艦これ短編集 (ジャック・アヴェンダドール)
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夕張の暇なひと時

改ニ実装前にpixivに上げたものです。
夕張さんって湾岸のエイジとか黒木さん的な感じっていうイメージが強いんですが改ニになってロボアニメ好きっぽく見えるようになったのは私だけでしょうか?


 夕張が勝手に間借りしている倉庫の一角。その中には車が数台や数人分の艦娘の艤装、様々な工具やパイプベッドなど色々置かれており、趣味全開な空間と化していた。

 その場所にいるのはガレージの主である夕張がベッドに横になってボーッとしている。

「……暇」

 そう呟くのも仕方ない 今日は鎮守府待機で外にも出れない状態だった。しかも鎮守府の中で暇を潰そうにも知り合いは大体出撃していて、1人で過ごすしかないという事態に陥っていた。

「……ベスモでも見るか」

 起き上がってDVDを取りに自室に行こうとするがふと思い出す

「あー今非番の子達が私の部屋で映画みてたんだっけか……」

 と言って椅子に座り、顔を見上げて天井を見ていると

「うあー……何故私の部屋なんだー」

 そう言いながら椅子をゆっくり揺らして時間が過ぎるのを待っていたら扉が開く音がした。

 夕張がそっちの方を見ると、どうやら弥生が入ってきたようだ。

「ん? 珍しいね、弥生ちゃんがここくるなんて」

 そう夕張が問いかけると弥生は顔を変えないまま話しかける。いや何かしらの変化はあるのだろうが弥生の硬い表情から夕張は感情を読み取れないだけだが

「少し、相談を……したくて……」

「いいよ、どうせ暇だし」

 そう言うと夕張はもう一脚椅子を持ってきて弥生を座らせる

「んで? 相談っていうのは?」

「はい……今日の演習で、艤装の音が、おかしく 聞こえたんです……それで明石さんに見てもらったんですけど、異常は無いって言われたんです……でもやっぱり気になって……」

 そう言う弥生の表情は夕張でも分かるくらい暗くなっていた これは深刻と見た夕張は暇潰しも兼ねて弥生の相談に乗ることにした。

「OK分かったわ。艤装こっちに持ってきて、軽く回してデータ取るわ」

「ありがとう、ございます」

 そう言うと弥生は外に出る。夕張はそれを見送るとケーブルや機械を引っ張り出した。

 

 しばらくすると弥生は艤装を背負って戻ってきた。

「あの……これをどうすれば?」

「そこの台に乗って少し待ってねー」

 というと夕張は準備していたケーブルを弥生の艤装に手際良く繋いでいく。全部のケーブルを繋ぎ終えパソコンを少し弄ると

「よし準備完了っと 弥生ちゃん、エンジン掛けてゆっくりと出力を上げていって」

「は、はい」

 夕張の言葉に弥生は素直に従い、出力を上げていく。夕張は作業しながら弥生にいくつか質問をぶつけていく

「……今のところはまだ大丈夫かなーっとそういえばどんな時におかしいと思ったの?」

「相手からの攻撃を避けた時に、ほんの少しだけ……です」

「となると出力を一気に上げた時か……弥生達の艦隊ってどんな艦隊だっけ?」

「空母機動部隊、で飛鷹さん旗艦でした……けど何か関連が?」

 そう弥生が問いかけると

「今は何も異常が起きてなくてね、もしかすると特定の条件下でそういう不具合が起きる系の奴かなって」

「そう、なんですか」

「ただの勘よ勘。それじゃ演習の時と同じように出力を一気に上げよう 私が合図したら敵の攻撃を避けるような感じで出力を上げて」

 その言葉を聞いて弥生は出力を落とし集中しだす。夕張はパソコンを見てタイミングを測り合図を出す。

 その合図で弥生は一気に出力を上げると艤装から一際大きい音を出していく。その音には目もくれず夕張はパソコンを凝視したと思ったら納得したかのような表情をする。彼女は弥生に大きい声で指示を出す

「もう大丈夫だよー! 原因がわかったから!」

 その一声で弥生は出力を落としていき、最後には完全に艤装の稼働を止める。

 夕張は稼働を止めたタイミングで弥生を呼ぶとパソコンの画面を指差す。

「ここの出力を一気に上げた時なんだけど、一瞬で限界まで上がってそこから少し下がってる。普通ならここの点よりも低いところに収まって、どこから穏やかに上がって行くんだ」

