ヴォルクルスにスパロボ世界へ召還されました (池横)
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スパロボEX~サワユキの章~

「くそっ! どうして動かないんだよ!! 動け動け動け!!」

テレビ画面だけが薄暗く光る六畳の一室で、一人の男が絶叫する。どうやら目の前のゲーム機が故障したらしく、配線を繋ぎ直したり筐体を叩いたりしている。それでも直らないとわかると、

「悪かったよ・・・・・・僕が悪かった・・・・・だから許してくれないか・・・・・・?」

男は先ほどとは打って変わって猫撫で声でゲーム機に話しかけ、愛する人に囁くように配線部分へ息を吹きかけた。そしておもむろに電源ボタンを押す。しかし動かない。

絶望の吐息とともにへたり込むと、ゲーム機の前で跪き、祈りを始めた。「お願いします直ってください直ってください直ってください・・・・・・」再び震える指先でボタンをそっと押す。が、ゲーム機が光ることはなかった。

「アアアアア!!! ふっざけるなよぉぉぉ!!」

再度豹変した男はゲーム機を蹴飛ばしあらんかぎりの罵詈雑言をぶつけた。それが済むと今度は泣いた。

「どうしてだよぉぉ・・・・・・僕にはこれしかないんだよぉぉ・・・・・・もう無理・・・・・・皆死ねばいいのに」

毛布にくるまり泣きながらぶつぶつと世界を呪い始める男の前で、突然ゲーム機の電源ボタンが紫色に輝き始めた。

「あぅおぉッ!!?」

毛布をかなぐり捨てゲーム機に駆け寄るが、見たこともない色で光る電源ボタンに期待と不安がないまぜになる。

「・・・・・・貴様、我と契約を結ぶか?」

部屋に響くおどろおどろしい声。驚愕して辺りを見回し、それはテレビから発せられていることに気づく。

「我が御名はサーヴァ・ヴォルクルス。貴様の身勝手な呪詛を聞き届けてやった。契約を結び召還に応じるなら力を与えよう・・・・・・」

嵐のように乱れるテレビ画面の中に、微かに白い仮面が映っている。白い仮面は鮮血の色をした兜を被り、そこからは金色の角が二本節くれだって生えていた。明らかに異形のものだ。男は目を見開き穴があくほど見つめている。

「クク・・・・・・そう怯えるな。我は貴様にとって恵みとなるだろう」

若干笑いを含んだ陰気な声で、ヴォルクルスは男に語りかけた。

「・・・・・・ぃ」

「ふん?」

「・・・・・・遅すぎると言っているんだっっ!!」

「・・・・・・・・・・・・何?」

「僕がどれほど待ったと思っているんだ!? このくそったれな世界から早く僕を助けに来いと何百回祈ったか知っているか!? あぁもういい!! さっさと契約を結ぶぞ!!!」

「・・・・・・・・・・・・」

怒鳴り散らす男に対し、画面の中の仮面は微かに首を傾げた。そこからは表情を伺えなかったが、若干呆れているみたいだった。



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強制召還

ヴォルクルスはテレビ画面からこちらの世界に出てこようとしたが、そのご立派な角が邪魔で出られず、苦戦している姿に「貞子みたいだな」と感想を述べたら悔しそうに引っ込んだ。

咳払いをした後、「ならば契約書を記してもらおうか。貴様の持っているそのスマートフォンとかいう不便な機械に、メールとやらを送ればよいのだろう」

「いや待ってよ。僕は契約書なんか書いた事ないよ。働いたことないし。それにめんどくさい。今スパロボがゲーム機に入ってるから、その主人公設定と同じノリで頼むわ」

そういってプレステのコントローラーを握る。

「・・・・・・チッ。最近の地上召還者どもは横着極まりないな」

捨て台詞を吐いた後、画面の嵐がふっと消え、同じみの主人公設定画面に移行した。いやーわくわくするよね、最初の設定って。主人公の名前決めるだけで二時間はかかっちゃうもんなぁ~!!

と、[PRESS START]のまま放置していると

 

[・・・・・・早くしろ]

 

とメッセージが表示され、同時に右上にタイマーが現れ05:00から04:59とすぐ減っていく。

やれやれ、ロマンのわからぬ神様だ。

 

名前:サワユキ・ドウナイ

性別:男

年齢:29

 

・・・・・・あれ?おっかしーな~・・・・・・なーんで本名でリアルのおっさんのプロフィールから変更不可なの??

[勘違いするな。これは転生ではなく召還だ。貴様自身と契約しているのだから、貴様を変容させることなどせぬ]

はぁ~?? マジかよくそったれ・・・・・・14才の美少女がよかったのにぃ~~・・・・・・なんかもうコントローラー投げたくなってきたわ・・・・・・

[・・・・・・ハァ。他の我が影響を及ぼせる範囲では色を付けてやる。そもそも我の力を使えるのだぞ! それくらい我慢せぬか]

ふむ・・・・・・ヴォルクルスといえばスパロボ世界ではラスボス級。確かにゲームの最初っからラスボスキャラを操作できたら気持ち良すぎてヤバいよなぁ。しょうがない、気を取り直すか。

 

父:いる

母:いる

兄弟:いる

恋人:いない

 

あれ~恋人を「いる」に設定できないのだけど・・・・・・?

[いたことないだろたわけ。本人に直接関係するものは変容できぬといったろう]

・・・・・・くそったれ。

 

[各職業を決めよ]

お~、いいねぇそんなこともできるんだ! スパロボじゃできなかったのに

[多少色をつけてやるといったろう。貴様自身は変容できぬが、周りの人間くらいなら多少変容させても契約に支障はないわい]

ふんふん。ならやっぱりエリートにさせようかな!

父:政府のおえらいさん

母:新型ガンダムの開発者

兄弟:ニュータイプ美少女姉妹

[父母はともかくとして・・・・・・貴様近親相姦でもやらかすつもりか?]

うるさい!だまれ!!

[・・・・・・次にいくぞ]

 

性格:プライドが高いナマケモノ

 

はいはい、これも変更不可ですねっと・・・・・・もうやめようかな~契約~

 

[・・・・・・もはや逃さぬ。これだけ入力すれば仮契約にはなろう。貴様と話しておるとイライラして敵わん。今すぐ召還してやるわ!!]

 

え?なんかすごい怒ってる?

ちょ、まっーー

 

コントローラーが振動機能のそれを通り越して不気味に踊り出し、テレビ画面に再び嵐が巻き起こる。

それが静まった後、六畳の一室には誰もいなくなり、ただテレビ画面が暗く光っていた・・・・・・

 

 

目覚めたら、僕は家の近くの公園に突っ伏していた。夜の芝生は暗く、広い闇があった。

これだけなら今までのはただの夢で、スパロボ世界に召還されたなんて気にはならなかっただろう。

しかし、僕のそばにはヴォルクルス(下半身)が鎮座していた。巨大な蛇に跨がった両腕が鎌の半裸女性。こう書くとわけのわからない化け物でまさに邪神だが、ゲームで見慣れたせいか、それとも契約を結んだせいか、なんとなくかわいく見えた。けっして半裸に魅力を感じたわけではない!

「なんで完全体じゃないんだ? そもそもここは何のスパロボ世界だ? 仮契約ってどういうことだよ」

ヴォルクルス(下半身)は何も答えない。

 

・・・・・・まぁいいか。今までの引きこもって20年前のゲームをする日々よりは楽しいだろうし。

まずは家に帰ってみるか。この公園は前いた世界と同じようだし、家もきっと同じ場所にあるだろう。

歩き始めると、ヴォルクルスものそのそとついてきた。なんかペットの蛇みたいで可愛いな。大きさはお台場のガンダム並だけど。

 



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ロンドベル、襲来

いきなりだが詰んだ。ソフトリセットはどうすんだ? そもそもまだセーブしてないんだが、スタート画面に戻れるのかね?

今の僕の状況?こうだよ

 

 

 シ

ア僕隼

 力

 

ア=アムロ

シ=シーブック

隼=隼人

力=カミーユ

 

カミーユ「このぉぉぉぉ!」

アムロ「カミーユ! こいつはビームを吸収する! バズーカを使え!」

シーブック「ヴェスバーならやれるか!?」

隼人「地中に潜って動きを封じてやる!」

 

 

どうしてこうなった。

 

 

話は昨日の夜に遡る。

ヴォルクルスを連れて家に帰った僕は、ガンダム開発者の母親テルミ・ドウナイに会った。が、「な・・・・・・なぜヴォルクルスが・・・・・・サワユキ、あなたとうとう禁忌の呪文に手を出したのね・・・・・・」

前世?の僕は母親に無職であることを詰られ将来は無差別殺人でもしでかすんじゃないかと恐れられていたが、こっちでも似たようなものだったらしい。

すぐにドアを閉められると、飛んできた警察官に遠巻きに取り囲まれた。

パトレイバー程度なら大したことはない。イングラムかっこいいなぁ~とヘラヘラ笑っていたが、そのままぼーっとしていたら今度は空からホワイトベースがやってきて、さすがに僕も冷や汗をかいた。

いや、いきなりロンドベルと戦うの?!

ポポポポポゥッと小気味のいい音を立てながら出撃してきたロンドベル隊はガンダム、ゼータ、F91、マークツー、マジンガーZ、ゲッターロボと最序盤のフルメンバー。

マジでやばいと思った僕はヴォルクルスの蛇の中に乗り込み?中の胃袋コックピット(仮称)に入った。幸い魔術的なあれで操縦は念じるだけでできたが、エヴァに乗り始めたシンジ君並によたよた歩きしかできない。

あっという間に取り囲まれフルボッコ・・・・・・と思いきや、全然ダメージはない。そりゃそうだ、腐ってもヴォルクルス、分身でもヴォルクルスだ。素の能力値はもちろん、ビーム吸収とHP回復の特殊効果もついている。

落ち着き、なんだか万能感につつまれた僕はビーム(蛇の口から吐き出したブレスのようなもの)で反撃する。が、当たらない。アムロやカミーユ、シーブックといったニュータイプに当てられるはずもない。チェッと思った僕はマジンガーZに照準を合わせる。マジンガーZならあたるあたる。この時期のマジンガーZは弱いもんね。マジンガーZを落としゲッターロボを瀕死に追い込んだが、そこは歴戦のロンドベル。戦術を変えゲッターロボ2とニュータイプ三人で僕を取り囲み、完全に動けなくなってしまった。

そして冒頭に戻る。

うーん、詰んだな。



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ロンドベル、撤退

どうやらロンドベルは核ミサイルの使用許可を取り付けたらしい。市街地の住民の避難が終わるまで僕を取り囲み封じ込め、避難完了とともにロンドベルも退避、核ミサイルを釣瓶打ち、と。

流石のヴォルクルスも一発や二発ならともかく、連打されると落ちるよな・・・・・・

てか、僕の故郷が完全に焼け野原になるのはさすがに気まずいんだけど・・・・・・別に僕この町の人間は嫌いだけど街並みは好きなんだよねえ。

逃げる母親にヴォルクルスから呼びかけるが、母親はヴォルクルスの鳴き声に一層おびえ、ミデアに飛び乗り去った。

さすがガンダム開発者、ミデアを用意してくれるとはいいご身分だ。

と、感心していたが、そろそろひたすら防御することにも飽きてきた。

 

本気だすか・・・・・・!

 

そう、僕はまだ本気を出していない。

僕が本気を出せば成功するに決まってるんだ。

いくぜ・・・・・・精神コマンド!奇跡!魂!覚醒!

 

・・・・・・ん?

 

[サワユキ・ドウナイ]40/40

挑発 35  ?? ??

??   ?? ??

 

ええ・・・・・・挑発しかないのかよ・・・・・・

 

仕方がないのでホワイトベースに挑発を使い、ファーストの序盤並みにキレやすいブライトさんがホワイトベースで特攻をしかけてきたので反撃で撃沈。ロンドベルは撤退していった。この時期のホワイトベースは一撃で落とせるほど弱くて助かった。

 

連邦軍のジムや警察のイングラムを蹴散らしつつ、僕は山へ逃げ込んだ。

しかし、この世界はスパロボじゃよくあることだが、連邦政府はあるが日本という国も存在していて、しかもマジンガーZやゲッターロボのような特機を保有する超軍事国家なのだな。

 

 

 

???「ほぉ・・・・・・なかなかやりますね。あの方」

 

XXX「あの程度はやってもらわなくちゃ困るわぁ。ヴォルクルス様の分身を使ってるんだもの」

 

???「ということは、あれが本物だと?」

 

XXX「意地悪な質問ね。そういうことは、神官のあなたが一番よくわかるんじゃなくて?」

 

???「いえいえ、最近はヴォルクルス様の御力を感じ取ることが難しくなっておるのです。身体を捧げられたあなたの方が、きっとよくわかるはずです」

 

XXX「ふぅん。とにかく、あれは間違いないわ。分身であっても、ヴォルクルス様よ」

 

???「それは誠に喜ばしい。我々の前から姿を消されて以来、どれほどこの日を待ちわびたことか。ヴォルクルス様がこのような町中に突如顕現されたなど、眉唾物と思っていたが・・・・・・」

 

XXX「老人の繰り言は結構よ。さ、早く新しき主を迎えに行きましょう。きっとかつてのシュウ様のような美男子に違いないわぁ」

 

???「・・・・・・」



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背信者サフィーネ

連邦軍の捜索から身を潜め、ぼくはヴォルクルスの中で寝ていた。意外と住みごこちがいい。今僕がいる場所は、ちょうど半裸女性の子宮の位置かな。こう書くと気持ち悪いかもしれないが、エヴァだって子宮がコックピットのようなものだろ。同じだ同じ。まるでレジャープールのような内部ではしゃいでいると、何者かが近づいてきたらしくヴォルクルスが体を起こした。子宮にいた僕はウォータースライダーを滑るように胃袋コックピットに到着。待ちかまえることにした。

 

「ヴォルクルス様、そして新たな我らが王よ。我々ヴォルクルス教団がお迎えに馳せ参じました」

 

そう呼びかける声。

ふむ、僕のことを王と呼ぶか。分をわきまえたやつだ。応じてやろう。

 

「やあ。呼んだかい」

 

「は・・・・・・」

跪く緑の髪をしたおっさんと、赤い髪の巨乳のおばさん。

おばさんとはいえ、肌は白く扇情的な服装をしていると、つい目を奪われるな。いかんいかん。

 

「御復活、祝着至極に存じます。我ら一同、この日をどんなに待ち望んだか。ぜひとも玉顔を仰ぎ奉らわんことを」

 

ふむ・・・・・・ふむふむ!

