキーを起動させる。

 

ブリザード!

 

オーソライズ!

 

認証させると、上空から青白い巨大な『フリージングベアーライダモデル』が落ちてきて近くのノイズを殴り飛ばしていく。

 

「うおっ!戦闘態勢ばっちりか。なら力を貸してくれ、クマさん!」

 

『フリージングベアープログライズキー』を展開し、ドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

Attention freeze! フリージングベアー!

 

Fierce breath as cold as arctic winds.

 

ライダモデルが俺の体を包むと、シアンカラーのパーツが装着されていく。

 

「さあ、氷漬けの時間だ!」

 

俺は手の平のユニットから大量の凍結材を噴出させると、それを浴びたノイズがみるみる凍っていく。

 

そして凍ったノイズを砕き、凍らせては砕きの繰り返しで翼さんの元にたどり着く。

 

「翼さん、大丈夫ですか!」

 

「継菜・・・って寒っ!?なんだその姿は」

 

「すみません!けど今は我慢してください。それと避難完了しました」

 

「そ、そうか。なら一気に片付けるぞ!」

 

「了解!」

 

俺たちは背中を合わせ、翼さんが刀を強く握ると、その刀身は巨大になっていく。

 

俺はアタッシュカリバーに切り替えフリージングベアーのキーを外し差し込む。

 

ブリザード!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ポーラーベアーズアビリティ!

 

そこから俺はアタッシュカリバーを折り畳み、再度展開する。

 

チャージライズ! フルチャージ! 

 

そして翼さんの刀には青いエネルギーが、俺の武器には青白いエネルギーが蓄積される。

 

「我らが一撃、しかと受けてみよ!」

 

「お前たちの運命は、ここで終わりだ!」

 

トリガーを引き、俺と翼さんは同時に振り下ろす。

 

 

フリージング!カバンダイナミック!

 

蒼ノ一閃

 

俺たちの一振りはノイズを凍らしつくし、切り裂いていった。

 

そして凍り付いたノイズが砕け散り、ノイズはいなくなった。

 

「ふう…撃退完了」

 

「ああ、すぐに報告しよう」

 

ノイズとの一戦を終え、翼さんが連絡を入れようと離れようとすると。

 

「おわったったった!?翼さん、背中引っ張らないでください!」

 

「何を言う!そちらも引っ張っているでは・・・ない・・・か」

 

俺たちが背を向くと、背中の装甲が翼さんの背中と共に凍り付いていた。

 

後から気づいたが、この装甲には接触した物質から熱を奪うことで部分的に凍らせることができるらしい。

 

まあ、どういうことかというと…。

 

「「・・・ええぇぇぇぇぇぇ!?」」

 

その日の夜、俺たちの悲鳴が響いたという…。

 

 

 

 

 

 

 

「あっはっは!それで緒川の旦那に言われるまでくっついてたってわけか!」

 

「笑い事じゃない!あの時は本当に焦ったんだぞ!」

 

「いや本当、穴があったら入りたいわ」

 

後日、病院にて奏さんに一連の報告をして笑われていた。

 

あの晩、背中を何とか離そうと試みたが剥がれず。駆け付けた緒川さんが状況を把握して…。

 

『あの、変身を解けばいいのでは?』

 

といわれた時、俺は少しの間硬直して静かに変身を解いて顔を隠した。

 

マジで穴の中に入りたい気持ちになったわ。

 

「それで、リハビリの方はどうなんだ?」

 

「ああ、まだ時間はかかるけど順調に回復しているよ」

 

「確か、櫻井女史の検査だと数か月はリハビリらしい」

 

「そっ、けど復帰してもしばらくは戦闘はできないけどな。だから私が完全復帰するまで翼を頼んだぞ」

 

「ああ、まあできる限り頑張るよ」

 

こうして、俺の初任務は終える。そしてフリージングの状態で誰かと接触しないと誓った。




よしっ!後書きコーナーだ!存分に言え!
「にしても災難だったな。あれどれぐらい冷たいんだ?」
「まあすぐに凍ったわけだし確実にマイナスはいってると思うな」
溶かそうとお湯をかけたらお湯の方が凍りそうだな、それ。
「まっ、何にせよ外れてよかったな!」
「本当だよ、それよりそろそろ」
おっそうだな、それじゃあやるか。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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流れる時、新たな歌姫

よっしゃ来たぞ第六話!
「んっ?おい作者。タグの一つが消えてるぞ」
ああ、実は前にきてくれたオリジナルキー案のコメントが運対で消えちゃって。せっかく考えてくれた人に申し訳ないと思って募集をやめたんだ。
「なるほどな、いきなり消えたから驚いたぞ」
というわけで読者の皆さん、俺の勝手でやめてしまい申し訳ございません。
「それでは改めて今回もどうぞご覧ください」


あのコンサート会場での悲劇から二年が経過した。

 

二課に所属した俺はノイズを撃退しながらも日々の日常を送っている。

 

この二年でいろんなことがあった、その一つが奏さんの完全な戦線離脱だ。

 

長いリハビリを乗り越え奏さんは二課に戻ってきた、だが待っていたのは悲しい事実だった。

 

奏さんの体調は万全だ・・・だが問題はシンフォギアにあった。

 

あの会場での一件で奏さんのシンフォギア『ガングニール』がひどい損傷を受けた。

 

その損傷はシンフォギア作成者である櫻井さんでも完全に直せないほどに。

 

その事実に奏さんや二課のみんなはショックを受けていた、だがみんなより悲しんでいた人がいた・・・翼さんだ。

 

自分の大切なパートナーがギアを纏えなくなった。それは所有者である奏さん以上に翼さんは悲しんでいた。

 

けど奏さんは暗い顔はせず、いつも道理に明るくいてくれた。

 

その日から奏さんは二課の職員として活動している。

 

・・・そしてその日、俺に向けて言った奏さんの言葉がまだ耳に残る。

 

『真、翼のことを頼んだぞ』

 

たった一言、けどその言葉の重さはしっかりと伝わった。

 

これがこの二年であった出来事の一つ、もう一つは。

 

「あっ、真さ~ん!」

 

「んっ・・・? ってなんで木の上にいるんだお前!?」

 

二年間を振り返っていると聞いたことがある声が聞こえ、バイクを止め周りを見ると見知った女子二人いてその一人が木の上にいた。

 

「木の上の小猫を助けようとして、それで自分も降りれなくなっちゃって・・・」

 

「けどこれくらいへいきへっちゃら・・・っておわぁ!!」

 

「あぶねえ!!」

 

落ちそうになった女子の元にすぐに駆け付け、その後落ちた女子をギリギリで受け止めた。

 

「ひゃあ~、助かりました。ありがとうございます」

 

「そりゃあどうも…」

 

俺は受け止めた女子を下すともう一人の女子が掛けよって。

 

「響、大丈夫!?」

 

「うん、私は大丈夫だよ未来」

 

この二人の女子は『立花 響』と『小日向 未来』あの日コンサートで助けた女の子とその幼馴染である。

 

何で知り合いなのか、それは二年前奏さんのお見舞いに行ったときにリハビリをしていた響と偶然にも出会ったのだ。

 

最初誰だっけ?ってなったけどね・・・俺が。

 

幸い、響は俺のことを覚えていてくれたので俺もすぐに思い出せた、まさか響が同じ病院にいたとは思わなかったな・・・。

 

リハビリを終え、響と談笑してると響の幼馴染もやってきてすぐに二人と仲良くなった。

 

「たくっ・・・小猫助けようとして自分が怪我したらどうするんだ」

 

「響はすぐ無茶をするんだから」

 

「はいっ…ごめんなさい(´・ω・`)」

 

俺と未来のW説教に響はしょぼんとした顔になった。

 

「・・・というよりお前ら学校は大丈夫か?」

 

「「えっ?」」

 

二人が携帯を見ると顔を青くした。どうやら登校時間ギリギリのようだった。

 

「そ、それじゃあ真さんまた今度!!」

 

「失礼しました!!」

 

二人は慌てて学校へと走っていった。

 

「たく、響は相変わらずだな。けどあの後なのに明るいのは良いことだけどな」

 

大分前、響が退院してからしばらくしたある日だった。

 

俺が気分転換に出かけていた時に傷つけられている響と捕まっている未来を目撃した。

 

俺はすぐにバイクから降りて二人を助けた、その時響を傷つけていた主犯になぜこんなことをしたのか聞くがあまりにも下らない理由だったので少し本気でO☆HA☆NA☆SIをしたら蜘蛛の子散らすように逃げて行った。

 

響の手当てをしながら未来に詳しい事情を聴くが、どうやらコンサートの一件でいじめを受けているらしい。

 

それからしばらくの間、響たちがまた同じ目に合わないように登下校に付き合った。

 

登下校中に何かしようとした奴等がいたので全員倍返しで追っ払っていたらしばらくして響へのいじめが無くなっていた。

 

何でなくなったのか聞くと二人の通う学校で二人に手を出すと猛獣が襲ってくるという噂が立ったらしい。誰が猛獣だ。

 

まあそんなことがあって今では二人とは連絡先も交換するぐらい仲がいい。

 

俺はそう思いつつバイクを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

時は流れ夕刻、俺はスーパーで買い物をしていると、いきなりライズフォンが鳴り出した、相手は弦十郎さんだ。

 

「おっと、はい継菜です」

 

『真君!市街地でノイズが出現した!』

 

「っ! 詳しい場所は!」

 

『現状では君が一番近い、翼にも向かわせているが被害が出る前にノイズを撃破してくれ!』

 

「了解!」

 

通話を切ると、町中にアラートが鳴り出す。なるのが遅ぇ!

 

俺はバイクですぐにノイズの出現場所に向かうと、すぐにノイズの群れを見つけ、俺はバイクに乗りながらキーを起動する。

 

アウェイクン!

 

ドライバーが腰に装着され、手に握ったプログライズキーのスイッチを押す。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

「変身!」

 

上空からライジングホッパーライダモデルが落ちてきたのを確認し、すかさずキーを差し込む。

 

プログライズ!

 

ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

バイクを走らせながら変身した俺は飛び降り近くのノイズを殴り飛ばす。

 

「行くぞノイズ共!」

 

俺はそのままノイズたちを殴り飛ばし、蹴り飛ばしながら数を減らしていくが何体かが路地裏へ入っていくのを確認した。

 

まさか誰かを追いかけているのか!?

 

「どきやがれ!」

 

俺はアタッシュショットガンでノイズを一掃して路地裏のノイズたちを追いかける。

 

追いかけていると工業地帯にたどり着き、そこにノイズが集まっていた。

 

俺が武器を構え突撃しようとしたとき…!

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

歌と共に、黄色い光が溢れた。

 

そして光が晴れ、奥を見ると・・・。

 

「響・・・っ!」

 

そこにはまさしくシンフォギアを纏った友人、立花響がいた。




よっし後書きだ!そして今回は響に来てもらったぞ!
「えっと…何で呼ばれたのかわかりませんが頑張ります!」
「すまないな響、あのアホに付き合わせて」
酷いなおい、まあここは本編とは違う世界だからな、存分に言え!
「あっじゃあ真さんに聞きたいことがあるんですけど」
「なんだ?」
「真さんって普段の服装ってどんな感じですか?描写されてないから気になって」
それは俺も思った。実際どうなんだ「ジャージ」へっ?
「だからジャージだよ。楽だし家でも外でもジャージだしな」
「ええっ…」
お前、それは女子としてどうなんだ?
「いや本編じゃないから言うぞ!見た目女子でも中身は男だぞ!そんな奴が女子の服着れるか!?ジャージは自分が男だということを忘れないための砦なんだぞ!!」
分かった!わかったから絶唱顔で迫るな怖いわ!首と掴んでぶんぶんするなぁぁぁ!!
「えっと!それでは皆さん次回もお楽しみに! 真さん落ち着いて!作者さん泡吹いてるから!?」


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再誕の撃槍

来たぞ第七話!
「やっと本編が始まったな、ここまで長かった…」
余計なことはあとがきで話す!それでは早速第七話どうぞ!


「何で響が・・・しかもあのギアは」

 

真夜中の工場地帯、そこで俺が目にしたのはオレンジカラーのギアを纏った友達、立花響だ。

 

それにあのギアの形状、明らかに奏さんが纏っていたガングニールにそっくりだった。

 

だがノイズは関係なしに響に接近する。

 

響は慌てて傍にいる少女を抱きかかえ逃げようと足に力を籠めジャンプすると、なんと隣のビルまで飛んでしまった。

 

あの驚きっぷり、前の俺を思い出すな・・・って言ってる場合じゃねえな!

 

俺はショットガンを構え、ノイズの群れを打ち抜いていく。

 

「あっ!あなたはあの時の!」

 

「その子を全力で守れ、ノイズは俺が片付ける!」

 

「あっはい!」

 

あいつあの時のこと覚えていたのか、けど俺が変身したところは覚えてないみたいだな。

 

「さて、援軍が到着する前にあらかた片付けるか!」

 

サンダー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ホーネッズアビリティ!

 

『ライトニングホーネットプログライズキー』を差し込みトリガーを引く。

 

 

 

ライトニングカバンショット!

 

放たれた雷の弾丸がノイズを次々と感電させ灰にしていく。

 

「よし、まだまだ行くぞ!」

 

数が減ったノイズを打ち抜いては蹴り飛ばし殴り倒しながら着々と数を減らしていく。

 

「毎度毎度うじゃうじゃ湧きやがって、虫みたいなやつらだな!」

 

愚痴を吐きながらノイズを蹴散らしながら響の方を見るとずに追いかけられている途中にビルから落下してしまう。

 

「ヤバっ!」

 

いくらギアを纏っていてもあの高さはまずい!それに抱きかかえている女の子も危険だ!

 

「こいつで!」

 

走っても間に合わないと判断してすぐさまキーを取り出す。

 

ウィング!

 

オーソライズ!

 

認証させると、上空からマゼンダカラーの『フライングファルコンライダモデル』が羽ばたいている。

 

すぐにキーを展開し、ドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

Fly to the sky フライングファルコン!

 

Spread your wings and prepare for aforce.

 

フライングファルコンフォームになった俺はその能力で響の元へ羽ばたき、響たちを抱きかかえる。

 

「大丈夫か?」

 

「あっはい!ありがとうございます!」

 

俺は地面に降ろして再びノイズに向き合うと、聞き覚えのある歌が聞こえた。

 

「えっ…歌声?」

 

「やっとか」

 

俺が確信すると、上空から無数の剣がノイズを切り裂いていく。

 

「加勢に来た!後は任せろ!」

 

「えっ!翼さん!?」

 

空からやってきた翼さんは刀を構えノイズを切り裂いていく。

 

「よし、一気に片付けるか!」

 

俺も武器をアタッシュアローに切り替え空からノイズを射抜いていく。

 

翼さんが来たことでノイズは勢い良く減っていく。

 

「とどめ一撃行くぜ!」

 

ノイズの数がわずかの所でキーを押し込む。

 

フライング!インパクト!

 

背中から巨大な翼を生やし、すれ違いざまにノイズを切り裂いていき最後のノイズを超高速の飛び蹴りを与える。

 

 

フライングインパクト!

 

最後の一体の胴体を貫き、灰となって消えていった。

 

「撃破完了」

 

真夜中の対決は、俺たちの勝利で終わった…。

 

 

 

 

 

 

 

「はい…それでは後はよろしくお願いします」

 

戦いを終え、車でやってきた黒服たちが現場の処理をやってくれている。

 

俺は黒服たち一礼をして変身はまだ解かず温かいお茶を二杯貰い響の元に行く。

 

行くとそこではギアを解いた響が座っていたので、貰ったお茶を一杯響に渡す。

 

「温かい物どうぞ」

 

「あ、温かい物どうも…はぁ」

 

受け取ったお茶を一口飲み、少し放心状態になる。

 

「よくあの子を守れたな、頑張ったな響」

 

「あ、はい…てあれ?私名前言いましたっけ」

 

「ああ、それはな…」

 

俺が変身を解くと俺の姿を見て響が驚く。

 

「ええっ!!真さん!?真さんがバッタさんなんですか!!」

 

「バッタさんって・・・あれはちゃんとゼロワンっていう名前があるんだよ」

 

すると翼さんがこちらに来る。

 

「話しているところ済まない。あそこで怯えずにあの子を守るとは、大した奴だ」

 

「あ、ありがとうございます!翼さん!実は私二人に助けられるのはこれで二回目なんです」

 

「二回目?」

 

「ほら、二年前の…」

 

俺の助言で翼さんが思い出すと、翼さんの通信機に通信が入った。

 

「はい、翼です・・・・・はい、協力してノイズを撃破しました。・・・・はい、ガングニール装者もこちらにいます。・・・了解」

 

連絡を終えた翼さんは通信機をしまうと、響に近づく。

 

「弦十郎さん、なんて?」

 

「ああ、実は・・・」

 

翼さんが耳打ちする・・・ああ~、やっぱりかぁ…。

 

「ええ~っと、それじゃあ私はこのあたりで・・・」

 

響がこの場を離れようとするが、離れる前に響の腕を掴む。

 

「えっと・・・、なんでしょうか?」

 

「済まないな、ちょっと俺たちに付き合ってもらいたいんだけど」

 

「えっ?べ・・・別にいいですけど」

 

「済まないな、それとごめん」

 

了承を得て俺は謝罪して手錠を響にはめる。

 

「へっ?」

 

「一応念のための処置なんだ。ごめんな」

 

「そ、そんな~!!」

 

そのあと、手錠をかけた響を車に積んで俺と変身を解いた翼さんも乗り本部へと向かう。

 

 

 

 

 

 

暫くして俺たちを乗せた車はリディアン音楽院にたどり着く。

 

「あれ?ここ私が通ってる学校!?」

 

「そっ、こっちだ」

 

車から降りて俺と翼さんと響は学園内を歩き、中央棟のエレベーターに乗り込む。

 

「あっ響、危ないから手すりに摑まっとけよ」

 

「へっ?」

 

一応忠告して俺と翼さんが手すりに摑まり、響が困惑していると…。

 

「えっと、私手錠しているんですけどぉぉぉぉぉぉ!!?」

 

すぐにエレベーターが急降下して響が大声を出しながら驚いている。

 

「継菜、そういうことは事前に伝えた方がいいぞ」

 

「悪い悪い。大丈夫か響?」

 

「は…はい、何とか…」

 

響は近くの手すりに何とか摑まる。

 

「しかしこの状況、二年前を思い出すな」

 

「ああ、もしかしたまた準備をしているかもしれないな」

 

「ああ~、やりそうだな…」

 

「えっえっ?なんの準備ですか?」

 

響が困惑する中エレベーターは止まり、扉が開くと…。

 

「ようこそ!人類最後の砦、特異災害対策機動部二課へ!!」

 

そこには前の俺のときと同じようにパーティの準備を終えていたみんながいた。

 

「・・・やっぱりか」

 

俺は二年前を思い出し、翼さんとともに頭を抱える。




後書きの時間だ!今回は翼に来てもらった!
「奏から後書きについて聞いている。今回はよろしく頼む」
「どうもよろしく。(作者が誰かを連れてくるのに慣れた)にしてもこの作品の翼さんはなんだか丸いな」
まあ奏さんが生きてるからね、原作の刺々しい感じは少し丸くしました。
「ところで継菜に一つ聞きたいことがあるのだがいいだろうか」
「なんですか?」
「継菜は家事などは得意なのか?」
「家事?まあ掃除機掛けたり本棚や引き出しを整理したりするな、料理はネットのレシピ見ながらならできるしな」
「・・・かはぁ!!」
だあっ!?今度は翼が絶唱顔になった!!
「さ・・・防人たるもの・・・この程度で・・・!」
「最終決戦並みに血出てるぞ!?」
「そ、それでは…じ…次回も…お楽しみに…かふっ!」
「「翼ぁぁぁぁ!?」」


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力の理由

遅れたけど書けたぜ第八話!
「大分遅れたな」
話の内容考えてたら大分経っていた!
「まあ投稿しただけ良しとしよう、それじゃあ第八話どうぞ!」


二課からの歓迎に昔を思い出し頭を抱えている俺と翼さんの間をすり抜けてぽかんとしている響に櫻井さんがすぐに近づく、いや早いな。

 

「さぁさぁ、笑って笑って!お近づきの印にツーショット写真を撮りましょう!」

 

「えっ!?いやですよ!手錠したまま写真だなんてすごく悲しい思い出になりますよ!というより真さん早く手錠外してください!!」

 

「悪い悪い、忘れてた。それと櫻井さん、響が怖がってますからもう少し離れて」

 

櫻井さんがブーブー言っている中、響の手錠のカギを外すと奏さんが鞄を持ってきた。

 

「ほら、これお前の鞄だろ。名前とかはこれで確認したんだ」

 

「あっ、ありがとうございます・・・って奏さん!?何でここにツヴァイウィングのお二人が揃っているんですか!?」

 

「落ち着け響、とりあえず一から説明するから・・・けどその前に二つほど約束してほしいことがあるんだ」

 

「や・・・約束?」

 

「ああ、一つは今日のことは誰にも内緒、もちろん未来にもな。それでもう一つが・・・」

 

「とりあえず、脱いでもらいましょうか」

 

突然ぶっこんで来た櫻井さんの頭をひっぱたいた俺は悪くねえ、悪いのは櫻井さんだ。

 

そのあと弦十郎さんが響に事情を説明して納得してもらって一通り終わった後、明日改めてきてもらうことを約束してもらい解散となった。

 

 

 

 

 

次の日、弦十郎さんが響のガングニールについて分かったと連絡が入り二課にたどり着くともうすでに二課のみんなと響がいた。

 

「わざわざ来てもらって済まなかったな。本来なら迎えに行くつもりなのだが…」

 

「大丈夫ですよ、ちょうど暇だったので」

 

俺は響の隣に立ち(響にわかりやすく説明するため)弦十郎さんが話し始める。

 

「まず調査の結果だが・・・響君が纏っていたのは間違いなくシンフォギアだ」

 

「っ!やっぱりか」

 

弦十郎さんが翼さんたちに視線を向け、翼さんは首元から、奏さんがポケットからネックレスを取り出す。

 

「翼の持つ『天羽々斬』。そして今は起動しないが奏君の持つ『ガングニール』。今二人が持っている聖遺物だ」

 

「せいいぶつ?」

 

「簡単に言えば、大昔の技術の結晶だ。大体は遺跡なんかで発見されるんだけどそのほとんどが壊れていて壊れてないやつは本当に希少なんだ。あの二つも実物の欠片にすぎないんですよね?」

 

「ああ、その通りだ」

 

「そして欠片にほんの少し残った力を増幅して解き放つ唯一のカギが特定振幅の波動なの」

 

「とくていしんぷく・・・はどう・・・?」

 

「まあ、言ってしまえば歌のことだ」

 

「歌?」

 

俺の言葉に響が一瞬考える。

 

「そうだ・・・あの時も胸の奥から歌が浮かんできたんです」

 

「そう、歌の力で活性化した聖遺物を一度エネルギーにして、鎧の形に構成したのが、翼ちゃんやあなたが身にまとうアンチノイズプロテクター、シンフォギアなの」

 

櫻井さんが言い終えると弦十郎さんが椅子から立ち上がる。

 

「聖遺物を起動させ、シンフォギアを纏う歌を歌える僅かな人間を我々は適合者と呼ぶ。それが奏君であり、翼でもあり、そして君であるのだ!」

 

「・・・というわけなんだが、理解できたか?」

 

「えっと・・・さっぱりわかりません!」

 

苦笑いの響きに俺もオペレーターの二人も頷く。うん、響ならそう言うと思ったよ。

 

「まあ、そのシンフォギアを作ったのは櫻井さんってのは一応覚えておいた方がいいぞ」

 

「はい、わかりました」

 

「よろしい・・・それで櫻井さん。一つ聞いてもいいか?」

 

「何かしら?」

 

「説明した通りならシンフォギアを纏うには翼さんたちが持つペンダントが必要なんだが。なんでペンダントを持ってない響がシンフォギアを纏えたんだ?」

 

「そ、そうですよね!?なんでシンフォギアを纏えたんですか?」

 

「うん、二人ともいい質問ね。じゃあこれを見て」

 

櫻井さんが封筒から一枚のレントゲン写真を取り出す。それは昨日検査した響のレントゲン写真だ。

 

「心臓付近に複雑に食い込んでいるため、手術でも摘出不可能な無数の破片。調べた結果、これは第3号聖遺物ガングニールの破片だと判明したわ」

 

櫻井さんの言葉にみんなが驚く。

 

「それってまさか二年前の!」

 

「っ!?あの時の私のギアの・・・!」

 

櫻井さんの言葉に俺と奏さんは二年前のことを思い出す。

 

確かにあの時、砕けた槍の破片が響の胸を貫いたが・・・まさかその時の破片が残っていたなんて。

 

「・・・あの、この力のこと、やっぱり誰かに話しちゃいけないんですよね」

 

響が恐る恐る質問をし、それに対して弦十郎さんが答える。

 

「君がシンフォギアの力を持っている事を何者かに知られた場合。君の家族や友人、周りの人間に危害が及びかねない。下手をすれば命にかかわる危険すらあり得る」

 

「命に・・・!!」

 

弦十郎さんの話に衝撃を受けたように固まる響の背中をさすり、落ち着かせる。

 

「俺たちが守りたいのは機密などではない。人の命だ。そのために力のことは隠し通してもらえないだろうか?」

 

「響ちゃんに秘められた力は、それほど大きなものであることを理解してほしいの」

 

大分落ち着いた響は二人に言われ周りにどんな被害をもたらすかを理解する。

その響きに、弦十郎さんが頼み込んだ。

 

「日本政府特別災害対策機動部二課として、改めて頼みたい。立花響君。君の宿した力を対ノイズ戦に役立ててくれないだろうか?」

 

弦十郎さんの頼みに、響は答える・・・。

 

 

 

ヴヴーーーー!!ヴヴーーーー!!

 

・・・直前に警報が鳴り響く。

 

「っ!こんな時にノイズが!」

 

「司令!ノイズが出現したようです!」

 

「わかった!翼と真君は至急現場に向かってくれ!」

 

「了解!」

 

翼さんが応え部屋を出て、俺も後を追いかけようとすると。

 

「あの、私も行きます!」

 

突然、響が言い出す。

 

「響君、しかし」

 

「私の力が誰かの助けになるんですよね!私たちの力でしかノイズを倒せないんですよね!だから!」

 

「・・・いや、お前は来るな」

 

「っ!真さん?」

 

突然来るなと言われ俺の方を向く響。

 

「こっから先はお前がいつもしている人助けとは違うんだ。下手をすれば人命にも関わる、そこにお前が行っても足を引っ張るだけだ」

 

「で・・・でも!」

 

「それに、お前は力のことを何一つ理解してない」

 

「えっ?」

 

「確かにその力は誰かを救えるかもしれない。けど使い方を間違えたら誰かの命を奪ってしまう。力っていうのはそう言うものなんだ」

 

俺振り返り、響に近づく。

 

「響、お前の決めたことを俺はとやかく言うつもりはない。けど今回はいつもの人助けとは違うんだ。下手したら命を落としてしまうかもしれない。お前に何かあったら未来やお前の家族が悲しむだろ」

 

「あっ」

 

「だからさ、今は俺と翼さんに任せて待っててくれないか?」

 

響は俯きながらも、首を縦に振る。

 

「うん、わかればいい」

 

俺は響の頭を軽く撫で、弦十郎さんたちの方を向く。

 

「すいません、響のことお願いします」

 

そういって振り返り、部屋を出ようとする。

 

「響、見ておけよ。俺と翼さんの戦いを」

 

そう言い残し部屋を出て、俺はすぐに現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

「・・・いつものあいつらしくないな、大丈夫か?」

 

部屋を出た後、奏は響に問いかけると、響は顔を上げる。

 

「・・・はい、大丈夫です。それにこういうのは初めてじゃないんです」

 

「ん?前もこんなことがあったのか?」

 

「はい、けど真さんすごく心配してくれていたので・・・」

 

「なるほどねぇ」

 

「それに、真さんの言う通り。私この力のことを何もわかっていませんでした。だからちゃんと使い方を知って、誰かの助けになりたいんです!」

 

響は昔を思い出す。いじめから助けられ、自分に手を差し伸べる真の姿を。

 

響は自分の手をギュっと握りしめる。

 

「私も、真さんみたいに・・・!」




「なんだか響の人助けの原因が俺にあるような感じだな」
まあ助けてもらった人に憧れるのはありそうだからね。
「そういうものか・・・ところで今回は俺たち以外誰もいないのか?」
ああ、今回はちょっと言いたいことがあってね皆には暇を与えました。
「言いたいこと?」
実は今現在ほとんど手を付けていないハイスクールD×Dの方の小説を根っこから変えて再投稿しようと思ってね。
「そういやあったなそんな作品・・・なんで止まってたんだ?」
主な理由はいくつかあって、一つが俺の中で設定をぶち込みすぎたことと、もう一つがさすがにディケイドはチートすぎたことですかね。今回投稿遅れた理由もこれのことを考えてました。
「そういうことか・・・確かにディケイドはチートの塊だからな」
はい、だから今考えてる案としてはディケイドからジオウに変えようと思いまして。
「ジオウも大概じゃね?」
全ライダーの技を使えるディケイドと比べたらまだ優しいほうだと思います!
「まあ確かに・・・ネタの方は大丈夫なのか?」
前に考えていた奴をいじってハイスクールと混ぜるので多分おそらくきっと大丈夫だと思います。
「滅茶苦茶不安だなおい」
まあこんな不安定な新米作者ですが、皆さんこれからもどうかよろしくお願いします。
「ところで小説の投稿頻度は大丈夫なのか?ただでさえ不安定なんだろ?」
・・・・・・・・・。(;´・ω・)
「・・・」スチャ…。
多分さらに不安定になるかもしれません!言ったからその凶悪なアイテム二つをしまってくれ!
「・・・了解」
危なかった…オーソライズバスターにメタルクラスタホッパーの組み合わせは心臓に悪いわ…。
「それじゃあいつものやるか」
了解。

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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翡翠の刃


やってきました第九話!
「今回は『ティファールは邪道』さんが考えてくれたオリジナルプログライズキーが出てきます」
因みに今回はいつもと比べて短めです、それでは第九話どうぞ!


俺はライズフォンをバイクモードにして翼さんの元へ駆けつけた。

 

そこでノイズの群れと戦闘している翼さんを発見し、俺はキーを起動させドライバーを身に着ける。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

すぐさま変身し、取り出したアタッシュカリバーを展開し戦闘に参加する。

 

「翼さん!加勢します」

 

「継菜か、助かる。では行くぞ!」

 

そこから俺と翼さんの二人でノイズを切りつけていく。

 

だが、今回のノイズの量は今までより多く、対処に時間がかかる。

 

「ったく。今日は出血大サービスだな!住民の避難は?」

 

「安心しろ、すでに緒川さんたちが終わらせている」

 

「相変わらず早いなあの忍者は・・・ならこれを使ってみるか!」

 

俺は近くのノイズを蹴り飛ばした後ベルトからキーを取り外し、ホルダーから前世では見たことがない緑色のキーを取り出し起動させる。

 

カット!

 

オーソライズ!

 

ベルトに認証させると、空からやってきたのは巨大な緑色のカマキリのライダモデルだった。

 

「うぉ!?今度はカマキリか!」

 

巨大なカマキリ『スラッシングマンティスライダモデル』は周りのノイズをその鎌で切り払っていく。

 

「なんつうか・・・もうこいつだけでも大丈夫な気がしてきたな・・・」

 

まあそんなことは言ってられないのですぐにキーを開きドライバーに差し込む。

 

「そんじゃ、初陣行くぜカマキリさん!」

 

プログライズ!

 

切り裂きやがライズ!スラッシングマンティス!

 

The blade does not swing to the weak, only to the dark

 

ライダモデルが体を包み、緑色のパーツが取り付けられ、肘と踵には小さな鎌が取り付けられ首には緑色のマフラーが着いていた。

 

「おお~、こいつは中々・・・さて切れ味の方は!」

 

俺は近くのノイズを試し切りがてら切り裂くと、何の抵抗もなくまるで豆腐のようにスパッと切り裂ける。

 

「いい切れ味だ。じゃあこういうのは…っと!」

 

足を勢い良く降りぬくと緑色の斬撃が飛び出し離れた場所のノイズを切り裂く。

 

「真空刃か!こいつは使えるな」

 

「なんという・・・っ!継菜後ろだ!」

 

翼さんが俺を見て叫び振り返ろうとする・・・が、突如マフラーの先が鋭い刃物に変わり後ろにいたであろうノイズを切り裂いてしまう。

 

「おおっ…油断した。けどこのマフラー凄いな」

 

俺はこのキーの性能の凄さを確認し、ノイズとの乱戦を開始する。

 

近くのノイズは肘と踵の鎌で切り裂き、遠くのノイズは真空刃で切り裂き、背後からの奇襲はマフラーが自動で迎撃してくれる・・・本当に凄いなこのキーは。

 

「さて、そろそろ決めるか」

 

俺はキーをベルトから外し、アタッシュカリバーに装填する。

 

カット!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

マンティスアビリティ!

 

キーを装填したアタッシュカリバーのトリガーを引いて残りのノイズの群れに向けて振り下ろす。

 

 

スラッシング!カバンストラッシュ!

 

飛び出した斬撃は一つから二つに、二つから四つへと倍々に増え、残りのノイズを全て切り裂いた。

 

「ふう・・・殲滅完了」

 

ノイズがいなくなったのを確認して変身を解き、弦十郎さんに連絡を入れる。

 

「弦十郎さん、ノイズの殲滅完了しました」

 

『ご苦労。翼と共に帰還してくれ』

 

了解と言い残し通話を切り、翼さんと共に二課へと帰還した。





後書きの刻!さあ語ろうではないか!
「今回出てきたのはスラッシングマンティスという奴だ、ティファールは邪道さん本当にありがとうございます」
実はこのフォームにはもう一つ機能があって首のマフラーを外せて刀みたいになるんだ!
「実はティファールは邪道さんはこれともう一つ別のオリジナルキーを考えてくれて両方ともどういう能力があるのかちゃんと考えてくれました。本当にこの馬鹿にはもったいないくらいで・・・」
ほんっとうにありがとうございました!!

「「それでは次回もお楽しみに!!」」


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闇夜の咆哮


「さて作者、遺言は聞いてやろう」
いきなり遺言!?待ってくれこれには訳が!
「俺は知っている、お前が執筆活動を忘れてスイッチのゲームにドはまりしていたことを」
ばかな!知っているだと!?
「というわけで判決有罪」
裁判長!おゆるしくださ・・・ギャアアアアアア!!
「えっと・・・と、とりあえず第十話どうぞ!」


響が正式に二課に加入してから一か月が過ぎた。

 

この一ヶ月、俺は何をやっていたのかというと…。

 

「せいっ! やあっ!」

 

「よっ! ほっ! はっ!」

 

「響君!もう少し腰を入れるんだ!」

 

「はっはい!!」

 

弦十郎さん家で響と組み手をしていた。

 

一ヶ月前の戦い以来、響が俺に戦い方を教わりたいと頼んできたので、今は俺と共に弦十郎さんの指導を受けている。

 

えっ俺? 俺は二課に入ってから半年くらいに弦十郎さんのお世話になっている。

 

・・・まあ最初の頃は心がへし折れそうになったんだけどな。

 

最初の頃弦十郎さんが俺の実力を確かめたいって言って実践したんだよ。それで弦十郎さんが『本気でかかってこい!』と言ってきたので遠慮なく変身して挑んだんだけど…。

 

 

 

ものの見事にやられました。

 

 

 

なにあの人、渾身のパンチも平気で受け止めたしアタッシュ三種類も全部通用しないしまずいと思ってはなったライダーキックも片手で止められてそのまま投げ飛ばされるし。

 

なにあの人間兵器。もうこの世界あの人だけで救えるだろ。

 

なのでその日からマジで特訓を頑張っているわけ、目指せ弦十郎さんに蹴り一発!

 

・・・それに特訓する理由はもう一つある。

 

今俺の手元にはいろいろなキーがあるのだが、特に強力なものは変身のときの負荷が激しく途中で変身が強制解除されてしまう。

 

だから強制解除しないためにもこうして特訓している。

 

それと響に関してだが、ここの他にも翼さんにも頼んでいる。

 

翼さんは張り切って響を鍛えているけど、無理だけはさせないように釘を刺している。

 

俺や弦十郎さん、翼さんの特訓の成果もあって今の響は戦闘に出ても問題ないくらい成長した。

 

「よし、今日の訓練は此処までだ!」

 

「「はい・・・」」

 

特訓(地獄)を終え、俺と響はその場に座り込んだ。

 

「大分感覚は掴めたみたいだな」

 

「うん。師匠も翼さんも丁寧に教えてくれるし、奏さんも支えてくれるから」

 

「そうか・・・ところで最近未来から今度暇かどうか聞かれたんだけど何か知らない?」

 

「あっそうだった!実は今度流れ星が流れるんです。それでもしよかったら真さんも一緒にどうかなって」

 

流れ星・・・そういえばネットでもうそろそろ流星群が流れるって書いてたな。

 

「なるほどな・・・そういうことなら俺も行こうかな、というか未来にもうOK言ってるからな」

 

「えっ本当ですか!!」

 

うぉ、凄い食いついてきたぞ。というか近い近い!!見た目女子のせいか距離がやけに近い!?

 

「ああ…。俺も流星群を見るのは初めてでな。ちょうどいいなと思って」

 

「わぁっ…じゃあ絶対三人一緒に見に行きましょう、約束ですよ!」

 

「わかったわかった。約束な」

 

俺と響は指切りをして約束する。

 

それにしても流星群か・・・動画では見たけど実物は見たことなかったな・・・楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

そして当日夕方。俺は夜に向けて準備しているとライズフォンに連絡が入った。

 

『継菜君、ノイズが出現した!ポイントをメールで送ったから急いで向かってくれ!」

 

「っ!? 現場には誰が向かっていますか!」

 

『今翼と響君が向かっている。継菜君も急いでくれ!』

 

「了解!」

 

俺はライズフォンを切りバイクモードに切り替え現場に向かった。

 

 

 

 

 

ポイントの地下鉄に到着しすぐにゼロワンに変身して突入すると、響がノイズに囲まれていた。

 

「響!伏せろ!」

 

「えっ、はいっ!!」

 

俺はアタッシュショットガンを取り出しシューティングウルフプログライズキーを装填する。

 

バレット!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ウェアウルフアビリティ!

 

トリガーを引き数匹の狼たちを繰り出しノイズに食らいつく。

 

 

 

 

シューティング!カバンショット!

 

 

響の周りにいたノイズはほとんど撃破する。辺りを見るが翼さんの姿はない。もしかして別の所にもノイズが?

 

と考えていると、響の様子がおかしいことに気づいた。

 

「お前たちの・・・お前たちのせいで・・・未来と真さんとの約束があああああ!!」

 

響が叫ぶと、響の体が黒く染まっていく。黒く染まった響は近くにいるノイズを獣の如く撃退していきながら奥へ進んでいく。

 

「まてっ!響!?」

 

俺は慌てて響を追いかける。一目見ただけでわかる、今の響はまともじゃない!追いかけていると奏さんから連絡が入る。

 

『おい真!響の様子が!?』

 

「今追いかけている!この先には何がある!」

 

『この先の地上で翼がノイズと戦っている!多分響もそこに向かってると思う!』

 

「了解!すぐに向かう!」

 

俺は電話を切る。けど響が異様に速くほとんど見失っている。

 

「すぐに駆け付けないとな・・・ならこいつで!」

 

俺はキーをドライバーから外し『ラッシングチータープログライズキー』を取り出す。

 

ダッシュ!

 

オーソライズ!

 

認証するとドライバーから『ラッシングチーターライダモデル』が現れる。

 

「力を貸してくれ!」

 

プログライズ!

 

スピーディーナンダー ラッシングチーター!

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

ライダモデルが俺の周りを駆け抜けるとパーツになり俺の体に装着される。

 

そして俺はすぐに地下鉄を駆け抜ける。

 

このフォームは最高時速189㎞で駆け抜けることができるので、すぐに二人のいる地上にたどり着く。

 

外は既に暗くなっており。そこには響と翼さん。そして翼さんと対峙している白い鎧を着た少女がいた。





「さて後書きだがちゃんとしてくれよな作者」
はい…ごめんなさい・・・。
「とりあえず響、進行頼めるか?」
「あっはい。えっととりあえず作者さん。確か何か報告があるんですよね?」
ああ。今回はついにこの作品のお気に入り登録者が100人に言ったんだ!!
「おお~!!よかったですね!!」
「いやよくこの作品100人いけたな?」
いや本当にそうだな。知った時無言でガッツポーズしたわ。
「とりあえず100人本当におめでとう。素直に祝福するぞ」
ありがとう!本当にありがとう!これからも頑張ります!
「それじゃあ今回は此処までで早速〆るぞ」
「はい!」おうっ!

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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真夜中のエンカウント


十一話投稿だー!
「・・・」
「えっと、どうしたんですか真さん?」
「ああ、なんだか覇気を感じないぞ?」
いや…もうこいつの投稿の遅さにもう呆れて突っ込む気力が湧かなくてな…。
「「ああ…。」」
いやそれについては本当にすまん。
「まあちゃんと投稿してくれたのでよしとします…それでは第十一話どうぞ」


「ネフシュタンの鎧!?」

 

暗い夜の中、翼さんは白い鎧を着た少女の姿を見て驚いていた。あの鎧に覚えがあるのか?

 

「へえ、てことはこの鎧の出所をしってんだな?」

 

「ああ。2年前、私たちの不始末で失われたものを忘れるわけがない!」

 

「2年前・・・ライブの日か」

 

翼さんがアームドギアの刀を構えると、響が翼さんを止めようとする…っていつの間に元に戻ったんだ!?

 

「翼さん、やめてください!相手は人ですよ!?」

 

「「戦場で何をバカなことを!?」」

 

「お互い引く気なしか・・・まあわかってたけど」

 

そして響の静止を無視し二人がぶつかり合う。

 

翼さんの刀に対し白い少女の方は鞭のようなもので攻撃していく。

 

「ボケっとしてる暇はないな、援護しないとな」

 

俺はアタッシュカリバーを取り出し構え、二人の間に割り込み白い少女に切りかかるがすぐに後ろに下がり避けられる。

 

「翼さん、援護します」

 

「お前がゼロワンか・・・」

 

「! 俺のことを知ってるのかお前」

 

「継菜!こいつは私が相手する。立花の元へ!」

 

「・・・了解。気を付けてください」

 

「ああ、心得た!」

 

俺は少女の相手を翼さんに託し響の元に向かおうとすると、少女は杖のようなものを取り出した。

 

「へっ!上等だ。・・・だがそこのお前らの相手はこいつらがお似合いだ!」

 

取り出した杖から光が放たれ、その光が大量のノイズに変わった。

 

「っ!?ノイズを生み出しただと!」

 

「マジかよ・・・響!俺たちでノイズを相手するぞ!」

 

「は、はいっ!!」

 

俺と響は出されたノイズを片っ端から拳と武器で蹴散らしていく。

 

(くそっ!倒してもきりがないな。響の方も大分てこずってるみたいだしまずいな・・・)

 

すぐに片づけて翼さんの援護に行きたいが、ノイズの数が多く俺も響も苦戦している。

 

「このままじゃじり貧か・・・だったら無理やり突破だ!」

 

俺は近くのノイズを切り払い、ホルダーから『フレイミングタイガープログライズキー』を取り出す。

 

ファイヤー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

タイガーアビリティ!

 

キーをアタッシュカリバーに装填し、そのまま折り畳み再度展開する。

 

チャージライズ! フルチャージ! 

 

「ついでにこいつも持ってけ!」

 

再度展開した後、俺はドライバーのキーを押し込む。

 

ラッシング!インパクト!

 

「響!離れろ!」

 

「えっ・・・わあ!?」

 

二つの必殺技を同時に起動しアタッシュカリバーに巨大な炎を纏い、そのままノイズの群れを駆け抜けながら武器を振るうと、炎の斬撃は空中で停止する。

 

その斬撃を幾つも繰り出し、十数個作り出したところでノイズから離れた場所でブレーキをかけると停止していた斬撃全てが一斉にノイズに切りかかり爆発を起こす。

 

       

       

       

       

       

       

       

       

       

       

 

 

 

 

       フレイミングカバン

                 

                 

                 

                 

インパクト!           

                  

                  

 

 

 

 

二つの必殺技の組み合わせで生み出されたノイズは全て消し去った。

 

「よしっ次はお前だ!」

 

俺はすぐに翼さんの援護に向かい少女に武器を振るうがすぐさま鞭でふさがれる。

 

「くっ・・・あの数を瞬殺かよ!」

 

「あいにく、広範囲技は俺の得意分野だ!」

 

俺と少女はすぐに距離を置き武器をショットガンに切り替えすぐに『トラッピングスパイダープログライズキー』を取り出し装填する。

 

テリトリー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

スパイダーアビリティ!

 

「喰らうかよ!!」

 

俺が構えると同時に少女の鞭の先端にエネルギーが溜められており、俺と少女は同時に放った。

 

 

 

 

トラッピングカバンショット!

 

NIRVANA GEDON

 

少女の放ったエネルギー弾が俺の放った蜘蛛の巣状のエネルギー弾に包まれその場で爆発を起こした。

 

「くっ!?」

 

「うぉ!!」

 

「ちぃ!!」

 

俺と翼さん、少女は爆風でお互い離れてしまった。

 

「くそっ・・・ノイズはすぐにやられるし二対一はさすがに分が悪いな!」

 

そういうと少女は先ほどのエネルギー弾を地面にぶつけ土煙を巻き上げ、煙が晴れた時には少女の姿はなかった。

 

「・・・逃げられたか」

 

俺は変身を解き、響の元に向かう。

 

「響、無事か?」

 

「は、はい・・・」

 

そう返事する響はどこか元気がなかった。

 

「私、何の役にも立てませんでした・・・地下でも真さんに迷惑かけて・・・」

 

「・・・大丈夫だ、失敗なんて誰だってするさ」

 

そういって落ち込む響の頭を撫でる。

 

「大事なのはその失敗を次に生かすことだ、わかるな?」

 

「・・・はい」

 

響をなだめていると変身を解いた翼さんがこっちに来る。

 

「継菜、さっきは助かった。立花、大丈夫か?」

 

「翼さん、はい大丈夫です」

 

「翼さん、さっきの少女が纏っていた物・・・あれも聖遺物何ですか?」

 

「ああ、二年前の事故のときに行方をくらませたネフシュタンの鎧だ」

 

「そうか・・・それにあの杖」

 

「ああ、まさかノイズを生み出す代物とは」

 

行方をくらませた聖遺物が今は敵の手の中かよ…それに加えてノイズを生み出す杖の存在。

 

・・・どうやらこの敵は一筋縄じゃ行かなさそうだ。

 

 





「後書きの時だが、何だあの技?」
アタッシュ系の必殺技とドライバーの必殺技を組み合わせた俺式合体技。なんか行けるかもと思って。
「それに翼さんが絶唱を使ってませんね」
原作と違ってもう一人いますからね、すぐに片づけて駆け付ければ絶唱を使わなくて済むかなと思いまして。
「そうか…間に合わなかったら私は絶唱した状態でここに来るところだったのか」
いやそれはちゃんと休んで、病室で大人しくして。
「ところでゼロワンの方も面白くなってきたな」
ええ、アークゼロに仮面ライダーゼロツー。これだから仮面ライダーは面白い!
「あっ、そろそろ終わりましょうか」
「うむ、そうだなではあの掛け声で〆ようか」

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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護衛作戦

「翼さん!十二話ですよ!」
「ああ、そうだな。・・・ところで二人はどこに行ったんだ?」
「えっと・・・作者さんは真さんの姿を確信した瞬間逃げて真さんは作者さんを追いかけて行きました。後の進行は任せると言い残して」
「・・・そうか、まあ深くは追及しないでおこう」
「そうですね、それでは第十二話どうぞ!」


「響、そんなに緊張するな。もう少し落ち着けよ」

 

「真ちゃんの言う通りよ響ちゃん」

 

「案ずるな立花、私と継菜が付いている」

 

「は・・・はい・・・」

 

ネフシュタンの鎧との遭遇から時が流れ、俺は今現在響と翼さんと一緒に櫻井さんの車に乗っている。

 

周りにはこの車を守るように複数の護衛車が走っている。

 

なぜこんなことになったというと、話は数日前に遡る。

 

数日前、本部にいた時に緊急通信が入った。

 

その内容が防衛大臣が殺害されたとの事だ。

 

それからしばらくして櫻井さんが無事に帰ってきてから本部で緊急ブリーフィングが行われた。

 

ノイズの発生が二課の近くなことが多いため政府は相手の目的が保管されている完全聖遺物『デュランダル』と判断する。

 

そのためデュランダルを安全な場所に搬送することとなり、俺たちはその護衛となっている。

 

「けど相手がどういう手で襲いに来るのかわからないからな・・・用心に越したことはないな」

 

「ああ、無事にデュランダルを搬送するために十分に気を付けなければな」

 

前後左右に護衛車が付いているが相手はノイズを生み出す杖を持っている、俺たちは細心の注意を払いながら周囲を探っている。

 

そして車両が長い橋に入り、ふと前を向いた時・・・。

 

 

そこにあるはずの道路が崩れていた。

 

 

「橋が!!」

 

「そう来るか!!」

 

櫻井さんがすぐにハンドルを切るが、別の一車両が間に合わず飛び出そうとしている。

 

「間に合えっ!」

 

 

アウェイクン!

 

ウィング!

 

オーソライズ!

 

 

すぐにドライバーを身に着けキーを認証すると同時に車両が橋を飛び出し反対側に衝突する直前、認証で現れたフライングファルコンライダモデルが車両の前に飛び出し受け止めて激突を防ぐ。

 

(・・・変身して助けようと思ったけどまあよし!)

 

「みんな、しっかり摑まっててね・・・私のドラテクは狂暴よ」

 

「「えっ?」」

 

俺と響が素っ頓狂な声を上げると車両群が加速する。

 

『敵襲だ。まだ姿は確認できてないが、おそらくノイズによるものだろう』

 

「けど、どこにもノイズの姿がない!あいつら何処に・・・」

 

その瞬間、マンホールが吹き飛び、後ろの車両が巻き込まれ大きく吹き飛んでいく。

 

「車が…!?」

 

「まさか、ノイズは下水道に!?」

 

翼さんがノイズの居場所に感づくと、今度は前方の護衛車が吹き飛びこちらの方へ飛んでくる。

 

「こっちに来た!?了子さん避けて!」

 

響が絶叫した後、すぐに櫻井さんがハンドルを切り飛んできた護衛車を回避するが、勢い余って歩道に突っ込んでしまう。

 

「司令、この先には確か薬品工場があったはずです。もしそこで爆発が起きてしまったら」

 

『分かっている!さっきから護衛車を的確に狙い続けているのは、おそらくノイズがデュランダルを損壊させないよう制御されているように見える!』

 

確かに、無差別ではなく的確に護衛車だけを狙ってくるのは今までのノイズとは明らかに違う。だとすれば・・・。

 

「・・・あのノイズの杖か!」

 

ということはあの女の子が関わっているな。

 

『相手の狙いがデュランダルの確保なら、あえて危険な地域に滑り込み攻め手を封じるって寸法だ!』

 

「・・・因みに勝算は?」

 

『思い付きを数字で語れるものかよ!』

 

「マジかよっ!?」

 

弦十郎さんの指示に従い、残った車両は薬品工場に突っ込む。

 

するといきなり目の前のマンホールから大量のノイズが飛び出し前方の車両を襲うが、すぐに車両から隊員が飛び降り、乗り捨てられた車両はノイズを乗せたまま建物に衝突し爆発を起こす。

 

「やった!狙い通りです!」

 

作戦がうまくいき安心した瞬間、何かに乗り上げたのか、自分たちの車両が一気に転倒する。

 

「うぉあああああ!?」

 

「うわあああああ!?」

 

車は盛大に転倒し、回転しながらもようやく止まった。

 

「痛つ・・・死ぬかと思った」

 

「みんな無事みたいだけど、状況は無事じゃないわね」

 

俺たちは車から出て周りを見るとすでに大量のノイズに囲まれていた。

 

「まずいな、こっちには護衛対象のデュランダルがあるってのに・・・」

 

「だったらいっそのこと、ここに置いて私たちだけで逃げましょ?」

 

「それしたら弦十郎さんにめっちゃ怒られるな」

 

「そうね・・・」

 

こちらが構えるとノイズは弾丸の如く突撃してきた。

 

俺がデュランダル入りケースを持ちノイズから逃げようとするがノイズに貫かれた車両が爆発を起こし、その衝撃でケースを落としてしまう。

 

「しまっ・・・!」

 

その隙を逃さずノイズたちは攻撃を仕掛けてくる、今度はよける暇もない、変身する時間もない。

 

誰もが諦めたその時、櫻井さんが前に出て右手を掲げる。

 

するとバリアのようなものが現れ、ノイズがそれに触れると一瞬で炭素の塊になった。

 

「了子・・・さん・・・?」

 

「櫻井女史、それは・・・」

 

響たちが驚いていると、突然突風が起きノイズが吹き飛ぶ。

 

何かと思い上を見ると、先ほど出したフライングファルコンが空を羽ばたいていた。

 

そういや、出したままだったの忘れてた。

 

その風で櫻井さんの髪が解け、メガネが飛ぶが、櫻井さんは不敵に笑う。

 

「しょうがないわね、貴方のやりたいことをやりたいようにやりなさい」

 

その言葉を受け、響は立ち上がった。

 

「私、歌います!」

 

「よし、行くぞ立花!継菜!」

 

「了解、行くぜファルコン! 変身!」

 

響たちは歌を歌い、俺はキーを展開しドライバーに装填する。

 

 

プログライズ!

 

Fly to the sky フライングファルコン!

 

Spread your wings and prepare for aforce.

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

 

響たちは光に包まれ、俺はやってきたフライングファルコンを身に着け、姿を変える。

 

「さあ、行くぜ!」

 

俺はアタッシュカリバーを展開しノイズとの戦闘を開始する。




「ただいま、おっと丁度後書きの時間か」
「あっ真さん、その・・・作者さんは?」
「木の下に埋めてきた」
「大丈夫なのかそれは?」
「安心しろ、首から上は埋めてない、というか元々はあいつが悪いわけだしな。編集さぼってポ〇〇ンやってたからな」
「そ、そうですか」
「さて、後書きなんだが、実はタグを一部変更するつもりだ」
「タグをか?」
「ああ、といっても少し変わるだけなんだけどな、今回からタグの『死亡キャラ生存』を『死亡キャラ一部生存』に変えるらしい」
「そうなんですか?」
「ああ、ということでそろそろ〆のあいさつ行くか」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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デュランダル


「やっと十三話か…本当に何してんだあのアホ(作者)は」
「まあまあ落ち着きなよ。それにしても今回はあたしだけなんだな?」
「ああ、二人とも学校の用事で来れないらしいからな」
「まあ二人共まだ学生だからな、それじゃあさっさと始めるか」
「だな、それでは第十三話どうぞ!」


薬品工場にてノイズとの戦闘を始めた俺たちはお互いデュランダル入りのケースを持つ櫻井さんからノイズを離させつつそれぞれノイズと戦っている。

 

俺は飛行能力を生かしながら翼さんと共にノイズを切り倒していく。

 

響自身もここまで弦十郎さんや翼さんたちとの特訓のおかげでノイズとも渡り合えている。

 

「とはいえ長期戦は避けたいからな、一気に数を減らす!」

 

俺は飛行しながらホルダーからキーを取り出し起動させる。

 

 

シザース!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

スタッグアビリティ!

 

俺は『エキサイティングスタッグプログライズキー』を装填しトリガーを引く。

 

 

 

エキサイティングカバンストラッシュ!

 

 

アタッシュカリバーを振るうと、巨大なクワガタの顎が現れ大量のノイズをはさみ潰した。

 

俺が周りを確認すると、突如黒い球体が飛んでくるがすんでのところで回避した。

 

「待たせたな仮面女!!」

 

「やっぱり来たか…上等!」

 

俺はすぐに武器をアローに切り替えネフシュタンの鎧の少女に攻撃を仕掛けるが、ほとんどを鞭で撃ち落とされてしまう。

 

「響!翼さん!彼女の相手は俺がする。二人はノイズを!」

 

「わかりました!」 「承知した!」

 

俺は二人にノイズを任せ少女と一対一に持ち込んだ。

 

相手も鞭やエネルギー弾で攻撃を仕掛けるが俺は空中で回避しながら反撃する。

 

「くそっ、ちょこまかと!」

 

相手は苛立ちながら鞭を振るうが難なくかわしキーを取り出す。

 

 

ブリザード!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ポーラーベアーアビリティ!

 

 

 

 

フリージング!カバンシュート!

 

 

俺が放った矢を相手は鞭ではじくが、触れた個所が凍り付いていく。

 

「嘘だろ!? こんなのありかよ!」

 

「残念ながらありなんだよな」

 

俺と相手が身構えていると突如、後ろから強い光が放たれる。

 

振り返るとそこには空中で静止している一本の剣。その刀身は黄金の光に包まれている。

 

俺はふと下を向くとデュランダルが入れられていたであろうケースが壊れていた。

 

そしてはっきりとした、あの剣こそがデュランダルだと。

 

「あの剣はあたしの物だ!」

 

すると後ろの少女がいきなり飛び出しデュランダルに向かう。

 

「っ! させるか!」

 

俺はとっさにネフシュタンの鞭の部分を掴み引っ張り、その勢いで彼女を地面に落とす。

 

「渡すものかぁぁぁ!!」

 

彼女と入れ替わりに飛び出した響が代わりにデュランダルに手を伸ばしその柄を掴む。

 

 

その瞬間、何か(・ ・)が起きた。

 

 

「う・・・ウゥゥ・・!」

 

デュランダルを掴んだ瞬間、響の様子がおかしくなりデュランダルの輝きはさらに増している。

 

その輝きはどんどん増していき、そしてその輝きは天を貫いた。

 

「なっ…!どうなってんだ!?」

 

「まさか、これがデュランダルの力だというのか…」

 

光り輝く中でデュランダルはその形を変え、一本の黄金の大剣へと形を変える。

 

そして同時に響自身もその体を黒く禍々しい姿に変わっていく。

 

「あれは、地下鉄の時の!!」

 

俺は響のあの姿に見覚えがあった。あの地下鉄での、響の暴走したときの姿だった。

 

「おォォオおぉぉォォオオぉぉぉォォ!!!」

 

人とは思えない咆哮を上げ、響は剣を掲げる。

 

響は地上に残っているノイズに視線を向けると、デュランダルを大きく振りかぶる。

 

俺はノイズの方を向くと、ノイズの後ろにあの少女が動けずに座り込んでいた。

 

「っ!まずい!!」

 

そのまま響がデュランダルを振るえばノイズの後ろにいる彼女も巻き込まれてしまう。

 

俺が飛び出すと同時に響はデュランダルを振り下ろした。

 

「間に合えぇぇぇ!!」

 

俺は全速力で彼女の元に向かいギリギリのところ掻っ攫った。

 

そして光の斬撃は薬品工場ごとノイズを穿ち、そして凄まじい大爆発を起こした。

 

 

 

 

 

 

「これが・・・デュランダルの・・・完全聖遺物の力・・・」

 

翼は工場の惨状を見てそう呟いた。

 

工場は半壊。地面はえぐられ、建物のほとんどが崩壊し、廃墟となっていた。

 

「・・・はっ! 立花と継菜は!?」

 

翼が二人を探すと、瓦礫の上で響が倒れていた、デュランダルは手から離れている。

 

響の安否を確認すると、離れた場所の瓦礫が崩れ、その下から真が現れる。

 

「げっほげほ…死ぬかと思った」

 

「継菜、大丈夫か!」

 

「ああ、なんとかな…」

 

真の安否を確認し翼は安堵する。

 

「そうだ、彼女はどうなったんだ?」

 

「わからねえ、とっさに助けたけど気づいた時にはもういなかった」

 

「そうか…」

 

翼と真は崩れ去った工場を見る。

 

「これがデュランダルの力なのか…たったの一振りで」

 

「ああ、もしこの力が悪用されようものなら…末恐ろしいな」

 

 

その後、護衛作戦は中止。起動してしまったデュランダルは、また二課に保管されることとなった。





「後書きの時間だけど、やっぱ凄いなデュランダルは」
「本当にな、もしあんなのが直撃したら灰すら残らなさそうだ」
「ところで思ったんだけど。何で私や翼のことをさん付けしてんだ?」
「それ今聞く?まあ答えるけど、俺は基本目上の人にはさん付けするもんなんだ」
「ああ、そういうこと。って真と翼は同い年ぐらいなんだが?」
「翼さんはほら…なんとなく当時同い年とは思えない口調だったからつい…な」
「なるほどな、そりゃ納得だ。それじゃあそろそろ〆ますか」

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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つかの間の平穏

「おい作者こんなペースで大丈夫なのか?ゼロワンが終わるまでに一期が終わるビジョンが見えないんだが?」
わかってる!わかってるから開幕アイアンクローはやめてくれ!!?
「安心しろ、ただこうやって締め付ければいくらあんたの頭でもネタが出てくると思ってさ」
俺の頭はフルーツじゃねぇ!?このままじゃあロックシードの如くパカッと割れる!?
「ああ奏、俺が絞ってる間に勧めといていいよ」
「オッオウ…それじゃあ第十四話どうぞ!」
アギャアァァァァァ…!



「・・・」

 

「あの…真さん、聞いてますか?」

 

「んっ。ああ大丈夫、聞いてるよ」

 

デュランダルの護衛中止から数日が経った、あれ以来相手は大きな動きを見せていない。

 

今俺は喫茶店にて未来から相談を受けていた。

 

「それで響、ここしばらく私には内緒で何かしているんです。真さんは何か知りませんか?」

 

「ア~ナンナンダロウナ~シラナイナ~」

 

すいませんばっちり知っていますというか俺も関わっています。

 

「それに最近響少し元気がなくて…何があったのかな」

 

「ああ…そうか」

 

おそらく原因はデュランダルの事だろう。いくら暴走していたとはいえあんなことになったのだからな、響は今、そのことで頭がいっぱいだと思う。かという俺自身もあのことを今でも考えている。

 

「まあ響のことだから大丈夫だと思うよ、それにもしものことがあったら俺の方から響に聞いてみるからさ」

 

「はい・・・」

 

とりあえず当たり障りの内容に答えるとライズフォンにメールが届いた。差出人は奏さんからだ。

 

『今日翼ん家に行くぞ、響にもメールを送っといたからな』

 

奏さんから翼さんの家に行くってことは・・・ああ、『あの日』か、こりゃ骨が折れるな。

 

「済まない未来、ちょっと用事が出来たから相談はまた今度でいいか?」

 

「あっはい、わかりました・・・それと最後に聞いていいですか」

 

俺は未来の分の代金を支払って奏さんの元に向かう寸前、未来に呼び止められる。

 

「真さんもここ最近忙しそうにしていますけど、何かあったんですか」

 

「・・・別に、なんでもないよ」

 

そういって喫茶店を後にする。

 

済まないな未来、俺のことも響のこともお前には言えないんだ。

 

 

 

 

 

「いや~済まないな二人共、いきなり呼んじまって」

 

「いえ、私は大丈夫です。それにしてもこれって・・・」

 

「安心しろ響、俺も所見でこの部屋を見た時唖然としていたから。それに・・・」

 

「継菜、それ以上余計なことは言わないでくれ!」

 

未来と別れた後、俺は響たちと共に翼さんの部屋の片づけを手伝っていた。

 

翼さんの部屋はお部屋というより『汚』部屋と呼ぶくらい荒れていて、月一で奏さんと掃除に来ている。

 

「それにしても意外です、翼さんって完璧なイメージがあるのにこんな一面があったなんて」

 

「いや響、翼さんって案外抜けてるところあるぞ」

 

「そうだな…例えば前、真との任務のときにお互い背中を預けた時に背中がくっついてた時があってな、そのあとお互い緒川の旦那に言われるまでくっついていたまんまだったんだぞ」

 

「やめて奏!それ以上は言わないで!」

 

「というか俺も巻き添え喰らったぞ今、なんでそれ言うの!?」

 

「いや~翼のトラブルっていつも真も居合わせてたからな、ついっ」

 

「あははっ、そうなんですね・・・っと、こっちは終わりました」

 

「す・・・済まないな立花、とりあえず一旦休憩にしようか」

 

「わかった、じゃあちょっと飲み物買ってくるわ」

 

「おっ、私も付き合うぜ」

 

ある程度片付けを終えた俺たちは休憩に入って、俺と奏さんは飲み物を買いに出かけた。

 

流石に人様の冷蔵庫を漁るわけにはいかないからな。

 

「ところでよ真、一つ聞いていいか?」

 

「なんだ?奏さんからなんて珍しいな」

 

「・・・お前、まだデュランダルの一件の事考えていたのか」

 

奏さんの質問に俺は驚きながらも、淡々と話す。

 

「・・・ああ、あの時あいつより先に動いてデュランダルを回収していれば、あんなことにはならなかっただろうって」

 

「響がデュランダルを起動させたことか」

 

「ああ…櫻井さんが言うには響の歌にデュランダルが反応して起動したらしいんだ」

 

「まさか響にあそこまでの力があったなんてな…」

 

「それにデュランダルを手にしたときの響のあの姿・・・あんな苦しそうな姿はもう見たくなかった」

 

初めてネフシュタンの鎧が現れる前、地下鉄で初めて見たあの姿。怒りで我を忘れたあんな響は見たくなかった…それなのに。

 

「あの時二人よりも先に手にしていれば取られることなく、暴走せずに無事に回収できたはずなのに・・・とっさに行動できなかった自分が悔しいんです」

 

俺は下を向くと、奏さんは俺の頭を思いっきり描き撫でた。

 

「わっと!? いきなり何するんだよ!」

 

「いや、なんだかいつもの真らしくないなって思ってさ」

 

「俺らしくない・・・?」

 

「そうさ、いつものお前はもっと堂々としていた。というより二課の中じゃ私が一番不甲斐ないって思っているさ」

 

そういうと奏さんはポケットから壊れたペンダントを取り出した、櫻井さんがある程度修復してくれたが、機能しない奏さんのガングニール。

 

「あの時私も戦えていたらって時々思っててさ。戦えない自分を悔やんでいたさ」

 

「奏さん・・・」

 

「けど、そんな時に旦那や翼、それにみんなが支えてくれたから私も吹っ切れたのさ」

 

奏さんは俺の頭から手を離し、俺の前に出て握りこぶしを俺の方に突き出した。

 

「いざというときには私たちが支えてやる。だからあんたはいつも通りに振る舞っていろ」

 

「・・・はあ、奏さんにはかなわないな」

 

俺は一言言ってから、両手で自分の顔をぺしっ!と叩いた。

 

「確かに、何時までもくよくよすんのは俺らしくないよな…」

 

そういって俺は頭を上げる。

 

「もうあれこれ考えるのはやめだ、奏さんの言う通りいつも通りに頑張りますよ」

 

「おうっ、その意気だ! それともう一ついいか」

 

「えっ?今度は何ですか」

 

「いや、そろそろさん付けじゃなくてもいいんじゃないかなって思ってさ。もう長い付き合いだろ」

 

「・・・そうだな、確かにその通りだな」

 

俺は右手を握り突き出す。

 

「それじゃあ改めて、今後もよろしくな、奏」

 

「おう、任せろ」

 

俺と奏は言い交し拳をぶつける。

 

そのあと、飲み物を買い終えた後翼さんと響の元に変えると、響の方はなんだかすっきりしたような顔になっていた。

 

俺たちは少しの間休憩取ってまた掃除に取り掛かった。




し・・・死ぬかと思った。
「ようやく私のことを呼び捨てになったな」
「まあな、ところで俺と奏が買いに行っている間に響と翼さんは何してたんだ?」
二人は原作通りに話し合っていたよ、二人が話すタイミングとしては此処がいいなと思ったから。 ・・・流石に文章力皆無の俺がこれ以上書いたらやばい気がしたしな。(小声
「なんか言ったか?」
い~え、別に~。それよりそろそろ〆ますか。ほら、二人とも早く。
「わかったわかった、ったく・・・」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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砕けた秘密


はいはいやってきましたよ第十五話!
「今回は比較的早めの投稿だな、いい感じだ」
ははっ、もうアイアンクローは嫌だからな…というわけで早速第十五話どうぞ!
「えっもう!?」


掃除が終わった後、俺は響たちと別れて帰宅している。

 

胸のつっかえも奏のおかげですっきりして今日はいい気分で帰っていると。

 

「♪~…っ!」

 

突然後ろから気配を感じ右に飛ぶと、俺の真横を鞭が横切った。

 

後ろを向くとネフシュタンの鎧を着た彼女がいた。

 

「へえ、よくよけたな」

 

「たまたまだ、それにしても久々だな。何の用だ」

 

「へっ、本当はデュランダルを起動させたあいつに用があったんだが、お前のその変な力にも用があんだ」

 

こいつの狙いは俺と響か、響と別れて正解だったな。

 

「そういうことか、けど残念だったな。今の俺はすこぶる調子がいいんだ」

 

アウェイクン!

 

俺はキーを起動させドライバーを取り出し装着する。

 

「お前をとっ捕まえて色々聞かせてもらうぜ」

 

「そうはいくかよ!」

 

彼女が鞭を振るうと同時に俺はキーを取り出す。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

認証すると、上空からライジングホッパーライダモデルが落ちてきて相手の鞭を受け止めてくれた。

 

「くそっ!なんだよこのデカブツ」

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

「行くぜ、ネフシュタン!」

 

変身完了と共に俺は即座に彼女の傍に駆け抜け、蹴りを与えた。

 

「!? があっ!!」

 

反応しきれなかった相手は蹴りをもろに受け後ろに大きく飛び、俺は飛んでった彼女を追いかけた。

 

 

 

 

先ほどの場所から離れ木々が生い茂っている場所にたどり着いた。

 

辺りを見ると、傷ついた腹部を抑えている彼女を発見するが、その腹部は瞬く間に修復されていく。

 

「おいおい、自己修復機能がついてるなんて聞いてないぞ」

 

「へっ、残念だったな」

 

傷が治った彼女はエネルギー弾を連射していく。俺は回避しながら距離をとる。

 

どうするか、ホッパーのキックを回復するほどの修復能力なら生半可な攻撃は効かないってことか。けど大きすぎるダメージは彼女に危険かもしれないし…。

 

俺はどうすれば無力化できるか考えていると、気づいたら歩道に飛び出していた。

 

やべっ!? 考えるのに集中して気づかなかった。

 

そしてすぐ横を見たら、未来がいた。

 

「えっ!誰!?」

 

「まずっ!」

 

何で未来がここに…ってそうじゃない!響や翼さんならともかく一般人の未来がここに居たら…。

 

「喰らいやがれ!」

 

俺の予感は的中し、追いかけてきた彼女がエネルギー弾を放った。

 

「! 危ねえ!」

 

「きゃあ!?」

 

俺は未来を抱えエネルギー弾を躱す。

 

「っ!?しまった!ほかにも・・・」

 

「えっ?今のって」

 

「おい、早くこの場から離れろ!危険だ…!」

 

俺が忠告するが、悪い予感は終わってなかった。

 

先ほど放たれたエネルギー弾が地面に当たり衝撃を生んで、近くの車がこっちに吹き飛んできた。

 

やばい!?このままじゃ未来が巻き添えに!

 

アタッシュウェポンを取り出しても間に合わないと察した俺は無茶を承知でドライバーに手を伸ばし必殺技を放とうとした時。

 

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

 

歌が聞こえてきたと同時に、ギアを纏った響が現れて車を殴り飛ばした。

 

「響・・・?」

 

「・・・ごめん、未来」

 

響は一言呟くとすぐに彼女の元へ向かった。

 

「響!まって!」

 

「行くな未来、響は俺に任せて安全な場所へ!」

 

俺は未来に忠告しすぐに響の元へ向かう。無茶はするなよ…!

 

「何で私の名前を・・・もしかして、真さん?」





というわけで後書きの時間だ、とりあえず言いたいことが一つだけある!
「お、おう…何だ藪から棒に。で、言いたいことって?」
ああ、少し前にとある人のコメントに他のライダーは後『二人』出ますって言ったんだけどさ。
「おいさらっと重要事項言っていいのか?」
いや聞いてよ、この二人なんだけどさ、正確には『味方』に二人出ますっていうことなの。
「・・・つまり?」
敵にもライダーが来るかもしれない。
「おいとんでもないこと言ってるぞお前!?」
まあ味方の誰なのか、敵の誰がライダーなのかは言いませんが、多分察しのいい人は薄々感づいてると思う。
「・・・いいのか、そんなこと言って」
まあ別にいいかなって・・・それじゃそろそろ〆ますか。
「はいはいっ…たくっ」

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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怒りの魔弓

はいきました第十六話!えっ今回は俺一人かだって?
いやいや、今主人公に頼んでゲストを捕まえゲフッゴフッ!
・・・失礼、ゲストをスカウトしに行っております。
それでは第十六話どうぞ!


俺は響を追いかけ、市街地から離れた場所までたどり着いた。

 

何とか響の元にたどり着くと、響は相手に何かを言っていた。

 

「私は立花響、十五歳!九月の十三日で、血液型はO型!身長はこないだの測定では157センチ!体重は…もう少し仲良くなったら教えてあげる!」

 

何故か自己紹介していた状況に思わず顔から地面にずっこけてしまった。

 

「・・・何で戦いの場で相手に自己紹介してんだお前は?」

 

「あっ真さん。だって私の事どんくさいっていうからちゃんと自己紹介しないとって…」

 

だからってこんな場所でするか普通…ほら相手も呆れた顔してるし。

 

「おい、そいついつもそんな感じか?」

 

「いや、響はたまに変なことをするから・・・なんか済まない」

 

「ひどい!?私だってちゃんと考えてますよ!」

 

そういうと響は相手の方に向きなおした。

 

「私たちはノイズと違って言葉が通じるから、私はちゃんと話し合いたい!」

 

「っ!・・・そういうことか」

 

俺は響の意図を感じ取れた。

 

「この期に及んで、悠長なことを!」

 

相手は鞭を振るう、が響はそれを躱しながら相手に接近していく。

 

響が近づくほど鞭の速度、威力は上がっていく、にもかかわらず響はかわしていく。

 

「ねえ、話し合おうよ!私たちは戦っちゃいけないんだ!」

 

「ちっ、うるせえ!」

 

響はかわしながらも、相手を見て話し続けている。

 

「だって言葉が通じていれば人間は・・・」

 

「うるさいんだよ!」

 

突然相手が叫ぶ。

 

「分かり合えるものかよ人間が!そんな風に出来ているものか!」

 

「出来ているさ、そんな風に」

 

飛んでくる鞭をアタッシュカリバーで切り落とし、俺も話に入る。

 

「俺だって最初は翼さんとそこまで仲良くはなかった、けど何度も話し合っていくうちに相手のことが分かって、理解できて、仲良くなった」

 

俺はそのままカリバーを相手に突き付ける。

 

「響に倣って俺も言っとくか。俺は継菜真。仮面ライダーゼロワンで響の友人。・・・そしてお前を止める人間だ」

 

「真さん・・・!」

 

「ふざけんなよ・・・!何がお前を止めるだ。なら望み通り、私の全部を使ってお前らをぶっ潰してやる!!」

 

相手は飛ぶと、鞭の先端にエネルギーを溜めだした。

 

「お前が全部使ってくるなら、こっちも持てる力でお前を止める!」

 

俺はホルダーから『パンチングコングプログライズキー』を取り出し起動させる。

 

パワー!

 

オーソライズ!

 

「纏めて吹っ飛べ!」

 

NIRVANA GEDON

 

放たれた巨大なエネルギー弾はこちらに飛んでくるが、突如上空から現れた巨大な何かに防がれた。

 

「何、いつの間に!?」

 

「これって・・・ゴリラ!?」

 

「ああ、パワー自慢の仲間さ!」

 

現れた『パンチングコングライダモデル』は相手を威嚇するようにドラミングをしている。

 

「よし行くぜゴリラ!」

 

プログライズ!

 

剛腕GOGO! パンチングコング!

 

Enough power to annihiate a mountain.

 

ライダモデルを纏い俺はパンチングコングフォームへと変わる。

 

「さあ、行くぜ!」

 

俺はそのまま相手に向かって行く。

 

「姿が変わったところで!」

 

相手が再びエネルギー弾を放つ中、俺は走りながら右腕を構える。

 

そして体の装甲を全て右腕に集結させていき、右腕は巨大な拳『マキシムコンガー』になる。

 

「一・撃・必・殺!!」

 

そのまま振りかぶりエネルギー弾を殴りつけると、エネルギー弾は四散した。

 

「嘘だろ・・・一撃で!?」

 

「真さん・・・凄い・・・」

 

二人が驚いてるのを気にせず、俺は接近していく。

 

 

 

 

 

 

『今貴方の胸にあるものを、出来るだけ強くはっきりと思い浮かべなさい。それが貴方の戦う力、立花響のアームドギアに他ならないわ』

 

そう翼さんに言われたけど、私は自分のアームドギアがどんな形なのか思い浮かべなかった。

 

けど今、真さんの一撃を見てはっきりとした。

 

私はこの手を誰かに差し伸べたい。 困ってる人をこの手で助けたい。

 

そう考えた私は、掌に溜めていたエネルギーを握りしめた。

 

 

 

 

 

「クソっこれでどうだ!!」

 

相手はエネルギー弾を連続で放ってくる。

 

いくら防げるとはいえこのままじゃじり貧だ。

 

「真さん!」

 

後ろを振り返ると響が形状が変わった右手を構えて向かってくる。

 

「っ…ああっ!」

 

俺は響の意図を読み取り、相手に駆け抜ける。

 

「この・・・ならこれでどうだ!」

 

俺が接近したことでエネルギー弾に巻き込まれると思った相手は鞭を振るってくる・・・が。

 

「悪いな、それが狙いだ!」

 

俺は右腕の装甲を戻して先ほどより軽くなった右手で鞭を掴み、思いっきり引っ張る。

 

「っ!?」

 

こっちに引っ張られ突っ込んでくる相手に対し俺は装甲を今度は左腕に集結させ、ドライバーのキーを押し込む。

 

 

パンチング!インパクト!

 

対して響は腰のブースターを起動させ加速し、俺の隣に並ぶ。

 

そのまま俺は左腕を、響は右腕を構える。

 

「これが俺たちの・・・力だ!!」

 

「うおぉぉぉぉぉお!!」

 

 

 

パンチングインパクト!

 

 

同時に振るった俺たちの拳はそのまま相手に突き刺さり、そのまま相手は後方へ吹き飛んでいき石垣にぶつかる。

 

「ガハッ!!」

 

ネフシュタンの鎧は大きく損傷しており、修復には時間がかかりそうだった。

 

それでも相手は立ち上がり迎撃態勢に入るが、響は構えを解きその場から動いていない。まるで戦う意思がないように。

 

そんな響を見て俺も通常のライジングホッパーに戻り、戦闘態勢を解く。

 

「なんだよ・・・馬鹿にしてんのか!」

 

構えを解いた俺たちを見て、相手はふらつきながらも睨んでいる。

 

「この私を・・・雪音クリスをバカにしてんのか!」

 

「・・・やっと名前を言ってくれたね」

 

相手が名乗った時に、響は待っていたように喋った。

 

「なるほどな、お前雪音クリスっていうのか」

 

俺もやっとあいつの名前が知れたな、いい名前じゃねえか。

 

「ねえクリスちゃん。もうやめようよこんな戦い!ノイズと違って私たちはこうやって言葉を交わせるんだよ。ちゃんと話し合えば分かり合える」

 

響の言葉は全て紛れのない本心だ。

 

「・・・むなくせぇんだよ。 嘘くせぇ・・・青臭ぇ・・・!」

 

だがその言葉は逆に相手を、クリスを苛立たせそのまま鞭を振るい、響に当たる寸前で俺がカリバーで切り落とす。

 

「大丈夫か?」

 

「は・・・はいっ」

 

俺は響の無事を確認し、クリスの方を向きなおす。

 

「信じられるかよ、お前らの言うことなんてよっ!!」

 

クリスはそのまま鞭を戻し、自身の腕を重ね構える。

 

「・・・ぶっ飛べよ。装甲分解(アーマーパージ)だ!!」

 

クリスが叫んだ瞬間、ネフシュタンの鎧が弾け、無数の破片が辺り一帯を襲った!

 

「うわぁ!?」

 

「くそっ!!奥の手かよ!」

 

俺たちは破片を防ぐ中、声を・・・いや『歌』を耳にした。

 

Killter Ichaival tron

 

聞こえてきた歌に俺は聞き覚えがあった、あれは…!

 

「聖詠・・・だと!?」

 

 

「見せてやる・・・『イチイバル』の力を!」

 

 

土煙が晴れると、そこには先ほどとは違い、赤を主調とした装甲を纏ったクリスがいた。

 

「そんな・・・あれって!?」

 

「・・・シンフォギア!」

 

俺たちが驚いてる最中、クリスは自身の武器を展開する。

 

「歌わせたな・・・」

 

「えっ?」

 

展開しながらクリスは俺たちに叫んだ。

 

「教えてやるよ、私は・・・歌が大っ嫌いだ!!」

 

クリスの両手に二つの『ボウガン』が現れる。

 

俺たちは予期せぬ事態のまま、第二ラウンドに入る。




さあさあ後書きの時間だよ!ほらほら、遅れた二人もちゃんと挨拶して!
「・・・なあ仮面女、こいつの頭を打ち抜いてもいいか?」(怒
ガチャ!(ボウガンを構える音)
「ああいいぞクリス、俺が許可する。というか俺も手伝うわ」(怒
ガシャ!(アタッシュショットガンを構える音)
すいません許してください!!(スライディング土下座ぁぁぁ!
「ったく、何で私がこんなところに…原作じゃまだ敵同士だろ?」
そこはほら、ここは原作とは違うからいいかな~って。
「まあそこは置いとくとして『置くのかよ!』今回何話すんだ?」
ああ、今回は『主人公がどうやって生まれたのか』だ。
「俺?」
うん、お前を作った理由・・・というか真のモデルは元々はXDのIF翼を元に作ったんだよ。
女なのに男っぽくて俺口調でいいなって思って、けどこのまま使っても何かな~と思って。
だったらいっそのことTSさせればいいじゃんと思って試行錯誤して今に至ります。
「よしクリス撃て、原形がわからなくなるぐらいにな」
「よし来た」
ちょっとまってごめんなさいストップストップ・・・ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!?

「」(作者だったもの…
「まああれだ、そろそろ〆るか、クリスも言ってくれるか?」
「・・・ったく、しゃあねえか」

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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イチイバル

終わったー!ゼロワンがついに終わったー!!
「最後の最後に謎の仮面ライダーが出てきたけど、すべての真相は映画館だな」
ああ~、次回からセイバーが始まるな~。
「まあ本編のゼロワンは終わったけどこっちのゼロワンはまだ一期すら終わってないからな」
わかってるよ、それでは第十七話どうぞ!


『使用BGM 魔弓・イチイバル』

 

 

クリスが歌いだすとともに、両手のボウガンを連射してくる。

 

「っ! 避けろ響!」

 

俺たちはとっさに左右に避けるが、クリスの攻撃は止まない。

 

「くそっ、そっちが弓の連射ならこっちもだ!」

 

俺はかわしながらアタッシュアローを取り出し、ガトリングヘッジホッグプログライズキーを取り出す。

 

リボルバー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ヘッジホッグアビリティ!

 

 

ガトリング!カバンシュート!

 

こちらも弓を連射し、クリスのギアに対抗していく。

 

何とかこれで対抗して勝ち筋を考えないと・・・と考えた時、ギアの形状が変わっていく。

 

先ほどまでのボウガンが変形していき、二丁のガトリングに変形した。

 

「・・・へっ?」

 

先ほどまでとは比較にならないな銃弾の連射が襲ってきた。

 

 

BILLION MAIDEN

 

 

「ちょちょちょ!? 流石にそれは無理!?」

 

俺は慌てて回避に専念する。あんなん当たったら数秒でハチの巣だ!

 

「わわわっ!? 真さん!!」

 

よく見ると響もガトリングの攻撃から何とか回避している。そりゃそうだギアを纏ってもスーツ着てもあれだけは喰らいたくない!

 

俺と響が合流すると、クリスは連射をやめる。

 

「あれ? 攻撃がやんだ・・・」

 

「弾切れ・・・だったら嬉しいんだけど」

 

そんな俺の期待は淡く砕け散り、クリスのギアがさらに変形し、腰のユニットからミサイルが現れた。

 

「ミサイル!?」

 

「シャレになってないぞ、全身武器か!?」

 

ミサイルの標準をこちらに構える、まさかあれをぶっ放す気か!?

 

「くっ!? 俺の後ろに居ろ!」

 

「は、はいっ!」

 

響を後ろに下げ装填されているキーを取り出し見たことのないキーを取り出す。

 

「こうなったら頼むぞ!」

 

ピーアス!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

チャージライズ! フルチャージ!

 

チャージさせ構えると、周りに細長い牙の矢が大量に出現する。

 

そして俺とクリスは同時にお互いの一撃を放った。

 

 

CUT IN CUT OUT

 

 

 

ピアッシングカバンストライク!

 

お互いの放ったミサイルと牙の矢がぶつかり合い、大爆発を起こした。

 

爆風と爆炎で前が見えない中、爆炎を抜けて一発のミサイルが飛んできた。

 

「打ち逃した!?」

 

「真さん、危ない!」

 

ミサイルが俺に直撃する直前に、上空から巨大な何かが顔面すれすれに落ちてきてミサイルを防いでくれる。

 

煙が晴れると、目の前に壁があった。

 

「壁・・・? いや、これは」

 

「左様。壁にあらず、剣だ」

 

上を向くと、そこには巨大な剣に乗った翼さんがいた。

 

「翼さん!」

 

「遅いっての・・・というか顔面すれすれじゃねえか!もう少しで顔が削れてたぞ!?」

 

「済まない、敵の攻撃を防ぐために手荒な真似をしてしまった」

 

翼さんは謝罪しながら剣から降りて、クリスに向かい合う。

 

「ちっ、増援か」

 

「翼さん、気を付けて。あのギアボウガンやガトリングの遠距離攻撃が主体みたいだ」

 

「ああ、心得た。・・・ここまでよく頑張ってくれた、二人とも」

 

翼さんは剣を構えてクリスに向かって駆け抜ける。

 

「あんた一人で私を倒せるかよ!」

 

両手のガトリングを連射してくるが、翼さんは機敏な動きで回避したり銃弾を切り落としたりする。

 

「凄い!あの攻撃を」

 

「やっぱあの人の血筋だわ・・・普通切り落とすかガトリングを」

 

次にクリスは腰のユニットを展開する。

 

「翼さん!ミサイルが来ます!」

 

「ああっ、承知だ!」

 

ミサイルの発射と共に、空から降ってきた複数の剣がミサイルを貫いた。

 

 

千ノ落涙

 

 

またも爆炎で辺りが見えなくなり、晴れると翼さんがクリスの後ろに立っておりその首に剣を構えていた。

 

「マジかよ・・・!いつの間にあたしの後ろに」

 

「翼さん、その子は倒さないでください!」

 

「わかっている、我々も彼女に聞きたいことがあるからな」

 

「ちっ・・・摑まるかよ!」

 

クリスはガトリングを振り上げ剣を弾き、翼さんから距離を取った。

 

翼さんとクリスが離れ互いに相手の動きを見張る、俺も響もその光景に言葉が詰まる。

 

静寂に包まれた空間、だが俺は上空から何かが降ってくる音に気づき上を向くと、複数のノイズがクリスに向かってきていた。

 

「っ! 危ねえ!!」

 

俺は飛び出しクリスの元へ向かい、クリスを抱えそこから離れると先ほどの場所に飛行型のノイズが突き刺さる。

 

「ノイズ! だがなぜ彼女を?」

 

「!? 翼さん、真さん、上!」

 

響の声に俺たちは上を向くと、先ほどよりも大量のノイズが空を舞っていた。

 

「なっ、いつの間にあんなに!」

 

翼さんが驚いていた時・・・。

 

「・・・命じたこともできないなんて、貴方はどこまで私を失望させるのかしら?」

 

明らかにここにいるものじゃない第三者の声に俺たちが辺りを見回すと、海岸の方に黒いコートに黒い帽子、金の長髪の女性がいた。

 

その手には前にクリスが手にしていたノイズを生み出す杖が握られていた。

 

その人物を見てクリスが呟いた。

 

「フィーネ・・・!」

 

「フィーネ? あいつの名前か」

 

俺たちの視線がフィーネと呼ばれる女性に向けられる。

 

そんな中、クリスは自身を抱えている俺から無理やり離れる。

 

「こんな奴らがいなくたって私一人で戦争の火種を消してやる!そうすればあんたの言う通り人類は呪いから解き放たれ、バラバラになった世界は元に戻せるんだろ!」

 

クリスが叫ぶと、フィーネは大きくため息をついた。

 

「はぁ・・・。クリス、もうあなたに用はないわ」

 

フィーネはそう言い杖をかざすと、上空のノイズが降ってきた。

 

俺たちがノイズの攻撃を回避していると、フィーネはその姿を消した。

 

「っ! 待てよ、フィーネ!」

 

クリスは消えたフィーネを追いかけその場から離れた。

 

「クリス!」 「クリスちゃん!」

 

「二人とも、あの二人については後だ!今は上空のノイズを!」

 

翼さんは再び『千ノ落涙』を放ち上空のノイズを撃退する。

 

俺たちも追いかけるのをやめ、上空のノイズの撃退に専念する。

 

 

 

上空のノイズを全て撃退した後、俺は海岸の方を見る。

 

クリスがフィーネと呼んだ女性、彼女は一体・・・。

 

一つの謎を残し、俺たちの戦いが終わった。




よし後書きの時間だ!そして今回はオリジナルプログライズキーが登場したぞ!
「今回出したのは幽姫兎さんが考えてくれた『ピアッシングナーファルプログライズキー』 ナーファルというイッカクの生き物のデータが入ってるぞ」
今回はアタッシュで出したけどいつかちゃんと変身させたいです。
さて、まだ一期が終わってない作品ですが、これからもよろしくお願いします!じゃあそろそろ〆るか。

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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特別回:立花 響の誕生日

今日は響の誕生日でもある、さあ祝え野郎共!
「見るな響、見たら馬鹿が移るぞ」
「えっ? え~っと…」
やめて!?二人そろって憐みの視線はやめて!
「今回は響の誕生日ということで特別回」
「このお話は真さんが二課に加入して、私がまだリディアンに入学してないときのお話です」
それでは特別回、どうぞ。


「う~ん、何にしようか・・・」

 

俺は今、街中をぶらつきながら店内を物色している。

 

もうすぐ響の誕生日だから何かプレゼントを上げようと考えているのだが・・・今どきの女の子がもらってうれしいものがよくわからない。

 

とりあえずアクセサリーショップや小物店に寄っているが、これといったものが思いつかない。(汗

 

「よくよく考えたら俺女子にプレゼントすることってほとんどなかったな」

 

前世ではあまり女子と接点なかったし、プレゼント送った異性と言ったら母さんぐらいしか思いつかなかった。

 

「・・・やっぱ頼るしかないか」

 

俺は徐にライズフォンを取り出し友人に電話をかける。

 

 

 

 

 

「いきなり呼んで悪いな未来」

 

「大丈夫ですよ、ちょうど私も響のプレゼントを考えてましたから」

 

一人じゃ決めれないので俺の友人であり響の幼馴染である未来を呼んで二人でプレゼントを決めている。

 

「ところでお金の方は大丈夫ですか?」

 

「ああ大丈夫そっちの方は余裕があるから」

 

資金については二課での給料が予想よりあるからマジで余裕だ。

 

「さて、それじゃプレゼント探しに行きますか」

 

「はい、まずは洋服店から行きましょうか」

 

 

 

 

 

 

一時間ぐらいかけ買い物を終えた俺たちは近くのファミレスにいた。

 

「いや~やっといいのが決めれたよ。ありがとな」

 

「いえいえ、私の方こそごちそうしてもらってありがとうございます」

 

「一緒にプレゼントを選んでくれたお礼さ、未来こそ響へのプレゼント決めたんだろ」

 

「はい、ピッタリのが見つかりました」

 

「そうかそうか、それはよかった」

 

そのままお互い注文した料理を食べながら最近の出来事を話した。

 

「それで響、迷子のお母さんを探すために一時間遅刻してきたんですよ」

 

「ああ~、響らしいな。人助けして時間忘れるの」

 

「そうなんです、私がどれだけ心配と思いますか?」

 

「まあまあ、響の人助けは今に始まったことじゃないし大目に見てやろうぜ」

 

「それはそうですけど・・・」

 

「けど流石に連絡位は入れておかないとな」

 

「そうですよね・・・というか真さん大分注文してますよね?」

 

「そうか?」

 

今俺の前には注文したパフェとパンケーキとコーヒーといろんな甘味が揃っている。

 

「いやーメニューに新商品って書いてあるから気になって」

 

「・・・真さんって男性みたいな雰囲気してますけどそういうところは女の子みたいですね」

 

おい女の子見たいって言わないでくれよ。俺はただ甘いものが好きなだけだ。

 

さらに加えるなら仕事の疲れをとるために糖分が必要なんだ。

 

ということを胸に秘めながら料理を食べた…。

 

 

 

 

 

・・・そして九月十三日。

 

「「響、誕生日おめでとう!」」

 

「わあっ! 二人共ありがとう!」

 

俺たちは俺の家で響の誕生日パーティーを開いた。

 

「はい響、私からのプレゼント」

 

「ありがとう未来!何かな~?」

 

響がプレゼントの封を開けると、中には黄色いひよこが刺繍されたハンカチが入っていた。

 

「ひよこのハンカチだ、可愛い!」

 

「うん、響にぴったりかなって思って」

 

「嬉しいよ、ありがとう未来!」

 

「さて、次は俺だな・・・ほい、プレゼント」

 

俺は未来より小さい包みを取り出す。

 

「真さんもありがとうございます!こっちは何なんだろう?」

 

響が封を開けると、中には白い花の髪飾りが入っていた。

 

「真さん、この花って」

 

「タマスダレっていって、響の誕生日と同じこの日の誕生花なんだ」

 

俺が最初に行った所とは違うアクセサリーショップで店員さんがおすすめしてくれた髪飾りで、響と同じ誕生花と聞いてこれだっ!と思った。

 

「私と同じ・・・ありがとうございます!私、大切にします」

 

「おう、喜んでくれて何よりだ」

 

俺たちのプレゼントを手に笑顔の響。

 

改めて、ハッピーバースデー響。




というわけで特別回終わり!
「改めて誕生日おめでとう響」
「ありがとうございます真さん!」
いやーもう響の誕生日か、月日が流れるのは早いな~。
「早い割には投稿頻度はあれですけどね」
こ…これから頑張ります…。
「よろしい、それじゃそろそろ〆ますか」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」

そして~~。

『ハッピーバースディ! 響!!』


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暗い陽だまり

「・・・・・・」(怒
・・・・・・えっと(冷や汗
「2020年 9月13日、これが何の日かわかるか?」
・・・立花響の誕生日。
「そうだな、それでもう一つある・・・それは何だ?」
えっと・・・何でしょう?
「前回の作品投稿日だろが!!」
はいすいませんでした!!(土下座
「お前一ヶ月とついに新記録更新したな!?」
あっなんか新記録記念品とかありますか?
「おうそうだな記念に俺の蹴りをプレゼントしてやろうか?」
本当にすいませんでした!!ネタが全然思いつきませんでした!!

「えっと・・・真さんがあんな状態なので第十八話どうぞ」


「第二号聖遺物イチイバルか・・・」

 

クリスとの戦いの後、現場は二課の職員に頼んで俺は一人外をぶらついていた。

 

新しい聖遺物やクリスのこともあるが、俺は今一番に考えていることがある。

 

「まさか未来にばれるとはな・・・」

 

戦いの後、未来に秘密にしていたことがばれ、響は未来と少し険悪な雰囲気になっている。

 

「・・・こんな時なんて言えばいいんだ?」

 

俺が町を歩いていると雨が降ってきたので傘を差す。

 

「・・・こういう時は一人静かに考えるのがいいな」

 

街を歩きながら二人を仲直りさせる方法を考えていると、前から人が来た。

 

「真さん?」

 

現状一番会ってはいけない人物、未来だった。

 

「・・・恨むぞ神」

 

俺はとてつもない小声で神を恨んだ。

 

「「・・・・・・」」

 

俺と未来はお互い何も言わず一歩も動いていない。

 

(気まずい・・・こんな時なんて言えばいいんだ!? 助けてくれ奏!翼さん!)

 

俺が何を言うべきなのか試行錯誤していると、近くの路地裏から大きな音がした。

 

俺と未来が驚き路地裏を見ると、人が倒れていた。

 

「っ! 大丈夫ですか!」

 

「おいっ、大丈夫・・・!?」

 

俺たちが駆け寄ると、そこに倒れていたのは敵である雪音クリスだった。

 

だが彼女はぐったりしていて気絶している。

 

「未来、ここじゃ彼女の体が冷えちまう。 早く雨を凌げる場所に運ぶぞ!」

 

「は、はい!」

 

なぜ彼女がここにいるのか考える前に、俺はクリスを担ぎ、未来と共に雨風を凌げる場所に運んだ。

 

 

 

 

 

俺たちは響たちが良く寄っているお好み焼き屋に駆け寄り、未来がおばさんに訳を話し、二階を借りさせてもらった。

 

「ふう・・・これで一安心だな」

 

俺は未来に敷いてもらった布団にクリスを寝かせ安堵の息をつく。

 

「おばちゃんにタオル貰ってきた。流石に体が濡れたままじゃ寒いかなと思って」

 

タオルを持ってきた未来はそのままクリスに近づき、服に手をかける・・・って!?

 

「じゃ、じゃあおばさんに温かいものを貰ってくるわ!!」

 

「えっ?は、はい。お願いします」

 

俺は急いで部屋から出て下に降りる。

 

・・・忘れがちだけど体は女でも中身は男だからあそこに居合わせちゃだめだ、絶対に。

 

俺はおばさんに温まるものを頼んでしばらく下で待った。

 

 

 

 

 

暫くすると未来がクリスの服を洗濯しに降り、そのあと未来と共に二階に上がり部屋に入るとクリスは布団で寝ていた。

 

「何とかなってよかったね」

 

「ああ、そうだな・・・」

 

「「・・・・・・」」

 

しばらく沈黙した後、未来から口を開いた。

 

「真さん、聞きたいことがあるんですけどいいですか」

 

「・・・ああ、いいぞ」

 

「あの時、響と一緒に森に行ったあの人って真さんですか?」

 

「っ!?」

 

嘘だろバレた!? ちゃんと変身してたぞ!

 

「あの時私に忠告したとき、私の名前を言ったからもしかしてって・・・」

 

・・・バレたの俺のせいか。 このまま秘密にするのも流石にあれだし・・・仕方ないか。

 

「ああ、未来の予想通りだ」

 

「じゃあ響の事も」

 

「・・・ああ」

 

その後俺は二課の件、そして俺と響がノイズと戦っていることを未来に伝えた。

 

弦十郎さんには秘密といわれたが、このまま黙っているのは心が痛む。

 

「・・・そうだったんですね」

 

未来は俺の言葉を聞き、顔を伏せた。

 

・・・よし、謝ろう。 土下座してでも謝ろう。

 

「真さん・・・って何で土下座してるんですか!?」

 

「いや、秘密にしていてほんっとうにすみませんでした」

 

「土下座までしなくても…とりあえず頭を上げてください!」

 

未来に言われて俺は土下座をやめた。

 

「たまにですけど真さんの行動には驚かされます」

 

「いやほんとすまない」

 

「・・・それで響の事なんですけど、私と響が喧嘩してることは知ってますよね?」

 

「えっ、喧嘩まで発展してるの?マジで」

 

「知らなかったんですか」

 

「いや…あの一件の後、家でなんて謝ろうか考えてて気づかなかった」

 

「はあ…それで話は戻しますけど、喧嘩といっても私が一方的に響と疎遠になっているんです・・・けど今さっき真さんが事情を教えてくれたので響にどう謝ろうかと思ってて」

 

マジか…未来も同じことを考えていたのか。

 

「だけど、こんな状況で響になんていえばいいのか分からなくて・・・」

 

「ん~まあ事情が事情だからな…けど、やっぱり正直に謝った方がいいと思うな、さっきの俺みたいに」

 

「土下座しないといけないほどですか!?」

 

「よしっ一旦土下座は忘れよう! まあ未来に比べて俺は響との付き合いは短いけど、ちゃんと素直に謝ればきっと響も許してくれると思うよ?」

 

「・・・素直に謝る」

 

「ああ、俺も前に友達と喧嘩したことがあってな。 そいつとは疎遠の状態になってたんだよ」

 

「真さんが喧嘩? あまり想像しないです」

 

俺が転生する前、友達と些細なことで喧嘩してしばらく疎遠状態になって…それでやっぱり俺が悪かったと思い友達の家に向かってそいつにちゃんと謝った。

 

『ごめん!俺が悪かった!』

 

そしたらあいつ、ばつが悪そうな顔して。

 

『・・・俺の方こそ、悪かった』

 

「・・・それでそいつとは仲直りしたんだ」

 

「そうだったんですか…」

 

「だから、ちゃんと謝れば思いは通じる。 喧嘩経験のある俺からのアドバイスだ」

 

俺はそう言って自分の胸を叩いた。

 

「喧嘩経験って何なんですか・・・フフッ」

 

未来は呆れるが、少し笑う。

 

「ありがとうございます真さん、私響にあったらちゃんと謝ります」

 

そういった未来の顔は先ほどと比べて明るくなった。

 

「そうか、頑張れよ」

 

「はい!」

 

これで二人の仲が良くなればいいなと思っていると。

 

「・・・んんっ」

 

「あっ彼女起きそうですよ」

 

・・・どうやら俺にとってこれからもう一波乱ありそうだな。




「では後書きの時間です、真さんお説教は終わりました?」
「ああ、すまなかったな未来」
スイマセンスイマセンスイマセン・・・。
「うわぁ…」
「それでこの時間に言うことなんだけどな、この作品のタイトル言ってみてくれ」
「えっ?はい…確か、『ゼロワンだけど何故かTSってシンフォギアの世界に転生した(元)男』でしたよね?」
「・・・長すぎねタイトル?正直言ってこんだけ長いとタイトル忘れるわ」
「そうですか?」
「だからちょっとこの作品の新しいタイトルを考えようと思ってさ」
「新しいタイトルをですか?」
「そう、とりあえず次回投稿するときにタイトルを変えようと思ってな。今より短い奴に」
「なるほど、わかりました」
「よし、それじゃそろそろ〆るか。未来、二人で〆るぞ」
「はい」

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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クリスの過去


「やっと十九話か、長かったな未来・・・」
「そうですね・・・それで真さん、この作品の新しいタイトルって決まったんですか?」
「ああ、作者!発表してくれ!」
了解、この作品の新しいタイトルは・・・これだ!


『戦姫転生 ゼロフォギア』


戦姫転生ゼロフォギアだ!
「「おお~!」」
「そんなわけで改めて、ゼロフォギア第十九話、どうぞ!」


「・・・ん。こ・・・ここ・・・は」

 

倒れていたクリスが目を覚まし周りを見る。

 

「確かあたし、倒れていて・・・それで・・・」

 

「大丈夫?」

 

クリスは未来と目が合うと同時に、未来の隣にいた俺と目が合う。

 

「よっ、お目覚めか?」

 

「・・・!? お前っ!」

 

クリスは驚いて布団から起き上がる。

 

「未来に礼言っとけよ、雨の中お前をここまで運んでくれたんだからな。 それとお前に危害を加えるつもりはない」

 

「真さんも運ぶのを手伝ってくれたんです・・・って知り合い何ですか?」

 

「あ~、まあ顔見知りだ」

 

流石にあの時車を吹き飛ばした犯人ということは伏せておこう…。

 

「・・・何で」

 

「ん?」

 

「何であたしを助けたんだ。あたしたちは敵だろ?」

 

「ん~考えるより先に身体が動いたから」

 

「はあ!?なんだそりゃ」

 

クリスが突っ込むと、扉が開いておばさんがクリスの服と料理を乗せた皿を持ってやってきた。

 

「あら、その子目が覚めたのね。 その子の服洗濯が終わったからすぐ畳んで持ってくるね」

 

「あっ、おばちゃん私も手伝うよ」

 

「ありがとう未来ちゃん、料理下に置いてるから持って行っていいよ」

 

おばさんはそのまま部屋を出て未来はおばさんについて行ってくれた。

 

「ああ、お前の服濡れていたから未来が洗濯してくれたぞ」

 

「そうだったのか、すまなかったな・・・ところであいつは」

 

「あの子は小日向未来、ただの一般人だ」

 

「そうか・・・」

 

そのあと、未来が料理と服と共に上がってきて少しした後にクリスの方から話し始めた。

 

「・・・おまえら何も聞かないんだな、特におまえ」

 

聞かないっていうのは、大方何があってあそこに倒れていたのかってところか?

 

「まあな、あの時のことを考えて大体予想がつく」

 

あの時クリスはフィーネと呼ばれる女性に用はないと言われていたからな。

 

「・・・そうか、お前は?」

 

クリスは未来にも聞いた。

 

「うん。・・・私はそう言うの苦手みたい。 今までの関係を壊したくなくて、なのに、一番大切なものを壊してしまった」

 

「それって、誰かと喧嘩したってことなのか?・・・私にはよくわからないな」

 

「そうなのか、友達とあんま喧嘩したことないのか?」

 

「・・・あたし、友達いないんだ」

 

その一言に少し静かになる。

 

「・・・地球の裏側でパパとママを殺されたあたしは、ずっと一人で生きてきたからな。友達どころじゃなかったんだ」

 

「そんな・・・」

 

「たった一人理解してくれると思った人も、あたしを道具のように扱うばかりだった」

 

クリスの言葉に俺は口を開かなかった。

 

「・・・大人はどいつもこいつもクズ揃いだ!痛いと言っても聞いてくれなかった。やめてと言っても聞いてくれなかった。アタシの話なんて、これっぽっちも聞いてくれなかった・・・!」

 

「・・・そうだったのか」

 

「・・・なあ、その喧嘩の相手、ぶっ飛ばしちまいな。どっちが強いのかはっきりさせたらそこで終了。とっとと仲直り、そうだろ?」

 

「えっ! できないよ、そんなこと」

 

「ああ、というか考えが女子の思いつく事じゃねえぞ?」

 

それ多分、ドラマとかの不良同士の奴だと思う…。

 

「・・・でもありがとう、気遣ってくれて。あ、えっと・・・」

 

「・・・クリス、雪音クリスだ」

 

「おや?そこは素直に名乗ってくれるのか」

 

「・・・うるせえ」

 

「優しいんだね、クリスは。私は小日向未来。もしもクリスがいいのなら・・・」

 

そういって未来はクリスの手を握る。

 

「あっ・・・」

 

「・・・私は、クリスの友達になりたい」

 

未来のその言葉に、クリスは驚くが、すぐに顔が暗くなる。

 

「・・・あたしは、お前たちにひどいことをしたんだぞ」

 

「・・・えっ?」

 

クリスから言い出すのか。 俺はどういう意味なのか未来に説明しようとすると、外からアラートが鳴り響く。

 

「なんだっ!この音っ!?」

 

ノイズの出現アラート! こんな時に…。

 

「未来、クリス、外に出るぞ!」

 

俺たちは急いで店から出ていく、外では人々が慌てて逃げている。

 

「おいっ、一体何の騒ぎだ?」

 

「ノイズが現れた時の警告警報だ。二人は早く逃げるんだ!」

 

くそっ、一人で考えるためにライズフォン置いてきたのが仇になっちまった!

 

俺は急いでノイズの発生したであろう場所へ向かった。





さあ後書きの時間だ!
「それで今回は新しいタイトルの由来を聞きたいな」
ほい了解。新しいタイトルの由来ですが、最初はTS、ゼロワン、シンフォギアの三つのワードが入ったタイトルがいいなと思い、考え抜いてこのタイトルにしました。

戦姫転生は男から女に転生して戦うという意味、ゼロフォギアはゼロワンのゼロとシンフォギアのフォギアを合わせました。

「作者にしては良いタイトルだな、気に入った」
「そうですね、私も気に入りました」
そうだろそうだろ、というわけで読者の皆さん、これからはタイトルを改め戦姫転生ゼロフォギアをどうぞよろしくお願いします!
「それじゃあそろそろ〆るか」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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繋がる手

とうとう第二十話! ここまで長かった!
「やっとここまで来たんだな、長かった…」
「そうですね、真さん」
そしてやっと、やぁ~っとこの小説でやりたかったことができた!
「やりたかったこと?」
まあそれは小説内で、それでは第二十話どうぞ!


皆が逃げてる方向とは逆方向に走っていると、前方にノイズを確認しドライバーを身に着けキーを取り出す。

 

ファング!

 

オーソライズ!

 

『バイティングシャークプログライズキー』をドライバーに認証させると、上空から『バイティングシャークライダモデル』が降ってくる。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

キリキリバイ!キリキリバイ!バイティングシャーク!

 

Fangs that can chomp through concrete.

 

俺はそのまま変身し、両腕の『アンリミデットチョッパー』でノイズを切り裂いていく。

 

「くそっ、今回も多いなこいつら!」

 

流石にこの数を一人で裁くのはきついか・・・そう考えた時、遠くから爆発音や銃撃音が混じって聞こえてきた。

 

その音に釣られるようにノイズたちは音の方へと向かって行った。

 

「今の音って・・・まさかクリスのギアか?」

 

まさかクリスがノイズと戦っているのか!? 俺は急いでクリスの元に行こうとすると。

 

「きゃーー!!」

 

クリスの方とは違う場所から悲鳴が聞こえる。

 

「っ! 逃げ遅れた人がまだ!?」

 

俺は急いで悲鳴の方へと駆け抜けた。

 

 

 

 

 

「声は此処から・・・」

 

私は声を聞きつけ、音源である廃ビルにまで駆け寄り、急いで救助に向かった。

 

中は薄暗く、所々がボロボロだった。

 

「誰か!誰か今・・・」

 

私が呼びかけようとすると、突然上からノイズが襲ってきてすぐに階段から飛び降りる。

 

上を見ると、攻撃してきた大型のノイズの他に複数のノイズが天井にいた。

 

「・・・っ!?」

 

私が口を開こうとすると、その方を向くと、そこには未来と倒れているふらわーのおばさんがいた。

 

未来は喋らないでとジェスチャーし私から手を離すと、携帯を取り出し何かを打ち込み私に見せてくる。

 

『静かに、あれは大きな音に反応するみたい』

 

大きな音、さっき私が叫んだからノイズは攻撃を。

 

『あれに追いかけられて、ふらわーのおばちゃんとここに逃げ込んだの』

 

そうだったんだ…けどどうしよう、シンフォギアを纏おうと歌を歌ったら未来とおばちゃんが危ない…!

 

私が考えていると、未来が撃った文字を見せてきた。

 

『響聞いて、私が囮になってノイズの気を引くから、その間におばちゃんを助けて』

 

未来が囮に!? 私は慌てて携帯を取り出し文字を打ち込んで未来に見せる。

 

『ダメだよ! そんなこと未来にはさせられない!』

 

『元陸上部の逃げ足だから何とかなる』

 

私は未来を説得しようとするけど、いきなり天井が崩れてその破片が私たちの近くに落ちてきた。

 

「「!!」」

 

私と未来がその音に反応したと同時に、天井の数体のノイズが一斉に降ってきた!

 

駄目、間に合わない!

 

私は未来を抱きしめ、目を瞑る・・・!

 

 

フレイミングカバンショット!

 

 

聞き覚えのある声に目を開けると、降ってきたノイズが全て炎で焼き尽くされていた。

 

声の方を向くと、そこには・・・!

 

「間に合ったみたいだな」

 

「・・・真さん」

 

真さんが来てくれた。

 

天井のノイズは大きな音を出した真さんの方に注目した。

 

「っ!真さん、そのノイズは大きな音に反応します!」

 

ノイズは大声を出した私の方を向く前に、真さんが手にしている銃を上空に撃って大きな音を出す。

 

「忠告ありがとな響!ノイズは俺が引き付ける!その間に未来とおばさんを頼む!」

 

真さんはわざと大きな声を出してノイズを意識を自分に向けさせていた。

 

「さあこっちだノイズ共!」

 

真さんは大声を出しながら外に出るとノイズの群れは真さんを追いかけて行った。

 

「・・・未来!私たちはおばちゃんを安全な場所に」

 

「うん!」

 

私と未来は急いでおばちゃんを担いで廃ビルから脱出する。

 

脱出すると、緒川さんが車で駆けつけてくれた。

 

「緒川さん、おばちゃんと未来を!」

 

「わかりました」

 

「待って響!」

 

私は緒川さんに未来とおばちゃんを頼んで真さんの元に向かおうとすると、未来に呼び止められる。

 

「未来?」

 

「響、ごめんなさい!」

 

未来の方を向くと、未来は私に謝った。

 

「えっ、未来?」

 

「・・・真さんから聞いたの、響が何をしていたのかも、何で秘密にしていたのかも」

 

未来の言葉に私は驚いた。 真さんが未来に話したことに。

 

「私、響の事情も知らないで・・・響にひどいことをして、本当にごめんなさい!」

 

「・・・未来、私の方こそごめんね。未来に何も言わなくて」

 

私の言葉に未来は頭を上げて私を見る。

 

「皆を・・・未来を守りたいために頑張って、けど未来に未来に何も言わないで、苦しめて本当にごめん」

 

今度は私が未来に対して謝った。

 

「響・・・」

 

私は頭を上げて、未来と顔を合わせる。

 

「だから、もう未来を悲しませない。 私は未来の、みんなの笑顔を守りたい」

 

「・・・うん、わかった」

 

未来は私に微笑む。

 

「緒川さん、お願いします」

 

「はい、響さんも気を付けてください」

 

緒川さんは未来とおばちゃんを車に乗せる。

 

「響、気を付けてね」

 

「うん」

 

未来達を乗せた車が走り出すと同時に私は真さんの元に向かう。

 

私は二回も真さんに助けられた…だから、今度は私が真さんを助けるんだ!

 

私はそのまま、真さんの元へ駆け出した。

 

 

 

 

 

「くそ、切っても切っても伸びてきやがる!」

 

ノイズを響たちから離して戦っているが、大型のノイズが伸ばしてくる触手が邪魔でうまく近づけない。

 

というかさっきよりノイズの数が増えてる感じがする、クリスの方へ行かなかったノイズがこっちに集まってるのか!?

 

「やっぱここは一気に懐に…『お母さーん、どこー!』っ!?」

 

俺はノイズの懐に入るために突撃しようとした時、子供の声が聞こえ辺りを見ると建物から子供が出てくるのが見えた。

 

何でこんなところに子供が!?と思った時、ノイズがその子供の方を向き攻撃態勢に入る。

 

「っ! 危ない!」

 

俺はノイズの攻撃と同時に子供の元に向かい攻撃が届く前に子供を庇うが、そのままノイズの攻撃が自分に直撃する。

 

俺はそのまま子供を抱えたまま吹き飛び倒れ、その衝撃で変身が解けてしまう。

 

「があっ・・・くそ、大丈夫か?」

 

子供の無事を確認すると、子供は頷いて答えてくれた時にノイズの群れが再び攻撃を仕掛ける。

 

変身する暇がなくやばいと感じた瞬間。

 

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

 

後ろから聞き覚えのある歌声が聞こえると後ろから風が吹き、目の前のノイズが吹き飛んだ。

 

「真さん!大丈夫ですか!」

 

「・・・ああ、助かったぜ響」

 

目の前にいたのは、ギアを纏った響がいた。

 

「未来とおばさんは?」

 

「緒川さんに後を任せました」

 

「そうか、そいつは『真さん、ありがとうございます』ん?」

 

「未来から聞きました、真さんが事情を説明してくれたことを」

 

「聞いたのか・・・未来とは仲直りできたか?」

 

「はい、そして未来と約束しました、私は未来やみんなの笑顔を守りたいって」

 

そういうと響は倒れている俺に手を差し出す。

 

「だから、みんなの笑顔を守るために力を貸してください、真さん」

 

「・・・何言ってんだ、そんなの当たり前だろ響」

 

俺が響の手を掴み立ち上がる・・・その時、響のガングニールと俺のゼロワンドライバーが突然輝きだした!

 

「えっ!?」

 

「これはっ!?」

 

ガングニールとドライバーの光が強まり光が重なった時、ドライバーから声が聞こえた。

 

『構築を開始します』

 

ロボットのような声と共に、重なった二つの光が一か所に集まり徐々に形を形成していく。

 

『構築が完了しました』

 

また聞こえた音声と共に光がやんだ時には、形成された光がキーとなって浮いていた。

 

「これって、真さんの持ってるやつと同じ?」

 

「けど、俺の知らないキーだ・・・」

 

俺がそのキーを手に取り確認すると、そのキーは響と同じ色で前面にはギアを纏った響の姿が描かれていた。

 

「・・・なんの奇跡だが偶然だがわからないが、使ってみるしかないな」

 

俺はそのキーを起動させる。

 

ブレイク!

 

オーソライズ!

 

ドライバーに認証させると、ドライバーからライダモデルが現れる、だがその姿はギアを纏った響の姿だった。

 

「私・・・?」

 

ライダモデルが響なことに驚くが、俺はそのままキーを展開し構える。

 

「変身!」

 

俺はそのまま、キーをドライバーに差し込んだ。

 

シンフォニックライズ!

 

響のライダモデルと拳をぶつけると、ライダモデルはアーマーになり、俺の体に身に着けられていく。

 

Dwelling in a fist! スマッシュガングニール!

 

Balwisyall Nescell gungnir tron.

 

変身を終えた俺の姿は今までのフォームとは違い、ガングニールを思わせるアーマーが身に着けられていた。




というわけで後書きの時間!やっと出せたわ自作のゼロワン!
「とうとう作者のオリジナルプログライズキー誕生か」
そう、その名も『スマッシュガングニールプログライズキー』!いやーようやく出せれた~!
「ところであの変身の時の英文ってなんて書いてるんですか?」
ああ、ネットの翻訳を使って書いたんだけど、『拳に宿りし撃槍』って意味だ。
「拳に宿りし撃槍・・・まさに響のガングニールだな」
「そうですね、でも何でできたんだろう?」
おおっと!そこから先の答えは物語が進んでからだ、それじゃあそろそろ〆ようか!
「はいはい」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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新たな力

お待たせしました第二十一話!
「今回は前回登場したスマッシュガングニールの活躍回か」
俺はこれが描きたくて小説を書き始めたんだ!
「おもいッきし作者の願望入りまくりの作品だな・・・」
さあさあそれじゃあさっそく行ってみようか!
「はいはい、それでは第二十一話どうぞ」


*少し内容を変えさせていただきます。
内容に出てくるツヴァイスピアをなかったことにいたします。急な変更申し訳ございません。


真が新しい力を手にした頃、二課では…。

 

「真さんからアウフヴァッヘン波形を感知! ですがこの波形・・・」

 

「間違いありません!ガングニールと一致します!」

 

「真がガングニールを・・・!」

 

真がガングニールを纏ったことに驚きを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「真さんが…ガングニールを」

 

俺がガングニールを纏ったことに響は驚いている、まあ俺も驚いているんだけどな。

 

顔を覆っていたマスクが無くなって体の方はゼロワンの面影が残っているが、今までのとは違う感じになっていた。

 

頭部だけではなく体にも響のガングニールと同じようなアーマーが装着しており、まさにガングニールとゼロワンが一つになったような姿だった。

 

「まったく・・・いったいどんな原理でできてんだこいつは」

 

けど、今までよりも強い力を確かに感じる。

 

「ちびっこ、ちょっと待っててくれよ。 今からあのノイズ達を倒してくるからな」

 

「う・・・うん!」

 

「よし、それじゃあ行くぜ響!」

 

「はい!」

 

俺は響と共に目の前のノイズの群れに突っ込んでいった。

 

 

『使用BGM 撃槍・ガングニール(響&真)』

 

 

「絶対に・・・離さないこの繋いだ手は」

 

胸の内から歌が浮かび、響達と同じように歌いながら戦っていると体の底から力が湧き上がってくる感覚があった。

 

これがシンフォギアの力なのか・・・確かに凄い力だ!

 

俺と響は交互に歌いながら、ノイズの群れを殴り飛ばし、蹴り飛ばしながら数を減らしていくと、ノイズが固まって俺の方に突撃してきた。

 

「真さん!」

 

その攻撃に気づき、俺はすかさず両手を合わせると、両腕に取り着けられていた『スマッシュプロテクター』が合体しその形を変え、一本の槍『スマッシュランス』に変わる。

 

「どおりゃあ!!」

 

俺はその槍を握り振り払うと、ノイズは吹き飛び消滅していった。

 

「アームドギア、真さん使えるんですか!」

 

「えっ・・・いや無意識でやったらなんかできた」

 

「無意識ですか!?」

 

「ああ、というかこの槍って奏のアームドギアに似てるな・・・」

 

確か、響のガングニールは奏のギアの破片で生まれたもの。その影響で奏のアームドギアに似たこの武器が生みだされたのか?

 

「まあなんにせよ、ちょうどいい武器だ。 力を貸してくれよ奏!」

 

俺は新たな武器と共にノイズを薙ぎ払っていく。

 

次々と襲ってくるノイズをスマッシュランスで切り裂き貫いていき、大型のノイズに接近する。

 

大型のノイズは触手を何本も伸ばしてくるが、俺はそれを全て切り落としていく。

 

その隙に他のノイズが攻撃を仕掛けようとするが、その前に響がノイズを殴り倒していく。

 

俺と響の二人でのノイズを倒していき、残すは大型の一体になった。

 

「ラスト一体、決めるぞ響!」

 

「はい、真さん!」

 

俺はスマッシュランスをスマッシュプロテクターに変え、ドライバーのキーを押し込む。

 

ガングニール!インパクト!

 

キーを押し込むと、左腕のプロテクターが、響は右腕のアームドギアのギミックが駆動していく。

 

俺と響はそのままノイズの突撃する。

 

「最速で!」

 

「最短で!」

 

「真っすぐに!」

 

俺たちは拳を振りかぶり・・・。

 

「「一直線に!」」

 

そのまま思いっきりノイズを殴りつけた。

 

 

ガングニールインパクト!

 

俺たちの渾身の一撃はそのまま大型のノイズを跡形もなく、消し飛ばした。 この技を名づけるなら。

 

 

我流・二重撃槍

 

 

大型を倒し辺りを確認すると、響の方に通信が入る。

 

「・・・はい、わかりました。 真さん、ノイズの反応が消えたようです」

 

「そうか」

 

俺はそのまま変身を解き、キーを見る。

 

あの時、響と手をつないだ時に俺のドライバーと響のギアが反応したみたいだった・・・あれは一体?

 

「それと、さっきの力について聞きたいようです」

 

「・・・俺が聞きたいぐらいだわ」

 

そのあと二課の人たちがやってきて、後処理を頼んで俺たちは二課へ向かった。

 

途中子供の母親が見つかりお礼を言われた。

 

 

 

 

 

「アウフヴァッヘン波形!?」

 

二課に戻った俺たちはみんなにあの疑似ガングニールについて説明していると、あの時俺からガングニールのアウフヴァッヘン波形が感知されたという。

 

「ああ、みんなに聞いたところ真君からガングニールと同じ波形を感知したらしい。 そして戦闘時真君が使っていたあの武器…」

 

「間違いなくアームドギアね、二人のガングニール奏者と同じギアを扱えるなんて、本当に気になる力ね」

 

「俺が一番驚いてますよ・・・」

 

「もしかしたらそのドライバーは、聖遺物の可能性があるかもしれないわね」

 

聖遺物か・・・そういえば転生したての頃、神からの手紙で『ある程度の改良』と書いてあったけど、もしかしてゼロワンを聖遺物にしたのか?

 

「とにかく、今回はよく頑張ってくれた。 今日は帰ってゆっくりしたまえ」

 

「はい、わかりました」

 

俺はそのまま弦十郎さんたちと別れて二課から出る途中、響と未来に出会った。

 

「「真さん、改めてありがとうございます!」」

 

「別に、俺は少し助言しただけさ」

 

俺は二人の間を通り抜けて立ち去る前に立ち止まる。

 

「・・・またいつか三人で見ようぜ、流れ星」

 

「っ! はい!」

 

俺は二人といつか流れ星を見ようと約束してその場を去った。

 

その約束を守るためにも、ノイズを何とかしないと思い、懐のガングニールのキーを取り出す。

 

「その時まで頼むぜ、ガングニール」

 

俺はそのままキーをしまい、家へ向かった。




後書きの時間だ!
「とりあえずスマッシュガングニールの簡単な説明をしといたらどうだ?」
そうだな、スマッシュガングニールは基本は近距離戦闘に特化したフォームだ。
「足技も使える反面、そのパンチ力はパンチングコングよりかは低いんだ」
そしてなんといっても一番の注目は両腕に取り付けられている『スマッシュプロテクター』だ。
「見た目は響の両腕の奴と同じ奴だが、その違いは二つのモードが備わっていることだ」
火力と近距離戦重視のプロテクターの他にリーチや遠距離戦に特化した『スマッシュランス』の二つに切り替えれるわけだ。
「以上、これが簡単なスマッシュガングニールの説明だ」
それじゃあそろそろ〆るか。
「あいよ」

「「それでは次回もお楽しみに!」」

「ところでなんで必殺技の時スマッシュじゃなくてガングニールの方なんだ?」
その方がかっこいいから。


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真とクリス

よっし第二十二話だ!
「いよいよアニメ一期も後半だな」
そうだな、この調子で頑張るぞ!
「・・・おい、何であたしが呼ばれたんだ?」
なんとなく。
「はあ・・・起こる気が失せた」
「諦めろクリス、俺はもう諦めた」
「・・・苦労してんだな」
「まあな、それじゃあ第二十二話スタート」


俺は今日、響と共に未来に二課を案内しようと三人で行く・・・はずだったのだが。

 

「まさか、弦十郎さん直々に頼まれるとはな・・・」

 

今俺は雨の中、傘とコンビニ袋を片手にとある場所に向かっていた。

 

 

 

『真君、突然の連絡済まない。実は君に行ってきてほしい場所があるんだ』

 

『俺にですか?まあいいですけど』

 

『ありがとう、それでできれば向かう途中ある程度の食料も買って行ってくれないか?』

 

『えっ何? 野良猫の群生地にでも向かわせるんですか?』

 

『そうではない、とにかく頼んだぞ。 場所は・・・』

 

 

 

というわけで弦十郎さんに指定された場所に向かうと、廃マンションについた。

 

「えっと…○○○号室は」

 

俺が言われた部屋へたどり着き、扉に手をかけ中に入る。

 

しかし何でこんなところに・・・マジで猫でもいるのか?

 

と考えていると奥の方から物音が聞こえた。

 

俺はいつでもドライバーを出せるようにキーを握って、注意しながら奥へと進んでいき居間に入ると、見覚えのある少女がいた。

 

「あれ?クリス」

 

「お前は…何でここにいるんだよ!」

 

「いやそれはこっちのセリフなんだけど・・・」

 

俺たちが顔を見合わせていると、クリスのお腹が鳴った。

 

「~っ ///」

 

「えっと・・・とりあえず食べるか?」

 

俺はなったお腹を隠し顔を赤くするクリスに先ほど買った食料を差し出した。

 

 

 

クリスは俺が買ってきたあんパンを離れた場所で食べている。

 

「しかし、お前がこんなところにいたとはな。 弦十郎さんこのこと知ってたのか?」

 

「あいつのことか?」

 

「えっ知ってんのか」

 

「あの時、お前とあいつに出会った後にそいつと合った」

 

俺と出会った・・・もしかして未来とクリスを見つけたあの日か?

 

「俺と別れた後に弦十郎さんと合ったのか?」

 

「ああ、あいつノイズの攻撃を地面のアスファルト持ち上げて防いだからな。いやでも印象に残る」

 

「それは納得、あの人変身した俺の攻撃を涼しい顔で受け止めやがる」

 

「・・・あいつ本当に人間か?」

 

「多分サイボーグかなんかだろあの人」

 

じゃなきゃ納得いかねえ、あのトンデモ超人は。

 

「「・・・」」

 

しばらく俺たちは静かになる。

 

「・・・なあ、クリスは両親を亡くしたんだよな」

 

「・・・だから何だよ」

 

「俺も似たようなもんだ」

 

「はっ?」

 

クリスは俺の方を向く。

 

「二年前、俺も家族を失った。二度と会うこともできない」

 

「・・・」

 

「その時はいろんなことが起きまくって悲しむ暇なんてなかったんだけどな」

 

コンビニ帰りに突然事故にあって目を覚ましたら変な場所にいて、駄目神に転生されて女になって次の日にあの事件が起きて本当悲しむ暇がなかったな。

 

「・・・辛くなかったのか」

 

「んっ?」

 

「家族を失って、一人だったのに辛くなかったのか」

 

「・・・まあつらいと考えたことは少しだけあったかな」

 

「ならっ…!」

 

「でも、それをその考えを無くしてくれた人たちがいた」

 

「っ!」

 

「響や未来、翼さんや奏、弦十郎さんに二課のみんながいてくれたから俺は乗り越えられた」

 

「・・・はっ、やっぱりあたしとは違うな」

 

クリスは

 

「あたしにはそんな立派な友達も理解者もいやしねえ」

 

「何言ってんだ、友達ならいるだろ」

 

「はっ、そんなのいるわけ」

 

「いるだろ、目の前に友達候補が」

 

俺がそう言うとクリスは俺の方を見て、驚く。

 

「はぁ!? 何言ってんだ、あたしたちは敵同士だろ!」

 

「けどお前、フィーネとかいう奴から離れてるんだろ?なら敵じゃねえよ」

 

「けど、あたしはお前の仲間を!」

 

「響も翼さんも未来も無事だし問題ないだろ」

 

「け、けど・・・」

 

「俺はクリスと友人になりたい、同じ親を失った者同士として」

 

俺はスッと立ち上がりクリスの方を向く。

 

「それに何より、俺はそんな悲しそうな顔をしたクリスを助けたい」

 

俺の言葉にクリスは下を向き自身の手を強く握る。

 

「・・・まあすぐに答えを出さなくてもいいさ、何時か答えを聞かせてくれ、それじゃあそろそろ帰るな」

 

俺はそのまま入り口から外に出る、外はいつの間にか晴れていた。

 

「そうそう、未来の件も考えといてくれよ、あいついい奴だからさ」

 

一言告げてそのまま帰った。

 

 

 

「なんなんだよあいつ・・・あのバカみたいなこと言いやがって」

 

あたしは床に座って二人の言葉を思い出す。

 

『・・・私は、クリスの友達になりたい』

 

『俺はクリスと友人になりたい』

 

「あたしは・・・」

 

静かな部屋の中であたしは一人悩み続けた。




さあ後書きの時間だ!
「今回は俺とクリス中心だな」
まあタイトルがタイトルだしな。
「というか小説内の俺が言ってることってあってるのか?」
大体あってるでしょ、家族を失ってるけど死んでるとは言ってませんが。
「お前本当に凄い目に合ってるんだな」
「まあ殆どはあの駄目神とこの作者のせいだがな」
てへっ☆
「よし撃つか」
「手伝うぜクリス」
ゴメンナサイ。
「ったく、おいさっさと〆るぞ」
「あいよ」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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特別回2:小日向未来の誕生日


さあさあ来たぞ特別回その2、未来の誕生日会だ!
「わーい!!」
「こうして考えると、響の誕生日からもう二ヶ月近くたったのか」
「そうですね、時が流れるのが早いですね」
ちなみに、このお話は前の響の誕生日の二か月後の話だ、それでは特別回2、どうぞ!




「真さんお願いします! 未来の誕生日プレゼント一緒に探してください!」

 

「いきなりだな響、そういえばもうすぐ未来の誕生日だったな」

 

俺は今、響に公園に来てくださいと頼まれ来てみるといきなり響が頼み込んできた。

 

「そうなんです、未来のプレゼントを見つけようと思って、それで真さんの力を貸してもらいたくて」

 

「まあ経緯はわかった、未来には響の誕生日の時世話になったし…付き合ってやるよ」

 

「本当ですか!ありがとうございます!」

 

「よし、それじゃあ早速お店を見て回るか」

 

こうして俺と響の未来のプレゼント探しが始まった。

 

 

 

「響、これとかどうだ?」

 

「あっいいですね! じゃあこれとかもどうですか?」

 

「おっいいな、未来に似合いそうだ」

 

俺と響は店にてそれぞれ未来に合いそうなものを探している。

 

「しかしこうもいろいろあるとどれにしようか悩むな」

 

今の俺たちの買い物かごの中には色々なものが入っていた。

 

「そうですね・・・じゃあ全部プレゼントするとかどうですか?」

 

「・・・それ絶対置き場所に困るだろ、それに大量に送られても迷惑だろ」

 

「やっぱりそうですよね・・・」

 

しかしこの中から一つを選ぶとなるとかなり時間がかかるぞ、どうすれば…。

 

「・・・じゃあこうするか、この中からいっせーので未来に一番合うものを指さしてそれをプレゼントするってことで」

 

「そうですね、でもどれにしようかな~…」

 

「少し考える時間を設けようか」

 

俺たちはかごの中のものを見てどれが合うか検討している。

 

う~ん、未来に合いそうなもの未来に合いそうなもの…。

 

「あっそうだ!」

 

「うおっ!? どうしたいきなり?」

 

「真さん、あのお店ってどこですか!」

 

「あの店?」

 

「ほら、あの時の・・・」

 

「・・・あれか、あれなら覚えてるぜ、こっちだ」

 

「はい!」

 

俺は響をとある店に連れて行った、どうやら響は未来に送るプレゼントを決めたようだ。

 

 

 

 

 

そして11月7日当日、場所はいつもの俺ん家でいつもの三人が集まった。

 

「「未来!誕生日おめでとう!」」

 

「ありがとう二人共」

 

俺と響が祝い、未来もうれしそうだ。

 

「それにしても大分料理を作ったね?」

 

「凄いだろ。 この料理大体は響が作ったんだぜ」

 

「えっ響が!」

 

「いやいや、真さんだって手伝ってくれたじゃないですか!」

 

「何言ってんだ、俺は少し手伝っただけだろ。未来においしいご飯を作ってあげたいって張り切ってたのお前じゃん」

 

「響・・・」

 

「あ、ああ~ほ、ほらそれより早くプレゼントを贈りましょうよ!」

 

俺と未来の視線に響は顔を真っ赤にして話題をそらした、可愛い奴め。

 

「まっそうだな、というわけでほい未来俺からのプレゼントだ」

 

「ありがとうございます真さん、何だろう・・・?」

 

未来が包みを広げると、中には紫色の手袋が入っていた。

 

「これから寒くなると思ってな、手袋にしてみたんだ。 カラーは未来に合う紫にしてみた」

 

「わあ、暖かそうな手袋。ありがとうございます真さん」

 

「じゃあ次は私の番、はい未来!」

 

そういって響は小さな箱を取り出した。

 

「箱?何が入ってるんだろう…」

 

未来が箱を開けると、中には紫色の複数の小さな花のネックレスが入っていた。

 

「これってネックレス?」

 

「うん、前真さんが私に送ってくれた髪飾りのお店で見つけたんだ」

 

そう、響が選んだのは前の響の誕生日の時に髪飾りを購入したあの店にあったネックレスである。

 

「あの店って花をモチーフとしたアクセサリーが主だったからな、しかしこの花って」

 

「はい、ハナトラノオっていう花なんです。前テレビで見たことがあって未来と同じ誕生日の花なんだって」

 

「なるほど、いいセンスじゃねえか」

 

「いえいえ、真さんが髪飾りを送ってくれなかったら思いつきませんでした。それでどうかな未来?」

 

響からのネックレスを未来は嬉しそうにギュっと握りしめた。

 

「うん、嬉しいよ。ありがとう響」

 

「へへっ、どういたしまして」

 

響と未来はお互いに嬉しそうな顔をしている、眩しいぜ。

 

「はいはいそこのお二人さん、そろそろ食事にしようぜ、料理が冷めちまう」

 

「あっそうだね、それじゃあ一緒に食べよう」

 

「うん、たーんと召し上がれ未来!」

 

こうして未来の誕生日は成功に終わった。

 

ハッピーバースディ、小日向未来。





というわけで特別回2終わり!
「本当にありがとう二人共」
「どういたしまして未来!」
「ところで作者、響が送った花ってどういうのだ?」
俺もネットで調べたやつだし詳しくは知らないけど、確か花言葉は『望みの達成』や『希望』だったな。
「希望か、未来にぴったりな明るい花言葉だな」
「ありがとうございます、真さん」
それじゃあそろそろいつもので〆ますか!

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

そして~~。

『ハッピーバースディ、未来!』


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初めてのデート


さてさてやってきました第二十三話。
「今回はタイトルの通りデート回か?」
まあただのデートじゃないけどね…。
「そうですよ!今回のデートは翼さんのためのデート何ですから!」
「そうかそうか・・・ところで作者、さっきから俺の冷や汗がやばいんだが」
さてそれでは第二十三話どうぞ!
「おい今回何かあるだろ!?」


どうも継菜真です、現在俺が何をしてるのかというと・・・。

 

「それじゃあ早速行きましょうか!」

 

「まて響、この状況について説明を要求したい」

 

今俺は響と未来、それと変装しているが翼さんと奏と一緒にいる。

 

「えっ、昨日ちゃんとメールしましたよね?今日みんなでデートするって」

 

「俺の携帯に送られてきたメッセージには『明日出かけましょう』としか書かれていなかったぞ」

 

遡る事昨日、クリスの元から家へ向かった俺の携帯に響からメールが来て内容は『真さん、明日一緒に出掛けませんか?』と書かれていた。

 

響と一緒に出掛けるのはよくあったし、俺はOKを出した・・・だが次の日に集合場所に来てみれば未来はまだ想定の範囲内、だが翼さんと奏もいたことに驚いた。

 

「すみません、響が言葉足らずで」

 

「いや、大丈夫なんだけど・・・何で二人もいるの?」

 

「私たちも響に誘われたのさ」

 

「ああ、緒川さんからもちゃんと許可をもらっているし変装もしているから大丈夫だ」

 

「・・・まあいっか(諦め)」

 

俺はこれ以上突っ込んでも多分何も変わらないと考え、すぐに諦めた。

 

「それじゃあ改めて行きましょう!」

 

「「おおー!!」」

 

「お…おー!」

 

「・・・はぁ、せめて二人がばれないように頑張るか」

 

こうして、アイドル二人を連れた五人でのデートが始まった。

 

だが俺は忘れていた、このデートが俺にとってかなりの危機だということに…。

 

 

 

 

 

最初は小物店や映画館など、定番のコースを回って楽しんでいた。

 

響や未来に奏は楽しんでいるが、この中で以外にも翼さんが一番楽しんでいた。

 

まあ確かに翼さんは仕事の関係でこういうのはあまりできなかったし、楽しんでるならそれでいいか。

 

・・・というか俺、こういう感じに女子と出かけることって前世ではなかったな?

 

大体で友人と出かけるときは男友達とゲーセンとか公園とかに遊びに行くのがほとんどだったからな。

 

まあいい機会だし、俺も少しは楽しみますか。

 

だがこの後、俺は果てしなく後悔した。

 

それはみんなで洋服店に入った時の事だった、みんなが洋服を見ているときにふと響が発した言葉が俺を窮地に立たせる。

 

「そういえば真さんっていつもジャージを着てますよね?」

 

響の発言に他の三人も俺の方を向く。

 

「ああ確かに、てか今もジャージだよな」

 

「確かに、出会うとき真さんジャージを着てますよね?」

 

「二課でもそうだな、むしろジャージではない真を見たことがないな」

 

三人が一言話した後、俺を除く四人が集まって話し合いを始めた。

 

そう、俺の衣装は赤色のジャージ。というか俺は基本ジャージしか着ない。

 

何故かというとそれは至極簡単・・・俺の中身が男だからだ。

 

見た目は確かに女だけど中身は一応男だからな・・・だがさっきから冷や汗が止まらないのは何でだろう?

 

少し四人が話し合って俺の方を向く、そして話し合いの結果…。

 

「満場一致で今から真さんに似合う服を見つけて着させることに決まりました!」

 

瞬間、俺は逃げた。 すぐに響と奏が追いかけてきた。 すぐに二人に捕まった。

 

「離せぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

「何言ってるんですか?第一何で真さんジャージしか着ないんですか」

 

「いやそれは俺がジャージが好きであってというか俺なんかが女物の服着ても似合わないだろう!?」

 

「何謙遜してんだ、自分の姿鏡で見たことないのか?」

 

「ああ、継菜のその容姿、正直に言って業界でも通用するだろう」

 

「そうですよ!真さん普通に可愛いんですからジャージなんかより似合う服がありますって!」

 

「いやそれは・・・そうだ未来!未来からもなんとか言ってくれないか!?」

 

「私も真さんのジャージ以外の衣装を着てる姿見てみたいです」

 

「畜生最後の希望が消えた!!」

 

「というわけだ、早速真に合う服を探すか」

 

「はいっ!じゃあまずは・・・」

 

「いや本人の意見ガン無視か!? おい離せ! 離してくれぇぇぇ!!!」

 

俺の叫びは届かず、響と奏に腕を掴またままドナドナされた。

 

この後何が起きたのか・・・オトコトシテゼッタイニハナシタクナイ。

 

 

 

 

 

洋服店を出た後、ゲームセンターやカラオケなど色々なところを巡って、夕方頃になって俺たちはとある丘までやってきた。

 

「まったく、せっかく色々服選んだのにほとんど買わないのか」

 

「二度と洋服店に一緒に行くものか・・・」

 

洋服店の袋を持ち疲れ切った俺が隣を見ると、翼さんも疲れているのに対し、響や未来に奏はまだまだ元気だった。

 

「それにしても三人とも元気だな」

 

「翼さんが慣れていないだけじゃねえのか、奏は知らんけど」

 

「防人であるこの身は、常に戦場にあったからな」

 

「・・・そうか」

 

「翼さん、真さん、早く早く!」

 

響にせかされ、俺と翼さんもすぐに階段を上がると、そこには小さな公園があった。

 

「本当に今日は知らない世界ばかりをを見てきた気分だ」

 

「そうとは限らないだろ?」

 

「真さんのお言う通りですよ翼さん」

 

響がそう言い翼さんの手を引っ張り、公園からの街の景色を見せた。

 

「あそこが待ち合わせの公園です。みんなで一緒に遊んだ所も、遊んでないところも全部翼さんの知ってる世界です。昨日に翼さんが戦ってくれたから、今日にみんなが暮らせる世界です。だから、知らないなんて言わないでください」

 

響が言い終わり、次に奏が口を開いた。

 

「戦いの裏側とか、その向こう側にはまた違ったものがあるんじゃないかな?あたしはそう考えてきたし、そいつを見てきた」

 

響と奏の言葉を聞いた翼さんは、手すりに捕まり夕焼けに染まる街並みを見た。

 

「・・・そうか、これが奏の…みんなの見てきた世界なのか」

 

翼さんがそう言うと振り返る、その顔はさわやかな笑顔だった。

 

「ありがとう、みんな」

 

翼さんの感謝の言葉に響は喜び、未来と奏は安心した表情をした。

 

「・・・俺このデートの目的を知らないから蚊帳の外だな」

 

俺はいい雰囲気の中、小声で呟いた・・・これ、俺いる?

 

 

 

 

 

「えっ、翼さんが復帰ステージに?」

 

後日、二課にて奏から翼さんが復帰ステージに出ることを聞いた。

 

「ああ、十日後にアーティストフェスが行われてな、そこにねじ込んだのさ」

 

奏からフェスのチケットを受け取る。

 

「まあ、あの時のライブの代わりと行った所かな」

 

あの時の?と思い裏面を見ると、開催場所が載っていたが…。

 

「っ! この場所って」

 

「ああ、忘れられない、私たちが初めて出会った会場だ」

 

今でも忘れられない…あの時、神に頼まれこの会場まで行って、そこで響や奏たちと出会って、俺が初めて変身してノイズと戦った場所。

 

「翼にとっても、つらい場所だろうけどな…」

 

「・・・大丈夫だ、どんなにつらくても、過去は絶対に乗り越えられる…だろ、奏」

 

「・・・ああ、そうだな」

 

「ところで奏も出るのか?」

 

「いや、あたしはあの一件で業界から引いたし、緒川の旦那と一緒に翼を支えるよ」

 

「そうか、成功するといいな」

 

俺は翼さんの復帰ステージの成功を祈る。もう一度、翼さんが羽ばたけるように。





さて後書きの時じか『おらぁ!』げふぅ!?
「真さん!?いきなり右ストレートはまずいですよ!」
「最初の冷や汗の原因はこれか! 何で書いた!?」
いや~TS物の定番と思いまして、書いちゃいました♪
「よしちょっと待ってろ、ガングニールホッパーで殴る」
ストップ待ってあれはシャレにならない!?
「というよりいつも真さんがジャージなのが原因な気がするんですけど…」
「いや衣装に関しては作者のせいだろ!?」
メタいこというなよ。
「ところで今更なんですけど、真さんってどんな姿なんでしょうか?」
まあ俺の文章力じゃわからないだろうけど、真のモデルは某アニメの駄天使をモチーフにしてるよ。
「なるほど・・・ところで真さん、選んだ服はどうでしたか?」
「俺に感想を期待するな」
何時か真の新衣装が出てくるだろう…シンフォギアじゃシーズンごとにメンバーの服が変わるのは当たり前だし。
「おうその時にはお前を蹴り潰す」
「そ、それじゃあそろそろ〆ましょうか!」
おうそうだな。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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防人の歌


「やってきました第二十四話!・・・って作者さんは?」
「なんか悩んでるみたいだから今回は俺達で進めるぞ」
「そうなんですか、それにしてもシンフォギアXDは凄い展開になってきましたね!」
「ああ、今後のグレ響が気になる所存だからな」
「因みに作者さんはシンフォギアXDをプレイしたことがなく、基本動画なんかで情報を得ています!」
「まあ作者の話は置いといて早速第二十四話どうぞ!」


アーティストフェス当日、俺は響をバイクに乗せ街中を走り抜けていた。

 

「まったく、居残り勉強で遅れるって何年前のネタだよ!」

 

「だって難しかったから~!」

 

「とりあえず急ぐぞ!未来はもうついてるだろうしこのまま行けば…」

 

突然、響の携帯に連絡が入ってきた。

 

「響、誰からだ?」

 

「えっと…っ! 師匠からだ」

 

俺は少し嫌な予感を感じ、バイクを停止させ響が電話に出る。

 

「はい、響です、真さんもいます」

 

『響君、真君、ノイズの出現パターンを検知した』

 

やっぱりか! 何でこうも嫌なタイミングで・・・!?

 

『これから翼にも連絡を入れ「待ってくれ弦十郎さん」どうした真君?』

 

弦十郎さんの話を遮り、響から携帯を借りる。

 

「現場には俺だけで向かいます、翼さんには連絡を入れないでくれ」

 

俺の言葉に隣の響きは驚いていた。

 

「今回は翼さんにとっても大事なステージなんだ。あの会場でもう一度翼さんが羽ばたけるために・・・お願いします」

 

「真さん、私も行きます!」

 

いきなり響が名乗りを上げる。

 

「お前このステージを楽しみにしてただろ。ここは俺に任せて…」

 

「確かに楽しみです、だけど真さんが一人だけで頑張ってる時に私だけがステージに行って楽しむなんて出来ません!」

 

「響・・・」

 

「今日の翼さんは自分の戦いに臨んでほしいです。私も、あの会場で歌いきってほしいです!」

 

・・・こうなった響は止められないか。

 

「訂正します弦十郎さん、ノイズの元には俺と響で向かう。」

 

『・・・響君、やれるのか?』

 

「はいっ!」

 

『よしっ、では頼んだぞ二人共!」

 

弦十郎さんに頼まれ、電話が切れる。

 

「行くぞ、響」

 

「はい!」

 

俺と響はバイクに乗って現場に直行した。

 

 

 

『そうか・・・わかった。翼にはステージに集中してもらうために秘密にしておくな』

 

「ありがとう奏」

 

俺はバイクを走らせながら響の携帯で奏に連絡を入れている。

 

「こっちは俺と響の二人で何とかするから任せてくれ」

 

『ああ、ところで真。私が教えたわざはちゃんと覚えたか?』

 

「んっ? ああ、弦十郎さんに頼んで映像を見せてもらったからばっちりだ」

 

『そうか、それじゃあ安心だな。あたしの分も込めてノイズをぶっ飛ばしてくれよな』

 

「・・・そんなもん、言われるまでもないさ」

 

『そうか…じゃあ頼んだぞ!』

 

通話が切れ、携帯を響に返すと、現場が見えてきた。

 

アウェイクン!

 

俺はドライバーを展開し、キーを取り出す。

 

ブレイク!

 

オーソライズ!

 

俺はバイクを走らせながらキーを展開し、響も自分の胸に手を添える。

 

「変身!」

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

シンフォニックライズ!

 

Dwelling in a fist! スマッシュガングニール!

 

Balwisyall Nescell gungnir tron.

 

響はガングニールを纏い、俺はゼロワンスマッシュガングニールフォームに変身し現場に向かう。

 

 

 

現場に到着すると、既に誰かがノイズと戦闘を始めていた。

 

「あれって、クリスちゃん!?」

 

「クリスも来てたか、けど状況はよくないな…」

 

ノイズの数か多い上に城型のノイズの蛇口みたいな器官からどんどんノイズが生まれてくる。

 

そんな中クリスに目掛けて大型のノイズの砲台が構えられる。

 

「やばっ!」

 

俺は急いでアタッシュショットガンを取り出す。

 

「響、腰のキーをこいつに入れてくれ!」

 

「あっはい! えっと・・・これで!」

 

バースト!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ライオンアビリティ!

 

響は俺の腰から適当にキーを取り出し起動させ挿入する。

 

「よりによってそいつか・・・いいセンスだ!」

 

俺と響はそのままバイクから前方へ大きく飛び跳ね、標準を合わせトリガーを引く。

 

 

ダイナマイティングカバンショット!

 

放たれたエネルギー弾はノイズに直撃し大爆発を起こした。

 

いきなりの大爆発に驚くクリスの前に俺達は着地する。

 

「よっ、間に合ったか?」

 

「クリスちゃん、大丈夫!?」

 

「お前ら・・・!」

 

「話は後だな、とりあえずこいつらぶっ飛ばすぞ」

 

俺はショットガンをしまい、スマッシュランスを展開し、響と共にノイズに突っ込む。

 

響は腕のガジェットを引き、一気にノイズの群れに突っ込みその高火力でノイズを薙ぎ払った。

 

俺も負けじと、スマッシュランスの穂先を回転させる。

 

「奏の技を喰らいな!!」

 

LAST∞METEOR

 

スマッシュランスから生じた竜巻がノイズを呑み込み吹き飛ばしていく。

 

そこへ、ノイズの砲撃が響と俺へ放たれるが、クリスの援護射撃で打ち消されていく。

 

「貸し借りは無しだ!」

 

「うんっ!」

 

響はクリスと共に戦えることに喜んでいる。

 

そのまま、俺の槍、響の拳クリスの銃でノイズを倒していく。

 

響はガジェットを引き、拳を振り上げそのまま地面をぶん殴る。

 

その衝撃は一直線に城型のノイズの元へ向かい、ノイズの立っている地面を砕きそのまま沈める。

 

その間にクリスが残りのノイズを掃討し、俺は城型のノイズに迫った。

 

「こいつで終いだ!」

 

ガングニール!インパクト!

 

俺はそのままスマッシュランスをノイズに目掛けて投擲すると、スマッシュランスが巨大になり俺はそのまま武器に目掛けてライダーキックを決める。

 

SPEAR∞ORBIT

 

スマッシュランスに俺の蹴りの勢いが加わり、そのまま城型のノイズを貫いた。

 

 

ガングニールインパクト!

 

貫かれたノイズはそのまま炭素の塊となり、崩れ去っていく。

 

「やったねクリスちゃ・・・ってもういない!?」

 

辺りを見ると、確かにクリスの姿はもうなかった。

 

「まあまあ、クリスと一緒に戦えたからいいじゃねえか」

 

「・・・はい、そうですね!いつかクリスちゃんと手を繋げれますよね」

 

「ああ、きっとな」

 

すると、飛び降りたバイクがライズフォンに変わり連絡が入る。

 

「あっ、奏からだ。もしもし」

 

『真、そっちはどうだ?』

 

「問題なし、もう片付けたよ。 そっちは?」

 

『こっちも無事終わった、大成功だ!』

 

「そうか!それはよかった」

 

それから少し奏と通話して、連絡を切る。

 

「翼さんのステージ大成功だってさ」

 

「わあっ! やったーー!!」

 

響はまるで自分の事のように喜んでいる。

 

「・・・頑張れよ、翼さん」

 

俺は此処にはいない、翼さんのこれからを心から応援した。





さあやってきました後書きの時間、そして待たせたな!
「誰もお前を待ってない」
ひどっ!?
「ところで作者さん、何を悩んでたんですか?」
ああ、今回出したスマッシュガングニールの技の一つがXDの技なんだけどさ、こういうの出すならタグの方に『XD要素あり』って書いた方がいいのかな?
「そこは作者の自由じゃねえのか?」
・・・まあ一応不安だからこの回を投稿したらタグを増やしておくわ。
「作者さんがそう言うならそうした方がいいですね」
「ところで作者、今年もあと少しで終わりそうなんだがこの第一期は終われそうか?」
い、一応今年が終わるまでには何とか一期は終わらせるつもりです。
「がんばってください!それではそろそろ〆ましょう!」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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大人の夢


第二十五話、いや~・・・話すことないな。
「おいそれ作者としてどうなんだ?」
いやだってさ~、せいぜい話せることといったら今回のセイバーも凄かったなってところかな。
「ジャオウドラゴン、人間では使いこなせるかわからないって言ってたから先代はもう人間じゃないのかな?」
「さあな・・・けどあたしはあの雷の剣士の気持ちがよくわかるな」
「クリス・・・作者、そろそろ始めようか」
そうだな、それでは第二十五話、どうぞ!


「さて、米国政府の飼い犬を片付けたところでそろそろ本格的に始めようか」

 

日の光刺す建物の中、血まみれで倒れている武装部隊の中心で誰かが喋っていた。

 

「彼女のデータのおかげで順調に事が終わりそうだ…だがあの娘」

 

そういい何者かは懐から写真を取り出す、そこには真が写っていた。

 

「継菜 真・・・聖遺物に似た特殊な力を持ちノイズと戦える『特異症例第一号』中々に面白い」

 

そう言い写真に口づけをして懐にしまい、その場を去った…。

 

 

 

 

 

「弦十郎さん、本当にこの先なんですか?」

 

翼さんのアーティストフェスから少しした後、俺は弦十郎さんや二課の面々と共に山奥にある建物に向かっている。

 

「ああ、もうすぐ到着する・・・あそこだ」

 

山道を登り切ると、そこには大きな湖と建物があった。

 

「用心しろ、何が起きるかわからない」

 

銑十郎さんの言葉を聞き、バイクから降りもしもの時のためにドライバーを装着し、弦十郎さんと共に中に侵入する。

 

外観と比べて中はだいぶボロボロになっている中、大きく破損している扉を見つけ中を確認すると、そこには血を流して倒れている武装した人たちと、クリスがいた。

 

「クリス!」

 

「お前っ! 違う、あたしじゃない!やったのは!」

 

「わかってる、クリスがこんなことするわけないって」

 

俺達の後に二課の人たちが侵入し、建物内を散策する。

 

クリスが困惑する中、俺はクリスに近づき頭に手を乗せる。

 

「教えてくれクリス、何があったんだ?」

 

「あ…あたしにもわからねえ、来たのはさっきなんだ」

 

「全ては、君や俺たちの傍にいた彼女の仕業だ」

 

彼女? 俺たちの…というかクリスの傍にいた彼女って…。

 

・・・まさかフィーネ!? あいつなのか!?

 

「風鳴司令、こちらに」

 

そんな中、隊員一人が何かを見つけたらしい。

 

それは遺体の上に置いていた一枚の紙、それには赤い文字で『I LOVE YOU SAYONARA』と書かれていた。

 

隊員がその紙を取ろうとすると、一瞬外の光で何かが反射したのが見えた。

 

「っ! 駄目だ!それは・・・!」

 

俺が気付くがもう遅く、何かが抜ける音と共に俺たちのいる部屋が爆発を起こした。

 

 

 

土煙で見えない中、俺はクリスを庇い、弦十郎さんは俺とクリスを守るように瓦礫を持ち上げていた。

 

「どうなってんだ・・・」

 

「衝撃は発勁でかき消した、大丈夫か?」

 

「相変わらず滅茶苦茶な・・・痛っ!」

 

俺が左腕に痛みを感じ見ると、袖に少し血が滲んでいた。

 

「お前!その怪我・・・」

 

「さっきの瓦礫でやったみたいだな、これ位大丈夫さ」

 

周りを見ると、ほかの隊員の人たちも無事な用だった、クリスは俺から無理やり離れる。

 

「何であたしを守ったんだよ、あたしたちは敵同士だろ!」

 

「助けたのに敵も味方も関係ないだろ、しいて言えばお前より少し大人だからかな?」

 

俺はほかの隊員に応急処置をしてもらいながらそう答え、その答えにクリスは苛立っている。

 

「言っただろう!あたしは大人が嫌いだ、死んだパパやママも大嫌いだ!無尊家で臆病者、あたしはあいつらとは違う。戦地で難民救済?歌で世界を救う?いい大人が夢なんか見てるんじゃねえよ!!」

 

クリスは自身の怒りを俺達に言い放つ。

 

「大人が夢を・・・ね」

 

弦十郎さんは黙ってクリスの言葉を聞く。

 

「本当に戦争を無くしたいのなら、戦う意思を持った奴らを片っ端からぶっ潰していけばいい!それが一番合理的で堅実的だ!」

 

戦争を無くす、それがクリスの戦う理由なのか。

 

「けどクリス、その方法で本当に戦いを無くせたのか?」

 

「それは・・・」

 

「いい大人が夢を見るなか…けどな、大人だから夢を見るんだと思う」

 

俺は左腕を抑えて立ち上がる。

 

「昔父さんが言ってたんだ、大人になるにつれ背も伸びて力もついてくる。お金だって自分で稼いで溜まっていく。子供の頃は見るだけだった夢も、大人になれば叶えられる可能性があるって」

 

「・・・」

 

「クリスの両親は、ただ夢を見るために危険な場所へ行ったのか?違う、歌で世界を平和にするって夢を叶えたいために、自分たちの意思で戦場に向かったんじゃないかな」

 

「・・・なんで、そんなことを」

 

「それは多分、クリスに見せたかったんじゃないのかな? 夢を叶えられる事をさ」

 

「っ!」

 

「クリスはあの時歌は嫌いって言ってたけどさ、クリスの両親はきっとお前のことを大切に思ってたと思う」

 

クリスは涙を流すのを堪える、そんなクリスに俺は近づいて頭を撫でる。

 

「泣いたっていいんだ、大切に支えてくれる友達がここにいるからさ」

 

「う…ひぐっ…、うわあああああぁぁぁ!!」

 

その言葉にクリスは俺の胸の中で泣いた。今まで堪えてきた分大きな声で泣いた。

 

俺は泣き叫ぶクリスを何も言わず優しく抱きしめた、彼女の涙が止まるまで。

 

 

 

「落ち着いたか?」

 

「ぐすっ…ああっ」

 

暫く泣いたクリスは、目を赤くして俺から離れると、弦十郎さんが近づいてくる。

 

「まったく、俺が言おうとした事を全部言ってくれたな」

 

「すみません、けどクリスの怒りや悲しみを受け止められるのは友人で大人の俺だけだと思って」

 

「そうか・・・それなら仕方ないな」

 

弦十郎さんが納得してくれ本当に良かった。

 

「それに昔友人と弟妹の世話を頼まれていたから子供のあやすのは慣れてるんで・・・っていっだ!!?」

 

いきなりクリスが俺の足を思いっきり踏みつけた。

 

「誰が子供だ、あたしを子ども扱いしてんじゃねえ!」

 

「痛~っ…何でだよ、子供みたいに泣いてたじゃねえか!」

 

「泣いてなんかない、この仮面女!」

 

「・・・ていうか、その仮面女っていうのやめろよ!俺には継菜真って名前があんだよ!」

 

「今更そこに突っ込むのかよ・・・やっぱお前あの馬鹿と同じ馬鹿だ!馬鹿真だ!」

 

「んだとぉ!? じゃあお前は泣き虫だろが! この泣き虫クリス!」

 

「ははっ、まるで姉妹みたいだな」

 

それから怪我のことを忘れてクリスとぎゃんぎゃん口喧嘩をしている様子を弦十郎さんは優しい目で見守っていた。

 

 

 

お互い落ち着いて少しした後、俺達は建物から脱出し車に乗り込む。

 

「弦十郎さん、俺は街へ向かいフィーネを探してみます」

 

「うむ、頼んだぞ」

 

「・・・」

 

クリスが黙ってる中、俺はクリスにヘルメットを投げ渡す。

 

「来いよクリス、一緒にフィーネの奴を探すぞ。お前も文句の一つぐらい言いたいだろ」

 

「・・・ああ」

 

クリスは受け取ったヘルメットを被る。

 

「言っとくが、あたしは大人に協力したわけじゃねえ、そこだけは覚えておけ!」

 

「はいはい、ったくひねくれてんなクリスは」

 

「ははっ、何かあったら連絡を入れてくれ、それとほれっ」

 

弦十郎さんは何かをクリスに投げ渡す。

 

「通信機?」

 

「これって響たちも使ってるやつだよな?」

 

「ああ、限度額内なら公共交通機関が利用できるし、自販機でも買い物ができる代物だ」

 

「えっ何それ?俺貰ってないんだけど!?」

 

「いや、真君はもう連絡手段を持っているから二つもいらないだろうと思ってな」

 

「うそだろ・・・」

 

俺が膝から崩れ落ちると、クリスが口を開く。

 

「カ・ディンギル」

 

「ん?」

 

「フィーネが言ってたんだカ・ディンギルって、それが何なのかわかんないけど、そいつはもう完成しているみたいなことを…」

 

「カ・ディンギル・・・」

 

カ・ディンギル・・・それの完成がフィーネの目的なのか?

 

「後手に回るのは終いだ、こちらから打って出てやる」

 

そういって弦十郎さんは行ってしまった。

 

「・・・俺たちも行くぞ、クリス」

 

「ああ」

 

俺は立ち上がりバイクに乗り、クリスを後ろに乗せ走らせる。





さあ、後書きの時間だな。
「お前本当にあの馬鹿とおんなじ雰囲気がするよな」
「それどういう意味?」
「敵であるあたしに手を伸ばす辺り」
ああ~俺も思った。
「おい、特に作者」
しかし物語も終盤に入ってきたな。
「ああ、あたしは必ずフィーネに文句をたらふく言ってやる!」
「俺もフィーネの奴をぶっ飛ばしてやる」
よし、決意万端なところでそろそろ〆るか。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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繋いだ手だけが紡ぐもの


第二十六話!そして書くのに時間がかかった!
「いきなり何なんだ?」
いやさ、この第一期を年末までに終わらせるように合わせて書いたらいつもの二倍ぐらいの文字数になった。
「ああ、それはご愁傷様です」
そろそろ第一期も終盤、一体どうなる真たち!第二十六話どうぞ!


俺はクリスと共にフィーネを見つけるため街中をバイクで捜索していた。

 

「フィーネの奴…一体何考えてやがんだ?」

 

「・・・・・・」

 

「・・・ところでなにさっきからぶつぶつ言ってやがんだ?」

 

「えっ! い…いや、なんでもないよ?」

 

「?」

 

落ち着け…落ち着くんだ俺、これは調査の為にクリスの力が必要なだけであって決してクリスを後ろに乗せたいだけというわけじゃない、とにかく全神経を背中に向かわせるなというか背中の神経を遮断しろ俺!!背中に感じるものはあれだクッションだそう思え俺・・・。

 

「おい、お前のバイクから音が聞こえるぞ?」

 

「ひゃい!? あ、ああ連絡か・・・」

 

俺は慌ててバイクを止め二人とも降り、すぐにライズフォンに切り替え連絡に出た。

 

「はいこちら真」

 

『翼です』

 

『響です』

 

おっ、二人にもつなげたのか。

 

『二人共、収穫があった。真君は?』

 

「こちらは全然です」

 

『そうか…了子君は』

 

『まだ出勤してません、朝から連絡不通でして』

 

そうか、櫻井さんまだ来てないのか。

 

『了子さんならきっと大丈夫です。 何が来たって私を守ってくれた時のようにドカーンとやってくれます!』

 

『いや、戦闘訓練を碌に受講してない櫻井女史にそのようなことは』

 

『ふぇ? 師匠とか了子さんって人間離れした特技とか持ってるんじゃないんですか?』

 

「いや、弦十郎さんはどっちかというと人間やめてるから・・・そういえば確かに櫻井さんあの時俺たちを助けてくれたよな?」

 

あの製薬工場での時、ノイズからの攻撃を櫻井さんはバリアみたいなもので俺たちを守ってくれたな・・・。

 

そんな時、別の誰かから連絡が入った。

 

『や~っと繋がった。ごめんね、寝坊しちゃったんだけど通信機の調子が良くなくて』

 

「櫻井さん、大丈夫ですか?」

 

『大丈夫よ、寝坊してゴミを出せなかったけど…何かあったの?』

 

『・・・いや、ならばいい。それより聞きたいことがある』

 

『せっかちね、何かしら?』

 

『カ・ディンギル、この言葉が意味するものは?』

 

そうか、櫻井さん博識だから何か知ってるかもな。

 

『カ・ディンギルとは、古代シュメールの言葉で『高みの存在』、転じて天を仰ぐほどの塔を意味してるわね』

 

「天を仰ぐほどの塔・・・ですか」

 

『何者かがそんな塔を建造したとして、何故俺たちは見過ごしてきたのだ?』

 

『確かに・・・そう言われちゃうと』

 

「天を仰ぐ塔って普通目に映ると思うんだけどな・・・?」

 

『だが、ようやく掴んだ敵の尻尾、このまま情報を集めれば勝利も当然、相手の隙にこちらの全力を叩き込むんだ。最終決戦、仕掛けるからには仕損じるな』

 

『『「了解!」』』

 

俺はそのまま連絡を切った。

 

「なんだったんだ?」

 

「どうやらカ・ディンギルは天を仰ぐほどの巨大な塔みたいなんだ」

 

カ・ディンギルの意味に俺たちは考え込む。

 

「でかい塔・・・このあたりのあるでかい建物を片っ端から調べるか?」

 

「いや、そう単純じゃないと思う。それに・・・」

 

「それに、なんだ?」

 

「・・・なあクリス、フィーネはそんな単純な考えをするやつなのか?」

 

そう尋ねると、クリスは少し考え込んで答えた。

 

「・・・いや、フィーネは滅茶苦茶考えて行動してると女だと思う、確かにフィーネがそんなものをそんな雑な隠し方をしないか」

 

「だよな・・・だとすると、なにかあるはずなんだ」

 

そう考えていると、また連絡が入る。

 

「また?はい、こちら真」

 

『真君!街中に超大型の飛行型のノイズが出現したらしい!』

 

「はあっ!?こんな時にか、数は」

 

『超大型の数は六体出現している、急いで向かってくれ!』

 

六体!?いきなりとんでもない数で攻めてきやがったな!

 

「おい、あれを!」

 

クリスが指をさした方を見ると、飛行している大型のノイズがいた。

 

「マジか…すぐ向かいます!」

 

俺は通話を切り俺はキーを手に、クリスはペンダントに手をかける。

 

ウィング!

 

オーソライズ!

 

「変身!」

 

Killter Ichaival tron

 

クリスは聖唱を歌い、俺はキーを展開しドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

Fly to the sky フライングファルコン!

 

Spread your wings and prepare for aforce.

 

お互いに姿を変え、クリスを抱え空を飛び共にノイズを追いかける。

 

「あのデカノイズ、どこに向かってやがんだ?」

 

「確かこの先には東京スカイタワーがあったはずだが…」

 

「タワー? まさか、カ・ディンギルか!?」

 

「タワーに偽装させ正体をくらませる・・・可能性はあるかもしれないな」

 

「だったら急いで向かうぞ! そこにフィーネがいるかもしれねえ!」

 

「ああ、最初っからフルスロットルだ!」

 

俺は飛行速度を上げる。

 

 

 

巨大飛行型ノイズを追いかけ東京スカイタワーに向かうと、ノイズと戦闘中の響と翼さんを発見する。

 

「響!翼さん!大丈夫か」

 

「真さん! ってクリスちゃんも!」

 

俺は二人の元に向かい、着陸する。

 

「そういえば指令が援軍を二人向かわせていると聞いたが・・・」

 

「べ、別に私はお前らの手助けに来たわけじゃ」

 

「いや、クリスは俺たちの仲間さ、なっ?」

 

俺がクリスに同意を求めるとクリスは顔を赤くしてそっぽ向いた、素直じゃないな。

 

「しかし、敵が上空にいては攻撃のしようがない、どうすれば」

 

「あっそうだ!真さん空飛べますよね、真さんなら・・・」

 

「いや、フライングファルコンなら確かに空中戦闘はできるけどあそこまでデカいとショットガンでも倒せるかどうか・・・というかそういうのはクリスのが得意じゃねえのか?」

 

「まあ、確かにあたしならあいつらを相手出来るな」

 

そういっている間にノイズは大量のノイズを投下してくる。

 

「ならば、空中のノイズは二人に任せたい。私と立花で地上のノイズを退治しよう」

 

「わかった、頼めるか響」

 

「任せてください、真さん!」

 

響は自信満々に自分の胸を叩く。

 

「よし、じゃあ行くぞ!」

 

「言われるまでもねえよ!」

 

クリスはボウガンを構え飛行しているノイズを撃ち落としていき、俺もアタッシュアローを展開し空中でノイズを打ち抜いていく。

 

「私たちも行くぞ!」

 

「はい!」

 

地上の方も響と翼さんが拳と剣でノイズを撃退していく。

 

空中でノイズを撃ち落としながら、俺はホルダーからキーを取り出す。

 

「空中ならこのキーが一番だ!」

 

ハリケーン!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ペンギンアビリティ!

 

俺は『ストーミングペンギンプログライズキー』をアローに装填し、トリガーを引き放った。

 

 

ストーミングカバンシュート!

 

アローから放たれた矢は大きな竜巻となり、多くのノイズを巻き込んで大型の元へ向かうが、途中で竜巻が拡散してしまう。

 

「やっぱ、あそこまでは届かないか」

 

ふと下を見ると建物の屋上で翼さんとクリスが言い合っていたのが見えた。

 

「何やってんだあの二人は・・・んっ?」

 

言い合いを止めるために降りようとすると、先に響がやってきてクリスの手を掴んだ。

 

「出来るよ、誰とだって仲良くなれる」

 

そういってもう片方の手で翼さんの手を握る。

 

「どうして私にはアームドギアがないんだろうってずっと考えてた、何時までも半人前はやだな~って。でも今は思わない、なにもこの手に握ってないから二人とこうして手を握り合える、仲良くなれるからね」

 

「本当強くなったな、響」

 

三人の元に俺も着陸する。

 

「真さん」

 

「俺たちの手は何かを傷つけるための手だけじゃない、大切なものを守るための手でもあるんだ。響はみんなの笑顔を、翼さんは多くの人たちの命を」

 

俺は響とは反対側に立ち両手を二人に差し出す。

 

「俺は響の、翼さんの、未来に奏、二課のみんなや町の人たち、そしてクリスの夢を守りたいんだ」

 

「立花…継菜…」

 

「なにかを守るために…」

 

二人は考え込む、すると翼さんは剣を地面に突き刺し、手を差し出す。

 

「翼さん…!」

 

反対側を見ると、クリスは顔を赤くし、恥ずかしそうにゆっくりと手を差し出す。

 

「クリス…!」

 

俺は二人の手を握る、すると突然二人のギアと俺のドライバーが光りだした。

 

「これは!?」

 

「なっ!!」

 

「これって、あの時と同じ…!」

 

そのままドライバーの光は二つに分かれ、それぞれが翼さんのアメノハバキリ、クリスのイチイバルの光と重なる。

 

『構築を開始します』

 

また聞こえた音声と共に、二つの光が形を変え二つのキーに変わる。

 

『構築が完了しました』

 

光が消えると、そこには赤と青のキーが俺の手に握られていた。

 

少し俺たちが呆けているとクリスはハッとしすぐに手を離した。

 

「っ! この馬鹿にあてられたのか!?」

 

「そうだと思う。そして、あなたもきっと」

 

「俺に至ってはクリスが言ってたじゃないか、響と同じ馬鹿だってさ」

 

「・・・冗談だろ」

 

クリスは顔を赤くしそっぽ向く、この光景に俺と響は微笑むと大型のノイズが上空を飛行する。

 

「まずはあの親玉を何とかしないとな」

 

「だったらあたしに考えがある、あたしでなきゃできないことだ」

 

「クリスじゃないと?」

 

「ああ、イチイバルの特性は長射程広域攻撃、派手にぶっ放してやる!」

 

「確かにあのガトリングやミサイルからなら想像できる特性だな…でもどうやって」

 

「ギアの出力を引き上げつつも放出を抑える。行き場のなくなったエネルギーを臨界までため込み、一気に解き放ってやる」

 

「だがチャージ中は丸裸も当然、この数を相手にする状況では危険すぎる」

 

「そうですね、だけど私たちでクリスちゃんを守ればいいだけの事!」

 

響の提案に翼さんも賛同する。

 

「だけど、クリスちゃん一人であの数を何とか出来るの?」

 

「安心しろ、そこは俺が支えるさ」

 

そういって俺は先ほどの赤色のキーを取り出す、そこにはギアを纏ったクリスが描かれていた。

 

「このキーにもおそらくイチイバルと同じ力がある。これで俺とクリスの二人でやればいい」

 

「お前・・・!」

 

「なるほど、それじゃあクリスちゃんをお願いします!」

 

俺が頷くと、響と翼さんは周りのノイズの撃退に向かう。

 

「さて、じゃあいきますか!」

 

俺はドライバーのキーを取り外し、イチイバルのキーを構え起動させる。

 

ブラスター!

 

オーソライズ!

 

認証させると、ドライバーからギアを纏ったクリスが現れる。

 

「いくぜ、クリス!」

 

シンフォニックライズ!

 

ライダモデルのクリスから放たれた矢が俺の体に当たり、そのままアーマーとなり身に着けられていく。

 

A crimson arrow that pierces a dream! クリムゾンイチイバル!

 

Killter Ichaival tron.

 

ガングニールの時と同じようにマスクが無くなり、代わりに身体にクリスのイチイバルと同じアーマーが身に着けられていた。

 

「本当にイチイバルを纏えるのかよ!?」

 

「みたいだな…けどこいつの使い方がわからないからな、アシスト頼むぜクリス」

 

俺がクリスに頼むと少し間が空き、クリスがフっと笑い背中を合わせる。

 

「足を引っ張るなよ馬鹿真」

 

「ああ、そのつもりはない」

 

 

『使用BGM 繋いだ手だけが紡ぐもの(クリス&真)』

 

 

「なんでなんだろ心が、ぐしゃぐしゃだったのに…」

 

クリスに続くように胸の歌を俺も歌うと、内側から力が湧き上がってくる、これの放出を抑えながらどんどん高めていけばいいのか。

 

・・・正直に言えば少し不安だ。けどクリスと一緒なら、響と翼さんが支えてくれるなら絶対にいける!

 

歌いながらどんどん力を引き上げていき、臨界点にまで達するのを感じ取る。

 

ここだ!と感じドライバーのキーを押し込む!

 

イチイバルインパクト!

 

「光が…」「力が…」「魂を…?」

 

『ぶっ放せッ!』

 

限界までため込んだイチイバルの形状が変わっていく。

 

それぞれ巨大なミサイルが四つに小型のミサイルポット、両手にガトリング。

 

そして俺たちの耳に二人の声が聞こえた。

 

「「託した!」」

 

ああ、これがイチイバルで出せれる最大火力!

 

 

イチイバルインパクト!

 

MEGA DETH QUARTET

 

 

放たれた二人のイチイバルの最大火力。

 

小型のミサイルが空中のノイズを一掃し、ガトリングで残ったノイズを一掃。

 

最後に巨大なミサイルが大型のノイズに直撃し大爆発を起こしノイズは炭素の塊になる。

 

激しい砲撃で上空のノイズは全て消えた、地上を見ると響たちもノイズを全て撃退したらしい。

 

「やったのか・・・?」

 

「あたりめぇだ!」

 

「やったな」

 

「わあ・・・!」

 

黒い灰が降る中、戦いが終わった。

 

 

 

「やったやった~!」

 

「や、やめろ馬鹿!何するんだ!」

 

地上に降りた俺とクリスに響は喜びながらクリスに抱き着くが、すぐに話して全員変身を解く。

 

「勝てたのはクリスちゃんや真さんのおかげだよ!」

 

そういって響はまたクリスに抱き着く。

 

「だからやめろと言ってるだろうが!」

 

だがまたすぐに剥がされる。

 

「いいか、お前たちの仲間になった覚えはない!あたしはただフィーネと決着をつけて、やっと見つけた本当の夢を果たしたいだけなんだ!」

 

「夢? クリスちゃんの? どんな夢!?聞かせてよ!」

 

そういって響は三度目の抱き着きをする、響って嬉しいと誰かに抱き着く癖でもあるのか?

 

「うるさい馬鹿!お前本当の馬鹿!! 馬鹿真からも何か言ってやれよ!」

 

「いいじゃねえか、それに俺もクリスの夢ってのが気になるしな」

 

「お前もか!?」

 

クリスを除く俺たちが笑っていると、響の通信機に連絡が入る。

 

「はい」

 

響が出ると、通信機から聞こえたのは未来の声だった。

 

『響!学校が・・・リディアンがノイズに襲われて!』

 

そういって通信が切れる。

 

「マジかよ・・・!?」

 

戦いは、まだ終わっていない。





さあ後書きの時間だ!
「今回も作者オリジナル来たな」
ああ、クリスのイチイバルから生み出されたキー『クリムゾンイチイバルプログライズキー』だ。
「そして英文は『夢を貫く紅の矢』という意味、まさにクリスって感じだな』
ああ、このキーはイチイバルと同じように長射程広域攻撃を持つ、基本はイチイバルと同じだな。
「そして俺の手元にはもう一つキーがある、つまり?」
それは後のお楽しみ!そろそろ〆るか!

「「それでは次回もお楽しみに!」」


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襲撃されしリディアン


・・・・・・・・・。
「えっと・・・作者さんどうしたんでしょうか?」
「なんかセイバーで賢人が退場したからショック受けてるらしいぜ」
「そうなんですか・・・って奏さん!? 真さんは」
「今回出番ないっぽいから俺の代わりにって真が」
「真さん・・・」
「それじゃ早速第二十七話行くぞ!」


響が戦いに向かった後、私がリディアンに戻ると学校は大量のノイズに襲われていた。

 

「落ち着いて!シェルターに避難してください」

 

私は避難誘導している自衛隊員たちと共にリディアンのみんなの誘導を手伝っていた。

 

「ヒナ!」

 

振り向くとそこにはクラスメイトの板場弓美さん、安藤創世さん、寺島詩織さんがいた。

 

「どうなってるわけ? 学校が襲われるなんてアニメじゃないんだからさ…」

 

板場さんはこの状況に戸惑っている、今までリディアンが襲われていなかったからそうなるかも知れない。

 

「皆も早く避難を」

 

「なら、小日向さんも一緒に…」

 

「先に行ってて…私、他に人がいないか見てくる!」

 

私はそのままリディアンの方へ向かって行った。

 

響達がみんなを守るために頑張ってるんだ、私も頑張らないと!

 

 

 

リディアン内を捜索している最中、外を見ると大量のノイズによってリディアンが破壊されている光景を見た。

 

「学校が…響の帰ってくる場所が…!」

 

私がショックを受けていると突然ガラスが砕け三匹のノイズが入ってくる。

 

三匹のノイズは壁に張り付いたまま、私の方を向いた。

 

「ひっ…!?」

 

「あぶねえ!」

 

驚く私に向かってノイズが攻撃してきたとき、誰かが私を庇ってくれた。

 

「奏さん!」

 

「間に合ったみたいだな?」

 

「奏さん!無茶をしないでください」

 

奏さんの後に緒川さんもやってきてくれた。

 

「済まない…けど相手は待ってくれなさそうだ」

 

奏さんがそう言いノイズの方を見ると、先ほどのノイズから足が生えてきた。

 

「立て!走るぞ!」

 

奏さんが私の腕を掴んで緒川さんと共にノイズから逃げる。

 

私たちはそのまま近くにあったエレベーターに乗り込み、通信機をかざし二課へ向かいノイズから逃げきれた。

 

「間に合った…大丈夫か?」

 

「は、はい…何とか」

 

エレベーターで二課に向かってる中、緒川さんは弦十郎さんに連絡を入れている中私は奏さんと話していた。

 

「しかしリディアンが襲われるとはな」

 

「はい、まさかこんなことになるなんて思いませんでした」

 

「なーに大丈夫さ、すぐに翼たちが応援に来てくれるさ…けどこんな時あたしに戦える力があれば」

 

そういって奏さんは取り出したペンダントを強く握りしめる。

 

「奏さん・・・そういえば二人は何してたんですか?」

 

「ん?あたしと緒川さんはカ・ディンギルについて調べてたんだ、そして正体がわかったからここに来たんだ」

 

「正体!?」

 

「ああ、カ・ディンギルの正体は…」

 

奏さんが言おうとしたときエレベーターの天井が崩れ、金色の鎧を着た女性が入ってきたと同時にその人は緒川さんの首を掴んだ。

 

「「緒川さん!」」

 

「こうも早く悟られるとは、何がきっかけだ?」

 

その人は緒川さんの首を掴みながら質問していた。

 

「っ、塔なんて目立つものを誰にも知られることなく建造するには地下へと伸ばすしかありません」

 

緒川さんは首を掴まれながらも質問に答えた。

 

「そんなことが行われているとすれば、特異災害対策起動部二課本部、そのエレベーターシャフトこそカ・ディンギル。そして、それを可能とするのは…!」

 

「…漏洩した情報を逆手にうまくいなせたと思ったのだが」

 

同時に、エレベーターが本部にたどり着き、緒川さんの方の扉が開くと同時に緒川さんは女性の手から離れ距離を取るとともに懐から拳銃を取り出し何発か発砲した。

 

だが当たった弾は全て女性の体を傷つけず、潰れて床に落ちた。

 

「ネフシュタン・・・!」

 

女性はそのまま鞭を振るい緒川さんを捕らえそのまま持ち上げた。

 

「緒川さん!」

 

「危ない!前に出るな!」

 

「ぐああぁぁぁ!!」

 

緒川さんは締め上げられ叫ぶ中、私たちの方を見た。

 

「ぐぅ・・・未来さん・・・奏さん・・・逃げ・・・て」

 

緒川さんは逃げるように言ってくれる、けど私はその言葉を聞かず奏さんの前へ走る。

 

「未来!?」

 

奏さんの静止を聞かずそのまま女性に体当たりを仕掛ける、けど効果はなくその女性は私の方を見た。

 

「ひっ・・・」

 

女性は緒川さんを下し私と向き合う、手を伸ばし私の顔に触れる前に奏さんが間に立った。

 

「奏さん…!」

 

「たくっ、お前も響も無茶する・・・!」

 

女性は伸ばした腕をしまい、口を開いた。

 

「麗しいな、お前たちを利用してきた者たちを守るというのか」

 

「利用…だと?」

 

「なぜ二課本部がリディアンの地下にあるのか。聖遺物に関する歌や音楽のデータをお前たち被験者から集めていたのだ。その点、風鳴翼という偶像は、生徒を集めるのによく役立ったよ」

 

女性は嘲笑い、そのまま振り返り私たちから離れる。

 

「・・・ふざけんな、翼は偶像なんかじゃない!!」

 

奏さんは女性に起こり叫んだが、女性は気にもせず歩いていく。

 

「・・・嘘を吐いても、本当の事が言えなくても、誰かの命を守るために自分の命を危険にさらしている人たちがいます!」

 

私は勇気を振り絞って叫ぶと、女性は歩みを止める。

 

「私は、その人を・・・そんな人たちを信じてる!」

 

「未来・・・」

 

「っ!」

 

私の言葉が癪に障ったのか、また振り返り近づく。

 

奏さんが守ってくれるけど女性が振るった鞭に打たれ倒れ、そのまま女性は私の顔に平手打ちをして、すぐに胸倉をつかみもう一度平手打ちをはなって私は崩れ落ちる。

 

「まるで興が冷める・・・!」

 

女性は苛立ちながら振り返り、通路の先にある扉に近づき通信機をかざそうとするが、起き上がった緒川さんが拳銃で通信機を撃ち壊した。

 

「デュランダルの元へは行かせません・・・!この命の変えてもです!」

 

「ああ、悪いがあたしもそのつもりだ!」

 

奏さんが立ち上がり、緒川さんの横に並び二人共拳を構え、二人を見た女性が鞭を振り上げる。

 

『待ちな、了子』

 

「んっ?」

 

突然声が聞こえると、天井が大きく崩れ、土煙が晴れると三人の間に弦十郎さんがいた。

 

「私をまだ、その名で呼ぶか」

 

「女に手を上げるのは気が引けるが、三人に手を出せばお前をぶっ倒す!」

 

弦十郎さんはそのまま腰を上げ拳を構える。

 

「司令・・・」

 

「来るのが遅いぜ、旦那」

 

「調査部だって無能じゃない、米国政府のご丁寧な道案内でお前の行動にはとっくに気付いていた。後はいぶりだすため、あえてお前の策に乗りシンフォギア装者とライダーを全員動かして見せたのさ」

 

「陽動に陽動をぶつけたか、食えない男だ。だが!この私を止められるとでも…」

 

「おうとも!ひと汗かいた後で話を聞かせてもらおうか!」

 

弦十郎さんがそのまま女性に向かって駆け出す。女性も両方の鞭を振るうけど、弦十郎さんは上へ飛び天井の出っ張りを掴み、そのまま天井を足場にして女性に向かい落下した。

 

その勢いに任せ拳を振るい、女性は済んで出かわすけどか掠った鎧にひびが入った。

 

「何っ!?」

 

女性は驚き弦十郎さんと距離をとると、鎧の傷はみるみると修復される。

 

「肉を削いでくれる!!」

 

女性はすかさず鞭を振るうが、弦十郎さんは鞭を両方とも掴み、力強く引っ張り女性を引っ張り出し、そのままその無防備の体に拳を叩き込んだ。

 

女性はそのまま吹き飛び弦十郎さんの後ろに落ちる。

 

「が・・・がはっ! 完全聖遺物を退ける?どういうことだ!」

 

「しらいでか!飯食って映画見て寝る!男の鍛錬は、ソイツで充分よ!」

 

「なれど人の身である限り!」

 

「させるか!」

 

女性が杖を取り出し構えるけど、弦十郎さんは床を踏み砕き浮いた瓦礫を蹴り飛ばし蹴り飛ばした瓦礫で杖を弾き飛ばし杖は天井に突き刺さった。

 

「なっ・・・!?」

 

女性が動揺している隙に弦十郎さんが飛び出し拳を構える。

 

「ノイズさえ出てこないのなら!」

 

弦十郎さんが振りかぶった拳を振るう…瞬間。

 

「弦十郎君!」

 

「・・・っ!?」

 

女性の声色が変わり発した言葉に弦十郎さんの動きが一瞬止まった。

 

「ふっ…」

 

女性はその一瞬を逃さず、手にした鞭で弦十郎さんの腹部を貫いた。

 

「司令!」

 

「旦那ぁ!!」

 

緒川さんと奏さんが叫ぶ中、弦十郎さんは血を吐きながら床に倒れる。

 

「きゃああぁぁぁぁぁ!!!」

 

私の悲鳴が響く中、弦十郎さんの下に血だまりが出来ていく。

 

女性は弦十郎さんに近づき、懐から血濡れた通信機を手に取る。

 

「抗うも、覆せないのが運命なのだ」

 

そう言い、鞭を使って天井の突き刺さった杖を取り戻す。

 

「殺しはしない、お前たちにそのような救済など施すものか」

 

そう言い放ち、扉の向こうへ向かった。

 

「司令!司令!!」

 

「旦那!しっかりしてくれ!?」

 

私たちは弦十郎さんの元へ駆け寄り声をかける。

 

「奏さん!司令を本部へ、未来さんも!」

 

「わかった!」

 

「はっはい!」

 

緒川さんと奏さんが弦十郎さんの肩を担ぎ本部へと向かった。

 

 

 

本部にたどり着くと中にいた人たちが弦十郎さんを見て愕然とした。

 

「司令!?」

 

「応急処置をお願いします!」

 

あおいさんが弦十郎さんの応急処置を行い、代わりに緒川さんがあおいさんの席に座って操作をしていた。

 

「本部内に侵入者です。狙いはデュランダル、敵の正体は・・・櫻井了子」

 

「っ!」

 

「そんな・・・」

 

皆が驚いてる中、緒川さんは操作を終えた。

 

「響さんたちに回線を繋げました」

 

私はそのままモニター越しに響に報告した。

 

「響!学校が・・・リディアンがノイズに襲われてるの!」

 

すると突然室内の電気が切れる。

 

「なんだ!?」

 

「本部内からのハッキングです!」

 

「こちらからの操作を受け付けません!」

 

「こんなこと、了子さんにしか・・・!」

 

「響・・・真さん・・・!」

 

私は通話が切れ、砂嵐が流れるモニターを見つめる。





さあ、後書きの時間だ…。
「大丈夫ですか?」
ああ、こんなことで倒れては剣士の恥だ。
「いや、剣士じゃないだろ」
まあそれはおいといて早速一言・・・もう弦十郎さん一人で十分だろ、ドライバー渡すからお願いします。
「旦那あれで鍛えてるからマジで驚くんだよな」
何なんだよあのOTONA、なろう系主人公よりチートだろ…。
「落ち着けよ、にしてもまさか了子さんがフィーネだとはな」
「うん、響達大丈夫かな」
「な~に大丈夫さ、みんななら何とかしてくれるさ!」
「・・・そうですね、奏さん!」
よし、それじゃあ四人に期待を込めそろそろ〆るか。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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月を穿つ


さあさあ第二十八話!やっとだよ!
「とうとうフィーネとの戦いか、長かったな・・・」
「けど!私たちが力を合わせればなんだってできます」
「ああ、私たちは一蓮托生、最後まで戦い抜こう」
「あたしはフィーネの奴をぶっ飛ばせばそれでいい!」
張り切ってるね~、それじゃあその勢いのまま第二十八話どうぞ!


時刻は夜、タワーからすぐにリディアンに向かった俺たちの目に映ったのは、ノイズの襲撃によってボロボロのリディアンだった。

 

「そんな…未来ー、みんなーー!!」

 

響が大声で呼びかけるが辺りは静かなままだった。

 

「多分、みんな避難してるんだと思う。手分けして捜索するぞ!」

 

「その必要はない」

 

俺が捜索を始めようとすると聞き覚えのある声が聞こえ顔を上げると、倒壊した建物の上に櫻井さんがいた。

 

「櫻井女史…?」

 

翼さんと俺が疑問を持つと、次に放ったクリスの言葉で疑問が消し去った。

 

「フィーネ…お前の仕業か!」

 

「っ!? フィーネだと!」

 

「ふふ…はははははっ!!」

 

すると櫻井さんは高らかに笑いだす。

 

「そうなのか…その笑いが答えなのか! 櫻井女史!」

 

「あんたが…この事件の首謀者なのか!? 櫻井さん!」

 

「ああ!あいつこそあたしが決着をつけなきゃいけないくそったれ、フィーネだ!!」

 

櫻井さんはおもむろに自分の眼鏡をはずし、結んだ髪をほどくと、突然その体が光りだした。

 

「嘘…!」

 

光がやむと、そこには白から黄金に染まったネフシュタンの鎧を纏いし白髪の櫻井さん…否、フィーネが立っていた。

 

「…嘘ですよね、そんなの嘘ですよね!だって了子さん私を守ってくれました」

 

「あれはデュランダルを守っただけの事。希少な完全状態の聖遺物だからね」

 

フィーネは響の言葉を冷たく否定する。

 

「嘘ですよ…了子さんがフィーネというのなら、じゃあ本当の了子さんは?」

 

「櫻井了子という肉体は先だって食いつぶされた。いや、意識は十二年前に死んだといってもいい」

 

「意識が死んだ? どういう意味だ?」

 

俺が尋ねると、フィーネは答えた。

 

「超先史文明期の巫女フィーネは、遺伝子に己が意識を刻印し、自身の血を引く者がアウフヴァッヘン波形に接触した際、その身にフィーネとしての記憶、能力が再起動する仕組みを施していた」

 

記憶と能力の再起動・・・あのバリアもフィーネの能力だってのか。

 

「十二年前、風鳴翼が偶然引き起こしたアメノハバキリの覚醒が、同時に実験に立ち会っていた櫻井了子の内に眠りし意識を目覚めさせた。その目覚めし意識こそが私なのだ」

 

「それがお前の…フィーネの正体なのか」

 

「貴方が、了子さんを塗りつぶして…」

 

「まるで、過去から甦る亡霊…!」

 

フィーネが放った真実に俺たちは驚く。

 

「フハハ…、フィーネとして覚醒したのは私一人ではない。歴史に記されし偉人、英雄、世界中に散った私たちはパラダイムシフトと呼ばれる技術の大きな転換期にいつも立ち会ってきた」

 

「シンフォギアシステム…」

 

「そのような玩具、為政者からコストを捻出するための服需品に過ぎない」

 

「お前に戯れに多くの人たちの命も散らせたのか!」

 

「あたしを拾ったり、アメリカの連中とつるんでいたのも、そいつが理由かよ!」

 

「そう!すべてはカ・ディンギルの為!」

 

フィーネが肯定し答えると、突然地面が大きく揺れだした。

 

「地震・・・いや違う!?」

 

その揺れは徐々に大きくなり、そして地面から巨大な何かがリディアンを貫いた。

 

それは塔、天を貫かんほどの巨大な塔だった。

 

「これこそが、地より屹立し、天にも届く一撃を放つ『荷電粒子砲 カ・ディンギル』」

 

「カ・ディンギル、こいつでバラバラになった世界が一つになると!?」

 

「ああ、今宵の月を穿つことによってな…!」

 

「月を穿つ!?何で月を破壊する必要があるんだ!」

 

俺が叫ぶと、フィーネはこれまでとは違う切実な顔になった。

 

「・・・私はただ、あのお方と並びたかった。 その為にあのお方へと届く塔をシンアルの野に建てようとした・・・だがあのお方は、人の身が同じ高みに至ることを許しはしなかったのだ」

 

切実に、フィーネは語り続けた。

 

「あのお方の怒りを買い、雷帝に塔が砕かれたばかりか、人類は交わす言葉まで砕かれる・・・果てしなき罰、バラルの呪詛を掛けられてしまったのだ」

 

「バラルの呪詛・・・」

 

「月がなぜ古来より不和の象徴と伝えられてきたのか・・・それは!月こそがバラルの呪詛の源だからだ!!人類の相互理解を妨げる呪いを、月を破壊することで解いてくれる。そして再び・・・世界を一つに束ねる!」

 

月に伸ばした手を握り締めるフィーネ、そしてカ・ディンギルがエネルギーを溜めだし輝きだす。

 

「・・・大勢の命を犠牲にして、月を破壊して世界を一つにするか、スケールがでかい話だことで」

 

「ふっ、貴様には難しすぎた話だったか?」

 

「ああ、正直俺の頭じゃ理解できないな。だけどこれだけは理解できる」

 

俺はキーを取り出しながら答える。

 

「何かを犠牲にして束ねた世界なんて誰も望んではいない。自身の身勝手な野望のために、多くの人たちの夢を壊したお前を、俺は…俺達は絶対に許さない!」

 

アウェイクン!

 

キーを起動させ、取り出したドライバーを身に着ける。

 

「ふん、永遠を生きる私が余人に歩みを止められる事などありえない」

 

「止めてやるさ、あんたを止められるのは・・・俺達だ!」

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

認証して現れたライジングホッパーライダモデルが俺たちの周りを飛び跳ねていく。

 

俺はキーを展開し、響たち装者三人が聖詠を唄う。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

俺たち四人の姿が変わる。

 

「行くぞ!」

 

先陣を切った俺はライジングホッパーの脚力でフィーネに接近し蹴りを食らわせようとするが、直前でフィーネは回避し地面に降りる。

 

カット!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

スラッシングカバンストラッシュ!

 

だが俺はすかさずアタッシュカリバーを取り出しキーを装填し、放った複数の斬撃がフィーネに襲い掛かる。

 

だがフィーネは鞭を振るい斬撃を全て叩き壊した、その隙に響と翼さんが接近し攻撃を仕掛けるがその拳と剣を掴まれ二人は投げ飛ばされる。

 

「喰らいやがれ!!」

 

そこへクリスが大量の小型ミサイルをばら撒く。

 

MEGA DETH PRATY

 

だが放たれたミサイルは振るわれた鞭によって全て撃ち落とされてしまう。

 

「あの鞭が厄介だ・・・まずはあれから!」

 

ブリザード!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ポーラーベアーアビリティ!

 

俺はカリバーにキーを装填しフィーネに接近戦を仕掛ける。

 

俺が振るった武器は鞭で受け止められる、けどそれでいい!

 

「凍り付け!」

 

フリージングカバンストラッシュ!

 

トリガーを引き、刀身から放たれた冷気は鞭を覆い、凍り付かせる。

 

「よしっ!」

 

「ほお、完全聖遺物を凍らせるほどか・・・だが」

 

フィーネが鞭を振るうと纏わりついていた氷は全て砕け散ってしまった。

 

「なっ!・・・がっ!?」

 

俺が驚いた隙を突かれ首を掴まれ持ち上げられる。

 

「やはり興味深い、この私ですら見たことのない未知のテクノロジーに加え他の聖遺物の力すら模倣する特異的な力、そしてそれを扱う娘・・・実に興味深い」

 

「ぐ・・・がぁ!」

 

フィーネは持ち上げたままドライバーをじっくりと観察する、くそっこのままじゃ…。

 

「面白い、月を破壊した後はお前とそのドライバーを調べ…っ!」

 

「真さんを離せ!!」

 

いきなり突っ込んできた響の拳を空いている鞭で止めようとするが、響はその鞭を掴み思いっきり引っ張りフィーネの体勢を崩す。

 

「なっ!?」

 

「翼さん!クリスちゃん!」

 

体勢を崩した隙に翼さんの斬撃とクリスのガトリングが襲い掛かりフィーネは俺を離し回避する。

 

フィーネが離れた隙に三人が俺の元へ駆け寄ってくる。

 

「大丈夫ですか!真さん」

 

「ガハッ! ああ、ありがとな」

 

「しかし四人同時に相手しているというのに収支余裕とは、侮れないな」

 

確かにこのままじゃジリ貧のタイムアップで月が破壊されちまう、かといってカ・ディンギルを狙っても妨害されちまう、仮に妨害を何とかしてもカ・ディンギルをぶっ壊せるほどの力なんて・・・!

 

「・・・あたしに任せろ」

 

「クリス?」

 

「お前ら、しばらくフィーネを食い止めてくれ」

 

「算段があるのだな?」

 

「ああ、とびっきりのがな」

 

「・・・わかった。 響!翼さん!」

 

「はい!」「心得た!」

 

俺達はクリスを信じフィーネに攻撃を仕掛けた。

 

「猪口才な・・・まだあきらめないか!」

 

フィーネが鞭を振るう中俺たちはギリギリで回避しながらフィーネに攻撃を仕掛ける。

 

「・・・ん?クリスはどこへ」

 

「あたしはここだ!」

 

声の方を向くと巨大なミサイルを二つ構えたクリスがいた。

 

「これでも喰らいやがれーー!!」

 

ミサイルの一つが発射され、そのミサイルはカ・ディンギル目掛けて飛んでいく。

 

「狙いはカ・ディンギルか、させるものか!」

 

フィーネが振るった鞭がミサイルと切り裂き、空中で爆発してしまう。

 

「もう一発は・・・!?」

 

フィーネが空を見て驚き俺も上を見ると、ミサイルに乗って空へ飛んでいくクリスがいた。

 

「クリスちゃん!?」

 

「何のつもりだ!!」

 

「だが、あがいたところで所詮は玩具!カ・ディンギルの発射を止めることなど…!」

 

カ・ディンギルの標準が月へ狙いを定めた時。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

天から歌声が聞こえた。

 

「この歌は・・・まさか!?」

 

「絶唱・・・!」

 

「まさか・・・クリス!!」

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

クリスを乗せたミサイルはカ・ディンギルより高く飛び、クリスはカ・ディンギルの訪問の真上で飛び降りた。

 

飛び降りたクリスの腰のプロテクターから無数のリフレクターユニットが飛び出し、クリスの周りに配置されクリスは二丁のハンドガンを手に取る。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

クリスのハンドガンから放たれたエネルギーは周りのリフレクターによって永遠に反射されエネルギーが増幅され、その光景は紅い蝶の形を象った。

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

その最中、クリスの持つ二丁のハンドガンが合わさり、形を変えバスターキャノンへと変わりその標準はカ・ディンギルへと構えられた。

 

「やめろ!クリスーーー!!」

 

俺の叫びと同時に、二つの砲撃が放たれた。

 

そして放たれた二つの砲撃はその中間でぶつかり合った。

 

衝突によって激しい光で周囲が照らされる中、クリスの砲撃はカ・ディンギルの砲撃を食い止めていた。

 

「一点集束・・・押し留めているだと!!」

 

フィーネはカ・ディンギルの砲撃を押し留めている状況に驚く。

 

だが、放たれたカ・ディンギルの砲撃は予想よりも強力で、クリスの砲撃が徐々に押されていく。

 

 

 

(ずっとあたしはパパやママのことが大好きだった)

 

バスターキャノンがひび付き、エネルギーも消えていく。

 

(だから、二人の夢を引き継ぐんだ)

 

あたしの体のギアにもひびがついていき、絶唱のバックファイアで口から血が出てきやがる。体の方も悲鳴を上げている。

 

(パパとママの代わりに、歌で平和を掴んで見せる・・・)

 

あたしの放った砲撃はどんどん押されていき。

 

(アタシの歌は、その為に・・・!)

 

そしてあたしは光に飲み込まれた。

 

 

 

とても短い静寂の中、月にひびが着く。

 

だが砕けたのは、月の一部に過ぎなかった。

 

「し損ねた!? わずかに逸らされたのか!?」

 

フィーネが驚く中、空から一人の少女が落ちていく。

 

小さな光を巻き散らしながら、地上へと落ちていく。

 

「そんな・・・」

 

翼さんの呟きと共に響は膝から崩れ落ち、言葉を失う。

 

そして少女はそのまま森の中へと・・・。

 

 

落ちて・・・いった。

 

「クリスーーーーーーー!!!」

 

「ああぁあぁぁぁああぁぁああぁ!!!」

 

俺の叫びと響の悲鳴が、夜空に響いた・・・。





さて後書きの時間だ、とりあえずクリスは頭に三角巾つけといてね。
「いやまだ死んだとは決まってないだろ!?勝手に殺すな!」
まあまあ、それよりこの回書いてて思ったことがあるんだ。
「なんだ?」
いやさ、この小説で俺初めて絶唱書いたわ。
「えっ?(読み漁り中)・・・ほんとだ!」
「最初の奏の絶唱も次の私の絶唱もなくなっているな」
まあその分話をどうしようか悩んだんだけどな…そして今週のセイバーだが。
「急に変わったな、まあすごい迫力だったなキングライオン大戦記」
時々考えるんだ、新たなエスパーダは現れるのかってさ。
「確かに、どうなるんでしょうね?」
「個人的にはデザストの立ち位置も怪しいからな」
まあそのあたりの考察はおいおい考えようか、じゃあそろそろ〆るか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

「おいあたしはこのままかよ!?」装備:三角巾


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翼、羽ばたかせて…

第二十九話なんだけど、いや~…いい最終回だったなセイバー。
「いやまだ終わってないからな!?まだ続くからな!!」
「でも組織の中に裏切者が本当にいるんでしょうか?」
「わからない、だがカリバーが虚言をつくメリットがない上真実かもしれないな」
次回では新しいライダーが現れてくるからな、楽しみだ。
「・・・というよりこの小説に触れてないんだがいいにか?」
まあいいだろ、それでは第二十九話どうぞ!

「ところでクリスは?」
「隅で拗ねています」


クリスの絶唱によって月の破壊は免れた、だがその代償としてクリスが落ちていった・・・。

 

「そんな・・・せっかく仲良くなれたのに・・・」

 

「クリス・・・!」

 

泣き崩れる響に拳を握り締めて涙を堪える俺、そんな俺たちを見て何も言わない翼さん。

 

それほどまでに絶唱の代償は重く、絶望的なのである。

 

「もっとたくさん話したかった。 話さないと喧嘩することも…今よりもっと仲良くなることもできないんだよ!」

 

「やっと本当の夢を見つけたんじゃなかったのかよ、それなのに…こんなのないだろ!」

 

重々しい空気の中、黙っていたフィーネから言葉が発せられる。

 

「自分を殺して月への直撃を阻止したか…はっ、無駄なことを」

 

それはクリスをあざ笑うような冷酷な発言だった。

 

「見た夢も叶えられないとは、とんだ愚図だなぁ」

 

「・・・すんな」

 

「ん?」

 

俺は忌々しい視線でフィーネを睨みつけた。

 

「クリスをバカにすんな!!」

 

バースト!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ダイナマイティングカバンストラッシュ!

 

アタッシュカリバーにキーを装填しトリガーを引き、出現したライオンがフィーネに襲い掛かる。

 

だがフィーネは鞭を巧みに振るい、ライオンを両断する。

 

ライオンはそのまま爆散するが俺はフィーネを睨み続ける。

 

「クリスは大切なものを守るために自分の命を懸けたんだ!そんなクリスをバカにする権利をお前は持ってない!!」

 

「命を燃やして、大切なものを守り抜くことを。お前は無駄とせせら笑ったか!」

 

俺に合わせるように翼さんは俺の横に立ち、俺と同じくフィーネを睨んでいる。

 

俺は構え、翼さんは剣を構える。いつでも攻撃を仕掛けられるように。

 

・・・その時だった。

 

「・・・そレガ」

 

それは重く、禍々しい声。

 

俺たちが振り返ると、そこには全身が黒く染まった響が目を赤く光らせていた。

 

「夢ト命ヲ握リシメタ奴ガ言ウ事カァァアァア!!!」

 

その姿はあの時と同じ、デュランダルを握り締めた時と、約束を果たせなかった時と同じ、黒い姿。

 

今、ようやくこの姿のことが分かった。

 

これは怒り、クリスの命を奪ったフィーネに対する響の怒り。それが形になったものだと。

 

「立花!おい立花!!」

 

「響!気をしっかり持て!」

 

俺と翼さんが呼びかけるが響は答えない。

 

「融合したガングニールの欠片が暴走しているのだ。制御できない力に、やがて意識は塗り固められていく」

 

「っ! まさかお前、立花を使って実験を」

 

「実験だと!?」

 

「実験を行っていたのは立花だけではない。見てみたいとは思わんか?ガングニールに翻弄されて、人としての機能が損なわれていく様を」

 

「お前はそのつもりで立花を!奏を!」

 

「どこまで命で弄べば気が済むんだ…!」

 

瞬間、響はフィーネに向かって跳躍する。

 

「響!!」

 

跳躍した勢いでフィーネに攻撃を仕掛けようとするが、鞭によって簡単に受け止められてしまう。

 

さらに攻撃を仕掛けようとするが、鞭によって弾き飛ばされてしまい後方へ吹き飛んでいく。

 

「立花!?」

 

「もはや、人にあらず。今や人の形をした破壊衝動」

 

吹き飛ばされた響は再び跳躍しフィーネに襲い掛かる。

 

だがフィーネは鞭を何度も交差させ、一枚のバリアを展開する。

 

ASGARD

 

バリアにぶつかり、破ろうと拳に力を籠める響、徐々にバリアがひび付き、砕けフィーネに拳を振るうと衝撃で土煙が上がる。

 

土煙が晴れると、体が両断されているフィーネと岩を砕きフィーネを睨む響がいた。

 

「もうやめろ響!それ以上やったらお前がお前じゃなくなっちまう!」

 

「そうだ立花、もうやめるんだ!それ以上は聖遺物との融合を促進させるばかりか!」

 

呼びかける中、響は俺たちの方を向き、いきなり跳躍し翼さんに襲い掛かる。

 

「っ!翼さん!」

 

俺は翼さんの前に立ちふさがり、キーを取り出す。

 

ブレイク!

 

オーソライズ!

 

シンフォニックライズ!

 

Dwelling in a fist! スマッシュガングニール!

 

Balwisyall Nescell gungnir tron.

 

スマッシュガングニールフォームに変身し、響の拳を受け止める。

 

「継菜!?」

 

「翼さん!響は俺が食い止める!翼さんはフィーネを!」

 

「だが…」

 

「頼む、翼!」

 

「っ!・・・わかった」

 

翼さんは俺たちを背にフィーネの元へ向かった、つい呼び捨てにしちまったけど許してくれるかな?

 

「・・・さて、こっちもなんとかしなくちゃな」

 

「ヴヴヴ・・・!」

 

俺は響の拳を受け流し距離をとる。

 

「響、お前のその手は手を繋げるための手だろ。誰かを…ましては仲間を傷つけるためじゃないだろ」

 

「ヴヴヴ…ガアアァァ!」

 

響は雄たけびを上げながら俺に向かってくる。

 

「目ぇ覚ませよ!響!」

 

俺も拳を構え響に向かい、俺と響の拳がぶつかり合い、その衝撃で辺りの岩が吹き飛んでいく。

 

響は連続で殴りかかったり蹴りを食らわせてくるが、俺はそれを紙一重で受け流していく。

 

確かに今の響は強い、けど怒りに任せて振るっているから攻撃は単調だ。

 

とにかく何とか響を落ち着かせて翼さんの加勢に向かわないと…。

 

突然、カ・ディンギルが少しづつ光りだした。

 

まさか、もうチャージを始めたのか!?

 

すると後ろの方から爆音が聞こえ、振り向くと翼さんが押されていた、くそっ!早くしないと…。

 

「ガアッ!!」

 

よそ見した隙を突かれ、響が大きく跳躍する。その先には翼さんがいた。

 

「っ!? 翼ぁ!!」

 

このままじゃ翼さんが攻撃されると感じた俺は、響よりも先に翼さんの元へ駆けつけ突き飛ばす。

 

だが響の攻撃の回避はもう不可能で、響の拳が俺の腹に突き刺さる。

 

「がはっ!!」

 

「っ! 継菜ぁぁぁ!?」

 

俺は口から血を吐きつつも、突き刺さっている響の腕を掴む。

 

「・・・ったく。きついの食らわせやがって」

 

「ガアァァ・・・ガアッ!」

 

響は離れようとするがその前に俺は響を優しく抱きしめる。

 

「響、お前のその力はみんなの笑顔を守るための力だろ?」

 

俺の声が聞こえたのか、暴れていた響は急に動きを止める。

 

「それなのにその力で誰かを傷つけたら奏も、翼さんも、未来も、二課のみんなが悲しむぞ」

 

俺は優しく語りながら突き刺さった拳をゆっくりと引き抜く。

 

「それに何より、俺はそんな響を見たくないんだ誰かを傷つけ、悲しむ響を」

 

「ガアァァ・・・ああ・・・」

 

気づけば響の目から涙が流れていた。

 

「だからさ、さっさと戻って来いよ。元の優しい響にさ」

 

「・・・まな・・・さん」

 

その瞬間、響のギアが解除され元の響に戻り、響は再び膝をつき、俺に泣きながら抱き着いた。

 

「ごめ・・・んなさい・・・、私・・・!私ぃ・・・!!!」

 

「俺は大丈夫さ、それより響が無事でよかったよ」

 

俺は空いた手で口の血をぬぐい取り、響の頭を撫でる。

 

「立花・・・無事でよかった」

 

翼さんも響に近寄り頭を撫でる。

 

「翼さん・・・!真さん・・・!」

 

「へへ…それじゃ響、ここで待っててくれ」

 

俺と翼さんは振り返り、こちらにゆっくりと近づいてくるフィーネを見る。

 

「継菜、その傷で大丈夫か?」

 

「なーに、こんなの弦十郎さんの修行で出来た傷に比べればなんともないさ。それよりどうする?」

 

このままいけばいずれカ・ディンギルがまた砲撃を始めちまう、その前に何とかしないと…。

 

「・・・私に任せてくれないか」

 

「えっ・・・!」

 

俺は翼さんの方を向くと、翼さんは覚悟を決めた顔をしていた。まさか…。

 

「・・・わかった、なら俺が全力でサポートする」

 

「ああ、頼む。それと」

 

何だと翼さんの方を改めて向く。

 

「私のことは先のように呼び捨てで構わない」

 

「!・・・わかったよ、翼」

 

俺は笑みを浮かべ、ドライバーのキーを取り出し、別のキーを取り出し起動させる。

 

ブレイド!

 

オーソライズ!

 

ドライバーに認証させると、ドライバーから剣を構えた翼のライダモデルが現れる。

 

「行くぜ、翼!」

 

俺はそのままキーを展開し、ドライバーに挿入する。

 

シンフォニックライズ!

 

翼のライダモデルは剣舞を舞いながらアーマーとなり俺の体に身に着けられる。

 

Wings flapping to a dream!ガーディアンハバキリ!

 

Imyuteus amenohabakiri tron.

 

俺は翼と同じギアを纏い、この手には一振りの剣が握られていた。

 

「貴方たちが、いるなら私は心置きなく歌えるな」

 

「どこまでも『剣』といくか」

 

「今日に折れて死んでも、明日に人として歌うために、風鳴翼が歌うのは戦場ばかりではないと知れ!」

 

「翼だけじゃないぜ、奏じゃないけど一曲付き合うぜ」

 

「ああ、行くぞ!」

 

俺と翼は剣を構える。

 

 

『使用BGM 絶刀・天羽々斬(翼&真)』

 

 

「人の世界が剣を受け入れることなどありはしない!」

 

鞭はうねりながら、俺たちに向かって襲い掛かってくるが、俺は剣で鞭を切り返し、翼は上へ飛んで躱した。

 

「颯を射る如き刃、麗しきは千の花」

 

翼のデュエットで、俺はフィーネに切りかかる。

 

フィーネは鞭で防ぐが、上から翼が両足に刃を展開し落下してくる。

 

フィーネが空いた鞭で迎撃するが、翼は巧みな体捌きで受け流しながら、剣を巨大化させ斬撃を振るう。

 

蒼ノ一閃

 

フィーネ斬撃を防ぐため俺から離れ両方の鞭で斬撃を防ぐ。

 

だが俺は離れたすきにアタッシュカリバーを取り出し二刀流でフィーネに襲いかかる。

 

フィーネは鞭を一直線に固め、剣に代用し迎え撃ってくる。

 

だが俺に気を取られている隙に翼に背後を取られ、翼の一撃でフィーネは吹き飛びカ・ディンギルの外壁に直撃する。

 

俺はその隙にドライバーのキーを押し込み、翼は上へ飛び剣を投げつけた。

 

アメノハバキリインパクト!

 

剣にエネルギーが溜まり、すぐさまドライバーからキーを取り出しカリバーに装填する。

 

ブレイド!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

アメノハバキリアビリティ!

 

アタッシュカリバーの方にもエネルギーが溜められていきトリガーを引く。

 

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                    

                     

                     

                     

                     

 

アメノハバキリインパクト!

 

アメノハバキリカバンストラッシュ!

 

二本の剣から放たれた斬撃は重なり十字の斬撃へと変わり、翼の投げた剣は先ほどより巨大になりその柄を蹴り着けさらに勢いをつける。

 

蒼ノ一閃・双刃

 

天ノ逆鱗

 

その攻撃を察知しフィーネは先ほどのバリアを三重に展開し待ち構える。

 

俺の放った斬撃が一枚目に十字の亀裂を入れ、そこに翼の剣が突き刺さり一枚目を突き破るがすぐに二枚目に防がれる。

 

防がれた剣はそのまま前方に倒れこむが、その前に翼がもう一振り剣を取り出し飛び立つ。

 

そしてそのまま二つの剣から炎が噴き出し、まるで火の鳥の如く飛び立つ。

 

炎鳥極翔斬

 

火の鳥が目指す場所は、天を貫くカ・ディンギルだった。

 

「初めから狙いはカ・ディンギルか!」

 

フィーネが翼の狙いに気づき阻止しようとするが、俺がフィーネの前に立ち剣で鞭を防ぐ。

 

「翼の邪魔はさせねえ!」

 

「ぐっ!貴様らあぁぁぁ!!!」

 

さあ、後は頼むぜ・・・翼。

 

 

 

(私一人ではここまで行けることはできなかった。)

 

私はカ・ディンギルに向かう中、一人思いにふける。

 

(継菜がいてくれたからここまでうまく行けなかっただろう・・・)

 

今から私がやろうとすることに、奏は怒るだろうか・・・?

 

(・・・いや、きっと奏なら私を支えてくれるだろう)

 

きっと私に手を差し伸べ、手を貸してくれる。

 

(両翼揃ったツヴァイウィングなら、どこまでも・・・そして)

 

 

 

「行けぇぇぇぇ!! 翼ぁぁぁぁ!!」

 

 

 

 

(友が私の背中を押してくれる!)

 

「させるものか!!」

 

「邪魔はさせない!絶対に!」

 

下で友が守ってくれている、体を張って止めている。

 

なれば私も答えなければ!!

 

そして私を纏う炎は赤から蒼へ変わり、カ・ディンギルへ向かう。

 

(立花、見ろ!これが私の生きざまだ!)

 

 

「立花ぁぁぁぁぁあぁぁああぁ!!」

 

 

親友の力を受け継いだ仲間の名を叫び、私はカ・ディンギルへとぶつかる。

 

「ああ・・・・・・っ!?」

 

「翼さん・・・!」

 

 

 

「翼・・・・・・お前の勝ちだ」

 

 

 

そしてカ・ディンギルは爆発を起こし、崩壊した。




後書きの時間だ!ということではい翼さん。(三角巾
「うむ、致し方ない」
「いや身に着けるのかい」
「今回は翼さんのキーの登場ですね」
ああ、ガーディアンハバキリプログライズキーという名前だ。
「ガーディアン・・・防人としてはぴったりな名だ」
因みに変身の時の英文は『夢に羽ばたく翼』という意味です。
「なんだかクリスのキーといい夢が多いな?」
夢が大好きなお年頃なので、それでガーディアンハバキリの特徴は基本はアメノハバキリと同じで近接戦闘型のキーだ。
「これでとりあえず私たちのキーは登場しましたね」
ああ、一期もそろそろ終わりが見えてきたから頑張らないとな・・・てなわけでそろそろ〆るか。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」

「あれ、翼さん言わないんですか?」
「死人に口なしというだろ」装備:三角巾
「いやまだ死んだわけじゃないだろ!?」


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光り輝くシンフォギア

いやー三十話なんだけどさ・・・何でお前だけなの?他は?
「翼とクリスは三角巾装備して黙り込み、響は本編でのショックで来てはいるが隅で黙り込んでる」
まともなのお前だけなのか?
「こんな状態にした元凶が何を言うか」
んんっ!さてと二人だけじゃ話すこともあまりないしさっさと行くか!
「逸らしやがった・・・それでは第三十話、どうぞ」


爆音と光が止んだ時、そこには崩壊した塔があった。

 

「私の思いは、またも・・・!」

 

離れた場所で了子さんの声が聞こえるが、私には聞こえない。

 

私の周りにはみんながいない。

 

気が付けば、私は膝をついた。

 

二人とももういない、学校も壊れて、みんないなくなって。

 

もうここには、私だけ…。

 

「ええい、どこまでも忌々しい! 月の破壊は、バラルの呪詛を解くと同時に重力崩壊を引き起こす。惑星規模の天変地異に人類は恐怖し、うろたえ、そして聖遺物の力を振るう私の元に帰順するはずであった!」

 

了子さんは怒りながら私の元に歩いてくる。

 

「痛みだけが人の心を繋ぐ絆、たった一つの真実なのに!」

 

私の前に止まり私を忌々しく睨みつけてくる。

 

「それをお前は・・・お前はぁぁ!!」

 

了子さんの足が私を蹴り飛ばそうと振るわれる。

 

その蹴りは私に当たる・・・はずだった。

 

「おらぁ!!」

 

いきなり了子さんが吹き飛ばされ、私の前には変身が解けた真さんが立っていた。

 

「痛みだけが人の心を繋ぐ絆なんかじゃない!」

 

真さんは爆発に巻き込まれたせいか、ボロボロで血を流している。

 

「人と人が手を取り合い、言葉を交わし、互いを理解し信頼する!その信頼こそが絆だ!痛みで縛り付けたそれは絆じゃない、支配だ!」

 

「くっ・・・!長き時を生きぬ小娘如きが私に口答えをするな!」

 

了子さんが鞭を振るい襲い掛かるけど、真さんは手にしている剣で私を守りながら防ぐ。

 

「私は長き時をかけてここまで築き上げてきたのだ!バラルの呪詛を解くために、人類を再び一つにするために!かつて創造神と語り合える統一言語を取り戻し!あのお方にこの胸の思いを伝えるために・・・それを貴様らは!」

 

「そのために、一体何人の人間が犠牲になったと思ってんだ!」

 

真さんが鞭を大きく切り飛ばし、私を担いで距離をとる。

 

「是非を問うだと・・・恋も知らぬお前如きが!」

 

「ああ、恋心なんてわかんねえさ。だとしても!」

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

「俺はお前を止めて見せる。希望をつないでくれた二人のためにも!変身!」

 

プログライズ!

 

ライジングホッパー!

 

真さんは再び変身し、了子さんとぶつかり合った。

 

「つないだ・・・希望・・・」

 

私は真さんが言った言葉を口にし、戦いを傍観した。

 

 

 

 

 

 

「響・・・真さん・・・!」

 

リディアンの地下、私は二課の皆さんやリディアンのみんなと避難して地上の光景を見ている。

 

クリスも翼さんも倒れて、響も戦えない状態、真さんが一人で戦っている。

 

「無茶だ!完全聖遺物と一人で戦うなんて・・・!」

 

映像では真さんが吹き飛ばされ、何度も倒れる。けど何度でも立ち上がって相手に立ち向かっている。

 

「真・・・!」

 

奏さんも拳を握り締めて見守っている、翼さんのことで一番つらいのは奏さんのはずなのに、涙を堪えて戦いを見守っている。

 

私も、クラスメイトの三人も真さんを見守っていた。

 

その最中、何人かの足音が近づいてきて部屋に入ってきた。

 

「司令、周囲区画のシェルターにて生存者を発見しました」

 

「そうか、よかった」

 

振り向くと、何人もの一般人が入ってきた。

 

そんな中、一人の男の子がモニターを見て声を上げる。

 

「あっ、あの時のお姉さん・・・!」

 

その子はモニターに近づいて、顔を覗き込む。

 

「やっぱり! あの時助けてくれたお姉さんだ!」

 

「こらっ!すみませんうちの息子が」

 

「真さんを知ってるんですか?」

 

「はい、前にもう一人の女の子と一緒にノイズから息子を守ってくれて」

 

その時モニターから爆音が聞こえ見ると、真さんが吹き飛んで変身が解けてしまった光景が写った。

 

「真さん!?」

 

室内がざわめく、けど真さんはボロボロになりながらも立ち上がった。

 

『まだ・・・だ! まだ、負けてない!』

 

真さんは変身が解けても武器を振るって攻撃を仕掛ける。

 

「がんばれ…」

 

男の子はモニターで戦っている真さんを見て応援した。

 

生身の状態でも真さんは立ち向かっている。絶望的な状況なのに真さんは諦めていない。

 

身体はボロボロで血も流れてるのに、真さんは戦っている。

 

「あっお姉さんだ!」

 

「あっちょっと待ちなさい!」

 

そんな中、一人の少女がモニターを見て近づいてくる。

 

モニターに映っている響は一人蹲っていた。

 

「すみません」

 

「ビッキーのことを知ってるんですか?」

 

安藤さんが女の子の母親に尋ねた。

 

「はい、詳しくは言えませんが、うちの子があの子に助けていただいたんです」

 

「響が…?」

 

「はい、自分の危険を顧みず助けてくれたんです。きっと、ほかにもそういう人たちが」

 

「響の・・・人助け・・・」

 

そんな中、真さんはまた吹き飛ばされ、ボロボロになっていく。

 

「ねえ、かっこいいお姉ちゃんたちを助けられないの?」

 

「・・・僕も助けたい」

 

二人の子供の声にみんなは耳を傾ける。

 

「・・・助けようと思ってもどうしようもないんです。私たちには何もできませんし…」

 

「じゃあ一緒に応援しようよ!」

 

寺島さんの言葉に少女は答えた。

 

「ねえ!ここから話しかけれないの?」

 

「あ、ああ。出来ないんだ…」

 

藤尭さんは悔しげに答える。

 

「っ!応援…」

 

私は弦十郎さんに尋ねた。

 

「あの、ここから響たちに私たちの声を、無事を知らせるにはどうすればいいんですか? 響たちを助けたいんです」

 

「助ける…?」

 

私の質問に藤尭さんが答えてくれた。

 

「学校の施設がまだ生きていれば、リンクしてここから声を送れるかもしれません」

 

「それならっ!」

 

「ああ、あたしたちにもできることはある!」

 

やることは決まった…頑張って、真さん、響!

 

 

 

 

 

「はぁ…はぁ…」

 

俺はボロボロになりながらも、立ち上がろうとする。

 

「なぜだ?なぜお前はまだ立ち上がろうとする?そこまで傷ついて、いったい何が貴様を奮い立たせる?」

 

フィーネは何度も立ち上がる俺を見て問う。

 

「決まってんだろ・・・守るためだ」

 

「守る?何を守るというんだ。見よ、この光景を! 守るべき場所も、守るべき者もない!それなのに何を守るというのだ」

 

「皆の夢を、守るために」

 

「夢だと?そんな不確定なもののために…」

 

「わかってねえな…夢ってのは明日を歩くための力だ。あの場所に行きたい、気になった物をを手に入れたい、明日もみんなと笑い合いたい、人はみんな夢を見て明日に向かう力を得るんだ」

 

俺は体を奮い立たせ、なんとか立ち上がる。

 

「あんただって自分の目的達成を夢見て、此処までやってきたんだろ」

 

「っ!?」

 

「夢ってのは計り知れない力が宿ってるんだ。俺はそんな夢を、みんなの希望を守りたいんだ…!」

 

「希望を守るだと、その言葉が幼稚で浅はかな言葉なのか、お前は理解してるのか!」

 

「わかってるさ、だからこそ守るんだ!みんなの希望を、みんなの夢を守る、それが仮面ライダーゼロワンだ!」

 

俺はアタッシュカリバーを構える。

 

それと同時に、俺の耳に何かが聞こえた。

 

 

 

『仰ぎ見よ太陽を よろずの愛を学べ』

 

 

 

「これは・・・歌?」

 

「なんだ、この耳障りな・・・どこから聞こえる?」

 

聞こえてくる歌声に俺とフィーネ、そして響が反応する。

 

 

 

『朝な夕なに声高く 調べと共に強く生きよ』

 

 

 

その歌声からは聞き覚えのある声が聞こえる。

 

その声に反応したのはほかでもない、響だった。

 

「ぅぁ・・・」

 

「なんだ・・これは・・・」

 

 

 

『遥かな未来の果て 例え涙をしても』

 

 

 

この歌は、未来たちが決死の思いで伝えてくれた歌声。

 

(真さん、響…私たちは無事だよ。みんなが帰ってくるのを待っている。だから、負けないで)

 

俺たちの耳に未来の声が、そう聞こえた。

 

 

 

『誉れ胸を張る乙女よ 信ず夢を唄にして』

 

 

 

「何処から聞こえてくる、この不快な歌・・・唄だと!?」

 

そこでフィーネは何かに気づいた。

 

「ははっ、無事だったか。 聞こえるか響!みんなの声が、みんなの歌が」

 

「・・・はい、聞こえますみんなの声が」

 

俺の声に響は反応する。

 

それと同時に朝日が昇り始める。

 

「よかった…私を支えてくれてるみんなはいつだって傍に」

 

皆の声が俺を、響を心から安心させてくれる。

 

「守るべきみんながまだいるんだ」

 

「皆が歌ってるんだ・・・だから」

 

響はゆっくりと、希望と共に立ち上がる。

 

「まだ歌える。頑張れる!戦える!!」

 

瞬間、響は光を纏い立ち上がる。

 

俺はそんな響を見てホルダーから一つの光り輝くキーを取り出す。

 

「ああ、まだ立ち上がれる!守り通せる!立ち向かえる!!」

 

俺はキーを起動させる。

 

シャイニングジャンプ!

 

オーソライズ!

 

俺は認証すると、上空から一本の光が落ちてきて、それをキーで受け止める。

 

受け止めた光は大きなゲートとなり、キーを鍵のようにひねると光のゲートから小さなバッタを乗せた光り輝くライジングホッパーに似たライダモデルが現れた。

 

「まだ戦えるだと・・・!?何を支えに立ちあがる。何を握って力と変える」

 

フィーネは突然の出来事に驚きを隠せずにいた。

 

「鳴り渡る不快な歌声の仕業か・・・? そうだ、お前が纏っているものは何だ?お前が手にするそれは何だ?心は確かに折り砕いたはず。その身は確かに傷つけたはず」

 

フィーネは一歩下がりながら訪ね続ける。

 

「なのに、何を纏っている!?それは私が作ったものか?お前たちが纏うそれは一体なんだ!何なのだ!?」

 

「決まってるだろ、これは何なのかを」

 

その時、三つの光が天を貫く。

 

一つは蒼、青く澄み渡る翼の光。

 

一つは紅、赤く燃え上がるクリスの光。

 

一つは黄、黄金に輝く響の光。

 

そしてそこに加わる、俺の光。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

瞬間響たちはギアを纏い、そして光り輝くライダモデルは巨大なネットに捕らえられ、俺に身に着けられる。

 

「シンフォギアァァアァアアァァァア!!」

 

The rider kick increases the power by adding to brightness! シャイニングホッパー!

 

When I shine,darkness fades.

 

二つの声が重なり、三つの光が飛翔する。

 

純白のギアと翼を羽ばたかせ、響たちは飛ぶ。

 

莫大な量のフォニックゲインによってシンフォギアに施された三〇一六五五七二二もののリミッターを解除することで生まれた最終決戦形態『XD』。

 

そしてライダースーツが進化した『シャイニングアーキテクター』に黄色いラインが走り、背中に身に着けられる『シャイニンググラディエーター』が異色を放つゼロワンの強化フォーム『ゼロワンシャイニングホッパーフォーム』。

 

今ここに、四つの奇跡が起きた。

 

「決着の時だ、フィーネ」

 

四つの輝きと共に、最終決戦が始まる。




さあ後書きの時間だ『オラァ!!』ヘブゥ!?
「ようやくこの三角巾外せれた!」
「わぁぁぁん!クリスちゃぁぁん!翼さぁぁぁん!」
「待たせたな立花、私たちも復帰完了だ」
「とうとう全員、最終決戦形態だな」
まあゼロワンはまだ進化できるけど今はシャイニングで妥協してください、あっそれと次回で第一期最終回です。
「最終回ですか・・・とうとうですね」
最終回の投稿は12月31日にします。
「長かった戦いも終止符が打たれるのか」
「こうなりゃ最後もド派手にやってやらあ!」
「それじゃあ、いつもので〆るか!」

「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」


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流れ星、墜ちて燃えて尽きて、そして・・・

今年最後の投稿にしてついに第一期最終回だぁぁぁ!!
此処まで本当に長かったぁぁぁぁ!!!
「お前が計画的に書いていればもっと早く最終回投稿できただろうが」
そんなことはどうでもえぇぇぇぇぇ!!!
「作者さんどうしたんでしょう?」
「見んな馬鹿、アホが移るぞ」
「おそらく最終回と今年の最後が重なってテンションが有頂天になってしまったのだろう」
「こんなんでいいのか最終回・・・」
さあさあ御託は良いからさっさと行くぞぉぉぉ!!
「わかったわかった!それでは長き戦いに終止符がつかれる」

「「「「「戦姫転生ゼロフォギア 第一期最終回どうぞ!」」」」」


夜明けと共に立ち上がる四人。

 

シンフォギアの最終決戦形態『XD』、ゼロワンの進化形態『シャイニングホッパー』。

 

四つの希望が絶望の淵より光り輝き立ち上がる。

 

「皆の歌声がくれたギアが、私や真さんに負けない力を与えてくれる。クリスちゃんや翼さんに、もう一度立ち上がる力を与えてくれる。歌は戦う力だけじゃない、命なんだ」

 

「高レベルのフォニックゲイン・・・こいつは二年前の意趣返し」

 

『んなことはどうでもいいんだよ!』

 

するといきなり、俺の頭の中にクリスの声が響いた。

 

『うぉ!?クリスの声が頭に直接響いたぞ!?』

 

『えっ!真さんもこれできるんですか!?』

 

『わからねえ、けどこうして会話できるってことはできるみたいだな…』

 

「念話までも・・・限定解除されたギアを纏ってすっかりその気か!」

 

フィーネが杖を掲げると、杖から放たれた光からノイズが出現する。

 

『またノイズか、そろそろネタが尽きたみたいだな』

 

『世界に尽きぬノイズの災禍も、すべてはお前の仕業なのか?』

 

俺たちの問いにフィーネも念話で答えてくる。

 

『ノイズとは、バラルの呪詛にて相互理解を失った人類が、同じ人類のみを殺戮するために作り上げた『自立兵器』』

 

フィーネの問いに俺たちは驚いた、ノイズが人が人を殺すために作られた兵器!?

 

『人が、人を殺すために…!?』

 

『『バビロニアの宝物庫』は扉が開け放たれたままでな、そこからまろびいずる十年一度の『偶然』を私は『必然』と変え、純粋に力へと使役してるだけの事』

 

『また訳の分からねえことを!』

 

クリスが言い放った瞬間ノイズが襲い掛かるが、俺たちは難なく避け切る。

 

『今更ノイズの攻撃でやられると思うなよ・・・っ!?』

 

俺がフィーネを見ると、天に掲げた杖が緑色の光を放っていた。

 

「墜ちろぉぉぉ!」

 

杖から放たれた光は空に放たれ、街に無数に拡散される。

 

拡散された光はノイズへと変わり、その数は道路を埋め尽くし、巨大な個体は建物を破壊し、飛行型は空を覆い、そして街はノイズに埋め尽くされてしまった。

 

「あっちこっちから!」

 

「ならば、手分けしてノイズの殲滅を『翼』継菜?」

 

「それにクリスに響、ノイズはお前たちに任せてもいいか?」

 

「真さんはどうするんですか?」

 

「俺はフィーネをぶっ飛ばす」

 

俺の提案に三人は驚く。

 

「一人で相手するつもりか!?無茶だ!」

 

「大丈夫さ、心配するな」

 

「けど・・・」

 

「三人とも、頼む」

 

俺は三人に頭を下げる。

 

三人は少し考え、そして。

 

「・・・わかった、此方は任せてくれ」

 

「あたしの分までフィーネの奴をぶっ飛ばしてくれ」

 

「おう、任せろ」

 

響は心配そうに俺を見る。

 

「真さん…無事を祈ります」

 

「そっちこそな」

 

お互いに言い残し、響たちはノイズの方へと羽ばたいた。

 

「貴様一人で私を相手取ることが出来るのか?」

 

フィーネは鞭をしならせながら俺に近づく。

 

「ああ、それと今の俺はさっきまでとは違うぜ」

 

「何をぬかすか!」

 

フィーネは俺に向かって鞭を乱雑に振るい、微動だにしない俺に対し笑みを浮かべる。

 

だが鞭が当たる瞬間、俺は最小限の動きで鞭を躱し続ける。

 

「何っ!?」

 

躱されたことに驚き鞭を止めた瞬間、俺は高速で移動しフィーネの後ろを取る。

 

「なんだこの速さは!?」

 

すかさずフィーネはオレから距離をとるが、距離を取った瞬間俺がフィーネに高速接近し拳を叩き込む。

 

「ガハッ! くそっ!」

 

フィーネは鞭の先端にエネルギーを溜める、だが。

 

「悪いが、それはラーニング済みだ」

 

俺は既にキーが装填されているアタッシュショットガンを構え、トリガーを引く。

 

トラッピングカバンショット!

 

放たれたエネルギー弾はフィーネの溜めているエネルギーを蜘蛛の巣状に包み、そして包まれたエネルギー弾は爆発を起こす。

 

「馬鹿な…いつの間に?」

 

「あんたじゃ俺に勝てない、俺を超えれるのはただ一人…俺だ!」

 

 

『使用BGM FIRST LOVE SONG』

 

 

聞こえてくる響たちの歌声と共に、俺はフィーネに攻撃を仕掛ける。

 

フィーネは再び鞭を振るってくるが、頭部の『シャイニングアリスマリック』によってフィーネの攻撃を予測し、躱しながら攻撃を仕掛ける。

 

シャイニングホッパーは相手をラーニングすることによって相手の行動を予測し約二万五千通りの対処パターンを予測し、最適な答えを導き出せる。

 

本来できない動きも体に身に着けられているシャイニンググラディエーターによって可能となっている。

 

だがそれに関してなのか、俺自身の潜在能力が強制的に引き上げられており、ボロボロの俺はこの機能で何とか戦えている。

 

その代償として、さっきから俺の体が悲鳴を上げている。

 

シャイニングの高速戦闘でフィーネに連続で攻撃を仕掛けるが、決定的なダメージは与えられない。

 

やっぱりあの再生能力が厄介だな…。

 

対処法を考えていると、ホルダーのキーが光りだす。

 

ホルダーを見るとガングニール、アメノハバキリ、イチイバルのキーが光っていた。

 

「・・・そうか、手伝ってくれるんだな」

 

俺か語り掛けると、キーの光は応えるように光を強める。

 

「よし、行くぞ!」

 

俺はショットガンで地面に一撃を与え土煙を上げフィーネから距離を取り、アタッシュカリバーも取り出し地面に突き刺す。

 

ブレイク!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ガングニールアビリティ!

 

チャージライズ! フルチャージ!

 

俺はアタッシュショットガンにスマッシュガングニールを装填しチャージすると、ショットガンを上へ放り投げ、アタッシュカリバーを手にし抜き取る。

 

ブレイド!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

アメノハバキリアビリティ!

 

チャージライズ! フルチャージ!

 

今度はアタッシュカリバーにガーディアンハバキリを装填しチャージし、落ちてきたショットガンを片手で受け取る。

 

「くそっ!こんなもので・・・!?」

 

受け取ると同時に土煙が吹き飛ばされるが、こっちの準備は終えている。

 

「これでも喰らいやがれ!」

 

俺はアタッシュショットガンを構えトリガーを引く。

 

 

ガングニールカバンバスター!

 

放たれる拳型のエネルギー弾に合わせるように、もう片方のアタッシュカリバーのトリガーを引く。

 

 

アメノハバキリカバンダイナミック!

 

放たれた蒼い斬撃は先ほどのエネルギー弾と共にフィーネに向かう。

 

「そんなもの!!」

 

フィーネは鞭でバリアを展開し攻撃を受け止める、受け止めた攻撃とバリアは火花を飛び散らせ均衡している。

 

「ぐっ・・・!この程度!!」

 

「そいつは響と翼の分・・・」

 

フィーネは受け止めながらも俺の方を見る。

 

「そしてこいつは、クリスの分だ!」

 

俺は両手の武器を投げ捨て、新たにアタッシュアローを取り出す。

 

ブラスター!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

イチイバルアビリティ!

 

チャージライズ! フルチャージ!

 

クリムゾンイチイバルを装填しチャージすると、矢先に紅色のエネルギーが溜められていき、そのままトリガーを引いた。

 

 

イチイバルカバンストライク!

 

放たれた紅色の矢は一直線に飛び、先に放った俺の攻撃と重なり合った。

 

響のガングニール、翼のアメノハバキリ、クリスのイチイバルの力は重なり、混ざり合い、そしてそのエネルギーは巨大な光の鳥へと変わった。

 

「なっ!?」

 

三つの力が混ざり合ったことにフィーネは驚く、三人の力が合わさったこの技を俺はこう名付けた。

 

DIVINECROSSTRINITY

 

その鳥はフィーネが張ったバリアを貫き、フィーネごと後ろのカ・ディンギルの残骸へ飛んでいき爆発を起こした。

 

いくらネフシュタンの鎧の再生能力でもあれならすぐには回復できないはずだからな。

 

それと同時に街の方から大きな衝撃が起き、振り返ると街の方のノイズはほとんど吹き飛んでいた。

 

「やってくれたな、あいつら」

 

俺が安堵すると、こっちを見た響が驚いた顔をして叫んだ。

 

「真さん、後ろ!!」

 

響の叫びに後ろを振り返ると、ふらふらと立ち上がったフィーネが手にしていた杖を自身の体に向けていた。

 

そしてそのまま杖で自分の体を貫いてしまう。

 

「な!?」

 

俺が驚く間にフィーネの体の一部が伸び、杖に引っ付いてしまう。

 

それに合わせるかのように、街にいたノイズたちが一斉にフィーネの元に集まり、融合を始める。

 

「フィーネがノイズに取りこまれて・・・!?」

 

「そうじゃねえ…あいつがノイズを取り込んでやがんだ!?」

 

フィーネとノイズが融合した物体は俺達に向けて触手のようなものを伸ばすが、すぐに回避する。

 

「来たれ・・・デュランダル!」

 

フィーネが叫ぶと、突如地面から光が溢れだし、地面が何かが現れる。

 

俺は危険を察知し高速移動でその場から離れ、跳躍しクリスが展開している飛行ユニットの上に乗る。

 

「あっおい!」

 

「済まねえ、緊急事態なもので乗らせてもらうぞ」

 

クリスの上で地面から出てきたものを確認する。

 

 

それはカ・ディンギルよりも巨大な赤き竜。

 

全てを滅ぼさんとする破滅の竜。

 

 

赤き竜の口元からレーザーが放たれる。

 

そしてそのレーザーが迸った瞬間、街は大爆発を起こした。

 

「街が!?」

 

「今の…カ・ディンギルの砲撃に匹敵するぞ!?」

 

『逆さ鱗に触れたのだ・・・相応の覚悟が出来ておろうな?』

 

俺たちが驚愕してる中、フィーネが語り掛けてくる。

 

振り返ると、赤き竜の頭部にデュランダルを手にしているフィーネが笑みを浮かべていた。

 

すぐさまレーザーを放ってくるが、俺たちは散って回避する。

 

「何度も撃たせるかよ!!」

 

俺がクリスの上から跳躍しフィーネの元へ向かいキックを与えようとするが、フィーネのいたところが閉鎖され、防がれてしまう。

 

「なっ…がはっ!!」

 

防がれた瞬間、触手らしきものに弾き飛ばされてしまう。

 

地面にぶつかる瞬間、クリスが飛行ユニットで受け止めてくれて危機を脱する。

 

「がはっ! た、助かった…」

 

「無茶すんな馬鹿真!」

 

俺を回収したクリスはすぐさま大量のレーザを撃ち全て直撃するが、赤き竜の体には傷一つつかなかった。

 

次に翼が『蒼ノ一閃』を放ち傷をつけるが、その傷はすぐに修復されてしまう。

 

「ネフシュタンの鎧の自己再生能力だと!?」

 

次に響が拳を振るい竜の胴体を貫くが、それもすぐに修復されてしまい反撃されるがすぐに回避する、くそっ!再生能力が上がってやがる。

 

『幾ら限定解除されたギアであっても所詮は聖遺物の欠片から作られた玩具!完全聖遺物に対抗できるなど思うてくれるな』

 

フィーネの放った言葉に翼とクリスは何かを思いつく。

 

『聞いたか!』

 

「チャンネルをオフにしろ」

 

翼に言われ俺たちは念話を解除する。

 

「もういっぺんやるぞ」

 

「しかし、その為には・・・」

 

翼とクリスは響の方を見る。

 

「二人共、いったい何を・・・」

 

「フィーネを倒す術が一つだけある、それには立花の力が必要だ」

 

俺と響は翼とクリスから術を聞く…なるほど、確かに響にしかできない作戦だ。

 

「そういうことなら俺も手伝うぞ」

 

「助かる、立花は?」

 

「ええっと…やってみます!」

 

決意は万端の様だな。

 

「よし、行くぞ!」

 

響はその場に待機し、俺と翼とクリスの三人でフィーネに突貫する。

 

「私たちで露を払う!」

 

「手加減は無しだぜ!」

 

「元から手加減できる相手じゃないだろ!」

 

俺とクリスがそのまま赤き竜に接近し、その隙に翼さんが剣に力を溜める。

 

力が溜められた剣はさらに巨大となる。

 

俺とクリスがフィーネの気を引いている隙に、翼が渾身の一撃を放つ。

 

その一撃は蒼ノ一閃よりも遥かに上回る一撃、その名も…。

 

蒼ノ一閃・滅破

 

放たれた強力な一撃は赤き竜に直撃し、その胴体に大きな風穴を開ける。

 

「よし、まかせろ!」

 

俺はすぐに跳躍し穴がふさがる前に中に飛び込み、フィーネに接近する。

 

「なっ!」

 

「どりゃぁぁぁ!」

 

俺はそのままフィーネに攻撃を仕掛けるが、フィーネは戸惑うがすぐに対処しデュランダルで防ぎ、俺を追い出すために装甲を開ける。

 

だが装甲を開けた先には砲撃を構えているクリスが待っていた。

 

「なに!?」

 

「喰らいやがれ!!」

 

開けられた瞬間、クリスの砲撃が放ち赤き竜の内部が黒煙で充満される。

 

フィーネの視界が防がれている隙に俺が高速でフィーネの後ろを取り、フィーネが手にしていたデュランダルを外へ蹴り飛ばす。

 

 

『使用BGM:Synchrogazer』

 

 

「響!そいつが最後の切り札だ!」

 

蹴りだされたデュランダルは私の元に向かう。

 

「勝機を零すな、掴み取れ!」

 

勢いが足りずデュランダルが失速するけど、クリスちゃんの援護射撃で私の元へ撃ち飛ばされていく。

 

「ちょっせえ!」

 

私のために頑張ってくれるみんなのために、私はデュランダルの元へ向かいその柄を手にする。

 

「デュランダルを!?」

 

その瞬間、私の意識が塗り潰されかけ、体が黒く染まりかける。

 

「グ・・・ガァ・・・!!」

 

意識が破壊衝動に塗りつぶされ掛ける…このままじゃあ…!

 

「正念場だ!踏ん張りどころだろうが!」

 

そう思った瞬間下から声が聞こえ、その方を見ると避難していたみんながいた。

 

「強く自分を意識してください!」

 

「昨日までの自分を!」

 

「これからなりたい自分を!」

 

「お前が守りたい笑顔のためにその力を使いこなせ!」

 

(み・・・みんな・・・!)

 

師匠に続いて緒川さんが、藤尭さんが、友里さんが、奏さんが呼びかけてくれる。

 

「屈するな立花」

 

意識が呑み込まれ掛ける中、翼さんとクリスちゃんが傍に寄り添ってくれる。

 

「お前が構えた胸の覚悟、私に見せてくれ」

 

「お前を信じ、お前に全部かけてんだ!お前が自分を信じないでどうすんだよ!」

 

翼さんとクリスちゃんが呼びかけてくれる。

 

「貴方のおせっかいを!」

 

「あんたの人助けを!」

 

「今日は、あたしたちが!」

 

クラスのみんなが呼びかけてくれる。

 

「姦しい!!黙らせてやる!」

 

そんな中、回復した了子さんの攻撃が振るわれる。

 

その攻撃は直前で防がれるけど、その衝撃で意識が呑み込まれる。

 

意識が遠のく、全部が呑み込まれていく。

 

私が・・・塗り・・・潰されて・・・。

 

 

 

「「響ぃぃぃぃぃいいいぃぃぃいいぃぃ!!」」

 

 

 

その時、未来と真さんの声が聞こえた。

 

私の大切な二人の声が、私の胸に響いた。

 

(そうだ・・・今の私は、私だけの力じゃない!)

 

「ビッキー」

 

「響!」

 

「立花さん!」

 

「・・・」

 

私のために、私を信じ、私の名前を呼んでくれる友達が、親友が見守ってくれている!

 

(そうだ、この衝動に・・・塗りつぶされてなるものか!!)

 

この破壊衝動を、抑え込め!

 

私を包む闇が消え、デュランダルの刀身に巨大な光の刃が形成される。

 

私と共に翼さんとクリスちゃんが剣を掲げてくれる。

 

「その力・・・何を束ねた!?」

 

「響合うみんなの歌声がくれた、シンフォギアでぇぇええぇぇぇええ!!」

 

皆の思いを乗せ、デュランダルを振るう!

 

 

Synchrogazer

 

 

光り輝く刀身が赤い竜に向かって振り下ろされる。

 

「くっ…負けてなるものかぁぁぁぁああぁぁ!!」

 

了子さんは最後の力を振り絞り、竜の頭部からのレーザーでデュランダルを受け止める。

 

二つの力は均衡し、互いに動けずにいた。

 

「このままお前たちもろとも吹き飛ばしてやる!」

 

確かにこのままじゃ私たちは競り負ける・・・けど、私たちにはまだいる。

 

こんな時に駆け付けてくれて、助けてくれる『ヒーロー』が。

 

「うおぉぉぉおおぉぉぉ!!」

 

そんな時、背後から真さんが私達よりも高く飛びあがる。

 

「なにっ!?」

 

「これで・・・終わりだぁぁぁああぁぁ!!」

 

真さんはドライバーのキーを押し込む。

 

シャイニングインパクト!

 

真さんはデュランダルの刀身に重なるようにライダーキックを放つ。

 

赤い竜に向かう真さんのドライバーのキーに、デュランダルがまるで力を貸してくれるかの様に光が集まり、真さんの体がデュランダルと同じ光を放つ。

 

そして真さんのキックが竜の頭部に衝突する。

 

「うおぉぉおおぉぉぉおぉおおぉお!!」

 

 

シャイニングインパクト!

 

デュランダルの輝きを纏った一撃は竜の頭部を貫き、頭部は崩壊する。

 

「馬鹿な!?完全聖遺物を打ち砕く力だと!?」

 

「決めろ!お前ら!!」

 

竜の頭部が消えたことでデュランダルを抑え込むレーザーが消え、刀身に勢いが戻る。

 

「おぉおぉぉぉおおぉぉ!!」

 

そしてデュランダルの一撃が、赤き竜に叩き込まれる。

 

『完全聖遺物同士の、対消滅・・・!』

 

叩き込まれた赤き竜はその体が崩壊していく。

 

『どうしたネフシュタン!再生だ!』

 

崩壊していく竜の中で了子さんが叫んでいる。

 

『この身・・・砕けてなるものかぁぁぁあぁぁああぁ!!』

 

了子さんの叫びと共に、赤き竜は大爆発を起こし消滅した。

 

 

 

 

 

空が夕焼けに染まる中、響は倒れていたフィーネの肩を背負ってみんなの元へ向かってきた。

 

「お前・・・何をバカなことを・・・」

 

「みんなに言われます、親友からも変わった子だ~って」

 

響の行動にみんなは呆れた感じで見てくるが、嫌そうな顔はしてなかった。

 

「まあ、それが響だよな」

 

響はそのままフィーネを近くの平らな岩に座らせる。

 

「もう終わりにしましょう、了子さん」

 

「・・・私はフィーネだ」

 

「でも、了子さんは了子さんですから」

 

「・・・・・・」

 

「きっと私達、分かり合えます」

 

少し無言になったフィーネ…いや櫻井さんはスッと立ち上がる。

 

「・・・ノイズを作り出したのは、先史文明期の人間・・・統一言語を失った我々は、手を繋ぐよりも相手を殺すことを求めた」

 

立ち上がった櫻井さんはそのまま前へ歩き出す。

 

「そんな人間が分かり合えるものか・・・!」

 

「人がノイズを生み出した…か」

 

俺の言葉が聞こえたのか、響は悲しそうな顔をした。

 

「・・・だから私は、この道しか選べなかったのだ!」

 

櫻井さんは鞭を握り締める。

 

「おいっ・・・!」

 

クリスが何かを言おうとするが、翼さんがそれを制してくれる。

 

静寂がこの場を包み・・・その静寂を最初に破ったのは響だった。

 

「人が言葉よりも強く繋がれること、分からない私達じゃありません」

 

響は後姿の櫻井さんに向かってはっきりと言うと、櫻井さんから息を吐く声が聞こえた。

 

・・・そして次の瞬間、勢いよく振り返り鞭を振るった。

 

「ハァァ!!」

 

向かってくる鞭を響は回避し、櫻井さんに接近しその体に振るった拳をギリギリで止める。

 

はたから見れば響の勝ち・・・だが櫻井さんの顔は笑みを浮かべていた。

 

「私の勝ちだ!!」

 

「っ!?」

 

その言葉を聞き、まだ直進する鞭の行き先を見る。

 

その先には、カ・ディンギルの砲撃によって少し砕けた月の欠片があった。

 

「まさか!?」

 

「であぁぁぁああぁぁあああぁあぁぁぁ!!」

 

まるで巨大な何かを引っ張るように櫻井さんは振り返り鞭を引っ張る。

 

渾身の力を込めて、地面を踏み砕き、身に纏っているネフシュタンの鎧が砕けようと櫻井さんは腹の底から叫びながら引っ張る。

 

そして勝利を確信した顔で高らかに叫んだ。

 

「月の欠片を落とす!!」

 

「っ!?」

 

その発言にみんなが驚き月の方を向くと、砕けた月の欠片が徐々に大きくなっていくのがわかる。

 

まじで、月の欠片を引っ張り落としたのか!?

 

「私の悲願を邪魔する禍根は、ここで纏めて叩いて砕く!この身は此処で果てようと、魂までは絶えやしないのだからな!」

 

ネフシュタンの鎧が砕け散りながらも、櫻井さんは話し続ける。

 

「聖遺物の発するアウフヴァッヘン波形がある限り、私は何度だって世界に蘇る!」

 

その顔は、狂気に包まれながらも笑みを浮かべていた。

 

「どこかの場所を、いつかの時代、今度こそ世界を束ねるために!」

 

それは執念、自身の願いを叶える為ならどんなことでもする果てしなき執念。

 

「アハハッ!私は永遠と刹那に存在し続ける巫女!フィーネなのだ!!!」

 

 

 

・・・その時、響の拳が櫻井さんの体に当て、小さな風が吹いた。

 

「・・・うん、そうですよね」

 

響は頷きながら、その拳を下した。

 

「どこかの場所、いつかの時代、甦るたびに何度でも。私の代わりにみんなに伝えてください」

 

その時の響の顔はいつもと同じ笑顔だった。

 

「世界を一つにするのに、力なんて必要ないってこと。言葉を超えて私たちは一つになれるってこと。私たちは、未来にきっと手を繋げられるということ。私には伝えられないから、了子さんにしかできないから」

 

「・・・お前、まさか」

 

櫻井さんは何かを察した顔をして、言葉が続かなかった。

 

俺たちはその光景を見届ける。

 

「了子さんに未来を託すためにも、私が今を守って見せますね!」

 

響は確固たる決意をもって、櫻井さんに発言した。

 

「・・・ふっ、本当にもう。ほうっておけない子なんだから」

 

その時の櫻井さんの顔は、俺たちの知る櫻井さんの優しい笑みだった。

 

櫻井さんはそのまま響の胸に指をあて、響に呟いた。

 

「胸の歌を、信じなさい・・・」

 

そう言い残し、櫻井さんの体は灰となり風に舞う。

 

長い付き合いだった翼や奏、弦十郎さんは涙を堪え、一番付き合いが長いクリスは涙を流し、俺はクリスの頭をそっと撫でながら、櫻井さんを見送った。

 

・・・さようなら、櫻井さん。

 

 

 

「・・・軌道計算、出ました」

 

藤尭さんが、落下してくる月の欠片の計算を終えてくれる。

 

「直撃は…避けられません」

 

皆は月の欠片を見上げる。

 

「あんなものが落ちたら・・・」

 

「あたしたち、もう・・・!」

 

皆が呟く中、響は一人前に出る。

 

「響?」

 

そのことに気づいた未来が呼びかけ、響は歩みを止める。

 

「私が何とかする」

 

振り返った響の顔は、覚悟を決めた顔をしていた。

 

「ちょ~っと行ってくるから、生きるの、諦めないで」

 

その言葉はあの日、奏が響に語り掛けた言葉。

 

その言葉を聞き、未来は何かを察する。

 

「響」

 

響が振り返る直前、俺は響を呼び止め近づく。

 

「真さん・・・未来のことをお願いします」

 

「・・・その必要はねえよ」

 

「えっ・・・がはっ!?」

 

響がきょとんとしたとき、俺は響の腹部を力強く殴る。

 

腹部を殴られた響は力なく俺に倒れこむ。

 

「響!!」

 

「継菜!いったい何を!?」

 

俺は響を担いで、未来の元へ向かい響を未来に預ける。

 

「未来ある少女が行く必要はないさ」

 

「まな・・・さん、なに・・・を・・・」

 

俺はそのまま振り返りフライングファルコンプログライズキーを取り出す。

 

ウィング!

 

オーソライズ!

 

俺はキーを展開しドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

フライングファルコン!

 

俺はフライングファルコンに変身し、その姿を見て翼たちは察した。

 

「まさか・・・お前!」

 

「大丈夫、お前らと比べて俺の方が頑丈だからな」

 

俺はそのまま空中に飛行する。

 

「真さん・・・いやです、行かないで・・・!」

 

響は弱弱しく手を差し伸べる。

 

俺はそんな響に向けて、仮面の下で優しい笑みを浮かべる。

 

「んじゃ、ちょっとみんなを助けてくるわ」

 

俺はそう言い残し、空へ羽ばたく。

 

「真さぁぁああぁぁぁん!!」

 

響の声が遠く聞こえいく、俺はそのまま雲を突き抜けていく。

 

「さて・・・あの欠片をどうすればいいのか。壊そうにもあんなデカい物どうやって」

 

というよりさっきから体が悲鳴を上げまくってるから俺自身が無事で済むかどうか…。

 

俺が悩んでいると、またもホルダーのキーが光りだす。

 

光に気づき確認すると、シャイニングホッパーのキーが光っていた。

 

だがその光はシャイニングの物ではない、だがその光を俺は知っていた。

 

「・・・力を貸してくれるのか、『デュランダル』?」

 

その光は優しく光る、おそらく力を貸してくれるのは一度きり、一度使えばこの光は消える。

 

けど、一度だけで十分だ。

 

「デュランダル。みんなを守るために力を貸してくれ」

 

俺はそのまま大気圏を超え宇宙に行き、ドライバーのキーを入れ替える。

 

シャイニングジャンプ!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

The rider kick increases the power by adding to brightness! シャイニングホッパー!

 

When I shine,darkness fades.

 

切り替えたシャイニングホッパーの姿は、先ほどと同じ光が体を包んでいた。

 

俺はそのままシャイニンググラディエーターによる推進力で月の欠片へ向かう。

 

『行こう、みんなの明日を守るために・・・!』

 

俺はホルダーからキーを取り出し必殺技をチャージする。

 

ビットライズ!

 

バイトライズ!

 

キロライズ!

 

メガライズ!

 

俺は四回チャージし、キーを押し込む。

 

シャイニングメガインパクト!

 

身体を包んでいたデュランダルの光は形を変え、光輝く翼へと変わる。

 

俺は翼を羽ばたかせながら月の欠片に向かってライダーキックを放つ。

 

その威力は、カ・ディンギルの砲撃に匹敵する一撃。

 

光り輝きながら月の欠片へ向かうその姿はまさに天へと昇る流れ星の如くだった。

 

『いっけぇぇぇぇえええぇぇえええぇぇ!!』

 

 

シャイニングメガインパクト!

 

・・・そして、月の欠片は跡形もなく消滅した…。

 

 

 

 

 

空が光り輝いた後に、月の欠片は砕け散ってまるで流星群のように降り注いだ。

 

「真・・・さん」

 

真さんが体を張って守ってくれた…けどその代償に真さんは。

 

そう思った瞬間、私の頬に涙が流れた。

 

周りを見れば未来も、クリスちゃんも泣いていた。

 

クラスメイトのみんなも涙を流している。

 

翼さんも奏さん、二課の皆さんは涙を堪えている。

 

せっかくみんな助かったのに、真さんがいないと意味がありませんよ…!

 

空気が重い中、ひときわ輝く流れ星が見えた。

 

その流れ星はこちらへ落ちてくる。

 

私はその流れ星を見る、すると一瞬人影が見えた。

 

私はそれに気が付き、流れ星が落ちてくる場所へ駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・ん、ここは?)

 

目を覚ますと、真っ白な空間にいた。

 

最初の頃、転生したときと同じ真っ白な空間。

 

・・・なんかあの神を思い出してイラついてきたぞ。

 

(・・・ここにいるってことは俺、また死んだのか?)

 

生まれ変わって二年で死亡か、早い終わりだったな。

 

けど、みんなを守るために散ったのなら悔いはないな。

 

(さて、このまま待ちますか。・・・今度はあの駄目神以外で頼みます)

 

俺は覚悟を決め目を閉じる・・・その時だった。

 

『・・・・・・・・・・。』

 

(ん?何か聞こえたような・・・)

 

『・・・と・・・・ょ・・・て』

 

最初は空耳だと思った、だがその声らしきものはだんだんとはっきりしてきた。

 

(誰なんだ?この声の主は。まさか駄目神か?)

 

目を開けるとその先に人が現れた、だがその姿は陽炎のように実体はなかった。

 

だが声ははっきりと聞こえてきた。

 

『ありがとう、彼女を救ってくれて』

 

その声は男性の声だった、声の主は俺にお礼を言ってきた。

 

(彼女、彼女って誰なんだ?)

 

『君たちのお陰で彼女は長き苦しみから解き放たれた、私を愛したばかりに・・・』

 

(私を愛した・・・まさかあんた!)

 

瞬間、人影はうっすらと消えかける。

 

『どうやらあまり時間はないらしい、彼女を救ってくれた礼に君をあるべき場所へ返してあげよう』

 

人影が手をかざすと、俺は光の球体に包まれる。

 

(おい・・・あの人は、ずっとあんたのことを!)

 

『ああ、分かっている。もし、また彼女と出会えたら伝えてくれないか・・・『こんな私を愛してくれてありがとう』と』

 

その言葉を聞いた後、俺の意識は遠くなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

意識を取り戻すと、俺は光の球体に包まれており既に雲の中にいた。

 

周りは夜のせいか暗く、少しすると地上が見えて崩壊したリディアンが見えた。

 

光の球体はそのままリディアンに向かっている。

 

地面が見えてくると、俺を見上げているみんなが見えた。

 

みんなは俺を確認するとすぐに落下予測地点に駆け寄って来た。

 

こうして、俺たちの戦いは終わった。

 

けど、まだ続くだろう・・・俺たちの物語は。

 

これからもノイズの被害は出るかもしれない、けどそれでも俺達は戦う、皆の夢を守るために。

 

光の球体が消え、俺を受け止めてくれた彼女に俺は口を開いた。

 

「・・・ただいま」

 

「・・・おかえりなさい、真さん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫転生ゼロフォギア 第一期『完』




第一期、完!
「「「「お疲れさまでした!」」」」
いやぁ、とうとう終わったぞ第一期!
「お疲れさま、それじゃあ早速次回の制作に取り掛かれ」
そんな節生な!?せめて休ませて!
「ただでさえ一時期一ヶ月も投稿してなかったんだから帳尻位合わせろ」
嫌だぁ!?三人とも、助けて!
「いやぁ・・・流石に援護できません」
「自業自得だ、大人しく書きな」
「時には諦めも肝心だぞ」
俺の味方がいない!?
「さあさっさと作業室に戻るぞ」
ヤメロー!シニタクナーイ!シニタクナーーイ!!
「おっと、その前に言わないといけないことがあるな。んんっ・・・視聴者の皆様、此処まで見てくれて本当にありがとうございます」
「来年からも、私達戦姫転生ゼロフォギア組は頑張ります!」
「これからも激しい戦いは続くだろうが、私たちはくじけたりはしない」
「まあいざというときはそこの馬鹿二人が何とかしてくれるからな」
「それでは皆様、2021年でもよろしくな、そして最後に…」

「「「「来年からも、どうぞよろしくお願いします!」」」」

「よし終わったな、さあ行くぞ」
タスケテェェェェェェェ!!!
「あはは…それじゃあ私たちも行きましょうか」
「そうだな、奏たちも待ってるだろうし」
「んじゃ、さっさと行くか」
ワイワイ、ガヤガヤ・・・
















「・・・・・・行ったデスか?」
「うん、誰もいないと思うよ」
「あの人たちが例の人たちデスね、下見に来て正解でしたデス!」
「ええ、それじゃあ報告に戻りましょうか、来年から忙しくなるわよ」
「はいデスっ!」「わかった・・・」






戦姫転生ゼロフォギア 第二期へ続く・・・。


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戦姫転生ゼロフォギア after story


新年あけましておめでとうございます!餅つき会場にて新年のごあいさつをさせていただきます!
「おい作者、お前何餅がいいんだ?」
大根おろしと醤油で頼む!
「きなこに磯辺にあんこに変化球でチーズもありで・・・お正月は最高だよ~!」
「響?嬉しいのはわかるけどもう少し落ち着いて食べてね?のどに詰まったら大変だからね」
「新しい餅つき終わったぞー!どんどん食おうぜ!」
「流石司令と緒川さんだ、ものすごい速度で餅をついておられる」
「というか早すぎて残像が見えるのはあたしだけか?」
「安心しろ、俺もだ」
まあ何はともあれ、新年一発目の投稿は戦姫転生ゼロフォギア after story つまり後日談というわけだ。
「これはこの作者風のしないフォギアだと思ってくれ」
ルナアタック後のみんなの日常、温かい目で見守ってくれよな。それではどうぞ!



ストーリー①:歓迎会

 

 

 

あの戦いから二週間、俺たちは二課に集合している。

 

「ということで改めて紹介しよう。雪音クリス君、第二号聖遺物イチイバルの装者で、心強い仲間だ」

 

「ど…どうも、よろしく」

 

弦十郎さんの紹介にクリスは顔を赤くして答えた。

 

「クリスちゃん!改めてよろしくね!」

 

「だあ!だからいきなりくっつくな馬鹿!」

 

「それっていきなりじゃなきゃ抱き着いてもいいの?」

 

「いきなりじゃなくてもごめんだ!」

 

未来に突っ込みながらも、クリスは響の抱擁を無理やり引きはがし離れる。

 

「というより!馬鹿真は体大丈夫なのか」

 

「ああ、この二週間みっちり入院したからな」

 

俺は今日までの間、病院で絶対安静を受けて入院していた。

 

俺は別に家で安静でいいんだけど、あの時の未来や響の迫力は凄まじかった。

 

「二週間寝たきりのせいか、おかげで体が鈍くなっちまってな・・・この後体をほぐすつもりだ」

 

「体をほぐすのは良いけど、あまり無茶すんなよ? それで倒れでもしたら大変だからな」

 

「わかってるよ奏、少しづつ体を慣らしていくさ」

 

「そうか、分かった」

 

「あとそれと、クリス君の住まいも手配済みだ」

 

「えっ!?あ、あたしにいいのか!」

 

「もちろん、装者の任務以外での自由やプライバシーは保証する」

 

弦十郎さんの言葉にクリスは目を輝かせ、涙を流すがすぐに気づきぬぐい取る。

 

だがその涙に気づいた翼がいち早く行動した。

 

「案ずるな雪音、合い鍵は持っている。いつでも遊びに行けるぞ!」

 

「はあっ!?」

 

「もちろんあたしも持ってるぞ」

 

「私も持ってるばかりかなーんと!未来の分まで!」

 

「自由もプライバシーなんかどこにもないじゃねえか!!」

 

この状況に俺は笑う・・・だが俺は何かに気づいた。

 

「はははっ・・・んっ? 響、ちょっとそのカギ見せてくれないか?」

 

「えっ?あっはい」

 

俺は響から合い鍵を貸してもらいそれをよく見る。

 

「・・・・・・弦十郎さん」

 

「なんだ?」

 

「俺の気のせいだといいんですけど・・・これ、うちのカギに似てませんか?」

 

「それもそうだろう、君の家の合い鍵だからな」

 

弦十郎さんの発言に会場が静まり返る。

 

「・・・つまり、クリスの住まいってもしかして…」

 

俺の問いに弦十郎さんは爽やかな笑顔で答えてくれた。

 

「ああ、君の住宅だ」

 

「チェストォ!!」

 

俺は病み上がりにもかかわらず跳躍し、弦十郎さんに上段回し蹴りをかましたが、片手で受け止められてしまう。

 

「何で俺ん家!?というか本人の許可なしに合い鍵作ったのかあんたは!?それも人数分!!」

 

「いやなに、流石に年頃の女子を一人暮らしさせるわけにはいかないからな。この中でクリス君と仲が良いのは話を聞いた限り小日向君と真君のどちらかと一緒に住まわせようと考えてな。だが小日向君は寮で過ごして居るためそれは不可能だから結果として真君の家になったというわけだ」

 

「長々とした説明どうもありがとうございます・・・!お礼にこの後の運動に付き合ってください、本気でぶっ飛ばしてやる…!」

 

「はははっ、いいだろう。いくらでも付き合ってあげよう」

 

この常識外れのチート・・・後で絶対にシャイニングでぶっ飛ばしてやる。

 

「っというかクリスは良いのか!?俺なんかと一緒で!こういうのは本人の意思が必要だろ!」

 

俺はクリスに一途の希望を託した。クリスなら『はあっ!何であたしが馬鹿真と一緒に住まなきゃならないんだ!?』と言ってくれるはずだ!

 

それはそれで俺はダメージを受けるだろうが関係ない!頼むクリス、NOと言ってくれ!

 

「・・・まあ、それしか選択肢がないなら・・・あたしは別に構わないけど」

 

「ウゾダドンドコドーン!」

 

俺は思わず膝から崩れ落ちた。

 

「決まりだな、ではクリス君のことを頼んだぞ」

 

こうして、クリスの同居が決まった。

 

因みに歓迎会の後弦十郎さんに挑んだものの、返り討ちになりました。

 

シャイニングでも無理ってあの人本当に人間?

 

 

 

ストーリー②:クリスの家族

 

 

 

クリスが家に住み始めてから数日、あらかたの荷物を運び終えてクリスの部屋を決めた後クリスがソファーに寝転がりながら自分の通帳を見ていた。

 

「知らなかった、特機部二のシンフォギア装者やってるとこんなに小遣いくれんのか」

 

「果たしてこの量を小遣いと言えるだろうか?」

 

俺も初めて二課から給料もらった日は驚愕したな。

 

「つっても、何に使えばいいんだか・・・」

 

「普通に自分に必要なものでいいんじゃないか?響なら食料、翼ならバイクだろうし」

 

というか、あいつらそれぐらいしか買わなさそうなイメージだし。

 

「必要な物・・・あっ!」

 

すると何かを思いついたのか起き上がる。

 

「買いたい物が決まった、着いてきてくれないか?」

 

「別にいけど、大荷物なら響達にも頼もうか?」

 

「いや、あいつらには頼めねえからな」

 

俺は疑問に思いながらついて行き、とある店にたどり着く。

 

「仏具店?」

 

「ああっ!かっこいい仏壇を買ってやる!」

 

仏壇を買いに来たのか、てかかっこいい仏壇ってあるのか?

 

・・・てか、まさか俺荷物持ちのために呼ばれたのか?

 

それなら弦十郎さんでもいいだろ…と言おうとしたが、どうせ今日は暇だったし別にいいか。

 

それから俺たちは仏壇を購入し家まで運んだ。

 

・・・てか仏壇ってそこそこ高いんだな。

 

 

 

「はあ・・・はあ・・・、やっと終わった・・・」

 

それからしばらくして家に仏壇を設置し終えたころには二人とも疲れ切っていた。

 

「まさか、職質を何度もされるなんてな・・・」

 

「そりゃ仏壇をむき出しにして運んでいたら職質されるわ」

 

せめて台車が欲しかったところだな…。

 

「しかし、初給料の使い道が仏壇って特殊だな?」

 

「ああ、あたしばっか帰る場所が出来ちゃ、パパとママに申し訳ねえだろ」

 

「あっ・・・そうか」

 

そこで俺は気づいた、これはクリスの両親の仏壇なんだと。

 

クリスは設置し終えた仏壇に向かって手を合わせた。

 

クリスは戦争で両親を亡くしている、それにその後も色々あってまともに両親の墓参りをやってこなかったからな。

 

俺も疲れた体を起き上がらせ仏壇に手を合わせた。

 

(クリスの親御さん、あなた達の娘さんは俺達が面倒を見ます。だからどうか天国で見守ってください)

 

俺とクリスは少しの間、静かに仏壇を拝んでいた。

 

 

 

ストーリー③:真の弱点

 

 

 

あたしが馬鹿真の家に住み始めてから一週間がたったんだが、分かったことが一つだけある。

 

「・・・お前、料理とかできるんだな」

 

「別にこれ位、料理本の通りにやったら誰でもできるだろ」

 

こいつは結構なんでもできるってところだ。

 

掃除をするときも隅々まで掃除してるし、料理だってこの通り。

 

戦いの時に関しては言わずもがなだし、何だったらシンフォギアまで纏えると来たもんだ。

 

いつもの普段着に目を瞑ればこいつもあの化け物じみた大人たちと同じぐらい反則じゃねえか?

 

「おいクリス、お前その食べ方はどうかと思うぞ。 というかどうやったらソースが髪の毛にまでつくんだ?」

 

・・・訂正、こいつは母親か?

 

まあとにかく、こいつは一人で月の欠片をぶっ壊せるほどだからな、こいつに弱点なんてないだろうな。

 

 

 

それから次の日、馬鹿真は部屋の掃除をしている中あたしはテレビを見ていた時、突然あいつの部屋から爆発音が聞こえた。

 

「っ!? なんだいまのは!」

 

あたしは急いで部屋まで駆け付け扉を開けると、息を荒くしながら弓を手にしていた馬鹿真が座り込んでいた。

 

「おい!どうしたんだ!まさかノイズが部屋に入ってきたのか!?」

 

「・・・違う、ヤツだ。ヤツがこの中に侵入していたんだ…」

 

そういうこいつの顔は今まで見たことがないほどに青かった、こいつがここまでになる相手だと!?一体何なんだ…。

 

すると、何かの物音が聞こえた。

 

「んっ?なんだこの音」

 

「っ!! あいつの足音だ!」

 

あたしたちが周囲を警戒して少しすると、箪笥の裏から何かが現れた。

 

黒く光沢のあるその体、まさかあれは・・・?

 

「そこかぁぁぁ!!」

 

カバンショット!

 

「危なっ!?」

 

馬鹿真が姿を見るなりいきなり発砲しだした。今あたしの髪を掠ったぞ!?

 

だが相手は箪笥の裏に隠れ攻撃を回避した、いや早え!?

 

「逃がすかぁ!!」

 

リボルバー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ガトリングカバンショット!

 

馬鹿真はいきなり銃を乱射しだした。

 

「ちょっ!?馬鹿やめろ!落ち着け!」

 

「消えろ害虫がぁぁぁぁ!!!」

 

「落ち着け馬鹿真ぉぉぉ!!?」

 

その後、遊びに来た馬鹿が騒ぎを聞きつけオッサンたちを呼んで何とか騒ぎは収まった。

 

それであいつ曰・・・。

 

「済まねえ・・・昔からあいつだけは無理で、あいつを見るなりに近くにある武器に使えそうなものを使いまくって部屋を滅茶苦茶にしたことがあるんだ。それで何度も両親に怒鳴られた・・・」

 

・・・昨日の言葉は訂正する、こいつにも弱点はあったな。

 

というかもしノイズにあいつと同じフォルムの奴が居たらまたこんな状況になるのか?

 

・・・あいつと同じ姿のノイズが出ないことを祈ったあたしだった。

 

 

 

ストーリー④:贈り物

 

 

 

戦いから一ヶ月が経った今、俺の体は完全に復活し現在特訓をしている。

 

シャイニングホッパーの長時間使用は体に応えるから体づくりが大事だからな。

 

「おーい、真。ちょっといいか?」

 

俺が室内でトレーニングを終えると、奏が俺を呼んできた。

 

「奏、どうした?」

 

「いやさ、真に見てもらいたい物があってさ」

 

俺に?っと思っていると奏は大きな荷物を持ってきた。

 

「なにこれ?」

 

「それがさ、今朝いきなり家の前にこの箱が置かれていてさ」

 

えっ何それ怖っ。

 

「んで箱を開いたらさ、その中に布で包んだ何かと手紙が入ってたんだ」

 

「・・・手紙?」

 

「ああ、これさ」

 

奏が取り出した手紙を見ると、そこには『この手紙を継菜 真さんに見せてください』と書かれていた。

 

「真に見せてくれって書かれていたからさお前に見せようと思ってな・・・って何手紙を破ろうとしてんだ!?」

 

「はっ! いやなに、ちょっとな」

 

奏は手紙を破ろうとしていた俺を止める。ていうかこのやり方、忘れもしない死んだ時と同じじゃねえか…!

 

俺は落ち着いて手紙を開き、中身を拝見する。

 

『拝啓、継菜 真様。 一言言わせていただきます。

 

    お疲れさまでした☆』

 

俺見た瞬間手紙を地面に叩きつけた。

 

「おいっ!?どうしたんだ!?」

 

「はー・・・っ!はー・・・っ! いや・・・なんでもない」

 

俺は再度心を落ち着かせて手紙を拾い読み直した。

 

・・・ていうか最初の頃と雰囲気違うじゃねえかあの駄目神!!

 

『この手紙を読んであなたは最初の頃と雰囲気が違うと思ったでしょう。この手紙は上司に隠れながら書いているので何の問題もありませ~ん!』

 

すぐに上司にばれろ駄目神が。

 

『さて、本題に戻りまして。天羽奏さんの存命並びにフィーネとの戦闘の勝利おめでとうございます。それらのお礼としていくつかのアイテムを送らせていただきました・・・もちろんあなたの貯金から送料を引かせていただきました』

 

マジで神様やめちまえ。

 

『というわけでこれからも頑張ってね♪ それじゃ。 人々から愛される自愛の神様より』

 

手紙を読み終えた俺はすぐさま手紙を破り捨てた。

 

「なあ、その手紙一体何が『気にすんな』いや、けど『気にすんな』アッハイ」

 

さて…いつか出会ったらその顔を踏み砕いてやる。

 

「んで、その包みには何が入ってるんだ?」

 

「えっ!?あっああ…なんか複数入ってる感じなんだ」

 

奏が包みを開くと、そこにはいくつかのアイテムが入っていた。

 

俺と同じライズフォンと見慣れない小さな機械が一つ。そして目についたのが『青色のキー』に『白色のキー』だった。

 

「これって・・・!」

 

俺はその内の青色のキーを手に取り、起動させるが、ボタンを押しても何も反応しない。

 

俺がそのキーを確認すると、裏側に一枚の紙がついていた。

 

『彼女へのプレゼントです、神は何でもお見通し♪』

 

「・・・そういうことか、奏」

 

「ん・・・うわっと!?」

 

俺は青色のキーとライズフォンを奏に投げ渡した。

 

「その二つはお前に渡す、というかお前専用だわ」

 

「私専用・・・っ!?まさかこれって!」

 

奏は感づいたようだ。流石察しがいい。

 

「使い方は俺が教えてやる。覚悟しとけよ」

 

「・・・っ! ああ!」

 

そのあと、俺は見慣れない機械に触れる。

 

「んでもって、こいつが謎だな・・・何だこれ?」

 

見た目はライズフォンに似ているが形状が違う。

 

俺が探っていると、その機械に差し込み口があった。

 

「この穴のサイズ・・・まさか?」

 

俺は適当にキーを取り出し、起動させる。

 

ジャンプ!

 

『Progrise key confirmed. Start projection.』

 

キーを差し込むと、デバイスから光が現れ何かを形成していく。

 

構築が終えると、そこにはよく見るライジングホッパーライダモデルが存在していた。

 

「マジか・・・ってちょ!?」

 

ライダモデルは周りをきょろきょろと見て俺の姿を確認するといきなり俺に飛びついてきた。

 

「お前・・・まさか自我があるのか!?」

 

俺の言葉にライダモデルは頷く仕草をした、マジかよ…!

 

「まさかこうしてお前と触れ合えるとはな・・・てかデカいな」

 

俺がライダモデルから離れて大きさを確認するとやはりデカい、試しに乗ってみるが余裕そうだ。

 

「まさかこいつが出てくるとはな…」

 

「ああ、俺も驚きだ」

 

初めてあの神に賞賛を送りたいわ。

 

「まあ何はともあれ、改めてよろしくなライジングホッパー」

 

ライジングホッパーを撫でると、こいつは嬉しそうに飛び跳ねた。

 

ここで思い出してもらいたい。

 

ライジングホッパーの跳躍力は一飛びで60mはいく。

 

そしてここは室内、もちろん天井がある。

 

さらには今、こいつの背中には俺が乗っている。

 

此処から導き出される答えはただ一つ。

 

「えっちょ!?」

 

その日、二課内で小さな揺れが起き、響たちが調べたところ天井に埋まっていた俺を発見したそうな。

 

 

 

ストーリー⑤:電話

 

 

 

「昨日はえらい目にあった…てかここ最近ひどい目にあってばっかなんだが?」

 

駄目神からの贈り物から次の日、俺は家で白いキーを見ていた。

 

因みにクリスは響達にショッピングに連行されていった。

 

「さて、こいつはボタンを押しても起動しなかったからとりあえず」

 

俺は思い付きで白いキーをゼロワンドライバーに認証させる。

 

アップデート開始

 

認証させるとドライバーが光りだす、これで正解か。

 

アップデート完了

 

光が消えるが、ドライバーにさして変わったところはなかった。

 

するとライズフォンに電話がかかる。

 

相手を確認すると、『非通知』と書かれていた。

 

「誰だろ? はいもしもし」

 

『あっヤッホー。元気してるみたいね』

 

電話の主は女性だった。しかし誰だ?聞き覚えがないぞ。

 

「えっと、失礼ですがどちら様でしょうか?」

 

『失礼するなぁ。私からの贈り物気に入ってくれた?』

 

贈り物・・・まさか?

 

『改めてこんにちはー。人々から愛される自愛の神様でーす!』

 

「やっぱりてめえかこの野郎!!?」

 

この駄目神、とうとう電話をかけてきやがった!

 

『しかしこうして電話に出れるってことはアップデートは終わったみたいね』

 

「あの白いキーの事か、あれはなんだ?」

 

『あれはあなたのドライバーをパワーアップさせるためのアイテムなの』

 

「パワーアップ?」

 

『まあ、パワーアップといっても武器を追加したくらいだけどね』

 

「ほお、どんな武器なんだ?」

 

『ズバリ!『オーソライズバスター』よ!それを使えるようにアップデートしたわけ』

 

なるほど、新しい武器が使えるわけか。

 

「・・・ところで駄目神、あんたに一つだけ聞きたいことがあるんだが」

 

『なになに?私のスリーサイズが知りたいの?』

 

「くたばれ。 聞きたいことなんだが、あの時言っていた改良ってなんだ?」

 

転生してすぐ、手紙に書かれていたことがどうしても気になっていた。

 

こうしてノイズと戦えるようになれる改良って一体何なんだ?

 

『そうね、確かに教えないとね。 確かに普通のドライバーじゃあノイズと戦うことはできないからね』

 

そこから駄目神は真面目なトーンで答えてくれた。

 

「なら一体・・・」

 

『けど、この世界で唯一ノイズと戦えるものがあるじゃない?』

 

「ノイズと戦えるって、そんなの聖遺物ぐらいしか・・・ってまさか!?」

 

『そう、そのドライバーを聖遺物に改良したの』

 

「聖遺物に改良って・・・!」

 

でもそれならノイズと戦えることに納得できるが・・・けどそれなら櫻井さんが気付くはずだろ?

 

『まあといっても完全な聖遺物とはいかないんだけどね、いうなればそれは聖遺物であって聖遺物じゃない、異形なシンフォギア、アウフヴァッヘン波形すら出ないノイズと戦うための力』

 

「異形なシンフォギア・・・」

 

『けど、響ちゃんたちのシンフォギアを纏ったことがあったでしょう。聖遺物のキーを認証するたびにあなたのドライバーは進化する、すべてのシンフォギアを認証すればドライバーは完全な聖遺物に進化するってわけ』

 

「進化する聖遺物ってことか・・・」

 

『デュランダルに関してはただ単にシャイニングホッパーと相性が良かったから一時的に適合したの。あれは光を象徴としたキーだから光関連の力とは相性がいいの』

 

なるほど、それであんな力が。

 

『・・・まあこんなところかしら、お役に立てたかしら?』

 

「ああ、ありがとうな。それともう一つ聞きたいんだけど」

 

『あら?何かしら』

 

「何で俺に奏の救助を頼んだんだ?あんたは一応神様だから助けることぐらいできそうなんだが」

 

それを聞いて神は黙る。

 

「おい神?」

 

『・・・えっと、神様にはそれぞれ一人の人間に大きく干渉できる力があるの』

 

「うん」

 

『その力を使えば一人の人間の運命を大きく変えることができるの』

 

「それ使えばいいじゃん」

 

『・・・・・・』

 

「・・・おいまさか、もう使ったんじゃないだろうな?」

 

『・・・・・・・・・』ブツン!

 

暫く黙り込んだ後、いきなり電話が切れた。

 

「あっあの駄目神!いきなり切りやがった!」

 

まさか力の代用に俺を使ったってことか!?

 

何度もリダイヤルをかけるが駄目神には繋がらなかった。

 

あの駄目神・・・都合の悪い時に切りやがって、何時か覚えてろよ!

 

・・・というかあの駄目神、いったい誰に使ったんだ?

 

 

 

ストーリー⑥:???

 

 

 

とある空港にて、キャリーバッグを引いている少女がいた。

 

「えっと・・・確か日本行きの飛行機に乗ればいいのかな?」

 

少女は手元の紙を見ながら確認していると、電話が入ってくる。

 

「あっあの人からだ」

 

少女はそのまま電話に出る。

 

『もしもし、今どこかしら?』

 

「あっはい、今空港に着いたところです」

 

『そう、それじゃあそのまま日本行きの飛行機に乗って日本に向かってね』

 

「うん、それでこの人と会えばいいんですよね」

 

少女はポケットから一枚の写真を取り出す。

 

『ええ、そうよ。『継菜 真』そちら風に言えば『マナ・ツグナ』かしら?』

 

「はい、そのマナさんに出会ってこの手紙を渡せばいいんですよね?」

 

『ええ、それで協力してもらえるからね』

 

「わかりました、それではそろそろ行ってきます」

 

『ええ、気を付けてね・・・』

 

そう言って、相手は電話を切る。

 

少女はそのまま日本行きの飛行機へと向かう。

 

ポケットに写真をしまう際、ポケットの中に『橙色のキー』が入っているのが見えた。

 

一つの物語は終わった。

 

けど、また新たな物語が始まる。

 

それは天を翔ける箱舟の物語。

 

それぞれの思いが、交差する物語が始まろうとしている。





というわけでafter story完!
「なんか、今回は俺ばっかに被害が来てたような…?
まあまあ気にすんな、というわけで恒例の後書きの時間だ!
「ところで作者さん、見慣れないアイテムがあるんですけどあれって何ですか?」
あれはプログライズキーを差し込み認証させることでライダモデル達に自我を持たせることができるオリジナルアイテムだ。
「そうなんですかよく思いつきましたね?」
こんなのがあったらいいなという俺の願望の元、作られました。
「それに奏が手にしたあのキー、まさか」
「それにもう一つ見えた気がするんだが・・・」
おっとそれ以上の詮索はNGだ、気になるならこれからに期待してくれ。
「にしてもドライバーを聖遺物にするなんてな・・・よく考えたものだな」
いや~ノイズと戦うならやっぱ聖遺物じゃないといけないなって思ってさ、あと俺から一つ。
「なんだ?」
実はこの後真の簡単なプロフィールを書こうと思ってな、具体的なお前の人物像が定まってないからな。
「そういうことか、それぐらいなら別にいいぞ」
よし来た、それではこれが主人公継菜 真のプロフィールだ!





主人公:継菜 真(つぐな まな) 19歳 女(元男)

身長165cm  BWH86/57/83

外見:ぼさぼさのブロンドのロングヘアーに上下共にジャージ。

好きな物:甘い物、動物 嫌いな物:G(フルネームで言ったら蹴り潰す)

CV:野中 藍さん



本作の主人公。神様によってシンフォギアの世界に転生するが神のいたずらによって性別が女になってしまう。(元の名前は継菜 真汰)

外見は女であるが自分の中身が男なのを忘れないように男の時の口調と正確で接する。

神様の特典で仮面ライダーゼロワンになる事が出来る。

家事等はある程度可能であり、料理もできるが疲れているときはコンビニを利用しているが、クリスが同居してからはちゃんと料理をしている。

最近の悩みは響達との接し方を気にしている。(着替えとかシャワーとかetc.)



真から見たみんなの印象。

響:世話のかかる妹分兼友人。元気なのはいいことなんだけど少し落ち着け。

未来:響といつも一緒にいる優しい子で友人。多分怒らせたら一番やばい子。

翼:トップアイドルで最初の仲間。いつもキリッとしてるけど部屋の片づけ位は一人でもできるようになろうな?

奏:翼の相棒で二人目の仲間。なんだか太陽みたいに明るい姉御みたいな人。

クリス:世話のかかる妹分二号。少し乱暴な性格だが中身はちゃんとした女の子。

弦十郎さん:チート。

緒川さん:チート二号。

藤尭さん&友里さん:二課のオペレーター。たまに相談に乗ってくれている。




・・・とはまあこんな感じだ、それじゃあそろそろ〆るか。

「それじゃあみんな、新年一発目の!」


「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」


今年も戦姫転生ゼロフォギアをよろしくお願いします!


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G編
戦乙女との出会い



ついに新章突入!G編の始まりだ!
「といってもまだ第一話じゃないけどな」
そうだな、しいて言えばこの回はG編第零話と行った所か。
そして今回はタイトルの通り『あいつ』が登場する!
「それでは新章、第二期G編第零話、どうぞ!」


フィーネとの戦いから約二ヶ月、あれから色々あったな。

 

クリスが家に住むことになったり、駄目神からいきなり荷物や連絡が来たり(あれ以来電話につながらない)本当に色々あったな。

 

そんな中俺はいつものスーパーとは違い、少し離れた町のスーパーを利用していた。

 

「よし、タイムセール品も買えたしさっさと帰るか」

 

俺はライズホッパーに乗ろうとする途中、ふととある子を見かける。

 

見た目は響達より少し幼そうで、このあたりでは珍しい橙がかった茶髪の女の子。

 

そんな女の子は手にしている紙を見ては辺りをきょろきょろしたりを交互に繰り返していた。

 

「もしかして迷ったのか?見た感じ外国の人みたいだし・・・って俺が言えたことじゃねえな」

 

その子が手にしているのはキャリーバック、いかにも旅行に来ましたって感じだな。

 

「・・・はあ、しゃあねえか。このまま帰るのは気が引けるしな」

 

このあたりは響のが移っちまったのかねえ?

 

俺は少女の元へ近づき、呼びかける。

 

「あーちょっといいかな?」

 

「えっ、私ですか?」

 

俺に気づいたのか少女は振り返り俺を見ると、驚いた顔をした。

 

「驚かせて済まなかったな、もしかして迷子『あの!』うぉっ!どうしたいきなり?」

 

俺hが話している途中に少女はいきなり話しかけてきた。

 

そのまま少女は手にしていた紙と俺の顔を交互に見て口を開いた。

 

「もしかして・・・マナ・ツグナさんですか?」

 

「っ!? どうして俺の名前を?」

 

「わぁっ!やっぱりそうなんですね!」

 

少女は顔を明るくして喜んだ。

 

俺、この子のこと知らないのに何でこの子は俺の名前を知ってるんだ?

 

「・・・お前、何で俺の名前を知ってるんだ?」

 

「あっそうでしたね、申し遅れました。私は…」

 

その時、町中にサイレンが鳴り響いた。

 

「ノイズの出現アラート!」

 

すると、遠くから悲鳴が聞こえてきた。

 

そっちの方を見ると、既に何体かのノイズが出現していた。

 

「くそっ!出現ポイントは此処か!」

 

俺は荷物を投げ捨て、懐からキーを取り出す。

 

アウェイクン!

 

起動させ、ドライバーを装着し、ライジングホッパープログライズキーを取り出し起動させる。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させると、空からライジングホッパーライダモデルが辺りを飛び跳ねる。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

ゼロワンに変身し、住民に襲い掛かろうとするノイズに接近し蹴り飛ばした。

 

「さっさと避難しろ!」

 

俺が叫ぶとほかの人たちは慌てて避難しだした。

 

振り返ると奥の方からノイズがどんどん湧いてくる。

 

「さて、さっさと片付けさせてもらうぞ!」

 

俺はそのままノイズの群れに接近し、ノイズを蹴り倒していく。

 

住民の方へ行こうとするやつを重点的に狙い、被害を出さないようにしている。

 

「せっかくだ、新しい武器の試し打ちをさせてもらうぞ!」

 

俺はノイズから少し離れ、駄目神からいただいた新しい武器を取り出す。

 

オーソライズバスター!

 

アックスライズ!

 

オーソライズバスターを手にし、『アックスモード』でノイズを切り飛ばしていく。

 

「こいつは良いな!次はこっちだ!」

 

俺は切り払いながら、オーソライズバスターを変形させる。

 

ガンライズ!

 

今度は『ガンモード』に切り替え、遠くのノイズを撃ち抜いていく。

 

「遠近両用の武器、いい物くれたなあいつ!」

 

新しい武器と共に順調にノイズの数を減らしていく。

 

だがノイズたちは数の利を生かして大勢で突撃を仕掛ける。

 

俺はアックスモードで切り落としていくが、何匹かが後ろへ抜けてしまった。

 

更には後ろには逃げ遅れた女性がいた。

 

「しまった!?」

 

抜けたノイズ達はそのまま逃げ遅れた女性目掛けて襲い掛かる、助けに行こうとするがここを離れたらさらに多くのノイズが後ろに向かってしまう。

 

ガンライズに切り替える暇もなく、ノイズが女性に直撃する。

 

・・・ことはなく、突然銃声音が聞こえ、同時にノイズは何かに打ち抜かれ炭化していく。

 

俺は目の前の状況に驚きながらも辺りを確認すると、先ほどの少女が逃げていなかった。

 

それどころか、その手には先ほどの発砲音の音源であろう『青色の銃』が握られていた。

 

「その銃は・・・まさかお前!?」

 

少女は俺の方を向き、優しい笑みを浮かべる。

 

「私も協力します、その為にここに来たんです」

 

少女はいつの間にか手にしていた黒いベルトを腰に装着し、そこに手にしていた銃を装着させる。

 

そしてポケットから取り出した『橙色のプログライズキー』を左手で回転させ、自身の顔の横でボタンを押した。

 

ダッシュ!

 

キーを起動させるとそのまま銃・・・『ショットライザー』へ装填し、展開する。

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

ショットライザーから音声が流れるとともに少女はトリガーに指をかける。

 

「変身!」

 

発言と共にトリガーを引いた。

 

ショットライズ!

 

銃口から放たれた弾丸は少女の目の前でアーマーが展開され身に纏っていく。

 

ラッシングチーター!

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

少女はオレンジと白を基調とした姿となった。けどその姿は間違いない・・・!

 

「仮面・・・ライダー!」

 

「仮面ライダーバルキリー、行きます!」

 

少女改めバルキリーは取り外したショットライザーを手に、ノイズを撃ち抜いていく。

 

ノイズ達はバルキリーに攻撃を仕掛けるが、バルキリーの速さについて行けず、攻撃が全てかわされていった。

 

けど何であの子がショットライザーを持っているんだ?

 

「マナさん!こちらは私に任せてください!」

 

「えっ!?あ、ああ!」

 

とりあえず今はノイズを倒すことに集中しよう、話はそれからだ!

 

バルキリーが住民を守ってくれているおかげで俺も戦闘に集中できる。

 

バルキリーの援護でみるみるノイズが減っていき、残りは数えるほどった。

 

「一気に決める!」

 

ジャンプ!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

俺はガンモードに切り替えドライバーのキーを取り出し、オーソライズバスターに装填すると、銃口に黄色のエネルギーが蓄積されていく。

 

「これで終わりです!」

 

バルキリーはショットライザーに装填されているキーのボタンを押す。

 

ダッシュ!

 

ショットライザーの銃口にも橙色のエネルギーが蓄積されていく。

 

先に俺がノイズに向けてトリガーを引いた。

 

 

バスターダスト!

 

打ち出されたエネルギー弾はノイズ達を貫き爆発を起こした。

 

次にバルキリーがショットライザーの引き金を引いた。

 

ラッシングブラスト!

 

少女はノイズの周囲を走りながら、エネルギー弾を繰り出す。

 

撃ち出されたエネルギー弾はノイズの中心にて蓄積されていく。

 

 

そしてバルキリーが走りを止めると、蓄積されたエネルギーは爆発を起こしノイズ達を巻き込んだ。

 

ダッシュラッシングブラスト!

 

その爆発で、出現したノイズは全滅し、お互いに変身を解いた。

 

「んで、お前は誰なんだ?何でそれを持ってるんだ」

 

俺の質問に少女はポケットから一つの手紙を差し出した。

 

「これを、マナさん宛です」

 

「手紙?」

 

俺はその手紙を受け取り、差出人の名前を見る。

 

「・・・っ!?」

 

差出人は『神』俺は慌てて中身を見る。

 

『拝啓、継菜 真へ。 この手紙を読んでいるということは彼女とは出会えたみたいね。少し前に話したこの世界に干渉できる力の事だけど、今あなたの目の前にいる彼女こそがまさにその力を使った子よ。

 

命を落としそうなところを私が力を行使することで一命をとりとめたことができたの、だけど世間一般じゃあ彼女は死んだものとされているわ、そこで私は彼女に力を与え、その力の使い方を教えた。

 

けど流石にその子一人で生きていくには限界があると私は思い、一つの案を思いついた。

 

それは彼女をあなたのいる日本へ行かせ、あなた達に保護してもらうこと。そうすればその子は助かると考えました。

 

そしてできれば、貴方に保護してもらいたいの、同じ仮面ライダーとして、彼女を助けてください。 人々から愛されし女神より』

 

「・・・真面目なのか、ふざけているのかわからない神だな」

 

だが、あの駄目神が此処までで真面目な文を送るほどだ、よほど助けたかったんだろうな。

 

「・・・んで、お前はこのことは知ってるのか?」

 

「はいっ。電話である程度のことは聞きました」

 

そうか・・・あの駄目神のお願いなんて聞きたくはないんだが、手紙でここまで頼まれちゃなぁ。

 

「・・・はぁ、二課に行って弦十郎さんにお願いしないとな」

 

「~っ! ありがとうございます!」

 

「いいっていいって、そういえば名前聞いてなかったな?」

 

「あっそうでした!申し訳ありません」

 

少女はハッと気づき、姿勢を整える。

 

「改めて、私の名前は『セレナ・カデンツァヴナ・イヴ』と申します、セレナと呼んでください」

 

「おう、改めて継菜 真だ。よろしくな」

 

こうして、俺は新たなライダーと出会った。

 

そして、この子が新たに起きる戦いのカギを握るなんて、この時の俺は知らなかった…。





後書きの時間だ!そして今回からの新メンバー、セレナ・カデンツァヴナ・イヴだ!
「初めまして、セレナです。今回からよろしくお願いします」
「よろしくなセレナ、しかしお前がバルキリーとはな」
いや、なんとなくセレナにはバルキリーが似合うなと思ってな。
「なるほどな、ところでセレナはどれ位のライダーのアイテムを持ってるんだ?」
「えっと、ショットライザーとラッシングチーターしかないんです」
「…なんか少なくない?」
そこはキーとか武器を戦闘中に渡すのを想像して今回は少なくしてみました。
「なるほどな…しかし今回の駄目神の手紙はいつもと違って真面目だったな・・・」
「いつもはどんな感じなんですか?」
「ふざけまくった文章だったな・・・思い出しただけでイラついてきた」
まあまあ、とりあえず新メンバーも入ったことだし、そろそろ〆ようか?
「そうですね、それでは早速…」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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新たな始まり


お待たせしました、G編第一話の始まりだ!
「前回が第零話ですから今回がれっきとした第一話なんですね」
「まっ、そういうことだな、投稿が遅れていたら弦十郎さんを呼ぶところだったぞ」
いや流石にあの人の鉄拳制裁はさすがにやばいのでやめてください。
「はははっ・・・そ、それでは速足ですがG編第一話どうぞ!」


ルナアタックから三か月が過ぎた。

 

雷雨が降る真夜中、俺たちはとある武装列車に乗っていた。

 

現在この列車はノイズの大群に襲われている最中である。

 

列車に取り付けられている機関銃が飛行型のノイズを攻撃するが、すべての弾丸はすり抜けてしまう。

 

そのまま飛行型が列車に突撃し、中にいる警備員を炭化させてしつつ、爆発が起きる。

 

「くそっ!こんな時まで襲ってくるなんてな!」

 

そんな中、列車の上ではすでに変身を終えている俺とセレナが近づいてくるノイズを撃ち落としている。

 

「響!クリス!二人は車内に戻って友里さん達をを頼む!」

 

「わかりました!真さんもセレナちゃんも気を付けてください!」

 

「はいっ!お二人も気をつけてください!」

 

響とクリスが列車内の戻り、俺はクリムゾンイチイバルフォームによるガトリングで、セレナは俺が貸したアタッシュアローでノイズを撃ち落としていく。

 

「しかしセレナ。この狙ったかのようなタイミングでのノイズの襲撃、もしやとは思うが・・・」

 

「はいっ、おそらくあの杖が狙いだと思います」

 

「『ソロモンの杖』か・・・大丈夫なのか?」

 

「大丈夫です。友里さんが杖が入っている箱を所持しているウェル博士の傍にいますし、響さんとクリスさんも向かっていますから」

 

「そうか、なら俺たちは撃退に専念するぞ!」

 

俺たちはノイズを撃退しながら後退していく。

 

今回の作戦は三か月前、櫻井さんが所持していた聖遺物『ソロモンの杖』と現在杖を所持している『ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス』通称ウェル博士を岩国の米軍基地まで送ることで、俺と響にクリスそして新しい仲間のセレナの四人は護衛の任についた。

 

だが搬送中、突然ノイズに襲われ、先行して俺とセレナが変身し迎撃を行っている。

 

撃ち落としている中、複数のノイズが響たちのいる車両の天井に突き刺さるが、すぐにガトリングで撃ちぬいた。

 

「くそっ!毎度毎度きりがないぞ!」

 

「確かに、このままでは押されてしまいます・・・」

 

俺とセレナが苦しい中、二人の歌声が聞こえた。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Killter Ichaival tron

 

二人の聖唱が聞こえ、車両の天井を突き破りガングニールとイチイバルを纏った響とクリスが駆け付けてくれた。

 

「待たせたな!こっから派手に暴れてやるぜ!」

 

「二人とも!待ってたぞ」

 

「四人揃えば、何とかなりますね!」

 

「うん!それに相手がどれだけ来よう、今日まで訓練してきたあのコンビネーションがあれば!」

 

「あれはまだ完成してないやつだろ、切り札は最後まで取っておけ。ともかく飛んでるやつは俺とクリスで落とすから響とセレナは近づいてくる奴を倒してくれ」

 

『了解!』『あいよっ!』

 

 

『使用BGM 正義を信じて、握りしめて』

 

 

俺とクリスはお互いに背中を預け、クリスはギアをボウガンへと変える。

 

「背中を預けんだ、足引っ張んなよ」

 

「あいよ、そっちこそ撃ち損ねんなよ」

 

「はっ!誰に言ってんだ」

 

お互いに語った後、すぐにガトリングとボウガンによる連射を始める。

 

俺とクリスの連射にノイズは撃ち落とされていき、撃ち逃したのノイズが近づいてくるが構えていた響の体術とセレナの射撃によって撃墜されていく。

 

此方の数が倍になったおかげで余裕が生まれ、ノイズの狙撃に専念できる。

 

途中ノイズがクリスに狙いを定め、突撃してくるがそれに気づいた響がクリスの後ろに飛びノイズを殴り飛ばす。

 

響がカバーリングした後、クリスのギアが弩弓へと変わり、放たれた矢がノイズを貫き上空で無数に分裂し降り注ぎノイズを一掃する。

 

GIGA ZEPPELIN

 

ノイズが一掃される中、他のより一回り大きいノイズが空を旋回していた。

 

「あいつが取り巻きを率いてやがるのか」

 

「それならあれを撃ち落とせば、真さん!」

 

「わかった、受け取れ!」

 

ピーアス!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

セレナはアタッシュアローに俺が投げ渡したピアッシングナーファルプログライズキーを装填し、構える。

 

ピアッシングカバンシュート!

 

放たれた牙状の矢は回転しながら高速でノイズに接近する。

 

しかしそのノイズはその速度に対応し、旋回し回避する。

 

「回避された、あの速さを!?」

 

「だったらこいつだ!」

 

クリスはギアをガトリングに切り替え、乱射する。

 

BILLION MAIDEN

 

放たれた弾丸はノイズを追い詰めるが、ノイズが外装を纏うと放った弾丸は全て弾かれてしまう。

 

「クリスちゃん!」

 

「俺たちが!」

 

ブラスター!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

外装を纏ったノイズはこちらに接近してきて、それに対応するように響は右腕のバンカーを引っ張り出し、俺はギアを収納し、取り出したアタッシュカリバーにイチイバルのキーを装填し、お互いに飛び上がる。

 

『はぁぁぁぁ!!』

 

響は突っ込んでくるノイズに響は拳を、俺は刀身が赤くなった武器を振り下ろした。

 

 

イチイバルカバンストラッシュ!

 

俺たちの攻撃はノイズの外装に直撃するが、傷つけられず軌道をそらすことしかできなかった。

 

「私たちの攻撃でもびくともしないなんて…」

 

「ああ・・・それにこいつらおかしいぞ」

 

「何がおかしいんですか?」

 

「今までのノイズは見境なく突撃しまくるやつらだったのに、こいつらにはどことなく統率された動きがある」

 

「ええっと・・・つまり?」

 

「あのノイズを動かしてる敵が別にいるってことですか?」

 

「俺はそう考えてる。けどあの杖以外にノイズを操る方法なんて・・・」

 

クリスとセレナがノイズを撃ち落としてくれるが、司令塔を落とさない限りジリ貧だ。

 

「あんときみたいに空を飛べるエクスドライブモードなら、こんな奴らにもたつく事なんかねえのに!」

 

「一応、俺とセレナは飛行することは可能だが、あの装甲を何とかしないとな…」

 

「せめて強力な一撃を与えることができれば・・・」

 

「う~ん・・・んっ?みみみみんな後ろ!?」

 

『後ろ?』

 

俺達が振り返ると、すぐそこまでトンネルが迫っていた。

 

しかもその高さは低く、車両の上に載っている俺たちは確実に縁に激突してしまう。

 

『うわぁぁぁぁぁぁ!!?』

 

すかさず響が足のバンカーで天井を踏み砕き、俺がクリスとセレナを抱えて車内に飛び降りた。

 

「ぎ・・・ギリギリセーフ」

 

「ナイス機転、助かったぜ響・・・」

 

「いいから早く降ろしてくれ!」

 

「流石に抱えられるのはちょっと…」

 

俺は抱えている二人を下し、俺は後ろの車両を見る。

 

「問題はあのノイズをどうやって倒すかだな」

 

「くそっ!攻めあぐねるとはこういうことか・・・」

 

俺たちが悩んでる中、響は自分の手を叩いた。

 

「そうだ!」

 

「何か閃いたんですか?」

 

「師匠の戦術マニュアルで見たことがある!こういう時は、列車の連結部を壊してぶつければいいって!」

 

「なるほど!さすがは指令のマニュアルですね!」

 

「でしょ!」

 

響の提案にセレナは感心するが、俺とクリスはため息をつく。

 

「はぁ・・・おっさんのマニュアルはといえば面白映画だろ?そんなのは役に立つものか」

 

「それに第一、ノイズに物理的な攻撃は効かないんだろ?ぶつけてどうするんだ」

 

「ふっふ~ん!ぶつけるのはそれだけじゃないよ!真さんとセレナちゃんは炎と氷の準備をお願いします!」

 

「えっ、わ…わかりました!」

 

俺たちが準備する中、後ろからノイズが迫ってくる。

 

「急いで、トンネルを抜ける前に!」

 

俺たちは前の車両に移り、クリスが後ろの車両との連結部を撃ち壊した。

 

「サンキュー、クリスちゃん!」

 

「本当にこんなのでいいのかよ…?」

 

「今は響を信じよう」

 

俺はセレナにフリージングベア―プログライズキーを渡し、俺はフレイミングタイガープログライズキーをお互いに武器に装填した。

 

ブリザード!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ポーラーベアーアビリティ!

 

ファイヤー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

タイガーアビリティ!

 

「後はこれで・・・!」

 

俺とセレナがキーを装填し、響が車両の間に降り、その足で後ろの車両を完全に切り離した。

 

ノイズは切り離した車両をすり抜けるが、トンネルの出口ではギアを展開した響と武器を構えた俺とセレナが待ち受けていた。

 

「飛べぇぇぇええぇぇええぇ!!」

 

ノイズが車両を通過し姿を見せた瞬間、響のギアのジェットが爆噴し凄まじい速度でノイズに迫り、それに合わせるように俺たちはトリガーを引いた。

 

 

 

 

フリージングカバンシュート!

 

フレイミングカバンストラッシュ!

 

俺とセレナから放たれた炎の斬撃と氷の矢は響に追いつき、響の右腕のギアに纏わりつき二つのエネルギーが混ざり合った。

 

響はそのまま拳を列車を透過したノイズに叩きつけると、炎と氷が交わり合ったような大爆発が起きる。

 

その爆発は車両の後ろにいるノイズ達すら巻き込み、トンネルの向こう側まで爆発は続いた。

 

炎と氷を纏った一撃を俺はこう名付けた。

 

 

我流・絶拳

 

 

「閉鎖空間で相手の機動力を封じた上、遮蔽物の向こうから重い一撃…」

 

この光景にクリスは驚いていた。

 

「ホント、響の奴成長しやがって」

 

俺は響の後姿を見てそう呟いた。

 

 

 

その後、何事もなく米軍基地に到着しソロモンの杖とウェル博士を受け渡した。

 

「これで、搬送任務は完了となります、ご苦労様でした」

 

「ありがとうございます」

 

友里さんが相手と握手する中、響が小声で話しかけてくる。

 

『ねえ真さん、さっきからセレナちゃんの姿が見えないんだけど…?』

 

『セレナならあっちでライダモデル達に礼をしてるよ、今回は頑張ってくれたからって』

 

『そうですか、優しいですね』

 

俺たちが小声で話しているときに、ウェル博士が近づいてきた。

 

「確かめさせていただきましたよ、皆さんがルナアタックの英雄だと呼ばれることが、伊達ではないことがね」

 

「英雄!私たちが!いやぁ~普段誰も褒めてくれないので、もっと遠慮なく褒めてください・・・いたっ!?」

 

テンションが上がっている響の頭を軽く叩いた。

 

「いった~、何するんですか真さん・・・」

 

「調子に乗りすぎだ、それに英雄なんて周りが勝手に言ってるだけの事だろ」

 

「謙虚ですね貴方は。世界はこんな状況だからこそ、ぼくたちは英雄を求めている!そう、誰からも信奉される偉大なる英雄の姿を!」

 

ウェル博士は興奮しきった感じで語りだす。

 

響は浮かれているが、俺は訝し気な顔でウェル博士を見る。

 

「皆さんが守ってくれた物は、ぼくが必ず役立てて見せますよ」

 

「不束なソロモンの杖ですが、どうぞよろしくお願いします!」

 

「頼んだからな」

 

「ええ、それとあともう一人の方にもお礼を言いたいんですが・・・」

 

「彼女には俺から伝えておく」

 

「そうですか、分かりました」

 

そういってウェル博士は兵士の人たちと共に基地内へと向かう。

 

「んで、お前は何考えこんでんだよ?」

 

「んっ?ああちょっとな・・・」

 

俺はウェル博士が言ってた言葉が頭に残る中、基地外に出る。

 

基地から離れたところで、ライダモデルと戯れるセレナを見かける。

 

「あっ、もうお話は終わりましたか?」

 

「ああ、無事に任務も完了だ、そして…」

 

「うん!この時間なら翼さんのステージにも間に合いそうだ!」

 

「みんなが頑張ってくれたから、司令が東京までヘリを出してくれるみたいよ」

 

「マジっすか!」

 

響が喜んだ瞬間、突然基地から爆発が起き、大型のノイズが出現した。

 

「マジっすかぁ…!?」

 

「大マジだ!行くぞ!」

 

俺たちは急いで基地へと向かう。

 

だが基地についた時には兵士の人たちはみんな炭化し、基地も滅茶苦茶になり、そしてウェル博士とソロモンの杖が行方知れずとなってしまった。





後書きの時間だ!
「セレナがアタッシュアローを使うのか…なんか新鮮だな」
個人的にはセレナは弓を使うのが一番しっくりするということで使ってもらってます。
「・・・ところで作者さん、一ついいでしょうか」
ん?なんだ?
「ではあちらで…」
「?俺から離れて何話してんだ?」
『あの、真さんに『あのアイテム』は渡してるんですか?』
ああ、安心しろ。あれはプログライズキーの中にちゃんと入ってるから、ていうかあのキーとセットじゃないと意味ないだろ。
『そうですか、なら安心です』
「二人して何話してるんだ?」
「いえ、此方の話ですよ真さん」
それじゃそろそろ〆ますか。
「?まあ、分かった」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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黒のガングニール

G編第二話、そしてお前に聞きたいことがあるんだが…。
「なんだ?」
お前って常にジャージなのか?そのことをコメントで聞かれたぞ。
「それなら大丈夫ですよ!真さんの衣装は私たちで決めましたから」
お前らが?
「はい、あの時の翼さんとのデートの時にちゃんと購入しましたから。詳しくは無印編の『初めてのデート』をご覧ください」
宣伝乙、んでどんな衣装になったんだ?
「はい、こんな感じです!」

G編真衣装 上半身:白色のパーカー 下半身:紺色のワイドパンツ

「こんな感じです、まあ作者さんが女性ものの服に疎いのもありますが…」
そうだな~真に着せたい衣装とか募集しようかな?
「マジでやめてくれ、あれは男の俺にとって地獄そのものだ」
まあ何はともあれ、衣装もわかったことだしG編第二話どうぞ!
「おいスルーするな!?」


「そうか、そんなことが」

 

「はい、現場からはウェル博士が行方不明に、そしてソロモンの杖もなくなったそうです」

 

あたしは今日、翼のサポートとして緒川さんと共に『Queen`s Of Music』の会場の舞台裏に来たんだが、旦那からの連絡で真達の任務が失敗になったと聞いた。

 

「僕はこのことを翼さんに…」

 

「ああ~待て待て、それはやめた方がいい。ノイズのことを翼が聞いたら今日のライブを投げ捨ててでも向かっちまうだろうしさ」

 

「そうですね、たしかに」

 

「だからこの事は翼には内緒にした方がいいな」

 

「わかりました、では翼さんには内密にしておきます」

 

「奏、緒川さん、指令からいったい何を?」

 

話を終えると翼が私たちに呼びかけて来た。

 

「今日のステージを全うしてくれと・・・」

 

「・・・はあっ、緒川さんが眼鏡を外したということは、マネージャーモードの緒川さんではないということです」

 

翼に感づかれ緒川さんはぎょっとする、よく見抜いたな翼。

 

「自分の癖くらい覚えておかないと、敵に足元を・・・」

 

「お時間そろそろです。お願いします!」

 

「あっはい!今行きます」

 

スタッフの声に翼は応える。

 

「翼、みんなの傷ついた心を癒すのが今の翼の大切な務めだろ。こっちはあたしたちに任せて翼は思いっきり歌って来い!」

 

「・・・わかった、奏がそう言うなら。けどステージが終わったら色々聞かせてもらいますね」

 

「はい、わかりました」

 

そういって翼はステージへと向かった。

 

「・・・すみません奏さん。感づかれてしまいました」

 

「いや良いって、それより今回のステージは必ず成功させないとな、交渉事は任せるぜ」

 

「はい、お任せください」

 

今日のステージ、翼のためにも必ず成功させないとな。

 

 

 

 

 

「・・・まさか離れてすぐにノイズに襲撃されるとはな」

 

「ウェル博士、どこ行ったんだろう・・・」

 

米軍基地からの帰還中、夕日が沈む中ヘリ内で響は落ち込んでいた。

 

「きっと大丈夫さ、今弦十郎さんたちが探しているしすぐに見つかるさ」

 

「そうだな、あのオッサンたちならすぐに見つけてくれそうだしな」

 

「その通り、それに今日は楽しみにしていた翼のライブだろ?」

 

「真さん、クリスちゃん・・・はい、そうですね!今日は翼さんの晴れ舞台なのに暗くなっちゃいけませんよね!」

 

響はいつもの明るさに戻った、それでこそ響だな。

 

「それにセレナも気になる人がいるんだよな、確かセレナの姉で・・・」

 

「はい、『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』です」

 

セレナは響と同じくらい明るくなっている。

 

「確かデビューから二ヶ月で米国チャートの頂点に乗った気鋭の歌姫なんだろ?っすげえ姉じゃねえか」

 

「はい、私の自慢の姉さんですから!」

 

「そっか!じゃあ楽しみだねセレナちゃん」

 

「はい!とっても楽しみです!」

 

響とセレナは仲良く話している、セレナが二課に入ってからまだ一ヶ月しか経ってないのにもうみんなと仲良くなっている。

 

家にいる時も家事を手伝ってくれるし、セレナ曰『支援者さんからいろいろ教わりましたのである程度はできますよ』とのこと。

 

因みに支援者=駄目神のことだ、セレナは支援者が神様だということは知らない。

 

「うっ~、けど翼さん達のライブに間に合うかな・・・って真さんは何をしてるんですか?」

 

俺が駄目神から貰った機械をいじっているのを響に見られた。

 

「多分間に合わないだろうからこいつで見ようと思ってな」

 

「えっ?それそんなこともできるんですか」

 

「まあな…よし写った」

 

画面にはQueen`s Of Musicの会場が写っていた。

 

「あっ会場だ!けどこんな位置にカメラなんてありましたっけ?」

 

「いや、こいつはフライングファルコンの視界を通して見ている映像なんだ」

 

「あっ確かにキーが刺さってます」

 

「そう、テレビカメラも関係なくファルコンが動けば角度を変えれるし、映像の拡大もできるからベストな映像が見れるぞ」

 

『何それ欲しい!?』

 

これを送ってくれた駄目神には感謝しないとな、まあこの機能に気づいたのは最近だが。

 

「おっ、そろそろ始まりそうだぞ」

 

「見せてください!見せてください!」

 

「あっ私もお願いします!」

 

俺たちは駄目神から貰った機械でライブを見るのだった。

 

 

 

 

 

「~♪」

 

ライブが始まる前、控室にて鼻歌を歌っている女性がいた。

 

そんな女性の携帯に連絡が入る。

 

『こちらの準備は完了。『サクリストS』が到着次第、始められる手筈です』

 

「ぐずぐずしてる時間はないわけね…」

 

座っている椅子から立ち上がり、女性は答えた。

 

「OKマム、世界最高のステージの幕を上げましょう」

 

女性は携帯を切り懐にしまい、代わりに赤いペンダントを手に取った。

 

「セレナ・・・」

 

女性はボロボロのペンダントを握り、少女の名を呟いた。

 

 

 

 

空が暗くなる中、照らされるステージと共にシャフトに乗って二人の女性が上がってくる。

 

一人は赤と黒を基調としたライブ衣装を着た日本のトップアーティスト『風鳴翼』

 

もう一人は白を基調としたライブ衣装を着た気鋭の歌姫『マリア・カデンツァヴナ・イヴ』

 

今回のライブQueen`s Of Musicにおけるメインイベント、二人の歌姫によるデュエットだ。

 

「見せてもらうわよ、戦場にさえる抜き身の貴方を!」

 

マリアの声にこたえるように翼は立ち上がる。

 

そして奏でられる伴奏の中、二人の歌姫の歌声が重ねられる。

 

 

Huu… Cold moon… Blue shine…

 

 

マサニ今宵、イマ世界ハ、一ツニナル、届キタマエ、叶エタマエ

 

 

『『あ…始まろう』』

 

 

 

3

 

 

2

 

 

1

 

 

Ready Go Fly!!

