目が覚めたらオビ=ワンになっていたがアナキンがどこかおかしい件について(白目) (トロロ将軍)
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プロローグ
目が覚めたら・・・


知らない天井だった。

 

昨日はTVで一挙放送されていた大好きなスターウォーズを全て観てからベッドに潜ったはずだったが、目が覚めると知らない部屋の知らないベッドで寝ていた。

 

「どこなんだここは?」

 

ベッドから起き上がり部屋を見て回るも見知った物は何一つない。それどころか昨日は酒を飲みながらスターウォーズを観ていた為、二日酔いで頭が痛くて部屋の探索に集中できない。

 

まずはこの二日酔いの頭痛を何とかしなくてはと思い、部屋に備え付けられていた洗面台で顔を洗おうとしたとき、ふと洗面台の鏡が目に入った。

 

鏡に映るのは長年見慣れた平凡な日本人顔ではなく、外国人風の整った短髪のイケメン顔。

 

「ユ〇ン・マクレガーじゃん・・・」

 

何かのドッキリかと思って自分の顔を触ってみると鏡に映る間抜け面のユ○ンも同じ動きをする。

 

「マジかよ・・・ん?」

 

衝撃の事態に唖然としていると、頭の右側から細い三つ編みが垂れ下がっているのを見つけた。

 

何処か見覚えのある三つ編み、短髪のユ〇ン顔・・・俺の身に何が起きているのかさっぱりわからない。

 

二日酔いの頭痛も忘れて部屋を歩き回る。

 

ふと部屋の窓にカーテンが掛かっているのが目に入る。

 

(外を見れば俺が今何処にいるのか解るかもしれない!)

 

そう思った俺は窓に掛かっていたカーテンを思い切り開けた。

 

窓の外には天までそびえ立つ摩天楼、そして空を飛ぶ無数の車のような飛行物体だった。

 

こんな光景は日本どころか世界にだってない。しかしこの光景に俺は見覚えがあった。

 

そして全てが繋がる。

 

短髪で三つ編みのユ〇ン・マクレガー、そびえ立つ摩天楼に空飛ぶ車・・・。

 

「ここ、コルサントじゃん・・・」

 

コルサントとはスターウォーズに出てくる星の一つでジェダイ・テンプルや共和国元老院がある銀河共和国の中心。窓に映る景色がリアルな映像でなければ間違いなくここはスターウォーズの世界だ。

 

そしてスターウォーズに出てくるユ〇ン・マクレガーと言えば・・・。

 

「俺、オビ=ワン・ケノービになっちゃったの!?」

 

衝撃の事態に意識を手放しそうになったのを何とか踏みとどまり、昨日寝るまでの間に何か特別なことをしたか思い出そうとする。しかし1日部屋から出ないで酒とスターウォーズ見ることしかしていなく、特別なことは何一つしていない。

 

そしてこの状況が今ネット小説で流行りの異世界転生系だとしても神様にあった記憶がない。ていうかそもそも転生じゃなく憑依である。憑依でも神様に会うのだろうか?

 

「いったい何でこんなことに・・・」

 

悪い夢かと思ったが頬を抓っても痛みがある。

 

今日から俺はオビ=ワン・ケノービ(パダワンVer)になったらしい。

 

どうしよう・・・。

 

 

 

 

 



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悲しい未来を・・・

自分がオビ=ワンになってしまったことを理解してからすぐに二日酔いの頭痛が襲い掛かってきたのでベッドで横になる。暫くすると頭痛が引いてきた。

 

頭痛が引いてくるにつれて俺の頭に『オビ=ワン』としての記憶が蘇って?くる。どうやら手探りでジェダイをやらなくてすみそうだ。オビ=ワンの記憶では今日は修業は休みの日らしいのでゆっくりと今後のことを考えるとしよう。

 

「入るぞオビ=ワン」

 

そんなことを考えていると俺への声かけと共に部屋の扉が開く。そして映画で観たことある服装の男性が入ってくる。

 

顔を見るとリー〇ム・ニーソンそっくりだった。恐らくオビ=ワンの師匠(マスター)である『クワイ=ガン・ジン』だろう。というより蘇ったオビ=ワンの記憶があるから彼がクワイ=ガンであることは間違いないのだが。

 

「おはようございます師匠(マスター)

 

俺はベッドから起き上がり冷静に目の前の師匠(マスター)に朝の挨拶をする。

 

彼がクワイ=ガンだろうがリー〇ム・ニーソンだろうが普通に日本で生活していた時は会話どころか会うことさえできない人物だ。一言挨拶するだけで緊張してしまう。

 

「おはようオビ=ワン。休みの日なのにすまない、少しお前に用事があってな」

 

挨拶を返してくる師匠(マスター)は俺の言動に違和感を抱いていない。

 

今後日本人に戻るにしろオビ=ワンのままジェダイとして生活するにしろ周囲に変な違和感を抱かせない方がやりやすい。

 

「お前は以前フォーム3のソレスを学びたいと言っていたな。ジェダイ・ナイトでソレスを使っている奴がいて、弟子に教えてもらえるよう私が話をつけてきた。後で会いに行きなさい」

 

どうやら師匠(マスター)はソレスが学びたいと言ったオビ=ワンの為にソレス使いのジェダイを探してくれたらしい。なんとも弟子(パダワン)思いの師匠だ。

 

「ありがとうございます師匠(マスター)。早速教えを受けたいと思います」

 

師匠(マスター)にお礼を言って頭を下げる。師匠(マスター)は「気にするな。しっかり励めよ」と言って部屋を出ていった。

 

再び一人になった俺はオビ=ワンの記憶に潜っていく。

 

今の俺(オビ=ワン)はジェダイ・マスター、クワイ=ガン・ジンの弟子(パダワン)として修業に励んでいる最中だ。使用できるフォームはシャイ=チョとアタル。一瞬オビ=ワンがアタル?と疑問に思ったが、師匠(マスター)がアタルを使用しているし、ep1でオビ=ワンも使用していたことを思い出し納得する。

 

オビ=ワンの記憶と師匠(マスター)が生きていることから現在はep1以前であることがわかる。このまま史実を辿るとシス卿に師匠(マスター)を殺され、オビ=ワンの弟子(パダワン)となるアナキンがジェダイ・オーダーを滅ぼした後、銀河帝国の圧政とジェダイ狩りが始まる。

 

俺がオビ=ワンに憑依した理由はわからない。しかし憑依してかつ未来を知っているのであれば、悲しい未来を回避しよう。

 

そう心に誓った俺は師匠(マスター)が見つけてくれたソレス使いのジェダイ・ナイトの元を訪れるべく、部屋を出るのであった。



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EpisodeⅠ ファントム・メナス
原作開始の日


惑星ナブーを封鎖する通商連合の戦艦に共和国の艦が着艦する。とうとうこの日が来てしまった。

 

俺がオビ=ワンに憑依して1年。原作開始に向けてセーバー・テクニックを磨きフォースの修業に励んできた。

 

ライトセーバーやフォースを上手く扱えるか不安だったが、そこはオビ=ワンの身体が覚えていた為問題なかった。そうして日々修業に励んでいたある日、師匠(マスター)と俺は突如評議会に呼び出された。

 

到着早々評議員のマスター・ウィンドゥは俺達に現在ナブーが通商連合によって封鎖されていること、俺達2人を共和国議長の特使としてナブーに派遣し、平和的にこの件を解決してきて欲しいことを告げられる。原作開始である。

 

準備は万端とは言い難い。というよりいくら準備しても万端とは言えないだろう。現実はゲームとは違う。一度失敗してしまえばロードはできないのだ。常に不安が付きまとう。

 

「大丈夫だオビ=ワン。交渉はすぐに終わる」

 

通商連合のドロイドに案内された貴賓室でそのようなことを考えていると師匠(マスター)が俺に話しかけてきた。恐らく俺が険しい表情をしているのを見て緊張していると思ったのだろう。師匠(マスター)の方を見ると師匠は余裕の表情をしている。様々な経験を積んだジェダイ・マスターはこの程度の任務余裕らしい。こっちは色々と不安すぎて心が落ち着かないのに・・・羨ましいことだ。

 

「何か嫌な予感がします」

 

とりあえず俺は原作に沿った返答をしておく。まぁ実際は前後逆の会話なのだが、まぁいいだろう。

 

それから暫くの時間がたったが、一向に通商連合側からのアクションがない。

 

「しかし連中、随分待たせますね」

 

「まさか連中もジェダイが出てくるとは思ってなかったんだろう。まぁそう焦るなオビ=ワン」

 

そう言う師匠(マスター)の表情も若干険しくなっている。まぁ原作を知っている俺はこれからこの部屋に毒ガスが流されるのを知っているが師匠(マスター)にそれを伝える訳にもいかない。やられることはわかっているのにいつ来るかわからないのは精神的にかなりくるものがある。早くやれ通商連合!

 

そんなことを考えていると突然爆発音が聞こえ、壁からガスが噴き出てくる。

 

師匠(マスター)、ガスが!」

 

「これが通商連合の答えか!」

 

そういえばガス攻撃前に乗ってきた艦を破壊され乗員2名が犠牲になるのを忘れていた。俺が覚えていたら救えただろうか?いや、俺達と一緒に貴賓室まで来てもガスでやられていただろう。ジェダイ道具の1つである呼吸器は俺と師匠(マスター)の2人分しかないのだ。

 

殉職した2名の乗員の冥福を祈りつつ呼吸器を咥えた。後は扉が開きドロイドが死体を確認しに来る時を待つだけだ。

 

5分後、扉が開いた。扉の向こうにバトル・ドロイドが数体見える。先頭にいるのは「了解了解(ラジャラジャ)」言っていた奴だろう。原作では面白・愛されキャラだったが今は敵だ。()らなきゃ()られる。

 

俺と師匠(マスター)はライトセーバーを起動しドロイドに飛びかかる。とにかくまずは目の前のドロイド達を倒さなくては。



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ナブー上陸

クワイ=ガンside

 

 

私の弟子(パダワン)のオビ=ワンが次々とドロイドを倒している。

 

ドロイドは彼に任せておいて大丈夫だろう。私は通商連合総督のヌート・ガンレイの捕縛に専念しよう。ガンレイのいる司令室は現在防壁で閉ざされているが、ライトセーバーの前では紙に等しい。

 

私はライトセーバーを防壁に突き刺し溶解させる。ふと弟子(パダワン)を見ると迫りくるドロイドを切り伏せ、フォースで吹き飛ばしている。彼は弟子(パダワン)になった時から真面目で修業に熱心だったが、1年程前からより修業に打ち込む様子が見られている。いったい彼に何があったのだろうか?

 

そんなことを考えていると防壁が厚くなったのを感じる。無駄なことを。私はよりライトセーバーを押し込み追加の防壁を溶解させていく。

 

師匠(マスター)、新手です!」

 

弟子(パダワン)の声に反応し通路を見ると2体のドロイドがシールドを展開している。ベテランのジェダイでも苦戦するデストロイヤーだ。

 

扉の溶解を中断して弟子(パダワン)と共闘し、ドロイドのブラスターを跳ね返す。しかし跳ね返したブラスターはシールドに阻まれる。やはりシールドは厄介だ。

 

私が弟子(パダワン)に目配せすると頷き返してくる。阿吽の呼吸というやつだ。ドロイドの射撃が止んだ一瞬の隙をついてこの場を撤退する。このまま奴とやりあってもこちらが不利だろう。

 

そのまま弟子(パダワン)と二人でドロイドをかわしながら上陸艇らしき物が発進準備を進めている格納庫にたどり着いた。

 

師匠(マスター)の言う通りでしたね。交渉はすぐ終わりました」

 

弟子(パダワン)が私を見てそんなことを言い出した。生意気な弟子(パダワン)だ、誰に似たのやら・・・私か。

 

そんなことを考えつつ私と弟子(パダワン)はそれぞれ別の上陸艇に忍び込みナブーで合流することを決める。

 

ドロイドの目を盗み上陸艇に忍び込み、いざ出発というところで私はあることに気が付いてしまった。

 

着陸場所が別だったら合流できないのでは?

