鬼殺の詩人 (八ッ葉)
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目覚め

「ここは…どこだ」

 

深夜を回っている夜にある一人の男が目を覚ました

 

「何でこの姿になってるんだ…」

 

自分の腕を見てあり得ない物を見る目で見ていた

 

今にも折れてしまいそうな細い腕に、刺青がびっしりと入っている腕に

 

「ッ…」

 

近くにある小川に向かい月明かりに照らされた川を覗き込むと。

「あぁ…やはりな…」

 

自分の今の姿を再認識させられた

 

 

男の顔は痩せこけていて 髪はウルフヘアと呼ばれる髪型になっており とにかく健康とはいえないような状態の顔をしていた。

 

「服装も変わってないのか…」

 

次に服装にも彼は予想通りという反応を見せた

 

黒いノースリーブのコートを着用していて上半身の露出が多く服とは呼びがたい格好をしており 黒い長ズボンとサンダルを履いていた

 

「一体どうなってるんだ あの時“奴”と一体化したはずなのに まさかまた俺は”別れて“しまったのか」

 

彼が自分の今の状況をブツブツと口にだし思案をしていると

 

『よお、起きたか』

 

今の状況には場違いな声が彼の耳はとらえ声のする方へ首を動かすと

 

「お前は…」

 

青い鳥が羽ばたきながら浮いていた 大きさは鷲と同じかそれ以上の大きさの鳥であった

 

 

『おいおい 俺の事忘れちまったのかよ』

 

「忘れるわけが無いだろうその姿でその喋り方は嫌でも記憶にこべりつく」

 

『ならいいけどよぉ お前…今混乱してるだろ』

 

「あぁ…」

 

『まあ無理もねぇ 実は俺もさっき意識がはっきりしてきたところでよ “あいつ”と”俺ら“が殺り合って負けたところまでは覚えてんだがよぉ』

 

 

「どうだったんだ “あいつ”と殺り合って」

 

『見事にぼろ負けさ 最後まで悪態ついてやがったが悪い気はしなかったな』

 

「そうか…」

 

『っと いけねぇいけねぇ 思い出話をしてる場合じゃなかった』

 

そういうと青い鳥は話を切り上げて

 

 

『まずここなんだが何処かの山の中だ 一応山を上から見渡して見たが 囲うように紫色の花が咲いてやがった』

 

「他には?」

 

 

『何か刀を持った人間のガキどもと 人間じゃねえ存在が戦ってるのも見たな』

 

 

「人間じゃないもの?」

 

 

『あぁ…ガキどもは“鬼”とか言ってたけどな』

 

 

「鬼…」

 

 

彼が思い浮かんだのはある存在だった

 

 

「“奴等”とは違うのか?」

 

 

『あーなんつーか気配は似てんだけどよ 何か別物って感じがするんだよな』

 

 

「ふむ…」

 

 

少しの間考え込み

 

 

「自分の目で確かめよう」

 

『言うと思ったぜ ってなわけで少し待ってろ』

 

 

「何処に行く」

 

 

『なーに渡すものがあるんだよ』

 

 

そういうと何処かに羽ばたいていったが

 

 

『お待たせちゃん』

 

 

戻ってくるのは早かった

 

「早いな」

 

 

『少ねえからな持ち物は ほれ』

 

 

そういうと青い鳥は足でつかんでいたものを男の目の前に置いた

 

 

「これもあるのか…」

 

 

そういって手に取ったのは先端が尖っている杖や

“V”と大きく表紙に書かれていた本だった。

 

 

『そんじゃ行こうぜー“V”』

 

「行くか“グリフォン”」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く…はぁ…はぁ…」

 

 

『狐小僧ぅ 大人しく俺に喰われろぉ』

 

 

「断る…!」

 

今この場で異形の存在と少年がにらみあっていた

 

 

異形の存在は普通の人間と比べるまでもなく巨大な体をしており太い腕が何本も巻き付いていた。

 

対して少年の方は宍色の髪をしており右頬に大きな傷痕があり狐の面を側頭部につけている。

 

 

両者共ににらみ合い 少年の方が刀を構え直しいつでも動けるようにしている

 

『くっくっくっ 鱗滝の弟子を今回も殺すことができるとはなぁ あぁ…あいつの弟子を自分が殺してしまった責任に押し潰される姿が目に浮かぶぞぉ』

 

 

異形の存在“手鬼”はそういって手を口にあたる部分に添えてクスクスと笑っていた

 

 

「貴様ァ!!!」

 

鬼の挑発だとわからずに少年“錆兎”は激昂し手鬼に向かっていった

 

 

シィィーーーー

 

 

独特な呼吸音が響き刀を技を繰り出すために構え直した

 

『馬鹿め!!』

 

 

手鬼は腕を錆兎に向けて伸ばしていき捕まえようとした

 

 

シィィーーーー

 

 

しかし錆兎はその腕をかわしながら手鬼本体の頚に向かっていき

 

 

――水の呼吸・壱の型 水面切り

 

 

技を繰り出し刀を覆われている腕ごと頚を切ろうとした。

 

 

パキィン

 

 

 

しかし無情にも刀は中ほどで折れてしまい錆兎は呆然としてしまいその一瞬を手鬼に突かれてしまった。

 

 

「グッ!ぐぁぁ!」

 

 

錆兎は手鬼の巨大な手に掴まれてしまい身動きが取れなくなった

 

『ははははは!鱗滝ぃ!!お前のせいでまた弟子が死んだぞぉ!ははははははは!!』

 

 

手鬼はそういって錆兎の頭を握り潰そうと頭に手を伸ばした。

 

(あぁ…くそ!くそ! すみません鱗滝さん…俺は駄目な弟子です この鬼を殺せなかった 兄弟子たちの無念を晴らせなかった…)

 

 

錆兎の脳裏に様々な人の顔が浮かんでいき走馬灯のようなものを見ていた

 

 

(義勇…真菰…あとは頼んだ)

 

 

最後に弟弟子と妹弟子の顔を思い浮かべて瞼を閉じた

 

 

 

 

 

パシュン! パシュン!

 

そんな音が聞こえたと同時に錆兎の体が重力に従い落ちていった

 

 

「………え?」

 

『な、なんだ!?何故腕が焼き切れているんだ!』

 

すると錆兎の背中部分をなにかに掴まれて飛んでいた

 

 

『はっはー!危機一髪ってなぁ!!』

 

おちゃらけた声が聞こえ何かと錆兎が背中の方に目を向けると

 

 

「鳥?」

 

 

青い大きい鳥が錆兎を掴んで飛んでいた

 

 

『おいおい坊っちゃん 死に急ぐもんじゃねぇぜぇ まったくよー』

 

 

「しゃ…喋ってる…」

 

 

『ああん? あぁ…そうか普通は喋らねぇよなぁ

こりゃうっかりしてた』

 

 

すると後ろから

 

 

『まあぁぁぁぁてえぇぇぇぇ!!!!そのガキを返せー!!!』

 

 

先ほどの手鬼が追ってきていた

 

『うお!気持ちわりぃ! ニーズへッグよりかはましだがそれでも気持ちわりぃ!』

 

 

「おい!一体何処に連れていく気だ!」

 

 

『あぁ!?目的地なんてねえよ!』

 

 

「はぁ!?」

 

 

『逃げてるんだよ!!』

 

「ふざけるな!鬼に背を向けて逃げるだと!?そんなもの“鬼殺隊”の名に泥を塗ってしまう」

 

 

『人間の命は一回きりだぜ!坊っちゃん!死に急ぐなってぇの!」

 

 

「ふざ…けるな!」

 

 

『おい!暴れんなって!』

 

 

スルッ

 

錆兎はジタバタと暴れ、グリフォンの足を無理矢理引き剥がした。

 

 

『やっべ!離しちまった』

 

 

『はははははは!!死ねぇガキーー!!』

 

今度こそ錆兎は終わりだと思った 瞬間自分のやったことを後悔した。

 

 

(あぁ…くそ…死にたくないのに…なんで俺はこうもバカなんだ… 逃げることを恥だと思うなんて)

 

 

手鬼の腕がもう一度錆兎を捕らえるべく手を伸ばしてきた

 

パシュン! パシュン!

 

 

すると伸ばした手が先ほどの鳥の位置から飛んできた光弾によってまたもや焼かれた。

 

 

『があぁぁぁぁぁ!!!!このくそ鳥めぇぇぇぇ!!!!邪魔をするなあぁぁぁ!!!』

 

 

『おうおう単純な脳ミソしてるからキレやすいのかよお前』

 

 

『許さぬ!!許さぬ!!許さぬーーーー!!! まずは貴様からだ!くそ鳥ぃ!その羽を折ってズタズタにしてやるーー!!』

 

 

「おい!逃げろ!逃げてくれ!」

 

手鬼がグリフォンに向けて攻撃をしようとしたときに

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“我は嘆き悲しみ自らの星を呪う我が愛しの人をかくも高め 我を低めし星を”」

 

 

男の声が聞こえた瞬間手鬼と錆兎は声のした方に振り向いた

 

 

そこには上半身に刺青がびっしりと彫られた黒髪の男が立っていた

 

左手には本を開きそれをじっくりと見ており 右手には白い杖を軽く回しながら歩いていた

 

 

(誰だ?…最終選別の説明の時にはあんな奴いなかった筈だ)

 

錆兎がそう思っていると

 

 

『貴様も俺の邪魔をするか!痩せ細っていて肉も少なさそうだが貴様から食ってやる!!!!』

 

 

手鬼が男に向かって腕を伸ばしていき男を掴もうとしていた。

 

 

「おい!何してる!逃げろ!」

 

 

錆兎が声を荒げて男に逃げるように言った。

 

 

 

「…………」スッ

 

 

 

すると読んでいた本を閉じ 杖の持ち手の方を手鬼に向け

 

 

ズズズズ

 

 

杖から黒い影のようなものが溢れていき。

 

 

 

『グォーーー!!!!ガルルルルル!!!!』

 

そこから黒い豹が飛び出していき手鬼に向かって走っていった。

 

『な…!!』

 

 

手鬼は予想外のことに驚いてしまい一瞬の隙を作ってしまった。

 

 

豹はそのまま手鬼に走っていきそのまま懐に向かって体を丸めながら飛び掛かった

 

 

ジャキン!

 

 

すると豹の体が手裏剣ような形になり手鬼の体を何度も切り裂いた

 

 

『ぐぁぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 

 

豹の攻撃が終わり離れた瞬間

 

 

スンッ

 

 

手鬼の体が白色に近い色に光り 手鬼もその色になり倒れ込んでしまった。

 

 

『貴様ァ…! 何をしたァ…!』

 

 

男はそのまま手鬼へと向かっていた。

 

 

「おい!何してる!危険だ!日輪刀もなしに安易に近づくな!」

 

 

錆兎がそう声を荒げるが。

 

 

「“迷い子よ…”」

 

 

男は持っていた杖の真ん中を左手に持ち替え右手を持ち手に添えて

 

 

「“家へと帰れ”」

 

 

そのまま手鬼の眉間に杖を突き刺した。

 

 

『あ”!あ”がァ!』

 

 

そしてそのまま深く突き刺し。

 

一気に引き抜いた。

 

 

 

『グウゥ……!』

 

 

そして手鬼はそのままどんどん灰になっていった。

 

 

「倒……した……?」

 

 

錆兎はその光景をあり得ないと思いながら見ていた

 

 

日輪刀でもなんでもない ただの杖を眉間に刺しただけで太陽に当たったかのような状態になっていった鬼とそれを実行した男を

 

「お前は…一体…」

 

 

 

 

 

「“名前などない 生まれて2日目だもの”」

 

 

 

「……は?」

 

 

 

「冗談だV(ブイ)と読んでくれ」

 

「それ偽名だろ…本当の名前を教えてくれ…」

 

 

「この名前がしっくりくるんだ だからVと名乗っている」

 

 

 

「そ…そうか 質問いいか? ぶ…ぶい…?」

 

「呼びづらそうだな」

 

 

「しょうがないだろ…それ英語だろ? 俺ら日本人はそこまで発音よく話せないんだよ」

 

「なるほどな まあそのうち慣れるだろう 」

「あぁ…じゃあ質問だが…ウッ…」

 

 

錆兎の視界が揺れだしそのまま錆兎は倒れてしまった

 

 

『あらら 緊張の糸が切れちまったらしいな』

 

「おまけに気力だけで動いていたようなものだろうな 少し隈も出来ている」

 

 

『はぁ…どうするよVこいつこのままここに置いてくつもりか?』

 

 

「いや 向こうから人が来てるそいつらに任せよう」

 

 

『んじゃあ俺らは下山するか とりあえず山を降りてからこれからの事考えようぜ』

 

「よし ならば行こうか」

 

 

そう言い 錆兎に背を向けて歩こうとした瞬間

 

「ま…て…質問を…していないぞ」

 

 

錆兎が僅かに目を開けておりVを引き留めようとしていた

 

『おい マジかよ スゲーなこいつ気力だけで目さましやがった』

 

「その状態では聞くものも聞けんだろう また会う機会があったらその時は質問に答えてやる」

 

 

そうしてVは振り返らず足元に先ほどの黒豹“シャドウ”が影のような形をして出現しそれに乗り錆兎の元を離れていく

 

「く……約束……だからな…」

 

 

そうして錆兎は瞼を閉じた

 

気を失う直前に弟弟子の声や他の最終選別の試験者たちの声が聞こえた

 

 

「おい こっちにいたぞ!」

 

 

「死なせるんじゃないぞ 助けられっぱなしはごめんだ!」

 

 

「すぐに入り口付近に戻って彼を治療するぞ!」

 

 

「錆兎!! しっかりしてくれ! 錆兎!」

 

 

(はは…死んでる訳じゃないのに…大袈裟な奴等だ…)

 

 

そう思って 錆兎は意識を手放した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

 

重い瞼を開け 見覚えのある天井の木目が錆兎の前に広がっていた

 

「ここは…まさか…」

 

 

「錆兎!!」

 

突然少年の声が聞こえて 驚きながら声のする方へ顔を向けると

 

「義勇…? お前がいるということは やはりここは鱗滝さんの…」

錆兎がそう考えていると 長い髪を後ろで結び年相応の顔をした少年“富岡義勇”が錆兎に抱きついてきた

 

「おい!義勇!」

 

 

「良かった…! 錆兎ぉ… 生きてて良かったぁ…!」

 

 

「はぁ…まったくこの泣き虫め…」

 

 

そういうと錆兎は抱き締めている義勇の背中を優しく撫でていた。

 

 

「錆兎」

 

突如男性の低い声が聞こえ錆兎は声の主の方へ顔を動かすと

 

「鱗滝さん…」

 

 

赤い天狗の面を着けた老年の男性が座っており 立ち振舞いから強者の貫禄を出している男“鱗滝左近次”がいた

 

鱗滝はそのまま錆兎の元に近づき義勇と一緒に優しく抱き締めた。

 

「よくぞ…戻った…流石は儂の自慢の弟子達だ…」

 

 

「はい…!ありがとう…ございます…!」

 

錆兎は大粒の涙を流して鱗滝に感謝の念を伝え 鱗滝自信も天狗の面から涙が溢れていた。

 

 

「もぉ…錆兎も義勇と同じ泣き虫じゃない…」

 

今度は可愛らしい少女の声が聞こえ錆兎はその少女の顔を見た

 

どこかふわふわするような雰囲気を出していて 髪は毛先が跳ねていて花柄の着物を着ている少女“真菰”がいた

 

真菰は気丈に振る舞っているが目を潤ませていた

 

「お前だって…泣きそうじゃないか…」

 

「もう生意気…でも…お帰りなさい…錆兎…!」

 

 

我慢の限界だったらしく真菰は涙を流しながら錆兎に抱きついてきた

 

「生きててくれて…!ありがとう…! 私を残さないでくれてありがとう…!」

 

 

「お前を…残すわけにはいかないからな…」

 

 

狭霧山の麓にある家は悲しみの涙でなく喜びの涙が流れていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――その頃Vは

 

「とりあえず情報収集だな 今の時点では俺らが何故あそこにいたのかも鬼についてもわかっていない」

 

『だな それに俺らがいた時代とも違うみてぇだしよ 街に行ってその辺りがわかりゃいいが』

 

 

一人と一匹はあの山から街へ続く道を歩いていた

 

 

なぜここにいるのかを なぜ自分の姿がVであるのかもこれから探るために…

 

 

『長い旅になりそうだなぁ』

 

 

「命が続く限り探し続けるだけだ」

 

 

そうして 旅は始まった



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道のり

どうも皆さんおはこんばんにちは一話に前書きと後書きを書き忘れたバカ作者です。

今回はこんな駄文な小説を読んでいただき有難うございます


今回の話はぶっちゃけ自分で書いてても「え?」ってなるような回なので寛大な心で見てください。


「なるほど…儂が捕らえた鬼が弟子たちを殺していたのか…」

 

「えぇ…鱗滝さんにものすごい恨みを持っていた異形の鬼でした、俺も奴の挑発に乗ってしまって殺されかけましたが、なんとか助けてもらいました。」

 

「うぅ…錆兎ごめん…俺がもっと強かったら…兄弟子たちの仇を一緒に取れたのに…」

 

「はぁ…もう義勇? 錆兎は生きてるし、その鬼も他の人が倒してくれたんだよ? きっとみんな安らかに眠ってるよ? だから泣かないの」

 

 

「はははは!まったく義勇は泣き虫だな! 男なら過ぎたことを悔やむな!」

 

 

「う…うん…ありがとう」

 

「はいはい!この話はおしまいにしよう! 錆兎から大事な話があるんでしょ?」

 

 

真菰がそう言うと錆兎はみんなの方を向き真剣な顔で話し出した

 

 

「あぁ…今から話す事は信じられないかもしれないがすべて事実だ、実際問題俺は夢でも見てるんじゃないかと思ったんだ、だがあれは間違いなく夢ではなかった。」

 

 

「……何があった 錆兎。」

 

 

 

「先ほどの話の中で異形の鬼を倒した男がいると言いました。 しかしその男の倒し方に問題が…」

 

「どういこと?」

 

 

 

 

 

 

 

 

「日輪刀を使わずに鬼を倒したのです」

 

 

三人は錆兎のいった言葉に驚愕していた。

 

 

「…何?」

 

 

「…そんなことが」

 

 

「嘘でしょ…」

 

 

 

「確かに馬鹿げた話だとは思いますが本当なんです!鱗滝さん!」

 

 

「嘘は言っていないな…匂いで分かる。」

 

 

「でもそんなこと…鬼殺隊の情報網に引っ掛かってると思うんだけど…。」

 

 

「いや 恐らくだが最近日本に来た異国人だと思うんだ、顔立ちが米国とかそっちの作りをしていた。」

 

 

「それにしてもおかしいよ、鬼は太陽の光を浴びるか、日輪刀で頚を切らなきゃ倒せないのに…。」

 

