自由に遊んだらプレイヤー最強になっていました (ころころ)
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色んな出来事があった初日

こちらの事情で第一話を再投稿しました
内容も多少変えているので一度読んだ人ももう一回読んでみてもいいかもしれないですね!


ある日の夜

 

ベッドの上で先程A〜Zまで取り扱う宅配サービスから届いたダンボールを漁る少年がいた。この少年の名前は桐生 零。ポケモンマスターは目指さない普通の少年である。

 

「さっさと終わらせるか」

 

クラスメイトの白峯 理沙に「一緒にやろう!楓もやるからさ!」と誘われたゲームのパッケージを一瞥する。そこには、『NewWorld Online』と書かれていた。

 

「『NewWorld Online』ねえ」

 

そして、理沙にあらかじめ渡されていた始めるためにやることが書かれたメモを見ながら作業を進めていく。

 

「これでよしと、それじゃあ始めますか」

 

そして、桐生零は電脳世界へとダイブした。と言っても急に町から始まるわけもなく、零は初期設定を選んでいた。

 

「んー名前かー。名前を英語にして.....『ゼロ』と」

 

現れたキーボードにゼロと入力する。すると、周りに片手剣や大剣、刀に杖や弓など多岐にわたる。その中で零が選んだのは片手剣だった。

 

「初期装備は…片手剣でいいか。無難だし」

 

桐生家は先祖代々剣術を修める一家だ。その中でも、零の才能は抜きん出ていて師範代である父にはまだ及ばないが、同年代やそれこそ鍛えている大人でさえ零には敵わない。それに、全国大会などの大会には出ていないが出たら優勝は確実と言われているほどである。

 

初期装備を選んだ零の前に新たなウィンドウが出現した。そこには初期ステータスを選ぶよう書いてあり、100ポイント用意されていた。

 

「次はステータスポイントか…これはSTRとAGIとDEXにと。体の方はいじらないでいいか」

 

STRとAGIとDEXに4:4:2でステータスを割り振る。すると、段々視界が白くなっていき、とうとう全て白に染まった。

 

 

 

そして、目を開けたらそこは、活気溢れる町の広場だった。通行人に溢れていて、その誰もが自信の武器を体のどこかに携えていた。

ある者は知り合いと談笑し、ある者はショップで買い物を行い、ある者は仲間たちと今日の方針を相談する。そんな光景に興奮を覚えながらも、自身のステータスを確認する。

 

「おー!いかにもファンタジーって感じだな。えっと……まず、ステータスの確認をするかな。ステータス!」

 

すると、半透明の青いパネルが浮かび上がってきた。

そこには

 

 

ゼロ

Lv1

HP 30/30

MP 20/20

 

【STR 45<+15>】

【VIT 0】

【AGI 45】

【DEX 10】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【空欄】

右手 【初心者の片手剣】

左手 【空欄】

足 【空欄】

靴 【空欄】

装飾品 【空欄】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

なし

 

 

と書かれており、自分の選んだステータスが反映されていることを確認する。

そして、最初にやることを考えるとレベリングが思いつき、早速出発しようとするが、困ったことに道が全く分からない。

 

「さて....困ったな。レベリングってどこでしたらいいんだ?....とりあえず誰かに聞いてみるか」

 

道行く人に声をかけようとする零──ゼロだが、忘れていることがある。

元々、三人で一緒に遊ぶ予定だったのだが、理沙がテストであまり良くない点数をとってしまった為、ゲーム禁止を母親から言い渡されているのだ。なので「楓と一緒に先に遊んでて」と言われており、楓と連絡を取り合い、集合場所などをあらかじめ決めていたのだ。

しかし、ゲームの熱に浮かれてそのことを忘れているゼロは早速声をかけようと歩き出そうとするが、それより先にゼロに声をかれる者がいた。

 

「あの!桐生くんだよね?」

 

ゼロが後ろに振り向くと、そこには黒髪で小柄な少女がいた。本条 楓だ。楓の顔を見たことで約束を思い出したゼロは、それに気づかれぬよう自己紹介をする。

 

「ああ。あと、こっちではゼロだ。ゲームの中で本名で呼び合うのはリアルばれするからよくないんだ」

「わかった。私はこっちではメイプルだよ!よろしくね!」

「こっちこそよろしくな。あ、そうだ。これからレベリングしに行くんだけど一緒ににいくか?」

「もちろん!で、どこに行くの?」

「……お恥ずかしいことに行き方が分からないので、オススメの場所とか聞いてくる」

「わかった!ここで待ってるね」

 

そう言って、今度こそゼロは狩場を聞きに歩き出すのだった。

 

 

〜〜〜五分後〜〜〜

 

赤い大盾を持つプレイヤーに狩場を聞いたゼロはメイプルの居る場所まで帰ってきた。

 

「聞いてきた。ここを真っ直ぐだってよ」

「じゃあ行こっか!」

「おう!」

 

そのまま行こうとするゼロとメイプルだが、周りの人間が殺意を持った目と尊ぶような尊敬するような目で二人を見ていた。

この二人、傍から見ればすごく仲が良さそうにしているのでバカップルがイチャコラしているのように見えるのだ。それで、二人は男性たちからは睨まれ、女性たちからは美男美女の初々しいカップルとして見られている。

 

「.....」

「〜〜〜♪」

 

ゼロはこの視線が気付いたが、メイプルは全く気付いていない。ゼロは段々気まずくなってきて、さっさとこの場から離れたかった。しかし、傍には防御力極振りのメイプルがいる。メイプルの歩く速さに合わせていればかなり時間がかかり、気まずさも激しく上昇する。

ゼロは考える。この状況を打破するための策を、気まずさに身を震わせないようにするための方法を。すると、ゼロは閃いた。閃いてしまった。

 

「なあメイプル。」

「なに?」

「失礼」

「きゃ!」

 

ゼロはメイプルの名前を呼ぶと、メイプルのことをお姫様抱っこして全力で狩場に向かい走っていった。その光景を見た男性プレイヤーたちが血涙を流しながら机やら壁やら道を叩き、女性プレイヤーたちは知り合いとキャッキャウフフしていた。

 

こんな地獄絵図になっていることをゼロは知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアハア。つ、疲れた....」

「.........」

「.........」

「.........」

 

二人は気まずくて黙っている。

しばらくの静寂の後、とうとうゼロが口を開いた。

 

「....これからは別行動にしよう。2時間後に集合ってことで!」

「わ、分かった」

「じゃあ!」

「......ぁ」

 

ゼロはすぐさままた全速力で走り出した。そんな後ろ姿を見送りつつメイプルは自分の顔に手を当ててみると、火のように熱く、自分が赤面していると気付く。

しかし、そんなことはメイプルの頭の中には入っていない。

 

メイプルの頭には、自分を抱き抱えながら走る少年のことしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

ゼロが走るのをやめた時にはメイプルとかなり離れた場所にいた。あのことを掘り返すのは余計に恥ずかしくなってくるので、ゼロは別のことを始めた。

 

「はぁはぁ....と、とりあえずレベリングするか」

 

モンスターを探しにしばらく周りを探索したが、モンスターのもの字もない。

もうしばらく探索していると小屋を見つけた。森の中の開けた場所に佇む家は何かしらがあることを物語っていた。

 

「入ってみるか.....」

 

家の扉を開けるとゼロの視界は暗転した。

 

 

 

 

 

〜〜〜三十分後〜〜〜

 

 

家を出たゼロは再び森を探索し始めた。

すると、遠くからメイプルの叫び声が聞こえてきた。

 

「メイプルの声?まさか……!?」

 

ゼロはメイプルに身に何かあったと思い全速力で声のした方に走った。

 

「メイプルっ!.....っ!」

 

メイプルらしき影が見えてくると、ゼロは走るスピードを上げる。メイプルの姿がはっきりと見えてくる。

 

「大丈夫か!」

「ゼロ.....」

「何があったんだ?」

「あのね…………」

 

こうなった経緯を話すメイプルだったが、話を聞いたゼロは大きく噴き出して、そのまま、爆笑し始めた。

 

「ブッ!はははは!」

「もう!なんで笑うの!」

「いや、笑わせに来てるよねそれ」

 

先程の出来事は二人とも一旦忘れたようで、止まることなく話続ける。

 

「あ、そうだ!ねえねえ、今レベルいくつ?私はレベル2だよ」

「俺か?俺はだな.....」

「もったいぶらずに言ってよー」

「聞いて驚け!俺は15だ!」

「え」

「え?」

「えええええええええええええええ!!!」

「驚きすぎだろ!」

 

再びメイプルの悲鳴が森に響き渡った。



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疲れてるって言っただろー!

再☆投☆稿



メイプルは身を乗り出してゼロに詰め寄る。顔の距離はキスでもするのかというぐらい近く、ゼロは顔を赤らめ視線を逸らす。

 

「15!?ほんとに!?」

「嘘ついてどうすんだよ」

「じゃあステータス見せて!」

「ほれ」

証拠を求めるメイプルに、ゼロはそう言って自信のステータスウィンドウをメイプルに見せる。

 

 

ゼロ

Lv15

HP 36/60

MP 18/40

 

 

【STR 60<+120>】

【VIT 0】

【AGI 60〈+60〉】

【DEX 15〈+15〉】

【INT 5〈+5〉】

 

 

装備

頭 【空欄】

体【空欄】

右手 【闇を払うもの】

左手 【青薔薇の剣】

足【空欄】

靴【空欄】

装飾品 【結晶龍の指輪】

【空欄】

【空欄】

 

 

スキル

【成長増加】【毒耐性大】 【片手剣の心得Ⅱ】 【体術Ⅰ】 【剣防御】 【心意】 【武装完全支配術】 【記憶解放術】 【アインクラッド流剣術Ⅹ】【氷結無効】【闇耐性大】【索敵IV】【バトルヒーリングIV】

 

 

【成長増加】

経験値を2倍にする

 

取得条件

5分間でレベルを10にする

 

 

【心意】

強く思うことで思いを力にする。

自動発動。

 

取得条件

エクストラクエスト「青薔薇の竜騎士」をクリア

 

 

【武装完全支配術】

武器の記憶を全解放して、本来ありえない超攻撃力を発揮する。この場合強化にあたる。

1日に10回しか使えない。

 

取得条件

エクストラクエスト「青薔薇の竜騎士」をクリア

 

 

【記憶解放術】

武器の記憶を全解放して、本来ありえない超攻撃力を発揮する。この場合解放にあたる

1日に10回しか使えない。

 

取得条件

エクストラクエスト「青薔薇の竜騎士」をクリア

 

 

【アインクラッド流剣術】

どこか遠くの地にある浮遊城に伝わる剣術。持っている武器により使える技が変わる。

 

取得条件

エクストラクエスト「青薔薇の竜騎士」をクリア

 