 

そんな私の疑問と共に上陸艇は通商連合の戦艦から発進し、ナブーへ向かうのだった。

 

 

 

 

オビ=ワンside

 

 

上陸艇に忍び込んでナブーに上陸することに成功した。

 

オビ=ワンに憑依してから初めての戦闘だったが、何とかなるものだな。修業の成果が出ていると思いたい。残念ながら1年でソレスは身につかなかった。次の機会までには習得しよう。

 

「しかし、ここは何処だ?」

 

上陸艇から降りると森の中だった。フォースを使用し師匠(マスター)の位置を探る・・・こっちか。

 

フォースの示す方向へ走ると丸っこい飛行ドロイドに見つかった。いたなこんなやつ。

 

素早くライトセーバーを起動し放たれるブラスターを跳ね返していくが、なかなか当たらない。バトル・ドロイドより小さいこのドロイドに跳ね返すのは今の俺の技量では難しいようだ。

 

このままだとドロイドに当たらないことを悟った俺は背を向け走り出す。近くに師匠(マスター)がいるのはわかっている。代わりに倒してもらおう。原作でもそうだったはずだ、原作通りだから大丈夫!

 

師匠(マスター)!」

 

少し走ると師匠(マスター)と珍妙な生物を見つけた。確かグンガンとかいうナブーに生息する種族だったはずだ。

 

師匠(マスター)は俺の声に反応すると放たれたブラスターを跳ね返し、いとも簡単に飛行ドロイドに命中させた。やはり経験と技量の差だろう。

 

師匠(マスター)と合流してから話はトントン拍子に進んだ。

 

師匠(マスター)と一緒にいたグンガン『ジャー・ジャー・ビンクス』・・・言いにくいな、『ビンクス』にしよう。そのビンクスの案内でグンガンの水中都市に向かう。

 

水中都市でグンガンのボスに通商連合と闘う協力を求めるも結果は拒否!どうもナブーの人間との確執があるらしい。その代り師匠(マスター)の交渉でグンガンの水中乗り物とビンクスの協力を得ることができ、星の中心を通ってナブーの首都『シード』へ向かうことになった。この間俺の出番なし!全部師匠(マスター)がやってくれました。流石師匠(マスター)

 

ちなみに海底の巨大生物は怖かったです。原作で存在は知っていても実物を見るとヤバいね・・・。

 

そんなこんなで首都シードに到着した俺達は運よくドロイドに連行される女王とその側近に出くわすことができた。

 

師匠(マスター)と目で合図して飛び出すタイミングを図る。

 

「今だ!」

 

師匠(マスター)の声と共に俺達はドロイドに飛びかかる。戦艦の時と違いそこまで数はいないため師匠(マスター)と二人で一瞬で蹴散らしてしまう。

 

ドロイドを片付けた後師匠(マスター)は女王と話をしている。確か「助けに来ました」とかなんとか言ってたシーンだったはずだ。そのまま師匠(マスター)は女王一団を先導し、宇宙船のおいてある格納庫へと向かう。

 

師匠(マスター)の活躍がすごいなぁ。まぁ原作のep1でもメインはクワイ=ガンだったし、オビ=ワンは最後のダース・モール戦まで目立った活躍がなかったし仕方ないね・・・。

 

そんなことを考えながら俺は女王一団の殿として後方の警戒につくのだった。



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ナブー脱出!タトゥイーンへ

宇宙船格納庫は当然ながらドロイドに占拠されていた。パイロット達も数名捕まっている。俺達の目的は格納庫中央に停泊している銀色の宇宙船『ロイヤル・スターシップ』だ。名前にロイヤルとついているから女王専用の宇宙船なのだろう。

 

師匠(マスター)は警戒中のドロイド達の中を悠々と歩いて行き、宇宙船昇降口を警備するドロイドに「コルサントに向かう」と言い放った。映画を観ていた時から思ってたけど、どうかしてるぜ師匠(マスター)

 

当然ながらこちらの要求を拒否して攻撃してくるドロイド達。師匠(マスター)は成功の見込みがあったのだろうか?

 

師匠(マスター)が宇宙船周辺のドロイドを片付けている間に俺はパイロット達を解放していく。通常のバトル・ドロイドなら朝飯前だ。

 

粗方ドロイドを片付けた後はナブーからの大脱出だ。助けた女王一団とパイロット達を宇宙船に乗せ格納庫から出港する。しかしコルサントに向かう前に越えねばならない難所がある。ナブーを封鎖している通商連合の艦隊だ。宇宙船がナブーを出てからすぐに艦隊の砲撃にさらされる。ファイターと違い宇宙船に砲弾をかわし続ける機動性はない。パイロットの技量で何とかかわしてはいるが、それでも船体への命中弾は少なくない。

 

「シールドが持ちません!」

 

パイロットからの悲痛な叫びが聞こえる。彼の叫びと同時に宇宙船のシールドが消失する。このまま攻撃を喰らえば宇宙の藻屑だろう。

 

だが大丈夫。原作ではアストロメク・ドロイドの『R2-D2』がギリギリで修理を完了しジェダイ一行が脱出できるのだ。今までずっと原作通りだった。今回だって大丈夫なはずだ。そう自分に言い聞かせる。そう思わなければ耐えれない。この状況で俺にできることなど祈ることくらいしかないのだから・・・。

 

「シールド回復!チビがやりました!」

 

祈りが通じた!いや、原作通りといった方がいいかもしれない。ともかく俺達の宇宙船は封鎖艦隊を突破し一路コルサントを目指す。

 

しかし問題が発生する。先ほどの攻撃で船のハイパードライブが損傷しハイパースペースに入れないのだ。

 

仕方なく俺達は近くにある無法の惑星『タトゥイーン』に向かう。当初女王の側近や警備隊の面々はタトゥイーンへ向かうのに難色を示していたが、女王の一言でタトゥイーン行きが決定したのだ。

 

銀河共和国に加盟していない惑星タトゥイーン。スターウォーズシリーズでは何かと登場するこの惑星は法の通じぬ無法地帯だ。原作では特に何ともなかったが実際はどうかわからない。まぁ俺は原作通り宇宙船を守る役目につくだろう。ワトーとのやり取りやポットレースは全部師匠(マスター)がやってくれるさ。

 

そんなことを考えていると正面にタトゥイーンが見えてくる。ここでは最後にシス卿の『ダース・モール』に襲われるはずだ。原作では師匠(マスター)が1人で闘っていたが、俺が参戦すればこの星でダース・モールを討てるかもしれない。そうすれば後のナブー戦でもこちらに余裕が生まれるはずだ。

 

未来を変えるポイントの1つがこの惑星にある。

 

そう考える俺は無意識に腰に下げているライトセーバーを強く握り締めていたのだった。



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あれぇ?なんでなんで!?

やっとアナキン登場!
タイトル詐欺は回避された!


「何を言っているオビ=ワン。お前も来るんだ」

 

皆さまこんにちは。オビ=ワン・ケノービでございます。

 

タトゥイーンへ到着してすぐに師匠(マスター)が宇宙船のパーツを探しに行くと言い出した。俺は原作通り宇宙船の守りにつくと師匠(マスター)に言ったところ上記の返答をされたのだ。

 

ナンデナンデ!?タトゥイーンではクワイ=ガンとパドメとビンクスの3人で出発してたじゃん!ここで原作と違うことになるなんて聞いてないよ!!

 

しかしよくよく考えればep1のオビ=ワンは終盤まで影の薄いキャラだ。ここで出会うアナキンだって自己紹介以外でオビ=ワンと会話していない。名前すら呼ばれていないのだ。むしろここで師匠(マスター)と一緒にダース・モールと闘うならついて行った方が良いまである。宇宙船の守りに関してはナブーからついてきた警備隊の面々が「お任せください!」と言っているから大丈夫だろう。このイレギュラーで原作ルートから外れることはない。セーフセーフ!

 

ということで、宇宙船のパーツを探しに行くメンバーは俺、師匠(クワイ=ガン)、パドメの3人になった。

 

アレェ!?ナンデ?ビンクスナンデ?

 

お前が露店の商品にちょっかい出してトラブルをおこさないとスカイウォーカー家へのお泊りイベントが起きないだろうが!

 

何が「ミーはお留守番してるヨ。この惑星暑くてグンガンのミー乾いちゃうネ」だよ!フザケンナ!

 

そんなこんなで俺達一行はパーツを求め着陸地点の付近にある都市『モス・エスパ』へと向かう。

 

そうして何事もなくモス・エスパに着いた俺達はワトーの店に入店する。

 

遂に来てしまった。この店でアナキンと初の対面をするのだ。

 

『アナキン・スカイウォーカー』原作ではオビ=ワンの弟子(パダワン)であり、クローン戦争時には最強のジェダイと呼ばれた男。そしてジェダイ・オーダーを滅ぼし銀河に暗黒をもたらした男。この時は確かまだ9歳だったはずだ。

 

銀河の未来を考えるならアナキンとの接触も回避した方が良いのだが、今後の展開を考えるとアナキンの協力は必要不可欠だ。そしてアナキンの持つ強力なフォースを師匠(マスター)が見逃すはずもない。そうなると俺のとれる道は1つ。俺がジェダイ・ナイトに昇格し、アナキンが師匠(クワイ=ガン)の新たな弟子(パダワン)になるしかない。俺を含め3人の弟子を育てた師匠(マスター)だ。アナキンの育成も原作のオビ=ワン以上に上手くやってくれるだろう。

 

そんなことを考えていると店の奥から1人の少年が現れる。間違いない、彼がアナキンだ。

 

覚悟していたとはいえ実際に目にすると身体に緊張が走る。落ち着け俺、このアナキンはまだ大丈夫だ。それにこのシーンでアナキンと会話をするのはパドメであり俺じゃない。ていうか原作で俺居なかったし!

 

若干混乱しながらも何とか冷静さを取り戻すことに成功した俺はパドメを探す。しかし何故かパドメがいない。店の奥から何とか共和国通貨でパーツを売って欲しいというパドメの声が微かに聞こえる。どうやら師匠(マスター)について店の奥に行ってしまったらしい。

 

ナンデェ!?ナンデツイテイッタノパドメェ!?

 

再び思考が混乱していく俺とそれを見つめるアナキンの図が出来上がった。

 

・・・アナキンが何故かこちらを見てソワソワしている。ソワソワしている。

 

パドメが居ない以上誰かがここでアナキンとコンタクトを取らなくてはいけない。そしてここには俺しか居ない。・・・覚悟決めろぉ俺!

 

そうして覚悟を決めた俺は彼と会話をするためにアナキンの前に座るのだった。



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アナキン・スカイウォーカー

前回出てきて終わったアナキン。

今回はきちんと会話させます(;^ω^)


目の前にいる少年は綺麗な瞳をしていた。とてもこの少年が1人の女性の為に銀河に絶望をもたらすとは思えない。

 

そんな少年はチラチラと俺を見てはモジモジと身体をゆすっている。容姿も相まって可愛らしい姿だ。

 

「やぁ、私はオビ=ワン・ケノービ。君はこの店の従業員かな?それにしては少々若すぎる気がするけど・・・」

 

「・・・僕はアナキン・スカイウォーカーです。僕は、その、従業員みたいな、もの、です」

 

俺が話しかけると彼は一瞬身体をビクつかせ、たどたどしく返事を返してくれる。

 

おかしい・・・。彼はパドメと話すシーンで強気な様子を見せていた。それがどうだ?今目の前にいる少年は頬を赤らめて緊張した様子で俺と会話しているではないか。もしかして別人か?しかしアナキンと名乗っているから本人なのだろう。うーむ・・・。

 

その後も俺はアナキンに話しかけた。別の惑星から来た事、宇宙船が故障してしまった事。もちろん俺がジェダイであることなどの重要なことは伏せてある。

 

会話中最初は消極的だったアナキンも話が進むにつれて積極的に質問してくるようになった。俺の緊張も話が進むにつれて解けていった。これでファーストコンタクトはバッチリだ。アナキンからの質問の8割程が俺についてのことだったことには少し違和感を覚えたが、元々このシーンはパドメが会話をするシーンなのだから多少の変化があってもおかしくないだろう。

 

そんなこんなでアナキンと二人で会話を楽しんでいると奥から師匠(マスター)とパドメが戻ってくる。表情からして交渉は失敗したのだろう。知ってた。

 

「待たせたなオビ=ワン。一旦帰ろう」

 

これから対策を考えたいのだろう師匠(マスター)が俺を呼んで店を出る。それに続こうと席を立つとアナキンが俺の手を掴んできた。そんなにお話しの続きがしたいのだろうか?

