Fate/void origin (ポッキー山脈)
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0日目
一人の男


拙いですが、すいません。


 

 

ある男がいた。

その男は「正義の味方」になりたかった。

男は、警察官こそが「正義の味方」であると信じていた。

だから、男は警察官になった。

だが、警察という組織は彼が思っていたような「正義の味方」ではなく、腐敗した組織だった。犯人達が賄賂を送り、無罪になるなど日常茶飯事だったのだ。

 

男は理想と現実のあまりの違いに絶望した。

しかし、警察に絶望した彼もチンピラから、金を平気で受けとる人間に成り下がってしまった。

 

だが、ある強盗殺人事件の最中に彼は同僚と共に犯人を追い詰めた。が、そいつは男が賄賂を受け取ったチンピラだった。

「みのがしてくれ」とせがむチンピラに男が困惑している中、男の相棒は被害者の傷痕とチンピラの仕草からそいつが拳銃を持っており撃とうとしていることに気が付く、いや気付いてしまった。

チンピラは、困惑している男を見て犯行に使った拳銃で同僚諸とも二人を殺害する気だったのである。

それに気付いた“彼“は男を守るために飛び出した。

そしてー。

 

“彼“は死んだ。男を弾丸から守ろうとして。

チンピラは逮捕されたが、それにより男の賄賂も明るみになった。

男は職を失った。

男は、一生降ろす事の出来ない罪の十字架を背負ってしまった。

男の心の中は、滅茶苦茶になっていた。

男は、「落ちてしまった」。

一度落ちてしまうとそこからはもう「落ち続ける」だけ。

「落ちる」のを止める事は非常に難しい事だ。

男は、酒と女に溺れた。

路頭をさ迷った。

落ちて落ちて落ち続けた彼は、警察とは正反対の、ギャングになった。

 

ー彼が入ったギャングは入団する際に選定を兼ねて、不思議な能力を与えられる。

しかし、能力が定着しなかった者は、

そこで死ぬ。

この能力は、使おうとする者を選ぶ。

つまり、「組織に入団出来た」=「能力に選ばれた」ということなのだ。

その能力の名は、●●●●。

魂の像《ヴィジョン》。

その者の心を体現した物。

ある意味、固有結界と言えるのかもしれないー

 

男がギャングになって数年後、一人の少年が男のチームに入ってきた。

男の居たチームのメンバーは全員非常に若く、最年長の男でさえ二十一歳だった。

新しく入ってきた少年はなんと十五歳。

他のメンバーが驚きながら少年を迎えているなか、男だけは少年を迎え入れようとはしなかった。

男は少年が気に入らなかった。何故かは分からない。

自分とは対照的なのが気に入らなかったのだろうか。

夢に満ち溢れているという、自分にはない面が。

 

男は、少年に茶と称し、自分の小便を飲ませようとした。他のメンバーは、男が気に入らない新メンバーに小便を飲ませようとする事を熟知していたし、少年がどんな困った素振りを見せるかが気になっていたこともあり、止めようとはしなかった。

だが、少年は自らの●●●●を使い飲み干したように見せた。

他のメンバーは、驚きつつも勇気あると見えたその行動に感嘆したが、男だけは違った。

彼は気にくわなかった。彼は、夢に満ち溢れた少年に無理矢理小便を飲ませる事で少年に屈辱を与えようとしたのに、彼はそんな事態を防いだ。

少年の方も快く思っておらず、両者は仲がいいとは言えない状態に陥ってしまった。

 

男と仲間達は、ギャングを裏切った。

理由は簡単だった。

彼らは、ボスの娘の護衛を命じられた。

しかし、ボスが娘の護衛を命じたのは自分の栄光を失墜させるかもしれない娘を自らの手で殺害するためだったからだった。

真意を知った彼らは、組織を裏切った。

彼らは裏切り者となった。

彼らは逃げながら、ボスを倒す為の手掛かりを求めた。

男の能力が切り札だった。

しかし-。

 

 

 

男は殺された。

 

 

彼の能力の危険性を知っているボスの手によって。

彼は死んだ。

彼の敵《ボス》によって。

確かに、彼は死んだ。

だが、

 

 

それは犬死だったのか?

 

 

 

仲間達は、彼の死を嘆き悲しんだ。

だが、ある仲間が男の手に握られていたものを見つけた。

その仲間は能力を使い、男の手に握られていた石片の元を調べた。

その仲間は、生命を吹き込む能力を持っていた。

生命を吹き込まれた石片はハエになり、あるべき場所に戻った。

そこにあったのは

 

 

 

ボス《敵》の素顔だった。

そう

男の死は無駄ではなかった。

彼は死の間際に最高の手掛かりを残していったのだ。

そして、生命を吹き込む能力を持った仲間とは

・・

あの少年だ。

男とは全くウマが合わなかった、あの少年。

少年が入団してからも、二人の関係はお世辞にも良いとは言えないものだった。

しかし、男はとっくに少年を仲間と認めていたのだ。

 

死の間際、男は自分を庇って殉職した同僚と再会を果たした。

同僚は男の事は、恨んでなどいなかった。

それどころか、ずっと男を見守っていた。

それらを知った男は非常に満足して、天国に昇っていった。

 

-死の間際、男が見たものが本当に同僚だったのか、幻だったのか誰にも分からない。

 

唯、彼の死は彼にとって非常に満足したものとなった。

 

さあ、長くなってしまったが今こそ明かそう。

彼の人としての人生《物語》は果たされた。

しかし、彼は全く異なる物語を紡ぐだろう。

 

さあ、さあ、さあ、さあ、さあ、さあ。

・・

彼の真名を明かそう。

 

正義に絶望しながらも、新たな道を歩み足跡を残していった彼の名を。

 

彼の名は

 

 

 

レオーネ・アバッキオ。

この物語の主人公である。




ちょっと、次はいつになるか分かりません。
二週間以内には更新したい…。


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