なんだこのおっさん!えらく僕を立ててくれるじゃないか!!

こんなに嬉しいことはない。

 

「そんなかしこまらなくていいよ。仲良くやろうじゃないか。」

 

「ははっ!」

 

そう言って、おもむろに顔をあげるおっさんとおばさん。

おっさんはともかく、おばさんは綺麗な顔をしているが、なーんか老け顔で僕の好みではないなあ。

 

「なっ・・・・・・こんな、ハゲた冴えない男がシュウ様の後継者!? 有り得ない・・・・・・!!!」

 

・・・・・・ん?今なんつったこのババア・・・・・・

この僕の前で、ハゲと言ったか???

 

「サフィーネ嬢・・・・・・なんという口を・・・・・・」

「だって・・・・・・!!」

「ババアが調子のってんじゃねぇぞ。ぶっ殺してやる」

 

僕は怒り心頭に発し、ヴォルクルスの口に滑り込むとサフィーネめがけてビームを放った。

しかしサフィーネもウィーゾルという魔装機に乗り込み、反撃してくる。ウィーゾルの攻撃力は大したことはなく、ビームを撃ちまくったらババアは被弾し、追い討ちをかけて殺そうとしたらおっさんがナグツァートという機体に乗って間に入ってきた。

「王よ、どうか、どうか落ち着いてくだされ」

「許せん。僕を侮辱した者には死あるのみだ」

「こやつは頭のいかれたピエロに過ぎませぬ。笑って流してくだされ」

そう説得してくるおっさん。その間にウィーゾルは空を飛んで消えていった。クソ、こっちは空を飛べないのが痛いな。

「この僕の邪魔をしたんだ。覚悟はできているんだろうな?」

「どうかお許しを・・・・・・このルオゾール、王に絶対の忠誠を誓いまする。かの女も私からきつく言い聞かせ、王に役立てるよう約束いたします」

「ふん・・・・・・まぁいい。僕に逆らえばああやって惨めに敗走することはよくわかっただろう。それで、ルオゾールとやら、何の用だ」

「ははっ! ヴォルクルス様の完全復活について、これからのご計画を伺いたく・・・・・・」



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新たな機体~強すぎる初期機は封印されるというあるある~

そういえば、このヴォルクルスはヴォルクルス(下半身)だったな。

そもそもこいつの目的はなんなのだろ? ルオゾールの言うとおり完全復活がしたいのかねぇ。

僕は僕に害が無ければなんでもいいけどね。

ルオゾールは黙ってこちらの考えを伺う姿勢を見せている。

仕方ないので、ヴォルクルスの求めに応じて仮契約を結び召喚されたが連邦軍に攻撃され今ここ、と話した。

主人公設定中にヴォルクルスにキレられたことと僕が無職だったこと、母親に逃げられた事等、あまり格好がつかないことは話さなかった。

ルオゾールは「ヴォルクルス様直々に選ばれるとはなんたる尊き方よ」と尊敬の念を露わにしたので悪くない気分だ。

とにかく、契約の途中「なぜか」仮契約で終わってしまったためヴォルクルスの狙いは分からないと伝えると、やはり完全復活の御為に尽くしましょうぞと答えられた。

まぁ、やることもないしとりあえずそれをやりたいことリストに加えますかね。

で、方針が決まって具体的にどうするかと言えば、まずはルオゾールが地底世界の信徒に地上で分身復活を告げて教団の志気を上げ、復活の為にヴォルクルスが封印された神殿への破壊活動を活発化させるらしい。いずれ僕にもそれに加わってほしいが、まだ教団自体も戦力が整わず、地底世界にヴォルクルスが戻ればラングラン王国が全力で討伐しに来るから混乱している地上にいてくれという話だ。その間に力を蓄えてほしいそうだが、今のヴォルクルス(下半身)はデカすぎるし色々ゲリラ活動には不向きだ。そこで、ルオゾールが分身をヴォルクルス細胞に戻し、その細胞を練り込んだオリハルコンで作ったゴーレムを僕に献上してくれた。

こいつは僕の思うとおりに変形できる優れものだ。

ルオゾールはいいやつだな、おっさんだが俺の忠臣として評価してやろう。

そうほめると、ルオゾールは恐縮し、去っていった。

 

 

ルオゾール視点

 

ゴーレム等という地底人ならだれでも使えるような魔術を知らず、使えず、喜ぶ・・・・・・

そしてあの大きすぎるプライド・・・・・・

まるで甘やかされた幼児がおもちゃの人形を与えられたかのよう・・・・・・

傲慢さとゴーレムへの執着から、私はガテゼルクが何らかの方法でヴォルクルス様の復活を成し遂げたのではないかと考える。

ガテゼルクも雑魚の癖に自らを神と思い込み、ゴーレムに囲まれて満足げにしていたしな・・・・・・最期は呆気なく魔装機神の操車に瞬殺されたが。

恐らくヴォルクルス様復活の衝撃で記憶を喪失し、その上で地上人に憑依したのではないか。

・・・・・・まぁいい。今は奴にもよく踊ってもらおう。

いずれ殺す。



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母、散る

ヴォルクルス・デモンゴーレム(オリハルコン)

 

HP:19000

EN:300

運動:130

装甲:4400

移動:9

 

特殊能力

ヴォルクルス細胞(HP回復大、EN回復大、ビーム吸収)

 

アストラルバスター:1~6:6000

 

ヴォルクルス(下半身)をヴォルクルス細胞に還元し、ヴォルクルス教団の貴重な財産であるオリハルコンと合成し作ったゴーレム。

 

 

サワユキ・ドウナイ

 

挑発 35 ?? ??

??   ?? ??

 

ヴォルクルスに召喚された地上人。素人なので攻撃はまともに当たらない。

 

 

 

 

さて、これからどうしたものか。

ゴーレムの中に寝そべりながら僕は考えた。力を蓄えろっていっても、どうすればいいのか。

一つは、資金集めだな。改造に使えるし、機体やパーツの購入もできる。

もう一つは、仲間集めだな。王様なのに直属の護衛がいないというのもおかしな話だ。

どちらも戦いの中で得ていくものだな(スパロボ脳)。

よーし、そうと決まったら故郷の街でも襲うか!

僕をいじめた奴らに復讐しよう。会社もどんどん壊してしまおう。

僕を落とした会社のビルは粉々にしてやるんだ!

 

 

 

そうやって母校の中学高校を破壊したり、僕の落ちた会社のビルを破壊したり、僕をいじめたやつの家を破壊したりしていると、連邦軍がやってきた。

警察のレイバー隊は僕のゴーレムによって既に全滅していたが、連邦軍の一般部隊(ミデア&ジム)もその仲間に加わった。ははっ、ざまぁないぜ!

そもそもビームライフルは吸収するし、レイバーの豆鉄砲もジムのバズーカもダメージ10だからすぐ回復しちゃうんだよね。

ロンドベルはホワイトベースを落とされたせいか来なかった。あらかた故郷の街を焼き尽くし山へ帰ろうとしたところ、ティターンズがやってきた。ガルダとダブデを母艦とし、ハンブラビとアッシマーが主力だ。こいつらも一撃で倒せるが、如何せんMA状態で空を飛んでいると中々当たらん。特にヤザン、ジェリド、ライラ、カクリコンの奴らに四方を囲まれて、また動けなくなってしまった。仕方なくロンドベルを追い払った戦法で挑発を使い無能艦長の率いるガルダを轟沈させたが、こいつら撤退しやがらねえ。ダブデも落とさなきゃいけないのか!?

しかし挑発をもう一発うてるほど精神ポイントはない。ダブデは僕のアカシックバスターを恐れて後方に避難している。

 

 

はいまた詰んだ。

 

 

本当にどうしようもなくなり、ただ相手が根負けするのを待っていたら、なんとジェリドから説得を受けた!!

「お前の母親はこっちで保護している! こちらの言うことを聞かなければどうなるかわかるな?」

さすがティターンズ。クズだ。しかし残念だったな、僕に母親への執着はないのだ。黙殺。

すると今度はライラから説得を受けた。

「あんたの母親があんたに会いたがってるよ! せめて話だけでも聞いてやったらどうだい」

ふむ、それくらいなら応じてやってもいい。どうせゴーレムで防御態勢をとり続けているだけで暇だしな。

そしてジェリドのハンブラビがMS形態になり、手のひらに母親を乗せてきた。

僕も本物であることを確認すると、ゴーレムの胸の壁を開け、対面する。

「やぁ、ご機嫌いかが?」

「・・・・・・死ねっ!!」

母親はいきなり発砲してきやがった!

さすがの僕も母親に撃たれるとは想定の範囲外で、肩にもろに食らってしまう。痛くて何も考えられない!

幸い、ゴーレムが術者たる僕に反応しすぐ壁を閉じてくれた。僕の本当の母親はこのゴーレムだ。子宮の中で僕を守り幸せに暮らさせてくれる。その思いを強くした。

しかし痛い物は痛い。僕は思いきり泣き叫んだ。ゴーレムもそれに合わせ雄叫びを上げて空気は震え、そのせいで母親はハンブラビの手のひらから墜ち、死んだ。

「ジェリドッッ! あんた何やってんだい!!」ライラの怒号。

「いやっ、俺はっ、俺がやったんじゃないっ!!」混乱するジェリド。

僕はその隙にジェリド機にアカシックバスターを食らわせて撃墜し包囲網を突破。

なんとか窮地を脱したのだった。

 

 



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宇宙(そら)へ

母が死んだ後も僕は散発的なゲリラ活動を続けていた。

ティターンズやロンドベルのエースパイロットが四人来たら、攻撃が当たらないので囲まれる前に逃げる。そうやってレイバーだのジムだのミデアだのを狩り、その残骸をゴーレムに吸収させ闇市にパーツを流す。この世界はだいぶ荒れているようで、こういった商売も盛んだ。おかげで資金は貯まったが、仲間は出来ない。

闇市での勧誘もなかなかうまくいかない。母親に銃撃されて以来、僕は再び外へでることが怖くなってしまったのだ。ゴーレムの中は快適だしね。

「不死身の怪物」と噂されるのはわるくないが、生身を晒さない限り怖がられて仲間を得られそうにないなぁ。でも外でるのは怖いしなあ。

そう悩んでいると、急に闇市の商人を介して傭兵として雇いたいと連絡が入った。

相手は地上ジオン軍だった。宇宙に上がるため戦力が欲しいとのこと。

そうか、宇宙(そら)へいこう。

宇宙ならならず者でもっと溢れているだろうしね。

渡りに船と契約を結んだ。ホワイトベースを落とした僕は市場価値が高く、

一つの戦場につき10000

一般兵を落とせば1000、エースを落とせば5000の資金ボーナス

宇宙に連れて行く

の破格の条件で結ぶことができた。

一時的だが仲間も

ゲルググ×15

ザンジバル×3

ゲルググ(シーマ)

と沢山できた。ああ、これってシーマ艦隊か。なんでか地上に降りてたのね。まぁ海兵隊だしいても不思議じゃないか

シーマ「よろしく頼むよ。不死身の怪物さん」と値踏みするように言われたが、君たち全機のHPの合計より僕のゴーレムのほうが高いんだけどねぇ。まぁいいか。ビジネスライクにいこう。おばさんとプライベートで仲良くする気もないし。

 

道中の連邦軍駐留部隊も、種子島宇宙センターの守備隊も僕のゴーレムだけで蹴散らす。発射台は海兵隊が制圧。ザンジバルにロケットブースターをつけて、さぁ、宇宙へ!といったところでロンドベルが。まぁ、スパロボではお約束だよね、宇宙へ行くときの妨害はさ。

 

敵は

アーガマ(ブライト)

ガンダム(アムロ)

ゼータ(カミーユ)

F91(シーブック)

ゲッター(竜馬)

マークツー(エマ)

ダンバイン(ショウ)