 

「大丈夫だよアナキン。また店に来ると思うから、その時にまたお話しよう」

 

そう言って俺はアナキンの頭を撫でる。するとアナキンは顔を真っ赤にして俯いてしまった。流石に9歳の子に頭を撫でるのはやり過ぎたかな?9歳といえば頭を撫でられる歳でもないだろうし。

 

そんなこんなでワトーの店を後にした俺達一行だったがその表情は暗い。

 

「何とか宇宙船のパーツを手に入れなければコルサントへは行けん」

 

「しかしタトゥイーンで流通している貨幣を手に入れなければパーツは手に入りません。まずはお金を手に入れなくては」

 

道の端で師匠(マスター)とパドメが眉間に皺を寄せて話し合っている。最悪宇宙船に置いてある備品を売れば多少のお金にはなるだろうがパーツを買うには到底足りない。

 

最終手段としてライトセーバーを売るという手がある。ライトセーバーはジェダイが自ら作る武器であり、当然市場には流通していない。任務で殉職したジェダイのライトセーバーは誰かが拾って市場に流しているだろうが、この広い銀河からしたら微々たる量だ。(ブラスター)が発達した世界ではあるが、マニアからしたら喉から手が出るほど欲しい代物だろう。

 

この最終手段を師匠(マスター)に提案しようとした時、右腕の袖が誰かに引っ張られる。

 

そちらを見ると先ほどワトーの店で別れたアナキンが俺の袖を引っ張っていた。

 

「やぁアナキン、さっきぶりだね。仕事はどうしたんだい?」

 

俺はしゃがんで目線を合わせるとまだ仕事中のはずのアナキンに話しかける。

 

アナキンは顔を赤らめて俺から目をそらすも「仕事は終わったんだ」と返してくれた。そういえば原作でも仕事を早上がりしたアナキンは師匠(クワイ=ガン)達と昼間に出会っている。

 

「あのねオビ=ワンさん、もうすぐ砂嵐が来るんだけど何処かでやり過ごすアテはあるの?」

 

俺にそう聞いてきたアナキンに師匠(マスター)は宇宙船に戻ると答えるが、アナキンはそんな時間は無いと返す。タトゥイーンの砂嵐は強烈らしく、このまま外にいては俺達はやられてしまうとのことだ。

 

「行くところが無いなら僕の家に来なよ」

 

師匠(マスター)達と対策を話し合っているとアナキンが魅力的な提案をしてきた。確かポッドレースの話はアナキンの家で聞いた筈だしここでこの提案に乗らない手はない。

 

師匠(マスター)、考えている暇はないようです。ここは彼の提案に乗りましょう」

 

俺はアナキンの提案に賛成すると、師匠(マスター)も他に手がないのか賛成してくれた。

 

しかし師匠(マスター)とパドメが俺を見て何か言いたげな表情をしていたのが気になる。いったいどうしたのだろうか?

 

ともかく俺達は砂嵐を回避すべくアナキンの案内で家に向かうのだった。

 

・・・しかしアナキンは何で俺の服の袖を離さないのだろうか?



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パーツと別れ、そして真実

アナキンに手を引かれながら俺達はモス・エスパの居住地区にあるスカイウォーカー家に辿り着く。アナキンは母親に俺達を友達と紹介し、母親は砂嵐が止むまでここに居て良いと快く招き入れ、食事まで用意してくれた。

 

「事情があってどうしてもタトゥイーンで流通している通貨が欲しいのですが、何か手はないでしょうか?」

 

食事をしながら師匠(マスター)がアナキンの母親『シミ・スカイウォーカー』に相談する。するとシミは近々おこなわれるポッドレースの優勝賞金が莫大な金額であることを師匠(マスター)に告げる。

 

師匠(マスター)はそのレースを利用して何とかパーツを手に入れようと考え、レースに参加するというアナキンに協力を要請する。

 

アナキンは笑顔で俺達に協力すると言ってくれた。俺が「ありがとう」と言って頭を撫でてやる。すると急に顔を赤くして部屋の奥へ行ってしまった。店の時もそうだがどうも俺は彼を子供扱いしてしまうようだ。まぁ実際子供なのだが、9歳という年齢は大人ぶりたくなる年頃だろう。次からは気をつけなくては。しかし目の前に座っているパドメの視線が少し冷たい気がする。何故だろうか・・・?

 

それから師匠(マスター)とパドメはワトーにパーツの交渉をしてくると言い、砂嵐がおさまるのを待って店へと向かって行った。俺はアナキンのポッドがまだ未完成ということで完成を手伝うため留守番になった。そんな俺を見てパドメが「私も残ります!」と言い出したが、元々女王からタトゥイーンを見てこいという命令を受けている為、渋々師匠(マスター)について行った。パドメはどうしたのだろうか?

 

その後、俺はアナキンと二人でポッドの完成を急ぎ、何とか夕方には仕上げることに成功した。ここまで多少のイレギュラーはあったが、原作からさほどずれていない。恐らく明日のレースはアナキンの優勝で終わるだろう。

 

その晩、俺は師匠(マスター)にアナキンのことで呼び出された。

 

師匠(マスター)は俺にある機械を見せ、アナキンのミディ=クロリアンの値が異常なほど高いことを告げる。どうやら師匠(マスター)は携帯用の分析器を持っているらしい。そんなものあったのね、知らなかったよ。

 

「よく聞けオビ=ワン。あの子こそ予言にあったフォースに均衡をもたらす『選ばれし者』だ。我々はあの子をなんとしてもコルサントに連れて行かなければならない」

 

そう言ってアナキンを選ばれし者だと信じる師匠(マスター)は少し興奮している様子が見られた。

 

「しかし師匠(マスター)。彼は奴隷です。まずは彼を解放しなくてはコルサントに連れていくこともできません」

 

そう俺が返すと師匠(マスター)は何か企んだ笑顔で「任せておけ」と言って去っていった。

 

「・・・やっぱり原作通りに進んでいくよなぁ」

 

そんな俺の呟きは誰にも聞かれることなく、タトゥイーンの夜空に消えていった。

 

 

 

そんなこんなで次の日。パーツを手に入れた俺達はアナキンに奴隷から解放されたことを告げ、俺達と一緒にコルサントへ向かい、ジェダイにならないかと誘う。

 

え?ポッドレース?もちろん原作通りアナキンが優勝しましたよ。いや、原作より凄かったねアレは。エンジントラブルなくスタートしたアナキンのポッドはぶっちぎりの独走状態だった。俺達は優勝の心配よりも観客がレースを楽しんでるかの心配をしていた程にアナキンの独走だった。

 

そうして宇宙船のパーツとアナキンの奴隷からの解放を果たした俺達は、スカイウォーカー家の前で親子の最後の別れを見ていた。そう、アナキンはジェダイになる道を選んだのだ。

 

「オビ=ワン。行ってやりなさい」

 

目の前で抱き合うスカイウォーカー親子を見て師匠(マスター)が俺に目配せする。アナキンを連れてこいということだろう。できるなら別れの瞬間を邪魔したくはないが、こちらにも早くコルサントに向かわなくてはならない事情がある。

 

俺が近づくとアナキンがこちらに寄って来るが、やはり未練があるのかシミの方を向いてしまう。俺はアナキンの両肩に手を置くとシミの方を見る。

 

「オビ=ワンさん。この子をどうか、どうか・・・」

 

シミはアナキンを見た後、俺に対して息子のことを頼もうとするが、やはり別れが辛いのか途中で涙ぐんで言葉が詰まってしまう。

 

しかし涙を拭うとシミは覚悟を決めた目で言葉を続けた。

 

「どうか娘をよろしくお願いします。立派なジェダイに鍛えて下さい!」

 

そんなシミの言葉には俺は強く答える。

 

「お任せ下さい!娘さんは我々が必ず・・・娘?」

 

待て、シミは今なんと言った?娘?聞き間違いか?

 

「あの、アナキンは男の子では?」

 

「いえ、アナキンは私の娘です。女の子ですよ」

 

・・・・・・。

 

6つの冷たい目が俺を見つめる。どうやら選ばれし者(アナキン・スカイウォーカー)は女の子だったらしい。

 

どういうことなのぉ!?

 

 



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タトゥイーンの闘い

「アナキンのことをずっと男の子だと思ってたんですか!?信じられません!」

 

宇宙船へ向かう途中、俺はパドメの説教を受けていた。

 

でも仕方ないじゃん!原作ではアナキンは男だったんだよ。そんなの男の子と勘違いしてもおかしくないよねぇ?

 

しかしパドメの冷たい目を見るとそんな反論もできなくなる。

 

師匠(マスター)も俺を見て「そうだぞオビ=ワン」と俺を責める。どうやら気づいていなかったのは俺だけらしい。

 

2人に叱られ落ち込みながら列の最後尾を歩いているとアナキンが隣に来て慰めてくれた。なんて優しい子なんだろうか。

 

そんなやり取りをしていると遠くに宇宙船が見えてくる。手に入れたパーツは事前に船に送っているので、恐らく修理は終わっているだろう。

 

後はこの星で起きる最大のイベントを乗り越えるだけだ。師匠(マスター)と2人ならこの星でダース・モールを討てるはずだ。ここで奴を倒す。

 

そう決意した瞬間、おぞましい程の暗いフォースの接近を感じる。後ろだ!

 

師匠(マスター)何か来ます!」

 

俺は叫ぶと同時にライトセーバーを起動させ振り向く。目の前にはスピーダー・バイクから跳躍し、赤いライトセーバーでこちらに切り掛かる黒装束の男が見える。

 

俺は奴の初撃をライトセーバーで受け止めるが、思ったよりも重い攻撃に後ろに弾かれてしまう。襲ってきた奴の顔を確認する。間違いない、ダース・モールだ。奴は初撃を受けられたことを悟ると、続けて斬撃を繰り出してくる。

 

「アナキン!宇宙船に向かうんだ!」

 

ダース・モールの連撃を何とか凌ぎつつ先程まで隣にいたアナキンに宇宙船へ向かうよう指示を出す。俺の声を聞いたアナキンは宇宙船に向かって全力で走っていった。これでアナキンは大丈夫だろう。

 

俺は奴の攻撃を前後左右に動くことで回避しながら攻撃を仕掛ける。俺の使用するアタルはヒット&アウェイのフォームだ。しかし奴は俺の攻撃を全て受け止め、威力の高い斬撃で反撃してくる。お互い接戦のように見えるが、まだダース・モールは本気ではないのだろう。現に奴のダブル=ブレード・ライトセーバーは片刃しか起動されていない。

 

光刃を打ち合い、躱し、そらしては切り込む。しかし俺の光刃は防がれ、奴に届かない。

 

「オビ=ワン!」

 

俺とダース・モールが数合光刃を交えた頃、師匠(マスター)が合流し参戦する。随分遅い参戦だと思ったが、どうやらアナキンを宇宙船に送り届けてから来たらしい。

 

俺と師匠(マスター)は奴の左右から切り掛かる。しかし奴はその全ての斬撃を悉く防いでいく。だが師匠(マスター)が合流したことで闘いの流れはこちらに傾いた。さすがの奴も2人のジェダイから繰り出される連撃に防戦一方になっている。それでも奴のライトセーバーは片刃しか起動されていない。何か理由があるのか、それとも舐められているのか。

 

俺と師匠(マスター)の絶え間ない連撃を凌いでいた奴は一瞬の隙をついて跳躍し俺達と距離を取る。何かを仕掛けるつもりか?