「え……でもなんで」

「原因は多分、艤装のギア部分。ギア同士が噛み合いきれず空回りしちゃってて、それが出力に影響出てるんだ。ほんの少しだけだけどね」

 その言葉を聞いて弥生は下を向いてしまう

「弥生が、無茶を、したから?」

「弥生ちゃんに原因があるわけじゃ無いよ。ここの部品、使っているうちに摩耗していくものだから仕方ないものだよ」

 そう言いながら何かを書いていく夕張。彼女が何を書いてるのかと弥生が首をかしげていると

「はい、これ明石さんに渡しておいて。こっちには原因のパーツが今無いから、そっちにあると思うから」

 と言いながらメモを渡す。それを弥生が見ても専門的な用語が書かれていて読めない。辛うじて読めたのは睦月型の文字ぐらいだ。

「これ……は?」

「注文票とかそんな感じの。それ渡せばあっちで直してくれるから」

「ありがとう、ございます」

「いいのいいの。暇だったし、それよりも早く行きな?」

「はい」

 その表情は満面の笑みを浮かべていた。お辞儀をして外に出て行く。それを見た夕張は伸びをしてまた椅子に座りにいくのだった。




ここまでご覧くださりありがとうございます!

この話を書いていた時って確か艦これRPGのセッション後のノリで作ったおうな代物だった気がします。
ガレージで寛ぐ夕張さん…その横には国産スポーツカーとかありそう(小並感)
とか思ってます。


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望月と吹雪、商店街に行く

タイトルの通りです。(以前にpixivに投稿した物です)
胸糞悪い展開があるのでそういうのが見たくない方は戻るボタンを押して下さい。



望月って意外とアウトドアな気がする
吹雪は…普通に出るとこには出てそうな気がします


 ある日、望月と吹雪は鎮守府の外の商店街に来ている。2人は今日は非番の日で正面玄関でバッタリ出会った2人はそのまま一緒に行く事になった。

「しかし意外だね、望月ちゃんが外出るなんて」

「いやあたしの事なんだと思ってるんだ?」

「初雪ちゃんの同類」

「否定はせんけどさぁ……割と外出るよ? あたしは」

 吹雪は驚いた顔をする。自分の妹である初雪に似た雰囲気を持った望月の(本人にとって)意外な一面に驚愕したのだ。

「なにさその顔は? 昼全部奢らせようか?」

「ごめんごめん。じゃあ行こ!」

「うーっす」

 そうして2人は商店街の中を進んでいく事にした。

 ふと吹雪が思い出したかのように望月に聞いてみる。

「そういえば、望月ちゃんってどうして外出てるの?」

「んぁー実は三日月から頼まれごとをされてな、その買い物。そういう吹雪は?」

「え、私はーそのー……」

 恥ずかしそうにモジモジする吹雪。それを察した望月は

「あーなんとなく回りたかったのか」

「うん……やっぱ変かな?」

「いんやぁ? あたしらみたいなモノグサじゃなけりゃ偶には外に出たくなるでしょ」

 という望月は吹雪を見て、困った笑顔を見せながらある店に入った

「そうかな? っとここは?」

「文房具店。さっき言ってた頼まれごとでね……そうだ吹雪にも選んで貰うか」

 ちょっと意地悪なニヤケ顔をする望月に吹雪はキョトンとした表情を浮かべ

「へ? 何を?」

 と聞くしか無かった。

「三日月の奴、最近執務補佐とか色々やってるだろ? それでボールペンとかが足りなくなってるようでな。どうせなら可愛い奴買ってやろうかとね」

「そっかぁそういう事なら喜んでやるよ!」

「よし! じゃあ吹雪はボールペンを頼んだよ。あたしはメモ帳見てくるよ」

「うん! 任せて!」

 と言い、2人は一旦分かれる。

 

 