 

あれ、マジンガーZがいない・・・・・・死んだのかな? そんなことよりオーラバトラーがいるじゃないか!! あいつ絶対攻撃あたんないよぉ~・・・・・・

 

案の定、戦闘が始まるとゲルググはゲッターの気力を上げる餌となり、大雪山おろしでうごけないザンジバルは落とされる。戦闘中、マジンガーZはどうしたのか聞くと「貴様が殺ったんだろう!」とカミーユに怒鳴られた。なるほど、この世界一度落ちたら必ず死ぬのね。まぁリアルではある。シーマもオーラ斬りで斬り殺されてしまった。そしてアーガマは僕を警戒して島までは来ず、そのせいで空を飛べるゲッター、ダンバイン、ゼータだけはすぐこれたが、陸しか歩けない残りは遅く上陸することとなった。これが幸いとなり、手駒が減った分、ザンジバルが一隻だけ生き残り、僕はシーマをやられて激昂する海兵隊をほっとき宇宙へいくことに成功した。



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大気圏突入

ザンジバルの中は陰鬱としていた。

艦隊指揮官のシーマを失い、搭載機も僕のゴーレムを除けば全て地上へ置いてきてしまった。まぁ、今頃はロンドベルに皆殺しにされてるだろうねぇ。そんなことを言うと、激昂した海兵隊員に銃撃されてしまった。怖い怖い。まぁ、ゴーレムの中だから全然平気だけど。お返しにそいつは握り潰した。しかし、艦内はもう滅茶苦茶になってしまった。僕への敵意で一杯だ。なんでかなあ。まぁ僕はニュータイプでもないから敵意を向けられても平気、むしろムカついて闘争心が湧くね。艦内からアストラルバスターを放ち、ザンジバルは無事轟沈。僕のゴーレムは宇宙空間を自由に彷徨うことにした。しかし、ここでもまたエース四人に囲まれたら積むなぁ。仲間が欲しい・・・・・・ならず者が沢山いると思ったけどなんのツテもない・・・・・・何かいい方法はないかしら・・・・・・

 

宇宙空間を放浪しながらぼーっと考えていた。

地球、月、ルナツー、アクシズ、サイド3、火星・・・・・・そこだ!!

そうだよ、ボソンジャンプ技術を手に入れよう!そうすれば囲まれても移動できるもんねぇ~!

王は臣下などいなくとも単独で最強であらねばならないよねぇ!

 

そうときまれば火星へレッツゴー!しかしさすがに火星までただ漂流していくのは時間がかかりすぎるなあ。またどこかの船と契約するしかないか・・・・・・

どうせならナデシコがいいなあ。若くて可愛くて明るい女の子ばっかり!まさにユートピアだ。アキトは出会ったら即殺だね。僕のほうがあの子たちに相応しいし。

ナデシコは今どこにいるのかな?もう佐世保を出航したのかなぁ?

あーもうわかんない! イライラしてきたよ・・・・・・こうなったら佐世保まで大気圏特攻突入だ!! え? 宇宙まで出た意味? ねえよんなもん!

大気圏突破してすぐ突入するなんて、そんなスパロボないよね。だからきっとお約束の突入妨害もないよね・・・・・・と思ってたらやっぱり来ました。今回は地上のロンドベルの代わりにティターンズです。

しかし、今回は囲まれてもターンが立てば自動的に落下してクリアなのでエースがいても楽勝。なおカクリコンは「アメリアァァーーッ」と叫びながら燃え尽き死亡。

ハゲだから助けてやろうと思ってたんだけどなぁ。

 

そうこうしているうちに佐世保近海に落着。しかし、ここでも再びロンドベルと戦うことになってしまう。まぁ、上陸した瞬間を狙うのは常道だし、そもそも種子島と佐世保ってこの世界なら目と鼻の先のようなものだろうしね、そりゃ来るよね・・・・・・しかし、海ステージは楽だな。ロンドベルも海じゃ弱い。空を飛べるダンバイン、ウェイブライダー、ゲッターしかいないんじゃ僕を閉じこめることはできないよ。必死においかけてくるロンドベルを後目に、僕は佐世保へと上陸したのだった。



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密約

ネルガルのサセボドックに突入した僕は、ナデシコを求めて探し回った!

女、女、女!

それも若くて可愛くて明るい極上の女達の群!こんなの男が手に入れたい物ナンバーワンだよ!!

が、しかしナデシコは影も形も見当たらず、ひどくがっかりした。

ナデシコに乗せてもらおうと思って極力破壊しなかったのが徒労だったよ・・・・・・ムカつくからアストラルバスターで全てを破壊してやろうと思ったその時、ネルガルの会長を名乗る男から直通回線が入った。

 

「やぁ、ご機嫌いかが? 不死身の怪物さん」

 

この気取った物言い・・・・・・嫌いじゃない。僕と似たところがあるな。

 

「まぁまぁかな。君は?」

「僕はとっても愉快さ。なにせ破壊神でもある君が、うちの会社じゃ何も壊さないんだもの。こんな幸運な事ってあるかい?」

「確かに。でもそれもこれからどうなるかわからない」

「もちろん。未来は誰にも分からない。素晴らしい。もっとよくなる可能性だってあるんだから」

「ふん・・・・・・」

「ハッキリ言おう。取引しないかい?」

「取引?」

「君は何かここに探し物があって来た。そうだろう? 僕はそれを提供するよ。その代わり、君のその機体をちょっと調べさせてほしいのさ」

正直にナデシコはどこだ、ナデシコに乗せろ、と言いたいところだけど、それじゃ余りにも女好きっぽくて言いづらいな。もっと自然な流れで乗りたかった。シチュエーションは大事だ。失敗したな・・・・・・

「当てて見せようか? ボソンジャンプ・・・・・・だろ?」

ボソンジャンプ・・・・・・? ナデシコの美女のことばかり考えていた僕は、ぼんやりとその言葉を噛み砕いた。

「あ、ああ・・・・・・」

「だろ? やっぱりね。君のことはよく調べさせてもらったよ。おっと、気を悪くしないでくれよ。うちのそばであれだけ暴れてたんだ、そりゃご近所として気にもするさ。それで、君の機体の弱点もわかっちゃった。例えばアムロ大尉みたいな凄腕四人に囲まれると、攻撃を全部避けられて逃げることもできず何にもできなくなっちゃうって事。それを解決するには、ボソンジャンプが一番だよね。だから君は宇宙に出てボソンジャンプ技術のある火星を目指そうとした。が、ロンドベル隊の活躍で宇宙に出たザンジバルも戦いのダメージですぐ爆散。火星まで行く手段を無くした君は、地の利のある日本に戻り、ダメ元で日本で唯一ボソンジャンプを研究していると噂されるうちを探しに来た・・・・・・こんなとこでしょ?」

僕はこの気取った会長の鼻にかかった声を聞きながら、ナデシコクルーの美女達のことを想像していた。今はただひたすら恋人が欲しい・・・・・・彼女達の元へボソンジャンプしたい・・・・・・

「沈黙は肯定と受け取るよ。さて・・・・・・ここからが本題だ。実はね、うちにはあるんだよ、ボソンジャンプ技術」

「へえ」

「おや、意外と驚かないね。腹芸もやれるみたいだ。益々信頼できるよ。どう? ぼくらはお互い利益を共有できるパートナーになれるんだ。君は破壊神の力、僕はボソンジャンプ技術。組み合わされば最強じゃないかい?」

・・・・・・確かに。エース四人組にビクビクしなくて済むのは助かるな。ボソンジャンプがあれば、女の子のところに文字通り飛んでいけるし。

「よし! 認めよう」

「くくく、契約成立だね」

二人の男は下卑た笑い声を交換しあったのだった。

 



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主人公機に追加装備の巻

僕が会長と結んだ条件は以下の通り。

一、僕はネルガルに対しゴーレムの研究を許可する

二、僕はネルガルに対し自己修復技術を提供する

三、ネルガルは僕に対しボソンジャンプ技術を提供する

四、ネルガルは僕に対しゴーレムの追加装甲を提供する

五、僕とネルガルはお互いこの取引を秘匿する

それぞれ一と二、三と四はセットだ。

正直ただゴーレムを研究させてもネルガルの技術者が得るものはほとんどないだろう。それぐらい未知なる技術だしね。だから、その成果を確実に得るために一つくらいは確約させたってわけだ。それが自己修復技術だ。まぁ、HP回復の小くらいはナデシコにつけられるんじゃないか?あとEN回復中とか。いずれにせよナデシコと敵対するつもりのない僕には関係ない。もし戦うことになっても、避けられない戦艦には負ける気がしないね。

そして三のボソンジャンプ技術だが、これは追加のブースターのような物にしか取り付けられない。つまりそれを覆う装甲も必要だ。だから四が付け加えられている。ブラックサレナはカッコいいしね。装甲自体にもヴォルクルス細胞を這わせればさらに強くなるぞ。

五はまぁ、大人の事情ってやつだ。ネルガルは一応連邦側だしね。ロンドベルが僕のことを探しにここへ来ても、連邦高官に鼻薬を嗅がせて追いやったらしい。やれやれ。

 

ネルガルの技術者が僕のゴーレムをいじる間、僕はもちろんゴーレムの中にいた。母に撃たれてからまだ外に出たことはない。

ゴーレムはもともと術者の思うように形作ることができる。追加装甲に合わせて外郭を変え、合わせて内部ももっと住み心地よく間取りを変えた。いずれは仲間を搭載したいものだ。召喚術が使えるのだからそういった戦艦の役割もできるだろう。もちろん家具はネルガルに最高級のものを運ばせた。これは貸しだよと会長が冗談めいて言った。僕は貸しを作るのは嫌いなので、ビーム吸収の技術も気前よく分けてやった。すると会長は真顔で握手してきた。別に大したもんじゃない、僕はビーム使わないからネルガルがそれを装備しても何ら問題ないし。

 

そしてできたのがこれだ。

 

ドラゴレム

HP:21000

EN:480

運動:160

装甲:4800

移動:11

 

特殊能力

ヴォルクルス細胞

ボソンジャンプ

ディストーションフィールド

分離(追加装甲)

 

アストラルバスター:1~8:5600

 

ネルガル製追加装甲を装備し、ドラゴンのような形をしたヴォルクルスゴーレム。

 

ちなみに強化パーツとして高性能照準器をもらった。これで多少は命中率がましになるだろう。

ネルガルの会長はビーム吸収技術を渡して以来、もう僕が何をしても文句を言わなくなった。

 



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ロンドベル、虐殺

ネルガルで改修を終えた僕は、慣らし運転のために夜中ボソンジャンプでサセボドックを抜けては付近の連邦軍基地を襲っていた。

相変わらず敵の攻撃は100パーセント当たる物の、ディストーションフィールドでダメージは食らわないし、その減った分もヴォルクルス細胞のおかげですぐ回復する。そしてロンドベル隊と出会っても最早怯むことはない。囲まれてもボソンジャンプで脱出し、母艦めがけてアストラルバスターを放てば勝てる。ホワイトベースのブライト、トロイホースのトーレス、アーガマのヘンケンを戦死させ、ロンドベル母艦は現在四代目のネェル・アーガマだ。艦長はビーチャとかいうクソガキだ。モビルスーツ隊も高性能照準器があっても避けられるニュータイプ以外は皆殺した。ファだのエマだのルールカだの、魅力的な女達だったが僕に靡かない女に意味はないから。もちろんカツやコウといった男は説得もしていない。これが戦争だ。

 

 

ヤバいな・・・・・・強すぎる・・・・・・

ゲームだとそろそろ強すぎて飽きちゃうくらいってレベルで強い・・・・・・

こんなの絶対負けないじゃん・・・・・・縛りプレイしなきゃ。守るべき仲間。やっぱり女の子。

彼女いたことないけど女の子は大好きだ。

けど、ナデシコの件で失敗したけど、女の子と会うにはシチュエーションが大事だ。だから、自然な流れで女の子と会える環境に行かなくちゃ。

そこでふと思い出したんだ。そういえば主人公設定で、僕の兄弟は美少女ニュータイプ姉妹にしたことを。前世の僕は活発な弟にいじめられ親や教師にも比較され・・・・・・イライラしてきた、この話はやめよう。

とにかく、姉妹に会いにいこう。美少女の周りには美少女がいる。そうに違いない。姉妹に会いに行くって自然な流れで、女の子と仲良くなる。完璧だあ・・・・・・

というわけで、会長に僕の姉妹がどこにいるか聞いてみた。

「え? 君の御兄弟かい? 姉御さんはロンドベルのエースパイロットで、今はナデシコと一緒に火星へ向かってるよ。妹御さんはティターンズのエースパイロットで地上でジオンを掃討してるってさ。 え? なんで自分と会わなかったのかって? そりゃあ・・・・・・(苦笑)」

意味深に笑う会長がなんだかムカついたので、話を切り上げて僕はネルガルサセボドックを飛び立った。妹よ、今からお兄ちゃんが会いに行ってやるからな!!