 

「いずれにしろ、その男の事を鬼殺隊に話さなければならないな…そういえば 錆兎。」

 

 

「なんだ義勇。」

 

 

「選別が終わった時の話をしていなかったな。」

 

 

そう言って義勇は錆兎に隊服や日輪刀の支給について簡略的に説明した。

 

 

「なるほどな…まだ任務は先のようだな…」

 

「あと鎹鴉も。」

 

 

「鎹鴉?」

 

 

「あ、丁度来たよ あの子あの子。」

 

 

真菰がそういって指を指した方向にいたのは。

 

 

『カァー!ヤット起キタカ!寝坊助メ!カァー!」

 

 

片言に喋っている鴉だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………………」

 

 

錆兎は無言のまま思考を停止し、そして

 

 

「なぁ…義勇…真菰…」

 

 

「どうした?」

 

 

「なぁに?」

 

 

「鳥って人の言葉を普通に話す生き物なのか?」

 

 

「この鴉が普通じゃないだけだ」

 

「この鴉以外に人間の言葉を喋る鳥がいたら私見てみたいなー」

 

 

(真菰…いるんだよそれが…しかもこの鴉のように片言じゃなくて流暢に話すんだよ…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『へっくし!!!』

 

 

「風邪か?」

 

 

『あぁ…これは誰か噂でもしてやがんな…どこの誰かは知らんが、俺ちゃんのこの青い羽が欲しいとか言ってるのかもな…』

 

 

『グルルルルルル』

 

 

『あぁ?そりゃねえだろって?ひでぇこというなよ猫ちゃん』

 

「それよりもだ。」

 

 

Vはシャドウとグリフォンの話を切り上げさせてこれからの事を話した。

 

 

 

「まずは……この服からだな 流石にこの格好は目立つ」

 

Vは今の自分の格好を見てそう呟く。

 

今現在の服装は下半身は長ズボンで問題ないが 上半身がノースリーブコート(前は全開)で、下にはコルセットの様なものしか着けていない。

しかも刺青が全身にあるので場合によってはヤバい人と思われても仕方がない。

 

 

『確かにな レッドクレイブは半ばスラムみたいな場所だったからその格好でも良かったが 流石にその見た目とその格好は改めて見るとひでぇもんだ…』

 

 

「さてどうするか…今は一文無しだ、服を買うことが出来ない」

 

 

『それなんだがよV』

 

 

「ん?」

 

 

『その服と同じように掻っ払っちまおうぜ、どうせその服もチンピラから剥ぎ取った物だしな』

 

 

「ならそうするか…ん?」

 

 

ふとVが足を止め横の雑木林に目を向けると。

 

 

「にいぃぃぃぃぐうぅぅぅぅぅ!!!食わせろおぉぉぉぉ!!!」

 

 

シャツのような洋服を来て、目を血走らせながらVを睨み付ける鬼がいた。

 

 

「丁度いい、それを貰おうか」

 

 

Vはそういって鬼に杖を向け、それを貰うと言った。

 

 

「ほざけえぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

そう言うと鬼はVに飛び掛かろうとしたが。

 

 

『グォーー!!!!』

 

 

シャドウがそれよりも早く動き、右前足を巨大な爪に変形させ、鬼の両足を切り落とした。

 

 

「ぐぁぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!な!なんだぁぁぁぁ!!??」

 

 

鬼はそのまま仰向けに転げ落ちてしまい、そのままの勢いでVの足元に転がっていった。

 

「な、なんだ!?お前は!俺と同じ鬼なのか!?」

 

 

「そんなわけないだろ、お前たちと同じになった覚えはない」

 

 

そういってVは青白く輝いてる鬼を見下ろし、その頭に向かって杖を突き刺した。

 

「ぐがぁ…!」

 

 

鬼はそのまま体だけを灰にし、服などの身に付けているものはそのまま残った。

 

 

『しかし こいつらは一体なんなんだ?あの山に居た奴と同じなのか? それにしては人の形をしてるけどよ』

 

「鬼か…奴等と同じなのかもな、この国にもこんな存在が居たとは」

 

『この時代もだろ?たくあり得ねぇぜこんな話』

 

 

数時間前Vは近くの畑で仕事をしていた老夫婦に話を聞き現在自分が何処に居るのかを知った

 

 

「大正時代か…1900年初頭とはな…」

 

 

『まじで100年前に来たのかよ…時間を操る奴とも殺りあったが…流石にタイムスリップはねぇな』

 

 

「とりあえずこの服を着よう ついでだ金も少しばかり貰おうか」

 

 

『おうよ貰えるものは貰っておかねぇとな』

 

シャツと財布を拝借しその場から立ち去って行くV

 

「よし、これで問題ないな 行くぞ」

 

『よっしゃ 先を急ごうぜ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数年後――とある屋敷の庭にて

 

美しい日本庭園と呼ぶにふさわしいその場所に四人の男性と一人の女性が居た。

 

 

「よお!お前ら久しいな、相変わらずド派手に鬼を殺しまくってるか!?」

 

 

そう最初に言葉を発したのは 宝石をちりばめた額当てをつけており 左目部分に赤い丸と線を描いた化粧を施している長身の伊達男――音柱 “宇随天元”

 

 

「うむ!相変わらず額の輝石が眩しいが久しぶりだな!天元!もちろん柱としての責務は果たしている!」

 

 

次に騒がしい声を出したのは金色と所々赤く染まっている髪をしており、炎が揺らめいているような羽織を纏い 炎を体現したかのような青年 ――炎柱“煉獄杏寿朗”

 

 

「南無……皆が健在のようで何よりだ…」

 

 

煉獄とは真反対に静かに言葉を発したのは 瞳に瞳孔がなく、額には横に拡がる古傷が走っており、数珠をジャラジャラと鳴らす巨漢の男性 ――岩柱“悲鳴嶼行冥”

 

「ったくよぉ 悲鳴嶼さん以外静かに出来ねぇのかよ…」

 

 

不機嫌な声をあげたのは 全身傷だらけの強面の青年であり、「滅」の文字ではなく「殺」の文字が入っている白い上着を着ており 騒がしい二人を睨み付けている青年 ――風柱“不死川実弥”

 

 

「まあまあ不死川くん、皆久しぶりに会えたのだもの、私も皆と会えて嬉しいわ〜」

 

 

やんわりと声をあげたのは艶のある黒い髪を腰まで伸ばし、頭に蝶の髪飾りを左右に着けており、蝶の羽を模したような羽織を身に纏っている美女 ――花柱“胡蝶カナエ”

 

 

彼らは鬼殺隊という組織の“柱”という役職であり、最高戦力として名を馳せている実力者である。

 

そして今こうして柱がこの屋敷に集まるということは、定期的な会議か鬼殺隊にとって重大なことがあったときにしか集められないのである。

 

 

「ん?そういえばあいつは何処だ?」

 

天元がそう言いもう一人の姿を確認するため周囲を見渡していた。

 

「ッチ…あいつは柱の自覚があるのかよ…腹立つぜ」

 

 

「あ、あそこにいるわよ」

 

カナエがそう言って一本の木に指を指したら、木の下に一人の青年がいた。

 

「そんなところで何をやっているのだ!こっちに来い!もうすぐお館様が来るぞ!」

 

 

煉獄はその青年に自分達のところに来るように手招きした。

 

その青年は数年前に藤襲山の最終選別を終え、驚異的な早さで今の地位に上り詰めていた青年 冨岡義勇だった

 

称号は“水柱”。

数年前と同じように長髪を後ろでむすび、鬼殺隊の詰襟の上には自分の亡き姉の形見である着物の色を模した羽織を羽織っていた。

 

「あぁ…」

 

 

「ッチ…相変わらず湿気た面しやがって てめぇより継子の奴のほうがまだかわいげがあるぜ…」

 

 

「ま、まあまあ不死川くん、悪気があった訳じゃないのよ?」

 

 

 

六人がそうやって再開を喜び(?)合っていると。

 

 

「お館様のお成りです」

 

その言葉が聞こえた途端六人は屋敷の縁側に向いて片膝を地面に着き頭を下げていた。

 

「やあ皆久しぶりだね、変わりがないようで何よりだよ」

 

 

そう言って姿を現したのは穏やかな表情を浮かべている青年だった。

髪を肩まで伸ばしており、左目の上には火傷を負ったかのように爛れてしまっている。

 

 

彼は鬼殺隊の長である“産屋敷輝哉”という。

 

 

「お館様もお元気そうで何よりです」

 

 

「ありがとう天元 今日は少し調子がいいんだ、私の剣士(こども)達が元気なことが私の元気の源だからね」

 

「ありがたき……御言葉です……」

 

 

行冥はそう言い涙を流していた。

 

 

「さて、皆 単刀直入に聞くけど、彼は見つけられたかな?」

 

輝哉は二年前に義勇の育手に送られた手紙の中に書かれていた人物を探していた。

 

 

「申し訳ありません、まったく足取りが掴めない状態です。」

 

不死川が申し訳なさそうに言うと。

 

「いやいいんだよ実弥、これは簡単なことじゃないからね 君たち柱には普段の仕事で忙しいのにこんなことをお願いしてしまって申し訳ない。」

 

 

「そ、そんなことはありません!私達はお館様の期待に応えるため尽力を尽くします!」

 

 

カナエがそう言って力強く宣言する。

 

 

「ありがとうカナエそう言ってくれて嬉しいよ」

 

 

「しかしこれ程尻尾が掴めないとなると、その話の信憑性に欠けます、本当に日輪刀無しで倒したのでしょうか?」

 

 

天元がそう言うと

 

 

「錆兎は嘘つきじゃない!」

 

 

義勇が怒鳴りあげた

 

「錆兎は嘘をつくような男ではない!勝手な事を言うな!」

 

 

 

義勇は親友が嘘つき呼ばわりされたのを我慢できず怒鳴りあげてしまった。

 

 

「義勇?落ち着いて?」

 

 

「ッ!…すみません…」

 

輝哉は義勇をなだめ話を戻す。

 

 

「天元?信憑性がないあるに関係はなく私は剣士(こども)達を信じるよ」

 

 

「申し訳ありません…失言でした」

「今回は残念だったけどまた次があるから よろしくね」

 

 

そう言って柱の会議“柱合会議”は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

輝哉は屋敷の自室に戻りあることを思っていた。

 

 

「もし日輪刀無しで鬼を殺すものがいるとしたら、それは鬼でも人でもないのかもしれない。」

 

 

輝哉はそう言って本棚から一冊の分厚い本を取り出しその表紙を撫でていた。

 

 

「この伝説が本当なら鬼より質の悪い事になりそうだ」

 

 

輝哉はそう言ってその本を元に戻し自室から出ていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――同日夜 東京府 浅草

 

 

近代化が進んだこの街は他の街より圧倒的に人が多い。

そして同時に文明が進みガス灯や自動車など近代の生活を支える物が多く見られた。

 

 

「さて…早く帰らなくちゃ…」

 

「お供します!貴女に不埒な者が近づかないように!」

 

 

そんな中二つの人影がいた。

一人は紺の生地に花柄の着物を着ている浮世離れした美女“珠世”

 

一人は書生のような格好をしておりきつい目をしている青年“愈史朗”

 

 

二人は医者であり足りなくなった薬品や包帯等を買い、自分達の住処に戻っている最中だった。

 

 

すると後ろから

 

 

「すまない、少しいいか?」

 

 

何者かに引き留められ二人は後ろを向く。

 

 

そこには黒いシャツを着ていて袖のない外套を着ている男性が杖をついて立っていた。

 

 

愈史朗が珠世の盾となり男を睨み付けた。

 

 

「おい!貴様なんだ!?珠世様に馴れ馴れしく話しかけるな!」

 

 

「愈史朗?その人は困りごとがあるから引き留めたのよ、そんな事を言うのは許しません」

 

 

「申し訳ありません!珠世様!」

 

 

愈史朗は珠世に謝罪をし、少し横に移動した。

 

「それでご用件はなんでしょうか?」

 

 

「少しばかり分からないことがあってな、聞きたい事があって呼び止めた。」

 

 

「分からない事とは?」

 

 

男は一呼吸置いて

 

 

「鬼についてだ」

 

 

「「!!」」

 

 

瞬間、愈史朗が珠世の前にまた盾のように立っていた。

 

 

「貴様ぁ!」

 

 

「待て、事を荒立てる気はない」

 

 

「信じられるか!お前鬼殺隊だな!?そうでなければ俺と珠世様に接触するはずがない!」

 

 

男は二人をじっと見つめ。

 

「お前らも“鬼”だろ?」

 

 

「だが他の鬼とは違い、人を食っていないな?」

 

 

男の言った言葉に二人は驚愕していた。

 

 

「何故それを…?」

 

「感覚で分かるんだ、お前らは他の鬼特有の不快感がない、それと血肉の臭いがしないこと」

 

 

珠世はこの男の言っている事が嘘ではないということが分かった。

 

「分かりました、しかしここでは人目に付きます、私達の住処で話をしましょう。」

 

 

「珠世様!?このような正体不明の男を信じるのですか!?」

「愈史朗 この人は信用できる だからお願い」

 

 

「……わかり……ました…」

 

 

愈史朗も渋々納得した。

 

 

「よし、ならば案内してくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――珠世の診療所にて

 

 

そこは愈史朗の“血鬼術”という術によって普通では見つけられないようになっている場所だった

 

珠世はその男Vを客間へと案内し鬼について話し始めた

 

 

「それで貴方は鬼についてどれ程知っているのですか?」

 

「恥ずかしい話だかここ数年で得られた情報は少ない 鬼は太陽の光を浴びるのと、日輪刀という刀で頚を切らなくては死なないということ、藤という花を嫌うこと」

 

「それと鬼を狩っている“鬼殺隊”という組織があることしかな」

 

「いえ鬼というのは世間一般的に知られてはおりませんそれほどの情報を取得できたのは素直にすごいです」

 

 

「それでもまだ鬼という存在がどのような者なのか分かっていないんだ」

 

 

「分かりました、では最初に」

 

 

珠世は一呼吸置き

 

「鬼は実は自然に生まれるものではなく作られるものなのです」

 

 

「どういうことだ?」

 

 

「鬼の初祖、“鬼舞辻無残” その鬼の血を体内に入れると鬼になってしまうのです」

 

 

「鬼舞辻か…」

 

 

「そしてその鬼舞辻の血を取り込んだものは 奴の操り人形のようになってしまい 永遠に束縛されてしまいます」

 

 

「お前達は束縛されていないのだな?」

 

 

Vがそう言い、二人を指差すと

 

 

「おい!珠世様に指を指すな!」

 

 

「愈史朗?」

 

「いえ!何でもありません!」

 

 

(賑やかな奴等だな。)

 

 

「すみません話を遮ってしまって、私は長い期間をかけて鬼舞辻の呪いを外すことができたのです、こちらの愈史朗に関しては私が鬼にしました」

 

 

「珠世様と俺は人間の血をほんの少量摂取すれば生きられるんだ 無闇矢鱈に人間を襲う奴等とは違う」

 

 

「つまりお前達は鬼舞辻に対抗する鬼ということか」

 

 

「そういうことです、一つは鬼舞辻を殺すこと、そしてもう一つは」

 

 

珠世は自分達の目的を言ってきた

 

 

「鬼を人間に戻す為に活動を続けています」

 

 

「なるほど…だが容易ではないのだろう?」

 

 

Vはそう言って珠世に訪ねると珠世は苦い顔をしていた。

 

 

「えぇ…その通りです…鬼殺辻の直属の部下である“十二鬼月”という瞳に数字が描かれている協力な鬼の血を集めることがもしかしたら…」

 

 

「なるほど…そんな鬼が…」

 

 

「Vさん」

 

「ん?」

 

 

珠世はVに向かいあることを口にする。

 

 

「話は変わりますが先程から貴方には人間以外の気配がするのですが…」

 

 

「いつから気づいてた」

 

 

「あの…途中貴方の手の刺青を見たときです…」

 

 

「ふむ…」

 

 

Vは左腕を横に突き出した。

 

すると。

 

 

『呼んだかぁ?Vちゃんよぉ?』

 

 

「「!!」」

 

 

青い猛禽類の鳥グリフォンがVの腕を止まり木がわりにして出現した。

 

 

『はぁ だめね 気配が消せてねぇとはな』

 

 

「Vさん…貴方は一体…」

 

 

「悪いが俺のことは言えない 情報はここまでで十分だ」

 

 

「あ!Vさん!」

 

 

Vは立ち上がり玄関に向かって歩きだした。

 

 

「そうだ、お前たちにこれを渡しておこう」

 

 

Vは振り返り懐から小さい袋を取り出し珠世に渡した

 

 

「これは…?」

 

 

珠世は袋のなかを覗き込むと

 

 

「なに……これ……」

 

 

「珠世様?一体何が……なんだこれは…?」

 

 

愈史朗も横から覗くと 中にはおぞましい顔のような形をした結晶体が入っていた 色は血のように赤く、とてもこの世のものとは思えない物だった。

 

 

「ある存在の血が結晶化したものだ 鬼に有効かどうかは分からんが念のため渡しておこう」

 

『おいおいV!いいのかよ渡してよ!ちょっとマズくね?』

 

 

「情報料のようなものだ、それがお前達の活動にどう影響するかは分からんがな。」

 

 

Vはそう言って診療所を出ていった。

 

 

 

「本当に何者なんだ…あいつは」

 

 

愈史朗はそう呟きVが出ていった方を見つめていた




めっちゃキングクリムゾンしたな。


いやまじでこんなんでいいのかよ…
時系列(柱等)なんかもめちゃくちゃですけどそんなものはポイーしてきました。

次回も不定期ですが気長にお待ち下さい。


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生命の輝き

やっぱり小説を書くのは難しいね…


今回も相変わらずの駄文&キャラの口調迷子です。
それでもいいぜという人は let's!lock!(違う)


――珠世との会合から数ヶ月後 とある町にて

 

 

Vがその町に着いた時には夜明け前であり東の空が少し明るくなり初めていた。

 

しかし彼らはこの町に用があるわけではなかったためグリフォンが愚痴をこぼしていた。

 

 

『はぁぁ…ここもまだ目的地じゃねぇんだろ?まったく嫌になっちまうぜ』

 

 

「仕方がない、こうやって歩きでしか移動する手段がないんだ」

 

 

『当てのない旅だなんて寂しいもんだな…もうちょいはっきりした目標があればいいんだがな〜』

 

 

「確定ではないが鬼の初祖を見つければなにか分かるだろう、それまでの辛抱だ」

 

 

『んなことよりV、本当に体は大丈夫なんだろうな?この時代に目覚めてから数年は経ってんだ、前は三ヶ月程度で体が崩壊しかけてたのによ不思議なもんだぜ』

 

 

「心配ない、何故かは知らんが体は万全だ」

 

 

『ならいいんだがよ…俺達の命綱はお前が握ってるんだからな、お前が死んだら俺達もアウトだ』

 