 しばらくした後、2人が合流し持ってきた物を確認する。

「何持ってきたー?」

「これとかどうかな?」

 吹雪が出したのは卵の殻に半分入った無気力な黄色いキャラが頭に乗っかったボールペンとエッフェル塔形をしたボールペンと数本のシンプルなボールペンだった。

「こっちはまぁいいとして、なぜエッフェル塔……」

「なんか見つけちゃって……面白そうだったから」

「いやまぁいいけどさぁ」

 そういう望月の表情は微妙な顔をしていた。吹雪には見えなかったが。

「そういう望月ちゃんは何を選んだの?」

「あーこんなのだよ」

 と言いながら、見せたのは三日月模様の入ったメモ帳だった。

「三日月の名前に合わせたんだが……安直過ぎたかな?」

「いや全然オシャレだよ! 私のなんて……」

 手に取ってるエッフェル塔を見ながら恥ずかしそうにする吹雪。

「いいんじゃないの? 中々ないだろうし」

「そうかなぁ……」

 落ち込む吹雪を慰めながら会計を済ます2人。次に向かう場所を何処にするか決めようとしたその時、望月の腹の虫が鳴った

「……お昼、食べに行こっか?」

「……はははは。うん行こっか」

 2人は昼食を探しに歩き出した。

 

 

 暫くすると2人は洋食店を見つけ、そこに入る。中はそこそこ広く、お昼時を過ぎた辺りではあったがまばらに人がいる状態だった。

 店員に案内された席に座り、食べる物を考える2人

「何にしよっかな〜?」

「んーむ……どうするか……」

「あ、このナポリタン美味しそう これにしよ!」

「あたしは……まぁいいや、吹雪のと同じので」

「じゃあ店員さん呼ぶね?」

 店員を呼び出し注文をする2人。出てくる料理を静かに待ってる時に、近くの席に男女3人が座る。少しすると話し声がする。

「なぁ、あれって艦娘じゃね?」

「だよなぁ……怖いわぁ」

「なんでバケモノを放ったらかしにしてんだよ……バケモノらしく閉じ込めておけよ」

 男のその言葉に吹雪達は怒りを覚えた。それも当然だ、自分達が守っている人達にそんな事を言われる筋合いは無いからだ。

 吹雪は席を立ち上がろうとしたが望月はそれを止める。

「待て吹雪」

「望月ちゃん! 悔しくないの⁉︎」

「悔しいさ、でもここで言ったって何もならないんだから。抑えて」

 そういって吹雪を宥めようとする望月。しかし

「ふん、人間の真似事なんてやってんじゃねぇよ」

 という言葉が男から出た時、望月も立ち上がった。

「……あんたら、さっきから何言ってんだ」

「事実だろ? お前達は人を殺せる武器を持ってる。そんなのが街をウロついてるんだからよぉ」

「だからって! あんな言い草は無いんじゃないですか⁉︎」

「バケモノにバケモノって言って悪いかよ」

 悪びれもせずに言い放つ男。望月はそれに対して反論する

「あたしらは確かにあんたらから見たらバケモンみたいな力を持ってる。だけどな、あたしから見たらお前達のがよっぽど化け物に見えるよ」

「あんだとチビの癖によぉ!」

「あなたはその化け物に守られてるんですよ! 私達が必死になって、戦って! それがなんで分からないんですか!」

 

 

 そう力説する吹雪、しかし男はそれを聞いて反省する所か逆上して

「なんだよ! ずっと海の上に居ればいいだろぉがよ! 船は船らしくずっと浮かんでろ!」

 男は大声を上げながら反論する。その様子は少々狂ったかのような感じだった。

「あぁ? お生憎様あたしらは船であって生物でもあるんだ。しかも人と同じ知能を持ったな。少しぐらい娯楽を楽しんだって罰はあたらんだろ」

 望月が呆れたかのように言う。男はそんな望月の様子についに切れて

「ふざけてんじゃねぇ! ぶっ殺してやる!」

 そう言いながら男は望月に襲いかかる。それを望月は合気道の要領で組み伏せる。

「いててててて、おい離せ!」

「はぁ……あたしら一応軍人だよ? こうなる事分からなかったか?」

「おい離せって言ってるんだよ! バケモノ!」

「ん? なんか言った?」

 と言いながら望月はさらに締める力を強める

「あがぁぁぁぁぁ!」

「暴行未遂でしょっぴくからな」

 そう言いながら騒ぎを聞きつけた警官に、男を突き出す。連れてかれる間際男は

「ぶっ殺す! ゼッテェ許さねぇ!」

 と言い、そのまま連行された。残りの2人はいつのまにか何処かに去っていた。

 