 

俺達は奴の次の動きを警戒してライトセーバーを構えなおすが、奴は俺達の足元にフォースを使い、地面の砂を巻き上げる。

 

突然の砂の目隠しに俺は警戒を強める。感覚を研ぎ澄ませ死角からの攻撃に備えるが、巻き上がった砂が晴れる頃には奴の姿は何処にも見えなくなっていた。近くに落ちていた奴のスピーダー・バイクもなくなっている。恐らく目隠しと同時に撤退したのだろう。己の不利を悟ったのか、それとも目的を果たしたのか。

 

ダース・モールが去り、闘いが終わった途端、師匠(マスター)が地面に座り込む。額には大量の汗をかいていた。師匠(マスター)ももう高齢だ。使用しているフォームも合わさって長期戦には耐えられないだろう。

 

そういう俺も肩で息をしていることに気付く。思った以上に俺も疲労しているらしい。

 

ダース・モールをこの星で討つのは失敗してしまった。次に闘うのは恐らくナブーだろう。次の闘いで失敗してしまえば原作通り師匠(マスター)は死ぬだろう。師匠(クワイ=ガン)にはアナキンの師匠になってもらいたい。だからそれだけは何としても避けなければならない。

 

後ろから宇宙船が低空飛行で近づいてくる。開いたままの昇降口からアナキンとパドメが心配そうにこちらを見つめている。

 

「・・・次は絶対に奴を討つ」

 

俺は昇降口の2人に手を振ると、次は失敗しないという決意をそっと口にするのだった。



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ジェダイ評議会

コルサントにあるジェダイ・テンプル。5本ある尖塔の中で一際高い尖塔の最上階ではジェダイ評議会が召集され、俺と師匠(マスター)が12人の評議員に対し今回の任務の報告をおこなっていた。

 

「シスが復活したなどとはとても信じられん。奴らは千年も前に滅んだはずだ」

 

報告の中で特に評議会が関心を示したのはタトゥイーンで襲撃してきたダース・モールの件だった。

 

師匠(マスター)はこれをシスが復活したのではないかと報告するが、マスター・ウィンドゥをはじめとした評議会のメンバーは懐疑的な反応を示した。

 

無理もない。シスが千年前に滅びたというのは全てのジェダイが信じていることだ。シスが復活したなどと報告しても急には信じることができないだろう。

 

「シスの復活は到底信じられるものではないが、放置するには事が事だ。すぐに調査を開始して事実確認をおこなおう」

 

マスター・ウィンドゥの言葉で評議会が閉廷され、俺と師匠(マスター)は退室を促される。しかし師匠(マスター)はまだ報告があるとその場を動かなかった。アナキンのことだ。

 

師匠(マスター)はアナキンこそがフォースに均衡をもたらす選ばれし者だと説明し、ジェダイ・オーダーに加え訓練を受けさせたいと申し出る。評議会はアナキンをテストすると言い、ここに連れてくるよう師匠に命じた。

 

アナキンを連れてくるため一度退室した俺達は、彼女を待たせているテンプル内にある貴賓室に向かう。

 

「オビ=ワンさん!」

 

貴賓室に入るとアナキンが笑顔で駆け寄ってくる。何もない部屋で退屈だったのだろう。

 

「アナキン。これから君にはあるテストを受けてもらう。だが心配するな。力を抜いて自分の感覚を信じていれば問題ない」

 

師匠(マスター)はアナキンにそう告げるとアナキンを評議会に連れていく。

 

アナキンがテストを受けている間入室を禁じられた俺達はテンプルの一画でテストが終わるのを待つ。

 

「アナキンは偉大なジェダイになるだろう」

 

「はい師匠(マスター)。彼女にはその素質があると思います」

 

師匠(マスター)と今後のアナキンのことを話していると、1人のジェダイ・ナイトが話しかけてくる。どうやらアナキンのテスト終了を伝えに来てくれたようだ。

 

俺達はナイトにお礼を言い、結果を聞きに評議会の間に戻る。

 

 

 

 

評議会の間の窓からコルサントの夜景が見える。

 

「素質は認める。だが訓練は受けさせない」

 

マスター・ウィンドゥがテストの結果を告げる。うん、知ってた。

 

「何故です!?彼女は選ばれし者なのですよ!?」

 

評議会の結論に師匠(マスター)が異を唱えるが、結果が覆ることはない。

 

アナキンが年を取り過ぎている、そして彼女の未来がよく見えないこと。マスター・ヨーダはそう俺達に説明する。

 

「私が鍛えます。アナキンを私の弟子(パダワン)とします」

 

師匠(マスター)がアナキンの両肩に手を置きアナキンを弟子(パダワン)にするとマスター・ヨーダに宣言する。

 

アナキンはそれを聞くと何故か驚愕の表情で俺を見る。どうしたアナキン?とりあえず撫でておこう。

 

「お前には既に弟子がおる。2人持つことは許されん」

 

「オビ=ワンは卒業です」

 

マスター・ヨーダの言葉に師匠(マスター)は即座に俺の卒業を告げる。俺も「心構えはできています」と援護しておく。

 

しかし評議会はアナキンの処遇よりもナブーの件が優先であると議題をナブーへと変える。

 

現在アミダラ女王はナブーへ戻りたがっているらしく、俺達はその護衛をせよと命じられる。

 

「フォースが共にあらんことを」

 

マスター・ヨーダの言葉を受け俺達は退室する。

 

アナキンの件はナブーの件が終わってから改めて議論されるだろう。だが俺はアナキンはジェダイになるという確信がある。それは原作知識があるとかではなく、俺のフォースがそう告げているのだ。

 

とにかく今はナブーへ向かい、そこで待つダース・モールを討つ。

 

そう決意した俺は師匠(マスター)、アナキンの3人でアミダラ女王の元へ向かうのだった。



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ナブー解放戦

目の前でナブーとグンガンの確執が解消され、共に通商連合と闘うことが決まった。

 

コルサントから一路ナブーに戻ってきた俺達はグンガンの協力を仰ぐことに成功し、ここに通商連合との決戦の準備が整った。

 

作戦は3段階に分かれている。まず1段階目は、ビンクスを将軍とした『グンガンの偉大なる軍隊』が草原に展開、首都シードにいる通商連合のドロイド軍主力を誘き出しシードの守りを薄くさせる。2段階目に、守りの薄くなったシードに女王を指揮官とした別働隊が潜入し、宇宙船格納庫を開放する。3段階目、パイロット達は解放した格納庫からファイターで出撃。ナブー軌道上にいるドロイド司令船を破壊し、ナブーに展開しているバトル・ドロイドを停止させる。女王を始めとしたその他の人員は宮殿を占拠し、通商連合総督のヌート・ガンレイの身柄を拘束する。

 

「この戦いに勝利し、ナブーを解放しましょう」

 

侍女に扮していた本物の女王『パドメ・アミダラ』が全軍を鼓舞し、士気は最高潮に達する。

 

その後グンガン軍、別働隊は作戦行動を開始し、ここにナブー解放戦の火ぶたが切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

「見ろ、警備隊が連行されてるぞ」

 

手薄になったシードに潜入した俺達は目の前で連行されている警備隊を発見する。パドメの指示で警備隊の周囲にいるドロイドを片付けた俺達は格納庫を目指す。

 

格納庫はドロイドが警備していたが草原に派遣されたのか数が少なく、俺と師匠(マスター)で難なく蹴散らすことができた。この場に連れてきたアナキンは駐機してあるファイターに隠れるよう指示を出す。これで原作通りドロイド司令船を沈められるだろう。頼んだぞアナキン!

 

ドロイドを蹴散らすと別働隊に同行していたパイロット達はすぐに格納庫に駐機してあるファイターに乗ってドロイド司令船を目指していく。残った俺達はヌート・ガンレイの捕縛のため宮殿を目指そうとする。しかしそんな俺達の前に黒装束の男、ダース・モールが立ち塞がる。とうとうこの時が来てしまった。師匠と目配せし、2人で奴の前に出る。

 

「ここは我々にお任せを」

 

そう言って俺達はローブを脱ぐ。ダース・モールは戦闘の構えをとりダブル=ブレード・ライトセーバーを起動する。タトゥイーンと時とは違い両刃を起動している。今回は本気ということだろう。

 

俺と師匠(マスター)もライトセーバーを起動させ構える。パドメ達は俺達の後ろを抜け、宮殿へと向かって行った。

 

俺達は正面から奴に切り掛かる。しかし奴は両刃を器用に使い斬撃を防いでいく。その動きはタトゥイーンの時よりも激しく、防戦一方だった前回とは違い、巧みに攻撃を織り交ぜてくる。ダース・モールの使用するフォーム『ジュヨー』は7つあるライトセーバーのフォームの中で究極と言われる型だ。そのしなやかな動きと鋭い攻撃は俺達の斬撃を弾き、追い詰めていく。

 

奴は一旦俺達から距離を取り、格納庫の扉をフォースで開く。そして扉を潜り狭い通路のような場所へ下がる。それを追う俺達だが、狭い通路では動きが制限され、数の利が生かせない。

 

俺達は同時攻撃からお互いが入れ替わって1対1で闘う戦法に切り替える。先に師匠(マスター)が切り掛かり、途中で俺に代わる。師匠(マスター)が攻撃すると思わせて俺が切り掛かるフェイントも入れていく。効果はバツグンだ!

 

俺達の戦法に苛立ちを覚えたのか、ダース・モールは俺達の分断を狙ってきた。狙われたのは俺だ。ダース・モールは俺に猛攻をくわえ、怯んだ隙をついて下の通路に蹴り落としてきた。

 

「オビ=ワン!くそっ!」

 

俺が下に落ちたことで師匠(マスター)と分断されてしまう。奴は次の目標を師匠(マスター)に定め猛攻を浴びせていく。しかしそこは熟練のジェダイ。奴の猛攻を防ぎ切り逆に攻勢に転じる。

 

俺はすぐに体勢を整え、フォースを使った跳躍で上の通路まで戻る。師匠(マスター)とダースモールは通路を進みエネルギー発生室へと向かっていく。俺はフォースを纏い師匠(マスター)の元まで駆ける。

 

師匠(マスター)に追いついた俺は渾身の力でダース・モールに切り掛かった。俺の斬撃を防いだダース・モールはその衝撃を受けきれず数歩後ろに下がる。その瞬間、通路にバリアが発生し俺達とダース・モールが分断された。俺はライトセーバーの光刃を消し隣にいる師匠(マスター)を見る。師匠(マスター)はその場で座禅を組み、精神を集中させている。しかしその額には大粒の汗が浮かんでおり、闘いの疲労が窺えた。

 

このバリアが消えた時が決着の時だ。俺は右手に持ったライトセイバーを強く握り、バリアの向こうにいるダース・モールを強く睨みつけるのだった。

 

 



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歴史の分岐点

バリアを挟んでダース・モールとの睨み合いが続く。俺達はこの束の間の休戦時間を利用し、呼吸を整えていく。

 

「オビ=ワン、バリアが消えた瞬間に一気に行くぞ」

 

「はい師匠(マスター)

 

もうすぐバリアが消える。奴との死闘が再開されることをフォースが伝えてくる。俺はライトセーバーを起動させ、その時に備える。

 

通路のバリアが消えた。その瞬間に俺達はダース・モールに切り掛かる。

 

エネルギー発生室は中央に大きなダクトの穴があるため広くはないが、それでもさっきの通路よりは広い。俺達は空間を利用しダース・モールの前後左右から攻撃を仕掛ける。しかし空間の広さは奴にも利があり、俺達の攻撃は悉く防がれる。

 

ダース・モールは1人ずつ仕留める作戦に変更したのか、俺を集中して狙ってくる。しかし俺を狙うということは師匠(マスター)がフリーになるということだ。俺は奴の攻撃を捌くことに専念し、攻撃を師匠(マスター)に任せる。奴は師匠(マスター)の攻撃を防ぎながら俺に猛攻を仕掛けてくる。俺はその猛攻を何とか防ぎながら耐えるが、力を込めた強力な一撃を受け止めきれず後ろへ飛ばされてしまった。その瞬間、奴は後ろから切り掛かろうとしていた師匠(マスター)をフォースで吹き飛ばす。吹き飛ばされた師匠(マスター)は壁に激突し、そのまま立ち上がることはなかった。恐らく壁にぶつかった際に頭を打ち付け気絶したのだろう。

 

師匠(マスター)がやられた。それを見た瞬間俺の頭に血が上るのを感じた。俺は怒りの感情を光刃に乗せダース・モールに切り掛かる。その動きは自分でも驚くほど速く、奴の目に驚きが浮かぶのが見えた。

 

怒りの力。それは暗黒面に繋がると師匠(マスター)から教わっている。ジェダイは常に感情を制御し、冷静さを保たなくてはならない。だがそんなことは今の俺には関係ない!

 

俺はありったけの力を込めて奴を攻撃する。青と赤の光刃が何度も交わる。しかしそれでもダース・モールは強かった。奴は俺の力を乗せた連撃を全て防ぐと、俺の体勢を崩し、中央に開いたダクトへと蹴り落とす。

 

俺は落とされた瞬間、ダクトの出っ張りを掴みぶら下がる。下を見ると深すぎてそこが見えない。落ちたら確実に死ぬだろう。

 

ダース・モールはそんな俺を見下ろし冷たい笑みを浮かべている。そして蹴られた際に床に落とした俺のライトセーバーをダクトに蹴り落とした。

 

ヤバい、殺される。

 

しかしダース・モールはダクトにぶら下がる俺に背を向け、師匠(マスター)の方へ歩いて行く。落ちかけの弟子(オビ=ワン)よりも脅威度の高い師匠(クワイ=ガン)を先に殺す気だろう。

 

このままでは師匠(マスター)が殺される。しかしこの状態でどうすれば?