 

Vとグリフォンはそんな他愛のない話をしながらこの町を歩いていた。

 

 

 

すると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……コホッ………ゥ……コホッ

 

 

 

「ん?」

 

 

『何だぁ?こんな夜更けに誰かいんのか?』

 

 

 

Vとグリフォンは音のしたほうに目線を写した。

 

 

 

『グゥゥゥゥ…』

 

 

するとシャドウが出現しその方向に唸っていた。

 

 

『あん?…おいV 猫ちゃんによるとこの先から血の臭いがするらしいぞ』

 

 

「何かあるのは間違いないな、行ってみるとしよう」

 

 

『よぅし 行ってみっかー』

 

 

彼らは声のするほうへ行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ゥ……ゴホッ……ゴホッ…」

 

 

そこには一人の女が両膝と左手を地面に着き口元を右手で覆い咳き込んでいた。

 

 

「…ゥ!ゲホ!ゲホ!」

 

 

ピチャピチャ

 

 

 

彼女が一層大きい咳をすると口から血を吐き、地面を汚していた。

 

 

 

彼女は鬼殺隊の花柱である“胡蝶カナエ”だった。

 

 

隊服の所々が破け彼女の柔肌に傷がついているがそれよりも目を引くのが吐血であった。

 

 

彼女がなぜこうなったかというと、つい先程まで十二鬼月の“上弦の弐”と戦い致命傷を負っていたのだ。

 

 

氷を操る血鬼術を使い今まで戦ってきたなかで類を見ないほどの強敵であった。

 

 

そして彼女はその血鬼術の氷を吸ってしまい肺が壊死してしまっておりその影響で吐血していた。

 

 

(っく…夜明けまで持ち込んだのはいいけど…このままじゃ…)

 

 

 

「…ゥ!ゲホ!ゴボッ」

 

 

ビチャ ビチャ

 

 

その吐血を皮切りにカナエはうつ伏せに倒れてしまった

 

 

「……ゥ……ゥ…」

 

 

カナエはこの時悟った

 

 

(あぁ…私…このまま死ぬんだ…もうだめだ…だんだん眠くなってきた…)

 

 

カナエは自身の体温がどんどん下がっていき死が近くなる実感をした。

 

 

カナエの瞳には涙が流れた

 

 

(あぁ…ごめんなさい皆…上弦の情報を持ち帰る事ができなくて…)

 

 

カナエの脳裏に鬼殺隊の面々の顔を思い浮かべていた。

いつも喧嘩腰になっている風柱とそれを気に止めていない水柱、炎のように元気な炎柱、ド派手にが口癖の音柱、自分含めもう一人の家族を救ってくれた岩柱、そして鬼殺隊の長であり自分達の事を子供達と呼んでくれたお館様を

 

 

(ごめんね…こんなお姉ちゃんで…ほんとにごめんね…)

 

 

次に愛すべき家族を思い浮かべ、心の中で謝罪していた。

 

 

いつも眉間に皺を寄せ姉さんは甘い!と叱りつけていた実の妹

 

 

(あぁ…せめてあの子の心から笑った顔が見たかったな…)

 

 

次に思い浮かんだのは血は繋がっていないが本当の家族のように接してきたもう一人の妹だった。

実の親に売られ人買いに連れられていたところを保護した女の子。

 

 

(あぁ…これが走馬灯というものかしら…)

 

 

そして彼女は涙を流している目を閉じようとした時。

 

 

 

ザッザッザッザッ

 

 

 

(……?…なに?)

 

 

足音のようなものが聞こえそちらに顔を向けると

 

全身黒ずくめの男が先の尖った白い杖を右手に持ってこちらに歩いてきていた。

 

 

(……誰?…あ…あの杖は…お館様が言っていた…)

 

 

カナエは目の前の人物が鬼殺隊が近年探し求めていた男だと理解した。

 

 

先の尖った白い杖を持っており、黒い袖無しの外套と体全体に刺青が彫られている痩せ細った男というのが柱全体の情報として出回っていた。

 

 

そして目の前の人物は刺青はシャツに隠れてしまっているが袖無しの黒い外套と杖を持ってというだけでカナエはこの人物が探し求めていたVという人物だということに疑問を抱かなかった。

 

 

(やっと見つけた…でも…私じゃ…)

 

カナエは自分の今の状態で彼を見つけても意味がないため諦めてしまった。

 

 

そうするとVはカナエの傍まで近より、しゃがみこんでカナエに喋りかけた。

 

 

「死にかけているな、このままだと本当に死ぬぞ」

 

 

(優しい人…見ず知らずの私にこんなことを言ってくれるなんて…)

 

 

 

「お前は生きたいか?それとも死にたいか?」

 

 

(そんなもの…)

 

 

カナエはVに向けて最後の力を振り絞り声を出した

 

 

「…生き……たい!……まだ…生きて…皆と一緒にいたい!…ゴホッ! 」

 

 

無理に声を出したせいかまたもや血を吐いてしまう。

 

 

「…フッ」

 

 

Vはそう笑うと懐から何かを取り出した。

 

(なに……あれ……)

 

 

Vが取り出したものはカナエには何か分からないものだった。

それは黄金色に輝いていて神秘的な光を発していたひし形の物体だった。

 

 

「これはただの気まぐれだ」

 

 

Vがそう言ってひし形の物体をうつ伏せに伏しているカナエの背中に乗せた。

 

 

瞬間、カナエの回りが黄金色に輝き出した。

 

(なに…これ…暖かい)

 

 

光が収まりカナエは少し呼吸が楽になったのを感じた。

 

「何を…したの?…」

 

 

「いずれ分かる、今は休んでいろ」

 

 

そう言ってカナエは瞼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「“慈悲は死を眠りに変えた”…か」

 

 

Vは穏やかな表情で眠っているカナエを見て詩の一文を呟くと

 

 

『おい!やっべーぞV!向こうから殺気びんびんな嬢ちゃんがこっちに来るぞ!この嬢ちゃんと同じような髪飾りをつけてるから家族かなんかだろうがな!』

 

グリフォンが血相を変えてVの元に戻ってきた。

 

 

「なるほど…だがこのまま置いておくのは忍びないな」

 

 

Vはそう言ってシャツを脱ぎシャツをカナエに掛けた。

 

 

『コートで良かったんじゃねぇのか?わざわざシャツにするなんてよ』

 

 

「このコートは手放せない 元の時代の代物だからな」

 

『あら?愛着でも湧いたのか?まあいいけどよ、またその格好に逆戻りだぜ?』

 

Vの今の格好はシャツを脱いだためまた刺青が露になりかつての格好に戻ってしまった。

 

「もうこの格好が普通なのかもな」

 

『久しぶりに見たがやっぱそっちの方がしっくり来るな』

 

 

「そろそろ行くか 現場を見られたら勘違いされる」

 

 

『よっしゃズラかるか』

 

 

Vはそう言って日の出の方向に歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナエは今真っ白な空間にいた

 

 

「ここは?」

 

 

カナエは自分がなぜこんなところにいるのかわからず首を傾げていた。

 

 

すると

 

 

「「カナエ」」

 

 

後ろから声が聞こえ振り向くと。

 

 

「お父さん…お母さん…」

 

 

かつて鬼に殺された両親がカナエの方を見つめ立っていた。

 

 

この時カナエは自分がここにいる状況を理解した。

 

 

 

「あぁ…やっぱり死んじゃったんだ…私…」

 

 

カナエは俯いて涙を流しごしごしと目を擦った

 

 

「でも…やっと会えた…」

 

 

一通り涙を流し顔を上げると。

 

 

 

 

 

 

 

 

両親の姿が消えていた。

 

 

「……え?お父さん?お母さん?」

 

 

突然両親が姿を消しており困惑してしまった。

 

 

「お父さん!お母さん!どこ!?どこにいるの!?」

 

 

カナエはその場からいろんなところを走り回っていく。

 

 

しかし白い空間には誰もいなく様変わりしない風景に彼女は再び涙を流した。

 

 

「一人にしないで!死んでまでこんな苦しい思いをするのは嫌だ!二人ともどこにいるの!?ねえ!返事してよ!」

 

しかし返事は返ってこず。

 

ガッ

 

 

「あ!」

 

 

カナエは躓き転んでしまった。

 

 

 

「うぅ…やだぁ…一人にしないで…」

 

 

一人にされた絶望感にうちひしがれそのまま両膝と両手を地面に着き大粒の涙を流した。

 

 

しかしその時。

 

 

「……サン……」

 

遠くの方で声が聞こえた。

 

 

「!?今のは!?」

 

 

カナエは顔を上げ声のしたほうに顔を向けると。

 

白い空間の中に一筋の金色の線ができており彼方まで伸びていた。

 

 

「!」

 

 

彼女は立ち上がりその方向に走り出した。

 

 

黒い髪を靡かせながら無我夢中で走っていくと。

 

 

「「生きて」」

 

 

また両親の声が聞こえカナエは一瞬立ち止まったがまたすぐ走っていった。

 

 

そして線の方向に走っていくと黄金色の光が見えてきた。

 

 

「はぁ…!はぁ…!待ってて!皆!」

 

 

そしてカナエは光の中に溶け込んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……う……ん…?」

 

意識を失っていたカナエが重い瞼を開けて目覚めた。

 

「ここ…は…」

 

 

まだ朦朧とするが自分がどこにいるか確認するため仰向けで寝ていた自分の上半身を起こした。

 

 

「ここは…“蝶屋敷”?」

 

 

彼女自信の住み処であり鬼殺隊専用の診療所でもある“蝶屋敷”に自分がいたことを理解した。

 

「どうして…ここに…」

 

 

バシャア

 

 

横から水の入った桶が落ちる音がし、音の方を向くと。

 

 

「姉……さん…?」

 

「しのぶ…?」

 

 

 

そこにはカナエよりも小柄で髪も短く毛先が紫に染まっており、紫寄りの青い蝶の髪飾りを後頭部に一つだけつけて纏めている女性“胡蝶しのぶ”がいた。

 

しのぶはカナエの体を拭くために持ってきていたぬるま湯の入った桶を落としたがそれには目もくれず一目散にカナエに近づき。

 

 

「姉さん!!」

 

 

涙を流しながら抱きついた。

 

 

「きゃっ!?し、しのぶ?」

 

 

「良かった…!目が覚めて…!本当に死んじゃったと思ったんだからぁ!」

 

カナエはしのぶを優しく抱きしめ。

 

「ごめんね…しのぶ…心配かけちゃってごめんね…」

 

 

「いいの…!姉さんが無事なら…それでいいの…!」

 

 

しのぶの気の済むままに彼女を抱きしめた。

 

 

すると。

 

 

「ん?」

 

 

ふと入り口の方から気配がし、そちらを向くと。

 

 

「…………」ポロポロ

 

 

無表情ながらも大粒の涙を流している少女がいた。

少女はかつて人買いに連れられていたところをカナエとしのぶが無理矢理連れてきた少女“栗花落カナヲ”だった。

 

 

カナエとしのぶと同じような蝶の髪飾りを右側頭部につけサイドテールにしている少女は自分で判断を下すことができず、涙を流しながらもオロオロしていた

 

「カナヲ…?…おいで…」

 

 

カナエはそう言ってカナヲにこっちに来るように言い、カナヲはその指示を聞き近づいた。

 

 

「ぁ…あの…」

 

 

カナヲは今の自分の感情がわからずカナエの前で涙を流しながら問い掛けた。

 

「なぁに?カナヲ?」

 

「ごめん…なさい…何で涙が…胸も…苦しかった筈なのに今は違うんです…今は…何故かホッとしています」

 

「カナヲ?涙を流す理由は“悲しい”からか“嬉しい”のどっちかなのよ?」

 

 

少し落ち着いたしのぶがカナヲの質問に代わりに答えた。

 

 

「そうね〜さっき言ってた胸が苦しいっていうのは悲しいことがあったからね、でも今は…ホッとしているのは……嬉しいことがあったからね…」

 

 

「姉さん…?」

 

 

カナエの瞳には涙が溜まっており今にも流れそうだった。

 

 

「しのぶ…! カナヲ…!」

 

カナエは二人を胸元に引き寄せ頭を撫でて。

 

 

「私も…!今とても嬉しい…!まだ貴女達と一緒にいられるのが…!たまらなく嬉しい…!」

 

 

カナエはそう言って涙を流して二人の温もりを感じていた。

 

 

「私もよ…!姉さん…!」

 

 

「私もです…!カナエ姉さん…!」

 

 

しのぶとカナヲは涙を流しカナエの胸に顔を埋めた(うずめた)

今あるこの温もりを長く感じたいがために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『しかしそんなもん持ってたとはな驚いちまった』

 

 

「残りは僅かしかない無駄にはできん」

 

そう言ってVはカナエに使った魔石“ゴールドオーブ”を取り出した

 

 

『そりゃそうだ そいつは命の理を凌駕した超越的な力を持ってる魔石だ 腐るほどあったら命の価値が下がっちまうぞ 』

 

「使わない方がいいさ、こういうのはな」

 

 

Vはゴールドオーブをしまいまた歩き続ける。

 

 

「いくぞ」

 

 

『お供しますよお嬢さんってな」

 

 

彼らはそのまま途方もなく歩き続ける 鬼の初祖に会い何かしらの情報を得るために。

 

 

そして近いうち本格的に鬼殺隊と関わっていくことになるだろう。




ところで皆さんはVを使ってブラッディパレスをやりましたでしょうか?
作者は95階で死にました。
強すぎだよ奴等…81階からDMD仕様になるなんて聞いてない…


さて次回も不定期です、待たせてしまいますがお楽しみに


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その存在

今回全然進んでなーい!


お待たせしてしまい申し訳ありません、今回はV達の出番が少ないです。

本当に申し訳ない(メタルマンの博士感)


 

 

 

カナエが目覚めた後蝶屋敷は騒がしくなった。

 

カナヲとしのぶが落ち着きを取り戻し蝶屋敷の他の面々を呼び出していた。

 

 

「カナエ様!?目が覚めたのですか!?」

 

 

そう言ったのはカナエと同じように頭の両脇に青い蝶の髪飾りをつけていてツインテールにしている少女“神崎アオイ”であった。

 

 

「ごめんなさいアオイ、私はこの蝶屋敷の責任者なのに貴女方に迷惑をかけてしまって…」

 

 

「謝らないでください!貴女が生きてくれて…!私は…!」

 

 

カナエは涙を溜めているアオイをそっと抱きしめ

 

「ありがとうアオイ私を待っててくれて」

 

 

「うぅ…!カナエ様〜!」

 

 

アオイはカナエに抱きしめられたことで大粒の涙を流し、胸に額を押しつけて泣いた。

 

 

「我慢しないで泣いちゃって?」

 

 

カナエはアオイをよしよしと頭を撫でてあやしていた。

 

 

 

「「「カナエ様〜〜!!!」」」

 

 

次に入ってきたのはまだ幼い子供達だった。

 

 

「こらあなた達!」

 

カナエに一直線に駆け出していたためしのぶが注意するが聞かず、そのままアオイを抱きしめたままのカナエのもとに泣きながら抱きついてきた。

 

 

「「「良かったです〜〜!!!」」」

 

「もう…あなた達…可愛いわ〜」

 

 

「姉さん!そこじゃないでしょ!」

 

カナエが的外れなことを言ったしのぶは呆れて怒鳴っていた。

 

 

「きよ、すみ、なほ あなた達も私のために泣いてくれてありがとう。」

 

 

おかっぱ頭が特徴的な子“寺内きよ”

 

おさげが特徴的な子“中原すみ”

 

 

三つ編みが特徴的な子“高田なほ”

 

 

三人とも蝶の髪飾りをつけている子達がカナエの問いに。

 

 

「「「当たり前です〜〜!!!」」」

 

 

三人とも同じ答えを出した。

 

 

「あらら?怒られちゃった?」

 

 

「はぁ…姉さん…」

 

 

しのぶが呆れていると。

 

 

「起きたんだねカナエ」

 

 

突如男性の声が聞こえその方向に顔を向けると。

 

 

「お、お館様!?」

 

 

産屋敷輝哉が立っていた。

 

 

「カナエ…また会えて嬉しいよ よく頑張ったね。」

 

輝哉はカナエに近づき頭を撫でていた。

 

 

「は、はい ありがとうございます」

 

 

カナエは頬を少し赤く染め感謝の意を述べた。

 

 

それからしばらくして他愛のない話を続け、アオイやきよ、すみ、なほの三人は自分の持ち場に戻っていった。

 

 

「さて、さっそくだけどしのぶ?」

 

 

「は、はい!」

 

 

しのぶは自身が呼ばれるとは思っていなかったため声が上ずってしまった。

 

 

「カナエが戦った上弦の情報を他の柱の面々に共有したいんだ、なので緊急の柱合会議を開きたいんだけどカナエはあとどれくらいで出席できる程の状態になるかな?」

 

 

輝哉がそう訪ねるとしのぶは。

 

 

「お館様…姉さんの…カナエ様の容体は…」

 

 

しのぶが一呼吸おくと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく異常がありません」

 

「……え?」

 

 

「どういうことかな?」

 

 

カナエが目を見開き驚いていると輝哉が疑問を問いた。

 

 

「私が現場に到着した頃には姉さんは倒れていました…最悪の状況を覚悟しましたがまだ脈があったため急いで蝶屋敷に運び、治療を施そうとしましたが…」

 

 

しのぶは一呼吸置き。

 

 

「まったく治療が必要のないほどの状態でした、隊服には切られた後があったのですが体の方にはまったく傷がなかったです」

 

 

「待って!しのぶ!そんな事はあり得ない!切り傷が治っているのもそうだけど私は肺が壊死してしまって…!」

 

 

カナエは今気付いた、自分が当たり前のように普通に呼吸をしているのを。

 

 

「姉さん?」

 

 

「そんな…ありえない…だって上弦の弐の血気術を吸ってしまって肺が…」

 

 

そこでカナエはあることに気づいた。

 

 

「あの人だ…あの人が私を…」

 

 

「姉さん?何を?」

 

「お館様!あの人です!刺青の男ブイです!刺青はシャツで分かりませんでしたが…先の尖った白い杖と袖無しの黒い外套を着ていたのです!」

 

「カナエ、それは」

 

 

「……あ」

 

 

刺青の男“ブイ”、それは鬼殺隊の柱にしか知られていない極秘の情報だった。

 

 

それを今鬼殺隊の“(きのえ)”階級のしのぶの前で話してしまった。

 

 

「姉さん?今のどういうこと?そのブイという奴が何かしたの?」

 

 

「あ、そ、その…うぅ」

 

 

カナエはやってしまったという表情になったがここで輝哉が助け船を出した。

 

 

「しのぶ、この事は柱しか知らないことだけど君とカナエ、そしてあと数人と柱には私が確信を得たものを話そうと思うんだ」

 

 

「確信?お館様それはどういう…」

 

