日本国召喚 二次 外伝 (Zzzzzzzzzzzzzzzzz)
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外伝一話 パーパルディア皇国本土戦

十話のエストシラント襲撃の後です。


 

 第三艦隊所属の青葉、衣笠、妙高による止めの砲撃でエストシラントは壊滅状態に陥った。

 

「アルタラス再占領の為の艦隊は全て沈みました、造船所や埠頭も破壊され港としての機能を回復させるには数年かかるでしょう」

「・・・どのような攻撃を受けたのだ?」

「港への攻撃に関しては日本軍の艦隊は沿岸砲台の射程外に停船すると、砲撃を行いました。驚くべき事に砲弾は全て軍事施設へ命中し、民間区画への着弾は1発もありません」

「まさか・・・」

「カイオス、何か知っているのか?」

「フェン王国への懲罰艦隊が日本軍と戦闘したのですが、4㎞離れた場所から百発百中で砲撃して来たと報告が上がりました。単なる言い訳と思っていましたがもし本当だとしたら」

「成程、この惨状も納得だ」

 

 その時一人の兵士が扉を開き入って来る。何人かが無礼だと怒鳴るも、緊急事態として報告を始めた

 

「デュロの工場が空爆により壊滅しました! 陸軍基地も同様に壊滅状態です!」

「何だと!?」

「それだけではありません、リーム王国との国境付近に日本軍が上陸して来ました!」

 

 

 

 

 

 日本軍がパーパルディア皇国本土に上陸してから一ヶ月、属領となった72ヶ国の内5ヶ国が国土回復と独立を宣言していた。これほどのスピードで進軍出来たのは各国に存在した地下組織が占領地域の統治を担っていたのが大きく、これにより部隊の負担が大幅に軽減されたからだ。

 

「戦線は如何なっている!」

「日本軍と直接対峙した部隊は全て全滅しています、被占領地に浸透させた部隊も報告がありません」

「くそっ、やはり王都とデュロの部隊が壊滅したのが痛いな」

「日本軍は占領地が増える程に治安維持の部隊を配置する必要があります、しかし前線で戦う兵士の減少の気配は全く見られません」

「一体どう言う事何だ」

 

 それに関しては占領地の民間人に武器(弓、クロスボウ等)を供与、そして対銃兵用防備の設営と戦術運用の教育を行い、防衛部隊として各都市に駐留させていたのだ(無論希望者のみ)。

 前述の地域統治の委託と合わせた彼らの協力のおかげで日本軍は前線に兵力を振り分ける事が可能となったのであり、一都市に二~三小隊しか配置しなかった。

 

 

1640年11月1日

 

 この日全ての属領が独立を宣言し、残すはパーパルディア本土のみとなった。本土はこれまでの様に地下組織は存在せず、一見して非武装の民間人だとしても魔法と言う武器がある為、安心できない。

 なのでパーパルディア派遣軍は一週間の猶予を与え、相手の降伏を待つ事にした。無論ただ待つ事はせずに兵の休憩と補給、兵器の点検整備を行い、パーパルディア本土攻撃への準備を怠らなかった。

 しかしそれは向こうも同じだった。

 

「見て下さい、これは現地点から最短地点にある都市の偵察写真です」

「多数の線が縦横に走っている? もしかしてこれは!」

「ええ、塹壕です。しかもかなりの規模の」

 

 

 

 そして遂にパーパルディアから降伏宣言は発せられずパーパルディア派遣軍は攻撃を開始する。

 まずパーパルディア兵を襲ったのは榴弾砲による砲撃であった、さらに爆撃も行われたが通常弾では効果が期待出来ないのでナパーム弾や気化爆弾などを使用する事にした。

 しかし7万を超えると思われるパーパルディア兵を壊滅させる事は叶わず、機甲部隊を先頭にした突撃が行われる事になった。

 

「ナナヒト(71式戦車)を先頭にロク偵(69式偵察車)、ロク戦(69式戦闘車)を側面配置として突撃する、中央にはゴク空(59式対空戦闘車)を配置してワイバーン襲来に備えろ」

「ですがロクシリーズ(69式歩兵車、69式戦闘車、69式偵察車)は装輪で塹壕の突破は無理があるかと」

「写真を見る限り塹壕の幅は1.5m程で十分超えられる、攻撃ヘリを先行させて塹壕の兵士を掃除してから突撃だ」

 

 

 

 後にパールネウス突破戦と名付けられたこの戦いにパーパルディア皇国は残った12万の兵の内、戦闘部隊ほぼ全てである10万の兵と4000のリントヴルム、2000のワイバーンロードを動員し、日本に最後のそして最大の損害を与える事となる。

 日本軍の砲爆撃により多数のの兵とリントヴルムが戦死したが、まだまだ戦闘は可能であり日本軍の突撃に備えていた。そこにバババババババと音が鳴り響き多数の攻撃ヘリコプターが到着し、機関砲で塹壕の中を掃射して行く。後方で待機していたワイバーンロードが攻撃に向かうも傍いたもう一機のヘリに攻撃を受けて撃墜される。