 

『闇を払うもの』

【ステータス+100%】

【破壊成長】

 

 

『青薔薇の剣』

【STR+45】【AGI+45】

【破壊成長】

 

 

 

「どこで手に入れたの?」

「クエストでな.....。とにかくキツかった」

「あっ....そうなんだ」

 

メイプルはそのクエストは自分には出来ないと確信した。なぜならゼロの日頃の修練の厳しさを聞いたことのあるからだ。常人がやれば死ぬ半歩手前まで行くメニューを毎日当たり前のようにこなしているゼロがキツいと言ったのだ。それだけでそのクエストの難易度が測れる。

 

「......」

「どうした?」

「おいてけぼり感がすごい」

「じゃあレベリング手伝おうか?」

「それは大丈夫!」

 

そう言って首を横に振るメイプル。恐らく、自身の力でレベルアップしたいのだろう。

すると、メイプルが閃いたような声を出し、ゼロにある案を持ちかける。

 

「あ、そうだ!いいこと考えた」

「どうした?」

「ねえゼロ、勝負しよう!3日間でどっちの方がいっぱいスキルを手に入れれるか!どう?」

「いいよ。じゃあ3日後ね。俺は疲れたからもうログアウトするよ」

 

そう言って立ち上がるゼロにメイプルは笑顔で手を振って送り出す。それにゼロも軽く手を振り返す。

 

「わかった!またね!」

「おう」

 

ゼロはログアウトのため街に帰ろうと歩き出す。すると、視界の端に銀色の金属のような物が居ることに気が付いた。

 

「ん?あれは......」

 

近寄って見ると、そこには十体のメタルスライムが群れをなしていた。

 

「え、メタルスライム?しかもこんなに大量にいるし....とりあえず喜べばいいのか?」

 

ゼロは背中に背負っている剣を抜きながらスライム達に気付かれないようそっと近づき、背後に立った瞬間叩き切る。

メタルスライムはスライム特有の柔らかさと金属の硬さがある。硬くて柔らかい、そんな矛盾を抱えているのだが、その矛盾が合わさってかなり討伐しにくいモンスターに属するのだ。しかし、この男には関係ないようだ。

 

「ハッ!」

 

一発でメタルスライムを両断する。しかし、その音で他のスライム達がゼロのことに気付いたようだ。即座にゼロを包囲し、今まさに襲いかからんと威嚇している。

ゼロはそのことに苦笑いしながらも剣を構える。

 

「【ダブルサーキュラー】!」

 

正面のメタルスライムに突進し、右手の剣で左下からの切り上げから、左手の剣で切りつける。スライムはポリゴン片になったが、背後から別のメタルスライムが襲いかかる。

 

「分かってるんだ、よっ!」

 

振り向きざまに【闇を払うもの】で切りつける。そのスライムに同調して他のメタルスライムも襲いかかってくる。が、

 

「【スターバースト・ストリーム】!」

 

高速の十六連撃がスライム達に襲いかかる。

メタルスライムは細切れになり、ポリゴンとなって消えた。残るメタルスライムは二匹。一斉に飛びかかってくるが、

 

「フッ!」

 

【青薔薇の剣】を横に薙ぎ、両手の剣を鞘に納める。すると、メタルスライムはポリゴン片へと変わり、その場には静寂が残った。

ゼロがその場を立ち去ろうとすると、頭の中に声が響いた。

 

『スキル【斬鉄】を取得しました』

『レベルが20になりました』

 

スキルの中身だけ見て帰ろうと思い、スキルの説明欄に目を通す。

 

 

【斬鉄】

常に発動しているスキル。自身が攻撃する時、相手のVITの半分しか受けつけない。

 

取得条件

メタルスライムを短期間で十体倒す

 

 

「いいな、これ。多分メイプルはこのまま防御力極振りだろうし、対メイプルにはうってつけだ........はぁ、疲れてるんだけどな」

 

ゼロはそう呟くと、ため息をこぼす。

振り返り、森のある一点を見つめながら森の中に響き渡るような大きな声で隠れている者に呼びかける。

 

「おい!そろそろ出てきたらどうだ?」

 

しかし、返事は返って来ない。返ってきたのは木の葉が擦り合う音だけ。ゼロはしばらくの間黙っていたが、痺れを切らしたのか頬を引き攣らせながら【青薔薇の剣】を抜く。

 

「返事がないのならこちらから攻撃することにするが、構わないな?」

 

返事はなかった。

ゼロは【青薔薇の剣】を地面に突き刺し叫ぶ。

 

「エンハンス・アーマメント!──咲け!青薔薇ッ!」

「ちょっ!俺だよ、おれ!クロムだよ!」

「だろうと思ったよ。さっきからその赤い鎧がチラチラ見えてたんだよ。.....で、何の用だ?」

 

【青薔薇の剣】を突き刺した場所からゼロが呼びかけていた場所に向かって地面が凍りついていく。

ゼロの攻撃に恐れを抱いたのかすぐ木の影から隠れていた者は出てきた。

赤い鎧を纏い長身の男性。先程、ゼロが道を尋ねたプレイヤーだった。ゼロは剣を肩に乗せながらクロムの返事を待っている。

 

「お前ら初心者だろ?見守ろうと思ってな。....その必要は無かったが」

「そうか。なぜ隠れていたかには分かった。で、呼びかけても出てこなかったのは?」

 

クロムはゼロから視線を逸らし、小さな声でボソッと呟いた。

 

「だって.....ストーカーに思われると思って」

「えぇ....そうだったのか。っ!まさか、お前....メイプルのことを」

「なわけあるか!」

「まあ、お前が初心者のことを思って見守ってるのは最初から分かってた」

「分かってたんかい!」

「それで、折り入って頼みがある。メイプルのことを少しの間でいいから見守ってくれ。まだ始めたばかりのメイプルは元々騙されやすい性格も相まって詐欺師に騙されるかもしれない。だから、2、3日でいい。そういう奴らからメイプルを守ってくれ。.....もちろん俺もなるべく一緒に行動しようと思っている。だから.....頼むっ!」

「......」

 

ゼロはクロムに深々と頭を下げる。それに、クロムは無言を貫くがしばらくして口を開く。

 

「分かった。その依頼、請け負った」

「っ!お前.........い"い"や"つ"た"な"〜〜〜!!」

「ああっ!お前っ....抱きつくな!」

「その代わり......メイプルに手ぇ出したら、殺すからな

「は、はいっ!!」

 

ゼロは娘さんをください的なことを言われた親馬鹿な親父みたいに凄みを効かせて、クロムを脅す。それにクロムはその大きな身体を大きく震わせながら即答する。

その返事に納得したのかさっきから発している殺気を収める。

 

「じゃ、俺疲れてるから落ちるわ。それじゃあよろしくな、クロム!」

「ひゃ、ひゃい」

「じゃ〜な〜〜」

「お、おう。..................あいつ、怖い」



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キリト擬きとダンジョン攻略

お気に入りが10人もいたのでビックリしました。
この調子で頑張ります

※スキル内容を少し変えました


「さーて、今日も頑張りますか」

零は昨日に引き続きNewWorld Onlineにログインした。

 

「今日は何をしようか……。あ、そうだ!ダンジョンに行こう」

だがしかし、この男ダンジョンの場所が分からない。となると

「すいません。ダンジョンってどこにあります?」

通りがかりの人に聞いてみたところ、この街をずっと北に行ったところにダンジョンがあるらしい。思い立ったが吉日すぐに向かっていった。

 

 

ーー30分後ーー

「つ、着いた〜〜〜」

モンスターを倒しながら来たとはいえ、少し遠い道のりだった。おかげでレベルが19になった。

「ここかー。いかにもって感じだな。よし!行くか!」

洞窟に入っていく零だったが、ここで待ち受けるは………

「グアアアアアアアアア!!」

「キシャアアアアアアア!!」

「オオオオオオオオオオ!!」

大量のモンスターの群れだった。

「多くね!?」

 

 

ーー10分後ーー

「ハアハアハア。つ、疲れた〜〜〜」

100を越えるモンスターをちぎっては投げ、ちぎっては投げを繰り返し戦っているとようやく全て倒しきった。

 

 

『レベルが23になりました』

『スキル【撲滅者】を獲得しました』

 

「なんだこれ?【撲滅者】?どんなスキルだ?」

周りにモンスターが居ないことを確認してからスキルを確認する。

 

 

【撲滅者】

常に発動しているスキル。敵を倒す度にステータス+10%アップ。

最高100%まで。

 

取得条件

10分間敵を倒し続ける。

 

 

「このスキルも強いな……。よし!気を取り直して、行きますか!」

しばらく歩いていくと、中学校ぐらいの巨大な穴を見つけた。その穴は上からでは底が見えないほど深い。

「うおー、でっか。そこ見えないじゃん」

零が穴を観察していると、

「グアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

黒い鱗に包まれたドラゴンが穴から飛び出してきた。

「!?このダンジョンのボスか?じゃあやりますか!!」

零は『闇を払うもの』を抜剣し、上段に構えドラゴンに向かっていった。

「【ソニックリープ】!!」

上段突進技ソニックリープ。約10メートル突進して斬る。しかし、黒龍の鱗は硬く弾かれてしまった。が、そこから

「【バーチカル・アーク】!」

真上から斬り下し、垂直に斬り上げる。だが、これも通らない。

「くっ!」

零はすぐに下がったが、ドラゴンの方が速くドラゴンの尾が零に叩き込まれる。

(あれを使うか?…!危な!クソ!躊躇ってる場合じゃねえ!)