 

「柱合会議が終わったあとに、しのぶは私の屋敷に残っていてね?」

 

 

「…分かりました」

 

 

「え?私は柱ではないですけれど…」

 

 

「しのぶとあと数人は客間にいてもらうから、会議が終わったらまた案内するね」

 

 

「は、はい…」

 

 

「それじゃあカナエ、二日後でいいかな?その間に色々と準備を進めるから」

 

 

「分かりました ではまた二日後に」

 

 

カナエとしのぶは輝哉に頭を下げ見送った。

 

 

「「…………」」

 

二人はしばらく無言になっているが。

 

 

「ど、ど、どうしよう姉さん!私お館様の屋敷にいくなんて思わなかったから心の準備ができてない〜〜!」

 

 

しのぶはカナエに抱きつき焦った表情をしてカナエを見ていた。

 

 

「大丈夫よしのぶ そんな緊張しなくてもお館様の話を聞くだけだから」

 

 

「うぅ…それでもぉ…」

 

 

(あぁ…もう…私の妹は今日も可愛いわ〜〜!」

 

 

「姉さん!?なに言ってるの!?」

 

 

「あら?声に出てた? でも本心だから関係ないわ〜!」

 

 

カナエは顔を真っ赤にしているしのぶをぎゅーっと抱きしめた。

 

「や、やめてよ…姉さん…」

 

口ではそう言っているが満更でもないしのぶであった。

 

 

すると。

 

 

クイクイ

 

 

「ん?カナヲ?」

 

 

カナエの服の裾を引っ張ってきたのはカナヲであった。

 

 

カナヲは顔を赤くして俯いてもじもじしておりか細い声で。

 

 

「わ…私も…撫でてください…カナエ姉さん…」

 

 

ピシャーン

 

カナエの心に衝撃が走り右手でしのぶの頭を撫でて左手でカナヲの頭を撫でていた。

 

 

「あ〜〜もう!可愛い!可愛すぎるわ〜!」

 

 

カナエは語彙力が低下し二人をずっと撫でていた。

 

 

「「あうぅ…」」

 

 

二人は顔をさらに赤くして縮こまってしまった。

 

 

しばらく撫でているとカナエは自分の命を救ってくれた者をふと思い出す。

 

 

(あの人がどうやって私を治したかは分からないけど…また会いたいな…会ってお礼を言いたい…)

 

 

カナエはいつかもう一度彼に会ってみたいと心の中でそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――同日昼

 

 

 

「“世界は一粒の砂 天国は一輪の花 汝の手の内に無限を掴め そして一瞬の中に永遠を”」

 

 

Vは今食事処でお茶と団子数本を注文して詩を読みながらお茶を啜っていた。

 

 

そして女将らしき人物が団子をVのテーブルの上に置いた。

 

 

「はいこれ団子ね しかしお兄さん凄い刺青だね?」

 

「やはりか、気分を悪くしたなら食べてすぐに出る」

 

 

「いや別にいいんだよ 料金を払ってくれればお客はお客だゆっくりしていってくれ。」

 

 

そう言って女将はもう一度店の奥に戻っていった。

 

 

「さて…これからどうするか…まったく進展なしだ」

 

 

団子を頬張りながらそんな事を考えていると。

 

 

「ちょっと!蜜璃ちゃん!またうちの食糧庫空にする気!?」

 

 

「ご、ごめんなさい!つい食べ過ぎちゃって…」

 

 

後ろから先程の女将の声と申し訳なさそうに謝罪する女性の声が聞こえた。

 

(なんだ?)

 

 

Vが振り向くと長い髪の毛が桜色になっているが毛先に連れて黄緑色に染まっていっていて両目に泣きボクロがある可愛らしい少女が先程の女将に怒られていた。

 

 

(な、なんだあれ…)

 

 

Vは珍しく困惑していた、その女性のテーブルには皿やどんぶりが山のように重なっていた。

 

 

「はぁ…まぁ私も料理を出したから悪いけど…これ以上蜜璃ちゃんには出せないよ…」

 

 

「そ、そんなぁ…もう少し!本当にもう少しだけでいいので!食べさせてください〜」

 

 

「そうは言っても他のお客に出すものが無くなっちゃうから無理だよ…」

 

 

「うぅ…そんなぁ…」

 

 

女性が見るからに落ち込んでいるとスッと目の前に皿に乗った団子が差し出された。

 

 

「…え?」

 

 

「お客さん?」

 

 

Vが女性のテーブルに自分が注文した団子を差し出していた。

 

 

「少ないとは思うがこれでなんとか落ち着いてくれ、目の前で落ち込まれてはこっちもいい気分ではないからな」

 

 

「え?でも…」

 

 

「いいさ、どうせこの細身の体の中には入らないだろうしな」

 

 

Vはそう言って自分の体を自虐しながら女性に団子を食べるよう勧めた。

 

 

キュン

 

 

すると女性が頬を赤らめてVに向かって。

 

 

「あ、あの!私“甘露寺蜜璃”といいます!あの!あなたの名前を教えて下さい!」

 

 

「ん?あぁVという」

 

 

「ブイさんありがとうございます!あの…私と…お付き合いしてください!」

 

 

 

「…なに?」

 

 

 

Vは少し呆けて彼女の言った意味を理解できずに聞き返してしまった。

 

 

すると。

 

 

「こら蜜璃ちゃん!あんたはまた…!その惚れやすさも少し自重しなさい!」

 

 

「えぇ!?でもぉ…こんな優しいこと言われてキュンキュンしちゃったんだもの〜!」

 

 

「だからってお兄さん困ってるじゃない!」

 

 

「いったいなんなんだ…?」

 

 

「あぁ…蜜璃ちゃんは非常に惚れっぽくてね…今のお兄さんみたいな行動を起こすとこのように付き合ってくださいって言うんだよ…」

 

 

「なるほどな…蜜璃と言ったか?俺なんかよりいい相手が見つかるだろうから付き合えない」

 

 

「そ、そんなぁ…」

 

 

「そう落ち込むなお前のような美人だったら運命の相手も見つかるだろう」

 

 

そうすると蜜璃はパァァと顔を明るくさせ満面の笑みを浮かべた。

 

 

「ブイさん…ありがとうございます!それとこの団子美味しく頂きます!」

 

 

そうすると蜜璃は貰った団子を美味しそうに頬張っていた。

 

 

「ありがとうねお兄さん、蜜璃ちゃんも嬉しそうに笑ってくれたし」

 

 

「別に構わない、さて勘定をしたいんだが…」

 

 

「あぁ…いいよ、あの子の笑顔を料金代わりにするしうちの食糧庫も無事になったから」

 

 

「そうか、感謝する、ではこれで」

 

「またうちのご飯でも食べてねー!それとちゃんと食べなよーそんなガリガリじゃ心配だよ!」

 

 

「あ!ブイさん!またどこかで会いましょう!」

 

 

女将と蜜璃に別れを告げて食事処を出ていった。

 

 

 

 

しばらくして

 

 

 

『おぉ〜モテモテだな〜詩人ちゃんよ〜ってイテェ!!』

 

 

Vは次の村に移動するために田んぼ道を歩いていたがグリフォンが茶化してきたので杖で殴った。

 

 

『怒んなよ…ちょっとした冗談じゃねぇか…』

 

 

「行くぞ」

 

 

『ヘイヘイ あぁ〜冗談が通じないとはね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――二日後 産屋敷輝夜の屋敷の庭にて

 

 

前回と同じ場所にて開かれた緊急の柱合会議においてカナエは交戦した上弦の弐、名を“童磨”という鬼の情報を柱の面々に開示した。

 

曰く童磨は氷の血気術を使い、鬼殺隊員の命とも言える呼吸を使えなくする。

 

 

曰く童磨は女性を好んで捕食する。

 

 

曰く童磨は怪しげな新興宗教の教祖である。

 

そして童磨の特徴である虹色の瞳と血を被ったような服を着ている事と感情が欠落している微笑みを浮かべていることを告げた。

 

 

「そんな情報が信じられると思うか?上弦は出くわしたら柱が数人いて初めて対等な相手だ、それを一人でしかも五体満足で生き永らえるなどあり得るわけがなかろう。」

 

 

そう言ったのはここ最近柱になったばかりの鬼殺隊員であり口元は包帯で隠しており瞳の色が左右違い白蛇を首に巻いている男“蛇柱”伊黒小芭内である。

 

 

カナエの言っていることに疑問を持っていたのは伊黒だけでなく風柱の不死川実弥も同じように申し立てた。

 

 

「伊黒の言うとおりだ胡蝶ォ 上弦はここ百年あまりは討伐されてねぇんだ、腹立だしいしいことだが上弦の力は俺ら鬼殺隊の今の士気じゃ討伐なんか出来ねぇんだよ」

 

 

伊黒と実弥がそうやって悪態をついていると輝夜が。

 

 

「伊黒?実弥?カナエが交戦したのは確かに上弦の弐であったことは間違いないんだ、鴉も瞳の数字を確認できていたからね、二人とも言い過ぎないようにね

 

 

二人の悪態を咎めるように言いはなった。

 

 

「「も…申し訳ありません…」」

 

 

二人は輝夜に頭を下げて謝罪した。

 

 

「二人とも私よりカナエに謝罪しなさい」

 

 

「悪かった胡蝶ォ…言い過ぎた…」

 

 

「…すまない失言だった」

 

 

「う…ううん大丈夫…信じられないのも無理はないわ」

 

二人の謝罪が終わったあとに輝夜は次の話題に移る。

 

 

「さて…上弦の弐の情報はあらかた出したと思うから次に移るよ?」

 

 

「おお!まさか他の上弦の情報もおありですかな!? 」

 

 

煉獄の問いに輝夜は。

 

 

「いや残念だが鬼の情報はこれで終わりだよ、次に話すのは柱の諸君に捜索命令を出している人物に関わる話だ」

 

 

「そいつは例の刺青の男の事ですか?」

 

 

そう宇髄が訪ねると。

 

 

「その通りだよ天元、実はねカナエの話によると先程の童摩と交戦した時に致命傷を負ったらしいんだ、カナエは夜明けまで耐えれたけど肺が壊死してしまい死ぬ一歩手前まで来てたらしいんだ」

 

 

「カナエ…なんという無茶を…」

 

 

行冥はカナエに向けて涙を流しながら彼女の無茶振りについて苦言した。

 

 

「ん?ですが胡蝶はこのように無事でおられますよ?」

 

 

「そこなんだよ天元、カナエを生き永らえさせたのは紛れもなく刺青の男ブイなんだよ」

 

 

「よもや!肺の壊死なぞ治療は不可能ですぞ!」

 

 

「ううん煉獄君、私はそもそも治療らしい行為はされてないの、彼が持っていた黄金色のひし形の物体に触れたら何もかも治っていたの」

 

 

「そんな事が…」

 

 

柱の面々はありえないという表情をしているなか輝哉が

 

 

「皆、今日は皆に知らせたいことがあるんだ、ここではなく屋敷の中で話そう」

 

 

柱はそのことに「御意」と答え屋敷に入っていった。

 

 

そして輝夜に案内されたのは客間であり、輝夜は待ってくる物があると言って自室に向かっていった。

 

 

そして襖を開けるとそこには先客が数人いた。

 

 

 

「待たせてすまない錆兎、真菰」

 

義勇が二人の名前を呼ぶとそこには鬼殺隊の隊服である詰襟を着ている錆兎と真菰がいた。

 

 

錆兎は白色の羽織を着ており正座をして待っていた。

 

 

真菰は桜色の生地に花柄の模様をあしらった羽織を着ており他の人と話をしていた。

 

「いや構わない、柱合会議は大事なのだから時間がかかっても仕方ないからな」

 

 

「私も別に大丈夫だよー蜜璃ちゃんとしのぶとお話ししてたからー」

 

二人は義勇の“継子”という、言うなれば柱の後継者であった。

 

そして真菰と話をしていたのはカナエの妹しのぶと先日食事処でVに団子を譲って貰った甘露寺蜜璃がいた。

 

 

蜜璃の隊服は胸元が大きく開いており溢れんばかりの乳房が覗いていた。

 

しかも他の隊員のように袴のようズボンではなくミニスカートを穿いており髪色に似た黄緑色のニーソックスを履いていた。

 

「あ、師範!お疲れ様です!」

 

「うむ!他の隊員と仲良くやってるようで何よりだ!」

 

 

蜜璃は煉獄の継子であり炎の呼吸から独自の呼吸法を生み出した天才であった。

 

 

煉獄は彼女に友達が出来ていることを嬉しく思っており蜜璃のことを誉めていた。

 

 

(はあぁ!煉獄さん!炎のように暑い人だけれどこんな心が温かくなるようなことを言うなんて素敵!)

 

 

蜜璃は煉獄に対してキュンキュンしていた。

 

 

「か、甘露寺…///今日はいい天気だな…///」

 

 

「あ!伊黒さんこんにちは!いい天気ですね!」

 

 

蜜璃に話しかけたのは伊黒であり顔を赤くして妙にそわそわしながら話しかけていた。

 

(伊黒さん!相変わらず包帯で顔を下半分だけ隠してて表情が分からないけどその怪しげな雰囲気も素敵!)

 

 

伊黒は柱になってすぐに煉獄と共同の任務があったときに蜜璃と出会い一目惚れしてしまい蜜璃と会うとそわそわしてしまうのはそれが原因だった。

 

 

そんな二人の様子をカナエと真菰はニコニコしながら見ていた。

 

 

しかししのぶは伊黒に対してヘタレと心の中で罵りジト目を伊黒に向けていた。

 

 

それから輝夜が来る間継子の自慢などをして談笑していた。

 

 

そしてしばらくして

 

 

「皆お待たせ」

 

 

輝夜が一冊の本を持って客間に戻ってきた。

 

 

そして全員姿勢を正し輝夜の話を聞く体制を整えた。

 

 

「それでお館様…刺青の男についての情報とはどのようなものでしょう…?」

 

 

天元は代表して輝夜に質問をした。

 

 

 

「その前にまずは聞かせたい話があるんだ、今からする話は鬼でも人でもない存在の話なんだ、この本はまだ和訳されてないから日本人にとっては馴染みがないかもしれないけど西洋ではとても有名なおとぎ話なんだ」

 

 

そうして輝夜は本の表紙を彼らに見せた。

 

 

本には英語でこう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「The Legendary Dark Knight Sparda」

 

 

 

 

 

 

「これから皆に話すのは”悪魔“という存在についてだ」

 

 




さてまだまだですが悪魔の話を出しました。

そしていつになったら原作の話に入れるかな?不安でしょうがない。


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対峙

駄目だ…もう一回原作を読み返さなきゃ…

今回も駄文でいやいやになりますよぉ

文才…ちょうだい…


 

 

――悪魔

 

 

それは我々人間とは根本的に違う存在である。

 

 

恐らく今現在我々が戦っている鬼などとは比べ物にならないほどの力を持っていると思われる。

 

 

そして世界は我々人間が生きている世界“人間界”と呼ばれる世界と悪魔が跋扈(ばっこ)している世界“魔界”と呼ばれる世界がある。

 

 

そして今から約2000年前、人間界は悪魔達の侵略によって壊滅的となった。

 

 

 

人々は悪魔の圧倒的すぎる力の前では無力でありこのままでは人間界が悪魔に乗っ取られてしまうと絶望していた。

 

しかしそんな時思いもよらないことが起きた。

 

 

一体の悪魔が悪魔達を裏切り人間に味方したのだ。

 

 

彼は“魔帝”と呼ばれる魔界の王の部下であると同時に魔帝に次ぐ実力を持っていた。

 

 

彼は自分の名前を冠する剣を振るい悪魔達を蹴散らしさらには魔帝をも退け魔界に封印した。

 

そして彼は人間達の世界を救った英雄として崇められ彼はその後姿を消した。

 

 

そして人々は彼をこう呼んだ。

 

 

 

 

 

伝説の魔剣士スパーダ(The Legendary Dark Knight Sparda)と。

 

 

 

 

「これが悪魔という存在。事実彼らのことは伝説でしか語られていないからはっきりしたことは分かっていないんだ」

 

 

 

 

輝哉の話に全員あまりにもスケールの大きい話に固唾を飲んで話を聞いていた。

 

 

 

「しかし…その話はおとぎ話なのでは?」

 

 

行冥がそう聞くと。

 

 

「私もそう思っていたけどそうも思えなくなってね、今我々が探している人物が現れたおかげで」

 

 

「まさか…彼は…」

 

錆兎があることを頭に思い浮かべた。

 

 

「そう恐らく刺青の男ブイは“悪魔”だと思う」

 

 

「そんな…嘘…ブイさんが…」

 

 

「どうした!甘露寺!」

 

 

顔を青くして驚愕の顔を浮かべている蜜璃を煉獄が心配していた。

 

 

「私…ブイさんと…二日前食事処で会ったんです…あんな優しい人が悪魔だなんて思えない…」

 

 

「甘露寺!その男に何かされたのか!?許せん!悪魔だろうが関係ない!殺してやる!」

 

 

「待って!伊黒さん!あの人はそんな人じゃない!あの人は…私のことを誉めてくれた…」

 

 

「蜜璃ちゃん…私もそう思う…あの人は形はどうあれ私を助けてくれた…私をまだ妹達と一緒にいさせてくれた…」

 

 

蜜璃の言葉にカナエはそれに同意しカナエも自分の想いを呟いた

 

 

「お館様ブイが悪魔だと確信付ける動機はなんでしょうか?」

 

 

「いい質問だよ義勇、彼は錆兎の話によると最終選別の時に巨大な鬼を倒したんだ、その際喋る青い鳥と刃物の形状になる黒い豹を従えていたそうだ」

 

 

そう言うと輝哉は持っている本の表紙を撫で言葉を続ける。

 

 

「青い鳥は今のところ分からないけど黒い豹に関しては魔帝が従えていた悪魔だとこの書物に書いてある」

 

 

「なんと!では奴はやはり悪魔!生かしてはおけん!」

 

 

「上等だぁその悪魔ごと刺青の男もぶっ殺してやる…」

 

 

「なら俺がド派手に爆破してやる!ド派手に塵にしてやる!」

 

 

煉獄と不死川と宇髄がブイを討伐しようと過激な事を言い出した。

 

 

「やめて!三人ともやめて!」

 

 

「やめてください!そんな事しないでください!」

 

 

「やめてくれ!俺の命の恩人なんだ!」

 

 

それに対してカナエと蜜璃と錆兎はやめるよう言いはなった。

 

 

その時輝哉は人差し指を唇に当て「しー」と息を吐いた。

 

 

そして六人はハッとして落ち着きを取り戻し輝夜に申し訳なさそうに謝罪をした。

 

 

「先程も言った通り彼は悪魔である可能性が非常に高い、しかし必ずしも悪とは限らない」

 

 

本の表紙に目を下ろして。

 

 