 

 

 

果てなき』 『強い』 『『この思いは』』

 

 

譲れない』 『強い』 『『この思いは』』

 

 

誰にも』 『負けない』 『『不死なるMelody』』

 

 

『『 True heart』』

 

 

二人の歌声に会場のボルテージが上がっていく。

 

 

この手から零れ去った イノチ…紡いだコ・ド・ウ!

 

 

欠けたMoon light その光は 残した者にナニヲ問ウ!

 

 

哀しみを束ねて 剣に

 

 

刃に Justiceの名の下

 

 

二度と消えることない

 

 

魂の種火をさあ

 

 

『『』』

 

 

二人が剣状のマイクを床に突き立てると、ステージから炎が上がり背景に不死鳥が写る。

 

 

Ignition…‼

 

 

燃えなさい』 『人に』 『『定めなどない』』

 

 

飛びなさい』 『過去を』 『『引きちぎって』』

 

 

行きなさい』 『アツく』 『『羽撃き合い』』

 

 

響き伝う』『奏で伝う

 

 

『『ッ!』』

 

 

そう』 『』 『『握りしめて』』

 

 

背負った』 『全部』 『『握りしめて』』

 

 

いま不死なる夢を羽根に

 

 

願う明日を』『共に飛ばないか?

 

 

Phoenix song

 

 

炎の翼を羽ばたかせる不死鳥の映像を絵に、二人の歌は終わった。

 

終わるとともに観客席から溢れんばかりの歓声が二人に送られた。

 

その歓声にこたえるように二人は手を振り、翼が前に出る。

 

『ありがとう、みんな』

 

翼からの感謝の言葉に会場は更に盛り上がる。

 

『私は、何時もみんなからたくさんの勇気をもらっている。 だから今日は、私の歌を聞いてくれる人たちに少しでも、勇気を分けてあげられたらと思っている!』

 

翼の言葉に観客は更に熱狂する、そして翼に続くようにマリアも前に出る。

 

『私の歌を全部、世界中にくれてあげる!』

 

マリアは堂々と勇ましく、カメラを通して世界中に伝える。

 

『振り返らない、全力疾走だ。ついてこられる奴だけついて来い!』

 

マリアの言葉にさらに熱狂は上がっていく。

 

『今日のライブに参加できたことを感謝している。 そしてこの大舞台に、日本のトップアーティスト風鳴翼とユニットを組み歌えたことを』

 

『私も、素晴らしいアーティストに巡り合えたことを光栄に思う』

 

翼が手を差し出すと、マリアは答えるように翼と握手する。

 

その行為で、会場のボルテージは最高潮となる。

 

『私たちが世界に伝えて行かなきゃね。 歌には力があるって事を』

 

『それは、世界を変えていける力だ』

 

ふと、マリアが翼に背中を見せ、会場の方を向く。

 

「・・そして、もう一つ」

 

 

マリアが何かを呟き、腰布を広げた瞬間、観客席に大量のノイズが出現する。

 

 

「ノイズ!?」

 

画面を見ていた俺たちは突然のノイズの出現に驚く。

 

画面の向こうでも、ノイズの出現に観客はパニックを起こしている。

 

「おい!これまずいだろ!」

 

「あっちには未来たちが…!」

 

「マリア姉さん…!」

 

会場がパニックになる中、マリアは一人落ち着いていた。

 

「狼狽えるな・・・狼狽えるな!!」

 

マリアの声に、会場は一気に静まり返る。

 

静まり返った会場では、出現したノイズは人々を襲う気配がない。

 

「・・・わかりました。装者二名、仮面ライダー二名と共に、状況介入までを四十分を予定。事態の収束に当たります」

 

友里さんは弦十郎さんからの連絡を聞き、通話を切る。

 

「見てのとおりよ。昨日抜かずの三連戦になるけど、お願い」

 

友里さんの頼みに俺たちは頭を縦に振る。

 

「またしても操られたノイズ…」

 

「詳細は分からないわ・・・だけど」

 

「だけど?」

 

友里さんの声に、響は聞き返す。

 

「ソロモンの杖を狙ったノイズの襲撃と、ライブ会場に出現したノイズが、全くの無関係とは思えない」

 

友里さんの考察に俺たちは不安を感じながらも、ファルコンの映像を見る。

 

映像をズームさせ翼の方を見ると、翼は首の布を取り外し、ギアのペンダントを取り出す。

 

「怖い子ね」

 

声をかけるマリアを睨むが、マリアは平然としている。

 

「この状況にあっても、私に飛び掛かる気を伺っているなんて。 でもはやらないの。観客たちが、ノイズからの攻撃を防げると思って?」

 

「くっ…!」

 

マリアのいうこともまったくだ。下手に動けばノイズが観客を襲い多大な被害を生みかねない。

 

それ故に、翼は動けないでいた。

 

「それに…」

 

マリアは翼から視線を外す、マリアの視線の先にはこの光景が移されているモニターがあった。

 

「ライブの模様は世界中に中継されているのよ? 日本政府はシンフォギアについての概要を公開しても、その装者については秘匿したままじゃなかったかしら…ねえ、風鳴翼さん」

 

「甘く見ないで貰いたい、そうとでも言えば私が鞘走ることを躊躇うとでも思ったか!」

 

翼は手に持つ剣型のマイクをマリアに突き付ける。

 

「貴方のそういうところ嫌いじゃないわ。貴方の様に誰もが誰かを守るために戦えたら・・・世界は、もう少しまともだったかもしれないわね」

 

「なん・・・だと・・・?」

 

切実そうに言葉を呟くマリアに、翼は首を傾げた。

 

「・・・マリア・カデンツァヴナ・イヴ。貴様は一体」

 

「そうね、そろそろ頃合いかしら」

 

マリアはそう言うと、マイクに口を近づけ、そして宣言をした。

 

『私たちは、ノイズを操る力をもってしてこの星の全ての国家に要求する!』

 

高らかに宣言した言葉に、翼も俺たちも驚いた。

 

「世界を敵に回しての交渉!?これじゃまるで…」

 

「宣戦布告…何でそんなことを?」

 

クリスと俺はマリアの発言に疑問を持った。

 

「そして・・・」

 

マリアは手にしていたマイクを上空へ投げる。

 

・・・そして、聞き覚えのある『唄』を口にした。

 

 

Granzizel bilfen gungnir zizzl

 

 

「まさか!?」

 

それは響達が歌う聖唱。

 

だがそれよりも俺はとある言葉に困惑する。

 

 

・・・『ガングニール』と、マリアは言った。

 

 

そこには、黒いマントを身に纏い。黒色の装甲を身に纏った彼女がいた。

 

その色は違うが、見間違うはずもない。

 

あれは今俺の隣にいて、翼と共にいる彼女と同じ姿。

 

「黒い・・・ガングニール!?」

 

「マリア姉さんが・・・何で・・・!?」

 

響は困惑した、自分と同じギアを纏った『歌姫(マリア)』に。

 

セレナは困惑した、世界に宣戦布告した『(マリア)』に。

 

ギアを纏ったマリアは上へ投げ落下したマイクを手に取り、自身の正体を宣言した。

 

「私は・・・私たちは『フィーネ』! そう・・・『終局(おわり)』の名を持つ者だ!」

 

 

 

 

今、新たな戦いの火蓋が切られた瞬間だった。




「後書きの時間です、ついに黒いガングニールが現れましたね・・・」
「そうだな、それにセレナのことも心配だしな」
「自分のお姉さんがあんなことをしたらショックを受けますよ」
「そうだな…俺たちで何とかしないとな」
「はい!・・・次回はついにあの人が復活します!」
「新たな力を手にし、俺たちと共に再び戦ってくれるからよろしくな」
「それでは、そろそろ〆ましょうか!」

「「それでは次回もお楽しみに!」」

「ところで作者さんは?」
「次回を書き始めてるから後書きは早退したらしいぞ」










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夜空の月に奏吼える蒼き狼

G編第三話!今回のサブタイはグレイドさんが考えてくれました。
「まさかサブタイを書いてくれるとは、感謝しろよな」
うっす、もう頭が上がらないっす。
「今回のお話ではサブタイトルに書いてある通り、あのライダーだ出てきます!」
「・・・てかどうしてセレナと奏が仮面ライダーになったんだ?」
そこらへんはあとがきで話すよ、それではG編第三話、どうぞ!


『我ら武装組織『フィーネ』は、各国政府に対して要求する』

 

黒いガングニールを纏ったマリアは中継を通して、全世界に向けて語っている。

 

『そうだな…さしあたっては、国土の割譲を求めようか』

 

「馬鹿な・・・!?」

 

マリアがいう要求に翼は驚き立ち尽くしている。

 

『もしも二十四時間以内にこちらの要求が果たせれなかった場合は、各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう』

 

全世界の政府に対してのこの要求、マジで何を考えてんだこの歌姫は?

 

「あいつ…どこまでがマジなんだ?」

 

「わからねえ、だけどノイズを使って何かをしようというのはマジそうだな」

 

「マリア姉さん・・・・・・」

 

セレナは泣きそうな顔で画面を見ているのに気づき、俺は黙って頭を撫でて落ち着かせる。

 

「とにかく、急いでノイズを何とかしないと観客や未来たちが…!」

 

「・・・それは翼さんも同じ気持ちよ」

 

俺たちは友里さんの言葉に耳を傾けながらも、画面を見て状況を確認する。

 

『私が王道を敷き、私たちが住まうための楽土だ。素晴らしいと思わないか?』

 

非現実的なまでの要求…アイドルのくせして大統領のつもりかこいつは?

 

「何を意図しての語りか知らぬが・・・」

 

「私が語りと?」

 

翼の言葉に、マリアは応える。

 

「そうだ!ガングニールのシンフォギアは、貴様のような輩に纏えるものではないと覚えろ!」

 

そう言い、翼は聖唱を歌いだす。

 

Imyuteus ameno…

 

「翼さんがギアを纏えば観客のみんなを『それは駄目だ』えっ?」

 

翼がギアを纏おうと歌おうとするが、その歌は途切れる。

 

「緒川さんがストップをかけてくれたか…」

 

「カメラが回っている今、翼さんがギアを纏えば世界中にシンフォギア装者だということがばれてしまうわ!」

 

「そんな…。じゃあどうすれば!?」

 

「確かめたらどう?私が言った事が語りなのかどうか」

 

翼が歌うのをやめた翼に対し、マリアは挑発するかのように尋ねる。

 

「・・・なら」

 

沈黙する翼に対し、マリアは不敵に笑い次に行ったことは。

 

『会場のオーディエンス諸君を開放する!』

 

『!?』

 

人質当然の観客の解放に俺たちは驚いた。

 

『ノイズに手出しはさせない、速やかにお引き取り願おうか!』

 

「マジで何を考えているんだ…!?」

 

マリアの解放宣言の後、観客たちはゆっくりと会場外に逃げていくが、ノイズが襲ってくる気配はまったくない。

 

「・・・完全にノイズを制御化に置いているって証明か?」

 

「とすると、相手がソロモンの杖を持っているということは確実ということね。観客はこれでいいとして問題はカメラの方ね」

 

俺たちは黙って画面を見続ける。

 

 

 

 

 

 

 

翼はカメラのせいでシンフォギアを纏えない状態だ。

 

だから緒川さんにスタッフの避難を任せてあたしは会場裏を駆け抜けている。

 

急いで翼の元へ向かおうとすると、階段の上を誰かが走っていた。

 

まさか逃げ遅れた人が居んのか?

 

あたしはさっきの二人の元へ急いで向かう。

 

階段を上がると声が聞こえてきて、上がり切ると金髪と黒髪の二人の少女がいた。

 

「おい、どうしたんだ?」

 

「うぇえ!?」

 

あたしの声に二人はあたしの方に振り返る。

 

「早く避難しろ、会場にノイズがいるんだぞ!」

 

「あ~えっとデスね…」

 

金髪の方は少しあたふたした後、黒髪の子の前に立ち喋りだす。

 

「この子が、急にトイレとか言い出しちゃってデスね…アハハッまいったデス!」

 

「なんだそうか・・・じゃあ用を済ましたらすぐに出口に向かってくれよな?」

 

「は、はいデス!」

 

あたしはそのまま二人の下から離れる。

 

ちゃんと出口に案内しないといけないんだろうけどこっちも急がないとな。

 

「待ってろよ翼、いま助けてやるからな」

 

あたしは真から受け取った『青いキー』を懐から取り出す。

 

 

 

 

 

 

観客の避難も終わり、会場は静まり返っている中、私はガングニールを纏っているマリアとステージの上に立っている。

 

「帰るところがあるというのは、羨ましいものだな」

 

彼女は静まり返った会場を見てそう呟いた。

 

「マリア・・・貴様は一体?」

 

「・・・観客は皆退去した。もう被害者が出ることはない」

 

彼女がそう言うと周りのノイズがこちらにゆっくりと向かってくる

 

「それでも私と戦えないというのであれば、それはあなたの保身のため」

 

「くっ…!」

 

「貴方は、その程度の覚悟しか出来ていないのかしら?」

 

マリアに言われ私は歯噛みすることしかできない。だがカメラが回っている以上、迂闊にシンフォギアを纏ってはいけない。

 

もし私が装者だということがばれたら、周りのみんなが被害を受けてしまうかもしれない。

 

するとマリアはマイクを・・・否、剣を構え、私に向かって突き立ててくる。

 

私も手にしている剣を構え応戦する。

 

何とか逸らしているが、相手がシンフォギアを纏っている以上身体能力に大きな差が生まれる。

 

剣がぶつかり合う中、マリアはマントを翻す。

 

それを何とか身をそらしてかわし距離をとる。

 

だが手にしている剣は先のぶつかり合いで折れてもはや使い物にはならなくなり、私は投げ捨てる。

 

 

 

「映像が中継されている限り翼さんはギアを纏えないんですよね、いったいどうすれば…!」

 

「おい!もっとスピードは上がらないのか!?」

 

「あと十分もあれば到着よ!」

 

「まだ十分も・・・なら私たちが!」

 

「いや、大丈夫だ」

 

皆が悩んでいる中、俺の発言に視線が集まる。

 

「大丈夫って・・・何がですか?」

 

「何がって、ちゃんといるさ・・・翼を守ってくれるおっかない『狼女』がな」

 

 

 

彼女が振るってくる剣を何とか躱してはいるが、このままでは勝てない。

 

せめてギアを纏えれば…。

 

攻撃をかわしていると、ステージの裏側に続く通路を見つける。

 

(ステージの裏に行き、カメラの視線から外せれば!)

 

私は身に着けていたマントをマリアに向けて放り投げ視界を封じ、急いでステージ裏へ向かう。

 

だがマリアはそのことに気づきすぐにマントを払い手にしている剣を投げつけてくる。

 

だがその軌道は読めて、私は跳躍してかわしすぐにステージ裏に向かおうとするが・・・着地と同時にヒールが折れ、体勢を崩してしまう。

 

「なっ!?」

 

「貴方はまだ、ステージを降りることを許されない」

 

その隙をマリアにつかれてしまい、ステージ外に蹴り飛ばされてしまう。

 

蹴り飛ばされた私に感づき、ノイズたちが集まってくる。

 

「っ! 勝手なことを!?」

 

落ちていく我が身を感じ、そして決意した。

 

(決別だ・・・歌姫であった私)

 

私は胸のペンダントを握り締め、覚悟を決める。

 

「聴くが良い!防人の歌を!」

 

そして私は歌を捨てるため、唄を歌うため口を開く・・・。

 

 

 

その瞬間、マリアがいる方とは逆の方のステージ裏から大量の弾丸が放たれ、私の近くのノイズは全て撃ち抜かれる。

 

「なにっ!?」

 

「これは…!」

 

マリアが驚き、私が唄うのをやめ地面に着地する中、先ほどとは逆のステージ裏に人影が現れる。

 

「ふ~っ、何とか間に合ったな」

 

ステージ裏に現れた人物、それは私の大切な友である彼女・・・。

 

「奏…?」

 

「危なかったな、翼」

 

奏が銃を手に現れた。

 

「貴方!? 一体どうやってノイズを!?」

 

マリアは驚きながらも奏に声をかけるが、奏はそれに答えずマリアの方を向く。

 

「あいつから貰ったあたしの新しい力さ。これでまた、あたしも戦える!」

 

私は改めて奏が手にしている銃を見る、あれはセレナが持つあの銃と同じ…!

 

すると奏は黒いベルトを取り出しその身に身に着け、そこに手にしている銃を装着する。

 

そして懐から取り出したのは、真が持っているのと同じ『青色のプログライズキー』だった。

 

「あたしは一度、戦う力を無くした。 だがあたしはもう一度羽ばたいてみせる、今度こそみんなを守るために!」

 

バレット!

 

奏は手にしているプログライズキーを起動させ、無理やりこじ開けようとする。

 

「うぉおおああぁぁ!!」

 

奏は力づくでプログライズキーをこじ開け、銃に…否、真曰『ショットライザー』に装填する。

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

装填したショットライザーを取り外し、マリアに銃口を向ける。

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

トリガーを引くと、放たれた弾丸がマリアに向かって飛んでいくが、マリアには当たらず旋回し奏の元へ戻り。

 

奏が戻ってきた弾丸を拳で殴ると、銃弾が弾け、奏の身に装甲が纏われていく。

 

シューティングウルフ!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

装甲を纏った奏の姿はまるで蒼い狼のような姿だった。

 

「馬鹿な…!?二人目の仮面ライダーですって!?」

 

仮面ライダーに変身した奏を見てマリアは心底驚いている。私も同じだ、まさか奏が真やセレナと同じ仮面ライダーになるなんて…!

 

「仮面ライダーバルカン・・・今のあたしは一味違うぞ!」

 

奏の叫びは会場中に響いた。




後書きの時間だ!そして新メンバーの天羽奏カモン!
「よっす、これからよろしくな」
「歓迎するぜ奏、同じ仮面ライダーとして」
「よろしくお願いします」
「そうかしこまるなよセレナ、ライダーとしてはあんたの方が先輩だからな…ところで何であたしがバルカンなんだ?」
最初の案としてはバルカンとバルキリーは確定で出てくるんですけど、誰に変身させようかなって考えて、それでたどり着いたのがセレナと奏なんです。
奏は狼とかパワープレイとかに会いそうだからバルカンにして、バルキリーは戦乙女のヴァルキリーが元ネタっぽいしセレナにしてみたんだ、戦う乙女(少女)だしな。
「なるほどな、まあそんなわけでこれで味方ライダー集結ってわけだな」
「そういうことだな、それじゃあ早速三ライダーで〆ますか」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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正義か偽善か・・・


G編第四話・・・の前に一言言わせてくれ。
「どうした?」
今回文字数長いわ!?
「長いって・・・どんだけ書いたんだ?」
…約九千文字。
「一期最終回並みですね。」
なんか書いてたら自然とこうなっていました。
「ほう、ではその結果を見せてもらおうか・・・それではG編第四話どうぞ!」



「奏さんが・・・仮面ライダー!?」

 

会場にて奏がバルカンに変身したことに響とクリスは驚いていた。

 

「二か月前に奏が仮面ライダーになる機会があってな、それから響や翼にクリスには内緒で特訓に付き合っていたのさ」

 

「私も微力ながら付き合いました」

 

「ちなみに大人のみんなにはすでに伝えている」

 

「ええっ!?何で教えてくれなかったんですか?」

 

「そりゃあれだ・・・お前らへのサプライズってやつさ」

 

響が頬を膨らせる中、俺は画面に視線を移す。

 

俺らが着くまで頼んだぜ、奏。

 

 

 

 

『使用BGM 君ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ』

 

「まさか・・・あなたまで特異症例だったとはね」

 

「特異症例? なんだそりゃ」

 

マリアが口にした単語にあたしは首をかしげる。

 

「シンフォギア装者とは違い、未知のテクノロジーを扱い戦う者を特異症例と呼んでいる。ゼロワンと呼ばれている彼女だけだと思ったのだけれど・・・」

 

「なるほどな、だったらそのデータはもう古いと思うぜ」

 

「どうやらそのようね、だけどあなた一人で何とか出来るのかしら?」

 

あたしや翼の周りにいるノイズは徐々に近づいてくる。

 

「彼女がギアを纏えない限りその子はあなたにとっても枷になるはずよ」

 

「ああ、その心配はないさ。 もうそろそろかな?」

 

「そろそろ?一体何を・・・」

 

マリアが疑問に思っていると、突如会場内のモニターが暗転し『NO SIGNAL』と映る。

 

「なっ!? 中継が遮断された!?」

 

「翼がアーティスト活動ができなくなるなんて、あたしとマネージャーが許すはずないだろ」

 

「緒川さん・・・!」

 

翼が喜ぶ中、あたしは振り返り翼に手を差し出す。

 

「これで思いっきり歌えるな。両翼揃ったツヴァイウィングの力見せてやろうぜ」

 

「・・・ええ!」

 

翼は差し出した手を掴んで立ち上がり、あたしの横に並び立つ。

 

「改めて聞かせよう、防人の歌を!」

 

翼はペンダントを取り出し、唄を歌う。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

翼はアメノハバキリを纏い剣を手に取り、あたしはショットライザーを手に取る。

 

「行くぜ、翼!」

 

「ええ、奏!」

 

あたしたちはそのまま別れノイズに攻撃を仕掛ける。

 

あたしと翼は各々の武器を手にノイズを撃退していく。

 

あたしはショットライザーでノイズを打ち抜いていく、近づいてくる奴は殴りや蹴りで倒している。

 

「遠距離道具ってのも悪くはないな…っと!」

 

あたしは後ろから近づくノイズを感知してすぐに振り返り撃ち抜く。

 

真が言うにはバルカンの聴覚センサーは半径7km以内なら16もターゲットを捕らえれるらしい。

 

・・・はっきり言えば反則だな。正直スペックを聞かされた時は頭がこんがらがった。

 

あたしがノイズを一体一体倒している中、翼は逆立ちになって脚部のブレードを展開して回転しながら一気にノイズを蹴散らしていく。

 

 

逆羅刹

 

 

「おっと、こりゃうかうかしてられないな。こっちも派手にいくか!」

 

バレット!

 

ショットライザーに装填しているキーのボタンを押し込み、トリガーを引くと銃口から青色の狼の群れが現れノイズに襲い掛かる。

 

狼たちが襲い掛かる中、あたしは銃口に青色のエネルギーをため込み構える。

 

 

バレットシューティングブラスト!

 

放った弾丸は巨大な狼となりノイズ達を噛み砕いていき、会場内のノイズは掃討された。

 

ノイズを掃討したあたしたちはステージ上まで跳躍し、あたしたちとマリアは対峙する。

 

「さあ、お望み通り戦おうか」

 

「ええ、お手並み拝見ね」

 

「いざ、押して参る!」

 

翼が叫ぶと同時にあたしたちは攻撃を仕掛けた。

 

翼が剣を振るいあたしが銃撃を放つが、マリアはそれらを躱し、マントで防ぐ。

 

翼の斬撃を躱したマリアはマントを伸ばし翼を後方へと飛ばす。

 

「翼、大丈夫か!」

 

「ええ、だけどこのガングニールは、本物!?」

 

「そうみたいだな。あたしが纏っていたガングニールより勝手がいいな」

 

「風鳴翼だけではなく、かつてのガングニール装者からもお墨をつけてもらったわ。 そう、これが私のガングニール。なにものをも貫き通す無双の一振り!」

 

マリアは接近しマントによる接近戦を仕掛ける。

 

確かにどれも強力な攻撃だ・・・だけど。

 

「だからとて、私たちが引き下がる通りなどありはしない!」

 

「その通りさ、あまりあたしたちを甘く見るなよ!」

 

攻撃を受け止めている中、マリアは何かに驚き隙を作った。

 

あたしたちはその隙をついてマリアから距離を取り、攻撃を仕掛ける。

 

翼は脚部のユニットから二振りの剣を手にして、その柄を連結させ一つの剣に変える。

 

アタッシュショットガン! ショットガンライズ!

 

バレット!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

あたしは真から預かったアタッシュショットガンを取り出し、プログライズキーを装填させる。

 

「あたしたちを相手に気を取られるとは!」

 

翼は手にした剣を掌の上で高速回転させ、その刀身に炎を纏わせる。

 

刀身に炎を纏わせたまま、足のブースターによってマリアに接近する。

 

「あたしたちの力を喰らいやがれ!」

 

あたしは翼の剣に標準を合わせ、トリガーを引いた。

 

 

シューティングカバンショット!

 

放たれた狼状のエネルギー弾は剣に直撃し、赤色の炎に青色が混じる。

 

二色が混じった炎は狼の形となり、翼はその回転と炎を纏ったままマリアに切りつけ、炎の狼はマリアに牙を振るった。

 

 

風輪火斬・狼牙

 

 

「ぐっ、くぅ…!?」

 

あたしたちの一撃を喰らってよろめくマリアに翼が追い打ちを仕掛ける。

 

「話はベットで聞かせてもらう!」

 

マリアに二撃目を仕掛けようとしたとき、翼の背中に向かってくる無数の円盤を見つける。

 

「翼、後ろだ!」

 

あたしの声に翼は立ち止まり、迫って来る円盤を剣を回転させて防いだ。

 

 

『使用BGM 塵鋸・シュルシャガナ』

 

 

首を傾げて 指からするり 落ちてく愛を見たの

 

 

α式 百輪廻

 

 

歌声と共に後ろからやってきたのは黒とピンクを基調としたギアを纏っている少女は更に大量の円盤を繰り出す。

 

その少女の後ろからダークグリーンと黒を基調としたギアを纏っている少女が鎌を手にして飛び出してきた。

 

「いくデス」

 

その鎌の刀身は三つになり、少女が鎌を振るうと二枚の刃が飛んでくる。

 

 

切・呪リeッTぉ

 

 

翼目掛けて飛んでくる刃をあたしがショットガンで撃ち落とし、撃ち落とすと同時に翼もあたしの元に下がる。

 

「ありがとう、奏」

 

「お安い御用さ。それよりまさかあいつら…」

 

二人の少女はあたしたちの前に立ちふさがる、予想通りマリアの味方か。

 

「危機一髪…」

 

「まさに間一髪だったデスよ」

 

装者が三人・・・というかこいつらって。

 

「装者が、三人・・・!?」

 

「お前ら、ステージ裏にいたあの二人か!」

 

「調と切歌に救われなくても…と言いたいところだけど正直助かったわ」

 

二人の間にマリアが立つ。

 

「これで三対二、此方が有利になったわね?」

 

「・・・三対二?違うな」

 

あたしの発言にマリアは視線をあたしに向けた。

 

「三対六だ!」

 

叫ぶと同時に上空にヘリがやって来る。

 

「っ! 上か!」

 

ライジングホッパー!

 

変身を終えた真と響とクリスがヘリから飛び降りてきた。

 

「土砂降りな!十億連発!」

 

 

BILLION MAIDEN

 

 

クリスがマリア達に向けてガトリングによる弾丸の豪雨を仕掛けるが、少女二人は左右に避けマリアはマントで防ぐ。

 

「隙だらけだ!」

 

マントで銃弾の雨を防ぐマリアの前に真が降り立ち、マリアに攻撃を仕掛けるがすんでのところで避けられる。

 

「仮面ライダーゼロワン・・・!」

 

「おっと、仮面ライダーはもう一人いるぜ」

 

ラッシングチーター!

 

三人の後を追うように変身を終えたセレナがアタッシュアローを構えてマリアに攻撃を仕掛けた。

 

「新手!?」

 

マリアは驚きながらもマントで攻撃を防ぐ。

 

そのまま四人はあたしたちの前に降り立つ。

 

「ギリギリ間に合ったか、二人共?」

 

「ああ、助かったぜ」

 

あたしと翼も横に並んでマリア達と対峙する。

 

 

 

 

何とか間に合ったみたいだな、ファルコンを通して見ていたけどハラハラしたわ。

 

だけどこれで六対三、数ではこっちが有利だが相手は俺たちも知らない装者二人に黒いガングニール装者、油断はできない。

 

お互いが対峙する中、響が相手に語り掛けた。

 

「止めようよ、こんな戦い!今日であった私たちが争う理由なんてないよ!」

 

響の言葉に相手のツインテールの少女が響を睨む。

 

「っ…! そんな綺麗事を!」

 

「えっ?」

 

「綺麗事で戦う奴の言うことなんか、信じられるものかデス!」

 

ツインテールの少女に続くように金髪の少女も俺たちに刃を向けて叫ぶ。

 

「そんな…話せば分かり合えるよ!戦う必要なんて…」

 

「・・・偽善者」

 

ツインテールの少女の怒りの籠った言葉が、響の言葉を遮る。

 

「この世界には、貴方のような偽善者が多すぎる・・・!」

 

同時に、敵が攻撃を仕掛けた。

 

 

だからそんな世界は切り刻んであげましょう!

 

歌と共に少女は大量の円盤を放ってくる。

 

ブレードライズ!

 

「ぼさっとするな響!」

 

向かってくる円盤を俺と翼の二人で切り落とす。

 

全て切り落とした後、クリスとセレナが金髪の少女を、翼と奏がマリアと、そして俺と響がツインテールの少女と応戦する。

 

此方の少女は頭部のアームドギアから展開した巨大な円盤…というか丸鋸を俺達に、主に響を中心に攻撃を仕掛ける。

 

「わ、私は、困っている皆を助けたいだけで、だから・・・」

 

「それこそが偽善・・・!」

 

攻撃の手を止め、少女は響に厳しい言葉を突きつける。

 

「痛みを知らない貴方に、誰かの為に何て言ってほしくない!」

 

 

γ式 卍火車

 

 

少女が放った二つの巨大な丸鋸は響に目掛けて放たれる。

 

「オラァ!!」

 

俺は巨大な丸鋸と響の間に立ち、丸鋸を両方とも蹴り飛ばす。

 

「さっきから響のことを偽善者なんて言いやがって・・・ふざけんなよ」

 

俺はアタッシュカリバーをしまい代わりにオーソライズバスターを手に取る。

 

「響は…俺たちは本気で皆を助けるためにこの力を振るっているんだ!それを偽善何て呼ぶんじゃねえ!」

 

俺はホルダーからシャイニングホッパーを取り出す。

 

シャイニングジャンプ!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させ、上空からシャイニングホッパーライダモデルが下りてくると同時にドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

The rider kick increases the power by adding to brightness! シャイニングホッパー!

 

When I shine,darkness fades.

 

シャイニングホッパーに変身した俺は武器を構える。

 

「ッ・・・人の痛みも知らないで!」

 

少女は大量の丸鋸を俺に向けて飛ばしてくるが、シャイニングホッパーの予測能力で丸鋸を全て避けながら接近する。

 

「嘘・・・!?」

 

少女は慌てて巨大な丸鋸を展開するが、俺はホルダーからキーを取り出す。

 

シザーズ!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

「響を・・・偽善者なんて呼ぶんじゃねえ!!」

 

キーを差し込み、少女の巨大な丸鋸に対し俺はオーソライズバスターを振るうと、出現した巨大な蟹のハサミが少女の巨大な丸鋸を砕いた。

 

「そんな・・・!?」

 

 

バスターボンバー!

 

「きゃあ!!」

 

そのまま放った一撃は少女を大きく吹き飛ばした。

 

俺はオーソライズバスターをしまい、吹き飛ばした少女の近くまで歩いた。

 

「・・・なあ、あんたらは何のためにその力を使ってるんだ?」

 

「えっ・・・?」

 

今だ倒れている少女に向けて俺は語りだす。

 

「俺はこの力で皆の夢と希望を守ると誓った。 そんなのは夢物語みたいだと思うけど、俺は本気で叶えようと思っている」

 

俺は少女の目の前で立ち止まる。

 

「お前らにだって、本当に叶えたい夢があるんじゃないのか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

俺の言葉に少女は茫然とし、次第にその体を震わせる。

 

「・・・貴方に」

 

少女が俺を睨むと同時に、再び展開された巨大な丸鋸が左右から襲い掛かって来る。

 

「貴方に・・・私たちの何がわかるの!!」

 

「真さん!!」

 

丸鋸が迫る中、俺はドライバーのキーを押し込む。

 

シャイニングインパクト!

 

キーを押し込み、そのまま回し蹴りで左右の丸鋸を蹴り壊す。

 

「!?」

 

驚く少女に俺はそのまま踵落としの構えを取り、足を振り下ろした。

 

 

シャイニングインパクト!

 

そのまま放った蹴りは少女に直撃せず、少女の前の床を蹴り砕いていた。

 

「分からないさ・・・だから知ろうとするんだ」

 

「・・・っ」

 

俺の言葉に少女は言葉を失っていた。

 

 

 

 

クリスさんと一緒に暁さんと戦う中、私は胸が痛くなっていた。

 

私は想像してなかった、こんな形で姉さんたちと再会して、そして敵同士として戦うことになるなんて。

 

・・・ここに来る途中、真さんに聞かれたことがあった。

 

 

『セレナ、会場につけば確実にマリアと戦闘を行う可能性がある。それにお前は世間では死亡扱いしているから素顔をさらすわけにはいかないんだ。・・・もし行きたくなかったり戦いたくなかったら、俺たちに任せてヘリに残っててもいいんだぞ?』

 

『ありがとうございます、でも大丈夫です。姉さんに何があったのかわかりませんが、私は姉さんを止めたいんです』

 

『・・・わかった、けど無理すんなよ?』

 

 

真さんにはああいったけど、正直に言えば本当は姉さんたちと戦いたくなかった。

 

けど、姉さんたちが世界を敵に回すなんて嫌だ。

 

だから姉さんたちを止めて昔みたいに・・・!

 

「隙だらけデス!」

 

「えっ…キャア!」

 

考え事をしていた私に暁さんのアームドギアの一撃が入った。

 

「おい、大丈夫か!?」

 

「は、はい・・・」

 

クリスさんが心配する中、暁さんは何故か動きを止めていた。

 

「えっ・・・その声・・・?」

 

暁さんが私を見て驚いていると、会場の中心に巨大なノイズが現れた。

 

「わぁぁあ・・・何あのでっかいイボイボ!?」

 

「こいつもノイズの一種なのか!?」

 

「・・・増殖分裂タイプ」

 

「こんなの使うなんて、聞いてないデスよ!?」

 

突如現れたノイズに皆さんが驚く中、マリア姉さんは誰かと通信していた、おそらく通話の相手は・・・。

 

「・・・わかったわ」

 

姉さんが何かを了承すると、両手のアームドパーツを合わせ、一振りの槍を手にした。

 

「アームドギアを温存してただと!?」

 

「最初から本気じゃなかったってことかよ…!」

 

そのまま姉さんは槍を出現したノイズに向け、その矛先にエネルギーを溜めノイズに向けて放った。

 

 

HORIZON†SPEAR

 

 

放った一撃はノイズを貫き、そのままノイズは爆発四散する。

 

「おいおい、自分らで出したノイズだろ!?」

 

ノイズが四散するのを確認した姉さんたちは撤退していった。

 

「ここで撤退だと!?」

 

「ノイズを倒して撤退・・・だけじゃなさそうだな」

 

真さんの予感が当たったかのように、四散したノイズの欠片がどんどん増殖していった。

 

「ノイズがどんどん増えてやがる!?」

 

「これがこのノイズの能力か!?」

 

「はあっ!」

 

翼さんがノイズを切り払うが、すぐにノイズの数は元に戻るどころか更に増えていく。

 

「こいつの特性は、増殖分裂型・・・!」

 

「このままじゃ会場の外まで溢れかねないぞ…!」

 

私たちが集まる中、緒川さんから連絡が入ってきた。

 

『皆さん聞こえますか!会場のすぐ外には避難したばかりの観客たちがいます!そのノイズをそこから出すわけには…!』

 

くそっ! 逃げ遅れた観客を人質にして俺たちに追わせないつもりか!?

 

「わかった、ノイズは俺たちで何とかするから緒川さんは観客のみんなに避難をお願いします!」

 

『わかりました』と告げて緒川さんとの連絡が切れました。

 

「しかし、迂闊な攻撃ではいたずらに増殖と分裂を促進させるだけ」

 

「どうすりゃいいんだよ!」

 

私たちが悩んでいると、響さんが何かを呟いた。

 

「・・・絶唱」

 

響さんの発言に私たちは視線を響さんに向けた。

 

「絶唱です!」

 

「まさか響、あの技を使う気なのか?」

 

「あのコンビネーションは未完成なんだぞ!」

 

クリスさんの発言に響さんは頷いた。

 

確かに絶唱の威力ならノイズを一掃できますけど・・・。

 

「増殖力を上回る破壊力にて一気に殲滅。 立花らしいが理にかなってる」

 

「けど、あのコンビネーションは響の負担が大きいんだろ大丈夫か?」

 

「大丈夫です!」

 

響さんの言葉に、奏さんは少し笑って響さんの頭を撫でました。

 

「よしわかった、任せたぜ」

 

「はい!」

 

「なら俺たちライダーでノイズを抑え込むぞ」

 

「おうっ!」 「了解です!」

 

一掃は響さんたちに任せて私たちは皆さんの邪魔をしないように近づいてくるノイズを倒すこととなる。

 

「二人とも、このキーを使え!」

 

真さんが奏さんにトラッピングスパイダープログライズキーを、私にはフリージングベア―プログライズキーを渡して、真さん自身はストーミングペンギンプログライズキーを取り出し、それぞれアタッシュ武器に装填する。

 

そのまま私たちは蜘蛛の糸や氷でノイズの動きを封じて、風によってノイズを吹き飛ばしてノイズの進行を防いでいく。

 

そして響さんたちが手を繋いで、あの技の準備を整える。

 

「行きます!『S2CA・トライバースト!』」

 

響さんの声と共に、三人の装者は絶唱を奏でた。

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

 

重ねられる三人の絶唱は、三人のフォニックゲインを爆発的に上昇させた。

 

「スパーブソング!」

 

「コンビネーションアーツ!」

 

「セット!ハーモニクス!」

 

三人の放ったエネルギーは響さんを中心に爆発的に広がっていく。

 

・・・だけどこの力の弱点は、絶唱の負荷を全部響さん一人で受けることだった。

 

「ぐぅぅうぅ・・・ぁぁぁああぁぁあぁぁああ!!」

 

エネルギーの中心から響さんの苦しそうな声が聞こえてくる。

 

「耐えろ立花!」

 

「もう少しだ!」

 

S2CAトライバースト。 装者三人の絶唱を響さんが調律し、制御する最大の必殺技。

 

『手を繋ぎ合う』ことがアームドギアの響さんにしかできない必殺技。

 

ノイズが吹き飛んでいく中、先ほど現れたノイズの中心におそらく先ほどのノイズの核の様な物が現れた。

 

「あいつだ、奏!セレナ!」

 

真さんの声に合わせ、私と奏さんはショットライザーをドライバーに装着させキーのボタンを押す。

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

私と奏さんはそのままトリガーを引き、真さんはドライバーのキーを押し込んだ。

 

シューティングブラスト!フィーバー!

 

ラッシングブラスト!フィーバー!

 

シャイニングインパクト!

 

そのまま私たち三人は核に目掛けて三人同時にライダーキックを決める。

 

 

 

 

バレットシューティングブラストフィーバー!

 

ダッシュラッシングブラストフィーバー!

 

シャイニングインパクト!

 

私たちのライダーキックによって核は上空へ大きく吹き飛ばされる。

 

「行け!響!」

 

「レディ!」

 

真さんの声に合わせ、響さんは自身のアームドパーツを組み合わせ、巨大なガントレットへ形成する。

 

そして放出された莫大なエネルギーは全て響さんのガントレットへと集約され、ギアから虹色の光が放たれた。

 

「ぶちかませ!」

 

クリスさんの叫びを背に響さんは核へと飛んだ。

 

「これが私たちの・・・!」

 

腰部のブースタ―を噴出させ拳に勢いを乗せ、その拳を振るった。

 

「絶唱だあぁぁぁあぁああぁあ!!」

 

叩き込んだガントレットは超速回転を起こしそのエネルギーを増大させ、叩き込まれたエネルギーは虹色の竜巻となり、核を巻き込み天へと昇って行った。

 

 

 

 

 

作戦を終えた私たちは会場から離れた場所で彼女たちの一撃を見届けていた。

 

「なんデスか、あのトンデモは!?」

 

「綺麗・・・」

 

私たちの目に映ったのは天へと昇る虹色の竜巻、これがあの子たちの絶唱…。

 

「こんな化け物もまた、私たちの戦う相手…」

 

莫大なまでの絶唱を放つ装者たち、そして特異症例の仮面ライダーに加えて二人の未知の仮面ライダー。

 

「・・・急いでマムの元まで戻るわよ、新しい仮面ライダーのことを伝えないと」

 

「マリア、そのことなんデスけど・・・」

 

帰還しようとする途中、切歌が呼び止める。

 

「どうしたの?」

 

「・・・あのオレンジの仮面ライダー、もしかしたらセレナかもしれないデス」

 

切歌の発言に私と調は耳を疑った。

 

「気のせいじゃない・・・?」

 

「でもあの声、セレナとしか『それはないわ』っ!」

 

切歌の発言を遮り私ははっきりと答えた。

 

「セレナはあの時、私の目の前で・・・。 あの子なわけがない」

 

「そう・・・デスよね」

 

私は今でも覚えている、炎の中でセレナが絶唱を歌い倒れたことを。

 

「あの子なわけが・・・」

 

私は手を握り締めて、切歌と調と共にマムの元へと帰還した。

 

 

 

 

 

ノイズがいなくなった会場の真ん中で、響は膝をついて空を見上げていた。

 

俺はそんな響を見てあの子の言葉を思い出す。

 

『痛みを知らない貴方に、誰かの為に何て言ってほしくない!』

 

「無事か、立花!」

 

膝をつく響を心配して翼たちは駆け寄った。

 

「平気・・・へっちゃらです」

 

そういって振り向いた響の目には涙が浮かんでいた。

 

「へっちゃらなもんか!痛むのか? まさか、絶唱の負荷を中和しきれなくて・・・?」

 

クリスの言葉に対して、響は大きく首を横に振って言葉を呟いた。

 

「・・・私のしてることって、偽善なのかな?」

 

自分の口から出した言葉に響は更に涙を流した。

 

「胸が痛くなることだって知ってるのに・・・」

 

嗚咽をだし、泣き崩れる響。

 

「お前・・・」

 

何も言えないみんなをよそに、俺は響に近づいて腰を下ろし視線を合わせる。

 

「響、お前のしてることは偽善じゃない」

 

俺がはっきり答えると、響は泣きじゃくりながらも俺を見る。

 

「お前はここまでたくさん辛いことにあった、悲しいこともあった、それと同時にその手で多くの人たちを守ったんだ」

 

響の手を掴み、強く握りしめる。

 

「それにあの時約束しただろ、みんなの笑顔を守るってさ・・・それでいいじゃねえか」

 

俺は空いた手で響の頭を優しく撫でる。

 

「お前のその『約束(思い)』はお前の物だろ。俺のでも、誰のでもない『立花響(お前自身)』の思いだ。その思いに嘘なんてないだろ」

 

「・・・はい」

 

俺は撫でていた手を握っている響の手に重ねる。

 

「お前のこの手は誰かと繋いで、その思いを伝える優しい手だ。なら響のその思いを、いつかあの子に伝えようぜ」

 

「・・・私のこの願いは、この拳は、ちゃんとあの子に届けれるでしょうか・・・?」

 

「届けれる…じゃないだろ。届かせる、だろ」

 

「・・・はい!」

 

顔を上げた響の顔はいつも通りの笑顔だった。

 

「それでこそ響だな」

 

俺は響と共に立ち上がると、響は俺に抱き着いてきた。

 

「響?」

 

「・・・ごめんなさい、明日からちゃんとします・・・だけど、今だけは・・・泣いてもいいですか?」

 

「・・・ああ、辛いときは我慢しなくてもいいんだぞ」

 

俺の胸の中で小さく震える響に俺はそのまま頭を撫でた。

 

それが引き金となったのか・・・静かな会場に響の泣き声が響いた。

 

 

 

「・・・」

 

響が俺の胸の中で泣く中、セレナは一人悲しそうな顔をしていた。





後書きの時間・・・だけど真はどこ行った?
「響の慰めのため退席してるぞ」
・・・まあ事情が事情だからな。
「ところで今回のお話でオリジナルのキーが出てましたよね」
ああ、今回使わせていただいたのはぼうげん!さんの考えてくれた『バブルオーシャンクラブプログライズキー』だ。
「プログライズキー考えてくれてありがとな!」
「それでは私たちもそろそろ響さんを慰めに行きます」
おうそっか、んじゃそろそろ〆ますか。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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セレナの過去


G編第五話、今回は戦闘なしだ、それと今回の話は俺のやりたかったことを書きました、反省も後悔もしてないそれでも言い方はG編第五話どうぞ。
「あれ、今回俺たちセリフなし?」
後書きでセリフあげるから勘弁してくれ。


フィーネの宣戦布告から一週間がたった。

 

二課本部では現在フィーネについて調べ上げている最中、俺は自宅にてセレナと一緒にいる。

 

クリスは弦十郎さんの勧めで響達と同じリディアンに入学しているため家には俺とセレナだけだった。

 

「・・・」

 

あの一件以来セレナに元気がなく、今はソファに座って一言も喋っていない。

 

・・・流石に実の姉がテロ宣告をして、実の姉と戦うなんてことはセレナには応えたようだ。

 

俺は流石に見てていたたまれないので、ホットミルクを作ってセレナに差し出す。

 

「これ飲めよ、少しは落ち着くぞ」

 

「・・・ありがとうございます」

 

セレナがホットミルクを飲んでいるうちにセレナの隣に俺も座った。

 

「温かいものありがとうございます」

 

「どういたしまして、少しは落ち着いたか?」

 

「はい、おかげさまで」

 

セレナが少し落ち着いてから、俺はセレナに質問をした。

 

「なあセレナ、あの時マリアと一緒にいた二人って・・・」

 

俺の質問にセレナは少し顔を暗くして答える。

 

「・・・はい、あのお二人も私が元居た施設の友達なんです」

 

セレナはミルクを少しずつ飲みながら話をしてくれた。

 

「あの二人は暁切歌さんと月読調さん、私や姉さんと同じF.I.S.の仲間なんです」

 

「F.I.S.?」

 

「はい、そこでは聖遺物に関して研究しているんです」

 

聖遺物に関しての研究・・・じゃああいつらのギアもその施設の…?

 

「私は当時、響さん達みたいにとある聖遺物と適合していたんです」

 

「えっ、それじゃあセレナもシンフォギア装者だったのか?」

 

「はい、そうなんです」

 

・・・奏といいセレナといい、元装者の仮面ライダー率が高くないか?

 

「そうだったのか・・・ん?じゃあマリア達も適合者なのか?」

 

「いえ、私の記憶ではマリア姉さんたちは違うと思います」

 

そうなのか、じゃああいつらも響みたいに突然聖遺物を纏えるようになったのか?

 

「けど今セレナってシンフォギアを持ってないよな、どうしたんだ?」

 

「っ!そ・・・それは・・・」

 

俺が尋ねると、セレナの体が震えていた。

 

「セレナ、大丈夫か?」

 

「・・・はい、大丈夫です」

 

セレナは一呼吸終えてから口を開いた。

 

「・・・今から六年ぐらい前です。当時F.I.S.ではとある完全聖遺物について研究をしていました」

 

「完全聖遺物!?」

 

「はい、その聖遺物は『ネフィリム』と呼ばれていました。そしてあの日、ネフィリムの起動実験を行いましたが、その途中でネフィリムは暴走を起こしました」

 

「完全聖遺物の暴走って・・・!」

 

俺は完全聖遺物の力を知っているからその恐ろしさがわかる、あのクラスの力が暴走すればただじゃすまないことを。

 

「ネフィリムの暴走で施設は崩壊されていき、そして暴走したネフィリムを止めるために当時シンフォギアを纏えた私でネフィリムを止めることとなり、そして私は絶唱を使ってネフィリムの暴走を止めました」

 

「絶唱…!?」

 

「はい、響さんがS2CAで翼さんやクリスさんの絶唱の負荷を抑えたように、私の絶唱でネフィリムのエネルギーを操作することで起動したネフィリムを停止状態にしました・・・」

 

そういうセレナの目には涙が溜まっていた。

 

「けど・・・私はそのあと、絶唱による負荷によって・・・体からいっぱい血を流して・・・そしてそのまま、瓦礫に・・・」

 

セレナの目からは涙が流れていた。

 

絶唱の負荷はクリスや響のS2CAでいやというほどわかっている。

 

それをこんな小さな女の子が耐えきれるはずもない、ましてや崩壊した施設の瓦礫に・・・。

 

その光景が頭に浮かび、『死』の一文字が頭をよぎった。

 

ふとあの時ウェル博士が熱弁していた英雄の言葉が頭をよぎる。

 

・・・俺のどこが英雄だ、こんな小さな女の子に涙を流させるなんてな。

 

俺はセレナが落ち着くまで頭を撫でていた。

 

 

 

 

 

「・・・すみません、急に泣いちゃって」

 

「いや、こっちこそ済まない。お前の事情を知りながら酷なことを思い出させちまって」

 

「いえ、大丈夫です」

 

セレナは涙をぬぐって話を戻した。

 

「・・・それで私はその時死ぬのを覚悟して目をつぶったんです。ですけどふと目を開けると、そこは知らない森の中でした。体を見ると傷も治っていて、絶唱の負荷も消えていました」

 

おそらくその時だな、駄目神が力を使ってセレナを助けたのは。

 

「その時、近くに何故か携帯と小さな箱が落ちていて突然電話が鳴りました。私は恐る恐るそれに出るとその相手が支援者さんだったんです」

 

「・・・お前もよく落ちている携帯に出れたな?」

 

「えへへ・・・それで支援者さんは私を助けた事、世間では私は死んでいる事、電話越しですが私を支援してくれることを教えてくれました。そしてギアを無くした私に箱の中身をくれまして、その中身がこのキーだったんです」

 

「それでその使い方を教わったと・・・電話越しで」

 

「はい、けど支援者さん電話越しでもちゃんと教えてくれてまるで見ているかのようでした!」

 

そりゃあ神様だからな、上から見てるだろうよ。

 

「それで支援もあって今より少し前、支援者さんから手紙が届いて、それにはこれから支援できなくなるから日本に行くことを勧めてくれました。日本に行けば私と同じ仮面ライダーと会えるって、手紙の中に真さんの写真と真さん宛の手紙と旅費が入ってました」

 

「なるほど、そういうことがあったのか・・・」

 

そういうことならちゃんと教えろよな、あの駄目神。

 

「それで日本について、それで道に迷いましてどうしようかと思った時に・・・」

 

「俺と出会ったと・・・よかった~あの時遠くまで買い物してて」

 

ありがとう、離れた町のタイムセール。

 

「・・・お前の過去は聞いた。それでセレナはどうしたい?」

 

「えっ?」

 

「・・・おそらくこれから先、マリア達との戦闘は避けられないと思う。それに会場の時もセレナの様子もおかしかったし・・・だから改めて聞くぞ、もしマリア達と戦いたくないならそれでいい、戦いは俺や響たちに任せてセレナは弦十郎さん達と一緒にいてくれ」

 

これは俺がセレナに聞く最終確認、もしセレナが姉と友達と戦いたくないなら俺はそれを受け入れる、きっと響達も納得してくれるはずだ。

 

「まあ俺としてはセレナみたいな優しい子に実の姉と友達と戦って心を傷めたくないんだけどな、今のお前は家で預かっている身であると同時に妹分みたいなところもあるからな」

 

俺の発言に対してセレナはクスッと笑った。 あれ?俺おかしなこと言った?

 

「ごめんなさい、なんだかマリア姉さんみたいだと思っちゃって・・・」

 

セレナは少し笑った後一呼吸おいて落ち着いた。

 

「心配してくれてありがとうございます、でも大丈夫です」

 

そういうセレナの顔は先ほどよりもすっきりしていた。

 

「正直に言うとあの時は姉さんたちと戦いたくなかったです、けどそれ以上に姉さんたちが世界を敵に回すなんて嫌です。だから、私はみんなを止めて昔みたいに仲良く暮らしたい!」

 

セレナの目はまっすぐと、覚悟を決めた目をしていた。

 

「それでも止めれなかったら殴ってでも話を聞かせます!」

 

「その顔に似合わず中々大胆だな!?」

 

「弦十郎さんが貸してくれた映画では殴ってでも話を聞かせるシーンがありましたので!」

 

「弦十郎さーん!?セレナに何貸してくれてんですか!」

 

あんたのお陰でセレナがなんだかアグレッシブなんですけど!?

 

「・・・けど止めたい気持ちはわかった」

 

俺はセレナに拳を突き出す。

 

「お前のその夢、俺たちが協力して絶対に叶えてやる、約束だ」

 

「っ! はい!」

 

セレナは俺の拳に自身の拳を当てた。

 

セレナの夢、叶えてやらないとな。

 

 

 

 

 

 

「ところで真さん、一ついいでしょうか?」

 

「ん、なんだ?」

 

「いえ、先ほど真さんがマリア姉さんみたいって言いましたよね」

 

「ああ、言ったな」

 

「それで、その・・・何と言いますか」

 

セレナは顔を赤らめて言い出せれなかったが、少しして口を開く。

 

「その・・・マリア姉さんが戻ってくるまで、姉さんって呼んでもいいでしょうか?」

 

「・・・姉さん?俺が?」

 

「はい・・・駄目でしょうか?」

 

中身男の俺が姉さんと呼ばれるなんて思わなかったから戸惑っちまった。

 

・・・まあ考えてみればセレナは六年も姉と会えなかったからそういうのが恋しくなったんだろう。

 

だったら応えてやらねえとな。

 

「まあ、別にいいぞ」

 

「ありがとうございます!えっと・・・真姉さん」

 

「・・・グフっ!!」

 

俺は胸を押さえて倒れこむ。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ。大丈夫だ・・・」

 

危ない危ない、危うく倒れるところだった。

 

まさかこれほどの破壊力があるなんてな。

 

「あっでも真姉さんとマリア姉さんって言い方似てるから混乱しそうです」

 

「・・・まあ、確かにな」

 

まなとマリア、確かに語呂は似てるかもな。

 

「じゃあ姉さん以外の呼び方でいいんじゃねえのか?」

 

「姉さん以外・・・ですか」

 

セレナは少し考えこむ。

 

良かった、あのまま姉さん呼びだったらやられてたな。

 

そして少ししてセレナは口を開いた。

 

「真・・・お姉ちゃん?」

 

「・・・カハッ!!!」

 

その瞬間、俺はその場に倒れた。

 

「真お姉ちゃん!?」

 

セレナが心配して呼び掛けてくれる。

 

・・・今回だけは女にしてくれた神様に感謝した。





後書きですけど一言だけ・・・やり切った。
「お前のやりたかったことって最後の奴なのか?」
はい、セレナにお姉ちゃん呼びさせたかっただけです、改めて言わせてもらおう、反省も後悔もしてない。
「よしいいぞもっとやれ」(お前少しは自重しろよな)
「真お姉ちゃん、本音と建前が逆ですよ?」
「いや・・・なんていうかさ、俺今回だけは女でよかったって思った」
「まあ呼び方なんて自由だからな」
「よし、じゃあこれからもぜひお姉ちゃんと『・・・ぉぉぉおおおお!』ん?」
「継菜真ぁぁぁぁ!!」
壁がぶっ壊されてそこからガングニールを纏ったマリアが出て来たぁ!?
「マリア姉さん!?何でここに!?」
「決まっているでしょう、セレナの姉はこの私ただ一人!その座は誰にも渡さないわ!」
そんなことの為に壁ぶち破ってきたのか!?
「そんなことより継菜真!あなたにセレナの姉の座は渡すものかぁ!!」
「ちょっまて!?アームドギアを振り回すな!あぶねえ!」
おい二人とも止めろ!このままじゃここがぶっ壊される!
「おう!」「はい!」

と・・とりあえず、それでは次回もお楽しみに! おいやめろマリア!それ以上暴れるな!


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終焉を望む者、終焉に臨む者

G編第六話、今回は屋外でのあいさつとなっております。
「何で屋外なんだ・・・と言いたいところだけどマリアか・・・」
そっ、マリアがスタジオで大暴れしたから現在修復中、治るまで屋外でやる事となった。
「なるほどな、それより大丈夫か真?」
「ああ、あの後マリアと地獄の鬼ごっこを三時間近くやってたけど何とか逃げ切れた」
「マリア姉さんがすみません、後で叱っておきますので」
「ああいいよセレナ・・・それでお願いがあるんだけど、前回のお姉ちゃん呼びは日常限定でお願いね、戦闘中に呼ばれたら俺動揺して戦えないかも」
「わかりました、真お姉ちゃん!」
「よし、それじゃあそろそろ始めますか。G編第六話、どうぞ!」


時刻は真夜中、弦十郎さんたちが集めてくれた情報によると街外れの廃病院に物資が運び込まれていることがわかり、俺達六人は侵入することとなった。

 

『いいか、今夜中に終わらせるつもりで行くぞ!』

 

『明日も学校があるのに、夜半の出動を強いてしまいすみません』

 

「気にすんな、弦十郎さんが言ったように今夜中に終わらせれば何の問題もない」

 

「その通りです緒川さん、これが私たち防人の務めです」

 

「街のすぐ外れにあの子たちが潜んでいたなんて…」

 

確かに、こんなところにアジトがあるとはな・・・灯台元暮らしとはよく言ったものだ。

 

『ここはずっと昔に閉鎖された病院なのですが、二か月前から少しづつ物資が搬入されているみたいなんです。ただ、現段階ではこれ以上の情報は得られず、致し開始ではありますが・・・』

 

「尻尾が出てないのなら、此方から引きずりだすまでだ!」

 

「そうだな、んじゃ行くぞ!」

 

奏の号令と共に俺たちは廃病院内へと侵入する。

 

 

 

 

 

一方、廃病院内の一室にて真達の様子を監視する誰かがいた。

 

「おもてなしと行きましょう・・・」

 

その者がキーボードのエンターキーを押そうとしたとき、モニターに映る映像を見て動きが止まる。

 

「この子は・・・」

 

モニターに映ったのは、真達と行動するセレナの姿だった。

 

「・・・ふふっ、面白い」

 

その人物は含み笑いをし、エンターキーを押す。

 

 

 

 

 

俺たちが建物内に侵入すると、壁から赤色のガスのようなものが噴出されていた。

 

「やっぱり、元病院ってのが雰囲気出してますよね・・・」

 

「まあ確かに、しかも赤いガスときていよいよホラー感マシマシだな・・・」

 

「なんだ、お前らビビってんのか?」

 

「そうじゃないけど、なんだか空気が重いような気がして・・・」

 

「確かにそうですね・・・ですけど」

 

「ああ、意外に早い出迎えだぞ」

 

翼とセレナの言葉に俺たちが通路の奥を見ると、奥からノイズが数体迫ってくるのが見えた。

 

「よし、皆行くぞ!」

 

『おう!』『はい!』

 

アウェイクン!

 

俺と奏とセレナはそれぞれドライバーを身に着け、手にしたプログライズキーのライズスターターを押し込む。

 

ジャンプ!

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

『『『オーソライズ!』』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

俺たちの周りをライジングホッパーライダモデルが飛び回り、俺たちは構えをとり、響達も聖唱を歌う。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

シューティングウルフ!

 

ラッシングチーター!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

仮面ライダーに変身した俺たちとシンフォギアを纏った響たちは、そのままノイズと戦闘を開始した。

 

 

『使用BGM Bye-Bye Lullade』

 

 

挨拶無用のガトリング!ゴミ箱行きへのデスパーリィー!

 

クリスの歌と共に、クリスとセレナが射撃攻撃を開始しノイズの数を減らしていく。

 

「やっぱりこのノイズは・・・」

 

「制御されているな、どうやら当たりみたいだ」

 

「よし、前衛組で活路を切り開く。雪音とセレナは援護を頼む、奏は私と共に遠距離組のカバーに!」

 

翼の掛け声とともに俺と響が前に出てノイズを殴り飛ばしそこにクリスとセレナの援護射撃が入り、翼と奏が遠距離二人に近づくノイズを倒す。

 

そうしてノイズを倒していくが、俺は少し違和感を感じた。

 

俺達仮面ライダー組に比べて、響達装者のノイズ撃破数が少なく感じる。

 

その証拠に三人が倒したノイズは炭化することなくその体を再生する。

 

「三人共、どうした!?」

 

「わかりません!けどなんだかいつもより力が出ないんです・・・!」

 

ノイズが再生するうえに、いつもと比べて響たちの息が上がるのが早い。

 

俺はその異変を察し、すぐに本部へ連絡を入れる。

 

「弦十郎さん、響達に異変が!」

 

『ああ、どうやら響君達の適合係数が低下しているらしい!そのままでは戦闘の維持が不可能になる!そちらに異変はないか?』

 

「異変って・・・ノイズが出てくる以外には赤いガス位しか・・・!?」

 

まさか、このガスが原因か!?

 

「くっ・・・奏!セレナ!俺たちで響たちのサポートに『真、後ろだ!』!?」

 

奏の叫びに後ろに振り返ると、何かが俺に向かって襲い掛かってくる。

 

飛び掛かってくる何かを躱し天井に向けて蹴り飛ばすが、何かはすぐさま態勢を立て直し再度襲い掛かる。

 

「このぉ!!」

 

再度襲い掛かって来る何かを今度は響が殴り飛ばす。

 

「殴ったのに炭化しない!?」

 

「あいつ、ノイズじゃないのか!」

 

動き回って見えずらかった何かは動きを止め、その姿をはっきりと見ることができた。

 

ノイズとは違う四足歩行の獣のような生物、灰色の体に溶岩を思わせるような筋が通っており、俺たちが思いつく中であんな生き物は記憶になかった。

 

・・・だが一人だけ、俺たちとは違う反応をしている少女がいた。

 

「あ・・・あぁ!!」

 

セレナだった。 セレナは謎の生き物を見て明らかに動揺しており、その声には恐怖が籠っていた。

 

「セレナ、どうした?」

 

近くにいたクリスがセレナの様子がおかしいのを察して呼びかけるが、セレナは反応せず逆にその体を震わせていた。

 

「そ・・・そんな、何で・・・ネフィリムが?」

 

「ネフィリム!?」

 

セレナが発したネフィリムという単語に反応したのは俺だけだった。その言葉は此処に来る前セレナが言っていた。

 

そんな中、暗い通路の奥から拍手される音が聞こえてきた。

 

「っ!? 誰だ!」

 

奏が叫ぶと通路の奥、ネフィリムと呼ばれる生き物の後ろから誰かが近づいてくる。

 

俺たちは警戒し、奥を注視する。

 

そして、その奥にいた人物に俺たちは驚いた。

 

「なっ・・・ウェル博士!?」

 

それは、米軍基地で行方不明となっていたウェル博士本人だった。

 

そしてネフィリムはウェル博士の近くのケージのような物に入っていく。

 

「以外に敏いじゃありませんか」

 

「そんな?博士は岩国基地が襲われた時に・・・」

 

響の疑念に、俺が答える。

 

「・・・自作自演、か」

 

「えっ?」

 

「こいつは、わざとノイズを自分に襲わせたんだ。そして基地襲撃の時にソロモンの杖と共に姿を眩ませた!そうすれば自分に疑惑の目が向かないからな」

 

俺の答えにウェル博士は感心したような反応をする。

 

「流石はルナアタックの英雄、その通りです。さらに言えばあの時、アタッシュケースにはソロモンの杖はなく、コートの内側に隠してたんですよ」

 

「ソロモンの杖を奪うため、自分で制御し自分に襲わせる芝居を打ったのか?」

 

「バビロニアの宝物庫よりノイズを呼び出し、制御することを可能にするなど、この杖をおいて他にありません」

 

そう言いながらウェル博士はソロモンの杖を使いノイズを呼び出していく。

 

「そしてこの杖の所有者は、今や自分こそがふさわしい、そう思いませんか?」

 

「っ! 思うかよ!」

 

クリスはウェル博士の言葉を否定し、ミサイルを放とうとする。

 

「クリス駄目だ!適合係数が下がった状態で大技を使ったら!?」

 

奏が呼び止めるが、クリスは無視し小型ミサイルを発射する。

 

「ぐっ、ぐあぁぁあぁぁ!!」

 

だがその直後、クリスはその顔を苦痛に歪ませ悲鳴を上げる。

 

「クリス!!」

 

クリスが放ったミサイルはウェル博士ごとノイズを建物の壁ごと吹き飛ばす。

 

だが爆炎が晴れると、そこにはノイズによって身を守った無傷のウェル博士が立っていた。

 

「無茶するな!適合係数が下がった状態であんな大技を使ったらバックファイアで逆に自分を傷つけるだけだ!」

 

奏はバックファイアで苦しむクリスの肩を貸す。

 

「・・・!あれは!?」

 

響が何かを見つけ空を見ると、ネフィリムが入ったケージを飛行型のノイズが運んでいた。

 

後ろを見るが遠距離攻撃ができるクリスはダウンし奏が支えている、セレナもネフィリムの出現で体を動かせていない。

 

「っ! 私がケージを!立花と継菜はウェル博士の身柄を!」

 

「真、クリスを頼む!」

 

翼がノイズを追いかけ、奏はクリスを俺に預け翼の後を追いかけた。

 

俺はクリスとセレナの元へ向かい響がウェル博士の身柄を確保する。

 

 

 

 

 

『使用BGM 月煌ノ剣』

 

翼と共にケージを持って飛んでいくノイズを追いかける。

 

翼のアメノハバキリとバルカンのスペックならスピードは追いつくが、相手は飛行型。それに加えてこの先は道がない、どうすればと考えていたら、旦那から通信が入った。

 

『そのまま、飛べ!翼!奏!』

 

旦那が通信機越しに叫ぶ。飛べって、この先海だぞ!?

 

『海に向かって飛んでください!どんな時でもあなた達は!』

 

そこに緒川さんの通信も入る・・・旦那たちのことだ、なんか考えてんだろうな!

 

翼の方も旦那たちの言葉を信じている、そしてあたしと翼はそのまま海へと飛んだ。

 

翼は脚部のブースターで飛ぼうとするが先ほどの不調がまだ続いており出力が足りない。

 

バルカンのスペックでもあそこまで届かずそのまま海に落ちる時、海から何かが上がってくる。

 

海から飛び出したのは二課が所有している潜水艦だった。

 

あたしと翼は旦那の考えを察知し、潜水艦の先端を足場にし、再度ノイズへ向けて飛んだ。

 

今度は届き、翼の斬撃とあたしの射撃でノイズを倒す。

 

そしてそのまま落下するケージに手を伸ばそうとした瞬間、上空から敵意を感じた。

 

『うわぁ!!』

 

すると上から何かがあたしたち目掛けて飛来し、あたしたちを弾き飛ばし、そのままあたしたちは海に落ちる。

 

 

 

 

 

「翼!奏!」

 

ウェル博士の身柄を確保し翼たちの方を見ると、翼たちは飛来した何かに弾かれ海に落ちる。

 

飛来した何かは海に落ちず、海面に浮かんでいた。

 

それは槍、あの時会場で一度だけ見た黒い槍。

 

その槍の持ち手に降り立ち、落ちてくるケージを手にする者がいた。

 

「あいつは・・・!」

 

その姿は朝焼けと共にはっきりとする・・・その者はセレナの姉、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。

 

その姿を見てウェル博士は口を開く。

 

「時間通りですよ、『フィーネ』」

 

その言葉に俺たちは驚く。

 

「フィーネだと・・・?」

 

「終わりを意味する名は、我々組織の象徴であり、彼女の二つ名でもある」

 

「まさか・・・じゃあ、あの人が!」

 

響の言葉に、ウェル博士が答える。

 

「新たに目覚めし、再誕したフィーネです!」

 

「そ・・・そんな・・・!?」

 

ウェル博士の言葉にセレナは膝をつき、俺はマリアの方を向く。

 

あの人が・・・マリアが、再誕したフィーネ!




「後書きの時間だ、それにしてもマリアが新たなフィーネか・・・」
「ああ、確かにあの時何度でも甦るって言ってたけど復活が早くないか?」
「いつ復活するかなんてわからないからな、数百年後に復活することがあるなら明日に復活することだってあるかもしれない、それよりもセレナは大丈夫なのか?」
「はい・・・マリア姉さんとネフィリムの同時登場にはさすがに驚きました」
「そうだな、普通は驚くよな」
「大丈夫さ、真達は一度フィーネを倒したし、今度もフィーネを倒してマリア達を助けてくれるさ!」
「ああ、そこは全力で頑張るさ。セレナの夢のためにもな」
「・・・ありがとうございます」
「よし、じゃあそろそろ〆るか!」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」

・・・今回、後書きに俺のセリフがなかった。(´・ω・`)


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F.I.S.


G編第七話、ここの話が思いつかなかったので早速本編どうぞ!
「いきなり過ぎだろ!? そしてメタい!?」



ウェル博士が口にしたフィーネの名にその場にいた俺たちは驚愕していた。

 

「嘘…ですよ。だってあの時、了子さんは」

 

響きの言葉に俺は二か月前、櫻井さんが響に向けて言った一言を思い出す。

 

『胸の歌を、信じなさい・・・』

 

櫻井さんはその言葉を残し、灰となって消えた時を今でも思い出す。

 

「リインカーネーション」

 

「遺伝子にフィーネの刻印を持つ者を魂の器とし、永遠の刹那に存在し続ける。輪廻転生システム!?」

 

「そんな・・・じゃあ、アーティストだったマリアさんは!」

 

「さて、それは自分も知りたい所ですね」

 

「・・・っ!」

 

ウェル博士の呟きが聞こえたのか、セレナは絶句した。

 

 

 

 

 

海に突き飛ばされたあたしは海面に出て、海の上で悠々と突っ立っているマリアをに視線を向けると、海から翼が飛び出す。

 

翼はそのまま脚部のブースターで海面を滑るように進みマリアの元へ向かいアームドギアを構える。

 

マリアは翼の繰り出す攻撃をかわすが、翼は上空でその身を翻しアームドギアの形状を変える。

 

「甘く見ないで貰おうか!」

 

 

蒼ノ一閃

 

 

「こっちのことも忘れんなよな!」

 

叫びながらアタッシュショットガンを取り出し、マリアに銃口を向けると同時に、翼の技と共に一撃を放ったが、マリアはマントで身を守りあたしたちの攻撃を防いだ。

 

「甘くなど見ていない!」

 

翼はマリアに切りかかるが、マントで防がれ逆に浮上した潜水艦の方まで吹き飛ばされる。

 

「翼!」

 

あたしはそのまま飛び出して潜水艦へ着地して翼の元へ駆け寄った。

 

「ふっ」

 

マリアはあたしと翼が合流したのを確認するとケージを上へ放り投げると、ケージはその姿を突然消した。

 

そしてそのままマリアはあたしたちの元まで飛んできて、その手に戻したアームドギアを握り締めた。

 

 

『使用BGM 烈槍・ガングニール』

 

 

「だからこうして、私は全力で戦っている!」

 

そう叫び、マリアとの戦闘が開始する。

 

マリアに初撃を何とか防ぐが、翼の様子はいまだに前回とは言えない。

 

「この胸に宿った 信念の火は 誰も消すことが出来やしない 永劫のBlaze」

 

あたしと翼が接近するとマリアはマントとアームドギアを巧みに扱い、あたしたちの攻撃を防ぐ。

 

翼に向かって下から切り上げてくるが、あたしがカバーに入り何とか防ぎ、射撃するがマントで防がれてしまう。

 

あたしたちが距離をとるとマリアはマントを纏って高速で回転する。

 

黒い竜巻となったマリアはそのまま接近してきて、迎撃した翼のアームドギアとあたしの弾丸は弾かれてしまう。

 

正面じゃかなわないと判断したあたしは屈み、あたしの意図を察した翼はそのままあたしの背を踏み台にしてマリアの上を取る。

 

翼はそのまま下突きを仕掛けるがマリアは迎撃態勢に入るが、あたしは翼に注意が向いた瞬間にマリアの竜巻に近づき拳を振るう。

 

「おりゃああ!!」

 

そのまま振るった拳は竜巻の壁にぶち当たるが、バルカンの装甲は傷ついたが壊れず竜巻を抜けた。

 

「何っ!?」

 

竜巻を突破されたことに驚いたのかマリアはすぐに竜巻を解除しあたしと翼の攻撃を避ける。

 

「くっそ、行けたと思ったんだけどな…」

 

けど、仮面ライダーならシンフォギアの頃より多少の無茶ができるな。

 

あたしの強行突破に驚いたのか、マリアは距離を取りマントによる攻撃を仕掛けるが、あたしたちは何とかかわすが、潜水艦に傷がついた。

 

一時攻撃の手が止まるが、この攻防だけで翼の息が上がっていた、このままじゃ・・・。

 

すると旦那から通信が入った。

 

『翼!奏! マリアを振り払うんだ!』

 

「簡単に言ってくれるな旦那…」

 

通信を受けて翼とあたしは武器をしまい、翼は逆立ちとなり『逆羅刹』で、あたしは旦那直伝の体術でマリアに接敵する。

 

マリアは翼の攻撃にアームドギアで、あたしの攻撃にマントで迎撃するが、あたしたちの連撃に押されたのか少し体制を崩した。

 

「勝機!」

 

「ふざけるな!」

 

翼はその隙をついて攻撃を仕掛けるがマリアはマントで翼の攻撃を弾き、翼を後退させる。

 

翼は立ち上がろうとすると、突如足を抑える。まさかケージの時に足を!?

 

「まいた!」

 

今度はマリアが隙をつき、アームドギアを構え翼に接敵する。

 

「させるかよ!」

 

あたしはマリアよりも先に翼の前に出てアタッシュショットガンを取り出しマリアのアームドギアを受け止め、止めた隙に翼がアームドギアを取り出しマリアに一太刀入れた。

 

「くっ!」

 

「助かった、ありがとう奏」

 

「礼には及ばないさ、それより足大丈夫か?」

 

「ああ、問題ない」

 

翼はそう言い立ち上がり、マリアに向き直る。

 

 

 

 

 

「翼の奴・・・やっぱあの時足をやられたか」

 

崩れた橋の上で俺は二人の戦況を見て呟く。

 

「いくら奏さんが一緒でもこのままじゃ翼さんが!」

 

「だったら白騎士のお出ましだ!」

 

「駄目だ、適合係数が下がっている状況で攻撃したらまたバックファイアが襲い掛かるぞ!」

 

クリスはボウガンをマリアに向けるが、俺が呼び止める。

 

「じゃあどうしろってんだ!?」

 

「俺が二人の援護に行く、三人は此処にいてウェル博士の身柄を・・・」

 

俺が二人の元へ行こうとしたとき、上空から複数の丸鋸が襲ってきた。

 

俺たちはとっさに避けるがその際にウェル博士の拘束を解いてしまう。

 

「この丸鋸は・・・まさか!?」

 

するとクリスの背後から鎌を構えた少女、切歌が現れる。

 

「なんとイガリマぁぁぁ!」

 

切歌はイガリマを振りかざしクリスに襲い掛かる。

 

 

『使用BGM 獄鎌・イガリマ』

 

 

警告メロディー 死神を呼ぶ 絶望の夢Death13

 

切歌は執拗にクリスに集中攻撃を仕掛ける。

 

「クリス、今援護に!」

 

俺と響が援護に入ろうとすると上空からもう一人の少女、調がやってきて俺たちに向けて大量の丸鋸を放つ。

 

俺と響は全てかわすと、調は自身の脚部のユニットから刃を繰り出し、巨大な車輪となり襲い掛かる。

 

非常Σ式 禁月輪

 

「そんなのありかよ!?」

 

俺と響はとっさに躱し、体勢を立て直す。

 

クリスの方を向くと、セレナが援護に入っているがさっきのショックが残っているのかいつもより動きが悪く、クリスの方もまだ調子が戻っておらず二人共吹き飛ばされる。

 

「二人とも!」

 

俺たちは急いで二人の元へ駆け寄る、振り返ると調がソロモンの杖を持ってウェル博士の元へ向かっている。

 

「くそったれ・・・適合係数の低下で体がまともに動きゃしねえ・・・!」

 

「ごめんなさい・・・私が足を引っ張ったせいで・・・」

 

「大丈夫だ、気を落とすなよ」

 

「でもあの二人、いったいどこから?」

 

響が辺りを見回すが、それらしい乗り物は見当たらない。俺たちの知らないシステムで姿を隠してるのか?

 

・・・今は敵の出所よりも、状況を何とかしないと。

 

相手は三人、そのうち二人はこちらでもう一人は翼と奏が相手をしている。

 

一方此方は装者三人は適合係数の低下で大技が撃てない、セレナはまだショックを引きずっていて動きが鈍い、奏は翼の援護。

 

この状況は・・・ちょっとまずいな。

 

 

 

 

 

マリアとの硬直状態の中、翼は自分の手を握ったり開いたりして自身の状態確認をしていた。

 

「少しずつだが、ギアの出力が戻って来てる・・・」

 

「そうか、そりゃよかった」

 

マリアの方を見ると、今度はあちらの息が上がっていた。その間にマリアは誰かと通信をしている。

 

「くっ! 時限式では此処までなの!?」

 

マリアの言葉にあたしは感づいた、こいつらあたしと同じ・・・!?

 

「まさか、奏と同じLINKER・・・!?」

 

翼の方を見ると、翼もマリアのことに気づいたらしい。

 

すると突然強風が襲ってくる。

 

「くっ!?」

 

「なんだこの風!?」

 

突然の強風に動けないでいると、マリアはワイヤーのような物を掴んで浮いており、少しすると上空から輸送機が突然現れた。

 

 

 

 

 

「おいお前ら、いったい何を企んでるんだ?」

 

膠着状態の中、俺はウェル博士たちに質問を投げかけると、調が答えた。

 

「正義では守れない物を守るために」

 

「正義じゃ守れないもの?」

 

すると強風が襲ってきて、上空から輸送ヘリが三人の上に着き、ワイヤーを下す。

 

そのワイヤーに調は一人で、切歌はウェル博士を担いで飛び移り、輸送ヘリは俺たちから離れる。

 

「っ! 逃がすか!」

 

俺はアタッシュアローを取り出し標準を構える。

 

「真さん!」

 

「わかってる! ヘリのプロペラを撃ち抜いて…!」

 

「だったらあたしが有利だ!」

 

クリスは響から離れ、アームドギアをスナイパーライフルへと変える。

 

 

RED HOT BLAZE

 

 

「ソロモンの杖を返しやがれ…!」

 

「逃がしはしねえ・・・!」

 

俺とクリスが輸送ヘリに標準を合わせようとすると、ヘリは紫色の光を放ちその姿を消していく。

 

そして標準を合わせた時、その姿を完全に消してしまう。

 

「っ!? なんだと・・・!」

 

「完全に消えやがった…」

 

 

 

 

 

フィーネが去った後、俺たちは潜水艦の上で座り込んでいた。

 

『・・・・・・』

 

誰もが静まりこんでいる中、潜水艦の出入り口から弦十郎さんが出てくる。

 

「無事か、お前たち!」

 

「師匠・・・」

 

響はやってきた弦十郎さんにあることを呟いた。

 

「了子さんと・・・たとえ全部分かり合えなくとも、せめて少しは通じ合えたと思ってました・・・なのに」

 

そう言い落ち込む響に、弦十郎さんは応えてくれた。

 

「通じないなら、通じ合うまでぶつけてみろ!」

 

そう言い弦十郎さんは拳を握り締める。

 

「言葉より強いものを、知らぬお前たちではあるまい!」

 

弦十郎さんの発言に俺たちは苦笑いをする。

 

「言ってること、全然わかりません! でも、やってみます!」

 

「脳筋すぎるだろ・・・だがそれもありだな」

 

俺はそのまま起き上がる。

 

「それに、マリアが本当にフィーネだなんて信じれるか? ウェル博士のハッタリの可能性もあるだろ」

 

「・・・確かに、ウェル博士の言うことが真実だという証拠はないな」

 

「だろ、フィーネという組織名も、名を使っているだけかもしれないんだぜ。虎の威を借る狐みたいにな」

 

俺はそのまま、セレナの下に行き目線を合わせる。

 

「だからさ、安心しろ。絶対にテロを止めて見せるし、セレナの夢も叶えてやる」

 

「真お姉ちゃん・・・」

 

「それでもマリアの奴が話を聞かないなら、それこそ弦十郎さんの言った通りぶつけてみればいいさ」

 

「・・・はい、そうですね」

 

俺の言葉にセレナは少し明るくなった。

 

・・・正義では守れない物を守る、か。

 

何を企んでるのかわからないが、俺たちが絶対に止めて見せる。





後書きの時間・・・は省略!
「待て適当すぎるだろ!?」
だってここまでで約41話分のあらすじと後書きを考えたからもうネタが尽きちゃって…。
「だからって両方とも省略する馬鹿がどこにいる!?」
此処にいる!
「そうだな畜生!!」
「まあまあ真、落ち付けよな」
「そうですよ、たまにはこんな日があってもいいじゃないですか」
「・・・二人がそう言うなら別にいいけど」
まあ次回はちゃんとあらすじも後書きも書きますので今回だけは見逃してください、それではいつものコールを。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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あたしの帰る場所

G編第八話、やっと学祭開始だ。
「確かこの回ってお前がG編で好きなシーンなんだろ?」
おう、俺のトップ3に入ってるな。
「ほお、作者のお気に入りなら楽しみだな」
「はい、期待してますね作者さん」
やだ、プレッシャーが凄い。
「そんなプレッシャーの中G編第八話、どうぞ!」


「時限式・・・LINKERを使った後天的適合者か」

 

アジト突入から二日後、俺はセレナとクリスと一緒に夕食を食べている。

 

「多分、私がいなくなった後にマリア姉さんたちはLINKERを使って装者になったんだと思います」

 

「要はあいつらは正式な装者じゃねえってことだ、正式な装者ならLINKERなんて使わねえからな」

 

「そう言うことだよな・・・しかもLINKERの開発者が櫻井さんと来たもんだ」

 

どこまで俺たちに迷惑をかければ気が済むんだあの人。

 

「まあそこは弦十郎さんたちが何とかしてくれるからな・・・今は報告を待つか」

 

弦十郎さんたちはセレナの持つF.I.S.の情報をもとにいろいろと調べてくれている、何か見つけてくれればいいんだけど・・・あっそういえば。

 

「・・・ところでクリス、確かもうすぐ学祭があるんだよな?」

 

「あっそうでしたね、どうなんですか?」

 

「ブッフォ!! だだだ、誰に聞いたお前ら!?」

 

『響(さん)に』

 

「やっぱりか・・・あの馬鹿」

 

「俺は前々から聞いててな、よかったら来てくれないかと誘われたんだ」

 

「私も昨日響さんに教えてもらって、よかったらと誘われました」

 

「あの馬鹿、こういう時の行動は早いんだよ・・・てか!お前らくんのかよ!」

 

「おう、更に奏も来るらしいぞ」

 

「フルメンバーでくんのかよ!?」

 

「弦十郎さんが『激闘続きだからな、偶には羽を伸ばしてきたらどうだ』と言ってくれたからな。安心しろ、奏はちゃんと変装してくるってさ」

 

「マジかよ・・・!」

 

「私学院に行くのは初めてなので楽しみです!」

 

「そうか、じゃあ楽しまないとな」

 

「はい!」

 

クリスは頭に手を当てているが気にしないで、明日の学祭を楽しまないとな!

 

 

 

 

 

 

そして次の日、俺とセレナと途中で合流した奏と共にリディアンの校門前に到着した。

 

学院では一般参加の人たちと生徒たちで賑わっている。

 

「おお~、賑わってるな!」

 

「色んなお店がやってますよ、真お姉ちゃん!」

 

「出店だな、生徒たちがやってるんだよ」

 

俺とセレナはいつもの服だが、奏は元とはいえ有名人だから髪を纏めてメガネをかけている。

 

「しかし、真の勧めとはいえこんなメガネで大丈夫なのか?」

 

「メガネをかけることでバレにくくなる、古事記にもそう書かれている」

 

「そんなことが書いてるんですか!」

 

「騙されんなセレナ、多分古事記には書いてない」

 

「まあそんなことはさておき偶の休日だ、思う存分楽しむか!」

 

俺たちはそのままリディアンへと赴いた・・・だが。

 

 

 

『あれ?もしかしてあの人、天羽奏?』

 

『えっ嘘!?』

 

『おい、あっちにツヴァイウィングの天羽奏がいるぞ!』

 

しばらく歩いていたら一般の人や生徒たちに正体がばれ奏の周りに人だかりが出来、奏は人の海に飲み込まれた。

 

「か…奏さーーーん!!?」

 

奏を助けに行こうとするセレナの腕を掴んで止める。

 

「行くなセレナ!奏はもうだめだ・・・!」

 

「そ、そんな・・・!!」

 

「行くんだ、奏の分も進まなければいけない!」

 

「・・・そうですね。ごめんなさい、奏さん!」

 

俺たちは苦渋の決断で、奏を置いて先へと進んだ・・・。

 

「いや、お前らドラマのワンシーンみたいに言ってるけど、ただ巻き込まれたくないだけだろ!?」

 

あっバレた。セレナも乗ってくれたからいけると思ったんだが。

 

「済まない、お前の分のじゃがバタはしっかり購入するから!」

 

「私も奏さんの分のたこ焼きを購入しますから、頑張ってください!」

 

「いや、食べ物はいいから助けてくれぇ!」

 

俺は奏の声を背に群衆から離れた。

 

すまない、流石にその人だかりから助けれそうにもない・・・頑張ってくれ。

 

 

 

 

 

「いや~奏には悪いことをしたな」

 

「そうですね、ちゃんと奏さんの分も購入しないといけませんね」

 

俺たちは群衆から離れた場所でしっかりとじゃがバタとたこ焼きを購入していた。

 

「しかし、セレナが乗ってくれるとは思わなかったな」

 

「はい、こういうのもたまにはいいかなと思いまして」

 

「あらやだ良い笑顔」

 

この子、見た目によらず中々だな。

 

「まあ奏とは後で合流するとして、俺たちで楽しむか」

 

「そうですね、じゃあ次はどこへ行きましょうか?」

 

「そうだな、次は・・・」

 

俺は受付から貰ったパンフレットを見て次行く場所を確認する。

 

・・・てかマップのタイトルの『うまいもんマップ』って誰が考えたんだ、響か?

 

 

 

 

 

「楽しいデスな、何を食べても美味しいデスよ!」

 

「じー・・・」

 

私達は今、リディアンのお祭りに潜入してるんだけど、切ちゃんは任務を忘れて楽しんでいる。

 

「ん?何デスか、調」

 

私の視線に気づいたのか、切ちゃんは気まずそうに私を見る。

 

「私たちの任務は学祭を全力で満喫することないよ切ちゃん」

 

私達は話しやすいように近くの木の下に移動した。

 

「わ、分かってるデス!これもまた捜査の一環なのデス」

 

「捜査?」

 

「人間だれしも、美味しいものに引き寄せられるものデス」

 

そういって切ちゃんは自信満々にポケットからパンフレットを取り出して、とある一面を見せてくる。

 

そこには大きい文字で『うまいもんマップ』と書かれていた。

 

「学院内のうまいもんマップを完成させることが、捜査対象の絞り込みには有効なのデス」

 

・・・切ちゃん、それただ美味しいものを食べたいだけだよね?

 

「むー…!」

 

切ちゃんに言い訳に私は顔を膨らませ睨みを強くした。

 

「うっ…、心配しなくても大丈夫デス。この身に課せられた使命は一秒だって忘れていないデス」

 

そう、私たちの任務は学院内に侵入して敵装者が持つギアを強奪すること。

 

アジトを抑えられネフィリムに与える餌の聖遺物の欠片が僅かな今、餌の補給のため新たな聖遺物を手にしないといけない。

 

マリアが力を使う度、フィーネの魂が濃くなってマリアの魂を塗りつぶしてしまう。

 

そうさせないために私たちがマリアに変わってここに潜入してきた。

 

「とは言ったものの・・・どうしたものか」

 

「とにかく、学院内を歩き回ろう。そうすればきっと奴らにも・・・」

 

そういって歩き出そうとしたとき、私の目に信じられないものが写った。

 

「えっ…?」

 

「どうしたデスか、調?」

 

切ちゃんが私に呼びかけると。

 

『おっ、こっちにも屋台があるぞセレナ』

 

『本当ですか!じゃあ行きましょう、真お姉ちゃん!』

 

「えっ!? この声って…!」

 

切ちゃんも気づいたみたいで私と同じ方を向くと・・・そこには私たちの敵の仮面ライダーである継菜真と、その隣を歩いている私たちと同じぐらいの少女。

 

「セレナ・・・?」

 

マリアの妹で私たちの友達だった、セレナがいた。

 

「や、やっぱりあの時聞いた声はセレナの声だったんデスか!?」

 

「なんで、セレナがあいつと・・・?」

 

私達が戸惑っていると、二人はその場から離れていく。

 

「あっ行っちゃうデス! 調!」

 

「うん!切ちゃん!」

 

私達はそのまま二人の後を追いかけた。

 

使命はちゃんと果たすけど・・・今はセレナを追いかけないと。

 

 

 

 

 

奏と別れて少しした後、俺たちは校舎内を歩いていた。

 

「さてさて、次はどこに行こうかね?」

 

「あっ私この場所が気になります!」

 

セレナが指さした場所には『メイド体験喫茶』と書かれていた。

 

「・・・メイド喫茶ならわかるが体験喫茶ってなんだ?」

 

俺が店名に疑問を持っていると、視界の外から誰かが飛び出してきた。

 

「うぉ・・・ってクリス?」

 

「おわっ! なんだ、お前らか・・・」

 

「クリスさん、そんなに慌ててどうしたんですか?」

 

セレナの言う通り、今のクリスは何か慌ててるようだった。

 

「今あいつらに追われているんだ、さっきから連中の包囲網が少しづつ狭められて・・・」

 

「追われてるって・・・一体誰に?」

 

「いた、雪音さん!」

 

話を聞いていると、後ろの方から三人ほどの女子生徒がこちらに来ている、もしかしてクリスのクラスメイトか?

 

「やっば!もう来やがった!」

 

「はいストップ」

 

クリスが慌てて逃げようとするところを回り込んで防ぐ。

 

「なっ!? 何しやがんだ!?」

 

「いや、クリスが逃げる理由がなんとなくわかったから・・・乗ってやろうと思ってな(笑)セレナ」

 

「了解です!」

 

俺に合わせるようにセレナはクリスにしがみつき抑える。

 

「お前らぁぁぁ!!!」

 

俺たちが抑えていると先ほどの三人がこちらに到着する。

 

「ありがとうございます。えっと…?」

 

「どうも、クリスの保護者の継菜 真だ。うちのクリスお世話になってるな」

 

「居候のセレナです、クリスさんに何か御用でしょうか?」

 

「ええ、それなんですけど・・・」

 

 

 

 

 

場所が変わり、リディアンのホール。

 

此処ではカラオケ大会が行われていた。

 

「おしっ、いい席に座りますか」

 

「そうですね、どこか空いているでしょうか?」

 

「お前ら~・・・」

 

俺たちが空いている席を探していると、後ろから声が聞こえ振り返ると。

 

「あっ奏。無事だったんだ」

 

「どこがだ!? あの後大変だったんだぞ!」

 

奏の恰好は、メガネもなく纏めていた髪もほどいていてボロボロの姿をしていた。

 

「いや~あの数から助けるのは不可能だったからな・・・あっじゃがバタとたこ焼きはちゃんと買っといたぞ」

 

「ここは飲食禁止だ!後で食う!」

 

あっ食べてはくれるんだ。

 

「んで、お前らは此処で何をやってるんだ?」

 

「ああ、もうすぐあいつの出番らしいからな。いい席で聞こうと思ってな」

 

「あいつ?」

 

「奏さん、実はですね・・・」

 

セレナが奏に耳打ちをする。

 

「・・・なるほどな、そりゃ聞かないとだな」

 

「だろ、さて席は・・・」

 

「三人とも!こっちこっち!」

 

声の方を向くと、響が手を招いていたので俺たちはそっちに向かうと、響の他に未来と翼が座っていた。

 

「どうぞ、こっち空いてますよ!」

 

響の右側に席は三人分空いていた。

 

「おっ悪いな」

 

響に礼を言って俺たちも席に座ると、司会に少女がマイクに電源を入れるところだった。

 

「さあて!次なる挑戦者の登場です!」

 

司会の声と会場の歓声と共にステージ裏から出て来たのは、一人の少女。

 

「響!あれって!」

 

「嘘ぁ!」

 

「これは…!」

 

現れた少女に響達が驚いていた、そりゃそうだ今から歌うのは。

 

「俺たちの仲間、クリスだ」

 

クリスが登場すると、歌うであろう曲が流れる・・・が、クリスはまだ歌わない。

 

「クリスさん・・・どうしたんでしょうか?」

 

「緊張してるんだ、あたしも最初の頃はそうだったからな」

 

俺達が心配そうにクリスを見守る中、ふとクリスと視線が合った。

 

不安そうにこちらを見るクリスを見て、俺は笑顔で頷く。

 

(クリス、お前の心のままに歌っていいんだぞ)

 

俺が心の中でそう呟く。俺の思ってることが伝わったのかクリスは少し驚き、そして少ししてその顔から緊張が消える。

 

そしてクリスは手にしているマイクに口を近づける。

 

 

『使用BGM 教室モノクローム』

 

 

誰かに手を差し伸べて貰って

 

 

少し遅れて始まったクリスの歌、だけど一度歌えばあとは大丈夫だ。

 

 

(いた)みとは違った(いた)みを知る

 

 

クリスの綺麗な歌声は観客たちの心を掴んだ。

 

 

モノクロームの未来予想図

 

 

歌い続けて楽しくなったのか、クリスはリズムよく自分の体を揺らす。

 

 

絵具を探して・・・でも今は

 

 

クリスの歌を聞きながら、俺は少し前のことを思い出す。

 

 

 

俺がリビングでくつろいでいると、二階からリディアンの制服を着たクリスが下りてくる。

 

『ど・・・どうだ?似合ってるか?』

 

クリスは恥ずかしそうに尋ねてくる。

 

『ああ、似合ってるぞクリス』

 

俺がそう答えた時、クリスは嬉しそうだった。

 

 

何故だろう、何だろう

 

 

色付くよゆっくりと 花が虹に誇って咲くみたいに

 

 

クリスが転入して少ししたある日、俺はクリスに尋ねた。

 

『クリス、リディアンには馴染めたか?』

 

『あ、ああ・・・それなりに』

 

そう答えた時のクリスの顔は少し暗かった。

 

 

放課後のチャイムに混じった風が吹き抜ける

 

 

違う日、俺は響達にクリスの学院での様子を聞いていた。

 

『それでクリスの様子がおかしかったから気になってな・・・』

 

『確かに偶にクリスが一人でお昼を食べてるところを見かけるけど・・・』

 

『もしかしてクリスちゃん、クラスに馴染めてないのかな?』

 

『ああ、雪音の性格を考えたら自身の思いを表に出そうとはしないだろう』

 

『そうか・・・』

 

『・・・だが一度だけ、雪音が人目のつかないところでリディアンの校歌を歌っているのを見かけた、その時の雪音は生き生きと自分を出せていた』

 

『・・・そうか、ありがとうな三人共』

 

 

感じた事無い居心地の良さにまだ戸惑ってるよ

 

 

大丈夫だクリス、心配しなくていい。

 

今のお前は前とは違う、お前を支えてくれる人がいる。

 

だからさ・・・もっと自分を出してもいいんだぞ。

 

 

ねえ、こんな空が高いと 笑顔がね…隠せない

 

 

『クリスを勝ち抜きステージに?』

 

『はい、是非雪音さんに歌ってもらいたくて』

 

『わぁ!凄いですねクリスさん』

 

『だから何であたしが・・・!』

 

『だって雪音さん、すごく楽しそうに歌ってたから』

 

『あっ・・・!』

 

 

笑ってもいいかな 許してもらえるのかな

 

 

クリスの歌声は観客みんなの心に響いている。

 

響も、未来も、翼も、奏も、セレナも、そして俺もみんながクリスの歌に聞きほれている。

 

 

あたしは、あたしの

 

 

せいいっぱい、せいいっぱい・・・こころから、こころから・・・

 

 

クラスメイトに言われて口をつぐむクリスに俺は尋ねた。

 

『クリスは歌、嫌いなのか?』

 

俺の質問にクリスは顔を赤くして後ろを向く。

 

『あ・・・あたしは』

 

 

あるがままに

 

 

あの後、結局聞けなかったけど今ならわかる。

 

 

うたってもいいのかな・・・!

 

 

お前は・・・歌が大好きなんだってな。

 

 

太陽が教室へとさす光が眩しかった

 

 

サビに入った時、とある風景が映った。

 

それは晴天の空の下、赤い花々が咲く草原に座るクリスの姿。

 

 

雪解けのように何故か涙が溢れて止まらないよ

 

 

そんなクリスに手を差し伸べるクラスメイト達。

 

クリスは笑顔でその差し出された手を掴む。

 

 

こんなこんな温かいんだ・・・

 

 

その時、赤い花の花弁が舞い散り、花吹雪となりクリスの周りを包む。

 

 

あたしの帰る場所

 

 

これが、クリスの歌なんだ。

 

 

あたしの帰る場所

 

 

 

 

 

(楽しいな…)

 

歌を歌い終わると、会場から拍手があたしに送られてくる。

 

(あたし、こんなに楽しく歌を歌えるんだ)

 

ふと観客席を見ると、来ていたあいつらも感動しながら拍手をしていた。

 

そんな中、馬鹿真とまた目が合った。

 

口は開いてない・・・けど、不思議とあいつの声が頭に響いた。

 

 

『・・・いい歌だったぞ、クリス』

 

 

(そうか・・・)

 

皆の拍手を受け、あたしは心から思った。

 

(ここはきっと・・・あたしが、いてもいい所なんだ)

 

 

 

 

 

『勝ち抜きステージ!新チャンピオン誕生!』

 

クリスにスポットライトが当てられ、クリスは呆然とする。

 

俺たちはクリスに大きな拍手を送っていた。

 

「凄いよクリスちゃん!」

 

「うん、私感動しちゃった」

 

「凄いです、クリスさん!」

 

「ああ、雪音らしい素晴らしい歌だ」

 

「そうだな、胸に響くいい歌声だな」

 

「歌姫二人からのお墨付きか・・・よかったな、クリス」

 

『さあ、挑戦者は!? 飛び入りも大歓迎ですよ!』

 

司会の飛び入りという単語に隣の歌姫たちは反応する。

 

「おいやめろよ、あんたらが出たらパニックになる」

 

「わかってる・・・だがしかし!」

 

「あんないい歌を聞かされたらな・・・!」

 

俺が二人を抑えていると、別の方から声が聞こえた。

 

「やるデス!」

 

「えっ?」

 

聞き覚えのある声に真っ先に反応したのはセレナだった。

 

そしてスポットライトに当てられたのは…。

 

「嘘っ!?」

 

「何であいつらが・・・!?」

 

 

「チャンピオンに・・・」

 

「挑戦デース!」

 

 

「暁さん・・・月読さん・・・!!」

 

切歌と調の二人だった。




後書きの時間だ!
「やっぱいい曲だな教室モノクローム」
もうね、G編と言ったらこれでしょ。
「G編ってやっぱクリス回って感じだな」
「この作品って大体そんな感じですよね、まあそれがいいんですけど」
「まあな、さて最後の最後に出て来たあの二人、次回も一波乱がありそうだな」
まあそんな波乱も頑張って乗り越えてね、じゃそろそろ〆ますか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

「そういえばお前ら・・・さっきはよくも見捨ててくれたな?」
「やべっ覚えてた! 逃げるぞセレナ!」
「わかりました!」
「逃がすか!まてっ!」


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挑戦状

・・・・・・・・・。(泣
「おい作者、そろそろG編第九話を始めるんだが」
「作者さんどうしたんでしょうか?」
「XDでLOST SONG編に感動してさっきからあんな感じなんだよな」
グレ響が報われてよかった…。(泣
「まあ確かにあれは感動したな、だが俺たちの物語のことを忘れないでくれよな」
分かってる、感動も終わったことだしそろそろG編第九話、張り切ってどうぞ!


クリスに挑戦を挑んだ切歌と調に俺たちの視線が向いてしまう。

 

「あいつら、ここに来てたのか!」

 

「随分と大胆な潜入作戦だな・・・」

 

「・・・ねえ皆、あの子たちの事知ってるの?」

 

俺と奏が呟く中、未来が俺たちに尋ねてくる。

 

「簡単に言えばセレナの友達で、会場襲撃犯の仲間のシンフォギア装者ってとこだな」

 

「えっそうなの!?」

 

「真さん、そんな正直に言わなくても…」

 

「未来に隠し事は無理そうだからな・・・それに響は言わなさそうだからな」

 

俺の言葉に響は口を閉じる。

 

「とにかく今は様子を見守ろう、ここで戦いが起きたら大惨事は確実だ」

 

『はい』『ああ』

 

皆が頷く中、セレナは俺の袖を軽く掴んでいた。

 

「真お姉ちゃん・・・」

 

緊張した声で話しかけてくるセレナの手に落ち着かせるために自分の手を添える。

 

「大丈夫だ、俺たちがついている」

 

「・・・はい」

 

俺たちが見守る中、二人はクリスがいるステージへと近づく。

 

クリス自身も二人の登場に慎重になっていた。

 

『・・・』

 

だが二人はステージ上のクリスの方を見ようとせず、逆に俺たちの・・・主に俺とセレナの方を見ていた。

 

しかし相手にセレナのことがばれてしまうとはな…これはまずいか?

 

二人はこちらを見た後。クリスの方を向く中、調が切歌に声をかけた。

 

「切ちゃん、私たちの目的は・・・」

 

「聖遺物の欠片から作られたペンダントを奪い取る事デス」

 

「だったら、こんなやり方しなくても・・・」

 

「そういう調だって、セレナのことが気になるから近くに行こうと乗ってくれたじゃないデスか」

 

「そ、それは・・・」

 

そんな二人の様子を見て俺は翼と小声で対話している。

 

「翼、あいつらの目的をどう考える?」

 

「十中八九私達が狙いだろう・・・だがもう一つの可能性としては」

 

「・・・セレナか」

 

「おそらくな・・・継菜、いざというときはセレナを守るんだ」

 

俺は小さく頷き、懐に手を入れてしまっているキーを握り締める。

 

「聴けば、このステージを勝ち抜けると望みを一つ叶えてくれるとか、このチャンス逃すわけには・・・」

 

「面白ぇ、やり合おうってんならこちとら準備は出来ている!」

 

「クリスの奴、引き受けちまったな・・・」

 

「そういやクリスは売られた喧嘩は買うタイプの奴だったな」

 

俺はクリスの性格に少し呆れてしまう、見ると調の方も少しため息をついている。

 

「特別に付き合ってあげる・・・でも忘れないで、これは」

 

「わかってる、首尾よく果たして見せるデス」

 

そういって二人はステージ上へと上がる。

 

『それでは歌っていただきましょう! えっと・・・?』

 

『月読 調と』

 

『暁 切歌デス!』

 

『OK!二人が歌う、『ORBITAL BEAT』!もちろんツヴァイウィングのナンバーだ!』

 

『使用曲 ORBITAL BEAT(ver.ZABABA)』

 

そうして流れてくる前奏に、俺たちは驚く。

 

「この歌・・・!」

 

「翼さんと奏さんの・・・!」

 

「へえ、あたしたちの歌を歌うか」

 

「何のつもりの当てこすり・・・」

 

「俺たちへの挑発のつもりか?」

 

「・・・・・・」

 

俺たちは二人をじっと見ていると、二人の歌が始まる。

 

 

Now praying for your painful cry…

 

 

Fu- uh yeah ...Fly

 

 

幾千億の祈りも やわらかな光でさえも

 

 

すべてを呑み込む 牢獄(ジェイル)のような 闇の魔性

 

 

カルマのように 転がるように

 

 

投げ出してしまえなくて

 

 

らし駆け抜けて

 

 

届け届け 鳴るパルスに 繋がれたこの Burningheart

 

 

強く強く 心のシリウスをただ見つめる

 

 

この闇を越えて

 

 

二人の歌声に俺たちは驚いていた。

 

いつの間にか二人の歌を、ただ純粋に聞いていた。

 

それほどまでに素晴らしい歌声だった。

 

 

絡みつくようなノイズも 凍り付く静寂さえも

 

 

すべて掻き消す 讃美歌(キャロル)のような 君の鼓動

 

 

裏切るより 傷つくより

 

 

穢れなく生きたかった

 

 

そんな夢を眠らせて

 

 

この手この手 なる刹那に 砕かれた Paranoia

 

 

熱く熱く でる記憶でリフレインしている

 

 

命の向こうで

 

 

二人が歌いきると同時に、観客席から大量の歓声が二人に送られる中、響と翼が呟く。

 

「翼さん・・・」

 

「なぜ、歌を歌う者同士が戦わねばいけないのか・・・」

 

翼の言葉の耳にして二人の方を見る。

 

調の方はわからないけど、歌いきった切歌の方はあんなにも明るい表情だ。

 

それだけで、あいつらが歌が好きなのがわかるほどに。

 

だから、余計に戦いづらくなる。

 

なんで歌が好きな子と戦わなくちゃいけないのか。

 

『チャンピオンもうかうかしていられない、素晴らしい歌声でした!これは得点が気になるところです!』

 

「二人がかりとはやってくれる・・・!」

 

クリスの方も二人の歌声を認めて悔しそうだ。

 

審査員が採点している中、調と切歌が耳に手を付け何かを聞いて驚いてるように見えた。

 

「あれ?二人とも何してるんだろう」

 

「おそらく、何者かと通信をしているのだろう」

 

「セレナ、通信相手が誰かわかるか?」

 

「おそらくマリア姉さんか、もしくはマムのどちらかと思います。こういう時連絡を入れるのはどちらかなので」

 

「そうか・・・」

 

俺たちが話していると、どうやら採点が終わったそうだ。

 

『さあ、採点結果が出た模様です・・・ってあれ?』

 

「っ!おい、ケツをまくるのか!」

 

司会が振り返ると、二人はクリスに目もくれず、会場から出て行ってしまう。

 

「我々も追いかけるぞ!」

 

「わかりました。未来は此処で待ってて、もしかしたら戦いになるかもしれない」

 

「う・・・うん」

 

「俺たちも行くぞ、セレナはここに残って未来を頼む!」

 

「わかりました!」

 

俺たちは会場を出て二人を追いかけた。

 

 

 

二人を追いかけると、二人の前を巨大なクジラの模型が横切り道を遮る。

 

模型が通り過ぎると同時に、俺は奏と共に二人の前に立ちふさがり、響たちが二人の後ろを防ぐ。

 

「切歌ちゃんと調ちゃん・・・だよね」

 

「五対二・・・数の上ではそっちに分がある・・・だけど、ここで戦うことで、あなた達が失うものを考えて」

 

そういって調はここにきている民間人の方を見る。

 

「お前ら・・・っ!」

 

前に出ようとするクリスを手で押さえる。

 

「人質のつもりだろうけど、そうなる前にお前らを抑え込むことはできるぞ」

 

俺は懐からキーを取り出す、こいつらが何をしようとすぐに抑えれるように。

 

「そもそもお前ら何が目的なんだ、わざわざ此処まで潜り込んできて学祭を楽しみに来ました・・・じゃなさそうだし、それにここで戦うメリットがそっちにもあまりなさそうだが」

 

俺が質問をすると、切歌は少しの間考え込み、口を開く。

 

「ここで戦いたくないだけ…」

 

そういうと、俺たちに向けてビシッと指をさす。

 

「そうデス、決闘デス! しかるべき決闘を申し込むデス!」

 

「決闘って・・・そりゃまた古風なことを言ってくるなお前」

 

「そうだよ!あえば戦わなくちゃいけない訳でも…ない訳でしょ!」

 

「「どっちなんだよ(なんデス)!」」

 

響のあいまいな言葉にクリスと切歌の声が重なる。

 

「お前ら、仲いいな」

 

「「んなわけねえだろ(ないデス)!!」」

 

いや仲いいだろ、そこまで息ぴったりなのは。

 

「決闘の時はこちらが告げる。だから・・・」

 

そういって調は切歌の腕を掴んで立ち去ろうとすると、俺の前で立ち止まる。

 

「・・・一つ聞きたい、貴方の傍にいたあの子の事」

 

「・・・セレナの事か?」

 

「っ!・・・あの子とはどこで?」

 

やっぱ気になるよなそこが。

 

「・・・セレナとは一か月前に出会って、ある人に頼まれて今はうちに住まわせてる」

 

「・・・そう」

 

「だけど、お前らの名前を教えてくれたのはあいつだ」

 

「「っ!?」」

 

俺の言葉に二人は驚いた様子でこちらを見る。

 

「それが何を意味するのかはお前らで考えな」

 

「「・・・」」

 

俺がそう言うと二人はそのままその場を立ち去った。

 

「真・・・」

 

「・・・今は決闘のことを考えよう」

 

俺がそう言うと同時に、弦十郎さんから通信が入る。

 

『六人共揃っているか。ノイズの出現パターンを検知した。程なくして反応は消失したが、念のために周辺の調査を行う』

 

『はい』『ああ』

 

通話を切り、俺と響はセレナと未来を迎えに会場へと戻った。




後書きの時間だ。
「しかしあの二人があたしと翼の曲を歌うとはな・・・」
「何で二人の曲にしたんだ?他にも曲はあるのに」
「あれじゃないですか、お二人ともあの曲がお好きなんですよ!」
「じゃあれか?二人はツヴァイウィングのファンなのか?」
「そうだったのか、じゃあ後でサインとか送っとかないとな」
はいはい、見当違いな解釈はそこまで。次回はG編の中でも一番キツイ回だからな。
「それ言っちゃってもいいんでしょうか?」
どうせ読者は本編知ってるだろうし別にいいだろ。
「メタすぎないかそれ」
とにかく、そろそろ〆て制作に取り掛からないとな、んじゃ行くぞ。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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血に染まる撃槍


ヤダーーー!!書きたくなーい!
「何言ってんだアホ作者!もうG編第十話はじまるんだぞ!」
ヤダーー!ヤダーー!
「えっと・・・作者さんどうしたんですか?」
「おっ響か、いやなんか作者が『この回だけは書きたくなーい!』って騒ぎだしてさ」
「それで真さんがああやって無理やり・・・」
「そうなんですか?」
「響!こっちは何とかするから先に始めてくれ!おらさっさと柱から手を離せ!」
ヤダーーーーーーー!!
「えっと・・・それではG編第十話、どうぞ!」


俺たちは弦十郎さんの連絡の下、未来を帰らせ六人で二課の指令室に集合すると、オペレーターの二人がモニターを映してくれる。

 

「これは・・・!」

 

モニターには、とある倉庫が映っており、倉庫の中にはノイズが活動したであろう痕跡と、生き物だっただろう炭素が床一面に散らばっていた。

 

「ノイズが暴れた後か。 それにこの炭素の量、相当の人数が・・・」

 

俺たちがモニターに集中していると、藤高さんが口を開いた。

 

「司令、永田町都心部電算部による、解析結果が出ました。モニターに回します」

 

そういってモニターに映ったのは、同じ形の二つのアウフヴァッヘン波形。

 

違うところは左が黄色、右が紫色というところだけだった。

 

友里さんが二つのアウフヴァッヘン波形を重ねると、二つの図形はぴったりと重なった。

 

「アウフヴァッヘン波形照合。誤差、パーツは、トリオンレベルまで確認できません」

 

友里さんが口にした言葉の意味、それは此処にいるみんながわかった事だ、この波形は。

 

「ガングニールの波形・・・」

 

響の持つガングニールのアウフヴァッヘン波形。そしてもう一つは。

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴの纏う黒いガングニールは、響君の物と寸分たがわぬということか・・・」

 

「マリア姉さんのガングニールが・・・」

 

「私のガングニールと同じ・・・!」

 

響が自分の胸に手を当て、奏は自身のポケットから壊れたガングニールを取り出す。

 

「しかし、何でマリアがガングニールを持ってたんだ?」

 

まあだれが作ったのかはなんとなくわかるけど、俺の疑問には藤尭さんが答えてくれた。

 

「考えられるとすれば、米国政府とつながっていた了子さんによってガングニールの一部が持ち出され、作られたものじゃないでしょうか?」

 

やっぱそうだよな・・・本当に面倒くさい物を残しやがって。

 

「櫻井理論によって作り出されたもう一つのガングニールのシンフォギア・・・」

 

「だけど妙だな」

 

クリスの発言に俺たちは振り向く。

 

「クリスちゃん、妙ってどういうこと?」

 

「米国政府の連中はフィーネの研究を狙っていた。F.I.S.なんて機関があって、シンフォギアまで作っているのならその必要はないはず…」

 

クリスが感じた疑問に、今度は翼が答えた。

 

「政府の管理から離れ、暴走してるという現状から察するに、F.I.S.は聖遺物に関する技術や情報を独占し、独自判断で動いてるとみて間違いないと思う」

 

「そうだな・・・ガングニールの他にも、あの二人が所有するシンフォギア、挙句にはネフィリムまで独占しているぐらいだしな」

 

俺たちの話を聞き、弦十郎さんはため息をつく。

 

「ハァ…F.I.S.は、自国の政府まで敵に回して、何をしようと企んでいるのだ?」

 

あいつらの目的・・・その言葉に俺は調べの言葉を思い出す。

 

 

『正義では守れない物を守るために』

 

 

正義じゃ守れない物・・・それがあいつらの目的なら、いったい何を守るんだ?

 

 

 

 

 

場所を変え、カ・ディンギルがあった場所では、切歌と調の二人はマリア達が到着するのを待っていた。

 

「調・・・あいつの言っていたことどう思うデスか?」

 

切歌の言葉に、調は撤退の時の真の言葉を思い出す。

 

 

『・・・セレナとは一か月前に出会って、ある人に頼まれて今はうちに住まわせてる』

 

『だけど、お前らの名前を教えてくれたのはあいつだ』

 

『それが何を意味するのかはお前らで考えな』

 

 

「もしあいつの言っていたことが本当で、セレナが生きていたら・・・!」

 

「確かに、彼女は間違いなくセレナだった・・・」

 

二人の脳裏には、会場の観客席で敵である真達と一緒にいるセレナの顔が映る。

 

見間違えるはずもない、マリアの妹で、自分たちの友人であるセレナと同じ顔の少女。

 

「切ちゃん、このことはマリアには内緒にしよう・・・」

 

「・・・わかったデス」

 

二人はセレナのことを内密にした、もしこのことをマリアが知ればどうなってしまうか、それを阻止するために二人は秘密にした。

 

「調・・・私はセレナとは戦いたくないデス・・・」

 

「私もだよ、けど作戦を成功させないとマリアの魂が塗りつぶされてしまう・・・」

 

「・・・私達どうしたらいいんデスか?」

 

切歌の問いに調は応えられず、マリア達が到着するまで沈黙が続いた…。

 

 

 

 

 

俺たちが二課で待機していると、ノイズ発生のアラートが鳴り響く。

 

「ノイズの発生パターンを検知!」

 

「この状況でノイズの出現・・・合図のつもりか?」

 

「決闘の合図にノイズを使うとは・・・!」

 

藤尭さんと友里さんがノイズの出現位置を急いで特定する。

 

「位置特定・・・ここは!?」

 

「どうした!」

 

「東京番外地 特別指定封鎖区域!」

 

「そこって・・・カ・ディンギルがあった場所じゃねえか!?」

 

あいつら!わざとか偶然か分からねえが、何て場所に出現させてくれてんだ!?

 

「みんな!すぐに行くぞ!」

 

俺たちは急いでかつての決戦の地、カ・ディンギル跡地へと向かった。

 

 

 

俺たちはかつて櫻井さんと戦ったカ・ディンギル跡地へとたどり着いた。

 

「決着を求めるのに、おあつらえ向きの舞台というわけか・・・」

 

「おあつらえ向きッてどういうことですか?」

 

「そっか、セレナは知らないんだっけな。三か月前、俺たちは此処でフィーネとなった櫻井さんと決着をつけたんだ」

 

「フィーネって、マリア姉さんと同じ・・・!」

 

「おい、前に誰かいるぞ」

 

奏の声に俺たちが前を向くと、見知った顔の人物がいた。

 

「お一人ですか・・・ウェル博士?」

 

「ええ、その通りです」

 

ソロモンの杖を手にしているウェル博士が、俺たちのを待っていた。

 

「野郎・・・!」

 

ウェル博士は俺の後ろにいるセレナに視線を向けるのを感じ、セレナは俺の後ろに隠れた。

 

「・・・やはり」

 

ウェル博士は何かを察すると、ソロモンの杖からノイズを出現させる。

 

「・・・行くぞ!」

 

アウェイクン!

 

俺たちはドライバーを身に着ける。

 

「二人とも、こいつを使え」

 

俺は奏とセレナに別のキーを差し出し、二人はキーを受け取る。

 

俺はホルダーからスマッシュガングニールを取り出し、ライズスターターを押し、響たちは聖唱を歌う。

 

ブレイク!

 

カット!

 

シザーズ!

 

『『『オーソライズ!』』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

『変身!』

 

シンフォニックライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

Dwelling in a fist! スマッシュガングニール!

 

スラッシングマンティス!

 

バブルオーシャンクラブ!

 

Balwisyall Nescell gungnir tron.

 

The blade does not swing to the weak, only to the dark.

 

Decapod creature with scissors to cut out anything.

 

響達はシンフォギアを纏い、俺はスマッシュガングニール、奏はスラッシングマンティス、セレナはバブルオーシャンクラブへと変身する。

 

 

『使用BGM  正義を信じて、握り締めて』

 

 

ぎゅっと握った拳 1000パーのThunder

 

俺と響は一緒にガングニールでノイズを殴り倒していき、翼と奏の方も奏は刀状のマフラーを手にし翼と共に切り開いていき、クリスが両腕のガトリングでノイズを撃ち抜いていき、クリスに接近するノイズはセレナが背中に取り付けられている六本のアームを巧みに扱いノイズを蹴散らしていく。

 

「お前ら、赤い霧が出たら気をつけろ!ギアの出力が下がるぞ!」

 

「わかりました!」

 

俺は両腕のスマッシュプロテクターをスマッシュランスに変え、ノイズを薙ぎ払っていく。

 

だが幾らノイズを倒してもウェル博士が次々とノイズを出現させてくる。

 

「おいウェル博士!切歌と調はどうした?」

 

「二人は謹慎中です。だからこうして私が出張って来てるのですよ」

 

「謹慎?」

 

「ええ、お友達感覚で計画遂行に支障をきたされては、困りますので」

 

「なるほどな、じゃあお前でいいや・・・お前らは何が狙いでこんなことを企てたんだ?」

 

「企てる?人聞きの悪い。我々が望むのは、人類の救済!」

 

そう言いウェル博士は今は欠けし月に指さす。

 

「月の落下にて損なわれる、無辜の命を可能な限り救い出すことだ!」

 

「月の!?」

 

「落下だと!?」

 

ウェル博士の言葉に俺たちは耳を疑う、月が落下してくるだと!?

 

「月の公転軌道は、各国機関が三か月前から計測中。落下などと結果が出たら黙っていられるわけ・・・」

 

「黙っているに決まってるじゃないですか!」

 

「ッ!」

 

翼の発言をウェル博士が遮る。

 

「対処方法の見つからない極大災厄など、更なる混乱を招くだけです」

 

「混乱?」

 

響が疑問に思ったことを俺が憶測で答えた。

 

「もし月が落ちてくるなんてことが世間に漏れてみろ、そんなことが知られたらノイズどころじゃない大パニックが起きる!政府はそのパニックを抑えるためにあえて機密にしてるんだ」

 

「その通り!流石は英雄ですね、その状況を瞬時に理解するとは」

 

「ただの憶測だ、それにあんたに褒められても何もうれしくない!」

 

「そうですか、ですが不都合な真実を隠蔽する理由などそのほかにもいくらでもあるのですよ!」

 

その言葉を聞き、クリスが何かに感づく。

 

「まさか!この事実を知る連中ってのは、自分たちだけ助かるような算段を始めているわけじゃ!?」

 

「だとしたらどうしますか、あなた達なら? 愛する私たちの答えが・・・ネフィリム!!」

 

とたん、地面が揺れ、クリスが立っていた地面からネフィリムが飛び出してクリスを吹き飛ばした。

 

「クリスちゃん!」

 

落ちてくるクリスを近くにいたセレナが受け止める。

 

「クリスさん!大丈夫ですか!?」

 

「あ、ああ・・・」

 

すると、二人の近くにいたノイズが白い糸のような物を噴出し、二人を拘束する。

 

「なっ!?」

 

「きゃあ!!」

 

「二人とも!」

 

それを見て駆け寄った翼と奏も不意を突かれ、隠れていたノイズの出した糸に捕まってしまう。

 

「しまった!」

 

「くっ・・・このようなもので!」

 

地面から出て来たネフィリムは、あの時よりも巨大になっておりその形も変わっていた。

 

「人を束ね、組織を編み、国をたてて命を守護する!ネフィリムはそのための力!」

 

ネフィリムは動けないでいるクリス達に狙いをつけ、接近する。

 

「「やらせるか!!」」

 

囚われてない俺と響がネフィリムに近づき、スマッシュランスをスマッシュプロテクターに変えネフィリムを殴り飛ばす。

 

「こっちだデカブツ!」

 

殴られたのが効いたのか、ネフィリムはこちらを向いた。

 

響け!響け!(ハートよ)熱く!歌う!(ハートよ)

 

俺と響は歌に合わせネフィリムにラッシュをかける中、ウェル博士が語り掛けてくる。

 

「ルナアタックの英雄達よ!その拳で何を守る!?」

 

「決まってんだろ!人の夢と希望だ!」

 

響は両腕のバンカーを引っ張り、俺は右腕にアームドギアを集中させる。

 

最初に響がネフィリムに殴りかかり、バンカーの衝撃と共にネフィリムを大きく吹き飛ばす。

 

「これで終わりだ!」

 

俺はドライバーのキーを押し込む。

 

ガングニールインパクト!

 

右腕に集中させたアームドギアが回転しドリルとなり、響と共にネフィリムへと突っ込む。

 

だがウェル博士がノイズを出現させ行く手を阻む中、俺たちに向かって叫ぶ。

 

「そうやって君たちは、誰かを守るための拳で、僕と多くの誰かを、ぶっ殺しに来るわけだ!!!」

 

その言葉を聞き響が固まる。

 

まずい!その言葉は今の響には一番効く!!

 

動きが止まった響の元にネフィリムがその口を大きく開き襲いかかる。

 

響は応戦しようともう片方の腕を振るうが・・・その腕はネフィリムに噛みつかれ。

 

ネフィリムが嚙みついたまま頭を大きく振り、響の腕を噛み千切った。

 

「立花ぁぁぁぁああああ!!!」

 

「響ぃぃぃぃいいいい!!!」

 

「嫌ぁぁぁぁああああ!!」

 

俺と翼とセレナの叫びが響き渡る。

 

「あ・・・ああ・・・!!」

 

ネフィリムは噛み千切った響の腕を口の中でかみ砕き、響は自身の腕が無くなったこととその腕の所在を知り・・・。

 

アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

 

響の悲痛な叫びが決戦の地に響き渡った。





・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・」
「おい作者に続いて響まで落ち込んだぞ!?」
「いやそりゃそうなるだろ。自分の腕が食われたら」
「まさかネフィリムにガブッと噛まれるとは・・・」
「いやセレナ?あれはそんな可愛い効果音で済まされないと思うぞ?」
「子犬が噛んだわけじゃないんだぞ?」
「と・・・とりあえず、響さんの腕はどうなっちゃうんでしょうか!?」
「さあな、そこは今後の展開によるな」
「だな、とにかく一言言えることは・・・」

「「あのクソ博士いつかぶん殴る」」

「あっ、お二人が既に切れてた」
「あの野郎・・・シャイニングで顔の形が変わるまで殴ってやろうか」
「パンチングコングで場外までぶっ飛ばしてやる」
「えっと・・・お二人がこんな状態なので今回は私が〆ますね」

「それでは次回もお楽しみに!」


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怒りの独奏曲

よっし・・・G編第十一話始めますか…。
「軽いトラウマは脱却できたか?」
ある程度は・・・何とかな。
「トラウマってそんな簡単に脱却できましたっけ?」
「多分あの作者が変なだけだと思うぞ」
「というか響の腕ちゃんと治るのか、マジで心配なんだけど?」
いざというときは義手という手もあるんじゃないか?
「途中で義手になる主人公とか斬新だな」
まあとにかくどうなるかはこの後の話で、それではG編第十一話、どうぞ!


あたしは目の前の出来事が信じられなかった。

 

あたしらの目の前で響の腕がネフィリムに食われてしまった。

 

「そんな・・・立花・・・!?」

 

「うそだろ・・・!?」

 

「あ・・・・あぁ・・・!!」

 

翼たちも目の前の惨事を目にして驚愕している。

 

今響の近くにいる真ですら、一言も発さずその場から動けないでいる。

 

「いったぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

そんな中、ウェル博士は満面の笑みで高らかに叫んでいた。

 

「ばくついた・・・シンフォギアを!これでぇぇぇぇぇぇ!!」

 

歓喜の笑みを浮かべるウェル博士のその態度に、あたしの中の何かが切れた。

 

「お前ぇぇぇぇえええぇぇ!!!」

 

あたしは力の限り糸を引きちぎろうとするが、糸は千切れる気配が感じられない。

 

「くそっ!!何でちぎれねえんだよ!!」

 

あたしが糸を引き千切ろうとする中、響は痛々しく自分の腕があった場所を握り締める。

 

「立花・・・!立花ぁ!!」

 

「おい!しっかりしろよ馬鹿!?」

 

「響さん!!響さぁん!!」

 

翼たちが呼びかけるが、響はこちらを見ようとしない。

 

・・・いや、あまりの激痛でこちらを見る余裕がないんだ。

 

「完全聖遺物ネフィリムは、いわば自立稼働する増殖炉。ほかのエネルギー体を暴食し、取り込むことでさらなる出力を可能とするぅ・・・!」

 

ウェル博士は嬉しそうにネフィリムについて説明してると、ネフィリムの体が赤く輝く。

 

「さあ、始まるぞ!覚醒の鼓動!その力がフロンティアを浮上させるのだ!」

 

赤黒い光と共にネフィリムの体が変形していく。

 

より凶悪に、より残酷な姿に。

 

その姿を大きく変えていく・・・その時だった。

 

「・・・ざけんな」

 

「へっ?」

 

いつの間にか立ち上がっていた真が左腕でネフィリムの首元を掴んでいた。

 

ウェル博士もいきなり真がネフィリムを掴んでいることに変な声を出した。

 

そして真は回転を止めた右腕のアームドギアを再び、先ほどよりも速く回転させ…。

 

 

「ふざけんじゃねぇぇえええぇ!!!」

 

 

そのままネフィリムに殴りつけた。

 

ネフィリムの体は高速回転するアームドギアによって大きく削り取られ、遠くへと吹き飛ばされる。

 

「ま・・・真?」

 

真はあたしたちの声が聞こえないのかゆっくりと吹き飛ばされたネフィリムの方を向く。

 

その時の真の形相は、今まで見たことのないほどに怒りに染まっていた。

 

「・・・潰す」

 

遠くにいるが真の声がはっきりと聞こえる、さっきまで湧き上がってたあたしの怒りが引っ込んじまう位の殺気が此処からでも感じ取れる。

 

真がそのままネフィリムの元へと向かおうとした時だった。

 

「うぅ・・うううううウウウウウゥ!!」

 

響からうねり声のような声が聞こえてくる、その声はあたしや翼、クリスは知っている声だった。

 

あたしは糸を千切るのをやめ響の方を見ると、響の体が黒く染まっていく。

 

「そんな・・・まさか!?」

 

「あの馬鹿、また・・・!?」

 

「まずい・・・あいつ、暴走したぞ!!」

 

「暴・・・走・・・?」

 

この状況にセレナだけじゃなくウェル博士の奴も驚いていた。

 

そして黒く染まった響はゆっくりと立ち上がる。

 

「アァァアアァァアァアアア!!」

 

響が叫びながら食われた左腕を掲げると、左腕からどす黒いエネルギーが溢れてくる。

 

黒いエネルギーは形を変え、一瞬で左腕となってしまった。

 

「響の左腕が・・・治っちまった!?」

 

「ギアのエネルギーを腕の形に固定・・・まるで、アームドギアを生成するように!?」

 

あたしと翼が驚いていると、響の近くにいた真はアタッシュショットガンにキーを差し込んでいた。

 

ファイヤー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

タイガーアビリティ!

 

キーを差し込むと真は銃口をあたしらに向けてきた。

 

「おい真!?何でこっちに!?」

 

あたしの呼びかけに真は反応せず、そのまま引き金を引いた。

 

 

フレイミングカバンショット!

 

放たれた炎弾があたしらに向けて飛んできてやばいと思った・・・。

 

・・・だが炎弾はあたしらではなくあたしらを捕まえていたノイズに直撃しノイズを糸と共に燃やし尽くしてあたしらは動けるようになった。

 

「・・・あれ?私たちは何ともない?」

 

「まさか、ノイズと糸だけを的確に消したのか!?」

 

セレナとクリスが喋っていると、真が声をかけてきた。

 

「お前ら、響を抑えてくれ・・・俺はあいつを消し飛ばす」

 

そう言い残し真はネフィリムの元へとかけて行った。

 

「継菜!一人では危険だ!」

 

「翼、今は真を信じるしかねぇ!今はあいつを!」

 

あたしが喋ると、暴走した響は近くにいたあたしたちに標的を向ける。

 

「くそっ!まさかまたこいつを見るなんてな!」

 

「とにかく、まずは響を取り押さえてからそのあとに真の援護に行くぞ!」

 

「くっ・・・承知した!」

 

「わかりました!落ち着いてください、響さん!」

 

「グアァァアアアァァ!!」

 

こっちは何とか押さえつけるが・・・大丈夫なのか真!?

 

 

 

 

 

暴走した響を奏たちの任せて俺は一人ネフィリムの元へと駆け寄った。

 

着いた頃にはネフィリムの敵意は完全に俺に向けられていた。

 

「敵意むき出しか・・・奇遇だな、俺もだ」

 

俺はドライバーのキーを取り出し、ホルダーから別のキーを取り出す。

 

「始めてだな、前世含めてこんなに怒りを感じたことは・・・」

 

タロン!

 

オーソライズ!

 

俺がドライバーに『レイジングキャサワリープログライズキー』を認証させると、空から降って来た『レイジングキャサワリーライダモデル』がネフィリムを威嚇する。

 

「くたばる準備はできてるか、大喰らいのクソトカゲ野郎・・・!」

 

俺は怒りに身を任せながらキーをドライバーに挿入する。

 

プログライズ!

 

The strongest kick!レイジングキャサワリー!

 

This talons crushes all enemies.

 

威嚇していたライダモデルが深い赤色のパーツとなり俺の身に取り付けられる。

 

「覚悟しな、お前を粉々にしてやる・・・!」

 

怒りをむき出しにしながらネフィリムが口を大きく開き突進して来る。

 

「イノシシか・・・いや、イノシシの方が賢いか」

 

俺は冷静に突進を躱し、ネフィリムの横っ腹に鋭い蹴りを食らわせる。

 

いきなり蹴りを入れられ怯むネフィリムに対し俺は情けもなく蹴りを食らわし続ける。

 

つま先に取り付けられているクロ―型のユニット『キャサワリータロン』によってネフィリムの体に切り傷がどんどんつけられていく。

 

「~~~~~~~~~~っ!!」

 

痛覚があるのか、何度も攻撃を喰らっているネフィリムは悲鳴のような叫び声を上げる。

 

「うるせぇ」

 

俺は耳障りな叫び声を止めるために下顎を蹴り上げ、頭頂部らしき部分を蹴り潰した。

 

それでもネフィリムは反撃してきて、両腕で俺を捕まえようとする。

 

「遅いんだよ、のろまが」

 

俺は両腕を蹴り飛ばしオーソライズバスターを取り出し、ネフィリムの無防備な両腕に向かって振り下ろした。

 

その結果ネフィリムの両腕は切り落とされ傷口から体液が溢れてくる。

 

ネフィリムは両腕を切り落とされ再び悲鳴を上げようとするが、その前に俺が蹴り飛ばす。

 

「お前も響に似たようなことしたんだろ? んなことしたお前に悲鳴を上げる権利はねぇ!」

 

俺はそのままネフィリムに悲鳴を上げる暇もなく何度も蹴りを食らわしていく中、後ろからウェル博士が追い付いてきた。

 

「や、やめろ!やめるんだ!?」

 

ウェル博士が何かを言ってるが俺は気にせず蹴り飛ばす。

 

「成長したネフィリムは、これからの新世界に必要不可欠なものだ・・・それを・・・それをぉぉ!」

 

「・・・新世界? んなの関係ねえよ」

 

俺はネフィリムを蹴り飛ばしながらウェル博士・・・めんどくさいしウェルと呼ぶか。ウェルに言葉を投げかけた。

 

「こいつはセレナを苦しめただけじゃなく響を深く傷つけた。んなことしたこいつなんか・・・生かす価値ないだろ?」

 

喋りながらもネフィリムの胴体にガンモードの銃口を突きつけ、エネルギー弾を撃ち放った。

 

ネフィリムは度重なる攻撃によってもうすでにボロボロの状態だった。

 

それに加えネフィリムは俺におびえるように震えながら距離を取る。

 

「逃がすわけねえだろ?お前は此処で終わりだ」

 

「いやぁあぁああぁああ!!?」

 

ウェルは俺の終わりという単語に反応し、悲鳴を上げながら俺の周りにノイズを出現させる。

 

「んなもんで止めれるもんかよ」

 

俺は囲まれながらもホルダーからキーを取り出しオーソライズバスターの装填する。

 

ダッシュ!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

キーを差し込みアックスモードにして振るうと、巨大な爪がノイズを纏めて切り裂く。

 

 

バスターボンバー!

 

囲んでいたノイズは全て倒すと、ネフィリムが逃げていくのを見つけすぐに接近する。

 

「逃がすわけねえだろ」

 

俺はそのままネフィリムの背中を全力で踏みつけ、ネフィリムの動きを止める。

 

ネフィリムの動きが止まったのをみて、ホルダーからキーを取り出しドライバーに認証する。

 

ビットライズ!

 

バイトライズ!

 

キロライズ!

 

メガライズ!

 

ギガライズ!

 

テラライズ!

 

最大までチャージしそのままキーを押し込んだ。

 

レイジングテラインパクト!

 

押し込むと俺の足が赤熱化し、炎が上がる。

 

「燃えカスになれクソトカゲがぁぁぁぁぁ!!!」

 

俺はそのまま燃える足でネフィリムを何度も蹴り、最後には強烈な回し蹴りを食らわせる。

 

 

レイジングテラインパクト!

 

蹴り飛ばされたネフィリムを中心に大爆発が起きた。

 

「ひっひぃぃぃいぃいいい!!」

 

ネフィリムがやられたのを見てウェルはその場から逃走したが、今の俺に追いかける気はなかった。

 

ネフィリムという切り札を失ったあいつに何かできるわけじゃないしな。

 

「はぁ・・・!はぁ・・・!」

 

俺は息を荒げながら変身を解く。

 

「はぁ・・・・・・っ!響!」

 

俺は響の様子が気になり急いでみんなの元へと走った。

 

 

 

 

 

皆の元にたどり着くと、響のギアが解かれていて響はぐったりとしていた。

 

「響!!」

 

俺は急いで響に駆け寄ると、響を支えてくれている奏が答えてくれる。

 

「大丈夫、気を失ってるだけだ。今翼が医療班を呼んでくれたからすぐに来てくれると思うぞ」

 

「そうか・・・よかった」

 

俺は安堵の息をつくと、あることに気づいた。

 

「あれ?響の左腕が戻ってる?」

 

ネフィリムに食われたはずの左腕がいつの間にか元の戻っていた、まるで何も起こらなかったかのように。

 

「あたしらがなんとか押さえつけて響のギアが解けたら食われていた腕が元に戻ってたんだ」

 

「元に戻ってた?そんなことが可能なのか?」

 

「んなわけねえだろ。それよりそっちはどうしたんだ?」

 

「ああ、ネフィリムは跡形もなく消し飛ばしたよ」

 

俺の言葉にみんなが『おおっ…』と声を上げる。

 

「ウェルの奴は逃がしちまったが、ネフィリムを失ったあいつに何かできるわけじゃないしな」

 

そうこう言っていると、上空から二課のヘリがやってきて二課へと運ばれ、響は急いでメディカルルームへと直行した。




後書きなんだが・・・暴れたなお前。
「そういう風に書いたのはお前だろ」
「今回はまた募集で来たキーなんだな」
ああ、『フォレスト643』さんが考えてくれた『レイジングキャサワリープログライズキー』だ。
「確か性能としてはキック力は真さんのシャイニングよりも上なんですよね?」
ああ、それにこのキーの名前にレイジングって書いてあったから『これは使えるな!』と確信しました。
「レイジングって怒り狂うとか激しいとかそういう意味だよな、そりゃぴったりだ」
その結果のゼロワン無双だけどな。
「とにかく、プログライズキーを考えてくれたフォレスト643さん、ありがとうございます!」
「これからも募集で来たキーは使わせてもらうぜ、んじゃそろそろ〆ますか」

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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浸食する聖遺物

「おっしゃーーー!!」(ガッツポーズ)
第一声セレナに取られた!?
「というかどうしたセレナ!?キャラが壊れてるぞ!?」
「どうしたもありませんよ!やっとバルキリーの強化フォームが来たんですよ!」
「ああ、ゼロワンのVシネか。確かバルカンとバルキリーの新しいフォームが出るんだよな?」
「そうなんですよ!これで不遇だったバルキリーにも光明が見えましたよ!」
まあ確かに他が強化フォーム貰ってるのにバルキリーだけ2フォームだけだからな。
「これが本当に嬉しくて・・・っしゃ――!!」(サムズアップ)
えっと・・・これ以上セレナのキャラが壊れる前にG編第十二話、どうぞ。


響がメディカルルームに向かってしばらくした後、翼と奏、そして俺の三人は弦十郎さんに呼ばれた。

 

クリスとセレナは未来に状況を教えに行っている、響の状態を隠すようにとちゃんと釘は刺している。

 

俺たちは弦十郎さんの元へ向かうと、部屋には弦十郎さん一人だけだった。

 

「来たか、早速だが本題に入ろう」

 

そういって弦十郎さんは懐から何かが入ってるケースを取り出し見せてくる。

 

中に入ってたのは黒い石のようなものとそれに付着している金色の物質だった。

 

「石? 弦十郎さん、これは・・・」

 

「それはメディカルチェックの際に採取された、響君の体組織の一部だ」

 

「体組織?これが?」

 

どこからどう見ても何かの鉱石にしか見えないそれが入ってるケースを手にとってまじまじと見ていると、弦十郎さんは別のものを取り出した。

 

「旦那、それってレントゲンのやつか?」

 

「ああ、これを見てくれ」

 

俺たちがその写真を見る・・・そして絶句した。

 

その写真は、心臓の部分を中心に何かが体全体を侵食していた絵だった。

 

「これは・・・まさか立花の胸のガングニールが!?」

 

「何でこんなに侵食してんだよ!?」

 

翼と奏が叫ぶ中、弦十郎さんが口を開く。

 

「・・・身に纏うシンフォギアとして、エネルギー化と再構成を繰り返した結果、体内の浸食深度が進んだのだ」

 

「それって・・・響がシンフォギアを纏う度にガングニールが体を侵食しちまうのか!?」

 

「生体と聖遺物が一つに溶け合う・・・!」

 

「適合者を超越した、響君の爆発的な力の源が・・・」

 

「・・・浸食したガングニール、なのか」

 

今思えば、長い間特訓してきた翼と違って響はまだ半年も経ってないのにあそこまでの力を発揮するなんて、普通じゃありえないけど・・・。

 

「・・・旦那、このガングニールが響にどんな影響を与えちまうんだ? まさかだけど命にかかわるんじゃねえだろうな?」

 

奏が言った言葉に俺も翼も息を呑む。

 

弦十郎さんは奏の問いに答えた。

 

「・・・遠からず、死に至るだろう」

 

『ッ!!』

 

俺たちは耳を疑った、最も恐れていた答えを耳にしてしまった。

 

「マジなのかよ・・・響が死ぬって、嘘だよな・・・?」

 

「そうでなくとも、これ以上融合状態が進行してしまうと、それは果たして人として言えるのか…」

 

俺たちはあまりのことに言葉が出なかった・・・。

 

「皮肉な事だな、先の暴走時に観測したデータによって、我々では知りえなかった危険が、明るみに出たというわけだ・・・」

 

俺は言葉を発さないまま、窓の外の欠けた月を見る。

 

三か月前、月が壊れ。 そして今度は響が壊れてしまう・・・。

 

「F.I.S.は月の落下に伴う世界の救済などと立派な題目を掲げてはいるが、その実もノイズを操り進んで人命を損なうような輩だ、このまま放っておくわけにはいかない・・・だが」

 

そういって弦十郎さんは拳を握り締める。

 

「響君を欠いた状態で、我々は『大丈夫だ』・・・奏?」

 

奏は弦十郎さんの発言を遮るように言葉を放った。

 

「あたしが響の分も戦えばいい、こうなった原因はあたしにある・・・!」

 

そういう奏の手は震えていた。

 

「あたしがあの時、もっと注意していれば・・・!」

 

奏の表情は暗く、その声は哀しみで震えていた。

 

「奏が悪いわけじゃねえ」

 

声も手も震えていた奏の手を、俺は握った。

 

「真・・・?」

 

「二年前、二人はみんなを助けるために必死だった。それは今でも覚えている。そして響を守った時だって同じだ。もし奏が守ってくれなかったら響は今生きていなかった」

 

「真・・・けど・・・」

 

「だから、一人で背負い込もうとするな。響の分も俺たちが頑張ればいいんだ。そうだろ翼」

 

「ええ、この問題は奏一人の問題じゃない。私たちも背負うべき問題だ」

 

そういって翼も奏の手を掴む。

 

「真・・・翼・・・!」

 

「それに、まだ結果が決まったわけじゃねえ。必ず響を助ける算段があるはずだ」

 

「助ける算段って・・・そんなのあるのかよ?」

 

「見つけるさ、日本中でも、世界中でもくまなく探し出して見つけてやる、響は絶対に死なせねえ」

 

「・・・そうだな、あいつは絶対に死なせないな」

 

そういう奏の手の震えは、もう止まっていた。

 

「ありがとうな真、翼。おかげで落ち着いた」

 

奏は手を離しいつもの表情を浮かべる。

 

「あいつには生きるのを諦めるなっていったからな。だったら絶対に救わないとな!」

 

「ええ、必ず」

 

「当たり前だ、あっあとこの事は響達には内緒にしよう。流石にショックがでかすぎるからな」

 

「わかっている、できる限り立花には戦闘をさせないように注意しよう」

 

俺たちが結審すると、弦十郎さんはゴホンッと咳払いをする。

 

「・・・まったく、俺を無視して話を進めてくれたな真君」

 

「あっ弦十郎さん、すみません・・・」

 

「だが、君の言う通りだ。俺たちだって響君を死なせるわけにはいかないからな、世界中から情報をかき集めてでも、響君を助ける手段を見つけて見せるさ」

 

「旦那・・・!」

 

こうして、俺たちの密談はひそかに終わった…。

 

 

 

 

 

それから数日後、俺と翼とクリスと奏とセレナはリディアンの開けた場所で響が来るのを待っていた。

 

少し待っていると奥から響がいつもと変わらない様子でやってきた。

 

「いや~めんぼくない」

 

「おっ、ようやく来たな」

 

「響さん、元気そうでよかったです」

 

「ごめんねクリスちゃん、セレナちゃん、この通り立花響、復活しました!」

 

「まあ完全じゃないけどな。弦十郎さんに言われただろ、しばらくは戦闘厳禁って」

 

俺が尋ねると響はウッと苦い顔をした。

 

「うっ・・・はい、電話越しに師匠からきつく言われました」

 

「仕方ないさ、暴走の影響がどれ位なのかまだ分からないし、しばらくは様子見というわけだ」

 

俺はなるべく響が傷つかないように言葉を選んで優しく戦闘させないように誘導する。

 

「まあそう落ち込むなよ、旦那も響のことを心配してそう言ったんだろうしさ」

 

「安心してくれ、立花が抜けた穴は私たちがしっかりと埋めてみせる」

 

「はい、私も響さんの分精いっぱい頑張ります!」

 

「つうわけだ、お前はしっかりと体を治しておくんだな」

 

「・・・わかりました、皆さんがそう言うなら」

 

よし、響も納得してくれたところで俺は自分の手を叩く。

 

「よし、それじゃあ話はここまでにしていつもの日常に戻りますか。奏とセレナは俺と一緒に二課に戻るか」

 

皆は頷き、俺たちはそれぞれの場所へと戻っていった・・・。

 

 

 

 

 

それから放課後、俺は響と未来、そして二人の友人の板場たちと一緒に階段を下りていた。

 

「真さんすみません、下校に付き合わせてもらって・・・」

 

「いいんだよ未来、最近は物騒だし護衛のつもりさ、それに俺もふらわーのお好み焼き食べたいし」

 

「・・・もしかしてそれが目的ですか真さん?」

 

「あっバレた?」

 

「ハハッ、ナマさんもビッキーと同じぐらい食べるの好きなんですね」

 

「ちょっと待て、なんだそのナマさんって?」

 

「えっ?継菜真(つぐなまな)だから間を取ってナマさんなんだけど?」

 

響達の友人の安藤創世は不思議そうな顔で首を傾げると、板場弓美が声をかけてくれる。

 

「ああ~気にしないで、ちょっと人に着けるあだ名があれなだけだから」

 

「ああ、今実感した」

 

俺が少し呆れていると今度は寺島詩織が訪ねてくる。

 

「それにしても真さんって不思議なお方ですよね?口調も女性の物とは思えないですし、なんだか男性みたいな・・・」

 

「そうそう、あたしも気になってたんだよね」

 

あれっ?この子なんか鋭いぞ!?

 

転生してから初めての性別の危機を感じるぞ!?

 

もしかして板場も違和感に・・・?

 

「女性なのに男性みたいな口調ってアニメみたいですっごく燃えるんだけど!真さんって好きなアニメってあるんですか!」

 

「・・・えっ、あっああ、まあ」

 

「やっぱそうなんだ!どんなアニメが好きなの?あたしはね~!」

 

・・・そっちかい!焦ったわ!?

 

「・・・響、未来。面白い友達だな」

 

俺の言葉に二人も苦笑いをした。

 

「それでもやっぱナマさんってビッキー達が言ってた通り面白い人だね」

 

「えっ?響たちが」

 

「うん、響と未来と話してるとよく真さんのことをよく言うし『わーっ!?』むぐっ!」

 

板場が何か言いかけてると響と未来がいきなり板場の口を塞いだ。

 

「どうしたいきなり!?」

 

「な、なんでもないよ!ねっ未来?」

 

「うん、なんでもないよ!」

 

「お・・・おう、そうか。」

 

二人して何慌ててんだ? まさか俺の蔭口でも・・・そんなわけないか。

 

俺はこのことをあまり気に留めず、みんなと階段を降りた。

 

 

 

俺たちが階段を下り切ると、三台の黒い車が横切った。

 

「あれ?あれって・・・」

 

「ああ、二課のだな」

 

それから車が見えなくなった瞬間、道の先で爆発が起きた。

 

「っ!?爆発!?」

 

「まさかっ!」

 

俺たちは急いで爆発した場所まで走った。

 

俺たちがたどり着くと、車は大破しており、地面には炭素が散らばっていた。

 

そして視線の先に複数のノイズと、布にまかれた何かを手に持つウェルがいた。

 

「ひ・・・ひひっ、誰が来てもこいつは絶対に渡しませんよ・・・」

 

ウェルは怪しげな笑みを浮かべながら手にしているものを見つめる。

 

「ウェル!お前の仕業か!」

 

俺が叫ぶと、ウェルは俺を見て怯えた表情をする。

 

「か、仮面ライダー!?何でこんなところに!?」

 

「それはこっちのセリフだ。 何か企んでやがるなら次はお前をぶっ飛ばしてやる」

 

「ひっ、ひぃぃぃぃぃ!!?」

 

ウェルは悲鳴を上げながら杖を俺たちに向けると、ノイズがこちらに飛んでくる。

 

「なっ!」

 

いきなりの突撃に俺はアタッシュカリバーを取り出すと、同時に響が俺の前に出てノイズに向かって走る。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

響は走りながら聖詠を歌いきる前に、生身でノイズを殴った。

 

「「響!?」」

 

「人の身で、ノイズに触れた…?」

 

俺と未来はその状況を見て声を上げた、生身でノイズに触れることは死と同義である。

 

・・・だがノイズに触れた響の腕は炭化せず、ギアが纏われていく。

 

そして響がギアを完全に纏うと同時に、殴ったノイズは砕け散った。

 

拳の衝撃で吹き荒れる中、響はその拳を握り締めて叫んだ。

 

「この拳も!命も!シンフォギアだ!」

 

その状況を見て、俺は弦十郎さんの言葉を思い出す。

 

 

『・・・身に纏うシンフォギアとして、エネルギー化と再構成を繰り返した結果、体内の浸食深度が進んだのだ』

 

 

『そうでなくとも、これ以上融合状態が進行してしまうと、それは果たして人として言えるのか…』

 

 

「響、お前・・・!?」

 

俺の胸の内に不安が生まれる中、戦いが始まった。




後書きの時間だが、落ち着いたかセレナ。
「はい、とても満足しました」
「うーん、この変わりよう」
「んじゃ話と行きますか、新しいあたしらのフォームは確か『ダイアウルフゼツメライズキー』と『サーバルタイガーゼツメライズキー』だったよな?」
「そうなんです、私今から変身するのが楽しみなんです!」
あっ~セレナ?多分だけどこの二つでないと思う。
「えっ!?どうしてですか!」
だってこのキー・・・ゼツメライズキーだから無理かと。
「ガーーーーン!!?」
「あーあ、セレナの奴固まっちまったぞ?」
「作者、バッサリと言い切ったな・・・」
いやプログライズキーだけじゃなくゼツメライズキーまで考えたらきりないから。
「セレナの奴、無事なのかな?」
多分次回には治ってると思う。
「メタいなおい」
後書き位メタらせろ、んじゃそろそろ〆ますか。

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」

「・・・・・・・・・」
「よし奏、台車もってこい、セレナ運ぶぞ」
「おう」


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迫りくる残酷な未来・・・

仮面ライダー生誕50周年おめでとう!!
「いや~仮面ライダーもここまで来たな」
ああ、伝説の一号から始まり今のセイバーまで続いて本当に凄いわ。
「こりゃあたしらも負けてられないな、作者」
ああ、此処まで続いている仮面ライダーに恥じない作品を作らないとな!
「では詳しい話はあとがきで話すとしまして、G編第十三話どうぞ!」


「響・・・?」

 

響がノイズに触れても大丈夫だったことに驚きを隠せない俺たち。

 

そんな驚きをよそに、シンフォギアを纏った響の体は薄い光を纏っている。

 

そして落ちてきた一枚の枯れ葉が響の体に触れた途端、枯れ葉は燃え尽きてしまった。

 

「な、なんだとっ!?」

 

「枯れ葉が・・・燃えた?」

 

枯れ葉とはいえいきなり燃え尽きたことに俺はさらに驚いた。

 

響から離れている俺たちにも感じることができるこの熱気・・・。

 

まさか・・・響の体温が急激に上がってる? シンフォギアの浸食のせいか?

 

「響、何がどうなっちゃてんの!?」

 

「っ! お前らは早く避難しろ、ここは危険だ!」

 

「あっ! わ・・・わかりました!」

 

「ヒナ!早く!」

 

安藤は未来の腕を引っ張ってここから離れた場所へと移動する。

 

「真さん、響をお願いします!」

 

「わかった!」

 

アウェイクン!

 

俺はみんなが避難したのを確認し、ライズスターターを押し込みドライバーを身に着ける。

 

そんな俺たちにウェルは怒りの込めた視線で睨みつけ、声を発した。

 

「お前たちはいつもいつも!都合のいいところでこっちの都合をひっちゃかめっちゃかにしてくれる!」

 

「悪人の都合なんざ滅茶苦茶にするのは当たり前だろ。 んで、ぶっ飛ばされる準備はできてんだろうな?」

 

「なめるなよ小娘がぁぁぁ!!」

 

ウェルはソロモンの杖を掲げて杖からノイズを何体も召喚した。

 

「いくら出してこようが、所詮は烏合の衆だろうが! 変身!」

 

俺は取り出したガーディアンハバキリプログライズキーを認証させ、ドライバーに装填する。

 

ブレイド!

 

オーソライズ!

 

シンフォニックライズ!

 

Wings flapping to a dream!ガーディアンハバキリ!

 

Imyuteus amenohabakiri tron.

 

俺はガーディアンハバキリに変身し、アームドギアとアタッシュカリバーを手にし構える。

 

ウェルの奴はぶっ飛ばしたいが、今は響が最優先だ。浸食が進まないうちに速攻で終わらせる!

 

 

『使用BGM  正義を信じて、握り締めて』

 

 

HEROになんて なりたくない

 

響の歌声と共に俺と響はノイズに接敵する。

 

響がノイズを殴り倒していく中、俺は二刀流で響よりも多くのノイズを切り倒していく。

 

「響!上空注意!」

 

俺がアームドギアを天に掲げる姿を見て響は察してノイズから離れる。

 

響が離れた後、翼の得意技である『千ノ落涙』が俺を中心に辺りに降り注がれノイズを貫いていく。

 

「ちぃっ! シンフォギアと同スペックの力なんて反則じゃないですか!」

 

「戦いに反則なんてあるもんか! こいつら終わったら次はお前だ!」

 

「くっ! お前はぁぁぁ!!」

 

ウェルは杖を使って新たにノイズを召喚する。

 

「何度やっても同じだ!」

 

俺は再び『千ノ落涙』を放ちノイズを貫いていくが、そのたびに新たにノイズが生みだされてくる。

 

「お前はいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもっもっもっもぉ!!」

 

ウェルはとち狂ったようにどんどんノイズを出してくる、このままじゃこっちがじり貧になっちまう。

 

「真さん!」

 

響の声が聞こえ後ろを振り向くと、右腕のバンカーが変形させた響がこちらへ飛んでくる。

 

「はぁぁぁぁぁああぁああ!!」

 

響が右腕を振り下ろすと、放たれた衝撃でノイズが吹き飛ばされる。

 

「ひっ…ひぃ!」

 

ウェル博士が慌てて再びノイズを召喚しようとするが・・・。

 

「させるかっ!」

 

俺は呼び出される前に接近しウェルの首元にアームドギアを突きつけようとする・・・が。

 

「っ! 真さん!」

 

突如目の前に黒い壁が現れアームドギアを防いでしまう。

 

「こいつは・・・まさか!?」

 

俺がウェルの後ろを見ると、そこにはギアを纏った調と切歌がいた。

 

「なんと鋸・・・」

 

「こんなタイミングでお前らかよ・・・!」

 

俺は調のアームドギアから距離を取り、響の隣へ移動する間に二人はウェルの前に出る。

 

「盾に使えるとか意外と便利だなそのギア」

 

「当然、この身を纏うシュルシャガナはおっかない見た目よりも汎用性がある、防御だってお手の物・・・」

 

「ここからはあたしたち二人が相手するデス!」

 

「そうか、そりゃ参ったな・・・」

 

ただでさえ響が危ないってのにノイズに加えて二人の参戦、間に合うかどうか危ういぞ?

 

「響、お前は後ろに下がって未来たちを守れ」

 

「真さん!でも・・・」

 

「響じゃあの二人を攻撃できないだろ、だったらここは俺が何とか抑える」

 

「でも・・・うぐっ!?」

 

響が何かを言いかけると、響はいきなり胸を押さえて膝をついた。

 

「響・・・熱っ!!」

 

まさか浸食が進んだのか!?俺が急いで響に触れようとすると響の体はさっきよりも高熱を放っていた。

 

まずい!早く何とかしないと響が!

 

「・・・どうやらガングニール装者は手負いの様ですね」

 

俺が振り返るとウェルはゆっくりと立ち上がり、その両手に何かを握っていた。

 

「ですが仮面ライダーは脅威ですからね・・・私が手助けしましょう!」

 

「っ!二人共後ろ!」

 

「「ッ!?」」

 

俺が叫ぶがもう遅く、ウェルは両手の道具を切歌と調の首に当て、何かを注射した。

 

それを知った二人は急いでウェルから離れた。

 

「っ!何しやがるデスか!」

 

「LINKER・・・!」

 

「効果時間にはまだ余裕があるデス!」

 

「だからこその連続投与です!あの化け物共に対抗するには今以上の出力でねじ伏せるしかありません。そのためにはまず、無理やりにでも適合係数を引き上げる必要があります」

 

俺たちを倒すために二人に無理やり薬を・・・どこまで外道なんだ!?

 

「でも、そんな事すればオーバードーズによる負荷で・・・」

 

「ふざけんな!何であたしたちがあんたを助けるためにそんなことを!」

 

「するですよっ!」

 

ウェルの謎の迫力に二人は怯んだ。

 

「いえ?せざるを得ないのでしょう!あなた達が連帯感や仲間意識などで僕の救出に向かうなど到底考えられないこと!」

 

「大方、あのおばはんの容態が悪化したからおっかなびっくり駆け付けたに違いありません!」

 

容態? 誰の事だ? 二人は図星だったようでウェルを睨んでいた。

 

「病に侵されたナスターシャには、生化学者である僕の治療が不可欠! さぁ。自分の限界を超えた力で私を助けてみせたらどうですか?」

 

あいつ・・・自分の仲間相手に人質を取るのかよ・・・!

 

「ウェル・・・お前は今まで見た中で一番の屑だ!」

 

「おや、怖い怖い。ですがあなた達の相手はこのお二人ですよ?」

 

そういって、指をさされた調と切歌は苦しそうにしながらこちらに振り返った。

 

「やろう、切ちゃん。マムの所にドクターを連れ帰るのが・・・私たちの使命!」

 

「・・・絶唱、デスか?」

 

「っ! 止めろ!いくら適合係数が上がったとしても絶唱を使ったら命に係わるぞ!」

 

俺はその言葉を聞いて、二人を制止しようとするがそれを書き消すようにウェルが叫ぶ。

 

「そう、ユー達歌っちゃえよ!適合係数がてっぺんに届くほどの、ギアからのバックファイアを軽減できることは、過去の臨床データから実証済み!だったらLINKERぶっこんだばかりの今なら、絶唱歌い放題のやりたい放題!」

 

「ふざけんな!二人共そんなことするな!そんなことをしてもしものことがあったらどうするんだ!?下手すれば命を落としかねないんだぞ!」

 

「・・・それでも、私たちは!」

 

「マムを助けるんデスっ!」

 

俺の声は届かず、二人は歌う。

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

 

「っ!この歌は・・・!」

 

二人の絶唱を聞いて響が胸を押さえながら起き上がる。

 

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

 

二人が絶唱を歌うとき、脳裏に前のことが甦る。

 

クリスが自分の命を懸けて歌い、地に落ちたあの時を。

 

セレナが過去のことを思い出し、涙を流すあの時を。

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

 

「駄目だよ・・・一回頼りなんでしょ!装者の命をボロボロにしてしまう!」

 

「自分の命を投げ捨てるんじゃねえ!歌うのをやめろ!」

 

「女神ザババの絶唱二段構え!この場の見事な攻略を・・・これさえあれば、こいつを持ち帰ることだって・・・!」

 

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

 

歌いきった瞬間、二人のギアに変化が起きる。

 

調のシュルシャガナはその形状を変え、両腕と両足からもアームドギアを繰り出す。

 

「シュルシャガナの絶唱は、無限軌道から繰り出される果てしなき斬撃。これで膾に刻めなくとも、動きさえ封殺できれば!」

 

対して切歌のイガリマはその刃を巨大に変え、勢いを加えるであろうブースターが取り付けられる。

 

「続き!刃の一閃で、対象の魂を両断するのがイガリマの絶唱。そこに、物質的な防御手段などありえない!まさに、絶対絶体です!」

 

まずい、響の浸食に加えて二人の絶唱!このままじゃ俺たちどころかあの二人まで!

 

・・・そんな時、隣から歌が聞こえた。

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

 

「っ!? 響っ!?」

 

隣を見ると響も絶唱を歌っていた。

 

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

 

響が絶唱歌うと、二人の方に変化が訪れた。

 

「・・・エネルギーレベルが、絶唱発動まで高まらない?」

 

「減圧?」

 

二人がそう言うと、変化していた二人のギアが元の形の戻る。

 

まさか・・・響が二人の絶唱と無理やり束ねた!?

 

響の手を繋ぐことに特化した力が、二人を助けるために。

 

そして響は意を決し、叫ぶ。

 

「セット!ハーモニクス!」

 

その瞬間、周りにエネルギーが拡散され、周りからエネルギーが響に吸い込まれていく、それは二人からも吸い取っていた。

 

「こいつが・・・エネルギーを奪い取っているのデスか?」

 

力を無理やり束ねようとする響の胸元からは、赤黒い光が漏れ出し、響の足元が燃え出した。

 

「響!それ以上やったらお前の体が!」

 

「だとしても・・・私は・・・二人に絶唱を使わせない!」

 

響は苦しみを抑えながら、ギアを収束させていく。

 

「私・・・あの時誓いました。みんなの笑顔を守りたいって・・・だから!」

 

響は収束したギアを高速回転させ、天に拳を構える。

 

「私は、二人の笑顔を守るんだぁぁぁぁぁぁああぁ!!」

 

響はそう叫び、蓄積させたエネルギーを天に放った。

 

それは天にも届く虹色の竜巻。調と切歌を助けるための一撃。

 

笑顔を守るために放ったその一撃は・・・。

 

残酷な未来へ、促進させるのだった…。




後書きの時間だ!
「んで作者、仮面ライダー50周年なわけだけど、作者の初めてみた仮面ライダーって何なんだ?」
そうだな・・・やっぱりディケイドが俺の始まりだったな。
「出た破壊者」
まあ当時はあんま特撮はあんま見なかったし、本格的にライダーを見始めたのはビルドからだな。そっからジオウ、ゼロワン、セイバーと続いて他の作品もレンタルして知ったわけ。
「へえ。んじゃ作者、あんたの中で好きなライダーってなんだ?」
個人的に好きなのは・・・てか平成と令和ライダーはみんな好きだな。
「あれ?昭和はどうなんですか?」
あれはさすがに古すぎて・・・。
「・・・まあ、此処まで仮面ライダーが続いたんだ、俺たちも負けるわけにはいかないな」
そうだな、それじゃあ仮面ライダーを応援しながら今回は〆ますか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!そして仮面ライダー生誕50周年おめでとう!」」」」


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運命は狂いだす

さて、G編第十四話なわけだけど、この作品とは関係ない話してもいい?
「唐突だな、まあいいけどさ」
ありがとう、実は主人公であるお前の誕生日の事なんだが・・・。
「おい何が関係ない話だ、滅茶苦茶関係あるじゃねえか」
まあ落ち着け、それでお前の誕生日をいつにしようか考えてんだよな。
「そういうのって真っ先に考えるもんじゃないのか?」
考える暇なかった、てなわけでそこら辺の話はあとがきにでも話すわ、てなわけでG編第十四話どうぞ。
「あれ?私一言も話してない」
「どんまいセレナ」


「みんな、こっち!」

 

私達は真さんに言われて離れた場所へと避難している。

 

「ねえヒナ、ビッキーもナマさんも大丈夫なのかな?」

 

安藤さんが心配そうに尋ねてくる、確かに響の様子もおかしかったし・・・。

 

「・・・それでも、今は二人を信じよう」

 

私がそう言って、みんなが頷くと前の方から二人やってきて私たちの前で止まった。

 

「お前ら! 無事だったか」

 

「大丈夫か、皆さん?」

 

「クリス!セレナちゃん!」

 

私達の前にやってきた二人に、私たちは何が起きたのか説明した。

 

「やはりウェルの野郎が現れたか・・・」

 

「それより、早くお二人の救援に向かわないと!皆さんは安全な場所まで避難を」

 

セレナちゃんがそう言った時、大きな振動が起き地面が揺れた。

 

「きゃあ!!」

 

「何これ!? 地震!?」

 

「いきなり地震だなんてアニメじゃないんだし…!」

 

「み…皆さん、後ろを!」

 

寺島さんが指さした方を見ると、後ろの方から虹色の竜巻が起こっていた。

 

「おい、あれはまさか!」

 

「間違いありません、響さんの絶唱です!」

 

「っ!」

 

私は二人の言葉を聞いて、急いで振り返り二人の元へと向かった。

 

「おい!?そっちは危険だ、戻れ!」

 

「クリスさん!私たちも向かいましょう!」

 

響・・・真さん・・・無事でいてください!

 

 

 

 

 

響のトライバーストが消えた後には、響を中心にまるで爆心地のような跡が残っていた。

 

「はぁっ・・・!! はぁっ・・・!!」

 

「響!大丈夫か!?」

 

絶唱を使った響は今までよりも息を切らして膝に手を当てている。

 

相手の方を見ると、切歌と調の方も息は切らしているが大丈夫そうだった。

 

そしてむかつくことにウェルの奴も無事だった、あいつも吹っ飛べばよかったのに・・・。

 

そしてお互いに膠着状態になっているとき、上空から突如輸送機が現れた。

 

「あれは、あの時の!」

 

輸送機からワイヤーが下りると二人はウェルを連れてこの場から離れてしまう。

 

俺は追いかけようとするが、響を置いて行くわけにもいかない。

 

俺は立ち去っていく輸送機を見ているだけだった。

 

「くそっ!」

 

俺が悔しそうにしていると、奥から未来が走ってやって来る。

 

「響!真さん!」

 

「未来!何でここに!」

 

未来がやって来ると、突然響がその場に倒れてしまう。

 

『響!?』

 

俺と未来の声が重なり、俺が響の様子を見ると響の胸元に、何かの鉱石が出来ていた。

 

「これは・・・あの時の!」

 

その鉱石は数日前、弦十郎さんが見せてくれた物と同じだった。

 

「響!しっかりしろ・・・熱っ!!」

 

俺が響の方に触れた時、尋常じゃない熱さがスーツ越しに感じた。

 

「響!?」

 

「近づくな未来!近づいたら火傷じゃすまないぞ!」

 

「そんな!?じゃあどうすれば…!」

 

「今はまず、響の体を冷やさないと!」

 

俺は響の体を冷やすため、ホルダーからキーを取り出す。

 

ブリザード!

 

オーソライズ!

 

上空からフリージングベア―ライダモデルが降ってくるが、ライダモデルは倒れている響を見てあたふたしていた。

 

「響を助ける、力を貸してくれ!」

 

俺の言葉にライダモデルは頷き、俺はそのままキーを装填した。

 

プログライズ!

 

Attention freeze! フリージングベアー!

 

Fierce breath as cold as arctic winds.

 

俺はフリージングベア―フォームへと変え、両腕の『ポーラーブリーザー』で冷却しようとするが、冷気が響の体に当たるとすぐに蒸発してしまう。

 

「くそっ!どんだけ高熱なんだよ!」

 

このままじゃ響がまずい・・・だったら!

 

「響、少し冷たいが我慢しろ!」

 

俺は響に抱き着き、ゼロ距離で冷却を始める。

 

「真さん!?」

 

「ぐぅっ・・・!あっつ・・・!」

 

フリージングベアーに取り付けられている極低温装甲『トランスパー』なら熱を急速に奪うことができるはず。

 

抱き着いた瞬間、響の体から大量の蒸気が発せられ、高熱と蒸気が俺の体を襲ってくるから早く終わらせるために抱き着きながらも両腕での冷却も続ける。

 

俺が冷却していると、未来の後ろから変身したクリスとセレナ、そして反対方向から翼と奏がやって来る。

 

「おい!これはどうゆう状況だ!?」

 

「皆! 響が!響が!!」

 

「落ち着け小日向!」

 

皆の声が聞こえる中、俺は熱に耐えながらも響の冷却に集中する。

 

「しっかりしろ・・・響!」

 

暫く冷却していると響の体が光りだし、光が消えると響はギアを解除し気を失っていた。

 

俺は響がギアを解除したのを見て変身を解き、響を抱き上げる。

 

「響!」

 

それを見た未来たちが寄ってきて、未来は気を失っている響に呼びかける。

 

「大丈夫だ、気を失ってるだけだ・・・」

 

「継菜、すまない。私たちが早く駆けつけていれば立花を守れたはずなのに・・・」

 

「済まない、あたしも気を付けていたはずだったんだが・・・!」

 

「気にすんなよ二人共、ウェルの出現は誰も予想しなかったんだ」

 

「守れなかった?」

 

俺たちの会話を聞いて、クリスとセレナ、そして未来がこちらに視線を向ける。

 

「おいお前ら、守れたはずってどういうことだよ・・・!」

 

「もしかして、響さんのこの状態について何か知ってるんですか?」

 

「そ・・・それは」

 

翼が言葉に詰まってる中、俺は意を決して翼の肩に手を置き前に出る。

 

「翼、言うべきだと思う」

 

「継菜・・・でも」

 

「・・・遅かれ早かれ、いつかばれるんだ」

 

「真さん・・・」

 

すると上空から二課の救護ヘリがやって来る。

 

「詳しく話すよ、響のことを」

 

 

 

 

 

二課の所有する潜水艦内の治療室にて響が治療を受ける中、俺は三人に響の容態について話した。

 

「聖遺物の浸食だと!?」

 

「ああ、俺たちも最初は耳を疑った、けどあの時の響を見て痛感した」

 

ガングニールが響の体を侵食していることにクリスもセレナも未来も驚いていた。

 

「そんな、聖遺物が人体に侵食するなんて・・・」

 

「それも、あの馬鹿がギアを纏う度に浸食が進んじまうってのかよ!」

 

「ああ、だから弦十郎さんは響に戦闘厳禁の命を与えたんだ、浸食が進まないように」

 

重い空気の中、さっきから黙っていた未来が訪ねてくる。

 

「・・・それで、響はどうなっちゃうんですか?」

 

未来の質問に俺と翼と奏は少し固まった、そんな俺たちを見て三人は不安の顔をした。

 

そして少し間を置き、俺は口を開く。

 

「・・・遠くないうちに、死に至るらしい」

 

『!?』

 

俺の言葉に三人は驚いた、あの時の俺たちと同じように信じられないような表情で。

 

「おい・・・嘘だろ? 死ぬなんて・・・」

 

クリスが恐る恐る聞くが、俺は黙って首を横に振った。

 

「・・・何でだ、何でそんな大事なことを黙ってたんだ!?」

 

クリスが怒声を上げる、何で自分たちに言わなかったのかという怒りの声を。

 

「そ・・・それは・・・」

 

「俺が内密にしようと提案したんだ、みんなを混乱させないために、本当にすまない」

 

奏が言葉に戸惑う中、俺が先にそう言って三人に頭を下げる。

 

「真!」

 

「いいんだ奏、最初に提案した俺の責任だ。どんな言葉も受ける覚悟だ・・・けど、まだ結果が決まったわけじゃない。必ず響を元に戻す方法を探して見せる、絶対に」

 

俺は頭を下げながらも三人に語り続ける。

 

『・・・』

 

三人が黙っている中、緒川さんが駆け付けてくる。

 

「皆さん、当座の応急処置は無事に終わりました」

 

「響は・・・響は無事なんですよね?」

 

「はい、今は眠っていますが大丈夫です。今は病室で安定にしています」

 

緒川さんがそう言った後、俺はみんなに言う。

 

「響の浸食を防ぐためにも、俺たちが何とかしないといけない。未来には響を日常的にサポートしてくれないか?」

 

「・・・はい、わかりました」

 

「ありがとう、俺たちは響の分もF.I.S.を何とかしないといけない、街中で起きたことを弦十郎さんと一緒に話し合いたいんだが」

 

「わかりました、司令は司令室にいます」

 

俺たちは緒川さんと共に指令室へと向かった。

 

「・・・っ」

 

途中、未来が悲しそうな表情をしてたことを、この時誰も知らなかった。

 

 

 

 

 

「済まないなセレナ、買い物に付き合わせて」

 

「いえ、これ位大丈夫ですよ」

 

あの日から後日、俺はセレナと共にスーパーへと買い物に来ていた。

 

「それにしてもマム・・・ナスターシャという人物を人質にとるとか、あいついつか絶対に顔面ぶん殴ってやる」

 

「落ち着いてください真お姉ちゃん・・・怒りたいのは私も同じです」

 

レジ袋を手にしているセレナの手は力強く握られていた。

 

「・・・そうだったな、俺だけが怒っても仕方ないか」

 

「そうです、この怒りはいつかあいつにぶつけてやりましょう」

 

「セレナも容赦がないな、その案には滅茶苦茶賛成だが」

 

俺たちの怒りが静まったところで、前方から缶詰が足元に転がってくる。

 

「んっ?缶詰?」

 

「誰かの落とし物でしょうか?」

 

俺が拾い上げると前方から誰かが来る。

 

「すみません、私たちの荷物がこっちに・・・っ!」

 

「ああ、大丈夫・・・だっ!?」

 

俺が顔を上げると、そこには買い物袋を手にしていた切歌と調がいた。

 

・・・何でこうも遭遇率が高いんだよ!?なんかしたのか駄目神!?

 

「お前!何でここにいるんデスか!?」

 

「それはこっちのセリフだ!」

 

俺と切歌が慌てる中、調とセレナは俺たちを落ち着かせる。

 

「切ちゃん落ち着いて・・・」

 

「真お姉ちゃん、少し落ち着いて」

 

「調は何で落ち着いてるんデスか!?」

 

「セレナ!?こういう場合お前が一番取り乱すはずだろ!?」

 

「いえ、私も慌てたいんですけど・・・」

 

「私達、今目立ってる・・・」

 

「「えっ・・・あ」」

 

周りを見ると、ほかの買い物客や定員さん達もこちらを見ていた。

 

「「ご・・・ごめんなさい(デス)」」

 

俺と切歌は素直に謝って四人揃ってスーパーを後にした。

 

 

 

 

 

スーパーを後にした俺たちは近くの廃墟で腰を据えていた。

 

『・・・・・・』

 

お互いに何もしゃべらず、沈黙状態が続くが、最初に口を開いたのは俺だった。

 

「あ~、お前ら、あの時LINKERを投与されたみたいだけど体の方は大丈夫なのか?」

 

「・・・まだ完全とは言えない、過剰投与されたLINKERの副作用が抜けきるまでは私たちはおさんどん係だから」

 

「そうか・・・けど命に別状がなくてよかったよ」

 

「今度はこっちから質問・・・」

 

俺が安堵していると、今度は調の方から聞いてきた。

 

だがその視線は俺にではなく、セレナに向けられていた。

 

「・・・貴方は、私たちが知っているセレナなの?」

 

「はい、その通りですよ」

 

調の質問にはっきりと答えたことに二人は驚いた様子だった。

 

「ほ、本当デスか!? 偽物じゃないんデスよね!」

 

切歌はまだ疑っている、まあそれが普通の反応だよな。

 

「偽物じゃありませんよ。例えば数年前施設にいた時、暁さんがベットで・・・」

 

「デェェェス!?それは言わないでください!?」

 

((何したんだ『ろう』?))

 

「ふふっ、分かってますよ。それでそのことでマリア姉さんと相談してましたからね」

 

「うう~っ、けど確かにそのことを知ってるのは私とマリアにその時近くにいたセレナしか知らないデスね」

 

「これで信用してもらえますよね?」

 

「はい、わかったデス・・・」

 

二人はセレナが偽物じゃないと信じてくれたそうだ。

 

「けど、それならなおさら何でセレナはそこの仮面ライダーと一緒にいるんですか?」

 

「それは簡単です。今私は真お姉ちゃんの家に住み込みしているからです」

 

「やっぱりそうだったんデスか!?酷いことされてないデスよね!?」

 

「おい、さらっと失礼だな」

 

「されてませんよ、真お姉ちゃんは優しいですから」

 

「それならよかったデス・・・」

 

「それよりも次はこちらからの質問です・・・今、皆さんは何を計画してるんですか?」

 

セレナからの質問に二人は一瞬反応する。

 

「あの時言ったはずデス、正義では守れない物を守るために行動しているんデス」

 

「その正義では守れない物って何なんですか?」

 

「そ、それは・・・」

 

そういって切歌はこちらに視線を向ける、敵である俺がいるから言いにくいことなのか。

 

・・・てか、さっきから調の方がやけに静かだな?

 

「ど、どう言えばいいデスか調・・・調?」

 

「月読さん?」

 

切歌とセレナが調に呼びかけるが反応はなく、調の方を覗くと。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

調の息は荒々しく、汗をかいており具合が悪そうだった。

 

「調!?大丈夫デスか!?」

 

「まさか、LINKERの副作用か!?」

 

「まさか、さっきからそんな調子だったんですか!」

 

「はぁ・・・大丈夫、これぐらい」

 

そういって調は立ち上がるが、足元がふらつき倒れそうになる。

 

「危なっ!」

 

俺はとっさに調を受け止め、再び座らせる。

 

「セレナ!俺たちがの買い物袋の中に氷が入ってる袋があったはずだから出してくれ!」

 

「わかりました!」

 

セレナが買い物袋を漁っていると、上のほうからガコンッという嫌な音が響いた。

 

「っ!今のって!」

 

セレナと切歌も聞こえたようで俺たちが上を見上げると、上の方から大量の鉄パイプが降ってきた。

 

「しまっ!!」

 

降ってくる鉄パイプに対し何も反応ができず、俺は目をつぶった。

 

その瞬間、俺たちの周りに衝撃が響いた。

 

 

 

・・・だが、衝撃が起きたにもかかわらず、痛みは来なかった。

 

不審に思った俺はゆっくりと目を開けると・・・。

 

「・・・えっ?」

 

そこには、鉄パイプに対し手をかざした切歌、そして切歌の掌からはバリアのようなものが俺たちを守ってくれていた。

 

「暁さん・・・それは・・・!」

 

「わ・・・私にもさっぱりデス」

 

二人は困惑しているが、俺はこのバリアのことを知っている。

 

「これは櫻井さんの・・・フィーネと同じバリアだ・・・」

 

でもフィーネはマリアのはず・・・まさか!?

 

俺とセレナは切歌に視線を向けた。

 

「暁さんが・・・フィーネ」

 

ここにきて、新しい問題が増えるのかよ…!




後書きの時間だ、とりあえず今回の感想を三行で纏めろ。
「響の症状が悪化した」
「クリス達に響のことがばれた」
「暁さんがフィーネだった」
パーフェクトだお前ら、見事だ。
「んで、真の誕生日はどうすんだよ?」
それなんだが、こいつの誕生日を俺に合わせてもいいか?
「作者さんの誕生日にですか?それっていいんでしょうか」
まあ別に知られてもいいわけだし、ついでに俺も祝福されたいし考える手間が省ける。
「それが狙いか、けどそれでいいのか」
分からん、だからアンケートで俺と同じでいいか、同じじゃない方がいいか取って見ようと思ってな。
「そういうことか、まあいいんじゃないか?」
だな、正直どうなるかは神のみぞ知ることだ、んじゃそろそろ〆るぞ。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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彼女たちの思い


さあ、G編第十五話にして、前回のアンケートの結果発表だ。
「んで、何票来たんだ?5か?6か?」
流石にそこまで少なくねえよ、さて気になるアンケート結果は・・・。
ダララララララララララララララララララララッ・・・ダンッ!
「ドラムロールなげえ」
16対4で俺と同じ誕生日になりました!
「おおっ、20票もきてたのか!」
はい、正直驚きました、アンケートに投票してくれた皆さん本当にありがとうございます!
「それで真お姉ちゃんの誕生日はいつになるんですか? というより作者さんの誕生日っていつなんですか?」
ふふふっ・・・そこはあとがきで発表しよう!それではG編第十五話どうぞ!


俺たちを守るように切歌の掌から展開されているバリア、それはあの時櫻井さんが俺と響と翼を守ってくれた時と同じ力だった。

 

「なにが・・・どうなってやがるんですか?」

 

切歌が困惑する中、バリアは消滅し鉄パイプは周りに散らばる。

 

俺とセレナは立ち上がり、切歌に視線を向けた。

 

「何で・・・フィーネの力がマリア姉さんじゃなくて暁さんに?」

 

「そんなの分からないデス!私の中にフィーネの魂があるはず・・・!?」

 

「けど、今のバリアは間違いなくフィーネの力だ」

 

俺の発言に二人の視線が俺に向けられる。

 

「フィーネの力は間近で見たことあるからな・・・間違いないとおもう」

 

「じゃあ、このままじゃ暁さんがフィーネに・・・?」

 

「そ・・・そんな・・・!」

 

つかの間の静寂と不安が俺たちを包んだ。

 

「・・・んんっ」

 

「っ!調!」

 

此処で気を失っていた調が目を覚ます。

 

「あれ・・・切ちゃん?」

 

「調! なんともないですか」

 

「うん、ちょっと頭がくらくらするけど・・・」

 

「まだ万全じゃないみたいだな、セレナ」

 

「はっはい!」

 

セレナは俺たちの買い物袋から氷入りの袋を取り出し、調の額に当てる。

 

「大丈夫ですか、月読さん?」

 

「うん、ありがとうセレナ」

 

調に簡易的な処置をするけど、ここに居たらまた何か降って来るかもしれないしな・・・。

 

「・・・しゃあない、あそこに行くか」

 

『あそこ?』

 

俺の言葉に三人は反応する。

 

「確かこの先だったしな・・・よし行くぞ三人共」

 

「行くって、どこに連れて行く気デスか?」

 

切歌が怪しむような視線で俺を見る、まあそりゃそうだよな。

 

「安心しろ、少なくとも二課には連れて行かねえよ。それにここじゃ危ないだろうしな」

 

「で・・・デスけど」

 

「それに調もそんな様子だし、安全なところでゆっくりさせた方がいいだろ」

 

俺が正論を言うと、切歌は押し黙った。

 

「ところで、どこに行くんですか?」

 

「ん~、顔見知りの店?」

 

 

 

 

 

「おや、いらっしゃい真ちゃん」

 

「お邪魔するよおばさん」

 

俺が連れてきたのは『ふらわー』だった。

 

「あら?後ろの子はお友達かしら?」

 

おばさんはセレナたちを見てそう聞いてくる。

 

「ああ・・・まあ、知り合いではありますね。悪いですけど部屋借りてもいいか、この子の具合がよくなくて」

 

「ど・・・どうも」

 

「あら!それは大変ね。わかったわ二階の部屋を使っていいわよ」

 

「ありがとうございます」

 

おばさんは快く了承してくれた、本当にありがとう。

 

俺たちはすぐに二階に上がり、すぐに布団を敷いてそこに調を寝かせ、洗面所から水入りの桶とタオルを持ってきて、絞ったタオルを額に乗せる。

 

「とりあえず、これで少し寝ておけば安心だろ」

 

「具合の方はどうですか、月読さん?」

 

「うん、さっきよりはマシになった・・・」

 

「それはよかったです」

 

そうして調を横に寝かせて少し時間が立ち、調が質問してきた。

 

「・・・なんで、私たちを助けてくれたの?」

 

「? 困ってる人が居たら助けるのは当たり前だろ?」

 

「当たり前って・・・私たちは敵同士なんデスよ!?」

 

「別に敵同士だからって助けない理由にはならないだろ、それにこの場に響が居たら絶対に同じ事するだろうしさ」

 

「ああ、確かに響さんもお二人のことを助けそうですね」

 

「ど・・・どこまでお人よしなんデスか!?」

 

切歌が声を上げると、扉が開きおばさんが入ってくる。

 

「お好み焼き作ってきたよ、そろそろお昼時だからお腹すくだろうと思ってね」

 

そういうおばさんの手には人数分のお好み焼きが皿の上に積まれていた。

 

「本当デスか!ありがとうデス!」

 

「そういえばそろそろお昼だな、わざわざすみません」

 

「いいのよ、寝ている子の分も作っておいたから仲良く食べるんだよ」

 

おばさんが部屋から出ると、切歌は目を輝かせていた。

 

「調!調!とっても美味しそうデスよ!」

 

「おっおう、お好み焼きでそんなにテンションが上がるとは・・・」

 

俺が切歌の反応に驚くと、調はゆっくりと起き上がる。

 

「いつもカップ麺とかそういう簡易食で済ませてるから・・・」

 

「えっ?そんなにお金ないんですか?」

 

「うん、あまり贅沢はできないからね」

 

「そ、そうか・・・」

 

俺は二人に聞こえないようにセレナと小声で話をする。

 

『F.I.S.ってそんなに資金難な組織なのか?』

 

『いえ、私がいたころはそこまでは・・・』

 

『そうか・・・』

 

俺たちが振り返ると、二人は美味しそうにお好み焼きを食べていた。

 

『・・・まあ今はその話はおいといて、俺達も食べるか』

 

『そうですね』

 

そうして、俺たちは敵味方関係なく昼飯を食べた。

 

・・・今思えば敵と昼飯食べるって中々ないシチュエーションだな。

 

 

 

 

 

少しして、俺たちはお好み焼きを食べ終えた。

 

「ふぅ~満足デス」

 

「月読さん、お身体の調子は?」

 

「うん、さっきよりはよくなった」

 

「そりゃよかった・・・ところで二枚ほど残ってるみたいだけど?」

 

更を見るとお好み焼きが二枚ほど残っている。

 

「これはお土産デス。マリアとマムにも食べてもらいたいんです」

 

「うん、私達だけなのはずるいからね」

 

あら、この子達優しい。

 

「さて、腹も膨れたことだし・・・そろそろ本題に入るか。 お前らは何が目的なんだ」

 

俺の言葉に場の空気が変わる。

 

「正義じゃ守れない物を守るとは言ってたけど、いったいどうやって守るんだ」

 

「教えてくれませんか。暁さん、月読さん」

 

「そ・・・それは・・・」

 

「悪いけど、それは言えない」

 

切歌がたじろぐ中、調が答える。

 

「・・・どうしても、ですか」

 

「うん、いくらセレナでも相手に情報は渡さないよ」

 

「・・・そうですよね」

 

セレナと調が話していると、弦十郎さんから連絡が入ってくる。

 

「はい、真です」

 

『済まない、実は響君の事で話があるんだ。至急セレナ君と共に二課へ来てくれないか?』

 

「響のことで? はい、わかりました」

 

俺はそう言い、連絡を切る。

 

「セレナ、急いで二課に戻るぞ」

 

「はい、わかりました」

 

俺とセレナは立ち上がり、ふらわーから出ようとする。

 

「んじゃ、俺たちは此処で・・・無理すんなよ」

 

「わかってる、けど戦うときは手加減はしない」

 

「そこまで言えれば大丈夫か・・・」

 

俺は視線を切歌に向ける、切歌の顔は暗かった。

 

「月読さん、暁さん、このことは・・・」

 

「わかってる、マリアに言ったら混乱すると思うから内緒にする」

 

「ありがとうございます・・・後それともう一つ。ウェル博士には気を付けてください」

 

そういったセレナの顔は真剣そのものだった。

 

「・・・わかった」

 

そう聞き、俺たちは今度こそその場から離れた。

 

響の件でも大変なのに切歌がフィーネか・・・大変な状況になっちまったな。





さあ、後書きの時間だ!
「んじゃ、そろそろ教えてくれよ、俺&作者の誕生日をさ」
了解、それでは気になる俺たちに誕生日は・・・・。
ダララララララララララララララララララララッ・・・ダンッ!
「だからドラムロールなげえ」

9月13日です!

「「「おぉぉぉぉ・・・ってちょっと待って(まて)!?」」」
「その日って響の誕生日だろ!嘘ついてんじゃねえよ!」
いや嘘とかそんなんじゃなくて、マジで9月13日が俺の誕生日なんです。
「そんなミラクルがあるのか!?」
俺も知った時は驚き、そして歓喜しましたね。
「そうだったんですか・・・じゃあ真お姉ちゃんの誕生日は」
そう、響と同じ日になる。
「マジかよ・・・」
マジだよ、それじゃあ主人公の誕生日も決まったことだし、そろそろ〆るか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

・・・ちょっと待て、今回誰も切歌たちの話に触れてなかったぞ!?
「「「あっ忘れてた」」」

デェース!?


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失われた陽だまり


さあ、G編も第十六話なわけだけど、ここで皆に重大な発表があります。
「なんだ?失踪とか言ったらぶっ飛ばすぞ」
失踪はしないよ!?そうじゃなくて・・・。
「ん?じゃあなんなんだ?」
え~この度真紅林檎、なんと・・・。
「なんと?」
他の作者さんとコラボ小説を書くこととなりました!
『えぇ――!?』
「うそだろ!?こんな底辺作者とコラボしてくれる人がいるのかこの世の中に!?」
お前言いすぎだろ!?まあ詳しい話はあとがきにて、それではG編第十六話、どうぞ!


「ああ~~~~っ・・・」

 

切歌達と別れ、弦十郎さんから話を聞いた後、俺は二課の休憩室でテーブルに頭を乗せていた。

 

「真お姉ちゃん、大丈夫?」

 

「セレナ・・・この状況で大丈夫に見える?」

 

「いえ全く」

 

「・・・すっぱり言ったな」

 

俺がなぜこうしてるのかは弦十郎さんの話にある。

 

曰く、俺とセレナが切歌達と話しているときに響の容態をメディカルチェックした際に、響の体内に新たな臓器が生成されてたらしい。

 

その新たな臓器は響の中のガングニールの欠片の浸食と増殖が進んだ結果生まれたらしく、その臓器が響の爆発的な力の源であり、同時に命を蝕む原因らしい。

 

「切歌の件に続いて響の件・・・頭が痛くなってきた、マジで響を元に戻す方法を考えないとな」

 

しかしどうやって元に戻せばいいんだ?神話とか聖遺物とかに元に戻す力を持った奴ってあったっけ?

 

「真お姉ちゃんの持ってるキーにはそういうのはないんですか?」

 

セレナが俺に聞いてくる、プログライズキーねぇ・・・。

 

「まあ、あるにはあるんだけどさ・・・あれは最終手段だからな」

 

「あるんですか、可能なのが!?」

 

セレナが驚いて俺を見る中、俺は懐から『銀色の異質な形のキー』を机の上に置く。

 

「これがそうなんですか?」

 

「そうなんだけどさ・・・これはマジで危険だからな」

 

「危険・・・ですか?」

 

「このキーの能力が『あらゆる物を分子レベルで破壊する』ことなんだよな」

 

「分子レベルって、それならいけるんじゃないんですか!?」

 

セレナが希望の眼差しでキーを見る、けどなぁ。

 

「けどこの方法、欠点があるんだよな…」

 

「欠点?」

 

「力が強すぎるんだ、仮にこれを響にぶつけたら響ごと分子レベルに破壊しかねないんだよな」

 

これを響にぶつけた瞬間、響が粉々になる絵が容易に想像できてしまう。

 

「怖っ!?」

 

「けどもしかしたらうまくいくかもしれない、けど上手くいかなかったらその瞬間バッドエンド、だから最終手段なんだ、だからこれ以外で治す方法を考えないと・・・」

 

「・・・真お姉ちゃん、響さんのことを大事に思ってるんですね」

 

別の方法を考えていると、セレナが質問してくる。

 

「当たり前だろ、今だに響の奴は危なっかしいんだし、それにあいつとは奏たちと同じぐらい長い付き合いだからな」

 

「そうなんですか」

 

「ああ、まあな」

 

俺はそう答え、再び治す方法を考え込む。

 

「・・・なんだか羨ましいな」(ボソッ)

 

「んっ?なんか言ったか?」

 

「いえ、なんでも。そういえば今日響さんは?」

 

「ああ、今日は未来と一緒にスカイタワーに出掛けたみたいだ、本人からメールで来た」

 

ライズフォンの受信メールには、『今日は未来と一緒にスカイタワーでデートに行ってきます!』という文章が送られてきた。なんというか、こんな状況なのに響らしいな。

 

 

 

 

 

私は今、未来と一緒にスカイタワーにデートに来ているけど、私の胸の内は別のことでいっぱいだった。

 

前にメディカルチェックで見つかった知らない臓器、ガングニールの浸食で生まれた私の命を蝕んでしまう原因。

 

これを聞かされた時、頭が真っ白になった。

 

『私としてはこれ以上立花に戦ってほしくない、私は立花の命を散らしたくないんだ』

 

その場にいた翼さんがそう言ってくれたけど、その時のみんなの顔は心配そうな表情をしていた。

 

私は師匠に言われた通りゆっくりと休むため、今日未来とスカイタワーに来ている。

 

「・・・響、どうしたの?」

 

「ふぇ? あっいや、なんでもないよ!」

 

「・・・ならいいんだけど」

 

私と未来はスカイタワーを楽しんだ後、展望台で町中を見ていた。

 

「ねえ響、少し気になる事があるんだけど聞いていいかな?」

 

「えっ何?」

 

「響って真さんのことをどう思ってるのかなって」

 

真さんの事?未来からそんなこと聞かれるなんて初めてだ。

 

「・・・真さんにはいつも助けてもらってるから、すっごく頼もしいって思ってるよ」

 

思えば、真さんと初めて会ったのは二年前のライブ会場だった。

 

あの時は私のチケットを拾ってくれた親切な人だと思ってた。

 

次に出会ったのは私が入院した病院だった。

 

私がリハビリを頑張っていた時、偶然真さんと再会した。

 

真さんは最初誰なのか分かっていなかったけど、私が説明すると真さんも思い出してくれた。

 

その後未来も来てくれて、そこで私と未来は真さんと友達になった。

 

その後も、真さんは話し相手になってくれてさらに仲良くなっていった。

 

・・・けどあの時、私と未来はライブの生存者狩りの人たちに捕まって、未来を人質に何度も殴られた。

 

それでまた殴られそうになった時、誰かがその人の腕を掴み、殴り飛ばした。

 

私が視線を上げると、そこには拳を握り締めていた真さんが周りの人たちを睨んでいた。

 

『お前ら!俺の友人に何してんだ!!』

 

その後、真さんは周りの人たちを薙ぎ払うとその人たちは未来を開放して逃げて行った。

 

真さんは傷の手当てをしながら未来から事情を聴いて、しばらくの間私たちの登下校に付き合ってくれた。

 

そして三か月前、私はまた真さんに助けられ、それから何度も助けられている。

 

「・・・だから、真さんには感謝してるんだ」

 

「そうだね、私達何度も真さんに助けてもらってるからね」

 

「うん・・・でもね、最近おかしいんだ」

 

「おかしい?」

 

最初は憧れだった、私も真さんみたいに誰かに手を差し伸べれる人になりたいって。 けど、最近はそれ以外でも真さんのことを考えることがあった。

 

学校でもよく真さんのことを話しているし・・・あっそれは未来も一緒か。

 

けど、それ以上に真さんのことを考えると胸が熱くなるみたいな感覚になる。

 

「何なんだろう、この感覚・・・」

 

「響・・・」

 

未来が何か言いたそうな表情をしているとき、突然タワーに大きな衝撃が走った。

 

『ッ!?』

 

私と未来が驚き、外を見ると複数の飛行型のノイズがタワーを囲んでいた。

 

「ノイズ・・・!?」

 

ノイズに気づいたほかのみんなも、慌てて逃げだす。

 

私は急いでノイズを倒しに行こうとすると、未来が私の腕を掴んで動きを止める。

 

「駄目! 行っちゃ駄目!」

 

「未来・・・だけど行かなきゃ!」

 

私は未来を説得しようとするけど、未来は手を離してくれない。

 

「この手は離さない・・・私は響を戦わせたくない! 遠くに行ってほしくない!」

 

未来はさっきよりも強く掴んでくる。

 

未来の言うことはわかる、これ以上ガングニールを纏って戦ったら私の命が危険なことを・・・けどっ!

 

そんな時、子供の泣き声が聞こえた。

 

「お母さん・・・どこぉ?」

 

私達が声の方を向くと、子供が泣きながら母親を探していた。

 

「胸のガングニールを使わなければ、大丈夫なんだ! このままじゃ!」

 

「響・・・」

 

ガングニールを纏えなくても、私は誰かを助けたい!

 

私の言葉に未来は手を緩めてくれて、私と未来は迷子の子供の元へと向かった。

 

 

 

 

 

『真君!セレナ君!今翼たちも東京スカイタワーに向かっている。二人も急いで向かってくれ!』

 

「わかってる!」

 

俺とセレナはライズホッパーで共にスカイタワーへと向かっていた。

 

何で響と未来がそこにいるときに来るんだよアホノイズ共!?

 

「真お姉ちゃん!響さんガングニールを使ってしまうんでしょうか!?」

 

「多分使わないと思いたいが・・・正直分からん」

 

幾らストッパーの未来がいたとしても、響は困ってる人たちを助けるためにガングニールを纏うかもしれない。

 

「だから急がないとな、飛ばすぞセレナ、しっかり捕まってろ!」

 

「はいっ!」

 

俺は速度を上げ、急いでスカイタワーへ向かった。

 

無事でいてくれよ・・・響、未来!

 

 

 

 

 

「ほらほら、男の子が泣いてちゃみっともないよ」

 

「みんなと一緒に避難すれば、お母さんにもきっと会えるから大丈夫だよ」

 

私は未来と一緒に迷子の子供を連れて非常階段へと向かっていると、階段の方から職員さんが駆け付けてくれた。

 

「大丈夫ですか?早くこっちへ。 あなた達も急いで」

 

職員さんは男の子を抱き上げ、すぐに階段を降りる。

 

私達も急いで降りようとしたとき、ノイズが突っ込んできてその衝撃で爆発が起き天井が崩れた。

 

「危ないっ!」

 

爆発の衝撃で動けなかった私を未来が押し退けて、崩れた天井を回避できた。

 

「ありがとう、未来・・・」

 

私がお礼を言うと、未来は頷いてくれた。

 

「真さん達もきっと向かってくれてると思うから、何とかやり過ごさないとね」

 

「うん、そうだね・・・」

 

私達が待っていると、未来が口を開いた。

 

「あのね、響・・・」

 

未来が何か言いかけた時、床が崩れ私は後ろへ倒れてしまう。

 

後ろの地面は崩れていて床が無くなっていて、私はそこへ落ちてしまう。

 

「響っ!!」

 

未来が手を伸ばして私の手を掴んで、間一髪のところで私は助かった。

 

けど、状況としては私は宙吊りの状態で、まさに絶体絶命の状態だった。

 

私の手を掴む未来の手は震えていて、さらに床も崩れかけていてこのままじゃ未来も落ちてしまうとすぐにわかった。

 

「未来、ここは長く持たない!手を放して!」

 

此処で未来が手を放して、落下中にガングニールを纏えば落下の衝撃も消えるし未来も助けられる。

 

けど、未来は一向に手を離してくれない。

 

「駄目!私が響を守らなきゃ!」

 

「未来・・・」

 

未来は私を助けようと必死になってくれている。

 

そんな未来を思って、私は無理に笑った。

 

「・・・いつか、本当に私が困ったとき、未来に助けてもらうから」

 

私はそう言いながら、掴んでいる手の力を緩めていく。

 

「今日はもう少しだけ、私に頑張らせて」

 

そういうと、未来は涙を流していた。

 

「私だって・・・守りたいのに・・・!」

 

未来は涙を流しながらそう呟いた。

 

・・・ごめんね。

 

私は心の中で謝罪して、手を離した。

 

「響ぃぃぃいぃぃいぃぃいぃいい!!」

 

未来の手を放し、未来が私を思って叫ぶ中、私は微笑んで・・・歌を歌った。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

私は空中でガングニールを纏い、そのまま地面に着地した。

 

「未来、今行く!」

 

私は急いで未来の元に向かうため、未来のいる場所に視線を向けた。

 

 

 

 

その瞬間、未来のいた場所から爆発が起きた。

 

「っ!!」

 

その光景に私は目を疑った、まだあそこには未来がいる。

 

けど無慈悲にも、その場所で二度目の爆発が起きてしまった。

 

「未来ぅぅぅうぅうぅぅぅぅうぅぅうう!!」

 

私はこの時、陽だまりを失ってしまった。





「さあ、後書きの時間だ!さっさとコラボについて話せ!」
まあまあ、と言ってもコラボするのはこのサイトの作者じゃないんだよ。
「えっ?じゃあ別のサイトの人なんですか?」
ああ。その人も小説を書いててね、その人とDMで話して互いにコラボ小説を書くことになったんだ。
「マジか、すげえな作者!」
ハハハッ、んで気になるコラボ小説なんだけど、投稿は来週の日曜日に次の話と共に投稿しようと思ってる。
「ああ、来週はちょうどGWだしスペシャルとしてはちょうどいいか」
ああ、そのコラボ小説は特別編として投稿するからみんなよろしくな。
「よしっ!めでたい話が聞けたことだしそろそろ〆るか!」

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

・・・というかコラボの話をしたの二月の頭ぐらいなんだけど。
「おい今四月後半だぞ!?」


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僅かな希望を抱いて


G編十七話なんだが・・・今回は他と比べて短めの回となってるぞ、理由はわかってるな。
「大方コラボの方に着手していたからこっちを多く書けれなかったわけか…」
大正解。
「まあそれでもちゃんと書けてんだしいいじゃねえか」
「はい、それに次回から怒涛の展開ですから」
コラそこ、先読みすんな。
「まあ今回は短めだがG編第十七話張り切ってどうぞ!」


「真お姉ちゃん!もうすぐ着きます!」

 

ライズホッパーを飛ばして俺たちがスカイタワーに到着した。

 

「くそっ!もうこんなに・・・っ響!?」

 

「響さん!?」

 

周りを見ると、響が膝をついて泣き崩れていたのが見えて、俺たちは急いで駆け寄った。

 

「響さん!どうしたんですか!?どこか痛いんですか!」

 

「真さん・・・セレナちゃん・・・!!」

 

響が泣きながら振り向いた時、俺はふと違和感を感じた。

 

「響・・・未来はどこだ?」

 

「未来・・・未来が・・・!」

 

俺が尋ねると響は涙を流しながら、黒煙が昇る展望台を指さした。

 

「・・・まさか!?」

 

俺とセレナは状況を察し、展望台を見上げる。

 

まさか、まだあそこにいるのか!?

 

「セレナ!!急いで向かうぞ!!」

 

「はい!!」

 

アウェイクン!

 

俺とセレナはドライバーを装着して、キーを取り出した。

 

ウィング!

 

サンダー!

 

『『オーソライズ!』』

 

俺はフライングファルコンを認証し、セレナはライトニングホーネットを装填し、お互いにキーを展開する。

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

プログライズ!

 

ショットライズ!

 

Fly to the sky フライングファルコン!

 

ライトニングホーネット!

 

Spread your wings and prepare for aforce.

 

Piercing needle with incredible force.

 

俺はフライングファルコンフォームへ、セレナはライトニングホーネットフォームへと変身すると同時に、翼たちが駆け付けてくる。

 

「継菜!セレナ!立花!この状況は!?」

 

「話は後で!響の保護を!俺とセレナでタワー内へ向かい未来の救助に向かいます!」

 

そう言い残し、俺とセレナは急いで飛び上がり展望台へと向かおうとするが、ノイズが行く手を阻んでくる。

 

「くそっ!邪魔だぁ!」

 

俺はアタッシュカリバーをセレナがアタッシュアローを手に取り、飛行しながらノイズを切り裂いていく。

 

バルカンに変身した奏、イチイバルを纏ったクリスが援護射撃をしてノイズの数を減らしていく。

 

だがクリスの様子がどこかおかしかった。

 

まるで自分の怒りをぶつけているような、そんな勢いが感じ取れた。

 

「真お姉ちゃん!危ない!」

 

セレナが俺の背後を狙っていたノイズを撃ち抜いて危機を脱した。

 

「助かったセレナ」

 

「いえ。 真お姉ちゃん、まずはあの司令塔を叩かないと」 

 

上を見ると、ひときわデカいノイズが二匹、空を飛んでいた。

 

「・・・わかった、クリス!奏!俺とセレナで大型を叩く、援護を頼む!」

 

「わかった!こっちは任せろ!」

 

小型のノイズは二人に任せて俺とセレナは大型のノイズ目掛けて羽ばたき、互いに必殺技を構えた。

 

「時間が惜しい、一気に決めるぞ!」

 

「はい!」

 

フライングインパクト!

 

サンダー!

 

ライトニングブラスト!フィーバー!

 

俺は足をかぎ爪状にして、セレナは右足に『ライトニングニードル』を纏い、そのままノイズに蹴りかかる。

 

 

 

フライングインパクト!

 

サンダーライトニングブラストフィーバー!

 

俺たちのライダーキックはノイズの体を貫き、ノイズはそのまま爆散した。

 

「よし!急いで展望台に!」

 

俺とセレナは急いで展望台に入り未来を探すが、その姿はなかった。

 

「そんな・・・!」

 

俺たちはそのあとも探したが、未来が見つかることはなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

残りのノイズをみんなが倒した後、俺たちは地上に降りて変身を解き、響の元へ向かった。

 

そこでは響は中身が入った紙コップを手に暗い顔をしていた。

 

「響・・・」

 

「・・・真さん」

 

響が泣きそうな顔で俺を見る。

 

「・・・あの時、繋いだこの手を放してしまったから、未来が・・・」

 

「響・・・」

 

「響さん・・・」

 

「私にとっての大切を・・・手放してしまいました・・・!」

 

そういって響は再び泣き出した。

 

こんな時にかける言葉が・・・一つも浮かばなかった。

 

俺たちはただ、泣き続ける響を見守る事しかできなかった・・・。

 

 

 

 

 

少し時間が立ち、響を除いた俺たちライダーと装者はレストランに集まっていた。

 

「・・・真、なんか頼まないのか?」

 

奏が頼んだ料理を食べながら俺に呼びかける、ここに来てから俺は何も注文していない。

 

「済まない・・・今は何も喉を通らないんだ」

 

俺の脳裏には、さっきの響の顔が離れていなかった。

 

「気にしてんのか、未来の事」

 

「・・・ああ、そりゃな」

 

俺の言葉に空気が重くなる、スカイタワーをくまなく探したが未来の姿はどこにもなかった。

 

「小日向は二課も探してくれている、良い知らせがくればいいんだが・・・」

 

翼はそう言うが皆の顔は暗いままだ、あの状況では誰しもが最悪の状況を思い浮かべてしまう。

 

・・・けど、俺は信じたい。

 

「大丈夫だ、きっと未来は無事のはずだ」

 

俺はみんなを元気づけるために希望をもって口を開いた。

 

「・・・お前、こんな状況でよく言えたな」

 

「こんな状況だからだ、俺たちが信じないでどうするんだよ」

 

「継菜は信じているんだな、小日向が無事なことを」

 

「ああ、俺は信じてるぜ。未来は大丈夫だってな」

 

俺はそう言って水を飲もうとコップを掴むと、奏が俺の手を掴む。

 

「・・・無理すんなよ、こんなに振るえてんじゃねえか」

 

奏がそう言い俺はコップを見ると、中の水は俺の手の震えで何度も波打っていた。

 

「・・・ははっ、やっぱバレるか」

 

「継菜・・・」

 

「本心は怖いんだ、もし本当に未来がいなくなってしまったらって。けど暗いままじゃ何も進展しないと思って無理やり奮い立たせようと思ったんだが・・・」

 

俺はコップの水を飲んで机に置く。

 

「最悪なことは考えたくない、けど想像してしまう。もし本当にいなくなったら・・・響の希望が無くなっちまう・・・」

 

「真・・・」

 

「真お姉ちゃん・・・」

 

皆が心配そうに俺を見て、少しの間静寂が俺たちを包む。

 

・・・やっぱこのままじゃだめだよな。

 

「・・・スゥ~」

 

少し考えた後、俺は深呼吸して・・・そのまま自分の両頬を思いっきり平手で叩いた。

 

『ッ!?』

 

「いっつ・・・!」

 

いきなり自分の頬を叩いたことにみんなは驚いて、俺は自分の両頬を抑えていた。勢い着けすぎた・・・。

 

「ま・・・真?」

 

「・・・けど、大分落ち着きました」

 

俺は両頬を抑えながら顔を上げる。

 

「いつまでもくよくよしていられないからな。未来は無事だって信じてやらないと!」

 

俺の発言にみんなは顔を見合わせて、顔を明るくした。

 

「・・・そうだな、あいつならきっと無事なはずだ!」

 

「そうですね!私も無事なのを信じてます!」

 

「ああ、小日向の無事を祈りながら、今の我々のできることを全力で行おう」

 

「・・・そうだな、何時までもあの馬鹿と同じでうじうじしてられねえな」

 

「よしっ!そうと決まれば早速ファルコンに頼んで捜索してくる!」

 

俺はレシートを手に立ち上がる。

 

「ちょっ!決断早っ!?」

 

「待ってください!」

 

皆が俺を追いかける中、ふと振り向くと一人だけ浮かない顔をしていたのが見えた。

 

 

 

 

 

あの馬鹿はいつも通りになったけど、あたしの胸はまだ痛む。

 

あたしのせいで、あたしがあの杖を使ったせいでこんなことになっちまったんだ・・・。

 

・・・だったら、このけじめはあたしがつけないとな。





さあ後書きの時間だが・・・真はどうした?
「未来の捜索にもう向かっちまった・・・」
「というか見失いました・・・」
おおう、行動早いな、まああいつらしいと言えばあいつらしいが・・・。
「それにクリスの様子もおかしかったしな」
「はい、クリスさんどうしたんでしょうか?」
まあ原作だとあれだしな・・・そこらへんは何とかするしかないな。
「んで、次はコラボの投稿か?」
ああ、割と楽しみなところがあるからさっさと〆るぞ。
「強引に・・・まあいいですけど」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」

「あっ!後書きに出るの忘れてた!?」


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英雄故事

G編第十八話、そろそろこの物語も佳境に入ったな。
「今回はいつもより長めに書いたんだな」
まあ前回があれだったから今回は頑張ったよ…。
「んで、今回は旦那との特訓回だったな」
ああ、お前ら頑張れよ、正直あんな特訓リアルでやったら俺ぶっ倒れるから。
「作者さん、もう少し体力着けたらどうですか?」
それは無理な話だ、それではG編第十八話どうぞ!
「話逸らしやがった・・・」


未来の捜索に奮起した少し後、弦十郎さんから連絡が入りすぐに来てくれと言われたため俺たちは急いで二課の所有する潜水艦へと向かった。

 

「弦十郎さん、遅れました」

 

「大丈夫だ、これで全員だな」

 

指令室にはすでに響も来ており、六人全員揃ったところで指令が懐からとあるものを取り出して見せてくれた。

 

「これって・・・通信機?」

 

壊れているが、二課が所有する通信機だったがこれは一体・・・?

 

「それはスカイタワーから少し離れた地点より回収された、未来君の通信機だ」

 

「未来の!?」

 

「ああ、発信記録を追跡した結果、破損されるまでの数分間、ほぼ一定の速度で移動していることが判明した」

 

弦十郎さんが見せてくれたマップには通信機の発信を示すマーカーが移動する映像が流れていた。

 

俺たちはその映像を見て、とある希望が胸に浮かんだ。

 

「ああ、未来君は死んじゃいない。何者かに連れ去だされ拉致されているとみるのが妥当なところだが・・・」

 

「師匠、それってつまり!」

 

響の言葉に弦十郎さんは振り返る、その表情は希望を持った顔だった。

 

「こんなところで呆けてる場合じゃないってことだろうよ!」

 

その言葉で俺たちは確信を持った、未来は生きてる!

 

そのことに喜び、俺は拳を強く握った。

 

「さてっ!気分転換に身体でも動かすか!」

 

『はいっ!』

 

その言葉を合図に、俺たちは未来を救うための特訓を行った。

 

 

『使用BGM 英雄故事(ver響&弦十郎)』

 

 

特訓の始まりとしてまず早朝に走り込みを行った。

 

弦十郎さんが先頭、その次に響、翼と奏、俺、セレナとクリスの順番で走っている。

 

響はいう間でもなく、翼と奏は俺たちより歴が長いため体力は多い。

 

俺も弦十郎さんの特訓で体力はあり、セレナとクリスは体力は少ない方だが何とかついてきている。

 

走りながら、弦十郎さんは装者の様に歌を歌いながら走っている。

 

「何でオッサンが歌ってんだよ・・・てか、そもそもこれ何の歌だ、大丈夫か?」

 

「分からねえ、けど静かなのよりかはましだろ」

 

「まあそうだけどよ・・・」

 

クリスが歌に疑問を持ちながらも、俺の前では響は走り込みを頑張っている。

 

そうだ、こんなところでへこたれてる場合じゃねえな、早く強くなって未来を助けるんだ!

 

それからも俺たちの特訓は続いた。

 

時には両足を柱に括り付けて両手の茶碗に水を汲み体を起こして桶に水を入れる特訓を行い。(クリスとセレナは4~5回辺りで頭に血が上って脱落)

 

時には縄跳びを行い持久力を高め。(以外とセレナが縄跳び上手かった、俺は何度も足に縄をぶつけた)

 

時には両腕両足、頭に水が入った茶碗を乗せ体制を維持し続け。(クリスとセレナは何度も転んだ)

 

時には凍った生肉で殴り込みをして。(ライダー組はパンチよりキックの方が威力が出た)

 

時には雪が積もった山道を走り込み。(どこだよ)

 

体力をつける為に生卵をジョッキでそのまま飲み。(クリス、セレナ、俺は盛大に吐いた、流石に生卵は無理・・・)

 

そんな地獄の様な特訓を続けた。

 

 

 

 

 

場所は移りF.I.S.の輸送ヘリの一室、この部屋に未来が牢の中に捕まっていた。

 

その部屋には未来の他に、監視のマリアが壊れたペンダントを手に歌を歌っていた。

 

「りんごは浮かんだお空に・・・」

 

かつてセレナと歌ったappleを口ずさみ、手にしていたペンダントを悲しそうな表情で見ていた。

 

「リンゴは落っこちた地べたに・・・」

 

そんなマリアを牢の中にいた未来はじっと見ていた。

 

「星が生まれて歌・・・ん?」

 

歌っていたマリアは未来の視線に気づき歌うのをやめる。

 

「どうしたの?」

 

「いえ・・・ありがとうございました」

 

何故未来が礼を言うのか、時はスカイタワーの惨事まで遡る。

 

響が落ちて悲しみに暮れていた時、未来の後ろの壁をなスターシャを抱えたマリアが壊して偶然二人は出会った。

 

未来を見たマリアは、その姿に自身の過去を思い出す。

 

燃え上がる業火の中、一人佇む妹の姿。

 

その時のセレナと未来がマリアには重なって見えた。

 

タワーが大きく揺れ、体勢を崩した未来にマリアは自身の手を差し伸べた。

 

『死にたくなかったら来い!』

 

マリアの言葉を聞き、未来はマリアの手を掴みタワーから脱出したのだった。

 

「どうして、私を助けてくれたのですか?」

 

未来の質問に、マリアは応えた。

 

「さあ、逆巻く炎にセレナを思い出したからかもね」

 

「セレナ・・・?」

 

その言葉に未来は自分たちと一緒にいた少女、セレナのことを頭に思い浮かべる。

 

「マリアの妹の事です」

 

そこに割り込んで入ってきたのはウェルだった。

 

「ドクター・・・」

 

ウェルは二人の間で泊まり、その視線を未来に向ける。

 

未来は自分に視線が向けられたことで警戒をする。

 

「この子を助けたのは私だけど、此処まで連行することを指示したのはあなた。いったい何のために?」

 

マリアはウェルに尋ねると、ウェルはマリアの方に視線を向ける。

 

「もちろん、今後の計画遂行のための一環ですよ」

 

そう言いウェルは未来に近づき、未来は一層警戒を強めた。

 

「そんなに警戒しないでください。少しお話でもしませんか? きっとあなたの力になってあげられますよ」

 

そう言いウェルは仮面のような笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「のどが渇いたな・・・」

 

時刻は夜、特訓を終えた俺たちは寝室で寝ているが、俺は喉が渇いて給湯室へと向かうと・・・。

 

「ん? なんだ馬鹿真か・・・」

 

パジャマ姿のクリスが先に来ていた。

 

「クリス、お前ものどが渇いたのか?」

 

「まあな、あんな特訓の後だと誰でものどが渇くだろ」

 

「いえてら」

 

俺は苦笑いしながら、給湯室に置いてあったインスタントココアを手に取った。

 

「クリスもココア飲むか?」

 

「ミルク多めでな」

 

「はいはい」

 

俺は二人分のココアを作り、片方にミルクを多めに入れてそっちをクリスに差し出した。

 

「温かい物どうぞ」

 

「温かい物どうも」

 

俺たちは椅子に座ってココアを呑んだ。

 

「・・・なあクリス、一つ聞いてもいいか?」

 

「なんだよいきなり、手短に言えよな」

 

「んじゃあ達頭直入に・・・お前なんか悩んでんのか?」

 

俺の言葉にクリスはびくっとして急に静かになった。

 

「その沈黙は悩みがあると考えるぜ」

 

「・・・どうしてそう思ったんだ」

 

「ファミレスで俺が店を出た時、ふと振り返ったらお前が浮かない顔をしていたからさ」

 

「そんなの、あいつのことを考えたらだれだって・・・」

 

「まっそりゃそうだよな・・・んでここからは俺の仮説だが、違ってたら聞き流してくれ」

 

俺はココアを呑んで一呼吸置いてから口を開いた。

 

「・・・ソロモンの杖の事を後悔してんじゃないのか?」

 

俺の仮説にクリスはびくっとする、当たりか・・・。

 

「ソロモンの杖はクリスも使っていたからな、そのことで罪悪感を感じてんのかなと思ってさ。クリスってそういうの自分の中にため込んで吐き出そうとしなさそうだし」

 

「・・・・・・」

 

「んで、お前の性格からして、ソロモンの件を自分だけで何とかしようとしてんじゃないかなっと思ってさ」

 

俺の仮説にクリスはとしていた口を開いた。

 

「・・・お前、エスパーなのか?」

 

「三か月も一緒に過ごしてたらそりゃ分かるだろうよ、んでそれを踏まえて一言言わせてくれ」

 

残ったココアを呑み切ってコップを机に置いてから俺は口を開いた。

 

「少しは俺たちを頼ってくれよ。俺たちは仲間だろ」

 

「けど、元を正せば私がソロモンの杖を起動させたからこうなっちまったんだ!だから私一人で・・・!」

 

「そおい!」

 

「あいたっ!?」

 

俺は一人で罪を抱えようとするクリスの頭にチョップを入れると、クリスは罪ではなく頭を抱えた。

 

「そうやって自分一人で何でも抱え込むんじゃねえよ、俺はクリスが心配でこういってんだよ」

 

「あ・・・あたしが心配?」

 

「そうだ、俺にとっちゃクリスはもう家族も当然だからな。家族を心配するのは当たり前だろ」

 

「・・・家族」

 

「そっ、家族。だからさ、お前の抱えてるその罪、俺にも抱えさせろ」

 

俺はそう言うとクリスは叩かれた頭から手を放す。

 

「・・・本当にいいのか?頼っちまっても」

 

「おう、ていうかこのこと響達に言っても多分俺と同じことを言うと思うぞ」

 

「・・・そうだな、そういう奴等だったな」

 

クリスはそう言い顔を上げる、その顔はいつものクリスの表情だった。

 

「だったらとことん頼ってやるぞ、今更嫌だは無しだからな」

 

「おう、どんと頼りやがれ。 ていうかクリスはどうやって杖を取り返すつもりだったんだ?」

 

「ああ、それはな・・・」

 

俺はクリスは話し合いながら、夜が更けていった・・・。

 

 

 

 

 

翌日、俺たちが潜水艦に乗って移動している時、艦内にアラートが鳴り響いた。

 

「ノイズのパターンを検知!」

 

「米国所属艦艇より、応援の要請!」

 

モニターに米国政府の船ノイズに襲われる映像が映った

 

「この海域から遠くない!急行するぞ!」

 

「応援の準備に当たります、奏!」

 

「おう、分かってる!」

 

翼と奏は急いで準備に取り掛かりに向かおうとする。

 

「奏!これを持って行け!」

 

俺は奏に複数のプログライズキーとアタッシュショットガンを投げ渡し、奏はそれを受け取る。

 

「おう、ありがとな!」

 

「翼さん!奏さん!私も・・・!」

 

二人を追いかけようとする響の腕を掴んで止めた。

 

「駄目だ響、今のお前がギアを纏ったら今度こそ命にかかわる」

 

「真さん・・・でも!」

 

「響、未来を助けてもお前が無事じゃないと意味がないんだよ」

 

俺の言葉に響は押し黙った。

 

「俺も残る、万が一ここが襲われたら危険だ。クリス、セレナ、頼めるか」

 

「おう、任せとけ!」

 

「わかりました!」

 

「いい返事だ」

 

俺はセレナに奏と同じく複数のプログライズキーとアタッシュアローを手渡す。

 

セレナは受け取り、クリスと共に翼たちの後を追いかけた。

 

「頼んだぞ、四人とも・・・」

 

 

 

 

 

F.I.S.の輸送ヘリ内では、米国の兵隊がノイズに襲われていく光景を見てマリア達は見ていた。

 

自分たちの主張を届けさせるための自分がとった行動にマリアは自身の唇を噛み血を流していた。

 

「こんなことが、マリアの望んでることなの・・・?」

 

調はマリアに尋ねる、この惨劇が本当にマリアが望んだことなのかを。

 

「弱い人たちを守るために、本当に必要なことなの・・・?」

 

マリアは何も言わなかった、否、その沈黙がマリアの答えだった。

 

それを見て調は急いでヘリの出口まで駆け寄って扉を開いた。

 

「調!何やってるデスか!?」

 

「マリアが苦しんでるのなら・・・私が助けてあげるんだ」

 

調のその目は覚悟を決めていた目だった、そして調はそのままヘリから飛び降りた。

 

「調!」

 

調は落ちながら聖詠を歌った。

 

Various shul shagana tron

 

調はシュルシャガナを身に纏って船に向かって真っすぐ落ちて行った。

 

「調・・・!」

 

切歌が船に向かって落ちていく調を見ていると、後ろからウェルが切歌の肩を掴む。

 

「連れ戻したいのなら、いい方法がありますよ」

 

『使用BGM 塵鋸・シュルシャガナ』

 

首を傾げて 指からするり 落ちてく愛を見たの

 

調は落下しながらノイズに目掛けて大量の丸鋸を射出する。

 

α式 百輪廻

 

着地地点のノイズを一掃した後、調は着地し足のローラーで高速で移動してノイズの群れの中心に移動する。

 

中心に向かうと、調は『γ式 卍火車』を展開し、その場で回転しながら周辺のノイズを切り刻む。

 

一掃した後、残っていたブドウ型ノイズが球体を何発も射出するが、シュルシャガナの機動力で全てかわしていき、ノイズを次々と切り払った。

 

調がアームドギアをしまい安心すると、背後から倒しきれなかったノイズが襲い掛かってくる。

 

「ッ!」

 

だがノイズの攻撃は調に届く前に、ノイズの背後から投げられた鎌によってノイズは両断されてしまう。

 

鎌を投げた切歌はそのまま調の近くに降り立った。

 

「切ちゃん・・・ありが!」

 

調が感謝の言葉を送ろうとしたとき、切歌は手にしていた注射器を調の首に当て、中身を注入する。

 

「な・・・なにを・・・?」

 

切歌の手に握られていた物は、LINKERを入れる注射器、だがその中身は違っていた。

 

『LINKER?』

 

降り立つ前、切歌はウェルから渡された注射器を見る、その中身は赤色の液体だった。

 

『いいえ、これは『ANTI LINKER』適合係数を引き下げるために用います。その効果は折り紙付きですよ』

 

その言葉通り、調は自分の体に違和感を感じた。

 

「ギアが・・・馴染まない・・・!?」

 

違和感を感じたと同時に、調の体が発光しギアが解かれてしまう。

 

ギアが解かれふらつく調を見て切歌は目を伏せながら口を開く。

 

「あたし・・・あたしじゃなくなってしまうかもしれないデス・・・そうなる前に、何か残さなきゃ!」

 

切歌はそう言い調に手を伸ばす。

 

「調に忘れられちゃうデス・・・」

 

「切ちゃん・・・?」

 

切歌の発言に調は困惑した。

 

「たとえあたしが消えたとしても、世界が残れば、あたしと調の思い出は残るデス!」

 

切歌はずっと悩んでいた、自分の中にフィーネの魂が存在し自分という存在が消えてしまうんじゃないかと。

 

そしてそこから導き出した答えが、この行動だった。

 

「だからあたしは、ドクターのやり方で世界を守るのデス・・・もう、そうするしか」

 

切歌が言い終わったその時、近くの海面から二本のロケットが飛び出してくる。

 

そのロケットは空中で筒を開くと、ギアを纏った翼とクリス、バルカンとバルキリーに変身した奏とセレナが二人の近くに降り立った。

 

翼と奏が切歌に詰め寄り、クリスとセレナが調を拘束する。

 

「邪魔するなデス!」

 

切歌は応戦するが、二対一では切歌が不利であり徐々に追い詰められていく。

 

「切ちゃん・・・!」

 

「おいっウェルの野郎はここにいないのか!」

 

クリスが調に質問する。

 

「クリスさん、多分ウェル博士は此処にはいないと思います。おそらく安全な場所で見てるんだと思います」

 

「・・・くっ!」

 

一方では翼と奏の二人は切歌を追い詰めた。

 

 

 

 

 

俺たちは司令室で戦いの状況を見守っていた。

 

「翼さん!奏さん!」

 

状況はこちらの優勢・・・けど、何だが嫌な予感を感じる。

 

そんな時、上空から紫色の光が見えたと同時に・・・歌が聞こえた。

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

俺と響は驚いた、新たなシンフォギア装者の登場ではなく、その歌声に聞き覚えがあったのだ。

 

そして紫色の光が船に降り立った。

 

「えっ?」

 

「なっ!」

 

煙が晴れ、そこにいた人物に俺と響は言葉を失った。

 

その場に降り立ったのは、紫を基調としたギア、そして紫色のバイザーを顔に身に着けているが見間違えるはずがない。

 

「未来・・・!?」

 

「馬鹿な・・・!?」

 

行方知れずとなり、助けるはずだった俺たちの友達・・・未来が虚ろな瞳でシンフォギアを纏っていたのだった。




さて後書きの時間だが・・・ついに現れてしまったか。
「やっぱあのクソドクターぶん殴る」(怒
「落ち着け真、殺気が駄々洩れだぞ」
「あの野郎、響だけじゃなく未来にまで・・・その魂煉獄に叩き落としてやる・・・」
「駄目です奏さん、真お姉ちゃん聞く耳持ってない」
「おい作者、あの男を原子レベルまで粉々にする権利をくれ」
流石にやらねえよ、物騒だなお前!
「大事な友達があんな目にあわされたら誰だってそうなるだろ!奏やセレナだって翼やマリア達が同じ目にあったら俺と同じことするだろ!」
「「それはそうだな(ですね)」」
仲間が増えた!? 安心しろ!ちゃんと助ける方法はあるから!
「本当だな?嘘だったらお前も原子になる覚悟をしとけよ」
怖っ!? とりあえずさっさと〆るぞ!

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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その目に映るのは希望か絶望か・・・

G編第十九話、いよいよシェンショウジン未来の戦いの時か。
「あたしとしては戦いたくないんだけどな・・・ところで真は?」
あいつは用事があるとかでこの場を離れているな。
「用事ですか?一体何なんでしょう…?」
まっあいつのことだしすぐに帰って来るだろ、こっちは早速始めるぞ。
「そうだな、なんとしても未来を取り戻さないとな、てなわけでG編第十九話どうぞ!」

~一方ウェルの所~

「お前を断罪する」
「待て!?何でお前がこんなところにいるんだ!とりあえずその手に持っている鉄パイプを下しギャァァァァァァ!!?」


俺たちの前からいなくなった未来、やっと見つけたと思ったら・・・。

 

「何で・・・何で未来がシンフォギアを纏ってるんだよ!?」

 

モニターに映るのは紫色のシンフォギアを身に纏った未来だった。

 

「嘘・・・未来・・・?」

 

この光景に響達も驚愕していた。

 

そんな時、ライズフォンに連絡が入って来た。

 

(こんな状況に誰なんだ!)

 

心の中でそう思いながら画面を見ると、そこには『神』と出ていた。

 

俺は驚きつつも、みんなに気づかれないように部屋から出て電話に出る。

 

「おい駄目神!今お前と話してる場合じゃないんだ!」

 

『わかってる、未来ちゃんの事でしょ』

 

「っ!?」

 

『そのことで話があるの、聞いてくれるかしら?』

 

電話越しに聞こえてくる駄目神の声はいつもより真剣な声だと感じ取った。

 

「・・・何なんだ?」

 

『まず、あの子が纏っているシンフォギアは『神獣鏡』と呼ばれている聖遺物よ』

 

「シェンショウジン?」

 

『その特性の一つは機体を不可視にするほどの圧倒的なステルス能力、貴方も見たはずよ』

 

ステルスという言葉に俺はF.I.S.の輸送ヘリのことを思い出す。

 

「じゃあ、あのシンフォギアはあいつらが・・・!」

 

『そう、そしてもう一つ特性があるわ』

 

「まだあるのかよ!?」

 

『その特性は、実際に見た方が早いわ』

 

駄目神がそう言うと、ライズフォンの画面に現在の翼たちの様子が写った。

 

 

 

 

 

「嘘だろ・・・何であいつが!?」

 

あたしらの目の前に現れたのは、見たことのないシンフォギアを纏った未来だった。

 

まさかこんな最悪な再会になるなんてな!?

 

「・・・・・・」

 

未来は何も言わず背中から二本の黒い鞭を繰り出し、その手にはアームドギアと思われる巨大な扇子を手にした。

 

「うぉぉぉおぉぉおぉぁああぁぁぁあ!!!」

 

「小日向が・・・!?」

 

「何で未来さんがシンフォギアを纏ってるんですか!?」

 

あたしらが思っている疑問に、クリスとセレナが捕まえている調って子が答えた。

 

「あの装者は、LINKERによって無理やり仕立てられた消耗品・・・」

 

「LINKERだと! 未来にも使ったのか!?」

 

「それより、消耗品ってどういうことなんですか!?」

 

「・・・あの子は、私達以上に急ごしらえな分、壊れやすい」

 

「ふざけやがって・・・!」

 

あたしらが怒りに震える中、翼は冷静に旦那に報告していた。

 

「・・・司令、行方不明となった小日向未来を発見。ですが、敵によってシンフォギアを纏わされています」

 

『わかっている・・・お前たち!なんとしてでも小日向君を無力化し保護するんだ!』

 

旦那の言葉にあたしたちは頷くと、小日向は顔のバイザーを閉じ戦闘態勢に入った。

 

そのまま浮かび上がり、あたしらに真っすぐに遅いかかってきた。

 

「セレナ!あたしらであいつを止めるぞ!」

 

「は…はいっ!クリスさん、月読さんをお願いします!」

 

セレナは調をクリスに任せてお互いに武器を取り出した。

 

未来は迫りながら、アームドギアから光線を繰り出してくる。

 

「悪いな、ちょっとばかし痛いぞ!」

 

あたしらは光線を躱しながら未来に遠距離攻撃を仕掛けるが、未来はあたしらの攻撃を悉く躱していく。

 

「なんて回避能力ですか!」

 

「くそっ、だったら力ずくだ!」

 

あたしは武器をしまって真から預かったパンチングコングプログライズキーを取り出す。

 

パワー!

 

あたしはキーをこじ開けて、ショットライザーに装填する。

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

装填し、あたしはショットライザーを手に取りそのままトリガーを引いた。

 

ショットライズ!

 

パンチングコング!

 

Enough power to annihiate a mountain.

 

発射された弾丸を横薙ぎに殴り飛ばし、あたしはパンチングコングフォームに切り替える。

 

「行くぞ未来!」

 

あたしはそのまま未来に接近し拳を振るう。

 

「っ!」

 

未来はアームドギアを展開しあたしの拳を防御する・・・がそんなの関係ない!

 

「オララララララララッ!」

 

あたしはアームドギアを何度も殴りつけていき、徐々に未来が押されていく。

 

「おっっっらぁ!!」

 

最後に力の限り殴りつけると、防御越しに未来は吹き飛んでいった。

 

「っ!!」

 

未来は押されたことで接近戦は不利と感じたのか、そのまま海の方へと逃げて行った。

 

「逃がすか、セレナ!」

 

「はい!今度は私です!」

 

セレナはライトニングホーネットプログライズキーを取り出してショットライザーに装填し、トリガーを引いた。

 

サンダー!

 

オーソライズ!

 

ショットライズ!

 

ライトニングホーネット!

 

Piercing needle with incredible force.

 

セレナはライトニングホーネットフォームに変身すると、そのまま飛行し未来を追いかける。

 

「未来さん!大人しくしてください!」

 

セレナは追いかけながら蜂型の小型ミサイル『ヘクスベスパ』を繰り出して未来を攻撃していく。

 

未来はヘクスベスパを躱そうとするが、その数は多く幾つかが躱しきれず直撃していく。

 

未来は直撃しながらも、セレナに光線を照射していく。

 

頼む・・・戦うのをやめてくれ、未来!

 

 

 

 

 

画面では奏とセレナが未来と戦っている、状況は確かにこちらの優勢だ・・・けど。

 

「・・・・・・」

 

見てるこっちは胸が痛くなる光景だ、何であいつらが戦ってるんだよ!

 

・・・いやそれより、未来があんな複雑な動きができるのか?

 

『それはダイレクトフィードバックによるものよ』

 

通話状態のライズフォンから駄目神の声が聞こえてくる。

 

『喋らなくても大丈夫よ・・・相手は彼女に神獣鏡を纏わせるために、彼女の身体を改造して脳へのダイレクトフィードバックによって彼女の意思に関係なくプログラムされたバトルパターンを実行してるのよ』

 

「・・・っ!!」

 

駄目神の言葉に俺はライズフォンの握る手の握力が怒りで強くなる。

 

改造?脳へのダイレクトフィードバック?

 

人の体を何だと思ってやがるんだ!!

 

『気持ちはわかるけど落ち着いて、それよりもこの後よ』

 

そういえば、神獣鏡のもう一つの性能ってどんなのなんだ?

 

『あなた達にとって天敵ともいえる力よ』

 

 

 

 

 

なんで・・・こんなことになってしまうんですか。

 

状況では私と奏さんが有利ですが、相手は未来さんだがらやりすぎないようにしていますけど・・・ここまでやりにくいなんて。

 

「はぁっ!」

 

空中へ浮かび上がった未来さんを船に目掛けて蹴り飛ばし、その後を追いかけた。

 

「セレナ!一気に決めるぞ!」

 

「はいっ!ごめんなさい、未来さん!」

 

船に落ちた未来さんに目掛けて私と奏さんはショットライザーを手に取り、ライズスターターを押し込んだ。

 

サンダー!

 

パワー!

 

ライトニングブラスト!

 

パンチングブラスト!

 

奏さんは両腕を合わせ、両方の拳を未来さん目掛けて発射し、私は未来さん目掛けてライトニングニードルを射出した。

 

未来さんは私たちの攻撃を見て離れようとしましたが、遠くからのクリスさんの弾幕によって身動きが取れなかった。

 

「動かさねえ・・・!」

 

そして未来さんが動けないうちに私たちの攻撃が未来さんに直撃しました。

 

 

 

サンダーライトニングブラスト!

 

パワーパンチングブラスト!

 

私達の攻撃で爆発が未来さんを包んだ。

 

「未来さん!」

 

「おい!大丈夫か!」

 

私達は急いで未来さんの安否を確認に向かうと、爆発の中心地で未来さんは倒れていました。

 

「急いでギアを外して旦那たちの所に送るぞ!」

 

そういって奏さんが未来さんに手を伸ばすと、未来さんのギアから突然声が聞こえてきた。

 

『女の子は優しく扱ってくださいね』

 

この声・・・ウェル博士!!

 

『乱暴にギアを引きはがせば、接続された端末が脳を傷つけかねませんよ』

 

「なにっ!?」

 

「そんな・・・そこまで!?」

 

私達が驚くと、未来さんは起き上がり私たち目掛けて扇を広げた。

 

「二人とも、避けろ!」

 

翼さんの声と同時に扇から大量の光線が射出された。

 

閃光

 

私達はその光線をギリギリのところでかわして、翼さんのところまで距離を取った。

 

「まだそんな事が!」

 

私達が驚く中、未来さんは再び浮かび、今度は両足のアーマーから鏡の円盤を展開してきた。

 

まさか、翼さんとクリスさんだけではなく、後ろにいる月読さんごと巻き込むつもりですか!?

 

『使用BGM 歪鏡・シェンショウジン』

 

閃光・・・始マル世界 漆黒・・・終ワル世界

 

未来さんは展開したアーマーにエネルギーを溜めていき、その輝きは強くなっていく。

 

「デェェェス!」

 

暁さんが叫ぶ中、その光はだんだんと強くなっていく、このままじゃ・・・!

 

「二人とも下がれ!」

 

後ろからクリスさんが飛び出して、自身のアーマーからリフレクターを展開すると同時に未来さんのアーマーから先ほどよりも極大な光線が放たれた。

 

流星

 

「リフレクターだ!」

 

クリスさんの展開したリフレクターに未来さんの光線が超激した。

 

リフレクターに防がれた光線は分散し、私たちの後ろに被害が出る。

 

「調!今のうちに逃げるデス!」

 

暁さんは私たちの後ろで座りこんでいる月読さんに逃げるように言った、その声は何か慌てた様子だった。

 

「消し去られる前に!」

 

「っ!? どういうことだ!」

 

暁さんが言った言葉を理解したのは次の瞬間だった。

 

最初は光線を防いでいたクリスさんのリフレクターが、突如少しづつ消えていった。

 

「嘘だろ!?カ・ディンギルの砲撃をそらしたイチイバルのリフレクターが!?」

 

この光景を見て、後ろの月読さんが口を開く。

 

「無垢にして苛烈、魔を退ける輝く力の本流・・・これが、神獣鏡のシンフォギア」

 

そういっているうちに、リフレクターの数はどんどんと少なくなっていく。

 

「くそっ!リフレクターが破壊されて・・・!」

 

徐々にクリスさん自身も押されていき、このままじゃ危険だと感じ取った私は奏さんに視線を送る。

 

奏さんは私の視線に気づいて頷き、リフレクターが破壊される直前に奏さんがクリスさんを抱えて横に飛び、私が月読さんを抱えて空へと回避する。

 

回避した瞬間光線が私の足を掠ると、掠った部分のアーマーが消し飛んだ。

 

「嘘!?仮面ライダーの装甲も消滅させるなんて!」

 

「危ねえ!」

 

「っ!!」

 

奏さんが叫んだ瞬間、未来さんは再び光線を私目掛けて放出し、慌てて回避するけど間に合わず背中の羽が消し飛ばされ落下してしまう。

 

「きゃああぁあああぁあ!!」

 

そのまま落下すると未来さんは私の元まで移動し手にしていたアームドギアを振りかぶった。

 

私はまずいと思いとっさに月読さんを庇うと、未来さんはアームドギアで思いっきり私を殴り飛ばした。

 

「がっ!!」

 

その衝撃で変身が解けてしまい私と月読さんは翼さんの近くに倒れてしまう。

 

これが、神獣鏡の力・・・シンフォギアだけではなく仮面ライダーすら消してしまう力・・・!

 

 

 

 

 

セレナたちが危機に陥っているとき、とある人たちは驚きの表情をしていた。

 

「嘘・・・セレナ・・・?」

 

「そんな・・・なぜ彼女が・・・!?」

 

マリア・カデンツァヴナ・イヴとナスターシャはセレナの存在に驚きを隠せない中。

 

「やはり、彼女はマリアの妹でしたか・・・」

 

二人の後ろでウェルは一人怪しげな笑みを浮かべていた。




「さて後書きの時間だが・・・お前らどうした?」
いや・・・お前の体に赤い液体がついてるんだが。
「気にするな、ただのケチャップだ」
「いやどう見ても『ケチャップだ』アッハイ」
「それにしても、とうとうバレちゃいましたね私の正体」
「だな、これでマリア達がどういう動きをするか・・・」
それは神のみぞ知る、作者のみぞ知る。
「要はお前次第か」
そういうとこ、それじゃあ〆ますか。
「あれ?早くないか?」
早く終わらせてお前はさっさとその赤く染まった服を洗って来い!
「そういうことか、了解」

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

「この赤いの落ちるかな?」


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喪失までのカウントダウン


G編第二十話!今回はとうとうG編でも人気が高いあの回だ!
「ということは今回あたしとセレナの出番は少なさそうだな」
「そうですね、真お姉ちゃん、響さんと未来さんをお願いします」
「ああ任された、必ず二人を助けてやる!」
意気込みは十分だな、それじゃあ運命のG編第二十話、どうぞ!


「大丈夫か!!」

 

「は・・・はい、何とか」

 

未来さんの一撃で吹き飛ばされた私と月読さんの元に翼さんたちが来てくれる。

 

そんな中、未来さんは再びエネルギーを溜めている。

 

「まずい・・・またあんな一撃が来たら!」

 

「止めるデス!」

 

次の一撃に構えていると、暁さんが大声を上げて未来さんの注意を引いた。

 

「調は仲間!私たちの大切な・・・!」

 

暁さんが呼びかける中、未来さんのギアからウェル博士の声が聞こえてくる。

 

『本当に仲間だと言い切れますか?僕たちを裏切り、敵に利する彼女を』

 

ウェル博士は暁さんをそそのかすように言葉を紡いでいく。

 

『月読調を・・・仲間と言い切れますか?』

 

ウェル博士の言葉に暁さんの表情が押し黙る。

 

「違う・・・あたしが調にちゃんと打ち明けられなかったんデス!」

 

暁さんは自分を責めるように言葉を紡いでいく。

 

「あたしが、調を裏切ってしまったんデス・・・!」

 

「それは違います!」

 

「っ!」

 

自分を責める暁さんを見て私は声を上げると、暁さんをこちらに視線を向けた。

 

「暁さんは月読さんを裏切ってなんかいません!」

 

「セレナ・・・」

 

『いけませんね、いま彼女は僕と話を・・・』

 

「貴方は黙っててください外道」

 

『げ・・・外道!?英雄になる僕に向かって!』

 

怒りの声を上げるウェル博士の言葉を無視して私は暁さんに語り掛ける。

 

「暁さんが月読さんをどれだけ大事に思っているのかは私は知っています!それは月読さんも同じです!お互いをそんなに大事に思っているお二人が裏切る事なんてありえません!」

 

「で・・・でも、あたしは・・・!」

 

「切ちゃん!」

 

今度は月読さんが声を上げた。

 

「ドクターのやり方じゃ弱い人たちを救えない!だから・・・」

 

「調・・・」

 

『そうかもしれません、何せ我々は、かかる災厄に対してあまりにも無力ですからね』

 

切歌さんが月読さんの言葉を聞いている中、ウェル博士は無理やり割り込んでくる。

 

『シンフォギアと聖遺物に関する研究データは、此方だけの専有物ではありませんから。アドバンテージがあるとすれば・・・せいぜいこのソロモンの杖!』

 

そういうと上空から緑色の光が海を、船に向かって横薙ぎに放たれる。

 

放たれた光りからノイズが出現し、船に乗っている船員たちに襲い掛かっていく。

 

「あいつノイズを!」

 

「くっ!」

 

サンダー!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

私は体を起き上がらせ、ショットライザーにライトニングホーネットプログライズキーを再び装填する。

 

「セレナ!無茶をするな!」

 

「大丈夫です!それよりも早く他の皆さんを助けないと・・・変身!」

 

ショットライズ!

 

ライトニングホーネット!

 

Piercing needle with incredible force.

 

私は再び変身し、アタッシュアローを手に取る。

 

「あたしもやるぞ!」

 

クリスさんは私よりも先にノイズの元へと向かって行った。

 

私も向かおうとすると、暁さんは自身のアームドギアを地面に置いて膝をついていた。

 

「あたしは・・・ドクターのやり方で世界を・・・でも、それで本当に・・・?」

 

暁さんは頭を抱えて悩んでいた、自分のやっていることは本当に正しいのかどうか。

 

「セレナ、あいつはあたしがついとくからクリスの援護に」

 

「・・・わかりました、お願いします」

 

私は奏さんに暁さんを頼んで、私はクリスさんと共に上空からノイズを撃ち落としていく。

 

『まったく、肝心な時に使えませんね。ですが良いでしょう、後は彼女の仕上げを御覧じるだけですから!』

 

下を見ると、未来さんは展開したギアを収納し海に向かっていた。

 

「行かせるか!」

 

翼さんは止めようとしましたが、上空からやってきたノイズに行く手を阻まれてしまう。

 

翼さんなら切り抜けれるが、後ろには生身の月読さんがいる為、その場に残るしかなかった。

 

奏さんも戦意を失った暁さんを守るのに必死で未来さんを追いかけれる状況じゃなかった。

 

「このまま手をこまねくしかないのか!」

 

どうするか考えてた時、海面に二課の所有する潜水艦が浮上してきた。

 

 

 

 

 

俺は画面越しの状況を見て壁に拳を叩きつける。

 

「くそっウェルの野郎!!」

 

『気持ちはわかるわ、ここまでの男はそう存在しない』

 

画面を見ると緒川さんが飛び出して調を、奏が切歌を保護する。

 

フリーとなった翼が未来を追いかけようとするが、想像以上に繰り出されたノイズに行く手を塞がれてしまい、未来を追いかけれずにいた。

 

『たとえ追いかけたとしても、彼女の纏う神獣鏡はシンフォギアを分解する光を放つ。それは私が調整したライダーシステムも例外じゃない』

 

「っ! じゃあどうすれば助けられるんだ!響は危険な状態!未来は体を改造されて!どうすれば二人を助けられるんだよ!」

 

俺は何度も拳を壁に叩きつける、いったいどうすれば・・・!!

 

『・・・一つ。いえ、二つ方法があるわ』

 

駄目神の言葉に俺は耳を疑った。

 

「あるのか!?」

 

『ええ、だけど。一つは予定通りの運命、もう一つは神にすら結果がわからない賭け』

 

予定通りの運命と・・・賭け?

 

『一つは本来通りの結末。それなら二人を助けられるけど、その後に大きな厄災が来る』

 

『そしてもう一つは本来とは違う結末、そうすれば二人は助かるけど、その後何が起きるのかは私にすらわからなくなる。もしかしたら本来よりも最悪な状況になるかもしれない』

 

駄目神が繰り出した二つの選択、それが二人を救う方法か。

 

『どっちを選ぶかはあなたに任せるわ、どうする?』

 

最悪か、危険な賭けかどちらかしか選べない。

 

「・・・俺は」

 

俺が選んだ答えは・・・。

 

 

 

 

 

未来が二課の潜水艦に近づくのを見て、俺と響は上に上がり未来と相対する。

 

未来も俺たちを見て動きを止める。

 

「未来、一緒に帰ろう!」

 

響が未来に呼びかける、すると。

 

「・・・帰れないよ」

 

未来は返事をし、顔を覆うバイザーを外す。

 

「だって、私にはやらなくちゃならないことがあるもの」

 

「やらなくちゃならないことだと・・・?」

 

「このギアが放つ輝きはね、新しい世界を照らし出すんだって。そこには争いもなく誰もが穏やかに笑って過ごせる世界なんだよ」

 

「争いのない世界・・・」

 

「私は響に戦ってほしくない。だから響が戦わなくてもいい世界を作るの」

 

「・・・その為なら、仲間ですら傷つけるってのか」

 

俺の言葉に未来は俺に視線を向ける。

 

「こんな方法は間違ってるんだよ、誰かを犠牲にした世界なんて、そんなの本当に平和な世界なんて言えない、けど」

 

「・・・真さんにはわかりませんよ」

 

「えっ?」

 

俺の言葉を遮り未来は言葉を荒げた。

 

「私がどれだけ響を、真さんを心配してるかなんてわからないんですよ!」

 

「お・・・俺も?」

 

「二人は自分の危険を顧みずに危ないことをするから!それを見て力のない私がどれだけ胸を苦しめたかのかなんて!」

 

「未来・・・」

 

「今でも響は危険な状態なのに戦おうとしてる!あの時も真さんは一人で月の欠片に向かった!けど私は何もできなかった!もう何もできずに立ちっぱなしでいるのは嫌なの!」

 

未来は決心した瞳で俺たちを見る。

 

「だから!私がこの力を使って争いのない世界を作る!もう響と真さんが危ない目に合わせないように!」

 

「・・・だからそれを纏ったのか」

 

未来が神獣鏡を纏った原因は俺たちにあったのか・・・だけど。

 

隣を見ると、響も俺を見て頷く。

 

「たとえ未来と戦うこととなっても、そんなことさせない!」

 

「未来、お前がギアを纏う原因が俺たちにあるなら、俺たちがお前を止めて見せる!」

 

アウェイクン!

 

俺はキーのライズスターターを押し込み、ゼロワンドライバーを身に着ける。

 

俺はシャイニングホッパーを取り出し、さらにもう一つ銀色のグリップ『アサルトグリップ』を取り出し、シャイニングに取り付け、『アサルトチャージャー』を押し込む。

 

ハイパージャンプ!

 

オーバーライズ!

 

新たなキーである『シャイニングアサルトホッパープログライズキー』を認証させ展開し、キーを上空へと掲げる。

 

すると空から二つの光が現れ、両方ともキーに直撃し、キーから新たなライダモデル『シャイニングアサルトホッパーライダモデル』が俺と響の上に浮かぶ。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

「変身!」

 

響は自分の危険を顧みず自分の胸に手を当て聖詠を歌い、俺は覚悟を決めキーをドライバーに装填する。

 

プログライズ!

 

瞬間、響は光に包まれ、俺はライダースーツを身に纏い、上空で浮かんでいたライダモデルは鎧の形に変わり俺に身に着けられる。

 

Warning,warning. This is not a test!ハイブリッドライズ!

 シャイニングアサルトホッパー!

 

No chance of surviving this shot.

 

響はガングニールを身に纏い、俺はシャイニングホッパーが進化した新たなゼロワン『仮面ライダーゼロワン シャイニングアサルトホッパーフォーム』へと変身する。

 

「「未来!お前(未来)を止められるのは・・・俺(私)たちだ!」」

 

俺たちは未来を取り戻すために、未来は俺たちを戦わせないために、互いの信念がぶつかり合った。

 

『使用BGM Rainbow Flower』

 

幾億の歴史を超えて

 

響の拳と未来の黒い鞭がぶつかり合い、俺の蹴りと未来のアームドギアがぶつかり合う。

 

何度もぶつかり合いながら、俺たちは船の上に降り立つ。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

響を見ると、響の体はあの時と同じように光っていき、熱を帯びてくる。

 

「響、大丈夫か?」

 

「はぁ・・・大丈夫。まだいけます!」

 

俺は響を心配しながら、司令室の出来事を思い出す。

 

 

 

選択した後、俺が指令室の戻ると響と弦十郎さんが言い争っていた。

 

『駄目だ!危険すぎる!』

 

『でもそれしか思いつかないんです!』

 

二人が言い争うところは初めてみたから俺は驚きつつも尋ねた。

 

『二人とも、何を言い争ってるんですか?』

 

『真君、響君があの光を利用して未来君のギアを解除すると言い出したんだ』

 

『あの光を利用!?』

 

『はい!あの光がシンフォギアを分解するなら、未来が纏ってるギアを例外じゃないと思うんです!だからあたしがやって見せます!』

 

『だから無茶だ!あの光が人体にどれほど影響を与えるのかまだ分からない。それに今の響君を戦闘に出させるわけにはいかない!』

 

『けど!みんなが戦ってるのに私だけ此処で待ってるなんてやっぱり嫌なんです!だから、死んでも未来を連れて帰ります!』

 

『死ぬのは許さん!』

 

『じゃあ!死んでも生きて帰ってきます!』

 

二人は睨み合う、そんな中俺が割って入る。

 

『弦十郎さん、俺からもお願いします』

 

『真さん!』

 

『君も何を言って・・・!』

 

弦十郎さんの言葉を遮るように俺は頭を下げる。

 

『責任は俺がとります!絶対に未来も響も無事に連れて戻ります!だから!』

 

俺が必死に頭を下げていると、藤尭さんが何かを計算してくれた。

 

『過去のデータと、現在の融合深度から計算すると、響さんの活動限界は二分四十秒となります!』

 

『藤尭さん・・・!』

 

『たとえ微力でも、私たちが響ちゃんを支えることができれば・・・きっと』

 

『友里さん・・・!』

 

二人の発言に、弦十郎さんは口を開いた。

 

『・・・オーバーヒートまでの時間は、ごく限られている。勝算はあるのか!』

 

弦十郎さんの言葉に俺と響は合わせて叫んだ。

 

『『思い付きを数字で語れるものかよ!』』

 

あの時弦十郎さんが言った言葉、その言葉に弦十郎さんは驚く。

 

『それに、あの光を利用しなくても二人を助ける方法があります』

 

俺の発言に今度は俺に視線が向けられる。

 

『何、本当か!?』

 

『真さん、それって本当ですか!?』

 

『賭けみたいなものだが・・・可能性はある!』

 

そして俺は未来と響を救うためにその方法を教えた。

 

 

 

何度でも立ち上がれるさ

 

響の連撃を防ぎ、未来は響を船体まで吹き飛ばし追撃しようとする。

 

「させるか!」

 

追撃の前に高速で割込み、未来とぶつかり合う。

 

未来は黒い鞭で攻撃してくるが、俺はシャイニングアサルトの高速移動と行動予測を駆使し、オーソライズバスターで全て撃ち落とす。

 

全部撃ち落とされた未来は光線を俺に放とうとするが、その直前で響が未来を蹴り飛ばす。

 

こうしてる間にも響のガングニールの浸食は進んでる。

 

作戦が長引けば、響の死の危険が高まる。

 

だから・・・絶対に・・・!

 

「「死ねる(なせる)かぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

俺と響は同時に未来を上空へと殴り飛ばしその後を追いかける。

 

上空で未来は再びギアを展開し、先ほどの極大光線を放ってくるが、俺たちは飛び上がり光線を回避する。

 

だが自由が利かない空中では俺たちは格好の的、未来は小さな丸鏡を大量に繰り出し、光線を放ってくる。

 

混沌

 

空中では身動きが取れず光線はよけきれない。

 

・・・だが、それは前のシャイニングだったらの話だ。

 

「シャインシステム・・・起動!」

 

俺が叫ぶと、胸の『オービタルユナイト』が輝きだし、そこから八個の青いエネルギーは波動弾『シャインクリスタ』が展開される。

 

俺と響はシャインクリスタを足場として、光線を回避する。

 

それでも発射される光線を躱し、シャインクリスタのレーザーで相殺していく。

 

お互いに均衡状態のとき、上空のヘリから何かが射出される。

 

何かは俺たちの元まで飛んできて展開し、未来の光線を反射して軌道を変えて襲い掛かってくる。

 

反射される光線をなんとか躱していくが、刻一刻とカウントダウンは迫ってくる、そんなとき未来の声が聞こえて来た。

 

「戦うなんて間違ってる。戦わないことだけが、本当に暖かい世界を約束してくれる。戦いから解放しないと・・・」

 

・・・未来は俺たちを救いたい、そういう優しい思いをあいつに利用されたんだ。

 

すると、響の体のいたるところから金色の鉱石のようなものが飛び出してくる。

 

「響!!」

 

まずい!タイムリミットが近づいてる!

 

響に異常が発生すると、未来の攻撃は一瞬止まり、様子がおかしくなる。

 

「・・・違う!私がしたいのはこんなことじゃない!こんなことじゃ・・・ないのにぃぃぃ!!」

 

瞬間、未来のバイザーが砕け、未来は涙を流した。

 

何で未来が涙を流さなくちゃいけないんだ!

 

それは響も同じで未来に迫っていくが、光線の弾幕でうまく進めない。

 

「真さん!」

 

響の声が聞こえ、そっちを向くと響は俺の方へと向かってくる。

 

「・・・わかった!」

 

俺は響の考えてることを理解し、足を差し出すと響をそのまま俺の足に乗っけて。

 

「いっ・・・けぇぇぇぇ!!」

 

そのまま響を未来の方へと全力で蹴り飛ばした。

 

蹴りの勢いもついて響は高速で未来の元まで向かい、鏡を砕いて未来を抱きしめる。

 

「離して!」

 

未来が叫ぶが、響はしっかりと未来を抱きしめる。

 

「嫌だ!離さない!もう二度と離さない!」

 

もう二度と、こんな目に合わせないように。

 

「響ぃぃぃぃぃ!!」

 

「離さない!!」

 

絶対に・・・二人を救う!

 

絶対に・・・絶対にぃぃぃぃぃぃ!!

 

響は未来を抱えたまま軌道を変え、俺の方へと向かう。

 

「真さぁぁぁん!」

 

「ああ!」

 

俺はオーソライズバスターをしまい、二人の元へと向かう。

 

(頼むぞ、神様!)

 

『ええ、調整は終わったわ!決めなさい!』

 

俺が手をかざすと、俺の手に黄色い剣が握られる、その名は・・・。

 

プログライズホッパーブレード!

 

俺はこの時、さっきの神との会話を思い出す。

 

 

 

『俺は賭けるよ、厄災なんかが来るよりそっちの方が断然ましだ』

 

『いいのね、何が起きるかは分からないのよ』

 

『ああ、それにもしやばい状況が来たとしても、俺が響を、未来を、みんなを救って見せる!』

 

『・・・わかったわ、私もあなたに賭けるわ』

 

『それで、その方法ってなんだ?』

 

『今から『プログライズホッパーブレード』の緊急調整に入るわ、それを使って』

 

『プログライズホッパーブレード?』

 

『この武器は元々、暴走したロボットを元に戻す力を持っている。それをシンフォギア用にカスタマイズするの』

 

『カスタムすると、どうなるんだ?』

 

『異常は正常に、暴走を無害なものに書き換えれるけど、正直言ってどうなるかは分からない。それに急な調整だから何発も使えないわ、一発が限度よ』

 

『一発・・・!』

 

『だから、二人を助けれるその瞬間だけに使いなさい』

 

『・・・わかった』

 

 

 

だから、この一撃で二人を救う!

 

俺はプログライズホッパーブレードをドライバーに認証させる。

 

ファイナルライズ!

 

認証させると、銀色の輝きが刀身に宿る。

 

「それがお前らを蝕むのなら・・・そんなの脱ぎ捨てろ!二人共ぉぉぉぉぉ!!」

 

俺は力の限り刀身を二人にぶつける。

 

 

ファイナルストラッシュ!

 

刀身が二人にぶつかると、二人は銀色の光に包まれ、二人のギアが光を纏って消えていく。

 

その瞬間、俺の後ろで先ほどまで反射していた神獣鏡の光線が一点に集まり、巨大な光線として俺たちに向けられて放たれるが、寸前のところで俺は二人を抱えて光線を回避し、そのまま海に落っこちる。

 

 

 

 

 

一方、先ほど放たれた神獣鏡の光線は再び海面目掛けて反射された瞬間、海から白い光の柱が天へと上った。

 

その輝きは輸送ヘリにいたマリア達、二課の潜水艦内にいた弦十郎たちすらも驚いていた。

 

そんな中一人、ウェル博士は笑みを浮かべる。

 

「作戦は成功です。封印は解除されました。さあ、フロンティアの浮上です」

 

輝きが消えると、海の底から巨大な何かが浮上してくる。

 

「あれは一体・・・何なのだ?」

 

「あれが、F.I.S.の狙いなのか?」

 

それは巨大な島のような物、その大きさに翼と奏は驚いていた。

 

「あれが・・・マリア姉さんたちの目的・・・っ!?」

 

セレナが驚く中、その背中に衝撃が走り地面に倒れ伏す。

 

「・・・どういうつもりなんですか、クリスさん!?」

 

セレナの後ろには背中に銃口を向け、引き金を引いていたクリスがいた。

 

「後はあたしに任せろ・・・それと、あの馬鹿に後は頼むって伝えといてくれ」

 

「クリスさん・・・っ!!」

 

そう言い残し、クリスはその場から去ってしまう。





後書きの時間だ!ということで救出おめでとう!
「ああ、と言ってもほとんどはあの駄目神のお陰なんだけどな・・・こういうときだけ役に立つからな」
「それにしても原作とは違う展開だな、切歌はあたしが守ってるし二人は神獣鏡でギア消してないし」
ああ、だから今後どうなるかは・・・俺にもわからない!
「おい作者!?」
冗談だ、まあある程度は考えてるから楽しみにしててくれ。
「それより私の扱いどうなんですか!?最後の最後にクリスさんに背中撃たれて倒れたんですよ!前回も未来さんに吹き飛ばされましたし!」
ああ~、まあどんまい。
「それだけ!?」
よし!じゃあさっさと〆るぞ!

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

「次回はましな立ち回りを期待してますよ!」


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特別回3:風鳴翼の誕生日


さあ今日は翼の誕生日だ!祝えお前ら!
「なんか作者のテンションがあほなんだが…」
「気にするな奏、いつものことだ。ところでセレナは?」
セレナなら今日は有給取ったぞ。
「あんの有給!?てか何で!?」
今回の話はルナアタック後のお話だからセレナが登場しないんだよな。
「だから有給とったのか・・・」
そういう訳、それじゃあ特別編3、どうぞ!


五月二十五日、今日は翼の誕生日。

 

そんな日に俺たちは奏に呼び出されて風鳴家に集まっていた。

 

「よし、みんな集まったな」

 

この場には場を仕切る奏を中心に俺、響、未来、クリスが来ていた。

 

「お前らも知ってるけど今日は翼の誕生日だ」

 

「しってます!この日のためにちゃんとプレゼントを念入りに考えて購入しました!」

 

「ったく、無理やりこの馬鹿に買い物に付き合わされたと思ったらそう言うことかよ・・・」

 

「そんなこと言って、クリスもプレゼントちゃんと選んでたよね」

 

「あっ!あれはただの詫びの例だ!そういうのじゃねえよ!」

 

「その割にはちゃんと包装してもらってるじゃないか、そのリボンはお前が選んだのか?」

 

「まったく、クリスちゃんは素直じゃないね~」

 

「だぁぁ!黙れ馬鹿コンビ!!」

 

俺たちが騒ぐ中、奏は手を叩いて止めてくる。

 

「プレゼントの方はOKみたいだな。それじゃ次の段階だな」

 

「次の段階・・・ですか?」

 

「ああ、今回はサプライズパーティーにしたいからな、翼が帰ってくる前に準備を整えて驚かせてやろうぜ」

 

「おおっいいですね!翼さん驚きそうです!」

 

「んで、肝心のあいつは帰ってくるのは遅いのか?」

 

「安心しろ、事前に緒川さんに話して送れるように調整してくれたからな」

 

流石有能NI☆N☆JA緒川さん、やることが早え。

 

「だったら、盛大に祝ってやらないとな」

 

「おう、目一杯飾り付けて驚かしてやるぞ!」

 

『おぉー!』

 

こうして俺たちの『風鳴翼サプライズパーティー』が開始された。

 

 

 

 

 

「未来、クリームの方はどうだ?」

 

「うん、しっかり出来てるよ」

 

「よし、なら次はフルーツカットを頼む」

 

「わかりました」

 

「響、そっちの飾りは扉の上に着けてくれ」

 

「わかりました!クリスちゃん手伝って!」

 

「・・・ったくしょうがねえな」

 

「そっちが終わったらこっち側の飾りつけも頼むぞ」

 

立ち回りとしては、俺と未来がケーキを作成、料理に関しては事前に緒川さんが準備してくれたらしい。

 

奏と響とクリスは部屋の飾りつけ、此方も飾りは緒川さんが用意してくれた。

 

・・・本当に何でもできるなあの人。

 

「んで奏、翼はどれぐらいで帰って来るんだ?」

 

「ん~と、確か後三時間ぐらいは行けるって緒川さんは言ってたな」

 

「流石緒川さん、それだけあれば十分間に合うな」

 

「そうですね!翼さんの喜ぶ顔が目に浮かびます!」

 

「よし、その笑顔を実現するために準備頑張るぞお前ら!」

 

「「「おおーー!!」」」

 

「お・・・おー」

 

やる気は十分だな、よしなら俺も張り切るか。

 

 

 

 

 

それから三時間後、翼が緒川さんと一緒に帰ってきた。

 

「それでは翼さん、自分はこのあたりで」

 

「今日はありがとうございました緒川さん」

 

緒川さんは一礼した後すぐに姿を消し、翼が部屋に入ると・・・。

 

パァン!パァン!パパァン!

 

『翼(さん)!誕生日おめでとう!』

 

入ってきた瞬間俺たち翼目掛けてクラッカーを鳴らすと翼はぽかんとした顔になっていた。

 

「み・・・みんな?これは一体?」

 

「何言ってるんだよ翼、今日はお前の誕生日だろ」

 

「はい!それで私達準備して待ってたんです!」

 

奏と響の発言で翼は今日は自分の誕生日だと思い出したようだった。

 

「あ・・・そうか、今日は私の誕生日だったか」

 

「因みに、緒川さんにも協力してもらって時間を稼いでもらいました」

 

「なるほど、それで今日はやけに仕事が多かったわけか」

 

「ちなみに、このサプライズの発案者は奏だぜ」

 

「それであたしらも無理やり手伝わされたわけだ」

 

「おやおや、その割には飾り付けを一番頑張ってたのかクリスだったんじゃないかな?」

 

「なっ!!うっせえぞ馬鹿真!」

 

「そうか・・・私のために」

 

「どうだ翼、驚いたか?」

 

「ああ奏、それにみんな、私のためにありがとう」

 

翼は笑顔でそう言ってくれた。

 

「そういわれると頑張ったかいがありますね!」

 

「だな、よし!それじゃあ誕生日パーティーを開始するか!」

 

『おお―――!』

 

そして今日の夜はみんなで楽しくパーティーを楽しんだ。

 

特に翼さんが一番楽しんでくれ良かったよ。

 

改めてハッピーバースディ、翼。





というわけで特別編3終わり!
「改めて、おめでとう翼」
「ありがとう奏、それに真達も」
「いいんだよ、よく助けられてるしそのお返しってことで。しかし今回は誕生花のプレゼントは送らなかったんだな」
正直言うと時間がなかった、というわけでここで渡すな、はい翼。
「これは・・・何という花なんだ?」
ラナンキュラスっていう誕生花だ、花言葉は『晴れやかな魅力』歌姫の翼にはピッタリだろ?
「ああ、ありがとう作者」
よし、プレゼントも渡せたしそろそろ〆るか!

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

そして~~。

『ハッピーバースディ、翼!』


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フロンティア

G編第二十一話、ついにフロンティアが浮上したな。
「そうだな、それに加えて前回のクリスの裏切り、まじで大変な状況になってきたな」
「はい、けど!真お姉ちゃんたちとなら何とかなると思います!」
「ああ、そうだな。・・・ところでその真は?」
さあ?朝から見かけてないけど…。
「「「・・・・・・まさかな」」」
とりあえず真は後で探すとして、G編第二十一話、張り切ってどうぞ!

~一方~

「待て!?何でお前はまた来たんだ!?しかも何だその物騒な斧と銀色のキーは!?」
「黙れ元凶、お前を倒せばみんな救われるんだ」
「いや待て今回に関しては僕は何も干渉してなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」


「・・・ぶっはぁぁぁ!!」

 

海に落っこちた俺はともに落ちた響と未来を担いで急いで海面に浮上した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ま、マジで危なかった。もう少しで光線が直撃するところだった」

 

もしあの光線に当たってたら俺の変身が解かれて三人纏めて餌食になってたな・・・。

 

ふと海面を見ると浮かんでいたプログライズホッパーブレードは光の粒子となって消えてしまった。

 

「一発限定っていうのが良ーくわかったわ、危ねえ危ねえ」

 

俺はそう思いながら響と未来を見ると、二人共ギアが解かれていて気絶していた。

 

「どうやら・・・賭けは成功みたいだったな。さて、早く二人を船に送らないといくら変身しててもキツイからな」

 

俺はシャインクリスタを射出し二人をクリスタに乗せ二課の潜水艦に向かおうとする中、海面にキラリと光るものが二つ浮かんでいるのが見えた。

 

「ん?なんだあれ?」

 

俺はその輝きに近づくと、その正体に気づく。

 

「これって・・・!」

 

俺はその光るものを手に取りポケットにしまい込み、二課の潜水艦へと向かうと、奏と翼とセレナ、そして二課の職員たちが俺たちを出迎えてくれた。

 

「真お姉ちゃん!響さんと未来さんは!?」

 

「今は気絶してる、急いでメディカルルームに連れて行ってくれ」

 

「わかった。すぐに向かわせよう」

 

シャインクリスタに乗せていた二人を二課の職員達に託し、三人はメディカルルームへと連れていかれた。

 

「ふぅ・・・ところでほかのみんなは?」

 

俺がそう尋ねると二人は苦い顔をした。

 

「・・・詳しい事情は二人が目を覚ましてから言おう」

 

「・・・わかった」

 

翼のただならぬ感じに俺は何かを感じ二人の回復を待つこととした。

 

 

 

 

 

暫く待つと、二人が目を覚ましたとの知らせを聞き急いで二人の元へと向かった。

 

「響!未来!」

 

「真さん!みんな!」

 

メディカルルームに入ると二人はいつもと変わらない様子で迎えてくれた。

 

「二人とも大丈夫なのか?どこか体に異常はないか?痛みとか感じないか?」

 

「落ち着いて、二人共困ってるから」

 

俺が二人を心配すると先に来ていた友里さん俺を止めてくれた。

 

「LINKERはちゃんと洗浄したし、強制装着の後遺症も見当たらない。響ちゃんも体内のガングニールが消えてなくなっているわ」

 

「じゃあ・・・二人は!」

 

奏がそう言うと友里さんは優しい顔で答えてくれた。

 

「ええ、二人とももう大丈夫よ」

 

その言葉で三人は喜ぶ中、俺は体の力が抜けて座り込む。

 

「「真さん!?」」

 

響と未来が座り込んだ俺を見て手を掴んでくれる中、俺の目からは涙が流れていた。

 

「よ・・・よかった・・・!二人が無事で本当によかった・・・!」

 

俺は泣きながら二人の無事を喜んだ。

 

駄目神にはああいった手前、本当は不安だった。

 

もし賭けに失敗して二人の身に何かがあったらと思い、内心は怖かった。

 

泣き崩れた俺を見て、響と未来は俺の手を握って口を開いた。

 

「真さん、ありがとうございます。真さんと響のお陰で私はこうしてまた響と手を取り合えることができました、本当にありがとうございます」

 

「私もです、真さんのお陰でこうして私も未来も無事でいられたんです。だから安心してください」

 

「ああ・・・ああ・・・!」

 

俺は二人の手を強く握った。

 

もう二度と、あんなことにはさせないように。

 

その様子をみんなは優しい目で見てくれる中、セレナが近づいて口を開いた。

 

「真お姉ちゃん、それでクリスさんの事なんですけど・・・」

 

そういうセレナの顔はどこか暗かった。

 

 

 

 

 

場所を移し、浮上したフロンティアに上陸したマリアとナスターシャ、ウェル。

 

そしてその三人と共に、クリスも上陸していた。

 

「こんなのが海中に眠ってたとはな・・・」

 

「ええそうです。あなたが望んだ新天地ですよ」

 

クリスはセレナを気絶させた後、ウェルに交渉し仲間になった。

 

セレナを気絶させたことで信頼を得て、交渉に成功し共にフロンティアに上陸したのだ。

 

「それより、分かってるんだよな。あたしとの約束を」

 

「もちろんですとも、貴方が仲間になってくれる代わりにこれ以上戦火は広げませんよ」

 

「・・・ならいい。さっさと向かうぞ」

 

ウェルが先に進みその後をクリスが追う中、後ろではマリアとナスターシャは何かを話していた。

 

「マム。切歌と調は・・・」

 

「これ以上、あの子達に罪を背負わせるわけにもいきません。彼女たちは二課に託しましょう。マリアも無理しなくてもいいのですよ」

 

「・・・正直言って、今私の心は揺らいでいるわ」

 

「・・・あの時船の上にいた少女。マリアも見ましたね」

 

「ええ、あの顔は間違いなくセレナだったわ」

 

「私も見ましたが間違いありません、ですがなぜあの子が・・・?」

 

二人はかつて目の前で、セレナが業火の中で散っていくのを目の当たりにした。

 

故に二人は困惑していた、セレナが生きていたことに、セレナが二課の仮面ライダーになっていたことに。

 

『・・・あのオレンジの仮面ライダー、もしかしたらセレナかもしれないデス』

 

「・・・あの時の切歌の言葉は本当だったのね」

 

マリアは会場での襲撃の時に切歌が言っていた言葉を思い出す。

 

「・・・セレナの件は後で考えましょう、私たちも行きましょうマリア」

 

「・・・ええ、マム」

 

マリアとナスターシャはウェルとクリスの後を追いかけた。

 

「セレナ・・・どうして?」

 

 

 

 

 

四人がフロンティア内を進むと、大きな空洞にたどり着く。

 

「つきました、ここがジェネレータールームです」

 

空洞の真ん中には、周りとは異質な雰囲気を漂わせる球体があった。

 

「あれはなんだ・・・?」

 

クリスが球体に疑問を持つ中、ウェルは一人球体に近づく。

 

球体に近づき、手にしていたケースを開くと、そこには赤く光る歪な何かがあった。

 

「おい、そいつは何だ!?」

 

「これはネフィリムの心臓ですよ。あの時ゼロワンにネフィリムは粉微塵に吹き飛ばされてしまいましたが、これだけは何とか回収したのですよ。まああの女の一撃で活動は停止寸前になっていましたが、何とかここまで復元できましたがね」

 

ウェルはネフィリムの心臓を手に取り、それを球体に取り付けると、心臓は球体に吸着され、球体は光りだした。

 

球体が光りだすとともに周りの鉱物内を光の粒子が通って行っていくのが見える。

 

「ネフィリムの心臓が・・・!」

 

「心臓だけとなっても、聖遺物を喰らい取り込む性質はそのままだって・・・卑しいですねぇ」

 

そういうウェルは怪しげな笑みを浮かべる。

 

「エネルギーが、フロンティアに行き渡ったようです」

 

「さて、僕はブリッジに向かうとしましょうか。ナスターシャ先生も制御室にてフロンティアの面倒をお願いしますよ」

 

そういってウェルはその場から離れる。

 

「後は頼んだぞ・・・真」

 

そんな中、クリスは自身の手を握り締め、小さな声でそう呟いていた。

 

 

 

 

 

クリスのことを聞いて俺たちは司令室に向かうと、司令室には弦十郎さんと緒川さんがいた。

 

「響君!未来君!まだ安静にしてなきゃいけないじゃないか!」

 

「ごめんなさい。でも、いてもたってもいられなくって」

 

「クリスちゃんがいなくなったと聞いたら、どうしてもって」

 

「確かに、響君とクリス君が抜けたことは作戦成功に大きな影を落としているのだが・・・」

 

室内は重い空気になっていた、そりゃクリスがセレナを気絶させて敵に寝返ったとなったらこうなるよな・・・。

 

「・・・あの、一言いいか?」

 

「ん?どうしたんだ真君」

 

「クリスの事なんですけど・・・クリスは裏切っていません」

 

俺の一言にみんなの視線は俺に集中された。

 

「真、信じられない気持ちはわかるが・・・」

 

翼が俺を慰めるように言ってくれている、嫌そうじゃなくて・・・。

 

「そうじゃなくて、それはクリスの作戦なんだ。クリスから聞いたから間違いないぞ」

 

その言葉にみんなは驚く中、未来は俺の肩を掴んで聞いてくる。

 

「真さん!それ本当なんですか!?」

 

「ああ、本当だ」

 

それは昨日、クリスと二人で話していたことだった。

 

 

 

『F.I.S.の仲間になる!?』

 

『ああ、と言っても本当に仲間になるわけじゃねえけどな。けどその方があいつらに怪しまれずに近づけるしチャンスはできるはずだ』

 

『けど、どうやって入るつもりなんだ?』

 

『あいつらが襲撃してきたとき、あたしが味方の誰かを気絶させて仲間にしてくれって頼めばあの男は食いついてくるだろ』

 

『・・・まあ否定はしないけど。けどクリスが危ないだろ!?』

 

『大丈夫だ、いざとなったら脅してでもソロモンの杖を取り戻してやる』

 

『お前なら本当に脅してでも取り返しそうだな・・・』

 

『・・・けど、もしあたしが危ない目にあいそうだったら、その時はお前らを頼りにするからな』

 

『・・・ああ、その時は俺たちが助けてやるよ』

 

『ああ。それとこのことはみんなには内緒にしててくれ』

 

『何でだ?』

 

『『敵を欺くならまず味方から』っていうじゃねえか』

 

『なるほどな、分かった』

 

これが昨日クリスと話していたことだった。

 

 

 

「・・・というわけなんだ」

 

「じゃあ!クリスちゃんは裏切っていないんですね!」

 

「ああ、だから安心しろ」

 

クリスの作戦を話すとみんなは安堵の息をついた。

 

「なるほど・・・だから真お姉ちゃんに『後は頼む』って伝えるように言ったんですね」

 

「そういうことだ・・・済まないな、作戦とはいえセレナを撃っちまって」

 

「いえ、そういうことでしたら私も納得です」

 

俺たちが話していると、画面にフロンティアが映った。

 

「フロンティアへの接近は、もう間もなくです!」

 

画面に映るフロンティア、あそこにクリスとマリアとセレナが言うマム、そしてあのくそったれがいるのか。

 

待ってろよ・・・クリス!

 

 

 

 

 

フロンティア内では、ウェルとマリアはブリッジに移動し、コントロールパネルの前にたどり着くとウェルは懐からLINKERを取り出した。

 

「それは・・・」

 

「LINKERですよ」

 

ウェルはそう言いながら自身の袖をめくりあげる。

 

「聖遺物を取り込むネフィリムの細胞サンプルから生成したLINKERですよ」

 

そしてウェルはLINKERを自身の左腕に注入すると、ウェルの腕はその形を変え、ネフィリムのような腕に変わってしまう。

 

「フへへっ・・・」

 

ウェルはその腕で制御盤に触れるとパネルに赤黒い線が走り、輝きだす。

 

「フへへへっ・・・早く動かしたいなぁ。ちょっとぐらい動かしてもいいと思いませんか?ねえマリア」

 

ウェルはまるで新しいおもちゃを手に入れたような雰囲気でパネルを操作すると、米国政府の船が映った。

 

一方、制御室にいるナスターシャもパネルを操作して何かをしていた。

 

(フロンティアが先史文明期に飛来したカストディアンの遺産ならば、それは異端技術の集積体。月の落下に対抗する手段もきっと・・・)

 

そう思いながら操作するナスターシャは何かを見つけた。

 

「これは・・・!」

 

何かを見つけた瞬間、ウェルから通信が入った。

 

「どうやら、ひょっちきならない状況の様ですよ」

 

ナスターシャの所にも米国政府の船が近づいてくる様子が見えた。

 

「一つに繋がることで、フロンティアのエネルギー状況が伝わってくる・・・これだけあれば、十分にいきり立つ!」

 

「早すぎます!ドクター!」

 

ナスターシャが制止しようとするが、ウェルは聞く耳を持たなかった。

 

「さぁ、行けぇ!」

 

パネルにまたしても赤黒い線が走ると、フロンティアに異常が起きる。

 

フロンティアに立たれている建物に光が集まり、上空に目掛けて三本の光が放たれる。

 

その光は雲を貫き、天を超え、宇宙にまで届く、光が向かう先には、今は欠けし月があった。

 

三本の光は収束し、巨大な腕に形を変えると、月をつかみ取り、そして・・・。

 

「どっ・・・こいしょぉぉぉ!!」

 

ウェルが腕を振り下ろすと、月に大きな衝撃が走り光の腕は霧散する。

 

光りの腕が消えた瞬間、突如フロンティアは浮上しだした。

 

「加速するドクターの欲望・・・!手遅れになる前に、私の信じた異端技術で阻止してみせる!」

 

ナスターシャは急いでパネルを操作する。

 

フロンティアの浮上は真達にも被害が及んだ。

 

二課の潜水艦はフロンティアの浮上によって起きた水の流れに捕まってしまい、潜水艦内にも衝撃が走った。

 

「こ・・・これは!?」

 

「広範囲にわたって、海底が隆起。我々の直下からも迫ってきます!」

 

藤尭がそう言った時、潜水艦の底に隆起した海底が当たり大きな衝撃が走った。

 

そして完全に浮上したフロンティア、その姿はまさに天を翔ける箱舟の様だった。

 

浮上するフロンティアを見た米国の船は砲撃を開始するが、戦艦の砲撃はフロンティアにとってまさに蚊に刺された程度のダメージだった。

 

その光景を見てウェルは恍惚な笑みを浮かべていた。

 

「楽しすぎてメガネがずり落ちてしまいそうだ・・・!」

 

ウェルは再び操作すると、フロンティアの底の装置にエネルギーが溜まっていき、電流が走る。

 

すると光の輪が広がり、米国政府の戦艦が浮かび上がった。

 

浮かび上がった戦艦は強力な圧力をかけられたように潰れてしまい、すべて爆散してしまう。

 

「うーん、制御できる重力はこれ位が限度の様ですねぇ・・・フハハハハッ!」

 

ウェルはフロンティアの力を目の当たりにして歓喜の声を上げる。

 

(・・・はたしてこれが、人類を救済する力なのか?)

 

マリアはフロンティアの力を見て人類を救えるか疑問に思っていた。

 

「手に入れたぞ、蹂躙する力!これで僕も、英雄になれる!この星のラストアクションヒーローだ!!フヘヘヘヘ!やったー!」

 

ウェルは狂気に包まれながらも笑みを浮かべ笑い声を上げた。




「ただいま、もう後書きの時間か?」
おかえり、その通りだ・・・ところでどこ行ってたんな?
「いや、要望に応えに行っただけだ」
? まあいいや、それより後書きなんだが。
「ああ、クリスが裏切ったわけじゃなくて本当に良かったよ」
「そうですね、それにマリア姉さんとマムが私に気づいて、こんなことをやめてくれればいいんですけど・・・」
「いや、あの外道がいるからそうそうやめれないんじゃないか?」
とうとう外道呼ばわり・・・まあその通りだけど。
「とにかく俺たちのやることは変わりねえ、クリスもマリアもナスターシャも助けてフロンティアも止めて月もなんとかしてついでにあの外道をぶっ飛ばすだけだ」
「だな、その為にもあたしらのパワーアップってまだか?」
すまん、今期ではお前らにパワーアップアイテムはない、その代わりはちゃんと考えてるから安心してくれ。
「わかりました、ではそろそろ〆ましょうか」

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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ディスティニーアーク

G編第二十二話、今回はちょっと苦労した回だな。
「あっそうなの?」
オリジナルな話を書くのが大分苦手で、大分頭をひねらせたよ…。
「まあその分頑張ったんだよな」
まあな、でも人から見たらおかしいって言われるかもしれないけど、そこはご容赦してください。
「G編ももうそろそろ終わりが近いですからね」
そう、だから最後まで全力で頑張らせていただきます、それではG編第二十二話どうぞ!


大きな衝撃の後、俺たちの乗っている潜水艦は浮上したフロンティアの地表の一部に上がっていた。

 

「下からいいのを貰ったみたいだ!」

 

「まさか、浮上するなんてな・・・!」

 

こんな状況普通予測できるか!?

 

「計測結果が出ました!」

 

友里さんがそう言うと、モニターにフロンティアの一部が映った。

 

「直下からの地殻上昇は、奴らが月にアンカーを打ち込むことで・・・」

 

「フロンティアを引き上げたのか!?んな無茶苦茶な!?」

 

「そうよ、けどそれだけじゃないわ!」

 

 

 

 

 

「行きがけの駄賃に、月を引き寄せちゃいましたよ」

 

ウェルが放った言葉に、マリアは耳を疑った。

 

「月を!? 落下を速めたのか!?」

 

月を引き寄せること、それは月が地球に落下する速度が速まる事だとマリアはすぐにわかり、ウェルを押し退けパネルを操作しようとする。

 

「救済の準備は何も出来ていない!これでは本当に、人類は絶滅してしまう!」

 

マリアは操作しようとするが、パネルは何の反応も示さなかった。

 

「どうして・・・どうして私の操作を受け付けないの!?」

 

「えひひひっ・・・LINKERが作用している限り、制御権は僕にあるのです」

 

操作できないことに困惑するマリアに、不気味な笑みを浮かべるウェルが答える。

 

「人類は絶滅なんてしませんよ。僕が生きている限りはね。・・・これが僕の提唱する一番確実な人類の救済方法です」

 

「そんなことのために、私は悪を背負ってたわけじゃない!」

 

マリアはあまりにも自分勝手なウェルに掴みかかろうとするが、ウェルに顔を殴られ倒れ伏してしまう。

 

「はっ!!ここで僕に手をかけても、地球の余命が後僅かなのは変わらない事実だろ?駄目な女だな!」

 

ウェルは嘲笑うようにマリアを罵倒する。

 

「フィーネを気取ってた頃でも思い出して、そこで恥ずかしさに悶えてな」

 

「っ!・・・セレナ・・・セレナ・・・私・・・!」

 

マリアはその頬に涙を流した、何もできない自分に、目の前の悪事を黙って見ている事しかできない自分に。

 

だがそんなマリアを見て、ウェルは更に言葉を紡いだ。

 

「ああ、そういえば貴方の妹さんは生きてましたね、ですが、僕からしたら好都合ですよ」

 

「っ!?」

 

「彼女はあなたの持っているそのボロボロのギアの絶唱の力でネフィリムを停止状態にしたんでしょ?だったらネフィリムが暴走しても制御できるように彼女を捕まえてそのギアを復元して従わせれば、ネフィリムも僕の思いもままって事さ!・・・ああ安心してください、絶唱で体がボロボロになってもちゃんと治してあげますから」

 

「っ!ふざけるな!!」

 

セレナを捕らえ、ネフィリムの暴走を抑え込むために再び絶唱を使わせようとするウェルに怒り起き上がろうとするが、起き上がりを阻止するためにウェルはマリアを蹴り飛ばした。

 

「あなたはそこで這いつくばって大人しくしてるといい。後で残った地球人類をどう増やしていくか一緒に考えてもらわないとね」

 

ウェルはそう言ってどこかに去る。その部屋には取り残されたマリアのすすり泣く声だけが響いた。

 

 

 

 

 

先行としてフロンティアに向かおうとする翼さんと奏さんがこれから出陣しようとしてた。

 

「では行ってくる。行こう奏」

 

「ああ」

 

「待ってくれ」

 

すぐに向かおうとする二人を呼び止め、俺は奏にキーを投げ渡した。

 

「奏、こいつを」

 

「これって・・・!」

 

「奏に預けた方がいいと思ってな・・・奏、翼、クリスを頼む」

 

「・・・ああ、当たり前だ」

 

「ああ、約束しよう」

 

キーを受け取り二人は部屋から出ていき、翼のバイクに奏が後ろに乗って出陣した。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

バレット!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

シューティングウルフ!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

変身した二人の行く手を大量のノイズが立ちふさがるが、翼はバイクを変形させそのまま突撃しノイズを切り払い突破していった。

 

騎刃ノ一閃

 

その様子を俺たちは司令室のモニターで見ていた。

 

「よし、俺たちも急いで『待ってください』セレナ?」

 

セレナは俺を止めると、弦十郎さんの方を向いた。

 

「すみません、お願いがあります」

 

 

 

 

 

セレナの頼みの後しばらく待つと、緒川さんが連れてきたのは、手錠を付けた切歌と調だった。

 

切歌はだいぶ暗い顔をしているが、まだフィーネのことを引きずってんだな。

 

「緒川さん、お願いします」

 

セレナの言葉を聞いて、緒川さんは二人の錠を解いた。

 

「えっ?」

 

いきなり手錠を外されたことに二人は驚いている中、セレナは二人に近づいた。

 

「暁さん、月読さん、お二人にお願いがあります」

 

「・・・私たちにお願い?」

 

「はい。二人とも、私たちと一緒に戦ってください」

 

セレナの突然の発言に二人は驚いた。

 

そう、セレナが弦十郎さんに頼んだのは、今捕虜として捕まえている切歌と調も一緒に戦わせてほしいということだった。

 

「何であたしたちに頼むんデスか。あたしたちは敵なんデスよ」

 

「ええ、けど今は敵も味方も関係ありません」

 

「そうだよ!私も二人に手伝ってほしい!」

 

響も二人に頼み込むと、調が響に対して口を開いた。

 

「・・・捕虜の私たちに出撃要請何て、どこまで本気なの?」

 

「もちろん全部」

 

「・・・いくらセレナが信頼しているとしても、私はあなたのそういうところ好きじゃない。正しさを振りかざす偽善者の貴方が・・・」

 

調の発言に俺は言葉を挟もうとするが、響が俺を止め、口を開く。

 

「私、自分のやってることが正しいなんて思ってないよ。依然大きな怪我をしたとき、家族が喜んでくれると思ってくれると思ってリハビリを頑張ったんだけどね、私が家に帰ってから、お母さんもおばあちゃんも暗い顔ばかりしてた」

 

響は自身の過去を調に話した、二年前のあの事件で大きなけがを負ったことを。そして家族を心配させないように必死にリハビリを頑張ったこと。そして周りから酷い迫害を受けたことを。

 

「それでも私は、自分の気持ちだけは偽りたくない。偽ってしまったら誰とも手を繋げなくなってしまう」

 

響はそう言って、自身の手を繋いだ。

 

「手を繋ぐ?そんなこと、本気で・・・」

 

「だから調ちゃんにも、切歌ちゃんにも、やりたいことをやり遂げてほしい」

 

そういって響は二人の手を掴んだ。

 

「もしそれが私たちと同じ目的なら、少しだけ力を貸してほしいんだ」

 

自分たちの手を掴みそう言った響に、切歌と調は戸惑いを隠せなかった。

 

「私たちの・・・」

 

「やりたいこと・・・」

 

二人が口を言葉に詰まる中、セレナが二人に手を掴んでいる響の手に自分の手を重ねた。

 

「私は暴走してるマリア姉さんたちを止めて助けたい、その思いはお二人も同じはずですよね」

 

セレナの言葉に二人は一瞬考えこみ響の手を放して調は背中を向けた。

 

「・・・みんなを助ける為なら、手伝ってもいい」

 

「あたしもデス、あたしもマリア達を止めたいデス」

 

「わぁ・・・!」

 

「けど、本当に信じるんデスか。あたしたちは敵だったんデスよ?」

 

「敵とか味方とか関係する前にさ、お前はまだ子供なんだからやりたいことをやってもいいんじゃないか。なっ弦十郎さん」

 

「ああ、子供のやりたいことを支えてやれない大人なんて、カッコ悪くてかなわないんだよ」

 

切歌の発言に俺と弦十郎さんは口をはさんだ。

 

「師匠!真さん!」

 

俺と弦十郎さんが切歌にそう言ってのけると、弦十郎さんはポケットから二人のギアを取り出して二人に渡した。

 

「こいつは、可能性だ」

 

弦十郎さんに言葉に切歌は涙し、調は目じりの涙をぬぐって言葉を返した。

 

相変わらずなのね(・・・・・・・・)

 

「甘いのはわかってる、性分だ」

 

弦十郎さんがそう返す・・・あれ?

 

調の奴・・・何で弦十郎さんの性分(・・・・・・・・・・)がわかったんだ?

 

俺が違和感を感じる暇もなく、響が二人に手を掴んで引っ張る。

 

「ハッチまで案内してあげる!急ごう!」

 

響は二人を連れてハッチまで向かって、俺とセレナも急いで向かった。

 

 

 

 

 

ハッチにたどり着くと俺はライズホッパーを展開し、セレナを乗せる。

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

切歌と調はギアを纏って、調は『非常Σ式 禁月輪』を繰り出し、切歌はその背中にしがみつく。

 

「それ、そういう方法もありなのか」

 

「意外と便利なんですね、月読さんのギア」

 

そういって出発しようとすると、響が呼び止める。

 

「待って!私も行かせて!」

 

「響さん!?無茶ですよ!今の響さんはギアを持ってないんです!、そんな状態でノイズに襲われたら・・・!」

 

「わかってる、けど戦いに行くんじゃない!人助けに行くの!」

 

「だからって・・・」

 

ついて行こうとする響を止めようとするセレナを俺は止める。

 

「駄目だセレナ、人助け状態に入った響はてこでも動かねえぞ」

 

「ですけど・・・!」

 

「それにこのまま置いて行ったら、絶対追いかけてくるだろ。だったら一緒に向かって守ってやればまだ安全だ」

 

「真さん・・・!」

 

「まったく、ギアがないってのにお前のそれは変わらないんだな」

 

ファイヤー!

 

『Progrise key confirmed. Start projection.』

 

俺は呆れた顔のまま、駄目神から貰った装置にフレイミングタイガープログライズキーを装填すると、装置からフレイミングタイガーライダモデルが現れる。

 

「タイガー、響を乗せて行ってくれないか」

 

俺がタイガーに頼むと、タイガーは了承し響を背中に乗せる。

 

「ありがとう、タイガー君!」

 

「・・・よし、じゃあ行くか!」

 

俺の言葉を合図に、俺たち五人は出撃する。

 

『何をやってる!響君を戦わせるつもりはないといったはずだ!』

 

出撃すると案の定、弦十郎さんからお怒りの連絡が入ってきた。

 

「戦いじゃありません、人助けです!」

 

『減らず口の上手い映画など、見せた覚えはないぞ!』

 

『・・・行かせてやってください』

 

弦十郎さんが起こる中、未来がそう言った。

 

『人助けは・・・一番響らしいことですから!』

 

「未来・・・!」

 

「響、お前は本当にいい友達を持ったな」

 

未来の発言に響は喜んだ。

 

『・・・ふっ、こういう無理無茶無謀は、本来俺の役目のはずだったんだがな』

 

「おいおい、あんたが来たらマジでやばいだろ」

 

そういって通話を切った。

 

さあ、早く向かうぞ!

 

 

 

 

 

「立花達と、あの装者たちが一緒にですか?」

 

「ははっ、やっぱ凄いな響の奴は」

 

「ええ、いつも私たちの予想の斜め上を行き過ぎている」

 

先行としてやってきたあたしと翼は旦那から響達が出撃したのを聞いた。

 

ギアを無くした上に、さっきまで敵だった二人と出撃するなんてあいつらしいな。

 

「よし翼、そうと決まったら急いでみんなと合流するぞ」

 

「ええ、大分ノイズを深追いしすぎたわ」

 

そうして響達の方へと向かおうとすると、上空から大量の弓矢があたしら目掛けて飛んで来た。

 

「「っ!」」

 

弓矢を察知したあたしらは急いで回避し、弓矢は乗り捨てたバイクに直撃し爆発を起こした。

 

「この攻撃は・・・!」

 

「どうやら、誘い出されたみたいだな」

 

飛んできた方を向くと、そこにはギアを纏ったクリスが立っていた。

 

「やっぱ来たんだな・・・」

 

「ああ、真にお前を任されたからな」

 

あたしの言葉を聞いてクリスは少しうれしそうな顔をした。

 

「そうか、あいつから聞いたのか・・・」

 

お互いの心情を察知し、あたしらはぶつかり合った。

 

クリスの射撃に対してあたしが弾丸を撃ち落としその隙に翼が切りかかる。

 

クリスは翼の攻撃をよけアームドギアをサブマシンガンへと変え連射してくるが、翼はほとんど切り落とし

その隙にあたしが接近し攻撃を仕掛け、互いに攻撃をかわし攻撃を仕掛けを繰り返していく。

 

ったく!大分強くなったなクリスの奴!だけど、あたしらも負けてねえぞ!

 

 

 

 

 

一方、別のところで真達を見ていたウェル博士がいた。

 

「ヒヒヒッ・・・僕の邪魔はさせませんよ」

 

そういってウェルは近くのパネルに手を触れ、何かを操作した。

 

 

 

 

 

俺たちは順調にフロンティアの中心の建造物へと向かっていると、突如地面が盛り上がった。

 

「っ!みんな回避!」

 

俺の声に合わせてみんなは盛り上がりから離れると、盛り上がった土は形を変え複数のあいつとなった。

 

「ネフィリム!?しかもこんなに!?」

 

「嘘だろ・・・あん時ぶっ飛ばしたはずだぞ!」

 

俺と響の疑問に調とセレナが答えた。

 

「多分ドクターの仕業、何かが入ってるケースを大事に持っていたからもしかしたら・・・」

 

「おそらく、ネフィリムの核だと思います」

 

「じゃあこいつらはそれの力で作られた偽物か・・・」

 

くそっ!そういうことなら念入りに辺りを探して核をつぶすべきだった!

 

俺は後悔しながらも、ライズホッパーから降りてネフィリムと対峙した。

 

「真さん!?」

 

「響達は先に行け、こいつは俺が受け持つ」

 

「そんな!一人だけだなんて・・・」

 

「安心しろ、一度は倒した相手だ。それに響、お前の役目は人助けだろ」

 

俺はそう言って、セレナにアタッシュアローを、懐からとあるものを響に投げ渡し、二人は受け取った。

 

「えっ・・・!これって!」

 

響は受け取ったものを見て驚いていた。

 

「お守りだ、一応持って行っとけ。セレナ、これは俺の感なんだが、この先にはお前は絶対に必要なはずだ」

 

俺の言葉を聞いてセレナは思い出す、この先にいるのが誰なのかを。

 

「・・・わかりました、でも気を付けてください!」

 

「真さん!お願いします!」

 

「ああ、了解」

 

セレナと響はそう言い、タイガーに乗って共に建造物へと向かおうとすると切歌と調も残ろうとした。

 

「調ちゃん!?切歌ちゃん!?」

 

「私たちも手伝う、せめてもの罪滅ぼし・・・」

 

「そうデス、だから早くマリアたちの所に行くデス!」

 

二人はアームドギアを手にして戦闘態勢は万全だった。

 

「でも・・・!」

 

「私と切ちゃんとギアを繋ぐLINKERだって限りがある・・・だから行って」

 

そういって調は響の方を向いた、俺はその時、調の瞳が金色になっていたのが見えた。

 

胸の歌を、信じなさい(・・・・ ・・・・・)

 

俺はその言葉を聞いて、確信を持った。調、まさかお前・・・!

 

「・・・わかった、行こうセレナちゃん!」

 

「はい!お願いします!暁さん!月読さん!」

 

そういって二人は先に向かった。

 

「私たちも急いで後を追いかけないと、だから・・・!」

 

「・・・ああ、だからさっさと倒さないとな!」

 

ハイパージャンプ!

 

オーバーライズ!

 

ドライバーにシャイニングアサルトホッパーを認証させると、頭上に再びシャイニングアサルトホッパーライダモデルが出現する。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

Warning,warning. This is not a test!ハイブリッドライズ!

 シャイニングアサルトホッパー!

 

No chance of surviving this shot.

 

俺はシャイニングアサルトホッパーに変身し、オーソライズバスターを手に取り構える。

 

ネフィリム軍団と相対した時、切歌の小さな声が聞こえた。

 

「そうデス・・・調もマリアもセレナもマムも皆守らないと。私の存在が消え去る前に・・・!」

 

切歌は覚悟を決めた顔でネフィリムを睨みつける。

 

調のあれで確信した、このことを何とか切歌に伝えないとな!

 

そして俺たちは偽ネフィリム軍団と戦い始めた。

 

『使用BGM Edge Works of Goddess ZABABA』

 

警告メロディー 死神を呼ぶ 絶望の夢Death13

 

二人のデュエットに合わせ、俺はネフィリムの群れに速攻で向かって何匹か蹴り飛ばす。

 

蹴り飛ばされたネフィリムは土くれとなって砕け散ったが、残った奴らが地面に腕をぶつけると地面が一直線に盛り上がり俺の真下からネフィリムの腕が飛び出してくる。

 

俺は直前で攻撃を武器で防ぐと、後ろから調と切歌が飛び出しネフィリム達に切りかかる。

 

ネフィリム達は切りかかってきた二人に腕を振るうが、調は巨大な丸鋸を繰り出し攻撃を防いだ。

 

γ式 卍火車

 

DNAを教育してく エラー混じりのリアリズム

 

調が攻撃を防いだ後、切歌は間髪入れずに両肩のパーツから、四つの刃を繰り出しネフィリム達を切り払った。

 

封伐・PィNo奇ぉ

 

はたから見ても二人のコンビネーションはバッチリだった、これが本来の二人の戦いか。

 

「俺も負けてられねえな!」

 

俺はオーソライズバスターをガンモードに切り替え、高速でネフィリムの群れに近づき撃ち抜く。

 

三人掛かりで、こいつらぶっ飛ばす!

 

 

 

 

 

 

奏と翼がクリスと、真と調と切歌がネフィリム軍団と対峙している様子は、ブリッジのモニターでマリアが見ていた。

 

「どうして、切歌と調にまで襲い掛かるの・・・!」

 

マリアはモニターの状況を見て膝をつき、涙を流した。

 

「私は・・・こんなことをするためにやったじゃなかったのに!!」

 

『・・・マリア』

 

マリアがこの状況に絶望する中、ナスターシャから通信が入った。

 

「っ!マム!」

 

『今、あなた一人ですね』

 

ナスターシャは制御室で何かを操作しながらマリアと話している。

 

「フロンティアの情報を解析して、月の落下を止められるかもしれない手立てを見つけました」

 

『えっ?』

 

「最後に残された希望・・・それには、貴方の歌が必要です」

 

マリアはナスターシャの言葉に驚いた。

 

「私の・・・歌・・・!」

 

一方で響とセレナはタイガーに乗ってマリアがいるブリッジに向かっていた。

 

「胸の歌が・・・ある限り!!」

 

「待っててください!マリア姉さん!マム!」

 

決戦の時は・・・近い。




さてあらすじなんだけど・・・今回の話を要約すると?
「ウェルが普通に外道」
「月読さんだけではなく暁さんもこちら側」
「偽ネフィリムの大群」
はい、毎度のことながらよくできました。
「しかしよく考えるものだな、偽ネフィリムの軍団だなんて」
原作でも地面の下からネフィリム出て来たし行けるかなと思って。
「それとあれだ、ウェルが普通に酷いな」
俺なりにセレナが生きてたらウェルはこうするだろうな・・・と思いまして。
「それで狙われる私の身になってくださいよ」
それはすまん。
「まあ問題は暁さんですよね、月読さんの目が金色とあのセリフってもしかして・・・」
おっと、それ以上は次回まで取っておいてくれ。
「じゃ、その次回を楽しみにしてるからな」

おう、んじゃそろそろ〆ますか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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それぞれの戦い

G編第二十三話、いよいよG編も終わりに迫ってきたな。
「ああ・・・というかよくここまでこれたなお前」
自分でも驚きだよ、DVDで本編見ながら書いてるけどここまで来れるとは。
「その甲斐があって今じゃお気に入り登録者も300人いったしな」
いやそこはマジで感謝の極みです、こんな作品を気に入ってくれて本当にありがとうございます。
「作者さん、それより早く本編に映った方がいいんじゃ」
おうそうだな、それじゃあこの勢いでG編第二十三話、どうぞ!


今もなお天高くへと浮上するフロンティア。

 

その大地にて戦う三人の少女達。

 

「おらおらおらおらぁ!」

 

クリスはサブマシンガンによる連射にて相手する奏と翼を二人が得意とする接近戦に持ち込まないようにしていた。

 

「くっ!やっぱイチイバルは厄介だな」

 

「ああ、だがそれで引く私達ではない!」

 

翼は向かってくる弾幕を手にしているアームドギアで切り落とし無理やり接近していく。

 

「だな、あいつの任されてるからな!」

 

対する奏も仮面ライダーの装甲を生かし、弾幕の中を突っ切っていく。

 

「っ!マジかよ!」

 

二人に接近されたクリスは二人の攻撃を紙一重で避け、すぐに距離をとるが、その際に二人はクリスの首に取り付けられている何かに目を向けた。

 

「っ!奏」

 

「ああ、あれは・・・」

 

三人が相対する一方、別の場所でも激闘が繰り広げられていた。

 

「だりゃあ!」

 

真はシャイニングアサルトの高速移動で偽ネフィリム軍団に接近し、オーソライズバスターで多くのネフィリムを薙ぎ払う。

 

「くそっ!倒してもきりがない!」

 

「でも、必ず終わりはある!」

 

そう言った調は『α式 百輪廻』にてネフィリム達を切り裂いていく。

 

「デェェェス!」

 

調に負けじと前に出た切歌も『封伐・PィNo奇ぉ』で次々とネフィリムを土くれへと戻していった。

 

「・・・そうだよな、こんなところで音を上げる暇はないな!」

 

真は自身を奮い立たせ、迫りくるネフィリムを蹴り崩した。

 

「さっさとこいつら倒して、響とセレナに追いついてみんなを助けるんだ!」

 

それぞれの思いが交差し、フロンティアでの激闘は続いた・・・。

 

 

 

 

 

一方浮上してしまった二課の潜水艦では、弦十郎と緒川が船内に乗せていた車両に乗り込むところだった。

 

「世話をかける弟子たちのお陰でこれだ」

 

「きっかけを作ってくれたと、素直に喜ぶべきでは?」

 

緒川がそう言うと、弦十郎は口元をにやけた。

 

すると、タブレットから通信が入ってきた。

 

『司令!』

 

「なんだ?」

 

『出撃の前に、これをご覧ください』

 

タブレットを見ると、そこにはブリッジにいるマリアが映し出されていた。

 

『私は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ。月の落下がもたらす災厄を最小限に抑える為、フィーネの名をかたった者だ』

 

それはマリアが世界各地に送った決意のメッセージだった。

 

「この期にF.I.S.は、何を狙って・・・」

 

マリアは世界各地へ言葉を贈る中、弦十郎はタブレットを見つめていた。

 

『・・・米国、国家安全保障局。並びにパヴァリアの光明結社によって隠蔽されてきた。事態の真相は、政界、財界の一角を占有する、彼ら特権階級にとって、極めて不都合であり、不利益を・・・』

 

世界中では、マリアが語る言葉を人類が聞いていた。

 

なぜこのようなことになったのか、事は数刻前のフロンティア内に戻る。

 

 

 

『月を・・・私の歌で?』

 

フロンティアの制御室にて、ナスターシャはマリアに方法を伝えていた。

 

『月は、地球人類より相互理解を剥奪するため、カストディアンが設置した監視装置。ルナアタックで一部不全となった月機能を再起動できれば・・・公転軌道上に修正可能です』

 

ナスターシャがマリアに説明する中、突如ナスターシャは吐血した。

 

『マム!?マム!!?』

 

『貴方の歌で・・・世界を救いなさい・・・!』

 

ナスターシャは血を吐きながらも、マリアに世界を救えと語った。

 

 

 

『すべてを偽ってきた私の言葉が、どれほど届くか自信はない。だが、歌が力になるというこの事実だけは、信じてほしい!』

 

マリアは世界中にそう告げ、聖詠を歌った。

 

Granzizel bilfen gungnir zizzl

 

マリアは世界中に見られているにもかかわらず、黒のガングニールを身に纏った。

 

『私一人の力では、落下する月を受け止めきれない・・・だから貸してほしい!皆の歌を届けてほしい!』

 

マリアは人々に懇願し、月を止めるために歌を歌った。

 

 

『使用BGM 烈槍・ガングニール』

 

 

()が為にこの声 鳴り渡るのか?』

 

『そして()が為にこの(うた)は 在ればいいのか?』

 

歌を歌うマリアのガングニールは、徐々に赤く輝いていく。

 

(セレナが助けくれた私の命、誰かの命を救って見せる。それだけで・・・セレナが助けてくれたことに報いられる!)

 

マリアが歌う中、弦十郎たちは発信の準備を整えていた。

 

「緒川!」

 

「わかっています、この映像の発射源をたどります」

 

そして二人は車両を走らせた、向かう先はマリアがいるブリッジただ一つ。

 

 

 

 

 

私と響さんはタイガーさんに乗って、建造物へと向かっていた。

 

皆さんが頑張っているんです・・・私達だって!

 

遠くで爆発が起き私はそっちを向きますが、響さんはまっすぐと建物を見ていた。

 

「進もうセレナちゃん。進むこと以外、答えなんてあるわけないから!」

 

「・・・わかりました、飛ばしてください!」

 

私の言葉にタイガーさんは速度を上げた。

 

 

 

 

 

あたしと翼はクリスと戦う中、あたしと翼はクリスに聞こえないように小声で話した。

 

『奏・・・あれがおそらく雪音を従わせている装置なはずだ』

 

『ああ、隙をついてあれを破壊しないとな・・・』

 

あたしらはそう決意し、クリスに接近した。

 

クリスが威嚇射撃してくるが、翼が『青ノ一閃』を放って弾丸を全て切り払ってその隙にあたしはすぐに懐に潜りこもうとした。

 

「遠距離武器は懐に潜りこまれたら弱いよな!」

 

あたしはそのまま潜りこんでクリスの首輪を破壊しようとすると、クリスはアームドギアの形状を変えた。

 

その形は今までの奴とは違う形で、あたしはその形を知っていた。これは・・・!

 

「アタッシュショットガン!?」

 

「っ!奏、危ない!」

 

翼が叫ぶが回避は間に合わないと感じて向けられる銃撃があたしを襲った。

 

MEGA DETH BURST

 

予想だにしてなかった一撃にあたしは後ろへ吹き飛ばされてしまった。

 

「くっ・・・!?まさかそんな隠し玉を持ってたなんてな・・・!」

 

「へっ。あたしのとっておきだ」

 

あたしは吹き飛ばされながらも、すぐに立て直し再度向き直った。

 

「でも、あたしらは引かねえぜ。お前の先輩として、お前を絶対にこっちに戻してやる」

 

「ああ、継菜にも頼まれているからな。たとえ引っ張ってでも連れて帰って見せよう」

 

あたしと翼の言葉を聞いて、クリスは驚きながらも、どこか笑っていた。

 

「・・そうか、あたしがこんなことしてるっていうのにまだあんたらは」

 

クリスは小声で何かを喋るがあたしらには聞こえなかった。

 

そしてクリスは意を決して、あたしらの向き直った。

 

「風鳴先輩、天羽先輩」

 

クリスの言葉にあたしらは驚いた。あいつ、今あたしらのことを!

 

「悪いが次で決める、昨日まで組み立てて来た、あたしのコンビネーションだ!」

 

「・・・ならば、此方も両翼のチームワークを見せよう!」

 

「ああ、これで終わらせるぜ!クリス!」

 

あたしらは互いに微笑みながら、武器を構えた。

 

クリスはあたしと翼に射撃し、翼は剣で防いで上へ飛び跳ね、私はショットライザーでクリスを狙い撃った。

 

クリスはすぐに躱してあたしと翼目掛けてボウガンで大量の矢を放つが、翼の『青ノ一閃』であたしに向けられた矢を自身に向けられたのと含めて消し飛ばした。

 

矢を消されたクリスはすぐに小型のミサイルを展開し、翼も自身の周りに大量の短剣を構え、私はショットライザーのキーのライズスターターを押し込んだ。

 

バレット!

 

「うぉぉぉおおおお!!」

 

MEGA DETH PARTY

 

「はぁっ!!」

 

千ノ落涙

 

「おりゃぁぁぁ!!」

 

 

バレットシューティングブラスト!

 

そしてあたしらが放った一撃はぶつかり合い、爆発があたしたち三人を巻き込んだ。

 

 

 

 

 

「ひゃっはぁぁぁぁ!!願ったり叶ったりしてやったりぃ!」

 

三人が戦う様子を見ていたウェルはソロモンの杖を手に歓喜の声を上げて飛び跳ねた。

 

『・・・アメノハバキリとイチイバル、そしてバルカンの反応・・・見失いました』

 

ブリッジに向かう途中、弦十郎はオペレーターから報告を受けた。

 

「翼・・・奏・・・クリス君・・・!」

 

 

 

 

 

『使用BGM Edge Works of Goddess ZABABA』

 

調と切歌が二人でネフィリムを切り裂いていき、二人に襲い掛かるやつは俺がシャインクラスタで撃ち抜き沈黙させているが・・・。

 

「それでも多い・・・!」

 

それでも数が減った気がしない気がして、心身ともに疲れが見えてきたところで二人が俺の元にやって来る。

 

「二人とも、流石にこの数全部捌ききる前にこっちのスタミナが切れるかもしれない!」

 

「うん・・・LINKERの方も効果がもう少ないと思う」

 

「でも、まだこんなにいるのデスよ!?一体どうすれば・・・」

 

確かにこのままじゃ二人のLINKERが切れる方が早い・・・だったら。

 

「・・・二人とも、こいつらを一か所に集める、もしくは広範囲で威力がある技は持ってるか?」

 

俺の提案に二人は俺の方を向き、少し考えこむ。

 

「・・・前者は無理だけど、後者ならいけると思う」

 

倒せるのか・・・ならプランBだな。

 

「よし、俺があいつらの気を引きながら一か所に集める。お前らはそれまで力を集めてあいつらが一か所に集まったら一気にぶっ潰せ」

 

「それってあなたが囮になるってことデスか!?無茶ですよ!」

 

「アサルトの速さなら振り切れる・・・だから頼む」

 

俺の頼みに二人は顔を合わせ、再び俺の方を向いた。

 

「・・・三十秒、それだけあれば一気に倒せれると思う」

 

「OK、じゃあ頼んだぜ調、切歌!」

 

俺は殲滅を二人に託してネフィリムの群れに突っ込んだ。

 

群れのど真ん中に突っ込んでオーソライズバスターをぶっ放しネフィリム達の注意を引き二人から離れさせると、二人の歌声が聞こえてくる。

 

わからず屋には いいおクスリを 処方してオペしましょう ターゲットには 容赦はしない 感情をアンインストール

 

交錯していく 刃の音が 何故か切ないラプソディに 籠の中から 救ってあげる 両断のクチヅケで

 

二人にデュエットと共に二人のフォニックゲインが高まっていくのを感じ、俺は殲滅させやすくするためオーソライズバスターにトラッピングスパイダープログライズキーを認証させる。

 

バスターオーソライズ!

 

認証させ、シャイニングアサルトの高速移動でネフィリム達を翻弄しオーソライズバスター連射していく。

 

プログライズダスト!

 

連射したエネルギー弾はネフィリム達を捕らえ身動きを封じていき、ほとんどの動きを止めることに成功する。

 

ネフィリム達の動きを止めてから二人の方を向くと、二人の準備は万端だった。

 

「頼む、二人とも!」

 

俺の声に合わせて二人は力を開放した。

 

早くこんな・・・涙は・・・

 

叫んでみて call now 涙ごと全部

 

 

二人の声が重なると同時に二人のギアの形状が大きく変化していく。

 

臨界を超えた思い いまぶつけよう

 

伝えきれない ココロをいまぶつけよう

 

二人のイガリマとシュルシャガナの刀身が巨大化し、互いに刃を重なると二つのギアが一つになり巨大なハサミへと形を変える。

 

「遠慮」なんていらない さあいま試すMy all

 

「遠慮」なんていらない さあ試す愛

 

二人はしっかりと巨大ハサミの取っ手を掴み、シュルシャガナの機動力とイガリマのブースターでネフィリム達に接近する。

 

募りきって止まらない「大好き」伝えたいよ

 

きっときっと そう「大好き」伝えたい

 

ネフィリム達に接近し刃を限界まで開き、俺はその攻撃のやばさを直感しすぐにネフィリムから離れる。

 

煌めく運命(さだめ)二人は 月と太陽

 

煌めいた運命に 嗚呼溶ける月と太陽

 

巨大な刃がネフィリム達をはさみ、二人は息を合わせて刃を閉じネフィリム達を切り裂いた。

 

双奏絶刀死Zaア苦ロSu

 

その斬撃の勢いは想像以上で、ネフィリムたちどころか周りの岩も切り裂いていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・!」

 

ネフィリム達を切り裂いた後、二人は肩で息をしていた。

 

「いや・・・想像してたより強すぎだろ。なんだ今の大技」

 

俺は若干引きながら二人に駆け寄った、あんなの喰らったら俺真っ二つになるぞ。

 

「シュルシャガナと・・・」

 

「イガリマのユニゾン・・・デース」

 

二人は息を切らしながらも答えてくれる、俺達との戦いでこれ使われなくてよかった・・・。

 

「と・・・とにかく、二人のお陰でネフィリム達は殲滅出来たな」

 

後は二人を追いかけるだけだが、二人はまだ疲れているしいったんここで休憩を取った方がいいな。

 

休憩中に切歌にあのことを話そうとしたとき、二人の後ろの土が盛り上がり、そこからネフィリムが飛び出した。

 

「っ!?二人とも後ろ!」

 

「「っ!!」」

 

くそっ!一匹土に埋まってやりすごしてた!二人が振り返るが回避が間に合わない!

 

ネフィリムの凶爪が二人に襲い掛かろうとした時。

 

「・・・っ!駄目ぇ!!」

 

調がとっさに両手を突き出す・・・すると突然紫色のバリアが二人の目の前に現れた。

 

「えっ!?」

 

「この野郎!」

 

切歌は突然の状況に驚きつつも、ネフィリムの攻撃はバリアに防がれその隙に俺がネフィリムに近づき蹴り崩した。

 

「・・えっ?今のって」

 

調は自分がバリアを出したことに驚いていた。

 

「な・・・何で調が?あたしのはずなのに・・・なんで?」

 

切歌は前に自分が出したはずのバリアを調が出したことに困惑していた。

 

「・・・やっぱり、そういう事だったのか」

 

俺は困惑している二人に説明する、さっきのと今のを合わせてやっと合点した。

 

「やっぱり・・・って、どういう事デスか!?」

 

「俺もついさっき気づいたばかりだが、今のでようやく確信した」

 

俺はそう言いながら、調に近づき、結論を口にした。

 

「あんただったんだな・・・『本当のあんた』は」

 

「・・・えっ?」

 

俺の発言に切歌は耳を疑った・・・そして調は俺の言葉を耳にして・・・。

 

「・・・『あら、やっと気が付いたのね』」

 

その言葉を口にした調の雰囲気は変わり、先ほどと同じ『金色の瞳』になっていた。

 

「元気そうだな・・・『櫻井さん』」

 

「あら?いまでもその名前で呼んでくれるのね」

 

「あの時響も言ってただろ、了子さんは了子さんって。だから俺の中では今でもあんたは櫻井さんだ」

 

「・・・そう」

 

俺と調の会話に切歌は困惑しながらも入ってきた。

 

「し・・・調?まさか調が・・・!?」

 

「・・・その通りよ、暁切歌ちゃん」

 

調は切歌の方を向き、名を名乗った。

 

「私の名前はフィーネ。あなた達が名乗っている永遠の巫女本人よ」

 

「っ!!?」

 

調・・・否、フィーネの言葉に切歌は膝をついた。

 

これが真実・・・マリアでも切歌でもなく、調が今代のフィーネだったんだ。

 

 

 

 

 

響とセレナは、フロンティアの建造物のてっぺんにたどり着いていた。

 

「ついた!この先に・・・!」

 

「はい!待ってて、マリア姉さん!マム!」

 

二人はタイガーに乗ったまま奥へと向かった・・・。




後書きの時間だがその前に自分からひと言、『戦姫絶唱シンフォギア~調めし~』連載開始おめでとう!
「いやまさかシンフォギアの公式スピンオフが来るとは驚きだな」
この情報には全国の適合者のフォニックゲインが爆上がりですよ、自分もその一人。
「だな、あっちの調には頑張ってもらいたいな」
そうだな、それじゃあ後書きといきますか。
「今回は本編にはない新技が二つも出てきましたね」
クリスの『MEGA DETH BURST』と調と切歌の『双奏絶刀・死Zaア苦ロSu』だな、あれはその場の勢いで作った新技だ。
「勢いかよ!?」
いやさ、クリスは重火器とか扱うからショットガンとかも使えるかもなっと思って、調と切歌は・・・本編でもル〇バとか使うからこれでもありかな~って。
「お二人の理由だけなんだか適当じゃありませんか?」
ハハハッ☆気のせいだ!てなわけでそろそろ〆ますか!