零が思考している間にドラゴンのブレスが来たが、防御技【スピニング・シールド】で受けつつ、背中にあるもうひとつの剣『青薔薇の剣』を抜剣する。

「行くぞ!【ダブルサーキュラー】!からの!【スターバースト・ストリーム】!!!」

ドラゴンに突進し、右手の剣を左下から斬り上げ左手の剣で攻撃してから、二刀流上位剣技の【スターバースト・ストリーム】を放つ。ドラゴンに高速の16連撃が襲いかかる。ここでようやくドラゴンの鱗に罅が出来た。

「これで最後だ!!【エンハンス・アーマメント】!!咲け!青薔薇!!」

青薔薇の剣の刀身が光ると零はそれを地面に突き刺した。すると、突き刺した部分からドラゴンに向かって地面が凍っていき、とうとうドラゴンをも氷つけた。

「うぉぉぉ!【ギャラクシー・バスター】!!」

これは零が作った零だけの技。クエストクリアの条件である結晶龍を倒す時に作ったオリジナルの剣技。高速の32連撃を凍ったドラゴンに叩き込む。するとドラゴンのHPは全損し、光となって消えていった。

 

 

『レベルが28になりました』

『スキル【龍変化】と【先駆者】を獲得しました』

「ふぅ。終わったか……。お、なんかあるぞ」

すると5メートル程先に宝箱と、その隣に転移サークルが発生した。零が宝箱を開けて、中身を確認する。

「おお!」

中に入っていたのは夜空を表したような漆黒のコートとそれに合わせた上下の服と黒龍を彷彿とさせる黒のブーツと指輪があった。

「ユニークシリーズ?」

 

 

【ユニークシリーズ】

単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。

一ダンジョンに一つきり。

取得した者はこの装備を譲渡できない。

 

「なるほど。装備の方はっと」

 

 

『黒龍のコート』

【STR +40】【AGI+25】

スキル【硬化】

【破壊成長】

 

 

『黒龍のレギンス』

【STR +35】【AGI+35】

スキル【電光石火】

【破壊成長】

 

 

『黒龍のブーツ』

【AGI+40】【DEX+20】

【破壊成長】

 

 

『黒龍の指輪』

【STR+25】【DEX+20】

スキル【龍翼】

【破壊成長】

 

 

「うお!強すぎねえかこれ。まあ、強いことにこしたことはねえが。っと、スキルはどうだ?」

 

 

【龍変化】

黒龍に変身できる。

1日に1回だけしか使えない。

効果時間は3分。また、龍の状態でHPが全損しても元の体に戻るだけ。しかし、効果時間が終わると弱体化が付く。

 

取得条件

レベル25以下で黒龍を単独撃破する。

 

 

【先駆者】

常に発動しているスキル。スキルの効果や威力が二倍になる。

 

取得条件

オリジナルスキルでボスモンスターを単独撃破する。

 

 

【硬化】

自分の体を硬くする。VITを50%上昇

1日に3回だけ使える

効果時間は5秒。

 

 

【電光石火】

使用者のAGIを十倍する。1度使用すると、再使用に30分かかる。

効果時間は5分

 

 

【龍翼】

背中に黒龍の翼が生え、空を飛べる。

効果時間は10分。再使用に1時間かかる。

 

 

 

「チート過ぎてやばくねえかこれ………。疲れたし今日はここまででいいか。街に帰ろう」

街にさっさと帰ってログアウトしたとさ。



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キリト擬きとイベント開始

お気に入りが20件も……ありがたやありがたや


零と楓は最後のステータスチェックの為に青色のパネルを出す。

 

 

ゼロ

Lv35

HP 125/125

MP 35/35〈+35〉

 

【STR 75〈+220〉】

【VIT 10〈+10〉】

【AGI 75〈+220〉】

【DEX 30〈+70〉】

【INT 10〈+10〉】

 

 

装備

頭 【空欄】

体 【黒龍のコート】

右手 【闇を払うもの】

左手 【青薔薇の剣】

足 【黒龍のレギンス】

靴 【黒龍のブーツ】

装飾品 【結晶龍の指輪】

【黒龍の指輪】

【空欄】

 

スキル

【成長増加】【毒無効】【片手剣の心得Ⅷ】【体術Ⅷ】【剣防御】

【心意】【武装完全支配術】【記憶解放術】【アインクラッド流剣術X】【氷結無効】【闇耐性大】【索敵X】【バトルヒーリングX】【斬鉄】【撲滅者】【龍変化】【先駆者】【MP増加小】【MPカット小】

 

 

「よし!準備万端。ダメージ受けないといいなぁ......」

「お前にダメージ与えれるのってどんなやつだよ........」

そんな他愛もない会話をしていると最初の広場に参加者が続々と集まってきた。さらには空中を巨大スクリーンが浮かんでいる。あれで面白いプレイヤーを中継するのである。主に生産職や参加しなかった人が見ることになる。

 

「それでは、第一回イベント!バトルロワイヤルを開始します!」

「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」」」

あちこちから怒号が聞こえてくる。そこで大音量でアナウンスが流れてくる。

 

「それでは、もう一度改めてルールを説明します!制限時間は三時間。ステージは新たに作られたイベント専用マップです!

倒したプレイヤーの数と倒された回数、それに被ダメージと与ダメージ。この四つの項目からポイントを算出き、順位を出します!さらに上位十名には記念品が贈られます!頑張ってください!」

説明が終わるとスクリーンに転移までのカウントダウンが表示され、ゼロになった瞬間零たちは光に包まれて転移した。

 

 

 

 

「ん、ここはどこだ?」

零は目を開けると、そこは広い草原が広がっていた。周囲には人がいないようだが、200メートル程先にプレイヤーがいる。

「いくか......【電光石火】!」

すぐにプレイヤーの近くに行くと高速で抜剣し、首をはねた。

「これで一人か。次行くか.....」

草原をずっと駆け回っていると今度は五人組のパーティーを見つけた。

「シッ!」

まず一人目の首をはねたら隣に居るやつを二等分にする。他の三人に気づかれたが一気に倒していく。

このようなことを続けていたら、五十人程の大所帯を見つけた。

「エンハンス・アーマメント!咲け!青薔薇!!」

瞬間、五十人全員が凍りついた。それを全て砕いていくと、急に斬りかかって来たがそれを剣で打ち返しすかさず横一閃。体を二等分にした。

しばらく、プレイヤーを倒していると大音量でアナウンスが鳴り響いた。

 

「現在の一位はペインさん二位はドレッドさん三位はメイプルさんです!これから一時間上位三名を倒した際、得点の三割が譲渡されます!三人の位置はマップに表示されています!それでは最後まで頑張ってください!」

 

「行くか!」

近いドレッドの方に全速力で向かう零。ドレッドが見えてきたところで

「【ソニックリープ】!」

「なっ!」

ドレッド光に包まれて消えていった。

「弱過ぎねえか?笑。ペインの方に行くか」

ペインの方に全速力で向かっいくが前にまたもや大所帯が見えてきたので

「【龍変化】!」

零の姿は黒龍となっていた。

「グオアアアアアアア!!!」

「な、なんだアイツ!?」

「ドラゴン!?なんでここにいるんだ!?」

「こんなの聞いてねえ!!」

数十秒がたった。そこにはもうプレイヤーが一人しかいなかった。

このスキルで巻き添え含め千人程倒していたゼロは、ドレッドのポイントも合わせペインのポイントを凌駕していた。しかし、最高レベルのペインの力量がどれ程のものなのか気になった零はすぐにペインの元に向かった。

「【レイジスパイク】!」

「くっ!速い!」

ドレッド同様に奇襲をしかけた零だったが、流石最高レベル咄嗟に反応され防御されてしまった。

「行くぞ!」

青薔薇の剣を抜剣すると、スピードを数段階あげ【ダブルサーキュラー】で突進した零に対して、ペインは今回は何も対処出来ず倒されてしまった。

「ドレッドよりはマシだったか」

 

 

「終了!結果は一位はペインさんドレッドさんを倒し、三千人以上倒したプレイヤー!ゼロさん!!二位はメイプルさん!三位ミィさんです!それではこれから表彰式に移ります!」

視界が真っ白に染まったかと思うとそこは最初の広場だった。

一位から三位までは壇上に登るように言われて零も登壇する。前を向くと大量の視線の量に少し気恥しさを感じるがそれもメイプルが噛んだことにより笑いに変わる。

「では、ゼロさん!一言どうぞ!」

とうとう順番が回ってきた。

「えーと。優勝出来て良かったです。今回は戦えなかったけどいつかはメイプルと戦いたいですね。」

 

 

記念品を受け取ると、そそくさと帰るメイプルを追いかけた

「なんでそんなに急いでんだ?」

「そんなの恥ずかしいからに決まってんじゃん!う〜〜恥ずかしいよ〜〜」

 

 

こんな会話とはよそに掲示板にはゼロ強過ぎスレとメイプル可愛すぎスレ、メイプル強過ぎスレが大いに盛り上がっていた。

 




スキルの勝負はメイプルの勝ちです。メイプルの描写はしてませんが基本原作どうりです。


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キリト擬きと釣り

お気に入りが40件もきてました。ありがとうございます


第一回イベントの翌日。零と楓は掲示板の前でメモを取っていた。

零はカウンター系のスキルが欲しい為に、楓はダメージ軽減系のスキルを取る為に現在取得条件が判明している全てのスキル名と効果を記録しているのだ。

 

そしてNewWorld Onlineが発売されてから明日でちょうど三ヶ月になる。それに合わせて明日は大規模アップデートが行われる。幾つかのスキルの追加やアイテムの追加。これらもネットを賑わせたが本命ではない。本命は現在のマップの最北端にあるダンジョンのボスを倒したプレイヤーが、新たに追加されるマップに進めるようになるというものだ。勿論パーティーで挑んでもソロで挑んでも問題無い。

零と楓もスキルを身につけたら行ってみようと思っている。

 

「今日は...【大防御】を習得しよっと!」

「俺はあんまし良いのないからPSで頑張るか.....」

意気込む楓だが、問題が一つある。闇夜の写は触れたもの全てを飲み込む凶悪なスキル持ち。なので攻撃を受け止めることが取得条件の【大防御】を習得出来ないのである。

 

「うーん.....どうしようかあ」

「どうしたんだ?」

問題点の事を説明し、この大盾があればいらない、けどスキルは沢山持っていたいということも説明した。

 

「スキル上げように新しい大盾作ってもらえば?」

「それだ!!」

ということで、以前楓がクロムというプレイヤーに連れていってもらったイズの店に向かった。

 

 

 

 

 

「あら!いらっしゃい。随分と有名人になったわね....ここに来た時はまだ装備も初心者だったのにね。あら、隣にいるのはもしかして彼氏?」

「そ、そんな!違いますよ!今日来たのは装備を作って欲しいからなんです!」

そう言って、楓は話を始める。それを聞いてイズは確認するように復唱する。

 

「性能は気にしなくてもいいから、純白の、見た目にこだわった装備一式が欲しい。と。...そうね、ある程度素材持ち込みなら一式で百万ゴールドってとこかしら。持ち込む材料によって勝手にある程度性能は上がるかもしれないけど」

何故見た目重視なのかと言うと、ただ見た目にこだわりたいだけなのだ。注目させるようになった今、オシャレにも気を配りたいのだ。

なので全身分の装備を揃えようというわけだ。

漆黒の次は純白の装備。

楓がむふふっと笑うと、頭の中には純白の装備に身を包んだ自分の姿が浮かんでいる。

 

「分かりました!お金と素材を持ってまたきます!」

そう言い、零と楓は店を出た。

自分の思った装備の為に必要な素材がどこで取れるかを知るために再び掲示板へと向かった。

 

 

 

ーー数分後ーー

 

零と楓は釣りをしていた。何故釣りなのかというと、まずある程度の硬さを持った真っ白の素材が必要である。楓が条件に合う素材をピックアップしたところ二つの素材がでてきた。

 