 

 望月達が席に戻ろうとしたがあれ程の騒ぎのせいか客全員が2人に視線を送っていた。

 望月はばつが悪そうにしていると

「……お騒がせして本当にごめんなさい!」

 吹雪が頭を下げる。暫くの沈黙の後、何事も無かったかのように視線を元に戻し、話し声がし始める。その中には「怖かったぁ」と安堵する声や「艦娘スゲー!」と言う声が上がってた。

 望月はその様子にホッとして店員に話しかける

「騒がせてしまってすみませんでした。壊してしまった分は弁償しますんで……」

「いえ、壊れた物は一切無かったんで大丈夫ですけど……次はご遠慮下さい」

「はい、本当にごめんなさい……」

 望月達は謝罪を済ませると席に戻る。既に料理が出されていたが、さっきの出来事のせいか居心地が悪いようで落ち着かない様子だった。

「あんなことあったのにいていいのかな?」

「でもせっかくの料理食べないとそれはそれでダメな気がするけどなぁ」

「うぅやっぱり気まずいよ……」

「まぁコイツ食ってから考えようか」

「……そうだね」

 2人はナポリタンを素早く食べ、会計を済ませて外に出る。

 

 

「望月ちゃん! 本当にごめん!」

「いやいいさ。あの発言はあたしも頭に来たから」

 近くにあった公園で吹雪は改めて望月に謝罪する。望月は気にしてないようだった。

「でもせっかくの休みなのに……」

「これはこれでいい休日になってるよ。それより吹雪、これからどうする?」

 望月は吹雪に問いかける

「何にも考えてなかったけど……今日は疲れちゃったから帰ろっか?」

「そうだねぇ、こいつを早いとこ三日月に届けたいしそうしますかね」

 吹雪は鎮守府に向かって歩き出そうとした時、望月が小さい声で

「……吹雪は凄いよなぁ」と呟いた。

「ん? 望月ちゃん、なんか言った?」

「いや、何でもないさ。それよりもさっさと帰るぞー」

「え、待ってよー望月ちゃん!」

 望月は独り言を隠すように早歩きで歩いていく。それを追いかける吹雪の様子はいつも通りに戻っているようだった。




こんな胸糞悪いものを見てくださってありがとうございます
これ書いてた当時の俺どうしてこういう展開にした…って言いたくなりますけどまぁいいや

一般人の艦娘に対する反応って極端そうな感じです。
フレンドリーな感じのはとことんフレンドリーで逆に忌み嫌う人達は袈裟まで憎そう


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ウォースパイト、お土産を貰う

これを書いていた当時、うなぎパイのハイエースが横切ってるのを毎日みていたら思いついた物です。
そんなこと書いているのにうなぎパイを食べた事が記憶上無いというのは公然の秘密という事で
これを書いていた時、アイデアを貰ってそのまま採用してたりしてました。


※『』内は英語で話しています

 ある日の昼、鎮守府の中を歩いているウォースパイトは綾波に出会う。

「あ、ウォースパイトさん! こんにちわ」

「あ、アヤナミ。Good afternoon」

「この前、静岡の方に行ってきてお土産買ってきたんです。それでこれを差し上げようと」

 そう言いながら出したのは大きく[う]と書かれた箱。文字の中にはうなぎパイと書かれていた。

「um-hum. ……ウナギ、パイ?」

「そうです! 静岡の名物の一つなんですよー」

「Thanks.あとでいただくわね?」

「はい!」

 ウォースパイトはその箱を持ったまま自分の部屋に戻った。

 

 部屋に戻った彼女はその箱を開けてみると、中に入っていたのはサクッとしていそうな見た目だった。しかし彼女の想像とは違ったようで

『え? これがうなぎパイ?』

 と困惑した。それもそのはず。彼女が想像していたのはスターゲイザーパイと呼ばれるニシン数匹を丸ごとぶち込んだパイのような何かだった。

 ウォースパイトが困っているとドアを叩く音と声が聞こえる。

『レディ 入るがいいか?』

『ネルソン? 大丈夫よ』

 そう言って入ってきたネルソンはウォースパイトが見つめている箱を見て一言

『うなぎ……パイ?』

『静岡のお土産らしいわ。アヤナミから貰ったの』

『それにしては形が全然違うようだが』

 ネルソンもウォースパイトと一緒の考えに至ったようだ。暫く考えるそぶりを見せた後、彼女は

『ならば私が本物を見せてやろう!』

 と言いながら部屋の外に出る。それを見たウォースパイトは首を傾げながら

『え?』

 と反応するしかなかった。

 