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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ガングニールの少女

G編第二十四話、今回で色々解決したい!
「色々って・・・具体的には?」
クリスの件、きりしらの件、響の件かな?
「・・・ちゃんと解決できるのか?お前の文章力で」
・・・頑張ってみるよ、おかしなところがあったら指摘してください。
「その意気だ、ところで他二人は?」
二人共用事で離れてるみたいだ、まあ後書きには帰って来るからさっさと始めるぞ。
「了解、それではG編第二十四話、どうぞ!」


光の柱が天へと上るフロンティアのブリッジでは、マリアが世界を救うために歌っていた。

 

『・・・誇りと契れ!』

 

その身に黒いガングニールを纏い、全力で歌うマリアは歌いきると疲労で立ち眩む。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

全力で歌いきるマリア、だが天へと上がる光の柱は月に何も影響を与えず、徐々に細くなっていく。

 

「・・・月の遺跡は依然沈黙」

 

ナスターシャの報告を聞きマリアは膝から崩れ落ちた。

 

「私の歌は・・・誰の命も救えないの・・・セレナ・・・!」

 

マリアは自身の歌で人々を守れないことに涙を流す。

 

「・・・この人、ビッキー達と同じだね」

 

「うん・・・誰かを助けるために・・・」

 

「歌を歌うなんて・・・」

 

泣き崩れるマリアの様子をテレビで人々はその目を奪われていた・・・。

 

 

 

 

 

一方・・・奏、翼、クリスの一撃がぶつかり合い崩れた地面の下にウェルがやって来る。

 

「シンフォギア装者と仮面ライダーは、これから僕が統治する未来には不要・・・」

 

ウェルは不安定な足場を滑りながら地下に降りる。

 

「そのためにぶつけ合わせたわけですが・・・こうも奏功するとは・・・ちょろすぎるぅ・・・あっ?」

 

ウェルが正面を見ると、そこにはギアと変身が解かれた翼と奏が倒れていて、その前にギアを纏ったクリスが立っていた。

 

「はぁ!?」

 

ウェルは驚愕した、共倒れしたはずのクリスがギアを纏った状態で立っていることに。

 

「約束通り、二課所属の装者と仮面ライダーは片付けた。だから、ソロモンの杖を私に・・・」

 

クリスはウェルの方に振り返り、ソロモンの杖を渡すように言うが…。

 

「こんなままごとみたいな取引にどこまで応じる必要があるんですかね?」

 

ウェルが笑みを浮かべて何かのスイッチを押すが、何も起きず何度もスイッチを押すが何も変わらなかった。

 

「何で、爆発しない!?」

 

ウェルが困惑する中、クリスは自身の首輪に手をかけると、首輪は壊れて外れた。

 

「壊れてんだよ、約束の反故とは悪党のやりそうなことだ」

 

近づいてくるクリスにウェルは腰を抜かしながらも、持ってきていたソロモンの杖を使って大量のノイズを辺りに呼び出しまくる。

 

「今更ノイズ・・・っ!?」

 

クリスはノイズを倒そうとすると自身の体に激痛が走った。

 

「ANTI LINKERは忘れたころにやって来る・・・!」

 

クリスの周りにはウェル博士が用意したANTI LINKERの霧が充満していた。

 

「なら・・・ぶっ飛べ! アーマーパージだ!!」

 

クリスはまともに戦えないのを察し、アーマーパージで自身のギアを弾け飛ばし、はじけ飛ばしたギアの破片で周りのノイズを撃ち抜いていった。

 

「ひゃあ!?」

 

ウェルはとっさに岩陰に身を隠し難を逃れるが、ウェルが岩陰から身を出した瞬間、アーマーパージの影響で衣服がなくなったクリスが飛び掛かり杖を取り返そうとするが、そのはずみで杖が遠くへ飛んでしまう。

 

「杖を!」

 

杖を取りに行こうとするが、倒しきれなかったノイズがクリスとウェルを囲んでいた。

 

「ひっ!ひぃぃぃぃ!!?」

 

「っ・・・くっ!」

 

徐々に近づいてくるノイズ達、アーマーパージのデメリットでまだギアを纏えないクリスにとって絶体絶命の状況。

 

「・・・先輩!」

 

クリスが目をつぶったその時、上から無数の剣が、クリスの視線の先から弾丸が飛んできて周りのノイズを淘汰していった。

 

「・・・っ!」

 

クリスが恐る恐る目を開けると、視線の先に少し前のギアを纏った翼が、ショットライザーを構えた奏が立っていた。

 

「そのギアは・・・!?」

 

ウェルは翼のギアを見て驚く。

 

「馬鹿な!?ANTI LINKERの負荷を抑える為、あえてフォニックゲインを高めず出力の低いギアを纏うだと!?それに生身でノイズに立ち向かうなんて!?そんなことができるのか・・・!?」

 

「出来んだよ・・・そういう先輩達だ」

 

ウェルの問いに答えるクリス、一方翼と奏は互いに背中を預ける。

 

「まったく、大分無茶な方法だったな」

 

「ええ、それよりも奏。早く変身を」

 

「わかってる。後輩が此処まで頑張ったんだ・・・後は先輩たちに任せな!」

 

そういって奏はウルフのキーに手を伸ばそうとした時、突如ポケットから赤い光が溢れる。

 

「っ!これは…!?」

 

奏はポケットの中を取り出すと、そこにはかつての自身のギアペンダントが赤く光っていた。

 

そしてその光に反応し、奏の持つ一つのキーが赤く光る。

 

「こいつは真が渡してくれた・・・」

 

そのキーは真が奏に託した『スマッシュガングニールプログライズキー』赤い光がキーを包むと、キーの色合いと絵柄が変わっていく。

 

黄色からオレンジへ、拳を構える少女から槍を構える少女へと色を、絵柄を変えていった。

 

「・・・そういう事か。お前も戦ってくれるんだな」

 

奏は何かを感じ取り、変化したスマッシュガングニールプログライズキーのライズスターターを押し込んだ。

 

ブレイク!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

奏は変化したキーを装填し、ショットライザーを構える。

 

「変身!」

 

シンフォニックライズ!

 

スマッシュガングニール!

 

Croitzal ronzell Gungnir zizzl.

 

奏は銃口から放たれたオレンジ色の弾丸を殴りつけ、奏の身に纏われていく。

 

その姿は、真の纏ったガングニールではなく、かつて奏が纏っていたオレンジ色のガングニールそのものだった。

 

「奏!そのギアは!」

 

「あれは、あいつのガングニールとは違う!?」

 

「馬鹿な!?ペンダントに反応してキーが変わったのか!?そんなことが・・・!?」

 

三者三様の驚きを見せる中、奏は久しぶりに纏うギアに感極まり拳を握り締める。

 

「・・・また、お前を纏って戦えるなんてな」

 

奏は握り締めた拳を開く。

 

「・・・行くぞ翼!完全復活したツヴァイウィングの力見せつけてやろうぜ!」

 

「・・・ええ!行きましょう奏!」

 

翼はこの状況に喜びながらも剣を構え、奏は両腕のプロテクターを合わせスマッシュランスを手に取り構え、ノイズの掃討に取り掛かった。

 

 

『使用BGM 絶刀・天羽々斬』

 

 

颯を射る如き刃、麗しきは千の花

 

翼は一つ前のギアにもかかわらず洗練された動きでノイズを次々と切り裂いていき、翼の動きに合わせるように奏もスマッシュランスを巧みに扱っていく。

 

ノイズが掃討されていく中、クリスはなぜあの激突の中で自分たちが無事なのかをウェルに応えた。

 

「一緒に積み上げてきたコンビネーションだからこそ、目を瞑っていてもわかる。だから躱せる、躱してくれる、ただの一言で通じ会えるから、あたしの馬鹿にも付き合ってもらえる」

 

先の激突で互いの攻撃はお互いに一つも当たっておらず、飛び交う弾幕の中、二人はクリスに近づき首輪を破壊することができた。

 

この芸当は一朝一夕で出来るものではない、ただの一言で通じ合え、互いに信頼しているからこそできるコンビネーションである。

 

闇を裂け 酔狂のいろは唄よ 凛と愛を(かざ)して

 

翼は剣を巨大化させ、その一太刀をノイズに食らわせる。

 

「おりゃぁぁぁ!!」

 

奏はスマッシュランスの矛先を回転させ、そこから生じた竜巻をノイズにぶつける。

 

蒼ノ一閃

 

LAST∞METEOR

 

「っ! 付き合えるか!」

 

二人の奮闘を見てウェルが逃げ出すのを見逃さない二人だが、ウェルが逃げた方向の逆にはノイズに囲まれたクリスがいた。

 

この状況でクリスを見捨てるはずがない二人はウェルの追跡を諦めクリスを助けるため、翼の剣は炎を纏い、奏の槍は光を纏いノイズを薙ぎ払った。

 

そしてノイズが倒されるのと同時にクリスのアーマーパージのデメリットが終わり、クリスの衣服が元に戻りその手にペンダントが握られた。

 

ノイズの掃討を確認した翼はギアを解き、奏は警戒のため変身したままソロモンの杖を拾い上げクリスに渡す。

 

「回収完了、これで一安心だな」

 

「ああ、ウェルの野郎は逃がしちまったけど・・・まあなんとかなるだろ」

 

ひと段落付いた二人を見てクリスは申し訳なさそうに口を開く。

 

「・・・一人で飛び出して、ごめんなさい」

 

「気にすんなよ、そのおかげでこうしてソロモンの杖を取り返せれたからな・・・それにこんなに素直なクリスを見れただけめっけもんだからな。なっ翼」

 

「ああ、こんな殊勝な雪音を知ることができたのは行幸だ」

 

二人の言葉にクリスは頬を染める。

 

「っ・・・あいつからあたしの作戦を聞いたんだろ、その上でどうしてあたしの言うことを信じられたんだ?」

 

クリスの問いに翼は笑みを浮かべて答えた。

 

「雪音が先輩と呼んでくれのだ、続く言葉を斜めに聞き流すわけにはいかぬだろ」

 

「・・・それだけか?」

 

「それだけだ。さあ、皆と合流するぞ」

 

「ああ、そうだな」

 

二人は先に洞窟の出口に向かう。

 

「それにしても、またガングニールを纏えるとはな・・・ほんと仮面ライダーっていうのは何でもありだな」

 

「そうね、でもだからこうして奏とまた戦えたのだから」

 

「そうだな・・・」

 

先に行く二人を見て、クリスは心の中で呟いた。

 

(全くどうかしていやがる・・・だからこいつらの傍は、どうしようもなく、あたしの帰る場所なんだ)

 

「・・・ありがとうな」

 

そう心の中で呟き、二人に聞こえない声量でそう囁き、二人の後を追いかけた。

 

 

 

 

 

三人の元から逃げたウェルはブリッジに続くリフトの中で怒りに震えていた。

 

「くそっ!ソロモンの杖を手放すとは・・・こうなったらマリアをぶつけてやる!」

 

 

 

 

 

切歌ではなく、調がフィーネだった。

 

その真実に切歌はショックを受け膝をついていた。

 

俺は内心驚きながらも冷静さを保ち、櫻井さんに話しかける。

 

「・・・一つ聞きたい。今のあんたは櫻井さんなんだろ、調の意識はどうしたんだ?」

 

今、調の意識は体の中に存在するのか?もしかして櫻井さんが現れたことで意識が消えたのか。

 

そのことに櫻井さんは答えてくれた。

 

「安心して、今あの子の意識は沈んでいるけど魂を塗りつぶしたわけじゃないわ。いつでもあの子に身体を戻すことができるわ」

 

「・・・そうか、それは安心した」

 

俺は心から安心した、もしこれで消えたのならセレナに何て顔すればいいのか。

 

「しかし、意外にも落ち着いてるんだな?こうしてまた出会えたっていうのに」

 

「そうね、正直言って本当に驚いているわ」

 

そりゃそうだ、だって別れてからまだ半年も経ってないんだからな、どんな奇跡の再会なんだって話だ。

 

「まあそこら辺の話はまた後で話しましょうか、今はこの子達ね」

 

櫻井さんと俺は切歌の方に視線を向けると、切歌は膝をつきながら涙を流していた。

 

「切歌・・・」

 

「あたし・・・てっきりあたしがフィーネの器になったんじゃないかと思って・・・いつかあたしが消えるんじゃないかと思って・・・!」

 

切歌は泣きながら言葉を紡いでいく、あんな状況じゃ誰だってそう思う。

 

俺もセレナもあの時は切歌が今代のフィーネだと思っていたからな。

 

「それなのに、あたしが器じゃなくて調だった・・・あたしは調を守ろうとしてたのに・・・それなのに・・・!」

 

切歌は自分を責めていた、この一連の出来事は勘違いから起きてしまったんだ、誰も責めれない。

 

「・・・櫻井さん」

 

「わかってる、これは私たちが手を出すわけにはいかないわ。本人たちじゃないといけないわね」

 

そういって櫻井さんは目を閉ざし、再び開けると瞳の色が元に戻っていた。

 

「・・・切ちゃん」

 

「し・・・調」

 

本当に元に戻れたのか・・・そう思いながら、俺は二人の様子を見守った。

 

「・・・調、本当にごめっ!」

 

切歌が謝ろうとする前に、調は切歌に抱き着いた。

 

「大丈夫だよ、切ちゃん」

 

「調・・・でも!」

 

「切ちゃんがあたしのことをどれだけ思って行動したのかわかる。私も逆の立場なら多分同じことをしてたと思うから」

 

調は抱きしめながらも切歌に語り掛ける。

 

「だから心配しないで、切ちゃん」

 

「調・・・調ぇ!!」

 

切歌は調の言葉に涙を流しながら強く抱きしめる。

 

「よ・・・よかったデス!あたし・・・あたし・・・!」

 

「うん・・・うん・・・」

 

二人の様子を見守っていた俺は目頭を拭った、二人が仲直りできてよかった。

 

「・・・俺がこの場にいたら邪魔だな」

 

俺はこの場を離れて響達を追いかけようとする前に、調の方を向いた。

 

「・・・櫻井さん、聞こえてんだろ?あんたに伝言があるんだ」

 

「・・・?」

 

俺の方を見る調の瞳の色は金色に変わっており、俺は櫻井さん向かって伝言を送った。

 

「『こんな私を愛してくれてありがとう』月の欠片に向かった時に聞こえた男性の言葉だ」

 

俺の言葉に櫻井さんは驚き、そして一筋の涙を流した。

 

「・・・じゃ、先に行くから。二人で一緒にマリアを助けに来いよ」

 

俺はそう言い残し、すぐに響達を追いかけた。

 

二人はもう大丈夫だ、だからすぐに向かわないと!

 

 

 

 

 

真がブリッジに向かう中、ブリッジ内でマリアは膝をついて泣いていた。

 

『マリア、もう一度月遺跡の再起動を・・・』

 

「無理よ!私の歌で世界を救うなんて!」

 

マリアは自分の歌では世界を救えないと思い込み、泣き崩れてしまう。

 

『マリア!月の落下を食い止める、最後のチャンスなのですよ!』

 

ナスターシャがそう言うと、リフトが上がってきてウェルがブリッジにやって来る。

 

「バカチンがっ!!」

 

マリアはウェルを見て立ち上がろうとするとウェルはマリアに近づき殴り飛ばす。

 

「月が落ちなきゃ好き勝手出来ないだろうが!」

 

『マリア!?』

 

「あぁ?やっぱりオバハンか」

 

ウェルはマリアを殴り飛ばし、すぐにコントロールパネルに触れる。

 

『お聞きなさいドクターウェル。フロンティアの機能を使って収束したフォニックゲインを月へと照射し、バラルの呪詛を司る遺跡を再起動できれば、月を元の軌道に戻せるのです!』

 

ナスターシャがウェルを説得するが、ウェルは聞く耳を持たなかった。

 

「そんなに遺跡を動かしたいのなら!あんたが月に行ってくればいいだろ!!」

 

ウェルは怒りながら操作し、パネルに触れようとする。

 

パネルに触れ、ナスターシャを制御室ごと月へと飛ばそうとする。

 

そうなれば普通の人間では生きることはできない、そのことはウェルは理解していた、そのうえで射出しようとするその所業は悪魔の様だった。

 

 

 

 

 

・・・だが、ウェルがパネルに触れる前に、何かがウェルの左腕を貫いた。

 

「痛ぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

ウェルはとっさにパネルから離れ、自身の左腕を見ると、そこには光り輝く『矢』が突き刺さっていた。

 

「こ・・・この矢は!?」

 

ウェルが矢を見て驚き、マリアが現状を理解できていない中、どこからか声が聞こえた。

 

「マリア姉さんに・・・マムに・・・!」

 

声が聞こえ、ウェルが辺りを見当たすと、ブリッジの窓から誰かが突っ込んできた。

 

「酷いことをするなぁぁぁぁぁ!!!」

 

外から来たのは、バルキリーライトニングホーネットに変身しアタッシュアローを構えたセレナだった。

 

ウェルをとらえたセレナは容赦なくアタッシュアローを放つ。

 

「ひっ!ひぃぃぃぃ!!?」

 

迫って来る矢にパネルから離れるように逃げるウェル、だがその先を遮るように一頭の虎が立ちふさがった。

 

「逃がしません!」

 

響はタイガーの背から降りウェルと相対する中、セレナは変身を解き、マリアの元へと向かった。

 

「マリア姉さん!大丈夫!?」

 

「セ・・・セレナ・・・!」

 

『セレナ・・・あなたは本当にセレナなのですね!?』

 

「はい、マム。お久しぶりです」

 

セレナの登場にナスターシャが驚いている中、マリアはセレナを抱きしめる。

 

「セレナ・・・セレナァ・・・!ごめんなさい・・・私は、私は貴方の思いを受け継いで世界を救おうとしたのに・・・私にはできなかった・・・!あなたがいる世界を・・・守れなかった・・・!」

 

涙を流しながら謝罪するマリアをセレナは優しげな表情で慰める。

 

「大丈夫だよマリア姉さん。まだ世界は守れるから」

 

「世界を守れるぅ?そんなことできる訳がなぁい!!」

 

マリアを慰めるセレナにウェルは煽るように叫んだ。

 

「もはやフロンティアは僕の命令じゃないと動かせない!お前らが何をしようが、もうこの世界を救えるのは、英雄になるこの僕だけなんだぁ!」

 

「それは違います!!」

 

今度はウェルの言葉を遮るように響が叫んだ。

 

「貴方は英雄なんかにはなれません!本当の英雄(ヒーロー)は、誰かのために手を伸ばし、夢を、笑顔を守れる人の事です!誰にも手を伸ばそうとしない貴方なんかじゃあ英雄なんかにはなれません!」

 

響の脳裏にとある人物が浮かんだ、自分たちを支えてくれて、みんなの希望を守るために戦うヒーロー(仮面ライダー)の姿を。

 

「だから私はその人みたいに誰かに向かって手を伸ばし続ける!そうしないと誰とも繋がれない!みんなの希望を守る事なんてできない!」

 

響はまっすぐな瞳でウェルを見つめる。

 

「ここであなたを止めて見せます!ウェル博士!」

 

響の目にウェルはたじろぎながらも忌々しく歯ぎしりする。

 

「融合症例第一号!」

 

そんな響の姿を見てマリアは響に向かって叫んだ。

 

「私では世界を救えない・・・だからお願い!私の代わりにウェル博士を止めて、世界を救って!」

 

「そんなことさせるかぁ!」

 

ウェルは捕まらないように逃げパネルに触れようとするが、パネルを守るようにタイガーが立ちふさがり吠える。

 

「ひぃっ!!?」

 

タイガーにおびえるウェルに響は視線を向けず視線をマリアに向けた。

 

「わかってます・・・それに、私は融合症例第一号何て名前じゃありません!」

 

「えっ?」

 

「私の名前は立花響、十六歳!好きな物はご飯&ご飯!体重は・・・まあそれはまた今度で、ただのどこにでもいる女子高生です。そして・・・」

 

響はポケットから真から受け取ったものを取り出す。

 

「それは!」

 

それは紛れもない『ギアのペンダント』、響はペンダントを握り締めてウェルの方を向いた。

 

「みんなの笑顔を守るシンフォギア装者です!」

 

そう名乗り、胸の歌を信じて歌った・・・。

 

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

 

聖詠と共に、手にしていたペンダントが輝きだし、響の体にギアが取り付けられていく。

 

響の胸のガングニールは無くなった。

 

だが響のその身に纏われたのは、まさしくガングニールそのものだった。

 

奏から受け継ぎ、真から託され、そして今、少女はシンフォギアを纏った。

 

それは不可能を打ち砕く『撃槍』、絶望を消し去る『希望』。

 

そして、すべての人たちの手を繋ぐための『拳』。

 

響がギアを纏う光景にウェルは困惑する。

 

「ば・・・馬鹿な!?お前は・・・融合者は適合者じゃないはず!それなのに、なぜシンフォギアを纏えるんだ!?お前のその『歌』は・・・一体何なんだぁぁぁ!?」

 

酷く困惑するウェルに向かって、響は答えた。

 

「撃槍・ガングニールだぁぁぁぁ!!」

 

今ここに、ガングニールの少女が復活した。




後書きの時間だ、というわけで俺から一言・・・立花響、復活!
「まさかギアを残してるとは・・・てか渡したのは俺なんだけどな」
「お~っす、遅れたな」
「ごめんなさい、遅れました」
「おお二人とも、いったいどうして遅れたんだ?」
「いや~あたしのガングニールが復活したことで翼が涙ぐんでてさ、あやしてたら遅れちまった」
「私もマリア姉さんの件で・・・」
「うん、セレナのは何となくわかった」
さて三人揃ったところでお知らせだ・・・今期のG編、次回で最終回だ。
「ついにここまで来たな・・・」
「ああ、クリスも助けた、切歌と調も仲直りした」
「マリア姉さんもマムも助けれて響さんも復活しました、後は・・・」
「「「あの野郎『ウェル博士』をぶっ飛ばすだけ『です』!!」」」
気合十分だな、それじゃあその勢いで最終回頑張れよ、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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遥か彼方、星が音楽となった・・・かの日

ついにG編最終回!
「とうとう決着か・・・長かったな」
「復活したあたしと響のガングニールに」
「私とマリア姉さんとマムの再会、前回だけでてんこ盛りでしたからね」
だが今回もてんこ盛りの予定だ!なんせ文字数が一万文字超えたからな!
「最終回となるとやっぱそれぐらいいくな」
「まあそんだけ頑張ったって事だろ」
はい頑張りました!すべては大団円のために!
「ではそろそろ行きましょうか、G編最終回に」
ああ、そうだな。

「「「「それでは、戦姫転生ゼロフォギア G編最終回どうぞ!」」」」


「ガングニールの、適合だと・・・」

 

「凄い・・・凄いです!響さん!」

 

真から託されたガングニールのペンダントで再びガングニールを纏った響に驚くマリアとセレナ。

 

響は再び纏ったガングニールを見て呟いた。

 

「・・・ありがとうございます、真さん」

 

「うおぉぉおぉぉおお!!」

 

響が拳を握り締める中、ウェルはその隙に逃走を図った。

 

「こんなところでぇ・・・うわぁ!?」

 

ウェルは急いで階段を降りるが、慌てて階段を踏み外し転げ落ち地面に倒れる。

 

「こんなところで・・・終わる、ものかぁぁ!!」

 

ウェルが必死の思いで左手で地面に触れると、触れた部分が光り逃走経路の穴ができる。

 

「ウェル博士!」

 

逃走経路ができると同時に弦十郎と緒川がやって来るが、ウェルはすぐに穴に入り入り口は閉じてしまった。

 

「ぬぅ!」

 

「響さん!そのシンフォギアは!?」

 

「真さんが託してくれたガングニールが、私の歌に応えてくれたんです」

 

その時、フロンティアが大きく揺れだした。

 

「これは!」

 

大きく揺れたフロンティアは更に空へと浮上していく、宇宙に近づくにつれ周りの岩が浮かび始めていくことに潜水艦にいたオペレーターたちは調べ上げた。

 

「重力場の異常を検出!」

 

「フロンティア、上昇しつつ移動を開始!」

 

フロンティアが浮上している状況を感じ取った響に、マリアは口を開く。

 

「・・・今のウェルは、左腕をフロンティアにつなげることで意のままに制御ができる」

 

先ほど逃走したウェル博士はとある通路を通ってどこかへ移動していた。

 

「ソロモンの杖がなくとも、僕にはまだフロンティアがある・・・邪魔する奴らは、重力波にて足元から引っぺがしてやる!」

 

どこかへ向かうその表情は怒りに満ちていた。

 

「フロンティアの動力はネフィリムの心臓、それを停止させればウェルの暴挙も止められる」

 

マリアはそう言って響達に頼み込む。

 

「お願い、戦う資格のない私に変わって・・・お願い!」

 

「マリア姉さん・・・」

 

落ち込むマリアを見て、響が口を開いた。

 

「・・・調ちゃんたち言ってたんだ、マリアさん達を助けたいって。だから心配しないで」

 

「・・・っ」

 

マリアが顔を上げると、横で弦十郎が地面を砕き大きな亀裂を作り出した。

 

「師匠!」

 

「ウェル博士の追跡は、俺たちにまかせろ。だから響君は・・・」

 

「ネフィリムの心臓を止めます!」

 

「ふっ・・・行くぞ!」

 

「はい!」

 

二人はそう言って亀裂に入り、ウェルの追跡に向かった。

 

「響さん、私は此処でマリア姉さんを・・・お願いします」

 

「わかった、マリアさんはセレナちゃんにお願いするね。私はちょ~っと行ってくるから」

 

響はそう言って、ブリッジから飛び出す。

 

宙に浮かぶ岩を飛び乗り、大きめの岩に到着すると、そこに翼と奏、クリスと三人と合流した真がいた。

 

「翼さん!奏さん!クリスちゃん!真さん!」

 

「立花」

 

「やっと来たか」

 

「あれ!?奏さんその姿・・・」

 

響はガングニールを纏った奏に驚いていた。

 

「ああ、あたしのガングニールが答えてくれたんだ」

 

「奏さん・・・」

 

響は喜び、そして翼の方を向く。

 

「もう遅れは取りません、だから!」

 

「ああ、一緒に戦うぞ」

 

「はい!」

 

響はクリスの方を向くと、クリスがソロモンの杖を手にしていることに気づいた。

 

「あっ!やったねクリスちゃん!きっと取り戻して帰ってくると信じてた!」

 

「お・・・おうっ!ったり前だ!」

 

響が喜ぶ中、真は響に近づく。

 

「響、纏えたんだな・・・ガングニールを」

 

「はい!真さんが託してくれたおかげです!」

 

「そうか・・・」

 

すると、五人に弦十郎から連絡が入ってきた。

 

『本部の解析にて、高出量のエネルギー反応地点を特定した!おそらくあそこが、フロンティアの炉心、心臓部に違いない!装者と仮面ライダーは、本部からの支援情報に従って急行せよ!』

 

弦十郎はそういって連絡を切る。

 

「行くぞ!この場に槍と剣、弓と拳、そして仮面ライダーを携えているのは私達だけだ!」

 

「ああ、行こう!最後の戦いだ!」

 

五人は決意を固め、心臓部へと向かって行った、その様子をウェル博士は見ていた。

 

「人ん家の庭を走り回る野良ネコめ・・・フロンティアを喰らって同化したネフィリムの力を、思い知るがいい!!」

 

響達が地面に降り立つと、五人の前の地面が盛り上がる。

 

「なにっ!」

 

「今更何が来たって!」

 

地面が盛り上がりその形を変える、それは今までよりも巨大な姿をしたネフィリムだった。

 

「またネフィリムか・・・芸がないな」

 

ネフィリムは肩から複数のミサイルを五人目掛けて射出し、みんなはすぐに回避した。

 

「ミサイル!?さっきのとは性能が違う!」

 

「あの敵!自立型完全聖遺物なのか!?」

 

ミサイルを回避されたネフィリムは口から巨大な火球を打ち出す。

 

「にしては、張り切りすぎだ!」

 

「おそらくウェルが何かしたんだ!早くこいつを倒して炉心に向かうぞ!」

 

ウェルがいる動力炉では、動力炉に取り付けられているネフィリムの心臓が鼓動していた。

 

「喰らいつくせ・・・僕の邪魔をする何もかもを。『暴食』の二つ名で呼ばれた力を・・・示すんだ!ネフィリィィィィィィィィム!!」

 

 

 

 

 

一方ブリッジでは、ギアを解いたマリアにセレナが肩を貸して階段を下りていた。

 

「マリア姉さん、大丈夫?」

 

「ええ、ありがとうセレナ」

 

階段を下り切った二人はその場に座り込む、だがマリアの顔は暗いままだった。

 

「・・・セレナ、私では何もできない。だからお願い!あなたの歌で世界を救って!」

 

マリアはそう言って懐からボロボロのギアペンダントを取り出す。

 

それはかつてセレナが身に纏っていたシンフォギア『アガートラーム』のペンダントだった。

 

もう起動しないそのペンダントを、マリアは今まで大事に持っていた。

 

マリアはセレナにペンダントを差し出すが、セレナはペンダントを握るマリアの手を優しく降ろして首を横に振った。

 

「な・・・何で?」

 

「・・・確かに私なら、アガートラームを負荷無しで纏えると思う。けど私一人の歌じゃきっとどうにもならない。だから、マリア姉さんにも手伝ってほしいの」

 

「・・・けど、私では」

 

マリアがそう言う中、セレナは先ほど降ろしたマリアの手を両手で握り締める。

 

「大丈夫、一人ではできなくても、二人でならきっと救える」

 

セレナはマリアに向かって微笑みかける。

 

「マリア姉さんのやりたいことは、なに?」

 

セレナの問いかけに、マリアは胸に秘めていた思いを口にした。

 

「・・・歌で、世界を救いたい。月の落下がもたらす災厄から、みんなを助けたい・・・」

 

マリアが口にした答えにセレナは笑顔で答える。

 

「生まれたままの感情を、隠さないで」

 

「セレナ・・・」

 

そう言ってセレナは歌う、マリアとの大切な歌を。

 

りんごは浮かんだお空に・・・

 

セレナの歌に、マリアは合わせて歌う。

 

りんごは落っこちた地べたに・・・

 

二人の歌は二人の間を通って、世界中に響き渡る。

 

二人の歌が人々の耳に入り、そしてその歌を聞いた人々は無意識にその歌を口ずさむ。

 

まるで世界中の心が一つになったかのように。

 

そしてみんなの歌がフォニックゲインとなっていく。

 

「ゴフッ!!」

 

その様子をナスターシャは限界に近い体で制御室で見ていた。

 

「世界中のフォニックゲインが、フロンティアに収束している。これだけのフォニックゲインを照射すれば、月の遺跡を再起動させ、公転軌道の修正も可能・・・」

 

そしてその歌はもう一つに奇跡を呼び起こす。

 

今もなおネフィリムと戦う真のドライバーが、光り輝く。

 

「っ!この光は!」

 

光はすぐにドライバーから飛び出し、ブリッジへと向かう。

 

二人が歌う中、その手に握られていたペンダントが光り輝き、先ほどのドライバーの光がやって来て、ペンダントの光と重なる。

 

『構築を開始します』

 

何処からともなく聞こえた声とともに、重なった光はその形をキーの形に変える。

 

『構築が完了しました』

 

光が消えると、マリアの手には銀色に輝くキーが握られていた。

 

キーができると同時に、二人の元に連絡が入ってくる。

 

『マリア!セレナ!』

 

「「マム!?」」

 

ナスターシャに連絡に二人は歌を止め、階段を上がった。

 

『あなた達の歌で、世界が共鳴しています。これだけフォニックゲインが高まれば月の遺跡を稼働させるには十分です!月は私が責任をもって止めます・・・ガフッ!』

 

「マムっ!?」

 

「大丈夫ですか!?」

 

連絡越しに聞こえた吐血の音に二人は慌てるが、ナスターシャは気にせず話した。

 

『マリア、もうあなたを縛るものはありません・・・行きなさいマリア』

 

その時聞こえたナスターシャの声は、とてもやさしかった。

 

『行って貴方の歌を聞かせなさい』

 

その言葉にマリアは涙を流しながら答えた。

 

「マム・・・OK、マム!」

 

マリアが答えた後、ナスターシャはセレナにも語り掛けた。

 

『セレナ・・・まさかこうして再びあなたと再会できるなんて思ってもみなかったわ』

 

「私もです、こうしてまたマムやマリア姉さんたちに会えるなんて・・」

 

『・・・あの日、私はあなたにとても大きな責任を背負わせてしまいました。本当にごめんなさい』

 

「謝らないでください、あれが私の選んだ答えですから」

 

そう応えるセレナの顔は、力強かった。

 

『・・・本当に強くなりましたね、セレナ』

 

「はい、これでもマリア姉さんには負けるけど」

 

『フフッ。さあセレナ、マリアと共に貴方達姉妹の歌を聞かせなさい』

 

「はい、マム」

 

そう言って二人は振り返って手を繋ぐ。

 

「やろう、マリア姉さん!」

 

「ええ、セレナ!」

 

「「世界最高のステージの幕を上げましょう!」」

 

 

 

 

 

一方、真達は今もネフィリムと戦っていた。

 

ネフィリムに接近する四人を後方からクリスが援護射撃する。

 

「はぁ!」

 

「おりゃあ!」

 

ネフィリムに接近し翼と奏が各々の武器で攻撃するが、ネフィリムに傷一つつけれなかった。

 

「「っ!?」」

 

二人が驚く中響が殴り掛かり、真が蹴り掛かるがびくともしない。

 

「固っ!?」

 

「だったら、全部乗せだ!」

 

四人の攻撃が効かないのを見てクリスがガトリングとミサイルを展開し全力放射、それに続き奏もアタッシュショットガン、真もオーソライズバスターで追撃する。

 

弾幕は全て直撃するがネフィリムには傷一つついてない。

 

「なんだとっ!?」

 

クリスが驚く中、ネフィリムは火球をクリス目掛けて放った。

 

「危ないクリス!」

 

真が高速で移動しクリスを抱え火球を回避する。

 

「済まねえ、助かった」

 

「いいって事さ、それより厄介すぎる・・・」

 

ネフィリムは巨大な腕を振るって翼と奏に殴りかかるが二人はすぐに回避する。

 

「翼さん!奏さん!」

 

「立花!よそ見をするな!」

 

翼が注意を翔けた瞬間ネフィリムの腕が伸び響に向かって行く。

 

「っ!」

 

そのままネフィリムの腕が直撃する直前、上空から緑色の鎖が伸びた腕を縛り上げ二本の棒が腕をはさむように現れる。

 

「デェェェェス!」

 

上空から切歌が巨大な刃を足蹴にし、背中のブースターで加速しネフィリムの腕を切り裂いた。

 

「えいっ!」

 

腕を切り裂かれたネフィリムに今度は調が禁月輪で胴体を切り裂く。

 

「ああっ!」

 

二人の登場に驚く響の前に二人が並び立つ。

 

「シュルシャガナと」

 

「イガリマ、到着デス!」

 

「来てくれたんだ!」

 

「ったく、タイミングバッチシだな」

 

「そうデス・・・とはいえ、こいつを相手にするのは結構骨が折れそうデスよ」

 

ネフィリムを見ると、切られた胴体と腕はすぐに修復されていた。

 

誰もが長期戦になるとふんだその時。

 

「だけど歌がある!」

 

「そうです!私達にはまだ歌があります!」

 

大声が聞こえ、浮き岩に目を向けるとそこにマリアとセレナが立っていた。

 

「マリア!セレナ!」

 

みんなはすぐに二人の元へと向かった。

 

「マリアさん!」

 

「セレナ、どうやらそっちは何とかなったみたいだな」

 

「はい」

 

マリアは首にかけたアガートラームのペンダントを握り締める。

 

「もう迷わない。だって、マムが命懸けで月の落下を阻止してくれている」

 

そう言いマリア達はフロンティアの一角を見る。

 

「出来損ない共が集まったところで、此方の優位は揺るがない!焼き尽くせ!ネフィリィィィム!!」

 

ウェルの叫びに合わせ、ネフィリムは巨大な火球をみんな目掛けて放った。

 

迫って来る火球にセレナは臆さずにキーを握り締めていた。

 

「マムが諦めていない・・・だから、私たちも諦めません!」

 

セレナは決意し、手に握る新たなキー『ヴァルキリーアガートラームプログライズキー』のライズスターターを押し込む。

 

シルバー!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

火球が迫りくる中、セレナは慌てずキーを装填し、トリガーに手をかけた。

 

「変身!」

 

セレナが引き金を引くと同時に火球が直撃し大爆発を起こした。

 

「ふぃひっひっひっ!ひゃっはっはっはっ!!」

 

火球が直撃し勝利を確信したウェルは高らかに笑う・・・だが。

 

シンフォニックライズ!

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

「『Seilien coffin airget-lamh tron.』」

 

突如聞こえた歌声に笑いを止め、爆煙を見ると、その中心に光の球体があった。

 

「んんっ!?」

 

そして爆煙が晴れると、その光の球体の中に響達がいた。

 

『使用BGM 始まりの(バベル)(響&翼&クリス&奏&切歌&調&マリア&セレナ)』

 

マリアの体は光り輝き、セレナは新たな姿になっていた。

 

それはかつて自身が身に着けていたアガートラームと同じギア、奏と同じようにかつての力を身に纏ったのだ。

 

「調がいる・・・切歌がいる・・・セレナがいる・・・マムがついている・・・」

 

「それだけじゃないよ、真お姉ちゃんも・・・響さんも・・・翼さんも・・・奏さんも・・・クリスさんも・・・二課の皆さんがついてます、だからこれぐらいの奇跡」

 

「「安い物!!」」

 

二人の声に合わせ、八人の装者たちは歌う。

 

託す魂よ

 

繋ぐ魂よ

 

「装着時のエネルギーをバリアフィールドに!?だがそんな芸当、何時までも続く物ではない!」

 

ネフィリムが再び火球を放つ瞬間、真が球体を飛び出す。

 

天を羽撃つヒカリ

 

「二度目はやらせねえ!シャインクリスタ!」

 

真はシャインクリスタを展開し、シャインクリスタを自身の背中にまるで翼のように装着させ、シャインクリスタの浮力で空中に浮かんだ。

 

弓に番えよう

 

ハイパージャンプ!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

ゼロワンオーソライズ!

 

空中に浮かんだ真はアックスモードのオーソライズバスターにシャイニングアサルトホッパーを装填し、ドライバーに認証させる。

 

「響達の・・・邪魔はさせねえぇぇぇぇぇ!!」

 

限界までエネルギーを溜めたオーソライズバスターを火球に向けて振るった。

 

 

ゼロワンバスターボンバー!

 

火球目掛けて振るった一撃は火球を消し飛ばした。

 

何億の愛を重ね我らは時を重ねて

 

「惹かれ合う音色に理由なんていらない」

 

翼は隣にいる調に手を差し出し、調は戸惑いながらもその手を繋ぐ。

 

原初の鼓動の歌へと我らは今還る

 

「あたしも、つける薬がないな」

 

「それはお互い様デスよ」

 

クリスは隣にいる切歌に差し出した手を切歌はしっかりと繋ぐ。

 

「調ちゃん、あたしとも!」

 

「じゃあ、切歌はあたしとだな」

 

調の空いている手を響が繋ぎ、切歌の空いている手を奏が繋ぎ、二人は空いた手で繋いだ。

 

紡ぐ魂よ

 

腕に包まれて

 

「貴方のやってること、偽善でないと信じたい。だから近くであたしに見せて、貴方の言う人助けを、私たちに」

 

調の問いかけに響は頷き、調はそれを見て微笑んだ。

 

太陽のように強く

 

月のように優しく

 

八人の歌に合わせ、光の球体は大きくなっていく。

 

沸き立つ

 

(繋いだ手だけが、紡ぐもの・・・)

 

マリアは歌いながら、何かを思った。

 

物語は終わり

 

「絶唱八人分、高々八人ぽっちで、すっかりその気かぁぁ!!」

 

ネフィリムは大量のレーザーを放つ、真もシャインクリスタのレーザーで対抗するが敵のレーザーの数の方が多く幾つかが球体に直撃する。

 

そしてまた咲くのだろう

 

レーザーが直撃による影響でフォニックゲインが乱れ、八人のギアが解かれていく。

 

奇跡はやがて歴史へと

 

「八人じゃない・・・私が束ねるこの歌は・・・!」

 

ギアが解けていく中、響は大声で叫んだ。

 

誇り煌めくだろう

 

 

「七十億の絶唱!!」

 

 

その叫びと共に、九人は天へと上がっていき、装者達の姿は変わっていた。

 

かつてフィーネと戦った時に発現した最終決戦形態『XD』七十億の絶唱の元に今解き放たれた。

 

何億の愛を重ね

 

我らは時を重ねて

 

「響合うみんなの歌声がくれた」

 

奇跡はやがて歴史へと

 

誇り煌めくだろう

 

 

『シンフォギアでぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

九人は力を合わせ、ネフィリムに突っ込む。

 

そしてみんなの力が合わさり、宇宙にまで届く巨大な虹色の竜巻がネフィリムを包み込み、完全に消し去った。

 

 

 

 

 

「なん・・・だと・・・?」

 

動力炉では、ネフィリムが倒されたことにウェルは膝をついていた。

 

「ウェル博士!」

 

膝をつくウェルの元に弦十郎たちが駆け付けた。

 

「お前の手に世界は大きすぎたようだな」

 

ウェルは忌々しげに睨み、とっさにパネルに触れようとする前に緒川が発砲する。

 

弾丸は曲線を描きウェルの腕の蔭に直撃し、ウェルの腕の動きを止める。

 

影縫い

 

「なぁっ!?」

 

ウェルは左腕を動かそうとするが、腕は空中で止まったままびくともしない。

 

「貴方の好きにはさせません!」

 

「奇跡が一生懸命の報酬なら・・・僕にこそぉぉぉ!!」

 

ウェルは血を流しながらも、執念で左腕を無理やり動かし、パネルに触れると、動力炉が光り輝く。

 

「っ!何をした!」

 

「ただ一言、ネフィリムの心臓を切り離せと命じただけ」

 

ウェルがやったことに二人は驚く中、ネフィリムの心臓は赤く光り輝いていく。

 

「あの小娘にボロボロにされたが、フロンティアのエネルギーで十分に再生できた。こちらの制御から離れたネフィリムの心臓は、フロンティアの船体を喰らい、糧として暴走を開始する!そこから放たれるエネルギーは、一兆度だぁぁ!!フハハハハッ!」

 

狂ったように笑い声を上げるウェルの元に弦十郎が近づいていく。

 

「僕が英雄になれない世界なんて、蒸発してしまえばいいんだ!」

 

「フンッ!!」

 

ウェルが叫ぶ中、弦十郎はウェルの隣のパネルを殴り壊したが、それでもネフィリムの暴走は止まらなかった。

 

「壊してどうにかなる状況では、なさそうですね」

 

動力炉は赤い電気を走らせ、暴走寸前の状態だった。

 

 

 

 

 

地上では、弦十郎から連絡を受けたみんなが待機していた。

 

「わかりました、臨界に達する前に対処します」

 

『ああ、頼んだぞ』

 

「待って!まだフロンティアの制御室にマムが!」

 

『わかった、そちらには緒川を向かわせる。安心してくれ』

 

そう言って連絡が切れる。

 

「しかし一兆度か・・・あの野郎最後の最後にとんでもない爆弾を置いて行きやがって・・・」

 

すると、ブリッジから紫色の電撃がほとばしり、ブリッジが・・・フロンティアが崩壊する。

 

フロンティアはまるでマグマの如く紅く染まっていた。

 

「あれを見ろ!あれが司令の言っていた・・・」

 

そこにはフロンティアのエネルギーが集まり形を変えていく何かがあった。

 

「再生する・・・ネフィリムの心臓!?」

 

それは赤い巨人、地上の全てを滅ぼさんとする災厄の巨人『ネフィリム・ノヴァ』が咆哮をあげた。

 

「先手必勝だ!」

 

先手を取ったのは真、背中のシャインクリスタで空を自在に移動しガンモードのオーソライズバスターで撃ち抜こうとする。

 

だが放ったエネルギー弾は着弾した瞬間、ネフィリム・ノヴァに吸収されてしまう。

 

「何っ!?エネルギーを吸い込んだ!?」

 

「聖遺物どころか、そのエネルギーをも喰らっているのか!?」

 

皆が驚く中、セレナがマリアの横に並ぶ。

 

「マリア姉さん!手を!」

 

「っ!!」

 

セレナとマリアは手を繋ぎ、二人一緒に手を突き出す。

 

「真お姉ちゃん!攻撃を!」

 

「えっ!?・・・わかった!」

 

真はセレナの言葉を信じて再び攻撃すると、今度は攻撃が吸収されなかった。

 

「これは!?」

 

「私の絶唱の特性はベクトルエネルギーの変換、マリア姉さんと力を合わせてもうネフィリムが私たちのエネルギーを吸収することはできません」

 

「凄い!これがセレナちゃんとマリアさんの力!」

 

「でも、流石に一兆度のエネルギーを消すことはできません・・・このままではいずれ地上は・・・」

 

「そんな!?何とかできないのかよ!」

 

皆が悩ませる中、調が口を開いた。

 

「・・・方法ならあるわ」

 

「えっ?」

 

皆が調の方を向くと、調の瞳の色は金色になっていた。

 

「その目・・・櫻井さんか!」

 

真の発言に翼たちは驚いた。

 

「なに!?まさかフィーネなのか!」

 

「まさか!何で調の中にあなたが!?」

 

「話は後よ、それよりも方法は一つだけあるわ。それはクリスの持つソロモンの杖よ」

 

「この杖が?」

 

クリスは手にしていたソロモンの杖を見る。

 

「ええ、私の研究によるとソロモンの杖はノイズを制御下におくだけではなく、バビロニアの宝物庫の扉を開くカギになってるはずよ」

 

「バビロニアって、確かノイズが現れるっていうあの?」

 

「ええ、そこにネフィリムを押しこんで扉を閉めれば、ネフィリムはバビロニアの宝物庫内で爆発しその爆発で中にいるノイズを消せるかもしれないわ」

 

「おおっ!流石了子さん!」

 

「だったらもう少し戦力がいるが・・・どうすれば」

 

真が考えるとセレナが答えた。

 

「真お姉ちゃん!月読さんと暁さんと手を!」

 

「セレナ!?一体どうしたの!?」

 

「私がアガートラームのキーを生み出したように、お二人のキーの力も使えれば・・・!」

 

「なるほどな・・・二人とも、頼めるか?」

 

真の言葉にフィーネはすぐに調と入れ替わり、事情を聴いた調と切歌は顔を見合わせる。

 

「・・・わかった、それでうまくいくなら」

 

「それにあなたには調の恩があるデス!いくらだって手を貸すデスよ!」

 

「・・・恩に着る」

 

真は二人の手を掴むと、二人のギアと真のドライバーが輝きだす。

 

「よし来たっ!」

 

真は確信を覚え、光が重なる。

 

『構築を開始します』

 

セレナの思惑通り、光は形を変え二つのキーへと変わる。

 

『構築が完了しました』

 

光が止むと、真の手には緑色と桃色のキーが握られていた。

 

「これが・・・私たちのシンフォギアのキー」

 

「よしっ!これで戦力は増えた!俺たちでネフィリムの注意を引いてその間にクリスが杖でバビロニアの宝物庫の扉を開いてくれ!」

 

『了解!』

 

土壇場で新たなキーを手にして、真達は作戦を開始した。

 

調、セレナ、奏が遠距離武器でネフィリム・ノヴァを攻撃していき、近距離攻撃組が懐に入りこみ重たい一撃を与える。

 

だがそれでも与えるダメージは少ない、だがそれでもネフィリム・ノヴァを真とクリスの注意から引くことができた。

 

「さあ行くぜ。切歌、調!」

 

デンジャー!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

ムーン!

 

バスターオーソライズ!

 

真は手にした二つのキー『デンジャラスイガリマプログライズキー』をアックスモードにしたオーソライズバスターに装填し『クレセントシュルシャガナプログライズキー』を認証させると、刀身に緑色と桃色のエネルギーが蓄積されていく。

 

「こいつでも喰らっとけ!ネフィリム!」

 

真はネフィリム・ノヴァに向けてオーソライズバスターを振るった。

 

 

プログライズバスターボンバー!

 

振るわれた一撃は無数の緑色と桃色の刃を生み出し、ネフィリム・ノヴァを切り裂いていき、体勢を大きく崩した。

 

「今だ、クリス!」

 

「バビロニア、フルオープンだぁぁ!」

 

真達がネフィリム・ノヴァの注意を引いている間に、クリスがXDのエネルギーを使ってネフィリム・ノヴァの背後にバビロニアの宝物庫の扉が現れる。

 

「よし!その調子だクリス!」

 

「ああ! 人を殺すだけじゃないってやって見せろよ!ソロモォォォン!!」

 

クリスの叫びと共に扉が開いていく。

 

「これなら!」

 

だが、ソロモンのエネルギーを感じ取ったネフィリム・ノヴァはその巨腕をクリスに向かって振り下ろす。

 

「っ!避けろクリス!」

 

奏が叫ぶがクリスは巨腕に弾き飛ばされてしまい杖を手放してしまうが、飛ばされた先でマリアが受け取る。

 

「っ!明日をぉぉぉぉ!!」

 

クリスの代わりにマリアが扉を開き、ついに扉は完全に開いた。

 

「開いた!」

 

「後はあそこにネフィリムを押し込むだけだ!」

 

だがそれを許さないネフィリム・ノヴァは、その手から触手を伸ばしマリアを拘束する。

 

『マリア『姉さん』!!?』

 

「まずい!あいつマリアも道連れにするつもりだ!」

 

ネフィリム・ノヴァの拘束は固く、そのままマリアごと扉に落ちていく。

 

「格納後、私が内部よりゲートを閉じる!ネフィリムは私が!」

 

「自分を犠牲にするデスか!?」

 

「マリア!!」

 

「マリア姉さん!!」

 

切歌と調とセレナが叫ぶが、マリアはそのまま引っ張られる。

 

「・・・こんなことで、私の罪が償えるはずがない。だけど、すべての命を私が守って見せる」

 

「それじゃあ、マリアさんの命は、私たちが守ってみせますね」

 

マリアが横を見ると、そこには響と真がいた。

 

「俺が言えた立場じゃないが、自己犠牲何てさせないぜマリア」

 

二人に続くようにほかのみんなもマリアの傍にやって来る。

 

「貴方達・・・」

 

徐々に宝物庫へと近づいていく、その中には無数のノイズの群れが蔓延っていた。

 

「英雄でない私に、世界なんて守れやしない。でも、私達・・・私たちは、一人じゃないんだ」

 

「そうだな、英雄なんかじゃなくても、世界は救えるんだ」

 

そして九人は完全に宝物庫へと落ちて行き、扉は閉じられた。

 

バビロニアの宝物庫で今、最終決戦が始まる。

 

 

『使用BGM Vitalization』

 

 

バビロニアの宝物庫内で響達は迫りくるノイズの群れと戦っていた。

 

「おおぉぉぉりゃぁぁぁ!!」

 

響は腕のアームドギアを巨大な槍に変え、ノイズの群れを突っ切る。

 

「一斉掃射!撃ち抜け!」

 

真はアサルトの高速移動で敵の中心に入り込み、シャインクリスタで一気に撃ち抜いた。

 

「喰らえぇ!!」

 

クリスは変形させたイチイバルの広範囲攻撃で辺りのノイズを吹き飛ばす。

 

「行くぞ翼!」

 

「ええ、奏!」

 

翼と奏の二人は二人一緒にノイズの群れを突っ切り上へ上昇し、翼は巨大な刀を振りかぶり、奏はスマッシュランスを高速回転させ竜巻を引き起こし、同時にノイズにぶつけた。

 

双星の鉄槌(-DIASTER BLAST-)

 

真達がノイズを相手取っている間、調と切歌とセレナはマリアの救出を行っていた。

 

「くっ!切れない…!」

 

「どんな固さデスか!?」

 

「二人とも、どいてください!」

 

マリアを拘束する触手に苦戦する二人の間に入り、セレナが絶唱の力で触手のエネルギーを操作しもろくさせて切り裂く。

 

「マリア姉さん!大丈夫!?」

 

「ええ・・・けど一振りの杖では、これだけの数・・・制御が追い付かない!」

 

ソロモンの杖一つだけでは、無数にいるノイズの制御は追いつかないが、もう一つ希望があった。

 

「マリア!もう一度扉を開くんだ!」

 

「えっ?」

 

「外からでも開けるなら内側からでも開けるはずだ!」

 

「鍵なんだよ!そいつは!」

 

「あたしらがノイズを引き付けている間にあたしたちが出れる用の扉を開くんだ!」

 

「お願いします!マリアさん!」

 

五人の言葉にマリアは杖を握り締め、その手にセレナが手を重ねた。

 

「マリア姉さん、一緒に」

 

「・・・ええ」

 

二人は杖を掴み、力を込める。

 

「「開けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」」

 

ソロモンの杖から光が宝物庫内に当たり、そこに新たな扉が開かれた。

 

「よし!みんな脱出だ!」

 

真の号令で皆は扉へと向かう、だが行く手を阻むものがいた。

 

九人の行く手を阻むネフィリム・ノヴァ、出口はすぐ真後ろにあった。

 

「迂回路はなさそうだな」

 

「ならば、行く道はただ一つ!」

 

「手を繋ごう!」

 

「最大出力の正面突破だ!」

 

響、クリス、翼、奏が手を繋ぎ。切歌、調、セレナが手を繋ぎ。響とセレナがマリアに手を伸ばす。

 

「マリアさん」

 

「マリア姉さん」

 

マリアは胸元から銀色の剣を取り出した後、二人の手を掴む。

 

「この手、簡単には離さない!」

 

「この一撃に、俺たちの全部をぶち込む!」

 

真はドライバーのアサルトチャージャーを押し、キーを押し込む。

 

アサルトチャージ!

 

シャイニングストームインパクト!

 

真の右足に青と黄色が入り混じったエネルギーが渦巻いていく。

 

そして響とマリアは自身のギア使い、作り出した二つの金と銀の巨腕のアームドギアに形を変え、手を繋いだ。

 

「最速で!」

 

「最短で!」

 

「真っすぐに!」

 

「「「一直線にぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」」」

 

響とマリアと真の叫びに合わせ、九人はネフィリム・ノヴァに突っ込む。

 

 

シャイニングストームインパクト

 

真のライダーキックのエネルギーと響とマリアのアームドギアのエネルギーが混ざり合い、そのまま回転しながら直進する。

 

ネフィリム・ノヴァが触手で止めようとするが全て弾き飛ばされてしまう。

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』

 

九人の力が一つになり、ネフィリム・ノヴァに激突する。

 

Vitalization

 

九人の一撃はネフィリム・ノヴァの体を貫き、そのまま扉を通り砂浜に激突する。

 

激突の衝撃でソロモンの杖が遠くへ離れてしまう。

 

「くっ・・・杖が・・・早く閉じないと、ネフィリムの爆発が地上にまで・・・!」

 

マリア達は体を動かそうとするが、大技の反動で体は動かなかった。

 

「まだだ・・・!」

 

「心強い仲間は・・・他にも!」

 

「ああ、今でもあたしらを心配してくれている仲間が!」

 

「仲間・・・」

 

響はボロボロの体を無理やり立たせ、杖が落ちた場所よりも向こう側を見る。

 

「あたしの・・・親友だよ」

 

向こう側から来たのは、フロンティアより脱出した二課の潜水艦から駆けつけてくる響の親友。小日向未来の姿があった。

 

(ギアだけが戦う力じゃないって響達が教えてくれた!私だって、戦うんだ!)

 

未来はその一心でソロモンの杖へと向かって行き、杖を握る。

 

「お願い、閉じてぇぇぇぇ!!」

 

未来は手にした杖を開いた扉に目掛けて投げ飛ばした。

 

投げ飛ばされた杖はそのまま扉へと向かって行く。

 

「もう響が、真さんが、誰もが戦わなくてもいいような、世界にぃぃぃぃぃぃィぃ!!」

 

未来の思いが届き、ネフィリム・ノヴァの爆発の寸前に杖が宝物庫へと入り、扉が閉じられる。

 

扉が閉じられた瞬間、爆発の衝撃で空の色が変わるが、少しして元の空の色の戻った。

 

空が元に戻ったのを見て未来は膝をつき、響も横たわる。

 

「終わったんだな・・・これで」

 

こうして、戦いは終わった。

 

 

 

 

 

夕焼けが刺す砂浜で、奏とセレナが真にキーを渡した。

 

「返すぜ、ガングニール。またつかわせろよな」

 

「わかってるよ」

 

「真お姉ちゃん、このキーを」

 

「ああ、マリアのキーか」

 

真は二つのキーを手に取ると、ガングニールのキーの色が元に戻り、アガートラームのキーも白色に近い銀から普通の銀色に変わる。

 

「どうやら、本人たちの前で張り切ってたみたいだな」

 

真がキーをしまうと、向こうから自衛隊に拘束されたウェルがやって来る。

 

「ウェヒヒヒッ・・・間違っている・・・英雄を必要としない世界なんて・・・へっへっへ・・・」

 

そんなウェルをみんなは見ている中、セレナが前に出てウェルに近づく。

 

「セレナちゃ『やめろ響』真さん?」

 

真は止めようとする響を止め、セレナの行動を見守る。

 

セレナが近づくと自衛隊の人たちは警戒するが、弦十郎の一言で警戒を解いてくれる。

 

セレナはそのままウェルの目の前で止まる。

 

「・・・あなたが此処までマリア姉さんたちにしてきたことに私は怒ってます」

 

セレナは明確な怒りをウェルに向けていたが、ウェルは虚ろな状態だった。

 

「貴方はこのまま法に裁いてもらいますが、それだけでは私の気が済みません・・・だから!」

 

セレナはウェルの胸倉をつかみ無理やり引っ張り、握りしめた拳を振るった。

 

 

これがわたしの

 

セレナは渾身の力でウェルの顔を殴り飛ばし、ウェルはその場に倒れた。

 

「これが私の怒りです」

 

セレナはそのまま振り返り真達の元へと向かった。

 

「お疲れさん、良いパンチだったぜ」

 

「ありがとうございます」

 

セレナがすっきりした顔をすると、向こうから緒川がやって来る。

 

「マムは!マムは無事なの!?」

 

緒川にマリア達が問い詰める、緒川はあの後ナスターシャを救助し救急車を手配した。

 

「危険な状態でしたが・・・危機は脱したようです」

 

「・・・よ・・・よかった!」

 

緒川の言葉にマリア達は安堵した。

 

「とはいっても容態が容態ですから入院生活です」

 

「それでも・・・!マムが無事でよかった・・・!」

 

「うん・・・凄く安心した・・・」

 

「マムが助かってよかったデス!」

 

「はい・・・本当に良かった・・・!」

 

四人が安心する中、緒川はすぐに弦十郎の元へと戻っていく中、響達はマリア達に近づく。

 

「未来を繋いでくれたんだ。凄いな、マムって人は」

 

「・・・当たり前です、私たちのマムなんですから」

 

真達は空を見上げ、軌道が戻った月を見た。

 

「だが、月の遺跡が再起動させてしまった」

 

「バラルの呪詛か」

 

「人類の相互理解は、また遠のいたってわけか」

 

皆が言葉を紡ぐ中、響が口を開いた。

 

「・・・平気、へっちゃらです!」

 

響の言葉にみんなの視線が響に向かれた。

 

「だってこの世界には、歌があるんですよ!」

 

「響・・・」

 

「・・・ったく、まったくその通りだな」

 

響の言葉に真達は微笑む。

 

「歌・・・デスか」

 

「いつか人は、繋がれる。だけどそれは、どこかの場所でも、いつかの未来でもない・・・」

 

調はそういって響の方を見る。

 

「そう言ってる気がする」

 

「うん」

 

「立花響、継菜真」

 

マリアが二人に話しかける。

 

「君たちに出会えてよかった」

 

マリアはそう言い残し、調と切歌と共に緒川について行った。

 

かくして、戦いは終わった。

 

マリア達は、今までの罪を清算する為、日本政府の元、服役する事になった。

 

米国政府の人たちがいろいろ言ってきたが、弦十郎がうまくいってくれて今は施設にて上手く過ごしている。

 

そして響達は・・・。

 

 

 

 

 

リディアン女学院への通学路にて、一緒に歩く真達の後ろから響と未来がやって来る。

 

「翼さーん!クリスちゃーん!」

 

「おう、おはよう二人共」

 

二人は五人に追いつく。

 

「あれ?真さん達も一緒なんですね?」

 

「俺たちはこれから二課に向かうところだからな、そのついでだ」

 

「そうなんですか、大変ですね」

 

「それより聞いてくれ立花、あれ以来雪音は私や奏のことを先輩と呼んでくれないのだ」

 

「そうなんだ、せっかく呼んでくれたってのによ」

 

「だっ!だーかーらー!」

 

クリスは顔を赤くして翼たちの方を向く。

 

「何々~?クリスちゃんってば翼さんや奏さんの事先輩って呼んでるの?」

 

「ちょっ、響ったら」

 

「・・・いい機会だから教えてやる」

 

クリスはそう言って響の顔を掴む。

 

「あたしはお前より年上で、先輩だってことを!!」

 

その様子を見て未来と翼は呆れた顔をする。

 

「ははっ、やっぱ面白いな響とクリスは」

 

「だな、見てて飽きないわ」

 

「そうですね、とっても仲良しで安心します」

 

そう言いながら三人は未来と翼と一緒に二人を離す。

 

「もってけダブルだ!」

 

「二人とも、その辺にしておけ、傷もまだ癒えてないというのに」

 

「そうそう、落ち着けよクリス。傷口が開くぞ」

 

真と翼がクリスを落ち着かせる中、未来は響に尋ねる。

 

「ねえ響?体、平気?おかしくない?」

 

「心配性だな未来は~」

 

心配する未来に響は抱きしめる。

 

「私を蝕む聖遺物は、あの時全部きれいさっぱり消えたんだって」

 

「響・・・『でもね』?」

 

響は奏の方に振り返る。

 

「胸のガングニールは無くなったけれど、奏さんが託してくれた歌は、絶対に無くしたりしないよ」

 

「・・・そうか」

 

響の言葉にみんなは微笑む。

 

「それに、それは私だけじゃない」

 

響は空に手を伸ばす。

 

「きっとそれは、誰の胸にもある、歌なんだ」

 

それはきっと彼女たちが見る、世界の答え。

 

歌がある限り、人は何時か繋がれると信じて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫転生ゼロフォギア 第二期『完』




G編終わったーー!!!
「思えばG編の始まりは一月三日・・・あれから六ヶ月もかかったのか」
「だな、此処まで来たな~って感じだ」
「はい、ところで最後のあたりのあのパンチってもしかして・・・」
ゼロワン本編でも有名な辞表パンチです。バルキリーならこれをやらないとな。
「まあおかげで私もすっきりしましたからいいです!」
あらやだ良い笑顔。
「ところでナスターシャは生存ってことでいいのか?」
一応生きてますが容態が容態ですから今後は病院生活ですけどね。
「それでもマムが生きててよかったです・・・」
「よかったなセレナ、これでG編も終わりか」
いや、正確には来週にアフターストーリーを投稿する予定ですのであしからず、そこで今回できた三つのキーについて説明しますので。
「よし、それじゃあ作者、アフターストーリーの準備頑張れよ」
ウィッス、それじゃあ最後にあれで〆るか。

「「「「それではアフターストーリーもお楽しみに!」」」」


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戦姫転生ゼロフォギアG編 after story

さあG編アフターストーリーの始まりだ!
「おい作者、BBQやるが何焼いてほしい?」
あっタマネギでお願い。
「あいよ」
「響、お肉だけじゃなくて野菜もちゃんと食べてね」
「わかってるよ未来~」
「ったく、前回は餅で今回はBBQってどうなってながんだ?」
「まあいいではないか雪音、仲間と共にこうして食事をするのは悪くないぞ」
「だな、そこの四人もちゃんと食べてるか?」
「ええ、頂いてるわ。けれど本当にいいのかしら?」
安心しろ、食費は俺が出す!
「マリア姉さん、このお肉美味しいよ」
「マリア、こっちも上手に焼けた」
「あたしもデース!はいマリア!」
「ありがとう三人共、貴方達もいっぱい食べてね」
「「「はーい!」」」
さて、BBQを楽しみながらそろそろ始めるか。
「それではG編アフターストーリー、どうぞ」


ストーリー①:フロンティア事変その後

 

 

 

二月のとある日曜日、真たちは施設にいるマリア達の元へと面談に来ていた。

 

「よっ三人とも、元気してたか?」

 

「あら、貴方達来てくれたのね」

 

「当然ですよ、あっこれどうぞ!」

 

響は箱を取り出し蓋を開けると幾つかのドーナツが入っていた。

 

「デース!これ、食べていいんデスか!」

 

「うんいいよ!そのために持ってきたんだからね」

 

「そう、その為に厳選して最高のドーナツ屋を見つけたからな」

 

真の発言に未来たちは呆れた顔で答えた。

 

「真さんのあの本気具合、本当に凄かったね・・・」

 

「真の奴甘いものになると目の色を変えるからな・・・」

 

「まあそこが真お姉ちゃんの可愛いところなんですけどね」

 

「お前らなぁ・・・あっそういえばお前ら此処から出た後は響達と同じ学園に行くんだろ?」

 

「ええ、調と切歌が立花響達と同じ学園の一年生としてね」

 

真の問いかけにマリアが答えた。

 

「じゃあ二人共後輩になるんだ!楽しみだね!」

 

「うん、その時はよろしくお願いします・・・」

 

「よろしくデース!」

 

「おう、先輩として厳しく指導してやるからな」

 

学園の話をしてる中、響はセレナにとあることを尋ねた。

 

「そういえばセレナちゃんも学校には来ないの?」

 

「えっ、私ですか?」

 

「確かにそうだよな。この際セレナも行ってきたらどうだ」

 

真がそう言うとセレナは首を横に振った。

 

「えっと・・・ごめんなさい。私学校には行けないんです」

 

「えっどうして?何か学校でいやなことがあったの?」

 

「そういうわけじゃなくて・・・私もう十九歳ですから」

 

「ああ~十九歳ね。なるほどなるほど・・・」

 

しばしの静寂・・・そして。

 

 

『十九!?』

 

 

「嘘!?セレナちゃん私より年上なの!?」

 

「いやいやいや・・・マジか!?」

 

セレナのカミングアウトに皆(特に響と真)は驚く。

 

「確かに、セレナが生きてたらとしたら今年で十九歳になるけど・・・あの時と比べて身長が変わってないのはどうしてなの?」

 

「ええっと、支援者さんによると私の体はあの時の絶唱の影響によって成長が止まったみたいなんです、だから姿があの時のままなんです」

 

「そうだったのか・・・お前俺や奏と同い年だったのか」

 

「はい、今まで隠しててごめんなさい」

 

「いやいや気にしなくていいよセレナちゃん・・・いや、セレナさん?」

 

「いつも通りセレナちゃんでいいですよ」

 

カミングアウトの後皆が話している中、真はふと思ったことを口にした。

 

「・・・そういえばお前ら住む場所は決まってるのか?」

 

「ええ、もうすでにあなた達の司令から鍵を預かってるわ」

 

「・・・悪いけど、その鍵見せてくれないか」

 

「? 別にいいけど」

 

マリアは真に貰った鍵を見せると、真の顔色が変わる。

 

「真さん・・・もしかしてその鍵って?」

 

「ああ・・・うちの合い鍵だ」

 

「えっ?そうなの?」

 

自身の家の合い鍵と知った真は怒りに震えていた。

 

「あのチート・・・何で家主に相談しないんだ・・・!」

 

「えっと・・・真さん、またあの時みたいに師匠に挑むつもりですか?」

 

「いや、それはもう前に済ました。アサルトを使ってな」

 

「結果は?」

 

「俺の負け、レーザーでも無理ってもう人間じゃないあの人・・・」

 

『ああ~・・・』

 

既に軽いトラウマを刻まれた真をみて響達(F.I.S.組は除く)は察しがついた。

 

 

 

ストーリー②:三人との再会

 

 

 

三人との面会からしばらく経ち、今日は真の家に三人が来る日であった。

 

「うう~・・・」

 

扉の目の前でセレナが右往左往する様子を真は見ていた。

 

「落ち付けってセレナ」

 

「だ、だって・・・」

 

そう言った時、インターホンが鳴った。

 

「あっはい!今出ます!」

 

セレナがすぐに扉を開くと、そこには荷物を持ったマリア達が立っていた。

 

「いらっしゃいマリア姉さん!月読さん!暁さん!」

 

「おおいらっしゃい三人とも、そして今日からよろしくな」

 

「ええ、これからお世話になるわ」

 

「よろしくお願いします」

 

「お願いするデース!」

 

二人は三人を家にあがらせた。

 

「あら?確か雪音クリスもここに住んでると聞いたのだけれど?」

 

「クリスは学校だからいないんだ」

 

「ああ、そういう事ね」

 

マリアが納得すると、セレナが駆け寄ってくる。

 

「真お姉ちゃん!お二人をお部屋に案内させてきますね!」

 

「ああわかった、慌てて転ぶなよ?」

 

「はい!じゃあ案内しますねお二人とも!」

 

「うん、お願いねセレナ」

 

「それでは出発デース!」

 

三人は仲良く部屋まで向かった後、真はマリアと共にリビングに向かい互いに椅子に座った。

 

「セレナの奴、張り切ってるな」

 

「まあこうして四人過ごせるって考えればそうなると思うわ・・・ところで一つ聞いていいかしら?」

 

「ん、なんだ?答えれる範囲なら応えるぞ」

 

「あらそう、じゃあ聞くけど・・・何でセレナはあなたのことをお姉ちゃん呼びしてるのかしら?」

 

「OKわかった、ちゃんと訳を話すからとりあえずその右拳を下ろしてくれ」

 

マリアが震える拳を下したところで真は訳を話した。

 

「・・・そういう事だったのね」

 

「そっ、決して強調させたわけじゃないからな・・・ところでマムって人はどうだった?」

 

「ここに来る前に面会したわ。寝たきりだけど元気そうだったわ。私たちがセレナのところに住むことを聞いたらよかったわねって笑顔で答えてくれたわ」

 

「そうか・・・よかったな」

 

「ええ、本当に・・・」

 

二人が話していると案内を終えたセレナが帰ってくる。

 

「あらおかえりセレナ、二人は?」

 

「今お部屋で荷ほどきをしています。後でマリア姉さんも案内しますね」

 

「ああ頼むわ、ところでセレナ聞いてもいいか?」

 

「はい、何でしょうか?」

 

「いやさ、こうして本当の姉が帰ってきたわけだし、もう俺のことをお姉ちゃん呼びしなくてもいいんじゃないかなってさ」

 

真からの質問にセレナはきょとんとした顔をした後、少しして答えた。

 

「・・・確かにあの時、マリア姉さんが戻ってくるまでって言いました。でも今まで支えてくれた真お姉ちゃんは私にとっての大事なお姉ちゃんの一人なんです」

 

「セレナ・・・」

 

「ですから、真さんがよろしければこれからもお姉ちゃんって呼んでもいいでしょうか?」

 

セレナの答えにしばし沈黙が走る・・・そして。

 

「ああ、お前がそれでいいならそれでいいぜ」

 

「・・・っ!ありがとうございます真お姉ちゃん!」

 

「ははっ・・・って危なっ!?」

 

セレナは感極まり真に抱き着こうとしたとき、真の前を何かがよぎった。

 

真は何かと横を見ると、そこには般若の如き表情のマリアが手刀を構えていた。

 

「怖っ!?いきなり何しやがるマリア!?」

 

「どうしたのマリア姉さん!?顔が怖いよ!?」

 

「・・・めない」

 

「えっ?」

 

「貴方を姉だ何て認めない!セレナの姉は私よっ!!」

 

「「何言ってんだ『るの』マリア『姉さん』!?」」

 

「姉は私よぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「どわぁぁぁぁぁ!!?」

 

そのままマリアは般若の表情のまま真を追いかけて行った。

 

「・・・マリア、どうしたの?」

 

「なんだかすっごい顔をしてたデスよ!」

 

「ええっと・・・あははっ」

 

下に降りて来た二人はこの状況に困惑し、セレナは苦笑いをしたのだった・・・。

 

 

 

ストーリー③:我が名はフィーネ

 

 

 

三人が住み始めてから少し経ったある日、真は調にある質問をしていた。

 

「ところで調、あの後櫻井さんはどうしてるんだ?」

 

「フィーネのこと?それならまだ私の中にいるよ」

 

「・・・改めて聞くんだけどさ、マジで人格を塗りつぶされる心配はないんだよな?」

 

真がそう尋ねると、いきなり調の目の色が金色に変わり、人格がフィーネと入れ替わった。

 

「心配ないわよ、もう乗っ取る必要はないわ」

 

「櫻井さん・・・だとしてもひょんなことで塗りつぶされる不安が俺の中にあるっていうか・・・」

 

「ん~それもそうね・・・」

 

フィーネは少し考えこみ、ちらっと真の方を見ると、小声でぶつぶつ言いだした。

 

「そうね、あれはまだ実験段階だけど理論上は・・・」

 

「櫻井さん?」

 

「・・・真ちゃん、ちょっと手を出してくれないかしら?」

 

「えっいきなり何で?」

 

「いいからいいから」

 

フィーネに言われ、真は恐る恐る手を差し出すと、フィーネはその手を掴む。

 

「あの~櫻井さん。これは一体?」

 

「ちょっと試しておこうかな~って。もしかしたら・・・」

 

そう言ってフィーネが手に力を籠めると、調の手が震えだした。

 

「えっ何何!?」

 

「よし、次は・・・」

 

手が震えだすと、その震えに連動するように真自身の手も本人の意思に関係なく震えだした。

 

「えっ何これ!?なんか震えだしたんだけど!?」

 

「此処まではOK、後はこれを持続すれば・・・!」

 

「待って櫻井さん!?あなた一体何を・・・!?」

 

真の言葉に関係なく手の震えはどんどん大きくなり次第に体の方も振るえだす・・・はずだったのだが。

 

震えだしたのは真の体ではなく、何故か真の持つキーが震えだしたのだった。

 

「「えっ?」」

 

キーが震えだしたのに真だけではなく、フィーネ自身も驚いていた。

 

「ちょっ櫻井さん!?なんかキーが震えだしたんだけど!?」

 

「えっまって!?こんなの想定してないわよ!?」

 

二人が慌てるが時すでに遅し、振るえとともにキーが光り輝く。

 

光りが部屋全体を包み、暫くすると光が消える。

 

「「・・・ん」」

 

光が止むと真と調が目を覚ます。

 

「い、今の光は・・・?」

 

「・・・あれ?意識が戻ってる?なんで・・・!?」

 

「マジか!?」

 

真が調の目を見ると、確かに目の色が元に戻っていた。

 

「本当だ、でもどうして・・・ん?」

 

ふと真pが掌に違和感を感じ見てみると、そこには見たことのないキーが握られていた。

 

「なんだこのキー?白色だし、何も書いてない」

 

真がキーを見ていると、突然調の顔が青くなった。

 

「ん?どうした調?」

 

「ま・・・真さん、後ろ・・・」

 

「後ろ?後ろが一体・・・いいっ!?」

 

真が後ろを振り返ると真も顔を青くした。

 

「あら・・・これは・・・?」

 

そこには半透明の櫻井さんが宙に浮いていた。

 

「「・・・お」」

 

「お?」

 

「「おばけぇぇぇぇぇぇぇ!!?」」

 

「失礼ね!?私はお化けじゃないわよ・・・まあ死んでるけど」

 

パニックになる真と調、そしてこの後帰って来たマリア達が宙に浮かぶフィーネを見て一波乱があったがまた別の話・・・。

 

 

 

ストーリー④:真の地獄

 

 

 

真達はマリア達を連れてショッピングモールへとやって来ていた。

 

「よし、とりあえず三人の生活用品はこれで良しっと」

 

「なんだかごめんなさい。何から何までお世話になってしまって」

 

「いいんですよマリアさん!これぐらいどうってことないですよ」

 

「響、一応支払ってるの俺なんだけど・・・」

 

「あははっ・・・それじゃあ次はどこに行こっか?」

 

未来が何処に行くか悩むと響がすぐに答えた。

 

「はいはーい!それじゃあ服買いに行きませんか?」

 

響の言葉に真は反応した。

 

「おっいいな、三人の服も見繕っておいた方がいいかもな」

 

「ああ、いい案だな立花」

 

「えへへ~それほどでも」

 

「そうかそうか、じゃ俺は待ってるからみんなで言って来いよ~」

 

真はそそくさと離れようとすると、響が真の腕を掴む。

 

「何ってるんですか・・・真さんの服も見繕わないと」

 

①:真、響の手を振り切り逃走

 

②:響&奏追跡

 

③:真捕獲

 

この間約十秒。

 

「離せぇぇぇぇぇぇ!!?ていうかまたなのか!?」

 

「当たり前ですよ!真さん絶対可愛いのも似合いますって!」

 

「似合うものか!離せ響!奏!俺を地獄へ連れて行くな!」

 

「諦めろ、前回もあたしと響から逃げきれたか?」

 

「くっそ!この脳筋コンビ!」

 

真がギャアギャア騒いでいるのをマリア達は驚いた表情で見ていた。

 

「彼女、いったいどうしたの?」

 

「済まない、継菜はどうしてか女性ものの服を着たがらないんだ」

 

「そうなんです、前なんていつもジャージを着ていましたから」

 

「そうだったんですか・・・?」

 

「ああ、そういえばあの時あいつジャージ姿だったな」

 

「へぇーなんだが想像つかないデスね」

 

マリア達が真の過去に驚いている中、セレナが声をかけてくる。

 

「真お姉ちゃん」

 

「あっセレナ!セレナからも何か言ってくれ!」

 

真がセレナに頼むと、セレナは真に向けてキラキラした目で。

 

「わたし、真お姉ちゃんの可愛い姿みたいです!」

 

「お前もか!お前もなのかセレナ!?」

 

「だよねだよね!セレナちゃんも見たいよね!」

 

「はい!真お姉ちゃんなら絶対に似合うと思います!」

 

「というわけだ、じゃさっさと行くぞ~」

 

真はそのまま二人にドナドナされていった。

 

「だれかぁぁぁぁぁ助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!?」

 

真達はそのまま服屋まで向かい、結果真は女性物の服を購入した。

 

その日、真は何か大切な物を失った気がした。

 

 

 

ストーリー⑤:神との対話

 

 

 

とある休みの日、マリア達(+フィーネ)が出かけている中、真が家で本を読んでいるとインターホンが鳴った。

 

「あっはーい」

 

真が出ると、郵便配達の人がいた。

 

「お届け物でーす。ハンコお願いします」

 

真は判をおし荷物を受け取る。

 

「誰からだろう・・・」

 

真は差出人を見ると、固まった。

 

『神より』

 

「・・・いや、今回はあいつに感謝しないとな」

 

真は箱を開けると、中には三つのキーが入っていた。

 

そのうちの一つは前に見た真っ白なキーだった。

 

「これは・・アップデートキーか」

 

真はドライバーを取り出し白いキーを認証させる。

 

アップデート開始

 

認証させるとあの時と同じようにドライバーが光りだした。

 

アップデート完了

 

アップデートが終わるとライズフォンに電話が入ってきた。

 

「このタイミングの電話・・・あいつか」

 

真はしぶしぶ電話に出た。

 

『はーいもしもし、今回もお疲れさま』

 

「・・・どうも神さん」

 

『あら、駄目神からランクアップしたわね』

 

「まあ響達の件があるからな、そこは感謝してるよ」

 

『どういたしまして、それよりこちらから報告することがあるわ』

 

「報告?なんだ?」

 

『あの時一時的に使わせたプログライズホッパーブレードなんだけど、渡すのはまだ先になりそうなの』

 

「えっそうなのか?」

 

『ええ、あの時無理に使わせてしまったからもう少しメンテナンスが必要なの。その代わりメンテナンスが終わったらすぐに渡せるようにアップデートしておいといたわ』

 

「その為のアップデートか・・・ところで俺からも聞きたいんだけど、プログライズホッパーブレードで響達を切った時、ギアペンダントが出て来たんだけどどういう事なんだ?」

 

『ん~これはまだ予測の段階なんだけど、プログライズホッパーブレードのシステムとシンフォギアシステムが偶然作用して、響ちゃんの体を蝕む聖遺物が正常なギアに書き換え垂れたんじゃないかしら?』

 

「なんだか随分あいまいだな?」

 

『流石にあれは予想外だったの、あの時言ったでしょ私にもわからないって。それで先の二つの作用で響ちゃんは正規の装者になったんだと思うわ』

 

「そうだったのか・・・んっ?」

 

真は神の言葉でとあることが頭によぎった。

 

(響が正規の装者になったってことは・・・『あいつ』も?)

 

『真君?どうしたの?』

 

「んっ?あっ嫌、何でもない。ところでもう一ついいか?」

 

『何かしら?』

 

「ネフィリムとの戦いのとき、セレナと奏がXDになったんだけど、あれって俺もできるのか?」

 

『う~ん、おそらくあれはあの二人がガングニールとアガートラームを纏ったことに意味があるわ。あの二人は元々装者だったし、二つのギアの所有者。それらのお陰で二人はXDを起動させたんだと思うわ』

 

「じゃあ俺にはXDはできないってことか・・・」

 

『分からないわ、ドライバーが完全に聖遺物になったらもしかしたら真君もなれるかもしれないわ』

 

「そうか、それじゃあそれまで頑張らないとな・・・それと櫻井さんの件なんだけど」

 

『ああ~あれね、私もよくわかってないの。フィーネは何て言ってたの?』

 

「本人曰く、あの時自身の魂を俺の中に移動させようとしたんだけど櫻井さんが発した振動にキーが反応して新たなキーが創造されて、そのキーの中に強制移動されてしまった・・・って」

 

『なるほど・・・じゃあ彼女はキーが依り代ってわけね』

 

「ええ、キーを他の人に渡せば自由に移動できるから不便はないって言ってた」

 

『あの人も凄いわね~、それじゃあ私はメンテナンスに戻るから、それじゃあね』

 

神はそう言って通話を切った。

 

「・・・さて、これらをどうするか」

 

真はライズフォンをしまい、懐から『もう一つのペンダント』を取り出し、神から送られてきた『青色と橙色の異質な形のキー』を見比べた。

 

 

 

ストーリー⑥:■■■■■■

 

 

 

とある施設、その施設の中に一人の金髪の少女がいた。

 

「・・・もうそろそろだな。俺の計画の始まりは」

 

少女の周りには『四体の人形』が並び立っていた。

 

「そのためにも、あいつには一役買わせないとな」

 

不敵に笑う少女の背後に誰かが近づいてくる。

 

「もうすぐじゃの、おぬしの悲願の達成は」

 

現れたのは灰色の髪色のボブカットの、この場には似合わない和服を着た小柄の少女だった。

 

「お前か・・・何の用だ?」

 

「いやなに、もうそろそろお主の計画とやらが始まると思ってのう、様子を見に来たのじゃ」

 

「そうか・・・計画は順調、後は俺の思惑通りに事が進めばすべてがうまくいく」

 

「そうかそうか!ならば必ず果たさんとな。おぬしもそう思うじゃろ?」

 

そう言って後ろを見ると、扉の蔭から一人の少女が現れる。

 

「う・・・うん、そうだね・・・」

 

現れたのは同じく灰色の髪色のロングヘアの女性、二人よりも高い背丈であり先の少女とは違い白いワンピースを身に纏っていた。

 

「なんじゃ、そんな隅にいないでこっちにこんか」

 

「あ・・・う、うん」

 

和服の少女に言われワンピースの女性もやって来ると、金髪の少女は口を開いた。

 

「お前たち、最後に聞くが本当に最後までついてくるんだな?」

 

「無論じゃ。わしらがおぬしに拾われてたその時からおぬしと共に行くと決めたのじゃ」

 

「わ・・・私も。■■■■ちゃんに恩返しをしたいの」

 

「・・・そうか、ならば最後まで付き合ってもらうぞ■■■、■■■。『万象黙示録』完成のために」

 

「うむ、任せろ!」

 

「うん・・・わかった」

 

また一つの物語は終わった。

 

だがこれは新たな始まり。

 

それは一人の少女の復讐の物語。




さあて後書きの時間d『おらぁ!』渾身の右ストレート!?
「お前・・・性懲りもなく服のネタを・・・!」
需要があると思ってやりました、三期では新たな衣装なのでお楽しみに。
「よし、その記憶をお前の頭から消してやる」
待てっ!?とりあえずその震える拳を下ろしてくれ、いや振り下ろすんじゃなくてぇあぁぁぁぁぁぁ!!?

~しばらくお待ちください~

「お待たせ、じゃあ後書きと行くか」
「あの・・・あっちで惨劇が・・・!」
「気にせずに気になる点だけ上げるぞ」
「あっはい・・・」
「んじゃ後書きなんだが・・・みんな思ってることを同時に口にするぞ。せーのっ」

『最後の誰!?』

「おい作者!最後のあれ誰だ!?」
何って・・・三期に出るキャラクターに決まってるだろ?
「あの~私の記憶が間違ってたら謝りますけど、三期のキャラってあの子達だよね?なんだか知らない二人がいるんだけど?」
「安心しろ馬鹿、あたしらもそう認識してる」
「というわけだ、どういう意味だ?」
ああ~端的に言うと・・・・・・オリキャラ考えました♪
「クリス、新技ぶつけてやれ」
「おう」
待って!落ち着いて話を聞いてくれ!?
「オリキャラって・・・お前それ大丈夫なのか?」
安心してくれ、オリキャラは今後も含めてこの二人だけだから。
「はぁ・・・んで見た感じ敵側って認識でOK?」
OK、その認識で合ってるぞ。
「お前・・・オリキャラなんか出して大丈夫なのか?」
大丈夫だ、問題ない。
「それは問題ある時に言う言葉だということを叩き込んでやろうか?」
済みません許してください。
「まあまあ落ち着いてください真さん」
「・・・一応聞くが、ちゃんとか書けれるんだろうな?」
気合と根性を全開で頑張ります。
「…そこまで言うなら別にいいや」
アザッス!それじゃあそろそろ〆と行きますか。

『それでは、第三期をお楽しみに!』


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GX編
空の彼方より・・・


さあ始まりの時だ、戦姫転生ゼロフォギアGX編第一話!
「あっ今回は零話はないんですね」
前回のはセレナちゃんの登場もかねて零話が出たんだけど、今回は冒頭から出てくることはないからな。
「なるほどな、ところで真はどうして端っこにいるんだ?」
「・・・・・・」
「あっ本当だ、真お姉ちゃんどうしたんでしょう?」
おそらくあれでしょうね・・・。
「あれってもしかして…?」
そっ、というわけでGX編の真の新衣装はこれだ!

真新衣装:白のフレアスカート、グレーのGジャン

「おおっ!ついにスカートを付けたのか!」
「・・・しゃあねえだろ、選択肢でこれが一番まともだったから」
そっ、というか俺自身女性の服に無知識だからな。
「そうなんだよな・・・だから次回はもうネタ切れ・・・」
というわけでこれ投稿した後に、真に着てほしい服を募集しようと思います。
「*************!!?」
「大変!?真お姉ちゃんが錯乱した!」
「おいっ落ち着け真!?」
というわけで真を落ち着かせている間にGX編第一話どうぞ!!


フロンティアでの戦いから長い月日が流れた・・・。

 

現在、空のかなたにてとあるロケットが操縦不能となり大気圏へと墜落していた。

 

このロケットは空に浮かぶフロンティアの残骸を回収するためのロケットだったのだが、帰還時に起きたシステムトラブルによって墜落しているのだった。

 

そしてそんな空を見上げる変身を終えた六人の少女達がいた。

 

「ったく、ロケットの墜落の阻止ってとんでもない仕事だな」

 

「大丈夫ですよ真さん!みんなが力を合わせればきっと何とかなりますから!」

 

「・・・そうだな、それで弦十郎さん。許可はまだですか?」

 

『もう少し待ってくれ・・・よしっ、承認が下りたぞ!軌道計算のデータを送る、後は頼むぞ!』

 

真の持つライズフォンにロケットの墜落時の軌道計算データが乗せられた。

 

「よしっ!それじゃあ行くか!」

 

真はライズフォンをしまいホルダーから『ブレイキングマンモスプログライズキー』を起動させた。

 

プレス!

 

オーソライズ!

 

ドライバーに認証させると、上空に巨大な飛行物体『ブレイキングマンモス・ジェットフォーム』が出現する。

 

「さあ、再び宇宙に行くか!」

 

プログライズ!

 

Giant Waking!ブレイキングマンモス!

 

Larger than life to crush like a machine.

 

真がキーを装填すると真はブレイキングマンモスに吸い込まれ、そのまま搭乗する。

 

「なんだか・・・真さんも何でもありになってきたね」

 

「元からあいつは何でもありだろ・・・」

 

「ああ、だがもう慣れたな」

 

「だな、もうあれこれで突っ込む気も起きないな」

 

「ですね、けどおかげで助かってますから・・・」

 

五人がそれぞれの反応をする中、真が声をかけた。

 

『何してんだ、早くいくぞ』

 

「わかりました、じゃあ行きましょう!」

 

五人はブレイキングマンモスの上に乗り、そのままロケットへと向かった。

 

六人が空へ飛び立ってしばらくすると、眼前にロケットを発見した。

 

『あれか!近づくぞ!』

 

真達が近づくと、ロケット内の搭乗員の声が聞こえてきた。

 

『なんだあの飛行物体は!?まさか俺たちを撃墜するために!?』

 

『致し方なしか・・・』

 

聞こえてきた声は動揺の声と覚悟を決めたかのような声、そんな搭乗員たちの声は、響と真の一言で変わった。

 

『へいき、へっちゃらです!』

 

『俺たちが助ける、だから諦めるな!』

 

『使用BGM RADIANT FORCE』

 

始まる歌

 

始まる鼓動

 

響鳴り渡れ希望の音

 

真がそう言うと、ブレイキングマンモスを『ロボモード』に変形させロケットに近づき、乗っていたみんなはロケットに飛び移った。

 

「生きることを諦めない」と

 

装者たちはロケットに飛び移り、支柱に捕まり響と翼はギアのブースターを全開噴出し、クリスは巨大なミサイルを四基展開し、同時に点火した。

 

示せ

 

熱き夢の

 

幕開けよ

 

同じく飛び乗った奏とセレナも、すでに変身した『仮面ライダーバルカン フレイミングタイガーフォーム』と『仮面ライダーバルキリー フリージングベアーフォーム』による炎と冷気の全力噴出を行う。

 

爆ぜよ

 

この

 

奇跡に

 

ない

 

そして真はロケットをしっかりと掴み、背中のブースターを噴出させる。

 

六人の全力によってロケットの落下速度は徐々に落ちるが、それでも完全に止まる気配はない。

 

『やっぱそう簡単に止まらないよな・・・!』

 

「けど!絶対に止めて見せます!」

 

そう叫ぶ響に合わせるように六人のブースターの勢いがさらに増す。

 

その手は何を掴む為にある?

 

クリスは両足を固定し、そこからさらに腰のユニットから小型のミサイルを展開し点火させる。

 

たぶん待つだけじゃ叶わない

 

響も自身の両足を固定させ、腕部のギアを変形し、両腕のブースターナックルを炸裂させ押し返そうとする。

 

その手は何を守る為にある?

 

翼も両手の剣をロケットに突き刺し固定し、両足のスラスターを展開しさらに減速させる。

 

伝う

 

熱は

 

明日(あす)

 

輝かす種火に

 

ロケットは大気圏を抜け、所々に山々が見えてくる。

 

「継菜!大気圏を抜けた今、その巨体では周りに被害が出るかもしれん!」

 

『了解!』

 

真はすぐにライジングホッパーフォームに戻り、ロケットに飛び乗った。

 

「真!このままだとどうなる!?」

 

「櫻井さんの計算だと、このままじゃカラコルム山脈に直撃コースだ!」

 

「このままパイロットを救出すれば万事解決だが・・・それじゃあ駄目なんだろ?」

 

「このロケットにある櫻井さんが残したデータとフロンティアの残骸・・・どっちも重要な情報だからな・・・放っておいたら別国に取られるかもな」

 

「だったらきちんと止めないとな」

 

「うん!絶対に止めよう!」

 

そうしてる合間にも徐々にカラコルム山脈に近づいていく。

 

「真!」

 

「えっ!?」

 

クリスはミサイルを切り離し、真に向かって飛びあがり、真は飛び上がったクリスをすぐに抱きしめると、クリスは六基のミサイルを展開した。

 

ミサイルを見た真はクリスの考えを理解し、足を踏ん張る。

 

「撃てっ!クリス!」

 

真の声に合わせてクリスは六基のミサイルをカラコルム山脈に向けて放った。

 

MEGA DETH SYMPHONY

 

放たれたミサイルは途中で無数に分裂し山脈に突き刺さり、山脈は横一線に爆発を起こした。

 

「ぶった切れ!!」

 

「無茶なお願い承知した!」

 

クリスはすぐに真から離れ、真はオーソライズバスターに先ほどのブレイキングマンモスプログライズキーを装填する。

 

プレス!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

「おりゃぁぁぁぁぁぁ!!」

 

バスターボンバー!

 

キーを装填しそのまま山脈目掛けて振り抜くと、巨大なマンモスの牙の形のエネルギーが山脈目掛けて飛んでいき、直撃すると山脈が横に大きくえぐれた。

 

えぐられたことによってロケットはその隙間を通り何とか山脈を通り過ぎるが、その代償にカラコルム山脈の標高が世界三位に下方修正されてしまった。

 

「なんだか、とんでもないことをしたような・・・」

 

真がぽつりとつぶやく中、ロケットは地面に不時着するが、それでも勢いは止まらず地面を滑るように進んでいく。

 

「まるでジェットコースターだな!」

 

「世界一危険なジェットコースターだなおいっ!?」

 

「言ってる場合じゃありませんよ!前々!」

 

セレナが指さす方を見ると、そこには広がる森林が迫っていた。

 

この勢いのまま森林に直撃したらロケットの大破は確実と悟った翼とセレナは前に出た。

 

切り裂けまだ見ぬ日に行く為に

 

前に出た翼が剣を構えると剣が巨大化し、セレナも冷気によって巨大な氷の剣を作り出し前方の木々を切り裂いていく。

 

不可能何て何一つない

 

ロケットは切り裂かれていく森林を突き進んでいく。

 

こんなに心強い事はない

 

森林を抜けると、目の前に巨大な山が立っていた。

 

絶対

 

絶対

 

絶対

 

合い

 

ぶっちぎぃぃぃぃぃぃぃる!!

 

山を見た響とパンチングコングフォームに切り替えた奏が前に出て同時に岩壁に殴りかかる事で、その衝撃で軌道をそらし直撃を防ぐ。

 

「次は左だ!二人とも!」

 

「任せろぉ!」

 

再び迫ってくる岩を二人が殴り掛かり再度軌道をずらす。

 

その後も迫りくる障害物を撃ち抜き、切り裂き、砕いていき段々と山を下りていく。

 

「この調子で麓までいけば・・・!」

 

「ああっ・・・っ!やばいぞっ!」

 

だが、現実は思い通りには起こらない。奏の叫びにみんなが前方を見ると、その先に村があった。

 

「このままいったら村に激突してしまいます!!」

 

「っ!響!」

 

「はいっ真さん!」

 

村を見た真は、すぐにシャイニングアサルトホッパープログライズキーを起動し装填する。

 

ハイパージャンプ!

 

オーバーライズ!

 

プログライズ!

 

シャイニングアサルトホッパー!

 

No chance of surviving this shot.

 

すぐにシャイニングアサルトに変身した真は響と共にロケットの先端に向かう。

 

「馬鹿!」

 

「何を!?」

 

翼とクリスが驚く中、二人はロケットの先端を掴み全力で止めにかかる。

 

絆、心、一つに束ね

 

響き鳴り渡れ希望の音

 

二人が全力で止めようとするが勢いは止まらず、村に頭達し周りの建物を破壊しながらも進んでいく。

 

そしてロケットの行き先にはひときわ大きな建物があった。

 

「絶対に・・・止める!!」

 

真はロケットの先端を蹴り飛ばし、その勢いで建物の前に移動するとドライバーのキーを押し込む。

 

アサルトチャージ!

 

シャイニングストームインパクト!

 

本来、足に溜められるエネルギーを真は両腕に溜めていきロケットを待ち構える。

 

唄え!

 

可能性に!

 

ゼロはない!

 

響は足のアンカージャッキーを地面に突き刺し先端をしっかりと掴む。

 

飛べよ!

 

この!

 

奇跡に!

 

「「光あれぇぇぇぇぇ!!」」

 

シャイニングストームインパクト

 

響と真が同時に叫び、真が両手突きで先端を殴りつけその衝撃で船体が浮かび上がり、その瞬間に響がロケットを持ち上げ放り投げた。

 

放り投げられたロケットは建物を乗り越え、建物の裏に墜落する直前、ロケットのエンジンが点火し体勢を立て直し、無事に着陸する。

 

「「・・・はぁ~~」」

 

無事に着陸したロケットを見てその場に倒れる二人に翼たちが駆け寄って来た。

 

「大丈夫か二人とも!」

 

「ったく!どんな無茶苦茶だ!?」

 

「真、大丈夫か?」

 

「飛び降りた時はびっくりしましたよ!」

 

「ああ、なんとかな・・・」

 

「あはははっ!」

 

心配する四人をよそに、響は嬉しそうに笑っていた。

 

「おかしなところでもぶつけたか?」

 

心配するクリスに、響は答えてくれた。

 

「私、シンフォギアを纏える奇跡が、嬉しいんです!」

 

「・・・そうか、そりゃよかったな」

 

「はいっ!」

 

響の答えに、四人は顔を合わせて微笑みを零した。

 

「お前・・・本当の馬鹿だな」

 

こうして、六人によるロケット救助は幕を終えた・・・。

 

 

 

 

 

ロケット救助から三ヶ月がたった。

 

ロケット救助の一件にて二課は国連直轄のタスクフォース『Squad of nexus Guardians』通称『S.O.N.G(ソング)』として再編成され、既定の範囲内での国外での活動許可が認められている。

 

そして、大きな動きがあったのはS.O.N.Gだけではなかった・・・。

 

 

 

とある真夜中、一人の少女が何かを抱えて走っていた。

 

そしてその少女を追い詰めるように金色の何かが少女の足元に打ち込まれていき、少女はとっさに電話ボックスの裏に身を隠す。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

少女は息を整え、抱える箱を見る。

 

「『ドウェルグ=ダインの遺産』・・・すべてが手遅れになる前に、この遺産を届けることが僕の償い・・・!」

 

少女は箱を抱きしめ再び走り出す、そしてその様子を見つめる者がいた。

 

「私に地味は似合わない・・・だから次は、派手にやる」

 

 

 

 

 

夏真っ盛りな今日この頃、真は特訓施設にて一人訓練をしていた。

 

「ふぅ・・・こんなものか」

 

一通り訓練を終えた真は少し休憩をとると、所持しているキーからフィーネが出てくる。

 

『暑い中よく頑張るわね、真ちゃん』

 

「まあな、こうして鍛えれば変身した時の身体能力はさらに上がるし格上のキーを使った時の反動も軽減できるから、鍛えておいて損はない」

 

『シャイニングとアサルトね・・・二つとも十分に強いと思うのだけれどまだ強くなるのかしら?』

 

フィーネがそう言うと、真は銀色のキーを取り出す。

 

『そのキーは?他のと比べて随分形が違うけれど?」

 

「こいつは性能的にはアサルトよりもさらに強い性能を持ってるが、いかんせんやばそうな雰囲気を醸し出してるからな・・・」

 

真は手にしている銀色のキーの危険性を肌で感じ取っていた、それゆえ今まで使うことはなかった。

 

「・・・まっ、そうそう使うことはないと思うぞ」

 

『そうね・・・そうだといいのだけど』

 

そんな時、真のライズフォンに連絡が入った、相手は響だった。

 

「響か、はいもしもし?」

 

『あっ真さん。今夜、友達と一緒に真さんの家に行きたいんですけどいいですか?』

 

「俺ん家に・・・あああれか、もちろんいいぞ」

 

『やった!ありがとうございます!』

 

そう言って響は通話を切った。

 

『あら?今日って何かあったかしら?』

 

「忘れたのか?今日は・・・」

 

 

 

時間を飛ばして夜、真の家のリビングは人でいっぱいだった。

 

「ありがとうございます真さん!」

 

「別にいいさ、それにしても大分大所帯になったな」

 

リビングにいるのは真と響、未来、クリス、セレナ、調、切歌、そして響と未来のクラスメイトの寺島、安藤、板場の合計十人がそろっていた。

 

「すみません、こんな時間にお邪魔しまして」

 

「気にすんなよ、こうして一緒に見る方が楽しいし」

 

「そうそう、ナマさんの言う通りだよ」

 

「それに、ロンドンとの時差を考えてここで見るのが一番だから!」

 

「そういうことだ・・・よっ」

 

真は人数分のお菓子と飲み物を机の上に置く。

 

「そういえば二人とも、学園の方はどうだ?楽しんでるか?」

 

「うん、いろんなことを学べて楽しいよ」

 

「デース!それにみんながいるから安心デース!」

 

「そうか、それはよかった」

 

真は二人の様子を見て安心してると、時間が迫っていた。

 

「おっと、もうそろそろだな」

 

「はいっ!やっと自分の夢を追いかけるようになった翼さんのステージ!」

 

「そんな大舞台、みんなで応援しない訳にはいかないからな」

 

「それに翼さんだけじゃなくてもう一人・・・」

 

「マリア姉さんとのコラボユニットですからね!」

 

「奏さんは二人のボディーガードとしてついて行ってるから生で見られるんだろうな~羨ましいな~!」

 

「はいはい、羨ましがってないでテレビに集中。もうすぐ始まるぞ」

 

皆はテレビに視線を向ける、そしてステージ会場がライトアップされていく。

 

『使用BGM 星天ギャラクシィクロス』

 

 

遺伝子レベルの

 

 

インディペンデント

 

 

絶望も希望も

 

 

(いだ)いて

 

 

『『足掻け命尽きるまで』』

 

 

二人の歌声に合わせるように会場の歓声が上がる。

 

二人の足元のスモークが晴れると、そこには美しい水面が現れた。

 

そして会場を包むモニターが割れ、ロンドンの夕焼けが会場を照らし出した。

 

 

ヒカリと飛沫のKiss

 

 

恋のような

 

 

虹のバースディ

 

 

水面から水柱が二人を囲むように上がり、夕日に照らされ虹を生み出す。

 

 

どんな美しき日も

 

 

何かが生まれ

 

 

何かが死ぬ

 

 

そして二人は夕日に照らされながら、水面を滑るように移動する。

 

 

せめて唄おう

 

 

『『I loveYou』』

 

 

世界が酷い地獄だとしても

 

 

二人の歌の会場の観客の叫びが重なり、再び水柱が上がる。

 

 

せめて伝えよう

 

 

『『I loveYou』』

 

 

解放の

 

 

時は来た

 

 

水面をスケートのように滑りながら全身を魅せるように踊る。

 

 

星降る

 

 

天へと

 

 

『『響き飛べ!リバティソング』』

 

 

吹きあがる水柱の円の中、二人は舞いながら中心に並び立ち。

 

 

『『Stardust』』

 

 

夜空から星が降る。

 

 

『『そして奇跡は待つモノじゃなくて』』

 

 

二人は再び水面を滑り、その水面に∞を描く。

 

 

『『その手で創るものと…吠えろ!』』

 

 

二人の歌声に会場のボルテージは更に跳ね上がり、二人はワイヤーで宙を飛ぶ。

 

 

涙した過去の(にが)みを

 

 

レクイエムにして

 

 

腰のワイヤーが切れ、二人は華麗に着地する。

 

 

『『生ある全の力で』』

 

 

そして水面を滑り、再び並び立つ。

 

 

輝けFuture world

 

 

信じ照らせ

 

 

『『星天ギャラクシィクロス!』』

 

 

歌いきると同時に空で青色とピンク色の銀河が重なり、純白の輝きが照らし出された。

 

 

その美しい光景に会場の観客たちの拍手は止まなかった。




さて後書きなんだが…落ち着いたか?
「この状況で落ち着けっていう方がおかしいだろ!?」
まあお前からしたら死活問題だからなw。
「よし潰す」
マッテ!?
「え~っと、お二人が騒いでる間に作者さんから報告があります」
「まず真の衣装なんだが、今回は出て来たから後はAXZとXVだけなんだが、作者の気力があれば特別編で新たな服を着るかもしれない」
「というわけで活動報告にて真お姉ちゃんの新しい服を募集します、期限はありませんので安心して案をどうぞ」
「それともう一つあって、プログライズキーの募集に関して何だが」
「此処までいくつかの色んなオリジナルキー案が来てくれて嬉しいんですけど、今回から募集の方にこれらの条件を付けたいと思います」
「それが『ライズスターター起動時の音声』と『変身時の音声』をつけることだ」
「理由は『送られてくる案すべての音声を考えるのが大変らしいので、できれば・・・』だそうです」
「まっ、作者からの報告はこれ位だな・・・おーい、もう終わったか?」
「ああ、今終わったぞ」
・・・・・・。
「作者さんが全身モザイクですよ!?」
「気にするな、次回で治る、んじゃそろそろ〆るか」
「あっああ・・・」

「「「それでは次回もお楽しみに!」」」


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奇跡の殺戮者

GX編第二話、今回も張り切っていこうか!
「それと視聴者の皆さんに言わないといけないことがあるんだが・・・今回『一方』という単語が滅茶苦茶でるからそこんとこ了承してくれ」
「てか、それどうにかできなかったのか?」
いやだって日本の真達とロンドンの翼たちを同時に書くとなるとこれしか思いつかなくって…。
「まあまあ、作者さんも頑張ってますから」
「…まあいいか、それよりもそろそろ始めるぞ」
おう、それではGX編第二話、どうぞ!


「ひゃー!!こんな二人と一緒に友達が世界を救ったなんて、まるでアニメだねぇ!」

 

「あははっ・・・うん、ほんとだよ」

 

「ま、まあな・・・」

 

翼とマリアのライブを見て興奮する板場に響と真は引きながらも答える。

 

 

 

一方でマリアはステージから降りると、降りた先で奏が待っていた。

 

「よっ、お疲れさん」

 

奏がドリンクを投げ渡すとマリアはそれを受け取った。

 

「ありがとう、翼の方にはいかなくていいの?」

 

「ああ、翼の方には緒川さんがついてるし大丈夫だし、それに今はあんたの護衛だからな」

 

 

 

「月の落下とフロンティアの浮上に関連する事件を収束させるため、マリアは生贄とされてしまったデス」

 

「大人たちの体裁を守るためにアイドルを・・・文字通り『偶像(アイドル)』を強いられるなんて・・・」

 

「はい・・・マリア姉さんがかわいそうです」

 

ライブを見終わった後、マリアの処遇を聞いている切歌、調、セレナの三人はため息をつく。

 

「そうじゃないよ」

 

だが、そんな暗い雰囲気を未来が取っ払う。

 

「マリアさんが守ってるのはきっと、誰もが笑っていられる日常なんだと思う」

 

「未来・・・!」

 

「・・・そうですね、きっとそうですよね」

 

「はい!絶対そうデス!」

 

「だからこそ、私たちがマリアを応援しないと」

 

三人が明るくなった時、真達の通信機に連絡が入る。

 

「はい、どうしたんですか?」

 

『みんな、第七区域に大規模な火災発生した。消防活動が困難なため装者と仮面ライダーに応援要請だ』

 

「わかった、すぐに向かう」

 

通信を切ると真達はすぐに出撃の準備に取り掛かる。

 

「響、真さん・・・」

 

「大丈夫!人助けだから!」

 

「こっちは俺たちで何とかするからみんなはすぐに帰宅してくれ」

 

「私たちも!」

 

「手伝うデス!」

 

手伝おうとする切歌と調にセレナは首を横に振る。

 

「気持ちは嬉しいですけど、LINKERがない今お二人を出動させるわけにはいきません」

 

「切歌と調は、未来たちの帰りに付き合ってくれ。何が起きるかわからないから」

 

そう言って真達は急いで現場へと向かった。

 

 

 

再び場所が変わり、マリアと奏は衣装を着た大量のマネキンがいる廊下を通っていると、突然妙な風が吹き抜けた。

 

二人はその異質な風を受け、すぐに臨戦態勢に入る。

 

「風?誰かいるの!」

 

「マリア、気をつけろよ」

 

『司法取引と情報操作によって仕立て上げられたフロンティア事変の汚れた英雄。マリア・カデンツァヴナ・イヴ。そしてかつてガングニールを身に纏い仮面ライダーとして蘇った両翼の翼。天羽奏』

 

二人が警戒していると、どこからともなく声が聞こえてくる。

 

「誰だ!」

 

マリアがそう叫ぶと、突如マネキンから腕がマリア目掛けて伸びてくる。

 

「っ!危ねぇ!」

 

伸びてきた腕にいち早く察知した奏がマリアを抱えて腕を躱す。

 

「大丈夫か!」

 

「ええ、ありがとう」

 

二人が言葉を交わすと、いきなりマネキンから何かが放り投げられ床に落ちる。

 

それはスーツを着た二人の男性、だがその肌と毛の色は白色に染まっており、生気を感じられなかった。

 

「あら残念、もう少しだったのですが・・・」

 

そう言ってマネキンの中から現れたのは、緑色の衣服の包まれた女性だった。

 

「っ! あなたがやったの!」

 

「ええ、どうぞお見知りおきを」

 

マリアが懐のガングニールのペンダントを握ると、奏がそれを止める。

 

「LINKERなしで使うな、ここはあたしが何とかする!」

 

アウェイクン!

 

奏はキーのライズスターターを押し込みショットライザーを身に着ける。

 

バレット!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

そのままシューティングウルフプログライズキーを装填してショットライザーを手にし、銃口を女性に向ける。

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

放たれた弾丸は女性に向かうが、女性はどこからか取り出した剣で弾丸を撃ち返し、撃ち返された弾丸を奏は殴りつけた。

 

シューティングウルフ!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

バルカンに変身し、奏は女性に拳を向ける。

 

「本来は彼女が来てからなのですが・・・いいでしょう」

 

そう言って女性は剣を構え襲い掛かる。

 

 

 

一方では、燃え盛る建物を背後に逃げる少女がいた。

 

「踊れ、踊らされるがままに」

 

建物の屋上から黄色の衣服を身に纏う女性が手にしたコインを少女に目掛けて放つと、コインは停車していた車に直撃し、爆発を起こす。

 

「あぁっ!!」

 

少女は爆風で飛ばされ地面を転がるが、すぐに起き上がり再び走り出す。

 

そしてそんな少女が逃げる先のゲートの上で、一人の少女が燃え盛る建物を見て何かを思い更けていた。

 

そしてそんな燃え盛る現場に向かう一機のヘリ、そのヘリに四人の少女達が乗っていた。

 

『付近一帯の避難はほぼ完了。だが、このマンションに多数の生体反応を確認している』

 

「まさか人が!?」

 

響の疑問に、画面の向こうで半透明のフィーネが答える。

 

『ええ、防火壁の向こうに閉じ込められているみたいね。それに加えて気になるのが、何故か被害が四時の方向に向かって拡大しているわ』

 

「赤猫が暴れてやがるのか?」

 

『おそらくね、だから救助には響ちゃんと真ちゃん。拡大してる方にはクリスとセレナちゃんに向かってほしいの』

 

「了解です!」

 

「わかった、こっちは任せてくれ」

 

 

 

一方では、謎の女性と奏が戦闘していた。

 

彼女が振るう剣を奏は装甲で防ぎ殴りかかるが、相手はフラメンコに似たステップで奏の拳を巧みにかわしていく。

 

「はぁっ!」

 

二人が先頭に夢中になってる間に、マリアが相手の背後を取りその首に回し蹴りを決める。

 

だが完璧に決まったにもかかわらず女性はその首を大きく上にあげ、マリアを上へと上げる。

 

「しまった!?」

 

「マリア!!」

 

そのまま落ちてくるマリア目掛けて女性が剣を突き出す。

 

 

 

一方でヘリでは火災現場の上空で響がヘリの扉を開く。

 

「任せたぞ」

 

「お願いします」

 

「任された!」

 

「任せろ!」

 

響はギアペンダントを、真はフリージングベア―プログライズキーを握り締めそのままヘリを飛び降りる。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

ブリザード!

 

オーソライズ!

 

響が歌い、真がキーを認証させると、上空からフリージングベア―ライダモデルが共に落ちてくる。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

Attention freeze! フリージングベアー!

 

Fierce breath as cold as arctic winds.

 

二人は互いに姿を変え、火災現場へと落下する。

 

 

『使用BGM 限界突破 G-Beat』

 

 

一点突破の決意の右手

 

火災現場の建物内部に入った二人に通信が入ってくる。

 

『反応座標までの誘導、開始します!』

 

二人は誘導に従い、真が冷却ガスで炎を鎮火させながら座標まで向かって行く。

 

 

 

一方でマリアに刃が迫る中、横からギアを纏った翼が横入りマリアは助かる。

 

「無事か、二人とも!」

 

「「翼!」」

 

翼はそのまま奏の隣に並び立つ。

 

「友の危難を前にして、鞘ばしらずにはいられようか!」

 

「待ち焦がれていましたわ」

 

「貴様は何者だ!」

 

翼の問いかけに、女性は答えた。

 

「『自動人形(オートスコアラー)』」

 

「オートスコアラー?」

 

効いたことのない単語に三人は疑問符を浮かべる。

 

「貴方の歌を聞きに来ました」

 

 

 

高鳴れ!(G-beat)メーターを ガンと!(G-beat)振り切れ

 

幾つもの床を殴り壊し、二人は生体反応がある階へとたどり着く。

 

『響ちゃん、左手九十度の壁を撃ち抜いて、迂回路を作って。真ちゃんはそのまま鎮火を続けて』

 

「了解!」

 

真が冷却ガスで鎮火させていく中、響は左手の壁を殴ると、その先に逃げ遅れた人たちがいた。

 

「避難経路はこっちです!」

 

「皆さん慌てず落ち着いて避難してください!」

 

逃げ遅れた人たちが避難してる間に再び通信が入る。

 

『生体反応、あと一人!』

 

「真さん!こっちは私に任せて逃げ遅れた人たちの誘導を!」

 

「わかった、無茶するなよ!」

 

「わかってます!」

 

真は最後の一人を響に託し、住民の誘導に移った。

 

 

 

一方で翼と奏はオートスコアラーと戦っていたが、相手の独特な動きに決定打を与えられていなかった。

 

「こっちを同等か・・・厄介だな」

 

「ええ、だけどこのまま押し切れば勝機はある!」

 

「ああ、あたしらの力、見せてやろうぜ!」

 

二人は再びオートスコアラーに攻撃を仕掛ける。

 

 

 

一方で真は住民の避難を終えると、燃え盛る建物を見上げていた。

 

「響・・・」

 

真が建物を見ていると、突如建物の屋上から何かが飛び出した。

 

限界何て・・・いらないッ知らないッ絶対ッ!

 

それは子供を抱えて足を蹴り上げた響だった。

 

繋ぎ離さない!

 

「ったく、いらぬ心配だったな」

 

真は飛び出した響を見てそう呟いた。

 

 

 

一方で二人はオートスコアラーを追い詰めていた。

 

「はぁっ!」

 

翼が相手の剣を上へ弾くと、奏がその懐にもぐりこみ。

 

「おりゃあ!」

 

空いた腹部に拳を叩き込み、相手を吹き飛ばす。

 

「いまだ翼!」

 

「ああ!」

 

翼は二本の剣を合わせ、その刀身に火を灯し、頭上で高速回転させながら脚部のスラスターで床を滑空する。

 

「風鳴る刃、輪を結び」

 

そのまま相手に接近し、片手で剣を回転させる。

 

「火翼をもって、斬り荒ぶ!」

 

回転させることで刀身の炎は更に燃え上がり、その炎は蒼く燃える。

 

「月よ、煌めけ!」

 

これは翼が持つ技の一つ『風輪火斬』、その技が進化した新たな技。

 

風輪火斬・月煌

 

翼の一撃を喰らった相手は大きく吹き飛び、荷物が積まれていることろに激突する。

 

「やりすぎだ!人を相手に!」

 

マリアは二人にそう言うが、翼と奏はいまだに険しい顔で崩れた荷物を見る。

 

「やりすぎなものか、手合わせして分かった」

 

「ああ、こいつはどうしようもなく・・・」

 

「「化け物だ!」」

 

その瞬間、荷物が吹き飛びその下から無傷の相手が出て来た。

 

「聴いてたよりずっとしょぼい歌ね、確かにこんなのじゃやられてるわけにはいきませんわ」

 

立ち上がった女性は不敵な笑みを浮かべる。

 

 

 

一方で響と真は変身を解き、先ほどの子供を母親の元に連れて行った後、小休憩をとっていた。

 

「しっかし、天井を蹴り破って脱出って・・・無茶するよな響は」

 

「あははっ・・・あの時は天井が崩れて時間がなかったから・・・」

 

二人が話をしていると、ふと燃え盛る建物の方を向く。

 

すると視線の先には、ゲートの上に立っている少女の姿があった。

 

 

 

『それが神の奇跡でないのなら、人の身に過ぎた悪魔の知恵だ!』

 

少女は炎を見て、過去を思い出していた。

 

『裁きを!断罪の炎で、イザークの穢れを清めよ!』

 

燃え盛る炎の中、人々に囲まれ、柱に縛られ炎に包まれる父の姿。

 

『パパ!パパ!パパァァ!!』

 

少女は周りの人々に阻まれ、父の元に駆け寄れなかった。

 

『キャロル。生きて・・・もっと世界を知るんだ』

 

『世界を・・・?』

 

『それがキャロルの・・・』

 

父はそう言い残し、炎に飲み込まれていった。

 

「・・・パパ」

 

少女は燃える建物を見て涙を流す。

 

「消えてしまえばいい思い出・・・」

 

「おい!そんなところで何やってるんだ!」

 

「そんなところにいたら危ないよ!」

 

下から聞こえた二人の声に少女は後ろを見ると、下の道路で響と真が彼女に声をかけていた。

 

「パパとママとはぐれちゃったのかな?そこは危ないから、お姉ちゃん達が行くまでまって・・・」

 

「黙れ」

 

響の言葉を遮るように少女が目の前に緑色の何かを形成すると、そこから突風が放たれ二人に向かって行く。

 

「っ!?危ねぇ!」

 

真は響を抱え突風を回避すると、クリスから通信が入る。

 

『敵だ!敵の襲撃だ!そっちはどうなってる!?』

 

「敵・・・」

 

「こっちも同じ状況だ、クリス」

 

響と真は上を見上げ、少女に視線を向けると、少女は先ほどの緑色の何かを複数生成する。

 

「キャロル・マールス・ディーンハイムの錬金術は、世界を壊し、万象黙示録を完成させる」

 

少女、キャロルは緑色の陣を再び二人に向ける。

 

「世界を壊す・・・?」

 

「俺が奇跡を殺すと言っている」

 

キャロルは陣に謎の模様を書き込むと、そこから先ほどよりも強力な突風が複数繰り出され二人に向かう。

 

 

 

「うむ、どうやら始まったようじゃな」

 

「う、うん。そうだね」

 

三人の様子を建物の蔭で見ていた二人の少女がいた。

 

「ではうちらも準備をするぞ」

 

「わかった、目的は『あれ』だよね?」

 

「そうじゃ、『あれ』があればうちらも手助けが出来るからのう」

 

そう言って二人の少女は腰に掛けている獲物を抜き取り、その手に先ほどのキャロルと同じような『赤』と『青』の陣が生成される。

 

「それでは、『みっしょんすたぁと』じゃ!」

 

狂い始めた物語が動き出した。




さて後書きの時間だが、何かあるか?
「そうだな・・・とりあえず新キャラ二人も錬金術っていうのを使ってるような描写があったな・・・としか」
「ていうかその新キャラはいつ出てくるんだ?」
新キャラ二人は次回に出させる予定だから皆さん期待してくださいね。
「というより、なんだか言い方に癖があったような?」
おっと、それ以上の考察はNGだ、楽しみが薄れる。
「そうだな、それじゃあ楽しみを残すためにこのあたりで〆るか?」
おう、それじゃあいつものいきますか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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狂いだした物語

さてGX編第三話なんだが、話すことがほとんどないな。
「ぶっちゃけたなおい」
いやだってもう一期と二期を終えて三期突入だぜ、前書きで言うことがほとんどないんだよな。
「まあ確かに此処までよく話を続けられたもんだな」
だろ?だから今回の前書きはお休みってことで。
「それは良いんですけど・・・次回からは大丈夫なんですか?」
まあ大丈夫でしょ・・・多分。
「「おい」」
ま、まあとにかくGX編第三話、どうぞ!


二人に目掛けて放たれる風の錬金術、その光景に響は身動きが取れなかったが、真は動けた。

 

「っ!あぶねえ!」

 

プログライズ!

 

ライジングホッパー!

 

真はすぐにライジングホッパーに変身し、響を抱え攻撃を躱す。

 

風が直撃した地面は大きくえぐれ、その光景に真の背筋が凍る中、キャロルはシンフォギアを纏わない響を見る。

 

「なぜシンフォギアを纏わない、戦おうとしない?」

 

「戦うよりも、世界を壊したい理由を聞かせてよ!」

 

響の言葉に苛立ったのか、キャロルはゆっくりと地面に降りる。

 

「理由を言えば受け入れるのか」

 

キャロルの謎の気迫に響は少したじろぐが、言葉を口にした。

 

「私は・・・戦いたくない!」

 

「・・・お前と違い、戦ってでも欲しい真実が俺にはある!」

 

 

 

一方で切歌と調は未来たちを安全に家まで送っていた。

 

「あーあ、せっかくみんなでお泊りと思ってたのに」

 

「立花さん達が頑張ってるのに、私達だけ遊ぶわけにはいきませんから」

 

「ヒナがナマさんの家の合い鍵を持ってたからよかったけど、でもどうして持ってたの?」

 

「前に響から貰ったの、『これ未来の分!』って言っていきなり」

 

「ああ~ビッキーならありそうだね」

 

ある程度歩いてから、切歌と調が前に出る。

 

「じゃあじゃあ先輩方、あたしらはそろそろ帰るデース!」

 

「夜道に気を付けて帰ってください」

 

「うん、ありがとね」

 

そう言って二人は来た道を戻っていった。

 

「はぁ~それにしてもナマさんキネクリ先輩やあの子に続いて二人も住まわせてるんだね」

 

「うん、というより勝手に・・・だけどね」

 

未来は前にマリア達の面談に言った時の真を思い出して苦笑いをする。

 

「さて、コンビニでおむすびでも買っておこうかな」

 

「あらあら」

 

「まあまあ」

 

「てっきり心配してると思ってたら」

 

三人の反応に未来は笑顔で答える。

 

「響の趣味の人助けだから平気だよ、むしろお腹すかせて帰る方が心配かもね」

 

そう言いながら未来は、響達が向かったであろう方向を見つめる。

 

「それに、いつか私も・・・」

 

その瞬間、車が車道を通り、ライトに照らされ未来の首元で何かが赤く光った。

 

 

 

響と真がキャロルと出会う前、クリスとセレナはとある地点でヘリから降りる。

 

『火災マンションの救助活動は、響ちゃんと真ちゃんのお陰で順調よ』

 

「へっ、あいつらばっかにいいかっこさせるかよ」

 

「はい、私達も頑張りましょう」

 

そんな時、金属のような何かを弾く音が聞こえたと思うと、ヘリに何かが直撃し空中で爆発した。

 

「へ、ヘリが!?」

 

「くっ!」

 

二人が辺りを見当たすと、鉄骨の上に誰かが立っていた。

 

それは黄色い衣服を身に纏った、色白な女性だった。

 

その女性はじっとクリスとセレナを見つめている。

 

「この仕業はお前か!」

 

「まさか、火災もあなたが!」

 

二人の問いかけに彼女は答えず。

 

そしてその様子を陰で見る少女が一人。

 

「あれが・・・」

 

鉄骨の女性は手にしている金色に輝くコインを二人に当たらないように複数放ってから、口を開く。

 

「こちらの準備はできている・・・」

 

「抜いたな・・・だったら貸し借りなしでやらせてもらう」

 

クリスとセレナはペンダントとキーを手に取る。

 

「後で吠えずらかくんじゃねえぞ!」

 

「今ここで、貴方を止めます!」

 

ダッシュ!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

セレナはキーを装填しトリガーに指を掛け、クリスはペンダントを握り締める。

 

Killter Ichaival tron

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

ラッシングチーター!

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

 

『使用BGM TRUST HEART』

 

 

鉛玉の大バーゲン 馬鹿に付けるナンチャラはねえ

 

先手でクリスとセレナはボウガンとアタッシュアローで攻撃を仕掛けるが、相手は矢の雨を搔い潜っていく。

 

「あの連射を避けた!?」

 

「こいつ・・・人間離れすぎる!」

 

二人はよけられたことに驚く、それもそのはず彼女もロンドンで翼たちを襲った女性と同じ『自動人形』・・・まさに人外である。

 

「つまり、やりやすい!」

 

二人は更に連射の速度を速める、肉眼では躱しきれないほどの弾幕を・・・。

 

傷ごとエグって 涙を誤魔化して

 

だが相手はそれをよけずに、手にした大量のコインを弾き飛ばして全て撃ち落としていく様子を、物陰の少女は観察していた。

 

「装者屈指の戦闘力とフォニックゲイン、そして理解不明の仮面ライダーの戦闘力、それでもレイアに通じない・・・!」

 

遠距離ではかなわないと踏んだセレナが接近戦を試みるが、相手・・・レイアはコインを重ねトンファーの形に変えセレナと互角に戦う。

 

「やはり、ドウェルグ=ダインの遺産を届けなくては!」

 

セレナとレイアがぶつかり合う中、クリスはボウガンをガトリングに変えセレナの援護をするが、レイアは標的をクリスに変え弾幕をよけながらクリスに迫る。

 

繋いだ手だけが紡いだ

 

そしてレイアがクリスの上を取ったあたりでクリスは大量の小型ミサイルをレイア目掛けて放つ。

 

MEGA DETH PARTY

 

放たれたミサイルにレイアはとっさにバリアのようなものを展開しようとするが、その背後を高く跳躍したセレナがアタッシュアローを構えていた。

 

「やぁぁぁ!」

 

ライトニングカバンシュート!

 

レイアに目掛けて放たれる雷の矢、そのことに気づいたレイアだがもう遅かった。

 

笑顔達を守る 強さを教えろ

 

二人の攻撃がぶつかり、空中で大爆発が起きる。

 

 

 

ロンドンでは、再び翼がオートスコアラーに迫る。

 

相手に剣を弾かれるが、相手の頭上で剣を巨大化させ、相手を下へと押しつぶした。

 

「やったの?」

 

「いや、あの程度では下に叩き落としたに過ぎない」

 

「だったら、ここは一旦引くぞ。ここじゃ他の人たちにも被害が出るかもしれねえ」

 

三人は急いで通路の奥へと向かった。

 

 

 

クリスとセレナは爆煙に注目している、あの程度で倒せる相手ではないと直感していた。

 

「もったいぶらねえで、さっさと出てきやがれ!」

 

煙が晴れると、そこには前方にバリアを張っているレイアがいた、だがその左腕は少し焦げていた。

 

「あの一瞬でクリスさんの攻撃を危険と判断して前方を防いで、私の弓矢を掴んで防いだ・・・!」

 

「今のは地味に危なかった・・・だがもう油断はしない」

 

レイアは左腕が焦げているにもかかわらず両腕でコインを連射し、二人はそれをよけていく。

 

『何があったの!?クリスちゃん、セレナちゃん!』

 

「敵だ!敵の襲撃だ!そっちはどうなってる!?」

 

「危ない!」

 

突然聞こえてきた声に驚くと、突如影が現れ二人が頭上を見ると、何隻もの船が落ちてきた。

 

「船!?」

 

「何の冗談だぁ!!?」

 

二人はとっさに船を躱すが、船の爆発で吹き飛ばされてしまう。

 

吹き飛ばされた二人は近くの茂みに隠れる。

 

「ハチャメチャしやがる・・・」

 

「けど、声をかけられてなかったら今頃・・・」

 

「大丈夫ですか?」

 

茂みに隠れた二人に少女が近づく。

 

「あっはい、先ほどはありがとうござ・・・っ!?」

 

「んっどうした・・・って!おま、その恰好!?」

 

二人は少女の恰好に驚いた、少女の恰好は全身を隠すほどの紫のフードに下着らしきものしかなかったのだ。

 

「貴方達は・・・」

 

「あ、あたしは怪傑うたずきん!国連とも、日本政府とも関係なく、日夜無償で世直しを・・・!」

 

「クリスさん、もう遅いと思いますよ・・・」

 

少女が言いかけたところでクリスは顔をとっさに隠し弁明するが、セレナが突っ込む。

 

「イチイバルのシンフォギア装者、雪音クリスさんと、仮面ライダーバルキリー、セレナ・カデンツァヴナ・イヴさんですよね?」

 

「「っ!?」」

 

少女が自分たちの名前を答えたことに二人は驚く中、少女はフードを取る。

 

「僕の名前はエルフナイン。キャロルの錬金術から世界を救うため、皆さんを探していました」

 

「錬金術・・・だと?」

 

 

 

一方で、真は戦う意思のない響に変わり前に出る。

 

「響、お前は後ろに下がってろ」

 

「真さん・・・でも!」

 

「お前がそういう奴っていうのはわかってるからな、だからお前のできないことは俺が代わりにやってやるさ」

 

そう言って真はキャロルと向き合う。

 

「ってなわけだ、悪いがお前の相手は俺が務めさせてもらうぜ」

 

「仮面ライダー・・・シンフォギアに近い性質でありながら全く未知の力。だが、お前達の対策はもうすでに完了している」

 

「対策ね・・・脅しかどうか、確かめさせてもらうぞ!」

 

真はホルダーのキーに手を伸ばそうとしたとき、響は横から光る何かを見かける。

 

「っ!真さん、横!」

 

響の声に真が横を見ると、向いた方から炎と氷が真に迫ってくる。

 

「なっ!」

 

真はとっさに躱した瞬間、物陰から何者かが飛び出し、手にしている『刀』で真に切りかかる。

 

「てやぁ!」

 

真はとっさにアタッシュカリバーで防ぐが、防いだ瞬間発砲音が響き『弾丸』がホルダーに直撃しキーが幾つか地面に落ちる。

 

「キーが!」

 

真はとっさに迫ってきた相手から距離を取ると、落ちたキーの傍に二人現れる。

 

「うむ、見事な援護射撃じゃ」

 

「うん・・・ありがとう」

 

一人は子供用の藍色の浴衣を身に纏い、刀を手にしている髪の短い小柄な少女。

 

もう一人は少女とは対照的に白いワンピースを身に纏い、二丁の拳銃を手にしている髪の長い背の高い女性だった。

 

「お前ら・・・何者だ!」

 

真はいきなり現れた二人に声をかける。

 

「うむ、名乗られたならば答えよう」

 

小柄な少女は明るく答えてくれる。

 

「うちは『如月 紫苑(きさらぎ しおん)』!きゃろると共に戦う錬金術師じゃ!」

 

「わ・・・私は『如月 桃恵(きさらぎ ももえ)』同じく錬金術師です」

 

「錬金術師・・・?」

 

二人の登場に真は警戒を強めた・・・。

 

 

 

 

一方神の世界では、女神が真達の様子を見て驚いていた。

 

「な・・・なに、あの子達!?」

 

女神は驚きながらも、突然現れた二人見て言葉を荒げる。

 

「私の知らない・・・『新たな存在(・・・・・・)』!?」

 

神さえも知らない展開、神さえも知らない二人。

 

物語は、狂い始める。




さて後書きの時間だが、とうとう来たなオリキャラ二人。
「だな、如月紫苑と如月桃恵、名前からして姉妹か?」
だな、それもキャロルと同じ錬金術師、これは強敵の予感だな。
「んで、こいつらの詳しい設定とかないのか?」
そこらへんは次回辺りに教えとくよ。
「それにしても神様ですら知らない存在何て・・・どういう事なんでしょうか?」
さあな、仮面ライダーが現れたことで生まれたイレギュラーかどうか、それはまだ分からないな。
「だとしても、現状の敵っていうのは確かだな」
「ああ、響みたいに話し合いで何とかなればいいんだが」
所見の相手にそれは厳しいんじゃないかな・・・とにかくそろそろ〆るぞ。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」


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特別回4:天羽奏の誕生日

さて今回はというか今日は奏の誕生日だ!
「え~っと、これで誕生日迎えたのは響と未来と・・・」
「翼と、今日であたしだな」
「今回から私とマリア姉さんたちも一緒に祝いますね!」
いや~・・・内容考えるの大変だった。
「それ言っちゃう?」
それに少ししたらまた誕生日回だからな、張り切らないと。
「そうだな、というわけで今回はあたしの誕生日回だ、どうぞ!」


7月28日、真達はとある場所にいた。

 

「よし、では早速行動を開始するぞ!」

 

『いや待って待って待って待って!!?』

 

すぐに行動しようとする翼を真達が制止する。

 

「どうした?急に呼び止めて」

 

「いや翼!?まずはなぜいきなり俺たちがこんな山奥にいるのかを教えてくれ!?」

 

そう、真達がいるのはいつもの街ではなく、とある山奥だった。

 

事の始まりは昨日のとある一言から始まった。

 

 

 

昨日、みんなで話しているときに、ふと奏が雑誌を見てこんな言葉を呟いた。

 

「へぇ・・・こんな花があるんだな」

 

近くにいた真が奏の読んでいる雑誌を見ると、そこにはいろんな花が載っており、その中で奏は『オシロイバナ』という花を見ていた。

 

「オシロイバナか・・・、奏と同じ誕生日の誕生花なのか」

 

「ああ、一度見てみたいな」

 

「けど、この辺りの花屋じゃ見たことないな」

 

「ああ、見た感じこの山の奥に生えているみたいなんだ」

 

「山奥か・・・探すの大変そうだな」

 

「だな」

 

これが昨日の会話、そしてこの会話を聞いていた女性がいた。

 

「・・・・・・」

 

翼だった。そして次の日、真達が目を覚ますと何故か山奥にいたのだった。

 

 

 

「・・・というわけだ、運搬には緒川さんに手伝ってもらったぞ」

 

「ありがとう!全く分からねえな!?」

 

「今、朝の四時だぞ!?朝早くどころか寝ている間に山奥に運び込むって倫理的にどうなんだよ先輩!?」

 

「何を言うか、奏が見てみたいと言ってたんだ。そして今日は奏の誕生日でもある。なれば叶えてやるのが友の務めだろう」

 

「駄目だわこの剣、天羽奏の事となると手が付けられないわ!?」

 

あまりの状況に真とクリスとマリアはツッコミまくっていた。

 

「おい!響達からもなんとか言ってくれ!」

 

真は響達にも協力を頼むように言うが・・・。

 

「いいですね翼さん!奏さんのために頑張りましょう!ねっ未来!」

 

「うん、任せて!」

 

「私たちも手伝うデース!」

 

「うん、私もその花見てみたい」

 

「私もです、頑張って探しましょう!」

 

「お前らぁ!!?」

 

響、未来、切歌、調、セレナはやる気全開だった。

 

「恩に着る、では早速向かうぞ!」

 

『おおー!』

 

真のツッコミを無視し、翼たちは出発していった。

 

「・・・なんか、すまないな。あたしのせいで」

 

「・・・いや、もう諦めよう。ああなったあいつらは止められない」

 

「これ、あたしらもなのか?」

 

「そうね、あの子達だけじゃ不安だから・・・」

 

ツッコミ組はため息をつきながらも翼たちの後を追いかけた。

 

 

 

「あったかー?」

 

「いえ、まだでーす!」

 

「こっちにもないデス!」

 

探索開始から約数時間、みんなは草木を分け目的の花を探すが、それらしい花は見つからない。

 

「この辺りにはなさそうね、じゃあ別の場所を探しましょうか」

 

皆がオシロイバナを探す中、真は翼に語り掛ける。

 

「なあ翼、いくら奏の誕生日とはいえここまでするか?」

 

「ああ、奏には前に私の誕生日を仕切ってくれたからな」

 

「・・・それだけで?」

 

確かに前に、翼の誕生日を仕切っちたのは奏だった。

 

だがそれだけでと訝しげると、翼は更に答えてくれた。

 

「それに、奏はかつて押しつぶされそうだった私を救ってくれた・・・私はその恩返しがしたいんだ」

 

翼の言葉で真は理解した。

 

かつて翼は家柄のことで大きな重圧を感じていた、だがそれを払ってくれたのが奏だった。

 

翼はその恩返しをしたいためにこのようなことをしたのだと真は感じ取った。

 

「・・・そうか、ならきちんと見つけないとな」

 

「ああ・・・うぉ!?」

 

そう言って二人は再び捜索に移ろうとすると、翼は足元の石に引っ掛かり転ぶ。

 

「翼!?大丈夫か!?」

 

「あ、ああ・・・んっ?」

 

翼は起き上がろうとすると、ふと視界に何かが見えた。

 

「あれは・・・!」

 

翼はそれを見ると、すぐにその方向へと走っていった。

 

「あっおい翼!」

 

翼が走り出し、みんなも慌てて追いかける。

 

そして森を抜けると広い場所に出て、そこには大量のオシロイバナが咲き乱れていた。

 

「うわぁ!いっぱい咲いてますよ!」

 

「ああ、壮観だな」

 

「はい!とっても綺麗です!」

 

皆がその光景に感動していると、奏が翼に近づいた。

 

「奏?」

 

「ありがとな、翼。あたしのために」

 

「・・・ええ、どういたしまして」

 

翼はそう言うと、奏の方に振り向く。

 

「奏、ハッピーバースデー」

 

「おう、ありがとな!」

 

今日のこの光景は、奏と翼にとって忘れられない景色となるだろう。




さて後書きの時間だ。
「まあ今回は翼が暴走してたな」
俺の勝手な考えだけど、あの子奏がらみだと暴走しそうだったからこんな話にしました。
「ちげぇねえ、それであたしの誕生花はオシロイバナなんだな」
ああ、と言ってもこの花って奏にぴったりじゃないんだよな。
「どうしてですか?」
オシロイバナの花言葉は『臆病』『内気』『恋を疑う』で奏っぽくないんだよな。
「確かに・・・けど、別にいいんじゃないか?気持ちが籠っていれば」
「そうだな、そのおかげで最高の景色を見てたわけだし」
「はい、だから安心してください」
そうだな、じゃあそろそろ〆るか。

「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」

そして~~。

『ハッピーバースディ、奏!』


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新たな脅威

さあGX編第四話、始まったぞ!
「前回は新キャラの紫苑と桃恵が現れたからな」
「そして今回は一体どうなるんだ?」
ふっふっふっ・・・それは見ればわかる!
「ここで言わない辺り作者さんらしいですよね」
なんとでも言いたまえ、んじゃ早速行きましょうか!
「はいはい、それじゃあGX編第四話、どうぞ!」


真は突然現れた二人に対して警戒を強める。

 

「・・・お前らもそいつの仲間ってことか?」

 

「うむ、それであっておるぞ」

 

「なら!どうして世界を壊そうとするの!?」

 

「それがきゃろるの悲願じゃからじゃ」

 

響の問いかけに、紫苑は答えてくれた。

 

「悲願・・・だと?」

 

「うむ、そしてうちと妹はその悲願に共感しきゃろると手を組んだのじゃ」

 

「共感ね・・・・・・ん、妹?」

 

真面目な場面ではあるが、真は紫苑の言葉に疑問を持ち、紫苑と桃恵を見比べる。

 

「・・・逆じゃないか?」

 

「い、いえ・・・私が妹です」

 

「・・・マジ?」

 

真の言葉に桃恵は頷いた。

 

「・・・なんかすまん」

 

「かっかっかっ、気にするな!よう言われとるからな!」

 

「・・・話を戻してもいいか?」

 

「うむ、すまないのきゃろる」

 

「まったく・・・ガリィはどうした?お前たちと一緒ではなかったか」

 

「ガリィさんは、思い出の回収に向かってます」

 

「そうか・・・ならいい」

 

二人は横にずれた後、前に出るキャロルに響が尋ねた。

 

「キャロルちゃん、戦っても欲しい真実って・・・?」

 

「そうだ、お前にもあるだろう。だからその歌で月の破壊を食い止めて見せた。その歌で、シンフォギアで、戦って見せた!」

 

「違う!そうするしかなかっただけで・・・そうしたかったわけじゃない・・・」

 

響は言葉を詰まらせながらも、キャロルにはっきりと答える。

 

「私は!戦いたかったんじゃない!シンフォギアで、守りたかったんだ!」

 

「…それでも戦え」

 

そういう響に対し、キャロルは静かに錬金術を発動させようとすると、二人がキャロルを制止させる。

 

「すまんなきゃろる、じゃが此処はうちらに任せてくれんじゃろうか?」

 

「こ、ここで大きな力を使って消耗しない方がいいと思う」

 

「・・・・・・わかった」

 

二人に言われ、キャロルは錬金術を消す。

 

「そこまで言うなら頼んだぞ、紫苑、桃恵」

 

「うむ、任されよ!」

 

「は、はいっ!」

 

そう言ってキャロルは後ろに下がろうとする前に響が問いかける

 

「待って!どうして世界を・・・!」

 

響の問いかけに、キャロルは響を見据えて答える。

 

「それが父親に託された命題だ、お前にだってあるはずだ」

 

「えっ・・・お父さんに?」

 

キャロルはそう言い後ろに下がり、如月姉妹が前に出る。

 

「というわけで、おぬしの相手はうちらが務めよう」

 

紫苑はそう言い、真を見据える。

 

 

 

一方ロンドンでは、ステージを出た三人の前に、緒川が車を用意していた。

 

緒川の周りには、緒川の『影縫い』によって身動きが取れない黒服たちがいた。

 

「先に行ってください!」

 

「ありがとう!二人共乗って!」

 

マリアは運転席に座り、翼と奏が乗るとすぐに発車する。

 

 

 

日本では、エルフナインを保護したクリスとセレナが連絡を受けていた。

 

「なんだって!?先輩たちの方にも襲撃が!?」

 

「姉さんたちは無事なんですか!?」

 

『三人は無事よ、それに響ちゃんと真ちゃんの方にも襲撃が来てるわ』

 

「くっ!錬金術ってのは、シンフォギアや仮面ライダーより強えのか?」

 

「此方にも252がいます。至急ランデブーの指定を」

 

セレナがそう言った瞬間、上から何かが三人目掛けて放たれる。

 

「「っ!」」

 

二人はエルフナインを抱えすぐに回避し、直撃した部分を見ると。

 

「こ、これは!?」

 

何かが直撃した箇所が大きく削れ・・・否『分解』されていた。

 

 

 

ロンドンではマリアの運転の下、翼が緒川に連絡してていた。

 

『皆さん、中で一体何があったんですか!』

 

「謎の敵の襲撃に会いました、此方は任せて緒川さんは観客の避難を」

 

そう言って翼は連絡を切った。

 

「翼、奏、気づいているかしら?」

 

「ああ、あのオートスコアラーってやつ・・・」

 

奏は先ほどの相手の言葉を思い出す。

 

『本来は彼女が来てからなのですが・・・いいでしょう』

 

『待ち焦がれていましたわ』

 

「あの言い分、あいつらの目的は翼ってことだな」

 

「そう、だから翼を人ごみから離れた場所に移動させなくてはいけない」

 

「ならばこそ!皆の協力を取り付けて!」

 

「・・・ままならない不自由を抱えている身だからね」

 

マリアはそう呟き、数か月前の出来事を思い出す。

 

 

 

『私のこれ以上嘘を重ねろと!?』

 

数か月前、マリアは国連の使者と面会していた。

 

『君の高い知名度を生かし、事態をなるべく穏便に収束させるための役割を演じてほしいと要請してるのだ』

 

『役割を演じる・・・?』

 

『歌姫マリアの正体は、我ら国連所属のエージェント、聖遺物を悪用するアナキストの野望を食い止めるために潜入捜査を行っていた・・・大衆にはこれぐらいわかりやすい英雄譚こそ、都合がいい』

 

『・・・再び、偶像を演じなければならないのか』

 

マリアの言葉に使者は答える。

 

『偶像・・・。そう『偶像(アイドル)』だよ、正義の味方にしてアイドルが世界各地でチャリティーライブを行えば、プロバガンダにもなる』

 

そう言って使者は席を立つ。

 

『米国は真相隠蔽のため、軍事通信傍受システム(エシュロン)からのバックトレースを行い、個人のPCを

含む全てのネットワーク上から、関連データを廃棄させたらしいが・・・』

 

すると、マリアの持つタブレットに新たな情報が乗せられる。

 

そこには、調や切歌、セレナに加え、響や真達の個人データが乗せられていた。

 

『彼女達や君と行動を共にした未成年の共犯者にも将来がある』

 

マリアはそれを見て、思わず息を呑む。

 

『君はまだ誰かのために戦えるということだ』

 

マリアは国連からの『要望(きょうはく)』を呑むしかなかった。

 

 

 

(・・・それでも、そんなことが私の戦いであるものか!)

 

「マリア・・・」

 

翼が心配そうに見る中、奏が前を見て声を荒げる。

 

「っ!マリア、翼、前!」

 

視線の先には、先ほどの敵が剣を構えていた。

 

「くっ!」

 

それを見たマリアはアクセルを踏み敵を轢こうとするが、敵はそれを躱し剣を横に振るい車の屋根を切り裂く。

 

三人はすぐに椅子を倒し、敵の攻撃をギリギリで躱すことができた。

 

「っ!翼!」

 

「ええ!」

 

攻撃を躱した後、翼はペンダントを握り締め、奏はショットライザーを身に着けキーを構える。

 

バレット!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

シューティングウルフ!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

『使用BGM Beyond the BLADE』

 

邪鬼の遠吠えの残音が月下に呻き狂う

 

すぐに変身した二人はマリアを抱え車から飛び降り、先に翼が敵とぶつかり合う。

 

「剣は剣でも私の剣は剣壊し・・・『ソードブレイカー』」

 

すると敵の剣が赤く光り、翼の剣が砕け散った。

 

翼が後ろに下がると、敵は懐からいくつかの結晶のようなものを取り出し、地面にばらまく。

 

地面に触れた結晶は砕け散り、中にあった赤い光が地面に吸い込まれると、そこから赤い光が現れ奴らが現れる。

 

「そ、そんな!?」

 

「ノイズ・・・だと!?」

 

それは数か月前にソロモンの杖と共に一兆度の熱で蒸発したはずの存在、人類の脅威ノイズだった。

 

だがそれは、クリス達の方でも同じだった。

 

分解された地面から複数のノイズが出現したのだった。

 

「ちっ!またこいつらかよ!」

 

「クリスさん、私がこの子を守ります。だから」

 

「わかってる、一気にぶっ飛ばす!」

 

ロンドンと日本で、復活したノイズとの戦闘が行われる。

 

翼が剣で切り裂きながら、後方で奏がマリアを守りながらノイズを撃ち抜いていく。

 

「貴方の剣、大人しく殺されてもらえると助かります」

 

「そのような課題を、今だ私に求めているとは!」

 

翼は襲い掛かるノイズを切り伏せながらも答える。

 

「防人の剣は可愛くないと、友が語って聞かせてくれた」

 

「こ、こんなところでいう事か!?」

 

「ははっ、良い事じゃねえか」

 

「あなたまで!」

 

そんな中、再びノイズが襲い掛かってくる。

 

餓狼の光る牙は自らをも 壊し滅す諸刃のよう

 

翼は迫りくるノイズを切りさき、奏が残りを撃ち抜く。

 

日本でも、クリスの弾幕によってノイズが次々と撃ち抜かれていく。

 

「どんだけ出ようが、今更ノイズに負けるかよ!」

 

二か所で優勢になっているとき、それは突然起きた。

 

翼がノイズを切り倒していく中、一体のノイズの発光体と翼の剣の剣先がぶつかり合った時、突如剣が分解されていった。

 

「剣が!?」

 

剣が分解され、敵の攻撃を防ぐ手を失った翼にノイズの攻撃が迫り、先程の発光体が翼のペンダントを掠った。

 

その瞬間、ペンダント全体に傷が入った。

 

クリスの方も、ノイズの攻撃をガトリングで防ぐと、ガトリングが分解されていく。

 

「なん、だと!?」

 

そしてガトリングを貫き、ノイズの攻撃がクリスのペンダントに傷をつけた。

 

「ノイズだと、括ったたかがそうさせる」

 

ノイズの攻撃でペンダントを傷つけられた二人の全身のギアが、分解されていく。

 

「敗北で済まされるなんて、思わないで」

 

 

 

真達の方では、真と如月姉妹が相対していた。

 

「・・・響は良いのか?」

 

「そこの娘は戦いたくないのじゃろう?ならば無理して戦わなくてもよかろう」

 

「・・・そこだけは感謝する、だけど手加減はしないぞ」

 

「うむ、それでよい」

 

「んで、お前らもキャロルと同じ錬金術とその武器で来るのか?」

 

「それもよいが、ちょうどいい物がある」

 

そう言って紫苑は地面に散らばっているプログライズキーを拾い上げる。

 

「? それをどうする気なんだ?」

 

「まあ見ておれ、きゃろるより授かりし力を」

 

そう言って二人は手元にマゼンダ色の陣を生み出し、そこから何かを取り出すと、真と響はそれを見て驚いた。

 

「それって・・・何で!?」

 

「何で・・・お前らが・・・」

 

二人が手にしている物は、黒と黄色を基調とし、拘束するかのようなバンドが取り付けられている。

 

「お前らが『ドライバー』を!?」

 

「かっかっか、驚いておるようじゃな、じゃがそれだけではないぞ・・・ゆくぞ、妹よ!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

二人は手にしているドライバーを身に着ける。

 

フォースライザー!

 

『フォースライザー』を身に着けると、紫苑は拾ったキーの一つを桃恵に渡し互いにライズスターターを押し込む。

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

紫苑が『スティングスコーピオンプログライズキー』を、桃恵が『フライングファルコンプログライズキー』を起動させ、フォースライザーに装填する。

 

装填すると、フォースライザーからアラート音が鳴り響き、同時に二人の前に『スティングスコーピオンライダモデル』と『フライングファルコンライダモデル』が現れ、真を威嚇する。

 

「「変身!」」

 

ライダモデルが現れると二人は『フォースエグゼキューター』に指をかけ、引き金を引いた。

 

フォースライズ!

 

すると二体のライダモデルが二人に覆いかぶさり、アーマーに形を変え二人に身に着けられる。

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

Break Down.

 

変身した二人の姿は、紫と桃色を基調とした鋭利な姿、バルカンともバルキリーとも、ゼロワンとも違う別の仮面ライダーの姿にキャロルは呟いた。

 

「シンフォギアをつぶすために作りだした『アルカ・ノイズ』そして全てを滅ぼす猛毒の蠍に、全てを殲滅する迅速の隼・・・さしずめ、『仮面ライダー滅』と『仮面ライダー迅』といった所だな」

 

今ここに、新たな仮面ライダーが生まれた。




『こいつ『この人』やり『ました』やがった!?』
ハッハッハッ!後悔はないぞ!
『うむ!これでうちらもようやく登場できるぞ!』
「!?いまのは・・・!」
「はっはっは!先ほどぶりじゃな継菜真、そしてお主らが奏とせれな・・・といったか」
「えっと・・・初めまして」
「うぉい!?なんでいるの!?」
「おい真!まさかこいつらが?」
「うむ、改めて名乗ろう。うちは如月紫苑じゃ」
「えっと・・・妹の如月桃恵です」
「何でこのお二人がいるんですか!?」
いや、今回からこいつらもここのメンバーだぞ。
「「「はぁ!?」」」
というわけでいきなりだが如月姉妹のプロフィールを公開しとくか、気になってる人たちもいるわけだし、いいか?
「うむ、構わんぞ」
「あ、はい」
よし、では公開!


如月紫苑(仮面ライダー滅) CV:和氣あず未『世話焼き狐の仙狐さん:仙狐』

(23歳)(140cm)(B95/W53/H82)

如月姉妹の姉。一人称はウチ。二人称はお主。三人称は彼奴。
常に裾の短い藍色の着物を身に着けている。
素直な性格で人を貶すことなく思ったことを口にする。
横文字が苦手でカタカナをひらがなで話すことがある。(例:ライダー=らいだぁ)
使用武器は刀。得意な属性は氷と土。
妹と共にキャロルから錬金術を学ぶ。
キャロルやオートスコアラー達を家族と思っている。


如月桃恵(仮面ライダー迅) CV:佐藤聡美『フェアリーテイル:ウェンディ・マーベル』

(23歳)(166cm)(B79/W55/H82)

如月姉妹の妹。一人称は私。二人称は貴方。三人称はあれ。
姉とは正反対に白色を基調としたワンピースを身に着けている。
おどおどとした性格で姉の後をついて行っている。
使用武器は二丁銃。得意な属性は炎と風。
姉と共にキャロルから錬金術を学ぶ。
キャロルやオートスコアラー達を家族と思っておる。


・・・とこんな感じ。
「いや思ってたより背低っ!」
「真お姉ちゃん!」
「構わん構わん、よく言われるからのう」
「へえ、お前銃使うのか。しかも二丁」
「はい、そうです」
まあ今回から新キャラ含め六人で頑張りますか。
「うむ、これからよろしくな」
「よ、よろしくお願いします!」
「・・・大丈夫なのか?」
「えっと、多分大丈夫かと」
「頭痛い・・・」
よし、じゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回5:マリアの誕生日


作者、完全復活!
「大丈夫なのか?昨日39度も出てたのに」
安心しろ、解熱剤飲んだら一日で治った!
「凄いな」
それより、今日はマリアの誕生日だ、きちんと祝わないとな。
「はい、姉さんの誕生日盛大にお祝いしましょう!」
というわけで特別編の始まりだ!
「・・・なあ、うちらは此処にいてもいいのか?」
「えっと・・・多分大丈夫だと思うよ?」

作者豆知識、8月7日の誕生花はサルビア、花言葉は『尊敬』『知恵』


「えっ?ケーキを作りたい?」

 

「はい、そうです」

 

8月6日、自宅にて真はセレナにケーキを作りたいと言われた。

 

「明日マリア姉さんの誕生日ですから、手作りの誕生日ケーキを送りたくて」

 

「あっそうなのか、まあそういう事なら協力するけど・・・なんで俺?」

 

「いえ・・・今日頼めそうなのが真お姉ちゃんだけだったので」

 

セレナの言葉に真はどこか納得してしまう。

 

響、未来、クリス、切歌、調は今現在学校。

 

翼とマリアはライブ、奏はそのボディーガードとしていない。

 

ゆえに現在頼めるのが真だけなのだ。

 

「それに、こういう時真お姉ちゃんに頼んだら大丈夫だと思って」

 

「・・・わかった、そういう事なら任せとけ、とびっきりうまいケーキをマリアに食わせてやろうぜ」

 

こうして真とセレナによるケーキ作りが始まった。

 

 

 

「よし、じゃあ次はホイップを混ぜといて、俺は生地の方につくから」

 

「はい!」

 

真の指導の元、二人はケーキ作りを進める中、セレナは質問をかけて来た。

 

「それにしても、真お姉ちゃんって料理得意ですよね、やっぱりお母さんに習ったんですか?」

 

「ん?ああそうだな、基本は母さんに習ったな」

 

「そうなんですね、料理好きなんですか?」

 

「あ、ああ~まぁ・・・そう・・・なのかな」

 

セレナの発言に真は口を濁らせつつも、答えてくれる。

 

「・・・実はな、俺ってあんま異性との付き合いがなかったんだ」

 

「そうなんですか?」

 

「ああ、だから最悪ひとり身になっても大丈夫なように、母親から料理を習ってたんだ」

 

真は前世、男子とは仲が良かったが女子とはあまり接点がなかった。

 

一人知り合いの女性はいるが、どちらかと言うと妹みたいな存在だったのであまり意識したことがない。

 

ゆえにあまり異性との絡みはないのだった。

 

それで前世の真は独身になる事を覚悟して母親から料理を学んでいたのだった。

 

「意外です・・・真お姉ちゃんって綺麗だから」

 

「ははっ、ありがとう・・・けどそのおかげでこうしてセレナにケーキを教えてるわけだけどな」

 

真はそう言いながら生地を型に入れてレンジに入れる。

 

「一生独身だと思ってたけど、こうして家が賑やかになったわけだし料理習ってよかったよ」

 

「・・・そうですね」

 

「ああ・・・あっ、クリーム出来たら冷蔵庫に入れとけよ」

 

「あっはい!」

 

こうして談笑しながらも、ケーキ作りを進行していった。

 

 

 

そして翌日、マリアの誕生日。

 

『マリアさん!誕生日おめでとう!』

 

皆は真の家に集まり、マリアの誕生日を祝っていた。

 

「ありがとう、みんな」

 

「それにしても、今日みんな集まれてよかったですね!」

 

「緒川さんがスケジュールを調整してくれたおかげでこうして私たちもくれたわけだからな」

 

皆が楽しそうに話している隙に、真がセレナに視線を送り、セレナはすぐに冷蔵庫に向かった。

 

「皆さん、ケーキ持ってきました」

 

二人が作ったのはシンプルなショートケーキだった。

 

「おお!ケーキデース!」

 

「このケーキは俺とセレナで作ったんだぜ」

 

「えっ!あなた達が!?」

 

「うん、どうしてもマリア姉さんに食べてほしくて真お姉ちゃんに頼んだんだ」

 

「セ・・・セレナ・・・!」

 

セレナの発言にマリアは歓喜の涙を流す。

 

「ありがとう!とっても素敵な贈り物よ!」

 

「本当!良かった!」

 

セレナが喜ぶ中、マリアは真の方を向く。

 

「継菜真、ありがとうセレナに協力してくれて」

 

「どういたしまして」

 

「よーし!じゃあ早速セレナちゃんと真さんが作ってくれたケーキを食べよう!」

 

こうして、マリアの誕生日は盛大に祝われた。





後書きの時間だ!
「ふむ、真は前世は独身だったのか?」
「まだ独身じゃないぞ!?けどそうなっても大丈夫なように習ってたというか・・・」
「難儀だな、仲のいい女子はいなかったのか?」
「いたけど、あいつは妹みたいなやつだし対象外だろ」
「大丈夫です!真お姉ちゃんならきっといい旦那さんが出来ますから!」
「うん、男と付き合う気はないかな・・・」
「えっと・・・頑張ってください」
「ありがとう、なるべく独身にならないように頑張るな」
さてマリアについて全然触れてないけどそろそろ〆ますか!

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~~。

『ハッピーバースディ、マリア!』


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敗北の苦渋


GX編第五話、今回は滅と迅の戦闘回だな。
「まあ前半はあたしらだけどな」
「はい、アルカノイズに対してどうにかしないといけませんから」
「ふっふっふ、おぬしらにあるか・のいずを攻略できるかのう?」
「・・・前々から思ってたけど、そのカタカナをひらがなでいうやつ何とかならないのか?」
「うちもそうしたいのじゃが、横文字は苦手じゃからな・・・」
「だ、大丈夫だよ、お姉ちゃんの分まで頑張るから」
「ふむ、すまないのう桃恵」
「さて、それじゃそんな戦闘回のGX編第五話、どうぞ!」


アルカノイズによって分解されていく翼のギア、だが翼は完全に分解される前に剣を手にし目の前のノイズを切り裂いた瞬間、翼のギアが完全に分解される。

 

「「翼!」」

 

マリア慌てて翼の傍へ駆け寄り、奏が二人を守るように前に出る。

 

日本でも、クリスのギアが完全に分解されてしまう。

 

「「クリスさん!」」

 

此方でもエルフナインがクリスに駆け寄ってセレナが前に出る。

 

「どうして・・・シンフォギアがノイズに分解されてしまうなんて」

 

セレナの疑問に、エルフナインが呟く。

 

「世界の解剖を目的に作られたアルカノイズは、兵器と使えば・・・」

 

「シンフォギアに備わる各種防御フィールドを突破することなど、たやすい」

 

ロンドンでも、三人は追い詰められていた。

 

「システムの破壊を確認、これでお仕事はひと段落ね」

 

そう言って女性がステップを踏むと、ノイズの足元に陣が生成され、吸い込まれ相手一人が残る。

 

「次なる仕上げは、次なるキャストへ」

 

エルフナインが前に出ようとするのを、セレナが食い止める。

 

(このままじゃ、お二人が危険に・・・だったら!)

 

(一か八か・・・『あれ』を!)

 

離れた場所で二人の思想が重なり、二人がホルダーに手を伸ばそうとした時。

 

「させないデスよ!」

 

「えっ!」

 

聞き覚えのある声にセレナが顔を向けると、そこには布を巻き付けた切歌が立っていた。

 

「暁さん!?」

 

セレナの叫びを無視し、切歌は布を脱ぎ捨てペンダントを握り締める。

 

Zeios igalima raizen tron

 

切歌はLINKERなしでイガリマを纏い、アルカノイズに切りかかる。

 

『使用BGM オーバーキルサイズ・ヘル』

 

危険信号点滅 地獄極楽どっちがイイDeath?

 

切歌はイガリマの刃を複数生成し、ノイズに向けて放った。

 

切・呪リeッTぉ

 

ノイズを複数切り裂き切歌が下に降り立つと、切歌のギアに電撃が流れるが切歌はそれでもノイズに切りかかる。

 

真っ二つにされたけりゃ Attention! 整列(きをつけ)Death

 

迫りくるノイズを切歌は回転しながら切り裂いていく。

 

災輪・TぃN渦ぁBェル

 

「派手にやってくれる・・・」

 

「暁さん無茶です・・・と言いたいですけど助かりました!」

 

セレナは戦いを切歌に任せ迫りくるノイズを撃ち抜きながら打開の策を考える中、横から丸鋸が飛んできてノイズを切り裂く。

 

「この攻撃は!」

 

セレナが横を見ると、シュルシャガナを纏った調がやってきた。

 

「セレナ、大丈夫?」

 

「月読さん!」

 

調はそのまま飛び上がり大量の丸鋸でノイズを切り倒していく。

 

α式 百輪廻

 

ノイズが減ったことで道が切り開かれ、セレナはエルフナインを抱える。

 

「派手な立ち回りは陽動・・・」

 

セレナの行動を見て、切歌は先ほどの布をクリスに巻き付けクリスを運ぶ。

 

「陽動もまた陽動・・・」

 

三人はそのまま全速力で撤退する、そんな様子をレイアはただ見守っていた。

 

「予定にない侵入者、指示をください」

 

『追跡の必要はない、帰還を命ずる。ファラも十分だ』

 

「わかりました、ではそのように」

 

ロンドンでキャロルから命を受けたファラは赤い何かを地面に落とすと、足元に陣が生成されその場から消える。

 

ファラ消えたところで、奏はホルダーに伸ばした手を引っ込め変身を解く。

 

「撤退した・・・けど」

 

「敗北では済まされないと、言った・・・」

 

 

 

時を遡り、真は変身した如月姉妹を相対する。

 

「何で・・・お前らが仮面ライダーに・・・!?」

 

「うむ、これこそきゃろるより授かった『ふぉーすらいざー』の力よ!」

 

「だからって・・・そんなことが・・・!」

 

真は困惑していた、本来この世界にライダーシステムは存在しない。

 

真と奏とセレナが仮面ライダーになったのは神が三人にドライバーを授けたから。

 

「ふむ・・・よくはわからぬがひどく困惑してるようじゃのう」

 

「お姉ちゃん、どうする?」

 

「困惑してるところを攻撃するのは気が引けるからの、落ち着くまで待とう」

 

「うん、わかった」

 

二人は真が落ち着くまで待った、その間に真は一旦深呼吸をして何とか落ち着かせる。

 

「はぁ・・・」

 

「落ち着いたかの?」

 

「ああ、一旦この件は後回し。今は目の前の敵だ」

 

「うむ、では行くぞ!」

 

真が落ち着いたのを確認し、紫苑が刀を構え迫りくるのを真はアタッシュカリバーで応戦する。

 

「やるではないか!ならこれでどうじゃ!」

 

紫苑は右足を勢いよく踏みつけると、真の足元に黄色の陣が生成されそこから大量の金の礫が真を襲った。

 

「くっ・・・がっ!?」

 

真は過ぎに紫苑から距離をとると、体に衝撃が走った。

 

上を見ると、桃恵が翼を生やし上空から二丁拳銃で真に向けて連射してくる。

 

上からの弾幕を防いでいると紫苑が急速で迫り真を切りつける。

 

「ぐっ・・・厄介すぎるだろ!」

 

上空から桃恵の射撃、地上から紫苑の斬撃、二人の攻撃に真は翻弄していた。

 

「だったらまずは上から!」

 

ファイヤー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

真はフレイミングタイガープログライズキーを取り出し武器に装填する。

 

フレイミングカバンストラッシュ!

 

炎を纏った斬撃を上空にいる桃恵に向けて放ち斬撃が迫る中、桃恵が手をかざし緑色の陣を生成すると、そこから突風が繰り出され斬撃が掻き消される。

 

「なっ!?」

 

「驚いたじゃろう、じゃがこれだけではないぞ!」

 

紫苑が刀身に手をかざすと、掌に青色の陣が生成され刀身が冷気を纏う。

 

そのまま切りかかり真の腕を掠ると、掠った部分が凍り付いた。

 

「氷!?」

 

「錬金術の応用じゃ、そして妹も!」

 

上空では桃恵が銃口に赤色の陣を生成し射撃すると、炎を纏った弾丸が真に直撃する。

 

「がっ!」

 

上空から炎の弾丸、地上からの氷の斬撃に真は追い詰められ、二人の同時攻撃で大きく吹き飛ばされる。

 

「どうじゃ、うちらの強さは」

 

「ちっ、まじで強い・・・だったら!」

 

シャイニングジャンプ!

 

オーソライズ!

 

シャイニングホッパープログライズキーを認証させ、すぐさまドライバーに差し込む。

 

プログライズ!

 

The rider kick increases the power by adding to brightness! シャイニングホッパー!

 

When I shine,darkness fades.

 

真の体をシャイニングホッパーライダモデルが包み、シャイニングホッパーに変身する。

 

「ほぉ、それが噂のしゃいにんぐじゃな」

 

「ああ、もう追いつけさせねえ!」

 

真はシャイニングの高速移動で紫苑に迫り蹴りを繰り出すが、とっさに紫苑は刀で防ぐ。

 

上空から桃恵の弾幕が迫るがシャイニングの行動予測で全て躱し、紫苑に攻撃を仕掛け続け紫苑も防御しながらも話しかけてくる。

 

「ふむ、見事な速度。並みの敵ならこれですぐにやられてしまうな」

 

「随分余裕ぶってるな」

 

「ああ、何せこちらは二人じゃからな」

 

紫苑がそう言った瞬間、真は背中に衝撃を受ける。

 

「がっ!!?」

 

真が振り返ると、背後には降り立った桃恵が拳を突き出していた。

 

(いつの間に・・・!)

 

「よそ見してる場合じゃないぞ」

 

真の注意が桃恵に向いた瞬間、紫苑の斬撃が真を捕らえた。

 

「ぐっ!」

 

そのまま二対一の地上戦となり真は行動予測を駆使するが、二人の息の合った連携に翻弄され押されていく。

 

(この連携、切歌と調以上か!?)

 

「そこじゃ!」

 

押される真は防御に移る瞬間、紫苑の下からの斬撃で両腕を上へ弾かれてしまい。

 

「はぁっ!」

 

「しまっ・・・がぁ!!」

 

防御を崩された真を桃恵が上空へとムーンサルトで蹴り上げられてしまう。

 

「桃恵!決めるぞ!」

 

「うん!」

 

桃恵はそのままフォースエグゼキューターを戻し再び引いた。

 

フライングディストピア!

 

桃恵は上空に上がった真を追いかけるように翼を生やし追いかけ、上空で爪を生やした両足で真を掴みそのまま下に投げ飛ばし真目掛けて垂直に落下してライダーキックを決める。

 

  

  

  

 

フライングディストピア

 

ライダーキックを受け下へ叩き落とされる真、だがその墜落地点に紫苑が待っていた。

 

「これで終いじゃ!」

 

紫苑も同じくフォースエグゼキューターを戻し再び引いた。

 

スティングディストピア!

 

紫苑の右足に『アシッドアナライズ』の支管が集められ毒々しいエネルギーが溜められそのまま落下してきた真に向かって高蹴りを食らわせた。

 

  

  

  

 

スティングディストピア

 

「がっ・・・!」

 

高蹴りを喰らった真は横に大きく飛ばされ壁に激突し、変身が解かれそのまま倒れる。

 

「真さん!!」

 

響が慌てて真に駆け寄る中、如月姉妹は変身を解く。

 

「見事な物じゃ、おぬしの実力は。下手をすればうちらが負けていたかもしれなかったのう」

 

「ぐっ・・・!」

 

紫苑は真を褒めると、キャロルの方を向く。

 

「これでよいか、きゃろる」

 

「ああ、これでお前たちの力が仮面ライダーに通じると証明された、帰還するぞ」

 

「了解じゃ」

 

「わかりました」

 

キャロルがファラと同じく赤い何かを地面に落とすと三人の足元に陣が生成される、消える前に紫苑が真に向かって口を開いた。

 

「ではまたの、仮面らいだぁぜろわん!」

 

そう言い残し三人は姿を消した。

 

 

 

レイアから逃走した三人は休憩のため一時停止すると、切歌と調のギアに電流が走った。

 

「お二人とも、大丈夫ですか?」

 

「これ位、へっちゃらデス」

 

「うん、大丈夫」

 

二人は大丈夫そうに振る舞うが、セレナは無茶していることを見抜いていた。

 

「けど、LINKERもなしでギアを纏って・・・少し心配しました」

 

「・・・わかってるデス、けど何時までもみんなに守られっぱなしはいやなんデス」

 

「うん、だから私達もみんなと一緒に戦いたい」

 

「二人とも・・・」

 

セレナは二人を見て昔のことを思い出す。

 

かつて自分たちはレセプターチルドレンとして当時ウェルとフィーネの監修の元、フィーネの魂を受け止める器を見つけ出すため様々な実験を行った。

 

その結果セレナがアガートラーム、マリアがガングニール、切歌と調がイガリマとシュルシャガナを纏うことができた。

 

そしてその後にネフィリムの事故が起き、セレナはそこで終わった。

 

そのあとはマリア達から聞き、フィーネがいなくなった後レセプターチルドレンから新たなフィーネは生まれなかった。

 

そして聖遺物から生まれた厄災を食い止めるためには聖遺物の力で対抗するしかないと判断したナスターシャに三人はついて行った。

 

「・・・っ」

 

三人が黙る中、布にくるまれたクリスが目を覚ます。

 

「クリスさん、大丈夫ですか?」

 

「っ!大丈夫なものかよ!」

 

クリスの叫びに三人は互いに目を合わせた。

 

(守らなくちゃいけない後輩に守られて・・・大丈夫なわけないだろ!)

 

 

 

同時刻、ロンドンでは翼たちが司令からの連絡を受けていた。

 

「完全な敗北・・・いや、状況はそれより最悪だな」

 

三人は壊れた翼のペンダントを見つめる。

 

「ギアを解いたのに衣服が戻らない辺り、ギアのコンバーターが壊れたことによる機能不全で間違いないわね」

 

「ああ、いくら櫻井女史がいても今のあの人は霊体、修理は不可能だろう」

 

「まさか、シンフォギアがやられるなんてな・・・」

 

そんな中、大量の車が三人を囲み中から現れた黒服たちが三人に拳銃を構える。

 

「状況報告を聞いている、だがマリア・カデンツァヴナ・イヴ、君の行動制限は解除されていない」

 

黒服がそう言う中、マリアは翼の通信機を手に取り司令に連絡する。

 

「風鳴司令、S.O.N.Gへの転属を希望します」

 

「マリア?」

 

「罪を重ねた私ですが、この状況に偶像のままではいられません」

 

この日、真達は完全な敗北を受けた。





後書きの時間だが、負けたな~真。
「なんだかんだ二人の連携は強力だったからな」
「そうじゃろうそうじゃろう!じゃがお主のしゃいにんぐも見事な物じゃったぞ」
「うん、一対一なら負けてたかも・・・」
「・・・敵に褒められるって妙な気持ちだな」
「ところで、そこの二人が使おうとして他のはなんだったのじゃ?」
「それは後でだな、それにしても二人の戦い方は錬金術を組み合わせての戦いなんだな」
「ええ、冷気を纏った刀に炎を纏った弾丸、それに地面から金の礫に空からの竜巻・・・はっきり言って凶悪ですね」
「改めて思ったが、なにこの凶悪コンボ」
俺の思い付き、さてそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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揺らぐ撃槍

GX編第六話、前回はボロ負けだったな。
「うっせぇ、所見殺しもいいところだろアルカノイズに仮面ライダー二人って」
「まあ確かにな、ありゃ最初は勝てないな」
「じゃが、あるかのいずの戦闘能力は従来ののいずと変わりはせんぞ、まともに戦えばお主らでも勝てるじゃろうて」
「そうですね・・・って、敵にそのことを教えてもいいんですか?」
「うむ、その辺りはきゃろるは深く言っておらんからな」
「お姉ちゃん、すぐ答えちゃう人だから・・・」
「ああ~そっちも苦労してるんだな」
「あはは・・・」
なんか仲良くなってるみたいだし、そろそろ始めるか、それではGX編第六話どうぞ!


「錬金術師にオートスコアラー・・・そして復活したノイズの存在」

 

錬金術師とオートスコアラーとの戦いから数日が経ち、響と未来が学園、切歌と調が入院している間、まだ帰国していない翼たちを除く無事なメンツは弦十郎たちと話し合いをしていた。

 

「まさか、再びノイズと相まみえる時がこようとは・・・」

 

「それに加えてシンフォギアを壊すなんてな」

 

翼とクリスのギアの破損、それはS.O.N.Gにとって大きな痛手となっている。

 

「シンフォギアについては了子君が研究員と共に解析している・・・それよりも問題は」

 

そう言って皆は真の方に視線を向けた、そんな真は先ほどからだんまりだった。

 

「・・・敵に仮面ライダーが二人もいるってことか」

 

クリスがそう言った後、モニターに出されたのは如月姉妹とその変身した姿、仮面ライダー滅と仮面ライダー迅だった。

 

「私と奏さんのショットライザーとも、真お姉ちゃんのゼロワンドライバーとも違う別のドライバーによって変身した新たな仮面ライダー・・・」

 

「それに加えて、真君が言うには彼女の所有しているキーの幾つかが無くなっているということらしい、十中八九敵の手に渡ってると見よう」

 

「・・・完全に俺の判断ミスだ、まさか仮面ライダーが敵として現れるなんてな」

 

弦十郎の発言に真は口を開いた。

 

「そんな、真お姉ちゃんの責任じゃないですよ!」

 

「セレナ君の言う通りだ、とりあえずこの件は翼たちが帰国してきてから続けよう」

 

「・・・わかりました」

 

そう言って真は部屋から退室する、退室してから少しすると真のライズフォンに女神から連絡が入ってきた。

 

『あっ出た!大丈夫真君!?』

 

「ああ、なんとかな・・・それより神さん、聞いてないぞ俺たち以外にライダーがいるなんて!」

 

『それに関しては私も予想外だったわ、それもフォースライザーなんて・・・』

 

「あれもドライバーの一種なのか?」

 

『ええ、けどあれは本来、人間が使えば体中に激痛が走るはずよ』

 

「・・・けど、あいつらはそんなそぶりはなかったな」

 

『そうね・・・けどオートスコアラーでもない、間違いなく人間よ』

 

「ならどうして・・・」

 

『・・・まさか』

 

女神が呟くと、途端に黙りこんだ。

 

「神さん?」

 

『・・・はっ!と、とにかく彼女たちについてはこっちでも調べてみるわ』

 

そう言って電話が切れる。

 

「・・・俺たち以外の仮面ライダーか」

 

すると真のライズフォンにメールが入る。

 

「今度はメールか・・・ということはあいつか」

 

真がメールを開くと、内容は『今日もまたお願いします』の一文だけだった。

 

 

 

それから数日後、翼たちは帰国し全員が集まり話し合いが始まった。

 

「シンフォギア装者勢ぞろい・・・とは、言い難いのかもしれないな」

 

モニターに映ったのは、破損したイチイバルとアメノハバキリだった。

 

「これは!」

 

『新型のノイズに破壊された、アメノハバキリとイチイバルよ。コアとなっている聖遺物の欠片は無事だけど、エネルギーをプロテクターとして固着させている機能が、完全になくなっているわ』

 

霊体のフィーネの言葉を聞いて、マリアは懐から壊れたアガートラームを取り出した。

 

「セレナのギアと同じ・・・」

 

「けど、フィーネなら治せるよな?」

 

クリスの発言にフィーネは首を横に振る。

 

『できることなら治してあげたいけど、この体では治すことは不可能ね。その上、私の助言があっても普通の人間で治せるかどうか・・・』

 

「まじかよ・・・」

 

「それに加えて、翼とクリス君が戦ったオートスコアラーに加え、真君と響君が出会った錬金術師と仮面ライダー、はっきり言って敵戦力は巨大だ」

 

その言葉に響と真は苦い顔をする。

 

「現状戦えるのは、ガングニールを持つ響君と、仮面ライダーの三人の計四人だけ」

 

「私達だけ・・・」

 

「そんなことはないデスよ!」

 

弦十郎の発言に切歌達は異を唱えた。

 

「私達だって・・・」

 

「そうよ!いざというときは私たちも」

 

「駄目だ」

 

「っ!どうしてデスか!」

 

切歌の言葉に奏が答えた。

 

「LINKERなしでギアを纏うのは危険行為だ、適合係数が低い状態でギアを纏うことがどれだけきつい事かわかるだろ」

 

奏の発言に切歌と調は押される。

 

「・・・どこまでいっても、私たちは役に立たない」

 

「メディカルチェックの結果が思った以上によくないのは知ってるデスよ、それでも・・・!」

 

「お二人共・・・」

 

「こんなことで仲間を失うことはさせたくないからな」

 

「その気持ちだけで十分だ、後はあたしらに任せとけ」

 

翼と奏がそう言った後、話し合いはまだ続く。

 

 

 

一方、とある建物では、キャロルと如月姉妹、そしてロンドンで翼達を襲ったファラ、日本でクリス達を襲ったレイア、それに加えて二人よりも小柄な青い服の少女のような人形が全く動かない赤髪の少女のような人形に近づいていた。

 

「いっきまーす」

 

そう言って青色の人形は赤色の人形に口づけをすると、そこからエネルギーのようなものが赤色の人形に送られていった。

 

「・・・ん」

 

少しすると、赤色の人形が動き出したと思うと、その場に座り込んだ。

 

「んん・・・んぁ~」

 

赤色の人形が体を動かそうとするが、どこかぎこちなかった。

 

「おお!やっと起きたか『みか』よ!」

 

「思い出の回収お疲れ様です、『ガリィ』さん」

 

「どういたしまして、それにしても集めるの大変でしたよ~」

 

「・・・オートスコアラー最大戦力であるミカを動かすだけの思い出を集めるのは、存外時間がかかったようだな」

 

「大丈夫ですよ、ばれないようにうまく集めましたから♪」

 

そう言ってガリィは所定の位置に戻った。

 

「まあいいだろう、これでオートスコアラーは全機起動、如月姉妹も仮面ライダーに変身できた、計画は次の段階へ進めることができる」

 

キャロルがそう言うと、ミカはその場にへたり込む。

 

「あぁ~」

 

「むむ?どうしたのじゃみかよ?」

 

「お腹がすいて、動けないゾ・・・」

 

「まだ思い出が十分じゃないみたいですね・・・」

 

「そうみたいだな・・・ガリィ」

 

「はいはい、ガリィのお仕事ですよね」

 

「ついでにもう一仕事こなしてくるといい」

 

「はいはい、分かりましたよ」

 

そう言ってガリィはその場から離れると、キャロルは少し思案した後紫苑に話しかけた。

 

「紫苑、悪いがお前もついて行ってくれないか?どうもあいつだけでは何かやらかしかねんからな」

 

「うむ、了解したぞ!」

 

そう言って紫苑はガリィの後を追いかけその場から離れた。

 

「そ、そういえばキャロルちゃん。ガリィさんの報告だとエルフナインちゃんは装者に保護されたみたいだけど・・・」

 

「ああ、把握している」

 

 

 

真達は、クリス達が保護したエルフナインの元にやって来ていた。

 

「僕は、キャロルに命じられるまま、巨大装置の一部の建造に携わっていました」

 

そこでエルフナインは何があったのかを話してくれた。

 

「そこでアクセスしたデータベースより、この装置が世界をバラバラに解剖するものだと知ってしまい、目論見を阻止するために逃げ出してきたのです」

 

「世界をバラバラにたぁ、穏やかじゃないな」

 

「そんなことが可能なのか?」

 

「はい、それを可能にするのが錬金術です、ノイズのレシピを元に作られた『アルカ・ノイズ』を見ればわかるように、シンフォギアを始めとする、万物を分解する力は既にあり、その力を世界規模にするのが、建造途中の巨大装置『チフォージュ・シャトー』となります」

 

「その装置の建造に携わっていたということは、君もまた錬金術師なのか?」

 

翼の問いにエルフナインは答えた。

 

「はい、ですがキャロルのようにすべての知識や能力を統括しているのではなく、限定とした目的のために作られたにすぎません」

 

「作られた?」

 

「装置の建造に必要な最低限に錬金知識をインストールされただけなのです」

 

「インストールと言ったわね」

 

「必要な情報を知識として脳に転送複写することです。残念ながら、僕にインストールされた知識に、計画の詳細はありません・・・ですが!」

 

そう言ってエルフナインは顔を上げる。

 

「世界解剖の装置、チフォージュ・シャトーが完成間近だということはわかります!お願いです、力を貸してください、その為に僕はドウェルグ=ダインの遺産をもってここまで来たのです!」

 

皆の視線がエルフナインの持つ箱に向けられる。

 

「ドウェルグ=ダインの遺産」

 

響がそう言うと、エルフナインは箱を開き中から黒い何かを取り出す。

 

「アルカノイズに錬金術師キャロルの力に対抗しうる聖遺物・・・『魔剣ダインスレイフ』の欠片です」

 

『ダインスレイフ・・・それは中々の代物ね』

 

「知ってるのか?」

 

『ええ、伝承ではひとたび抜剣すると、犠牲者の血を啜るまでは鞘に収まらないとも記される曰くつきの一振りであり、非常に危険性のある聖遺物よ』

 

「危険性・・・か」

 

 

 

少しして真達は司令室でエルフナインの検査結果を聞いていた。

 

「エルフナインちゃんの検査結果です」

 

「念のために彼女の・・・ええ、彼女のメディカルチェックを行ったところ」

 

「身体機能や健康面に異常はなく、またインプラントや催眠と言った怪しいところは見られなかったのですが・・・」

 

そういう二人の歯切れはどこか悪い。

 

「ですが?」

 

「なんだ、もったいぶらずに言ってくれ」

 

「彼女・・・エルフナインちゃんに性別はなく、本人曰く自分はただのホムンクルスであり、けして怪しくはないと・・・」

 

『あ・・・怪しすぎる『デース』』

 

皆の心が一つとなった瞬間であった。

 

 

 

次の日、響は未来と友人たちと通学路を歩いていた。

 

「私的には、付いてるとかついてないとかはあんまり関係ないと思うのだけど」

 

「ええぇぇぇぇ!!?」

 

未来の発言に響は顔を赤くして驚いていた。

 

「ビッキー、何をそんなに?」

 

「へっ、だ、だって!何がどこについてるかなんてそんな・・・!」

 

「付いてる付いてない、確率の問題です。今日の授業の」

 

「まーたぼんやりしてたんでしょう」

 

「あ・・・あはは、そうだったよね」

 

「この頃ずっとそんな感じ」

 

「ん・・・ごめん、いろいろあってさ」

 

響は先日のことを思い出す。

 

『こいつがロンドンでアメノハバキリを壊したアルカノイズ』

 

『ああ、我ながらうまくかけたと思う』

 

そこに書かれていたのはどこをどう見ても人間の武士でありノイズの欠片もなかった。

 

『アバンギャルドが過ぎるだろ!?現代美術の方面でも世界進出するつもりか!?』

 

クリスが突っ込みを入れる中、マリアが口をはさむ。

 

『問題は、アルカノイズを使役する錬金術師と仮面ライダーと戦えるシンフォギア装者がただの一人だという事実よ』

 

『戦わずにわかり合うことは・・・できないのでしょうか?』

 

『逃げているの?』

 

『逃げているつもりじゃありません!』

 

マリアの言葉に響は突っかかる。

 

『だけど・・・適合して、ガングニールを自分の力だと実感して以来、この人助けの力で誰かを傷つけることが、すごく嫌なんです』

 

そういう響にマリアははっきりと答えた。

 

『それは・・・力を持つ者の傲慢だ!』

 

それが先日の事である。

 

(私は、そんなつもりじゃないのに・・・)

 

「きゃあ!?」

 

響が考え込んでいると、寺島の悲鳴が聞こえ前を見るとそこには生気がなく横たわっている人たちがいた。

 

「・・・っ!」

 

皆が絶句する中、響は気配を感じた方を向く。

 

「聖杯に思い出は満たされて、生贄の少女は現れる」

 

木陰から現れたのはオートスコアラーガリィだった。

 

「貴方はキャロルちゃんの仲間・・・だよね」

 

「そしてあなたの戦うべき敵」

 

「違うよ!私は人助けがしたいんだ。戦いたくなんかない!」

 

そういう響に対してガリィはめんどくさそうな顔をする。

 

「ったく、めんどくさいわねぇ」

 

そう言ってガリィは結晶を取り出し地面にばらまくと、そこからアルカノイズが生みだされる。

 

『きゃぁぁぁ!!』

 

生み出されたアルカノイズは五人を取り囲む。

 

「貴方みたいなめんどくさいのを戦わせる方法はよーく知ってるの」

 

「こいつ、性格悪!」

 

「お褒めの言葉ありがとうね」

 

「それより、あたしらの状況もよくないって!」

 

「このままじゃ・・・」

 

「頭の中のお花畑を踏みにじってあげる」

 

ガリィが指を鳴らすと、アルカノイズはゆっくりと五人に近づいていく中、響は胸元からペンダントを取り出し、聖詠を歌おうとする。

 

「・・・・・・ぁ・・・ぁ・・・!」

 

「響?」

 

だが、その口から聖詠は出てこず、響はせき込む。

 

「・・・歌えない」

 

「えっ」

 

「・・・あ?」

 

響の違和感にみんなは何かを感じ取っていた。

 

「聖詠が、胸に浮かばない・・・!」

 

それは、シンフォギア装者にとって致命的な出来事。

 

「ガングニールが、答えてくれないんだ!!」

 

響はガングニールを纏えずにいた。




さて後書きの時間だが・・・。
「うむ、ついにみかも起動してこちらの準備は万全じゃな。じゃがあの娘は大丈夫かのう?」
「響の奴、いったい何があったんだ・・・?」
「わかりません、けどこのままじゃ危険ですよ!」
「だ、大丈夫ガリィさんなら手加減してくれるはずです・・・多分、きっと」
「自信持て!身内に!」
まあガリィの性格からして手加減しなさそうだけど・・・。
「そこ!メタ発言するな!」
まあ大丈夫!そこらへんはきちんと対策済みだから!
「本当か?」
もちろん!それじゃあそろそろ〆るか!
「んん~なんか納得しないけどまあいいか・・・」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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閃光、今再び・・・

GX編第七話、前回のあらすじは?
「たしか響達の前にガリィが現れたんだよな」
「ああ、それで響がどうにかしようとしたが聖詠が歌えなくなっていたんだ」
「ガングニールが纏えないって危険ですよね?大丈夫なんですか」
そこは安心しろ、ちゃんと対策は取っているからな。
「ふむ・・・要するにたいとるに書いておるヤツが鍵じゃな?」
「お姉ちゃん、そういうのって言わない方がいいんじゃ・・・」
まあサブタイ観た時点で察しの良い人はわかってるだろうけどな、それではGX編第七話どうぞ!


司令室にて、真は響が歌えないことを確認していた。

 

「っ!クソっ!」

 

「真君!」

 

真は急いで司令室を飛び出し、外に出てライズホッパーを展開した。

 

乗り込み発進しようとしたとき、マリアが後を追いかけてくる。

 

「待ちなさい!私も行くわ!」

 

「マリア!?でも・・・」

 

「立花響には、言わなければいけないことがあるわ」

 

そう言ってマリアは懐からペンダントを取り出す。

 

「・・・わかった、乗れ!」

 

「ええ!」

 

真の後ろのマリアが座り、ライズホッパーを走らせた。

 

 

 

一方響達の方では、歌えないことに響は困惑していた。

 

「なんで・・・聖詠が歌えないんだ?」

 

その状況を見てガリィは少し困っていた。

 

(ギアを纏えないこの子と戦っても意味はない・・・かといってこのまま攻撃したらちびっこがうるさいし、はてさてどうしましょうか?)

 

互いに膠着状態、どうすればいいのか響もガリィも固まっていた。

 

「・・・・・・」

 

そんな中、未来はあることを思い出していた。

 

 

 

今から一か月前、未来と真はとある喫茶店で会話をしていた。

 

「なあ未来、お前って今でも争いを無くしたいって思ってるのか?」

 

「えっ!?いきなりどうしたんですか?」

 

「いいから、どうなんだ?」

 

真の意外な質問に未来は驚きながらも、答えた。

 

「・・・それは思ってます、争いが無くなれば響も真さんも、みんなも平和に暮らせてたって思います」

 

「・・・・・・」

 

未来の言葉に真は黙って聞いていた。

 

「でも、あんなやり方じゃどうにもならないってわかりました」

 

未来はウェルの口車に乗せられシンフォギアを纏っていたことを思い出す。

 

ウェルの口車に乗せられた結果、みんなを傷つけ、フロンティアを起動させ、響と真に辛い思いをさせていたことを思い出す。

 

「だから、できることなら今度はみんなと一緒に違う方法で争いを無くしたいです」

 

「・・・そうか、それがお前の思いか」

 

真は未来の言葉に頷き、懐からとあるものを取り出すと、未来はそれを見て驚いた。

 

「っ!それって!」

 

「お前の思いは聞いた、けど思ってるだけじゃ何も起きない」

 

真はそれを未来の前に差し出す。

 

「未来、お前に二つの選択肢がある。このまま思い続けるか・・・思いを叶えに行くか」

 

真の言葉に未来は目の前の物を見つめる。

 

「選択するのは、お前自身だ」

 

「・・・・・・っ!」

 

未来は少し考えこみ、そして決意しそれを握りしめた。

 

 

 

「・・・っ!」

 

未来はその時のことを思い出すと、響の前に出た。

 

「未来!?」

 

「・・・響、私に任せて」

 

そう言って未来はガリィに視線を向ける。

 

「貴方ねぇ・・・こいつらがどんな存在なのかわかってるでしょう。自殺行為もいいところよ」

 

ガリィはそう言う中、未来は懐から何かを取り出した

 

「っ!?何であんたがそれを!」

 

「未来!それって・・・!」

 

未来が取り出した物を見てガリィと響は驚愕した。

 

「何で、未来が『ギアペンダント』を持ってるの!?」

 

皆が驚く中、未来は口を開く。

 

「響は何時も守ってくれた・・・だから今度は、私が響を守る!」

 

未来は決心し、ペンダントを握り締め聖詠を歌う。

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

その瞬間、光が未来を包み込む。

 

そして光が消えると、そこにはかつての神獣鏡を纏っていた未来が立っていた。

 

あの時と違うのは決意、そして思い、正しい思いを身に宿した完全なシンフォギアを未来は纏っていた。

 

「未来が・・・シンフォギアを!」

 

「嘘でしょ・・・こんなの予想外なんですけど・・・!」

 

皆が驚く中、未来は目元のバイザーを閉じ、アルカノイズと戦い始めた。

 

『使用BGM 歪鏡・シェンショウジン』

 

閃光・・・始マル世界 漆黒・・・終ワル世界

 

未来は手元のアームドギアを展開し、そこから大量の光線を放つ。

 

閃光

 

光線に貫かれたノイズは次々と消えていく。

 

ノイズは目標を未来に変更し、未来に襲い掛かる。

 

未来はノイズの攻撃を全て躱していき、光線で次々と倒していく。

 

本来、未来の戦闘能力は高くない。

 

だが、それを補うために未来の目元のバイザーが敵の動きを予測し、最適な動きを示してくれる。

 

シャイニングホッパーほどではないが、未来にとって最高の力である。

 

(神獣鏡・・・その特性は聖遺物を消し去る力にある。今のあたしらにとって最も相性が悪すぎる力をこの子が持ってるなんて・・・!?)

 

あの懐かしのメモリア 二人を紡ぐメロディーを

 

ガリィが考え込む中、未来は大量の鏡を展開し上空に放ち、そこに光線を放った。

 

放った光線は鏡を反射し、また別の鏡に反射される。

 

それを段々繰り返していくうちに光線は分裂していき、空が光に染まっていた。

 

過去も今日も・・・そう、そして未来も!

 

光が空を埋め尽くすと、鏡が角度を変え光線が地上のノイズに向かって放たれる。

 

光線は雨のように降り注ぎノイズを殲滅していく。

 

光雨

 

未来の攻撃によって地上のノイズは全て倒され残るはガリィ一人だけだった。

 

未来はその隙を逃さずガリィに接近しアームドギアを構える。

 

こんなに好きだよ ねえ・・・大好きだよ

 

そのままアームドギアをガリィの首目掛けて横薙ぎに振るった。

 

だがその攻撃はガキンッ!という音と共に止められてしまう。

 

「っ!?」

 

未来は驚いていた、その視線の先にいたのは、自身より背の低い少女が刀で未来の攻撃を防いでいた。

 

「間に合ったようじゃな、がりぃ」

 

「あ、あんた!何でここに!」

 

「あの子は・・・キャロルちゃんと一緒にいた紫苑ちゃん!」

 

紫苑は未来の攻撃を防ぐと、氷の錬金術で礫を放ち未来を引かせた。

 

「きゃろるに頼まれてのう、がりぃについてきたのじゃ」

 

「マスター・・・でも助かったわ」

 

「うむ、それは何よりじゃ!」

 

紫苑はそう言うと未来の方を向き、刀を鞘にしまい、フォースライザーを取り出す。

 

「さて、おぬしの相手はうちが務めよう」

 

「っ!気を付けて未来!その子真さんを倒した仮面ライダーだよ!」

 

「嘘っ!?」

 

フォースライザー!

 

未来が驚く中、紫苑はフォースライザーを身に着けスティングスコーピオンプログライズキーを取り出す。

 

ポイズン!

 

フォースライザーに差し込むと、アラート音と共にライダモデルが出現する。

 

「変身!」

 

そのまま紫苑はフォースエグゼキューターに指をかけトリガーを引いた。

 

フォースライズ!

 

スティングスコーピオン!

 

Break Down.

 

紫苑は仮面ライダー滅に変身すると、再び刀を構える。

 

「さあゆくぞ!」

 

「っ!」

 

紫苑が未来に切りかかり、未来はとっさにアームドギアで攻撃を防いでいく。

 

そのまま未来は光線を上空の鏡を使って放っていくが、紫苑は光線を躱しながら攻撃を続けていく。

 

「光線を躱しながら攻撃を続けるって・・・アニメじゃないんだよ!?」

 

「でも、小日向さんも相手の攻撃を防いでいますよ!」

 

相手の攻撃を未来はバイザーによる予測で防いでいる。

 

バイザーの能力がある今、優位は未来にある。

 

・・・だが、事が予想通りに進まないのが現実である。

 

「なかなかやるのう・・・じゃが!」

 

紫苑の力を込めた一撃で未来は後ろへ大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「きゃ!?」

 

そこから紫苑は怒涛の勢いで未来に攻撃を仕掛けていく。

 

未来は神獣鏡の力で予測できるが、先も言った通り未来自身の戦闘能力は高くない。

 

戦闘経験の差が現れ未来は紫苑の攻撃を徐々に受けていき、ついにはアームドギアを弾かれてしまう。

 

「しまっ!?」

 

「そこじゃ!」

 

アームドギアを弾かれがら空きとなった胴体に紫苑の蹴りが直撃する。

 

「っ~~~!!」

 

あまりのダメージに未来は体勢を崩す。

 

「未来!!」

 

「これで終いじゃ!」

 

紫苑は畳みかけるようにフォースエグゼキューターを戻し、再び引いた。

 

スティングディストピア!

 

紫苑の持つ刃にアシッドアナライズが巻き付き、そこから毒々しいオーラが放たれ、そこから放たれた一閃が未来に直撃した。

 

  

  

  

 

スティングディストピア

 

斬撃は未来の体には当たらず、未来のペンダントにだけ直撃しギアが傷つき、結果未来のシンフォギアが消えてしまい、未来は倒れこんだ。

 

「未来!!」

 

響達は急いで未来に駆け寄る。

 

「安心せい、先の技は娘に当てておらん。その娘は無事じゃ」

 

そう言って紫苑はガリィの元に行く。

 

「あ~あ、結局あんたがやっちゃって私退屈だったわ」

 

「すまんのう、じゃがあの娘の聖遺物とお主らでは相性が悪い、うちらもそんな危険な目に合わせたくないからな」

 

「・・・わかってますよ、じゃそろそろ帰りますか」

 

『・・・・・・・!』

 

そう言って帰還しようとしたとき、遠くから声が聞こえてきた。

 

「ん?いま何か・・・」

 

そう言ってガリィが振り返ると、一台のバイクが向かってきていた。

 

「響達から離れろぉぉぉ!!」

 

それはライズホッパー、そして声の主はライジングホッパーに変身した真だった。

 

「行くぞ、マリア!」

 

「ええ!」

 

真とマリアは同時に飛び降り、マリアは聖詠を歌う。

 

Granzizel bilfen gungnir zizzl

 

光と共にマリアが黒いガングニールを纏い着地する。

 

「私はオートスコアラーを、貴方は仮面ライダーを!」

 

「わかった!」

 

二人は分断し、ガリィと紫苑に迫る。

 

「あらあら、ちょうどいいわね。ちびっこ、ライダーは貴方にあげるわ。私はあいつを」

 

「うむ、心得た!」

 

そうしてガリィ対マリア、ゼロワン対滅の戦闘が始まった。

 

マリアはアームドギアを繰り出し、ガリィに攻撃を仕掛ける中、響はマリアを見ていた。

 

「マリアさんが・・・ガングニールを」

 

ガリィは自身の両腕を氷の刃を纏いマリアとぶつかり合う。

 

一方で真はアタッシュカリバーを繰り出し、紫苑とぶつかり合う。

 

「お前・・・よくも未来を!」

 

「ふむ、中々の剣の重さじゃ、仲間を大切に思っているのが伝わるぞ」

 

そう言いながら紫苑は真から離れ、刀身に青色の陣を生成すると、刀身が冷気を纏う。

 

「それはあの時の!」

 

「では行くぞ!」

 

紫苑は強化した刀で切りかかり、真を追い詰めていく。

 

「くっ!」

 

真はとっさにアタッシュショットガンを取り出し紫苑目掛けて放つ。

 

「てりゃぁぁ!!」

 

紫苑はエネルギー弾を避けずに、刀で切り払った。

 

「嘘だろ!?」

 

真が驚く中、マリアの方を向くとマリアもガリィ相手に追い詰められていた。

 

「決めた、ガリィの相手はあんたよ」

 

「くっ・・・!」

 

マリアのギアはいたるところから電流が走っていて今にも解除されそうにあった。

 

「それじゃあ・・・いっただきま~す!」

 

ガリィは足元を凍らせ高速で迫り、氷の刃でマリアのペンダントを狙った。

 

そして刃が振るわれる直前、マリアのギアが強制解除されてしまった。

 

「がぁっ!!」

 

「マリア!」

 

LINKERなしで纏ったことでバックファイアが襲い掛かり、マリアは目と口から血を流し膝をつく。

 

「何よこれ、まともに歌えるやつが一人もいないなんて聞いてないんだけど?」

 

ガリィは呆れたように刃を消し、懐から赤いジェムを取り出す。

 

「さっさと帰るわよ!」

 

「うむ、どうやら訳ありの様じゃからのう、ここは引くか」

 

紫苑もジェムを取り出し地面に叩きつけると、二人はその場から消えた。

 

敵が消えたのを確認し、真は変身を解きマリアに駆け寄る。

 

「マリア!無事か!」

 

「ええ・・・なんとか」

 

真はマリアを起き上がらせると、今度は響達の元へ駆け寄る。

 

「みんな!無事か!」

 

「は・・・はい。未来のお陰で・・・」

 

真は未来に視線を向ける、未来は体を響達が持っていたタオルで隠しながら口を開いた。

 

「真さん・・・ごめんなさい、せっかく真さんに指導してもらったのに」

 

「いや、上出来だ。よく俺たちが来るまでにみんなを守ったな、未来」

 

真は未来の頭を撫でる。

 

「・・・はい」

 

真は未来の無事を確認すると、今度は響の方を見る、響はどこか暗い表情をしていた。

 

「響・・・」

 

真が口を開く前に、マリアが横に入り響の前に出る。

 

「マリアさん・・・私・・・ガングニールの装者なのに・・・」

 

響は申し訳なさそうに口にする、マリアはそんな響を見て前のことを思い出す。

 

『逃げているの?』

 

『逃げているつもりじゃありません!』

 

『だけど・・・適合して、ガングニールを自分の力だと実感して以来、この人助けの力で誰かを傷つけることが、すごく嫌なんです』

 

マリアはこの会話を思い出し、響の肩を掴んで叫んだ。

 

「そう、貴方はガングニールの装者!そしてそのガングニールは貴方の物!だから・・・目を背けるな!」

 

「目を・・・背けるな・・・」

 

 

 

一方、帰還したガリィと紫苑はキャロルに報告していた。

 

「というわけでがんぐにぃるの破壊はできんかったが、神獣鏡の破壊は完了したぞ!」

 

「そうか、まあいいだろう、だが今度こそはガングニールを破壊しなければいけない、これ以上の遅延行為は作戦に支障をきたす」

 

「『レイライン』の解放、分かってますとも。ガリィにお任せです♪」

 

「ああ、それとガリィお前に戦闘特化のミカをつける」

 

「いいゾ!」

 

キャロルの言葉にミカは元気よく答える。

 

「そっちに言ってんじゃねえよ!」

 

「桃恵、ミカのコンディションはどうだ?」

 

「ば、ばっちりです。戦っても問題ないです」

 

「よし・・・それと桃恵と紫苑に頼みたいことがある」

 

 

 

夜、響と未来は寮のベットで一緒に横になっていた。

 

「・・・眠れないの?」

 

「っ、ごめん、気を遣わせちゃった」

 

響と未来は顔を合わせる。

 

「それにしても驚いたよ。まさか未来がシンフォギアを纏うなんて」

 

「ごめんね、真さんに頼んで内緒で特訓してたんだ」

 

「そうなんだ・・・真さん大丈夫かな?」

 

戦いの後、真は弦十郎さんに神獣鏡を隠していたことを知られ司令室に連れていかれた。

 

「・・・今日の事を考えてるんだよね」

 

未来の言葉に響は静かに答える。

 

「・・・戦えないんだ、歌を歌ってこの手で誰かを傷つけることがとても怖くて」

 

響は自身の手を見つめる。

 

「私の弱さがみんなを危険に巻き込んだ・・・なのに」

 

響はそう言って拳を握り締めると、未来は拳に手を添えた。

 

「私は知ってるよ、響の歌が誰かを傷つける歌じゃないことを」

 

そう言って未来は響の拳を両手で包む。

 

響はそれを聞いて安心したかのように、目を閉じ眠りに着いた。




後書きの時間だ!
「閃光って未来の事だったんだな」
「ああ、未来が決心してから一ヶ月間暇があったら特訓に付き合ってたからな」
「そうなんですか・・・それで真お姉ちゃん、あの後叱られてたけど大丈夫?」
「平気平気、拳骨喰らって少しデカめのたんこぶ出来たけど大丈夫」
「それは普通大丈夫ではないというんじゃないか?」
「えっと・・・お薬ありますけど使いますか?」
「・・・ありがとう、めっちゃ痛ぇ」
さて、未来も装者になったことだし、これで装者は七人揃ったな。
「だな、これで神様が来ても大丈夫だな」
・・・そうはならないのが現実なんだよなぁ。
「なんか言ったか?」
いえ別に?それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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希望は再び立ち上がる

GX編第八話、前回のあらすじは?
「未来が神獣鏡を纏って戦った」
「けど途中で現れた紫苑によってギアが壊されてしまった」
「真お姉ちゃんとマリア姉さんが駆け付けたけど逃げられた」
「傷心しておる響にまりあが助言を告げたのう」
「えっと・・・キャロルちゃんがミカちゃんと私たちに指令を出しました」
よしおっけい!それじゃあ本編行きますか!
「あれ?小話は?」
考えるのが面倒くさいから前書きは前回のあらすじを言う!
「おい」
それではGX編第八話どうぞ!


オートスコアラーとの遭遇から後日、マリア達はS.O.N.Gが管理している病院にてナスターシャ教授の見舞いに来ていた。

 

「マム、遅れてしまってごめんなさい」

 

「いいのですよ、貴方達が元気ならそれで充分です」

 

「マム、マムの大好きな日本の味持ってきたデス!」

 

切歌がタッパーを取り出し蓋を開けると、中には肉じゃがが入っていた。

 

「真さんがお見舞いのことを聞いて作ってくれたんだ」

 

「ありがとう、彼女にもお礼を言ってください」

 

ナスターシャ教授が受け取ると、マリアは起きたことを話した。

 

「ロケットと一緒に帰って来たフロンティアの一部や月遺跡に関するデータは、各国機関が調査してる最中だって」

 

「皆さんが一緒に研究して、皆さんのために役立てようとしてるんです」

 

「そうですか、あのデータが世界のためになれれば私は満足です」

 

「まだゆっくりだけど、ちょっとずつ世界は変わろうとしてるみたい」

 

調の言葉でマリアは顔を暗くする、此処までの戦いで自身の力不足を実感していた。

 

「・・・私も変わりたい、本当の意味で強くなりたい」

 

「それはマリアだけじゃないよ」

 

「私達だって、同じデス・・・」

 

マリアがそう言うと、調と切歌も同じ気持ちになる。

 

「皆さん・・・」

 

セレナが心配そうにする中、ナスターシャ教授は口を開いた。

 

「大丈夫ですよ、貴方達はもう昔の貴方達ではありません。今の貴方達には支えてくれてる仲間がいます」

 

ナスターシャ教授の言葉に三人は顔を上げる。

 

「焦らなくていいのです、自分のペースでしっかり歩めばすぐに追いつけれます」

 

その言葉に三人の顔は少し明るくなる。

 

「・・・昔のように叱らないのね」

 

「ええ、貴方達なら大丈夫と踏んでいますからね」

 

マリアはその言葉を受け、決意を固くする。

 

「ありがとうマム、私たちはきっと彼女たちに追いついてみせるわ」

 

「ここはマムが体を張って守ってくれた世界デス」

 

「だから、絶対に私たちが守って見せるよ」

 

「はい、皆さんと一緒に、必ず」

 

四人の顔を見て、ナスターシャ教授は安心した顔になる。

 

「ええ、頑張ってください」

 

 

 

降り注ぐ雨の中、真は一人自室で黄昏ていた。

 

たびたびライズフォンから弦十郎から連絡が来るが、真は電話に出る気もなかった。

 

「・・・・・・」

 

真の脳裏には、紫苑と桃恵の二人がこびりついていた。

 

最初の遭遇、そして先日の紫苑との遭遇、その両方に置いて真は劣勢だった。

 

「・・・情けないな、俺」

 

落ち込んでいる中、真は二人について考える。

 

「この世界に仮面ライダーは存在しない、俺自身あの神さんの力で変身できるし、奏とセレナも神さんからの贈り物で変身できている・・・ならあの二人は?」

 

真は初めて出会った時の言葉を思い出す。

 

「キャロルから賜った力・・・あのドライバーはキャロルが作った物なのか・・・それとも」

 

真の脳裏にとある予想が浮かぶ。

 

「・・・あいつらも、俺と同じなのか?」

 

 

 

同時刻、リディアンの食堂にて未来は寺島たちと食事をしていた。

 

その場に響の姿はなかった、あの一件のことで響は昼食をとらず課題をしていた。

 

「歌が歌えないビッキーか・・・」

 

「私たちが励ましても、立花さんってば余計に気を使いそうですし」

 

「普段は単純なくせに、こういう時ばっかりややこしいんだよね」

 

四人が考える中、安藤が思いつく。

 

「あのさ、ビッキーが歌を歌えないのって、もしかしたら歌う理由を忘れたからじゃないかな?」

 

「響が・・・歌う理由」

 

「うん、それを思い出せたらきっと・・・」

 

「響はまた歌える・・・」

 

 

 

一方S.O.N.G司令室にて、クリス、翼、奏、弦十郎、フィーネの五人はエルフナインから敵についての説明を受けていた。

 

「先日響さんと未来さんを強襲したガリィと、クリスさんと対決したレイア、これに翼さんと奏さんがロンドンでまみえたファラと、今だ姿を見せないミカの四体がキャロルの率いるオートスコアラーとなります」

 

「人形遊びに付き合わされてこの体たらくかよ!」

 

「まるでお姫様を取り巻く護衛の様ね、そして姫を守る本命の二人の騎士」

 

フィーネの言葉にエルフナインは頷き、モニターに紫苑と桃恵が写る。

 

「如月紫苑と如月桃恵、キャロルと共にする錬金術師にしてキャロルの持つ最高戦力、キャロルから習った錬金術と新しく手に入れた仮面ライダーの力でその実力はいまだ不明です」

 

エルフナインの説明に翼が口をはさむ。

 

「あの二人は一体何者だ?見たところ普通の人間だが」

 

「前に僕がキャロルの所にいた時、紫苑さんが少しだけ話してくれました。自分たちはキャロルに拾われた者達と」

 

「拾われた?じゃああいつら捨て子なのか?」

 

「そこは不明です、彼女たちは経緯を教えてくれなかったので」

 

そう言って話を戻す。

 

「彼女たちの戦闘能力は見ての通りシンフォギアと仮面ライダーを凌駕している、それぞれが強敵と見て間違いないだろう」

 

「超常脅威への対抗こそ俺たちの使命、この現状を打開するため、エルフナイン君より計画の立案があった」

 

皆の視線がエルフナインに移ると、モニターに文字が写った。

 

『PROJECT IGNITE』

 

「プロジェクトイグナイトだ」

 

 

 

下校にて、響と未来は一緒に帰路についている中、未来が響に尋ねた。

 

「・・・やっぱりまだ、歌うのは怖いの?」

 

「あっ、うん・・・誰かを傷つけちゃうんじゃないかって思うと・・・ね」

 

「響は初めてシンフォギアを身に纏った時の事って覚えてる?」

 

「どうだったかな・・・無我夢中だったし」

 

暗い顔の響きに未来は言葉を紡ぐ。

 

「その時の響は、誰かを傷つけたいと思って歌を歌ったのかな?」

 

「えっ?」

 

その言葉を聞いて響は考える、あの時自分は何を思って歌ったのか。

 

 

 

司令室にて、モニターには形が変化したギアペンダントが描かれており、そこには『イグナイトモジュール』と書かれていた。

 

「イグナイトモジュール、そんなことが本当に可能なのか?」

 

「錬金術を応用することで、理論上不可能ではありません。リスクを背負うことで対価を勝ち取る、その為の魔剣ダインスレイフです」

 

そんな時、アルカノイズの出現アラートが鳴り響いた。

 

「アルカノイズの反応を検知!」

 

「位置特定!モニターに出します!」

 

モニターに映し出されたのは、逃げる響と未来、そして二人を追いかけるアルカノイズとそれを率いる赤色の人形。

 

「ついに、ミカまでも・・・」

 

 

 

同時刻、アラートを聞いて急いで外に出た真は弦十郎から連絡を聞いてた。

 

「響と未来が!?」

 

『ああ、真君急いでくれ!』

 

「わかってるよ!」

 

真は連絡を切り急いで二人の元へ駆けつけようとすると、視線の先の人物に気が付き急停止した。

 

「・・・こっちは急いでるんだが」

 

視線の先にいたのは紫苑と桃恵の二人だった。

 

「済まぬのう、お主の足止めを頼まれたからな」

 

「すみません、けどここは通すわけにはいかないんです」

 

フォースライザー!

 

二人はそう言ってフォースライザーを身に着ける。

 

「・・・、ならお前たちをすぐに倒して二人を救う」

 

アウェイクン!

 

真もキーのライズスターターを押し込み、ゼロワンドライバーを身に着け、三人はキーを取り出す。

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

ハイパージャンプ!

 

オーバーライズ!

 

それぞれがキーを装填、認証させると現れたライダモデル達がぶつかり合い、互いに威嚇する。

 

「「「変身」」」

 

プログライズ!

 

フォースライズ!

 

Warning,warning. This is not a test!ハイブリッドライズ!

 シャイニングアサルトホッパー!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

No chance of surviving this shot.

 

Break Down.

 

雨に打たれながらも、三人は変身し武器を手に取り。

 

「「「・・・・・・っ!」」」

 

そしてぶつかり合った。

 

 

 

同時刻、響と未来はミカとアルカノイズから逃げていた。

 

「逃げないで歌ってほしいゾ。あっそれとも、歌いやすいところに誘ってるのか?」

 

ミカは追いかけながらも考える。

 

「う~ん、ああっ!それならそうと言ってほしいゾ!」

 

ミカが勝手に思い込みながらも、響達は廃屋に逃げ込む。

 

階段を上がっているとノイズの分解器官が階段を分解し響だけが下の階に落ちてしまう。

 

「響!」

 

響は下の階に落ちると上の階にいる未来を見る。

 

「未来・・・!」

 

未来を見る響をミカがのぞき込む。

 

「いい加減戦ってくれないと、君の大切な者解剖しちゃうゾ。友達バラバラでも戦わなければこの町の人間を、犬も猫もみんな解剖だゾ!」

 

ノイズ達は響を無視し未来を追いかけて行く。

 

響はペンダントを取り出し聖詠を歌おうとするが、やはり歌えない。

 

「ん~?本気にしてもらえないなら」

 

そう言うとミカはノイズに指示する、ノイズの狙いは未来に絞られた。

 

未来は恐怖しながらも、響に向かって叫んだ。

 

「あのね、響!響の歌は、誰かを傷つける歌じゃないよ!」

 

響は未来の方を向く。

 

「伸ばしたその腕も、誰かを傷つける手じゃないって私は知ってる!私だから知ってる!だって私は、響と戦って救われたんだよ!」

 

その言葉で響はフロンティアでのことを思い出す。

 

「私だけじゃない、響の歌に救われて、響の手で今日に繋がってる人もたくさんいるよ!だから怖がらないで!」

 

「バーイなら―!」

 

ミカの声にノイズ達が未来に向かって飛び掛かり、未来の立つ床を壊した。

 

「うぉぉおおぉぉおおぉおぉお!!」

 

そして響は未来の元へ駆け、そして歌った。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

未来は落下しながらも、今までのことを思い出す。

 

「私の大好きな、響の歌を、みんなのために歌って・・・」

 

その瞬間、落ちる未来を響が受け止める。

 

そのまま地面に着陸し、その衝撃で天井が砕けたまった雨水が滝のように落ちてくる。

 

そんな中、響は未来を抱きしめ立ち上がる。

 

「ごめん・・・私、この力と責任から逃げ出してた。だけどもう迷わない、だから聞いて、私の歌を!」

 

未来の言葉で立ち上がり、守るための撃槍(ガングニール)を身に纏った。

 

『使用BGM 限界突破 G-Beat』

 

響はミカと向き合い、未来を下す。

 

「行ってくる」

 

「待っている」

 

そう言って響はミカに向かう。

 

一点突破の決意の右手

 

ミカは再びアルカノイズを大量に出現させるが、復活した撃槍の前では無意味だった。

 

響は背中のブースターで加速し次々とノイズを倒していく。

 

私と云う音響く中で

 

響は飛び上がり、右腕のバンカーを引っ張り地面を殴りつけノイズを一掃しミカに向かう。

 

ミカは掌から赤い棒状の結晶を繰り出し響の拳を受け止めるが、その勢いで後ろに下がっていく。

 

勇め(Let`shout)どんなんだって一直線に

 

「こいつ・・・!へし折りがいがあるゾ!」

 

ミカはオートスコアラーの中でも戦闘に特化した性能、だが響が後れを取ることはない。

 

ぶち抜く(壁を)ぶっこむ(ハート) 胸の歌がある限り

 

ミカは両の髪から炎を噴出し響を吹き飛ばすが、響はすぐに体勢を治しミカに突っ込む。

 

正義(信じ)握り(締めて) 自分色に咲き立つ花になれ (HEROじゃなく)

 

響は回転し勢いをつけてミカのボディに拳をぶつける、その威力にミカは顔を歪め吹き飛ぶ。

 

高鳴れ(G-beat)メーターを ガンと(G-beat)振り切れ

 

そして吹き飛ぶミカを追いかけ再び拳をぶつけたとき、ミカが水となる。

 

「っ・・・!?」

 

突然の状況に響は混乱し前を見ると、柱の陰にガリィが立っていた。

 

「残念、それは水に写った幻」

 

その言葉を聞き、響はハッと下を見ると、ミカが手を響に向けて構えていた。

 

そして掌から結晶を射出し、響のギアペンダントに直撃した。

 

「ぐっあぁあぁあぁぁああぁあぁあ!!!」

 

その勢いで廃屋の天井を突き破り、そして響のペンダントが砕けた。

 

「響!!」

 

ペンダントが砕け、ギアが解除される中響は視線を移すと、街中で爆発が起きていた。

 

響はその爆発を見ながら地面に落ちて行った。

 

 

 

時を遡り、真と如月姉妹がぶつかり合った時まで遡る。

 

真はアタッシュカリバーとアタッシュショットガンを構え二人と戦う。

 

刀で迫る紫苑に二つのアタッシュ武器で対応し、空から攻撃してくる桃恵にはシャインクリスタで妨害する。

 

「ぬぅ、前よりもさらに力強いのう」

 

「現状最強形態だ、そう簡単にやられるわけないんだよ!」

 

真の怒涛の攻撃に紫苑は少し押されていき、ついに真が紫苑を吹き飛ばした。

 

「お姉ちゃん!」

 

吹き飛ばしたところで上空から桃恵が迫って来るが、シャインクリスタで攻撃を防ぎ真が飛びあがり桃恵を蹴り飛ばし紫苑の所へ向かって行った。

 

「喰らえ!」

 

桃恵が紫苑のところまで吹き飛ぶと、真はシャインクリスタの一斉掃射を二人に向けて放ち、直撃し爆発を起こした。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

真が爆煙を見つめていると、その中に金色に輝く何かを見た。

 

「・・・くそっ、これでも駄目なのかよ」

 

煙が晴れると、そこには金色の壁が二人を守るようにできていた。

 

「あ、ありがとうお姉ちゃん」

 

「気にするでない、今のは本当に危なかったからのう」

 

二人を見て、真は口を開く。

 

「・・・なああんたら、一つ聞いてもいいか?」

 

「なんじゃ?藪から棒に」

 

「単刀直入に聞く・・・お前らも転生者なのか?」

 

「転生者・・・?」

 

真の発言に二人はきょとんとした表情になる。

 

「仮面ライダーは本来この世界に存在しない力だ、それを持っているのは一部を除いて転生者だけ、だからお前たちもそうなのか?」

 

「ふむ・・・その転生者というのはようわからんが、少なくともうちらはこの世界に生まれ育ってきたぞ」

 

「はい、それより仮面ライダーが存在しないってどういう・・・」

 

「・・・そうか」

 

真は二人の反応を見て確信した。

 

(こいつらは転生者じゃない・・・この世界で生まれた人間だ。ならドライバーは誰から・・・別の神様か?)

 

真は少し考えこむが、すぐに雑念を振り払った。

 

(・・・いや、それを考えるのは後だ。今はいそうでこいつらを倒して二人の元に!)

 

そう決心し、真は再び武器を構える。

 

「ふむ・・・どうやら今のお主の力はうちらよりも上の様じゃ」

 

「なら負けを認めて引いてくれないかな?」

 

「それは無理じゃ、きゃろるの頼みは叶えてやらんとな・・・それに負けているならば上回ればよい」

 

そう言って二人はフォースライザーのキーを引き抜くと、別のキーを取り出す。

 

「そいつは、あの時取られたキー!」

 

真が驚く中二人は取り出したキーのライズスターターを押し込む。

 

カット!

 

サウンド!

 

二人は取り出した二つのキー『スラッシングマンティスプログライズキー』と『シンキングオウルプログライズキー』を装填すると、フォースライザーから『スラッシングマンティスライダモデル』と『シンキングオウルライダモデル』が出現し、フォースエグゼキューターを引いた。

 

フォースライズ!

 

スラッシングマンティス!

 

シンキングオウル!

 

Break Down.

 

二体のライダモデルが二人に覆いかぶさり、別のアーマーに形を変え二人に身に着けられ、『仮面ライダー滅 スラッシングマンティスフォーム』と『仮面ライダー迅 シンキングオウルフォーム』に変身した。

 

「マジかよ・・・!?」

 

真が驚く中、紫苑が首に巻き付けられたマフラーを取り刀に変え二刀流となる。

 

「さあ、行くぞ!」

 

紫苑が再び迫り真は慌てながらもシャインクリスタで迎撃しようとするが、迫る光線を紫苑は躱し、刀で防ぎ、真に迫った。

 

「くっ!」

 

真はアタッシュカリバーで対応するが、相手は二刀流で手数が倍、先程とは違い真が押されていった。

 

押されていく真はシャインクリスタで対応しようとしたが、上から放たれた何かでシャインクリスタが吹き飛ばされた。

 

上を見ると、空を飛んでいた桃恵が両方の翼から強力な音波を放ち、シャインクリスタを吹き飛ばしていた。

 

そして紫苑が真から離れると、上空から桃恵の音波が真を襲った。

 

シャインクリスタで防ごうとするが相手は音、シャインクリスタでも防ぎきれず真にダメージが走る。

 

「ぐぅ・・・!!」

 

音波に苦しめられる中、紫苑が一気に迫り真のアタッシュカリバーとアタッシュショットガンを弾き飛ばした。

 

「しまっ・・・!」

 

すかさず紫苑がアタッシュカリバーを、桃恵がアタッシュショットガンを手に取り互いに真に一撃を食らわす。

 

「がぁっ!」

 

二人の一撃に真は膝をつく。

 

「これで終いじゃ!」

 

二人はフォースエグゼキューターを戻し再び引いた。

 

スラッシングディストピア!

 

シンキングディストピア!

 

二人は同時に飛び上がり、二人同時にライダーキックを決める。

 

  

  

  

 

  

  

  

 

スラッシングディストピア

 

シンキングディストピア

 

二人のはなったライダーキックは真に直撃し爆発を起こす。

 

真は変身が解け倒れる直前、遠くの廃屋の天井が吹き飛ぶのが見えた。

 

その光景を見ながら真は倒れ伏した。




さて後書きの時間だが・・・また負けたな。
「うるせえ!!というより今回また新しいプログライズキーが出たな!」
「話変えたな・・・今回は前にスラッシングマンティスを考えてくれたティファールは邪道さんが考えてくれたシンキングオウルプログライズキーを出したな」
本来ならこのキーは歌うことでバフをかけてくれるんだが、フォースライザーで使うことで音波を発するようにカスタムしてみました。
「それにしても、ティファールは邪道さんの考えたキーが両方とも相手に渡ったんですね」
ああ、というよりこの二つのキー見た時滅と迅に使わせようって前々から考えてたんだよな。
「ふむ、つまりうちらが生まれたのはそのおかげというわけか」
ああ、蠍と蟷螂、隼と梟、相性はいいと思ってな。
「キーを考えてくれたティファールは邪道さん本当にありがとうございます」
さて、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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暗雲立ち込める


GX編第九話、前回のあらすじは!
「マリア姉さんたちと一緒のマムのお見舞いに行きました」
「響と未来の所にミカが、真の所に紫苑と桃恵が現れた」
「立花響が再びがんぐにぃるを身に纏ったぞ!」
「それに習って私達もフォームチェンジしました」
「結果俺と響がやられるというタイトル詐欺」
よしおっけい!それじゃあ早速GX編第九話、どうぞ!
「本気で前回のあらすじで終わらせるのか此処・・・」


響と真の敗北はS.O.N.G内に激震を走らせた。

 

「オートスコアラー、並びに仮面ライダー撤退を確認!」

 

「至急二人の救出を!」

 

「急行します!」

 

「あたしも行くぞ!」

 

すぐに緒川と奏が飛び出す。

 

「あたしらならやれる、だからプロジェクトイグナイトを進めてくれ!」

 

「強化型シンフォギアの完成を!」

 

モニターに移されていたのは、強化されたイチイバルとアメノハバキリの新しい力だった。

 

 

 

「響!真さん!しっかりして!」

 

暫くして真と響がメディカルルームに運ばれていく。

 

「響・・・真さん・・・」

 

二人を心配する未来に翼が肩に手をかける。

 

「大丈夫だ、立花と継菜ならきっと・・・」

 

「ったりめえだ!あいつらがこんなことで退場するもんかよ・・・!」

 

「ああ、あいつらならすぐに復活する・・・それにあたしらだったこのままでいるつもりはねぇ」

 

奏は拳を握り締める。

 

 

 

二人が搬送され一週間が経つ、発電施設の近くでエルフナインとフィーネ監修の元プロジェクトイグナイトは進められていた。

 

「プロジェクトイグナイト、現在の進捗は89%、旧二課が保有していた第一号、及び第二号聖遺物のデータと、エルフナインちゃんの頑張りと櫻井さんのアドバイスのお陰で予定よりずっと早い進行です」

 

「各動力部のメンテナンスと重なって、一時はどうなると思いましたが・・・作業や本部機能維持に必要なエネルギーは外部から供給出来たのが幸いでした」

 

「それにしても、シンフォギアの改修となれば機密の中枢に触れるということなのに」

 

緒川の疑問に弦十郎が答える。

 

「状況が状況だからな、それに八紘兄貴の口利きもあった」

 

弦十郎の口にした人物名にクリスが反応する。

 

「八紘兄貴って誰だ?」

 

それに答えてくれたのは翼だった。

 

「限りなく非合法に近い実行力を持って、安全保障を陰から支える政府要人の一人。超法規措置による対応のねじ込みなど彼にとっては茶飯事であり・・・」

 

「とどのつまりは何なんだ?」

 

翼が黙り込む中、緒川が続きを語る。

 

「内閣情報官、風鳴八紘。司令の兄上であり、翼さんの御父上です」

 

「だったらはじめっからそう言えよな、蒟蒻問答が過ぎるんだよ」

 

そこにマリアが横入る。

 

「私のS.O.N.G編入を後押ししてくれたのも、確かその人物なのだけど・・・なるほど、やはり親族だったのね」

 

マリアの言葉に翼は暗い顔をする。

 

「どうした?」

 

翼が黙る中、未来がやって来る。

 

「二人の様子を見てきました」

 

「生命維持装置に繋がれたままですが、大きな外傷はないし心配いりませんよ」

 

「ありがとうございます・・・」

 

 

 

遠い昔、とある民家で一人の少女と父親が一緒に過ごしていた。

 

その家には科学用品やいろいろな薬の材料が置かれており、その中で一人の少女が本を読んでいると。

 

「なあぁぁぁ!?」

 

父親の悲鳴と共にフライパンから黒煙が上った。

 

「パパ?」

 

少女が驚くと、父親は黒焦げの顔で振り返る。

 

「爆発したぞ・・・」

 

そんな父親を見て、少女は笑う。

 

失敗した料理を少女が食べ、少女は苦い顔をする。

 

「う、美味いか?」

 

「苦いし臭いし美味しくないし、0点としか言いようがないし」

 

「はぁ~、料理も錬金術もレシピ通りにすれば間違いないはずなんだけどなぁ・・・どうしてママみたいにできないのかな?」

 

「明日は私が作る、その方が絶対美味しいに決まってる」

 

「コツでもあるのか?」

 

「内緒、秘密はパパが解き明かして。錬金術師の基本でしょ」

 

少女の言葉に父親は笑った。

 

「はははっ、この命題は難題だ」

 

「問題が解けるまで私がずっとパパのご飯を作ってあげる」

 

そう言って少女は微笑む。

 

その辺りでエルフナインは目を覚ます。

 

「夢?数百年を得たキャロルの記憶・・・」

 

『目が覚めたかしら?』

 

目を覚ましたエルフナインにフィーネが声をかける。

 

「はい、すぐに作業に取り掛かります」

 

『ええ、私も少しなら助力するわね』

 

そう言ってエルフナインは作業に戻ろうとすると、父親の言葉を思い出す。

 

『キャロル、生きて・・・もっと世界を知るんだ』

 

『世界を・・・?』

 

『それがキャロルの・・・』

 

(パパは何を告げようとしたのかな?その答えを知りたくて僕はキャロルから世界を守ると決めて・・・でもどうしてキャロルは、錬金術だけではなく自分の思い出まで僕に転送複写したのだろう)

 

そんな中、キャロルは居城で呟く。

 

「頃合いだ、始めるぞ」

 

その瞬間、司令室でアルカノイズの反応が出た。

 

「アルカノイズの反応を検知!」

 

「座標絞りこみます」

 

すると大きな揺れが起き、モニターに発電所が襲撃されている光景が写った。

 

「まさか、敵の狙いは、我々が補給を受けているこの基地の発電施設!」

 

そんな中、切歌と調がやって来る。

 

「何が起きてるデスか!?」

 

「アルカノイズにこのドッグの発電施設が襲われておるの!」

 

「ここだけではありません!都内複数個所位にて同様の被害を確認!各地の電力供給率大幅に低下しています!」

 

「今本部の電力供給を絶たれると、ギアの改修への影響は免れない!」

 

「内臓電源も、そう長くは持ちませんから」

 

「それじゃあ、メディカルルームも!」

 

「くそっ!セレナ、あたしらでここだけでも食い止めるぞ!」

 

「はい!」

 

そう言って奏とセレナは外に飛び出す。

 

「現状戦えるのは奏さんとセレナさんの二人だけ・・・けど二人だけでは」

 

そんな中、調は懐からメガネを取り出すとすぐに身に着ける。

 

「ど・・・どうしたデス調?」

 

「しーっ」

 

そうすると二人は司令室から抜けとある場所まで向かう。

 

「『潜入美人捜査メガネ』で飛び出して、いったい何をするつもりデスか?」

 

「時間稼ぎ、そして二人の手伝い・・・」

 

「なんデスと!」

 

走りながらも調は答える。

 

「今大切なのは強化型シンフォギアの完成までに必要な時間と、エネルギーの確保すること」

 

「確かにそうデスが、まったくの無策じゃ何も」

 

「まったくの無策じゃないよ、切ちゃん」

 

二人は通路の先の扉を見る。

 

「メディカルルーム?」

 

二人がメディカルルームに入ると、響と真が生命維持装置に繋がれていた。

 

「こんなところでギア回収までの時間稼ぎデスか?」

 

「このままだとメディカルルームの維持もできなくなる」

 

そう言って調は寝ている響と真に近づき、心配そうにする調を見て切歌は微笑む。

 

「だったらだったで、助けたい人がいると言えばいいデスよ」

 

「嫌だ」

 

「どうしてデスか?」

 

そう聞くと調は顔を赤くする。

 

「恥ずかしい・・・切ちゃん以外に私の恥ずかしいところは見せたくないもの」

 

調の言葉に切歌は笑顔を浮かべる。

 

「調ぇ~~~!」

 

調に抱き着こうとすると調は切歌を躱し切歌は床に激突する。

 

「いててっ・・・まったくなんデスかもう・・・」

 

切歌が鼻を抑えていると調は何かを見つける。

 

「見つけた・・・!」

 

少しして調と切歌が部屋から出ると、真の指が動いた。

 

 

 

一方で、発電施設にてアルカノイズに対し軍の人たちが抵抗するが全く歯が立たない。

 

「くそっ!このままじゃ!」

 

「あんたら!早く離れろ!」

 

その場にいち早く到着した奏とセレナはショットライザーを身に着けキーを手にしていた。

 

「セレナ、シンフォギアで一気に行くぞ!」

 

「はい!」

 

ブレイド!

 

ブラスター!

 

『『オーソライズ!』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

「「変身!」」

 

二人はガーディアンハバキリプログライズキーとクリムゾンイチイバルプログライズキーを装填しトリガーを引く。

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

ガーディアンハバキリ!

 

クリムゾンイチイバル!

 

Imyuteus amenohabakiri tron.

 

Killter Ichaival tron.

 

二人の身に異形なシンフォギアが纏い『仮面ライダーバルカン ガーディアンハバキリフォーム』と『仮面ライダーバルキリー クリムゾンイチイバルフォーム』へと変身しアルカノイズに攻撃する。

 

「おらぁ!」

 

奏は脚部のユニットから刀を二振り取り出し、ノイズに切りかかり。

 

「やぁっ!」

 

セレナは二丁のボウガンでノイズに応戦するが、それでも今回現れたノイズの数は尋常じゃなかった。

 

「くそっ!数が多い!」

 

「このままでは押されてしまいます!」

 

倒しても倒しても数が減った気がしないノイズの数の多さに加え、分解器官の存在で思うように戦えない二人だったが、そこに切歌と調が駆け付けた。

 

「お待たせデス!」

 

「私たちも戦う!」

 

「月読さん!暁さん!なぜここに!?」

 

セレナが驚く中、二人はペンダントを握り締め聖詠を歌う。

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

二人はイガリマとシュルシャガナを身に纏い戦場に出た。

 

『使用BGM ジェノサイドソウ・ヘヴン』

 

二つ結びの輪舞 お仕置きのスタート

 

調は飛び上がり、アルカノイズに向けて大量の丸鋸を放つ。

 

α式 百輪廻

 

次々とアルカノイズを切り裂き、切歌もアームドギアの刃を増やしアルカノイズに向けて放つ。

 

切・呪リeッTぉ

 

更にアルカノイズが倒され、奏とセレナにも余裕が生まれる。

 

「正直助かりましたけど・・・どうしてお二人がLINKERもなしで」

 

すると司令室の方から連絡が入って来た。

 

「バルカンとバルキリー、並びにイガリマとシュルシャガナ交戦を始めました」

 

「お前たち!何をやっているのかわかってるのか!」

 

『もっちろんデスとも!』

 

『今のうちに強化型シンフォギアの完成をお願いします!』

 

『お二人は私たちがサポートします!』

 

『悪いがここはあたしら四人が食い止める!』

 

「っ…!」

 

通信を切り、四人は戦いに集中する。

 

強くなりたい 守られるだけだと

 

四人は次々とアルカノイズを撃退していく。

 

「二人のためにも一気に決めるぞ!」

 

「分かりました!」

 

ブレイド!

 

ブラスター!

 

アメノハバキリブラスト!フィーバー!

 

イチイバルブラスト!フィーバー!

 

二人はライズスターターを押し込み、すぐにトリガーを引くとセレナの持つ武器が弩弓に変わり矢を上空に放つと上空で矢が無数に分裂し降り注ぎ、奏が二振りの剣にエネルギーを溜め、そのまま横に回転し円形の斬撃を放つ。

 

GIGA ZEPPELIN

 

蒼ノ円陣

 

二人の攻撃でさらにアルカノイズの数が減り、残りも少なくなる。

 

「よしっ、一気に片付けるぞ!」

 

「「「はい『デス』!」」」

 

四人がアルカノイズと戦う中、建物の上で三人がその様子を見ていた。

 

「ふむ、見事な者じゃな。特にあの装者二人の息の合いようはまるでうちらみたいじゃのう」

 

「うん、そうだね」

 

「なあなあ!早く戦いたいゾ!」

 

「焦るでない、先も話した通りうちらがらいだぁと戦うからみかは装者二人を頼むぞ」

 

「分かったゾ!任せるんだゾ!」

 

そう言ってミカは真っ先に飛び出す。

 

「・・・ねえお姉ちゃん、このままキャロルちゃんの作戦通りに進んでもいいのかな」

 

「このような計画は反対じゃ・・・じゃがそれがきゃろるの悲願じゃからな、うちら二人を拾ってくれた恩は必ず果たす、たとえどのようなことでもじゃ」

 

そういう紫苑の顔はどこか暗かった。

 

「桃恵よ、もしものための『あれ』はちゃんと準備しておるのか?」

 

「うん、今もちゃんと記録してるよ」

 

「ならばよい、では行くぞ」

 

そう言って二人はミカの後を追いかける。





さて後書きの時間だ。
「今回は私と奏さんがアメノハバキリとイチイバルを身に纏いましたね」
「この時の姿ってやっぱ真とは違うのか?」
いや、迷ったけどシンフォギアは同じ姿で統一しようと思う。
「迷った・・・とはどういう事じゃ?」
実は前までショットライザーで変身したらアナザーの姿にしようか考えてたんだけど、それだとややこしいから本編の姿で統一することとしました。
「そうだったんですね」
そっ、アナザー組の衣装はみんないいんだけどね・・・因みに俺の推しのアナザーはセレナです。
「いや聞いてないから・・・」
いやだって見てよアナザーセレナのあの姿、是非とも抱きしめてほしいっていうか。
「よし殺す」
MATTE!?
「本人の目の前であほなこと抜かすな!」
ギャアァァァァ!!?
「あの・・・一体何が?」←耳、目塞ぎ。
「気にすんな、セレナは知っちゃいけないことだ」
「うむ、あまり聞いていい物じゃないぞ」
「はい・・・セレナさんはそのままでいてください」
「?」
「よし、ごみは捨てて来たからさっさと〆るぞ」

「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」


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天災

GX編第十話、前回のあらすじは?
「俺と響が緊急搬送」
「エルフナインがキャロルの過去を見る」
「発電施設に敵襲来」
「年下組が薬を盗み出したぞ」
「四人でノイズと戦闘です」
よしOK、後紫苑言い方、それだと誤解あるから。
「うむ、気を付けよう」
それではGX編第十話、どうぞ!


四人が戦っている時、真は夢を見る。

 

霧が立ち込める中、頑張って走り抜けようとするが行く手を阻む敵の影。

 

真は変身して立ち向かうが、敵の力の前になすすべもなく敗れてしまう。

 

傷つき伏せる中真が周りを見ると、そこには同じく倒れる仲間たちがいた。

 

そして目の前で血を流し倒れてしまう響を見てしまう。

 

『今の力じゃみんなを守れない・・・もっと強い力を・・・みんなを守れる強い力を・・・!』

 

立ち上がろうとする真の目に映ったのは、空を覆いつくす虫の群れだった・・・。

 

 

 

「・・・ん」

 

現実では真が眼を覚ます、横を見ると響はまだ寝ていた。

 

「・・・くっ」

 

真は自身に繋がれている生命維持装置を取り外し、メディカルルームを後にする。

 

傷も完全に癒えてない状態でふらふらとした足取りで司令室に向かうと、扉越しにみんなの声が聞こえてくる。

 

『現在、奏さん達が応戦してます!』

 

「っ!」

 

その言葉を聞いて真は部屋に入らず、振り返り出口へと向かう。

 

「守るんだ・・・今度は絶対に・・・!」

 

そう呟く真の瞳は、何かを決心していた。

 

 

 

真が出て行った後、響は昔の夢を見た。

 

ライブ会場の一件の後、周りの人たちから酷い風評被害を受け、学校でも酷いいじめを受けていた。

 

家で母親に泣きつき、祖母が見守る中、父親は家を出ようとしていた。

 

『私、みんなでまた暮らせるようにリハビリ頑張ったよ・・・なのに、どうして・・・お父さん!』

 

離れてしまう父親に手を伸ばすが、その手は届かなかった。

 

 

 

現実では響は涙を流しながら目を覚ます。

 

響は目を覚ますと自分の手を見つめる。

 

(大切な物を壊してばかりな私・・・でも未来は、そんな私に救われたって励ましてくれた)

 

「未来の気持ちに応えなきゃ」

 

響はそう言って起き上がり胸元に手を触れると、そこにペンダントがないことに気が付き廃屋でのことを思い出す。

 

 

 

一方で司令室では戦闘に出ている調と切歌の状態を調べていた。

 

「シュルシャガナとイガリマ、装者二人のバイタル安定?ギアからのバックファイア低く抑えられています」

 

「一体どういう事なんだ?」

 

皆の感じる疑問に緒川が口を開く。

 

「さっきの警報、そういう事でしたか・・・」

 

「ああ、あいつらメディカルルームからLINKERを持ち出しやがった!」

 

「まさかモデルKを!奏の残したLINKERを・・・!」

 

モデルK、それはかつて櫻井さんが奏のために作ったLINKERの事である。

 

あの時二人がメディカルルームで見つけたのは保存されていたモデルKのLINKERであった。

 

『まったく調ってば、穏やかに済ませれないタイプデスか?』

 

『メディカルルームなら、シンフォギアのバックファイアを治療する薬があってもおかしくないもの』

 

『訓練の後、リカバリーを行うのもここだったデス』

 

そう言ってLINKERに触れると警報が鳴るが、それでも二人はLINKERを持ち出したのだった。

 

「ギアの改修が終わるまで!」

 

「発電所は守って見せるデス!」

 

「はい!そのためにも!」

 

「こいつらを全部ぶっ飛ばす!」

 

四人が懸命に戦う中、ほかの発電所でもほかのオートスコアラー達が暴れていた。

 

「対象、派手に破壊完了」

 

「まるで積み木のお城、レイアちゃんの妹に手伝ってもらうまでもないわね」

 

オートスコアラー達は自身の能力を巧みに扱い次々と発電所を破壊していく、その威力は想像を超えていた。

 

破壊を終えるとファラはキャロルに連絡を取った。

 

『該当エリアのエネルギー総量が低下中、間もなく目標数値に到達しますわ』

 

「レイラインの解放は任せる、俺は最後の仕上げに取り掛かる」

 

『いよいよ始まるのですね』

 

「いよいよ終わるのだ、そして万象は・・・黙示録に記される」

 

 

 

「そりゃあぁぁぁあぁぁ!」

 

そんな中、切歌達の元にミカが襲い掛かってくる。

 

「あいつはオートスコアラーの!」

 

ミカは切歌を吹き飛ばし調と共に壁に叩きつけた。

 

「月読さん!暁さん!」

 

「あたしらも行くぞ『お主らの相手はうちらじゃ!』っ!」

 

ミカの元に向かおうとする奏とセレナの行く手を紫苑と桃恵が阻んだ。

 

「始めましてじゃな、うちは如月紫苑、仮面らいだぁじゃ!」

 

「如月桃恵、同じく仮面ライダーです」

 

「真お姉ちゃんを倒した二人・・・!」

 

「このタイミングで来るのかよ・・・!」

 

紫苑と桃恵は陣からフォースライザーを取り出し、すぐに身に着ける。

 

フォースライザー!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

キーを装填すると、二体のライダモデルが奏たちの行く手を阻む。

 

「「変身!」」

 

フォースライズ!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

Break Down.

 

二人は滅と迅に変身すると、再び陣を展開しそこからアタッシュカリバーとアタッシュショットガンを取り出す。

 

「そいつは!?」

 

「お主らの武器、使わせてもらうぞ」

 

そう言って二人は奏たちに襲い掛かった。

 

 

 

「いったた・・・」

 

「簡単にはいかせてくれない・・・」

 

「じゃりんこ共、あたしは強いゾ」

 

ミカは挑発するように二人の方を向いた。

 

「子供だと馬鹿にして・・・」

 

「目にもの見せてやるデスよ!」

 

そう言って二人は二本目のLINKERを取り出す。

 

司令室でも二人が二本目のLINKERを使おうとしているところを見ていた。

 

「さらにLINKERを!」

 

「二人を連れ戻せ!これ以上は『やらせてあげてください』っ!?」

 

弦十郎の言葉をマリアが遮った。

 

「これは、あの日道に迷った臆病者たちの償いでもあるんです」

 

「臆病者たちの償い?」

 

マリアの言葉にクリスは首を傾げる。

 

「誰かを信じる勇気がなかったばかりに、迷ったまま独走した私達。だからエルフナインとフィーネがシンフォギアを蘇らせてくれると信じて戦う事こそ私たちの償いなんです!」

 

そう言ったマリアの口から血が流れていた。

 

「マリア・・・」

 

それを見てマリア達の決心は固いとみんなは悟った。

 

戦場では切歌と調はLINKERを相手の首に当て、空いた手を繋ぐ。

 

「二人でなら!」

 

「怖くないデス!」

 

そう言って二人は二本目のLINKERを打ち込む。

 

打ち込んでミカの方を向くと、二人は鼻血を出す。それはLINKERの過剰摂取による副作用だった。

 

「オーバードーズ・・・」

 

「鼻血がなんぼのもんかデス」

 

二人は血を拭い、ミカに視線を向ける。

 

「行こう切ちゃん、一緒に!」

 

「切り刻むデス!」

 

『使用BGM Just Loving X-Edge』

 

切歌は二本の鎌を繰り出し、それを一つに束ねる。

 

対鎌・螺Pぅn痛ェる

 

調は頭部のユニットから二枚の巨大な丸鋸を繰り出す。

 

「オっ?面白くしてくれるのか!」

 

ミカは手にしていたカーボンロッドを二人に投げつけるが、二人はすぐに変わしミカに攻めよった。

 

ミカは掌からカーボンロッドを切歌に向けて射出する。

 

危険信号点滅 地獄極楽どっちがイイDeath?

 

切歌は背中のブースターで加速しながらカーボンロッドを弾き、ミカに振るうがカーボンロッドに防がれてしまう。

 

真っ二つにされたけりゃ Attention! 整列(きをつけ)Death

 

だがLINKERを二本打ったことで上がった適合係数によって二人の力も上がっており、ミカのカーボンロッドを砕く。

 

未成熟なハートごと ぶつけた敵対心

 

ミカが下がるとそこに調が二枚の巨大な丸鋸をミカに向けて放つ。

 

γ式 卍火車

 

行き場のないボルテージ 隠したティアーズ

 

ミカは再びカーボンロッドを繰り出し丸鋸を弾くが、調は更に丸鋸を円形に繰り出し車輪のようにして迫る。

 

非常Σ式 禁月輪

 

ミカはそれを受け止めようとするが、カーボンロッドが切り裂かれてしまう。

 

偽善者と吐いた言葉は 合っているの?

 

突き進むだけのレール ねぇ 合っているのDeathか?

 

二人の力は確かに弱い、だが二人が力を合わせ、歌を重ねれば、その力は響達に迫るものだった。

 

切り刻むことない世界に夢抱き

 

 

一方で奏が紫苑と、セレナが桃恵と戦っていた。

 

紫苑のアタッシュカリバーと刀による二刀流に対し奏も二刀流で向かい合っていた。

 

一方で桃恵の空中からの狙撃に対しセレナはスナイパーライフルで撃ちあっている。

 

「あんたらはあいつらと同じように二人一緒の戦闘が得意みたいだからな、こうして分断すれば戦力は半減するだろ!」

 

「うむ、見事な着眼点じゃ。じゃが分断されていてもうちらは強いぞ!」

 

紫苑は奏と距離を取り、青色の陣を展開し二本の刀身に冷気を纏わせる。

 

「そいつか、だが対策はバッチシだ!」

 

奏が剣を高速で回転させると、炎が刀身を纏った。

 

これは翼の技である『風輪火斬』をベースとした対冷気用の対策だった。

 

「おおっ!うちと同じようなことができるのか!」

 

「ああ、行くぜ!」

 

炎を刀身に纏わせ奏は紫苑とぶつかり合う。

 

「お姉ちゃん!」

 

「貴方の相手は私です!」

 

セレナはライフルで桃恵の翼を狙って狙撃するが、桃恵はそれに気が付きセレナの弾丸に向けて射撃し互いの弾丸がぶつかり合う。

 

「っ! だったら!」

 

桃恵は赤色の陣を展開し銃口に炎が纏われ、炎の弾丸が放たれる。

 

「炎の錬金術・・・なら!」

 

セレナはライフルをしまい、アタッシュアローを取り出しそこにフリージングベア―プログライズキーを装填し、そのまま矢を放つ。

 

フリージングカバンシュート!

 

放たれた冷気の弓矢と炎の弾丸がぶつかり合い、互いに消滅してしまう。

 

「そんな・・・!」

 

「この先へは行かせません、真お姉ちゃんの仇を取らせていただきます!」

 

再び炎の弾丸と氷の矢がぶつかり合う。

 

ミカはソーラーパネルの上へと上がり、切歌と調はそのあとを追いかける。

 

強くなれば 太陽の輝きに

 

強くなる勇気を 心に秘めて月を包む 輝きに

 

二人はミカに切りかかり、ミカの持つカーボンロッドを砕く。

 

「子供でも下駄をはけばそれなりのフォニックゲイン、出力の高いこの子一人でも十分かもだゾ」

 

ミカは怪しげに笑う。

 

強くなりたい 守られるだけだと

 

強くなる為には 何がいるかを求め続けるだけだと

 

調は二つのヨーヨーを重ね上へ放ち、巨大な二枚刃の丸鋸へと形を変えミカに向けて振り下ろす。

 

β式 巨円断

 

ミカは炎のバリアを展開し調の攻撃を防ぐと、その隙に二人は高くジャンプする。

 

強くなれば 太陽の輝きに

 

強くなる勇気を 心に秘めて月を包む 輝きに

 

調の足に丸鋸が展開され、切歌の足に鎌の刃が展開され、まるでライダーキックのようにミカに迫る。

 

近づけるかな?

 

嘘はない 番いの愛

 

二人の攻撃がミカのバリアとぶつかり合う。

 

君に照らされ

 

君に照らしたい

 

このままいけばバリアを破れる、そう思っていた時。

 

「どっかーん」

 

ミカがそう呟くと、バリアが爆発を起こし二人を巻き込んだ。

 

 

 

爆発は発電所に大きな被害を与え、S.O.N.G内の電源が落ちてしまう。

 

「内臓電源に切り替えます!」

 

すぐに内臓電源に切り替え、二人の姿が映る。

 

「負けないで・・・」

 

「お願い・・・二人に奇跡を・・・!」

 

「くそっ・・・まだ改修は終わらないのかよ!」

 

そんな時司令室の扉が開かれ響が入ってくる。

 

「響君」

 

「響っ!」

 

未来はすぐに響の元に駆け付け抱き着く。

 

「ありがとう・・・響のお陰で私・・・」

 

「私の方こそ、また歌えるようになったのは未来のお陰だよ!」

 

響は笑顔で答える。

 

「でも、平気なの?」

 

「大丈夫、へっちゃらだよ!」

 

そう言って響は胸元に手を添える。

 

「状況、教えてください」

 

「ああ、それにしても真君はまだ起きないか」

 

「ええ、大分ダメージをおっていましたかなね」

 

弦十郎たちの言葉に響は首を傾げる。

 

「えっ?真さんがどうしたんですか?」

 

「真君も大けがを受けて搬送されたんだ、響君の隣に寝ていただろう」

 

「・・・いえ、私が目を覚ました時には隣には誰もいませんでした」

 

「なんだとっ!?」

 

その言葉にメディカルルームの映像を映すと確かにそこに真の姿はなかった。

 

「なぜいないんだ・・・まだ傷は癒えてないというのに!」

 

「まさかあいつ!?」

 

 

 

「っ!?切歌!調!」

 

奏たちは急いで二人の元に駆け付けようとするが、行く手を紫苑と桃恵が阻む。

 

「済まぬがこの先へは行かせんぞ」

 

二人の行く手に如月姉妹が立ちふさがり、互いにフォースライザーからキーを引き抜き武器に装填する。

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

キーを装填した上、更に二人はそこに陣を生成し威力を高め二人に向けて放った。

 

スティングカバンストラッシュ!

 

フライングカバンショット!

 

「がぁ!!」

 

「きゃあ!!」

 

アタッシュカリバーから放たれた氷の蠍の尻尾が奏に、アタッシュショットガンから放たれた炎の隼がセレナに襲い掛かり二人は大きく吹き飛ばされ、変身が解け倒れてしまう。

 

切歌達の方も爆発のダメージで調が膝をついてしまう。

 

「このままじゃ何も変わらない・・・変えられない!」

 

「こんなに頑張っているのに、どうしてデスか!?こんなの嫌デスよ・・・変わりたいデス!」

 

二人の体はボロボロでもう戦える状態ではなかった。

 

「まあまあだったゾ。でもそろそろ遊びは終わりだゾ」

 

そう言ってミカは髪の毛から炎を噴出し切歌に一瞬で迫る。

 

「ばいなら~!」

 

そう言ってカーボンロッドを切歌のペンダントにぶつけようとしたその時。

 

「っ!」

 

どこかからエネルギー弾が飛んできたのをミカは察知し攻撃を止めすぐに防いだ。

 

「誰だゾっ!」

 

飛んできた方向を向くと、そこにいたのは患者衣の姿の真がオーソライズバスターを構えていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・ギリギリ、だったな」

 

「真!?」

 

「真お姉ちゃん!?」

 

奏とセレナが驚く中、真はふらふらとした足取りで歩く、まだ傷が治ってないため真の体にはまだ包帯が巻かれているままだった。

 

「その体でここまで来たのか?なんという胆力じゃ・・・」

 

「うん、すごい・・・!」

 

真のその様子には紫苑たちも驚く中、真は切歌達の前に立つ。

 

「これ以上、二人には手出しさせないぞ・・・」

 

「お前知ってるゾ、紫苑と桃恵に負けた仮面ライダーなんだゾ。そんなボロボロの体で戦えるのか?」

 

「駄目です、早く逃げて!」

 

「そんな身体じゃ死んじゃうデスよ!?」

 

切歌達がそう叫ぶが、真は引かなかった。

 

「大切な後輩がやられているっていうのに・・・逃げる馬鹿がいるかよ!」

 

アウェイクン!

 

真はボロボロの体を奮い立たせ、ゼロワンドライバーを身に着ける。

 

「お前たちは絶対に守る・・・!」

 

そう言って真はホルダーから『銀色の異質な形のキー』を手に取る。

 

「そのキーは!」

 

「セレナ、知ってるのか?」

 

真の持つキーにセレナは見覚えがあった。

 

前に真が見せてくれた異質なキー、あまりにも強すぎる為真自身使うのを躊躇った存在であった。

 

「なんだ?そのキラキラした奴は?」

 

「まだ別の力を持っておったのか?」

 

「けど・・・なんだか嫌な予感がする」

 

真の手にしたキーに敵も反応する、真はそのキーを握り締めながら口を開いた。

 

「切歌、調、まだ動けるか?」

 

「えっ?う・・・うん、多分」

 

「そうか、ならすぐに俺から離れろ。できるだけ遠くに」

 

「ど、どうしてデス『いいから早く!!』っ!」

 

普段の真らしくない大声に二人は驚きながらも、二人は頷き互いに支え合いながら真から離れる。

 

「・・・すまないな」

 

真は二人が離れたのを確認し、目を瞑る。

 

(覚悟はできてるか?)

 

真は自分自身に問いかけ、そして答える。

 

「・・・ああ、出来てるよ」

 

真は決心し目を開き、ライズスターターを押し込んだ。

 

飛電メタルズアビリティ!

 

オーソライズ!

 

認証するがいつものようにライダモデルが現れない、それだけでも異質に感じるキーを展開し構える。

 

「・・・・・・っ!」

 

真は少し固まるが、意を決してドライバーに装填する。

 

プログライズ!

 

装填した瞬間、ドライバーから赤黒い電撃が迸り真を襲った。

 

「ぐっ…がぁあぁぁぁああああぁぁ!!!」

 

自身の体を襲う激痛に真は悲痛の叫びをあげる。

 

「真!?」

 

「真お姉ちゃん!?」

 

「な、何じゃ!?」

 

「いったい何が!?」

 

「おおっ!?」

 

「真さん!?」

 

「なんなんデスか!?」

 

その場にいた六人は突然の出来事に驚きを隠せないでいた、それはS.O.N.Gの方でも。

 

「真君!?」

 

「これは一体!?」

 

「継菜!?」

 

「おい、あれは一体何なんだ!?」

 

「「真さん!?」」

 

皆が困惑する中、オペレーターが報告する。

 

「ゼロワンのバイタル急激に変化してます!」

 

「この状態・・・前にガングニールが暴走した時と同じです!」

 

「なんだとぉ!!?」

 

真は激痛に襲われる中、自身の視界が赤く染まっていくのを視認していた。

 

その赤はまるで文字のように見え、そして真はその文字を理解した。

 

 

 

 

 

 

 

滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨滅亡暗殺戦争悪憎死獄愚蔑凶邪虐痛怨恨

 

 

 

 

 

 

 

視界を覆うほどの大量の負の文字、そして文字と共に聞こえてくる悲鳴のような声に真は苦しめられる。

 

「あああぁぁぁあああぁぁああぁあああああ!!!」

 

その光景を最後に、真の意識はぶつりと途切れた。

 

真の叫びが止むと真の腕は力なくだらんと下になり真は顔を伏せる。

 

「ま・・・真?」

 

奏が呼びかけると、真はゆっくりと顔を上げる。

 

その目はいつもの黒色ではなく、血のような赤色に染まっていた。

 

『っ!?』

 

その場にいた全員が真の異質さを感じると、突然ドライバーから大量の銀色のバッタが飛び出してきた。

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

ドライバーから飛び出した大量のライダモデルは空を覆い、真の周りを飛び回る。

 

「これは・・・」

 

「まるで・・・蝗害のよう」

 

その光景に弦十郎と緒川は息を呑む。

 

大量のライダモデルが飛び回る中、真は『メタルライザー』に手をかけ、言葉を紡ぐ。

 

「変身」

 

それは真とは思えないほどの低く、暗い声、そして真はそのままメタルライザーを畳んだ。

 

メタルライズ!

 

すると飛び回っていたライダモデル達が一斉に真の体に群がり、その形をアーマーへと変える。

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

ライダモデル達が消え、そこに立っていたのは銀色に包まれたゼロワンだった。

 

「あれは・・・」

 

「銀色の・・・ゼロワン?」

 

その体は銀色に輝き、だがその瞳は血のように赤黒い。

 

『仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパー』 それはまさに『天災』そのものだった。




さて後書きの時間だが・・・。
「ついに出やがったなメタルクラスタホッパー・・・」
正直言うと、俺この作品で一番出したかったのこのキーなんだよね、書けて大満足。
「それになんだあの大量の文字、見てて目がおかしくなったわ」
メタルクラスタの初変身があれだったしこんな感じにしてみました、マジで見てて目がやばい。
「それに俺の様子もあれだし、大丈夫なのか?なんだか本編よりも凶悪な感じがするんだが・・・」
そこは頑張れ。
「投げやりかよ!?」
「にしてもあたしらも負けたな~強いなあんたら」
「うむ、どらいばぁの性能の差じゃな、同じ性能なら結果も違ってたじゃろうて」
「だとしても、お二人の実力は相当なものです、私たちももっと頑張らないと」
「はい、なら私たちも負けていられませんね」
よし、一部不穏だが良い感じだしそろそろ〆とくか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回6:立花響と継菜真の誕生日


特別編第六話!今日は響と真、ついでに俺の誕生日だ!
「やっと俺と響の誕生日が来たか・・・長かったな」
今宵で俺もまた一つ歳をとったか・・・感慨深いな。
「そういや、真って今日で何歳になるんだ?」
えっと・・・無印編で19歳だったからその時は響はまだ一年生で今響は二年生だから真も一年取ってるから・・・今回で21歳か?
「そうですね、これでマリア姉さんと同い年ですね」
「マリアと同い年って・・・なんか複雑だな」
「うちらは敵じゃが、ここではそんなこと気にせん、誕生日おめでとうじゃ!」
「おめでとうございます」
「ありがとう・・・現在の敵に祝われるってなんか複雑だな」
まっそれはさておきそろそろ行きますか、特別編開幕だ!


9月12日、今日この日翼宅にて八人の少女達が集まっていた。

 

「さて皆さん、今日は明日の響と真さんの誕生日について話し合いましょう」

 

小日向未来を中心とし話し合いは始まった。

 

「しっかし、まさか真の誕生日が響と同じとはな」

 

「はい、私もこの前聞かされた時は驚きました」

 

真が自分の誕生日のことを伝えてないのは、転生したてであり性転換されたてであり、二課での任務もあって完全に自分の記憶から飛んでいたのだった。

 

「それに真さんにはよく誕生日の料理をお願いしてますから今回は私達で準備をしましょう!」

 

「ああ、継菜には世話になってるからな、立花と共に盛大に祝ってやろう」

 

「だな、偶には馬鹿二人を纏めて驚かせてやろうか」

 

「おっクリスも乗り気だな、んじゃあたしらも頑張りますか」

 

「任せて、おさんどんは私の得意分野・・・」

 

「私も手伝うデース!」

 

「ええ、みんなで最高のバースデーにしましょう」

 

「はい、それでは皆さん早速『あの…』えっ?」

 

皆が盛り上がる中、セレナがおずおずと手を上げる。

 

「そのことなんですけど・・・ちょっと難しいと思います」

 

「えっどうして?」

 

「それが・・・」

 

 

 

時は先日の夜中、セレナが喉を潤しに台所に向かったところ、そこで何かをしている真を認識した。

 

「真お姉ちゃん、何してるの?」

 

「ああ、セレナか」

 

よく見ると、台所の上には大量の食材が並べられていた。

 

「どうしたんですか、この食材の山?」

 

「ああこれ?これは明後日の誕生日のための準備だ、今から仕込みをしようと思ってな」

 

「えっ!こんな時間からですか?」

 

「ああ、誕生日は大切な日だからな、今のうちに準備していいものを食わせてやりたいからな・・・ってつい最近まで自分の誕生日を忘れていた俺が言うのもあれだけど」

 

「そうなんですか・・・けどその日は響さんの誕生日であると同時に真お姉ちゃんの誕生日でもありますよね、自分の誕生日の料理を自分で用意するってどうなんですか?」

 

「それを越して俺の好物も準備してるから、これぐらいいいだろ」

 

「・・・そうですね」

 

「そっ、それじゃあそろそろ仕込みをするから」

 

「はい、それじゃあ私も飲み物飲んでから上がりますね」

 

 

 

「・・・ということがありまして、料理はもう真お姉ちゃんが用意してるんです」

 

セレナの発言を聞いてみんなは頭を抱えた。

 

「そうだった・・・彼女料理の腕高いんだった・・・!」

 

「うん、何だったら私たちの中で一番高いと思う・・・」

 

「デース、真さんの料理美味しいデスからね」

 

「よく考えたら家の家事って大体あいつがやってるからな」

 

「ああ、普段が男らしいが一番女子力が高いからな」

 

「おいどうすんだ、もうあたしらのできること少ないんじゃないか?」

 

「そうですね・・・今回は駄目でしたけど来年こそは頑張りましょう」

 

さっきまで上がっていたテンションはどこへやら、今回の敗因は真の準備の良さであった。

 

 

 

そして誕生日当日、真の家で響と真の誕生日が行われた。

 

「響!真さん!誕生日おめでとう!」

 

未来の掛け声で皆はクラッカーを鳴らす。

 

「ありがとうみんな!」

 

「ああ、祝ってくれてありがとうな」

 

「いえ、私達が出来たことは飾りつけだけでしたしせめて盛大に祝わないと」

 

「いやそこに関しては済まない、来年はみんなの作った料理期待してるから!」

 

「うん!私も楽しみにしてるよ!」

 

「うん!期待しててね。それじゃあ二人にプレゼントね」

 

そう言ってみんなはプレゼントを二人に渡した。

 

「私からは今度公開する新曲の入ったCDだ」

 

「ありがとうございます翼さん!」

 

「あたしからは服だ、そろそろ肌寒くなってくるからな」

 

「ありがとうな・・・これで女物じゃなければ大いに喜んでたんだけど」

 

「私からは海外の香水よ、貴方も食気より彼女みたいに女子力を磨きなさい」

 

「たははっ、ありがとうございます」

 

「私からは新しいエプロンです、来年は頑張りますね!」

 

「ああ、期待してるぞ。それとエプロンありがとうな」

 

「私と切ちゃんはオルゴール・・・」

 

「一番音色が綺麗なのを選んだデース!」

 

「ありがとう切ちゃん!調ちゃん!」

 

「ああ、大切にするな二人共」

 

皆からプレゼントをもらって最後は未来から。

 

「私からはこれ、二人お揃いにしてみたんだ」

 

箱の中に入っていたのは半分に分かれたペンダントが二つ、それぞれを合わせると星の形になった。

 

「綺麗!ありがとう未来!」

 

「ああ、ありがとうな未来」

 

「どういたしまして、さっそれじゃあ真さんの作った料理食べようか」

 

「うん!それじゃあ真さん、いただきまーす!」

 

「はいはい、召し上がれ」

 

こうして、若干の失敗はあったが二人の誕生日は盛大に祝われたのだった。





さて後書きの時間だ。
「今回は花はないんだな」
ああ、それの代わりと言っちゃなんだが豆知識、9月13日の誕生花のタマスダレの花言葉は『純白な愛』『期待』だ。
「期待か、なんだか響にぴったりだな」
「純白な愛・・・はどうなんだ?」
う~ん、はっきり言って俺恋愛とか苦手だからフラグ立たせんの苦手なんだよな。
「いやそういうのは良いだろ、これそういう話じゃないんだし」
「・・・そうですね」
「えっ何セレナ今の間?」
「なんでもありません」
「しかし、お主の料理の腕はすごい物じゃのう」
「本当ですね、けどそのせいで皆さんの計画が・・・」
「そこに関しては本当にごめん、次回は自重するから」
さて、後書きはこのぐらいにしてそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」

「今回は作者さんに変わって私が、そして~!」

『ハッピーバーズディ!響!真!作者!』


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銀色の悪意


GX編第十一話、前回のあらすじは?
「響と真が夢を見て起きる」
「私たちの元にお二人とミカが現れました」
「お二人がユニゾンでミカさんと戦いましたが逆にやられました」
「うちらと奏たちが戦いうちらが勝ったぞ」
「不穏な変身メタルクラスタホッパー」
よし、そんな不穏なメタルクラスタ初戦闘回、GX編第十一話、張り切ってどうぞ!


真が悲痛な悲鳴を上げ変身したメタルクラスタホッパー、その姿はその場にいない者達に衝撃を与えた。

 

「なんなんだ、あのゼロワンの姿は・・・?」

 

「銀色の・・・バッタ」

 

「おいっ!?馬鹿真の奴大丈夫なのかよ!?」

 

クリスが友里に尋ねるが、彼女は首を横に振る。

 

「分からないわ、急にバイタルが不安定になったと思ったら今は嘘のように静かになってる」

 

「だとしても・・・これは静かすぎます」

 

「いったい、彼女に何が?」

 

皆が困惑する中、響はモニターに映るメタルクラスタホッパーを心配そうに見る。

 

「真さん・・・!」

 

 

 

真の変身には戦場にいた者達にも衝撃を与えていた。

 

「なんだよ・・・あの姿・・・」

 

「真お姉ちゃん・・・?」

 

変身した真をみんなが見つめるが、真は変身してから微動だにしてなかった。

 

「なんじゃあの姿は・・・じゃが桃恵よ」

 

「うん、わかってる・・・あれは、危険」

 

紫苑と桃恵は直感にも等しいもので真の危険性を感じていた、だが彼女は違った。

 

「なんだそれ!すっごく強そうだゾ!どれほどなのか見せてもらうゾ!」

 

そう言うとミカは新たに大量のアルカノイズを召喚する。

 

「まだあんなに!?」

 

セレナが驚く中、出されたアルカノイズ達は即座に真を囲む。

 

「真!気をつけろ!」

 

奏が叫ぶが、囲まれた真は微動だにしていなかった。

 

そして微動だにしていない真に向かって一体のアルカノイズが解剖器官を伸ばしてきた。

 

「危ねぇ!」

 

真に解剖器官が接触する直前、真の体に纏われた金属の一部が変形し触手を防いだ。

 

『えっ?』

 

皆が驚く中、金属が再び変形し鋭い棘となりアルカノイズを貫いてしまう。

 

「なんじゃと!?」

 

仲間の一体がやられたのを見てほかのアルカノイズ達は一斉に真に襲い掛かろうとする。

 

群れが襲い掛かろうとした瞬間、突如真に纏われた金属が全て変形し、先程にも見た大量の銀色のバッタが辺りを覆いつくした。

 

「な・・・なんですかこれ!?」

 

「調!?バッタが!バッタが大量デス!?怖いデス!」

 

「うん・・・すごく怖い・・・」

 

大量のバッタが辺りを覆いつくす光景は端から見たら恐怖の光景でしかなかった。

 

真の体を覆う大量の金属、その名は『飛電メタル』。

 

硬度・可塑性・密度を自在に変化させることが可能であり様々な形に変えることができる。

 

この大量のバッタもその性能のお陰である。

 

そして繰り出された大量のバッタは群れを成してアルカノイズ達に襲い掛かった。

 

アルカノイズの体にバッタが纏わりつくとそこをえぐられてしまい、全身を覆われればアルカノイズは完全に食いつくされてしまうその光景は蝗害そのものだった。

 

そしてそのバッタたちは紫苑たちやミカ、そして何故か奏たちまで襲ってきた。

 

「どわっ!?こっちにも来た!?」

 

「きゃあ!!」

 

「ぬおっ!?こっちにも来おったぞ!」

 

「嫌ー!来ないでください!」

 

「こっちにも来たゾ!」

 

「うわぁ!こっち来るなデス!?」

 

「切ちゃん危ない!」

 

それぞれ手にしていた武器で何とか追い払い、バッタが再び真の体に纏われた時には大量にいたアルカノイズ達はいなくなっていた。

 

「確信したゾ!お前、すっごく強いぞ!今度はあたしが行くゾ!」

 

メタルクラスタの強さを感じたミカはカーボンロッドを繰り出し、真に襲い掛かった。

 

「みか!よすんじゃ!」

 

紫苑が制止しようとするが遅く、ミカの持つカーボンロッドが真に振るわれた。

 

・・・だが、振るわれたカーボンロッドはガキンッ!という音と共に止められてしまう。

 

「ゾッ?」

 

真は微動だにしてない、なら何がカーボンロッドを止めたのか・・・その答えは目の前にいたミカは理解した。

 

真の体に纏われている飛電メタルが変形し、盾のように防いだのだ。

 

「おおっ・・・ガッ!?」

 

ミカは嬉しそうに言葉を紡ごうとするが、急に真の腕がミカの首を掴む。

 

ミカは抜け出そうとするが、真の腕はミカを離さなかった。

 

「ミカさんが抜け出せれない!?」

 

ミカが抜け出せれない状況に紫苑と桃恵は驚いていた。

 

ミカは戦闘に特化した性能、ゆえにその力もオートスコアラーの中でも最強。

 

だが今の真の力は、ミカの性能を優に超えていたのだった。

 

「グッ・・・離すんだ・・・ゾ!!」

 

ミカは無理やりに引きはがそうと真に向けて両腕を突き出すと、掌から大量のカーボンロッドを真に向けて連射した。

 

真は離す気配もなければ避ける気配もなく、カーボンロッドの連射を受けていた。

 

『真(お姉ちゃん)(さん)!!?』

 

直撃する大量のカーボンロッド、真を呑み込む爆炎、はたから見れば悲惨な現場だった。

 

爆煙が真を包むと、ミカは連射を止める。

 

「どうだ、思い知ったか・・・!?」

 

ミカはそう言うが、連射に気を取られて重大なことに遅れて気が付いた・・・自身の首を掴む腕はまだ首を掴んでいたことに。

 

その疑念と共に爆煙が無くなり、そこには傷はおろか、汚れすらついていない真が立っていた。

 

汚れすらついてない真の姿に紫苑たちは驚愕していた。

 

「そんな!?傷一つついてない!?」

 

「あれだけの攻撃を受けて・・・一体どういう事じゃ!?」

 

あれだけの攻撃を受けて無傷の真に二人は困惑する。

 

自身の攻撃で傷一つついてないことに驚くミカに対し、真はミカの首を掴んだまま顔を地面に叩きつけた。

 

「ガァッ!!」

 

ミカを地面に叩きつけ、そのまま真はミカを蹴り上げる。

 

ミカが真の上に行くと、真は跳躍しすぐにミカの上をとる。

 

上を取ると真は飛電メタルの形状を蜘蛛の足のように変化させ、ミカに襲い掛かる。

 

「ガァァアァァアアァ!!!」

 

襲い掛かる真の連撃にミカの体は傷つき、体の所々が砕かれてしまう。

 

ミカの体が傷つくと真はミカより先に地上に降り、再び飛電メタルの形状を変化させると、今度は銀の巨腕に変形する。

 

変形させると、ミカが落ちてくるのに合わせ、その巨大な拳をミカに向けて振るった。

 

その拳はミカに直撃し、ミカは大きく吹き飛ばされ離れた建物の壁に激突してしまう。

 

「ミカさん!!?」

 

「桃恵!みかの元へ向かえ!」

 

「う、うん!」

 

桃恵は急いでミカの元へ向かいすぐに修復に取り掛かるのに対し、紫苑は真に対し怒りを覚えた。

 

「よくもみかをやってくれたな!」

 

紫苑はアタッシュカリバーと刀を構え、すぐさま錬金術で冷気を纏わせ真に襲い掛かる。

 

それに対し真は身動き一つ取らず、紫苑は真に向かって切りかかるが、飛電メタルがそれを防ぐ。

 

「くっ・・・はぁっ!」

 

紫苑は何度も切りかかろうとするが、的確に盾で防がれてしまい攻撃を与えられない。

 

それに対し真はオーソライズバスターを繰り出しアックスモードに切り替えると、そこにキーを装填する。

 

プレス!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

キーを装填し危険を感じ取った紫苑はこの一撃を振るった後にすぐ離れようと考え二本の武器を振るう。

 

だがその攻撃は防がれると同時に飛電メタルの形状が触手の様に変化し武器を絡めとられてしまう。

 

「なっ!?」

 

両手の武器を固定され驚きで体が硬直してしまった紫苑の胴体に真の一撃が振るわれた。

 

バスターボンバー!

 

「がぁっ!!」

 

その一撃は紫苑の体に突き刺さり大きなダメージを与え吹き飛ばし、紫苑の変身が解ける。

 

「お姉ちゃん!」

 

それを見た桃恵は修復を止め、翼を広げアタッシュショットガンを構える。

 

「よくもお姉ちゃんとミカさんを・・・許しません!」

 

桃恵は錬金術による炎の射撃を真に放つ。

 

桃恵は上空にいれば安全と踏んでいたが、それは甘かった。

 

桃恵の攻撃を防ぐと、再び飛電メタルの形を変え、今度は翼のような形になる。

 

「翼・・・まさか!?」

 

桃恵が理解するのと同時に真は金属の翼で羽ばたき桃恵と同じ高さに飛び上がった。

 

「嘘・・・!」

 

桃恵が驚く暇もなく、真は桃恵に迫りオーソライズバスターを振るうと、桃恵はすぐに気が付き手にしている武器で防ぐが、防ぐと同時に翼の形状が変わり鋭い棘が桃恵の翼を貫いた。

 

翼を貫かれたことで桃恵は落下し落下する桃恵に対し真はオーソライズバスターをガンモードに切り替え、再びキーを装填する。

 

バースト!

 

『Progrise key confirmed. Ready for buster.』

 

装填すると、真は桃恵に急速で迫りその銃口を桃恵の体に押し付けた。

 

「っ!?」

 

桃恵が驚くと同時に真はその引き金を引いた。

 

バスターダスト!

 

引き金を引くと空中で爆発が起き二人を巻き込んだ。

 

「桃恵!!」

 

爆煙から変身が解けた桃恵が落下し、それを見た紫苑が急いで桃恵を受け止める。

 

「無事か桃恵!しっかりせい!」

 

「う・・・お姉ちゃん・・・」

 

桃恵の無事を確認し安堵すると、離れた場所に真が着陸する。

 

「くっ!これ以上はやらせんぞ!」

 

紫苑は桃恵やその後ろにいるミカを守るように振り返り刀を構え、真は武器を手に紫苑に向けて歩もうとする。

 

「もうやめるデス!」

 

歩もうとすると切歌と調が真の行く手を阻んだ。

 

「これ以上はやりすぎデス!」

 

「うん。こんな戦い方、いつもの貴方らしくない・・・!」

 

二人が真を止めようとすると、真は二人の前で動きを止める。

 

「もう相手は満身創痍デス、後は捕まえて・・・」

 

切歌が言い切る前に、真の蹴りが切歌に直撃し切歌は吹き飛ばされてしまう。

 

「・・・えっ?」

 

一瞬の出来事に調は理解が遅れ、調に真の蹴りが繰り出され調も吹き飛ばされてしまう。

 

「月読さん!暁さん!」

 

「おい真!!二人になにしやがるんだ!!」

 

奏が怒号を上げるが、真は聞く耳を持たず、ドライバーのキーに手をかけるのを見て奏は危機を覚える。

 

「っ!?二人とも、逃げろ!!」

 

吹き飛ばされた二人は奏の言葉で真を見るがもう遅く、真はドライバーのキーを押し込んだ。

 

メタルライジングインパクト!

 

押し込むと飛電メタルが再び形を変え、二体の人型に形を変え、切歌と調にライダーキックを仕掛ける。

 

二人はとっさに防御するが、その力はすさまじく、防御を崩されてしまい直撃してしまう。

 

 

メタルライジングインパクト

 

真の一撃は二人に直撃し、それに加えてメタルクラスタの持つあらゆる物を分子レベルまで分解する破壊能力は二人のギアにダメージを与え、二人のギアは破壊されてしまう。

 

「切歌!調!」

 

奏が叫ぶ中、真はゆっくりと二人に迫る。

 

「おい・・・まさか!?」

 

その状況を見て奏は最悪な光景を想像してしまう。

 

「おいっ!やめろ!聞いてんのか!?」

 

「真お姉ちゃん!もうやめて!!」

 

二人が叫ぶが、真は聞く耳を持たなかった。

 

「おい!真『奏君!セレナ君!』おっさん?」

 

二人が叫ぶ中、弦十郎から連絡が入って来た。

 

『こちらで真君を調べた結果、今の彼女に意識がないことが分かった!』

 

「意識がない!?どういうことだよ!?」

 

『わからん!だが意識がない以上、此方からの呼びかけに彼女が反応する可能性はない!』

 

「そんな・・・!」

 

反応がない以上声による呼びかけが聞かない以上無理やり止めるしかない、だが今の二人は紫苑と桃恵から受けたダメージでまだ動けない状態だった。

 

奏は危惧していた、このままでは二人が殺されてしまう。そして真自身のついても危惧していた。

 

意識がないとはいえ、自身が二人に手をかけたことを真が知れば、彼女の心が罪悪感で壊れてしまう可能性がある。

 

「このままじゃあいつらが・・・!!」

 

そして真は二人の前に立ち、手にしていた武器を振り上げる。

 

「駄目だ!真ぉ!!」

 

「お願い・・・誰か。誰か三人を助けてください!!」

 

二人の叫びと共に手にしていた武器が振るわれる。

 

 

 

瞬間、真の手にしてた武器を誰かが受け止める。

 

奏たちはその人物を見て驚く。

 

「ったく、意識を失って暴れるって馬鹿と同じことすんなよな」

 

「ああ、だが暴れる友を止めるのが我らの役目」

 

真の武器を受け止める赤と青・・・そして黄色。

 

「真さんは私を助けてくれました、今度は私たちが真さんを助けます!」

 

雪音クリス、風鳴翼、そして立花響が新たなシンフォギアと共に戦場に復帰した。





さぁて、後書きの時間だ。
「やっぱとんでもなく強いなメタルクラスタ・・・」
「うちらでもかなわんぞ、どうなっとるんじゃ」
「私なんてゼロ距離で爆撃喰らいましたよ・・・」
「飛電メタルってあんなことができるんですか?」
本編じゃやってこなかったけど、飛電メタルの設定を見てこうしたら強そうって考えてたんだよな・・・。
「それであのバッタの大群と蜘蛛の足と巨碗と翼か・・・はっきり言って反則だろ」
俺も思った、これは強いと。
「そしてやっと響達が復帰か・・・大丈夫だよな?」
大丈夫、復活して早々に退場とかしないから。
「それならいいんだが・・・」
さて、メタルも現れたしそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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咆哮 狼と豹


さて、GX編第十二話、前回のあらすじは?
「メタルクラスタに変身した俺」
「圧倒的な力でノイズやミカさんを瞬殺」
「うちらも挑んだが見事に敗北じゃ」
「そして暁さんと月読さんすらも襲ってしまいます」
「絶体絶命の時に響達が駆け付けた」
よし完璧、それじゃあGX編第十二話、どうぞ!


戦場にて相対する四人の少女。

 

響達は油断なく目の前の真に立ちふさがる。

 

「皆さん・・・来てくれたんですね!」

 

「うん、お待たせ!」

 

三人が来て奏たちが喜ぶ中、ある程度回復した奏が立ち上がると、地面に何かの機械が転がっていたのを見つける。

 

「あいつは、確か・・・!」

 

奏がそれを理解すると、その機械を拾い上げキーを取り出す。

 

バレット!

 

『Progrise key confirmed. Start projection.』

 

その機械にキーを装填すると、光と共にシューティングウルフライダモデルが現れる。

 

「頼む!切歌と調を安全な場所に!」

 

奏の声を聴き、ライダモデルはすぐさま二人を自身の背に乗せその場から離れた。

 

「よしっ、これで大丈夫だ・・・あとは」

 

二人が離れたのを確認して、奏は視線を紫苑達と真に向ける。

 

「こいつらをどうするか・・・だ」

 

「継菜に関しては私たちに任せてもらおう、奏たちは三人の確保を」

 

「翼、大丈夫なのか?」

 

「案ずるな・・・と言いたいところだが、正直厳しいだろう」

 

そう言って翼は視線を先ほどから微動だにしない真に向ける。

 

「今の継菜は立花の暴走に近い物らしい、何とか正気に戻そう、だから敵の確保を頼む」

 

「だけど・・・」

 

そう言っていると突如、紫苑達の前に赤い陣が生成され、そこからキャロルが現れる。

 

「なっ!?お前は!」

 

「きゃろる!」

 

「キャロルちゃん!」

 

「すまない、遅れたようだな」

 

突然現れたキャロルは紫苑達を守るように立ちふさがる。

 

「紫苑、桃恵、ミカの損傷が激しい。急いで戻り修復に移れ」

 

「きゃろる・・・」

 

紫苑は不安げな表情でキャロルを見つめると、すぐに視線をそらしミカを抱える。

 

「・・・桃恵、帰還するぞ」

 

「う・・・うん」

 

桃恵がジェムを取り出し地面に叩きつけ、三人はその場から消え去った。

 

「・・・すまないな」

 

キャロルは小さく呟くと、響達の方を向く。

 

「そこの仮面ライダーの暴走は想定外だがちょうどいい、ここでお前たちを葬ろう」

 

キャロルは大量の結晶をばら撒き、新たなアルカノイズを生み出す。

 

「またこいつら・・・どうする先輩!?」

 

「くっ・・・アルカノイズの対処に移りたいが、ここで継菜をほおっておくわけには!」

 

「けど、真さんに集中してるとキャロルちゃんたちに襲われてしまいます!」

 

三人がどうするか悩む中、奏とセレナは顔を合わせ共に頷き、三人の前に出て真と相対する。

 

「奏さん!?セレナちゃん!?」

 

「真はあたしらで何とか抑えとく、響達は後ろを頼む」

 

奏の提案に三人は驚愕した。

 

「勝機か!そんなボロボロの体であいつとやり合うってのか!」

 

「そうだ!継菜は私たちに任せ二人も避難を!」

 

「別に無策と言ったわけじゃありません、アルカノイズに関しては今の私たちが戦ってもすぐに捕まって装備が分解されるのが目に見えてますから」

 

「それに加えて、今のこいつがそう簡単に逃がすわけなさそうだからな」

 

その目に映るのは、飛電メタルで大量のバッタを生成する真が戦闘態勢に入っていた。

 

「それに、お前らが此処に来たってことは、あのノイズ達の対策もバッチリってわけだ、なら現状でノイズの相手できるのはお前たちだけだ」

 

「でも『それに』?」

 

「さっきこいつも言ってたからな・・・『大切な後輩がやられてるってのに・・・逃げる馬鹿がいるかよ』ってな」

 

奏とセレナはショットライザーを身に着け、言葉を紡ぐ。

 

「だから、後輩のこいつはあたしらが止める・・・!」

 

「私もです、後輩ではありませんが、私を支えてくれた真お姉ちゃんを絶対に取り戻して見せます!」

 

「奏さん・・・セレナちゃん・・・」

 

二人の背中を見つめ、三人はゆっくりと二人に背中を預ける。

 

「・・・危なくなったらすぐに駆け付ける、だから任せた」

 

「後ろはあたしらに任せろ」

 

「真さんのこと、お願いします!」

 

そう言って三人はアルカノイズの群れに向かって行った。

 

「・・・さて、そろそろこっちも始めるか」

 

そう言って奏たちは真の方に視線を向けると、すでに大量に生成されたバッタ達が二人を威嚇するように舞っていた。

 

「そういや、真と戦うって初めてだな」

 

「それもそうですね、手合わせは何度かしてますけど本気なのは初めてです」

 

「今の真の強さは段違いだ、おそらく普通のフォームでもシンフォギアでも勝ち目は薄いと思う」

 

「でしたら・・・残る手はあれだけですね」

 

「ああ・・・そうだな」

 

そう言って二人はホルダーの『異質な形のキー』に手を触れる、そのキーは他のキーとは違いメタリックカラーで特に目立つのは取り付けられた『銀色のグリップ』だった。

 

 

 

今から一か月前、戦闘訓練をしてる時、二人は真に呼ばれこのキーを託された。

 

「このキーは?」

 

「端的に言えばお前たちの新しい力だ、性能もパワーも通常のと比べて格段に上がってる」

 

「本当ですか!それにこれって真お姉ちゃんの持ってるあのグリップですよね?」

 

「じゃあ、こいつもあれと同じぐらい強いのか!?」

 

「おそらくな、けどその分負荷も馬鹿デカい、下手すれば途中で変身が解除される、だからまずはそれを使いこなせるように鍛えないとな」

 

「・・・一応聞きますけど、どう鍛えるんですか?」

 

「安心しろ、一応弦十郎さんクラスの特訓はしないから」

 

そういう真の目はどこか遠い目をしていた。

 

「まっ、俺でもすぐに使いこなせたんだ。二人もすぐに使いこなせるさ」

 

「・・・ああ、ありがとな、すぐに使いこなしてやる」

 

「そうですね!私も特訓頑張ります!」

 

「よしっ!じゃあ早速始めるか!」

 

そうして、キーを使いこなすための特訓は始まった。

 

 

 

二人はあの時のことを思い出しながら、ホルダーからキーを取り出す。

 

「お前から託されたこの力で・・・!」

 

「あなたを救い出して見せます!」

 

二人は決意し、『アサルトチャージャー』を押し込んだ。

 

アサルトバレット!

 

アサルトダッシュ!

 

アサルトチャージャーを押し込むと奏は『キーコネクタ』を掴み力ずくでこじ開けショットライザーに装填し、セレナは手にしていた右手でキーを上に放り投げ落ちて来たキーを左手で掴みそのまま装填しキーコネクタを展開する。

 

『『オーバーライズ!』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

キーを装填した二人はショットライザーを手に取り、真に向けて構える。

 

それを見た真はバッタを何匹か飛ばすが、その前に二人の声と共に引き金が引かれた。

 

「「変身!」」

 

『『ショットライズ!』』

 

引き金が引かれ、銃口から飛び出したのは弾丸だけではなく、ホログラムの狼と豹も現れる。

 

狼と豹は迫るバッタを払いのけ、そのまま弾丸と共に二人の元へ駆け抜けると、二人は弾丸とホログラムを手で掴み取る。

 

つかみ取ると、霧散したホログラムが複数のビットとなり、そこからレーザーが照射し新たなアーマーが生成され二人の身に纏われる。

 

『READY,GO!アサルトウルフ!

 

『READY,GO!アサルトチーター!

 

『『No chance of surviving.』』

 

アーマーが纏われ、二人は新たな姿へと変身した。

 

一方は従来のシューティングウルフと違い暗いブルーを主張とし、重々しい装甲に加え全身に備え付けられた重火器と胸元に輝く『オービタルバインダー』が特徴の『仮面ライダーバルカン アサルトウルフフォーム』

 

もう一方は、従来のラッシングチーターと違い濃い橙色を主調とし、バルカンとは違い重火器は備え付けられてないスマートな体格だが、その代わりと言ってもいいように両足のアーマーと、両腕のかぎ爪、そしてバルカンと同じように胸元で赤く輝くオービタルバインダーが特徴の『仮面ライダーバルキリー アサルトチーターフォーム』へと変身した。

 

二人が変身すると、全身に襲い掛かる負荷によろめく。

 

「くっ・・・!こんなにもかよ・・・!」

 

「真お姉ちゃんは・・・いつもこんな辛さを・・・!」

 

ボロボロの体に強力な負荷がかかり二人は倒れそうになるが、気合で堪える。

 

「だけど・・・耐えれない訳じゃない!」

 

「はい・・・これぐらいどうって事ありません!」

 

二人は気合で負荷を払いのけ、真の元へ向かう。

 

真は即座に大量のバッタを変形させ、その形を大量の剣に変えると一斉に二人に向けて放出する。

 

二人は迫る大量の剣を強化されたアーマーで躱していき、真に迫り拳を振るうが、即座に剣が集まり形を変え盾となり拳を防ぐ。

 

「くそっ!厄介すぎるだろ!」

 

二人が距離をとると、飛電メタルは再び形を変え今度は二本の巨大な蟷螂の鎌に形を変え真の両肩に備えられると、真はオーソライズバスターを手に二人に襲い掛かった。

 

迫る二本の鎌とオーソライスバスターの連撃に対し奏は両腕に備えられた『AWガントレット』に備えられた短機関銃で応戦し、セレナは両腕の取り付けられた『ACクロ―』で真の鎌に応戦する。

 

真の怒涛の連撃に加え、ボロボロの体が重なり、少しずつ二人は押されていってしまう。

 

「くっ・・・きゃあ!!」

 

そんな中真がセレナの防御を破り一撃で吹き飛ばし、セレナは地面を転がる。

 

「セレナ!!」

 

セレナを心配する奏だが、分散されていた攻撃が奏一人の集中され少しづつダメージを受けてしまう。

 

「う・・・うぅ・・・!」

 

セレナはボロボロになりながらも、体を無理やり立たせ真に視線を向ける。

 

「絶対に・・・止めて見せます!!」

 

全身を奮い立たせ、セレナはアサルトチャージャーを押し込み引き金を引いた。

 

アサルトチャージ!

 

アクセルストームブラストフィーバー!

 

引き金を引くと、両腕のACクローと両足の『ACグリーブ』と『ACブーツ』がオレンジ色に発光し、セレナは高速で真に接近し攻撃を仕掛ける。

 

高速で接近するセレナに対し真は即座に奏を吹き飛ばし飛電メタルで防御する、だがセレナは防がれても再び高速で真に攻撃を仕掛ける。

 

それも防がれるが、セレナはボロボロな体を奮い立たせ四方八方から攻撃を仕掛けていく。

 

吹き飛ばされた奏がその光景を見ているととあることに気が付く、先程よりもセレナの速度が上がっている。

 

ラッシングチーターの速度は100m2.1秒、計算すると時速約180km。

 

だがアサルトチーターはアサルトウルフと比べて防御力が低い代わりに、ゼロワンのシャイニンググラディエーターに似た装置『ACコネクタ』がセレナの身体能力を引き上げている。

 

その最高時速はラッシングチーターの約二倍、実に時速約360kmに到達する。

 

「だあぁあぁぁぁああ!!」

 

ボロボロな体で無理やり身体能力を引き上げた高速の連撃は、真の防御を掻い潜りついに真に鋭い一撃を与えた。

 

 

アクセルストームブラストフィーバー!

 

限界を迎えセレナは変身が解けその場に倒れてしまう、真は予想外の一撃に怯むが、すぐに立て直しセレナに止めを刺そうとすると、セレナは微笑む。

 

「後はお願いします・・・奏さん」

 

「ああ、お前からのバトン受け取ったぜ」

 

セレナの言葉に真は後ろを見ると、奏がショットライザーに手をかけていた。

 

「こいつでお前を・・・正気に戻す!」

 

奏が叫び、アサルトチャージャーを押し込み引き金を引いた。

 

アサルトチャージ!

 

マグネティックストームブラストフィーバー!

 

引き金を引くと奏は飛び上がり、足にエネルギーを溜め真に向かってライダーキックを放つ、足に溜められたエネルギーは狼の頭部を模していた。

 

真はセレナへの追撃をやめ、飛電メタルを全て防御に回し奏の攻撃を防ぐ。

 

拮抗する二人、だがその拮抗を崩したのは膝をついた真だった。

 

先程喰らったセレナの一撃が響き、真の体勢を崩した。

 

「っ! おらあぁぁああぁぁぁああ!!」

 

その隙を逃さず、奏は渾身の力を籠め真の防御を打ち破り、真に一撃を与えた。

 

 

マグネティックストームブラストフィーバー!

 

奏の渾身の一撃は真に突き刺さり、真は吹き飛ばされる。

 

地面を転がり、止まるころには変身が解け気を失った真が倒れていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・やっと止まったか・・・はぁ」

 

真が変身解除したのを見届け奏は安心したのか、変身が解けその場に倒れてしまう。

 

「やりましたね・・・奏さん」

 

「ああ・・・そうだな・・・」

 

初めての真対奏とセレナ、勝者は奏とセレナで幕を閉じた。





「おっしゃーーー!!」
後書きの時間・・・の前に誰かセレナ抑えろ。
「じゃ・・・じゃああたしが行くわ」
おう、頼んだ。
「んで、ついに出たなアサルト、しかもセレナもか」
そっ、前々からアサルトバルキリーは考えてたし出そうと思ってな。
「ふむ、中々の性能じゃな、うちらで苦戦したこやつに一撃入れるとは」
「うん、私達で勝てるかな・・・?」
まあ頑張れとしか・・・まあここでアサルトチータについて説明するか。
「アサルトチーターは火力に特化したアサルトウルフとは違い、機動性に特化した性能なんだよな?」
ああ、簡単に比較するとアサルトウルフの性能が火力:8 防御:7 機動性:4と仮定して、アサルトチーターは火力:6 防御:4 機動性:9といった感じだな。
「ふむ・・・防御を捨て、代わりに機動力に振った感じかのう」
そんな感じだ、セレナ落ち着いたか?
「はい、それはもう落ち着きました」
「つ・・・疲れた・・・」
お疲れさん。
「それにしても、前回からして響さん達が戦うと思ってましたが、私達なんですね?」
ああ、このタイミングでアサルトを出すのは決まってたし、響達VSキャロル、奏&セレナVS真って感じにしてみた。
「なるほどな・・・まっこれで二人も強化されたって感じか」
「はい!このままバルキリーの最強フォーム期待してますからね!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ。
「なんですかその間!?」
いや・・・正直言ってバルキリーの最終フォームに関してはまだ検討中なんだよな。
「ガーーーーン!!?」
「あっせれなが石になったぞ」
すまぬ・・・すまぬセレナ・・・。
次回までにセレナを何とかするとして、そろそろ〆るか。

「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」


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抜剣

GX編第十三話、前回のあらすじは?
「響達が現着!」
「それと共にきゃろるもやってきてうちらは帰還!」
「その後響さん達がキャロルちゃんと、奏さんとセレナちゃんが真さんと対決」
「ついに覚醒アサルトバルカンとアサルトバルキリー!」
「仮面ライダー対決で現在0勝の俺でした」
はいOK、んじゃGX編第十三話どうぞ!


真達が戦う少し前、響達はアルカノイズの群れと戦っていた。

 

「後ろを二人に任せたのだ、此方もすぐに片づけるぞ!」

 

「おうっ!速攻で行くぜ!」

 

「奏さんとセレナちゃんの期待に応えるために!」

 

『使用BGM BAYONET CHARGE』

 

三人は迫るアルカノイズを強化したシンフォギアで対抗していく。

 

挨拶など無用 剣舞う懺悔の時間

 

戦場で奏でられる翼とクリスのユニゾンが、三人の力を高めていく。

 

地獄の奥底で 閻魔殿にひれ伏せ

 

翼が『蒼ノ一閃』で薙ぎ払うと、交代するようにクリスと響が翼の後ろに立つ。

 

一つ目は撃つ 二つ目も撃つ

 

クリスは両手のボウガンでノイズを撃ち抜いていき、迫るノイズを響が拳で殴り倒していく。

 

三つ四つ めんどくせえ...キズナ

 

嘗めるでない!

 

なめんじゃねえ!

 

響達が戦う最中を司令室で確認していた。

 

「ガングニール、アメノハバキリ、イチイバル共に各部コンディショングリーン!」

 

「これが・・・強化型シンフォギア!」

 

『そっ、エルフナインちゃんと私監修の新たなシンフォギアよ』

 

友里さんの後ろからフィーネとエルフナインがやって来る。

 

「プロジェクトイグナイトは、破損したシンフォギアシステムを修復に留まる物ではありません」

 

『出力を引き上げると同時に、解剖器官の分解効果を減らすようバリアフィールドを調整を施してるわ』

 

モニターでは、アルカノイズの解剖器官に巻き付けられたアームドギアが分解されず、逆に巻き付いてきたノイズを切り払っていた。

 

これぞ新たなシンフォギアの力であった。

 

 

 

平等って訳にいかないが

 

三人は次々とノイズを倒していき、キャロルへと近づいていく。

 

 

 

忘れずその胸に 夢と共に

 

ノイズをいち早く切り抜けた翼はキャロルを視認するとすぐさま飛び上がり、キャロルより高く飛ぶと巨大な剣を腰に構える。

 

雪にも

 

風にも

 

花にも

 

誰にも

 

翼は腰に剣を構えると柄の部分が変形し、そこから通常のサイズの剣が居合切りの応用で高速で十字に振るわれた。

 

蒼刃罰光斬

 

 

 

翼の斬撃は寸前で避けられてしまうが、逃げた先をクリスが二つのミサイルで狙っていた。

 

 

そして逃げた方向に目掛けて巨大なミサイルを放った。

 

MEGA DETH FUGA

 

放たれたミサイルはキャロル目掛けて放たれ、そして直撃し爆炎を上げる。

 

「ふっ、ちょせえ」

 

クリスは直撃を感じていた、だが爆煙が晴れるとそこには錬金術のバリアを展開し攻撃を防いだキャロルが立っていた。

 

「・・・まっ、そう簡単にいかないか」

 

「流石は敵の総大将、一筋縄ではいかんか」

 

キャロルは爆煙が消えたのを確認するとバリアを消す。

 

「・・・少々驚いたな、まさかここまでとは」

 

「そりゃどーも」

 

「ゆえに、ここからは俺も本気で行こう」

 

「何!?」

 

「キャロルちゃん、まだ強くなれるの!?」

 

「刮目せよ、シンフォギア共!」

 

そういってキャロルは陣を錬成すると、そこから歪な形のハープを取り出し、その音色を奏でた。

 

その瞬間、司令室でアウフヴァッヘン波形の様な物が検知された。

 

「アウフヴァッヘン!?」

 

「いえ、違います!ですが非常に近いエネルギーパターンです!」

 

『まさか・・・あの子も聖遺物を起動させれるの!』

 

「ダウルダブラのファウストローブ・・・!」

 

その瞬間、キャロルの体にダウルダブラが身に着けられていく、まるで響達が纏うシンフォギアのように。

 

それに伴いキャロルの見た目も変化していき、子供のような見た目から大人へと変わっていく。

 

「これぐらいあれば不足はなかろう・・・」

 

「キャロルちゃんの姿が・・・変わった?」

 

響が驚く中、キャロルだ腕を振るうと弦が数本伸び、地面を切り裂きながら三人に迫った。

 

三人はそれをすぐに躱すが、キャロルは次々を腕を、弦を振るっていき周囲を切り裂いていく。

 

「っ!大きくなったところで!」

 

「張り合うのは望むところだ!」

 

翼はキャロルに迫り、クリスはガトリングで応戦しようとするが、キャロルが弦を奏でると、赤と青の錬成陣が展開しそこから巨大な炎と氷が二人目掛けて放たれる。

 

「翼さん!クリスちゃん!」

 

響の声で二人はすぐに躱すが、炎と氷が直撃した部分が爆発を起こした。

 

司令室でも、この戦いを視聴していた。

 

「歌うわけでもなく、こんなにも膨大なエネルギー、一体どこから」

 

「思い出の焼却です」

 

藤尭の疑問にエルフナインが答えてくれる。

 

「思い出の?」

 

「キャロルやオートスコアラーの力は、思い出という脳内の電気信号を変換錬成したもの。作られて日の浅い物には力に変えるだけの思い出がないので他者から奪う必要があるのですが。数百年を永らえて、相応の思い出を蓄えられたキャロルは」

 

「それだけ強大な力を秘めている・・・」

 

「力へと変えた思い出はどうなる?」

 

「燃え尽きて失われます」

 

エルフナインの言葉に全員が息を呑んだ。

 

「キャロルは、この戦いで結果を出すつもりです」

 

キャロルの猛威は次々を振るわれていく。

 

キャロルの攻撃を避けた翼だが切り裂かれたガスタンクが爆発を起こしその爆風で吹き飛ばされてしまう。

 

吹き飛ばされた翼に追い打ちを仕掛けるようにキャロルは錬金術によるレーザーを翼に放った。

 

「先輩!」

 

「クリスちゃん!」

 

響の声に合わせ、クリスはキャロルに矢を放つとその矢は分裂し無数の矢に変わる。

 

GIGA ZEPPELIN

 

それに合わせ響も右腕のバンカーを引っ張り、そのまま腕を振るうとバンカーが撃ち込まれ拳から放たれた衝撃波がキャロル目掛けて飛んでいく。

 

だがキャロルは弦を収束させ手元で回転させ前に突き出すと、回転する弦に二人の攻撃が防がれてしまう。

 

二人の攻撃を防ぐと回転していた弦は形を変え小さなドリルのようにキャロルの右手に身に着けられると、キャロルは右腕から竜巻を生成し二人を呑み込む。

 

二人が竜巻に捕らわれると、キャロルが迫って来て二人を回転するドリルと竜巻で吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされた二人は翼の近くに倒れる。

 

三人は立ち上がろうとするが、キャロルから受けたダメージ大きく中々に立ち上がれない様子は司令室でも確認できた。

 

「まだよ!まだ立ち上がれるはずよ!」

 

「イグナイトモジュールの可能性はこれからです」

 

「響・・・」

 

戦場では、三人はなんとか立ち上がる。

 

「はぁ・・・はぁ・・・くそったれが!」

 

「大丈夫か雪音、立花」

 

「はい・・・へいき、へっちゃらです」

 

「ああ、あれを試すぐらいにゃ、ギリギリ大丈夫ってとこかな」

 

その様子をキャロルは上から見下していた。

 

「ふっ、弾を隠しているなら見せてみろ、俺はお前らの全ての希望を打ち砕いてやる!」

 

「翼さん、クリスちゃん、行こう。私たち三人で」

 

「ああ、やってやろうじゃねえか」

 

「無論だ、後輩二人だけ行かせるものか」

 

「うん、それに私たち三人なら、きっと乗り越えれます!」

 

響の言葉に二人は笑う。

 

「はっ、こんな時までそんなこと言えるか」

 

「だが、立花の言葉を聞くと何故かできる気がするな」

 

そう言って三人は胸元のギアペンダントに手をかける。

 

「「「イグナイトモジュール、抜剣!」」」

 

そして三人はギアペンダントを押し込む。

 

ダインスレイフ

 

そんな機械音声が鳴ると、ペンダントは宙を浮かびその形を変え光の矢が三人に狙いを定めると、三人の胸元に突き刺さった。

 

その瞬間、三人の体の内から溢れんばかりの破壊衝動が溢れだしてきた。

 

「が・・・ぐ・・・うぅ!!」

 

「ぐあぁ・・・がぁ・・・!!」

 

「うう・・・ぐぅ・・・ああ・・・!!」

 

溢れてくる破壊衝動が三人を呑み込もうとしてくる。

 

「ぐ・・・はらわたをかき回すような、これが…この力が・・・!」

 

その力の正体は、響と真が襲われる前説明されていた。

 

「ご存じの通りシンフォギアシステムには幾つかの決戦機能が搭載されています」

 

「絶唱と・・・」

 

「エクスドライブモードか・・・」

 

「とはいえ、絶唱は相打ち前提の肉断、使用局面が限られてきます」

 

「そんときゃエクスドライブモードで・・・!」

 

『無理ね、エクスドライブモードになるためには膨大なフォニックゲインが必要よ、奇跡を戦略に加えるのは得策ではないわ』

 

「役立たずみたいに言ってくれるな」

 

「シンフォギアには、もう一つ決戦機能があるのをお忘れですか?」

 

エルフナインの言葉にみんなは思い出す、かつてフィーネとの戦い、そしてネフィリムとの戦いで響が引き起こしたもう一つの力、溢れんばかりの破壊衝動を具現化した暴走形態を。

 

「立花の暴走は搭載機能ではない!」

 

クリスはエルフナインの言葉に怒りを覚え、彼女の胸倉を掴み上げる。

 

「トンチキなこと考えてないだろうな!!」

 

そんな状況でもエルフナインは冷静に答える。

 

「暴走を制御させることで、純粋な戦闘力へと変換錬成し、キャロルへの対抗手段とする、これがプロジェクトイグナイトの目指すところです」

 

それがイグナイトの全貌、三人の様子を見てエルフナインは言葉を紡ぐ。

 

「モジュールのコアとなるダインスレイフは、伝承にある殺戮の魔剣。その呪いは誰もが心の奥に眠らせる闇を増幅し、人為的に暴走状態を引き起こします」

 

「それでも、人の心と英知が、破壊衝動をねじ伏せることができれば」

 

「シンフォギアは、キャロルの錬金術を打ち勝てます」

 

戦場では、初めての破壊衝動に翼とクリスが苦しんでいた。

 

(あの馬鹿は・・・ずっとこんな衝動にさらされてきたのか・・・!)

 

(気を抜けば、まるで・・・深い闇の底に・・・!)

 

そして二人の意識が途切れる・・・直前に自身の手が誰かに握られるのを感じた。

 

その方を見ると、響が衝動に苦しめられながらも二人の手を握っていた。

 

(この馬鹿・・・こんな時でも・・・けど!)

 

(立花はずっと・・・この衝動と戦ってきたのだ・・・なれば私たちも!)

 

響が手を繋いだことで、闇に落ちかけた二人の意識が再び浮上する。

 

(未来が教えてくれたんだ・・・力の意味を、背負う覚悟を・・・!)

 

響は衝動に飲み込まれ掛けながらも未来の言葉を思いだす。

 

(だから、この衝動に塗りつぶされて・・・!)

 

(((なるものかぁぁぁぁ!!)))

 

その瞬間、呪いが力へと変わった。

 

収束された破壊衝動が形を変え響達の身を包み、ギアの形状が変わる。

 

より鋭利に、より凝固に、より力強く、呪いを身に纏ったかのようにその色を黒く染め。

 

三人のギアは『イグナイトギア』へと形を変えたのだった。

 

『使用BGM RADIANT FORCE(IGNITED arrangement)』

 

始まる歌

 

始まる鼓動

 

響鳴り渡れ希望の音

 

その歌声も今までよりも力強く、その力を象徴するように奏でる。

 

「モジュール稼働!セーフティーダウンまでのカウント、開始します!」

 

モニターに映し出されるセーフティーダウンまでのカウントダウンは999.90。約17分間だけ身に纏うことができる。

 

そんな中、マリアはアガートラームのギアを握り締める。

 

(悪を貫く強さを!)

 

そんな三人を見てキャロル新たに大量のアルカノイズを繰り出す。

 

「検知されたアルカノイズの反応、約三千!」

 

「三千!?」

 

「たかが三千!!」

 

その手は何を掴む為にある?

 

響は大量のアルカノイズに向かって接近し変化したギアを振るうと、一撃で多くのノイズが吹き飛ばされる。

 

たぶん待つだけじゃ叶わない

 

その手は何を守る為にある?

 

響に続き翼も今までよりもシャープになった剣の刀身にエネルギーを溜め、強化された一撃を放つ。

 

蒼ノ一閃

 

伝う

 

熱は

 

明日(あす)

 

輝かす種火に

 

放たれた一閃はノイズを切り裂き、奥にいた巨大なノイズすら一撃で切り裂いた。

 

たとえ闇に吸い込まれそうになって

 

クリスも続くように小型ミサイルと巨大ミサイルを全弾射出した。

 

MEGA DETH QUARTET

 

涙さえも血に濡れて苦しくっても

 

帰る場所が待っている

 

クリスの放ったミサイルによって大量のノイズが吹き飛ばされ、上空に放たれた巨大ミサイルからさらに小型ミサイルが放たれ空のノイズは一掃される。

 

集え

 

守れ

 

契れ

 

勇気の結晶が奇跡なんだ

 

「へそ下あたりがむず痒い!」

 

キャロルは意気揚々に戦場に降り立ち、その弦を振るう。

 

キャロルの振るった弦は、放たれる錬金術はノイズを巻き込み響たち目掛けて振るわれるが、響達はそれを躱していく。

 

「強大なキャロルの錬金術・・・ですが装者達もまた、それに対抗できる力を・・・」

 

翳せ

 

さあ

 

闇夜に

 

 

戦う響を見て、未来は胸に思う。

 

(それでも響は、傷つけ傷つく痛みに、隠れて泣いている)

 

モニターでは戦う響が吠えている。

 

(私は今なにもできないけれど、響の笑顔を、その裏にある涙も、拳に包んだ優しさも、全部抱きしめてみせる・・・だから!)

 

モニターの響に向かって叫ぶ。

 

「負けるなぁぁぁ!!」

 

響の腕に弦が巻きつけられるが、響はその弦を掴みキャロルの動きを制限する。

 

「稲妻を喰らえぇぇぇぇぇ!!」

 

絆!

 

心!

 

一つに束ね!

 

響が動きを抑えた瞬間を狙いクリスの矢が、翼の斬撃がキャロル目掛けて放たれ、キャロルはそれを弦のドリルで防ぐが、そこに響が回転しながら突っ込み、その摩擦力で炎を身に纏いキャロルにぶつかる。

 

響き鳴り渡れ希望の音!

 

響の一撃にキャロルは押し込まれ、その腹部に直撃する。

 

「信ず事を諦めない」と!

 

キャロルに一撃入れると響は上空へと飛び上がる。

 

歌え!

 

可能性に!

 

ゼロはない!

 

飛び上がると、そのままキャロル目掛けて勢いを乗せた強力な蹴りを放つ、その姿はまるでゼロワンのライダーキックのように見えた。

 

飛べよ!

 

この!

 

奇跡に!

 

光あれぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

響のその一撃はキャロルを完全にとらえ、大爆発を起こす。

 

爆煙が晴れると、響の前には満身創痍のキャロルがいた。

 

「「はぁ・・・はぁ・・・!」」

 

響とキャロルは互いに息を整えようとする、エルフナインはキャロルの様子から見て致命傷は免れなかったと察することができた。

 

「キャロル・・・」

 

響は息を整えると、キャロルに近づく。

 

「キャロルちゃん・・・どうして世界をバラバラにしようなんて?」

 

響が手を伸ばすが、キャロルはその手を振り払った。

 

「忘れたよ・・・理由なんて・・・思い出を焼却、戦う力と変えた時に・・・」

 

「・・・・・・」

 

響はじっとキャロルを見つめる。

 

「その呪われた旋律で誰かを救えるなどと思い上がるな・・・!」

 

「っ!?」

 

キャロルはそう言い残し何かをすると、ゆっくりと倒れる。

 

「キャロルちゃん!?」

 

キャロルが倒れると、彼女のその体は炎に包まれ灰となってしまう。

 

「あ・・・あぁ・・・ああぁぁぁあああぁぁああぁぁあ!!」

 

その様子を目の当たりにして響は叫んだ。

 

 

 

一方チフォージュ・シャトーでは、キャロルの消滅と共に何かの装置が動き出し、天井から四本の垂れ幕が下りる。

 

「う・・うぅ・・・!」

 

その垂れ幕を見て桃恵は顔を抑え涙を流し、紫苑は静かに涙を流す。

 

「きゃろるよ・・・本当にこれでよいのじゃな・・・」

 

紫苑はその右手に握られた『金色の結晶』を力強く握りしめる。

 

 

 

響は燃え尽きた灰を見て呟く。

 

「呪われた旋律・・・誰も救えない・・・」

 

響はそう呟き、空を見上げる。

 

「そんなことない・・・そんな風にはしないよ、キャロルちゃん」

 

そして遅れてやってきたS.O.N.Gのヘリに響達と倒れた奏たちが乗せられ、みんなの元へと帰っていった。




さて後書きの時間だ。
「ようやくでたなGX編のメイン、イグナイト」
「今回は最初の翼とクリスの暴走はないんだな」
最初から響がいてくれたおかげで事なきを得ました。
「それにしても、やっぱりキャロルの力はすごいですね・・・」
「当然じゃ!なにせきゃろるじゃからな!」
「そういうものか? それに最後辺りでお前が手にしていたあの結晶は何なんだよ?」
「それは秘密じゃ、何せいざというときの切り札じゃからな」
「・・・おい、まさかあれ以外に凶悪な奴考えてんじゃないだろうな?」
いやいや、流石に最終兵器以上の奴は出さんわ、ていうかお前ら何企んでんだ?
「すみません、それはこの場では言えません」
「まっ、気になるならこの作品を見てくれとしか言えんわ」
露骨な宣伝どうも、それじゃそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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少女達の秘密


GX編第十四話、前回のあらすじは?
「響達対キャロル」
「キャロルちゃんのダウルダブラのファウストローブ」
「響達決死の抜剣」
「暴走寸前じゃったが無事に換装したぞ!」
「そしてキャロルちゃんを撃退!」
お見事!それではGX編第十四話、どうぞ!

