リメイクされたぜ!モッピーちゃん! (嘘つき魔神)
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断ち切られる青
第1話:何年かぶりの再会


 再会と同時に殺しあう幼なじみがいるらしい。


「……ふふ、空が、綺麗だな……」

「……物騒なもん構えながら(・・・・・・・・・・)言うことか?」

「……はっ、それもそうだな……いつぶりだ」

「……お前が小……4、5のときに越したから……9、10年ぶりか」

 

 互いに懐かしそうに話す男女。これだけ見れば、ラブコメのワンシーンだろうし、諸君もそう想像するだろう。男は刀を両手に、女は大太刀を構えながら、でなければ……

 

「……いざ!参るっ!」

「参らないでほしいな!」

 

 太刀を構え、一直線に男に向かう女。対する男は刀をX字にし、受け止めようとしている。

 

「……シャアァッ!」

「……っ!」

 

 ガキィンと耳障りな音を立てながら互いの獲物が接触する。力は女の方が強いのか、徐々に男の体は後ろに下がっている。不味いと思ったか、蹴りを入れようとする。

 

「……焦ったな?」

 

 だが、女はそれを軽く受け止め、逆に股間に蹴りを入れる。

 

「……!あ、あがぁ……!?」

 

 凄まじい痛みに思わず倒れ、悶える男。それに止めを刺さんと女は太刀を振り上げる。

 

「……さようなら」

 

 その一言と共に、勢いよく太刀が振り下ろされる。このままでは、男は死ぬだろう。しかし……

 

「……!」

 

 女は何かに気づき、太刀を振るう。甲高い音を立て落ちたのは……

 

「……出席簿……!まさか……!」

「そのまさかだ、篠ノ之(しののの)

 

 落ちた出席簿を拾いに来たつり目の女。それを射殺さん勢いで睨む太刀の女。股間を押さえ、泡を吹く男。IS学園始業式の日の出来事であった。

 

-----しばらく後-----

 

「くそっ、酷い目に遭った……」

「酷い目に遭ったのはお前の修行不足だ」

「全く同感だ」

「そりゃねぇよ……」

 

 太刀と鞘を背中に背負ったポニーテールの少女、篠ノ之箒(しのののほうき)。つり目の黒いスーツの女、織斑千冬(おりむらちふゆ)。先ほど股間を蹴られ悶絶していたイケメン、織斑一夏(おりむらいちか)。一夏が不平を漏らすと、二人に怒られる。

 

「……はぁ、にしても、だ。こんなとこで再会とは、世界は存外狭いのか……」

「いや、お前が特殊すぎるだけだろ。私からすれば、どっちもどっちだが」

「私は特殊じゃない」

「充分特殊だ」

 

 さっきからこの調子で会話をしている三人。この三人、実は顔馴染みであり、それと同時にある肩書きがある。が、それは今は置いておこう。

 

「……箒、さっきから突っ込まなかったけど、それって、ISの待機形態か?」

「ん、よく分かったな。お陰で、手入れが不要なのは助かる」

「……お前の攻撃性の象徴かもな」

「あ?」

「ん?」

「……喧嘩はやめてくれ」

 

 ……一応この三人、仲はいいはずである!




 一夏の刀

 ・雪桜(せつおう)

 ・鬼裂(おにざき)

 箒の太刀

 ・??(多分お察し)


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第2話:話をしよう

 こんなことがあった。


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 織斑一夏はこの世界で唯一の男性IS操縦者である。そのすごさを理解するためにはまず、ISというものを理解することから始めなくてはならない。

 

 インフィニット・ストラトス、通称IS。これが開発されるまでの既存兵器を越えた性能を持つ兵器である。また、SE……シールド・エネルギーによる高い防御性能。これらがISを地上最強の兵器たらしめている。しかし、このIS、女性にしか動かせないのだ。これは、制作者である、篠ノ之束(しのののたばね)にも解明できないISの謎であり、世界の世論を女尊男卑に変えた原因でもある。が、そんなことはどうだっていいんだ、重要なことじゃあない。それまで常識だったものを覆した存在、それが織斑一夏である、ということを覚えておけばいい。

 

 篠ノ之、の名を見て、あ(察し)となった人は必ずいるだろう。篠ノ之箒の名字である。篠ノ之束と篠ノ之箒は姉妹である。たったそれだけである。これ以上話すことはありやしない。

 

-----教室に到着-----

 

 一方箒、一夏の二人は既に教室に着いていた。千冬は会議があると言い、途中で別れた。二人が扉を開けると、その音に反応し、全員がこちらを向く。

 

「……満足できんな

 

 箒が小さく呟く。一瞬でこのクラス全員の力量を把握し、自分に至るものはいないと当たりをつけた。

 

「……おぉう、まじで女子しかいないのか」

 

 一方、一夏は自分に向けられた視線に恐怖していた。悪意や敵意といったものはなさげだが、それでも一斉に見られるのはキツいものがある。そして、改めて同性がいないことを察する。

 

「……身の振り方考えなきゃな

 

 両者の呟きは誰にも聞かれず、視線は突き刺さるまま。

 

「……え、えぇっと。織斑くんと篠ノ之さんは何で立ってるんですか?」

 

 ふと後ろから声が聞こえる。そちらを見ると、緑髪の童顔の恐らく教師がいた。

 

「あ、あぁすみません。道に迷ってて……」

 

 一夏はそう言いながら席に向かう。箒もそれに続く。

 

「そうなんですか、ここ広いですからね……」

 

 どうやら、教師は納得してくれたらしい。お陰で、二人は安心して席についた。箒が心配していたかは知らないが。

 

「えぇ、それでは皆さん、入学おめでとうございます!この1年1組で副担任を勤める、山田真耶(やまだまや)です。これからよろしくお願いします」

 

 簡潔だが分かりやすい自己紹介、これに拍手を送らないものはいなかった。入学式後の出来事である。




 一夏アンチを書いている作者さんが一夏に求めているのは、甘えをいったらひっぱたかれ、「千冬の弟扱いをしているのは周りではなく自分だ!」とか、「泣いて何になる!」とか言われる環境なんですかね。


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