 

 

 

アカツキ視点

いやぁ、そりゃ兄弟間で骨肉の争いを普通はさせないでしょ(笑)

しかも兄貴は希代のテロリストだしね(笑)(笑)

あともう一人、サワユキ君と双子の女の子がいるって聞いたけど、行方不明なんだよねぇ・・・・・・まぁ、言わなくてもいっか。

それよりビーム吸収と自動修復をすべてのエステバリスにつけるのを急がせよう・・・・・・ネルガルが世界の機動兵器の全てを握れるぞ・・・・・・



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妹よ

会長にムカついて飛び出したものの、妹のいるティターンズ部隊はどこにいるかさっぱりだ。

暇つぶしに連邦軍部隊を虐めようとしても、もはやロンドベルすら相手にならない僕を見かけると皆逃げ出す。やれやれ、まるで給料泥棒だな。公務員は嫌いだ。あと高級取りも。ティターンズは地球人のエリート部隊だし、妹は日系人だから東京に行けば出てくるんじゃないかなと思って、東京へ向かってみた。

ムカつくエリート大学とか、公務員の施設とか、大企業のビルとか、片っ端からアストラルバスター! ふぅ、気持ちいい・・・・・・すっとするね。他人を見下すことしかしらない連中に天罰を下してやった。特に東京に住んでるような奴は嫌な人間ばっかりだ。東京大空襲は下町ばっか焼いただけだけど、僕は世田谷も焼くぜ!

悪の金持ちの財産はすべて焼き払うべきだ。

そうやって東京のあちこちの家を焼いて回っていると、とうとう連邦軍もやってきた。しかも今回はロンドベルとティターンズの合同作戦らしい。犬猿の仲の両者が手を組むとは、そんなに僕を滅ぼしたいのかな?

まっ、今の僕には束になろうが相手にならないけどね~。

まずはロンドベルを蹴散らして、妹にいい格好でも見せようかな。

「貴様ぁっ! 人が一杯死んだんだぞ!!」カミーユが激怒しながら突っ込んでくる。おお、ウェイブライダー突撃か。とうとうニュータイプレベルがそこまで上がったのか。しかも熱血も使ってくるとは。ま、どうせ大したこと――がっ!?

な、なんだ、6000近く持ってかれたぞ・・・・・・?!

「荒んだ心に武器は危険なんです!!」さらに、ウッソがトップボトムアタックで特攻してきて、初めてHPが10000を切った。ヤバい!! さらにビルバインやゲッタードラゴンがこちらに飛んできている。

 

マジでヤバいので僕はティターンズの方へ突進した。こっちはせいぜい強くてもバウンドドッグぐらいだ、ビーム吸収でダメージは食らわない・・・・・・!!

しかし、はるか遠くからファンネルが飛んできた。なんだ、このダメージ量!? 魂でもかけてるのか・・・・・・!? それに距離が遠過ぎ・・・・・・いや、今はそれより脱出が優先だ!! 僕に底力はないんだから、次まともに食らえば死ぬ・・・・・・!ボソンジャンプでティターンズのモビルスーツ部隊を通り越し、なんとか僕は戦線を離脱した・・・・・・

 

 

 

 

「逃がした・・・・・・! あんなのに、肉親の情けをかけたっていうのか、あたしは・・・・・・!?」

ヨシコ・ドウナイはゲーマルクのコックピットの中で計器を思いっきり拳で叩きつけた。

あのとき、追撃のファンネルを放っていれば奴は確実に墜ちていた。なのに、自分は無意味に前進行動を取っていた。まるで接触して説得しようとするかのように。

「バカな・・・・・・有り得ない」

動揺を押さえつけるためオレンジ色の髪を引っ張る。

「ヨシコ・・・・・・ヨシコ! 聞こえているのかい!」

「・・・・・・ライラ大尉。申し訳ありません。取り逃しました」

「そんなことを聞いてんじゃないんだよ! あんたは大丈夫かって言ってんだ!?」

「ゲーマルクにダメージはありません」

「ニュータイプの癖に、下手なごまかしをするんじゃないよ! 頭痛やら吐き気やら、起こってんじゃないの?」

「ライラ姉さん・・・・・・子ども扱いは止してと言っているじゃないですか」

「冗談じゃない、あんたがガキじゃなかったら世界中みんなガキだらけだよ」

「ふっ・・・・・・おかしな人・・・・・・」

伝法な口調でしか優しさを表現できない不器用なライラに、ヨシコは例えようもない愛情を覚え、悪魔の機体が去っていった空を言いようもない憎しみの目で見つめた。

 



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雌伏

くそったれぇ・・・・・・

なんで王であるこの僕がコソコソと逃げなければいけないんだ・・・・・・

あの世田谷上空の戦い以来、ロンドベルとティターンズはすっかり連携して僕に当たるようになった。

ウェイブライダーやビルバインやゲッタードラゴンが真っ先に飛んできて突撃やらハイパーオーラ斬りやらシャインスパークやらの大技をためらいなく撃って来やがる。距離を取ったらνガンダムやサザビーやゲーマルクのファンネルが飛んでくる。

特にあのゲーマルクのファンネルは異常だ、やたら殺気に溢れている。最初はあのゲーマルクのパイロットが僕の妹かと思ったけど、妹が兄を殺そうとしてくるはずがない。ティターンズが限界を超えてつくったやべー強化人間に違いない・・・・・・。

日本海溝の深海に身を潜める僕。まるでドラゴノザウルスだ。フザケるな。

こうなったら深海の王を気取ってここでひきこもり生活を送ろうと思ったけど、女の子が一人もいないなんてやだよ!!

「お困りのようですな、王」

ジタバタしていると、地底世界のルオゾールから通信が入った。

「遅いぞ!! ルオゾール何をやっていた!!」

深海は地底世界と繋がりやすいらしく、海に逃げるようになってからはこうやってたまにルオゾールと通信を取っていた。

「はは、王をお助けすべくこちらで神殿を探っておりました」

「そんなことはどうでもよい! 一刻も早く援軍を送れ!!」

もはや単騎では奴らに抗し得ない。僕には仲間が必要だ。

「いけませぬな・・・・・・王が弱気になられるとは・・・・・・王は孤独なればこそ最強であるべきと常々おっしゃっていたではありませんか」

「うるさい! 貴様こそ援軍を送る送る言っていつまでも送らぬではないか!」

「これはしたり。私、今より王の元へ参じ一人のご令嬢をお送りするつもりでございます」

「なに・・・・・・! いや、いまはそれより援軍をだな・・・・・・」

さすがに今は女より仲間だ。でなければ殺されてしまい女も何の意味もない。

「ただのおなごではありません。王の妹君でございます」

「なにっ!?」

「こちらの世界でヴォルクルス(上半身)様と契約されておられました・・・・・・お二人の力を合わせれば、最早向かうところ敵無しかと・・・・・・」

「それはつまり、ヴォルクルスの完全復活か・・・・・・」

「いえ、完全にとは参りません。ですが、限りなく完全体に近いお姿にはなられるでしょう」

「そうか・・・・・・」

2つの分身が合体すれば、この苦境も切り抜けられるかもしれない。そう思うと、なぜ妹がティターンズではなく地底世界にいたのかという理由も、大したことではなくなっていった・・・・・・

 

 



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インターミッション~シャングリラ・チルドレン~

ネェル・アーガマ艦内

ティターンズのエースパイロット達は、ロンドベルに出向扱いでネェル・アーガマに乗り込んでいた。これはティターンズに大気圏内で使える母艦にろくなものがないためである。いくら破壊神ヴォルクルス撃滅のためとはいえ、エリート意識の強い彼等のほとんどはロンドベル隊員とは仲良くせず、身内で固まって食堂の一角を占拠し屯していた。しかし、ライラとヨシコはロンドベル隊員と同じテーブルで食事をしていた。これは、ライラはティターンズではなく連邦軍通常部隊の影響が濃く、ロンドベルに含むところがないためで、ライラに引っ張られるようにヨシコも連れてこられた。

ライラ「ジュドーはよく食べるねえ。ヨシコも見習いな!」

ジュドー「おばさんもジュース飲むの早いね!」

ライラ「おばさんじゃないっての!」

プル「わ~怒った~!」

ヨシコ「・・・・・・」

ライラは気さくな姉御肌であり、シャングリラ・チルドレンの面々からは親戚の明るいおばさんのようで親しまれていた。

しかしヨシコはライラ以外の人間とは余り打ち解けることが出来ない、要するにコミュ障だった。

プルツー「・・・・・・シャチコ・ドウナイって、ヨシコの家族なのか?」

自分と似た雰囲気を感じたのか、プルツーが話しかけてきた。

ヨシコ「う・・・・・・うん」

ジュドー「やっぱりそうだったんだな。 似てると思ってたぜ」

ヨシコ「・・・・・・うん」

プル「シャチコさんすっごく強いんだよ! ジュドーの次くらい! ・・・・・・シャチコさんがいれば、こんなに皆死なずに済んだのに・・・・・・」

ビーチャ「ロンドベルのモビルスーツパイロットは、お前らみたいなニュータイプ以外はほぼやられちまったもんなぁ。じゃなかったらティターンズの連中なんて受け入れるかっての」

ジュドー「おいビーチャ!!」

ビーチャ「あっ、わ、わりぃ・・・・・・」

ライラ「いいさ、別に。急にお仲間になろうって方がおかしいんだ。信頼は戦いの中で育む、それがパイロットさ。な、そうだろヨシコ!」

ヨシコ「う、うん」

ライラ「・・・・・・アンタそれしか言わないねぇ!」

もじもじするヨシコの頭をくしゃくしゃするライラをみて、シャングリラ・チルドレンの生き残りは笑った。そんな打ち解けた雰囲気の中、突如警戒警報が鳴り響く。

ビーチャ「な、なんだ!?」

ライラ「ヤツがやってきたのかい!」

ヨシコ「うん・・・・・・間違いない・・・・・・あいつだ・・・・・・!!」

プル「うう・・・・・・すごく気持ち悪い・・・・・・」

プルツー「今までとは比べ物にならないプレッシャーだ・・・・・・」

ジュドー「いくら強くなったって、俺たちには勝てない! いくぞみんな!!」

 

 



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分身、合体、ヴォルクルス!!

ビーチャ「ヴォルクルスは再び東京に来てる! 皆頼むぜ!!」

ジュドー「もう一回海に追い落としてやる!」

 

ネェル・アーガマ(ビーチャ)

ダブルゼータ(ジュドー)

クィン・マンサ(プル)

サイコガンダムマークツー(プルツー)

νガンダム(アムロ)

ゼータ(カミーユ)

サザビー(クワトロ)

V2ガンダム(ウッソ)

ゲッタードラゴン(竜馬)

ビルバイン(ショウ)

ダンバイン(マーベル)

グレートマジンガー(鉄也)

ダイターン3(万丈)

コンバトラーV

ボルテスV

ダンクーガ

 

ライラ(バイアラン)

マウアー(バイアラン)

ヤザン(ハンブラビ)

ラムサス(ハンブラビ)

ダンケル(ハンブラビ)

ブラン(アッシマー)

フォウ(サイコガンダム)

ロザミア(サイコガンダム)

 

忍「へっ、こんだけいりゃあ楽勝だぜ! ティターンズの連中は引っ込んでな!」

竜馬「いや、油断は禁物だぞ!」

クワトロ「ああ、今回は何か違うぞ」

アムロ「・・・・・・くるっ!」

 

 

サワユキ(ヴォルクルス(完全体))

ルオゾール(ナグツァート)

 

フフフ・・・・・・ハハハ・・・・・・ハーッハッハッハッ!!

なんだこのパワーは!?

圧倒的じゃないか我が軍は。

これこそ王の軍勢というものだ!!

ルオゾール「ご機嫌うるわしゅう存じます」

最高だよ・・・・・・やっぱり僕は神だったんだ・・・・・・僕を迫害したこの世界を是正しなくちゃね・・・・・・

ルオゾール「ごもっともなことでございます」

 

カミーユ「貴様! ふざけたことをっ!!」

鉄也「ふん、たった二機で俺たちを止めようというのか。寂しいやつらだな」

プルツー「お前だけは許さないっ・・・・・・!」

 

 

くそ・・・・・・集団で僕を非難しやがって・・・・・・小学校の頃を思い出しちゃうじゃないかァッ!!

 

ルオゾール(ほう・・・・・・過去の虐められた記憶を思い起こすことで、憎しみのプラーナが爆発している・・・・・・これがヴォルクルス様に選ばれた理由か・・・・・・)

ルオゾールの推測通り、サワユキは憎しみの感情を爆発させることでヴォルクルスの魔力を増大させ、分身を顕現させた!!

 

ヴォルクルス(下半身)×2

ヴォルクルス(上半身)×2

 

ハハハハハッ! 僕はもう一人じゃない! 友達がいないなら僕自身を増やせばいいんだよ!!

 

ルオゾール「お、仰るとおりで・・・・・・」

 

???「お兄様。わたくしを忘れないでください」

 

おお、そうだった、我が妹よ!

お前のおかげでここまで強くなれたぞ!!

 

???「ふふふ。構いません。その代わり、ヴォルクルス様完全復活の際には、わたくしの望みをかなえさせてください」

 

いいともさ!今の僕は最高に気分がいい!

 

???「ならば、かの者達をすぐに殲滅し、ヴォルクルス様の贄と捧げましょう」

 

ああ、いくぞみんな!