一つは白水晶。しかし、これは【DEX 0】の楓には採掘出来ないの分かったのでもうひとつの方に向かうことにした。

実はこの素材、零がエクストラクエストで倒した結晶龍のドロップアイテムにあるのだが楓がそれを知るわけもなく、釣りをするとしか聞かされていない零も自分が大量に持っている素材が候補に挙げられているなど知る由もなかった。

 

 

 

「か、かかった!」

釣り始めてから二十分。楓の【AGI 0】【DEX 0】のおかげでやっと一匹目を釣った楓に対して、

「お、またかかった」

これで二十三匹目の零だった。スキル【釣り】をゲットした零なのだが

「ちょっと潜ってくるわ」

「うん!わかった!」

零はそう言うと地底湖に飛び込んだ。

(結構いるもんだな。)

四十分程したら

「ぷはぁ!いやー楽しかった」

「どのくらい集まった?私は三枚!」

「俺は.....百枚ぐらい」

「そ、そんなに!?」

実際はもっとあるのだが、零も作って欲しいものがあるので四分の一ほど差し引いている。

「ほれ、やるよ」

「こんなに貰っちゃっていいの?」

「いいよいいよ。あ、その代わり今度何か手伝って貰おうかな」

「うん!わかった!あ!もうこんな時間!私ログアウトするね」

「おう。じゃあ俺もログアウトするかな」

 

 

 

 

ーー翌日ーー

 

「よし!決めた!私は...『回避盾』になる」

「何言ったんだお前」

「!零!?いつからそこに!?」

「私は『回避盾』になるってとこから」

零が教室に入ると、理沙が他人から聞くと何言ってるか分からないことを言っていたのでツッコムとかなり驚かれた。解せぬ。

 



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キリト擬きとお友達

「なるほど.....。理沙がやっとゲームが出来るようになって、楓のプレイスタイルについて聞いて、自分のプレイスタイルはどうしようかと迷っていたところ『回避盾』に決めたと」

「そうなの!ちなみに、今零のレベルはいくつ?」

「えーと、37」

「え?マジ?」

「マジマジ」

「すっごいね〜。あ、そうだ。イベントやってたでしょ参加したの?」

「ああ、したけど」

「何位だったの?」

「私は二位!」

「え」

「俺は一位」

「.........」

「ん、どした」

「ぇぇえええええええええええええ!!!!!」

「うるさ!」

この後、このクラスには誰もいなかったが他のクラスにいた人が何事だと駆けつけ理沙が赤面するということがあったとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー!町はこんな感じなんだー!」

理沙が周りを見渡して、嬉しそうに声を上げた。理沙のその様子がゲームを始めた時の自分と重なって、懐かしく思えた。

 

「楓の.......っと.......危ない。メイプルとゼロの装備との見た目格差がありすぎてちょっと辛い」

プレイヤーネームに言い直して理沙が話す。

零と楓も理沙を理沙と呼ばないように気をつけなければならない。

 

「あはは、まだ初期装備だもんね」

理沙は零と楓と早速フレンド登録し、パーティーを組むと、二人にステータスを見せてくれた。

 

 

ーー割愛ーー

 

 

「色んなステータスに振ってるんだね」

「これが普通だから!...VITとMPとHPには取り敢えず今は振らないでおいたんだ」

「どうして?」

「全部回避して、ノーダメージならHPとVITもいらないからね!魔法を使うかどうかは分からないから...今はMPとINTは低めでいい。STRは武器である程度補えるからね」

「色々考えてるんだな」

零は使いそうなやつに振っているだけなのであまり考えていないのだ。

 

「ふふふ...これでも結構やってるからね!で、今からどこに行くの?」

「地底湖に行くの!私の大盾の素材集め!」

「じゃあ行くか!ほい」

「よいしょ」

「え?どうしておんぶしてるの?」

「メイプル、VIT極振り、AGIゼロ、くそ遅い」

「な、なるほどね」

「それじゃ、レッツゴー!」

 

 

 

ーー数分後ーー

「ハアハア...。つ、疲れた〜〜」

楓を背負って戦っていたとはいえ零はLv37でスキルポイントもそれなりにAGIに注ぎ込んでいるのでかなり速い。着いてこれた理沙が異常なのだ。

 

 

ーー数分後ーー

理沙の休憩も終わり、楓と理沙は釣りをしていた。零は潜った方が多く取れるので絶賛ダイブ中である。そして釣りを始めて一時間後

 

「やっと三匹目だ〜〜」

「ふふん。私は十二匹目ね。あ!【釣り】スキルゲット〜!......はあ、初スキルが【釣り】かぁ。私もメイプルのこと言えないなあ。まあLv1だから釣った魚にトドメを刺すだけでレベルが上がる上がる」

実際、理沙はLv6まで上がっていた。

 

「サリーはステータスポイント振り分けないの?」

「それは、もうちょっとスキルを取ってからで。スキルで戦闘スタイル決まってくるし、初期ステータスでも充分戦えるし」

「やるな〜上級者め〜!」

「色んなゲームやってきてるからね!」

そんな他愛のない会話をしていると、

 

「ぷはぁ!結構とってきたぞ〜。ほれ」

そこにはざっと三百枚程の鱗があった。ちなみに作って欲しいものの分差し引いてこの量なのでこいつどんだけ捕ってんだ魚。

 

「ぇぇええええええ!多くない!どんだけ倒したのよ!?」

「えーと二百匹ぐらいかな?」

「なんで二百匹で三百枚もあるのよ!普通一匹一枚じゃないの!?」

「あわわわわ」

「メイプルも落ち着いて!ちょっと!あんたのせいでメイプル壊れちゃったじゃない!!説明しなさいよ!せ・つ・め・い!!」

「わかった!わかったから!!頭を揺らさないでくれぇぇえええ!!」

洞窟内に零の悲鳴が響き渡った。

 

 

 

ーー数分後ーー

やっと理沙と楓が落ち着きを取り戻した。

「えーと、なんでこんなに取れたかだっけ?」

「「うんうん!」」

「言わなきゃダメか?」

「「もちろん!」」

「はあ、他の奴らに言うなよ」

「「わかった」」

楓と理沙が言うこと全部シンクロしててワロタ。

 

 

 

「【ドロップ増加】と【超集中】ていうスキル」

「【ドロップ増加】?」

「【超集中】?」 「【ドロップ増加】は名前の通りで、【超集中】はスキルの効果とクリティカル率が二倍なんだけど」

【ドロップ増加】がドロップ率が二倍なので、ドロップ率が四倍。そこに【先駆者】の効果で二倍になるので、八倍になるのだ。これが、零がこんなに鱗をゲットできた理由なのだ。

またこいつのチートっぷりが増してしまった。

 

「「な、なるほどってなるかーーーー!!!」」

「グッ!耳が!」

「チート過ぎないそれ!!」

「そうだよ!ずるいー!!」

「まあまあ落ち着いて」

二人を落ち着かせるのに数分かかりましたとさ。

 

 

 

 

 

「つ、疲れた〜〜〜!!」

二人を落ち着かした後、零は楓と一緒に釣りをしていた。今度は理沙が潜っている。何故零も潜っていないのかというと、疲れたというのもあるが楓が変なことをしないか監視しているのである。

 

一時間後、とうとう理沙が帰ってきた。

 

「ねえ、2人とも。今発見されているダンジョンって二つだけ?」

「「そうだけど」」

「地底湖の底に、小さな横穴があった。」

「それって!」

「うん。ダンジョンだと思う」

「水底かぁ。私は無理だね」

「俺は行けるけど、今回は譲るよ」

「ありがとう!だけど、もう少し経ってから攻略しようと思う」

そりゃあそうだ。初期ステータスでボスに挑んでもすぐに倒されるだけだ。

初期ステータスでボスを倒せるのは零と楓ぐらいだろう。

 

 

こうして理沙のダンジョン攻略の準備が始まった。




気がついたらお気に入りが五十件も....


感謝しかない......!!


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キリト擬きと試練

零はこの日NewWorld Onlineにログインできなかった。なぜなら、

 

「久しぶりだなー!!元気にしてたか?」

「うん」

「背もこんなに大きくなって!もう私より頭一つ分高いわねー。前に会った時は私の腰ぐらいだったのに!」

「成長期だからね。ハハハ」

零の父方の祖父と祖母が家に来ていたからだ。

実は零、この二人が少しいやかなり苦手である。テンションが高いのだ。零はそのテンションについていけずにいる。

しかし、この二人その界隈では有名である。

祖父桐生 義正 剣術の達人で息子に道場を譲ってはいるが、歳を感じさせないほど強い。

祖母桐生 早苗 薙刀の達人であると同時に弓道、茶道etc。なんでもできる天才である。

その一人息子が零の父、桐生 和人である。この男も剣術出来るは頭はいいわと天才の息子は天才だった。

だがしかし、うちの零くんも負けてはいない。

剣の才は祖父と父を軽く凌駕しているのである。後、三年もすれば、互角。四年もすれば余裕で勝てるようになるだろう。

うちの零くんは凄いのだ。

作者が零くんのことを褒めている一方、理沙はボスを倒し、ユニークシリーズを手に入れていた。

 

 

 

 

ーー翌日ーー

零は楓や理沙と一緒に二階層に繋がるダンジョンを攻略しに行っていなかった。

なんと

「どうした零!お前の実力はそんな物じゃないだろう!!」

「くっ!はああああ!」

義正と試合をしていた。いや、これは試合と言えるのか?

義正が横に剣を振ると、零は後ろに下がり渾身の突きを繰り出し義正に当たったと思われた。が、

パアアン!!

道場に音が響き渡った。

気がつけば零の持つ木刀が半ば折れていた。

 

 

「参り......ました」

「ありがとうございました。お前の剣はそんなものだったか?」

「.........」

「零、お前は俺に勝つまでゲームをするな」

「ッ!!」

「以上だ。挑戦はいつでも受け付ける」

義正が去った後、道場には

 

 

 

 

 

 

膝から崩れ落ち、目には涙を溜めて悔しがる零の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理沙。しばらく零くんログイン出来ないってさ」

「なんで?」

「知らない。何も教えてくれなかった」

「そっか。心配だねえ。昨日、学校で見かけた時死人みたいな顔してたもんね。今日は休んでたし」

「大丈夫かな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何故こんなにも零が悔しがっているのかというと、零は子供の頃から剣では負け無しだったのだ。しかし、ただ一回だけ負けるようならこんなにも悔しがりはしない。

手を抜かれていたのだ。それも、大人が子供と遊ぶ時のように。

それがたまらなく悔しかった。

 

 

 

 

 

「ふっ!ふっ!ふっ!ふっ!ふっ!ふっ!」

もう何回素振りしたかも分からない。千はとうに超えているだろう。

それでも、それでも、義正には絶対に勝てない。

 

 

「零。」

「.....何?父さん」

「悩める息子にエールをと思ってね。いいか」

その瞬間、和人の気配が変わった。

「俺たちが修めている流派『守天流』は自分の大事なものを守る剣だ。それを覚えておけ。」

「........」

「じゃあ、悩めよ少年」

そう言うと和人は道場を出ていった。

 

 

「クソッ!!」

 

 

 

果たして零は義正に勝てるのか?