「彼もまたスパーダのような誇り高い魂を持っていると私は自信を持って言えるよ、現に錆兎やカナエを助けてくれて、蜜璃も優しい人と言っていたしね」

 

 

そして輝哉はあることを柱と継子達に言う。

 

 

「皆、可能な限り彼をブイを私のもとに連れてきて貰いたいんだ彼とは一度話してみたい」

 

 

「お館様!?危険です!その男がどうであれ悪魔であることには!「実弥、それはダメだよ」っ…!」

 

 

「彼のことを我々は知らなすぎる、彼は本当に悪なのか皆の目でも確かめて貰いたい」

 

 

一部の者は渋々だが「御意…」と承諾した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やめてくれ……」

 

 

月が満ちている夜、山の中の家にて二人の少年が鬼に拘束されていた。

 

 

「クックックッ…あぁ…久しぶりの子供の肉だぁお前を食ったらお前の弟も食ってやる…」

 

「ダメだ…!せめて俺だけにしてくれ…!」

 

 

「兄さん!お前ぇ!兄さんを離せ!」

 

 

その少年達は双子であり姿が中性的で腰まで髪を伸ばし、毛先が少し水色がかっている色をしており二人とも瓜二つなほど似ている顔立ちをしていた。

 

 

双子は眠ろうとしていた時に玄関の戸を叩かれたため戸を開けたら異形の存在が襲いかかり、そのまま二人は鬼に生えている触手に拘束された。

 

 

「せめて…“無一郎”だけは…お願いします…」

 

 

「兄さん! やめろ!やめてくれ!」

 

 

双子の弟“時透無一郎”は鬼に向かってやめろと声を荒げた。

 

 

「ッチ…うるさい!少し黙ってろ!」

 

 

「…っぐ!……ゥゥ…」

 

 

無一郎は頭を強く叩かれそのまま意識を失った。

 

 

「あぁ…そんな…無一郎…」

 

 

「安心しろ殺してはおらん!鮮度が少しでもいい状態で食いたいのでね!お前を踊り食いしたらすぐにそいつを食うがな!」

 

 

そして鬼は口を大きく開け双子の兄“時透有一郎”の頭部に食らいつくそうとしていた。

 

 

(あぁ…父さん…母さん…俺無一郎を守れなかったよ…本当に俺ってどうしようもないな…)

 

 

有一郎が絶望していた時。

 

 

シャキン

 

 

 

そんな音が聞こえたと同時に鬼の上顎から上が消えていた。

 

 

「……え?」

 

 

そして有一郎の拘束が解け床に体がついた。

 

 

「何が…起きたんだ」

 

 

『グルルルル…』

 

 

「…ッ!?」

 

 

有一郎の耳が獣のような唸り声をとらえそちらを見ると。

 

 

「……お前は…?」

 

 

シャドウが鬼を睨みつけていた。

 

 

「なんだぁ!糞が!食事の邪魔をしやがって!ぶっ殺すぞ!」

 

 

鬼が頭部の再生を終えこちらも豹を睨みつけていた。

 

 

そして鬼は奇声をあげながらシャドウに飛びついたがシャドウはなんなく交わしそのまま外に出ていった。

 

 

「逃がすか!」

 

 

鬼はそのままシャドウを追いかけるように外に出ていった。

 

 

「…っは!無一郎!おい!」

 

 

有一郎は弟に近づき様子を確かめた。

 

 

(よかった…息はしてる…あぁ無一郎…生きてて良かった…!)

 

 

有一郎は大切な家族がまだ生きていることに安堵し涙を流した。

 

 

「そういえば!あいつは!?」

 

 

先程鬼を睨み付けていた豹のことを思い出した。

 

 

有一郎は助けてくれたのがあの豹だと確信付けて外を覗き見た。

 

 

 

『グルァァァァ!!ガルルルル!!』

 

 

「この猫が!」

 

 

鬼は背中に生えている触手をシャドウに伸ばしていたがシャドウも同じように背中に生えた触手をトゲのような形状にして応戦していた。

 

 

そして鬼の触手が使い物にならなくなったときシャドウが影のように地面に溶け込み触手を出しながら鬼に疾走していった。

 

 

 

「ぐ…!うぉぉぉ…!」

 

 

鬼はそのまま腕や脚に深い切り傷をつけられたが。

 

 

「効くと思ってんのか!こんなものがよぉ!」

 

 

鬼は腕と脚を再生しさらには先程の触手も再生していた。

 

 

「この糞猫が!お前より俺の方が強いんだよ!」

 

 

そして鬼はシャドウに向けて触手を伸ばしていった。

 

 

「ヤバい!やられる!」

 

 

有一郎がシャドウが殺されると思い、焦った表情をして身を乗り出した。

 

 

すると。

 

 

『バーベキューだー!!』

 

 

そんな声が聞こえたと同時に鬼の体に赤い閃光が走った。

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

鬼は断末魔を挙げており、閃光が止むと鬼の体は黒く焼け焦げていた。

 

 

「ぐ…うぅ!…なにが!」

 

 

『よーし!一丁上がりー!鬼の丸焼きってなぁ!』

 

 

上から声が聞こえ有一郎は上を見上げると口をあんぐり開けていた。

 

 

「と…鳥が…喋ってる…」

 

 

『ん?なんか前もあったなこんなの、まあいいや』

 

 

グリフォンはいつかの宍色の髪をした子供を思い出していたがそれを一蹴した。

 

 

『んな事より坊主さっさと離れてな、あいつまだやるぞ』

 

 

「っな!まだ死んでないのか!あいつは!」

 

 

有一郎が鬼の方を向くと体を再生しながら此方を睨み付けていた。

 

 

「糞が!鳥といい猫といい邪魔をしおって!」

 

 

『ほれもう一丁!』

 

 

グリフォンがそう言うと先程の赤い閃光を放っていた。

 

閃光の正体は赤い稲妻であり鬼の体をまたもや直撃した。

 

 

 

「あががががががが!!」

 

 

断末魔の声を挙げて倒れ込むと鬼の体が青白く輝いた。

 

 

「なんだ…?」

 

 

有一郎がなぜ鬼の体が青白くなっているのか疑問を浮かべていると。

 

 

「ヤバい!…このままでは!何か知らんがヤバい!」

 

鬼は本能的にヤバいと悟りグリフォンとシャドウに背を向け逃げようとしたが。

 

 

グサ!

「…っぐお!」

 

 

突然先の尖った杖が鬼の体を貫いたと同時に。

 

 

「これで幕引きだ」

 

 

刺青がびっしり入っている細身の男が突如出現し鬼に突き刺さっている杖を引き抜いた。

 

 

「ぐおぉ…」

 

 

そして鬼はそのまま灰となっていった。

 

 

「……何が…」

 

 

有一郎はあんな再生する化け物を倒したことに驚いていた。

 

 

『んーしかしこんだけやっても尻尾がつかめねぇとはな』

 

 

「よほど慎重かよほど臆病なのだろう鬼の初祖は」

 

 

『それにしたって十二鬼月だっけか?それすら出てこねぇじゃねぇか』

 

 

「あ…あの〜」

 

 

有一郎は自分を余所に話していた一人と一羽に声をかけた。

 

 

「なんだ?」

 

 

「いや…なんだって…俺が聞きたいんだけど…あんたらは一体…」

 

 

「俺らは…」

 

 

そんな時。

 

 

「へぇー君が最近鬼を殺し回ってる男かーすごい刺青だね!」

 

 

突如男の声が聞こえそちらを向くと。

 

 

「お前は…?」

 

感情のない笑みを浮かべた男が立っていた。

 

 

「自己紹介しようか 俺の名は“童磨”十二鬼月の上弦の弐だ」

 

 

「あ…あぁ…」

 

 

有一郎は先程の化け物以上の恐怖を肌で感じ取り失神してしまった。

 

 

「お前が…」

 

 

 

Vは相手が鬼舞辻の直属の鬼だというのを感じた。

 

 

「ん?」

 

 

それと同時に童磨の方からありえない気配を感じ取った。

 

 

「ねえねえ君の名は何て言うんだい?名無しくんじゃあまりにも可哀想だから教え「それよりもだ」…ん?」

 

 

童磨は話を遮られ首を傾げていたがVは杖を童磨に向け。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前からなぜ悪魔の気配がする?」

 

 

 

Vはそう言うと童磨は涙を流していた。

 

 

「あぁ…可哀想に…そんなものを信じているんだね…そんなものは存在しないのに…」

 

 

童磨は目を閉じ頭を右手で覆い可哀想と何度も呟いていた。

 

 

(悪魔を知らないのか?ではこの気配は…一体)

 

 

Vは童磨の発言を聞き訳がわからず思案していた。

 

 

「これは…救わなくちゃね…大丈夫!俺は新興宗教の教祖だから!悪魔なんて考えなくていいよ!俺が救ってあげるから!」

 

 

童磨はそう言って黄金色の扇を取り出して戦闘態勢に入った。

 

 

 

すると。

 

 

 

 

ベベン

 

 

 

琵琶の音が聞こえた瞬間、童磨の足元に障子が現れた。

 

 

 

「…え?」

 

 

童磨は呆けた表情を晒しもう一度琵琶の音が響くと障子が開きそこに童磨は落ちていった。

 

 

そしてもう一度琵琶の音が響くと障子が閉じ消えていった。

 

 

『な、なんだぁ?逃げたのか?』

 

 

グリフォンは童磨が消えた場所を見て呟いた。

 

 

「ふむ…なぜかは知らんが奴自信が逃げたのではなく他の奴に強制的に連れていかれたのか」

 

 

Vは先程の童磨のやり取りで奴は逃げると考えていなかったため強制的に転移させられたと結論付けた。

 

 

 

「…さて」

 

 

Vは有一郎の方に向かった。

 

 

『あーあー失神してやがる、とりあえず家に置いておくか』

 

 

「そうだな」

 

 

Vは有一郎を抱え家に入り無一郎の横に寝かせた。

 

 

「双子か…」

 

 

『お?Vちゃんノスタルジック感じちゃった?』

 

 

「かもな……行くぞ」

 

 

『え!?おいおい予想外だぜ!…って待てよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???

 

 

 

そこは異常な場所だった。

 

 

襖や障子が四方八方にあり様々な部屋が設置されているがそれが縦に続いており下を見ると底無しで今にも吸い込まれそうなほどだった。

 

 

そして先程Vと対峙していた童磨がいた

 

 

「なんでここに呼ばれたんだろうねぇ琵琶の君なにか知ってる?」

 

童磨がある鬼に尋ねた、そこには黒い髪を伸ばし顔は口元しか見えない女の鬼がいた、琵琶を抱えていていつでもならせる状態でいる鬼”鳴女“がいた

 

 

「私はあの方の命令であなたをここに呼んだだけです」

 

 

鳴女がそう言うと。

 

 

「随分勝手な事をしてくれたな童磨よ」

 

 

低い声で童磨を威圧的な声で攻めている鬼がいる。

 

 

顔立ちは整っておりスーツを着てネクタイをきっちりしめ、白いハットを被っていた。

 

 

この男こそが鬼の初祖“鬼舞辻無惨”である

 

 

「私がいつお前にあの男と接触しろといった」

 

「申し訳ございませぬ!少しばかり興味があったので!このお詫びはどういたしましょう!」

 

 

童磨はそう言うが決して笑みを崩していなかった。

 

 

「ッチ…まあよい…貴様の詫びなどたかが知れている…失せろ今はその顔を見せるな」

 

 

無惨がそう言うとまた琵琶の音が響いた瞬間足元に障子が現れそこに落ちていった。

 

 

 

(ふーん…無惨様が一人の人間に対してそこまでするとはね…ますます気になってきたな…)

 

 

童磨は落ちている間Vの顔を思い浮かべ不適な笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「奴は…いや…ありえない」

 

 

鬼舞辻は部屋の一室で椅子に座って足を組みブツブツと独り言を発していた。

 

 

「悪魔なぞ…いないはずだ…」

 

 

童磨と対峙していた男Vのただよらぬ気配を童磨を通じて感じていた。

 

 

かつて自身を鬼にした医者と一緒にいた男と同じ気配を感じていたからだ。

 

 

「私が…震えているだと…!」

 

 

自分の手が震えていたことに気付くと額に青筋を浮かべて拳を握りしめた。

 

 

「許せん!!許せん」

 

 

鬼舞辻はそのまましばらく怒りに震えていた。

 

 

 

 

 




おおう…鬼サイドが雑になった…鬼殺隊サイドもだけど



次回も不定期です


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捜索

サブタイトルが思い付かない…


ちょっと無理矢理過ぎたかな。


そしてDMCと鬼滅の小説がちょっと多くなった?まぁ…鬼ぃちゃんとおっさまが鬼滅世界に来た小説にはびっくりしたけど。


――昼間山道にて

 

 

V達はその後童磨から何故悪魔の気配がしたのか話していた。

 

Vは人が座れるくらいの大きさの岩に座り、グリフォンは近くの木に足を下ろし羽繕いをしながら話をしだした。

 

 

『しかしなんだってあんなはっきりした悪魔の気配がしたんだ?』

 

 

「どうあれ悪魔達が絡んでるのは間違いないだろう、俺たちのやるべき事が増えたな」

 

 

『あー…やだやだ…こんなところでもあいつらと殺りあうとはな…』

 

 

「とりあえず目的は変わらないな、鬼の始祖を探すということには、奴が悪魔とどういう関係があるのかをな」

 

 

『まあ十二鬼月が現れたってんなら一歩前進だな』

 

 

 

V達は少し休んだ後出発しだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同じ時。輝哉の屋敷にて輝哉としのぶが居間で話し合っていた

 

 

「そうか…あの子達は無事だったんだね…」

 

 

輝哉はある山に住んでいた双子の少年の身が保護されたという情報が入り安堵していた。

 

 

「はい…兄の有一郎君は体に締め付けられた痕のようなものがあるだけで、弟の無一郎君の方は頭を強く打っていますが命に別状はないかと」

 

 

「さすがだねしのぶ、藤の毒だけではなく医療面でも君は鬼殺隊の要だよ」

 

 

「感謝の極みですお館様」

 

 

しのぶは輝哉に頭を下げた。

 

 

「さて…しのぶ、カナエの推薦により君を新たな柱に任命したい。」

 

 

「私なんかが…よろしいのでしょうか」

 

「君の努力は鬼殺隊に新たなる光を見出だしてくれた、それに柱になるための条件を軽々と達成してしまったしね」

 

 

「それでも…姉さんのように私は鬼の頸が切れません…私は…柱の皆さんの足を引っ張ってしまいます…」

 

 

 

「しのぶ、君は君らしく己の責務を全うするんだ。カナエと同じように振る舞おうとしなくても君は立派な柱になれる」

 

 

「お館様…」

 

 

しのぶは顔を上げ輝哉の顔を見上げた。

 

 

年々ひどくなっていく鬼舞辻の呪い、額部分はもうほとんど爛れてしまっていて今はかろうじて右目が見えているが恐らく少なく見積もって半年後には両目が見えなくなってしまうだろう。

 

 

普通ならこうなってしまえば絶望してしまうがこの人は違う。

 

 

この人は自分の代で鬼を根絶することを固く誓っているため諦めずに私達の事を信用してくれている。

 

 

 

「…分かりました 柱の称号喜んでお受けいたします」

 

 

しのぶは姿勢を正し輝哉の方を見据えた。

 

 

 

「では…胡蝶しのぶ、君を新たな柱“蟲柱”に任命する」

 

 

「御意…柱の名に恥じぬよう全力を尽くします」

 

 

しのぶは頭を下げて誓いを口にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく後

 

 

「ふう…これでよし…」

 

 

蝶屋敷では着物に着替えていたカナエが洗濯物を干していた。

 

 

「「「カナエ様ーー!!」」」

 

 

「あら?皆どうしたの?」

 

 

きよ、すみ、なほ達が縁側からカナエのもとに近寄ってきた。

 

 

「「「しのぶ様からお手紙です!」」」

 

 

 

「しのぶから?何かしら?」

 

 

彼女達から手紙を受け取り手紙を広げて内容を確認する。

 

 

「まあ!やったわねしのぶ!今日はお祝いだわ!」

 

 

「カナエ様?どうかしたのですか?」

 

 

「カナエ姉さん?」

 

 

アオイとカナヲが追加の洗濯物を持ってきてカナエのもとに来ていた。

 

 

「しのぶが新しい柱になったわ!アオイ!洗濯物を干し終わったら買い物に行きましょう!」

 

 

「本当ですか!?分かりました!」

 

 

「わ、私も行きたいです!しのぶ姉さんをお祝いしたいです!」

 

 

アオイとカナヲは迅速かつ丁寧に洗濯物を干して準備を進めていた。

 

 

「ふふ…二人とも張り切ってるわね」

 

 

 

「あの…」

 

 

 

「ん?」

 

 

ふいにカナエに声をかけてきたのでカナエは声の方に振り向くと。

 

 

「あら有一郎君?平気なの?」

 

 

「はい…無一郎ほどたいした怪我はしていないので」

 

 

この屋敷で療養している時透兄弟の双子の兄、時透有一郎が声をかけてきた。

 

 

「それと…ありがとうございます…俺たちを治療していただいて…」

 

 

「いいのよ〜それより…有一郎君もあの人に助けられたの?」

 

 

「刺青の男ですか?はい…喰われそうになったところを黒い豹が助けてくれて、その後に青い鳥が雷を鬼に浴びせてあいつがトドメを刺しました…」

 

 

「やっぱり…彼は何処にいるのかしら…会ってお礼が言いたいのに…」

 

 

「俺も!…礼が言いたいです…言いそびれてしまったので…失神してしまうなんて…」

 

 

「ふふ…あなたも私や錆兎君と同じように彼に助けられたからね」

 

 

そうこう話していると。

 

 

「カナエ様!洗濯物干し終わりましたー!」

 

 

アオイの声が響いてきたのでカナエは話を切り上げた。

 

 

「有一郎君ごめんね話の途中で、今から買い物に行ってきちゃうから」

 

 

「あの!荷物持ちくらいなら…俺でも…」

 

 

 

「あなたは患者よ、無理をしちゃだーめ」

 

 

カナエは有一郎の額を人差し指で突いた

 

 

「それでも…屋敷にいるだけでは体がなまってしまいますし…」

 

 

 

「ん〜困ったわね……分かったわ…でも無理はしないで!約束よ?」

 

 

「…はい!」

 

 

カナエは有一郎の小指に自身の小指を絡めて数回上下に動かした。

 

 

「……よし!では行きましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここには悪魔の文献はないな…」

 

 

Vは現在海外の書籍を取り扱っている本屋で悪魔に関する書物を探していた。

 

 

少し探し回っていると、グリフォンがVの右肩に雀ほどの小ささになって出現した。

 

 

『スパーダの伝説もこの地には根強く浸透してねーしな、っていうか調べたところで尻尾も掴めると思えねーぞ』

 

 

 