 

ルオゾール「お、お~」



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台場決戦

アムロ「皆! 本体さえ倒せば分身は消え失せる! 本体だけを狙うんだ!!」

 

カミーユ「うおおおおおっ!ここからいなくなれえええええ!」

 

カミーユが再び特攻してくる。しかし、完全体の前では掠り傷に過ぎん。そして・・・・・・鉤爪でウェイブライダーを切り裂き撃墜した。

 

クワトロ「なっ、カ、カミーユ!?」

ジュドー「カミーユさんに当てた!?」

 

バカが・・・・・・当たらないと思って油断したのが運の尽きよ・・・・・・

我が妹の精神コマンドを使ったのだ!

 

???

愛 幸運 必中 気合 補給 信頼

 

 

???「わたくしが必中をかければ、最早ニュータイプも脅威ではありません」

 

 

そうだな、これぞ二人乗りの醍醐味だ!

 

竜馬「こっちも閃きをかければいい!隼人!」

隼人「おう!」

ちっ、三人乗りは卑怯だ。

と思ったらさらに四人乗りのダンクーガに五人乗りのコンバトラーやボルテスも突っ込んでくる。クソがっ!?

さすがにダメージが大きすぎる!?

 

???「私が愛を使います」

 

おおお!これで全回復だ!

まだまだ戦えるぞ!

分身達に閃きを使い終わって回避しないスーパーロボットをこちらのターンで狙わせる。

ゲッタードラゴンやダンクーガはこれで落とした。しかしまだロンドベルの戦力も豊富だ。

分身達を壁にして僕は後ろからアストラルバスターを放つことにする。コンバトラーとボルテスもなんとか落としたが、敵の反撃中にファンネルの嵐やダイターンの魂サンアタックで分身達は2ターンしか持たず全滅した。

サワユキ「3分も経たずにか!?」

ルオゾール「王よ、ここは退かれた方がよろしいのでは」

サワユキ「ルオゾール貴様は何をやっている!?」

ルオゾール「申し訳ないのですが、わがナグツァートは余り性能がよくないので後方に引っ込んでおりました。なにせきゃつ等の攻撃なら一撃で墜ちてしまいますからな」

このおっさん後方支援専門かよ!!

ルオゾール「残念ですが今の我々では勝てませぬ。分身はまた王の御力で顕現させることが出来ましょう」

くそ、悔しいがその通りか・・・・・・

「今日はこの辺にしといてやる!! バーカ!!」

そしてマップの外へ逃げようとしたらまたゲーマルクの超長射程ファンネルで強かにダメージを食らってしまう。

クソが~~~!! やられっぱなしで逃げるわけにはいかねえ!

しかしスーパーロボットの前衛を抜けてニュータイプ部隊が陣形を組むところに突撃すれば集中放火で間違いなく沈んでしまう。

でも僕の怒りがこのままでは収まらない!!

すると僕の怒りに反応し、奴らの陣形の土地からデモンゴーレムが出現した!

 

ルオゾール「ほう!」

???「素晴らしいわ」

 

そのままゲーマルクに特攻しろ!デモンゴーレム!!

 

ゲーマルクに隣接したデモンゴーレムは自爆した!

爆発しもうもうたる煙に包まれ、戦果は確認できなかったが、ビルバインやダイターンが殺気立って襲って来たのでさっさと逃げることにしたのだった。



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インターミッション~戦死者への向き合い方~

ルオゾール「王よ、お見事でしたな」

おっさんに誉められてもちっともうれしくないわ!

???「すごいです! お兄様!」

そういって抱きしめながら胸を当ててくる我が妹。おいおい、俺達は兄弟なんだまずいぜ・・・・・・?

「う、うむ」

「今回はロンドベルも相当倒しましたな。王のレベルもあがられたのでは?」

そうだな!今回は妹の精神コマンドに助けられたが、俺も新たな精神コマンドが使えれば次こそ勝てる!

 

サワユキ

挑発 35 自爆 60 激怒 40

??   ??   ??

 

・・・・・・ってなんで自爆が魂並みにポイント必要なんだよ!

逆に激怒は通常の半分ぐらいだし!!

ルオゾール「まぁ、死ぬことには臆病で、キレやすいということではないでしょうか」

あぁ!? バカにしてるのか!!

???「お兄様、どれも個性的で素晴らしいコマンドですわ!」

にっこりと微笑む美少女に胸を当てられると、怒りも萎んでしまう。やれやれ、しょうがねえな。俺の妹がこんなに美少女だなんて・・・・・・妹と結婚するとか大昔の天皇になっちまうよヤバいヤバい。

 

 

 

ネェル・アーガマ艦内

 

通路

アムロ「シャアのヤツ・・・・・・こんな時にどこへ行ったと言うんだ・・・・・・!」

アムロは艦内のあちこちから悲しみの感情を受け取っていた。

今回の作戦でロンドベル・ティターンズ連合部隊が失った機体は五機。しかし戦死したのは19人にものぼる。

それだけの人数が急にいなくなれば、民間人の多いロンドベル隊員は動揺を隠しきれない。なればこそヤツのカリスマ性で部隊の結束を高めなければならないというのに、どこへ行ってしまったのだ・・・・・・!?

 

食堂

ジュドー「もう一度言って見ろ! 俺は許さないぞ!!」

ヤザン「お~何度でも言ってやるとも。死んじまった奴らの事を考えて泣くなんざマヌケさ」

ジュドー「オマエえええッ!!」

ヤザン「ちっ・・・・・・ここは戦場だ!人が死ぬのが当たり前なんだ! 特に貴様らロンドベルはどれだけの敵を殺してきたと思っている! いざ自分の仲間がやられてみれば泣き始めるなんて、とんだお笑い草だ」

ジュドー「おオオぉッ!」

鉄也「もうやめるんだ、ジュドー!! こいつの言うことも一理ある」

ジュドー「てっ、鉄也さん!?」

鉄也「俺達ロンドベルは、戦闘のプロとしての意識が低かったのかもしれない・・・・・・」

ビーチャ「へっ、戦闘のプロのティターンズさんは、今回の戦いで何をしてたんだよっ! せいぜい後ろでファンネル部隊の護衛をしてただけじゃないか! こっちは四機もやられたのに、そっちは一機だけだろ!」

ブラン「なんだとこいつ・・・・・・!!」

プル「もうやめて!! ビーチャ・・・・・・その一機はライラさんなんだよ・・・・・・」

ビーチャ「えっ・・・・・・」

出撃前に可愛がってくれたライラおばさんが死んだ・・・・・・

プルはライラの名前を呼んで泣き始め、仲間の為に泣かればつの悪いヤザンたちは私室に引っ込んでいった。

プルツー(・・・・・・ライラさんがいてくれたら・・・・・・ヨシコは大丈夫か・・・・・・?)

プルを慰めながら、プルツーはヨシコの姿を探した。

 



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ジオン軍入隊

ヴォルクルスは完全体となり、分身も四体召喚できるようになった。

しかしそれでもサワユキ軍の戦力は足りなかった。ルオゾールのオッサンは後方から小便みたいな攻撃しか出来ないし、僕の精神コマンドも正直まだ物足りない。地底世界の信者たちをこちらに呼び寄せたら、脅威の無くなった敵の魔装機神も湧き出てきて意味がない。やはり地上で戦力を増やすしかないが、どうしたものやら・・・・・・自慢じゃないが、友達はいない。

ルオゾール「ならば、同盟を結んではいかがでしょう?」

同盟か・・・・・・

ルオゾール「倒すべきはロンドベル。奴らさえいなくなれば、地底世界に来て我らを妨害する地上人はおりません。ロンドベル亡き後、地底世界へ戻り、教団を率いて制圧、完全復活を成し遂げる。これでいかがでしょう?」

ふーむ・・・・・・ぶっちゃけヴォルクルスの完全復活にはまっっったく興味がないが、このままロンドベルに狙われていては好き勝手出来ないしな。よし、同盟を結ぼう!

ただ、その相手がな・・・・・・

ティターンズと連邦軍はなぜか協力体制をとっちゃってるしなぁ。

「それは王が地上で暴れまくったせいですぞ」

うるせえなあ・・・・・・

かといってあしゅら男爵とかいうふざけた連中とつるむのはダサいし・・・・・・

あ!ジオンがあるじゃないか!今どれくらいの勢力あるんだ?

「ジオンはほぼ地上から一掃され、宇宙でも押されてますな」

なんか連邦軍強くねえ?これも僕のせい?

「いかにも」

ふーん、ならば僕が助けてやってもいいな。ジオン公国と同盟を結んでやるか。サワユキ王国とジオン公国で連邦軍を潰すぞ。

「かしこまりました。では私は地上でお待ちしております」

あ、オッサンは宇宙来れないのね。まぁ別にいいや。

 

はい、というわけで来ました宇宙。え、大気圏離脱のロケット発射イベントはないのかって? 完全体と化したヴォルクルスにそんなものは必要ないのだ・・・・・・ふっ。

ソロモンは既に連邦軍の手に落ちているらしく、ジオン以外の各コロニーも連邦につくか中立の立場でいるらしい。ジオン絶体絶命じゃないか・・・・・・これは歓迎されるだろうな。何せロンドベルを半壊させたこの僕が助けてやろうというんだから・・・・・・

 

ヴォルクルスでアバオアクーに行くと、ムサイやドロスの猛烈な艦砲射撃を受ける。いや、ビーム吸収だから無駄だっての。ゲルググのビームライフルもザクのマシンガンも無駄無駄。ギレン総帥のドロスに隣接し、説得コマンド。

「ふん・・・・・・よかろう」

さすが総帥、話が早い。

こうして僕はジオン軍に加わりアバオアクーでロンドベルを迎え撃つことにしたのだった。



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ロンドベル、接近

アバオアクーでウロウロしていると、ハマーンがいた。うひょひょ可愛いねぇ。しかし僕には目もくれず足早に立ち去った。つれないねぇ。

あとはだいたいオッサンかオバサンしかいないので、ヴォルクルスの中で妹とイチャイチャして過ごした。

 

そしてロンドベルを含む連邦軍がここアバオアクーにやってきた。ティターンズは安定の戦力保持ムーヴをかまし地上で治安維持の名目で残っている。

 

ジオン・サワユキ連合軍の戦力は以下の通り。

ヴォルクルス完全体(サワユキ)

ヴォルクルス(上半身)×2

ヴォルクルス(下半身)×2

ドロス(ギレン)

ドロス(キシリア)

ドロス(ドズル)

ドロス(ガルマ)

ノイエジール(ガトー)

ゲルググ(カリウス)

ヴァルヴァロ(ケリィ)

エルメス(ララァ)

キュベレイ(ハマーン)

ザクⅢ改(マシュマー)

クィン・マンサ(グレミー)

ドーベンウルフ(ラカン)

ドライセン(ガイア)

ドライセン(オルテガ)

ドライセン(マッシュ)

ザクⅢ改(ラル)

ドーベンウルフ(ジオン強化兵)×9

キュベレイマークツー(ジオン強化兵)×5

クィン・マンサ(ジオンエリート強化兵)×3

ドライセン(ジオンエリート兵)×15

ムサイ(ジオン兵)×6

ザク(ジオン兵)×9

ドム(ジオン兵)×9

ゲルググ(ジオン兵)×6

ビグロ(ジオンエリート兵)×3

 

いやこれ、勝つ気あるの総帥・・・・・・?

頭数だけ揃えても何の意味もないんだよ。むしろおやつとなって敵の力になっちゃうんだけど・・・・・・?

この中でロンドベルとまともに殴りあえるのはヴォルクルス五体、キュベレイ、ザクⅢ改2機、クィン・マンサ4機の計12機か・・・・・・数ではこっちが不利だなあ。最悪逃げる準備だけはしておかないとね。

僕は同盟軍扱いで自由に動いていい権利を貰った(貰わなくても好きに動くけど)。遊撃隊として好機を見つけてロンドベルを一気に叩こう!

 

 

 

対して連邦軍の陣容は以下の通り。

グラン・ガラン(シーラ)

ネェル・アーガマ(ビーチャ)

νガンダム(アムロ)

ダブルゼータ(ジュドー)

F91(シーブック)

V2ガンダム(ウッソ)

クィン・マンサ(プル)

サイコガンダムマークツー(プルツー)

ビルバイン(ショウ)

ダンバイン(マーベル)

ダイターン3(万丈)

ザンボット3

グレートマジンガー(鉄也)

グレンダイザー(デューク)

ライディーン

ゴーショーグン

ダイモス

エルガイム

 

あれ・・・・・・割と少ないな・・・・・・というかロンドベルしかいないじゃん。勝ったな!