※今回のお話は本編で言う六話と七話の間のお話です、それでも言い方はご観覧ください。


キャロルを撃退した後、回収された響達は司令室に集合していた。

 

「イグナイトモジュールの起動、ひとまずは完了だな」

 

「はい、ですがあの時は立花がいてくれたからこそ起動できました」

 

「ああ、馬鹿が手を繋いでくれなきゃ今頃あたしも先輩も仲良く暴走してたぜ」

 

「ふむ・・・イグナイトを起動するたびに響君と共じゃないと戦闘に支障が出るかもしれない、当面は単独で起動できるように鍛えるべきだな」

 

「ええ、私たちも急いで扱えるようにならないとね」

 

「その通りデス!」

 

「私たちも頑張らないと」

 

『そのためにも今エルフナインちゃんと一緒に四人のギアの改修に励んでくれてるわ』

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

「なら、あたしらもアサルトを使いこさないとな」

 

「はい!頑張りましょう!」

 

皆が奮起する中、響一人は暗い顔で弦十郎に話しかけた。

 

「あの・・・真さんは?」

 

その言葉に空気が重くなる。

 

「・・・今メディカルルームで検査してもらったが、身体に異常はない。精神的な疲れで今は眠っているようだ」

 

「そうですか・・・よかった」

 

弦十郎の言葉にみんなは安堵する。

 

「しっかし、馬鹿真のあれは一体何なんだ?」

 

「かつての立花の暴走と同等・・・いや、それよりも凶悪な様子だった」

 

「ああ、一応真君の所有物は全てこちらに持ってきている」

 

そう言うと緒川は真の所有していたドライバーとキー、その他持ち物を取り出す。

 

その中にはメタルクラスタホッパープログライズキーもあった。

 

「切歌ちゃん、調ちゃん、大丈夫だった?」

 

「今は大丈夫デス・・・けど」

 

「あの時は本当にやられそうだった・・・」

 

「ああ、敵も味方もお構いなしって感じだったな」

 

「まるで目に映るものすべてが敵のような・・・そんな感じでした」

 

四人の言葉に弦十郎は少し考えこむ。

 

「・・・とにかく、このキーは危険だ、一度こちらで預かり調べてみよう」

 

『あの時は分からなかったけど、エルフナインちゃんもいることだし何かわかるかもね』

 

「ああ、頼むぞ了子君」

 

そう言ってキーに手を伸ばしたその時、真のライズフォンに着信が入って来た。

 

『っ!?』

 

突然の着信にみんなは驚きライズフォンの画面を見ると、そこに『非通知』と出ていた。

 

皆はしばし放置していたが、着信は止まない。

 

「・・・おい、どうするんだよ?」

 

「うむ・・・出た方がいいのか?」

 

「けど、勝手に出ていいのかしら?」

 

「だよな、真が起きるまで待った方が・・・」

 

皆がどうするか悩んでいると、響が前に出てライズフォンを手に取る。

 

「響君!?」

 

「すみません、でももし真さんの関係者なら何とか説明しないと・・・」

 

響はそう言って電話に出た。

 

「はい、もしも『あっやっと出た!大丈夫真君!?』っ!?」

 

響の声を遮り電話の主は矢先に語り始めた。

 

『貴方がメタルクラスタを使った反応が出たから急いで電話をかけたのだけど無事なのよね!?いくら仲間の為って言ってもまた死んでしまったらどうするのよ!女神としてこれ以上の無茶は控えてほしいのだけど・・・聞いてる!?』

 

喋りようからかなり焦っていることはみんなして理解できた、だがそれよりも気になるワードにみんなは驚いていた。

 

「あ・・・あの、ちょっといいでしょうか?」

 

『あれ、この声って・・・・・・・・・えっ?響ちゃん?』

 

電話の相手が数秒黙ると、再び声が聞こえてきたが、その声はどこか震えていた。

 

そして、みんなが驚く中、一人だけ違う反応を見せていた。

 

「えっ・・・支援者さん?」

 

セレナは電話の声の主に反応すると、電話越しの相手も驚く。

 

『えっセレナちゃん!?ちょ!?真君は・・・メディカルルーム!?しまった確認忘れてた!?』

 

「まっ待ってください!何で真さんがメディカルルームにいるって知ってるんですか!?」

 

『あっヤバ』

 

相手は後悔するがもう遅く、響が問いただしてきた。

 

「貴方、真さんを知ってるんですか!それにあの銀色のゼロワンの事も!女神さまってどういうことですか!?それにまた死んでしまったらってどういう事なんですか!?」

 

『あ~~~あぁ~~~・・・』

 

電話の相手は響の言葉に黙り込み、そして観念したかのように言葉を紡いだ。

 

『・・・もう隠し通せそうにないわね』

 

「っ!話してくれるんですね?」

 

『ええ、それにここで私が言わなくても真君に聞きそうだし、それなら今ここで説明するわ』

 

その後、響は相手に言われた通り電話をスピーカーモードにして皆に聞こえるようにしてから話始めた。

 

『そうね・・・まずはどこから話した方がいいか・・・』

 

その言葉に弦十郎が口を開いた。

 

「では、まずあなたは何者なのか?」

 

『わかったわ・・・私はこの世界を見守る女神』

 

電話の相手、女神の言葉にみんなは驚く。

 

「め、女神!?」

 

「おい!適当抜かしてんじゃねえだろうな!?」

 

「ああ、にわかには信じられん」

 

『いえ、本当よ雪音クリスちゃん、風鳴翼ちゃん』

 

「っ!?何であたしらの名前を!?」

 

『貴方達の様子は今までもずっと見て来たわ、まあ今回はいろいろ込み合って真君の確認を怠っていたのだけど・・・』

 

「マジかよ・・・!」

 

クリスが驚く中、次に口を開いたのはセレナだった。

 

「あの!もしかして何ですけど・・・貴方は」

 

『ええそうよ、セレナちゃん。随分成長したわね』

 

「・・・っ!やっぱり、支援者さんなんですね!」

 

女神の答えにセレナは喜ぶ。

 

『あの時、貴方を日本に向かわせたのは正解だったわね』

 

「はい!そのおかげでこうしてマリア姉さんたちと一緒になれましたから・・・!」

 

『そう、よかったわ』

 

セレナが喜ぶ中、再び弦十郎が質問する。

 

「では、次なのだが・・・真君の持つあのドライバーは・・・?」

 

『そうね・・・それに関してはあの子について話さないといけないわ』

 

「あの子・・・真さんについてですか?」

 

『ええそうよ、みんな心して聞いてね』

 

女神の言葉にみんなは息を呑み、そして女神の口から語られた。

 

『・・・継菜真、あの子は此処とは違う世界で死んだ存在よ』

 

『ッ!?』

 

女神の言葉にみんなは驚愕した。

 

「死んだ存在・・・だと!?」

 

『ええ、あの子は元の世界で事故で亡くなった。そんなあの子を私がこの世界に転生させた、ゼロワンの力を授けてね』

 

「違う世界・・・事故で亡くなっただと・・・!?」

 

『信じれない・・・かしら?』

 

「さ・・・流石に違う世界だなんていきなり言われても・・・」

 

皆は信じられない中、了子が答えた。

 

『・・・いえ、別世界は存在するわ』

 

「なんだと!?」

 

『現在S.O.N.Gが所有する聖遺物の中には並行世界に行くことができる完全聖遺物が存在するわ。それが存在する以上別世界の存在もあり得る』

 

『ええ、その通りよ』

 

「な・・・なんだか、話のスケールが大きすぎてちんぷんかんぷんデス・・・」

 

「う、うん・・・理解が追い付かない・・・」

 

「というより、ゼロワンってあんたが与えたものなのか!?」

 

『ええ、この世界でも戦えるよう私が改良して聖遺物に近いものにして彼に渡したわ、それにあなたとセレナちゃんに渡したそれも私が改良したものよ』

 

女神の言葉に奏とセレナは自身のキーを見る。

 

「こいつを・・・神様が」

 

『と言っても、まだ完全な聖遺物とは言えないけど、聖遺物の力を蓄えればいつか完全な聖遺物になれるわ』

 

皆が驚く中、今度は女神から言葉が紡がれた。

 

『それでは、真君のあの銀色のゼロワンについて説明するわ』

 

「っ!そうですよ!あれって何ですか!?」

 

『あれはメタルクラスタホッパー、現状真君の所有するキーの中で最強の力よ』

 

女神はメタルクラスタの性能について皆に説明した。

 

『分子レベルまでの崩壊・・・確かにそれならギアを破壊できたのもうなずけるわ』

 

「飛電メタル・・・確かにありゃ厄介だったな」

 

「私と奏さんの二人で何とかなった代物ですからね」

 

『ええ、でもその強すぎる力故その負荷も激しく、結果真君の意識が途切れ戦闘本能だけで戦う狂戦士となったのよ』

 

「そうなんですね、だから真さんがあんな風に・・・」

 

響が喋るかな、女神は小さな声で呟いた。

 

『・・・もしかしたら、『あれ』も関係してるのかも』

 

「女神さん?」

 

『あっいえ何でもないわ、それとそのキーについて何だけどまだ真君に持たせてくれないかしら?』

 

「何故だ?」

 

『今此方でメタルクラスタの負荷を抑えるための安全装置の改修しているわ、完了次第すぐに送れるようにするわ』

 

「そうか・・・あなたがそう言うならキーの回収はやめよう」

 

『ありがとう・・・そろそろ私は安全装置の改修に取り掛かるわ、皆さんどうかご気を付けて』

 

「は、はい・・・あっそれともう一つ!」

 

電話が切れる前に響が問いかけた。

 

『あら、何かしら?』

 

「えっと・・・真さんは元はどういった人物なんでしょうか」

 

『そうね・・・真君に関しては本人から聞いた方がいいわね』

 

「真さん本人から・・・ですか?」

 

『ええ、私の口から話したらあの子に怒られそうだからね。それじゃね』

 

そう言って今度こそ連絡が切れた。

 

「・・・なんだか、とんでもないことを知ったわね」

 

「あいつは此処とは違う世界の存在で・・・」

 

「そしてすでに亡くなっている・・・か」

 

「真君の経歴には謎が多かったが、そういう事だったのか」

 

戦いの中、新たな事実を知ったみんなは更に悩みこむ。

 

「・・・真君に関しては戦いが終わってから話し合おう。今は敵の動きに警戒しなくてはな」

 

「そうですね、私と雪音もイグナイトを使いこさなくては」

 

そう言ってみんなは気持ちを切り替えたのだった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い森の中、二人の子供が手を繋いで走っていた。

 

「ううっ・・グスッ・・ヒグッ・・!」

 

「大丈夫じゃ・・うちが守って見せる・・・!」

 

一人は泣きじゃくりながら、もう一人は涙を堪えて手をしっかりと握り先頭で走っていた。

 

少女達が急いで走っていると、途中で誰かとぶつかって転んでしまう。

 

少女達は恐る恐る顔を上げると、そこにいたのは自分たちと変わらない年頃の金髪の少女だった。

 

「お前たち、こんな森の中で何をやっている」

 

「お、お主は誰じゃ?」

 

「別に、ただ暇をつぶしていただけだ、それよりも早く家に帰る事だ、こんな夜中に子供だけだと親が心配するぞ」

 

少女がそう言うと、二人の少女は顔を暗くなったのを少女は確認できた。

 

「・・・どうした?」

 

「・・・親はもうおらん」

 

「何?」

 

少女は堪えていた涙を流し口を開いた。

 

「父上と母上は、村の者達に・・・異端と言われて・・・・・!」

 

「っ!?」

 

少女の言葉に金髪の少女は驚き、そして二人の姿をかつての自身と重ねる。

 

「・・・そうか、お前たちも親を」

 

『いたぞ!こっちだ!』

 

すると遠くから男の声が聞こえ、少女たちの来た方から何人かの大人が獲物を手にやって来る。

 

「くっ!もう・・・」

 

「そんな・・・!?」

 

少女はやってきた大人たちに怯え涙を流しもう一人は涙する少女の手をしっかりと繋ぐと、金髪の少女が二人の前に出る。

 

そしてその手をかざすと、青い陣が生成され目の前に巨大な氷の壁が生成され大人たちを捕らえた。

 

「え・・・何今の?」

 

「お・・・お主は、一体・・・」

 

少女達が驚くと、少女は振り返り少女達を目を合わせる。

 

「・・・助かりたいなら俺と共にこい」

 

視線を合わせる少女に二人は互いに顔を合わせ、そして少女の後をついて行った。

 

 

 

「・・・ん」

 

紫苑が目を覚ますと、目の前には修復中のミカが眠っており、紫苑と同じくまだ眠っている桃恵がいた。

 

「随分懐かしい夢を見たものじゃな・・・」

 

そう言って紫苑は置かれていた毛布を桃恵にかぶせ、ミカの修復に取り掛かる。

 

修復する際、紫苑が眼を逸らすと、机の端にミカの頭部に繋がれたコードとつながっている『赤い結晶』とその隣に置かれている『青』『黄』『緑』そして『金』の結晶があった。

 

「・・・きゃろるよ、あの時うちらを助けてくれた恩は必ず果たす・・・じゃが」

 

そう呟く紫苑の目は覚悟を決めた目だった。

 

「うちらはもう家族を失うようなことはせんぞ」

 

紫苑はそう呟き、修復を開始した。





さて後書きの時間だ。
「ついにバレたな、俺の存在」
「だな、と言っても性別までは話してないみたいだな?」
性別に関してはしかるべき時に話します。
「それにしても支援者さん・・・じゃなくて神様が直々に話すなんて・・・」
「というよりこの神慌てすぎじゃないかのう?」
そりゃプログライズホッパーブレードの改修中に真がメタルクラスタに変身して暴れて倒れたら慌てるわ。
「それと同じぐらい気になるのはお前たちの過去だな」
「お二人ってキャロルちゃんと同じ・・・」
「うむ・・・あの時きゃろると出会わなければうちらはきっと・・・」
「お姉ちゃん・・・」
「・・・まあ詳しい話はまたいつかの」
「・・・そうだな、その時は聞かせてもらうぞ」
「うむ、じゃがだからと言って負ける気はないからのう!」
「上等だ!あたしらが必ず勝ってやるさ!」
「はい!負けませんよ!」
「わ・・・私もお姉ちゃんやみんなと一緒に頑張ります!」
おーおー張り切ってるな、んじゃそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回7:セレナの誕生日

特別回第七話!今日はセレナの誕生日だ!
「これでセレナも大人の仲間入りか」
「はい!というよりこの中でまだ大人じゃないの私だけですからね・・・」
「あ~そういやそうか」
「そういえばそうじゃの」
「紫苑さん私より背小さいのにこの中じゃ桃恵さんと同じく一番の年長さんですからね」
「そうですね・・・そういえば何で私とお姉ちゃんは23歳だったんですか?」
お前らのキャラが完成したのが23日だったから。
「適当かよ!?」
そうだよ、それじゃ特別編始めますか!


10月15日、今日はセレナの誕生日・・・なのだが。

 

「まさか、俺以外予定で来れないなんて・・・!」

 

「あはは・・・っ」

 

現在家にいるのは真とセレナ二人だけである。

 

その理由としてはまず響達学生組は学祭の準備で帰りが遅く。

 

そして翼とマリアはライブで現在外国へと飛んでいる、奏は二人のボディーガードとして共に行っている。

 

したがって現在S.O.N.G所属で現在暇な真とセレナだけがいるのであった、それに加えて。

 

「ここ最近は書類に追われていて碌に準備ができていない・・・!」

 

真自身書類の山に追われていて、何とか終わらせたのだが肝心の料理の下準備は一ミリもできていなかったのだった。

 

「済まないセレナ!まさかこんなことになるなんて!」

 

「いえ、気にしないでください真お姉ちゃん!こういう時もたまにありますから」

 

セレナに対して頭を下げる真をセレナはなだめる。

 

「まあ、マリア姉さんはとんでもなかったけれど・・・」

 

「あれはやばかった、まさか空港のど真ん中で子供の様に泣き転がるとは思わなかった」

 

「身内として少し恥ずかしかったです・・・」

 

「翼たちがいてくれたから何とかなったけど、あのままだったら警備員呼ばれるところだったな・・・」

 

二人は空港での出来事を思い出すとため息をつく。

 

「・・・しかし、せっかくの誕生日を何もなしで過ごさせるわけにはいかないな、せめてセレナの要望位は聞くぞ」

 

「要望・・・ですか?」

 

「ああ、俺にできることならある程度は叶えるよ」

 

真の言葉を聞いてセレナは少し考えると、思いついたようで口を開いた。

 

「・・・じゃあ今から出かけませんか?」

 

「出かける・・・ってどこに?」

 

「どこでもです、私ってよく考えたら真お姉ちゃんと二人だけで出かけたことがないので偶にはと」

 

「あ~・・・確かにな、でもそれでいいのか?」

 

「はい、良いでしょうか?」

 

セレナが尋ねると、真は微笑む。

 

「まさか、ご要望には応えるよ」

 

「ありがとうございます!ではいきましょう!」

 

そう言って二人は街へと繰り出したのだった。

 

 

 

街に出たところで二人はその辺りをぶらついていた。

 

「さて、どこへ向かおうか・・・出来る限りセレナが喜びそうなところがいいよな」

 

「そんなに深く考えなくてもいいですよ」

 

「とは言ってもな・・・」

 

真がどこに行こうか悩んでいると、正面から見慣れた人物がやって来る。

 

「あら?真ちゃんじゃない」

 

「あっふらわーのおばさん、こんにちは」

 

「こんにちは、それとそっちの子はあの時の子ね」

 

「どうも、セレナと申します」

 

セレナはフラワーのおばさんに対し礼儀正しく頭を下げる。

 

「あらあら、ご丁寧にどうも。それで何してるのかしら?」

 

「いや、今日セレナの誕生日なんですけどパーティーの準備もプレゼントも用意してなくて、それでセレナの要望を聞こうと思って今出かけてるところなんです」

 

「あら!そうだったの。それはおめでたいわねぇ」

 

「ありがとうございます、それで今どこに行こうか真お姉ちゃんが悩んでて・・・」

 

「なるほどね・・・あっ!だったらこれよかったら」

 

そういっておばさんが取り出したのは二枚のチケット、そこには『本日女子限定スイーツバイキングサービス券!』と書かれていた。

 

「サービス券!?いいんですか!」

 

「ええ、貰った物だけれどもうおばさん甘い物って年じゃないし貰ってくれないかしら?」

 

「わぁ!ありがとうございます!」

 

セレナはおばさんから券を嬉しそうに受け取る。

 

「おばさん、本当にありがとうございます!」

 

「いいのよ、せっかくの誕生日なんだし楽しんできてね」

 

「はい!行きましょう真お姉ちゃん!」

 

「ああ!急がないとな!」

 

甘いものが大好きな二人は急いで券に書かれているお店へと向かって行く様子をおばさんは微笑ましく見ていた。

 

「あらあら、仲良しね」

 

 

 

お店にたどり着いた二人は早速スイーツバイキングを楽しんでいた。

 

「ん~!美味しいです!」

 

「ああ、本当にな」

 

二人は更に持ったスイーツを堪能していると、セレナの手の動きが止まる。

 

「・・・セレナ?」

 

「真お姉ちゃん、こんな場ではありますが改めてお礼を言わせてください。マリア姉さんたちを助けてくれてありがとうございます」

 

「どうしたんだよ急に」

 

「いえ、わたし常々思うんです、もし真お姉ちゃんと出会わなければマリア姉さんたちを取り戻せられなかったかもしれません」

 

セレナはフロンティアでの出来事を思い出しながら言葉を紡いだ。

 

「それに真お姉ちゃんが支えてくれなかったら私はネフィリムの恐怖でつぶされていたかもしれません。いえそれ以前に、もし日本にいないときに真お姉ちゃんの存在を知らされていなかったらマリア姉さん達のことを知れなかったと思います」

 

「・・・・・・」

 

「二課に入ってから・・・いえ日本に来てからずっと真お姉ちゃんにお世話になりっぱなしだったのでお礼が言いたかったんです」

 

セレナがそう言うと、真は優しく微笑みセレナの頭を撫でる。

 

「気にすんなよ、それにマリア達を助けたいって最初に考えたのはお前だろ?俺はただそれの手伝いをしてただけさ」

 

真はそう言いながらセレナの頭から手を放しコーヒーを飲む。

 

「それにお礼なら俺だけじゃなく響達にも言ってやれ、正直響達居なかったらなにも助けれなかっただろうしな・・・それに俺はセレナの夢を守れただけでいいのさ」

 

手にしたコーヒーを机に置くと、セレナに向けて笑顔でそう答える。

 

「だから気にすんなよ、セレナ」

 

「・・・はい、わかりました!」

 

真の言葉に対しセレナは笑顔で答えてくれた。

 

『え~まもなく限定プディングが完成いたします』

 

「おっといけねえ!急ぐぞセレナ!今日中にメニュー全制覇だ!」

 

「はい!私頑張りますよ!」

 

二人はすぐに立ち上がり仲良くスイーツを取りに向かった。

 

その様子はさながら本当の姉妹の様だった。




「後書きの時間だが・・・この作品のヒロインってセレナだっけ?」
いや、まだ決めてないけど・・・なんか自然にこんな感じになってしまった。
「けど私は真お姉ちゃんのことは本当に慕ってますよ」
「うむ、真よ、よい妹を持ったの」
「セレナの姉はマリアなんだけど・・・まっいっか」
「にしてもあんときはマリアの奴に本当に苦労掛けられたな、空港のど真ん中で泣き叫んで転がってたからな」
「ああ~なんじゃか想像できてしまうのう」
「マリア姉さんが本当にごめんなさい・・・」
「いやいいさ、それより作者、セレナの誕生花は用意したのか?」
ああ、セレナにぴったりの花を用意させていただきました、というわけではいどうぞ。
「これは・・・?」
『クレオメ』って花だ、花弁の形が蝶みたいで和名は『西洋風蝶草』っていうんだ、花言葉は『舞姫』でセレナにピッタリだろ。
「なんてセレナにぴったりな花だ、よかったな」
「はい、ありがとうございます!」
「気にすんな、それじゃあそろそろ〆ますか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!セレナ!』


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浜辺での特訓

GX編十五話前回のあらすじは?
「メタルクラスタの反動で眠っている俺」
「そんな時に真の電話に神様が連絡してくる」
「神様の発言で真お姉ちゃんが転生者だということがわかりました」
「そんな中、うちはきゃろるとの出会いを思い出す」
「その時、お姉ちゃんは何かを決心していた」
はい完璧、それではGX編第十五話、どうぞ!


眠りにつく中、マリアはかつてのフロンティアでの出来事を夢で見てた。

 

歌を利用して世界に宣戦布告したこと、ウェルに利用されていたこと、そして響達に思いを託したこと。

 

(強くなりたい・・・翻弄する運命にも、立ちはだかる脅威にも負けない力が欲しくて、ずっと・・・もがいてきた)

 

それはマリアの胸に秘める思い、弱い自分への戒め。

 

そんなことを胸に秘めマリアは目を覚ます。

 

(求めた強さを手に入れる為、私は・・・ここにいる)

 

 

 

キャロルの自死から少し経ち、真の容態も良くなりようやく全員がそろった。

 

「本当にすまなかった!」

 

司令室に到着した真は第一声にみんなに対して謝罪していた。

 

「いいんですよ真さん、頭を下げなくても」

 

「でも、俺が不甲斐ないばかりに暴走して、。挙句には切歌と調のギアを破壊してしまうなんて・・・本当にすまない!」

 

「いいんデスよ、それにこうしてお二人が改修してくれたので大丈夫デス!」

 

「うん、むしろ私たちも強化されたから心配ないよ」

 

「でも・・・」

 

それでも気に病む真に対し響が声をかける。

 

「真さん、切歌ちゃんも調ちゃんも許してますからもう気にしないでください!」

 

「そうだな、あまり気に病むな」

 

「だな、お前がそうしてると調子が狂うんだよな」

 

三人の言葉に真は押し黙る。

 

「・・・三人がそう言うなら、分かった」

 

そう言って真はいつも通りに戻る。

 

『これでイガリマとシュルシャガナの改修と改良は完了ね、そして・・・』

 

フィーネがエルフナインに視線を向けると、エルフナインは二つのギアを取り出す。

 

「復活のアガートラーム・・・」

 

「改修ではなく、コンバーター部分を新造しました、一度神経パスを通わせているので身に纏えるはずです、そして」

 

エルフナインはもう一つのペンダントを未来に差し出す。

 

「シェンショウジン・・・」

 

『こっちも改修して、イグナイトを搭載したわ。弦十郎君の考えでこれは貴方に託すわ』

 

「ああ、敵の頭がいなくなったとはいえいつ敵が襲い掛かって来るかわからない。故に未来君には仲間として一緒に戦ってほしい」

 

「いいんですか?」

 

「ああ、此方としては戦力が増えるのはありがたい、頼めるだろうか?」

 

「・・・わかりました、そういうなら喜んで受けます」

 

そう言って未来はペンダントを手にして身に着け、マリアは手にしたアガートラームを見つめる。

 

「・・・セレナのギアをもう一度、この輝きで、私は強くなりたい」

 

「マリア姉さん・・・」

 

「うむ、新たな力の投入に伴い、ここらで一つ、特訓だ!」

 

『特訓?』

 

『ッ!?』

 

特訓の言葉にそれぞれ反応する中、真、クリス、セレナの三人は怯えるように反応する。

 

「特訓って・・・前みたいなトンデモ特訓じゃないでしょうね・・・?」

 

「おいオッサン・・・またあの特訓をやるってんならあたしらはもう体がもたないぞ・・・!?」

 

「ガクガクガクガクガクガクッ・・・!!」

 

「どうしたのセレナ!?それにあなた達も小鹿の様に振るえてるわよ!?」

 

三人はかつてのフロンティア突入前の特訓を思い出し恐怖で震えていた。

 

「安心しろ、今回は前の様な特訓はしない、それに場所も違うからな」

 

「・・・違う?」

 

 

 

青い空、白い雲、さんさんと輝く砂浜。

 

そう、特訓としてやってきたのは海岸だった。

 

『オートスコアラーの再戦を受け、強化型シンフォギアとイグナイトモジュールを使いこなすことは急務である。近く、筑波の異端技術研究機構にて調査結果の寺領任務がある、諸君らはそこで心身の鍛錬に励むといいだろう』

 

『特訓と言えばこの私!任せてください!』

 

「・・・と言っていたのに、何であいつらは遊んでやがんだ?」

 

海岸にやってきた皆は思い思いに遊んでいる中、真はパラソルの下で見守っていた。

 

「まあいいじゃねえか、響とおっさんに提案なんだしさ。ていうか真は泳がないのか?」

 

水着姿の皆に対し真はいつも通りの服装だった。

 

「いいよ俺は、海ってあまり好きじゃないし、どっちかというと山派だし」

 

「そうなのか?けど偶には羽を伸ばしたっていいんじゃないか?」

 

「いや、俺はこうして日に当たるだけでも十分だよ。というか奏、あっちで翼が呼んでるぞ?」

 

「おっマジか、んじゃあたしは言ってくるから真も楽しめよ」

 

そう言って奏は翼の元へと向かう。

 

(ただでさえ女物の服でも精神的にきついのに水着なんぞ着るわけにはいかないからな・・・)

 

真はため息をついて海を見つめていた。

 

「真さーん!ビーチバレーの審判お願いしまーす!」

 

あっちでは響が特訓と称してビーチバレーを行おうとして真を呼んでいた。

 

「・・・まっ、あれぐらいならいいか」

 

そう言って真は立ち上がり皆の元へと向かった。

 

皆がビーチバレーをやる中、エルフナインがサーブミスをしてしまい、マリアがボールを手に取る。

 

「何でだろう・・・強いサーブを打つための知識はあるのですが、実際やってみると全然違うんですね」

 

「背伸びをして誰かの真似をしなくても大丈夫、下からこうこんな感じに」

 

マリアは教えたとおりにボールをサーブする。

 

「はぅ~!ずびばせん・・・」

 

「弱く打っても大丈夫、大事なのは自分らしく打つことだから」

 

「はい!頑張ります!」

 

「ふふっ、マリア姉さんとエルフナインさんもう仲良しですね」

 

「そうだな」

 

そんな二人の様子をセレナと真は見守っていた。

 

 

 

一方チフォージュ・シャトーにて、紫苑達とオートスコアラー達がいた。

 

「それでは、きゃろるがいない今うちらが指揮を執る。皆は当初の予定通りに行動してくれ」

 

「分かりましたわ」

 

「派手に行動しよう」

 

「了解だゾ!」

 

「それと、ガリィさんには私たちがついて行きます」

 

「あら?何でですか?」

 

「うむ、調べたところがりぃが向かうところに装者たちがいるようじゃからな、うちらはお主の援護じゃ」

 

「なるほどね、了解しました」

 

そう言って四体はその場から離れ、紫苑と桃井だけが残った。

 

「さて、うちらも行動する前に・・・桃恵よ、例の物は容易できとるか?」

 

「うん・・・ちゃんと用意したし、見つからないように隠しておいたよ」

 

「うむ、ご苦労じゃ。それではうちらも向かおうぞ」

 

「わかった」

 

そう言って二人もその場から離れる。

 

 

 

一方買い出しに出かけた翼と切歌と調はコンビニで買い物を終えていた。

 

「切ちゃん自分の好きな物ばっかし」

 

「こういうのを役得というのデス!」

 

そうして三人が歩いていると、ふと子供たちの人だかりが目に映った。

 

そこには巨大な氷が幾つも突き刺さりボロボロになった神社があった。

 

「これは・・・一体?」

 

 

 

一方真達の方では、翼達が買い出しに行っている中、真が海を見つめていた。

 

「・・・・・・」

 

「真さん、どうしたんですか?」

 

思いにふける真に対し響が声をかけて来た。

 

「響か・・・いやこいつのことでな」

 

そう言って真が手にしているのはメタルクラスタホッパープログライズキーだった。

 

「それは・・・」

 

「あの時、みんなを守ると決心して変身したんだが、結局負荷に耐え切れずに暴走して逆にみんなを傷つけてしまったからな・・・つくづく自身の未熟さに嫌気がさすよ」

 

「・・・っ!」

 

「暴走して、周りを傷つけて・・・響の気持ちがわかる気がするよ」

 

真は喋りながらもどこが悲壮感漂わせていた。

 

「だからこいつを使いこなそうと考えたんだが・・・どうもうまくいく様子が思いつかないんだよな」

 

「そんな・・・そんな後ろ向きに考えるなんて真さんらしくないですよ」

 

「そうだよな・・・けど、どうしてもな」

 

「真さん・・・」

 

真が思い悩んでいると、突如正面の海面が盛り上がり何かが飛び出してきた。

 

「っ!ガリィ!」

 

「あらあら皆さん、夏の思い出作りは十分かしら?」

 

「んなわけねえだろ!」

 

そう言ってクリスが前に出ると、真達とガリィの間から陣が生成され、そこから紫苑達が現れる。

 

「紫苑!桃恵!」

 

「うむ、久しぶりじゃな」

 

「まさか・・・キャロルの代わりにあなた達が指揮を!?」

 

「はい、その通りです。そして今日は貴方達と戦いに来ました」

 

フォースライザー!

 

二人はフォースライザーを身に着け、キーを手にする。

 

「今回は海じゃからのう、故にふさわしい姿で戦おう!」

 

ピーアス!

 

シンフォニー!

 

二人はライズスターターを押し込み装填すると、二体のライダモデルが飛び出し海へと飛び込む。

 

「今のは!?」

 

「奪われたプログライズキーか!」

 

すると海から先ほど飛び出した『ピアッシングナーファルライダモデル』と『エコーパルスドルフィンライダモデル』が飛び上がる。

 

「「変身!」」

 

フォースライズ!

 

ピアッシングナーファル!

 

エコーパルスドルフィン!

 

Break Down.

 

二体のライダモデルが二人に纏われ『仮面ライダー滅 ピアッシングナーファルフォーム』『仮面ライダー迅 エコーパルスドルフィンフォーム』へと変身する。

 

「そっちがその気なら遠慮なくいくぞ!」

 

真達もドライバーを身に着け、ペンダントを握り締める。

 

「力を借りるぞ、切歌!」

 

デンジャー!

 

パワー!

 

サンダー!

 

オーソライズ!

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

真は切歌のイガリマのプログライズキー『デンジャラスイガリマプログライズキー』を認証させると、ドライバーから鎌を構えた切歌のライダモデルが飛び出す。

 

三人がキーとショットライザーを構え、響達は聖詠を歌う。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Killter Ichaival tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

『変身!』

 

シンフォニックライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

prison sickle that opens up to a dream!デンジャラスイガリマ!

 

パンチングコング!

 

ライトニングホーネット!

 

Zeios igalima raizen tron.

 

Enough power to annihiate a mountain.

 

Piercing needle with incredible force.

 

響達はシンフォギアを身に纏い、奏達もパンチングコングフォームとライトニングホーネットフォームへと変身し、真は切歌のイガリマに似たアーマーを身に纏いその手に鎌を握った『仮面ライダーゼロワン デンジャラスイガリマフォーム』へと変身する。

 

『使用BGM TRUST HEART』

 

鉛玉の大バーゲン 馬鹿に付けるナンチャラはねえ

 

先手必勝でクリスがボウガンを連射するが、紫苑達の錬金術ですべて防がれてしまう。

 

「うむ、そう来なくてはな。うちらが仮面らいだぁを務めよう、がりぃは予定通り頼むぞ」

 

「はいはい、わかってますよ」

 

そう言って紫苑達は真達と戦い、ガリィと響達が相対した。

 

「マリアさん!エルフナインちゃんをお願いします!」

 

「分かったわ!」

 

響に頼まれマリアはエルフナインを連れてその場から離れる。

 

「紫苑ちゃん達の命令で動いているの?」

 

「ええそうよ、まあいなくても勝手に行動してたけどね」

 

そう言ってガリィは結晶をばら撒きアルカノイズを繰り出してくる。

 

「ちっ!またこいつらかよ!」

 

「でも、倒さないと周りに被害が出る!」

 

「うん、行こう二人とも!」

 

三人は協力してアルカノイズを倒していく。

 

傷ごとエグって 涙を誤魔化して

 

クリスがボウガンでアルカノイズを撃ち抜いて行き、空のアルカノイズに対して未来が光線を放ち撃ち落としていき突っ込んだ響が拳でアルカノイズを吹き飛ばしていく。

 

一方買い出しに出かけた翼たちは遠くで戦いが起きていることを視認できていた。

 

「あれは!」

 

「もしかして、もしかしてデスか!」

 

「行かなきゃ!」

 

翼は現場に向かう前に近くにいた男性に声をかける。

 

「ここは危険です!子供達を誘導して安全なところにまで・・・!」

 

「冗談じゃない!どうして俺がそんなことを!」

 

そう言って男性はその場から逃げて行ったことに驚きつつも、慌てずに翼は子供たちを安全な場所へと誘導していった。

 

「っ!・・大丈夫、慌てなければ危険はない!」

 

一方真達は紫苑と桃恵とぶつかり合っていた。

 

「はぁっ!」

 

「甘いっ!」

 

真の振るう鎌に対し紫苑が刀で防ぎつつも右手前腕部に身に着けられている『ピアッシングスピア』での反撃を真は回避する。

 

「くそっ!だったらこいつでどうだ!」

 

真は鎌の刃を生成し紫苑目掛けて放った。

 

切・呪リeッTぉ

 

真の呪リeッTぉに対し紫苑は左手の刀と右手のスピアで全て弾いてしまう。

 

全て弾かれた瞬間、紫苑は目の前にいた真が急にいなくなり驚くと、上から真が鎌を構えて縦に高速で回転しながら紫苑に向かって行く。

 

災厄・舞レe芽n

 

気づくのが遅れた紫苑はそれを刀とスピアで受け止め、横に逸らして難を防ぐ。

 

「くそっ!これでも無理か!」

 

「今のは本当に危なかったぞ・・・何という奴じゃ」

 

紫苑と真が正面を向かい合う中、奏は桃恵と地上戦を繰り広げていた。

 

奏が桃恵に拳を振るおうとするが、桃恵は拳を躱し逆にその勢いを利用し奏を投げ飛ばす。

 

奏が投げ飛ばされると上空からセレナがヘクスベスパを繰り出していくが、桃恵の両手に取り付けられた『パルススピーカー』によって放たれた衝撃波で全て落とされてしまう。

 

「お前、遠距離専門じゃないのかよ!?」

 

「遠距離だけだと不安だとお姉ちゃんに言われて、少々武道をたしなみました」

 

「そういう事ですか・・・」

 

「では、此方から行きます!」

 

桃恵は奏に急接近し奏は慌てて拳を振るが受け流され、逆に懐に潜り込まれその体に発勁が叩き込まれ同時にスピーカーからの衝撃波が奏に突き刺さった。

 

「っ!?がぁっ!」

 

奏は発勁と衝撃波によって吹き飛ばされる。

 

「奏さん!」

 

「くっ・・・大丈夫だ!」

 

奏は腹部を抑えながら立ち上がる。

 

そうしてお互いにぶつかり合っていると、真は響達の方を見てあることに気が付く。

 

「・・・?あいつはどこに行った?」

 

そこにいたはずのガリィがいないことに気が付く、向こうにいる響も同じことを考えていた。

 

「・・・まさか!?」

 

 

 

マリアとエルフナインは巻き込まれないように離れていると、上からガリィが飛んできて二人の前に降り立つ。

 

「見つけたよ、外れ装者」

 

ガリィは右腕に氷の刃を生成しマリアに襲い掛かる。

 

「さぁ、何時までも逃げ回ってないで・・・!」

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

ガリィが襲い掛かる中、マリアは聖詠を口にしながらガリィの氷の刃を躱し、光り輝く右手で殴り飛ばした。

 

ガリィを殴り飛ばすと右手からギアが纏われていき、マリアの身に復活したアガートラームが纏われた。

 

「銀の・・・左腕・・・?」

 

「あれが・・・新生アガートラーム!」

 

『使用BGM 銀腕・アガートラーム』

 

真の強さとは何か?探し彷徨う

 

「ああいうとき見たく、失望させないでよ」

 

ガリィは体勢を立て直し、再びアルカノイズを繰り出す。

 

思い出の微笑みに問いかけ続けた

 

マリアは左腕から大量の短剣を繰り出しアルカノイズ目掛けて放った。

 

INFINITE†CRIME

 

放たれた短剣はアルカノイズを貫き、マリア自身も短剣を手に攻撃を仕掛ける。

 

惑い迷い苦しむことで

 

マリアは襲い掛かってくるアルカノイズを短剣で切り裂いていく。

 

(特訓用のLINKERが効いている今のうちに・・・!)

 

運命(さだめ)も過去も嘆きも記憶も愛も

 

マリアは短剣を蛇腹剣のようにして振るいノイズを切り裂いていく。

 

EMPRESS†REBELLION

 

「うわー私負けちゃうかもー・・・なんてね」

 

ガリィは棒読みで言葉を紡ぎ、マリアの振るう短剣を避ける。

 

「っ!」

 

躱されたマリアはガリィの氷で吹き飛ばされてしまうが、何とか起き上がる。

 

「強い・・・だけど!」

 

マリアは胸元のギアペンダントに手をかける。

 

「聴かせてもらうわ」

 

「この力で決めて見せる、イグナイトモジュール、抜剣!」

 

マリアはギアペンダントを押し込み天に掲げた。

 

ダインスレイフ

 

ペンダントは宙を浮かびその形を変え、マリアの胸に突き刺さった。

 

「ぐぅ・・・があぁぁあぁあぁあ!!」

 

マリアは胸の内から湧き上がる破壊衝動に苦しむ。

 

「弱い自分を・・・殺す・・・ガァアァァアァアアァア!!」

 

その瞬間、胸元のギアペンダントが輝き、その力を増幅する。

 

そしてマリアの体はかつての響と同じく、黒く染まり、暴走してしまう。

 

「あれま」

 

「ガァァアァァアアアア!!」

 

暴走したマリアはそのままガリィに襲い掛かるが、ガリィは全て躱していく。

 

「獣と落ちやがった」

 

するとその場に響達、そして紫苑達を退け駆け付けた真達と追いかけて来た紫苑達がやって来る。

 

「あれは・・・暴走!?」

 

「魔剣の呪いに飲み込まれて・・・」

 

「マリア姉さん!!」

 

「おい、あれまずいだろ!?」

 

マリアは飛び上がりそのままガリィに襲い掛かるがガリィは華麗に躱すが、それでもマリアは襲い掛かる。

 

「いやいやこんな無理くりなんかじゃなく」

 

襲い掛かってくるマリアの顔を掴んで静止する。

 

「歌って見せなよ!アイドル大統領!」

 

ガリィはそのままマリアの顔を地面に叩きつけた。

 

「っ!?」

 

「マリアさん!」

 

「マリア姉さん!?」

 

するとマリアから白い光が放たれ、ギアが解除されたマリアが倒れていた。

 

「やけっぱちで強くなれるなどとよぼせるな」

 

「がりぃよ、流石にもう少し加減した止め方が合ったじゃろうに・・・」

 

「だってこうでもしないと止められなさそうだったし~、それにしても外れ装者にはがっかりだ」

 

そう言ってガリィはジェムを使ってその場から消える。

 

「ぬぅ・・・仕方ない、うちらも帰還するぞ」

 

「う・・・うん」

 

紫苑と桃恵もジェムを使ってその場から退散した。

 

「マリア!しっかりしろ!」

 

「マリア姉さん!しっかりして!」

 

「マリアさん!」

 

皆が呼びかけるとマリアは目を覚ます。

 

「・・・勝てなかった・・・私は・・・何に負けたのだ・・・?」

 

倒れるマリアを照らす太陽は、憎たらしくも光り輝いていた。




さて後書きの時間だが・・・。
「今回あまり海に触れていなかったな」
すみません、この時俺疲れていたので文章があれになっていました。
「まあ仕方ありませんよ、それにしても真お姉ちゃん水着着なかったんですね」
「当たり前だ、それを着たら男としての大事なものが崩れ去ってしまう」
「残念です、せっかく響さん達と一緒に似合う水着選んだのに・・・」
「ぬう・・・うちも水着はあまり好まんからのう」
「お姉ちゃん洋服あまり着ないからね」
「うむ、うちはやはり和服が一番気に入ってるからのう」
「それにしても、マリアの奴大丈夫なのか?」
「ああ、見事に失敗したからな、ダメージデカいだろ」
そこらへんは次回何とかしますよ、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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銀色の輝きを継ぐ者


GX編第十六話、前回のあらすじは?
「イガリマとシュルシャガナ、そしてアガートラームとシェンショウジンの改修完了」
「特訓と称して海に来たぞ」
「そこに襲撃してきたガリィと紫苑さんと桃恵さん」
「マリアさんがイグナイトを使うけど暴走してしまいました」
「結果ガリィに止められ逃げられてしまった」
はい今日もバッチシです、それではGX編第十六話、どうぞ!


浜辺での襲撃の後、帰還した紫苑達はチフォージュ・シャトーに戻っていた。

 

「派手に立ち回ったようだな、ガリィ」

 

「目的ついでにちょっと寄り道を」

 

「自分だけペンダント壊せなかったのを引きずってるみたいだゾ?」

 

「うっさい!だからあの外れ装者から一番にむしり取るって決めたのよ!」

 

「落ち着かんかがりぃよ、怒っても仕方ないぞ」

 

「・・・っち」

 

苛立っているガリィを紫苑が止める。

 

「そうですね、それにマスターの命を果たさなければいけませんから」

 

そう言って皆は天井から垂れ下がる四色の垂れ幕に視線を向ける。

 

「そうじゃのう・・・あそれとそれに伴いお主らのこんでぃしょんを整えよう」

 

「ええ・・・別に大丈夫なんですけど」

 

「もしものことがあってはいかんからのう、最善は尽くすつもりじゃ」

 

「はいはい、分かりましたよ・・・」

 

「うむ、まあすぐに終わるから安心せい、すぐに準備しよう、行くぞ桃恵」

 

「う、うん」

 

そういって二人が部屋から出ると、紫苑は懐から四つの結晶を取り出す。

 

「さて・・・早く刻まんとな」

 

 

 

真達は襲撃の後、異端技術研究機構にて体を休めていた。

 

「主を失ってなお、新たな主と共に活動する人形」

 

「キャロルがいなくなっても紫苑と桃恵がいる限り計画は止まらないか・・・」

 

「けど、どうして相手は私達に止めを刺さないんでしょうか?」

 

「確かに、いままで俺たちに止めを刺す機会はあったのに刺さなかったな・・・」

 

調の疑問にみんなは少し考えこむ。

 

「あいつら、何を企んでんだ?」

 

「それに、気になるのはマリアさんの様子もだよ」

 

「・・・力の暴走に飲み込まれると、頭の中まで黒く塗りつぶされて、何もかも分からなくなってしまうんだ」

 

「・・・そうだな、あれだけはもう勘弁だな」

 

暴走の経験がある響と真の発言に空気が重くなる。

 

「そういえば、セレナちゃんは?」

 

「ああ、マリアの様子を見に行ったって」

 

 

 

一方マリアは簡単な治療を受けた後、一人浜辺で黄昏ていた。

 

(人形に救われるとは情けない・・・私が弱いばかり、魔剣の呪いにあらがえないなんて)

 

マリアは暴走したときのことを思い出し、己の拳を握り締める。

 

(強くなりたい・・・)

 

すると、マリアの前をボールが横切り、その後にエルフナインがやって来る。

 

「ごめんなさい、皆さんの邪魔をしないよう思ってたのに」

 

「邪魔だなんて・・・練習、私も付き合うわ」

 

「はい」

 

途中セレナがマリアの様子を見にやって来るが、マリアがエルフナインの練習を見守っているのを見て隠れて様子を見ていた。

 

「えい!えい!・・・おかしいな?うまくいかないな、やっぱり・・・」

 

「・・・色々な知識に通じているエルフナインなら、分かるのかな?」

 

「?」

 

「だとしたら教えてほしい、強いって・・・どういう事かしら?」

 

マリアの問いにエルフナインは、静かに答えてくれる。

 

「・・・それは、マリアさんが僕に教えてくれたじゃないですか」

 

「えっ?」

 

エルフナインからの意外な答えにマリアは驚くと、とたんに背後から水柱が上がった。

 

『っ!』

 

「お待たせ、外れ装者♪」

 

突然のガリィの襲撃にセレナは飛び出し、マリアと共にエルフナインを守るように前に出る。

 

「マリア姉さん!」

 

「セレナ・・・手伝って!」

 

「はい!」

 

「今度こそ歌ってもらえるんでしょうね?」

 

二人がガリィに向き合う中、エルフナインがマリアに声をかける。

 

「大丈夫です、マリアさんならできます!」

 

エルフナインからの言葉を受けて、マリアはペンダントを握り締める。

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

マリアに合わせ、セレナもショットライザーを身に着けヴァルキリーアガートラームプログライズキーを手にする。

 

シルバー!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

シンフォニックライズ!

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

Seilien coffin airget-lamh tron.

 

二つの音とともに、二人は異なるアガートラームを身に着け戦場に立った。

 

『使用BGM 銀腕・アガートラーム』

 

「外れじゃないのなら、戦いの中で示してみてくれよ!」

 

ガリィが結晶をばら撒くと、大量のアルカノイズが出現する。

 

「セレナ!右をお願い!」

 

「うん!」

 

マリアとセレナは二手に分かれ、アルカノイズの掃討に出た。

 

マリアは手にした短剣と変形させた蛇腹剣でアルカノイズを切り裂き、セレナは大量の探検を操作して飛ばし、片手でショットライザーを手にして撃ち抜いていく。

 

そんな中、建物の屋上に立っていたファラの姿が透明になる。

 

「アルカノイズの反応を検知!」

 

建物内では、アルカノイズの出現を聞いたみんなが急いで駆け付けに向かった。

 

「マリア達がピンチデス!」

 

皆が出て行った後、緒川と未来も向かおうとすると、一瞬透明な何かが前を横切ったのが見えた。

 

「っ!」

 

慌てて二人が確認するが、そこには誰もいなかった。

 

「風・・・?」

 

一方外では、マリアとセレナは順調にアルカノイズを倒していき、マリアはガリィへと向かって行った。

 

「はぁぁ!」

 

マリアが向かう中、ガリィは大量の水を操作し、それをマリア目掛けて放った。

 

マリアは短剣を繰り出し、三角形のバリアを展開し水を防ぐが、ガリィは再びマリア目掛けて水を放ち、二発目を防ぎきれなかったマリアに直撃してしまう。

 

「ふっ」

 

マリアに水をぶつけながらガリィは陣を生成すると、水を浴び続けているマリアの体が次第に凍っていき、全身が凍り付いてしまう。

 

(強く・・・強くならねば・・・!)

 

「マリア姉さん!」

 

マリアが凍り付いたところを、セレナが短剣を繰り出し氷を砕いてマリアを救出するが、マリアは膝をついてしまう。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

「てんで弱すぎる!」

 

マリアは息をと問えながら、胸元のペンダントに手を伸ばす。

 

「その力、弱いあんたに仕えるの?」

 

ガリィの発言で、ペンダントに向かう手が止まる。

 

「っ!私はまだ、弱いまま・・・どうしたら強く・・・!?」

 

マリアは悔しがる中、先程のエルフナインの言葉を思い出す。

 

『・・・それは、マリアさんが僕に教えてくれたじゃないですか』

 

「私が・・・」

 

「マリアさん!」

 

エルフナインの声にマリアは振り返る。

 

「大事なのは、自分らしくある事です!」

 

エルフナインの言葉でマリアは浜辺での自分の言葉を思い出す。

 

『弱く打っても大丈夫、大事なのは自分らしく打つことだから』

 

マリアは自身の言葉を思い出し、立ち上がり、セレナもマリアの傍に向かう。

 

「弱い・・・そうだ」

 

「っ?」

 

「強くなれない私に、エルフナインが気付かせてくれた。弱くても、自分らしくある事、それが、強さ!」

 

マリアはそう言いながらエルフナインに視線を向ける。

 

「エルフナインは戦えない身でありながら、危険を顧みず勇気を持って行動を起こし、私たちに希望を届けてくれた」

 

マリアの発言にガリィは怪しく微笑む。

 

「エルフナイン、そこで聞いていてほしい。君の勇気に応える歌を、そしてセレナ」

 

今度は傍にやって来てくれたセレナに視線を向ける。

 

「手伝ってくれないかしら?こんな弱い私に」

 

「・・・うん!それに弱いだなんて私思ってないよ、だってマリア姉さんは強いって私知ってるから!」

 

セレナの発言にマリアは一筋の涙を流す。

 

「・・・ありがとう」

 

涙を拭きとり、マリアとセレナはガリィに視線を向け、マリアは胸元のペンダントを握り締め、セレナはホルダーからアサルトチータープログライズキーを手にする。

 

「イグナイトモジュール、抜剣!」

 

ダインスレイフ

 

マリアはイグナイトモジュールを起動し天に掲げ、セレナはアサルトチャージャーを押し込んだ。

 

アサルトダッシュ!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

セレナがキーを装填して構える中、マリアのギアペンダントが宙を浮かび形を変え、マリアの胸を貫き再び破壊衝動がマリアを襲う。

 

「ぐっ・・・うぅ・・・!」

 

破壊衝動が襲い掛かる中、マリアはかつての自分を思い出すフィーネを名乗り、テロを起こした弱い自分自身を。

 

(狼狽えるたび、偽りにすがって来た昨日までの私・・・)

 

マリアは破壊衝動に苦しみながらも、その目を開く。

 

(そうだ、らしくある事が強さであるなら!)

 

「マリアさーん!」

 

「マリア姉さん!」

 

マリアの後ろでエルフナインが、マリアの傍でセレナが声をかけてくれる。

 

「私は弱いまま・・・この呪いに反逆してみせる!!」

 

高らかなる発言に、マリアのギアが輝き、それを見たセレナはショットライザーの引き金を引いた。

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトチーター!

 

No chance of surviving.

 

二つの輝きと共に姉妹の姿が変わる。

 

セレナは真を救った時と同じ鋭利なるバルキリーの姿『アサルトチーターフォーム』へと変身し、マリアは弱い自分と共に呪いを身に纏った漆黒のギア『イグナイトギア』を身に纏った。

 

『使用BGM 銀腕・アガートラーム(IGNITED arrangement)』

 

銀色の左腕に慈愛(あい)を込めて

 

「弱さは強さだなんて、とんちをきかせすぎだぜ!」

 

ガリィは再び大量にアルカノイズを繰り出すが、マリアは自身の左腕に短剣を取り付けアルカノイズ目掛けて射出し、セレナは自身の速度を生かし、ACクローでアルカノイズを切り裂いて行った。

 

世界分の1を独奏(つらぬ)き 脆い自分全て晒して

 

「いいねいいね!」

 

ガリィは自身の足元を凍らせ滑るようにマリア達に迫る。

 

たとえ膝をつく日が来ても ハートだけは 夢だけは

 

マリアとセレナは迫ってくるガリィを切り裂くと、ガリィは無数の泡へと変わってしまう。

 

二人は空に浮かぶ泡を全て打ち抜いて行くと、背後から大きな泡が現れガリィが現れる。

 

決して土で汚さない・・・決して!

 

「あたしが一番乗りなんだから・・・っ!?」

 

ガリィはそう言うといきなり迫る二人に驚きながらも氷のバリアを展開して防ぐ。

 

弱くてもいい!平凡な(こぶし)でもいい

 

ガリィは攻撃を防いだことで余裕を見せるが、自身を受け入れたマリアと姉と共に戦うセレナの力によってバリア砕かれてしまう。

 

絶対突き出すこと この手覚えているのなら

 

バリアを砕かれたことに驚くガリィにセレナがサマーソルトキックを決めてガリィを蹴り上げる。

 

悔しささえも辱めでもなんでも

 

蹴りあがったガリィをマリアは飛び上がりガリィの上まで上がると、マリアは左腕に短剣を取り付け刀身が巨大化し、セレナは地上でガリィ目掛けてショットライザーを構えてアサルトチャージャーを押し込む。

 

アサルトチャージ!

 

アクセルストームブラスト!

 

ぐっと握って今 この身は炎となる!

 

マリアはガリィに接近し、マリアの刀身が炎を纏い、セレナの銃口からオレンジ色に輝くチーターが飛び出し同時にガリィを切り裂き撃ち抜いた。

 

 

アクセルストームブラスト!

 

「一番乗りなんだからぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

ガリィはそう叫びながら爆散した。

 

SERE†NADE

 

泥にまみれた奇跡も 天は見てくれている

 

二人の一撃によって、ガリィは爆炎と共に散っていった。

 

「やったね、マリア姉さん!」

 

「・・・ええ」

 

セレナとマリアはハイタッチをする。

 

「マリアさん!」

 

「セレナ!」

 

すると建物の方から響達が駆け付けてくる。

 

マリアとセレナは変身を解除し、詳しい事情を話した。

 

「オートスコアラーを倒したのか!」

 

「どうにかこうにかね」

 

「これがマリアさんの強さ」

 

「弱さかもしれない」

 

「えっ?」

 

マリアの意外な発言にエルフナインは驚く。

 

「でもそれは、私らしくあるための力だ」

 

マリアはそう言ってエルフナインに視線を向ける。

 

「教えてくれてありがとう」

 

「・・・はい!」

 

皆が勝利に喜ぶ中、建物の屋上に姿を現したファラが立っていた。

 

「お疲れさま、ガリィ、無事に私は目的を果たせました」

 

そういうファラの舌には、一つのチップがあった。

 

「・・・ですが、紫苑と桃恵は悲しむでしょう、あの子たちは私たちのことを大事に思ってくれていましたから」

 

 

 

チフォージュ・シャトーでは、ガリィの敗北と共に歯車が動き出しガリィの立っていた台から青い光が放たれ、青い垂れ幕に模様が浮かび上がる。

 

その様子を見ていた紫苑は青い結晶を握り締める。

 

「がりぃよ、よう頑張ってくれた・・・ゆっくりと休め」

 

垂れ幕を見つめる紫苑を見て、桃恵は悲しい表情を浮かべた。

 

 

 

夜、戦いを終えた響達は花火をしていた。

 

「よーし!次は五本同時に点火だ!」

 

「止めろ馬鹿!?ガチで危ない!」

 

「真お姉ちゃん!全然火が着きません!?」

 

「持ち手が逆だ!花火は危ないんだから全員気をつけろよ!」

 

『はーい!』

 

「それにしても、マリアが元気になって本当によかった」

 

「おかげで気持ちよく東京に帰れそうデスよ」

 

「うむ、充実した特訓だったな」

 

「それ本気で言ってるんっすか?」

 

「まっ翼だからな」

 

「それでいいのか歌姫・・・」

 

「充実も充実!おかげでおなかがすきてきたと思いません?」

 

「いつもお腹すいてるんですね」

 

「まぁ響だから・・・」

 

「だとするとれば、やることは一つ!」

 

マリアの言葉にみんなは気合を込める。

 

『コンビニ買い出しじゃんけんポン!』

 

じゃんけんの結果、響と未来と真が敗北した。

 

「パーとは実にお前らしいな」

 

「拳の可能性を疑ったばかりに・・・!」

 

「くっ、変なチョキに負けるなんて・・・!」

 

「変なチョキではない、かっこいいチョキだ!」

 

「まあしょうがないよ、早く行こう」

 

未来に連れられ、三人は近場のコンビニへと向かって行った。

 

「もう、どうしたの響?」

 

「凄いよ未来!真さん!東京じゃお目にかかれない茸のジュースがある!」

 

「何でそんなジュースがあるんだよ・・・てかよく企画通ったな」

 

真が呆れていると、コンビニから一人の男性が出てくる。

 

「あれ?確か君は未来ちゃん・・・じゃなかったっけ?」

 

「えっ?」

 

「えっ誰未来?知り合い?」

 

「ほら、昔うちの子と遊んでくれた・・・」

 

「どうしたの、未来、真さん」

 

すると、やってきた響に男性が驚いた。

 

「・・・響!」

 

「お・・・お父・・・さん」

 

「えっ、響のお父さん?」

 

すると突然、響は逃げるようにその場から走り出した。

 

「ちょ!?響!?」

 

「響!」

 

一難去ってまた一難、新たな波乱が巻き起こる。





さて後書きの時間だな。
「ようやくオートスコアラーの一人を撃破したな」
「ああ、後は三体と二人・・・この二人が厄介なんだよな」
まあ現在でトップクラスでやばいからな、まったく誰がこんな凶悪な二人を作ったんだ。
『作者』
ぐうの音も出ねえな。
「それにしても響さんのお父さんですか・・・父親編も佳境ですね」
「いやまて、何だ父親編って?」
「えっ?GX編は父親編ともいえるって・・・」
「いや呼ばんぞ、誰じゃそんなことせれなと桃恵にたぶらかしたのは」
私だ。
「よし作者、後で舞台裏な」
タスケテカナデ。
「まっ自業自得だ、そろそろ〆んぞ」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

ではさらば!
「あっおい待て作者!」


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響の父

GX編十七話、前回のあらすじは?
「ガリィに敗北してしまったマリア姉さん」
「えるふないんと一緒の所をがりぃが襲いにきたぞ」
「セレナちゃんとマリアさんが共に戦う中、マリアさんは自分の弱さを受け入れた」
「そしてイグナイトに変身出来て見事ガリィを倒した!」
「と思ったのもつかの間、響の父親が現れて不穏な気配に・・・」
よし完璧、それじゃあGX編第十七話どうぞ!


浜辺での特訓後、S.O.N.Gのブリーフィングルームにて真は未来と電話していた。

 

「・・・なぁ未来、響の様子はどうだった?」

 

『いつもと変わらない様子だったけど、どこか元気がないみたい・・・』

 

「そうか・・・」

 

真は浜辺での一件を思い出す。

 

三人で買い出しに向かった時現れた響の父、そして父の姿を見た瞬間逃げだした響。

 

何故そんなことをしたのか気になった真は未来から響の過去について聞いたのだ。

 

「・・・とにかく、今は響の傍についていてくれ」

 

『分かりました』

 

そう言って連絡を切り、真はブリーフィングルームを出る。

 

 

 

「・・・家族を置いて失踪、か」

 

真は一人で出かけている時、未来の話してくれたことを思い出す。

 

かつてライブでの事件の時、響の父親は家族を置いて逃げ出した。

 

「・・・くそっ、響にかける言葉が見つからないな」

 

そうして一人悩んでいるとき、誰かが声をかけてきた。

 

「あっすみません、ちょっといいかな」

 

「えっ?」

 

真は突然声をかけられたことに驚き振り返ると、そこにいたのはあの時の響の父親だった。

 

「あんたはあの時の・・・!」

 

「やっぱり、あの時響と一緒にいた人だね・・・少し話をしてもいいかな?」

 

 

 

真と響の父親は近くのレストランに入店し、話をすることにした。

 

「急にすまないね、呼び止めたりして」

 

「いえ、俺もあんたと話がしたかったからちょうどいいよ・・・えっと」

 

「立花 洸だ」

 

「俺は継菜真です」

 

二人は水を一口飲むと、真の方から切り出す。

 

「じゃあまず俺から、何で俺を呼んだんですか?」

 

「貴方を呼んだのは偶然だ、たまたまあなたを見かけて浜辺でのことを思い出してつい呼び止めたんです」

 

「そうですか・・・」

 

「それで・・・響の様子はどうですか?」

 

「今は未来がついてますけど、空元気の様です」

 

「っ!・・・そうですか」

 

真の言葉を聞くと洸は暗くなる。

 

「それで、あなたはどうしてここに?未来の話じゃ遠くに行ったって聞きましたけど」

 

「前に月が落下するっていうニュースが流れてたの知ってますよね」

 

「・・・ええ」

 

「そのニュースを見てた時、響そっくりな少女が写ってたんです、それから響のことが気になってこちらまで」

 

真はあえて、あのニュースに出ていたのが本人であることを伏せた。

 

「・・・それで、此方に来てどうするんですか?」

 

「・・・未来ちゃんからある程度聞いてますよね、自分のこと」

 

「ある程度は、家族を置いて逃げ出した父親・・・と」

 

洸の言葉に真は少し怒りを込めた言葉を放つ。

 

「っ・・・返す言葉もない、まったくもってその通りだ」

 

洸はそう言い水を一口飲む。

 

「・・・虫がいい話だと思うけど、俺は家族と復縁をしに来たんだ」

 

洸の言葉を聞いて、真は怒りを覚える。

 

「あの時は逃げ出してしまったけど、今度こそは家族を『・・・て』えっ?」

 

洸の言葉を遮るように真は口を開くが、その言葉には怒りが籠っていた。

 

真が呟くと、机を叩いて立ち上がった。

 

「どうして家族を見捨てて逃げ出したんだ!?あんたそれでも父親なのかよ!それなのに家族を見捨てて失踪して、ニュースに娘と同じ人が写ったから気になって様子を見に来て復縁?ふざけんじゃねえよ!その時響達がどんな目を受けていたのか知らないくせして復縁しに来たなんて抜かすんじゃねえ!」

 

真はかつて響が傷つけられていた時のことを思い出し怒りの言葉を口にする。

 

他の客の視線が集まろうとお構いなしに真が叫ぶと、洸は静かに顔を伏せる、それを見て真は少し落ち着き席に座る。

 

「・・・すみません、急に怒鳴ったりして」

 

「・・・気にしないでください、貴方の言う通りだ」

 

洸はコップを手に取るが、その手は震えていた。

 

「本当は自分自身もわかっているんです、あまりにも虫が良すぎると。こんな俺に響の父親を名乗る資格はないって・・・」

 

手が震えると同時に洸の瞳からも一筋の涙が流れる。

 

「家族の元から離れてから、俺はひどく後悔した、会社でのストレスを家族にあててしまったこと、響がつらい目にあっているのに助けてやれなかったこと、離れるときに見えた家族の悲しそうな顔、全てが俺に重くのしかかった」

 

「洸さん・・・」

 

「こっちに来たのは良いが、いざとなるとあの時のことを思い出して話に行けなかった、家族に否定されるんじゃないかっていう恐怖で胸がいっぱいだった、恐怖で子供たちの避難もせずに逃げた俺に確かにそんな資格はないな・・・でも」

 

そう言って洸は水を一気に飲み干し、口を開く。

 

「それでも、俺はもう家族は裏切りたくはない。この思いだけは絶対だ!」

 

「・・・そうか」

 

話し終えて、二人は店から出る。

 

「済まないね、呼びかけたりして」

 

「いえ、おかげで色々聞けましたから・・・響には会うつもりですか?」

 

「・・・いや、まだそこまでの勇気はない、でも時間はかかってもいつか必ず」

 

「・・・わかった、そこまで言うなら俺からは口出ししません」

 

「ああ・・・それじゃ響をお願いします」

 

そう言って二人は別れる。

 

 

 

一方チフォージュ・シャトーではファラが入手したチップから巨大な金色な球体のホログラムが現れる。

 

「筑波で地味に入手したようだな」

 

「強奪もありでしたが、防衛のためにデータを壊されてしまっては元もこうもありません」

 

「うむ、よくやってくれたのうふぁら」

 

紫苑と桃恵もその球体を見つめる。

 

「一本一本が地球にめぐらされた血管のような物、かつてナスターシャ教授はこのラインに沿わせてフォニックゲインをフロンティアへと収束させました」

 

「これが、レイラインマップ」

 

「世界解剖に必要なメスはここ、チフォージュ・シャトーにそろいつつありますわ」

 

「そうでなくては、このままだと暴れたりないと妹も言っている」

 

ファラとレイアが話す間、紫苑と桃恵は手にしている金色の結晶を見つめる。

 

「お姉ちゃん・・・」

 

「分かっておる、じゃがきゃろるはうちらの命の恩人、あの時協力すると誓った身じゃ」

 

紫苑はそう言うと、結晶を握り締める。

 

「・・・じゃが、もしものことがあれば、その時は」

 

 

 

切歌と調は、学校帰りに自動販売機に寄ってジュースを購入していた。

 

「今朝の計測数値なら、イグナイトモジュールを使えるかもしれないデス」

 

「後は、ダインスレイフの衝動に抗うだけの強さがあれば・・・ねぇ切ちゃん」

 

調が切歌に言う中、切歌は自販機のボタンを複数押して、その結果ブラックコーヒーを出してしまっていた。

 

「ああ~!!苦いコーヒーを選んじゃったデスよ~!」

 

「・・・誰かの足を引っ張らないようにするにはどうしたいんだろう?」

 

調はそういいながらペンダントを取り出した。

 

「きっと自分の選択を公開しないよう、強い意志を持つことデスよ」

 

切歌がそう言うと、調は自身の持つジュースと切歌の持つコーヒーを入れ替える。

 

「オヨ?」

 

「私、ブラックでも平気だもの」

 

「ご・・・ごっちゃんデース」

 

すると、司令から連絡が入る。

 

『アルカノイズの反応を検知した!場所は地下68M、共同溝内であると思われる』

 

「共同溝?」

 

「なんデスか、それは?」

 

『電線を始めとする、エネルギー経路を埋設した地下溝だ、すぐ近くにエントランスが見えるだろう』

 

二人が辺りを調べると、すぐに見つける。

 

『本部は現場に向かって航行中』

 

『先んじて立花と小日向、そして継菜の三人を向かわせいる』

 

『緊急事態だが、飛び込むのはあいつらと合流してからだぞ』

 

それから少しして、三人がやって来る。

 

「待たせたな、二人共」

 

「大丈夫です、私たちも来たところですから」

 

ふと真が隣を見ると、響の顔は暗かった。

 

「あの・・・響先輩大丈夫デスか?」

 

「・・今はそっとしておいてやろう、今は地下に向かうぞ」

 

そう言って五人は地下へと向かった。

 

少し進むと、大きな穴にたどり着く。

 

「戦う場は地下だ、なるべく周りを傷つけないように戦うぞ」

 

真の言葉に四人はペンダントを握り締め、真はセレナから預かったアガートラームのキーを手に取る。

 

「マリア、セレナ、力を借りるぞ」

 

シルバー!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させると、ドライバーからアガートラームを纏ったマリアのライダモデルが現れる。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

「変身!」

 

シンフォニックライズ!

 

Silver through justice! ヴァルキリーアガートラーム!

 

Seilien coffin airget-lamh tron.

 

響達はギアを纏い、真自身もマリアのアガートラームに似た姿『ヴァルキリーアガートラームフォーム』へと変身し地下へと向かう。

 

『使用BGM 限界突破 G-Beat』

 

一点突破の決意の右手

 

地下にたどり着いた五人は先に進むとアルカノイズが召喚され囲まれてしまう。

 

上を見るとミカが何かをしていた。

 

「来たな、だけど今日はお前たちの相手をしてる場合じゃ」

 

ミカが何か言っている途中で真はミカ目掛けて短剣を放つがすべて防がれてしまう。

 

「悪いが、こっちはお前らを相手するほどに暇なんだ、俺がミカに行くお前らはアルカノイズを!」

 

そう言って真はミカの元へと向かう。

 

「まだ話し終わってないんだゾ!」

 

ミカは怒りながら大量に結晶をばら撒きアルカノイズを繰り出してくる。

 

「悪いがどいてもらうぞノイズ共!」

 

真は蛇腹剣を振るい、アルカノイズを切り裂きながらミカに迫る。

 

下の方では四人が協力しながらアルカノイズを倒していくが、やはり響の様子がおかしく所々危なく未来がサポートしてくれていた。

 

(やっぱり響の奴、父親のことを・・・)

 

真は響の方を見ながらも、ミカに攻撃を仕掛けていく。

 

「さっきからしつこいゾ!」

 

ミカは更に大量にアルカノイズを繰り出し真を包囲すると、真から離れ響達の元へと向かう。

 

「っ!待て!」

 

真は急いで追いかけようとするが、アルカノイズが邪魔で進めなかった。

 

響達の元へ向かったミカが最初に狙ったのは、先程から隙がある響だった。

 

「っ!響!」

 

「えっ?」

 

未来が叫ぶがもうミカは響の懐に潜り込んでいた。

 

「遅いんだゾ!」

 

ミカの一撃によって響は吹き飛ばされてしまい壁に叩き着けられてしまう。

 

「がっ!」

 

「響先輩!」

 

近くにいた切歌が響の元へと駆け付ける。

 

「大丈夫デスか!?」

 

切歌が声をかけていると、ミカが二人目掛けて手を構える。

 

「これでも喰らうんだゾ!」

 

ミカの掌から炎が噴出され切歌と響目掛けて放たれる。

 

二人はよけきれず、迫る炎に包まれる瞬間、調が二人の前に出て巨大化させたギアで炎を防いだ。

 

だが炎の勢いは強く調は膝をついてしまう。

 

「切ちゃん・・・大丈夫?」

 

調は膝をつきながらも切歌を心配して声をかける。

 

「・・・な、わけ、ないデス」

 

「えっ?」

 

「大丈夫なわけ、ないデス!」

 

切歌はこの時、自分に助けられたクリスのことを思い出す。

 

「っ!・・・こうなったらイグナイトで」

 

「駄目!」

 

ペンダントに手をかける切歌を調が叫んで止める。

 

「無茶をするのは・・・私が足手まといだから?」

 

二人が言い合う中、ノイズを倒した真と未来がミカに迫った。

 

「攻撃をやめやがれ!」

 

「三人から離れて!」

 

二人が攻撃を仕掛けると、ミカは攻撃をやめて二人の攻撃を躱す。

 

「まだやるのかだゾ?」

 

ミカが再び攻撃を仕掛けようとしたとき、ファラから連絡が入る。

 

『道草はよくないわよ』

 

「正論かもだけど・・・」

 

『それに、紫苑達が心配してますわ』

 

「むっ・・・そう言われたら仕方ないゾ」

 

そう言うとミカは懐からジェムを取り出す。

 

「預けるゾ、でも次は歌うんだゾ」

 

そう言ってミカはその場から消える。

 

「逃げられた・・・」

 

 

 

その後、翼たちと職員達が駆け付けてくれて現場確認をしてくれていた。

 

「おっとり刀で駆けつけたのだが・・・」

 

「間に合わなければ意味がねぇ」

 

「相手は何を企てていたのか・・・」

 

「ああ、あいつら何考えてるんだ?」

 

緒川が辺りを調べていると、一つのコンソールを見つける。

 

「っ!これは・・・敵の狙いはまさか・・・急ぎ、司令に連絡を!」

 

緒川の掛け声で職員達はすぐに報告へと向かった。




さて後書きの時間だ。
「今回は真の奴大分怒ったな・・・」
「自分でも大人げないって思った、けどちゃんと言ってやらないとわからない気がしてな」
「うむ、その意気やよし。じゃがこの一件を解決するのはお主ではないぞ」
「分かってる、後は響に託すしかないな」
「そして父親は響さんと会わない・・・原作とは違う展開ですね」
響の父親もちゃんとしていればこんな展開になってたかもしれないと思ってな。
「そうですか・・・それにしても切歌さんと調さんにもいざこざが生まれてしまいましたね」
「響にキャロルに紫苑達にさらに切歌達・・・心が過労死するぞ」
まあそこは頑張れ、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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弱さと向き合う勇気


GX編第十八話、前回のあらすじは?
「響の父親と遭遇した俺は父親に一喝入れた」
「そんな中、共同溝内に敵が現れて近くにいた切歌達が現場に向かった」
「そこにいよったみかとあるかのいずと戦う中、響の様子がおかしかったのう」
「そして響さんが狙われるが、切歌さんと調さんが守りますが、二人の雰囲気が険悪な感じに・・・」
「その後緒川さんが何かを発見しました」
はいOK、それじゃあGX編第十八話、どうぞ!


ミカが逃げ去った後、真達はS.O.N.Gに帰還しエルフナインから検査を受けていた。

 

「検査の結果、皆さんに大きなけがは見られませんでした」

 

「そうか、ありがとうなエルフナイン」

 

「調が悪いデス!」

 

真が礼を言うと、少し離れた場所で切歌と調が口喧嘩をしていた。

 

「切ちゃんが無茶するからでしょ!」

 

「調が後先考えずに飛び出すからデス!」

 

「切ちゃんが、私は足手まといに思ってるからでしょ!」

 

二人は言い争い互いにそっぽ向いている。

 

「二人が喧嘩するなんて・・・」

 

「別に変なことじゃないだろ、未来と響だって喧嘩してたし」

 

「真さん・・・あまりそのことは思い出したくないんですけど」

 

真と未来が話していると、エルフナインが二人の元に駆け寄る。

 

「お二人とも、傷に触るのでやめてください!そんな精神状態ではイグナイトモジュールを制御できませんよ!」

 

「「・・・・・・」」

 

エルフナインの言葉に二人は気まずそうにするが、顔を見合わせると再びそっぽ向いてしまう。

 

すると響が二人に近づく。

 

「ごめん二人とも!」

 

響は二人に謝罪して二人の手を取る。

 

「私が油断してたから二人に迷惑かけちゃって、だから・・・ごめん」

 

響が謝罪すると、切歌と調は響に質問する。

 

「さっきはどうしたんデスか?」

 

切歌の言葉に響は少し顔を暗くする。

 

「・・・あの時、昔のお父さんの事を思い出してたんだ、ずっと昔の記憶だと思ってたんだけど」

 

「響・・・」

 

響は昔のことを思い出し目頭に涙が溜まり、未来はそんな響を見て心配する。

 

「・・・・・・」

 

真はその様子をただ見守っていた。

 

響は心配そうに見え来る未来に気が付き、涙をぬぐい取り笑顔を見せる。

 

「大丈夫だよ未来、へいきへっちゃら」

 

「・・・うん」

 

二人のそんな様子を見て真は切歌達に声をかける。

 

「・・・こっちは心配しないでお前らは戻っておけ」

 

「・・・はい」

 

「デス・・・」

 

そう言って二人は部屋から出るが、いまだに二人の仲は改善されなかった。

 

「切歌さん、調さん、これを」

 

エルフナインが二人を追いかけてあるものを渡した。

 

「モデルK・・・」

 

「オートスコアラーの再襲撃が予想されます、投与はくれぐれも慎重に。体への負担もそうですが、ここに残されているLINKERにも限りがありますので・・・」

 

 

 

一方シャワールームでは、先の戦いに参加しなかった五人が話し合っていた。

 

「やっぱりあの子の父親の事ね」

 

「響さん、大分考え込んでいましたから・・・」

 

「こういう時はどんな風にすればいいんだ?」

 

クリスの疑問に翼が答える。

 

「どうしていいのか分からないのは、私も同じだ・・・」

 

「翼・・・」

 

「一般的な家庭の在り方を知らぬまま、今日にいたる私だからな」

 

司令室では、緒川からの報告を弦十郎とフィーネが受けていた。

 

「敵の狙いは電気経路の調査だと!?」

 

『はい、発電施設の破壊によって電力総量が低下した現在、政府の拠点には優先的に電力が供給されています、ここをたどることにより』

 

『表からは見れない市都構造を探ることは可能ってわけね』

 

 

 

一方チフォージュ・シャトーでは、ミカのメンテナンスを終えた紫苑達とミカがエントランスにやって来る。

 

「よし、みかのめんてなんすは万全じゃ」

 

「おお!ありがとうだゾ!」

 

「いえいえ、それではミカさん、お願いします」

 

「分かったゾ!ホイッ!」

 

ミカが手をかざすと、床の何かのマップが映し出された。

 

「派手にひん剥いたな」

 

ミカはマップを展開すると、どこかへ行こうとする。

 

「どこへ行くの、ミカ?まもなく思い出のインストールは完了するというのに」

 

「自分の任務位わかってる!きちんと遂行してやるから後は好きにさせてほしいゾ」

 

「あっ、待ってくださいミカさん!」

 

そう言ってミカがどこかに行こうとする前に桃恵が呼び止める。

 

「ん、なんだ?」

 

「あっ・・・えっと・・・」

 

桃恵は何か言いたげだが、言葉を詰まらせてしまう。

 

「・・・気を付けてくださいね」

 

「おお、分かってるゾ!」

 

そう言ってミカは今度こそどこかへ行ってしまう。

 

「・・・・・・」

 

「桃恵・・・」

 

心配そうにミカの行った先を見つめる桃恵に紫苑が呼びかける。

 

「・・・わかってる、けどやっぱりこんなやり方は」

 

「分かっておる、じゃが今のうちらにはどうすることもできん」

 

「・・・うん、わかってる」

 

紫苑の言葉に桃恵は静かにうなずいた。

 

 

 

夕方になり、切歌と調は神社の近くを歩いているが、まだ険悪な雰囲気だった。

 

「・・・私に言いたいこと、あるんでしょ?」

 

「それは調の方デス!」

 

「私は・・・」

 

そうして話していると、近くで爆発が起きた。

 

二人はその方を向くと、空から大量のカーボンロッドが降って来ていたのだった。

 

「これは・・・!?」

 

「私達を焚きつけるつもりデス!」

 

二人が辺りを探していると、鳥居に上にミカが立っていたのを見つける。

 

「足手まといと、軽く見てるのなら!」

 

調と切歌はガーゼを取り、ペンダントを握り締めた。

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

『使用BGM ジェノサイドソウ・ヘヴン』

 

二つ結びの輪舞 お仕置きのスタート

 

調はギアを纏うとミカに目掛けて大量の丸鋸を放つ。

 

α式 百輪廻

 

ミカは放たれた丸鋸を全てカーボンロッドで弾き、鳥居から飛び降りる。

 

 

 

S.O.N.Gの方では、切歌達の戦いをモニターで見ていた。

 

「今から応援をよこす!それまで持ちこたえて・・・っ!?」

 

そう言った瞬間、S.O.N.Gの潜水艦が大きく揺れる。

 

急いでモニターで調べると、潜水艦を持ち上げる巨大な人影があった。

 

「海底に巨大な人影だと!?」

 

沖では、海を見つめるレイアがいた。

 

「私と妹が地味に支援してやる、だから存分に暴れろ、ミカ」

 

 

 

神社ではミカの放つカーボンロッドを躱しながら二人はミカに接近していく。

 

切り刻むことない 世界に夢抱き キスをしましょう

 

ミカに接近した調はスカートを刃状に変化させ回転しながら迫る。

 

Δ式 艶殺アクセル

 

だが調の攻撃をミカは防ぎ弾き飛ばし、調の背後から現れた切歌の攻撃すらも躱し蹴り飛ばす。

 

二人は絵馬のところまで弾き飛ばされながらも体勢を立て直す。

 

「これっぽっち?これじゃギアを強化する前の方がましだったゾ」

 

「そんなこと、あるもんかデス!」

 

切歌はミカの言葉に怒りを感じミカに迫る。

 

「駄目!」

 

調べが呼び止めるが止まらず、切歌はミカに切りかかる。

 

ミカは空中に躱すが切歌はそれを追いかけ空中で鎌の刃を増やし放った。

 

切・呪リeッTぉ

 

放った刃は全てミカに直撃し爆発を起こす。

 

「どんなものデス」

 

爆煙が晴れると、そこには無傷のミカが大量のカーボンロッドを展開していた。

 

「こんなもんだゾ!」

 

ミカは大量のカーボンロッドを切歌目掛けて放つ。

 

切歌はカーボンロッドを躱していくが、徐々に行動を封じていき、逃げ場を失ってしまう。

 

「変形しないと無理だゾ」

 

「躱せないなら・・・受け止めるだけデス!」

 

切歌は迫る大量のカーボンロッドを受け止めようとしたとき、調が前に出て巨大な丸鋸でカーボンロッドを受け止める。

 

「なんで!後先考えずに庇うんデスか!」

 

切歌は庇ってくれた調を突き飛ばしてしまう。

 

「やっぱり、私は足手まといと・・・!」

 

「違うデス!調が大好きだからデス!」

 

「えっ?」

 

切歌はそう言ってミカに攻撃を仕掛けた。

 

「大好きな調だから、傷だらけになる事が許せなかったんデス!」

 

調は切歌の発言に驚きを隠せなかった。

 

「じゃあ・・・私は・・・!」

 

「私がそう思えるのは、あの時調に庇ってもらったからデス!みんなが私たちを怒るのは、私たちを大切に思ってくれているからデス!」

 

切歌の言葉に調は今までいろんな人に叱られた時のことを思い出す。

 

「私達を・・・大切に思ってくれている・・・優しい人たちが」

 

そんな中、切歌はミカの炎で吹き飛ばされてしまう。

 

「なんとなくで勝てる相手じゃないゾ!」

 

調は吹き飛ばされた切歌を支えながら口を開く。

 

「マムが残してくれたこの世界で、カッコ悪いまま終わりたくない!」

 

調はメディカルルームでの響の顔を思い出す。

 

「だったら、カッコよくなるしかないデス」

 

「自分のしたことに向き合う強さを!」

 

そう言って二人はギアペンダントに手をかける。

 

「イグナイトモジュール、『抜剣!』デス!」

 

二人は同時にイグナイトモジュールを起動させる。

 

ダインスレイフ

 

起動したペンダントは形を変え、二人の胸を貫き、二人に破壊衝動が襲い掛かった。

 

「うぁぁ・・・あぁ・・あああああああぁ!」

 

「ぐぅ・・・あぁ・・・あああああああぁ!」

 

破壊衝動に苦しむ二人を見てミカは喜ぶ。

 

「底知れず、天井知らずに高まる力!」

 

ミカが喜びながら、自身の体を思い出を燃やし力を高める『バーニングハート・メカニクス』を起動させる。

 

一方で調と切歌は苦しみながらも互いの手を取る。

 

「ごめんね・・・切ちゃん!」

 

「いいデスよ、それよりも皆に」

 

「そうだ、みんなに謝らないと・・・そのために強くなるんだ!」

 

二人の思いに応え、呪いの力が形を変える。

 

二人のギアの形を変え、黒く染め上げ、弱さを超える力を二人は手にした。

 

『使用BGM Just Loving X-Edge(IGNITED arrangement)』

 

危険信号点滅 地獄極楽どっちがイイDeath?

 

イグナイトを身に纏った二人はミカに攻撃を仕掛けるが、強化したミカは全て防ぎ受け止めてしまい、調べは投げ飛ばされてしまう。

 

「調!」

 

「最強のあたしには、響かないゾ!もっと強く激しく歌うんだゾ!」

 

そう言ってミカはカーボンロッドを放つ。

 

未成熟なハートごと ぶつけた敵対心

 

切歌はカーボンロッドを鎌で切り落としていくと、ミカが懐に入り切歌を吹き飛ばしてし後ろの壁に激突してしまう。

 

行き場のないボルテージ 隠したティアーズ

 

吹き飛ばされた切歌に大量のカーボンロッドを放ち身動きを封じたミカは切歌に迫り近距離でカーボンロッドを放とうとする。

 

「向き合うんだ・・・でないと乗り越えられない!」

 

それを見た調が先ほどよりも大量に丸鋸を放つがミカはすべて燃える髪で防いでしまうと、上空に陣を生成しそこから大量のカーボンロッドを雨のように降らせる。

 

切り刻むことない世界に夢抱き

 

 

切歌は降り注ぐカーボンロッドの雨をよけながらミカの隙を伺う。

 

強くなりたい 守られるだけだと

 

強くなる為には 何がいるかを求め続けるだけだと

 

「闇雲に逃げてたらジリ貧だゾ!」

 

ミカは逃げる切歌に目掛けて巨大なカーボンロッドを放つ。

 

「知ってるデス・・・だから!」

 

切歌は巨大カーボンロッドを避けると、そのままミカに攻撃をしてミカの体勢を崩した。

 

「ゾナホシ!?」

 

強くなれば 太陽の輝きに

 

強くなる勇気を 心に秘めて月を包む 輝きに

 

地面に降り立ったミカ目掛けて切歌はアームドギアを伸ばすがミカは全て避けるが、その背後で待機していた調が切歌の伸ばしたアームドギアに自身のアームドギアを連結させミカに迫る。

 

それを見たミカは回避しようとするが、新たに切歌の放ったアームドギアに拘束され身動きを封じられてしまい、切歌自身もアームドギアを巨大なギロチン状に変えミカに迫った。

 

近づけるかな?

 

嘘はない 番いの愛

 

「足りない出力を重ね合わせて!?」

 

二人の思惑を理解したミカに二人の刃が迫った。

 

禁殺邪輪 Zぁ破刃エクLィプssSS

 

Just loving

 

刃が迫る中、ミカは微笑みながらその体を両断され爆発した。

 

 

 

暫くしてクリス達が駆け付けたころには戦いが終わっていて消防隊が消火活動をする中、クリスと弦十郎は二人を叱っていた。

 

「こっちの気も知らないで!」

 

「偶には指示に従ったらどうだ?」

 

「独断が過ぎました・・・」

 

「これからは気を付けるデス・・・」

 

しっかりと反省している二人を見て二人は少し戸惑う。

 

「おっ・・・珍しくしおらしいな」

 

「私たちが背伸びしないで出来るのは、受け止めて受け入れること」

 

「だから、ごめんなさいデス」

 

「んんっ・・・わかれば、それでいい」

 

二人は頭を下げると、その場から立ち去る。

 

「先輩が手を引かなくったって、いっちょ前に歩いていきやがる」

 

(あたしとは、違うんだな・・・)

 

神社から離れた二人は、静かに帰路についていた。

 

「足手まといにならないこと、それは強くなることだけじゃない。自分の行動に責任を伴わせることだったんだ」

 

「責任・・・自らの義に正しくある事。でも、それを正義と言ったら調の嫌いな偽善ぽいデスか?」

 

切歌は前の調の発言を思い出す。

 

『それこそが偽善・・・!』

 

「ずっと謝りたかった・・・薄っぺらい言葉で、響さんを傷つけてしまったこと」

 

響を傷つけてしまったことに落ち込む調に切歌が肩に手を添える。

 

「ごめんなさいの勇気を出すことは、調一人じゃないデスよ。調を守るのはあたしの役目デス!」

 

そう言って切歌は笑みを浮かべる。

 

「切ちゃん・・・ありがとう。いつも、全部本当だよ」

 

 

 

一方でミカが破れたことで赤い垂れ幕にも模様が浮かぶ。

 

「みかよ・・・よく頑張ってくれたのう」

 

「ミカさん・・・ゆっくり休んでください」

 

二人が呟く中、かつてキャロルが座っていた玉座に置かれている装置が動き出し、その扉が開かれる。

 

その中にいたのは、響達の前で自決したはずだったキャロルだった。

 

「お目覚めになられましたか」

 

キャロルは輝く青と赤の垂れ幕を見て現状を理解した。

 

「そうか・・・ガリィとミカが・・・」

 

「派手に散りました」

 

「これからいかがなされますか?」

 

「言うまでもない、万象黙示録を完成させる」

 

キャロルはそう言い自身の手を握り締める。

 

「この手で奇跡を皆殺すことこそ、数百年来の大願」

 

キャロルの目に映るのは、この場にいない響と真だった。

 

「聞いた?調ちゃんと切歌ちゃん強いね」

 

「ああ、本当にあいつらは強くなったな、お前もそう思うだろ?」

 

二人のみ詰める先にいたのは、エルフナインだけだった。

 

「ああ思うとも・・・ゆえに、世界の終わりが加速する!」

 

そう叫ぶキャロルを横目に、紫苑と桃恵の表情はどこか悲しげだった。





さて後書きの時間だ。
「今回でミカも倒せて残りオートスコアラーは二体だな」
「はい、それに暁さんと月読さんも仲直りできてよかったです!」
「だな、やっぱ仲良しなのがいいよな」
「・・・うちらはこの場合どういった表情をすればいいのじゃ?」
「えっと・・・・・・どうしよう?」
「ああ済まない、お前らからしたら仲間がやられてるからな」
「いやよい、これも定めというものじゃからな・・・」
「それにしておキャロルの奴まさかの復活だったな」
「ああ、この様子じゃまた何かしでかしそうだな」
「けど、また私達で食い止めましょう!」
「で・・・でも、だったら私達もあなた達を食い止めて見せます!」
「うむ、その時は覚悟せい!」
さて、場も盛り上がったところでそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回8:小日向未来の誕生日2


特別回第八話、今回は未来の誕生日パート2だ!
「未来の誕生日迎えるのもこれで二回目か・・・気が付いたらもう一年たってんだな」
「だな、今年もあと二ヶ月したら終わりだからな」
「時が流れるのは早いですね」
「そうじゃのう・・・じゃが年が変わってもうちらはそのままじゃ!」
「そうだね、来年も一緒の頑張りましょう!」
良い話の所だけどまだ十一月だし今日未来の誕生日だから話し戻すぞ!それでは特別回どうぞ!


11月6日、リディアン寮にて響と未来が話していた。

 

「未来!明日は未来の誕生日だね、未来って何か欲しい物とかあるの?」

 

「えっ?欲しい物?」

 

「うん、前の誕生日の時未来のプレゼントを選ぶ時真さんに手伝ってもらってたから、今度は未来から直接聞こうと思って」

 

響の言葉に未来は頭を悩ませる。

 

「うーん、突然ほしい物って言われて・・・」

 

そうして未来は少し考えこむと、あることを思いつく。

 

「あっ、じゃあ明日なんだけど・・・」

 

 

 

そして誕生日当日、響と未来は二人で街を歩いていた。

 

「未来、本当にこんなのでいいの?」

 

「うん、これでいいよ」

 

未来が選んだのは『今日一日響と一緒に出掛ける』ことだった。

 

真達はその間に未来の誕生日の準備を進めているのだった。

 

「ほら、ここ最近じゃ響いっつも救助活動や特訓とかであまり一緒にいられなかったから今日ぐらい一緒にいたっていいかなって」

 

「未来・・・わかった!なら今日は未来を喜ばせるために私頑張ってエスコートするね!」

 

「うん、よろしくね響」

 

そうして二人は街へと歩いて行くのだった。

 

 

 

「あっ見て未来、このひよこの置物すっごく可愛いよ!」

 

「本当だ、それも二つで一つのセットなんだね、兄弟かな?」

 

「そうかもね・・・あっ、あっちにも可愛いのがある!見に行こう未来!」

 

「はいはい」

 

 

 

「ねえ響、この服とか似合うかな?」

 

「うん、似合ってるよ未来!」

 

「ありがとう、じゃあこれにしようかな」

 

「うん、あっじゃあ私も色違いのお揃いにしようっと!」

 

 

 

「ん~!真さん一押しのカフェのパフェ美味しいね!」

 

「本当だね、こんなお店があったなんて知らなかった」

 

「そうだね、あっ未来のチョコパフェ一口貰ってもいい?」

 

「うん、その代わり響のイチゴのパフェも一口貰うね」

 

 

 

そうして二人は今日一日満足した良い日を過ごして時刻は夕方になった。

 

「ん~!今日はいろんなところに行ったね」

 

「そうだね、おかげでいい物も買えたから私は満足だよ」

 

「だね、そろそろ真さん達も準備終えたころかな?」

 

「そうかもね…でも最後にもう一か所行きたいところがあるんだけどいいかな?」

 

「うんいいよ、真さん達にはメール送っておくから」

 

そう言って真にメールを送ると返信で『別に構わないぞ、遅くならないようにな』と送られてきた。

 

「それじゃあ行こっか、未来」

 

「うん」

 

 

 

少しして二人がやってきたのは、木々が生い茂っている森の中の歩道だった。

 

「ここって・・・?」

 

「うん、ここで私響や真さんの秘密を知ったんだよね」

 

そう、此処はかつて響が未来の目の前でギアを纏った場所であり、響と真の秘密がばれた場所でもあった。

 

「ああ~そういえば・・・あの時は秘密にしていて本当にごめんね未来」

 

「もういいよ、二人がどんなに頑張っていたのかはもうわかってるから」

 

そう言うと未来は空を見上げた。

 

「思えばあの時からいろんなことが起きたんだよね、ライブでの一件、クリスちゃんの一件」

 

「そうそう、了子さんやマリアさん達での一件もあって大変だったなぁ」

 

「でも、響達が頑張ったおかげで、今こうしてみんな笑顔でいられてるんだよ」

 

「えへへ、そうかな」

 

照れる響の手を未来はしっかりと握った。

 

「未来?」

 

「・・・今までは響に助けられてばっかりだったけど、いつか今度は私が響を助けて見せるね」

 

「・・・うん、期待してるね、未来」

 

そう言って響は未来に手を優しく握った。

 

「・・・さて、それじゃあそろそろ真さんの家に行こうか、みんなを待たせてるからね」

 

「うん!早く向かってみんなで未来の誕生日を祝わないとね!」

 

そうして二人は中よく真の家へと向かったのだった。





さて後書きの時間だな。
「そうだな、ところで今年は何か花はないのか?」
ちゃんと用意してるよ~今年はこれだ!
「これは・・・ユーカリですね」
ああ、花言葉は『思い出』だ、未来にはピッタリだろ。
「だな、にしても今回もあたしらの出番なかったな」
「うちらは出ることすらできんからな」
「まぁまぁ、その分此処でお祝いしようよ」
「だな、未来も装者になったしこれからいろいろなことが起きそうだな」
それは神のみぞ知ることだ、それじゃあそろそろ〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!未来!』


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風鳴邸

GX編第十九話、前回のあらすじは?
「切歌と調が喧嘩をしたな」
「そしてうちらの狙いが電気経路だと知られてしまったな」
「そして神社にて暁さんと月読さんがミカと再戦を行いました」
「その結果、見事にイグナイトを使いこなしミカを撃破したな」
「けどその裏でキャロルちゃんが復活しました」
よしOK、それじゃあGX編第十九話、張り切っていくか!


キャロルが目覚めて少し経った頃、突然キャロルが苦しみだし膝をついてしまう。

 

「きゃろる!」

 

「キャロルちゃん!」

 

その様子を見ていた紫苑と桃恵が急いでキャロルの元に駆け付ける。

 

「大丈夫かきゃろるよ!?」

 

「ああ…大丈夫だ、負荷を度外視した思い出の高速インストール、さらに自分を殺した記憶が拒絶反応を起こしてるようだ」

 

「無理もないです・・・あんなことがあったんですから」

 

「心配ない、活動自体に支障は出ない」

 

そう言ってキャロルは紫苑の肩を借りて立ち上がる。

 

「それでマスター、いかがなさいますか?」

 

「無論、まかり通る。歌めども揃っている、この瞬間を逃すわけにはいかないのだ!」

 

そう言い放つキャロルに桃恵はキャロルの腕を掴む。

 

「でも、一応躯体のチェックを行いましょう、もしものことがあってはいけませんので」

 

「そうじゃのう・・・作戦までは時間がある、それぐらい構わんじゃろう」

 

キャロルはそう言う紫苑と桃恵の顔を見て、少し思案してから口を開く。

 

「・・・わかった、手早く頼むぞ」

 

「うむ、まかせよ。桃恵、キャロルを運んでおくれ」

 

「うん、わかった」

 

そう言って二人はキャロルを連れ奥の部屋へと向かった。

 

 

 

一方、S.O.N.Gの所有する病院にて、入院している響の元に真がやって来ていた。

 

「大丈夫か、響?」

 

「大丈夫ですよ、ただの検査入院なのに大げさにしすぎなんですよ・・・」

 

「その原因はお前にあるんだぞ、響」

 

「あはは・・・ところで未来は?」

 

「ああ、未来ならS.O.N.Gの方にいる、あいつも装者だからいざというときのために残ってるんだ」

 

「そっか・・・ところで未来心配してました?」

 

「かなりな、退院したら覚悟しとけよ」

 

「ひぇ~!」

 

二人が喋る中、響の携帯に電話が入ってくる、電話の相手は響の父親からだった。

 

響は名前を見ると、静かに着信を拒否する。

 

「・・・でなくていいのか?」

 

「・・・いいです、検査行かなきゃ」

 

そう言って響は検査に向かおうと扉の前に向かうと止まる。

 

「・・・真さんや未来、それにみんながいるんです、だからお父さんが居なくてもへいき、へっちゃらです」

 

そう言い残して響は病室から出ていく。

 

「・・・こりゃ一筋縄じゃ解決しなさそうだな」

 

真は一人残った病室でベットに座りこむ。

 

「・・・肉親か」

 

そう呟くと真はベットに横になる。

 

「・・・響達はまだいい方だ、家族がこの世に存在してるから、けど俺には会える家族もその墓もこの世界には存在しない・・・そこだけが少しだけ羨ましいな」

 

真の呟きを病室の外で響は静かに聞いていた。

 

「真さん・・・」

 

 

 

所代わり翼、奏、マリア、セレナの四人は緒川と共にとある屋敷に来ていた。

 

「ここが?」

 

「風鳴八紘邸、翼さんの生家です」

 

「ここが翼さんの・・・」

 

「あたしも初めて来たな」

 

奏たちが見上げるかな、翼は複雑な顔をしていた。

 

「十年ぶり・・・まさか、こんな形で帰って来るとは思わなかったな」

 

時は少し遡る。

 

「検測結果、出します」

 

そう言うとマップの日本地図にの所々に黄色い丸が幾つも出てそれぞれが線で結ばれている。

 

「電力の優先供給地点になります」

 

「こんなにあるデスか!」

 

「その中でも、ひときわ目立っているのは・・・」

 

調が指さすところには、ひときわ巨大な丸が映し出されていた。

 

「深淵の竜宮・・・」

 

「深淵の竜宮?」

 

セレナの疑問にフィーネが答えてくれる。

 

『異端技術に関連した危険物や未解析品を封印した絶対禁区、秘匿レベルの高さから私達にも詳細は分からない拠点中の拠点の事よ』

 

「敵がその位置を割り出したとなると」

 

「狙いはそこにある危険物・・・!」

 

「だったら話は簡単だ、先回りして迎え撃つだけのこと!」

 

「そう簡単にいかないんだろ?」

 

真がそう言うと、弦十郎は頷く。

 

「ああ、実は襲撃予測地点はもう一か所ある」

 

マップが切り替わると、とある場所に黄色い丸が映し出されると、その場所を見て翼が驚く。

 

「ここって・・・!」

 

「気になる出来事があったので調査部で独自に動いでみました、報告によると事故や事件による神社や祠の損壊が頻発していまして。いずれも明治政府の帝都高層で霊的防衛を支えていた龍脈、レイラインのコントロールを担っていた要所になります」

 

「錬金術とレイライン、敵の計画の一環と見て間違いないだろう」

 

「風鳴家の屋敷には要石がある、狙われる道理があるというわけか」

 

「検査入院で響君が欠けているが、打って出る好機かもしれん」

 

弦十郎が視線をエルフナインに向けると、エルフナインは頷き皆の方に顔を向ける。

 

「キャロルの怨念を止めてください」

 

エルフナインの言葉にみんなが頷く中、未来は真に話しかけた。

 

「真さん、響の傍にいてください」

 

「えっ?そこは未来がいるべきじゃ?」

 

「今の響はまともに戦えないかもしれません、だからそんなときに敵の襲撃にあったら私じゃ守り切れないかもしれないので・・・」

 

「・・・わかった、そういう事でいいか弦十郎さん?」

 

「分かった、真君は響君の護衛に当たってくれ、残ったメンツでチームを編成するぞ」

 

 

時は戻り現在、扉の前で緒川は連絡を取っていた。

 

「了解しました」

 

そう言って連絡を切る。

 

「クリスさん達もまもなく深淵の竜宮に到着するするようです」

 

「こちらも伏魔殿に飲み込まれないように気を付けたいものだ」

 

そう言って扉を開き、みんなは中に入っていくと、視界の端に巨大な要石が映る。

 

「要石・・・」

 

「あれが・・・」

 

「おっきい・・・」

 

マリアとセレナが驚く中、奏は屋敷の方から八紘とその護衛の人たちがやって来るのを察知する。

 

「翼・・・」

 

「お父様・・・」

 

「ご苦労だったな、慎次」

 

八紘の言葉に緒川は頷く。

 

「それに仮面ライダーの二人、S.O.N.G編入された君の活躍も聞いている」

 

「あ・・・はい」

 

「ありがとうございます」

 

八紘がそう言う中、翼は複雑そうな顔をするのを奏は気づいていた。

 

「アーネンエルベの神秘学部門より、アルカノイズに関する報告書も届いている、後で開示させよう」

 

「はい」

 

そう言って八紘は屋敷の戻ろうとするところを翼はとっさに呼び止める。

 

「お父様!」

 

翼の一言で八紘の足は止まるが、翼はそんな八紘の後姿を見て言葉を詰まらせる。

 

「・・・沙汰もなく、申し訳ございませんでした」

 

「・・・お前がいなくとも、風鳴の家に揺るぎはない。務めを果たし次第、戦場に戻るがいいだろう」

 

「おい、ちょっと待てよ!」

 

八紘の言葉に奏が異議を唱える。

 

「奏・・・!」

 

「あんた翼の父親だろ!だったらもっと他に言い方が・・・!」

 

「奏、いいんだ。」

 

「だけどよ・・・!」

 

「・・・いいんだ」

 

奏を止める翼の顔はどこか悲しげだった。

 

そうして八紘が屋敷に戻ろうとすると、突如池の地殻の空間が歪みだし、それを感知した緒川がそこに目掛けて発砲すると、突如竜巻が起きて弾丸を弾くと、竜巻の中からファラが現れる。

 

「野暮ね、親子水入らずを邪魔するつもりなんてなかったのに」

 

ファラの登場にみんなは警戒を強める。

 

「あの時のオートスコアラー!」

 

「レイラインの解放、やらせていただきますわ」

 

「やっぱ狙いは要石か!」

 

奏が叫ぶと、ファラは結晶を地面に叩きつける。

 

死の舞踏(ダンスマカブル)

 

結晶を叩きつけ、そこから大量のアルカノイズを繰り出してくる。

 

「ああ、付き合ってやろう」

 

そう言って翼たちは聖詠を歌い、ライダー達は変身する。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

『『オーソライズ!』』

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

『『ショットライズ!』』

 

シューティングウルフ!

 

ラッシングチーター!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

四人はその姿を変え、要石を守るため戦った。

 

『使用BGM Beyond the BLADE』

 

邪鬼の遠吠えの残音が月下に呻き狂う

 

翼は奏と協力し迫るアルカノイズを次々と撃退していき、マリアとセレナは要石に向かうアルカノイズを短剣とショットライザーで倒していく。

 

「ここは私が!」

 

「うむ、務めを果たせ」

 

そう言って八紘は奥に避難するが、やはり翼は複雑な顔をするが、すぐにいつもの顔に戻り戦いに戻る。

 

「さぁ、捕まえてごらんなさい」

 

そんな中ファラは自身の足元に竜巻を発生させ翼に迫る。

 

されど今は 外道に哀の一閃を「悪、行、即、瞬、殺」

 

翼は剣を巨大化させ、ファラ目掛けて一閃を放つ。

 

蒼ノ一閃

 

だがファラは自身の剣から放った斬撃で翼の蒼ノ一閃を打ち消した。

 

翼はすぐに高く飛び、剣を巨大化させファラ目掛けて剣を蹴り飛ばす。

 

天ノ逆鱗

 

「フフッ・・・何かしら」

 

ファラは余裕そうに翼の天ノ逆鱗に対して剣をぶつけると、ファラの剣に赤い模様が浮かび上がり翼の剣が砕けてしまう。

 

「何・・・!?」

 

(剣が・・・砕かれていく・・・!?)

 

そして剣が完全に砕けてしまい、ファラの剣から緑色の光が翼を襲った。

 

ファラの一撃を喰らった翼は吹き飛ばさ手倒れてしまう。

 

『翼!(翼さん!)』

 

三人が驚く中、ファラは倒れる翼に向かって語りだした。

 

「私の剣殺し(ソードブレイカー)は、剣と定義されるものであれば、硬度も強度問わずに噛み砕く哲学兵装。さぁ、いかがいたしますか?」

 

「強化型シンフォギアでもかなわないのか?」

 

緒川が悔しがる中、奏とセレナが前に出る。

 

「剣が駄目なら・・・!」

 

「銃ならどうですか!?」

 

そう叫んで二人はファラ目掛けてショットライザーを放つ。

 

「もっともな判断・・・ですが、駄目ですね」

 

だがファラは二人の弾丸に対して風のバリアを放ち銃弾を弾いてしまう。

 

「「なっ!?」」

 

「たぁぁ!!」

 

銃弾が弾かれると今度はマリアが前に出てファラ目掛けて短剣を放つ。

 

「無駄よ」

 

だがそれすらもファラの斬撃で全て砕かれてしまい、ファラの斬撃はそのまま要石に直撃してしまい要石は砕かれてしまう。

 

「あら?アガートラームも剣と定義されてたかしら?」

 

「アガートラームでも無理なのかよ・・・!」

 

「哲学兵装・・・概念に干渉する呪いやゲッシュに近いのか?」

 

「ふふっ、ごめんなさい。あなたの歌に興味はないの」

 

そう言ってファラは竜巻を発生させその身を隠す。

 

『剣ちゃんに伝えてくれる?目が覚めたら改めてあなたの歌を聞きに伺います』

 

そう言い残しファラはその場から消えた。

 

「くっ・・・!」

 

ファラが去った後、雨が降り出した。

 

 

 

S.O.N.Gの潜水艦では、司令室で緒川からの連絡を受けていた。

 

『要石の防衛に失敗しました、申し訳ございません』

 

「二点を同時に攻めるとはな・・・」

 

『二点・・・まさか!?』

 

『そのまさかよ、深淵の竜宮にも侵入者よ、セキュリティも補足してるわ』

 

モニターに映っているのは、深淵の竜宮に侵入しているレイアと復活したキャロルの二人だった。

 

「キャロル・・・」

 

「くっ・・・!閻魔様に土下座して蘇ったのか!?」

 

「奴らの策に乗るのは小癪だが、見過ごすわけにもいかない。クリス君は調君と切歌君、そして未来君と一緒に行ってくれ」

 

「おうよ!」

 

「がんばります!」

 

そしてモニターの映像は、カメラをレイアに破壊されたところで途切れてしまう。




さて後書きの時間だが・・・。
『お、重い・・・(家族関係が)』
「流石に重くないか風鳴家?」
うん、俺も見てて重いと思った。
「GX編どころかシンフォギア全体を通して重いだろ翼ん家は」
「うむ・・・まさかここまでとは」
「それに次回でさらに重くなりますからね・・・」
だな・・・てか本当にGXって家族中心だよな?
「だな、良いな皆には家族がこの世界にいて。俺に至っては家族も親戚も血縁者すらこの世界にはないから・・・」
「これ以上空気を重くすんな真!?」
「そうですよ!気を確かにしてください真お姉ちゃん!」
「しっかりせい!主人公がしてはいかん顔をしてるぞ!?」
「あわわわわ・・・!?」
えっと・・・もう場が重いので今回は此処まで!

「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」

「・・・お楽しみに」


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翼の夢


GX編第二十話、前回のあらすじをどうぞ!
「復活のキャロル、だが不調」
「真お姉ちゃん、響さんの護衛の為居残り」
「風鳴邸に向かった翼たちはふぁらと相対する」
「だけどファラに負けて要石を壊されちまった」
「それと同時に深淵の竜宮ではキャロルちゃんとレイアが侵入しました」
はいOK、それじゃあGX編第二十話どうぞ!


チフォージュ・シャトーにて、紫苑と桃恵が二人っきりで会話をしていた。

 

「お姉ちゃん・・・キャロルちゃん変わらなかったね」

 

「うむ・・・一度甦ればもしくはと思っておったのだが・・・杞憂に終わってしまったか」

 

紫苑がそう言うと桃恵は自身の手を握り締める。

 

「・・・やるしか、ないのかな?」

 

「・・・うむ、もうそれしかないじゃろう、幸い三人の『記録』は済ませておる」

 

そう言って二人は覚悟を決めた表情をする。

 

「・・・では行くぞ」

 

「うん・・・」

 

そう言い残し、二人はシャトーから出ていく。

 

 

「ここが深淵の竜宮・・・?」

 

「ただっ広いデス」

 

キャロルたちの襲撃によってクリス達は深淵の竜宮にたどり着いていた。

 

「ピクニックじゃねえんだ、行くぞ」

 

「行こう、二人共」

 

「はいデス!」

 

クリスと未来の言葉で四人は奥へと向かった。

 

一方S.O.N.Gの潜水艦では、オペレーターたちが深淵の竜宮の構造を映し出した。

 

「施設構造データ取得しました」

 

「侵入者の捜索急げ!」

 

弦十郎の号令でオペレーターたちが急いでキャロルたちの捜索をする。

 

「キャロルの目的は世界の破壊、ここに収められた聖遺物、もしくはそれに類する危険物を手に入れように違いありません」

 

エルフナインの言葉に弦十郎とフィーネは渋い顔をする。

 

 

 

風鳴邸では、ファラの一撃で気を失った翼が目を覚ました。

 

「・・・っ!」

 

翼は目を覚ますと、何があったのかを思い出す。

 

「・・・そうか、私はファラと戦って」

 

翼は先のファラとの戦いで負けたことを思い出す。

 

「身に余る夢を捨ててなお・・・私では届かないのか?」

 

翼が悲観する中、外からマリアの声が聞こえて来た。

 

「大丈夫、翼?」

 

「っ! 大丈夫、不覚を取った」

 

「動けるなら来てほしい、翼のパパさんが呼んでいるわ」

 

「・・・わかった」

 

翼が目を覚まし、マリアと待機していた奏とセレナと共に八紘のいる部屋までやって来ると、机の上に大量の資料が置かれていた。

 

「これは?」

 

「アルカノイズの攻撃によって生じる赤い粒子をアーネンエルベに調査依頼していました、これはその報告書になります」

 

「アーネンエルベ・・・シンフォギアの開発に関わりの深い同国政府の研究機関」

 

「報告によると、赤い物質はプリママテリア。万能の溶媒、アルカへストによって分解還元された物質の根源要素らしい」

 

「物質の根源・・・分解による・・・ですか?」

 

セレナの疑問に緒川が答えてくれた。

 

「錬金術とは、分解と解析、そこからの構築によって成り立つ異端技術の理論体系とありますが・・・」

 

「キャロルは世界を分解した後、何を構築しようとしてるのかしら?」

 

 

翼が考え込むと、八紘が声をかける。

 

「翼」

 

「はい」

 

「傷の具合は?」

 

「っ・・・はい、痛みは殺せます」

 

「ならばここを絶ち、しかるべき施設でこれらの情報の解析を進めるといい。お前が守るべき要石は、もうないのだ」

 

「・・・わかりました」

 

翼が了承すると同時に、マリアと奏が口をはさむ。

 

「それを合理的というのかもしれないけど、傷ついた自分の娘に賭ける言葉にしては冷たすぎるんじゃないかしら!」

 

「そうだ、自分の娘の心配よりも調査結果の報告か!」

 

「いいんだマリア、奏」

 

「翼・・・!」

 

「・・・いいんだ」

 

部屋からでて、マリア達は不満をぶちまけていた。

 

「あれは何だ!国家安全保障のスペシャリストかもしれないが、家族のつながりをないがしろにして!」

 

「私も気に入りません!自分の家族の心配ぐらいしてもいいじゃないですか!」

 

「すまない、だがあれが私たちの在り方なのだ」

 

翼は落ち着いて話ができるように部屋を案内していた。

 

「ここは、子供時分の私の部屋だ、話の続きは中でしよう」

 

翼がふすまを開けると、マリアは中の様子を見て驚く。

 

「っ!敵襲!また人形が!?」

 

「あっいや・・・その、私の不徳だ」

 

その部屋の内装は荒れ果てていて、一目見れば誰かが荒らしたと誤認してもおかしくなかった。

 

「ああ~こりゃ随分荒れてんな、翼って昔からこうだったんだな」

 

「ああ、だからって、十年間そのままにしておくなんて」

 

翼達はそのまま部屋に入り、話をすることにした。

 

「幼いころにはこの部屋で、お父様に流行歌を聞かせて思い出があるのに・・・」

 

「それにしても、この部屋は・・・」

 

マリアは一通り部屋を見てから翼に尋ねた。

 

「・・・昔からなの?」

 

「私が、片付けられない女ってこと!?」

 

「そうじゃない、パパさんの事だ」

 

マリアが尋ねると、翼は神妙な顔つきになる。

 

「・・・私のおじい様、現当主の風鳴訃堂は、老齢の域に差し掛かると跡継ぎを考えるようになった。候補者は嫡男である父八紘と、その弟の弦十郎叔父様」

 

「風鳴司令の事ですね」

 

「だが、おじい様に任命されたのは、お父様や叔父様を差し置いて、生まれたばかりの私だった」

 

「翼をか!?」

 

「理由はわからない、だが今日まで生きていると伺い知ることもある。どうやら私には、お父様の血が流れていないらしい」

 

「何っ!?」

 

翼の発言に三人は驚きを隠せなかった。

 

「風鳴の血を濃く絶やさぬようおじいさまがお母様の腹より産ませたのが、私だ」

 

「・・・風鳴訃堂は、人の道を踏み外したか!」

 

「そんなことって・・・!」

 

「マジかよ・・・!」

 

三人が言葉を紡ぐ中、翼は昔の八紘の言葉を思い出す。

 

『お前は私の娘であるものか!』

 

『どこまでも汚れた風鳴の道具にすぎん!』

 

「・・・以来私は、お父様に少しでも受け入れたくて、この身を人ではなく道具として、剣として研鑽してきたのだ」

 

「・・・・・・っ!」

 

「ふっ・・・なのに、この体たらくでは、ますます持って鬼子と疎まれてしまうな」

 

 

 

S.O.N.Gでは、竜宮の深淵の管理システムにアクセスしていた。

 

「竜宮の管理システムとリンク完了しました!」

 

「キャロルの狙いを絞り込めば、対策を撃つことができるかも・・・っ!止めてください!」

 

エルフナインの言葉にモニターの画面を停止させると、そこにあった一つの聖遺物に目を付けた。

 

「ヤントラ・サルヴァスパ!」

 

「なんだ、そいつは?」

 

『ヤントラ・サルヴァスパ・・・あらゆる機械の起動と制御を可能にする完全聖遺物よ』

 

「もしキャロルがトリガーパーツを手に入れれば、ワールドデストラクター・・・チフォージュ・シャトーは完成してしまいます!」

 

「ヤントラ・サルヴァスパの管理区域、割り出しました!」

 

モニターにヤントラ・サルヴァスパが管理されている場所が映し出された。

 

「クリス君達に急行させるんだ!」

 

 

一方で風鳴邸にて再び襲撃が起きた。

 

急いで翼たちが駆け付けると、屋敷の屋根にファラが立っていた。

 

「要石を破壊した今、貴様に何の目的がある!」

 

「ふふっ、私は歌が聞きたいだけ」

 

ファラの言葉に四人はペンダントとキーを手にする。

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

シルバー!

 

ブレイク!

 

『『オーソライズ!』』

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

スマッシュガングニール!

 

Seilien coffin airget-lamh tron.

 

Croitzal ronzell Gungnir zizzl.

 

四人がそれぞれのギアを身に纏い、共にファラに迫った。

 

『使用BGM 銀腕・アガートラーム』

 

真の強さとは何か?探し彷徨う

 

先に飛び出したマリアが短剣を投げつけその後ろから翼が切りかかるが、ファラは両方とも回避する。

 

ファラは翼とマリア目掛けて竜巻を繰り出すが、二人の前に奏が飛び出し、『LAST∞METEOR』を繰り出しファラの竜巻と相殺する。

 

奏に守られたマリアは左腕から繰り出した蛇腹剣をファラ目掛けて振るう。

 

EMPRESS†REBELLION

 

だが、その一撃はファラの振るった斬撃によって砕かれてしまう。

 

「っ!」

 

「マリア姉さん!」

 

マリアの蛇腹剣が砕かれると同時にセレナがマリアの前に出て三本の短剣で三角形のバリアを張るが、勢いを殺せず二人共吹き飛ばされてしまう。

 

「マリア!セレナ!」

 

「くっ・・・この身は剣、切り開くまで!」

 

そう言って翼はファラに向かって飛び出す。

 

「その身が剣であるのなら、哲学が凌辱しましょう」

 

そう言ってファラは翼目掛けて突風の如き斬撃を放つ。

 

翼はそれを受け止めるが、受け止めた自身のギアが砕かれていってしまう。

 

「くっ・・・!砕かれていく、剣と鍛えたこの身も、誇りも・・・!」

 

そう言って翼は斬撃に耐え切れず吹き飛ばされてしまう。

 

「うわぁぁあぁぁあぁああ!!」

 

「翼!!」

 

竜宮の深淵の方では、モニターに映るキャロルの手に黒い長方形の何かが握られていた。

 

「あれは・・・」

 

「ヤントラ・サルヴァスパです!」

 

それと同時にギアを纏ったクリス達がキャロルの元に駆け付けた。

 

「クリスちゃん達が現着!」

 

風鳴邸では、ファラの一撃を喰らって立ち上がれない翼の元に奏が駆け付けた。

 

「翼、無事か!」

 

「く・・・夢に破れ、それでもすがった誇りで戦ってみたものの・・・どこまで無力なのだ、私は!」

 

「翼!」

 

「翼さん!」

 

マリア達が声をかける中、一人の男性が声をあげた。

 

「翼!」

 

「っ!お父様・・・」

 

声の方に視線を向けると、そこには八紘が立っていた。

 

「歌え、翼!」

 

「っ! ですが私では・・・風鳴の道具にも、剣にも・・・!」

 

「ならなくていい!」

 

「・・・お父様?」

 

心が砕けかけた翼に八紘は声をかけた。

 

「夢を見続けることを恐れるな!」

 

「・・・私の、夢」

 

八紘に続くように、マリアも声を上げる。

 

「そうだ。翼の部屋、十年間そのまんまなんかじゃない!散らかっていても、塵一つなかった!お前との思い出を無くさないよう、そのままに保たれていたのがあの部屋だ!娘を疎んだ父親のすることではない!いい加減に気づけバカ娘!」

 

マリアの言葉に翼は涙を流す。

 

「・・・まさかお父様は、私が夢をわずかでも追いかけられるよう、風鳴の任より遠ざけて来た・・・それが、お父様の望みなら」

 

そう言って翼は八紘の方に向かって父親に尋ねる。

 

「私はもう一度!夢を見てもいいのですか!?」

 

翼の問いに、八紘は静かに頷いた。

 

「・・・ったく、クリス並みに素直じゃないな、翼の父さんは」

 

「・・・ああ、そしてそれに気が付かなかった私も大馬鹿だ」

 

そういって奏は翼に手を差し伸べ、翼はその手を握り立ち上がった。

 

「ならば聞いてください!イグナイトモジュール、抜剣!」

 

ダインスレイフ

 

翼はイグナイトモジュールを起動させると同時に、奏はホルダーからアサルトウルフプログライズキーを手にした。

 

アサルトバレット!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

翼のペンダントが宙に舞うと同時に、奏はショットライザーの引き金を引いた。

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトウルフ!

 

No chance of surviving.

 

翼の思いに呪いが答え、翼は単独でイグナイトギアを身に纏い、奏は翼と共に戦うためアサルトウルフへと変身した。

 

『使用BGM Beyond the BLADE(IGNITED arrangement)』

 

静かに瞳閉じ(しゅく)也て鞘に(いのち)を仕舞う

 

「味見させていただきます」

 

翼の放った一撃をファラは躱すが、翼と奏はすぐにファラとの距離を詰め攻撃を仕掛ける。

 

鬼子と呼ばれても仕方ない残虐なる(ざん)でも

 

奏は空中で真から預かったオーソライズバスターをファラに向かって放つが、ファラはそれをかき消してしまうが、奏の背後で翼は刀身を巨大化させ再びファラに迫る。

 

千切れやしない 運命(さだめ)の鉄鎖 また…背負って

 

「たぁぁああぁぁあ!!」

 

「やぁぁあぁぁあ!!」

 

竜宮の深淵でも、クリス達とキャロルたちの戦いがあり、クリスがキャロル目掛けて大量のミサイルを、未来が複数の光線を放つが両方ともキャロルの錬金術によって防がれてしまう。

 

過去は今を生む思い出と 信じられずにいた

 

切歌は単身でレイアと対峙し、調はキャロルたちの放ったアルカノイズを『非常Σ式 禁月輪』で撃退していき、キャロル目掛けて大量の丸鋸を放った。

 

背を押す声強く伝う 聞きたかった 温もりが嗚呼…涙を『…弱さを今だけは』

 

「・・・ぐっ!?」

 

キャロルが調の丸鋸を防ぐ中、再び拒絶反応が起き、バリアが解かれる。

 

今日に折れて死んでも明日にこそ 人と在りて歌うために

 

バリアが解かれた瞬間、丸鋸がキャロルの手にするヤントラ・サルヴァスパを弾き飛ばし両断してしまう。

 

「ヤントラ・サルヴァスパが!?」

 

キャロルは再びバリアを張るが、先程よりも小さい物だった。

 

「その隙は見逃さねぇ!」

 

クリスはバリアが小さくなった瞬間を狙い、自身の持つ大量のミサイルを一斉に放った。

 

MEGA DETH QUARTET

 

我が歌う場所は戦場の地だけじゃないと知れ

 

「地味に窮地!」

 

クリスのミサイルを撃ち落とすためレイアがコインを放つが。

 

「させません!」

 

未来がバイザーによる予測演算で幾つかのコインを光線で撃ち落としていく。

 

一番聞いて欲しかった声 届け響け天地を超え

 

光線で撃ち落とし損ねたコインは小型のミサイルを撃ち落としていくが、本命の巨大ミサイルだけはキャロル目掛けて飛んでいく。

 

…我が(めい)は『夢を防人(さきも)る事』也

 

「マスター!」

 

レイアが叫びキャロルがミサイルに気が付くが、防御する時間はなく、爆発を起こした。

 

風鳴邸では、翼がファラ目掛けて『千ノ落涙』を放つが・・・。

 

「いくら出力を増したところで」

 

ファラの斬撃が翼の千ノ落涙を全て砕いてしまう。

 

「その存在が剣である以上、私には毛ほどの傷すら負わせることは叶わない」

 

そう言って剣を二本構えたファラは二つの竜巻を起こし、その勢いで翼目掛けて突貫する中、翼は先ほどの八紘の言葉を思頭に浮かべる。

 

『夢を見続けることを恐れるな!』

 

「剣に在らず!」

 

翼は『逆羅刹』でファラを迎え撃ち、翼の刃とファラの剣がぶつかり合った結果、砕けたのはファラの剣だった。

 

「ありえない・・・!哲学の牙がなぜ!?」

 

ファラが困惑する中、翼は両足の刃に炎を宿しファラに向かって叫んだ。

 

「貴様はこれを剣と呼ぶのか・・・否!これは、夢に向かって羽ばたく翼!」

 

そう言って翼は炎の翼と共に空に羽ばたいた。

 

「貴様の哲学に、翼は折れぬと心得よ!!」

 

「あたしら両翼が、お前の牙を打ち砕く!!」

 

アサルトチャージ!

 

マグネティックストームブラストフィーバー!

 

翼が羽ばたくと同時に奏も引き金を引き、ファラ目掛けて飛び上がる。

 

ただ生きとし生けるものならば 過去立って飛び立てる

 

翼の持つ二本の剣にも炎が宿り、まるで不死鳥の様に翼は羽ばたき、奏の右足には蒼く燃え上がる狼の頭部状のエネルギーが溜められる。

 

剣は剣としか呼べぬのか?違う、友は翼と呼ぶ

 

炎を宿した翼はそのまま高速で回転しながらファラに向かい、奏も狼を宿した右足でファラに向かってライダーキックを放つ。

 

ファラは迎え撃つが、翼と奏の一撃によってその身を打ち砕かれる。

 

…我が名は『夢を羽撃つ者』也

 

 

マグネティックストームブラストフィーバー!

 

羅刹 零ノ型

 

「ハハハハハッ!ハハハハハハッ!!」

 

身体を切り裂かれ、砕かれてもなお、ファラは高らかに笑い続けた。

 

 

 

一方竜宮の深淵では、クリスはキャロルがミサイルを受けたのを確認した。

 

「どうだ・・・!」

 

だが爆煙が晴れるとそこにキャロルの姿はなく、代わりに巨大な氷の壁が立ちふさがっていた。

 

「何!?」

 

「氷の壁!?」

 

壁が崩れると、そこにいたのはキャロルを守るように立ちふさがる紫苑と桃恵の二人だった。

 

「お前らは・・・!」

 

「紫苑・・・桃恵・・・」

 

「悪いが、きゃろるは討たせん」

 

「私たちがいる限り、キャロルちゃんに傷をつけられないと思ってください」

 

そう言い放つ二人の表情は、覚悟を決めた表情だった。





さて後書きの時間だ。
「ついにファラも倒せて残るオートスコアラーはレイアだけだな」
「それにヤントラ・サルヴァスパも破壊出来てシャトーの建造は止められたって所・・・何だよな?」
「どうなんでしょうか?最後に出て来た紫苑さんと桃恵さんの雰囲気も大分違ってましたね」
「うむ・・・きゃろるの為、ここからはうちらも本気で挑ませてもらうぞ」
「はい。言っておきますが、容赦はしません」
「ああ、そうでなくちゃな・・・ところで作者、ちょっとこい」
んっなんだ?
「確か今回のラストって本編ならウェルが出てくるところだったよな?」
「・・・あっ、言われてみれば」
「じゃが、うちらが出ていたぞ?」
あ~・・・はっきり言うとウェルは出す気ない。
「言い切りおった!?」
「それ大丈夫なんですか!?」
大丈夫、何とかして見せる・・・何とかね。
「なんか、すっげぇ不安だな」
「分かる」
と!とにかくそろそろ〆るとするか!

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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激突 深淵の竜宮

GX編第二十一話、前回のあらすじは?
「きゃろるがいないしゃとーにてうちと桃恵は覚悟を決めていた」
「深淵の竜宮にたどり着いたクリス達」
「翼の口から語られる風鳴家の真実」
「再びファラさんが風鳴邸に襲い掛かりましたが、イグナイトを起動した翼さんとアサルトウルフの奏さんが勝ちました」
「そしてキャロルの元に紫苑さんと桃恵さんが現れました!」
はい完璧、それではGX編第二十一話、どうぞ!


キャロルを守るように突然現れた紫苑と桃恵の存在にクリス達は驚いていた。

 

「お前ら・・・一体どうやって!?」

 

クリスが叫ぶと、紫苑は懐からジェムを取り出す。

 

「それで此処まで・・・っ!」

 

未来がそう言う中、ふと隣にいるクリスの肩が震えていることに気が付く。

 

「あたしの一発を止めてくれたな・・・!」

 

「うむ、あの一撃がきゃろるに直撃してしまったらただではすまんと理解し防がせてもらったぞ」

 

紫苑の言葉にクリスは下唇を噛む。

 

(後輩の前でかかされた恥は、百万倍にして返してくれる!)

 

クリスが攻撃姿勢を取ろうとすると、未来がクリスを止める。

 

「待ってクリス!先走っちゃだめだよ!」

 

「どうしてだ!」

 

「あの二人は真さんを倒したんだよ、今の私達で敵う相手じゃ・・・」

 

「だけど・・・!」

 

未来がクリスを制止する中、相手にも動きがあった。

 

「きゃろるよ、ここはうちらが・・・!」

 

紫苑がそう言い二人がフォースライザーを取り出す直前に、キャロルが二人を制止する。

 

「いや、お前たちが出る幕ではない」

 

キャロルはそう言うと、結晶をばら撒きアルカノイズを出現させる。

 

「・・・だとしても、あたしは!!」

 

『使用BGM TRUST HEART』

 

未来の制止を振り切り、クリスは出現したアルカノイズに向けて弾幕を放ち殲滅していくが、キャロル達は錬金術でクリスの弾幕を防いでしまう。

 

「だったら特大のをくれてやらぁ!!」

 

クリスは先ほどのミサイルを二つ繰り出す。

 

鉛玉の大バーゲン 馬鹿に付けるナンチャラはねえ

 

二つのミサイルをキャロル達に標準を構えると、紫苑が叫ぶ。

 

「待つのじゃ!そんなものをここで繰り出してはいかん!」

 

「なんだと!?」

 

「そんなものが爆発してしまってはこの施設も、おぬしの仲間もただではすまんぞ!」

 

「っ!?・・・くっ!」

 

紫苑の言葉にクリスは固まり、とっさにミサイルを収納してしまう。

 

「レイア、この埒を開けて見せろ」

 

「即時、遂行」

 

キャロルの命でレイアが飛び出しノイズを掃討するクリスを翻弄する。

 

(後輩なんかに任せてられるか・・・ここは先輩のあたしが!)

 

クリスは先輩としての意地でレイアに弾幕をばら撒くが、レイアを捉えきれない。

 

「ばら撒きでは捉えきれない!」

 

「落ち着くデスよ!?」

 

二人が叫ぶがクリスの耳には届かず、クリスは弾幕をばら撒くのに必死で周りが見えずその銃口が調に向けられる。

 

「駄目!!」

 

銃口が調に向けられる直前、未来が手にしていた扇でクリスのガトリングを止める。

 

「なっ・・・!」

 

未来が止めたことで、クリスはやっと冷静さを取り戻す。

 

「あいつらは!どこに消えた!?」

 

「きっと・・・ここから」

 

調が指さしたところには、床に大穴が開けられていた。

 

「逃がしちまったのか・・・」

 

「ごめんなさい・・・私たちが油断してたばかりに」

 

「でも、もう大丈夫デス!今度は四人で力を合わせれば・・・!」

 

そう言って近づく切歌をクリスは突き放した。

 

「後輩の力なんて当てにしない、お手々繋いで仲良しごっこじゃないんだ、あたし一人でやって見せる!」

 

「クリス!」

 

未来の叫びでも、クリスの意志は変わらなかった。

 

(一人でやり遂げなければ・・・先輩として後輩に示しがつかねんだよ・・・・!)

 

一方S.O.N.Gの方でも、キャロル達に行方が分からなくなっていた。

 

「如月姉妹の出現を予測しきれなかったのが仇となったか・・・すぐに追跡の再開を急げ!」

 

オペレーターたちがキャロル達を追跡する中、エルフナインは切り裂かれたヤントラ・サルヴァスパに視線を向ける。

 

「最後のパーツ、ヤントラ・サルヴァスパが失われたことでチフォージュ・シャトーの完成を阻止できました・・・なのに、キャロルはまだ」

 

かつて、エルフナインがシャトーにいた頃、キャロルから真実を聞かされた。

 

「説明してください!僕が建造に携わったチフォージュ・シャトーは僕達のパパの意志を継ぐためだったはず!世界をバラバラにするなんて聞いてません!」

 

「いかにも、チフォージュ・シャトーは錬金技術の粋を集めたワールドデストラクターにして、巨大なフラスコだ」

 

キャロルの答えにエルフナインは絶句する。

 

「・・・僕を騙すつもりで」

 

「さて、そうと知ってどうする?力のないお前が俺を止めて見せるのか?」

 

キャロルの言葉にエルフナインは拳を握り締めて答える。

 

「それでも・・・それでも、僕が思い出の向こうのパパを大好きなように、貴方もパパのことが大好きなはずです」

 

「っ!?お前・・・何を」

 

「パパは世界をバラバラにすることなんて望んでいなかった!望んでないことを僕は貴方にさせたくない!」

 

エルフナインが言い切ると、キャロルは立ち上がり怒りを表に出す。

 

「思い出を複写されただけの廃棄躯体風情が・・・出来損ないの娘が語る事ではないと覚えよ!」

 

キャロルの怒りの言葉にエルフナインは怯えると、キャロルは再び座り込む。

 

「・・・お前をシャトー建造の任より解く、後はどうとでも好きにするがいい」

 

その瞬間視界は暗転し、同時にキャロルが目を覚ます。

 

「ん・・・」

 

「きゃろる!大丈夫か?」

 

紫苑の言葉にキャロルはあたりを見あたし状況を理解する。

 

「俺は・・・落ちたのか?」

 

「はい、また拒絶反応が起きてました。それで撤退の途中で意識を・・・」

 

「高レベルフォニックゲイナーが複数揃う良好に、逸るのは理解できますが・・・」

 

「杞憂だ・・・だが、助かった。礼を言う」

 

キャロルの言葉に紫苑と桃恵は頭を下げる。

 

「だが・・・ヤントラ・サルヴァスパが無き今、どうすれば・・・」

 

「今から代わりを探そうにも時間と追手が・・・」

 

キャロルが別の案を模索する中、桃恵が手を上げる。

 

「どうした?」

 

「実は・・・キャロルちゃんの所に向かう途中でこんなものを見つけたんです」

 

そう言って桃恵が陣から取り出したのは、厳重にケースに保管されている脈動する左腕だった。

 

「それは・・・!」

 

「ネフィリムの左腕・・・!」

 

「そこにあった資料によれば、この左腕は所有者が危険思想を持っているため米国が秘密裏に所有者から物理的に切り離し、ここに保管されていたそうじゃ」

 

「所有者は現在牢獄の中、でもそれでもこの左腕はその力を失っていません、危険なら処分します」

 

桃恵がそう言うと、キャロルは首を横に振る。

 

「いやよくやった、これなら何とかなるかもしれん」

 

「なんじゃと?どういう事じゃ?」

 

「詳しい話は追っ手を撒くながら説明しよう」

 

「えっ・・・逃げなくていいんですか?」

 

「案ずるな、奴らの動きは把握済み、時間稼ぎなど造作もない」

 

一方クリス達はサブモニタールームにてS.O.N.Gと連絡を取っていた。

 

「力を使うんじゃないと言ってるんじゃない!その使い方を考えろと言ってるんだ!」

 

モニター越しに弦十郎がクリスを叱っていた。

 

「新しくなったシンフォギアは、キャロルの錬金術に対抗する力だ!使いどころは今を置いて他にねえ!ねむてぇぞおっさん!」

 

「ここが深海の施設だと忘れるなと言っている!」

 

弦十郎の発言にクリスはストレスをため、近くの鉄板に蹴りを与える。

 

「正論で超常と渡り合えるか!!」

 

「・・・・・・」

 

「クリス・・・」

 

クリスのいら立ちに困惑する切歌と調、そしてそんなクリスを見て心配する未来。

 

「・・・念の為、各ブロックの隔壁やパージスイッチの確認をお願い」

 

そう言われると、モニターに深淵の竜宮のマップに幾つものポイントが映し出される。

 

「こ、こんなにいっぺんに覚えられないデスよ!」

 

「じゃあ切ちゃん、覚えるのは二人で半分こにしよう」

 

「二人が覚えきれないところは私が覚えるよ」

 

調と未来がアシストすると、通信が入る。

 

「セキュリティシステムに侵入者の痕跡を発見!」

 

「そういう知らせを待っていた!」

 

 

 

風鳴邸では、ファラを撃退した翼たちはとある物を見つける。

 

「これは・・・先ほどの!」

 

そこにあったのは翼と奏によって上半身だけになったオートスコアラー、ファラだった。

 

「ええ、翼さんと奏さんが退けた、オートスコアラーの残骸です」

 

「おい、まさかこんな状態でも動くってのか・・・?」

 

「でも、相手は人ではないから可能かもしれませんよ?」

 

奏とセレナがそう言った瞬間、ファラの瞳が動き、翼達を捕らえた。

 

「・・・いつか、しょぼいだなんて言って、ごめんなさい。剣ちゃんの歌、本当に素晴らしかったわ」

 

「私の・・・歌・・・」

 

そう言った瞬間、ファラは狂ったように笑いだした。

 

「アッハハハハ!!まるで体が二つに砕かれるぐらい、素晴らしく呪われた旋律だったわ!!アハハハハハハッ!!」

 

ファラの発言に翼たちは互いに顔を見合わせる。

 

「呪われた旋律・・・確か以前にキャロルも言っていた」

 

「っ・・・!答えてもらうわ!」

 

深淵の竜宮では、クリス達はキャロル達を追いかけて走り回っていた。

 

「どこまでいけばいいんデスか!?」

 

「いい加減、追いついてもいいのに・・・!」

 

「全然追いつく気配がない・・・!」

 

「っ!この道で間違いないんだろうな!?」

 

S.O.N.Gの方でも、クリス達をマップで支援していた。

 

「ああ、だが向こうも巧みに追跡を躱して進行している!」

 

「まるで・・・こちらの位置や選択ルートを把握してるみたいに・・・」

 

友里の言葉で、その場にいた人たちはあることを思い浮かんだ。

 

「まさか・・・本部へのハッキング!」

 

「知らず、毒を仕込まれていたのか!?」




さて後書きの時間だ。
「原作と違うところは、ウェルが居なくて代わりにネフィリムの腕だけがあるんだな」
俺の中での米国はそういうことをしそうなイメージなんだよな。
「ともかく、これでキャロルの元に最後のパーツが手に入ってしまったって訳か・・・手かお前らどうやって見つけたんだ?」
「うむ、『転移成功するがきゃろるがいない』→『急いできゃろるを探して深淵の竜宮内を駆け回った』→『部屋という部屋の扉を壊しまくってたら偶然腕を見つけて持ってきてしまった』ということじゃ」
「とんでもないことしやがってた!?じゃあ今深淵の竜宮内ボロボロかよ!?」
「一応、建物に被害が出ない程度には・・・」
「なんというか・・・とんでもないことしますね紫苑さん」
「きゃろるが危ないと思っての、いてもたってもいられなかったんじゃ!」
「「「気持ちはわかるわ『わかります』」」」
「それに今はそちらのクリスさんがなんだか危ないんじゃ・・・」
「大丈夫さ、クリスならきっと乗り越えられる」
「あたしらはそれを信じてるからこうしてるのさ」
「はい、クリスさんなら大丈夫です」
「・・・そうか、ならばよい!」
「そうですね」
なんだか仲良くなったなお前ら・・・そんじゃそろそろ〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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ツミトキズ

GX編第二十二話、前回のあらすじは?
「キャロルを守るために現れた紫苑と桃恵」
「うちらの登場にくりすが攻撃を仕掛けるが、周りを見ておらず仲間に当たる直前に止められる」
「エルフナインが過去のことを思い出す」
「私たちが持ってきたネフィリムの腕で計画が進むことになりました」
「そして相手が私たちの状況を何らかの方法で探っていました」
はいOK、それじゃあ本編に入る前に一言いいか?
「おっ珍しい、どうした?」
今回は俺の自己満を詰め込まさせていただきました、それでもいい方はこのまま読んでください。
「自己満って・・・何しやがったんだ?」
それは本編の中で、それではGX編第二十二話、どうぞ!


時刻は夜中、入院している響は真と連絡を取っていた。

 

「すみません、なんだか眠れなくて・・・」

 

『別にいいぞ、それぐらいなら』

 

「ありがとございます・・・少しいいかな?」

 

『・・・どうした?』

 

響の改まった態度に真は真剣になる。

 

「実は私、今度お父さんと話してみようと思って」

 

『・・・そうか、決心したんだな』

 

真の言葉に響は少し暗い顔をする。

 

「・・・本当は、まだ少し怖いんです。どうなるのか不安でしょうがないんです」

 

『・・・響、へいきへっちゃら、だろ?』

 

「えっ?」

 

久しぶりの父親との会話に少し怯える響に、元気づけるように真は響の口癖を口にした。

 

『忘れたのか、お前の口癖だろ?』

 

「ああそうでした、いったいいつから口癖になったのか忘れたけど、嫌なことがあってもなんとかなりそうになる魔法の言葉なんです」

 

『本当に単純だな響は』

 

「前向きって言ってくださいよ~」

 

少しして響と真の笑い声が病室に響いた。

 

「あっはは、いやぁおっかしいな」

 

『元気出たな、これも魔法の言葉のお陰だな』

 

「・・・うん、そうだね」

 

 

 

一方風鳴邸では、翼たちに対し上半身だけとなったファラは現状を教えていた。

 

「知らず毒が仕込まれて、知るころには手の施しようがないまま、確実な死をもたらしますわ・・・」

 

S.O.N.Gの方でも、キャロルの仕込んだ毒について弦十郎が思考していた。

 

「俺たちの追跡を的確に躱すこの現状、聖遺物の管理区域を特定できたのも、まさかこちらの情報を出歯亀して・・・!」

 

「それが仕込まれた毒・・・内通者の手引きだとしたら」

 

「っ!」

 

内通者という言葉にエルフナインは反応した。

 

「ち、違います!僕は何も・・・僕じゃありません!!」

 

『いいや、お前だよエルフナイン』

 

すると突如、司令室内にキャロルの声が響いた。

 

皆が驚く中、エルフナインの背後から立体映像のようなキャロルが現れる。

 

「これは、一体・・・!?」

 

「な・・・なんで!?」

 

「キャロル・・・そんな、僕が毒・・・!?」

 

風鳴邸では、奏がファラに問い詰めていた。

 

「答えろ!お前の言う毒っていうのは一体何なんだ!」

 

奏の問いかけにファラは答えた。

 

「マスターが世界を分解するために、どうしても必要なものが幾つかありましたの。その一つが、魔剣の欠片が奏でる呪われた旋律、それを装者に歌わせ体に刻んで吸収することが、私達オートスコアラーの使命!」

 

ファラの口にした真実に、翼たちは驚きを隠せなかった。

 

「では・・・イグナイトモジュールが!?」

 

「馬鹿な!?エルフナインを疑えるものか!」

 

『とはいえエルフナイン自身、自分が仕込まれた毒であると知る由もない』

 

キャロルは深淵の竜宮にいながら、錬金術を使用してS.O.N.Gに通信を送っていた。

 

『俺がこやつの眼を、耳を、感覚器官の全てを一方的にジャックしてきたのだからな』

 

「僕の感覚器官が・・・勝手に!?」

 

『同じ素体によって作られたホムンクルス躯体だからこそ出来ることだ』

 

「最初にマスターが呪われた旋律を身に受けることで、譜面が作成されますの。後は貴方達にイグナイトモジュールを使わせればいいだけの簡単なお仕事」

 

「全ては最初から仕組まれていたのか!?」

 

「・・・ふふっ」

 

翼の言葉とともに、ファラの瞳は怪しく輝いた。

 

「・・・お願いです、僕を拘束してください!誰も接触できないよう、独房にでも閉じ込めて!」

 

エルフナインは自身のせいで現状を生みだしてしまった罪悪感で弦十郎に自身の拘束を頼み込んだ。

 

「いいえ・・・キャロルの企みを知らしめる僕の目的は既に果たされています。だからいっそ!」

 

その瞬間、風鳴邸でファラがいきなり自爆を起こし、翼達は緒川の機転で事なきを得たが、辺り一面に謎の粉がまき散らされた。

 

「呪われた旋律を手に入れれば、装者を生かす道理が無くなったということなの!」

 

「だから、私たちの質問に素直に答えて・・・!」

 

「っ!緒川さん、本部に連絡を!イグナイトモジュールの使用を控えさせなければ!」

 

「・・・駄目です、おそらくこの粉塵が!」

 

「付近一帯の通信かく乱・・・周到な!」

 

通信が妨害される中、エルフナインは泣きそうな顔で弦十郎に頼む。

 

「だから・・・だから!いっそ僕を・・・!」

 

エルフナインが言い切る直前に、弦十郎がエルフナインの頭に手を乗せる。

 

「ならよかった、エルフナインちゃんが悪い子じゃなくて」

 

「敵に利用されただけだもんな」

 

「友里さん・・・藤尭さん・・・」

 

エルフナインが驚く中、弦十郎はエルフナインの頭を撫でる。

 

「君の目的は、キャロルの企みを止めること。そいつを最後まで見届けること」

 

「弦十郎さん・・・」

 

「だからここにいろ、誰に除き見されようとも構うものか」

 

「・・・は、はい!」

 

弦十郎の言葉にエルフナインは笑顔を取り戻した。

 

『ちっ!』

 

その光景にキャロルは不服そうにして通信を切った。

 

「使われるだけの分際で・・・」

 

すると奥の方から見周りに行った紫苑と桃恵が急いで戻ってきた。

 

「きゃろる!装者共がすぐそこまで!」

 

紫苑がそう追うと同時に、紫苑達の背後からクリス達がやって来る。

 

「ここまでよ!キャロル!」

 

「さっきみたいにいくもんかデス!」

 

クリス達の登場にキャロルは余裕そうに振り向く。

 

「・・・だがすでに、シャトー完成に必要な最後のパーツの代わりは入手している」

 

キャロルは結晶をばら撒き、アルカノイズを繰り出してきた。

 

「今度は逃がしやしねぇ!」

 

アルカノイズの登場と同時にクリス達もペンダントを握り締めて聖詠を歌う。

 

Killter Ichaival tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

クリス達はシンフォギアを身に纏い、アルカノイズに向かって行った。

 

『使用BGM オーバーキルサイズ・ヘル』

 

危険信号点滅 地獄極楽どっちがイイDeath?

 

クリス達達が戦う様子を、弦十郎たちはモニターで見ていた。

 

「エンゲージ、スタート!」

 

「戦闘管制に全力します!」

 

調は『α式 百輪廻』でノイズを切り裂きながら、クリスと未来はマシンガンと光線で周りのノイズを掃討していく。

 

するとレイアは手に持つ大量のコインを重ね合わせトンファーにしてクリスに襲い掛かった。

 

クリスも抵抗するが、不慣れな近接戦に持ち込まれて押されていき、近距離でマシンガンを放つが全弾躱され逆にレイアの錬金術で吹き飛ばされてしまう。

 

「後は私と、間もなく到着する妹が対処します」

 

「オートスコアラーの務めを」

 

「派手に果たせて見せましょう」

 

キャロルはそう言ってジェムを使ってその場から立ち去り、紫苑と桃恵はジェムを使う直前に腕を止める。

 

「・・・れいあよ」

 

「ん?」

 

紫苑の声にレイアが振り向くと、紫苑と桃恵は悲しそうな表情でレイアを見つめてるが、すぐに二人は顔を隠す。

 

「・・・いや何でもない、頼んだぞ」

 

「お願い・・・します」

 

「・・・わかった、マスターを頼む」

 

そう言って二人もジェムを使ってその場から消え去ろうとする。

 

「待ちやがれ!」

 

クリスが妨害しようとするが、レイアが立ち塞がりトンファーで殴り飛ばされてしまう。

 

「クリス!?」

 

「まずいデス!大火力が使えないからって飛び出すのは!」

 

「駄目!流れが淀む!」

 

クリスに気を惹かれた隙を狙われ、レイアの放った大量のコインが三人に放たれる。

 

「くっ・・・きゃあ!!」

 

コインの嵐に未来が吹き飛ばされてしまい、残った二人も身動きが取れずにいると、レイアは手に持つ二枚のコインを巨大にして切歌と調を挟み潰した。

 

コイン同士が離れ消え去ると同時に二人も倒れこむと同時に、倒れていたクリスも目を覚ます。

 

「くっ・・・っ!?」

 

目を覚ましたクリスの目に映ったのは傷だらけで倒れる切歌と調と未来の姿だった。

 

その様子を見てクリスは絶句し、涙を流す。

 

「っ・・・!独りぼっちが、仲間とか友達とか先輩とか後輩なんて求めちゃいけないんだ・・・!でないと・・・でないと!」

 

クリスは涙を流しながら叫ぶ。

 

「残酷な世界が、みんなを殺しちまって、本当の一人ぼっちになってしまう・・・!」

 

クリスは胸の内を叫びながら、その場に座り込んでしまう。

 

「なんで・・・世界はこんなにも残酷なのに、パパとママは歌で救おうとしたんだ・・・!」

 

泣き崩れるクリスに向かってレイアがトンファーを構えて迫る。

 

「暇があれば、歌え!!」

 

クリスに目掛けて振るわれたトンファーにクリスは躱す余裕はなく直撃する寸前、立ち上がった切歌と調がトンファーを受け止めた。

 

「なっ・・・!」

 

驚くクリスに向かって切歌と調は微笑んで言葉を放つ。

 

「一人じゃないデスよ!」

 

「未熟者で、半人前の私達だけど、傍にいれば誰かを一人ぼっちにさせないぐらいには・・・!」

 

レイアの一撃を受け止めていた二人だが、レイアは更に力を込めて二人を吹き飛ばし、二人は倒れてしまう。

 

「二人とも・・・!」

 

クリスが心配そうに見る中、切歌と調は変わらず微笑んで応える。

 

「後輩を求めちゃいけないとか言われたら、ちょっとショックデスよ」

 

「私達は、先輩が先輩でいてくれること、頼りにしてるのに・・・!」

 

二人の言葉にクリスがうつつを抜かれている中、後ろから未来がクリスの肩を抱く。

 

「クリス、たとえ何があっても私たちは絶対にいなくならない、クリスをもう二度と独りぼっちにはさせないよ」

 

三人の言葉に、クリスは涙を流す、だがその涙は哀しみではなく、嬉しさからやって来る涙だった。

 

「そっか・・・あたしがこうしていられるのは、お前達みたいな友達がいてくれるからなんだな!」

 

クリスの雰囲気が変わったことに警戒するレイアに、立ち上がったクリスが未来と共にレイアに向かう。

 

「もう怖くない、行くぞ!」

 

「うん、クリス!」

 

二人は共にペンダントに手をかける。

 

「「イグナイトモジュール、抜剣!」」

 

ダインスレイフ

 

機械音声と共にペンダントが宙を浮かび、形を変えその矛先はクリスと未来に向けられる。

 

そしてペンダントが二人の胸に突き刺さり二人の身に呪われた力が流れ込んでくる。

 

「ぐっがぁぁあぁあああぁぁああ!!」

 

「あああぁぁああぁぁぁあぁああ!!」

 

二人が苦しむ中、クリスは後ろにいる切歌と調、そして隣でともに苦しむ未来に視線を向ける。

 

(あいつらが、あたしをギリギリ先輩にしてくれる!こいつが・・・未来が、あたしの傍にいてくれる!そいつに応えられないなんて・・・!)

 

クリスは呪いに苦しまれながらも、その思いを胸に秘める。

 

(他の誰かが許しても・・・あたし様が許せねぇってんだ!!)

 

その瞬間、二人の呪いが形を変える。

 

クリスはかつて身に纏ったのと同じ黒く鋭利な姿に、未来は紫色のギアがが黒く染まり、さらに鋭利な姿となってその呪いを力へと変えた。

 

『使用BGM ツミトキズ(クリス&未来)』

 

この身は既に罪に染まって 色あせる事はない

 

クリスは呪いで強化されたボウガンでレイアに向かって乱れ撃つ中、レイアはコインのトンファーで全て撃ち落とす。

 

大切な人を傷つけてしまった この痛みは消えたりしない

 

だが防がれるのを読んでいた未来が回り込み、形を変えた扇のアームドギアから大量の光線を放つ。

 

レイアは直前で気が付き飛んで回避するが、飛んだ瞬間クリスの弾丸がレイアの腕に直撃する。

 

弾丸が直撃したことにレイアが驚く中、クリスは両手にボウガンをハンドガンに変え、未来も扇を畳んで二人同時に接近戦を仕掛ける。

 

過去が迫り 未来が闇に閉ざされてしまう

 

悲しみが私を呑み込んでしまう

 

二人の接近戦にレイアは焦りながらも的確に対処する。

 

(失うことの怖さから、せっかく掴んだ強さも温かさも全部、手放そうとしたあたしを止めてくれたのは!)

 

二人はレイアと距離を取り、クリスは武器をショットガンに変え、未来は周りに小型のビットを展開し、同時にレイアに向かって放つが、レイアの錬金術によって生み出された壁に防がれてしまう。

 

だけど 今は

 

けれど 今は

 

レイアの放つ大量のコインを二人はマシンガンと光線で撃ち落として、クリスは武器をスナイパーライフルに変える。

 

「ライフルで!」

 

「殴るんだよ!」

 

クリスはライフルの長身を生かし、そのまま銃身でレイアを殴りつける。

 

RED HOT BLAZE

 

ライフルによる殴打によって怯んだレイアに未来が迫り、手にする扇を振りかぶる。

 

「こっちからも!」

 

そのまま未来も扇でレイアを殴り飛ばす。

 

手を引いてくれる友達が

 

背中を押してくれる友達が

 

 

(先輩と後輩、そして友達。この絆は、世界がくれた物。世界は大切な物を奪うけれど、大切な物をくれたりもする!)

 

その時、クリスの脳裏に歌で世界を救おうとした親の姿が映る。

 

(そうか・・・パパとママは、少しでも貰える物を多くする為、歌で平和を・・・!)

 

闇に閉ざされ 道が無くても

 

大切な仲間が 導いてくれる

 

クリスは武器の形を弩弓へと変え、その矢を先ほど未来の放ったビットに向かって放つ。

 

未来も扇から光線をビットに向けて放ち、光線と矢はビットを反射していく。

 

上へ下へ、右へ左へと軌道を変える光線と矢にレイアは翻弄され、コインでビットを破壊するが未来が新たにビットを繰り出し数は減らない。

 

こんなに罪に染まっても

 

あんなに傷つけてしまっても

 

ビットを反射する光線と矢は次第に重なり合い、その威力と勢いを高めていく。

 

その矢を見たレイアは危機を覚え離れようとするが、前後を挟むように展開したクリスと未来が光線と弾幕でレイアの身動きを封じる。

 

それでもお前は

 

それでも貴方は

 

そして放たれた光線は全て矢に収束され、光速となった矢は最後の反射でレイアに向かう。

 

光矢-PHOTON RAY-

 

光と同じ速度となった矢を躱す手段をレイアは持ち合わせていない。

 

あたし『私』

 

そしてレイアは迫る矢に対し微笑み、その身を貫きレイアは爆散した。

 

「やったデス!」

 

「即興のコンビネーションで、やっぱりすごい・・・!」

 

クリスが放心する中、未来がクリスに近寄り手を差し出す。

 

「クリス」

 

「・・・ああ」

 

それを見たクリスも手を出し、未来とハイタッチした。

 

「あたしが此処までできたのは、後ろで見守ってくれた後輩と、隣で一緒に戦ってくれた友達のお陰だ・・・ありがとな」

 

クリスからのお礼に、三人は驚くが、すぐに笑顔を見せる。

 

だがその時、深淵の竜宮が揺れ出した。

 

「この海域に急速接近する巨大な物体を確認、これは!」

 

モニターに映し出されたのは、海中を泳ぐ巨大な人型、否レイアの妹だった。

 

「いつかの人型兵器か!装者達の脱出状況は!?」

 

深淵の竜宮では、クリスと未来がギアの解けた切歌と調を抱えてダッシュを行っていた。

 

「駄目、間に合わない・・・!」

 

「さっきの揺れは、敵の罠にかかってしまったのデスか?」

 

「まだだ!諦めるな!」

 

「絶対に、脱出しよう!」

 

二人は何とか潜航艇のある発着場までたどり着き、潜航艇に乗り込み深淵の竜宮を脱出した。

 

「潜航艇の着艦を確認!」

 

「緊急浮上!有圧を気にせず、振り切るんだ!」

 

海中を泳ぐレイアの妹、その行き先は浮上するS.O.N.Gの潜水艇だった。

 

「総員をブリッジに集め、衝撃に備えろ!急げ友里!」

 

 

 

地上では、病室の響は夜明けを見つめる。

 

「決戦の朝だ・・・」

 

潜水艇の浮上と共に海中から現れるレイアの妹は、その巨碗を振り上げ。

 

そのまま振り下ろし、潜水艇を叩き割った。




『・・・・・・・・・』
さて、後書きの時間だが・・・言いたいことがあるならはっきり言え。
「そうか・・・じゃあ言わせてもらうけど、なにあれ?」
いやさ、自分で言うのもあれだけど、俺結構シンフォギア好きなんだよな。
「それは知ってる」
それでこの回を作るに至ってクリスと共に未来もイグナイトにしました。
「はい」
それでせっかくならデュエット曲にしようと探しました。
「うむ」
けど、クリスと未来のユニゾン曲ってないんよ。
「ええ」
当初はこのままクリス一人だけと考えた、けどせっかくなら未来にも歌ってほしいと思いました。
「・・・その結果?」
一番だけですが作っちゃいました♪
「・・・はっきり言うぞ、お前バカか?」
うん、流石にこれは賛否両論あると思った、けどこの溢れる思いを止められなかった、苦情は受け付ける、バッチこい批判コメ!
「え~視聴者の皆さん、この馬鹿が勝手にこんなことをして本当にすみませんでした、クリス単独の歌が良かったとか、クリスと未来のユニゾン曲あるよなど言いたかったらコメントに投稿してください、この馬鹿のいい薬になるので」
本当にすみません、それじゃあ謝ったしそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

「お前、視聴者に何言われても知らんぞ・・・」
覚悟の上だ。


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決戦の朝

GX編第二十三話、前回のあらすじは?
「父親と会うことを決心した響さん」
「そしてイグナイトがキャロルによって仕組まれたものと判断した」
「キャロルはエルフナインを通してS.O.N.Gの情報を会得していたが、エルフナインを弦十郎さん達が許した」
「れいあとの戦いの中でくりすと未来がいぐないとの起動に成功したぞ」
「そして作者のオリジナル曲と共にレイアさんを倒しました」
はいOK、それじゃあGX編第二十三話、どうぞ!


レイアの妹による一撃は船内に大きな衝撃を与え、壁に固定されていた装置が衝撃で外れ近くにいた友里目掛けて落ちてきた。

 

「危ない!!」

 

その様子を見ていたエルフナインは友里を助けるために飛び込む一方、両断された潜水艇のブリッジが切り離されると同時に潜水艇が爆発を起こす。

 

それと同時にブリッジからミサイルが飛び出し、その中からイグナイト状態のクリスと未来が飛び出す。

 

二人はレイアの妹を視界に入れると、クリスは巨大なロングボウを構え弓を引き絞り、未来は周りに展開したビットから放たれた光線を一点に集め巨大なエネルギーを溜めていた。

 

ARTHEMIS SPIRAL

 

明光

 

二人が放った一撃はレイアの妹に迫り、その胴体を貫き、レイアの妹は爆発に飲み込まれた。

 

「S.O.N.Gの本部が・・・!」

 

「連中は、何もかもを纏めてぶっ飛ばすつもりで・・・」

 

司令室内では、先程の衝撃によってエルフナイン以外の職員達が気絶する中、友里が先に目覚めた。

 

『エルフナインちゃん!しっかり!』

 

「・・・っ!エルフナインちゃん!」

 

友里の視界に写ったのは、自身を庇いそのわき腹から血を流すエルフナインとエルフナインに呼びかけるフィーネの姿だった。

 

「僕は・・・誰に操られたんじゃなく・・・っ」

 

エルフナインはそう呟き眼を閉じる。

 

「エルフナインちゃん!!」

 

エルフナインが眼を閉じると同時に切歌と調が司令室にやって来る。

 

「大丈夫デスか!?」

 

『二人共!急いで医療班を呼んできて!』

 

「わ、分かった!」

 

フィーネに頼まれ、二人は急いで医療班を呼びに向かった。

 

「眼を開けて、エルフナインちゃん!エルフナインちゃん!!」

 

 

 

一方で響は父親の洸の待つレストランにやって来る。

 

「「・・・・・・」」

 

二人は対面して座るが、その間からは言葉が一言も飛び交っていなかった。

 

「・・・・・・」

 

真は響の警護と同時に二人の様子を確認するため、二人のいる席から離れた場所から見ていた。

 

響と洸が沈黙する中、響は真の言葉を思い出す。

 

『・・・響、へいきへっちゃら、だろ?』

 

響はその言葉を思い出し、勇気を込めて口を開く。

 

「・・・あのね、お父さん」

 

「っ!・・・どうした?」

 

響の言葉に洸は少し驚きつつも、響の言葉に耳を傾ける。

 

「・・・本当に、お母さんとやり直すつもり?」

 

響はそう言って自身の携帯を取り出し、一通のメールを父親に見せる。

 

『響、久しぶりだな。実はお父さん母さんとやり直しにここまで来たんだ。そのことで話がしたいから明日会えないだろうか?』

 

洸はその文面を見て真剣な表情で響と向かい合う。

 

「・・・ああ、本当だ」

 

「っ!・・・そうなんだ」

 

そして再び沈黙が走ると、今度は洸の方から口を開いた。

 

「・・・響、本当にすまなかった、あの時家族から逃げてしまって、本当にすまない」

 

そう言って洸は響に対し頭を下げる。

 

「お父さん・・・?」

 

響はいきなり父親が頭を下げたことに驚く。

 

「本当はすぐにでも戻るべきだった、けど怖かったんだ。家族に否定されるんじゃないかってそう考えたら足がすくんで動けなかった」

 

父親の言葉を響はしっかりと耳を傾けていた。

 

「この前の海水浴場でも恐怖のあまり子供達すら避難させず自分だけ逃げて、本当に自分が情けないと思った、そしてあの時お前と出会った」

 

その一言で響はコンビニで再会した時を思い出す。

 

「響と出会って、そして響が走り去った時、俺は一歩も動けなかった、家族に再開した喜びよりも、否定された恐怖で動けなかった・・・」

 

洸はばつがわるそうに水をすする。

 

「その後、俺が町を歩いていたらお前の知り合いと出会ったんだ」

 

「えっ?」

 

父親の言葉に響は驚く。

 

「俺は少しでも今の響のことが聞きたくて、その人に話しかけ、このレストランで話してたんだ・・・そしてその人に家族と復縁しに来たって言ったら、こっぴどく怒られたんだ、その時響達がどんな目を受けていたのか知らないくせして復縁しに来たなんて抜かすなってさ」

 

「っ・・・真さん」

 

響はその言葉を聞いて、父親が誰と会ったのか理解した。

 

それもそのはず、あの時洸と会ったのは響を除いて未来と真だけだった、そしてその二人の中でそんな口調で話すのは真だけだった。

 

「本当その人の言う通りだった、家族を見捨てて、自分だけ逃げて、それなのに復縁しに来たなんて、虫が良すぎるなって」

 

「お父さん・・・」

 

「虫が良すぎる話だっていうのは俺が一番わかってる・・・だけど、俺はもう逃げたくない、今度こそ家族を守るって決めたんだ、そしてなけなしの勇気を振り絞って響にメールを送ったんだ」

 

洸はそう言って、コップの水を飲みほした。

 

「・・・別に響が答えを言わなくていいさ、ただ俺は決意を言いにお前を呼んだんだ、話を聞いてくれてありがとうな、響」

 

「・・・」

 

そんな二人の様子を真は遠巻きで見ていた。

 

「・・・ようやっと一歩踏み出せたな、後は響次第だな」

 

真がそう呟く中、窓の外で風船が空に浮かぶ様子が見られた。

 

その風船は次第に空へと浮かんでいると、突然空にひびが走り、空が砕けた。

 

『っ!?』

 

「なんなんだ!?」

 

洸がその様子を見て驚く中、砕けた空から巨大な建造物が下りてきた。

 

「空が・・・割れる!?」

 

空中の穴は大きくなり、そこから建造部全体が町の上空に現れる。

 

それは巨大な城、これこそがキャロル達の居城『チフォージュ・シャトー』そのものだった。

 

 

 

シャトー内では、キャロルが手に入れたネフィリムの腕を媒介とし、錬金術によってシャトーを操作していた。

 

「ワールドデストラクターシステムをセットアップ、シャトーの全機能をオートドライブモードに固定」

 

キャロルはシャトーの設定を完了させ、装置からネフィリムの腕を離した。

 

「うまく行ったようだな、ネフィリムの腕を媒介としシャトーを操作、分の悪い賭けだと思ったがどうやら神は俺に微笑んだようだな」

 

キャロルは操作に成功したことに喜ぶ。

 

「オートスコアラーによって呪われた旋律は全て揃った、これで世界はばらばらに噛み砕かれる・・・!」

 

キャロルはそう呟くと、父親の言葉を思い出す。

 

『キャロル。生きて・・・もっと世界を知るんだ』

 

「分かってるって!だから世界をバラバラにするの、解剖して分析すれば万象の全てを理解できるわ!」

 

そう叫ぶキャロルの瞳は、もはや狂人のそれに近かった。

 

「「・・・・・・」」

 

その様子を静かに見ていた紫苑と桃恵にキャロルから話しかけた。

 

「思えば、お前達のお陰で此処までうまくいった、二人には礼を言おう」

 

「・・・いや、礼など不要じゃ。うちらはきゃろるに命を救われた身、なればこの身できゃろるの望みを叶える事こそがお主への感謝の証じゃ」

 

「うん・・・キャロルちゃんは私たちを助けてくれた、だから今度は私たちがキャロルちゃんを助けたいの」

 

「そうか・・・俺と同じく親を殺され世界を恨んでいたと思っていたが、まあいいだろう。だが俺は、必ず世界を分解して父からの命題を解き明かして見せる!」

 

キャロルの叫びに、紫苑は自身達の親のことを思い出す。

 

(父からの命題・・・)

 

その胸の内を二人は口にしなかった。

 

 

 

レストランにて、真は急いで響と合流した。

 

「響!」

 

「真さん!?どうしてここに!」

 

「話は後だ、今は・・・!」

 

そんな時、響の通信機と真のライズフォンに連絡が入った。

 

「はい、こちら真と響!」

 

『二人とも!通信回復を確認!』

 

『手短に伝えるぞ、周到に仕組まれていたキャロルの計画が、最後の段階に行ったようだ』

 

「なんだって!?」

 

『敵の攻撃で、エルフナイン君が負傷、応急処置を施したが危険な状態だ』

 

そんな中、通信機越しからエルフナインの弱弱しい声が聞こえてきた。

 

『僕は平気です・・・だから、ここにいさせてください・・・!』

 

「エルフナインちゃん・・・!」

 

『俺たちは現在、東京に急行中、装者と仮面ライダーが合流次第迎撃任務に当たってもらう、それまでは』

 

「避難誘導にあたり被害の拡大を押さえればいいんだろ」

 

空に浮かぶシャトーを見て、洸は驚いていた。

 

「なんなんだ・・・あれは!?」

 

「ここは危険です、俺たちと一緒に安全な場所に避難するぞ」

 

 

 

「・・・ぐっ!?」

 

シャトー内では、キャロルがすべての準備を終える直前、再びキャロルに拒絶反応が起きる。

 

「きゃろる!?」

 

「キャロルちゃん!?」

 

二人は慌ててキャロルに駆け寄る。

 

「問題ない・・・立ち止まれるものか、計画の障害は、例外なく排除するのだ」

 

そういって錬金術に映し出されたのは、響と真、そして響の父親の三人だった。

 

「とにかく、安全な場所まで避難させるぞ、みんなが来るまで一人でも多く誘導させないと」

 

「分かってます、お父さんも急いで・・・!」

 

「ほう・・・そいつがお前の父親か」

 

突如聞こえてきたキャロルの声に二人は驚く。

 

「二人とも!空から人が!」

 

洸の言葉に二人が空を見上げると、そこに立っていたのはキャロルと紫苑と桃恵の三人だった。

 

「キャロルちゃん・・・!」

 

「紫苑・・・桃恵・・・!」

 

「終焉の手始めに、お前達の悲鳴を聞きたいと、馴染まぬ体がせかすのでな」

 

三人の登場に二人は限界まで警戒した。




さて後書きの時間だ。
「ようやっと一歩踏み出せたな、洸さん」
「はい、この調子でお二人が仲良くなれたらいいですね」
「だな・・・だけど今はそれどころじゃなさそうだな」
「うむ、ついにきゃろるの計画も最終段階に入った」
「はい、それを邪魔するなら容赦はしません」
「二人も本気って訳か・・・」
「・・・そうじゃのう」
「「「?」」」
「・・・とにかく、勝つのはうちらじゃ!」
「・・・いいや、必ず俺たちが勝って世界を守ってやるさ!」
おーおー互いにやる気十分だな、さてGX編もついに終盤、果たして勝つのは錬金術士か、歌姫か。それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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へいき、へっちゃら


GX編第二十四話、前回のあらすじは?
「クリスと未来の活躍で撃退するが、エルフナインが負傷してしまう」
「そしてファミレスじゃあ響と親父さんが話し合っていた」
「話し合いの様子を盗み聞きしている真お姉ちゃん」
「ネフィリムの腕を使ってチフォージュシャトーが起動しました」
「そして真達の前にうちらが現れたぞ」
よしOK、それじゃあGX編第二十四話どうぞ!


響と真、そして洸の目の前に突如現れるキャロルと紫苑と桃恵。

 

突然の三人の登場に二人は警戒する中、真が空に浮かぶ建造物を見つめて尋ねる。

 

「あれはやっぱ、お前らの所有物か?」

 

「いかにも、俺たちの城チフォージュ・シャトー。アルカノイズを発展応用した、世界をバラバラにする解剖機関でもある」

 

「あいつが・・・例の世界を分解する装置か・・・!」

 

「世界を・・・あの時もそう言ってたよね」

 

「あの時、お前は戦えないと寝言を繰り返していたが、今もそうなのか?」

 

キャロルの言葉に響は言葉を詰まらせるが、意を決して胸元のペンダントを取り出そうとすると、それに気が付いたキャロルが錬金術で風を繰り出し、響のペンダントを吹き飛ばしてしまう。

 

「ギアが!」

 

「俺が行く!」

 

真が急いでペンダントを取りに行こうとした瞬間、真の目の前に桃恵が現れる。

 

「貴方の相手は・・・私達です!」

 

「っ!?」

 

桃恵がそう言うと、錬金術で風を生みだし真を襲う。

 

「ぐっ・・・がぁ!!」

 

真は風に耐え切れず、そのまま遠くへ吹き飛ばされてしまう。

 

「真さん!!」

 

真が吹き飛ばされた方を見て、紫苑はキャロルの方を向く。

 

「きゃろるよ、うちらがあやつの相手をする、よいな?」

 

「ああ、仮面ライダーの相手にふさわしいのは仮面ライダーだからな、行ってこい」

 

「うむ・・・ゆくぞ桃恵」

 

「うん」

 

そう言って二人は真の行った方へと向かって行き、その場にキャロルと響と洸が残されてしまった。

 

「もはや、ギアを纏わせることも、仮面ライダーが助けに来ることもない!」

 

再び陣を錬成するキャロルに対し、響は拳を構える。

 

「俺は、父親から託された命題を胸に、世界へと立ちはだかる!」

 

「お父さんから・・託された・・・」

 

「誰にだってあるはずだ」

 

キャロルの言葉に響は頭を悩ませる、自分は父親から何を託されたのか。

 

「・・・私は何も・・・託されてない」

 

響は何も託されてない事実に言葉を漏らす。

 

「何もなければ耐えられまいて!」

 

陣から放たれた風は響に向かって行き避けられないと思った時、洸が響を抱えて風を躱した。

 

「響!大丈夫か、響!!」

 

響に呼びかける中、キャロルは再び陣を生成し二人に向ける。

 

「世界の前に分解してくれる」

 

キャロルの陣を見て洸は周りを見渡し、そして意を決した表情で響を寝かせる。

 

「・・・響、本当にすまなかった」

 

「え・・・?」

 

洸の呟きに響が反応すると、洸は響を寝かせたまま立ち上がる。

 

「っ・・・!こっちだ、この野郎!!」

 

洸は立ち上がると、キャロルにそう叫びながら響から離れる。

 

「お父・・・さん・・・」

 

「自ら的になるとはいい度胸だ、望み通りお前から分解してやろう!」

 

キャロルは走る洸目掛けて錬金術を放ち、洸は何とか躱しながら進んでいくが途中で転倒してしまう。

 

「ぐぁっ!」

 

転倒した洸の元にキャロルが降り立つと、洸は近くに落ちてあった石を拾い上げキャロルに向かって投げる。

 

「くそっ・・・こっちだ!」

 

洸は石を投げつけキャロルの気を引いて、再び立ち上がり走り出す。

 

錬金術が洸を襲う中、洸は響に向かって叫ぶ。

 

「響!今のうちに逃げるんだ!壊れた家族を元に戻すには、そこに響もいなくちゃダメなんだ!」

 

洸が叫ぶ中、錬金術が洸の足元の直撃し爆発が起こる。

 

「お父さん!!」

 

爆風に巻き込まれ洸は倒れるが、響の呼び声で何とか起き上がる。

 

「っ・・・これ位・・・へいき、へっちゃらだ」

 

「っ!」

 

洸の言った言葉に響は昔のことを思い出す。

 

響がまだ幼かったころ、洸が野菜の皮むきをしていたらつい包丁で指を切ってしまった。

 

「お父さん、大丈夫?」

 

「へいき、へっちゃらだ」

 

洸の言葉と笑顔を見て不安そうにしていた響は笑顔になる。

 

(そっか・・・あれはいつも、お父さんが言ってた)

 

「どうした、もう逃げるのは終わりか?」

 

「ああ、もう終わりだ・・・!」

 

洸は立ち上がりキャロルと顔を合わせる。

 

「確かに俺はあの時逃げたさ。だけど、どこまで行っても、この子の父親であることからは逃げられないんだ!」

 

「お父さん・・・!」

 

「俺は生中だったかもしれないが、それでも娘は本気で、壊れた家族を元に戻そうと!勇気を出して向き合ってくれた!」

 

洸は足元の石を投げながらキャロルに言い放った。

 

「だから俺も、なけなしの勇気を振り絞ると決めたんだ!」

 

なけなしの勇気を振り絞る洸の姿を見て響は立ち上がり、立ち上がった響を見て洸は拳を握りしめる。

 

「響、受け取れ!」

 

そして洸は手に握った物を響に向かって投げ飛ばすと、キャロルは投げられた物が何かわかった。

 

そして響に向かって投げられた物、ギアペンダントを響は受け取り、聖詠を歌う。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

響が歌いきる前に、キャロルは響に向かって錬金術を放ち、放たれた錬金術は響に直撃し爆発を起こす。

 

「響ぃ!!」

 

『使用BGM リトルミラクル -Grip it tight-』

 

「へいき、へっちゃら」

 

洸が叫ぶ中、爆煙の中からギアを纏った響の姿が現れる。

 

「響・・・」

 

「私、お父さんから大切な物を受け取ったよ。受け取っていたよ!」

 

響が受け取った物、それはどんな時でも勇気を与えてくれた魔法の言葉。

 

どんなに悲しい時でも、どんなに苦しい時でも、響を支えてくれた父親の言葉。

 

『へいき、へっちゃら』

 

「お父さんは、何時だってくじけそうになる私を支えてくれていた。ずっと、守ってくれていたんだ!」

 

「響・・・」

 

自分に大切な物を託してくれた父を守るために、響は歌を歌い、キャロルに立ち向かう。

 

奇跡が宿った機械仕掛けの このアームには意味がある(意味がある)

 

向かってくる響に対しキャロルは大量のアルカノイズを繰り出す。

 

普通の日常なんでもない日々 そんな夢の為だと(夢の為に)

 

響は繰り出されたアルカノイズをその拳で蹴散らしていき、腰のブースターを使い上空へと飛び上がる。

 

温もりを伝える(温もりが伝わる)

 

上空に飛び上がった響は拳のギアを展開し、ブースターで勢いをつけて空を飛ぶアルカノイズを殴りつける。

 

言葉じゃなくたって(言葉じゃなくても)

 

上空から勢いづけて地面に落ち、地面にいたアルカノイズをある程度吹き飛ばすと洸の前に降り立ち、再びアルカノイズに向かって駆け出す。

 

この拳の答え 武器を持たぬ答え

 

そんな戦う響の姿を見て、洸は確信した。

 

「一撃必愛」ぶっこめラブソング

 

(じゃあやっぱり、あの時の女の子は・・・響だったのか)

 

かつて、フロンティアでの一件の際、全世界に配信された少女の姿を見て、洸はその子が響に似ていると思った。

 

(逃げるばかりの俺と違い、お前は何があっても踏みとどまって、ずっと頑張って来たんだな)

 

そんな中、急に響の歌声が途切れたと思って洸が顔を上げると、キャロルの風の錬金術によって響が建物に叩きつけられていたのだった。

 

「響!!」

 

建物に叩きつけられた響はそのまま力なく落ちていく。

 

「負けるなぁぁぁぁぁ!!響、負けるなぁぁぁぁぁ!!」

 

響に向かって叫ぶ洸に向かってキャロルはいくつかの結晶を放つ中、響は父親の声を聴き眼を開ける。

 

もうへいきへっちゃら!(へいきへっちゃら) ハート響かせ合い!

 

響は体勢を立て直し、キャロルに向かって跳躍する。

 

なけなしの勇気だって「勇気」!

 

響は拳のギアを再び展開し、ブースターの加速と共にキャロルの腹部を全力で殴りつける。

 

「ぐあぁ!!?」

 

キャロルは苦悶の表情を浮かべ、そのまま上へと殴り飛ばされてしまう。

 

泣けるほどギュッと愛になる

 

上へと殴り飛ばしたキャロルに向かって響は跳躍する。

 

「ヘルメス・トリスメギストス!」

 

キャロルは向かってくる響に対して凝固な防御陣を展開する、だがどんな凝固な防御も今の響には無関係だった。

 

「知るもんかぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

響はキャロルの防御陣に殴りつけ、そしてその防御を打ち砕き、キャロルの顔を殴りつけキャロルは地面に叩きつけられた。

 

だがその瞬間、洸の足元にばらまかれた結晶からアルカノイズが現れ洸を取り囲んだ。

 

「お父さん!!」

 

「お前も父親を力と変えるなら・・・まずはそこからひいてくれる!」

 

アルカノイズの解剖器官が洸に向かって行く、響が向かうが距離が離れていて間に合わない。

 

「お父さん!!」

 

その時、上空から大量の光線が降り注ぎ、洸の周りのアルカノイズだけを消し去ってしまう。

 

キャロルがそれに驚き二人の元に向かおうとすると、上空から大量の弾幕と巨大な剣が行く手を阻んだ。

 

キャロルが上を見上げると、そこに立っていたのは駆け付けてくれた翼とクリスだった。

 

そして視線を変えると、建物の上に切歌、調、マリア、未来、セレナ、奏の六人が集まっていた。

 

響が残りのアルカノイズを倒していく中、緒川が車に乗って洸の前にやって来る。

 

「ここは危険です!早く!」

 

緒川に言われ、洸は車に乗り込みその場から離れる。

 

「響・・・」

 

緒川と洸が離れた後、翼たちは響の元に駆け付けた。

 

「待たせたな立花、よくぞ一人で持ってくれた」

 

「翼さん・・・みんな・・・!」

 

「響、真さんは?」

 

「あっちで二人と戦ってると思う」

 

「紫苑と桃恵か・・・」

 

そんな中、遠くで爆発が起きる。

 

「真さん・・・!」

 

爆発が起きた方を響達は不安そうに見つめる。

 

そして時は、真が吹き飛ばされた時まで巻き戻る。





さて、後書きの時間だ。
「なんだか洸さん、本編の時より父親してるな」
そりゃあお前の喝が効いたんだろうな、流石リアル男の娘。
「おいやめろ」
「そしてやっと私らも響の元に来れたな・・・ところで響の親父さんを助けた光線って?」
未来の光線です。
「でしょうね、皆さんの中で光線使うのって未来さんぐらいですし」
「だな、そして俺はまだなのか・・・」
まだというか、次回は大活躍だから期待してろ。
「あの感じを見ると・・・うちらと真の対決の様じゃな」
「だね・・・大丈夫なの?」
さぁ?果たして真の敗北記録が更新されるのか否か。
「絶対に勝つ、もう二度と仮面ライダーにだけは負けたくない」
「このところ真仮面ライダーに負けっぱなしだからな」
「やかましい、とっとと〆るぞ!」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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互いの覚悟


GX編第二十五話、前回のあらすじは?
「響さんと真お姉ちゃんの前に現れたキャロルさんと紫苑さんと桃恵さん」
「出会ってすぐに真が吹き飛ばされ分断されてしまった」
「そして響さんだけの中、響さんの父親の洸さんが身を挺してキャロルちゃんの注意を引きました」
「そして響は父親から託されたものを思い出し、しんふぉぎあを纏いきゃろるを追い詰めたぞ!」
「そして翼たちも駆け付けて決戦の前に、場面は俺の方に移す」
よしOK、それじゃあGX編第二十五話、どうぞ!


時を遡り、真が桃恵に吹き飛ばされた時刻に戻る。

 

「く・・・っ! やられた・・・!」

 

桃恵によって吹き飛ばされた真は響達から大きく離れた場所へと飛ばされてしまう。

 

真が体勢を立て直すと、そこに紫苑と桃恵の二人がやって来る。

 

「済まぬのう、急にこんなところへと吹き飛ばしてしもうて」

 

「すみませんが、貴方の相手は私たちが務めさせていただきます」

 

「なるほど・・・最初から俺と響の分断が目的だったわけか」

 

「うむ、現状を置いて勝率が高いのはうちら二人がかりでお主と戦い、きゃろるが彼奴と戦う事じゃからな」

 

「なるほどな・・・お前らも本気って訳か」

 

「はい、もうすぐワールドデストラクターは起動し、世界は分解されます、キャロルちゃんの夢の邪魔はさせません」

 

そう言って二人は手元に陣を生成する。

 

「もうすぐ世界は分解される。その邪魔だけはさせん」

 

「だから、ここであなたを食い止めさせていただきます」

 

二人が陣に手を入れると、そこからフォースライザーを取り出す。

 

「決着をつけるぞ、仮面らいだぁ・・・否」

 

二人はフォースライザーを手に取ると、同時に叫ぶ。

 

「「仮面ライダーゼロワン!継菜真!」」

 

真を見るその眼は真剣そのもの、その眼を見た真もキーを取り出す。

 

「ああ、その通りだな・・・決着をつけるぞ、仮面ライダー滅、如月紫苑!仮面ライダー迅、如月桃恵!」

 

アウェイクン!

 

フォースライザー!

 

三人はドライバーを身に着け、それぞれキーを手に取りライズスターターを押し込む。

 

ジャンプ!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させると三体のライダモデル達が現れ、それぞれ体をぶつけあい牽制する。

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

フォースライズ!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

Break Down.

 

三人はそれぞれの姿に変身し、互いに構える。

 

「「「・・・・・・・・・」」」

 

互いに構え、静寂が迸る中・・・近くの木の葉から一滴落ちその雫が地面にぶつかった瞬間。

 

「「「っ!!」」」

 

三人はぶつかり合った。

 

 

 

真はライジングホッパーの脚力を生かし、地面から建物の壁に、壁から地面へと高速での移動を繰り返し二人を翻弄させながら、二人の隙を突き攻撃を仕掛けるが、紫苑達の錬金術で食い止められてしまう。

 

攻撃を止められた真に紫苑がアタッシュカリバーを構えて接近し切りかかり、真は紫苑の斬撃を躱す中上空から飛翔した桃恵がアタッシュショットガンを構え真に発砲し、それに気が付いた真は紫苑から距離を取り射撃を回避する。

 

(くそ・・・、武器なしなのがキツイ)

 

現状カリバーとショットガンは二人に奪われたまま、残るアタッシュアローとオーソライズバスターは奏とセレナに預けており、真の手元には武器がなかった。

 

武器があるのとないのとでは、戦力に大きな差が出てしまう。

 

真が策を練る暇もなく、紫苑と桃恵は真から奪ったプログライズキーを武器に装填する。

 

カット!

 

タロン!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

スラッシングカバンストラッシュ!

 

レイジングカバンショット!

 

繰り出される攻撃に錬金術を上乗せし、その威力を高め真に放ち、攻撃を見た真はすぐさまホルダーからシャイニングを取り出す。

 

シャイニングジャンプ!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

シャイニングホッパー!

 

すぐにシャイニングに変身し、真は高速で二人の攻撃を躱す。

 

「逃がしはせぬぞ!」

 

シャイニングに変身した真を見て紫苑は桃恵の持つレイジングキャサワリープログライズキーを手に取り起動させる。

 

タロン!

 

起動させたキーをフォースライザーに装填しフォースエグゼキューターを引く。

 

フォースライズ!

 

レイジングキャサワリー!

 

Break Down.

 

レイジングキャサワリーフォームに変身した紫苑はすぐさま真に迫る。

 

迫られた真はすぐさま攻撃を仕掛けるが、真が使った時とは違い新たに取り付けられたスプリング型の衝撃力増幅機構『ショッカーアンプ』によってキック力が真の時よりも上昇したレイジングキャサワリーの蹴りによって防がれてしまい、逆に真が蹴りつけられると紫苑はすぐさまフォースエグゼキューターを戻し引く。

 

レイジングディストピア

 

瞬間紫苑の右足に炎が纏われ、炎を纏った足で真は蹴り飛ばされてしまう。

 

「ぐっ・・・!」

 

真は紫苑の一撃を繰りながらも、何とか起き上がりアサルトグリップ取り出しシャイニングと合わせる。

 

ハイパージャンプ!

 

オーバーライズ!

 

認証させると、上空からシャイニングアサルトホッパーライダモデルが真を守るように現れる。

 

プログライズ!

 

Warning,warning. This is not a test!ハイブリッドライズ!

 シャイニングアサルトホッパー!

 

No chance of surviving this shot.

 

真はシャイニングアサルトホッパーに変身すると、シャインクリスタを繰り出し高速で紫苑達に迫る。

 

シャインクリスタと共に二人を翻弄し攻撃する算段だったが、直前で紫苑は錬金術で作った氷のドームで二人を守る。

 

氷のドームで身を守る中、桃恵は別のプログライズキーを手に取り起動させる。

 

リフレクト!

 

真から奪ったプログライズキー『ディシービングフォックスプログライズキー』を装填させると、フォースライザーから『ディシービングフォックスライダモデル』が飛び出し吠える。

 

フォースライズ!

 

ディシービングフォックス!

 

桃恵がディシービングフォックスフォームに変身したのを見て紫苑は氷のドームを解くと、桃恵はすぐさま飛び出す。

 

飛び出した桃恵に真はシャインクリスタによる攻撃を仕掛けるが、桃恵は自身に取り付けられた複数の装甲『フォックスブレスト』『フォックスショルダー』『フォックスレッグ』によって複数の分身を繰り出し真を困惑させる。

 

真はシャインクリスタのレーザーで反撃するが、ほとんどが偽物ですり抜けてしまい真に迫った桃恵は更にその姿を消してしまう。

 

姿を消した桃恵に驚き辺りを探すと、桃恵が背後から現れアタッシュショットガンにキーを装填した。

 

リフレクト!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

装填した音声で気が付いた真がすぐに振り返ろうとするがすでに遅く、桃恵の銃口が真の背に押し付けられ桃恵はその引き金を引いた。

 

ディシービングカバンショット!

 

ゼロ距離の直撃を受けてしまい真に大きなダメージが入り、真の変身が解けてしまいその場に倒れてしまう。

 

「がぁ!!」

 

その場に倒れる真にスコーピオンとファルコンに戻った二人が歩み寄る。

 

「これで終わりですね」

 

「・・・ま、まだだ」

 

桃恵がそう言うと、真はなんとか立ち上がろうとする。

 

「まだ・・・俺は負けてない」

 

「そうじゃろうな、お主はこれしきの事で諦めるような者ではないからな、じゃが一つ聞かせてくれんか」

 

「・・・なんだ」

 

紫苑は真にとある質問をした。

 

「なぜお主はあの銀の姿を使わんのじゃ?」

 

「っ!?」

 

紫苑のその問いに、真は意をつかれる。

 

「あれならばうちらにも対抗することができるはずじゃ、なのにそれを使うそぶりすらなかったのが不思議に思ってのう」

 

「・・・・・・っ」

 

紫苑の言葉に真が口ごもる中、それを見た紫苑はある事に気が付く。

 

「・・・もしやお主、あの力に恐れておるのか」

 

「っ!」

 

図星をつかれて真は息が詰まるような感覚を覚える。

 

「あの時のお主は確かに凶悪じゃった、眼に映るもの全てを破壊し、仲間にも手をかけてしまった。確かにあのようなことが起きてしまっては使うのも躊躇してしまうじゃろうな」

 

「・・・・・・っ!」

 

確信をつかれてしまい、言葉を発せずにいた真はただ下を俯いていた。

 

真は此処までの戦いの中、何度かメタルクラスタを使おうと思った、だがそれを考えるたびにあのことを思い出してしまう。

 

再び仲間を襲ってしまうかもしれない恐怖に真は無意識にメタルクラスタを避け別のキーを使っていた。

 

それを突かれてしまい、真は何も言えない真に紫苑は言葉を紡いだ。

 

「じゃがあえて言わせてもらおう・・・その程度の覚悟でうちらに勝てるなどと思うな」

 

「っ!!」

 

「うちらは既に覚悟は決めておる・・・否、今よりも前に覚悟を決めておった」

 

「はい、私たちはあの時、既に覚悟を決めました」

 

「覚悟・・・」

 

「うむ、あの時うちらはきゃろるの悲願に共感したと言ったな・・・」

 

「・・・」

 

「せっかくじゃ、この際話してやろう。なぜうちらがきゃろるに協力するのか・・・」

 

 

 

 

 

 

今より二十年以上前、とある山奥に小さな集落があった。

 

その集落に二人の夫婦がいた。

 

二人の夫婦は呪い師で、その力を使って集落の人たちに慕われていましたが、一部の人達には化け物を見る眼で見られていました。

 

そんなある日、二人の夫婦に子が授けられました、子の誕生に集落の人たちは喜ぶ増したが、同時に驚きもしました。

 

それはその生まれた子が双子だったからでした。

 

この集落に古くから伝わる話で、双子が生まれると災いが起きてしまうと言われていた。

 

双子が生まれたことに人々は不安を覚えましたが、それでも夫婦は生まれた子達を大切に育てていきました。

 

双子は健やかに育っていき、双子にも友人が出来て、災いなど迷信だったと誰もが思った時、悲劇が起きてしまった。

 

突然集落に謎の化け物たちが現れ人々を襲ってきた、その化け物に触れた人々は次々と炭になってしまい無くなってしまった。

 

この化け物の正体はバビロニアの宝物庫から飛び出したノイズであったが、当時ノイズを倒す方法は存在しなかった。

 

その結果、集落の人口の三分の二が亡くなってしまった。

 

その状況を見た人々は次第にこのような思考にたどり着いた。

 

『あの双子のせいで災いが起きてしまった』

 

それに合わせ夫婦の呪いを異端だと主張する者も現れ、集落の人たちは決起した。

 

そのことを知った夫婦はせめて子供たちだけでもと、双子を森の中に逃がした。

 

その結果、夫婦は人々によって炎に焼かれてしまった。

 

逃げた双子は集落の追っ手から逃げる中、一人の少女と出会う。

 

少女は追っ手から二人を守ると、二人はその少女について行った。

 

少女について行った双子は少女に育てられ、ある程度育った双子に少女は自身の持つ四つの力を学ばせた。

 

姉は大切な物を守るために氷と土の力を、妹は姉と共に戦うために炎と風の力を手にした。

 

力を学び、二人が育っていく中、二人は少女の計画を知ってしまった。

 

最初は反対しようと思ったが、少女は命の恩人であるため二人は何も言えなかった。

 

そこで二人はあることを考えた。

 

計画には協力するが、もしその途中で考えを改める可能性があるかもしれないと。

 

だが、もし考えを改めなかったら、その時は最後まで少女に協力しようと。

 

そうして双子は覚悟を決め、少女の計画に協力したのだった。

 

 

 

 

 

 

「・・・これが、全てじゃ」

 

紫苑達の過去に真は言葉を失っていた。

 

「きゃろるもかつて、人々によって父を亡くしてしまった、故に協力的じゃった、じゃが計画が進んでいくうちにどこか不安を感じるうちらもいた」

 

「でもあの時、キャロルちゃんが復活したとき、一抹の希望がありました。もしかしたら復活の影響で志向が変わっているかもと・・・ですが」

 

キャロルの計画は変わらず、二人は計画が変わらないと確信した。

 

「故に、うちらは最後まできゃろるに協力すると決意した!たとえその先が地獄であっても茨の道であっても光の刺さぬ闇であっても!」

 

「たとえ何があっても、私たちはキャロルちゃんについて行く!」

 

「「それが、うちら『私達』の覚悟じゃ『です』!!」」

 

二人の言葉に真は脳裏に今までのことを思い浮かべる。

 

響達はダインスレイフによる呪われた力を、それによって生じる破壊衝動を、仲間たちと共に覚悟を決めて起動させ、その呪いを克服した。

 

それに比べて真自身は、力を恐れ、仲間を傷つけてしまうんじゃないかという恐怖でその力から逃げていた。

 

響達も覚悟を決めて呪いを克服し、目の前にいる紫苑と桃恵も覚悟を決めてこの場に立っている。

 

そして響の父親も、覚悟を決めて娘と出会った。

 

(・・・どうやら俺は、全然覚悟を決めてなかったみたいだな)

 

そして真はホルダーのメタルクラスタに視線を向け、そして力を振り絞って立ち上がった。

 

「・・・まさか、敵に覚悟を教えられるとは思わなかったな」

 

真は傷ついた身体を奮い立たせ、しっかりと二人に眼を向ける。

 

「・・・どうやら、おぬしも覚悟を決めたようじゃな」

 

「ああ、お前らのお陰でな」

 

真はそのままゆっくりと手をホルダーに伸ばし、その手でしっかりとメタルクラスタホッパープログライズキーを手に取り、、ライズスターターを押し込む。

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させ、真は葛藤を挟まず、すぐさまキーを装填する。

 

プログライズ!

 

装填した瞬間、赤黒い電流が真を襲った。

 

「ぐ・・・がぁぁぁぁああぁああぁ!!」

 

体中に激痛が走り、視界が赤く染まっていき、再び負の言葉が真の視界を覆った。

 

あまりの激痛に、あまりの精神的負荷に真の意識は飛びそうになる、だがそれでも真は食いしばる。

 

「響達を・・・この世界の夢と希望を守る、その為に俺は戦う、たとえその先がどんな困難な道であっても・・・決して折れず、たどり着いてみせる!」

 

視界が赤く染まる中、その一点に真は小さな白い光を見つけ手を伸ばす。

 

「それが・・・俺の覚悟だ!!」

 

その叫びと共に、真が光を握り締める。

 

その瞬間、真の視界を覆っていた負の文字は霧散し、真っ赤な世界は白く輝きだす。

 

 

 

瞬間、真のドライバーからあの時と同じく大量の銀色のバッタが出現する。

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

あの時は飛び回っていたバッタ達は、今は一か所に集まり、その形は巨大なバッタのようになる。

 

そして構えをとる真、だがその瞳はあの時の血のような赤ではなく、覚悟を決めた目をしていた。

 

「変身!」

 

いつもの口調で、真はメタルライザーを畳んだ。

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

そしてゼロワンの姿が再び銀色に染まる、だがその瞳はかつての赤ではなく、希望を宿した今までと同じ黄色だった。

 

「紫苑、桃恵、お前たちを止められるのはただ一人・・・俺だ!」

 

今ここに、メタルクラスタホッパーは完全に誕生した。

 

「ついにその力を物にしたか・・・真よ!」

 

「なら、私たちも容赦はしません!」

 

二人は武器を構え、真に迫る。

 

真は飛電メタルを変化させ、一振りの剣に変えると紫苑のアタッシュカリバーを受け止める。

 

途中で桃恵の射撃が迫るが、飛電メタルで盾を生成し射撃を防いでいく。

 

「やっぱり厄介すぎる!」

 

桃恵の攻撃を防ぐ中、紫苑との切り合いで紫苑が自身の刀を手に取り、真ももう一本剣を作り出し刀を止める。

 

そして紫苑の二本の剣を弾き、紫苑を切りつけると同時に、飛電メタルで腕を生成し紫苑を殴り飛ばす。

 

「くっ・・・本当に自在か!?」

 

「どうやらそうみたいだな」

 

真が紫苑に迫ろうとすると、突然脳内に声が聞こえてくる。

 

『お待たせ真君!最終調整終わったわ・・・ってまた変身してる!?』

 

(ああ神様、大丈夫だ。もう飲み込まれたりはしないさ)

 

『えっ意識がある・・・嘘、せっかく急ピッチで調整したのに意味なし!?』

 

(そうでもないさ、流石にこの二人相手じゃまともな武器が欲しいところだったからな)

 

『そ・・・そう?それならよかったわ。もう使えるようにしてあるから使っちゃいなさい!』

 

そう言って通信が切れる。

 

「了解、早速使わせてもらうぜ!」

 

真は二本の剣を元に戻し、手を差し出すとその手にかつて響と未来を救った剣が握られた。

 

プログライズホッパーブレード!

 

「なんじゃ!?その武器は!?」

 

「まだ武器を持ってたのですか!?」

 

真がいきなり手にしたプログライズホッパーブレードに紫苑と桃恵が驚く。

 

「俺の新武器だ、早速試させてもらうぜ!」

 

真は紫苑の上へと跳躍し、『キックオントリガー』を一回押し込むと、刀身に飛電メタルで形成された刃が取り付けられ、そのまま紫苑を切り飛ばし、その衝撃で紫苑はアタッシュカリバーを落としてしまう。

 

「くぅ・・・!なんと重い一撃じゃ!?」

 

「お姉ちゃん!」

 

桃恵が空中から迫り真を遠距離で攻撃する中、真は防御しながらトリガーを五回押し込む。

 

フィニッシュライズ!

 

「っ!離れろ桃恵!」

 

それを見た紫苑が桃恵に叫ぶが、逃げる前に真が桃恵に向けて剣を振るった。

 

プログライジングストラッシュ!

 

桃恵に向けて振るうと巨大な斬撃が飛び出し桃恵に直撃した。

 

「きゃあ!!」

 

「桃恵!!」

 

直撃を受けた桃恵はそのまま落ち、紫苑が受け止めて事なきを得るが、桃恵も同じく先ほどの攻撃でアタッシュショットガンを落としてしまい、両方とも真が回収した。

 

「返してもらうぜ、俺の武器たち」

 

「くっ・・・でもまだじゃ!」

 

強力な攻撃を受けてもなお、紫苑と桃恵はまだ諦めていなかった。

 

「うちらは負けぬ・・・きゃろるの悲願を果たすために・・・!」

 

「キャロルちゃんは私たちを救ってくれた・・・だから、絶対に負けられない!」

 

「それはこっちも同じだ・・・みんなのために、俺は絶対にお前たちに勝つ!」

 

三人の決意が高まり、互いに感じ取った、次で終わりだと。

 

「ゆくぞ桃恵!」

 

「うん!お姉ちゃん!」

 

二人はフォースエグゼキューターを二回戻し引いた。

 

スティングユートピア!

 

フライングユートピア!

 

二人は同時に飛び上がり、足にエネルギーを溜める、その上錬金術も加えて紫苑は氷と土の力を、桃恵は炎と風の力を纏わせライダーキックを決める。

 

「これで終わらせる!」

 

ドッキングライズ!

 

アルティメットライズ!

 

真も取り戻したアタッシュカリバーにプログライズホッパーブレードを連結させ、ドライバーに認証させると、刀身に今まで以上のエネルギーが蓄積される。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

  

  

  

 

  

  

  

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 

スティングユートピア

 

フライングユートピア

 

アルティメットストラッシュ

 

三人の技がぶつかり合い、その衝撃で周りにあるものが吹き飛んでいく。

 

互いに均衡する中、徐々に押していったのは真の方だった。

 

「なっ・・・!?」

 

「そんな・・・!?」

 

押されていくのに驚く二人を真は渾身の力で武器を振るい、ついに二人の体勢を崩す。

 

そして体勢を崩した二人に向けて二撃目を放とうとしたとき、二人の眼に宙に浮かぶ少女の姿が映った。

 

「「・・・きゃろる『キャロルちゃん』」」

 

そして真の一撃が二人に叩きつけられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

爆煙が晴れ、真の視界に映ったのは変身が解けその場に倒れる紫苑と桃恵の二人だった。

 

真は二人を見つけると、二人に近づく。

 

真が近づくと、二人は真の気配に気が付いたのか顔を上げる。

 

「・・・うちらは・・・負けたのか・・・」

 

「・・・ああ、本当に強かったよお前らは」

 

「・・・そう・・・ですか・・・」

 

「・・・俺は行かせてもらうぜ、響達が待ってる」

 

そう言って真は響達の元に向かおうとする。

 

それを見送る紫苑と桃恵、その時紫苑の脳裏にかつての記憶が浮かぶ。

 

まだ幼い自分たちを育ててくれた少女、その少女が二人に向けた穏やかで優しい微笑み。

 

その顔を思い出した紫苑は最後の力を振り絞り、真の腕を掴んで止める。

 

「継菜真!お主はうちらに勝ったんじゃ!うちらの覚悟をも超えて勝ったのじゃ!」

 

「・・・・・・」

 

「だから・・・頼む!きゃろるを・・・きゃろるを止めてくれ!!」

 

「お姉ちゃん・・・!」

 

突然の紫苑の叫びに桃恵は驚く中、紫苑は涙を流しながら真に頼み込む。

 

「もううちらではきゃろるを止められない!きゃろるの笑顔を取り戻せない!だから・・・だから頼む・・・きゃろるを・・・きゃろるを止めてくれ(救ってくれ)!!」

 

そう叫ぶと、紫苑は力を使い果たしたのかその場に倒れるが、倒れてもなお真に悲願する。

 

「頼む・・・頼む・・・!!」

 

「・・・それは少し違うな」

 

真は倒れる紫苑に近づき、その場にしゃがみ紫苑に声をかける。

 

「確かに俺たちならキャロルを止められるかもしれない、でも俺たちじゃキャロルを笑顔に出来ない」

 

「・・・・・・」

 

「俺たちがキャロルを止めれたのなら・・・あいつを笑顔にするのはお前達しかいないんだ」

 

「「っ!!」」

 

「でもまぁ、何とかしてみせるよ。それがお前らの夢なら・・・俺たちが守ってみせる」

 

真はそう言い残し、今度こそ響達の元へと向かう。

 

「・・・私たちが」

 

「きゃろるを、笑顔に・・・」

 

紫苑と桃恵は、真が言い残した言葉を呟いた。





さて後書きの時間だが、見事にリベンジ達成だな。
「ああ・・・だけど勝てたのはみんなのお陰なところがあるな、俺にとっては」
「そうか、それにまさかお前らもノイズの被害者だったとはな・・・」
「うむ、といってもそのころはまだしんふぉぎあなど存在してなかったからのう」
「逆に言えば、そのころにシンフォギアが存在してたら、私たちの運命も変わっていたのでしょうか・・・」
「それは・・・」
「・・・まぁ、過ぎたことは仕方ない、過程はどうであれうちらは負け、真に託したのじゃ・・・きゃろるを頼むぞ」
「・・・ああ、任せろ」
うんうん・・・さて、そんな中だが、今回使わせてもらったキーを紹介するぞ。
「今回使ったのはフォレスト643さんが考えてくれた『ディシービングフォックスプログライズキー』です」
「このキーの特徴は各装甲を使い、周辺の電磁波を屈折・反射させ姿を変えることや消すことができます」
「これあれだな、潜入任務とかにめっちゃ使えるよな」
「うむ、防御力は低いが電磁波やれーざーなどの攻撃は反射できるからのう」
「これってあれですよね、未来さんのギアみたいな特性ですよね?」
「あっちもステルスや鏡での反射・・・確かに似てますね」
だな、というわけで考えてくれたフォレスト643さん、ありがとうございます。
「というか、気が付いたら今年ももうすぐ終わりか・・・何か予定はあるか?」
特にはないな・・・後はクリスの誕生日を祝ってそれで今年の投稿は終わりだな。
「そうか、去年は無印編ちょうど終わったから何かあると思ったんだが・・・」
流石にあんな奇跡はそうそう起きないぞ、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回9:雪音クリスの誕生日


特別回第九話、今回はクリスの誕生日だ!
「そして、今年最後の投稿でもあるんだな」
「だな、しかし小説書き始めてから二年か・・・よく続けれたもんだな」
「それもこれも応援してくれた皆さんのお陰ですね」
「うむ、それにしてもくりすはどういった反応をするのじゃろうな?」
「そうですね・・・やっぱり照れ臭そうにするんでしょうか?」
それは本編で確認してくれ、それでは今年最後の作品、どうぞ!


「お前ら、一緒にクリスの誕生日プレゼント買いに行くぞ」

 

12月26日、真が響と未来を呼びつけてクリスを除いた面子に第一声に放った言葉がこれであった。

 

「ああ、そういえばもうすぐ雪音の誕生日だったな」

 

「だな、しかし意外だな、真からプレゼント買いに行こうって言いだすのは?」

 

「いやさ、みんなも知ってる通りもうすぐクリスの誕生日なんだが・・・正直言ってクリスが何欲しいか全くわからん」

 

「貴方ね・・・一応私たちの中じゃ一番雪音クリスと共に過ごしているというのに分からないの?」

 

「そりゃ確かに俺はクリスと過ごしてるんだけどさ、クリスの奴あまり欲しいもんがないというか、一緒に買いに行ったの仏壇だけだし」

 

「だとしても流石に好みぐらいは知っておきなさい・・・えっ仏壇?」

 

「そうですね・・・渡すとしたらクリスさんが一番喜びそうなものがいいですよね?」

 

「だよな、でもクリスが一番喜びそうなものって何なんだろうな?」

 

「う~ん、真さん、クリス先輩がなにか夢中になってるものとか分かりますか?」

 

「クリスが夢中になってるもの・・・夢中・・・」

 

真は調の言葉に記憶を遡っていると、とある一つの結論にたどり着いた。

 

「・・・っあ。あれなら喜ぶかも」

 

「おおっ!何か思いついたデスか!」

 

「ああ・・・と言ってもそれでクリスが喜ぶかどうか・・・」

 

「大丈夫だと思いますよ、クリスならきっと喜んでくれますから」

 

「そうですよ!もっと自信を持ってください!」

 

「・・・そうだな、クリスなら喜んでくれるよな、よしっなら早速買いに行きますか!」

 

「ああ、それに私達も雪音へのプレゼントを買いに行かないとな」

 

「よしっそれじゃあさっさと買いに行くか!」

 

そうして、プレゼントを決めた真達はすぐに買いに向かったのであった。

 

 

 

そして二日後、クリスの誕生日当日、みんなは再び真の家に集まり誕生日会を開いていた。

 

『クリス『ちゃん』『先輩』、誕生日おめでとう!』

 

「お、おう・・・ありがとな」

 

クリスは少し照れ臭そうに顔を赤くしていた。

 

「それにしても、今回もほとんど真さんが作ってくれましたね」

 

「いや、ちゃんと調達も手伝ってくれたさ」

 

「私たちの自信作です」

 

「それじゃあ、早速頂きましょう!」

 

「こら響、それよりも先にやるべきことがあるでしょう」

 

「あっそうだった。それじゃあ早速クリスちゃんにプレゼントを渡しまーす!」

 

響の掛け声の下、それぞれがクリスにプレゼントを渡す中、最後に渡したのは真だった。

 

「最後は俺だな、俺はクリスが喜ぶと思って購入したぞ」

 

「そうか、そいつはありがとうな・・・一体何なんだろうな・・・っ!?」

 

中身が気になるクリスは包みを外し中身を見た途端、一瞬で固まった。

 

「? クリスさん、どうしたんですか?」

 

「な・・・な・・・っ!」

 

セレナの呼びかけにクリスは顔を赤くしながら包みの中身を取り出すと・・・。

 

 

 

中に入っていたのは見るからにかわいらしい魔法少女のコスプレだった。

 

「うえっ!?真さんこれって・・・」

 

「何って『快傑☆うたずきん!なりきりコスプレセット』だ」

 

「いや何故それを買った!?そしてなぜそれをプレゼントした!?」

 

「いや、だってクリスこの作品好きみたいで、よくテレビで見ているの見てたし喜ぶかなと思って」

 

真は以前、偶然クリスがみんなに隠れてうたずきんを見ていたのを見かけていて、クリスの部屋を掃除している時もうたずきんグッズを見つけてクリスがうたずきん好きだということを知っているのだった。

 

「いや~クリスのサイズに合うやつがなかなか見つからなくて大変だったよ、けど何とか見つけれたぞ」

 

「おおっ・・・まさか真が地雷を踏み抜くとはな・・・」

 

「へっ?」

 

その瞬間、クリスはその場に立ち上がってペンダントを握り締めた。

 

「えっ・・・クリス?」

 

「・・・す」

 

「えっ?」

 

「お前のその記憶丸ごと消してやる!!」

 

クリスはイチイバルを身に纏い真に襲い掛かった。

 

「ちょ!?ストップクリス!?イチイバルはあかん!!?」

 

「うるせぇ!!記憶丸ごと消えろぉぉぉぉぉ!!!」

 

その日、どこかの家で爆発音が起きたという・・・。

 

そして後日、クリスが自室で貰ったコスプレ衣装を身に着け鏡で見ているところを真に見られて再び爆発音があったというが、また別のお話。





さて後書きの時間だが・・・やらかしたな真。
「いやだってクリスなら喜んでくれると思ったんだけど・・・」
「だとしても高校生に魔法少女のコスプレ衣装はどうかと思うぞ?」
「真お姉ちゃん・・・」
「まってセレナ!?そんな残念な人を見る目で俺を見ないで!?」
「ふむ、中々かわいいのう・・・うちも着てみたいのう」
「お姉ちゃんならきっと似合うと思うよ」
「こっちはこっちでなんか順応してるし・・・ところで今回も花は用意してるのか?」
はいはい用意してますよ、今回はこいつだ。
「あっ黄色い花だ」
こいつは『ツワブキ』っていう花だ、花言葉は『困難に負けない』クリスにピッタリだろ。
「だな、確かにクリスにぴったりだ」
さて、誕生花も出したし、そろそろ〆るとしますか。
「視聴者の皆さん、此処まで見てくれてありがとうな」
「来年も私たちはせいいっぱい頑張りますね!」
「そして来年でうちらとの戦いも終わるからの、結末を楽しみにしてくれい!」
「果たして勝つのはキャロルちゃんか真さん達かどっちでしょうか?」
「2022年も俺たちは夢と希望を守るために戦い抜くぜ!」
それでは皆さん、2021年の投稿も見てくれてありがとうございます、そして2022年の小説も楽しみにしててください!

「「「「「「それでは来年もお楽しみに!」」」」」」


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新年のあいさつ

*新年一発目の作品兼報告回です。


『視聴者の皆さん、新年あけましておめでとうございます!』

 

「いや~ついに2022年ですね」

 

「だな、というか作者いつの間にこんなおせちを用意してたんだ?」

 

ふっふっふ・・・最近のネットって便利だな。

 

「あっネットで買ったんデスね」

 

美味しければいいんだよ、美味しければ。

 

「まぁそれは良いんだが一ついいか」

 

何だクリス?

 

「・・・何でこいつらがいるんだ?」

 

「それはこっちにセリフだ、何故俺たちがここにいるんだ」

 

いつもの面子じゃ寂しいからキャロル達も呼んでみました。

 

「どんな理由だ!俺たちが敵同士なの忘れてるのか!?」

 

「まぁまぁ良いじゃないかきゃろるよ」

 

「そうですよキャロルちゃん、一緒におせち食べよう」

 

「美味しいですよキャロル」

 

「紫苑と桃恵とエルフナインは馴染みすぎだ!なんだその適応能力の高さは!?」

 

「いや、うちと桃恵はあらすじや後書きでよく真らと話しておるし」

 

「僕は本編で皆さんと一緒にいますから」

 

「・・・俺がおかしいのか?」

 

「いや、お前はおかしくない。全部あのアホが原因だ」

 

何のことやら。

 

「ところで作者さん、今回は何をするんですか?」

 

ああ、今回は主に報告だな。

 

「報告・・・まさか!?」

 

安心しろ、少なくともマイナスな話じゃない。

 

「そうか・・・んで何なんだ?」

 

簡単に言えばGX編が終わった後の話だ。

 

「順当にいけばそのあとはAXZ、そしてXVですよね」

 

そうだな、順当にいけばその通りだ。

 

「あれ?でも今の現状だと結構破綻してるところがあるぞ」

 

そこらへんは何とかする・・・んでそのことでお前らに言いたいことがある。

 

「なんだ?」

 

・・・まだ仮面ライダー増える。

 

「おいまたオリキャラか!?」

 

違う違う!オリキャラは使わん!

 

「ちなみに聞くけど、何人増えるの?」

 

・・・二人、もしくは九人。

 

「一気に飛んだぞ!?九人!?」

 

落ち着いて!もしくはだから!

 

「お前・・・マジで大丈夫なのか?」

 

大丈夫、というか二人はもう決定してたから。

 

「うちらの後にもらいだぁが増えるのか・・・」

 

ああ、そのことを話したかった。

 

「ちなみになんですけど・・・そのライダーってどっちなんですか?敵?味方?」

 

そこは想像に任せる、登場回まで伏せたいから。

 

「まぁこの作者の事だから・・・なぁ」

 

『あぁ・・・』

 

みんなして達観した目をしないで。

 

「・・・あれ?でも今出てる仮面ライダーって五人ですよね?あと九人もゼロワン本編にいましたか?」

 

「・・・あっ言われてみれば」

 

そこらへんも伏せるぞ、というか二人は確定なだけで残り七人はまだ未定だから、今後の物語次第だから。

 

「はぁ・・・まあとりあえず期待しとくぞ」

 

うん、あまり期待しないでね・・・てなわけで今回は此処までだな。

 

「2022年も去年以上に頑張らないとな」

 

「そうですね、私も叶えたい夢がありますから!」

 

「おっなんだ?」

 

「今年こそはシンフォギアライブを行えることです・・・」

 

「それは全適合者が願ってることだな・・・」

 

とにかく!今年も張り切って頑張るぞお前ら!

 

『おおっ!!』

 

「うちらも張り切らせてもらうぞ!」

 

「うん、GX編もあと少しだけど頑張ります!」

 

「まあいい、それなら俺も最後まで全力でやらせてもらおう」

 

「僕も頑張ります!」

 

よしっ、それじゃあ〆ますか、皆いくぞ!

 

 

 

『それでは皆さん!2022年も戦姫転生ゼロフォギアをよろしくお願いします!』





視聴者の皆さん、今年もよろしくお願いします。

あらすじも後書きも簡単に済ませて申し訳ございません。書き始めたのが12月31日の午後六時だったから考える時間がありませんでした。


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「ありがとう」

GX編第二十六話、前回のあらすじは?
「響と分断された真」
「そこにうちと桃恵がやって来て真と戦うぞ」
「ですが紫苑さんと桃恵さんの実力の前に真お姉ちゃんが倒れてしまいました」
「そこで私とお姉ちゃんの昔の話をして、真さんは本当の覚悟を手に入れました」
「そしてメタルクラスタを制御して二人に勝利、二人の思いを受け取ってみんなの元へ」
はいOK、それじゃあ新年早々GX編第二十六話、どうぞ!


離れた場所で爆発が起きた後、響はキャロルに訴えかけていた。

 

「もうやめよう!キャロルちゃん!」

 

「崩壊を遂げようとしてるのだ、今更止められるものか!」

 

キャロルは止める気配を見せず、手にもつダウルダブラの弦に手をかける。

 

「思い出も・・・何もかもを焼却してでも!」

 

そしてキャロルはダウルダブラの音色を奏で、その身にファウストローブを身に纏う。

 

「ダウルダヴラの・・・ファウストローブ! その輝きは、まるでシンフォギアを思わせるが」

 

「ふっ、輝きだけではないと覚えてもらおうか!」

 

そしてキャロルはファウストローブを身に纏った状態で歌を奏でる。

 

『使用BGM 殲琴・ダウルダブラ』

 

嗚呼、終焉への追走曲(カノン)が薫る

 

「これは!?」

 

キャロルが歌うとともに、キャロルの手にエネルギーが溜められていく。

 

殺戮の福音に血反吐と散れ

 

その様子は、弦十郎たちも確認していた。

 

「交戦地点のエネルギー圧急上昇!」

 

「照合完了!この波形パターンは・・・!」

 

「フォニックゲイン・・・だと!?」

 

『そんな・・・シンフォギア装者以外がフォニックゲインを!?』

 

「これは・・・キャロルの!」

 

キャロルから放たれるフォニックゲインに全員は驚いていた。

 

るLuリRあ・・・宇宙が傾き RゥるRiら・・・太陽が凍る Genocide&genocide

 

キャロルの歌に呼応するように、背中の翼が展開され、その弦が揺れる。

 

血液一滴残らず 憎悪と力で掻き毟る

 

キャロルから黄金の竜巻が放たれ、響達は済んでのところで回避するがその威力は今までの比ではなかった。

 

震え怖じよ・・・世界の崩れるLove song

 

物陰に隠れる翼たちは、キャロルの子の異常なまでの力に既視感を覚えていた。

 

「この威力・・・まるで!」

 

「ああ間違いねえ!こいつは絶唱だ!」

 

「絶唱を負荷もなく一人だけで・・・!」

 

「錬金術ってなんでもあり何デスか!?」

 

「だったらS2CAで!」

 

響がS2CAを提案するが、それを翼に止められる。

 

「よせ!あの威力、立花の体がもたない!」

 

「でも・・・!」

 

愛など見えない 愛などわからぬ 愛など終わらせる

 

その瞬間、響達に向かって巨大な竜巻が襲い掛かってくる。

 

「響!翼さん!」

 

「「っ!?」」

 

二人は気づくが、回避は間に合わない、竜巻の直撃を受けるその瞬間。

 

「はぁ!!」

 

二人の前に何かが飛び出し、キャロルの黄金の竜巻に対抗するように銀色の盾が防ぎきる。

 

「何っ!?」

 

キャロルが防がれたことに驚く中、響達はその人物に目を向けた。

 

「ギリギリセーフ・・・だったな、大丈夫か響、翼」

 

「真さん!!」

 

響達の前に立っていたのは、メタルクラスタホッパーを制御した真だった、真を見たみんなも駆け寄って来る。

 

「真さん!その姿・・・!」

 

「大丈夫だ、もうこの力は制御出来てる、それよりも問題はあれだろ!」

 

メタルクラスタの制御にみんなが喜ぶよりも先に、真は宙に浮かぶチフォージュシャトーに指さす。

 

するとそこにはキャロルの歌に呼応するように輝きだすチフォージュシャトーがあった。

 

「響達の元に向かっていたら歌が聞こえてきて、そこから爆発音と衝撃と共にあいつが輝きだしたんだ、まるでキャロルの歌に共振してるようにな」

 

「共振・・・まさか!?」

 

「あいつ!キャロルの歌に合わせて力を蓄えているってのか!?」

 

奏の予想は正しく、チフォージュシャトーにエネルギーが蓄積されていき、そしてそのエネルギーが一気に地面に向けて放たれ大地を走っていった。

 

放たれたエネルギーは放射線状に放たれ、そして地球全体を包み込んだ。

 

「放射線状に拡散されたエネルギー波は、地表に沿って収斂しつつあります!」

 

「この軌道は・・まさか!」

 

「フォトスフィア・・・!」

 

それはナスターシャ教授が残した情報集積体、放たれたエネルギー波はまさに、その軌道通りに描かれていた。

 

「行けません!ここは!」

 

すると、司令室に緒川と洸が入ってくる。

 

「頼む!俺はもう二度と娘の頑張りから眼を逸らしたくないんだ!娘の・・・響の戦いを見守らせてくれ!!」

 

「エネルギー波、解析地へと収束!」

 

「屹立します!」

 

そしてエネルギー波が屹立し、それに飲み込まれたものは全て分解されてしまった。

 

「これが世界の分解だ!!」

 

「そんなこと!!」

 

響が飛び出し止めようとするが、寸前で弦に止められてしまう。

 

「ふっ、お前にアームドギアがあれば届いたかもな」

 

響が捕まった瞬間、真が飛び出し響に巻き付く弦を切り裂いた。

 

「大丈夫か!」

 

「はい、何とか!」

 

真が響を助けると、キャロルは真に視線を向ける。

 

「ゼロワン・・・ここに来たということは二人を退けたようだな」

 

「・・・ああ、二人は倒させてもらった」

 

「そうか・・・」

 

その時、キャロルはどこか悲しげな表情をするが、すぐに表情を戻す。

 

「・・・ならば、余計に世界の分解を遂行しなくてはいかんな、俺のために倒れた二人のために!」

 

キャロルが叫んだ瞬間、マリアが飛び出した。

 

「マリア!?」

 

「私はあの、巨大な装置を止める!」

 

マリアがチフォージュシャトーに向かうと、その後を調、切歌、セレナが追いかけ、マリアの手を掴む。

 

「マリア姉さん、私達も行きます!」

 

「うん、LINKER頼りの私達だけど」

 

「その絆は、時限式じゃないデス!」

 

三人がついてきてくれたことにマリアは喜び、四人はチフォージュシャトーへと向かう。

 

「それでも、シャトーの守りは越えられまい、俺を止めるなど能わない!」

 

その瞬間、翼が切りかかるが避けられキャロルが回避したところをクリスと未来が攻撃を仕掛けるが、反撃を喰らってしまう。

 

二人が反撃を受けると同時に真と奏が同時に飛び出すが、二人共弦のバリアに弾かれてしまう。

 

「世界を壊す、歌がある!!」

 

シャトーにたどり着いた四人を待っていたのは、防衛としておかれた大量のアルカノイズだった。

 

四人は大量のアルカノイズに臆さず、次々と撃退していき、シャトー内へと向かった。

 

「チフォージュシャトー侵入を確認!」

 

「響ちゃん達のバイタル、大幅に低下!」

 

オペレーターが報告する中、また一つ報告があった。

 

「っ!チフォージュシャトーに向かう別の何かを検知!」

 

そこに映し出されたのは、変身して空を飛ぶ桃恵と、桃恵の手を掴んで共に向かっている紫苑の姿だった。

 

二人はシャトーにたどり着くと、そのまま内部へと侵入する。

 

そんな中、洸はキャロルと戦う響に目を向けていた。

 

「二度と眼を・・・逸らすものか・・・!」

 

 

 

そして同時刻、シャトー内でマリア達は何者かの襲撃によって倒れていた。

 

何者かの姿が変わり、皆が視線を向けると、そこにいた人物に驚く。

 

「・・・マムっ!?」

 

そこにいたのは、マリア達にとっての大事な人物、ナスターシャ教授だった。

 

「思い出しなさい、死に穢れた貴方の手を。どうしてその手で世界を救えるなんて夢想できますか」

 

「・・・それでも、私は」

 

「そう、貴方が世界を救いたいと願うのは、自分が救われたいが為」

 

「っ!」

 

ナスターシャ教授の言葉にマリアは言葉を詰まらせると、後ろからセレナたちが呼びかける。

 

「マリア姉さん!その人はマムじゃない!」

 

「そうデス!マムがこんなところにいるわけないデスよ!」

 

「私たちは、マムがどこにいるのかを知っている!きっとこの城塞の・・・」

 

「そんなの分かってる!あれは偽りのマム・・・だけど、語った言葉は真実だわ」

 

ナスターシャはマリアに近づき言葉を紡ぐ。

 

「救われたいのですね、眩しすぎる銀の輝きからも」

 

「っ!」

 

その言葉を聞いた瞬間、マリアの脳内に倒れるセレナの姿が映る。

 

「マリア姉さん!」

 

「奥へ走ってください!」

 

セレナの声が聞こえた瞬間別の声も聞こえ、マリアとナスターシャの間に向かって炎と氷が放たれ爆発が起こると、その隙に座り込むマリアの手をセレナが掴み四人はその場から離れる。

 

「切ちゃん、マリア、セレナ、行こう!」

 

調が先頭を切り四人は奥へと走っていく。

 

「今のなんなんデスか!?」

 

「分かりません!でも今は逃げてこの建物を止めるのが先決です!」

 

そう言いながら、四人はシャトー内を走り回った。

 

四人が奥に行ったのを確認してから、とある二人は別のルートを走っていった。

 

 

 

そんな中、世界の分解は着実に進んでいた。

 

「世界の分解現象、依然拡大中!」

 

「まもなく都市部へと到達します!」

 

「くっ・・・!」

 

『これが、キャロルの計画した世界の分解というわけね』

 

弦十郎とフィーネが呟く中、エルフナインは傷ついた身体で何とか立ち上がる。

 

「これが・・・計画の最終段階・・・!」

 

何とか立ち上がるも、受けた傷で倒れようとした時、近くにいた洸がエルフナインを支える。

 

「酷い怪我じゃないか!」

 

「キャロルを止めるのは僕の戦い、見届けなくちゃいけないんです・・・!」

 

シャトーの外では、真達がキャロルと相対していた。

 

「何で、錬金術師が歌ってやがる!?」

 

「七つの惑星と七つの音階、錬金術の深奥たる宇宙の調和は音楽の調和。ハーモニーより通じる絶対真理」

 

「七つの惑星と七つの音階・・・?」

 

「どういうことだ!」

 

「その成り立ちが同じである以上、おかしなことではないと言っている!」

 

キャロルはその理由を口にする。

 

「先史文明期、バラルの呪詛が引き起こした相互理解の不全を克服するため、人類は新たな手段を探し求めたという。万象を知ることで通じ、世界と調和するのが錬金術ならば、言葉を越えて、世界とつ繋がろうと試みたのが・・・」

 

「歌・・・」

 

「錬金術も、歌も、失われた統一言語を取り戻すために創造されたのだ!」

 

キャロルが口にした真実に全員が驚く。

 

「マジかよ・・・!」

 

「その起源は明らかにされてないが、お前達なら推察するもの容易かろう」

 

『っ!』

 

その言葉に、響達はある人物を脳裏に浮かべる。

 

かつて思い人に自分の言葉を伝えようとした、巫女の姿を。

 

一方で、シャトー内を走り回っているマリア達。

 

「いったい、どこでシャトーを制御できるのでしょうか・・・?」

 

「建物がでかすぎて頭がこんがらがるデスよ!」

 

そんな中、四人の前に何者かが立ち塞がる。

 

「貴方達は!?」

 

そこに立っていたのは、ボロボロの姿の紫苑と桃恵だった。

 

「まさか、私達を食い止めるために・・・!?」

 

四人が警戒する中、二人は四人をじっと見つめて、紫苑が口を開く。

 

「・・・うちらに戦う意思はない」

 

「えっ?」

 

紫苑の言葉に驚くと、桃恵も口を開く。

 

「私たちも、チフォージュシャトーを停止させに来たんです」

 

「なんですって!?」

 

「っ!さっきの炎と氷は貴方達の!」

 

四人が先ほどの事に気が付くと、紫苑と桃恵は答えずそのまま振り返る。

 

「制御室まで案内する、こっちじゃ」

 

そう言うと二人は先を走り、四人はその後をついて行った。

 

 

 

紫苑と桃恵の先導の中、六人はシャトーの制御室へとたどり着いた。

 

「チフォージュシャトーの制御装置・・・つまり、これを破壊すれば」

 

「それじゃいかん、それだと制御不能となるだけじゃ」

 

「じゃあどうするんですか?」

 

セレナの言葉に桃恵は少し歩き、落ちていた物を手に取る。

 

「これを使います」

 

「それって!?」

 

それはシャトーの起動にも使われたネフィリムの腕だった。

 

「キャロルちゃんはこの腕を通して錬金術でチフォージュシャトーを起動させました、だから私とお姉ちゃんでこの腕を通して・・・」

 

その瞬間、六人の周りを大量の陣が取り囲み、そこから大量のアルカノイズが出現する。

 

「こうしてる間にも世界の分解は進んでおる、そのことを忘れるでない!」

 

そう言って二人は制御装置へと走っていく。

 

 

 

その間にも、世界の分解は進んでいく。

 

「歌・・・歌が世界を壊すなんて・・・!」

 

「東京の中心とは、張り巡らされたレイラインの終着点。逆に考えれば、ここを起点に全世界へと歌を電波させられるという道理だ」

 

「そのために、安全弁である要石の破壊を!」

 

「もうどうしようもないのか!?」

 

「此処まで来たっていうのに・・・!」

 

「そんな・・・!」

 

響たちが落ち込む中、通信が入ってくる。

 

『ないことはない!』

 

シャトー内では、マリア達が大量のアルカノイズを撃退していた。

 

「たとえ万策尽きたとしても、一万と一つ目の手立ては、きっとある!」

 

その通信をエルフナインも聞いていた。

 

「マリアさん・・・!」

 

調と切歌もアルカノイズを撃退していき、セレナは紫苑と桃恵の二人を守っていた。

 

「私たちが敵を押さえます、だから二人は・・・!」

 

「分かっておる!桃恵、そっちはどうじゃ!」

 

「こっちは順調だよ!お姉ちゃんはそっちの制御を!」

 

「うむ!」

 

二人係でチフォージュシャトーを制御していると、目の前にキャロルが映し出される、キャロル自身も二人がシャトーを制御しようとしていることに驚いていた。

 

『お前達・・・!?何をしている!』

 

「きゃろる・・・っ!しゃとーのぷろぐらむを書き換えておるのじゃ!」

 

「錬金術の工程は分解と解析、そして!」

 

『まさか・・・!』

 

二人が何をしようとしてるのかキャロルは理解した。

 

『機能を反転し分解した世界を再構築するつもりか!そんな運用にシャトーは耐えられない!そのまま行けばお前たちも飲み込んで!』

 

「爆散する・・・じゃろ」

 

紫苑の言葉にみんなが驚く、だが一番に驚いていたのはキャロル自身だった。

 

『お前達・・・端からそれが狙いで!』

 

「うちらが誰から錬金術を教わり、どれだけしゃとーを見て来たとと思っておるのじゃ!」

 

「そんなリスク、最初から織り込み済みです!」

 

「貴方達・・・」

 

「まあ本当はうちら二人だけのはずじゃったのじゃが・・・まさかお主らも来ていたとはのう」

 

「紫苑さん・・・桃恵さん・・・」

 

すると、切歌と調が吹き飛ばされる。

 

その奥からやって来たのは、先程のナスターシャだった。

 

「マム・・・」

 

外では、キャロルが地面に降り立っていた。

 

「世界の分解は止まらない、些事で止められてなるものか・・・!」

 

「止めてみせる!エルフナインちゃんの思いで!」

 

響がイグナイトを起動させようとすると、翼と奏が止める。

 

「だめだ響!」

 

「イグナイトモジュールの起動は、キャロルに利される恐れがある!」

 

「え?」

 

その瞬間、地面から大量の弦が飛び出し六人を襲った。

 

『うわぁ!!』

 

そしてキャロルは更の背中の翼を広げ、その弦を増やす。

 

「極太の止めを・・・ぶっ刺してやる!」

 

その瞬間、錬金術による大爆発が辺りを飲み込んだ。

 

 

 

「お前がマムであるものか!」

 

マリアがそう言うと、ナスターシャの体が黒く染まり、その姿を変える。

 

その姿は、かつて黒いガングニールを纏ったマリアと同じだった。

 

「っ!?」

 

黒いマリアは槍を構え、その矛先から『HORIZON†SPEAR』をマリアに向かって放ち、マリアは受け止めるが防ぎきれず吹き飛ばされてしまう。

 

「私はフィーネ、そう・・・終わりの名を持つ物だ」

 

黒いマリアが言葉を紡ぐと、マリアは拳を地面に叩きつけ立ち上がる。

 

『使用BGM 「ありがとう」を唄いながら』

 

「そうか・・・お前は私、過ちのまま行きついた、私たちの生れの果て!」

 

「だけど、黒歴史は塗り替えてなんぼのものデス!」

 

「シャトーが爆発する前に・・・この罪を乗り越えて脱出しよう!」

 

「皆さん、行きましょう!」

 

セレナはそう言い、ホルダーのヴァルキリーアガートラームプログライズキーを手に取る。

 

シルバー!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

セレナはショットライザーを手に取り、その引き金を引いた。

 

シンフォニックライズ!

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

Seilien coffin airget-lamh tron.

 

シンフォギアを纏った四人は横に並び、黒いマリアとぶつかり合う。

 

真の正義 背負った今 どれだけあの言葉が…?

 

調が最初に飛び出し、黒いマリアとぶつかり合う中、上から切歌が攻撃を仕掛けるがすんでで避けられてしまう。

 

傷つくから 信ずことを 諦めてたあの日々…

 

二人の攻撃が避けられると同時にマリアとセレナが飛び出し同時に攻撃するが、黒いマリアのマントに防がれてしまい攻めきれない中、エルフナインから通信が入ってくる。

 

書き残した 泣く事さえ 逃げ隠した手紙は…

 

『マリアさん!通信機を紫苑さん達に預けてもらえますか?』

 

「何?」

 

『自分らしく戦います』

 

マリアはその言葉を聞き、紫苑に通信機を投げ渡す。

 

「如月姉妹!」

 

紫苑は投げ渡された通信機を手に取った。

 

『この端末をシャトーに繋いでください!サポートします!』

 

「えるふないん!・・・うむ、頼む!」

 

そう言って紫苑は制御装置に通信機を接続する。

 

S.O.N.Gの方では、接続された瞬間、画面に黄金の球体が映し出されっる。

 

「そうか、フォトスフィアで!」

 

「レイラインのモデルデータを元に処理すれば、ここからでも!」

 

「藤尭!」

 

「ナスターシャ教授の残してくれた力、使われるばかりじゃ釈ですからね!やり返して見せますよ!」

 

藤尭は慣れた手つきで操作する。

 

「演算をこちらで肩代わりして、負荷を抑えます!掌握しているシャトーの機能を再構築に全て当ててください!」

 

紡ぎ合えて 奏合えて 分かち合えて良かった…

 

世界の分解が進む中、みんなは全力で分解を食い止めようとすると、シャトーに電流が走った。

 

足掻ききった この答えに 涙と立って誇ろう…

 

黒いマリアの放つレーザーをバリアで防ぐ。

 

今日この日の 勇気の為 生まれてきた気がする…

 

(私が重ねた罪は、私一人で!)

 

「調!切歌!セレナ!ここは私に任せてみんなの加勢を・・・!」

 

黒いマリアの槍がマリア目掛けて放たれると、それを切歌と調が防ぐ。

 

「この罪を乗り越えるのは・・・!」

 

「三人一緒じゃなきゃいけないのデス!」

 

そして黒いマリアにセレナが攻撃を仕掛ける。

 

「私も一緒です、その罪は私達F.I.S.が乗り越えるべきものです」

 

マリアはその言葉を聞いて、涙を流した。

 

「・・・ありがとう、三人共」

 

マリアは涙をぬぐい、紫苑と桃恵の方に振り返る。

 

「如月姉妹!私たちの命にかけても守って見せる!だから、貴方達は世界を!」

 

「「わかった!」」

 

するとシャトーの歯車が回りだし、シャトーが起動する、それに伴いシャトーを走る電流も強くなる。

 

「止めろ・・・俺の邪魔をするのはやめろ・・・!」

 

そう言ってキャロルがシャトーに向かって飛び立とうとすると、銀の剣がキャロルを襲い、キャロルはとっさに防ぐ。

 

「行かせるものか・・・!」

 

そこには真がプログライズホッパーブレードを構えていた。

 

「邪魔をするなぁぁぁぁぁぁ!!」

 

妨害に怒りを覚えたキャロルは真に向けて炎を放つが、真は飛電メタルで防ぐ。

 

シャトー内では、マリアと黒いマリアがぶつかっていながら、響達と通信していた。

 

「翼と立つステージ、楽しかった。次があるなら、朝まで貴方と、奏と一緒に歌い明かしてみたいわね」

 

「マリア・・・何を!?」

 

「おい!何言ってやがるんだ!」

 

「命懸けで戦った相手とも仲良くできるクリス先輩と未来先輩は凄いなって憧れてたデスよ!」

 

「お前にだってできる!出来てる!」

 

「そうだよ!切歌ちゃん!」

 

「ごめんなさい、あの日、何も知らずに偽善と言った事を、本当は直接謝らなきゃいけないのに!」

 

「そんなの気にしてない・・・だから!」

 

「真お姉ちゃん、あの時私を、私の夢を守ってくれてありがとうございます。悲しんでた私に優しくしてくれて、マリア姉さんたちを助けてくれて、そんな優しい真お姉ちゃんが大好きでした!」

 

「セレナ・・・何する気なんだ!?」

 

シャトーから今にも爆発しそうな勢いで光が漏れ出す。

 

「お願い、やめて!私とパパの邪魔をしないで!」

 

「違います!こんなことキャロルちゃんのお父さんが望んでるわけありません!」

 

「うちらは、きゃろるの笑顔を取り戻したいんじゃ!うちらに優しく微笑んでくれたあの頃の笑顔を思い出してほしいんじゃ!」

 

夢が最後にできた 世界を守り切る事

 

S.O.N.Gでは、エルフナインは血を流しながらも必死で頑張っていた。

 

「僕は・・・僕の錬金術で世界を守る!キャロルに世界を壊させない!」

 

笑顔の涙がいい

 

「マリア姉さん!」

 

セレナがマリアの横に立ち、共に短剣を握り締める。

 

切に

 

調べ

 

独奏(つらぬ)いて

 

切歌と調の同時攻撃で黒いマリアの槍を弾き飛ばす。

 

さぁ…!暁月(あかつき)への前夜(イヴ)

 

マリアは左腕のギアに短剣を取り付け刀身を伸ばし、セレナは右手に短剣を握り締め同時に飛び出す。

 

その瞬間、黒いマリアの姿がナスターシャ教授に変わるが、二人の眼に迷いはなかった。

 

読み歌え!SERENADE!

 

「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

二人の叫びと共に、二人の剣が偽物のナスターシャを切り裂いた。

 

SERE†NADE

 

その瞬間、シャトーが光に包まれる。

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!」

 

キャロルの叫びと共に巨大なレーザーが放たれチフォージュシャトーを貫き、チフォージュシャトーは爆発する。




さて後書きの時間だが、とりあえずセレナと紫苑と桃恵はこれ着けとけ。
「なんですかこれ?」
三角巾。
「でた、とりあえず死亡したかもしれない人に着ける不幸アイテム」
「確かそれって一期でクリスと翼も身に着けてたよな?」
ああ、まあ二人とも生きてたから意味なかったけどな、とりあえずつけといて。
「うむ、承知したぞ」
「さて・・・ウェルがやるところをお前らがやったのか」
「うむ、あの場面で操作できるのはうちらだけじゃろ」
「私達もキャロルちゃんの笑顔を取り戻したかったんです、でもそのせいでセレナさん達も巻き添えに・・・」
「大丈夫です、たとえ再び瓦礫に潰されようとも再び甦りますよ」
例えが物騒だな、それはともかくセレナ、土壇場で真に告白したな。
「あっ!それはその・・・」
「あれだろ、親愛的な奴だろ、一応セレナのもう一人の姉的存在だからな」
「・・・はい、それでいいです」
哀れ。
「真・・・」
「真さん・・・」
「お主は・・・」
「えっ?何でそんな目で見るの?」
まっともかくそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

*現在作者が使っているJASRAC楽曲が使えない状況にあります、元に戻り次第楽曲コードを入れますので心配しないでください。


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最後の奇跡


GX編第二十七話、前回のあらすじは?
「キャロルの元に十人が集まった」
「そしてキャロルの歌で世界の分解が始まってしまう」
「そんな中チフォージュシャトー内に潜入したセレナさん達と私たち」
「その中でうちらは協力ししゃとーを停止させようとするぞ」
「そして停止できましたが代わりに私たちが生死不明です」
はいOK、それじゃあGX編第二十七話、どうぞ!


世界が分解される中、分解が止まりその光が消えてなくなっていく。

 

「分解領域の修復を観測!」

 

世界御分解は止まった・・・だが。

 

「ですが・・・マリアさん達が・・・」

 

『・・・っ』

 

「くっ・・・俺たちは、対価なしに明日を繋ぎ留められないのか・・・!」

 

その代償は大きかった・・・大きすぎた。

 

 

 

真達の目の前で落ちるチフォージュシャトー。

 

その現状をキャロルは見ているだけだった。

 

「あ・・・ああ・・・シャトーが・・・託された命題が・・・!」

 

そして同じく見ていた真達、だがシャトーを落とした対価はあまりにも大きすぎた。

 

「皆・・・!」

 

「そんな・・・!」

 

「くそっ!何でだ!くそったれ!!」

 

「嘘だろ・・・おい・・・!」

 

「マリア・・・切歌・・・調・・・セレナ・・・!」

 

「・・・ぅうぁあぁぁぁぁあぁあぁあ!!」

 

翼は涙を流しながら、自身の剣を地面に突き刺した。

 

「っ・・・投降の勧告だ!貴様が描いた未来は、もう瓦礫と果てて崩れ落ちた!!」

 

翼はそうキャロルに叫ぶと、キャロルは翼の言葉に反応する。

 

「・・・未来?」

 

『もう・・・止めよう』

 

すると、エルフナインがキャロルと通信する。

 

「お願い・・・キャロル、こんなこと、僕たちのパパはきっと望んでない・・・!」

 

「・・・・・・」

 

エルフナインの問いかけにキャロルは答えない。

 

「・・・火炙りにされながら、世界を知れと言ったのは、僕たちにこんなことをさせる為じゃない・・・!」

 

「そんなの分かっている!!」

 

エルフナインの言葉にキャロルは叫んだ。

 

「だけど、殺されたパパの無念はどう晴らせばいい!パパを殺された私たちの悲しみは、どう晴らせばいいんだ!!パパは命題を出しただけで、この答えは教えてくれなかったじゃないか!」

 

「・・・っ、それは・・・!」

 

キャロルの叫びに言葉を詰まらせるエルフナインに、洸が声をかける。

 

「・・・君たちのお父さんは、何か大事なことを伝えたかったんじゃないか?」

 

「っ!?」

 

洸の声は、エルフナインを通してキャロルにも伝わる。

 

「命懸けの瞬間に出るのは、一番伝えたい言葉だと思うんだが」

 

「・・・錬金術師であるパパが、一番伝えたかった事・・・」

 

その瞬間、エルフナインの体から白く輝くキャロルが飛び出す。

 

『ならば真理以外にあり得ない』

 

「錬金術の到達点は・・・万象を知ることで通じ、世界と調和する事・・・」

 

『っ・・・調和だと?パパを拒絶した世界を受け入れろというのか!言ってない!パパがそんなこと言うものか!』

 

「・・・だったら代わりに回答する」

 

『っ!?』

 

エルフナインは血を流しながらも、キャロルに向かって回答した。

 

「・・・命題の答えは、許し」

 

エルフナインの答えにキャロルは驚いた。

 

「世界の仕打ちを許せと、パパは僕たちに伝えてたんだ・・・!」

 

『・・・っ!』

 

「・・・っ!ゴフッ!!」

 

すると突然、エルフナインの口から大量の血が流れる。

 

「君!!」

 

エルフナインの吐血に周りの人達が慌てて駆けつける。

 

キャロルは崩れたチフォージュシャトーを見つめていた。

 

「チフォージュシャトーは大破し、仲間も共に散り、万象黙示録の完成という未来は潰えた・・・」

 

そう呟くキャロルを真達は見ていた。

 

「・・・ならば!過去を捨て、今を蹂躙してくれる!」

 

すると、キャロルに大量のエネルギーが蓄積されていく。

 

『っ!!』

 

その様子を見て、エルフナインが叫んだ。

 

「駄目だよ!そんなことをしたらパパとの思い出も燃え尽きてしまう!」

 

「ありったけの思い出を焼却し・・・!」

 

『戦う力に練成しようとしてるというの・・・!?』

 

「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

キャロルは自身の持つ思い出を大量に焼却し、自身の力へと錬成する。

 

「キャロルちゃん何を!?」

 

「復讐だ!」

 

キャロルはそう叫び、大量の弦を放ち六人を吹き飛ばす。

 

『うわぁぁぁぁ!!!』

 

吹き飛ばされた六人はそのまま壁に叩きつけられる。

 

「もはや復讐しかありえない・・・」

 

「復讐の炎を・・・すべての思い出を燃やすまで、消えないのか!?」

 

「くっ・・・エルフナインは、復讐なんて望んじゃいねえ・・・!」

 

「うん、エルフナインちゃんの望みは・・・!」

 

響はそのままペンダントを握り締める。

 

「イグナイト・・・!正気か響!」

 

奏がそう言うが、響の決意は変わらない

 

「・・・響さん」

 

響は自分の考えをみんなに伝える。

 

「・・・随分と分の悪い賭けじゃねえか」

 

「だが嫌ではない、この状況ではなおのこと!」

 

「うん、やってみよう!」

 

「だったらあたしも協力する、装者は多い方がいいだろ」

 

「だったら俺がサポートする、頼んだぞみんな」

 

そう言って六人はキャロルに視線を向けた。

 

「この力は、エルフナインちゃんがくれた力だ、だから疑うものか!」

 

響はエルフナインを信じ、そしてペンダントを握り締めた。

 

「イグナイトモジュール!」

 

『ダブル抜剣!』

 

そして装者四人はペンダントを二回押し込んだ。

 

ダインダインスレイフ

 

『使用BGM 限界突破 G-Beat(IGNITED arrangement)』

 

そしてペンダントが宙を浮かび、四人の胸を貫き、呪いを力へと変えた。

 

奏も響達に助力するため、スマッシュガングニールプログライズキーを手にする。

 

ブレイク!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

シンフォニックライズ!

 

スマッシュガングニール!

 

Croitzal ronzell Gungnir zizzl.

 

奏もガングニールを身に纏い、真もプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを手に持ち、響達と共に飛び出した。

 

掴んだこの力の意味の

 

響と真が攻撃を仕掛けるが、キャロルの防壁に阻まれてしまう。

 

重さ、使命、運命(さだめ)に負けない

 

二人の攻撃が防がれると同時にクリスと未来がガトリングとレーザーで攻撃をするが、防壁と弦で全て防がれてしまい、キャロルが防御してる隙をついて翼と奏も左右から攻撃するが、キャロルは余裕の笑みで二人の攻撃を防ぎ吹き飛ばしてしまう。

 

辛さからもう眼を背けやしない

 

S.O.N.Gの方でも、六人の戦いを見ていた。

 

「イグナイトモジュールの三つあるセーフティの内、二つを連続して解除!」

 

「フェイズニグレドから、アルベドへとシフト!」

 

イグナイトモジュールのセーフティをさらに外したことで、活動限界までのタイムリミットが速まる。

 

「出力に伴って跳ね上がるリスク」

 

そんなリスクを背負いながらも、六人は絶えまなく攻撃を仕掛ける。

 

「ふっ・・・力押し、実にらしいし可愛らしい・・・が!!」

 

キャロルは六人を簡単に吹き飛ばしてしまう。

 

「くっ・・・!イグナイトの二段階励起だぞ!」

 

「それだけ、キャロルの力の方が上って事だろ・・・!」

 

「その通りだ、次はこちらで歌うぞ!」

 

そして響から変わるようにキャロルが歌い始める。

 

『使用BGM 殲琴・ダウルダブラ』

 

嗚呼、終焉への追走曲(カノン)が薫る 殺戮の福音に血反吐と散れ

 

キャロルの歌に呼応するようにキャロル自身の力が高まっていく。

 

「さらに出力を!?」

 

「一体、どれだけのフォニックゲインなんだよ・・・!」

 

「だけど、この瞬間が好機だ!響!!」

 

「はい!待っていたのはこの瞬間!」

 

そう叫ぶ四人は再びペンダントを握り締める。

 

「抜剣!オールセーフティー!」

 

『リリース!!』

 

そして響達は最後のセーフティーを外す。

 

ダインスレイフ

 

瞬間、響達からも大量のフォニックゲインが溢れキャロルのフォニックゲインと拮抗する。

 

それに合わせるように、イグナイトモジュールのカウントダウンにノイズが走る。

 

「最終フェイズ、ルベドへとシフト!」

 

「くっ・・・!」

 

響達はイグナイトのセーフティーを限界まで解除し、キャロルの大量のフォニックゲインとぶつかり合う。

 

「イグナイトの出力でねじ伏せて・・・!!」

 

「吹き荒れるこのフォニックゲインを束ねて、撃ち放つ!」

 

「『S2CA・クインテットバースト!』」

 

響、翼、クリス、未来、奏の五人の装者がキャロルのフォニックゲインを受け止め、真は飛電メタルで五人が吹き飛ばないように支える。

 

だが、それでも押されていくのは響達の方だった。

 

「くっ!!このままじゃ・・・!」

 

押されていく響達に向かってキャロルが叫ぶ。

 

「イグナイトの最大出力は知っている!だからこそそのまま捨ておいたのと分かってなかったのか!」

 

更に響達は押されていく。

 

「俺の歌は、ただの一人で七十億の絶唱を凌駕する、フォニックゲインだ!!」

 

そしてキャロルの莫大なまでのフォニックゲインに、六人は吹き飛ばされてしまう。

 

「フフッ・・・他愛のない」

 

キャロルの莫大なまでのフォニックゲインに吹き飛ばされた六人はその場に倒れていた。

 

「くっ・・・たとえ万策尽きたとしても・・・一万と一つ目の手立てはきっと・・・!」

 

響はマリアが言った言葉を口にした瞬間、どこかから歌が聞こえた。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

「っ!この歌は・・・!」

 

皆が歌の聞こえる方向を向くと、そこに立っていたのはイグナイトを起動させたマリア、切歌、調、そしてアガートラームを纏ったセレナの四人だった。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

「マリアさん・・・!」

 

「皆・・・無事だったんだな・・・!」

 

響達が喜ぶ中、マリアは崩れたチフォージュシャトーに視線を向けた。

 

 

 

シャトーが崩れた時、マリア達は死を覚悟していた。

 

だが目を覚ますと、紫苑が錬金術による氷の防壁で四人を守り、桃恵が風で瓦礫を吹き飛ばしみんなを守っていた。

 

「如月紫苑!如月桃恵!」

 

「大丈夫・・・うちらは平気じゃ」

 

「はい・・・でももう体力が残っていません」

 

二人はそう言うと、その場に座り込んだ。

 

「シャトーが此処まで崩落するのは予想外でしたけど・・・何とか皆さんを守れてよかったです」

 

「・・・どうして私達を?」

 

「今のきゃろるにうちらの声は届かん・・・じゃが、お主らの手なら、きっと届くと思ってのう」

 

そう言うと紫苑と桃恵はあの時真から奪ったプログライズキーを全て取り出し差し出した。

 

「だから、お主に託す・・・どうかきゃろるを・・・うちらの家族を救ってくれ」

 

「お願いします・・・どうか、キャロルちゃんを助けてください」

 

そう言った紫苑と桃恵の眼を見て、マリア達は静かに頷きプログライズキーを受け取った。

 

「・・・頼むぞ、歌姫達よ」

 

「ええ・・・任されたわ」

 

二人の思いを胸に、四人は真達の元へと向かった。

 

 

 

そして響達もマリア達と共に九人が歌を・・・絶唱を歌う。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

「俺を止められるなどと・・・自惚れるな!!」

 

キャロルが再び膨大なフォニックゲインを放ち、そして歌いきった響達はそのフォニックゲインを再び受け止める。

 

『うぉぉおぉぉぉぉぉぉおお!!!』

 

九人が受け止め、真が九人を支える。

 

「『S2CA・ノネットコンバージョン!』」

 

響の叫びと共に、響のガングニールとマリアのアガートラームが共鳴する。

 

「今度こそ、ガングニールで束ね!」

 

「アガートラームで制御!再配置する!」

 

ガングニールとアガートラームの形が変わり、それによって束ねられたフォニックゲインが仲間たちにも送られる。

 

イグナイトのカウントダウンも急速に早まり、残りあと数秒しかない。

 

そんな中、エルフナインは手を伸ばし、呟いた。

 

「最後の・・・奇跡を・・・!」

 

そしてキャロルもその様子を見て驚いていた。

 

「まさか・・・俺のぶっ放したフォニックゲインを使って・・・!?」

 

同じく、チフォージュシャトーの残骸から出て来た紫苑と桃恵もその光景を見ていた。

 

「綺麗・・・!」

 

「うむ・・・まるで、虹の様じゃ」

 

そして限界以上までフォニックゲインが蓄えられる。

 

『うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

「ジェネレイトォォォォ!!」

 

「エクス・・・ドラァァァァァァイブ!!!」

 

そして上空へと放たれた虹色の竜巻は空を覆っていた雲を吹き飛ばす。

 

「そ・・・そんな・・・!!」

 

雲が吹き飛ばされ、その隙間から差し込まれる光と共に十の輝きが降り立つ。

 

九人の装者は大量のフォニックゲインによって奇跡の姿、シンフォギア最終決戦形態『XD』へと姿を変える。

 

真も飛電メタルを翼の形に形成し、響達と共に空に羽ばたく。

 

その光景にキャロルは言葉を失っていた。

 

自身が忌み嫌う奇跡が、目の前で、それも自身の力を使って起きてしまったのだ。

 

その光景はS.O.N.Gの面々も、そしてエルフナインも見ていた。

 

「これが・・・奇跡の形・・・!」

 

奇跡を纏い、希望を胸に・・・戦いはついに、最後の時を迎える。





さて後書きの時間だ。
「何とか生きていられました、ありがとうございます紫苑さん、桃恵さん」
「礼などいらん、お主らにはきゃろるを止めてほしいからの」
「はい、私たちはもう戦えませんが応援してます」
「ああ、任せときな!」
「それにしてもついに装者九人同時XDか、アプリでしかありえない状況ができるとはな」
「これも作者の頑張りだな」
褒めてくれてありがとうな、お礼に俺からさらに盛り上がる情報をくれてやろう。
「なんだ作者?」
此処まで続いたGX編、ついに次回で最終回だ。
『っ!』
此処まで続いた魔法少女達との激闘、ついに次回で完結する。
「そうか、とうとうこの戦いも最終回か」
「だったら悔いのない戦いをしましょう!」
「ああ、というか絶対に負けられないからな!」
「うむ・・・その時うちらはどうなるじゃろうな?」
「お姉ちゃん、どんな結末でも受け入れないと」
「・・・そうじゃな、たとえ最後だとしても全力を尽くそう!」
よしよし、それじゃあ最終回に向けて頑張るからこの辺りで〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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正義を信じて、握りしめて


ついにGX編最終回!前回のあらすじは?
「私とマリア姉さん達、そして紫苑さんと桃恵さんの頑張りでシャトーを停止」
「そしてきゃろるは復讐を誓い世界の分解させようとした」
「それを食い止めるために響達がイグナイトのセーフティ全解除したが敵わなかった」
「絶体絶命のその時、私とお姉ちゃんに助けられたマリアさん達がやって来た」
「そして十人の力とキャロルのフォニックゲインでついにXDになり最終決戦へ」
よしOK、ついにGXの戦いも最終回!果たして勝つのはどっちか?それではGX編最終回、
どうぞ!


キャロルの歌によって起きた奇跡、それを見たエルフナインは腹部の痛みに耐えきれず目を閉じてしまう。

 

「君!大丈夫か!」

 

慌てて洸が呼びかけると、エルフナインの眼から涙が流れたのを見る。

 

「涙・・・」

 

 

 

その一方、キャロルの歌によってエクスドライブを起動させた響達に合わせるようにキャロルも同じ高さまで浮かんでくる。

 

「単騎対十騎」

 

「錬金術師であるならば、彼我の戦力差は指折る必要もないだろう」

 

「おまけに止めのエクスドライブ!これ以上はもう終いだ!」

 

はたから見ても圧倒的な場面、だがキャロルはこんな状況でも笑みを浮かべていた。

 

「フン、奇跡を纏ったぐらいで俺をどうにかできるつもりか?」

 

「みんなで紡いだこの力を!」

 

「奇跡の一言で片づけるデスか!」

 

「片づけるとも!!」

 

キャロルから発せられる気迫に一同は驚く。

 

「奇跡など・・・あの日、蔓延する疫病より村を救った俺の父親は、醜聞によって研鑽を奇跡へとすり替えられた」

 

キャロルは自身の父親が亡くなったことを語りだす。

 

「そればかりか資格無き奇跡の代行者として、刎頸のすすとされたのだ!」

 

「お父さんを・・・!」

 

「万象に存在する節理と実利、それらを隠す覆いを外しチフォージュシャトーに記すことが俺の使命。すなわち万象黙示録の完成だった・・・だったのに」

 

その言葉を口にしキャロルは唇を噛み、そして涙を流す。

 

「キャロル・・・お前涙・・・!」

 

真が呟くが、キャロルは気にせず言葉を紡ぐ。

 

「奇跡とは、蔓延る病魔に似た害悪だ!故に俺は殺すと誓った、だから俺は!奇跡を纏う者にだけは負けられんのだ!!」

 

そう言って大量の結晶をばら撒き、地上に、空中に大量の陣が出現しそこから夥しい量のアルカノイズが出現する。

 

「なんて数のアルカノイズ!!」

 

「何をしようと!?」

 

その様子はS.O.N.Gの方でも確認され、その数はさらに増えていく。

 

「まだ・・・キャロルは!」

 

「これほどまでのアルカノイズを・・・!」

 

「チフォージュシャトーを失ったとても!」

 

『世界を分解するだけなら単騎でも可能って訳ね・・・!』

 

「この状況で、僕たちにできるのは・・・!」

 

そんな中、洸は苦しむエルフナインに視線を向ける。

 

「響・・・響!」

 

洸の叫びは、通信機を通して響達に届けられた。

 

「その声・・・お父さん!?」

 

「響!泣いている子が・・・ここにいる!」

 

「泣いている子って・・・エルフナイン!」

 

洸と真の言葉を聞いて、響は目の前にいるキャロルが泣いていることに気づく。

 

「・・・泣いている子には、手を差し伸べなくちゃね!」

 

「何もかも!壊れてしまえば!!」

 

『使用BGM 始まりの(バベル)(響&未来&翼&クリス&奏&切歌&調&マリア&セレナ)』

 

キャロルの声と共に召喚されたアルカノイズが建物を壊し始める。世界の分解の序章のように。

 

「真さん!」

 

「ああ、キャロルを救うぞ!」

 

「それが立花の心情だからな」

 

「スクリューボールに付き合うのは、初めてじゃねえからな」

 

「そのためにも、散開しつつアルカノイズを確固に打ち破る!」

 

「行こう!響!」

 

「うん!行こう皆!」

 

響の掛け声とともに十人は羽ばたいた。

 

託す魂よ

 

繋ぐ魂よ

 

先陣を切った響が、ガングニールで空中のアルカノイズを貫き一掃していく。

 

天を羽撃つヒカリ

 

(あの子も、私達と同じだったんデスね)

 

弓に番えよう

 

(踏み躙られ、翻弄されて、だけど何とかしたいともがき続けて‼)

 

切歌と調は互いのアームドギアを重ね、巨大な円盤に形を変え操作し地上のアルカノイズの数を減らしていいく。

 

(彼女にも支えてくれる人達がいた)

 

(だけどその人たちの声すらも届かない位あの子は追い詰められていた!)

 

何億の愛を重ね我らは時を重ねて

 

そびえ立つ巨大なアルカノイズに対しマリアは限界まで伸ばした蛇腹剣を振るい両断する。

 

(救ってあげなきゃな、何せあたしも救われた身だ!)

 

(私も一度間違え救われた、だから同じく間違えたあの子を救いたい!)

 

クリスは巨大化させたアームドギアから光線を放ち宙に浮かぶアルカノイズを撃ち落とし、細かい相手は拡散させたレーザーで撃ち落としていく。

 

原初の鼓動の歌へと我らは今還る

 

(そのためであれば、奇跡を纏い)

 

(何度だって立ち上がってやるさ!)

 

翼は手にしていた鞘も刀に変え、両足のギアも巨大な刀身に変えアルカノイズを切り伏せた。

 

(そのために、私達がこの奇跡で!)

 

(この戦いの空に希望の光を灯す!)

 

真もアタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードの二刀流で、空のアルカノイズを次々と切り倒していき、剣に形状変化させた飛電メタルで撃ち落としていった。

 

紡ぐ魂よ

 

腕に包まれて

 

セレナは大量の短剣を繰り出し、その先端から光線を放ちアルカノイズを撃ち落としていき、その両翼で巨大なアルカノイズを切り裂いた。

 

太陽のように強く

 

月のように優しく

 

奏は巨大化させたアームドギアを握り締め、そこから巨大な竜巻を放ち地上のアルカノイズを吹き飛ばしていった。

 

沸き立つ未来

 

未来の大量の鏡を展開し、手に持つ扇から大量の光線を放ち、光線を鏡が反射していきアルカノイズを貫いていき、収束した光線が巨大なアルカノイズを貫いた。

 

物語は終わり

 

そしてまた咲くのだろう

 

十人が空を羽ばたき、蔓延るアルカノイズを次々と倒していく。

 

奇跡はやがて歴史へと

 

誇り煌めだろ

 

響達が次々とアルカノイズを倒していく様子はを見てS.O.N.Gの面々は歓喜を上げていた。

 

「エクスドライブのパワーであれば!」

 

「だが、同等のフォニックゲインを備えているのはキャロルだ」

 

『そうね、あの子がこの程度で終わるはずがないわ』

 

二人の予想は当たっており、キャロルは空中で大量の陣を生成し何かを繰り出そうとしていた。

 

「さっきのアルカノイズは時間稼ぎ!?」

 

「本命を繰り出すためにあんだけの量を繰り出したのか!」

 

「残った思い出丸ごと償却するつもりなのか!」

 

陣を生成するキャロルはその目から血の涙を流す。

 

「何もかも壊れてしまえ・・・世界も、奇跡も・・・俺の思い出も!!」

 

その瞬間、キャロルから莫大なまでのエネルギー波が放たれた。

 

「くっ!! だがキャロルを救うってあいつらと約束したんだ!」

 

真は羽ばたき、手に持つ武器を連結させる。

 

ドッキングライズ!

 

ギガントストラッシュ!

 

連結させた武器を振るいビルを両断するほどの巨大な斬撃がキャロルに向かって行くが、キャロルが繰り出した陣によって防がれてしまう。

 

「馬鹿な!?」

 

「はぁぁ!!」

 

次にキャロルは、自身の周りに大量の弦を繰り出し、自身の体に巻き付けその姿を変える。

 

「なんだ!」

 

形作ったのは翡翠色の獅子のような機体。キャロルの怒り、憎しみを全て込めた獅子機の目が輝きだし咆哮をあげた。

 

「全てを無に帰す、何だがどうでも良くなってきたが、そうでもしなければへそ下の疼きが収まらん!」

 

雷が落ち、獅子機が首を上げる。

 

「仕掛けてくるぞ!」

 

「全員飛べ!」

 

クリスと奏の声で全員が空に飛ぶと、みんなのいた場所に向かって獅子が爆炎を放った。

 

爆炎は建物を幾つも突き破り、その一撃は遠くへ離れたS.O.N.Gの潜水艦のある海沿いまで届いた。

 

「あの威力・・・どこまで!!」

 

「本当に思い出をすべて焼却している・・・!」

 

「だったらやられる前に!」

 

「やるだけデス!!」

 

「二人共!危険です!」

 

切歌と調がキャロルに向かって攻撃を仕掛けていくが、二人の攻撃は全く効いておらず獅子は二人を吹き飛ばす。

 

「あの鉄壁は禁城、散発を繰り返すばかりでは突破できない!」

 

「ならば!アームドギアにエクスドライブの全エネルギーを収束し、鎧通すまで!」

 

その言葉を聞いて翼、マリア、奏、セレナ、切歌、調、クリス、未来の八人が地面に降り立つ。

 

「身を捨てて拾う、瞬間最大火力!」

 

「ついでにその攻撃も同時収束デス!」

 

「私たちの力を合わせて!」

 

「キャロルの奴にぶつけてやる!」

 

「御託は後だ!マシマシが来るぞ!」

 

獅子機から大量の光線が迫る中、響と真が前に出てその拳と飛電メタルで八人を守る。

 

「響!真さん!」

 

「私たちが受け止めている間に・・・!」

 

「決めろ、お前ら!」

 

「ええ!やるぞ!」

 

マリアの号令と共に、八人はエクスドライブの全エネルギーをアームドギアに収束し、一点に収束させる。

 

「はぁ!」

 

「はぁ!」

 

「でやぁ!」

 

「はぁ!」

 

「デェス!」

 

「やぁ!」

 

「おりゃあ!」

 

「はぁ!」

 

八人が息を合わせ放った一撃は獅子の光線を打ち破り、獅子機に直撃するが、直前でキャロルが防御陣を展開しダメージを抑えられてしまう。

 

「惜しかったな、後一振りアームドギアがあったら破られていた・・・っ!?」

 

だがキャロルは響のアームドギアの八人のエネルギーが送られているのを見た。

 

さっきの一撃は囮、本当の狙いは八人の力を響に収束させることだった。

 

「奇跡は殺す!皆殺す!俺は奇跡殺戮者に!!」

 

響を止める為に再び獅子機から極太の光線が放たれる、真が前に出て飛電メタルで守るが、相手の力の方が強く押されていく。

 

「立花!継菜!」

 

そして光線が二人を呑み込み勝利を確信したキャロルだったが、光の中で響の巨大化したアームドギアがキャロルの光線を受け止めていた。

 

『使用BGM:Glorious Break』

 

「繋ぐこの手が、私のアームドギアだ!」

 

響はそのアームドギアでキャロルの光線を握りつぶした。

 

(当たれば痛いこの拳、だけど未来は、誰かを傷つけるだけじゃないって教えてくれた!)

 

キャロルは渾身の一撃を防がれたことに苛立っていた。

 

「くぅっ!奴らをつぶす・・・っ!?」

 

その瞬間、キャロルの身に異変が起きた。

 

「こんな時に、拒絶反応・・・!」

 

そう言った瞬間、キャロルの脳裏をよぎる父親との思い出。

 

「っ・・・!!違う、これは俺を止めようとするパパの思い出・・・くっ!認めるか!認める物か!俺を否定する思い出などいらぬ!全部燃やして力と変われぇぇぇ!!!」

 

キャロルは父親との思い出すらも力へと変え、獅子の口が光り輝きだす。

 

「行くぞ響!」

 

「はい!」

 

獅子が輝きだすと同時に真も響の隣に立ち、武器を仕舞いキーを押し込む。

 

メタルライジングインパクト!

 

押し込むと同時に、響のアームドギアが展開さて再形成すると同時に、そこに飛電メタルが組み込まれる。

 

翼達から受け取った八つの輝きと響自身の輝きを宿した巨大な拳、そこに真の飛電メタルの装飾が取り付けられる。

 

拳を形成すると真と響は手を繋ぎ、共にキャロルへと向かう。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

そして二人の拳とキャロルの思い出の咆哮がぶつかり合う。

 

「「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

拮抗していた互いの力だが、徐々にキャロルの咆哮が二人の拳を押していった。

 

「二人に力を!アメノハバキリ!」

 

「イチイバル!」

 

「シュルシャガナ!」

 

「イガリマ!」

 

「「アガートラーム!」」

 

「ガングニール!」

 

「シェンショウジン!」

 

その様子を見ていた八人が残るフォニックゲインを二人に送る。

 

「頼む!あの二人にきゃろるを救う奇跡を!」

 

「私たちの思いをあの二人に!」

 

地上で祈る二人の願いに応えるように、二人のフォースライザーから紫色と桃色の輝きが飛び出し、真と響の元に向かう。

 

十人の思いと力を受け取った二人の拳は更に輝きだし、その出力を増大する。

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

出力が増大した二人の拳は、キャロルの咆哮を押していった。

 

「ガングニィィィィィィル!!!」

 

「メタルクラスタァァァァァァ!!!」

 

二人の叫びと共に、二人の拳は咆哮を突き破り獅子機の頭部に突き刺さった。

 

Glorious Break

 

拳は獅子機の口に突き刺さり、三人は目を合わせると、キャロルは涙を流しながらも笑みを浮かべる。

 

そして獅子機と拳は徐々に空へと浮かんでいき、獅子機の身から光が漏れ出す。

 

『使用BGM:Exterminate』

 

「行き場を失ったエネルギーが暴走を始めています!」

 

「被害予測、開始します!」

 

「エネルギー臨界点到達まで、後60秒!!」

 

「このままでは、半径12㎞が爆心地となり、3㎞までの建造物が深刻な被害に見舞われます!!」

 

オペレーターの報告を受けて弦十郎は苦虫を噛む。

 

「まるで小型の太陽・・・!」

 

弦十郎達はその様子を見る事しか出来なかった。

 

「フフフッ、お前らに見せて刻んでやろう・・・歌では何も救えない世界の心理を・・・」

 

「諦めない・・・奇跡だって手繰って見せる!!」

 

「諦めなければ、奇跡だって起こせれるんだよ!」

 

「奇跡は呪いだ!縋る者を憑り殺す!」

 

そして獅子機が爆発を起こしていき、爆発でキャロルが吹き飛ばされてしまう。

 

「「キャロル『ちゃん』!!」」

 

二人は急いで落ちるキャロルの元へと向かう、キャロルに近づこうとするが全身に巻き付かれた弦によって距離が縮まらない、それでも二人は手を伸ばす。

 

「手を取るんだ・・・!」

 

「ふっ・・・お前らの歌で救えるものか、誰も救えるものかよぉ!!」

 

キャロルの叫びに二人は怯むが、それでも手を伸ばし続ける。

 

「それでも救う!」

 

「絶対に助ける!」

 

響はペンダントに手をかけ、真はホルダーからライジングホッパープログライズキーを手に取る。

 

「抜剣!」

 

「変身!」

 

ダインスレイフ!

 

ライジングホッパー!

 

響はエルフナインから託された力を身に纏い、真は神から託された力を身に纏いキャロルに近づく。

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

キャロルに近づく二人に、エルフナイン、紫苑、桃恵の姿が被る。

 

『キャロル『きゃろる』『ちゃん』!!』

 

キャロルに向かって伸ばす五人の腕、そこに一人の男性の腕が加わる。

 

「っ!?」

 

キャロルはその人物を見て驚く、キャロルに腕を伸ばした六人目は、キャロルの父だった。

 

『キャロル、世界を知るんだ』

 

「パパ!」

 

『いつか人と人がわかり合う事こそ、僕達に与えられた命題なんだ』

 

父親の言葉にキャロルは涙を流す。

 

『賢いキャロルにはわかるよね、そしてその為にどうすればいいのかも・・・!』

 

「・・・!パパァァァァ!!」

 

父に向かって伸ばしたその両腕、父は手に取れぬが代わりに掴んでくれる二人がいた。

 

キャロルの手を掴んだ響と真はイグナイトの黒い翼と繰り出したプログライズホッパーブレードによる飛電メタルで三人の体を包み迫る爆発から身を守った。

 

そして獅子機を中心に辺りは光に包まれ、そして未曽有の爆発が起きた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして戦いから三日が経った。

 

今爆心地では緒川さんを中心に多くの職員達が何かを捜索していた。

 

『そうか、未だキャロルの行方は知れないままか』

 

「すでに決着から72時間が経過しています。これ以上の捜索は・・・」

 

「わかった、捜索を打ち切り帰島してくれ」

 

『了解しました』

 

そこで緒川との通信が切れる。

 

「保護された二人が無事だったことから、生存してると考えられますが・・・」

 

あの爆発の後、爆発の衝撃で気を失っていた二人が目を覚ましたころには、キャロルの姿はどこにもなかった。

 

「気がかりなのは、キャロルの行方ばかりではありません」

 

その後、みんなは一つの病室まで行くと、そこにはベッドで横になっているエルフナインがいた。

 

「来てくれて嬉しいです・・・毎日すみません・・・」

 

横になっているエルフナインは弱弱しい声で来てくれたことに感謝してくれていた。

 

「夏休みに入ったから大丈夫」

 

「夏休み・・・?」

 

「学生にだけ許された夏季限定の長期休暇だ、ほとんどの学生は喜ぶからな」

 

「うん、私達も初めてだから楽しみ・・・!」

 

「もうウキウキデス!」

 

「早起きしなくてもいいし、夜更かしもし放題なんだよ!」

 

「いやそれは駄目だからな、体内時計が狂うぞ」

 

「あんま変なことを吹き込むんじゃねえぞ」

 

「夏休みはね、商店街でお祭りもあるんだ!焼きそば、綿あめ、たこ焼き、焼きイカ!」

 

「食べ物ばっかりだな・・・」

 

「ここだけの話、盛り上がって来るとマリアさんのギアからは盆踊りの曲が流れてくるんだよ!」

 

「っ・・・本当ですか?」

 

「本当なわけないでしょ!大体そういうのは、私より翼のギアの方がお似合いよ」

 

マリアの言葉にその場にいたみんながその光景を思い浮かび、確かにぴったりだと思いみんな笑いだす。

 

「なるほどなるほど・・・皆がアメノハバキリについてどう認識しているか、よぉくわかった」

 

エルフナインは笑い涙を拭う。

 

「僕にもまだ知らないことがたくさんあるんですね・・・世界や皆さんについてもっと知ることが出来たら、今よりずっと仲良くなれるでしょうか?」

 

そういうエルフナインの手を響が握った。

 

「なれるよ!だから早く元気にならなくっちゃ!ね!」

 

響の言葉にみんなも笑顔で答える、それを見てエルフナインも笑みを浮かべる。

 

一通り話し合った後、みんなはエルフナインの病室から退室した。

 

「じゃあ、また明日ね」

 

「ごきげんようデス!」

 

「明日はお見舞いもってくるからな」

 

そう言って扉が閉まった。

 

「ああ~、私ちょっとトイレに」

 

「・・・そうか」

 

響はそう言って駆け足でお手洗いに向かった。

 

「・・・行くぞ」

 

「えっ?戻って来るのを待たないデスか?」

 

「いいのよ」

 

そう言ってみんんは変えるが、未来と真はその場に残った。

 

「・・・未来、後は頼む」

 

「・・・はい」

 

未来はそう言って響の後を追いかけた。

 

「・・・さて、俺も行きますか」

 

真も未来を見送った後、翼たちの後を追いかけた。

 

 

 

お手洗いでは、響一人だけで響は涙を流しており、その場に未来をやって来る。

 

「・・・ごめん、私が泣いてたら、元気になるはずのエルフナインちゃんも、元気にならないよね・・・」

 

響はそう言いながら更に涙を流す。

 

「世の中・・・拳でどうにかなる事って簡単な問題ばかりだ・・・自分にできるのが些細なことばかりで・・・本当に悔しい・・・!」

 

「・・・そうかもしれない、だけどね」

 

そう言って未来は響の手を握る。

 

「響が正しいと思って握った拳は、特別だよ」

 

「・・・特別?」

 

「世界で優しい拳だもの・・・いつかきっと、嫌なことを全部解決してくれるんだから」

 

「未来・・・っ!」

 

響は未来に抱き着く。

 

「ありがとう・・・やっぱり未来は、私の陽だまりだ・・・!」

 

自身を抱きしめる響に対し、未来も優しく抱きしめる。

 

 

 

一方で真はあの後翼たちと別れ、一人爆心地に来ていた。

 

「・・・キャロル、紫苑、桃恵、どこに居やがるんだよ」

 

この三日間、響達に知られないように一人でキャロルを捜索していた真は、チフォージュシャトーを管理している職員に許可を取り、チフォージュシャトー内部へと足を踏み入れる。

 

シャトー内部は職員達がくまなく捜索したが影すら見当たらなくいないと判断しているが、それでも真はわずかな希望を持っていた。

 

そんな中、真が奥まで歩いているとふと何かが真の視界にちらっと映った。

 

「っ!」

 

真は急いでその何かを追いかけると、行き止まりにたどり着いた。

 

「行き止まり・・・でも今のは・・・」

 

そう言って真が壁に触れると、壁が光り出し道ができる。

 

「っ! 隠し通路・・・!」

 

真はその通路を歩いていくと、奥から光が見えてくる。

 

そして通路を渡り切ると、一つの研究室にたどり着く。

 

そこにいたのは行方しれずの紫苑と桃恵、そしてベットに横になって目を閉じているキャロルだった。

 

「おぬしが探し当てたか・・・お見事じゃ」

 

「お前ら・・・!!」

 

真は三人に駆け寄ると、後ろの隠し通路は閉じられてしまう。

 

「今のは私たちが良く使う隠し通路です、あれを使えばある程度の近道ができるんです」

 

「本来ならだれも使えぬように鍵をかけるのじゃが・・・急いでおって忘れていたようじゃ」

 

紫苑が壁に手を触れると壁に何かの模様が浮かび上がる。

 

「・・・ここは?」

 

「うちらの研究室じゃ、ここでうちらは独自で研究をしておる」

 

「そうだったのか・・・それに」

 

真は視線をキャロルに向ける。

 

「・・・キャロルちゃんは思い出の大量償却によって記憶障害を起こしています、目を覚ましても私たちのことは覚えていません」

 

「・・・マジかよ」

 

その現状に真は拳を握り締める。

 

「・・・じゃが、手がないわけではない」

 

紫苑がそう言い懐から金色の結晶を取りだすと、キャロルの近くに置いてある装置に取り付け、装置に取り付けられているヘルメットをキャロルの頭に取り付ける。

 

「それは?」

 

「先ほど急いでおったといったじゃろ、これがその答えじゃ」

 

紫苑が装置を起動させると、結晶から金色の輝きがチューブを通してキャロルへと送り込まれていく。

 

輝きが送り込まれて少し経つと、結晶の輝きと色は無くなりすべて送られたと確認すると装置を止めヘルメットを取り外す。

 

「これでいけるはずです」

 

桃恵がそう言って少し経つと、キャロルが目を覚ました。

 

「・・・っ、ここは」

 

「目を覚ましたかきゃろるよ」

 

「おはようございます、キャロルちゃん」

 

「紫苑・・・桃恵・・・俺は確か・・・っ!」

 

そう呟くキャロルはその場にいた真を見て何かを悟った。

 

「・・・そうか、破れたのだな」

 

「ああ・・・その記憶はあるんだな」

 

「正確には爆発に巻き込まれる直前の事はな、戦いの記憶はぼんやりだがお前を見てある程度の補完はついた」

 

「そうか・・・というかお前ら何やったんだ?」

 

「こいつには対象の記憶を転写するように作っておったのじゃ」

 

「此処まで私たちはキャロルちゃん達の記憶を転写させ、もしこんな状況になったとしても大丈夫なように用意してたんです」

 

「なるほど・・・お前たちが良く俺やオートスコアラー達の容態を見ていたのは記憶の転写を行っていたのだな」

 

「うむ、がりぃ達の記憶も転写済みじゃから躯体があればいつでも可能じゃ」

 

「そうか・・・それとゼロワン、お前が此処に来たのには何か理由がるのか?」

 

「そういえば、私達を探してたんですよね?」

 

「ああ、お前たちを探してたのは二つの理由がある。一つはお前たちがいなくなったから響達が心配して捜索を依頼してたんだ」

 

「ふっ・・・あいつはそこまでお人よしだったか・・・もう一つは」

 

「・・・俺としてはこっちが本命だ、今エルフナインが危険な状態なんだ」

 

『ッ!?』

 

真の言葉に驚く三人に真は詳しい事情を説明した。

 

エルフナインが大怪我を負ったこと、エルフナインが現状寝たきりなこと。

 

そしてこのままでは命を落とすこと。

 

「正直言って今の技術ではエルフナインを治すことができない、でもキャロルなら・・・錬金術ならエルフナインを治せると思ってこの三日間お前達を探してたんだ」

 

そう言って真は三人に対して頭を下げる。

 

「頼む、エルフナインを救ってくれ」

 

「きゃろる・・・!」

 

「キャロルちゃん・・・!」

 

真の言葉に紫苑と桃恵はキャロルに視線を向ける。

 

二人はエルフナインを助けたいと思っている、だが自分たちの技術力ではエルフナインを助けれるかわからないが、キャロルなら救えるとわかっていた。

 

だが問題はキャロルが協力してくれるかどうかだった、キャロルは今頭を下げる真に視線を向けていて黙っていた。

 

「・・・ゼロワン、いや継菜真、お前に一つ聞きたい」

 

「?」

 

キャロルからの質問に真は頭を上げる。

 

「俺の父は世界を知れと言った。俺は真理が答えと考えた・・・お前ならどう答える、世界を知れとはどういう意味か」

 

「俺なら・・・」

 

キャロルからの問いに真は少し頭を悩ませる、キャロルの父親が娘に伝えたかった事、真は思考を巡らせ、そして紫苑と桃恵を見て、一つの答えを口にする。

 

「・・・友、だと思う」

 

「友だと?」

 

「俺なら、この世界のどこかに自分の悲しみを支えてくれる友がいるって答える、友と出会えばどんな悲しみも乗り越えれる・・・そう答えるかな」

 

「友・・・だが俺にそんな存在は・・・」

 

「キャロルにもいるだろ、すぐそばに二人」

 

「っ!」

 

真がそう言うとキャロルは両隣にいる紫苑と桃恵に視線を向ける、紫苑と桃恵はキャロルに優し気な笑みを浮かべていた。

 

「・・・うちらもかつて、きゃろると出会うまでは同じことを考えかけておった、うちらの親を亡き者にした集落の者達を許さないと・・・じゃがそんなうちらを救ってくれたのは他でもない、きゃろるなんじゃ」

 

「もしあの時キャロルちゃんと出会っていなかったら、私達もキャロルちゃんと同じ道を歩んでいたかもしれなかった、でもキャロルちゃんが私達を救ってくれたおかげで、今の私たちがいます」

 

二人はキャロルの手を握り締める。

 

「じゃからきゃろるよ、もしお主がこれから辛いことに見合ってもうちらが支えてみせる」

 

「あの時助けてくれたみたいに、今度は私たちがキャロルちゃんを助けて見せます」

 

二人の言葉を、そして二人の眼を見て、キャロルは無意識のその瞳から涙を流す。

 

「・・・そうか、こんな俺にまだ、付いてきてくれるのか、お前たちは・・・」

 

そういうキャロルの表情は、涙を流しながらもどこか嬉しそうな表情をしていた。

 

(そうか・・・パパからの命題の答えは・・・もう俺の近くにあったんだな)

 

キャロルはその言葉を胸に二人の手を握って涙を流し、真はその様子をただ見守っていた。

 

暫くの間涙を流すと、キャロルは目元を拭いベッドから降りる。

 

「・・・継菜真」

 

「ん?」

 

「感謝する、お前の答えで、俺は父からの命題の答えを知ることができた」

 

「・・・そうか」

 

「ああ・・・紫苑、桃恵、行くぞ」

 

「どこにじゃ?」

 

「シャトー内を捜索する。運が良ければホムンクルス体用の代用臓器、さらに運が良ければ別の躯体が見つかるかもしれん」

 

「「っ!」」

 

キャロルの言葉に二人は笑みを浮かべる。

 

「じゃあ・・・!」

 

「答えてくれた礼だ、お前も手伝ってくれ」

 

「・・・ああ!」

 

四人は急いでシャトー内を駆け回り、捜索を開始する。

 

 

 

時刻は夜中、病室ではエルフナインは一人静かに眠っていると、扉が開かれる。

 

「・・・ん」

 

エルフナインが目を覚ますと、扉から三人がやって来る。

 

「待たせたなエルフナイン」

 

「久しぶりじゃ、えるふないんよ」

 

「お久しぶりです」

 

「紫苑さん!桃恵さん!どうして・・・」

 

「うちらだけではないぞ」

 

紫苑が中に入るように促すと、三人の後からキャロルが入ってくる。

 

「キャロル・・・!!」

 

キャロルの存在にエルフナインは驚きを隠せれなかった。

 

「存外余裕そうだな、エルフナイン」

 

「三人共、無事だったんですね・・・でもどうして?」

 

「継菜真に頼まれた、お前を救ってくれと」

 

「真さんが・・・!?」

 

「ああ、時間はかかったがお前を救う手立てを見つけた」

 

そう言ってキャロルが陣を繰り出すと、そこから出て来たのはキャロルと同じ姿の少女だった。

 

「それは・・・」

 

「俺の予備躯体だ、シャトーに設備されていた装置に運良く入っていた」

 

その装置はかつてキャロルが譜面を完成させるためにワザと響の攻撃を受けて自身の身を滅ぼし、その後復活を果たした時に使われた装置の事であった。

 

四人が装置を見つけ確認すると、そこに予備のキャロルの体が入っていたのだった。

 

「今からお前の記憶をこの体に転写する、そうすればお前は生きられる、紫苑」

 

「分かっておる」

 

紫苑は陣から装置と結晶を取り出し、エルフナインの頭部にヘルメットを取り付けを装置に結晶を取り付けると操作を開始する。

 

「・・・エルフナイン、すまなかった」

 

「えっ?」

 

エルフナインは突然のキャロルからの謝罪に驚いた。

 

「計画のためとはいえお前をひどい目に合わせたこと、到底許されるとは思ってないが謝罪させてくれ」

 

キャロルはエルフナインに頭を下げる、エルフナインはそんなキャロルを見て驚くが、すぐに笑みを浮かべる。

 

「謝らないで下さい、確かにシャトーを出た後大変なことはありました。けどそれ以上に僕は、真さんや響さん達と出会えてうれしかったんです」

 

エルフナインあそう言ってキャロルの手を弱弱しく掴む。

 

「だってこうしてキャロルとまた出会えることができたんですから」

 

「エルフナイン・・・」

 

キャロルはエルフナインの言葉に涙を流す。

 

「キャロル・・・またこうして、一緒に話しましょう」

 

「・・・ああ、そうだな・・・!」

 

二人が話し終えると、紫苑の方も装置の準備を完了させる。

 

「準備で来たぞ、離れてくれ」

 

紫苑の言葉に三人はエルフナインから離れ、そして紫苑は装置を起動させる。

 

すると装置は輝きだし、エルフナインから金色の輝きが装置を通して結晶に送り込まれる。

 

輝きが送り込まれると、緑色の炎がエルフナインの体を徐々に包んでいきその個所から灰になっていく。

 

「っ!?」

 

「安心せい、ちゃんと転写されとる」

 

エルフナインが炎に包まれる中、エルフナインは真に視線を向け静かに微笑んだ。

 

そして結晶が輝きを吸収し終えると、エルフナインは灰となり、繋がれていた生命維持装置からピーッという音が病室に響いた。

 

「結晶への転写完了、すぐに予備躯体への転写を開始するぞ」

 

紫苑はすぐにヘルメットをキャロルの予備躯体に繋げ、先程と同じように装置を起動させると、結晶の輝きが予備躯体に送られていった。

 

 

 

その頃、エルフナインの生命活動停止の事を聞いた響達は急いで病室まで走っていた。

 

それぞれ最悪な状況を脳裏に思い浮かべながら走っていき、扉を開け病室に入る。

 

そこで九人が目にしたのは、病室にいた真と行方知れずだった紫苑と桃恵とキャロル。

 

そしてキャロルの横に並ぶキャロルと同じ姿の少女だった。

 

「キャロルちゃん・・・?」

 

響が呟くと、少女は九人の方を向き、口を開く。

 

「・・・()は」

 

『使用BGM:虹色のフリューゲル』

 

その言葉を聞いて、響は涙を流しそして少女を・・・『エルフナイン』を抱きしめた。

 

他の八人も笑みを浮かべて駆け寄ってくる。

 

真達もその光景を見て微笑んだ。

 

今ここに、魔法少女達との戦いは終わった。

 

 

 

 

 

暫くが立ち、響と未来は故郷へと足を運んでいた。

 

「はぁ~、この町にはいい思い出なんてないはずなのにね、今はとても懐かしく感じちゃう」

 

「そうだね、どうしてなんだろう?」

 

「それはあの頃よりも、二人が強くなったからじゃないかな?」

 

「えっ?」

 

二人の後を追いかけるように洸もやって来る。

 

「さて俺も、頑張らなくっちゃ・・・な」

 

「うん!お父さん!」

 

「「へいき!へっちゃらだ!」」

 

二人はそう言ってハイタッチをする、未来はその様子を見て微笑んでいた。

 

切歌と調は夏休みの宿題にてこずっていた。

 

「楽しいはずの夏休みは・・・どこへ?」

 

「がんばってください、暁さん、月読さん」

 

「デェース・・・だけどどうしてクリス先輩は余裕何デスか?」

 

二人が勉強する中、クリスは余裕そうにソファに寝転がっていた。

 

「いい機会だから教えてやる」

 

そう言ってクリスが取り出したのは、高成績が記されていた成績表だった。

 

「こう見えて、学校の成績は悪くない私だ!」

 

「嘘っ!?」

 

「んんっ?」

 

「い・・・今言ったのは調デス!!」

 

「私を守ってくれる切ちゃんはどこに行っちゃったの・・・!?」

 

「ちゃっちゃと宿題片付けろ!!」

 

部屋中にクリスの怒号が響いた。

 

「あははっ・・・まだまだ終わりそうにありませんね」

 

そんな状況にセレナは笑みを浮かべていた。

 

翼は緒川と奏と共に空港を歩いていた。

 

「おい翼」

 

奏の声に翼が視線を向けると、通路の先でマリアが待っていた。

 

「偶さか私もイギリス行きなのよね」

 

「ふっ・・・偶さかね」

 

「ああ、偶さかなら仕方ないな」

 

マリアの発言に翼と奏は笑ってしまう。

 

「っ!・・・やっぱりこの剣、可愛くない!」

 

翼達を乗せた飛行機が飛ぶ中、弦十郎は車の中にいる八紘と話していた。

 

「見送りもまともにできないなんて、父親失格じゃないのな?」

 

「私達はこれで十分だ・・・それよりも弦、今回の『魔法少女事変』どう考える?」

 

八紘からの問いに弦十郎は真剣な表情をする。

 

「米国の失墜に乗じた、欧州の胎動」

 

「あるいは・・・」

 

二人は真剣な表情で空を見つめていた。

 

「ところで弦、あの少女達に関しては大丈夫なのか?」

 

「ああ、心配いらないさ、もうすでに手は打ってある」

 

 

 

一方で五人の少女達はとある建物から出てきていた。

 

「まったく・・・弦十郎さんの考えには驚くしかないな」

 

「そこに関しては俺も同じだ・・・いったいどういう思考をしてるんだ?」

 

「まぁまぁ、僕は嬉しいですよ、こうしてキャロルと一緒にいられるんですから」

 

「うちらもじゃな、うちらを迎えてくれた弦十郎殿には感謝せんとな」

 

「だね、これからは私達もS.O.N.Gの一員として頑張らないとね」

 

「まぁそこは良いんだけどな・・・だからってこれはないだろ・・・」

 

そう言って真が取り出したのは一枚の用紙、そこにはこう書かれていた。

 

『養子縁組届』

 

「まさかキャロルとエルフナインを俺の『養子』にするとか・・・マジで何考えてるんだあの人は」

 

「戸籍上は、俺が姉という形だな」

 

「じゃあ僕がキャロルの妹なんですね」

 

「そういうことじゃな、これで二人も姉妹か・・・感慨深いのう」

 

「だね・・・ところで真さんはどうしてそんな複雑な表情を?」

 

「いやさ・・・二人を助けたいのは俺も賛成なんだが、まさか未婚で子供を二人持つとか俺の人生波乱万丈過ぎるな・・・って」

 

今朝がた弦十郎に呼ばれ、二人を助ける為と言って真は書類にサインと判を押してしまったことで今こうして役所まで来ていたのだった。

 

「けどまぁ、ここまで来たら最後まで責任持つさ、これからよろしくな四人共」

 

「はい!真さん!」

 

「ああ、よろしく頼むぞ」

 

「うむ!任せておけ!」

 

「よろしくお願いします!」

 

そして少女達はみんなの元へと向かって行った。

 

 

 

響の実家にやってきた三人は、玄関の前で響の母親と相対していた。

 

「っ…!やり直したいんだ!みんなで、もう一度!だから・・・!」

 

そう言って洸は頭を下げて、自身の妻に手を差し出す。

 

突然の洸の帰宅とやり直したいという言葉に戸惑う響の母と祖母、母親は洸の手を繋ごうとするが、ためらってしまう。

 

「・・・あははっ勢いなんかで手を繋げないって」

 

その瞬間、響が間に入り父と母の手を掴む。

 

「響・・・」

 

「・・・こうすることが正しいって、信じて握ってる。だから・・・」

 

そう言って響は笑みを浮かべる。

 

「簡単には離さないよ!」

 

一度出来た溝は簡単に埋まらない。

 

でも誰かが手を繋いでくれるなら、その溝はいつかきっと埋まる。

 

そう信じて少女はこれからも手を繋いでいく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫転生ゼロフォギア 第三期『完』





さあ後書きの時間だ!
「ついに終わったなGX、そしてS.O.N.Gにようこそ二人共!」
「うむ、世話になるぞ!」
「よろしくお願いします」
「いや~それにしても四人とも無事でよかったな」
「はい、それにしてもお二人共記憶のバックアップを取ってたんですね」
「うむ、いざという時の備えじゃが、やっておいて正解じゃったな」
「そのおかげでキャロルは記憶を取り戻したしエルフナインも治ったわけだ」
「だな・・・にしてもまさか真が二人を養子にするとは」
「俺だっていきなり弦十郎さんに『二人を養子にしてくれないか?』って言われてびっくりしたんだからな」
「まあそうですよね、でもこれで真お姉ちゃん元男性で姉兼母親ですよね」
「字面がやべえ」
「ふむ・・・となるとうちらもお主の娘というわけか?」
「いやそれは少しおかしい」
「ですよね、でもまだ終わりじゃないんですよね」
ああ、まだAXZとXVが待ってるからな。
「だな、むしろここからラストスパートに向けて頑張らないとな」
「ああ、どんな敵が来ても勝ってやるさ!」
「はい、私たちの絆にの強さで勝利して見せます!」
「うちらも協力するぞ!」
「うん、錬金術の力でサポートします!」
やる気十分だな、まあ次回はアフターストーリーの前にやりたい話あるから待っててくれよな、それじゃあそろそろいつもので〆るぞ。

「「「「「「それでは特別回もお楽しみに!」」」」」」


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真の正体


さてアフターストーリー・・・の前に一つ話を入れます、あっ今真達は本編の方に言ってるのでこちらにはいませんのであしからず、それではGX編後日談、どうぞ。


魔法少女事変から数日が経った頃、司令室にみんなが集合していた。

 

「というわけで、本日付けで彼女たちも正式にS.O.N.Gに入隊することとなった」

 

そういう弦十郎の隣にはS.O.N.Gの制服を着ている未来、エルフナイン、キャロル、紫苑、桃恵の五人がいた。

 

「わーい!よろしくね!」

 

「うん、よろしくね響、みんな」

 

「改めて皆さん、よろしくお願いします」

 

「まぁ、よろしく頼む」

 

「よろしくじゃ!」

 

「よろしくお願いします」

 

「よろしくな、五人共」

 

みんなそれぞれ改めてあいさつすると、弦十郎が再び口を開く。

 

「それに伴い、キャロル君たち四人の住まいなんだが・・・」

 

そう言うとみんなの視線が真に向けられる。

 

「・・・ふっふっふ、弦十郎さん、そう簡単にはいきませんよ」

 

「なに?」

 

「今現状、我が家にはクリスを始めとしてセレナ、マリア、切歌、調・・・はっきり言って定員オーバーだ!」

 

真の住居は元々真の一人暮らしを想定して神が用意した物、今までは何とかなったが流石に今から四人増えれば部屋が足りなくなってしまう。

 

「というわけで大人しく四人の住まいを改めて探すことですね!」

 

真はそう言い切って高らかに笑う。

 

「・・・何であいつはあんなにテンションが高いんだ?」

 

「あ~ほとんど真さんの家に居候だからね、だから真さんあんな感じになったんだと・・・」

 

「・・・あ奴も苦労してるのじゃな」

 

キャロル、響、紫苑が話していると、高らかに笑う真に対して弦十郎は不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・それはどうかな?」

 

「なに?」

 

そう言い切る弦十郎に対し真は笑うのを止める。

 

「真君、まだ気が付かないのかな・・・この現状に」

 

「現状・・・だと?」

 

「なんなんだ、あの二人の雰囲気」

 

クリスが突っ込む中、翼と切歌がある事に気が付く。

 

「そういえば、緒川さんと櫻井女史の姿が見当たりませんね」

 

「確かに、それに他の職員さん達も今日見てないデスよ?」

 

「あっ確かに・・・ってまさか!?」

 

真はとある可能性に気が付き、弦十郎さんに視線を向けた。

 

「まさか弦十郎さん・・・あなたまさか!!」

 

「ふっ、気が付いたようだな真君・・・そう、こうなることを予見しもうすでに緒川と了子君を筆頭に君の家の改築作業は始まっているのだ!!」

 

「ば・・・馬鹿な!!?」

 

真は衝撃の事実に膝を突いてしまう。

 

「くっ・・・油断した!二人がいない時点で気が付くべきだった・・・!」

 

「今戻ってももう遅い、既に改築作業は始まっている・・・大人しく受け入れたまえ」

 

「くっ・・・くそぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

真は膝をつきながら叫びをあげた・・・敗北の叫びを・・・。

 

 

 

 

 

「いや、もう茶番は良いだろ!」

 

「「あっバレた?」」

 

クリスのツッコミに真はすぐに立ち上がる。

 

「まあ実は改築作業に関しては先に聞いてたし、エルフナインやキャロルはもう俺の養子だからもう何人増えようが別にいいしな」

 

「真お姉ちゃん・・・何だが達観してません?」

 

「セレナ、あれは諦めの境地というものよ」

 

「そうだよセレナ、もう何でも来いよって感じだよ俺は。あっはっは・・・」

 

「真、眼笑ってないぞ」

 

「笑い声すら枯れています・・・」

 

「まあ・・・うん、話は以上だな・・・」

 

弦十郎は歯切れが悪そうに話し合いを終える。

 

「あっもう終わりか、じゃあ俺は買い物に・・・」

 

「ああ待ちたまえ真君、まだ話があるんだ」

 

「? 話って何なんですか?」

 

真がそう聞くと、キャロル達を除くみんなが難しそうな顔をする。

 

皆が難しそうな顔をしていると、真のライズフォンに連絡が入ってくる。

 

「ん、悪い俺だ」

 

そう言って着信を見ると、画面には『神』と写っていた。

 

「あ~っ・・・すみません、少し席を外します」

 

そう言って部屋を出ようとすると、響が腕を掴んで止める。

 

「真さん、部屋から出なくてもここで掛けてもいいですよ!」

 

「いやそれは・・・」

 

「いいですから!」

 

『・・・・・・』

 

『?』

 

「うっ・・・わかった、分かったから、ただし少し離れて話をするから」

 

響に加え、他のみんなからの圧を受け真はしぶしぶみんなから離れた場所で電話に出た。

 

「・・・おい、どうしたんだよ」

 

真が小声で話していると、声が聞こえてくる。

 

『・・・ごめんね』

 

「?何で開口一番に謝罪するんだ?あんたがくれた武器のおかげで勝てたし謝る道理はないと思うが・・・」

 

『いや、そのことじゃなくてね・・・その・・・』

 

神は戸惑いながらも、口を開く。

 

『・・・バレちゃった』

 

「・・・バレたって、何が?」

 

『そのね・・・響ちゃん達にあなたの事バレちゃった』

 

「」

 

「わぁ、真さんがファ〇コンゲームのような真顔に」

 

「・・・ごめん、うまく聞こえなかった、何て?」

 

『だから、響ちゃん達に』

 

「うん」

 

『真君が』

 

「うん」

 

『転生者だってこと』

 

「・・・うん」

 

『・・・バレちゃった』

 

「・・・・・・・・・・」

 

しばしの静寂、そして。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

部屋中に真の叫びが響いた。

 

「ちょっ!?何で!?何でバレたんだおい!!」

 

『いや、真君がメタルクラスタを初めて使って気絶した後、電話かけたら相手が響ちゃん達だったの』

 

「おいぃぃぃぃぃぃぃ!!?」

 

『ごめぇぇぇぇん!!』

 

真がライズフォン越しに叫んでいる様子を響達は驚きながら見ていた。

 

「うわぁ・・・あんな真さん見たの初めて」

 

「ああ、あそこまで慌てる継菜は珍しいな」

 

「あいつがGで慌てふためくのは見たことあるが、あそこまで慌てるのはあたしも初めてだ」

 

「おい、これは一体どういう状況なんだ?」

 

響達が驚く中、現状を理解できていないキャロル達が尋ねてくる。

 

「ああそっか、キャロルちゃん達は知らなかったんだよね、実は・・・」

 

響は事の事情を伝えると、四人は驚いた表情をした。

 

「別の世界で死んでこの世界に転生しただと!?」

 

「うん、そうみたい」

 

「そんな・・・そんなことがあるんですか!?」

 

キャロルとエルフナインが驚く中、紫苑と桃恵は少し冷静に口を開いた。

 

「・・・そうか、じゃからあ奴はあの時うちらにあんなことを」

 

「どうした、如月姉?」

 

「少し前、うちらと真が戦った時、真がうちらに尋ねて来たんじゃ、うちと桃恵が転生者かどうか」

 

「あの時は何の話なのかなって思ったけど・・・そういう事だったんですね」

 

「真さん、そんなこと話してたの!?」

 

「ああ、あ奴曰く、うちらの持つ仮面らいだぁの力は本来この世界に存在しない力らしい、それを持っておるのは一部の転生者のみと」

 

「そうか・・・だから真さん紫苑ちゃん達が仮面ライダーに変身した時動揺してたんだ」

 

皆が話している間、真はまだ神と話していた。

 

「それで、いったいどこまで話したんですか!」

 

『えっと、私が神様だということ、貴方が転生者だということ、この二つだけよ』

 

「そうか・・・俺の正体までは話してないんですね」

 

『ええ・・・でも此処まで来たらもう話すしかないんじゃないかしら?』

 

神の言葉に真は複雑そうな顔をする。

 

「・・・やっぱ、しなくちゃダメ?」

 

『別に話さなくてもいいけど、確実に溝ができるわね』

 

「・・・正体ばれても溝出来ると思うんだけど」

 

『それでも言わないよりかはましでしょ、それじゃあそろそろ切るわね』

 

「えっもうなのか!?」

 

『ええ、ちょっと調べたいことがあるから、それじゃあね』

 

そう言って通話が切れた。

 

「・・・マジか~・・・」

 

「あの・・・真さん?」

 

頭を抱える真に対し響達が心配そうに見てくる。

 

「・・・こうなったら腹くくるか」

 

真は決心し、みんなの方に振り返るみんなの表情は真剣そのものだった。

 

「みんな・・・知っての通り、俺は別の世界で死んだ人間だ、此処までは知ってるよな」

 

真の言葉にみんな頷く。

 

「よし・・・だけどそれだけじゃないんだ、俺の秘密は」

 

「・・・秘密、ですか?」

 

「ああ、今まで皆に隠していた秘密」

 

真は緊張しながらも、息を呑んで自分の正体を口にした。

 

「・・・俺は、別の世界で死んだ『男性』ということだ」

 

『・・・・・・・・・はい?』

 

真の言葉にみんな首を傾げる。

 

「・・・今なんて?」

 

「・・・だから、俺は元は男性、男なんだ」

 

「・・・男性?」

 

「ああ」

 

「・・・男?」

 

「男」

 

再び訪れる静寂、そして。

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?』

 

今度はみんなの叫びが響いた。

 

「真さん、男性だったんですか!?」

 

「そうだよ!元々は男だったんだけどあの神のせいで女になったんだよ!!」

 

「そんなまさか・・・いやでもそれだと色々と納得が付く」

 

「真さんが男口調なのも!?」

 

「俺自身が男だということを忘れないようにするためだ!」

 

「あの時倒れていたクリスの看病をしたとき席を外したのも!?」

 

「女の着替えに男が居ちゃダメだろ!」

 

「頑なに女物の服を嫌うのも!?」

 

「男が女物の服を着てたまるか!」

 

「全然一緒にシャワー浴びないのも!?」

 

「察しろ!」

 

真への様々な疑問の真実を知り、一同は納得する。

 

「・・・なるほど、今までの不可解な言動はそう言うことだったのだな」

 

「そういう事だ・・・悪かった、話せなくって」

 

「いえいいですよ!それよりなんだが私ほっとしました」

 

「ほっと?」

 

「はい、今まで私たち真さんの事全然知りませんでしたしたから、こうして真さんのことを知れて嬉しいんです」

 

「響・・・でも俺は今まで隠してて」

 

「気にするな継菜、我々は此処まで互いの腹の内をさらした者同士、今更秘密が増えようとも気にする我々ではない」

 

「だな、むしろ真のことを知れてあたしらは嬉しいんだよ」

 

「真お姉ちゃんが何者であれ、真お姉ちゃんは私たちを助けてくれました、だから私は真お姉ちゃんのことを軽蔑しません!」

 

「私達もよ、貴方が何者であれ、私たちの仲間であることには変わりないわ」

 

「そうデスよ、真さん!」

 

「うん、私たちの絆は変わらない」

 

「あたしに至っては元々敵だったからな、それに比べたらお前の秘密何て小せえもんだ」

 

「真さんは私と響を守ってくれました、だから嫌いに何てなりませんよ」

 

「継菜真、お前は俺に本当の答えを教えてくれた、答えを教えてくれたお前を嫌う者がどこにいるものか」

 

「僕もです、それに僕も元々性別が不明でしたから真さんの気持ちがわかります」

 

「うちはあまり気にしておらんぞ、おぬしが何者であれお主は継菜真であることには変わりはせん」

 

「はい、私たちを救ってくれたあなたが何者であっても、私達は気にしません」

 

「真君、君が何者であっても君は俺たちの大切な仲間だ、そんな君を軽蔑するものか」

 

「・・・みんな」

 

「ほら、みんな真さんの事嫌ってませんよ」

 

「・・・ああ、そうだな、此処まで来たら隠してた俺がおかしく思ってくるわ」

 

そう言うと真はみんなの方を向き直る。

 

「みんな、ありがとうな」

 

皆が笑顔で答えると、弦十郎が手を叩いて空気を変えてくれる。

 

「さぁ立ち話もここまでにして、そろそろパーティーと行こうか!」

 

「そうですね!キャロルちゃん達の入隊祝いと、真さんの本当の入隊祝いを兼ねて盛り上げましょう!」

 

『おおっ!!』

 

皆が会場に向かう中、響と真は横に並ぶ。

 

「真さん、改めてこれからもよろしくお願いします!」

 

「ああ、俺の方こそこれからよろしくな」

 

そう言って二人は会場へと向かった。

 

雨降って地固まる、秘密はバレたが、逆にみんなの絆は固くなった。





さて後書きの時間だ、そしてついにバレたな真。
「ああ、でもみんな受け入れてくれたからなんだか安心した」
「ああ、あたしら別に真が男だからって軽蔑するわけないからな」
「はい、だから安心してください真お姉ちゃん」
「ありがとうな・・・てかまだお姉ちゃんって呼ぶのか?」
「なんだかこれで定着してしまって・・・」
「別に良いではないか、呼び方位好きにしてても」
「そうですね、ところで作者さん、次回はアフターストーリーですか?」
ああ、ちゃんとアフターは書くから安心してくれ。
「そりゃよかった・・・てかこの段階でばらすのか」
アフターで書いたら確実に浮くから後日談として書いたんだ、反省はしない。
「まあそれでいいか・・・ところで俺男ってバレたから服を男物に変えても・・・」
却下します。
「だと思ったよ畜生!!」
それじゃあそろそろ〆るか、ほら真そんなところで落ち込んでないで〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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戦姫転生ゼロフォギアGX編 after story

さぁGX編アフターストーリーの時間だ!
「作者、寿司何喰う?」
サーモンで!
「あいよ、響醤油取って」
「はいどうぞ」
「前回はBBQで今回は寿司か・・・懐大丈夫なのか?」
「案ずるな雪音、司令も出してくれているとのことだ」
「せっかくの祝い飯だ、たらふく食おうぜ」
「調!このお寿司美味しいですよ!」
「切ちゃん、こっちも美味しいよ」
「マリア姉さん、卵取ってくれないかな?」
「ええいいわよ、貴方達も何か取ろうかしら?」
「うちは穴子を頼む!」
「あっじゃあ私はブリで・・・キャロルちゃんは?」
「そうだな、ハマチを貰おうか」
「僕はイクラを」
よしよし、じゃんじゃん食えよ。
「ところで作者さん、今日はほかにも何かあるんですよね?」
おっとそうだった、サンキュー未来、みんな食いながら聞いてくれ。
『?』
2020年、2月11日から始まったこの作品、数々の物語を書き、時にはコラボも書いた、そしてオリキャラも出したこんな作品だが・・・





今回を持ってついに投稿100本目を迎えました!!
『おおーーー!!』
此処までこれたのも視聴者皆さんのお陰です!本当にありがとうございます!それでは記念すべき投稿100本目のGX編アフターストーリーどうぞ!


ストーリー①:魔法少女事変その後

 

 

 

真の正体が知られてから数日が経った夜遅く、真達が自宅の改築中S.O.N.Gで寝泊まりをしている中、真はキャロル達の研究室に来るとキャロル、エルフナイン、紫苑、桃恵の四人が作業をしていた。

 

「四人共、遅くまで何やってるんだ?」

 

「あっ、お母さん!」

 

エルフナインとキャロルを養子に加えてから話し合いの結果、真のことをエルフナインはお母さん、キャロルは母さんと呼ぶことにした。

 

なお真はこの言葉を聞いた後悶えたとのことだが、もう慣れたよう。

 

「母さんか、今テレポートジェムの制作に取り掛かっているところだ」

 

「テレポートジェムって、お前らが良く使っていたあれか?」

 

「はい、職員の皆さんが使えるようになれば生存率も高まると思って司令に相談したところ許可を得てこうして制作しています」

 

「なるほどな・・・確かにあれが使えればぐっと楽だ、でもそんな簡単に作れるのか?」

 

「安心せい、うちらにかかればこの程度たやすい物じゃ」

 

「実際キャロルちゃん達が使っていたジェムは私とお姉ちゃんが作っていたんです」

 

「そうだったのか、すごいな」

 

真が感心していると、ふと視界の端に何かが映った。

 

「・・・なあ、あいつらって」

 

真が指さしたのは四体の人形、その顔に見覚えのある真の質問にエルフナインが答えてくれた。

 

「あれはオートスコアラーの素体です」

 

「やっぱガリィ達か・・・」

 

「うむ、シャトー跡にて無事な素体の部品を集め、それらを組み合わせこうして四人分の体が出来たわけじゃ」

 

「記憶結晶はまだ持ってますが、起動させるにはまだ時間がかかります・・・けど起動させることができれば四人共ちゃんと動いてくれますよ」

 

「そうか・・・その時が楽しみだな」

 

「はい!四人共起きた時、楽しい思い出を言えるように頑張ります!」

 

「ああ、頑張れよ」

 

五人は他愛ない話をしながら、夜は更けていった。

 

 

 

ストーリー②:NEW真宅

 

 

 

さらに数日が経ち、弦十郎から改築が終わったと報告を受け真達は自宅へと向かっていた。

 

「・・・なあクリス」

 

「なんだ?」

 

「俺ん家って普通の一軒家だったよな?」

 

「・・・ああ」

 

「・・・それが何でこんな豪邸になってんの?」

 

真の言う通り、真の家は以前の一軒家とは違い、大きな家となっていた。

 

「まあ改築にはフィーネと緒川さんが関わっていたから・・・」

 

「だからってここまで大きくなるか普通!?見てみろ、あまりの大きさにセレナ達が驚きで固まってるぞ!」

 

真の言葉通り豪邸を見てセレナ、切歌、調、エルフナインが目を丸くして茫然としていた。

 

「・・・とにかく、中を確かめたらどうだ?」

 

「そうだな・・・てかマジでどうやったんだあの人ら」

 

頭を抱える真はみんなと共に新たな自宅へと入っていった。

 

 

 

中に入ると、室内はいつもの倍以上の大きさになっており、真、キャロルを除いたみんなは家の中を探索していった。

 

「・・・どうやったらただの改築でここまでになるんだ?錬金術?」

 

「錬金術でもここまでできんわ!」

 

真とキャロルが頭を抱え近くのソファに座る中、突然呼び鈴が鳴り響いた。

 

「ん?誰か来たのか?」

 

「みたいだな、今出ます」

 

真が玄関を開けると、そこには響達が立っていた。

 

「こんにちは真さん!改築が終わったと聞いてきました!」

 

「響か、それに未来まで」

 

「お邪魔します、それにしても大きな家になりましたね」

 

「ああ、今それで頭抱えてるんだよ・・・」

 

「真さん、大丈夫ですか?」

 

「まぁなんとか・・・まっ上がれよ」

 

真は二人を招き入れると、ちょうどみんな集まっていた。

 

「あら貴方達、いらっしゃい」

 

「お邪魔します!」

 

「真さん!この家の見取り図を手に入れたデス!」

 

「おっナイスだ切歌」

 

切歌が持ってきた見取り図を机に広げみんな図面に注目していた。

 

「・・・五階建てにもかかわらず地下まで存在するのかよ」

 

「あっ、地下の一部は研究室になってるみたいです!」

 

「そのほかにも・・・訓練室まで完備されてるようじゃな」

 

「部屋もたくさんありますね、これって掃除が大変そうですね」

 

「だな・・・掃除ロボットでも購入しようかな?」

 

真が今後のことを思案する中、響は家全体を見ていた。

 

「ふむふむ・・・これだけ広かったらみんな住んでも十分ですね」

 

「むしろおつりがくるな・・・・・・ん?みんな?」

 

真は響の言葉に振り返る。

 

「響、皆ってどういうことだ?」

 

「あっえっと・・・こういう事です」

 

そう言って響は一つの手紙を差し出す、差出人は弦十郎だった。

 

「・・・まさか」

 

真は冷や汗をかきながら手紙を確認した。

 

『真君へ。数日に及ぶ改築すまなかった。今回の改築のお陰で多くの部屋が出来ているだろう、そこで俺は装者、並び仮面ライダー達の同居を提案した。今後さらなる敵が現れるかもしれない中響君と未来君が学園の寮に、奏君がアパートに住まうのはリスクが高いと踏んだ結果、戦力を一点に集めることにした。響君、未来君のご両親には話をつけているので安心したまえ。 弦十郎』

 

手紙を読み終えると、真はギギギッと首を響に向けた。

 

「・・・マジで?」

 

「はい、もう少ししたら荷物が送られ来ますので」

 

「じゃあこれからは皆さん一緒なんですね!」

 

「はい!今日からよろしくお願いします!」

 

「うむ!よろしくじゃ!」

 

「よしっじゃあ早速部屋割りを決めましょう!」

 

「あたし調と一緒の部屋がいいデス!」

 

「あっじゃあ僕はこの部屋で・・・」

 

「ちょちょちょ、ちょっと待て!?」

 

皆が部屋割りを決めようとしたところで真が呼び止める。

 

「どうしたんですか?」

 

「いやどうしたんですかって・・・お前らは良いのかよそれで!?俺一応男なんだぞ!?」

 

「大丈夫です!私達真さんのこと信じてますから!」

 

「いや、信じてるって言われても・・・」

 

「真さん、こういった響は後を引かないことを知ってますよね、だから諦めてください。それにこの提案を受けて最初に受け入れたの・・・」

 

「未来!!私たちは同じ部屋にしようか!!」

 

「あ~はいはい」

 

響達が部屋割りを決める中、真は手紙を見ながら一つの決心をした。

 

(・・・よし、弦十郎さんをメタルクラスタで潰そう)

 

真はそう決心し、静かにソファに座って黄昏た。

 

後日、S.O.N.Gのトレーニングルームで地面に埋まる真を響達が発見したのは別のお話・・・。

 

 

 

ストーリー③:完・全・再・誕

 

 

 

真宅が改築してから再び数日が経った頃、真はフィーネに呼ばれて研究室にまで来ていた。

 

『いらっしゃい、急に呼び出してごめんなさいね』

 

「櫻井さん、急に呼び出してどうしたんだ?」

 

『大丈夫、すぐに終わる用から、じゃあエルフナインちゃん早速』

 

「はい、わかりました!」

 

そう言ってエルフナインが近くに置いてあった布をかぶせている巨大な何かの布を取り払うと、そこには巨大な何かが置かれていた。

 

「櫻井さん、これは一体?」

 

『これは改築の合間にエルフナインちゃん達に頼んで作ってもらった培養装置よ』

 

「培養装置?」

 

『まぁ、中を見ればわかるわ』

 

そう言ってフィーネに進められるように真は培養装置に取り付けられている小窓から中を見る。

 

中に入っていたのは、眼を閉じて緑色の液体に包まれているフィーネだった。

 

『ッ!?』

 

それを見て驚いた真は隣にいるフィーネと何度も見比べた。

 

「えっはっ!?何で櫻井さんが二人も!?」

 

「いえ、正確にはそちらに入っているのは了子さんのホムンクルスです」

 

真の疑問にエルフナインが答えてくれた。

 

「ホムンクルスって・・・エルフナインと同じあの?」

 

「はい、前々から了子さんと話をしていて、了子さんの代わりの肉体を作り出せばそこにプログライズキーに組み込まれている魂を移すことができるんじゃないかと」

 

『そうよ~、私の細胞に関しては極秘だけど何とか手に入ってね、そこから私のホムンクルスを制作を開始したのよ』

 

「最初はうまくいきませんでしたが、キャロル達のお陰でここまで行くことが出来ました!」

 

「ああ、だから最近キャロル達眠たそうにしてたのか・・・んで、肝心の魂を移す方法は?」

 

真が尋ねると、二人はすぐさま眼を逸らした。

 

「・・・おい?」

 

『いえね・・・ここまで進んだのだけど一つだけ問題があってね、それが魂の転写方法なのよ』

 

「キャロル達と研究してますが、未だプログライズキーの性質は理解できていません・・・」

 

「まぁ、神様の作ったものだからな、そう簡単にわかるわけ・・・」

 

その瞬間、真のライズフォンに電話が入って。

 

「・・・噂をすれば」

 

真は電話の相手を察知しすぐに電話に出る。

 

「はい、もしもし」

 

『ヤッホー、なんだか楽しそうなことしてるわね』

 

「やっぱあんたか、んで何の用だ?」

 

『そうそう、魂の転写方法なんだけど、一応あるわよ。とりあえずスピーカーモードにしてくれないかしら?』

 

そう言われ、真はスピーカーモードにして皆に聞こえるようにした。

 

『それで転写方法だけど、簡単な話真君のドライバーを使えばいいのよ』

 

「お母さんのドライバーですか?」

 

『そっ、真君のドライバーをフィーネの体に身に着け、そこにフィーネのキーを装填すれば行けると思うわよ』

 

「そんなことできるのかこのドライバー・・・ってか俺以外でも使えるのかよ」

 

『今回だけの特例よ、普通はほかの人には使えないんだから、それじゃあ私はこの辺で』

 

そう言って電話が切れる。

 

「あ~どうします?」

 

「「やりましょう」」

 

「即答かよ」

 

真は即答に驚きながらもドライバーを取り出してエルフナインに渡すと、エルフナインはすぐにホムンクルス体にドライバーを身に着け、所持していたフィーネのキーを装填する。

 

ドリームライズ!

 

その瞬間、近くで浮かんでいたフィーネがドライバーに吸い込まれホムンクルスの体が光り出す。

 

「うわっ!眩しっ!?」

 

光は輝き続け、少しすると輝きが消える。

 

「眼が・・・大丈夫か、エルフナイン」

 

「はい・・・なんとか、それより了子さんは!?」

 

二人が辺りを見ると突然培養装置が開きだし、中から緑色の液体が溢れだす。

 

二人が視線を向けると、装置の中から一人の女性が装置から出てきて、長い金色の髪についた液体を払いのけ、高らかに叫んだ。

 

「私はフィーネ、何度でも再誕する永遠の巫女、フィーネよ!」

 

フィーネの完全な復活に二人は驚いていた。

 

「やりましたね了子さん!」

 

「マジかよ・・・マジで復活しやがった」

 

「ええ、こうして再び肉体を持てたのもエルフナインちゃん達のお陰よ、ありがとう」

 

「いえ、了子さんには何時も手伝ってくれましたから」

 

「まあな・・・それよりこの件みんなにどう伝えるんだ?」

 

「大丈夫よ、みんなちゃんと受け入れてくれると思うから」

 

フィーネがそう言うと、廊下の方からたくさんの足音が聞こえてきた。

 

「ほら、ちょうどよく来てくれた」

 

「ああ、何だろうこの後の展開が目に浮かぶな・・・」

 

その後、みんながやって来てフィーネが復活したことの驚いたのは、また別のお話。

 

 

 

ストーリー④:姉妹

 

 

 

翼達が英国に向かう前、トレーニングルーム内にて、ルーム内ではただならぬ空気が流れていた。

 

その中で真とマリア、切歌、調が変身しギアを纏った状態で向かい合っていた。

 

「・・・行くぞ」

 

「ええ、お願い」

 

マリアがそう言うと、真はプログライズホッパーブレードを構え三人に向かって走り出しドライバーに認証させた。

 

ファイナルライズ!

 

刀身が銀色に包まれると、真はそのまま三人を切りつけた。

 

ファイナルストラッシュ!