「無いよりはましだろう、それに奴が鬼になったのは悪魔のせいだと俺は考えてる」

 

 

『は?どういうことだ?」

 

 

 

「珠世から聞いた話によると鬼舞辻は鬼になる前は人間だったそうじゃないか、人間に超越的な力を与えられるのは奴等だけだ」

 

 

Vはかつて人間から悪魔になった男を思い出していた。

 

 

『でもよぉ…悪魔どもはなーんでそんな事するか分からねーな何のメリットがあるんだ?』

 

 

「奴等は気まぐれで行動することもある、まぁ考えたくもないがな」

 

 

『同感だね』

 

 

「ここに用はないなもう行くぞ」

 

 

Vは本屋から出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有一郎君大丈夫?結局荷物持ちになっちゃったけど…」

 

 

「大丈夫です!杣夫で鍛えられてるんでこれくらい楽勝です!」

 

 

 

「頼りになるわ〜さすが男の子ね」

 

 

しのぶのお祝いとして街に買い物に出掛けていた彼女達は二手に別れて買い物をしていた。

 

 

カナヲとアオイは野菜などをカナエと有一郎は魚やそろそろ無くなりそうだったお米を買いに来ていた。

 

 

そしてそろそろ合流の時間になっているため指定の場所に来ていたのだが…

 

 

 

「おかしいわ…あの子達が時間を間違えるなんてことはありえない筈…」

 

 

「何かあったんでしょうか…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し前

 

 

「こんなものね…カナヲ、そろそろ行くわよカナエ様達との合流時間までもうすぐよ」

 

 

「あ、待ってアオイ」

 

 

カナヲはアオイのもとに向かってトテトテと走っていたが。

 

 

「…あ!」

 

 

石に躓き持っていた果物を落としてしまった。

 

 

「もう!なにやってるのカナヲ!ほら拾うわよ!」

 

 

「ご、ごめんねアオイ…うぅ…」

 

 

「う…ごめんなさい言い過ぎた…あぁ!ほら!手分けして拾いましょう!」

 

 

アオイとカナヲが落ちた果物を拾っていた時。

 

 

「ほら、遠くに転がって行ったものは拾ってきたぞ」

 

 

カナヲとアオイの前に刺青だらけの手が差し出されており手の上には転がって行った林檎が乗っていた。

 

 

「あ、ありがとうございます…ほらカナヲも」

 

 

「拾ってくれて…ありがとうございます…」

 

 

「気にするな、それよりも急いでるんじゃないのか?」

 

 

カナヲとアオイはハッ!として懐中時計を見た。

 

 

「あぁ!合流時間が過ぎてる!あの!申し訳ありませんがこれで失礼します!カナヲ!急ぐわよ!」

 

 

「うん!あの!改めてありがとうございます!」

 

 

アオイとカナヲがお礼を言うとVはそのまま彼女達を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありません!遅れました!」

 

 

予定の時刻より少し遅れてアオイとカナヲはカナエ達と合流した。

 

 

「珍しいわね二人とも、時間を過ぎてしまうなんて」

 

 

「ごめんなさい…私がドジしちゃって…」

 

 

「あぁぁ!カナヲ!その事はもう大丈夫だから!」

 

 

「何があったの?」

 

 

「私が転んで果物を落としてしまって…」

 

 

「あらあら…カナヲったら珍しいわね、でもアオイも私達も怒ってないから気を落とさないでね」

 

 

カナエはカナヲの頭を優しく撫でてにっこりと微笑んだ。

 

 

「はは…でも良かったよ、何か良くないことが起きてなくてな」

 

 

有一郎が二人を案じて探しに行こうと思った時に二人が戻ったため、カナエと有一郎は安心した。

 

 

「はい、むしろ親切な人が手伝ってくれました、刺青だらけで怖かったですけど…」

 

 

その瞬間カナエと有一郎が目を見開いてアオイに詰め寄った。

 

 

「アオイ!その人刺青の他にどんな特徴だった!?」

 

 

「えぇ!? えっと…袖無しの外套を着てて白い杖を持ってました…」

 

 

 

「そいつはいまどこに!?」

 

 

「え…えっとあっちのほうに…」

 

 

アオイは自分の歩いてきた方を指差していた。

 

 

「カナエ姉さん?有一郎さん?一体何が…」

 

 

「ごめん!アオイとカナヲは先に帰ってて!私達その人に用が――」

 

 

 

バササッ

 

 

カナエの前にいきなり鎹鴉が現れ、その足に手紙が巻き付かれていた。

 

 

「胡蝶シノブカラ手紙ダ!」

 

 

「しゃ…喋った?…おかしいな…鳥って喋るのか…?」

 

 

有一郎は頭が混乱していた、自分を助けてくれた男と一緒にいた青い猛禽類の鳥を思い出して。

 

 

「有一郎君しっかりして!それよりしのぶから?」

 

 

カナエは鴉の足に巻き付けられている手紙を取って広げた。

 

 

「そんな!有一郎君!やっぱり今すぐ屋敷に戻りましょう!」

 

 

「えぇ!カナエさん!?あの人はどうするんですか!?」

 

 

「それよりも大事なの!無一郎君の意識が戻ったけど記憶に問題があったみたい!」

 

 

「!無一郎!」

 

 

有一郎は米俵を担ぎながら蝶屋敷に戻っていった。

 

「えぇ!?有一郎君そんな重い物持ってそんな走ると…って行っちゃった…」

 

 

「カナエ様!私達も行きましょう!」

 

そして彼女達は遅れて蝶屋敷へと急いでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蝶屋敷に着いた有一郎は米俵を玄関に置いて一目散に弟の元に向かっていった。

 

 

「無一郎!」

病室のドアを開けて最初に目にしたのは新しい柱になった胡蝶しのぶと上半身だけを起こしてベットに座っている無一郎だった。

 

 

「有一郎君!さっき無一郎君の意識が戻ったの!でも…彼からは記憶の一部が無くなっていて…」

 

 

「そんな…無一郎…」

 

 

有一郎は重い足取りで無一郎に近づいていきベットのそばに近付いた。

 

 

「……あなたは…」

 

「あぁ…俺だ無一郎…お前の兄だよ…」

 

 

 

「兄さん…?」

 

 

「……くっ!何でなんだ!何で…!」

 

 

「有一郎君…」

 

 

有一郎は無一郎の記憶が消えてしまったことによる悲しみにより膝から崩れ落ちてベッドのシーツに顔を押し付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫だよ兄さんちゃんと覚えてるよ」

 

 

「「…え?」」

 

 

しのぶと有一郎は今の言葉に疑問を持ち顔を上げた。

 

 

「確かに少し記憶は混濁してるけど兄さんの顔を見たら思い出したよ…」

 

 

「無一郎…!」

 

 

有一郎は無一郎を抱きしめた。

 

 

「心配かけさせやがって…!本当に…!馬鹿だよ!お前は!」

 

 

「うん…!ごめんなさい!兄さん…!」

 

 

無一郎はそのまま有一郎と同じように抱きしめて涙を流した。

 

「ところであの刺青が凄かった人は今何処に…僕達を助けてくれたお礼を言わなくちゃ…」

 

 

「ちょっと待て無一郎!お前あの時起きてたのか!?」

 

 

その言葉を聞いた有一郎は抱きしめるのを辞め、無一郎の肩を掴んで問いただした。

 

 

「…うん…少しだけだったけど…あの人の事は…覚えてる」

 

 

「……ますますあいつを連れてこなくちゃな」

 

 

「有一郎君、例の刺青の人よねそれって…」

 

「はい、無一郎と俺を襲った奴を殺した男です」

 

 

「やっぱり総力を上げて探すしかないわね…鬼殺隊から逃げれると思ったら大間違いよ」

 

 

「しのぶさん…あいつはたぶん悪い人ではないんで…手荒な真似は…」

 

 

「ふふ…冗談ですよ、でも本当に足取りが掴めないのはおかしいわ」

 

 

しのぶは可愛らしく微笑んだ後真剣な表情になって考え出した。

 

 

「あの…実はさっきカナエさん達と買い物に出掛けていった時に街にいたらしいんです…」

 

 

「えぇ!?そうなの!?というより何であなた達は追わなかったの!?」

 

 

「いや…無一郎の方が重要ですし…」

 

 

「…あ、ご、ごめんなさい…無神経だったわ…」

 

 

しのぶは申し訳なさそうな表情をして有一郎に頭を下げた。

 

 

「いえ!無一郎が無事ならそれで…そういえばカナエさん達を置いてきてしまった…」

 

 

そんな事を言っていると病室の扉が開かれた。

 

 

「はぁ…はぁ…有一郎君…米俵持って走っちゃ駄目でしょ…」

 

 

「……姉さん…どういう事?」

 

 

「…え?…し…しのぶ…?…あ」

 

 

カナエは今自分が言ったことに気がつき顔を青くした。

 

 

目の前の妹はにっこりと笑っているが青筋が何本も額に走っていた。

 

 

「何で有一郎君に米俵なんか持たせてるの?彼はまだ安静の筈だったのだけれど?」

 

 

「ご、ごめんなさいしのぶ!私も無理はしちゃ駄目って言ったのだけれど…」

 

 

「お、俺が行きたいって言ったんです!カナエさんは悪くありません!」

 

 

「……はぁ…分かりましたよ…腑に落ちないですがお咎めはなしにします」

 

 

しのぶは呆れた表情をしてため息を吐いた。

 

 

「…それより姉さん、その男は今も町にいる?」

 

 

「ううん…多分もういないと思う…」

 

 

「…そう…また…」

 

 

「鬼殺隊もそいつを探してるんですか?」

 

 

有一郎がしのぶやカナエに訪ねると。

 

 

「えぇ、数年前鬼殺隊の入隊試験を行う藤襲山で現在の鬼殺隊士の錆兎さんが助けられたのが最初です」

 

しのぶが有一郎や無一郎にVがどう鬼殺隊に関わってきたのかを喋った。

 

「錆兎さんの話によると日輪刀や太陽の光、私の作った藤の花で作った毒でしか殺せない鬼をただの杖を突き刺しただけで倒したことで鬼殺隊に目をつけられたのです。」

 

 

次にカナエが口を開く。

 

 

「その後は数年間私達の前に姿を現さなかったけど、私が上弦の弐という鬼に殺されかけた時に不思議な力で彼は私を助けてくれた、だから彼に会いたいの…助けてくれたお礼を言えてないから…」

 

 

「上弦の弐…?」

 

 

有一郎はいまカナエの言った言葉の中に聞き覚えのある言葉が聞こえた。

 

 

「上弦の弐って“童磨”とか言う奴ですか?」

 

 

「え…!な、なんで知ってるの!?それは鬼殺隊にしか知っていない筈なのに!」

 

 

「まさか…有一郎君…あの鬼と会ったの?」

 

 

しのぶは驚愕し、カナエは冷静に有一郎に訪ねた。

 

 

「は、はい…俺があいつに何者か訪ねた時にいきなり現れたんです…すごく不気味でした…あの異様な雰囲気に当てられて失神してしまったんです…」

 

 

「…そんな事が…あの鬼は何か言ってた?」

 

 

「ブイの事を最近鬼を殺し回ってる男って言ってました…」

 

 

「まずいわ…十二鬼月が動いてるとなると彼の身が危険だわ…!早く見つけないと!」

 

 

カナエはVの身に危険が及んでいることを知り、早く彼を見つけなければと焦っていた。

 

 

そんな時に無一郎が。

 

 

「鬼殺隊って僕でもなれますか?」

 

 

「無一郎!?お前!」

 

 

「このまま守られっぱなしは嫌だ!兄さんも僕も殺されかけたんだ!それにあの人も…鬼殺隊に入れば会える確率が上がるかも知れない…」

 

 

「…………」

 

 

有一郎は顔をしかめて俯いていた。

 

 

弟が死地に赴く事をこのままにしていいのかという葛藤に悩まされていた。

 

 

そしてしばらくして。

 

 

「なら…俺も入る!お前だけを危険な目に合わせない!だから…」

 

無一郎の手を握って。

 

 

「俺はお前と人々の平穏を思って戦う…だからお前も俺と人々の平穏を思って戦ってくれ…」

 

 

無一郎は一言「わかった」と言って頷いた。

 

 

かくしてここに新しい剣士が二人誕生した。

 

 

双子は同じ呼吸法を身につけ、実力は二人ともわずか二月という短い期間で柱に近い実力を身につけていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時透兄弟が剣士になる誓いを立てた時に胡蝶姉妹は。

 

「そうだしのぶ、ちょっと待ってて」

 

 

カナエが病室を出て自室にある物を取りにいった。

 

 

「姉さん…それって…」

 

 

戻ってきたカナエが持っていたのは自身が身につけていた羽織だった。

 

 

「今日からあなたがこの羽織を纏ってね、私は柱の称号を返上するから」

 

 

「姉さん!?それどういうこと!?説明して!」

 

 

「私はあなたが柱になったら一般隊員になろうと考えてたの、それに私には皆と同じ立場に立てないわ」

 

 

「そんなのおかしい!姉さんはすごいのに!何でそんな事を言うの!?」

 

「私の夢は長らく理解されない、痛感できたの…上弦の弐に殺されかけて…だから私は柱を降りてあなたの研究を手伝いたいの」

 

 

「柱を降りる理由になってない!何でなの姉さん!それだったら柱の称号を返上しなくてもいいじゃない!」

 

 

「しのぶ…やっぱりあなたの言うとおり、鬼とは仲良くなれないのかも…だから私の考えを持つ者は柱にいる資格はないの」

 

 

「……ッ!姉さん…!」

 

 

カナエは俯いてしまい、自分の夢が叶えられなくなった事を悔やんでいた。

 

 

しのぶはカナエの意志が固いことを感じ取りこれ以上言ったら姉を更に悲しませてしまうと思った。

 

 

そしてしのぶはあることを決意してカナエを見据えて、羽織を持ってる両手に手を添えた。

 

 

「なら!私が姉さんの夢を!意思を継ぐ!これからは鬼にも違う目を見る!だから姉さん…」

 

 

そして鬼殺隊としては異例の誓いを口にする。

 

 

「これからは鬼を人に戻す薬を作ることも開始する!この意思は変わらないわ!梃でも動かせないんだから!」

 

 

「しのぶ…その道は茨よ?それでもいいの?」

 

 

「いいの!だって私は姉さんの妹だから!姉さんと似た考えを持つのだって当たり前よ!」

 

 

そう言ってしのぶは子供のような笑顔を浮かべた。

 

そしてカナエも同じように笑顔を浮かべた。

 

 

「…わかったわしのぶ!これからもよろしくね!」

 

 

「うん!こちらこそよろしく!姉さん!」

 

 

そしてカナエはしのぶに羽織を着せてこれからの新しい挑戦を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――そして数年

 

 

ある山に隊員達が次々と消息を絶っている情報が輝哉の耳に入ってきた。

 

 

その山の名は“那田蜘蛛山”

 

 

 

そして同じ時その山の近くでその男は那田蜘蛛山を見つめていた。

 

 

「ここから少しだが悪魔の気配がするな」

 

 

『一旦様子見に行ってくるぜ』

 

 

「頼んだ」

 

 

そう言うとグリフォンは飛びだっていった。

 

 

 

「さてこの山に手掛かりがあるといいが」

 

 

そう呟くと

 

 

 

「ひぃぃぃぃ!!!なんかヤバイ奴いるよぉぉぉぉ!!刺青だらけだから絶対ヤクザだよーぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

「うるせぇぞ!!あんなひょろながに怯えてんじゃねぇぇぇ!!!」

 

「こら!失礼だぞ二人とも!あぁすいません!二人が失礼なことを言ってしまって!」

 

 

三人の少年の声が後ろから響いてきたので振り返ると。

 

 

一人は珍しい金髪で恐らく先ほど悲鳴を上げていた少年、一人は猪の被り物を被っており鍛えられた上半身を晒している、そしてもう一人は赤寄りの黒髪をしていて額の左側に痣があり、花札のような耳飾りを着けている。

 

 

「お前らは…?」

 

 

「俺たちはこの山に用があってきました!」

 

 

そしてこの少年達に会ったことでVは鬼殺隊と本格的に関わっていくことになる。

 

 

 

 





ここから原作に繋げていきます。


そして戦闘描写とかも多くしていかないと…苦手なんだよなぁ…




次回も不定期です。


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蜘蛛

Qなんで半年以上もサボってた?

Aモチベーションが下がっていたのとゲームやっていました

「DIE!」


本当に申し訳ないです無限列車見てからまたもや意欲が湧いてきました(一時的でしょうけど)


とりあえず下手なりに頑張って書きます。

本当にすいませんでした。


 

「こんな山に何の用だ?」

 

Vが少年達に訪ねると。

 

 

「それはこっちの言葉です!この山は危険なのであなたのような一般人は近付かないでください!」

 

 

「お前らは…あぁなるほど、“鬼殺隊”かお前ら」

 

 

「何で知ってるのぉぉぉ!!?は!さては鬼だな!!鬼なんだな!!??イヤァァァ!!!助けてぇぇぇ!!殺されるぅぅぅぅ!!」

 

 

「うるせぇぞ紋逸!!鬼だったらぶった切るまでだ!!」

 

 

そう言って猪頭の少年“嘴平伊之助”は刃こぼれまみれの刀を二本抜きVに襲いかかった。

 

 

「待て伊之助!その人は鬼じゃない!攻撃するな!」

 

 

耳飾りをしている少年“竈門炭治朗”は伊之助に攻撃をやめるように声を荒げた。

 

 

しかし炭次郎の制止を聞かず伊之助は攻撃を繰り出した。

 

 

―獣の呼吸 参の牙・喰い裂き

 

 

腕をクロスさせそのままVの首を断ち切るように二刀をそのまま振り抜く。

 

 

「来い」

 

 

するとVは杖の持ち手を地面に向けた。

 

 

その瞬間シャドウが地面の中から現れ。

 

 

『グオーー!』

 

 

キィィィン!