総帥の演説を聴きながら、僕は意気揚々と出撃した。

 

 

大まかな配置図

 

      ギレン

   ガトー   サワユキ

 

キシリア  ドズル   ガルマ

 

三連星   ハマーン  ラル隊

 

強化兵   一般兵  エリート

 

 

 

 

      ロンドベル

 

 

 

なるほど、一般兵を餌にロンドベルをおびき寄せて、ハマーン隊、強化兵隊、エリート兵隊の鶴翼の陣で包み込む・・・・・・まさに包囲殲滅陣! さすがギレン総帥。

僕は後方で戦見物といこう。うーん、戦闘をみるのって楽しいねえ。殺し合え殺し合え。



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激闘! ア・バオア・クー

戦いはジオン一般兵の虐殺から始まった。

まぁ今更ザクやドムやゲルググじゃ話にならん。

スーパーロボットの気力上げのおやつと化し戦場の露と消えた。

「死にたくない・・・・・・マ、ママァーッ!」とかいう断末魔を聞くとなんか笑えるよね。

使えない学徒兵を肉壁にしてエリート兵・強化兵で打撃を与える総帥の作戦は僕から見ても素晴らしい。しかし、ジュドーの熱血ハイメガキャノンでエリート兵の陣形が崩れ、打たれ強いクィン・マンサとサイコガンダムマークツーを前に出しハマーン隊や三連星、ラル隊を抑えつつ、残りの戦力で強化兵隊を殲滅。包囲殲滅陣は完全に破れ肉弾戦に移行した。最前線で陣形を支えていたクィン・マンサが墜ちプルがジュドーの名を叫び死んでいく。ちぇっ、面白くねえ。あんな陽キャの何がいいんだか・・・・・・僕は陽キャが大っきらいだ!!分身のうち上半身二体を突進させ、プロペラントタンクを使って再びハイメガキャノンを撃とうとしたダブルゼータを妨害する。ヴォルクルスのビーム吸収はハイメガキャノンに何のダメージも受けず、ラル隊を全部吹っ飛ばした代わりにダブルゼータもヴォルクルスに食いちぎられた。すると今度はプルツーも激昂し、ヴォルクルスに向かっていく。ロンドベルの盾となっていた二機が陣形の中心から離れたことでますます脆くなり、ライディーン、ゴーショーグン、ダイモスといった紙装甲のスーパーロボットはクィン・マンサなどに必殺技を放った後相討ちで死んでいった。

 

この時点での残存戦力

・ジオン側

ドロス四隻

ガトー隊

ヴォルクルス隊

三連星

ハマーン隊

 

・ロンドベル

グラン・ガラン

ネェル・アーガマ

νガンダム

F91

V2

サイコガンダムマークツー

ビルバイン

ダンバイン

ダイターン

ザンボット

グレートマジンガー

グレンダイザー

エルガイム

 

 

配置図

 

      ギレン

      ガトー

      ドロス三隻

   ハマーン隊    ヴォル

   三連星 ロンドベル

 

 

今度は三連星がネェル・アーガマのハイパーメガ粒子砲でまとめて吹っ飛び、ハマーン隊のみが正面からロンドベルと戦うことになった。僕?追ってくるサイコガンダムマークツーを釣り上げて後ろに下がってるよ。まだロンドベルとガチンコする時間じゃないしね。

ハマーン隊はラカンやグレミーを落とされながら持ちこたえ、ガトー隊とドロス三隻がロンドベルの両翼につき鶴翼の陣が完成した。しかし如何せん、ガトー隊もドロスも火力が全く不足している。ガトー隊はオーラバトラーに瞬殺され、残りはファンネルで止めを打たれる。ドロスはロンドベルの残存スーパーロボットの必殺技を食らうが高いHPでまだ持ちこたえられそうだ。そしてマシュマー自らと引き換えにザンボットを落とした所で、僕にハマーンから連絡が入った。

「これ以上は持ちこたえられない! 貴様の部隊が配置をかわれ!」

「ふん・・・・・・悲しいかな、ハマーンちゃんは物の頼み方を知らんらしい」

「・・・・・・頼みます・・・・・・!」

「条件がある。この戦いが終わったら僕の恋人になりなさい」

「なっ!?」

「いやなら僕はこの戦場を離脱するよ」

「わかった・・・・・・」

「あれ~なんか嫌そうだな~。ニュータイプの君なら僕がしてほしいこと・・・・・・わかるよね?」 

「わ・・・・・・私と付き合え!」

「ククククっ・・・・・・しょうがないなぁ~! 僕がハマーンちゃんと代わってあげるよ! 分身達! 弱ったロンドベルに突撃しろ! 今こそ奴らにとどめを刺すときだ!!」

 

満を持してほぼ無傷の僕のヴォルクルス五体が消耗したロンドベルに襲いかかった!

この戦い、勝ったな。

 



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サイド3制圧

・ジオン側戦力

ドロス四隻

キュベレイ

ヴォルクルス五体

 

・ロンドベル戦力

グラン・ガラン

ネェル・アーガマ

νガンダム

F91

V2

サイコガンダムマークツー

ビルバイン

ダンバイン

ダイターン

グレートマジンガー

グレンダイザー

エルガイム

 

 

     ギレン

キュベレイ

   ヴォルクルス

 ロンドベル  ドロス

 

 

 

奇しくも斜線陣のような態勢を取った我が軍だが、僕にロンドベルを押し上げる気はない。キュベレイを守りつつドロスの方を空けて誘導していく。

ガルマ「謀ったな! サワユキ!」

もろにロンドベル主力とぶつかることになったガルマ座乗のドロスは轟沈。

キシリア、ドズルのそれもスーパーロボットの必殺技で沈んだ。

僕はこれを待っていた!

耐久力だけはあるドロスを落とすために、ロンドベルはENや精神を消耗してしまっている。分身はENの切れたネェル・アーガマ、ダイターン、グレートマジンガー、グレンダイザーを撃ち落とし、僕は必中をかけてエルガイムを落とした。これで残りは僅かだ。

もはや作業ゲーと化すかと思いきや、ここでオーラバトラーが猛威をふるう。こいつらはENを消費せず斬りまくり、しかも必中をかけても分身で避けやがる。そこまで技量の高くないマーベルは分身に失敗したところを噛み砕いたが、ショウは手が着けられない。こいつに攪乱されている間に、ロンドベル残存部隊はアバオアクーより撤退し、ジオン軍もサイド3へ退いていった。なんとかショウを分身四体を犠牲にしてかみ殺したが、この戦場にいるのは僕だけとなってしまった・・・・・・

 

結果

・ジオン軍

ヴォルクルス完全体(サワユキ)

ドロス(ギレン)

キュベレイ(ハマーン)

 

・ロンドベル

グラン・ガラン(シーラ)

νガンダム(アムロ)

F91(シーブック)

V2(ウッソ)

サイコガンダムマークツー(プルツー)

 

 

この戦いが終わった後、僕はすぐアバオアクーへ向かった。ジオン軍はほぼ全滅したとしても、僕のおかげで勝ったことには間違いない。ハマーンだって助けてやったんだ。約束を果たしてもらわなくっちゃ・・・・・・

しかし、サイド3に到着した頃にはハマーンはアクシズへ逃亡。

サイド3は革命が起きてギレン総帥は暗殺されていた。僕に対しても破壊神だから、ギレン総帥の同盟者だから、という理由で攻撃してきた。無論、サイド3にろくな戦力など残っていない。旧型ザクすら出てきて乾いた笑い声をしてしまった。ハマーンに逃げられた僕はムシャクシャして攻撃してきた貧弱なサイド3革命防衛隊を破壊神の圧倒的な力で抹殺。そのままサイド3を統治下に置いた。



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サワユキ王国の建国

独裁政権を倒したばかりの革命政府が、今度は外から入ってきたたった一人の男に打倒されたら国はどうなるか。そりゃ大混乱さ。まぁ、僕の圧倒的な力の前では、皆逆らわないがね。当初の目的であるロンドベル殲滅はほぼ達成された。僕はここで理想国家建設に邁進しようと思う。特にやりたいこともなくムカつくやつを殺してたらロンドベルに殺されそうになったけど、今は僕をいじめてくる奴もいない。やっと落ち着くことができたんだ。ここらで一休みして、僕のために存在する国を作るんだ。僕の、僕による、僕のための国家だ。これこそ僕のような素晴らしい人間に相応しい事業であり、財産だ。世界をユートピアにする!!

そしてサイド3を統治下に置いた僕は、サワユキ王国の建国を宣言し、僕が初代国王に就任した。ルオゾールを宰相にしてやろうと思ったけど、あいつは地上に引きこもってたからダメだな、中米の侯爵にでもしてやるか。

ヴォルクルスの分身四体を僕の分家として公爵にしてやった。しかし上半身二体は「ヴヴ・・・・・・」下半身二体は「ヴオオ・・・・・・」としか言わんので喜んでるんだかよくわからん。

サイド3に残っているめぼしい人材を登用してやろうと思ったけど、だいたいこの戦争で死んじゃってるなあ。

仕方ないので一般兵でもいいから募集した。

しかし、建国記念式典も志願兵募集も無視された僕は、誕生日パーティーを開いてもらえなかったり遊びに誘っても断られた大学時代を思い出し怒り狂った。見せしめにコロニーの一基を破壊すると、ザクや旧型ザクに乗った雑魚どもがペコペコしながらやってきた。ふん、大衆というのはずる賢いやつばかりだな。

他にもモビルスーツを隠しているやつがいるはすだ、サワユキ王国でモビルスーツを所有する者はすべてサワユキ王国軍に志願するように、拒否すれば死刑、来なくて見つかった場合はコロニーごと抹殺すると宣言した!!

すると、もう少しまともなドムやゲルググもきた。やはりな、ジオンは残党が山ほどいるんだからこれぐらいいると思ってたわ。

僕の手から逃れようと、アクシズや中立コロニーに向けて全速前進するムサイや民間船は裏切り者として全て撃沈。

こうして我がサワユキ王国軍の陣容は整った。

次は王国政府でも整えようかと思っていたら、今度はティターンズが我が王国に侵攻してきたのだった。卑怯なティターンズらしく、ロンドベルを捨て駒にして消耗させ、弱ったジオンを自分達が占領して手柄を独り占めする気だったのだろう。しかし残念だったな、ジオンはサワユキ王国という素晴らしき国に生まれ変わったのだ。ティターンズなどというクズどもは鎧袖一触だ!全軍出撃せよ!!



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サワユキ王国軍、出撃す

・サワユキ王国軍

ヴォルクルス完全体(サワユキ)

ムサイ×2(一般兵)

ゲルググ×3(サワユキ王国一般兵)

ドム×3(サワユキ王国一般兵)

ザクⅡ×5(サワユキ王国一般兵)

旧型ザク×3(サワユキ王国一般兵)

 

我がサワユキ王国軍の全戦力がこれだが、あまりにもみすぼらしい。せっかく建国初の、しかも祖国防衛戦だというのに、情けないものだ。正直ぼくのヴォルクルス以外は戦力として数えられないが、王の親征に臣下が誰も来ないというのはおかしい話だからな。分身達?、ああ、今では四公爵か。公爵達は国内の不逞の輩を監視するために残しているよ。ティターンズごとき、僕だけでも十分ってなもんだ。

王国ではギレン総帥暗殺による内戦でも破壊を免れた工場に、ドーベンウルフやクィン・マンサといった使える機体の生産を全力で命じている。加えて、全国から志願(強制徴募)させた人間を片っ端からニュータイプかどうか検索させ、ノーマルの人間は強化人間にさせている。これは流石にバレれば死を覚悟して反乱するだろうから、少しずつやっている。いずれ全国民にさせるがな。全ての資源人材はまず軍備増強につかうのだ。国が滅びれば何にもならんし。そもそも王たる僕が最前線で戦ってるんだ、銃後の人間が飯抜きでもゴタゴタ言うな。

 

我が軍は僕を取り囲むように部隊が丸く展開している、方円の陣だ。僕のヴォルクルスから離れないように命じている。これは、逃亡しようとしたらアストラルビームで即抹殺するためだ。王を見捨てて逃げる臣下など、万死に値する。まぁ、逃げればコロニーごと家族を殺すと聞かせているから、ないとは思うけどね。

 

陣形図

 

      ムサイ

  ドム ヴォルクルス ザク

      ゲルググ

 

 

 

・ティターンズ軍

ドゴス・ギア×3(ジャミトフ、バスク、ジャマイカン)

ジ・O(シロッコ)

サイコガンダムマークツー×2(フォウ、ロザミア)

ハンブラビ×3(ヤザン、ダンケル、ラムサス)

バウンド・ドッグ(マウアー)

アッシマー(ブラン)

ゲーマルク(ヨシコ)

ギャプラン×6(ティターンズエリート兵)

ガブスレイ(ティターンズエリート兵)×6

 

 

ヨシコ・ドウナイはバスク指揮下のドゴス・ギアの医務室で治療を受けていた。東京台場の戦いであいつが呼び出したと思われるデモンゴーレムの奇襲特攻を受けて死ぬ寸善、ライラ大尉が身代わりになって戦死した。自身も重傷を負ったが、ライラ大尉がいなくなったことを考えると痛みは消えた。サワユキ討伐作戦が発令されると、包帯を引きちぎりバスク大佐に参加を志願しにいった。悪辣なバスク大佐は私とあいつが兄妹間で殺し合う姿を心の中で思い浮かべ、喜び、許可を出した。しかし、そんなことはどうでもよかった。この討伐艦隊に渦巻く誰かの陰謀の感触も気にならない。ヨシコはただ一心しかなかった。

 

あいつ、サワユキ・ドウナイのせいで、お母さんは死んだ。ライラさんは私のせいで死なせてしまったと頭を下げてくれたが、悪いのはあいつのせいに決まってる。そして母親代わりになってくれたライラさんもあいつに殺されてしまった・・・・・・

もう絶対に許すものか。血の繋がりなど関係ない。次こそは必ず躊躇わずにファンネルで撃ち殺してやる。

 

 

 

 



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第二次ア・バオア・クー防衛戦

ティターンズ艦隊はドゴス・ギアを横一列に並べた横陣で、ア・バオア・クーに侵攻してきた。

ふん、奴ららしい傲慢無礼な陣形だ。

大方、ロンドベルとの戦いで壊滅した我が軍など力押しで倒せると思っているのだろう。

だが甘い。特機もなければニュータイプも少ないティターンズなど僕の相手ではないのだ。

僕も負けじと方円の陣のまま、真っ向から奴らとぶつかり合った。初陣でもあり、僕の親征でもある。王たる僕が堂々とした戦をするのは当たり前だよね。

我が王妹よ、力を貸してくれるな?