急展開過ぎて自分でも追いついてないw w w


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キリト擬きと決着

今回は少し短いです。


ピンポーン

「はーい。あら、零のお友達?」

「こ、こんにちは!私零くんのクラスメイトの本条楓と言います!

最近、零くんが休んでいて心配できたんですが....」

「楓ちゃんね!零の母の明日奈と言います。零なんだけど今ねちょっと寝込んでて.....」

そう、零は稽古しすぎて体調を崩し寝込んでいるのだ。

 

「そうですか.....。あ、あのお見舞いとか大丈夫ですか?」

「もちろん!どうぞ上がって」

「お、お邪魔します!」

 

 

 

 

「ここが零の部屋よ。ゆっくりしていってね」

「は、はい」

そう言うと明日奈はどこかへ行ってしまった。

 

「よし。お、おじゃましまーす」

「.......」

「体調崩したって聞いたけど大丈夫?」

「.......」

「あ!私と理沙ね、二層に行ったの!」

「.......」

「けどね!メンテナンスでスキルが弱体化したの!」

「.......帰ってくれ」

「あ!やっと喋ったぁ。ずっとだんまりだから寝てるのかと思っちゃった」

「帰ってくれ」

「むう.........なんでこんなになるまで鍛えたの」

「お前に分かるかよ.......俺の気持ちなんか」

完全に不貞腐れた零だったがずっと話しかけてくる楓にとうとう本音を話し始めた。

 

「お前に俺の何がわかるって言うんだ!!あんなに手を抜かれて.....コテンパンにされて.....ッ!!」

気がついたら零は楓に抱きしめられていた。

「コテンパンにされたって、ぼろ負けしたって、次があるよ!それにほら!負けても次戦った時勝ったらかっこいいじゃん!」

「ふふ....なんだよそれ。でも、ありがとう」

ドキン!

楓は思わず赤面してしまった。零の笑顔を見たことはあるが、今までの中で最高の笑顔だった。

 

「見ててくれないか。俺の勝つ姿。」

「もちろん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行くぞ!じいちゃん!」

「おう!こい!!零!!」

二人とも同時に駆け出した。

バァン!!バァン!!

木刀からなってはいけないような音が聞こえるが、何度も何度も二人の剣がぶつかり合う。

「ハッ!顔つきが変わったな!零!!」

「大事な人ができたからな!!」

「!!ほう!それは楽しみだ!な!!」

二人とも後ろに下がり、同時に構えた。

 

義正は、『守天流』の構え。

 

 

零は、『アインクラッド流』の構えだった。

 

 

「「はああああああああああああぁぁぁ!!!!」」

バキイイン!!!

木刀が折れる音が響き渡った。

 

 

折れた方は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義正の木刀だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の!!勝ちだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったね!!零くん!!」

「ああ。楓が応援してくれたからだよ。ありがとう」

最高の笑顔で感謝を伝える零だったが、その一つ一つにドキドキしている楓だったのだが

 

「そうだ!戦ってる時に言ってたけど、大事な人って誰?」

 

「お前」

ボフン

楓の顔は真っ赤になってしまった。

「........」

「楓、俺は君のことが好きだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私も」




ちなみに勝つまでゲーム禁止にした義正さんは構って欲しかったからと、零の実力がメキメキ上がっていたのでこの先が楽しみになって鍛えて上げたからです。



実は告白シーンは家族全員に覗かれてます


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キリト擬きと下準備

お気に入りが六十件だと.......


感謝感激雨あられです!!


前回零くんが楓に告白し、OKを貰った訳だが、理沙にしか話していない。楓が恥ずかしいからというのがメインだが、いちいちいじられるのがめんどくさいからである。

(桐生家は告白シーンを覗いているので知っている。ことを零は知らない)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと戻ってきたーーー!!」

ゲーム禁止を言われ、たかが一週間しか経ってないがその一週間が濃すぎたので数週間ぶりにログインした気分なのだ。

 

零はまず二階層に繋がるダンジョンを攻略しに行った。

今日は楓と理沙の予定が会わなかったのでソロである。

 

 

 

「到着!早速中に入るか」

目の前には石造りの遺跡の入口がある。

いつでも対応出来るように、闇を払うものを抜いておく。

少し歩いていると、少し大きめの猪が現れた。

 

「ハッ!」

先手必勝。一撃で始末して先をすすんでいく。

しばらく猪しか出なかったが、曲がり道を曲がったら熊がいた。が、

 

「グアアアア!!」

すぐに零に首を斬られて倒れた。

もうしばらく歩いているとボス部屋らしき部屋に着いた。その大扉を開けるて、中に入る。

天井の高い広い部屋で奥行きがあり、奥には大樹がそびえ立っている。零が部屋に入ると勝手に扉が閉まる。

すると、大樹がメキメキと音を立て巨大な鹿に変形していく。

樹木が変形してできた角には青々とした木の葉が茂り、赤く煌めく林檎が実ってい「エンハンス・アーマメント!!」る。

ずるくね!?ゴホン!

巨大な鹿は一瞬で凍りる。これを砕けば零の勝ちだが、現状その手段を持っていないと思われた。

「エンハンス・アーマメント!!」

なんと零は闇を払うものの武装完全支配術を使用した。

その能力とは............

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラゴンのブレスだった。

そう、闇を払うものの武装完全支配術は剣の元となったドラゴンのブレスのような巨大レーザーが凍った巨大鹿に襲いかかる。

ぼぉぉおおおおおぉぉおおおおん!!!!

 

 

レーザーが当たった瞬間、

 

 

 

爆発した。

 

 

 

この瞬間、零は二階層進出の権利を手にしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー翌日ーー

今日は三人とも予定があったのだが、

第二回イベントに向けてスキル集めやレベル上げをしようということで別れて行動している。

本日零は念願のカウンター系のスキルを手に入れることが出来るクエストが分かったので、今向かっているところなのだ。

 

「ここか〜。あ、あそこに人がいる。」

そこには洞窟があり、入口のそばに老人がいた。

 

「ここはダークドラゴンの住まう洞窟じゃ。儂は近くの集落で暮らしているのじゃが、その村ではダークドラゴンを神聖視して崇めているのじゃ。しかし、ダークドラゴンの魔力で周りのモンスター活性化し集落を襲ってきているのじゃ。だから勇敢な冒険者よ、ダークドラゴンを倒してくれんか?」

「わかりました」

そう言うと零は洞窟に入っていった。中は一本道で長く長く先が見えないほど続いていた。しかし、いくら歩いてもモンスターは出現せずに黙々と歩いていく。

 

 

 

しばらく歩き続けていると少し広い空間に出た。

 

ガキイイイイイイイン!!!

何かがぶつかり合う音が響き渡った。

零の闇を払うものと何かの爪がぶつかり合っていた。

高速の爪に何故反応出来たかと言うと、元々零は反応速度が早く勘が鋭い。しかし反応速度が早かろうと、勘が鋭かろうと零はあらかじめ索敵スキルを発動していた。

なので、高速で迫るドラゴンの爪に反応出来た。

 

『ほう、人間よく我の爪を凌いだものだ。しかし、我が使命を邪魔するのなら容赦はしない』

「モンスターが喋った!?っ!!危な!」

モンスターが喋ったことに対して零が驚いていると、いきなりブレスを吐いてきた。それをバックステップで避ける。

 

「エンハンス・アーマメント!!」

青薔薇の剣の記憶を武装完全支配術で解放しこの空洞全てを凍てつかせる。これでドラゴンは凍ったと思い、闇を払うものの武装完全支配術を行使しようとするが、零は急に走り出した。すると、

ボゴオオオオオン!!

零がいた所が爆発した。ダークドラゴンのブレスによるものだった。

(くっ!煙で隠れているのに何故俺の位置が分かるんだ!?なにか、なにかあるはずだ!!考えろ......。自動追尾?いやこのブレスはドラゴンの口から出ている。気配?音?いや、気配を消してるし音も消してる。いや、違う。もっとこう俺が元々持っているもの.......。HPかMPか?フャンタジーでありそうだが.....。一か八かやってみるか!)

 

「エンハンス・アーマメント!!」

零は闇を払うものの武装完全支配術を発動し、ドラゴンのブレスを相殺する。ここで零は切り札をきる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リリース・リコレクション!!」

瞬間、空洞がまた凍りついた。

 

 

 

 

青薔薇の剣は真夏でも寒く一年中氷が溶けることがない北の山脈の頂に鎮座していた『永久氷塊』とそこに咲いた『青薔薇』が源となっている。

先程零は、『全てを凍てつかせる永久氷塊』の記憶を解放させた。

満を持して『命を咲かせる青薔薇』の記憶を解放する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲け--------青薔薇!!!」

 

周囲のHPを吸って咲き誇る青薔薇。

凍てついた氷の世界に数百にも及ぶ満開の青薔薇は途方もなく美しく、しかし冷酷な光景だった。

 

零の真の目的はこれではなかった。

 

 

 

 

 

 

「リリース・リコレクション!!」

 

闇を払うものの記憶をも全解放した。

すると、剣が光だし零の手を離れ中へ浮いていく。しばらくするとその姿は零が倒した

 

結晶龍だった。

 

 

龍はすぐさま飛び立つと上から半分ほど凍ったダークドラゴンにブレスを浴びせる。

しかし、それでもダークドラゴンは倒れない。トドメを刺そうにも零は今武器を持っていない。だから、ダークドラゴンを倒せない。

 

今まででは

 

 

「白帝の剣!!」

零の右手に刀身が真っ白の刀が現れた。

 

 

 

「うおおおおぉ!!『守天流奥義!!白虎の鉤爪!!!』」

 

高速の斬撃と突き。それを敵が倒れるまでやる。それが『白虎の鉤爪』。

 

 

 

ダークドラゴンのHPが尽きた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

と思われた。

 

 

 

 




守天流は誰かを守る剣です。
なので、中国の守り神から取りました。



ちなみに、奥義は後3つあります。


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キリト擬きと黒幕との決着

お気に入りが70件突破です!
ありがとうございます


ダークドラゴン戦

零は全ての手札を使った。だがしかし、トドメを刺す前にダークドラゴンが闇に包まれたのだ。

 

「なんだ!?」

「ハッハッハッハッハッハ。」

「!?あんたは......!洞窟の前にいた!」

「我が真の姿は村の老害などではない!我が名はエルスター!!この世界を征服するものなり!」

「エルスターだと!?..........誰?」

「なっ!お主、我のことを知らぬのか!」

「知らないなあ」

「くぅぅ。お主、我のことを知らぬと言うのか!!ならば教えてやろう。我がどんなに偉大な存在なのかを!そしてどのような目的があるのガッ!!」

「っし!当たった!!」

零はエルスターが話している間、結晶龍をエルスターの背後に移動させ全力でブレス攻撃させたのだ。しかし

 

「効かんなあ」

「ッ!!」

全く効いていなかった。普通のボスモンスターだったら三分の一ぐらい減っていてもおかしくない。なのに、HPは数ドットも減っていなかった。

 

 

「くっ!」

零のHPはもう僅か。これで終わりかと思われた。

 

 

 

(おい人間。)

(ま、まさか......ダークドラゴンか?)