 

 

そして尻尾の先が斧のような形に変形し、そのままバク転して尻尾を刀に当てて攻撃を弾いた。

 

 

「うおぉぉ!?なんだぁぁ!?」

 

攻撃が弾き返された伊之助は何が起きたか分からず炭次郎達の方へ飛ばされた。

 

「イヤァァァ!!!やっぱり鬼だよ!!なんなのあの豹!!いま尻尾が斧みたいになってたよ!?」

 

 

「い、いまのは…!伊之助!大丈夫か!?」

 

 

金髪の少年“我妻善逸”はシャドウの攻撃を目の当たりにしてまたもや絶叫し、炭治朗は困惑しながらも伊之助の無事を確認していた。

 

 

「くっそがぁぁぁ!!猫の癖に俺様の攻撃を弾くとはなめやがって!」

 

 

伊之助は体勢を整えもう一度Vに攻撃を仕掛けようとする。

 

 

すると。

 

 

「た、助けてくれ…」

 

 

山の方から人の声が聞こえてきた。

 

 

そこには鬼殺隊の詰襟を着ている男が刀を手に這いつくばっていた。

 

 

「き、鬼殺隊員だ!大丈夫ですか!?」

 

 

炭治郎が横になっている鬼殺隊員に近付こうとした。

 

 

(ん?あれは…)

 

 

その時Vはその男の背中に何かを見つけた。

 

 

目を凝らすと糸のような物が隊員の背中に伸びておりそれが山の方に続いている。

 

 

「……行け」

 

 

『グォ』

 

Vは男の危険を察しシャドウに指示を出した。

 

 

シャドウは炭治郎よりも速く駆け出し男に飛びついた。

 

 

「……え?」

 

 

炭治郎は飛びついたシャドウに呆気にとられてしまい動きを止めてしまった。

 

 

飛びついたシャドウはそのまま男の後ろに行き、背後に伸びている糸を爪で断ち切った。

 

 

「うぅ…まさか俺にもつながって…あぁよかった…」

 

 

男はそのまま気絶してしまった。

 

 

「あなたは…一体…」

 

 

炭治郎はVとVの側に戻ってきたシャドウを一緒に見て疑問を投げ掛けた。

 

 

ウワァァァァァァ!!!!

 

 

すると山の方から悲鳴が響き、三人とVは山の方に視線を移した。

 

 

「ひぃぃぃぃ!!やっぱり俺達の他にいるんだぁぁ!!ねぇぇ炭次郎ぉぉ!やっぱり帰ろうよぉぉ!!!!」

 

 

善逸は悲鳴を聞いたせいでまたもや怯えている。

 

 

「先に行ってるぞ」

 

 

Vはシャドウに乗って山の方に移動していった。

 

 

「あ!てめぇ!待ちやがれ!俺様と戦え!」

 

 

「伊之助!待て!止まれ!」

 

 

伊之助はVを、炭治郎は伊之助を追うような形で山に入っていった。

 

 

「え!?ちょっとおい!!この人どうするんだよ!?ここに置いて行くわけには行かないだろ!?ねぇぇぇぇ!?話聞いてよぉぉぉぉ!!」

 

 

善逸は眠っている鬼殺隊員をどうするんだと二人に聞いたが二人とも山の中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇ!待ちやがれこの野郎!俺様と勝負しろ!特にそこの猫!あの時は油断したが次こそはてめぇを殺す!」

 

 

伊之助は鼻息を荒くしながらV達に指を指し怒鳴っていた。

 

 

 

「お前はなぜそこまで俺達に執着する?」

 

 

 

「俺様をこけにしたことが我慢ならねぇ!さぁ俺と殺り合え!」

 

 

『グゥ…』

 

 

シャドウはやれやれといった感じで伊之助を無視した。

 

 

 

「そんな事より!何者なんですか!?貴方からは鬼の匂いがしないのに鬼のような力を使って「待て」…え?」

 

 

Vが炭治朗の言葉を遮り足を止めた。

 

 

「生存者だ」

 

 

Vが一本の木の下の方に杖を向けるとそこには怯えている鬼殺隊員がいた。

 

 

そして炭治朗はその隊員の傍まで近づいていった。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

 

炭治朗が声をかけるとその鬼殺隊員は怯えた表情を晒して振り向く。

 

 

「だ…誰だ…?」

 

 

「階級“癸”竈門炭治朗です。増援に駆けつけました」

 

 

「“癸”だと…?なんで“柱”じゃないんだ!癸なんて何人来ても同じだ 意味がない!」

 

 

鬼殺隊員が怒鳴ると。

 

 

「ふん!」

 

 

ゴッ!

 

 

伊之助がその隊員の顔面に正拳付きをかました。

 

 

「伊之助!」

 

 

「うるせぇ!」

 

 

そしてその隊員の髪の毛を掴み。

 

 

「意味のあるなしで言ったらお前の存在自体意味がねぇんだよ さっさと状況を説明しやがれ弱味噌が!!」

 

 

酷い罵詈雑言を述べた。

 

 

ちなみに今伊之助に捕まれてる隊員のほうが先輩である。

 

 

「か…鴉から指令が入って十人の隊員がここにきたんだ」

 

 

そしてこの山に入ってからのことを二人に話した。

 

 

隊員同士の切り合いが始まりほとんど全滅状態であることを。

 

 

そして炭治朗はここであることを思い出した。

 

 

「は!そうだ!あの やはりこの山は危険です一刻も早く下山」

 

 

炭治朗が振り向くとVはいなくなっていた。

 

 

「ま…まずい…あの人がいない…」

 

 

「おい お前らのほかに誰か来たのか?」

 

 

「実は…」

 

 

炭治朗は先ほどまでいたVのことを話した。

 

 

「まずいじゃないか!一般人がこの山に入るなんて自殺行為だ!すぐ探すぞ!」

 

 

三人が行動をおこそうとしたとき。

 

 

ザッ

 

 

茂みのほうから鬼殺隊員が現れた。

 

 

しかし

 

 

キリキリキリキリ

 

 

様子がおかしくまるで糸で動かす人形のようになっていた。

 

 

 

 

 

 

「ウフフ ウフフフフ」

 

 

遠く離れた場所で白い着物を着た大人びた女の鬼が不敵に笑っていた。

 

 

「さぁ 私のかわいいお人形たち 手足がもげるまで踊り狂ってね」

 

 

指先から糸をだし操るかのように動いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―同時刻 鬼殺隊本部―

 

 

産屋敷輝屋の膝の上に一羽の鴉がいた。

 

 

荒い息を吐いてなんとか伝言を届けたのが伺える。

 

 

「よく頑張って戻ったね 私の剣士(こども)たちは殆どやられてしまったのか そこには十二鬼月がいるかもしれないね」

 

 

輝屋は鴉を優しく撫で労いの言葉を述べて報告を聞いていた。

 

 

 

「柱を行かせなくてはならないようだ 義勇 しのぶ」

 

 

輝屋の後ろには二人の柱がいた。

 

 

「「御意」」

 

 

一人は冨岡 義勇 柱になってそれほどたつが変わっているところはなかった。

 

 

対してもう一人胡蝶 しのぶは姉カナエが羽織っていた羽織を羽織っておりますます女性らしくなっており夜会巻きは変わらないがもみ上げ部分の髪を伸ばして垂らしている。

 

 

「人も鬼も仲良くすればいいのに 冨岡さんもそう思いません?」

 

しのぶは義勇に自身の思いを告げるが。

 

 

「お前は(強いな俺はお前やお前の)姉(のような考え)になれない」

 

 

義勇の言葉を聞いたしのぶは青筋をたてて 義勇に何度も指を突いていた。

 

 

「どういうことですか〜?冨岡さん?確かに私は姉さんにはなれませんよ?なに言ってるんですか〜?」

 

 

ツンツンツンツン

 

 

義勇に何度も突いていると。

 

 

「お前の姉は強い(そしてお前も強い)」

 

 

義勇が不意に姉カナエのことを誉めだした。

 

 

「……そうですよ 私の姉さんは最強なんですからもっと誉めてください」フンス

 

 

しのぶが得意気に鼻をならしながら微笑むと。

 

 

「義勇 しのぶ 頼んだよ」

 

 

輝屋が二人の会話を切り上げさせるように二人に指令を課した。

 

 

「す…すみません親方様…」カァァ///

 

 

しのぶは先ほどの醜態を見せてしまったことにより恥ずかしがって顔を赤くした。

 

 

「それともうひとつ これは私の勘なのだけれど“彼”もいると思うんだ」

 

 

輝屋の勘はよく当たり先見の力も少しあるためこれのおかげで勘もよく働くようになっている。

 

 

「ブイでしたね 姉さんが会いたがっていますし私自身も彼がどのように姉さんを助けたのか気になります」

 

 

「俺も会いたい 錆兎を救ってくれた恩人をそしてどのように鬼を倒しているのかも」

 

 

 

二人は那田蜘蛛山に出発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蜘蛛か…テメンニグルにもいたな」

 

 

Vは現在那田蜘蛛山の中にいる十二鬼月を探していた。

 

 

道中蜘蛛が糸を吐きVを拘束しようとしたがシャドウがすべて断ち切っていた。

 

 

 

「おおかた糸で拘束して操ろうなんていうことだろう 芸がないな」

 

 

(だがこの山に入ってから気配が消えた というよりは隠しているのか?理由はわからんがしらみつぶしに探すしかないか)

 

 

そして鬼を見つけた 拓けたところの中央にある岩に腰かけていた。

 

 

だが青ざめた顔でなにかに怯えていた。

 

 

(やられた!!やられた!!あの人形が一番速くて強いのに!)

 

 

(そもそも“塁”が脅しに来たのが悪いのよ!それで焦って…!)

 

 

「死ぬ準備は出来たか?」

 

 

後ろから底冷えするような声を聞きさらに顔を青ざめた。

 

 

那田蜘蛛山の主である鬼と同じような声もあってか後ろを振り向けなかった。

 

 

(うそ…!気づかなかった…!もう人形が近くにいない…!殺される…!)

 

 

絶望にうちひしがれるが

 

 

(あぁ…でも 死ねば解放される…楽になれる…)

 

 

戦闘態勢をといた鬼は死を受け入れようとした。

 

 

「……お前の処遇はあいつに任せよう」

 

 

(…何を……上?)

 

 

上空に気配を感じ、上を見ると

 

 

(水の呼吸 壱の型……)

 

 

炭治朗が自身の黒い刀を握り横一線の技“水面切り”を繰り出そうとしていた。

 

 

(あぁ…もうなんでもいい…この苦しみから逃れられれば…)

 

 

女の鬼はそのまま受け入れるかのように両手を差し出した。

 

 

(はっ!……伍の型)

 

 

水面切りの構えを解き違う技を繰り出した。

 

 

―干天の慈雨―

 

 

それは慈悲の技 頚を差し出した鬼を苦しまないようにする技だった。

 

 

(これは…なに? 全然痛くない…むしろ暖かい…こんな穏やかな死がくるなんて…)

 

 

女の鬼は穏やかな笑みを浮かべていた。

 

 

 

そして女の鬼は炭治朗に向けて

 

 

 

「十二鬼月がいるわ…気をつけて…」

 

 

そのまま女の鬼は消滅した。

 

 

(この山には十二鬼月がいるのか?血を奪えればいいが…」

 

 

炭治朗が思案していたが視界にVをとらえた。

 

 

「いい技だ だがまだ成長途中だな」

 

 

「やっと見つけた!怪我はないですか!?」

 

 

炭治朗はすぐさまVの傍に寄り安否を確かめた。

 

 

「俺の事よりお前の仲間を心配したらどうだ?」

 

 

「確かに伊之助も心配ですがあなたが「やっと見つけたぞヒョロヒョロ!!」

 

 

遅れて伊之助が到着してVに突っかかった。

 

 

「さあ俺と戦え!!お前も猫も俺様の子分にしてやる!」

 

 

 

「弱者の下僕なんて御免だな」

 

 

「んだとコラァァァ!!!」

 

 

猪の鼻から汽車の煙突のように鼻息を出した。

 

 

「ところでお前らのほかにいた金髪のガキはどうした」

 

 

「あぁ!?あんな弱味噌逃げたんだろうが!」

 

 

伊之助は善逸の事をそれほど心配していなかったが。

 

 

「善逸…大丈夫だろうか…」

 

 

炭治朗は善逸の身を案じていた。

 

 

(それにグリフォンの奴はどこに行った蜘蛛の糸に絡まれているなんて事はないだろうがな)

 

 

Vは自身の相棒が戻ってこないことに疑問を抱いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「痛っ」

 

 

善逸は山の中に入り炭治朗達を探していた。

 

 

しかし一向に見つからないので苛立っていた。

 

 

(なんじゃああもーー!腹立つぅーー!)

 

 

「炭治朗達全然見つかんないし最悪だよ!そして臭いよこの辺!炭治朗だったら失神してるよ!」

 

 

独り言を発しながらズンズンと歩いていった。

 

 

そして少しして

 

 

バサバサ

 

 

鳥が羽ばたく音が聞こえた。

 

 

 

「なんだ?上から聞こえるな ってデカ!」

 

 

グリフォンが羽ばたきながらなにかを探していた。

 

 

『Vの奴め俺を置いてどこに行ったんだ?まったく待ってること出来ねぇのかよ』

 

 

(え!?今の声あの鳥から聞こえたんだけど!?」

 

 

『ん?』

 

 

グリフォンが善逸を見つけると善逸のところまで降りてきた。

 

 

『よぉ小僧 この辺に刺青だらけのガリガリ野郎見なかったか?あいつ俺を置いてどっかに行っちまったんだよせっかちだよな』

 

 

善逸が目を点にしてグリフォンを見ておりしばらくすると。

 

 

「いやあぁぁぁ!!鳥がしゃべったーー!!??しかもすげー流暢に話すじゃん!!炭治朗の鴉でさえ片言だったのにー!!」

 

 

善逸が頭を抱えて体を逆に反って悲鳴を上げた。

 

 

『うるっせぇな!いきなり叫ぶな!近所迷惑だろうが!』

 

 

「山の中だから近所もクソもないよ!!もう鬼確定だよ!!今から俺はこの鳥にその嘴で突っつかれながら食われるんだーー!!いやあぁぁぁ!!助けて炭治朗ー!!伊之助ー!!」

 

 

『なんだこのガキ…関わったらやべーな…』

 

 

グリフォンが珍しく引いていると

 

 

ガサガサ

 

 

善逸の後ろの茂みが揺れ出した

 

 

「!?炭治朗か!?助けてくれよー!!この鳥絶対」

 

 

善逸が振り向くと

 

 

カサッ

 

 

人の顔をした蜘蛛が出てきた。

 

 

善逸とグリフォンが放心していると。

 

 

「こんなことある!?」

 

 

『キモッ!!』

 

 

一人と一羽はその場を全力で逃げた

 

 

『おいなんなんだよあれ!キモすぎだろ!この国はあんなのが普通にいんのか!?』

 

 

「んなわけないでしょーー!あんなのがゴロゴロいたら今頃日本は魔境と化してるよーー!」

 

 

全力で逃げていくと拓けた場所に出た

 

 

そこには蜘蛛の糸で吊るされている鬼殺隊員達と小さな平屋が糸で吊るされていた。

 

隊員の何名かは手が蜘蛛のようになってしまい目が虚ろになっている。

 

 

(なんだよここ!あれ人間が蜘蛛にされてんの!?しかもなんか家も浮いてる!それに…!なんて匂いだ!涙が出てきそうだ!鼻が利く炭治朗だったら死んでるよ!)

 

 

『なんだぁ!?ここは!気持ちわりぃ場所だな!』

 

 

ギッ

 

 

すると吊るされている家から音が聞こえてきた。

 

 

「ひっ!?」

 

 

家の中から出てきたのは

 

 

(でか!でっか!でかすぎるわ!)

 

 

頭が人間の形て体が蜘蛛となっている大きな鬼だった

 

 

『気持ちわりぃな…今まで見たなかでも五本指の中に入るぞ…俺片足4本しか爪ねぇけど』

 

 

 

善逸は来た道に回れ右して全力疾走した。

 

 

「くふっ逃げても無駄だぜ お前はもう負けてる」

 

 

「話しかけんなよ!お前みたいな奴嫌いなんだよ!」

 

 

「手を見てみな くふふっ」

 

 

「手!?手がなに」

 

 

善逸が手を開くと

 

 

『おいおいなんだよこれ!?』

 

 

紫色に手が変色していた。

 

「毒だよ お前も蜘蛛にかまれたんだじきにお前も蜘蛛になる四半刻後には俺の奴隷となって地を這いずる」

 

 

ゾォォォ

 

 

善逸は自身があの姿になってしまうのを想像してしまい恐怖した。

 

 

『んじゃ奴隷解放といくか』

 

 

パシュパシュ

 

 

グリフォンが蜘蛛鬼に向けて光弾を発射した。

 

 

「なんだお前は?鬼ではないな誰かの血鬼術か?どちらにせよお前も死ぬがいい」

 

 

グリフォンは善逸の傍に降り善逸に話しかけた。

 

 

『おい小僧俺が支援に回るからお前はその刀であいつを殺せ頼んだぞ』

 

 

グリフォンはもう一度羽ばたき戦闘態勢をとった。

 

 

 

(無理だよぉ…俺弱いもん…倒せるわけないよ…)

 

 

善逸は意気消沈しているが相手は待ってくれない。

 

 

そのまま戦いは始まった

 

 

 

 

 

 




義勇さんの言葉足らずが難しい…


デビルメイクライ3にもアルケニーという蜘蛛の悪魔がいましたね。
あれは倒すとちっちゃい蜘蛛達が出てきて気持ち悪い敵です。
今でも寒気が…


あと初代デビルメイクライにも糸で操られているマリオネットという悪魔がいました。
拘束攻撃でダンテが拘束されてしまいどうしようかと焦った記憶があります。


それと最後に一言。
鬼ぃちゃんお帰り!プレイできる日を楽しみにしてるよ(PS5ないからSEできない)


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雷鳴

くっそー!自分で納得いく作品にならないー!

今回から少しだけ鬼滅側ではなくDMC側で名前がちょこっと出てきた場合後書きに書こうかな本当にお試しですけど。


ではどうぞ









え?DMC5の鬼ぃちゃん強すぎない?しかもどのキャラよりも操作性いいし4SEの時とは比べ物にならん。




『おらアルケニーもどき この小僧はあとどれくらいになったらああなっちまうんだ?』

 

 

 

「くふふ いいだろう耳の穴をかっぽじってよく聞け」

 

 

チャラ

 

 

蜘蛛の鬼は懐中時計を善逸達に見せてきた。

 

 

そして自信の尖っている足を使って説明し出した。

 

 

「見てみろ時計だわかるか?この長い針がここに来たときお前も蜘蛛の仲間入りだ」

 

 

時計は現在拾時伍拾伍分(十時五十五分)を指している。

 

 

そして蜘蛛鬼は壱のところを指し。

 

 

「針がここに来ると手足に痺れと痛みが出てくる」

 

 

次に参を指し。

 

 

「ここに来たらめまいと吐き気が加わる」

 

 

次に肆を指し。

 

 

「ここで激痛がきて体が縮み出し失神する」

 

 

「目覚めた時には「ぎゃぁぁぁぁ!!!いゃあぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

耐え切れなくなった善逸は叫んで逃げ出した。

 

 

「逃げても…「無駄ねはいはいはい!!わギャッてんだよ!わかってんの!!」

 

 

『おいおい!どこ行くんだよ!?』

 

 

グリフォンは逃げた善逸を追いかけている。

 

 

善逸はそのまま木に一心不乱に登りガタガタと震えた。

 

 

『おいなにやってんだ小僧!お前戦えるんだろ!?だったらあいつを手分けして殺すぞ!』

 

 

「無理無理無理無理!!!俺超弱いもん!!それにお前のほうが戦えるだろ!?ほら刀貸してやるから代わりに戦ってくれ!!!!」

 

 

『どうやって戦えばいいんだよ!!俺じゃ刀持ったところで振り回せねーよ!!』

 

 

「いやもう無理ぃーー!!あんな姿になるのも嫌だし戦うのもいやぁぁーー!!」

 

 

善逸はそのまま頭を抱えてイヤイヤ期に突入した。

 

 

スルッ

 

 

「…え?」

 

 

善逸がなにか違和感を感じて手を見ると。

 

 

『…おいまじかよ…もうそこまでいくの?』

 

 

自信の金髪の髪の毛がゴッソリと抜けていた。

 

 

「……はぅっ」

 

 

善逸はそのまま白目を剥き失神してしまった。

 

 

『おぉい!?こんな所で気絶するなよ!まぁ…気持ちはわかるけどよ…』

 

 

(なんなんだこいつら…しゃべる鳥と気絶する鬼狩り…訳がわからん)

 

 

ズル

 

 

木の上で失神してしまった善逸はそのまま頭から落ちてしまう

 

 

『おおい!?バカー!毒で死ぬ前に頭打って死んじまうぞ!!』

 

 

グリフォンは落ちている善逸を助けるために近づいた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シイイイ

 

 

 

 

 

しかし独特な呼吸の音が善逸から聞こえてきた瞬間。

 

 

 

ー雷の呼吸 壱の型・霹靂一閃(へきれきいっせん)

 

 

 

ドン!!