 その日の夜、ウォースパイトはネルソンに呼ばれた。なんでも夕飯を作ったというので行ってみると、そこにはお土産をくれた綾波と何故か金剛と比叡がいた。

『コンゴウ? なんでいるの?』

『ネルソンに呼ばれたんデース。ウォースパイトも?』

『そうよ。でも珍しいわね……』

 金剛も余り知らされてないらしく、不思議そうにしていた。その横にいた比叡と綾波も同様で何が出てくるか話していた。

 少しするとネルソンが現れる。その手にはクロッシュを被せた皿を持っていた。

「待たせたな! 今日のメインディッシュだ!」

 と言いながらクロッシュを開けると、そこにはウナギの頭と尻尾が出ているパイのような何かだった。

 

 それを見た反応は金剛は『なんで⁉︎今日まだ12月23日じゃないでしょ⁉︎』と錯乱し

 

 ウォースパイトは「Oh,Stargazy pie?」と少しだけ驚いた様子で

 

 比叡は(うわぁ……イギリスでも特に不味い代物だぁ)と絶望して

 

 綾波は「わー、これがイギリス料理ですかー」と言いながらワクワクした様子だった

 

 阿鼻叫喚の状況を無視したのか気づいてないのかはいざ知らず、満面のドヤ顔をしているのを見たテレビっ子でどう民な比叡は(あ、これピストル大◯のパターンだ)

 と全てを諦めた様子だったとか。

 綾波はネルソンに聞いてみた。

「そういえばどうしてこれを作ったんですか?」

「ウォースパイトが貰っていた奴があっただろう? アレを見て、静岡の土産とかいうが本場はUnited Kingdomだと証明してやろうと思ってな」

「もしかして……あのうなぎパイの事ですか⁉︎」

 驚く綾波 自分があげたお土産がこんな事にまてるとは思ってなかった。そしてこの料理の事を全く知らなかったのでより嬉しく思った。

 

「エーット……じゃあいただきマス」

 金剛が一口食べる、それと同時に比叡と綾波も食べる。少しして金剛と比叡は苦悶の表情に変わり、綾波は机に突っ伏しながらなにも喋れなくなった。

「ネルソン! これうなぎを3枚におろしてないネ!」

「骨が……ほぼ残って……」

「そりゃあうなぎパイだからな!」

 自信満々に豪語するネルソンに首を横に振りながら肩を掴む金剛と比叡。ウォースパイトはうなぎパイのようなものを食べつつ、その様子を不思議そうに見ながら言う。

「コンゴウ? どうしたの?」

「ウォースパイト、ネルソン……うなぎパイは全然違う物デス。綾波があげたものであってマース……というかなんでウォースパイトは平気ナノ?」

 金剛は聞く。何故彼女は平然としてあの物体を食べられるのか不思議に思ったからだ

「私は年に一回食べていたから慣れてるの」

「あぁー……」

 遠い目をするウォースパイトを比叡はこれまた遠い目をしながら彼女を見つめる。

「それにイギリスでは子供には人気なのよ?」

 言いながらウォースパイトはドアの方に顔を向けるとドアが開き、ジャービスが入ってくる。

『ハイ! いい匂いがしてたから来たよ! それはスターゲイザーパイ⁉︎私にも頂戴!』

『じゃあ私の分あげマス……』

『わーい! ありがとうコンゴウ!』

 食べ出すジャービス、美味しそうに食べている様子を見て比叡は思った事を言う

「イギリスの子供には人気なんですね」

「そうね、子供達には人気ね」

 言っている間にもウォースパイトとジャービスが食べ続ける。比叡は食べずに綾波を医務室へ運んでいった。その間綾波はずっと気絶していた。

 阿鼻叫喚となった夕飯。残ってしまったうなぎパイはウォースパイトとジャービスらによってなんとか食べられた。

 綾波は翌日、一日中寝込んでいた。

 