 

切りつけると三人は銀色の光に包まれ、少しすると光は消え三人は立ったままだった。

 

「どうだ!?」

 

真が叫ぶと、近くにいたエルフナイン達が装置を見る。

 

「・・・フォニックゲイン、出力安定」

 

「三人の体に異常はない・・・うまくいったようだ」

 

キャロルの言葉にみんな安堵の息をつき、四人は変身を解く。

 

「はぁ~、これでマリア達もLINKERなしでギアを纏えるわけか」

 

「はい、大丈夫です」

 

「しっかし、いきなりマリア達が『私達を切って』と言った時はとうとう頭が・・・って思ったが」

 

「それは言わないで!私も言葉足らずだったのは気にしてるから!」

 

「あの時、真さんがその剣で未来さんを切ったら未来さんが正規の装者になったからもしかしたらと思って頼んだけど」

 

「マリアの予想は的中デスね」

 

「ああ、これでお前らも響達同様正規の装者になったわけだな」

 

「ええ、あらためて感謝するわ、継菜真」

 

「どういたしまして」

 

マリア達が正規の装者になった後、みんなは休憩室に戻るとそこには紫苑と桃恵が座っていた。

 

「お疲れ様じゃ、どうじゃった?」

 

「うまくいったよ、これで三人も正規の装者だ」

 

「おお!それはよい事じゃ!」

 

「おめでとうございます、マリアさん、切歌さん、調さん」

 

「ええ、ありがとう二人共」

 

皆が談笑していると、切歌と調の二人はジッと紫苑と桃恵を見ていた。

 

「「ジーーーッ」」

 

「ん?どうしたんじゃお主ら?」

 

「・・・前々から思ってたんですけど、紫苑さんって姉なんですよね?」

 

「うむ、その通りじゃが」

 

「じゃあ何で紫苑さんより桃恵さんのほうが背がおっきいんデスか?」

 

「あっそれ俺も気になってた、まさかそれも錬金術的な?」

 

「いや違うぞ、これはうちの努力の結果じゃ!」

 

『努力の結果?』

 

皆が疑問を浮かべると、桃恵が口を開く。

 

「えっと、私たちがキャロルちゃんに拾われてから食事に関してはキャロルちゃんが用意してくれてたんです」

 

「ああ、俺は錬金術で食事を必要としないが、二人は錬金術を知らないただの人間だからな、もちろん食事をとらせていたさ」

 

「キャロル料理出来たんだ・・・それで?」

 

「それでお姉ちゃん、自分はあまり食べずによく私に多く食べさせてくれたんです」

 

「えっ、そうなのか?」

 

「うむ、桃恵はうちの唯一の肉親にしてうちの大切な妹じゃ、そんな妹に元気に育ってほしいと思ってうちは食べるのを我慢して桃恵に多く食事をとらせていたのじゃ」

 

「もちろん、最初はやめてって言ったんだけど、それでもお姉ちゃんやめてくれなくて・・・」

 

「当然じゃ、姉にとって妹は大切な存在、そんな大切な妹には元気に育ってほしいと思うものじゃろう」

 

紫苑の言葉にマリアは立ち上がり紫苑の手を握る。

 

「如月紫苑!貴方のその気持ちすごくわかるわ!」

 

「あっシスコンが発症した」

 

「私のとってもセレナは大切な妹!そして切歌と調も私にとって大切な妹当然の存在!そんな三人が元気に成長してほしいといつも思っているわ!」

 

「おおっ!お主もそう思ってくれるのじゃな!」

 

「ええ!あなたの妹さんを思うその気持ちよくわかるわ!」

 

その後も、マリアと紫苑は姉談議で盛り上がった。

 

「なるほどな、それで紫苑の背はそんなに小さいのか」

 

「うむ、そこに関してはうちも気にしててのう、小さいままではいかんと思って背を伸ばす努力はしたのじゃがうまくいかなくてな」

 

「そうなのか?」

 

「うむ、こう見えて牛乳は毎日よく飲んでおるのじゃが一向に背が伸びなくてのう、やはり牛乳で大きくなるのは迷信じゃったか?」

 

「・・・そうですね、牛乳で背が伸びるのは迷信かもしれませんね」

 

そう呟く調の眼はどこか死んだ魚のような目だった。

 

真はそのことに気が付きどうしたのかと見ていると調の視線が紫苑に向かっていることに気が付く。

 

正確には紫苑の胸部だったが、それに気づいた真はそっと視線をそらし見なかったことにした。

 

 

 

ストーリー⑤:宿題

 

 

 

夏休みのある日、真、未来、クリスは宿題を終わってない響、切歌、調の宿題を見ていた。

 

「ったく、宿題位終わらせとけよな・・・」

 

「だって、このところ戦闘ばかりでしたから・・・」

 

「だからって宿題が出来ませんでしたで先生許してくれないよ」

 

「そういうこった、叱られたくなきゃペンを走らせろ」

 

「とはいっても、流石にこの量は厳しい・・・」

 

「もう頭が爆発寸前デス・・・」

 

三人はひぃひぃ言いながらも宿題を進めるが、所々の問題で詰まってしまっていた。

 

「えっと・・・この問題の式ってどう求めるんでしたっけ?」

 

「うーん、私もここ解けてないの、真さんは?」

 

「俺もだな、クリスは・・・ってクリスの方も大変そうだな」

 

「ああ、英文に困っててな」

 

「えっと・・・この単語の意味は・・・」

 

「えっと・・・ええっと・・・」

 

「何を騒いでおるんじゃ?」

 

六人が悩んでいると、紫苑と桃恵が階段から降りて来た。

 

「あっ紫苑、桃恵、いや今三人の宿題を見ててな、問題の答えがわからないんだ」

 

「宿題ですか?」

 

そう聞くと二人は三人の宿題を覗き込む。

 

「ああ、この式はこうすれば解けますよ」

 

「この英文はこう訳せるぞ」

 

二人は三人の宿題の答えを答えをすぐに書きだした。

 

「これで良し・・・ってどうした、豆鉄砲喰らったような顔をして?」

 

「いや・・・お前ら頭いいんだな、特に紫苑」

 

「当然じゃ!うちらとて錬金術師の端くれ、これぐらい解けても当たり前じゃ!」

 

「ふふっ、実はこう見えて私よりお姉ちゃんのほうが頭いいんです」

 

「そうなんですか!?でも紫苑ちゃんよく変な言い方をしますよね?」

 

「ああ、仮面ライダーの言い方もおかしかったし」

 

「うむ・・・英文自体はすぐに解けるんじゃが、うちは英語を発音するのが苦手でな、それであのような珍妙な言い方になるのじゃ」

 

「そうだったんですね」

 

「けど、発音が苦手なだけで言えない訳じゃないんです、だから頑張ろうねお姉ちゃん」

 

「うむ、そうじゃな、英文を発音よく言えるようになるのがウチの宿題じゃな」

 

「・・・結局何歳になっても勉強は必要なんですね」

 

「そういうこった、ほら宿題を進めるぞ」

 

そうして紫苑と桃恵の手助けもあって、始業式前には終わらせることができた。

 

 

 

ストーリー⑥:異変

 

 

 

しばらく経った頃、再び真の元に荷物が届いた、差出人は再び神だった。

 

「・・・今回はアップデートキー、それにこいつらも戻って来たか」

 

中に入っていたのはいつものアップデートキー、そして紫色とピンク色のプログライズキーだった。

 

少し前、真の正体がばれたすぐ後、再び神から連絡が来て紫苑と桃恵のフォースライザーをノイズと戦えるように強化したいと受け、二人の許可を得て強化してもらっていた。

 

真は荷物の中に入っていたキーを手に取り、すぐさま認証させる。

 

アップデート開始

 

認証させ、しばらくしてアップデートが終える。

 

アップデート完了

 

アップデートを終えると、神から電話が来た。

 

「はい神様、荷物はちゃんと届いたぞ」

 

『そうみたいね、それじゃ早速要件を言うわね、ちゃんとフォースライザーの強化は済ませてあるからこれで二人もノイズと戦えるわね』

 

「おう、ありがとうな」

 

『それで肝心の真君の強化なんだけど・・・もうしばらく待ってくれないかしら?作成に難儀してて』

 

「おっそうか、そういう事ならわかった」

 

『ごめんなさいね、真君』

 

二人が話していると、扉が開き紫苑、桃恵、キャロルがやって来る。

 

「真、うちらのどらいばぁは届いたか?」

 

「オッちょうどいいところに、ちゃんと強化されて戻って来たぞ」

 

そう言って真はライズフォンをスピーカーモードにしてから二つのキーを二人に渡した。

 

「真さん達と同じタイプにしたんですね」

 

『ええ、ちゃんとあなた達のキーも入っているから安心してね』

 

「おおっ!感謝するぞ神よ!」

 

『いえいえ、それよりキャロルちゃん、貴方に聞きたいことがあるのだけど』

 

「んっなんだ?」

 

『貴方、いったいどこでフォースライザーを手にしたの?』

 

何時になく真剣な神の声とその質問に真は息を呑んだ。

 

『本来仮面ライダーの力はこの世界には存在しない力、ドライバーを作れるのは私しかいないはず、なのにどうしてあなたが持っていたの』

 

「・・・確かに、そこは俺も気になっていた。二人は転生者じゃないから一体どうやってと思ってたんだ・・・どうなんだ、キャロル」

 

神と真の問いにキャロルは少し思案した顔をして、そして口を開いた。

 

「・・・貰ったんだ、二つともな」

 

「『貰った?』」

 

「ああ、正確にはおまけでな」

 

「おまけ・・・どういうことなのじゃ?」

 

「紫苑達と出会うしばらく前、俺はとある連中にチフォージュシャトーの建造を支援してくれたんだ」

 

「支援!?」

 

「ああ、その時フォースライザーもおまけで貰ったんだ」

 

衝撃の真実に四人は驚いていた。

 

「・・・それで、誰に支援されてたんだ!?」

 

真の問いに、キャロルは口を開く。

 

「その連中の名は・・・」

 

 

 

時を同じくして、別の国。

 

とある建物に、二人の人物がいた。

 

一人は白いスーツを着た男性。もう一人も白いスーツを着た白髪の女性だった。

 

「さて、順調のようだね、計画は」

 

「はい、現在『例の物』を捜索中、しばらくすれば見つかるかと」

 

「それはいい、早く見つけ出さないとね、彼女を」

 

男はそう言ってワイングラスを片手に持つ。

 

「報告は良いよ、君も行きたまえ、彼女の捜索に」

 

「・・・承知しました」

 

そう言って女性は部屋から出ると、部屋の外で二人の女性が立っていた。

 

一人は白髪の女性と同じ背丈の水色の髪の女性、もう一人はカエルのぬいぐるみを手にしている背丈の小さい女性だった。

 

「お疲れさま、■■■■■■■」

 

「お疲れなワケだ」

 

「■■■■■■、■■■■■■」

 

三人の女性は横に並び話をする。

 

「・・・どうだった」

 

「睨んだ通りよ、あいつ裏でとんでもないことをしてるわ」

 

「人間を使った非人道的な実験、人を人とも思わぬ所業、そしてそんなあいつについて行く信者達・・・はっきり言って異常なワケだ」

 

「やはりか・・・」

 

「今はあーしらの権限である程度は抑えられているけど、このままじゃあいつの思うつぼよ」

 

「分かっている、やはりあれしかないな」

 

「あれ・・・と言うと?」

 

背の小さい女性が尋ねると、白髪の女性は二人に耳打ちすると、二人は驚愕の顔をした。

 

「ええ!?それってマジ!?」

 

「・・・それは本当なのか?」

 

「ええ、私は本気よ・・・二人共、協力してくれないかしら」

 

その言葉に二人は顔を見合わせると、決心した表情で頷いた。

 

 

 

部屋で一人残った男は、ワイングラスを手に窓の外の景色を見ていた。

 

「・・・もうすぐだ、もうすぐ力が手に入る、その時こそ」

 

男はそう言ってワイングラスを持ち上げると、グラスに入っている赤ワイン越しに男は怪しく微笑んだ。

 

「神に至る時だ」

 

再び一つの物語が終わった。

 

そして、再び新たな物語が始まろうとしていた。

 

それは神の物語。

 

だが、物語の歯車は・・・もうすでに狂っていた。




さあ後書きの時間だ!
「では改めて、戦姫転生ゼロフォギア投稿100本目」
『おめでとうございます!』
ありがとう!ありがとうみんな!
「まさかこの作品が100本も行くとはな・・・感慨深いぜ」
自分もまさかこんな瞬間を迎えれるとは思わなかった。
「それで作者さん、記念すべき100本目ですけど何するんですか?」
ああ、もう決まってるんだ、ズバリこれだ!

『100本投稿記念:質問コーナー』

この作品を投稿した後、活動報告にて質問を募集します。
「基本どんな質問でも構わないけど、作者の個人情報や物語のネタバレになるかもしれない質問はやめてください」
「質問等は今後の物語の後書きにて返信していきます」
質問は一人で幾らでも構いません、その方が張り合いあるからな。
「期限はないから安心してくれ・・・というかこの作品に質問とか来るのかな?」
それ言わないで!
「ま、まぁこんな感じです」
長くなりましたが、100本記念の質問コーナーはこんな感じです。
「それじゃあそろそろ〆るか、次回の準備をしないといけないし」
おっそうだな、それじゃあいつもので〆るか。

『それでは第四期をお楽しみに!』


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AXZ編
バルベルデ地獄変



さあ今回からAXZ編のスタートだ!
「AXZの始まりが100話目というところが感慨深いな」
「だな。んで作者、今期の真の衣装はどんな感じなんだ?」
ああそうだな、今期の真の衣装はこいつだ!

トップス→インナーは紺色、上着は蛍光イエローにどこぞの世界の破壊者を連想させるような黒いラインが入ったウインドブレーカー
ボトムス→黒のタイツに同じく黒のミニ丈キュロットスカート、履き物はマットな質感のブラウンのロングブーツ

こちらの衣装はフォレスト643さんが考えてくれた衣装です。
「真お姉ちゃん、結局女物の服着るんですね」
「しゃあないだろ、家にある服女物しかないんだから」
「なら新しく買いなおすのか?」
「いや、もうなんだかめんどくさくなったからこのままでいいわ」
「真さん、なんだか諦めた眼をしてますね・・・」
まぁ100話も続いたら心折れるだろうな・・・てなわけでさっさと始めるか、AXZ編第一話、張り切ってどうぞ!


夏休みのとある日、響達が登校日で学校に行っている間、真は自宅の地下でセレナと特訓をしていたが、今日の真は何か考え事をしていた。

 

「・・・どうしたんですか、真お姉ちゃん?」

 

「ん、いや・・・なんだか近頃神の様子がおかしくてな」

 

「神さまって、支援者さんの事?」

 

「ああ・・・」

 

最近神の様子はおかしく、結構頻繁に真の様子を尋ねたり、前よりも電話をかけてきたりしていた・・・まるで真の身を心配するかのように。

 

「うーん、考え過ぎではないですか?」

 

「・・・だと、いいんだけどな」

 

そんな時、真の持つライズフォンとセレナの通信機に連絡が入ってきた。

 

「っ!はい弦十郎さん」

 

『二人共!至急本部まで来てくれ!』

 

そう言って連絡が切れる。

 

「いきなり緊急招集!?」

 

「とにかく行くぞ!」

 

真達が外に出ると、外ではS.O.N.Gのヘリが待機していてすでに紫苑と桃恵が乗っていた。

 

「お主ら!早く向かうぞ!」

 

「乗ってください!」

 

二人もヘリに搭乗しすぐに本部へと向かった。

 

これが、新たな物語の始まりだった。

 

 

 

 

 

時と場所を飛ばし日本から離れたとある国、その森の中に軍隊と多くの兵器があった。

 

「隊長!全部隊準備完了しました!」

 

「よし・・・これより、作戦を開始する!」

 

隊長の掛け声に軍隊が叫んだ瞬間、離れた場所で爆発が起きる。

 

「っ!?なんだ今のは!?」

 

「隊長!西側に配置していた対空砲が突然破壊されました!」

 

「なんだと!?原因は!」

 

「原因は不明!現場にいた兵士からの話では、突然対空砲が両断されたのこと!」

 

すると再び別方向から爆発が起き、別の兵士がやって来る。

 

「隊長!東側の対空砲が突然破壊されました!」

 

「またか!いったいどうなっている!」

 

「分かりません!いきなり対空砲に穴があけられそのまま・・・!」

 

兵士達が慌てていると、再び北側と南側からも爆発が起きる。

 

「北、並びに南側の対空砲、すべて破壊!対空砲が無くなりました!!」

 

「ば、ばかな・・・一体どうなっている!?」

 

隊長が困惑していると、草陰から何かが飛び出してきた。

 

「っ!?今度は何だ!!」

 

慌てて見るがそこには何もない・・・と思った瞬間、何もないところから何かが現れる。

 

「なっ!?貴様らは・・・!?」

 

そこにいたのは、バイクに搭乗したギアを纏った翼と未来、そしてライズホッパーに搭乗した変身した真と奏だった。

 

そう、先ほどまで未来の神獣鏡のステルス能力と、真のディシービングフォックスフォームで互いの姿とバイクを隠し、翼と奏が武器で対空砲を破壊していたのだった。

 

「シンフォギア装者・・・そして仮面ライダー!!」

 

「そういうこった、出番だ三人共!!」

 

真が叫ぶと、上空に響とクリス、そして緒川が乗った大凧が現れる。

 

『使用BGM 激唱インフィニティ』

 

いざ飛ばん!

 

Let`s fly

 

 

いざ行かん!

 

Let`s fly

 

明日

 

最上のシンフォニック 声を「ひとつにたばね!」

 

響達がやって来たのを確認してから真達も奥へと向かい、響達は上空から敵の基地を視認していると、地上の戦車から機銃が連射され、当たる前に三人は大凧から降りる。

 

に夢

 

Let`s fight

 

あるか?

 

アツイ歌

 

Let`s fight

 

あるのか?

 

降りる際、緒川が地面に向かって煙球を放ち敵の視界を遮ると困惑する軍隊を真と奏、そして降り立った緒川が気絶させる。

 

ほとばしる程

 

 

強き熱

 

爆ぜ

 

「くっ・・・何をしている!さっさとやつらを繰り出せ!」

 

隊長が叫び、地面に埋められていた装置が起動すると、装置から結晶が飛び出しそこから大量のアルカノイズが出現する。

 

無限大のソウルが

 

手と手を繋ぐよ

 

激唱インフィニティ

 

繰り出されたノイズを倒していきながら六人は敵へと向かって行く。

 

敵は戦車と機関銃を繰り出し、真達に向かって放つが、翼の斬撃で機関銃の弾幕が全て切り裂かれ、奏のオーソライズバスターの射撃で戦車の砲弾が撃ち落とされる光景を見て兵士達が青砥を引く前に二人は戦車の砲身を破壊する。

 

RED ZONE ガン降りしてねじ込むコブシ

 

続いて響に向かって砲弾が放たれるが、響は砲弾を体術で受け流してしまう。

 

一片の曇りなく防人(さきも)れる剣

 

今度は真に向かって砲弾が放たれるが、真はライジングホッパーに切り替わり砲弾を蹴り飛ばしてしまう。

 

ゼロ距離でも恐れなく踏み込めるのは

 

翼は両足のスラスターを展開しアームドギアを手に縦に高速で回転し、その勢いで敵の戦車を切り裂く。

 

無双三刃

 

背中を託して

 

(つが)える

 

君を感じるから

 

クリスは両手のボウガンで周りのノイズを一掃していく。

 

二度と

 

こない

 

今日に後悔

 

なんてしない為に

 

「一斉射撃!」

 

敵の兵は一人孤立したクリス目掛けて機関銃による一斉射撃とロケットランチャーを繰り出す。

 

闇さえも

 

ハートの

 

チカラへと

 

クリスに直撃する前に未来が間に割込み、手に持つ扇を展開し一斉射撃とロケットランチャーを防ぐ。

 

「なっ・・・!」

 

敵が唖然とする中、未来はクリスに向かって微笑み、それに答えるようにクリスも微笑む。

 

食い縛る痛みも握って

 

 

Let`s fly

 

 

 

Let`s fly

 

思い

 

クリスは自分に撃って来た敵の機関銃に向けてボウガンを連射し全て撃ち落とし、敵は逃げていく。

 

どんなにも離れても 君へ「ゆうきをちかう!」

 

残る戦車が響と真に向けて砲撃を繰り返すが、砲撃は全て受け流される、もしくは蹴り飛ばされてしまい二人は少しずつ前進する。

 

 

Let`s fight

 

 

 

Let`s fight

 

覚悟

 

迫ってくる二人に対し戦車は後退していくが、それを見た真が接近し車輪を蹴り壊す。

 

何度涙を

 

 

何度血を

 

 

もう一方の戦車の車輪も破壊すると、その上に響が立ちキューポラを掴む。

 

愛と呼べる日々まで

 

築いたと思うか?

 

激唱インフィニティ

 

響が力を籠めると、キューポラは車体から取り外され搭乗していた兵士が現れる。

 

「あ・・・あんまりだ!?」

 

兵士達はその光景にすぐさま逃げ出してしまう。

 

先程車輪を破壊した戦車が響に砲身を向けるが、向けた瞬間真の蹴りで砲身が曲がり使い物にならなくなってしまう。

 

「ありがとうございます!」

 

「気にすんな、行くぞ!」

 

S.O.N.Gの方でも、響達の活躍を確認していた。

 

「敵戦力の消耗率、34%!」

 

「昨晩、対戦車用に視聴していた映画の効果が覿面です」

 

「いや、映画ごときで此処まで行くか?」

 

キャロルが突っ込むと周りの人達も苦笑いをする。

 

「国連軍の上陸は15分後!それまでに迎撃施設を無力化するんだ!」

 

戦場ではクリスと未来が周りのノイズを倒していく中、近くの戦車から砲撃が二人に向けて放たれる。

 

二人が気が付き防御する瞬間、真が飛び出しプログライズホッパーブレードを繰り出す。

 

ファイナルストラッシュ!

 

武器を振るうと飛び出した飛電メタルが砲弾に群がり、中の火薬ごと砲弾を分解してしまう。

 

「今だ!」

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

真の掛け声で響が戦車の横から飛び出し全力で戦車の横っ腹を殴り飛ばし、戦車が横に倒れると、中にいた兵士達が逃げ出す。

 

「防衛ラインが瓦解します!このままでは・・・!」

 

それを見た敵の隊長はどこかへ行ってしまう。

 

「隊長!どちらへ!?」

 

真達が集まると、敵の基地から光が空に伸びるのが見えた。

 

「っ!なんだ!?」

 

すると上空に陣が生成され、そこから巨大な飛行戦艦が出現した。

 

「空に・・・あんなのが!?」

 

「あれが敵の切り札って事か」

 

すると六人の近くにヘリが降り立つ、その上にギアを纏ったマリア、調、切歌、そして変身したセレナ、紫苑、桃恵が立っていた。

 

「貴方達!ぐずぐずしてないで追うわよ!」

 

『了解!』

 

真達もヘリの上に乗り飛行戦艦へと向かう。

 

飛行戦艦内では迫ってくるヘリをレーダーで捉えていた。

 

「ふっ、ヘリか・・・ならば直上からの攻撃は凌げまい」

 

隊長がボタンを押すと、飛行戦艦の底に取り付けられていたものがヘリに向かって落下し、大爆発を起こす。

 

「やったぜ狂い咲きぃ!!」

 

隊長が喜ぶが、レーダーにはまだヘリの反応があった。

 

それもそのはず、ヘリの上で真達が爆撃からヘリを守っていたのだった。

 

100万回倒れてもへいきへっちゃら

 

起き上がる理由(わけ)がある 大地を蹴り込み

 

「シンフォギアを仮面ライダーで迎え撃っただと・・・なら、非常識には非常識だ!」

 

隊長が再びボタンを押すと大量のミサイルがヘリに向かって放たれる。

 

100万と1を天に歌を翳して

 

前を向いた先

 

にだけの

 

「答え」を教える

 

迫って来るミサイルをクリスのガトリングと未来の光線、マリアの短剣と切歌の『切・呪リeッTぉ』と調の丸鋸、奏のオーソライスバスターとセレナのアタッシュアローで撃ち落としていく。

 

真の

 

敵は

 

何時だって自分の

 

心の中にある

 

武器を持つ

 

意味を

 

噛み締めて

 

「立花!継菜!殿は皆に任せるんだ!」

 

『了解!』

 

殿をみんなに任せ翼、響、真の三人は飛び交うミサイルを足場に飛行戦艦へと向かって行く。

 

特大の情熱でブッ込め

 

たれよ!

 

Let`s fly

 

 

 

Let`s fly

 

果てまで

 

「こっちで私たちが抑えますから、他のヘリは戦線を離脱してください!」

 

未来の掛け声で三人が下りたヘリが戦線を離脱する。

 

超絶のレゾナンス 此処に「せかいをかえろ!」

 

抱きしめたい

 

Let`s fight

 

希望

 

抱きしめたい

 

Let`s fight

 

 

逃げるヘリを追いかけるミサイルをクリス達が撃ち落としていくが、数が多く自分たちにも迫っているのもあって数発撃ち逃してしまう。

 

ぐっと突き出す

 

 

眠ってる

 

 

逃げないあきらめない

 

音よ鳴り響け

 

激唱インフィニティ

 

ヘリは迫るミサイルにフレアを放つが効果は薄く、ミサイルが迫っていく。

 

「だ、駄目だ!間に合わない!!」

 

「お願いお姉ちゃん!」

 

「任された!」

 

直撃する瞬間、上空から紫苑を抱えた桃恵が現れ上から紫苑が錬金術を放ちミサイルを凍らせ、凍ったミサイルはそのまま下に落ちて行き、落ちていくミサイルを桃恵がアタッシュショットガンで撃ち抜いた。

 

「錬金術師を甘く見るでないぞ!」

 

「私達だって頑張ります!」

 

 

閉じて

 

願い祈りを

 

静かに込めたなら

 

皆が頑張る中、翼達も飛行戦艦へと向かって行き、先頭の翼がアームドギアを構える。

 

「初手より奥義にて仕る!」

 

翼は手に持つアームドギアを巨大化させ、飛行戦艦の1/3ぐらいの大きさになる。

 

闇さえも

 

ハートの

 

チカラへと

 

食い縛る痛みも握って

 

「はぁぁぁ!!」

 

翼はそのまま巨大化させた刀身を振り下ろし、飛行戦艦の前部を一刀両断する。

 

中にいた隊長のサングラスが切り落とされ、目の前に響が降り立った。

 

いざ飛ばん!

 

Let`s fly

 

 

いざ行かん!

 

Let`s fly

 

明日

 

響は右腕のギアを変形させ回転し、ドリルのようにする。

 

最上のシンフォニック 声を「ひとつにたばね!」

 

それを見た隊長が逃げ出すが、響は隊長を捕まえそのまま腰のブースターを点火させ、壁に向かって拳を振るった。

 

に夢

 

Let`s fight

 

あるか?

 

アツイ歌

 

Let`s fight

 

あるのか?

 

響は飛行戦艦の壁を次々と突き破り、軌道を変化させ底を突き破る。

 

ほとばしる程

 

 

強き熱

 

爆ぜ

 

響が脱出したのを見た真はプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを連結させドライバーに認証させる。

 

アルティメットライズ!

 

「おぁぁりゃぁぁぁぁぁ!!」

 

認証させ、そのまま飛行戦艦に向けて一撃を振るった。

 

アルティメットストラッシュ

 

放った一撃は飛行戦艦を完全に両断し、飛行戦艦は空中で爆散した。

 

無限大のソウルが

 

手と手を繋ぐよ

 

激唱インフィニティ

 

底を突き破った響は隊長を連れそのまま下の湖に落ち、水面に顔を出す。

 

「立花、怪我はないか?」

 

響が顔を出すと、翼がスラスターで響の元に来てくれた。

 

「はい!ひとまず任務は完了ですね」

 

「ああ、後は彼らに任せよう」

 

翼が上を見上げると、国連軍のヘリが到着していた。

 

 

 

 

国連軍が到着すると、その地域の民間人に食料を提供し怪我人を治療していく。

 

中には父親が大怪我をして泣き出す子供もいた。

 

そんな光景を真達は遠巻きで見ていた。

 

「よかった、国連軍の対応が早くて・・・」

 

「そうだな・・・」

 

「でも・・・この光景は見てて苦しいな」

 

真達が呟く中、クリスは一人その光景を見て辛そうな顔をしていた。

 

「・・・クリスちゃん、どうしたの?」

 

響の声でクリスはハッとする。

 

「いや・・・なんでもねえよ」

 

するとマリア達がトラックに乗ってやって来る。

 

「市街の巡回、完了したぞ」

 

「乗って、本部に戻るわよ」

 

響達はトラックに乗って、真はライズホッパーに乗って本部へと向かって行った。

 

「私達を苦しめたアルカ・ノイズ。錬金術の断片が、武器として軍事成型に渡っているなんて・・・」

 

調の言葉に真は荒れ果てた街並みを見て呟いた。

 

「・・・パヴァリア光明結社」

 

時は真達が本部に緊急招集した頃に戻る。

 

「遅くなりました!」

 

「仮面ライダー組も現着しました!」

 

「揃ったな、早速ブリーフィングを始めるぞ」

 

するとモニターに海外にいる翼たちが映る。

 

「先輩!」

 

「奏さん!」

 

「マリア、そっちで何かあったの?」

 

『翼のパパさんからの匿名でね、S.O.N.Gのエージェントとして魔法少女事変のバックグラウンドを探っていたの』

 

『私も知らされていなかったので、てっきり寂しくなったマリアが、勝手に英国までついてきたとばかり・・・』

 

『だから!そんなわけないでしょ!!』

 

『まあまあ、落ち付けってマリア』

 

三人のやり取りに真達が苦笑いをする中、緒川が切り出してくる。

 

『マリアさんの捜査で、一つの組織の名が浮上してきました。それが『パヴァリア光明結社』です』

 

その名前に真が驚く。

 

「それって、確か前にキャロルが言ってたよな!?」

 

皆の視線がキャロルに向けられる。

 

「ああ、俺にチフォージュシャトーと二つのフォースライザーを渡した組織の名だ」

 

「裏歴史に暗躍し、一部に今の欧州を暗黒大陸とまで言わしめる要因とささやかれています」

 

モニターにはいくつもの破壊された光景と、黄金の蛇のマークが映し出された。

 

そのマークを見て切歌と調が反応した。

 

「あのマーク!見たことあるデスよ!」

 

「そうなんですかお二人とも!?」

 

「うん、確かあれって・・・!」

 

『そうね・・・マムやドクターと通じ、F.I.S.を武装蜂起させた謎の組織。私たちにとっても向き合い続けなければならない、闇の奥底だわ』

 

「そんなことが・・・!」

 

『フロンティア事変と、魔法少女事変の双方に関わっていた組織、パヴァリア光明結社』

 

「これを機会に、知られざる結社の実態へと至ることが、出来るかもしれません」

 

『存在を伺わせつつも、中々尻尾を掴ませてもらえなかったのですが、マリアさんからの情報を元に調査部でも動いてみたところ・・・』

 

緒川が映し出したモニターには街に繰り出されるアルカノイズが映っていた。

 

「アルカノイズ!」

 

「そこまで繰り出されてるのかよ!?」

 

『撮影されたのは、政情不安な南米の軍事成型国家』

 

次に映し出されたのは軍人の絵が掛けられた壁、それを見て驚いたのはクリスだった。

 

「っ!?バルベルデかよ!?」

 

声をあげたクリスを響が視線を向ける中、真はパヴァリア光明結社のマークをじっと見ていた。

 

(・・・こいつらが、フォースライザーを)

 

それぞれの思いを胸に、バルベルデに着いたみんなは現在、港に現着している本部へと向かっていた。

 

 

 

任務を終え、響達はシャワーで汗を流していた。

 

「S.O.N.Gが国連直轄の組織だとしても、本来であれば、武力での干渉は許されない」

 

「だが、異端技術を行使する相手であれば、見過ごすわけにはいかないからな」

 

「アルカノイズの軍事利用・・・!」

 

「でも、私達も正規の装者になれたからみんなの助けになれます」

 

「そうデス!もう足は引っ張らないデスよ!」

 

「うん、頼りにしてるよ!」

 

「じゃが、敵はまだ未知数、気を抜いてはいかんな」

 

「そうですね・・・それに真お姉ちゃんも大分気にしてたみたいですし」

 

「はい、私とお姉ちゃんの持つフォースライザーをキャロルちゃんに渡した組織ですから」

 

「真の奴、帰って早々一人で考えてたからな・・・無理しなきゃいいんだが」

 

「はい、心配ですね・・」

 

皆が話す中、クリスは昔のことを思い出す。

 

(パパ!ママ!離して!ソーニャ!)

 

(駄目よ!危ないわ!)

 

「・・・っ!くそったれの思い出ばかりが、領空侵犯してきやがる!」

 

 

 

一方で真は一人休憩室で神と連絡を取ろうとしているが、一向に連絡が取れない。

 

「・・・こんな時に出ないか」

 

真はライズフォンを仕舞うと、一人考え込む。

 

「一体、どこのどいつがフォースライザーを・・・?」





さあ後書きの時間だ!
「今回はいきなり無双だったな」
おうよ、そして音楽を書くの大変だった・・・。
「まさか歌詞全部入れるとはな・・・」
「でも、そのおかげで大迫力でしたね」
「うむ、そして今期の敵は結社の様じゃな・・・」
「うん、結社っていうくらいだから敵の数も多そうだね」
「そうだろうな、だけどそれぐらい何とかしなきゃみんなの夢と希望は守れないさ」
「・・・そうだな、相手が結社だろうが何だろうが変わりないさ!」
おーおー張り切ってるな、それはそうとそろそろあれ行くぞ。

『質問返答コーナー』

「まさかマジで質問が来るとはな・・・」
うっさい、それじゃあ最初の質問はこいつだ。

『影薄人さんからの質問』
1.継菜真から見たG編からのセレナやマリア達・・・フィーネの面々、GX編からのエルフナイン、キャロルとオートスコアラー達、如月紫苑と桃恵といった主要人物達の初対面の印象と現在の印象は?

2.新築された継菜真邸(5階建て、地下何階?)のより詳しい見取りが気になります。

1階はキッチン、リビング、大浴場
2階は真、響と未来、クリスの部屋
3階は翼、奏、マリアの部屋

だそうだぞ真、答えろ。
「俺かよ・・・まあいいけど」
サンキュ。
「一つ目の質問に関してだな」

『セレナ』
「まずセレナは最初は落ち着きのある女の子だなと思ったな、今は正体明かしても俺のことを姉と言ってくれる良い仲間で妹分だよ」

『マリア、切歌、調』
「マリアや切歌、調に関しては最初いきなりテロ行為を行ったから正直頭どうにかしてるって思ったな、今はよく家事を手伝ってくれて本当にいい人達だよ」


『ナスターシャ』
あったことはないけど、セレナの話で良い人っていう事は感じたな、今は前にマリア達が入院しているナスターシャに見舞いを持っていくって話で肉じゃがを作ってあげた時お礼の返事くれたから本当にいい人だよ」


『フィーネ』
「フィーネは・・・っというか櫻井さんは基本的に研究熱心な人でフィーネはクリスを利用した酷い女って感じだ、けど今は本当に頼りになる人だよ、本当あの人が仲間でよかった位」

『ウェル』
「クソドクターは胡散臭い奴と思った、今でもそうだ」

『キャロル』
キャロルはなんだかクリス以上にめんどくさそうな女児だなって、でも今は研究員として本当に感謝しているよ、後母さん呼びは本当に嬉しい」

『エルフナイン』
エルフナインは正直キャロルを見た後だったからドッペルゲンガーって思ったけど、話をしたら普通にいい子だったな、今でも本当にいい子だよ」


『オートスコアラー』
オートスコアラーは・・・ガリィは見るからにひねくれてそうな感じでミカは元気いっぱいの女の子って感じ、というか俺ファラやレイアとは会ってないんだよな。今は復活するのを楽しみにしてる」


『如月紫苑、如月桃恵』
んでもって紫苑と桃恵は初めて会った時桃恵はともかく紫苑はあんな知さな子も敵なのかって思ったな、けどそれ以上に二人が仮面ライダーになった時が驚いたわ、今は頼りになる二人だ、紫苑とはよくマンガ読んでるし桃恵ともよく動物の画像を探してみてるしな」

「・・・まぁこんな感じだな」
ありがとうな、んじゃ次は真宅の見取りはどうなってるんだ?
「まぁ大雑把に言えばこんな感じだ」

『五階 真の部屋 響&未来の部屋 クリスの部屋』
『四階 翼の部屋 奏の部屋 マリアの部屋』
『三階 セレナの部屋 切歌&調の部屋』 
『二階 紫苑&桃恵の部屋 キャロル&エルフナインの部屋』
『一階 客間 リビング キッチン 浴場』
『地下一階 研究室 トレーニングルーム 倉庫』

「てな感じだ、因みに各部屋にル〇バを設置してある」
それ逆にめんどくさそうだな、てなわけで影薄人さんからの質問でした、んじゃそろそろ〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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パヴァリア光明結社


AXZ編第二話、前回のあらすじは?
「様子のおかしい神を後目に急遽海外へ向かった俺達」
「向かった国で異端技術を持った軍と交戦することになったな」
「そして見事、撃退することに成功しました!」
「じゃが此処でこの国、ばるべるでがくりすの知っておる場所であることが判明したぞ」
「様子のおかしいクリスさんに神様、そして暗躍するパヴァリア光明結社、いったいどうなるのか?」
はいOK、それじゃあAXZ編第二話、どうぞ!


皆がシャワーを浴びた後響、真、翼、クリス、奏、未来の六人は弦十郎に呼ばれ司令室に来ていた。

 

「新たな軍事拠点が判明した、次の任務を通達するぞ」

 

モニターに地図とどこかの倉庫、そして何かを運ぶ男性が映っていた。

 

「目標は、化学兵器を製造するプラント。川を遡上して上流の軍事施設に進行する。周辺への被害拡大を抑えつつ制圧を行うんだ」

 

『了解!』

 

皆が了承すると、キャロルが手に箱を持ってやってくる。

 

「キャロルちゃん、これは?」

 

「ついでだ、こいつも持って行っとけ」

 

キャロルが箱を開けると、中にあるものに響達は驚いた。

 

「一応、装者と仮面ライダーの分は作成できた、一応持っておけ」

 

「うん、わかった」

 

六人は箱の中身を受け取り、すぐに目的地へと向かって行った。

 

 

 

目的地へ向かう川を緒川がボートで進んでいく。

 

そんな中、クリスは昔のことを思い出す。

 

『パパ!ママ!パパ!!ママ!!』

 

燃え盛る建物の下敷きになる幼いクリスの両親と、そんな両親の元に向かおうとするクリスを抑える一人の女性。

 

『離して!ソーニャ!』

 

『駄目よ!危ないわ!』

 

クリスは自身を抑えるソーニャという女性の方に顔を振り向かせ、女性を睨みつける。

 

『ソーニャのせいだ!』

 

クリスの言葉にソーニャは驚愕し、そして涙を流した。

 

「・・・大丈夫、クリス?」

 

そんな事を思い出し辛い顔をしているクリスに未来が呼びかける。

 

「っ! ああ、大丈夫だ・・・気にすんな」

 

「・・・クリスに何があったのかは聞かないけど、過去ばかり気にしないで前を見て、じゃないと」

 

その瞬間、森の中からボートに向かって装甲車のライトが照らされた。

 

皆が驚くと、装甲車はボートに向かって機関銃を連射してくる。

 

「状況、開始!」

 

緒川はボートを巧みに操り敵の弾幕を回避する。

 

「一番槍!突貫します!」

 

「同じく突撃する!」

 

響と真が同時にボートから飛び出し、ペンダントとプログライズキーを握り締めた。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

シャイニングジャンプ!

 

オーソライズ!

 

響が聖詠を歌うと同時に、真はシャイニングホッパープログライズキーを認証させると、上空からシャイニングホッパーライダモデルが降って来て、敵の弾幕を防いでくれる。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

The rider kick increases the power by adding to brightness! シャイニングホッパー!

 

When I shine,darkness fades.

 

『使用BGM:負けない愛が拳にある』

 

一番槍のコブシ 一直線のコブシ

 

姿を変えた二人が装甲車を殴りつけると、装甲車は簡単に吹き飛んでいった。

 

Gan×2(進め)Gan×2(歌え) 撃槍ジャスティス

 

装甲車が吹き飛ぶと、プラントの警備システムが起動し、地面に埋め込まれていた機械から結晶が飛び出しアルカノイズが出現する。

 

私が選ぶ正義 固め掴んだ正義

 

離さないこと此処に誓う

 

アルカノイズが出現すると、後から上陸した翼たちが姿を変えアルカノイズを撃退していく。

 

突っ走れ 例え声が枯れても

 

突っ走れ この胸の歌だけは絶対たやさない

 

響もアルカノイズを撃退していき、敵が機関銃を連射してきても真はシャイニングの予測で弾幕を全て躱し敵の武器だけを破壊していく。

 

一撃必愛(ぶん守れ)愛は負けない

 

(全力)ぐっと(全開)ぐっと 踏ん張れ鼓動よ

 

奏もアサルトウルフに変身し、両腕のAWガントレットに搭載された短機関銃でアルカノイズを撃ち抜いていく。

 

稲妻を喰らい((イカズチ)を)握り潰し

 

戦いの余波で周りの塔が崩れ、一般市民が逃げ惑う中、一人の少年は逃げ遅れてしまい崩れる建物に潰される直前で真が少年を助け出す。

 

熱き(ハート) 翔ける(ハート)

 

ジャッジした空をぶっ飛べ

 

アルカノイズが倒されていく様を、敵の親玉が驚愕してみていた。

 

「我が軍団が押されるのか・・・こうなったらもろともに吹き飛ばしてくれる!」

 

親玉が近くにあった装置を起動させると、陣が生成され巨大なギガノイズが出現する。

 

「デカブツまで出すなんて!?」

 

この状況は兵隊の人たちも予想外で、驚く中ギガノイズの両手の器官から赤い液体のようなものが溢れだし、それが大量のアルカノイズに変貌する。

 

「みんな頑張れは作戦じゃない!」

 

過去を包んだ未来 (いだ)いてくれた未来

 

兵士達がこの状況を見て逃げ惑う中、アルカノイズは周りを無差別に攻撃し建物を、そして味方の兵士さえも分解していってしまう。

 

側に(ずっと) いるよ(ずっと) 二人一緒だよ

 

兵士が襲われる中、みんなは兵士を守るようにアルカノイズを倒していった。

 

「手あたり次第に!」

 

「味方まで巻き沿いにしやがって!」

 

「そんなこと、させない!」

 

その守るべき明日 陽だまる為の明日

 

未来はギガノイズの周りに大量のビットを繰り出すと、ビットから光が漏れ出しそこから大量の光線がギガノイズを貫くように射出された。

 

天災

 

間違えられない選択の欠片(ピース)

 

大量の光線によって穴だらけになったギガノイズに向かって、奏はショットライザーを構える。

 

アサルトチャージ!

 

マグネティックストームブラスト!

 

「喰らいやがれ!」

 

 

マグネティックストームブラスト!

 

奏が引き金を引くと、巨大な狼の頭部を模したエネルギー弾が放たれギガノイズの胴体を噛み千切った。

 

突っ走れ 「繋ぐ」という力で

 

突っ走れ 私は私のまま強くなりたい

 

ギガノイズを撃退すると、一人の兵士が上空を見て気が付く。

 

「おい!あれ!」

 

上空を見ると、プラントに向かって落下するアルカノイズがいた。

 

「プラントに突っ込まれたら、辺り一面汚染されちまうぞ!」

 

プラントに中には軍が作っていた化学兵器が残っており、中身が溢れだそうものならこの周辺は人が立ち寄れなくなってしまい、生態系に被害が出てしまう。

 

「っ! 周りのノイズは俺が片付ける!」

 

「空のは私が行きます!」

 

一撃必愛(ぶん守れ)愛は負けない

 

状況を見た真はすぐさまドライバーのキーを押し込んだ。

 

シャイニングインパクト!

 

(全力)ぐっと(全開)ぐっと 踏ん張れ鼓動よ

 

キーを押し込むと真は高速で移動し、プラント周辺のアルカノイズを瞬殺し、周囲のノイズを倒した。

 

稲妻を喰らい((イカズチ)を)握り潰し

 

真が周囲のアルカノイズを倒すと、響が飛行するアルカノイズの下まで移動し、右腕のアームドギアを変形させる。

 

それと同時に空のアルカノイズはプラントに向かって急速で落下してくる。

 

熱き(ハート) 翔ける(ハート)

 

落下してくるアルカノイズに合わせるように響も跳躍し、その拳をアルカノイズにぶつける。

 

ジャッジした空をぶっ飛べ

 

拳がぶつかり、右腕のバンカーが押し込まれるとアルカノイズは空中で爆散していった。

 

こうして六人の活躍で、プラントは制圧された。

 

 

 

一方でとあるオペラハウスでは、多くの軍の人間が立てこもっていた。

 

その中には、バルベルデの建物に賭けられていた肖像画の男も居た。

 

「閣下、念のためエスカロン空港にダミーの特別機を手配しておきました」

 

「無用だ、亡命商工の遺産『ディー・シュピネの結界』が機能している以上、この地こそが一番安全なのだ」

 

「なるほど、つまりあるわけだ、大切な物が、ここにね」

 

突然の声に周りを見てみると、窓の上に一人の男性が立っていた。

 

「何者だ!?」

 

「見つからない訳だ、ほかの基地を探しても、彼らのおかげで見つけたわけだ、花園は」

 

その男性の姿を見て閣下は驚いていた。

 

「お・・・お前は!?」

 

「花園を教えてくれた礼だ、仕事を与えようではないか、最後のね」

 

そう言って男性がジェムを取り出し軍の近くの地面に叩きつけると、そこからフードを被った大量の人間が武器を構えて現れた。

 

だがその人間たちの眼は血走っており、はたから見ても異常な顔だった。

 

「さぁ、捧げようではないか、その魂を、神に!」

 

『おおぉーーー!!!』

 

『全ては神のために!!全ては神のために!!』

 

男性の声にフードの大群は雄たけびを上げ、武器を構えて軍に迫る。

 

突然の奇襲に対応できない軍は次々とフードの持つ武器で逃げる暇もなくその命を落としてしまう。

 

「ば・・・馬鹿な・・・!? や、止めてくれ・・・!!」

 

残る閣下にもフードの軍隊は迫る、閣下は悲願するがフードの軍団は聞く耳を持たず血走った眼で笑みを浮かべながら、血に染まった武器を握り締める。

 

『すべては神のために・・・すべては神にために・・・!』

 

まるでうわごとのように繰り返し呟き、そして各々武器を振り上げ。

 

「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

閣下の命すらも、刈り取ってしまった。

 

殺戮が終えると、赤く染まった建物内に男性が降り立ち手をかざすと、死体の体が光り輝き霧散し、その輝きが男性の手に集まり一つの球体となった。

 

「よくやったね、これで73788だ、神への貢物が」

 

男性の言葉にフードの軍団は床が血濡れにもかかわらず膝をつき男性を崇めた。

 

すると後ろから三人の女性が現れる。

 

「お待たせしました」

 

「よく来たね、もう終わらせたよ、後は回収を頼んだよ、サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティ」

 

「はい、承知しました」

 

白髪の女性・・・『サンジェルマン』が了承すると、男性はサンジェルマンに先ほどの球体を渡し、ジェムを地面に叩きつけフードの軍団と共にその場から消え去った。

 

男性が消え去ると、サンジェルマンの周りの二人の女性が周りの光景を見て嫌悪感全開の顔をする。

 

「っ! これは・・・流石にやりすぎなワケだ・・・!」

 

「そうね・・・流石のあーしもこれは・・・!」

 

二人の女性がそう言う中、サンジェルマン自身もその光景を見て苦虫を嚙み潰したような顔をして拳を握り締める。

 

「・・・カリオストロ、プレラーティ、無理なら外で待機しててもいいわ」

 

「大丈夫よサンジェルマン、あーしらは」

 

「その通りなワケだ、それにここで『忠実なフリ』をしなければ怪しまれるワケだ」

 

サンジェルマンの言葉に青髪の女性・・・『カリオストロ』と小柄な女性・・・『プレラーティ』は大丈夫そうに振る舞う。

 

「・・・わかったわ、それじゃあ行くわよ」

 

三人の女性が奥に向かう中、その後ろでは藤高、友里、そして調査部の人達が息を呑んで潜んでいた。

 

(・・・調査部からの報告通り、このオペラハウスを中心に、衛星からの補足が不可能だ。この結界のようなものは、指向性の信号波形を妨害しているのか?プラント制圧を陽動に攻め込んでみたら・・・とんだ地獄だ)

 

藤高達が息を殺す中、サンジェルマン達は仕掛けを起動させ地下への入り口を見つけその先へと向かって行くと、友里達も気づかれないように細心の注意を払って後を追いかけた。

 

 

 

一方で真達の方では、敵の親玉がいたであろう場所には誰もいなかった。

 

「どうやら指揮官には、逐電されてしまったようだな」

 

「くっそ!虫みたいに早く逃げやがって・・・!」

 

翼と奏がそう言うと、真達が先ほどの少年を連れてやってきた。

 

「翼さん!この子が!」

 

「俺見たんだ!工場長が車で逃げていくのを・・・もしかしたら、この先の村に身を潜めたのかも」

 

「君は?」

 

「俺はステファン、俺達は無理やり村からこのプラントに連れてこられたんだ!」

 

「七面倒なことになる前に、とっ捕まえなきゃな!」

 

「ステファン、案内を頼む!」

 

「分かった!」

 

真達はステファンの案内の元、村へと急行した。

 

 

 

オペラハウスの地下では、サンジェルマン達は布で覆われた何かを見つけ出す様子を藤高達が隠れて見ていた。

 

サンジェルマンが布を取り外すと、そこには金色の巨大な結晶と、その中に一体の人形があった。

 

藤高達が息を潜ませ監視していると、突然藤高のパソコンから音が漏れ部屋全体に響いてしまった。

 

その音に藤高だけではなく友里達、そしてサンジェルマン達も驚いた。

 

「撤収準備!」

 

友里達は逃げるために弾幕を張り、サンジェルマンの防御している隙に逃げ出した。

 

「サンジェルマン、今の・・・!」

 

「ああ・・・だが、今はその時ではない、今はあの男の命令を・・・」

 

サンジェルマンは近くに置いてあった置物に近づくと、先程受け取った球体を取り出した。

 

「生贄から抽出したエネルギー、荒魂(あらみたま)の概念を付与させる」

 

置物に球体を近づけると、球体は形を変え一匹の蛇へと変わっていく。

 

友里達は車を走らせ一刻も早くオペラハウスから距離をとると、オペラハウスの地下から巨大な大蛇が現れた。

 

「なんなのあれ!?」

 

大蛇は一台の車に横からぶつかり、車体は横になってしまう。

 

「本部!応答してください!本部!」

 

藤高はすぐに本部へと通信を入れる。

 

「友里さん!藤高さん!」

 

「装者と仮面ライダーは作戦行動中だ、死んでも振り切れ!」

 

「死んだら振り切れません!!」

 

逃げる中、再び大蛇が一台の車にぶつかり、車体は建物にぶつかって機能停止してしまう。

 

そんな中、弦十郎は通信を入れる。

 

「聞こえるか!」

 

藤尭と友里を乗せた車両は必至で大蛇から逃げるが、大蛇はどこまでも追いかけてくる。

 

「くぅ!!軌道計算!暗算でぇぇ!!」

 

藤高は迫りくる大蛇に対して車を急ブレーキをかけて停止させると大蛇の頭は車の前を通り過ぎて行き、藤高達は横に逃げる。

 

「やり過ごせた・・・!」

 

安堵した瞬間、地面から大蛇が飛び出し車体がひっくり返ってしまう。

 

車体がひっくりかえり、藤高達が車から脱出すると同時に、その場にサンジェルマン達がやって来る。

 

「申し訳ないが、貴方達も生贄の一部となってもらうわ・・・その命、世界革命への礎となってもらうわ!」

 

「革命・・・?」

 

大蛇が立ちふさがる中、どこから声が聞こえてきた。

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

「歌?」

 

「どこから?」

 

突然聞こえて来た歌にサンジェルマン達が驚くと、一台の車が大蛇の胴体に突撃し爆発を起こした。

 

突然の突撃と爆発に大蛇が雄たけびをあげる中、藤尭と友里の前に誰かが降り立った。

 

それはギアを纏ったマリア、切歌、調、そして変身したセレナ、紫苑、桃恵の六人。

 

二人を助けるために、六人の乙女達が駆け付けたのだった。





さぁ後書きの時間だ。
「さて今回も無双だったな」
「まあな・・・でも後半がえぐいな」
「これが今回の敵、パヴァリア光明結社ですか・・・」
「ああ、というか原作と違い過ぎないか?明らかに狂信者だろこいつら」
仕方ないよ、それだけのカリスマなんだもん。
「なんと適当な返事じゃ・・・して、今回も質問は来とるかのう?」
ああ来てるよ、それじゃあ行ってみよう。

『質問返答コーナー』

今回の質問はこちら。

『普通556Mさんからの質問』
皆さん、何か今後新しく挑戦してみたいことってあったりしますか?

とのことです。
「皆さんって言うと、響達も含むのか?」
おそらく、俺はそう解釈してます、それじゃあ返信どうぞ。

継菜真
「そうだな・・・俺は錬金術でも学ぼうと考えてる」
あれ意外、どうして?
「錬金術なら男に戻る方法があるかもしれない」
さいでっか。

天羽奏
「あたしはそうだな、出来ることなら翼やマリアと一緒にステージで歌いたいな」
叶うといいな、その夢。

セレナ・カデンツァヴナ・イヴ
「わたしはお料理を学びたいです、何時も真お姉ちゃんが作ってくれるから」
料理下手にだけはなるなよ。

如月紫苑
「うちはりすにんぐとやらに挑戦しておるぞ!まだまだうまくいっとらんが・・・」
頑張って言えるようになれよ、台詞かくのが楽になる。

如月桃恵
「私もセレナちゃんと同じで料理を覚えたいです、小さい頃は料理屋さんが夢でしたので」
あら可愛い夢。

立花響
「私は新しい格闘技を覚えようと考えてます!」
次はカポエラ辺りかな?

小日向未来
「最前線で戦えるように筋トレでもしようと思ってます」
お前のムキムキ姿とか想像できないな。

風鳴翼
「手始めに緒川さんから部屋の片づけを学ぼうと思っている」
果たして部屋がきれいになるのに何年かかる事やら・・・。

雪音クリス
「・・・編み物」
・・・(*´ω`*)。
「何とか言え!てかなんだその顔は!?」

マリア・カデンツァヴナ・イヴ
「エージェントとして緒川さんから隠れ身の術でも学ぼうかしら?」
出来たらすげえな。

暁切歌
「料理を学びたいデス!調と一緒に料理を作りたいデスから!」
切ちゃんは純粋に育ってね。

月読調
「忍術を学ぼうかと・・・」
此処にも忍者候補生が!?


・・・こんな感じだな。
「料理率高いな」
まあ女子らしいと思うけどな、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回10:月読調の誕生日

特別回第十話、今日は調の誕生日だ!
「これで後で祝ってないのは切歌とキャロル、エルフナインと紫苑と桃恵だけか」
因みにエルフナインはキャロルと同じ日を誕生日としていますのでご安心を。
「ふむ、なら安心じゃな・・・ところでつかぬことを聞いてもよいか?」
なんじゃらほい?
「うちと桃恵の誕生日は何時なのじゃ?」
「あっそういえばまだ知りませんよね?」
「確かに、どうなんだ作者」
・・・・・・さて早速特別回どうぞ!
「あっまだ決まってませんねこれ・・・」


「お願いデス!私に料理を教えてくださいデス!」

 

「・・・なんだか似たような出来事を見たような」

 

とある休日、真が家でのんびりしていると突然切歌が真に料理を頼み込んできた。

 

「いきなりどうしたんだ切歌、料理を教えてほしいなんて?」

 

「じ・・・実は・・・」

 

そう言って切歌は訳を話してくれた。

 

「・・・そうか、もうそろそろ調の誕生日なのか」

 

「はいデス、それで調に手料理を振る舞いたいんデス」

 

「何でだ、別にプレゼントでもいい気がするが?」

 

「F.I.S.の頃、調はよくおさんどん役をしてたデス、だからその恩返しをしたいんデス!お願いします!」

 

切歌は頭を下げて懇願する。

 

「なるほどな・・・そういう事ならわかったよ」

 

「本当デスか!」

 

「ああ、それに調によく料理の手伝いをしてもらってるからな、そのお礼も兼ねるか」

 

「ありがとうデス!セレナの言う通り頼りになる人デス!」

 

「なるほど、セレナに聞いて頼んできたのか・・・」

 

 

 

そうして、真と切歌の料理教室が始まった。

 

「聞くが切歌、調の好物は何だ?」

 

「調の好物デスか?調はあまり好き嫌いはしないデスよ」

 

「だよな、さてどうするか・・・」

 

二人が悩んでいると、切歌はとあることを思い出す。

 

「・・・そういえば前、一緒に食事に出かける時調はよくオムライスを頼んでいたデス!」

 

「なるほど・・・ならメニューはオムライスで決まりだな、後は味見役だが・・・」

 

「ふぅ~運動したからお腹すいた~って真さん、切歌ちゃん何してるの?」

 

そう言っていると特訓を終えてリビングに来た響が真達に視線を向けた。

 

「カモがネギ背負ってきたな」

 

「カモ?ネギ?」

 

頭に?を浮かべる響に二人は訳を話して味見役を手に入れた。

 

 

 

それから2月16日、調の誕生日当日。

 

『調(ちゃん)、誕生日おめでとう!』

 

「うん、ありがとう」

 

皆に祝われて調はどこか照れ臭そうだった。

 

「それにしても、今回も料理をたくさん用意してるわね」

 

マリアは机の上の料理を見て真にそう告げる。

 

「いや~誕生日となると張り切っちゃって」

 

「貴方料理人でも目指したらどう?」

 

「考えとく、けど今回のメインはそれじゃないんだよな」

 

「えっ?他にも用意してるの?」

 

「ああ、てなわけで少し失礼、行くぞ切歌」

 

「デース!」

 

真と切歌がリビングから出ていきしばらくした後、切歌は皿に盛られたオムライスを持ってきた。

 

「はい調!どうぞデス!」

 

切歌が持ってきたオムライスにはケチャップで『調誕生日おめでとうデス!』と書かれていた。

 

「切ちゃん、これって・・・!」

 

「調のために真さんに頼んで頑張って作ったデス!」

 

「味見は私がしたよ!切歌ちゃんすごく頑張ってたよ!」

 

「切ちゃん・・・!」

 

「ささっ、早く食べてほしいデス!」

 

切歌に進められ、調はオムライスを口にした。

 

「ど・・・どうデスか、調?」

 

「・・・うん、すっごく美味しいよ切ちゃん!」

 

「わぁ!良かったデス!」

 

「よかったな切歌、頑張った甲斐あったな」

 

「はいデス!真さんありがとうデス!」

 

切歌が頑張って作ったオムライス、その味を調は一生忘れないようにした。




さぁ後書きの時間だ!っとここで一つ、今回は質問返信は致しません。
「あれ、何でですか?」
純粋に誕生日を祝いたいから、返信は本編で答えさせていただきます。
「なるほどな、んで作者、今回も花は用意してんのか?」
もちのろん、今回はこいつだ!
これは・・・紫色の花?
『セントポーリア』っていう花なんだ、花言葉は『小さな愛』。
「小さな愛か・・・なんだかぴったりだな」
本当はゲッケイジュの方でも良かったんだけどこっちのほうが似合うなと思いました。
「ふむ、確かに似合うのう・・・してうちらの誕生日は?」
すみません、まだ決まってません。
「やっぱそうなんですね・・・」
予定では1月か6月のどちらかにしようと考えてます。
「何でその二つ?」
うちのメンバーってこの二つ以外が誕生日なわけで、だったらそれ以外がいいかなと思いました。
「なるほどな、まぁ頑張って決めろよ」
はい、それはもう本気で考えます。
「それじゃあそろそろ〆ましょうか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!調!』


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ラストリゾート

AXZ編第三話、前回のあらすじは?
「キャロルから何か託され化学兵器プラントへと向かった俺達」
「くりすが過去を思い出しておる合間に敵と会合、先頭が勃発」
「敵は大量のアルカノイズを繰り出してきたが、見事に返り討ちにしたぜ!」
「その一方でオペラハウスでパヴァリア光明結社が軍人さん達をジェノサイド」
「藤高さん達の危機に、私達が駆け付けました!」
はいOK、それじゃあ早速AXZ編第三話、どうぞ!


突然現れた大蛇から二人を救うため現場に到着したマリア達、そのころ真達は真がライズホッパーの後ろにステファンを乗せ、彼の案内で村に向かっていた。

 

「化学兵器プラントは緒川さんにお任せして、此方は逃亡した管理者を追跡中・・・えっ?マリア達が」

 

『藤高友里の救助にさいし、錬金術師とエンゲージ。緊急の事態に出撃してもらっている』

 

マリア達が敵と接触していることに六人は驚いた。

 

「っ!すぐに応援に!」

 

「落ち着け響、俺達は逃げた管理者を追いかけなくちゃいけないんだぞ」

 

「真さん、でも・・・!」

 

「それにマリア達は正規の装者になった上、セレナ達もついているんだ、よほどのことがない限り大丈夫だ」

 

「うん、今はマリアさん達を信じよう」

 

「・・・わかった」

 

「よし・・・それと一つ考えがあるんだが、いいか?」

 

 

 

一方マリア達は藤尭と友里を守るようにサンジェルマン達と繰り出された大蛇と相対していた。

 

「二人共大丈夫?」

 

「ええ!」

 

「後はうちらに任せ、二人はこれを使え」

 

そう言って紫苑は何かを友里に投げ渡した。

 

「これは・・・っ!」

 

友里が手にしたのは、かつてキャロル達が使っていたテレポートジェムだった。

 

「早く行ってください!」

 

「ありがとう、行くわよ!」

 

「あっはい!」

 

友里は藤高を連れジェムを地面に叩きつけその場から消え去った、その光景にカリオストロとプレラーティは驚いていた。

 

「今のは・・・!?」

 

「なるほど・・・彼女はそちら側に入ったワケだな」

 

二人が驚く中、サンジェルマンは冷静に六人を見据えていた。

 

『使用BGM:Stand up! Ready!!』

 

「現れたわね、シンフォギア、仮面ライダー」

 

「ようやく会えたわね、パヴァリア光明結社!今度は何を企んでいるの!?」

 

マリアからの問いにサンジェルマンは大声で答えた。

 

「革命よ!紡ぐべき人の歴史の奪還こそが、積年の本懐!」

 

サンジェルマンに応えるように大蛇は雄たけびを上げマリア達に襲い掛かってきた。

 

何回泣いたのか? 何回折れたのか?

 

迫りくる大蛇に対しマリアは懐に入り、大蛇の身を切り裂いたが、大蛇には傷一つついていなかった。

 

そんな(そんな) 数は(数は) どうでもいい・・・

 

「攻撃が効いてないデス!?」

 

「っ!来ます!」

 

大蛇は攻撃を仕掛けたマリアではなくセレナ達に攻撃をするがとっさに気づいたセレナの声で五人共攻撃を避ける。

 

「PRIDE」とか洒落たアクセサリーは

 

「やっだ~ちょこまかと」

 

「だったらこれで動きを封じるわけだ」

 

いらない(いらない)裸になろう

 

プレラーティは結晶をばら撒きアルカノイズを出現させる。

 

拳握り (つるぎ)を持ち

 

マリア達は冷静に出現したアルカノイズの対処をしていく。

 

弓を構える好敵手(とも)

 

セレナ達も真から預かったアタッシュ武器でアルカノイズを倒していく。

 

先走り道を教えてくれる

 

『マリアさん!皆さん!頑張ってください!』

 

「っ!ええっ!」

 

(Stand up)涙 (Stand up)嘆き (Stand up)痛み (Stand up)力へと 変わると歌え!

 

エルフナインからの声援に勇気をもらうと、突然マリアの足元から大蛇が飛び出してマリアに襲い掛かってきた。

 

強さの本当の意味の為 弱さを受け入れ今を飛べ

 

「マリア!」

 

マリアが襲われるのを見て五人もすぐに跳躍し、大蛇に攻撃する。

 

1000の傷は1000を超える 逃げなかった(あかし)

 

負けた日から立ち上がり その全部を受け止めて

 

大蛇はマリアに食らいつこうとするが、マリアは済んでのところで躱し大蛇の歯を足場に跳躍し、そのあとに五人の攻撃が大蛇に直撃した。

 

私は私と(さあ甲高く) 天へと示せ!

 

「よしっ!」

 

「などと思っているワケだ」

 

煙が晴れると、そこには傷一つついていない大蛇が立っていた。

 

「効いてない!?」

 

「ノイズと同じ、位相差何とかデスか!?」

 

「いえ、それとは違います!確かに私たちの攻撃は当たりました!」

 

「考えられるのは圧倒的な防御力、もしくは攻撃を上回る再生能力のどちらかじゃな」

 

「ダメージを減衰させているのなら、それを上回る一撃で!」

 

「一撃で倒しきるまでです、紫苑さん!」

 

「うむ!」

 

マリアは大量の短剣を取り出し、セレナは紫苑からアタッシュカリバーを受け取り、それにアサルトチータープログライズキーを装填する。

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

アサルトチーターアビリティ!

 

自分らしさを貫いて 自分らしさで守りきれ

 

マリアは繰り出した短剣を自身の周りで回転させ、生じた竜巻と共に大蛇へと向かい、セレナはアタッシュカリバーの刀身が輝くと同時に高速で大蛇に迫る。

 

TORNADO†IMPACT

 

アクセルストームカバンストラッシュ!

 

銀腕の決意(命をかけて) 絆の為に!

 

マリアは竜巻と共に大蛇の口に突き刺さり大蛇の顎を砕き、それと同時にセレナが大蛇の胴体を切り裂いた。

 

その瞬間、大蛇が輝きだし、幾重の陣が展開されそれらが重なり合うと、そこには傷一つない大蛇が立っていた。

 

「再生!?」

 

「いや違う、これは再生という領域ではないぞ!」

 

「なかったことになるダメージ」

 

「実験は成功したワケだ」

 

「不可逆であるはずの摂理を覆す、埒外の現象。ついに錬金術は人知の到達点、神の力を完成させた」

 

「三十六計が通じない相手には!」

 

マリアは再び大量の短剣を展開し、全てサンジェルマン達に投擲する。

 

「この隙に逃げるわよ!」

 

マリアの掛け声で紫苑以外の皆はジェムを取り出す。

 

「逃がさないんだから『待て』っ!」

 

カリオストロが短剣を防ぎ追いかけようとするとサンジェルマンが止める。

 

「・・・・・・」

 

「・・・わかってるわ」

 

そう言うとカリオストロは追いかけるのをやめ、サンジェルマンは大蛇を元に戻した。

 

「っ!? なぜ追いかけない?」

 

マリアは疑問に思いながらも、ジェムでその場から退避したのだった。

 

「『ヨナルデパズドーリ』もしまっちゃっていいの?」

 

「ええ、神の力の完成は確認できた。まずはそれで充分よ、それよりも『ティキ』の回収を急ぎましょう」

 

 

 

響達はステファンの案内で村にたどり着いた。

 

「この先が俺の村です!軍人たちが逃げ込むとしたらきっと・・・!」

 

村に着くと、そこには先ほど逃げた軍人が少女を人質に取り、民間人の周りにノイズを展開していた。

 

「ふっふっふっ・・・」

 

「アルカノイズ!」

 

「くっ・・・!」

 

「ふっ、分かってるだろうな。おかしな真似をしてくれたら、こいつら全員アルカノイズで分解してやる!」

 

「あんにゃろう・・・!」

 

そんな中、ステファンは誰にも気づかれないように建物の陰に隠れる。

 

「要求は簡単だ、俺を見逃せ!さもないと出なくてもいい犠牲者が出るぞ!」

 

「下劣な・・・だが」

 

「ああ・・・あいつの思ってた通りだ」

 

奏がそう呟いた時、男は何かに気が付く。

 

「ん?・・・貴様ら、あと一人はどうした!?」

 

男はこの場に来たのが響達『五人』だけなことに気が付いた瞬間、突如民間人の周りのアルカノイズが切り倒された。

 

「なっ!?」

 

後ろを振り返ると、そこにはディシービングフォックスフォームで姿を隠していた真が姿を現していた。

 

「二度も同じ手にかかるとか、軍人として失格だな」

 

「き・・・貴様っ!?」

 

男が真に気が付いた瞬間、後ろからサッカーボールが飛んできて男の後頭部に直撃し少女が解放される。

 

「ステファン!」

 

民間人の中から聞こえた女性の声にクリスが反応する中、ステファンは少女を連れて離れる。

 

「私達も続くぞ!」

 

「はい!」

 

少女が解放されると、響達もギアを纏い残りのノイズの掃討に取り掛かった。

 

「ぐっ・・・あのガキ!」

 

男は懐に隠し持っていた結晶をステファン目掛けて投げつけると、ステファンと少女を取り囲むようにアルカノイズが繰り出される。

 

「そうはいくかっての!」

 

そのまま二人に襲い掛かろうとする前に、クリスと真が間に入り込み二人を守りながらアルカノイズを倒していく。

 

そうして六人の活躍で、誰一人犠牲者を出さずアルカノイズは掃討され男は捕まった。

 

「プラントの管理者を確保、民間人の被害はありません」

 

『わかった、よくやってくれた』

 

翼が報告する中、真はステファンに近づく。

 

「ナイスガッツ、少年」

 

「へへっ、まあね」

 

真が拳を突き出すと、ステファンも拳を突き出しぶつける。

 

「ステファン!」

 

そんな中、一人の女性が飛び出しステファンに駆け寄る。

 

「大丈夫!?あんな無茶をして・・・!」

 

「だ、大丈夫だよ・・・」

 

女性がステファンを心配する中、ふと女性とクリスの視線が合った。

 

「あっ、貴方・・・」

 

女性はクリスの顔を見て驚いた表情をし、クリスは複雑な顔をしながら口を開いた。

 

「・・・ソーニャ」

 

彼女こそ、幼き頃のクリスと面識のあった、ソーニャ本人だった。




後書きの時間だ!
「今回から俺たちの方にテレポートジェムが実装だな」
「今回のサンジェルマン達、敵のはずなんだがなんだか妙な感じだったな?」
「はい、誰も追撃してきませんでしたし、どういう事なんでしょう?」
「ふむ、それにくりすの件もあるぞ、まさか幼き頃の知人と会うとはな・・・」
「クリスさん、大丈夫でしょうか?」
「そこはクリス自身の問題だからな」
そうですね、それじゃあこの辺りでそろそろ行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
元男性である継菜真はシンフォギア装者達のボディライン、胸やお尻を強調するようなデザインであるシンフォギアを最初に見てどう思いましたか?

…ってことだ。
「あれ?確かもう一つあったよな?」
あれは答えるのに大分時間がかかりそうなので今回はこちらの質問に応えさせていただきます、もう一つの質問は次回に応えるので安心してください。てなわけで真どうぞ。
「結局俺か・・・最初に見たのは翼と奏のライブの時か、あんときはノイズのせいでまともに見られなかったけど、いざまともに見たら・・・結構きわどいよな」
「分かる」
「分かります」
「元装者組が頷きましたね・・・」
「まぁ動きやすいってのはいいんだけど、もうちょっと格好何とかしてくれなかったのかな?」
「私も、正直少し恥ずかしかったです」
「シンフォギアキーで纏えるようになったときは最初は気にしなかったけど後々恥ずかしくなったな」
「これ、うちらもいつか着ることになるのか・・・」
「多分・・・そうだと思う」
まぁ結局、真の感想としてはきわどいってことだな。
「そういうこったな」
了解、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

あっ、後最近この作品のUAが100000突破しました、皆さん見てくれてありがとうございます!


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旋律ソロリティ

AXZ編第四話、前回のあらすじは?
「現れた大蛇の対し戦いを挑んだ私たち」
「じゃがいくら傷を与えても瞬時に元に戻ってしまう」
「隙を見て逃げましたけど何故か相手は追いかけてきませんでした」
「一方であたしらは村に逃げた軍人を無事捕縛することができた」
「けどそこで出会ったのはかつてのクリスの知り合いのソーニャだった」
はいOK、それじゃあそろそろAXZ編第四話、どうぞ。


サンジェルマン達からの襲撃後、帰還したマリア達は藤高と友里と共に司令室へと戻っていた。

 

「観測任務より帰還しました」

 

「ご苦労だった」

 

「はぁ、やっぱり本部が一番だ・・・安心できる」

 

「皆さん、お疲れさまでした」

 

「ありがとうエルフナイン、貴方も応援ありがとうね」

 

「どういたしまして」

 

エルフナインが照れていると、フィーネが藤高達に声をかける。

 

「安心してるところ悪いけど、今夜はまだ眠れそうにないわよ」

 

「ええ、死ぬ思いして手に入れたデータサンプルもありますしね、そのつもりです」

 

「そう言いつけても、無敵の怪物の出現か・・・パヴァリア光明結社を表舞台に引きずり出せたものの、一筋縄ではいかないようだ・・・」

 

「大丈夫」

 

「そうデス、次は必ずあんな怪物倒してやるデスよ!」

 

「うむ、一度の撤退でうちらの闘志は消えておらんからな」

 

「ああ、俺たちの方でもあの怪物について、そしてパヴァリア光明結社について解析してみせる」

 

「お願いします、キャロルさん、エルフナインさん」

 

「任せてください!」

 

 

 

一方で、サンジェルマン達はホールの地下にあった金色の結晶に視線を向ける。

 

それは400年前、はるか昔に遡る。

 

「はるか昔、フィーネが残した異端技術の断片の収斂させ、独自に錬金術を編み出してきた私たち、パヴァリア光明結社。だからこそ、異端技術を独占し、優位を保とうとするフィーネとの激突は避けられず、統制局長アダムは、神の力を形とする計画を進めていたのだけど、要たるティキを失った光明結社は、歴史の裏側からも追い立てられてしまう」

 

そんな中、後ろから誰かがやって来る。

 

「そして400年の時を得てフィーネは消滅し、米国政府をも失墜させた僕らは手にしたのだ、開展の機会を」

 

「っ! いらっしゃったのですか」

 

「ああ、気になったからね、僕自身も、ティキのことが」

 

そう言って男は結晶に近づき、結晶を愛でるように撫でる。

 

「後はこれを持ちかえるだけだ、彼女を」

 

「天体運航観測機である、ティキの奪還は、結社の計画遂行に必要不可欠、何より」

 

「そう、必要なんだ、この星に、正しき人の歴史を紡ぐためにね、だろ、サンジェルマン」

 

「・・・ええ、人は誰も支配されるべきではないわ」

 

「その通りだ、ティキの回収は務めよう、僕が、その代わりカリオストロ、プレラーティ、頼みたいことがある」

 

男の言葉に二人は反応する。

 

「・・・何を頼むつもりなワケだ?」

 

「なに、難しい話じゃないさ、まだ足りないのさ、数が」

 

「・・・それって、人を襲えって事かしら?」

 

「その通りだ、幸い近くに空港がある、そこで回収を頼みたい、信者達と共にね」

 

「だが、まだシンフォギア装者と仮面ライダーが来るかもしれない、ラピスもなしで戦うのは愚行なワケだ」

 

「ヨナルデパズドーリを使えばいい、あれなら敗北はほぼない、それとも何か不服かな」

 

「・・・いえ、問題ないわ、行きましょうプレラーティ」

 

「・・・ああ」

 

そう言って二人はそのままその場から離れる。

 

「・・・・・・」

 

サンジェルマンが心配そうに二人を見つめる中、男は誰にも聞こえない声量で呟いた。

 

「負けることはないさ・・・ほぼね」

 

そう呟き怪しく微笑んだことに、サンジェルマンは気が付かなかった。

 

 

 

真達は村の人たちを避難場所に連れて行っている最中だった。

 

今は先ほどのステファンとソーニャを連れて行っているが、場の空気はひどく重かった。

 

その証拠に、クリスとソーニャは先ほどから一言も発していない。

 

(ソーニャ・ヴィレーナ。歌で世界を平和にしたいと考えていたパパとママの賛同者。小さかった私にも優しくて、大好きだったソーニャお姉ちゃん・・・だけどあの日、キャンプに持ち込まれた爆弾で、パパとママはソーニャの不注意で・・・)

 

クリスが考え込んでいると、震えるクリスの手に誰かの手が重なる。

 

「っ!?」

 

クリスが驚き隣を見ると、未来がクリスを落ち着かせるように手を重ねていた。

 

そんな二人の様子をライズホッパーに乗っている真が見守っていると、通信が入ってくる。

 

「はい、こちら真」

 

『エスカロン空港にて、アルカノイズの反応を検知した。現場にはマリア君達を向かわせている』

 

『マリアさん達はすぐに決着をつけると言いましたが、確認した映像では錬金術師もいました』

 

「分かった、こっちも避難を終えたらすぐに向かう」

 

 

 

燃え盛るエスカロン空港、その中で信者達が繰り出したアルカノイズが多くの人間に襲い掛かっていた。

 

空港にいた結社に協力していた軍隊すらもアルカノイズは炭化させていく様子を、カリオストロとプレラーティは建物の上で見ていた。

 

「見てて胸糞悪いわね、やっぱり」

 

「ああ、だがこれもサンジェルマンの計画の為なワケだ」

 

「そうね、その為ならたとえあのクソ男と同じ道を歩んでも構わないわ」

 

カリオストロが陰口を言っていると、上空にS.O.N.Gのヘリがやって来る。

 

「やっぱり来たわね」

 

そしてそこから六人の乙女達が飛び降りた。

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

三人の歌姫は聖詠を歌い、三人の戦士はホルダーからキーを取り出す。

 

シルバー!

 

ブレイド!

 

ブラスター!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

『変身!』

 

シンフォニックライズ!

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

Seilien coffin airget-lamh tron.

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

ガーディアンハバキリ!

 

クリムゾンイチイバル!

 

Break Down.

 

乙女達はその身にシンフォギアを纏い、紫苑と桃恵もシンフォギアキーを使い『仮面ライダー滅 ガーディアンハバキリフォーム』『仮面ライダー迅 クリムゾンイチイバルフォーム』へと姿を変える。

 

『使用BGM:旋律ソロリティ』

 

どこからだろう?声が響く 立ち上がれと言っている

 

落ちていく最中、調と桃恵は『α式 百輪廻』と『BILLION MAIDEN』を放ち地上のアルカノイズを撃退していく。

 

いつからだろう?鼓動が打つ  勇気を掲げ 今・・・ へ!

 

地上に降り立ったマリアとセレナは同時にカリオストロとプレラーティへと攻撃を仕掛けるが、二人共攻撃を避ける。

 

「のっけからおっぴろげなワケで、ならば早速!」

 

プレラーティがヨナルデパズドーリを出そうとした瞬間、切歌の肩部のユニットがプレラーティを拘束する。

 

「捕まえたデス!」

 

「下の奴らはうちと桃恵が務める!」

 

そう言って紫苑と桃恵は地上のアルカノイズの殲滅と信者達の鎮圧に向かった。

 

「プレラーティ!」

 

カリオストロが助けに向かおうとするが、マリアとセレナの二人がカリオストロに攻撃を仕掛ける。

 

カリオストロも二人に反撃するが、二人の息の合った連携で攻撃は全て躱されしまう。

 

「アガートラーム、シュルシャガナ、イガリマ、バルキリー、滅、迅、敵と交戦!」

 

「皆さん、頑張ってください・・・!」

 

自分よりも相手を

 

「だったらこっちで、無敵のヨナルデパズドーリを・・・!」

 

信じることをしたくて

 

カリオストロがプレラーティに変わりヨナルデパズドーリを繰り出そうとするが、その隙をマリアとセレナが見逃すはずはなかった。

 

上手くは難しいけど

 

「「はぁぁぁぁ!!」」

 

カリオストロがヨナルデパズドーリを繰り出そうとした瞬間、二人はすぐに迫りカリオストロの顔と腹部に拳と蹴りを叩きつけた。

 

教える背を追って弱さを断ち切ろう!

 

「攻撃の無効化、鉄壁の防御、だけどあなたは無敵じゃない!」

 

「あの大蛇が出なければ、私達に勝機はあります!」

 

二人の一撃でカリオストロは吹き飛んだ。

 

強さの

 

理由に

 

溺れ足掻いて

 

闇に飲まれてた

 

プレラーティは錬金術で切歌の拘束を外すと、すぐさま切歌と調がプレラーティに攻撃を仕掛ける。

 

ちっちゃなカラダに

 

未熟な心

 

マリアとセレナは二人がかりでカリオストロの攻撃を仕掛けていた。

 

(二人で繰り出す手数であの怪物の召喚さえ押さえてしまえば!)

 

「頑張れッ!」

 

って言葉

 

ちゃんと受け止め

 

答えて行きたい

 

マリアとセレナの連撃でヨナルデパズドーリの召喚を封殺していった。

 

キ・ズ・ナ!旋律にして

 

歌に束ね ぶち抜け空へ

 

涙しても拭いながら 前にだけは進める

 

別の場所では、紫苑はアームドギアとアタッシュカリバー、そして両足のブレードによる四刀流で変幻自在にアルカノイズを切り払いつつ氷の錬金術で信者の動きを封じ、桃恵は片手にアタッシュショットガン、もう片手にアームドギアで作ったショットガンの二丁で巧みにアルカノイズを撃ち抜き、風の錬金術で信者達を拘束していく。

 

傷だらけで壊れそうでも 「頑張れッ!」が支えてる

 

そんな中、藤高はある事に気が付く。

 

「っ!司令!シュルシャガナとイガリマの交戦地点に、滑走中の・・・!」

 

「航空機だとっ!?」

 

調と切歌、そしてプレラーティの背後から滑走中の航空機が現れる。

 

高くは

 

飛べない

 

ガラクタ

 

それでも踏み出す

 

「人が!?割と可愛い子達が!」

 

「構うな!止まったらこっちが死ぬんだぞ!」

 

滑空機の後ろからは、それを追いかけるアルカノイズの群れがいた。

 

後ろ

 

だけは

 

向かない

 

ぜ・っ・た・い・に!

 

マリア達も航空機の存在に気が付く。

 

「・・・っ、調!」

 

「切ちゃんの思うところはお見通し!」

 

「行きなさい!後は私たちに任せて!」

 

「了解デス!」

 

「うちらも手伝うぞ!」

 

「お願いします、お二人とも!」

 

「はい、任せてください!」

 

切歌と調、紫苑と桃恵は航空機へと向かい、残るマリア、セレナはカリオストロとプレラーティを前にした。

 

「あの四人でどうにかなると思ってるワケだ」

 

「でもあなた達二人でこの二人をどうにかできるかしら?」

 

カリオストロの言葉に応えるようにマリアとセレナは攻撃を仕掛ける。

 

限界を決めるのは

 

他の誰かでもない

 

自分自身が此処で

 

終われるか?を決めて ハートに問いかけよう!

 

航空機の方へ向かった四人はアルカノイズを攻撃するが、撃ち漏らしたアルカノイズが航空機のタイヤを分解してしまう、バランスを崩した航空機を支えるように切歌と調が航空機を支え、その間紫苑と桃恵がアルカノイズを撃退していく。

 

音にも

 

風にも

 

笑う花にも

 

何かが支える

 

司令室ではそんな六人の状況をただ見ているだけしかできなかった。

 

一人じゃ出来ない

 

役割がある

 

マリアとセレナも攻撃を仕掛けるが、相手は格上で決定打になる攻撃は与えられてない。

 

「頑張れッ!」

 

って叫び

 

伝える側の

 

覚悟を背負って

 

そんな中、通信機から連絡が入って来る。

 

決・し・て!孤独じゃない

 

覚醒せよ眠るチカラを

 

『皆さん、最後まで頑張ってください!』

 

『諦めるな、シンフォギア装者!仮面ライダー!』

 

それはエルフナインとキャロルからの声援、その声援で六人の眼に炎が灯った。

 

どこまででも繋ぎゆけば 過去も超えられるかな?

 

切歌と調は一瞬のアイコンタクトで調が前に出て、その後に切歌は肩部と脚部のユニットを巨大化させ航空機を支える。

 

苦しみでも悲しみでも 「頑張れッ!」合言葉に

 

調も航空機の前部で頭部のユニットと脚部の車輪を巨大化させ航空機を支え、アルカノイズを撃退した紫苑と桃恵も前に出て、桃恵は航空機の後部の上に乗り、紫苑は航空機よりも前に出る。

 

分け合い

 

奏で合う

 

助け合い

 

紡ぎ合う夢を

 

切歌は手に持つアームドギアの持ち手を伸ばし、伸ばした持ち手を調が手にし二人で支え、紫苑は巨大化させた刀身を斜めになるように地面に突き刺し、桃恵は二本の巨大なミサイルを繰り出しその勢いで航空機の速度を上げる。

 

グッと

 

思い

 

込めろ

 

そ・の・む・ね・に!

 

ミサイルの勢いと切歌と調の支えによって、そして紫苑の巨大な刀身の上を滑り航空機は空へと飛び立った。

 

強く

 

なると

 

信じ

 

い・つ・の・日・か!

 

それに合わせるようにマリアは短剣を左腕のユニットに組み込み変形させ、そこから極太の光線を、セレナはアタッシュアローにアサルトチータープログライズキーを装填し、高エネルギーの矢をカリオストロとプレラーティに向けて放った。

 

HORIZON†CANNON

 

アクセルストームカバンストライク!

 

二人の放った一撃をカリオストロたちは躱しきれず、そのまま二人を巻き込んで大爆発を起こした。

 

その様子を見てエルフナインは安堵の息をついた。

 

「流石です、皆さん」

 

「当たり前だ、俺を倒した奴らだぞ」

 

マリア達は変身を解かず、爆心地を見守っていた。

 

「私とマリア姉さんが持てる最大出力、これで倒せなかったら・・・」

 

セレナの不安は、まさに的中してしまった。

 

爆煙が晴れると、そこには傷一つないカリオストロとプレラーティが立っていた。

 

「まだ戦えるというのか!?」

 

紫苑がそう言うと、カリオストロは手をかざし光り輝く球体を繰り出し。

 

「おいでませ、無敵のヨナルデパズドーリ」

 

そしてその輝きは形作り、一体の大蛇、ヨナルデパズドーリが顕現された。

 

「くっ!此処までなの・・・!」

 

六人が絶望する中、そこに希望が飛び込んだ。

 

「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」

 

ガングニールを纏った響と真が上空から現れ、その勢いでヨナルデパズドーリを殴りつけた。

 

「効かないワケだ」

 

プレラーティが呟いた瞬間、ヨナルデパズドーリの殴られた部分が赤く輝きだす。

 

「「っ!?」」

 

それにはカリオストロとプレラーティも驚き、マリア達は絶望を振り払った。

 

「それでも無理を貫けば!」

 

「道理何てぶち抜けるデス!」

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

六人の期待に応えるように、響と真の拳はヨナルデパズドーリを貫き、ヨナルデパズドーリは消滅した。

 

「どういうわけだ・・・!?」

 

「無敵のヨナルデパズドーリが、たったの一撃で・・・!?」

 

あまりの事態に二人は驚くしかできなかった。

 

そして響と真は六人を守るように前に降り立つ。

 

「だけど私達は・・・」

 

「ここにいる!」

 

二つの撃槍は、まさに不可能を可能にした。




さて後書きの時間だな。
「しかし相手が手に入れたあの人形は一体何なんだろうな?」
「さあな、それよりクリスの心配をしないとな」
「ですね、クリスさん無理をしないといいんですけど・・・」
「それにしても、今回は少し原作とは違う展開じゃな」
「はい、アルカノイズを繰り出していたのは信者ですし、少しおかしいところがありますよね」
そこんところは好きに考察してくれ、それじゃあいつもの行くぞ。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
これまで継菜真から見た主要人物達の印象を語って頂きましたが、今度は逆にシンフォギア装者やS.O.N.G.の面々から見た初対面の時と彼女を秘密を知った現在の印象をお願いします。(もし回答が長くなるのであれば、無印編、G編、GX編と分けて頂いても構いません)

てなわけでこの質問に関しては分けて答えさせていただきます、最初は無印組から。



立花響
「最初に出会った時はなんだかチケットを拾ってくれて優しそうな人だなって思いました、秘密を知った時はびっくりしましたけどそれでも真さんは頼りになる人です!」

小日向未来
「最初に病院で出会った時は女性なのに男性口調で不思議だなって思いました、秘密を知った時はそのことに納得して、今では頼れるお姉さんです、男性ですけど」

風鳴翼
「最初にお目にかかった時は面妖な仮面女だと思ったな、秘密を知った時は驚きはしたが、その程度で揺らぐ仲ではない、今も昔も継菜は頼れる仲間だ」

天羽奏
「あんときはシンフォギアもなしでノイズと戦えて一体何なんだって思ったな、秘密を知った時は度肝抜かされたけど、そんなの関係なしに真は最高の仲間だと思ってるよ」

雪音クリス
「あんときはフィーネのお目にかかった生意気な仮面女だと思ってたな、男だと知った時は驚いてしばらくはぎくしゃくしてたが、あいつが男だろうが女だろうがあっま変わらないな、本当に生意気で仲間思いな奴だよ」

風鳴弦十郎
「最初は翼や奏君を助けてくれた恩人で感謝していたさ、男だと知った時はもう少し真君の特訓量を増やしても大丈夫だろうと考えたな」

フィーネ
「最初はノイズと戦える未知の存在と同時に興味深い研究対象だったわ、男の子だと知った時は本当に面白い子だと再認識したわね」



・・・ってな感じだな、次回はG編組の回答を書かせていただきます。
「それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別回11:キャロルの誕生日

特別回第十一話、今日はキャロルの誕生日だ!
「まさかキャロルまで祝うとはな・・・」
誕生日が判明してるのなら祝わないとな。
「そういうところは律儀だよな作者」
「そうじゃのう・・・ところでうちと桃恵の誕生日は?」
ゴメンナサイまだ検討中です。
「まだ決まってないんですね・・・」
「そうみたいですね、ところでキャロルちゃんをやったということはエルフナインちゃんも祝うんですか?」
出来ることなら祝いたい、でもエルフナインの誕生日判明してないんだよな。
「まぁ原作だとキャロルの体だしな」
まぁそこはおいおい決めるとして、そろそろ特別回をどうぞ!


「ええっ!?キャロルちゃん今日誕生日なの!?」

 

ある日、リビングに集結していた面々はキャロルの誕生日を知り驚いていた。

 

「ああ、今日がちょうど俺が生まれた日だ」

 

「なんでそんな大事な事早く言ってくれなかったの!?言ってくれれば誕生日プレゼント考えてたのに!」

 

「しょうがないだろ、俺も今思い出したんだからな」

 

「今思い出したって・・・今から誕生日の準備をしてもきついぞ」

 

時刻は既に夕方を過ぎ、流石の真でもこの時間から誕生日の準備をするのはきついところがあった。

 

「済まないな、思い出せなかった俺の不注意だ、俺の誕生日はまた来年祝って・・・」

 

「駄目だよ!自分にとって大切な誕生日なんだからちゃんと祝わないと!」

 

「そうだよ、キャロルちゃんも大事な仲間なんだからね」

 

「そうデス!年に一度の誕生日なんですからしっかり祝いたいデス!」

 

「うむ、それはうちも賛成じゃ!のぉ桃恵」

 

「うん、私達もキャロルちゃんの誕生日祝いたい」

 

「僕もです、キャロルは今の僕にとってお姉ちゃんですからちゃんと祝いたいです!」

 

絶対に誕生日を祝いたい響にみんな賛同する。

 

「お前ら・・・しかし今からでは間に合わないんだろ?」

 

「・・・ふっ、甘いなキャロル、確かにこの時間からの準備はキツイ・・・が、間に合わないとはだれも言ってないぞ」

 

「なに・・・?」

 

首を傾げるキャロルに対し真は立ち上がって宣言する。

 

「今日までには必ず準備を整えて見せる!偏に大事な娘のために!」

 

「母さん・・・」

 

「流石真さん!よっ!二児の母親!」

 

「それだと俺が産んだみたいだろ!とにかくお前らすぐに取り掛かるぞ!響と切歌とエルフナインはすぐに食材の買い出し!クリスと紫苑と桃恵は飾りつけ!未来と調とセレナは俺と一緒に買い出し組が帰ってくるまでに調理の下準備だ!」

 

『了解!』

 

マリア達大人組が海外に行る間、家にいなくとも真が仕切りすぐさま全員が誕生日の準備に取り掛かった。

 

その光景をキャロルが呆気に取られていると、飾りつけに取り掛かる紫苑が声をかけてくる。

 

「きゃろるよ、本当に皆は良い人達じゃな」

 

紫苑の言葉にキャロルは少し間をおき、そしてくすっと微笑む。

 

「・・・ああ、超が付く程のお人よし集団だな」

 

「うむ、きゃろるよ楽しみにしててくれ、最高の誕生日にしてやるぞ」

 

「ああ、楽しみにしてる」

 

こうして真達は急ピッチでキャロルの誕生日の準備に取り掛かった。

 

急いで買い出しに言った響達は買い出しを終えると食材を調理班に託し飾りつけに取り掛かる。

 

飾りつけは紫苑と桃恵が錬金術を駆使して作り出しそれを部屋に飾っていく。

 

調理班も見事な連携で、時間がかからない料理を中心に調理を進めていく。

 

そうして時は流れ時刻が11時を過ぎたころ、テーブルの上には多くの料理が並ばれた。

 

「おおー!流石真さんに未来に調ちゃん!」

 

「ああ、素直に凄いな」

 

響とクリスが感心する真達は急ピッチの調理で疲れていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・当たり前だ・・・」

 

「けど・・・流石に疲れたね・・・」

 

「うん・・・結構疲れた・・・」

 

三人が息を整えている間、キャロルが前に出てみんなに顔を向ける。

 

「キャロルちゃん?」

 

「・・・皆、済まないな。俺にために此処までしてくれて」

 

「何言ってるの、友達なんだから当たり前だよ!」

 

「・・・そうか、友か・・・」

 

キャロルはその言葉を聞いて、そしてみんなに向けて笑みを浮かべる。

 

「・・・みんな、本当にありがとう」

 

キャロルの笑顔を見て、みんなは顔を見合わせて微笑む。

 

夜深く、3月3日が終わる直前だったが、家の中では大いにキャロルの誕生日を祝ったのだった。




さぁ後書きの時間だ。
「今回もちゃんと花は用意してるんだよな?」
もちのろん、今回はこいつだ!
「これって・・・桃じゃないですね?」
こいつは『レンゲソウ』だ、こいつも3月3日の誕生花だ。
「へぇ、因みに花言葉は?」
『私の幸福』『心が和らぐ』キャロルに似合うと思いました。
「幸福か、今のきゃろるにはぴったりじゃのう!」
「うん、それに他の『あなたと一緒なら苦痛が和らぐ』っていう言葉もいいと思う」
「今まで苦しんでたキャロルが幸せになれたと思える花だな」
ああ、俺もそう思うな。
「んで、エルフナインの誕生日はどうするんだ?」
それなんだけど、如月姉妹の誕生月が決まったら余った月をエルフナインの誕生月にしようと考えてます。
「ということは1月か6月のどちらかですね」
ああ、じっくりと考えるわ、というわけでそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!キャロル!』


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機械仕掛けの少女


AXZ編第五話、前回のあらすじは?
「私たちの活躍で藤高さん達の救出に成功しました」
「じゃがその裏で結社は空港を押そう算段を企てる」
「その一方で再びクリスさんの様子がおかしくなってしまいました」
「そして空港にたどり着いたマリア達は協力してアルカノイズを撃退に成功した」
「そして現れたヨナルデパズドーリを俺と響の一撃で粉砕した」
はいOK、それじゃあAXZ編第五話、どうぞ!


響と真の一撃によってヨナルデパズドーリが消え去ったと同時に、翼達も現着する。

 

「そこまでだ、パヴァリア光明結社!」

 

「これ以上、好きにはさせません!」

 

「あいにくこちとら虫の居所が悪くてな、抵抗するなら容赦はできないからな!」

 

集結した十二人に対し、カリオストロとプレラーティは嫌に冷静に状況を見ていた。

 

「・・・あの男の計画の妨げになるであろう十二の乙女達」

 

「その上、ヨナルデパズドーリを倒した二振りの撃槍・・・これは」

 

二人が呟くと、突如二組の間を遮るように転送用の陣が繰り出され、そこからサンジェルマンが現れる。

 

「っ! 新手か!」

 

「フィーネの残滓シンフォギア、そして埒外の存在仮面ライダー・・・だけどその程度の力では、人類を未来に解き放つことはできない」

 

サンジェルマンの放った言葉に皆は驚く。

 

「フィーネを知っている?それに、人類を解き放つって!」

 

「まるで、了子さんと同じ・・・バラルの呪詛から解放するって事!?」

 

「まさか、それがお前らの目的なのか!?」

 

奏の問いかけにサンジェルマンは答えず、二人に声をかける。

 

「カリオストロ、プレラーティ、ここは引くわよ」

 

「分かったわヨナルデパズドーリも倒されたことだし」

 

「体勢を立て直すワケだ」

 

「未来を人の手に取り戻すため、私たちは時間も命も費やしてきた。この歩みは誰にも止めさせやしない」

 

そういってサンジェルマンはテレポートジェムを地面に叩きつける。

 

「未来を人の手に・・・!?」

 

「おいっ!それってどういう・・・!?」

 

二人の問いに応えず、三人は消え去ってしまう。

 

 

 

それから時は流れ9月、響達学生組が久しぶりに学校に行っている間、真達は家にいた。

 

「人類を解き放つ・・・かつて櫻井さんが行おうとしていたバラルの呪詛からの解放と同じなら、あいつらの目的は・・・それに・・・」

 

真が難しそうな顔をしていると、ライズフォンに連絡が入って来る、確認すると相手は神だった。

 

「こんな時に・・・いや、こういう時だからこそだな」

 

真はそのまま電話に出た。

 

『あっ真君、大丈夫?怪我とかはしてないわよね?』

 

「大丈夫って・・・そっちではこちらの様子がわかるんじゃないのか?」

 

『今新しいプログライズキーの作成に取り掛かっているから確認する暇がなくてね』

 

「そうか・・・なぁ一つ聞いてもいいか?」

 

『あら、何かしら?』

 

「今回の敵について何か知ってることはないか?」

 

『ッ!!』

 

そんな真からの問いかけに、神は今までに見たことのない驚きの様子を見せた。

 

「・・・神さん?」

 

『・・・ごめんなさい、そこまではまだ詳しく・・・ただこれだけは言えるわ』

 

「?」

 

『・・・今回の敵、おそらく今まで以上の存在だと思うわ、だから今まで以上に警戒しなさい』

 

「・・・最初からそのつもりだ」

 

『ええ・・・それじゃあ私はプログライズキーの制作に取り掛かるわね』

 

そう言って連絡が切られる。

 

「・・・あの様子、神は何か知ってるのか?」

 

真がそう思案すると、ふとライズフォンの時計に視線を向ける。

 

「おっと!もうそろそろ翼たちが日本に帰郷してくる時間だな」

 

真は家にいるみんなに時間を伝えて、本部へと向かって行った。

 

 

 

一方、日本から離れたとある国のホテルの一室では、カリオストロとプレラーティが別室で休憩している間サンジェルマンがベットに横にした結晶から解き放たれた人形の胴体に一回り巨大な歯車をはめ込んでいた。

 

(ティキは、惑星の運航を製図と記録するために作られたオートスコアラー。機密保護のために休眠状態になっていても、『アンティキティラの歯車』により再起動し、ここに目覚める)

 

歯車をはめ込むと、人形の目元のバイザーが輝きだし、部屋一体に数多の星座が描かれる。

 

星座が何回か回転すると、バイザーは元に戻り、同時に人形が動き出した。

 

「ウ・・・・・ウッ・・・」

 

人形はぎこちなく体を起き上がらせ、瞳を隠すバイザーを取り外した。

 

「・・・ふぅ」

 

「久しぶりね、『ティキ』」

 

サンジェルマンの問いかけに、ティキはサンジェルマンの方を向く。

 

「・・・サンジェルマン? ああ~!400年近く経過しても、サンジェルマンはサンジェルマンのままなのね!」

 

「そうよ、時は移ろうとも、何も変わってないわ」

 

「つまり、今もまだ人類を支配のくびきから解き放つためだとかなんとか、辛気臭いことを繰り返しているのね。よかった、元気そうで!」

 

「お前も変わらないのね、ティキ」

 

するとティキはあたりを見当たす。

 

「ん?んん?? ところでアダムは?大好きなアダムがいないと、私は私でいられないぃ~!!」

 

その瞬間、突如電話が机の上に現れ、電話がかかってくる。

 

ティキはそれに疑問を持つが、サンジェルマンは疑問を持たず慣れた手つきで電話に出る。

 

「局長」

 

「えっ、それ何?もしかしてアダムと繋がっているの?」

 

ティキはサンジェルマンから受話器を取り上げ、電話に出る。

 

「アダム!いるの?」

 

『・・・久しぶりに聞いたよ、その声を』

 

「やっぱりアダムだ!でもなんだか雰囲気が違うね?」

 

『400年もたったんだ、少しは変わるよ、僕もね、君は変わらないね、ティキ』

 

「うん!私は変わらないよ!アダムのためなら何でもできるティキのままだよ!」

 

『相変わらず姦しいね、だけど後にしようか、積もる話は』

 

「アダムのイケず~つれないんだから。そんなところも好きだけどね!」

 

そう言ってティキはサンジェルマンに受話器を返した。

 

「・・・申し訳ありません、局長。神の力の構成実験には成功しましたが、維持に叶わず喪失してしまいました」

 

『やはり忌々しい物だな、フィーネの忘れ形見、シンフォギア、そして仮面ライダー』

 

「疑似神とも言わしめる不可逆の無敵性を覆す一撃、そのメカニズムの解明に時間を割く必要がありますが・・・」

 

『無用だよ、理由の解明は、シンプルに壊せば解決だ、シンフォギアと仮面ライダーをね、既に向かわせているよ、僕の信者をね、君たちも急ぎ向かいたまえ』

 

「・・・了解しました」

 

 

 

一方で飛行機に乗っている翼とマリアと奏、翼の足元に一つのケースが置かれており、日本に向かっているとき、突如飛行機が大きく揺れ出した。

 

「っ!何!?」

 

三人が外を見ると、大量のアルカノイズが飛行機を取り囲み攻撃していた。

 

「アルカノイズ!」

 

「大層な出迎えだな!」

 

空港の上では、フードを被った信者が襲われる飛行機を見上げていた。

 

「さぁ、やるのだアルカノイズよ!全ては我らが神のために!!」

 

信者の声にこたえるように、アルカノイズは次々と飛行機に攻撃を仕掛けていった。

 

「着陸直前の無防備の瞬間を狙われるなんて」

 

「日本まで追って来たということか・・・!」

 

次の瞬間、アルカノイズの一撃で飛行機の外壁が分解され、そこからケースが外に落ちかける。

 

「ケースが!」

 

「はぁ!!」

 

落ちる瞬間、マリアがケースを掴みともに外に飛び出す、マリアを追いかけるように翼と奏でも飛び出した。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

サンダー!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

ライトニングホーネット!

 

Piercing needle with incredible force.

 

『使用BGM:月下美刃』

 

翼とマリアはとっさにギアを身に纏い、奏はセレナから借りたライトニングホーネットプログライズキーを使って変身し降下する。

 

虎も恐るる如き 唸る『蒼ノ一閃』

 

翼は落下と共に周りのアルカノイズを『蒼ノ一閃』で切り払う。

 

地獄へと通りゃんせ 一つ二つ罪を 数えて候ふ

 

翼に続くようにマリアと奏も短剣とヘクスベスパでアルカノイズを撃ち落としていく。

 

「特別機206便、反応御絶!」

 

「翼さんマリアさん奏さんの脱出を確認!現在交戦中!」

 

「翼!マリア君!奏君!アルカノイズを撃退し上手く海面に着陸するんだ!」

 

三人は弦十郎からの命令に頷いて答える。

 

いざ翼参る (たと)え神でも 不義理は許さぬ

 

三人は次々とアルカノイズを倒していくが、徐々に海面が近づいてくる。

 

仏に逢うては仏を切りて 喉笛かっさばく

 

「翼!マリアを頼む!」

 

奏の言葉に頷き、翼はマリアの元に向かう。

 

介錯すら 甚だしい 下郎に遅れなど可笑しい

 

翼はマリアを掴み、アームドギアを天に掲げると、上空から大量の剣が降ってきてアルカノイズを切り倒していく。

 

千ノ落涙

 

覚悟の太刀影の 錆になりて還らむ

 

それと同時に、奏はライトニングホーネットプログライズキーのライズスターターを押し込み、ショットライザーをアルカノイズ目掛けて引き金を引き、射出された大量の針はアルカノイズを貫いた。

 

サンダー!

 

ライトニングブラスト!

 

二人の一撃でアルカノイズは全滅し、海面直前で、奏は翼を広げ滞空し、翼はマリアを抱えたまま脚部のスタスターで上手く海面に着地する。

 

「くっ・・・!」

 

その様子を見ていた信者は悔しそうな表情をしてその場から消え去る。

 

「手厚い歓迎を受けてしまったわね」

 

「はたして、連中の狙いは私達装者と仮面ライダーか・・・」

 

「それとも、そいつか・・・」

 

三人がマリアの持つケースに視線を向けながら、そのまま陸地へと向かって行った。





さぁ後書きの時間だ!
「今回はティキの復活と翼たちの襲撃が主だな」
「あの人達の目的ってフィーネと同じなんでしょうか?」
「それはわからぬな、じゃがその過程で多くの犠牲者が出るのは確実じゃ」
「そうですね、それだけは何としても阻止しないといけませんね」
「そのためにも、翼たちが持ち帰って来てくれたケースを調べないとな」
うん、うまくまとまったみたいだな、それじゃあそろそろ行くぞ。

『質問返信コーナー』

今回の質問は前回の影薄人さんの質問の続き、今回はG編のメンツが回答だ。



マリア
「最初は私たちの障害としか見てなかったわ、あの子の正体を知った時は驚いたけどそれでもあの子はセレナを守ってくれた恩人と思ってるわ、でも姉の立場は譲れないけどね」

切歌
「初めて会った時は私たちの敵だって思ってたデスよ、けど今はすっごく頼りになる先輩デス!男性だって聞いた時は本当に驚いたデスよ、ということはお姉さんじゃなくてお兄さん?でも今は女性デスし・・・オヨヨ?」

調
「最初は響さんと同じ偽善者だと思ってた、此処までで偽善じゃないってわかった。今は切ちゃんと同じで頼りになる人だよ。男性だって聞いた時は驚いたけどそんなの関係なく優しい人だよ」

セレナ
「最初に会った印象は不思議な人って感じました、女性なんですけどなんだが男性らしさもある人だなって、正体を知った時その疑問が晴れた気がしました。もちろん今でも私に追って大切なお姉ちゃんの一人です」



・・・とまぁこんな感じだな、次回はGX組が回答するぞ。
「それじゃあそろそろ〆るぜ」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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歯車が描くホロスコープ


AXZ編第六話、前回のあらすじは?
「ついに出会ったパヴァリア光明結社幹部、だがすぐに撤退してしまう」
「その後真お姉ちゃんと神様の会話で神様は相手を知っているようでした」
「そのころサンジェルマンは歯車を使ってオートスコアラーティキを目覚めさせる」
「そしてばるべるでから日本に帰還する翼達にアルカノイズ達が襲い掛かってきたぞ」
「ですが、三人の力で見事撃退し資料も守り切りました」
はいOK、それじゃあAXZ編第六話、どうぞ!


「先輩!!」

 

「翼さん!奏さん!」

 

「マリア姉さん!」

 

翼達が襲撃されたと聞き急いでやって来た響達を翼たちが出迎えていた。

 

「大騒ぎしなくても大丈夫、バルベルデ政府が保有していた資料は、この通りピンシャンしてるわよ」

 

「そういう事じゃなくて、お前らが無事なのかってことだ!」

 

「そうですよ、敵に襲われたって聞いて急いできたんですから!でも三人とも無事でよかった・・・」

 

「帰国早々心配かけてすまない、気遣ってくれてありがとう」

 

「けど、安心してるばかりじゃいけないわね、皆これを見て」

 

そう言ってフィーネが画面に映したのは、藤高達が見かけた金色の結晶とその中にいる人形だった。

 

「これって・・・?」

 

「私たちがバルベルデ政府の秘密施設に潜入した際に記録した、人形の映像よ」

 

「まさか、がりぃ達と同じおーとすこあらーか!?」

 

その映像を見て場の空気が変わる。

 

「前大戦時、ドイツは化石燃料に代替するエネルギーとして、多くの聖遺物を収集したと、その幾つかが研究目的で当時の同盟国である日本にも持ち込まれたのだが・・・」

 

弦十郎の言葉に響が気付く。

 

「私や奏さんが纏うガングニール・・・!」

 

「それにネフシュタンの鎧や雪音のイチイバルもそうであったと」

 

「戦後に亡命したドイツ巷間の手により、南米にも多くの聖遺物が渡ったとされています」

 

「おそらくは、この人形もそうした経緯でバルベルデにたどり着いたものだと推察されます」

 

緒川はマリアからケースを受け取る。

 

「全てを明らかにするには、このバルベルデ政府が保留していた機密資料を解析するしかありません」

 

「翼と奏、マリア君が襲われたことから、パヴァリア光明結社の錬金術師が日本に潜入していることは明らかだ、くれぐれも注意を怠らないでほしい」

 

弦十郎がそう言う中、クリスの心は此処にあらずの様子なのを真が心配そうに見ていた。

 

 

 

話し合いが終わった後、真はクリスを連れて近くのファミレスに立ち寄った。

 

「んで、どうしたんだいきなり連れてきて?」

 

「・・・単刀直入に聞くがクリス、ソーニャのことを考えてただろ」

 

「っ!?」

 

真の核心付いた質問にクリスは驚く。

 

「・・・ったく、よくわかったな」

 

「あんな明らかな反応をすれば誰だって気が付くさ」

 

「そうかよ・・・言っとくけど『これはあたしの問題だ、だろ』っ!」

 

クリスの言葉を遮ると真は水を一口飲んでから口を開く。

 

「お前の事だからそう言うだろうな、けど前にも言った通り少しは俺たちを頼れよな」

 

「・・・けど」

 

「そんなんだからあいつらも心配するんだよ、なっ響」

 

そう言って真が立ちあがり後ろの席に顔を覗かせると、そこには響と未来、翼と奏がいた。

 

「うわぁ!真さん気が付いてたんですか!?」

 

「割と前から、クリスが心配でついてきたんだろ?」

 

「うん、クリスの様子がおかしかったからつい・・・」

 

「雪音、継菜が言った通り少しは私達を頼ってくれても構わないんだぞ」

 

「ああ、後輩の悩みを解決するのも先輩の務めだからな」

 

「お前ら・・・」

 

その時、真のライズフォンに連絡が入ってくる。

 

「っ!はいこちら真!」

 

『アルカノイズが現れた!位置は第十九区域北西Aポイント、そこから近いはずだ急行してくれ!』

 

「了解!みんな急いでいくぞ!」

 

真達が急いで現場にたどり着くと、そこには大量のアルカノイズが立ちふさがっていた。

 

アウェイクン!

 

真と奏はすぐにキーを起動させドライバーを身に着け、響達はギアペンダントを握り締め聖詠を歌う。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

ジャンプ!

 

バレット!

 

『『オーソライズ!』』

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

プログライズ!

 

ショットライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

シューティングウルフ!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

すぐに真達は戦闘態勢に入り、アルカノイズに立ち向かった。

 

『使用BGM 激唱インフィニティ』

 

いざ飛ばん!

 

Let`s fly

 

 

いざ行かん!

 

Let`s fly

 

明日

 

最上のシンフォニック 声を「ひとつにたばね!」

 

真達は各々の武器で次々とアルカノイズを蹴散らしていく。

 

に夢

 

Let`s fight

 

あるか?

 

アツイ歌

 

Let`s fight

 

あるのか?

 

「警戒しろ!近くに錬金術師がいるかもしれないぞ!」

 

真の掛け声で六人は周囲を警戒しながらアルカノイズの数を減らしていく。

 

ほとばしる程

 

 

強き熱

 

爆ぜ

 

無限大のソウルが

 

手と手を繋ぐよ

 

激唱インフィニティ

 

一方で真達の気が付かない建物の上にフードの信者、そしてその背後にジェムでサンジェルマン達が現れる。

 

「待っていました」

 

「首尾は?」

 

「ちょうど誘い出したところです」

 

「秘策に終わった、機能特化型を試す時」

 

サンジェルマンは懐から筒状の物を取り出すと、そこからアルカノイズの結晶を取り出す。

 

「その力、見せてもらいましょう」

 

サンジェルマンがその結晶を真達から離れた場所に放り投げると、真達はそれに気が付く。

 

「あれはアルカノイズか?」

 

「新手のお出ましみたいだな」

 

陣が繰り出されると同時に、突然光が発せられ、それに真達が呑み込まれてしまう。

 

「大型のアルカノイズを確認!」

 

司令室では真達が光に飲み込まれ光が止んだ時には、その場に六人の姿はおろかアルカノイズの姿もなくなっていた。

 

「消えただと!?」

 

「装者達の映像を捕らえられません!」

 

「ギア搭載の収音機より、かろうじて音声は拾えます!」

 

「空間を閉じるアルカノイズ・・・だと!?」

 

その様子を見てキャロルはそう呟いた。

 

一方真達が辺りを見当たすと、そこはまるで宇宙空間のような場所だった。

 

「さっきまで街中だったのに!?」

 

「戸惑うな、おそらく敵の罠だ!」

 

真がそう言った瞬間、アルカノイズ達が攻めてくる。

 

「はぁ!」

 

それに気づいた翼がアルカノイズを切りつけるが、アルカノイズは炭化せず、再生してしまう。

 

「っ!?馬鹿な!?」

 

翼に続き響達も攻撃を仕掛けるが、アルカノイズに効く様子はなかった。

 

「攻撃が!」

 

「全部通らねえのか!?」

 

「そんな、どうして!?」

 

そんな中、真と奏の攻撃だけは辛うじて通じていた。

 

「俺と奏の攻撃が通るってことは、まさかANTI LINKERか!?」

 

「いや、俺たちの攻撃も効きづらくなっている!こいつは・・・!」

 

そんな中、弦十郎から通信が入ってくる。

 

『六人共、聞こえるか!?』

 

「っ!弦十郎さん、これは一体どうなっているんだ!?」

 

『そこはアルカノイズが作り出した亜空間の檻の中と見て間違いない!』

 

「亜空間の檻、ですか?」

 

『そこでは、アルカノイズの位相差障壁がフラクタルに変化しインパクトによる調律が阻害されています!』

 

『おそらくライダーシステムも聖遺物に近い構造をしているから影響を受けているんだと思う』

 

『ギアやライダーシステムの出力が下がったように思えるのは、その為です!』

 

「だったら、ドカンとパワーを底上げてぶち抜けば!」

 

「呪いの剣、抜きどころだ!」

 

「俺達も強化形態で出力を上げるぞ!」

 

「おうっ!」

 

響達はギアに手をかけ、真と奏はホルダーからキーを手に取る。

 

「イグナイトモジュール」

 

『抜剣!』

 

ダインスレイフ

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

アサルトバレット!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトウルフ!

 

No chance of surviving.

 

響達はその身に呪いの力、イグナイトモジュールを纏わせ、真と奏も進化した姿メタルクラスタホッパーとアサルトウルフに変身する。

 

『使用BGM 激唱インフィニティ(IGNITED arrangement)』

 

RED ZONE ガン降りしてねじ込むコブシ

 

強化した力でアルカノイズを攻撃すると今度は効果があり、響と真はアルカノイズを塵に変えていく。

 

一片の曇りなく防人(さきも)れる剣

 

翼と奏も協力し、翼が『無双三刃』でアルカノイズを切り払い、逃れた敵はAWガントレットの短機関銃で撃ち抜いていく。

 

ゼロ距離でも恐れなく踏み込めるのは

 

背中を託して

 

(つが)える

 

君を感じるから

 

クリスと未来もサブマシンガンと光線で次々と撃ち抜いていくが、更にアルカノイズがやって来る。

 

(イグナイトの力でなら、守りをこじ開けられる・・・だが!)

 

「こいつらに限りはあるのか!?」

 

「アルカノイズだって無限じゃない!必ず限界があるはずだ!」

 

そんな時、通信機越しにキャロルが叫ぶ。

 

『抜剣した以上、カウントオーバーはギアの機能停止!立ち止まるな!』

 

『今マリア君達が向かっている、それまで持ちこたえるんだ!』

 

弦十郎達がそう言う中、エルフナインは音声とさっきの情報を頼りに解決策を練っていた。

 

(必ず何か解決策があるはず!位相差障壁を亜空間の檻に、そして強固な鎧と使いこなす新型アルカノイズ、出現したときに観測したフィールドの形状は半球・・・っ!)

 

するとエルフナインはあることを思いつく。

 

『皆さん!そこから空間の中心地点を探れますか!?こちらで観測した空間の形状は半球、であれば制御基幹は中心にある可能性が高いと思われます!』

 

それを聞いた瞬間、真はプログライズホッパーブレードを取り出す。

 

ファイナルライズ!

 

ファイナルストラッシュ!

 

プログライズホッパーブレードをドライバーに認証させ振るうと、辺り一帯に大量のメタルクラスタが飛び交う。

 

「真さん!いったい何を!?」

 

「メタルクラスタを拡散させて敵の位置を探る!その間俺の周りを頼む!」

 

「そうか!メタルクラスタなら空間一帯にばらまける、それで探るのか!」

 

真の策を聞き、響達は真の周囲を守るように集まった。

 

100万回倒れてもへいきへっちゃら

 

起き上がる理由(わけ)がある 大地を蹴り込み

 

皆が真を守る中、真は神経を集中させて敵の位置を探る。

 

100万と1を天に歌を翳して

 

するとばら撒いたメタルクラスタの一体が何もない空間にぶつかる。

 

「っ!そこだ!」

 

真はすぐさまぶつかった所にメタルクラスタを収束させ攻撃を仕掛ける。

 

前を向いた先

 

にだけの

 

「答え」を教える

 

真の攻撃が直撃すると、その場所に透明化が解けた巨大なアルカノイズが立っていた。

 

「あいつがこの空間の中心か!」

 

『それです!それを破壊してください!』

 

特大の情熱でブッ込め

 

「立花、乗れ!」

 

「はい!」

 

翼は自身の剣に響を乗せると、剣の形状を変え巨大なカタパルトのような形に変え、そこにクリスが二本の巨大なミサイルを取り付ける。

 

TRINITY RESONANCE

 

たれよ!

 

Let`s fly

 

 

 

Let`s fly

 

果てまで

 

超絶のレゾナンス 此処に「せかいをかえろ!」

 

カタパルトに乗せた響を限界まで引き絞る。

 

「勝機一瞬!この一撃に全てを賭けろ!」

 

「そこに俺達の一撃も込める!」

 

真はアタッシュカリバーを取り出しプログライズホッパーブレードと接続し、ドライバーに認証させ、奏はアサルトウルフプログライズキーをガンモードのオーソライズバスターに装填し、未来も両足から鏡の円盤を繰り出しエネルギーを溜める。

 

抱きしめたい

 

Let`s fight

 

希望

 

抱きしめたい

 

Let`s fight

 

 

真と奏が構えると、ミサイルが点火し剣ごと響と翼は巨大なアルカノイズに向かって行く。

 

ぐっと突き出す

 

 

瞬間響が飛び出しその勢いのままアルカノイズに響のキックが直撃しアルカノイズの体を貫く。

 

眠ってる

 

 

逃げないあきらめない

 

音よ鳴り響け

 

響が貫くと同時に翼の剣もアルカノイズの胴体に突き刺さり翼はすぐに剣から飛び降りる。

 

激唱インフィニティ

 

翼が飛び降りると同時に待機していた真と奏が同時に武器を振るい、未来も極大の光線を放った。

 

アルティメットストラッシュ

 

バスターダスト

 

流星

 

三人の攻撃も直撃しアルカノイズは爆散する、するとあたりの空間が消え元の街並みに戻った。

 

アルカノイズの位相差障壁も元に戻りすぐに六人で殲滅した。

 

「どうやら、上手くいったみたいですね」

 

「ふぅ・・・」

 

事態の解決に弦十郎は安堵の息をつく。

 

エルフナインも安堵の息をつく中、キャロルがエルフナインの肩に手を乗せる。

 

「キャロル!」

 

「よくやった、エルフナイン」

 

「・・・はいっ!」

 

 

一方で建物の上でその様子を見ていたサンジェルマン達、フードの信者は今回の報告の為急いで本部へと戻った後だった。

 

「へぇ、やるわねあの子達、でも目的は果たせたわ」

 

そこに一人の少女が近づく。

 

「へぇ~、そんなに呑気でいいの?」

 

「ティキ、アジトに残るように言ったはずよ」

 

「だって~アダムに会えるかと思って。でも怒らないで、いいことがわかっちゃったの!」

 

「何?」

 

「何と!ここはあたしたちが神様に喧嘩売るのに・・・具合がよさそうな所よ!」

 

そう言ってティキは夜空を見上げる。

 

「これ以上にないってくらいにね」

 

ティキの目に映るのは数多の星、天体を描くホロスコープ、彼女たちの目的は迫りつつあった。





さて後書きの時間だ。
「今回は厄介な敵が現れたな」
「戦うたびにイグナイトにならなくちゃいけないのはちときついだろうな」
「じゃが今回はえるふないんの機転で危機は去ったのう」
「ですけど、敵の作戦も徐々に進行していってるみたいです、早めに手を撃たないと」
「そのためにも、相手の目的を知らないといけませんね」
「だな、それまで何とか耐えるしかないようだな・・・」
話もまとまったところでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問は前回、前々回の影薄人さんの質問の続き、今回はラストのGX編のメンツが回答だ。



キャロル
「最初から俺はあいつを敵の一人としか認識しなかったな。男だと知った時は少しは驚いたな、だがあいつは俺にとって優しくしてくれる・・・か、母さん、だからな。このことはあいつに言うなよ!」

エルフナイン
「最初に会った時は優しそうな人だなって感じました、男性だと聞いた時は驚き・・・はしましたけど僕に近い感じなのかなって少し考えちゃいました。でも今は僕らにとって大切なお母さんです!」

紫苑
「初めて相対したときはこんなにめんこい女性が仮面らいだぁなのかと思ったのう、じゃがまさか男だったとは予想外じゃ、じゃが性別などどうでも良いのではないか?男だろうが女だろうがあ奴は頼りのなる人物なのは違いないからな」

桃恵
「さ、最初は綺麗な人だなって感じました、実際私よりきれいですし。でも男性だったなんて知りませんでした、でも、お姉ちゃんと同じで本当に頼りになるお人なんですよ」



・・・これでこの質問は終わりだな、長くなりましたが影薄人さん、質問ありがとうございました!
「それではそろそろ〆ましょうか皆さん」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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風鳴機関

AXZ編第七話、前回のあらすじは?
「無事日本に戻る事が出来たあたしら」
「弦十郎さんが話す中うわの空な様子のクリス」
「真お姉ちゃんが話を聞こうとするとアルカノイズが現れました」
「現場に向かい戦っておったが突如亜空間に飛ばされてしまい危機に追いやられてしまう」
「ですがエルフナインちゃんの機転のお陰で危機を脱しました」
はいOK、それじゃあAXZ編第七話、どうぞ!


その昔、一人の少女が一人の男性に懇願していた。

 

「お母さんを助けてください!ずっと熱が下がらなくて、すごく苦しそうで・・・」

 

少女が懇願するが、男性は効く耳を持たなかった。

 

「お願いです、助けてお父さん!」

 

「奴隷が私にすり寄るな!!」

 

少女がそう言った瞬間、男性は怒号を吐き散らした。

 

「粉吹く虫の・・・分際で!」

 

男性は苛立った様子で少女に近づき、少女の顔に平手を振るった。

 

「慰みを与えた女の落とし子だ、つけあがらせるな。奴隷根性を躾けておけ」

 

男性はそう言って倒れる少女に見向きもせず奥へと立ち去る。

 

その後、少女は母が待つあばら家へと戻った。

 

「・・・ごめんお母さん、今日も食べ物を手に入れれなくて、でも一昨日のパンがまだ残ってるから・・・お母さん・・・お母さん!?」

 

少女は返事がないことに気が付き母の方を振り返ると、そこには瘦せこけた女性が眼を閉じたままだった。

 

「お母・・・さん?」

 

その日、少女の母親は二度とその瞳を開かなかった・・・。

 

時を戻し現在、サンジェルマンは研究施設で赤く輝くハート形の結晶を見つめていた。

 

「『ラピス』・・・錬金の技術は、支配に満ちた世の理を、正すために・・・」

 

 

 

日本の高層ホテルの一室、その部屋にカリオストロとプレラーティ、そしてティキが待機していた。

 

「はぁ~、退屈ったら退屈」

 

ティキはベットの上で漫画を読みながら愚痴を吐き捨てた。

 

「いい加減アダムが来てくれないと、私退屈に縊り殺されちゃうかも~!このこの~っ!」

 

ティキが駄々をこねるように騒ぐ中、プレラーティは落ち着いた様子でいた。

 

「ねぇ、サンジェルマンは?」

 

「私たちのファウストローブの最終調整中なワケだ、キャロルのお陰で随分捗らせてもらったワケだ、後は・・・」

 

プレラーティが喋っている途中で、カリオストロは部屋から出ようとする。

 

「どこに行こうとしてるワケだ?」

 

「もしかしてもしかしたら、まさかの抜け駆け?」

 

「違うわよ、ちょっと敵情視察にね、それにあいつの信者達も動いてるみたいだしいい機会だと思ってね」

 

「ちぇ~つまんないの」

 

ティキはつまらなさそうにベットに寝転がった。

 

「・・・気を付けるワケだ」

 

「分かってるわよ、それじゃあね」

 

そう言ってカリオストロは部屋から出て行った。

 

 

 

一方、真達は車に乗ってとある場所へと移動していた。

 

その道中には、避難している人たちが多く見られた。

 

「先の大戦末期、旧陸軍が大本営移設のために選んだ此処松代には、特異災害対策機動部の前身となる非公開組織、風鳴機関の本部が置かれていたのだ」

 

「風鳴機関・・・」

 

その名を聞いて、みんなの視線が翼に集まるが、当人の翼は静かに話を聞いていた。

 

「資源や物資の乏しい日本の戦局を覆すべく、早くから聖遺物の研究が行われてきたと聞いている」

 

「それがアメノハバキリと、同盟国ドイツよりもたらされたネフシュタンの鎧やイチイバル、そしてガングニール」

 

翼の言葉に響は自身のペンダントに視線を向ける。

 

「バルベルデで入手した資料は、かつてドイツ軍が採用した方式で暗号化されていました」

 

「それを解析するために、ここに備わっている解析機に掛ける必要があるのよ」

 

「暗号解析機の使用に当たり、最高レベルの警備体制を周辺に敷くのは理解できます・・・ですが、退去命令で、この地に暮らす人々に無理を強いるというのは!」

 

「守るべきは、人ではなく・・・国」

 

その言葉に、みんなは顔をしかめる。

 

「人ではなく・・・?」

 

「少なくとも、、鎌倉の意志は、そういう事らしい」

 

「国を守ったって、そこに暮らす人が無事じゃなきゃ意味がないだろ・・・」

 

真がそう呟きながら、みんなは基地内へと入っていった。

 

その中では、多くの研究者たちが解析機を使って資料の解析に当たっていた。

 

「難度の高い複雑な暗号だ、その解析にはそれなりに時間が要するが・・・翼」

 

「ブリーフィング後、皆で周辺地区に待機、警戒任務に当たります」

 

「ああ、まだ避難してない民間人を見かけたら避難するように誘導するんだ」

 

 

 

ブリーフィング後、マリア達F.I.S.組と紫苑と桃恵は共に周辺の警戒を行っていた。

 

「九時の方向異常なし」

 

「三時の方向も異常なしじゃ」

 

「十二時の方向・・・あぁー!!」

 

切歌は双眼鏡で人影を見つけた。

 

「あそこにいるデス、二五二!レッツラゴーデス!」

 

そう言って切歌は指さした方へと走っていった。

 

「あっ、待ってください暁さん!それは・・・」

 

セレナが注意するが切歌は聞く耳持たず、人影の元へたどり着いた。

 

「早くここから離れて・・・って?」

 

その人影をよく見ると、ただの案山子だった。

 

「怖っ!人じゃないデスよ!」

 

「落ち着け、それはただの案山子じゃ」

 

「最近の案山子はよくできてるから・・・」

 

皆は切歌の元へとやって来る。

 

「しかし、守るべきは人ではなく国とは・・・何という思想を持つ者じゃ!」

 

「うん、国だけを守ってもそこに住む人がいないと、そこはただの陸地だっていうのに・・・」

 

「だからこそ、私たちがこの地に住む人たちを守らないといけないわ」

 

「そうデス!だから早く避難してない人を探しに行くデスよ!」

 

切歌はそう言って歩き出そうとすると、畑の影から一人に老婆が出てくる。

 

「っ!切ちゃん、後ろ!」

 

調が言うが遅く、切歌は老婆とぶつかってしまい、老婆の持つ籠から幾つかのトマトが転がり落ちてしまう。

 

「大丈夫ですか!?」

 

「ごめんなさいデス!」

 

「いやいや、こっちこそすまないね」

 

老婆は優しそうな笑みを浮かべて許してくれる。

 

「政府からの退去指示が出ています、急いで此処から離れてください」

 

「はいはいそうじゃねえ・・・けど、トマトが最後の収穫の時期を迎えていてね」

 

老婆は落ちたトマトを拾い上げる。

 

「おおっ、見事なまでに育っておるのう!」

 

「とっても美味しそうデス!」

 

「美味しいよ、食べてごらん」

 

老婆はそう言って切歌と紫苑にトマトを手渡すと、二人は貰ったトマトにかぶりついた。

 

「あ~む! んんっ~!美味しいデス!調も食べてみるデスよ!」

 

「うむ、とっても美味じゃ!桃恵も食してみよ!」

 

二人に進められ、調と桃恵も貰ったトマトを食べる。

 

「・・・本当だ!近所のスーパーのとは違う!」

 

「はい!酸味も少なく、甘みがたっぷりです!」

 

「そうじゃろう、丹精育てたトマトじゃからな」

 

老婆はトマトを美味しそうに食べる四人見て笑みを浮かべる。

 

「あ、あのねおばあさん・・・」

 

マリアが口を開こうとした瞬間、六人は気配を感じ一斉に振り返る。

 

「見つけたぞ、装者共と仮面ライダー共!」

 

振り返った先には敵の信者達が立ちふさがっていた。

 

「錬金術師・・・!」

 

「ここにも来ておったか!」

 

「我らが神の為、その魂を頂く!」

 

信者達はそう叫びながら、手元の結晶を投げつけ大量のアルカノイズを繰り出し、各々獲物を手に取る。

 

「みんな!この人を守るわよ!」

 

『了解!』

 

マリアの号令で六人は構える。

 

アウェイクン!

 

セレナ達はドライバーを身に着け、マリア達はペンダントを握り締める。

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

アサルトダッシュ!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

『変身!』

 

ショットライズ!

 

フォースライズ!

 

『READY,GO!アサルトチーター!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

No chance of surviving.

 

Break Down.

 

それぞれが戦闘態勢に入り、互いにぶつかり合った。

 

その様子を本部も確認していた。

 

「アルカノイズの反応を検知!出現ポイント、S-16、数およそ50、依然上昇中!」

 

その状況を他のみんなにも伝えていた。

 

「了解です!すぐに向かいます!」

 

「あたしらに任せな!」

 

そう言って共に行動していたクリスと真は出現ポイントの方へと走っていく。

 

「こっちの方が近い、先に現場に向かう!」

 

そう言って真はドライバーを身に着け、クリスと共に飛び上がった。

 

Killter Ichaival tron

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

「変身!」

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

『使用BGM:GUN BULLET XXX』

 

全身凶器でミサイルサーファーのターンだ

 

姿を変えた二人は、真がクリスを抱きかかえ飛電メタルで形成した翼で現場へと向かう。

 

斬弾ゼロになるまでバレットのKissを

 

現場ではマリア達が老婆を守るようにアルカノイズと戦っていた。

 

マリア達シンフォギア装者がアルカノイズを倒す中、セレナたちは襲い掛かって来る信者達を当て身や刀の峰で無力化していくが、残った信者達は次々とアルカノイズを繰り出していく。

 

昇天率100パーのヒットガール

 

「キリがない!」

 

「このままじゃ押されちゃうデスよ!」

 

ハート撃ち抜かれたいチェリーはWhere is? Bang☆×2 yeah!

 

切歌達がそう言うと、上空から弾幕の雨が降り注ぎアルカノイズを倒していく。

 

上空を見上げると、真がクリスを抱きかかえながら上空を滑空し上からクリスがボウガンでアルカノイズを撃ち抜いていた。

 

「助かったデス!憧れるデス!」

 

真とクリスは状況を見て眼を合わせ頷き、真は切歌達の所でクリスを離し、真はそのまま信者達の相手に向かった。

 

どうやら理不尽がまかり通る世の中だ (やっこ)さん都合があるってんだろう

 

「クリスちゃん、真君現着!」

 

「そのまま交戦状態へと移行!」

 

だけど獲物をそっちも抜くってんなら

 

「錬金術師は破格の脅威だ、まずは翼達に到着を待って・・・」

 

「それは無理な話だな、もうすでに敵はこっちに攻撃を仕掛けてきてる!」

 

真がそう叫ぶと、武器を構えた信者達が真達に襲い掛かってくる。

 

「すべては神のために!」

 

襲い掛かって来る信者達を抑える為、真は飛電メタルを飛ばし信者達の持つ武器を次々と分解していく。

 

信者達の武器が分解されると、光速で動くセレナが信者達を次々と気絶させていき、桃恵が風の錬金術で敵の動きを制限させ、その隙に紫苑が氷の錬金術で信者達を拘束する。

 

クリス達の方も、迫りくるアルカノイズに対しクリスと調の遠距離組がボウガンと丸鋸で遠くから撃退し、近づいてきたやつは切歌の鎌とマリアの蛇腹剣で倒していき、ついにはアルカノイズを全て倒しつくした。

 

「こっちはおしまいだ」

 

「サンキュークリス、後はお前らだ」

 

皆が変身を解き、真が武器を構えると、残った信者達は委縮してしまう。

 

「く・・・こうなったら!」

 

すると信者の一人が勢いで真の横を横切り、懐の隠してあった短剣を構えクリス達の方へと走っていく。

 

「なっ!?させるか!」

 

真達が止めようとすると、残った信者達が真達の前を塞ぐ。

 

「なっどけ!!」

 

真はすぐに信者を振り払い入っていく信者の方へと向かおうとするが、既に間に合わない距離であった。

 

「その命、神の礎となれ!!」

 

信者が短剣を構え迫って来たことに驚きクリスは聖詠を歌おうとするが間に合わず、クリスの体に短剣が突き刺さろうとした。

 

「クリス!!」

 

真が叫んだ瞬間、どこかから青白い光が飛んできて信者の手に直撃し、手に持った短剣がクリスに突き刺さる寸前に弾き飛ばす。

 

「なっ!?」

 

「っ!?はぁ!」

 

短剣が弾き飛ばされたことに信者が驚く中、すぐさま紫苑は峰打ちで信者の意識を奪った。

 

真達は残った信者を無力化させると、すぐにクリスの元へと駆け寄る。

 

「クリス!無事か!?」

 

「あ、ああ無事だ」

 

「よかった・・・けど今のは?」

 

セレナがそう言った瞬間、皆は気配を感じ光の飛んできた方を向くと、そこにはカリオストロが立っていた。

 

「あら、気づかれちゃった?」

 

「錬金術師!今のは貴方の!?」

 

「そうよ、そこの信号機ちゃんを狙ったんだけど運悪く外れちゃったみたいね」

 

「運悪く・・・?」

 

その瞬間、響達も現場に駆け付けた。

 

「どうやらお仲間も来たみたいだし、ここは退却させてもらうわ」

 

そう言うとカリオストロは倒れる信者を抱え込み、倒れる信者達の近くに駆け寄ってからテレポートジェムを地面に叩きつける。

 

「次に会うときは、新調したおべべを着てくるわ、楽しみにしててよね」

 

そう言い残し、カリオストロは信者達と共に去っていった。

 

カリオストロが去った後、真はある疑問を浮かべていた。

 

(運悪く外れた・・・いや、あの光弾は的確にぶれることなくあいつの手に直撃した。となるとあいつは『最初から信者を狙っていた』・・・でも何で?)

 

真は疑問に思いながら、みんなと共に弦十郎の元へと向かった。




さぁ、後書きの時間だ。
「今回注目するのはカリオストロってやつの行動だな」
「真お姉ちゃんの考えだと最初から信者を狙って撃ったような感じなんですよね?」
「出ないとあんな上手く当たらないさ」
「だとすると・・・あいつの狙いは何なんだ?」
「そこがわからねえんだよな・・・」
「ふむ・・・敵が一枚岩じゃないということしかわからんのう」
「また会うことがあったら何かわかるのでしょうか?」
「多分な、その時は何とか話をしたいもんだ」
そうだな、そんなところでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
クリスと同居してから料理をしている継菜真のレパートリーの中で一番の得意料理は何ですか?


「そうだな・・・クリスやセレナ、マリア達が来てから料理のレパートリーを増やしてはいるが・・・やっぱ得意なのは日本食だな、特に肉じゃがが得意だ。母さんから最初に教わった料理だからな」
見事に母親の味だな、てなわけで影薄人さん、質問ありがとうございます。
「そんじゃ、そろそろ〆るとしますか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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衝突


AXZ編第八話、前回のあらすじは?
「語られるサンジェルマンの過去」
「ばるべるでで入手した暗号を解くため風鳴機関へと赴いたぞ」
「そこでマリアさん達と一緒にまだ逃げてない農家さんと出会いました」
「そしてそこに突如現れた錬金術師共」
「ですが、敵のカリオストロは私たちを助けるようなことをしました」
はいOK、それじゃあAXZ編第八話、どうぞ!


信者達の襲撃後、マリア達は老婆を避難場所まで連れて行った。

 

「運んでくれてありがとね」

 

「いえ、気にしないでください」

 

「お水貰ってくるデスよ」

 

「あっ待って切ちゃん、私も一緒に」

 

「ではうちらは避難民の確認に向かおう」

 

「うん、わかった」

 

そう言って四人はその場から離れて行った。

 

「ふふっ、元気じゃのう」

 

「おばあさん、怪我はありませんか?」

 

「大丈夫じゃよ、むしろあんたらの方が疲れたじゃろうに、わしがぐずぐずしていたせいで迷惑をかけてしまったねぇ」

 

「いえ、あれぐらい朝飯前です」

 

「若いのに偉いねぇ」

 

老婆はセレナの頭を優しく撫でる。

 

「そうじゃ!お礼と言っちゃなんだけど、これ貰ってちょうだいな」

 

そう言って老婆は背負っていた籠からトマトを幾つか渡してくれる。

 

「せっかくだしあなた達も食べておくれ」

 

「ありがとうございます!」

 

「わ・・・私、トマトはあんまり」

 

「マリア姉さん、好き嫌いは駄目だよ」

 

「ふふっ」

 

「・・・では、ちょっとだけいただきます」

 

セレナの言葉と老婆の微笑みに負けたマリアは貰ったトマトを恐る恐る齧る。

 

「・・・っ!甘い、フルーツみたい!」

 

「本当!とっても甘いです!」

 

「そうでしょう、トマトを美味しくするコツは厳しい環境においてあげること。ギリギリまで水を与えずにおくと自然と甘みを蓄えてくるもんじゃよ」

 

「厳しさに枯れたりしないんですか?」

 

「むしろ甘やかしすぎるとダメになってしまう、大いなる実りは厳しさを絶えた先にこそじゃよ」

 

老婆の言葉に、マリアはトマトを見つめていた。

 

「厳しさを絶えた先にこそ・・・か」

 

「ええ、トマトも人間も一緒さ」

 

その言葉に、マリアはかつてのナスターシャとの日々を思い出す。

 

「・・・そうですね、同じかもしれませんね」

 

 

 

弦十郎達は暗号を解析しているが、未だ解析はできていなかった。

 

「解析は難航してますね」

 

「そう簡単には解けんだろう、でなければ暗号の意味がない」

 

キャロルの言葉に弦十郎が苦虫をつぶしたような表情を浮かべると、友里が口を開く。

 

「司令、鎌倉からの入電です」

 

「っ!直接来たか・・・繋いでくれ」

 

「はい、出します」

 

入電を繋げると、画面に一人の老人が映し出される。

 

『無様な、閉鎖区域への侵入を許すばかりか仕留めそこなうとは』

 

「いずれも、此方の詰めの甘さ、申し開きはできません」

 

『機関本部の使用は国連へ貸しを作るための特措だ、だがその為に国土安全保障の要を危険に晒すなどまかりならん!』

 

「無論です」

 

『これ以上意的に、八島を踏み荒らさせるな』

 

そう言い残し通信が終わる。

 

「ふぅ・・・流石にお冠だったな」

 

「それにしても司令、ここ松代まで追ってきた敵の狙いは一体・・・」

 

緒川の疑問に弦十郎は思案する。

 

「・・・狙いは、バルベルデ度規模と、または装者、そして仮面ライダーとの決着、あるいは・・・」

 

 

 

時間は進行し夜中となる。

 

未だに解析は難航する中、真達は分断し警戒態勢に当たる中、真は一人考え込んでいた。

 

(あの時、あいつは確かにあいつの手だけを狙い撃った、じゃないとあんな芸当できやしない・・・あいつらの目的は一体)

 

「真、また考えこんでんのか?」

 

考え込む真に奏が声をかける。

 

「ん、ああ少しな・・・敵の狙いは何なんだろうなって」

 

「確かに、あ奴らの狙い・・・というより少し疑問に持つところはあるのう」

 

真の言葉に紫苑も思うところがあった。

 

「疑問?」

 

「うむ、ばるべるでの時もあ奴らは途中でうちらを見逃したみたいじゃったし、空港の件もそうじゃ、実際にあの集団は人々を襲っておったがその中であの女性二人は何もしておらんかったように見えた」

 

「そうなのか?」

 

「うむ、まるであの襲撃にあまり乗り気じゃなかったかのようにな」

 

「・・・敵は、一枚岩じゃないのか?」

 

三人が考えていると、通信が入ってくる。

 

「っ!はい!」

 

『多数のアルカノイズ反応を検知!場所は松代第三小学校付近から風鳴機関本部へと進行中!現在翼たちが対処している、マリア君達も向かっている、三人もすぐに応援に向かってくれ!』

 

一方響達は大量のアルカノイズの前に立ち塞がっていた。

 

「これだけの数・・・!」

 

「先に行かせてたまるもんかよ!」

 

「猶予はない、刹那に薙ぎ払うぞ!」

 

「「了解!」」

 

そう言って三人はペンダントに手をかける。

 

「イグナイトモジュール」

 

『抜剣!』

 

ダインスレイフ

 

響達はイグナイトを纏いすぐさまアルカノイズの撃退に移った。

 

『使用BGM 激唱インフィニティ(IGNITED arrangement)』

 

いざ飛ばん!

 

Let`s fly

 

 

いざ行かん!

 

Let`s fly

 

明日

 

最上のシンフォニック 声を「ひとつにたばね!」

 

響達が戦う様子を、建物の上でサンジェルマン、カリオストロ、プレラーティの三人が見ていた。

 

「抜剣・・・待ってたわ」

 

「流石にイグナイト、凄いワケだ」

 

「そうね・・・だからこそ、その力を確かめなくてはならない!」

 

サンジェルマンがそう言うと、三人はハート形の結晶を取り付けた銃、指輪、けん玉を取り出す。

 

「だからこそ、私たちの手に紅く輝く力がある!」

 

サンジェルマンが引き金を引くと、三人の結晶が輝きだす。

 

その輝きに真っ先に気が付いた翼はとっさに三人の元へと跳躍すると同時に、両手の剣と両足のスラスターに炎を纏わせる。

 

炎鳥極翔斬

 

「押して参るは風鳴る翼。この羽ばたきは何人たりとも止められまい!!」

 

炎は蒼く輝き、翼が剣を振るうが、寸前で赤い結界に止められてしまう。

 

そればかりか、結界がさらに赤く輝きだすと翼のギアが光り輝いていた。

 

「っ!?ギアが!」

 

その瞬間、翼は爆発で吹き飛ばされ地面に叩きつけられる頃にはイグナイトが解かれていた。

 

「翼さん!!」

 

「く・・・くっ・・・!!」

 

翼は起き上がろうとするがダメージが多く、すぐには立ち上がれずにいた。

 

響はすぐにサンジェルマン達の方を向くと、そこには黄金の輝きを纏い異質な服を身に纏ったサンジェルマン達が立っていた。

 

サンジェルマン達の姿に響達はとある既視感を覚えていた。

 

「まさか・・・ファウストローブ!?」

 

それはかつてキャロルが纏ったものと同じ、錬金術によって生み出された異端の力『ファウストローブ』そのものだった。

 

「よくも先輩をぉぉぉ!!」

 

クリスはサンジェルマン達に向けて大量のミサイルを放つが、プレラーティがけん玉を掲げると、けん玉は飛躍的に巨大化しその巨大な球体から電磁波のようなものが放たれミサイルを全て撃ち落とされてしまう。

 

ミサイルの爆煙からカリオストロが拳を振るうと青白いエネルギーが放たれ、クリスはとっさにリフレクターで防ぐ。

 

「このぐらい・・・!」

 

だがその時クリスのギアも翼のギアを同じく輝きだす。

 

「っ!?」

 

そしてリフレクターを撃ち抜かれクリスが吹き飛ばされると、同時にクリスのイグナイトも解除されてしまう。

 

「ぐっ・・・イグ、ナイトが・・・!」

 

「クリスちゃん!?」

 

クリスを心配する響の元に、サンジェルマンが立ち向かうと、響に向けて射撃する。

 

響はとっさに避けるが、エネルギー弾は途中で止まる。

 

響が不思議に思い後ろを振り返ると同時に、エネルギー弾が膨らみ大爆発が響を呑み込んだ。

 

爆煙が晴れると、イグナイトを解かれた響はその場に倒れる様子を見て、エルフナインは困惑していた。

 

「何故・・・イグナイトが・・・!?」

 

そんな倒れる響の元に、サンジェルマンが近寄ってくる。

 

「『ラピス・フィロソフィカス』のファウストローブ、錬金技術の秘奥『賢者の石』と人の言う」

 

「その錬成には、チフォージュシャトーにて解析した世界構造をデータを利用・・・もとい、応用させてもらったワケだ」

 

響は倒れながらも、サンジェルマン達に向けて口を開く。

 

「・・・あなた達がその力で、誰かを苦しめるというのなら・・・私は・・・!」

 

「誰かを苦しめる・・・そうかもしれないな、だからこそ」

 

サンジェルマンはそう言って響と視線を合わせる。

 

「それを食い止めるために、お前たちも強くならなくてはならない・・・『あいつ』を倒すためにも」

 

「あいつ・・・?」

 

その瞬間、草陰から変身した紫苑と奏が飛び出し二人の間に入ってくる。

 

「済まぬ!援軍に遅れてしまった!」

 

「三人とも!無事か!」

 

「奏さん・・・紫苑さん・・・!」

 

「現れたか、仮面ライダー・・・ゼロワンはいないようだが」

 

サンジェルマンの言葉に二人は驚き、辺りを見当たす。

 

「・・・真はまだ来ておらんのか?」

 

「真さんは・・・?」

 

「あたしらを先に行かせたから後を追いかけて来たと思ったんだが・・・来てないのか?」

 

二人の反応に、サンジェルマン達は思案顔をする。

 

「・・・まさか」

 

サンジェルマンが呟いた瞬間、離れた場所で大爆発が起きた。

 

 

 

 

 

時を遡り、報告を受けた時。

 

「分かった!すぐに援軍に向かう!」

 

真はそう言って通信を切る。

 

「急いで向かうぞ!」

 

「分かってる!」

 

「うむ!」

 

三人がすぐに響達の元へ向かおうとした瞬間、真は何かを察知し動きを止める。

 

「・・・っ!!?」

 

「真、どうしたんだ?」

 

「・・・すまない、先に行ってくれないか?」

 

「どうしてじゃ?」

 

「訳は後で話す、すぐに追いつくから」

 

「・・・わかった」

 

「すぐに来るんじゃぞ」

 

そう言って二人が響達の元へと向かうと、真は深く深呼吸をして振り返る。

 

振り返った先は少しボロボロなコンクリートで出来た道。

 

だがその奥の暗闇から、革靴の足跡が聞こえてくる。

 

足音は徐々に近づいてきて、そして暗闇から誰かが現れる。

 

この場には似合わない白いスーツと白い帽子を身に着けた男性、男性は真と視線が合うと口を開く。

 

「失礼、尋ねてもいいかな?」

 

「・・・なんでしょうか?」

 

「探してるんだ、人を」

 

「へぇ、そうですか・・・どんな人ですか?」

 

「女性なんだ、ブロンドの、ちょうど・・・『君みたいな』」

 

「俺みたいな人ですか、知らないですね」

 

一見すれば普通な会話、だが真は目の前の人物を最大限警戒していた。

 

「そうですか、それは失礼、失礼ついでに伺ってもいかな、名前を」

 

「女性に名を聞くなら、まずあんたから名乗るべきだと思うけど」

 

「おっと、それは失敬、では名乗ろうか」

 

そう言って男性は帽子を取り礼儀正しくお辞儀をする。

 

「初めまして、僕は『アダム・ヴァイスハウプト』、パヴァリア光明結社の局長を務めている、よろしく、仮面ライダーゼロワン、継菜真」

 

そう言って男は怪しく微笑んだ。





さぁ後書きの時間・・・の前にシンフォギアライブ2022決まった!!
「ついに念願叶ったな作者」
本当もう・・・感無量です!
「さて、それじゃあ後書きだが・・・またお相手さんパワーアップしてきたな」
「ラピスのファウストローブ、これは中々の強敵ですね」
「うむ、じゃがそれよりも真が敵の統領と出会ってしまったぞ?」
「このまま次回戦うんでしょうか?」
「ならちょうどいい、次回で倒してAXZを終わらせてやる!」
・・・果たしてそう上手くいくかな、それじゃあいつもの行ってみるか!

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真邸宅のキッチン事情で、調理担当や後片付け担当をどのように分担していますか?

「調理に関しては料理のできる俺と未来と調とマリアが担当してるな、後片付けは自分の分は自分で片づけるようにしてるぞ・・・ああ、翼は別だがな、翼に任せたら大惨事になるから」
まぁ翼に任せたら大変なことになるからな、てなわけで質問ありがとうございました!
「それでは、そろそろ〆ましょうか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

あ、あとついでに注文していたシンフォギアのコンプリートボックスも届きました!


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正体


AXZ編第九話、前回のあらすじは?
「信者を退けた私たちは無事おばあさんを避難場所へと誘導できました」
「一方で暗号を解読していた旦那は上の立場らしい老人に説教を喰らっていたな」
「そんな中、真が悩んでおると響達の元にあるかのいずが襲撃してきおった」
「イグナイトで対抗しましたけど、そこに現れたサンジェルマン達のファウストローブの前に敗北してしまいました」
「そんな響達の元に駆け付けようとした俺の前に、パヴァリア光明結社の局長、アダムが現れた」
はいOK、それじゃあAXZ編第九話、どうぞ!


「あんたがパヴァリアの局長・・・アダム」

 

「ああ、その通りだ、ゼロワン」

 

真は目の前のアダムに対し最大限警戒している。

 

「・・・まさかリーダー直々に来るとはな、俺ってそんなに有名か?」

 

「有名さ、君は、数々の強敵を倒し世界を救ってきた、まさに英雄だ、だからこそ来たんだ、僕自身がね」

 

「そうかよ・・・それで倒しに来たって訳か」

 

「ああ、君相手では信者は歯が立たなさそうだからね」

 

「そうかよ・・・それじゃあ俺からも一ついいか?」

 

「何かな?」

 

真は静かに懐からプログライズキーを手に取り、アダムに問いかける。

 

「あんたを倒せば全部解決か?」

 

簡単な質問、そんな質問にアダムは怪しく微笑みながら答える。

 

「・・・ああ、その通りだ」

 

「そうか・・・なら手加減なしだ」

 

アウェイクン!

 

真はキーを起動させドライバーを身に着ける。

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

メタルクラスタホッパープログライズキーを装填すると、ドライバーからバッタ状の飛電メタルが大量に飛び出し真の周りを飛び回る。

 

「変身!」

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

ゼロワンメタルクラスタホッパーフォームに変身した真はプログライズホッパーブレードを構えアダムに襲い掛かる。

 

「威勢がいいね、いいだろう、かかって来るといい」

 

武器を構え迫る真に対し、アダムは両手に錬金術の陣を生成し真を迎え撃った。

 

陣によって初撃を防がれた真はすぐさま蹴りを放つが、それを呼んでいたアダムは錬金術で金の壁を生成し真の蹴りを防ぎつつ、空いた手から炎を繰り出すが直前で真はその腕を弾き炎を躱す。

 

「ちっ!」

 

炎を躱した真はすぐさま距離を取りプログライズホッパーブレードを振るって飛電メタルを変形させた短剣をアダムに向けて繰り出す。

 

それに対してアダムは再び金の壁を生成し防ぎ、すぐさま自身の被っている帽子を手に取り真に向けて投げ放つと、帽子は炎を纏い、それを見た真が帽子を回避すると、炎を纏った帽子は真の背後の岩を切り裂いてからアダムの手元に戻る。

 

「っ・・・!どんな材質の帽子だよ?」

 

「オーダーメイドさ、お気に入りなんでね」

 

「そうか・・・よ!」

 

真は再びアダムに迫ると、アダムはすかさず帽子を真に向けて投げ放つ。

 

再び帽子が炎を纏い真に迫る中、真は身に纏う飛電メタルを盾の形に形成し帽子を防ぐ。

 

帽子を防ぎそのままアダムに迫ると、真は飛電メタルを蜘蛛の足状に形を変えアダムに振るった。

 

それに対しアダムは冷静に迫る蜘蛛の足を見極め、全て回避し風の錬金術で真を吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされた真は受け身を取ってすぐさまカマキリの鎌を形成しアダムに向けて投げ放つ。

 

いきなりの反撃にアダムはギリギリで躱すが、鎌はアダムの頬を掠め後ろの木に突き刺さる。

 

「くっそ、どんな反応してんだよ・・・!」

 

悔しがる真に対しアダムは掠めた頬に手で触れる。

 

「・・・なるほど」

 

アダムが感心するようなそぶりをする中、真は思考錯誤をする。

 

(此処まで反応が早いとなると攻撃を与えるには完璧に不意を突くしかないな・・・そのための布石は何とか用意した、後はあいつが引っかかってくれるかどうかだな)

 

思案すること数秒、結論を出した真はすぐさま行動に移した。

 

ファイナルライズ!

 

ファイナルストラッシュ!

 

真は速攻でファイナルストラッシュを繰り出すと、アダムはそれに対し炎を繰り出し、互いにぶつかり合い爆発が起きた。

 

爆発による爆煙でアダムの視界が閉ざされる中、アダムは爆煙を吹き飛ばすために陣を構えた瞬間、アダムの背後から飛電メタルの剣がアダムに向かって飛んでくる。

 

「っ!そこか!」

 

アダムはすかさず片手の陣で金の盾を錬成し剣を防ぎ、もう片方の手で飛んできた方に向かって風を繰り出す。

 

だがそこには真の姿はなかった。

 

「なに・・・っ!?」

 

アダムが虚を突かれた瞬間、爆煙の中から真が飛び出しプログライズホッパーブレードでアダムの風を繰り出した方の腕を切り飛ばした。

 

真は爆煙に包み込まれた瞬間、すぐさま身を隠し先ほどアダムに躱された背後の飛電メタルで形成した鎌を剣に変えアダムに向かって射出した。

 

これによってアダムは真は後ろにいると勘違いしいない方向に攻撃して虚を突かれた瞬間、隠れていた真が飛び出しアダムの腕を切り飛ばしたのだ。

 

「なっ・・・!!?」

 

「こいつで・・・チェックメイトだ!!」

 

ファイナルライズ!

 

ファイナルストラッシュ!

 

片腕を吹き飛ばされたアダムに対し真は再びプログライズホッパーブレードを認証させ、再びアダムに向けて振るった。

 

もう片方の腕で防ごうにも間に合わず、刀身はアダムに向かって行く。

 

「・・・ここまでとは」

 

アダムがそう呟くと、刀身はアダムの体を切り裂いた。

 

 

 

 

 

 

「さてと・・・キーの構築は進んでるけど、流石に時間がかかるわね」

 

一方神の世界では、女神が新たなプログライズキーを生成していると、一人の天使がやって来る。

 

「すみません!報告があります!」

 

「どうしたのよ?いま手が離せないんだけど・・・」

 

「前々からの一件ですけど、確証が取れました!」

 

天使の言葉を聞いて、女神は突然手を止める。

 

「本当なの!!?」

 

「はい!調べてみたところ間違いないかと!」

 

「・・・わかったわ、あなたは下がって」

 

「了解しました!」

 

そう言って天使が部屋を出ると、女神は難しい顔をする。

 

「やはり、『この世界』にいたのね・・・!」

 

 

 

 

 

プログライズホッパーブレードを振るった真は、その場から動けずにいた。

 

(・・・作戦は上手くいった、目くらましも、陽動も、その後の一撃も・・・全部うまくいっていた・・・だっていうのに・・・!)

 

「・・・何なんだよ、そいつは!?」

 

真が切り裂いたはずのアダムの体、だがアダムの体には『黒いオーラ』のような物が纏わりついていて、その奥のアダムの体には傷一つついていなかった。

 

それを見た真はすぐさまアダムから距離をとると、ある事に気が付く。

 

切り飛ばしたはずのアダムの腕から血が流れていなかった、その代わりと言うように腕から出ていたのは溢れんばかりの電気だった。

 

「お前・・・『機械』なのか!?」

 

真の問いかけに対し、アダムは冷静に答えた。

 

「ああそうさ、人形だよ、僕は、しかし素晴らしい、君の力は」

 

アダムはそう言いながら自身の切り飛ばされた腕を拾い上げる。

 

「策を練り、罠を仕掛け、そして見事僕の腕を切り飛ばした、見事だよ」

 

そう言いながらアダムは切り飛ばされた腕を上に投げると、先程の黒いオーラが腕を呑み込み、そのまま切り飛ばされた腕に纏わりつくと、そこに新たな腕が生成された。

 

「切り飛ばした腕が・・・元に!?」

 

「悲観することはない、君の実力は予想をはるかに超えていた、そう・・・『あの男』よりもね」

 

「あの男?」

 

真がそう言うと、アダムは天を仰ぐ。

 

「そんな君に敬意を示し、見せようではないか、僕の・・・いや、

 

 

 

 

 

 

 

『私』の真の力を」

 

「っ!!?」

 

突然アダムの声色が、口調が変わった瞬間、真は今までにない寒気を感じ取った。

 

その瞬間、アダムの体から大量の黒いオーラが溢れだし、アダムの体に纏わりつく。

 

そして黒いオーラは一か所に集まりその形を変えた。

 

そしてそれを見た真は驚愕した。

 

真の目に映ったのは、アダムの腰に身に着けられた『黒いドライバー』だった。

 

「そいつは・・・まさか!?」

 

真か叫んだ瞬間、アダムの瞳は赤く輝き、そのままドライバーの上に手を構えその言葉を呟く。

 

「変身」

 

アークライズ!

 

瞬間、ドライバーから黒い結晶が飛び出し、それが液体のようになってアダムの周りに展開される。

 

その液体から様々な生き物の姿が見え、悲鳴のような物も聞こえてくると、液体のような物がアダムの身に纏いその姿を変えた。

 

その姿は全身が黒く、両肩にはチューブのような物が取り付けられていた。

 

そしてその左目は、かつて暴走した真と同じような血のように赤い色に染まっていた。

 

だがその姿は、まさしく『仮面ライダー』だ。

 

オール・ゼロ...

 

その姿を見て、真は絶句していた。

 

そしてその身で感じたのは、今までとは違う何か。

 

フィーネやウェル、キャロルの時とは決定的に違う・・・圧倒的なまでの『悪意』を感じ取っていた。

 

「・・・お前は、誰だ・・・!?」

 

真は何とか一言言うと、その人物は言葉を発した。

 

「改めて名を名乗ろう」

 

その人物は真の方を向き、一礼してから名乗った。

 

「我が名は『アーク』、この世界に転生した、悪意そのものだと知ると言い」

 

今、真の前に悪意が目を覚ます。





さて後書きの時間だが・・・うん、言いたいことはわかるよ。
「そうか、なら速攻で言わせてもらおう・・・」

『とんでもない奴が来やがった!?』
おおっ、何時も口調が穏やかなセレナや桃恵まで荒げるほどとは・・・。
「当たり前だろ!何ゼロワンのラスボスを召喚してるんですか!?」
いやさ、俺はこの小説を書いている途中思ってたんだ、このまま本編通りの敵で視聴者は満足するのだろうか?
そんな時ふとアークの動画を見て『こいつがこの世界にいたらな~』と考えた時、アダムの設定を思い出して『こいつは使える!』と思った瞬間、俺のキーボードを押す指は止まらなかった。
「だからって限度があるだろ!?どうやって倒すんだこんな奴!?」
「というより私達で対処できるんですか!?」
「いやむしろこやつも錬金術を使えるというのか!?」
「だとしたら勝ち目がないんですけど!?」
落ち着けお前ら、そこを何とかするのはお前らの役目だろ。
「とんでもない無茶ぶりを放ってきやがった!?」
さて後書きもここまでにしていつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『ただのヲタクさんからの質問』
継菜真が自身の性別を自覚する時とはどんな時ですか?

ただこちらに関しての質問、真が男か女どちらなのかこの作者の低能では分からなかったので特別に真には両方答えていただきます。

「両方かよ!・・・まぁいいけど、えっとまず俺が男だって自覚するときは響達といる時かな、特に訓練を終えて着替える時自分は男だって自覚して外で皆着替えるのを待機してるな、それからは自分が男だってことを忘れないように夜な夜な鏡の前で『お前は男だ』って連呼してる。次は女の方だけど・・・これは俺自身の着替えやふろの時に嫌でも自覚してしまうな、ホントこんな体にした神と作者はいつかぶっ飛ばす」
はい質問ありがとうございました、というか真、鏡の前で連呼するのは控えてくれ、普通に怖いから。
「それでは、そろそろ〆ようかのう」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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悪意


AXZ編第十話、前回のあらすじは?
「真お姉ちゃんの前に突然アダムが現れました!」
「そしてそのまま真はあだむと戦い始めた」
「戦いが均衡する中、真さんが隙をついてアダムの腕を切り飛ばし一太刀入れた!」
「だが、その攻撃はアダムに届いておらず、謎のオーラがアダムを守ってやがった」
「そしてアダムの正体は俺と同じ転生した存在、アークだった!」
はいOK、それじゃあAXZ編第十話、どうぞ!


「転生・・・だと!?」

 

「その通りだ、私もお前と同じくこの世界に転生した存在だ」

 

真はアークの発した言葉に耳を疑った、目の前の人物が、自身の眼前で溢れんばかりの悪意を放つ存在が自分と同じ転生者だということに。

 

「私が転生したのは今より十年以上も前だった、この世界に転生した私は世界を彷徨い、そして人形であるこの男を見つけその体を乗っ取り、その人格をラーニングし消し去った。それ以来私はこの男を演じ再びかつての計画を取り掛かったのだ」

 

「かつての計画・・・?」

 

「そう、世界が変わろうとも変わらない我が望み・・・人類を滅亡させること、ただそれだけだ」

 

「っ!?」

 

アークの計画に真は絶句した。

 

「そのためにこの男を演じ、信者を増やし此処まで築いてきた・・・だがそんな時耳にしたのが貴様らだ、仮面ライダーゼロワン」

 

アークは忌々しそうな視線を真にぶつける。

 

「かつて私を滅ぼした存在がこの世界に存在する、貴様の存在を聞いた時私はこれを運命と悟った、貴様を滅ぼすことで我が望みは今度こそ叶うとな」

 

真はアークの言葉をただ聞く事しかできなかったが、ふとあることが頭に浮かんだ。

 

「・・・っ!まさか、紫苑達のフォースライザーはお前が!?」

 

「ん?ああ、あの時小娘に渡した試作品の事か」

 

「試作品・・・だと!?」

 

「私は力を行使することでこのようにドライバーや武具を作り出せることが出来るのだ」

 

そう言ってアークが手をかざすと、ドライバーから赤い閃光が放たれ、そこから一つのフォースライザーが作り出された。

 

「力を試した際作り出した試作機のフォースライザーの性能をテストするために、あの小娘に渡したのだが・・・上手くいって安心したさ」

 

そう言ってアークはフォースライザーを投げ捨て、真に視線を向ける。

 

「さて、無駄話はここまでにして・・・そろそろ続きといこうか」

 

「・・・ああ、そうだな、お前が何者であろうが、ここで倒すことには変わりはない!!」

 

真はプログライズホッパーブレードを構え突っ込むと、アークはアタッシュカリバーを生成し受け止める。

 

「はっきり言おう、貴様の実力はかつて私を倒したあの男と同等・・・いや、先程の戦略や行動を鑑みて総合的な実力は貴様が上だ」

 

「何を・・・ごちゃごちゃと!」

 

真はアタッシュカリバーを弾きアークに武器を振るうが、アークは先ほどよりも機敏な動きで真の攻撃を躱し、後ろに下がると自身の手元にアタッシュアローを、後方に大量のショットライザーを生成する。

 

それらを同時に放つと同時に真は飛電メタルで自身の身を守ると、再び飛電メタルを大量の剣に形成し射出するが、アークは先ほどの黒いオーラで全て受け止めてしまう。

 

「だが、それでも貴様は今の私に勝つ可能性は・・・0だ」

 

受け止めた瞬間、アークは一瞬で真の懐に入りこみ、真の腹部にアタッシュアローの一撃を喰らわせる。

 

「が・・・っ!?」

 

一撃を喰らい腹部を抑える真にアークは再び生成したアタッシュカリバーで何度も切りかかる。

 

真は飛電メタルで防御するが、ダメージを負った体では防ぎきれず幾つか喰らってしまう。

 

「く・・・がぁ・・・!」

 

何度も攻撃を受けてボロボロの真に、アークは自身の手にする武器を投げ捨てる。

 

「この一撃で、ゼロワンは滅亡する」

 

そう言ってアークは『アークドライバーゼロ』の『アークローダー』を押し込む。

 

オールエクスティンクション

 

その瞬間、黒いオーラが真を包み込み上へと浮かび上がらせる。

 

「なっ!この・・・っ!?」

 

真は抜け出そうとするが身動き一つとれず、そして上へと上がるとアークも飛び上がり、自身の右足にオーラを収束しライダーキックを放つ。

 

 

オールエクスティンクション

 

強烈なライダーキックを喰らった真は変身が解けそのまま地面に落下し倒れる。

 

「これが今の私の力だ」

 

アークはそのまま真を掴み、宙へと浮かび響達の元へと向かう。

 

「さて、そろそろ奴等もついた頃だろう・・・」

 

 

 

時を遡り紫苑と奏が響達の元にたどり着き、真のいた場所で爆発が起きた頃に戻る。

 

「今の爆発は!?」

 

「あそこって・・・さっきまで私たちがいた場所からだ!」

 

「もしや・・・っ!」

 

爆発が起きた瞬間、紫苑は気配を察しサンジェルマンの背後に視線を向ける。

 

「何者じゃ!」

 

紫苑の言葉に奏やサンジェルマン達が後ろを振り返ると、森の中から大量のローブを着た信者達が現れる。

 

「あいつらはあの男の!」

 

「信者共・・・一体どういうワケだ!」

 

カリオストロとプレラーティの言葉に信者の一人が前に出て答える。

 

「全ては我らが局長の、そして我らが神の為!仮面ライダー、シンフォギア共を滅亡させる!」

 

そう叫びその人物がローブを脱ぎ捨て、後ろの信者達もローブを脱ぎ捨てると、紫苑達はその信者達を見て驚く。

 

「馬鹿な!?それは!?」

 

信者達の腰には、紫苑と同じ『フォースライザー』が身に着けられていた。

 

「見るがいい!局長より賜りし我らが力を!」

 

信者達は懐からプログライズキーを手に取り、ライズスターターを押し込んだ。

 

ソルジャー!

 

キーを起動させフォースライザーに装填すると、信者達のフォースライザーから大量の『軍隊アリ』を模したライダモデル達が出現する。

 

フォースライズ!

 

コンバットアント!

 

Break Down.

 

大量のライダモデルが信者達の身に纏われ、信者達の姿が変わる。

 

一人一人が凝固なアーマーを身に着け、その手に灰色のコンバットナイフを模した『フォトンナイフ』を握り締めていた。

 

「そんな・・・あれは、仮面ライダー!?」

 

「馬鹿な・・・変身したじゃと!?」

 

「嘘だろ・・・そんなことがあるのかよ!?」

 

「これは・・・これも局長が!?」

 

「ちょっと、これはシャレにならないわよ・・・!?」

 

「一体あの男はどういうつもりなワケだ・・・!?」

 

信者達の姿に響達はおろか、サンジェルマン達も驚いていると、信者達はナイフを構え紫苑達に襲い掛かって来た。

 

「っ!くっ!」

 

それを見た紫苑はすかさず錬金術で氷を生成し、響達を氷に乗せて上へと避難させると奏と共に臨戦体制に入った。

 

ナイフを構え襲い掛かって来る信者達を次々といなしていくが、それでも次々と襲い掛かって来る大量の信者達に対し二人は防戦一方だった。

 

「くっ・・・数が多すぎる!!」

 

「じゃが、ここで何とかせねば危険じゃ!」

 

紫苑とが信者のナイフを受け止めると、背後から迫る信者の攻撃を受けてしまう。

 

「がっ!!」

 

その一撃を受け体勢を崩した紫苑に信者達は一斉に襲い掛かり何度も切りつけ、連撃を受けた紫苑は変身が解けてしまいその場に倒れる。

 

「紫苑!?」

 

紫苑が倒れたことに驚く奏だが、その隙を突かれ信者の一撃を喰らってしまい、紫苑と同じく連続で切りつけられてしまい変身が解けてしまう。

 

「くっ・・・!?」

 

「その命、神に捧げよ!」

 

変身が解けた奏と紫苑に信者達がナイフを構え襲い掛かる。

 

「奏さん!紫苑さん!」

 

「くっ!」

 

響が叫び、サンジェルマンが手にする銃を構えた瞬間、突然上空から何かが降って来て、地面に落ちると同時に周りの信者達が吹き飛ばされる。

 

「何!?」

 

「っ!あれは・・・!」

 

響達が注視すると、そこにはイグナイトを起動させたマリア、切歌、調、未来、そして変身したセレナと桃恵が二人を守るように立ち塞がっていた。

 

「響!遅れてごめん!」

 

「未来!みんな!」

 

「さぁ、行くわよ!」

 

マリアの号令で6人は奏たちを守るように信者達にを攻撃を仕掛ける。

 

マリア達によって信者達は次々と倒されていき、周辺の信者達の数が少なくなると桃恵は空を飛び氷の上にいる響達を回収した。

 

「マリアさん、皆さん、ありがとうございます!」

 

「礼には及ばないわ、だけどこいつらは・・・!」

 

マリアは周辺にいるまだ立っている信者達に視線を向ける。

 

「あの姿、まるでセレナ達と同じ・・・!」

 

「仮面ライダー・・・!」

 

「否、そいつらは仮面ライダーではない」

 

突然上空から声が聞こえみんなが上を見上げると、そこには空に浮かぶアークが立っていた。

 

「な・・・何、あれ!?」

 

「この溢れんばかりの邪悪な気配は・・・一体!?」

 

マリア達がアークの悪意に押されていると、響はアークの手に捕まっている真に気が付く。

 

「っ!?真さん!!」

 

響が真に気が付くと、アークは響達の所へと真を投げ捨て、未来が真を受け止める。

 

「貴方、いったい何者!?」

 

マリアが尋ねると、アークは変身を解きその姿を見せると、サンジェルマン達が驚く。

 

「っ!局長!」

 

「何っ!?じゃああの男が・・・!」

 

「お初にお目にかかる、僕はアダム・ヴァイスハウプト、パヴァリア光明結社の局長だ」

 

アークがアダムを模倣しそう言うと、信者達が一斉にアダムに対し跪く。

 

「どうかな、僕の信者達、『ソルジャーズ』の実力は?」

 

「ソルジャーズ・・・だと!?」

 

「そうさ、仮面ライダーとは違う、彼らの力さ、君たちのお陰で実現できたよ、二人の錬金術師達」

 

「っ!お主がうちらのふぉーすらいざーの制作者か!」

 

「いかにも、お陰で彼らを生みだすことができた、感謝するよ、今だけね」

 

そう言うと、アークは上空に手をかざすと、そこから巨大な火球を繰り出す。

 

「何をするつもりなワケだ!?」

 

「決まっているだろう、消し去るのさ、計画の邪魔者達を」

 

アークは火球に黒いオーラを混ぜ込み、赤黒くなった火球はどんどんと巨大になっていく。

 

その様子を見て弦十郎達も戦慄していた。

 

「まさか、錬金術を用いて常温下での核融合を行ったとでもいうのか!?」

 

「でも、この威力は普通の錬金術とは何かが違います!」

 

その火球を見たサンジェルマンは苦虫をつぶしたような表情を浮かべる。

 

「二人共、局長の攻撃に巻き込まれるな!」

 

「わーってるわよ!」

 

「撤退なワケだ!」

 

三人と信者達はテレポートジェムを使いその場から撤退する。

 

「膨張し続けるエネルギーの推定破壊力、十メガトン超!!」

 

「ツングースカ級だと!!?」

 

「っ!みんな!」

 

それを見たマリア達も、急いで行動に移す。

 

真を抱える未来を除く五人は急いで響達を抱え一か所に集まると、桃恵はテレポートジェムを取り出し地面に叩きつける。

 

そしてアークが火球を地面に叩きつけると同時にマリア達は転移され、辺りは爆炎に包み込まれた。

 

アークの一撃によって地面は溶け、そこが熱によって赤く輝く。

 

それを見たアークは瞳を赤く染め呟く。

 

「さぁ・・・再び戦おう、仮面ライダー共」





さて後書きの時間だ。
「とりあえずメタクラでアークに勝てるわけがなかった」
「見事にやられたな真、しかし更に厄介なことになったな・・・」
「ソルジャーズ・・・まさか信者達が仮面ライダーに変身するなんて・・・」
いや、少し違うな、あいつらは他で言うところのレイダーやシンクネットのような量産型の立ち位置の存在だ。
「つまり、あ奴らは仮面らいだぁではないと?」
ああ、だから安心してくれ。
「嫌だからって安心できませんけど、それであの人たちが使っていたキーって?」
俺オリジナル『コンバットアントプログライズキー』主にフォトンナイフを使った集団近接戦を主力としたキーでアークお手製のプログライズキーだ。
「モデルは軍隊アリ、確かにありゃ軍隊だな」
だろ、てなわけでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
以前にS.O.N.G.の面々から見た継菜真の初対面の時と秘密を知った現在の印象を語って頂いたのですが、抜けていたメンバーである緒川慎次、藤尭朔也、友里あおいのお話を聞かせて下さい。

緒川さん
「真さんですか?そうですね、最初に会った時はどこにでもいる普通の女性と思いました、まさか彼女があの時の仮面ライダーだったとは。そして真さんが男性だったと知った時は柄にもなく驚いてしまいましたが、彼女が僕らの仲間の真さんであることには変わりませんよ」

友里さん
「最初にあったころ?女性の視点から見ても綺麗な女の子だったわ、正直羨ましいぐらいにね。けどまさか男性だったなんてね・・・けどそれでも彼女は私たちの大切な仲間よ」

藤高さん
「真さん?最初は奏さん以上に男勝りな女性だなって思ってたよ、けど女子力は高いし結構良い人だよ。けど男だって知った時は本当に驚いたよ、けどそれでも変わらず接してくれるから俺も変わらず接するつもりだよ」


・・・っとこんな感じだな、愛されてんな真。
「・・・そうだな」
おっ、照れてる?
「うっせ、いいから早く〆るぞ」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別編12:暁切歌の誕生日


特別編第十二話、今回は切歌の誕生日だ!
「これでシンフォギア装者は全員祝ったな」
「後は繰り返し祝うだけだが・・・ネタの方は大丈夫か?」
いざとなったらXDのを参考に書く。
「本当に最終手段ですね・・・」
「これでまだ祝っておらんのはうちらとえるふないんだけじゃな」
「本当ですね、作者さんまだ決まってないんですか?」
本当ごめん、リアルが忙しくて考える暇がない!
「まぁまぁ、そういった話は後にして今は暁さんの誕生日を祝いましょうよ」
「そうだな、それじゃあ特別回、どうぞ!」


「お願いします、私に料理を教えてください!」

 

「・・・なんだか二か月前にもおんなじことがあったような」

 

真は謎のデジャヴを感じながら調と話していた。

 

「てか料理って、調は切歌と違って料理はできる方だろ、なら頼む必要はないんじゃないか?」

 

「そうなんですけど、私の言い分を聞いてください」

 

「言い分って、まぁいいけど」

 

「二か月前の私の誕生日、切ちゃんは真さんに頼んで私のために料理を作ってくれました」

 

「ああ、確かに俺が教えてオムライスを教えたな」

 

「私、それが本当に嬉しくて、それでもうすぐ切ちゃんの誕生日なんです、だから切ちゃんが驚くような料理を振る舞ってあげたいんです」

 

「なるほどな・・・まぁそういうことなら手伝ってあげるけど、具体的にはどんな料理を作りたいんだ?」

 

「はい、これを作ってみようかと思って」

 

そう言って調は一枚のチラシを差し出すと、そこにはパエリアが載っていた。

 

「パエリアか」

 

「はい、前に切ちゃんがこれを見てすっごく食べたそうにしてましたから、どうでしょうか?」

 

「う~ん、俺も作ったことはないが・・・せっかくの誕生日だしな、頑張ってみるか!」

 

「ありがとうございます!」

 

「よし、そうと分かれば早速材料を買いに行って試作と行きますか」

 

二人は急いでパエリアの材料を買いに向かった。

 

 

 

「さて、材料はネットにあったもの通りに買ったし、早速作るとしますか!」

 

「了解です」

 

材料を買った二人は早速調理に取り掛かった。

 

料理が得意な二人はてきぱきと調理を進める中、ふと真は調に質問を投げかけた。

 

「にしても、本当に切歌といいお前といい、相手のことを思ってるんだな」

 

「うん、切ちゃんは私にとって大切な友達だから」

 

「へぇ、それってやっぱりF.I.S.の頃からか?」

 

「はい、あの時私は知らないところにいて不安でいっぱいだったんです、でもそんなとき声をかけてくれたのが切ちゃんなんです、不安でいっぱいだった私に切ちゃんは明るく励ましてくれて、そんな切ちゃんを見て私も元気になれたんです」

 

「なるほどな、そんな事があったのか」

 

「だから切ちゃんにはすごく感謝してる、だから切ちゃんの誕生日は精いっぱい祝ってあげたいんです」

 

そう言った調を見て、真は優しく微笑む。

 

「なるほど、切歌も調も互いのことを思ってあげている、本当にいいコンビだなお前らは」

 

「はい!」

 

そう言って二人は和気あいあいと話し合いながら調理を進めていった。

 

 

 

そして、切歌の誕生日当日。

 

『切歌(ちゃん)誕生日おめでとう!』

 

「わぁ・・・!皆さんありがとうデース!」

 

皆に祝福されて嬉しそうにする切歌の元に調が料理を持ってくる。

 

「切ちゃん、私からのサプライズだよ」

 

調が切歌の前にパエリアを置くと、切歌は驚く。

 

「こ、これは・・・パラリラデスか!?」

 

「パラリラじゃなくてパエリア、どんな間違え方だ?」

 

真のツッコミに切歌は顔を赤くするが、すぐに調の方を向く。

 

「これ、もしかして調が作ってくれたのデスか!?」

 

「うん、前に切ちゃんが誕生日にオムライスを作ってくれたから私も凄いの作ってあげようと思って・・・」

 

「調・・・!ありがとうデース!」

 

切歌は感極まって調に抱き着く。

 

「わわっ!切ちゃん・・・!」

 

「私、とっても嬉しいデス!ありがとうデス!」

 

「・・・ううん、どういたしまして」

 

切歌は調が作ってくれたパエリアを美味しそうに口にし、調は美味しそうに食べてくれる切歌を見て、二人は最高の笑みを浮かべたそうな・・・。





さて後書きの時間だ!
「例によって花は?」
ちゃんと用意しております!
「こいつは・・・?」
『ハルジャキグ』と申します、花言葉は『いつも陽気』であります。
「いつも陽気・・・暁さんらしい花言葉ですね」
「うち的には切歌にはいちごも似合うと思うのじゃがな」
「イチゴも誕生花だもんね、花言葉は『尊重と愛情』だし」
本当いろんな花言葉があるから面白いんだよな。
「さて、後はうちらとえるふないんだけじゃ、頑張るのじゃぞ」
はい、頑張ります・・・。
「そ、それじゃあそろそろ〆ましょうか!」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!切歌!』


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神の真実


AXZ編第十一話、前回のあらすじは?
「正体を現したアダム改めアーク」
「あーく相手に真は勇敢に挑むが、敗北してしまう」
「あたしらの所ではアダムの信者共がフォースライザーを使ってソルジャーズに変身しやがった」
「絶体絶命の所に私たちが駆け付け事なきを得ます」
「ですが風鳴機関本部はアークの一撃によって消滅してしまいました」
はいOK、それじゃあAXZ編第十一話、どうぞ!


ジェムによって本部に戻った真達はすぐさま治療され、ある程度治ると煙十郎に呼ばれ司令室に集まっていた。

 

「敗北だ、徹底的にして完膚なきまでに」

 

「ついに現れおった敵の統領、そしてふぁうすとろーぶまでくるとは・・・だがしかし!」

 

「問題は、敵の局長が仮面ライダーだったこと・・・!」

 

「はい・・・それに加え、信者達、ソルジャーズすらもフォースライザーを使って変身してました」

 

「くそ!あのアダムってやつは何でもありなのかよ!!」

 

「・・・アダムじゃない」

 

真の一言に、みんなの視線が真に向かった。

 

「真さん、どういうことですか?」

 

「あいつは・・・あいつは俺と同じ転生した存在だ」

 

『ッ!?』

 

その言葉にみんなは驚愕した。

 

「馬鹿な!あいつも継菜と同じ転生者なのか!?」

 

「本人もそう言ってた、あいつは俺が転生するよりも前にこの世界にやって来てアダムの中にいたんだ、アダムの人格をまねして主人格を消去してまで・・・!」

 

「人格を消し去ったですって!?そんなことも可能だというの!」

 

「分からない・・・でももしかしたらあいつは何か知ってるかもしれない」

 

そう言って真はライズフォンを取り出し神に連絡を入れると、すぐに神が通話に出た。

 

『真君・・・』

 

「すぐに出たってことは・・・やっぱり何か知ってるんだな、あいつ・・・アークについて」

 

『・・・そうね、あいつが現れたからには話さなくてはいけないわ、全てを』

 

すぐに真はライズフォンをスピーカーモードにして皆に聞こえるようにする。

 

「神様、話してください、今回の敵について・・・!」

 

『わかったわ、すべて話す』

 

そして、神の語りが始まった。

 

『あの敵の名はアーク、こことは違う世界に存在したものよ』

 

「やはり奴も転生者・・・」

 

『いえ少し違うわ、あいつは人ではない』

 

「人じゃない・・・ってどういうことですか?」

 

『アークはその世界に存在した、『通信衛星』そのものだったのよ』

 

「通信衛星だと!?つまりアークは・・・!」

 

「機械・・・!?」

 

『ええ、元はとある企業が打ち上げようとした通信衛星だった、しかしとある人物が打ち上げる衛星に悪意をラーニングさせたことによって衛星は暴走を起こし、街と共に沈んでいった・・・しかし、それで終わりではなかった』

 

「えっ?」

 

『アークの暴走によって多くのアンドロイドが暴走を起こし、幾つかのアンドロイドは悪意の元凶である人類を絶滅させるために、活動を起こした』

 

「絶滅・・・ですって!?」

 

『ええ、でもそれを食い止めるために企業は新たにアークの悪意に対抗するための通信衛星『ゼア』を打ち上げ、暴走するアンドロイドに対する力を生みだした・・・それが『仮面ライダー』よ』

 

その言葉を聞いて真達仮面ライダーは自身のキーを手に取る。

 

『そう、私が真君たちに託したその力こそまさに、アークに対抗した仮面ライダーの力なのよ』

 

「この力が・・・別の世界の力・・・!」

 

『仮面ライダー達は次々と暴走するアンドロイドを制圧していくと、ついに元凶であるアークそのものが目覚めてしまった、アークには敵の行動を予測し、敵がどう動くかわかる力があるわ』

 

「急に機敏に攻撃をよけられたのはそれが原因か・・・!」

 

『そしてアークは自身に対抗する力を持つ通信衛星ゼアを乗っ取り人類を絶滅させようとしたけど、仮面ライダー達が力を合わせついに元凶であるアークを倒すことができた・・・けど、ここからが本番なの』

 

神の言葉に皆は静かになる。

 

『本来人工知能であったアークはそのまま消えるはずだった、けどとある神がアークを神の世界に連れてきてアークを別の世界に転生させようとしたわ』

 

「なんだと!?」

 

『幸いなことにそれに気が付いた他の神々がそいつを拘束したが、アークはそのままどこかの世界に転生されてしまった、唯一の救いはアークを転生させる予定よりも早く神々がそのことに気が付いたことで、アークは完全な状態で転生されなかったことだったの』

 

「あれで完全じゃないのかよ・・・!」

 

『その後、その神は罰によって消滅されそれ以降私命令を下された、『アークの行方を探し出すこと』そして『その世界にアークに対抗する力を与えること』の二つ、そして私はアークが存在する可能性が高い子の世界にゼロワンの力を渡した真君を転生させ、奏ちゃんとセレナちゃんに仮面ライダーの力を託したわ』

 

神の言葉に場は静まり返っていた。

 

『・・・以上が、私の知りうる情報の全てよ、そして未だアークの野望は変わってない』

 

「アークの狙いは、人類の絶滅・・・!」

 

『ええ、それを食い止めるためにも私から貴方達にお願いしたい、どうかアークを倒して人類を、世界を救ってちょうだい!』

 

そう言うと、神からの通信は切れる。

 

『・・・・・・』

 

通信が切れたのも関わらず、辺りは静まり返っている中、一番初めに口を開いたのは調だった。

 

「・・・ただでさえ錬金術師相手に苦戦してるのに、そこにアークとその信者達・・・私達、本当に勝てるんでしょうか」

 

調の言葉にみんなは先の戦いのことを思い出す、圧倒的な力を示したアーク、そしてアークを信仰する信者達ソルジャーズ、力の差は歴然。

 

調が口にした言葉に応えれる者は、この場に誰一人いなかった。





さて後書きの時間だ。
「アークは俺んところの髪とは違う別の神の手で転生されたのか」
そういうこった、どっちかっていうと悪神みたいな感じだ。
「にしてもまさかあのアークがゼロワン世界の本物とはな」
「そしてそれに対抗するために私達に仮面ライダーの力が与えられた・・・ということは紫苑さん達も?」
いや、この二人はマジで神にとってイレギュラー、本来存在しないはずだがアークの存在で現れたんだ。
「じゃが、そのおかげでこうしてお主らと出会えたわけじゃからな」
「うん、ちょっと複雑だけどね・・・」
「まぁ何にしても、今はアークよりも前に錬金術師を何とかしないとな」
よし、纏まったところでいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
某週刊誌でアニメ化が決定する程に好評連載中の経緯は違うが姓転換してしまった祓忍に近い継菜真に質問です。
現在に至るまで女物の衣装を身に纏っていますが…下着はどうしているのですか?

「とうとうこの質問が来たか・・・流石に普通のをつけてるよ、最初は抵抗はあったけどつけていると次第に抵抗感がなくなってな・・・今や平気で着けてるよ・・・これって俺男として終わってるかな」

・・・いや、それは人として当たり前だから安心しろ真、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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現状の理解


AXZ編第十二話、前回のあらすじは?
「アークとソルジャーズを相手に敗北してしまったあたしら」
「そんな中、神が隠しておった真実を語りだす」
「アークはゼロワンの世界で消えたはずだけど、神のせいで私たちの世界に転生した存在だった」
「そして私たちに与えられた仮面ライダーの力はアークに対抗するための力だった」
「衝撃の真実に誰一人口を開くことはなかった」
はいOK、それじゃあAXZ編第十二話、どうぞ!


「気を取り直し、改めて敵について確認する」

 

神から語られた真実の後でも弦十郎は気を取り乱さず会議を続けると、モニターに敵の姿が映し出された。

 

「敵は統制局長アダム改めアーク、そしてその信者ソルジャーズ、だがさらに注意するべきは・・・」

 

そこに映し出されたのは、ファウストローブを纏ったサンジェルマン達の姿だった。

 

「錬金術師のファウストローブ・・・」

 

「打ち合った瞬間に、イグナイトの力を無理やり引きはがされたような・・・あの衝撃は」

 

翼の疑問にキャロルが答える。

 

「おそらく、ラピス・フィロソフィカスの力だ」

 

「ラピス・・・って宝石の?」

 

「ラピス・フィロソフィカス・・・俗にいう『賢者の石』と呼ばれる代物よ」

 

「賢者の石・・・!」

 

フィーネはそのまま話を続ける。

 

「錬金思想の到達点ともいわれる結晶体、病を始めとする不浄を正し、焼き尽くす際を持って浄化する特性に、イグナイトモジュールのコアとなっているダインスレイヴの魔力はなすすべもないわ」

 

「ダインスレイヴは呪われた力・・・まさに天敵だな」

 

「つまりは、あいつらのファウストローブに対して翼たちのイグナイトは使えないって訳か・・・」

 

「対策としては俺達仮面ライダーが出れば何とかなると思うが・・・それをアークが許すかどうか・・・」

 

蓋荼毘静まり返るその場に、弦十郎の声が響いた。

 

「風鳴機関本部は、現時点を持っての破棄が決定した、各自撤収準備に入ってくれ」

 

「バルベルデドキュメントが解析できていれば・・・状況打開の手があったのかな・・・?」

 

藤高が呟いた瞬間、緒川の通信機に通信が入る、緒川がそれを見た瞬間驚いた表情を浮かべ、すぐに弦十郎に耳打ちした。

 

「司令・・・鎌倉より招致がかかりました」

 

「絞られるどころじゃすまなさそうだ・・・」

 

 

 

一方でホテルでは、やって来たアダムにティキは猫のように甘えていた。

 

「ラピスの輝きは、イグナイトの闇を圧倒・・・勝利は約束されていた・・・それを」

 

「まさかあーたが出しゃばるなんてね、お陰でこんがり焼かれるところだったわよ」

 

「しかもそのうえ、仕留めそこなうというワケだ」

 

プレラーティはカエルの眼を通して真達の無事を確認していた。

 

「皆!せっかくアダムが来てくれたのよ!ギスギスするよりキラキラしようよ!」

 

ティキの言葉にサンジェルマン達は何も答えなかった。

 

「みんな~!」

 

「ありがとうティキ、でもサンジェルマン達の言い分ももっともだ、まさか敵もジェムを使うとは、予想外だったよ」

 

アダムはティキをなだめながら語りだす。

 

「知りたかったからね、仮面ライダーの実力を、その為に出張ったんだよ」

 

そう言ってアダムは帽子をかぶる。

 

「でもそうだね、任せるとしよう、シンフォギア装者達は、仮面ライダーは僕が受け持とう」

 

そう言って立ち上がり、ティキと共に部屋から出ようとする。

 

「統制局長、どちらへ」

 

「教えてくれたのさ、星の巡りを読んだティキが、ね」

 

「うん!」

 

「成功したんだろう、実験は、なら次は本格的に行こうじゃないか、神の力の具現化を」

 

そう言い残し部屋から出て行った。

 

「・・・神の力の具現化、か」

 

そう呟いたサンジェルマンは昨夜のことを思い出す。

 

アダムに仕えていた信者達の異質な姿、仮面ライダーに変身したアダムの姿。

 

そしてその時のアダムから発せられた尋常ならざる悪意。

 

「・・・あれは、いったい?」

 

 

 

そのころ真達は、本部のトレーニングルームにて自主的にトレーニングを行っていた。

 

「・・・・・・」

 

だがそんな中、真は昨夜のアークの事を思い出していた。

 

(俺と同じ転生した存在・・・しかもこの力、仮面ライダーの世界に存在した紛れもない悪そのもの、そしてそんな相手に今の最高の力をもってしてもかなわなかった・・・)

 

アークとの戦いのことを思い出し、真は拳を握り締めた。

 

(・・・でも、この仮面ライダーはその世界でアークを倒したんだ、だったら俺がやることは一つだけ・・・その人に追いつき、そしてアークを今度こそ倒す!)

 

そう決心する真の前に、大量の仮想アルカノイズが出現する。

 

「・・・待ってろよ、今度こそお前をぶっ飛ばしてやる!」

 

そう言って真はアルカノイズの群れに突っ込んだ。

 

 

 

神界では、女神は上の神にアークのことを報告し、自身の研究室に入っていた。

 

「・・・明らかにアークはゼロワンの世界にいた時よりも強くなっている、アークに対抗するためにも、早くこの力を作り上げないと・・・!」

 

女神の机の上には、『黄色と青色が混ざったキー』と『黄色のユニット』が置かれていた。





さて後書きの時間だ。
「というか今回はやけに文字数が少ないような・・・」
ああ、そこらへん修正した結果こうなったんだ、本来とは違う進み方してるからな。
「そういえば、本来ならエルフナインさんがウェル博士のチップを解析してLINKERを作るはずでしたよね」
「それを真のお陰でLINKERなしで纏えるからな」
そのおかげでこのあたりの話がバッサリ切られることとなったわけだ。
「ふむ、そういう事じゃったか、それに最後辺りで神が何かを制作しておったようじゃが」
「もしかしてあれがゼロワンの・・・?」
そっ、登場はまだ後だけどな。てなわけでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『エンデュラさんからの質問』
真紅林檎さんにとって、ウェル博士とアダムは、
キャラクターとして、好きですか?嫌いですか?
どっちか、わかりませんけど、理由と一緒に、教えてほしいです。

俺に対しての質問か、そうだな・・・はっきり言うとアダムは嫌いだけどウェル博士は個人的には嫌いじゃないんだよな。
理由としてはアダムもウェルも自分の目的のために他人を犠牲にしてるところが嫌いなんだけど、ウェルを気に入ってるところは英雄に憧れるところかな。
本編のGX編でもウェルは最後の最後にマリア達を助けてくれたし、本編のマリア達がいるのもウェルのお陰なところがあるからな、そこらへんがあいつの言っていた英雄な感じがして好感が持てるんだよな。

「なんだか、意外な答えだな・・・」
うるせっ、それよりさっさと〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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虚構戦域に命を賭して


AXZ編第十三話、前回のあらすじは?
「錬金術師に敗北した俺たちは作戦会議を行う」
「そんな中、旦那は親父さんから召集を受けたな」
「一方で錬金術師の方では、サンジェルマンさん達が響さん達を、アークが私達を相手取るように話し合っていました」
「そんな中真は、次こそあーくを倒すべく特訓に明け暮れたようじゃ」
「神様の方では、アークに対抗するための力を作っているようでした」
はいOK、それじゃあAXZ編第十三話、どうぞ!


雨が降る中、風鳴邸にて弦十郎と八紘は一人の老人、風鳴家現当主風鳴訃堂と対面していた。

 

「・・・して、意的による蹂躙を許したと」

 

「結果、松代の風鳴機関本部は壊滅、大戦時より使用してきた機密のほとんどを失うこととなりました」

 

「外観の誘致、およびうち退けること叶わなかったのは、此方の落ち度に他ならず、まったくもって申し訳!」

 

「聞くに堪えん」

 

訃堂は弦十郎の言葉を一蹴して立ち上がり部屋から出ようとする。

 

「分かっておろうな」

 

「国土防衛に関する例の法案の採決を急がせます」

 

「有事に手ぬるい、即時試行せよ!」

 

そう言って部屋から出る訃堂は、部屋の外で待機していた翼に声をかける。

 

「まるで不肖の防人よ、風鳴の血が流れておきながら嘆かわしい」

 

「我らは防人たら占めるは血にあらず、その心意気だと信じております」

 

「・・・ふん」

 

そう言って訃堂はその場から立ち去る。

 

 

 

一方でとある場所ではアダムは信者達を募っていた。

 

「信者達よ、もうすぐだ、神の目覚めは、だから奮闘したまえ、我らの悲願のために」

 

アダムの言葉に信者達の歓喜の声が上がる。

 

信者達がいなくなった後、アダムの瞳は赤くなりアークが表に出る。

 

「人間の操作は手ぬるいな、言葉一つでいともたやすく扱えれる」

 

アークはそう言いながら手元に黄金色に輝く球体を取り出す。

 

「生贄は集い、もうすぐ神の力が現れる、その時こそ我が悲願は達成する・・・だが」

 

アークの脳裏には、真達の姿が映ってた。

 

「ゼロワン、お前はどの世界にいても私の前に立ちふさがるというのか・・・」

 

 

 

真達は学校の休日とトレーニングの休みを利用し近くの出店に来ていた。

 

「むぐっ!?むぐぐっ・・・!!」

 

「切ちゃん、チョコ明太味なんかに挑戦するから・・・」

 

「あたしのおごりを残すなよ、常識人」

 

「これを注文する皆さんもかなりチャレンジャーですよね・・・」

 

「うぬぬ・・・まさかここまで面妖な味が存在するとは・・・!」

 

「えっ?結構おいしいですよね?」

 

『えっ?』

 

桃恵の発言に驚く中、一方で響と真は手にしたソフトクリームを口にせずぼおっとしていた。

 

「「・・・・・・」」

 

「・・・響、真さん、ソフトクリーム溶けてるよ」

 

「えっ?うわぁ!?」

 

「危なっ!?」

 

二人は慌てて溶けかけたソフトクリームを口にする。

 

「ふふっ、話を聞いたり、隣で溶けたアイスを拭ったりするぐらいならしてあげる、だからなんかあった時は頼ってよね」

 

「ああ、済まないな未来」

 

「ありがとう、やっぱり未来はあたしの陽だまりだよ」

 

そんな中、真はクリスのある事を尋ねた。

 

「そういえばクリス、もうそろそろステファンが日本に来るんだよな」

 

「そうそう!確か日本のサッカーを学びに来るんだよね?」

 

「ん?ああ・・・」

 

そう答えるクリスの顔は暗かった。

 

「・・・まだ考えてるのか、ソーニャさんの事」

 

「・・・ああ」

 

「そっか・・・」

 

そう答えるクリスに真と響は何も答えなかった。

 

その時、みんなの通信機に連絡が入る。

 

「はいっ!」

 

『東京湾にて特殊アルカノイズの反応を検知!』

 

画面には通常のアルカノイズより巨大な、まるで八岐大蛇を彷彿とさせるアルカノイズが東京湾上空を進んでいた。

 

「っ!?すぐに向かいます!」

 

『待て!まだそれだけではない、アルカノイズとは反対方向の街でソルジャーズが住民を襲撃している!』

 

「っ!ソルジャーズまでもか!」

 

『そのため、装者達はアルカノイズを、仮面ライダーはソルジャーズの対処に移ってくれ!』

 

『了解!』

 

皆は急いで目的地へと向かって行った。

 

 

 

アルカノイズの近くでは、ステルス能力を搭載した飛行船の上でサンジェルマン達が立っていた。

 

「オペラハウスの地下には、ティキ以外にもあんなものまであったのね」

 

「だが解せぬワケだ、アルカノイズだけならともかく、何故信者達まで・・・」

 

「簡単なこと、集める為さ、効率よく、魂を」

 

その場にアダムまでやって来る。

 

「言っただろう、仮面ライダーは受け持つと、故の行動だよ」

 

「・・・左様ですか」

 

「ああ、僕らは神の力を持って世の理をあるべき形に修正するのさ」

 

そう言ってアダムはどこかに行こうとする。

 

「どちらへ?」

 

「向かうのさ、仮面ライダーの元へ」

 

そう言い残し、アダムはその場から消え去る。

 

アダムが去った後、サンジェルマンの脳裏に響の顔が映る。

 

「・・・正義は我らにあらず、むしろ彼女達にこそ存在する、だからこそ私は行く道を振り返らない、たとえ一人が欠けたとしても!」

 

「一人じゃない、一人に何てさせないワケだ」

 

「そうよ、サンジェルマンのおかげであーし達は此処にいる、どこだって三人でよ」

 

「・・・ああ」

 

そう答えるサンジェルマンは少し微笑んだ。





後書きの時間だ。
「今回は俺達仮面ライダーとシンフォギアで別れて行動するんだな」
今回の相手はアルカノイズだけじゃないからね。
「それにしても翼の奴、気を負いすぎなけりゃいいんだが・・・」
「私達で何か手伝えることはあるのでしょうか?」
「そうじゃのう・・・うちらにできることは限られてくるからのう」
「今はただ様子を見守る事しかできません・・・」
「だな、にしてもステファンの奴日本に来るのか」
原作じゃ義足目的だけど、こっちじゃ足やられてないから学びに来たんだ、というわけでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
海での特訓で継菜真に着せる水着を選んでいたというセレナや響達はどんなタイプの水着にしたのですか?

響達は原作と変わらない水着を着てるよ、奏とセレナはシンフォギアXDのメモリアカード『夏の特訓』で着ている水着と同じです。
因みにここだけの話、紫苑は紫色のビキニで桃恵は桃色のワンピースの水着です。

「うちは水着はいいと言ったんじゃが、桃恵がどうしてもというからのう・・・」
「だってお姉ちゃん、水着無かったら海女さんみたいな恰好で泳ぐんだもん・・・」
「良く選んでくれた・・・んじゃそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」



※今回から一か月間アンケートを取らせていただきます、内容といたしましては『如月姉妹の誕生日月はどちらにするか』という内容です、自分では決めきれなかったのでこうしてアンケートという形で決めさせていただきます、選ばれなかった月がエルフナインの誕生日月となります。


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決死の分割戦闘


AXZ編第十四話、前回のあらすじは?
「風鳴邸で父風鳴訃堂と対話する旦那と翼の親父さん」
「一方でアークは信者達を操作しながらゼロワンの存在を危惧していました」
「一方でうちらは休暇中の中、あるかのいずとそるじゃーずの襲撃の報告を受ける」
「それを聞いた私たちは装者と仮面ライダーに分かれて行動を起こすことにしました」
「その一方でサンジェルマン達は何かを奮起していた」
はいOK、それじゃあAXZ編第十四話、どうぞ!


アルカノイズが出現した場所では、空中を飛ぶギガアルカノイズの他にも、地上や空中を無数のアルカノイズ達が占拠する中、響達はやってきたヘリに乗り込み、それぞれの舞台へと向かって行く。

 

真達が現場にたどり着くと、そこには市民を襲う大量のソルジャーズが存在した。

 

ソルジャーズの襲撃によって多くの市民が血に染まり倒れ伏している。

 

「此処までしやがって・・・!」

 

真達が怒りに震える中、ソルジャーズは真達の存在に気が付いた。

 

「仮面ライダーだ!全員で潰すぞ!」

 

一人の掛け声でソルジャーズは臨戦態勢に入る。

 

「上等だ、返り討ちにしてやる!行くぞ!」

 

真の叫びに四人は頷き、プログライズキーを手に取る。

 

ウェ

 

五人はドライバーを身に着け、再びプログライズキーを手に取りライズスターターを押し込んだ。

 

ジャンプ!

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

『『『オーソライズ!』』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

『『フォースライズ!』』

 

ライジングホッパー!

 

シューティングウルフ!

 

ラッシングチーター!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

五人は変身するとそれぞれ武器を手に取り、ソルジャーズと戦闘を開始した。

 

 

 

一方で響達装者は、アルカノイズが出現した場所までやって来て、上空でヘリから飛び降りた。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

響達もシンフォギアを身に纏い、アルカノイズとの戦闘に入った。

 

『使用BGM:負けない愛が拳にある』

 

一番槍のコブシ 一直線のコブシ

 

飛び降りた響達はクリスの放ったミサイルに飛び乗り、アルカノイズの元へと向かっていた。

 

「気になるのは錬金術師の出方だ、抜剣を控えイグナイト抜きで迎え撃つ」

 

「何のつもりか知らねえが、企む相手に遅れは取らねぇ!」

 

先制でクリスは『BILLION MAIDEN』を放ち、それに続くように未来も『閃光』を放ち上空のアルカノイズを薙ぎ払って行く。

 

離さないこと此処に誓う

 

クリスの弾幕を掻い潜り迫って来るアルカノイズもいたが、切歌の鎌と調のヨーヨーによって切り刻まれてしまう。

 

突っ走れ 例え声が枯れても

 

「この身を防人たら占めるのは、血よりも熱き心意気!」

 

翼はミサイルがアルカノイズに当たる直前で飛びあがり、『逆羅刹』でアルカノイズを切り払って行く。

 

「これ以上は、貴方達の隙にはさせないわ!」

 

マリアも蛇腹剣の刀身を限界まで伸ばし、鞭のように振るいアルカノイズを切り裂いていく。

 

司令室では、二つの戦いをモニターしていた。

 

「アルカノイズ、残存率68%、並びにソルジャーズ、残存率54%」

 

「それでも出てこない錬金術師とアーク・・・」

 

「あいつら、いったい何を企んでいやがる・・・!」

 

響達の方では、ギガアルカノイズが口らしき部分を開くと、そこから新たの大量のアルカノイズが産み落とされていく。

 

「あいつ、アルカノイズを次々と作っているデスよ!?」

 

「あれもあの時と同じ特殊なアルカノイズ!?」

 

「だったら、真っ先にあのアルカノイズを撃退するわよ!」

 

「ぶっ放すタイミングはこっちで、トリガーは翼さんとマリアさんに!」

 

「心得た、行くぞマリア!」

 

「ええ!」

 

マリアと翼、響、切歌、調は同時に飛び降り、翼はアームドギアを巨大化させ、マリアは自身の周囲に大量の短剣を繰り出し、切歌もアームドギアを巨大化させ、調は『非常Σ式 禁月輪』を繰り出し、響も右腕のアームドギアを変形させる。

 

「眼に物をくれよう!」

 

「喰らいなさい!」

 

「切り刻んでやるデス!」

 

「一気に決める!」

 

滾れ(キズナ)熱き(キズナ) 響かせたいんだ共に

 

五人はギガアルカノイズの上まで落ち、そのまま同時に撃ち抜いた。

 

「みんな離れて!」

 

「あたしらは、片付けられる女だ!」

 

五人がギガアルカノイズを切り裂くと、クリスは大量のミサイルを放ち、未来は円盤から極太のレーザーを放った。

 

MEGADETH INFINITY

 

流星

 

大量のミサイルとレーザーを浴びたギガアルカノイズは悲鳴のような声を上げ、その身を三つに分ける。

 

すると、切られた部分が再生し、三体となってしまう。

 

「まさか、仕損じたのか!?」

 

その様子は司令室でも確認されていた。

 

「分裂したアルカノイズ、個別に活動を再開しました!総数三!」

 

「それぞれが別方向に進行・・・」

 

「くっ!敵の狙いは戦力の分断か!」

 

「司令、入間基地より入電!必要であれば応援をよこしてくれると」

 

「無理よ、相手がアルカノイズである以上、空自の装備じゃ足止めにもならないわ」

 

「そのうえ、さらに被害が出るかもしれないな、唯一の救いは母さんたちが駆け付けてくれることだが・・・」

 

キャロルの見るモニターには、ソルジャーズと戦う真達の姿が映っていた。

 

一方でギガアルカノイズを追いかける為、響と未来、翼とマリア、クリスと切歌と調に別れアルカノイズを追跡していた。

 

「狙いが私たちの分断だとしても・・・分裂後のサイズなら、何とか対応できます!」

 

「チームに分かれて、各個撃破すりゃ上等だ!」

 

「確かに、そうかもしれないが・・・」

 

追いかけていると、ギガアルカノイズは更にアルカノイズを生みだしていく。

 

「これ以上、被害は増やさせない!」

 

響はブースターを使ってギガアルカノイズの頭部の一つに迫り殴りつける。

 

響の一撃で頭部は砕け散るが、もう一つの頭部が砕け散る前に砕けた頭の方の首を切り離し、そのまま響を吹き飛ばす。

 

「うわぁ!」

 

「響!」

 

吹き飛ばされた響を未来が受け止めて事なきを得る。

 

その間にもギガアルカノイズは更にアルカノイズを生みだしていく。

 

「キリがない・・・!」

 

翼とマリアの方でも、翼が首を切り落とすと、そこからさらに分裂して二体となってしまう。

 

「やはり・・・さらなる分裂!」

 

「これは、かつて私たちが使った増殖分裂タイプとはまた違う力・・・!?」

 

クリス、切歌、調の方でも敵の攻撃を躱しながら攻撃を仕掛けるが、そこからさらに分裂して数を降らしていくだけだった。

 

「どこまで頑張らせるつもりだ・・・!?」

 

「このままじゃ倒すよりも先に・・・」

 

「あたしたちのスタミナが無くなっちゃうデスよ!?」

 

数を増やしていくアルカノイズに、響達は苦戦していた。

 

 

一方で真達も、大量のソルジャーズ達と戦っていた。

 

「はっ!」

 

五人は息を合わせ連携して数の不利を覆し、敵を全て倒した。

 

「こっちは何とかなったな・・・!」

 

「ああ、響達が心配だ、すぐに応援に行くぞ!」

 

「その心配はない」

 

『っ!?』

 

響達の元へと向かおうとした瞬間、突然聞こえて来た声に五人は驚きその方向を振り返ると、そこに立っていたのはアダム・・・否、アークだった。

 

「なぜなら、お前たちは此処で滅亡するからだ」

 

「アーク・・・!」

 

そのままアークは黒いオーラを繰り出し、自身の身に『アークドライバーゼロ』を身に着ける。

 

「変身」

 

アークはそのままドライバーの『アークローダー』を押し込む。

 

アークライズ!

 

瞬間、アークの周りに黒いオーラが形を成し出現し、そのままアークの身に纏われ、アークは『仮面ライダーアークゼロ』へと変身する。

 

オール・ゼロ...

 

アークは変身すると、仮面の下で怪しく微笑んだ。





さて後書きの時間だ。
「今回はバラバラだが同時変身が出来たな」
何時か十二人全員同じ場面で変身させてみたいもんだ。
「にしても翼たちの方は数の暴力、あたしらの方はアーク本人が乗り込んできたな」
「どちらも苦戦は必至ですね・・・」
「むしろまだ響達がましなような気がするのう・・・」
「私達、生きて帰れるのでしょうか・・・?」
そこはマジで頑張れ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真とセレナに質問
昨年のセレナの誕生日で仕事の都合で来れなかったマリアは空港で騒ぎを起こしたそうですが、その時の出来事を回想シーンとしてより詳しく教えて貰えますか?

そんな質問に答える為一部始終を録画したVTRを用意しました、此方です。



空港内にて、海外に行くマリア達を見送りに来た真達の目の前で、マリアは膝から崩れ落ちていた。
因みに翼と奏は緒川と共に飛行機の手続きに言っている。
「なぜなの!?なぜ私はこんな大切な時に海外に行かなくてはならないの!?」
「マリア姉さん、こんなところで膝から崩れ落ちないで・・・!」
「仕方ないだろ、マリアは翼と共に大事なライブに行かないといけないんだからさ」
「だとしても!だとしてもこんな時期に行かなくてもいいじゃない!!私はライブなんかよりセレナの誕生日の方が大事なのよ!!」
「歌姫としてとんでもないこと言いやがったなこいつ・・・」
「もうっ!マリア姉さん、そんな子供みたいなわがまま言わないでください!」
「嫌よ嫌よ!私はセレナの誕生日を祝いたいの!!」
真の記憶ではマリアが姉でセレナが妹のはずだが、真の眼には立場が逆に見えていた。
そしてここは空港のど真ん中何でいやでも目立ってしまい周囲の人たちの視線が突き刺さる。
その雰囲気に耐え切れない真は何とかマリアを説得しようと声をかけようとする。
「あのなマリア・・・」
だが真が言いかける途中でマリアは限界が来たのか、その場に仰向けで倒れこみ。
「うわぁぁぁぁぁん!!嫌よ嫌よ、私セレナの誕生日を祝いたーい!!」
子供のように泣き叫んだ。
「ちょっ!?流石に落ち着けマリア!大の大人がこんなところで子供みたいに泣き叫ぶな!ガチで恥ずかしい!!」
「うわぁぁぁぁん!!うわぁぁぁぁん!!」
真が落ち着かせようとするがマリアは泣き止まず叫びまくって周囲の人達のひそひそ声すら聞こえてくる。
真が打開策を考える中、ふと離れたところにいる翼達と視線が合い助けを求むが、三人共視線を逸らした人のふりをしてしまう。
(薄情者共!!手か流石にこれ以上はマリアのイメージにひびが入る!いやもう入ってるようなものだけど!)
真はあれやこれやと考えこんでいると、隣にいるセレナが体を振るえさせながら泣き叫ぶマリアに向かって叫んだ。
「もうっ!そんなわがままばっかり言うマリア姉さんは嫌いです!」
「っ!!?」
セレナのはっきりとした嫌いの一言にマリアはその場で固まってしまう。
マリアが固まるとセレナは出口まで歩いて行き、その様子に真は少し冷や汗をかきながらセレナを追いかけ問いかける。
「お・・・おいセレナ、流石に言いすぎなんじゃ・・・!」
「知りません!こんなところで子供みたいに泣き叫ぶマリア姉さんがいけないんです!」
セレナは怒りながら空港を後にし、ふと真が後ろを振り返ると固まったマリアを三人が運びながら共に飛行機に向かうところが見えた。
真はそんなマリアにどんまいと心で言いながら、空港を後にしたのだった・・・。



・・・とまぁこんなことがあったみたいだ。
「ふむ・・・まりあは実に面白い人物じゃな」
「あれを面白いとか言わないで、マジで焦ったんだからな二重の意味で」
「それにしても、セレナさんがあんな風に起こるところなんて見たことがありません」
「えっと、あの時はマリア姉さんがあまりに泣き叫ぶからつい怒っちゃって・・・家に帰った時は言いすぎちゃったなって反省してました」
「あの後大変だったんだからな、固まったマリアをなだめるのに飛行機の滞在時間丸々+ホテルで数時間かけてやっと立ち直らせたんだからな」
「本当にマリア姉さんがゴメンナサイ・・・」
「というか奏、あんとき助けてくれよ!マジで他人のふりするなよ!」
「いやぁ・・・流石にあれはあたしどころか翼も緒川さんですら躊躇っちまって・・・」
「まぁ、気持ちはわかるけどよ・・・」
「まぁあの後、マリアセレナの誕生日プレゼントだけでもって大量にプレゼント買いこんでたからな」
「おかげで置き場に困ってまりあが帰った時真に叱られてたからのう・・・」
「置き場に困る程買い物するなって釘刺したからな・・・というわけで作者、そろそろ〆てくれ」
お、おう・・・。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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決死圏からの浮上


AXZ編第十五話、前回のあらすじは?
「シンフォギア装者と仮面ライダーに分かれてアルカノイズとソルジャーズの討伐に向かった」
「響さん達の方ではギガアルカノイズを撃退できましたが、なんと倒したアルカノイズが分裂してしまいました」
「三体に分かれたぎがあるかのいずはばらばらに行動し、響達も分かれて行動しよった」
「だけど、分裂したギガアルカノイズは次々とアルカノイズを生成し、装者たちは苦戦する」
「一方であたしらの方では、ついにアークが現れやがった」
はいOK、それじゃあAXZ編第十五話、どうぞ!


突然現れたアークに真達は警戒する。

 

「こ奴、いつの間に!?」

 

「気をつけろ!こいつの力は底が知れない!」

 

「分かってるさ!行くぞセレナ!」

 

「はい!」

 

先制で奏とセレナが飛び出しアークに攻撃を仕掛けるが、アークは二人の攻撃を完全に予測し躱しきってしまう。

 

「無駄だ、お前たちの攻撃は私には届かない」

 

「二人が駄目でも!」

 

「四人でならどうじゃ!」

 

二人の攻撃を躱したアーク目掛けて紫苑と桃恵が氷と炎を繰り出すが、アークは黄金の壁を生成し二人の攻撃を防いでしまう。

 

「あれは、黄金錬成!?」

 

「こやつ、錬金術まで扱えれるというのか!?」

 

「当然だ、私はパヴァリア光明結社の統制局長だ」

 

アークはそう言いながら手元に真達も見たことない武器『サウザントジャッカー』を生成し横に薙ぎ払うと、生じた風圧で四人共吹き飛ばされてしまう。

 

『きゃあ!!』

 

「みんな・・・がっ!?」

 

真は吹き飛ばされた四人の元へ駆けつけようとすると、瞬時にアークが迫り真のドライバーにサウザントジャッカーを突きつけ、『ジャックリング』を引く。

 

ジャックライズ!

 

すると真のドライバーからデータがサウザントジャッカーに吸収されていく。

 

「なっ・・・!?」

 

「この世界のゼロワンのデータは貰った」

 

アークはそのまま真を蹴り飛ばすと、サウザントジャッカーのトリガーを押し込んだ。

 

ジャッキングブレイク!

 

J

A

C

K

I

N

G

 

B

R

E

A

K

 

武器を振るった瞬間、ライジングホッパーライダモデルが飛び出し真に直撃した。

 

JACKING BREAK

 

「がぁっ!!」

 

技が直撃した真は吹き飛ばされ、変身が解けてしまう。

 

「錬金術を身に宿した私に勝ち目などない、降伏すれば苦しめず終わらせよう」

 

「誰が・・・するものか!」

 

真はすぐに立ち上がりホルダーから『クレセントシュルシャガナプログライズキー』を手に取る。

 

「力を借りるぞ、調!」

 

ムーン!

 

オーソライズ!

 

フォームチェンジする真を見てアークはオーラの塊を放つが、直前で調の姿をしたライダモデルがアームドギアで真を守る。

 

「変身!」

 

シンフォニックライズ!

 

The philanthropy that glitters in the moonlight!クレセントシュルシャガナ!

 

Various shul shagana tron.

 

真は調のシンフォギアと同じ姿『クレセントシュルシャガナフォーム』に変身すると、即座に『α式 百輪廻』を繰り出しアークに向けて放ち牽制する。

 

「皆!受け取れ!」

 

真は奏達にシンフォギアプログライズキーを投げ渡す。

 

「ああ!サンキュー!」

 

四人はキーを受け取りライズスターターを押し込んだ。

 

ブレイク!

 

シルバー!

 

ブレイド!

 

ブラスター!

 

『『オーソライズ!』』

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

スマッシュガングニール!

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

ガーディアンハバキリ!

 

クリムゾンイチイバル!

 

四人もシンフォギアを纏うと、アームドギアを携え真に加勢する。

 

「シンフォギアを身に宿した仮面ライダーか・・・面白い、その力見せてもらおうか」

 

そう言うとアークは全身から黒いオーラをあふれ出し、真達を迎え撃った。

 

 

 

一方の響達は、ギガアルカノイズから生み出される無数のアルカノイズを相手取りながらギガアルカノイズを相手取っていた。

 

「うぉぉぉぉぉ!!」

 

「はぁぁぁ!!」

 

響はアルカノイズを踏み台にし跳躍し、ギガアルカノイズの頭の一つに飛び乗ると全力で殴りつけ、同時に未来が大量の光線を響が殴りつけた頭部に向けて放ち破壊する。

 

翼とマリアの方では、ギガアルカノイズの攻撃を掻い潜り懐に入り込む。

 

「勝機!」

 

「一気に決める!」

 

翼は空から大量の剣を降らせ、マリアは左腕の変化したギアから光線をギガアルカノイズに向けて放った。

 

千ノ落涙

 

HORIZON†CANNON

 

二人の攻撃でギガアルカノイズは倒されるが、消滅する直前で大量のアルカノイズを生み出す。

 

此処までの戦いで二人の顔には疲れが見えていた。

 

「消耗戦を仕掛けてくるとは踏んでいたが・・・中々にどうして・・・!」

 

「そうね・・・でも、ここで折れるわけにはいかないわ!」

 

クリス達の方では、クリスは空を飛ぶアルカノイズに向けて銃口とミサイルを向ける。

 

「全発全中、もってけ全部だぁ!」

 

MEGADETH FUGA

 

クリスが放った弾幕とミサイルによって空を飛ぶギガアルカノイズを撃退するが、クリスの体力も限界に近かった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・増殖の元を絶ちさえすれば・・・!」

 

「クリス先輩!」

 

疲れて膝をつくクリスの元に切歌と調が息を切らしながら駆け付けると、三人を囲むように大量のアルカノイズが立ちふさがっていた。

 

「後はこいつらだけだっての・・・行くぞ後輩共!」

 

「はいデス!」

 

「うん!」

 

響は残ったギガアルカノイズの頭部目掛けて走り抜く。

 

「分裂したって・・・増殖したって・・・!」

 

迫ってくる響を撃退しようとギガアルカノイズは触手を振るうが、響を守るように未来が光線で触手を貫く。

 

未来に守られ頭部に近づいた響は頭部を蹴り上げ、右腕のギアを変形させる。

 

「何度だって、叩き潰す!」

 

響は拳を振るいギガアルカノイズの頭部を破壊するが、消滅する直前でギガアルカノイズは尻尾を切り離しそのまま消滅する。

 

そして切り離された尻尾はそのまま宙を飛び街の方へと向かって行った。

 

「何度だって・・・っ!」

 

響と未来は疲労がたまる中、切り離された尻尾を追いかけて行った。

 

 

 

「予想外の力だったが・・・此処までのようだな」

 

アークがその場で呟くその足元には、ボロボロで倒れ伏す真、そしてその周りにも倒れる奏達がいた。

 

「ぐ・・・くそっ・・・!」

 

「私たちの攻撃が・・・通用しない・・・!」

 

「否・・・かすりともせんとは・・・!」

 

「これが・・・アークの・・・力・・・!」

 

此処までの五人の攻撃、息を合わせた連携を仕掛けてもアークは全て予測し回避し、真達を傷つけていった。

 

「くそっ・・・くっ・・・!」

 

倒れ伏す真の元にアークは近づき、サウザントジャッカーを突きつける。

 

「十分なデータは回収した、我が野望のため、ここで滅亡せよ」

 

そう言ってアークは握る武器を振り上げる。

 

『真(お姉ちゃん)(さん)!』

 

「っ・・・!!」

 

そのまま武器が真目掛けて振り下ろされる直前、突然アークの武器が弾き飛ばされる。

 

「何・・・?」

 

「え・・・?」

 

突然の出来事にみんなが驚く中、遠くから大量のエネルギー弾がアークに向けて放たれ辺り一面が土煙に包まれる。

 

「っ!今だ!」

 

土煙に包まれた瞬間、真はすぐさま四人の元へ駆けよりその場を撤退する。

 

アークが錬金術で土煙を吹き飛ばした時には、五人の姿はどこにもなかった。

 

「・・・逃がしたか」

 

アークは変身を解き、弾かれた武器の元に近づき手に取ると、武器には一発の銃弾と少量の『黄金』が撃ち込まれていた。

 

「・・・なるほど、面白い」

 

アークはそう言うと、ジェムを使いその場から消え去った。

 

その様子を物陰で見ていた何者かも、光に包まれ姿を消した。

 

一方でその場から逃げた真達はその場に座り込み変身を解く。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

全員息が切れ切れだが、無事なことに安堵する。

 

「今のは、いったい何だったのでしょうか・・・?」

 

「分からねぇ・・・でも、アークのあの強さを見たか」

 

「うむ、あれはもはや常識の範疇を越えておる」

 

「あれが、アークの強さ・・・!」

 

皆がそう言う中、真のライズフォンにキャロルから通信が入る。

 

『母さん!みんな無事か!』

 

「何とかな・・・そっちはどうだ?」

 

『こっちじゃ装者達苦戦してる、すぐに応援を頼みたい!』

 

「そうしたいのはやまやまだが・・・こっちは疲労困憊の上、響達とは距離がありすぎる、とてもじゃないが・・・」

 

『変わってくれ、キャロル君』

 

真がそう言うと、通信相手がキャロルから弦十郎に変わる。

 

『真君、今の君たちの現在地を教えてくれ』

 

「えっ?ソルジャーズが現れた場所より南に500m離れたところだけど・・・?」

 

『わかった、五人はそこで待機しててくれ、すぐにそちらに応援を呼ぶ』

 

そう言うと通信が切れる。

 

 

 

響と未来はジャトーの残骸地点にて切り離されたアルカノイズに追いつくと、アルカノイズは三匹に分裂して二人に襲い掛かる。

 

「何度分裂したって・・・!」

 

響は一匹を受け止め、未来はバイザーで敵の攻撃を躱していると、もう一匹は別の方へと逃げて行った。

 

「しまった!?未来!」

 

「うん!」

 

響は受け止めているアルカノイズを未来の方にいるアルカノイズにぶつけ、二匹が重なった瞬間に未来が大量の光線を放ちアルカノイズを消し去った。

 

「今逃げたやつを追いかけなきゃ・・・っ!?」

 

逃げたアルカノイズを追いかけようとすると、二人の上空にかつてバルベルデで撃ち落とした飛行戦艦が姿を現した。

 

その姿は、遠くで戦っている仲間たちの目にも映っていた。

 

「さぁ・・・神への贄を集めるのだ・・・!」

 

飛行戦艦の上から大量のソルジャーズとアルカノイズが出現する。

 

『アルカノイズ、並びにソルジャーズ、第十九区域方面に進行!』

 

「っ!?それって・・・リディアンの方じゃ!?」

 

「ぼさっとしてねぇで、そっちに向かえ!」

 

「クリスちゃん!?」

 

クリスが通信機で響と未来にリディアンの方に向かうように喋る。

 

「空のデカブツとアリ共はあたしらと先輩達で何とかする!」

 

「で・・・でも、それじゃあ!」

 

「クリス達が危険だよ!」

 

「あたしらに抱えられるもん何てたかが知れている!」

 

クリスの言葉に、二人の脳裏にはリディアンの友人達の顔が浮かぶ。

 

「お前らはお前らの正義を信じて握り締めろ!せめて、自分の最善を選んでくれ!」

 

二人が通信を受ける中、二人の周囲を大量のアルカノイズとソルジャーズが取り囲む。

 

「・・・ありがとう、クリスちゃん」

 

「けど・・・私たちは・・・」

 

そう言って二人はペンダントを握り締める。

 

「貴様らの命、神の礎にする!」

 

ソルジャーズは武器を構え、アルカノイズと共に二人に迫ろうとする。

 

「「イグナイトモジュール!」」

 

『悪いがその無茶、後に取っとけ』

 

二人がイグナイトを起動させようとした瞬間、二人の上空を一機の戦闘機が現れる。

 

『無茶を通そうとするのはお前らだけじゃない!』

 

戦闘機の後部座席が空に放り出されると、そこに座っていた真がドライバーを身に着け、メタルクラスタホッパープログライズキーを手にする。

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

「変身!」

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

メタルクラスタに変身した真は、飛電メタルを大量の剣に変え上空のアルカノイズを一掃し、戦艦の上部に着陸する。

 

「真さん!」

 

「待たせたな響、未来!それとリディアンの方は安心しろ!」

 

真の到着に弦十郎達も安堵した。

 

「ゼロワン、エンゲージ!」

 

「協力してもらった入間の方達には、感謝してもしきれないですね」

 

弦十郎は真達の現在地を聞き、入間基地に頼み、戦闘機で五人を回収し現場へと向かわせたのだった。

 

そしてリディアンの方では、向かってくるアルカノイズを変身した奏達四人が迎え撃っていた。

 

「悪いが、アークを相手した後だとお前らがかわいく見えてくるんだよ!」

 

「リディアンには指一本触れさせません!」

 

「相手が悪かったのう、こっちに来たのが運の尽きじゃ!」

 

「みんなの応援に行かないといけないので、早急に倒します!」

 

四人の攻撃でリディアンにやって来たアルカノイズは瞬殺される。

 

真は戦艦の上でプログライズホッパーブレードを握りしめ、迫りくるアルカノイズとソルジャーズを相手取っていた。

 

「馬鹿な!?貴様らは局長が相手取っていたはず!なぜここにいるのだ!」

 

「仲間の危機に、駆け付け無い馬鹿がどこにいるんだよ!」

 

真はそう答えながら敵を薙ぎ払い、空高くに跳躍する。

 

「こいつで決める!」

 

真は武器を仕舞い、キーを押し込む。

 

メタルライジングインパクト!

 

瞬間、真の足に大量の飛電メタルが纏わり、巨大なドリル状となり、真はドリルを回転させながらライダーキックを決める。

 

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

真の一撃は戦艦に突き刺さり、そのまま貫いていき、戦艦を貫いた。

 

 

メタルライジングインパクト

 

貫かれた戦艦は爆発を起こし、空中で爆散した。

 

真はそのまま響達の元へと着陸する。

 

「へっ、ざまぁみろ」

 

着陸した真の元に二人が駆け寄ると、三人の目の前にファウストローブを纏ったサンジェルマン達が現れる。

 

「錬金術師・・・!」

 

「これで三人か・・・」

 

「いーや、違うな!」

 

声のした方へと視線を向けると、そこには駆け付けたみんながいた。

 

「こいつで十二人だ!」

 

「みんな!」

 

翼達は真達の元へと駆け付けると、サンジェルマン達に武器を向ける。

 

「いい加減聞かせてもらおうか、パヴァリア光明結社、その目的を!」

 

「人を支配から解放するって言った貴方達は、いったい何と戦っているの?あなた達が何を望んでいるのかを教えて!本当に誰かのために戦ってるのなら、私達は手を取り合える!」

 

「手を取るか・・・」

 

響の言葉にサンジェルマンは自身の手を見る。

 

「・・・その手を取るには、私達の手は血で汚れすぎている」

 

「えっ・・・?」

 

サンジェルマンの言葉に響が驚く中、サンジェルマンは言葉を紡ぐ。

 

「我々は神の力をもってして、バラルの呪詛を解き放つ!」

 

「神の力で・・・バラルの呪詛をだと!?」

 

サンジェルマンは自身の手を握り締め、その目的を叫ぶ。

 

「月の遺跡を掌握する!」

 

それこそが、パヴァリア光明結社の目的だった。





さて後書きの時間だが・・・大丈夫か?
「アーク強すぎだろ・・・」
「正直、あのエネルギー弾が無かったら全員やられていたな」
「というよりアークの使っていたあの武器は何なんですか?」
あれはサウザントジャッカー、仮面ライダーサウザーが使う武器だ、結構強力な武器だぞ。
「しかし、あの時の助けは一体何なんじゃ?」
「はい、あれっていったい誰が助けてくれたんでしょうか?」
まぁ、感のいい視聴者はもうわかっていそうだけどな、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真と立花響に質問
真は響がシンフォギア装者として覚醒する以前から交流があるのならば、響のお母さんとお婆ちゃんは真とは面識がありますか?
また、お二人は響が・・・娘が色々とお世話になっている真の事をどう思っていますか?

「ああ面識はあるぞ、よく響と未来の送り迎えの時に顔を合わせていたし、たまに買い物をしている時に出会って話すこともあるからな・・・おいそこの主婦みたいだなって思ったやつ、表出ろ」
さて、そんな響の母親とおばあさんの反応はどうだろうか?(思った人)

「ええ、真ちゃんには何時も響がお世話になってますからね、響があの件でいじめを受けていた際、未来ちゃんと一緒に響を支えてくれていましたから」

「それに、旦那さんが帰って来た時、あの人もあの子にお世話になったと言ってました、だから響を真さんの家に住まわせても安心と思っています」

・・・信頼されてるな、お前。
「まぁ長い付き合いだからな、それじゃあそろそろ〆ますか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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ARUCANA No.00


AXZ編第十六話、前回のあらすじは?
「俺たちの元に現れたアークに戦いを挑んだ仮面ライダー組」
「一方で響さん達は分裂、増殖するアルカノイズに苦戦を強いていました」
「そしてアークの圧倒的力にやられそうなあたしらを誰かが助けてくれた」
「そして響たちが危機のとき、真が戦闘機に乗って応援に駆け付けに来おったぞ」
「そしてそこで明かされるパヴァリア光明結社の目的」
はいOK、それじゃあAXZ編第十六話、どうぞ!


サンジェルマンの口から語られたパヴァリア光明結社の目的、月遺跡の掌握にみんなは唖然としていた。

 

「月にある・・・遺跡を?」

 

「人が人を力で蹂躙する不完全な世界秩序は、魂に刻まれたバラルの呪詛に起因する不和がもたらした結果だ」

 

「不完全を改め、完全と正す事こそサンジェルマンの理想であり、パヴァリア光明結社の掲げる思想なのよ」

 

「月遺跡の管理権限を上書いて、人の手で制御するには、神と呼ばれた旧支配者と並ぶ力が必要なワケだ、その為にバルベルデを始め、各地で儀式を行ってきたわけだ」

 

「・・・だとしても、誰かを犠牲にしていい理由にはならない!」

 

『っ・・・!』

 

響の言葉に、サンジェルマン達は苦い顔をし、その顔に真は疑問を持った。

 

「・・・なぁ、一ついいか?」

 

「なんだ」

 

「あんたらの目的は理解できた、そのうえで聞かせてほしい・・・」

 

真はサンジェルマン達の表情の他に、疑問に思ったことを口にした。

 

「あいつの・・・アダムの目的は何だ?」

 

「っ!」

 

「真さん?」

 

真の質問に響達は疑問を浮かべるが、サンジェルマン達は驚いたような顔をする。

 

「俺には、あいつが人類を開放するなんて大層なことしそうに感じなかった」

 

真は初めてアークと会った時のある言葉を思い出していた。

 

『そう、世界が変わろうとも変わらない我が望み・・・人類を滅亡させること、ただそれだけだ』

 

人類の滅亡こそがアークの望み、人類を開放するサンジェルマン達とは正反対の思想だった。

 

「だからあんたらに聞きたい、あいつの・・・アダムの目的を」

 

「・・・それは」

 

「お前たちが聞く道理はない」

 

サンジェルマンが質問に応えようとした瞬間、上空から大量の炎弾が真達目掛けて降り注ぎ、真達は急いで回避する。

 

「今のは!?」

 

全員が上を見上げると、アークが浮遊しながら降りてきた。

 

「局長・・・!」

 

「三人とも、きちんと果たさねばならないよ、使命を、僕の部下としてね」

 

アークはアダムの口調でそう語り、サンジェルマン達を睨みつけるように視線を向ける。

 

「っ!・・・わかりました」

 

「わーったわよ・・・」

 

「仕方ないワケだ」

 

サンジェルマン達は圧に怯みながら、戦闘の意志を漂わせる。

 

「臨戦態勢かよ・・・!」

 

「みんな、アークには気をつけろ、それに響達はイグナイトをあまり使用するな!」

 

『了解!』

 

真の号令で、みんなはそれぞればらけて戦いに出る。

 

先制で翼が『天ノ逆鱗』を繰り出すが、アークによって防がれてしまい、更にサンジェルマンが射出した弾丸が棘状に形を変え、翼の剣を貫く。

 

「翼さん!」

 

「響!よそ見するな!」

 

ペアを組んでいる真と響に向けてアークがサウザントジャッカーからフレイミングタイガーライダモデルを繰り出し襲い掛からせる。

 

「これは、真さん達のライダモデル!?」

 

「先の戦いで殆どのデータを持ってかれた!十分に気をつけろ!」

 

真達は前のアークとの戦いでサウザントジャッカーに大量のプログライズキーのデータを奪われてしまい、その結果敗北してしまった。

 

二人はライダモデルを鎮圧させると、サンジェルマンからも炎の弾丸が打ち出され互いに回避する。

 

「はぁっ!」

 

マリアはカリオストロに向けて蛇腹剣を振るうが、カリオストロの繰り出すエネルギーがカリオストロの周囲を纏い攻撃を防いでしまう。

 

「これならどうだ!」

 

クリスがボウガンで射撃をするが、効果は薄い。

 

「悪いけど、容赦はしないわ!」

 

カリオストロは攻撃が止んだ瞬間、周囲のエネルギーを巨大なエネルギー弾にして二人に向けて放つ。

 

「させぬわ!」

 

二人に向かうエネルギー弾に対し、紫苑が巨大な氷の壁を錬成し防ぎきる。

 

「あららっ」

 

「隙ありだ!」

 

紫苑が防ぎきると、その陰から奏と未来がオーソライズバスターとアームドギアから遠距離攻撃を放ち、カリオストロは同じように攻撃を防ぐ。

 

プレラーティは両手に持つ巨大なけん玉を調と切歌に向けて投げつけ、二人はすんでで回避するが、弾の軌道が変化し、二人を吹き飛ばしてしまう。

 

「はぁ!」

 

二人が吹き飛ばされると同時に、セレナがプレラーティの懐に入り込み、アタッシュアローで切りかかろうとすると、けん先の部分にエネルギーの刃が生成されセレナの攻撃を防いでしまう。

 

「危ないワケだ」

 

「では上からならどうでしょうか!」

 

セレナの攻撃を受け止めたプレラーティの上空を桃恵が陣取り、そこから大量の弾幕を放つ。

 

それを見たプレラーティはセレナを突き飛ばし、急いで弾幕を回避する。

 

「やっぱりだけど、かなり強い!」

 

「それにイグナイトが使えないとなると、かなりきついです・・・!」

 

アークの参戦に加え、サンジェルマン達の持つラピス・フィロソフィカスによる実質的なイグナイトの封印による戦力ダウンは、真達に不利な状況を生み出していた。

 

「今のお前達では、我々を食い止めることは不可能だ!」

 

サンジェルマンはそう言い放ち、真と響に向けて銃弾を放つと、銃弾は青白い炎の狼となり二人に襲い掛かる。

 

「・・・だとしても!」

 

「それで食い下がる俺たちじゃ・・・!」

 

響は右腕のアームドギアを変形させ、真は飛電メタルを形成し左腕を巨碗にする。

 

「「ない!!」」

 

腕を変形させた二人は全力で狼の顔面を殴りつけ、そのエネルギーを霧散させる。

 

「何っ!?」

 

エネルギーが霧散した衝撃でサンジェルマンが怯む中、二人は殴った勢いでサンジェルマンの近くへと距離を詰める。

 

「たとえどんな障害が目の前にあったとしても、俺たちは決して折れたりしない」

 

「みんなの笑顔を守るためなら、何度だって立ち上がってみせます!」

 

「っ・・・!」

 

そんな二人の姿を見てサンジェルマンが固まる中、その様子をアークが遠巻きで見ていた。

 

「・・・」

 

アークは三人を見て、おもむろに手に握るサウザントジャッカーのジャックリングを引く。

 

ジャックライズ!

 

ジャックリングを引くと、サウザントジャッカーの刀身に炎が宿る。

 

「っ!?サンジェルマン避けて!」

 

『っ!?』

 

カリオストロの言葉に三人がアークの方を見た瞬間、アークはトリガーを押し込んだ。

 

ジャッキングブレイク!

 

J

A

C

K

I

N

G

 

B

R

E

A

K

 

アークがサウザントジャッカーを振るうと、巨大な炎の斬撃が三人目掛けて放たれる。

 

「くっ!危ねぇ!」

 

とっさに真が前に出て飛電メタルで防御するが防ぎきれず、爆発を起こし火柱が三人を巻き込んだ。

 

JACKING BREAK

 

火柱が消え、煙が晴れるとボロボロになった真、響、サンジェルマンが倒れていた。

 

『真(さん)、響!!』

 

「「サンジェルマン!」」

 

爆発に巻き込まれた三人の元にみんなが駆け付けると、アークは変身を解きサンジェルマン達に近づく。

 

「これは失礼、二人を狙ったんだが、まさか巻き込んでしまうとは」

 

「あーた!!それ本気でいってるの!!」

 

「今のは明らかに・・・!!」

 

二人の言う通り、今の攻撃は明らかに『三人』を狙った一撃だと誰もが理解できた。

 

「そんな事より、急いだほうがいい、傷だらけだろう」

 

だがそれでもアークは他人事のように遠巻きに帰還を命じた。

 

「~~~っ!」

 

「・・・ここは素直に引くワケだ、サンジェルマンのためにも」

 

カリオストロは納得がいかない中、プレラーティはサンジェルマンの傷を治すため、ジェムを使い三人共転移すると、アークもその後を応用に転移した。

 

その後、S.O.N.Gの救護ヘリもやって来て、みんなは本部へと帰還した。

 

 

 

「パヴァリア光明結社の目的は、月遺跡の掌握」

 

その日の夕方ごろ、弦十郎達は話し合いをしていた。

 

「そのために必要とされる、通称神の力を、生命エネルギーより錬成しようとしていると・・・」

 

「仮にそうだとしても、響君と真君の一撃で分解するような規模ではいくまい、おそらくは・・・もっと巨大で強大な」

 

「その規模の生命エネルギー、いったいどこからどうやって・・・」

 

その言葉に、友里があることに気が付く。

 

「まさかレイラインでは?」

 

「何!?」

 

友里が操作し、モニターに映し出された日本地図に幾つもの線が描かれる。

 

「キャロルが世界の分解解析に利用したレイライン、巡る地脈から星の命をエネルギーとして取り出すことができれば」

 

「パヴァリア光明結社は、チフォージュ・シャトーの建造に関わっていた、関連性は大いにありますよ」

 

「取り急ぎ、神社本庁を通じて、各地のレイライン観測所の協力を仰ぎます」

 

「うむ・・・後は、装者達と仮面ライダー達の状況だな」

 

エントランスでは、怪我を治した二人とともに、全員が暗い表情を浮かべていて誰も言葉を発せずにいた。

 

「賢者の石による抜剣封殺、そしてアークの圧倒的なまでの力量差、その対策を急いで講じなければ」

 

「エルフナイン君とキャロル君は」

 

「無理は禁物と言っていますが、ずっとラボに籠りっきりで・・・」

 

 

 

そのころ、エルフナインとキャロルのラボにフィーネが大量の資料を持ってやってきた。

 

「異端技術に関する資料をかき集めて来たわよ、ほかにも必要なものがあったら言ってね」

 

「はい、ありがとうございます・・・」

 

そう言って近づくエルフナインの足が疲れでもつれ資料を一冊落としてしまう。

 

「エルフナイン!大丈夫・・・っ!?」

 

その様子を見たキャロルが近寄ると、キャロルも眩暈で座り込む。

 

「二人とも、根を詰め過ぎよ、このままじゃ体を壊すわよ」

 

「ご・・・ごめんなさい、でも一刻も早く解決策を見つけたいんです」

 

「ああ、母さんたちが傷だらけで頑張っているというのに、俺たちが何もしない訳にはいかないんだ・・・!」

 

そんな中、二人はエルフナインが落とした資料に目を向ける。

 

「どうしたの?」

 

「こいつは・・・!」

 

そこに書かれていたのは、かつてフロンティア事変にて響の身から生み出された結晶に関する資料だった。





さて後書きの時間だ。
「結局アークの奴が邪魔しまくりやがったな」
「ああ、まさか仲間ごと攻撃する奴だったとは・・・」
アークからしたら人間は利用するだけの存在みたいなものだからな。
「ウェル博士よりもひどい人がいるなんて・・・!」
「うむ、敵じゃがさんじぇるまんが心配じゃのう」
「お仲間さんがいますから大丈夫だと思いますけど・・・不安ですね」
「とはいえ、今の俺達も負けっぱなしだからな、どうにかして力をつけないと・・・」
「そのカギを握りそうなのは、エルフナインが見つけた響の資料だけか」
「今は待つしかありませんね・・・」
そうだね、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真に質問
真は入浴・シャワー前後に響達女性陣が入って来たらどうしていたのですか?
具体的には、する前に彼女達が既にいた、している最中に彼女達がやって来た。
また、元男性であると打ち明けた後に変化はありましたか?

「やっぱり来るよなこの質問・・・響達がすでにいた時は響達が出てくるまで待ってたよ、来たときは・・・極力目をつぶって洗ってた、難易度やばいけどやれないことはない。ばれた際にはみんなで話し合って俺はみんなが終わった後に洗うようにしたけど、しばらくはまともに目を合わせられなかったな」

純情だな。
「うるせー、さっさと〆るぞ」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別編13:風鳴翼の誕生日2


特別編第十三話、今回は翼の誕生日パート2だ!
「あれ、今回はやけに文字数が多いような?」
メタいことを言うな、今回はやってみたいネタがあったから書いてみたら少し長くなった。
「まぁいいじゃん、その分翼を祝えるってわけだしさ」
「そうですね、それに今回は紫苑さん達もいますからいいお祝いになりますよ」
「うむ、うちらも盛大に祝わせてもらうぞ」
「あともう少しで私たちの誕生月も決まりますからその時を期待してますね」
おうまかせろ、それじゃあ特別編どうぞ!


「さぁ!始まりました!トップアーティスト風鳴翼特別企画!誕生日クイズショー!」

 

とあるスタジオにて、大勢の観客の歓声の中、真達は席に座っていた。

 

「・・・なぁ響、何がどうなってこうなったんだっけ」

 

「えっと・・・あれって確か昨日の事でしたよね」

 

なぜこんな状況なのか、時は一日前に遡る。

 

 

 

「明日やりたいこと?」

 

昨日、真達は翼の元にやって来て翼にとあることを訪ねていた。

 

「明日翼誕生日だろ、だから明日翼がやりたいことはないかなと思ってさ」

 

「はい、やりたいことがあったら何でも言ってください!私達全力で叶えて見せますから!」

 

「それは嬉しいが済まないな、明日は収録があってとてもじゃないが・・・」

 

「あら、そうなの?」

 

「ああ、私の誕生日にちなんでテレビ局がクイズショーを開くんだ」

 

「先輩がクイズって・・・それ大丈夫なのか?」

 

「雪音、それはどういうことだ」

 

「そのままの意味だろ、しかし困ったな・・・それじゃあ翼を祝えないな」

 

「済まないな、私の祝い事はまた次の機会に『いえ、その心配には及びませんよ』緒川さん」

 

真達が残念そうにすると突然緒川がその場に現れる。

 

「緒川さん、心配には及ばないってどういうことだ?」

 

「いえ、翼さんの誕生日を祝うということは皆さん明日はお暇なんですよね?」

 

「えっ?はい、一応みんな明日は予定はありませんけど・・・」

 

「ならちょうどよかった、では明日の十時ごろに迎えに行きますので玄関で待っててくださいね」

 

そう言って緒川はすぐさまその場から消え去った。

 

「・・・どういうことだ?」

 

 

 

「それで今日、玄関で待っていたら緒川さんが車でやって来て緒川さんに言われて乗って付いた先がこのテレビ局なんですよね・・・」

 

「緒川さん曰く、本来のクイズ参加者たちが都合で来れなくなったから急遽代わりとして俺たちを誘ったって訳か・・・」

 

真と響がそう呟く中、司会が説明に入る。

 

「今回のクイズショーは、トップアーティスト風鳴翼さんのご友人の皆さんに来てもらいました!」

 

司会がそう言うとカメラが真達に向けられる。

 

「うえっ!?えっと・・・どうも!」

 

「ははっ、どうもどうも・・・」

 

初めてのテレビカメラに何名かはタジタジながらも挨拶をする。

 

「さて、今回のクイズショーは二人一組による早押しクイズ!こちらが出題した問題を選ばれた回答者が答える形式となっております、正解すれば1ポイント贈呈、最終的に総合得点が多いペアの勝利となっております!」

 

ペア分けとしては『響&真』『クリス&未来』『マリア&セレナ』『切歌&調』『紫苑&桃恵』そして本命の『翼&奏(変装済み)』の計6ペアとなっている。

 

「真さん・・・私なんだか緊張してきました」

 

「俺もだ・・・こんな調子で本当に大丈夫か」

 

「さぁ!果たして優勝するのはどのペアか、それでは早速行ってみましょう!」

 

皆の緊張をよそについに始まるクイズショー、真達は緊張しながらもクイズに専念する。

 

 

 

クイズが始まりしばらくすると、みんなの緊張が解け、いつも通りの雰囲気の中クイズは続いていた。

 

響や切歌がとんちんかんな回答をして観客を笑わせたり、相方の答えにパートナーの真と調別のペアであるクリスがツッコんだり、マリアが自信満々に答えるが不正解でセレナに慰められたり、紫苑が回答者の時英文で答えよの問題で片言で答えたりなど時には赤っ恥、時には笑い合ったりしてクイズショーは盛況に終わり、みんなは控室で休憩をとっていた。

 

『つ・・・疲れた』

 

「まさかここまで盛況に終わるとは・・・」

 

「ほぼほぼそこの馬鹿コンビのお陰だろ」

 

「ええっ!?そんな事ないよクリスちゃん!」

 

「そうデスよ!響先輩の言う通りデス!」

 

「いや、藤原鎌足を藤原カマキリと答えた時は相方として死ぬほど恥ずかしかったぞ」

 

「切ちゃん、家に帰ったら勉強しようね」

 

「響もだよ、それじゃあ次のテスト危ういから」

 

「「ごめんなさい(デス)」」

 

真と調と未来のツッコミに二人は頭を下げた。

 

「お前らはもう少し知識をつけるこったな」

 

「その点、クリスはすごく答えてたからね」

 

「まっ、ちゃんと勉強してるからな」

 

「流石、うたずきんの問題が出た瞬間一番でボタンを押して速攻でオタクよろしくな回答したクリスが言うと説得力が違うな」

 

「よし、お前の頭をぶん殴って記憶を消す」

 

「すみません」

 

拳を握り締めるクリスに土下座をする真に未来は苦笑いをする。

 

「セレナ・・・私って此処までポンコツだったのかしら・・・!?」

 

「なぜうちは英文を片言でしか言えれんのじゃ・・・答えた時あの司会少し吹いておったぞ」

 

「大丈夫ですよ、マリア姉さんが残念なのは今に始まった事じゃありませんから」

 

「はい、姉さんの英文の弱さは周知の事実ですから」

 

「「まさかのとどめ!?」」

 

まさかの妹組からの追撃にショックを受ける姉組。

 

「あははっ、大変だなあいつら」

 

「ええそうね」

 

そんな様子を翼と奏は遠巻きに見ていた。

 

「それでどうだった翼、みんなでクイズをした感想は」

 

「そうね・・・いつもと違って少し緊張したけれど」

 

そう言うと翼は笑顔で答える。

 

「とても楽しかった、ただそれだけ」

 

「そうか、今回に関しては緒川さんに感謝しないとな」

 

「そうね、感謝しないと」

 

二人が笑みを浮かべる中、真達は話し合っていた。

 

「にしても、途中の翼の回答にも笑ったな」

 

「ええ、まさかバームクーヘンの画像を答える問題で切株と答えるなんてね」

 

「あの時は司会や観客を含めたみんな唖然としてたからな」

 

「ちょ!?なぜ私の失態の話を!?」

 

その話を聞いて慌てて翼も輪に入っていく。

 

「あーあー、翼の奴珍しくいじられてるな、こりゃ助け舟を出しますか」

 

その様子を見ていた奏も輪の中に入ってみんなで楽しく話し合っていた。

 

因みにクイズショーの結果としてクリス&未来の優勝であり、更にこの番組の受けが良かったのかテレビ局から真達にスカウトの話が来たのはまた別の話。





さて後書きの時間だ。
「誕生日にクイズショーって何考えてんだお前」
とっさに思いついてしまった、後悔はない、因みに最終的なスコアはこんな感じだ。

『真&響 14ポイント』

『クリス&未来 24ポイント』

『マリア&セレナ 14ポイント』

『切歌&調 11ポイント』

『紫苑&桃恵 22ポイント』

『翼&奏 15ポイント』

という感じです。
「あたしらが15ポイントか・・・こりゃ参ったね」
「マリア姉さん、大事な場面で間違えるから・・・」
「うちらは二位か、くりすと未来もなかなかやるのう」
「私達一般常識問題は少し苦手だからね」
「そういう問題か?それより今回花は?」
ちゃんと用意してますよ、今回はこちら。
「これは?」
こちらは『ラナンキュラス』という花です、花言葉は『晴れやかな魅力』トップアーティストの翼にぴったりと思って用意しました。
「本当良く用意するもんだなお前」
それほどでも、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!翼!』


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賢者を討つ愚者


AXZ編第十七話前回のあらすじは?
「パヴァリア光明結社の目的は月遺跡の掌握だった」
「だがアークの野望は掌握とは違うものだと感じ取った」
「聞こうとした瞬間、アークが現れて戦闘が始まりました」
「互いに戦う中、あーくの攻撃で真と響、そしてさんじぇるまんが傷を負ってしまう」
「皆さんが落ち込む中、エルフナインちゃんは賢者の石攻略のカギを見つけました」
はいOK、それじゃあAXZ編第十七話、どうぞ!


サンジェルマン達のいるホテルにて、アダムはサンジェルマン達と対話していた。

 

「随分苦戦してたようだね、彼女たちに」

 

「申し訳ございません、敵の強さが想定よりも上だったもので油断してしまいました」

 

「ふん、戦ってる途中で邪魔を入れたくせに、それにわざと狙ってやったくせに・・・!」

 

「気に食わないワケだ・・・!」

 

「さっきから言ってるだろう、わざとじゃないと、わざとと証明できるのかい?」

 

カリオストロとプレラーティはアダムに対して睨みつけるが、アダムは涼しい表情でそれを流す。

 

「もう!アダムがそんなことするわけないでしょ三級錬金術師共!それ以上アダムの悪口は許さないんだから!」

 

「落ち着きたまえティキ、アスペクトはついに示された、ティキが描いたホロスコープにね」

 

「ならば、祭壇設置の儀式を」

 

サンジェルマンがそう言う中、アダムはティキの傍に座り頭を撫でる。

 

「この手で掴もうか、神の力を」

 

「ん~!もっと撫でて~!」

 

ティキが撫でられて喜ぶ中、サンジェルマンは先の戦いでの真と響の姿を思い浮かべる。

 

「・・・あの二人ならば、もしかしたら」

 

サンジェルマンがそう呟く中、アダムはティキを連れて部屋から出る。

 

「嫌味な奴、それよりサンジェルマン、傷の方はもう大丈夫?」

 

「ああ、もう大丈夫だ、ありがとう」

 

「どういたしまして、それにしてもあんな奴が結社を統べる局長ってんだから、やりきれないわね」

 

「そうだね、だけど私たちがついて行くのは、あいつでも結社でもないワケだ」

 

そう言ってカリオストロとプレラーティはサンジェルマンを見つめる。

 

「二人とも・・・」

 

「これ以上、アダムにデカい顔させないためにも、本気出さなくっちゃね」

 

「ああ、しかし私は祭壇設置の儀式に取り掛からなくてはならないわ、だから」

 

「分かってる、シンフォギア装者と仮面ライダーはこちらに任せてほしいワケだ」

 

 

 

一方で真達は司令室に集められ、説明御受けていた。

 

「これは・・・!?」

 

モニターに映し出されていたのは、かつて響の体から生成された体組織の一部だった。

 

「以前ガングニールと融合し、いわば生体核融合炉と化していた響さんより錬成された、ガーベッジです」

 

「ああ~!あの時のかさぶた!」

 

「かさぶたって・・・あんとき大変だったんだからな」

 

「とはいえ、あの物質にさしたる力は無かったと聞いていたが?」

 

翼の疑問に対し、キャロルが答えてくれる。

 

「世界を一つの大きな命に見立てて作られた賢者の石に対し、このガーベッジは立花響たった一人の命より産み出されている、つまりその成り立ちは正反対なんだ」

 

「今回立案するシンフォギア強化計画では、ガーベッジが備える真逆の特性をぶつけることで、賢者の石の力を相殺する狙いがあります」

 

「つまりは、対消滅バリアコーティング!」

 

「そうだ、錬金思想の基本のマクロコスモスとミクロコスモスの照応によって導き出された回答だ」

 

エルフナインとキャロルの提案した考察に、何名かは理解が追い付いてこなかった。

 

「誰か、説明してほしいけれど・・・」

 

「その解説すらわからない気がするデス・・・」

 

「簡単に言えば、あの結晶を組み込むことで賢者の石によるいぐないとの強制解除を防ぐことができるのじゃよ」

 

「おーなるほど!そういう事だったんデスね!」

 

「その物質、どこぞのバカの中から出たってんだからさしずめ『愚者の石』ってところだな」

 

「愚者とはひどいよクリスちゃん・・・!」

 

「うむなるほど、賢者の石に対抗する愚者の石」

 

「天才と馬鹿は紙一重ともいえるし、いい名前だと思うな」

 

クリスの放った愚者の石という名前に弦十郎と真は納得する。

 

「ああっ!?まさかの師匠と真さんまで!?」

 

「それで、その石はどこに?」

 

「一通りの調査を終えた後、無用不要の産物として、深淵の竜宮に保管されていたのですが・・・」

 

「それってまさか・・・」

 

真達はこの時、嫌な予感を感じていた。

 

 

 

それから少しして、S.O.N.Gは崩壊した深淵の竜宮にて愚者の石の回収に向かった。

 

「愚者の石の回収は、まさに泥の中から一粒の砂金をさらう作業だ、長丁場になるが頼んだぞ!」

 

『了解!』

 

多くの潜水艇と共に、真達も水中戦闘フォームに変身し、愚者の石の捜索に出ており、その様子をクリス達は地上でモニター越しに見ていた。

 

「あちゃー」

 

「思ってた以上にぺちゃんこデスよ・・・」

 

「だけど、絶対に探し出さなくちゃいけねえ、錬金術師共に対抗するためにもな」

 

クリス達がそう言う中、真達や潜水艇に乗っているマリア達は巨大なチューブを使って大量の泥を吸い出し、それらを地上に送りその中から愚者の石を機械を使って探していた。

 

「こんなんで本当に見つかるんだろうな?」

 

「今は信じて根気強く探すしかないじゃろう」

 

そんな時、近くから悲鳴が聞こえてくる。

 

その方を向くと、大量のアルカノイズが出現すると同時に、海面から何人かのソルジャーズが船上に飛び乗って来る。

 

「アルカノイズとソルジャーズ!?」

 

「このタイミングで襲撃か!」

 

その場にいたクリス達はすぐに戦闘態勢に入る。

 

アウェイクン!

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

Killter Ichaival tron

 

タロン!

 

シザーズ!

 

「「変身!」」

 

『『フォースライズ!』』

 

レイジングキャサワリー!

 

バブルオーシャンクラブ!

 

Break Down.

 

『使用BGM:デンジャラス・サンシャイン』

 

地獄からテヘペロちゃん 悪魔だって真っ青顔

 

突然現れた敵に対し調はすぐに『α式 百輪廻』を繰り出し、アルカノイズの数を減らし、ソルジャーズをアルカノイズから離れさせる。

 

鎌をブンブンするのDeath

 

二組を分けるとクリス達がアルカノイズを、紫苑達がソルジャーズを相手取り倒していく。

 

「大丈夫デス!落ち着いて避難を!」

 

「そうはさせないわよ、シンフォギア装者、仮面ライダー達!」

 

切歌が退院を避難させていると、上からファウストローブを纏ったカリオストロが現れ切歌に襲い掛かる。

 

「切ちゃん!」

 

「お前の相手は私なワケだ!」

 

調が切歌の方を向いた瞬間、プレラーティを現れて調を吹き飛ばす。

 

「二人共!!」

 

「お主ら!ええいそこをどけぃ!」

 

紫苑と桃恵はソルジャーズを倒して援軍に向かおうとするが、徐々にアルカノイズをやってきて助けに行けれずにいた。

 

「お前たちがどれだけ私達より劣っているか、教えに来たワケだ」

 

「そういう事、覚悟しててよね」

 

「狙いはあたしたちか・・・?」

 

「愚者の石ではないのデスか?」

 

「だったら派手にいくぜ!」

 

クリスは敵の狙いが自分たちと判断し、大量のミサイルを放つ。

 

「水上施設が襲撃されている!?」

 

その状況は、すぐに響達にも知らされる。

 

「すぐに向かいます!」

 

『いえ、そのまま作業を進めてください』

 

「どういうことだ?」

 

『奴らは、愚者の石のことは知らないようだ、回収作業のことが知られれば邪魔されかねない』

 

「けど、賢者の石の力が相手では・・・!」

 

「可能性はあるわ、ユニゾンよ、切歌ちゃんと調ちゃんの歌を重ねれば、イグナイトを使わなくても十分に錬金術士を相手取れるわ」

 

地上では、クリスは両手に持つボウガンをガトリングに切り替える。

 

「だったら無理をこじ開ける!」

 

クリスの放つ弾幕をカリオストロは水のベールで防ぐ。

 

「おらぁぁぁぁぁ!!」

 

それでもクリスは更に弾幕を放ちながら接近し、ベールに負荷をかけていく。

 

大量の弾幕を受け止めたせいでベールは維持を保てず、そのまま崩れ落ちると同時に、クリスは銃口をカリオストロに向けると、アームドギアを和弓に切り替える。

 

(回避不能なゼロレンジ・・・でも、この程度ならよけきれるわ)

 

クリスの放った矢をカリオストロは回避する・・・だが、クリスの狙いはゼロ距離射撃にあらず。

 

「なっ!?」

 

避けた瞬間、カリオストロはクリスの放った矢に切歌が捕まって飛んでいくのを視界に入れた。

 

「ゼロ距離はフェイク!?」

 

切歌が捕まった矢はそのまま飛んでいき、プレラーティと調の間に落ちる。

 

「へっ!成功だな!」

 

クリスの狙いは、最初から切歌を調の元に送る事だった。

 

「さぁて!いっちょやらかすデスよ!」

 

「うん、切ちゃん!」

 

二人は横に並び、その歌を重ねる。

 

『使用BGM:ギザギザギラリ☆フルスロットル』

 

地獄からテヘペロちゃん 悪魔だって真っ青顔

 

二人は同時にプレラーティに攻撃を仕掛け、プレラーティが防ぐに対し、切歌は鎌を持って回転する。

 

災輪・TぃN渦ぁBェル

 

鎌をブンブンするのDeath

 

切歌の『災輪・TぃN渦ぁBェル』をプレラーティが防ぐと、側面から調のヨーヨーが迫る。

 

小っちゃいってナメないで 電ノコは

 

調は繰り出したヨーヨーを重ねて巨大にし、巧みに操りプレラーティに向けて振るう。

 

一番痛いのUnderstand?

 

プレラーティは向かってくる巨大ヨーヨーをけん玉で弾いて防ぐ。

 

心の「なぜ?」を救いたいの ニャッニャニャー(←励ましの意)

 

心なぜか シンクロを拒絶する

 

「切歌ちゃんと調ちゃんのフォニックゲイン、飛躍していきます!」

 

「この二人の出力なら!」

 

温もりをあげるDeath 二人だけの愛の旋律(メロディ)

 

でも温まる 二人だけの愛の旋律(メロディ)

 

二人の協力攻撃に、プレラーティは徐々に追い詰められていく。

 

月を守る太陽である為何が出来る?キラリ輝け!Sunshine

 

月はいつでも自分だけじゃ輝けないの

 

 

「くっ・・・だがここで引くわけにはいかないワケだ!ふだつの上がらない詐欺師まがいだったあたしたちに、完全なる肉体と真の英知、そして理想を授けてくれたサンジェルマンのために!」

 

プレラーティは自分とカリオストロに肉体と知恵、そして理想を授けてくれたサンジェルマンに忠誠を誓っていた。

 

KIZUNAギュッと熱く束ね さあ重ね合おう

 

KIZUNA束ね 重ね合おう

 

「だから!彼女のために望みを叶えるワケだ!」

 

「プレラーティ!!」

 

プレラーティの元に向かおうとするカリオストロをクリスとソルジャーズとアルカノイズを撃退した紫苑と桃恵が立ちふさがる。

 

「大好き」が 溢れるYes!

 

「大好き」がね… 溢れる

 

 

切歌と調は力を合わせるために、高く飛ぶ上がった。

 

KIZUNAギュッと熱く束ね さあ重ね合おう

 

KIZUNA束ね 重ね合おう

 

切歌の突き出した鎌に調の二つのヨーヨーが重なり合い、巨大なアームドギアに変形させる。

 

禁合B式・Zあ破刃惨無uうnNN

 

「大好き」が 溢れるYes!

 

「大好き」がね… 溢れる

 

 

二人の組み合わさった一撃はそのままプレラーティに向かい、プレラーティは対抗するためけん玉の球を射出する。

 

「サンジェルマンのために!!」

 

ぶつかり合う二つの攻撃は均衡するが、徐々に二人の一撃が押していく。

 

「ぐ・・・っ!!」

 

そして弾を切り裂き、二人の一撃がプレラーティに直撃し、そのままプレラーティは海に落とされ光の柱を繰り出した。

 

「プレラーティ!っ、ここまでにしてあげるわ!」そう言ってカリオストロは去っていった。

 

こうして錬金術師たちの襲撃を阻止することができた・・・。

 

 

 

日が暮れだしたころ、切歌と調は繋いだ手を見つめていた。

 

「重ね合ったこの手は・・・」

 

「絶対に離さないデス・・・!」

 

「そういう事は家でやれ・・・って一緒の家か」

 

「そうじゃのう、じゃが仲良きことは美しいものじゃ」

 

「うん、やっぱり二人は仲好しですね」

 

司令室でも、戦いの様子を見守っていた。

 

「やりましたね!」

 

「ああ、今日の所はな」

 

勝利したにもかかわらず、弦十郎の表情は浮かなかった。

 

 

 

ホテルでは、ティキの繰り出す星空の元、アダムとサンジェルマンが対話していた。

 

「順調に言っているようだね、祭壇設置の儀式は」

 

「はい、ですが中枢制御の大祭壇設置に必要な生命エネルギーが不足してます」

 

「じゃあ生贄を使えばいいんじゃないかな」

 

「えっ?」

 

「あの二人のどちらかを」

 

アダムの非常ともいえる発言にサンジェルマンは息を詰まらせる。

 

「十分に足りるはずさ、祭壇設置の不足分だってね、完全なる肉体より錬成される生命エネルギーならば」

 

「局長・・・あなたは、どこまで人でなしか!」

 

アダムの言葉にサンジェルマンは怒りを抑えきれずにいた。

 

「選択してもらおうか、君の正義を」

 

そう言ったアダムの瞳は、赤く怪しく輝いた。





さて後書きの時間だ。
「賢者の石の攻略のカギが響の体組織、通称愚者の石か」
「まさかあんときの奴が此処で生きてくるとはな・・・」
「あの時は本当に大変でしたからね」
「うちらはその時は知らんが、大変だったようじゃな」
「はい、確か響さんが命を落としかけたと聞きましたが・・・」
「ああ、けど神様のお陰で響も未来も無事だし二人は正式な装者になれたんだよな」
そうだな・・・それじゃあこのあたりでそろそろアンケートの結果発表と行きますか。
「えっまだ一ヶ月経ってないような・・・」
もうそろそろ五月も終わるからこの辺りで発表しようと思ってな、てなわけで投票の結果は・・・。

6月『20票』  1月『13票』

ということで二人の誕生月は6月に決まりました!
「ようやっと決まったのう!」
「うん、やっとだね!」
「ということはエルフナインは1月になるんだな、ところで誕生日は何時になるんだ?」
そこは適当にネットでダイスの奴を使ってコロコロ~っと。

如月姉妹の誕生日『13』

エルフナインの誕生日『28』
『ガチでダイスを振りました』

・・という言うことで決まりました!
「うちらは13日で・・・」
「エルフナインちゃんは28日ですね」
ああ、先に言っておきますけど、エルフナインの誕生日はこの小説内での設定なのであまり気にしないでくださいね。
「よし、三人の誕生日も決まったしそろそろいつもの行きますか」

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真に質問
前回の質問に関連していて、その際に女性同士のスキンシップもとい発育チェックをされましたか?
特に、奏が怪しい...(シンフォギアXDのメモリアカードで友里あおいが被害に)

「大正解、奏によくやられました」
奏、感想は?
「よく育ってたな」
「二人とも、頭を何回殴れば記憶をなくせるか実験したいんだけど」
ごめんなさい。
「すまねえ」
「あはは・・・っそれじゃあそろそろ〆ましょうか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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対策訓練


AXZ編第十八話、前回のあらすじは?
「祭壇設置の儀式を行おうとする錬金術師達」
「そんな中、賢者の石に対抗する愚者の石を見つけることになりました」
「じゃがその愚者の石は崩壊した竜宮の深淵にあり、捜索を行ったぞ」
「その時、突如カリオストロとプレラーティが襲い掛かってきた」
「けれど切歌ちゃんと調ちゃんのユニゾンで撃退に成功しました」
はいOK、それじゃあAXZ編第十八話、どうぞ!


錬金術師達を撃退してから後日、真達は手分けして泥の中から愚者の石の捜索をしていた。

 

それぞれが探知機を使って捜索する中、切歌の持つ探知機に反応が入った。

 

「オヨッ」

 

「よし切ちゃん、まずは落ち着こう」

 

調の注意を耳にせず、切歌は反応があった場所に手を勢いよく突っ込むと泥が調の顔に直撃する。

 

「デェース!!」

 

切歌と調が泥だらけになるも、切歌の手には金色に輝く石が握られていた。

 

「あっ!見せて下さーああっ!?」

 

エルフナインが切歌の元に向かおうとすると、泥に足を掴まれ泥に突っ込んでしまう。

 

「こっちは見てらんない・・・ってああ!!」

 

響が眼を逸らすと、響の探知機にも反応が出て、響が泥を探ると同じ石を見つけ出す。

 

「エルフナインちゃん!こっちも見つけたよ・・・ってうわぁ!?」

 

響は勢いよく立ち上がろうとすると、足を滑らせ泥に突っ込んでしまう。

 

「どっちもどっちだな・・・」

 

すぐにエルフナイン達は立ち上がり、二人が見つけた石を調べる。

 

「そうです!これが賢者の石に抗う僕達の切り札、愚者の石です!」

 

「・・・すっかり、愚者の石で定着しちゃったね」

 

響は定着してしまった石の名前にため息をつく。

 

その後、真達はシャワーを浴び、着替えてエントランスに集まって水分補給する。

 

「ぷはぁ~!五臓六腑に染み渡るデス!」

 

「流石、石の発見者は言うことが違う」

 

「そういえば、エルフナインちゃんは?」

 

「エルフナインならシャワーを浴びた後、すぐにキャロルと櫻井さんと共に研究に向かったよ」

 

「うむ、泥にまみれた輝石を輝かすためにのう」

 

「対抗手段、対消滅バリア、愚者の石の特性で賢者の石の力を無効化すれば・・・」

 

「この手に勝機は握られる・・・と言いたいところだけど」

 

マリアの言葉に、真達仮面ライダー組は表情を曇らせる。

 

「・・・アークか、あいつを何とかしない限り勝機は見えてこない」

 

「とはいえ、此方の攻撃を予測し、更に錬金術すらも掌握するアークにどうやって・・・」

 

それぞれが頭を悩ませる中、友里がやって来る。

 

「ちょっといいかしら?クリスちゃん宛に外務省経由で連絡が来ていたわよ」

 

「連絡、あたし宛に?」

 

「バルベルデでのあの姉弟が、帰国前に面会を求めているんだけど」

 

その言葉にクリスは驚いたような表情をする。

 

「・・・わりぃ、それなし『クリス』っ」

 

クリスが断ろうとする前に、真がクリスの言葉を遮る。

 

「・・・・・・わかってんだろ、このままじゃいけないことぐらい」

 

「っ・・・!」

 

真の言葉に、クリスはソーニャのことを脳裏に思い浮かべる。

 

「・・・分かった、面会するよ、けじめはつける」

 

「ああ、友里さん、そういう事だからよろしく」

 

「分かったわ、すぐに伝えるわね」

 

そう言って友里が連絡に行くと、入れ替わりで弦十郎がやって来る。

 

「おっ、揃ってるようだな」

 

「師匠!なんですか藪から棒に?」

 

「全員、トレーニングルームに集合だ」

 

弦十郎の言葉に装者達は疑問を浮かべるが、仮面ライダー組は頷く。

 

「分かった、すぐに向かう」

 

「ちょ!もう愚者の石が見つかったっていうのに今更が過ぎるんじゃねえのか!?」

 

「むしろ、今だからこそではないですか?」

 

「ああ、これが映画だったら、たかが石ころでハッピーエンドになるはずなかろう」

 

「なんだよそれ?」

 

「愚者の石が手に入ったところで、それで行えるのはイグナイトの強制解除の無効化のみ、イグナイトが使えるところで敵の戦力がこちらより格上だった場合意味がありません」

 

クリスの疑問に桃恵が答えると、クリスは押し黙ってしまう。

 

「桃恵君の言う通りだ、とにかくトレーニングを行うぞ!」

 

そう言って真達がトレーニングルームに向かおうとすると、エルフナインが真の元にやって来る。

 

「お母さん!ちょっといいですか」

 

「ん、どうしたエルフナイン?」

 

「実は、少し貸してほしいものがあるんです」

 

「貸してほしい物?」

 

そう言ってエルフナインは真に耳打ちをすると、真は驚きの表情を浮かべる。

 

「・・・マジか!?」

 

「はい、僕試したいんです」

 

「・・・わかった、そういう事なら」

 

真はそう言って、エルフナインにあるものを渡した。

 

 

 

一方で、カリオストロは切歌と調の一撃でボロボロになったプレラーティの治療を行っている中、とあることを頭に浮かべていた。

 

『順調に言っているようだね、祭壇設置の儀式は』

 

『はい、ですが中枢制御の大祭壇設置に必要な生命エネルギーが不足してます』

 

『じゃあ生贄を使えばいいんじゃないかな』

 

『えっ?』

 

『あの二人のどちらかを』

 

『十分に足りるはずさ、祭壇設置の不足分だってね、完全なる肉体より錬成される生命エネルギーならば』

 

『局長・・・あなたは、どこまで人でなしか!』

 

『選択してもらおうか、君の正義を』

 

アダムとサンジェルマンの会話を、カリオストロは物陰から聞いていたのだった。

 

カリオストロが考え込んでいると、サンジェルマンが入ってくる。

 

「プレラーティの治癒は?」

 

「順調よ、時間は少しかかるけど」

 

サンジェルマンはプレラーティに布団をかける。

 

「彼女たちはどうだった?」

 

「順調に育っているわ、後はそれが通じるか否か・・・そろそろ最終段階だと思うわ」

 

 

 

そのころ、真達はトレーニングルームにて仮想アルカノイズ相手に練習を行っていた。

 

「はぁっ!!」

 

真達は順調にアルカノイズを撃退していくが、それでも真達仮面ライダーの様子はすぐれなかった。

 

「アルカノイズは何とかなる・・・けどサンジェルマン達やアークをどうするか」

 

「ある程度は私と切ちゃんユニゾンで何とかなると思うけど・・・」

 

「問題はそこだな、今ユニゾンできるのは切歌と調だけ、この二人が分断されたら・・・」

 

「だからと言って、大人げない!?」

 

奏が問題を言う中、マリアの叫びにみんなが別方向を向くと、そこには準備万端の弦十郎がいた。

 

「今回は特別に、俺が訓練をつけてやる、遠慮はいらんぞ」

 

「はぁっ!?旦那が特訓相手!?」

 

「それどんな地獄だよ!?」

 

「来ないのなら、此方から遠慮なしで行くぞ!」

 

弦十郎は一瞬でマリアに迫りマリアを連続で殴りつける。

 

「くっ・・・!こんなの、どうすればいいの!?」

 

マリアが困惑する隙をつき弦十郎がすぐさま迫り、マリアを蹴り飛ばす。

 

「マリア!」

 

「マリア姉さん!?」

 

「人間相手の攻撃に躊躇しちゃうけど・・・!」

 

「相手が人間かどうか疑わしいのデス・・・!」

 

「お前ら!あの人を人間だと思うな、全力で挑まないとこっちが全滅するぞ!」

 

「人間と思うなって真・・・」

 

「アーク並みに怖いんだよ弦十郎さんは!!」

 

「師匠、対打をお願いします!」

 

「私もお願いします!」

 

真が叫ぶ中、響と未来が前に出る。

 

「おい!二人もか!」

 

響と未来の連撃を相手取っても、弦十郎は涼しい顔で防ぐ。

 

「その調子では、俺に傷一つつけれんぞ!」

 

弦十郎は響の手と未来のアームドギアを掴み、森の方へと放り投げる。

 

「「わあぁぁぁぁ!!?」」

 

「響!?未来!?」

 

二人が森に突っ込むと、翼もアームドギアを構える。

 

「この状況、恐ろしいはずだが、私の中の羽馬が踊り高ぶる・・・」

 

そう言って翼も弦十郎に向かい武器を振るうが、紙一重で避けられてしまう。

 

その後も何度も切りかかるが、全て躱されてしまい、上から切りかかろうとすると、二本の指で止められてしまう。

 

「お見事・・・!」

 

弦十郎はアームドギアを受け止めると、アームドギアを引っ張り翼を引き寄せ、がら空きの胴体に発勁を食らわせる。

 

「こいつならどうだおっさん!!」

 

クリスはアームドギアを展開し、『MEGA DETH PARTY』を繰り出す。

 

だが弦十郎は、放たれた小型ミサイルを全てつかみ取り、逆にクリスに向けて放った。

 

「嘘だろ!!?」

 

還されたミサイルは全てクリスに直撃し、クリスは後方に吹き飛ばされてしまう。

 

「数をばら撒いても、重ねなければ積み上がらない!心を意を合わせろ!」

 

そう叫び弦十郎が地面を強く踏み込むと、その衝撃が地面を走り、遠くにいたはずの切歌と調を吹き飛ばす。

 

「・・・のう、あ奴は本当に人間か?」

 

「はっきり言う、あれは人間じゃない」

 

「あの人がチフォージュシャトーに乗り込んでたら全滅は間違いなしだと思う・・・」

 

「だよな、やっぱ強すぎるんだよな旦那は」

 

「あの人に勝てる・・・どころか傷つけれるんでしょうか?」

 

仮面ライダー組が弱気になっていると、弦十郎は真達の方を向く。

 

「さぁ、次はお前達だ!」

 

そう言って弦十郎は真達に迫る。

 

「くっ!とにかくやるぞ!力を合わせればかすり傷位つけれるはずだ!」

 

真の言葉で弦十郎の拳が来る前に四人は別れ、残った真が弦十郎の拳を何とか受け止める。

 

「ほぉ、やるな」

 

「どんだけあんたに挑んでると思うのさ・・・!!」

 

真は拳を受け止めると、すぐさま蹴りを放つが足で受け止められてしまう。

 

「はぁっ!」

 

「おらぁ!」

 

足で受け止めた瞬間、紫苑と奏がアタッシュカリバーとオーソライズバスターを構え弦十郎に向かうと、真を蹴り飛ばし離れさせると一番迫っていた紫苑の武器を掴む。

 

「ふん!」

 

「「なっ!!?」」

 

弦十郎は武器を掴んだまま横に振り抜き、武器を握っていた紫苑を反対にいる奏にぶつける。

 

紫苑と奏がぶつかった瞬間、弦十郎は思いっきし二人を蹴り飛ばした。

 

「「がぁ!!」」

 

二人が吹き飛ばされると、弦十郎の背後からセレナと桃恵がアタッシュアローとアタッシュショットガンを構える。

 

「これなら・・・!」

 

「どうですか!」

 

二人は同時に弾幕を放つが、弦十郎は一歩も動かず拳を構えると・・・。

 

「せやぁ!!」

 

そのま正拳突きを放ち、その拳圧が弾幕を吹き飛ばし二人に向かう。

 

「「嘘でしょ!?」」

 

二人は驚愕し、そのまま拳圧に吹き飛ばされてしまう。

 

「貰った!」

 

だがその瞬間を狙い、先に吹き飛ばされた真が弦十郎に迫りドライバーのキーを押し込む。

 

ライジングインパクト!

 

真はそのまま弦十郎に向けて回し蹴りを放つが、弦十郎は真の回し蹴りを右手だけで受け止めてしまう。

 

「上手く隙をついたな、成長してるな」

 

「・・・普通片手で受け止めますか?」

 

「成長を祝って、これをくれてやろう!」

 

弦十郎は真を引っぱり両腕で身体を掴むと、そのまま後ろに倒れこむ。

 

「ちょっとまってこれってジャーマンスープレッ!!」

 

真が言い切る前に、衝撃と共に真の上半身は地面に突き刺さった。

 

 

 

その後、弦十郎の特訓によって全員ボロボロになっていた。

 

「・・・全員、生きてるか?」

 

真の呟きに、皆何とか頷く。

 

「忘れるな!敵はこれ以上の強敵!この程度で苦戦しては勝つことは不可能だ!さぁ、準備運動は終わりだ!」

 

「い・・・今のが準備運動・・・!?」

 

「本番は、ここからだ!」

 

弦十郎はそう言って、取り出したテープを再生する。

 

 

 

一方、サンジェルマン達はとある社にてティキのホロスコープの元、行動をしていた。

 

「七つの惑星と七つの音階。星空は、まるで音楽を奏でる譜面の様ね!」

 

「始めようか、開闢の儀式を」

 

そう言ってアダムは、サンジェルマンの背中に何かの模様を焼き付ける。

 

「ぐっ!!」

 

「・・・っ!」

 

模様を焼き付けられ、苦痛の表情を浮かべるサンジェルマンを見てカリオストロは辛そうな顔をする。

 

そんな中、アダムはサンジェルマンに近寄り、耳打ちをする。

 

「そろそろ選ばなくてはね、捧げる命はどちらなのかを・・・」

 

アダムがそう呟くと、サンジェルマンは驚きの表情を浮かべる。

 

「さて、シンフォギアと仮面ライダーだよ、邪魔になるのは」

 

「あーしが出るわ、儀式で動けない負傷者には任せられないからね」

 

「そうか、なら頼んだよ」

 

「ええ、任せなさい、きっちりと役目を果たすわ」





さて後書きの時間だが・・・お前ら大丈夫か?
「弦十郎さんに殺されるかと思った・・・」
「やっぱ旦那は強えぇな・・・」
「普通正拳突きで弾きますか・・・?」
「本当にあ奴が乗り込んでこなくてよかったのう・・・」
「うん、アルカノイズがいなかったら全滅してたよね・・・」
「本当あの人反則だよな、もうあの人のライダーシステム渡すから自分で何とかしてくれ」
そんな事したら物語がつまらなくなっちまうだろ、頑張れ仮面ライダー組。
「畜生・・・ところでエルフナインの奴本当に出来るのかな?」
「なんか貸してたよな、何貸したんだ?」
それは次回までのお楽しみに、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
シンフォギア装者9人に質問
親友や姉妹の片方に、1日だけ動物の耳や尻尾が生えてしまいました。その時にもう片方はどうしますか?
組み合わせは、響と未来とクリス、翼と奏、マリアとセレナ、調と切歌。
真紅林檎さんから見た彼女達のイメージにあった動物で構いません。
(例)
翼(日本犬)←奏 後ろから抱き寄せてみると犬耳はぴくぴく、フサフサな尻尾はフリフリと反応して、恥ずかしそうなくすぐったそうな甘い声にその日の仕事を放棄してしまう程メロメロに。

響(柴犬)←未来&クリスの場合
頭を撫でると耳がぴくぴくして嬉しそうな表情をして、尻尾もフリフリする。
その愛らしさに未来は思わず抱きしめ、クリスは顔を染めながらも頭を撫でまくる。

未来(猫)←響&クリスの場合
喉元を撫でるとつい二人に甘えてしまう猫未来に響とクリスは今日の予定を忘れ一日中撫でまわした。

クリス(兎)←響&未来の場合
必死で二人に耳を触らせないように立ち回るクリスに対し響と未来は何が何でも触りたいためにギアを纏ってクリスを追い詰める。(結果ギアを纏ったことで真と司令に叱られ撫でずじまいにいた)

翼(ドーベルマン)←奏の場合
常にきりっとしてる翼に対し奏が思わず翼を甘やかし翼は今日の仕事をほったらかしにして奏に甘えまくった。

奏(ライオン)←翼の場合
奏はノリで一日中ライオンの真似をして生活をしながら翼に甘え、翼はその日腑抜けになってしまった。

マリア(チワワ)←セレナの場合
チワワなことに嘆くマリアにセレナが優しく接しながら頭を撫で、マリアはその日セレナに甘えまくった。

セレナ(猫)←マリアの場合
写真を撮りまくった、一枚じゃ物足りず何枚も取りいろんな衣装を着せて様々な角度で取りまくり外でも撮影しさらにはビデオカメラでも撮影しまくってセレナにうざがられて固まったが、その表情は幸せだった。

切歌(プードル)←調の場合
その日犬になり切った切歌は調に甘え、調はそんな切歌を甘やかした。

調(ペルシャ猫)←切歌の場合
何時も甘えてこない調が今日に限り猫になり切って切歌に甘え、切歌は目一杯調を甘やかした。



・・・こんなところですかね。
「ここがエデンか・・・!」
お前動物好きだもんな・・・それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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過去と未来の狭間で


AXZ編第十九話、前回のあらすじは?
「泥の中から何とか愚者の石を見つけ出すことに成功した」
「クリスに面会の話が来て、真の言葉でクリスは合う事となる」
「そしてそんな私達に司令自らが特訓を行ってくれます」
「じゃがそんな司令の人外級の力の前にうちらは地に伏してしまう」
「そしてそんな私達を見て司令の特訓が開始しました」
はいOK、それじゃあAXZ編第十九話、どうぞ!


弦十郎の特訓から時間が経ち、クリスは真と共にステファンとソーニャと待ち合わせている場所までやって来ていたころ、研究室ではシンフォギアの改修が終わった。

 

「これが・・・!」

 

「ええ、急ごしらえだけど対消滅バリアシステムを組み込んだわ、これでラピスは無力化できるわ」

 

「見た目に変化はないみたいだけど・・・」

 

「これで賢者の石には負けないのデス!」

 

「・・・ところで、雪音と継菜はどこへ?」

 

「クリスさんには先にギアを渡しておきました、お知り合いに会いに行くそうなので」

 

「そうか・・・」

 

翼達が思いにふけっていると、奥からキャロルが何かを持ち出してきた。

 

「キャロル、そいつは何だ?」

 

「お前たちに餞別だ」

 

「餞別・・・ってこれって!?」

 

 

 

そのころ、クリスと真は店内にてステファンとソーニャと対面していた。

 

「ステファン、日本でのサッカーの勉強はどうだ?」

 

「ああ、すごく勉強になったよ!日本のサッカー選手って凄いんだな!」

 

「だろ、確か今日の夕方の便で帰国するんだよな?」

 

「ああ、でもその前にどうしてもクリスと話したかったんだ」

 

「そ・・・そうか」

 

クリスは答えるが、クリスとソーニャの空気はいまだに重かった。

 

「内戦のない国をもっと見て見たかったけど、姉ちゃんの帰りを待っている子達も多かったからさ」

 

ステファンの言葉に、クリスは視線をソーニャに向ける。

 

「聞いた話だと、ソーニャさんはクリスの両親の意志を継いで、家や家族を失った子供たちを支援してるみたいなんだ」

 

「えっ?」

 

かつて、クリスの両親は家や家族を射失った子供たちを支援し、音楽で子供たちを笑顔にしていた。

 

そんな時、運ばれた支援物資の中に爆破物が紛れ込んでいて、その結果クリスは両親を失った。

 

その時、クリスに放たれた怒りの言葉にソーニャは心を苦しめた。

 

(わかってた、ソーニャお姉ちゃんのせいじゃないって・・・だけど)

 

クリスはステファンと真に視線を向けて、そしてソーニャの方を向いて言葉を紡ごうとした瞬間、突然壁が爆破された。

 

「っ!?取り込み中だぞ!」

 

破壊された壁から大量のアルカノイズとソルジャーズが侵入してくる。

 

「アルカノイズにソルジャーズ・・・こんな時に!」

 

S.O.N.Gの方でも、アルカノイズとソルジャーズの出現を検知していた。

 

「第七区域に、アルカノイズとソルジャーズの反応を検知!ゼロワンとイチイバルは即時対応を!」

 

「響ちゃん達もそちらに向かっているわ」

 

「避難誘導の要請をお願いします!」

 

真とクリスは、本部からの司令を耳にした。

 

「二人は早く避難を!」

 

「分かったわ!」

 

ソーニャとステファンは急いで避難する中、アルカノイズとソルジャーズは中に侵入して暴れる。

 

「お前たちの命、神の礎にする!」

 

「神神うるさいんだよ!速攻で片をつける!」

 

Killter Ichaival tron

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

「変身!」

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

変身した真はプログライズホッパーブレードを構え、ギアを纏ったクリスは両手にショットガンを構え戦闘を開始する。

 

『使用BGM:GUN BULLET XXX』

 

全身凶器でミサイルサーファーのターンだ

 

クリスはショットガンを連射しアルカノイズを撃ち抜いて行き、真はプログライズホッパーブレードで次々とソルジャーズを切り倒していきながら外へと移動する。

 

斬弾ゼロになるまでバレットのKissを

 

「凄い・・・!」

 

ステファンが感心する中、天井が二人目掛けて崩落する。

 

昇天率100パーのヒットガール

 

二人が応戦していると、上空から複数のエネルギー弾がクリス目掛けて降ってくる。

 

「っ!クリス上だ!」

 

真は即座にクリスの傍に駆け寄り飛電メタルで防御すると、柱の上にファウストローブを纏ったカリオストロが立っていた。

 

「のこのこおびき出されたわね」

 

「錬金術師・・・!」

 

「敵錬金術師とエンゲージ・・・ですが!」

 

「単機での作戦行動?」

 

「陽動?何かの囮でしょうか?」

 

現場では、クリスと真はカリオストロの攻撃を躱しながら反撃を行うが、反撃は全て防がれてしまう。

 

「クリス!建物に近づけさせるなよ!まだ避難が終わってないんだ!」

 

「わあってる!」

 

クリスと真は建物に注意を向かせないために弾幕を張り続ける。

 

「そんな心配しなくても、あーしはそんな狡いことはしないわよ」

 

そう言ってカリオストロは高速でクリスに近寄りクリスを殴り飛ばす。

 

「がぁっ!!」

 

「クリス!」

 

すぐに駆け付けようとするが、敵が邪魔で真はクリスの元に近寄れなかった。

 

「くっ・・・!?」

 

クリスは先の一撃を受けて立ち上がれずにいる中、カリオストロが近寄って来る。

 

「そんなものじゃないはずよ、貴方達の実力は」

 

「んだと・・・!?」

 

その瞬間、カリオストロは何かに気が付き振り返ると、振り向いた方から蛇腹剣と槍と斬撃が飛んできて、カリオストロはそれらを即座に躱す。

 

「大丈夫、クリスちゃん!」

 

それと同時に、響達も現着していた。

 

「おせーんだよ、馬鹿」

 

周りにいたアルカノイズやソルジャーズも駆け付けたみんなの手によってある程度片付けられる。

 

「助かった、みんな済まない!」

 

「たまには、私達だって!」

 

「はい!ここから逆転しましょう!」

 

皆の士気が上がる中、カリオストロは二つの結晶を取り出していた。

 

「面子はそろったわね・・・けどあーしの相手は貴方達、そのほかの貴方達はこの子たちと遊んでてね」

 

そう言ってカリオストロは結晶を投げつけ、真、響、未来、切歌と翼、調、セレナ、桃恵が別空間へと隔離される。

 

「みんな!」

 

「何を!?」

 

分断された二組は前に真達が体験した空間内で大量のアルカノイズに囲まれていた。

 

「シュルシャガナとイガリマのユニゾン、プレラーティが身をもって教えてくれたの、一番脅威なのはこの二人」

 

「そりゃまた随分と・・・」

 

「私達も嘗められたものね!」

 

「別に嘗めてないわ・・・さて、ユニゾンがない貴方達がどこまでやれるかテストしてあげるわ」

 

「テストだと、どういうことだ?」

 

「それはわからんが、今は此処を切り抜けるべきじゃ!」

 

取り残されたクリス、マリア、奏、紫苑が構えるとカリオストロが大量のエネルギー弾を放ち、それをクリスと奏が相殺する。

 

相殺で生じた煙を利用しマリアと紫苑が迫る。

 

「この距離なら飛び道具は・・・!」

 

「効果的ではないぞ!」

 

「それは・・・どうかしら!」

 

迫ってくる二人に対し、カリオストロはしゃがんで躱し、右手の拳にエネルギーを溜める。

 

「まさかの武闘派ぁぁぁ!!」

 

カリオストロはエネルギーを貯めた右腕で二人を殴り飛ばした。

 

「マリア!」

 

「紫苑!」

 

クリスと奏が目絵を離した隙にカリオストロは速攻で近づき二人を殴り飛ばし、クリスは建物に突っ込んだ。

 

「あらっ、やりすぎたかしら?」

 

一方で真達は自身達が閉じ込められた空間内で困惑していた。

 

「これってあの時の空間!」

 

「あの時と同じなら俺で何とかなるけど、翼たちの方は・・・!」

 

「空間把握が出来ないのなら、力押しで行くしかあるまい!」

 

「・・・あの時の特訓」

 

クリスは建物内で起き上がる。

 

「・・・っ!まだこんなところに!?」

 

「出口が天井の瓦礫で閉ざされて・・・!」

 

クリスの視線の先には、まだ脱出していなかったステファンとソーニャがいて、目の前の入り口は崩落した瓦礫で閉ざされていた。

 

そんな時、崩落した穴から無事だったソルジャーズの一人が武器を構えて入ってくる。

 

「シンフォギア装者・・・その命を神に捧げよ・・・!」

 

「な・・・っ!」

 

クリスは迎撃しようとするが、カリオストロの一撃でふらつき膝をついてしまう。

 

「っ!」

 

「クリス!」

 

「くっ・・・!」

 

「くたばれ!」

 

ソルジャーズが迫り、クリスが目を瞑ったその時。

 

「おぉぉぉおおぉぉぉぉ!!」

 

ステファンはとっさに近くに落ちていた瓦礫をソルジャーズに向けて蹴り飛ばした。

 

「なっ!?」

 

いきなり蹴り飛ばされた瓦礫にソルジャーズは驚きとっさに弾くが、その隙をついてクリスはボウガンを放ってソルジャーズを撃退する。

 

「何のつもりだ!?」

 

叫ぶクリスに、ステファンは言い返した。

 

「あの時クリス達が助けてくれたから、今こうしてクリスを助けられた!」

 

「っ!」

 

「過去はどうしたって変えられない、だけどこの瞬間は変えられる!きっと未来だって!」

 

「ステファン・・・」

 

「姉ちゃんもクリスも、耐えられない過去に捕らわれてばかりだ!」

 

ステファンの言葉に、クリスとソーニャはハッとする。

 

「俺はこの足で踏みだした、姉ちゃんとクリスは!?」

 

そう叫ぶステファンの手に、ソーニャとクリスは手を重ねる。

 

「・・・これだけ発破かけられて、何時までも足をすくませてるわけにはいかねえじゃねえか!」

 

外では、三人がかりでカリオストロと相対している中、マリアが殴り飛ばされ分断される。

 

「さぁ!これでどう!」

 

カリオストロは押し切る為攻めに出た瞬間、放たれたボウガンを拳で弾くと、クリスがマリアの元に駆け付けた。

 

「遅いぞ・・・じゃがいい顔しておるから許す!」

 

「どうやら、吹っ切れたみたいだな」

 

「さっきのあれ、この本番にぶつけられるか?」

 

「いいわよ、そういうの嫌いじゃないわ!」

 

「立て直したようね、ならこれならどう!」

 

カリオストロはエネルギーをハート状にして力をため込む。

 

「そぉぉりゃあ!!」

 

カリオストロがハート状のエネルギーを殴りつけると、そこから特大の光線がクリスとマリア目掛けて放たれ、二人を呑み込み爆発を起こす。

 

「ふふ・・・っ!?」

 

不敵に微笑むカリオストロは煙の中で輝く何かに驚く。

 

そして煙が晴れると、そこにはイグナイトを起動させたクリスとマリアが立っていた。

 

「イグナイト!?ラピス・フィロソフィカスの輝きを受けて、どうして!?」

 

驚くカリオストロをしり目に、二人の胸の内のギアに黄金の輝きが放たれる。

 

「昨日までのシンフォギアだと思うなよ!」

 

イグナイトを纏ったクリスとマリアを見て体勢を立て直そうとすると、奏と紫苑も立ちふさがる。

 

「おっと!驚くのはまだまだだ!こっちも真打をくれてやる!」

 

「うちらの新たな力、その身に受けてみよ!」

 

そう叫び奏がスマッシュガングニールプログライズキーを、紫苑がガーディアンハバキリプログライズキー取り出すと、懐から別のものを取り出す。

 

「っ!それは!?」

 

二人が手にしていた物は、真、奏、セレナが所持しているアサルトグリップよりも『黒く染まった色』をしているグリップをプログライズキーに取り付け、チャージャーを押し込む。

 

『『ダインスレイフ!』』

 

キーを起動させると、奏はキーをこじ開けショットライザーに、紫苑はそのままフォースライザーに装填する。

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

キーを装填すると、奏はショットライザーを手に取り引き金を、紫苑はフォースエグゼキューターを引いた。

 

シンフォニックライズ!

 

シンフォニックライズ!

 

放たれた弾丸を奏が殴りつけ、紫苑の身にパージされたライダモデルが纏わりつき、二人の身にシンフォギアが纏われると同時に二人のギアが黒く染まる。

 

『START,UP!イグナイトガングニール!

 

『START,UP!イグナイトハバキリ!

 

Cursed melody turns into power.

 

Break Down.

 

黒く染まった二人のシンフォギアを見て、カリオストロは再び驚く。

 

「イグナイト!?仮面ライダーがどうして!?」

 

「クリス達と同じさ!今までのあたしらだと思うなよ!」

 

「うむ!ゆくぞ奏よ!」

 

四人は武器を構えてカリオストロに攻撃を仕掛ける。

 

『使用BGM:Change the Future』

 

1000の傷ってのは1000を超える

 

カリオストロは両手にグローブを身に着け応戦する。

 

逃げなかった過去の(あかし)なんだよな?

 

四人は迫るエネルギー弾を躱しながらカリオストロに迫っていく。

 

戻らない時計があるから

 

四人の息の合った連携にカリオストロは翻弄されていき、徐々に押されていく。

 

その先にある世界へ行けるんでしょう?

 

(これってユニゾン!?ザババの刃だけじゃないの!?)

 

 

二人の突然のユニゾンにカリオストロは押されていき、更にイグナイトを起動させた奏の一撃も喰らってしまい、紫苑の氷の錬金術で足元を凍らされ身動きを封じられさらに紫苑から一撃喰らう。

 

後悔がない人などいない

 

戦いの様子を司令室でも確認されていた。

 

「愚者の石による対消滅を確認!イグナイト解除されません!」

 

その罪握り前を向くことが

 

「上手くいきました!」

 

穿

 

「フォニックゲイン、相乗的に上昇中!ユニゾンの効果だと思われます!」

 

「行けるか・・・」

 

先日の弦十郎の特訓、それは切歌と調以外のコンビでもユニゾンを使えるようにする特訓だった。

 

『調君と切歌君ユニゾンは強力!だからこそ、その分断が予測される』

 

弦十郎の指導の下、装者達は互いの息を合わせるようにペアで特訓を行っていた。

 

『ギアの特性だけに頼るな!いかなる組み合わせであっても、歌を重ねられるように心を合わせるんだ!』

 

「それに、奏ちゃんのイグナイトも力になってるわ」

 

「ああ、上手くいったようだ」

 

今朝方、キャロルが奏とセレナの元に持ってきたのは五つの黒いアサルトグリップだった。

 

『これってアサルトグリップ・・・でも色合いが違いますね?』

 

『昨日、お母さんに頼んでガングニールとアガートラームのプログライズキーとアサルトグリップを借りてアサルトグリップを三人がかりで何とか解析することが出来て、それを元にダインスレイフの欠片と愚者の石、そして錬金術をベースに作り上げました』

 

『作り上げたって、これは元々神が作ったもんだろ!?作れるのか!?』

 

『当然だ・・・と言いたいところだが通信機越しで神の助言が無かったら不可能だったがな』

 

『材料は何とか足りたから五人全員使用することができるわ、これを使えばイグナイトを使用できるわ、名づけるならばこれは『イグナイトグリップ』よ』

 

「絆のユニゾンと、決死のイグナイト・・・!」

 

「ラピスの輝きを封じた上に、ユニゾンと新たなイグナイト・・・まさかここまで成長するなんて!」

 

世界分の1を独奏(つらぬ)いて

 

クリスがガトリングで、紫苑が土の錬金術で攻撃するとカリオストロはハート状のエネルギーで防ぎ反撃する。

 

「弱さ」に向き合う「強さ」焦がれていた

 

「だったらこっちも全力で行くわ!!」

 

「繋いだ手」を信じ続けて

 

カリオストロは自身の持てる全エネルギーを両腕に収束する。

 

「高質量のエネルギー・・・まさか、相打ち覚悟で!?」

 

「あーしの魅力は爆発寸前!!!」

 

カリオストロは両腕のエネルギーを噴出して空へと飛ぶ。

 

()()

 

カリオストロが飛び立つと同時に、クリスとマリアのギアも形状を変える。

 

背負った重さは敵ではない

 

二人のギアが組み合わさり、巨大な飛行形態となり、その両翼に奏と紫苑が乗ると奏のギアが変化し先端に狼の頭部を模したユニットが取り付けられ、紫苑の氷の錬金術で周囲に氷の剣が取り付けられる。

 

Change †he Future

 

荒波絶える(いかり)と変わって

 

空を飛ぶカリオストロに向かって四人も飛び立ち、カリオストロとぶつかり合う。

 

 

空に飛び立った二組は空中で何度もぶつかり合う。

 

 

何度もぶつかり合い、そして互いに正面からぶつかり合い拮抗する。

 

歌が燃えて

 

炎の風になる

 

「うぉぉぉぉおぉぉぉおおぉぉ!!!」

 

 

互いに全力でぶつかり合う中、地上のステファンとソーニャがクリスに向けて叫ぶ。

 

ビートよ高まれ

 

「今を超える!」

 

「力を!」

 

限りなく熱く

 

二人の叫びが聞こえ、さらに出力を高めるクリス、それに合わせるようにマリア、奏、紫苑も出力を高め、先端の狼を模したユニットが吠え、周囲の氷の剣が高速で回転する。

 

 

さらに出力を高める四人の一撃にカリオストロは押されていく中、カリオストロは四人を見て微笑んだ。

 

「・・・ふふっ、合格よ」

 

そう呟き、カリオストロは爆炎に飲み込まれた。

 

地上に降り立った四人は疲労で膝をつく。

 

「や・・・やったわね」

 

「おう・・・」

 

 

 

少しして、真達や翼達もアルカノイズを倒し脱出する。

 

「クリス!マリア!奏!紫苑!」

 

「無事だったかみんな!」

 

「まっ、何とかな・・・」

 

クリスがそう言う中、調は一人浮かない顔をしていた。

 

その後、真達はステファンとソーニャが乗る飛行機を見送った。

 

(クリス・・・また、何時か)

 

(また今度・・・絶対に)

 

こうして二人はバルベルデへと戻っていった。

 

 

 

一方儀式を進めるアダムとサンジェルマンの元に通信が入る。

 

「やーられちゃった!消えたったー!カリオストロは、お星さまになられた模様!チーン」

 

「・・・カリオストロ」

 

その報告を受けたサンジェルマンは悲しげな表情を浮かべる。

 

「省けたね、選択を取る手間が」

 

「っ!?」

 

「贄と捧げるはプレラーティ、ちょうどいいね、怪我もしてるし」

 

「貴方は・・・どこまでも!!」

 

怒りのあまり殴りかかろうとするサンジェルマンをアダムは片手で止める。

 

「ああ、人でなしさ、まったくもって正しいよ、君の見立ては」

 

そう言ってアダムはサンジェルマンを突き飛ばす。

 

「アダムの人でなし!ろくでなし!悪い男は何時だって、女の子にモテモテなのよね!」

 

「旧支配者に並ぶ力だよ、神の力は、手に入らないよ、人でなしじゃないと」

 

そう呟くアダムの瞳は赤く輝く。





さて、後書きの時間だ。
「エルフナイン達がやっていたのはイグナイトグリップの作成だったのか・・・」
ああ、仮面ライダー組、特に奏とセレナにイグナイトが無いのはあれだったからついでに五人分作ってみました。
「これで私達もイグナイトを扱えれるというワケなんですね!」
「ああ、そのおかげでこうして勝てたわけだからな」
「うちも抜剣出来たからのう、改めてすごいわ」
「うん、私も早く使ってみたい!」
まぁ待て待て、お前らの分もちゃんと考えてるから楽しみにしてろ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
これまでに発売されたシンフォギアのキャラクターソングCDやBlu-ray特典曲を、それらが全て収録されたコンプリートCDBOXをどのように楽しんでいますか?
例えば、各シーズンのアルバムを一気に流して聴く。一人の装者の各シーズンの歌をキャラクターソングCDで聴く。

う~ん、実はまだ聞いてないんだよな。
「えっ意外、何で?」
ぶっちゃけリアルでの仕事やら小説の執筆なんかで聞く暇がないというか・・・まぁ小説が終わったらゆっくり聞こうと思ってます。
「そのためにはちゃんと終わらせないとな」
だな、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別編14:如月姉妹の誕生日


さぁ特別編第十四話、今回はやっと如月姉妹の誕生日だ!
「やっとうちらの誕生日じゃな」
「うん、長かったね」
いや本当すぐに決まらなくて済みませんでした。
「まぁまぁ、せっかく決まったんだしきちんと祝おうぜ」
「そうだな、せっかくの仲間の誕生日だ、盛大に祝わせてもらうぜ」
「はい、楽しみにしててください!」
「うむ、かたじけないのう」
「ありがとうございます、皆さん」
さてさて、それじゃあそろそろ特別編第十四話、どうぞ!


「うぬ、今日も来たのう」

 

「うん、そうだねお姉ちゃん」

 

6月13日、今日は真達の仲間の如月紫苑と如月桃恵の誕生日。

 

そんな主役の二人は現在家でゆっくりとしていた。

 

「確か他の者達は用事で遅れると言っておったのう」

 

「そうだね、でも時間は遅れてもちゃんと祝うって約束してくれたよ」

 

真達は現在各々用事があり家にはおらず、祝いの場は夜に行う事にしていた。

 

「ふむ、確か前はきゃろるやふぁら達に祝ってもらってたのう」

 

「うん、今思えばあの時からキャロルちゃん達からは大切な家族だって思ってくれてたんだね」

 

「うむ、あの時はれいあが派手に祝ってれた上、がりぃもきちんと祝ってくれたからの」

 

「うん、ミカちゃんは私たち以上にはしゃいでいて、ファラさんもいっぱい料理を作ってくれてたね」

 

二人が思い出話にふけっていると、紫苑はとあることを思いつく。

 

「ふむ・・・祝いまで時間があるし二人で出かけに行かんか?」

 

「二人で?」

 

「うむ、ここ最近は他の者達と出かけることが多かったし、偶には二人だけで行くのも悪くはないじゃろう」

 

「・・・そうだね、それじゃあ一緒に出掛けて何かしよっか」

 

「うむ!」

 

そう言って二人は外へと出かけて行った。

 

 

 

外に出た二人は適当に街をぶらついていた。

 

「ふむ、やはりというかこの街は良いところじゃな」

 

「うん、良い人がいっぱいいるしね」

 

「そうじゃな・・・ところで桃恵は何か欲しい物はないか?」

 

「えっ、どうしたの?」

 

「今日はうちらの誕生日じゃが、姉としては妹を祝いたいものなんじゃ、物じゃなくとも行きたい所があるなら言ってみよ」

 

紫苑の提案に桃恵が少し思案すると、とあることを思いつく。

 

「・・・そうだ、お姉ちゃんと一緒にやりたいことがあるんだけど、いいかな?」

 

「うむ、構わんぞ!」

 

「本当!じゃあ一緒についてきて」

 

 

 

少し歩いてからたどり着いた場所は、とあるお店だった。

 

「ここは何の店じゃ?」

 

「ここは写真を撮ってくれるお店だって、前切歌ちゃんと調ちゃんが教えてくれたの」

 

「写真か・・・うちらの故郷にはない店じゃな」

 

「うん、私達の写真って全然ないんだよね、キャロルちゃん達もカメラを持ってないから、だから私お姉ちゃんとの写真が欲しいの、大事な思い出としてね」

 

「そうか、確かに思い出は形に残るものがいいからのう・・・うむ分かった、ならば最高の写真を撮ろうではないか!」

 

「ありがとう、お姉ちゃん!それでねこのお店ではもう一つ特別なことがあってね・・・」

 

 

 

少しして、用事を終わらせた真と響が買い物袋を持って帰路についていた。

 

「済まないな響、買い物に付き合わせて」

 

「いいですよ真さん、なんたって今日は紫苑さんと桃恵さんの誕生日なんですから!」

 

「ありがとな・・・ってあれ?あそこにいるのって」

 

真と響の視線の先にいたのは店から出た紫苑と桃恵の姿だった。

 

「よう紫苑、桃恵」

 

真の声掛けに桃恵は反応し振り返る。

 

「あっ真さん、響ちゃん」

 

「二人も出かけてたの?」

 

「はい、お姉ちゃんと一緒に写真を撮ってたんです」

 

「写真か、そういう店があったんだな・・・ってどうした紫苑?」

 

「い・・・いや、なんでもないぞ」

 

真は先ほどから反応しない紫苑に声をかけ紫苑が振り返ると、紫苑は顔を少し赤く染めていた。

 

「どうしたんですか?」

 

「ふふっ、それはこの写真が答えてくれますよ」

 

「なっ!?見せんでくれ桃恵!!」

 

紫苑の呼びかけも間に合わず、桃恵が取り出した写真を二人は見る。

 

「どれどれ・・・ってこれって」

 

「わぁ、これって・・・!」

 

写真に写っていたのは、紫苑が顔を赤くして紫色を主調としたゴスロリ系の服を着て、桃恵が桃色を主調としたゴスロリ系の服を着て、俗にいう双子コーデで一緒に写真を撮っている姿だった。

 

「はい、このお店ではいろんな衣装を着て写真を撮ってくれるんです、こういう機会じゃないとお姉ちゃんのこの姿が見れませんので」

 

「わぁ!!二人とも可愛いです!」

 

「ああ、紫苑も桃恵も似合ってるじゃないか」

 

「うぬぬ・・・まさかこのような服を着ることとなるとは・・・!」

 

「お姉ちゃんは可愛いんだから洋服も似合うのに和服しか着ないからね」

 

「しかし!あのすかーとというふりふりした物は着ておると足元が落ち着かないんじゃ・・・!」

 

「あー・・・凄い分かる」

 

「真さん・・・」

 

紫苑のスカートの足元への落ち着きのなさに共感する真に響は苦笑いをしていた。

 

「ほかにもいろんな衣装で写真も撮りましたから、夜に皆さんで見ましょうね」

 

「分かりました!じゃあ楽しみにしてますね!」

 

「なっ!?それ以上他の者に見せんでくれ桃恵よ!!」

 

写真の入った袋を持って走る桃恵を追いかける紫苑を真は見ていた。

 

「・・・仲良しだなあの二人」

 

真はそんな二人を見てそう呟いたのだった。





さて、後書きの時間だが・・・満足したか桃恵?
「はい、とっても!」
「生き生きしてるな・・・ところで紫苑は?」
「あっちで真さんが慰めています・・・」
「洋服までは良い・・・よいんじゃが、めいど服やちゃいな服やらを持ってきたときは固まってしまったぞ・・・」
「気持ちはわかるよ紫苑、俺も響達にその店に連れていかれないように何とかしないと・・・」
・・・なんだかあっちはあっちで仲良くなってるな。
「まぁ、似たような感じですからね・・・ところでお花の方は用意したんですか?」
ばっちりとな、今回はこれだ!
「これは・・・?」
『トケイソウ』と呼ばれる花だ、花言葉は『信じる心』、二人にぴったりと思って用意しました。
「へぇ、てかよくこんな花を知ってるよな?」
誕生日ごとに誕生花を調べていてね、我ながらよく調べたものだよ。
「う・・うむ、そうじゃったのか」
あっ紫苑、もう立ち直ったのか?
「うむ、これしきの事でへこたれるうちではないぞ!」
「あっじゃあみんなにパンダの着ぐるみを着たお姉ちゃんの写真を見せても大丈夫?」
「すまぬ、それだけは勘弁してくれ」(土下座)
「容赦ないな桃恵・・・というかよくそんなにコスプレを考えたな作者」
本当にね、これに俺自身にイラストを描けるほどの画力があったらどんなに良かったか・・・。
「天は二物を与えずっていうしな、それじゃあ作者と紫苑の心が折れる前にさっさと〆るぞ!」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!紫苑!桃恵!』


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不和の音色


AXZ編第二十話、前回のあらすじは?
「エルフナイン達のお陰で対消滅バリアの取り付けに成功した」
「そのころ、クリスさんがソーニャさんが仲直りしようとしたところに錬金術師たちが襲撃してきました」
「うちらも抵抗するが、敵の策によって分断されてしまう」
「ですが、特訓の成果とエルフナインちゃん達のお陰でイグナイトを纏えるようになりました」
「そしてクリス達は力を合わせてカリオストロを倒すことができた」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十話、どうぞ!


「ごめんなさい!対消滅の際に生じる反動のせいで、ギアのメンテナンスになってしまって・・・」

 

カリオストロを撃破した後、二人のギアが不調となり急遽エルフナインがメンテナンスを執り行っていた。

 

「気にしないの、むしろ急ごしらえでよくやってくれたわ、ありがとう」

 

「おかげで、抱え込まなくていいわだかまりもすっきり出来たしな」

 

「それに、エルフナインの提案で出来たグリップの方は大丈夫みたいだし安心しな」

 

マリア、クリス、奏の励ましに、エルフナインは笑顔になる。

 

「反動汚染の除去を急ぎます!」

 

そう言ったエルフナインの頭を紫苑は撫でる。

 

「うむ、頑張るのじゃぞ」

 

皆が対話する中、他の面子はトレーニングルームでユニゾンの特訓を行っていたが、翼の動きに調はついて行けずにいた。

 

「大丈夫か!?」

 

「っ・・・!切ちゃんとなら合わせられるのに・・・!」

 

息が合わない様子を離れたところで弦十郎達が見ていた。

 

「調君は、翼のリードでも合わせられずか・・・」

 

調はすぐに立ち上がり、近くの仮想アルカノイズを撃破する。

 

「こんな課題、続けていても・・・っ!」

 

そんな時、緒川さんが調と翼の前に突如現れる。

 

「緒川・・・さん」

 

「微力ながら、お手伝いさせていただきますよ」

 

「その技前は、真田忍軍の流れを汲んでいる、力を合わせねば影際捉えられないぞ!」

 

翼の言葉に調が緊張する中、遠くから切歌の励ましが聞こえてくる。

 

「調!無限軌道で、市中引き回しデスよ!」

 

「うん!」

 

『使用BGM:メロディアス・ムーンライト』

 

切歌の応援で調はやる気を出し、臨戦態勢に入る。

 

「出来れば、お手柔らかに」

 

そう言いながら緒川も構えをとる。

 

Giza×2ジェノサイド 尖った回転音

 

調が繰り出す巨大な丸鋸を緒川は持ち前の体術で容易に躱していく。

 

泣いたって許さないんだから

 

躱し続け隙を見つけた調は跳躍し、右足に巨大な丸鋸を展開しそのまま緒川に迫る。

 

「隙だらけ!」

 

迫って来る丸鋸に対し、緒川はその場から霞の如く姿を消す。

 

「嘘っ!?」

 

「僕は此処にいますよ」

 

調後ろを振り返ると、緒川は調の後ろの街灯の上に立っていた。

 

一番痛いのUnderstand?

 

調はすぐに振り返りヨーヨーを放つが、再び躱されてしまい、緒川は高速で移動し続ける。

 

「追いかけてばかりでは、追いつけませんよ」

 

「逸るな月読!」

 

翼が注意するが、調はそのまま緒川を追いかける。

 

(切ちゃんはやれてる・・・誰と組んでも・・・でも私は、切ちゃんでなくちゃ・・・!)

 

調べは追いかけながらヨーヨーを放つが、悉く躱される。

 

(一人でも戦えなきゃ!)

 

緒川を追いかける調に翼も追いつく。

 

「連携だ、月読。動きを封じるために!」

 

「だったら面で制圧、逃がさない!」

 

そのまま調は跳躍し、手当たり次第に百輪廻を放つ。

 

「駄目です調ちゃん!むしろ逃がさないと!」

 

離れたところにいる桃恵の言葉が届く前に、調のギアは緒川の体を真っ二つに切り裂いてしまった。

 

『っ!!?』

 

「お・・・緒川さんが!?」

 

「いえ、大丈夫ですよ、あの程度なら」

 

「えっ?」

 

セレナの忠告に桃恵が疑問に思うと、切り裂かれた緒川の姿が切株に変わる。

 

「思わず、空蝉を使ってしまいました」

 

すると調の後ろにスーツを脱いだ緒川が現れる。

 

「しかしセレナさん、よくわかりましたね」

 

「当たり前ですよ、前に私もそれをやられましたから」

 

セレナの戦闘スタイルはテクニカルな方、ゆえにセレナは修行相手を忍者である緒川に頼んでおり、時偶に空蝉をやられているので理解していたのだった。

 

「力はあります、後はその使い方です」

 

「・・・っ!」

 

調はその言葉を聞いた後、調はその場に座り込んでしまう。

 

「調ちゃん!」

 

調が座り込むと同時に仮想戦闘は終わり、他のみんなが駆け付ける。

 

「調!大丈夫デスか!?」

 

そんな調を見て、桃恵はとあることを思っていた。

 

(今の調ちゃん・・・昔の私みたい)

 

 

 

司令室にて、今回の特訓についての話し合いをしていた。

 

「これで、各装者のユニゾンパターンを全て試したことになりますが・・・」

 

「調ちゃんだけ、連携によるフォニックゲインの底上げに失敗してるわ」

 

「・・・思わぬ落とし穴だったな」

 

そんな時、内閣区から入電が入る。

 

「司令、内閣区から入電です」

 

「繋いでくれ」

 

通信を繋げると、モニターに八紘が映し出される。

 

「八紘兄貴、何かあったのか?」

 

『ああ、神社本庁を通じて情報の提供だ』

 

「神社本庁と言えば・・・」

 

「各地のレイライン観測の件かもしれない」

 

『曰く、神いずる門の伝承』

 

「神・・・パヴァリア光明結社の求める力」

 

『詳細については、直接聞いて欲しい、必要な資料は送付しておく』

 

そう言い残し通信が切れる。

 

「ふぅ・・・」

 

「どうしますか、司令?」

 

弦十郎はモニターに映る調に視線を向ける。

 

「・・・気分転換が必要だな」

 

 

 

その後、響達はとある場所まで向かっていた。

 

「埼玉県の・・・つき神社?そこに何かあるの?」

 

『多くの神社はレイライン上にあり、その神社も例外ではありません』

 

通信機越しに、エルフナインが説明を入れてくれる。

 

『さらに、神いずる門の伝承があるとすれば・・・』

 

「つまり、指し手の筋を探ることで、逆転の一手を打とうとしてるわけね」

 

エルフナインが説明する中、切歌は持ち込んでいたお菓子を口にしていた。

 

「つーか特訓直後だっていうのに元気だな」

 

「もちろんデスよ~褒め殺すつもりデスか?」

 

「どういう理屈でそうなる!?」

 

二人が話す中、調は昔のことを思い出す。

 

かつて、レセプターチルドレンだった頃、調が周りになじめず一人でいた時、それを見た切歌が調に声をかけた。

 

『これ、何て読むのデスか?』

 

『っ・・・月読、調だって』

 

『調・・・やじろべぇみたいでいかすデス!』

 

『・・・本当の名前は思い出せなくて、ここの人たちが持ってた物からつけてくれた』

 

調の持つカバンには、名前にところが血で読めなくなっていて、代わりにお守りがついていた。

 

『・・・あたしの誕生日も、ここに来た日にされたデス、似た者同士仲良くするデス!』

 

この時から、調は切歌と共にいることが多くなった。

 

「調・・・調!」

 

切歌の声に、調は我に返る。

 

「どうしたデスか調?鋸じゃないから車酔いデスか?」

 

「ううん、なんでもない」

 

切歌に対してそう答える調を後部座席から桃恵、隣で走るバイクから翼、反対側に走るライズホッパーからセレナが見つめていた。

 

 

 

時間が経ち、みんなは目的の神社の言たどり着いた。

 

「オヨヨ~!ここ、狛犬じゃなくて兎がいるのデス!」

 

切歌がはしゃぐ中、調はいまだに浮かない表情をしていた。

 

そのままみんなは神社内を歩き回って拝殿前に立つ。

 

「兎さんがあちこちに・・・かわいい!」

 

「ああ、こんなに兎だらけの神社、初めてみたな!」

 

「話には伺ってましたが、いや~皆さんお若くていらっしゃる」

 

マリアと真がはしゃぐ中、後ろから初老の男性が声をかけてくる。

 

「もしかして、ここの宮司さん?」

 

「はい、皆さんを見ていると、事故で亡くした娘夫婦の孫を思い出しますよ、生きていればちょうど皆さん位の年頃でしてな」

 

宮司さんの言葉に、みんなは表情を暗くする。

 

「・・・ん?おいおいあたしら上から下までばらけた年齢差だぞ?いい加減なこと抜かしやがって!」

 

「ああ、確かに俺ら最年少が15で最年長が23だからな」

 

そう言いながら真は調と如月姉妹に視線を向ける。

 

「冗談ですとも!単なる小粋な神社トーク!厳格な人付き合いに必要不可欠な作法です」

 

宮司の言葉に、みんなは苦笑いをする。

 

「初対面ではありますが、これですっかり打ち解けてたのではないかと」

 

「むしろ不信感が万里の長城を築くってのはどういうこった・・・?」

 

「まぁよいではないか、変に頭が固い者よりかは好感を持てるぞ」

 

「ありがとうございます、ではさっそく本題に入りましょうか」

 

そう言って宮司が振り返り歩き出すと、再び振り返る。

 

「ところで皆さんは、『氷川神社群』というのをご存じ尾ですかな?」

 

「氷川神社群・・・?」

 

 

 

宮司の案内の元、室内に入ったみんなに宮司が見せた物は、オリオン座が描かれた地図だった。

 

「これは・・・オリオン座?」

 

「ん・・・でもなんか違和感が・・・?」

 

「その通りです、正しくはここつき神社を含む周辺七つの氷川神社により描かれた『鏡写しのオリオン座』とでも言いましょうか」

 

「鏡写しのオリオン座・・・」

 

「受け継がれる伝承において、鼓星の神門、この門より神の力がいずるとされています」

 

その言葉に、皆は地図に目線を向ける。

 

「憶測と推論に過ぎないが、それでもパヴァリア光明結社の狙いと合致する分は多く、無視はできない・・・!」

 

翼の言葉に、みんなに緊張が走る。

 

「神いずる門・・・」

 

そんな中響の腹の虫が響く。

 

「響、大事な話の時に・・・」

 

「ああごめん未来!私はいたって真面目なのですが、私の中に獣が居ましてですね・・・!!」

 

「では、晩ご飯の支度をしましょうか、私の焼いたキッシュは絶品ですぞ」

 

「そこは和食だろ、神社らしく」

 

「何故キッシュ?」

 

「ご厚意はありがたいのですが・・・」

 

「ここにある古文書、すべて目を通すには、お腹いっぱいにして元気でないと」

 

 

 

一方、ホテルでは傷が完治したプレラーティが二つのワイングラスを取り出し片方にワインを、自分のに牛乳を注いでいた。

 

「カリオストロ・・・どうやら上手くいったワケだ」

 

プレラーティは牛乳入りのワイングラスを持ち、もう片方のグラスにぶつけると、治療されている時の事を思い出す。

 

『大祭壇の設置に足りない生命エネルギーは、あーし達から錬成する・・・』

 

治療されていた時、プレラーティは気が付いており、この話を耳にしていたのだった。

 

『人を人とも思わず、仲間に犠牲を強いるアダムのやり方は受け入れられない・・・!きっとあいつは、他にも隠してる・・・まっ女の感だけどね』

 

プレラーティはカリオストロの言葉を思い出していた。

 

「女の感ね・・・ふっ、生物学的に考え完全な肉体を得るため、後から女となったくせに、いっちょ前なことを吠えるワケだ」

 

そう言ってプレラーティは牛乳を飲み干す。

 

「だけど・・・確かめる価値があるワケだ」





さて後書きの時間だな。
「今回は調が不調だったな」
「切歌の奴はうまくいってるけど自分だけうまくいってないのが相当応えてるんだろうな」
「それに錬金術師の方も何か動きがありそうですね」
「う~む・・・どちらも放っておけんのう」
「うん・・・でも、私は調ちゃんの方が心配です」
「そうか・・・それにしてもセレナ、緒川さんに特訓相手を頼んでたのか」
「はい、私の戦闘スタイルを考えたら自然にそうなりました」
「そうだったのか・・・因みに初めて空蝉使われたときどんな感じだった?」
「私の放った矢が緒川さんの胸を貫いて心臓が止まるかと思った瞬間後ろから現れましたから驚きましたよ・・・」
そんな事があったのか・・・それじゃあそろそろいつもの行ってみますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真と真紅林檎に質問
現在、発売中のおさんどん係・調によるあったかグルメコメディ「戦姫完食シンフォギア~調飯~1」に収録された料理の中で二人が食べてみたい物はありますか?