???「お任せ下さい、破壊神の守護者にして宇宙の国王である我がお兄様」

妹の精神コマンドの必中をかければ、閃きを使えるエースパイロット以外はアストラルビームによって一発で宇宙の塵と消えた。閃きを使える奴らも一回僕と戦闘し避けても、次のターンで閃きの効果が無い状態を狙い撃ちすれば一撃必殺である。ヤザンなどはずる賢く僕じゃなく周りの雑魚を狙うことで閃きの効果を保っていた。

「わぁぁーーッ! 俺は降参するっっ! だから助け――」

当たり前だがティターンズの高性能モビルスーツと戦う骨董品搭乗の我が軍のパイロットは次々と撃墜され、降伏しようとした者も相手がティターンズでは受け入れられるはずもなく、バスク座乗のドゴス・ギアの艦砲射撃を浴びて爆散したり、僕のアストラルビームで飛び散った。気づけば僕の周りの親衛隊(仮称)は全員名誉の戦死をし、親衛隊の初陣を汚すことはなかった。そして僕はたった一人で戦っていたが、王たる者は孤高にして最強なのだ。ティターンズのモビルスーツ隊も耐久力のあるジ・Oやサイコガンダムマークツー二機しか残っていない。直援機を失ったドゴス・ギアに対し僕は次々にアストラルビームを放つ。まずジャミトフのドゴス・ギアが轟沈し、ジャマイカンのそれも大爆発。しかし、バスクはしぶとく閃きを使って避けた。が、ティターンズの首魁はあえなく死んだ。シロッコはジ・Oのビームライフルがヴォルクルスのビーム吸収により全く効果が無いことに動揺していたが、ジャミトフ戦死により完全に逃げ腰となった。バスクのドゴス・ギアのブリッジにビームライフルを撃ち込みバスクを殺し船を乗っ取ると、いち早く戦線から離脱していった。その際、フォウとロザミアに対する洗脳電波の強度を最大にして、二人は完全にバーサーカーと化し僕に襲いかかった。まぁヴォルクルスの前ではサイコガンダムマークツーも少し殺すのに時間がかかる雑魚でしかないんだけどね。二人を捨て駒にしてシロッコのドゴス・ギアはアバオアクーから離脱。僕は再びア・バオア・クーでひとりぼっちとなり、再びひとりぼっちでサイド3へ帰還した。



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スペース・ヤシマ・オペレーション

王国に凱旋した僕は、戦勝記念祝典を盛大に行った。

そして戦勝記念計画として、戦勝記念コロニーを建造し、それをサワユキ王国の新たなる首都と定めることにした。ズム・シティはジオン色が強すぎてよくない、ジオン・ズム・ダイクンより僕の方がえらいことを知らしめる必要があるもんね。

悪趣味な公王庁の代わりに凱旋門を模した栄光溢れる政庁を金に糸目をつけず造らせよう。財源はいくらでもある。忠良な我が王国の臣民達が献金(強制的な)をしてくれるからね。

しかし計画段階で、それでも足りないことがわかり、ネルガル重工のアカツキを回線で呼び出して旧ジオン系技術のサイコミュやアイフィールドを提供すると、大喜びして大金を送ってきた。連邦軍の目をかいくぐる裏取引も、僕とアカツキにとっちゃ慣れたものになっていた。

ついでに僕が焼き払った僕の故郷の土も送らせた。僕自身の手で僕の故郷を素晴らしく再建させるのだ。

そしてとうとう王国の財を全て投じ、サワユキ王国1バンチコロニー名付けて「サワユキ・シティ」は完成した。今まで外に出ることが怖く、ずっとゴーレムやヴォルクルスの中に住んでいた僕だが、ようやく広々とした安心した土地を手に入れることができたのだ・・・・・・これが僕の理想郷だ。ここに選ばれた人間だけを招き入れてあげよう。

もちろん、ヴォルクルスの中以上にこの「サワユキ・シティ」は安全だ。デビルガンダムと一体化したデビルガンダムコロニーを真似て、このコロニーは僕のヴォルクルスと一体化している。いわばヴォルクルスコロニーだ。王国の粋を集めて武装を固めた此処は、難攻不落の要塞だ。

 

 

サワユキ・シティ

HP65000

EN520

装甲5400

運動100

移動6

 

特殊能力

ヴォルクルス細胞(HP回復大、EN回復大、ビーム吸収)

 

アストラルビーム:1~8:6000

ソーラレイ:1~12:8000:マップ兵器

 

 

やっと僕にも母艦ができて嬉しいなぁ。

そのうれしさの余り、近隣コロニーの連中を招いて御披露目パーティーを行った。しかし、ネオアメリカの記者が母国に帰った後、「サワユキはヒトラーの真似事をする狂人である」などと書き立てたため、僕はその無礼さに呆れ果て即座に宣戦を布告した。

 

僕を侮った者には誅罰を下さねばなるまい。

直ちにソーラレイを放て!照準はネオアメリカだ!!

なに?完成したばかりで未だエネルギー充填が足りないだと?なんだその強すぎるマップ兵器が使えませんみたいなクソシナリオは!!国中のエネルギーをありったけ集めろ!!

市民生活?国家存亡の危機に何を言っとるんだ!!

いいから僕の言うとおりにしろ!スペース・ヤシマ・オペレーションだ!!

 

市民のインフラが破綻するとして抵抗する国内の不逞の輩に対しては分身四公爵を派遣し強制的にエネルギーを吸収、サワユキ・シティにエネルギーを補給させた。

この動きにおそれをなしたネオアメリカは自由の女神砲でサワユキ・シティを砲撃したが、例によってビーム吸収でそれは無意味だった。むしろエネルギー補給に役立つという皮肉な結果となり、僕はお返しにソーラレイを放ちネオアメリカをコロニーごと滅亡させることに成功。

我が国は再び戦争に勝利した!



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再会、父よ

対ネオアメリカ戦争は無事我がサワユキ王国の完全勝利に終わり、近隣コロニーは我が王国の武威に震え上がり競って外交官を派遣してきた。これまではせいぜい冒険的な記者や闇屋しか我が王国に寄りつかなかったが、僕の圧倒的な力に魅せられたのだろうな。

そんな諸外国外交団の中に、連邦政府の人間もいた。

「・・・・・・久しぶりだな、サワユキ」

王たる僕を呼び捨てにするなど、サワユキ王国では本来極刑に値するのだが、いきり立つ親衛隊のプルクローンズを手を挙げて押し留め、僕は笑って答えた。

「やあ、元気にしてたかな・・・・・・父さん」

 

「お前が宇宙の辺境で国王を名乗っている事はジャブローでも噂されてはいたがな・・・・・・まさか本当にサイド3を支配しているとは思わなかった」

国王をお前と呼ぶ不敬行為に対し、僕への絶対的忠誠を刷り込まれたプルクローンズ親衛隊は銃を抜いて父へ狙いを定める。そんな様子を愛おしく思いながら、僕は彼女たちに声をかけた。

「いいんだよ、あの人は僕の父さんなんだから」

その一声で銃を直し整列するプルクローンズ。ついさきほどまで多数の銃で狙われていたというのに、冷静さを保ったまま父はゆっくりと口を開いた。

「この兵士達・・・・・・全てニュータイプのクローンか。いや、その上に強化を施しているな?」

僅かに驚きの色を見せる父の声色に対し、僕は嬉々として答えた。

「そうだよ。連邦軍でもなかなかできることじゃないでしょ? まぁ僕の国でもまだこの親衛隊にしかいないんだけどね。彼女達は作るのにちょーっとお金がかかっちゃうんだ。ま、いい女を作るにはお金がかかるもんだよね。このごろ戦争やら建設やら物入りでね~」

ついつい父さんを前に多弁になってしまう僕であった。

 

ヨシオ・ドウナイは黙ったまま、息子の話を聞いていた。ニュータイプクローンの強化人間部隊は、連邦軍でもティターンズのノウハウを用いれば編成することはできる。しかし、建て前だけでも正義の民主主義軍隊を標榜する地球連邦軍としては、アンチニュータイプの思想を抜きにしても、それは倫理的に難しい。議員バッジと軍の階級章を帯びた身を笑いながらヨシオは冷笑した。

 

「それで、連邦議員にして地球連邦軍中将のヨシオ閣下が何しに来られたのかな? 我が王国への移民かな? 父さんなら大公として迎えてあげてもいいよ」

一方的なお喋りを漸く止め、無邪気に語りかける息子を軽くいなす。

「フ・・・・・・冗談はよせ。今回は地球連邦政府の代表として貴様の国と交渉するために来た」

そう厳かに告げる父の表情からは、僕は何も読み取ることが出来なかった。

 



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密談

「えっ!? 僕にサイド3の支配権を認めると言うのかい!!」

「ふん・・・・・・見え透いた芝居をするな。どうせ手放せと言っても従う気はあるまい」

僕のおどけた顔を見て鼻で笑う父。久方振りの親子団らんと称し、二人きりで国王の私室で語り合っていた。天井にはシャンデリアが輝き、床は分厚い絨毯を幾重にも敷いていた。ザビ家が贅沢していたなら、それより格上の僕はもっと贅沢しなければ世間体が悪くてつらいよ。ほんとはしたくないんだけれど・・・・・・

もちろん国民には「贅沢は敵だ!」のスローガンのもと富国強兵に備えさせてるよ!

我が国は旧ジオン時代の地球連邦政府からの独立戦争に始まり、反戦革命、僕による鎮圧、粛正、さらにティターンズの凶悪なる侵寇、ネオアメリカの卑劣なる奇襲攻撃という立て続けの動乱に見舞われている。幸いにも優秀なる僕の指導力により外敵を木っ端みじんに粉砕したが、そろそろ本当に国がもたないらしい。せっかくネオアメリカ戦勝記念祝典計画を実行に移そうとしたのに、国庫が空なんじゃなぁ。かねてより進めていたプルクローンズ親衛隊の編成は一応できたけど、本当にこれが限界っぽい。つまり、そろそろ内政ターンというわけだ。今までは各コロニーに資金資源を(強制)献上させて、逆らう不穏分子は四公爵に監視と抹殺をさせていた。まるでこれじゃ村を支配する山賊と変わらないじゃないか。ひとりぼっちの独裁政権から、ちゃんとした中央政府を作らなくちゃいけない。人材集めだ。けど僕は友達なんていないぞ。

「なればこそ、だ。政府としても強大な軍事力を持つサイド3(父はサワユキ王国と呼んでくれない)が不安定では面倒だ。そこで、貴様に支配権を与える代わりに、連邦から人を送る。貴様は統治機構を、連邦は秩序を得る。そしてお互い国内に名分が出来る。貴様の国は連邦のお墨付きを得た国家だと。連邦はジオン公国を倒した革命軍に復興支援を行っている、と。こういう筋書きだ、わかったな」

噛み砕いて息子に教える父。

なるほど。連邦の建前では、僕は悪のジオンを倒した民兵で、その政府組織化に協力することで連邦の支配下にあることを示す、と。

概ねその理解でよい、と父。

「そういうことなら、こっちはかまわないよ。けど、この取引はそっちの持ち出しが多過ぎないかい? 連邦はジオンを直接統治下に起きたがっていたのに、半ば独立化を支援するなんて」