 数日後、改めてうなぎパイ(静岡の方)をティータイムに食べる事になった。

 金剛が大きな皿にうなぎパイを大量に置く

「さぁうなぎパイを召し上がれ!」

 そう言いながら自分の分を取る金剛。綾波は盛られたうなぎパイを見て

「あれ? 金剛さん達も静岡に行ったんですか?」

「いえ、この前の事を霧島に話したら通販で取り寄せてくれて……それでみんなにも食べさせてあげようと金剛お姉様が」

 比叡は説明しながらうなぎパイを放ばる。目を細めながら美味しそうに食べていた。

 その様子にウォースパイトとネルソンは困惑しながら一口齧る。2人が咀嚼していると次第に目を見開いていき、残りを齧り出す。

「美味しいわ! 紅茶にも合うわね!」

「うむ! なかなか美味であるぞ!」

 その様子を金剛はウンウンと頷きながら言う

「これはこれで良い物デショ? イギリスのパイもいいけど、ああいうのは……ネ?」

「流石にアレはダメだったか……今度は普通のパイをもてなそう」

 ネルソンが言うと綾波が怯え出す。何事かと比叡が様子を伺うと

「あれを……また……?」

 すっかりトラウマを植え付けられてしまった綾波。ウォースパイトはその様子を見て宥めるように

「Ah……アヤナミ。UKのパイはアレよりももっと美味しい物がいっぱいあるわ」

「いや、そういう話しじゃないと思いマース。綾波、深呼吸をするネ」

「はい……すぅ……はぁ……ありがとうございます」

 金剛のお陰でようやく落ち着く綾波。ホッとした金剛は手を叩いて

「サァ! ティータイムはまだ続くヨ!」

 と言って紅茶を継ぎ足す。その後はゆったりとした時間が流れていき、和やかな雰囲気で進んでいくのであった。

 

 その後、綾波が間宮の力を借りてイギリス式パイを克服したりするがそれは別の話……




ここまでご覧くださりありがとうございます!
イギリスの魚料理はヤバいというのは偏見だけではない…ですよね?
この話での一番の被害者は綾波だと思って、彼女主体の話を作ろうとしても未だにネタが出てこないです。
いつか書きたいなとは思うけどそれはいつになるのやら…


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秋雲と風雲と初雪、間宮で語らう

タピオカチャレンジ、一時期流行ってた時に作ろうとした物です。
なんだろうこの3人ならこういう話になる…と思ったらこうなりました。


 初雪と秋雲と風雲は、甘味処間宮で一服していた。

 紅茶を飲んでいると秋雲が話し出す

「そういえばさー最近タピオカチャレンジってあんじゃん?」

「なによ突然。まぁ確かに流行ってるとは思うけど」

「ツイッター…とかに、出てくる…」

 他の2人は飲みながら秋雲に顔を向ける。

「んでさ、うちの艦隊でやりそうなのどんだけ居るかなーと思ってさ」

「いや何考えてるのよ!」

 突拍子の無い発言に風雲が思わずツッコむ。

 お構い無しに続ける秋雲

「なんとなく二航戦の2人はやってそうじゃない?」

「あー…確かに」

「なに納得してるのよ!」

 

「あ…そういえば、だけど…」

「え?」「ん?」

 初雪が何か思い出した。

「昨日、遠征から、帰ってきた後、なんだけど…」

 