 この攻撃ではリントヴルムの撃破を優先した為に兵士の損害は少ないがリントヴルムの損害は甚大であった。

 そこに日本の機甲部隊が突撃を開始し、71式戦車や69式戦闘車の砲撃と69式偵察車の機銃掃射で多数の犠牲が出る。魔導砲とリントヴルムは発見次第攻撃され数を減らして行った。塹壕の各所で似た様な事態が発生し、降伏する部隊も出て来たが日本が通達した白旗を上げるのではなく、第三文明圏式の物であったので無視され、全て撃破された。

 そして日が暮れると機甲部隊は退却して行き、パーパルディアは被害の集計を行っていった。

 

「被害は如何だった?」

「塹壕は砲撃には有効でしたがその後にあった敵の航空兵力による攻撃は中の兵士に狙いを定めて行われた為、非常に多くの損害が発生しました。詳細は集計中ですが兵士は2万以上、リントヴルムも3000を超えるでしょう」

「・・・私達には二つの道がある、皇国を守るか敵に損害を与えるかだ」

「どういう事ですか?」

「敵に損害を与えるならば我々はここで全滅し、皇国を守る事は出来ない。ここで敵に降伏すれば敵に損害を与えられないが戦争が終わった後、衰退するだろう皇国を守れる」

「ですが降伏した部隊も攻撃を受けたと報告が入っています、向こうは降伏を認めるつもりは無いのでは・・・」

「そうか、では明日の日の出と共に敵陣へ突撃する近くにいる者が倒れようとも、気にせず進み突撃しろ」

「はっ!」

 

 

 

 

 そして夜が明け、日本とパーパルディアの最後の決戦が始まる。

 

「ん? 塹壕から出ている? 何のつもりだ・・・! 敵襲! 突撃を仕掛けて来るぞ!」

「ナナヒトとロク戦は砲撃! 弾種榴弾! 同軸と車載機銃は距離1500で発砲!」

「ロク偵は射撃開始! ヘリ要請しとけ!」

「迫撃とグレランは準備出来次第発射しろ!」

 

 最初は迎撃していた日本軍も時間が経つにつれ旗色が悪くなってきた。ある者は仲間の死体を踏み越えて、ある者は死体に紛れて、またある者は死体を盾にして近付いて来る。

 さらに陣地設営で設置した鉄条網すら死体を重ねて突破し、夕方には白兵戦へ移行して行く。そして戦闘が終わる頃には夜が明けていた。

 

 

「損害は?」

「総兵力6万の内の約5000が戦死、約9000が戦線離脱の負傷、約1万5000がこの場で治療可能な怪我です」

「最も恐れていた人海戦術をやって来たか、だがこれで向こうの兵力は無くなった筈だ」

 

 もはやパーパルディアに真面な兵力は無くその通りであり、残った5万の兵も殆どが後方支援の兵で、日本に対抗する事はもう不可能であった。

 

 

 

 



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外伝二話 戦後のアルタラス王国

 パーパルディア皇国無条件降伏の一報がアルタラス王国に流れると、国全体でお祭り騒ぎが起きる。

 そして中央暦1641年8月、日本の協力の元で再軍備が行われる事が決定されて技術供与が開始される。当然日本も善意で行った訳ではなく、アルタラス王国を西方からの侵略に対する前線基地として使用したいと言う思いの下であった。その為に安全保障条約を結んで軍の基地を設営して行く。

 

 

 

 まず手を加えたのが海軍で、かつて日本で運用していた駆逐艦をモデルに大型化と重要区画の装甲化、機関をボイラーからディーゼルエンジンへの変更などを行い建造したアゴーニ級駆逐艦で訓練をして行った。

 そして新設された空軍も(これまでは陸軍の管轄だった)日本がクワ・トイネ公国から購入したマイゲンを供与されて訓練を始めて行く。

 陸軍は機関銃や連発銃等を供与され、それらを使用した戦術の教育を受けている。そして国内での開発製造が可能な様に派遣された日本人が技術力の向上を指導していく事になる。

 しかし技術発展の全てを日本に依存した訳では無く、民生転用は教育を受けたアルタラス王国人の手によって行われていた。

 

 

 

 そして5年後の中央暦1646年には陸海空軍共にかつての侵攻軍を独力で撃退出来るだろう軍備を整える事が出来た。

 しかしそれはあくまで短期戦に限った事であり、その後に追加の軍が侵攻して来た場合は防衛に日本の参戦が必要である。それでも現在は十分として国内の技術発展、国力増強に路線変更して行く事が決定された。

 また魔導分野の研究も国家主導で行う事にした、これは今後の第三文明圏で衰退するであろう魔導技術を保持し続ける事で他国への優位性確保と魔導技術が存在しない日本から優遇される要素にする為である。

 

 

 また交通機関も市街地では日本から技術供与を受けて作られた自転車やリヤカーが行き交い、ある新興商会が販売を開始した前輪とサスペンションに加えて日本から輸入した10馬力の軽量エンジンを取り付けた三輪リヤカーは大手商会に人気となり、馬車の代わりに街道を走って行った。