 

最悪の未来を想像し焦りが生まれる。どうすればいい?どうしたらいい!?

 

その瞬間、俺の中から焦りが消え、感覚が研ぎ澄まされるのを感じた。気絶した師匠(マスター)の位置、ダース・モールの一挙一動、床に落ちている埃の位置まで感じることができる。今までよりも強くフォースを感じることができる!

 

俺は全身にフォースを纏い高く跳躍する。俺の強いフォースを感じたのか、ダース・モールが俺に振り向くのが見える。俺は空中で師匠(クワイ=ガン)のライトセーバーをフォースで引き寄せ、奴の頭上を飛び越えて背後に着地し、そのままの師匠(クワイ=ガン)のライトセーバーを横薙ぎに振るった。

 

俺の振るった緑の光刃は奴の首を切り落とす。切り落とされた奴の頭部が床に落ち、遅れて身体が倒れる。

 

闘いは終わった。俺は倒れる師匠(マスター)へと駆け寄る。

 

「よかった、息がある」

 

師匠(マスター)が生きていることに安堵した瞬間、武装した警備隊の面々が俺達の元に駆けつける。どうやらヌート・ガンレイ捕縛は成功したらしい。

 

俺は師匠(マスター)を警備隊に任せると床に落ちていたダース・モールのダブル=ブレード・ライトセーバーを拾う。これは評議会へ提出するシス復活の証拠だ。必ず持ち帰らなくては。

 

奴の身体は警備隊に任せ、俺は師匠(マスター)が運ばれた医務室へと向かうのだった。



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マスター・ヨーダを許さない(白目)

医務室で目を覚ました師匠(マスター)は開口一番に俺のことを心配してくれた。俺はシスを討ったことを報告すると師匠(マスター)は安堵の笑みを浮かべた。

 

アナキンはどうやら原作通りファイターで出撃し、ドロイド司令船を撃沈したらしい。興奮しながら俺にその話をしてくるアナキンを俺は「頑張ったな」と褒めて頭を撫でてやる。アナキンは顔を赤くするが、その表情には喜びの笑みが浮かんでいた。

 

医者は師匠(マスター)が頭を打ったことを気にして、数日間医務室で安静にするよう告げる。なのでコルサントへの帰還は師匠(マスター)の回復を待ってからとなった。

 

その間パドメが忙しい事後処理の合間を縫って師匠(マスター)のお見舞いに来てくれたり、ビンクスがやってきてお見舞いの品の果物を食べてしまい俺が叱るなど、穏やかな時間が流れる。

 

そして数日後、医者から退院の許可が下りた師匠(マスター)は俺とアナキンにコルサントへの帰還を待たせたことを謝罪してきたが、俺が「そんなことより師匠(マスター)が大切です」と返すと「いい弟子を持った」と笑っていた。

 

退院した師匠(マスター)はナブーの宇宙船格納庫へ向かう。コルサントまでロイヤル・スターシップで送ってくれるらしい。流石パドメ!

 

コルサントへ帰還する俺達を沢山の人が見送ってくれる。パドメ、警備隊、ビンクスやグンガンの面々。

 

「このたびはナブーを救って頂き感謝しております。国民を代表してお礼を申し上げます」

 

パドメが代表して俺達に感謝を述べる。師匠(マスター)は「銀河の平和を守るのが、我々ジェダイの務めですので」と返すと、一礼して船に乗り込む。

 

そして俺達はナブーの人々に送られ、コルサントへ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

「絶対にあの時『ブラ=サガリ』が発動したな」

 

コルサントへ帰還して早々に師匠(マスター)は評議会へ報告に向かった。しかし何故か俺の同行は許可されなかった。現在俺はテンプルにある自室で待機し、ナブーでのダース・モール戦を思い出していた。

 

ダクトにぶら下がっていた時に感じたフォースの感覚を今は感じられない。あれはいったい何だったのか。俺の潜在能力が覚醒したのか?

 

結局考えてもわからなかった俺は、ネットで有名だったオビ=ワンの秘儀『ブラ=サガリ』が発動して勝利フラグが立ったと結論する。勿論そんなはずはないのだが、考えてもわからないから仕方ない。後で師匠(マスター)に聞いてみよう。

 

そんなアホなことを考えていると師匠(マスター)から評議会の間に来るよう連絡が入る。

 

「これで俺もジェダイ・ナイトだな。師匠(マスター)の新たな弟子(パダワン)が暗黒面に落ちないよう俺も微力を尽くそう」

 

原作と違い師匠(クワイ=ガン)が生きている。アナキンのジェダイ・オーダー参加は師匠(マスター)が評議会を説得して認められるだろう。俺と別れる際に「任せろ」と言っていたから大丈夫だろう。

 

さて、評議会の面々を待たせてはいけない。俺は身なりを整えると、急いで尖塔の最上階に向かった。

 

 

 

 

 

評議会の間はコルサントの夕日が差し込み、茜色に照らされていた。

 

「ジェダイ・パダワン。そなたを評議会の権限とフォースの意思により、オビ=ワン・ケノービ、そなたは共和国のジェダイ・ナイトとなった」

 

マスター・ヨーダの言葉と共に俺はジェダイ・ナイトに昇格した。右から垂れていた三つ編み『パダワン・ブレード』を切り落とされる。

 

ナイト昇格に儀式が終わり、評議会の面々が退室する。残ったのは俺とマスター・ヨーダ、そして儀式後に入室した師匠(クワイ=ガン)とアナキンの4人だった。

 

「スカイウォーカーの件じゃが、正式にオーダーに加えることとなった。そこにいるジェダイ・マスターが強く推すものでのぉ、評議会の皆が折れたわい」

 

マスター・ヨーダが笑いながらアナキンのオーダー参加を告げる。どうやら師匠(マスター)の説得が成功したようだ。師匠(マスター)を見るとやり遂げた笑みを浮かべている。

 

「ジェダイ・ナイト、オビ=ワン・ケノービ」

 

マスター・ヨーダが笑みを消し、真面目なトーンで俺の名を呼ぶ。俺は佇まいを正してマスター・ヨーダに正対する。

 

「評議会の権限により、そなたをジェダイ・パダワン、アナキン・スカイウォーカーの師匠(マスター)に命ずる。選ばれし者を鍛えよ、ナイト・ケノービよ」

 

マスター・ヨーダ言葉を聞き、俺は目の前が真っ白になった。俺がアナキンの師匠(マスター)?は?ナンデ!?

 

「待ってくださいマスター・ヨーダ!私は今日ナイトに昇格したばかりです。私よりもマスター・クワイ=ガンが適任だと思います!」

 

俺はすぐさま異を唱える。こんな新人ナイトより、熟練マスターが師匠になった方がアナキンにとって良いに決まってる。しかもアナキンは只の弟子(パダワン)ではない。選ばれし者なのだ。失敗は許されない。

 

「オビ=ワン。アナキンの師匠(マスター)の件はマスター・ヨーダのご判断だ。評議会はお前を千年ぶりにシスを倒したジェダイと高く評価している。お前の性格と技量ならばアナキンを立派に育てることができる。安心しろ、私も手伝う」

 

師匠(マスター)の言葉を聞きマスター・ヨーダを見ると、「その通りじゃ」みたいな表情をしている。待て待て待て!

 

「アナキンはフォースに均衡をもたらす選ばれし者です!やはりナイトに昇格ばかりの私よりもっと経験を積んだ熟練のジェダイの方が、」

 

「ナイト・ケノービよ!」

 

やはり納得できない。俺は考え直すよう説得しようとするが、途中でマスター・ヨーダの強い声に止められる。

 

「評議会の権限により、そなたをジェダイ・パダワン、アナキン・スカイウォーカーの師匠(マスター)に命ずる。しっかり励むのじゃぞ、若きナイトよ」

 

マスター・ヨーダは再度俺にアナキンの師匠(マスター)になるよう命ずると、笑みを浮かべて師匠(クワイ=ガン)と退室していった。

 

俺はこの展開を理解できず呆然と立ち尽くしていると、今まで黙っていたアナキンが近寄ってきた。

 

「これからよろしくお願いしますオビ=ワンさん。いや、師匠(マスター)

 

俺はアナキンを見るがなんと返していいか言葉が出てこない。するとそんな俺に不安を覚えたのかアナキンは「ごめんなさい。僕の師匠(マスター)なんて嫌ですよね・・・」と少し泣きそうな声で言った。

 

俺は目を瞑って大きく深呼吸すると、アナキンの頭を撫でる。

 

「アナキン。お前が立派なジェダイになれるよう私の持てる全てを教えよう」

 

「はい、師匠(マスター)!」

 

俺の言葉に満面の笑みを浮かべるアナキン。評議会によって決まってしまったのなら受け入れるしかない。俺は全力でアナキンを育て、原作通り暗黒面に落ちないよう導いていこう。師匠(クワイ=ガン)も手伝うと言ってくれた。アナキンの精神面は師匠に任せよう。そうと決まれば早速アナキンの訓練プランを立てなくてはいけないな。

 

俺はこれからのことを考えながら、新たに弟子(パダワン)になったアナキンを連れて評議会の間を後にする。

 

そしてマスター・ヨーダ、俺はあなたを恨みます!(白目)



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幕間:アナキン

初めてその人を見た時から胸がドキドキするのを感じる。

 

いつものようにワトーの店で商品の管理をしていた時、唐突に出会いは訪れた。

 

「やぁ、私はオビ=ワン・ケノービ。君はこの店の従業員かな?」

 

何処か緊張した表情で彼が僕に話しかけてくる。

 

僕はドキドキで噛み噛みになりながらも「はい、そうです」と返すことができた。

 

この胸のドキドキの正体を僕は知っている。前にママが言っていた。人は生きていれば必ず運命の人に巡り合える。そしてそれを本能的に理解するらしい。

 

最初はママの言ってることがよくわからなかったけど、彼に出会って理解した。これが運命の出会いだって。

 

それから色々なことがあって、僕は奴隷から解放されてジェダイになることになった。そしてオビ=ワンさんが僕の師匠(マスター)になってくれるらしい。どうやら緑のおじさん、マスター・ヨーダって呼ばれる人がオビ=ワンさんを師匠(マスター)にしてくれたらしい。ありがとうございますマスター・ヨーダ!

 

オビ=ワンさん、いや、もう師匠(マスター)って呼ばないとね。師匠(マスター)の訓練はとても辛くて何度も挫折しそうになった。でも、僕が他の弟子(パダワン)達がイニシエイト時代に身につけている基礎的なことを何もできないから、他の弟子(パダワン)と同じことができるよう訓練してくれているのだ。僕の為を思って訓練をしてくれる。そう考えるとどんなに辛いことも乗り越えることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして8年・・・。僕は17歳になった。

 

師匠(マスター)と出会った時はちんちくりんだった僕も8年経って女らしい身体になったと思う。

 

ジェダイとしての基礎を身に着けた僕は、次に実践的なことを中心に学んでいる。師匠(マスター)はちょっとずつしか僕に試練を与えてくれない。けどそれは覚えたことをしっかりと身につける為。一気に沢山のことをやっても覚えきれないことがあるかもしれない。だから師匠(マスター)は少しずつしか僕に試練を与えない。

 

一時期僕は師匠(マスター)のやり方に不満を感じたけど、理由を知るとそんな不満は無くなった。むしろしっかりと僕の事を考えてくれている師匠(マスター)をがっかりさせないよう訓練に身が入るようになった。

 

そうやってふと昔のことを思い出していると、遠くで師匠(マスター)が僕を呼んでいるのが見える。

 

あぁ師匠(マスター)・・・。出会ってから8年、僕はどんどん師匠(マスター)に惹かれていく。

 

師匠(マスター)、僕の師匠(オビ=ワン)。僕はあなたの弟子(パダワン)として、あなたを失望させないように努めます。そしていつか、あなたの隣に立って見せます。

 

だから師匠(オビ=ワン)。ずっと僕を見て居てくださいね。

 

そろそろ行かなくては、師匠(マスター)を待たせはいけない。

 

今行きます。僕の愛しの師匠(オビ=ワン)・・・。



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EpisodeⅡ クローンの攻撃
あれから10年・・・


アナキンを弟子(パダワン)にしてから10年が経った。この10年でアナキンは心身共にしっかり成長し、立派な弟子(パダワン)に育ってくれた。

 