(そうだ。今から説明することをよく聞け。エルスターとか言うやつは自らの魔力でこの周囲のモンスターを操っている。そして世界征服の第一歩として近くの集落を襲おうとしたのだが、我の能力『反魔の意思』であやつの魔力を無効化したのだ。)

(そんな......!!ごめん、ダークドラゴン。俺、あいつの口車に乗せられて.......)

(もう良い。しかし万全の状態ならあいつなど簡単だったんだが。今はこの状態だからな....。だから人間。我を喰らいトドメを刺せ。そうすることでお前に我の能力【反魔の意思】と【竜王】が譲渡される。その力があれば、お主ならあいつを倒せるだろう)

(......いいのか?)

(いいとも。ああ、しかし約束してくるか?)

(なんだ)

(我の能力はお前の大事な人の為に使うのだぞ。)

(ああ......分かった)

(あと一つ、お前の名を教えてくれんか?)

(零.......桐生零。お前の名前は?)

(我が名はシュトルツ。偉大なる竜の王だ。......では頼んだぞ。零よ)

(おう!)

 

 

パアアアアン!!!

 

ダークドラゴンを包んでいた闇の塊が急に弾けた。

 

ザシュッ!

ダークドラゴンの背中の肉が切り落とされた。

 

「いただきます」

 

ガブッ!!

零が肉に齧り付いた瞬間、

 

『スキル【反魔の意思】と【竜王】、【竜王喰らい】を獲得しました』

『スキル【氷結無効】と【毒無効】が【竜王喰らい】に統合しました』

『スキル【龍変化】に竜王 シュトルツが追加され、時間が延長されました』

『レベルが48に上がりました』

 

「フッ。ありがとう、シュトルツ......。行くぞ!エルスター!!」

「フハハハハ!新しい力を手に入れたくらいで人間が我に勝てるとでも?」

「勝てるじゃない、勝つんだ!【龍変化 シュトルツ】!!」

零の体が光りだした。しばらくして、その光が弾けると

 

『グオオオオオオオオオオオオ!!!』

 

零の体は竜王 シュトルツになっていた。

 

『【反魔の意思】!【竜王】!発動!!』

零の両手が青色の龍の形状をしたオーラに包まれ、背後に赤、青、緑、黄、漆黒、純白の穴が出現する。

零がスキルの効果を見ると、フッと笑う。

 

 

 

【反魔の意思】

魔力を反射する闘気を己が意識した部位に一時的に発生させる

 

 

取得条件

竜王 シュトルツを倒す

 

 

 

【竜王】

全ての龍の力を行使出来る。

 

 

取得条件

竜王 シュトルツをHPドレインで倒す

 

 

 

【竜王喰らい】

自身にドラゴン特攻と状態異常無効化を付与する

 

取得条件

竜王 シュトルツをHPドレインで倒す

 

 

 

 

(これで勝てる!!)

「行くぞ!エルスター!!」

「フハハハハ!そんなもので我が倒せるか!」

零がブレスで攻撃すると、エルスターが闇魔法で相殺する。

しかし、エルスターの闇魔法が零のブレスに押し勝ったのだ。

 

「ハッ!」

「ガハア!!貴様....一体何をした!?」

「跳ね返したんだよ。俺のAGI分スピードをプラスしてな!!」

「ガハア!!」

「俺は!お前に!対して!ムカついて!いるんだ!よ!」

零はドラゴンの手で何度も何度もエルスターを殴ったり鉤爪で引っ掻いたりする。

しかし、ここで龍変化の効果時間がきれてしまう。

 

「フハハハハ!とうとうその術がきれたなあ!」

「エンハンス・アーマメント!!」

「な、何い!!凍りついただとお!!」

そう、龍変化の効果時間がきれたと同時に青薔薇の剣の武装完全支配術を発動していた。

 

「エンハンス・アーマメント!」

すかさず、闇を払うものの武装完全支配術を発動する。

 

「ガハア!!く、くぅぅぅ。お、おのれぇぇえ!!こうなれば!!」

突如、エルスターの体が闇に包まれる。そして、闇がどんどん大きくなっていく。

 

「っ!!自爆か!?」

「もう遅い!!」

 

 

とごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉん

 

「フハ、フハハハハ、フハハハハハハハハハハ!!ダークドラゴンもいない!我を邪魔する者もいない!これで世界を征服出来る!フハハハハハハハ「はああああ!!」ガハア!!お、おのれえ!!」

零はエルスターが高笑いしている中、闇を払うものでエルスターを突き刺した。

エルスターの敗因は零が闇耐性大を持っていること、バトルヒーリングスキルによってHPが回復していること、そして、零が

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エルスターに対して怒っている事だ。

 

 




難産でした


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キリト擬きと第二回イベントPart1

気がつけばお気に入りが80件......



ありがてえ

※スキル名を変えました


零がエルスターを倒した後

 

『レベルが50に上がりました』

『スキル【悪魔殺し】と【竜人化】、【不屈の守護者】を獲得しました』

『【闇耐性大】が【闇属性無効】に進化しました』

 

「そういえば、ステータスポイント振ってなかったな。

...............................これで良しと」

 

 

 

ゼロ

Lv50

HP 16/135

MP 24/35〈+35〉

 

【STR 100〈+245〉】

【VIT 10〈+10〉】

【AGI 100〈+245〉】

【DEX 30 〈+70〉】

【INT 10〈+10〉】

 

 

 

装備

頭 【空欄】

体 【黒龍のコート】

右手 【闇を払うもの】

左手 【青薔薇の剣】

足 【黒龍のレギンス】

靴 【黒龍のブーツ】

装飾品 【結晶龍の指輪】

【黒龍の指輪】

【空欄】

 

 

スキル

【成長増加】【片手剣の心得X】【体術X】【剣防御】【心意】【武装完全支配術】【記憶解放術】【アインクラッド流剣術】【闇属性無効】【索敵X】【バトルヒーリングX】【斬鉄】【撲滅者】【龍変化】【先駆者】【MP増加小】【MPカット小】【釣り】【水泳X】【潜水X】【ドロップ増加】【超集中】【反魔の意思】【竜王】【竜王喰らい】【悪魔殺し】【竜人化】【不屈】

 

 

【悪魔殺し】

悪魔属性を持つ相手へのダメージが三倍になる

 

取得条件

最上級悪魔を倒す

 

 

【竜人化】

体の指定した一部を竜化させる。発動中に竜化する部位を変更出来る。効果時間は三分。一日に三回まで。

 

取得条件

龍変化を十回以上発動させる

 

 

【不屈の守護者】

致死ダメージをHPが1の状態で耐える。

一日に一回だけ。

 

取得条件

致死ダメージをどうにかして耐える

 

 

 

 

「こんなもんかな」

そう言うと零は空洞内から去っていった。

 

 

 

「んーーー!!久しぶりに日の光を浴びた気がする」

零が洞窟に入ってから三時間しか経ってないが、かなり濃い時間を過ごしたので仕方がないだろう。

 

「疲れたからログアウトしよ」

そう言うと早々とログアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー一週間後ーー

いつもの三人は第二層の町にいた。

今日は第二回イベントの日なので、いつもより沢山人が集まっていた。

ここで、運営からのアナウンスが入った。

 

「今回のイベントは探索型です!目玉は転移先のフィールドに散らばる三百枚のメダルです!これを十枚集めることで金のメダルに、金のメダルはイベント終了後スキルや装備品に交換出来ます!」

アナウンスが流れた後、ステータス画面が勝手に開かれ表示されたのは、金と銀のメダルである。

そのうち、金のメダルは零と楓は見覚えがあった。

第一回イベントの記念品でもらったメダルであった。

 

「前回イベント十位以内の方は金のメダルを既に所持しています!倒して奪い取るよし、我関せずと探索に励むもよしです!」

豪華な指輪や腕輪などの装飾品や、片手剣や杖などの武器の画像が次々に表示されていく。

 

「死亡しても落とすのはメダルだけです!装備品は落とさないので安心して下さい!メダルを落とすのはプレイヤーに倒された時のみです。安心して探索に励んでください!死亡後はそれぞれの転移時初期地点にリスポーンします!」

ひとまず安心する。

装備品を奪われないのならまだ気楽に探索出来るだろう。

 

「今回の期間はゲーム内期間で一週間、ゲーム外での時間経過は時間を加速させているためたった二時間です!フィールド内にはモンスターの来ないポイントか幾つもありますのでそれを活用してください!」

つまり、ゲーム内で寝泊まりして一週間過ごしても、現実では二時間しか経ってないという訳だ。

 

「なんていうか不思議な感じだね」

「一度ログアウトするとイベント再参加ができなくなるって。後は...パーティーメンバーは同じ場所に転移するってさ」

「基本的にログアウトはなしで、団体行動だな」

「うん!」

「分かった」

「三人分のメダル、取れるといいね」

「うん、頑張ろう!」

三人の体は光となり、第二層から消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたのか?」

「着いたみたいだね」

三人がいたのは、草が生い茂る草原のど真ん中だった。

 

「おおー!綺麗!」

「すっげーな」

「綺麗すぎてぞくぞくした」

空には浮遊する島々や、竜が優雅に飛ぶ姿が見える。

運営が今回用意したのは、ファンタジーの世界のような幻想的な世界だった。

 

「メダル見つかるかなあ」

「さあ?とりあえずじっくりやろう?まだ時間はたっぷりあるしね」

「そうだな」

そんな他愛のない会話をしていると右に背の低い草を掻き分けて小さいゴブリンが走ってくるのを見かけた。

 

「......やるか」

シュ!

突如零が消えた。

 

「え、なに?」

狼狽える2人だったが

 

「ゴブリン狩ってきた」

「あ、ありがとう」

「おう」

そんな零の化け物要素を出しつつ、モンスターの多い洞窟や森林などを目指して一時間歩いた。

 

 

「あーーーー!!どこに行っても草原しかないっ!!」

「まあまあ、落ち着いて」

やけくそになって叫ぶ理沙に宥める楓。それを見つつ思考する零。

 

(どこもかしこも草原っていうのはおかしい。どこか隠しダンジョンでもあるのか?となると....)