 〜〜昨日 執務室〜〜

 初雪はその日の遠征を終わらせて報告をしに執務室にやってきた

「司令官、入るよ…」

 ガチャとドアを開けると正面に提督がいて、その横には今日の秘書艦である浜風がいた…のだが

「…何か?」

 初雪の視線に気付いた浜風が問いかける。

「いや…なんで、それ…やってるの?」

 “それ”とは、手を使わずプラスチックのコップを浜風の胸部装甲の合間にを挟んで、そこにストローを刺して飲んでいる光景の事だった。

「…ああコレのことですか?」

「私への、当てつけのように…それに…司令官も…」

 初雪が提督に視線を移すとそこには、困惑しながら顔を逸らす提督の姿が写った。

「いや、こいつ天然でやってんだよ。お陰でこっちも目のやり場が…な?」

 提督の発言にキョトンとした表情で首を傾げる浜風。

「こうすると作業の手を止めずに飲み物が飲めるので…何か問題でも?」

「いや、恥ずかしく…ないの?」

 初雪の発言に再びキョトンとする浜風。

「透けてるよ…」

「え?…きゃ⁉︎」

 視線を落とした瞬間、浜風は顔を赤らめる。

 そうコップに付いていた水滴によって透けて中の下着が薄く見えていた。

「提督…まさか気づいてて…?」

「あーまぁ…でも言いづらいんだよ俺からだとヨォォ!」

 叫ぶ提督、そこに遠慮無しに初雪が問う

「え?そこは遠慮、するの?」

「お前の中での俺は一体なんなんだ、とりあえず浜風お前は着替えて来い。あとさっきのアレ禁止な」

「わ、分かりました!」

 と言いながら外に駆け出す浜風を見送る2人だった

 

 〜現在〜

「という事が、あったよ」

「うちの姉がすんませんしたぁ!」

 座ったまま頭を机につけて謝罪する秋雲。

「でも浜風がそんな事するなんて意外ね」

「まぁ浜姉ぇと磯姉ぇはそういうところ無頓着な部分あるしまぁ…」

「それを、浦風が咎めてる…?」

「そういうことー。そう言えば夕雲型ってそういうの無いのー?」

 風雲に聞いてみる秋雲。

「いやうちんところは大体出来ないわよ?出来たとしてやりそうなの居ないし…」

「そう?夕雲とかさ?」

「同じ駆逐隊の仲間をどんな目で見てるのよ?」

 ジト目で秋雲を見る風雲。

「自分で言うのもなんだけど風雲も同じ駆逐隊だからね?」

「あぁ…うん。そういえばそうだったね…」

「何か、あったの?」

 頭を抱える風雲に初雪が聞いてみる。

「秋雲がさ、私をネタに書いてたんだよ!同人誌を!しかもそれ私が売るハメになっちゃうし!」

「えぇ…」

 秋雲の方に指を指して少し大きな声で愚痴る風雲。

 流石の初雪も若干引いてるようだ。

「いやね、一昨年って色々重なって時間が取れなかった時にこの風雲がね?ネタ提供してくれたんだよ」

「何を、したの…?」

 純粋な目で風雲を見つめる初雪。

「ここでは言えない事を…」

「いや全然言えるからね⁉︎」

 秋雲の言葉を遮るように否定する風雲。

「たしかネタになってたのは…」

 

 〜〜一昨年 第十駆逐隊寮にて〜〜

 椅子に座っている風雲は自分の足で椅子の前の方を浮かせていた時だった。

「かーざーぐーもー!」

「うわぁあ⁉︎」

 不意に肩を掴まれてビックリしたのか、彼女は思いっきり足を蹴ってしまい、椅子が後ろに倒れこむ。

 後ろにいた誰かも巻き込まれて倒れこむ。

「いたたた…もぉいきなりはやめてよ秋雲!」

「はははは、悪い悪い。…しかし絶景だなぁ」

 不思議に思った風雲は秋雲の方に振り返ると、秋雲からは彼女のスカートの中にある水玉の…

「…秋雲のバカァ!」

「ウべァ!」

 風雲はそのままの体勢で秋雲に蹴りを入れた。

 

 

 〜〜現在〜〜

「というのがあってね…」

 どこか遠い目をした風雲。

「いやー少年漫画のようにあそこまでの事が起きるとか最高だったね!」

 反面秋雲は満面の笑みで答えた。

「えぇ…」

 再度引く初雪と会話のネタが尽きないが、ここで別の人から声がかけられる。

「秋雲さん、風雲さん。ここに居たんですか。今日は第十駆逐隊で演習ですよ」

 3人が振り返るとそこには夕雲が立っていた。

「あーもうそんな時間かー。じゃ、食後の運動と行きましょうか!じゃ、初雪まったねー」

「楽しかったわ、また一緒にお茶しましょ?」

 秋雲と風雲が立ち上がり、夕雲と共に店を出るのを初雪は

「うん…また、ね」

 と言って見送ったのだった。




なおその本は売れた模様。
ご覧頂きありがとうございます!
秋雲ならそんな事起きてみろ?絶対ネタにするぞ?
という感じでした。


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