 

 

居合いの構えのまま蜘蛛鬼に高速で向かっていった。

 

 

『……は?』

 

 

グリフォンは呆気に囚われているが。

 

 

 

ブッ!

 

 

 

斑毒痰

 

 

 

蜘蛛鬼は即座に善逸に向けて毒の粘液を吐き出した。

 

 

グッ

 

グルン

 

 

 

だが善逸は空中で身を捻って粘液をかわした。

 

ビシャ

 

粘液はそのまま後ろの木に当たり

 

 

ジュウウ

 

 

木を溶かしていた。

 

 

『まじかよ…こんなの食らったら洒落にならねーな…』

 

 

グリフォンが溶けた木を見つめてそんなことを呟いた。

 

 

『それよりおい!ガキンチョ!お前大丈夫か!?毒が回って…あれ?』

 

 

グリフォンは善逸を見て違和感を感じていた。

 

 

それもそのはず 善逸は眠ると普段とは比べ物にならないくらいの実力を発揮する。

 

 

臆病な善逸は眠ることで恐怖などの感情が消え去り 臆病者から立派な戦士となって戦うことができる。

 

 

『まじで寝てる?睡拳ならぬ睡剣ってやつか?まあ細かいことはいいや』

 

 

グリフォンはもう一度蜘蛛鬼の方を向き 臨戦態勢をとった。

 

 

「飛びかかれ!!」

 

 

瞬間 蜘蛛鬼は人面蜘蛛に指示を出しグリフォンと善逸に攻撃を命令した。

 

 

バッ

 

 

人面蜘蛛達は善逸とグリフォンに襲いかかるが。

 

 

『痺れてろ!』

 

 

バチッ!

 

 

グリフォンは自分の回りに弱い電流を放電して人面蜘蛛達を麻痺させた。

 

 

『よーしよし狙いどおりだ!感謝してくれよ?加減して痺れる程度にしたんだからよぉ』

 

 

「ちぃ!役立たず供め!」

 

 

人面蜘蛛が使い物にならなくなったのを悔しがっている蜘蛛鬼だが

 

 

ザッ

 

 

「!」

 

 

ー雷の呼吸 壱の型…

 

 

ブッ!

 

 

もう一度善逸に向けて粘液を吐き 攻撃を中断させる

 

 

 

そして善逸も先ほどと同じように避けてもう一度雷の呼吸を繰り出す

 

 

(さっきから同じ構えしかしていない!間違いないこいつ……ひとつの技しか使えないんだ)

 

 

《やベーぞあのガキ…あの居合いの技しか使えねーんだな…くそ!決定打にかけるな》

 

 

蜘蛛鬼は善逸の技が一つしか使えないことを確信に持ち勝利の笑みを浮かべていた

 

 

対するグリフォンは焦っていた。

 

 

自分は雷を放ったりする攻撃ができるがあくまでも攻撃のみ 自分やシャドウはある“魔人”の悪夢を具現化した存在のため止めをさすことができない。

 

 

ゆえに善逸の刀による物理攻撃が頼りにするしかないのだ。

 

 

《まあいい…あのガキが動きやすいようにするだけだ!》

 

 

グリフォン回りにいた人面蜘蛛を無視して蜘蛛鬼に攻撃を仕掛けた。

 

 

『おら!食らってろ!』

 

 

ドドーン!!

 

 

赤い稲妻が柱状に放たれそのまま蜘蛛鬼に向かっていった。

 

 

「!!くっ!」

 

 

蜘蛛鬼は辛うじて避けたが足を何本か持っていかれた。

 

 

「きっさまぁー!!よくも!」

 

 

『は!再生するくせに足が惜しいのか!?やっぱ痛いのはいやなんでちゅねー!ママに泣きついてきな!』

 

 

グリフォンが蜘蛛鬼を煽っていると。

 

 

ガフッ!

 

 

後ろで善逸が吐血して動きを止めてしまった。

 

 

『あ!やっべ!』

 

 

グリフォンは急いで善逸を助けるために近づいたが時既に遅し。

 

 

ワサワサワサワサワサ!

 

 

大量の人面蜘蛛達が善逸に群がっていきあっという間に姿が見えなくなるほど覆ってしまった。

 

 

『クソ!やっちまった!』

 

 

「キヒヒ まずは一人!次はお前だ害鳥が!」

 

 

蜘蛛鬼がグリフォンに向けて毒の粘液を吐き出そうとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[一つのことを極めろ]

 

 

善逸は今過去の記憶を掘り起こしていた。

 

 

鬼殺隊の最終選別の前 つまり修業時代に育ての親から言われたことがある。

 

 

「いいんだ善逸 お前はそれでいい一つできれば万々歳だ」

 

 

善逸の育ての親“桑島慈悟郎”

 

 

鬼殺隊の現役時代は雷の呼吸を扱う柱“鳴柱”として活躍していた。

 

 

しかし鬼との戦闘で片足を失い現役を引退 その後雷の呼吸の育手として戦闘のいろはを教えていた。

 

 

小柄だが左頬に大きな古傷があり強面ではあるが善逸が何度も逃走しても最後まで育てた優しき老人である。

 

 

まあ最終選別に行く前善逸がイヤイヤ期に突入したときは往復ビンタを食らわせていたがそれはよしとして。

 

 

桑島は優しい声で善逸の頭を叩きながら話し始めた。

 

 

「刀の打ち方を知ってるか?刀は叩いて叩いて叩き上げて不純物や余分なものを飛ばし 鋼の純度を高め強靭な刃を造るんだ」

 

ゴチンゴチン

 

(いや知らんよ 何で叩くの?俺泣いちゃうよ?しかも地味に痛いし…)

 

 

善逸が心のなかでぼやくが桑島は話を続けた。

 

 

「つまりだな善逸 お前の霹靂一閃は可能性を秘めた技だ 他の型の習得というのは別の刀を作ることじゃ しかし一気に複数の刀の面倒を見てしまうと一つ一つの刀の不純物を見落としてしまう。」

 

 

「逆に一つの刀の面倒を見るということはその一つの刀を徹底的に打ち唯一無二の究極にすることができるはずじゃ。」

 

 

「かの有名な刀鍛冶 千子村正も多くの刀を作ったが自分では納得行くような代物が作れなかったということを言っていたらしいぞ。」

 

 

(ダメだ途中から刀の話になってる気がする…じいちゃんこうなると話長くなりそうなんだよな…)

 

 

「だから善逸」

 

 

ポン

 

 

桑島は善逸の肩に手を置き優しい笑みを向けた。

 

 

「極めろ 泣いてもいい逃げてもいいただ諦めるな」

 

 

「信じるんだ地獄のような鍛練に耐えた日々を お前は必ず報われる極限まで叩き上げ 誰よりも強靭な刃になれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バチッ

 

 

「『!?』」

 

 

 

一瞬空気が震えた。

 

 

その一瞬は蜘蛛鬼の攻撃を中断させ 驚かせた

 

 

グリフォンも同じように驚いていた。

 

 

ドンッ!!

 

 

人面蜘蛛が群がっていた場所に雷鳴のような音が響きその中から姿を表したのは。

 

 

シィィィィィィ

 

 

雷の呼吸の音を発している善逸が霹靂一閃の構えをしていた。

 

 

《無事だったとはな…俺が言うことじゃねーが人間離れしてやがらぁ》

 

 

グリフォンは内心ほっとしていた。

 

 

(なんだ!?この空気の揺れは!?異常だ!さっきまでのガキとは違う!)

 

 

蜘蛛鬼は本能で感じたのか今の善逸は先ほどまでの雰囲気ではないことを。

 

 

そして

 

 

―雷の呼吸 壱の型・霹靂一閃

 

 

「っち!」

 

 

蜘蛛鬼は急いでぶら下がっている家のなかに退避したが。

 

 

『逃がすかよ!!』

 

 

ドドーン!!

 

 

先ほどの雷の柱を今度は三本に増やして家に放った。

 

 

「ぐぎゃぁぁぁぁ!!!」

 

 

勢いがとまることなく赤い稲妻は家を貫通して蜘蛛鬼の全ての足が焼き切れてしまった。

 

 

六蓮

 

 

ドンドンドンドンドンドン!!

 

 

善逸が周りの木を蹴って移動して一気に蜘蛛鬼の間合いを詰めてきた。

 

 

「くそ! ザシュ!

 

 

家のなかに退避していた蜘蛛鬼はグリフォンの攻撃のダメージが蓄積されていたため体が青白くなって動けなくなり なす術なく頸を切られた。

 

 

バカンッ!!

 

 

宙吊りの家の壁をぶち抜き善逸は宙に浮いたまま力が抜け受け身の体勢を取ることができなかった。

 

 

ガシッ!

 

 

『あっぶね!あっぶね!無茶しすぎだっつーの!』

 

 

だがグリフォンが善逸の背中を掴みなんとか自然落下を避けることができた。

 

 

家としての原型は残っていないが未だ蜘蛛の糸で繋がっている家の破片があり そこに善逸をそっと寝かせた。

 

 

『しっかしすごかったぜお前!まるでブリッツだな!目を閉じてるから見えてないところもそっくりだ!』

 

 

ガフッ

 

 

『やっべ!そんな事言ってる場合じゃなかった!』

 

 

善逸が血を吐いたので我に帰り先ほど頸を切られた蜘蛛鬼の所まで向かった。

 

 

『おい!てめぇ!解毒剤出しやがれ!毒を扱ってるということは解毒剤あんだろ!?さっさと出しやがれ!』

 

 

グリフォンは毒に犯されている善逸を治療するために毒を扱ってる蜘蛛鬼に解毒剤をせがんでいた。

 

 

しかし

 

 

「キヒ…ひ…解毒剤なんてものは…ない…俺ら鬼は…毒では死なないからなぁ…だから…あのガキはそのまま…なにもできずに死を待つだけだ…キヒヒ」

 

 

塵になっていく蜘蛛鬼は死んでしまうが善逸を道連れにできたことを嬉しく思っていた。

 

 

『マジかよ…』

 

 

「キヒヒ…せいぜい足掻くんだな…お前らは結局よわ ドゴ!

 

 

『もういいからしゃべんな』

 

 

近くにあった拳大の石をぶつけて黙らせたらそのまま塵になっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『っくそ…どうする…俺に治療はできねぇ…あぁくそ!何で俺が人間の身を案じてんだ!?こんなの俺のキャラじゃねぇー!』

 

 

チュンチュン!

 

 

『んあ?』

 

 

何かの鳴き声が聞こえ振り向くと。

 

 

『お前は…』

 

 

雀が涙目になりながら鳴き声をあげていた。

 

 

「チュン…太郎…」

 

 

善逸がチュン太郎と呼んだ雀は善逸の鎹鴉である“うこぎ”である

 

 

「チュンチュン!チューンチュンチュン!(助けを呼ぶのでここでこの子を頼みます!)」

 

 

『助けを呼ぶぅ?それにこんな得体のしれないやつに頼んでいいのかよ』

 

 

「チューン!チュンチュンチュンチュン!(あなたはこの子と一緒に戦ってくれました!それだけでも信用するに値します!お願いです!この子を死なせたくないのです!お願いします!)」

 

 

『そこまでいうんだったらわかったよ…ただし早く戻ってこいよ!』

 

 

「チュン!チュンチューン!(はい!すぐに戻ります!待っていてください)」

 

 

バサバサ

 

 

うこぎは羽ばたいて大急ぎである人物のもとに向かった。

 

 

「お前…チュン太郎と…話せるんだ…」

 

 

『ああ?普通にしゃべってたじゃねぇか?お前まさか聞こえなかったのか?』

 

 

「はは…いいな…」

 

 

善逸はうこぎの声を聞くことができないので少し羨ましがっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―少し前 炭次郎達は

 

 

「今の音…雷が落ちたのか?でも雷雲の音はしなかったし…刺激臭が強くて分からないなぁ」

 

 

「知るか!それよりもこのひょろひょろを泣かせる!ついでに猫も泣かせる!」

 

 

「って!止めるんだ伊之助!この人から鬼の匂いはしないし俺たちが狩る対象じゃないぞ!」

 

 

「騒がしいな…」

 

 

Vは後ろを歩いてる二人にうんざりしながら歩いている 特に伊之助は先ほどの弱者発言のせいで完全にご立腹のようす。

 

 

「そういえば」

 

 

Vは立ち止まって炭次郎達の方に向き直した。

 

 

「おぉ!?なんだ!?やる気になったかひょろひょろ!ならば容赦は「お前は黙ってろ」最後までいわせろコラー!!」

 

 

怒った伊之助を放置して炭次郎の方を杖で指し。

 

 

「お前の背中に背負っている箱の中身…それはなんだ?」

 

 

「!?」

 

 

炭次郎は青ざめた。

 

 

この箱の中には炭次郎が自分の命よりも大事にしているものがはいっている。

 

 

(気づかれた!?いやでもまだ中身が何なのかは分かっていないはず…ならば!)

 

 

炭次郎は

 

 

「この箱の中身は…」

 

 

嘘を付いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「旅の道具一式です」

 

 

変顔をして。

 

 

 

「「……」」

 

 

 

黒目を上に向けて下唇を噛んで変顔をした。

 

 

竈門炭次郎はびっくりするくらいの正直者で嘘を付くのを申し訳ないと感じてしまうため無意識のうちにこういった変顔になる。

 

 

これには伊之助もあんぐり。

 

 

「おい!?お前どうした!?その顔鬼の攻撃か!?どうしたんだよ権八朗!!」

 

 

伊之助はこれを鬼から受けた攻撃だと勘違いして炭次郎の肩を掴んで揺すった。

 

 

「ハァ…」

 

 

Vは馬鹿馬鹿しくなってしまい。

 

 

「聞いただけだ 旅の道具一式だということが分かったならそれでいい。」

 

 

Vはまた歩きだした

 

 

(呆れてる匂いと嘘を付いてる匂い…もしかして中身を知っててわざと見逃してくれた?)

 

 

炭次郎はVの背中を眺めてそんな事を思っていた。

 

 

(でもなんだろう…この人からは鬼の匂いはしないけど何か違う匂いがするような…)

 

 

炭次郎は疑問を抱いたままVのあとをついていった。

 

 

「ん? お出ましか」

 

 

「え?」

 

 

Vが横に流れている川の向こう岸を見ていたので視線をそっちに向けると。

 

 

「!?」

 

 

先ほどの糸で操る女の鬼とは別の鬼が現れた。

 

 

だがその鬼はV達を見つけたとたん背を向けて逃げ出した。

 

 

「おおお!?ぶった切ってやるぜ!!鬼コラ!」

 

 

「伊之助!」

 

 

伊之助が逃がしはしないと川の中に入り追いかけようとするが。

 

 

「お父さん!」

 

 

ドン!

 

 

女の鬼が声をあげた瞬間伊之助と炭次郎の目の前に巨体を持った鬼が現れた。

 

 

蜘蛛の顔をしており威圧感を露にしていた。

 

 

レの家族に 近づく!!」

 

 

その鬼は地面に拳を叩きつけて炭次郎達を吹き飛ばした。

 

 

「ふ…少しは骨のあるやつが出てきたな…」

 

 

トントン

 

Vは杖を持ち上げ左手の手のひら数回杖の側面で叩いた後。

 

 

「だが弱いな」

 

スチャ

 

杖の先を巨大鬼に向けた。





・アルケニー 登場作品DMC3
DMC3本編中盤になると出現する蜘蛛型の悪魔 カテゴリー的には雑魚敵だがガードをして攻撃を弾いて怯ませた後鎌のような前足で攻撃を仕掛けてくるという他の雑魚にはない特徴がある。
その他にも粘着質な糸をお尻から出すという蜘蛛の要素を取り込んだ敵であるDMDではかなりの難敵。
設定としては人間の女性の魂が魔界の瘴気により悪魔化した姿である よくよく見ると女性のような上半身と顔も女性の面影がある。
そして女姓といったら子供が関連付けられる このアルケニーを倒すと縦に真っ二つになるか溶解液を出しながら溶けて消えるかのどちらかのモーションがあるが溶解液を出しながら大量の子蜘蛛が現れて体にくっついてくるということがある キモスギィ!
銃を連射すれば子蜘蛛は倒せるが筆者はトラウマになりました。

・ブリッツ 登場作品DMC4
ストーリー終盤で出てくる雑魚敵 筆者の一番大嫌いな敵。
雷を纏った巨大なトカゲのような悪魔 原因は分からないが視覚を失っているため敵を視認して攻撃することができなくなっている しかし聴覚が異常に発達したおかげで少しの物音でも反応してしまう故に同族の悪魔を敵と認識して攻撃をしてしまっている。
ソニック・ザ・ヘッジホッグ並の超スピードで移動しているため出るゲームを間違えてる気がする。
雷を纏っている間はいかなる近接攻撃も効かないどころかそれを反射してダメージを与えるどこぞの一方通行みたいな反則技を持っている。
雷は遠距離攻撃つまり銃を使って地道に削っていくしかない そしてなぜかリベリオンのドライブも近接攻撃扱いされてるどう見ても遠距離攻撃なのに。
雷が消えると近接攻撃も通るのでこの間にできる限りのダメージを与えるというのがこいつの主な戦法 そして体力が少なくなってくると赤い雷を纏っていき自爆特攻をしてくるため触らない方が身のためです。
ちなみにこいつのせいでめちゃくちゃな数のバイタルスター消費した



読みづらっ!それでも投稿しちゃう


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