現在俺達は評議会からアミダラ議員の護衛を命じられ、元老院アパート・ビル最上階のナブー大使館へ向かうためエレベーターに乗っている。

 

「緊張しているのかアナキン?」

 

「10年ぶりに会うんです。忘れられてたらどうしようかと」

 

俺は隣でソワソワしているアナキンに話しかける。どうやらアナキンはパドメに忘れられていないか不安らしい。俺は「大丈夫だ」とアナキンの肩を叩き、最上階への到着を待った。

 

「オビー!久しぶりネ!」

 

最上階のナブー大使館に到着すると、ビンクスが出迎えてくれる。初めてあった時はグンガンの都を追放されていた彼も、今ではナブーの準惑星代表だ。

 

互いに再会の抱擁を交わすと、奥からパドメが現れる。

 

パドメは俺に一礼した後、アナキンに視線をやる。そのまま数秒アナキンを見つめるパドメだったが、ふと「アニー?」と呟くと、その表情は満面の笑みに変わり、アナキンに近寄って行った。

 

それから2人は再会の抱擁と会話をしていたが、このままでは話が進まないため、俺は申し訳なく思いながらも会話を中断させ、席へと促す。そこで改めて、俺達が評議会からパドメの身辺の護衛に派遣されたことを伝える。

 

「ご安心くださいアミダラ議員。議員の身体に傷一つ負わせません」

 

アナキンもそう言ってやる気を見せる。議員のことをパドメではなくアミダラ議員と呼んだあたり、公私の区別はできているらしい。本当に良く育ってくれた。

 

「私の護衛もそうですが、お2人には何としても襲撃者の逮捕をお願いしたいのです。共和国軍創設の投票は間近です。不安の種は減らしておくに越したことはありません」

 

しかしパドメは護衛ではなく、犯人の逮捕に力を注いで欲しいと俺達に告げる。そのまま話は平行線を辿ったが、最終的に何か事が起きた際は犯人の追跡に力を注ぐことに決定した。

 

「彼女は最初僕のことがわからなかったみたいです」

 

パドメが去った後、アナキンが俺に呟くように言った。しかしパドメに落ち度はない。アナキンは10年前と比べてとても女性らしく成長した。髪型こそショートヘアのままだが、その他の部分が変わり過ぎている。恐らく誰が見てもアナキンだとは瞬時に気が付けないだろう。

 

「お前があまりにも綺麗に成長したからだよアナキン。それに議員もすぐにお前だと気づいただろ。気にするな」

 

そう言って肩を叩いてやると、アナキンは少し嬉しそうに微笑んだ後、護衛の為にパドメの後を追って行った。

 

 

 

 

その夜。

 

アナキンはパドメの寝室で直接護衛を、俺は部屋の外で警戒を強めていた。原作通りなら今晩仕掛けてくるはずだ。しかし襲撃者がどんな方法でパドメを襲うかが思い出せない。10年経って俺の原作知識も薄れてきている。大きなことは覚えているが、小さなことになるといくつか抜け落ちてしまっている。

 

「爆弾とかの大規模なものではなかったはずだけど・・・何だったかな?」

 

うーん、思い出せない。まぁアナキンが寝室にいるから大丈夫だとは思うが・・・。

 

その時、寝室から若干のフォースの乱れを感じる。何かが起きた!

 

俺は急いでパドメの寝室へ向かい扉を開けた。

 

寝室には上半身裸でライトセーバーを構えるアナキンとタオルを持ったパドメがいた。・・・どういう状況?

 

いや、そんなことはどうでもいい。今は犯人の追跡が最優先だ。部屋を見渡すと窓の外に小型の飛行ドロイドが浮いているのを発見する。ドロイドは見つかったのを悟るとその場を離れようとするが、逃がさん!

 

俺は窓を破ってドロイドに掴まる。アナキンが「師匠(マスター)!?」と驚いた声を出していたが気にしない。俺はアナキンに対しスピーダーを持ってくるように伝える。しかしその頃にはドロイドはビルからかなり離れていた為、俺の声が届いたかはわからない。

 

俺はフォースを使用し、ドロイドから振り落とされないようにしながらコルサントの夜空を飛ぶのだった。



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夜の女子会

オビ=ワンがドロイドにスーパーダイブする少し前・・・。

 

 

 

 

僕は師匠(マスター)に言われてパドメの寝室で直接護衛をおこなうことになった。パドメは明日も執務があるから早く寝なきゃいけないはずなのに、何故かジュースとお菓子を用意してお話しする気満々だった。

 

「ふふ、女子会ねアニー」

 

でも楽しそうに笑うパドメに就寝を促すことなんて僕にはできなかった。それからパドメ曰く『夜の女子会』が始まった。話の内容としては10年間お互いがどうだったかという他愛のないこと。でも久しぶりに会った友人との会話はとても楽しいものだった。

 

「そういえば、マスター・ケノービとはどうなのアニー?」

 

「・・・どうとは?」

 

そんな中ふとパドメが気になったように師匠(マスター)との関係を尋ねてきた。僕と師匠(マスター)は師弟関係でしかない。僕はパドメにそう伝える。

 

「でもアニー、マスター・ケノービに惚れてるでしょ?私一目でわかっちゃった」

 

パドメの言葉に僕は心臓が高鳴るのを感じた。誰にも話したことがないのに、誰にも気づかれたことがないのに。ジェダイの掟に反するこの感情を見透かされた。背筋に冷や汗が流れるのを感じる。そんな僕の表情を読んだのかパドメが「違うの」と慌てだす。

 

「アニー、ジェダイの掟で愛してはいけないというものがあるのは私も知ってる。でもそんなの悲しすぎるわ!」

 

「でも僕はジェダイなんだよパドメ。ジェダイである以上掟は絶対だ」

 

悲しげな顔をするパドメに僕はきっぱり告げる。僕はジェダイだ。師匠(オビ=ワン)に対するこの思いは決して表に出してはいけない。でもパドメは「アニー」と僕の名を呼ぶと両手を握ってきた。

 

「アニー、私があなたの恋を支えるわ!例え掟に反していても、そんな終わり方悲しすぎるもの!」

 

「パドメ・・・」

 

パドメのそれは無責任な発言だった。でも誰にも理解して貰えないと思っていたこの感情を肯定されるのは、僕の決意を崩すのに十分だった。

 

「アニー・・・泣いてるの?」

 

気が付けば僕は涙を流していた。止めようとしても溢れるように涙が出てくる。そんな僕をパドメは優しく抱きしめてくれた。暖かいなぁ。

 

それから暫くして、ようやく涙が止まった僕はパドメと2人でどうやって師匠(マスター)を振り向かせるかの話で盛り上がった。休日デートや一緒に食事など色々な案が出たけど、普段から師弟として一緒にいる僕たちにデートや食事はあんまり効果がない気がする。

 

「じゃあもう色仕掛けしかないわね!」

 

粗方案が出尽くし、お互い頭を捻っていた時にパドメがそんなことを言い出し、僕は思わず口に含んでいたジュースを吹き出してしまった。しかも慌てて拭こうとしてテーブルに置いたコップを倒してしまい僕のローブにジュースが掛かる。うわぁ、ビチャビチャだ・・・。

 

「大変!風邪を引いちゃうわアニー。早く着替えないと」

 

パドメが僕のためにタオルと変えの服を取りに行く。お言葉に甘えて着替えさせてもらおう。

 

そう思って僕は上着を脱ぐ。下着までびしょ濡れだ。まぁ注いだばかりのコップを倒したらこうなるよね。下着も外したところでパドメがタオルを持ってきてくれた。

 

「ありがとうパドメ・・・!?」

 

室内に何かいる!ジュースを零した時の動揺で侵入を察知することが出来なかったのだろう。やっぱり僕はまだまだ未熟だ。

 

侵入者はベッドの上。僕はライトセーバーを起動すると侵入者を両断する。見るとベッドの上で2匹の蟲が切られて絶命していた。どこから入ったんだ?

 

僕が蟲を見つめていると寝室の扉が開き師匠(マスター)が入ってくる。フォースの乱れを感じたのだろう。流石師匠(マスター)だ。

 

僕は師匠(マスター)に蟲が侵入したことを報告しようとしたが、ふと今の恰好を思い出した。僕は今・・・裸だ!

 

恥ずかしさで僕の顔が真っ赤になるのがわかる。そのまま叫びそうになったが、師匠(マスター)は部屋を見渡すと、突然窓へ向かってダイブしていった。

 

窓の向こうに消える師匠(マスター)。僕は突然のことに頭が真っ白になって慌てて窓に駆け寄る。窓から見えたのは師匠(マスター)の転落死体ではなく、飛行ドロイドに掴まって空を飛ぶ姿だった。

 

「アナキン!スピーダーで追いかけてくるんだ!」

 

僕は師匠(マスター)が突発的に自殺したわけでないことに安堵していると、空の彼方から指示が飛んでくる。慌てて駐車場へ駆けようとした僕をパドメが引き止めた。そういえばまだ服を着てなかった。

 

急いで濡れた服を着なおすと、駆けつけた警備隊長にパドメを任せ、スピーダーに乗って飛んで行った師匠(マスター)を追いかけた。

 

「・・・師匠(マスター)に見られちゃったなぁ」

 

先ほどのことを思い出して羞恥で顔が赤くなる。でも今はそんなことより襲撃者を追うのが優先だ。僕は頭を振って先ほどの出来事を追い出すと、師匠(マスター)を追うためにスピーダーを加速させるのだった。



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真夜中の追跡劇

「うわぁ~~~!落ちるぅ!」

 

皆さんこんばんは。オビ=ワン・ケノービ(35)です。俺は現在コルサントの空を飛行ドロイド(絶叫マシン)にブラ=サガリ、楽しい?遊覧飛行中です。このシーンで悲鳴一つ上げなかった原作のオビ=ワンってかなり凄かったのではないだろうか?

 

ドロイドは俺のことを気にせず目的地に向け飛んでいく。だが待ってほしい、原作ではスピーダーで襲撃者とカーチェイスならぬスピーダーチェイスをおこなっていたはずだ。こうして俺がぶら下がっていてはスピーダーチェイスが起きないのでは?

 

そんなことを考えた瞬間、掴まっていたドロイドが狙撃された。衝撃で手が離れてしまった俺は地表へ向かって落下する。あっ、死んだわ俺。

 

しかしそこは我らがアナキン!ナイスタイミングで登場し、落下する俺をスピーダーに乗せる。アナキン愛してる!

 

「突然何を言い出すんですか師匠(マスター)!?」

 

あら?口に出してたらしい。俺は咳ばらいを一つするとアナキンに襲撃者を追うように指示を出す。正面にいるスピーダーが目標だ。アナキンは顔を赤くしながら「了解です」と言い、スピーダーを走らせた。

 

そこから道交法を無視した追いかけっこが開幕した。すれ違った一般スピーダーの運転手が驚いたようにこちらを振り返るのが見える。すまんね、文句は評議会が受け付けてくれるよきっと。

 

そんなこんなで襲撃者を追っていた俺達だったが、奴がトンネルに入った際に先回りしようとしたのが仇となった。奴のスピーダーを見失った俺達は周囲を見渡すが見つからない。ここまでか・・・。そう諦めかけた時、運転席のアナキンが奴のスピーダーを見つけた。下だ!