「おーいサリー!そこら辺を適当に攻撃してくれ!」

「?分かった!【ウィンドカッター】!」

理沙が適当に放った【ウィンドカッター】が歪んだ空間を切り裂いて、その場の景色を正常に戻した。

するとそこには、地下へと続く階段が出てきた。

 

「え!?なんか入口出てきたよ!」

「なんで分かったの?」

「たまたまさ。ここまで何も無いのは逆におかしいと思ってな。ま、取り敢えず中に入るか!」

「「分かった!」」

三人は階段を降りていった。

 

 

 

 

「フッ!」

「よっ.....と!」

零の闇を払うものがゴブリンの体を切り裂き、理沙のダガーがまた違うゴブリンの顔面を切り裂く。

内部のモンスターは特別強い訳ではなかった為、サクサク進んでいく。

 

「また分かれ道.....」

楓が小さく呟く。

 

「どうする?2人とも」

「メイプルの好きなように」

「んーー。じゃあ...右!右は下に行ってるし、ボスがいるなら深いところだと思う!」

「おっけー、じゃあ右で」

三人は道を進んでいく。そして、少し大きめの部屋に入った。

その時、咆哮が響き渡り、地鳴りがする。

三人は直感した。これがボスの咆哮だと。

 

「ボスが何か指令を出したのかも、ゴブリンが集まってきてる!」

「俺がやろうか?」

「いや、ここは私たちがやる。行くよ!メイプル!」

「おっけー!」

 

 

 

 

ーー割愛ーー

 

 

 

 

「ボス部屋っぽい部屋発見!」

目の前には五メートル程の木製の扉があった。

扉を開き、中へ入ると広く薄暗い部屋だった。

天井までは十メートル近く、周りを見ると横幅も同じくらいだ。

奥には巨大な王座があり、そこには醜悪な顔をした巨大なゴブリンが座っていた。

こちらに気づいたのか、咆哮する。

 

グオオオ「エンハンス・アーマメント」

ピキッ

 

巨大なゴブリンが凍った。

そして、

 

「エンハンス・アーマメント」

 

粉・砕☆

 

「「ええええええええええええええ!!」」

 

 

 

 

 

このパターン多すぎだろぉ

 




新スキルで迷ってます.....。何かいいのがあったら言って下さい。
飛び跳ねて喜びます


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キリト擬きと第二回イベントPart2

「あれどういう事か説明して!」

「うんうん!」

「えーと、まずこの剣のスキルで凍らしてからこっちの剣のスキルで粉砕した。って感じです...」

零が楓達の前で武装完全支配術を使うのは初めてなのでかなり驚かれた。

零が説明し終えると

 

「ハア、なんだこのチートキャラは...」

「あ!宝箱があるよ!!」

「行こうぜ!」

「あ!ちょっと待って!」

零は楓をおんぶすると全速力で宝箱に向かった。

今のこの空気から逃げたかっただけである。

 

「開けるよ?」

「おっけー!開けちゃって!」

楓が宝箱を開ける。

中に入っているのは銀色のメダルが二枚と、瞬殺された可哀想なゴブリンのボスの得物であっただろうサーベルだ。使われる前に使用者が殺された可哀想な武器である。

 

「やった!メダルだ!」

「けど二枚だね...。どうする?」

「俺はいい」

「なんで?」

「夜、狩ってくるから」

「「わ、分かった...」」

その時の零は悪い顔をしていた。(byサリー)

 

「そ、それにしてもダンジョンごとにメダル二つなら...百五十もダンジョンがある...?」

「それはないと思う」

「どうして?」

「大量のプレイヤーが居て、百五十個のダンジョンを攻略するのに七日間もいるか?PKするにしても長すぎる」

「確かに...」

「まあ、予測でしかないんだけどな」

そう言って、零はサーベルを手に取って性能を見る。

 

 

【ゴブリンキングサーベル】

【STR+75】

【損傷加速】

 

 

「うおぉ...なかなかの脳筋武器だね」

「これ貰っていいか?」

「いいよ!ゼロはメダル譲ってくれたし」

「ありがとう」

零はサーベルをストレージのなかにしまうと、

 

「次のダンジョンに行こうか」

「そうだね。玉座の裏に魔法陣あるし、乗れば外に出れると思う」

「あと一つぐらいなら今日中に行けそうかな?スキルももつと思う!」

楓の【悪食】のことを考えると一日の内になるべく攻略しておきたい。

三人は相談を終えると魔法陣に乗った。

 

 

光が消えるとそこは元の草原だった。

 

「まず、この草原を出ないとな...」

「ど、どっちに行くのがいいのかな?」

「うーん....取り敢えず前進!あの高い山までずっと草原ってことはないと思う!」

「そうだな。じゃあ行くか」

「「おー!」」

三人は山を目指して歩き始めた。

 

 

 

一時間後

遂に前方に森林が見えてきたことで三人は活力を取り戻しペースを上げていく。

 

「や、やっと着いた〜〜!」

「結構深い森だね....」

「薄暗いな」

三人は森の中に入る。零が言った通り光をほとんど通していない。それに、藪も多いので奇襲には注意しなければならない。

 

「私が守って上げるよー!」

「本当、誰よりも頼りになるよ」

「メイプルがやられる攻撃って.....怖っ!」

楓が耐えられない攻撃を想像してしまい、零は体を震わせる。が、直ぐに周りを警戒し始める。理沙も周りを警戒しつつ楓の陰に隠れるようにして森を進んでいく。

しかし、奇襲など一回もなく三十分が過ぎた。

 

「何も出てこないね?」

「出てこなさ過ぎて逆に不気味だな」

「変なこと言わないで!」

静寂に包まれた森は零の言う通り不気味だった。

奥に行くにつれて本当に物音ひとつしなくなっていく。

 

「な、なにか話さない!?」

怖い系の物が苦手な理沙が叫ぶ。

 

「えっ!?い、いいけど?えーっと...」

「そういえばこういうの苦手だったな。お前」

平気な二人が元気付けようとするも、

ボッ

という発火音が聞こえ、ここに来て初めての物音なので三人は敏感に反応した。音のした方を向くと

 

青い人魂が数個ゆらゆらと宙に浮いている。

 

「ここはゲームここはゲームここはゲームっ.....!よし、大丈夫、大丈夫......」

「それ全然大丈夫じゃないよね!?」

「近づいて来ているぞ!サリーは大丈夫...じゃないな。逃げるぞメイプル!」

「うん!」

そう言うと、零は楓をおんぶして理沙に叫ぶ。

 

「逃げるぞ!着いてこいよ!」

「ま、待って〜!」

理沙は全力で零を追いかける。一人が嫌だから。

何故か人魂が現れてからモンスターも活気がつき、浮遊する髑髏、色とりどりの人魂、ゾンビや幽霊などお化け屋敷の恒例のメンツが揃っていた。

 

「くうっ.....!こんな森入るんじゃなかったっ!」

「おー!綺麗な炎!緑色とこかもあるよ!」

「今のサリーには逆効果だよ!メイプル!」

温度差が激しい二人が可笑しくて心の中で笑いながら森を駆け抜けていく。結局、戦闘はせずにボロボロの廃屋を見つけ緊急避難ということで入っていった。

 

「ボロボロだね.....探索しておく?」

「任せた」

「昔っから苦手だね〜」

「あれに慣れるのは無理。ゲーム内なら逃げ切れるだけマシだけど......」

理沙は疲れきった様子で廃屋にあった椅子に座る。楓は探索を初める。

零は.....

 

「行ってくる」

「どこに行くの?」

「言っただろ?狩りに行くって」

「アッハイ」

「イッテラッシャイ」

「おう」

 

 

 

 

 

 

 

ぎゃあああああああああ!!!!

 

 

 

 

 

夜の森にプレイヤー達の悲鳴が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー二日目ーー

 

「よーし、今日も頑張ろう!」

「おー!」

「お〜」

三人は軽い朝食を摂り、廃屋を出て森を突き進む。

いつもどうり、零が楓を背負い走るのに対して理沙が全力で走る。

時折理沙の休憩兼方角確認の為零が木に登り山の方向を確認する。

一時間それを続けたらとうとう森の終わりが見えてきた。

 

「よっし!抜けた!」

「んー!久しぶりに明るいから眩しいや...」

「........ねむい」

零は一晩中全力疾走してプレイヤーを探しながらダンジョンも攻略していたのでかなり疲れている。

しかし、その結果メダルは十枚程集めることが出来た。

 

「この環境の変わり方はゲームじゃないとありえないよねー」

「次はどんな景色が待ってるか分からないのはワクワクするよね!」

森を抜けた先はほとんど草の生えない荒地となっていて、それが山岳地帯まで続いている。その荒地の中三人は会話しながら進む。

索敵のしやすい地形なので、遠くに歩いている三人のプレイヤーら式人影を見つけた。

 

「どうする?誰かいるよ」

「装備はどうする?【悪食】は取っていた方がいいよね」

「俺がやろうか?」

「敵意がないかもだからそれはいい。【悪食】は使えた方がいいね。即戦闘になるなら....【カバームーブ】で突っ込んで行けた方がいい...後は...」

理沙が二人に小声でもう一つの作戦を伝える。

 

「「了解」」

三人は警戒心を強めつつ進む。零と楓は前回イベントでワンツーフィニッシュを決めているので大抵のプレイヤーは知っているだろう。

しかし、人によってはメダル欲しさに襲ってくる可能性がある。

そうして進むうちに向こうの三人もこちらに気づいたのか立ち止まって話し合っている。

そして、武器を構えることなくこちらに歩いてきた。

 

「いやー初めて人に会えたと思えば...まさか前回ランカーとは...」

「本当ビビったわ...俺らに戦闘の意思は無いんで出来れば見逃して欲しい...!」

「俺達今から登山だからなあ...無駄にスキル使いたくないんだ」

「なるほどー。私達も今から登山なんですよね。きっとあの山には何かあると思うんですよ.....」

三人も同意見のようで同行させて貰えないかと申し出てきた。

 

「どうする?ゼロ、サリー」

「......いいんじゃない?」

「右に同じ」

六人で登山することになった。

 

「じゃあ、私とゼロが先頭行くから....メイプルは三人の前に立って守るって感じで」

「おっけー!どんなモンスターでも守ってみせるよ!」

楓が大盾を構えそう宣言する。

 

「頼もしいな」

「本当にな」

後ろでボソボソ言ってるのを聞きながら歩く。

途中、モンスターが何体か襲ってきたがメイプルが守るまでもなく全て零が倒してしまった。

そうこうしてるうちに、目的地に近づいてきた。

 

「よっし、もうひと頑張り!」

楓が大きく伸びをすると、

 

「かかれれ【鎧砕き】!」

「【ディフェンスブレイク】!」

「【スルーブレイド】!」

楓の後ろにいた三人が一斉に斬り掛かり、防御貫通スキルが楓に迫る。

 

「エンハンス・アーマメント」

三人が凍りつき、

 

「【ウィンドカッター】!」

風の刃が粉々にする。

 

 

 

 

 

「本当に襲ってくるとは...」

「メイプルとゼロは狙われる理由あるしね。警戒しててよかったでしょ?」

「そうだな。まあ、メダルもないし、登山の続きをするか」

「「おー!」」

三人は再び歩き始めた。




スキルが....スキルが思いつかねぇ....