「なに、名目上従っていれば別にかまわん。政府としては今は地球の復興が最優先だ」

「宇宙も戦乱で荒れてるけど、そこは放置するんだね。まるで父さんの子育てと一緒だね。連邦政府は父さんに似たのかな?」

僕の皮肉に対し、父はにやっと冷笑を浮かべただけだった。



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ロンドベル、帰還

「え~~~っ!?? ロンドベルが壊滅してるぅ??」

ナデシコのブリッジで素っ頓狂な声をあげる艦長のユリカ。火星の遺跡調査を終え地球圏へ帰還したばかりの艦に、凶報が飛び込む。

「ジャブローからのレーザー通信ではそう言ってきてます」

正反対に淡々とした声で報告するルリルリ。

「キ、キンケドゥさんは無事なんですか?!」

「おい、落ち着け!」

ルリルリに飛びかからんばかりに詰め寄るトビアと、それを制止しようとするアキト。

知り合いの安否でざわつき始めた人の輪から外れて、オルガはつぶやいた。

「生憎俺たち鉄華団はロンドベルって奴らと面識はねぇが・・・・・・冥福を祈るぜ」

「一応、僕らもロンドベルではあるらしいですよ。ロンドベル火星方面分遣隊」

同じように集団から離れていたシンジが、それに答える。

「そうなのか? 俺たちは火星でお前等の仲間入りしたばっかだからよくわからねえんだ。その地球にいた奴らはつええのか?」

「ええ、とっても強かったです・・・・・・地球より火星の方がまだ安全だから、主力じゃない僕らは火星に行かせてくれたんじゃないかな・・・・・・」

「ま~~たネガティブな事言ってる! このバカシンジ!! 私が二軍なわけないでしょ!!」

シンジを殴りつけるアスカ。

「おいおい、落ち着けよお前等・・・・・・まぁ、一軍二軍はともかくとして、そんなつええやつらがやられちまったんなら、俺たちが地球に帰ってもあぶねえんじゃねぇか?」

「はん! あんたそんなでかい図体してびびっちゃってんの? なっさけないわねぇ~」

「・・・・・・んだとぉ・・・・・・!!」

アスカの挑発に乗り激昂するオルガ。

「オルガさん、今仲間割れしたらもっと危なくなります! アスカも発破をかけてくれるのはわかるけど、もう少しだけ優しくしよう?」

穏やかでリーダーシップのあるカトルが仲裁に入り、二人ともしぶしぶ大人しくなった。

(やっぱりすごいやカトル君・・・・・・)シンジは少し頬を赤らめた。

「僕達が今やるべきことは、情報の収集だと思います。火星にいたおかげで地球圏の戦乱とは無縁でいられましたが、その分情勢の変化に疎くなっていますから」

「そ、そうね! ルリちゃん各地に通信を開いて!!」

「ジャブローとは別に、もう二つ通信が入っています」

「え! どこどこ?」

「一つはアクシズのハマーン・カーンから。もう一つは・・・・・・」

「はっ、ハマーン?? もう一つはどこなの?? ルリちゃんもったいぶらないでよぉ」

「・・・・・・サワユキ王国のサワユキ・ドウナイと名乗っています・・・・・・」

「なにそれ? そんな国あったかな? ・・・・・・ん? ドウナイってなんか聞いたことあるよーな・・・・・・」

「あーっ! アンタと同じ名前じゃない!? シャチコ!!」

アスカの大声によってブリッジ中の視線が注がれると、シャチコは咥えていたストローを離し困惑した表情を浮かべた。



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シャチコの弁明

「確かにサワユキ・ドウナイは私の弟だけど・・・・・・サワユキ王国なんて聞いたこともないわ」

シャチコ・ドウナイは周囲の疑惑に対し弁解を始めた。

「とすると自称ってことですか? なんかあやしいですね!」

ユリカがつぶらな瞳でじーっと見つめてくる。親が連邦の高官同士という繋がりで、ユリカの事はよく知ってる。その無邪気な振る舞いは悪意がないのはわかるけど、ますます皆の好奇心を強めるだけだからやめてほしいな。

「私の弟は大人になってから音信不通でよく知らないの・・・・・・ただ、日本で民間人として暮らしているのは聞いていたけど」

そう言って飲みかけのパインジュースを啜る。大勢の前で話すのは苦手、喉が乾いちゃう。

「・・・・・・その民間人であるはずのサワユキさんですが、彼がジオン公国をクーデターで打倒したそうです」

ルリルリの平板とした声に、思わず身震いしてしまった。何かとてもいやな予感がする。

「すごーい!! さすがシャッチーの弟くん! これでジオンとの戦争も終わりだね!」(ぶいっ)

「・・・・・・そして、サワユキ王国を名乗りティターンズの主力部隊と戦闘状態に入れり、これを撃滅。さらにコロニー国家ネオアメリカに対し元首への無礼を理由に宣戦を布告、王国の大質量兵器によりネオアメリカは滅亡」

ルリルリがジャブローよりの電文を読み上げ、コロニー出身者は悲鳴や怒号をあげている。カトル君でさえ、気持ちを抑えようと必死になっているのが見えた。

「現在、外交交渉により連邦政府とサワユキ王国は停戦状態にあるが、このような戦争犯罪国家を政府として看過できない。ロンドベル火星方面分遣隊は、連邦軍の外郭部隊として当該国へ調査を行い必要であれば武力を以て鎮圧せよ」

・・・・・・なるほど、成功すれば政府の手柄、失敗すれば外郭部隊の暴走。狡い手、父親が考えたのかもね。余りにも突拍子もない事態に不思議と冷静な分析をしていたが、これは現実逃避の一種なのかな。

周りの様子を窺うと、トビア君やアスカは闘う意志を見せていて、シンジ君はこちらを困った顔で見ながらもじもじしていた。全体的には慎重論がやや優勢といったところかな。私への遠慮もあるようで、その配慮が少し嬉しかった。

「ジャブローより追伸。ロンドベル本隊はサワユキ・ドウナイとの戦闘により壊滅せり。諸君等の奮闘に期待する。以上です」

その言葉に、思わずパインジュースを手放してしまう。宇宙空間だから床に落ちて飛び跳ねることはなかったが、そのフラフラと彷徨う軌道を目で追っていたら、いつの間にか気を失ってしまっていた。



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強制通信

「ふん・・・・・・ようやく応じる気になったか・・・・・・この私を待たせるとは、恥を知れ」

ノイズ混じりのモニターには、気の強すぎる顔の女性が映っていた。

「お待たせした事は、お詫びします。そちらとの交渉には大変な準備が必要だったので」

「ほう・・・・・・なかなか礼儀を弁えた坊やだ・・・・・・だが悲しいかな、私はロンドベルの代表者と話したいのだ。さっさと代われ」

「僕がその代表者です。カトル・ラバーバ・ウィナーといいます」

凛とした返事だったが、ハマーンの顔は憮然とする。

「私の見込み違いだったかな・・・・・・いくら火星方面のロンドベルが女子供ばかりの疎開船と噂されていようと、少しは頼りがいがあると思っていたのだが・・・・・・」

「確かに地球の本隊と比べ僕達は女性や子供が多く、地球圏の戦乱から逃れていたと言われてしまうこともわかります。しかし、先のホワイトベース隊の例もあります。火星では木連や異星人の撃退等、治安維持に貢献していました。この戦力はあなた達にも引けを取らないと思います」

「ふん・・・・・・ずけずけと・・・・・・まぁいい。では早速本題に入らせてもらおうか」

「ええ、そうですね。僕達新生ロンドベルとあなたたちアクシズの――」

「・・・・・・? なんだ、聞こえないぞ。通信兵!」

画面の外に呼びかける姿を最後に、ハマーンはノイズの霧に消えた。

 

「え? 一体どうしたんだろう? 通信状態が悪いのかな? いや、違う・・・・・・強制割り込み!?」

カトルはナデシコオペレーターのルリにコンタクトをとる。

「これは一体?」

「ネルガル本社経由からのスクランブル通信です。ネルガル製の本艦は拒否できません」

「ネルガルから? なぜこのタイミングで・・・・・・」

緊張を保ちつつシートに座り直すカトル。あのアカツキ会長のことだ、またおかしな事を言ってくるに違いない。言質をとられないようにしなければ――。

しかし、ロン毛男を想定したカトルの脳内は、それとは真反対の人間の登場により混乱を起こした。

 

 

「やぁ・・・・・・」

画面上の男は、割り込みをかけてきた割にぶすくれた顔をして、まるで嫌々連絡してやったかのような態度だった。ネルガルのアカツキ会長のうざったいロングヘアとは対照的な禿かかった頭が往生際の悪さを伺わせた。

「こ、こんにちは」

カトルはなんとか部隊の代表者としての対面を守り挨拶を返した。しかし、男は不機嫌になっていく。

「ちっ、カトルかよ、ルリルリだと思ったのに・・・・・・女みたいな美少年だけど、僕はホモじゃないし。だいたい、僕の方がイケメンだからね!!?」

何故か相手からひどく嫌われていることを自覚したカトルは、これからの交渉を考えて慄然とした。

 



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泣く姉弟

「こほん・・・・・・改めて、挨拶をします。僕はカトル・ラバーバ・ウィナー。ネオ・ロンドベルの臨時指揮官を務めています」

「ふーん、そう・・・・・・」

そう言うと、男は自分の爪を弄り黙り込んだ。俯いたせいで、つむじ禿が目立つ。その頭頂部を見てカトルは閃いた。先ほど連邦軍より届いた追伸電報に、サイド3の新しい支配者の人となりについて載っていたのだ。そのあまりの内容の酷さに信憑性は薄いとカトルは考えていたが、モニターの前の人物とそれがぴったりであった。

「・・・・・・あなたはサワユキ・ドウナイ氏で間違いないですか?」

自己紹介をしてくれない為、まるで法廷尋問の質問のようにカトルは尋ねた。

「・・・・・・あぁ、そうだけど」

そしてまた黙るサワユキ。

らちが明かないと思ったカトルは、できるだけ相手を刺激しないように下手に出た。

「あの・・・・・・ご用件を伺いたいのですが」

「・・・・・・・・・・・・・・」

返答はない。自分で考えろと言うことだろうか。

ネオ・ロンドベルに対する連邦の密命を傍受して怒り、自白して謝罪することを待っている?

それとも姉であるシャチコさんの安否が気になって連絡をしてきたのか?

カトルが思い当たらず悩んでいると、相手がボソボソとしゃべり始めた。

「ル・・・・・・リ・・・・・・ル・・・・・・リ・・・・・・見たい」

「えっ? 失礼ですが、もう一度お願いします」

しかしそれは叶えられず、再び黙り込んでしまった。

何かを見たい、と言っているけど、何をだろう?やはり、実の姉がどうしているか気になるということか?

「シャチコさんなら、少し体調を崩されて自室待機されています」

「・・・・・・? シャチコ・・・・・・?」

「サワユキさんのお姉さんのシャチコさんですよ。シャチコ・ドウナイさんです」

「おおっ! ・・・・・・」

遠距離通信のタイムラグを考えても反応が遅い気がしたが、それよりもようやく相手の反応を得られてカトルは安心した。やはり、この人も家族が心配な普通の人なんだ。

「お呼びしますか?」

「・・・・・・うん、呼んでくれ」

「わかりました。少し時間を下さい」

カトルはモニター画面を保留にするとふうっと一息つき、そして艦内チャンネルでシャチコを呼び出した。

「どうしたの? カトル君」

「体調はどうですか、シャチコさん」

「心配してくれてありがとう。さっきまでユリカが看てくれていて、だいぶ楽になったわ」

「そうですか・・・・・・実は、シャチコさんの弟さんから通信が入っているんです」

「えっ・・・・・・!?」

「どうやらシャチコさんの事を心配して連絡されてきたみたいですよ。出られますか?」

「ええ、もちろん!」

シャチコは急いで連邦軍の制服に着替えると、通信室に駆け出した。

 

 

「ああ! サワユキ! 本当にサワユキなのね!!」

涙ぐむ姉の姿を見て僕もつい泣いてしまった。心から自分の無事を喜んでくれる人なんて今までいなかった。それがこんなに嬉しいことだなんて・・・・・・

「無事で良かった・・・・・・お父様から連絡は受けていたけれど、本当にサイド3を制圧したのね」

「へへっ、そうなんだ、まぁ僕の力を持ってすれば簡単なことだったよ!」

「すごいわ。お母様もきっと喜んでくれるでしょうね」

「あ、ああ・・・・・・そうだね」

やべっ、母さんは僕が殺したんだった。

「? どうしたの?」

「実は、母さんはティターンズに殺されてしまったんだ・・・・・・」

そう話すと、今まで笑顔だったシャチコ姉さんは両手で口を覆い絶句し、暗い表情になって顔を落とした。

「い、いやっ、僕は助けようとしたんだ! けれどティターンズがモビルスーツで母さんを持ち上げてから地面に叩き落としたんだよ! ジェリドって奴がやったんだ!!」

「・・・・・・そう、そうね・・・・・・サワユキは悪くないわ、仕方ないもの・・・・・・」

「ぼっ、僕が仇をとるよ姉さん! だから泣かないで!」

「ありがとう、サワユキ・・・・・・ねぇ、私はサワユキに会いたいわ。そっちに行ってもいいかしら」

「もちろんだよ! 姉さんはサワユキ王国の国賓だ! 国を挙げてもてなすさ!!」

「ふふっ、ありがとう。ロンドベルのみんなも連れて行っていいかしら? 私の弟が王様だって皆に自慢したいわ。お姉ちゃん皆に羨ましがられたいの」

「ははは、姉さんも案外俗っぽいところがあるんだね! いいさいいさ!」

そして姉弟の会話をひとしきり楽しんだ後、通信を切った。さぁ、宴の準備だ!国民にも協力してもらわないと!!

 

 

通信室を後にすると、シャチコはトイレに駆け込み嘔吐した。

サワユキが母の死を話すとき、言葉とは裏腹のイメージが頭の中に流れ込んできたためだった。それは、母が犯罪者となった息子を殺そうとして返り討ちに遭うという陰惨なものであった。ニュータイプ能力に優れたシャチコはそれを事実として理解し、自らのなすべきことを決意した。

「サワユキは、私が止めなくては・・・・・・」

 



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