 

そのままスピーダーから飛び降りようとするアナキンを止める。おいおい正気か!?飛び降りるとか自殺行為だろ。

 

「行かせて下さい師匠(マスター)!」

 

「しかしアナキン!」

 

師匠(マスター)・・・僕を信じて下さい」

 

俺はアナキンを止めようとしたが、彼女の強い言葉に折れ許可を出す。アナキンは「ありがとうございます」と言ってスピーダーから飛び降りる。俺は運転席に移ると襲撃者のスピーダーを追った。

 

暫く襲撃者を追っていると前方からアナキンのライトセーバーが飛んできた。俺はフォースを使いキャッチすると助手席に置く。視線を前に戻した時、追っていた襲撃者のスピーダーが揚力を失い落ちていくのが見えた。

 

「上手くやったなアナキン」

 

俺は墜落地点に向かってスピーダーを降下させ、アナキンと合流する。

 

そこにはアナキンと墜落した襲撃者のスピーダー。そして仰向けで死んでいる襲撃者がいた。

 

「すみません師匠(マスター)。後一歩のところで・・・」

 

アナキンに状況を説明してもらうと、墜落したスピーダーから襲撃者を引きずり出した瞬間、何者かに襲撃者が殺されたらしい。口封じだな。

 

アナキンの説明を聞きつつ襲撃者の死体を調べると、首筋に吹き矢のような物が刺さっているのを発見する。

 

「結果はどうあれお前はよくやったよアナキン。少なくとも襲撃犯が複数人いるのがわかっただけでも収穫だ」

 

落ち込むアナキンの肩を叩き励ます。実際アナキンの頑張りが無ければ確実に取り逃がしていただろう。

 

「さあ、議員の元に戻ろう。別の襲撃者が再び襲ってくるかもしれないからな」

 

襲撃者の死体を駆けつけた警察に任せ、俺達はスピーダーに乗り大使館へと戻る。

 

「そういえば師匠(マスター)師匠(マスター)はパドメの寝室で僕の裸を見ましたよね?」

 

「事故だ」

 

唐突に始まった寝室での話しをバッサリ切って終わらせる。アナキンがジト目で俺を見てくるが、俺は目を合わせないよう運転に集中する。

 

大使館へ戻る車内は気まずい空気で満たされていた。誰か助けてくれ・・・。



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アナキンの悪夢

「その暗殺者を突き止めよオビ=ワン」

 

パドメが襲われた翌日、俺達は事の詳細を報告するためにジェダイ・テンプルにある評議会の間を訪れていた。そこで俺は襲撃者を口封じした者『暗殺者』の捜索を、アナキンはパドメをナブーまで護衛する任務をマスター・ヨーダから新たに命じられた。

 

一礼し評議会の間を退室した後、アナキンはパルパティーン議長に会いに行くと言い俺と別れた。以前から議長と仲の良いアナキンに対し何度か付き合いを考えるよう忠告はしている。原作通りならばパルパティーン議長は暗黒卿『ダース・シディアス』だろう。態々アナキンに危険な人物に近づいて欲しくはない。しかしアナキンはパルパティーン議長を友人と呼び今日まで友好的に接している。証拠がない以上アナキンにパルパティーン議長が暗黒卿だと伝える訳にはいかないし、仮にアナキンや評議会が俺の言葉を信じたとしても、民意で選ばれた元老院の最高議長をジェダイが独断で排除するわけにはいかない。仮にそんなことをしてしまえばジェダイは共和国から排除されてしまうだろう。

 

今はまだその時ではない。パルパティーン議長が野心を見せた時が排除の時だ、それまでは待つしかない。俺は今後の展開を考えつつ、暗殺者が使用した吹き矢を調べる為に古き友人が営む飲食店に向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここ数日悪夢を見る。母が僕に助けを求める夢だ。母が僕の名前を呼ぶところで目が覚める。

 

「・・・ママ」

 

悪夢の後はいつも汗だくだ。僕はシャワーを浴びるためにベッドから起き上がる。

 

「こんなに同じ夢を見るのは初めてだ・・・師匠(マスター)に相談してみよう」

 

毎晩同じ悪夢を見るのは何か原因があるはずだ。師匠(マスター)なら絶対に何とかしてくれる。僕はシャワーを浴び終えローブに着替えると、師匠(マスター)の元へ向かった。

 

朝早くだというのに師匠(マスター)は僕を部屋に入れてくれた。僕は師匠(マスター)にここ数日母の苦しんでいる夢を見ることを相談した。師匠は少し悩んだ後、僕を真っすぐ見つめる。

 

「アナキン、フォースは時に予言のようなものを伝えてくることがある。恐らくお前の見た夢は、母親に何か事が起きたのをフォースが知らせているのだろう」

 

師匠(マスター)の言葉を聞いた時、僕は頭が真っ白になった。母に何か危険なことが起きている。すぐに助けに行かなきゃ!

 

しかしすぐに思い留まる。僕は今日パドメの護衛でナブーに向かわなくてはならない。ジェダイとしての任務がある。放り出す訳にはいかない。

 

僕は今複雑な表情をしているだろう。そんな僕を見て師匠(マスター)は何かを決めたような表情で僕を見る。

 

「アナキン、お前に試練を与える」

 

師匠(マスター)の試練・・・恐らく母を見捨てろというものだろう。普通のジェダイは親の顔を知らない。僕がジェダイとして異例なのだ。

 

しかし、師匠(マスター)の言葉は僕の予想とは違うものだった。

 

「タトゥイーンへ向かい、シミ・スカイウォーカーの安否を確認しろ。何らかの危機にあるのなら解決して来い。要人救出の訓練だと思え」

 

僕は師匠(マスター)の言葉に耳を疑った。

 

「パドメの護衛はどうするんですか!?」

 

「議員の護衛は私が引き受けよう。お前はタトゥイーンの件が解決しだいナブーへ向かえ。そこで護衛を交代しよう」

 

そんなの評議会が許すはずない。僕がそう言うと師匠(マスター)は「バレなきゃ命令違反じゃないよ」とほほ笑む。評議会に忠実な師匠(マスター)とは思えない言葉だった。でも・・・嬉しかった。

 

僕は師匠(マスター)に一礼するとすぐにタトゥイーンへ向かう準備をし、発着場へ向かう。待ってて、すぐに助けに行くから。

 

僕は師匠(マスター)が使うはずだったジェダイ・ファイターに乗り込む。そしてエンジンを起動させ、タトゥイーンへ向け最高速で飛ぶのであった。



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悲しみ・・・

タトゥイーンへ着いた僕は奴隷時代の主人であったワトーの元を訪ね、母が既に他の人に売られてしまった事を知った。しかしワトーに教えてもらった買い手の水分農場のラーズさん一家の元に向かうと、母は1週間前にタスケン・レイダーに連れ去られたという。僕はすぐにスピーダー・バイクを走らせタスケンのキャンプへ急いだ。

 

タスケンのキャンプに到着した時には夜になっていた。侵入するには絶好の時間帯だ。母の位置はフォースを使えばわかる・・・ここだ。

 

僕はライトセーバーでテントに穴を開け、静かに中に入る。そこには鎖で繋がれた母の姿があった。

 

「ママ!」

 

思わず大きな声を出してしまった。だがタスケンには気づかれなかったらしい。僕はほっとしつつ母の鎖を外す。

 

「アナキン?アナキンなの?」

 

「そうだよママ。助けに来たよ」

 

母の身体には暴行でできた無数の傷が見える、僕は母に持ってきた水を飲ませた。暴行のせいなのか衰弱している、きっと食事も睡眠も与えられなかったのだろう。

 

僕と母はすぐに先ほどの穴から出てキャンプから離れようとする。しかし穴を出た瞬間、目の前に巡回中のタスケンがいた。最悪のタイミングだ。目の前のタスケンは大声で他のタスケンに僕たちのことを知らせつつブラスターを向けてくる。

 

「ママ、走って!」

 

僕はライトセーバーで目の前のタスケンの腕を切り落とす。痛みに悶絶しているタスケンを尻目に僕は母と一緒に走る。後ろから何発もブラスターを撃たれるが、ライトセーバーで弾きながら逃げる。隣を見ると母が辛そうな表情で走っている。

 

「頑張ってママ!もう少しだから!」

 

僕は母を励ましつつ、飛んでくる光弾を何とか弾いていく。途中スピーダーに乗った奴等も追いかけてきたが、フォースで吹き飛ばしてやった。そうして我武者羅に走っている内に光弾が飛んでこなくなった。諦めたのだろう。母ももう限界なのか地面に座り込んでいる。

 

「逃げ切ったみたいだね。大丈夫?」

 

「大丈夫よアナキン。ありがとう。・・・大きくなったわねアナキン。立派になって」

 

10年ぶりにあった母にそんなことを言われ、僕はなんて返していいのかわからず頭をかいた。でも、母を助けられてよかった。

 

ジェダイになって母を奴隷から解放したかった。でも実際のジェダイは掟でガチガチに縛られた自由のない存在だった。幼少期に見たマスター・クワイ=ガンの自由ぶりはジェダイの中でも異端だったようだ。でも、僕はこうして母を助けることが出来た。師匠(マスター)が助けに行く許可をくれなければ母は衰弱死していただろう。

 

僕に向かってほほ笑む母を見ると高揚感と達成感が僕を満たした。さぁ、ラーズさんの所に帰ろう。

 

「アナキン!」

 

そう思った時、僕は母に突き飛ばされる。その瞬間、母の身体を光弾が貫いた。遠くに狙撃銃を持ったタスケンが見える。逃げ切れた訳じゃなかった。僕はフォースでタスケンを引き寄せると、怒りにまかせてライトセーバーを振り抜いた。そして崩れるタスケンを尻目に母へと駆け寄る。

 

「ママ、ママ!」

 

「あぁ・・・アナキン・・怪我は・・・ない?」

 

母は息絶え絶えになりながらも僕の心配をする。僕のせいだ。逃げ切れたと思って僕が油断したのが悪い。気が抜けていたからタスケンの射撃に気が付けなかった。

 

「行き・・・なさい・・アナ・・キン」

 

いつの間にか涙が流れていた。その涙を母が指で拭う。

 

「最後に・・・あなたに・・あえ・・て・・・・よか・・・・・た・・・・・・」

 

「ママ?」

 

母はそう言って目を閉じる。

 

「ママ、目を開けてよ・・・僕を置いて行かないで・・・・・ママ・・・」

 

僕の声に母はもう返事を返してくれない。涙と怒りが止めどなく溢れてくる。僕は母の手を握り大声で泣いた。

 

それからどのくらい時間が経ったのだろうか。気が付けば僕は母の身体と共にラーズさんの家に戻っていた。どうやって帰ってきたのかは覚えていない。

 

母の葬式中、ラーズさん一家はそんな僕を気遣ってか声を掛けてくることはなかった。

 

それから1日、僕はラーズさんの家でお世話になった。僕は食事も取らず瞑想する。母を失った時に感じた怒りは、タスケンではなく僕自身に向けられたものだ。僕にもっと力があれば。そんな考えが頭の中を駆けまわる。

 

「・・・助けて下さい師匠(マスター)

 

僕は無意識に師匠(マスター)に助けを求めていた。師匠(マスター)ならば僕のこの悲しみを癒してくれるだろうか?そんな都合のいいことを考えている自分に嫌気を感じる。

 

明日、パドメの護衛を交代するためナブーに向かわなければならない。しかし寝る気になれない僕は瞑想を続け、悲しみの感情を鎮めようとするのだった。



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禁断の・・・

パドメの護衛について数日が経った。俺達はナブーの湖畔に建つ建物でアナキンの帰りを待っている。しかしこの建物はパドメの別荘なのだろうか?