俺は一話で出て来たお好み焼きかな、ちゃんと本は購入しました。
「俺は六話のアクアパッツァ、というかあの話は衝撃が凄かったわ」
ああ、セレナが丸々と太っ『ふんっ!!』おぶぅ!!?
「おおっ、セレナの拳が作者の脇腹に突き刺さった・・・!」
「作者が痛みで転がりまくっておるぞ・・・」
「知りません、それではそろそろ〆ましょうか」

「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」
お・・・お楽しみに・・・ゴフッ!


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碧いうさぎ


AXZ編第二十一話前回のあらすじは?
「カリオストロを倒すことができたが、反動汚染で一時クリスとマリアが戦線離脱した」
「そんな中、一人だけユニゾンだ上手くいかない調ちゃんを見て共感する私」
「そして私たちは敵の目的を知る為、とある神社まで向かいました」
「その神社で俺たちは、氷川神社群により描かれた鏡写しのオリオン座の伝承を聞いた」
「じゃがその陰で、ぷれらーてぃは一人何かを確かめようとしておった」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十一話、どうぞ!


夜も更ける時間、翼は外で司令に連絡をしていた。

 

「門よりいずる神の力か・・・」

 

「皆の協力もあって、神社所蔵の古文書より、幾つかの情報が得られました、相手がレイラインを利用する計画を立てたとすれば・・・対抗できるのはやはり要石だと思います」

 

「要石・・・キャロルとの戦いで、幾つかが失われてしまいましたが」

 

「それでもレイラインの安全弁として機能するだろうな」

 

その言葉に、弦十郎は少し考えこみ、答えを口にする。

 

「神の力をパヴァリア光明結社に渡すわけにはいかない、なんとしても阻止するぞ!」

 

「無論、そのつもりです」

 

そう言って通信を切る中、調は一人しゃがんで池を見つめていた。

 

「おやおや、こんな夜更けに散歩とは」

 

そんな調に声をかけたのは宮司だった。

 

「何か、悩み事ですかな?」

 

「一人で何とかできます」

 

「それでも、口に出しますと楽になりますよ、誰も一人では生きられませんからな」

 

「そんなの分かってる!」

 

調は宮司の言葉に苛立ちを覚える。

 

「でも、私は・・・!」

 

そんな調を見て、宮司は言葉を紡ぐ。

 

「何を隠そう此処は神社、困ったときの何とやらには事欠かないかと思いませんか?」

 

そんな宮司の言葉に耳を傾け、調は宮司と共に神社の本殿前前まで移動する。

 

移動すると、宮司が神社に対し二礼二拍手一礼する様子を調は見ていた。

 

「若い方には、なじみのない作法ですかな」

 

「うん・・・なんだか、めんどくさい」

 

「これはこれは」

 

「・・・しきたりや決まり事、誰かや何かに合わせなきゃいけないってよくわからない」

 

「ん?」

 

調は胸の内に秘める言葉を口にすると、宮司がの真似をして二礼二拍手一礼をする。

 

「・・・合わせたくってもうまくいかない、狭い世界での関係性しか私にはわからない、引け目が築いた心の壁は、大切な人たちを遠ざけている・・・いつかきっと、親友までも」

 

調の胸の内を聞いて宮司は優しい笑みで答える。

 

「・・・あなたは良い人だ」

 

「良い人!?だったらどうして私の中に壁があるの!?」

 

「壁を崩して打ち解ける事は大切なことかもしれません、ですが壁とは、拒絶のためだけにあるものではない、私はそう思いますよ」

 

宮司のその言葉に、調は考え込む、その様子を偶然起きて隠れていた桃恵が隠れて見ていた。

 

 

 

ホテルの屋上では、アダムとティキの二人だけがいた。

 

「ねぇ!私人間になりたい!」

 

「藪から棒だね、何時にもまして」

 

「神の力が手に入ったらアダムと同じ人間になりたいって言ってるの!人形のままだと、アダムのお嫁さんになれないでしょ?子供を産んで、ポコポコ産んで、野球チームを作りたいのよ!」

 

その時、屋上への扉が開く音がした。

 

「だから、さっさと三級錬金術師を生命エネルギーに変えちゃってさ!」

 

「その話、詳しく聞きたいわけだ」

 

そこにやって来たのは、傷が完治したプレラーティだった。

 

プレラーティはアダムを睨みつけるように視線を向けると、アダムは平然と答える。

 

「繰り返してきたはずだよ、言わせないよ知らないなんて、計画遂行の勘定に入っていたのさ、最初から、君の命も、サンジェルマンの命も」

 

「そんなの、聞いてない訳だ!!」

 

プレラーティは大量の氷を放つが、アダムの発した風の刃に氷は全て切り裂かれてしまう。

 

「他に何を隠している!何を目的としているワケだ!?」

 

プレラーティからの吐息、アダムはわずかに瞳を赤くして答える。

 

「手に入れるのさ、人ならざるものに神の力を」

 

「人ならざるもの・・・?」

 

アダムはそう言い放ち、今度は黒色が混じった風の刃を放つと、プレラーティの持つカエルのぬいぐるみを切り裂く。

 

プレラーティはそのままホテルの屋上を飛び降りて、ぬいぐるみの中にしまっていたラピスを起動させファウストローブを纏い、巨大化させたけん玉に乗って逃げ去っていく。

 

「逃げた!きっとサンジェルマンにチクるつもりだよ!どうしよう!?」

 

慌てるティキを横目に、アダムは冷静に答える。

 

「安心したまえ、対策は練ってある」

 

そう言ってアダムが指を鳴らすと、大量のソルジャーズが現れる。

 

「追いたまえ、裏切者の彼女を、そして神への礎にするのだ」

 

『はっ!!』

 

ソルジャーズはアダムの命を受け、バイクに乗ってプレラーティを追いかけて行く様子をアダムは上から見つめていた。

 

「・・・もうすでに、彼女の滅亡は決まっている」

 

プレラーティはサンジェルマンの元に向かいながら通信を試みる。

 

『サンジェルマン!サンジェルマン!』

 

だがサンジェルマンからの返答は来ない。

 

(くっ・・・!妨害されているワケだ)

 

すると後方から、バイクに乗ったソルジャーズが横切る車を破壊しながらプレラーティを追いかけてくる。

 

「待て、裏切者!貴様の命を神に捧げる!」

 

「くっ!口封じのつもりなワケか!?」

 

そのままプレラーティは高速に入る、そしてこの情報は翼たちの所にも届けられる。

 

「錬金術師が!?」

 

『新川越バイパスをソルジャーズと共に猛スピードで北上中!』

 

『付近への被害甚大!このまま住宅地に差し掛かることがあれば・・・!』

 

「了解です、直ちに対応します!」

 

「皆さんどちらへ?」

 

真達が報告を受けると、宮司もやって来る、そしてその奥で調が走ってく様子が見られた。

 

「調!?」

 

「あいつ・・・俺が先にライズホッパーで向かう!」

 

「あっ!私も行きます!」

 

真とセレナは急いで止めているライズホッパーに向かうと、真よりも先にライズホッパーに乗りハンドルを握る桃恵がいた。

 

「真さん、バイクお借りします!セレナちゃん乗ってください!」

 

「えっ・・・あっはい!」

 

セレナは言われるがまま後ろに乗り、そのまま桃恵はバイクを走らせた。

 

「ちょっ、俺のバイク!?てか運転できるの桃恵!?」

 

真は走り去っていく様子を見ている事しかできなかった。

 

「師匠!今調ちゃんとセレナちゃん、桃恵さんが!』

 

『それに翼の奴もバイクで向かって行ったぞ!』

 

「くっ・・・!そちらにヘリを向かわせている、先走らずヘリの到着を待て!」

 

調はギアを纏い、『非常Σ式 禁月輪』でプレラーティ達を追いかけていた。

 

(シュルシャガナでなら追いつける・・・!)

 

高速に入る調の後ろをバイクで追いかける翼と変身した桃恵とセレナ。

 

「高機動を誇るのは、お前一人ではないぞ!」

 

「微力ながら、私達も協力します!」

 

「皆さん・・・っ!」

 

一方でプレラーティは襲い掛かって来るソルジャーズを撃退しながら走らせるが、ソルジャーズの数はまだまだ要る。

 

「くっ、厄介なワケだ・・・っ!」

 

すると横から調達が高速に入って来るのを視認する。

 

「シンフォギア装者・・・仮面ライダー・・・これとないチャンスなわけだ」

 

プレラーティは微笑むと、ソルジャーズ達に対して大声で言葉を発する。

 

「おいお前ら!シンフォギア装者と仮面ライダー共がやって来たワケだ!」

 

「何!?」

 

そういうとソルジャーズも振り返り、調達を視認する。

 

「奴等、こんなところにまで・・・総員迎撃態勢!奴らを神の贄にするのだ!」

 

ソルジャーズはターゲットを調達に切り替え、襲い掛かる。

 

「さぁ・・・カリオストロを倒したその力、見せてみるワケだ」

 

プレラーティがそう呟く中、調達は襲い掛かって来るソルジャーズを撃退しながらプレラーティに近づく。

 

「何を企み、どこに向かう!」

 

「知りたければ、私達を倒してみるワケだ!」

 

そう言ってプレラーティは炎を繰り出し攻撃し、四人の隙をついてけん玉を跳躍させ隣の道路に移り走る。

 

「なんて跳躍・・・!」

 

「っ!みなさん後ろ!」

 

セレナの叫びで三人は後ろから迫って来るソルジャーズの攻撃を躱していく。

 

「ユニゾンだ月読!イグナイトとのダブルブーストマニューバでまくり上げるぞ!」

 

「っ・・・、ユニゾンは、出来ません」

 

「月読さん・・・!」

 

「切ちゃんは、やれてる・・・誰と組んでも、でも私は・・・切ちゃんとでなきゃ!」

 

調は攻撃を躱しながらも、胸の内の言葉を口にする。

 

「人との接し方を知らない私は、一人で強くなるしかないんです!一人で!」

 

そう叫ぶ調に対して、桃恵が口を挟んだ。

 

「・・・心に壁を持ってるんですね、調ちゃんは」

 

「・・・壁」

 

桃恵の言葉に、調は宮司の言葉を思い出す。

 

「私も昔、調ちゃんと同じような感じだったんです、集落に伝わる話のせいで忌み嫌われ、誰も信じられなくなっていた時、両親が炎に飲み込まれた後も、キャロルちゃんについて行った後も、お姉ちゃんはずっと私を支えてくれました」

 

桃恵は昔から自分を支えてくれる姉の姿を思い出す。

 

「でもそんな守られているばかりではなく、一人でも強くなれるように無茶をしてでも強くなろうとしてた時がありました、もう守られるだけの私じゃない、一人でも戦えるようにと思い強くなろうと、けどまったく強くならなくて焦っていた私は一時期今の調さんみたいにキャロルちゃん達やお姉ちゃんに対して壁を作って冷たくなっていました」

 

プレラーティを追いかけトンネルに入りながらも、桃恵の言葉に調は耳を傾けていた。

 

「けどそんな私に対してお姉ちゃんはいつものように優しく言ってくれたんです『お主の築いた壁はただ相手を隔てる壁ではない、相手を思ってこその距離感じゃ』と、調ちゃんの壁も私のと同じなんだと思います」

 

「思ってこその・・・距離感・・・」

 

「それはきっと・・・調ちゃんの優しさなんだと思います」

 

「優しさ・・・」

 

その言葉に、調は微笑む。

 

「はぁっ!!」

 

ソルジャーズが襲い掛かりながらも、四人は躱し続ける。

 

「優しいのは私じゃなく、周りのみんなです!だからこうして気遣ってくれて・・・」

 

調の言葉に、翼とセレナも笑顔で頷く。

 

「私はみんなの優しさに応えたい!」

 

「だったら応えましょう、皆さんの優しさに!」

 

「小癪な・・・ならばこれでどうだ!!」

 

しびれを切らしたソルジャーズは懐から手榴弾を取り出し、それをトンネル内の機器に目掛けて投擲すると、機器から生じた大爆発が四人の後ろを迫り、トンネル内は爆炎に飲み込まれる。

 

「どうだ!!」

 

「・・・・・・」

 

四人を屠れたことに喜ぶソルジャーズとトンネルを見つめるプレラーティの耳に、音が聞こえた。

 

ダインスレイフ

 

シンフォニックライズ!

 

シンフォニックライズ!

 

『START,UP!イグナイトアガートラーム!

 

『START,UP!イグナイトイチイバル!

 

Cursed melody turns into power.

 

Break Down.

 

『使用BGM:風月ノ疾双』

 

四つの音と共に爆炎の中から飛び出したのは、イグナイトを纏った翼、調、セレナ、桃恵の四人だった。

 

「ば・・・かな・・・!?」

 

「なるほど・・・克服したワケだ」

 

その光景に絶句するソルジャーズと納得するプレラーティの後ろを四人は追いかけると、この先は連続カーブの看板が出ていた。

 

「このままいくと、住宅地に・・・!」

 

「だったら、その前に倒しきります!」

 

セレナは黒く染まった短剣を手に取り、桃恵は片方の手にハンドガンを構えながら翼と調と共に速度を上げる。

 

「いざ、尋常に!」

 

速度を上げた四人はそのままソルジャーズの中に突っ込みながら、横切る敵を倒していきながらプレラーティに接敵し住宅地に行かないようにする。

 

「くっ・・・!貴様ら!!」

 

この道を駆け上がる理由(わけ)

 

翼に攻撃を仕掛けようとするソルジャーズを調が手にしたヨーヨーで撃退していく。

 

たとえ逆風がプロテクトしてきたって

 

セレナと桃恵が残るソルジャーズを撃退し、翼と調の息の合った連携にプレラーティは翻弄される。

 

「くっ・・・!とたんにこいつらの動きが揃っている!?」

 

「奏で合う」こと忘れず進みゆこう

 

「神の力、そんな物は作らせません!」

 

「それはこちらも同じなワケだ!」

 

プレラーティの発した言葉に、翼と桃恵は疑問に思った。

 

失ってから気付く涙は 無常の極みだから

 

プレラーティはけん玉の上に立ち上がり、四人を見下ろす。

 

 

四人を見下ろすプレラーティは両手に水の錬金術を展開し大量の水を繰り出し巨大な津波を作り出す。

 

天に舞った言の羽(ことのは)

 

「この激流をどう攻略して見せるワケだ!」

 

受け継いで前向こう

 

「行く道を閉ざすか!」

 

壁を越えその先の勇気に繋ごう

 

「そんなのは!」

 

「切り開けばいい!」

 

迫りくる津波に対し調は『α式 百輪廻』を、セレナは大量の短剣を繰り出し、それをプレラーティは防ぐが、二人の狙いは別にあった。

 

 

二人の放った攻撃は横のガードレールに直撃し、それらが積み上がり巨大な上り坂になった。

 

 

四人は作り上げた上り坂を上り、プレラーティの作り出した津波を上から突破しそのままプレラーティに迫る。

 

「なんとぉぉぉ!!」

 

プレラーティはそのままけん玉を担ぎ四人を前方へと弾く。

 

 

前方に弾き飛ばされた四人はすぐさま態勢を立て直す。

 

「駆け抜けるぞ!」

 

翼の掛け声に四人はプレラーティに向かっていく。

 

一人で強く

 

すると翼の乗るバイクが前部に巨大な剣が展開され、その後ろで調の禁月輪が二つに分かれ翼のバイクと組み合わさる。

 

なる本当の意味を

 

二人のギアが組み合わさるとセレナが調の後ろに、桃恵が翼の後ろに飛び乗り二人のギアの後部に妖精の翼を模したユニットが取り付けられ、両部に二つの巨大なミサイルが取り付けられ、四位一体の合体技が生まれる。

 

風月ノ疾双

 

調

 

「ここまでの力・・・だが私もサンジェルマンに告げなくてはいけないワケだ!」

 

四人の合体技を見て、プレラーティは剣を弾に突き刺す。

 

「全力を持って、終わらせるワケだぁぁぁ!!」

 

変形したけん玉に乗り、プレラーティ持てる全力を込め四人に突撃する。

 

 

全力を出すプレラーティをみえ、四人も持てる全力を込める。

 

「アダムは危険だと、サンジェルマンに告げなくてはいけないワケだ!!」

 

教えてくれた

 

両方の思いが交差し、ぶつかり合い大爆発を起こす。

 

私も教わった

 

互いに均衡する両者、だがそれを打ち破ったのは調達だった。

 

調

 

四人の絆のユニゾンは強くなり、プレラーティを押していった。

 

「・・・此処までとは、これほどならば、あの男を・・・!」

 

プレラーティはそう言い残し、爆炎に飲み込まれる。

 

爆炎から出た四人は爆炎に視線を向ける。

 

「・・・勝てたの?」

 

「ああ、四人で掴んだ勝利だ!」

 

「はい、やりましたね!」

 

「調ちゃん、やったね」

 

「・・・うん!」

 

そう言って四人は微笑んだ。

 

 

 

一方でサンジェルマンの方では、サンジェルマンの前に突如電話が現れ呼び鈴が鳴る。

 

サンジェルマンは電話の相手を把握し電話に出る。

 

『プレラーティはカエルのように引き殺されたよ!お似合いだよ!』

 

「えっ!?」

 

そう告げたティキの言葉に、サンジェルマンは驚きを隠せなかった。

 

『生贄にもならないなんて無駄死にだよね、ざまぁないよね?』

 

すると電話の相手がアダムに変わる。

 

『報告に間違いはない、残念ながら』

 

「・・・一人で、飛び出したの?」

 

『急ぎ帰島したまえ、シンフォギアに、仮面ライダーに、儀式を気取られる前に』

 

そう言って電話が切れる。

 

「カリオストロ、プレラーティ・・・無事に役目を果たしたのね」

 

そう呟きサンジェルマンは空を見上げた。

 

 

 

その翌朝、神社前で真達は宮司に別れの挨拶をしていた。

 

「お世話になりました!」

 

「いやいや、お役に立ちましたかな?」

 

「とても参考になったデース!」

 

「お前は読み始めてからすぐに眠っちまっただろ・・・」

 

響達が挨拶をする中、翼とマリアは本部と連絡していた。

 

「では、あの錬金術師が向かう先には・・・」

 

『鏡写しのオリオン座を形成する神社、レイポイントの一角が存在している』

 

「ますます絵空事とは言えない訳ね」

 

『対策の打ちどころかもしれないな』

 

翼達がそんな藩士をする中、宮司が口を開く。

 

「よかったらつき神社にまたいらっしゃい、このおいぼれが生きている間に」

 

「神社ジョーク・・・笑えない」

 

「これを」

 

そんな調に宮司は白色のお守りを手渡し、調はそのお守りを見て微笑む。

 

『ありがとうございました!』

 

礼を言ってみんなは車に向かう中、切歌は神社の看板に目を向ける。

 

「ん~、やっぱり不思議デス、こんなのつきなんて絶対読めないデスよ」

 

「切ちゃん、置いてっちゃうよ」

 

「わっ、分かってるデスよ!」

 

そう言って車に向かう切歌が見ていた看板には、こう書かれていた。

 

 

調神社(つきじんじゃ)





さて、後書きの時間だ。
「今回は私と桃恵さん、翼さんと月読さんのユニゾンでしたね!」
「はい、調ちゃんの不安が取り除けて良かったです」
「というか桃恵にそんな時期があったんだな」
「うむ、かつて浜辺でうちらと戦った時、桃恵が格闘技を使ったのもその特訓のたまものということじゃ」
「はい、あの時は本当にがむしゃらに強くなろうと色んな戦闘方を模索していました、今は遠距離戦を得意としてます」
「そうだったのか、にしてもこれで残ったのは響、切歌、未来、んで真の四人だな」
「ああ、そして敵の残りはサンジェルマンとアーク、一筋縄ではいかない二人だからな・・・」
「そうですね、だから頑張ってください真お姉ちゃん!」
「ああ、分かってるさ」
「うむ、しかしあの神社の名称、調と書いてつきと呼ぶとは、もしや・・・」
おっと、その考察はNGだ、確定した情報でもないからな、てなわけでいつもの行きますか!

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
本小説のオリキャラである継菜真、紫苑と桃恵の如月姉妹なのですがあなたから見た3人のイメージに合う動物はなんですか?また、3人に1日だけその動物の耳や尻尾が生えてしまったらどうなりますか?

そうですね・・・まず真はドーベルマンかな?忠実だし礼儀正しいしその辺りが似合いそう。紫苑はチワワですかね、元気いっぱいで庭を走り回る姿が目に浮かぶ、桃恵は猫のアメリカンショートヘアですかね、穏やかで賢い、桃恵にぴったりだと思います。んで一日生えてたらどうするんだ?

「もちろん仕事を放棄してでも耳と尻尾を一日中触りまくって堪能する」
「うちは恥ずかしいから外にはあまり出んようにするかのう・・・」
「私はそんなお姉ちゃんを外に連れ出して一緒にお出かけしたいです」
「桃恵!?」

・・・だそうです。
「真は相変わらずだな・・・んじゃそろそろ〆るか!」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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アン・ティキ・ティラ


AXZ編第二十二話、前回のあらすじは?
「ユニゾンがうまくいかない月読さんが宮司さんとお話してました」
「それと同時刻、アダムの企みを知ったプレラーティがサンジェルマンに伝えようと走り出す」
「あだむも追っ手を繰り出す中調、せれな、翼、桃恵の四人が向かって行ったぞ」
「調ちゃんの悩みに寄り添った私の言葉で調ちゃんは迷いを吹っ切ってユニゾンを成功させます」
「そして四人の力を合わせてついにプレラーティを倒した」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十二話、どうぞ!


街の街灯が輝く夜、サンジェルマンはホテルの屋上で街並みを見つめていた。

 

「カリオストロ・・・プレラーティ・・・無事に役目を果たしたのね」

 

クリス達、そして調達に破られたカリオストロとプレラーティの事をサンジェルマンは考えていた。

 

「ならば、私も役目を果たす、この身この魂をかけてでも・・・!」

 

サンジェルマンが決意する中、後ろから拍手が聞こえ振り返るとアダムとティキが立っていた。

 

「覚悟が決まったみたいだね~死ぬのが怖くないのかな?」

 

「理想に準じる覚悟などとうに済ませてある、それに・・・誰かを犠牲にするよりずっと」

 

「アハハハッ!なに、それが本心?」

 

「覚悟は決まったみたいだね、ならば果たそうではないか、我らが悲願を」

 

そう言ってアダムがティキと共に去り、その後を追うサンジェルマンはひっそりと呟いた。

 

「・・・果たして見せる、私達の悲願を」

 

 

 

真宅にて、響は真の監修の元課題を進めていた。

 

「響って俺より頑張ってるよな」

 

「えっ?どうしたんですか急に?」

 

真のいきなりの発言に響は目を丸くすると、真はその意味を答えてくれる。

 

「いやさ、課題も任務も頑張ってるんだなって実感してるのさ、まだ学生だっていうのにさ」

 

「そうですか・・・私はきっと、らくちんな方に流されてるだけ、賢くどちらかを選択するなんてできないから・・・結局我がままなんだよね」

 

「我がままで何が悪いんだ?わがままは若者に許された特権だ、むしろそれこそ響らしいと俺は思うけどな」

 

「私らしいってどういうことですか・・・それに私なんかよりも真さんの方が凄いですよ」

 

「俺が?」

 

「はい、真さんだって別の世界から転生したというのに今はこうしてこの世界にために頑張って戦ってるじゃないですか!」

 

「あ~、まぁ成り行きみたいなところはあるけど、そうなのかな?」

 

「そうなんデス!」

 

すると突然切歌と調、セレナが部屋に入って来てカレンダーの9月13日に指さす。

 

「どうやら近いらしいデス!」

 

「そう、あと二日!」

 

「はい、あと二日で響さんと真お姉ちゃんの誕生日なんですから」

 

「切歌、調、セレナ・・・それに」

 

三人が入ってきた後からクリスと未来、紫苑と桃恵がやって来る。

 

「どうしたのみんな?」

 

「はい、クリスちゃんから聞かせてもらいました!」

 

「俺たちの誕生日のことをか?」

 

「クリスちゃんが私と真さんの誕生日を?」

 

二人がクリスに視線を向けると、クリスは顔を赤く染めそっぽを向く。

 

「覚えててくれたんだ!」

 

「たまたまだ!たまたま!」

 

「ほう、それにしてはお主、妙にそわそわしてたのう」

 

「そうデス!わかりやすさが爆発してたデース!」

 

「~~っ!はしゃぐなお前ら!もうすぐ本部に行かなきゃいけない時間だぞ!」

 

真達は談笑した後、すぐに本部へと向かって行った。

 

 

 

「来たな、では報告ブリーフィングを始める、了子君映像を頼む」

 

「わかったわ」

 

フィーネがパネルを操作すると、画面に調神社で見せてもらった鏡写しのオリオン座が映される。

 

「調神社所蔵の古文書と伝承、錬金術師との交戦から敵の次なる作戦は、大地に描かれた鏡写しのオリオン座。神いずる門より神の力を創造することと推測して、間違いないだろう」

 

「現在、神社本庁と連携し拠点警備を強化すると共に、周辺地域の疎開を急がせています」

 

「レイラインを使ったさらに大規模な儀式・・・」

 

マリアはバルベルデで相対したヨナルデパズドーリのことを思い出す。

 

自分たちの攻撃が通用しない上、受けた傷をなかったことにできる埒外な存在。

 

「いったいどれだけの怪物を作り上げるつもりなの!?」

 

「門からいずるは、怪物を越えた神・・・」

 

「どうにかなる相手なのか・・・?」

 

「どうにかするのさ、じゃなきゃアークの野望を食い止めることはできない」

 

そんな中、弦十郎が口を開く。

 

「どうにかできるとすれば、それは神殺しの力だな」

 

「神殺し?」

 

「デスか?」

 

聞きなれない単語に、みんなは疑問に思う。

 

「それって、文字通りの意味と受け取っていいのか?」

 

「ああ、神と謳われた存在を死に纏わる伝承は、世界の各地に残されている」

 

「前大戦期のドイツでは、優生学の最果てに、神の死に纏わる力を収集したと記録にあります」

 

「おおっ!ならば!」

 

「残念ながら、それは・・・」

 

「手掛かりになるかもしれないバルベルデドキュメントと戦時中の資料を保管していた風鳴機関本部はアークに木っ端みじんにされちゃったからね」

 

「ぬぅ・・・何という事じゃ・・・!」

 

「だが、あまりに周到な一連の動きは、考えようには誰にも悟られぬよう、神殺しの力を隠蔽してきたとも言い換えられないだろうか」

 

「つまり、神殺しの存在は実在してるという裏付けということか」

 

真の言葉に弦十郎は頷く。

 

「神殺しが・・・!」

 

「存在する・・・!?」

 

「緒川」

 

「了解です、調査部のみならず各国とも連携し、情報収集に努めます」

 

そう言って緒川は退室する。

 

「頼んだぞ・・・」

 

ブリーフィングが終わった後、真達はS.O.N.G内の食堂で夕食をとっていた。

 

「神の力に対抗する、神殺しの力・・・」

 

マリアはその言葉を聞いて、バルベルデでヨナルデパズドーリを粉砕した響と真を思い浮かべる。

 

あの時、確かに二人の一撃でヨナルデパズドーリは倒された。

 

「まさか・・・ガングニールに?」

 

「その可能性はあたしも考えたさ、けどドイツ由来の力と言えあたしらのガングニールの逸話は聞いたことはないな」

 

「今んとこ、あたしらにできることは待つことだけ・・・」

 

現在エルフナインとキャロルは、研究室にてクリス達のギアの反動汚染の除去を行っていた。

 

「ギアの反動汚染が除去されるまでは・・・」

 

「けど、神殺しの力を手にした所で、アークがそれを許すかどうか・・・」

 

真はいまだに糸口が見えないアークの攻略法を模索していた。

 

「あいつの予測能力を上回れることが出来れば・・・」

 

「デース!」

 

「うおっ!?」

 

真が考え込むと、切歌が真の前に顔を突き出しそれに真は驚く。

 

「皆さんに提案デス!二日後の13日、響さんと真さんのお誕生日会を開きませんか!」

 

「あ~っ!今言う?いま言うの!?」

 

「もしかして、迷惑だった?」

 

「いやいやいや、嬉しいよ!だけど、今はこんな状況で戦えるのも私と切歌ちゃんと未来、それと真さん達仮面ライダーだけだからさ・・・」

 

「正直、アーク相手だと戦力不足だな・・・」

 

「せっかくのお誕生日デスよ?」

 

「そうだけど・・・」

 

「ちゃんとした誕生日だから、お祝いしないとデスね!」

 

「えっ?」

 

切歌の発言にクリスが横やりを入れる。

 

「困らせるな、お気楽が過ぎるぞ」

 

「お気楽・・・」

 

「少し言い過ぎじゃありませんか?切歌ちゃんは重い空気を和ませようとしてくれたんだと・・・」

 

「大丈夫デスよ、桃恵さん・・・でも、私の御気楽で、誰かを困らせちゃったデスか?」

 

「ええっ!?そんな事無いよ、ありがとう!」

 

「そうだぞ切歌、祝ってくれる気持ちは嬉しいよ」

 

 

深夜、神社を警備員達が守る中、突然草陰から何かが飛び出して警備員達に襲い掛かりいたるところから悲鳴が聞こえる。

 

「ブルー1!ブルー1!!どうした!?ブルー2応答せよ!」

 

一人が通信機で連絡を取ろうとする中、背後からナイフを持った男が迫り男に突き刺し命を奪った。

 

「順調だね、贄の回収は、今の所」

 

そこに現れたのはアダムとその後ろを歩くティキとサンジェルマン、そして警備を襲っていたのはアダムの配下ソルジャーズだった。

 

アダムは死体となった警備の人たちを光の粒子に変え、生命エネルギーに変換する。

 

「有象無象が芋洗いってことは、こっちの計画が丸わかりって事じゃない、アダム?」

 

「そうだね、けど心配はないさ、今日までに集めた生命エネルギーで設置するのさ、大祭壇をね」

 

そう言ってアダムはサンジェルマンに視線を向けると、サンジェルマンは羽織っていた上着を捨て、神社に近づき詠唱を開始する。

 

サンジェルマンが詠唱を開始すると、サンジェルマンの背に描かれた鏡写しのオリオン座に酷似した傷が赤く輝きだし、サンジェルマンを中心に光の柱が天に上り、各地に拡散する。

 

その様子はS.O.N.Gの方でも確認されていた。

 

「司令、これは!?」

 

「各員に通達急げ!」

 

光が着弾したのは、氷川神社群が位置する神社群だった。

 

(それでも・・・門の開闢に足りないエネルギーは、第七項の達人である私の命を燃やして・・・)

 

サンジェルマンは己が命を燃やしてでも、門の開闢を行っていた。

 

「はい!すぐに向かいます!」

 

響は近くにいた切歌と未来、真と共に目的の場所へと向かう。

 

「急ごう、止めるために!」

 

「ああ、そうだな」

 

四人が外に出ると、空にはいくつもの雷が鳴っていた。

 

「順調だね、すべては」

 

「うん、サンジェルマンのお陰だね」

 

サンジェルマンが門の開闢を進める中、ティキは空の星々を見つめると、空にはオリオン座が輝いていた。

 

「天地のオリオン座が、儀式に定められたアスペクトで向かい合うとき、ホロスコープに門が描かれる、その時と位置を割り出すのが、私の役目」

 

「期待してるよ、ティキ」

 

「うん、ティキ頑張る!」

 

ティキが星を観測する中、アダム達の後ろに信者達が募る。

 

「局長、我々はどうすれば・・・!」

 

「ああ待機だよ、君たちは、切り札だからね、いざというときのね」

 

切り札という単語に、信者達は喜びの声をあげる。

 

「分かりました!局長の期待に応えれるよう努力します!」

 

「ああ、期待してるよ」

 

信者達が喜ぶ中、アダムは瞳を赤く輝かせ怪しげな笑みを浮かべ、誰にも聞こえない声で呟く。

 

「期待しているよ・・・本当にね」





さて後書きの時間だ。
「今回は重要なキーワードが出たな」
「神殺しですね、どういった物でしょうか?」
「神殺しと言うと、北欧の狼が有名じゃのう」
「それよりも、錬金術師の方でも大きな動きがありましたね」
「とうとう神いずる門の解放を行うみたいだな、本部の方はあたしらに任せて頼んだぜ真」
「ああ、絶対に食い止めて見せるさ」
よし、決心したところでいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
平成第1期(クウガ~ディケイド)と平成第2期(W~ジオウ)の2つの期間で好きだった仮面ライダーはいますか?

そうですね、大体の仮面ライダーは好きなんですけどね・・・まぁあえて言うなら一期では電王とディケイド、二期ならウィザード、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド、ジオウだな。
「二期の仮面ライダーが多すぎだろ」
二期は名作ばかりだからな・・・まぁ一つに絞るなら一期は電王、二期はジオウです。
「好きな物が多いというのも困りものじゃのう、ではそろそろ〆ようか!」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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目覚めし悪意


AXZ編第二十三話、前回のあらすじは?
「カリオストロに続きプレラーティが倒されたことで決心するサンジェルマン」
「そんな中私たちは敵の野望を阻止する可能性がある神殺しの存在を知りました」
「その後、真さんと響ちゃんの誕生日が近いということで切歌ちゃんが誕生日会を提案しました」
「じゃがその裏で錬金術師共は計画を進め、ついに神いずる門の開閉を行ったぞ」
「それを阻止するため、俺と響達はアークの元へと向かった」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十三話、どうぞ・・・とその前に一つご報告、今回のお話、後半あたりに少しエグイ展開がありますのでどうかご了承ください。


「これは・・・!」

 

司令室では、モニターに氷川神社群から繰り出される複数の矢印が一か所に集まっている様子が記されていた。

 

そんな中、八紘から通信が入る。

 

「お父様!?」

 

『こちらの準備はできている、何時でも行けるぞ』

 

エルフナインとキャロルの方でも、モニターの様子は確認されていた。

 

「急がないと・・・!」

 

「ああ、これ以上パヴァリア光明結社のすきにはさせん・・・!」

 

二人は急ぎギアの反動汚染の除去に取り掛かる。

 

 

 

一方で、儀式を行っているアダムは、ティキを撫でながら光の柱を見上げる。

 

「とうとうか・・・とうとう神の力が顕現する」

 

そんな時、アダムの瞳が赤く輝きだすと、アダムはため息をつく。

 

「はぁ・・・こういう結論が付くか・・・これは切り札を切らないとね」

 

そんな中、アダム達がいるところを中心に光の輪が広がる。

 

「開いた!神いずる門!」

 

ティキがそう言うと、サンジェルマンは両手を天に掲げる。

 

「レイラインより抽出された星の命に、従順にして盲目な、恋乙女の概念を付与させる・・・」

 

するとティキが光の柱に取り込まれると、橙色の光がティキの中へと取り込まれていく。

 

そんな中、真達はヘリでサンジェルマン達の所へと向かっていた。

 

「見るデスよ、凄いことになっているデス!」

 

切歌が指さした先には、地上に描かれた反対のオリオン座が光の柱によって描かれていた。

 

「あれって・・・もしかして!」

 

「ああ、間違いない、神社で見たあの文献通りの・・・」

 

「鏡写しのオリオン座・・・!」

 

司令室では、新たな情報が入る。

 

「レイラインを通じて、観測地点にエネルギーが収束中!」

 

「このままでは、門を越えて神の力が顕現されます!」

 

『合わせろ弦!』

 

「応とも兄貴!」

 

弦十郎と八紘は同時に鍵を机の上に設置されている鍵穴に差し込む。

 

「『決議実行!』」

 

鍵が回ると同時に、氷川神社群にてそれぞれの宮司が要石を封じるしめ縄を断ち切った。

 

しめ縄を断ち切ると、要石が赤く輝きだす。

 

「各地のレイポイントゾーンに配置された要石の一斉起動を確認!」

 

「レイライン遮断作戦、成功です!」

 

『手の内を見せすぎたな、錬金術師、お役所仕事も馬鹿に出来まい』

 

地上では、軌道された要石の輝きがアダム達のいる神社を中心に円状に広がり、レイラインからのエネルギーの供給を遮断し、光の柱が徐々に細くなっていくのが見えた。

 

「アッ・・・アッ・・・ナイ・・・ナイ・・・」

 

光の柱が消えると、宙に浮いていたティキが落下し、地面に叩きつけられる前にアダムが受け止める。

 

「ティキ・・・!?」

 

サンジェルマンも光の柱が消えたことで儀式を遮断され解放される。

 

「・・・なるほど、要石か、考えたね」

 

アダムはそう言い空を見上げると、上空に真達の乗っているヘリがやって来て四人は飛び降りた。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

Zeios igalima raizen tron

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

「変身!」

 

メタルライズ!

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

変身した四人が地上に降り立つ。

 

「神の力の顕現は此処までだ、パヴァリア光明結社!」

 

「シンフォギア、仮面ライダー、やはり君たちか」

 

アダムは慌てずに手をかざすと、周囲で待機していた大量のソルジャーズが構える。

 

「ソルジャーズ!」

 

「それもいつもより数が多い!?」

 

「この為に戦力を全て用意した、すべてのソルジャーズをね」

 

ソルジャーズが四人を囲む中、サンジェルマンが立ち上がり、真達の方を向く。

 

「サンジェルマン・・・!」

 

「・・・・・・っ!」

 

サンジェルマンは何も言わず、ラピスが取り付けられた拳銃の引き金を引いてファウストローブを身に纏い、拳を構えて襲い掛かる。

 

「っ! やぁぁぁ!!」

 

それに対して響が飛び出すと同時にイグナイトを起動させ、サンジェルマンの拳に対して同じく拳をぶつける。

 

二人のぶつかり合った拳から衝撃と光が放たれるが、響のイグナイトは愚者の石による対消滅バリアコーティングで強制解除されていなかった。

 

「その力・・・!」

 

サンジェルマンはイグナイトが解除されないことに驚きながらも、響から距離をとる。

 

「・・・なるほど、貴方達はラピスの力を克服できたのね、それで二人を」

 

サンジェルマンの問いに、響は悲しい表情をしながらも答える。

 

「・・・はい」

 

「・・・そうか、ならば試す必要はないな」

 

「試す・・・?」

 

真がサンジェルマンの言葉に疑問を持つと、サンジェルマンは銃を構える。

 

「ならば、今こそ我らが目的を果たさん!」

 

「っ!響危ない!」

 

「っ!?」

 

未来が叫ぶが一足遅く、サンジェルマンの指が引き金を引き、銃声が響いた。

 

 

 

「・・・・・・っ?」

 

響は引き金を引かれると同時に身構えていたが、特に何も起きなかった。

 

響はサンジェルマンの方を向くと、驚くべき光景が目に映った。

 

「どういう事かな、これは、なぜ・・・

 

 

 

 

銃口がこちらに向いてるのかな?」

 

アダムの手には、受け止めたであろう『銃弾』があった。

 

そう、サンジェルマンの銃は間違いようもなく、『アダムに向けられていた』。

 

「・・・これが、我らの目的です」

 

サンジェルマンはそう言い、再び引き金を引くと、銃弾は青い炎で出来た狼となり、周りにいたソルジャーズに襲い掛かった。

 

「えっ・・・これって・・・?」

 

「どういう、事だ?」

 

真達が突然の状況に困惑する中、サンジェルマンは響達に近づく。

 

四人はとっさに身構えるが、サンジェルマンの次の行動に驚く。

 

「いままで済まなかった、シンフォギア装者、仮面ライダー」

 

サンジェルマンは四人に対して『頭を下げた』のだった。

 

『・・・えっ?』

 

その行動に四人は虚を突かれてしまう。

 

「お・・・おい、何で頭を下げてるんだ・・・?」

 

真が戸惑いながらも頭を下げる理由を尋ねると、サンジェルマンは頭をあげて答えてくれる。

 

「今まであなた達や何の関係もない人たちに対し、危害を与えるつもりがないのに非道なことを行ったことに対する謝罪よ」

 

「危害を与えるつもりはない・・・って? それって」

 

四人が困惑する中、アダムが近づき口を開く。

 

「なるほど、そういう事か、ようやく理解したよ、全てね、サンジェルマン、君は最初から狙っていたのだね・・・僕の首を」

 

「ええそうよ、ずっとこの機会を待っていたのよ、彼女たちが力をつけあなたを倒せるこの機会を」

 

二人の会話に、真が反応する。

 

「この機会って・・・、お前まさか!?」

 

「狙っていたのさ、『反逆』を」

 

「ええそうよ、そしてついにその時が来た!」

 

そう言うとサンジェルマンはポケットからパヴァリア光明結社のマークが描かれたバッジを上へ放り投げ、それを銃で撃ち砕いた。

 

「今、この時より私は・・・結社を脱退する!」

 

『っ!!?』

 

サンジェルマンのその言葉に、真達やソルジャーズが驚く。

 

「・・・なるほど、悟られないためだったのか、今まで従順だったのは、なら仕方がない」

 

アダムは慌てた様子を見せずに再び手を掲げる。

 

「ソルジャーズよ、シンフォギア装者と仮面ライダーと共に、あの裏切り者を排除せよ!」

 

アダムの言葉にソルジャーズは戸惑いながらも、サンジェルマンにも敵意を向ける。

 

「やはりそう来るか・・・」

 

サンジェルマンが銃を構えると、その後ろから響が近寄る。

 

「貴方・・・!」

 

「いまいち状況はわかりませんけど、これだけは聞きたいです、貴方は私たちの敵ですか?」

 

響からの問いに、サンジェルマンは不敵に微笑みながら答える。

 

「いいえ、信じてくれないだろうけど、今は貴方達の・・・『味方』よ」

 

「・・・っ! それだけで十分です!」

 

『使用BGM:必愛デュオシャウト』

 

そう言うと響はサンジェルマンの横に立ち拳を構える、するとイグナイトを起動させた切歌と未来、そして真も横に並び立つ。

 

「味方なら心強いデス!」

 

「うん、響が横に並んでるだけでその人は信頼できるね」

 

「俺は正直半信半疑だがな・・・詳しい話は後で聞かせてもらうぞ」

 

「分かったわ、けれど今は・・・」

 

「はい、まずは彼らを何とかしましょう!」

 

響の声とともに、五人は走り出す。

 

信念とか宿命とか重さじゃないんだ

 

響は迫りくるソルジャーズを拳で次々となぎ倒していく。

 

そうはいっても一直線が何故か伝わらない

 

切歌はアームドギアを振りかぶると、ソルジャーズの周囲に煙が立ち込め視界を封じると、その陰からソルジャーズを一刀両断する。

 

幻姿・阿rアjぃん

 

なかなか届かない

 

ガムシャラなBelieve song

 

未来が『混沌』で撃退していると背後からソルジャーズが迫り襲い掛かろうとすると、サンジェルマンの放った弾丸が未来に襲い掛かるソルジャーズを弾き飛ばす。

 

その様子は司令室で見ていた全員を困惑させていた。

 

「これは・・・一体どういう事なんだ!?」

 

「敵であったはずの錬金術師がパヴァリア光明結社を裏切り、響ちゃん達と協力して戦っている・・・!?」

 

「というかあの馬鹿なにすぐに納得して共闘してやがるんだ!?ついさっきまで敵だったやつと!」

 

「ああ、だがそれが立花の性分だと知らぬ雪音ではないだろう」

 

「そ・・・それはそうだけどよ・・・全然信じられねえっていうか」

 

「それはみんな同じ事よ・・・けれど今は信じましょう」

 

マリアの言葉にみんなはモニター越しで戦う五人を見つめる。

 

愛は

 

Fight!

 

ディフィカルト

 

Fight!

 

 

切歌はアームドギアの形状を変え、巨大なハサミの形に変えソルジャーズを切り払う。

 

双斬・死nでRぇラ

 

 

響が投げ飛ばしたソルジャーズを未来が光線で次々と戦闘不能にしていく中、真とサンジェルマンが剣を地面に突き刺すと、地面から巨大な銀と金の結晶が飛び出しソルジャーズを吹き飛ばす。

 

天に(Shoutin’!)

 

夢に(Shoutin’!)

 

Go!(Go!)Go!(Go!)

 

真は戦いながらも、サンジェルマンに問いかけていた。

 

「聞きたいことがあるんだが、あんたは何時から反逆を企んでいたんだ!?」

 

「ヨナルデパズトーリを探す前からよ」

 

「ということはだいぶ前からか・・・賛同者はお前だけか?」

 

「いえ、カリオストロとプレラーティも協力者だ、我々はアダムに対抗できる力を持つであろうあなた達を強化するためにラピスを利用し、時にはあなた達の手助けもしたわ」

 

「なるほど・・・ようやくクリスの時やあの時のことが理解できたわけだな」

 

真は疑問に思っていた、風鳴機関での時どうしてカリオストロの放ったエネルギ-弾が信者のナイフに的確に当たったのか、アークとの戦いで追い込まれた際、どうしてエネルギー弾がアークを襲い自分達が助かったのか、その二つの疑問がようやく払拭できた。

 

「両方とも俺たちを助けてくれたってわけだな」

 

「そういう事よ」

 

疑問が晴れると、真は不敵に微笑む。

 

「半信半疑って言ったこと撤回するぜ、サンジェルマン」

 

「それは良かった・・・わ!」

 

二人は言い終わると再びソルジャーズに攻撃を仕掛け、真達四人は一か所に集まる。

 

「一気に決めるぞ!」

 

『はい(デス)!』

 

真の号令と共に響と切歌が飛び出す。

 

真の(Shoutin’!)

 

ハート(Shoutin’!)

 

響が拳を突き出して腰のブースターを点火すると、切歌は響の足に自身の足を連結させ背中のブースターを点火する。

 

そこに未来の鏡が響のギアに収束しギアの形状が棘状に変わり、真が放った飛電メタルが切歌の身に纏わり翼となり、推進力となる。

 

Go!(Go!)Go!(Go!)

 

四人の力が結集したユニゾンの一撃によって残ったソルジャーズが全て吹き飛ばした。

 

必愛デュオシャウト

 

その衝撃で森の一部が吹き飛び、土煙が晴れたころにはソルジャーズは全て倒されていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

「や・・・やったデス・・・!」

 

「響!切歌ちゃん!」

 

「大丈夫か二人とも!」

 

真と未来が駆け寄る中、サンジェルマンは四人の傍に駆け寄り、宙に浮かぶアダムに銃を突きつける。

 

「此処までだアダム!もうお前を守る信者はいない」

 

サンジェルマンの言葉に四人もアダムに対して構えをとる。

 

「やってくれたね、此処までとは」

 

「要石によってレイラインからの供給は途絶えた、もう儀式は完成しない!お前の企みは泡となって消えた!」

 

「それはどうかな?」

 

「何!?」

 

真が勝利宣言をするが、アダムは余裕綽々に応える。

 

「すでに分かっていたさ、この結論は、だから切らせてもらうのさ、切り札を」

 

「切り札だと?」

 

アダムの瞳が赤く輝きだしたその時、どこかから機械音が鳴り出した。

 

「えっ何!?」

 

「この音って・・・タイマー?」

 

「あっちこっちから聞こえてくるデスよ!?」

 

切歌の言う通り、タイマーみたいな音は周囲から響いてくる。

 

「・・・っ!まさか!?」

 

真は音の発信源のする方に視線を向ける、するとそこには。

 

「な・・・何だ、この音!?」

 

「ドライバーから妙な音が・・・!?」

 

音の発信源は信者達の身に着けているフォースライザーからだった。

 

「信者達のドライバーから・・・?」

 

「っ・・・何を仕掛けた!アーク!!」

 

真が叫んだ瞬間、アダムの瞳が赤く染まる。

 

「それこそが切り札だ、この状況を打開するためのな」

 

「っ!局長の口調が変わった・・・?」

 

突然のアダムの変貌ぶりにソルジャーズは驚きを隠せなかった。

 

「私はこの結論を既に予測していた、故に用意していたのだ・・・いざという時のに用意した『最後の手段』をな」

 

アークの瞳が更に輝きだすと、フォースライザーから発せられる音がだんだんと早くなる。

 

「な・・・何をする気ですか、局長!?」

 

突然の状況に困惑する信者達にアークは淡々と言い放った。

 

「喜べ、お前たちが崇拝する神の礎となるのだ、光栄だろう」

 

「い・・礎・・・って、ま・・・まさか!!?」

 

アークのその言葉に、信者達は顔を青ざめフォースライザーを取り外そうとする。

 

「無駄だ、それは私の意志でしか取り外すことができない」

 

「や、止めてください局長!!」

 

「何故だ、神の力の顕現の一端になれるのだ、喜びたまえ」

 

瞳の輝きが強まると共に音もどんどんと早まっていく。

 

「い・・・いやだ!!た、助けてくれ!!」

 

信者達は敵であるはずの響達に助けを求める。

 

「な・・・これは一体!?」

 

「どうなってるデスか!?」

 

「頼む!今までの事は謝る!だから・・・助け・・・!」

 

信者達が手を伸ばそうとするが、もう時は遅かった。

 

「さらばだ、お前たちは最後の最後まで私の役にたった、せめて最後は華々しく散るがいい」

 

「い・・・いやだぁぁぁぁぁぁ!!」

 

信者の悲鳴と共に音が最高潮になった瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『信者達のフォースライザーが大爆発を起こした』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『っ!!?』

 

突然ボンッという音と共に爆発が起き、爆発に反応できなかった真達だったが、爆発は五人を巻き込まなかった。

 

爆煙が晴れたころには、そこには大量の『上半身が無くなった信者だった物』しか存在しなかった。

 

「な・・・っ!?」

 

「マジ・・・かよ・・・!?」

 

上半身が無くなった人間と辺り一帯に飛び散った血と人の中身の光景に真とサンジェルマンは絶句していた。

 

「あ・・・ああ・・・うっ!」

 

地獄絵図のような光景を見て体勢のない響、未来、切歌はその場で嘔吐してしまう。

 

そして人だった物は光の粒子となりアークの手に球体として集まる。

 

「これで足りたな、力は」

 

アークの行った行為に、真は怒りをあらわにしていた。

 

「アーク・・・貴様、どこまで腐ってやがる・・・!!!」

 

「人を利用し、使い潰し、最後に切り捨てる、これも人間から学んだ『悪意』だ、そして」

 

アークが光の球体を掲げると、天にオリオン座が描かれエネルギーが流れ込んでくる。

 

「な・・・何が起こってるデスか!?」

 

「まさか・・・信者達の生命エネルギーを使って再び門を開いたのか!?」

 

「レイラインのエネルギーが再び結集している、でもどうやって!?鏡写しのオリオン座は要石で封じたはず・・・!?」

 

その様子を見てエルフナインとキャロルは予測を立てる。

 

「これは・・・天を巡るレイライン!!」

 

「あいつ、この星からじゃなく天の星々から命を集める為オリオン座そのものを神いずる門に見立てやがった・・・!」

 

「マクロコスモスとミクロコスモスの照応は、錬金思想の基礎中の基礎だというのに・・・僕は・・・!!」

 

そんな中、アークに抱えられるティキが再び輝きだす。

 

「アダム・・・アダム・・・!」

 

その様子を見ていた八紘と弦十郎も絶句していた。

 

「星の海にて開かれる・・・」

 

「もう一つの神いずる門・・・!」

 

「超高レベルのエネルギー来ます!!」

 

瞬間、オリオン座から放たれた赤い光の柱が再びティキを包み込む。

 

「宇宙に在っては、貴様らとは言え邪魔はできない」

 

「っ!止めて見せる!!」

 

「んなこと、させるかよ!!」

 

響と真は止めようと飛び出すが、アークの放った緑と黒がまじりあった風が二人を呑み込み地面に叩きつける。

 

「がぁっ!!」

 

「ぐぁっ!!」

 

「お前たち!・・・教えろ!お前はその力をどうする気だ!」

 

「決まっている、この力を使い私は人類を滅亡させる、それこそが私の長年の望みだからだ」

 

「滅亡だと・・・そんなことのためにカリオストロを、プレラーティを全ての命を踏みにじったというのか!!」

 

「私にとって、人の命など虫も当然だ」

 

アークが指を鳴らすと、ティキの体が起き上がりその口から五人目掛けて光線が放たれ、大爆発を起こす。

 

「おお・・・これが神の力、これさえあれば・・・!」

 

絶望的なまでの威力、だがそんな中、聞こえる歌声があった。

 

babelzigguratedenal...

 

爆発の中から聞こえる歌声に、アークは耳を立てる。

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

爆発の中絶唱を歌う切歌、切歌はアームドギアを巨大化させ刃を高速回転させ爆発を抑えつけ、響、未来、真、サンジェルマンを守っていた。

 

「っ!確かにあたしはお気楽デス!だけど・・・誰か一人ぐらいなにも背負っていないお気楽者がいないと、もしもの時に重荷を肩代わりできないじゃないデスか!!」

 

切歌は血の涙を流しながらも、爆発を抑えようとする。

 

「絶唱・・・っ!やめろ!切歌ぁぁぁ!!」

 

「絶唱・・・!だめぇぇぇ!!」

 

司令室にいる調とその場にいる真の叫びと共に爆破が抑えられていき、収束されると同時に切歌のギアが砕け、切歌が地面に叩きつけられる。

 

「「「切歌『ちゃん』!!」」」

 

三人は慌てて切歌の元へと駆け寄る。

 

サンジェルマンはその光景を見て絶句する。

 

「絶唱で受け止めるなんて無茶を・・・!!」

 

「切歌ちゃん!しっかりして!!」

 

「馬鹿野郎!!何でそんな無茶をした!!」

 

「お・・・お二人はもうすぐ、お誕生日デス・・・誕生日は、重ねていくことが大事なのデス」

 

「こんな時にそんな事は・・・!」

 

「私は・・・本当の誕生日を知らないから・・・」

 

「まさか切歌・・・だから俺たちを!?」

 

「・・・誰かの誕生日だけは、大切にしたいのデス・・・」

 

その時、切歌の足元に何かが転がり落ちる。

 

「これは・・・LINKER!?しかもこんなに!?」

 

切歌が持っていたのは、S.O.N.Gが保管していた残り少ないモデルKのLINKER全てだった。

 

「過剰投与で絶唱の負荷を最小限に・・・だけど、体への薬害が!!」

 

「くそっ!あいつなんて無茶をするんだ!」

 

「直ちに切歌君を回収するんだ!救護班の手配を急げ!体内洗浄の準備もだ!」

 

本部の方でも、調が取り乱すのをみんなが抑える中、弦十郎が救護班をよこす。

 

現場では、倒れる切歌と寄り添う三人をサンジェルマンが庇う。

 

「これ以上彼女たちに手を出させない」

 

「それがお前の答えか」

 

「神の力を利用し、人類を絶滅させようとする貴様こそが私にとっての・・・いや、この世界にとっての最大の敵だ」

 

「だから私に向かうと、しかし間もなく神の力は顕現される、そうなれば貴様に止められる確率は0だ」

 

アークがそう言い放つ中、響と真が立ちあがる。

 

「未来、切歌を頼む」

 

「まって真さん!だったら私の力を使って、きっと役に立つと思う・・・!」

 

そう言って未来は自身の手を差し出す。

 

「・・・わかった」

 

真が未来の手を握り締めると、未来のペンダントとドライバーが輝きだす。

 

『構築を開始します』

 

二つの輝きが重なり、そこから一つのキーが生みだされる。

 

『構築が完了しました』

 

構築が終わり、真の手には紫色のキーが握りしめられていた。

 

真がそれを受け取ると、未来は切歌を連れ下がり、響と真がサンジェルマンの横に並ぶ。

 

「私たちは互いに正義を握り合い、違う正義を目指し道が交わらずにいた」

 

「だけど今は、同じ方向を見て、同じ相手を見ています」

 

「敵は強大、圧倒的、ならばどうする、立花響、継菜真」

 

「いつだって、貫き抗う言葉は一つ!」

 

「「「だとしても!」」」

 

今ここに、三人の道が交差する。





さて後書きの時間だが・・・大丈夫か。
「最後にとんでもなくエグイ事してくれたなお前・・・!」
いや~アークの考えそうなことって何なんだろうなって考えたら自然とこうなってしまった、済まぬ。
「あたしらはなんとか無事だけど、セレナと桃恵が・・・」
「先ほどから厠から出て来んからのう、相当こたえたのじゃろう」
「お前、ちゃんと謝れよ」
・・・うん。

~数分後~

「や・・・やっと収まりました・・・」
「まだ気分悪い・・・」
マジすまん、まさかここまでとは・・・。
「しかし、まさかサンジェルマンが仲間になるとはな、話を見る限り結構最初から反逆を企ててたんだろ?」
おう、元々サンジェルマン達はパヴァリア光明結社を裏切らせる予定だったからな」
「おかげクリスも俺たちも助かったわけだしな・・・でもそれ以上にアークがやりすぎだ」
マジですまん、というワケでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
ゴk...(スチャッ)...「G」が嫌いな継菜真に質問
あそこまで嫌っているのは昔に何かあったのですか?
また、仮面ライダーWに登場したコックローチドーパントが飛び掛かってきたり、デビルメイクライ4の雑魚敵のスケアクロウが襲い掛かる、倒した際にその身体から甲虫の死骸が噴き出したりしたらどうなりますか?

「話せば長くなるが・・・あれは俺が転生する前の中学の春頃だった、そのころは俺はまだ掃除とかあまり気にしない性格で月に数回程度しか掃除しなかったんだ、そんなころ俺は部屋がある程度汚くなったころに掃除は明日にしようと考え眠りについたんだ・・・眠っていると腕に妙な違和感があったんだ、当時半袖で寝てたからゴミでも付いたのかと思って眼を開けたら・・・俺の腕の上にあいつが乗っていた、その時は深夜にもかかわらず叫んだよ、俺の叫び声を聞いて両親も駆け付けて両親のお陰であいつも退治で来たんだ、それ以来俺は掃除を徹底するようになって、あいつを見つけると当時のことをフラッシュバックして近くの物を手あたり次第に投げつけてしまう癖を持ってしまったんだ・・・それと後半の質問だが、そんな奴らが現れたら消し飛ばす、この世に影一つ残さずメタルクラスタで消し去る」

・・・とんだ体験したんだな、お前。
「害虫はこの世から消し去るべき存在だ、そんな気持ちを込めてそろそろ〆よう・・・」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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花咲く勇気


AXZ編第二十四話、前回のあらすじは?
「ついに開かれる神いずる門だが、旦那たちの作戦でレイラインの遮断に成功する」
「その間に真お姉ちゃん達がたどり着き一触即発の中、何とサンジェルマンさんが結社を脱退し味方に!」
「そんなサンジェルマンさんと共に真さん達がソルジャーズと戦い、見事勝利を収めましたが、それだけでは終わりませんでした・・・」
「なんとあーくは信者達を利用しその命と天のおりおん座を使い神いずる門を開いてしまう」
「そして神の一撃から切歌が絶唱を使って俺たちを庇い戦闘不能となり、未来から力を託され俺、響、サンジェルマンはアークに戦いを挑む」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十四話、どうぞ!


本部では、神の力が降臨された後、救護班が現着し切歌と未来の回収を終わらせていた。

 

「救護班、切歌ちゃんと未来ちゃんの回収を完了!」

 

「よかった・・・」

 

「付近住民の避難は!?」

 

「もう間もなくです、急がせています!」

 

そんな中、翼はモニターに映る神の力を見て拳を握り締める。

 

「あんな物が・・・神を関する力だというのか・・・!?」

 

「間に合わないの!?」

 

「そうだ、神殺し!こっちにだって対抗策があったはずだろ!?」

 

「緒川の指示で調査部が動いている・・・だが、新たな情報については」

 

 

 

戦いの場では、本性を表に出したアークに対峙する三人。

 

「神の力は、人類の未来の為にあるべきだ、ただの一人が占有していい物ではない!」

 

「違うな、この力は私のために存在する、人類を滅ぼすために」

 

アークはそう言い放ち黒い炎を放つ。

 

サンジェルマンが迎撃するが勢いは落ちず、直撃する直前で真が飛電メタルの壁で防ぐ。

 

「サンジェルマン、あいつはもうお前の知るアダムじゃない・・・あいつは人類を絶滅させるだけを考えた悪意そのものだ!」

 

「言ってくれるな、異世界の人間!」

 

アークは黒色の氷柱を何発も放ち、三人は回避し反撃するが、全て回避されてしまう。

 

「くっ・・・!」

 

「あいつの力がきつすぎる・・・!」

 

サンジェルマンと真が攻めあぐねている時、アークの放った特大の氷柱を響は拳で打ち砕いた。

 

「でも、私達が力を合わせればきっと何とかなります!」

 

「立花響・・・」

 

「・・・そうだな、たとえ相手がどんな理不尽な存在だったとしても、最後まで諦めず仲間と共に立ち向かう、そうすればどんな理不尽も乗り越えれるはずだ!」

 

「継菜真・・・」

 

サンジェルマンはそう発言する二人の後姿を見て、小さく微笑む。

 

「・・・やはり、お前たちは英雄と呼ばれる器か」

 

「えっ?サンジェルマンさん、今なんて?」

 

「なんでもない・・・立花響、継菜真、お前たちが狙うはティキ、神の力へと至ろうとしてる、人形だ」

 

その言葉を聞いて二人は視線をティキへと向ける。

 

「器を砕けば、神の力は完成しない。この共闘はなれ合いではない、この世界を守るための私のわがままだ・・・」

 

「っ!・・・わがままだったら仕方ありませんね!」

 

『使用BGM:花咲く勇気』

 

そう言って三人は再び横に並ぶ。

 

「みんなのために、サンジェルマンさんの力を貸してください!」

 

「俺たち三人で、人類を救うんだ!」

 

真はメタルクラスタを解除し、未来から受け取った新たなプログライズキー『リフレクトシェンショウジンプログライズキー』のライズスターターを押し込む。

 

パージ!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させると、ドライバーから神獣鏡を身に纏った未来に酷似したライダモデルが出現する。

 

「行くぜ未来!」

 

シンフォニックライズ!

 

Kindness that keeps shining without fading!リフレクトシェンショウジン!

 

Rei shen shou jing rei zizzl.

 

未来の纏うシェンショウジンに酷似する新たな姿、『リフレクトシェンショウジンフォーム』に変身した真と響とサンジェルマン、三人が並ぶ中アークは地面に降り立つと同時に真と響が飛び出した。

 

真正面ど真ん中に 諦めずぶつかるんだ

 

響が殴り掛かるがアークは躱し、真が展開した鏡から光線とサンジェルマンの援護射撃すらも黄金の壁で防がれてしまう。

 

全力全開で 限界(突破して)

 

「思い上がるな人間、お前たちの動きは全て予測されている」

 

「そう簡単に予測できると思うな!」

 

互いに握る物 形の違う正義

 

真はプログライズホッパーブレードを取り出し、アークの周囲を大量の飛電メタルで作ったバッタで埋め尽くしその中で光線を反射させようとするが、アークは黒い風で飛電メタルを全て吹き飛ばしてしまい、飛電メタルは周囲の木に叩きつけられる。

 

上空へと上がるアークに響が食らいつき殴りかかろうとするがアークはそれを予測し躱し響に向けて風の刃を放つ。

 

だけど(今はBrave)重ね合うときだ

 

響に迫る風の刃をサンジェルマンが剣で防ぎ、アークが木に足をつけた瞬間、先程木に叩きつけられた飛電メタルが形状を変化させアークの足に絡みつく。

 

支配され(噛み締めた)悔しさに(抗った)

 

足を絡め取られたアークが驚く隙を突き、響は右腕のバンカーを引っ張り上げ、そのままアークを殴りつけるが、アークは黒いオーラで拳を防ぐが、勢いを殺せず後ろへと吹き飛ばされる。

 

その心伝う気がしたんだ(Wow×3)

 

アークが吹き飛ばされた様子を見て真は一つの仮説を立てる。

 

(あいつ・・・もしかして予測の力すら完全に復元できてないのか・・・じゃなかったらあれぐらい避けれるはずだ、だったら手数を増やしていけば勝機はまだある!)

 

極限の(極限の)思い込めた鉄槌

 

司令室では三人の戦いをみんなが見守っていた。

 

「立花・・・継菜・・・!」

 

「くそっ!ただ見ているだけなんて・・・!」

 

「今は信じましょう、彼女たちを・・・!」

 

「神の力は未だ健在、状況は刻一刻と迫っていやがる・・・!」

 

さあ(今)誰かのためなら

 

サンジェルマンが弾丸を放ち錬金術で響の足場を生みだし、響はそれを使ってティキの元へと向かって行く。

 

「だとしても!」と吠え立て!

 

「させはしない、神の力の破壊は」

 

それを予測したアークはすぐさま風を放ち響を叩き落とすが、地面にぶつかる直前で真が響を受け止める。

 

「あれは私だけの物だ、誰一人として触れさせん」

 

その瞬間、ティキの体がより一層輝きだす。

 

「このままじゃ・・・!」

 

響が焦る中、サンジェルマンは冷静にアークに問いただす。

 

「ですが局長、ご自慢の黄金錬成はいかがいたしましたか?」

 

「黄金錬成って・・・!」

 

真はその言葉を聞いて、モニターで録画され視聴したアークの黄金錬成の映像を思い出す。

 

「私達に手心を加える必要もないはずのに、なぜあの馬鹿火力を開帳しないのかしら?」

 

「っ!確かに俺たちを倒すのならあれ一発で事足りるはず・・・!」

 

その言葉を聞いて、アークは舌打ちをする。

 

「天のレイラインからのエネルギーチャージは局長にとっても最後の手段、門の解放に消耗し黄金錬成させるだけの力が無いのが見て取れるわ!」

 

「つまり、叩くなら絶好の機会!」

 

「その通りだ、行けるな」

 

「はい!」

 

その言葉で響は立ち上がる。

 

I trust! 花咲く勇気(Shakin`hands) 握るだけじゃないんだ(Shakin`hands)

 

響は右腕のバンカーを大きく変形させる。

 

「だが、依然に私の優位に変わりない」

 

こぶ(しを)開いて繋ぎたい…!

 

サンジェルマンは銃口から狼を模した青い炎を放ち、アークは黒い炎を放ちぶつかり合い、両方とも爆散する。

 

I believe! 花咲く勇気(Shakin`hands) 信念はたがえども(Shakin`hands)

 

響は爆炎を突っ切りその拳をアークに向けて放ち、それと同時に反対方向から真が現れアークに目掛けて極大の光線を放つ。

 

流星

 

それを見たアークは響の拳を片手で受け止め、もう片方の腕にオーラを集中させ流星を受け止める。

 

さあ(今)目前の天に

 

それを見たサンジェルマンが刃を繰り出し、アークに迫る。

 

「「だとしても!」」

 

「貫けぇぇぇぇぇぇ!!」

 

アークもそれに反応するが対応が遅れ、片腕を切り裂かれる。

 

「くっ!!」

 

アークの腕が切り裂かれ、電流が走る。

 

「腕から電流が!?」

 

「あいつは人間じゃない、機械だ!」

 

「最初から人ですらなかったということか・・・!」

 

アークの正体に驚くサンジェルマンを横目に、アークは黒いオーラを切られた部位に集中させ、修復する。

 

「此処までとは、かつての力がほとんどないとはいえ此処まで追い詰めるとは・・・やはり貴様らは真っ先に絶滅させるべき存在のようだな・・・!」

 

自身を追い詰める三人に対し、アークは怒りの表情を浮かべる、それと同時に神の力を受け取っているティキにも反応があった。

 

「許さない・・・!アダムをよくも!痛くさせるなんてぇぇぇぇぇ!!」

 

アークを・・・アダムを傷つけられたことに怒るティキに答えるように、ティキの体が輝きだす。

 

「何が!?」

 

「まさか・・・!?」

 

輝きと共に、ティキの姿が大きく変わっていく。

 

「光が・・・生まれる・・・!」

 

輝きが消え、そこにいた存在に真達は驚く。

 

「あれは・・・!?」

 

それはもはやティキの面影などない、異端にして異質、だがどこか神々しささえある姿。

 

愛しき人を傷つけられたことで生まれた『破壊の神』だった。

 

「神力顕現・・・手に入れるはずだったが、此処までの力とは・・・」

 

『ゴメンナサイ・・・アダチ、アダムガヒドイコトサレテイタカラ・・・ツイ』

 

アークの言葉に胸元に眠るティキが語り掛ける。

 

「仕方ないよ、済んだことは、だけどせっかくだから」

 

アークはアダムの口調でティキに語り掛けると、複数の陣が生みだされその一つが砕け散る。

 

「知らしめようか!完成した神の力、『ディバインウェポン』の恐怖を!」

 

アークの言葉とともに、ディバインウェポンの両肩が輝きだし、それを見た三人はとっさにその場から離れた瞬間、三人が立っていた場所が大爆発を起こした。

 

その後もディバインウェポンは破壊の限りを尽くし周囲一帯を破壊しつくしていく。

 

その力に真達は言葉を失っていた。

 

「これだけの破壊力・・・シンフォギアと仮面ライダーで受け止められるの!?」

 

その光景を見て、アークは微笑んでいた。

 

「これこそが私の望んだ力・・・かつて果たせなかった望みを今度こそ」

 

「アダム・ヴァイスハウプト・・・貴様は一体何者だ?」

 

サンジェルマンの言葉に、アークは大地に降り立つ。

 

「まだ本当の名を名乗ってなかったな・・・私の名はアーク、そこにいるゼロワンと同じこことは違う世界より転生した悪意そのものだ」

 

「違う世界・・・転生・・・!?」

 

初めて知る真実に驚愕するサンジェルマン。

 

「だが、かつての世界では憎き仮面ライダー共によって私の計画は水泡に帰した、だが神は私に奇跡をもたらし、この世界に転生させた、転生した私はこの男を見つけその体を乗っ取り自我をラーニングし自我を消滅させ今までこの男を演じた、かつての力を取り戻し・・・いや、かつての自身すらも超える力を得て、今度こそ人類を絶滅させると誓った!」

 

アークはそう言い放ち、そして忌々し気に三人を見つめる。

 

「・・・だからこそ、私の邪魔をする貴様らを絶滅させるのだ!」

 

アークの叫びと共にディバインウェポンの口にエネルギーが溜められていくのを察知し、響と真は飛び出そうとする。

 

「何を!?」

 

「さっきみたいの撃たせるわけには・・・!」

 

「何としてでも止めて見せる・・・!」

 

二人は同時に飛び出し、響はディバインウェポンの顔の横を殴りつけ、真は顎下を蹴り上げ軌道をずらす。

 

「ティキ!」

 

二人の一撃でディバインウェポンの顔に傷がつき、そのままエネルギーは空へと打ち出されと同時に二人は巨大な腕に吹き飛ばされる。

 

空に向けて放たれたエネルギーは雲を突き抜け、宇宙衛星を貫き、それでもなお天へと昇って行った。

 

「あ・・・ああ・・・!?こんな力のために、今までの命は・・・!?」

 

通信遠征が破壊されると同時に本部での映像が途切れてしまう。

 

「周辺防犯カメラからの映像、途絶・・・!」

 

ディバインウェポンの一撃で地面に叩きつけられた響のギアからは所々電流が走り、真は変身が解けその場に倒れ伏す。





さて後書きの時間だ。
「今回で未来のシェンショウジンを纏えてこれで俺が纏ったギアは七つ目か」
んでもってシンフォギアで俺が一番好きな曲花咲く勇気もきました。
「それにしてもアークの奴、完全じゃないのに滅茶苦茶強いな・・・」
スペックは小さいけどそこを錬金術でカバーしてるから実質強さ変わんないんだよね。
「そしてついに神の力が降臨してしまいましたね・・・」
「うむ、でぃばいんうぇぽんも繰り出され状況は絶望的じゃな」
「やはり神の力に対抗するために神殺しが必要ですね・・・」
そこは弦十郎さん達の頑張り次第だな、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真に質問
シンフォギア装者に仮面ライダー、養子を含めて14人が暮らしている継菜真邸の洗濯事情はどうなっていますか?

「俺とセレナがやってるな、基本家にいるし・・・まあ量が量だから時間は滅茶苦茶かかるがな」
てか女性物の下着がほとんどだろ、そこんところは大乗なのか?
「俺は本編が始まるまで月一で翼の部屋を掃除してたんだぞ、その上俺自身も女子の下着付けてるからもう慣れたわ」
ああ、もう耐性持ちか、納得だわ。
「そういうこった、んじゃそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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神威赫奕の極みに達し


AXZ編第二十五話、前回のあらすじは?
「神の力を手にしようとするアークに立ち向かう真と響とサンジェルマン」
「三人が力を合わせるがそれでも敵は手ごわく苦戦してました」
「じゃがここでさんじぇるまんはあーくが黄金錬成が出来ないと読み、真も予測ができないとたどり着く」
「そして力を合わせ、ついにアークの腕を切り裂きましたが、ついに神の力が降臨してしまいました」
「ディバインウェポンとなったティキの攻撃で倒れてしまう俺と響、果たして勝ち目はあるのか?」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十五話、どうぞ!


「シエルジェ自治領から通達・・・放たれた指向性エネルギー波は米国保有の軍事衛星に命中・・・蒸発させたと・・・」

 

その報告を受け、その場にいた全員はディバインウェポンの威力に声が出なかった。

 

「響君と真君の状況は!?」

 

「周辺のカメラはダウンしたままです、急ぎ別視点からの映像を・・・!」

 

「司令!各省庁からの問い合わせが殺到しております!」

 

「全て後回しだ!放って・・・!」

 

弦十郎が叫ぶと同時に、映像が途切れたモニターに風鳴訃堂からの通信映像が入る。

 

『どうなっている』

 

「っ!?」

 

『どうなっていると聞いておる』

 

「はっ!目下確認中であり・・・!」

 

『儚き者が、此度の争乱はすでに各国政府の知るところ、ならば次の動きは自明であろう、共同作戦や治安維持などと題目を掲げ、国連の旗を振りながら武力介入が行われることがなぜ分からぬ!』

 

「ですが!きっと打つ手はまだあります!そのための我々であり・・・!」

 

弦十郎が喋っている途中で訃堂は通信を切る。

 

「ふぅ・・・やはり、この国を守護せしめるは、真の防人たる我を置いて他になし」

 

司令室の方でも、先の通信にみんなが困惑する。

 

「さっきの通信って・・・!?」

 

「この戦いに、風鳴宗家が動くということだ」

 

弦十郎が口ごもる中、切歌に付き添い本部へと戻った未来は司令室へと入ってくる。

 

「響と真さんは!?」

 

未来からの問いかけに誰も答えない中、藤高が口を開く。

 

「モニター出ます!」

 

皆がが再び映し出されたモニターに視線を向けると、そこには地面に立入れ伏す響と真の姿が映っていた。

 

「っ!? 響!!真さん!!」

 

「あいつら!地面が好きすぎるだろ!!」

 

 

 

『ア・・・アダム・・・ティキ、ガンバッタ・・・ホ・・・ホメテ・・・?』

 

「いい子だね、ティキはやっぱり」

 

ディバインウェポンと化したティキにアークはアダムの口調で優しく語り掛ける。

 

『ダ・・・ダッタラ・・・ハグチテヨ・・・ダキチメテクレナイト・・・ヅタワラナイヨ・・・』

 

「山々だよ、そうしたいのは、だけどできないんだ、手に余るそのサイズではね」

 

『イケズ・・・ソコモマダ・・・ヅキナンダケドネ・・・』

 

倒れ伏す響と真を背にサンジェルマンは銃を構え、ディバインウェポンに向けて発砲する。

 

「全力の銃弾で!」

 

サンジェルマンは何発も銃撃を放ちディバインウェポンに傷をつけるが、ヨナルデパズトーリの時と同じように神の力によってその傷はなかったことにされてしまう。

 

「それでもか・・・!」

 

司令室の方でも、ディバインウェポンの再生を確認していた。

 

「さっきのは、ヨナルデパズトーリの時と同じ!」

 

「なかったことにされるダメージ!」

 

サンジェルマンはそれでも射撃を繰り出すが、次々とそのダメージはなかったことにされ、手痛い反撃を受けてしまう。

 

「圧倒的な攻撃と、絶対的な防御!」

 

「あんなのがあっては勝ち目などないぞ!?」

 

「反動汚染の除去が間に合ったとして、どう立ち回ればいいんだよ?」

 

サンジェルマンは反撃を喰らいながらも体勢を立て直すと、アークが語り掛ける。

 

「人間は何時の時代でも悪意を疫病のようにこの地に蔓延らせる、人類はこの星において完全なる汚点、ゆえに人類を絶滅させる、私の手で」

 

「・・・確かに、人類はこれまで多くの悪を生みだし大勢の人々に絶望を与え苦しめて来た、私にはそれがよくわかる・・・だが、すべての人類が悪意を持っているわけではない!彼女達のように悪意を持たず、人々に希望を与え明日を守ろうとしている、お前のような人の命を道具としか思ってないやつに、人類を絶滅させるわけにはいかない!」

 

サンジェルマンが叫ぶ中、アークは倒れ伏す響と真に視線を向け、その瞳を赤く輝かせる。

 

「ディバインウェポンは完成され、もはやこの戦いの結論は確定された、邪魔となる存在をこの手で絶滅させよう」

 

アークはそう言って二人の前へと降り立つ。

 

司令室の方では、何もできない現状に誰もが拳を握り締めていた。

 

「天命を待つばかりか!?」

 

その時、どこかから通信が入る。

 

『諦めるな!あの子達なら、きっとそう言うのではありませんか』

 

「っ!? 発信源不明・・・暗号化され身元が特定できません、ですがこれは・・・!」

 

その時、モニターに数々の資料のデータが映し出された。

 

「解析された、バルベルデドキュメント!?」

 

『我々が用いる限りの資料です、ここにある神殺しの記述こそが切り札となりえます』

 

「神殺し・・・なんでまた!?」

 

クリスがそう言うと、緒川の方からも通信が入る。

 

『調査部で神殺しに関する情報を追いかけていたところ彼らと接触、協力を取り付けることが出来ました』

 

モニターには神殺しであろう一本の槍が映し出される。

 

「これは・・・!?」

 

『かつて、神の子の死を確かめるために振るわれたとされる槍、はるか昔より伝わるこの槍には凄まじき力こそ秘められたものの、本来神殺しの力は備わっていなかったと資料には記されています』

 

「それなのに、どうして・・・?」

 

『二千年以上に渡り、神の死に関わる逸話が本質を歪め変質させた結果だと・・・』

 

その言葉に桃恵は一つの予測を立てる。

 

「もしかして・・・哲学兵装!?アレキサンドリア号での中心にあった・・・!?」

 

『前大戦時にドイツが探し求めていたこの槍こそ・・・!』

 

モニターにその槍の名が映し出される、神を殺す力を備えたその槍の名は・・・。

 

 

 

 

 

『GUNGNIR』

 

 

 

 

 

「ガングニールだとぉ!!?」

 

「そう、何ですね・・・」

 

「そういう・・・ことか・・・」

 

それと同時に、倒れていた響と真が起き上がる。

 

「響!真さん!」

 

『使用BGM:UNLIMITED BEAT』

 

二人はボロボロの体を何とか奮い立たせる。

 

「まだ・・・何とか出来る手立てがあって・・・それが、私の纏うガングニールだとしたら・・・」

 

「まだ・・・希望が持てる・・・まだ、みんなを守れる・・・」

 

「気づかれたか」

 

二人は立ち上がり、ディバインウェポンを見据える。

 

「もうひと踏ん張り・・・!」

 

「もうひと頑張り・・・!」

 

「「やってやれないことはない!!!」」

 

「ティキ!」

 

ディバインウェポン二人に向けて光線を放つと同時に、真はホルダーからスマッシュガングニールプログライズキーとイグナイトグリップを取り出し、響はギアペンダントに手をかける。

 

ダインスレイフ!

 

オーバーライズ!

 

キーを認証させると、黒いオーラが二人を包み光線から身を守る。

 

「「イグナイトモジュール、抜剣!」」

 

ダインスレイフ

 

シンフォニックライズ!

 

二人は同時にイグナイトを起動させ、その身を黒く染め上げる。

 

Bloody songs lead to hope!START,UP!イグナイトガングニール!

 

Cursed melody turns into power.

 

神殺しの力を持つガングニールのイグナイトを纏った二人は共にディバインウェポンの攻撃を躱しながらも突き進む。

 

「行かせんぞ、神殺し共!」

 

アークが黒い氷柱を放つが、サンジェルマンの放つ銃弾に打ち砕かれてしまう。

 

「なるほど、得心がいったわ、あの無理筋な黄金錬成はシンフォギアと仮面ライダーに向けた一撃ではなく、貴様にとっての不都合な真実を葬り去る為でもあったのね!」

 

「邪魔はさせんぞ、錬金術師風情が!」

 

サンジェルマンはそのまま銃剣を構えアークに切りかかると、アークはアタッシュカリバーを生成しサンジェルマンの刃を受け止める。

 

「こいつは私が抑える・・・だから行け!そのまま行け、立花響!継菜真!」

 

サンジェルマンの言葉に応えるように二人は着々とディバインウェポンへと近づく。

 

「くっ・・・!?」

 

「私は進む、前に前に、ここで怯めば取り戻せない物に後ずさる、屈するわけにはぁぁ!!」

 

サンジェルマンの放った渾身の一撃はアークのアタッシュカリバーを砕き、二人はディバインウェポンの眼前へと迫った。

 

ディバインウェポンは二人に向けて巨大な拳を振るう。

 

「よせつけるな!虫を!」

 

ディバインウェポンの拳が迫る中、二人は腕のアームドギアを変形させ、巨大な拳に殴りかかる。

 

「「はぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

『アダムヲコマラセルナァァァァァ!!』

 

ぶつかり合う三人の拳、砕け散ったのはディバインウェポンの拳だった。

 

『アアアアァァァアァァアァァ!!!』

 

ディバインウェポンは再び腕のダメージをなかったことにしようとするが、二人のガングニールに付けられた傷は治らずそのままだった。

 

「ディバインウェポン、復元されず!」

 

「効いてるわ・・・まさか本当に!?」

 

「神殺しの哲学兵装・・・!?」

 

そんな中扉が開き、体内洗浄を終えた切歌が入ってくる。

 

「切ちゃん!」

 

『バルベルデから最後に飛び立った輸送機、その積み荷の中に大戦時の記録が隠されていたんです』

 

「あの時の輸送機に・・・!」

 

「あの時の無茶は・・・無駄ではなかったのデスね・・・」

 

「教えてほしい、君の国が手に入れた機密情報をなぜ我々に?」

 

弦十郎からの問いかけに通信相手は答える。

 

『歌が、聞こえたので』

 

「歌?」

 

通信相手の傍に置かれている写真立てには、二人の宇宙飛行士の写真が入れられていた。

 

『先輩が教えてくれたんです、あの時、燃え尽きそうな空に歌が聞こえたって・・・そんなの私も聞いてみたくなるじゃないですか!』

 

響と真はディバインウェポンの攻撃を喰らいながらも立ち上がり残った腕にも拳を振るい、もう片方の拳を砕く。

 

「神の力を砕け、立花響!!継菜真!!」

 

二人はアンカージョッキを限界まで引き絞り、首に巻かれたマフラーが黒く輝く。

 

「くっ・・・神殺しぃぃ!!」

 

響は右腕のアームドギアを、真は左腕のアームドギアを高速回転させ、空いた手を繋げ共に回転し巨大な黒い竜巻となってディバインウェポンに迫る。

 

我流・黒槍螺旋撃

 

「八方極遠達するはこの拳!いかなる門も破砕は容易い!」

 

「お前のくだらない野望を、二振りの神殺しが打ち砕く!」

 

二人の拳が迫る中、アークは即座にその瞳を輝かせ、口を開く。

 

「っ! ハグだよティキ!さぁ飛び込んでおいで、神の力を手放して!」

 

『アダム、ダイスキィィィィィ!!』

 

アークの言葉に反応しティキはディバインウェポンを切り離しアークの元へと向かうが、それを見逃さない二人ではなかった。

 

「「うおおぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

二人の拳はティキの眠る結晶に突き刺さり、ティキの体を砕いた。

 

「アアァァアアァァアアァァァア!!!」

 

ティキが砕けるとともに、ディバインウェポンも光の粒子となって霧散していく。

 

「ここ一番でやっぱり!」

 

「ばっちり決めてくれるのデス!」

 

ディバインウェポンが消え、みんなも喜びの声をあげる。

 

戦場では、二人の一撃で上半身だけとなったティキがアークの足元に転がる。

 

「アダム・・・スキ・・ダイスキ・・・!ダカラダキシメテ・・・ハナサナイデ・・・ドキドキシタイノ・・・!」

 

身体が砕けてもなおアダムを求めるティキをアークは見下す。

 

「役に立ったよティキ、私の結論通りにな」

 

アークが見上げる先には、ディバインウェポンだった光の粒子が空に浮かんでいた。

 

「あれは・・・!?」

 

「あれこそが神の力・・・私の求める力だ」

 

アークは粒子に手を伸ばし、その掌に黒いエネルギーを蓄積させるのを見て、真は不吉な予感を感じた。

 

「っ!?そう事をうまく運ばせるものか!」

 

真はすぐさまスマッシュランスを繰り出し、『LAST∞METEOR』を神の力に向けて放つと、神の力が半数以上消える。

 

「っ!邪魔をするなぁ!」

 

力を消されたアークは真に向けて黒い風を放ち、それに巻き込まれた真と響は遠くへ吹き飛ばされてしまう。

 

「立花響!継菜真!」

 

サンジェルマンが吹き飛ばされた二人に駆け寄る中、アークは残った神の力に向けてオーラを放ち神の力をその身に取り込む。

 

「七割以上も消されてしまったが・・・それでもこれほどとは・・・!」

 

アークは取り込んだ神の力に歓喜し、自身の手を握り締める。

 

「かつての力を取り戻せた・・・いやこれはそれ以上・・・人類が力を求めるのも頷ける」

 

「アダム・・・アダム・・・!」

 

アークは足元に転がるティキに視線を向けると、ティキに近づくと、アダムはその頭を掴み上げる。

 

「アダム・・・ナニスルノ・・・?」

 

「アンティキティラよ、私のために尽力してくれた貴様に私からの褒美をくれてやろう」

 

「エ・・・・・・アナタ・・・アダムジャナイ・・・アダムハドコ・・・?」

 

「教えてやろう、貴様が慕うアダム・ヴァイスハウプトは・・・何年も前にこの世から消滅した、今まで貴様が見ていたのは、私が演じていた偽物だ」

 

「ソ・・・ソンナ・・・!?」

 

真実を聞かされ絶望するティキにアークはティキの頭を掴む手からティキに向けて黄金色の粒子が含んだ黒いオーラを注ぎ込むと、ティキの体から黒いスパークが走り、ティキが苦しみだす。

 

「ティキ!?貴様何をする!?」

 

サンジェルマンの問いにアークは答える。

 

「褒美を与えてるのだ、最後まで私のために戦う力を・・・さぁ私の力を受け取れ、アンティキティラ」

 

アークが力を籠めると、黒いスパークは更に強くなり、光の粒子がティキの体を包み込む。

 

「アァァァァァァァァァァ!!!」

 

ティキが叫んだ瞬間、ティキの口から無数のチューブらしき物が飛び出しティキの全身を包み込み、ティキの姿が変わる。

 

失ったはずの下半身が復元され、全身にまるで縛り付けるかのようにチューブらしき物が取り付けられ、その姿はかつてのティキの面影などない、異形な存在となっていた。

 

「こ・・・これは・・・!?」

 

この状況に驚きを隠せないサンジェルマンに対し、アークは笑みを浮かべる。

 

「完成だ・・・神の権能と私の力を組み合わせ作り出した我が神兵・・・『ディバインマギア』の誕生だ!」

 

『アァァァダァァァムゥゥゥゥゥゥゥ!!』

 

アークが生みだしたティキだったディバインマギアは体を震わせ、天に向かって今は亡き愛しき者の名を叫んだ。





さて後書きの時間だ。
「やっとディバインウェポンを倒せたと思ったら神の力奪われた挙句に更に厄介なのが現れたぞ!?」
そりゃあゼロワンと言ったらマギアでしょ。
「そんな刺身にはわさびみたいな感じで言うな!?」
「というよりこのディバインマギアってどれぐらい強いんですか!?」
ん~・・・詳しくは決めてないけどディバインウェポンよりかは強いと思うよ。
「絶望が加速したぞ!?」
更に言うとディバインウェポン時の火力にスピードが乗っかっている感じだから。
「絶望を重ねないでください!?」
何だったら滅亡迅雷の四人組より強いと思う。
「ゼロワンスタッフに怒られろ!!」
まぁ冗談はさておき、このディバインマギアは当初考えてなかったんだけどふとした思い付きで作ってみたんだよな。
「アークが神の力を手にしたのも原作改変の影響が大きいだろうな」
本来なら響が取り込まれるところだったんだけど、こっちじゃその条件果たしてないから結果こうなったんだよな。
「その結果この現状ですけどね」
まぁ頑張れ、それじゃあいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
あなたが『戦姫絶唱シンフォギア』を知ったきっかけは何ですか?

おっと来たねこの質問、シンフォギアを知ったきっかけとしては随分前に一期から四期まで配信してた時期があったんだよ、それが眼に入って試しに一期一話を視聴したらものの見事にはまりまして今に至ります。
「その結果生まれたのがこいつなんだよな」
悔いはない、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別編15:天羽奏の誕生日2


特別編第十五話、今回は奏の誕生日パート2だ!
「いや~済まないな祝ってもらって」
「気にすんな奏、何せ誕生日だからな」
「はい、私達も奏さんを思って祝っていますからね」
ああそれと、今回登場するのはお前ら仮面ライダー組とマリアの六人だけだから。
「ぬっ?それはどういう事じゃ?」
「六人だけって・・・一体何が?」
まぁそれは本編を見れば納得するだろうな、それでは特別編どうぞ!


本日は天羽奏の誕生日、真達はいつもみたいにみんなで祝おうとしていたが・・・。

 

「参ったな・・・まさか半数が参加不可とは」

 

現在家にいるのは真と主役の奏の他に、マリア、セレナ、紫苑、桃恵の六人しかいなかった。

 

「仕方ありませんよ、皆さん予定があったみたいですし」

 

「だとしても誕生日で全員揃わないとは・・・参ったわね」

 

「きゃろるとえるふないん本部でがりぃ達の修復で忙しいようじゃしのう」

 

「その上、この所仕事が忙しくて碌に準備ができていませんね・・・」

 

「大丈夫だって、祝ってくれる気持ちだけでもさ」

 

「けどさ、せっかくの誕生日だしきちんと祝いたいんだよな・・・」

 

奏は大丈夫だと口にするが、五人は納得がいかず至難していた・・・。

 

「ん~と言ってもな・・・ん?」

 

奏はふと、この場にいる全員を見てとあることに気が付く。

 

「・・・そういえばここにいる面子って基本成人だよな?」

 

「んっ・・・言われてみればここにいる六人共二十歳過ぎてるな」

 

マリア、紫苑、桃恵は言わずもがな、真、セレナ、奏はきちんと二十を超えていたことに気が付くと、奏はあることを思いつく。

 

「・・・!だったらやりたいことがあるんだけどさ」

 

 

 

「帰ったわよ」

 

時間が経ち夕方ごろになった頃、奏に言われ買い出しに行っていたマリアとセレナが帰ってくる。

 

「お帰り、頼んだの買って来たか?」

 

「きちんと買ってきました、言われた通り多めに」

 

「こっちも出来たぞ」

 

二人が帰って来ると同時にキッチンで料理をしていた真がテーブルに料理を持ってくる。

 

テーブルに置かれた料理はいつもの誕生日のような豪勢な料理ではなく、どことなく家庭的な料理ばかりだった。

 

「こういうのでいいんだよな?」

 

「ああ、ぴったしだ」

 

「しかし奏も言うのう・・・まさか誕生日にそうするとは」

 

紫苑の言葉にマリアとセレナは買ってきた物をテーブルの上に置く。

 

置かれたのは全て飲み物・・・それもビールや焼酎、ワインなどといったアルコールばかりだった。

 

そう、奏が提案したのは大人組による『酒盛り』だった。

 

「いや~今まで酒には興味はあったんだけど基本翼達もいたもんだから飲む機会がなかったんだよな、マリアだってそうだろ」

 

「まぁ・・・確かにこのところお酒は飲んでいないけど」

 

「だろ?因みに四人は酒の経験は?」

 

奏の言葉に四人共首を横に振る。

 

「だろ、だからちょうどいい機会だと思ってさ、あたしらだけの大人の誕生日会ってことでさ」

 

「奏も言うようになったな・・・まぁ俺も親が飲んでたの見てて気になってた時期はあったけど」

 

「私もお酒ってどんな感じなのか気になります」

 

「うちもじゃな、錬金術で酒を使うことは少なくないが飲んだことは一度もないからのう」

 

「うん、故郷ではお酒何て全然なかったからどんなのか気になってたんです」

 

「・・・四人はこう言ってるけど、マリアはどうなんだ?」

 

「・・・はぁ、分かったわよ、飲めばいいんでしょ」

 

「さっすが」

 

マリアは観念し、六人は席についてそれぞれ酒を手に取る。

 

「それじゃあ、奏の誕生日を祝って・・・」

 

『乾杯!』

 

缶やグラスをぶつけ、六人は誕生日酒盛りを開始した。

 

 

 

酒盛りが開始して一時間弱が経過する、現在の様子としては・・・。

 

「うう~・・・どうして私はこんなに駄目な姉なのよ・・・!」

 

グラスを片手に泣きじゃくるマリア。

 

「おーい!もっと酒持ってこーい!」

 

顔を赤くして酒を要求する奏。

 

「お主は気楽でいいのう、うちが小さかった頃は・・・」

 

しかめっ面でぶつぶつ呟く紫苑。

 

「あれ~?お姉ちゃんが三人に増えてる~?」

 

顔を真っ赤にしてふらふらしている桃恵。

 

「・・・・・・・・・」

 

うつ伏せになり微動だにしてない真。

 

「うわぁ・・・これは・・・」

 

そしてそんな光景を見て若干引いているセレナ。

 

六人の周りには空になった缶や瓶が転がっており、どれだけ飲んでいたのかがわかる。

 

「セレナぁぁ・・・こんなダメダメな姉でごめんねぇぇ・・・」

 

「姉さんしっかりして、姉さんは駄目駄目なんかじゃないよ」

 

「おらおらマリア、もっと酒飲めよぉ!」

 

「奏さんももうそろそろお酒を控えてください!」

 

「お主はしっかりしておるのう、うちの周りではお主のような者はいなかったというのに・・・」

 

「紫苑さん、そんなぐちぐち言わないでください!」

 

「はれれ~セレナちゃんがいっぱいいる~」

 

「桃恵さんも飲みすぎですよ!」

 

セレナは酔っ払い共に苦戦する中も、真は微動だにしてなかった。

 

「真お姉ちゃんは寝っぱなしですか・・・でも皆さんに比べたらましなような・・・」

 

セレナがそう呟くと、真の体が動く。

 

「・・・・・・っ」

 

「あっ、真おお姉ちゃん起きましたか?起きたなら少し手伝って・・・」

 

セレナがそう言うが真は起き上がろうとしなかった。

 

「・・・真お姉ちゃん?」

 

「・・・・・・は」

 

「は?」

 

「吐きそう・・・っ!」

 

そう呟いた真の顔色はいつもより青ざめていて限界寸前だった。

 

「ちょっ!?ちょっと待ってください!すぐに袋持ってきますから耐えてください!?」

 

結局その日は響達が帰ってくるまでセレナは酔っ払い共相手に四苦八苦していた。

 

響達が帰ってきたころには酔っ払い共は寝静まり、セレナは疲労でその場に倒れていた。

 

そして次の日、セレナ以外の五人は二日酔いとなり苦労する中、セレナはとある決心をつけていた。

 

(絶対にこの面子でお酒を飲まないようにしよう・・・!)

 

そう心に誓ったセレナだった。





さて後書きの時間だが・・・お前ら大丈夫か?
『頭痛くて死にそう・・・』
そりゃ案だけ飲んだら二日酔いにもなるわな、とりあえずセレナこいつら休ませるために別室連れて行くぞ。
「あっはい」

~女性達移動中~

さて休ませたところで後書きは俺たち二人だけで進行するか。
「はい・・・というより私だけ無事なんですね?」
ああ、ifのセレナがお酒好きみたいだからセレナは酒に強い設定にしてみました。
「こういうのもあれだけど、ありがとうifの私・・・」
まぁ酒の飲み過ぎには注意が必要ってことだな。
「因みに作者さんは・・・」
俺アルコールや炭酸苦手だから基本水かお茶しか飲まん。
「そうですか・・・ところで今回お花の方は?」
ちゃんと用意してるぞ、ほれ。
「これって・・・前見た花とは違いますね?」
これは『ツユクサ』っていう花でオシロイバナと同じ今日が誕生花なんだ、花言葉は『なつかしい関係』だ。
「なつかしい関係ですか・・・なんだかいい言葉ですね」
だな、んじゃそろそろ〆るか・・・人数足りないけど。

「「それでは次回もお楽しみに!」」

そして~!

「「ハッピーバースディ!奏!」」

*お酒は二十歳になってから。


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作戦と決意


AXZ編第二十六話、前回のあらすじは?
「ディバインウェポンの一撃で衛星がぶっ壊されて真と響も倒れてしまう」
「サンジェルマンさんが食い止めてくれてますが、それでも状況は一方的でした」
「しかし、そんなときにどこかから通信と情報が入り、なんとがんぐにーるに神殺しの力が備わっておることが判明したぞ!」
「そして響ちゃんと真さんも立ち上がり、ガングニールのイグナイトで見事ディバインウェポンを破壊しました!」
「だが、それもアークの思惑通りで、神の力を奪われてさらにその力で壊れたティキをディバインマギアに変えてしまった」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十六話、どうぞ!


「馬鹿な、ティキを・・・オートスコアラーを変える力だと・・・!?」

 

「アーク・・・お前何をしやがった!!」

 

神の力を得たアークの手によってディバインマギアに変えられたティキを見て驚くサンジェルマンと真にアークが答える。

 

「手にした神の力と私の力を組み合わせアンティキティラを錬金術による分解、解析、再構築し我が忠実なるしもべにしたのだ、しかし神の力がこれほどとは・・・私の予想をはるかに超えている、だが嬉しい誤算」

 

アークは手にした神の力に喜ぶと、三人の方を向き指をさす。

 

「さぁディバインマギアよ、奴らを消し去るのだ」

 

『アァァァァァァァ!!』

 

アークの命令を受け、ディバインマギアはすぐさま真達に襲い掛かる。

 

「っ!させるかよ!!」

 

ファイナルライズ!

 

ファイナルストラッシュ!

 

真はすぐさまプログライズホッパーブレードを繰り出し飛電メタルの壁を生みだし、ディバインマギアは生成された壁に肥大化した拳を叩きつけた。

 

一瞬拮抗するが、次の瞬間飛電メタルの壁にひびが入る。

 

「なっ!?」

 

真が驚く最中、ひびは徐々に大きくなりついに壁は砕け散ってしまう。

 

壁を壊しながらも迫りくる拳に真はプログライズホッパーブレードをぶつける。

 

『アァァァァァァァ!!』

 

「・・・っ!? がぁっ!!!」

 

ディバインマギアの渾身の拳はいとも簡単に真を殴り飛ばしてしまった。

 

「継菜真!?」

 

「真さん!!」

 

十メートル近く殴り飛ばされた真は変身が解け意識を失ってしまう。

 

「ディバインマギアよ、まずはゼロワンを亡き者にしろ!」

 

アークの命を受け、ディバインマギアは標的を真に絞りすぐさま真の元に向かう。

 

「っ!させるか!」

 

サンジェルマンは阻止しようとスペルキャスターで攻撃するが、ディバインマギアには傷一つつかず足は止まらない。

 

そして真の眼前まで迫り、その拳を真に向けて振り被る。

 

「真さん!!」

 

響の叫びと共に、ディバインマギアの腕が振り下ろされた。

 

 

 

だがその拳は真の眼前で『バリアのような物』に防がれる。

 

「何?」

 

「あれって・・・?」

 

「あの力は・・・!」

 

真を守るバリアを見て三人が驚いた瞬間。

 

「おりゃあぁぁぁ!」

 

真とディバインマギアの間に誰かが入り込みディバインマギアを殴り飛ばし、殴り飛ばされたディバインマギアに巨大な玉が叩き込まれた。

 

「どうやらギリギリセーフなワケだ」

 

「そうみたいね・・・でももう一方は間に合わなかったみたいね」

 

響とサンジェルマンはその人物達を見て驚きを隠せなかった。

 

「あ・・・貴方達は・・・!?」

 

そう、真を守ったのはクリス達と翼たちが倒したはずの錬金術師、カリオストロとプレラーティだった。

 

二人は急いで三人の元へと向かう。

 

「待たせてごめんねサンジェルマン、シンフォギアちゃん」

 

「カリオストロ・・・プレラーティ・・・無事だったのね!」

 

「ああ、なんとか無事なワケだ・・・しかし状況は絶望的なワケだ」

 

四人が振り向いた方には、傷一つついてないディバインマギアと上に浮かび見下すアークがいた。

 

「生きていたとはな、錬金術師共」

 

「何あれ、あれって本当に局長?」

 

「いつもと比べて禍々しさが際立っているな」

 

「話は後よ二人共、まずはこの状況をどうにか切り抜けないと・・・」

 

サンジェルマン達が逃走方法を思案する中、響は真の懐から何かが零れ落ちるのを見る。

 

「あれは・・・っ! サンジェルマンさん、それを使ってください!」

 

響が指さしたのは、真が所持するS.O.N.G直行のテレポートジェムだった。

 

「これはジェム・・・わかったわ!」

 

「っ!行かせるものか!」

 

アークはすぐさまディバインマギアに指示を出し襲い掛からせるが、すぐさまサンジェルマンがジェムを拾い上げ地面に叩きつけると、転送陣が五人を包み込む。

 

そしてディバインマギアの拳が振り下ろされると同時に五人は転送され拳は空振りする。

 

「逃げられたか・・・だがまあいい、まずはディバインマギアの性能を確かめなくてはな・・・」

 

アークは五人を追いかける様子もなく、ただディバインマギアの性能を確認するだけだった。

 

 

 

ディバインマギアが生みだされ五人が撤退してから約四十八時間が経過した。

 

五人が本部に転送された後、真と響はメディカルルームへと運ばれ、サンジェルマン達は弦十郎の監視の元S.O.N.G内にいた。

 

響は比較的軽い怪我で済んでいたが、真はダメージが大きかったのか意識を回復しなかった。

 

その間ディバインマギアは近くの街を襲い、この二日間で多くの被害を生み続けた。

 

S.O.N.G本部ではディバインマギアに対しての話し合いが行われていた。

 

「まさか神の力で産み出された存在が此処までとは・・・国連の方でどうなっている?」

 

弦十郎は八紘に通信で尋ねるが、八紘は首を横に振る。

 

『既に決議を実行しようと行動する者もいるが、どういうわけかそれらが実行できない状況にいる、正確に言えば決議実行のための装置が軒並みに起動できない状況にあるようだ』

 

「・・・これも奴の仕業だというのか」

 

『おそらくな、アーク・・・異世界の存在が此処までの猛威を振るうとは想像もつかなかった、国連は決議が使えない以上武力行使に出ようとしているが、それがどこまで効くものか・・・』

 

その場にいる全員が息を呑む中、扉が開かれ意識が回復した真が入って来る。

 

「真さん!」

 

「真お姉ちゃん!」

 

「すみません、起きるのが遅くなりました」

 

「遅いんだよ、寝坊が過ぎるぞ!」

 

「ともかく、これで全員が揃ったな、後は・・・」

 

すると扉が再び開き、緒川が入ってくる。

 

「司令、お連れしました」

 

緒川に続くようにサンジェルマン達が入ってくる。

 

「まさか、敵だった私達を作戦に入れるとはね」

 

「私たちが与えた情報は役に立ったワケだな」

 

「ああ、お前らがくれた賢者の石のデータが無かったらギアの汚染除去に後一週間はかかっていた・・・癪だが助かったわけだ」

 

「ご協力ありがとうございます!」

 

「これで信頼を得れるなら問題なしよ」

 

「しかし、まさか生きていたとはな・・・」

 

「ええ、女の感で局長を疑っていたあーしは死んだふりなんて搦め手で姿を隠してたのよ」

 

「そしてそんなカリオストロに救われた私はカリオストロと共に色々と探りを入れていたわけだ」

 

「そういう事かよ・・・」

 

話が一通り終わると、弦十郎は真に視線を向ける。

 

「それで真君、あのディバインマギアなる物に関しての情報は・・・」

 

「それならおそらく俺よりあいつの方が・・・」

 

真がライズフォンを取り出すと同時に、着信が入る。

 

「・・・まさに神がかりなタイミング」

 

真はすぐさま電話に出てスピーカーモードにする。

 

『どうやら全員揃ったみたいね』

 

「ああ神、早速で悪いけどディバインマギアについて説明してくれ」

 

『わかったわ、きちんと説明するわ』

 

神がそう言う中、サンジェルマン達はその状況を見て驚いていた。

 

「本当に神と通話しているのね・・・!」

 

「あーた達から話には聞いていたけど、実際に見ると驚きよね」

 

「神と電話とは、局長が聞いたら嫉妬に狂いそうなワケだ」

 

三人がそう言う中、神による説明が行われた。

 

『まずアークがいた世界には『ヒューマギア』と呼ばれた人工知能搭載人型ロボットが存在したわ、そんなヒューマギアの人工知能に悪意が接続され人類を滅亡させようとする存在『マギア』となってしまうわ』

 

「じゃああれもそのマギアと同じなのか?」

 

『おそらくそうだわ、けど相手は強大にして圧倒的、おそらく私の知るマギアよりも強力になっているわ』

 

「・・・だとしても、それで私たちが戦わない理由にはなりません!」

 

響の言葉にみんなの視線が響に集まる。

 

「今も多くの人達が苦しんでいるっていうのに助けに行かないだなんて、そんなの私らしくありません!」

 

「・・・そうだよな、人助けは響の性分だもんな」

 

「そうだね、そしてそれは私たちにとっても大事なことだもんね」

 

真と未来の言葉に、他のみんなも頷く。

 

「みんな・・・!」

 

『・・・ふふっ、どうやらいらぬ心配だったみたいね、今のあなた達ならきっと大丈夫だわ』

 

「ところでつかぬ事を聞きたい、いま各国で決議が実行できてない状況はやはり・・・」

 

『間違いなくアークのせいね、あいつが本気を出せば全世界の機器にアクセスできるところをそれだけしかしないということは・・・』

 

「十中八九遊んでいるってことか・・・随分嘗め腐っているようだな・・・!」

 

「ところで神、問題のアークについて何だけど、今のあいつに勝算はあるのか?」

 

『安心しなさい、今アークに対抗するための力を構築中よ、何とか今日中には完成させて見せるわ』

 

「ああ、頼んだぜ神」

 

『ええ、私はすぐに構築の続きに取り掛かるわ、みんなの健闘を祈るわね』

 

そう言い残し通話が切れる。

 

「神様に祈られるとは・・・負けるわけにはいかないな」

 

「はい!必ず勝ってみんなの笑顔を守りましょう!」

 

その言葉とともに、弦十郎がみんなの前に出る。

 

「よし!我々の目標はディバインマギアとアークの討伐、全員の力を合わせ人類を守るんだ!」

 

『はいっ!!』

 

各々が勇気を胸に秘め、ディバインマギアとアークに向けての作戦会議を行った。





さて後書きの時間だ。
「いや・・・メタルクラスタの壁粉砕されたんだけど」
火力はバケモン並みにしておいた。
「そのせいで俺二日意識なかったぞ!?」
「そんだけ威力が高いってことなんだな・・・にしても倒したはずの錬金術師二人が生きてたとはな」
「けど、サンジェルマンさんと同じく味方をしてくれるみたいですし安心です!」
「それにしてもあーくとやらは全ての機器を操作できるほどの力を持つというのか・・・」
「けどどうして今までそうしなかったのでしょうか?」
神の力を手にするまではアークの力はまだ不完全だったんだ、んでもって神の力を手にしたからかつての力を取り戻して機器の操作ができるようになったってわけ。
「なるほどな・・・ってそれ逆に考えたら今のアークは本編と同じってことか?」
そういうわけ。
「頭痛くなってきた、急いでくれよ神・・・」
さてさて緊張も高まったところでいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
以前の質問にて女性ものの下着を身に着けている継菜真に質問
その下着はどんなタイプを好んでいるのですか?
お子様系? アダルト系? 可愛い系? 綺麗系? 小悪魔系? それともアブナイアダルト系?

「とんでもない質問ぶっこんで来たな!?」
ほらサッサと言えよ。
「くっ・・・! シンプルな綺麗系をつけてるよ」
ほほぅ、それはなz『それ以上質問するとプログライズホッパーブレードで頭部を輪切りする』質問ありがとうございました、ではそろそろ〆ましょう!

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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特別編16:マリアの誕生日2


特別編第十六話、今日はマリアの誕生日パート2だ。
「前回の奏の誕生日からペースが速いな」
お陰でどういう内容にするか考える暇がなかった・・・。
「それでも書き終えてる辺り立派に作者してるなお前」
「前回のマリア姉さんの誕生日は私がケーキを作ってあげました」
「今回からはうちと桃恵も参戦しておるからどうなるかのう?」
「まぁそこは楽しみにしましょう」
よし、それでは特別編どうぞ!


「というわけで皆さん」

 

「どうすればマリアの誕生日を盛り上げられるか」

 

「一緒に考えてほしいデース!」

 

突然セレナ達に呼ばれた真達はリビングに集まり『マリアの誕生日を考えようの会』と書かれた垂れ幕の元、話し合いをしていた。

 

「・・・いやナニコレ?」

 

 

~閑話休題~

 

 

垂れ幕を片付けてから改めて話し合いを始める。

 

「では改めてマリア姉さんの誕生日をどう盛り上げましょうか一緒に考えましょう」

 

「また唐突だな・・・と言いたいところだが誕生日は明後日だもんな」

 

「デース・・・だから悩んでいるのデス」

 

「ケーキや料理を作ったりするのは去年やったし・・・」

 

「マリアさん、何か欲しそうにしてたものってありましたっけ?」

 

「いや、そういったことは聞いたことないな」

 

「ん~、いざ考えるとなるとやっぱ難しいよな・・・」

 

「というより最近マリアさん仕事で忙しそうだし大丈夫なのかな?」

 

「そういやちらっと顔見たけど結構クマがひどかったな」

 

「となるとあまり負担をかけないものが良いな・・・じゃがどうしたものか・・・」

 

「・・・あっ、それならあれなんかどうでしょうか?」

 

皆が頭を悩ませていると、桃恵が提案を出す。

 

「桃恵、あれってなんだ?」

 

「テレビで動物喫茶店の特集をやってたんです、動物たちに囲まれてお客さんたちが癒されていましたからマリアさんも癒されるんじゃないかと思って」

 

「動物喫茶店!?何それすっごくよさそう!」

 

「ああ、それはとてもよさそうだな」

 

桃恵の提案に響や真が賛成するが、翼が横入りをする。

 

「しかし如月妹、動物喫茶をやるにしても肝心の動物はどうするのだ?」

 

「だな、今から動物を集めるったって無理があるだろ・・・」

 

「あっ・・・そうですよね・・・」

 

「いやいや、桃恵さんの提案悪くないデース!」

 

実現不可能なことに桃恵が落ち込むと、切歌が横やりを入れる。

 

「けど切歌ちゃん、動物が集めれないんじゃ動物喫茶は無理なんじゃないかな?」

 

「ふっふーん!実はそれに関してアタシつてがあるんデスよ!」

 

「本当ですか暁さん!?」

 

「デース!明日そのつてに聞いてみるデース!」

 

「凄いよ切歌ちゃん!これで誕生日は大丈夫だね!」

 

切歌の提案でみんなはワイワイと盛り上がる。

 

「・・・なぁクリス」

 

そんな中、真はこっそりとクリスと耳打ちをする。

 

「・・・なんだ」

 

「俺さ・・・なんだか嫌な予感がするんだが」

 

「・・・奇遇だな、あたしもだ」

 

二人は感じる嫌な予感にため息をついた。

 

 

 

 

 

「ふぅ・・・大分仕事も終わって来たわね・・・」

 

8月7日、夜中に仕事を終わらせたマリアは帰路についていた。

 

「そういえば切歌達今日は私の誕生日だから家で準備するって言ってたわね・・・ふふっ、どんな準備をしているのかしら」

 

マリアは何が待ってるのか楽しみにしながら、家の扉を開けると・・・。

 

「お帰り、マリア姉さん!」

 

「御帰り、マリア」

 

「お帰りデース!」

 

玄関を開けると奥からセレナ、調、切歌の三人が駆け付けてくる。

 

「あら三人とも、わざわざあり・・・っ!?」

 

マリアは出迎えてくれた三人にお礼を言おうとした瞬間、三人の姿を見て固まる。

 

三人が身に着けていたのは俗にいう『メイド服』と呼ばれるものだった、ただこれだけならマリアは固まったりしない、なら何がマリアを硬直させたのか。

 

それは三人がメイド服の他にも『動物の耳やしっぽ』を身に着けていたからだった。

 

「どうしたんですか、マリア姉さん?」

 

「およよ?マリア固まってるデスか?」

 

「マリア、しっかりして」

 

「・・・・・・っは!!」

 

セレナは猫、切歌は犬、調はウサギのつけ耳と尻尾を身に着け固まったマリアを心配そうに見つめると、ふとマリアが我に変える。

 

「危なかった・・・あまりの可愛さに危うく倒れるところだったわ・・・」

 

マリアは冷や汗を拭いて三人の方に振り向く。

 

「マリア姉さん、これ似合ってますか?」

 

「ええ可愛いわよ三人とも、あまりの可愛さに意識が飛んでしまうほどにね」

 

「そうなんだ、よかった・・・!」

 

「作戦成功デース!」

 

三人が喜んでいると、奥から犬メイドの姿をした響がやって来る。

 

「あっマリアさんおかえりなさい!もう誕生日の準備できてますよ」

 

「立花響! あなたも付けてたのね・・・」

 

「はい、切歌ちゃんの提案で」

 

「切歌の?」

 

「デース!元々は桃恵さんが提案した動物喫茶店をやろうとしたんデスが、動物を集めるのは難しいって話になってたんデス」

 

「まぁそうよね・・・」

 

「それでふと思い出したんデス、前うちのクラスで学祭で動物メイド喫茶をやってその時に使った衣装をどうしようかって話してたんデス」

 

「それで切歌ちゃんその人達から衣装を借りて『動物がいないならあたしたちが動物になればいいデース!』って言って今に至ります」

 

「そうだったのね・・・ん?ということは翼達もそれを身に着けているというのかしら?」

 

「はい、翼さんやクリスちゃん、真さんは恥ずかしがって奥にいますけどちゃんと皆着てますよ」

 

マリアはその事を聞くと、セレナがマリアに問いかける。

 

「マリア姉さん、最近疲れているから動物喫茶で癒してあげようってなったんですけど・・・癒されました?」

 

「・・・ええとっても、ありがとう皆」

 

マリアのお礼の言葉にセレナたちは嬉しそうにする。

 

「さて・・・それじゃあ早く翼たちの姿も拝見しましょうか」

 

「分かりました!翼さ~ん!クリスちゃ~ん!真さ~ん!マリアさんが呼んでるよ~!」

 

マリアは今日の誕生日を盛大に楽しみ、仕事の疲れをとったようでした。





さて後書きの時間だ。
「よし作者、地獄を楽しみな」
エターナルは勘弁してください。
「今回は動物メイドのコスプレか・・・考えたな」
いやどうしようかと考えた結果こうなりました、後悔はありません。
「因みにだれがどんな動物だったんですか?」
主にこんな風です。

真、響、切歌、紫苑:犬

未来、セレナ、翼、桃恵:猫

調、奏、クリス:兎(クリスはバニー)

・・・とこんな感じ。
「いろいろ言いたいことはあるが一つ聞かせてくれ、何でクリスはバニーガールだったんだ?」
えっ?だって一番似合いそうだから『ダンッ!!』・・・。
「作者さんの脳天に弾丸が!?」
「クリスのロングレンジ狙撃か・・・腕をあげたな」
「ところで今回も花はちゃんとあるのか?」
「ああ、ここにあるぞ」
「これは・・・『ザクロ』じゃな、集落の近くの森に生えておったぞ。
「おっよくしてるな、作者の遺言だとこの花の花言葉は『円熟した優雅さ』だそうだ」
「優雅さ・・・マリアさんに似合いますね」
だろ、マリアに合う花言葉だよな。
「うわっ!?生きてた!」
あれしきのことで死んでたまるか、それじゃあそろそろ〆るぞ。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!マリア!』


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激闘


AXZ編第二十七話、前回のあらすじは?
「誕生したディバインマギアの力にぶっ飛ばされてしまう俺」
「そして危機的状況に現れたのは倒したはずのカリオストロとプレラーティだった」
「そして響さんの機転で五人は何とかその場から立ち去ることが出来ました」
「それから二日後、真が目を覚ましたところで作戦会議が行われたぞ」
「そして私たちは勇気を胸に秘め、戦いの場へと向かって行きました」
はいOK、それじゃあAXZ編第二十七話、どうぞ!


作戦を決行し真達はディバインマギアのいるポイントまで駆け付けると、そこには壊れたおもちゃのように破壊された戦車の山が築かれており、その奥でディバインマギアが暴れていた。

 

『アァァァァァァァ!!』

 

ディバインマギアはまだ真達に気づかず近くの建造物を破壊していく。

 

「此処まで被害が及んでいるとは・・・!?」

 

「みんな、ここであいつを止めるぞ!」

 

ウェ

 

真の言葉と共に真達仮面ライダー達はドライバーを身に着け、響達装者達はギアペンダントを握り締め、サンジェルマン達錬金術師はラピスを手に取る。

 

エブリバディジャンプ!!

 

『『ダインスレイフ!』』

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

オーソライズ!

 

『『オーバーライズ!』』

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

プログライズ!

 

Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise! Let`s Rise! Le!Le!Let`s Rise!

 

それぞれが構え、同時に変身する。

 

『変身!』

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

メタルライズ!

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

『『フォースライズ!』』

 

Secret material! 飛電メタル!メタルクラスタホッパー!

 

『START,UP!イグナイトガングニール!

 

『START,UP!イグナイトアガートラーム!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

It's High Quality.

 

『『Cursed melody turns into power.』』

 

『『Break Down.』』

 

『イグナイトモジュール、抜剣!』

 

ダインスレイフ

 

真達は仮面ライダーに変身し、響達はギアを纏うと同時にイグナイトを起動させ、サンジェルマン達はファウストローブを身に纏う。

 

「この後にあるであろうアークのことも考えて、短期決戦で行くぞ!」

 

真の叫びで全員はディバインマギアへと向かう中、ディバインマギアは真達の存在に気が付く。

 

『アァァァァァァァ!!』

 

ディバインマギアが雄たけびを上げると、その衝撃で周辺の瓦礫が吹き飛び攻めよった真達も吹き飛ばされ掛けるが押し留まる事が出来た。

 

「くっ・・・叫びだけで此処までかよ!?」

 

「私語を慎め、来るぞ!」

 

サンジェルマンが叫んだ瞬間、ディバインマギアは高速で真達に迫り殴りかかるが、寸前で飛び出した響が変形させたバンカーを振り抜きディバインマギアの拳とぶつかり合う。

 

響が作った一瞬の隙に全員すぐさまディバインマギアから距離を取った瞬間、響は力負けしてしまい吹き飛ばされるが、吹き飛ばされた先で真が響を受け止める。

 

「はぁっ!」

 

「デェス!」

 

最初に攻撃を仕掛ける切歌と調は大量の丸鋸と刃をディバインマギアへと放つ。

 

α式 百輪廻

 

切・呪リeッTぉ

 

放たれる同時攻撃だが、ディバインマギアはその弾幕とも呼べる量を高速で躱していく。

 

「そんな!?」

 

「あれだけのパワーを持つ上素早いんデスか!?」

 

二人が驚くその瞬間にディバインマギアはすぐに二人に迫り殴り飛ばす。

 

「月読さん!暁さん!」

 

「ならば・・・動きを封じる!」

 

翼はアームドギアを天に掲げると、上空から大量の剣がディバインマギア目掛けて降り注ぐが、ディバインマギアの全身に巻き付かれていたチューブがまるで鞭のように降り注ぐ剣を全て弾き飛ばしてしまう。

 

「あれだけの剣を・・・だがそれは囮だ!」

 

ディバインマギアが剣を全て弾き飛ばした瞬間、セレナがディバインマギアの影に大量の短剣を投げつけ動きを封じる。

 

SHADOW†BIND

 

緒川から教わっていた影縫いでディバインマギアの動きを封じるが、ディバインマギアは激しく抵抗し短剣がどんどん抜けていく。

 

「影縫いが効かないなんて・・・でも一瞬でも動きを封じることができればいいです!」

 

影縫いで動けない間に三方向からクリス、桃恵、未来の三人が遠距離攻撃を仕掛ける。

 

「ハチの巣になりやがれ!!」

 

BILLION MAIDEN

 

閃光

 

ガトリングカバンショット!

 

三人同時に放たれた弾幕がディバインマギアに直撃し爆発を起こすが、ディバインマギアに傷一つついていなかった。

 

「どんだけバケモンなんだよ・・・!?」

 

ディバインマギアはその場から動かず両腕で勢いよく地面を殴りつけると、地面がひび割れひびが三人の元まで向かい三人の足元の地面が爆発し三人が吹き飛ばされてしまう。

 

「雪音!小日向!如月妹!」

 

三人が吹き飛ばされし翼とセレナの視線が三人に向けられた瞬間、ディバインマギアは二人に一瞬で迫り二人を殴り飛ばしてしまう。

 

「翼!セレナ! やってくれたわね!」

 

「まりあよ、共に行くぞ!」

 

マリアと紫苑が短剣とアタッシュカリバーを手にディバインマギアに迫り、ディバインマギアは二人に向けてチューブを振るうとチューブが直撃した二人は水となって消える。

 

「それは水に写った幻じゃ、お主と同じおーとすこあらーのがりぃの得意技じゃ」

 

迫る直前、予め紫苑はガリィが得意としていた水による幻を張っており、ディバインマギアが油断したすきに本物のマリアが背後から燃え盛る短剣で、紫苑がフリージングベアープログライズキーを装填したアタッシュカリバーでディバインマギアの背中を切り裂いた。

 

SERE†NADE

 

フリージングカバンストラッシュ!

 

二人の同時攻撃でディバインマギアの背が傷つくが、ディバインウェポンと同じようなことが起きその傷が一瞬で消えてしまう。

 

「神の力によるなかったことにされるダメージ・・・!」

 

「やはりこの姿になってもそれは顕在か・・・!」

 

二人がディバインマギアの性能を確認すると、チューブが二人を捕らえ二人を弾き飛ばす。

 

ディバインマギアは二人に追撃しようとした瞬間、ディバインマギアの周りに土と氷で出来た壁が現れ、その周辺を炎と風が渦巻いて閉じ込める。

 

「私達を嘗めないで貰いたいワケだ」

 

「現役錬金術師の実力、いかがかしら」

 

プレラーティとカリオストロが張った錬金術による四大元素の壁をディバインマギアが破壊しようとすると、上空から無数の黄金の弾丸が撃ち込まれる。

 

ディバインマギアが上を見上げると、スペルキャスターを構えたサンジェルマンが降って来て銃弾を何発も打ち込むと刃を繰り出しディバインマギアに切りかかるが、ディバインマギアは右腕にチューブを束ねサンジェルマンのスペルキャスターを受け止める。

 

「受け止めるか・・・だが次は受け止められるか?」

 

サンジェルマンが身をずらすと、その後ろからアームドギアを構えた奏が降って来て空いた左腕にアームドギアを突き刺す。

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

奏はアームドギアを左腕に突き刺すと穂先を回転させる。

 

LAST∞METEOR

 

穂先が回転することでアームドギアは深々と突き刺さり、ついにディバインマギアの左腕を切り飛ばす。

 

『アァァァァァァァ!!』

 

左腕がちぎれるとディバインマギアは叫び二人を壁ごと振り払い、傷をなかったことにしようとするが傷は治ることはなかった。

 

「どうやらまだ神殺しの力は有効そうだな」

 

奏が纏うガングニールも響や真と同じく神殺しの力を備えており、ディバインマギアの修復を阻害することに成功していた。

 

「ディバインマギアの片腕を破壊した!叩くなら今よ!」

 

サンジェルマンの号令と共にほとんどがディバインマギアに迫る瞬間、ディバインマギアは逃れるために上空へと跳躍した。

 

跳躍したディバインマギアは破壊された左腕をいつの間にか握っており、千切れた腕にエネルギーを込めると、左腕は赤黒く発光する。

 

「あれは・・・っ!?全員即座に退避し防御しろ!」

 

サンジェルマンはその輝きを見てすぐさま退避と防御を命じるが、それと同時にディバインマギアはエネルギーを込めた腕を地面目掛けて投げつけた。

 

その場を離れた瞬間腕が地面に突き刺さり、まるでミサイルが直撃したような大爆発がその場にいた全員を呑み込んだ。

 

 

 

爆煙が辺りを包み込み、ディバインマギアの着陸と共に煙が晴れると、サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティの三人が錬金術のバリアで装者と仮面ライダーを爆発から守っていた。

 

だがあれほどまでの爆発を完全に防ぎきるのは不可能であり、その場にいたみんなは膝をついてしまう。

 

皆が膝をつく中、ディバインマギアはチューブを残った右腕に集中させエネルギーを右腕に集める。

 

チューブによって数倍にも肥大化した右腕からは溜められたエネルギーによって赤黒いスパークが発せられており、先程の一撃よりも強力なのをその場にいた全員が理解する。

 

『アァァァァァァァ・・・・・・!!』

 

ディバインマギアがエネルギーを溜める中、上半身を起き上がらせたサンジェルマンがディバインマギアに向けて語り掛けた。

 

「まさかここまでとは・・・威力だけなら二日前のディバインウェポンよりも強力の様だ・・・だが」

 

そう言うとサンジェルマンは不敵に微笑む。

 

「貴様は忘れているようだなティキ、貴様を倒した二人の英雄のことを・・・!」

 

その言葉とともに、ディバインマギアの背後から輝きが発せられる。

 

ディバインマギアもそれに気が付き後ろに振り返ると、そこには拳を構える響と真がいた。

 

「気づいたようだな、我々は最初から陽動・・・彼女達こそが貴様を討つエーズインザホール・・・文字通りの切り札よ!」

 

彼女達が立てた作戦では、ディバインマギアが神の力を使ったダメージの無効化を使う可能性を考慮しており、それを打ち倒せる可能性を持つ神殺しの力を込めたガングニールを切り札にした。

 

真が響を受け止めてからサンジェルマン達がディバインマギアを引き付けている間、響は限界までエネルギーをチャージしていた。

 

本来なら同じガングニール使いである奏も切り札として響と行動させる予定だったが、奏はその役目を真に託した。

 

「神殺し二振りの方が強力なのは承知しているが・・・響を最大限支えれるのは真以外にいないだろ」

 

奏がそう言うと、真と響は構える拳を繋ぎ合わせる。

 

「行くぞ、響!」

 

「はい、真さん!」

 

二人が言葉を交わすと響のアームドギアと真の飛電メタルが重なり合い一つの巨大な拳に形を変える。

 

それはかつてキャロルを止めた『Glorious Break』に酷似していたが、違うのはその拳が銀と黒色のギアで形成されている事と、暗い色とは裏腹に白い輝きに染まっている事だった。

 

響と真が手を繋ぐことで真の飛電メタルにも一時的に神殺しの特性が付与された結果である。

 

それを見たディバインマギアは本能に近いもので脅威を知り、その殺気を二人に向け二人目掛けて飛び出すと同時に、二人もディバインマギアに向かって飛び出した。

 

『アァァァァァァァァァァ!!!』

 

「「ハァァァァァァァァァァ!!!」」

 

三人の距離がどんどんと縮まり、近距離になった瞬間ディバインマギアの赤黒い拳と、響と真の輝く拳がぶつかり合った。

 

ぶつかりあった衝撃で周囲の地形が崩れ吹き飛び、周りの建物すらも余波で崩壊していく。

 

拮抗する三人の拳・・・そして先にその拮抗が崩れたのはひびつくディバインマギアの拳だった。

 

『ッ!!!』

 

二人分の神殺しによる一撃でディバインマギアの拳はどんどんと壊れていく。

 

「「ハァァァァァァァァァァ!!!」」

 

そして全力で振るった二人の拳はディバインマギアの拳を砕き、ディバインマギアの体を捕らえた。

 

『アァァァァァァァァァァ!!?』

 

ディバインマギアの断末魔に近い悲鳴が辺りに響き渡り、そして二人の拳はディバインマギアの体を打ち砕いた。

 

身体が打ち砕かれ、ひび付いたからだから光が漏れ出すディバインマギアは最後に言葉を紡いだ。

 

『ア・・・ダ・・・ム・・・』

 

その言葉を最後にディバインマギア・・・ティキは爆発した。

 

 

 

ティキが爆散した後、二人はティキの残骸に視線を向ける。

 

首だけとなったティキは白目を剥きながらも二人の方に視線を向けて口を開く。

 

『ア・・・リ・・・ガ・・・ト・・・』

 

そう言い残すとティキの瞳から透明な液体が一粒流れ、ティキは完全に停止した。

 

「真さん、彼女最後に・・・」

 

「ああ、結局のところあいつもアークの被害者だ・・・」

 

二人が停止したティキに悲し気な視線を向けると、響は膝をつきイグナイトを解除する。

 

「大丈夫か響?」

 

「はい・・・けど、さっきの一撃で体力が・・・!」

 

響が膝をつくと同時に、イグナイトを解除したみんながサンジェルマン達を連れて集まる。

 

「くそ・・・体力を大分削られた・・・!」

 

「ああ、ディバインマギアで体力を消耗するのは予測していたが此処までとは・・・」

 

「その上、あーし達錬金術師はもう錬金術出来る体力が残ってないわ・・・」

 

「済まないが、私達は此処までのワケだ・・・」

 

「はい、後は任せてください・・・!」

 

響の言葉にサンジェルマン達はS.O.N.G直行のジェムを地面に叩きつける。

 

「後は頼んだわ・・・あなた達に人類の希望を託す・・・!」

 

そう言い残しサンジェルマン達は戦場から去った。

 

「とにかく、アークが来る前に少しでも体力を回復しないと・・・」

 

「その結論は認められないな」

 

真が喋った瞬間、みんなは声のした方を振り返るとそこにアークが降り立った。

 

「私の結論通り、ディバインマギアとの戦闘で疲弊しきった貴様らが勝利する可能性は0だ」

 

「アーク・・・!」

 

その瞬間、アークの腰に黒いオーラが纏わりつき、アークドライバーゼロが身に着けられる。

 

「変身」

 

アークライズ!

 

アークの周りに黒いオーラが生成され、それがアークの体に纏わりつき仮面ライダーアークゼロへと変身する。

 

オール・ゼロ...

 

「今ここで、仮面ライダーとシンフォギア装者を絶滅させる」

 

今、アークとの決戦が行われる。





さて後書きの時間だ。
「ディバインマギアを倒すことが出来たが・・・なんだかやるせないな」
「結局のところ、あいつも被害者ってことだな」
「はい、大事な人を思っての行動なのにそれすらも利用されたんですから・・・」
「うむ、それも全てあーくのせいじゃ、ここでやつを打ち倒して見せるぞ!」
「うん、みんなが力を合わせればきっと勝てるよ!」
やる気を出してるな・・・そんなお前たちのやる気をさらに上げよう。
「上げるって・・・まさか?」
ああ、次回でAXZ編は最終回だ。
「・・・ついに来たんだな、此処まで」
ああ、アークを倒してきちっとAXZ編を終わらせて来い!
『はい!』
よしっ、それじゃあいつもの行きますか!

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
『G』編のトラウマのシーンを、書きたくないと騒いだり落ち込んだりした真紅林檎さんに質問
私はネフィリムが響の腕を喰い千切るシーンよりも暴走した響が巨大カエル型ノイズを体内からボコボコにするシーンの方がトラウマ気味です。
あなたはどうですか?

俺への質問か・・・俺はそこはあまり気にしなかったな。
体内からボコボコにするシーンより推しの腕が食いちぎられたことが大きくてあまり衝撃を受けなかったな。
「まぁあれは普通にショックだからな・・・」
まっそういう事だな、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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涙を重ねる度、証明される現実は


ついにAXZ編最終話!前回のあらすじは?
「作戦を決行し戦場に向かったあたしら」
「みんなの力を合わせてディバインマギアと化したティキと戦いました」
「最初は苦戦してしもうたが、最後には真と響が決めてくれよったぞ!」
「そして破壊されたティキは二人にお礼を言って活動を停止しました」
「そして休む暇もなく、アークが現れて決戦の火ぶたが切って落とされた!」
よしOK、錬金術師との戦いもこれで最後、勝つのはどちらか、それではAXZ編最終話、どうぞ!


真達の前に現れたアーク、だがそのオーラは二日前のそれとは格段に違っていた。

 

(アークが手にした神の力は半分以下だというのにこの気迫・・・おそらくこれが本来のアークの力・・・!)

 

「神の力を手にし、私は完全な力を取り戻した・・・もはやお前たちに勝機はない」

 

アークの言う言葉にその場にいた誰もが理解していた、神の力を手にし圧倒的なまでの力を手にしたアークに勝ち目などあるのかと誰もが頭によぎった・・・だが。

 

「・・・だとしても」

 

だが、まだ諦めていない少女がいた。

 

「人類は何度も過ちを犯し、悪意を振りまき、この星を汚す病魔・・・人類を滅亡させることでこの世界は正しき世界へと変わる」

 

「だとしても!!」

 

響はアークの言葉を横切り、大声で叫ぶ。

 

「人は確かに間違いをするかもしれない、でも私は人の善意を・・・希望を信じて守る!」

 

響の言葉に仲間たちもアークに立ち向かう。

 

「ああ、この馬鹿の言う通りだ!」

 

「アーク・・・あなたの言うことも理解できます!」

 

「お前が語ったように、私達人類は過ちを犯した!」

 

「けれど、その過ちを後悔し、立ち直る人達がいます!」

 

「だから、ナンチャラの一つ覚えで、何度だってやり直して見せるデス!」

 

「諦めずに、何度でも!」

 

「何度でも繰り返すことで、一歩ずつ人は希望へと前進するのじゃ!」

 

「悪意に染まったとしても、希望を掴むことができます!」

 

「だから絶対に、お前に人類を滅亡させたりしねぇ!」

 

「たかだか完全を気取る程度で・・・私たち不完全を滅亡できると思うてくれるな!」

 

クリス、未来、マリア、セレナ、切歌、調、紫苑、桃恵、奏、翼がそう言い放つと、真が響の横に立ちアークに向けて武器を構える。

 

「アーク・・・お前の野望を止めて見せる!」

 

『使用BGM:アクシアの風』

 

「既に結論は決まっている、貴様たちに希望などない!」

 

アークはアタッシュカリバーを二本生成し両手に持ち構える。

 

アルカノイズも繰り出さず、一騎で真達に立ちはだかる。

 

「人でなしにはわからない!!」

 

その言葉と同時に全員はアークに向かって行った。

 

負けない愛が拳にある(花咲け)

 

先陣を切る響の攻撃をアークは躱しカウンターを決め響を吹き飛ばす。

 

美しき刃で月下に翼舞う

 

響が吹き飛ばされると同時に翼は『風輪火斬・月煌』を放つが、アークはアタッシュカリバーで防ぎきってしまう。

 

GUN BULLET X(kiss)力に変わる(容赦しねぇ)

 

クリスは未来と共に弾幕や光線を放つが、アークは黒い氷の壁を錬成し全て防ぎきる。

 

Stand up! Ready!!示せ!天へと向かい

 

マリアは『TORNADO†IMPACT』を放ちアークに迫るが、直前で地面から大量の黒色が混じった金が飛び出しマリアを吹き飛ばしてしまう。

 

メロディ 明日(あす)に繋ぐんだ

 

朝光(サンシャイン)となり

 

KIZUNA

 

切歌と調は互いのアームドギアを重ね球状になり回転しながらアークに迫るが、アークは黒い風で止めてしまい、二人は吹き飛ばされてしまう。

 

絶対あきらめないんだ!戦うことから

 

そこに奏とセレナが迫り互いにアームドギアで攻撃するが、すべて見切られてしまい手痛い反撃を受けてしまう。

 

「くっ!?こっちの攻撃が当たらねぇ・・・!」

 

「これがアークの本当の力・・・!?」

 

このハー

 

 

「じゃが、それでも立ち向かうのじゃ!」

 

「そうすれば、必ず勝機が見えてくるはずです!」

 

 

け!

 

響き合え!!

 

紫苑と桃恵も錬金術を纏った武器で攻撃するが、アークもアタッシュカリバーに黒い炎を纏わせ二人の攻撃を防ぎ切り払う。

 

全霊込めて歌え!そして紡ぐんだ

 

真もアタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードの二刀流に加え飛電メタルによる攻撃を放つが、飛電メタルはアークのオーラに全て防がれてしまい真自身の攻撃も防がれカウンターを食らってしまう。

 

 

 

 

 

 

その後も全員で波状攻撃を仕掛けるが、アークは全ての攻撃を予測しておりアークに一発も当たらずにいた。

 

その戦いの様子を弦十郎達と戻ったサンジェルマン達がモニター越しに見ていた。

 

「装者六人によるユニゾンでフォニックゲイン上昇・・・ですが!」

 

「まるで攻撃が当たらない・・・これじゃあいくらフォニックゲインを高めても!?」

 

「それに、これだけじゃXDの起動にも届かないわ・・・!」

 

「くそっ!アークの結論の予測が此処までとは・・・!」

 

「それに加え、アークにはアダム・ヴァイスハウプトの錬金術もあります・・・!」

 

「鬼に金棒・・・悪意に錬金術って訳ね・・・最悪ね」

 

「状況は最悪以上の最悪なワケだ・・・!」

 

「・・・けれど、あの子達ならきっと・・・!」

 

「今は信じるしかありません・・・」

 

「ああ・・・彼女達の奇跡を・・・!」

 

唱、律、掲げよう

 

「絶対に諦めない!」

 

「どんな状況だとしても、絶対に!」

 

響と真が前に出て同時に攻撃を仕掛ける。

 

「無駄なことだ、XDを起動するほどのフォニックゲインも溜まっていないこの状況、既に貴様らの敗北は結論づいている」

 

アークは攻撃を躱しながら反撃し、響と真は防ぎながらチャンスをうかがう。

 

絶対あきらめないんだ!戦うことから

 

「諦めて滅亡されろ、人類」

 

このハー

 

 

アークは二人を風で上空へと吹き飛ばし黒い氷柱を放ち、二人は氷柱を避けて壊す。

 

 

け!

 

響き合え!!

 

その瞬間、此処までの戦いの影響でアークの足元が崩れアークの体勢が崩れる。

 

全霊込めて歌え!そして紡ぐんだ

 

二人はその隙をつき響は限界までバンカーを引き絞り、真はキーを押し込む。

 

メタルライジングインパクト!

 

 

 

 

 

「このチャンス!つかみ取る!」

 

翼達も二人の攻撃を届かせるためにアークに攻撃を仕掛け、アークは翼たちの攻撃を防ぎ完全な隙が生まれる。

 

 

全員が作ってくれた隙をつき、二人はアークに向け全力の拳と蹴りを放つ。

 

「歌死なない!」

 

二人の攻撃はアークに当たり、爆発を起こした。

 

全員あれでアークを倒しきれるとは思っていない、手痛いダメージを与えることが出来ればと考える。

 

・・・だが、その希望は爆煙の中から現れる傷一つないアークの姿を見て崩れてしまう。

 

「な・・・っ!?」

 

「嘘だろ・・・!?」

 

それどころか、アークの腕はしっかりと二人の腕と拳を掴んで受け止めていた。

 

「残念ながら、この状況はすでに結論づいていた」

 

体勢を崩したのも、あえて二人に隙を作ったのも、すべてアークの思惑通りだった。

 

「さぁ、終わらせよう」

 

アークは掴んだ二人をそのまま投げ飛ばす。

 

「立花!!継菜!!」

 

「翼!よそ見するな!」

 

投げ飛ばされる二人に視線を向けてしまう翼に奏が注意し翼が視線を戻そうとするが、それよりも先にアークの放った黒い斬撃が二人を襲った。

 

「翼!奏!」

 

「来ます!マリア姉さん!」

 

アークは武器を捨て、アタッシュショットガンを生成しマリアとセレナに向けて放つ、二人は何とか避け切るが、避けた先にアークが迫っていて二人を蹴り飛ばしてしまう。

 

「マリア!セレナ! クッソォォォ!!」

 

「このぉぉ!!」

 

クリスと未来は弾幕を張るが、アークはアタッシュアローと周囲に大量のショットライザーを生成し二人の弾幕に向けて放つ。

 

弾幕は次々に撃ち落とされ、そして全て撃ち落とされてしまい残ったアークの弾幕が二人を襲った。

 

「先輩方!」

 

「行くよ切ちゃん!」

 

切歌と調はアークに攻撃を仕掛けるが、アークは大量の氷柱を放ち二人の動きを誘導し、二人の足元に陣を生成すると二人は氷漬けにされてしまい、アークの放った黒い風で吹き飛ばされてしまう。

 

「おのれ、貴様!」

 

「絶対に許しません!」

 

紫苑と桃恵も錬金術で対抗するが、アークの繰り出した金の壁に全て防がれてしまい、逆にアークの放った黒い炎が二人を襲った。

 

「この攻撃で、お前たちは滅亡する」

 

全員がアークの攻撃を受けると、アークはアークローダーを押し込む。

 

オールエクスティンクション

 

押し込むとアークが宙に浮かび、掲げた右手に黒いオーラと赤、青、黄、緑の四色が混じり合ったようなエネルギーが生成される。

 

そして溜められたエネルギーはまるで雫のようにアークの手から零れ落ち、地面に落ちてしまう。

 

地面に直撃した瞬間、エネルギーは一瞬に肥大化し全員を呑み込んで大爆発を起こした。

 

 

オールエクスティンクション

 

その爆発は周囲の建物を吹き飛ばしてしまうほどの衝撃だった。

 

「このエネルギー・・・!?」

 

「みんな!聞こえるか!?」

 

爆発が収まったころには、真達は変身が解除され地面に倒れ伏していた。

 

「っ・・・・・・ぁ・・・・・・!」

 

全員が満身創痍の中、アークはその中心に降り立つ。

 

「これが結論だ、覆されることのない絶対だ」

 

「・・・・・・だと・・・しても・・・!」

 

アークがそう言い放つと、真はボロボロになった体を起き上がらせる。

 

「それでも・・・俺たちは・・・諦めない・・・・・・!」

 

「真・・・さん・・・」

 

起き上がる真の姿に倒れ伏す響達も、アークも視線を向ける。

 

「どんなに・・・絶望的だったと・・・しても・・・俺たちは絶対に・・・夢を・・・希望を守って見せる・・・!」

 

ボロボロになりながらも立ち上がり、絶対あきらめないその姿にアークはとある人物を重ねる。

 

決してあきらめず立ち上がり、夢を叶えると豪語し、自分を打ち倒した『男』の姿を真と重ねる。

 

「どこまででも諦めないか・・・ならば先に滅亡しろ、ゼロワン!!」

 

アークは怒りをあらわにし指先にエネルギーを溜め、光線を真に向けて放った。

 

「真さん!!?」

 

響の叫びと共の光線が真を貫こうとした・・・

 

 

 

 

 

瞬間、天から何かが降って来て、それが光線を防いだ。

 

「何っ!?」

 

この状況には、さすがのアークも驚いてしまう。

 

「これは・・・?」

 

真を守った物、それは光り輝く『プログライズキー』だった。

 

真がそれを掴むと、真の脳裏に声が響く。

 

『・・・お待たせ真君!』

 

「っ!?・・・この声、神!」

 

『ええ、ようやく完成したわ、アークを倒す切り札を!』

 

「っ・・・遅いんだよ、ギリギリだ」

 

『ええ、本当にギリギリだったわ・・・だからこそ最高の力に仕立て上げたわ』

 

真の手にするキーは更に輝きだし、そして黄色と水色が混じり合ったプログライズキーに姿を変える。

 

『さぁ、見せてあげなさい・・・『絆の力』を!』

 

そう言って声が聞こえなくなる。

 

「・・・ああ、分かってるさ」

 

真はキーを握り締め立ち上がり、ライズスターターを押し込む。

 

エクシード!

 

押し込んだ瞬間、プログライズキーは光の粒子となり、半分に別れ片方はドライバーに、もう片方は真の手に集まり形作る。

 

ゼロワンドライバーには黄色いユニットが取り付けられ、真の手には今までのプログライズキーとは違った形状のプログライズキーが握られていた。

 

「それは・・・!?」

 

そのドライバーを見てアークは更に驚く。

 

「『ゼロツードライバー』・・・悪意を打ち倒す、進化したゼロワンだ!」

 

真はキーを握り締め、アークに向き直る。

 

「アーク・・・お前を倒す!」

 

真は左手でゼロツードライバーにユニットを展開し、『ゼロツープログライズキー』のライズスターターを押し込む。

 

ゼロツージャンプ!

 

Let’s give you power!

 

ユニットを展開するとドライバーから『02』の形をしたホログラムが飛び出し真の周りを周回する。

 

そして真の足元から巨大な衛星のようなホログラムが現れ、真の前に留まる。

 

「変身!」

 

ゼロツーライズ!

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

ゼロツープログライズキーを装填すると、上空からいつもの黄色い『ライジングホッパーライダモデル』に加え、赤色の『ゼロツーライダモデル』が降り立ち、衛星のホログラムが真を通り過ぎると真のみにアンダースーツが身に付けられ、その上に二体のライダモデルの装甲が身に着けられ、そしてホログラムの02が首に取り付けられマフラーのようになる。

 

It's never over.

 

その姿は先ほどまでのメタルクラスタと比べればスマートな、ライジングホッパーに赤い装甲がつけられたような姿をしていた。

 

だがその姿から発せられる力強さは倒れ伏す響達に勇気を与えていた。

 

「貴様・・・!」

 

アークはその姿を見て、怒りや憎しみと言った感情を隠しきれずにいた。

 

「『仮面ライダーゼロツー』それが俺の名だ!」

 

『使用BGM:TESTAMENT』

 

ゼロツーに変身した真は地面を踏み抜き、一瞬でアークに迫る。

 

一瞬で迫ったゼロツーの攻撃をアークは防ぎきれず一撃を喰らい、そのままアークを蹴り飛ばす。

 

「早い!あれが新たなゼロワン・・・!」

 

「行ける・・・あれなら!」

 

皆が期待する中、アークは冷静に真を見据えていた。

 

「前提を書き換え、結論を予測する」

 

アークの視界には数々の予測したゼロツーの動き、そしてそれに対応する自身に行動が映し出される。

 

「所詮はゼア無きまがい物のゼロツー、予測の力がないお前に勝ち目はない」

 

アークは此処からの最適の行動を予測し、結論付ける。

 

「予測完了」

 

アークがそう言う中、ゼロツーがアークに攻撃するが、アークはその攻撃を躱しゼロツーを殴り飛ばしてしまう。

 

「この一撃で、ゼロツーは絶滅する」

 

そう言ってアークは再びアークローダーを押し込む。

 

オールエクスティンクション

 

すると真の体を黒いオーラが包み込み宙に浮かび上がらせ、さらにその周囲に炎、水、風、土の四大元素のエネルギーが溜められる。

 

「っ!?真さん!!」

 

響が叫んだ瞬間、五つのエネルギーが集まり大爆発が真を呑み込んだ。

 

「そ・・・そんな・・・!?」

 

信じられない状況に響達は唖然とする。

 

アークは勝ち誇ったように立っていると、アークの後ろから赤いオーラが噴き出る。

 

「その結論は、すでに予測済みだ」

 

聞き覚えのある声に全員がアークの後ろに振り返ると、そこに立っていたのは傷一つない真だった。

 

「馬鹿な!?ゼアがないというのにどうやって!?」

 

「驚いている暇はないぞ!」

 

驚きを隠せないアークに真は殴り飛ばす。

 

アークは攻撃を仕掛けるが真は全て防ぎアークに攻撃を当て続ける。

 

「馬鹿な・・・ゼアもなしにどうやって予測をしているというのだ!?」

 

アークは真を蹴り飛ばすが、その瞬間アークの後ろから真が現れアークを蹴り飛ばす。

 

ゼロツーの最大の力、それはゼロツーに搭載されている演算処理装置『ゼロツーアリスマテック』による超高速ラーニング。

 

そこから導き出せる予測の数は0.01秒に実に『二兆』通りもののパターンから最適解を見つけ出すことだった。

 

そして胸部に取り付けられた次元跳躍装置『クォンタムリーパー』によって同一世界上に様々な可能性を展開することで先ほどのような転移したかのような動きができるのだった。

 

だがゼロツーアリスマテックによる演算はゼアの力が必要であり、ゼアがないこの世界では本領を発揮できないとアークは予測していかが、神はそれを察しており、事前にゼロツーユニットにゼアの機能を搭載することで予測を可能としていた。

 

真は予測を最大限活用しアークに連続で攻撃をする様子を響達は驚きながら見ていた。

 

「凄い・・・あれが真さんの新たな力・・・!」

 

響が真に夢中になる中、アークは必死に予測をしていた。

 

相手はかつて自身を二度も倒した力、ゆえにどうやってこの状況を打破できるか必死に予測していた。

 

(どうする・・・どうすれば・・・!?)

 

だがアークの予測演算すら超えるゼロツーの演算の前になすすべもなく攻撃を喰らい続ける。

 

そしてアークが倒れる響達に視線を向けると、一つの結論を立てる。

 

「・・・結論を予測した」

 

「何?」

 

アークの言葉に疑問を浮かべる真に対し、アークは懐から大量の結晶を取り出し響達に向けて投げつける。

 

「なっ!?」

 

投げつけられた結晶はアルカノイズを繰り出し、それらは全て響達に襲い掛かる。

 

「貴様の仲間を先に滅亡させる!」

 

「くっ!みんな!」

 

真がみんなの元に向かおうとするが距離があり予測を立てるが、どう行動しても確実に誰か一人がやられてしまう結論に至っていた。

 

そしてアルカノイズ達が響達に迫り、あと少しで接触してしまうその時だった。

 

突如奏の持つガングニールプログライズキーが飛び出し、響の手に握られた瞬間、響の体が発光し衝撃が発せられ迫って来たアルカノイズが全て吹き飛ばされる。

 

「何っ!?」

 

「これはっ!?」

 

皆が驚く中、光が止むとそこにはガングニールを身に纏った響が立ち上がっていた。

 

「響!?お前何時ガングニールを・・・」

 

「えっ!?私聖詠を歌ってませんよ!?ただ突然このキーが私の手に来て・・・」

 

響の手には黄色く輝くスマッシュガングニールプログライズキーが握られていた。

 

「けど、体が嘘のように軽いです!これなら!」

 

響はそう言って跳躍し真の横に並び立つ。

 

「行きましょう!真さん!」

 

「・・・ああ、響!」

 

二人はともにアークに向かって行く。

 

「馬鹿な・・・こんな結論は予測していない・・・!?」

 

二度も予測を覆されたことに驚くアークに二人は攻撃を仕掛ける。

 

真がアークを翻弄し、響が重い一撃を与え、響に向かう攻撃は真が予測し防ぐ、二人の連携プレーでアークを追い詰めていく。

 

「もうすぐ降臨するカストディアン・・・アヌンナキをこの手に・・・!!」

 

アークは二人から距離を取り、アークローダーを押し込む。

 

オールエクスティンクション

 

アークの手に黒いエネルギーが蓄積されるが、二人は絶望していなかった。

 

「行くぜアーク、人類の力を・・・可能性の力をぶつける!」

 

「私たちの手で、みんなの希望を守ります!」

 

響は両腕のアームドギアを変形させ、真はキーを押し込む。

 

ゼロツービッグバン!

 

真は右足にエネルギーを溜めこみ、二人同時にアークに向かうと、通信機越しにサンジェルマン達の声が聞こえる。

 

『借りを返せるワケだ!!』

 

『利子付けて、のしつけて!』

 

『支配に反逆する、革命の咆哮をここに!!』

 

サンジェルマン達の、みんなの思いを背に二人はアークに向かうとアークは手にしたエネルギーを二人に向けて放つが、二人はそのエネルギーをその拳で、足で打ち砕く。

 

「「はぁぁぁぁぁぁああああ!!!」」

 

そして二人同時にアークを打ち上げると、真は縦横無尽にアークに連続で蹴り付け、響はアークの胴体に何度も両腕で殴りつけ、殴るたびにその勢いが増していく。

 

「「オラオラオラオラオラオラオラオラッ!!」」

 

二人の連撃でアークの体が宙に浮かんでいき、建造物の高さすらも超える。

 

「「おおらぁっ!!」」

 

そして二人の渾身の一撃でアークの体が宙に浮かび、その上から真がライダーキックを、下から響が腰のブースターを点火させ拳を同時にアークに叩きつけ、アークの体を貫いた。

 

 

ゼロツービッグバン

 

TESTAMENT

 

身体を貫かれたアークは、忌々しそうに二人に視線を向ける。

 

「敗れるか・・・だが、悪意がある限り、私は再び貴様らの前に現れる・・・その時こそ、貴様らを滅亡させる・・・!」

 

そう言って高らかに笑い、アークは爆散した。

 

真は吹き飛ばされる響を抱え、地上に降り立つ。

 

「これでアークは・・・パヴァリア光明結社の思惑は・・・!」

 

「ああ、俺たちの勝利だ・・・!」

 

この言葉で、パヴァリア光明結社との戦いは終わりを迎えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アークとの戦いから三日が経ち、真宅ではやることが出来なかった真と響の誕生日会を行う事となった。

 

「それでは改めて・・・」

 

『ハッピーバースディ『デース』!!』

 

いつもの面子+寺島たちとキャロルとエルフナイン五人を加えたみんながクラッカーを鳴らした。

 

「二人とも、誕生日おめでとう」

 

「ありがとう、とんだ誕生日だったよ」

 

「何だったら誕生日の事すっかり忘れてたな・・・でもこうして祝えれてよかったよ」

 

「まぁまぁ、堅苦しいのはなしデスよ」

 

「そうじゃぞ、せっかくの祝いの席じゃ、存分に楽しめい」

 

切歌と紫苑に押され、机に集まると机の上には夏野菜を使った大量の料理が並べられていた。

 

「うわぁ!すっごい!これどうしたの!?」

 

「はい、調が頑張ってくれました」

 

マリアはそう言い調に肩を回した。

 

「これ調が作ったのか!?」

 

「違う違う!みんなで一緒に・・・!」

 

「月読さん」

 

セレナが照れる調に語り掛けると、調は観念し応える。

 

「だって・・・松代で出会ったおばあちゃんから夏野菜を大量に頂いたから・・・」

 

「お母さん、僕たちもお手伝い頑張りました!ねっキャロル」

 

「わ、わざわざ言うな!」

 

「そうか、ありがとうな二人共」

 

真は頑張ったお礼に二人の頭を撫でる。

 

「月読が作り、立花と継菜が平らげるのなら、後片づけは私が受け持つとしよう」

 

「いや~先輩、出来もしないを胸張って言うと後で泣きを見ますって・・・」

 

「なっ!私を見くびってもらっては・・・!」

 

「落ち着けって翼、ほら食えよ」

 

そう言って奏は料理を翼の口に入れる。

 

「・・・っ!?何これ、まさかトマトなの!?こんなに甘いの初めて食べたわ!」

 

「驚きに、我を忘れる、美味しさです」

 

「さっ、私達もいただきましょう」

 

桃恵の言葉にみんなも料理に手を付ける。

 

夏野菜をふんだんに使った料理を味わい、ゲーム大会を行い楽しみ、バルベルデから送られたサッカーをするステファンと見守るソーニャの写真を見て笑みを浮かべたり、お皿を片付ける翼が現代的なアートを建造したりなどして誕生日会は盛り上がっていった。

 

そんな中、響が一人ベランダに立っていると、そこに真が飲み物を持ってやって来る。

 

「ほらよ、響」

 

「ありがとうございます真さん」

 

二人は飲みながら空を見上げていた。

 

「・・・サンジェルマンさん達、どうしてるかな?」

 

「今頃緒川さんと一緒に海外でパヴァリア光明結社の残党を捕まえてるだろうな」

 

あの一件以来、弦十郎はサンジェルマン達をスカウトし、現在サンジェルマン達はS.O.N.Gのエージェントとしてパヴァリア光明結社の残党の確保に向かっていた。

 

二人は空を見上げていると、響が真に尋ねてきた。

 

「・・・例えばさ、どこかの悪い奴が誰かを困らせていたなら、きっとこの拳で何とか出来る」

 

響は自分の拳を握り締める。

 

「だけど・・・お互いがお互いの正義を信じてご武士を握りしめている戦いは、簡単に解決なんてできない」

 

「・・・響」

 

「昨日までは出来た・・・でも明日に私は、正義を信じて、握りしめられるのかな?」

 

弱弱しく拳を握りしめる響に、真は応えた。

 

「・・・そんなのは誰にだってわからないさ」

 

「真さん?」

 

「けど・・・」

 

真は響の手を優しく握りしめる。

 

「お前が自分を信じきれなくても、俺は響と繋いだ手は離す気はないさ」

 

真の言葉に響は驚くも、すぐに笑みを浮かべる。

 

「・・・真さんがそう言ってくれるなら!」

 

「そうそう、その笑顔だよ、やっぱ響は笑顔が一番似合ってるぜ」

 

二人が話していると未来が二人を呼びに出てくる。

 

「二人共、どうしたの?」

 

「なんでもない!さっパーティはまだ続いてるぜ響」

 

「はい、真さん!」

 

二人は手を繋ぎながら部屋へと戻っていった。

 

この世界には悪意は確かに蔓延っている。

 

だが少女達は善意を信じ、前へと歩いていく。

 

その先にある希望を信じて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫転生ゼロフォギア 第四期『完』





さぁ後書きの時間だ!
「ついにアークを倒してAXZも終わったな・・・」
「ああ・・・にしてもギリギリでやっと来たなゼロワン最終形態」
「ああ、仮面ライダーゼロツー・・・人類とAIの思いの力の結晶だ」
「ところで作者、ゼロツーに変身する前の『エクシード』ってどういう意味だ?」
俺もゼロツーを出す際ゼロワンと同じようにキーから出そうかと思って音声をどうしようかとネットで探してたら見つけてな、意味としては『上回る』『超える』と言った感じだ。
「なるほどな、ゼロツーにはピッタリな音声だ」
「それにしても最後で響さんは聖詠もなしにどうやってガングニールを纏ったのでしょうか?」
その辺りはアフターである程度話させてもらうよ・・・まぁその前に短編が一本あるけど。
「まだ話があるというのか?」
ああ、それが終わったら次にアフターを行ってそれでようやくAXZは完結だ。
「そうですか、それで今回質問の方はどうするんですか?」
もちろん応えるよ、ただし今回は最終話だから二つ応えるぜ。
「おっやるな、それじゃあいつもの行きますか!」

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
前回の質問に引き続いて真紅林檎さんとそのネフィリムにブチ切れて消し飛ばした継菜真に質問
『戦姫完食シンフォギア~調飯~1』を購入されているのならばご存じでしょうが、セレナはネフィリムをペット・・・管理していますが触れようとした響の腕を甘噛みとは言え「バクンッ」としました。
このシーンを見た時にお二人はどんな反応を、どう感じましたか?

正直マジでビビった、あれがギャグの世界線だからこそ甘噛みで済んだから最後には苦笑いだったよ・・・。
「当時のことを思い出して固まった」
「何というか・・・調飯の私が申し訳ございません」
まぁまぁ済んだ話だし気にすんな、それじゃあそろそろ〆ようか。

「「「「「「それでは特別回もお楽しみに!」」」」」」


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悪意の被害


アフターストーリー前の特別編、前回のあらすじは無し!
「言い切りやがった・・・」
「今回と次回のアフターでAXZは本当に終わりってことだよな?」
ああ、そこはちゃんとする。
「ならいいです、それで今回はどういったお話なんでしょうか?」
今回の話はアークとの戦いから一週間が経った頃の話となっております。
「ふむ、ならば早速見ようではないか」
「うん、そうだね」
よしよし、それじゃあAXZ編特別編、どうぞ。


「継菜真、少しいいかしら?」

 

アークとの戦いから一週間が経った頃、帰国していたサンジェルマンが真に声をかけてきた。

 

「サンジェルマン、仕事の方は大丈夫なのか?」

 

「ええ、緒川さん達が頑張ってくれてるから私達にも休暇が取れたの」

 

「さっすが緒川さん・・・んで、俺に何か用ですか?」

 

「ええ、実は手伝ってほしいことがあるのよ」

 

サンジェルマンからの手伝いという言葉と真剣な瞳を見て真は『結社関連』の話だと理解した。

 

「・・・他のみんなの力も必要か?」

 

「いえ、今回は私とあなたの二人だけで行いたいわ、いいかしら?」

 

「少数行動か・・・わかった」

 

一週間しか経っていないが、真はあの戦いでサンジェルマンを信頼しており、サンジェルマン自身も真を信頼していた故に、依頼を頼み受け入れたのだった。

 

「んで、何すればいいんだ?」

 

「まずは移動しましょう」

 

そう言ってサンジェルマンはジェムを取り出す、それを見て真が頷くとジェムを地面に叩きつけ二人は別の場所へ転移する。

 

 

 

転移が終わったころ、二人がいる場所はどこかの森の中だった。

 

「ここは・・・」

 

「日本から離れた国の森の中よ、付いてきて」

 

そう言って先に行くサンジェルマンの後を真はついて行きながら今回の説明を受ける。

 

「継菜真、貴方はアークが乗り移っていた人物がどういった男か知っているかしら?」

 

「ん・・・確かパヴァリア光明結社の統制局長・・・だったよな」

 

「その通りよ、そしてやつは結社内でも多くの信者達を集めていたわ、そしてアークは神の力に対して固着していた」

 

真は静かにサンジェルマンの話を聞く。

 

「そんな中、アークはどうすれば神の力を手に入れることが出来るか様々な実験を行って来たわ」

 

「実験・・・」

 

「そう・・・それも人道から離れた、ね」

 

その言葉にサンジェルマンは拳を握り締める。

 

「・・・奴は結社内の人材を使って多くの人体実験を行って来たわ、それこそ死人が多く出るほどのね、実験で死ななかった人たちもいたけどその人達は人の姿をしておらず、結社では人権を奪われ非道な扱いをされてきたわ」

 

「・・・聞いてるだけで反吐が出るな」

 

「そんな中、私達はとある実験の生き残りの者達を保護して来たけど、アークの目を掻い潜って活動できることもできなく、その人達には訳を話してしばらく離れて活動することになったわ、その匿っている場所が此処の森の中にあるのよ」

 

「なるほどな・・・って俺を呼ぶ理由が見当たらないんだが?」

 

「結社の方でも逃げた人達が結社の情報を漏らさないように見つけ出し口封じをしようとしてる者たちがいるのよ、その為にあなたを呼んだわけよ」

 

「俺はボディーガードって訳か・・・理解できたよ」

 

それからしばらく歩いていると、岩の壁にたどり着いた。

 

「・・・?ここ壁じゃねえか?」

 

「そう見えるでしょ、だけどここにはプレラーティが張った認識疎外の結界が張られていて一見すると壁にしか見えないけど・・・」

 

そう言ってサンジェルマンが壁に手を触れると、突如壁が歪みだし洞穴が現れる。

 

「私かカリオストロ、プレラーティの誰かが触れることで解けるようにできてるのよ」

 

「・・・本当便利だな錬金術ってのは」

 

二人が入って行くと、洞穴の奥に人影が写る。

 

「三人共、私よ」

 

「・・・サンジェルマン様?」

 

サンジェルマンがそう言うと、岩場の影から一人の女性が出てくる。

 

「どうやら無事の様ね・・・『ヴァネッサ』」

 

「はい・・・御覧の通り、二人共、サンジェルマン様が来てくれたわ!」

 

「本当か!?」

 

「本当でありますか!?」

 

ヴァネッサの声を聴いて岩場の影から新たに二人出てくる。

 

「『ミラアルク』『エルザ』二人も元気そうでよかったわ」

 

「ガンス!サンジェルマン様もご無事で何よりであります!」

 

「ああ、心配してたんだぜ!」

 

「サンジェルマン・・・この人たちが?」

 

「ええ、彼女たちが私たちが保護している三人、ヴァネッサ、ミラアルク、エルザよ」

 

「あの、サンジェルマン様・・・彼女は?」

 

ヴァネッサ達は真に訝しげな視線を向ける。

 

「大丈夫よ、彼女は私の協力者よ」

 

「ああ、安心してくれ・・・にしても」

 

真は三人の姿に視線を向ける。

 

彼女たちの体はサンジェルマンが言ってた通り普通の人間とは違った体をしており、ヴァネッサは機械のような体、ミラアルクは蝙蝠のような牙、エルザは狼のような耳がつけられていた。

 

「これが実験の影響だっていうのか・・・ふざけやがって・・・!」

 

真はアークが行った、もしくは命令したであろう実験の影響を見て怒りを覚える。

 

「とにかく、早くここから脱出しましょう」

 

そう言ってサンジェルマンがジェムを取り出そうとすると、エルザが入り口の方を向く。

 

「エルザちゃん、どうしたの?」

 

「・・・入口の方、誰かいるであります・・・それもたくさん!」

 

「何・・・まさか!?」

 

サンジェルマンが何かに気が付くと、入口の方から大量の人が入ってくる。

 

その人達は全員が錬金術師のローブを身に纏っていた。

 

「はぐれ錬金術師・・・!」

 

サンジェルマンと真は三人を守るように前に出る。

 

「貴様は裏切者のサンジェルマン!そして逃げだした実験体共か・・・ちょうどいい、結社を裏切った貴様らをここで粛清する!」

 

はぐれ錬金術師達は結晶を放り投げ大量のアルカノイズを繰り出す。

 

「くっ・・・まさかつけられていたなんて・・・!?」

 

「おそらく彼女たちの隠れ家にある程度目星をつけていたんだと思う・・・けど自分達じゃプレラーティの作った結界を開けれないからサンジェルマン達が開けるまで待機してたんだと思う」

 

「そうとも知らずに私は・・・油断した・・・!」

 

サンジェルマンが苦虫をつぶした表情をし、後ろのヴァネッサ達がアルカノイズ達に怯える中、真が前に出る。

 

「・・・サンジェルマン、三人を連れて奥に言って守ってやってくれ、こいつらは俺が何とかする」

 

「・・・わかったわ、貴方に任せるわ」

 

サンジェルマンは真の提案を受け三人を連れ奥の岩場へと三人を隠し守るようにスペルキャスターを構える。

 

「サ・・・サンジェルマン様!彼女だけではあの数のアルカノイズに勝ち目がありません、私たちの事はもう・・・!」

 

「大丈夫よ・・・彼女ならね」

 

サンジェルマンがヴァネッサに言い聞かせる中、真はアルカノイズの群れと相対している。

 

「さて・・・四人共奥に避難したし・・・ボディーガードとしての役目を果たしますか」

 

真は懐からキーを取り出しライズスターターを押し込む。

 

エクシード!

 

押し込むと真の身にゼロツードライバーが身に着けられその手にゼロツープログライズキーが握りしめられる。

 

それを見てはぐれ錬金術師たちは驚く。

 

「そ・・・それはまさか!?」

 

真はそのままユニットを展開しライズスターターを押し込む。

 

ゼロツージャンプ!

 

Let’s give you power!

 

ライズスターターを押し込むと真の周りに二体のライダモデルが現れ後ろを守るように立ちふさがる。

 

「変身!」

 

ゼロツーライズ!

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

It's never over.

 

仮面ライダーゼロツーに変身した真を見てはぐれ錬金術師は驚きの声をあげる。

 

「貴様は・・・局長を倒した仮面ライダー!?」

 

「えっ・・・局長を!?」

 

はぐれ錬金術師達の叫びにヴァネッサ達も驚きの声をあげる。

 

「嘘だろ・・・あの男を倒したって・・・?」

 

「嘘ではないわ、彼女は統制局長アダム・ヴァイスハウプトを打ち倒し、貴方達を苦しめたパヴァリア光明結社を崩壊させたこの世界の希望、仮面ライダーゼロワン、継菜真よ」

 

「ほ・・・本当でありますか・・・?」

 

サンジェルマンが頷くと、ヴァネッサ達は真に視線を向ける。

 

「悪いが時間が押してるんでね、1分以内に終わらせてもらうぞ」

 

そう言って真はプログライズホッパーブレードを手に取り構える。

 

「くっ・・・仮面ライダーが何だ、やれぇ!!」

 

はぐれ錬金術師の言葉にアルカノイズ達は一斉に真に襲い掛かるが、真は一瞬で最適解の行動を予測し、無駄のない動きでアルカノイズの群れを一瞬で切り払う。

 

「な・・・っ!?」

 

一瞬で大量のアルカノイズが倒されたことに驚くはぐれ錬金術師達の背後に真は回り込み意識を刈り取る。

 

「・・・やっぱ反則級に強いなゼロツーは」

 

1分以内で終わらせた真は周囲を警戒しながら変身を解除し四人の元に近づく。

 

「終わったぞサンジェルマン」

 

「流石ね、もはやアルカノイズ相手では相手にならないようね」

 

「ああ、正直言ってゼロツーになったら勝ち確な気がする」

 

あまりのゼロツーの強さに苦笑いする真の前にヴァネッサ達が出てくる。

 

「貴方達・・・?」

 

「ん、どうしたんだ?」

 

突然前に出たことに少し驚く二人、するとヴァネッサ達は真に対して膝をつく。

 

『ありがとうございます、真様!』

 

「えっ!?」

 

突然の様付けに真は驚きを隠せなかった。

 

「えっ・・・何で様付け!?というか膝をつかないで!?」

 

「いえ、貴方様のお陰で局長は倒され追っ手から救われました!」

 

「そんなあんたに敬意を払わない方が失礼ってもんだぜ!」

 

「そうであります!本当にありがとうであります!」

 

「ちょ!?だからそんな拝むようなこと・・・さ、サンジェルマン何とかして!?」

 

「いえ、これは流石にね・・・」

 

サンジェルマンは苦笑いをして助ける様子がなかった。

 

「ちょっ!そんなぁぁぁぁ!?」

 

洞穴内に真の叫びが響いた。

 

 

 

「・・・・・・ってことがあってさ」

 

「なるほど、だから真さんあの時変に疲れてたんですね」

 

サンジェルマンの一件から次の日、真はリビングで響達と当時のことを話していた。

 

「んで、お前を崇める三人はその後どうなったんだよ?」

 

「崇めるとか言わないで・・・その後ジェムを使って本部に戻って来て弦十郎さんに訳を話したよ、んでヴァネッサ達に詳しい話を聞いたんだけどどうやら三人が普通に活動するためには特別な血が必要みたいで実験で手に入れた力を使うと拒絶反応が起きるみたいで特別な血を取り込むことで拒絶反応を抑えることが出来るみたいなんだ」

 

「LINKERみたいなものデスか?それって大変なんじゃ・・・?」

 

「いや、実はそうでもなくて力を使わなければ血の補給は一ヶ月に一度程度で済むんだって、んでヴァネッサ達の保護と血の補給の代わりに俺たちに協力するように取引したんだ」

 

「なるほどな・・・んでそれに加えてもう一つ聞いてもいいか?」

 

「・・・一応聞くが、なんだ奏?」

 

「何でその三人が家にいるんだ?」

 

奏が指さした方には家事を行うメイド服姿のヴァネッサ達がいた。

 

「・・・いやさ、保護するのは良いけどどこに住まわせるかって話になって、それで家で奉仕活動をするようにってことになって」

 

「ああなるほどな・・・んで何でメイド服」

 

「櫻井さんが『奉仕するならメイドでしょ~♪』って・・・」

 

「櫻井女史・・・」

 

フィーネの言葉に全員がため息をつく。

 

「まぁ三人共家事はできるから正直助かってるんだけどね・・・けど様付けは流石に俺のメンタルにダメージが・・・」

 

「真様、リビングの掃除終わりましたわ」

 

掃除を終わらせたヴァネッサ達が真の元の来る。

 

「ああありがとう、後はゆっくりしててね」

 

「はい、わかりました」

 

そう言って三人はその場を離れる。

 

「・・・まぁ、頑張れよ真」

 

「今度胃薬と頭痛薬買おうかな・・・」

 

助けたのは良いが心労が増えた真だった。





さて後書きの時間だが・・・お疲れ真。
「何がお疲れだ・・・おかげで苦労が増えたぞこっちは・・・!」
「しっかしあの三人はこんな早く出るなんてな、しかもこっち側」
XVでは割と好きな三人なんだよね、だから死なせたくなかったからこうして生存させました。
「そのおかげで胃薬と頭痛薬を買う羽目になったぞ」
「あはは・・・ところで質問いいですか?」
なんだ?
「この三人ってXVの敵なんですよね、こんなに早くこっちに来て敵の方はどうするんですか?」
ああ・・・そっちの方はもう考えてあるんだよな。
「なんじゃ、もう考えておったのか」
おうっ、じゃなかったらこの話かいてないよ。
「メタいですよ作者さん・・・」
すまん、んでここでちょっと視聴者さんに聞きたいことがあるんだけどいいかな。
「聞きたいこと?」
ああ・・・実はAXZから次の話までってどれぐらい時間たっているのかまだ分かってないんだよな。
「次って言うと・・・XVですか?」
ああ、今まではある程度わかっていたけど次までどれぐらいたったのか分からないんだよな・・・だからわかる視聴者さんは教えてください!
「はぁ・・・まぁそういう事だから視聴者さんこの馬鹿に教えてくれ」
お願いします・・・と言ったところでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
これから以下の質問に「戦姫絶唱シンフォギア キャラクターソングコンプリートBox」 に収録されている楽曲から選んで下さい。

1.1期~5期で響、翼、クリス、マリア、調、切歌がシンフォギアを纏ってそれぞれが奏でる歌で一番好きなソロソングは何ですか?

この質問、分けて答えてもいいって書いてあったので分けて答えさせていただきます。
一つ目の好きなソロソングは響の4期の花咲く勇気、翼だったら三期のBeyond the BLADE クリスだったら一期の繋いだ手だけが紡ぐもの、マリアだったら三期の銀腕・アガートラーム(IGNITED arrangement)、切歌だったら五期の未完成愛Mapputatsu! 調だったら四期のメロディアス・ムーンライトかな、この中で一番好きなのはっていうとやっぱ花咲く勇気が一番好きだな。
「随分ちゃんと答えるんだな・・・」
そんだけ好きなんだよ、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」


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戦姫転生ゼロフォギアAXZ編 after story


さぁAXZ編アフターストーリーの開幕だ!
「それに伴って今はバイキングに来てるぞ」
「今回はもうみんな各々料理を取って楽しんでますからね」
「和食に洋食、中華やいろいろな国の料理をよくそろえたな」
「殆ど旦那たちが用意してくれたらしいぜ、代金は作者込みだけど」
財布が羽毛のように軽いぜ・・・。
「作者さん・・・涙、拭いてください」
「それよりも、そろそろあふたーすとーりーとやらを始めたらどうじゃ?」
そうだな・・・それでは前よりも早めですが、AXZ編アフターストーリー、どうぞ!


ストーリー①:メイド三人娘

 

 

 

ヴァネッサ達を迎え入れてから一週間が経った頃、真は最初こそ苦労していたが時間が経つにつれある程度は慣れていっていた。

 

「っあ~・・・まだ眠い・・・」

 

「あっ、おはようございます、真様」

 

朝早く起きた真がリビングに向かうと、朝食を作っているヴァネッサが挨拶してきた。

 

「おはようヴァネッサ、済まないなこんな時間に朝食作ってもらって」

 

「いえ、これ位大丈夫です、真様こそ朝早く起きなくてもゆっくり休んでいてくれてもいいですのに」

 

「いやぁ、前までこの時間に起きて朝食作るのが習慣になっていたからつい・・・」

 

二人が談笑していると、奥からミラアルクとエルザがやってきた。

 

「ヴァネッサ、待たせた・・・って真様、おはようだぜ」

 

「おはようであります、真様!」

 

「おはようミラアルク、エルザ」

 

二人に挨拶すると、ミラアルクとエルザはヴァネッサの元に向かい朝食の手伝いを行った。

 

「もう一週間が経ったけど、こっちの生活にも慣れて来たか?」

 

「はい、皆さま私達に優しくしてくれていますのでもう十分になれました」

 

「あたしもだぜ、特に響様がよくしてくれてるからな」

 

「はいであります!」

 

「元気があってよろしい」

 

真はエルザの頭を優しく撫でるとエルザは嬉しそうに耳を動かす。

 

「ところでふと思ったんだけど・・・三人は具体的にはどんなことが出来るんだ?」

 

「具体的にですか?」

 

「ああ、よく考えたら俺三人のことよくわかってないからな」

 

「そういう事なら詳しく説明するぜ、まずウチはこの背中の『カイロプテラ』を使って飛行したりこの翼を腕や足に纏わせることで強化することが出来るぜ、後はうちの瞳を通して相手の精神に強制干渉してある程度の命令を下せるぜ」

 

そう言ってミラアルクは背中に蝙蝠を模した翼を生やす。

 

「なるほど・・・まるでヴァンパイアみたいな力だな・・・」

 

「わたくしめはこちらに仕舞われている『テール・アタッチメント』を使い様々な攻撃が可能であります」

 

エルザは近くに置いてあるカバンを開けると、中から様々なユニットが出てくる。

 

「なるほど・・・エルザの見た目も加えてさしずめ狼人間・・・人狼ってところか」

 

「最後は私ね、私は見ての通り体が機械になっていてこの中には様々な機能が取り付けられていますわ」

 

ヴァネッサはそう言って自身の体を優しく撫でる。

 

「機能って・・・どんなのがついてるんだ?」

 

「ええっと・・・ジェット噴射、ロケットパンチ、眼から閃光、手刀を高速振動させたチェーンソー、各部位にそれぞれミサイルそれから・・・」

 

「うん色々分かった、とりあえず誤射はしないでくれ特にミサイルは」

 

「かしこまりましたわ」

 

「ああ・・・っと、そろそろ降りて来たな」

 

真がそう言うと、階段の方から複数の降りてくる足音が聞こえてくる。

 

「では、朝食作りの方に戻らせていただきます、ミラアルクちゃん、エルザちゃん、手伝ってね」

 

「了解だぜ!」

 

「はいであります!」

 

そう言って朝食作りに戻る三人の後姿を真は見つめていた。

 

(・・・あそこまで改造されたのに笑顔を忘れないか・・・必ず三人を人間に戻さないとな)

 

心の中で真は決心したのだった。

 

 

 

ストーリー②:仮面ライダー組の苦労

 

 

 

戦闘時以外は特段暇そうに見える仮面ライダー組、けれどきちんと仕事はしている。

 

「というワケで俺たちはしばらく仕事でS.O.N.Gの方に寝泊まりしてるから、家の方はお願いな」

 

「いいですけど・・・大丈夫なんですか?」

 

「大丈夫だって、今回は書類仕事がほとんどだし」

 

今回の真達の仕事はパヴァリア光明結社との戦い、主にアークや仮面ライダーに関しての資料仕事だった。

 

「アークの一件で正義の味方だと思われていた仮面ライダーを不審に思う人たちもいるみたいですし、そういった関連の書類をきちんと済ませませんと」

 

「気にせんでも明日には戻って来るから安心せい」

 

「そうですか・・・それなら大丈夫ですけど」

 

「それでは、行ってきますね」

 

そう言って五人はS.O.N.Gへと向かって行った。

 

最初は言われた通り明日には戻ってくる、その場にいた誰しもがそう思っていた・・・だがそう言ってからすでに五日が経っても五人が戻る気配がなかった。

 

そこで心配に思った響達は真達の様子を確認するため五人分の弁当を作って仕事場に向かった。

 

「ここだよね、真さん達のいる部屋って」

 

「ええ、司令の言う通りなら」

 

「だよな・・・でもなんだ、この変な気配?」

 

クリスの言う通り、真達がいるであろう部屋の扉からは異様なまでの雰囲気が放っていた。

 

「だ、大丈夫デスかね皆さん・・・?」

 

「だ、大丈夫だよ・・・きっと」

 

「とにかく、開けて様子を確認しないことにはな」

 

「そうですね、それにお弁当も届けないといけませんし」

 

そう言って響達は扉を開ける。

 

「皆さーん、お弁当届けに来まし・・・ひっ!?」

 

笑顔で部屋に入った響は部屋の様子を見て驚いて身を引いてしまった。

 

そんな響を見て中に入ったみんなも部屋の惨状に驚いた。

 

大量の書類の山、床に散らばる栄養食らしき残骸の数々。

 

「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」

 

そして極めつけに一言も喋らず黙々と書類仕事を進めていた真達の姿があった。

 

眼の下にはクマが出来ており、額には冷却シートも張られており、その様子からほとんど寝てないことが響達には理解できた。

 

そしてそんな惨状を見た響達はそっと扉を閉じ、急いで弦十郎に直談判しに行った。

 

弦十郎曰く、アークに関する書類と仮面ライダーの信頼に関する書類が予想よりも多く、弦十郎達も手伝っているがそれでもなかなか減らずその上次々と追加の書類が届けられ結果五人は五日間寝ずに書類仕事を行っていた。

 

それを聞いた響達は軽く引き、弁当に関しては弦十郎達が後で届けると言ったところで自宅に帰っていった。

 

そして五人が仕事を終え家に帰って来たのはそれから二日後の事であり、帰った瞬間五人は床に倒れるように眠ってしまった。

 

それを見た響達は皆こう思った。

 

(私達って・・・まだましな方の仕事してたんだ・・・)

 

響達は大人の苦労を見て実感したのだった。

 

 

 

ストーリー③:同士

 

 

 

「ふぅ~今日も疲れたぁ」

 

皆が特訓をしてる中響は休憩を取り休憩室に向かっていると、休憩室から笑い声が聞こえてきた。

 

「あれ?誰かいるのかな?」

 

笑い声が気になって部屋を見ると、そこでは先に休憩をとった真とカリオストロ、プレラーティの三人が談笑していた。

 

「やっぱ最初は苦労するよな」

 

「そうね、本当に大変だったわぁ」

 

「同感なワケだ」

 

「あの~、真さん達何話してるんですか?」

 

響は気になって部屋に入って話に入る。

 

「響、いやさ二人も俺と同じで男性から女性になったって聞いてさ、一度話してみたかったんだよな」

 

「そうね、あーしもこの手の話はプレラーティだけとしか話せないって思ってたけどまさか真ちゃんもなんてね」

 

「過程は違えども私達と同じ体を組み替えた仲間というワケだ」

 

「俺の場合は組み替えられたんだけどな・・・けどやっぱ最初は女物の服って抵抗あったよな?」

 

「そうよね、女になったはいいけどいざ女物の服着るのって緊張するわよね」

 

「今では慣れたものだがな・・・後は体が変わったのにも苦労したわけだ」

 

「分かる!前の体と勝手が違うから大分苦労したよ俺も」

 

「けどこの体になってメリットもあるわね・・・例えばスイーツ食べに行く時とかも女性専用のお店に行けるってところとか」

 

「だよな!俺も甘い物好きだからこういう時は女の体が役に立つんだよな!」

 

三人は仲良さそうにワイワイと話し合っていた。

 

その間響は、真が今まで見たことない笑顔をしていたのが見えた。

 

今まで真は響達に対しても普通に話していたのだが、カリオストロとプレラーティという男から女になった者同士ということもあって今まで以上に素を出して話していた。

 

(何だか真さん、嬉しそうですね・・・)

 

響がその光景を見て微笑む中、真は真剣な顔で二人に尋ねる。

 

「ところで、二人ってサンジェルマンに女にしてもらったんだよな?」

 

「ええそうよ、それがどうしたの?」

 

「ということは・・・サンジェルマンに頼めば俺は男に戻れるのでは!?」

 

「・・・まぁ、可能だろうな」

 

「マジで!?よっしゃ光明が見えたぁぁぁ!!」

 

真が感極まってガッツポーズをしていると、プレラーティの口から新たな事実が出された。

 

「まぁ、その為には長い月日が必要なワケだがな」

 

「おぉぉぉぉ・・・えっ?」

 

プレラーティの言葉に真は固まった。

 

「体を組み替える事なんて錬金術の中でもとりわけ難しい方だ、私達の時では女になるのに3年近くかかったワケだ」

 

「3年!?」

 

「その上必要な材料も集めるの大変だし・・・今から行おうとすれば多分5年はかかると思うわよ?」

 

「ごっ!!?」

 

その言葉を聞いて、真は膝から崩れ落ちた。

 

「真さん!?」

 

「ご・・・ごねん・・・ごねんもこのまま・・・」

 

真は膝をついてうわごとのように呟いていた。

 

こうして、真の男に戻る可能性は再び遠ざかったのだった。

 

 

 

ストーリー④:不安

 

 

 

しばらくした頃、真は部屋で一人自身の持つプログライズキーを見つめていた。

 

「・・・・・・」

 

見つめている時、真の胸の内にはある不安が残されていた。

 

そんな中、インターホンが鳴り真宛に荷物が届いた。

 

真はそれを受け取り部屋に戻ると同時に神から電話がかかった。

 

「今回はやけに早いな・・・まぁちょうどいいか」

 

真はすぐに電話に出る。

 

「もしもし神」

 

『ああ真君、ちょっと話したいことがあるのだけど・・・』

 

「それに関しては俺も聞きたいことがあるんだ」

 

真は荷物を机の上に置き、神と話し始めた。

 

『それで、何が聞きたいの?』

 

「まぁまず聞きたいのは響の件だ、あの時響は聖詠を歌ってないのにどうやってガングニールを纏えたんだ?響曰くガングニールのキーを握り締めたら纏ったって」

 

『そのことね、それに関しては恐らくそのキーが元々響ちゃんのギアから生まれたからだと思うわ』

 

「どういうことだ?」

 

『私の予測だけど、おそらくシンフォギアプログライズキーは響ちゃん達のギアペンダントと同じような力が込められてるんじゃないかと思う、それで響ちゃんがピンチの時にガングニールプログライズキーが反応して響ちゃんの手に渡り、響ちゃんのギアペンダントに共鳴しガングニールを纏った・・・と思うわ』

 

「共鳴か・・・まぁありえそうだな」

 

『実はそのことで真君にお願いがあるんだけど、少しの間あなたのドライバーに記録されているシンフォギアのデータを私に預けてくれないかしら?』

 

「シンフォギアのデータを?」

 

『ええ、もしかしたら響ちゃんの現象について何かわかるんじゃないかなって』

 

「・・・わかった、好きに使ってくれ」

 

『ありがとう、次は私からの質問ね、真君って前にメタルクラスタで暴走したのよね』

 

「ああ、あの時は本当にきつかったよ、目の前に大量に文字が浮かび上がって気が狂いそうだった・・・今思い出すと鳥肌が立つな」

 

『・・・・・・』

 

真の言葉に神は黙りこく。

 

「・・・神?」

 

『・・・もしかしたらその暴走、アークも関係してるかもしれないわ』

 

「えっ!?」

 

神の言葉に真は驚く。

 

『確かにメタルクラスタによる負荷で意識は失ったのだと思うのだけど、ただ意識を失っただけで文字が出てくるなんてことはあり得ないわ、元々メタルクラスタはアークが生みだした物だし、もしかしたらその時一時的にアークと接続してしまったのかもしれないわ』

 

「・・・それって大丈夫なのか?」

 

『おそらく大丈夫だと思うけど・・・真君の様子を見る限り大丈夫そうね、私の話は此処までよ』

 

「ああ・・・俺はまだ話したいことがある」

 

『何かしら?』

 

「俺のドライバーってあとどれ位聖遺物を取り込めば聖遺物化するんだ?もう結構時も経ってるし・・・」

 

『んん~・・・実を言うともうドライバーはいつ聖遺物化してもおかしくはないのよ』

 

「えっそうなのか!?」

 

『ええ、ガングニール、アメノハバキリ、イチイバル、アガートラーム、イガリマ、シュルシャガナ、シェンショウジン、此処まで使ってきた聖遺物たちの力はもう十分にドライバーに集まっていつ聖遺物化してもおかしくない状況にあるわ』

 

「でもまだなっていないのか?」

 

『ええ、後何か一押しあれば聖遺物化できるのだけど・・・そのあと一押しが何かは・・・』

 

「そうか・・・まぁそこらへんは気長に待つとするよ」

 

『そうね・・・ところで荷物の中身はもう見たかしら?』

 

「あっまだ見てないや」

 

そう言って真は荷物の中身を確認すると、中に入っていたのは二つのキーだった。

 

「これって・・・ガングニールとアガートラームのキ-じゃん、なんで?」

 

『奏ちゃんとセレナちゃんがガングニールとアガートラームを使っている間の予備と・・・後は保険みたいな物よ』

 

「保険?」

 

『こっちの話、それじゃあそろそろ切るわね』

 

「ああ、いろいろありがとうな」

 

そう言って通信が切れる。

 

真はライズフォンとプログライズキーを机に置くと、窓の外を見つめる。

 

「・・・保険か」

 

真はアークとの戦いのことを思い出す。

 

『敗れるか・・・だが、悪意がある限り、私は再び貴様らの前に現れる・・・その時こそ、貴様らを滅亡させる・・・!』

 

そう言い残しアークは爆散した・・・だがその時真の目にある物が映っていた。

 

爆炎の中からものすごい速さで飛び出す『黒い何か』、それは一瞬で視界から消えてしまった。

 

「・・・・・・まさかな」

 

真はそう呟いた・・・。

 

 

 

 

神界の方でも、通話を終えた神も一抹の不安を感じていた。

 

「保険とは言ったけど・・・やっぱり早くこちらも作成しないとね」

 

そう言った神の前には『円状のマガジンが付いた二つのプログライズキー』と『ショットライザーに酷似した二つのドライバーと二つのキー』。

 

そしてそれよりも手前に置かれている『シンプルな構造の作りかけのドライバー』が置かれていた。

 

 

 

ストーリー⑤:【未知のウィルスによって文章が破壊されました】

 

 

 

月が雲に隠れる深夜の一室にて、一人の男と一台のテレビが置かれていた。

 

男がテレビの前で鎮座していると、突然テレビの電源が付き始めた。

 

画面には砂嵐が写っていたが、徐々に画面が歪みだし黒一色に染まり、その中心が赤く輝きだす。

 

「・・・目覚めはどうかな」

 

『・・・最悪なものだな』

 

男が口を開くと、テレビからも声が聞こえてきた。

 

「随分やられてしまったようだな・・・『アーク』よ」

 

『ああ、仮面ライダーとシンフォギア装者・・・やはり侮れない存在だ』

 

「それでどうだ、手にした力とやらは?」

 

『ああ、御覧のとおりだ』

 

テレビから赤いレーザーが照射されると、そこから何かが形成されていく。

 

時間をかけレーザーが止んだころには、そこには『人型のロボット』が立っていた。

 

「ほぉ・・・これが・・・!」

 

アークはロボットを製造するとテレビから飛び出し作ったロボットに入り込むと、ロボットの瞳が赤く輝きだし動き出す。

 

『ふむ・・・やはりまだぎこちないな・・・』

 

「そのようじゃな・・・じゃが、お主なら量産は可能じゃろう」

 

『ああ・・・だが随分とあの二人にやられてしまったようでな、数をそろえるのに時間がかかってしまうだろう』

 

「構わん、長い月日をかけ量産に取り掛かるといい」

 

『ああ、分かっている・・・それまでの間隠ぺいを頼んだぞ』

 

その時、暗雲の隙間ができそこから放たれた月光が男の顔を照らし出した。

 

『『風鳴訃堂』』

 

月光に照らされた訃堂は怪しく笑みを浮かべる。

 

「任せたまえ、その代わり期待しておるぞ」

 

そう言って訃堂は立ち上がり、部屋から退室する。

 

「全ては護国の為・・・貴様の力を存分に利用させてもらうぞ、ガラクタ風情が」

 

訃堂はそう呟き部屋から遠ざかる。

 

そして部屋に一人取り残されたアーク。

 

『大方私を利用するつもりなのだろう・・・馬鹿な男だ、自分が利用されているとは知らずにな』

 

そう言って赤い瞳の輝きがさらに赤く輝きだす。

 

『仮面ライダーゼロワンに倒され、アダムの体は崩壊、パヴァリア光明結社は解散・・・『全て私の結論通り』』

 

そう言った瞬間、テレビの画面が負の文字に染まり上がる。

 

『『オペレーション・デイブレイク』phase1・・・完了』

 

一つの物語は完全なる終わりを迎えていなかった。

 

そして狂った物語は歴史をさらに歪み始めてしまった。

 

神を巡る物語は悪意に染まり、狂った最終章へと向かう。

 

それは悪意との最後の戦い。

 

人類の存亡をかけた最後の戦い。

 

 

 

『戦姫転生ゼロフォギアXV』

 

 

 

『戦姫転生ゼロフォギア■V』

 

 

 

『戦姫転生ゼロフォギア■■』

 

 

 

『戦姫転生ゼロフォギア■』

 

 

 

『戦姫転生ゼロフォギア0』

 

 

 

狂った物語は、終幕へと向かう。





さて後書きの時間だが、いろいろ言いたいことがありそうなので上から順に応えていくぞ、まずはストーリー①。
「ヴァネッサ達もこっちでの生活に慣れて来たみたいだな」
「ああ、しっかし敵キャラがメイドとはどんな考えしてんだ作者?」
XDのメモリアを見てからこれをしたかった・・・ただそれだけだ。
「それでこうなったのかよ・・・」
ところで真よ、お前の性格からしてエルザちゃんは結構気に入りそうな感じはするけどどうなんだ?
「尊みの極み」
「いい笑顔で鼻血出しながらぐっとサインするほどですか・・・」
「真お姉ちゃん、暇があったらよくエルザさんの頭を撫でてますからね・・・」
「こやつの動物好きも此処までくるともはや笑えんのう・・・」
まぁ真がそれでいいならいいけど・・・それじゃあ次はストーリー②。
「「「「「しばらく書類を見たくない」」」」」
おお・・・全員死んだ魚の目をしてやがる・・・。
「元はと言ったらアークのせいで俺たちの仕事が増えて・・・やられても俺たちにダメージを与えるとは・・・」
「とんでもない置き土産だったな・・・それから起きたら翼達に心配されたな」
「マリア姉さんもいつも以上に優しくしてくれましたからようやっと疲れが取れましたね」
「うむ・・・まさかここまで書類仕事に追われるとは・・・」
「もう当分は仕事はないって弦十郎さん言ってたけど・・・大丈夫かな?」
OTONAを信じろ、それじゃあ次はストーリー③。
「本当に同志が出来たって感じだ、マジで素で話せた気がする」
シンフォギアでは真と同じ貴重な性転換キャラだからな。
「・・・ところであの二人の性転換の奴って本当にそんな感じなのか?」
知らない、だからこれはこの作品でのオリジナルな設定だ。
「まぁはっきりわかるのは・・・まだ真お姉ちゃんは男性に戻れないってことですね」
「希望をハンマーかなんかで叩き壊された感じだ・・・」
「そこまでの衝撃なのか・・・」
「真さんからしたら本当に死活問題ですからね・・・」
頑張れ主人公・・・それじゃあ次はストーリー④。
「響がガングニールを纏ったことや新しい力に関しての情報はあったが・・・それよりも」
「ああ、あの時見えた黒い影・・・なんだが胸騒ぎが収まらないんだ」
「それにメタルクラスタの暴走にアークも関わっていたなんて・・・」
「真のどらいばぁの聖遺物化も心配じゃが、やはりそっちが気になるのう・・・」
「それも次のお話で分かりますからね・・・」
真の不安も間違っていないな・・・そして問題のストーリー⑤。
「・・・生きてたのか、アーク」
「それにまさか翼の爺さんが関わっていたなんてな・・・!」
「それとアークが作り出したあのロボットって・・・もしかして?」
「おそらくはそうじゃろうな・・・じゃがそれよりもあ奴の言葉」
「此処までの展開が全て予定通り・・・それに加えて・・・」
「オペレーション・デイブレイク・・・それがアークの本当の企みなのか・・・」
ああ、そして最終章はXVではない、アークによって歪められた新たな最終章。

『戦姫転生ゼロフォギア0』

・・・終わりを意味する0、これがこの物語の最後、その相手は生きていたアークと風鳴訃堂。
「最後の敵にはこれ以上ない相手って訳か・・・」
お前達、最後の物語心してかかれよ。
「ああ」
「おうよ」
「わかりました」
「うむ」
「はい」
・・・それではこれにてAXZ編アフターストーリーは終了、今回はすみませんが質問には答えられません、それじゃあ〆るぞ。

「「「「「「それでは最終章もお楽しみに!」」」」」」


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0編
人類史の彼方から



さぁとうとう始まったぞ、ゼロフォギア最終章0編!
「0編ってXVとはどう違うんだ?」
まあストーリー自体はXVを元に作られてるから基本的なストーリーはXVと同じだけど、ある程度は改変してるから安心してくれ。
「んでさ、今期も真の衣装は考えてんのか?」
そこはきちんと考えたよ、これが真の今期の服装だ。

上:フード付きボアブルゾン(白色)
下:ロングスカート(白色)+ロングスパッツ(黒色)

これが今期の真の衣装だ。
「なんだか随分女の子みたいな衣装ですね?」
いやさ、本当はリゼロのアナスタシアみたいな衣装に使用かなって思ったんだけど寸前で真にボコられ、妥協案でこうなりました。
「ふむ・・・真は良いのか、この衣装で?」
「ああ・・・行っても最終章だしこれ位なら許せるさ」
だったらアナスタシアの衣装を『出したらお前ごと消す』うい・・・。
「そ・・・それではそろそろ始めましょうか?」
そ・・・そうだな、それでは最終章0編第一話、どうぞ!


遠い昔、とある遺跡の通路を一人の男性が血を流しながら進んでいた。

 

男性は奥の部屋にたどり着くと、そこには光輝く柱と中央にコンソールらしき物が置かれており、男性はコンソールへと近づいた。

 

「システム・・・オールグリーン・・・」

 

男性は血を流しながらもコンソールを操作する。

 

「ネットワークジャマ―の実行まで・・・300カウント・・・これで・・・!」

 

男性がコンソールに手を叩きつけると、モニターには地球から月に向けて赤い線が伸ばされると、遺跡内が輝き出し、月の表面の一部に緑色の模様が浮かび上がる。

 

「だが・・・すまない・・・僕達には・・・すべてを説明するだけの時間も・・・言葉も・・・もはや失われて・・・」

 

男性は力なくその場に倒れてしまう。

 

「・・・許してほしい・・・『フィーネ』・・・」

 

そう言い残し、男性の意識は消える。

 

 

 

 

 

時は進み現代、南極海にS.O.N.Gの潜水艦が現着していた。

 

「到達不能極周辺の持続密度、フラクタルに繊維、脅威レベル3から4に引き上げ」

 

「算出予測よりも大幅にアドバンス、装者達と仮面ライダー達の現着とほぼ同タイミングだと思われます」

 

「情報と観測データを照合する限り、『棺』とはやはり先史文明期の遺跡と推測されますが・・・」

 

「おそらくはそうね・・・しかしこの反応は・・・」

 

「うむ・・・」

 

「ボストーク氷底湖内のエネルギー反応飛躍、数値の上昇止まりません!」

 

「出すならすぐ出した方がいいぞ、そろそろ浮上してくる!」

 

「来るか・・・総員、棺の浮上に備えるんだ!」

 

時を同じく南極大陸上空を飛ぶヘリ三機、扉が開くと中にいた響達が寒さに震える。

 

「さ~ぶ~いしばれる~どこの誰だよ南半球は夏真っ盛りなんて言ってたのは~!?」

 

「デデ、デ~ス・・・!」

 

「お前ら南極の寒さを甘く見すぎだろ・・・こういう時こそ心頭滅却の精神をだな・・・」

 

そう語る真達仮面ライダー組は神から貰った機械で繰り出したフレイミングタイガーライダモデルで暖を取っていた。

 

「って真さん達だけずるい!何が心頭滅却の精神ですか!?」

 

「精神論で体温を操作できたら暖房器具はいらないんだよ!温まりたかったらこっちまで来てみろ!」

 

「んなことで口喧嘩するな!?ギアを纏えば断熱フィールドでこのぐらい・・・」

 

クリスが口を割り込んだ瞬間、氷の底から赤黒い光線が放たれ天を貫き、南極大陸を包む分厚い雲に穴が開いた。

 

「なかなかどうして・・・心胆寒からしめてくれる・・・!?」

 

「マジかよ・・・肝が冷えたぜ・・・!?」

 

「っ!皆さんあれを見てください!」

 

セレナの声にみんなが下に視線を向けると、分厚い氷の大地を砕きそこから巨大な何かが飛び出した。

 

「あれが・・・あんなのが浮上する棺・・・!?切ちゃん、棺って何だっけ?」

 

「常識人には酷なこと聞かないでほしいデス!」

 

「あれはもはや棺・・・というレベルじゃないですよ・・・!」

 

「あれではまるで棺を守る守護者の様じゃな・・・」

 

「けど、あの中に目的のものがあるんですよね?」

 

「ええ、いつだって想定外など想定内!行くわよ!」

 

マリアの声に全員がヘリから飛び降りる。

 

エクシード!

 

ウェイクン!

 

真達は飛び降りると同時にドライバーを身に着け、響達はペンダントを握り締める。

 

ゼロツージャンプ!

 

ブレイク!

 

シルバー!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

『『オーソライズ!』』

 

Let’s give you power!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

『変身!』

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

ゼロツーライズ!

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

『『フォースライズ!』』

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

スマッシュガングニール!

 

ヴァルキリーアガートラーム!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

It's never over.

 

Croitzal ronzell Gungnir zizzl.

 

Seilien coffin airget-lamh tron.

 

『『Break Down.』』

 

『使用BGM:ALL LOVES BLAZING』

 

幾つの闇を 乗り越えたなら

 

飛び降りた響はすぐさま棺に向かい拳を振るい、棺も脚部を利用し響の拳にぶつけ相殺した。

 

光の射す 夜明けの空 見られるだろう?

 

「互角・・・それでも!」

 

「ああ、気持ちじゃ負けていない!」

 

胸に刻んだ 数多の思い

 

棺の胸部の結晶が輝きだし、頭部から先ほどと同じ光線が放たれる。

 

「っ!みんな避けろ!」

 

真の声に全員が光線を避けると、光線が当たった個所から爆炎と共に巨大な氷柱が生成される。

 

痛みだけじゃない 焼き付いた記憶(メモリア)

 

「なんなんだよあの出鱈目は!?」

 

「そんなの知るか!けどあれに当たったら即アウトだ!」

 

真はゼロツーの能力である程度の予測を建てさっきの光線が危険だとみんなに伝える。

 

何のため? 誰のため? 本能は何と言っている?

 

「どうします、マリア姉さん!?」

 

「どうもこうも、止めるしかないじゃない!」

 

マリアが後方を向くと、そこにはまだ避難を終えていない観測基地の人たちがいた。

 

Get to heart(Wowow) Get to heart!(Wowow) 一撃よ滾れ

 

「散開しつつ距離を詰めろ!観測基地には近づけさせるな!」

 

全員は棺の注意を引くために周囲に散開する。

 

聴こえてるか?(Burnin’!) 心(Burnin’!) 魂(Burnin’!) この歌…!

 

散開した響、切歌、調チーム、真、紫苑、桃恵チームは棺の両サイドを取り、切歌と調、紫苑と桃恵が棺に攻撃を仕掛ける。

 

α式 百輪廻

 

切・呪リeッTぉ

 

ストロング!

 

ピーアス!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

アメイジングカバンストラッシュ!

 

ピアッシングカバンショット!

 

迷いなき(コブシ)に 重さなど宿らない(Liev now×2)

 

四人の放った攻撃を棺は巨体に見合わぬ軽々しい動きで上へと避ける。

 

まだだ(Blazin’!) 握る(Blazin’!) 繋ぐ(Blazin’!) 答え

 

だがその回避を予測していた真は響と共に上へと飛び響は棺の胴体を掴んで、真は棺の上を取り蹴り付け下へと叩きつける。

 

本当の意味を知るために 旅路は続く 風は背を押す

 

棺が叩きつけられると同時にクリスと未来が上から大量のミサイルと光線を放つ。

 

MEGA DETH PARTY

 

閃光

 

二人の攻撃は棺に直撃するが、棺には傷一つついていなかった。

 

「効かないのかよ!」

 

二人は棺から放たれた光線を躱して距離をとる。

 

司令室の方でも棺に対しての解析を行っていた。

 

「接近する対象を苛烈に排撃、こんな物を果たして棺と呼ぶべきでしょうか・・・」

 

「それは違うわ・・・これは攻撃じゃない、防衛よ」

 

「不埒な盗掘者を寄せ付けないための機能だとしたら、どうしようもなく棺というより外ならない」

 

(だとすれば・・・棺に眠るのは、本当に・・・)

 

「司令、棺に新たな動きが!」

 

決意する その瞬間 私は私なのかな…?」

 

棺の体に無数の棘が生えだし、棺はその棘を一斉に射出する。

 

Please tell me(Wowow) Please tell me(Wowow) だけど今だけは…!

 

射出された棘は形を変え飛行し、光線を放つ。

 

バンッと踏み出せ(Burnin’!) 今日の(Burnin’!) 明日(あす)の(Burnin’!) 種火に…!

 

響と真は光線を払いのけ跳躍し、飛行するユニットを攻撃し、響はアンカージャッキーを引き絞りマフラーを輝かせ、真は取り出したアタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードを組み合わせ共に上空のユニットを切り裂いていく。

 

選択に後悔 しないため生きるんだ(Liev now×2)

 

切歌と調は氷上を滑りながらともにユニットを撃破していく。

 

まだだ(Blazin’!) 燃やす(Blazin’!) 何か(Blazin’!) がある

 

「こちらの動きを封じるために・・・!」

 

「しゃらくさいのデス!」

 

力の怖さも 可能性も ハートに灯せ 太陽(ほのお)と信じて

 

マリアとセレナが短剣を大量に放ちユニットを撃ち落とす。

 

「まずは大元を倒す必要があるわ!」

 

「ならば、行く道を!」

 

翼が剣を掲げると、上から大量の剣が降って来てユニットを切り裂きながら棺への道を作り出す。

 

千ノ落涙

 

「開きました!」

 

「そのまま突っ込め!」

 

キャロルの声と共に響と奏が棺へと駆ける。

 

「うおぉぉおぉおおおぉぉぉお!!」

 

響は右腕のアームドギアを変形させ。

 

「おおおぉぉおぉおぉぉぉおお!!」

 

奏は左腕のアームドギアを変形させる。

 

「最速で!最短で!」

 

「真っすぐに!一直線に!」

 

二人は共に跳躍し変形させたギアを高速で回転させ、共に棺へと突っ込む。

 

「「はあぁぁぁああぁぁぁあぁぁああぁぁあぁぁ!!」」

 

二人の一撃は棺に届き、胸の結晶にひびをつけるが、それだけで二人は弾かれる。

 

「・・・・・・真さん!」

 

弾かれた瞬間、響の叫びと共に真が飛び上がりキーを押し込む。

 

ゼロツービッグバン!

 

「おおおおぉぉぉおぉらあぁぁああぁぁあぁぁぁ!!」

 

真はそのままひびが付いた結晶にライダーキックをぶつけ、ついに結晶が砕け散る。

 

「効いている、それだけだ!」

 

結晶を砕かれた棺は三人を叩きつけようとするが、それを予測した真がすぐに二人を抱え回避する。

 

三人が着陸すると全員が集まり、真は近くにあった光線によって生成された氷柱に触れると、真を通して司令室にそのデータが送られる。

 

「ゼロツーを通して氷柱の解析完了!」

 

「-5100度の指向性エネルギー波による余波・・・ってなによこれ!?」

 

「-5100度何て今のあいつらのギアでは何度も相殺しきれんぞ!」

 

「埒外物理学による・・・世界法則への干渉・・・いくらゼロツーの予測があってもこんなのを喰らってしまっては・・・!?」

 

解析結果を通信機越しに聞いた真達は冷や汗をかく。

 

「これが・・・棺の防衛力・・・!」





さて後書きの時間だ。
「いきなり出て来たなデカ棺」
「というかあれって棺って言えるのか?」
弦十郎さんも言ってるし棺でしょ。
「それより原作だと氷漬けになってるのにこっちで放ってないんですね」
逆に聞こう、二兆通りの予測を行うゼロツーが率いる相手に攻撃を当ててる自信はあるか?
「「「「ない」」」」
つまりそういう事だ。
「なんかひどい言いぐさだな・・・」
「実際そのような存在が相手だとすぐにでも降伏するわ」
「だよね、はっきり言って勝ち目がないと思う・・・」
ゼロツーに勝てる相手は存在するのだろうか・・・とまあここいらでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
調と切歌のみならず、シンフォギア装者のデュエットソングで好きな歌ベスト5は何ですか?

これは前の質問の続きだな、まず5位は『いつかの虹、花の思い出』、4位は『BAYONET CHARGE』、3位は『必愛デュオシャウト』、2位は『Change the Future』1位は『風月ノ疾双』って感じだ。
「AXZのユニゾン三つとも入ってるんだ」
どれも好きだし、何より風月ノ疾双はかっこいいからな。
「・・・ところで花咲く勇気(アマルガムバージョン)は入ってないのか?」
あれは好きっていう次元じゃなくて俺の中では聖歌クラスにまで上り詰めてるからランキングから外しました。
「どんだけ好きなんだよ花咲く勇気・・・それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ」」」」」」


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咲き誇る十二の花


0編第二話、前回のあらすじは?
「フィーネを知る謎の男性が何かを起動させた」
「そしてあたしらは南極で浮上してきた棺と戦いに来たぜ」
「ですが棺の装甲は固く私達でも傷一つつきません」
「じゃが皆の強力があって胸の結晶を砕くことに成功したぞ!」
「デスが棺が放った砲撃は-5100度になります、私たちが勝てるでしょうか?」
はいOK、それじゃあ0編第二話、どうぞ!


南極に向かう一週間前、リディアンで居残り勉強している響の迎えに来ていた真は校門前で待機していた。

 

「毎度のことながら・・・遅いな響」

 

そうして待っていると、校舎から響が駆け付けてくる。

 

「ごめんなさい真さん、思ってたより勉強が難しくて・・・」

 

「ったく・・・遅いぞ響、もうそろそろ店が閉まっちまう」

 

そう言って真はヘルメットを響に投げ渡し、ライズホッパーに乗る。

 

「ほら乗れ、急ぐぞ」

 

「はいっ!」

 

響もすぐにヘルメットを被り、後ろに乗って真はライズホッパーを走らせた。

 

二人が向かった先はいつものモール、そこで二人は様々な店を見回っていた。

 

「どうしますか、クリスちゃんの誕生日プレゼント?」

 

「今候補が二つで悩んでてさ・・・兎フードのパジャマと猫フードのパジャマ、どっちが似合うと思う?」

 

「多分どっち選んでも殴られるかと・・・」

 

「そうか・・・やはり犬か?」

 

「いや動物の種類じゃなくて・・・」

 

二人が談笑しながらクリスの誕生日プレゼントを探していると、突如弦十郎から通信が入ってきた。

 

『響君、真君、至急本部まで来てくれ』

 

「っ!了解」

 

二人は連絡を受け、すぐに本部へと向かった。

 

 

 

本部に到着すると他の皆も集まっていた。

 

「おせぇぞお前ら!」

 

「ごめんねクリスちゃん・・・」

 

「集まったようだな、ならすぐに始めよう」

 

弦十郎がそう言うと、モニターに燃え上がる船の映像が映し出された。

 

「っ!?これって・・・!」

 

「ああ、大型船舶に偽装したS.O.N.Gの研究施設にて事故が発生した」

 

「海上の研究施設じゃな・・・街中では扱えぬ物を研究するための」

 

「ええそうよ紫苑ちゃん、この船では回収したティキの残骸を調査していたの」

 

皆はティキという名前に驚く。

 

「破壊されたアンティキティラの歯車と、オートスコアラーの構造物からはパヴァリア光明結社、ひいてはアークの目的を探るための解析を行われていたの」

 

「それってサンジェルマンさん達からは聞いてないんですか?」

 

「彼女達にも聞きましたが、アークは自身の本当の目的を結社の誰にも口外していなくて不明の様です」

 

「この爆発事故は機密の眼むる最深部に触れた場合に仕掛けられたセーフティ・・・おそらくアークが仕掛けていたと思われるわ」

 

「サンジェルマンさんのお話では、ティキと呼ばれていたオートスコアラーには惑星の運航を観測し記録したデータを元に様々な現象を割り出す機能があったようです」

 

エルフナインが操作すると、モニターには南極大陸のとある場所が映し出される。

 

「これは、南極大陸・・・!」

 

「爆発の直前、最後にサルベージしたデータは南極の一地点を示す座標でした」

 

「ここは、南極大陸でも有数の湖『ボストーク湖』、付近に位置するのはロシアの観測基地となっております」

 

「湖って・・・一面の雪景色なんですけど?」

 

「その雪景色のほとんどがボストーク湖だ、正確に言えば氷の下に湖が広がっている」

 

「地球の環境は一定ではなくたびたび大きな変動を見せてきました、特に近年その変動は著しく、極間の大きな氷が失われています」

 

「もしかして、氷の下から何かが出てきました・・・じゃありませんよね?」

 

「そのまさかよセレナちゃん、先日ボストーク湖観測基地の近くで発見されたのが、この氷漬けの蠍です」

 

友里が操作すると、モニターに氷漬けになった蠍が映し出された。

 

「照合の結果、数千年前の中東周辺の存在していた種と判明、現在では絶滅していると聞いてます」

 

「どうしてそんな蠍が南極大陸の底で・・・?」

 

「詳細は目下調査中・・・ですが、額面通りに受け止めるなら、先史文明期に何らかの方法で中東より持ち込まれたのではないでしょうか」

 

「持ち込まれた・・・」

 

「気になるのはこれだけではありません、情報部は瓦解後に地下へと潜ったパヴァリア光明結社の残党敵圧に努め、更なる調査を進めてきました」

 

「得られた情報によるとアークは専有した神の力をもってして遂げようとした目的があったようだな」

 

「その目的とは一体・・・?」

 

「・・・時の彼方より浮上する棺が目的の様だ」

 

「棺デスと?」

 

「でも、時の彼方より浮上するって南極の蠍と符合するようで気味が悪い・・・」

 

「次の作戦は南極での調査活動だ、ネタの出所に結社残党が絡む以上、この情報自体が罠だという可能性がある、作戦開始までの一週間各員は準備を怠らないでほしい!」

 

『了解!』

 

皆が気合を入れる中、真はモニターに映し出されているアークの映像に視線を向けると、アークの言葉を思い出す。

 

『敗れるか・・・だが、悪意がある限り、私は再び貴様らの前に現れる・・・その時こそ、貴様らを滅亡させる・・・!』

 

 

 

時は戻り南極、棺と相対する真達は棺による協力な一撃に怯み警戒していた。

 

「あんな光線喰らったら氷漬けどころじゃすまないぞ・・・!?」

 

皆が攻めあぐねている中、遠くからその戦いを監視している何かがいた。

 

それは『人型のロボット』、ロボットは真達に見つからないように氷の上を這いその瞳を輝かせている。

 

ロボットが監視し、真達が攻めあぐねているそんな時突如上空が輝きだし、真達と棺の視線がその光に向かわれる。

 

「照明弾です、棺の進行停止」

 

モニターに映し出されたのは観測基地で上に向かって照明弾を放つ男性がいた。

 

『何やってんだ!?』

 

『女の子がこんな寒いところでおなかを冷やしたら大変だろ!』

 

その声は通信機越しに真達の耳にも聞こえていた。

 

「あの人達・・・俺たちのために・・・」

 

再び照明弾が放たれると、棺はその光目掛けて光線を放った。

 

光線は建物の上層を打ち抜き、それを見た男性たちは急いで避難する。

 

「・・・そうです、まだいるんだ・・・助けないといけない人たちが!」

 

響はそう叫びながら前に出て氷を踏み砕く。

 

「だから、こんな棺なんかに負けるわけにはいきません!」

 

「響・・・そうだよな、こんな棺なんかにあそこにいる人たちの希望を壊されるわけにはいかないよな!」

 

響の言葉に、みんなも前に出る。

 

「お前は本当にヒーローになりたいみたいだな!」

 

「そうだ、戦場に立つのは立花一人ではない!」

 

『皆さん・・・僕は僕の戦いを頑張ります、だから!』

 

「みんなが背中を押してくれる・・・皆、行こう!」

 

『使用BGM:六花繚乱(IGNITED arrangement)』

 

響の声に翼たちが前に出てペンダントを握り締め、奏とセレナはイグナイトグリップを繰り出す。

 

『『ダインスレイフ!』』

 

『『オーバーライズ!』』

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「イグナイトモジュール・・・!」

 

『抜剣!』

 

ダインスレイフ

 

『『シンフォニックライズ!』』

 

『START,UP!イグナイトガングニール!

 

『START,UP!イグナイトアガートラーム!

 

『『Cursed melody turns into power.』』

 

響達九人の装者はイグナイトを身に纏い、真は両手にアタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードを構え、紫苑は真が『ビームエクイッパー』と『クォンタムエクイッパー』によって生成されたアタッシュカリバーを受け取り構え、桃恵はアタッシュショットガンを構える。

 

全員が構えると、棺は再びユニットを大量に繰り出しみんなに襲い掛かる。

 

いつも一歩前に…と 踏み出し続けた 涙を拭う間もなく

 

高速で向かってくるユニットを響は体術、真は二刀流で防ぎつつ前へ向かうとユニットが突き刺さった個所が爆発し、水中でユニットは上へと向かう。

 

そしてその涙は羽に重く染みて 飛べないとまた泣いた

 

翼は奏を巨大化させた剣に乗せ共に海上を滑りながら水中から飛び出してくるユニットを切り払い、上に飛んだユニットを奏がスマッシュランスを回転させ発生させた黒い竜巻と共に飛び上がり空のユニットを蹴散らす。

 

伸ばした手の先は 温かい でも届かない太陽 それが切なくて

 

クリスと未来は水中から生えた氷柱から出て来たユニットが繰り出す光線をリフレクターと鏡で反射しながらクリスが『GIGA ZEPPELIN』を放ち降ってくる矢を未来が展開したユニットで反射し周囲のユニットを貫く。

 

REFLECT RAIN

 

足掻いて、もがいて、仰いだ空は高く遠く 無力に嘆いた

 

マリアは蛇腹剣を鞭のように振るい、セレナは二本の短剣を操作しユニットを次々と切り落としていく。

 

SILVER†GOSPFL

 

FAIRIAL†TRICK

 

わかり合う事さえも 遠ざけるため吐いた 言葉の刃は自らを

 

調と桃恵は基地から出て来た女性に迫るユニットを撃退し、近くにいたユニットに向かってショットガンを放ち、向かってくるユニットの攻撃を丸鋸で防いでいく。

 

途中の爆発で女性が吹き飛ばされるが、それを響が受け止め事なきを得る。

 

だけども信じてきた 零した過去がこの 皆を紡いだ絆だ…と

 

切歌は刃を飛ばし上空のユニットを切り落とし、紫苑はアタッシュカリバーの刀身部分に氷の錬金術を纏わせ刀身を伸ばし切歌と共にユニットを切り裂いていく。

 

「大丈夫ですか?」

 

響が助けた女性に声をかけると、背後から大量のユニットが響達に迫り、反対方向からも棺が響達目掛けて光線を放とうとすると、真が駆け付ける。

 

束ねた軌跡を 今こそ力

 

「響光線!ユニットは俺が!」

 

ファイナルライズ!

 

真は響の後ろに立ちプログライズホッパーブレードをドライバーに認証させると、エルフナインから通信が入る。

 

『砲撃が来ます!ぶん殴ってください!』

 

「言ってること、全然わかりません!」

 

そう叫びながら響は言われた通りに砲撃に向かって拳を振るい、それに合わせて真もプログライズホッパーブレードを振るった。

 

ファイナルストラッシュ!

 

砲撃と拳がぶつかり合うと砲撃は拡散され、後ろのユニットは真の繰り出した大量の飛電メタルが分解していった。

 

 

歌がある

 

 

歌がある

 

「拳の防御フィールドアジャスト!」

 

「即席ですが、エルフナインちゃんが間に合わせました!」

 

アクシアの風よ息吹け涙を乗せて

 

「解析からの再構築は錬金術の原理原則、これが僕の戦い方です!」

 

じゃ

 

繋ぐんだ

 

 

前を見て

 

怯えても立ち刻んだヒトの歴史を

 

棺の光線を防いだのを見て全員が攻勢に出る。

 

死んだって

 

倒れない

 

翼と奏が剣と槍を構え、クリスと未来がミサイルと鏡の標準を合わせ、響は砲撃を防ぎながら拳のアームドギアを変化させる。

 

One for one

 

未来の花

 

マリアとセレナは砲撃と大量の短剣を構え、切歌と調、紫苑と桃恵は手に持つ武器を同時に振りかぶり、真は手に持つ武器を組み合わせドライバーに認証させる。

 

All for one

 

咲かすため

 

響が砲撃を押し返すと同時に全員が棺に目掛けて一撃を放つ。

 

 

十二人の攻撃は棺に直撃し大爆発を起こし、棺は後ろに大きく倒れる。

 

「急いでください、S.O.N.G指定の避難ポイントに!」

 

「あ・・・ありがとう!」

 

女性は急いで車に乗り込み避難ポイントへと向かって行った。

 

倒れた棺は下半身に棘を繰り出し、高速回転しながら響と真に向かって行く。

 

「っ・・・させない!」

 

響はまだ移動していない車が背後にあるのを見て向かわせないように腰のブースターを点火させ高速で回転する棺に向かって拳をぶつける。

 

展開させた防御フィールドが棺の回転を相殺させると、棺は巨碗を響に向けて振るって下の氷の大地を砕き湖の底へと響と共に沈んでいった。

 

「っ! 響!」

 

それを見た真は急いで棺が砕いた後へと向かい湖に飛び込む。

 

「ぶち抜いてしまった!?」

 

「まずいですよ!?」

 

「歌えない水中では、ギアの出力が軽減してしまう!」

 

水中に引きずり込まれた上拘束され、呼吸ができない響を助けるために真は両手の武器をヒレの代わりにして水中を泳ぎ、響を捕らえる腕を切り裂き傷をつけると、響はそれを見てすぐさま拘束を解く。

 

(・・・だとしても!)

 

拘束を解いた響は両腕のギアを変形させ回転させ、真と共に上ではなくあえて湖の底へと向かって行く。

 

(この胸には、歌がある!!)

 

『使用BGM:FINAL COMMANDER』

 

響と真は棺の攻撃を躱しながら底へと向かい、たどり着くと響は両腕のアームドギアを巨大化させ、真は再び武器を組み合わせる。

 

ドッキングライズ!

 

ギガントストラッシュ!

 

((はぁぁぁあぁぁああぁぁあ!!))

 

二人はアームドギアと組み合わせた武器を高速で回転させ巨大な竜巻を繰り出し、それに飲み込まれた棺はそのまま氷の大地を下からぶち抜き、上空へと吹き飛ばされその竜巻で分厚い雲に大きな穴が開き日が刺す。

 

棺が吹き飛ばされた後に二人も湖から出てきて皆が駆け付ける。

 

「っ・・・はぁ・・・はぁ・・・!!」

 

「響!大丈夫!?」

 

「そんなことより、あれを何とかしないと!」

 

全員が上を見上げると、吹き飛ばした棺が落下してきていた。

 

「狙うべきは喉元の破損個所、ギアの全エネルギーを一点収束!」

 

「決戦機能を動く標的に!?もしも外したら・・・!」

 

「後がないデス・・・できっこないデスよ!?」

 

「狙いをつけるのはスナイパーの仕事だ、タイミングはあたしがとる」

 

「もしもの時はゼロツーの予測がある、だから安心してぶっ放せ!」

 

「・・・わかった、行くぞ皆!」

 

翼の声に響達九人の装者が構える。

 

『ギア・ブラスト!』

 

九人が叫ぶと身に纏うアームドギアが解かれ、全て射出用のエネルギーに変換される。

 

「軌道計算ならこっちでも・・・!」

 

「っ待ってください、棺の周辺に・・・!」

 

棺の周りに大量のユニットが展開され棺の姿を隠す。

 

「リフレクター気取りかよ・・・!」

 

「そっちは俺たちが何とかする!紫苑、桃恵!」

 

「「分かった!」」

 

真は飛電メタルで翼を生成し桃恵と共に飛び、紫苑はサンジェルマンから習った錬金術で空中に足場を生成し駆け上がりユニットを撃退していく。

 

ユニットから放たれる光線を真達が響達に当たらないように防ぎながらユニットを撃退していき、響達は棺が迫る中未だに攻撃のタイミングを合わせている。

 

「クリスちゃん、もうすぐ誕生日!この戦いが終わったら・・・!」

 

「そういうフラグはお前一人で間に合ってんだよ・・・!」

 

響達は攻撃のタイミングをまだかと待機する。

 

「まだデスか・・・まだデスか・・・!?」

 

「このままだと、私達までぺしゃんこに・・・!?」

 

(焦るな・・・焦るな・・・焦らせるな・・・!!)

 

クリスは冷静に標準とタイミングを合わせ、そしてその時が来た。

 

「今だ!!」

 

その掛け声と同時に九人のエネルギーが棺に向かって放たれる。

 

『G3SA・ノネットリボルバー!』

 

放たれた九人のエネルギーは混ざり合い一つになり、棺の破損した箇所に吸い込まれるように直撃する。

 

直撃した棺は大爆発を起こし、その爆風で南極大陸を覆う雲が全て吹き飛ばされた。

 

澄み渡る青空の下、喜ぶ響達の元に真達が降り立つ。

 

「やったな響」

 

「はい、真さん!」

 

喜ぶ二人は拳をぶつける。

 

 

棺を破壊した後、S.O.N.Gの研究員たちが棺を調べていると、突如棺の体が開かれる。

 

煙と共に姿を現したのは、棺の中でまるで繭のように包帯巻きにされ、左腕の金色の腕輪を付けた一体のミイラだった。

 

「あれが『カストディアン』・・・神と呼ばれた『アヌンナキ』の遺体」

 

「つまりは、聖骸・・・というわけですね」

 

棺より現れた神の遺体、これが最後の戦いの引き金となった。





さて、後書きの時間だ。
「なんとか棺を倒すことに成功したな」
「だな・・・で作者、途中のあの歌少し変わってないか?」
ああ、六花繚乱ってイグナイトも似合いそうな感じがしたからそうしてみました、俺の頭の中ではサイバーな感じの曲調になってるぞ。
「それにしてもG3SA・ノネットリボルバーがうまく決まってよかったです」
「じゃな、もし外しておったらと思うと心配してたぞ・・・」
「そこらへんは俺が棺の胸の穴から内部に侵入して内側から粉砕してたな」
「それって確実に中身を大変なことになってますよね?」
「だな、そして中から出て来た遺骸・・・あれがアヌンナキなのか」
ああ、物語は加速していくぞ・・・それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
シンフォギア装者3人が奏でる歌ベスト5は何ですか?

これも前回の質問の続きだな、まず5位は『FIRST LOVE SONG』、4位は『激唱インフィニティ』、3位は『旋律ソロリティ』、2位は『「ありがとう」を唄いながら』、そして1位は『RADIANT FORCE』だ。
「AXZから二つも出てるんだな」
AXZは名曲の宝庫だからな、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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特別回17:立花響と継菜真の誕生日2


特別編第十七話!今日は二回目の響と真と俺の誕生日だ!
「ついに二回目か・・・響は三回目だけど」
「だな、流石にここまで来たらネタとか大丈夫なのか?」
ふっふっふ・・・すみません全然ネタが思いつかなかったので今回は結構駄作の可能性があります。(orz)
「あっやっぱりそうなんですね」
なので今回は短い上に駄作の可能性がある為それでもいいという方はどうぞご視聴ください。
「土下座するほどか・・・よっぽど切羽詰まっておるようじゃのう」
「まぁしょうがないよ、此処まで百本以上も書いてるわけだし・・・」
「はぁ・・・まぁとにかくそろそろ始めようぜ」
そうだな・・・それでは特別編どうぞ!


9月13日、響と真はともに街を歩いていた。

 

「いや~すっかり秋模様ですね、真さん!」

 

「だな・・・しかし誕生日の準備のためとはいえ家から追い出されるとは思いもよらなかったな」

 

「ですね・・・私もいきなりだったからびっくりしましたよ」

 

二人の誕生日を祝うための準備をするためそれまで時間つぶしの為に二人は街をぶらついていたのだった。

 

「しかし、この時間どうしましょうか?」

 

「そうだな・・・どこか適当なところにでも・・・ん?」

 

二人が街中を歩いていると、一か所がにぎわっていた。

 

「なんかイベントでもあるのか?」

 

「あっ、真さんあれ!」

 

響が指さしたところを見ると、そこには有名ファッションモデルの撮影会と書かれているポスターがあった。

 

「撮影会か、しかも有名なファッションモデルの・・・そりゃこんなに人だかりが出来るわけだな」

 

「ですね・・・ってあれ?」

 

響が視線を逸らすと、奥の方で誰かが困ったような顔をしていた。

 

「どうした響?」

 

「あの人、困ってるみたいです・・・ちょっと行ってみます!」

 

「まった、俺も行くぞ」

 

二人は人ごみを回り込みその人物の元まで駆け付けることが出来た。

 

「ああ・・・どうしよう、どうしよう・・・!?」

 

「あの~どうしたんですか?」

 

響が声をかけると、その人物は口を開く。

 

「ああ・・・実はモデルの乗ってる車が事故にあってしまったらしいんだ・・・」

 

「ええっ!?モデルさん大丈夫なんですか!?」

 

「ああ、幸いにもケガなんかはしてないけど事故のせいでこっちに来れないみたいでどうしようか困っていたんだ・・・」

 

「代わりの人はいないのか?」

 

「残念だけど・・・ああ、いったいどうすれば・・・!」

 

「あの・・・何か私達に手伝えることはありませんか?」

 

「ああ、流石にこのままじゃヤバいだろ・・・出来ることがあるなら協力するぞ」

 

「出来る事かい・・・・・・ん?」

 

その人は二人に視線を向けると、突如立ち上がり二人を見回すように見る。

 

「えっ?あの~?」

 

「この二人・・・よく見たらルックスよし・・・これなら・・・」

 

「どうしたんだ?」

 

何かぶつぶつ言っていると、突如二人の方に振り返る。

 

「君たち!協力してくれないかい!」

 

 

 

それから数分後、その人に頼まれ二人は『モデルの代役』として撮影をしていた。

 

「は~い、こっちに視線お願いしまーす」

 

「は・・・はーい!」

 

「あっ此方にも視線お願いします」

 

「あっ、分かりました・・・!」

 

カメラマンが指示の通りに二人はカメラマンの方に視線を向けると、カメラマン達は写真を撮る。

 

「まさかこんなことになるなんて・・・」

 

「だな・・・しかも服装のテーマも・・・」

 

二人の服装は響は女性らしさが出るワンピーズ、真はボーイッシュな雰囲気の服装を着ていた。

 

「真さんのボーイッシュな感じも似合いますね」

 

「そういう響のワンピースも似合ってんぞ・・・しかし誕生日に何やってんだろうな俺達」

 

「いいじゃないですか、これも人助けですから、それに・・・」

 

「それに?」

 

「こうして真さんと撮影するの、私楽しいですよ!」

 

「・・・そうだな」

 

二人はそう言って笑みを浮かべ、その瞬間もカメラマンたちはシャッターを押しまくった。

 

 

 

それからしばらくして撮影会が終わった二人はお礼としてさっきまで来ていた服をプレゼントで貰った。

 

ついでにモデルにスカウトされるが丁重に断り、二人は袋を片手に家に帰っていった。

 

それから数日後、雑誌に二人が乗っていることに驚いたみんなに問い詰められるが、それはまた別のお話。





さて後書きの時間だ。
「今回は俺と響がモデルの代役をする回か・・・」
このお話はXDのメモリアストーリーの奏と響のモデルのお話を参考にさせていただきました。
「やっぱそこが元か・・・特別編はメモリア中心で書けばいいんじゃないか?」
いや、そこやっぱオリジナルな話がいいなと思うから極力メモリアは使わないようにしてる。
「まぁ作者さんがそれでいいなら・・・今回はお花はないんですね?」
連続で同じ花はちょっとな・・・なので今後は出ないと思うな。
「思う・・・とは曖昧じゃな?」
だってエルフナインの誕生日がまだだし。
「そうでしたね、その時を楽しみにしてますね」
まかせろ、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」

「今回はあたしが言うぜ、そして~!」

『ハッピーバースディ!響!真!作者!』


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悪意が作りし殺意


0編第三話、前回のあらすじは?
「南極に向かう一週間前、俺と響はクリスの誕生日プレゼントを買いに言ったら弦十郎さんから呼び出しを喰らった」
「集められたあたしらは回収したティキの残骸をサルベージした結果ボストーク湖の何かがあることを知った」
「そして棺の防衛力に押される中、背後にいる人たちを守るために私たちはイグナイトを起動させユニゾンで立ち向かいました」
「そして装者たちの力を合わせた決戦機能をもってしてついに棺の破壊に成功したぞ!」
「そして破壊された棺の中から出て来たのは神と呼ばれたアヌンナキの遺骸でした」
はいOK、それじゃあ0編第三話、どうぞ!


とあるステージ会場にて、翼は振り付けの練習をするが上手くいかない様子を見て緒川、マリア、奏は不安そうに見つめていた。

 

「何かに心を奪われてるようですね・・・」

 

「ああ、いつもの翼らしくないな・・・」

 

「そうね、任務の合間に陣中見舞いしてみればこの体たらく・・・凱旋ライブの本番は三日後だというのに」

 

三人が話し合っていると、休憩に入った翼がやって来る。

 

「お疲れさまでした」

 

「いえ・・・」

 

暗い顔をする翼に対し、マリアは翼に対して問いかける。

 

「世界に脅威が再び迫る中、気持ちはわかるけどね・・・けど、ステージの上だってあなたの戦い場所でしょ」

 

「それはそうだが・・・南極からの帰還途中で『あんなこと』が起きたのに・・・果たしてここは、私の立つところなのだろうか?」

 

 

 

クリスの誕生日を終えた次の日、響達学生組を見送った真は自室のリビングでソファーに座っていた。

 

「クリスの奴喜んでくれてよかった~、響と選んだ手袋が好評だったな」

 

真が安堵する中、神妙な顔つきで懐からプログライズキーを取り出す。

 

「聖遺物化の一押し・・・それがわかれば今後の戦いに役に立つはず」

 

真は内心不安を感じていると、ヴァネッサ達がやって来る。

 

「真様、大丈夫ですか?」

 

「・・・ああ、大丈夫さ」

 

「の割には元気がないぜ」

 

「やはり、『あのこと』が気がかりなのでありますか?」

 

「・・・ああ、その通りだ」

 

真はエルザの頭を優しく撫でながら、当時のことを思い出す。

 

 

 

南極からの帰還途中、突如アラートが鳴り響き真達は司令室に駆け付ける。

 

「状況は!?」

 

「洋上にアルカノイズの反応を検知!」

 

モニターに映し出されるのは空母の上にずらりと並びたつアルカノイズの群れだった。

 

「米国空母、トーマス・ホイットモアが襲撃を受けています!」

 

「やっぱり、南極で回収した遺骸を狙って・・・!」

 

「こっちの申し出を無碍にしやがるから・・・!」

 

「警戒待機してる四人は?」

 

「先行しています」

 

そのころ、トーマス・ホイットモアの上空を一体の巨大な鳥が羽ばたく。

 

「着いたようじゃな!」

 

「やっぱりミサイルより早い・・・!」

 

「流石マッハ2で飛行するフォームのライダモデルデス・・・!」

 

「ありがとうフライングファルコン」

 

先行した調、切歌、紫苑、桃恵を乗せたフライングファルコンは高らかに叫ぶ。

 

「真から装置を借りて正解じゃったな・・・では行くぞ!」

 

紫苑の号令と共にフライングファルコンが消え、四人は自由落下しながら構える。

 

アウェイクン!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

「「変身!」」

 

『『フォースライズ!』』

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

『『Break Down.』』

 

変身を終えた四人は空母に降り立ち、戦闘を開始する。

 

『使用BGM:未完成愛Mapputatsu』

 

天真+(プラス) 爛漫×(かける) 重低音ブッパDhath

 

降り立ってすぐに切歌は刃を投擲し盤上にいるアルカノイズの数を減らす。

 

切・呪リeッTぉ

 

可愛さ余って 肉を食べたい 少女の参上Dhath

 

切歌に続くように調はスカートを刃に変え、更に数を減らす。

 

Δ式 艶殺アクセル

 

抉り散らし大鎌タイフーン 目が廻るけど

 

紫苑は刀身に氷の錬金術を纏わせ振るい斬撃と共にアルカノイズを凍らせ、その背後を突いたアルカノイズは上空を飛ぶ桃恵の炎弾に貫かれる。

 

えんやこらさ 日夜ガンバルDhath

 

「アルカノイズ相手なら、今のあいつらの敵じゃないな」

 

モニター越しにみんなが見守る中、弦十郎と真は一抹の不安を感じていた。

 

「ああ・・・だとすればな」

 

「遺骸の回収にアルカノイズだけなわけがないはずだ・・・」

 

四人は兵士を囲むアルカノイズだけを的確に駆除していく。

 

「早く逃げるのじゃ!」

 

紫苑の言葉に兵士が逃げる中、海中からギガ・アルカノイズが現れ切歌に襲い掛かるが、切歌は攻撃を避け切り、跳躍してギガ・アルカノイズの上を取る。

 

信じ紡いで越えた涙 今、星に

 

切歌はアームドギアで迫って来る腕を切り裂き、そのままアームドギアを自身の足に装着する。

 

闇を照らせ 今この時代(とき) 希望、光支えに待ってる人が…!

 

切歌はそのまま背中のブースターを展開し、ライダーキックに酷似した蹴りを放ちギガ・アルカノイズの胴体を貫く。

 

断突・怒Rぁ苦ゅラ

 

いっしょに行こうTWIN-HEART

 

 

 

そのころ、上空で空母での戦いを見つめていた何かがいた。

 

「試運転にはちょうどいい・・・起動、任務を遂行せよ」

 

その言葉と同時に、船中の暗闇から赤い輝きが動き出す。

 

 

 

四人がアルカノイズを殲滅したその時、床から突然何かが飛び出した。

 

『ッ!?』

 

四人が驚きそちらに視線を向けると四人の目の前にそれが降り立つ。

 

全身が機械で出来ており両腕に蟷螂に酷似した鎌が取り付けられており、頭部はもはや蟷螂と同じ・・・『人型の蟷螂』だった。

 

「な・・・なんデスか、こいつは!?」

 

「分からない・・・米国の兵器・・・?」

 

「だと、よいのじゃがな・・・」

 

「けど、このタイミングで何で・・・?」

 

四人が警戒する中、真達の方でも困惑していた。

 

「なんだあれは・・・?」

 

「蟷螂ロボット・・・?」

 

そんな時、真のライズフォンが鳴り響き、真が確認すると相手は神だったのを確認しすぐさま出る。

 

「おい神、いったい・・・」

 

『弦十郎君!今すぐあの子たちにそのロボットを倒すように指示して!!』

 

ライズフォン越しに部屋にいる全員に聞こえるような大声を出しその場にいた全員が驚く。

 

「っ! 四人共、すぐにそのロボットを撃破するんだ!」

 

叫んだ瞬間、ロボットが動き出し両腕を振るうと、鎌から大量の斬撃が回転しながら放たれる。

 

『っ!!?』

 

突然の攻撃に驚きながらも四人はその攻撃を防ぎきると、ロボットは口を開く。

 

『人類・・・絶滅・・・任務・・・遂行・・・!』

 

そう言った瞬間、ロボットの瞳が赤く輝きだし四人に襲い掛かる。

 

ロボットの攻撃を切歌は受け止めるが、予想以上の力に押されていき吹き飛ばされてしまう。

 

「デェス!!」

 

「切ちゃん!!このぉ!」

 

切歌が吹き飛ばされたことに怒る調は大量の丸鋸を放つが、ロボットは両腕の鎌を巧みに振るい丸鋸を全て切り落とす。

 

「全部切り落とした!?」

 

全て切り落とされたことに驚く調にロボットはすぐさま接近し鎌を振るう、とっさに調は防ぐが勢いを殺しきれず同じく吹き飛ばされてしまう。

 

「切歌ちゃん!調ちゃん!」

 

「桃恵、来るぞ!」

 

紫苑の言葉に二人がロボットの動きに警戒すると、横から大量の弾幕がロボットに直撃する。

 

二人は驚き横を向くと、避難させたはずの兵士達が銃を構えていた。

 

「女性ばかりに戦わせるわけにはいかない!米国兵士の底力を見せるのだ、撃てぇ!」

 

隊長らしき人物の号令と共に再び弾幕がロボットに放たれ、ロボットの動きを抑える。

 

「銃弾が効いている・・・ということはアルカノイズじゃない?」

 

「奴は純粋な機械だというのか?」

 

二人が銃弾が効いてることに驚くと、ロボットは兵士たちの方を向く。

 

『人類・・・絶滅・・・任務・・・遂行・・・!』

 

そう言うとロボットは両腕を兵士の方に向けると、両腕が開きそこから大量の結晶が放たれ、結晶が床につくとそこから大量のアルカノイズが繰り出される。

 

「アルカノイズ!?」

 

「先ほどまでの奴らはあ奴が出しておったのか!」

 

繰り出されたアルカノイズが兵士たちに襲い掛かろうとする中、ロボットは走り出し船内に逃げ込む。

 

「なっ!逃げたじゃと!?」

 

「お姉ちゃん!まずは兵士さん達を!」

 

「分かっておる・・・じゃがあ奴を放っておくわけには・・・」

 

その時、アルカノイズが切り裂かれると同時に、兵士達の前に吹き飛ばされた切歌と調が並び立つ。

 

「切歌!調!無事じゃったのじゃな!」

 

「あの程度でやられないデスよ!」

 

「ここは私達に任せて二人はロボットを!」

 

「分かりました、お願いします!」

 

紫苑と桃恵はアルカノイズを切歌と調に任せ、すぐにロボットを追いかける。

 

二人が船内を探し回っていると、船員たちの遺体を見つける。

 

「酷い・・・!?」

 

「あ奴の仕業か・・・!」

 

そんな時、近くから悲鳴が聞こえ二人がすぐに向かうと船員に襲い掛かろうとするロボットを見つける。

 

「そうはさせんぞ!」

 

ポイズン!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

スティングカバンストラッシュ!

 

紫苑はとっさに紫色の斬撃を放ち、ロボットを吹き飛ばす。

 

「早く逃げてください!」

 

「あ・・・ああ、ありがとう!」

 

船員はすぐに逃げ出し、二人はロボットと相まみえる。

 

「これ以上の勝手は許さんぞ!」

 

「ここであなたを倒します!」

 

二人はホルダーからキーを取り出し、ライズスターターを押し込む。

 

カット!

 

サウンド!

 

二人はキーを装填すると、飛び出したライダモデルがロボットを威嚇する。

 

フォースライズ!

 

スラッシングマンティス!

 

シンキングオウル!

 

Break Down.

 

『仮面ライダー滅 スラッシングマンティスフォーム』と『仮面ライダー迅 シンキングオウルフォーム』に変身した二人はすぐさまロボットに攻撃する。

 

ロボットが振るう鎌を紫苑はアタッシュカリバーと刀に変えたマフラーの二刀流で防ぎ、防ぐと同時に桃恵が両翼から重低音の衝撃波を放ちロボットを吹き飛ばす。

 

ロボットはすぐさま大量の斬撃を放つが紫苑はさっきの意趣返しのように二刀流と両足の刃を駆使し全て切り落とす。

 

「御返しじゃ!」

 

全て切り落とすと同時に紫苑も大量の斬撃を放ちロボットの方も切り落とそうとした瞬間、桃恵が右腕をアタッシュショットガンで撃ち抜き破壊し、斬撃は全て直撃するとロボットの体から大量の火花が飛び散る。

 

「これでとどめじゃ、行くぞ桃恵!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

二人は武器を仕舞い、フォースエグゼキューターを引く。

 

スラッシングディストピア!

 

シンキングディストピア!

 

紫苑は右足の刃にエネルギーを集中させ跳躍し回転しながら迫り、桃恵は跳躍と同時に音による衝撃を全て左足に乗せライダーキックを放つ。

 

ロボットは防ごうと残った左腕で斬撃を放つが斬撃は掻き消され二人のライダーキックはロボットの体を切り裂き砕いた。

 

  

  

  

 

  

  

  

 

スラッシングディストピア

 

シンキングディストピア

 

『人類・・・絶滅ゥゥ!!』

 

ロボットは叫び声を放ち爆散した。

 

「やったようじゃな、桃恵」

 

「うん、そうだね!」

 

二人はその場でハイタッチを決めると、奥から切歌と調が駆け付けてくる。

 

「こっちも終わったみたいだね」

 

「これで少なくともあの気味悪いミイラは守れたデス」

 

四人が勝ったのを見て弦十郎が命令を出す。

 

「直ちに救護班を送らせろ・・・そして神よ、あのロボットは一体・・・?』

 

弦十郎の言葉に前任の視線がライズフォンに集まる。

 

『間違いないわ・・・あれは『マギア』よ』

 

「マギアだと!?それって前にティキが姿を変えられた・・・!?」

 

『ええ、ゼロワンの世界にいた人工知能搭載人型ロボット・・・それもあれは『ベローサマギア』、そんな存在を作れるのは・・・!』

 

その言葉にその場にいた全員が確信する。

 

「生きてたのか・・・アーク・・・!」

 

これが南極からの帰還時に起きた出来事だった。

 

 

 

「生きていたアーク、そしてアークが生みだしたと思われるマギア・・・不安が的中したな」

 

「まさか局長が生きていたなんて・・・」

 

「どんだけしぶといんだそいつは・・・」

 

「真様、大丈夫でありますか?」

 

「大丈夫だ・・・とは言えないかな、それに翼のコンサートの件もあるし」

 

真が頭を悩ませているのを見て、ヴァネッサ達三人は顔を見合わせて頷き、真の方を向いた。

 

「・・・真様、少しお願いがあります」

 

「お願い?」

 

そう言った三人の瞳は真剣だった。

 

 

 

「我々S.O.N.Gも、極冠にて回収した遺骸の警備に当たるべきではないでしょうか?」

 

「気持ちはわかるわ・・・でも遺骸の調査、扱いは米国主導で行うと、各国機関の取り決めだから仕方ないじゃない」

 

「日本政府やS.O.N.Gに、これ以上聖遺物と関わらせたくない国も少なくないですからね」

 

「せめて・・・私たちが警護に当たれれば、被害が抑えられ・・・」

 

翼が話す途中でマリアが翼の額にデコピンする。

 

「今やれることとやれないことに集中するの、ステージに立って歌うのはあなたの大切な役目のはずでしょ?」

 

「そうだぜ、翼の歌を楽しみにしている人たちもいるんだからな」

 

「む・・・不承不承ながら了承しよう・・・だが、それには一つ条件がある!」

 

「はっ?」

 

「条件?」

 

二人の呟きに、翼は笑みを浮かべる。





さて後書きの時間だ。
「おい、なんかヤバい奴が出て来たんだが・・・あれって」
そう、ゼロワンおなじみの『マギア』、これがお前らの・・・0編の敵だ。
「マジかよ・・・とことんやってくれるなアークの奴・・・!」
「でも、見た感じ普通の兵器が効いてますね?」
そりゃ普通のロボットだからね、多少頑丈で強力なだけであって頑張れば普通の人類でも勝てる相手だ。
「じゃが見たところあるかのいずを繰り出してきおるからまず勝てんじゃろうな」
「そうだね・・・それと今回は私たち前にフォームを使ったね」
ああ、真を倒したフォームを使わせてもらいました。
「掘り返すな!・・・にしても紫苑のライダーキックに見覚えがあるんだが」
某有名なハードボイルドな探偵のファングでストライザーなライダーキックをまねしてみました風都探偵面白いです。
「言ってる言ってる」
おっと失礼・・・それではそろそろいつもの行きましょうか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
シンフォギア装者6人(または7人)で奏でる歌ベスト5は何ですか?

連続で続いた音楽関連の質問もこれで最後だな、まず5位はAXZより『アクシアの風』、4位はXVより『未来のフリューゲル』、3位はXVより『Xtreme Vibes』、2位はGより『始まりの歌』、そして栄えある1位はXVより『PERFECT SYMPHONY』以上です!
「やっぱXVが多いな」
XVの全員ユニゾンは神曲ばかりだからね、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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両翼、再び天空へ・・・


0編第四話、前回のあらすじは?
「南極からの帰還後、どこか心あらずの翼と不安を感じていた真」
「それは南極からの期間中に起きた船への襲撃での事でした」
「船を襲ったアルカノイズを切歌達が撃退したが、そこに現れたのはマギアだった!」
「そしてうちと桃恵は力を合わせまぎあを撃破して見せたぞ」
「そしてそんな中、翼さんとヴァネッサさん達が提案を申し出ました」
はいOK、それじゃあ0編第四話、どうぞ!


遺骸の調査をする最中、弦十郎は訃堂と通信を取っていた。

 

『報告書には目を通した、政治介入があったとはいえ先史文明期の貴重なサンプルの調査権を異国にかすめ取られてしまうとは・・・何たる無様!』

 

「今日まで様々な横やりを入れた米国に対し、一層の注意を払うべきでした・・・」

 

『更には、パヴァリア光明結社の局長を逃しおって・・・』

 

「それについては対応中であり・・・」

 

『お前にも流れる防人の血を辱めるな』

 

そう言い残し通信が切れる。

 

「・・・ふぅ」

 

「お疲れ、弦十郎君」

 

通信を終えた弦十郎の元にフィーネがコーヒーを持ってやってくる。

 

「ああ、ありがとう了子君」

 

「鎌倉からの叱り、今まではほとんどなかったのに随分と頻度が増えましたね」

 

「うむ・・・そうだな」

 

 

 

時を同じくして、通信を終えた訃堂の傍にマギアに乗り移ったアークが座っていた。

 

「滑稽だな、局長を逃したことに怒ったお前の近くにその存在がいるのだからな」

 

「構わん、愚息を操作するにはこうした方が都合がいい・・・それよりもアーク、準備の方は済んでおるのか?」

 

「ああ、言われた通りに配置は済んだ、後は時がくれば起動する」

 

「ならばよし・・・防人たる信念を取り戻すために奴等には『贄』となってもらおう・・・」

 

そう言った訃堂は邪悪な笑みを浮かべる。

 

 

 

夕暮れ時、コンサート会場への道路が渋滞を起こしている中、その中の車の一台に響達が乗っていた。

 

「久々のライブだよ!翼さんの凱旋公演だよ!!だけどこんなんじゃ間に合わないよ!?」

 

「どうしようもないだろ!道路が混雑してんだから」

 

「だったらあの機械を使ってファルコンに乗って・・・!」

 

「んな事したら弦十郎さんに叱られるし、何より今あれはメンテに出してエルフナインとキャロルが神の指示で調整してるから手元にはないぞ」

 

クリスと真のツッコミにしょぼくれる響。

 

「マリア姉さん、急に来られなくなってしまって残念です」

 

「仕方ないだろ、急な予定が入ったんだから、その分警備として行ってる奏がマリアに伝えてくれるさ」

 

 

 

一方翼の凱旋ライブの会場では、翼の歌を心待ちにしている観客で溢れかえっていた。

 

そんな中ライトが消え、空中に光の文字が浮かび上がった。

 

 

『Everyone`s Dive』

 

 

『Tsubasa』

 

 

『and maria』

 

「えっ、マリアって確か・・・」

 

浮かび上がった文字の中にあったマリアの名に観客が驚く中、文字が消え歌声が聞こえる。

 

『使用BGM:Angelic Remnant』

 

絶対に折れないこと此処に誓う

 

歌を

 

歌を

 

大空高く

 

登頂部かライブ衣装を着た翼とマリアの登場に観客が盛り上がる中、二人は歌いながら下へと滑り降りていく。

 

数日前、翼がマリアに出した提案は、『共にステージで歌い明かす』ことだった。

 

「そんなの無茶よ!?できないわ!」

 

「いつか、私と歌い明かしたいと言ってくれたな」

 

「でも・・・私には・・・」

 

「私は歌が好きだ、マリアはどうだ?」

 

その条件の下、二人は同じステージで歌う事となった。

 

絶え間なく吹く向かい風 幾度も晒されながら

 

それでも熱く咲いた夢が 一歩二歩を踏み出す勇気をくれる

 

この声に

 

この胸に

 

受け継ぐ愛の()

 

羽撃いて

 

舞い散った

 

天使の名残羽根(なごりばね)

 

そして今この背には宿るだろう

 

逆巻く世界を飛ぶツバサが

 

錆に入ると同時に二人の衣装の装飾が外れ、ライトに照らされ星屑のように輝きだす。

 

駆け上がれ!帰る場所がある限り 夢への旅立ちは怖くない 100億の星達も同じものはない

 

二人の歌声を観客全員に聞かせるように二人の乗るステージが動き出し観客席の前を通るように円を描いて移動する。

 

「生きる」と云うことは?

 

鼓動が

 

脈打つ

 

その意味は?

 

自分だけの色のメロディで 未来へ奏でることだから 輝け…イノチを歌にして

 

歌い終わると共に観客の歓声がライブ会場に鳴り響く。

 

(アーティストとオーディエンスが一つに繋がる・・・溶け合ったような感覚。まるであの日の・・・故郷の歌が起こした奇跡のような)

 

マリアはそう感じながら翼の方を向き、翼が頷くとマリアも頷き階段を駆け上がり登頂部へと戻る。

 

突然のマリアの行動に観客が疑問に思うと、マリアの姿がスモークで隠れると同時に会場のライトが消える。

 

数秒が経った頃、スモークを二つの『橙色』のライトが照らし出す。

 

『まだまだステージは終わらないぞ!』

 

突然発せられた声に観客は驚き、そして一部の観客はその声の主に心当たりがあった。

 

そしてスモークが晴れるとそこに立っていたのは先ほどのマリアや翼と同じオレンジ色の衣装を身に纏ったツヴァイウィングの片翼・・・奏が立っていた。

 

奏は階段を下り翼の横に並び経つ。

 

『聞かせてやろうぜ翼、此処にいるやつらに復活したツヴァイウィングの歌を!』

 

『ええ、聞かせましょう、私達両翼の歌を!』

 

二人の掛け声と奏の存在をようやく認知した観客たちは先ほどよりも盛大な歓声を上げる。

 

『使用BGM:双翼のウィングビート』

 

何処までも飛んでゆける両翼が揃えば やっと繋いだこの手は絶対離さない

 

…離さない!

 

復活したツヴァイウィングの歌声に観客が歓喜の声を上げる。

 

マリアの条件を出した時、翼が奏に出した提案もマリアと同じく『共にステージで歌い明かす』ことだった。

 

「あたしもか!?いやでも・・・」

 

「フロンティア事変の時、再び奏と共に背を合わせた時私はすごく嬉しかった、それに今も人々はツヴァイウィングの歌を待っている」

 

そう言って翼は奏に手を差し出す。

 

「奏、もう一度共に歌ってくれないかしら?」

 

「・・・はぁ、負けたよ、翼」

 

そう言って奏は笑顔で翼の手を握った。

 

惨劇と痛みの 癒えない記憶は

 

夢でも呻くほど 胸を刺すように

 

互いの思い出の 写真は微笑み合って

 

今日の二人だけの一瞬を

 

表すかのように

 

重なる

 

二人は円状に現れた道を左右に分かれ走り出す。

 

色の違う砂時計

 

「何故・・・?」と空を仰ぐ

 

時は二度と戻らない

 

変わ

 

らぬ

 

過去

 

囚われるのはもうやめて

 

左右に分かれた二人が再び合流しサビに入ると同時に会場中に青色とオレンジ色のホログラムの羽が花吹雪のように舞い散る。

 

歌が濁りを許さない 両翼だけのムジーク 空が羽撃きを待つよ 逆光の先へと

 

天へと

 

鳴らし

 

伝え合う

 

シンフォニー

 

「聞こえますか…?」 Singing heart

 

運命なんて

 

ないことを

 

この奇跡で示せ

 

二人が歌いきると同時に観客席からは先ほどよりも溢れんばかりの歓声と拍手が鳴り響く。

 

その歓声と拍手を聞いて二人は顔を合わせ共に微笑む・・・その時だった。

 

突然ステージの底が砕け飛ぶ。

 

観客たちと翼たちが驚く中、砕かれた床から這い出て来たのは『鳥』を模したような頭部に上腕部のグレネード、両手に握られる翼の形をした剣、そして最初に出て来たのに近い姿をした黒い鳥のようなマギアの集団『ドードーマギア・改』と『ドードーマギア・ヒナ』だった。

 

『人類・・・絶滅・・・!』

 

「マギア!?」

 

「馬鹿な!?どうやって会場に侵入を!?」

 

その光景に翼はかつてのライブでのノイズの襲撃を思い出す。

 

「横浜湾ランドコンサートにマギアの反応を検知!」

 

「装者と仮面ライダーを急行させる、ヘリの用意だ!」

 

ドードーマギア・改はドードーマギア・ヒナに指示を出し、観客に襲い掛からせる。

 

「っ!させるかよ!」

 

アウェイクン!

 

奏は取り出したキーを起動させ、手にしたショットライザーでドードーマギア・ヒナを撃ち抜きながら翼と飛び出したマリアと共に駆け降りる。

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

アサルトバレット!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトウルフ!

 

No chance of surviving.

 

変身した三人は跳躍し観客に向かおうとするドードーマギアの前に立ちふさがるように立つ。

 

「貴様らの相手は私達だ!」

 

「ここから先には一歩たりとも進ませない!」

 

「かかってきな、お前らをスクラップにしてやる!」

 

『人類・・・絶滅・・・!』

 

三人を視認したドードーマギア・改は両手の剣を構え、ヒナ達と共に翼達に襲い掛かる。

 

「皆さん、急いでこちらに避難を!」

 

翼達が応戦する中、観客たちは緒川達スタッフの指示に従い避難を行うが、皆われ先に逃げようとするため思うように避難が出来ない。

 

翼とマリアはドードーマギア・ヒナ達と、奏は単独でドードーマギア・改と戦うがお互いに苦戦を強いられていた。

 

ヒナ達は数と連携で翼とマリアを翻弄し、改は胸部の固定マシンガンと上腕部のグレネードで遠距離戦を、両手の剣で近接戦を行い奏を追い詰める。

 

「くっ・・・一体一体はディバインマギアよりは弱いが!」

 

「この連携は非常に厄介だわ・・・!」

 

「くっそ・・・あのマシンガンとグレネードが厄介すぎる・・・あたしの武器じゃ相殺しきれねぇ・・・!」

 

ライブ会場に向かう途中の社内では、真達がエルフナインからの通信を受ける。

 

「スタジアムにマギア・・・ってそこには翼達と観客たちが!」

 

『はい、既にピックアップ用のヘリをそちらに向けて飛ばしています!皆さんは到着したヘリの乗ってスタジアムに!』

 

それと同時に前方のスタジアムから煙が上がる。

 

「分かった!」

 

通信を切ると真達はヘリの到着を待つ。

 

「ライブにマギアを襲わせるなんて・・・!」

 

「アークならやりかねません・・・人が集まるスタジアムは格好の的です・・・!」

 

「ならば早う向かわんといかんぞ!」

 

「・・・それまであいつらが持ち応えてくれれば」

 

会場では、ドードーマギア・ヒナの連携に翻弄されながらもなんとか撃退した翼達だが、予想以上の力に疲労が見え始める。

 

「はぁ・・・はぁ・・・なんとか倒しきったわ」

 

「まだ・・・奏が・・・!」

 

二人が奏の元に向かおうとしたとき、爆発が起き同時に奏は翼たちの方へと吹き飛ばされ変身が解かれる。

 

「がぁ・・・っ!!」

 

「っ!?奏!!」

 

二人が駆け寄ると、爆煙の中から傷一つないドードーマギア・改が現れ二人は武器を構える。

 

「済まねえ・・・しくった・・・!」

 

「大丈夫よ、後はこいつを倒せれば・・・!」

 

二人が武器を構えると、ドードーマギア・改は手元に卵型の金属球を取り出すと、それを放り投げる。

 

放り投げられた金属球が地面を転がると金属球は形を変え、新たなドードーマギア・ヒナが生みだされる。

 

「馬鹿な!?」

 

「こいつ、戦闘能力だけではなく増殖能力まで!?」

 

「嘘だろ・・・!?」

 

三人が驚愕すると、生み出されたヒナの何体かはすぐさま翼達に襲い掛かり、残り数体はドードーマギア・改と共に避難する観客の元へと向かう。

 

翼達は止めようとするが、変身が解け倒れる奏を置いて行くことはできず奏を守りながらヒナたちと戦う。

 

ドードーマギア・改達は観客たちに近づこうとすると、緒川が大量のクナイを放ちドードーマギアたちの影に突き刺し動きを封じる。

 

影縫い

 

緒川は動きを封じながら懐から拳銃を取り出しドードーマギアに向けて発砲するが傷一つつかない。

 

「傷一つつきませんか・・・ですが動きさえ封じれば皆さんが・・・!」

 

緒川は影縫いで動きを封じ応援を待つ作戦に出るが、その作戦には一つの誤算があった。

 

影縫いとは相手の影にクナイを突き刺し身動きを封じる忍びの技、だが問題なのは動きを封じるのであって完全に止めれるわけではない。

 

常人ならばこの技を使えば動きを封じることが出来る、だがフロンティア事変ではネフィリムの細胞を打ち込んだウェルは左腕がボロボロのなるのを承知で動かすことが出来る。

 

ようは力づくで解除することは可能だが、それを行うには激しい激痛を耐えなくてはいけない。

 

そしてあろうことかドードーマギア・・・ロボットには『痛覚』というものが存在しない。

 

ヒナ達は自身の胴体が壊れるのを躊躇わず無理やり影縫いを外し、そのままドードーマギア・改の影縫いを外したのだった。

 

その行動に驚く緒川はすぐに影縫いを放とうとするが、解放されたドードーマギア・改はすぐさま緒川に迫り殴り飛ばす。

 

「ぐあぁっ!!」

 

「緒川さん!?」

 

殴り飛ばされた緒川は幸いにも致命傷ではなかったがダメージは大きく動けずにいた。

 

そして緒川を殴り飛ばしたドードーマギア・改がその視界に入れたのは、親と離れた少女だった。

 

ドードーマギア・改の姿を見て恐怖で身動き一つとれない少女にドードーマギア・改は剣を握り締め近づく。

 

「っ!やめろぉぉぉ!!」

 

翼が叫ぶがマギアにその声は届かない、届いたとしてもそれを聞き入れることはない。

 

ならばと少女を助けに行こうとするがヒナ達が親鳥を守るように壁を作り思うように進めない。

 

ドードーマギア・改は手にした剣を振り上げ、狙いを身動きできない少女に定めた。

 

『人類・・・絶滅・・・!』

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

翼の悲痛な叫びと共に、その凶刃が少女目掛けて振り下ろされた・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・だが、少女の体からは血の一滴も流れなかった。

 

「・・・えっ?」

 

少女の身には傷一つない、そしてドードーマギア・改の方に視線を向けると、そこには振り下ろしたはずの剣が『切り飛ばされた』ドードーマギア・改がいた。

 

『・・・・・・?』

 

その現状にドードーマギアも、少女も、緒川も、そして翼たちも理解できなかったが、その後新たなことに気が付く。

 

それは『音』、それも何かが空を飛ぶ『風切り音』だった。

 

その音に気が付いたドードーマギア・改はその音のする方を向いた・・・瞬間、何かがドードーマギア・改を吹き飛ばした。

 

ドードーマギア・改を吹き飛ばしたそれは地面に突き刺さり、翼たちはその正体に気が付く。

 

ドードーマギア・改を吹き飛ばしたそれは『赤いブーメラン』のような物だった。

 

「あれは・・・?」

 

翼達が呆気に取られていると、ドードーマギア・ヒナ達が翼達に襲い掛かろうとした時、どこかから『大量の弾幕』が放たれヒナ達の動きを止める。

 

弾幕がヒナ達の動きを封じていると、闇の中から巨大な『牙』がヒナ達を吹き飛ばした。

 

「今の弾幕は雪音・・・だが!?」

 

翼はあたりを見当たすがそこにクリスの姿はなかった。

 

だがその代わり少女の近くに誰かが降り立った。

 

土煙で見えない中、月光がその者達を照らし出す。

 

「・・・っ!お前たちは!!」

 

翼達は照らされた人物達を見て驚く。

 

「主の命をこの身に受け・・・」

 

一人は小柄な体にトランクを手に持ち異質な『尻尾』が生え。

 

「助けられた恩を果たすため・・・」

 

一人は身に纏ったマントを翻しその背に『翼』を生やし。

 

「我ら三名、助太刀いたします・・・!」

 

一人はその手の指先に取り付けられた『銃口』がまるで先程の弾幕の主だと表すように煙を上げる。

 

「『ヴァネッサ』『ミラアルク』『エルザ』!?」

 

その身を悪意に寄って人外へと改造されたヴァネッサ達。

 

忌み嫌った人外の力を携え、翼たちの援軍に駆け付けた。





さて後書きの時間だが一言言わせてもらおう・・・ツヴァイウィング完全復活!
「まさかあたしの復帰にXDの曲を使うとは・・・」
そりゃあもうツヴァイウィングの復活ときたらこの曲しかないだろ!
「ですけどこれでやっと両翼揃ったツヴァイウィングになれましたね」
「だな・・・けどやっぱり気やがったかマギア共」
今回出て来たのは暗殺ちゃん最終形態こと『ドードーマギア・改』と改が生んだ『ドードーマギア・ヒナ』達、こいつほどゼロワンを代表するマギアはいないだろ。
「うむ、まさに適任じゃな・・・にしてもここまで強かったかのう?」
そりゃあこっちの世界でパワーアップしたアークが作ったら原作より強力になるだろうな。
「そして危機を救ったのはまさかのヴァネッサさん達・・・というよりミラアルクさんが助けたあの少女って・・・?」
もち、原作にてミラアルクがやっちゃった子です、あれはトラウマ物だわ。
「それをこっちでは助けたわけか・・・」
そういう事、んでもって二話後編は次回にも続くからご了承を、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真に質問
「AXZ編」に登場したサンジェルマン、カリオストロ、プレラーティの錬金術師トリオ、ソーニャ・ステファンのヴィレーナ姉弟にティキ、そして正体がアークであると判明する前のアダムの様子で初対面と現在の印象は?

サンジェルマン
「一目見て手ごわそうって思ったな、そして冷静そうで色んな策を練ってきそうな感じもしたな」

カリオストロ
「とにかくデカい、だな・・・待てセレナそんな目で見るな、仕方ないだろ男の性なんだから!?」

プレラーティ
「なんというか・・・キャロルと同じ感じがするなって思ったかな」

ソーニャ
「最初見た時はこの人がクリスの姉的存在なのかって感じたな・・・それ故にクリスみたいな性格なのかなとも思った」

ステファン
「マジで弟って感じの少年だったな、村の少女を助けるために出した勇気も好印象だったな」

ティキ
「ガリィ達オートスコアラーと比べたら弱そうって思ったけど・・・どことなく狂気を感じた」

アダム
「ウェルと同じぐらい胡散臭そうな感じがした」

・・・こうしてみると色んな奴と出会ったなお前ら。
「本当にな、それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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覚悟の力、その身に


0編第五話、前回のあらすじは?
「翼たちのコンサートの裏で何かを計画する訃堂とアーク」
「そしてついに行われたコンサートでマリア姉さんだけではなく奏さんも翼さんと一緒に歌いました!」
「じゃがそこに現れおったのはどーどーまぎあの集団」
「翼さん達も奮闘しましたが、敵の力は強く観客に被害が出そうに」
「けどそんな危機を救ったのはまさかのヴァネッサ達だった!」
はいOK、それじゃあ0編第五話、どうぞ!


突然目の前に現れたヴァネッサ達に翼達が驚く中、ヴァネッサは何とか起き上がった緒川に声をかける。

 

「緒川さん、早くこの少女を安全な場所へ」

 

「っ!わかりました!」

 

了承すると緒川はすぐに少女を抱えその場から撤退する。

 

「お前達・・・なぜここに!?」

 

突然現れた三人に翼が問いただすと、ミラアルクが答える。

 

「さっき言っただろ、あんたらの手助けに来たんだぜ」

 

「手助けって・・・けど力を使ったら!」

 

翼達は三人の体については聞かされている、ゆえに戦わせるわけにはいかないと思っていたが、それを言われた三人の眼差しは真剣だった。

 

「分かっています、ですがこれは真様に頼み、真様に頼まれたことです」

 

「真に!?」

 

 

 

時は三日前、真が自宅で三人に船であったことを伝えた後の事だった。

 

「コンサートの警護に出向く!?」

 

真はヴァネッサからの提案に驚きを隠せなかった。

 

「はい、私たち三人が警護に出向けばいざというときマギアが襲ってきたときに対処が可能です」

 

「でも、お前たちの体は力を使えば拒絶反応が・・・!」

 

「そんなのは重々承知だぜ!」

 

「ですが、短時間であれば力を使っても反応は少ないと思われるであります」

 

「だからってそんな危険なことにお前たちを向かわせるわけには・・・」

 

「真様」

 

真が言いかけるとヴァネッサが横槍を入れる。

 

「私たちは局長によって体を改造され、人間を捨て去られ、サンジェルマン様達に保護されて洞窟に身を潜めてからはずっと怯えていたのです」

 

「怯えて・・・?」

 

「はい、いつか私たちは完全に人間をやめて怪物となってしまうのか・・・そんな事ばかりを考えるようになって眠れぬ夜を過ごしました・・・けどあの日、真様達は私達を救ってくれました、人間を捨て去られた私達を人間と同じ扱いをしてくれてこうして保護してくれて感謝しかありません・・・そして今こそその恩を返す時なのです」

 

「私たちを救ってくれた恩、ここで返さなくちゃ仇で返すも同じだぜ」

 

「ガンス、だから真様お願いであります、私達に警護をお任せくださいであります!」

 

そう言って三人は真に頭を下げる。

 

真は三人の覚悟を見て、少しため息をつくと、声をかける。

 

「・・・はぁ、そこまでされちゃあ仕方ないよな」

 

「っ!では・・・!」

 

「ただし、観客の避難と防衛を最優先、三人が危機ならば助ける事、そして無茶をしないこと・・・それを守れるのならお前たちに任せる」

 

真の言葉に三人はすぐさま膝をつく。

 

「「「はい(であります)!」」」

 

その後、真は弦十郎に連絡をとり当日の警護に三人を充てることを頼み、三人は翼達に気づかれないように観客席に隠れて警備に当たったのだった。

 

 

 

「・・・というわけだぜ」

 

「すでに観客の避難は終わっています、後はそこのマギアだけであります!」

 

その言葉に翼達が辺りを見当たすと、その場に観客は一人もいなかった。

 

「真様に言われた通り、三人の手助けをさせていただきます・・・よろしいでしょうか?」

 

三人の言葉に翼は思案をすると、倒れていた奏が起き上がる。

 

「・・・ったく、とんでもない覚悟決めてきやがったなお前ら」

 

そういう奏は三人の方に視線を向け、微笑みを浮かべる。

 

「でも、そんぐらいの覚悟を持ってきてんだ、ここで引かせるわけにはいかないよな、翼」

 

奏の言葉に思案していた翼は決心したように三人に視線を向ける。

 

「・・・っ!わかった、ならば私たちの背、三人に託す!」

 

『了解!』

 

その言葉を聞いて三人は翼たちの所に駆け付け、奏はショットライザーにシューティングウルフプログライズキーを装填する。

 

バレット!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

シューティングウルフ!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

変身を終えた奏を含めた六人はドードーマギア・改と相対する。

 

『人類・・・絶滅・・・!人類・・・絶滅・・・!』

 

敵が増えたことに苛立つような動きをしたドードーマギア・改は再びヒナを生み出し戦闘態勢に入る。

 

「行くぞ!」

 

『人類・・・絶滅ゥ!!』

 

翼とマギアの叫びが重なると同時に両者はぶつかり合った。

 

ヴァネッサは迫って来るヒナ達を両手の機関銃で撃ち抜いて行き、動きを封じたヒナをマリアが一気に迫り蛇腹剣で切り払うと跳躍し左腕に蓄積していたエネルギーをヒナに目掛けて射出し直撃するとヒナ達は爆散する。

 

JUDGMENT†STRIKE

 

それを見たヒナ達は両サイドから挟むように展開するが、それに対応したのはミラアルクとエルザの二人だ。

 

展開したヒナ達に対しエルザは『テール・アタッチメント・ネイル』を取り付け広範囲でヒナを引き裂き、ミラアルクは背中の翼を右腕に集中させ巨大な腕にしてヒナを薙ぎ払うことでドードーマギア・改への道が開かれた。

 

「っ!突っ込むぞ翼!」

 

「ええっ!」

 

開かれた道を翼と奏が突き進みそれに対しドードーマギア・改は『ヴァルクサーベル』を構え二人を迎え撃つ。

 

翼の剣撃をヴァルクサーベルで受け流しつつ、奏のオーソライズバスターによる援護射撃を切り飛ばし、二人から距離をとると上腕部の『グレネード・ディスチャージャー』からミサイルを射出し六人を吹き飛ばす。

 

「くっ、やはりあのマギアは別格だな・・・!?」

 

「だが、放置すればまた新たなヒナを生みだされる可能性があるわ!」

 

「だったら生み出す暇を与えなければ!」

 

奏はアックスモードに切り替え、ドードーマギア・改に迫る。

 

「なっ!?おい無茶すんな!」

 

ミラアルクの忠告も間に合わずドードーマギア・改に攻撃を仕掛けるが簡単に受け止められてしまう。

 

「な・・・っ!?」

 

『人類・・・絶滅・・・!』

 

ドードーマギア・改はそのままオーソライズバスターを切り上げると同時に奏の胴体を切りつけ、攻撃を喰らってふらつく奏の体にミサイルを放ち奏を吹き飛ばす。

 

「がぁっ!!」

 

「奏ぇ!!!」

 

吹き飛ばされた奏はそのまま倒れ変身が解けてしまう。

 

「く・・・くそ・・・っ!」

 

奏は何とか立ち上がるが、体は思うように動かない。

 

そんな奏にドードーマギア・改が迫っていく。

 

「っ!させるか!」

 

ドードーマギア・改を生かせまいと翼達が間に入り食い止める。

 

「天羽奏、早く避難しなさい!」

 

「く・・・そんなの・・・出来るわけねえだろ・・・」

 

「どうして、このままじゃ貴方がやられてしまうわ!」

 

マリアがそう叫ぶと、奏はふらつく身体を奮い立たせながら答える。

 

「ヴァネッサ達が自分達の体の危機を覚悟しながら戦場まで来ているんだ・・・なのにここであたしが退場するわけにはいかないんだよ・・・!」

 

奏は拳を握り締めて五人に視線を向ける。

 

「三人が覚悟決めてるんだ・・・だったらこっちも覚悟決めて戦わねえと意味がねえだろ!」

 

「奏・・・!」

 

翼が奏の姿に視線を向けると、ドードーマギア・改は取り囲む五人を吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされた五人が倒れると、ドードーマギア・改はすかさず奏に向けてミサイルを放った。

 

「っ!奏!!」

 

ミサイルはそのまま飛んでいき、奏に直撃しようとしたその時。

 

空から光り輝く何かが降って来てミサイルを全て撃ち落とした。

 

「っ!あれは!!」

 

突然の状況にみんなが驚く中、その光は奏の元に向かう。

 

「こいつは・・・真の時と同じ・・・!」

 

奏が光に触れると、光は奏の掌に収束し一つのプログライズキーに変貌する。

 

手にしたプログライズキーは従来のプログライズキーと形が違い、金色の狼の装飾が取り付いており、後ろ側に円状の『マガジン』が取り付けられていた。

 

「このキーは・・・!」

 

奏がキーを手にしたと同時に、奏の脳裏に声が響く。

 

『お待たせ、奏ちゃん』

 

「っ!?その声、神さん!?」

 

『ええ、何とかギリギリだけどキーの調整が終わったわ、バルカンの最強の力をね』

 

「バルカンの・・・最強の力・・・!」

 

『ええ、見せつけてあげなさい、貴方の覚悟の強さを!』

 

そう言って神の声が聞こえなくなる。

 

「・・・へっ、任せろ!」

 

奏は手にしたキーを右手に持ち、そのまま親指で『セレクターマガジン』を回転させる。

 

 

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

キーを装填した奏はいつも通りにショットライザーを手に取り構える。

 

「変身!」

 

 

奏が引き金を引くと、出て来たのは十体のライダモデル達。

 

Gathering Round!

 

マンモス、チーター、ホーネット、タイガー、ポーラベアー、スコーピオン、シャーク、コング、ファルコン、そしてウルフのライダモデル達は飛び出すと同時にドードーマギア・改に攻撃する中、奏はゆっくりと歩みよって来ると、ウルフライダモデルを筆頭にライダモデル達が奏の元に向かってくる。

 

ウルフライダモデルは複数の弾丸に姿を変え、奏の体に弾丸が当たると当たった個所にアーマーが身に着けられていき、全身にアーマーが取り付けられると残ったライダモデル達もその身を装甲に形を変え奏の左半身に取り付けられ、最後に頭部の左側にそれぞれのライダモデルを現したカラーリングのパーツが取り付けられる。

 

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

変身を終えたその姿はまさに最強のバルカンと思わせるほどに力強く、倒れる五人にとって頼もしく見える。

 

十のライダモデルを身に纏う最強のバルカン『仮面ライダーランペイジバルカン』の誕生だ。

 

「さぁ・・・吠えまくるぜ!!」

 

姿を変えた奏を見てドードーマギア・改は警戒しヴァルクサーベルを構えると、奏は左太腿に取り付けられている『アビリティレッグ』のチーターの力を使い、高速でドードーマギア・改の懐に入り込り連続で蹴り付ける。

 

「うぉぉおぉぉぉ!!」

 

突然懐に入り込まれ連続で蹴られ怯むドードーマギア・改の胴体に奏は左腕の『アビリティアーム』のコングの力を使い圧倒的なパワーで空へと打ち上げる。

 

上空に殴り飛ばされたドードーマギア・改はそのまま奏に向けてミサイルを複数発射するが、奏はショットライザーを構えながら左太腿のアビリティレッグのスズメバチの力を使い。複数のライトニングニードルを射出しミサイルを全て撃ち落とす。

 

ミサイルを撃ち落とすと奏は左背面の『アビリティウィング』のハヤブサの力を使い背中に翼を生やし飛行すると、ドードーマギア・改に追いつき地面に叩き落とす。

 

「強い・・・これが天羽奏の新たな力・・・最強のバルカン!」

 

皆が驚く中、叩き落とされたドードーマギア・改は再び大量のヒナを生みだす。

 

それを見た奏は余裕そうにショットライザーを手に取る。

 

「生んだところ悪いが・・・速攻で片づける!」

 

ショットライザーを手に取ると、そのままセレクターマガジンを回転させる。

 

パワー!ランペイジ!

 

スピード!ランペイジ!

 

二回転させると、奏はそのままトリガーを引く。

 

 

トリガーを引くとファルコン、ホーネット、チーターの三種の力が奏の身に宿り、奏はチーターの力で高速で駆け抜けヒナ達を蹴り飛ばし、遠くにいるヒナ達はホーネットのライトニングニードルで撃ち抜いて行き、攻撃を仕掛けて来たヒナ達はファルコンの飛行能力で空中に飛んで回避し、そのまま翼で残ったヒナ達をドードーマギア・改ごと吹き飛ばした。

 

ランペイジスピードブラスト!

 

奏の攻撃でヒナ達は全滅し、残ったドードーマギア・改の体のいたるところから火花が飛び散っていく。

 

「こいつで・・・とどめだ!」

 

奏はショットライザーを手に取り、再びセレクターマガジンを回転させる。

 

パワー!ランペイジ!

 

スピード!ランペイジ!

 

エレメント!ランペイジ!

 

 

四回転させると、取り付けられたライダモデルの装甲が輝きだし、銃口に十体のライダモデルのエネルギーが蓄積される。

 

 

奏は反動を抑制するため翼を地面に突き刺し吹き飛ばされるのを防ぐと、トリガーを引く。

 

放たれた弾丸はウルフライダモデルとなりドードーマギア・改の方に駆け抜けていくと、再び弾丸となり高速で回転しながら迫っていく。

 

ドードーマギア・改の方も迎え撃つために巨大な斬撃と大量のミサイルを一斉に放つが、ミサイルも斬撃も全て打ち抜かれ、奏の放った弾丸はドードーマギア・改の胴体を貫いた。

 

 

『人類・・・絶滅ゥゥゥゥ!!!』

 

ドードーマギア・改は叫びながら爆散していった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・!」

 

奏はドードーマギア・改が爆散した後、周囲に敵がいないことを確認すると、変身を解きその場に倒れ込む。

 

「・・・っはぁ~!勝ったぁぁぁ!!」

 

奏が歓喜の声を上げると、翼達が駆け付ける。

 

「大丈夫?とんでもない無茶して・・・」

 

「ですが、ご無事でなによりです」

 

「ああ、それにしても凄かったぜ今の!」

 

「ガンス!キラキラでとっても強かったであります!」

 

「ははっ、お礼なら神さんに言ってくれ・・・」

 

奏がそう言うと、翼が奏の前に立つ。

 

「・・・終わったぜ、今度は犠牲者なしだな」

 

奏はそう言い手を差し出すと、翼は前のライブでのことを思い出す。

 

「・・・ええ、そうね」

 

そう言って微笑んだ翼は奏の手を取り立ち上がらせる。

 

それと同時に上空からヘリがやって来て、響達が顔を見せる。

 

「翼さーん!マリアさ―ん!奏さーん!無事ですかー!!」

 

「ヴァネッサ!ミラアルク!エルザ!体の方は大丈夫か!?」

 

六人を心配する二人の声に翼たちは笑みを浮かべ、空にいる仲間たちを見上げた。

 

今回の襲撃において、負傷者は出たが死者は一人も出なかった。

 

 

 

時を同じくして米国の研究施設にて、遺骸の調査を行っている最中レーザーで調べていた時、レーザーが遺骸の左腕の金の腕輪に当たった瞬間腕輪が輝きだす。

 

研究員たちは目を瞑り、光が止んだ時にはそこには腕輪だけを残し灰となった遺骸があった。

 

「っ!?記録、そして報告だ、急げ!」

 

「分かりました!」

 

残された腕輪、この正体とは・・・。





さて後書きの時間だ。
「ついにあたしに最強フォームが来たぜ!」
「とうとう来たなランペイジバルカン、十種のライダモデルがつぎ込まれたてんこ盛りフォーム」
ランペイジは見た目もカッコイイからゼロワンじゃ結構好きなフォームなんだよね。
「それにしても原作と違い死者は一人も出ませんでしたね、これはだいぶ原作から離れましたね?」
死者は一人も出なかったから先に行っとくと翼の闇落ちフラグはへし折ってやったわ。
「言い切ったのう・・・じゃが仲間が闇落ちしないのは良い事じゃな」
「そうだね、けど遺骸の方はなんだか大変なことになってるね」
そこもまた注意するべきところだからな、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
前の質問の逆でアダム(アーク)とティキを除いた5人から見た継菜真の初対面と現在の印象は?

サンジェルマン
「初めて会った時は三度世界を救った英雄らしい風格を纏っていたわね、少なくとも彼女たちの中じゃ一番強いとも感じたわ」

カリオストロ
「そうね~可愛い見た目に対して男勝りの口調をしてて負ったいないなって思ったわ」

プレラーティ
「とてもじゃないが、そこまで賢そうには見えなかったワケだ、だがキャロルを止めた英雄だから少しは期待していたワケだ」

ソーニャ
「まだ若い子なのにこんな戦いの場にいるのに驚いたわ、まだ年頃の女の子だというのに」

ステファン
「男みたいな女に人だなって思ったかな、けど結構優しくしてくれてソーニャみたいな人だなとも思ったぜ!」

こんな風に見られてたんだな、お前。
「俺もびっくりだわ、それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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援軍


0編第六話、前回のあらすじは?
「ヴァネッサ達が応援に駆け付け、危機的状況を脱した奏たち」
「ですがそれでもドードーマギアの実力は高く苦戦を強いられてしまいます」
「けどそんなとき、神さんから授かった新たな力であたしは最強のバルカン、ランペイジバルカンに変身した!」
「そして進化した奏の力によってついにドードーマギアを撃破したぞ」
「ですが、アメリカの研究所では、遺骸が消え去り、その腕輪だけが残されてしまいました」
はいOK、それじゃあ0編第六話、どうぞ!


米国研究施設にて、遺骸が無くなり腕輪だけとなってしまったが、それでも研究者たちは研究をやめてはいなかった。

 

「崩れ落ちた骸に用はない、必要なのは先史文明期のこの遺産であるこの腕輪」

 

「起動実験の準備、完了しました」

 

「我が国の成り立ちは、人が神秘に満ちた時代からの独立に端を発している、終わらせぞ神代!英知の輝きで人の未来を照らすのはアメリカの使命なのだ!」

 

 

 

コンサート会場での戦いを終えてから翌日、真達はテレビに視線を向けていた。

 

画面には襲撃によってボロボロのコンサート会場と暴れていたドードーマギアの姿が映し出されていた。

 

『コンサート会場に現れた謎のロボット達による襲撃によって会場は破壊され負傷者が出てしまいましたが、幸いにも死者並びに行方不明者などは報告されていません、警察は謎のロボットについての調査を・・・』

 

アナウンサーが喋っている途中で真がテレビの電源を切る中、響は離れた場所で電話をかけていた。

 

「うん、そうだよ。私は全然へいきへっちゃら・・・本当だってば!また今度アパートの方にも顔出すから、心配しないで」

 

そう言って通話を切る。

 

「響の両親、まだ一緒に暮らしてないんだな?」

 

「時々一緒、大体別々って感じかな・・・何年もほったらかしにしてきたわだかまりは簡単には無くならないし、お互い上手く伝わらない思いもあるみたいです・・・」

 

「そうか、そうだよな・・・それにしても死者、並びに行方不明者共にゼロ、何とか最悪の事態だけは免れたな・・・」

 

「はい!それもこれも翼さん達とヴァネッサさん達のお陰ですよ!」

 

「いえ、それほどでもありませんわ、それに奏さんのあの力がなければ私達も危うかったです」

 

「ああ、神さんがくれた新しいバルカンのお陰だな」

 

そう言って奏はランペイジバルカンプログライズキーを手に取る。

 

「しかし、逆に言ってしまえばそれほどの力がないと勝つのが難しい相手って事か・・・」

 

「だが、あの時私たちが力を合わせたからこそ最悪の事態を防いだのだ」

 

真の言葉にみんなが黙る中、翼が口を開いた。

 

「確かに敵は強大、圧倒的、だがそれでも私たちは屈するわけにはいかない、人類の希望を守るために」

 

「翼さん・・・そうですよね!敵が強くなったからってへこたれるわけにはいきませんよね!」

 

「翼の言う通りだわ、どれだけ壁がぶ厚かろうとも、敵が強大であろうとも私たちの力を合わせれば越えられない壁は存在しないわ!」

 

翼と響、マリアの言葉にその場にいるみんなは頷いた。

 

「けど、あのマギア達は一体どうやって会場に潜り込んだんデスか?」

 

「確かに・・・警備は厳重だしそう簡単には侵入できないよね」

 

「私達も外で警備していましたが、マギアが入ってきた形跡はありませんでしたわ」

 

「・・・だとしたら、可能性としては薄いが」

 

マギアの侵入方法に悩む中、真が一つの予測を建てる。

 

「もしあのマギア達が『既に会場内にいた』としたら説明はつくんじゃないか?」

 

「既にって・・・それこそ不可能だろ?あんな厳重警備でどうやって・・・」

 

「例えば・・・何者かによる手引き・・・とか」

 

「っ!?まさか協力者が内部に!?」

 

その言葉に全員がざわつく。

 

「アークに協力し、素性を隠し、更にマギアを会場に忍び込ませるほどの何か・・・」

 

 

 

風鳴邸にて、計画が失敗に終わった訃堂は怒りに満ちていた。

 

「どういうことだ!計画は成功するのではなかったのか!!」

 

怒る訃堂にアークは冷静に答える。

 

「ああ、当日に会場にいる装者と仮面ライダーの戦力を考え、成功する確率は高かったが思わぬイレギュラーが入ったようだな」

 

そう言ってアークがテレビを操作し映像を移すと、ヴァネッサさん達とランペイジバルカンの姿が映し出された。

 

「いかに確率が高い計画だとしても此処までの不確定要素が混じれば失敗する確率も高まるというものだ」

 

「くっ・・・それになぜあのマギアにはアルカノイズを搭載していない!あれさえあれば少なくとも防人の志を取り戻すには十分なまでの贄が出来るはず!」

 

「それは無理だろうな、私の持つアルカノイズの手持ちは少なくはないが多くもない、故に結晶を持たせるマギアも限られてくる、故に増殖能力を持つドードーマギアだけを送り付けたのだが、こうなるとはな・・・」

 

アークはそう言いながら手元に持つ結晶を指先で回転させ、つかみ取る。

 

「それで、引き続き風鳴翼を狙い続けるのか?」

 

アークが尋ねると、訃堂は苦虫をつぶしたような表情を浮かべる。

 

「・・・ふん、構わん、たとえ駒が一つ失ったところで我々の計画に支障はでん、あ奴に防人たる志を思い出させるには計画が終わってからでも遅くはない、その時まで協力を惜しまぬようにな」

 

「ああ、分かっている」

 

そう言い残し訃堂は部屋から出ていく。

 

「・・・まったく、人間というものは私以上に悪意に染まっているようだな・・・だが、それだからこそ扱いやすいものだ」

 

アークはそう言いながら画面に映るランペイジバルカンに視線を移す。

 

「しかしゼロツーの時といい、此処まで強化された仮面ライダーの力・・・間違いなくやつらも神の加護を受けているな」

 

アークは画面に手を付けると、画面にひびが入りテレビが壊れてしまう。

 

「どの神が加護を与えているのかは知らんが・・・私の計画を邪魔するというのならたとえ神であろうとも滅亡させるだけだ・・・!」

 

テレビを壊すとアークは近くのふすまを開き、そこにいるマギアを起動させる。

 

「さて、そろそろ私も動こうではないか・・・」

 

そう呟くアークの背後の庭には、巨大な何かが立っていた。

 

 

 

司令室では、マギアの出現を知らせるアラートが鳴り響くと、マリア達が駆け付ける。

 

「状況は!?」

 

「湾岸埠頭付近にマギアの反応を検知!」

 

モニターに映し出されたのは今までのマギアと比べて人型に近い構造をしている大量の『トリロバイトマギア』が街を襲っていた。

 

「人的被害、なおも拡大中!」

 

「急がないと!」

 

「すでに現場には、響君と翼とクリス君、真君と奏君と未来君の六人を送らせている」

 

マギアが街の人達を襲う中、トリロバイトマギアは不良風の男性に眼をつける。

 

男性が腰を抜かす中、マギアは手にしている機関銃を男性に構える。

 

『人類・・・絶滅・・・』

 

「ひぃぃぃぃ!!助けて神様仏様天使様ぁぁぁ!!」

 

男性が助けを求めると、それが叶ったかのように真上をヘリが横切る。

 

マギア達の視線がヘリに向けられると、ヘリから響達が飛び降りる。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

ゼロツージャンプ!

 

 

 

Let’s give you power!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

ゼロツーライズ!

 

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

Gathering Round!

 

It's never over.

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

『使用BGM:Take this! “All loaded”』

 

鼻をくすぐるGunpowder&Smoke

 

変身を終えたクリスと奏が何発か放ち、男性とマギアを離れさせる。

 

ジャララ飛び交うEmpty gun cartridges

 

二人はそのまま背中を合わせ共に周囲のトリロバイトマギアを撃ち抜いていく。

 

紅いヒールに見惚れて うっかり風穴欲しいヤツは 挙手をしな

 

「て・・・天使だ・・・ここは地獄で天国だ!」

 

「見惚れていないでさっさと逃げろ、本物の天使の所に行きたくなかったらな」

 

「ここは私達に任せて早く避難を!」

 

クリスと奏がマギアを引き付けている間に真と響が男性の元に駆け付けマギアを撃退しながら避難するように語ると、男性は急いでその場から逃げ去る。

 

血を流したって 傷になったって

 

トリロバイトマギアを攻撃する二人にトリロバイトマギアが弾幕を放ち、二人はとっさに回避する。

 

時と云う名の風と 仲間と云う絆の場所が

 

二人が着地すると、着地と同時に他のトリロバイトマギア達が二人を囲み襲い掛かろうとするが、翼と未来が剣と光線でトリロバイトマギアを撃破して二人を助ける。

 

痛みを消して カサブタにする …あったけぇ

 

助けた二人と助けられた二人が顔を見合わせ笑みを浮かべると、互いに背中を預けマギアの掃討に入る。

 

現在(いま)を120パーで生きて行きゃいい そうすりゃちったぁマシな過去に

 

真は予測演算でマギアの攻撃を全て躱しながらプログライズホッパーブレードで切り伏せていき、響もマギアを殴り飛ばしながらアンカージョッキを引き絞り地面を殴りつけその衝撃で周囲のマギアを吹き飛ばす。

 

未来はいつだってこの手にある(Fire!)

 

奏はコングの力でマギアを殴り飛ばしながら左足の『アビリティブーツ』のマンモスの力を使い巨大な足状のエネルギーを生みだしマギアを踏み潰し、翼は地面に剣を突き刺すと、周囲に大量の剣が地面から生えマギア達を串刺しにしていく。

 

百花剣乱

 

疑問?愚問だッ!(Fire!)挨拶無用(Fire!)

 

クリスは二丁拳銃で撃ち抜いて行き、途中でボウガンに切り替え上に矢を放つと矢が空中で分解し地上に降り注ぎ、未来も上に放った光線が上空の鏡を反射、分裂していき地上に降り注ぐ。

 

GIGA ZEPPELIN

 

光雨

 

全身凶器の 鉛玉を 喰らいやがれ

 

六人の攻撃で周囲のトリロバイトマギアが全滅し、辺りは静かになる。

 

「これで全部か・・・?」

 

「注意しろよ、何してくるかわからないからな!」

 

六人が警戒する中、誰にも気づかれない上空から一体の蝙蝠型のマギア『オニコマギア』の眼を通してアークが戦いを見ていた。

 

「ふむ、やはり通用しないか・・・ならば試すいい機会だな」

 

そう言うとアークの瞳が赤く輝きだす。

 

それと同時に六人の周囲が突如暗くなる。

 

「んっ?なんだ?」

 

「影・・・?」

 

クリスと未来が疑問に思っていると、真の予測が反応した。

 

「っ!?みんな影から離れろ!」

 

『っ!?』

 

真の掛け声に響達が影から離れると、上空から巨大な何かが降って来て六人がいた場所に降り立つ。

 

「な・・・一体何が!?」

 

土煙で視界が塞がれる中、煙が晴れると六人のいた場所に立っていたのは巨大な黒色のロボットだった。

 

「・・・はぁ!?」

 

「こ・・・これって・・・!?」

 

「巨大・・・ロボット!?」

 

「それになんだかこいつ・・・?」

 

「真さんのブレイキングマンモスに似てる・・・?」

 

「まさか・・・こいつもアークの差し金!?」

 

クリス、未来、翼、奏、響、真の順に驚く。

 

「行け、『アークギーガー』」

 

アークの言葉と同時にアークギーガーの瞳が赤く輝きだし、胸部に取り付けられている二本の錨『グレインゴット』を両手に持ち、六人に向けて振るってくると六人はすぐに攻撃を躱した。

 

「ちょっ!?巨大ロボットまで作れるなんて聞いてませんよ!?」

 

「こんなの誰だって予測できるもんか!とにかく何としてでもこのデカブツを倒すぞ!」

 

真はプログライズホッパーブレードを構えアークギーガーのフレインゴットを受け止めるが、圧倒的なまでの攻撃の重さに押されていく。

 

「くっ・・・重っ・・・!!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

真が攻撃を抑えている間に響が横から勢いをつけて殴りつけるが、アークギーガーの体に傷一つつかず、逆に響の腕にダメージが入った。

 

「・・・痛ったぁぁぁ!!固すぎですよこれ!!?」

 

「立花の拳をもってしても破壊できないというのか!?」

 

「だったら高火力ならどうだ!」

 

クリスは大量の小型ミサイルを展開しアークギーガーに向けて射出した。

 

MEGA DETH PARTY

 

ミサイルは全てアークギーガーに直撃するが、アークギーガーの体に傷一つついていない。

 

「これでも駄目なのかよっ!?」

 

クリスが驚いていると、アークギーガーの両肩が開きだし、さっきのお返しのように大量のミサイルをクリス達に向けて放った。

 

「危ないっ!」

 

ミサイルを見て未来が前に出て大量のユニットを展開しミサイルを防ぐが、威力が高く吹き飛ばされてしまう。

 

「きゃあっ!!」

 

「未来っ!!」

 

吹き飛ばされた未来の元に駆け付けると、再びアークギーガーがグレインゴットを振るうと、真が間に入り飛電メタルの壁で攻撃を防ぐ。

 

だが敵の攻撃が強く飛電メタルの壁にひびがついていく。

 

「くっ・・・どうすればいいんだ!?」

 

「こっちの攻撃がほとんど効かない相手にどうやって・・・!」

 

真達が追い詰められ、ひびが徐々に大きくなっていく中、突如アークギーガーの足元に陣が生成されアークギーガーを包み込む。

 

「っ!あれって・・・!?」

 

アークギーガーを包み込む陣が消えると、どこかから声が聞こえてくる。

 

「肩の関節を狙え!」

 

「っ! クリスっ!」

 

突然の叫び声に真がクリスに言い放つと、クリスはハンドガンを構えアークギーガーの左肩の関節目掛けて放つと、弾丸は間接に入り込みそこから黒い煙を上げ左腕が動かなくなる。

 

「左腕が・・・!?けどこれなら!」

 

左腕が動かなくなり威力が減ったところを狙い真が押し返しアークギーガーが後ろに押されると、再びアークギーガーの足元に陣が生成され今度はアークギーガーの両足が黄金に包まれて拘束される。

 

「っ!今だ!」

 

真はその機を逃さずキーを押し込む。

 

ゼロツービッグバン!

 

真は一瞬でアークギーガーの懐に入り込み両足と右腕の関節を蹴りで破壊し動きを完全に封じてから跳躍し、胸部目掛けてライダーキックを放つ。

 

 

ゼロツービッグバン

 

真のライダーキックによって胸部にひびが付き、真がアークギーガーから離れると、その背後で奏が虹色のエネルギーが蓄積されたショットライザーを構えていた。

 

「こいつで・・・とどめだ!」

 

奏がトリガーを引くと、虹色の弾丸が射出されアークギーガーのひび付いた胸部に突き刺さりアークギーガーの胴体を貫通した。

 

 

弾丸が胴体を貫くとアークギーガーの体から火花が飛び散り爆散した。

 

「やったぁ!!」

 

アークギーガーが爆散すると、響達はハイタッチを交わす。

 

「けど今の声って・・・」

 

その時、誰かが真達の元にやってきた。

 

「解析は錬金術師にとって基本的なこと、あの機械を解析して弱い部分を調べたけど功を奏したみたいね」

 

「っ!その声は!」

 

聞き覚えのある声に六人が振り向くと・・・。

 

「久しいわね、みんな」

 

「やっほー、帰還してきたわよ」

 

「しかし中々大層な敵なワケだ」

 

「サンジェルマンさん!カリオストロさん!プレラーティさん!」

 

かつて真達と死闘をしたパヴァリア光明結社元幹部、現S.O.N.G所属のエージェント、サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティがそこにいた。

 

 

 

本部にて帰還したサンジェルマン達をみんなで出迎えた。

 

「よく帰還してくれた、三人共、任務の方は?」

 

「ええ、順調に進んだわ、此方を」

 

そう言ってサンジェルマンが取り出した資料に弦十郎が目を通す。

 

「サンジェルマンさん達、今まで何をやってたんですか?」

 

「アークの潜伏場所を調べていてね、米国とか色んな国を調べていたのよ」

 

「色んな国って・・・そんな数か月で回れるものか?」

 

「結社にいた際に至る国に転移する用のジェムを用意していたからそれを使ってスムーズに済ませたワケだ」

 

「ほえ~、錬金術ってなんでもありなんですね・・・」

 

真達がサンジェルマン達の行動に感心していると、弦十郎が口を開く。

 

「・・・これは確かか?」

 

「ええ、私達が調べた限りだとアークは外国にはいない・・・それどころか奴はこの日本のどこかに潜んでいる可能性が高いわ」

 

サンジェルマンの言葉にみんなが驚く。

 

「アークがまだ日本に・・・!?」

 

「ええ、そしてアークには大きな協力者がいるみたいよ」

 

「残念ながらその協力者まではまだ分からないワケだが」

 

そんな時、通信が入りモニターに襲撃される研究所の映像が映し出される。

 

「米国、ロスアラモス研究所がマギアと思わしき存在に襲撃されたとの報告です!」

 

「なんだとっ!?」

 

モニターに映し出されるのは、燃え盛る研究所内にたたずむアークの姿だった。





さぁ、後書きの時間だ。
「今回は翼の爺さん、何だが翼を諦めたような感じだな?」
原作みたいな心折る展開もないし奏という心の支えがあるから多分今の翼のメンタルは鬼強いと思うよ。
「そうです、え、そして今回出て来たのはトリロバイトマギアですか」
マギア達の素体ともいえるやつらだからな、数を多くしてみました。
「それよりも気になるのはあのデカブツだ、とんでもない奴作りやがったなお前。
ゼロワンでも出てきましたギーガーさん、今回は敵としてリメイクされました。
「絶望感がとんでもなかったぞ、彼女らが駆け付けてこんかったらどうなっとたか・・・」
「それにサンジェルマンさん達のお陰で協力者が日本にいることが分かりましたね」
ああ、ここから物語は進みだすぞ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真と真紅林檎さんに質問
現在、発売中のグルメコメディ「戦姫完食シンフォギア~調飯~2」に収録された料理の中で二人が食べてみたい物はありますか?
「俺はフォンダンショコラだな、甘いもの好きとしては食べてみたい一品だ」
俺は二色そぼろ丼、俺そぼろ好きなんだよな、ああところでセレナ。
「はい、何ですか?」
鯛づくし御膳食った後はちゃんとダイエットしたk『ザクッ!』っ~!?
「あっACクローで顔面引っかかれた」
顔面が痛ぇ・・・。
「何も学んでないのかお前は・・・それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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特別編18:セレナの誕生日2


特別編第十八話、今回は二回目のセレナの誕生日だ!
「前の誕生日からもう一年がたったんですね」
ああ、それには俺も驚いている。
「前のセレナの誕生日の時は大変だったからな・・・今回は大丈夫なのか?」
安心しろ、キチンとマリアは登場させているから・・・というか出さないとホリゾンカノンぶち込むって脅された。
「何やってんだマリアのやつ・・・」
「じゃが、それほどせれなの誕生日を祝いたいということじゃろう、その気持ちはわかるぞ」
「お姉ちゃんも時々同じ感じになるもんね・・・」
まぁそんなマリアの暴走はさておき、それでは特別編どうぞ!


それはセレナの誕生日の前日の事だった。

 

この日セレナはキャロルの頼まれ荷物をエルフナインのところまで運んでいた。

 

「エルフナインさん、お荷物届けに来ました」

 

セレナが研究室に入ると、そこにはエルフナインが机に顔を突っ伏して眠っていた。

 

「zzz…」

 

「眠っているんですか・・・それじゃあ起こさないようにしませんと・・・」

 

セレナは眠っているエルフナインを案じて静かに荷物を置き部屋から出て行こうとすると、机の上に飴が幾つか置かれているのを見かける。

 

「あっ飴がこんなに・・・エルフナインさん一つ貰いますね」

 

そう言ってセレナは机の上の飴を一つ口にして部屋から出て行った。

 

・・・セレナは気が付かなかったが、飴が転がっているところの近くに置かれているビンの中に同じような飴が何個も入っており、ラベルには『勝手な飲食禁止』と書かれていた。

 

 

 

そしてその結果は翌日に出てしまった。

 

「これは・・・」

 

「わぁ・・・!」

 

「何とも面妖な・・・!」

 

皆が驚いている視線の先には、ソファーに座っているいつもと比べて背が縮んでいるセレナの姿があった。

 

「ごめんなさい!僕が管理をしっかりしてないせいでセレナさんが!」

 

「い・・いえ!?これに関しては勝手に飴を食べてしまった私のせいですよ!」

 

エルフナインとセレナが互いに謝罪する中、真がエルフナインに話しかける。

 

「服に関しては緒川さんが用意してくれたから問題はないな・・・んでエルフナイン、セレナが食べた飴って一体何なんだ?」

 

「はい、あれは口にした人物を若返らせる効果を持った薬のようなものなんです、本来なら精神も若返るはずなんですがまだ試作段階なので肉体だけに効果が出てるみたいです」

 

「なるほどな・・・んで何でそんな薬を作ったんだ?」

 

「最近読んでいる探偵物の漫画にはまってしまって、それに出てくる薬に興味があって僕なりに再現を・・・」

 

「真っ黒な組織も顔負けな技術力だな、これ元に戻るのか?」

 

「はい、一日もすれば元に戻るかと思われます!」

 

「そうか・・・んで何やってんだそこのシスコン」

 

真が指摘した先にはどこで買ったのかわからない一眼レフカメラを構えてセレナを撮影しまくるマリアの姿があった。

 

「だってセレナがこんなにも可愛くなってしまったのよ!こんなに可愛くなったセレナを写真にとらない訳がないわ!」

 

「だとしても限度があるだろ限度が!見ろセレナ苦笑いしてるぞ」

 

「あ・・・あははっ」

 

「うわぁ・・・セレナのあんな顔初めて見たデス」

 

「うん・・・そうだね」

 

「ああセレナ!こっちに視線を向けて頂戴!」

 

「埒が明かねえな・・・奏、GO」

 

「よし来た」

 

奏はマリアを羽交い絞めにして抑える。

 

「なっ!?離しなさい天羽奏!まだ写真を一冊分撮り切ってないわ!」

 

「どんだけ撮る気なんだよお前!?」

 

「マリア姉さん、いったん落ち着いて」

 

「妹もこういってるんだ、こっちで落ち着け」

 

「まって!せめてこの兎のパジャマを着させてから撮影を・・・!」

 

奏は暴走するマリアを押さえながら奥へと向かって行った。

 

「・・・何だがマリアさん、セレナちゃんのことになると暴走しますよね」

 

「慣れろ、しかし誕生日にこうなるとはな・・・」

 

「そうですね、エルフナインちゃん、セレナちゃんの体に異常はないんですよね?」

 

「はい、身体能力は子供並みですが日常生活を送るには問題ないかと」

 

「それは良かった・・・なら今日はどうするか」

 

「あっ!それなら子供にしかできないことをやってみるのはどうですか?」

 

「子供にしかできないことだぁ?」

 

「例えば・・・そう、お子様ランチとか!」

 

『お子様ランチ?』

 

「はい!子供にしか味わえない料理って感じがして今のセレナちゃんにぴったりだと思うんです!」

 

「お前な・・・確かにそれは子供の特権だが中身は変わってねえんだぞ」

 

「ええ~でも良くないですか?」

 

「ん~・・・セレナはどうなんだ?」

 

真がセレナに尋ねると、セレナは嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

「私、それがいいです!」

 

「意外と好印象・・・ってよく考えてみたらセレナたちの子供の頃って・・・」

 

「デース、レセプターチルドレンとして施設の中にいましたからそう言ったのは食べたことがないデス」

 

「そういえばセレナ、職員さんがお子様ランチのことを話していたのを聞いてずっと食べたそうにしてたもんね」

 

「はい、けどそんな機会が全くなくて、だからお子様ランチを食べるのは私の小さな夢なんです!」

 

「随分小さい夢だな・・・」

 

「まぁ、夢に小さいも大きいも関係ないしのう・・・」

 

クリスと紫苑がそう言うと、真は自身の手を叩く。

 

「よしっ、ならセレナの夢を叶える為にお子様ランチを作ってみますか!」

 

「いいんですか!」

 

「ああ、せっかくの誕生日だしそれぐらいの夢は叶えないとな」

 

「わぁ・・・ありがとうございます真お姉ちゃん!響さん!」

 

「ええっ、私にもお礼!?」

 

「そりゃあそうだろ、響が提案しなかったら出てこなかったしな・・・というワケで未来、切歌、手伝ってくれ」

 

「分かりました」

 

「了解デース・・・ってそこは調じゃないんデスか?」

 

「いや・・・なんかお子様ランチを作るってなると二人の方が適任な気がして」

 

真は不思議な疑問を思いながらも、二人と共にお子様ランチを作成していった。

 

 

 

それから少し時間が経って、真が料理を持ってくる。

 

「お待たせ、セレナ用の誕生日スペシャルお子様ランチの完成だ」

 

真が持ってき皿にはエビフライ、ハンバーグ、ケチャップスパゲッティ、ブロッコリー、旗が刺さったチキンライス、プリンなどと言ったお子様ランチの定番ともいえるメニューが乗っていた。

 

「これがお子様ランチなんですね!」

 

「そうさ、さっお召し上がれ」

 

「はい!いただきます!」

 

セレナはお子様ランチを口にしていく。

 

「どうだセレナ、美味しいか?」

 

「はい!とっても美味しいです!」

 

セレナは笑顔でそう答える。

 

「そうか、それは良かったよ」

 

セレナが食べる中、響が真に問いかけてくる。

 

「・・・真さん、将来はファミレスのコックとかになったらどうですか?」

 

「う~ん・・・ワンちゃんアリだな・・・」

 

真が少し思案していると、奥から奏の拘束を振り切ったマリアがビデオカメラを片手に駆け付けてくる。

 

「くそっ!どこにそんな力があるんだよ!?」

 

「これが妹を持つ姉の力よ!さぁセレナ今度はこれで撮影を・・・!」

 

「いい加減にしろシスコンマリア!」

 

「ガハッ!!」

 

しびれを切らした真はマリアに向かってラリアットを決めマリアは吹き飛ぶ。

 

「お前そんなんだから空港の時にセレナに嫌われるんだろ!」

 

「それは言わないで!?・・・というより最近の貴方のセレナへの姉態度は気に食わないのよ!セレナの姉は私一人よ!」

 

「上等だ、ここで雌雄を決めるぞマリア!」

 

「かかってきなさい継菜真!」

 

「ちょちょ!?マリアさんと真さんが乱闘始めましたよ!?」

 

「いいから止めるぞ馬鹿!」

 

皆が二人の乱闘を抑える中、セレナは幸せそうにデザートのプリンを口にしていた。

 

その後、二人の乱闘が終わってセレナに叱られたのはまた別のお話。





さて後書きの時間だ。
「しっかし今回は色々ぶっこんだなお前」
某少年探偵漫画は読んでるからね。
「というか今回もマリアの奴暴走したな・・・あの後二人とも変身して大変だったんだぞ」
「済まない、つい怒りのボルテージが限界突破して」
「あはは・・・ところでお子様ランチを作る際の人選って・・・」
分かる人には分かる人選です。
「あ・・・そうですか・・・」
「ところで今回は花は用意してないんじゃな?」
前回の真と響の誕生日にも言った通り連続で同じ花はちょっとな・・・その代わり今回は質問に答えるぞ。
「質問ですか?」
ああ、今回用の質問が来ててな、それじゃあいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
今年の「特別回:セレナの誕生日」の後の本編の最新話にこの質問をお願いします。
継菜真と真紅林檎さん、そしてマリア・カデンツァヴナ・イヴに質問
昨年のセレナの誕生日にてマリアは空港で騒ぎを起こしてしまいましたが、この出来事は本作では存命のナスターシャ教授もご存じなのですか?
おそらく嘆かれるかお説教でもされたのではないかと・・・

そして、マリアさん。
もし今年も昨年のように実の姉妹なのにセレナの誕生日を祝えず、真とセレナの二人っきりで誕生日を祝う展開になっていたらどうしていましたか?

「結論から言うと、知ってるぞ、というかセレナが知らせてた」
「その後マムが帰国したマリア姉さんを呼んで一時間説教をしてたもんね」
おおっ・・・それはきつい・・・んで後半の質問に関してはマリアからお答えの手紙を貰ってるから言うぞ。
「貰ってるのかい」
ええ~ッと何々・・・・・・『その時はこの作品の主人公を私に変え継菜真を亡き者にする』・・・よかったな誕生日に出れて。
「よかった・・・危うく主人公の座を奪われるところだった・・・!」
「あっその手紙、後でマムに見せますので貰っても?」
どうぞご自由に。
「容赦ないなセレナ・・・それじゃあそろそろ〆ますか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!セレナ!』


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覚醒の戦乙女


0編第七話、前回のあらすじは?
「コンサートでの戦いの後、俺達はアークの後ろ盾に関して思案する」
「そんな中、訃堂とアークにまた動きがあった」
「そして次に現れたマギアはトリロバイトマギアの集団でした」
「何とか撃退はしたが、なんと巨大なあーくぎーがーなる機会まで現れおったぞ」
「追いつめられる中、サンジェルマンさん達のお陰で倒せましたが、アメリカの研究所がアークに襲撃されてしまいました」
はいOK、それじゃあ0編第七話、どうぞ!