 それまで四日から五日を要していた都市の往来が半日足らずまで短縮された事で往来は増え、三輪リヤカーを購入出来ない中小商会の為に荷物輸送のみを行う商会まで現れていた。

 

 

 アルタラス王国各地に設営された日本軍基地周辺では兵士の慰労の為に商業施設が建てられ、従業員には周辺住民が雇われた。施設は基地の敷地外にあり一般市民も入場可能であるが、商品の値段が高めなのでお金が貯まれば行きたい場所として有名になっている。

 これ等の王国政府への土地使用料や従業員への給料等で多くの外貨が流入した事で国民の生活は少しずつに豊かになって行った。

 

 

 さらに時は流れて中央暦1650年1月7日、アルタラス王国初の自国建造された近代型(地球換算)軍艦であるリョート級一番艦「リョート」の進水式にはルミエス女王が出席するなど話題になった。リョート級はアゴーニ級を小型化したような構造で排水量、武装共に3分の2程度に収まっている。

 

 

 

 技術力や国力などは先に技術提供等を受けたクワ・トイネ公国やクイラ王国に劣るが、大日本帝国皇族の婿入りを受けた事で第三文明圏のナンバー2として他国に見られるようになった。

 

 



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外伝IF話 日本国召喚二次 in原作

 カルトアルパスを外海に向けて航行する外交団護衛艦隊旗艦古鷹のCICで艦長の三浦はぼやいていた。

 

「この中で頼りになるのはムーとミリシアル、戦艦相手にはそれも厳しいか」

「どの様に行動しますか?」

「とりあえず大井、木曾、天津風、時津風は対空に専念、他は自衛を行え。ただし視程外攻撃は禁ずる」

「IFFが無いですからね、秋津丸は?」

「"あれ"の準備をしておけと伝えろ」

「秋津丸から通信です『"あれ"を使うのであれば準備は出来ている』との事」

「用意が良いな・・・」

「電探の反応はどうだ?」

「速度の遅い反応が次々に消滅しています、間もなく航空攻撃が開始されるでしょう」

「そうか、魔導通信機を起動させろ」

「何故ですか?」

「"あれ"を使うには混戦状態だと都合が悪い、先陣を切ると宣言する」

『各国艦隊へ、敵艦隊が現れた場合の初撃にて新型兵器の使用を行うが、味方を巻き込む可能性がある為先陣を任せていただきたい』

『ムーは構わない』

『ミリシアルも同様だ』

『トルキア王国も了承する』

『アガルタ法国も了解した』

『マギカライヒも同じく』

『ニグラート連合も了承した』

『パンドーラも了解した』

「よし、艦隊は最前方に前進。その後は船速を合わせる」

 

 

 間も無くグラ・バルカス帝国の航空攻撃が始まり、それが終わるとグレードアトラスターが湾の出口に陣取った。

 

「よし、全艦全速前進! 古鷹は艦橋へ向けて、各艦は敵砲塔側面へ砲撃! 秋津丸は"あれ"を発射!」

 

 この通信の終わりとほぼ同時に秋津丸の甲板から煙が上がり、六つの光弾が打ちあがって行った。

 

 

 

 

 グレードアトラスター艦橋

 

「日本軍巡洋艦発砲!」

 

 その報告の瞬間に艦橋が大きく揺れ、上から瓦礫が落ちてくる

 

「レーダー及び艦橋測距儀、破壊されました!」

「何だと! 初段命中の上に観測機器を破壊されるとはなんと運の悪い。各砲塔独自射撃開始!」

「第一、第二砲塔より通信です! 砲塔測距儀損傷により独自射撃不可!」

「何故だ! 何故こうも不運が続く!」

「上空より何かが降って来ます!」

 

 上空より振ってくるもの、それは秋津丸より打ち上げられた対戦艦誘導弾で、その仕組みは誘導装置を付けた徹甲爆弾をロケットで高度5000m以上に打ち上げると言う代物である。

 合計6発の誘導弾は全てほぼ垂直に命中し、水平装甲を貫通して艦内部で信管が作動する。その爆発は弾薬庫に誘爆した事でとてつもなく大きなキノコ雲を発生させ、それが収まると海上にグレードアトラスターの姿は無かった。

 

 




多少設定を変更してin原作バージョンを書こうと思っています。

日本が外交団の護衛に軍艦を連れて来た理由は、ミ帝に前回の参加国が連れて来た護衛の内容を聞いていたと言う事で。

ちなみに秋津丸は対戦艦誘導弾を搭載したアーセナルシップで、満載排水量5000トン、武装はTS(対戦艦)弾発射機12基のみ。
ミリシアルとムーの戦艦保有に焦った海軍が『誘導爆弾を上空から落とせば撃沈可能だろう』と建造したミサイルと運用艦。
欠点として艦からのレーザー照射が必要で離れすぎると到達高度が低くなる事から接近が必要。
ちなみにミサイルの弾頭(=徹甲爆弾)は900㎏台、大和型の設計で高度4000mから投下された800㎏爆弾に耐えるとされていたので十分貫通可能なはずです


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