 

「アニーは何時戻るのかしら?」

 

テーブルを挟んだ向かいで紅茶を飲みながらパドメが呟くのが聞こえた。この数日何とか話題を絶やさないよう努力をしていたが、35歳の俺と24歳のパドメでは共通の話題などアナキンの話しかない。しかし昨日パドメに「アニーのことをよく見ているのね」と言われたので「弟子(パダワン)ですので」と返したら一気に不機嫌になってしまった。解せぬ・・・。

 

そんなことがあった為少々気まずい空気が流れているが、そんな空気を救ったのが王宮からのアナキン到着の報だった。

 

パドメは喜んでアナキンを迎え入れる準備を始め、俺は当初の予定通りカミーノへ向かう準備を始める。アナキンに引き継ぎをしなければならないので出発は明日になるだろう。

 

それから数時間後にアナキンはやってきた。酷く憔悴した表情で・・・。

 

恐らく母親の救出に失敗してしまったのだろう。アナキンにとって母親は心の支えだった。しかしなんと声を掛けていいかがわからない。俺も日本人としての親にはもう会うことが出来ないが死別したわけではない。母親の死を目の当たりにしたアナキンに俺は無力だった。パドメが話しかけているがアナキンは無理した笑顔で痛々しく対応している。

 

その日の夜。

 

俺はアナキンと話す為アナキンの部屋の前までやってきた。何と言って元気づければいいかはまだわからないが師匠として憔悴する弟子は放ってはおけなかった。

 

「アナキン、私だ。入るぞ」

 

少し待ってアナキンから「どうぞ」と言われた私が部屋に入ると、アナキンはベッドに座った状態でこちらを見ている。部屋は間接照明しかついておらず薄暗い。

 

「夜遅くにすまない。もしかして寝ていたか?」

 

「いえ、眠ろうとしてもなかなか寝付けませんでした」

 

アナキンはそう言ってほほ笑むが無理をしているのがわかる。俺はベッドの傍にあった椅子に腰かけるとアナキンに向き合う。

 

「・・・師匠(マスター)。僕はタスケンから母を救うことが出来ませんでした」

 

不意にアナキンがぽつりと呟くようにタトゥイーンでの出来事を話し始めたのを俺は黙って聞いていた。

 

「ジェダイになれば全てを守れると思ってた。力を持てば母を奴隷から解放できると思ってた!」

 

感情が高ぶったアナキンが叫ぶ。その声には悲しみと絶望が籠っていた。

 

「アナキン。人はどんなに力を持とうが全てを救うことなどできないんだ」

 

アナキンがこちらを見る。俺はゆっくりと言葉を続けた。

 

「アナキン。人はその手が届く範囲でしか何かを守ることが出来ないんだ。お前だけじゃない。私も、マスター・ウィンドウも、あのマスター・ヨーダだって不可能なんだ」

 

「じゃあジェダイになんてなるんじゃなかった!ジェダイにならなければ母を守れたかもしれない!」

 

「それは違うぞアナキン。お前がジェダイにならなければタスケンの被害はもっと増えていただろう。確かにお前は母親を救えなかったかもしれない。だがその他の大勢の人々の命を救ったんだ。それは誇りに思うべきだ」

 

「僕が救いたかったのは母だ!その他の人なんて!」

 

そういうとアナキンは俯いて沈黙する。彼女は優しい子だ、その他に人々の命がどうでもいいなどとても言えなかったのだろう。

 

「わかってるんです。でも母の死を受け入れられないんです」

 

そう言ったアナキンの頬を涙が濡らす。どんなに選ばれし者と言われていても彼女はまだ19歳の女の子なのだ。どうしようもない怒りをどう処理していいのか、受け入れられない現実をどう受け入れればいいのか処理が上手くできないのだろう。

 

「近しい者の死を受け入れるには時間が掛かると聞く。私は親の顔を知らないからこれ以上お前に何かを言うことはできないが、お前なら大丈夫だよ」

 

そう言ってアナキンの頭を撫でる。落ち込むアナキンを慰めるなんて何年ぶりだろうか・・・。

 

「・・・師匠(マスター)

 

アナキンが頭を撫でていた俺の手を掴みこちらを見る。瞳に溜る涙が彼女の悲しみを現している。

 

師匠(マスター)・・・心に穴が開いたようで辛いんです。」

 

そう言ってアナキンは俺に顔を近づける。とっさの事で反応できなかった俺は彼女の唇を受け入れてしまった。

 

キスをされている!?

 

状況を把握した俺はすぐにアナキンを離す。

 

「私たちは師弟だぞ!?それに掟を忘れたか?」

 

師匠(マスター)、心が寒いんです。助けて下さい」

 

俺は彼女の辛そうな表情を見て言葉に詰まる。俺の弟子になって10年の付き合いだ。正直言って彼女のこんな悲しい表情は見たくない。だからこそ元気づける為にアナキンに会いに来たのだ。しかしこの行為は行き過ぎだ。

 

「アナキン・・・」

 

師匠(マスター)。キスを・・・してください。僕の心の穴を塞いでください」

 

アナキンは俺からのキスを望んでいるのかそのまま目を瞑る。しかしアナキンは俺の弟子だ。その思いが俺を止める。しかし・・・。

 

師匠(マスター)・・・助けて下さい・・・」

 

アナキンの救いを求める小さな呟きが俺を動かす。

 

薄暗い部屋にできた2つの影が重なり、ナブーの夜は更けていくのだった。



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惑星ジオノーシス

どうも、オビ=ワン・ケノービでございます。

 

ナブーでのアナキンとの一夜が明け、俺は本来の任務である惑星カミーノへ向かった俺は原作通りに賞金稼ぎの『ジャンゴ・フェット』と接触その後評議会から彼の捕縛命令が下された。

 

原作のオビ=ワンはいかにも『お前を捕まえるぞ!』といった雰囲気でジャンゴの元に向かったから即戦闘になって彼を取り逃がしたのだ。原作知識を有する俺はそんなミスは犯さない。俺は友好的な笑顔で彼に近づくと親しみを込めて「Hey!」と声を掛けた。返ってきたのはブラスターだった・・・解せぬ。

 

そんなこんなで原作通り逃げられた俺は彼の母船『スレーブⅠ』に発信機を付けるとすぐに自分のファイターで追尾を始めた。

 

ジェダイに支給されている発信機の電波は強力でハイパースペースに入ってもしっかりと追尾できる代物だ。何故原作のオビ=ワンはあんな真後ろを追尾していたのだろうか?

 

俺は惑星『ジオノーシス』にスレーブⅠが入るのを見てファイターを前進させる。原作のような航宙戦はごめんだ。避けられるリスクは極力避けていこう。

 

 

 

 

 

 

「R4、コルサントのジェダイ評議会に通信を繋いでくれ」

 

ジオノーシスに着陸した俺はすぐに評議会に対しジオノーシスに分離主義者が集結していると報告をおこなった。実際に分離主義者の集会を見てはいないが原作ではここで同盟の調印らしきものをおこなっていた。おそらくこの世界でも同じだろう。

 

映像の向こうのマスター・ヨーダとマスター・ウィンドゥはジオノーシスに対しジェダイを派遣することと、俺に分離主義者へのより深い調査を命じてきた。集会の詳しい内容が知りたいらしい。

 

通信を終えた俺は早速発信機の信号を頼りに集会場所を目指す。ジャンゴはドゥークー伯爵に雇われていたはずなのでスレーブⅠも近くに駐機しているはずだ。

 

 

 

 

 

 

ダクトを挟んだ目の前にはヌート・ガンレイを始めとした分離主義勢力の重鎮達が熱心に話し合いをしているのが見える。そしてその中心にいるドゥークー伯爵。圧倒的カリスマを持つ分離主義者勢力のナンバー1が今もその手腕を振るっている。原作通りにいけば彼は3年後にアナキンによって討伐されるが、彼を消すならば早いに越したことはない。

 

ドゥークー伯爵を早めに葬るにはどうすればよいか・・・。彼はフォーム2『マカシ』の使い手だ。俺の使う『ソレス』とは相性が悪すぎる。うーむどうすれば・・・。

 

その時。誰かが俺の肩を叩く。大事なことを考えているのに邪魔をするなど無粋な奴もいるものだ。俺はその手を払って再度思考の海に潜ろうとするが、またも肩を叩かれる。

 

「うるさいな全く」

 

俺は文句を言いつつまた手を払うが、今度は先ほどより強く肩を叩かれた。

 

「人が大事なことを考えているときに邪魔をするんじゃない!」

 

相手を見ずにそう言った俺はふと思った。『誰が俺の肩を叩いているのか?』と。

 

俺は現在単独潜入中だ。マスター・ヨーダが送るといった増援のジェダイもそんなにすぐには到着しないだろう。俺はゆっくりと後ろを振り返る。

 

「ダレダオマエハ?ナニヲシテイル?」

 

そこには親の顔より見たドロイド君の姿が・・・。そしてその後ろにはデストロイヤー君もいるじゃないですか・・・しかも沢山。

 

「・・・Hey」

 

俺は渾身の笑顔からの挨拶を放つが、ドロイドである彼らには全く通用せず。瞬く間に拘束されてしまった。抵抗しないのかって?あんなに沢山いるデストロイヤーに勝てるわけないだろうが!!!

 

こうして俺は大量のドロイドに囲まれながら牢屋へと連行されるのだった。あれ?これって原作通りでは?

 

 

 

 

 

 

 

ナブー某所

 

 

「オビ=ワンが危ない!」

 

「いきなりどうしたのアニー!?」



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処刑

無重力でもないのに宙に浮いているのは不思議な気分だ。

 

ドロイドに連行された俺は拘束具を着けられ部屋の中央に浮いていた。かなり強力な拘束具で四肢どころか顔すら動かせない。俺は目のみを動かして正面に立つ男、ドゥークー伯爵を見る。

 

ドゥークー伯爵は部屋に入るなり「手荒に扱って申し訳ない」や「誤って拘束してしまった」などといった言葉をヘラヘラと口にする。正直気に入らない。

 

「クワイ=ガンは君を高く評価している。彼はジェダイには珍しく『現在』を見て考えることが出来た。そして君も、クワイ=ガンと同じ思考を持っている。とても優秀なジェダイだ」

 

「お褒めに預かり光栄だドゥークー伯爵。シスに寝返った裏切者め」

 

ドゥークー伯爵に対し吐き捨てるように言い放つも、彼は余裕の笑みを崩さない。ライトセーバーを取り上げられ拘束されたジェダイなど警戒するに値しないのだろう。

 

「裏切り?それは違う。私はシスを倒すためにここに居るのだ。ジェダイ・オーダーとは道を別ってしまったが私たちの目的は同じだ。共に手を取り合い銀河の平和を守ろうではないか」

 

そう言って手を差し出してくるドゥークー伯爵に対し、俺は笑みを浮かべる。彼はそれを見て嬉しそうな笑顔を見せる。そんな彼に対して俺は・・・。

 

 

「嫌だね。さっさと失せろ、理想主義者め」

 

そう言い放ってやった。

 

その瞬間ドゥークー伯爵の笑顔が消え、能面のような無表情になる。まさかこの状態で断られるなどとは思っていなかったのだろう。俺はNoを突き付けてやったぜ!

 

「・・・後悔するなよマスター・ケノービ。既に元老院は暗黒卿に支配されているのだ。お前たちに勝ち目はないぞ」

 

俺を引き込めないとわかると彼は味方の振りを止め、暗黒卿の顔を見せてくる。そして俺にはもう用はないとばかりに部屋から退出していった。

 

 

 

 

 

 

あれからどれだけ時間が経ったのだろうか。

 

ドゥークー伯爵にNoを突き付けてから俺は何とか拘束具から逃れようとしていた。しかしこの強力な拘束具からは逃れることが出来ず、遂に処刑の日がやってきてしまった。

 

虫のようなジオノーシス人が俺を闘技場?の中央に建てられた柱に鎖で固定していく。しかし俺は知っている。ここに200人を超えるジェダイが救援に来てくれることを。そして大量の死者が出ることを。

 

死者の件はとりあえず置いておいて、今は救援が来るまで生き残ることを考えなくては。しかし何故柱が3本あるのだろうか?

 

そんなことを考えていると、出入り口から荷車に乗ったアナキンとパドメが現れた。ナンデココニイルノォ!?

 

マヌケ面で隣の柱に拘束されているアナキンを見ている俺に対し、アナキンは満面の笑みで「助けに来ました師匠(マスター)」と言いだした。助けに来たっていったってお前掴まっとるやないかい!ていうか・・・。

 

「何故私の居場所が分かったんだアナキン?」

 

ナブーを出発してからアナキンとは連絡を取っていない。それにアナキンにはパドメの護衛任務があるからマスター・ヨーダがジオノーシスへの増援に招集する可能性もない。

 

そんな俺の疑問に対しアナキンは一言、「愛の力です」と言いやがった。しかも決め顔で。なんだよ愛の力って・・・。

 

そんなやり取りをしている間に闘技場に処刑に使用する獣たちが入れられる。確か俺の相手は緑色のカマキリみたいなやつだったはずだ。

 

横を見ると既にパドメが拘束を解いて柱を上っていくのが見える。行動力のある議員だなホント。

 

そんなことを思っていると目の前にカマキリの化け物がやってくる。今はこいつに集中しなくては。

 

化け物カマキリが鎌を振り下ろす瞬間に身を屈め柱を破壊させる。アナキンとパドメはサイみたいなやつを相手にしている。柱が壊れたお陰である程度自由になった俺は必死に鎌の連撃を避けていくが、ライトセーバーもなく、カミーノから碌に休めていない俺の体力では限界が訪れるのはすぐだった。

 

壊れた柱の破片に足を取られ転倒する。遠くでアナキンが俺に対し何かを叫んでいるのが見える。そして振り下ろされるカマキリの鎌。この体勢では避けられない。

 

(・・・死ぬ)

 

そう思った瞬間。今まさに俺に死を与えようとしていたカマキリが横に吹き飛ぶのが見えた。

 

「・・・フォース?」

 

そう呟いた瞬間、闘技場内に無数の光刃の光が現れた。



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