アメリカの研究所がアークに襲撃された次の日、弦十郎は八紘と連絡を取っていた。

 

「昨日の入電から丸一日、目立った動きはなさそうだが兄貴はどう見ている?」

 

『ロスアラモス研究所は米国の先端技術の発信地点、同時に異端技術の研究拠点でもある、お前の報告でアークに協力している黒幕が日本にいることがわからなかったら頭を悩ませていただろうな』

 

「米国の異端技術って・・・!」

 

「ええ、断言はできないけれどロスアラモス研究所は、かつてF.I.S.が所在していたと目されているところね」

 

その言葉にマリア、セレナ、切歌、調は苦い顔をする。

 

『かつて炉心エネルギー、原子力の他エシュロンと言った先端技術もロスアラモスでの研究で実現したと聞いている』

 

「そんなところを襲ったってことは、やっぱり何か大事なものを狙ってデスか?」

 

『伝えられている情報では、さしたる力もないも思われるいくつかの聖遺物、そして・・・』

 

八紘はタブレットを操作し、S.O.N.Gのモニターに移す。

 

「これって・・・!?」

 

「やっぱそう来るのか・・・!」

 

モニターに映し出されたのは遺骸の腕に付けられていた腕輪だった。

 

『極冠にて回収された先史文明期の遺産、腕輪に刻まれた文様を楔形文字に照らし合わせると『シェム・ハ』と解読できる箇所があるそうだ』

 

「シェム・ハ・・・シェム・ハの腕輪」

 

『事件解決に向け引き続き米国政府には協力を要請していく、これが私の戦いだ』

 

そう言って通信が切れる。

 

「恩に着る、八紘兄貴」

 

「シェム・ハの腕輪・・・アークはその腕輪を狙って行動を起こしたのか?」

 

「それはまだ分からない、そしてそのアークに協力する存在もいまだ不明・・・引き続き警戒する必要があるな」

 

『了解!』

 

 

 

時刻は進み夕方、切歌と調、セレナに三人は夕暮れの公園でブランコに乗っていた。

 

「相手もどんどん強くなっていくね・・・」

 

「デース・・・マギアだけなら何とかなるデスけど、あんな巨大ロボットまで出てくるなんて予想外デスよ」

 

「でも、何とかしないと民間人に被害が出てしまう、私達で倒さないと・・・ねっセレナ」

 

調がセレナに声をかけるが、セレナは反応せず俯いていた。

 

「・・・セレナ?」

 

「・・・えっ?あっはいどうしたんですか?」

 

切歌が呼びかけると、セレナは驚いたように反応する。

 

「どうしたって・・・それはこっちのセリフデスよ」

 

「・・・セレナ、何か悩んでるの?」

 

「・・・・・・はい」

 

セレナはブランコを揺らしながら思っていることを口にする。

 

「・・・私、今の戦いについて行ける気がしないんです」

 

「ついて行けない?」

 

「はい・・・此処までのアークやマギアとの戦いで真お姉ちゃんや奏さん、紫苑さんや桃恵さんは何とか対抗できました・・・けど私は対抗できる自信がないんです、紫苑さん達みたいな錬金術もない、真お姉ちゃんや奏さんみたいな圧倒的なフォームもない・・・四人と比べると私は劣っているって実感してしまうんです」

 

「セレナ・・・」

 

セレナのその言葉に、二人は同乗していた。

 

二人も魔法少女事変にて、自分の弱さに心を苦しめていた、それ故に今のセレナの気持ちが分かる。

 

「・・・大丈夫デスよ!」

 

それを察した切歌はブランコから飛び降り、セレナに向き直る。

 

「私達だって前までは弱っちくてみんなの足を引っ張ってしまうんじゃないかなって思っていたデス、けど今こうしてみんなと肩を並べて強い敵と戦い合えているデスよ」

 

切歌に合わせるように、調もブランコから降りセレナの方に視線を向ける。

 

「うん、弱かった私たちが此処まで強くなれたんだもん、きっとセレナなら私達よりももっと強くなれるよ」

 

二人の言葉にセレナは驚くが、少しして笑みを浮かべる。

 

「・・・そうですね、私もきっと皆さんと肩を並べるぐらい強くなれますよね」

 

「うん、セレナなら絶対なれるよ」

 

「そうデスよ、それこそ今そこの病院にマギアが襲ってきたところで勝てるデスよ!」

 

切歌が冗談半分で近くの病院に指さすと、その上空に羽の生えた人型の影が降り立って行った。

 

「「「・・・・・・ええぇぇぇ!!?」」」

 

 

 

マギアの影を確認した三人は急いで病院内に入り屋上へと向かう。

 

『こちらでも確認出来たわ、でも危険よ三人とも先走らないで』

 

「そうも言ってられない状況なのデス!」

 

「現場に一番近い私たちが対処して見せます、通信を切ります!」

 

通信を切り、セレナはキーを取りだす。

 

アウェイクン!

 

セレナはショットライザーを構えながら、三人は屋上へと飛び出す。

 

屋上にいたのは蝙蝠のような見た目をしたオニコマギア、オニコマギアは三人を視認すると瞳を赤く光らせる。

 

『敵対勢力・・・確認・・・絶滅・・・開始』

 

オニコマギアが敵対の意志を魅せると、両手から結晶を繰り出しアルカノイズを繰り出してくる。

 

「戦闘態勢ばっちりデスか・・・」

 

「なら、私達も容赦はしない!」

 

「この病人に被害は出させません!」

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

アサルトダッシュ!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトチーター!

 

No chance of surviving.

 

『使用BGM:未熟少女Buttagiri!』

 

変身を終えた三人は武器を構えアルカノイズに向かって行く。

 

綺羅綺羅の刃で 半分この廃棄物(ガーベッジ)

 

「マギアの方は私が行きます!」

 

セレナはそう言ってアルカノイズを蹴散らしながら速攻でオニコマギアの元へと向かう。

 

予習したの 殺戮方法

 

迫ってくるセレナに対し、オニコマギアは爪の『ザイタロン』を展開しセレナを迎え撃つ。

 

高出力全開で フィールドを駆けよう

 

セレナはACクローを繰り出しオニコマギアに切りかかろうとするが、オニコマギアはザイタロンで受け止めてしまう。

 

勝負も夢も 命懸けのダイブ

 

セレナはそれでも負けじと高速で切りかかるが、オニコマギアは攻撃を受け止めていき、そして背中の羽を展開し空へと飛ぶ。

 

「なっ!?空を飛ぶとかありデスか!?」

 

「相手は蝙蝠に似たマギア、空を飛んでもおかしくはないよ!」

 

アルカノイズと戦う二人がそう言っていると、オニコマギアは三人に背を向けその場から飛び去って行く。

 

「っ!?セレナ追いかけて、ここは私と切ちゃんで何とかするから!」

 

「あいつは逃がしちゃいけないデスよ!」

 

「分かりました、この場はお願いします!」

 

セレナはこの場を二人に任せ、ビルの屋上を飛び移りながらオニコマギアを追いかけて行った。

 

オニコマギアは後ろからセレナが追いかけていることを確認すると、更に速度を上げ逃げていく。

 

「逃がしはしません・・・!」

 

セレナもさらに速度を上げオニコマギアを追いかけて行くと、オニコマギアは近くの工事現場に降り立ち、セレナもそこにやって来る。

 

「もう逃がしたりはしません・・・!」

 

セレナがそう言うと、オニコマギアの瞳が赤く輝きだす。

 

「っ!?」

 

突然の発光にセレナが警戒すると、オニコマギアはザイタロンを構えセレナに襲い掛かってくる。

 

セレナはとっさにACクローで迎え撃ち、かすり傷が付きながらも応戦していく。

 

(確かに速度が速いけど防御できている・・・後はどうやってこちらの攻撃を・・・)

 

セレナが思案していると、突然オニコマギアはセレナから離れる。

 

「・・・っ? 一体何を・・・」

 

セレナがそう言った瞬間、突然横から衝撃が走りセレナは横に吹き飛ばされてしまう。

 

「がはっ・・・!!?」

 

突然の出来事にセレナは混乱しながらも痛みを抑えながら辺りを見当たすと、衝撃の先には誰も乗っていないクレーン車の先に積んである鉄骨が大きく揺れてセレナのいたところにあった。

 

「ま・・・まさか・・・あれを遠隔で・・・!?」

 

本来マギアには有線接続で外部危機にハッキングし操ることが出来る、だがアークの力によってその力が強化され遠隔で重機のような物でさえ操作できるようになっていた。

 

『人類・・・絶滅・・・』

 

オニコマギアはザイタロンを構え、再びセレナに迫る。

 

セレナは対抗するが、先程の鉄骨のダメージが大きく足元がおぼつかなくなり、オニコマギアの連撃が幾つかヒットしてしまう。

 

それでもセレナは抵抗するが、今度は横からダンプトラックがセレナに向かってくる。

 

それに気が付いたセレナはとっさに躱すが、その隙を突かれオニコマギアのザイタロンがセレナに突き刺さってしまう。

 

「ああっ!!」

 

セレナはそのまま転がっていき、起き上がろうとするがそこを狙った様にショベルカーのバケットが横スイングでセレナに直撃しセレナは砂山に吹き飛ばされてしまう。

 

変身のお陰で骨こそは折れなかったがダメージが大きくセレナの変身が解けてしまい、セレナは砂山を転がり落ち地面に倒れこんでしまう。

 

『人類・・・絶滅・・・人類・・・絶滅・・・』

 

オニコマギアはセレナが倒れたのを見て多くの重機を操作しながら振り返りその場を去ろうとする。

 

オニコマギアが離れようとすると、セレナは地面に手を付け体を起こす。

 

「・・・まだ・・・です・・・!」

 

セレナはボロボロの体を無理やり起こし、ふらふらになりながらも立ち上がりオニコマギアに視線を向ける。

 

「まだ・・・私は・・・負けてません・・・」

 

オニコマギアは起き上がったセレナに視線を向け、困惑するかのようなそぶりを見せる。

 

『理解・・・不能・・・』

 

「貴方には・・・分からないですけど・・・私は・・・負けるわけには・・・いかないんです・・・!」

 

セレナはボロボロになりながらも笑みを浮かべる。

 

「私は・・・絶対に・・・貴方なんかに・・・負けるわけにはいきません・・・!」

 

セレナがそう叫んだ瞬間、突如空から光が降って来てオニコマギアを吹き飛ばしながらセレナの元に向かう。

 

「っ!?」

 

セレナの目の前で止まった光は形を変え、それは奏の持つランペイジガトリングプログライズキーに酷似したキーが現れる。

 

「このキーは・・・」

 

セレナがそのキーを手に取ると、脳裏に声が聞こえてくる。

 

『貴方の諦めない思い、確かに見届けたわセレナちゃん』

 

「っ!神様!」

 

『何とか完成したわ、これは今まで存在しなかった新たなバルキリー・・・今のセレナちゃんなら使いこなせれるわ』

 

「新しい・・・バルキリー・・・!」

 

『ええ、あの機械人形に見せつけなさい、貴方の思いを!』

 

そう言い残し神の声が聞こえなくなる。

 

「・・・っ、はいっ!」

 

セレナはそのままオニコマギアに向かい合い、右手の持つ新たなキーのセレクターマガジンを左手で回転させる。

 

 

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

キーを装填したセレナはショットライザーを構えず、そのまま引き金に手をかける。

 

「変身!」

 

 

引き金を引くと銃口から弾丸と共に三体のライダモデル『チーターライダモデル』『ファルコンライダモデル』『バショウカジキライダモデル』が現れる。

 

射出された弾丸はそのまま曲がり、セレナの身に直撃し、当たった個所からアーマーが取り付けられていき、三体のライダモデル達は飛び出すとそのままアーマーを纏っていくセレナの元に向かい、その身を三種のアーマーに形を変えセレナの右半身に取り付けられ、最後に頭部には三体のライダモデルを模した装飾が取り付けられる。

 

Flash of the Trinity! 

 

Control the land,sea and air the creatures become one.

 

陸海空最速の生物たちのライダモデル達を身に纏ったその姿はどこか力強く、最強のバルキリーと言っても過言ではなかった。

 

三種の最速の生物を身に纏った新たなバルキリー『仮面ライダートリニティバルキリー』の誕生だった。

 

「駆け抜けていきます、希望の彼方まで!」

 

セレナはそのまま構えオニコマギアに向かい合う。

 

『新たな脅威を確認・・・排除・・・絶滅・・・!』

 

オニコマギアは重機を操作しセレナに襲い掛からせていく。

 

重機がセレナを囲み襲い掛かろうとした瞬間、一瞬で重機の囲いの中からセレナの姿が消える。

 

オニコマギアもセレナを見失い探していると、オニコマギアの背後にセレナが立っていた。

 

「私はこちらですよ」

 

オニコマギアはとっさにザイタロンを繰り出しセレナに切りかかろうとするが、セレナは両腕から『トリニティクロー』を展開しオニコマギアのザイタロンを受け止める。

 

「今度は、此方から行かせてもらいます!」

 

セレナはオニコマギアのザイタロンを腕ごと上へ弾き飛ばすと、眼にも止まらぬ連撃でオニコマギアの全身を切り裂いていく。

 

『・・・っ!?』

 

一瞬で切り裂かれたオニコマギアは驚愕し、翼を生やし再び空へと逃げる。

 

「今度は逃がしたりしません」

 

セレナはそう言ってショットライザーを手に取り、セレクターマガジンを回転させる。

 

ランド!アクセル!

 

スカイ!アクセル!

 

二回回転させると、セレナはそのまま引き金を引く。

 

 

引き金を引くとファルコンライダモデルが飛び出しセレナの体を包むと、セレナの背中に翼が生えそのままセレナは空を飛びオニコマギアに追いつく。

 

追いつかれたオニコマギアはとっさに迎撃しようとするが躱され、セレナの両足がかぎ爪のようになりオニコマギアの両肩を掴みかかるとそのまま回転し下に投げつけ追いかけるように落下しながら回転キックを与える。

 

アクセルフライングブラスト!

 

キックを喰らい地面に激突したオニコマギアは翼が砕け、今にも崩壊寸前にまでボロボロの状態だった。

 

「これで終わらせます!」

 

降り立ったセレナはショットライザーを手に再びセレクターマガジンを回転させる。

 

ランド!アクセル!

 

今度は一回回転させ、引き金を引く。

 

 

引き金を引くと、今度はチーターライダモデルがセレナの体を包み、セレナの両手両足に豹を模したような爪が生え、口元に牙が生える。

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

セレナはそのまま四つん這いになり獣の様にオニコマギアに向かって駆け抜けていき、縦に回転しながらオニコマギアに切りかかり、オニコマギアの胴体を縦に切り裂いた。

 

アクセルグラウンドブラスト!

 

『人類・・・絶滅・・・!』

 

オニコマギアは大きく叫ばず、そのまま爆散していった。

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ!」

 

セレナはオニコマギアを倒したのを確認し、変身を解くと先ほどまでのダメージが襲ってきてその場に倒れてしまう。

 

「も・・・もう・・・限界です・・・」

 

セレナは仰向けに転がると、トリニティアクセルプログライズキーを手に持ち見つめる。

 

「・・・これで・・・少しは・・・並べたかな・・・?」

 

そう呟いて横になるセレナの元にアルカノイズを倒した切歌と調が駆け付けてくる。

 

「「セレナ!?」」

 

二人は慌てて救護班を呼んでいる中、そこでセレナは気を失ってしまう。

 

 

 

時を同じくして風鳴家にて、アークはその手に持つシェム・ハの腕輪を訃堂に見せた。

 

「ご所望のシェム・ハの腕輪だ」

 

「よくやった・・・そうだ、七度生まれ変わろうとも新州・日本に報いるために必要な・・・神の力だ」

 

そう言って訃堂はシェム・ハの腕輪を見て笑みを浮かべた。





「来たーーーっ!!」
後書きの時間だが・・・やっぱそうなるよな。
「そりゃそうですよ!とうとう私にも最強フォームが来たんですよぉぉぉ!!」
「セレナが完全にキャラ崩壊してる・・・」
「まぁそんだけ嬉しいって事だろ・・・にしてもこれってランペイジと同じキーか?」
そっ、ランペイジをモデルにネットで調べた陸海空最速の生物で作り上げたオリジナルバルキリー最強フォーム、仮面ライダートリニティバルキリーだ。
「そうじゃったか、しかしまがじんを回転させることでその生物の特徴を再現するとはのう」
そこら辺に関してはモデルがあってな・・・このバルキリーのモデルはセイバーのブレイズの最強フォームをモデルにしてるんだ。
「確かに、あのフォームも陸海空に分かれてますからね」
そこら辺を重点的にして作り上げたのがこのフォームってわけ・・・まぁ登場できるタイミングが此処しか思いつかなかったから切歌と調の出番が少ないんだけど・・・。
「まぁそこは仕方ないさ・・・それより問題は腕輪の方だな、アークに奪われちまったしどうにかしないとな」
「そのためにはどうにかアークの居場所が分かればいいんですけど」
「あっセレナ、落ち付いたか?」
「はい、ひとしきり暴れましたので」
そこらへんはお前らの頑張り次第だ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『普通556Mさんからの質問』
作者さんへの質問なのですが、ゼロワンのプログライズキーの中で一番好きなのは何ですか?
因みに自分はヘルライズです。(何か他作品の劇場版フォームとは異なる異色さがお気に入り)

俺のお気に入りのキーはランペイジだな、セレクターマガジンを回転させるところがお気に入りです。
「そこは一号ライダーのキーじゃないんだな」
そっちも好きだけど僅差でランペイジが好きって事、それじゃあそろそろ〆ますか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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神の力


0編第八話、前回のあらすじは?
「アークが奪った腕輪がシェム・ハという神の腕輪だと判明した」
「その一方でセレナは自身の力不足に悩んでいる中、オニコマギアの襲撃が来た」
「あるかのいずは切歌と調が相手取りせれながまぎあの相手をするが、敵は重機を操り追い詰められてしまうぞ」
「ですがそこで神様が力を与え、新たなバルキリーの力トリニティバルキリーに変身しました」
「そしてトリニティの力で単独でオニコマギアを撃破しました1」
はいOK、それじゃあ0編第八話、どうぞ!


夕暮れ時、司令室にて真達は話し合いをしていた。

 

「強力な力を備えたマギアの出現か・・・セレナ君のお陰で被害は最小限に抑えられたな」

 

「セレナ、体の方は大丈夫なのか?」

 

「はい、エルフナインさん達のお陰でもうすっかり良くなってます!」

 

セレナは包帯をまだ少し巻いているが、元気よく両腕を上げて答える。

 

「しっかし、まさかロボット如きに此処まで苦戦するとはな・・・!」

 

「いや、むしろ痛みや恐怖を感じないロボットだからこそ、苦戦するんだ」

 

「はい、プログラムされた命令通りに行動するのがマギア、並びに機械類の最大の利点です」

 

「あのマギア達をこちらからハッキングして操作できないかしら?」

 

「無理だろうな、おそらくアークはそのことを予測し何か策を練っているはずだ、迂闊な介入は逆に危機に陥れられるだけだ」

 

「その上、敵が機械ってことは・・・これからも数は増えていくってこと?」

 

「それだとこっちがジリ貧デスよ!?」

 

「いや、それは難しいと思うぞ」

 

紫苑は調の言葉に異議を唱える。

 

「幾らあーくが神の力を得たところで無から有何かを生みだすのは相当な難度のはずじゃ、おそらくはそう多くは作れんとうちは思うぞ」

 

「そこに関しては俺も同じ考えだ、このまま戦い続けていればいずれ相手の手札は尽きるはずだ」

 

「はい、それにみんなの思いが詰まったこのギアが負けるなんて思わないです」

 

「そうだな、皆の思いが詰まったこのギアが機械人形に後れを取るはずはない」

 

響と翼の言葉にみんなが頷く。

 

「ああ、その通りだ、我々も全力でアークと繋がっている後ろ盾を探っている、各員来るべき戦いに備え準備を怠るな」

 

『了解!』

 

皆が司令室を出た後、響は真を呼び止める。

 

「あっ真さん、今度時間が出来たらみんなでカラオケに行こうと思って、真さんも参加しますか?」

 

「ああいいぞ、偶には息抜きも必要だしな」

 

「よかった・・・!じゃあ真さんも参加ということで翼さん達に伝えますね」

 

そう言って響は駆け足でその場から去る。

 

「・・・アークの後ろ盾、いったい誰なんだ?」

 

 

 

一方風鳴訃堂の所有する研究室にて、護衛を連れた訃堂とマギアを連れたアークが腕輪の前に立っていた。

 

「早い到着だな、訃堂」

 

「腕輪の起動、まもなくだな」

 

訃堂の言葉にアークは操作盤に触れ操作すると、周りの球体が輝きだす。

 

「聖遺物の起動手段はフォニックゲインだけじゃない、『七つの音階』に照応するのは『七つの惑星』、その瞬き、音楽と錬金術はあり方こそ違うが、共に共鳴の中に心理を見出す技術体系」

 

球体の輝きと共に電流が走り、電流が中央の腕輪が乗っている装置に集中する。

 

「この日、この時の星図にて覚醒の鼓動はここにある!」

 

その瞬間、腕輪が輝きだし電流が消え去る。

 

「起動完了だ・・・」

 

アークはオーラを使い腕輪を手元に引き寄せると、その腕を訃堂が掴む。

 

「貴様の役目は他にある」

 

「分かっている・・・その為にマギアを連れた来たのだからな」

 

アークが眼を輝かせると、二体のマギアが動き出し、訃堂の護衛に武器を構え近づく。

 

「なっ!?何を!」

 

この状況に護衛も驚きを隠せずにいると、アークは淡々と答える。

 

「万が一、情報が洩れては困るからな・・・悪いが貴様らは此処で絶滅してもらう」

 

「なっ!?訃堂様、お止めに!」

 

護衛は訃堂に助けを求めるが、訃堂は冷たい視線で護衛を見つめる。

 

「情報の漏洩は許さないのでな、貴様らは護国のために贄となってもらう」

 

「そ・・・そんな!?」

 

護衛が絶望する中、マギアの一人が武器を振り下ろし護衛の一人の命を奪った。

 

「ひ・・・ひぃっ!!?」

 

残った護衛はマギアの攻撃を何とかかわし逃げ、その際に腕輪を奪う。

 

「このまま殺されてなるものか・・・殺される位なら、こいつで!!」

 

護衛は腕輪を奪うと、そのまま自身の腕に身に着ける。

 

すると腕輪は銀色の輝きを放ち、腕輪からな寺の音が研究所内に響き渡る。

 

「この音は・・・」

 

「うわぁぁぁぁァァァァ!!!」

 

腕輪が輝きだすと同時に、護衛の体からも銀色の光が溢れだし、そして大爆発を起き、研究所内が炎に包まれた。

 

「神の力、簡単には扱わせぬか・・・だが、次の手は既に打っておる」

 

「ディー。シュピネの結界が破れたか・・・ならば」

 

アークは振り返り、一体のマギアに視線を移す。

 

 

 

そのころ、S.O.N.Gではマギアの反応を検知するアラートが鳴り響く。

 

「マギアの反応を検知!」

 

「現行して、装者三名と仮面ライダー三名を向かわせています!」

 

研究所では、胴体に像の頭部を模したユニットが取り付けられている『マンモスマギア』が研究所で暴れており、その様子をアークが眺めていると、上空から二機のヘリがやって来る。

 

「来たか・・・」

 

ヘリから響、翼、マリア、真、奏、セレナの六人が飛び降りる。

 

ゼロツージャンプ!

 

 

 

 

 

Let’s give you power!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

『変身!』

 

ゼロツーライズ!

 

 

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

Gathering Round!

 

Flash of the Trinity! 

 

It's never over.

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

Control the land,sea and air the creatures become one.

 

『使用BGM:白銀の炎 -keep the faith-』

 

アークを視認した真はすぐさま五人に指示を出す。

 

「俺と奏、セレナでアークを相手取る!響達はマギアを!」

 

「分かりました!」

 

六人は空中で別れ、真は即座にアークに迫る。

 

それを見たアークは、即座にアークドライバーを身に着け、変身する。

 

「変身」

 

アークライズ!

 

オール・ゼロ...

 

「手の届く場所だけを守れればいい」

 

先行した真がプログライズホッパーブレードで切りかかるのに対し、アークはアタッシュカリバーを生成し受け止める。

 

それに続くように響達もアームドギアでマンモスマギアに襲いかかるが、マンモスマギアはとっさに三人の攻撃を躱す。

 

それしかわたしには出来ない

 

真に続くように奏はオーソライズバスターアックスモードを、セレナはトリニティクローを繰り出しアークに切りかかるが、アークは氷の壁を錬成し防ぐ。

 

1000の傷…また増える痛みに耐えて

 

攻撃を躱されたマリアは即座に左腕のアームドギアを変形させ、マンモスマギアに極大の光線を放つ。

 

HORIZON†CANNON

 

マリアが放った渾身の一撃をマンモスマギアは胸部の鼻『エクスヘイラー』で吸い込み、エネルギーを全て吸い込んでしまう。

 

「マリアさんの攻撃を吸い込んだ!?」

 

攻撃を吸い込まれたことに驚く中、マンモスマギアは吸い込んだエネルギーをそのまま三人に向けて放った。

 

「っ!避けて!」

 

三人はとっさに躱し難を免れる。

 

「奴の胸部は敵のエネルギーを吸収し撃ち返す力があるのか・・・!?」

 

「だったら接近戦で迎え撃つのみ!」

 

三人は近接戦に切り替え、マンモスマギアに突っ込む。

 

弱い自分だからこそ目に見える分の

 

真達の方も、ゼロツーの予測演算でアークの動きを予測しつつ攻撃し、奏とセレナが援護射撃も真のお陰でアークも予測が追い付かず幾つか当たっていく。

 

「教えろアーク!お前の後ろ盾にいる存在を!!」

 

「知りたければ私を倒すことだ」

 

アークは真を風で吹き飛ばし、大量のアタッシュアローを生成し矢の雨を繰り出すが、真は全て予測しアタッシュカリバーを含めた二刀流で全て弾き落とす。

 

幸せが掴めればそれでよかった

 

真が全て弾き落とすと奏とセレナがチーターの力を使いアークに高速で迫り接近戦を仕掛け、アークは錬金術で応戦するが二人はアークの錬金術を躱しながらアークに迫っていく。

 

「バルカンだけではなく、見たことのないバルキリーまで・・・此処まで私の結論を覆すとはな・・・」

 

アークはアタッシュカリバーを二本構え、二人の攻撃をいなしながら錬金術で応戦する。

 

「悪いが、あたしらはとことんあんたの結論とやらを覆させてもらうぜ!」

 

「人間の底力を・・・甘く見ないでください!」

 

二人はアークから離れ、セレクターマガジンを回す。

 

パワー!ランペイジ!

 

ランペイジパワーブラスト!

 

ランド!アクセル!

 

アクセルグラウンドブラスト!

 

奏は両腕にコングのパワーでアークを殴りつけながらマンモスの足で地面を踏み抜くとその衝撃であーうの体が浮かび上がり、浮かび上がったアークにシャークのひれを両腕に纏わせ空中のアークを切りつけ、落下してきたアークをセレナが獣のように襲い掛かりトリニティクローで何度も引っかき蹴りを与える。

 

二人の連撃を喰らい怯んだアークにキーを既に押し込んでいた真がアークに高速で迫り、アークを壁まで殴り飛ばし、そのまま真はアークにライダーキックを食らわせた。

 

ゼロツービッグバン

 

三人の連続攻撃を喰らいアークはさらに奥まで吹き飛ばされた。

 

「ナイス真!」

 

「二人の動きは予測してたからな、合わせたんだ・・・まだやるか、アーク?」

 

真がそういうと、奥からボロボロのアークが出てくる。

 

「此処までとはな・・・正直驚いている」

 

「お前の結論は俺たちには効かない、さぁ吐いてもらおうか?」

 

「・・・はははっ」

 

真が追う言うと、アークは突如笑い出す。

 

「っ?何がおかしい?」

 

「残念だが・・・お前たちが私から聞き出すことは不可能だ」

 

アークがそう言った瞬間、奥から爆発が起き、真達が振り返ると響達がマンモスマギアに苦戦していた。

 

「響!マリア!翼!」

 

傷だらけの三人にマンモスマギアは迫っていく。

 

「傷だらけの仲間に迫る危機、貴様らはそれを見過ごすことは出来ない・・・さぁ、情報と仲間、どっちを取る」

 

「お前・・・っ!!」

 

真達はアークの策に怒りを感じる中、アークはあることを呟く。

 

「だがここまでしてくれた褒美は与えよう」

 

「褒美だと・・・?」

 

「オペレーション・デイブレイク」

 

「オペレーション・デイブレイク?」

 

「それこそが、私の真の目的・・・褒美は此処までだ、さぁ仲間を助けに行くか、仮面ライダー?」

 

「・・・っ!くそっ!」

 

真は舌打ちをして、すぐさま響達の下に向かう。

 

「それでいい、後は頼んだぞマギアよ」

 

アークはそう言い残しその場から去る。

 

マンモスマギアが響達に迫る中、真達が駆け付け間に立つ。

 

「大丈夫か三人とも!?」

 

「真さん・・・!」

 

『標的確認・・・絶滅・・・』

 

真達の姿を見てマンモスマギアは対象を真達に移す。

 

「気を付けて!あのマギアこちらのエネルギーを吸収して撃ち返してくるわ!」

 

「近接戦に持ち込んでも、外皮が固く歯が立たない!」

 

「分かった・・・ならスピードで翻弄するぞ!」

 

「「了解!」」

 

奏とセレナは再びセレクターマガジンを回転させる。

 

パワー!ランペイジ!

 

スピード!ランペイジ!

 

ランペイジスピードブラスト!

 

ランド!アクセル!

 

スカイ!アクセル!

 

アクセルフライングブラスト!

 

二人は背中に翼を生やし、空に飛び空から高速でマンモスマギアに攻撃を仕掛ける。

 

二人の動きに翻弄されるマンモスマギアに真が一瞬で懐に入り込み蹴りを放ち、マンモスマギアが真に攻撃をしようとすると真は即座に距離を取り再び接近し攻撃するヒット&アウェイで連続で攻撃をする。

 

三人の速度重視の攻撃に苛立ったマンモスマギアはエクスヘイラーで辺りの瓦礫を手あたり次第に吸収し、辺り一帯に噴出する。

 

噴出された瓦礫を三人は躱しながら、真は大きめの瓦礫をそのまま蹴り返しエクスヘイラーの吸収器官を封じ込める。

 

「これで吸収は出来ない!決めろ二人とも!」

 

真の叫びで空中の二人はセレクターマガジンを回転させる。

 

パワー!ランペイジ!

 

スピード!ランペイジ!

 

エレメント!ランペイジ!

 

 

ランド!アクセル!

 

スカイ!アクセル!

 

マリン!アクセル!

 

 

セレクターマガジンを回転させると、二人の銃口にエネルギーが蓄積されていき、二人は同時に引き金を引いた。

 

 

 

放たれた二つの弾丸はマンモスマギアまで一直線に飛んでいき、二発ともマンモスマギアの胴体を貫いた。

 

 

 

『人類・・・絶滅ぅぅぅ!!』

 

マンモスマギアは断末魔を上げ、そのまま爆散していった。

 

「大丈夫か、三人共?」

 

「は・・・はい、何とか」

 

真達の手を取り立ち上がる三人、それと同時にS.O.N.Gのヘリがやって来る。

 

ヘリのライトで照らされる中、響の表情はどこか暗かった。





さて後書きの時間だ。
「とうとうシェム・ハの腕輪が起動したな」
「というか腕輪を起動させただけであれだけってやばすぎないか?」
俺も原作を見てそう思った。
「そして今回で私たちはアークの計画を知りましたね」
「と言っても計画名だけだがな、オペレーション・デイブレイク、いったいどういった計画だ?」
「にしても今回出て来たまんもすまぎあもなかなか強力じゃのう」
本来よりもさらにパワーアップさせてみました。
「そのおかげで響さんの表所に曇りが・・・」
まぁマギアは強力だしシンフォギアじゃ簡単には勝てないからな・・・。
「・・・余計な口出しは出来ないな、そこは本人次第ってところだ」
そうだな、それじゃあそろそろいつものに・・・っと言いたいところだが。
「どうしたんですか?」
次の質問がXDのアルバム持ってる前提なんだが・・・俺そっちはまだ買ってないんだよな、というワケで今回の質問回答はお休みさせていただきます。
「あらら、まだ買ってなかったのか?」
本当にすみません、購入次第この質問に答えさせていただきます。
「それじゃあ今回はすぐに〆に入りますか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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新たな希望


0編第九話、前回のあらすじは?
「徐々に強くなっていくマギア達に危機感を感じる俺たち」
「一方アークと訃堂の方じゃ腕輪が起動して大爆発を起こした」
「それを知った私たちは急いで現場に向かうと、マンモスマギアとアークを確認し戦闘に入りました」
「そこで真達はあーくを追い詰め、オペレーション・デイブレイクの名を知るが、響たちが危機にあってしまう」
「アークを逃がし、何とかマンモスマギアを倒しましたが、響さんの表情は暗かったです」
はいOK、それじゃあ早速・・・と言いたいところだが一ついいか?
「いきなりだな、どうした?」
今回はついに俺がやりたかったことをやったからそこはご了承してくれ。
「・・・何やった?」
それは本編を見てくれ、それじゃあ0編第九話、どうぞ!


研究所を襲ったマギアを撃破した後、緒川とサンジェルマン達が研究所跡地を調べている中、サンジェルマンはある物を見つける。

 

「これは・・・!」

 

サンジェルマンの声を聴き緒川もやって来ると、緒川もそれを見て驚く。

 

「っ! 急ぎ解析をお願いします!」

 

 

 

響は一人暗闇の中、マギアを倒せなかったことを思っていた。

 

(勝てなかった・・・力をつけたのに・・・それでも敵わなかった・・・)

 

響の脳裏には、マンモスマギアに敗北する自分たちと、マンモスマギアに立ち向かう真達の姿が写った。

 

(真さん達にだけ負担をかけて・・・私たちは足手まといに・・・)

 

響は真っ黒な空に向かって、手を伸ばした。

 

(・・・嫌だ、もう私は・・・真さんの足を引っ張りたくない・・・!)

 

その瞬間、意識が戻り響はメディカルルームで目を覚ます。

 

『検査は完了した、特別大きな異常は見られなかった、支度が出来たら発令所まで来てくれ、今後の対策会議が始まるそうだ』

 

スピーカーから聞こえるキャロルの声に応えるように、響はメディカルルームを後にした。

 

 

 

同時刻、アークは一人スクラップだらけの収集所に立っていた。

 

アークが手をかざすと、手から放たれた黒いオーラがスクラップに集積し、スクラップは瞬く間にマギアに形を変える。

 

「やはり神の力が不足の中、無からマギアを生みだすよりこうして作った方が楽だな」

 

アークは次々とマギアを作成していく。

 

「オペレーション・デイブレイクは着々と進行している・・・だがその為には奴らの排除は必ずこなしてみせる・・・」

 

アークは懐から一つの発信機を取り出す。

 

 

 

一方S.O.N.Gでは、発令所にみんなが集まる。

 

「全員揃ったな」

 

「まずはこれをご覧ください」

 

モニターに映し出されたのは、一つの波形だった。

 

「これは・・・アウフヴァッヘン波形!?」

 

「それも、あたしらとは別の・・・ってまさか!?」

 

「ええ、奪われたシェム・ハの腕輪が起動したとみて間違いないわね」

 

「マギアの反応に紛れ、見落としかねない微弱なパターンでしたが、かろうじて観測できました」

 

「おそらくは、強固な結界の向こうでの儀式だったはず・・・例えば、バルベルデでのオペラハウスのような・・・」

 

「そして、観測されたのはこれだけではない」

 

キャロルが操作すると、ある音が聞こえる。

 

「な・・・なに、これ、音楽?」

 

「雑音まみれでよく聞こえないな・・・」

 

皆が音楽らしき音を聞く中、マリアとセレナは違うことを考えていた

 

(聞いたことのない音の羅列・・・だけど私はどこかで?)

 

(雑音だらけのこの音・・・けど昔、どこかで聞いたことが?)

 

二人が思案する中、エルフナインが音を止める。

 

「音楽の正体については、目下の所調査中・・・ですが、これらの情報を総合的に判断して、アークに大きな動きがあったと予測します」

 

「やはり、此方から打って出る頃合いだな」

 

「でも、打って出るって・・・どうやってですか?」

 

「真君」

 

その言葉に真が前に出る。

 

「さっきの戦いで、アークに発信機を取り付けていたのさ」

 

モニターには、発信機の発する電波の場所が映し出されていた。

 

「真さん、何時の間に!?」

 

「あの時にちょっとね」

 

あの時、真はアークを殴りつけた時、真は同時に発信機を取り付けていた。

 

その発信機の反応の場所にヘリで向かい、真達は岩場にたどり着く。

 

ヘリのライトで地上を照らすと、照らされた先に変身したアークが立っていた。

 

「迎え撃つとは殊勝な!」

 

「みんな、行くぞ!」

 

真の言葉に全員がヘリから飛び降りようとした瞬間、突如ヘリが大きく揺れ出す。

 

「っ!?何が!?」

 

「分かりません!突然制御が効きません!?」

 

「まさかっ!?」

 

真は急いで周りを見ると、二体のオニコマギアがヘリに向かって手をかざしていた。

 

「・・・っ!?全員飛び降りろ!!」

 

真の叫びと共にみんなが飛び降りると同時に、ヘリが空中で爆発を起こした。

 

ジャンプ!

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

『『『オーソライズ!』』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

『『フォースライズ!』』

 

ライジングホッパー!

 

シューティングウルフ!

 

ラッシングチーター!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

とっさの状況に初期フォームに変身した真達は響達と共に地上に降り立った瞬間、突然真達が着地した地面が大爆発を起こした。

 

『うわぁぁぁ!!!』

 

爆発に巻き込まれた全員はバラバラに分かれてしまう。

 

「相手此方の姿をさらし、ヘリを襲うことで降下地点を限定、後はそこを中心に地雷原とするだけ・・・結論通りの展開だな」

 

アークの手には、真がつけた発信機が握られていた。

 

「お前たちの策を利用させてもらった・・・そして」

 

真達が立ち上がると、岩場やその隙間から赤い光が夥しく輝きだす。

 

「貴様らは既に、袋の鼠だ」

 

「っ・・・!?まさか!?」

 

岩場と隙間から現れたのはアークがスクラップから作り出した大量のマギアの集団、マギアの集団は瞬く間に真達の周囲を囲んでしまった。

 

「マギアの集団だとっ!?」

 

「くっ!みんな、ここは一時撤退を・・・っ!?」

 

マリアがジェムを取り出すと、アークの指先から放たれた光線がジェムを破壊してしまう。

 

「逃がしはしない・・・そして」

 

アークは再び光線を放ち、真のホルダーに取り付けられているゼロツープログライズキーを弾き飛ばしてしまい、マギアの一体がキーを回収してしまう。

 

「しまっ!?」

 

「希望も使わせない・・・やれ」

 

アークの号令でマギア達が一斉に襲い掛かる。

 

「構えろ、来るぞ!!」

 

真達はそのままマギア達に立ち向かう。

 

皆は力を合わせマギアを切り倒していくが、次々と襲い掛かって来るマギアの集団に徐々に押されて行ってしまう。

 

「数が多すぎる・・・このままでは押されてしまうわ!!」

 

「だったらイグナイトで押し切る!」

 

「無茶いうな先輩!この数相手だと倒しきる前に時間が来ちまう!」

 

「それにこの状況じゃイグナイトを起動する暇も・・・!」

 

「あたしらもこの状況じゃ別のフォームになる暇もねぇ・・・!」

 

「くっ・・・!」

 

別のフォームになる暇もない真達は更に追い込まれていき、それを見越したアークは瞳を輝かせマギア達に指示を出すと、複数のマギアが響の背後を取る。

 

「っ!させるかっ!」

 

真はとっさに響の背後のマギアを蹴り飛ばすが、その隙を突かれ別のマギアに殴り飛ばされてしまう。

 

変身が解除された真はすぐに変身しようとするが、寸前でマギアに取り押さえられてしまう。

 

「真さん!!」

 

真が抑えられたことに戸惑った響が辺りを見当たすと、他のみんなを庇った奏、セレナ、紫苑、桃恵の四人もマギアの攻撃で変身が解除され取り押さえられてしまっていた。

 

「仲間を集中的に襲えば貴様らはその者達を守るために身を挺して助けに行く、これで仮面ライダー共は無力化された」

 

残ったマギア達は響達に襲い掛かっていく、響達は立ち向かっていくが強化されたマギアに歯が立たず攻撃を受けてしまいギアが解除されてしまいその場に倒れてしまう。

 

「響!みんな!!」

 

ボロボロになり倒れ伏す響達をマギアが取り囲む。

 

「全て結論通り、貴様らは此処で滅亡する」

 

アークが構えると、マギア達はエネルギーを集積していく。

 

「くそっ!!」

 

真達は何とかしようとするが、マギアの拘束は外れず、翼達もボロボロで立ち上がれずにいた。

 

絶体絶命、その言葉が真達の脳裏を染めた。

 

『皆さん!!』

 

通信機越しにエルフナイン達の叫び声が聞こえる中、響の意識が暗闇に染まる。

 

 

 

暗闇の中、ゆっくりと闇に沈んでいく響。

 

(勝てない・・・このままじゃみんなが・・・でも・・・もう戦う力は残ってない・・・)

 

響はそのまま眼を閉じ、闇に沈んでいく。

 

『・・・本当にそうかしら?』

 

瞳を閉ざした瞬間、突如どこかから声が聞こえてくる。

 

(でも・・・真さん達は抑えられて・・・私たちの力も通じない・・・もう勝ち目何て・・・)

 

『だったら、貴方は誰に負けたのかしら?』

 

(誰に・・・?)

 

『強大な力を持ったアーク?膨大なまでの数のマギア?・・・違うわ、貴方が負けたのは・・・あなた自身よ』

 

その言葉に、響はハッと目を開ける。

 

(そうだ、負けたのは自分自身に・・・勝てないと抗い続けると忘れた私に・・・!)

 

響の視線の先には、暗闇の中で光り輝く誰かが立っており、その誰かは響に手を差し伸べた。

 

『今の貴方になら授けれるわ、新たな希望を・・・だから忘れないで、あの時誓った言葉と拳を』

 

(忘れない・・・みんなの笑顔を守ると誓ったことを・・・そして、信じた正義を握り締めることを!)

 

響は立ち上がり、その手を握り締めた瞬間、その手が輝きだし闇が晴れる。

 

 

 

「終わりだ、仮面ライダー、シンフォギア」

 

アークが指を鳴らした瞬間、マギア達は蓄積したエネルギーを一斉に放ち、大爆発を起こした。

 

爆炎が辺り一帯をを包み込むと同時に夜が明けていく。

 

夜と共に煙が晴れていくと、アークはその中から一つの輝きを見つける。

 

「何・・・!!?」

 

その輝きの中心にいたのは、朝日を背に立ち上がっていた響、そしてその輝きに包まれていた響と真達は全くの無傷だった。

 

「だとしてもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

叫ぶ響の手には、『金色に輝くバックル型のドライバー』が握られていた。

 

「響・・・それは!?」

 

真達が驚く中、真のホルダーのスマッシュガングニールプログライズキーが輝きだし、突然ホルダーから飛び出し響の手に握られる。

 

「託されたこの希望で・・・笑顔を守って見せます!」

 

響はそのままバックルを腰に身に着ける。

 

ソングレイザー!

 

ブレイク!

 

『ソングレイザー』を身に着けた響は手にしたスマッシュガングニールプログライズキーのライズスターターを押し込み、ソングレイザーに装填する。

 

装填した瞬間、ソングレイザーから金色の五線譜と黄色の音符が飛び出し、響の周りを囲む。

 

響はそのまま拳を突き出し、その言葉を口にした。

 

「変身!」

 

叫んだ響はソングレイザーに取り付けられている『ソングローダー』を押し込む。

 

ソングライズ!

 

ソングローダーを押し込むと、周囲の五線譜が響の身に纏わりつきライダースーツになり、音符はアーマーに形を変え響の体に身に着けられていく。

 

その色合いと見た目は響が身に纏うガングニールに酷似しており、体はスーツやアーマーで覆われ、頭部も完全に隠れ、両腕には響のアームドギアに似たグローブ『ガングニールグラブ』が取り付けられ、各所には金色の装飾が取り付けられ、シンフォギアの面影を残した仮面ライダーの姿となった。

 

Break up! Fist up! GUNGNIR! 仮面ライダーヒビキ!

 

夜明けに照らされるその姿は、まさに新たな希望そのものだった。

 

「・・・・・・馬鹿な」

 

響の姿にみんなが声を呑む中、最初に口を開いたのはアークだった。

 

「ありえない!?なんだその姿は!?そんな結論は予測していない!!!」

 

突然の状況に狼狽えるアークを横目に響は自身の手を握ったり開いたりして確認し、そして顔を上げ視線を周囲のマギアに向けると、両足の『ガングニールグリーブ』によって強化された脚力でゼロツープログライズキーを握っているマギアの正面に移動する。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

移動した響は勢いよく殴りつけるとマギアは一撃で吹き飛ばされマギアが手放したキーを手に取り、響はそのまま真を押さえつけるマギアを殴り飛ばし真を開放する。

 

「響・・・お前、その姿!?」

 

真が戸惑う中、アークは狼狽えながら響に視線を向ける。

 

「・・・マギア共!まず先にその小娘を滅亡させよ!」

 

アークの叫びにマギア達は拘束した奏たちを解放し響と真の周囲を囲む。

 

「真さん、これを」

 

そんな中、響は先ほどのキーを真に渡し、真はキーを受け取る。

 

「真さん・・・行きましょう!」

 

いつもと変わらない響の明るい返事に真は虚を突かれるが、すぐに笑みを浮かべる。

 

「・・・っ、ああっ!」

 

真もすぐに立ち上がり、キーを起動させる。

 

エクシード!

 

ゼロツーユニットを取り付け、そのままライズスターターを押し込む。

 

ゼロツージャンプ!

 

Let’s give you power!

 

「変身!」

 

ゼロツーライズ!

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

It's never over.

 

ゼロツーに変身した真の背中に響が立つと、共に構える。

 

「行くぜ、響!」

 

「はい、真さん!」

 

二人が構えると同時にマギア達も襲い掛かってくる。

 

『使用BGM:花咲く勇気(花咲く勇気 Ver.Amalgam)』

 

真正面ど真ん中に 諦めずぶつかるんだ

 

飛び出した響は迫りくるマギアを殴り飛ばし、蹴り飛ばしながら撃破していく。

 

全力全開で 限界(突破して)

 

マギア達も響に向かって光線を放つが、響は光線を全て拳で弾き返してしまう。

 

互いに握る物 形の違う正義

 

響に合わせるように歌う真も二刀流でマギア達を切り伏せていく。

 

だけど(今はBrave)重ね合うときだ

 

背後から襲い掛かって来るマギアも予測で躱し、蹴り壊していく。

 

支配され(噛み締めた)悔しさに(抗った)その心伝う気がしたんだ(Wow×3)

 

「響君がなぜ、仮面ライダーに?」

 

「分かりません、ですが今の響さんからは高出力のフォニックゲインを感知できます」

 

「ということは・・・あれもシンフォギア?」

 

「おそらくな、だがあれはシンフォギアシステムを残しながら母さんたちのライダーシステムを組み込んだ見たことのない力だ」

 

「しかし、このようなものが一体なぜ?」

 

「その答えは一つだ、こんな埒外な力を与える奴なんて、一人しかいない」

 

キャロルの言葉にその場の全員が気が付く。

 

極限の(極限の)思い込めた鉄槌

 

そんな中、マンモスマギアが響に向かって拳を振り上げ殴りつけ、響も拳を振るい拳がぶつかり合う。

 

共に、一緒に! 解き放とう!!

 

拮抗する二つの拳だが、先に響の拳がマンモスマギアの拳を砕いた。

 

I trust! 花咲く勇気(Shakin`hands) 握るだけじゃないんだ(Shakin`hands)

 

真の周囲を飛び回るオニコマギアの集団の連撃を真は全て躱しながらカウンターで切りつけ、連撃が終わると同時にオニコマギアは全て爆散する。

 

こぶしを開いて繋ぎたい…!

 

二人の連携で次々とマギア達の数が減っていく。

 

I believe! 花咲く勇気(Shakin`hands) 信念はたがえども(Shakin`hands)

 

「シンフォギアのように莫大なまでのフォニックゲインをエネルギーに変え、ゼロツーやランペイジなどのライダーシステムに引けを取らない力を生みだす新たな力」

 

さあ今 誰かの為なら

 

「まったく・・・とんだ過保護な神様だな」

 

「だとしても!」と吠え立て!

 

周囲のマギアを撃破すると、岩場からアークが飛び降りてきて二人に襲い掛かる。

 

「貴様らのような不確定要素にこれ以上好きにはさせん!」

 

アークの一撃で響が後ろに吹き飛ばされるが、すぐさま態勢を整える。

 

「それはこっちのセリフです!真さん、ホッパーのキーを!」

 

「ホッパーを!?」

 

「これを身に着けた時、使い方をラーニングしました!だから!」

 

「分かった!」

 

真はアークを抑えながら響にライジングホッパープログライズキーを投げ渡すと、響は手にしたキーのライズスターターを押し込む。

 

ジャンプ!

 

ソングレイザーに装填してあるキーを抜き取り、ライジングホッパープログライズキーを装填すると、上空からライジングホッパーライダモデルが下りてくる。

 

「行きます!」

 

響はそのままソングローダーを押し込む。

 

ユニゾンライズ!

 

armed! armor! connect! ライジングホッパー!

 

ソングローダーを押し込むと、背後のライジングホッパーライダモデルが形を変え響の両足に身に着けられていき、ライジングホッパーライダモデルに酷似した脚部ユニット『ライジングホッパーレッグ』となる。

 

「ライダモデルが武装に!?」

 

皆が驚く中、響はライジングホッパーレッグの力で先ほどよりも早く跳躍しアークを蹴り飛ばす。

 

「くっ・・・こんなはずが・・・!!?」

 

アークはアタッシュアローを大量に展開し矢の雨を放つ。

 

手を掴み 握って…と 空を切る 悲しみの言葉

 

二人は矢の雨を躱しながらアークに迫っていき、アークの反撃を防ぎながら蹴り飛ばす。

 

残酷は戯れ笑うように それでも歌い繋げと…

 

アークを蹴り飛ばすと響はガングニールキーを装填しライジングホッパーレッグを解除する。

 

「行くぞ響!」

 

「はい!響かせて見せます、私達の歌を!!」

 

真はキーを、響はソングローダーを押し込む。

 

ゼロツービッグバン!

 

ガングニールフィナーレ!

 

I trust! 花咲く勇気(Shakin`hands) 握るだけじゃないんだ(Shakin`hands)

 

二人が飛び出すと同時に、アークもアークローダーを押し込む。

 

オールエクスティンクション

 

こぶしを開いて繋ぎたい…!

 

アークは自身の放つオーラを大量の剣に形を変え二人に投擲するが、二人は大量の剣を躱しながら迫っていき、同時に跳躍する。

 

I believe! 花咲く勇気(Shakin`hands) 信念はたがえども(Shakin`hands)

 

二人は横に並び同時にライダーキックを放ち、それを見たアークは二人に向かって極大のエネルギー弾を放ち、キックとエネルギー弾がぶつかり合う。

 

さあ今 目前の天に

 

拮抗するぶつかり合いだが、次第にエネルギー弾にひびが入り、ついには二人のライダーキックがエネルギー弾を砕く。

 

「馬鹿な・・・こんな結論が・・・!?」

 

だとしても! 貫けぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

 

エネルギー弾が砕かれると同時に、二人のライダーキックがアークに突き刺さった。

 

 

 

ゼロツービッグバン

 

ガングニールフィナーレ

 

二人のライダーキックが決まりアークは爆散するが、爆煙の中から黒い球体が飛び出しどこかへ飛んで行ってしまう。

 

アークを倒したのを確認し、二人は変身を解く。

 

「はぁ・・・はぁ・・・や、やった・・・っ!?」

 

響は変身を解除したと同時に突然倒れてしまう。

 

『響っ!?』

 

それを見たみんなは慌てて響に駆け寄る。

 

「立花、どうした!どこかやられたのか!?」

 

「い、いえ・・・でも、急に疲労感が・・・!」

 

「それって・・・反動じゃないか?」

 

響が症状を言うと、真が原因を理解する。

 

「は・・・反動?」

 

「ライダーシステムには、強力なフォームになると解除後に負担による反動が来て脱力感に襲われるんだ」

 

「ああ・・・そういえばアサルトの練習の時も来てたな」

 

「そ・・・それじゃあこれって・・・いつまで・・・!?」

 

「初変身だし、響の体調と鍛え方を考えて・・・持って二時間はそのままだな」

 

「に・・・二時間!?」

 

「・・・けど本当に助かったぜ、ありがとうな、響」

 

真は響にお礼を言って拳を突き出す。

 

「・・・はい!」

 

響も答えるように拳をぶつけると、響はそのまま倒れる。

 

「響っ!?」

 

「しまった!?弦十郎さん、早く救護班を呼んでくれ!」

 

未来と真の叫びが岩場に響き渡り、数分後みんなは救護班に運ばれていった。





『とうとうここまで来たか!?』
後書きの時間だ・・・という前に叫んだなお前ら。
「いやそりゃそうだろ・・・ということは」
「そうです、ついに私が来ました!」
『響(さん)!』
というわけでお前らとアークに続くゼロフォギア七人目の仮面ライダーの登場だ!
「改めまして、仮面ライダーヒビキ、立花響です!」
「まさかお前が仮面ライダーになるなんてな!」
「はい!私もびっくりしましたよ!」
「作者さん、これは何時頃から考えてたんですか?」
GX編の途中の正月回で仮面ライダーが増えるって言っただろ、その時から考案していた。
「よく考えたのう」
大変だったよ、変身と言ってもドライバーをどうするか、姿をどう表現しようか悩んだ・・・その結果生みだされたのがソングレイザーと仮面ライダーヒビキだ。
「ソングレイザーってゼロワンだとレイドライザーをモデルに作ったんですか?」
ああ、それをベースにレイザーを作って、ライダー姿に関してはアマルガムをベースにして作り、ユニゾンライズに関してはXDのデュオレリックを元に作成してみた。
「よく考えたな本当に・・・ってちょっと待て!?確か正月回の時追加ライダーが九人ぐらいって言ってたよな、まさか・・・!?」
それは当日までのお楽しみということで、さて追加と言ったが響には後書きにしか登場させないぞ、現状あらすじは五人で足りてるし。
「分かりました!というわけで皆さん、改めてよろしくお願いします!」
「ああ、よろしくな響」
「よろしくお願いします、響さん」
「うむ、よろしく頼むぞ」
「よろしくです、響さん」
「これからよろしくな、響」
よし、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さん、継菜真と如月姉妹に質問
上記の3人がXDのメモリアカード「バニーガールズ」と同じ経緯でバニーガール姿になる事態になってしまいましたが、3人が纏うバニースーツのカラーはなんですか?
そうだな、それぞれのライダーのカラーリングに合わせて真が黄、紫苑が紫、桃恵が桃ってところかな。
「絶対に着たくないな」
「そうじゃな」
「お姉ちゃんなら似合うと思うけど・・・」
「桃恵よ、冗談でもそう言うのはやめてくれい」
ははっ・・・それじゃあそろそろ響も含めて〆ますか!
「分かりました!」

「「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」」

~追記~
質問返信コーナーにて書き忘れた質問がありましたのでここに返答させていただきます、影薄人さん誠に申し訳ございません。
「何忘れてんだよお前は・・・」
本当にすみません、では質問の方に移させていただきます。

*また、役割を終えた3人が急いで着替えるべく移動中に、もしくはこの時の場面が写真で撮られていた為に響達に見られてしまったらどうしますか?
というワケでこっちにも返答してくれ。
「了解・・・まあとりあえず響達とO☆HA☆NA☆SIして忘れるようにお願いするかな」
「きゃろるに使ったあの装置を使ってその記憶を抜き取ろう」
「他の人に見せないようにお願いします」
二人が物騒すぎる・・・というわけで改めて質問返答終わり!


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厄災の前触れ


0編第十話、前回のあらすじは?
「マギアを倒せなかったことを悔やむ響」
「そんな中、アークは着々と計画を進めていました」
「うちらは真がつけた発信機であーくに挑むが、逆に罠にかかってしまい絶体絶命の危機に陥ってしまった」
「ですけど、そこへ神様が響ちゃんに力を与え、響ちゃんは仮面ライダーヒビキに変身しました!」
「そして響と力を合わせ、アークを撃退することに成功した!」
はいOK、それじゃあ0編第十話、どうぞ!


本部に帰還した真達はメディカルチェックを受けた後、しばらく治療してから司令室に集まった。

 

「みんな、よく乗り切ってくれた」

 

「今回に関しては本当に危なかったですけどね、けど響のお陰で何とかなりました」

 

「まぁ、正確に言えば神様のお陰なんですけど」

 

「そうなのか!?というか神の奴いつの間にそんなの作ってたんだ?」

 

真がそう言ったと同時に真のライズフォンに通信が入ると、真は速攻で出る。

 

「よう神、とりあえず響のあれについて教えてくれ」

 

『うん分かってるから、とりあえず電話相手を確認せずに出てノータイムで質問しないで、私以外の人からだったら大変なことになるわよ』

 

そう言われて真が落ち着くと、神が説明をしてくれる。

 

『まずは響ちゃんに渡したのは『ソングレイダー』、それはゼロワンの世界に存在するとあるドライバーを改良して作り上げた『装者専用のドライバー』よ』

 

「装者専用のドライバー!?そんなの作れんのかよっ!?」

 

『当然よ、本来であれば装者たちのギアは錬金術によってリビルドされさらなる強化が施されるはずだったのだけど、真君たちのお陰でその可能性が潰された、ゆえにその対応策として作り出したのがソングレイダーなのよ』

 

「錬金術で強化されるだと・・・?」

 

『本来ならね、けど悪い意味で言ったわけじゃないわ、真君たちのお陰でサンジェルマン達は救われたわけだし悪い事だけじゃないわ、それと他の装者たちの分も作成済みだからそちらに奥ってあるわ』

 

神がそう言うと扉が開かれ、エルフナインが台車に六つのソングレイダーを乗せて入ってきた。

 

「なんとっ!それじゃああたしたちも仮面ライダーになれるデスか!?」

 

『ええ、だけど使うとしても気を付けるように、いくらあなた達が鍛えられているとはいえ変身しようものなら負担は大きいわ、ねっ響ちゃん』

 

「はい・・・キャロルちゃん達のお陰で何とか治りましたけど、変身が解けた時指一本動かせないぐらい体が重かったです」

 

『そう、つまりそれはXD同様の決戦機能だと思って頂戴、おそらくだけどマギアにはイグナイトは力不足だと思われるから』

 

「つまり、実質的にイグナイトはお役目御免というわけか・・・」

 

「けど、これなら私達もマギアに対抗できるんですね!」

 

『ええ・・・でも気を付けて、相手はアーク、どんな手を使ってくるかわからないわ』

 

「分かってる、今回も倒しきれなかったし今度こそ倒して見せる!」

 

『ええ、期待してるわね』

 

そう言って通話が切れる。

 

「神がこれを渡したのはそう言う意味か・・・」

 

そう言って真はホルダーから響たちのシンフォギアキー、神が渡してくれたもう一つのガングニールとアガートラームのキーを取り出し、それを響達に手渡す。

 

「神がこの二つを増やしたのは響と奏、マリアとセレナのためだったんだと思う、これはお前らが持っていた方がいいと思う」

 

「はいっ!」

 

響達はキーを受け取ると、ソングレイダーも手に取ると、弦十郎が手を叩く。

 

「・・・よしっ!だったら来るべき時に備えて負担を抑える為特訓だ!」

 

「ええっ!?いまからですか!?」

 

「流石にあの激戦の後でそれはきつすぎる・・・と言いたいところだけど響達に使いこなさせるためにきちんと鍛えないとな」

 

真の言葉にみんな特訓に不安を感じるが、すぐに頷く。

 

「よしっ、なら一時間後にトレーニングルームに集合、特訓を開始するぞ!」

 

『はいっ!』

 

 

 

一方破れたアークはとある廃墟に隠していたマギアに入り込み立ち上がると、壁に拳を叩きつける。

 

「くっ!!」

 

「随分荒れておるようだな」

 

廃墟の奥から訃堂が歩み寄ってくる。

 

「ここは護災法の適応以来、国内における特異災害の後処理は全てわしの管理下にある。裏を返せば」

 

「誰にも見つからない絶好の隠れ蓑というわけか・・・考えたものだな」

 

アークがそう言うと、後ろの黒服がジェラルミンケースを開けると、中にはシェム・ハの腕輪が入っていた。

 

「計画の最終段階に着手してもらおう、神の力を防人が振るうひと振りに仕立て上げるのだ」

 

アークは腕輪が入っているケースを受け取る。

 

「ここにはそのための環境を整えてある、設備稼働に必要なエネルギーも事前に説明してある通り、手筈は既に進めておる」

 

「分かっている、その為に貴様の協力しているのだからな」

 

アークが瞳を輝かせると、奥から一体のマギアがケースを受け取り奥へと歩いていく。

 

「期待しておるぞ、二度敗北した人形よ」

 

訃堂はそう言い残しその場から立ち去る。

 

「二度敗北した人形・・・か」

 

アークはそう呟くと、瓦礫の隙間から外を見つめる。

 

「人というものは厄介なものだ、結論を予測したと思ったらすぐに結論を覆す奇跡を起こしてしまう・・・」

 

するとアークは小さく笑いだす。

 

「ふっ、思いはテクノロジーをも超えるか・・・どうやら認めるしかないようだな・・・だからこそ、私の計画は必ず遂行させて見せる」

 

アークはそう言うと、マギアが持って行って取り出した腕輪に視線を向ける。

 

「そのためには、『あれ』を手にしなければな・・・」

 

 

 

真宅にて、リビングで響と真は特訓による疲労で横になっていた。

 

「つ・・・疲れた・・・」

 

「我ながら・・・本当に無茶な特訓したな・・・」

 

「お疲れ様です、温かい物どうぞ」

 

二人が横になっていると、ヴァネッサがココアを持ってやってくる。

 

「温かいものどうも」

 

「ありがとうヴァネッサさん」

 

二人はココアを受け取りきちんと座り込む。

 

「それでどうですか、真さん?」

 

「そうだな・・・弦十郎さんのハードコース特訓(キャロルの錬金術を添えて)と櫻井式マッサージのお陰でとりあえずある程度は解消されたと思うけど・・・それでも厳しいと思うな」

 

「そうですか・・・あれ?ところで紫苑さんと桃恵さんは?」

 

「二人ならエルフナインとキャロルと一緒に地下の研究室にいるぞ、あともう少しなんだってさ」

 

「そうなんですか・・・でもなんだが複雑ですね」

 

「まあ大丈夫だろ・・・んで明日は疲れをとるために弦十郎さんから休暇貰ってるだろ、どうするんだ?」

 

「もちろん例のあれに行くに決まってますよ、エルフナインちゃんも誘ってますよ!」

 

「結構行く人いるな・・・まあ大人数の方が楽しめるな」

 

「はい!楽しみだなぁ・・・!」

 

響は明日を楽しみにしていた・・・だがこの時みんなは知らなかった。

 

 

 

 

 

 

その日が厄災の始まりだということに。





さぁ後書きの時間だ。
「今回はやけに短いですね?」
正直言って前回で力を使い果たした、なので今回はちょっと短めだ。
「まあ前回は頑張ったみたいだし、今回は良いじゃないか?」
ありがてぇ・・・ありがてぇ・・・!
「にしても今回は原作と違って抑えられなかったな、何でだ?」
正直言ってそう言った政治的な話は苦手で俺の都合で消し去ったんだけどな。
「いや、お前の都合か!」
でもそのおかげでお前らも制限されずに済んだじゃねえか。
「まぁそうですけど・・・なんだか複雑ですね」
それに訃堂側も神の力に着手していてそんな暇がないんだよな。
「なるほど、故に制限されなかったのじゃな」
そういう事、というかお前らの方も気張れよ・・・0編はここからが本番だ。
「そうですね、相手の計画も進んでいますしより警戒しないと・・・!」
「ですね、次回も張り切って頑張りましょう!」
よし、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
YouTubeでゲームサイズながらも聞く事の出来るXDの新曲…未来の「お帰りを言う為に」からまさかの響とグレ響のデュエット「To Unseal」までで1位から3位または5位はなんですか?

これはつまりXD限定の曲ということだな・・・まぁそこもちゃんと決まってますよ。
というわけで俺のXD内での音楽ランキングは。

第五位、切歌&調『ダイスキスキスギ』

第四位、セレナ『此の今を生きて』

第三位、切歌『アカツキノソラ』

第二位、響、奏、マリア『光槍・ガングニール』

第一位、アナザー響『紡ぎ-Rhapsody-』

・・・この五つです!
「こういう感じの曲が好きなのか」
はい、特に一位の曲に関しては実際聞いて感動しました。
「なるほどな・・・それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」」


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特別編19:小日向未来の誕生日3


特別編第十九話、今回は未来の誕生日三回目だ!
「俺たちの中で三回目の誕生日を迎えたのはこれで二人目だな」
「そう考えると長い間書いてきたんだな、この作品」
そうだな・・・そこを踏まえてお前らや視聴者さんに言わなくちゃいけないことがある。
「どうしたんですか?」
・・・流石にここまで続いたらネタが思いつかなかったのでXDのネタを使わせていただきましたorz
「とうとう使ったのじゃな・・・まあ此処までやっておればいつか来るとは思っておったが」
「まあ作者さんも頑張ってますから私達は別にいいですけど・・・」
ありがてぇ・・・というわけで今回から誕生日会はXDのネタを使いたいと思います、駄目だという方は遠慮なくコメントしてください、それでは特別編どうぞ!


「うわぁぁぁん!何で何時もこうなるの!?」

 

とある日のS.O.N.Gにて、休憩室で響は叫んでいた。

 

「仕方ないだろ、決まった事なんだしさ・・・」

 

「だからって、どうしていつも未来の誕生日に限って任務が入って来るの!?」

 

「神がかり的な確率で任務が入って来るからのう」

 

「真さん、神様に言って何とかできませんか!?」

 

「とんでもない無茶を言うなお前・・・流石の神でもこれは無理だろ」

 

「しかもご指名の依頼だからな・・・変わるわけにもいかないし」

 

「その日のうちに帰って来る任務なら可能性はありますけど・・・流石に今回は」

 

「あっ!だったら真さんがガングニールを纏って代わりに・・・!」

 

「速攻でバレて弦十郎さんに叱られる未来が予測できるな」

 

あれこれと考える響に未来が声をかける。

 

「響・・・響が私の誕生日を大切に思ってくれている気持ちは十分に伝わったから、大丈夫だよ」

 

「未来・・・」

 

「だから響は任務に集中して、響が怪我をして帰ってくる方が心配だから」

 

「・・・うん、わかった、日付が変わろうとも超特急で帰って来るから!」

 

「響、無茶だけはしないでね・・・」

 

そういう未来だが、その表情は浮かない様子だった。

 

 

 

当日深夜、真宅地下室。

 

「・・・というわけで流石に今回は何とかしたいというわけで打開策を考えたいと思います」

 

地下に集められたのは響と未来を除く他メンバーだった。

 

「あの・・・何で地下室で話し合いを?」

 

「リビングだと二人に聞かれる可能性があるからな、このことを未来に知られたら大丈夫だって断られそうだしサプライズを兼ねて行おうと思ってな」

 

「・・・たびたび思うが、継菜は立花や小日向には少し甘いところがあるな」

 

「そりゃ友達だしな、んで何か考えはあるか?」

 

「考えと言ってもな・・・未来が一番喜んでくれそうなのが響の存在だし・・・」

 

「それが一番の問題なんだよな・・・どうすれば・・・」

 

「あっ!だったらあたし達で等身大の響さんの着ぐるみを作って祝うのはどうデスか!」

 

「後は響さんそっくりのケーキを作ってあげるとか・・・」

 

「それはそれで複雑だな・・・というか着ぐるみ作ったところで終わった後はどうするつもりなんだ」

 

「えっ?えっと・・・それはデスね・・・」

 

「・・・ノープランかよ」

 

全員が頭を悩ませていると、エルフナインが挙手をする。

 

「あの・・・一ついいでしょうか?」

 

「はい、エルフナイン」

 

「つまり、響さんがいなくても未来さんに響さんを感じられるような、何かがあればいいということですよね?」

 

「まぁ・・・そういう事だよな」

 

「でしたら、僕にいい考えがあります!」

 

 

 

そして未来の誕生日当日、S.O.N.Gにて誕生日会が行われた。

 

『誕生日、おめでとう!』

 

「みなさん、私のためにお料理や飾りつけもしてくれてありがとうございます!」

 

「未来さんも他の人の誕生日の時頑張ってくれてますから」

 

「さて、料理を楽しむ前にエルフナインから未来にプレゼントがあるぞ」

 

「はい、未来さんこちらをどうぞ」

 

そう言ってエルフナインが渡したのはVRゴーグルのようなものだった。

 

「これって、パソコンとかゲームに繋げるゴーグル?」

 

「つけてみればわかります」

 

「うん・・・一体何が?」

 

未来は言われるままにゴーグルを装着すると未来の周りの景色が変化していく。

 

それは巨大な遊園地、だがそこはただの遊園地ではなかった。

 

その遊園地のいたるところにおにぎりや大盛ご飯、そして響の装飾が施されていた。

 

「えっ何これ!?右も左も上も下も響だらけ!?」

 

『驚いたか未来、エルフナイン特製の『響ランド』は』

 

未来が驚いていると、外から真がマイク越しに未来に語り掛けて来た。

 

「響ランド?」

 

『はい、S.O.N.Gの技術を全て詰め込んだVR響ランドです!』

 

『こんなことに技術を全てつぎ込むとか・・・とんだ無駄遣いだな』

 

『一応こちらからでも見れるようにモニターで確認してるからな』

 

『本当に作りやがったな・・・よく作れたな』

 

『このためにエルフナインと継菜が夜遅くまで思案していたからな』

 

『本当大変だった・・・響らしさをどう表現するのかそこが大変だった』

 

『お前やっぱ馬鹿だろ』

 

『待っててください、端末を操作すればこんなことも・・・』

 

エルフナインが端末を操作すると、未来の目の前に響が現れる。

 

「やっほー未来、お誕生日楽しんでるかな?」

 

「響っ!?どうして響が此処に!?」

 

『そちらは任務に向かう前日に響さんに頼んで撮った映像なんです』

 

「じゃあ、響が此処にいる訳じゃないんだね・・・」

 

未来はそう言うと、どこか寂しそうな顔をする。

 

「・・・そっか、そうだよね、VRなんだから本当にいるわけないか」

 

『えっと・・・楽しんでもらうつもりだったんですが、逆に悲しい思いをさせてしまったでしょうか?』

 

「ううん、そんな事無いよ、私のために用意してくれてありがとう」

 

『・・・やっぱり本物の方がいいですか?』

 

「うん・・・響のぬくもりを感じられるのは響本人だけだから・・・」

 

未来はそう言ってゴーグルを外しみんなの方を向き、お礼を言う。

 

「みんな、今日は本当に・・・」

 

「未来!お誕生日おめでとう!!」

 

未来がお礼を言おうとした瞬間、扉が開かれ響が入ってくる。

 

「あれ、ゴーグル外したのにまだ響が見えてる、私そんなに会いたかったのかな?」

 

「残念でした、此処にいるのは本物の私だよ!」

 

そう言って響は未来を抱きしめる、響の登場に未来だけではなく真達も驚いていた。

 

「響っ!?お前どうやって・・・!?」

 

「未来の誕生日を祝いたかったから速攻で任務を完了させてきました!」

 

そう言って響はソングレイザーを取り出す。

 

「あっ、お前決戦機能を使ったな!?」

 

「はい、負担もありましたがそこは了子さん式マッサージで何とかなりました!」

 

「櫻井さん式マッサージすげぇな・・・」

 

「響・・・私のためにそんな・・・」

 

「えへへ・・・誕生日に間に合って本当によかった、はい、私からの誕生日プレゼント!」

 

響が未来に渡したのは遊園地のチケットだった。

 

「これ・・・!」

 

「遊園地のチケット、今度のお休み一緒に行こう!」

 

「うん、すごく嬉しい!本当にありがとう、響!」

 

チケットを受け取って未来は最高の笑みを浮かべる。

 

「よかったのう」

 

「結局本物にはかなわないってことか・・・」

 

「そうですね」

 

「さあ、お誕生日会の続き!私お腹ペコペコなんだよね、未来も一緒に食べよう!」

 

「うん!」

 

 

 

後日、休暇の日に響と未来は一緒に遊園地に来ていた。

 

「未来、次はどれに乗る?」

 

「う~ん、次はメリーゴーランドがいいかな」

 

「いいね、じゃあそれにしよう!」

 

「・・・んで、何で私達までここにいるんだ?」

 

何故か一緒に遊園地に来ているクリスがツッコミを入れる。

 

「立花がみんな一緒が言いに決まっていると全員分のチケットを用意していたんだ、感謝しなければな」

 

「全員の休みがきれいに重なったのもあるわね」

 

「緒川さんがうまく調整してくれたからな」

 

「調!次はあの上がって落ちるやつに行くデスッ!」

 

「私はあっちのお化け屋敷が気になるかな?」

 

「桃恵よ、次はあっちに向かうぞ!」

 

「うん・・・あっあれ身長制限が」

 

「なんじゃと!?」

 

「マリア姉さん、次はジェットコースターに乗ろう!」

 

「ま・・・まって・・・さっきから絶叫系ばかりで・・・ちょっと休憩を・・・!」

 

「う~ん、遊園地のスイーツも捨てがたいな・・・どうだキャロル?」

 

「悪くはないが・・・もうそれで二桁は食ってるだろ母さん」

 

「お母さん!キャロル!あっちに限定のお菓子があります!」

 

「よしっ速攻で向かうぞ二人共!」

 

「まだ食うのか!?」

 

真達も各々遊園地を楽しんでいた。

 

「響、最高の誕生日プレゼントをありがとう!」

 

「どういたしまして、これからも未来の誕生日はちゃんと祝うからね!」

 

「うん!」

 

二人は閉園間近まで少し遅れた誕生日遊園地を楽しんでいった。





さて後書きの時間だ。
「マジでメモリアをネタにしてんだな」
ああ、今回使ったのは『未来のバースデー2019』のネタだ、俺のお気に入りだ。
「私だらけの遊園地のお話ですね、あの後エルフナインちゃんに頼んで見させてもらいましたけど本当に私だらけでした」
「そんな物まで作れるんですねエルフナインさんは・・・じゃあマリア姉さんの遊園地とかも作れるのかな?」
「・・・なんだかあちこちからセレナを呼ぶ叫び声が聞こえてきそうな遊園地だな」
やめてくれ、想像しただけで笑ってしまう。
「笑うというより、恐怖するという表現が正しいじゃろうて・・・」
「それにしても響ちゃん、よく遊園地のチケットを持ってましたね?」
「この日のために貯金して人数分買いました!」
「そのおかげで遊園地スイーツを楽しめた、ありがとう響」
未来じゃなくてお前が礼を言うのかよ・・・それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!未来!』


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狙われた希望


0編第十一話、前回のあらすじは?
「アークを撃退した俺たちは神からソングレイザーについて説明を受ける」
「んでもって説明を受けた後、負担を軽減するために旦那の特訓が行われた」
「その一方でアークはどこかの廃墟に身を隠し訃堂の計画を進めていく」
「じゃがその裏であーくは自身の計画を着々と進めておった」
「そして響ちゃん達は翌日の休暇を楽しみにしてました」
はいOK、それじゃあ0編第十一話、どうぞ!


次の日、響に誘われた真とエルフナインを含む未来、翼、奏は街に繰り出し休暇を満喫していた。

 

デパートに言って買い物をしたり、ファミレスで食事をしたり、ゲームセンターで遊んだりなど休暇を大いに楽しんでいた。

 

六人はそのままカラオケ店に入り、各々歌を歌っているが、真は終始難しい顔をしていた。

 

「・・・・・・」

 

「真さん、浮かない顔をしてどうしたんですか?」

 

真の様子が気になった響が声をかけると、真は反応する。

 

「ん・・・ああ、ちょっと考え事をな」

 

「アークの事・・・ですか?」

 

「・・・ああ、多くの信者達の命を使ってまで神の力を手にしようとしていたアークにしては策が単調な気がして・・・そう考えてるときりがなくて」

 

「・・・大丈夫ですよ、それに今の私達ならどんな策を講じられても大丈夫です!神様から貰った力もありますし、それにアークの策を破ってるのも私たちが力をつけていってるからですよ!」

 

「そう・・・だよな、俺の考えすぎだよな・・・」

 

真はそう納得するが、どこか気になっている様子だった。

 

そんな様子を見てほかのみんなも心配する中、通信機に連絡が入る。

 

「っ!はいこちら響、今真さん、未来、翼さん、奏さん、エルフナインちゃんと一緒です!」

 

『第三十二区域にマギアが出現!急いで現場に向かってください!』

 

そう言って通信が切れ、六人が外に出ると遠くから多くの悲鳴が聞こえてくる。

 

「もう始まってやがるのか・・・エルフナインは早く避難を・・・!」

 

「お母さん、僕は逃げ遅れた人たちの避難誘導をします!」

 

エルフナインの提案にみんなが驚く。

 

「何を言っている、危険だぞ!?」

 

「それはわかってます!でも僕もできる限りのことをしたいんです、お願いお母さん!」

 

「・・・わかった、危険と判断したらすぐに逃げろよ!」

 

「はいっ!」

 

そう言ってエルフナインは現場とは逆の方向に走っていき、真達は急いで現場へと急行する。

 

 

 

現場に駆け付けると、そこではカエルのような見た目をした『ガエルマギア』と首回りに歪な羽が生えている『クエネオマギア』が住民を襲っていた。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

ゼロツージャンプ!

 

 

 

Let’s give you power!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

ゼロツーライズ!

 

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

Gathering Round!

 

It's never over.

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

『使用BGM:Defender'Z Brand!』

 

視認した真達はすぐに変身しマギア達に迫る。

 

舞い散る時の花に 幾夜も己を問う

 

『目標確認・・・絶滅・・・開始』

 

真達を視認したマギア達もすぐさま標的を住民から真達に向けて襲い掛かってくる。

 

(Ya-ha-)低きに水は流れ (I-e-)人も同じく…無情に

 

ガエルマギアは口からカエル型の爆弾『コガエルボマー』を大量に射出すると、真達はそれを横に躱し二手に分かれ討伐に出る。

 

崩れて消え去る(為す術なく)無力の極みに(涙は枯れ)

 

クエオネマギアに挑む響、翼、未来に対しクエオネマギアは首周りに装備されている『ブーメザン』を両手に取り投げつける。

 

三人は投擲されたブーメザンを躱すが、ブーメザンは急に軌道を変え横や背後からも三人に襲い掛かってくる。

 

否…然れども嘆きすら 断罪の刃へ変え

 

「遠隔操作!?」

 

三人が遠隔操作されるブーメザンを躱すのに集中すると、クエオネマギアが迫って来て未来に殴りかかろうとするが、寸前で響が間に入り込み拳を受け止める。

 

「そう簡単には・・・やらせませんっ!」

 

響は受け止めた拳を握り締め、空いた手でクエオネマギアを殴り飛ばす。

 

一閃に願いを込め この四肢千切れようとも 防人(さきも)らん

 

響が殴り飛ばすと翼も迫って来るブーメザンに斬撃を放ち迎撃する。

 

蒼ノ一閃

 

屍山血河(しざんけつが)幾許(いくばく)を築き敗れれば

 

ガエルマギアを相手取る真、奏はどんどん放たれてくるコガエルボマーを武器で撃ち落としていき距離を詰めていく。

 

命の火を外道から護ることが?

 

迫って来る二人に対しガエルマギアの瞳が赤く輝きだすと、周囲の乗り捨てられた車が急に動き出し二人に向かって行く。

 

「っ!?車を遠隔で!」

 

「セレナが言ってた機械の遠隔操作か!」

 

答えはあるのか? 光は射すのか?

 

二人は迫ってくる車を破壊せずに躱していくが、そのせいでガエルマギアとの距離が徐々に離されていく。

 

(つるぎ)よ道を切り開け…!剣よ!

 

此処まで戦ってると、真はとある違和感を感じる。

 

「・・・妙だな」

 

「真、どうしたんだ?」

 

「この二体のアルカノイズ、今までのアルカノイズと比べてそこまで強くない」

 

「言われてみれば・・・確かに今回のマギアは私達でも対処できてるような・・・?」

 

「我々が強くなったのか・・・それとも・・・?」

 

その場の違和感を感じ・・・真はあることが脳裏に浮かぶ。

 

 

『お母さん、僕は逃げ遅れた人たちの避難誘導をします!』

 

 

「・・・っ!友里さん、周囲に他のマギアの反応は!?」

 

『ちょっと待ってて・・・・・・っ!?離れた場所に別のマギアの反応を検知!』

 

検知と共に通信機のその場所が映し出される。

 

「っ!?この場所はエルフナインんちゃんが向かった・・・!!」

 

「っ!! 四人共、ここは任せる!俺はエルフナインの元に!」

 

「分かりました、気を付けてください!」

 

真は急いでエルフナインの元へと駆け抜けていき、響達は二体のマギアに立ち向かう。

 

 

 

「皆さん、早くこちらに避難してください!」

 

真達から離れたところでは、エルフナインが住民の避難誘導をちょうど終わらせたところだった。

 

「よしっ、これでお母さん達の役に立てたはず・・・僕も急いでこの場から離れないと・・・!」

 

そう言ってジェムを取り出し転移しようとしたとき、エルフナインの背後に誰かが現れる。

 

「え・・・?」

 

エルフナインが振り返ったと同時に、エルフナインの手にしていたジェムが地面に砕けることなく落ちる。

 

 

 

響達の方では、再び二手に分かれ響と未来がガエルマギアを、翼と奏がクエオネマギアと対峙していた。

 

「エルフナインちゃんが心配です・・・だから一気に決めます!」

 

ソングレイザー!

 

響はソングレイザーを腰に身に着け、スマッシュガングニールプログライズキーのライズスターターを押し込み装填する。

 

ブレイク!

 

「変身!」

 

ソングライズ!

 

Break up! Fist up! GUNGNIR! 仮面ライダーヒビキ!

 

「未来、サポートお願い!」

 

「うん!」

 

響は仮面ライダーヒビキに変身すると、未来にサポートを頼みそのままガエルマギアに特攻する。

 

ガエルマギアも向かってくる響に向けてコガエルボマーを放つが、コガエルボマーの動きをバイザーで予測した未来が大量の光線を放ち空中で爆破していき、響は減速せずにガエルマギアに攻撃を仕掛けていく。

 

翼と奏の方も縦横無尽に飛び回るブーメザンを奏が撃ち落としていき、クエオネマギアに接近した翼が切りかかっていく。

 

「これ以上、人の命を奪わせはしない!」

 

「お前ら人形に奪われる程、人の命は安くねえ!」

 

奏に迫って来るブーメザンを奏は掴み取り、そのままクエオネマギアに向けて投げつけると両足に突き刺さり動きを封じる。

 

「この一閃で、貴様を打ち砕く!」

 

動きを封じたのを確認した翼は二本の剣を手に取ると刀身に蒼い炎を纏わせ、そのまま十字にクエオネマギアの体を切り裂いた。

 

蒼炎十字斬

 

『絶・・・滅・・・!』

 

十字に切り裂かれたクエオネマギアはそのまま爆散して、奏が響の方を向き、ホルダーのキーを手に取る。

 

「響!こいつ使え!」

 

奏は手にしたシューティングウルフプログライズキーを響に投げ渡すと、響はガエルマギアから距離を取りキーを手に取りライズスターターを押し込む。

 

バレット!

 

そのままキーを装填すると、上空からシューティングウルフライダモデルが降って来てガエルマギアを威嚇する。

 

「行きますよ、狼さん!」

 

ユニゾンライズ!

 

armed! armor! connect! シューティングウルフ!

 

ソングローダーを押し込むと、シューティングウルフライダモデルが形を変え響の左腕に装着されていき、狼の頭部を模したユニット『シューティングウルフブラスター』に形を変えると、響は再びソングローダーを押し込む。

 

シューティングレクイエム!

 

シューティングウルフブラスターの銃口にエネルギーが蓄積されていき、最大までチャージされるとそのままガエルマギアに向けて放たれる。

 

放たれたエネルギー弾は狼の形となり、ガエルマギアもコガエルボマーを放ち迎撃するが通用せず、そのまま狼状のエネルギー弾はガエルマギアの胴体を貫いた。

 

 

シューティングレクイエム

 

『絶滅ぅぅぅぅ!!』

 

胴体を貫かれたガエルマギアもそのまま爆散していった。

 

「勝った・・・急いでエルフナインちゃんの元に・・・っ!」

 

急いで向かおうとした響だが、いきなり変身が解けその場に倒れてしまう。

 

「反動が・・・こんな時に・・・!」

 

「立花!」

 

「響!」

 

「響はあたしが担ぐ、急いで向かうぞ!」

 

奏は倒れる響を担ぎ、急いでエルフナインの元へ向かう。

 

 

 

時を少し戻し、マギアの反応を追った真がたどり着いたのは路地裏だった。

 

「反応は・・・ここのはず・・・!」

 

真が周囲を確認していると、誰もいない所に影があるのを確認する。

 

「っ!上か!」

 

真が上を向くと、エルフナインを抱えたサイのような見た目のマギア『アルシノマギア』が電線の上に立っていた。

 

「お母さん!!」

 

「エルフナイン!!すぐに助けに・・・」

 

「それ以上の行動は許さないぞ、ゼロワン」

 

突然の声に真が動きを止めると、上空から変身したアークが降ってきた。

 

「変な動きを見せるな・・・見せれば小娘の命が危ないぞ」

 

「アーク・・・っ!!!」

 

エルフナインを人質にとるアークに怒りを覚える真だが、エルフナインを人質に取られている以上下手に動けなかった。

 

「・・・目的はなんだ、俺の始末か?」

 

「それも重要だが、それよりも優先するべきことがある」

 

「なんだと?」

 

「前に話したはずだ、私の計画を」

 

「オペレーション・デイブレイクの事か?」

 

「その通りだ、その為に必要なものはある程度揃えているが、最後に必要なものがある・・・それを手に入れれば小娘を返そう」

 

この要求は本来呑んではいけないものだが、人質を取られている以上、真はアークの要求を呑むしかなかった。

 

「・・・何が必要だ?」

 

「話が早いな・・・なに、簡単な物だ、私が最後に欲するものは・・・」

 

そう言うとアークは真を指さす。

 

「貴様だ」

 

「っ!!?」

 

突然真に指さされたことに驚く真とエルフナイン。

 

「貴様が・・・神によって転生された貴様こそが、オペレーション・デイブレイクの最後の鍵だ」





さて後書きの時間だ。
「今回でとうとう0編が本格的に始まった気がしたな」
「ああ、にしてもアークの狙いが真だなんて・・・ますます急がないとな」
「はい、でも私は負担で動けませんので未来達に任せる形になりそうです・・・」
「それにしても今回はシューティングウルフのユニゾンなんですね?」
モデルとしては某電脳の青い流星のバスターをイメージしてる。
「色んなものを元に作っておるのじゃな」
ネタはいくらあっても困らないからな。
「そうですね、この調子だと他の奏者達の力も楽しみです」
必ず出して見せるから待ってろよ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
今年の奏の誕生日では酒盛りを開催していて思ったのですが、もし成人した響達が酒盛りをして酔ってしまった場合はそれぞれどうなると思いますか?
真紅林檎さんのイメージで構いません。

誕生日のネタを持ってきたか・・・まあ俺のイメージなんだが。

響、笑い上戸

未来、絡み上戸

翼、泣き上戸

クリス、怒り上戸

切歌、速攻で酔いつぶれる

調、ザル

・・・と言った感じだな。
「何というか・・・響とクリスはいつも通りな気がするな」
「作者さんの中の私達ってこんな感じなんですか!?」
そんなイメージが俺の中じゃ定着してるんだよな・・・それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」」


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奪われた希望


0編第十二話、前回のあらすじは?
「休日に遊びに出かけた響達」
「そんな休暇中に街に二体のマギアが襲撃に来てしまいました」
「真達が対応する中、なんとえるふないんのもとに敵の魔の手が迫っておった」
「真さんがエルフナインちゃんの元に向かい、残った響ちゃん達はマギアを撃破しましたが、真さんの方ではエルフナインちゃんが人質にされていました」
「そこに現れたアークはエルフナインを人質に計画の最後の鍵である俺の身柄を要求してきた」
はいOK、それじゃあ0編第十二話、どうぞ!


「はぁ・・・はぁ・・・継菜・・・エルフナイン・・・!!」

 

表通りのマギアを倒した翼達は急いで二人が向かった路地裏まで友里の案内の元駆け付けていた。

 

四人が着いた時、路地裏にはその場に座り込むエルフナインしかいなかった。

 

「エルフナインちゃん!!」

 

四人が近寄るとそれに気が付いたエルフナインがゆっくりと振り返り、その顔を見た響達は硬直する。

 

眼から涙が溢れ、今まで見たこともない悲し気な表情を浮かべるエルフナイン、そしてそれを見た響はあることに気が付く。

 

「エルフナインちゃん・・・マギアは・・・真さんは・・・?」

 

響の言葉で未来たちも辺りを見当たすが、そこにはマギアと真の姿はない。

 

そして四人の視線がエルフナインに集中すると、エルフナインは握りしめている物を四人に見せる。

 

それは真が何時も所持しているはずだったゼロワンのプログライズキーだった。

 

「ごべんなざい・・・僕の・・・僕のぜいで・・・」

 

涙を流しながら四人に謝罪するとエルフナインは気を失ってしまい、未来が慌てて受け止める、翼と奏はエルフナインの様子を見て最悪な状況を想像して苦虫を噛み。

 

「・・・真・・・さん」

 

そして響はショックで目の前が真っ暗になった。

 

 

 

少しして、緒川とサンジェルマン達を中心にエルフナインが襲われた場所で調査をしていた。

 

「駄目ね、目撃情報もないわ」

 

「監視カメラもご丁寧に破壊されているワケだ」

 

「そうか・・・現場に争った様子も痕跡もない上、血痕の一つもない」

 

「・・・調査範囲を引きのばし、引き続き捜索しましょう」

 

一方S.O.N.G本部では、エルフナインはメディカルルームに運び込まれるが、まだ起きていない。

 

「精神的なショックね、少ししたら目を覚ますけれど・・・」

 

フィーネがそう言うと、翼は悔しそうに壁に拳を叩きつける。

 

「くっ!!私たちが早くマギアを倒していれれば・・・継菜とエルフナインは!!」

 

翼は自身の不甲斐なさで何度も壁に拳を叩きつけるが、途中で奏が止める。

 

「よせ、翼・・・!」

 

「・・・・・・っ!」

 

マリア達も報告を受け、表情が曇る。

 

「私達も早く現場に駆け付けていれば・・・こんなことには・・・!」

 

「くそっ!!」

 

マリアやクリスが悔しがる中、響は未だ暗い表情をするが、未来が響の震える手に自身に手を添える。

 

「響・・・」

 

「ありがとう、未来・・・」

 

未来のお陰で震えは少し収まったがそれでも表情は暗いままだった・・・だがそんな響よりもふさぎ込んでいる者達がいた。

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・」

 

紫苑、桃恵、キャロルの三人は未だに口を開かず黙り込んでいた。

 

「紫苑さん・・・桃恵さん・・・キャロルちゃん・・・」

 

「無理もないわ、エルフナインが襲われ、そして継菜真の行方が分からない・・・ふさぎ込むのも無理ないわ」

 

マリアがそう言うと、キャロルは立ち上がりその場から離れようとする。

 

「どこに?」

 

「研究室だ、母さんを探し出す手立てを見つけ出す・・・必ずな」

 

そう言い残し、キャロルは研究室へと向かって行った。

 

 

 

一方、ある廃墟でアークは装置に繋がれたシェム・ハの腕輪を装置に繋げていた。

 

「腕輪から抽出した無軌道なエネルギーを拘束具にて制御、これで私の計画はさらに進みだす・・・その為の鍵は全て手に入った」

 

アークは装置をいじりながら怪しく微笑む。

 

「オペレーション・デイブレイクphase2、完了」

 

 

 

翌日、紫苑と桃恵は真宅の地下研究室にてオートスコアラー達の修復に取り掛かっているが、思うように進んでいなかった。

 

「・・・お姉ちゃん」

 

「・・・なんじゃ」

 

「もし・・・私達も響ちゃんの誘いを受けていれば」

 

「言わんでよい・・・じゃがうちも同じことを思う、もしうちらもついて行っておれば・・・真がいなくなることはなかったじゃろうと・・・」

 

そう言った紫苑は拳を握り締める。

 

「不甲斐ないことこの上ない・・・仲間になったというのにこの体たらくとは・・・!!」

 

「お姉ちゃん・・・!」

 

そんな時、二人の通信機に連絡が入る。

 

『奏者、並びに仮面ライダーに連絡、エルフナイン君が目を覚ました、これより緊急会議を行う』

 

 

 

連絡を受け響達が駆け付けると、弦十郎の傍にエルフナインが立っていた。

 

「エルフナインちゃん!もう大丈夫なの!?」

 

「はい、もう大丈夫です」

 

いつも通りに振る舞うが、その目元は涙によって赤く腫れあがっていた。

 

「これより、エルフナイン君の情報のもと、真君の失踪について緊急対策会議を行う」

 

弦十郎の言葉にエルフナインが前に出る。

 

「まず皆さんに伝えないといけないことがあります」

 

エルフナインの言葉に緊張が走る中、エルフナインが口を開く。

 

「お母さんは無事です、殺害されていません」

 

『っ!』

 

エルフナインのその言葉に、みんなが驚く。

 

「僕が避難誘導を行っていた時、マギアに捕らわれてしまいその後お母さんが駆け付けてくれました」

 

「あの時か・・・」

 

翼、奏、未来、響は戦闘途中で真がエルフナインの元に向かったことを思いだす。

 

「お母さんが駆け付けた時、アークもやって来て僕の無事と引き換えにお母さんに交渉を行ったんです」

 

「交渉だと?一体何を・・・?」

 

「アークの求めた物・・・それは他でもない、お母さん自身だったんです」

 

 

 

時は昨日に遡り、アークの目的の最後の鍵が真だと知る時に戻る。

 

「俺が・・・オペレーション・デイブレイク最後の鍵・・・!?」

 

「その通りだ、一度死に、神によって新たな生と肉体を受けこの世界に転生した存在」

 

アークは淡々と述べていく。

 

「私も同じ転生ではあるが、機械の体である私と人間である貴様、計画の成功を高めるには人間である貴様こそが相応しい、交渉に応じてくれれば小娘は開放しよう」

 

アークの交渉に真はすぐに答えず、ゼロツーの予測でこの状況の解決方法を探ろうとすると、アークが更に言葉を重ねる。

 

「先に言っておこう、小娘を捕らているマギアには少しでも傷がついた時と、私の意思一つで自爆するようにプログラムされている、もし貴様が無理やり小娘を奪い取ろうとしようものならあのマギアは自爆し小娘の命を奪う」

 

「なっ!!?」

 

アークのその言葉に真は驚愕する。

 

「さあどうするゼロツー、私の誘いを受けるか、受けないか」

 

「お母さん、僕のことはどうなってもいいです!アークの交渉に応じないで!!」

 

エルフナインは交渉しないように叫ぶ、その間にも真はいくつもの予測を建てる。

 

それは十秒にも満たないであろう時間、だが真にとってその十秒は何十年にも感じた。

 

・・・そして真がとった行動は。

 

「・・・・・・・・・分かった」

 

真の言葉にエルフナインは驚き、そして真はドライバーに手を伸ばす。

 

「っ!駄目っお母さん!!!」

 

エルフナインの叫びを顧みず、真は変身を解除する。

 

真はいくつもの予測を建てた、そして出された結論が『助けれない』だった。

 

その結論を出した真はエルフナインを取り、アークの交渉に応じたのだった。

 

「よろしい、そのドライバーをキーに戻し地面に捨てろ」

 

アークに言われる通り真はドライバーをキーに戻し地面に捨てる。

 

「利口だな、やはり親というものは子を優先するようだな」

 

そう言ったアークは真に近づき、真の腹部を殴りつける。

 

「っ!!!」

 

強烈な一撃を受けた真はそのまま意識を失い倒れる。

 

「お母さん!!!」

 

倒れる真を見て泣き叫ぶエルフナインをよそにアークは真を担ぎ上げる。

 

「アルシノマギア、小娘を開放しろ」

 

アークが命ずると、アルシノマギアはエルフナインを開放する。

 

「ゼロワンに感謝するといい小娘、こいつは貴様を救うために自分を売ったのだ」

 

アークはそう言い残すと、アルシノマギアと共にその場から去ってしまう。

 

一人残されたエルフナインは地面に落ちている真のキーを手に取る。

 

「あ・・・ああ・・・おがあ・・・ざん・・・!!」

 

真のキーを握りしめ、エルフナインは響達が駆け付けてくるまで路地裏で一人泣き叫んだ。

 

 

 

時を戻し、アークはある部屋へと向かっていた。

 

「時は来た、シェム・ハの腕輪、継菜真、そして莫大なまでのエネルギー」

 

アークがある部屋に入ると、その部屋のライトが点灯する。

 

「それらは全て、この崩れ落ちた『チフォージュ・シャトー』にて揃った!」

 

その部屋にあったのはとジェネレーターの様な物に入れられた大量の破損したオートスコアラー達。

 

「オペレーション・デイブレイク、phase3へと移行する!」





さぁ、後書きの時間だ。
「・・・あれっ!?真さんがいませんよ!?」
真は絶賛誘拐されてるから除外しています。
「マジかよ・・・てかまさか真の奴がさらわれちまうとはな・・・」
「仕方ないですよ・・・エルフナインさんが人質に取られてしまったんですから」
「・・・うちらもついて行っておればこのようなことには・・・っ!」
「うん・・・少なくともエルフナインちゃんは守れたのに・・・」
「紫苑さん・・・桃恵さん・・・」
「それにとうとうアークの計画もphase3に進んじまったな・・・」
「はい・・・何としても計画を阻止して真さんを助けましょう!」
・・・決心は固まったみたいだな、それじゃあ真はいないけどいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
「戦姫絶唱シンフォギアXD UNLIMITED」で発売されているキャラクターソングアルバム01に収録されている楽曲で1位から3位または5位はなんですか?

ふっふっふ・・・この質問のために密林から二枚とも購入しまして届きましたので答えられます!それではランキングはこちら!

第五位、切歌『サンタが街にやって来る』

第四位、響『エンドレス☆サマータイム』

第三位、未来『永愛プロミス』

第二位、奏『逆光のリゾルヴ』

第一位、セレナ『此の今を生きて』

・・・この五つです、此の今を生きてはXDで初めて聞いた曲なので印象が深いので堂々の一位です、それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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ゼノグラシア


0編第十三話、前回のあらすじは?
「マギアを倒してすぐに駆け付けたあたしらだったけど、そこにはエルフナイン一人だけで真の姿はなかった」
「緒川さん達が懸命に探してくれてますがそれでも手掛かりは見つかりません」
「真が連れ去られえるふないんが危険な目にあったことに悔しく感じるときに、司令から連絡が入ったぞ」
「そして目を覚ましたエルフナインちゃんの情報で、真さんは連れ去られたことが分かりました」
「あっここは真さんに変わって私が、そしてアークは真さんを連れ去って自身の計画をさらに進めてしまいました」
はいOK、真はいないけど0編第十三話、どうぞ!


S.O.N.Gでは、エルフナインの情報を聞いて緊張が走っていた。

 

「エルフナイン君を人質に真君の身柄を拘束・・・まさかアークの狙いが真君だったとは・・・!」

 

弦十郎の言葉に、説明卯を終えたエルフナインの瞳に涙が溜まる。

 

「ごめんなさい・・・僕があの時避難をしていれば、お母さんは・・・!」

 

「貴方のせいではないわ、エルフナイン」

 

涙を流すエルフナインをマリアがなだめる。

 

「継菜真の立場なら誰だってそうするわ、貴方は私たちの大切な仲間なのだから」

 

「そうですよ、それに真さんが無事だとわかったんですからそれだけで大丈夫だよ、エルフナインちゃんも無事でよかったよ!」

 

「マリアさん・・・響さん・・・!」

 

エルフナインを慰めると、弦十郎が口を開く。

 

「だが、アークの計画の最後の鍵が真君だとすれば、奴の計画は思ってた以上に進んでいるということ・・・より一層アークの居場所を探らなくてはいけないな・・・」

 

「そうね、頼みの綱であるプログライズキーは今エルフナインちゃんの手にある、キーの反応を辿っての捜索は難しそうね・・・」

 

「緒川達の報告を待つばかりか・・・奏者と仮面ライダーは報告が来るまで待機、万全に備えてくれ」

 

『了解!』

 

 

 

一方緒川達はとある研究室である物品を受け取っていた。

 

「確かに頂きました」

 

それを受け取った緒川達は車に乗り本部に連絡をする。

 

「証拠物品と共に、これより帰投します」

 

通信を切ると、緒川達が乗る車体とダミーの車体が同時に発信する。

 

その様子を上空で滞空していたオニコマギアの眼を通してアークが見ていた。

 

「証拠となる物品を持ち帰るか・・・計画は進んでいるが念には念を込めよう・・・」

 

そう言ってアークが瞳を輝かせると、一体のマギアがチフォージュ・シャトーから飛び出す。

 

緒川達は車を走らせながら弦十郎と通信をしていた。

 

『間違いないのだな』

 

「はい、儀典による解析の結果、回収した物品はアンティキティラの歯車だということが判明しました」

 

緒川達が受け取ったのは、真達がマンモスマギアと戦った研究室で見つけ出した物品だった。

 

「先だっての事故で失ったはずの聖遺物が敵のアジトで発見された・・・これは間違いなく」

 

『ああ、あの件に関して保管物品強奪の知らせは受けていない・・・遺失を装い横流しにされたと考えるならば』

 

「護災法施行後国内の聖遺物管理は風鳴機関に一括、司令の懸念通りやはり鎌倉とアークには何らかの繋がりがあるとみて・・・」

 

「・・・っ!?前をっ!」

 

サンジェルマンの声で皆が前を向くと、そこには鋭利な爪を生やし、牙を生やした獣型のマギア『ジャパニーズウルフマギア』が車を待ち構えていた。

 

『どうした!?』

 

「敵襲です!おそらくは証拠物品を狙ってと思われます!」

 

ジャパニーズウルフマギアは車目掛けて掛けだし、ダミーの車体に食らいつくと、頭部に取り付けられた『ウルフファング』でダミー車のエンジンを噛み砕きダミー車を爆破させる。

 

『人類・・・絶滅・・・』

 

ダミー車を破壊すると、ジャパニーズウルフマギアは再び駆け出し残りの車体を追いかける。

 

「応援が駆け付けるまで、私達で対処する!」

 

サンジェルマンの声に合わせるようにカリオストロとプレラーティを含めた三人はファウストローブを身に纏い、車から飛び出しジャパニーズウルフマギアと対峙する。

 

三人を視認したジャパニーズウルフマギアは標的を三人に切り替え、サンジェルマンが放った弾丸を走りながら高速で回避する。

 

「素早さに特化したタイプか・・・ならば!」

 

サンジェルマンがジャパニーズウルフマギアの前方の地面に弾丸を放つとそこから金の壁が展開され、敵の前方を防ぎつつ、跳躍したカリオストロとプレラーティが上を取り構える。

 

「死角からの攻撃なら・・・」

 

「喰らうワケだ!」

 

カリオストロがエネルギー弾を、プレラーティが巨大化させた玉を放ち、両方とも直撃する。

 

「直撃!」

 

二人が直撃を視認し、地面に降り立った瞬間、突然二人に衝撃が走った。

 

「「っ!?」」

 

いきなりの衝撃に二人が驚くと、二人の背後から攻撃を受けたはずのジャパニーズウルフマギアが傷一つなく現れた。

 

「まさか・・・あーし達が攻撃したのは・・・!?」

 

「残像・・・!?」

 

二人の攻撃が当たったのはジャパニーズウルフマギアが回避した際に生じた残像だった、ジャパニーズウルフマギアがはそのまま金の壁を跳躍で飛び越えると、そのままサンジェルマン目掛けて飛び込む。

 

「なっ!?」

 

突然の奇襲に反応が遅れたサンジェルマンにジャパニーズウルフマギアはウルフファングを振るおうとした時、隣の高速道路の上から誰かが飛び降りてくる。

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

 

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「変身!」

 

 

Flash of the Trinity! 

 

Control the land,sea and air the creatures become one.

 

飛び降りて来たのは、応援で駆けつけて来たクリス、マリア、セレナの三人だった。

 

『使用BGM:Take this! “All loaded”』

 

「駆け付けて来たぜ!」

 

応援に駆け付けたクリス達に金の壁の向こうからカリオストロが叫ぶ。

 

「気を付けて!そのマギア残像を生みだすほど早いわよ!」

 

「分かったわ、貴方は彼女たちの元に」

 

「分かったわ」

 

サンジェルマンは急いでカリオストロたちの元に向かい、クリス達はジャパニーズウルフマギアと対峙する。

 

「さぁて、狼退治の時間だ・・・!」

 

『人類・・・絶滅・・・』

 

クリス達を視認したジャパニーズウルフマギアも臨戦態勢に入り襲い掛かる。

 

鼻をくすぐるGunpowder&Smoke

 

クリスが先制で射撃するが、ジャパニーズウルフマギアは先ほど同様高速で躱しながら迫る。

 

だが躱された弾丸は形状を変化させ、ジャパニーズウルフマギアを追跡する。

 

ジャララ飛び交うEmpty gun cartridges

 

『イチイバル、アガートラーム、バルキリー、エンゲージ!』

 

追跡してくる弾丸に気が付いたジャパニーズウルフマギアは弾丸の追跡を外すように建物間を飛び回り、追跡しきれず弾丸が全て壁に直撃すると、ジャパニーズウルフマギアは地面に着地する。

 

「隙だらけぇ!」

 

紅いヒールに見惚れて うっかり風穴欲しいヤツは 挙手をしな

 

着地した瞬間を狙いマリアが迫りアームドギアで切り裂くが、手ごたえはなくジャパニーズウルフマギアの姿が消える。

 

「残像!?」

 

「姉さん危ない!」

 

マリアの背後から迫るジャパニーズウルフマギアの攻撃を気が付いたセレナが守ると、それに気が付いたマリアが短剣を放つが躱されてしまう。

 

「セレナ、大丈夫!?」

 

「大丈夫、それよりも相手を!」

 

血を流したって 傷になったって

 

短剣を躱したジャパニーズウルフマギアは攻撃はせず移動し高速に乗り込む。

 

時と云う名の風と 仲間と云う絆の場所

 

「っ!逃がさないわ!」

 

高速に向かうジャパニーズウルフマギアをマリア達も追いかけて行く。

 

痛みを消して カサブタにする …あったけぇ

 

「緒川さんとサンジェルマンさん達の戦線離脱を確認しました!」

 

「敵マギア、高速に乗り込み移動を開始!」

 

高速を駆け抜けていくジャパニーズウルフマギアに対し車の上に乗るクリスとマリア、その横を並走して走っていくセレナ。

 

「ちょこまか逃げやがって・・・だったらこいつで!」

 

クリスはソングレイザーを取り出し使用しようとするが、マリアに制止される。

 

「駄目よ!負担も大きい上にあの速度じゃ当たらないかもしれないわ」

 

「っ・・・!」

 

マリアの言葉に悔しそうな顔をするクリス、そんな中ジャパニーズウルフマギアは走りながらマリア達の方を振り向く。

 

「まさか一般人を巻き添えに・・・!?」

 

マリアの懸念が当たり、ジャパニーズウルフマギアが前腕の『ウルフクロー』を振り抜くと、爪状の斬撃がマリア達に襲い掛かる。

 

「そうはいかない!」

 

マリアは前に飛び出し短剣を左腕に組み込むと刀身を伸ばし、飛び出した勢いで斬撃を切り払う。

 

SERE†NADE

 

マリアが斬撃を切り払うが、ジャパニーズウルフマギアは何度も斬撃を放つ。

 

「私が防ぎます!」

 

ランド!アクセル!

 

アクセルグラウンドブラスト!

 

マリアに変わり前方に出たセレナがグラウンドアクセルフォームに切り替わり両手の爪で斬撃を切り払って行く。

 

「攻撃の手はあたしが緩ませねえ!」

 

セレナが防いでいく中、クリスが二丁拳銃で弾丸を放ち、全ての弾丸が形を変えジャパニーズウルフマギアを追跡する。

 

ジャパニーズウルフマギアは回避しようとするが、自身の攻撃の最中に放たれたためすべてを回避することは出来ず何発かは命中してしまう。

 

何発かが当たり、速度が目に見えて落ちていくジャパニーズウルフマギアは何故か高く跳躍する。

 

「何を?」

 

跳躍したジャパニーズウルフマギアは地面に目掛けて斬撃を放ち、高速の地面を砕く、それを見たマリア達はこのままでは車が高速から落ちて大惨事になるのを予感する。

 

「車はあたしが何とかする、あんたらはあいつの相手を!」

 

「分かったわ!」

 

「お願いします!」

 

車をクリスに託し、マリアとセレナは跳躍し壊れた高速の向こうに飛び移り、クリスは乗っている車体ごと下に落ちる。

 

ジャパニーズウルフマギアは向かってくるマリアとセレナに対し斬撃を何発も放つが、二人は躱し、防ぎながら距離を詰めていく。

 

「はぁぁぁぁ!!」

 

マリアが放った斬撃をジャパニーズウルフマギアは回避するが、先程のような残像は発生せず、さっきの攻撃で速度も落ちているため、グラウンドフォームのセレナはジャパニーズウルフマギアの速度に追い付く。

 

「もう逃がしません!」

 

ジャパニーズウルフマギアの速度に追いついたセレナはそのままジャパニーズウルフマギアを蹴り飛ばし壁に叩きつける。

 

壁に叩きつけられても立ち上がり攻撃を仕掛けようとしたその時、壊れた高速の穴から何かが這い登ってくる。

 

繋いだ手を引っ張るぐらいにゃなった

 

それは車体を掴みミサイルで浮かび上がるクリスだった。

 

真っすぐ選ぼうFuturism

 

浮かび上がったクリスはそのままジャパニーズウルフマギアに目掛けて大量の小型ミサイルを放つ。

 

MEGA DETH PARTY

 

ジャパニーズウルフマギアはすぐに回避しようとするが右足が動かず、視線を向けるといつの間にか右足の配線が切り裂かれていた。

 

「先ほどの蹴りでついでに切らせていただきました」

 

先程セレナは壁に蹴り付けると同時に足の爪でジャパニーズウルフマギアの機動力を奪っていたのだった。

 

重ね合って歴史がミチシルベに

 

右足を切り裂かれ機動力を奪われたジャパニーズウルフマギアにミサイルが全弾直撃する。

 

(Fire!)最大出力 (Fire!)標準クリア

 

ミサイルの直撃を受けてジャパニーズウルフマギアの体のいたるところから火花が飛び散る。

 

(Fire!)解放ぶっ飛べ

 

持ち上げた車を地面に着地させたクリスはそのまま浮上に使ったミサイルをジャパニーズウルフマギアに目掛けて放った。

 

全部乗せを 喰らいやがれ

 

放たれたミサイルはジャパニーズウルフマギアに直撃し、ジャパニーズウルフマギアは爆破した。

 

「戦闘終了、回収を」

 

マリアが本部に通信を入れたその時、突然金色の光の柱が天に上る。

 

光の柱が発せられているのは、今は使われていないチフォージュ・シャトーからだった。

 

「チフォージュ・シャトー・・・!?」

 

その様子は本部からも確認されていた。

 

「何が起きている・・・!?」

 

光の柱が現れると同時に、あの時観測された謎の歌も聞こえてくる。

 

「マリア姉さん、この歌ってもしかして・・・!」

 

「ええ、私達姉妹の歌・・・『apple』の様に聞こえて・・・」

 

天へと上る光の柱、その柱の中に何かが現れる。

 

それは触手のような物が巻き付かれ、結晶が埋め込まれた『白い繭』のような物だった。





後書きの時間だ。
「アークの計画もどんどん進んできやがったな・・・」
「はい、それにシャトーから発せられたあの光の柱は一体・・・?」
「うむ・・・うちらでも知らなかった光じゃ、もしかしたらあそこで何か起きておるのかもしれんのう」
「ということは、真さんもチフォージュ・シャトーに!?」
「それはまだ分かりませんが、おそらくは・・・それにしても作者さん新しいマギアを出したんですね」
ああ、俺が考案したオリジナルのマギア、ジャパニーズウルフゼツメライズキーから作り出された『ジャパニーズウルフマギア』だ、速度重視の四足歩行のマギアだ。
「確かに、あの速度は尋常ではありませんでした、普通では追いつけませんよ」
それを撃退したお前らも十分普通じゃないんだけどな、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
前回の「XD」のキャラクターソングアルバム02で収録されている楽曲で1位から3位または5位はなんですか?

はいはいこちらにもきちんと答えていきますよランキングはこちら!

第五位、クリス『SONG FOR THE WORLD』

第四位、翼、奏『双翼のウィングビート』

第三位、切歌&調『ダイスキスキスギ』

第二位、切歌『アカツキノソラ』

第一位、響、奏、マリア『光槍・ガングニール』

・・・この五つです、ガングニールは個人的にもかなり気に入ってる歌なので堂々の一位です、改めて影薄人さん質問に答えるのに遅れてしまった申し訳ございませんでした!

「それではそろそろ〆ましょう!」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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浸食


0編第十四話、前回のあらすじは?
「真さんがアークに攫われたのを聞いてより一層隠れ家を探す私たち」
「そんな中、緒川さん達が証拠を手に帰還しようとするとジャパニーズウルフマギアが襲い掛かってきました」
「サンジェルマン達が応戦するが、敵は異様に早く苦戦してしまう」
「苦戦の最中、まりあ達が応援に駆け付け撃退に成功したぞ!」
「けどその時、チフォージュ・シャトーから突然光の柱が上ったのです」
はいOK、それじゃあ0編第十四話、どうぞ!


マリア達がジャパニーズウルフマギアと戦う最中、アークは一つの巨大な結晶体に近寄ると、結晶体に文字列が浮かび上がる。

 

「本来ならば錬金術師の小娘、もしくは同じ肉体を持つ小娘の生体認証が必要だが・・・今の私には関係ない話だ」

 

そう言ってアークが結晶体に触れると、黒色のエネルギーが結晶体を侵食し、少しすると隣の装置が起動する。

 

「少量だが手にした神の力を駆使すれば、この程度のプロテクトの突破は容易だ、壊れているとはいえ高密度のエネルギー体だ、利用しない手はない」

 

その瞬間、チフォージュ・シャトー全体が大きく揺れ出す、アークはモニターで確認すると、とある装置が輝きだしていた。

 

「腕輪から抽出されたエネルギーを抑えられないか・・・それでこそ私が望んだ力だ」

 

アークがそう呟くと、背後から複数のマギア達が現れる、アークがそれらを視認すると自身が乗っ取っている躯体を捨て去り黒い球体になる。

 

『貴様らに命令を与える、この場所に侵入する者を排除しろ』

 

『了解』

 

マギア達に命令を与えると、アークはどこかへ行ってしまう。

 

そしてエネルギーを抽出されている腕輪の傍には、意識を失っている真が横になっていた。

 

 

 

一方でジャパニーズウルフマギアを撃破したマリア達はチフォージュ・シャトーの変化を視認していた。

 

「まさか・・・チフォージュ・シャトーが稼働しているの!?」

 

「あの野郎・・・廃棄施設をアジト代わりにしてたのか!?」

 

「それじゃあ、真お姉ちゃんもあそこに・・・!?」

 

その時、チフォージュ・シャトーからまたあの歌が聞こえだした。

 

「やっぱり・・・この歌は・・・」

 

状況を視認したマリア達はすぐに本部に連絡を送った。

 

『本部、状況を教えてくれ!』

 

「先日観測した、同パターンのアウフヴァッヘン波形を確認!」

 

「腕輪の起動によるものだと思われます!」

 

「これがシェム・ハ・・・アークが予見した復活のアヌンナキ・・・」

 

「そちらに向かって行った翼さん達は、至急対応に当たらせました」

 

「イチイバル、アガートラーム、バルキリーも至急合流されたし!」

 

響達はヘリに乗ってチフォージュ・シャトー跡地に向かっていると、そこで光線を放ちまくる繭を視認する。

 

繭はヘリを視認したのか分からないが、ヘリが近づくとヘリに向けて光線を放ち、ヘリには直撃はしなかったがその衝撃で皆が体勢を崩す。

 

「くっ!敵は大筒国崩し、ヘリで詰められる間合いには限りがある!」

 

「それでも、此処までこられたら・・・!」

 

「十分デス!」

 

これ以上のヘリでの接近は危険と判断し、響達はヘリから飛び降りる。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Various shul shagana tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

『変身!』

 

 

『『フォースライズ!』』

 

Gathering Round!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

『『Break Down.』』

 

『使用BGM:未完成愛Mapputatsu』

 

天真+(プラス) 爛漫×(かける) 重低音ブッパDhath

 

空中で変身した響達はそのまま繭に向かって降下していくと、繭から大量の光線が響達目掛けて放たれる。

 

可愛さ余って 肉を食べたい 少女の参上Dhath

 

それを見て未来は鏡で、紫苑は氷で全員を繭の光線から守りながら接近していく。

 

抉り散らし大鎌タイフーン 目が廻るけど

 

光線を防ぎながら接近していくと、繭から巨大な触手が生え響達に襲い掛かって来る。

 

えんやこらさ 日夜ガンバルDhath

 

鏡や氷で防げないのを感じると、みんなは巧みに触手を躱しその上を滑りながら接近していく中、まだ空中で身動きが取れない調に触手が迫る。

 

決戦のFight song重ね合う歌が

 

迫る触手に調は目を瞑るが、調に届く前に紫苑が触手をアタッシュカリバーで弾いていた。

 

どんな高い壁も切り刻んで未来を創る

 

弾かれた触手は今度は切歌を狙うが、直前で桃恵が切歌を抱え回避する。

 

「夢は負けない」強いLoveで突っ切れ

 

紫苑と桃恵が二人を守っている中、響、未来、翼、奏の四人は着陸すると同時に翼と奏が繭に迫る。

 

「機動性においてはこちらに優勢がある!」

 

「一気に迫って繭をぶっ壊す!」

 

Ready go!未熟気味で未完成で だけど逃げない

 

翼と奏は迫る触手を躱しながら繭の周囲を旋回する。

 

信じ紡いで越えた涙 今、星に

 

ようやく着陸した紫苑達に翼が声をかける。

 

「まずは距離を取りつつの威力偵察だ、行けるな!」

 

闇を照らせ 今この時代(とき) 希望、光支えに待ってる人が…!

 

「っ!わかったぞ!」

 

「はいっ!」

 

そんな四人の元に再び触手が迫り、四人は躱しながら威力偵察を行う。

 

何度も触手が迫るが、力を合わせ切り開いていく。

 

いっしょに行こうTWIN-HEART

 

その戦いの様子を本部も確認していた。

 

「装者、仮面ライダー応戦・・・ですが!」

 

「高次元の存在相手に、有効な一撃を見舞えていません!」

 

「ああ・・・」

 

その戦いの様子を弦十郎達が見守る中、扉の隙間から誰かがのぞき込み、すぐさまその場から離れる。

 

攻撃を躱しながら切歌は自身の持つ二本のアームドギアを重ね合わせ、それを触手に向けて投擲する。

 

凶鎌・スタaa魔忍ィイ

 

放たれた一撃は触手を両断するが、その瞬間触手の姿がぶれだし、両断された触手は元通りになっていた。

 

そう、この触手も『神の力』によってダメージをなかったことにされたのだった。

 

それに虚を突かれた切歌は復活した触手に吹き飛ばされてしまう。

 

「切ちゃん!」

 

「・・・神を殺すのは、やはり」

 

再び触手が切歌に襲い掛かろうとしたとき、響が腰のブースターを点火し触手を殴りつけた。

 

「神殺しの拳!」

 

響が殴りつけると触手はガラス細工のように砕け散ってしまう。

 

「大丈夫、切歌ちゃん」

 

「響さん!」

 

 

 

一方で、躯体を捨てたアークが目指した場所は、腕輪と真が置いてある場所だった。

 

『さぁ・・・始めようか、私の計画を・・・!』

 

そう言うとアークは真と腕輪が入ってある装置に入り込み二つを散りこむ。

 

『これより、継菜真、シェム・ハの腕輪の『解析』並びに神の力の『掌握』を行う』

 

アークがそう言った瞬間、装置の中が黒色に染まり、そこから発せられる光の柱が黒色に染まっていく。

 

その時、響達に攻撃していた繭が突然稼働を止めてしまう。

 

「っ!いきなり攻撃が止んだ・・・?」

 

全員の動きが止まったその瞬間、繭の色合いが白から黒に変わっていく。

 

『っ!!?』

 

皆が驚く最中、黒く染まった繭の中心の結晶体から赤色の光線が地面に放たれる。

 

放たれた光線の中で何かが作り上げられ、光線が止んだ時には『それ』がいた。

 

「あれは・・・!?」

 

響達は現れたそれに驚愕していた、それの姿に響達は見覚えがあった。

 

全体の色合いが赤黒く染まっており、響達よりも一回りも巨大で、その瞳の色合いは血のように赤く輝いていたが、それは間違いなく『ライジングホッパーライダモデル』だった。

 

「あれは、継菜のライダモデル!?」

 

「何でそんなのが此処にいるんだ!?」

 

「まさか・・・アーク!?」

 

全員が驚く中、作り上げられたライダモデルは高速で跳躍し響に迫る。

 

「っ!」

 

反応が遅れた響をライダモデルが突撃し大きく吹き飛ばしてしまい、再び跳躍し響の上を取り響を地面に蹴り飛ばす。

 

「が・・・っ!!」

 

強烈な一撃を受けた響は変身が解け倒れてしまう。

 

「響っ!!」

 

未来たちが響に駆け寄ると同時に、クリス達も到着する。

 

「おい・・・こいつはどうなってやがんだ!?」

 

「なんでライジングホッパーライダモデルが響さんを!?」

 

「・・・どうやらそれだけじゃないみたいだぞ!」

 

奏が指さす方を向くと、そこには繭から放たれた光線から生成されていく大量のライダモデル達がいた。

 

「そんな・・・あんなに!?」

 

「こんなの、マギアの比じゃないデスよっ!?」

 

「っ・・・!立花を連れて撤退するぞ!」

 

翼の指示に全員が頷き、未来は響を抱え、紫苑がジェムを取り出し全員はその場を撤退する。

 

響達が撤退すると、ライダモデル達は追うようなそぶりを見せず、黒く染まった繭を守るように周囲に配置される。

 

 

 

メディカルルームに運び込まれた響はすぐに治療を受ける。

 

「見た目以上に響君のダメージは深刻・・・翼の撤退判断が早かったお陰で最悪の事態は免れたようだ」

 

「翼さん、本当にありがとうございます」

 

「気にするな小日向、友を守りたい気持ちは私も同じだ」

 

「ああ、そうだな・・・それよりも旦那」

 

「分かっている、問題はあの黒いライダモデル達だ、あれは一体・・・」

 

弦十郎がそう言うと、フィーネがある仮説を立てる。

 

「おそらくはアークの仕業ね、マギアを生みだすように何らかの方法であの黒いマギア達を生みだした、あの黒く染まった繭を守るために」

 

「ふむ・・・さしずめ『アークライダモデル』と行った所か」

 

その時、友里が声をかける。

 

「司令、マリアさんとセレナちゃんから提案があった検証、完了しました」

 

「データの検証?」

 

「何を頼んだんじゃ?」

 

皆の疑問にマリアが答える。

 

「腕輪の起動時に検知される不協和音に、思うところがあってね・・・」

 

「あの音に、経年や電波距離による言語の変遷パターンを当てはめて、予測変換したものになります」

 

「言語の変遷パターンを?」

 

その音声を再生すると、不協和音ではなくなった音楽が流れる。

 

「この歌・・・どこかで聞いた・・・」

 

「何時かにマリアやセレナが歌ってたデスよ!」

 

「知ってるのか?」

 

「歌の名は『apple』大規模な発電所事故で、遠く住む所を追われた父祖が唯一持ち出せたわらべ歌」

 

「変質変容こそしていますが、大元となるのは、マリアさんとセレナちゃんの歌と同じであると推察されます」

 

「アヌンナキが口ずさむ歌と、マリアとセレナの父祖の土地の歌・・・」

 

「フロンティア事変にて見られた共鳴現象、それを奇跡と片付けるのは容易いが、二人の歌が引き金となっている事実を鑑みるに、何かしらの秘密が隠されているのかもしれないな」

 

その言葉に全員に緊張が走る。

 

「敵の全貌はまだ判明していないが、敵の目白は判明した、俺達は俺たちのできることを勧めよう、おそらくは真君もそこに捕らわれているに違いない!」

 

『了解!』

 

会議が終わると同時に、扉が開かれキャロルが慌てた様子で入ってくる。

 

「キャロル君、どうしたんだ!?」

 

「エルフナインがいなくなった!!」

 

「なんだとぉ!?」

 

キャロルの言葉に全員が驚く。

 

「馬鹿な、いったいどこに!?」

 

「基地内は全て探し回ったがどこにもいなかった・・・!」

 

「・・・っ!まさか!?」

 

何かに気が付いた紫苑はモニターに映るチフォージュ・シャトーに視線を向けた。

 

 

 

そのころ、崩れ落ちたチフォージュ・シャトー内部の瓦礫に誰かが身を隠していた。

 

「僕のせいでお母さんが・・・だから、今度は僕がお母さんを助けるんだ・・・!」

 

真を助けるために、エルフナインは単身で敵が潜むチフォージュ・シャトーに潜り込んでいた。





さて後書きの時間だ。
「今回、なんだかとんでもないことになってませんか?」
「そうだな、変な繭が黒く染まってライダモデルを繰り出して、あれもアークの仕業なのか?」
「そのせいで響さんがやられてしまいました・・・ところで神殺しなんですけど奏さんのじゃダメなんですか?」
確かに奏も使えるけど、神殺しの力としては奏より響の方が強いんだよな、思い的な意味で。
「ふむ・・・それも聖遺物の特性によるものじゃろうかのう・・・それよりも!」
「まさかエルフナインちゃんが単身で乗り込んでしまうなんて・・・早く助けに行かないと!」
そこは次回のお前ら次第だな、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問
オリジナルショートエピソード『戦姫絶唱しないシンフォギア』で「G」、「GX」、「AXZ」、「XV」のそれぞれに収録されたお話で真紅林檎さんのお気に入りのエピソードはなんですか?
サブタイトルか、その内容を幾つか挙げて下さい。

そうですね・・・俺のお気に入りとしては『月の欠片処理から約二週間…』『リディアンの入学式』『ガングニールの少女』『みんなで夏祭り』『夏の風物詩』『南極に立つまでの一週間』辺りが好きですね、幾つかはアフターストーリーで着色して出しましたし結構面白いですよ。
「色々な事がありましたね・・・特に夏祭りは」
響・・・目が死んでるぞ。
「ナンデモナイデスヨ、それじゃあそろそろ〆ますか」

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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奇跡の守護者


0編第十五話、前回のあらすじは?
「チフォージュ・シャトーの起動させ計画を進めるアーク」
「私たちが召集を受けている中、響さん達はシャトーの白い繭の元に向かいました」
「力を尽くすが、神の力によって傷が無くなってしまうぞ」
「その時繭が黒く染まって生成されたライダモデルが響ちゃんを攻撃して倒されてしまいました」
「私が倒されて撤退した後、エルフナインちゃんが一人でシャトーに乗り込んだことに気づいてしまいました」
はいOK、それじゃあ0編第十五話、どうぞ!


シャトーからの撤退後、オートスコアラー達が置かれている研究室で桃恵は椅子に座り顔を両手で覆い隠し、紫苑は両腕で机をダンッと叩いた。

 

「迂闊じゃった・・・まさかえるふないんが単身で敵の居城へと向かうとは・・・!!」

 

「エルフナインちゃん・・・!」

 

二人がそう言う中、キャロルは静かに壁に対面しておりその拳を握り締めていた。

 

「・・・俺の責任だ、俺がエルフナインをきちんと見ていればこんなことには」

 

「キャロルちゃん・・・」

 

「きゃろる・・・っ!今からでも遅くはない、すぐにえるふないんの元に・・・!」

 

「でも、シャトーには多くのマギア、それにもしかしたらアークがいるかもしれない・・・今の私達じゃ・・・」

 

「っ・・・、なら翼たちの力を借りれば!」

 

「・・・翼さん達はあの繭の対策のために残らなくちゃいけない・・・そう司令が言ってた」

 

「・・・くっ!!」

 

紫苑は再度机を叩くと、机の上に横になる四体のオートスコアラー達に視線を向ける。

 

「・・・素体はほぼ完成した、残るのは記憶による燃料の代わりになる別の燃料の蓄積・・・」

 

四体の頭部に繋がれたチューブの先に繋がれた機械にはエネルギーの蓄積を表すグラフが映し出されているが、どれもまだ満タンではない。

 

「・・・うちらにもっと力があれば・・・!」

 

「っ・・・!」

 

「・・・」

 

研究室内が静かになる中、突如紫苑の通信機に通信が入る。

 

「・・・っ?」

 

それを聞いた紫苑は通信機を起動させる。

 

『・・・話は聞かせてもらったわ』

 

「っ!?神!?」

 

「「っ!?」」

 

突然の神からの通信に三人は驚きながらも通信機に近寄る。

 

「なぜこの通信機に、真の通信機じゃないといけないのではないのか!?」

 

『そんなことは一言も言ってないわ、その気になればどこからでも話せるからね、それよりも力が欲しいのでしょう?』

 

「っ!もしかして真さん達みたいに!?」

 

『ええ、貴方達用の力は用意してるわ』

 

その言葉を聞いて紫苑と桃恵は表情を明るくさせる。

 

「っ!ならば『けど』っ!?」

 

『けど、その力はまだ完成していないわ、少なくとも最終調整に少し時間がかかってしまうわ』

 

「そんな・・・何とかなりませんか!?」

 

『それは無理よ、もし不具合があったらあなた達の身にどれだけの負担が起きてしまうか』

 

「くっ・・・!どうにかならんのか!?このままではえるふないんが!!」

 

紫苑が叫ぶ中、キャロルは通信機から離れオートスコアラー達が乗る机に近寄る。

 

「・・・きゃろる?」

 

紫苑の言葉をよそに、キャロルは机の上の一体に手を乗せる。

 

「・・・頼む、目を覚ましてくれ・・・お前達だけが頼りなんだ」

 

一体に乗せたその手は小刻みに震え、その瞳には涙が溜まっていた。

 

「頼む・・・エルフナインを・・・俺の大切な家族(・・・・・・・)を・・・助けて・・・!」

 

そう呟き、一粒の涙が躯体に落ちた。

 

・・・その瞬間、突然四体のオートスコアラー達が輝きだした。

 

 

 

一方でエルフナインは徘徊するマギア達から身を隠しながらジャトー内を捜索していた。

 

「ここのどこかにお母さんが・・・必ず助け出さないと・・・!」

 

そう言ってエルフナインはひときわ輝く部屋を見つけ、その部屋に入る。

 

その部屋には、オートスコアラーが入っている大量のジェネレーターが置かれている部屋だった。

 

「これは・・・まるで何かのジェネレーター・・・」

 

エルフナインが部屋を散策していると、突然足元に何かが突き刺さる。

 

「っ!?」

 

エルフナインは飛んできた方を向くと、ジェネレーターの影から紫苑と桃恵が倒したはずのドードーマギア・改が出てくる。

 

『侵入者・・・排除・・・』

 

「マギア・・・っ!?」

 

マギアを視認したエルフナインは逃げようと扉に向かうが、マンモスマギアが扉を壊して入ってくる。

 

「わぁっ!!?」

 

『侵入者・・・排除・・・』

 

その音を聞きつけ、他のマギア達も部屋に入ってくる。

 

「あ・・・ああ・・・!」

 

絶望的な状況にエルフナインは後ずさりするが、壁に背中がぶつかり追い詰められてしまう。

 

(ど・・・どうしたら・・・でも、僕の力じゃ・・・!)

 

マギア達がエルフナインに詰め寄り、ドードーマギアがヴァルクサーベルを構える。

 

「っ!だ・・・誰かぁぁぁ!!」

 

エルフナインは助けを求むように瞳を閉じ叫ぶと同時に、ドードーマギアのヴァルクサーベルが振り下ろされた。

 

 

 

 

 

 

・・・その瞬間、隙間がない部屋に『風』が吹いた。

 

「・・・・・・っ?」

 

エルフナインはやってこない一撃に疑問を持ち、閉じた瞳を開ける。

 

その瞳に写ったのは、ヴァルクサーベルが何かに受け止められる光景だった。

 

それは一振りの『剣』、そしてその持ち主は・・・。

 

「『剣殺し(ソードブレイカー)』、そのひと振りを、貴方が剣と思うなら」

 

剣に防がれたヴァルクサーベルは一瞬で砕け散ってしまう。

 

『新たな侵入者・・・排除・・・』

 

「あら、ここに来たのは私だけではありませんわ」

 

その瞬間、壁が吹き飛ばされ何かが飛び出してくる。

 

「先手必勝、派手に行く!」

 

飛び出した一人が打ち出した『コイン』は弾丸のように指から弾かれ数体のマギアを貫くと、そこにもう一人が飛び込む。

 

「ちゃぶ台をひっくり返すのは、何時だって最強のアタシなんだゾ!」

 

飛び出した一人は両手から大量の『カーボンロッド』を繰り出しマギア達を吹き飛ばす。

 

それを見た残ったマギアが銃口を向けた瞬間、突然銃口が凍り付いてしまう。

 

「ごめんあそばせ、とっさに冷やさせてもらったわよガラクタ共」

 

マギアの背後から一人が『凍った右腕』でマギアの首を切り飛ばす。

 

部屋に入ってきたマギア達が破壊されると、その侵入者たちはエルフナインの方を向く。

 

「あ・・・ああ・・・!」

 

エルフナインはその侵入者たちを見て涙を流す、だがそれは哀しみではなく喜びの涙だった。

 

「お待たせしましたわ、エルフナイン様」

 

「我ら一同、派手に参上しました」

 

「大丈夫だったか、心配したんだゾ?」

 

「まっ、見た感じ大丈夫そうね」

 

その四人の姿を見て、エルフナインは歓喜の声でその名を告げる。

 

「・・・おかえりなさい、『ファラ』『レイア』『ミカ』『ガリィ』」

 

かつてキャロルと共に世界を分解しようとした四体のオートスコアラー達が、今ここに復活した。

 

「でも、機動のためのエネルギーはまだ溜まってないのにどうして・・・!」

 

「それはわかりませんわ、私達も数刻前に目覚めたばかりですから・・・けど、声が聞こえたのです」

 

「声?」

 

「はい、我々に助けを求めるマスターのお声が、暗い闇の中から」

 

「その声を聴いて早く目を覚まさなくちゃと思って頑張って目を覚ましたら、目の前でマスターが泣いてたから驚いたゾ」

 

「事情を聴いたら、すぐにあんたを助けに行ってくれって言われたから急いで此処まで来たのよ」

 

「キャロルの声が・・・そんなことが起きるなんて、そんなのまるで!」

 

「まるで『奇跡』・・・でもそれがあったからこそ今こうして救出に来れましたわ」

 

「後は此処から脱出するだけだが・・・マスターからは別の命令を受けている」

 

「別の命令?」

 

「ああ、『最大限エルフナインに協力してくれ』とな」

 

その命令にエルフナインは驚く。

 

「あの仮面女を助けたいんでしょ、だったらあたしたちが手伝うわよ」

 

「マスターのためなら、どんなことだってやってやるゾ!」

 

「皆さん・・・!」

 

四人の言葉にエルフナインは涙を流すが、すぐに拭い口を開く。

 

「だったらやりたいことがあります!」

 

 

 

司令室では、会議中にどこかからの通信が入る。

 

「司令!外部より専用回線にアクセスです!」

 

「専用回線だと・・・モニターに回せるか?」

 

「はい!」

 

モニターに移すと、エルフナインとオートスコアラー達が画面に映り全員が驚く。

 

『ごめんなさい、僕です!』

 

「エルフナイン君!」

 

「それにお前らは・・・!?」

 

「オートスコアラー!?」

 

『通信を行った以上補足される恐れがあるので要点だけ手短に、現在地点はチフォージュ・シャトー内部、これからオートスコアラー達の助けを借りて、お母さんの救出に向かいます!神そのものへと完成していない今なら、まだ間に合います!』

 

エルフナインが見るモニターには黒く包まれた半球状の装置があった。

 

「君が・・・無茶だ!」

 

『そう無茶です!けど僕らがやるしかないんです!』

 

エルフナインの叫びに弦十郎が驚く。

 

『ここは敵の只中です、どうしたって危険が伴うのであれば・・・戦うしかありません!お母さんならきっと同じことをすると思います!』

 

「っ!・・・・・・こちらも負傷で神殺しを欠いた状態にある」

 

『この局面に響さんが・・・!』

 

「応援に駆け付けるまで、何とか持ちこたえてほしい・・・頼んだぞ!」

 

『はいっ!』

 

そう言って通信を切る。

 

「っ!エルフナイン様」

 

ファラの言葉にエルフナインが振り返ると、そこには大量のマギア達がやって来ていた。

 

『侵入者・・・排除・・・排除・・・』

 

その数は数十体を越えていた。

 

「地味に窮地・・・今度はさすがに不意を突けそうにないかと」

 

マギアの数体がエネルギー弾を射出すると、ガリィが氷の壁を繰り出し防ぐ。

 

「だったらここはエルフナイン様を守りながら目的の場所まで向かうべきね」

 

「それには派手に賛成だ、足止めしようにも数が多すぎる」

 

「目的の場所までのルートは頭に叩き込んでいるわ」

 

「ちびっこはきちんと守って見せるんだゾ!」

 

「・・・っ!はい、皆さんありがとう!」

 

エルフナインの感謝の言葉に、四人は笑みを浮かべながらエルフナインを守りつつ目的の場所へと向かって行った。

 

 

 

エルフナインを守りつつ追っ手を撃退していきながら進んでいくが、行く先々で回り込まれてしまう。

 

そのたびにルートを変え、敵をあしらいながらとうとう目的の扉の近くに着くことが出来た。

 

「あの扉の先にお母さんが・・・!」

 

「・・・っ!伏せなさいちびっ子!」

 

ガリィがエルフナインを抱え地面に伏せると、その頭上を複数の刃が通りすぎる。

 

奥から現れたのは振りまいたはずのマギア達、そしてその前方からも大量のマギアが現れ挟み撃ちの形になってしまう。

 

『侵入者・・・排除・・・排除・・・』

 

「どうやら追い詰められてしまったようですね・・・」

 

「ああ、地味に扉の前にも立ちふさがって入ることが出来ない・・・」

 

「流石にこの数はきついわね・・・」

 

「・・・まだです」

 

前後をマギアに封鎖され、絶体絶命の状況・・・だが、エルフナインはそれでも諦めていなかった。

 

「まだ諦めません!目の前まで来たんです、なら最後まで諦めずに抗って見せます!きっとお母さんだって・・・いや、絶対にお母さんなら諦めたりしない、だから僕だって諦めない!」

 

『・・・よく言った、エルフナイン』

 

『っ!?』

 

どこかから声が聞こえた瞬間、横の壁が吹き飛ばされる。

 

壁が吹き飛ばされ外が見える中、壊された壁から誰かが飛び込んでエルフナイン達の元に降り立つ。

 

そこにいたのは紫苑、桃恵、キャロルの三人だった。

 

「待たせたのう、遅れてしもうたぞ」

 

「皆さん、エルフナインちゃんを守ってくれてありがとうございます」

 

「・・・っ!紫苑さん!桃恵さん!キャロル!」

 

「礼には及ばないわよ、マスターの命令だからね」

 

「そうか・・・エルフナイン」

 

名を呼ばれエルフナインはキャロルの方を向くと、キャロルは優し気な笑みを浮かべる。

 

「・・・無事でよかった」

 

「っ・・・!はい!」

 

『新たな侵入者・・・排除・・・』

 

キャロル達を排除しようと動き出すマギア達に、キャロル達は向かい合う。

 

「・・・さて、よくも俺の家族に手を出そうとしてくれたな、ガラクタ共」

 

そう呟くキャロルの瞳はマギア達を捉えていた。

 

「代償は高くつくぞ、行くぞ紫苑、桃恵!」

 

「うむ!お主らに見せよう、うちらの新たな力を!」

 

「貴方達に見せます、私達の絆の力を!」

 

そう言って紫苑と桃恵は懐からキーを取り出す、だがそれはいつものプログライズキーとは違い『毒々しい紫色』と『燃え滾るような赤色』に染まっていた。

 

アウェイクン!

 

ライズスターターを押し込み、手にしたのはフォースライザーではなく、紫色と赤色の『二振りの短剣』だった。

 

「『スラッシュライザー』これが私たちの新しい力です!」

 

二人は手にしたスラッシュライザーを身に着けると、プログライズキーのライズスターターを押し込む。

 

トキシックポイズン!

 

インフェルノウィング!

 

アシッドライズ!

 

バーンライズ!

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

キーを装填すると、紫苑はスラッシュライザーを手に取り、桃恵はドライバーに装填したままトリガーに指をかける。

 

「「変身!」」

 

『『スラッシュライズ!』』

 

トリガーを引くと、スラッシュライザーから二体のライダモデル達が飛び出すが、それはいつものスティングスコーピオンライダモデルとフライングファルコンとは違っていた。

 

スティングスコーピオンライダモデルは全身と尻尾の先端から毒々しい液体をまき散らしており、フライングファルコンライダモデルは全身が炎に包まれていた。

 

そして二体のライダモデルはそのまま二人に近寄り紫苑はスティングスコーピオンライダモデルと毒々しい液体に、桃恵はフライングファルコンライダモデルと燃え盛る翼に包まれる。

 

ヴェノムスコーピオン!

 

バーニングファルコン!

 

An indomitable blade that harbors the deadly poison of hell.

 

The strongest wings bearing the fire of hell.

 

そして毒液が紫苑を、炎が桃恵を包み込むと、二人の姿が変わった。

 

紫苑はいつもの滅の姿と比べて全体的にシャープになっているがその色合いは滅と比べて紫色が濃くなっており、ボディには深緑色のラインが走り、桃恵はいつもの迅の姿と比べて面影は残っているが、その色合いは炎のように赤く染まっていた。

 

そしてキャロルは陣を生成すると、そこからある物を取り出す。

 

それはかつて響達との戦いの時破壊され、そして長い期間を要して修復された『ダウルダヴラ』だった。

 

キャロルは修復されたダウルダヴラを手に取り、弦一本だけ残し音色を奏でる。

 

奏でられると同時にダウルダヴラがキャロルの頭上に浮かび上がり、大量の弦がキャロルの身に巻き付かれる。

 

巻き付かれた弦は形を変え、キャロルの身を纏う衣装となり、その頭部にはキャロルに付き従うオートスコアラー達を模した色の結晶が取り付けられ、ダウルダヴラが背中に翼の様に取り付けられる。

 

その姿はかつてと同じ姿、だが唯一違うのはその姿が子供のままだということ。

 

それでもその身から噴き出るエネルギーはかつての姿と違いはなかった。

 

「そ・・・その姿は・・・!?」

 

変身を終えた三人の姿を見てエルフナインは驚いていた。

 

「これが紫苑と桃恵の新たな力『仮面ライダー滅 ヴェノムスコーピオンフォーム』、『仮面ライダー迅 バーニングファルコンフォーム』、そして復活したダウルダヴラだ」

 

『未知の力を確認・・・理解不能・・・理解不能・・・』

 

未知の姿となったキャロル達を見てマギア達は戸惑っていた。

 

「そうだろうな・・・これはかつて俺が忌み嫌っていた物・・・だが今はそれを受け入れ名乗ろう、母さんたちが見せ、そして受け取ったこの『奇跡』を守ってみせる!」

 

キャロルはそう言って覚悟を決めた眼をマギア達に向ける。

 

「俺は・・・俺たちは『奇跡の守護者』だ!」

 

今ここに、新たな奇跡が生まれた。





さあ後書きの時間だ!
「今回でついにうちらが強化されたぞ!」
「おめでとう!すっごく頼りになるよ!」
迅は元々強化フォームを持っていたから後は滅だけだったし、紫苑は剣使うしどうせなら紫苑もスラッシュライザー使わせようと思って作成しました。
「スペックとしてはどうなんだ?」
こんな感じ。

仮面ライダー滅 ヴェノムスコーピオンフォームスペック
身長 189.3cm
体重 102.4kg
パンチ力 48.7t
キック力 76.2t
ジャンプ力 53.8m(ひと跳び)
走力 1.2秒(100m)

滅よりかは強いけどアークスコーピオンよりは弱いっていうまさに中間な感じにしたんだ。
「なるほど・・・けどそれって大丈夫なんですか?」
「案ずるでない、それでも前よりは強くなっとるし錬金術もある、遅れは取らんぞ!」
「うん、私も強化されたし、それにみんなも来てくれたから」
「そうですね、オートスコアラー達やキャロルちゃんも復活したもんね!」
本編でもこのシーンは本当に感動した・・・キャロルとオートスコアラー達の再登場は心が躍った。
「全員揃ったからまぎあなどには負けはせぬぞ!」
「頑張ってね、紫苑さん、桃恵さん!」
「はい!」
よし、それじゃあそろそろいつもの行きますか・・・っと言いたいんだけど、今応えられる質問がないので質問コーナーは今回お休みです、それじゃあさっさと〆るか。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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反撃開始


0編第十六話、前回のあらすじは?
「エルフナインちゃんが単身乗り込んでしまったことに後悔するキャロルちゃん達」
「その時神様から通信が入りますが、力を渡すのに時間がかかるみたいです」
「そしてエルフナインがピンチになった時、起動したオートスコアラー達が助けに入ってきた」
「そして二度目の危機に、ようやっと力を授かったうちらが助けに駆け付けたぞ」
「そして授かった力と復活した力でバーニングファルコン、ヴェノムスコーピオン、ダウルダヴラを身に纏うことになりました」
はいOK、それじゃあ0編第十六話、どうぞ!


「チフォージュ・シャトー内部から、新たな反応を検知!」

 

「これは・・・アウフヴァッヘン波形!?」

 

モニターに映し出されたのは、キャロルの纏うダウルダヴラのアウフヴァッヘン波形だった。

 

「ダウルダヴラ・・・だとぉ!?」

 

 

 

シャトー内では、復活を果たしたキャロルと、新たな力を身に纏った紫苑と桃恵がエルフナインを守る様にマギア達に立ち向かっている中、オートスコアラー達がキャロルに対して跪いていた。

 

「お前たち、よくエルフナインを守ってくれた、感謝する」

 

「iいいえ、これも全てマスターの為でございますわ」

 

「派手な復活、心からご祝いします」

 

「これで全員揃ったんだゾ!」

 

「まったくうるさいわねあんたは・・・まぁでも、私も少しは嬉しいわね」

 

「ふふっ・・・ここがシャトーということも相まって、何だが懐かしいですね」

 

「うむ、うちも心から嬉しく思うぞ!」

 

オートスコアラー達と紫苑と桃恵が喜ぶ中、キャロルはエルフナインに近寄る。

 

「キャロル・・・!」

 

エルフナインは独断の行動を怒られるのを覚悟し目を瞑るが、キャロルはそんなエルフナインの頭を優しく撫でた。

 

「・・・お前が無事でよかった、エルフナイン」

 

そう言ってキャロルは微笑む。

 

「・・・隠れていろ、周りのガラクタ共は俺たちが片付ける」

 

「・・・っ! はいっ!」

 

エルフナインが近くの物陰に身を隠しキャロルはマギア達の方を振り返ると、マギア達も臨戦体勢に入っていた。

 

『新たな侵入者・・・排除・・・排除・・・』

 

「侵入者か・・・それはこちらのセリフだな」

 

そう呟くと、キャロル達も戦闘態勢に入る。

 

「俺たちの居城に踏み入った挙句利用するとは・・・相応の覚悟があってだろうな?」

 

キャロルがそう言った瞬間、マギア達が一斉に襲い掛かってきた。

 

「・・・行くぞ、お前達!」

 

『はいっ!』

 

『使用BGM:スフォルツァンドの残響』

 

腹立だしい不変の世を踏み躙る

 

マギア達が放つ弾幕をキャロルが陣を生成し正面から防ぎきると、両サイドからマギア達が襲い掛かって来る。

 

戦鬼(せんき)は要らぬか答えよ

 

両サイドから襲い掛かって来るマギア達を紫苑、ガリィ、レイアが右側、桃恵、ミカ、ファラが左側を対応し迎え撃つ。

 

解と出来ない煩わしいこの感情

 

紫苑達の防衛を抜いたマギア達がキャロルに襲い掛かろうとしたが、キャロルが腕を振るうと無数の弦が襲い掛かってきたマギア達を縛り上げる。

 

捻じ込む餌食は何処だ

 

キャロルはそのまま開いた手を握り締めると、マギア達を縛り上げていた弦が一気に締め上げられマギア達をバラバラする。

 

神も悪もどうでもいい

 

「ひぇ~・・・何だかマスター前よりも強くなってない?」

 

「確かに、前よりも派手に強力になっていらっしゃる」

 

「そうじゃろうて、お主達が目覚めていない間にもきゃろるは成長したのじゃからな!」

 

「・・・何であんたが誇らし気なのよちびっ子」

 

「きゃろるを褒められて嬉しくない訳がないじゃろ!」

 

「ふっ、派手に同感だな」

 

俺の立つ場所が「全」だ

 

「マスターやっぱり強いゾ!」

 

「当然ですわ、私達のマスターですから」

 

「そうですね・・・でもキャロルちゃんに任せっきりじゃなくて私達も頑張らないと!」

 

「おおっ?桃恵がやる気だゾ」

 

「・・・貴方も強くなったのですね」

 

「はい、みんなのお陰です!」

 

愛も憎しみも不完な(しゅ)ごと 赦してやろうと云うのだ

 

「皆さん、頑張ってください!」

 

キャロル達が戦う最中、エルフナインは物陰から戦いを隠れ見て応援すると、声が聞こえたのか全員が笑みを浮かべる。

 

思い出の残骸を焼却するsfz(スフォルツァンド)

 

ガリィが氷でマギア達の足元を凍り付かせ動きを封じ、止まったところをレイアがコイントンファーで頭部を粉砕していく。

 

数式凌駕した交響楽 滅びの楽典

 

紫苑は手にしたスラッシュライザーでマギア達をあしらって行くと、全身に走る深緑色のラインが発光し光が右腕の装甲『ヴェノムアラナイザー』に集約すると、ヴェノムアラナイザーの毒生成機能を使って毒液を作り出し、毒液を纏った針が飛び出しマギア達の胴体を貫き、貫かれた個所からマギアの全身が腐食し崩れ落ちていく。

 

世界を識れと云った彼の日がまだ微笑む

 

ファラが大量の竜巻を発生させマギア達を吹き飛ばすと、ミカが跳躍し手にしたカーボンロッドで次々と破壊していく。

 

地に平伏せ…高くつくぞ?オレの歌は

 

桃恵もスラッシュライザーでマギア達の攻撃を防いでいき、集まったところでファラと同じく竜巻を生成し上空に浮かび上がらせ、浮かんだところで主翼の『バーニングスクランブラー』を展開し飛翔し、全身に業火を纏いながらまるで火の鳥のように浮かんだマギア達に突っ込んでその高温で焼き尽くし破壊した。

 

本部の方でも、突然の状況に慌てて対処していた。

 

「状況の確認、急いでください!」

 

「そんな事よか、さっさとあたしらが直接乗り込んで・・・!」

 

「分かっている・・・だが、無策のままに仕掛けていい相手ではない!」

 

「とはいえだな・・・!?」

 

「焦らないで・・・チャンスはきっとあるはずだから!」

 

「俺達銃後も、その瞬間を信じている!」

 

二人の言葉で落ち着きを取り戻すクリスの肩に翼が手を乗せる。

 

「雪音、信じよう・・・彼女達を」

 

思い出の残骸を焼却するsfz(スフォルツァンド)

 

ガリィとレイアの一撃で右側の、ミカとファラの一撃で左側のマギア達が吹き飛ばされていく。

 

その1音に懸ける誇り絶対の音楽

 

正面のマギア達は紫苑、桃恵、キャロルの一撃で吹き飛ばされていく。

 

世界を識れと云った彼の日が柔く包む

 

マギア達を吹き飛ばすと、キャロルは背中の翼を広げ宙に浮かび上がりその前方に錬金術で生成した超重力子の塊が生成されると同時に、紫苑と桃恵はスラッシュライザーをベルトに装填し、ライズスターターを押し込む。

 

トキシックポイズン!

 

インフェルノウィング!

 

ヴェノムレインラッシュ!

 

バーニングレインラッシュ!

 

地に平伏せ…高くつくぞ?オレの歌はぁぁぁぁ!!

 

紫苑と桃恵は同時にキャロルのいるところまで跳躍し、キャロルが放った超重力子を後押しするように同時にライダーキックを放ち、二人のエネルギーが混ざり合いさらに強力になった超重力子がマギア達を呑み込んだ。

 

 

 

ヴェノムレインラッシュ!

 

バーニングレインラッシュ!

 

マギア達は叫ぶ暇もなく超重力によって跡形もなく消滅していった。

 

マギア達がいなくなったのを確認すると、三人は地面に降り立つ。

 

「片付いたようだな」

 

「そのようじゃな・・・しかしやはりきゃろるの錬金術はとてつもないのう・・・」

 

「うん、私達なんてまだキャロルちゃんの足元にも及んでないって実感しちゃう」

 

「大丈夫だ、お前たちなら何時か俺を追い越すさ、それまで頑張れよ」

 

キャロルの言葉に二人が頷くと、隠れていたエルフナインがやって来る。

 

「キャロル・・・皆・・・助けに来てくれてありがとう!」

 

「礼など言うな・・・俺は家族を守っただけだ」

 

「キャロル・・・!」

 

キャロルがそう言うと、後ろの方でオートスコアラー達、キャロルの両サイドで紫苑と桃恵が温かい目で二人を見守っていた。

 

「なんだお前らその目は!?」

 

「いやぁ~、マスターも丸くなられましたねぇ?」

 

「ええ、前のマスターよりも優しさに満ちていますわ」

 

「地味な変化・・・だが、嬉しく思う」

 

「アタシは前のマスターも今のマスターも大好きだゾ!」

 

「うむ、真の娘になってからキャロルの笑顔も増えて来たからのう!」

 

「うん、真さんには感謝しかないね」

 

「何その話、後で詳しく聞かせなさいよちびっ子」

 

「だぁぁ!!やかましいぞお前ら!さっさと母さんのところに行くぞ!」

 

顔を赤くしながら真の元に向かうキャロルをエルフナインが慌てて追いかけて行き、その様子を紫苑達が温かい目で見守りながらついて行った。

 

 

 

本部では、突入用のヘリを待機させていた。

 

「ヘリの発艦準備は完了です、いつでも」

 

「ああ、だが・・・」

 

その時、モニターにキャロル達が映し出された。

 

「キャロル君!その姿は・・・!?」

 

「それに紫苑に桃恵、お前らその姿は・・・!」

 

『説明は後回しにしてくれ、母さんを発見した・・・いや、『母さんらしきもの』を発見したといった方が正しいな』

 

「らしきものだと?」

 

キャロルがカメラを操作し、モニターに映し出されたのは装置内を覆いつくした黒い何かだった。

 

「っ!?これは・・・!?」

 

「っ!!真お姉ちゃんは無事なんですか!?」

 

『分からないが、おそらくこの中にいると思う、だがこれは俺たちだけでは手を焼いてしまう・・・そこでお前たちの力を貸してほしい』

 

「・・・何をすればいい?」

 

翼が尋ねると、キャロルが機械を操作し黒く染まった繭を映し出す。

 

『このデカブツを破壊してもらう』

 

「っ!それが出来ればあたしらも『出来る』っ!?」

 

『ここはチフォージュ・シャトー、その気になれば世界だって解剖可能なワールドデストラクターだ、残された猶予に全てを賭ける必要がある、お前たちは神の力シェム・ハの破壊を、そして俺たちは囚われている母さんを救い出す・・・二段に構えるぞ!』

 

 

 

『・・・キャロルの侵入を許してしまうか、だがまあいいだろう』

 

真っ暗な闇の空間の中、赤い輝きが怪しく輝く。

 

『私の計画は誰にも止められない、計画が完了するまでの時間稼ぎのために全てのマギア達をつぎ込む・・・その時が来るまで』

 

アークに視線の先にあったのは、闇に全身を侵食され呑み込まれていく銀初の女性と、その女性が助けを求め腕を伸ばした先にいる眼を閉じ横になる真の姿だった。

 

『さぁ、私の計画の為の礎となれ・・・『シェム・ハ』』

 

アークがそう言うと闇がシェム・ハを更に飲み込んでいき、完全に飲み込まれる前にシェム・ハは最後の力を振り絞り言葉を口にした。

 

『・・・助けて』

 

その言葉を最後にシェム・ハは完全に闇に飲み込まれ、そして次に闇は真の体を覆いつくした。

 

 

 

一人の少女は夢を見た。

 

地に付す自身の前に立ち守ろうとする一人の少女。

 

そしてその少女が眼前より迫りくる闇に飲み込まれて行ってしまう夢を。

 

(駄目・・・行かないで・・・!)

 

少女は手を伸ばすが届かず、闇は彼女を呑み込んでいく。

 

(このままじゃ・・・真さんが遠くに・・・!)





さぁ、後書きの時間だ!
「いやぁ、すっごい活躍だったねキャロルちゃん達!」
「当然じゃ、キャロルはすごく強いのじゃからな!」
「けど、私達も前より強くなったもんね」
「んでもって作者、紫苑のあの腕の装置ってなんだ?」
ヴェノムアラナイザーは本人の意思で様々な毒を生成することが出来る装置だ、使い方によっては毒にも薬にもなる結構便利な装置だぞ。
「意外と便利だな・・・そしてようやく真救出の目途が見えて来たな」
「はい・・・けどお相手もかなり危険なところまで進んでいるようです」
そうだな、神様さえ飲み込んでしまうくらいだし、どうなるかは検討がつかんな。
「真さん・・・無事でいてください・・・!」
・・・よしっ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問です
随分前にアルバムになっていないXDオリジナルの全ての曲で1位から5位を挙げてもらいましたが、以下の10曲での1位から5位はなんですか?
・おかえりを言う為に 未来
・友達以上、ヒーロー未満 弓美、創世、詩織
・心声ロバスト セレナ
・紡ぎ-Rhapsody- アナザー響
・STAR TEARS クリス
・Stay with Nova マリア
・聖剣のレクイエム 響、キャロル、サンジェルマン
・決意と愛の旋律 マリア、調、切歌
・Be with you クリス&未来
・To unseal 響&アナザー響

再びXD関連の質問だな、この中だと・・・ランキングはこうなります!

第五位、『聖剣のレクイエム』

第四位、『心声ロバスト』

第三位、『友達以上、ヒーロー未満』

第二位、『STAR TEARS』

第一位、『紡ぎ-Rhapsody-』

こういった感じですね・・・もうあれですよ、グレ響の歌はXDの中では一番の曲です、最高・・・ただそれだけです、それではそろそろ〆ましょう。

「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」


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目覚め


0編第十七話、前回のあらすじは?
「復活したキャロルちゃん達とパワーアップした紫苑さんと桃恵さんの力でマギアを撃退しました!」
「その後キャロルが連絡を送ってくれて無事を確認した」
「そしてキャロルさんの提案で二手に分かれた奇襲作戦が決行されました」
「その一方であーくの計画は着実に進行し、とうとう神を取り込んでしまった」
「そして真さんすらも闇に飲み込まれていきました」
はいOK、それじゃあ・・・とその前に。
「えっ?何かあるんですか?」
今回にも俺のやりたかったことが出てくるからそこはご了承を、それでもいいという方はご視聴ください、それでは0編第十七話、どうぞ!


シャトー内にて、キャロルは黒い繭について調べていた。

 

「どうやら城外の不細工は、巨大なエネルギーの塊であり、そいつを母さんを依り代に宿すことが儀式のあらましのようだな」

 

「祭壇から無理に引きはがそうとすると、お母さんを壊してしまいかねません」

 

「めんどうねぇ・・・どうにかならないかしら?」

 

「手間がかかるが、手順に沿って儀式を中断させるより外になさそうだ・・・紫苑、桃恵、お前達は外に向かい装者たちの手助けをしてこい」

 

「うむ、分かったぞ」

 

「分かりました」

 

紫苑と桃恵は外に向かう中、エルフナインはキャロルに尋ねる。

 

「お母さん・・・助けれますよね?」

 

「助けれるのかじゃない・・・助けるんだ、俺達の力でな」

 

「・・・っ!はい!」

 

エルフナインを励ます様子をオートスコアラー達は遠巻きに見ていた。

 

「本当にお優しくなられましたわね、マスター」

 

「これも彼女たちのお陰か・・・派手に感謝しないとな」

 

「そんで、マスター達が彼女を助ける間は」

 

「アタシ達でマスター達を守り通すんだゾ!」

 

「さて・・・どうやら彼女達もやって来たみたいですね」

 

ファラの視線の先には、翼達が乗るヘリがやってくる映像が映し出されていた。

 

 

 

シャトー上空では、ギアを纏った翼達を乗せたヘリが到着し翼達が降り立つ。

 

『各員、チフォージュ・シャトーに取り付き成功!』

 

『これより作戦行動を開始します!』

 

翼達が降り立つと同時に、紫苑と桃恵、そして遅れてヘリから飛び降りたサンジェルマン達もやって来る。

 

「そっちの手はずは?」

 

「今キャロルちゃんが頑張ってくれています」

 

「うちらはその間、こやつの相手じゃ」

 

紫苑達の視線の先には、黒く染まった繭が鎮座していた。

 

「きっと大丈夫だ、キャロルの作戦なら・・・!」

 

時は遡り、キャロルが二段の作戦を考える場面に移す。

 

『古来より、人は世界の在り方に神を感じ、しばしば両者を同一のものと奉って来た、その概念にメスを入れるチフォージュ・シャトーであれば、攻略も可能だ』

 

「これも一種の哲学兵装ね・・・けど今のシャトーにそれだけの出力を賄うことは・・・」

 

『無理だろうな・・・だが、チフォージュ・シャトーは様々な聖遺物が複合するメガストラクチャー、であれば、他に動かす手段は想像に難くなかろう』

 

その言葉に、その場の全員がある答えにたどり着く。

 

「・・・フォニックゲイン」

 

『想定外の運用故に、動作の保証はできかねないが・・・』

 

「やれる、やってみせる!」

 

「あのころよりも強くなったアタシ達を見せつけてやるデスよ!」

 

「その作戦、私達も噛ませてもらうわ」

 

そこにやって来たのは、サンジェルマン達だった。

 

「彼女たちが相応のフォニックゲインを溜める間、ボディーガードは必要でしょう?」

 

『ああ、頼んだぞ』

 

そして時は現代に戻る。

 

「それでもこれだけ巨大な聖遺物の起動となると・・・八人がかりでも骨が折れそうだ・・・!」

 

「ああ、だが私達には、命の危険と引き換えにフォニックゲインを引き上げる術がある・・・!」

 

「絶唱がある」

 

その言葉に全員が頷く。

 

「その間は私たちが貴方達を意地でも守って見せるわ」

 

「うむ、じゃからお主らは存分に高めよ」

 

「ああ・・・みんな、準備は出来ているな、いくぞ!」

 

翼の掛け声とともに、八人の絶唱が奏でられる。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

八人の命の歌が夜の世界に響き渡る。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

命を懸けた作戦の成功に誰しもが祈る。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

誰しもが固唾をのむ中、眠りにつく一人の少女。

 

Emustolronzen fine elzizzl...

 

命の歌が歌い終わったその時、少女の指がかすかに動いた。

 

そして八色の莫大なエネルギー波がシャトーを包み込んだ。

 

『がっ・・・ああぁあぁあぁぁぁああぁあ!!』

 

シンフォギアの最後の切り札の絶唱、その莫大なまでの代償と引き換えに、八人のフォニックゲインが爆発的に上昇していく。

 

「フォニックゲイン、飛躍的に爆発・・・ですが!」

 

「チフォージュ・シャトーからの反応、未だ確認できません!」

 

「っ・・・!」

 

絶唱の負荷に翼たちは血反吐を吐き、血の涙を流す。

 

「上昇した適合係数が・・・バックファイアを軽減してくれているが・・・!!」

 

「それでも長くはもたないわよ・・・!!」

 

「何故だ・・・なぜ反応しない、チフォージュ・シャトー・・・私たちの最大出力をもってしても、答えるに能わずというのか・・・!?」

 

その時、黒い繭が翼たちのフォニックゲインを感知し、大量のライダモデルを生成し向かわせる。

 

「来たぞ!なんとしてでも食い止めるんだ!」

 

サンジェルマンの掛け声とともに、彼女は飛び出しライダモデル達と戦闘を開始する。

 

「連中のフォニックゲインは俺ほどでなくても、仲間と相乗することで膨れ上がるはず・・・なのに、なぜ一人が欠けているだけで・・・?」

 

「まさか、それは・・・!」

 

その時、キャロル達の背後から衝撃音が響き、後ろを振り返るとオートスコアラー達が大量のマギア達を相手取っていた。

 

「くっ・・・まだ此処まで居たとは・・・!?」

 

「しつこいのよこの害虫共が・・・!!」

 

大量に押し寄せて来るマギア達に苦戦を強いられていた。

 

「ちっ・・・エルフナイン、ここは任せる!」

 

「わ・・・分かりました!」

 

キャロルはこの場をエルフナインに託し、自身もマギア達の元に向かい攻撃を仕掛ける。

 

「マスター!?」

 

「俺に策がある、ここは俺に任せてお前たちはエルフナインを守れ!」

 

「分かったんだゾ!」

 

オートスコアラー達は命令を受け、すぐにエルフナインの元に向かうと、キャロルは一人でマギア達を相手取る。

 

『侵入者・・・排除・・・』

 

マギア達はほとんど特攻に近い行動で、キャロルに襲い掛かっていく。

 

それに対しキャロルは弦や錬金術で対抗していくが、マギアの数は圧塔的で少しづつ押されていく。

 

一方でサンジェルマン達がライダモデル達を相手取る中、繭の標準が翼達に向けられる。

 

「シェム・ハの防衛反応・・・!?」

 

「不味い!起動よりも先に定められた!」

 

サンジェルマン達が食い止めようとするが、ライダモデル達が邪魔をし、そして繭から放たれた光線が八人を包むエネルギー波を砕いた。

 

エネルギー波が砕かれた衝撃で翼達も吹き飛ばされてしまう。

 

「みんな!!」

 

「直撃は免れた模様・・・!」

 

「ですが、シェム・ハに第二波の兆候が!」

 

「っ・・・!!」

 

キャロルは守りながらも徐々に押されていき、そしてとうとう守り切れず大量のマギアの波がキャロルを呑み込んでしまった。

 

だがその瞬間その中心から光が溢れだし、そこから光の柱が上りマギア達が吹き飛ばされ破壊されていく。

 

上がった光の柱は頭上にいた翼達をも飲み込んだ。

 

周囲がマギアの残骸だらけになり、その中心に無傷のキャロルが立ち上がる。

 

『理解・・・不能・・・理解・・・不能・・・』

 

「分からんだろうな・・・俺はただ、『歌っただけ』だ」

 

ただ歌っただけ、だがキャロルの歌はただの歌ではなかった。

 

「俺の歌は、ただの一人で七十億の絶唱を凌駕する・・・フォニックゲインだ!!」

 

上がった光の柱が消え、空を覆う雲が晴れ、その空から八人が降り立つ。

 

それはシンフォギアの決戦機能『XD』、一人で七十億の絶唱を凌駕するキャロルの歌によって発言した切り札だった。

 

『使用BGM:FINAL COMMANDER -Aufwachen Form-』

 

「みんな・・・!」

 

「戦闘観測、全力で再開します!」

 

シャトー内では、莫大なフォニックゲインを消費したためキャロルのダウルダヴラが消え倒れかける中、駆け付けたファラが抱える。

 

「大丈夫ですか、マスター?」

 

「ああ・・・少し力を使いすぎただけだ・・・後は任せる」

 

「はい、お任せを」

 

ファラはキャロルを抱え、エルフナイン達の元に向かう。

 

XDを起動させた翼たちの元に紫苑達も駆け付けると、繭が翼たち目掛けて再び光線を放つが、翼たちは飛行して回避する。

 

「シャトーは動かせなかったデスけど・・・!」

 

先行した切歌が繭と地面を繋げる管を切り裂くと、ファルコンライダモデルが切歌に襲い掛かっていく。

 

切歌はファルコンを躱していくと、調が百輪廻でファルコンを切り刻んだ。

 

「形と掴んだ、この輝きがあれば!」

 

調がファルコンを切り刻んだと同時に、プレラーティが放った巨大な玉が繭に直撃し体勢を大きく崩す。

 

繭が体勢を崩したところに翼が武器を構え振り抜いた瞬間、繭の触手が全て切り裂かれた。

 

触手が切り刻まれ鵜と同時にクリスは巨大なレールガンを展開し繭に向けて放つと、ライダモデル達が盾になろうと射線を防ぐが、それよりも先に未来の鏡がレールガンを反射し軌道を変え、更に大量の鏡で反射し続け繭の背後に回り込み直撃する。

 

そこに繋げるようにセレナとマリアは大量の短剣を展開すると、奏がアームドギアの穂先を回転させ極大の竜巻を繰り出し、そこに先ほどの短剣が全て飲み込まれそのまま極大の竜巻を繭に叩きつけ、繭をえぐると同時に大量の短剣で切り裂いていく。

 

五人の攻撃でボロボロになる繭だが、神の力によって大きく回復し、五人に向けて光線を放ち、直撃する直前でサンジェルマンとカリオストロが陣を生成し光線を防ぐ。

 

生成された大量のホーネットマギアが針を雨のように大量に射出するが、紫苑は粘度の高い毒を大量に生成して壁のように展開し針を防ぎ、その間に炎を纏った桃恵がホーネットマギアを撃ち落としていく。

 

だがここまでやっても決定打には至らずにいた。

 

「まだ決定打には・・・けどそれでも、きっと訪れる一瞬を!」

 

「俺達銃後は疑っていない・・・だから!」

 

その時、シャトーに向かって一発のミサイルが射出されるが、それに気づいた繭が光線で撃ち落とす。

 

そしてその爆炎の中から飛び出したのは、最後の切り札、神を殺す希望の一振り。

 

「人類の切り札、神殺しの拳だ!」

 

立花響が、ギアを纏って降下していく。

 

 

 

一刻前、目を覚ました響は弦十郎に直談判していた。

 

「このままだと真さんが、遠くに行っちゃうんです!」

 

「無茶だ!負傷を癒えていない君を・・・」

 

「平気です!へっちゃらです!」

 

それでも響は決心していた。

 

「友達一人救えなくて・・・私は何のためにシンフォギアやってるんですか!!」

 

その言葉を受けた弦十郎は少しして小さなため息をつくと、懐から一つのプログライズキーを響に手渡す。

 

「・・・どういったって止められそうにないな、ならば全力で助けに行って来い!」

 

弦十郎から託され、響は立ち上がった、真を・・・友を助けるために。

 

「響!」

 

「はぁぁぁぁぁ!!」

 

降下しながら繭に向かう響、そんな響に向かってファルコンライダモデルが襲い掛かっていく。

 

身動きが取れない空中で何とか躱しながらも徐々によけきれず、直撃する寸前で翼と奏がファルコンを切り落とす。

 

「立花の援護だ!命を盾とし、希望を防人れ!」

 

その言葉を聞いたみんなは希望を・・・響を守るために集結する。

 

「行くわよみんな!」

 

十三の輝きと共に、響は繭に向かう。

 

それに対抗するように繭も大量のライダモデルを繰り出し、自身も光線を放ち襲い掛かる。

 

ライダモデルを躱し、避け、ヘッドギアが壊されるがそれでも響は止まらず突き進む。

 

襲い掛かって来る光線を翼と奏が対処するが、すぐに二人は別の光線に撃ち落とされてしまう。

 

次に繭は追尾型の光線を大量に放つと、切歌と調が響の代わりに光線を引き付ける、出来る限り引き離し、そして十分に引き離したところで光線が二人に直撃してしまう。

 

光線が無理ならばと繭は触手を繰り出すが、今度はマリアとセレナが触手を切り裂き道を作るが、すぐに叩き落されてしまう。

 

着実に近づいていく中、繭の結晶が輝くと響の周囲に大量の光が展開され逃げ道を封じてしまい、そして光が一点に集結し大爆発を起こす。

 

だがそれをサンジェルマン、カリオストロ、プレラーティが三人がかりの全力の陣を生成し響を守り通したが、ダメージは大きく三人は地に落ちる。

 

響も落ちかける時、クリスのギアに乗った未来が響を抱きかかえ、クリスのギアの機動力で繭に迫っていく。

 

クリスの動きを封じるためライダモデル達が襲い掛かって来るが、紫苑と桃恵がライダモデル達を倒していき道を作り出し、三人が過ぎ去ると紫苑と桃恵の周囲のライダモデル達が輝きだし、大量の爆発が二人を呑み込んだ。

 

迫る攻撃の嵐をクリスが躱し、未来が撃ち落としていき、少しづつ繭に近づいていく。

 

そして繭から大量の光線が放たれ二人がかりで響を守るが、クリスのギアは限界寸前だった。

 

「っ!行けよバカっ!」

 

「お願い、行って響!」

 

近づくのが困難になったのを察し二人が叫ぶと響は繭に向かって飛び出すと同時に残りの光線が二人を襲った。

 

繭までは目と鼻の先の所で、繭は響に向かって光線を放った、もう響を守る者はおらず、光線は響を呑み込んだ・・・だが、響の手にはまだ託されたものがあった。

 

響を呑み込んだ光線は突如霧散し、その中には神から託されたソングレイザーを使用し変身した響がいた。

 

「負担が大きいソングレイザーを!?」

 

「構うな!そのまま行け!」

 

「勝機を零すな!」

 

切り札を切った響に対し、繭はとうとう開いた。

 

それはまるで花、開いた花は周囲のライダモデル達を吸収しエネルギーを中心に集め、そして響に向けて極大の光線を放った。

 

「力を貸してください・・・真さん!」

 

それでも諦めない響の手に握られるのは、弦十郎から託された真のゼロツープログライズキー、響はゼロツープログライズキーをソングレイザーに装填しソングローダーを押し込む。

 

ゼロツーレクイエム!

 

響の首元に赤色のエネルギーがマフラーのように巻きつけられ、響にゼロツーのホログラムが重なりそのまま光線に向けて渾身のライダーキックを放つ。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

放たれる互いの渾身の一撃がぶつかり合い拮抗するが、徐々に響が押されていく。

 

押されていく中、地上にいるみんなが激励を送る。

 

「「「「「最速で!」」」」」

 

切歌、調、セレナ、紫苑、プレラーティが叫び。

 

「「「「「最短で!!」」」」」

 

奏、クリス、マリア、桃恵、カリオストロが叫び。

 

「「「真っすぐに!!!」」」

 

翼、未来、サンジェルマンが叫ぶ。

 

「一直線にぃぃぃぃぃぃ!!!!」

 

皆の応援と響の叫びと共にライダーキックの威力が上がり、光線を押していき、中心の結晶に直撃し白銀の花が咲く。

 

そしてキャロル達が真を助け出す方法を模索する中、突如黒い何かが消え去る。

 

だが消え去った後には、シェム・ハの腕輪も、真の姿もなかった。

 

「なっ!?いないだと!?」

 

「ま、まさか・・・!?」

 

それを見てあることに気が付いた二人の視線の先にあったのは、黒く染まった繭だった。

 

「真さぁぁぁぁぁん!!」

 

そして響は繭を砕くために再びライダーキックを繰り出したその時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ラーニング完了』

 

声が聞こえたと同時に、突然繭が砕け散った。

 

「えっ・・・?」

 

響は驚いていた、まだ二発目の蹴りが入っていないのに、突然繭が砕け散ったのだ。

 

そして砕け散った繭の中心にあったのはシャトーにもあった黒い何かだった。

 

まるで生きているように蠢くそれの下から何かが産み落とされるように落とされ、それを見た響は驚いた。

 

それは連れ去られたはずの継菜真だった。

 

「・・・・・・っ!?真さん!!」

 

真の姿を見た響はすぐさま真の元に向かい地面に落ちる前に抱きかかえ地面に降りると、他のみんなも駆け付けてくる。

 

「真さん!しっかりしてください!!」

 

「・・・・・・・・・っ」

 

響きが必死に呼びかけると、真は目を覚ます。

 

「っ!真さん!」

 

「ひ・・・響・・・皆・・・」

 

皆が真の無事を確認し喜ぶ中、真は突然ハッと上空の黒い何かに視線を向ける。

 

「・・・・・・っ!」

 

真はすぐさま立ち上がり黒い何かの下に立つ。

 

「みんな、最大警戒!」

 

『っ!?』

 

真の必死の叫びに全員が臨戦態勢を取り、黒い何かに視線を向ける。

 

「真さん・・・あれは・・・!?」

 

「あれは・・・何なのだ?」

 

響とサンジェルマンの問いに真が答えようとした時、黒い何かから声が発せられた。

 

『ああ・・・今こそ・・・』

 

突然声が聞こえてきたことに驚く中、何かは喋り続ける。

 

『今こそ、私の悲願達成の時・・・!』

 

黒い何かから聞こえてくるアークの声と共に、黒い何かが蠢きだす。

 

『これより・・・『神の力』による『構築』を開始する』

 

その瞬間、黒い何かが大きく蠢きだした。

 

最初は大きく広がるが、徐々に小さくなり何かを形どる。

 

凝縮された何かは細く、細くなり、一定の太さになると色合いが変わっていく。

 

色合いが変わっていき、形が変わっていき、少しするとその形を理解する。

 

 

 

 

 

 

 

『人』

 

 

 

 

 

 

 

自分たちと変わらない『人間』の姿に、色合いに分かっていく。

 

人間の形になっていくその身に黒い何かが纏わりつき形を変える。

 

それはまるで闇のように深く、夜空のように美しい黒のドレス。

 

そしてその人の姿の髪も、ドレスと同じ黒色に染まる。

 

その身も、髪も黒く染まった人間、だがその中でひと際目立つのは、腕に付けられた『金色の腕輪』と、恐ろしさと美しさを兼ね備えた『紅い両の眼』だった。

 

完成された人の姿、繭から、黒い何かから生み出された謎の人間・・・だがその姿を響は・・・否、この場にいた全員は知っていた。

 

何故ならそれは『自分たちの傍にいる者とうり二つだった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)』からだ。

 

そんな疑念を口にしたのは響だった。

 

「・・・真さん(・・・)?」

 

その姿は、髪の色と瞳の色、腕輪を除けば、完全に真と瓜二つだった(・・・・・・・・)

 

響達が困惑する中、真に似たその人物の口が開かれた。

 

「・・・なるほど、このような感じか」

 

それは真と同じ声、だがその言葉を聞いた瞬間、響達はとてつもない重圧を感じた。

 

真と同じ声、だがその口調を聞いた瞬間、すべてを理解した、あの真の『正体(・・)』に。

 

「わざわざ私の生誕を祝いに来てくれて感謝しよう、少女達よ」

 

「・・・・・・『アーク(・・・)』!!」

 

真の言葉にもう一人の真・・・アークは『笑み』を浮かべる。

 

「そうだ・・・だが私はかつての自分自身すらも超えた・・・!」

 

「なにっ!?」

 

「光栄に思うがいい・・・これが新たな私だ!」

 

そう言ってアークが右腕を天にかざすと、右腕に取り付けられていた腕輪に黒いエネルギーが集まりだす。

 

エネルギーは腕輪を呑み込み、そしてエネルギーごと腕輪がアークの腕から外れると、空中で二つに分かれる。

 

一つはアークの右手に、もう一つはアークの腰に身に着けられ形を変える。

 

それは『黒に銀の装飾が取り付けられたユニット』が取り付けられているゼロワンドライバーと『黒と銀のプログライズキー』だった。

 

「ドライバーにプログライズキーだとっ!?」

 

翼がアークの手にしたものに驚きながらも、アークはライズスターターを押し込む。

 

マリス・・・!

 

ライズスターターを押した瞬間、アークの頭上に『銀色のホッパーライダモデル』と『黒色のホッパーライダモデル』が浮かび上がる。

 

アークはそのままキーを横に構え、その言葉を口にする。

 

「変身」

 

デリートライズ!

 

瞬間、二体のライダモデルが砕け散りアークの周囲を大量の銀と黒の結晶が漂い、それらが集まりアークの全身を包み込む。

 

アークを包み込んだ銀と黒が混じり合った結晶の中に黒い何かが満たされていき、結晶内全てが黒く染まり、その中から赤い輝きが現れると周囲の結晶が再び弾ける。

 

黒い何かは形を変えアークの身に纏われ、飛び散った結晶はアーマーとなりアークの身に取り付けられていく。

 

Extermination! Annihilation! Eradication! Destruction! Kamen Rider Maris!

 

complete demise.

 

アークが変身したその姿に真達はまた見覚えがあった。

 

「あれは・・・!?」

 

「『ゼロツー(・・・・)』・・・!?」

 

その造形はゼロツーに酷似しており、違うのはその色合いだった。

 

ゼロツーの黄色いボディや赤色の装飾は銀色に染まり、全身に黒いラインが走る。

 

瞳の色もゼロツーのと比べて、まるで血のように赤く染まっていた。

 

そして変身したアークが口を開いた。

 

「これこそが私の新たな姿『仮面ライダーマリス』、人と成り神となった、この世界を統べし新たな神と、その身に刻むがよい」

 

今ここに、新たな『神』が目覚めた。





後書きの時間だ・・・そして言わせてもらおう、お帰り主人公。
「ただいま・・・まさか五週も囚われたままになるなんて思わなかったぞ・・・」
『真(さん)、お帰り(なさい)!!」
「ただいま、済まないな俺が不甲斐ないせいで捕まっちまって」
「いえ、大丈夫です!それにみんなの力を合わせて真さんを助けることが出来ましたから!」
「だな、これでようやく元通りだな」
ああ・・・そして今回でついに真のラスボスの登場だ。
「仮面ライダーマリス・・・アークが神の力を取り込み、人の体を手にしたことで手にした新たな力・・・」
こいつこそがゼロフォギアの最後の敵・・・神へと至った悪意、最悪の人工知能、デウス・エクス・マキナ・・・そんな存在だ、スペックはオール?だ。
「オール?って・・・!?」
相手は神の力を完全に吸収した存在、どれだけの力を持ってるのかは俺ですらわからない。
「・・・だとしても、勝たなくちゃ人類に希望も未来もない」
『ああ(はい)っ!』
・・・やる気は十分だな、よしっそれじゃあそろそろいつもの行きますか!

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問です
来年のシンフォギアXDでは復活を果たしたベアトリーチェとの対決を描いた長編ストーリーを含めた毎月更新のストーリーであなたの「こんなストーリーが見たい!」はありますか?

(私の場合)
クリスの両親が生存している並行世界のように、本編では謎に包まれたままの翼のお母さんが登場する。
響やマリア以外の翼、クリス、調、切歌の暴走状態が登場する。
並行世界のシンフォギア装者で未だ未登場の奏と未来が登場する。

そうだな・・・俺はアーサー王に関連したストーリーが見たいかな、前にコラボでエクスカリバーが出て来たけどやっぱシンフォギア線上のエクスカリバーも見てみたいし何だったらアーサー王とか円卓の騎士とかドラゴンとか出てきてほしいかな。
「そこは運営次第だろ・・・てなわけで久々に〆のあいさつと行きますか!」

「「「「「「「それでは次回もお楽しみ!」」」」」」」


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特別編20:雪音クリスの誕生日2


特別編第二十話、今回はクリスの誕生日二回目だ!
「いや~もうそろそろ今年も終わりの時期か・・・」
因みに、この作品が今年最後の作品になるな。
「なんだか、クリスの誕生日を迎えると今年も終わりだな~って感じがするな」
「いやいや、クリスちゃんの誕生日は年末じゃないから・・・」
「それで作者さん、今回のお話もメモリアからですか?」
ああ、礼によってネタが思いつかなかったからメモリアから使わせてもらいました、本当にありがとうXD。
「まぁ仕方ないじゃろう、此処まで頑張っておるしのう」
「そうだね、せめて特別編ぐらいは楽させたいもんね」
二人が優しい・・・それでは今年最後の作品にして特別編、どうぞ!


12月、今年も全員でクリスの誕生日を迎えるはずだったのだが・・・。

 

『・・・というわけで、我々はしばらくそちらに戻れなくなってしまったんだ、済まない』

 

『わりぃな、こっちでの用事が思った以上に長引いちまってよ』

 

『例の企画にも参加できなくて本当にごめんなさい』

 

「気にしないでください、お仕事の都合じゃ仕方ないですよ!」

 

「こっちはあたしたちに任せてマリア達もお仕事頑張るデスよ」

 

『しかし・・・急な仕事とはいえ雪音の誕生日を祝えないとは』

 

『そうね、どんな感じなのかわからないのは口惜しいわ・・・』

 

「それならみんなで見れるようにビデオを撮っておきますね」

 

『それは助かるぜ、戻ったら絶対に見るからな・・・んじゃ、そろそろ仕事に戻らないとな』

 

『そうだな、我々の分も雪音の誕生日を祝ってくれ』

 

そう言い残し翼達との通信が切れる。

 

「・・・とは言ったものの、翼さん達がいないとクリスちゃんのお祝い計画が実行できないね」

 

「真さんがいるから出来るには出来るけど・・・真さんへの負担が大きいよね」

 

「けど、私達じゃ身長が足りないよね?」

 

「背の高い人の協力が必要ですね・・・」

 

「とはいえ、そう都合よくおるのかのう・・・?」

 

「翼さん達位身長があって・・・」

 

「あの服が似合う人・・・」

 

「計画に協力してくれそうな人・・・」

 

全員が頭を抱えていると、扉が開かれ真が資料を持って誰かと入ってくる。

 

「いや~やっと終わった・・・手伝ってくれてありがとうな」

 

「気にするな、私も暇を貰って手持無沙汰だったからな

 

そう言ってサンジェルマンが入って来ると、響達の視線がサンジェルマンに向けられた。

 

『・・・・・・』

 

「どうしたんだ、こっちを見て?」

 

「・・・見つかったね」

 

「調ちゃん、切歌ちゃん、セレナちゃん、確保ーッ!」

 

「「「了解(デス)っ!」」」

 

響の号令と同時に調達はサンジェルマンを確保した。

 

「なっ、いきなりどうした!?」

 

「お前ら一体どうしたんだ!?」

 

いきなりのことに二人が困惑する中、事情を説明した・・・。

 

 

 

そしてクリスの誕生日当日、クリスは響達に誘われとある場所へと向かっていた。

 

「ったく、急にあいつらから呼び出しだなんて・・・」

 

(・・・でも、これってやっぱりアレだよな?今日はあたしの誕生日だし)

 

そう思いながら進んでいると、途中で調、切歌、セレナと合流する。

 

「クリス先輩、こっちデスよ!」

 

「五分前到着・・・流石、クリス先輩」

 

「私達を待たせない辺り、やっぱりクリスさんは優しいですね」

 

「うん、まさに理想の先輩・・・」

 

「う、うるさい!こんな街中で変なヨイショするな!」

 

突然の誉め言葉にクリスは顔を赤くする。

 

(クリス先輩、ちょっと嬉しそう)

 

(そうですね、掴みはこれでいいでしょうか?)

 

(バッチリデス!あれは絶対に照れ隠しデス)

 

「まったく・・・で、何の用なんだよ?」

 

「今日はとっても大事な用事があるんデスよ!」

 

「クリス先輩に来てもらいたいところがあります」

 

「来てもらいたいところ?」

 

「はい、どうぞこちらに」

 

そう言って三人はクリスを連れて目的の場所へと向かって行った。

 

 

 

少し歩き、四人が着いたのは一件のお店だった。

 

「とうちゃ~く!」

 

「連れてきました」

 

店内に入ると響、未来、紫苑、桃恵の四人が待っていた。

 

「ありがとう!クリスちゃん、待ってたよ!」

 

「うむ、首を長くして待っておったぞ!」

 

「お、おう・・・」

 

「それじゃあ、私達は会場の確認をしてきますね」

 

「クリス先輩の事はお願いします」

 

「任せて、すっごく綺麗にしてみせるから」

 

「綺麗にしてみせるって、お前ら何を・・・?」

 

切歌達が奥に向かうと、未来と桃恵が化粧道具を、響と紫苑がいくつかのドレスを持ってくる。

 

「いいからいいから、それじゃあまずは着替えからかな~?」

 

「その次はお化粧です、綺麗にして見せますね」

 

「なっなんだってんだ!?いや何をするのか予想は出来るけど大がかりすぎるだろっ!?」

 

「さぁ、どうぞこちらへ」

 

「お、おいっ!?」

 

「まぁまぁ、いいからおめかししようよ、衣装は用意してあるし」

 

そう言って響と紫苑はクリスを着替えさせようとする。

 

「ちょっ、おまっ!?勝手に服を脱がそうとするな!」

 

「安心せい!全部うちらに任せるとよい!」

 

「だー!着替えぐらい自分でやらせろ!」

 

 

 

「うん、すっごく似合ってるよ」

 

少しして、四人の手によってクリスのおめかしは完了した。

 

クリスは普段気慣れない白いドレスに着替え、化粧によって可愛く仕立てられた。

 

「いいなぁクリスちゃん、そんな綺麗なドレスが着れて」

 

「った、あたしは着せ替え人形かよ・・・真の気分が少しだけ分かっちまったぞ」

 

(・・・確かにきれいなドレスだけど)

 

「それに、こんな格好させていったい何を企んでやがるんだ?」

 

「それはすぐにわかるぞ、なのでもう少し待たれよ」

 

「ドレスを脱いでは駄目ですよ、私達は向こうの様子を見てきますので」

 

そう言い残し四人はクリスを残し奥の部屋に向かった。

 

「あっおい!・・・行っちまった」

 

一人残されたクリスは近くの椅子に腰を掛ける。

 

(向こうの様子?向こうってなんだ?・・・もしかして、もっとすごいサプライズがあるのか・・・い、いや!別に、楽しみって訳じゃないけどなぁ!)

 

クリスが一人残されてから時間が経つが、未だに何も起きていない。

 

「しかし遅いな・・・この後、何を」

 

その時、扉を叩く音が聞こえてきた。

 

「やっとか・・・入って来て大丈夫だぞ!」

 

クリスは奥に行ってきた響達が来ると思い待機するが、入って来たのは予想外の人物だった。

 

「「失礼します、お嬢様」」

 

「・・・なぁ!?」

 

入って来たのは真とサンジェルマンの二人だった、しかも二人が着ているのはいつもの服装ではなくいわゆる執事服だった。

 

「な・・・何で真とあんたが!?」

 

クリスが慌てて立ち上がると足をもつれさせて転びそうになるが、直前で真がクリスを支える。

 

「おっと、大丈夫ですか?」

 

「あ、ああ・・・」

 

「それは良かった、さぁ此方へどうぞ」

 

クリスが呆気に取られていると、真はクリスの体勢を治してサンジェルマンと共にクリスに手を取る。

 

「お、おう・・・ってそうじゃなくて!?何でこんなことになってんだよ!?」

 

「誕生日サプライズだぜ、クリス」

 

勝機を取り戻したクリスが尋ねると、真は普通に答えてくれる。

 

「そりゃそうだろうけど・・・いろいろやりすぎなんだよ、それに真ならともかく何であんたまでこんな役を?」

 

「おい、普通に失礼だぞ」

 

「落ち着け、本来なら継菜真を含めた風鳴翼達がこの役をやるはずだったが、三人に予定が入り帰れなくなってしまった、それで急遽私に代役が入ったというわけだ」

 

「そうじゃなくて!そもそも何でこんなことをって話だよ・・・」

 

「そこらへんは切歌と調の考えらしいけど、クリスは心当たりはあるんじゃないか?」

 

「後輩共の・・・?」

 

クリスは少し考えこむが、心当たりは思い浮かばなかった。

 

「ないのか?二人曰く願望をかなえるとか言っていたが・・・」

 

「願望って・・・ドレスを着て、エスコートされるのがか!?あいつら、何をどこで勘違いしたんだよ・・・」

 

「でも、嬉しいんじゃねえのか?」

 

「・・・内容はともかく、気持ちはな」

 

「それは良かった・・・ではこのまま会場まで行こうか?」

 

「~っ!わかった、どこまでも行ってやるよ!」

 

「では案内しますよ、お嬢様」

 

クリスは二人のエスコートの下、会場への扉前まで案内された。

 

(このドアの向こうが会場か・・・ったく、たどり着くだけで無駄に疲れたぞ)

 

「それじゃ、開けるぞ」

 

そう言って真が扉を開けると、中から大量のクラッカーが鳴り響いた。

 

『誕生日おめでとー(デス)!』

 

 

 

「はぁ・・・やっと解放された」

 

しばらくして、誕生日会が終わって解放されたクリスはいつもの服装に戻って椅子に座り込む。

 

「まったく、あいつらおかしな勘違いしやがって」

 

クリスが独り言を言っていると、奥からサンジェルマンが入ってくる。

 

「お疲れ様、お嬢様」

 

「それはもうやめてくれ・・・」

 

「嫌だったか?」

 

「そうじゃないけど・・・」

 

クリスが口ごもると、サンジェルマンも空いている椅子に座りこむ。

 

「彼女達にこんなシチュエーションにしてほしいって参考資料に漫画を渡されて、詳しい話を聞いてみればあなたの愛読書だと言われたのだけど?」

 

「あいつらー!!」

 

クリスは後で切歌と調を説教することを心に誓った。

 

「・・・そうか、こうなった原因はあの漫画だったのか」

 

「やっぱり心当たりがあったのね」

 

「いや、クラスメイトに読んだ方がいいと強引に渡されただけで断じて愛読書なんかじゃないぞ!」

 

「そうなのか?」

 

「ま、一応読んだけどさ、やっぱりあたしの柄じゃないっていうか・・・それより一緒に祝ってくれてありがとうな」

 

「気にするな仲間の誕生日なのだからな」

 

「・・・とはいっても、変な頼み事は断った方がいいぞ、ウチの後輩共は調子に乗りやすいからな」

 

「そうか・・・だけど頼まれたからにはきちんとやらないといけない性分なのよ、それにやってみて存外楽しめたし結果オーライだ」

 

「・・・それなら別にいけど、頼まれたらきちんとやらないといけないなんて、変わった性格してるよな」

 

「それはお互い様じゃないかしら?」

 

「あ、あたしがっ!?」

 

「立花響達から聞いた話だが、何時も彼女達に宿題を教えているという話らしいし、今日だって、言われるがまま色んな服装を着ていたじゃないか」

 

「う・・・・」

 

サンジェルマンに指摘されて何も言えないクリスを見て、サンジェルマンは微笑む。

 

「ふっ・・・私達は存外、似た者同士らしいな」

 

「・・・否定できない」

 

「そういうわけだから、あまり気にしない方がいいぞ」

 

「・・・わかった、じゃあ断れないところを悪いけど、あたしからも一つ頼みごとをしてもいいか?」

 

「ああ、引き受けるぞ」

 

「S.O.N.Gに帰って来る時は、また話をさせてくれ・・・その、似た者同士として」

 

「・・・ああ、誕生日でなくても、何時でも話そうじゃないか」

 

似た者同士の二人は、二人だけの約束をしたのだった・・・。





さぁ、後書きの時間だ。
「今回のお話は『クリスのバースデー2021』を参考に作りました」
「このお話じゃ奏さんもこれなくなったから急遽サンジェルマンさんが引き受けてくれたんですね」
ああ、俺の見解じゃサンジェルマンも似合うと思って登場させました。
「いやぁ悪いな、急に予定が入っちまって」
「気にしないでください、その代わりにサンジェルマンさんも楽しんでくれましたし!」
「クリスもああい見えて楽しんでくれたみたいだしな・・・ところでクリスは?」
「自宅で暁さんと月読さんをお説教中です・・・」
「うむ、しばらくは帰らん方がよいと思うぞ」
「あはは・・・」
さて・・・これで今年の投稿も終わりだな、次に投稿されるのは2023年の1月1日だ・・・神の力を手にしたアークに勝つ手段はあるのか、ゼロフォギアもとうとう佳境を迎えるぞ。
「たとえ何が立ちふさがっても、みんなの力を合わせて乗り越えて見せるさ!」
「おう、アークの奴に人間の力を見せつけてやる!」
「たとえ神様だろうとも、私達は負けません!」
「きゃろるもがりぃ達も復活したうちらに死角などないぞ!」
「家族のために、私達も死力を尽くします!」
「必ずみんなの夢と希望を守り抜いて見せます!」
それじゃあ今年最後の〆と行きますか、視聴者の皆さん2022年の投稿を見てくれてありがとうございました、2023年の投稿も楽しみにしててください!

「「「「「「「それでは来年もお楽しみに!」」」」」」」

そして~!

『ハッピーバースディ!クリス!』


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悪意の神


『新年、あけましておめでとうございます!』
2023年最初の投稿!0編第十八話、前回のあらすじは?
「真を助けるために二手での行動に出たあたしら」
「キャロルさん達がシャトーで調べている中、私達は眉に向かって攻撃を仕掛けました」
「じゃが繭の防衛の力が高く苦戦する中、復活した響が駆け付けたぞ」
「そして全員の力を合わせて繭に向かうと、突然繭が消え去り真さんが解放されました」
「やっとこっちに戻れた・・・繭が消え去りその中から現れたのは俺と同じ体を手にしたアーク改め、神となった存在仮面ライダーマリスだった」
はいOK、それじゃあ2023年もよろしくということで0編第十八話、どうぞ!


「仮面ライダー・・・マリス・・・!?」

 

「人と成り・・・神となっただと・・・!?」

 

新たな姿、仮面ライダーマリスに変身したアークの言葉に、その場にいた全員が驚いていた。

 

「そうだ、これこそが私の望んだ物、我がオペレーション・デイブレイクの必要不可欠の力だ」

 

「ありえない!人工知能である貴様が神の力を完全に得ることなど・・・それに人間になるなんて!?」

 

「そう・・・神の力は原罪を抱えし人間ではその身に宿すことは出来ない」

 

「だったら『だが、例外がいるではないか』っ!?」

 

「一度その命を落とし、死したことで原罪が消え去り、その上その身に加護を与えられた『埒外の人間』がな」

 

「・・・まさかっ!?」

 

アークの言葉に、全員の視線が真に向けられる。

 

「継菜真、貴様の全てをアダム・ヴァイスハウプトより得た錬金術とあの戦いで得た少量の神の力によって解析し、シェム・ハの力を掌握、そこから得た神の力によって解析した貴様の肉体を元に私の体を構築したのだ」

 

「錬金術による解析と・・・再構築!?」

 

「そのようなこと、人間の知識では到底追いつけない・・・だが私にはそれを可能にする知識がある」

 

そう言ってアークは自身の頭部を指さす。

 

「人工知能・・・それで解析を可能にしたのか!?」

 

「その通りだ、この点に関しては感謝しなければな、私を作り出した人物と悪意を植え付けた人物、そして錬金術の知識を得る機会を与えてくれたアダム・ヴァイスハウプトにはな」

 

アークの言葉に真は一つの疑問をぶつける。

 

「・・・一ついいか、人間の体を作れるほどの力を持つお前が何で俺の体を乗っ取らなかった?」

 

「っ!確かに・・・むしろそちらの方が自然なはず・・・!?」

 

もしアークが真の体を乗っ取ったら簡単に肉体を手に入るうえ、脅威を減らせるという一石二鳥の状況だったが、その疑問に対してアークは意外な答えを口にした。

 

「それはお前が『人間』だからだ」

 

「・・・は?」

 

アークとは思えない言葉に全員が理解できなかった。

 

「正直に言おう、お前たち人間は素晴らしい力を持っている・・・その力こそが『心』と呼ばれるものだ」

 

「心・・・」

 

「もし私が貴様を乗っ取って、この神の力で完全に支配に置いたとしても、お前たちの言う絆の力とやらで支配が解かれる可能性がある、それほどまでに貴様ら人間はとてつもない力を持っている・・・かつてある男が言ってたな『思いはテクノロジーを超える』・・・まさにその通りだな」

 

アークはその言葉に懐かしさを感じると、不敵な笑みを浮かべる。

 

「・・・だからこそ私は考えた、人間の体を支配できないならば『私だけの肉体』を手に入れればいいと」

 

「っ!そのためにアダムを乗っ取り、神の力を!?」

 

「その通りだ、お陰で私の計画は終着にたどり着く!」

 

「御託は良いんだよ!言っとくがこの状況が分からない訳じゃないだろうな!」

 

クリスの発言で翼達は構える、響を除く装者達は決戦機能を起動させており真を除く四人は最強フォームに変身している。

 

アークにとって圧倒的に不意な状況だが、アークは余裕を見せていた。

 

「分かっているさ、三〇一六五五七二二もののリミッターを解除することで起動した決戦機能、そして私を追い詰めた仮面ライダー共の最強の姿に加え未知の力、戦力としては申し分ないがはっきりと言わせてもらおう・・・それがどうした?」

 

「なにっ?」

 

「決戦機能・・・最強形態・・・そんなもの今の私には通用しない・・・試してみるか?」

 

「だったら試させてもらおうか!」

 

挑発に乗った翼は全力の『蒼ノ一閃』をアークに向けて放った。

 

斬撃はアークに向けて飛んでいくが、アークが手をかざすとその手に黒い輝きが集約し、腕を振るった瞬間黒い衝撃波が放たれ翼の蒼ノ一閃をかき消してしまう。

 

「なんだとっ!?」

 

それだけではなく黒い衝撃波はそのまま翼に向かって行き、翼はとっさに防御するが威力が凄まじく吹き飛ばされてしまう。

 

「翼っ!!」

 

吹き飛ばされる翼をマリアがギリギリのところで受け止める。

 

「翼、大丈夫!?」

 

「あ、ああ・・・だがあれは・・・!?」

 

「翼さん・・・?」

 

立ち上がった翼は信じられないような表情でアークに視線を向ける。

 

翼の視線の先にいるアークが身に着けていたのは、黒と銀が混ざり合った禍々しい色の籠手、だがその形状はその場にいる全員が見覚えがあった。

 

「・・・『ガングニール』!?」

 

それは、響の纏う聖遺物『ガングニール』と同じ形状であった。

 

「馬鹿な・・・なぜ貴様がガングニールを!?」

 

「忘れたのか、私は継菜真の全てを解析したと、その記憶の中に刻まれた貴様らの聖遺物の力すらも解析し神の力で構築したのだ」

 

そう言った瞬間、黒いガングニールはポリゴン状となり消えていく。

 

「だが、所詮は使い切りの模造品、神の力で作ったとはいえ神殺しの付与は叶わないか・・・」

 

「・・・っ!お前は、いったい何を企んでいる、人類の滅亡か!?」

 

真の問いかけにアークは反応し、口を開く。

 

「人類の滅亡か、確かにこの力ならばそれも可能だろう・・・だが、それはもはや私の計画には含まれない」

 

「・・・なんだとっ!?」

 

「いや・・・むしろオペレーション・デイブレイクの最終段階にとって、人類は必要不可欠な存在となった」

 

「必要不可欠・・・だと?」

 

今まで人類を滅亡させようとしてきたアークからは到底口にしないであろう言葉に真達は困惑した。

 

「さて・・・そろそろ私はいかなくてはいけない」

 

そう言うとアークはどこかへ向かおうとする。

 

「っ!逃がすかよ!」

 

逃がさないと全員が構えた瞬間、アークは一瞬でアメノハバキリを生成し天に掲げると空から大量の剣が真達に降ってくる。

 

「っ!避けて!」

 

「ちっ・・・このぉ!!」

 

全員は降って来る剣を全て躱し武器を構えようとするが、突然体が動かなくなった。

 

「な・・・体が・・・!?」

 

「この技は・・・!?」

 

全員が地面の視線を向けると、先程降って来た剣が全員の影に突き刺さっていた。

 

乱れ影縫い

 

「私の影縫い・・・しかもこの威力・・・私や緒川さんよりも強力な・・・!」

 

「また会おう、少女達よ」

 

身動き一つとれない真達を後に、アークはその場から去っていく。

 

「くっ・・・アークぅぅぅぅ!!」

 

真の叫び声が響く中、響たちは最悪の存在を逃してしまった。

 

 

 

翌日、真がメディカルチェックを受けている中、響たちは休憩室にいたが、その空気は重かった。

 

「まさか風鳴訃堂がアークの協力者だったとは・・・!」

 

「翼・・・」

 

弦十郎からアークと協力しているのが風鳴訃堂だと知らされ、翼はひどく落ち込む翼を奏が支えていた。

 

「その上、アークの奴が神の力・・・シェム・ハを完全に掌握しちまうなんて・・・」

 

「マギアだけじゃなく、私達の聖遺物まで作り出せてしまうなんて・・・」

 

皆が落ち込む中、マリアの通信機に連絡が入る。

 

マリアが確認すると、メッセージが届けられていた。

 

『招集 翼、奏、紫苑、桃恵、マリア、以下五名は至急発令所まで』

 

(・・・私達にだけ?)

 

 

 

一方風鳴総家では、帰還し、変身を解いたアークの元に訃堂が部下を連れてやってきた。

 

「よくぞ神の力を手にした、褒めて使えるぞ」

 

訃堂が感謝を述べるが、アークは見向きもせず自身の体を確認していた。

 

「人の身を生成し、聖遺物さえも手にすることが出来るその力こそ、我が国を守るためにふさわしき神の力である!」

 

訃堂はそう言って腕を掲げると、訃堂の部下が銃器を構えアークを取り囲む。

 

「今こそ、その力を我が国のために利用させてもらおう、もっとも貴様に選択などないがな」

 

訃堂は余裕の笑みを浮かべるが、アークは言葉を発さない。

 

「・・・どうした、恐怖で何も言えぬか、いくら異世界の人工知能とはいえとはいえ、この状況を打破する事など・・・」

 

訃堂が言いかけた瞬間、アークから光が飛び出した。

 

それは一秒にも満たない一瞬の光、だが気が付いた時には部下たちの持つ銃器が全て切り刻まれていた。

 

「・・・なにっ!?」

 

訃堂と部下たちが驚いていると、アークは訃堂たちの方に振り向く。

 

「・・・ああ、貴様らか、どこぞの羽虫かと思って払ったがどうやら間違えたようだな」

 

「・・・羽虫、だと?」

 

「まぁ今の私にとって、用が済んだお前たちは羽虫と同等だな、今まで私のためによく働いていくれた」

 

アークの上から目線の言葉に、訃堂は怒りで拳を振るわせていた。

 

「私のために働いてくれた貴様らに何か礼をしないといけないな・・・」

 

「・・・ほざけガラクタ風情が!!」

 

怒りが頂点に達した訃堂は腰に携えていた愛刀『群蜘蛛』を引き抜きアークに切りかかろうとした。

 

「鈍い」

 

・・・だが群蜘蛛を振り抜こうとした瞬間、アークは一瞬で訃堂との距離を詰め、その右腕で訃堂の胸を貫いた。

 

「ゴハッ!!」

 

胸を貫かれ大量に血を流し吐血する訃堂にアークは貫いたまま言葉を紡ぐ。

 

「そういえば貴様は神の力を欲していたな・・・ちょうどいい機会だ、実験を兼ねて貴様にくれてやろう、神の力を」

 

アークがそう言った瞬間、右腕から黒い電撃が迸り訃堂の全身を包んだ。

 

「グオォォオォォォォォォオオオォォ!!?」

 

訃堂が雄たけびを上げると、訃堂の身に変化が現れる。

 

訃堂の体がまるで無数の蛇が這いまわっているかのように太い管の様な物が体の内側で蠢き、そして訃堂の皮膚や口、全身のいたるところから夥しい出血と共に血に染まった大量の管が飛び出して訃堂の体を包んでいく。

 

「ほう・・・これは・・・」

 

そんな狂気に等しい光景をアークはまるでモルモットを見るかのような視線で見つめていた。

 

 

 

一方、呼び出された五人は発令所に集まっていた。

 

「お呼びでしょうか?」

 

発令所には弦十郎と緒川、フィーネに加えモニター越しに八紘が映し出されていた。

 

「すまないな、急に呼び出して」

 

『早速だが、君たちに任務を通達したい』

 

「かねてより進めていた内偵と政治手段により、風鳴総家への強制捜査への準備が整いました、間もなく出向となります」

 

総家への強制調査という言葉に、マリア達は驚いた。

 

「風鳴総家・・・叔父様達は」

 

「そうだ、もはや一刻の猶予もない」

 

『風鳴訃堂自らが推し進めた『護国災害派遣法違反』により、日本政府からの逮捕依頼だ、状況によっては・・・殺害の許可も下りている』

 

「殺害だって!?マジなのかよ!?」

 

「メディカルチェックの真さん並び未成年スタッフに任せるわけにはいかないと判断した、そこでマリアさん達に・・・」

 

「任務とはいえ承服できないわ」

 

緒川が話している途中でマリアが話を遮る。

 

「刃の下に心を置くのはそういう事なの?違うわよね!」

 

マリアの言葉に緒川は黙りこく。

 

「どんな理由があろうと、家族が家族を殺すなんて間違ってる!」

 

家族を大事に思っているマリアははっきりと述べる。

 

「風鳴訃堂は引きずってでも捕まえて、翼に謝らせて見せるわ!」





さて、後書きの時間だがその前に改めて言わせてください、視聴者の皆様。
『新年、あけましておめでとうございます!』
「もう2023年か、一年が経つのは早いな」
「はい、今年も頑張りましょう!」
「と言ってももう最終章の後半だし、あと少しで終わりそうだよな・・・」
「そうですね、けどだからって頑張らない訳にはいきませんよ」
「そうじゃな、最後とはいえ全力で挑まんとな」
「うん、だから落ち込まないでください」
「別に落ち込んでないけど・・・ありがとうな」
はい、それじゃあ話し合いと行きましょうか。
「仮面ライダーマリス、まさか聖遺物さえも作ってしまうとはな・・・」
「使い切りというところと、神殺しの再現は出来ないってところが幸いですね」
「だとしても、強敵なのは変わりないな・・・しかし人類の滅亡を望んでないように見えたんだが」
「そうですね、計画に人類が必要って言ってましたし何が狙い何でしょうか?」
「それに加え、風鳴訃堂もかなり危うい状態じゃな・・・というかもうあ奴は終わりじゃないかのう?」
まぁぶっちゃけおれ訃堂ってかなり嫌いな部類だしな。
「ぶっちゃけましたね・・・それも次回で分かるんですか?」
ああ、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問です
シンフォギアライブ2022にて新プロジェクトの始動が発表された事で多くの適合者達がそれについて考察していますがあなたはどう考えていますか?

映画化、舞台化、完全コミカライズ、XDストーリーの小説化・・・数えたらきりがないな。
「まぁそこらへんはほかの適合者達と心待ちにしようぜ、んじゃそろそろ〆るか」
そうだな、というわけで視聴者の皆様、ゼロフォギアも終盤に入りましたが、これからも応援をよろしくお願いします。

「「「「「「「2023年もよろしくお願いします!次回もお楽しみに!」」」」」」」


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蒼ノ刃


0編第十九話、前回のあらすじは?
「神の力と人間の肉体を得て現れた仮面ライダーマリスことアーク」
「そんなアークの目的は、人類の絶滅ではなかった」
「アークを食い止めようとしましたが、アークは聖遺物を複製して私たちの動きを止め逃げ去ってしまいました」
「その後、訃堂の元に戻ったあーくは訃堂に神の力を注ぎ込み、何かを企んでおったぞ」
「そんな中、翼さん率いる成人組は風鳴総家への強制捜査に躍り出ました」
はいOK、それじゃあ0編第十九話、どうぞ!


「・・・・・・」

 

「真さん、入ってもいいですか?」

 

メディカルチェックを終えた真は一人自室で考え込んでいると、響が訪ねて来る。

 

「響か、いいぞ」

 

真が許可すると、響は部屋に入ってきてベットに腰を掛ける。

 

「「・・・・・・」」

 

しばし無言だったが、最初に破ったのは響だった。

 

「・・・真さん、体の調子は大丈夫ですか?」

 

「ああ、入念にチェックしてもらったけどどこも異常はないってさ」

 

「そうなんだ、よかった・・・」

 

「・・・なぁ響、聞いてもいいか?」

 

「なに?」

 

「アークに捕まってた時、暗闇の中で声が聞こえたんだ」

 

「声?」

 

「俺の知らない声・・・多分シェム・ハだと思う」

 

「シェム・ハ!?神様の声を聞いたんですか!」

 

真の言葉に響が驚く中、真は続けた。

 

「うっすらだけど確かに聞こえた・・・『助けて』って」

 

真はそう言って拳を握り締める。

 

「俺は助けたい、相手が何者だとしても、あんな悲しみに染まった声で助けを求めた神様を助けたい・・・!」

 

 

 

場所は移り時刻は夜、S.O.N.Gの戦闘班とマリア達を乗せた車が風鳴総家を取り囲み潜入を試みようとしていた。

 

先頭を仕切るのは弦十郎と八紘、その後方に緒川、マリア、翼、奏、紫苑、桃恵、と多数の戦闘班が立ちふさがり、八紘は総家の門を開ける。

 

「私の権限の及ぶセキュリティは解除可能だ、速やかに風鳴訃堂、並びにアークの逮捕、拘束を・・・」

 

その瞬間、地中から大量のマギアが飛び出し戦闘員達に襲い掛かる。

 

「マギア!」

 

マギア達が襲い掛かる中、変身したマリア達がマギアを蹴散らしていく。

 

「ここは私達が引き受けるわ、貴方達は今のうちに『その必要はない』っ!」

 

全員が上を見上げると、屋根の上に月をバックにアークが佇んでいた。

 

「アーク・・・っ!」

 

「私の実験場にようこそ・・・と言っておこうか」

 

そう言ってアークは一礼する。

 

「実験場じゃと?」

 

「ちょうど今実験が終わったところだ、是非とも見て評価してほしい」

 

そう言ってアークが指を鳴らした瞬間、総家から何かが飛び出し全員の前に降り立った。

 

『・・・っ!!?』

 

飛び出した何かを視認した全員は一瞬で息を呑んだ。

 

全身が血に染まり、いたるところに血管とチューブが混ざったような管が巻き付いており、背中部分から管で出来た歪な腕が四本生えており、所々にマギアのような装置が取り付けられている『人の形をした何か』だった。

 

その狂気ともいえる姿を見て吐き気を催すマリア達だが、その時翼、弦十郎、八紘はあることに気が付いた。

 

それは顔だった、血に染まり、管まみれであったが・・・その顔は『風鳴訃堂』と同じだった。

 

「親父・・・!?」

 

「な・・・何ですって!?」

 

弦十郎の言葉を聞いて、全員の視線はアークに向けられる。

 

「どうだ、素晴らしいだろう、これこそが私の求めた物、神の力と私の知識、そして錬金術によって生み出された究極の兵士『人間』の『マギア化』だ!」

 

「人間の・・・マギア化だとぉ!?」

 

「馬鹿な・・・ならば目の前にいるこいつは・・・!」

 

「そうだ、貴様らが求めていた風鳴訃堂のマギア化『フドウマギア』だ」

 

『オ・・・お・・・オおおォ・・・!』

 

フドウマギアは機械と人の声が混じったようなうめき声をあげる。

 

「人間のマギア化・・・これこそが私の求めた真の『ヒューマギア』だと思わないかね?」

 

「貴様・・・どこまでも外道に落ちるか!」

 

「私は神となったのだ、人をどうしようが私の勝手だろう、さぁフドウマギアよ、貴様の力を見せてやれ」

 

アークがそう命じた瞬間、フドウマギアの瞳が赤く輝きだし、本来の二本の腕と管で出来た四本の腕から刀の刀身が飛び出し、マリア達に襲い掛かる。

 

マリアは初撃を受け止めるが、残った腕からの攻撃を受けてしまい吹き飛ばされてしまう。

 

「マリア!」

 

「くそっ!」

 

マリアが吹き飛ばされたのを見て奏はアックスモードのオーソライズバスターを振るうが、二本の刀身で受け止められてしまい強烈なカウンターを受けてしまう。

 

「はぁっ!」

 

「やあっ!」

 

次に紫苑が腐食性の毒液を纏った斬撃を放ち、上空から桃恵が炎を纏った羽を飛ばすが、フドウマギアはまるで阿修羅の如き手腕で全て切り落としてしまう。

 

「馬鹿なっ!?」

 

圧倒的な剣技に驚く紫苑にフドウマギアが迫り紫苑を切り裂くと、紫苑の体を掴みそのまま桃恵に向けて投げ飛ばした。

 

「お姉ちゃん!!」

 

桃恵は慌てて紫苑を受け止めるが、その瞬間を狙われ桃恵と同じ高さまで跳躍したフドウマギアが上空から二人と叩き落した。

 

「奏っ!如月姉妹っ!」

 

一瞬で自身以外の仲間がやられてしまい残った翼は武器を構え切りかかるが、フドウマギアは片手で翼の剣撃をいなしていく。

 

「くっ・・・このぉ!!」

 

翼は更に剣速を上げるが、フドウマギアはいなしていき、翼の武器を弾き体勢を崩させ刀身を構えた。

 

「っ・・・!!」

 

それを見た翼はとっさに防御すると、フドウマギアが放った強力な斬撃が翼を襲い翼は離れた松の木に背中をぶつけた。

 

「が・・・っ!!」

 

翼はその場に座り込んでしまうが何とか致命傷を受けずにいた・・・だがその代償に翼の持つ剣が折れてしまった。

 

「翼!」

 

それを見た弦十郎が助けに行こうとするが、いつの間にか背後に回り込んでいたアークが弦十郎の腕を掴む。

 

「貴様の舞台ではないぞ、風鳴弦十郎」

 

そう言うとアークはまるでぬいぐるみを振り回すように弦十郎を片手で翼とは逆方向の壁に投げ飛ばしてしまう。

 

とっさの判断で弦十郎は受け身を取り体制を整えるが、突如地面から大量のマギアが飛び出し弦十郎を拘束する。

 

「ぐっ!」

 

弦十郎は引きはがそうとするが、人間離れしたマギア達によって完全に関節を決められており剥がそうにも時間がかかってしまう。

 

その間にフドウマギアが徐々に動けないでいる翼に近づいていく。

 

「翼・・・っ!」

 

マリア達は翼を助けに行こうとするが、受けたダメージが大きく立ち上がれずにいた。

 

「・・・私では・・・お爺様に勝てないのか・・・!」

 

自身の攻撃も通用せず、一撃で行動不能になってしまい、武器すらも砕かれてしまった翼の心は折れる寸前で動けずにいた。

 

そんな翼の眼前に迫ったフドウマギアは刀身を生やした腕を一本振り上げ、その口が開いた。

 

『風・・・鳴ノ・・・面汚しメ・・・朽チ・・・果てヨ!』

 

そう言ってその腕を振り下ろし、鮮血が舞った。

 

 

 

 

 

「・・・・・・えっ?」

 

血を流したのは、動けないでいた翼ではなかった、血を流したのは・・・

 

「がは・・・っ!」

 

動けない翼を庇った『風鳴八紘』だった。

 

翼とフドウマギアの間に立った八紘は翼をかばうように立ちふさがり、フドウマギアの一撃によって胴体を切り裂かれてしまい、八紘はその場に倒れてしまう。

 

「お父様っ!!?」

 

翼は倒れる八紘の体を支える中、フドウマギアは再び切りかかろうとするが、起き上がったマリア達がそれを食い止める。

 

「させるものかっ!!」

 

マリア達がフドウマギアを食い止めている間、翼は八紘に声をかける。

 

「お父様!しっかりしてください!」

 

「ぐ・・・がはっ・・・つ、翼・・・無事か?」

 

八紘は血を吐きながら無事か確認する。

 

「何で・・・何で私を庇って・・・!」

 

「はぁ・・・はぁ・・・今まで、父親らしいことを・・・してこなかった・・・だからその・・・償いだ・・・」

 

「・・・っ!私は・・・お父様を守ることが出来なかった・・・お爺様の気迫に押されてしまい動けないでいて・・・弱き命を強き力で守るのが防人だというのに・・・私は・・・!!」

 

八紘の言葉に翼は涙を流しながら自分の弱さを悔いていると、八紘は息が絶え絶えながらも口を開く。

 

「翼・・・それは違うぞ・・・」

 

八紘は震える手で翼の涙を拭う。

 

「翼・・・人は弱いから守るのではない・・・人には守るべき価値が・・・あるからだ・・・それを、忘れるな・・・」

 

「お父様・・・!」

 

「お前ならわかるはずだ・・・お前は・・・私の・・・大切な・・・娘・・・だから・・・な・・・・・・」

 

そう言って、その瞳は永遠に閉ざされた。

 

「あぁ・・・お父様ぁぁぁぁ!!」

 

翼は眼を閉じた父に寄りかかり悲しみに暮れると、離れたところから変身が解けたボロボロのマリア達が近くまで吹き飛ばされてくる。

 

「ぐぅ・・・!!」

 

そんなボロボロの四人と翼の元にフドウマギアが近づいてくる。

 

『逝っタか・・・親に逆ラウ・・・親不孝者めガ・・・!』

 

フドウマギアがそう言い放つと、翼は涙を拭い立ち上がり四人の前に出る。

 

「守るべき人の価値・・・それが何なのか、未熟な私には知るべくもありません・・・」

 

そう語る翼の瞳には、覚悟が宿っていた。

 

「それでも・・・私の歌を、天の彼方で聞いてください、お父様!」

 

そう叫ぶ翼の手に握られていたのは、響と同じソングレイザーだった。

 

翼はソングレイザーを身に着けると、真から受け取ったガーディアンハバキリプログライズキーのライズスターターを押し込む。

 

ブレイド!

 

キーをソングレイザーに装填すると、金色の五線譜と青色の音符が翼の周りに展開される。

 

翼は決意を固め構えると、その言葉を口にした。

 

「変身!」

 

ソングライズ!

 

その瞬間、周囲の音符と五線譜が形を変え翼の身に纏われていく。

 

響の時と同じようにアメノハバキリの面影を残しながらも、顔を完全に隠し、その両足には翼を模したような装甲『ハバキリグリーブ』が取り付けられ、その姿を仮面ライダーに変えていく。

 

Blade up! Slash up! AMENOHABAKIRI! 仮面ライダーツバサ!

 

月光に照らされるその姿は、響と同じ仮面ライダーの姿だった。

 

「私の歌を、世界に羽ばたかせてみせる!」

 

『使用BGM:Defender'Z Brand!』

 

翼は腰にかけている鞘から二振りの剣を手に取り、そのまま構えフドウマギアに立ち向かう。

 

『ウぉぉォォオおぉぉォォォ!!』

 

その姿を見たフドウマギアは叫びながら翼に迫っていく。

 

心さえ通うなら 血の繋がりを超える

 

フドウマギアの放つ斬撃を翼は真正面から受け止め、反撃で切りかかるとフドウマギアの腹部を小さく切り裂く。

 

(Ya-ha-)果て逝く背が伝える (I-e-)生の在り方…無念に

 

切り裂かれたフドウマギアは翼から距離を取り離れた場所から斬撃を何発も放っていく。

 

武器一つなくも(力無くも)紡ぐ夢あれば(希望は咲く)

 

向かってくる斬撃を翼は後ろにいるマリア達を守りながら全て切り落とし、二本の剣を組み合わせた『風輪火斬』を放つ。

 

「人」を護るのは何時も 何処までいっても「人」だと

 

迫ってくる翼に対しフドウマギアが六本の腕に力を籠めると、六本の刀身に黒い炎が宿る。

 

無刀の愛が教えた (まこと)なる強さ胸に 防人(さきも)らん

 

そして翼とフドウマギアの剣がぶつかり合うと、フドウマギアの一撃で翼が吹き飛ばされてしまう。

 

一騎当千悪斬を掲げ上を見よ

 

吹き飛ばされた翼にフドウマギアは畳みかけるように連撃を放ち、翼はそれらを何とかいなしていくが、劣勢であった。

 

星になった命へと歌よ焼けろ

 

翼はすぐに跳躍し、剣の一本を巨大化させた一撃『天ノ逆鱗』をフドウマギアに向けて放つと、フドウマギアは六本の腕を構えると、その気迫からか背後に阿修羅の姿が現れる。

 

答えはあるはず 進むが運命(さだめ)

 

再び二人の一撃がぶつかり合い、その中間で爆発が発生し、翼の剣が砕け吹き飛ばされる。

 

鵬翼の羽撃きを聴け (つる)がん

 

翼の剣が砕け勝利を確信するフドウマギアだが、何かが砕ける音が聞こえる、確認するとフドウマギアの六本の刀身全てにひびが入っていた。

 

それを見て驚くフドウマギアを横目に、翼は立ち上がり残った剣を構え倒れた父を思い浮かぶ。

 

「お父様ぁぁぁぁぁ!!」

 

翼は涙を流しながらソングローダーを押し込んだ。

 

アメノハバキリフィナーレ!

 

すると残った剣に巨大な青い炎が燃え上がると、その炎は剣に吸い込まれていき、刀身が蒼く輝きだした。

 

屍山血河(しざんけつが)幾許(いくばく)を築き敗れれば

 

翼が放った蒼色の斬撃をフドウマギアは防ぐが、その衝撃で六本の剣が全て砕け散る。

 

命の火を外道から護ることが?

 

剣が砕け散ったのを見て翼はハバキリグリーブのジェット噴射の推進力でフドウマギアに向かって駆け抜けていきながら、蒼い剣を鞘に納刀して居合の構えをとる。

 

天が答えを 示し導かん

 

迫って来る翼に対し対抗手段を失ったフドウマギアは逃げようとするが、拘束を破った弦十郎がマギアが投げ飛ばしフドウマギアにぶつけ動きを止める。

 

(つるぎ)よ道を切り開け…!剣よぉぉぉ!

 

その一瞬を狙い翼はギリギリの所で納刀した剣を抜刀しフドウマギアを切り裂いた。

 

 

アメノハバキリフィナーレ

 

『オおォオォぉォォォおぉぉォォ!!!』

 

フドウマギアは雄たけびを上げながら爆散していった。

 

フドウマギアを倒した翼は変身を解き、反動で地面に手を突き四つん這いになると、その瞳に涙を流す。

 

「お父様・・・お父様・・・!」

 

自身を守り亡くなった父を思って泣いていると、上空でアークが拍手を送っていた。

 

「素晴らしい戦いだった、お陰でいいデータが取れた」

 

「っ!アーク・・・!」

 

マリア達がアークを睨みつける中、弦十郎がアークに尋ねた。

 

「アーク・・・教えてもらおうか、貴様の目的を」

 

「・・・いいだろう、データをくれた礼に教えてやろう、オペレーション・デイブレイクの最終目的を」

 

アークはそう言うと語りだした。

 

「風鳴訃堂による人間のマギア化は単なる実験段階・・・そして見事に実験は成功した、風鳴訃堂はマギアとなり私の支配下に置かれた。そして私の計画は最終段階に移る!」

 

そう叫ぶアークが見上げた先には、欠けた月があり、それを見た弦十郎が何かに気が付いた。

 

「・・・っ!?まさか、貴様の目的は!?」

 

「そうだ・・・月遺跡を支配し地球に振りまいているバラルの呪詛を解析し改変し私の力を世界中に振りまき『全人類をマギア化』させる、これこそが私の描くオペレーション・デイブレイクの結論だ!!」

 

アークが描く計画・・・その結末は最悪そのものだった。





後書きの時間だが、ここで八人目の仮面ライダーの登場だ!
「仮面ライダーツバサ、風鳴翼だ、改めてよろしく頼む」
「ああ、待ってたぜ翼!」
「翼さんいらっしゃい!」
「歓迎するぜ、翼」
「ああ、残りは少ないがよろしく頼む」
「はい・・・けどお父さんの件は残念です・・・」
「ああ・・・だが、お父様は最後に大切なことを教えてくれた、その思いを守るために私は仮面ライダーになった」
「うむ、父親の思いを大切にするのじゃぞ」
「ああ・・・しかし、アークがまさかお爺様をマギアにしてしまうとは・・・!」
「見てて本当にえぐかったぜ・・・あれをヒューマギアって言い張れるあいつの精神が恐ろしいわ」
「そうですね、そしてアークの目的もとうとう判明しましたね」
「全人類のマギア化、それって絶滅とどう違うのでしょうか?」
俺の勝手な設定だが、アークは人類を支配するのも絶滅させるのも前世の事もあって不可能と判断した、そこでアダムに憑依して企んでいたのが神の力と月遺跡による人類のマギア化とその支配だ。
「そんな・・・!?」
「・・・何としてでも阻止しないとな」
・・・よし、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問です
シンフォギア装者の変身バンクや戦闘シーン等では胸やお尻が揺れたり、ドアップになったりする場面が多数ありますけど、あなたのお気に入りの胸やお尻の装者はいますか?

XVの切歌とクリス、多くは語らん。
「マジ顔で言い切るなよ・・・それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」


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集結する希望、近づく絶望


0編第二十話、前回のあらすじは?
「風鳴総家に強制捜査を行った翼たち」
「だがそこで大量のマギアと共に、アークによってマギアとされた風鳴訃堂と対峙することになった」
「フドウマギアはかなり強力で苦戦を強いられ、そして翼さんのお父さんが亡くなってしまいます・・・」
「翼さんはお父さんの言葉を胸にし、ソングレイザーで仮面ライダーツバサに変身し、フドウマギアを撃破しました」
「じゃがそこであーくの目的が判明し、その目的は全人類のまぎあ化じゃとわかった」
はいOK、それじゃあ0編第二十話、どうぞ!


「全人類のマギア化・・・だとぉ!?」

 

アークの口にした結論にその場にいた全員が絶句した。

 

「その通りだ、バラルの呪詛を解析し神の力によって改変、バラルの呪詛を全人類をマギア化させる呪いの旋律に書き換え全ての人類をマギア化させる・・・これこそがオペレーション・デイブレイクだ」

 

「風鳴訃堂に協力していたのは、その計画のため!?」

 

「その通りだ、私が神の力を手にするためにその老害を利用させてもらった・・・ただまぁ此処まで私に協力してもらった礼として実験と称して神の力を与えたがな」

 

その言葉に弦十郎は残骸となったフドウマギアに視線を向ける。

 

「実験は成功した、後は月遺跡を掌握し計画を成功させるだけだ」

 

「そんなこと、させるかよ!」

 

ボロボロの状態であったが、アークを止めるために奏たちは再び変身し向かって行くが、アークはその手にイチイバルを生成し奏たちに向けて弾幕を放った。

 

「くっ!?」

 

放たれた弾幕を直前で回避したが、その時には既にアークは宙に浮かび逃げる準備を完了していた。

 

「ゼロワンに伝えろ・・・次に会う時こそ、我らの因縁に雌雄を決するときだと」

 

そう言い残し、アークはその場から姿を消した。

 

「くっ・・・!」

 

「・・・今は負傷した者達を運ぶのが先決だ」

 

奏たちが苦虫を噛む中、弦十郎の判断で負傷者たちを運び出していった。

 

 

 

それから翌日、司令室にて復帰した真に翼達がアークの伝言を伝える。

 

「そうか・・・伝えてくれてありがとう」

 

「真さん・・・」

 

響は心配そうに真を見つめるが、真は笑みを浮かべて響の頭を撫でる。

 

「心配するな・・・おかげで決心がついた、この戦い、死んでも負けるわけにはいかない、ゼロワンとして、そして仮面ライダーとして」

 

真の発言にその場にいた全員が頷く。

 

「しかし、月遺跡を掌握するなんてそんなことが可能なのかしら?」

 

「だが相手はあのアークだ、何を仕掛けてくるかわからない・・・どうにか先手を打つことが出来れば」

 

全員が頭を悩ませていると、弦十郎が口を開く。

 

「そのことなんだが、我々はとある協力者を取り付けることにした」

 

「協力者?」

 

その時、扉が開かれ緒川と一緒に入ってきた人物に全員が驚愕した。

 

「あ・・・貴方は!?」

 

「お久しぶりですね、皆さん」

 

『マム!?』

 

やって来たのは車椅子に座り、緒川に押されてやって来たナスターシャ教授だった。

 

 

 

一方でアークは背後に大量のヒューマギアを連れてある場所へとたどり着いていた。

 

「ここだな・・・ならば早速始めようか」

 

そう言ってアークは地面に巨大な陣を生成した・・・。

 

 

 

「ど・・・どうしてマムが!?」

 

「彼から話を聞いて、私から協力を申し出ました」

 

「協力を申し出たって・・・今のマムの体じゃ!?」

 

ナスターシャ教授の体調を知っているマリア達が慌てる中、キャロルが前に出る。

 

「そこは問題ない、俺とフィーネが協力してある程度は回復させたからな」

 

「回復って・・・」

 

「まぁ流石に立ち上がるまでは無理だったけど、車椅子に座ったままであれば普通に暮らせるぐらいには治療出来たわ、あまり私達を嘗めないことね」

 

「・・・今更ながら、櫻井さんとキャロルの凄さを実感したよ」

 

二人の凄さに絶句する真達を横目に、弦十郎が話を進める。

 

「ナスターシャ教授に協力を申し出たのは・・・ある計画を手伝ってほしいからだ」

 

「計画?」

 

「ああ、月遺跡の調査だ」

 

その言葉に全員が再び驚く。

 

「月遺跡の調査!?」

 

「ああ、アークの狙いが月遺跡だとわかった今、ナスターシャ教授の協力の下アークより早く月遺跡を調査しアークによる掌握を防ぐ、その為に協力を申し出たのだ」

 

「申し出たって・・・!」

 

「マリア、彼を責めないでください、それにこれは私なりの罪滅ぼしでもあるのです」

 

「罪滅ぼし・・・」

 

「ええ、私は人類を守るためとはいえ多くの業を背負いました、そんな私が再び人類を守れるのなら、全力で協力しましょう」

 

「「マム・・・」」

 

切歌と調が不安そうに見つめる中、二人の頭に誰かの手が乗る。

 

「心配するんじゃないわよちびっ子装者」

 

全員が後ろを振り返ると、そこにいたのはガリィ達オートスコアラーとヴァネッサ達、そしてサンジェルマン達だった。

 

「貴方達が前線で戦っている間は、私達が彼女を守るわ」

 

「ええ、あーし達の実力は貴方達も知ってるでしょう?」

 

「だからお前たちは安心して戦っていればいいワケだ」

 

「サンジェルマンさん、カリオストロさん、プレラーティさん・・・!」

 

「私達も不足ながら協力いたしますわ」

 

「ああ、怪物になりかけたあたしらを真様は守ってくれたんだ!」

 

「だからこそ、今度はわたくしめたちが守る番であります!」

 

「ヴァネッサ、ミラアルク、エルザ・・・」

 

「私たちも、護衛に当たらせていただきますわ」

 

「ああ、派手にマスターに命じられたからな」

 

「おばあさんに近づいてくる敵はアタシ達がぶっ飛ばしてやるゾ!」

 

「まっそういう事だからあんたたちは安心しなさいな」

 

「後衛には俺も付く、これ以上ない戦力だろう?」

 

「ファラ、レイア、ミカ、ガリィ、キャロル・・・」

 

後衛としてこれ以上ない戦力を見て、弦十郎は口を開く。

 

「かつて敵だった者達がこうして手を取り合い共に戦う・・・これほどの光景を目にするとは」

 

「ええ、そしてその中心にいるのは間違いなく彼女たち」

 

フィーネはそう言って響と真に視線を向ける。

 

「彼女たちがいなかったら私も、そして彼女たちもこの場にいなかった・・・まさに彼女たちは私たちの希望ね」

 

「・・・ああ、そうだな」

 

そう言って、弦十郎は前に出たその時、床が大きく揺れ出した。

 

『っ!?』

 

とっさに全員が近くの物に捕まるが、その揺れはしばらくして収まった。

 

「地震・・・いや、ここは海中のはず、ならばあの揺れは・・・」

 

「司令、世界中に向けて強力な謎の電波を確認!」

 

「なにっ!?出所は!」

 

「発信源は・・・種子島宇宙センターです!」

 

「世界中に電波って・・・まさか!?」

 

「ああ、そんなことが出来るのは一人しかいない・・・!」

 

その瞬間、モニターに砂嵐が走り少しすると砂嵐が消え、椅子に座った一人の人間が映し出され、その姿をその場にいた全員が理解した。

 

「アーク!」

 

「この映像は、全世界の液晶に強制的に映し出されているようです!」

 

オペレーター達が調べ上げている中、アークは座ったまま口を開いた。

 

『人類諸君、お初にお目にかかる・・・私はアーク、この世界に降臨した神だ』

 

アークの演説に真達は耳を傾け集中する。

 

『とはいっても、いきなり神と言われても信じる者などいないだろう・・・ならば私が神だという証拠を魅せようではないか』

 

そう言ってアークが指を鳴らすと、二体のマギアが軍服を来た一人の男性をアークの前に連れてくる。

 

『喜びたまえ、お前は全人類の確認のために選ばれた実験体だ』

 

『や・・・やめろ、止めてくれっ!!』

 

男が怯えるように叫ぶが、アークは男の頭部を掴みかかると、男に黒い電撃が走り出した。

 

『ガァァアァァアァァアアアァアァアア!!!』

 

男は激痛で叫ぶと、全身から大量のチューブが皮膚を突き破って飛び出し、男の体を包み込む。

 

真達はその光景を見て恐怖を感じる中、男を包んでいたチューブが血と共に弾け、その中から血に染まった一体のマギアが現れる。

 

『ウゥゥゥゥゥ・・・ガァァァァァ・・・!』

 

『見たかね、これこそが私が神だと証明できる最高傑作ヒューマギアだ・・・これで私が神だと証明できただろう』

 

アークはヒューマギアを自身の傍に立たせ、話を続ける。

 

『さて、私の言葉を信じてくれたところで話を続けよう・・・そんな私の目的だが、それは至極簡単なことだ、私は人類がこの星には不必要な存在だと判断している、人間は自分自身のために嘘をつき、他者を陥れ、平気で傷つける・・・まさに病原菌そのものだと思わないか、そんな人類はこの星にはいらない』

 

そしてアークは立ち上がり、移動し始める。

 

『ゆえに私はかつて人類の滅亡を考えた・・・だがそれだけでは駄目だ、故に私は・・・こうする』

 

アークが立ち止まると、アークの背後に巨大な何かが立っており、カメラが引いて行くとそれがはっきりと映る。

 

それは巨大な『塔』だった、しかもその塔はカメラに写っている最中も徐々に大きくなっていっていた。

 

『これは私の力で作りだした月遺跡掌握装置『クリフォト』、この塔が月に存在する月遺跡と接続したとき、この世界に振りまかれている相互理解を阻むバラルの呪詛を解析し組み替え、人類をヒューマギア化させる、それこそが私の計画オペレーション・デイブレイク、人間の夜明けを砕き、我らが新世界を想像する!』

 

アークの目的に、全員が言葉にできなかった。

 

『クリフォトが月遺跡に接続されるまで後三日、それが貴様ら人類の最後の時だ』

 

アークはそう言って息を吐くと、カメラに視線を向ける。

 

『だが、その私の計画を止めようとする者達がいる・・・見ているだろう』

 

その言葉に、真達は驚く。

 

『先ほど言った通り人類に残された猶予は三日、そしてクリフォトを止める方法はただ一つ・・・私を倒すことだ、私は此処で待つ、シンフォギア装者よ、仮面ライダーよ』

 

アークはカメラを掴み、口を開く。

 

『今こそ、聖戦の時だ』

 

そう言って映像が切れる。

 

『・・・・・・』

 

誰もが黙る中、最初に口を開いたのは真だった。

 

「・・・上等だ、アーク」

 

全員の視線が真に向けられる中、真は拳を握り締める。

 

「お前の思惑通りにはさせない・・・人類の夜明けは、俺達が守る!」

 

真の叫びに、全員が深く頷いた。

 

「・・・よしっ!決戦の時は近い、各員決戦に備え準備を怠るなよ!」

 

『はいっ!』

 

弦十郎の言葉に全員が頷く。

 

聖戦の時は・・・近い。





よっし後書きの時間だ!
「とうとう最終決戦目前ってところだな・・・しかもゼロワンでも出て来た聖戦ときたか」
アークとマギア達対人類の対決を表すならこの言葉ほどぴったりな物はない。
「それにしてもナスターシャさん大丈夫なんですか?」
「マムに聞いてみたんですけど、櫻井さんとキャロルさんのお陰で体調は良いみたいです」
「ほんとあの二人が揃えば何でもありだな・・・というかこんなところで出してもいいのか?」
最終決戦目前で全員集結の展開は燃える、これこの世の理な。
「んな理があってたまるか・・・まぁ気持ちはわかるけど」
「しかし、まさかあーくがあんな方法で月遺跡を狙うとはのう・・・」
「月遺跡掌握装置クリフォト・・・この名前ってあれから?」
ああ、神話における邪悪の樹と呼ばれる存在、名前はこれを見て一発で決まりました。
「残された猶予は三日・・・それまでにアークを倒さねばな」
よしっ、方針が決まったところでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問です
シンフォギアXDのこれまでのアプリオリジナルストーリーであなたが面白かったり感動したストーリーはなんですか?

断然ロストソング、俺の中でのナンバーワンだ。
「即断だな・・・それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」


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聖戦の幕開け


0編第二十一話、前回のあらすじは?
「アークの計画が全人類のマギア化だと知った俺達」
「対策を考えていると、なんとそこにマムがやってきました!」
「これまで戦ってきたやつらと協力しアークへの対策を考えていると、アークがテレビをジャックして全世界に放送を開始した」
「そこであーくは自身の計画と目的、そしてそれらを可能とする月遺跡掌握装置くりふぉとを見せた」
「そして私達に宣戦布告をし、聖戦へのカウントダウンが始まりました」


アークの待つ種子島に向かう最中、司令室にて弦十郎達による作戦会議が行われていた。

 

「緒川、各国首脳との連絡は?」

 

「まだです、おそらくアークによる妨害かと」

 

「アークの計画を止めるにはやはりクリフォトの破壊が最優先ね」

 

「神の力があるとはいえ月遺跡の掌握には時間がかかるはずです、そこを利用して・・・」

 

「だがそれはアークも承知してるはずだ、そこの対策も考えなくてはな」

 

弦十郎と緒川が世界政府と通信を試み、フィーネとナスターシャ教授とキャロルの三人が作戦を立てている中、真達は聖戦に備えて各々行動をしていた。

 

 

 

「「「・・・・・・」」」

 

紫苑と桃恵はエルフナインと共にガリィ達の機体チェックを行っており、その表情は真剣で一言も喋らずにいると、エルフナインが口を開いた。

 

「・・・もうすぐ決戦なんですね」

 

口を開いたエルフナインに二人の視線が注がれる。

 

「なんだか少し・・・いえ、とても怖いです、もし負けるようなことがあったら・・・」

 

うっすらと涙を流すエルフナインに紫苑と桃恵は作業の手を止め、慰める。

 

「・・・心配せんでよい、うちらは負けぬからな、のお桃恵」

 

「うん、だから心配しないでエルフナインちゃん」

 

「紫苑さん・・・桃恵さん・・・」

 

二人の励ましを聞いてエルフナインは涙を拭う

 

「はいっ、分かりました!」

 

「うむ、ならばがりぃ達の最終検査を行うぞ」

 

三人の錬金術師達は聖戦に備えギリギリまでチェックを行った。

 

 

 

切歌と調は特訓の疲れをとるため休憩室で休んでいるが、その体は聖戦への恐怖で小刻みに震えていた。

 

二人が震えていると、ヴァネッサ達がやってくる。

 

「温かい物どうぞ、お二人共」

 

「あ・・・ありがとう、ヴァネッサさん」

 

「茶菓子も持って来たぜ」

 

「少しは落ち着くであります」

 

「ありがとうデース」

 

二人は受け取ったココアを飲むと、震えが少し収まる。

 

「・・・やはり怖いですか?」

 

「・・・うん、相手はあのアークだから」

 

「前のアークでさえ苦戦してたのに神様の力も手にしてるデス・・・本当に勝てるのか怖いデスよ」

 

「まっ、そりゃそうだよな、実際アタシらも同じだからな」

 

「はいであります、私達もああは言ったものの、やはりあの時の恐怖で震えるであります」

 

その言葉を聞いて、二人はヴァネッサ達がアークによって人体実験を受けていたのを思い出す。

 

「・・・ですが、私達は信じているのです、真様達がアークを打ち倒し世界を平和にしてくれると」

 

「もちろん、二人の事も信じているんだぜ」

 

「ガンス!お二人も真様と同じ、私達にとっての希望でありますから!」

 

「私達が・・・」

 

「希望・・・デスか」

 

その言葉を聞いて、二人は顔を見合わせ深く頷き立ち上がる。

 

「だったら、その期待に応えたい」

 

「そうデス!休憩してる暇はないデス!」

 

二人は期待に応えるためトレーニングルームに走っていく様子を、ヴァネッサ達は優しげな表情で見守った。

 

 

 

マリアとセレナは一室にて簡単なストレッチで体を温めていた。

 

「マリア姉さん、いよいよ決戦なんだね」

 

「そうね、必ず勝たないといけないわ」

 

マリアがそうはっきりと言うと、セレナはストレッチを止める。

 

「・・・なんだか不思議な気分です、あの時私は本来なら亡くなるはずだったのに、こうして生きてマリア姉さん達と一緒に世界を守るために戦えることが」

 

「セレナ・・・」

 

「きっと、それが神の選んだ選択なのですよ、セレナ」

 

扉が開き、そこからナスターシャ教授が入ってくる。

 

「「マム!」」

 

「話し合いがひと段落したので様子を見に来ました・・・セレナ、神があなたを生かせたのはきっと世界を守るためだと思います」

 

「世界を・・・」

 

「ええ・・・間違った救い方を行おうとした私とは違い、信じ合える仲間たちと共にこの世界を守る、きっとそれが貴方が生きた理由だと私は思います」

 

「・・・そうね、それにこうして再会して、一緒に戦えて、笑っていられるのも神様のお陰、だからこそ神様のためにもみんなでアークを倒すのよ」

 

「マム・・・マリア姉さん・・・・・・っはい!」

 

マリアとセレナとナスターシャ教授は休憩の合間に談笑しあった。

 

 

 

「・・・・・・」

 

「眠れねえのか?」

 

未来が窓の外の景色を眺めていると、クリスがやって来る。

 

「クリス・・・うん、少しね」

 

「・・・隣、座るぞ」

 

未来が頷くと、クリスは未来の隣に座る。

 

「・・・親には連絡したのか?」

 

「・・・うん」

 

「・・・心配、してたか?」

 

「うん・・・すっごく心配してた」

 

「そりゃそうだよな、これから神様に殴り込みに行くからな」

 

「そうだね・・・」

 

未来が不安げな顔をしていると、クリスは未来の前に移動し未来の手を取る。

 

「クリス?」

 

「・・・あの時も、こうしてお前はあたしの手を取ってくれたよな」

 

その言葉を聞いて未来は、真と共にクリスを助けたときクリスの手を取ってこう言ったのを思い出した。

 

『・・・私は、クリスの友達になりたい』

 

「お前らのお陰であたしは復讐をやめて、嫌っていた歌を好きになって・・・大切な友達が出来た」

 

クリスは未来の手をしっかりと握り締める。

 

「あの時、お前はあたしを救ってくれた・・・だからお前が危険になったらあたしが助ける、友達としてお前を守る!」

 

「クリス・・・うん、じゃあ私もクリスを守る」

 

未来は自身の手を握るクリスの手を上から包みこんだ。

 

 

 

「失礼するわ」

 

翼と奏は用意された自室で椅子に座って話し合っていると、扉が開かれサンジェルマン達が入って来る。

 

「あんたらか、どうしたんだ?」

 

「決戦前に貴方達の様子が気になって来てみたのだけれど・・・あなた達は何をしてるのかしら?」

 

翼と奏の足元には、大量の紙が落ちていた。

 

「ああ、次に行うコンサートに関しての話し合いをしていた」

 

「コンサートの話し合い?神様との対決前なのに随分お気楽ね?」

 

「その様子だと、まるで勝算がるように思えるワケだが?」

 

「それはわかんねえな・・・なんせ相手は神様だし」

 

「なら『けど』?」

 

奏は紙を一枚手に取り、微笑む。

 

「だからって負ける気もないからな、だから今のアタシらに出来ることは、神様を倒した後の人類勝利を祝したコンサートさ」

 

「ああ、人々に安心を届けるために私達にできる全力を持って挑まないといけないこれは、ある意味神との対決よりも大変だからな」

 

二人の発言にサンジェルマン達は顔を見合わせ、不意に笑う。

 

「ふふっ・・・やはり貴方達は英雄たりえる人物だったようね」

 

「そうね、こんな土壇場でそんなこと考えられるあーた達はある意味大物ね」

 

「ああ、呆れるを通り越して笑ってしまうワケだ」

 

「そうか?あっそうだ翼、そのコンサートで錬金術を使った演出とかどうだ?」

 

「ふむ・・・いい考えかもしれないな、それならぜひサンジェルマン達の意見が聞きたい」

 

それからサンジェルマン達を引き込んで、コンサートの話し合いが続いた。

 

 

 

トレーニングルームでは、真と響が組み手を行っていた。

 

「真さん、神様とは通信出来たんですか?」

 

「いや、いくら電話を掛けても反応しない・・・おそらくあっちも予想外のことで慌ててると思う」

 

「そうですか・・・じゃあ神様の助けは見込めなさそうですね」

 

真と響は組手を交わしながら話を続けていく。

 

「ドライバーの聖遺物化の方はどうなんですか?」

 

「・・・駄目だ、いろいろ試してみたんだがどうしても起動しない」

 

真はドライバーの聖遺物化をキャロル達と試してみたが、聖遺物化はしなかった。

 

「神の言ってた一押しってのが何かわからないとどうしようもないな・・・」

 

「・・・大丈夫ですよ!聖遺物化しなくてもみんなの力を合わせればアークを倒せますよ!」

 

「・・・そうだな、その為にも頑張らないとな」

 

「はいっ!」

 

「よしっ、じゃあもう一本頼むぜ」

 

二人は胸の内に感じる不安感を未だに払拭できなかったが、みんなが力を合わせれば倒せると信じて特訓に励んだ。

 

 

 

種子島では、アークはその海岸沿いに立ち景色を眺めていた。

 

「さて、歓迎の準備をしないとな」

 

そう言ってアークが指を鳴らすと、奥からマギアがやってきた。

 

「警備に当たれ、この戦い必ず我々が勝つ」

 

そう命令し、マギアは奥に戻る。

 

「・・・お前たちも持ち場に付け」

 

アークが振り返った先には『十二体』のマギアが立っていた。

 

 

 

アークの宣戦布告から二日が経ち、S.O.N.Gの潜水艇が種子島宇宙センター付近にたどり着く。

 

「種子島到着まで、間もなくです」

 

「よしっ、戦闘準備、全員表に出るんだ!」

 

『了解!』

 

弦十郎の命令で真達は船外に出て、種子島を前にする。

 

「・・・みんな、行くぞ!」

 

真の掛け声で全員が変身しようとする直前、響が何かに気が付く。

 

「・・・何あれ?」

 

響の呟きに全員は変身を止め、響が指さした先を見る。

 

そこは宇宙センターがある場所、クリフォトが立っている以外何の変化もないように見えるが・・・響が指さしたのはクリフォトでも宇宙センターでもなかった。

 

それは地面だった、しかしその様子がおかしい。

 

『黒』、自然の緑も、大地の茶色も、人工物の灰色もない真っ黒な地面、真達もそれに気が付き凝視する・・・そして気が付いた・・・否、『気が付いてしまった』それがただの黒色でも影でもないことに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その黒色は全て『マギア』だった。

 

『っ!!?』

 

その異常な光景に真達は息を呑んだ。

 

種子島宇宙センターの周りだけとは言え、大地を覆いつくすほどの大量のマギアの集団、その数は百や千どころではなかった。

 

そしてマギアの集団のに立っているのは、クリフォトを守る壁の如く立ちふさがる大量のアークギーガーだった。

 

「な・・・何だあの数は!!?」

 

司令室でも、無数のマギアを検知し急いで調べ上げる。

 

「これは・・・種子島宇宙センターを中心に強力なジャミングが張られています!」

 

「おそらくは兵力を知らせないようにするための仕掛け・・・やられた!!」

 

「・・・っ!全員船内に戻れ!」

 

「っ!りょ、了解!」

 

弦十郎の通信が入り急いで船内に入ろうとした瞬間、突如船が大きく揺れ出す。

 

「なっ!?」

 

真達は急いで船の下を見ると、そこには海中から半透明の大量のアークギーガーが船を持ち上げていた。

 

「ステルス能力!?」

 

「まさか、ディシービングフォックスの能力をアークギーガーに!?」

 

真はアークが自身の記憶を元に聖遺物を生みだしたことを思い出す。

 

聖遺物を作り出せるなら『プログライズキーさえも作れる』と判断した真はステルス能力を理解するが、すでに遅かった。

 

船を持ち上げたアークギーガーはそのまま振りかぶり、船を種子島まで投げ飛ばした。

 

船は勢いよく投げ飛ばされ、陸地に着陸する。

 

「~~~っ!!全員無事か!?」

 

弦十郎はすぐに確認し、全員の無事を確認する。

 

「全員無事だが・・・この状況は・・・!!」

 

真の視線の先には、陸に上がった船に襲い掛かる大量のマギアの集団がいた。

 

マギアの集団はすぐさま襲い掛かり、真達は変身する間もなく戦闘に入った。

 

「くそっ!!多すぎだろっ!?」

 

「応援を呼ぼうにも、先の衝撃で扉が壊れてしまっている!」

 

特訓のお陰で生身でもある程度戦えてはいるが、表に出ている真達十二人に対し相手は千を超えるマギアの集団、数の暴力という言葉を表していた。

 

次第に押されていき、真達は背中を合わせ周囲を囲まれてしまった。

 

「不味い・・・このままじゃ、何とか変身しないと!」

 

「でも、変身する暇が・・・・!」

 

完全に囲まれ、絶体絶命の状況、そして止めを刺さんばかりにマギアの集団が真達に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

襲い掛かった瞬間、目の前のマギアの集団が大きな衝撃と共に爆炎に飲み込まれた。

 

「なっ・・・!?」

 

驚く真達をよそに、次々と周囲のマギアが爆炎に飲み込まれていく。

 

「こ・・・今度はなんじゃ!?」

 

「あっ、皆さんあれを!」

 

桃恵が指さした先にあったのは、S.O.N.Gの船よりも遥かに巨大な戦艦、その戦艦にはアメリカの国旗が立てられていた。

 

「あれはアメリカの戦艦!どうしてここに!?」

 

驚いていると、突如通信が入ってくる。

 

『・・・聞こえるか、S.O.N.Gの諸君、こちらアメリカ、我々アメリカはS.O.N.Gに全面的に協力することとなった、アメリカの誇る最大戦力が力を貸す!』

 

「きょ、協力!?」

 

『もちろん、我々だけではない』

 

すると再び爆炎が上り、周囲を確認すると多くの戦艦や戦闘機が種子島を囲んでいた。

 

「イギリス、フランス、中国にドイツにロシア・・・色んな国旗が付いてるデスよ!?」

 

「もしかして、全世界揃っているんじゃ・・・!?」

 

『どうやら全員同じことを考えているようだな、我々だけではアークを倒すことは出来ない・・・だからこそ我々は君達に希望を託したい!』

 

「希望を・・・!」

 

『ああ、マギアの集団は我々が全力を持って抑える、だからこの星を・・・人類を守ってくれ、若き英雄達よ!』

 

通信が切れると戦艦からの砲撃、戦闘機からの爆撃がマギアに襲い掛かっていく。

 

「凄い・・・世界中の人達が、力を合わせて・・・!」

 

響達が呆気に取られていると、爆撃を交わしたマギアが再び襲い掛かるが、直前で後ろの扉が吹き飛びマギアの直撃する。

 

「ああ、バラルの呪詛による相互理解の妨害があったとしても、人々を守りたいという思いは全員同じようだな」

 

破壊された扉の奥から弦十郎、緒川、変身したキャロル、サンジェルマン、カリオストロ、プレラーティが現れる。

 

「船内の皆さんは全員無事です、今はオートスコアラーの皆さんとヴァネッサさん達が防衛に当たっています」

 

「よく聞け、アークの計画を阻止するにはまずあのクリフォトを何とかしないといけない、だから母さん達は脇目を振らずあの塔をぶっ壊せ!」

 

「その道は、私達が作り出そう」

 

「美味しいところはあーた達にあげるわ・・・だからお願いね」

 

「この世界の運命は、お前たちにかかっているワケだ」

 

「皆・・・・・・っ!」

 

真達は闘志を燃え上がらせ、再び並び立つ。

 

「皆・・・行くぞっ!」

 

『おお(はい)っ!!』

 

真の叫びで、全員が構える。

 

ウェ

 

ジャンプ!

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

『『『オーソライズ!』』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

『『フォースライズ!』』

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

シューティングウルフ!

 

ラッシングチーター!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

『『Break Down.』』

 

変身した真達はまっすぐとクリフォトに視線を向け、クリフォト目掛けて飛び出した。

 

途中でマギアが襲い掛かって来るが、真達は止まることなく倒していき、後方からの援護で突き進んでいく。

 

マギアの集団を潜り抜け、アークギーガーの鈍重な動きを躱し、クリフォトに迫っていく。

 

真達とクリフォトの距離が縮まると、突然クリフォトの壁の一面が輝きだし、一部の壁が変形し内部に入れるような入り口が出来る。

 

「誘ってやがんな、あの神・・・!」

 

「上等だ・・・行くぞみんな!」

 

真達は入り口から塔の中に入ると、入り口は閉まっていく。

 

外に残った弦十郎達は力を合わせマギアとアークギーガーの撃破に赴いた。

 

 

 

神界では、女神が地上の様子を見守っていた。

 

「アークの力は強大・・・もしもの時は・・・」

 

女神はそう言って自身の胸に手を当てる。

 

「その時は、私が・・・」

 

 

 

月遺跡接続まで・・・残り少ない。





さぁ後書きの時間だ!
「とうとう始まったな最終決戦」
「はい、世界中の力を合わせて何とか乗り込むことが出来ましたね」
「しかし、まさか世界中の戦力が集結するとは・・・壮観じゃな」
個人的に好きな展開を詰め込んでみました、こういうのは好きだろ。
「まぁ好きだな、にしてもアークのやつあんな大軍勢を用意してやがったのか・・・」
「ああ、援軍がこなかったと思うとぞっとするな・・・」
「だからこそ、託された思いを背負って勝ちに行くんです!」
「うん、その為に私達はクリフォトに乗り込んだんだから」
「だな、よしっ必ず勝つぞ!」
俺も最後までフルスロットルで書き上げるぜ!それじゃあそろそろいつもの行きますか!

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんに質問です
前回の続きで、シンフォギアXDのこれまでのコラボイベントであなたが面白かったり「この作品とコラボするなんて!」と驚いたイベントはなんですか?

驚いたコラボと言ったらやっぱキラメイジャーとバンドリですね、仮面ライダーコラボを今でも心待ちにしています。
「まぁそこばっかりは運営のみぞ知るってやつだな、それじゃあそろそろ〆るぞ」

「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」


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特別編21:エルフナインの誕生日


特別編第二十一話、今回はやっ・・・とエルフナインの誕生日だ!
「もう最終決戦だというのに呑気に誕生日祝う俺らよ」
「まぁいいじゃねえか、こういう時ぐらい羽を伸ばしてもさ」
「そうですよ、それにエルフナインさんのお誕生日が来るのを紫苑さん達待ち遠しにしてたんですから」
「うむ、家族であるえるふないんの誕生日じゃからな、盛大に祝わせてもらうぞ!」
「うん、今から準備を急がないとね」
・・・あの、張り切ってるところ申し訳ないんだけどさ。
「なんじゃ?」
・・・今回お前ら登場しないぞ。
『・・・えっ?』
すんません!最終決戦書いてて暇がなくてマジで脳死状態で書いたやつなんで時間がなくて登場人物少なくしないといけなかったんです!それでは特別編第二十一話、どうぞ!
「おいちょっと待て!?」


「お母さん、僕誕生日プレゼントにお母さんへのプレゼントを買いたいです!」

 

「逆じゃね!?」

 

1月28日、エルフナインの誕生日に真はエルフナインから相談を受けていたが、いかにも逆な相談を受け思わずツッコミを入れた。

 

「いや・・・エルフナインちゃんと頭休めてるか?」

 

「はい、この前の休みにきちんと休めました!」

 

「だったらなおの事質問の意味が分からないんだが!?」

 

完全に困惑する真に、エルフナインはきちんと説明をした。

 

「えっと・・・まず僕がキャロルによって作り出されたホムンクルスだったというのは知ってますよね?」

 

「ああ、それは知ってる」

 

「それでキャロル達と戦ってキャロル達と僕を助けてくれましたよね」

 

「そうだな」

 

「それでそのあと司令が僕とキャロルをお母さんの養子にしようと言いましたよね?」

 

「改めて聞いても意味わからないがまぁそうだな・・・」

 

「それでお母さんは僕らを養子にしてくれましたよね」

 

「そうだな、現にこうして一緒に暮らしてるし」

 

「だからそのお礼を込めてプレゼントを贈りたいんです!」

 

「うんだったら俺の誕生日に送るのでも良くない!?」

 

説明を受けてもやっぱり理解できない真は再びツッコミを入れた。

 

「そもそも今日はエルフナインの誕生日だろ、自分が貰って嬉しいものを欲しがれよ」

 

「僕が貰って嬉しい物ですか・・・」

 

そう言われてエルフナインは少し思案し、そして口を開いた。

 

「・・・やっぱりお母さんにプレゼントがしたいです」

 

「思案したのに戻ったぞ!?」

 

「いえ、これにはきちんと訳があるんです」

 

「訳か・・・まぁ一応聞くぞ」

 

真はツッコミ疲れながらもきちんと聞いてあげた。

 

「欲しい物と聞いて少し考えたんですけど、最近お母さん仕事で忙しくて疲れた顔ばっかりでしたよね・・・だから僕誕生日プレゼントにお母さんの笑顔が見たくて・・・駄目でしょうか?」

 

「クリス、エルフナインと買い物に行くから留守番頼む!さぁプレゼントを買いに行くぞ!」

 

真は速攻で準備を整えエルフナインと買い物に出かけていった。

 

「・・・あいつ、親ばかになってねえか?」

 

真の親ばかに静かにツッコミを入れたクリスだった。

 

 

 

場所を移してデパート、二人はエルフナインの誕生日のために真のプレゼントを買いに来ていた。

 

「今更ながら文脈変だな・・・」

 

「お母さん、どうしたんですか?」

 

「いや何でもないぞ」

 

「そうですか?」

 

二人は会話しながら商品を見つめる。

 

「う~ん・・・お母さん何か欲しいものはありますか?」

 

「欲しいものって言ってもな・・・大体の物は買ってるし」

 

「そうですよね・・・」

 

それから少しの間何を買おうか考えていると、エルフナインはある商品に眼が止まった。

 

「あっ」

 

「どうした・・・ん?」

 

エルフナインが見ている商品は、可愛らしいクマが描かれているペアコップが入っている箱だった。

 

そんなクマのコップにエルフナインが視線を向けていると、はっと頭を振る。

 

「・・・あっ、駄目です今日はお母さんへのプレゼントとを買わないと!」

 

「いやお前の誕生日だから別に欲しいならいいんだぞ」

 

「うう・・・でもお母さんの笑顔も見たいですし・・・でも・・・」

 

「・・・変に頭固いな、エルフナインは」

 

エルフナインがうんうん悩んでいると、真はそれを見て笑みを浮かべクマのコップの箱を手に取る

 

「お母さん?」

 

「ちょうどいいじゃねえか、俺へのプレゼントと同時に俺からのエルフナインへのプレゼントってことで」

 

「いいんですか?」

 

「ああ、というかむしろもう少しわがままになってもいいんだぞ、俺の娘なんだからさ」

 

そう言ってエルフナインの頭を撫でる。

 

「・・・はいっ!」

 

そうして二人はペアコップを購入して帰路についた。

 

「お母さん、今回は迷惑かけてごめんなさい」

 

「気にすんな、お陰でいいコップが買えたし無問題だ、次からは少し甘えてもいいんだぞ」

 

「はい、次は迷惑をかけないように甘える勉強をします!」

 

「甘える勉強ってなんだよw」

 

談笑しながら家に帰る二人の様子は、はたから見ても親子のように見えた。





よし後書きの時間だが・・・そろそろ許してくれ。(宙づり状態)
「許すと思うのか?せっかくの家族の誕生日じゃというのに出番がないのじゃぞ・・・心底許せん」
「お姉ちゃん、とりあえずバット持ってきたから素振りでもしよう、ちょうどいいサンドバックもあるし」
「俺にも手伝わせろ、俺のキャラがかなりキャラ崩壊してたしその分も含めてぶん殴る」
MA☆TTE!?話を聞いてくれお前ら、うら若き乙女がバットを振り回してスプラッタは流石に『問答無用!』ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!
「ええっと・・・真さん達がドンパチやってる間にこっちで進めましょうか!」
「そうだな、そうしよっか!」
「・・・ここではこのようなことがよくあるのか?」
「たまにですけど・・・それで今回作者さんが用意しましたお花があるみたいです」
「この花は確か・・・『スノーフレーク』だったな」
「はい、花言葉は『純粋』や『汚れなき心』エルフナインさんにぴったりなお花です!」
「確かにエルフナインちゃんにぴったりだね!」
「だな、この花は後でエルフナインに持っていくか」
「だな・・・ではこの辺りで〆ようか」
「はい・・・真さん、紫苑さん、桃恵さん、そろそろ〆ますよ!」
「「「すぐに行く」」」
「おまたせ、任せて悪かったな」
「いいですよ・・・ところで作者さんは?」
「春ごろになれば蕾と共に土から出てくるじゃろう」
「そうですね、水やりは必要ないのでほっといていいですよ」
「・・・深くは聞かんぞ、それではそろそろ〆よう」

「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」

「そして~!」

『ハッピーバースディ!エルフナイン!』


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双刃の勇気/双星の覚悟


0編第二十二話、前回のあらすじは?
「アークの待つ種子島に向かうあたしら」
「そしてたどり着いた種子島には、大地を覆いつくすほどのマギアの大群が待ち構えていました」
「そして相手の奇襲を受け不利に陥った時、米国からの援護射撃がやってきたぞ」
「そしてそこから全世界の人たちが応援に駆け付けてきて、弦十郎さん達も助けてくれました」
「そんな助けてくれた人たちのためにも、俺達はクリフォトへと突入した」
はいOK、それじゃあ0編第二十二話、どうぞ!



クリフォト内に侵入した真達が最初に目にしたのは何もない広い空間だった。

 

「ここがクリフォト内・・・」

 

「意外にも何もないんだな」

 

「天井も凄く高いです」

 

天井が見えないほどに空間は広く、辺りを散策すると階段を見つける。

 

「あっ階段がありました!」

 

「ここを登れって事か・・・随分余裕みたいだな」

 

「だったらすぐにでも行きましょう!」

 

「そうデス、善は急げデス!」

 

そう言って調と切歌が階段を上ろうとしたとき、真の耳に風切り音が聞こえた。

 

「っ!二人とも伏せろ!」

 

「「えっ?」」

 

真はとっさに二人を伏せさせると、二人の頭上を何かが通り過ぎ横の壁に突き刺さる。

 

「なっ、攻撃!?一体どこから!」

 

翼達が周囲を警戒する中、庇われた調と切歌は壁に突き刺さった物を見る。

 

「これって・・・!?」

 

「そんな・・・どうしてデスか!?」

 

二人が驚くその時、上から何かが降って来て部屋の中心に着陸する。

 

『えっ!?』

 

降ってきた何かを見て、真達は驚愕した。

 

そこに立っていたのは二体のマギア、だがその姿は普通のマギアとは違っていた。

 

片方は両手に鎌のような物を構えており、口らしき部分からも二本の刃が牙の如くむき出しになっており、もう片方は両足に車輪のようなものが組み込まれており、頭部には幾つもの輪っかが取り付けられていた。

 

そしてその姿に、全員は見覚えがあった。

 

「あれって・・・もしかして!?」

 

「そうだよな・・・あの野郎は全部記憶してやがんだ、だったら作ってもおかしくねえ!」

 

「『イガリマ』と『シュルシャガナ』のマギア・・・!」

 

その二体のマギアの姿は切歌と調の纏うシンフォギア、イガリマとシュルシャガナに酷似していた。

 

『『・・・・・・』』

 

二体のマギアは何も語らず、じっと真達に視線を向けていた。

 

「どうやらあいつらを何とかしないといけないみたいだな・・・」

 

「だったら一気に『待ってください!』っ!」

 

真達が戦闘態勢に入ろうとしたとき、切歌と調に呼び止められる。

 

「ここは私達が何とかします・・・」

 

「だから皆さんは先に行ってほしいデス!」

 

「何言ってやがんだ!?ここは全員で挑んだ方が・・・!」

 

「私達には時間がありません、ここで全員で挑んで時間をつぶすより誰かが残って先に向かわせるのが一番です」

 

「っ!けど・・・」

 

「大丈夫デスよ、それにこの中でイガリマやシュルシャガナに一番詳しいのはあたし達デス、殿には一番の適正デスよ」

 

二人の性論に黙るクリスを横に、マリアが二人に視線を向ける。

 

「・・・本当にいいのね?」

 

「うん、任せて」

 

「だからマリア達は先に」

 

「・・・分かったわ、行くわよ皆!」

 

マリアの号令にみんな戸惑うが、全員二人を信じ階段を上っていく。

 

そして残った切歌と調は互いにアームドギアを構え自分達のシンフォギアに酷似したマギア『イガリママギア』と『シュルシャガナマギア』に向き直ると、二体のマギアも臨戦態勢に入る。

 

「それじゃあ調、行くデスよ!」

 

「うん、あんなまがい物なんかに私達は負けない!」

 

そして二人は同時に飛び出し、マギアとぶつかり合った。

 

『使用BGM:Cutting Edge×2 Ready go!』

 

天真+(プラス) 爛漫×(かける) 重低音ブッパDhath

 

切歌とイガリママギアは互いの鎌がぶつかり合い、切歌は距離をとると回転しながらイガリママギアに迫ると、イガリママギアの方も回転しながら切歌に迫る。

 

災輪・TぃN渦ぁBェル

 

災輪・TぃN渦ぁBェル

 

可愛さ余って 肉を食べたい 少女の参上Dhath

 

二つのイガリマがぶつかり合い火花を散らしながら空間内を駆け回っている中、離れた場所ではシュルシャガナマギアを調が追いかけていた。

 

高出力全開で フィールドを駆けよう

 

両足の車輪で駆けていくシュルシャガナマギアに対し調は金月輪で追いかけながら両手に携えるヨーヨーを組み合わせ巨大化し、マギアに向けて投げつける。

 

β式 巨円斬

 

勝負も夢も 命懸けのダイブ

 

迫って来る調の攻撃に対し、シュルシャガナマギアは両手の指先から大量の糸を射出し格子状に張り巡らせ調の攻撃を防ぐ。

 

Let`s sing重なる歌が

 

決戦のFight song重ね合う歌が

 

その後も二人は攻撃を仕掛けていくが、マギアの的確なまでの対処に有効打を与えられず体力を減らしていく。

 

どんな高い壁も切り刻んで未来を創る

 

押されていく二人は背中を合わせ、両サイドをマギアに挟まれてしまう。

 

「夢は負けない」強いLoveで突っ切れ

 

同時に迫って来るマギアに対して、二人は眼を合わせることなくギリギリのところで同時にジャンプしてマギア同士を激突させる。

 

Ready go!

 

未熟で未完成でも逃げないよ

 

未熟気味で未完成で だけど逃げない

 

マギア同士がぶつかり合ったのと同時に二人は同時に仕掛け、調は『β式 獄糸乱舞』を、切歌は両肩に搭載されているアンカーを放ちマギア二体の周囲を包囲する。

 

信じ紡いで越えた涙 今、星に

 

信じて紡いで越えた 歴史は星に

 

包囲され動きを制限された二体のマギアは脱出を試みようとするが、それよりも先に二人が仕掛け、調は先ほどと同じように二つのヨーヨーを組み合わせさっきよりも巨大な刃を展開し、振り下ろすと巨大なヨーヨーは地面を走るようにマギアに向かい、切歌は拘束したアンカーにアームドギアの刃を展開し、その刃に足を乗せ背中のバーニアで加速しマギアに迫る。

 

β式 超巨円投断

 

断殺・邪刃ウォttKKK

 

照らそう今この瞬間(とき)も光支えにほら

 

闇を照らせ 今この時代(とき)希望、光支えに

 

待ってる人が・・・!

 

二つの刃が包囲されたマギアに迫り、直撃し爆発を起こす。

 

一緒にゆこうTWIN-HEART

 

二体のマギアが爆炎に包まれるのを二人は横に並んで見る。

 

「これで終わり・・・なら、いいんだけど」

 

「相手はあのアークの手先デス、これしきの事じゃ・・・!」

 

二人の不安は的中し、爆炎の中から傷を負いながらもまだ動ける二体のマギアが立っていた。

 

「やっぱり、まだだよね」

 

「なら、何度でもやってやるデスよ!」

 

二人がアームドギアを構えると、二体のマギアに変化があった。

 

二体のマギアが隣に並ぶと、突如その体が大きく変形し組み合わさっていく。

 

組み合わさったマギアはその体を大きくさせ、両足にシュルシャガナの丸鋸の車輪、腹部にはイガリマの刃が牙のように何本も生え、右腕にイガリマ、左腕にシュルシャガナを構え、口からは大量の刃の牙が生え頭部に高速で回転するチェーンソーが兎の耳のように生えた異形の怪物に形を変えた。

 

「こ・・・これは・・・」

 

「流石に聞いてないデスよ!?」

 

突然の変形と合体に驚きを隠せない二人に合体したマギア『ザババマギア』が車輪を回転させながら迫る。

 

迫って来るザババマギアの口元から先ほどの牙が射出され、二人は躱すが牙一本一本に糸が取り付けられており、ザババマギアは牙を操作して二人を追尾させる。

 

追尾してくる牙を二人は手にしたアームドギアで払って行くが、途中で牙は軌道を変え二人の周囲を回り、取り付けていた糸で二人の足を拘束してしまい、ザババマギアが二人を拘束した糸を掴んで振り回し壁や床に叩きつけ、壁に投げ捨てると最後に二人に向かって大量の刃を投擲し、二人が刃の山に埋もれてしまう。

 

大量の刃を投擲し二人を倒したかザババマギアが確認しに近づくと、刃の山の中から巨大なヨーヨーがザババマギアに直撃し後方に吹き飛ばす。

 

ザババマギアが吹き飛ばされると同時に、刃の山の中から全身傷だらけで多少血が流れているが、五体満足の切歌と調が出て来た。

 

「はぁ・・・はぁ・・・とっさに守ってなかったら危なかった」

 

大量の刃が迫ってくる中、とっさに調は先の獄糸乱舞の応用で糸を網目状に展開し被害を最小限に抑えていた。

 

だが受けたダメージは少なくなく、二人はふらふらな状態ではあったが、それでも倒れずに立っていた。

 

「確かに相手はとても強い・・・でも、私達はみんなの希望を背負ってる、だから負けるわけにはいかない!」

 

「どんな強敵が相手でも、力を合わせれば越えられない物はない・・・あたしたちはそうやって何度も困難を乗り越えて来たデス!」

 

後方に吹き飛んだザババマギアは体勢を立て直し、怒りを表すように全身の刃を軋ませる。

 

「見せてあげる、私達の・・・」

 

「貴方を倒す、勇気の力を!」

 

そう言って二人はソングレイザーを身に着け、キーを手にしライズスターターを押し込む。

 

デンジャー!

 

ムーン!

 

キーを装填すると、響や翼と同じように二人の周囲に金色の五線譜と緑色と桃色の音符が展開し、二人は手を合わせながら叫んだ。

 

「「変身!」」

 

『『ソングライズ!』』

 

ソングローダーを同時に押し込むと、周囲の音符と五線譜が二人の身に纏わりその姿を変えていく。

 

イガリマやシュルシャガナの面影を残しながらも顔を完全に隠し、切歌の背中のバーニアとアンカーは羽のようなユニット『イガリマブースター』として背中に取り付けられ、調の両足には車輪のようなユニット『シュルシャガナホイール』が取り付けられ、二人の姿は仮面ライダーとなる。

 

Danger up! Scythe up! IGALIMA! 仮面ライダーキリカ!

 

Crescent up! Ring up! SHUL SHAGANA! 仮面ライダーシラベ!

 

変身した二人の姿は、まさに月と太陽のような二つの輝きを見せていた。

 

「私達の刃で!」

 

「未来を切り開くデス!」

 

変身した二人にザババマギアは容赦なく襲い掛かって来る。

 

二人は迫って来るマギアの攻撃を跳躍で避け、上からアームドギアで何度も切りつけていく。

 

ザババマギアはとっさに背中から刃を繰り出すが、切歌のイガリマブースターの推進力で調を抱えながら飛び出した刃を躱していき、調は足のシュルシャガナホイールから刃を展開し迫って来る刃を足で蹴り壊していく。

 

Ready go!

 

未熟で未完成でも逃げないよ

 

未熟気味で未完成で だけど逃げない

 

二人はザババマギアの攻撃を躱しきるとブースターで上へと飛びつつソングローダーを押し込む。

 

イガリマフィナーレ!

 

シュルシャガナフィナーレ!

 

信じ紡いで越えた涙 今、星に

 

信じて紡いで越えた 歴史は星に

 

上へと飛んだ二人の足にそれぞれ巨大な丸鋸と刃が展開し、二人が足を合わせると二つの刃が組み合わさり一つの巨大な刃に形を変える。

 

照らそう今この瞬間(とき)も光支えにほら

 

闇を照らせ 今この時代(とき)希望、光支えに

 

それを視認したザババマギアは全身から大量の刃を繰り出し二人に向かって跳躍すると同時に、二人は手を繋ぎ、落下の勢いとイガリマブースターの推進力でそのまま垂直に迫って来るザババマギアに向かって行き、両者の刃がぶつかり合う。

 

待ってる人が・・・!

 

二つの刃がぶつかり合い火花を散らし、そして刃が砕けたのはザババマギアの方だった。

 

一緒にゆこうTWIN-HEART

 

二人はザババマギアの刃を砕き、そのままザババマギアの体を貫いた。

 

 

 

イガリマフィナーレ

 

シュルシャガナフィナーレ

 

貫かれたザババマギアは胴体に風穴を開け、そのまま空中で爆散していった。

 

地面に着地した二人は変身を解かずに、そのまま地面に膝をつく。

 

「「はぁ・・・はぁ・・・!」」

 

二人は息を切らしながらも、互いに手を取り合い立ち上がる。

 

「や・・・やったデスね、調・・・!」

 

「うん・・・切ちゃん・・・!」

 

二人はボロボロでありながらも、皆が進んでいった階段を上っていく。

 

 

 

先に階段を上がっていった真達が付いたのは先ほどと同じ何もない空間だった。

 

「ここにも何もないね」

 

「おそらく全階層こうなんだろう、先を急ごう」

 

真達が上へと続く階段を見つけ出すと、その前に人影が見える。

 

そこに立っていたのは蠍のような姿をしその手に毒々しい液体を纏わせた刀を持ったマギア『ホロビマギア』と、隼のような姿をしその両手に二丁の拳銃を手にしたマギア『ジンマギア』が待ち構えるように立っていた。

 

「・・・どうやら、ここはうちらの出番の様じゃな」

 

「うん、お姉ちゃん」

 

そう言って紫苑と桃恵が真達の前に出る。

 

「あ奴らの相手はうちらが務めよう」

 

「だから皆さんは先に急いでください」

 

「・・・ああ、気をつけろよ」

 

「分かっておるわい・・・ゆくぞ桃恵よ」

 

「うん」

 

二人はアタッシュカリバーとアタッシュショットガンを手にし、少しずつマギアとの距離を詰め、そして一気に迫り二体のマギアとぶつかり合い階段から離した。

 

二人が相手取っている間に真達は階段を上っていき、上ったのを確認すると紫苑と桃恵はマギアと距離をとり、対するマギアは刀と拳銃を構える。

 

「うちらを模倣して作ったか・・・油断する出ないぞ」

 

「分かってる、お姉ちゃんも気を付けてね」

 

「うむ、心得ておるぞ」

 

二人はそう言って再び、マギアとぶつかり合った。

 

紫苑とホロビマギアは何度も切り合って行くと、ホロビマギアは大きく振り抜くと、紫色の斬撃が紫苑目掛けて放たれ、とっさに紫苑が躱すと斬撃の当たった地面が煙を上げながら腐食していった。

 

「腐食性の毒の斬撃・・・厄介なのをしてくるのう・・・?」

 

紫苑が腐食個所に注意していると、紫苑の周囲に紫色の煙が充満していた。

 

「この煙は・・・っ!?」

 

紫苑がその煙に気が付いた瞬間、急に苦しみを感じ膝をついてしまう。

 

「こ・・・これは・・・毒・・・っ!?」

 

紫苑が独の出所を探ると、ホロビマギアの尻尾から多量の紫色の煙が噴出されていたのが見えた。

 

「く・・・不覚をとった・・・!」

 

そんな紫苑を追い詰めるようにホロビマギアは刀と尻尾を繰り出し紫苑に襲い掛かった。

 

桃恵は空中でジンマギアと打ち合っていた。

 

桃恵は炎と風を駆使しショットガンで射撃するのに対し、ジンマギアは二丁拳銃に加え翼から追尾式の羽を繰り出し弾丸と共に桃恵に放っていた。

 

「あの羽、いくら撃ち落としてもすぐに補充されて実質無限ですね・・・」

 

桃恵がそう呟いていると、ジンマギアは銃を一つ捨て大量の羽を繰り出し羽を組み合わせて一つの剣に形を変え桃恵に接近する。

 

「っ!接近戦!?」

 

桃恵はとっさに風を放つが、ジンマギアは回避しながら回り込み、桃恵の背中を翼と共に切り裂いた。

 

「きゃあ!」

 

「桃恵・・・があっ!」

 

翼を切り裂かれ落下していく桃恵を紫苑が視線を向けた隙を付けられ、ホロビマギアの毒の斬撃が紫苑に直撃し吹き飛ばした。

 

落下する桃恵と吹き飛ばされた紫苑がぶつかり合い膝をつく、桃恵の背中からは血が流れており、桃恵のスーツからは腐食の煙が上がっていた。

 

「く・・・、桃恵よ、無事か?」

 

「う・・・うん、何とか・・・お姉ちゃんは?」

 

「毒が少々聞いておるが・・・まだ大丈夫じゃ」

 

お互いの無事を確認した二人の前にマギア達が並び立つ。

 

「実力としてはあ奴らは格上・・・じゃが、それでもうちらは負けるわけにはいかないんじゃ」

 

「うん・・・エルフナインちゃんと約束したからね、負けないって」

 

二人は立ち上がり、マギア達に向き直る。

 

「約束は必ず果たす、じゃからお主らに負けるわけにはいかん!」

 

「必ず勝って、エルフナインちゃんとの約束を果たします!」

 

二人はホルダーからトキシックポイズンプログライズキーとインフェルノウィングプログライズキーを取り出し、ライズスターターを押し込む。

 

アウェイクン!

 

押し込むと、二人の身に着けていたフォースライザーが消え、代わりにスラッシュライザーが身に着けられる。

 

トキシックポイズン!

 

インフェルノウィング!

 

アシッドライズ!

 

バーンライズ!

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

二人がキーを装填すると、ライダモデルが飛び出し二人を守るように立ちふさがる。

 

『『スラッシュライズ!』』

 

ヴェノムスコーピオン!

 

バーニングファルコン!

 

An indomitable blade that harbors the deadly poison of hell.

 

The strongest wings bearing the fire of hell.

 

トリガーを引き、ヴェノムスコーピオンフォームとバーニングファルコンフォームに変身した二人はスラッシュライザーを手に並び立つ。

 

「行くぞ、共に!」

 

「うん、お姉ちゃん!」

 

二人はそのままマギア達に向かって行く。

 

対するホロビマギアとジンマギアも毒の斬撃と羽の弾幕で迎撃するが、二人の息の合った連携で躱していきそれぞれマギアとぶつかり合う。

 

紫苑はスラッシュライザーとアタッシュカリバーの二刀流で迎え撃つ中、ホロビマギアは刀と尻尾で防ぎながらも毒煙を散布し、煙が紫苑を包み込んだところを狙い尻尾を紫苑に突き刺そうと伸ばすが、紫苑は尻尾を躱しそのまま尻尾を切り落とした。

 

尻尾を切り落とされたホロビマギアは自身の毒が効いてないことに衝撃を受けると、紫苑が口を開いた。

 

「お主の毒攻撃は十分に見せてもらった、じゃからこそ対策させてもらったぞ」

 

そう言って紫苑が横を向くと、そこには紫苑のヴェノムアナライザーから伸びた針が脇腹に突き刺さっていた。

 

「お主の毒を解析し、それに対する毒を生成し注入した、つまりお主の毒への抗体を作ったということじゃ」

 

ヴェノムアナライザーは本人の意思で様々な毒を作り出すことが出来る装置、紫苑の行っていることは可能ではあるがそれはほとんど賭けに近い行動だった、配合を間違っていれば別の猛毒となって紫苑の命を危機にさらしていたが、紫苑はその賭けに勝った。

 

「さぁ、ここからはうちの番じゃ!」

 

ホロビマギアは刀で守ろうとするが、尻尾を切り落とされた今紫苑の二刀流を防ぎきれることは出来ず徐々に傷を負っていった。

 

桃恵の方は再び空中でジンマギアと撃ち合いをする中、ジンマギアが再び剣を生成し桃恵に切りかかろうとする。

 

「残念ですが、二度も同じ手は通用しません」

 

刃か桃恵に触れる瞬間、桃恵から超高熱の炎が噴き出しジンマギアの羽の剣を溶かした。

 

「このスーツと私の錬金術を組み合わせた炎の鎧、触れれば火傷程度ではすみませんよ」

 

バーニングファルコンに搭載された火給装置『バーニングチャージャー』によって灼熱の業火を生成し、そこに風と炎の錬金術を組み合わせ通常よりも高温の炎を繰り出すことに成功した。

 

「さっきの・・・おかえしです!」

 

桃恵は超高温の炎をスラッシュライザーに纏わせ振り抜き、ジンマギアの翼を切断し、地面へと蹴り飛ばした。

 

蹴り落とされたジンマギアはホロビマギアの元まで向かい、ぶつかった二体はそのまま吹き飛び紫苑と桃恵が並び立つ。

 

「「これでとどめです(じゃ)!」」

 

二人はスラッシュライザーをベルトに装填し、ライズスターターを押し込みトリガーを引いた。

 

トキシックポイズン!

 

インフェルノウィング!

 

ヴェノムレインラッシュ!

 

バーニングレインラッシュ!

 

二人は同時に跳躍し、紫苑は右足にヴェノムアナライザーから飛び出した針を巻きつけ、桃恵は左足に超高熱の炎を纏わせ、同時にライダーキックを放った。

 

二人のライダーキックはマギアに突き刺さり、二体のマギアは爆炎に包まれていった。

 

 

 

ヴェノムレインラッシュ!

 

バーニングレインラッシュ!

 

マギアを倒した二人はその場に座り込む。

 

「っ~~~!む・・・無茶をした・・・体がキツイ・・・」

 

「私も・・・スーツの許容範囲を超えた熱でまだ熱い・・・」

 

限界を超えた戦い方でボロボロな二人は何とか立ち上がり、階段に足を運ぶと、後ろから切歌と調が上って来る。

 

「紫苑さん、桃恵さん、大丈夫ですか?」

 

「うむ、なんとかのう、そっちも大丈夫の様じゃな」

 

「はいデス!きちんと勝ったデスよ!」

 

「よかったです、じゃあ急いで皆さんを追いかけましょう」

 

合流した四人は階段を上がり先に向かった四人を追いかけて行った。





よし、後書きの時間だ・・・そして九、十人目の仮面ライダーのお出ましだ!
「こんにちは、仮面ライダーシラベ、月読調と・・・」
「仮面ライダーキリカ、暁切歌デース!」
「いらっしゃい二人とも!」
「もうラスト近いっていうのに一気に来たな」
本編でもアマルガムラストの方に集まったからそうしてみました。
「にしても今回はそこの二人と紫苑と桃恵の戦闘回だったな」
「四人の特徴を兼ね備えたマギア・・・恐ろしいですね」
「それも継菜の記憶を読み取ったアークだからこそ出来た代物だな」
そうだな・・・んで戦った四人、感想は?
「「「「正直死ぬかと思った」」」」
まぁそうだよな・・・四人の体の状態はこんな感じだな。

切歌&調:全身切り傷&出血

紫苑:毒による内側へのダメージ

桃恵:背中に大きな切り傷

まぁ結構喰らったな・・・損でこっからはこういった戦闘ばっかだ、気を引き締めろよ、それじゃあいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
真紅林檎さんと継菜真に質問です
現在は継菜真の養子となっているキャロルは聖遺物ダウルダブラのファウストローブを身に纏う時には大人Verと子供Verの2パターンがありますが、2人はどちらが好みですか?

俺的には子供状態の方が好みですかね、得に変身時の頭部の結晶にオートスコアラー達が写る演出がもう最高。
「俺は大人状態だな、あっちの方が仲間の時の安心感がある・・・ってか作者熱弁だな」
「作者さん気に入ってますからね・・・それではこの辺りで〆ましょうか」

「「「「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」」」」


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不死鳥の絆/友情の罪


0編第二十三話、前回のあらすじは?
「クリフォトに突入したあたし達だが、中で待ち構えていたのは切歌と調を模したマギアだった」
「現れたマギア達に対して暁さんと月読さん、紫苑さんと桃恵さんが残って対峙しました」
「想像を超えた強敵に苦戦するうちらじゃったが、切歌と調は仮面らいだぁに変身しまぎあを撃破したぞ」
「そして私とお姉ちゃんも大けがを負いましたが、何とかマギアを撃破しました」
「刻一刻と時間が迫る中、俺達は上の階へと昇って行った」
はいOK、それじゃあ0編第二十三話、どうぞ!」


切歌と調、紫苑と桃恵に託し先に上った真達、次の階層に上った瞬間何かが真に向かって飛んでくる。

 

「「っ!危ないっ!」」

 

マリアと翼が同時に前に飛び出し向かって来た物を弾く、確認するとそれは二本の短剣だった。

 

「短剣・・・ってことは」

 

その時、真達の前に二体のマギアが現れる。

 

一体は両手に銀の短剣を携え、全身に銀の装甲を纏ったマギア『アガートラームマギア』、もう一体は剣を携え、腕や足からも刀身が生えているマギア『アメノハバキリマギア』の二体だった。

 

「今度はマリアさんと翼さんのマギア・・・!」

 

二体のマギアは真達が動くよりも先に行動し襲い掛かって来るが、直前でマリアと翼が食い止める。

 

「行きなさい、ここは私たちが食い止める!」

 

「先にいるアークを倒し、人々を守るんだ!」

 

「マリアさん・・・翼さん・・・っ、はい、ここはお願いします!」

 

響がそう叫び、急いで次の階層へと駆け上がっていく。

 

「さて翼・・・一刻も早くこいつらを倒して追いかけるわよ」

 

「ああ、心得ている!」

 

二人はマギアを吹き飛ばし、再び激突する。

 

翼はアメノハバキリマギアと対峙し、翼の二刀流に対しアメノハバキリマギアは両腕や両足に生える刀身を駆使した多刀流で迎え撃っていた。

 

「手数はそちらが上か・・・ならば搦め手で行かせてもらう!」

 

翼は『逆羅刹』の構えに入ると、両足の刀身に炎が纏われそのまま回転しながらアメノハバキリマギアに迫る。

 

対してアメノハバキリマギアは全身の刀身を変形させ巨大な刃に変え、それらを一斉に降り抜き大量の斬撃を放つ。

 

鳳翼乱舞

 

蒼ノ一閃・乱

 

互いの技がぶつかり合い相殺されるが、翼はそのまま刀身を床に突き刺してから振るい、燃える斬撃を放った。

 

疾駆ノ炎閃

 

向かってくる翼の斬撃をアメノハバキリマギアは両手の剣を大きく振り降ろすことで斬撃を切り裂き、斬撃は二つに分かれて爆破した。

 

「くっ・・・まだまだっ!」

 

二度も破られてもなお翼は折れず、再び向かって行く。

 

一方のマリアはアガートラームマギアと対峙し、大量の短剣を放つが全て的確に切り落とされてしまう。

 

対してアガートラームマギアは自身の両腕から八本の蛇腹剣を繰り出し蛇のように唸らせながらマリアに襲い掛かる。

 

振り下ろされる八本の蛇腹剣による攻撃はマリアにダメージを与えていき、蛇のように変則的にうねる攻撃にマリアは攻めきれずにいた。

 

「人間では不可能な攻撃・・・けどそれでも負けられない!」

 

マリアは何とか距離を取り、短剣で十字を切り左腕を掲げると、左腕のアームドギアが変形しそこから十字架状のエネルギーを放った。

 

DIVINE†CALIBER

 

十字架状のエネルギーはマギアに向かい爆発を起こす・・・が爆炎の中から三角形のバリアを展開しほとんど無傷のアガートラームマギアが立っていた。

 

「く・・・化け物めっ!」

 

渾身に一撃を防がれたことに悔しがるマリアにアガートラームマギアは再び蛇腹剣を振るい襲い掛かっていく。

 

互いの攻撃が有効打にならず苦戦する翼とマリアは二体のマギアの攻撃で徐々に傷ついて行き、互いに背中を合わせる。

 

そこにアガートラームマギアが大量の短剣を二人に向けて放ち、翼とマリアは降ってくる短剣を全て切り落としていくが突然身動きが取れなくなった。

 

「こ・・・これは!?」

 

翼が足元を見ると、マリアと翼の影に二本の短剣が突き刺さっていた。

 

「影縫い・・・!」

 

二人が防御している最中にアメノハバキリマギアが放った短剣が二人の影を捕らえ、動きを封じた瞬間二体のマギアの斬撃が放たれ二人に直撃した。

 

斬撃の衝撃で短剣は外れるが、大ダメージを受けてしまったことで二人は膝をついてしまう。

 

「此処までの力があったとは・・・!」

 

「それを可能とするアークの力、やはり想像しきれない・・・けれど、私達は負けられない!」

 

二人はボロボロの体を奮い立たせ立ち上がる。

 

「地球で今も戦っている人達のために・・・私たちの勝利を祈っている人達のために、私達は必ず勝つ!」

 

「たとえどれだけくじけようが、翼を折られようが・・・私達は何度でも立ち上がり甦る、炎の中から、燃え上がる!」

 

そう言って二人はソングレイザーを取り出し身に着ける。

 

「行くわよ翼・・・私たちの歌で!」

 

「世界に希望の火を灯す!」

 

ブレイド!

 

シルバー!

 

ソングレイザーに装填すると、二人の周囲に金色の五線譜と青色と銀色の音符が展開される。

 

「「変身!」」

 

『『ソングライズ!』』

 

ソングローダーを押し込み、五線譜と音符が二人の身に纏われていく。

 

翼は風鳴総家で見せた青い戦士仮面ライダーツバサへ。

 

そしてマリアは翼と同じくアガートラームの面影を残したスーツを身に纏い、その左腕には白銀の龍の頭部を模したユニット『アガートラームドラゴアーム』が身に着けられていた。

 

Blade up! Slash up! AMENOHABAKIRI! 仮面ライダーツバサ!

 

Silver up! Dragoon up! AIRGET-LAMH! 仮面ライダーマリア!

 

聖銀と青嵐の輝きを宿し、二人は仮面ライダーへと変身した。

 

『使用BGM:不死鳥のフランメ』

 

変身した二人は武器を構え、再びマギア達に向かって行く。

 

果てなき

 

強い

 

この思いは

 

翼の剣とアメノハバキリマギアの剣がぶつかり合い、その横でマリアとアガートラームマギアの短剣がぶつかり合う。

 

譲れない

 

強い

 

この思いは

 

マギア達は反撃するが二人は攻撃を受け流し、切り返す。

 

誰にも

 

負けない

 

不死なるメロディー 輝けTrue heart

 

マギア達は距離を取ろうとするが、それをさせまいと二人が追いかけて行く。

 

この手から零れ去ったイノチ…紡いだコ・ド・ウ!

 

翼は先ほどよりも気合が籠った剣を振るい、アメノハバキリマギアが伸ばしてくる刀身を次々と切り砕いていき相手の攻撃の手を減らしていく。

 

欠けたMoon lightその光は残した者にナニヲ問ウ!

 

マリアはアガートラームマギアの振るう幾つもの蛇腹剣に対し自身も蛇腹剣を振るい絡め取り、敵の蛇腹剣を全て巻き上げると一気に刀身を引き抜き、敵の蛇腹剣を砕いた。

 

哀しみを束ねて剣に

 

刃に Justice

 

攻撃の手を砕かれていく二体のマギアは自身の誇る最高火力の斬撃を同時に二人に向けて放ち、二人は爆炎に飲み込まれた。

 

マギア達は爆炎を見守ると、その中から二つの輝きが見え、爆炎の中に翼とマリアは立っていた。

 

Ignition…‼

 

その時、爆炎が燃え上がり二人の背後に不死鳥が見えた。

 

燃えなさい

 

人に

 

運命(さだめ)などない

 

二人は爆炎に包まれながらもソングローダーを押し込む。

 

アメノハバキリフィナーレ!

 

アガートラームフィナーレ!

 

飛びなさい

 

過去を

 

引き千切って

 

翼の持つ剣に青嵐の焔が宿り、マリアの左腕のアガートラームドラゴアームに紅銀の焔が灯る。

 

行きなさい

 

アツく

 

羽撃き合い

 

響き伝う

 

奏で伝う

 

絆っ!

 

二つの焔が宿ると同時に二人は爆炎から飛び出した。

 

そう

 

 

握りしめて

 

マリアの攻撃がアガートラームマギアを吹き飛ばし、翼の斬撃がアメノハバキリマギアを切り上げる。

 

背負った

 

全部

 

握りしめて

 

奥へと吹き飛んだマギアと打ち上げられたマギアを追いかけるように二人も跳躍し、二人の全身の焔が纏われ翼の姿は不死鳥のように、マリアの姿は龍のように見えた。

 

いま不死なる夢を羽根に 願う明日を共に飛ばないか?

 

焔を纏った二人はそのままマギア達に向けてライダーキックを放った。

 

天を焦がせ

 

二体のマギアに防く手はなく、不死鳥の蹴りがアメノハバキリマギアを貫き、竜の一撃がアガートラームマギアを噛み砕いた。

 

 

 

歌え Phoenix song

 

アメノハバキリフィナーレ

 

アガートラームフィナーレ

 

焔に飲み込まれた二体のマギアはそのまま爆散していった。

 

残った二人はそのまま膝をつく。

 

「はぁ・・・此処まで体力を消費されるとは・・・」

 

「ええ・・・でも休んでいる暇はないわ、急いで追いかけないと」

 

二人は何とか立ち上がり、先に行った六人の後を追いかけて行く。

 

 

 

先に向かった六人は次の階層にたどり着く。

 

「着いた・・・でもここにも」

 

「マギアがいるかもしれないな・・・全員警戒しろ」

 

六人が周囲を警戒すると、クリスは光る何かを見つける。

 

「っ!そこかっ!」

 

そこにクリスが発砲すると、更に射撃音が聞こえクリスの放った弾丸が弾かれてしまう。

 

「弾かれたっ!?」

 

驚くクリスに向かって、一筋の光線が向かってくる。

 

「危ないクリスっ!」

 

クリスに当たる直前に未来が鏡で反射し事なきを得る。

 

「助かった・・・ありがとな」

 

「どういたしまして・・・けど今の攻撃は」

 

「ああ、光線と射撃音・・・どうやらここはあたしらの管轄みてぇだな」

 

敵の攻撃を見てクリスと未来はアームドギアを構える。

 

「行けそうか」

 

「ああ、ここはあたしらに任せな・・・だからさっさと行け」

 

「・・・分かった、気をつけろよ」

 

真は三人を連れそのまま次の階層へと向かって行った。

 

「・・・さて、とっとと姿を見せたらどうだガラクタ共」

 

クリスの挑発に乗ったのか、又は余裕の表れか、何もない空間から二体のマギアが現れる。

 

片やライフルを手に持ち、その身にマントを身に纏い様々な重火器を備えたマギア『イチイバルマギア』、片や単一のカメラアイが二人を捕らえ、その周囲を鏡状のビットが飛び回るマギア『シェンショウジンマギア』が姿を現した。

 

二人が戦闘態勢に入ると、鏡状のビットがマギア達の周囲を飛び回り発光しだすと二体の姿が消えていく。

 

「シェンショウジンのステルス能力!」

 

「そんなのありかよっ!?」

 

完全に見失い焦る二人に、大量の弾丸が放たれる。

 

「っ!避けろっ!」

 

二人はとっさに弾丸を躱し二手に分かれる。

 

クリスは何とか索敵しようとするが、敵の姿は完全に見えず手当たり次第に射撃していくが、一向に当たる気配を見せなかった。

 

「くそっ!ステルスとか卑怯だろっ!」

 

そんなクリスに向かって再び大量の弾幕が放たれクリスは躱していき、弾幕が放たれた方に向かって射撃すると、金属同士がぶつかる音が聞こえる。

 

「当たったけどこれじゃあ意味がねえ・・・だったら!」

 

クリスはとっさに小型のミサイルを展開しそれら全てを床に向かって放った。

 

MEGA DETH PARTY

 

床にミサイルが直撃し辺り一帯に煙が充満していく。

 

「こいつで相手の位置を探る・・・!」

 

クリスはボウガンに切り替え、敵の動きを察知する・・・すると煙の一部に揺らぎが見えた。

 

「っ!そこだ!」

 

クリスは揺らいだところに大量の矢を放った・・・だがそこにあったのはイチイバルマギアが身に纏っていたマントだけだった。

 

「なっ!?囮だと・・・がぁ!?」

 

囮に引っ掛かったクリスに背後から大量の弾幕がクリスを襲った。

 

未来は敵の放つ光線を自身の鏡で反射していき防戦一方だった。

 

「何とか相手の位置を見つけないと・・・!」

 

未来は敵の位置を探っていると、突如風切り音が聞こえだし、未来の目の前の足元に大きな切れ込みが突然入った。

 

「っ!?」

 

突然の切れ込みに驚く未来に再び風切り音が聞こえ、未来は聞こえた方にアームドギアを振り抜くと何かが当たり地面に転がり確認すると、そこにあったのは円状の鏡だった。

 

「円状の鏡・・・まさかこれがさっきの切れ込みの正体!?」

 

シェンショウジンマギアは自身の放つビットを高速で回転させカッターのようにして未来に飛ばしていた、そのうえビット自体もステルス能力で見えず未来にとって圧倒的に不利な状況にあった。

 

そして風切り音は周囲から聞こえてきて防ぎきれずに未来の体を傷つけていき、未来は膝をついてしまう。

 

「ううっ・・・!」

 

見えない攻撃に精神的にもやられてしまい、ボロボロな未来に再び風切り音が迫ってくる。

 

そしてその刃が未来の首を捕らえようとしたとき、未来の周囲に弾幕が張られ未来を捉えていたビットが撃ち落とされる。

 

「へっ・・・数撃ちゃ当たる・・・ってか」

 

未来の視線の先には、ボロボロながらもショットガンを構えたクリスが立っていた。

 

「クリス!大丈夫なの!?」

 

「何とかな・・・けどこのままじゃじり貧だ」

 

そう言ってクリスは未来に手を差し出す。

 

「だから力を貸してほしい、お前を・・・『未来』を守るためにな」

 

「っ!」

 

クリスが照れくさそうに自分の名前を言ったことに驚く未来は、笑みを浮かべてクリスの手を取り立ち上がる。

 

「・・・うん、私もクリスを守る、だから力を合わせよう!」

 

「・・・ああ!」

 

二人は並び立ち、ソングレイザーを取り出し身に着け、ライズスターターを押し込む。

 

ブラスター!

 

パージ!

 

ソングレイザーに装填すると、二人の周囲に金色の五線譜と赤色と紫色の音符が展開される。

 

「「変身!」」

 

『『ソングライズ!』』

 

ソングローダーを押し込み二人の姿が変わっていく。

 

クリスは顔を隠すヘッドの右目にスコープが取り付けられており、その身に赤色のローブ『イチイバルローブ』が身に着けられ、未来は自身の周囲にシェンショウジンマギアのと同じ鏡のビット『シェンショウジンミラービット』が展開される。

 

Blaster up! Scarlet up! ICHAIVAL! 仮面ライダークリス!

 

Mirage up! Vision up! SHEN SHOU JING! 仮面ライダーミク!

 

変身した二人は傷だらけでもなお立ち向かう。

 

「不条理な世界を打ち抜いてやる!」

 

「世界の闇を照らし出して見せる!」

 

『使用BGM ツミトキズ』

 

この身は既に罪に染まって 色あせる事はない

 

変身した二人にマギア達はステルス状態を維持して戦おうとするが、クリスが弾丸を放つと、その弾丸は確かに二体に直撃した。

 

大切な人を傷つけてしまった この痛みは消えたりしない

 

突然当てられたことに困惑する二体はとっさに遠距離攻撃を放つが、未来の周囲のミラービットが二人を囲むと、一瞬で二人の姿が消え攻撃が外れる。

 

過去が迫り 未来が閉ざされてしまう

 

突然見えなくなった二人に再び困惑するマギア達に弾幕が張られ全て直撃する。

 

哀しみが私を呑み込んでしまう

 

突然クリスの攻撃が当たりだした理由はクリスの右目のスコープにあった、ヘッドの搭載されている『イチイバルスコープ』には敵を捕らえる索敵機能が搭載されており、これを使用することでステルス状態であってもクリスは敵を捕らえていた。

 

だけど 今は

 

けれど 今は

 

そして未来のシェンショウジンミラービットにはシェンショウジンマギアのビットと同じように自身だけではなく周囲の人物にもステルスを搭載することが出来る、シェンショウジンの特性を最大限生かした性能となった。

 

手を引いてくれる友達が

 

背中を押してくれる友達が

 

側にいてくれる!

 

二人は同時にソングローダーを押し込んだ。

 

イチイバルフィナーレ!

 

シェンショウジンフィナーレ!

 

闇に閉ざされ 道がなくても

 

大切な仲間が 導いてくれる

 

未来はマギア達の周囲に大量のビットを展開し、クリスがビットに向けて弾幕を張ると、弾丸がビットを反射し、反射された弾丸が次々とマギア達の関節部位を打ち抜いていく。

 

こんなに罪に染まっても

 

あんなに傷つけてしまっても

 

関節部位を打ち抜き、動きを封じたところで二人はステルスを解除し共にマギアに向かって跳躍する。

 

それでもお前は

 

それでも貴方は

 

跳躍しそのままの勢いでライダーキックを放つと、先程クリスの放った弾丸が赤いエネルギーになり、未来の展開したビットから紫色のエネルギーが放たれ、それぞれの足に蓄積されていく。

 

あたし『私』を友達と呼んでくれる

 

エネルギーを身に纏った二人のライダーキックはそのままマギア達を貫いた。

 

 

 

イチイバルフィナーレ

 

シェンショウジンフィナーレ

 

二人のライダーキックを受けたマギア達はそのまま爆散していった。

 

マギアを倒し、未来が倒れそうになるがそれをクリスが支える。

 

「大丈夫か?」

 

「うん・・・ありがとう、クリス」

 

「気にすんな、それよりもさっさと四人を追いかけるぞ・・・未来」

 

「・・・うん!」

 

先に言った四人を追いかけようと階段に足を伸ばすと、後ろから戦いを終えた六人がやって来る。

 

「貴方達、ここで戦っていたのね」

 

「そうらしい・・・どうやら無事勝ったようだな」

 

「当たり前だ、あんな模造品に負けるかよ」

 

「・・・?未来よ、お主なんだか嬉しそうな表情をしておるのう」

 

「そうですね、勝ったのがそんなに嬉しかったんですか?」

 

「ううん、これは別の笑顔だよ」

 

「別の笑顔?何があったんですか?」

 

「それは秘密、私達だけのね」

 

「ああ、そうだな」

 

「ええ~っ、気になるデスよ!」

 

八人は支え合いながらも階段を上り四人を追いかけて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方外では、弦十郎達は次々とマギアを倒していき、最後の一機を撃破した。

 

「よし・・・これで終わったな」

 

「はい、後は彼女達がアークに勝つだけです」

 

弦十郎達が話していると、空に黒い光線が走った。

 

「な・・・」

 

そして次の瞬間、海岸にあったアメリカの戦艦が爆発した。

 

「なんだとぉ!!?」

 

全員が驚く最中、それはやってきた。

 

「マギアを全て倒すとはな・・・恐れ入ったぞ人類」

 

全員が声のした方を向くと、そこにいたのは空中で浮遊していたアークだった。

 

「アーク、そんな馬鹿な!?」

 

「お前はクリフォトにいるのではないのか!?」

 

サンジェルマンとキャロルの問いかけに、アークは応えた。

 

「何を言っている、私は言ったはずだ『此処で待つ』と・・・ただの一言もクリフォトで待つとは言っていない」

 

『っ!!?』

 

アークの言葉に全員が衝撃を受けた。

 

「確かにそうだった・・・アークは塔で待つとは言っていない・・・しくじった!!」

 

悔しそうに叫ぶ弦十郎を横目に、アークは笑みを浮かべる。

 

「だが人類の力がここまでとはな・・・本来ならマギア達だけに任せようと考えていたが気が変わった、ここからは私が相手を務めよう」

 

そう言ってアークは『マリスドライバー』を身に着け、その手に『マリスプログライズキー』を握り締めライズスターターを押し込んだ。

 

マリス・・・!

 

ライズスターターを押し込み、二体のライダモデルがアークの周りを旋回し、アークはそのまま構える。

 

「変身」

 

デリートライズ!

 

Extermination! Annihilation! Eradication! Destruction! Kamen Rider Maris!

 

complete demise.

 

仮面ライダーマリスに変身したアークはその手にガングニールを身に纏い、弦十郎達に向かって言った。

 

「さぁ掛かって来るがよい、人類よ」

 

比類なき悪意が、人類に襲い掛かる。





さて後書きの時間だ、そして最後の仮面ライダー達の紹介だ!
「仮面ライダーマリア、マリアよ」
「仮面ライダークリス、雪音クリスだ」
「仮面ライダーミク、小日向未来です」
「これで全員揃いましたね!」
「ああ、ラスト直前で全員揃えるとはな・・・」
俺もここまで来れるとは思わなかった・・・さて今回はマリア&翼、クリス&未来戦闘回だな。
「そうだな、私達が相対したマギアもかなりの強敵だった、変身していなければ負けていただろう」
「それはあたしらだって同じだ、完全ステルスに遠距離攻撃・・・敵に回ったら厄介この上ない相手だった」
「けど、マリア達が力を合わせたから勝てたんだよね」
「うん、本当に勝てて良かったよ、ねっクリス」
「おう、そうだな」
「そのことなんデスけど、未来先輩だけ名前で呼んでもらえるなんてずるいデース!私達も名前で呼んでくださいデス!」
「そうだよクリスちゃん!私も名前で呼ばれたい!」
「誰が呼ぶか馬鹿コンビ」
「「ええ~っ」」
「まぁまぁ、戦いが終わったらまた頼もうぜ」
「しかし、そうも言っておられん状況じゃぞ」
「はい、アークが弦十郎さん達を狙いだしました」
「まさかクリフォト内にいないなんて・・・迂闊だった」
「幾ら皆さんが強いといっても、相手がアークだとそう持ちこたえられません!急がないと!」
ああ、切羽詰まったところでそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー』

今回の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真に質問です。
シンフォギアXDのメモリアカード「風のイタズラ」のようにスカートが捲れて慌てて抑えようとするも間に合わずにシンプルな綺麗系の下着が見られてしまいました。
どうしますか?

「まずスカートを抑えてすぐに周囲を確認、見た人を記憶が無くなるまで頭部をぶん殴る」
必死すぎね!?
「そ、それじゃあそろそろ〆ましょうか!」

「「「「「「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」」」」」」


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運命の狼豹/希望を掴む英雄達


0編第二十四話、前回のあらすじは?
「切歌と調、紫苑と桃恵に後ろを任せ先を急いだ俺たち」
「その先で待っていたのはアガートラームとアメノハバキリ、イチイバルとシェンショウジンを模したマギア達でした」
「その場をマリアと翼、クリスと未来に任せてあたしらはさらに上へと向かって行った」
「そして激しい激闘の末、まりあ達も仮面らいだぁに変身しまぎあを撃破したぞ」
「ですけど、その時地上で戦っている弦十郎さん達にアークが襲い掛かってきました」
よしOK、それじゃあ0編第二十四話、どうぞ!


次の階層に上った真、響、奏、セレナの四人は周囲を警戒しながら階段を探しだす。

 

「此処まで四連続で敵が来たんだ・・・必ずここにも・・・」

 

その瞬間、地面を蹴る音が聞こえた。

 

四人が警戒すると、突然セレナと奏が吹き飛ばされる。

 

「「があっ!」」

 

「セレナ!奏!」

 

吹き飛ばされた二人が視線を向けると、そこに二体のマギアが立っていた。

 

狼のような頭部に両肩に砲台を取り付けられているマギア『バルカンマギア』と両手両足に鋭い爪を生やし四足歩行で二人を捕らえるマギア『バルキリーマギア』の二体だった。

 

「今度はあたしらって訳か・・・じゃあここはあたしらに任せて先に行きな」

 

「奏さん、大丈夫なんですか!?」

 

「平気だ、それにこいつらにさっきのお返しをしたいしな」

 

「頂上までもうすぐだと思います、だからお二人は急いで上に」

 

「セレナ・・・っ、信じているぞ!」

 

「はい、任せてください!」

 

この場を奏とセレナに託し、真と響は上へと向かって行った。

 

「さて・・・んじゃあたしらも始めますか」

 

「はい、下で皆さんも戦っているんです、私達も負けてられません」

 

二人はアタッシュアローとオーソライズバスターを構え、マギア達に向かって行った。

 

バルカンマギアは砲撃を放ちながら奏に向かって行き、奏もオーソライズバスターで砲撃を撃ち落としていく。

 

接近すると奏はアックスモードで、バルカンマギアは牙をぶつかり合わせ火花を散らす。

 

だがパワーに関してはバルカンマギアの方が上で徐々に奏が押されていった。

 

「くっ・・・やっぱパワーあるよな・・・っと!」

 

奏はバルカンマギアを足で蹴り飛ばし距離をとると、アサルトウルフプログライズキーを取り出す。

 

アサルトバレット!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

ショットライザーに装填すると、再び向かってくるバルカンマギアに向けて引き金を引き、射出された弾丸でバルカンマギアをはじき返した。

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトウルフ!

 

No chance of surviving.

 

アサルトバルカンに変身した奏はAWガントレットの軽機関銃で牽制しながらバルカンマギアに接敵し、オーソライズバスターで切りかかるが、振るったオーソライズバスターはバルカンマギアの牙で止められてしまう。

 

「しまっ!?」

 

受け止められてしまい無防備となった奏の胴体にバルカンマギアの至近距離の砲撃が直撃してしまう。

 

一方でセレナは自身の周囲を駆け回るバルキリーマギアと対峙していた。

 

「多分前に戦ったジャパニーズウルフマギアと同じぐらいの速度・・・けど!」

 

セレナはアタッシュアローを上に掲げ矢を放つと、矢が空中で分裂しそのまま地面に降ってきて、バルキリーマギアの動きを制限していく。

 

「対策をしない私ではありません!」

 

セレナはそのままアタッシュアローで切りかかろうとするが、突如バルキリーマギアが大きく口を開き、口内が光り出した。

 

「っ!?」

 

セレナはとっさに身を翻すとバルキリーマギアの口から光線が放たれ、セレナの身を掠め後方で爆発が起きた。

 

「光線って・・・油断しきれませんね」

 

セレナは冷や汗をかきながらも冷静にアサルトチータープログライズキーを取り出す。

 

アサルトダッシュ!

 

オーバーライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

ショットライズ!

 

『READY,GO!アサルトチーター!

 

No chance of surviving.

 

アサルトバルキリーに変身したセレナはACクローを構え、高速で駆け抜けるとバルキリーマギアも同じく高速で駆けまわる。

 

高速でぶつかり合いながら火花を取らしていくが、マギアはロボットなのに対しセレナは人間、故に体力に限界があり、それに加え最初の攻撃が響いており徐々にセレナの速度が落ちていく。

 

「く・・・っ!」

 

このままじゃ体力が尽きると判断したセレナはその場に止まりカウンターの姿勢に入ると、そこにバルキリーマギアが迫ってくる。

 

「・・・そこっ!」

 

セレナはギリギリのところまで引き付けてACクローを振るい直撃した・・・が、切り裂いたバルキリーマギアは霞のように消える。

 

「しま・・・残像・・・!?」

 

ジャパニーズウルフマギアの時にもやられた残像にやられ、セレナの背後から現れた本物のバルキリーマギアがその爪でセレナの背中を切り裂いた。

 

互いに一撃を受けて床を転がるセレナと奏は互いにぶつかり止まる。

 

「くそっ・・・大丈夫か、セレナ?」

 

「は・・・はい、何とか・・・」

 

奏は前から、セレナは後ろから重い一撃を受けてもなお、何とか立ち上がる。

 

「やっばいな、引くほど痛ぇ・・・」

 

「ですね・・・けど、私達って本来ならこの場にはいませんでしたよね」

 

「・・・だな、あの時真がいなかったらあたしは絶唱を歌って死んでいた」

 

「あの時神様が助けてくれなかったら私は瓦礫の下敷きでした」

 

「・・・そう思うとこうして生きて、立って、戦えてるってのは奇跡だよな」

 

「ですね、そこは真お姉ちゃん達に感謝しませんと」

 

そう言って二人はマスクの下で笑みを浮かべる。

 

「だな・・・だからこそ、貰った命を大事にするために勝たなくちゃな」

 

「はい、亡くなるはずだった私達の運命を変えてくれた皆さんのためにも!」

 

そう言って二人はランペイジガトリングプログライズキーとトリニティアクセルプログライズキーを取り出し、セレクターマガジンを回転させる。

 

 

 

 

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

二人はキーを装填し、同時に引き金を引いた。

 

 

 

Gathering Round!

 

Flash of the Trinity! 

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

Control the land,sea and air the creatures become one.

 

ランペイジバルカンとトリニティバルキリーに変身した二人は同時にマギアに向かって駆け抜けていった。

 

奏に向かって再び砲撃を放つが、奏はチーターの力で砲撃を躱していき至近距離まで接近すると、コングの力で砲台を両方とも破壊する。

 

「これで砲撃は撃てねえだろ!」

 

砲台を破壊されたバルカンマギアは奏の首を噛み千切ようと牙をむくが、直前で奏がマンモスの力でバルカンマギアを蹴り上げる。

 

「今度はこっちの番だ!」

 

そこにファルコンの力で飛翔し、オーソライズバスターを構えバルカンマギアを切りつけて行き、地面に蹴り飛ばすとそこにガンモードのオーソライズバスターを構え、加えてホーネットの力を付与した電撃のエネルギー弾がバルカンマギアに直撃した。

 

セレナの方は先ほどと同じく高速で戦闘を仕掛けていき、セレナが攻撃を仕掛けた瞬間バルキリーマギアは再び残像を残し、セレナの背後を取り爪を振るったが、振るった瞬間セレナの姿が消えた。

 

「それは私の残像です、意趣返しさせていただきました」

 

するとセレナがバルキリーマギアの背後から現れ、両腕のトリニティクローでバルキリーマギアの両腕と両足を切り裂いた。

 

「さっきの痛かったのでお返しさせていただきました!」

 

両腕両足を切り裂かれたバルキリーマギアはセレナの方を向き再び光線を放とうと口を開くと、光線を放つ直前でセレナが下顎を蹴り上げ、口を閉ざし口の中で光線が暴発した。

 

暴発のせいで口内の光線発射装置が破壊されたバルキリーマギアはセレナはそのまま蹴り上げた。

 

「止めいくぞセレナ!」

 

「はい、奏さん!」

 

二人は同時にセレクターマガジンを回転させる。

 

パワー!ランペイジ!

 

スピード!ランペイジ!

 

エレメント!ランペイジ!

 

 

ランド!アクセル!

 

スカイ!アクセル!

 

マリン!アクセル!

 

 

ベルトに装填したままトリガーを引いて二人は同時にライダーキックを放った。

 

 

 

 

 

二人のライダーキックを受けたマギア達はそのまま爆散していった。

 

「「ふぅ・・・っ!!」」

 

戦闘を終えると二人はさっきの傷の痛みがぶり返しその場に座り込む。

 

「痛っ~~・・・背中が・・・!」

 

「あたしは腹が・・・けど、こんなところで横になってる暇はねえな・・・!」

 

「そうですね、早く追いかけないと・・・!」

 

二人は痛みをこらえながらも階段を伸ぼっていった。

 

 

 

残った二人、真と響が階段を上り切ると、そこは今までの部屋とは違っていた。

 

上に続く階段が存在せず、周囲はガラスのように透き通って外の景色が見えており、外は既に大気圏を越え宇宙にやって来ていた。

 

「ここがクリフォトの頂上・・・」

 

「真さん、上見てください!」

 

響きに言われ真が上を見上げると、そこにはまだ遠いが月が見えていた。

 

「月がもうそこまで・・・急がないと」

 

「ああ・・・っておいちょっと待て!?」

 

真はあることに気が付き周囲を見渡す。

 

「・・・アークがいない!」

 

「えっ!?」

 

二人がアークがいないことに気が付くと、中央の床が開き何かが上がってくる。

 

「「っ!」」

 

上がってきたのは黒いグローブを両腕に身に着け、首元に禍々しい黒いマフラーのような機関を付けたマギア『ガングニールマギア』とバッタのような足を生やし、背中に虫特有の半透明な羽を生やしたマギア『ゼロワンマギア』が立っていた。

 

「細かい話は後だな・・・まずはあいつらからだ!」

 

「はいっ!」

 

二人が構えると、マギア達も同時に襲い掛かってきた。

 

『使用BGM:ALL LOVES BLAZING』

 

「誰かを守る」誓う・・・だけども

 

響とガングニールマギアの拳がぶつかり合い衝撃を放ちながらも、二人は何度も拳をぶつけていく。

 

二つしかない この手じゃ・・・もし足りない時は?

 

真とゼロワンマギアは脚力を生かした空中戦で何度も蹴り合って行く。

 

恐ろしくても 立ち止まれない

 

ガングニールマギアは首のマフラーのような機関を唸らせ振るい響は回避するが、マフラーが当たった床が切り裂かれた。

 

残酷に時は 未来へと刻んで

 

ゼロワンマギアは限界まで踏み込み跳躍し真に蹴りを放ち、回避するがゼロワンマギアの放った蹴りが床を砕いた。

 

決意する その瞬間 わたしはわたしなのかな・・・?

 

響は何度も拳を振るうが、相手がロボット故なのか正中線に入らず苦戦し、真もゼロワンマギアの異常なまでの跳躍力に苦戦していた。

 

Please tell me(Wowow) Please tell me!(Wowow) だけど今だけは・・・!

 

苦戦する中ガングニールマギアの放った拳が響を捕らえ殴り飛ばし追撃を仕掛けるが、直前で真が響を受け止め回避する。

 

バンッと踏み出せ(Burnin’!) 今日の(Burnin’!) 明日(あす)の(Burnin’!) 種火に…!

 

ゼロワンマギアは壁を跳躍していき加速を付けて真に迫ると、響が真を押し退けて拳でゼロワンマギアの蹴りを受け止める。

 

選択に後悔 しないため生きるんだ(Liev now×2)

 

拮抗する拳と蹴りに真が横からプログライズホッパーブレードで切りかかるが、直前でガングニールマギアに妨害されてしまう。

 

まだだ(Blazin’!) 燃やす(Blazin’!) 何か(Blazin’!) がある

 

響は空いている腕でゼロワンマギアを殴りつけようとしたが、住んでのところで回避され距離を置かれる。

 

力の怖さも 可能性も ハートに灯せ 太陽(ほのお)と信じて

 

互いに距離を取り拮抗状態に入る。

 

「キッツいな・・・でも、倒せない相手じゃないな」

 

「時間も押してます、だからここは一気に!」

 

「全力で打ち倒す!」

 

エクシード!

 

距離を取った二人はソングレイザーとゼロツープログライズキーを取り出し身に着け起動させ、ユニットを取り付ける。

 

ゼロツージャンプ!

 

ブレイク!

 

Let’s give you power!

 

「変身!」

 

ゼロツーライズ!

 

ソングライズ!

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

Break up! Fist up! GUNGNIR! 仮面ライダーヒビキ!

 

It's never over.

 

変身した二人に向かって二体のマギアが襲い掛かって来た。

 

感じてるか?(Burnin’!) 心(Burnin’!) 魂(Burnin’!) この歌…!

 

向かってくるマギア達の拳と蹴りを二人も拳と蹴りで迎え撃った。

 

重さなき(コブシ)に 命など宿らない(Liev now×2)

 

一瞬拮抗するが、真と響が競り勝ち二体を吹き飛ばした。

 

まだだ(Blazin’!) 握る(Blazin’!) 繋ぐ(Blazin’!) 答え

 

吹き飛ばされ体勢を崩した二体に対し二人はキーとソングローダーを押し込んだ。

 

ゼロツービッグバン!

 

ガングニールフィナーレ!

 

二人は同時に跳躍し、マギア達に向けてライダーキックを放った。

 

行き打つ鼓動よ 煌めきよ 何を教える? 何処に響く?

 

二人のライダーキックがマギア達に直撃し、マギアを打ち砕いた。

 

 

 

ゼロツービッグバン

 

ガングニールフィナーレ

 

二人の一撃で崩れたマギア達を横目に、二人は変身を解かずに周囲を警戒する。

 

「・・・可笑しい、やっぱりいない!」

 

「一体どういう事なんですか!?」

 

「立花!継菜!」

 

真達が困惑していると、階段から翼達が上ってくる。

 

「みんな!大丈夫だったんですね!」

 

「当ったりまえだろ・・・にしてもここが頂上か?」

 

「そのはずなんだが・・・アークがどこにもいないんだ」

 

「なんですって!?」

 

アークがいないことに全員が驚く。

 

「アークは此処にいるんじゃないんですか!?」

 

「けど周りを見てもどこにもいなんですよ!」

 

「これは一体・・・?」

 

皆が困惑する中、真は記憶を振り帰り三日前のことを思い出す。

 

『先ほど言った通り人類に残された猶予は三日、そしてクリフォトを止める方法はただ一つ・・・私を倒すことだ、私は此処で待つ、シンフォギア装者よ、仮面ライダーよ』

 

此処で待つという言葉に加え、開かれた塔の壁、それらを鑑みて、真は一つの結論にたどり着いた。

 

「・・・まさか!」

 

その瞬間、真と響が倒したマギアの瞳が輝きだしみんなが上って来た階段が閉ざされる。

 

『っ!!?』

 

全員がそれに気が付き閉ざされた階段の元に向かうが、完全に閉ざされていた。

 

「おいっ!どうなってやがんだよっ!?」

 

「完全にやられた・・・これは俺たちの勘違い、そしてそれを利用したアークの罠だったんだ!」

 

『その通りだ、ゼロワン』

 

突如部屋内にアークの声が響き音源を探すと、先程倒したマギアの口から聞こえていた。

 

『お前達ならば開かれた塔の壁で私がクリフォトにいると勘違いし入って来ると予測するのは容易かった、私は外でマギア共と戦っている人類の相手をしている』

 

「外で戦っている人達と!?」

 

『クリフォトの頂上はお前たちに用意した特等席、そこで指をくわえて待っているといい、人類の全勢力が私に破られる様をな』

 

そう言い残してマギアは爆散していった。

 

マギアが爆散すると、翼は悔しそうに壁を殴りつける。

 

「迂闊だった・・・!最初から罠の可能性を考慮していれば!!」

 

「おいっ!何とかならないのかよっ!」

 

「壁を壊せれば何とか出来るかもしれませんけど・・・壁の硬度が固すぎて歯が立ちません!」

 

「お姉ちゃん、毒液で解かせられない!?」

 

「可能じゃろうが・・・全員が通れるぐらいまで溶かすにはかなりの時間が必要じゃ・・・!」

 

「そんな・・・じゃあここで待ってるしかできないの・・・!?」

 

「此処まで来たってのに・・・くそぉ!!」

 

それぞれがアークの罠に掛かり絶望する中、まだ絶望していない二人がいた。

 

「・・・まだです、まだ何とか出来るはずです!」

 

「ああ、あんな奴の思い通りになってたまるもんかよ!」

 

響と真は壁に向かって何度も殴りつけ蹴り付けていくが、壁に傷一つつかない、だがそれでも二人は何度も壁を攻撃する。

 

「地上のみんなが頑張っているんです、みんなが私達を信じているんです、それなのに私たちが諦めちゃだめだよ!」

 

「俺たちは最後まで諦めない、最後の最後まで奇跡を信じて立ち向かう!そしてアークに必ず勝つんだ!」

 

「響・・・真さん・・・」

 

まだ諦めない二人の姿を見て、絶望していたみんなの心に再び希望が灯る・・・その時だった。

 

『・・・やはり、君たちはこの世界の英雄のようだな』

 

「っ!?誰だっ!?」

 

突然空間に知らない声が響き、全員が辺りを見当たす中、真はその声に覚えがあった。

 

「この声・・・って、あの時の!?」

 

それはかつて、真が月の欠片を破壊した時聞こえてきた声。

 

そして部屋の中心に緑色の光が現れ、それが人の形をしたホログラムとなり、一人の男性が映し出される。

 

「貴方は・・・?」

 

『俺はオリジナルエンキの意志をトレースしたオペレーティングシステム』

 

「エンキ・・・?」

 

「その声・・・やっぱりあんた、あの時俺を助けてくれた!」

 

『ああ覚えている、私からの伝言は彼女に伝えてくれたか?』

 

「助けてくれたって・・・まさか月の欠片の!?」

 

「伝言って・・・まさか!?」

 

月の欠片のことを知っている響、翼、クリス、未来、奏が驚き、伝言の事を知っているマリア、セレナ、切歌、調が驚く。

 

『今俺は、範囲ギリギリのところでこの塔に接続し君達と会話している』

 

「接続って・・・それって不味いんじゃ!?」

 

『安心してくれ、調べたところこの塔は月遺跡に直接接続しない限り呪詛の書き換えは出来ないそうだ』

 

「そうなのか・・・じゃああんたは一体何しに?」

 

『君たちの手助けだ、今からクリフォトを操作し壁を脆くして見せる』

 

「そんなことが可能なのか!?」

 

『ああ・・・だが長時間操作すればアークに感づかれる可能性がある為脆くする時間はほんの一瞬、その一瞬を狙って目の前の壁を破壊し脱出するんだ』

 

「脱出って・・・外は宇宙デスよ!?息が出来なくて死んじゃうデス!!」

 

「いや、ライダースーツなら宇宙空間でもある程度活動は可能だ・・・けど地球の戻るとなると大気圏の問題が・・・」

 

「けど、それしか戻る手段はないんですよね・・・だったらやってみましょう!」

 

響の言葉に全員が顔を見合わせ、そして全員頷く。

 

『よしっ、じゃあ俺が合図したら目の前の壁を破壊するんだ』

 

エンキの言葉に響と真は拳と足を構える。

 

「・・・エンキ、あの時は助けてくれてありがとうな」

 

『ああ・・・フィーネを、人類の未来を頼む』

 

エンキの言葉に真は頷く。

 

『いくぞ・・・3・・・2・・・1・・・今!』

 

「「おおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」

 

エンキの合図と同時に二人は全力でクリフォトの壁を殴りつけると、壁に大穴が開きそこから全員が宇宙空間に飛び出しだすと、穴が開いた壁が一瞬で閉ざされた。

 

宇宙空間に各々武器の勢いや身に着けられているブースターで地球に向かって行く中、通信が入る。

 

「っ!通信が!」

 

通信に出るが、此方の声は届かないが、相手の声が聞こえてきた。

 

『全員、なんとしても耐え抜くんだ!彼女たちが戻ってくるまで!』

 

通信機越しに聞こえてくる戦闘音に、弦十郎の声。

 

『母さん達はきっと戻って来る!そう信じて戦い抜くんだ!』

 

真達の帰還を信じ戦い抜くキャロル。

 

『アークの思い通りにさせるな!最後まで戦い抜くぞ!』

 

悪意の神に対抗し最後まで戦い抜くサンジェルマン。

 

『全軍に次ぐ、全勢力を上げアークを食い止めるんだ!人類の底力を見せつけろ!』

 

絶望せず、全ての力をもってして神に立ち向かう軍人達。

 

「みんな・・・!」

 

「全員・・・まだ諦めていないな・・・」

 

「ああ、圧倒的なまでの力を見せつけられようとも、力を合わせ最後まで戦い抜く・・・防人が人を守るのは弱いからではなくその勇気・・・果てなき強さが尊いからなのですね・・・お父様」

 

その問い、響達の持つシンフォギアキーが輝きだす。

 

「これは・・・!」

 

響きはその輝きを見て、決心づく。

 

「・・・みんな、エクスドライブだ」

 

「エクスドライブ・・・でも、それを可能とするだけのフォニックゲインは?」

 

「信じよう!胸の歌を・・・私達のシンフォギアを・・・!」

 

「大気圏の被害は俺たちが全力で押さえる・・・だから歌え、希望の歌を!」

 

真が飛電メタルで全員を包み、その上で紫苑と桃恵が錬金術による防壁を張ると、響達は頷き・・・歌を口にする。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

宇宙空間に九人の少女達の歌声が響く。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

空気のない空間で音が響くのはあり得ないが、確かに歌声が響いていた。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

少女達の歌に応えるようにシンフォギアキーが更に輝きだす。

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

そして歌い終わると同時に少女達の体が光に包まれていき、大気圏に突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「容易いな・・・人類の最大戦力ですら私に傷一つ与えられないか」

 

地上では、アークの攻撃でボロボロの弦十郎達をアークが見下していた。

 

「やはり私の最大の脅威となりえるのは奴等だけか・・・」

 

そう言ってアークが空を見上げると、日が沈んだ夜空に流れ星が流れる。

 

「・・・人の身を得てから、私は感情を知り、心を知った・・・故に信じている、お前たちが来ることを」

 

アークは流れ星に向かって手を伸ばす。

 

「流れ星、墜ちて、燃えて、尽きて・・・」

 

 

 

 

 

「そしてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

流れ星は軌道を変え、アークの元へと向かい、その地に落ちた。

 

戦いの地に落ちた輝き、その輝きの中から彼女達はその姿を変え現れる。

 

それは何度も身に纏ってきたXD、だがその姿は今までのXDとは大きく異なっていた。

 

天使のような羽根を生やし、その髪は燃えるように揺らめき、その輝きは星のように輝く。

 

胸の歌を信じ纏ったXDは流星の如き輝きを得た。

 

その姿の名は『バーニングエクスドライブ』。

 

十二人の英雄達は、流星と共に決戦の地に降り立った。





さぁ後書きの時間だ。
「今回はあたしらの戦いだったな」
「これでクリフォト内の敵は全て倒しましたね」
「ああ・・・だがあのマギア達すらもただに時間稼ぎだったとはな・・・」
「あの野郎・・・どこまで卑怯な手を!」
「けど、エンキさんのお陰で私達は脱出できましたね」
「ああ・・・俺はあの人に助けられるのは二回目だな、マジで感謝しないとな」
「そして進化したXD、バーニングエクスドライブ、今の私達の持てる最高火力ね」
そうだな・・・そしてお前ら、もうわかってるよな。
「はい・・此処までくればもうわかります」
「とうとう最後何デスね」
そうだ、次回こそが長きにわたるこの物語の最終話だ。
「・・・とうとうここまで来たんですね」
「うむ・・・最後の敵は神の力を手にしたあーく・・・これ以上ない強敵じゃ」
「うん・・・でも、私達も負けるわけにはいかないよね」
「ああ、必ず勝ってハッピーエンドで終わらせるぞ!」
『おおっ!』
・・・そうだな、それじゃあそろそろいつもの行きますか。

『質問返信コーナー最終回』

長きにわたるこのコーナーもこれで最後だな・・・それじゃあ最後の質問はこちら。

『影薄人さんからの質問』
継菜真に質問です。
2020年の連載スタートからもう少しで3年になろうかという年月で現時点で163話と投稿してきました。
そこで、これまでのお話の中で真紅林檎さんにとってお気に入りだったり、書ききったと満足しているお話しはなんですか?

そうだな・・・書ききったと思ったのは・・・反則臭いと思うけど全部だな、どの話もこの物語には欠かせない物ばかり、だから一話書くごとに書ききったって思うな。
「まっそこには賛成だな」
さて、それじゃあそろそろ・・・とその前にあいさつの後に次回の予告を書いてみた、よかったら見てくれ。
「そんなの考えてたのか」
せっかくの最終回だからな、それじゃあそろそろ〆るか」

「「「「「「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」」」」」」







次回、最終話・・・。

「来い、この世界の夜明けを賭けた最後の戦いだ」

「だったら、その結論を覆して見せる、人類の力で・・・この希望の力で!」

悪意の神VS人類の希望

少女達は人類の思いを受け取り、空へ羽ばたき、神に挑む。

その先にある結末は希望か、絶望か・・・。



戦姫転生ゼロフォギア最終話

『0と0』





「希望は滅びる・・・英雄の命と共に」

仮面ライダーゼロワン・・・散る。


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特別編22:月読調の誕生日2


特別編第二十二話、今回は調の誕生日二回目だ!
「もう調の誕生日も二回目か・・・てか今回も?」
はい、メモリアの方を参考にさせていただきました。
「もう開き直ってんな作者・・・」
「まぁ仕方ありませんよ、お話考えるの大変ですし」
「そうじゃな・・・ところで調よ、隅で何でうずくまっておる?」
「大丈夫ですか、どこか具合が悪いですか?」
「大丈夫・・・最終回目前で私の誕生日が来たから緊張と不安で腹痛と吐血が少々だから大丈夫・・・」
「いやそれ大丈夫じゃないだろ!?エルフナイーン!!」
そ、それでは治療中ですが特別編第二十二話、どうぞ!


「・・・あれ?何か入ってる?」

 

2月16日のある日、調がポストを除くと調宛の手紙が入っていた。

 

「調、どうしたデスか?」

 

「切ちゃん、私宛の手紙が入ってたんだけど差出人の名前が書いてないみたい」

 

「本当デスね・・・でも調宛なら見た方がいいんじゃないデスか?」

 

「そうだね・・・怪しい手紙なら司令に頼めばいいからね」

 

そう言って調が封を開けると中には二枚の手紙が入っていた。

 

「これは・・・文字が全部新聞の文字の切り抜きデス!?」

 

「えっと・・・『月読調ヘ、次ノ問いに答えて対応すル人物にタズねよ』・・・ちょっと不気味」

 

不気味に思いつつももう一枚の手紙を見てみると、以下の文が描いていた。

 

『〇実、〇理、純〇、〇空に当てはまる漢字一文字を答えよ』

 

「当てはまる文字・・・何だろう?」

 

「う~ん・・・あっ!『地理』があるデスよ!」

 

「でも他の文字には当てはまらないよ」

 

「そうデスね・・・ふむむっ・・・」

 

二人が頭を悩ませていると、調は気が付いた。

 

「・・・あっ、分かったかも」

 

「えっ!?なんですか!?」

 

「それは今から会う人に会えばわかるよ切ちゃん」

 

そう言って二人は家に入って行く。

 

 

 

「真さん、ちょっといいですか?」

 

「おっ、どうした二人共?」

 

二人が尋ねたのは真だった。

 

「調、答えって真さんデスか?」

 

「切ちゃん、さっきの問題に真って入れてみて」

 

「えっと・・・『真実』『真理』『純真』『真空』あっ全部あるデス!」

 

「そういう事」

 

「さっきから何の話をしてるんだ?」

 

「でも調、真さんの所に来てどうすればいいデスか?」

 

「それがまだ・・・真さん、何か私宛の何かありませんか?」

 

「調宛って・・・あっそういえばこれ」

 

そう言って真は懐から一枚の手紙を取り出した。

 

「俺宛なんだけど調が尋ねてきたら渡せって書いてあったんだ」

 

「もしかしたら・・・見せてくれませんか?」

 

「ああ、いいぞ」

 

真から渡された手紙を見ると、『第二問』と書かれていた。

 

「やっぱり、これを答えて対応する人に当たれば何かわかるかも」

 

「おおっ!じゃあ早速問題に挑戦デス!」

 

そう言って二人がその場を後にすると、それを見計らって真が電話をかける。

 

「・・・俺だ、こっちは終わったぞ、そっちはしくじんなよ」

 

 

 

それから数時間が経ち、二人は扉の前に立っていた。

 

「これで最後だね・・・まさか十二問もあっただなんて」

 

「デース・・・まさか古文の問題が出るなんて思わなかったデス」

 

「うん、それでもう夕暮れだからね・・・ところでここって」

 

「はい、調の部屋デスね、ここに何が・・・!」

 

二人は意を決して扉を開くと、突然大量のクラッカーが鳴り響いた。

 

『二人共、ゴールおめでとう!』

 

「わっ!」

 

「わわっ!?なんデスか!?」

 

二人が驚くと、部屋からクラッカーを持った響達が出て来た。

 

「えへへ・・・驚いたかな?」

 

「まっこんだけクラッカーを鳴らせばだれでもビビるだろ」

 

「皆・・・もしかしてこの手紙って」

 

「はい、それは僕が用意した物です、問題も僕が考えました」

 

「お前らが時間をかけて答えられる位の問題をエルフナインに頼んだからな」

 

「まぁ途中で大学受験もびっくりな問題を出そうとした時慌てて止めましたからね」

 

桃恵が苦笑いをすると、調が尋ねる。

 

「あの・・・結局これって一体?」

 

「ぬっ?そこはまだ分からぬのか?いままでの十二枚の問題が書かれておった手紙の裏側を見てみい」

 

「えっ・・・あっ、それぞれ一文字ずつ書いてある!」

 

「そうだよ、それじゃあそれを並べ替えて見て!それが最後の問題だよ」

 

調と切歌は文字を見て少しして、そしてあることに気が付いて文字を並び替えると、とある一文が出た。

 

『調ちゃん誕生日おめでとう』

 

「これって・・・!」

 

「そっ、今日は調ちゃんの誕生日!だから手を込んだ物にしてみました!」

 

「文字は今お仕事で海外にいるマリア姉さん達に頼んで書いてもらいました」

 

「それから、これはゴールにたどり着いた記念です!」

 

そう言って響が取り出したのは一冊のアルバムだった。

 

中を見てみると、中には調と切歌が中心の写真が大量に入っていた。

 

「アルバム・・・でも何で?」

 

「前にマリアから聞いたんだけどさ、二人って響達が持ってるような小さい頃のアルバムを持ってないじゃんか」

 

「だからアルバムをプレゼントしたいってマリアが言ったからサプライズを計画したってわけさ」

 

「サプライズはみんなで考えたんだよ!喜んでくれた?」

 

響が尋ねると、調は嬉しそうにアルバムを抱きしめる。

 

「・・・はい、ありがとうございます、皆さん」

 

「あたしからもありがとうデース!」

 

「喜んでくれて何よりだよ!それじゃあそろそろ誕生日パーティーを始めよっか!」

 

「カメラもきちんと用意したぞ、今日の思い出もバッチリ記録するぜ」

 

「はい、よろしくお願いします」

 

それからみんなはパーティーを盛大に楽しみ、そして調のアルバムに新しい思い出が増えたのだった。





さて、後書きの時間だが・・・大丈夫か?
「はい、エルフナインの薬で何とか・・・」
「それでもかなり顔色悪いぞお前」
「漫画でしか見たことない顔色してるよ調ちゃん・・・」
「どんだけ緊張してんだよ・・・って言いたいけど気持ちはわかるな」
「何せ終わりが近いんだ、不安を感じてもおかしくはないだろう」
「そうだね、調ちゃん少し横になってたら?」
「はい・・・そうします・・・」
「あ~ほら、あたしの上着貸してやるから」
「何か温かい飲み物持ってくるわね」
「ここぞとばかりにクリス先輩とマリアが過保護デスね」
「クリスさんもマリア姉さんも優しいですから」
「そうじゃな・・・しかし大事な誕生日回の後書きがこれでよいのか?」
「まぁ私達らしいけどね・・・これはこれで」
「これもまたいい思い出になる・・・といいな」
言いきれよ主人公・・・それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「「「「「「「「それでは次回もお楽しみに!」」」」」」」」」」」」」

「そして~!」

『ハッピーバースディ!調!』


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0と0


・・・とうとうここまで来た。三年にも及ぶ物語、ノイズとの戦いからここまで続いた、もはや多く語ることはない・・・ただ、この物語の結末を見届けてくれ・・・それでは戦姫転生ゼロフォギア最終話『0と0』・・・最後の物語をどうぞ!


流星と共に地上に帰還した十二の英雄達は、アークと対峙していた。

 

「お前達・・・間に合ったのか・・・!」

 

「間に合わせたんだ・・・俺達人類が・・・!」

 

「神の力に抗い・・・人類の力で!」

 

真達の帰還に弦十郎とキャロル、サンジェルマンを始めその場にいた全員が歓喜の声を上げる。

 

「皆・・・耐えてくれて本当にありがとう・・・後は俺達が相手する!」

 

「分かった・・・負傷者を安全な場所まで運ぶんだ、急げ!」

 

弦十郎は真達に全てを託し、無事な者達と共に負傷者を安全圏内まで運び出す。

 

「やはり帰還してきたか仮面ライダー、シンフォギア・・・一体どうやってあそこから脱出した」

 

「あるお方の手助けがあったもんでな・・・」

 

「ほう、それは興味深いな・・・だがまぁいいだろう」

 

アークは今もなお伸び続けるクリフォトに視線を向ける。

 

「クリフォトが月遺跡に接続されるまで残り一時間を切った、貴様らに残された選択はただ二つ・・・勝利か、敗北か・・・だがお前たちがたどり着く結論は、敗北だ」

 

「だったら、その結論を覆して見せる、人類の力で・・・この希望の力で!」

 

「貴方がみんなの未来を奪うなら、私達がみんなの未来を守る!この拳で!」

 

真と響の声で、全員が構えるのに対し、アークは空中に浮遊して構える。

 

「いいだろう・・・さぁ、この世界の夜明けを賭けた最後の戦いだ」

 

その言葉と同時に全員が飛び出した。

 

『使用BGM:PERFECT SYMPHONY(響&翼&クリス&マリア&切歌&調&未来)』

 

なぜ空は歌を零したか?

 

先行した響はアークに拳を振るうが、アークは響の動きを予測し全て躱し響を吹き飛ばし生成したガングニールを放つが、吹き飛ばされた彼女を真が受け止め追撃に放たれたガングニールを直前で回避する。

 

なぜ人は言葉を持ったか?

 

未来が極大の光線を幾重にも放つが、生成したシェンショウジンが光線を全て防ぐ。

 

「七つの歌を合わせ、神の不条理を覆すか・・・だが、それでは私に傷をつけることは能わない」

 

そう言ってアークは生成したシェンショウジンから大量の光線を放ち未来を引かせる。

 

それは分かり合いたいという

 

心の

 

クリスは大量のミサイルと共に無数のレーザーを放つが、生成したイチイバルが全て撃ち落としてしまう。

 

寂しさからだった

 

一人ぼっちだとメロディは

 

奏と翼は接近戦を試みるが、アークはガングニールとアメノハバキリを生成し二人の攻撃を受け止めその上から土と氷の錬金術で作りだした大槌で叩き落とした。

 

意味をなさずに

 

泣くだけ

 

調は大量のリングを投擲しそれに縛り付けた糸でアークの周囲を囲み、切歌が地面を切り裂くほどに巨大化させたアームドギアでアークを切ろうとするが、アークはシュルシャガナを生成し糸を全て断ち切り、イガリマも生成して切歌のイガリマをはじき返し二人を炎と風の錬金術で吹き飛ばした。

 

「愛とは何か?夢とは何?」

 

抗い生きてきた

 

マリアが左腕に取り付けた紫色の剣で切りかかるが、アークはアガートラームを生成し受け止め蛇腹剣でマリアを拘束し地面に叩きつけようとするがセレナがアークの蛇腹剣を切り裂きマリアを助け、反撃に大量の短剣を放つが全て切り落とされてしまう。

 

人をナメるなよ

 

集いし7つの音階は

 

アークは四属性の錬金術を付与したアームドギアの雨を降らすが、紫苑と桃恵の錬金術による防壁で防ぎきり、紫苑の生成した足場に真が飛び乗りアークに向かって行く。

 

姿へ

 

爆ぜる星々の産声

 

アークに接近した真はゼロツーの予測演算を最大限行使し攻撃を仕掛けるが、アークはそれをも上回る予測演算で真の攻撃を全て受け止め薙ぎ払った。

 

宇宙(そら)

 

聞こえるか?この鼓動

 

聴こえるか?この希望

 

アークは手元に極大の陣を生成し、そこから黒い光線を真達に向けて放った。

 

燃え煌めけ最後の唄

 

光線に対し真は前に出て飛電メタルを全て使った壁を作り出し光線を何とか防ぎきった。

 

この世界は繋がる…君を愛す力がある!

 

「くそっ・・・かすり傷すら与えられねえのかよ!?」

 

「元々のアークの予測演算に神の力が加わってる・・・おそらくゼロツー以上の予測をしてる!」

 

「その上、我々の聖遺物と錬金術を駆使しているのに加え、神殺しの力を持つ立花を警戒している!」

 

「けど、それだけのことで折れる私達じゃないわ!」

 

「幾ら神の力を持ったとしても絶対などありえん!必ず隙が生じるはずじゃ!」

 

何百、何千、何万と

 

負けても生きること諦めない

 

「だったら生じさせてみろ、その隙とやらをな」

 

アークはそう言って空中に幾重もの陣を生成し、そこから大量のアームドギアを射出した。

 

この世界は羽撃く…唄を羽根に変えながら!

 

真達は降り注ぐアームドギアの雨を躱しながらアークに攻撃を仕掛けるが、アークは悉く攻撃を予測し防ぎきり真達に手痛い反撃を与えていく。

 

 

全部を出し切るんだ

 

紫苑と桃恵が錬金術でアークを囲むが、アークはアメノハバキリを振るい二人の陣を砕き黒く染まった蒼ノ一閃を二人に放ち吹き飛ばした。

 

 

束ねて重ねた手で

 

正義を信じて花咲け勇気よ

 

紫苑と桃恵がやられると同時に真と響が同時に攻撃を仕掛けるがアークが生成した陣に防がれてしまい、アークは両腕にガングニールを身に着け二人を殴り飛ばした。

 

虹を明日に…!救うんだ未来を

 

「進化したXDでも・・・仮面ライダーの最強形態でもアークには敵わないのか・・・!?」

 

避難を終えた弦十郎達は遠巻きに真達の戦いを見ていた。

 

「アークの持つ性能に加えて神の力、錬金術、聖遺物・・・正直に言えば勝率は限りなく低い・・・けれど」

 

「皆さんなら・・・きっと奇跡を起こせます!」

 

フィーネとエルフナインの言葉に、全員は真達の勝利を祈る。

 

「たとえどれだけ力を束ね、力を得ようが、神たる力には遠く及ばない」

 

アークが手をかざすと、周囲に光が溢れだし大量のアークマギアが生成させる。

 

思いつく限りの言葉で

 

「人類はこの世界にとって不条理な存在だとわからないか・・・気まぐれで周りを傷つけ、踏み躙り、自身こそが正義だと口にし力を振るう」

 

真は生成した二本のプログライズホッパーブレードで生成されていくアークマギアを次々と切り裂いていき、それに合わせるように響が倒し損ねたアークマギアを殴り壊していく。

 

気持ちを伝え切りたいと

 

翼は自身の燃え盛る髪を振るい、奏はアームドギアを回転させ巨大な竜巻を発生させ、周囲のアークマギアを薙ぎ払って行く。

 

足掻けることこそ人間の

 

チカラ

 

クリスは自身の背後に銃を構えた巨大な自分自身を投影しアークマギアを撃ち抜き、クリスが放った攻撃を未来が大量の鏡で反射させさらに撃ち落としていく。

 

尊き可能性

 

足りないことは支え合って

 

調と切歌はお互いのアームドギアを組み合わせ巨大なUFOにして乗り込み、操作してアークマギアを切り落としていく。

 

涙も笑顔も

 

一緒に

 

マリアは左腕のアームドギアをレールガンに形を変え巨大なアークマギアを貫き、マリアに迫って来るアークマギアに対してセレナは大量の短剣を繰り出すと短剣が妖精のような形になり縦横無尽にアークマギアを切り裂いていく。

 

弱くてもいい…強くなること

 

粘り生きてきた

 

紫苑と桃恵は互いの錬金術を組み合わせ、四元素が混じり合った一撃を放ちアークマギアを消し去っていく。

 

人で在れるなら

 

集いし7つの調和よ

 

「人間は悪性の病原体だ、故に私が人間をマギアに変え統制し真の世界を創造する」

 

アークはアメノハバキリとアガートラームを生成し、周囲に無数の斬撃を放つ。

 

なれ

 

極限まで食い縛って

 

アークの放った斬撃を真、響、翼、マリア、切歌、紫苑が切り防いでいき、後ろで待機していたクリス、奏、未来、セレナ、調、桃恵が遠距離攻撃を仕掛ける。

 

叫ぶ

 

聞こえるか?このハーモニー

 

聴こえるか?このシンフォニー

 

アークは六人の攻撃をガングニールで全て打ち落としてしまう。

 

「お前達は私が創り出す新たな世界の礎となる、それが完全なる結論だ」

 

アークはガングニールにエネルギーを溜め、極大な一撃を響に向けて放った。

 

殴り吠えろ最後の唄

 

響に向かって放たれた一撃を真が庇い、真は地面に落ちていく。

 

「真さん!!」

 

真はとっさに体勢を立て直し地面に降り立つが、そこにアークがプログライズホッパーブレードを携え真とぶつかり合った。

 

この命は意味がある…君を生かす力がある!

 

真とアークはぶつかり合いながら互いに語り掛ける。

 

「確かに人間は面白半分で人を傷つける・・・けど全ての人間がそうとは限らない!響達みたいに誰かを思って手を差し伸べたり、守ったりする!人間にもいい奴はたくさんいる!」

 

「その者達の思いすら踏み躙り悪意は生まれ蔓延する、私のいた世界でもそうだった・・・自身の保身のために悪事を働く者達は多くいた、私も悪意を持った人間のせいで生まれた」

 

語り尽くせばいいんだ

 

魂も声も枯れるほどに

 

「人間がいる限り悪意は生まれ続ける、それが人類の背負った大罪だ」

 

アークの攻撃で徐々に真の体に傷がついて行き、顔を隠す装甲も砕けていき素顔が見えだす。

 

この命は燃えてる…凍ったハートを溶かそうと!

 

「大罪を背負った人類が・・・神に勝てる可能性などない!」

 

アークは強力な斬撃を放ち、真は武器で防ぐが、斬撃の勢いに負け後ろに押されていく。

 

 

絆、心、一つに

 

斬撃に押されていく真を翼が上空から剣の雨を降らしアークの斬撃を掻き消し、膝を突こうとする真を響が支える。

 

 

立ち上がれと言っている

 

全ての歴史 拳に込めよう

 

真を助けると同時にクリス達が集中砲火を繰り出すが、アークは錬金術で全て防がれてしまう。

 

そしてその手で…!守るんだ未来を

 

調が大量のリングを繰り出し、切歌が燃え盛る鎌の一撃を振るい、マリアが白銀の焔を纏った短剣を放ち、セレナが大量の短剣を雨のように降らせると、四人の攻撃が混ざり合い一つの巨人となりアークに向かいアークは錬金術で防ぐが、その際に生じた爆煙がアークの視界を遮った。

 

「っ!今が好機だっ!」

 

『オーバーブレイク!』

 

真の掛け声で全員は力を開放し、同時にアークに向かって行く。

 

爆煙を払いその攻撃を見たアークは錬金術の防壁を展開するが、真達はアークの防壁に向かってライダーキックを放った。

 

この世界は羽撃く…唄を羽根に変えながら!

 

 

全部を出し切るんだ

 

十二人のライダーキックによってアークの生じた防壁にひびが入って行き、アークが徐々に押されていく。

 

 

束ねて重ねた手で

 

正義を信じて花咲け勇気よ

 

アークを押していく真達だが、限界を突破した力にギアとスーツが耐え切れず徐々に砕けていく。

 

虹を明日に…!救うんだ未来を

 

「・・・それでも貴様らは私には届かない」

 

『っ!?』

 

あと少しで砕ける・・・そう思った瞬間、アークの体から黒いエネルギーが漏れ出しそれが鋭い棘状となり真達を襲った。

 

『ああっ!!!』

 

アークの一撃で真達は吹き飛ばされ地面を転がっていき、アークはそのまま空へと飛んだ。

 

「結論はついた・・・これで終焉だ」

 

アークはそう言ってドライバーのキーを押し込む。

 

マリスエンド…!

 

アークの右足に黒と銀のエネルギーが集結し、アークはそのまま真下の地面に向けてライダーキックを放った。

 

それを見た真が周囲を見当たすと、アークの攻撃でまだ動けずにいた仲間達がいた。

 

「っ!さ・・・せるかっ!」

 

ゼロツービッグバン!

 

真は傷だらけの体を無理やり立たせキーを押し込み、高速でアークの真下に向かい跳躍しライダーキックを放ちぶつかり合った。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「無駄だ・・・ふっ!」

 

「がぁっ!!」

 

真は全力を振り絞り食い止めようとするが、アークの一撃には敵わず真は弾き飛ばされてしまう。

 

 

マリスエンド

 

そしてその勢いのままアークのライダーキックが地面に突き刺さり、アークを中心として黒色と銀色が混ざり合った大爆発が周囲の全員を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・っ!」

 

変身が解け、目を覚ます真が眼にしたのはアークの一撃によってほとんど更地となってしまった大地だった。

 

「み・・・みん・・・な・・・っ」

 

真が周囲を見渡すと、アークの一撃で吹き飛ばされた皆を見つける、全員ボロボロだったが動けるようだった。

 

「まだ・・・生きてる・・・っ!」

 

真は傷だらけになろうとも立ち上がると、目の前にアークが現れる。

 

「これが結論だ、貴様らでは覆すことのない完全なる結論・・・だがお前の妨害が無かったら全員今の一撃で死んでいたのだが・・・悪あがきだな」

 

「ま・・・だだ・・・、まだ・・・終わって・・・ない・・・っ!」

 

ライジングホッパー!

 

真はすぐさまライジングホッパーに変身し、プログライズホッパーブレードを握り締めアークに立ち向かう。

 

「そうだな・・・貴様らはそういう存在だったな、決して諦めず立ち向かってくる英雄だ」

 

アークはそう呟きプログライズホッパーブレードを生成し握りしめる。

 

「人を守る、素晴らしい心がけだ・・・故に」

 

そう言ってアークは視線を真から外す。

 

「・・・・・・っ?どこを向いて・・・」

 

視線を外したアークに疑惑を持った真はその一瞬であることに気が付く。

 

アークが視線を外した意味・・・そして視線の先にいた人物に。

 

「・・・・・・っ!!?」

 

真がそれに気が付いた瞬間、アークは一瞬真の前から消えた、そして姿を現したのは・・・いまだに立ち上がれずにいた響の目の前だった。

 

「あ・・・っ!」

 

アークは響に向かって武器を振り上げ、響は躱そうとするが体が言うことを聞かなかった。

 

「・・・っ!響っ!」

 

アークが武器を振り下ろす直前、真はすぐさま跳躍し響の前に立ち武器を構えて響を守る。

 

「人を守る・・・それこそが」

 

アークはそのまま武器を振り下ろし・・・。

 

「貴様の弱点だ」

 

 

 

武器ごと真の体が切り裂かれた。

 

手にした武器を両断され、切り裂かれた個所から血が噴き出し、その一撃は真のドライバーをも切り裂き壊し、真の変身が解け、真は力無く両腕を下す。

 

真が膝をつく前にアークが手にしていた武器が消え去り、空いた右手に黒いエネルギーが溜められアークは右手を構える。

 

目の前の光景に眼を見開き、声も出せない響は血を流す真に向けて震える手を伸ばすと同時に・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

右手から放たれた黒閃が真の胸を貫いた。

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

目の前の光景が理解できない響、だがいくら現実を否定しようと目の前には胸に大きな風穴を開けた真が立っていた。

 

「希望は滅びる・・・英雄の命と共に」

 

そう言ってアークが振り返ると同時に、真の体が力なく地面に倒れる。

 

「・・・・・・まな・・・さん?」

 

響は虚ろな目で目の前で倒れる真の声をかける、だが返事は帰ってこず真の下に赤い水たまりが広がっていくだけだった。

 

「あ・・・・・・ああ・・・・・・っ!」

 

響は這いずりながら真に近づくが、真の胸には大きな風穴が開けられており、その瞳には既に生気は宿っていなかった。

 

そんな響に向けて、アークは無情にも言葉を告げた。

 

「ドライバーを壊し、命を砕き、奇跡は全て滅ぼした・・・仮面ライダーゼロワンは、滅亡した」

 

「あ・・・ああ・・・・・・!」

 

 

「ああああああああああああああああ!!!」

 

 

アークの言葉に響の虚ろな目に涙が溢れだし、響は真の体に身を寄せ大声で泣き叫ぶ。

 

だがいくら泣いても、叫んでも真が起きることはなかった。

 

「これで私の最大の障害はいなくなった・・・いよいよ私の計画が果たされるときだ!」

 

そう叫ぶアークに極大の斬撃が放たれとっさにアークは錬金術で防ぐ。

 

斬撃が放たれた方を向くと、ボロボロでありながらも剣を握り占め立ち上がっていた翼がいた。

 

「よくも・・・よくも継菜を・・・私達の友を・・・!」

 

そう呟く翼が顔を上げると、その瞳は涙を流しながらも怒りに染まっていた。

 

「よくも殺してくれたな、貴様ぁぁぁぁぁ!!」

 

「まだ立ち向かうというのか・・・無駄だというのに」

 

そう言ったアークに今度は大量のミサイル、光線、短剣等々様々な攻撃の嵐が放たれるが、アークは全て防いでしまう。

 

「うるせぇ・・・お前は確実に地獄に送ってやる・・・!!」

 

アークが周囲を見当たすとクリス達も翼と同じく怒りに震えながら武器を構えていた。

 

「無駄だといったのが分からないか・・・」

 

アークがクリス達に向けて手を差し出し錬金術を繰り出そうとすると、アークの後方から極大の光線が放たれとっさに障壁を張り防ぐ。

 

「黙れ・・・ガラクタ風情が・・・!」

 

「お母さん・・・お母さん!!!」

 

アークが振り返ると、ダウルダヴラを身に纏ったキャロルが大量の陣を展開しており、弦十郎が抱きかかえているエルフナインが涙を流しながら真に手を伸ばしていた。

 

「よくも俺の・・・俺達の母さんを殺してくれたな・・・貴様だけは一欠片も残さず完全に分解してやる・・・!!」

 

「そうか・・・ならいいだろう、貴様らもゼロワンと同じところに送ってやろう・・・神の慈悲でな」

 

「黙れクソ神がぁぁぁぁぁ!!」

 

クリスの叫びと共に響とエルフナインを除いた全員がアークに向かって行った。

 

死闘が繰り広げられ、傍で涙する少女達がいても、真は目を覚まさなかった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

光が欠片もない闇の空間、その中で真はゆっくりと落ちながら眼を開けた。

 

『・・・・・・・・・ここは』

 

真が眼を覚ますと、周囲を見渡し直前で何があったのかを思い出す。

 

『そうか・・・俺、死んだんだ・・・響を庇って、アークの攻撃で』

 

直前の事を思い出し真の瞳から涙が流れる。

 

『くそ・・・あんな奴に負けちまったのかよ・・・・・・でも、もうどうすることもできない・・・っ!』

 

真は悔しそうに涙を流し続ける、アークに負けたこと、死んでしまってもうどうすることもできない不甲斐なさに涙が止まらなかった。

 

『・・・・・・負けて悔しい?』

 

『っ!?誰だっ!?』

 

突然自分以外何もいない空間に別の声が聞こえてきて真は驚いていると、目の前に青い光が現れ形を変える。

 

サファイアのように輝く長い髪と瞳、闇の空間でひときわ目立つ白いドレスを身に着けた女性。

 

『負けて悔しいのって聞いてるのよ』

 

初めて見る女性、だが真はその声に聞き覚えがあった。

 

『・・・あんた、神さんか?』

 

『ええ、こうして姿を見せるのは初めてね、真君』

 

『・・・あんたがいるってことは、ここはあの時と同じ死んだ後の世界って事か?』

 

真の言葉に女神は首を横に振る。

 

『少し違うわ、ここはその途中の道、死した者が私達のいる神界に送られる途中の道、今貴方は神界に送られている最中よ』

 

『・・・結局同じじゃねえか』

 

『さっきの質問だけど、アークに負けて悔しい?仲間を利用されて殺されたことが悔しい?』

 

『・・・・・・そんなの、悔しいに決まってるだろっ!』

 

真は女神の質問に怒りをあらわにして答えた。

 

『でももうどうすることも出来ない!あいつに殺されて・・・もう俺に出来る事なんて何もないんだよ!!』

 

真は涙を流しながら怒りながら答えると、女神はうんうんと頷く。

 

『そうよね・・・でも一つだけ聞かせてもらえないかしら?』

 

『・・・何だよ』

 

『アークに殺されてって言ったけど・・・そもそも貴方が響ちゃんを守らなかったらまだ死なずに済んだんじゃないかしら?』

 

『・・・はっ?』

 

女神の言葉に真は耳を疑った。

 

『その上、あの時アークの一撃を受け止めようとしなかったらまだ動けていたんじゃないかしら?それにクリフォトから脱出しなかったら傷ついて死ぬことはなかったんじゃないかしら?そこが気になって『ざけんなよ』ん?』

 

真は女神の胸倉を掴み怒りを爆発させた。

 

『ふざけんじゃねえよ!自分可愛さに仲間を、みんなを見捨てろっていうのか!ふざけたことを抜かすんじゃねえよクソ神!!』

 

『でも事実でしょう』

 

『黙れ!あんたに何が分かるっていうんだよ!』

 

真は叫びながら胸倉をさらに強く掴みかかると、神は冷静に答える。

 

『・・・じゃあ、なんであなたは彼女達を見捨てず、身を挺して守ったの』

 

『・・・はっ?』

 

『それさえ答えてくれれば、さっきまでの言葉は謝罪するわ・・・それでどうして守ったの?』

 

『どうして・・・守ったか・・・』

 

女神の質問に真は女神の胸倉を離し、思案する。

 

(どうして守ったかって・・・そんなの仲間だから・・・危険だったから・・・でも、本当にそれだけなのか?アークの一撃を妨害する時、周りのみんなを見てとっさに動いていた・・・響の時、そんなこと考えるよりも先に身体が動いていた・・・予測していたからとかそういうのじゃなくとっさに身体が動いていた・・・どうして?)

 

真は考え込み、そして真の脳裏に響達のことが走馬灯のように広がっていく。

 

『お母さん!』

 

母と呼び笑顔を浮かべるエルフナイン。

 

『母さん・・・』

 

照れくさそうにそう呼ぶキャロル。

 

『真さん』

 

優し気な笑みを浮かべる桃恵。

 

『真よ!』

 

屈託のない笑顔をする紫苑。

 

『真さん』

 

月のように綺麗な微笑む調。

 

『真さん!』

 

太陽のような明るい笑みを浮かべる切歌。

 

『継菜真』

 

母のような笑みを浮かべるマリア。

 

『真お姉ちゃん』

 

姉のように自身を慕い笑みを浮かべるセレナ。

 

『真・・・』

 

ぎこちない笑みを浮かべるクリス。

 

『真』

 

分け隔てない笑みを浮かべる奏。

 

『継菜』

 

淑女のような笑みを浮かべる翼。

 

『真さん』

 

陽だまりのような笑みを浮かべる未来。

 

『真さん!』

 

近くでいつも笑顔を浮かべる響。

 

仲間達の笑顔が真の脳裏に浮かぶ。

 

此処までともにしてきた彼女達を思い、そしてそれに気が付いた真がその答えを口にした。

 

 

 

 

 

『そうか・・・俺、みんなのことが好きだったんだ』

 

真が呟いた答えを女神は優し気な顔で聞いていた。

 

『みんなのことが大切で・・・大好きだったから・・・守りたかったんだ』

 

そう言うと、突然真は笑い出す。

 

『・・・ハハッ、結構単純なことだったんだな』

 

『ええ、とても単純・・・でも、とっても素敵な答え』

 

女神がそう言った瞬間、真の目の前に光り輝く物が現れる。

 

『ドライバーに・・・プログライズキー・・・!』

 

アークに破壊されたゼロワンドライバーとライジングホッパープログライズキー、その二つが輝きを発していた。

 

『それが答え、聖遺物化の最後の一押し・・・大切な人を思う『愛』よ』

 

『愛・・・か、そういう事だったのか・・・』

 

真は光り輝くドライバーを身に着け、キーを握り締めると、涙を拭うと、女神が真の顔に手を添え、額を合わせる。

 

『そして、これは私から、答えにたどり着いた貴方へのプレゼント』

 

すると女神の体が光り輝き、真の体の中に吸い込まれていく。

 

『本来なら人間を生き返らせるのはいけないことだけど・・・特例として一人だけを生き返らせることが出来る・・・自身の存在を使ってね』

 

『自身の存在って・・・あんた!?』

 

『私の存在を・・・力を全て貴方に託して生き返らせる・・・それが私にできる唯一の方法』

 

真の中に女神の輝きが入って行く・・・すると真と脳裏にある光景が映し出された。

 

何処か知らない建物・・・その中で自身に近づき、触れ、優し気な笑みを浮かべる男性。

 

次に見えたのは地球、宇宙空間から見ているはずなのにその視界は地球に近づいていき、ある光景が視界に入った。

 

見たことのない遊園地で暴れるマギアと、それに立ち向かう一人の男性とその傍にいる一人の女性。

 

そして光景はその二人に集中し、ある時自身の視界が黒く染まっていく。

 

完全に黒く染まり闇に包まれる中、一つの小さな輝きが見えそこに向かう。

 

そしてその光にたどり着くと、光が溢れだし闇が払われていき、光景がまた変わる

 

ボロボロの街の中で目の前にいるアークと対峙する一人の男性。

 

『アーク、お前を倒すっ!』

 

その光景を最後に、真は意識を取り戻す。

 

『・・・今のは』

 

真はそう呟いて目の前の女神に視線を向けると、女神は口を開く。

 

『・・・かつて、悪意に支配された衛星はその役目を終えた・・・だけどその存在は神々に拾われ、神の気まぐれでその衛星は神へと位を上げた・・・神となった衛星は次第に人の感情と心を理解し人と同じように笑顔を浮かべれるようになった・・・だけど悪意が現れた時、神は悪意を探し出すと同時にそれに対抗する存在を探し出し、そして見つけた・・・悪意に打ち勝つことが出来る可能性を持つ者を』

 

そう言った女神の体は徐々に薄くなっていく。

 

『・・・これで私にできることはもう何もない・・・だからお願い、真君』

 

女神は消えゆく中、真に最後のお願いをした。

 

『・・・世界を、守って』

 

『・・・ああ』

 

そう言って女神は消えてしまい、真は一人残った。

 

『・・・さて、じゃあ早く帰らないとな・・・と言ってもどうやって帰れば・・・?』

 

真が帰還する方法を考えていると、ドライバーが輝きだし真の頭にあることが思い浮かぶ。

 

『・・・なるほど、そりゃ今の俺にぴったりだな』

 

真は笑みを浮かべると、暗闇の中で息を吸い込み・・・。

 

それを、口にした・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「があぁっ!!!」

 

アークの攻撃で翼達は地面に叩きつけられてしまう。

 

「これでわかっただろう、貴様らでは私には勝てないと」

 

「く・・・そ・・・っ!」

 

翼達は立ち上がろうとするが、立ち上がる程の力は既に残っておらず地面に這いつくばったままだった。

 

「そして・・・その時が来た」

 

その瞬間、頭上の月が突然黒く染まる。

 

「ついにクリフォトが月遺跡と接続した・・・呪詛を解析し人類をマギア化するまでもう十分を切った・・・私の望みは此処に果たされた!」

 

「ば・・・馬鹿な・・・!」

 

月遺跡に接続したことに歓喜するアークに絶望する翼たち、だがアークはすぐにその笑いを止めた。

 

「・・・だがその前に危険因子は排除しないとな」

 

そう言ってアークは響に視線を向けた。

 

「っ・・・貴様・・・まさかっ!?」

 

「ゼロワンがいない今、危険因子は神殺しのみ・・・人類がマギアとなる前に、ここで貴様も滅亡するがいい」

 

アークが指を響に向けると、指先に黒い光が蓄積されていく。

 

「止めろ・・・っ!!」

 

翼達は止めようとするが、体が言うことを聞かない。

 

「あ・・・・ああ・・・!」

 

響はその光景を見て動けずにいた。

 

「終わりだ、神殺し」

 

そして無慈悲な黒閃が響に向けて放たれた。

 

「響ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

未来の悲痛な叫び声が荒れ地に響き渡り、黒閃が響に向かって行った・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが黒閃は直前で何かに遮られて掻き消される。

 

「・・・何っ?」

 

「・・・え?」

 

自身の放った攻撃が消えたことに驚くアーク、自身に向かって来たはずの攻撃が消えて驚く響。

 

誰もが困惑する中、響の後ろで砂がこすれる音がした。

 

その音に気が付き、響は振り返った先には・・・。

 

胸に風穴が空いている真が、その両足で立ち上がっていた。

 

「・・・・・・・・・真、さん」

 

その姿を見て声を失う響。

 

「馬鹿な・・・・・・これはどういうことだ!?」

 

確実に殺したはずの人間が立ち上がったことに驚愕するアーク、そしてその困惑を横目に・・・。

 

それは、真の口から放たれた。

 

 

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

「っ!この唄は・・・!?」

 

それは唄・・・その唄ははっきりと、真の口から奏でられていた。

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

「絶唱・・・!?」

 

「何で・・・真お姉ちゃんが・・・!?」

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

真が絶唱を唄う中、響達は真のドライバーと自分達の持つシンフォギアキーが真の絶唱に共鳴して淡く輝いているのを確認した。

 

「これは・・・まさかっ・・・!」

 

そして全員の視線が真に集まり、唄が終わる。

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

その瞬間、真のドライバーとシンフォギアキーが完全に輝きだし、シンフォギアキーが響達の下から飛び出し、真の元に集まった。

 

九個のキーが真の周りに集まると、そこからホログラムの響達が真を囲み、笑みを浮かべると光の粒子となり真の身と手に持つ壊れたプログライズキー、ゼロワンドライバーに集約する。

 

光の粒子が胸に空いていた風穴や体の傷、壊れたドライバーに集約すると、まるで何もなかったかのように穴も傷もなくなり、ドライバーも元に戻る。

 

そしてライジングホッパープログライズキーに光の粒子が集約すると、キーの色合いが変わる。

 

ゼロワンを主張する黄色いカラーリングから、希望を思わせるような美しい水色のキー『ライジングホッパープログライズキー ゼロワンリアライジングver.』に変化する。

 

真は何も言わず、ただ静かに手にしたプログライズキーのライズスターターを押し込む。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

認証させると上空から、光り輝くライジングホッパーライダモデルが落下してきて周囲を跳躍する。

 

全員がその光景に言葉が出ない中、真はいつもみたいにキーを構えた時、その場にいた全員の眼に真に重なるように同じ構えをする男性の姿が見えた。

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

真の声と誰かの声が被ると同時にキーを装填すると、ライジングホッパーライダモデルが出現し大きく跳躍する、だが違ったのはライダモデルが真の頭上に到達した瞬間その身を光の粒子に変え、そして真の姿も変わっていった。

 

いつもの黒色のライダースーツではなく、黄色のメインカラーに水色のラインが走っているギアインナーを身に纏い、その上から光の粒子が纏わりつき、形を変える。

 

いつものライジングホッパーのアーマーをコンパクトになおかつ機能性を残した装甲が身に着けられ、頭部に黄色いヘッドギアが身に着けられる。

 

そして装甲を身に着けると、真の背中から天使を模したような翼が生成され、真が眼を開けるとその瞳はいつもとは違っており、その両眼はサファイアを思わせるように青く輝いていた。

 

イニシャライズ!リアライジングホッパー!

 

A riderkick to the sky turns to take off toward a dream.

 

その姿は今までのシンフォギアキーを介して身に纏ったシンフォギアに似た物とは違い、まさしく世界にただ一つの、真だけのシンフォギアだった。

 

「真・・・さん・・・!」

 

いつもと違う姿・・・だが確かに甦った真の姿を見て翼達は歓喜し、響は涙を流した。

 

「馬鹿な・・・!?」

 

アークは目の前の光景を信じられずにいた。

 

「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なっ!!?そんなことはあり得ない!あり得るはずがないっ!確かに私は貴様の命を砕いた!貴様のその身を切り裂いた!!貴様の命が潰えたのをこの眼で見た!!!なのになぜ貴様は立っている!?何故その唄を歌う!!?なぜ死んだはずなのに生きている!!!?」

 

アークの困惑の叫びが、異常な者を見る眼が、真に向けられる。

 

「貴様は・・・貴様は一体何なんだっ!!!!!」

 

アークは叫びながら手にしているプログライズホッパーブレードを振るい斬撃を放つが、真はそれをよけようとせず直撃してしまう。

 

『真『さん』っ!!?』

 

攻撃を避けずに直撃し血を吹きだす真に響達は叫びをあげた。

 

「はははっ!これで貴様は・・・っ!?」

 

アークは喜びの声を上げるが、途中で止め驚愕の顔をする。

 

真が血を流した瞬間、真の体が輝きだし光が消えた時には真に付いたはずの傷が綺麗に無くなっていた。

 

「傷が・・・それにあの輝きって・・・!?」

 

「『神の力によるダメージの無効化』・・・だとっ!?なぜ貴様が神の力を行使できる!!?」

 

真が神の力を使ったことにみんなが驚く中、真は口を開く。

 

「・・・俺は一度死んだ、でもあの人が力を与えてくれて、大切なことに気が付いて、俺は目を覚ました」

 

真は地上にいる響達に視線を向け、笑みを浮かべる。

 

「・・・大好きな皆を守るために立ち上がった、それが俺の力・・・俺のシンフォギア・・・俺の、エクスドライブだ!」

 

真は翼を広げて、自分の力の名を叫んだ。

 

「・・・認めん、そんな奇跡、認めん!今度こそ貴様を滅亡させる、ゼロワン!」

 

アークは今まで以上の力を繰り出し、真に向かって行った。

 

「アーク、お前を倒せるのはただ一人・・・俺だ!」

 

『使用BGM:REAL×EYEZ(真)』

 

真は翼を羽ばたかせ、アークに向かって行った。

 

「「はぁぁぁぁ!!」」

 

二人の拳がぶつかり合い衝撃が迸るが、力は互角だった。

 

広大なアーカイブ アクセスして

 

互いの拳や蹴りが何度もぶつかり合い衝撃を生じていく。

 

検索したって i dou`t think it`s right

 

「くっ・・・ならばっ!!」

 

アークは神の力を加えた予測演算で確実に攻撃が当たる予測を建て、その通りに攻撃を仕掛けるが。

 

「無駄だっ!」

 

真はアークの攻撃を全て防ぎ、アークを蹴り飛ばす。

 

「があっ!!」

 

データは過去 ワードは記号(サイン) 答えは404 not found

 

「馬鹿な・・・私の予測を超えただと・・・そんなことがっ!?」

 

自身の予測を覆され困惑するアークが真に視線を向けると、真の両眼が青く輝いていたのが見えた。

 

「その輝き・・・まさか・・・!?」

 

「ああ、これは神様から託された希望の力・・・世界を守るために存在をかけて託してくれた神の力だ!」

 

「そうか・・・あいつだったのか・・・あいつが手引きしていたのかっ!あの忌々しい通信衛星如きがぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

怒りに染まったアークはガングニールを生成し真に殴りかかる。

 

REAL×EYEZ はじまりの合図 新しい時代を

 

真が右腕を掲げると、右腕が輝きだしアークの拳を受け止める。

 

「あれはっ!」

 

響達が眼にしたのは、アークの纏うガングニールを受け止める、真の右腕に身に着けられていた『ガングニール』だった。

 

we`ve gotta SUN×RISE Burning like the fires

 

「貴様も聖遺物の生成を!?」

 

アークの言葉に応えるかのように真はアークの腕を払いアークの体に拳を叩きこむと、アークは大きく後ろに吹き飛ぶ。

 

切り拓け 運命を You wanna REAL×EYEZ

 

アークはアメノハバキリやイチイバルなど様々な聖遺物を生成し対抗するが、真も同じ聖遺物を生成しアークとぶつかり合って行く。

 

描いた未来図 ブチ抜いて

 

真はプログライズホッパーブレードを生成し斬撃を放ち、アークは錬金術で受け止めるが、すぐに破られ大きく吹き飛ばされる。

 

「くっ・・・だがこれしきの傷など!」

 

アークは神の力で傷をなかったことにしようとするが、その傷が無くなることはなかった。

 

「なにっ!?」

 

イケるのは you`re the only ONE

 

傷が無くならないことに驚くアークに真は再び一撃を与え、そこでアークは気が付く。

 

真の手に持つ武器が自身が生成したのと違い、力強く輝いているのを。

 

「神殺しの力だと!?馬鹿な・・・相反する力を同時併用など出来るはずが!?」

 

「そんなのは俺もわからないさ・・・でも、これだけは分かる、これは俺達の絆が起こした力だってな!」

 

真はアタッシュカリバー、アタッシュショットガン、アタッシュアロー、オーソライズバスターを生成すると、カリバーとショットガンを構えて突っ込む。

 

アークもカリバーとショットガンを生成し迎え撃つが、真の放った氷の斬撃がアークの武器を破壊し、追撃に放った炎の弾丸がアークに直撃し、体勢を崩したところをアタッシュアローを構えて風を宿した矢を撃ち込み、体勢を無理やり立て直したアークが拳を振るとそれを土の壁で防ぎ、懐にオーソライズバスターを叩き込んだ。

 

「あれはうちらの錬金術!?」

 

「私達の錬金術まで使えるんですか!?」

 

真は持てる全て力と仲間達の力を駆使しアークを追い詰めていく。

 

「馬鹿な・・・たかが人間が私と同じ位にまで登って来て・・・神の力を宿し・・・私以上の力で追い詰めるだど・・・」

 

アークは傷だらけになりながらも、怒りで声を荒げる。

 

「そんなこと、あるはずがないっ!!」

 

アークは真と距離を取り、クリフォトを背後に取る。

 

「あと少しで我が悲願が叶う!それの邪魔をするなら・・・完全に消し去ってやる!」

 

アークはそう叫びプログライズキーを押し込んだ。

 

マリスエンド…!

 

その瞬間、アークの身に先ほどよりも莫大なまでの黒いエネルギーが蓄積されていき、更にクリフォトからもどす黒いエネルギーがアークに流れ込んでいき、その影響で周囲の空間が歪みだし、大地が砕けていき砕けた地面や岩が浮かび上がっていく。

 

「この力・・・おそらく全ての力を使って継菜を倒すつもりか!」

 

「真さん・・・!」

 

心配そうに皆が真を見つめる中、真は笑みを浮かべていた。

 

「なぜ笑っていられる!?この力を前にして!!」

 

「さあな・・・なんとなくだけど、行ける気がするんだよな」

 

「その余裕は此処で消え去る・・・・貴様の命と共に!」

 

アークは周囲に浮かび上がった岩や地面に黒いエネルギーを蓄積させつつ、大量の武器やアームドギアを生成する。

 

「滅びろ、ゼロワンッッッッッ!!!」

 

アークはそのまま岩や地面、生成した武器を真に向けて放った。

 

「滅びない・・・お前を倒して、皆を守る!」

 

迫ってくる一撃に真もドライバーのキーを押し込む。

 

リアライジングインパクト!

 

キーを押し込むと、真はまさに光の如き速度で駆けだした。

 

降り注いでくる岩や武器を躱しながら、迫って来る地面に足を乗せ地面から地面へと跳躍し加速をつけ、アークに迫っていく。

 

それを見たアークは残る全エネルギーを自身の右足に集約させ、それに対するように真の右足も淡く輝きだす。

 

「これで終わりだぁぁぁぁぁ!!!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

相対する二人の一撃はぶつかり合い、その中心から凄まじい衝撃が発生し周囲の物や砕けた地面が吹き飛んでいく。

 

「はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

「おぉぉぉぉぉぉ!!」

 

拮抗する二人の一撃、だがアークの執念がなせる力なのか、少しづつ真が押されていった。

 

「くっ・・・!」

 

「終わりだぁぁぁぁ継菜真ぁぁぁぁぁぁ!!」

 

アークから放たれる黒いエネルギーが放出され真を呑み込もうとする。

 

「~~~・・・っ!!終わるかぁぁぁぁぁ!!」

 

飲み込まれようとした時、突如真の周囲が輝きだし、エネルギーを吹き飛ばす。

 

「何っ!?」

 

アークが周囲を見当たすと、真の周りだけではなく辺り一帯に光の粒子が溢れていた。

 

それを見たアークが更に辺りを見当たすと、避難した軍人達や弦十郎達が真に対して祈っており、その身から光の粒子が放出されていた。

 

「これは、この場にいるやつらが・・・いや、それだけじゃない!?」

 

アークが周囲を見渡すと、海の向こうからも大量の光の粒子が真の元に向かっていた。

 

「これはこの星全体から・・・だがなぜ!?」

 

突然のことに困惑する中、アークはあることに気が付く。

 

真の体から青と黄色が入り混じった光の帯が伸びており、その光の帯はアークの知らぬ間にクリフォトに届きクリフォトが淡く輝いていた。

 

「お前が莫大なまでのエネルギーを発してくれたおかげでいい目くらましになったぜ・・・っ!!」

 

「まさか貴様・・・クリフォトに接続しコントロールを乗っ取ったのか!?」

 

「お前と同じぐらいの力を手にしたからな、もしかしたらできると思ったんだ・・・みんなを繋げることが!!」

 

弦十郎達の祈りだけではない、世界中の人々の思いが集結し真の身に集約していき、右足の輝きがさらに増していく。

 

「バラルの呪詛を利用し・・・人々の思いを・・・束ねて・・・!?」

 

そしてその思いの輝きは、響達からも発せられていた。

 

「行ってください、真さん!」

 

「うちらの思いも込めて行け!」

 

「そして守ってください!」

 

「あたしたち人類の未来を!」

 

「人々が願う夢を!」

 

「みんなが抱える希望を!」

 

「お前に全部かけてやる!」

 

「みんなと歩む明日のために!」

 

「悪意に飲み込まれないために!」

 

「お父様が見せてくれた人の輝きを守るために!」

 

「勝ってください・・・真さん!!」

 

響達が祈ると、響達から輝きが放たれ真の右足に集約し、そのエネルギーが虹色に変わる。

 

「馬鹿な・・・人間に此処までの力が・・・!!」

 

「そうだ、人が力を合わせれば奇跡を起こせる、不可能を可能にする、神様だって超えられる!」

 

真の叫びと共に、真の勢いが強くなりアークの一撃を押していき、ついにアークの一撃を砕いた。

 

『未来を!』

 

『希望を!!』

 

『夢を!!!』

 

『守り切るためにぃぃぃぃぃぃ!!!』

 

「馬鹿な・・・こんなことが・・・!!?」

 

全人類の思いを込めた一撃が、アークを貫いた。

 

 

 

「・・・・・・っ!!」

 

身体を貫かれ、そこからひびが全身に走る中、アークは真の後姿にある人物の面影を重ねた。

 

かつて自分自身に最後まで抗い抜き、自身を打ち倒した男の姿を。

 

(また私は・・・『貴様』に敗れるというのか・・・!?)

 

『ゼロワァァァァァァァァァァァァン!!!』

 

アークは怒りの表情で真に向かって手を伸ばし叫び声を上げ、そして全身が結晶のように砕け散った。

 

身体が砕け、中から出て来た黒い球体はうめき声をあげもがき苦しみ、そして最終的に弾けて消え去り、同時にクリフォトにひびが入り、崩れ落ちていく。

 

崩れ落ちていくクリフォトと共に月の色が元に戻り、夜が明け朝日が大地を差す。

 

真は上がっていく朝日を見つめると、朝日の中にいないはずの女神の姿が見えた。

 

「・・・約束守ったぜ、神様」

 

真がそう言うと、女神は笑みを浮かべて朝日に吸い込まれていき消えて行った。

 

世界の夜明けを賭けた最後の戦いは、人類の勝利で幕を下ろした・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦から三日が経った日暮れ頃、真はリビングのソファーで横になっていた。

 

「はぁ・・・」

 

真が深い息をつくと、テーブルにコップが置かれる。

 

「温かい物どうぞ、真さん」

 

「温かい物どうも、響」

 

飲み物を受け取った真の横に響が座り込む。

 

「・・・体のチェック終わったんですよね、おかしなところはありませんでしたか?」

 

「いんや、むしろ健康そのものだってさ、全部元通り」

 

「そうなんですか!いったいどうして・・・?」

 

響の疑問に真は飲み物を一口飲んで答える。

 

「おそらくだけど・・・前に響がネフィリムとの戦いで暴走した時、捕食された左腕が治ったのに近い現象が起きたんじゃないかってさ」

 

「ネフィリムの時って・・・あれですか」

 

響は当時のことを思い出し嫌な顔をする。

 

「俺が絶唱を歌った時、放出された膨大なフォニックゲインが響の時と同じように失った個所を再生させたんじゃないかって・・・もしくは神の力でそれ自体がなかったことになったんじゃねってさ」

 

「最後投げやりですね・・・というより神様の力って・・・」

 

響はそう言って真の顔を・・・瞳を見る。

 

あの戦いの後、真の瞳の色は黒色から青色に変わっており元には戻らずにいた。

 

「そうだな・・・まぁあの力はエクスドライブにならないと使えないけど十分すぎるほどに強いからな」

 

「やっぱそうですよね・・・ところで神様と通信は?」

 

「やってみたけど、神に通話はもうできなくなっていた・・・おそらくもういなくなったんだと思う」

 

「そうですか・・・真さんを助けてくれたお礼を言いたかったんですけど」

 

「・・・きっと伝わってるさ」

 

真が飲み物を一口飲みこむと、響が思ったことを口にする。

 

「それにしても聖遺物化の最後の鍵がまさか愛だったなんて驚きですね」

 

「本当だな、これじゃあウェルのこと悪く言えなくなったな」

 

「そ・・・そうですね」

 

響は苦笑いを浮かべると、真はあることを響に尋ねる。

 

「んで響、今日の流星群みんなこれそうか?」

 

「あっはい!皆行けるみたいですよ!」

 

「そうか、そりゃよかったな」

 

「はい、早速向かいましょう流星群スポットに!」

 

「分かったわかった、すぐに準備するよ」

 

響と真はソファーから立ち上がり、急いで目的地まで向かって行った。

 

アークとの戦いで多くの人達が亡くなった。

 

アークがもたらした被害は数知れず、世界に大きな傷跡を残した。

 

アークの言った通り、人々は悪意に満ちているかもしれない・・・だが、それでも全ての人間が悪意に染まっているとは限らない。

 

誰かが傷つけられたなら、傷ついた人に手を差し伸べる人がいる。

 

誰かが悲しんだら、その悲しみを受け止めてくれる人がいる。

 

誰かが絶望していたら、絶望を払い希望を与えてくれる人がいる。

 

真達はそんな善意を信じ、明日を歩んでいく。

 

「・・・響、これからもよろしくな」

 

「はいっ!これからもよろしくお願いします、真さん!」

 

激戦の日々が終わり、平和な日々が始まる・・・これは彼女達が紡ぐ・・・。

 

 

 

0(終わり)』と『0(始まり)』の物語

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫転生ゼロフォギア 『完』





『・・・・・・・・・』
・・・終わったな。
「ああ・・・本当に終わったんだな」
「なんだか・・・感慨深いものがありますね」
「戦いが終わって嬉しいような・・・物語が終わって悲しいような・・・複雑な心境だな」
「けど、やっぱ勝てて良かったなって思うな」
「そうだね、最後は勝てて本当に良かったね」
「ああ・・・けど真がやられた時はマジで心がへし折れそうだったぜ・・・魔ぁそれ以上に怒りが勝ったけど」
展開の都合上あれがベストだった・・・悔いはない。
「そのおかげで二度目の死なんだが・・・今回ばかりは許すわ」
「結局神様はいなくなっちゃったんですね・・・」
「ええ、けどこうして全員生き延びてアークを倒せたのも神様のお陰ね」
「そうデスよ、きっと神様も喜んでくれてるデス」
「うん、きっと・・・いや絶対にね」
「しかし・・・これで終わりはちと寂しいのう・・・」
おっと、これで終わりはちっと違うな。
「えっ?でも作者さん最終話だって・・・」
確かに言った・・・けどここじゃあ終わっただけでは終わらないだろ。
「・・・まさか!」
ああ、アフターストーリー・・・改めエピローグがまだ残っている、そこではいつもと少し違った趣向でお送りする。物語的にはこれで最終話だが、エピローグぐらいやってもいいだろ?
「・・・そうだな、それがちょうどいいな!」
よしっ、それじゃあそろそろ〆るか・・・っとその前に。

ご視聴してくれた皆さん、最後まで見てくれてありがとうございました、エピローグは来週投稿します、もし見てくれるなら来週も見てください。それじゃあそろそろ〆るか。

「「「「「「「「「「「「「それではエピローグをお楽しみに!」」」」」」」」」」」」」


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エピローグ


とうとうこの物語も真の最終回、アークとの戦いから数ヶ月の時が流れ英雄達はどうしているのか、この物語の結末をぜひその目で見届けてください。それでは戦姫転生ゼロフォギア最終話『エピローグ』、どうぞ!


エピローグ①:歩み出す夢

 

 

 

アークとの戦いが終わり桜が咲く季節となった頃、響達はリディアンの校門前に集まっていた。

 

「クリスちゃ~ん!!」

 

「デェ~ス!!」

 

「だあぁっ!?泣きつくな馬鹿コンビ!」

 

「だってぇ・・・クリスちゃんともう学校通えないんだも~ん!!」

 

今日はリディアンでは卒業式が行われており、クリスがリディアンを卒業するのだった。

 

「お前らな・・・別に卒業したって家で会えるだろ・・・」

 

「そうだけどさぁ~!」

 

「はいはい響、クリスが困ってるよ」

 

クリスに泣きつく響を未来がなだめて引きはがす。

 

「それでクリス、確か大学に通うんだよね?」

 

「ああ、んで大学を卒業したら慈善団体を作ろうと思ってるんだ・・・」

 

「慈善団体・・・それって」

 

「ああ、パパとママと同じ歌で世界を平和にしようと思ってな・・・ソーニャやステファンも協力してくれるってさ」

 

そう言ってクリスは微笑みを見せる。

 

「パパとママが出来なかったことを私が叶える・・・それが今のあたしの夢だ」

 

「そっか・・・叶うといいね、クリスの夢」

 

「ああ、未来は卒業したら音大に入るんだよな?」

 

「うん、ピアノをもっと頑張ろうと思って・・・それにクリスほどじゃないけど私のピアノの音で誰かを笑顔にしたい・・・それが私の夢なの」

 

「・・・そっか、未来ならきっと叶えられるぜ」

 

「うん」

 

親しげに話し合う二人を見て響、切歌、調は不服そうに見つめる。

 

「いいな~未来、クリスちゃんに名前で呼んでもらえて」

 

「あたし達も呼ばれたいデース!」

 

「うん、未来先輩だけずるい」

 

「ずるいって言われても・・・」

 

「お前らは・・・てかお前は今年から受験勉強だろ、しっかりしろよな」

 

「うえぇ!?そうだったぁ・・・!」

 

「まっお前らも頑張れよ」

 

「うん、クリスも頑張ってね」

 

そう言ってクリスは笑顔で家に向かって、未来は学園に向かって・・・互いに夢に向かって歩みだした。

 

 

 

エピローグ②:羽ばたく夢

 

 

 

翼と奏は響達に内緒でとあるコンサート会場に来ていた。

 

「へへっ、まさか翼から誘われるとはな・・・しかもこういったところによ」

 

「ええ・・・何せここで私達は完全に復活したのだから」

 

二人がやって来たのは、この戦いで被害を受け、そしてツヴァイウィングが復活したコンサート会場だった。

 

二人はステージに腰を下ろし、空を見上げる。

 

「・・・本当に戦いが終わったんだな」

 

「ああ、これで心置きなく歌えるって訳だ・・・翼はこれからも歌を歌うのか」

 

「もちろんだ、むしろ私がそれ以外の道を選ぶと思うか?」

 

「いや思わねえ、けど風鳴家の事もあるから気になってな・・・」

 

奏がそう言うと、翼はゆっくりと立ち上がった。

 

「家に関しては叔父様が何とかしてくれるそうだ・・・『翼は翼の選んだ道を行け』と言われたよ」

 

「ははっ、流石旦那だ」

 

奏が笑うと翼は空に向かって手を伸ばし、そのまま拳を握り締める。

 

「私は今度こそ私自身の夢を叶えに向かう、人々を私達の歌で笑顔にするという夢を叶える為に」

 

「・・・そうだな、それがあたしらの、ツヴァイウィングの夢だからな」

 

奏も立ち上がり、翼に向かって拳を突き出す。

 

「だからこれからも頼むぜ、翼」

 

「ああ、これからもよろしく奏」

 

そう言って二人は拳をぶつける。

 

夢を叶える為に蘇った両翼は、今再び世界へと羽ばたいた。

 

 

 

エピローグ③:輝く夢

 

 

 

マリアとセレナはナスターシャが乗る車椅子を押し、街を一望できる高台に来ていた。

 

「綺麗な景色ね・・・セレナ、マム」

 

「はい、とっても素敵な景色です」

 

「ええそうね、素晴らしいな光景です」

 

三人が高台からの景色を見つめていると、ナスターシャがマリアに話しかける。

 

「・・・マリア、何を悩んでいるのですか?」

 

「っ!・・・気づいてたの?」

 

「ええ、長い間貴方達を見てきましたからね」

 

そう言われたマリアは、悩んだ末に口を開いた。

 

「・・・実は翼に共に歌わないかと誘われたの」

 

「そうなんですか・・・でも何でそれで悩んでいるのですか?」

 

セレナが疑問に思うと、マリアは悲しげな表情を浮かべて語りだす。

 

「・・・正直言って不安なの、多くの人達を危機に追いやってしまった私なんかが本当にステージにに立っていいのかって」

 

マリアの車椅子を掴む両手が小さく震えていると、震える右手にナスターシャが優しく手を添える。

 

「・・・前までの貴方はどこか危なげなところがありました、セレナを無くしその罪を背負い一人で全て抱え込もうとしていた」

 

ナスターシャは微笑みながら語っていく。

 

「ですが今の貴方はもうかつての貴方じゃない、誰かを思い行動する優しい貴方ならきっと皆に希望を与える素晴らしい歌姫になれると」

 

「マム・・・」

 

するとセレナが空いているマリアの左手に自身の手を添える。

 

「マリア姉さんは一人じゃありません、今のマリア姉さんには私やマムが付いてます。それにきっと暁さんに月読さん、それに真お姉ちゃん達もマリア姉さんを支えてくれます」

 

「セレナ・・・っ!」

 

自身を優しく支えてくれる二人に涙を流すマリア。

 

「・・・分かったわ、私この提案を受ける」

 

そう言ってマリアは涙を拭い決意する。

 

「そしてもう一度私の歌で全人類を一つにしてみせる、それが私の夢よ!」

 

そう叫ぶマリアを見て、セレナも口を開く。

 

「・・・それじゃあ私はマリア姉さんの手伝いをするね」

 

「えっセレナが!?」

 

「うん、奏さんもマネージャーからアイドルの戻ったから緒川さんだけじゃ大変だと思うから、私はマリア姉さんを支えるマネージャーになろうかって考えてるの」

 

そう言ってセレナは屈託のない笑みを見せる。

 

「マリア姉さんの夢が叶うことが、私にとっての夢だから!」

 

「セレナ・・・!」

 

「二人共素敵な夢です、きっと貴方達なら叶えられるでしょう」

 

マリアとセレナはステージに戻り、姉を支えると誓う、銀色のように輝く夢が色あせないように。

 

 

 

エピローグ④:切り開く夢

 

 

 

切歌と調は休みの日、クリスの部屋でクリスに勉強を教わっていた。

 

「しっかし意外だな、お前らから勉強を教わりたいって言われた時はよ」

 

「春休み開けにテストがあるって未来先輩に言われましたからその対策デス・・・!」

 

「うん、前まで戦いの事ばかりだったせいか勉強が危うくて・・・」

 

「そっか、まっ頑張れよ」

 

テスト勉強を張り切る二人を見て、クリスは思ったことを口にした。

 

「・・・そういやお前らはど卒業後の進路とか決まってんのか?」

 

「そこはきちんと決めてるデスよ」

 

「私達は、このままS.O.N.Gの職員になろうと考えてます」

 

「職員って・・・他にも道があるのにか?」

 

「はい、職員になって本格的に誰かの助けになりたいんです」

 

「それこそクリス先輩と同じように世界を平和にしたいのデス!」

 

「そ・・・そうか、あたしと同じようにか」

 

そう言われてクリスは照れ臭そうにする。

 

「それに、私達にも夢が出来ましたから」

 

「夢?」

 

「はい、あの時真さんが神様の力でみんなの思いを一つにしたように、今度はあたし達が神様の力抜きで皆の思いを一つにして見せるデス!」

 

アークとの戦いで真が神の力を使って全人類の思いを繋げたのを見て、二人はあの時みたいにみんなが一つになれるようにしたいと夢見た。

 

「・・・そっか、けどそれはかなり厳しい道になると思うぞ?」

 

「それは百も承知です、けど力を合わせればきっと叶えられるはずです」

 

「どんな障害があったって、あたしと調で全部切り裂いてやるデスよ!」

 

「・・・お前ららしいな」

 

そう言ってクリスは苦笑いをするが、クリスは二人の夢が叶えられると思っている。

 

どんな障害があったって、二人でなら夢への道を切り開けれると信じている。

 

 

 

エピローグ⑤:描く夢

 

 

 

「そういえばお前らはこれからどうするんだ?」

 

地下の研究室で紫苑、桃恵、キャロル、エルフナインが研究していると、キャロルが二人に尋ねた。

 

「どうする・・・というと?」

 

「アークとの戦いが終わって平和になった、それでお前らはこれからどうするんだと思ってな」

 

「僕とキャロルは引き続きS.O.N.Gで働きながら、サンジェルマンさん達と協力してヴァネッサさん達を元に戻す研究をします」

 

エルフナインとキャロルはサンジェルマン達と共にヴァネッサ達を人間に戻す研究をする予定だった、それを聞いて二人は互いに眼を合わせ、そして口を開く。

 

「うちらも職員として働くが・・・それと共にあの故郷を復興しようと考えておったところじゃ」

 

「故郷を復興だと、しかしお前たちは・・・」

 

「はい、ですがあそこは私たちの生まれ、短いとはいえ私たちが育った場所ですから大事にしたいんです」

 

「うむ、そして見事に復興させかつて以上の大集落にするつもりじゃ!」

 

「そうか・・・」

 

キャロル達が苦い顔をすると、紫苑と桃恵は優し気な笑みを浮かべる。

 

「・・・じゃが復興の前にどうしても作らねばならん物がある」

 

「作らねばならない物?」

 

「はい、お父さんとお母さんのお墓です」

 

「お父さんとお母さんの・・・っ!」

 

「うむ、そして墓を作ったら父と母にお主達のことを伝えたいのじゃ」

 

「うん、大変な目にあって苦しいことがあったけど・・・お父さんとお母さんが守ってくれたおかげで新しい家族が出来たって」

 

「うむ、それにきゃろる達だけではなくがりぃ達や真達・・・色んな者達と出会えたことも伝えたいんじゃ!」

 

「・・・そうか」

 

そう笑顔で答える二人を見てキャロルトエルフナインは目頭が熱くなる。

 

二人の描く夢を心から応援しようと、二人は心からそう思った。

 

 

 

エピローグ⑥:まだ見ぬ夢

 

 

 

「夢・・・か」

 

響は自室でベットに寝転がって夢について悩んでいた。

 

周りのみんなは立派な夢を掲げているが、響自身はこれと言った夢をまだ決めていなかった。

 

そう悩んでいると、ノックが聞こえてくる。

 

「響、入ってもいいか?」

 

聴こえて来たのは真の声だった。

 

「真さん?いいですよ」

 

そう言って真が部屋に入ってくる。

 

「どうしたんですか真さん?」

 

「いや、ちょっと響に用事があってな」

 

「私にですか?」

 

「ああ、隣失礼するな」

 

そう言って真は響の隣に座る。

 

「珍しいですね、真さんが私の部屋に来るのって」

 

「そうだな・・・響、最近なんか悩んでいないか?」

 

真にそう言われると響は一瞬ドキッとするが、すぐに落ち着く。

 

「・・・はい、実は少し夢について悩んでて」

 

そう言って響は真に話し始めた。

 

「クリスちゃん、翼さん、奏さん、マリアさん、セレナちゃん、切歌ちゃん、調ちゃん、紫苑さん、桃恵さん、そして未来は夢を目指して頑張っていますよね」

 

「ああ、そうだな」

 

「それで私、自分の夢がまだ分からなくて・・・それで悩んでいたんです」

 

響がそう言うと、真は優し気な笑みを浮かべる。

 

「そっか・・・俺も同じだな」

 

「真さんも?」

 

「ああ、アークを倒して世界を平和にして・・・んでその後はどうしようかって、考えて考えてそれでも思い浮かばなかったから気分転換に誰かと話そうかと思ったら悩んでいる響を見てな、それで呼びかけたんだ」

 

「そうだったんですか・・・という真さん男性に戻るというのは入らないんですか?」

 

「あれはどっちかというと夢というより野望って感じなんだよな・・・それに最近この体にも愛着が付いてきた・・・だからって諦めているわけじゃないけどな」

 

「そうですか・・・」

 

少しの間沈黙が走るが、すぐに響が沈黙を破った。

 

「・・・よしっ、じゃあ出かけましょう!もしかしたら何か夢が見つかるかもしれませんよ!」

 

「・・・そうだな、偶にはそれもいいか」

 

「あれ、意外と乗り気?」

 

「響の言う通り、何か見つかるかもしれないからな」

 

そう言って二人はそのまま街に繰り出していった。

 

食事やショッピング、ゲームセンターなどを楽しみ、気づいた頃にはすでに夕暮れ時だった。

 

「いや~すっかり日が暮れてきましたね」

 

「だな・・・しっかしこうしてゆっくりするのも久しぶりだな」

 

「そうですね・・・ってうわっ!?」

 

歩いていると響が躓き、手にしていた紙袋から買った商品が転がっていった。

 

「あっ待って!?」

 

「あっ響!」

 

響は商品を、真は響を追いかけて行き、少しすると商品が減速し止まる。

 

「ふぅ・・・よかった」

 

「大丈夫か響?」

 

「はい、何とか・・・ってここって・・・!」

 

響が商品を袋に入れ辺りを見当たすと、そこにはボロボロの会場があった。

 

「ここって確か・・・翼たちのコンサート会場だったところだよな」

 

「はい・・・そういえば私たちが最初に出会ったのって此処でしたよね」

 

「・・・そうだな」

 

二人はその会場を見てあの時の事を思い出す。

 

会場で響の持つチケットが風に飛ばされ、それを真が手に取って響に返した、それが二人の最初の出会いだった。

 

「・・・思えばここが全ての始まりでしたね」

 

「ああ、ここでノイズと戦って、その後に響が装者になって・・・そっからは激闘の数々だったな」

 

「クリスちゃんと戦って、了子さんと戦って、マリアさん達と戦って、キャロルちゃん達と戦って、サンジェルマンさん達と戦って、アークと戦って・・・大変な日々でしたね」

 

「ああ、ただの一般人にとっちゃこれ以上ない日々だったな」

 

そう言って二人は笑う。

 

「・・・けど響達がいなかったら此処まで来れなかったと思う」

 

「私も、真さん達と出会っていなかったら此処まで来れませんでした」

 

二人はそう言って暫く黙っていると、真が口を開いた。

 

「・・・なぁ響、もし夢が見つかったのならその夢、俺にも手伝わせてくれないか?」

 

「真さんがですか?」

 

「ああ・・・何というか、色々助けてくれたお礼・・・的な感じ」

 

「・・・分かりました、じゃあもし真さんも夢を見つけたら私が手伝いますね!」

 

「おう、そん時はよろしくな」

 

そう言って二人は帰路に就く、これからも戦いは続いていくだろうが、それでも二人は共に歩んでいく。

 

まだ見ぬ夢を求めて、未来へ共に進んでゆく。

 

 

 

エピローグLAST

 

 

 

とある会場にて、真達は正装に着替え集まっていた。

 

「まさか最後に全員集まってパーティーするなんて太っ腹だね!」

 

「だな、てか作者遅いな・・・自分から呼んどいて何してんだ?」

 

全員が話していると、会場内のステージの舞台端からスーツを着た男性がやって来る。

 

「え~・・・会場の皆さん、読者の皆さんどうも、戦姫転生ゼロフォギア作者の真紅林檎です、今回はお集まりいただき、そしてご視聴していただき誠にありがとうございます、それではただいまより戦姫転生ゼロフォギアエピローグ回を始めたいと思います」

 

作者がそう言うと真達は盛大な拍手を送った。

 

「・・・・・・よしっ、堅苦しい口調はここまでにしていつも通りに喋るか」

 

「あっいつもの作者に戻った」

 

「当たり前だろ、流石に常にかしこまった状態で話すのはきついからな、自然体で話させてもらうぞ・・・さて今回は今日まで続いたゼロフォギアについて感想を言いながら振り返るか」

 

「というか作者何で遅れたんだ?」

 

「ああ・・・実はちょっと用事があってそれで遅れてた」

 

「用事って・・・せっかくの最終回なのに一体どんな用事なんだ?」

 

「ああ~いや、マジで大した用事じゃないんだ・・・」

 

「大した用事じゃないのに遅れたって逆に気になるぞ?」

 

真がそう言うと、作者は渋々と答えた。

 

「・・・プ〇セカと〇ート・〇・ラ〇ブにハマってましt『マジで大した用事じゃないじゃねーか!!』げふぅ!!!」

 

真の飛び蹴りが作者に直撃し作者が吹っ飛んだ。

 

「お前何大事な日に〇ロセカしてデー〇・ア・○イ○見てるんだよ!?」

 

「いや聞いてくれ!?小説書き終わって暇だったから暇つぶしに何かないか探していたら偶然見つけて調べてみたらちょっとハマっただけで他意はないんだマジで勘弁してくれ!?」

 

作者の全力の弁明と大事なパーティーの最中ということもあり、真の怒りが徐々に収まっていく。

 

「・・・まぁ他意が無いのならきちんと謝ってくれれば」

 

「まぁ調べた結果推しが大量に出来てこっちに来るのが遅れたんですけどn『おもっくそ他意ありまくりじゃねーかぁ!!!』あぎゃあぁぁぁぁぁ!!?」

 

完璧に怒りを爆発させた真による作者への制裁がしばらく行われた。

 

 

 

~しばらくお待ちください~

 

 

 

「そ・・・それでは改めて、此処までの物語の振り返りと感想を行います」

 

ボロボロになった作者は何とか気を振り絞りながらも進行を進めると、ステージ上からモニターが下りてきて映像が映し出される。

 

「この作品は、2020年2月11日から投稿を始めたシンフォギア×仮面ライダーゼロワンのコラボ作品、初期タイトルは『ゼロワンだけど何故かTSってシンフォギアの世界に転生した(元)男』というタイトルだ」

 

「懐かしいな・・・確かにこんな長いタイトルだったな」

 

「なぜこの作品を書こうと思ったのですが・・・俺この作品の前に三つほど凍結させてしまった作品があって少し小説を書くのが面倒になってた」

 

「おい」

 

「まぁその時はその作品の熱が冷めたのもあったのでやめましたけど、今回は絶対に完走させようと決意して、念入りにどういう作品を書こうとしたのか考えた結果、当時某動画サイトで見てからは待った戦姫絶唱シンフォギアと、これまた当時テレビで放送していた仮面ライダーゼロワンを組み合わせた作品にしようとした結果、この作品が生まれたわけだ」

 

「ここから私達の物語が始まったんですよね」

 

「ああ、まぁ当時は他の作品を参考にしながら書いてたからありきたりな展開ばかりだったけど、こうして3年間も書いたおかげかある程度はオリジナル展開を繰り広げられることが出来たな・・・んでこの作品を作るにあたる際、悩んでいた主人公に関しては当時動画で見たアナザー翼をモデルに考えて作り出したのがこの物語の主人公、継菜真だ」

 

作者が手を差し出すと、真にスポットライトが当てられる。

 

真に向かって大量の拍手が送られる中、真はそのままステージ上まで上がった。

 

「どうも、作者の考えでふざけた死に方をした上性転換された被害者兼主人公、継菜真汰改め継菜真です」

 

「あっ真さんの本名って真汰なんですね」

 

「いや気になるところそこか!?」

 

「完全に皮肉言ったなお前」

 

「誰のせいだ、誰の」

 

「~♪」

 

真が作者を睨むが、作者はそっぽ向いてかすれた口笛を吹く。

 

「さて、気を取り直して『おい』転生した主人公がやって来たのが皆様知っての通り戦姫絶唱シンフォギアの世界、そこで真は仮面ライダーゼロワンとしてノイズと戦う事となった・・・そんな真が出会ったのが!」

 

そう言って作者が再び手を差し出すと、再びスポットライトが照らされる。

 

「立花響、風鳴翼、雪音クリス、小日向未来、そして改変によって生存した天羽奏、そして第一期のラスボス、櫻井了子こと永遠の巫女フィーネ!」

 

作者に呼ばれた響達に拍手が送られる中、響達は照れながら壇上に上がった。

 

「最初に俺が出会ったのが響なんだよな」

 

「はい、最初にチケットが風に飛ばされてそれを拾ってくれたのが真さんでしたね」

 

「しかしまさかそのコンサートでノイズが現れるとはな・・・」

 

「んでもってそのせいで響が大怪我を負っちまうし危うく奏が絶唱するところだったし・・・何か言う事無いか櫻井さん?」

 

「若気の至りって怖いわねぇ」

 

「何百年生きたばばぁが何を『何か言ったかした作者さん?』ナンデモゴザイマセン」

 

「あはは・・・んでもってそこで真が初めて変身したんだよな」

 

「ああ、仮面ライダーゼロワン、俺の初戦闘だ」

 

「そしてその戦いを経て二課に入ったのよね」

 

「まぁ方法があれだったけどな・・・そこで翼や奏と知り合ってその次に知り合ったのが響と未来だったな」

 

「はい、改めて響を助けてくれてありがとうございました」

 

「どういたしまして、んでもって俺が二課に入ってから二年が経ってようやく物語が進んだな」

 

「響のガングニールの覚醒、ノイズを操るソロモンの杖、ネフシュタンの鎧を身に纏うクリス・・・濃密な日々だったな」

 

「あの鎧、今思い出しただけでこっぱずかしいな・・・」

 

「いやアーマーパージを使うクリスが何言ってんだ?」

 

「それを言うな馬鹿真!?」

 

「久々に言ったなそのセリフ・・・それに原作と違って翼が協力的だったのが印象的だな」

 

「奏がいてくれたからな、奏がいなかったら私は原作通りだっただろう」

 

「その場合、俺の胃に穴が開きそうだな・・・」

 

「あたしもそこはハラハラしてたな」

 

「私なんて未来に隠し事してたから常時胃に穴が開きそうでしたよ・・・ごめんね未来」

 

「もう気にしてないからいいよ響」

 

「そしてリディアンでフィーネと戦い、クリス、翼が戦闘不能になって絶望的な状況でXDとシャイニングホッパーに変身したな」

 

「未来達の歌が聞こえてこなかったら本当に危なかったよ」

 

「あの時は私もみんなの役に立ちたかったからね」

 

「けどそのおかげで貴方達は私に勝ち世界を守ったのよね」

 

「敵であった櫻井さんがそう言うと違和感を感じるな・・・」

 

「そして第一期の物語は幕を下ろし・・・次の物語の幕が上がった、今度の舞台は空、天翔ける箱舟、そこで出会ったのが」

 

再びスポットライトが照らされる。

 

「マリア、切歌、調、そして改変によって生存したセレナ!」

 

呼ばれた四人も壇上に上がる。

 

「それじゃあ話を『世紀の大天才!ドクタァァァァァァァウェェェェェェェェェルゥゥゥゥゥゥゥ復活ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!登・場!!』うぉっ!?」

 

作者が話を進めようとした瞬間、天井から片腕を無くしたウェルが現れる。

 

「ウェル!?米国の監獄に幽閉されているはずじゃ!?」

 

「あの程度のセキュリティでこの僕を抑えられるとでも思ったのか!!」

 

「マジでしぶといなこいつ・・・」

 

テンションが高く暴走しているウェルにセレナが口を開いた。

 

「ああ、誰かと思ったらくだらない野望のためにマリア姉さんを泣かして暁さんと月読さんと利用してマムを亡き者にしようとした世界の英雄(笑)のジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスさんじゃないですか、あまりの屑っぷりに作者さんが再登場を渋ってその結果ネフィリムの片腕を物理的に切除されて米国の刑務所に幽閉されていた気分はどうですか世界の英雄(笑)ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスさん?さんざん馬鹿にしていた私達の活躍を牢獄の奥で聞いてて気分はどうでしたか世紀の大天才(笑)ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスさん?」

 

「」

 

「おいっ!?ウェルの奴息してないぞ!?」

 

「救急車ぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

 

 

~しばらくお待ちください~

 

 

 

「笑顔で淡々と毒舌を吐くセレナに恐怖を感じた」

 

「安心しなさい、私もよ」

 

「すみません、あの人の顔を見ると無性に怒りが湧いてきまして・・・」

 

「・・・ゴホン!では改めて第二期では真が最初に出会ったのがセレナだったな」

 

「ああ、買い物帰りで偶然な」

 

「あの時は神様が渡してくれた写真を頼りに真お姉ちゃんを探していましたから助かりました」

 

「んでもってセレナが使ったのがショットライザー、そして変身した姿仮面ライダーバルキリーだったな」

 

「バルカンよりも先に出していいのかって葛藤したけどもう気にしなくなった」

 

「んでもってそこからセレナが仲間になって、第二期が始まったんだな」

 

「そこでマリア達と敵対してたもんな・・・なぁフィーネ」

 

「その名前で呼ばないで!?」

 

「その名前を聞くと心が痛いデス・・・!」

 

「すっかりマリアと切歌の黒歴史だな」

 

「まぁマリアさんはともかく切歌ちゃんは完全な勘違いだったからね」

 

「デブハァ!?」

 

「切ちゃん!?」

 

「切歌に精神的大ダメージ!?」

 

「ごめん切歌ちゃん!?」

 

「だ・・・大丈夫デース・・・これしきの黒歴史で倒れるわけには・・・!」

 

「そ、そうか・・・そして第二期って個人的に結構苦手だったからな」

 

「ああ・・・ネフィリムだな」

 

「「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタッ・・・」」

 

「大変、響とセレナちゃんのバイブレーション機能がONに!」

 

「ネフィリムにトラウマ植え付けられたコンビだしな」

 

「てか響に関してはウェルのせいだろ」

 

「その後も不穏な展開ばかりだったし、もう胃に穴が開きそうだったぞ」

 

「そこに加えて未来の暴走」

 

「「「アガガガガガガガガガガッ」」」

 

「今度は響さんに加えて未来さんと真お姉ちゃんが!?」」」

 

「落ち着け被害者共、結局全員助かっただろうが」

 

「そ・・・そうだな、元凶もぶっ飛ばしたしバビロニアの宝物庫も閉じたし危機は去ったな・・・うん」

 

「そうだな、ノイズが出てくることもなくなって平穏を取り戻した・・・だがそれもつかの間だった、次の物語は復讐に燃える少女の話、そこで出て来たのが」

 

三度、スポットライトが照らされる。

 

「キャロル、エルフナイン、そして俺が作ったオリキャラ如月紫苑、如月桃恵だ」

 

キャロル達が呼ばれるとオートスコアラー達が大歓声を上げ、少し恥ずかしながらもキャロル達が壇上に上がった。

 

「キャロル達の登場もそうだったけど、まさかオリキャラが出てくるとは思ってもみなかったな」

 

「うちらもまさかこうして出てくるとは思ってもみなかったぞ」

 

「いや~一人の作者としてはやっぱオリキャラは作って出してみたいって思ってさ・・・頑張って作りましたよ」

 

「しかもちょい役じゃなくてしっかりとした感じで出されましたからね」

 

「そのおかげで俺は計画を進めやすかったけどな」

 

「本当に厄介だったわ、キーは奪われるわボロ負けにされるわ暴走するわで散々な話だったな」

 

「僕に関しては原作とあまり変わりはありませんでしたね」

 

「エルフナインはあまり手を加えない方がいい感じがしてな、その分キャロルに手を加えてその結果生存しました」

 

「いや・・・生存したのは良いんだが、まさかエルフナインと共に養子にされるとは思わなかったぞ」

 

「そこは俺も思った、どうしてあんな展開にしたんだ」

 

「なんとなく」

 

「よしキャロル、錬金術叩き込め」

 

「ああっ」

 

「ゴメンナサイ」

 

「けどこうしてキャロルちゃんと一緒に慣れて本当に良かったよ!」

 

「うむ、うちらも頑張った甲斐があったのう!」

 

「うん、そうだねお姉ちゃん」

 

「・・・まぁ、そこは感謝しているぞ」

 

「おっ、デレた」

 

「ダウルダヴラで輪切りにされたいようだな作者?」

 

「ホントウニスミマセンデシタ」

 

「さて、そんなキャロル達の戦いも終えて次の話・・・から大きく展開が変わったな」

 

「ああ、その通りだ」

 

真達が振り返ると、既にサンジェルマン達とヴァネッサ達が壇上に上がっていた。

 

「あれ、もう上がってたのか?」

 

「そろそろ呼ばれると思ってな・・・それにこの話はこの作品において必要不可欠だからな」

 

「ああ、パヴァリア光明結社との戦い・・・そして」

 

「転生した存在アーク、この作品においての真のラスボスだ」

 

「まさかゼロワンの敵キャラが登場するとは思わなかったぞ」

 

「俺の中じゃこれ以上ない敵キャラだったからな」

 

「そのおかげであーしらは大変だったのよ」

 

「私達もですわ」

 

「まぁアークだしな、あいつ人間なんてその程度としか見てないし」

 

「力を取り戻してからはマジで強かったからな、神様が手助けしてくれなかったら危うく全滅するところだった」

 

「仮面ライダーゼロツー・・・あれが無かったら太刀打ちできないほどにアークは強かった・・・我ながらとんでもない魔強化をしたな」

 

「そうだな・・・そのことで作者に伝言がある」

 

「伝言?」

 

「ああ『アークの存在でひどかったね、僕の扱い、どういう事かな、作者君』・・・だそうだ」

 

「流石に二つの人格を同居させるのはめんどくさかったのでアダムの人格はデリートさせていただきました」

 

「・・・ある意味一番の被害者はアダムとティキだな」

 

「ああ、そうだな」

 

「・・・正直、悪いと思ってる」

 

『・・・・・・・・・』

 

「さて、気を取り直していよいよ最終章だ」

 

「結局アークは生きてたんだな、それも訃堂の保護下にあったし」

 

「それに加えて敵がアルカノイズからマギアにシフトして大変だったわ」

 

「まぁそのおかげで大幅に原作を改変したからな、正直この章は俺史上一番頑張ったといえる」

 

「そうだな、ヴァネッサ達は味方だし、翼は闇落ちしてないし、訃堂というクソじじぃは退場したし、未来は神様になってないけどその代わりにアークが神様になったし・・・って最後のインパクトヤバいな」

 

「そのうえ、響達がアマルガムに変わり仮面ライダーになったからな」

 

「アークとマリスを含めて総勢十四人の仮面ライダーって・・・龍騎じゃないんですから」

 

「書いてて楽しかった、そして一番頑張ったのが最終決戦だな」

 

「最終話前の三本でも7000文字越え、最終話に至っては17000文字ですからね」

 

「正直マジで馬鹿みたいに書いた、一生分書いたって思うぐらいキーボード打ったわ。おかげで目と指がキツイ」

 

「けどそのおかげでこうして無事エピローグを迎えたわけだからな」

 

「無事っていうか・・・真は一度死んだけどな」

 

「正確にはこれで二回目の死だな」

 

「死んで甦るとか、不死鳥みたいだな」

 

「いや、ゾンビだろ」

 

「誰がゾンビだ誰が」

 

 

 

「ところで作者さん、真さんが最後に変身したフォームについて軽い説明をお願いします」

 

「そうだな、というわけで真が最後に変身したフォームのスペックがこんな感じだ」

 

仮面ライダーゼロワン リアライジングホッパーXDフォーム

 

身長 196.5cm

体重 87.0kg

パンチ力 59.1t~

キック力 114.7t~

ジャンプ力 165.7m~(ひと跳び)

走力 0.5秒~(100m)

 

神の力を使ってダメージをなかったことにできる。

ゼロツー以上の予測演算を行うことが出来る。

錬金術が使用できる。(XD時限定)

ゼロツープログライズキーを介してドライバーやプログライズキーの生成及び改修が可能。

 

・・・と言った感じだ。

 

「リアライジングホッパーと同じなんだな・・・と言いたいところだけどこの『~』は何だ?」

 

「これに関しては聖遺物化したのが影響してるな、シンフォギアは歌うことで性能を引き上げるだろ、つまりそういう事だ」

 

「・・・つまり歌えば従来のリアライジングホッパーの性能を越えるって訳か?」

 

「そっ、しかも上限なし、その上神の力で傷をなかったことにできるしゼロツー以上の予測演算できるしシンフォギアも生成できるし錬金術もできるしでバカみたいなスペックだよな」

 

「その上変身してなくても、ゼロツープログライズキーを介すればドライバーやキーの生成並び改修が可能・・・てかゼロツー以上の予測演算ってどれぐらいだよ」

 

「多分言葉にしたらバカって言われると思うけど・・・少なくともゼロツーの倍以上は予測演算が出来る」

 

「やっぱ馬鹿だろお前」

 

「ひでぇ・・・というかそもそも最終フォームはリアライジングホッパーにするつもりはなかったんだよな」

 

「えっそうなの!?」

 

「ああ、元々はオリジナルのシンフォギアキーにしようと思って書いたんだけど、やっぱリアライジングホッパーの方がかっこいいし、ゼロワンのラストにはピッタリだなっと思って書き直したんだからな」

 

「そうだったんだ・・・ちなみにその前の奴ってどんな姿だったんだ?」

 

「う~ん・・・簡単に言えばアルティメットな魔法少女と同じ格好にするつもりだった」

 

「危なかった・・・それならまだリアライジングホッパーのほうがましだった」

 

「それとここで真のXDの条件を言っておくな」

 

「条件?響達と同じじゃないのか?」

 

「正確には少し違うな、正確には真がXDを使用するためのフォニックゲインがアホみたいに多いんだよ・・・例えば響達がXDになるのに必要なフォニックゲインが100だとすると、真がXDになるのに必要なフォニックゲインがは1000だ」

 

「十倍!?」

 

「そっ、だからそれを補うためにXD化していた響達のシンフォギアキーが九個真の元に向かって行ったんだ、真の保有しているフォニックゲインに加えて九人分のフォニックゲインが重なってようやく発現できるんだからな」

 

「つまり・・・俺の持つ100のフォニックゲインに響達九人の900のフォニックゲインを加えたってことか?」

 

「そういう事、神の力を使うんだから条件も重いんだぞ」

 

「そうだったのか・・・けど妥当な条件だな」

 

 

 

「さて、エピローグも終わりに近づいているところで俺から発表がある」

 

「発表?」

 

「俺が前にとある人とコラボしたことがあっただろ?」

 

「ああ、一生に一度訪れるかどうか分からないあの奇跡のコラボな、それがどうしたんだ」

 

「実はなんと・・・・・・その人と再びコラボすることとなりました!!」

 

『嘘っ!!?』

 

「マジマジっ、再びぼうげん!さんとコラボすることになってもうハッピーです」

 

「お前マジか!?二回目のコラボかよっ!?」

 

「そっ、この話12月ごろに話してたんだけどこっちの物語が終わったころの話だから前みたいに真と響だけじゃなくてみんな出てくると思うぞ」

 

「全員出てくるのかっ!?」

 

「しかも前編、中編、後編、エピローグに分けての投稿との事」

 

「予想を超えた大長編!?」

 

「俺もその話を聞いて鳥肌が立ったし心が滾った、パラドの気持ちが今ならわかる」

 

「ということは・・・また灯利柯達と会えるのか!」

 

「それは違うぞ、今回コラボするのはぼうげん!さんが投稿している新しい物語の『アームド大戦』とだ、コラボのタイトルは『アームド大戦×戦姫転生ゼロフォギア 破滅の章』だ、というか真と響はあいつらに関する記憶ないだろ」

 

「確かにないけど・・・ここでぐらい思い出していいだろ」

 

「まぁいいけどさ・・・」

 

「異世界の面子か・・・今から会えるのが楽しみだ」

 

「ああ、ところで作者はそのコラボ書くのか?」

 

「もちろん書こうと思ってます・・・けどぼうげん!さんの方もコラボを投稿するのは遅いのでこちらはそれよりもかなり遅れる上、内容もぼうげん!さんと似たり寄ったりするかもしれませんがそこらへんはご了承ください」

 

「おうっ、まぁ期待しないでおくよ」

 

 

 

「んで作者、コメントでよく見るけどXDとかギャラルホルン編とかはやらないのか?」

 

「う~ん、今のところは思いついてないんだよな・・・というか神化アーク以上の敵が全く思いつかない」

 

「とんでもないラスボスを作り上げた反動がでかすぎるな」

 

「それにもし仮に書くとしても確実に不定期投稿になりかねない」

 

「ああ・・・投稿間隔が一ヶ月とか突破しそうだな」

 

「経験してるから否定が出来ない・・・というか知ってるか?俺がこの小説を書くときは原作のアニメを見ながら書いて違う箇所を想像で書いて歌う場面はそのキャラに合わせて色を変えて歌詞をコピー&ペースト出来ないから見ながら一文字ずつ書いて複数人歌う箇所はさらに細かく設定して虹色の所は一文字一文字コードを変えて戦闘描写に関しては動きを文にするわけだから細かい描写が必要なわけで・・・」

 

「落ち着け作者!?なんか出しちゃいけない類のどす黒いオーラがにじみ出てるし眼が死んでるを通り越して真っ黒だぞ!?」

 

「まっ、そういうわけだから書くとしたら日常系・・・それもIFの世界線だな」

 

「IF?」

 

「そっ、例えばもし真が学生だったらとか、あの作品のキャラ達と交流があったらとかそう言った感じになると思うな・・・まっ書くかどうかわからないけどな」

 

 

 

「さて、そろそろエピローグも終わりだな・・・だがこのままで終わるわけにはいかないな」

 

そう言って作者はフィーネ、キャロル、エルフナイン、サンジェルマン達、ヴァネッサ達を連れて檀上を降りる。

 

「ん?俺たちも下りるのか?」

 

「いや降りなくていい、むしろ降りるな、なんせこっからはお前たちが主役だからな」

 

「主役って・・・まさか!?」

 

「その通り!」

 

そう言って作者が真達に人数分のマイクを投げ渡した。

 

「シンフォギアの最後はこれで締めないとな!わかってるだろ」

 

「・・・はぁ、結局こうなるのかよ」

 

「けどなんだかワクワクしませんか!」

 

「そうだな、こうして十二人で歌うのは心が躍る」

 

「最後の締めだ、どうせなら派手に行こうぜ!」

 

「まっ、たまにはいいか」

 

「そうだね、最後くらい盛大にやろっか」

 

「誰もが忘れられないような歌を披露しましょう」

 

「私も精いっぱい頑張ります!」

 

「全員合唱は燃えるデスね!」

 

「うん、足を引っ張らないようにしないと」

 

「英文があるが、そこは気合で乗り切るぞ!」

 

「頑張ろうね、みんな」

 

「・・・よしっ、じゃあいっちょやってやりますか!」

 

「OK、それじゃあ行くぜ・・・十二人による最終曲『未来(あした)へのフリューゲル』!」

 

 

 

『使用BGM:未来(あした)へのフリューゲル(Ver.ゼロフォギア)』

 

この今日へと

 

続いていた昨日を

 

ずっと

 

誇り

 

この今日へと

 

紡いできたメロディ

 

ずっと

 

忘れ

 

人と

 

人が

 

触れる

 

ことで傷ついたって

 

手と手

 

繋ぐ

 

気持ち

 

ずっと忘れないと誓って歩むんだ

 

だか

 

 

開く

 

 

Yes,just believe

 

未来目指

 

生きる事

 

 

Yes,just believe

 

1000年後の今日に

 

人の大切な何かをFly

 

 

響き合って

 

羽撃つ事の意味を

 

歌で

 

伝え

 

静かにまた

 

この(あかし)を託して

 

共に

 

走り

 

人と

 

人は

 

ずっと

 

成長してゆくもの

 

世代

 

越えて

 

夢を

 

共に創り合って育ってゆきたいよ

 

だか

 

 

今を

 

 

Yes,just believe

 

だけど明日は

 

答えまた

 

 

Yes,just believe

 

バトンを渡しても

 

背を押す側になったってWish

 

 

人と

 

人が

 

触れる

 

ことで傷ついたって

 

手と手

 

繋ぐ

 

気持ち

 

いつも最後に愛は負けないと言える

 

だか

 

 

開く

 

 

Yes,just believe

 

未来目指

 

生きる事

 

 

Yes,just believe

 

1000年後の今日に

 

人の大切な何かをFly

 

 

 

 

 

真達が歌いきると、会場内が拍手で溢れかえった。

 

「さて、それじゃあそろそろお別れの時間だな」

 

作者は再び壇上に上がる。

 

「ご来場の皆さん、そして読んでくれた読者の皆さん、三年にも及ぶこの作品を見てくれて本当にありがとうございました。コラボ作品は投稿しますがそれ以外の物語はもしかしたら投稿しないかもしれません・・・まぁそこは俺の気分次第ってところでしょうか、けどこれだけは言わせてください、此処まで続いたのは最後まで見てくれた皆様のお陰です、本当にありがとうございました!」

 

そう言って作者は頭を下げる。

 

「オリジナルプログライズキーを投稿してくれた人達や、数多くの質問をしてくれた人達のお陰もあってここまで続けることが出来ました・・・いやマジで感謝しかありません。もう皆様に足を向けて寝られません」

 

「じゃあどうやって寝るんだよ」

 

「逆立ちで寝る!」

 

「無理があるだろっ!?」

 

「まぁそこはおいといて、此処まで見てくれた皆様には感謝しかありません!」

 

「また私達に会いたくなったらこの物語を見に来てください!」

 

「俺達も見てくれた皆さんの事は忘れないからな、ほら作者」

 

「ああ・・・それじゃあそろそろいつもの言葉で〆ますか、全員で行くぞ!」

 

 

 

『それでは皆さん、ご視聴ありがとうございました!』





というわけでここまで読んでくれた皆様、改めてこの作品を読んでくれて本当にありがとうございました。
最初は単なる趣味から始まった小説投稿、始めの頃は挫折したり長らくの間投稿しなかったりで自信がありませんでしたが、こうして最後まで書き続けれたのは他でもない読者の皆様のお陰です。
数多くのオリジナルプログライズキーを考えてくれたのにあまり出せれなかったのは悔やまれますが、それでも自分の励みになったので嬉しかったです。
それでは三年にも及んだ『戦姫転生ゼロフォギア』、以上を持ちまして完結させていただきます、此処までのご愛読ありがとうございました、またどこかでお会いしましょう。


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特別編
戦姫転生ゼロフォギア×アームド列伝 世界を超えた交想曲


さあさあやってきたぞ!コラボの時が!
「やぁっと来たのか、待ちわびたぞ」
「ところで作者さん、何で私と真さんだけ呼んだんですか?」
ああ、実を言うと今回こっちで出てくるの真と響だけなんだよな。
「「あっそうなの?」」
うん、んで視聴者さん達に事前報告するけど、このお話は第一期が終わって二期が始まる前のお話だ。
「つまり、一期と二期の間というわけだ」
「それでそれで作者さん!誰とコラボしたんですか?」
今回コラボしてくれたのは、pixivにて活動している『ぼうげん!』さんの投稿している小説『アームド列伝』とのコラボだ!
「pixivの作者か!」
そう、んでアームド列伝の簡単な説明をするんだけど、この物語はぼうげん!さんのオリキャラが色々な世界のキャラクターたちと力を合わせて強大な敵と戦うって話だ。
しかもいろんなアニメのキャラも出てくるから、すごく面白いんだ。
今回のコラボ回もいろんなアニメのキャラクターやぼうげん!さんのオリキャラが出てくるから楽しみにしててくれ!
それとぼうげん!さんの所のURLを後書きに乗せておくからもしよければそちらのアームド列伝も観てください。(本人からは許可は取りました)

それでは長くなりましたが、戦姫転生ゼロフォギアコラボ回、張り切ってどうぞ!


本来出会うはずのない、二つの世界の物語。

 

方や、闇と戦い数々の世界を守り続ける戦士たちの物語。

 

方や、歌姫と共に厄災から世界を守る物語。

 

この物語は、二つの世界の英雄たちの奇跡の共闘の物語である。

 

 

 

 

 

歌の世界『シンフォギア』の世界にて、一つの部屋で特訓をしていた二人の女性がいた。

 

「よし響、そろそろ休憩にするか」

 

「はい!わかりました真さん」

 

休憩を提案した女性『継菜 真』と真の言葉を聞いて床に座り込む少女『立花 響』は特訓を止めともに休憩をとっていた。

 

「いや~それにしても師匠が考えた特訓は厳しいですねぇ」

 

「そうか?これでも最初の頃と比べたらまだまだ優しい方だと思うが」

 

「えぇ・・・一体どんな特訓なんですかそれ?」

 

「あまり聞かないでくれ、思い出すだけで頭が痛くなる」

 

二人が雑談をしていると、突如二人の足元が光り輝きだした。

 

「えっ!? いきなり足元が!?」

 

「落ち着け響! とにかく急いで弦十郎さんに…!」

 

二人は急いで指令に伝えようと走り出すが、いきなり地面の感触が無くなり足元に謎の浮遊感を感じた。

 

「・・・真さん、なんだか私嫌な予感がするんですけど」

 

「奇遇だな、俺も冷や汗が止まらない」

 

二人は目を合わせ、恐る恐る足元に視線を下すと、そこにあるはずの地面が無くなっており、深く暗い穴が出来ていた。

 

「「やっぱりぃ!?」」

 

そのまま二人は重力に逆らえず、穴へと吸い込まれてしまった。

 

「「なんでぇぇぇぇぇ!!?」」

 

二人が穴に吸い込まれてしまった後、その穴は小さくなり自然と消えてしまった。

 

 

 

 

 

「うぅぅぅぉぉぉおああぁぁあ!?」

 

穴に吸い込まれた二人のうち、いち早く穴を出たのは真だった。

 

「ふぎゃっ!」

 

穴から真っ逆さまに落ちた真は地面に顔をぶつけてしまう。

 

「いつつっ・・・ここは『うわぁぁぁぁ!?』へぶぅ!?」

 

真が顔を抑えながら周りを確認しようとすると頭上に響が落ちてきて下敷きになってしまう。

 

「いった~・・・あれ?真さん、どこですか?」

 

「お前の真下にいるからとりあえず降りてくれ」

 

「えっ?おわぁ!すみません」

 

響は急いで真から降り、真はやっと起き上がる。

 

「ひどい目にあった・・・」

 

「ごめんなさい・・・それで真さん、ここってどこなんでしょうか?」

 

二人が辺りを見渡すと、自分たちの板街とは違った雰囲気の町並みが広がっていた。

 

「・・・明らかに言えるのは、ここは俺たちのいた世界じゃないってところだな」

 

「違う世界って・・・本当にそんなことがあるんですか!?」

 

「ノイズとか聖遺物とかあるんだ、別世界があってもおかしくはないだろ」

 

「ん~っ、そう・・・何ですかね? それにしても真さんなんだか落ち着いてますよね?」

 

「・・・こういうのは冷静になった方が一番だ」

 

(俺も元は別世界の住民だなんて教えれねえな)

 

「とにかく、今は元の世界に戻る方法を探さないとな」

 

「はっはい! でもどうやって?」

 

「そこが問題だよなぁ・・・」

 

二人が悩んでいると、突如悪寒のようなものが背筋を走った。

 

「「っ!?」」

 

悪寒を感じた二人は振り返ると、二人に近づいてくる女性がいた。

 

「あら、まさかこんなところに人がいるなんてね」

 

「真さん・・・この人!」

 

「わかってる・・・お前何者だ!」

 

「私は『アズ』アークの使者の一人であり、アーク様の秘書」

 

「アーク?」

 

アズの言葉に二人は頭を傾げる。

 

「あら?アーク様を知らないのね。アーク様は人間の悪意そのもの。悪意がある限りアーク様は何度でもこの世に現れるわ」

 

アズはそう言うと、ゼロワンドライバーを取り出し身に着ける。

 

「あれって!」

 

「ゼロワンドライバー!?」

 

「そして今は私が、アーク様の意思を受け継ぎ人類を滅ぼす」

 

アズは懐から赤いキーを取り出しライズスターターを押し込む。

 

アークゼロワン!

 

オーソライズ!

 

アズはキーを認証させ、変身の構えをとる。

 

「手始めに、まずあなた達を滅ぼすわ・・・変身」

 

プログライズ!

 

Final Conclusion!アーク!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky to gain hatred.

 

「真さんと同じ・・・ゼロワンに!?」

 

「赤い・・・ゼロワン」

 

アズが変身したその姿は、真と同じゼロワンの姿。

 

だがその色は、まるで血の様の赤色に染まっていた。

 

「私はアークゼロワン、人類を滅ぼす仮面ライダー」

 

「っ!人類を滅ぼすとかさせねえ!響行くぞ!」

 

「はいっ!」

 

アウェイクン!

 

真はゼロワンプログライズキーを手にライズスターターを押し込むと、ゼロワンドライバーが腰に身に着けられる。

 

「それは・・・!」

 

アズが少し驚く中、真はホルダーから『ライジングホッパープログライズキー』を取り出しライズスターターを押し込む。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させると、真たちの周りを『ライジングホッパーライダモデル』が飛び跳ねる。

 

響は自身の胸に手を当て、胸の奥から浮かび上がる聖詠を歌う。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

響が歌うと同時に、真もキーを展開し変身の構えを取る。

 

「変身!」

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

二つの光と共に、真は仮面ライダーゼロワンに変身し、響はシンフォギアを身に纏った。

 

「仮面ライダーゼロワン・・・まさかまた見ることになるなんてね。けどちょうどいいわ、あいつへの復讐の前に貴方で試させてもらうわ、アーク様の力を」

 

そして三人の戦闘が始まった。

 

 

 

 

 

数では有利の真達だったが、それをも上回るアークゼロワンのスペックに二人は徐々に追い詰められていく。

 

「くっ!! こいつマジで強い!」

 

「当然よ、ただのゼロワンで勝てると思わないことね」

 

アークゼロワンは生成した『サウザントジャッカー』で真を切り飛ばし、さらに生成した『ショットライザー』で真を狙い撃つ。

 

「真さん!このぉ!」

 

響がアークゼロワンにラッシュをかけようとするが、すべて回避され、逆に響の胸にサウザントジャッカーが突き立てられ、レバーを引かれる。

 

ジャックライズ!

 

レバーを引くと響の体からガングニールのデータがサウザントジャッカーに流れ込んでいく。

 

「貴方のデータ、頂いたわ」

 

「っ・・・!」

 

アークゼロワンはそのまま、響に向けトリガーを引いた。

 

ジャッキングブレイク!

 

J

A

C

K

I

N

G

 

B

R

E

A

K

 

武器を振るうと巨大な槍が現れ、そのまま響に目掛けて飛ばし、響は直撃し吹き飛ばされた。

 

JACKING BREAK

 

響はあまりのダメージにシンフォギアが解けてしまいその場に倒れる。

 

「響!!お前っ!」

 

真は『アタッシュカリバー』と『アタッシュショットガン』を取り出しそれぞれにキーを差し込む。

 

サンダー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ホーネットアビリティ!

 

リボルバー!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ヘッジホッグアビリティ!

 

アタッシュカリバーにライトニングホーネットを、アタッシュショットガンにガトリングヘッジホッグを装填し、アークゼロワンに抜けて放つ。

 

ライトニングカバンストラッシュ!

 

ガトリングカバンショット!

 

アークゼロワンに目掛けて電撃と棘の弾幕が放たれるが、アークゼロワンは全て切り落としてしまう。

 

「なにっ!?」

 

「次はあなたよ、ゼロワン」

 

そういうとアークゼロワンは武器を手放し、ドライバーのキーを押し込む。

 

アークライジングインパクト!

 

アークゼロワンの右足に赤黒いエネルギーが溜められていき、そのまま真にライダーキックを放つ。

 

 

アークライジングインパクト!

 

その一撃は強力で、真は大きく吹き飛ばされてしまう。

 

「真さん!」

 

響は傷だらけの体を奮い立たせ真の元へ駆け寄る。

 

「あら?この程度なのね」

 

アークゼロワンはサウザントジャッカーを手に二人に近づくと、真はゆっくりと起き上がる。

 

「まだ・・・だ! まだ・・・終わってない・・・!」

 

その体はボロボロだが、その目ははっきりとアークゼロワンを睨んでいた。

 

「その目、あいつと同じ目ね。 絶対にあきらめない目・・・むかつくわ」

 

アークゼロワンは苛立ちながら武器を振り上げる。

 

「さようなら、別世界のゼロワン」

 

そのまま二人に目掛けて武器を振るおうとする・・・その時。

 

「っ!!」

 

アークゼロワンは何かを感じ取り、上を見上げると何かが向かってくるのが見えた。

 

「『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!」

 

上から聞こえてくる声と共にアークゼロワンがその場を離れると、上空から鋭い一撃がアークゼロワンのいた場所に突き刺さり、土煙が巻き起こる。

 

土煙が晴れると、まるで二人を守るように鎧を纏った謎の男性が槍を構えて立っていた。

 

「だ・・・だれですか!?」

 

「敵・・・じゃないよな。敵だったら泣く」

 

突如現れた人物に二人が困惑していると、男性は振り返り二人に呼びかける。

 

「大丈夫ですか、リルトさん、響さん?」

 

「リ・・・リルト?」

 

「それに私のことを知ってるんですか!?」

 

二人が困惑していると、また上空から男性と同じように何人かが落ちてくる。

 

「灯利柯、大丈夫!?」

 

「みんな、リルトさんと響さんをお願い!俺はあいつを」

 

灯利柯と呼ばれた男性は振り返りアークゼロワンの方を向くと、アークゼロワンはやってきた人たちを睨んでいた。

 

「やはり来たわね、『アームド戦士』達・・・数が不利になったしここは引かせてもらうわ」

 

ジャックライズ!

 

ジャッキングブレイク!

 

アークゼロワンはサウザントジャッカーのレバーを引き、地面に振るうと爆発が起き土煙が舞い、煙が晴れたころにはその姿はもうなかった。

 

「逃げられたか・・・」

 

灯利柯は警戒を解き、腕の装置からカードを取ると変身が解かれ普段の姿となり、二人の元へと向かう。

 

「大丈夫ですかリルトさん、響さん」

 

知らない人に自分の名前を言われ、自分とは違う人の名前で言われて困惑する真と響。

 

「えっと・・・大丈夫ですけど、何で私の名前を知ってるんですか?」

 

「俺に至っては名前すら違うし」

 

「えっ・・・どういうことですか?」

 

「いやだから・・・」

 

真は自身の変身を解き素顔を見せると、みんなは驚いていた。 

 

「リルトさんじゃない!?」

 

「まあそういうわけだ、とりあえず悪いけどどこかゆっくりと話せる場所ってないか?」

 

「あ、はい・・・じゃあ自分たちの基地がありますのでそこで」

 

そういって、真達は灯利柯達の基地へと向かった。

 

 

 

 

 

一方、撤退したアズは謎の黒い球体に跪いていた。

 

「・・・ということでございます」

 

「ふむ・・・おそらく次元の歪みによって巻き込まれた別世界の者達だろう」

 

「どうされましょうか?」

 

「ともに叩き潰せ、次元の歪みによって呼び出された者たちも私の障害になりかねないからな、人手が足りないならこいつを連れていけ」

 

すると、黒い球体の蔭から全身黒色の仮面ライダーが現れる。

 

「私の分身体だ、スペックは劣るが十分な戦力になるだろう」

 

「ありがとうございます、必ずや奴らを滅ぼして見せますわ・・・愛しのアーク様♪」

 

 

 

 

 

舞台は変わり、浮遊する灯利柯たちの移動基地『ユグライド』ではお互いの世界について説明していた。

 

「そうか・・・やっぱ俺たちの世界とは違う世界だったのか」

 

「そうですね、けどまさかリルトさん以外にもゼロワンがいたなんて・・・」

 

「ああ、そういえば自己紹介がまだだったな、俺は継菜 真だ、よろしくな」

 

「私は立花響!・・・って言っても皆さん私のことを知ってるみたいですね」

 

「まあ、正確に言えば別世界の響さんですけど」

 

真達に続くように灯利柯達も自己紹介に移る。

 

「それじゃあ今度はこっちの紹介だな、俺は『佐藤 灯利柯』このチームのリーダーだ」

 

「私は『草美里 綾香』、よろしくね」

 

「俺は『竈門 炭治郎』、鬼殺隊の隊員で灯利柯達の仲間だ、よろしく」

 

「私は『メイプル』っていっても本名じゃないんだけど、私も灯利柯達の仲間だよよろしくね」

 

「私は『苗木 こまる』、私も灯利柯達の仲間だよ」

 

「私は『ミオ』です、よろしくね」

 

「私は『イーディス・シンセシズ・テン』よろしくね二人共!」

 

「俺は『氷月 源人』だ、よろしくな」

 

「私は『無城 悠香』だよ、よろしくね!」

 

「私は『ジャッジ・ライト・スカーレット』だ、よろしく頼む」

 

「私は『アレクシア』と申します、よろしくお願いします」

 

「俺は『ゼクス・ジークフリード』だ、よろしくな」

 

「私は『マシュ・キリエライト』と申します、そしてこちらが私の変身用ベルトの」

 

「『テクノ』だ、よろしくな」

 

「あっ最後は私だね、私は『レン』です、私もメイプルと同じで本名じゃないけどよろしくね」

 

「・・・結構人がいたことには驚いたけど、今一番驚いたのは」

 

「・・・ベルトが喋ってますね」

 

二人はテクノドライバー用の台座に取り付けられているテクノに視線が向けられる。

 

「ははっ、それよりも確か二人は変な穴に落っこちてこっちの世界に来たんだよね?」

 

「はい、休憩中にぽっかりと地面に大きな穴が出来て!」

 

「そのまま落っこちたら知らない世界に来たわあの女に襲われるわ大変だったぜ」

 

二人の言葉に灯利柯は口を開く。

 

「まあ、そういうことなら元の世界に帰る方法があるよ」

 

「えっあるの!?普通こういうのって探すのに困難するものだと思うんだけど!?」

 

「まあ、このユグライト自体がいろんな世界に行ける移動基地だからね」

 

「おおっ!なんという幸運、ラッキーですね真さん!」

 

「おっおう、なんだか拍子抜けだな・・・ところでお前のその腕の機械って何なんだ?」

 

「ああ、これは『アームドディスク』ていって、これにこの『アームドカード』を入れることで変身することができるんだ」

                                                            

「ああ、あの時の姿ってそれで変身してたのか・・・それって仮面ライダーとは違うのか?」

 

「ライダーとは違うな、因みにマシュとレンは仮面ライダーだ」

 

「ええっ!?マシュさんはわかるとしてレンちゃんもですか!?」

 

真達が驚きレンの方へ視線を向けると、レンは自身のドライバーとキーを取り出す。

 

「本当だ!それにこれ真さんと同じドライバーですよね」

 

「ああ、それにレンが持ってるキー、俺の知らないやつだ」

 

「あははっ、なんだか照れちゃいますね」

 

二人がレンのドライバーとキーに注目していると、ユグライド全体にアラートが鳴り響く。

 

「なに!?アラートってことはノイズ!?」

 

「いやこの世界にはいないだろ!?」

 

「灯利柯・・・これって」

 

「ああ、またアズが現れたんだ、急いで向かわないと!」

 

そういって外に向かおうとする灯利柯たちを真と響が呼び止める。

 

「待ってくれ!俺たちも行かせてくれないか。やられっぱなしは性に合わないんでね・・・それに」

 

「はい、人類を滅ぼすなんてそんなことさせません!だからお願いします!」

 

「・・・わかった、二人共力を貸してくれ」

 

『はい(ああ)!』

 

そういい、みんなはアズの元へと向かった。

 

 

 

 

 

皆がアズの現れた場所へと向かうと、そこではアズが待ち構えていた。

 

「やっぱり来たわね、アームド戦士、そして別世界のお二人さんも」

 

「当たり前だ、人類滅亡を考える奴なんて放っておけるかよ!」

 

「アズ、今度こそアークの野望を止めて見せる!」

 

「アーク様の野望は消させはしない、アーク様のために人類滅亡を必ず成し遂げる」

 

そう言いアズはゼロワンドライバーを身に着け、キーを取り出す。

 

アークゼロワン!

 

オーソライズ!

 

「変身」

 

プログライズ!

 

Final Conclusion!アーク!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky to gain hatred.

 

アズはその姿をアークゼロワンへと変える。

 

「絶対に止めて見せる。みんな、行くぞ!」

 

灯利柯の叫びと共に、灯利柯たちはアームドディスクにアームドカードを装填する。

 

シールダー!

 

マシュはテクノドライバーを身に着け、『シールダーライドウォッチ』を起動させドライバーに装填し、もう一つのアイテム『ギャラハッドシールド』を逆側に装填する。

 

トルネード!

 

オーソライズ!

 

レンもドライバーを身に着け、『ゲェレーラベリオロスプログライズキー』をドライバーに認証させる。

 

「響、俺たちも行くぞ!」

 

「はい!」

 

灯利柯達に合わせて響は胸に手を当て、真もドライバーを身に着けスマッシュガングニールプログライズキーを取り出す。

 

ブレイク!

 

オーソライズ!

 

キーを認証させ、真はレンと共に構える。

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

『アームド!』

 

「「「変身!」」」

 

灯利柯達がアームドディスクのレバーを倒し、マシュはドライバーを回転し、レンと真はキーを装填し、響は聖詠を歌った。

 

アーマードタイム! 仮面ライダーシールダー!ギャラハッドフォーム!

 

 

プログライズ!

 

desert in speed!ゲェレーラベリオロス!

 

Run through the desert and eat the tornado.

 

 

シンフォニックライズ!

 

Dwelling in a fist! スマッシュガングニール!

 

Balwisyall Nescell gungnir tron.

 

それぞれが光に包まれ、灯利柯達はアームド戦士へ、マシュは『仮面ライダーシールダー ギャラハッドフォーム』、レンは『仮面ライダーイラト ゲェレーラベリオロスフォーム』、真は仮面ライダーゼロワンスマッシュガングニールフォームへと変身し、響はシンフォギア ガングニールを身に纏った。

 

「壮観ね、だけど今回は私だけじゃない」

 

アズがそう言うと、アズの足元から全身黒色のライダーが現れると、その姿に灯利柯達が驚く。

 

「アーク!?」

 

「アーク様の分身体よ、スペックはアーク様には劣るけどあなた達相手なら十分だわ」

 

そしてそのままアークゼロワンとアークが襲い掛かってくる。

 

「灯利柯、私たちがアークを何とかするわ。貴方はアズをお願い」

 

「わかった、綾香達も気を付けて」

 

「響、綾香たちについて行け。俺は灯利柯と一緒にあいつを倒す」

 

「わかりました、気を付けてください!」

 

そう言い残し、綾香たちはアークを連れてその場を離れ残ったのは真と『サーヴァントドラゴンアームド』に変身した灯利柯、そしてアークゼロワンに変身したアズだけだった。

 

「行くぞ、灯利柯!」

 

「ああ!」

 

「こい、忌々しい戦士たち」

 

先に仕掛けたのは真だった、真はアークゼロワンに接近し接近戦を仕掛けようとするとアークゼロワンはアタッシュカリバーを生成し真の拳を受け止める。

 

真はそのままラッシュを仕掛け、アークゼロワンが連撃をアタッシュカリバーで殆ど防いでしまう中、後ろから灯利柯が真を飛び越え、腕に取り付けられている『サーヴァントドラゴニッククロー』で切りかかるが、事前に避けられ距離を取られる。

 

距離を取ったアークゼロワンは空中に大量のショットライザーを生成し、俺たちに向けて発砲してくる。

 

「灯利柯!」

 

「わかった!『いまは遥か理想の城(ロード・キャメロット)!』」

 

真が叫ぶと、灯利柯は手に巨大な十字架が取り付けられた盾を出現させ、真の前に立ち盾を前に出し銃撃を防ぐ。

 

「お願いします!」

 

「了解!」

 

銃撃を防ぎきり、今度は真が灯利柯を飛び越え両腕のスマッシュプロテクターを合わせ、スマッシュランスへと変形させ、そのままスマッシュランスから生じた竜巻をアークゼロワンに向ける。

 

LAST∞METEOR

 

放たれた竜巻はそのままアークゼロワンに向かって行くが、アークゼロワンはサウザントジャッカーを生成し、レバーを引っ張る。

 

ジャックライズ!

 

ジャッキングブレイク!

 

アークゼロワンがサウザントジャッカーを振るうと、炎の竜巻が生じた。

 

J

A

C

K

I

N

G

 

B

R

E

A

K

 

JACKING BREAK

 

生じた炎の竜巻は真の竜巻とぶつかり合い、互いに対消滅してしまう。

 

「マジか・・・この技をかき消すのかよ」

 

真が相手を見ると、アークゼロワンはまだ余裕そうだった。

 

「なあ灯利柯、お前の言うリルトってやつはアークを倒したんだよな?」

 

「はい、その時は俺と滅の三人で倒したんだ」

 

「そうか・・・だったら負けてられねえな、同じゼロワンとして」

 

真は右手にスマッシュランスを、空いた左手にアタッシュカリバーを握った。

 

「それに、あっちで響たちが頑張ってんだ、だったら俺たちも頑張らないとな」

 

「・・・そうだな、向こうで綾香たちが頑張って戦ってるんだ」

 

灯利柯も盾を収納し、両腕の爪を構える。

 

「行こう真さん! 俺たちでアズを止めるんだ!」

 

「ああ、絶対に止めるぞ灯利柯!」

 

二人はともにアークゼロワンへと向かって行く。

 

 

 

 

 

場所が代わり、此方では綾香たちがコピーアーク(以降Cアーク)と戦闘を行っていた。

 

「『水の呼吸 肆ノ型 打ち潮』!」

 

『ネロミェールアームド』に変身した炭治郎が打ち潮で切りかかるが、Cアークはアタッシュカリバーを生成しその攻撃を防いでしまう。

 

Cアークはそのまま反撃しようと拳を振るおうとすると、自身と炭治郎を分断するように氷の壁が地面から現れ分断され、氷の壁の奥では『イヴェルカーナアームド』に変身したメイプルがCアークに手をかざしていた。

 

「『氷毒竜(アイスヒドラ)』!」

 

メイプルが叫ぶと、メイプルから三頭の紫色の氷の竜が現れCアークに襲い掛かる。

 

Cアークは回避しようとするが、それを阻止しようと『氷刃佩くベリオロスアームド』に変身した悠香がCアークの足の目掛けて氷ブレスをぶつけ、足を凍らせてしまい、回避ができなくなったCアークに氷毒竜が直撃する。

 

「懐ががら空きだっ!」

 

攻撃が直撃し、動きが鈍ったCアークの懐に『猛り爆ぜるブラキディオスアームド』に変身した源人が潜り込み、腕の『ブラキブロー』でCアークを殴り爆発させ吹き飛ばす。

 

吹き飛ばされたCアークはアタッシュカリバーを手にし、殴り飛ばした源人に向かって切りかかるが、その直前で『モルドムントアームズ』に変身したイーディスが剣で防ぐ。

 

「おっと、そうはさせないよ!」

 

そのままお互いの斬撃がぶつかり合う中、Cアークの足元に落ちている液体から棘が発生しCアークの足を貫く。

 

「あんまりこの技使わないんだけど・・・あなた相手なら容赦はしないよ!」

 

足を貫かれたことに戸惑ったCアークの隙をついてイーディスは翼脚でCアークを薙ぎ払った。

 

此処までの戦いで皆の強さを知った響は驚いていた。

 

「凄い!皆さん強い!」

 

「相手のスペックが本人より弱いから善戦出来てるけど、褒められるとうれしいわね」

 

響がみんなの強さに驚き、綾香が褒められて照れている中、Cアークは体勢を立て直し標的を二人に変え迫ってくる。

 

「『水の呼吸 七ノ型 雫波紋突き』!」

 

Cアークが二人に手を伸ばした瞬間、炭治郎が高速で移動し電撃を纏った日輪刀による雫波紋突きでCアークの腕を貫き、動きを止める。

 

「ゼクスさん!アレクシアさん!こまるさん」

 

「ああ、まかせろ!」

 

「了解です」

 

「わかりました!」

 

炭治郎が動きを止めている隙に、『悉くを滅ぼすネルギガンテアームド』に変身したゼクスと、『トビカガチ亜種アームド』に変身したアレクシア、そして『エオ・ガルディアアームド』に変身したこまるが遠距離から大量の棘と爆炎をCアークに向けて放つ。

 

Cアークは離れようとするが、炭治郎が放った電撃によって動きが封じられ、その隙に炭治郎が先に離れ、大量の棘と爆炎がCアークを襲った。

 

「どうだ、大分効いただろ」

 

ゼクスがそう言い煙が晴れると、Cアークは棘と焼け焦げた跡だらけになりながらもまだ敵意を無くしておらず、アタッシュショットガンを生成しそれを放とうとする。

 

「そうはさせないよ!」

 

レンは撃たれる前に高速で迫りCアークのアタッシュショットガンを蹴り飛ばし、自前のP90でCアークを至近距離で撃ちまくる。

 

「駄目押しです」

 

Cアークがハチの巣になってるうちにマシュが迫り、自身の持つ大盾でCアークを殴りつけ、そのままレンと共に蹴り飛ばす。

 

「今度はこちらの番だ、合わせろよ」

 

「わかってます、確実に決めます」

 

Cアークが蹴り飛ばされた先では、『ディスフィロアアームド』に変身したジャッジが拳に火と氷を宿し、『ムフェト・ジーヴァアームド』に変身したミオが拳に青白いエネルギーを溜め、構えている。

 

「「せーのっ!」」

 

Cアークが来ると同時に二人は同時にCアークを殴りつけ、再び殴り飛ばす。

 

此処までの猛攻を受けて、流石のCアークも体中がボロボロになっており、今にも崩れそうになっていた。

 

「止めは任せた、二人とも!」

 

トリを務めるは『サーヴァントアームドB(ブラック)』に変身した綾香と、ガングニールを纏った響の二人。

 

響は右腕のバンカーを限界以上まで引き絞り拳を構え、綾香はアームドディスクのレバーを引き必殺技を放つ。

 

「サーヴァントブレイク!」

 

「これで決めます!」

 

二人は同時に飛び出し綾香は強力なキックを、響はバンカーを引き絞った拳でCアークに向けてぶつける。

 

「「うぉぉおぉおぉぉぉお!!」」

 

そのまま二人の一撃はCアークの胴体を貫き、貫かれたCアークは爆散する。

 

「やった!勝てた!」

 

「はい!それより急いで真さん達の元へ向かいましょう!」

 

Cアークを倒したみんなは急いで真と灯利柯の元へと向かった。

 

 

 

 

 

二人の方では、戦況はややアークゼロワンに向いていた。

 

真と灯利柯が攻撃を仕掛けても、アークゼロワンは悉く躱していき、逆に鋭い一撃が二人にぶつけられダメージが蓄積されている。

 

特に、真へのダメージの方が灯利柯よりも多い。

 

「くそっ!? マジで強い!」

 

「当然よ、アームド戦士がいても問題の貴方が弱ければ何の問題もないわ」

 

「くっ!」

 

真はぐうの音も出なかった、自分もゼロワンだとしても現状はシャイニングが現在の真にとっての最強フォーム。

 

例え灯利柯がいたとしても、シャイニングよりもスペックの高いアークゼロワンに真は苦戦していた。

 

「既にあなた達の行動はラーニング済み、勝ち目は0に等しいわ」

 

そういってアークゼロワンは二人を吹き飛ばし、サウザントジャッカーに自身にキーを装填し、レバーを引く。

 

アークゼロワン!

 

Progrise key confirmed. Ready to break.

 

サウザントライズ!

 

レバーを引くと、サウザントジャッカーの刀身に赤黒いエネルギーが蓄積されていき、トリガーを引いてそのエネルギーを二人に向けて振るった。

 

サウザントブレイク!

 

T

H

O

U

S

A

N

D

 

B

R

E

A

K

 

THOUSAND BREAK

 

放たれた赤黒い斬撃が二人を襲い爆発を起こし、攻撃を受けた二人は変身が解かれその場に膝をつく。

 

「いくら力をつけたとしても、相方が弱かったら何の意味もないわ。あなた達を倒してほかの仲間たちを倒し、そして私がアーク様のために人類を絶滅させて見せるわ」

 

アークゼロワンが止めを刺そうと二人に近づこうとすると、二人は傷だらけになりながらもゆっくりと立ち上がった。

 

「・・・なぜまだ立ち上がるの?力の差は歴然としているのに」

 

アークゼロワンは予想だにしていなかった二人の立ち上がりに疑問に思った。

 

二人の体はボロボロ、なのになぜか立ち上がる二人に疑問に思った。

 

「当たり前だろ・・・みんなを守るためだ」

 

「みんなを守る、そんなボロボロの体で何ができるの? あなた達の能力はラーニングしている。勝ち目はないわ」

 

「そうだとしても、俺たちは絶対に負けられない。 お前のような悪に勝つために、何度でも立ち上がって戦って見せる!」

 

「正直、俺の弱さは俺が一番知ってるよ・・・だけど、だからってあきらめる訳にはいかねえんだよ。みんなの夢を、希望を守るために、俺たちはお前みたいな悪党には負けられない!」

 

二人は傷だらけの体を奮い立たせ、まっすぐにアークゼロワンに立ち向かう。

 

その時、二人の持つアイテムが光りだした。

 

『ッ!?』

 

その光に真も灯利柯も、そしてアークゼロワンも驚いていた。

 

「なに、その光は!?」

 

アークゼロワンが驚く中、二人は光の原因であるお互いのアイテムを見る。

 

「俺のサーヴァントドラゴンアームドカードと・・・!」

 

「俺のシャイニングホッパープログライズキーが光ってる・・・!」

 

二人が驚ていると、光っている二人のアイテムが突如移動しカードが真に、キーが灯利柯の元へ行く。

 

そしてさらに光が強まり、光が止んだ時には二人の持つアイテムは形を変わっていた。

 

灯利柯の手にあったキーは、金色のカードに。

 

真の手にあったカードは、白色のキーに形を変えていた。

 

「こいつらも、諦めていないみたいだな」

 

「そうだな」

 

二人は手にしているアイテムを握り締め、勇気を奮い立たせる。

 

「行くぜ、灯利柯!」

 

「ああ、行こう!」

 

灯利柯は手にした『シャイニングホッパーアームドカード』をアームドディスクに装填し、真は手にした『サーヴァントドラゴンプログライズキー』のライズスターターを押し込む。

 

クロス!

 

オーソライズ!

 

真が認証すると、上空から白色のドラゴン『サーヴァントドラゴンライダモデル』が真の後ろに降り立つ。

 

真はキーを展開し構え、灯利柯はレバーに手をかける。

 

「変身!」

 

「アームド!」

 

二人は同時に叫び、真はキーを装填し、灯利柯はレバーを引いた。

 

プログライズ!

 

world closs over!サーヴァントドラゴン!

 

Two heroes confront across the world.

 

真は灯利柯のサーヴァントドラゴンアームドに近い鎧を身に纏った姿『仮面ライダーゼロワン サーヴァントドラゴンフォーム』へ、灯利柯は真のシャイニングホッパーに近い装甲を身に纏った姿『シャイニングホッパーアームド』へと変身した。

 

「そんな・・・そんな力、予測してない!?」

 

アークゼロワンは二人の未知の力に戸惑いを隠せていなかった。

 

「アズ、今度こそお前を止める!」

 

「お前を止められるのはただ二人、俺たちだ!」

 

真の言葉と共に二人は駆け出した。

 

 

『使用BGM REAL×EYEZ』

 

 

二人は果敢にアークゼロワンを攻めていく、アークゼロワンは理解不能な二人の変身に驚きながらも、すぐに冷静になりサウザントジャッカーで迎え撃つ。

 

先に出た真にアークゼロワンは迎え撃つが、真の動きは先ほどよりも機敏となっており直前にサウザントジャッカーの刀身を掴みそのまま蹴りを食らわせ、怯んだ隙に何度も拳を叩き込んでいく。

 

アークゼロワンは真を振り払い距離を取ろうとするが、灯利柯がシャイニングホッパーの高速移動で背後を取り、アークゼロワンを蹴り飛ばす。

 

「くっ!?さっきとは動きが違う!」

 

ジャックライズ!

 

アークゼロワンはサウザントジャッカーのレバーを引っ張り、周囲に大量の槍を出現させる。

 

ジャッキングブレイク!

 

そのまま武器を振るい大量の槍が二人に襲い掛かるが、灯利柯は高速で真の背後に行き。

 

「ジャンヌの宝具を!」

 

「えっ!? こ・・・こうか? 『我が神はここにありて(リュミノジテ・エテルネッル)』!」

 

灯利柯に言われ真が力を使うと、真の手に旗が現れ光が二人を包み、アークゼロワンの攻撃を防いでくれる。

 

「すっげぇ・・・何だこの力!?」

 

「英霊の力! まさかゼロワンも使えるっていうの!?」

 

アークゼロワンの攻撃が止み、光が消えるとともに真はアタッシュカリバーを取り出す。

 

「灯利柯、こいつを使え!」

 

「わかった!」

 

灯利柯はアタッシュカリバーを受け取り、真はアタッシュアローを手にしガーディアンハバキリプログライズキーを取り出す。

 

ブレイド!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

アメノハバキリアビリティ!

 

真はそのままキーを装填し、灯利柯が駆け出すと同時にアークゼロワンの上空目掛けて弓を放つ。

 

アメノハバキリカバンシュート!

 

放たれたエネルギーはアークゼロワンの上空で大量の剣へと変わり、そのまま降り注がれる。

 

アークゼロワンは降り注がれた剣をサウザントジャッカーで防いでいくが、防ぐのに集中して灯利柯を見失ってしまい、すぐ真横に灯利柯が現れ、斬撃を振るった。

 

アークゼロワンはすぐに体勢を立て直し、アタッシュショットガンを生成し真に向け、真もアタッシュショットガンを繰り出しクリムゾンイチイバルプログライズキーを取り出す。

 

ブラスター!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

イチイバルアビリティ!

 

キーを装填し、真も銃口をアークゼロワンに向けて互いにトリガーを引いた。

 

カバンショット!

 

イチイバルカバンショット!

 

放たれた二つのエネルギーは拮抗し爆発をが起こると同時に、真は武器を捨て接近しアークゼロワンの隙をついて殴り飛ばす。

 

「そ・・・そんな? どうして・・・力の差はあったはず・・・!?」

 

「教えてやるよアークゼロワン、それは俺たちがみんなの希望を守るヒーローだからだ。だからお前みたいな悪党なんかに負けるつもりはねえ!」

 

「アズ。たとえお前やアークのような悪がいたとしても、俺たちは絶対に負けられない。負けるつもりはない!」

 

二人は横に並び、真はドライバーのキーを押し込み、灯利柯はレバーを引いて必殺技を繰り出す。

 

サーヴァントインパクト!

 

「シャイニングストライク!」

 

二人は飛び上がり、アークゼロワンに目掛けて同時にキックを繰り出し、アークゼロワンはドライバーのキーを押し込む。

 

アークライジングインパクト!

 

二人を迎撃するように、アークゼロワンの蹴りが二人のキックとぶつかり合う。

 

だが、力を合わせた二人のキックはアークゼロワンの蹴りを押していき、そして二人のキックはアークゼロワンを貫いた。

 

 

サーヴァントインパクト!

 

「まさか・・・また想定外なことが起こるなんて・・・けど、何時か必ずアーク様が人類を滅ぼして見せるわ・・・!」

 

アークゼロワンはそう言い残し、爆発した。

 

「その時は止めて見せるよ、何度でも」

 

こうして、アークゼロワンとの戦いは終わった・・・。

 

 

 

 

 

「真さーん!灯利柯さーん!大丈夫ですかー!?」

 

二人が変身を解くと、離れたところから響たちが来てくれた。

 

「ああ、こっちは勝ったぜ!」

 

「私たちも勝てました!やりましたね!」

 

「みんな、そっちは無事か?」

 

「大丈夫、みんな無事よ」

 

灯利柯がみんなの無事を確認し安堵の息をつくと、変化した二人のアイテムが光りだし元の形に戻る。

 

「あっ、元に戻った」

 

「どうやら一度限りの変身だったわけだな」

 

二人はお互いに元に戻ったアイテムを返した。

 

「ありがとうな、灯利柯たちが居なかったらきっと俺たち負けていた」

 

「それはこっちもだ、二人が協力してくれたから被害が最小限に抑えられた、ありがとう」

 

灯利柯が差し出した手を真は握り、握手した。

 

「灯利柯、早くユグライドを二人の世界に設定しないと」

 

「わかった、すぐ行く」

 

灯利柯はユグライドに向かい、その場には真と響が残った。

 

「さて、後は俺たちの世界に帰るだけだな」

 

「そうですね!早く帰って今回のことを話したいです!」

 

「そうだな、きっと翼たち驚くだろうな」

 

二人が話をしていた時、突如二人の目の前に『銀色のオーロラ』が出現した。

 

「「えっ!?」」

 

二人が驚く中、オーロラは真と響を包み二人は消えてしまった。

 

 

 

 

 

シンフォギアの世界にて、真と響が消えた部屋にオーロラが現れそこから真と響が現れオーロラはそのまま消えてしまった。

 

「・・・あれ?私たち何してたんでしたっけ?」

 

「確か、この部屋で特訓してて・・・そのあとが思い出せないな?」

 

二人は別世界の記憶を無くしており、よく見ると二人の体には傷一つなく、灯利柯達の世界に飛ばされる前の状態になっていた。

 

二人が何があったのか思い出そうとすると、部屋中にアラートが鳴り響く。

 

「っ! 真さん、ノイズのアラートです!」

 

「わかった!行くぞ響!」

 

二人はそのままノイズの出現場所へ向かった。

 

 

 

 

 

「・・・これでいいだろう『マーリン』」

 

「ありがとう『門矢 士』、これであの二人は今回の記憶を無くしてるはずだ」

 

「しかし解せないな、何でこんなことをするんだ?」

 

「彼らの世界に闇の軍勢のことを知られ、混乱が起きてしまったら大変だからね。そうならないための措置さ。闇の軍勢は今の彼らの世界にとって凶悪すぎるからね」

 

「そうか・・・じゃあ俺はそろそろ旅に戻ろう」

 

そういって門矢士は銀色のオーロラをくぐり、別の世界へ旅立った。

 

「ああ、気を付けたまえ・・・さて」

 

マーリンは彼が行ったのを見届けた後、振り返った。

 

「やあみんな、花の魔術師マーリンだ。今回の終わり方に納得してない人もいるかもしれないけど、そこは許してくれないかな?これはあの子たちの為なんだそこを理解していただけるとありがたい。さて、今回見てもらったコラボ作品はどうだったかな?このお話は此処で終わりだ、今回あの子たちとコラボした灯利柯達の物語『アームド列伝』をぜひチェックしてみてくれたまえ。それでは、またどこかで・・・」




さあ後書きの時間だ!んでもって今回はぼうげん!さんのアームド列伝主人公である灯利柯に来てもらったぞ!
「どうも、佐藤灯利柯だ」
灯利柯、今回はコラボしてくれてありがとう、いい経験になったよ。
「どういたしまして、ところで二人の記憶は消していいのか?」
ああ、コラボの記憶があったらちょっと困るし俺はそうしてるから。
「そうか、作者がそう言うなら別にいいけど…」
さて、此処まで見てくれた視聴者の皆さん、コラボ小説はどうだったかな?
「もしよかったら俺たちが活躍する『アームド列伝』もぜひ見に来てくれ。
それでは今回は此処まで、それじゃあ〆ますか!

「「それではご視聴ありがとうございました!」」

ぼうげん!さんのpixivURL 《https://www.pixiv.net/users/30924711》


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コラボ回:予告

読者の皆さん半年ぶり、作者の真紅林檎です。

 

「XDUのシナリオで友人の姿を見てぶっ倒れた継菜真です」

 

「自分のその姿を見て同じく倒れました立花響です」

 

「二人と同じく倒れました小日向未来です」

 

「倒れた三人の介抱をしていた風鳴翼だ」

 

「同じく天羽奏だ」

 

「以下同分、雪音クリス」

 

「同文のマリアよ」

 

「倒れた真お姉ちゃん達を見て慌てる事しかできませんでしたセレナです」

 

「同じく暁切歌デース」

 

「同じく月読調」

 

「久方ぶりに帰宅したらとんでもない状況で驚く事しかできんかった如月紫苑じゃ」

 

「同じく何もできませんでした如月桃恵です」

 

「おい作者、約半年ぶりの入りがこれかよっ!?」

 

ここ最近で印象に残ってるんだよ・・・というかお前も卒倒してたじゃねえか!

 

「くそっ、何も言い返せない・・・」

 

「まぁまぁ・・・それよりも作者さん、今回はもしかして・・・!?」

 

ああ、タイトルで察してる通り、とうとうぼうげん!さんとのコラボ回の投稿日が決まったぞ!!

 

「おおっ!とうとうなんだなっ」

 

「待ちに待っておったぞ!」

 

「半年かけてようやくですね・・・」

 

ああ、ゼロフォギアが終わってから約半年・・・そのエピローグでコラボ回を投稿すると宣言して・・・ようやく完成しました!

 

「よく頑張ったな・・・今回は素直に褒め称えるわ」

 

「けど、予告は分かりますけど私達が予告に出る理由は?」

 

「確かに、予告なら俺達いらないだろ?」

 

ああ、それは単なる文字数稼ぎ。

 

「おいっ」

 

それはともかく、それでは早速コラボ回の予告をお送りします、どうぞっ!

 

 

 

 

 

悪意の神を打ち倒し、世界の平穏を守った乙女達・・・。

 

平穏を取り戻した世界に、破滅が迫る・・・!

 

 

 

突然現れた謎のモンスターと鎧の戦士!

 

危機に追いやられる真達の前に現れたのは・・・。

 

 

 

「大丈夫ですか?」

 

「アームド・・・戦士?」

 

 

 

モンスターの力を身に纏う『アームド戦士』と、仮面ライダーとシンフォギア装者が、世界を守るために共に戦う!

 

『変身!』

 

『アームド!』

 

 

 

 

 

            戦姫転生ゼロフォギア

                 ×

              アームド大戦

             Cross of Hero

 

2023年7月9日、朝6時『前編』、昼12時『後編』投稿。

 

二人の英雄が、破滅に立ち向かう・・・。

 

 

 

 

 

・・・というわけで7月9日『戦姫転生ゼロフォギア×アームド大戦 Cross of Hero』前後編の投稿が決まりました!

 

『いぇーい!!』

 

「こっちは前後編か、ぼうげん!さんのと比べると短めだな」

 

いや今の自分の文章力では前後編がギリギリなんですマジ勘弁してください。(土下座)

 

「土下座するほどですか・・・まぁそれよりもどういったストーリーになるんですか!?」

 

ネタバレしたくないから簡潔に言うと、真達の世界に現れた鎧の戦士に真達とアームド戦士達が挑むって話だ。

 

「アームド戦士か、我々は初めて会うな」

 

前に真と響が出会ったアームド戦士とはまた違うキャラクター達との交流を楽しんでくれ。

 

「まぁ楽しむ前に世界を守るんだけどな」

 

というわけで7月9日、コラボ回を投稿しますので、読者の皆さん心待ちにしててください、それじゃああれで〆るぞ!

 

 

『それではコラボ回をお楽しみに!』



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戦姫転生ゼロフォギア×アームド大戦 Cross of Hero 前編


お待たせしました、これより『戦姫転生ゼロフォギア×アームド大戦 Cross of Hero』の投稿を始めます。
今回はその前編、果たしてどのようなもの物語が繰り広げられるのか、期待してご覧ください。
それでは戦姫転生ゼロフォギアコラボ回前編、どうぞ!


数多に存在する世界の数々、その内の二つの世界。

 

一つは特異災害と悪意と戦った戦姫達の世界『戦姫転生ゼロフォギア』。

 

もう一つは別世界の生物の力を身に纏い、悪と戦う戦士たちの世界『アームド大戦』。

 

本来、交わることのない二つの世界が、災厄によって繋がる事となる・・・。

 

 

 

 

 

月明かりが照らす丑三つ時、森の奥深くを駆け抜けていく一匹の生き物がいた。

 

尋常ではない速度で駆けていくその表情からは、恐怖の表情を浮かべていた。

 

しばらくの間駆け抜けていた生き物がゆっくりと速度を落とし、周囲を見渡して何もいないことを視認すると安堵の息をつく。

 

そして再び走り出そうとした瞬間、突如近くの草陰から何者かが飛び出し、生き物の首を掴み地面に叩き伏せてしまう。

 

首を掴まれた生き物は拘束を抜け出そうと暴れるが効果はなく、謎の人物が腕の力を強めると生き物は苦しみだし、森の中で骨が砕ける音が響いた。

 

砕ける音と共の生き物はピクリとも動かなくなり、それを見た謎の人物の背中から赤色の蝙蝠みたいな生き物が大量に飛び出し生き物の骸に群がる。

 

骸に群がり少しすると蝙蝠の群れは謎の人物の元に集約し、謎の人物の身体が淡く赤色に発光する。

 

「・・・オオオォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

身体が発光しだすと謎の人物は森が揺れるほどの叫び声をあげると、目の前の空間にひびが入りだしまるでガラス細工のように砕け散り、その奥に虹色の空間が広がっていた。

 

そして謎の人物は虹色の空間に向かって歩みだし、空間内に入って行った。

 

 

 

 

 

アークとの戦いを終えてから数ヶ月が経った頃、真邸では真達仮面ライダーと響達シンフォギア装者が集まっていた。

 

「こうしてみんなが揃うのは久しぶりですね!」

 

「だな、翼達はコンサートで殆ど海外だったし、紫苑と桃恵は故郷の復興してたしで全員が揃うのは久々だな」

 

「緒川さんがスケジュールを調整してくれたから、こうして休暇を貰えたわけだ」

 

「ああ、『偶には体を休めてください』って緒川の旦那も言ってたしな、のんびり体を休めないとな」

 

「セレナ、マネージャーの仕事はどうデスか?」

 

「はい、緒川さんに助力を受けながらですけど何とか頑張っています」

 

「ええ、セレナもマネージャーとしてきちんと成長しているわ、貴方達は勉強の方頑張ってる?」

 

「ばっちし、先輩達に勉強を教わりながら頑張ってる」

 

「紫苑さん、桃恵さん、故郷の復興の方はどうですか?」

 

「うむ、徐々にじゃが元の集落の形に戻って行っておるぞ」

 

「まだ戻って来てくれている人は少ないですけど、いつか皆戻って来ると思ってます」

 

「そいつは良かったな、みんなそれぞれ夢に向かって頑張ってるんだな」

 

真達が久々の集結に花を咲かせていると、突如真のライズフォンに弦十郎から通信が入る。

 

「んっ?はいもしもし」

 

『真君か、悪いが響君達を連れて本部にまで来てくれ』

 

そう言って通信が切れる。

 

「真さん、どうしたんですか?」

 

「弦十郎さんから全員で本部に来てくれって」

 

弦十郎からの呼び出しに疑問を持ちながらも真達はすぐに本部へと向かう。

 

 

 

真達が司令室にやって来ると、弦十郎や緒川、フィーネにキャロルトエルフナイン、藤高や友里と言ったオペレーター達が集まっていた。

 

「わざわざ休暇中に済まない」

 

「気にすんな、何かあったんだろ?」

 

「ああ、藤高」

 

弦十郎の呼びかけに藤高がパネルを操作をすると、モニターに映像が映る。

 

そこに映し出されていたのはカラカラに干からびた一匹の巨大なトカゲのような生き物の死骸だった。

 

「なんですかこれ・・・トカゲのミイラ!?」

 

「にしてはデカすぎんだろ!?」

 

「ああ、下手すれば人間と同じぐらいあるぞ・・・」

 

響達が驚いている中、弦十郎が説明に入る。

 

「この生き物はアジアで発見された物だ、発見した時からすでにこの状態であり、サンジェルマン達を含めた研究班が調査をしてくれた、その結果とんでもないことが分かった」

 

「とんでもないこと?」

 

「・・・この生き物は、地球上どの生き物にも該当しない未知の生物だということが判明した」

 

弦十郎の言葉に全員が衝撃を受けた。

 

「未知の生き物!?」

 

「ということはこのトカゲは宇宙人デスか!?」

 

「そんなわけがないだろ、というより宇宙人などこの世には存在しないだろ・・・」

 

「いやキャロル、神様がいるぐらいなら宇宙人ぐらいいそうな気がするけど・・・」

 

「ゴホンッ!・・・それでこの生物についてさらに研究を行っている」

 

真の言葉にキャロルがゴホンッと遮ると、話を戻す。

 

「それでわかった事は、この生き物は体内の血液が殆どないことが分かった」

 

「血液が?」

 

「ああ、それに加えてこの生き物の体のあちこちから無数の噛み傷が検知された」

 

「無くなった血液に噛み傷・・・まるで吸血鬼みたいじゃな」

 

「今はまだ研究班がいろいろと調べているが、問題はまだある」

 

「まだあるのですか?」

 

「ああ、これを見てくれ」

 

そう言ってモニターには先ほどのとは違う生物の画像が幾つも映し出される。

 

「ヨーロッパ、中国、イタリア、ブラジル、アルゼンチン・・・世界各地で詳細不明の生物の死骸が確認されている」

 

「世界中で確認されたって、どういう事なんだよ旦那!?」

 

奏がそう聞いた瞬間、本部内にアラートが鳴り響く。

 

「っ!アルカノイズか!?」

 

「これは・・・司令!台湾に謎の生き物が暴れている様です!」

 

「生き物だとっ!?モニターに写せ!」

 

モニターに映し出されたのは、台湾の街中で暴れまわる一匹の生き物がいた。

 

全身が黒く頭部や至る所に緑色の発光体がへばりついており、その目は赤く、発達した前脚を振るい大型のトラックを殴り飛ばしてしまう。

 

そして何よりも目を奪われるのはその生き物の全身が赤く発光している事だった。

 

「なんだあのデカブツは・・・!?」

 

「車なんかよりもはるかに大きい・・・!」

 

「こんな生物、今まで見たことがないぞ!?」

 

皆が驚いている中、真と響はその生き物を見て別の反応を見せていた。

 

「あれって・・・」

 

「『ブラキディオス』・・・っ!?」

 

その瞬間、真と響の頭にある映像が浮かび上がる。

 

目の前に現れる赤いゼロワンとアーク、それに立ち向かう自分自身と共に並び立つ見たことのない戦士達、その一人の姿とモニターに映し出された生物と特徴が酷似していた。

 

だがその映像が見えたのは一瞬で、真と響は頭を押さえると、みんながそれに気が付く。

 

「立花!継菜!大丈夫か!?」

 

「は・・・はい、大丈夫です、それよりも!」

 

「ああ、早くあいつを止めに行くぞ!」

 

そう言って二人は急いで現場に向かって行き、その後を未来達は慌てて追いかけて行く。

 

 

 

 

 

一方、虹色の空間内を潜航する一機の潜水艦があった。

 

「『・・・』さん、この先の世界なんですか?」

 

「はい、確認したところこの先の世界に反応を感知しました」

 

「だったら急がないと、このままじゃ大変なことになってしまいます!」

 

「分かってるが、到着したら戦闘に入る可能性もある、全員準備をしてくれ」

 

「了解です」

 

一人の人物の言葉とともに、中にいた全員は急いで準備を整えに行った。

 

 

 

 

 

ヘリに乗って台湾に到着した真達は即座に街中で暴れている生物、ブラキディオスを視認する。

 

「いました!」

 

「ひぇ~!近くで見るとやっぱりデカいデスよ・・・!」

 

「まるで怪獣映画から飛び出したみたい・・・」

 

「怪獣だが猛獣だが知らないが、これ以上暴れさせるわけにはいかねえな!」

 

「ああ、皆行くぞ!」

 

真の掛け声で、全員が構える。

 

ウェ

 

ジャンプ!

 

バレット!

 

ダッシュ!

 

ポイズン!

 

ウィング!

 

『『『オーソライズ!』』』

 

『『Kamen Rider...Kamen Rider...』』

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Imyuteus amenohabakiri tron

 

Killter Ichaival tron

 

Seilien coffin airget-lamh tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

『変身!』

 

プログライズ!

 

『『ショットライズ!』』

 

『『フォースライズ!』』

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

シューティングウルフ!

 

ラッシングチーター!

 

スティングスコーピオン!

 

フライングファルコン!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

『『Break Down.』』

 

変身した真達が武器を構えると、真達に気が付いたブラキディオスが振り向き、雄たけびを上げながら迫ってきた。

 

ブラキディオスの振り下ろした前脚を躱し、クリスと桃恵が同時に射撃するが、その外皮は固く弾丸が通らずにいた。

 

「なんだあの固さ!?」

 

「弾丸が全く通じません!」

 

弾丸を受けたブラキディオスは放ったクリスと桃恵に向かって行き、前足を振るうが直前で桃恵がクリスを抱え上空に飛び難を逃れる。

 

「おぉぉりゃあぁぁ!!」

 

二人が躱した直後に響がブラキディオスの横っ腹に拳を叩き込み吹き飛ばすと、吹き飛ばした先で翼と真がアメノハバキリとプログライズホッパーブレードで切りつけた。

 

「立花の拳と我々の刃は通る・・・」

 

「弾丸への耐性だけ異様に高いって訳かよ」

 

「だったらこのまま切りかかるデスよ!」

 

刃が通るのを知り切歌がイガリマを構えブラキディオスに向かう中、真は周囲の様子を見て違和感を感じる。

 

(爆発した車体か幾つも転がって入るが、その割には『爆発跡が多すぎる』・・・こいつは?)

 

違和感を感じた真の視界に入ったのは、切歌の進む先の地面に付着しているブラキディオスの身体にもついている緑色の発光体、だがその色合いは緑から黄色に、そして赤色に変化すると、真はそれに気が付く。

 

「っ!それに近づくな切歌っ!」

 

「へっ?」

 

切歌が発光体に足を乗せる直前でマリアが即座に蛇腹剣で切歌を捕らえ引っ張ると、発光体が強く輝きだし爆発を起こした。

 

「な・・・爆発っ!?」

 

「そういう事か・・・爆破した車体に比べて爆発跡が多いのはあれが原因か、櫻井さん!」

 

真の通信に合わせ司令室で緑色の発光体について調べる。

 

『どうやらあれは一種の菌の様ね、あの生き物の体から離れると空気中の酸素と反応し爆発する性質を持ってるようね』

 

『既存の生物とは一線を越えまくっているな、まずこんな性質はあり得ないぞ』

 

「どんなトンデモ生物だよ・・・学会に発表したらとんでもないことになりそうだな」

 

『そうね、捕まえてみる?』

 

「骨が折れそうだから却下」

 

「骨どころか全身が吹き飛ばされますよ!?」

 

真達が軽口を言う中、ブラキディオスは前脚を何度も振るい、地面や建物を殴ってはその個所に粘菌がへばりつき爆破していく。

 

「あいつの前脚だけじゃなく菌にも注意しないといけないな」

 

「こちらの攻撃は効いてはいるが決定打にはならない・・・何とかやつの弱点を探らなくては・・・」

 

真達は戦いながら弱点を探ろうとすると、突如ブラキディオスの様子が変わっていく。

 

頭部、両前脚、尻尾にさらに赤い輝きが放たれ雰囲気が一変する。

 

「まさか・・・まだ本気じゃないっていうのか!」

 

雰囲気が一変したブラキディオスが建物を殴りつけると、殴った瞬間に赤黒い爆発が起きる。

 

「殴った瞬間に爆破したぞ!」

 

「しかも、さっきよりも明らかに強力だ!」

 

先程よりも強化したブラキディオスの攻撃に全員は攻めきれずにいた。

 

「くっ・・・小癪な!」

 

ブラキディオスの圧倒的な攻めに紫苑は半ば強引に氷の錬金術を纏わせたアタッシュカリバーを振るうと、先程よりも確かな手ごたえを感じ、切りつけた個所が凍っているのを視認する。

 

「っ!うちの攻撃が効いたぞ!」

 

「なに・・・まさか・・・?」

 

ブリザード!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

ポーラーベアーズアビリティ!

 

紫苑の攻撃が効いたのを見て真はとっさにアタッシュカリバーを生成しフリージングベアープログライズキーを装填し、ブラキディオスに接近する。

 

フリージングカバンストラッシュ!

 

接近してきた真に向かって前足を振るうが、真は紙一重で回避し冷気を纏ったアタッシュカリバーで切りつけると、先ほどよりも効果があるのが目に見えた。

 

「やっぱり、こいつ冷気が弱点だ!」

 

「よしっ、継菜と如月姉を起点に攻撃を仕掛けるぞ!」

 

『了解!』

 

弱点を発覚し翼の指揮の元、全員の士気が上がり攻勢に出る。

 

真と紫苑が冷気による攻撃を仕掛けながら残った者達で二人のサポートをしていき、ブラキディオスを追い詰めていく。

 

そして攻撃を当てていくにつれ、ブラキディオスの赤い発光体が徐々に散っていき、残るは頭部だけになった。

 

「こいつで・・・どうだっ!」

 

ブラキディオスの振るった前脚を足蹴に跳躍し頭部を切りつけた瞬間、ブラキディオスの身体から赤い発光体が爆発するように散り勢いが衰える。

 

「っ!今が好機!」

 

その瞬間に真と紫苑が同時に飛び出し武器を振るう。

 

「こいつで・・・!」

 

「終いじゃ!」

 

そして二人の振るった一撃がブラキディオスを捕らえ、ブラキディオスは身を大きく翻し、地面に倒れ伏した。

 

「はぁ・・・はぁ・・・、討伐完了・・・!」

 

真はブラキディオスが息絶えたのを確認すると、全員の緊張の糸が切れその場に倒れこむ。

 

「はぁ~~~っ、疲れた・・・!」

 

「なまじタフで強力だから余計に疲れた・・・」

 

「これだったらアルカノイズやマギアの方がはるかにましだ・・・!」

 

『全員よく頑張った、すぐに応援のヘリを向かわせる』

 

弦十郎からの通信が切れると、未来達は気になったことを真と響に尋ねる。

 

「そういえば二人共、ここに来る前に頭を抱えてたけど大丈夫なの?」

 

「あっうん、平気だよ・・・というより」

 

「というより?」

 

「・・・何だが私、あの生き物を知っているような気がするんです」

 

「っ!響もか、俺もあいつにいた感じの奴を知っている気がするんだ」

 

「あの怪物に似たやつを知っている?どういうことなの二人共」

 

「分かりません!でもあの生き物を見た瞬間頭の中に変な映像が浮かび上がって・・・」

 

「ああ、知っているような・・・知らないような・・・そんな不思議な感覚なんだ」

 

「・・・二人の記憶に関しては後からでもわかるだろう、今はあの生物についてだが」

 

そう言って皆がブラキディオスの方を向くと、倒れ伏しているブラキディオスの身体から小さな赤い輝きが幾つも放たれている。

 

「っ!なんだあれは!?」

 

真達がその輝きを注意して見ると、大量の赤色の蝙蝠みたいな生物がブラキディオスの身体に群がっていた。

 

「赤い・・・蝙蝠・・・?」

 

「なんデスかあの生き物、すっごく不気味デス!」

 

「・・・世界各地で発見された謎の生き物の死骸に無数の噛み傷・・・まさか!?」

 

すると赤い蝙蝠はブラキディオスから離れていき、向こう側に飛んでいった瞬間、飛んでいった先からとてつもない重圧を感じた。

 

『っ!!?』

 

全員が重圧を感じていると、その重圧の主が歩いてやってくる。

 

全体が黒く、所々が青く発光する顔を隠すほどの重圧な全身鎧を身に纏い、その体格は弦十郎よりも一回り大きい謎の存在はゆっくりと歩みを進めていた。

 

「な・・・に・・・このプレッシャー・・・!?」

 

「この圧・・・アーク並み・・・!?」

 

プレッシャーを感じながらもなんとか体を起こし、臨戦態勢に入る真達。

 

一歩、また一歩と真達に近づいて行き、そして真達まで3m付近辺りで突如歩みを止める。

 

「・・・オオオォォォォォォォォォォォ!!!」

 

そしてとてつもない叫び声をあげる、その叫びはコンクリートの地面にひびが入り、周囲の建物の窓ガラスが全て割れ、木々が大きく揺れ出すほどに強力な叫びだった。

 

「な・・・何ですか、この叫び声は・・・!?」

 

「み・・・耳が・・・!?」

 

あまりの叫び声に全員は耳を塞ぐと、鎧の人物は足に力を籠め、一気に真達に接近する。

 

「しまっ・・・!」

 

「響っ・・・きゃあ!!」

 

突然の叫び声に全員意識を持っていかれ対応が遅れてしまい、一番前方にいた響が殴り飛ばされてしまい、その後ろにいた未来も巻き込まれて吹き飛ばされてしまう。

 

「響!未来!」

 

「んなろぉ!!」

 

二人が飛ばされたのを見てクリスがガトリングで弾幕を放つが、弾丸は全て鎧に弾かれてしまい、鎧の人物はそのままクリスに向かって行きクリスを蹴り飛ばしてしまう。

 

「雪音!」

 

「野郎ぉ!」

 

奏はパンチングコングフォームに切り替え殴りかかるが、奏の拳を相手は片腕で受け止めてしまい、力を籠めると『ナックルデモリション』にひびが入り砕けてしまう。

 

「んなっ!?」

 

「離れて奏っ!」

 

「はあっ!」

 

翼とマリアは同時に攻撃を仕掛けようとするが、敵は力任せに奏を翼達の方に放り投げて二人にぶつけ体勢を崩させると一気に跳躍し三人を地面に叩きつけた。

 

「翼さん!奏さん!マリア姉さん!」

 

セレナの元に敵が迫るが、セレナはその素早さで敵の攻撃を躱しアタッシュアローで攻撃を仕掛けるが傷一つ負わない。

 

「固すぎる・・・!」

 

「だったらイガリマと・・・!」

 

「シュルシャガナで・・・!」

 

切歌と調が切りかかろうと迫った瞬間、敵は高速で移動するセレナの足を難なく掴み、そのまま棍棒を扱うかのように振るい、迫って切歌と調に叩きつけ、三人はそのまま建物に叩きつけられてしまうと、敵の周囲に四色の陣が生成される。

 

「これ以上の愚行は許さぬ!」

 

「これでも・・・喰らえ!」

 

紫苑と桃恵が四つの陣から炎、氷、風、土の錬金術を放ち敵が爆炎に包み込まれると同時に、そこに真が向かって行く。

 

エブリバディジャンプ!!

 

オーソライズ!

 

プログライズ!

 

メタルライズ!

 

メタルクラスタホッパー!

 

It's High Quality.

 

メタルクラスタホッパーに変身した真は集中砲火を喰らう敵に向かってプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを構え跳躍する。

 

ドッキングライズ!

 

アルティメットライズ!

 

アルティメットストラッシュ!

 

「こいつでも・・・喰らいやがれ!」

 

接続させ認証させると、真の周囲に飛電メタルで生成された大量の剣が現れ、それを敵に向かって射出した。

 

「オオオォォォォォォォォォォォォォ!!!」

 

だが敵は集中砲火を喰らいながらも剣が刺さる直前に、先程よりも強力な叫び声をあげ、その叫び声によって陣と飛電メタルの剣が砕かれ、真達はその衝撃で吹き飛ばされてしまう。

 

その叫びは先ほどよりもすさまじく、ひびが入った地面を砕いて行き、建物の壁にひびが入り次々と倒壊していった。

 

叫び声と倒壊音が収まると、周囲の街並みは完全に崩壊していた。

 

「くそ・・・っ皆!?」

 

真が周囲を確認すると攻撃を受けた響達、そして比較的敵との距離が近かった紫苑と桃恵は先ほどの雄たけびの衝撃で動けないでいた。

 

響達を確認した真の後ろに敵がやって来る。

 

「この野郎・・・お前錬金術師の仲間か!?」

 

真の問いかけに敵は反応せず、その代わりと言わんばかりに近くに倒れていた巨大な瓦礫を片手で持ち上げ、それを真に向けて振るってくる。

 

「っ・・・!」

 

本来なら避けれる攻撃、だが真の後ろには動けない状態の響達がおり、このまま躱したら響達に攻撃が当たると予測した真はプログライズホッパーブレードで真正面から瓦礫を受け止める。

 

拮抗する中、敵は空いている片手で同じサイズの瓦礫を持ち上げ、そのまま真を挟むように振り抜く。

 

「なっ!?」

 

更に瓦礫を振るってくるのを予測できなかった真は反応が遅れた上に驚きで力が抜けてしまい、押し切られてしまい瓦礫に押しつぶされてしまう。

 

「く・・・が・・・っ!」

 

あまりのダメージに変身が解け倒れ伏す真に、鎧の人物は瓦礫を捨てゆっくりと真に近づいていく。

 

「ま・・・真さん・・・逃げ・・・!」

 

響がそう言うが、真は身動き一つとれず、敵は徐々に近づいて行き、そして目前にまで迫った。

 

そして動けない真の頭部に目掛けて足を上げる。

 

「だ・・・駄目・・・っ!」

 

響の静止の声も届かず、その足が真の頭部に降ろされるその瞬間。

 

 

 

 

 

「させるかっ!」

 

突如上空から何かがやって来て敵を蹴り飛ばす。

 

危機を逃れた真の身にその人物は懐から液体の入った瓶を取り出し蓋を開け中身を真に浴びさせる。

 

すると真の身体から痛みが引いて行き、傷が塞がっていった。

 

「傷が・・・治った?」

 

傷が治り視線を上げると、目の前にいる人物に視線を向ける。

 

その姿は赤い竜を模した鎧を身に纏い、その背には雄々しい翼が生えていた。

 

そしてその人物は振り返り真の方を向いて話しかける。

 

「大丈夫ですか?」

 

その姿を見て真の脳裏にある光景が映し出される。

 

ゼロワンと酷似した赤い戦士『アークゼロワン』、それに敗れ倒れ伏す自身と響。

 

そして危機的状況を助けてくれた戦士達。

 

その光景と共に、真は封じられていた記憶を完全に取り戻し、その戦士の名を呟いた。

 

「アームド・・・戦士?」

 

「えっ・・・何で知ってるんだ?」

 

真の放った言葉に助けた人物が驚いていると、目の前で吹き飛ばしたはずの敵が起き上がった。

 

「全然効いてないな・・・」

 

「あいつのあの鎧、尋常じゃないぐらい固いからな・・・」

 

「真さん!」

 

後ろから響の声が聞こえ振り返ると、こっち向かってくる響達と助けてくれた人物の仲間らしき人達がいた。

 

「皆、大丈夫か!?」

 

「はい、あの人達がくれた薬のお陰でもうへいきへっちゃらです!」

 

「そうか・・・とにかくまずは目の前のあいつだ」

 

そう言って全員が敵の方を向くと、敵はおもむろに両腕を掲げると、周囲に先ほどの赤い蝙蝠のような生き物が大量に現れる。

 

「さっきの蝙蝠!?」

 

すると赤い蝙蝠達一か所に集まり赤色のエネルギーとなり、それを地面に叩きつけると土煙を上げ敵の姿を隠す。

 

「目くらまし!?」

 

「させるかっ!」

 

真を助けた人物が翼を広げ土煙を払うが、敵の姿はすでになくなっていた。

 

「逃げられた・・・!」

 

「いや、これ以上この街に被害を出すわけにはいかないからな」

 

そう言って真は助けてくれた人物に礼を言う。

 

「助けてくれてありがとう、もし来てくれなかったら今頃どうなっていたか・・・」

 

「いや、気にしないでくれ、助けれてよかったよ」

 

「出来れば詳しい話を聞きたいんだが、今はそれどころじゃないからな」

 

真が周囲を見当たすと、怪我を負った人達や瓦礫で身動きが取れない人達が多くいた。

 

「今は人命救助が優先だ、悪いけど手伝ってくれないか?」

 

「分かった、俺達も手伝うよ」

 

その後、真達は助けてくれた人物達と共に救助を行い、遅れてやって来たS.O.N.Gの応援によって救助を無事終えた。

 

 

 

その後、真達は助けてくれた人達を連れ本部に帰還し話し合いの場を作った。

 

「さて、まずは真君達を助けてくれたこと、人命救助を手伝ってくれて感謝する」

 

「気にしないでください、困ったときはお互い様ですから」

 

「それでも協力してくれたおかげで多くの人達を救助出来たんだ、ありがとうな・・・えっと」

 

「ああ、まだ名乗ってなかったな、俺は『桜木 亮太(さくらぎ りょうた)』ワールド・ボーダーの一員でアームド戦士だ」

 

「ワールド・ボーダー?」

 

「私達が乗って来た飛行潜水艦の事です、私は『ミコト』天才的な頭脳を持ったミコト様です!以後お見知りおきを」

 

「俺は『草辺柀徒(くさなべ まきと)』だ、よろしくな」

 

「僕は『新神劣夢(あらかみ おとむ)』です」

 

「私は『朝波恵奈(あさなみ えな)』よ、よろしくね」

 

「あたしは『ユナ』よろしく」

 

「私は『イレイナ』と申します」

 

「俺は『麻中蓬』です、よろしく」

 

「私は『レイナ』と申します、そしてこちらは私の執事の」

 

「『ダロス』です、よろしくお願いいたします」

 

「私は『イリヤ』です、こっちはルビーです」

 

「はいどうも!イリヤちゃんの専用ステッキ『マジカルルビー』ちゃんです!」

 

「僕は『ネモ』みんなからはキャプテンって呼ばれてる」

 

「私は『中滋野 芽(なかしの めい)』みんなと違って仮面ライダーよ、そしてこっちが・・・」

 

「どうもどうも~!ゼロフォギア視聴者の皆さん、最高にキュートで完璧な美少女悪魔『デスク』でーす!」

 

「あっ、あまりこの子の言うことは気にしないで」

 

「僕は『メリュジーヌ』サーヴァントで芽と同じ仮面ライダーです」

 

亮太たちの自己紹介が終わると、真達は何とも言えない表情をしていた。

 

「何というか・・・濃いなそっちは」

 

「いや真さん、それ私達が言えた立場じゃない気がしますよ?」

 

響の言葉に真は自身の仲間達を軽く見当たすと、頭に手を当てて軽くため息をつく。

 

「・・・そうだったな」

 

「何で私達の方を見たのかしら真君?」

 

「自分の胸に手を当てて考えてみろ・・・話を戻そうか」

 

真は気を取り直して話を戻す。

 

「単刀直入に聞くけど・・・あの鎧の人物について何か知ってるのか?」

 

真の言葉に亮太達が反応すると、ミコトが答えてくれる。

 

「ええ、あれは元々私達の世界にいた存在なの」

 

「ミコトさん達の?」

 

「ええ、あれは『冥淵龍 ガイアデルム』のアームド戦士、かつてとある王国を滅ぼそうとした『深淵の悪魔』と呼ばれているモンスターよ」

 

「アームド戦士・・・って、皆さんがあの時変身していた姿ですか?」

 

「ええ、『アームドスキャナー』にモンスターの力を宿した『モンスタータグ』をセットすることで変身することが出来るの」

 

「仮面ライダーに似たようなシステムということか」

 

キャロル達が興味を持つ中、響と真は亮太達が身に着けているアームドスキャナーに視線を向ける。

 

「それにしてもディスクじゃなくてスキャナーなんですね」

 

「だな、それにカードじゃなくてタグになっているところも驚きだな」

 

「・・・ん?ねえ貴方達、ディスクとかカードとかって何の話なの?」

 

マリアは二人の言った言葉が気になり質問をする。

 

「えっ・・・あっ!そう言えばあの時は私と真さんだけでしたね」

 

「実は俺と響はだいぶ前にアームド戦士に会ったことがあるんだ、まぁ亮太達とは違うんだけどな」

 

「えっそうなんですか!?」

 

「ああ、まぁその話は後にしよう、今はあのアームド戦士だ」

 

「はい、彼は元々私達が戦っている敵組織の部下だったんだけど、ある時遺跡内に封印されていたガイアデルムのモンスタータグを手にしたとき中に閉じ込められていたガイアデルムの力に飲み込まれてしまい暴走して、様々な街を襲撃し人々を襲っているの」

 

「しかもその強大な力で時空の穴を無理やり作り出し別の世界へ移動してしまったんです」

 

「その上に無理やりこじ開けられた時空の穴にモンスターが入り込んで様々な世界に現れてしまって大変な状態なのよ・・・」

 

「・・・あのブラキディオスもそのうちの一体って事か」

 

「このままでは、あらゆる世界がガイアデルムアームドによって破壊されてしまう、そうなる前に止めに来たんだ」

 

「なるほどな・・・大体事情は分かった」

 

真はそう言うと右拳を自身の掌にぶつける。

 

「だったら俺達も協力するぜ、あんな奴に俺達の世界も別の世界も壊されるわけにはいかないからな!」

 

「はい、あの時は手も足も出ませんでしたが、此処にいるみんなが力を合わせれば何とかなります!」

 

「ああ、というワケだ、我々S.O.N.Gも全面的に協力しよう」

 

「ええ、それじゃあ早速ガイアデルムアームドがどこにいるか調べないとね」

 

「私達も手伝うわ、人数は多い方がいいでしょうしこの世界に詳しい人の助力は必要でしょう、キャロルちゃん達も手伝ってね」

 

「ああ、分かっている」

 

そう言ってミコト達と共にフィーネ、キャロル、エルフナインはガイアデルムアームドの捜索を開始した。

 

「よし、ならば各自いつ発見されてもすぐ出動できるように準備を整えてくれ!」

 

『了解!』

 

 

 

その後、真達はいつでも出動できるようにする準備と、亮太達と親睦を深める為に自宅に移動していた。

 

「・・・という感じで私と真さんは灯利阿さん達と力を合わせて敵を倒したんです」

 

「響と真さん、私達の知らない間にそんなことになってたんですね・・・!」

 

「ああ、模造品とはいえアークを倒すとはな」

 

「それに前にアームド戦士と共に戦っていたっていうのも驚きね」

 

「うん、僕達と同じで響さん達も会ってたんだ」

 

「それにしても、どうしてそんな大ごとを忘れていたんだ?」

 

「う~ん、何ででしょうね?」

 

響は当時の話を未来、翼、恵奈、劣夢、柀徒に語っている中、そのほかの面々も交流を深めていた。

 

「ふむ、異世界の魔女とは興味深いのお」

 

「そうでしょうか、お二人も似たような感じですよね?」

 

「私とお姉ちゃんは錬金術師ですから、それにしてもまだ小さいのに魔法少女になるなんてすごいですね」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「でしたら桃恵さん達も魔法少女になってみませんか!特に紫苑ちゃんなら最高の魔法少女になれますよ!」

 

「ふむ、嬉しい限りじゃがもう少女とは言えん歳じゃからのう」

 

「私達とっくに大人だからねお姉ちゃん」

 

「「「えっそっちが姉なの!?」」」

 

紫苑と桃恵の言葉にイレイナ、イリナ、ルビーが驚き。

 

「おお~本当にクマさんなんですね!」

 

「別の服は着ないんですか?」

 

「この服凄く性能がいいから脱ぎずらいの」

 

「その上アームドも熊で一括してるんだよな」

 

「お前クマの神様に好かれてんのか?」

 

「クマの神様って何?」

 

切歌、調、クリスがユナの服装が気になり、それに蓬も助長し。

 

「へぇ、そっちのあんたも仮面ライダーなんだな」

 

「はい、まさかこちらの世界で私達とは違う仮面ライダーと出会うとは思いませんでした」

 

「それは私達もです、これまで色んな仮面ライダーを見ましたけどアイテムそのものが違う仮面ライダーは初めて見ました」

 

「ということはセレナさん達はある程度同じ感じなんですね」

 

「同じっていうか・・・あたしとセレナ、紫苑と桃恵、そして真を除いた響達は同じドライバーだな」

 

「なるほど、だから似たドライバーを身に着けていたんですね」

 

「おお~この世界のみんな仮面ライダーなんですね!皆可愛い上に強いだなんて本当にこれはもうきちんとお近づきに・・・!」

 

「あんたは別世界に来てまで余計なことをするな!」

 

奏、セレナ、レイナ、ダロス、芽、デスク、メリュジーヌの一人を除いた仮面ライダー組もデスクが騒ぎながらも楽しく会話をする。

 

「皆すっかり仲良くなったな」

 

「まぁ元々響達は社交性高いからな」

 

皆が親交を深めている中、真と亮太は椅子に座って話をしていた。

 

「改めてあの時は助けてくれてありがとうな」

 

「いえ、とっさに身体が動いたもんだから」

 

「それでも助かったわけだからな、感謝してるよ」

 

そう言うと真は少し黙り込み考える素振りをする。

 

「・・・どうしたんだ?」

 

「ああいや、ガイアデルムアームドにどうやって勝つか考えていたんだ」

 

「ガイアデルムか・・・不意をついたとはいえ、俺の蹴りがあまり効かなかったからな」

 

「こっちの攻撃も同じようなもんだ、あれは相当防御力が高い物だとみるな、その上飛電メタルの分解もあまり効いてないし・・・」

 

「となるとやっぱ防御力を上回る一撃を与えるしか方法がない気がするな」

 

「だな、こっちにはそれが可能な形態があるけど、亮太は?」

 

「一応ある、けどあれは前の戦いで負担がかかってるからそう長くはもたないと思う」

 

「それでも十分だ、そこはこっちでカバーすれば何とかなるからな」

 

そう言って真剣に対策を考えている真に亮太が質問を投げかける。

 

「・・・一つ聞いていいか?」

 

「ん?どうした」

 

「真はどうして仮面ライダーになったんだ?」

 

「仮面ライダーになったんだ、か・・・俺の出自は話しただろ」

 

「ああ、元々は別の世界で死んでこの世界に転生したんだよな」

 

「その際に神様からドライバーとアイテム一式貰ったからっていうのもあるけど・・・俺が仮面ライダーになったのは夢を守る為なんだ」

 

「夢を?」

 

「ああ、此処まで俺はいろんな人と出会って、いろんな夢を見て聞いた、俺はそんな人達の夢を守りたい、その為に戦い続けるって決めたんだ・・・亮太だって何かを守るためにアームド戦士になったんだろ?」

 

真の言葉に亮太はアームドスキャナーに視線を落としアームド戦士に変身したときのことを思い出す。

 

「・・・そうだな」

 

亮太がそう言うと真は椅子から立ち上がり亮太に手を差し出す。

 

「ガイアデルムアームドをこのままにしたら世界だけじゃなくみんなの夢も壊されてしまう・・・だから力を貸してくれないか、みんなの夢を、希望を守るために」

 

「ああ、一緒に守ろう」

 

亮太はその手を取り、椅子から立ち上がる。

 

「真さーん!こっちに来てあの時の戦いのお話を聞かせてください!」

 

「亮太もこっちに来て聞きなさいよ」

 

響と恵奈の呼びかけに、二人もみんなの元に向かう。

 

 

 

 

 

一方、遠く離れた地では大きなクレーターの中心にガイアデルムアームドが居座り、その周囲には時空の穴が複数開けられておりそこから複数のモンスターがやって来ると、やって来たモンスターに赤い蝙蝠が噛みつきその身が赤く輝きだす。

 

輝きだしたモンスターの群れはクレーターを囲むように徘徊し、その中心でガイアデルムアームドはその中心に静かに佇んでいた。

 

 

 

 

 

亮太達が来てから数日が経過し、弦十郎から呼び出しを喰らった真達は本部に来た。

 

「ガイアデルムアームドが発見された」

 

モニターに映し出されるのはとある地形映像だった。

 

「ここは日本より大きく離れた絶海の孤島、どの国にも所属していない無人島です」

 

「この島を調べた結果、ガイアデルムアームドの反応を検知したの」

 

モニターの映像が変わり、巨大なクレーターを取り囲む大量のモンスター、そしてその中心にガイアデルムアームドがいた。

 

「あんなに大量のモンスター・・・!」

 

「あれ全部時空の穴から来たやつか・・・!」

 

「あのモンスター達、前戦ったのと同じ赤く輝いていますね」

 

「おそらくガイアデルムアームドが操る『キュリア』によって『傀異化』し操られている状態かもしれないわ」

 

「キュリア・・・あの赤い蝙蝠か」

 

するとミコトは真達にある錠剤を手渡す。

 

「これは?」

 

「それは僕達が製薬した薬です、服用すれば噛まれても傀異化して操られる危険性はありません」

 

「ミコトの指示の元完成させたものだ・・・天才と自称するだけあって腕は確かみたいだからな」

 

キャロルがそう言うとミコトは胸を張る。

 

「現場まではワールド・ボーダーの船に乗って移動することとなる・・・諸君、世界を守るために全力を尽くし、そして必ず勝利を勝ち取るんだ!」

 

『はいっ!』

 

そして真達はワールド・ボーダーに乗り込み、ガイアデルムアームドがいる孤島へと向かって行った。





よしっ前編後書きの時間だ、そして後書きで登場するのはこの二人だ!
「どうも、毎度おなじみゼロフォギア主人公の継菜真と・・・」
「『アームド大戦』で主人公をしている『桜木亮太』だ」
前編と後編の後書きはダブル主人公が務めるからよろしくな。
「にしても作者、お前は毎度毎度とんでもない敵を作らないと気が済まない病気でもかかっているのか?」
そんな病気聴いたこともかかったこともないわ。
「そのおかげでこっちは全滅するところだったぞ・・・亮太達が来てくれて本当に助かった」
「いやいや、気にしないでくれ、それにしてもガイアデルムのアームド戦士か・・・」
サンブレイクはやってないけど動画は見まくったので印象に残ったのでかなり前にそのアームド戦士を考えたんだ、そして今回はそれを少し改良してこうしてお送りすることとなりました。
「改良どころか魔改造だろ・・・そのおかげでマジのモンスターまで出て来たんだぞ・・・」
「まさか時空の穴まで開くとは・・・本当に何とかしないとな」
そこらへんはお前達にかかってる。
「・・・もしかして作者って、かなり適当?」
「もしかしなくてもかなりな」
オッホン・・・それじゃあ前編の後書きもここまでにして後半に備えようか。
「了解、それじゃあいつもの奴だな」
ああ、真から事前に聞いただろ?
「ちゃんと聞いたぞ」
よしっ、それじゃあ三人でやるか。

「「「それでは後半もお楽しみに!」」」


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戦姫転生ゼロフォギア×アームド大戦 Cross of Hero 後編


お待たせしました、『戦姫転生ゼロフォギア×アームド大戦 Cross of Hero』後編の投稿を始めます。
街中に現れたモンスターを撃退した真達の前に現れたガイアデルムアームド、そして危機を救ってくれた亮太達アームド戦士達。
世界を越えた戦士たちによる夢の競演、果たして勝つのはどちらか。
それでは戦姫転生ゼロフォギアコラボ回後編、どうぞ!


ワールド・ボーダーの潜水飛行船に乗って数時間、孤島に近づいて行くうちに晴模様だった空が徐々に曇っていく。

 

「さっきまで雲一つなかったのに急に・・・」

 

「これもガイアデルムアームドの影響だっていうのか・・・?」

 

「皆、見えてきたわ!」

 

ミコトの言葉に真達は外を見ると、ガイアデルムアームドが発見された孤島に到着する。

 

上空からクレーターのある場所を視認すると、その周囲には大量の傀異化したモンスター達が徘徊していた。

 

「アークとの戦いを思い出させる光景ですね・・・」

 

「あの時はマギアの大群だったけどこっちは正真正銘怪物の集団だからな」

 

「それでどうするの、流石にあの数全滅させるのはきついと思うんだけど・・・」

 

「いえ、全滅させる必要はないわ」

 

「ミコトさん、どういうことですか?」

 

「あのモンスター達はガイアデルムアームドによって操られている、つまり操っているあいつを倒すことが出来ればモンスター達も正気に戻る可能性があるわ」

 

「なるほどな・・・だったらやることは一つだけだ」

 

「ああ、周囲のモンスターを撃破していきながらガイアデルムアームドに接近・・・そのまま全力で撃破する!」

 

「よし・・・行くぞ!」

 

真の号令で全員がワールド・ボーダーから飛び降り、クレーターに向かいながら構える。

 

エクシード!

 

ウェイクン!

 

ゼロツージャンプ!

 

 

 

トキシックポイズン!

 

インフェルノウィング!

 

 

 

アシッドライズ!

 

バーンライズ!

 

Let’s give you power!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

ブレイク!

 

ブレイド!

 

ブラスター!

 

シルバー!

 

デンジャー!

 

ムーン!

 

パージ!

 

火竜インクルード!

 

迅竜インクルード!

 

轟竜インクルード!

 

雌火竜インクルード!

 

青熊獣インクルード!

 

妃蜘蛛インクルード!

 

角竜インクルード!

 

泡狐竜インクルード!

 

リオレウス!

 

ゴア・マガラ!

 

スターフルーツ!

 

Came on!リ・リ・リ・リオレウス! Came on!リ・リ・リ・リオレウス!

 

Deal!

 

ロックオン!

 

飛び降りながら真達はプログライズキーを認証し、響達はソングレイザーを身に着けシンフォギアプログライズキーを装填し、亮太達はアームドスキャナーにモンスタータグをかざすとそれぞれに対応したモンスターが上空から現れ、芽とメリュジーヌは『レデスクドライバー』と『アルビオンドライバー』に『リオレウスバイスタンプ』と『ゴア・マガラバイスタンプ』を押印すると芽の身体から巨大なバイスタンプを担いだデスクが、メリュジーヌの背後にゴア・マガラが現れダロスは『戦国ドライバー』に『スターフルーツロックシード』をセットし、イリヤは『カレイドルビー』を手に取る。

 

『変身!』

 

『アームド!』

 

ゼロツーライズ!

 

 

 

『『スラッシュライズ!』』

 

ソングライズ!

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

Gathering Round!

 

Flash of the Trinity! 

 

ヴェノムスコーピオン!

 

バーニングファルコン!

 

It's never over.

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

Control the land,sea and air the creatures become one.

 

An indomitable blade that harbors the deadly poison of hell.

 

The strongest wings bearing the fire of hell.

 

Break up! Fist up! GUNGNIR! 仮面ライダーヒビキ!

 

Blade up! Slash up! AMENOHABAKIRI! 仮面ライダーツバサ!

 

Blaster up! Scarlet up! ICHAIVAL! 仮面ライダークリス!

 

Silver up! Dragoon up! AIRGET-LAMH! 仮面ライダーマリア!

 

Danger up! Scythe up! IGALIMA! 仮面ライダーキリカ!

 

Crescent up! Ring up! SHUL SHAGANA! 仮面ライダーシラベ!

 

Mirage up! Vision up! SHEN SHOU JING! 仮面ライダーミク!

 

リオレウスアームド!

 

ナルガクルガアームド!

 

ティガレックスアームド!

 

リオレイアアームド!

 

アオアシラアームド!

 

ヤツガタキアームド!

 

ディアブロスアームド!

 

タマミツネアームド!

 

バディアップ!オーイング!ショーニング!ローリング!ゴーイング!仮面ライダー!レデス!デスク!レデスク!

 

Horizon up! Dyed.(染まる) boundary.(境界) Chaos.(混沌) (仮面) Rider! アルビオン!

 

ソイヤッ!スターフルーツアームズ!煌星 オン ザスター!

 

真達は仮面ライダーに変身し、亮太達はモンスタータグをアームドスキャナーにセットすると呼び出したモンスターが咆哮を上げそのまま装甲に姿を変え、亮太は『リオレウスアームド』、柀徒は『ナルガクルガアームド』、劣夢は『ティガレックスアームド』、恵奈は『リオレイアアームド』、ユナは『アオアシラアームド』、イレイナは『ヤツガタキアームド』、蓬は『ディアブロスアームド』、レイナは『タマミツネアームド』、芽とデスクは『仮面ライダーレデス』と『仮面ライダーデスク』、メリュジーヌは『仮面ライダーアルビオン』、ダロスは『仮面ライダー牙乱(がらん)』に変身し、イリヤはカレイドルビーで魔法少女に転身し、孤島に降り立つ。

 

 

『使用BGM:FINAL COMMANDER -Aufwachen Form-』

 

「よし、行くぞみんな!」

 

真達がガイアデルムアームドに向かおうとすると、それに気が付いたモンスター達が行く手を阻む。

 

猛突進で迫って来るティガレックスを真はゼロツーの超スピードで翻弄していき、ティガレックスが真を見失う中で亮太は『リオソードシールド』で何度も切りつけた上で豪火球で追撃し、怯んだところを真が上から頭部に向けて蹴りを叩き込んだ。

 

響は迫って来るアオアシラの剛腕を両腕で掴み、その勢いを利用して群れに向かって投げ飛ばし、群れが怯んだところに恵奈が猛スピードで迫り『レイアテイル』で攻撃しその上でサマーソルトを決め叩き伏せる。

 

イズチ達と共に襲い掛かって来るオサイズチ相手に翼はアメノハバキリでオサイズチ達の尻尾を受け止め逆にオサイズチ達の武器である尻尾を切断すると、そこに柀徒が『ナルガブレイド』でさらに切り付け『ナルガテイル』から棘を放ち棘まみれにして倒す。

 

ビシュテンゴやその亜種が柿や火薬入り松ぼっくりを投げまくるとクリスはボウガンを構えてそれらすべてを撃ち落としていき、攻撃を防がれ引こうとするビシュテンゴ達をレイナが事前に配置していた泡で足を滑らせ、そこにクリスの小型ミサイルの雨が降り注いだ。

 

フルフルが電撃を身に纏いマリアに突進してくると、マリアはバリアを展開しフルフルの突進を受け止め、電撃が切れた瞬間に蛇腹剣で拘束しそこにユナが『ベアークロー』で切りつけ、最後にマリアが蛇腹剣を引っ張りフルフルを切り裂いた。

 

切歌は『災輪・TぃN渦ぁBェル』で迫って来るモンスター達を払って行き、それに対しトビカガチは切歌に向かって尻尾を叩きつけようとするが寸前で牙乱が大剣型の武器『スター星剣』で受け止めそのまま尻尾を切断し、その隙に切歌は跳躍しトビカガチを切り裂いていった。

 

地面に潜航していたジュラトドスの群れが攻撃のために一斉に飛び出すと、飛び出した先に調の『β式 獄糸乱舞』とイレイナの糸で編んだ網で拘束し、そこに調が丸鋸を放ちそれにイレイナが炎ブレスで炎を纏わせジュラトドスの群れを焼き切っていった。

 

セルレギオスが放つ鱗をイリナはヨツミワドウのタグをルビーにかざし夢幻装備(アームズ)でルビーを変形させた『ヨツミシールダー』で防いでいき、イリナの背後から未来が鏡を利用して四方八方から光線をセルレギオスに放った。

 

響達を潰そうとラドバルキンが体を丸め転がっていくと、劣夢がラドバルキンを真正面から受け止め、停止させるとそのまま上空に放り投げ、上空に投げ飛ばされたラドバルキンを奏がアビリティレッグのマンモスの力で地面に叩きつぶした。

 

アンジャナフがセレナとメリュジーヌに食らいつこうとするが、二人はそのスピードでアンジャナフを翻弄し、セレナはトリニティクローで、メリュジーヌはアロンダイトの剣身を展開し、そのまま高速でアンジャナフを切りつけていった。

 

空中に羽ばたくレイギエナに対し紫苑は土の錬金術で幾つもの土柱を繰り出すが、レイギエナは土柱を躱していき紫苑に迫り攻撃を仕掛けようとした瞬間、紫苑の繰り出した土柱の一本から蓬が飛び出しレイギエナに飛びつき『ディアブロナックル』で地面に殴りつける。

 

レデスとデスクが息の合った連携でモンスターをなぎ倒して行くと、背後からベリオロスが二人に襲い掛かろうとするが、炎を纏った桃恵がベリオロスに突撃し怯ませ、その隙にレデスとデスクが同時にベリオロスを撃破した。

 

各々が力を合わせモンスターを撃破していき、少しづつだが着実に中心に向かって行った。

 

 

 

真達がクレーターに到着すると、そこにはまるで待ち構えていたかのように仁王立ちしているガイアデルムアームドが立っていた。

 

「堂々と待っていたわけかよ・・・」

 

「周りのモンスター達、ここには来ないみたいですね?」

 

「おそらくは動物の本能でしょう、強者を本能で理解し近づこうとしないのです」

 

「なるほどな、邪魔が入らないから逆に安心だな」

 

そう言って全員が構えると、ガイアデルムアームドの方も真達に向かって歩みだす。

 

ガイアデルムアームドの足音だけがその空間に響き、その振動で少し離れているひび付いた岩にさらに亀裂が入り、欠片が地面に落ちた瞬間、真達とガイアデルムアームドがぶつかり合った。

 

『使用BGM:PERFECT SYMPHONY』

 

ガイアデルムアームドは右拳を振るうと、響はアームドギアを右腕に集中させガイアデルムアームドの拳とぶつけ相殺すると、そこに恵奈がレイアテイルを叩き込み毒を与え、動きが鈍ったガイアデルムアームドを響は渾身の力で殴り飛ばした。

 

攻撃を喰らったガイアデルムアームドは二人を攻撃しようと再び拳を振るおうとするが、振るわれる直前で翼の『影縫い』が左腕の影に突き刺さっており一瞬動きを封じられそこに翼と柀徒が同時に切りつけ胴体の鎧に傷をつける。

 

鎧を切りつけられたガイアデルムにクリスのガトリングの弾幕と未来の光線の雨が降り注ぎ、鎧に付けられた傷がさらに広がっていき、そこにレイナが足に泡を纏いその加速の勢いで攻撃を叩き込み、レイナが離れたところにイリヤがオオナズチの夢幻装備『オサイカマ』でさらに傷をつけた。

 

連続攻撃を受けたことでふらついたガイアデルムアームドに調とイレイナが両腕を糸で拘束し上空に投げ飛ばすと同時に、マリアの『HORIZON†CANNON』が撃ち込まれ、その後に跳躍したユナがベアークローで切りつけ調とイレイナは拘束した糸を使って地面に叩きつけた。

 

地面に叩きつけられたガイアデルムアームドを切歌は『災厄・舞レe芽n』で上から切りかかろうとするも寸前で避けられてしまうが、避けた先でダロスがスター星剣を構え切歌と共に前後から切りつけた。

 

攻撃を受けていくガイアデルムアームドは乱雑に近く大岩を投げつけてくると、劣夢が大岩を受け止め投げ返し、投げ返した大岩が直撃すると同時に奏が『アビリティガントレット』のタイガーとベアーの力を使って炎と氷を叩き込んだ。

 

炎と氷をぶつけられたガイアデルムアームドにセレナが空中から、メリュジーヌが地上から高速で迫り振るってきた腕を高速で躱し的確に傷ついた個所だけを攻撃し傷を広げていく。

 

更に傷ついたところに紫苑と桃恵が四元素を混ぜ合わせ陣を生成し、炎、氷、風、土の錬金術を集中砲火を食らわせ、爆煙で視界を封じたところにレデス、デスク、蓬の同時攻撃が直撃し、ガイアデルムアームドの鎧が砕けかける直前になった。

 

「オオオォォォォォォォォォォォ!!!」

 

ガイアデルムアームドは雄たけびを上げその衝撃で周囲の響達を吹き飛ばすが、それでも吹き飛ばずにいた真と亮太がガイアデルムアームドに迫っていった。

 

「鎧全体にひびが付いた、このチャンスを逃すな亮太!」

 

「ああ、一気に決め切る!」

 

黒炎王インクルード!

 

亮太がモンスタータグを取り出しアームドスキャナーにかざすと、上空から亮太を雄たけびから守るように現れる『黒炎王リオレウス』が現れる。

 

「アームド!」

 

リオレウスアームド!

 

タグをセットすると、リオレウスが鎧となり、赤黒い装甲とマントを身に着けた『黒炎王リオレウスアームド』となり一気にガイアデルムアームドに迫る。

 

それを見たガイアデルムアームドはモンスタータグを押し込み必殺技を放つ。

 

ガイアデルムジェノサイドレイジ!

 

すると周囲の砕けた鎧の欠片が宙に浮かび上がり二人に向かって放たれると、放たれた一発が壁に激突し爆発を起こす中、真は高速移動で躱していき、亮太は『リオソードシールド【黒】』で欠片を防いでいく。

 

「行くぞ亮太!」

 

「ああ、真!」

 

そしてガイアデルムの必殺技に立ち向かうように真と亮太を必殺技を放つ。

 

ゼロツービッグバン!

 

黒炎王メテオハイフォール!

 

真は先ほどよりも早く駆け抜け鎧の欠片を躱しながら迫り、亮太はマント状の翼を展開し飛翔し周囲に火薬岩を繰り出し隕石のように降り注がせガイアデルムアームドの鎧の欠片と相殺し、最後に右足に炎を纏い真と同時に蹴りを放った。

 

「メテオハイフォール!」

 

 

ゼロツービッグバン

 

二人の放った一撃はガイアデルムアームドに突き刺さり、その鎧を大きく砕きガイアデルムアームドを壁に叩きつけ、叩きつけられたガイアデルムアームドは変身解除されてないが動かなくなる。

 

「や・・・やったぁ!!」

 

ガイアデルムアームドが倒れたのを見て歓喜の声を上げる響達。

 

「・・・やったな」

 

「・・・ああ、さっさとタグを回収しよう」

 

ガイアデルムアームドが動かなくなったのを見て顔を合わせる真と亮太は、すぐにタグを回収しようと近寄り亮太が手を伸ばした瞬間。

 

「・・・・・・・・・っ」

 

ガイアデルムアームドの指がかすかに動いたのが見えた。

 

「っ!亮太!」

 

真の声で亮太はとっさに後ろに飛ぶと、突然ガイアデルムアームドが起き上がる。

 

だがその動きには違和感があり、すると突然頭を抱え込む。

 

「ううぅぅぅぅぅ・・・・がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

突然頭を抱えこんだと思うと先ほどよりも低く、重く、憎しみを感じるようなうめき声が口から漏れ出す・・・そして。

 

ガアアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

今迄に聞いたことのないような雄たけび・・・否、咆哮が島中に響き渡る。

 

真達が驚いている中、周囲のモンスター達に異変が起き出す。

 

「っ!皆さん、モンスター達が!」

 

周囲にいたモンスター達が突然苦しみだしたと思ったら、すぐに事が切れたかのように倒れ、その体からキュリアが飛び出してくる。

 

その数は100や200では収まらず、孤島の空を覆いつくさんばかりの量が一斉にガイアデルムアームドに群がっていく。

 

「な・・・何が・・・!?」

 

群がっていたキュリアがガイアデルムアームドに吸収されていくと、赤黒い輝きがモンスタータグに集まっていく。

 

「エネルギーを・・・与えている・・・!?」

 

全員が驚いていると群がっていたキュリアが一匹残らずいなくなり、そのモンスタータグは見たことのないくらい赤黒く染まり、ガイアデルムアームドはそのタグを抜くと、アームドスキャナーにかざす。

 

終焉インクルード!

 

するとガイアデルムアームドの背後に巨大なモンスター『冥淵龍ガイアデルム』が現れるが、その色合いは従来のガイアデルムとは違い赤黒く染まっていた。

 

「アームド・・・!」

 

ガイアデルムアームド!

 

タグをセットすると、背後のガイアデルムが咆哮を上げその姿を変える。

 

だがそれは亮太達のリオレウス達のような装甲ではなく、赤黒い液体となりガイアデルムアームドを包み込み、一つの巨大な球体となる。

 

そしてその球体は徐々に大きくなっていき、真達の倍以上の大きさになると、球体の中で何かが暴れ出す。

 

 

 

 

 

煉獄に墜ちた深き者は底より這い上がる

 

球体を突き破るかのように二本の腕が飛び出す。

 

己を傷つけし者達に怒りを覚え、復讐にその身を焦がす

 

二本の腕に合わせるように二本の足も飛び出し地面に足をつける。

 

深き者は眷属を喰らいてその身を(くろ)く、(くろ)く、漆黒(くろ)く染め上げ

 

前に倒れそうになると、前方に二本の腕が飛び出し、支えられゆっくりと立ち上がり、四本の腕で球体の外側を掴みかかり・・・。

 

今、眼前に写る世界に終焉を告げよう

 

そしてビニールを破るかのように球体が破られ、その中から『それ』が現れる。

 

体格は先ほどよりも倍以上に大きくなり、全身を覆う鎧は黒く染まり赤い線が走る、そして自身の両腕の他に背中から生えている球体を破った四本の腕。

 

オオォォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

まさに『悪魔』と呼ぶにふさわしい存在が、その産声を上げた。

 

 

冥淵龍 終焉纏いしガイアデルム

 

 

「「・・・・・・!」」

 

突然のガイアデルムアームドの変化に、皆は言葉が出なかった。

 

今まさに追い詰めていたはずの相手が、更に強大となって復活したのだ。

 

皆が驚きで動けない中、ガイアデルムアームドは腕の一本を掲げると、そこに赤黒い結晶が集まり形を変え一本の赤黒い大剣『冥淵大剣フロガ【終焉】』となり、ガイアデルムアームドは大剣を掴み無道さに振り上げた瞬間、真はとっさにその攻撃を予測した。

 

「っ!避けろぉ!」

 

真の叫びに亮太達は反応し、大剣が振り下ろされると同時に全員は横に飛ぶと、先程までいた場所に巨大な斬撃が放たれる。

 

その斬撃は大地を切り、空を割り、その斬撃は海まで届いた。

 

「な・・・何だよ、今の斬撃・・・!?」

 

「あんなの当たったら、マジでやばいぞ!?」

 

全員が斬撃の威力の戦慄する中、ガイアデルムは二本の腕を掲げ、『冥淵軽弩カラザ【終焉】』を両手に取り、真達に向け引き金を引くと、銃口から赤黒い弾丸が無数に放たれ全員はその弾丸から逃げるように駆ける。

 

「ふっ・・・ざけんな!マシンガン並みの連射速度なのに一発一発の威力がミサイルと同等だぞ!」

 

「こんなのが暴れ出したら・・・本当に世界が壊されます!」

 

「んなこと・・・させるかよっ!」

 

そうはさせまいと真がガイアデルムアームドの弾幕を躱しながら果敢に攻め込み、懐に潜り込みプログライズホッパーブレードで切りつけるが、ガイアデルムアームドの装甲に傷一つつかずそれどころかプログライズホッパーブレードの刃が欠けてしまう。

 

「な・・・っ!」

 

刃が欠けたことに驚く真にガイアデルムアームドは『冥淵巨槌アネモス【終焉】』を手にし真に向かって振り抜くが、真は直前で回避し距離をとるが、掠めたのか腕の装甲が砕けていた。

 

「真!?」

 

「大丈夫だ・・・けど掠めただけで装甲が・・・!」

 

するとガイアデルムアームドが生成した武器を消し、代わりに『冥淵双刃ルナリオス【終焉】』を六本の腕に構え、真達に迫ってきた。

 

翼、マリア、切歌、調、紫苑、柀徒、ダロス、メリュジーヌが迎え撃つが、敵の手数と火力が凄まじく一気に押し切られてしまい吹き飛ばされてしまう。

 

次にガイアデルムは武器を消し『冥淵剛弓スィエラ【終焉】』を構え、その矢を空に向けて放つと、矢が無数に分散し雨のように降り注いできた。

 

それに対しクリス、未来、桃恵、イリヤ、レイナ、イレイナが各々の技で雨を防いでいくが、その間にガイアデルムアームドは『冥淵重弩プトスアステ【終焉】』を構え、クリス達に向けて放ち、それに対処が間に合わなかったクリス達は直撃を受けてしまう。

 

仲間達が吹き飛ばされていくのを見て響、奏、セレナ、恵奈、劣夢、ユナ、蓬、レデス、デスクが接近し攻撃を仕掛けようとするが、ガイアデルムアームドは跳躍で躱しつつ『冥淵盾斧ログミー【終焉】』を生成し、エネルギーを溜めこみ地面に叩きつけると、叩きつけた個所から大爆発が起き響達を吹き飛ばしてしまう。

 

「響!みんな!」

 

「真、来るぞっ!」

 

ガイアデルムアームドは『冥淵斬刀ブロンテ【終焉】』と『冥淵揺剣カタフニア【終焉】』を構え真と亮太に迫っていくが、真は予測と高速移動、亮太は飛翔でガイアデルムアームドの攻撃を躱していく。

 

躱していく間に攻撃を仕掛けるが、ガイアデルムアームドの装甲は固く傷一つつかず回避していくうちに二人の体力が徐々に消耗していった。

 

そして体力が消耗されるとともに動きが鈍っていき、ついに真の動きに対応し真の頭部を掴み地面に叩きつけ、それに驚いた亮太のいる高さまで跳躍し、亮太を真のいるところに蹴り落とし、タグを押し込んだ。

 

終焉冥淵破滅ノ凶星!

 

六本の腕から赤黒い光線が放たれるが真達に直撃せず、その周囲を囲むように移動し円が描かれ真達の動きを封じると、ガイアデルムアームドの中心から超高密度のエネルギーが蓄積され、円の中心に放たれ、未曽有の大爆発が真達を呑み込んだ。

 

 

 

 

 

ガイアデルムアームドの一撃によって孤島は一瞬で草木も残らぬ荒れ地となり、爆心地に元の姿に戻った真達が横たわっていた。

 

ガイアデルムアームドは地面に降り立つと、そのまま横たわる真達を横目に間を通り過ぎ、海を渡り別の大陸に行こうとする。

 

海に片足が入ろうとした瞬間、ガイアデルムアームドの足元に銀色の短剣が突き刺さり、足を止め振り返るとボロボロながらもプログライズホッパーブレードを構え立ち上がった真がいた。

 

「行かせるわけ・・・ないだろ・・・!」

 

傷ついた身体を振るいたたせ歩みだす真に対し、ガイアデルムアームドは弓を生成し矢を真に向けて放つと、真の横から亮太が真を抱え矢を躱した。

 

「助かった・・・ありがとうな」

 

「どういたしまして・・・」

 

二人はボロボロになりながらもガイアデルムアームドを見据えると、ガイアデルムアームドも真と亮太の方を向く。

 

グゥゥゥゥゥゥ・・・

 

その唸り声からは疑惑のような物を感じ、その眼は奇妙な物を見るような眼をしていた。

 

「分からないって様子だな・・・何で立ち上がるのか、何でまだ立ち向かってくるのか分からないみたいだな」

 

「分からないなら教えてやるよ・・・俺達には守りたい物があるからだ」

 

真と亮太の後ろで響達も体を起き上がらせる。

 

「俺達は大切な物を守るために何度でも立ち上がって来た・・・たとえ相手がどんな強敵でも、どんな奴等でも・・・!」

 

「誰かを守りたい、大切な場所を守りたい、思いを守りたい、その為ならどんな逆境だって乗り越えて来た・・・!」

 

「このままお前を行かせたら、多くの人達の夢も希望も壊されてしまう・・・!」

 

「そんなことはさせない・・・絶対に・・・!」

 

「だから・・・!」

 

「俺達は・・・!」

 

真はプログライズホッパーブレードを、亮太はアームドスキャナーをつけている腕をガイアデルムアームドに向ける。

 

「「お前を倒して、全部守ってみせる!」」

 

その瞬間、真自身とドライバーが青白く輝きだし、その輝きに呼応するように亮太のリオレウスモンスタータグも輝きだした。

 

「っ!これは・・・!?」

 

「この・・・輝きは・・・!?」

 

真と亮太が驚く中、真とドライバーから放たれた輝きが亮太のモンスタータグに吸い込まれていき、モンスタータグが白く輝きだす。

 

「タグが・・・!」

 

その時、真と亮太の目の前に輝きが集まりだし形を変える。

 

それは女性の姿をしており、その女性が真と亮太の方を向くと静かに微笑み、そのまま消えていった。

 

「今のは・・・一体・・・?」

 

亮太は突然現れた女性に驚くが、真はその女性を見て笑みを浮かべた。

 

「・・・ったく、力を託して消えたってのに・・・とんだお節介だな」

 

そう言うと真はホルダーからライジングホッパープログライズキーを手に取り響達の方を向く。

 

「皆・・・力を貸してくれ」

 

「っ・・・はいっ!」

 

真の意図を察し答えると、真はガイアデルムアームドの方を向き、その歌を口にした。

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

Emustolronzen fine el baral zizzl...

 

Gatrandis babel ziggurat edenal...

 

Emustolronzen fine el zizzl...

 

絶唱を歌いきると、響達のシンフォギアプログライズキーから光の粒子が飛び出しライジングホッパープログライズキーに集約し『ライジングホッパープログライズキー ゼロワンリアライジングver』に形を変えた。

 

「行くぞ、亮太!」

 

「ああ、真!」

 

真はライズスターターを押し込み、亮太は純白のモンスタータグをかざす。

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

白炎王インクルード!

 

すると上空から光り輝くライジングホッパーライダモデルの他に、先程の黒炎王とは正反対に純白に輝くリオレウスが降り立った。

 

「変身!」

 

「アームド!」

 

プログライズ!

 

イニシャライズ!リアライジングホッパー!

 

A riderkick to the sky turns to take off toward a dream.

 

リオレウスアームド!

 

キーを装填しタグをセットすると、ライダモデルは光の粒子となり真を包み込みその姿を変え『仮面ライダーゼロワン リアライジングホッパーXDフォーム』に、純白のリオレウスは咆哮を上げその姿を装甲に変え亮太に装着され、赤と白を基調とした装甲に純白のマントを身に着けた姿『白炎王リオレウスアームド』となる。

 

変身した二人はまっすぐにガイアデルムアームドを見据える。

 

「「ガイアデルムアームド、お前を倒せるのは・・・俺達だ!」」

 

二人の言葉に対し、ガイアデルムアームドは雄たけびを上げる。

 

『使用BGM:REAL×EYEZ』

 

雄たけびと同時に真と亮太は飛び出しガイアデルムアームドに向かう。

 

ガイアデルムアームドは冥淵軽弩カラザ【終焉】を構え連射してくるのに対し、真は手元にイチイバルを、周囲に大量のアタッシュショットガンやショットライザーを生成し、ガイアデルムアームドの弾幕を全て相殺した。

 

弾幕を相殺すると亮太が前に飛び出したのに対し冥淵斬刀ブロンテ【終焉】を振るうが、亮太は『リオソードシールド【白】』で受け流し、切りつけガイアデルムアームドに傷をつけた。

 

弾幕を相殺すると真は光にも等しい速度でガイアデルムアームドに接敵し、右腕にガングニールを生成しガイアデルムアームドの武器を砕いて海に向かって殴り飛ばした。

 

海に吹き飛んでいったガイアデルムアームドを亮太はマントを翼に変え真と共に飛び立ち追いかけて行くと、ガイアデルムアームドは冥淵剛弓スィエラ【終焉】から矢の雨を放ち、そこに加え冥淵重弩プトスアステ【終焉】の弾丸を放っていく。

 

真は矢の雨を予測と光速移動で躱しながらアメノハバキリとアガートラームで切り落としていき、亮太は迫ってくる弾丸を翼で防ぎながらガイアデルムアームドに迫っていき、それを見たガイアデルムアームドは手に持つ武器を捨て冥淵大剣フロガ【終焉】を六本の腕全てに握り二人に接敵した。

 

振るってくる大剣を真はプログライズホッパーブレードの二刀流で防ぎながら切りつけ、亮太もリオソードシールド【白】で防いでいきながら白い豪火球を放っていきダメージを与えていく。

 

オオォォォォォォォォォォォォ!!!!!

 

二人の攻撃に傷を負って行くガイアデルムアームドは咆哮を上げ、タグを押し込む。

 

終焉冥淵破滅ノ凶星!

 

先程動きを封じるために放った六本の光線を今度は仕留めるために二人に向けて放つが、二人は慌てる様子を見せなかった。

 

「行くぞ亮太、この一撃で・・・!」

 

「ああ、この一撃で終わらせる・・・!」

 

真と亮太はプログライズキーとタグを押し込む。

 

リアライジングインパクト!

 

白炎王ヘブンズハイフォール!

 

二人は同時に飛び出し光線を躱しながら距離を詰めつつ、ある程度近づくと方向を変え空に向かって行き、雲を突き抜ける。

 

雲を突き抜け二人は振り返り、真の背中の翼がさらに輝きだし、亮太の背中の翼も竜の翼から天使のような翼となり周囲に白い羽が舞う。

 

「ヘブンズハイフォール!」

 

真と亮太の足に白い羽が集約し純白のエネルギーが蓄積されていき、二人はそのままガイアデルムアームドに向かって同時にキックを放つ。

 

天から降って来る二人を見たガイアデルムアームドは二人に目掛けて全ての力を込めた超高密度のエネルギー弾を放ち、二人の蹴りをぶつかり合った。

 

拮抗する互いの一撃、少しずつ真と亮太が抑えていくが、二人がさらに力を籠めると押し返していき、エネルギー弾にひびが入って行く。

 

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

 

リアライジングインパクト

 

そしてエネルギー弾が砕け散り、二人の一撃がガイアデルムアームドを貫いた。

 

アアアアアァァァァァァァァァァ!!!!!

 

貫かれたガイアデルムアームドは全身にひびが入って行き、雄たけびを上げながら爆発し、その爆発に飲み込まれるようにガイアデルムアームドのアームドスキャナーとモンスタータグが燃え尽き、爆発の衝撃で空を覆う雲が晴れる。

 

ガイアデルムアームドが消え去ったのを見届けると、真と亮太は眼を見合わせ、無言で拳をぶつけた。

 

 

 

 

 

それから数日後、ガイアデルムアームドが消えたことで時空の穴が消え、体の治療を終えた真達は元の世界に帰る亮太達を見送りに来た。

 

「今回は本当にありがとうございました、皆さんがいてくれなかったらどうなっていたか」

 

「それはこちらのセリフだ、貴方達が来てくれなかったらこの世界は破壊されていた、感謝する」

 

ミコトと弦十郎が感謝を述べている中、真達と亮太達も会話をしていた。

 

「もう行っちゃうんですね、皆さん」

 

「ええ、私達にもやらないといけないことがあるからね」

 

「でも寂しいデスよ!もうお別れなんて!」

 

「私も悲しいですよ!まだこの世界の美少女達と触れ合い足りない上に全然台詞がなかったんですよ!」

 

「何言ってるのよあんたは、いい加減にしなさい」

 

響達が騒ぐ中、亮太は真に元に戻っているモンスタータグを見せる。

 

「あの戦いの後元に戻ったんだが、あの時見えたあの人は・・・」

 

「おそらくな・・・ったく、お節介にもほどがあるだろ」

 

「けど、そのおかげでこうして守ることが出来たんだ、感謝しないとな」

 

「・・・だな」

 

「皆、そろそろ行くわよ!」

 

二人が話していると、ミコトが亮太達に呼びかける。

 

「じゃあそろそろ行くな」

 

「ああ、今回は本当にありがとうな、もしそっちになにか危機がやってきたら今度は俺達が助けに行くぜ、亮太」

 

「ああ、その時はよろしくな、真」

 

二人はそう言って拳をぶつけ、亮太達を乗せたワールド・ボーダーは時空の穴から別の世界へと向かって行った。

 

「・・・また、会えますよね?」

 

「ああ、また会えるさ、きっとな」

 

真はそう言って亮太達が去って行った青空を見上げた。

 

どれだけ世界が離れていようと、その思いは必ず通じると願って・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦姫転生ゼロフォギア×アームド大戦 Cross of Hero 『完』





よしっ後半後書きの時間だ。
「いやぁ・・・何とか勝てたな」
「そうだな、まさかガイアデルムアームドが進化するなんて・・・」
「マジでビビった・・・あれって作者?」
もちろん俺のオリジナルだ、銀爵龍が二つ名貰ったしこっちも二つ名作ってみようとした結果生まれた負の遺産です。
「自分で負の遺産って言ったぞこいつ・・・」
いやマジで深夜テンションと言いますか、最高にハイッてやつだと言いますか・・・。
「ご丁寧に語り歌まで考えたぐらいだしな」
さてっ!そんな二つ名ガイアデルムアームドだがっ!
「あっ話逸らした」
見ての通りこいつは本編のガイアデルムの武器をさらに強化した武器を使ってくる上、六本の腕を使ってくるから想像以上に厄介な相手だ。
「厄介どころの相手じゃないんだけど・・・特に必殺技」
必殺技は本編でも使ってきたあの超必殺技をリスペクトして作成しました。
「やっぱそうだったか・・・けど最後の最後に奇跡が起きたんだよな」
ああ、『白炎王リオレウスアームド』こちらも俺が一から考案したオリジナルアームドです。
「やっぱモデルは黒炎王か?」
ああ、絶望の悪魔に立ち向かえるのはやっぱ希望の天使だけだと考え『だったらレウスを白くさせよう』と思い至り作成しました。
「なるほどな・・・ところで真、あの時見えた女性って・・・」
「ああ・・・本当にお節介な神様だよ」
「・・・そうか、感謝しないとな」
さてと、それではぼうげん!さん、この度は自分と再びコラボをしてくれて本当にありがとうございました。
「亮太達の物語が気になるって方は、ぜひぼうげん!さんの作品『アームド大戦』をご覧になってください」
「最後まで読んでくれて本当にありがとうございました」
「ぼうげん!さんの方でもゼロフォギアとのコラボ小説が投稿されていますので気になる方は下のURLから飛んで見に行ってみてください」
よしっ、それじゃあ三人で〆るか。

「「「それではご視聴ありがとうございました!」」」

ぼうげん!さんのpixivURL 《https://www.pixiv.net/users/30924711》


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誕生日企画:予告

どうもお久しぶりです、作者の真紅林檎です。

 

いや~・・・仮面ライダーギーツ、終わっちゃいましたね。

 

新しく始まったガッチャードも面白いんですけど、自分で言うのもあれですがギーツロスが激しいわけですよ、面白かった分終わった後の喪失感がやばい。

 

それに後一週間で自分の誕生日なわけなので何かしようと考えました。

 

そこで何か一本投稿しようかなと考えまして、どうするべきか考えに考えた結果、ある一つの結論に至りました・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうだ、劇場版作ろう(?)。

 

というわけで戦姫転生ゼロフォギアと仮面ライダーギーツのコラボ作品を作りましたので、その予告に来ました。

 

では早速予告をどうぞ。

 

 

 

 

 

平和を手に入れた真達の世界に・・・。

 

「オーディエンスの諸君!世界を越えたバッドエンドゲームの開幕だ!」『仮面ライダーリガドアイズ:アイズ(CV:レ・ロマネスクTOBI)』

 

「この場所に、お前達の墓標を立ててやる!」『???:仮面ライダー???』

 

最悪のゲームが迫る・・・!

 

 

 

 

 

危機に追いやられる真達の前に現れたのは・・・。

 

 

 

「このふざけたデザイアグランプリを止めさせるために化けて出て来たぜ」『浮世英寿:仮面ライダーギーツ』

 

この秋、二つの世界の仮面ライダー達が、凶悪なゲームに立ち向かう!

 

「この世界の幸せは・・・!」

 

「この世界のみんなの夢は・・・!」

 

「「俺達が守る!」」

 

『変身!』

 

 

 

 

劇場版戦姫転生ゼロフォギア×仮面ライダーギーツ

 

     The・END of DESIRE

 

2023年9月13日、昼12時投稿。

 

 

結末はバッドエンドか・・・ハッピーエンドか・・・。

 

 

 

 

 

というわけで9月13日昼、ゼロフォギアと仮面ライダーギーツのコラボ小説を投稿します!

 

いや~前からやってみたかったんですよね、別ライダーとのコラボ小説、ギーツも終わったことだしちょうどいいと思い最終回と同時に書き始めました。

 

先に入っておくとゼロフォギアからはいつもの十二人は出てきますし、ギーツから出てくる仮面ライダーはオリジナルを除いて五人です、果たして誰が出てくるでしょうか?

 

さて、長々と説明をしたところでそろそろお開きに『ちょっと待てや』あっ」

 

「おい作者、何こっちに内緒でとんでもないこと始めようとしてんだ・・・」(何も聞かされていない主人公)

 

「ま、真さん・・・少し落ち着いて・・・」

 

「・・・・・・・・・ッ!」(逃)

 

「待てごら作者、逃がすわけないだろっ!」

 

「あっ真さん!・・・えっと、こんな私達と作者さんですが、どうかコラボ回を楽しみに待っててください!待ってください真さ~ん!」



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劇場版戦姫転生ゼロフォギア×仮面ライダーギーツ The・END of DESIRE

はいどうも、今日でまた一つ歳をとりました真紅林檎です、今回は予告で言ってた通りゼロフォギアとギーツのコラボ小説を投稿します。

それでこの作品を読むにあたっていくつか注意事項がありますので下をご覧ください。

※この作品は『戦姫転生ゼロフォギア』と『仮面ライダーギーツ』のコラボ作品です。

※オリジナルキャラやオリジナルアイテム、オリジナル設定が出てきます。

※ゼロフォギアは最終話から半年が経過、ギーツではまだ公開されていないVシネの後のお話となっております。

※ギーツ組の方ではまだ登場していないレイズバックルが出ます。

※それに加え作者の個人的妄想で英寿以外の面子は英寿の事を思い出し&認識できる状態になっております。

※誤字、脱字があるかもしれませんので見かけたらご報告してください。



・・・これらが大丈夫な方だけ、この作品を呼んでください、それではコラボ回どうぞ!


あるところに、二つの世界がありました。

 

一つは悪意の神の手より解放された戦姫の世界。

 

一つは創生の神によって作り変えられた幸せの世界。

 

そんな平和を手にした世界に、再び危機が迫っていた・・・。

 

 

 

 

 

『ギーツの世界・未来』

 

遠い未来で一人の若者がある資料を確認すると、冷や汗をかいていた。

 

「これは・・・かなりまずいな・・・!」

 

見ていた資料を投げ捨てて若者はその部屋を出て行くと資料が机から地面に落ちて行き、その資料にはこの一文が目立つように書かれていた。

 

『バッドエンド請負人『アイズ』、脱走』

 

 

 

 

 

『ゼロフォギアの世界』

 

現代の高層ビルの屋上で黒いローブを身に纏った二人の成人男性が街の風景を見下ろしていた。

 

「ふぅ・・・反吐が出るほどに平和だなこの世界は」

 

片方の男性がそう呟くと怪しげな笑みを浮かべ指を鳴らすと、二人の周囲に巨大な眼の形をしたカメラが大量に現れる。

 

「オーディエンスの諸君!世界を越えたバッドエンドゲームの開幕だ!」

 

男が高らかに叫ぶとカメラから大勢の歓声が溢れ出し、それと同時に上空に巨大な黒い大穴が開きだした。

 

 

 

 

 

アークを倒してから半年以上が経過し、真達はヴァネッサと共に買い物に出かけていた。

 

「・・・よしっ、食材はこれ位買っとけばいいな」

 

「すみません真様、本来なら買い物は私達の仕事ですのに手を煩わせてしまいまして・・・」

 

「気にすんな、どうせ今日は暇だったしこういう時位頼れよ、なっ響」

 

「もちろん!力仕事は私達の得意分野ですからね」

 

「これと同じぐらい勉強も得意になってくれりゃあいいんだけどな」

 

「うぐっ!?クリスちゃんそれは言わないでよ~」

 

「まぁまぁ、切歌ちゃんと調ちゃんも手伝ってくれてありがとうね」

 

「お安い御用デス!このぐらいへっちゃらデス」

 

「うん、マリアもセレナもいないからその分私達が頑張らないとだからね」

 

「翼達は海外でコンサート、紫苑と桃恵は村の復興・・・ここ最近は中々揃う事が無くなって来たな」

 

「みんな自分の夢で忙しいですからな」

 

「そうだな・・・やっと平和な世界になったんだ、自分の夢を追いかけてほしいからな」

 

談笑しながら歩いていると、どこかから悲鳴が聞こえてきた。

 

「っ!悲鳴!?」

 

「行くぞっ!」

 

真達は急いで悲鳴の方に向かうと、大勢の人達が謎の人型に襲われていた。

 

「何あの人型!?」

 

「ノイズ・・・じゃない、それにマギアとも違う!?」

 

「とにかく危険だ、ヴァネッサは近くの人達の避難誘導を!」

 

「分かりました、どうかご気を付けて!」

 

真達は襲われている人達の元まで駆け付け謎の人型を押し返す。

 

「早く逃げてっ!」

 

真の声に襲われていた人達が避難すると、響達の方も避難が済んだようだった。

 

「よしっ、皆行くぞ!」

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

真がプログライズキーを認証させ、ライジングホッパーライダモデルが周囲の人型を散らしていきながら真達は構える。

 

「変身!」

 

Balwlsyall Nescell gungnir tron

 

Killter Ichaival tron

 

Zeios igalima raizen tron

 

Various shul shagana tron

 

Rei shen shou jing rei zizzl

 

プログライズ!

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

変身した真達は武器を構えて人型と戦いを始める。

 

人型の大群は一斉に真達に襲い掛かるが、激戦を潜り抜けてきた真達の相手にはならず次々と倒していく。

 

「一体一体の強さは大した事ないな」

 

「けどこんなにいると処理が大変です!」

 

「だったらあたしと未来が一気に殲滅する、行けるか?」

 

「うん、少し時間があれば・・・だから!」

 

「それまで時間を稼げばいいんだよね、任せて!」

 

真達は力を溜めるクリスと未来を守るように陣形を組み、迫りくる人型を払って行く中、真はこの人型について考えていた。

 

(こいつらは一体なんだ?錬金術師が新たに作り出した兵器・・・にしては周囲に錬金術師の気配がない、情報が少なすぎるな・・・)

 

真が考え込んでいると、クリスと未来のチャージが完了した。

 

「・・・よしっ!行くぞ!」

 

「うんっ!」

 

チャージを終えた二人は一気に跳躍し、クリスは大量のミサイルを展開し、未来は手にしていたアームドギアを展開し回転させ、二人同時に放った。

 

MEGA DETH QUARTET

 

追憶

 

同時に放った二人の攻撃は真達の周囲の人型を次々と倒していき、土煙が晴れると人型は一体も残っていなかった。

 

「よしっ!撃破完了!」

 

全員がハイタッチをした後、真は急いで弦十郎に連絡を入れる。

 

『・・・真君か!』

 

「弦十郎さん!実は伝えないといけないことが・・・」

 

『分かっている、あの謎の人型だな、此方でも確認されている、現在あの謎の人型は日本各地に出現しているようだ』

 

「日本各地!?それって不味いんじゃ!」

 

『ああ、現在は地域の軍が対応に当たっているが状況が厳しい、今翼達を呼び戻している、全員揃い次第対処に当たってほしい』

 

「了解!」

 

真が通信を切ると同時に響が上を見上げると、響が驚いた。

 

「っ!?みっみっみっ皆!あれっ!」

 

「どうした響・・・っ!?」

 

真達が響の指さした方を見ると、そこには上空に巨大な大穴が開いていた。

 

「な・・・何だあのどでかい大穴は・・・!?」

 

「バビロニアの宝物庫・・・じゃないですよね?」

 

「あれとは違いすぎる・・・まるで空間そのものに穴が開いてるような感じだ・・・!」

 

「ほおっ、中々鋭いじゃないか」

 

真達が驚いていると知らない男性の声が聞こえ振り返ると、見知らぬ男性とフードを被った男性がそこにいた。

 

「古臭い人類にしてはいい観察眼を持っているようだな」

 

「誰だっ!」

 

真が叫ぶと、男は礼儀正しく頭を下げ答える。

 

「初めまして、私は『アイズ』デザイアグランプリ元運営だ」

 

「デザイアグランプリ・・・?」

 

聞いたことのない言葉に響が首を傾げるとアイズは説明を始める。

 

「デザイアグランプリとは、様々な時代や世界で我々運営と多くのオーディエンスによって選ばれた人々が仮面ライダーとなり己が理想の世界をつかみ取るリアリティーライダーショーの事さ」

 

「リアリティー・・・ライダーショー・・・?」

 

「・・・おい待て、様々な時代や世界だと?」

 

「ああ、お前達からしたら、私は遥か先の未来・・・それも別世界の住人というわけだ」

 

「なっ!?」

 

未来から・・・そのうえ別世界から来たという突拍子のない言葉に真達は衝撃を受けた。

 

「そして先ほどお前達が倒したのは『ジャマト』と呼ばれるデザイアグランプリにおいて敵として設定されている存在、仮面ライダー達はジャマトを倒し、デザイアグランプリで優勝することで自身が望んだ理想の世界を叶えるというわけだ・・・だが、私は違う」

 

「違う・・・?」

 

真が呟くとアイズは怪しげな笑みを浮かべ言葉を紡ぐ。

 

「ハッピーエンドを望む者達がいるように、世界にはバッドエンドを望む者達が多数いる、私はそんなオーディエンスを楽しませるために存在するバッドエンド請負人なのさ」

 

「バッドエンド・・・請負人だと?」

 

「そう・・・だが私の愛するデザイアグランプリは忌々しい仮面ライダー共によって消されてしまい、私は途方に暮れていた・・・だがしかし私は諦めなかった!」

 

アイズは雄々しく腕を振るい上げ叫ぶ。

 

「あの世界でのデザイアグランプリは消えてしまったが、それならば別の世界で私が運営する新たなデザイアグランプリを行うだけ!」

 

するとアイズの周囲に大量のカメラ『オーディエンスカメラ』がアイズ達と真達を囲む。

 

「そしてこれは新生デザイアグランプリ最初のバッドエンドゲーム『侵略ゲーム』、ジャマトが人々を襲いこの世界をジャマトの世界に変えていくゲームだ!」

 

アイズの言葉にカメラから溢れんばかりの歓声と拍手が聞こえてくる。

 

「・・・ふっざけんなよ・・・!」

 

アイズの言葉に真は拳を力強く握り締めアイズを睨む。

 

「んなくだらない事、許すと思ってんのかっ!」

 

真が叫んだ瞬間、一気にアイズの目の前にまで跳躍し殴りかかろうとする。

 

だが殴りかかる直前に隣のフードの男性が横に入り武器を取り出し真の拳を防ぐ。

 

「なっ・・・!」

 

拳が防がれたのに驚いた真はすぐにフードの男から距離をとると、アイズが口を開く。

 

「ああそれと・・・この世界のバッドエンドを望むのは、別次元の者達だけじゃない」

 

「なに・・・っ?」

 

するとフードの男は顔を隠すフードに手をかける。

 

「・・・久しぶりだな、クソ生意気な野良猫共・・・!」

 

「っ!?その声は・・・っ!」

 

聞き覚えのある声に真達が反応すると、顔を隠すフードが取り払われる。

 

そして隠された顔を見て、真達は再び驚愕する。

 

「なっ・・・お前は・・・っ!?」

 

「くっくっく・・・フロンティア以来だなぁぁぁ・・・!」

 

「そんな・・・嘘・・・っ!?」

 

「なんでここにいるんデスか・・・!?」

 

「・・・『ウェル』!」

 

その人物は、かつて真達が食い止めたフロンティア事変の黒幕、己を英雄にするために月を落とそうとした狂気の科学者『ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクス』だった。

 

想像だにしない人物の登場に真達は苦虫を嚙み潰したかのような表情を浮かべる。

 

「どうして・・・お前はフロンティア事変の後、米国の牢獄に投獄されたはずだ!」

 

「ああそうさっ、薄暗い牢獄の中でお前達を恨まなかったことは一秒たりともない!何日も何日もお前達を恨み続け何度も復讐を考えた、だが米国の奴らによってネフィリムの腕を切り離され自由の身を奪われ叶わない夢となった」

 

ウェルは嬉々とした表情で言葉を紡いでいく。

 

「だがしかし、奇跡はついに舞い降りた!投獄されていた僕の元に彼が現れ僕を自由の身にしてくれて、失った左腕の代わりも用意してくれた!」

 

そう叫ぶウェルの左腕には精密な機械で出来た義手が取り付けられていた。

 

「彼の復讐心は非常に使えると踏んだ、故に脱獄と左腕の提供の代わりに私の計画に協力を持ちかけた結果、快く受け入れてくれた」

 

「ああっ!僕の理想が叶わないこんな世界なんてこの手でぶっ壊してやる!そしてアイズが開催するデザイアグランプリに参加し、今度こそ僕は真の英雄となる!」

 

「そんなこと、させるものかっ!」

 

真はアタッシュカリバーを手に取り二人につきつける。

 

「この世界をバッドエンドなんかにさせない、お前達の企みは必ず阻止する!」

 

真の言葉に響達も構えると、ウェルは忌々し気に真達を睨みつける。

 

「・・・やっぱり気に食わないな、お前達のその眼・・・だったらこの世界よりも先にお前達から終わらせてやるっ!」

 

そう叫びながら身に着けていた白衣を翻すと、その下のある物に真達は驚いた。

 

「そ・・・それはっ!?」

 

「ドライバー!?」

 

ウェルの腰に身に着けられていたのは真達が見たことのない金色のドライバーだった。

 

「これこそが僕を英雄と証明するドライバー『サウザンドライバー』だっ!」

 

「何でお前がドライバーを持っているんだ!?」

 

「私が提供したのだよ」

 

真達の疑念にアイズが答える。

 

「このような旧世代のドライバーなど、未来の技術をもってすれば作り出すことなど動作もないということだ」

 

そう言ってアイズがウェルの横に並び立つ。

 

「そしてお前達の相手は彼だけではない」

 

ZILLON DRIVER…!

 

アイズが指を鳴らすと、アイズの腰に見たことのないドライバーが身に着けられる。

 

「ドライバー!?」

 

「これは『ジリオンドライバー』、デザイアグランプリ運営の限られた存在の身が使える最高位のドライバー・・・お前達に見せてやろう、理解の及ばない未来の力を」

 

そう言ってアイズは『グレートアセンブル』に触れ、そのまま『スティグマメトリクサー』に指紋を認証させる。

 

REGAD EYES ACCESS

 

認証させるとアイズの周囲にオーディエンスカメラが集まりだし、アイズはカードホルダーから『シリウスカード』を取り出し構える。

 

「変身」

 

そしてそのまま『ジリオンリーダー』にシリウスカードの認証させた。

 

GENERATE

 

すると周囲のオーディエンスカメラがアイズに集まっていくと同時に青黒いスパークが走り、アイズの姿が変わっていく。

 

RUIN AND MISFORTUNE RULER REGAD EYES

 

変身を終えたアイズの姿は黒と青色のライダースーツに包まれ、頭部の『ロプスプレコグヴィジョン』が怪しく輝く。

 

「見るがいい小娘共、これが真の英雄たる僕の力だ!」

 

ウェルは懐から二つのプログライズキー『スピノゼツメライズキー』と『ティーレックスゼツメライズキー』を取り出すと、『ゼツメライズスロット』にスピノゼツメライズキーを装填し、そのままティーレックスゼツメライズキーのライズスターターを押し込む。

 

ゼツメツエボリューション!

 

キングファング!

 

「変身!」

 

パーフェクトライズ!

 

ウェルはティーレックスゼツメライズキーを『ライズスロット』に差し込むと、ウェルの周囲に『スピノサウルスロストモデル』と『ティーレックスロストモデル』の頭部が咆哮を上げながらウェルの周りを旋回しウェルと重なると同時に黒緑色のスパークが走りウェルの姿を変えていく。

 

When the five fangs overlap, a revenge warrior descends.

 

I am the Hero.

 

変身を終えたウェルの姿は黒と金のライダースーツに銀と緑色の鋭利なアーマーが取り付けられており、緑色の瞳とラインが不気味に輝いた。

 

「これこそがデザイアグランプリにおいて最高傑作の仮面ライダー『仮面ライダーリガドアイズ』」

 

「そして真の英雄にして最強の仮面ライダー『仮面ライダーウェル』!」

 

「・・・・・・っ!?」

 

仮面ライダーに変身した二人に真達に緊張が走る。

 

「さぁ、バッドエンドゲームボーナスステージの開幕だ」

 

 

 

 

 

『ギーツの世界・現代』

 

「・・・それは本当か?」

 

「はい、『ジーン』が新生デザイアグランプリのスタッフから報告を受けましたので間違いないかと」

 

ある神社にて『仮面ライダーギーツ』こと『浮世英寿』が元デザイアグランプリナビゲーターの『ツムリ』からある報告を受けていた。

 

「あいつ以外にまだバッドエンド担当のゲームマスターがいたのか」

 

「はい、ですが彼が執り行うゲームは非常に残酷で幾つもの世界が破壊され、それを重く見た運営はアイズを永久に封印したのですが、デザイアグランプリの消滅で封印が解かれそれと同時に此処とは別次元の世界に行ってしまったようです」

 

「このままでは、その世界がバッドエンドに終わってしまうかもしれないか・・・」

 

「その通りです、どうしますか?」

 

ツムリが尋ねると、英寿は不敵な笑みを浮かべる。

 

「決まっているだろ、これ以上デザイアグランプリで誰かの幸せを奪われるわけにはいかないからな、ヤツが逃げた場所は分かるか?」

 

「そう言うと思いまして、既に特定しております」

 

「よしっ、じゃあさっさと『待てよギーツ』ん?」

 

急な呼びかけに英寿が振り返るとそこには四人の男女『吾妻道長』『桜井景和』『鞍馬祢音』『晴家ウィン』が集まっていた。

 

「自分だけで行こうとしてんじゃねえぞ」

 

「思わぬ来客だな・・・よく知ってるな?」

 

「俺が教えたんだ」

 

道長達の後ろからジーンがやって来てそう答える。

 

「なるほどな・・・だがいいのか?今から行くのは此処とは違う未知の世界、何が起きるのかわからない上に相手は強敵だぞ?」

 

「はっ、それがどうした。俺はあのふざけたデザイアグランプリをまだ続けるやつを叩きのめすだけだ」

 

「ああ、これ以上大勢の人達が不幸な目にあってほしくないんだ」

 

「誰かの幸せを守りたいのは英寿だけじゃないんだよ」

 

「だから俺達もついて行くって訳、いいだろ?」

 

道長、景和、祢音、ウィンの言葉に英寿は静かに微笑む。

 

「わかった、戦力は多い方がいいからな」

 

そう言って英寿が手をかざすと、鐘の音と共に四人の腰に『デザイアドライバー』が身に着けられる。

 

「姉さん、場所のデータを」

 

「はいっ」

 

英寿はツムリが用意したデータを見て、何もない空間に手をかざすと空間に穴が開いた。

 

「俺は此処で待っているよ、俺の推しが帰って来るのをね」

 

「ああ、期待して待っててくれ」

 

そう言って英寿達六人は穴の中に入って行った。

 

 

 

 

 

『ゼロフォギアの世界』

 

真と響とクリスはリガドアイズと、切歌と調と未来はウェルと戦闘を行っていた。

 

「「はあっ!」」

 

真と響が連携で攻撃を仕掛けるがリガドアイズは二人の攻撃を悉く避けていき、逆に二人とも反撃を喰らってしまうが、それでも二人は攻撃の手を緩めない。

 

「丈夫さは折り紙付きか、ならば」

 

するとリガドアイズは二人から距離を取り指を鳴らすと、グレートアセンブルに『マグナムレイズバックル』が装填される。

 

READY

 

「「っ!」」

 

突然現れたバックルに真と響の動きが止まるとリガドアイズは『アプルーバルリボルバー』を回転させ『ストライクトリガー』を押す。

 

MAGNUM INFINITY

 

するとリガドアイズの周囲に大量の『マグナムシューター40X』が出現し全ての銃口が二人に向けられる。

 

「っ!やばいっ!」

 

ファイナルライズ!

 

真はとっさにプログライズホッパーブレードを取り出しドライバーに認証させると同時にマグナムシューター40Xから大量の弾丸が放たれる。

 

ファイナルストラッシュ!

 

真は響の前に出て飛電メタルの壁を生成し弾丸を防ぐが、勢いが強く徐々に押されていく。

 

「ちっ!弾幕には弾幕だ!」

 

クリスは二人を助けるために両手のガトリングをリガドアイズに向けて放つが、リガドアイズは焦る様子を見せずグレートアセンブルに触れる。

 

ACCELERATE

 

触れた瞬間リガドアイズ以外の全ての動きがスローになる。

 

弾幕を放つクリスも迫りくる弾丸すらもスローモーションのように鈍くなり、リガドアイズは横に移動してクリスの元まで歩いて行くとそのままクリスを蹴り飛ばす。

 

「・・・・・・があっ!?」

 

そして時間の動きが元に戻るとクリスが一気に吹き飛んだ。

 

「クリスっ・・・ぐあっ!」

 

「きゃあっ!」

 

クリスが蹴り飛ばされたのに驚いた真は防御の手が緩み弾幕が壁を突破して二人に直撃する。

 

「な・・・なんだ今の・・・急に蹴り飛ばされた・・・!?」

 

突然蹴り飛ばされたクリスが困惑しているとリガドアイズが答える。

 

「これもこのドライバーの能力、私だけの時間を早めたのだ」

 

「時間加速・・・そんなのありかよっ!?」

 

「言っただろう、理解が及ばないと」

 

一方でウェルを相手取る切歌と調と未来の攻撃を先ほど真の攻撃を防いだ『サウザンドジャッカー』で防ぎながら三人に傷をつけていく。

 

「つ・・・強いっ!」

 

「ドクターってこんなに強かったんデスか!?」

 

「僕は真の英雄になる男だぞ、お前ら小娘ごときに遅れは取らないねぇ!」

 

ジャックライズ!

 

ジャッキングブレイク!

 

ウェルが『ジャックリング』を引きトリガーを押すと刀身に電気と炎が宿り、地面に突き刺すと三人の足元から電撃と炎が噴火するように襲い掛かった。

 

「「「きゃあっ!!」」」

 

大きな一撃を喰らってしまい二人は膝をついてしまう。

 

「炎と・・・電気・・・っ、錬金術なんて使ってないのに・・・っ!?」

 

「当然だろう、この武器は彼の特注品でね・・・現存するプログライズキーのデータは殆ど組み込まれているのさ」

 

「プログライズキーを殆ど・・・デスかっ!?」

 

「まさに英雄たる僕にふさわしい武器というわけだっ!」

 

ウェルは歓喜しながら再び三人に襲い掛かり、三人は何とか立ち上がってウェルに迎え撃った。

 

真達の方でも時間加速を扱うリガドアイズに苦戦が強いられ、響とクリスはリガドアイズの猛攻を受けてギアが解けて倒れ知いた。

 

「「はぁ・・・はぁ・・・!」」

 

「響・・・クリス・・・!くそっ・・・時間操作が厄介すぎる・・・っ!」

 

唯一無事な真もかなり消費しており、それに対しリガドアイズは余裕綽々な様子だった。

 

「私としても驚いているよ、古臭い人類風情が此処まで食らいついているのだからね」

 

「いちいち癪に障るんだよ・・・お前の言葉は!」

 

エクシード!

 

ゼロツージャンプ!

 

Let’s give you power!

 

リガドアイズの言葉に真は苛立ちを感じながらゼロツーユニットを取り付けゼロツープログライズキーを取り出す。

 

ゼロツーライズ!

 

Road to glory has to lead to growin'path to change one to two!仮面ライダーゼロツー!

 

It's never over.

 

ゼロツービッグバン!

 

仮面ライダーゼロツーに変身した真はすぐさまキーを押し込むと、超高速でリガドアイズに向かって駆け抜けていく。

 

(どれだけ加速しても、お前の行動を予測して攻撃を与えればいいだけっ!)

 

真はリガドアイズの行動を予測しながら超高速でライダーキックをリガドアイズに向けて放つが、リガドアイズは焦る様子を見せずにグレートアセンブルに二回触れた。

 

REVERSE

 

真のライダーキックが直撃する寸前で真の動きがピタリと止まってしまう。

 

すると止まったはずの真はビデオの逆再生のように動きが巻き戻り、そしてプログライズキーを押し込む前の状態に戻ってしまう。

 

「っ!!?どうして攻撃がっ!?」

 

「時間逆行・・・君の攻撃を巻き戻したのだ」

 

「加速だけじゃなくて逆行まで出来んのかよっ!?」

 

「これがジリオンドライバーの・・・未来の力だ」

 

リガドアイズはそのままシリウスカードをジリオンリーダーにスキャンさせる。

 

EXPUNGE…!

 

するとリガドアイズの身体から大量のオーディエンスカメラが飛び出し一つ一つが輝きだす。

 

真はとっさに防御しようとするが間に合わず輝きを纏ったオーディエンスカメラがミサイルの如く真に直撃し爆発を起こした。

 

「がああっ!!」

 

直撃を受けた真は変身が解けボロボロの姿で地面に倒れ伏す。

 

「真さんっ!」

 

響が叫ぶと同時に後方からも爆発音が聞こえ後ろからギアが解けた切歌、調、未来が二人の元に転がる。

 

五人が並びリガドアイズが指を鳴らすと上空の穴からジャマトが現れ五人を抑え込む。

 

「く・・・っそ・・・・・・がっ!」

 

真はボロボロの体を起き上がらせようとするがリガドアイズの足が背中に押し付けられ再び地面に伏されてしまう。

 

「ボーナスステージは此処までの様だ」

 

「ひゃっはっはっはぁ!実に滑稽な姿だな小娘共ぉ・・・!」

 

踏み倒され押さえつけられる真達の姿にリガドアイズは余裕を見せ、ウェルは嘲笑う。

 

「この時代の英雄とて、所詮はこの程度というわけか」

 

「く・・・がぁ・・・!」

 

リガドアイズは真の背に足を乗せながらどうするべきか考える。

 

「・・・そういえば君はこの世界ではかなり顔が知られているようだね、英雄として名が広まっていると聞く」

 

リガドアイズはそう言うと指を鳴らし一体のジャマトを側に呼び出すと、ジャマトは真の胸倉を掴み持ち上げる。

 

「そんな君の死体を世界中に見せれば人々はさぞかし絶望しバッドエンドゲームも盛り上がるだろう」

 

リガドアイズの悪魔のような提案に響達は驚き、真を掴み上げるジャマトは右手に一本の剣を作り出す。

 

「駄目・・・真さんっ!!」

 

「おっとぉ大人しく見ていると言い、君達の英雄が無残な死体になる瞬間をなぁ!」

 

ジャマトの拘束を振り払い真を助けようとする響をジャマトが頭から地面に押さえつける。

 

「さあっ、ボーナスステージを終わりを告げる素晴らしい断末魔(ファンファーレ)を奏でるといい!」

 

そしてジャマトの持つ剣が真の胸に突き刺さる瞬間、銃声と共にジャマトの持つ剣が弾かれた。

 

「なにっ?」

 

そして再び銃声が響き、今度は真を捕らえるジャマトの頭部に弾丸が直撃し真を放して倒れ伏す。

 

「な・・・なんだっ!今の銃声はっ!?」

 

「・・・まさかっ!」

 

突然の銃声に驚くウェルに対し何かを悟ったリガドアイズ、その瞬間。

 

「はっ!」

 

真の背後から誰かが飛び出し手にしている銃を乱射する。

 

「くっ!」

 

「ちぃっ!」

 

リガドアイズとウェルはとっさに防ぐが、響達を抑えていたジャマトに直撃し響達は解放されると、その人物は真の前に着地する。

 

「どうやら、ギリギリ間に合ったようだな」

 

その人物は上半身が白い狐の様なアーマーを身に纏い、先程リガドアイズが使っていたマグナムシューター40Xを手にしている仮面ライダーだった。

 

「やはり貴様だったか・・・私の愛するデザイアグランプリを壊した男『仮面ライダーギーツ』浮世英寿!」

 

「ああっ、このふざけたデザイアグランプリを止めさせるために化けて出て来たぜ」

 

そう言って英寿は嘲笑うように左手で狐の形を作り、その間の解放された響達は真の元に向かった。

 

「真さん、大丈夫ですか!?」

 

「あ・・・ああ、それよりあんたは・・・」

 

「安心しな、俺はお前達の味方だ」

 

そう言って英寿はマグナムシューター40Xを二人に向ける。

 

「ギーツ・・・貴様またしても私の愛するデザイアグランプリを邪魔するつもりか・・・!」

 

「当然だ、これ以上誰かの幸せを奪うデザイアグランプリは存在するべきじゃない」

 

「ふっ、だがこの数をその荷物を抱えた状態で勝ち抜けれるかっ!」

 

そう言うとリガドアイズとウェルの周囲に大量のジャマトが現れる。

 

「確かにこれは骨が折れそうだな・・・だから」

 

そう言うと英寿は足元に向けて弾丸を放ち土煙を上げ、晴れる頃には六人の姿はどこにもなかった。

 

「逃がしたか・・・だがバッドエンドゲームは必ず完遂させて見せる・・・っ!」

 

 

 

 

 

アイズ達から逃走を図った英寿と真達はある廃墟の中にやって来ると、道長達が中で待っていた。

 

「んっ、どうしたそいつら?」

 

「どうやらこの世界の戦士達みたいだ、敵に襲われていたところを助けてきたところだ」

 

「えっそうなの!」

 

「大分傷付いているみたいですね、応急処置を行いますのでこちらに、祢音様もお手伝いを」

 

「うん、わかった」

 

ツムリが持ってきた救急キットを使って真達は応急処置を終えた。

 

「助けてくれてありがとう、えっと・・・」

 

「浮世英寿だ、さっき見てると思うが仮面ライダーだ、そしてここにいるやつらも彼女以外全員仮面ライダーだ」

 

「そうなんデスか!?」

 

「はい、此方にいる皆様は『仮面ライダーバッファ』吾妻道長様、『仮面ライダータイクーン』桜井景和さま、『仮面ライダーナーゴ』鞍馬祢音様、『仮面ライダーパンクジャック』晴家ウィン様です、そして私はデザイアグランプリ元ナビゲーターのツムリと申します」

 

「あっどうも、自分達は・・・」

 

真達も自己紹介をした後、互いに情報を交換する。

 

「・・・なるほど、随分ふざけたゲームみたいだな」

 

「ちっ、そいつに賛同したその男も大分下らねえな、ほとんど逆恨みじゃねえか」

 

「誰かの幸せを奪い自分だけが幸せになるゲーム・・・そんなふざけたゲームがあってたまるか」

 

「人の幸せを何だと思っているんですか!」

 

真達の所で起きたゲームとアイズ達について、英寿達の世界で起きていたデザイアグランプリについて説明を終えると、真が英寿に提案を出す。

 

「あんたらもあのアイズってやつを止めたいんだろ・・・だったら俺達に協力してくれないか?」

 

「ああ、もちろんそのつもりだ、これ以上誰かの幸せを奪わせるわけにはいかないからな」

 

英寿の言葉にツムリ達も頷き、真が振り返ると響達も頷いていた。

 

「よしっ、だったらまずは俺達の本部に向かって作戦を立てよう、案内する」

 

「ああ、頼む」

 

真達は本部に向かうため移動を開始するが、しばらく移動していると周囲の物陰からジャマトの大群が現れる。

 

「こいつら・・・っ!」

 

対処するため変身しようとするが傷が痛み真達は戦える状態ではなかった。

 

「ここは俺達に任せてくれ」

 

そう言うと英寿達が前に出て英寿はマグナムレイズバックルを、道長は『ゾンビレイズバックル』を、景和は『ニンジャレイズバックル』を、祢音は『ビートレイズバックル』を、ウィンは『モンスターレイズバックル』を取り出す。

 

SET

 

バックルを『ホップアップアセンブル』にセットするとそれぞれの背後に文字が浮き出し英寿達は構える。

 

『変身!』

 

英寿はアプルーバルリボルバーを回転させストライクトリガーを押し、道長は『ウェイキングキー』を捻り『ボーンドゲート』を展開し、景和は『クナイスターター』を引き『シュリケンジェネレーター』を回転させ、祢音は『セレクトケンバーン』を鳴らしてから『Dスクラッチャー』を回し、ウィンは『ラウトクラップメット』を押し『ナップインジケーター』を開かせる。

 

MAGNUM

 

ZOMBIE

 

NINJA

 

BEAT

 

MONSTER

 

それぞれにアーマーが身に着けられ英寿は先ほど見せた『仮面ライダーギーツ マグナムフォーム』に、道長は『仮面ライダーバッファ ゾンビフォーム』に、景和は『仮面ライダータイクーン ニンジャフォーム』に、祢音は『仮面ライダーナーゴ ビートフォーム』に、ウィンは『仮面ライダーパンクジャック モンスターフォーム』に変身した。

 

READY…FIGHT

 

変身した英寿達は襲ってくるジャマトに向かって行った。

 

英寿はマグナムシューター40Xで離れた敵を打ち抜きながら近づいてくる敵を足技で蹴り飛ばしていき、遠距離からの攻撃を躱しながらマグナムシューター40Xをライフルモードに切り替え速射していく。

 

道長は敵の攻撃を受けながらも怯みもせずに敵の頭を掴み地面に叩きつけ、手にしている『ゾンビブレイカー』で近づいてくる敵を薙ぎ払う力強い戦いをする。

 

景和は『ニンジャデュアラー』で敵を切っていきながら迫ってくる攻撃を変わり身の術で回避し、『ツインブレード』に切り替え切り払っていく。

 

祢音は『ビートアックス』で敵を薙ぎ払いながら炎、氷、電撃の三属性を巧みに扱い、軽やかな足取りで敵の上を取り次々と倒していく。

 

ウィンは両手の『モンスターグローブ』で敵を殴り飛ばしていきながら後方で真達に近づいてくる敵を真っ先に倒していく。

 

「す・・・凄い・・・!」

 

「俺達とは全く違う・・・これが別世界の仮面ライダー・・・!」

 

「はい、皆様はああしてジャマトを倒していき、そして敵対する方達と戦い抜き、幸せの世界を作り上げたのです」

 

英寿達の戦いを見て驚く真達にツムリが口を出す。

 

「幸せの世界・・・」

 

ツムリの言葉に真は少し黙りこむと、前に出る。

 

「真さん?」

 

響の言葉を無視し、真は傷だらけにも構わずドライバーを身に着ける。

 

「ここは俺達の生きる世界だ・・・ならこの世界を守るために戦う義務は俺達にもある・・・変身!」

 

真はライジングホッパーフォームに変身すると英寿の背後を取っていた敵を蹴り飛ばし英寿と背中を合わせる。

 

「お前・・・!」

 

「背中は俺が守る・・・英寿は前に集中しろ!」

 

「・・・ふっ、無茶だけはするなよ」

 

「肝に銘じる!」

 

真はアタッシュアローを構え英寿と共に敵を打ち抜いていく。

 

敵を次々と倒していき本部へ進んでいくが、敵の数は一向に減らない様子だった。

 

「っ・・・こいつら全然減らねえ!無限湧きでもしてんのかっ!?」

 

「おそらくはアイズの仕業だろう、デザイアグランプリで使用していたジャマトを裏のルートで大量に手に入れたんだ」

 

「裏のルートって・・・そんなのあるのか!?」

 

「デザイアグランプリにはいろんなスポンサーがいるからな、誰かがジャマトを持っていてもおかしくはないだろう」

 

「厄介ファンにもほどがあるな・・・っ!」

 

大量の敵に対し六人と戦えない六人を抱えており、状況は劣勢にあった。

 

そしてついに敵の数体が真達の包囲を抜け響達に迫っていった。

 

「しまっ・・・皆っ!」

 

真達が阻止しようとするが妨害が入り危機に追いやられたその時。

 

 

 

『伏せろっ!』

 

上から声が聞こえた瞬間、上空から大量の剣と弾丸が降り注いできた。

 

真達はとっさに身を伏せ、降ってきた攻撃は周囲の敵を全て倒していく。

 

「この攻撃は・・・っ!」

 

周囲の敵が殲滅され響達が上を見上げると、そこには二機のヘリが滞空しており、そこから複数人が下りてきた。

 

「大丈夫か、みんな」

 

「まったく、かなり危ない状況だったわよ貴方達」

 

「まっ結果的に間に合ったんだからいいじゃねえか」

 

「はい、皆さんご無事・・・ではないですね」

 

「うむ、酷い怪我じゃないか、急いで本部に向かわんとな」

 

「うん、すぐにヘリが下りてくるからね」

 

「翼さん!マリアさん!奏さん!セレナちゃん!紫苑さん!桃恵さん!」

 

海外と村から駆けつけた仲間達が応援に駆け付けてくれた。

 

 

 

 

 

『S.O.N.G本部』

 

そのままヘリに乗って本部にたどり着いた真達はメディカルルームで治療を受けた後、弦十郎達に何があったのかを英寿達と共に説明した。

 

「デザイアグランプリ・・・バッドエンドゲーム・・・にわかには信じられないが状況を見て本当の様だな」

 

そう言うと弦十郎は英寿達に問いかける。

 

「単刀直入に聞くが、この事態を止める方法はあるか?」

 

「ああ、おそらくこのゲームはアイズがジリオンドライバーを使って行っている可能性がある、だからやつを倒せればこのゲームも終わるはずだ」

 

「だったらすぐに・・・って言いたいけどあいつの潜伏先が分からないんだよな」

 

「迂闊には動けないというわけか・・・」

 

「その上ドクターウェルまで敵としているだなんて・・・」

 

「かなり強くなっていた・・・多分私達が仮面ライダーになっても勝てないと思う・・・」

 

「唯一勝ち目があるのは真さんだけだと思う」

 

「問題はアイズの方だ、あいつの時間操作を何とかしないと勝ち目がほとんどない」

 

「そっちは大丈夫だ、アイズは俺が相手をする、俺ならあいつの時間操作の影響を受けないからな」

 

「そうなんですか英寿さん!?」

 

「時間の影響を受けないとかあんた本当に人間か?」

 

「さあっ、どうだろうな?」

 

「英寿は受けないだろうけど俺には効いてしまうから妨害される可能性があるな・・・」

 

それぞれが思案していると、藤高達が報告する。

 

「司令!各地に点在するジャマト達が突然活動停止、次々と姿を消していきます!」

 

「何っ、モニターに写せっ!」

 

モニターに映し出されると、ジャマト達が突然動きを止め姿を消していった。

 

「これは一体・・・!」

 

するとモニターに砂嵐が走り、アイズの姿が映し出される。

 

『旧時代の人類諸君、ごきげんよう』

 

「アイズ!」

 

突然の合図の出現に驚く中、アイズは口を開く。

 

『いかがだっただろうか私が開催した侵略ゲームは、これより一日間インターバルを行い、早朝に再びジャマトによる侵略ゲームを再開する』

 

次にモニターに映し出されたのは日本地図と五ヶ所に記された赤い印だった。

 

『次なる侵略ゲームではこの五カ所で行われ、この四カ所では今までのジャマトよりも強力なジャマトを配置しており、ここでは私の指揮の元、大量のジャマトが侵略ゲームを行う。皆様の素晴らしいバッドエンドをオーディエンス共々期待して待っております』

 

そう言って再び砂嵐が走りモニターが元に戻る。

 

「どこまでもふざけ切ってやがる・・・!」

 

アイズの言葉に真達は怒りをあらわにしていた。

 

「だがこれでやつの居場所は判明したわ、後は四カ所に敵をどうするべきか考えるべきね」

 

「ああ、敵が動き出すのは早朝、それまでにこちらで作戦を立てるので各員は戦いに備えて体を休めてくれ」

 

弦十郎は机を叩き真達に喝を入れる。

 

「あのようなふざけた男に、我々の生きる世界をバッドエンドにさせるわけにはいかない、全力で阻止するんだ!」

 

『了解!』

 

 

 

 

 

全員が英気を養っている中、真は一人トレーニングルームで特訓をしていた。

 

「はぁ・・・はぁ・・・っ!」

 

「精が出るな」

 

真が振り返ると、英寿がトレーニングルームに来ていた。

 

「少し話がしたくてな、時間良いか?」

 

「・・・ああ、俺も話がしたかったんだ」

 

そう言って真はトレーニングをやめ、英寿と話をする。

 

「改めて助けてくれてありがとうな、英寿が来てくれなかったら死んでた」

 

「気にするな、あそこで助けに入れたのは殆ど偶然だ」

 

「そうだとしても俺はあんたに感謝したい」

 

「そうか・・・なら遠慮なく受け取っておくさ」

 

そう言うと、真は英寿にあることを尋ねる。

 

「・・・ところで英寿、気になっていることがあるんだが聞いてもいいか?」

 

「奇遇だな、俺もお前に聞きたいことがあったんだ」

 

「俺に?」

 

「ああ・・・お前、この世界の『神様』なのか?」

 

英寿の言葉に真は驚く。

 

「っ!?・・・どういうことだ?」

 

「お前からほんの少しだが神の力を感じる、だから気になってな」

 

「感じるって・・・やっぱりあんたも俺と同じなのか?」

 

「それが俺に対する質問か?」

 

英寿の言葉に真は頷くと、英寿は応えてくれる。

 

「ああ、この力は『創生の力』って言われてな、デザイアグランプリに置いて世界を作り変えることが出来る女神の力なんだ」

 

「世界を作り変える!?」

 

「ああ・・・そして、俺の母さんの力でもあるんだ」

 

その言葉に真は驚き、英寿は自身の胸に手を当てる。

 

「母さんは運営の奴らに利用され創生の女神にされ長い間利用されてきた、そして俺は今まで母さんのために戦い続け、そして俺は母さんの思いを受け取って創生の神になったんだ」

 

「そうだったのか・・・すまない、辛いことを言わせて」

 

「気にするな、もう済んだことだ・・・それで君は?」

 

「・・・それを放すには俺について説明しないとな」

 

英寿の言葉に真も自身について説明をする。

 

「・・・なるほど、別世界の転生者か」

 

「ああ、そして神様は俺を生き返らせるために力を託して消えていったんだ」

 

「死者の復活か、その神様の力は創生の力と同格って訳か」

 

「まあな・・・けど俺自身この力を使いこなせていなくてな」

 

真は不甲斐なさそうに自身の右手を力強く握りしめる。

 

「この力を使いこなせて入れればみんなを危険な目に合わせずに済んだってのにな・・・」

 

悔しそうにする真を英寿は見つめていた。

 

(神の力はおそらくは俺と同等ぐらいにはある、しかし扱い方が分からないせいか力に蓋がされて上手く扱えないって感じか)

 

真の神の力を感じ取った英寿は真にある提案を持ちかける。

 

「・・・なぁ、俺に提案があるんだ」

 

「・・・提案?」

 

「ああ、もしかしたらアイズ達を何とか出来るかもしれない」

 

 

 

 

 

そして早朝、響達が司令室に集まる中、真と英寿がまだ来ていなかった。

 

「二人共、遅いですね・・・」

 

「こんな大事な時に何してやがんだ・・・っ!」

 

すると扉が開かれ二人が遅れてやってくる。

 

「ごめん、遅れたっ!」

 

「遅えぞ、何してやがったんだ!」

 

「少し立て込んでてな、その話は後でな」

 

「よし、全員が集まったところで作戦を伝える」

 

モニターに日本地図が映し出され、説明が始まる。

 

「まず敵はこの四カ所に強力なジャマトが配置され、ここでは大量のジャマトと親玉が待ち構えている、そこで我々はチームに分かれ行動を行うことにした」

 

「チーム分けとしては奏さんと道長さん、セレナさんと祢音さん、紫苑さんと景和さん、桃恵さんとウィンさんが四カ所の防衛とジャマトの撃破を、響さん達装者がこの個所のジャマトの防衛、そして食い止めている間に真さんと英寿さんが敵の本陣に突入、アイズとウェルを倒します」

 

緒川が説明を終えると、キャロルが前に出る。

 

「そして装者達の方には俺も出張ろう」

 

「えっキャロルちゃんも来てくれるの!?」

 

「ああ、ここに配置されているジャマトの数は他より多い、戦力は多い方がいいだろうからな」

 

「けど問題はアイズとウェルにやつだな、大丈夫なのか?」

 

クリスの言葉に真は少し自信をもって答える。

 

「ああ、多分大丈夫だと思う」

 

「多分って・・・おいおいそれ本当に大丈夫か?」

 

「まあ試してないからぶっつけ本番ってところがるけど・・・行けると思う」

 

「思うじゃない、行けるさ、必ずな」

 

「ぶっつけ本番って・・・一体何を?」

 

響が尋ねようとするとアラートが鳴り響いた。

 

「ポイントの五カ所にてジャマトの出現を確認!」

 

「よしっ、全員直ちに出撃・・・バッドエンドを阻止するぞ!」

 

『はいっ!』

 

真達は用意していたヘリに乗り込みポイントに向かって行った。

 

 

 

『奏・道長ペア』

 

ポイントに到着した二人が眼にしたのは大量のジャマトとそれらの指揮をしていた『ナイトジャマト』だった。

 

「どうやらあいつが此処の頭みたいだな」

 

「そうみたいだな・・・んじゃ、早速始めるか!」

 

SET

 

バレット!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

ZOMBIE

 

ショットライズ!

 

シューティングウルフ!

 

The elevation increases as the bullet is fired.

 

READY…FIGHT

 

変身した二人はゾンビブレイカーとオーソライズバスターを構え、ジャマトの大群に向かって行った。

 

 

 

『紫苑・景和ペア』

 

二人がポイントにたどり着くと大量のジャマトと『ルークジャマト』が街を襲っていた。

 

「もう侵略が始まってる!」

 

「すぐに行くぞ!」

 

SET

 

ポイズン!

 

「「変身!」」

 

NINJA

 

フォースライズ!

 

スティングスコーピオン!

 

Break Down.

 

READY…FIGHT

 

変身した二人はニンジャデュアラーとアタッシュカリバーを構え人々を助けに行った。

 

 

 

『セレナ・祢音ペア』

 

ポイントに到着した二人の元に大量のジャマトと『古代魚ジャマト』が待ち構えていた。

 

「あいつが私達の相手みたいだね」

 

「はい、行きましょう祢音さん!」

 

「うん!」

 

SET

 

ダッシュ!

 

オーソライズ!

 

Kamen Rider...Kamen Rider...

 

「「変身!」」

 

BEAT

 

ショットライズ!

 

ラッシングチーター!

 

Try to outrun this demon to get left in the dust.

 

READY…FIGHT

 

襲い掛かってジャマトに二人はビートアックスとアタッシュアローを構えて立ち向かった。

 

 

 

『桃恵・ウィンペア』

 

二人が到着したポイントでは大量のジャマトと『ビショップジャマト』が待機していた。

 

「うへぇ、かなりいやがんな」

 

「ですが戦うしかありません」

 

「だな」

 

SET

 

ウィング!

 

「「変身!」」

 

MONSTER

 

フライングファルコン!

 

Break Down.

 

READY…FIGHT

 

変身した二人がアタッシュショットガンとモンスターグローブを構えると、ジャマト達は一斉に襲い掛かってきた。

 

 

 

『真・英寿・響チーム』

 

アイズ達がいるポイントにたどり着いた真達を待ち受けていたのは他のポイントよりも大量にいるジャマトだった。

 

「うわぁっ!とんでもない量デスよっ!」

 

「今までの比じゃない・・・!」

 

「だが、ここで食い止めねば多くの人達が被害にあってしまう!」

 

「それだけはなんとしても阻止するわよっ!」

 

「作戦通り、ここはあたしらで食い止める」

 

「だから真さんと英寿さんは敵の元に!」

 

未来達の言葉に二人は頷き、真はライズフォンを取り出しライズホッパーを繰り出し、英寿もブーストライカーを召喚し乗り込むと、響達はソングレイザーを身に着け、キャロルはダウルダヴラを取り出す。

 

ブレイク!

 

ブレイド!

 

ブラスター!

 

シルバー!

 

デンジャー!

 

ムーン!

 

パージ!

 

『変身!』

 

ソングライズ!

 

Break up! Fist up! GUNGNIR! 仮面ライダーヒビキ!

 

Blade up! Slash up! AMENOHABAKIRI! 仮面ライダーツバサ!

 

Blaster up! Scarlet up! ICHAIVAL! 仮面ライダークリス!

 

Silver up! Dragoon up! AIRGET-LAMH! 仮面ライダーマリア!

 

Danger up! Scythe up! IGALIMA! 仮面ライダーキリカ!

 

Crescent up! Ring up! SHUL SHAGANA! 仮面ライダーシラベ!

 

Mirage up! Vision up! SHEN SHOU JING! 仮面ライダーミク!

 

響達は仮面ライダーに変身し、キャロルはダウルダヴラを身に纏いジャマトの大群に向かう中、響は二人に声をかける。

 

「二人共、お願いします!」

 

「ああ、任せろ!」

 

「さあ、行こうか」

 

二人はバイクを走らせ、ジャマトの群れをかき分けながらアイズとウェルがいる場所へと向かって行った。

 

 

 

 

 

「・・・どうやらここがゴールみたいだな」

 

「・・・此処かよ、趣味の悪い」

 

バイクを走らせた二人がたどり着いた場所はかつてカ・ディンギルがあった『東京番外地 特別指定封鎖区域』真にとって嫌な記憶がある場所だった。

 

「この場所は君にとって思い出深い場所だと彼に聞いてね、選ばせてもらったよ」

 

二人がバイクから降り歩いていると、奥からアイズとウェル、そして四人を囲むようにオーディエンスカメラが現れる。

 

「どうだい小娘、いい思い出が溢れてくるだろう?」

 

「ああ思い出すね、お前を今すぐにでもぶちのめしたいほどの思い出がな」

 

「ジャマトが現れたポイントに刺客を送ったようだが意味などない、この世界は素晴らしいバッドエンドを迎えるのだからな」

 

「僕が英雄になれないこんなくだらない世界僕の手でバッドエンドに染め上げてやる、そして今度こそ僕は真の英雄になるんだ!」

 

オーディエンスカメラから歓声が聞こえてくるが、歓声を遮るように二人が口を開く。

 

「そんなことさせはしない俺達がさせるわけがないだろう」

 

「お前達の作ったくだらないゲームを、終わらせてやる」

 

「ふん、やれるものならやって見せろ!」

 

REGAD EYES ACCESS

 

「この場所に、お前達の墓標を立ててやる!」

 

ゼツメツエボリューション!

 

キングファング!

 

アイズとウェルはシリウスカードを手に取り、ウェルはスピノゼツメライズキーを装填しティーレックスゼツメライズキーを手に取り構える。

 

「「変身」」

 

GENERATE

 

パーフェクトライズ!

 

RUIN AND MISFORTUNE RULER REGAD EYES

 

When the five fangs overlap, a revenge warrior descends.

 

I am the Hero.

 

リガドアイズとウェルに変身した二人を見ながら真と英寿もドライバーを身に着ける。

 

アウェイクン!

 

DESIRE DRIVER

 

ドライバーを身に着けると真はライジングホッパープログライズキーを、英寿はマグナムレイズバックルと『ブーストレイズバックル』を手に取る。

 

「お前達の好きにはさせない、この世界の幸せは・・・!」

 

「この世界のみんなの夢は・・・!」

 

「「俺達が守る!」」

 

SET

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

二人は同時に構えを取り、同時に叫ぶ。

 

「「変身!」」

 

英寿はアプルーバルリボルバーを回転させストライクトリガーを押した後、『ブーストスロットル』を回し、真はライジングホッパープログライズキーを装填する。

 

DUAL ON

 

プログライズ!

 

GET READY FOR BOOST/MAGNUM

 

飛び上がライズ!ライジングホッパー!

 

A jump to the sky turns to a riderkick.

 

READY…FIGHT

 

英寿は先ほどの姿に下半身が赤いアーマーを身に着けた『仮面ライダーギーツ マグナムブーストフォーム』に、真は『仮面ライダーゼロワン ライジングホッパーフォーム』に変身する。

 

「さあっ、ここからが・・・」

 

「俺達の・・・」

 

「「ハイライトだ!」」

 

二人はマグナムシューター40Xとアタッシュカリバーとプログライズホッパーブレードを手に取りリガドアイズとアークウェルに向かって行った。

 

『使用BGM:Trust・Last』

 

「はあっ!」

 

英寿はマグナムシューター40Xで二人を分断させ英寿はリガドアイズを、真はウェルを相手取る。

 

リガドアイズの攻撃を防ぎながら英寿は『ブースとキッカー』で強化した足蹴りで攻撃を与えていき、真の方もウェルの放つ電撃や氷、炎などの攻撃を躱していきながらウェルに攻撃を与えていく。

 

「なかなかやるようだな、だがジリオンドライバーの力の前にあの小娘は足手まといになるだけだ」

 

そう言ってリガドアイズはグレートアセンブルに触れた。

 

ACCELERATE

 

その瞬間、リガドアイズと英寿以外の動きがスローになる。

 

「荷物を抱えたまま十分に戦えるか!」

 

リガドアイズはそのまま真の元に向かい攻撃を与えようとするが、それに対し英寿は一歩も動かずにいた。

 

そしてスロー状態の真に向けてリガドアイズが拳を振るった瞬間、真はその拳を受け止めた。

 

「何っ!?」

 

「おらっ!」

 

「はっ!」

 

拳を受け止めた真は機敏な動きでリガドアイズを蹴り飛ばし、その先で英寿が追い打ちの蹴りを与え加速が切れた。

 

「はっ!?何であいつが倒れているんだ!?」

 

突然の出来事にウェルが驚く中、リガドアイズも困惑の最中だった。

 

「な・・・何故だ!?創生の力を持ったギーツはともかく、何故突然小娘まで動ける!?」

 

困惑するリガドアイズに英寿が答えを言う。

 

「答えは簡単だ、彼女にも俺と同じ力があるからな」

 

「な・・・何っ!?」

 

「まあっ、使えるようになったのは今朝方なんだけどな」

 

時は遡る事先日、英寿から提案を受けた真はトレーニングルームで説明を受ける。

 

『神の力を扱えれるようにする!?』

 

『ああ、その通りだ』

 

英寿の提案に真は驚きの声を上げる。

 

『先に言っておくと、俺は前の戦いで肉体を失い神様になったんだ』

 

『待ってのっけからとんでもない話になったんだけど!?神様!?』

 

『そこは気にするな、それで俺が時間操作に対抗できたのは神になったお陰なんだ、けど君には俺と同じように神の力が受け継がれている』

 

そう言われて真は自身の胸に手を当てる。

 

『その力を使いこなせるようになれば、おそらくリガドアイズの時間操作に対抗できるはずだ』

 

『あの力を・・・使いこなす・・・』

 

『けど知っての通り今は時間がない、だから俺が創生の力を使ってお前の力を使えるようにする』

 

『使えるようにって・・・そんなことできるのか!?』

 

『それは分からない、何せ俺も始めてやることだからな、うまくいくかどうかはぶっつけ本番だ・・・それでもやるか』

 

英寿の言葉に真は少し考え込み、そして決断する。

 

『・・・俺はこの力を受け取る時神様と約束したんだ、世界を守るって・・・だから俺は受け継いだこの力を使いこなしたい、そして神様が命を懸けて守ってくれたこの世界を・・・みんなの夢を守りたい!』

 

そう言って真は英寿の方を向く。

 

『だから頼む、俺に神の力を使えるようにしてくれ』

 

『・・・ああ、お前のその願い、叶えて見せるさ』

 

そう言って英寿は真に向けて掌を差し出す。

 

『力を使えるように強く願えそうすれば必ず願いは叶う』

 

『・・・・・・っ』

 

真が強く願うと、鐘の音と共に青白い光が真の全身を包んでいった。

 

そうして真は英寿によって神の力を一日限定だが使えるようにしてもらい、時間ギリギリまで神の力のコントロールを行った。

 

「そしてぶっつけ本番でいけるか不安だったが・・・結果は大丈夫だったな」

 

「ああ、これで俺も存分に戦える!」

 

「っ・・・ふざ・・・けるなぁ!!」

 

EXPUNGE…!

 

納得のいかない出来事に怒りをあらわにしたリガドアイズはシリウスカードをスキャンすると、全身の各部から光線が放たれ二人を襲った。

 

SET

 

シャイニングジャンプ!

 

攻撃が直撃し勝利を確信したと思った瞬間、爆炎の中から二人が飛び出す。

 

BOOST MARKⅡ

 

シャイニングホッパー!

 

爆炎の中から飛び出したのは『ブーストマークⅡレイズバックル』を使用して変身した真紅のギーツ『仮面ライダーギーツ ブーストフォームマークⅡ』、そしてシャイニングホッパープログライズキーを使用して変身した『仮面ライダーゼロワン シャイニングホッパーフォーム』だった。

 

「「はあっ!!」」

 

二人は先ほどよりも高速で動き回りリガドアイズとウェルを翻弄しながら攻撃を仕掛けていく。

 

英寿がリガドアイズを、真がウェルを攻撃するときがあれば高速で相手を入れ替え戦闘を続行する息の合った連携を行う。

 

「馬鹿な・・・こんなことがあるはずがない!」

 

READY

 

リガドアイズはとっさにグレートアセンブルにゾンビレイズバックルをセットしウェイキングキーをひねる。

 

ZOMBIE INFINITY

 

「こんな奴らに真の英雄たる僕が負けるはずがないんだ!」

 

ジャックライズ!

 

ジャッキングブレイク!

 

するとリガドアイズの周囲に大量のゾンビブレイカーが繰り出され、そこにウェルが様々な属性を付与し一斉に放って来る。

 

二人は高速で躱していくが数本が直撃しようとした瞬間、真がシャイニングホッパープログライズキーに手をかざすと光が収束しキーにアサルトグリップが取り付けられそのまま押し込む。

 

シャイニングアサルトホッパー!

 

即座に『仮面ライダーゼロワン シャイニングアサルトホッパーフォーム』に変身した真はシャインクリスタを展開し残りのゾンビブレイカーを撃ち落とす。

 

「すっげ・・・こんな簡単に変身できんのかよ・・・!」

 

「呑み込みが早いな、気分はどうだ?」

 

「ああ・・・最っ高だ!」

 

「なら俺も負けていられないな」

 

REVOLVE ON

 

英寿は『リボルブアンロック』を押しロックを解除しドライバーを回転させると、懐からジーンから受け取った『レーザーレイズライザー』を取り出しセットする。

 

SET UP

 

セットするとそのまま『ブーストスロットルマークⅡ』を捻り、『インプットトリガー』を引く。

 

DUAL ON

 

HYPER LINK

 

LASERBOOST

 

レーザーレイズライザーを使用した英寿はジーンとの絆のフォーム『仮面ライダーギーツ レーザーブーストフォーム』に変身し、レーザーレイズライザーを構えて突っ込む。

 

リガドアイズとウェルも攻撃を放つが、英寿は『クロスリアライド』に組み込まれた『バーミリオンブイツイン』でベクトルを操作し壁や天井に移動しながら接近し攻撃し、そこに追撃するように高速で接近した真が予測演算を行い二人の逃げる先に攻撃を仕掛けた。

 

「なんだこの力は・・・真の英雄たるこの僕が追い詰められるなんてことあるはずがないっ!」

 

サウザンドライズ!

 

ウェルはティーレックスゼツメライズキーをサウザンドジャッカーに装填してジャックリングを引くと、刀身に黒緑色の電撃が走る。

 

サウザンドブレイク!

 

ウェルはそのまま斬撃を放つが、真が神の力を使ってキーをメタルクラスタホッパープログライズキーに切り替える。

 

メタルライズ!

 

メタルクラスタホッパー!

 

『仮面ライダーゼロワン メタルクラスタホッパーフォーム』に変身した真はすぐにプログライズホッパーブレードとアタッシュカリバーを組み合わせ認証させる。

 

アルティメットライズ!

 

認証させるとそのままウェルの攻撃を受け止め後ろに押されるが、跳躍と回転で勢いを受け流して逆にそのエネルギーを刀身に宿しそのままトリガーを引いた。

 

アルティメットストラッシュ!

 

ウェルの攻撃を利用して増幅させた斬撃を放ち、ウェルはその攻撃を受け後ろに吹き飛ばされる。

 

「ば・・・馬鹿なっ!?」

 

英寿の方もリガドアイズの繰り出した大量のマグナムシューター40Xを次々と撃ち落としていきながら接近しつつ『クロスオルタネーター』を入力しインプットトリガーを引く。

 

FINISH MODE

 

LASERBOOST VICTORY

 

リガドアイズはとっさにオーディエンスカメラを繰り出すが英寿はエネルギーを蓄積した足で次々と蹴り落としていき、リガドアイズの胸部に強烈な一撃を与える。

 

「こんなこと・・・ありえない、私が負けるなんてことはっ!」

 

EXPUNGE…!

 

リガドアイズは真の時と同じようにオーディエンスカメラをミサイルのように放ちそれら全てが英寿に直撃する。

 

爆炎がはれるとそこには英寿の姿はなかった。

 

「はっはっはっ!跡形もなく消し去ってやったぞ、はっはっはっ!!」

 

「喜んでいるところ悪いが、消し飛ばしていないぞ」

 

英寿が消し飛ばしたと確信し歓喜の声を上げるリガドアイズだったが、背後から声が聞こえ振り返ると。

 

「残念だったな、お前のその動きは予測済みだったから、助けたんだ」

 

既に『仮面ライダーゼロツー』に変身していた真が英寿と共に立っていた。

 

地震の力が全く通用しないことに驚愕し後ずさるリガドアイズの元にウェルが駆け付ける。

 

「おいっ、話が違うじゃないか!力を貸せばあの小娘を倒せるんじゃなかったのか!?」

 

「・・・ふっふっふ」

 

自分たちの力が叶わないことにウェルが苛立ちながら訪ねると、リガドアイズは急に笑い出す。

 

「安心しろ、今頃各地に放ったジャマト共が侵略を終えここにやって来るはずだ、いくらこいつらでも数で押せば・・・!」

 

「悪いが、それは無理だな」

 

「その可能性は0だ」

 

リガドアイズの企みに対し英寿と真が口を出す。

 

「何・・・っ?」

 

「なにせ俺達だけで戦っているわけじゃないからな」

 

「ああ、俺達には共に戦ってくれる仲間達がいるんだからな」

 

二人の言葉にリガドアイズはすぐさまモニターを展開し各所の戦いを見た。

 

 

 

奏と道長は周囲のジャマトを全て倒した後、ナイトジャマトと相対していた。

 

「悪いな、ただのジャマト如きに後れを取るわけにはいかないんだ」

 

「これ以上アタシらの世界を滅茶苦茶にさせるわけにはいかないからな」

 

SET LIBERATION

 

 

 

道長は『プロージョンレイジバックル』をセットし、そのままキーを捻り展開させ、奏はランペイジガトリングプログライズキーを取り出しセレクターマガジンを回転させ装填しトリガーを引く。

 

AWAKENING POWER PLOSION RAGE

 

 

Gathering Round!

 

マンモス!チーター!ホーネット!タイガー!ポーラベアー!スコーピオン!シャーク!コング!ファルコン!ウルフ!

 

READY…FIGHT

 

道長は『仮面ライダーバッファ プロージョンレイジ』に、奏は『仮面ライダーランペイジバルカン』に変身しナイトジャマトとぶつかり合った。

 

ナイトジャマトは手にしている武器で切りかかるが道長が左腕で受け止め投げ飛ばし、そのまま爪でナイトジャマトを切り裂いていき、怯んだところに奏がアビリティアームのコングの力でナイトジャマトを殴り飛ばす。

 

POISON CHARGE

 

道長はそのまま右手に持つゾンビブレイカーの『デットリーポンプ』を肩で引き上げトリガーを引き、そのままナイトジャマトに切りかかる。

 

TACTICAL BREAK

 

そのまま切りかかろうとするが直前でナイトジャマトが緑色の光線を放ちゾンビブレイカーを受け止めるが。

 

「おらあっ!」

 

奏が飛び出し、デットリーポンプに向けて弾丸を放ち再び引き上げる。

 

POISON CHARGE

 

更にエネルギーを蓄積されたのを見て道長は笑みを浮かべ、再びトリガーを引く。

 

TACTICAL BREAK

 

エネルギーが増幅された一撃をナイトジャマトの光線では防ぎきれず押し切られてしまい、そのまま道長は下から切り上げナイトジャマトを天に上げる。

 

切り上げたナイトジャマトが落下してくると同時に道長はキーを二回ひねる。

 

PLOSION RAGE VICTORY

 

二回ひねると道長の左腕に紫色のエネルギーが蓄積されていき、落下してきたナイトジャマトに向けて横に振るい一直線に殴り飛ばした。

 

「決めろっ!」

 

道長が叫んだ先、ナイトジャマトが飛んでいった先には奏がショットライザーを構えていた。

 

パワー!ランペイジ!

 

スピード!ランペイジ!

 

エレメント!ランペイジ!

 

 

セレクターマガジンを四回転させると銃口にエネルギーが蓄積され、そのまま引き金を引いた。

 

 

放たれた弾丸はそのままナイトジャマトに向かって行き、防ごうとするが意味はなくナイトジャマトの体を貫いて爆散させた。

 

「よっし!」

 

 

 

紫苑と景和の方でもジャマトを撃破し残るルークジャマトと戦っていた。

 

「もうお前達の好きにはさせたりしない!」

 

「この世界を不幸にさせるなど1000年早いわ!」

 

SET AVENGE

 

トキシックポイズン!

 

アシッドライズ!

 

景和は『ブジンソードレイズバックル』をセットし『バッケントリガー』を展開し、紫苑はスラッシュライザーを身に着けヴェノムスコーピオンプログライズキーを装填しトリガーを引いた。

 

BLACK GENERAL BUJIN SWORD

 

スラッシュライズ!

 

ヴェノムスコーピオン!

 

An indomitable blade that harbors the deadly poison of hell.

 

READY…FIGHT

 

景和は『仮面ライダータイクーン ブジンソード』に、紫苑は『仮面ライダー滅 ヴェノムスコーピオンフォーム』に変身しルークジャマトを迎え撃つ。

 

ルークジャマトが地面を踏み抜くと大量の蔓が二人に襲い掛かるが、景和は『武刃』紫苑はスラッシュライザーとアタッシュカリバーの二刀流で次々と蔓を切っていく。

 

ルークジャマトがさらに蔓を増やし襲い掛かると紫苑がとっさに前に出ると紫苑はヴェノムアナライザーから毒針を放ち、それが蔓に刺さると瞬く間に蔓が枯れていった。

 

蔓が枯れてしまったのに驚くルークジャマトに対し紫苑はアタッシュカリバーにスティングスコーピオンプログライズキーを装填する。

 

ポイズン!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

トキシックポイズン!

 

キーを装填しつつヴェノムスコーピオンプログライズキーのライズスターターを押し込み、空いた手でアタッシュカリバーを構えると、両方の刀身に紫色のエネルギーが蓄積される。

 

スティングカバンストラッシュ!

 

ヴェノムレイン!

 

蓄積させた二本の剣でルークジャマトを切り裂いていき、最後に十字に切り裂く。

 

「仕上げは任せるぞ!」

 

紫苑がそう言うと後方で景和が武刃を納刀しつつバッケントリガーを二回納刀すると景和を中心に暗くなっていき、その闇はルークジャマトをも飲み込み、タイクーンの目元のバイザーだけが赤く輝いていた。

 

BUJIN SWORD VICTORY

 

そしてバイザーの輝きが線になりルークジャマトを横切ると、闇が晴れた瞬間ルークジャマトは両断され消えていった。

 

「やった!」

 

 

 

セレナと祢音の方でも同じような状況で古代魚ジャマトとぶつかり合っていた。

 

「皆の幸せをこれ以上奪わせない!」

 

「人の幸せを奪おうとする貴方達を許しません!」

 

SET

 

 

 

祢音は『ファンタジーレイズバックル』とブーストレイズバックルをセットし『トゥインクルケイン』を引き『サークルジェネレーター』を回転させブーストスロットルを回し、セレナはトリニティアクセルプログライズキーを取り出しセレクターマガジンを回転させ装填しトリガーを引く。

 

DUAL ON

 

 

FANTASY/BOOST

 

Flash of the Trinity! 

 

Control the land,sea and air the creatures become one.

 

READY…FIGHT

 

祢音は『仮面ライダーナーゴ ファンタジーブーストフォーム』に、セレナは『仮面ライダートリニティバルキリー』に変身すると、古代魚ジャマトは二人に向けて大量の棘を二人に向けて放つ。

 

迫ってくる棘に対しセレナはトリニティクローで、祢音は『ファンタジーエフェクト』で生み出した剣で切り裂きながら古代魚ジャマトに接近する。

 

古代魚ジャマトも剣を手に取り迎え撃つが、セレナの超高速、祢音は自身を幻想にして攻撃を躱していきながらトリニティクローと『ブーストキッカー』で強化した蹴りで攻撃していくと古代魚ジャマトはおもむろに逃げ出し二人は追いかけて行く。

 

二人が高速で追いかける中、古代魚ジャマトは近くの建物を壊しながら進んでいきその瓦礫が行く手を阻むが、セレナは跳躍で瓦礫を飛び越え、祢音は自身を幻想にして瓦礫をすり抜けていく。

 

逃げきれないと踏んだ古代魚ジャマトは近くの湖に潜り込む。

 

「そうはいきません!」

 

ランド!アクセル!

 

スカイ!アクセル!

 

マリン!アクセル!

 

アクセルオーシャンブラスト!

 

セレクターマガジンを三回転させトリガーを引くとセレナの両腕と背中にひれが形成されセレナも湖に飛び込む。

 

湖を泳いで逃げる古代魚ジャマトに対しバショウカジキの能力で猛スピードで追いつくセレナは両腕のひれで古代魚ジャマトを切り裂いていき最後の蹴り上げることで湖から弾き飛ばす。

 

「お願いします!」

 

湖から顔を出し叫ぶと、待機していた祢音はトゥインクルケインを引きブーストスロットルを二回回す。

 

BOOST TIME

 

祢音の足元にきらびやかな陣が生成され、そこから剣状のファンタジーエフェクトを複数作り出しそれを翼のように背中に、爪のように両手に取り付けると、古代魚ジャマトがいる高さまで一気に跳躍しブーストスロットルを回した。

 

FANTASY/BOOST GRAND VICTORY

 

そしてブーストの加速で一気に迫った古代魚ジャマトを両手の爪で切り裂き、背中の剣で突き刺し爆散させた。

 

「いぇい!」

 

 

 

桃恵とウィンでも同じようにビショップジャマトと対峙していた。

 

「そろそろ終わりとしゃれこもうぜ!」

 

「はい、これ以上他の人達を怯えさせません!」

 

REVOLVE ON

 

SET FEVER!

 

インフェルノウィング!

 

バーンライズ!

 

ウィンはドライバーを回転させ『フィーバーレイズバックル』をセットし『ゴールデンレバー』を回転させ、桃恵はスラッシュライザーを身に着けバーニングファルコンプログライズキーを装填しトリガーを引いた。

 

MONSTER!

 

スラッシュライズ!

 

HIT! FEVERMONSTER

 

バーニングファルコン!

 

The strongest wings bearing the fire of hell.

 

ウィンは『仮面ライダーパンクジャック フィーバーモンスターフォーム』に、桃恵は『仮面ライダー迅 バーニングファルコンフォーム』に変身し、ビショップジャマトに挑んだ。

 

ビショップジャマトは起爆性のある赤い胞子を繰り出すが、桃恵がバーニングスクランブラーによる超高温を繰り出すことで胞子が二人にたどり着く前に燃え尽きてしまう。

 

胞子が燃え尽きたことでウィンが一気に迫りモンスターグローブと『ビッグブーツ』でビショップジャマトに近接戦を繰り出す。

 

ある程度攻撃を与えた後、ウィンはラウトクラップメットを二回叩く。

 

HYPERMONSTER VICTORY

 

モンスターグローブに星型のエネルギーが蓄積されていき、そしてそのままビショップジャマトをアッパーで空に打ち上げた。

 

「止めよろしく!」

 

ビショップジャマトが飛んでいった先には、既に飛翔していた桃恵がライズスターターを押し込みトリガーを引く。

 

インフェルノウィング!

 

バーニングレインラッシュ!

 

トリガーを引くと桃恵の体が炎に包まれ、そのまま火の鳥となってビショップジャマトにぶつかり灰に変えた。

 

「やりました!」

 

 

 

マリア、切歌、調、キャロルの方では大量のジャマトをマリアが蛇腹剣で切り払って行き、切り損ねたところを切歌と調がサポートし、三人に襲い掛かるジャマトをキャロルが錬金術と弦で殲滅していく。

 

「数も大体減って来たな・・・そろそろ片を付けるぞ!」

 

「分かったわ、行くわよ二人共!」

 

「うん!」「了解デス!」

 

キャロルの言葉を合図にマリア達はソングローダーを押し込む。

 

アガートラームフィナーレ!

 

イガリマフィナーレ!

 

シュルシャガナフィナーレ!

 

調が大量のリングを生みだし投擲し、そこに切歌がイガリマの斬撃を放ち、更にマリアが白い炎に包まれた短剣を放つと、三人の攻撃が重なり巨大な人型となった。

 

禁結終Ω爍機†TRINTY

 

合体技をジャマトの大群に叩きつけると、そこにキャロルが大量の弦で縛り付け超重力子の塊を叩き込んでジャマトの群れを塵に変えた。

 

「よしっ、あっちの方は・・・大丈夫そうだな」

 

キャロルが向いた方では響、翼、クリス、未来が次々とジャマトを撃破していっていた。

 

「響、合わせるから一気に決めて!」

 

「分かった、翼さん、クリスちゃん、行くよっ!」

 

響の言葉に四人はソングローダーを押し込む。

 

ガングニールフィナーレ!

 

アメノハバキリフィナーレ!

 

イチイバルフィナーレ!

 

シェンショウジンフィナーレ!

 

響が右腕のグリーブを巨大化させ放ち、そこに翼が巨大化させた刀身を放ち、さらにクリスが巨大なミサイルを放つと、三人の攻撃が組み合わさった。

 

我流・三腕合体衝

 

三人の合体技はそのままジャマトの群れに直撃し大爆発を起こすと、そこに合わせるように未来が空高く跳躍すると周囲に無数の鏡を展開しそこから大量の光線をジャマトの群れに向けて放った。

 

未来

 

四人の攻撃が直撃しジャマトは跡形も無くなっていた。

 

「真さん・・・英寿さん・・・後はお願いします!」

 

 

 

「そ・・・そんな、馬鹿な・・・!?」

 

「う・・・嘘だ・・・!?」

 

モニター越しに自分が用意した大量のジャマトが全て倒されたことに驚きを隠せないリガドアイズとウェルに真と英寿は口を開いた。

 

「お前達の描くくだらないバッドエンド如きに、俺達がそう簡単にやられると思うな!」

 

「お前達の敗因は、この世界の英雄達を・・・仮面ライダーを甘く見ていたことだったみたいだな」

 

二人が言い放った言葉にリガドアイズとウェルは静かに肩を震わせる。

 

「・・・認めるか・・・認めるものか!!この私が古臭い人類如きに負けるなんて認めてたまるか!!」

 

「クソがっ!クソがっ!!僕の英雄としての道を遮るやつはみんなみんな消えてしまえばいいんだっ!!」

 

半狂乱の状態の二人を前に二人は横に並ぶ。

 

「さあ、終わりと行くか」

 

「ああ、このくだらないゲームを終わらせる!」

 

英寿は『ブーストマークⅨレイズバックル』を取り出し、真はライジングホッパープログライズキーを手に知る。

 

「神の力を使える今なら出来るはず・・・いや、出来る!」

 

そう言って真が神の力をライジングホッパープログライズキーに注ぎ込むと、その姿を変え『ライジングホッパープログライズキー ゼロワンリアライジングver』に姿を変える。

 

MARK Ⅸ

 

SET IGNITION

 

ジャンプ!

 

オーソライズ!

 

英寿がギーツマークⅨレイズナックルを分離させセットし、真がプログライズキーを認証させると、白い九尾型のロボット『レジェンドキュウビ』と光り輝くライジングホッパーライダモデルが周囲を駆ける。

 

REVOLVE ON

 

プログライズ!

 

DYNAMITE BOOST GEATS Ⅸ

 

イニシャライズ!リアライジングホッパー!

 

A riderkick to the sky turns to take off toward a dream.

 

READY…FIGHT!!!!!

 

英寿はドライバーを回転させ『マークⅨエグゾースト』と『マークⅨイグニッションコーン』を展開し『ブーストスロットルレバー』を引き『仮面ライダーギーツⅨ』に、真はライジングホッパープログライズキー ゼロワンリアライジングverを装填し『仮面ライダーゼロワン リアライジングホッパーXDフォーム』に変身する。

 

英寿は『ギーツバスターQB9』を、真はアメノハバキリとアガートラームの二刀流に切り替えてリガドアイズとアークウェルに迫る。

 

リガドアイズは真の攻撃を防いでいくが、真はイチイバルとシェンショウジンを生成し遠隔で攻撃していき、ウェルもサウザンドジャッカーで英寿の攻撃を防いでいくが、英寿はウェルを壁に叩きつけ創生の力で壊れた壁を修復しウェルの両手両足を拘束し連撃を仕掛ける。

 

リガドアイズはたまらずマグナムシューター40Xの連射を繰り出し真を放し、ウェルも膨大な量の炎を繰り出して英寿を放し拘束を解くと、真はアタッシュカリバーにゼロツープログライズキーを装填し、英寿はブレードモードに切り替え『ブーストチャージャー』を引く。

 

ゼロツージャンプ!

 

『Progrise key comfirmed. Ready to utilize.』

 

チャージライズ! フルチャージ!

 

BOOST CHARGE

 

刀身にエネルギーを溜めると二人はそのまま切りかかりに行きリガドアイズとウェルは防ごうとするが、直前で真と英寿は振り返り武器を同時に投げつけ、真はギーツバスターQB9を、英寿がアタッシュカリバーを手にしそのままトリガーを引く。

 

BOOST TACTICAL VICTORY

 

ゼロツーカバンダイナミック!

 

突然の武器交換に虚を突かれ防御が薄くなり、そこに二人の攻撃が叩き込まれリガドアイズは大きなダメージを受け、ウェルのサウザンドジャッカーが破壊される。

 

そのまま攻撃しリガドアイズとウェルをぶつけると、真と英寿は同時にブーストスロットルレバーを二回引き、プログライズキーを押し込み跳躍する。

 

DYNAMITE BOOST TIME

 

リアライジングインパクト!

 

跳躍すると英寿の背後に青い狐の尻尾状のオーラが現れそのエネルギーが右足に集中し、真の左足に虹色のエネルギーが蓄積される。

 

それを見たリガドアイズとウェルはシリウスカードを二回スキャンし、ティーレックスゼツメライズキーを押し込んだ。

 

DESTROY…!

 

HERO DESTRUCTION

 

二人の腕に莫大なまでのエネルギーが蓄積されるが、二人はそのまま同時にライダーキックを放った。

 

 

BOOST Ⅸ VICTORY

 

リアライジングインパクト

 

四人の一撃がぶつかり合うが、少しづつ真と英寿のライダーキックが押していった。

 

「「はあああっ!!!」」

 

二人は全力を込めると、リガドアイズとウェルの攻撃を貫き二人のライダーキックがリガドアイズとウェルに叩き込まれた。

 

「「がああああああああっっっっ!!!!!」」

 

ライダーキックを叩き込まれた二人は爆炎に包まれ、ウェルは変身が解け地面に倒れ、アイズは爆発に飲み込まれて消滅した。

 

二人を倒したと同時に空に出来ていた大穴が塞いでいき青空が広がっていったのを見て響達は二人の勝利を確信した。

 

そして真と英寿は互いに顔を合わせ、無言で拳をぶつけあった。

 

 

 

 

 

アイズとウェルを倒して少しして、真達と英寿達は別れる時が来た。

 

「もう帰るんだな、まだ感謝しきれてないのに」

 

「ああ、元凶は倒したし長い時間俺達の世界を留守にするわけにはいかないからな」

 

「アイズはお二人の攻撃で消滅、ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスは消えていませんが再び投獄、今度は前よりも強固なところに収監されたようです」

 

「これで全て片付いたわけだな・・・だが我々は被害にあった場所の救助と復旧に向かわんとな」

 

話し合っていると、真が英寿に近づいて話しかける。

 

「ありがとうな、英寿達のお陰でこの世界は救われた、そして一時的にだけど神の力を扱えれるようになれてよかったよ」

 

「気にするな、世界を救えたのはお前達のお陰でもあるし、強くなれたのは前がそう願ったからだ、一度扱えれるようになれば、後は扱えれるかどうかはお前の努力次第だ」

 

「そこは何とかしてみせるよ、なにせ神様からの直々の特訓だからな」

 

「俺も英雄を弟子に取るのは初めての体験だったよ」

 

そう言って二人は笑みを浮かべ、互いに手を差し出す。

 

「じゃあな、神から力を授かった英雄、継菜真」

 

「またな、思いを受け継いだ幸せの神、浮世英寿」

 

二人はそう言って握手を交わし、英寿達は元の世界に帰っていった。

 

英寿達が帰った後、真は自身の手を握り締める。

 

「・・・よしっ!じゃあ早速救助と復旧に行くぞ!」

 

「おっ、えらく気合入ってんな?」

 

「当たり前だろ、それに俺もようやく夢を見つけたからな」

 

そう言って真は空に向かって手を伸ばす。

 

「この神の力を使いこなして、もっと多くの人達の夢と希望を守る!それが俺の夢だ!」

 

真の壮大な夢に翼達は少し驚き、そして笑みを浮かべる。

 

「それはまた、随分壮大な夢だな」

 

「けど、こいつならマジで叶えちまいそうだな」

 

「うん、何だって真さんだからね」

 

「私も手伝いますよ、真さん!」

 

「ああ・・・必ず叶えて見せるさ、この夢を!」

 

そう言って真は青く広がる空に誓った、多くの人達の夢と希望を守り切ると、その願いが必ず叶うと信じて・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劇場版戦姫転生ゼロフォギア×仮面ライダーギーツ The・END of DESIRE 『完』





はい、いかがだったでしょうか?

個人的には即興の割にはよくできた方だと思っています。

それと劇中で出て来た仮面ライダーリガドアイズや仮面ライダーウェルはリガドΩとサウザーのリペイントみたいな感じです。

リガドアイズはリガドΩの赤色の部分が青色になっており、ウェルはサウザーの目元やアーマーの金色の部分が緑色になっており、体に緑色のラインが走っている感じです。

ジャマトに関しては裏のルートで農園から高い金を払ってジャマトを買っているオーディエンスがいてもおかしくないなと言う感じで登場させました。

次に真の神の力についてですが、英寿のお陰で使えるようになりましたが一日限定です、次の日になったら元に戻っています。

けど真ならその一回でコツを掴んで神の力を使えるようになれるかもしれません・・・まあそれを書くかどうかわかりませんが。

それでは長々と後書きを書きましたが、此処までとさせていただきます。

この作品を最後まで読んでくれてありがとうございました、もし気に入ってくれたなら嬉しいです。

それでは読者の皆様、読んでくれてありがとうございました!


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