いい感じのはないですかねえ


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キリト擬きと第二回イベントPart3

「この山は他のプレイヤーも目指してるだろうし、先を越されないようにしないとね」

「そうだね、できるだけ急ごう」

「頑張りますか」

三人どんどん山をのぼって登っていく。

零達が登っているのは一番高い山なので他のプレイヤーも登っている可能性は高い。

時々来るモンスターを対処しつつ登る。

 

そして、ようやく山頂にたどり着いた。

山頂は綺麗な円形をしており、中央には石で出来た祠があり、その前には白く輝く転移の魔法陣がある。

三人が魔法陣に近づこうとした時、三人が登ってきた反対側から四人のプレイヤーが登ってきた。

向こうも零達に気づいたようで、三人の方を見る。

これはPVPになるなといつでも戦闘できるよう、準備する零と理沙だったが

 

「あっ!...クロムさん!」

「おっ?...メイプルか...ここで会うとは思わなかったな......ああ、俺達に戦闘の意思は無い。勝てるとは思わないしな」

そう言うとクロム達は武器をしまい、両手をあげる。

 

「私も戦いたくないです...いいよね、ゼロ?サリー?」

「まあ、そうだね。私達も浪費はしたくないし....」

「一応、警戒はしておいた方がいいかな」

絶対に安全とは言いきれないので、警戒はしておく。

 

「それで...この祠どうするの?どっちかしか報酬は貰えないんじゃないの?」

「それに関してはどうする?」

理沙の言っていることはもっともで、楓かクロムのどちらかが先に入ることになり、もし攻略に成功したら報酬は無くなってしまう。

楓はしばらく考えると話し出した。

 

「んー........ゼロ、サリー。クロムさん達に譲ってもいい?」

申し訳なさそうに話を切り出した楓に零は

 

「それがメイプルのしたいことなら、俺はそれに従うよ」

「私も...ただし、後悔しないこと!それが条件!」

「分かった!....どうぞ、先に行ってください!」

楓がクロム達に言うと、

 

「いいのか?こういうのは普通早い者勝ちだと思うが....」

「いいんです!私の気が変わらない内に行った方がいいですよ?」

「ありがとうな」

クロムはそう言うと魔法陣に乗って消えていった。

理沙が楓に聞く。

 

「よかったんだね?」

「うん!フレンドと戦いたくないし」

「後悔してないならいいかな....今頃あっちは戦闘かな?」

「かもしれないな」

「どうする?せっかくここまで来たんだし、終わるまで待ってみる?」

理沙がそう提案した時、魔法陣が再び光だした。

再侵入可能の印だ。

 

「「「えっ!?」」」

三人が驚く。

クロム達が入ってからまだ一分程しか経ってないのだ。

 

「ど、どういうこと!?」

驚く楓に理沙が自分の考えを話し始める。

「予想できるのは二つ。ひとつは転移後に装備やメダルを回収するだけだったから速攻で終わった。もうひとつは...」

「超強いモンスターに瞬殺された....か」

零の言葉に理沙は頷く。

 

「それは...」

「後者の方が可能性は高いな...。装備品とかだったらもう一度挑戦出来るのは変だ」

幸い他のプレイヤーは登ってきそうに無かったため、三人はお互いにステータスを確認しあって戦略を立ててから挑むことにした。

 

「私は、【破壊成長】で鎧が【VIT+40】になってるのと、HPが増えたぐらい。スキルはバッチリ温存してあるよ」

「私もあんま変わってない。【超加速】も回復したし、【蜃気楼】も残ってる」

「俺は....隠してたがイベント前にこういうスキルを手に入れた」

零がスキルの内容を説明すると

 

「チート過ぎ!」

「ずるいよお」

理沙は驚き、楓は羨ましがっていた。

その後も二十分程相談した。

 

「よし!行こう」

「おう!」「うん!」

そして三人は光になって消えていった。




零くんが手に入れるスキルは次話で分かります。



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キリト擬きと第二回イベントPart4

三人の視界がだんだんとクリアになる。

それと同時に楓は奇襲に備え大盾を構え警戒するが、恐れていた強力な一撃ぱいつになっても来ない。

それどころか、モンスターが一匹も居ないのだ。

三人は警戒を続けつつ周りを見渡す。

ここは円形の広い空間だった。

壁は結晶に覆われ、天井は吹き抜け。そして、正面の壁の結晶の一部が突き出していて、その上に鳥の巣があった。

 

「おっけー......分かった。絶対鳥型のボスが来る。【大海】は使えないかも」

「俺もこいつの武装完全支配術は使えないかもな」

零が青薔薇の剣を抜きながら言う。

 

「どうする?巣に近づいてみる?」

「.....慎重にね。多分近づいたら来る。」

三人は警戒しつつゆっくり鳥の巣に近づいていく。

残り五メートルまで近づいたその時。

 

ゴオオオオオオオオオオオオン!!

 

上空から轟音と共に、何かが広間に撃ち込まれた。

三人は辛うじて後ろへと飛ぶ退くことで躱すことが出来た。

落ちてきた物体は鋭く尖った氷だった。

氷に続き雪のような白の翼を持った怪鳥が急降下してくる。

鋭い嘴に爪。強者の風格を身に纏い怪鳥は広間に降り立った。

すると、怪鳥の左右に魔法陣が出現する。

そこから、視界が埋め尽くされる程の大量の氷の礫が射出される

 

「俺がやる!エンハンス・アーマメント!」

零が闇を払うものの武装完全支配術を発動させる。

白銀の巨大レーザーが氷の礫と衝突する。

 

ドオオオオオオオオン!!

 

どうやら怪鳥は他のモンスターよりも賢いらしい。

礫とレーザーの勝負はこちらが勝っていたが、怪鳥が魔法陣を一つに纏めることにより五分五分になる。

しかし、威力と引替えに隙間が出来てしまった。

チャンスとばかりに理沙が飛び出し、【カバームーブ】で無理やり楓が追いつく。

怪鳥までの距離が三メートル程に達したところで怪鳥が耳障りな鳴き声を出す。

すると、真っ白な魔法陣が床全体に広がる。

 

「やっば........!」

轟音と共に広間の地面を貫いて極太の氷の棘が生えてくる。それは、一メートル程伸びて床を埋め尽くした。

 

 

 

 

 

楓の周り以外は。

舞い散る雪煙の中、楓が地面に向けていた大盾を構え直す。

 

「.........助かった!ナイスメイプル!けどゼロは!?」

「俺は大丈夫だ!」

楓と理沙が声かした方を向くと、漆黒の翼が生えた零の姿があった。

 

(危なかった.....【龍翼】が無かったらやばかったな)

零は寸でのところで黒龍の指輪の【龍翼】を発動させ、空へ飛翔することで難を逃れた。

零の無事を確認すると、理沙は氷の棘を蹴って跳ねるように怪鳥に近づいていく。

怪鳥は爪で理沙を捕獲しようとする。

その速さは理沙にも匹敵する程だが、

 

「【超加速】!」

急激な加速にほんの一瞬だけ怪鳥の反応が遅れる。それは、戦闘において致命的な隙だった。

 

「【カバームーブ】!」

一瞬で距離を詰めた楓が振るった大盾は理沙へと攻撃するところだった爪を足ごと飲み込んだ。

そこに、上空から零の声が聞こえた。

 

「ナイスだ!メイプル!【ヴォーパルストライク】!!」

龍翼で上空まで飛んだ零はそこから高速で急降下し、アインクラッド流の技を放った。

元々高威力な技のため、高所から急降下してきた勢いも合わさり怪鳥に大ダメージを負わせた。

 

怪鳥が痛みと怒りから大声で鳴く。

しかし、その行動も隙を作るだけだった。

 

「【毒竜】!」

三つ首の毒竜が怪鳥に襲いかかる。

楓は滴り落ちた毒で溶けた氷の上に着地し、理沙は更に少し離れて様子を伺う。

零は闇を払うものの武装完全支配術で追い討ちをかける。

 

 

グガアアアアアアアアアアア!!!

怪鳥から凄まじい冷気が発せられ、怪鳥に噛み付いていた毒の竜が凍りついていく。そして、パリンという高い音とともに割れてキラキラと輝いて落ちていった。

 

「HPバーが三割しか減ってない!?」

「嘘...!」

「おいおいマジかよ....!離れろ!」

零と楓の攻撃で決めるはずだった三人にとってそのHPの減り具合は驚きだった。

驚く三人をよそに、怪鳥は周囲の地面から生えている氷の棘を折り、集めて弾丸として打ち出す。

それに零はいち早く気づき二人に避けるよう言うが、少し遅く理沙は反応出来なかった。

しかし、

 

「【カバームーブ】!【カバー】!」

理沙の前に移動した楓が大盾を下ろしてその凶弾を受け止める。

その体からは赤いエフェクトが出ていた。

 

「くぅっ....これ貫通するっ!【瞑想】!」

【カバームーブ】の弊害でダメージが二倍。一撃一撃が楓のHPを一割ずつ削っていく。

 

「【ヒール】!」

「【スピニングシールド】!」

零が楓の前に出てくる。剣を体の前で風車のように回転させ盾にすることにより、楓のHPを【ヒール】で回復させる。

怪鳥の猛攻を受けること二十秒。

氷の暴風は止み、荒れた地面が残る。

 

「いくよ!」

「おう!」「うん!」

零は上空に飛び、楓は右に、理沙は左に駆ける。

怪鳥が狙ったのは理沙だ。猛スピードで突進してくる。

 

「集中!」

自分に喝を入れて、怪鳥を見据える。

突進と共に氷の礫が飛んで来るが、突進中のためか礫には隙間が多かった。

理沙ならば回避するのは容易だった。

 

「【跳躍】!」

怪鳥の突進を見切り、その体のギリギリを飛び越えていく。

 

「【スラッシュ】!」

【状態異常攻撃】を使用し、麻痺毒を注ぎながら切り裂くのも忘れない。積もり積もって隙が生まれる可能性があるからだ。

 

怪鳥が振り向き、翼を広げ羽ばこうとする。

 

「エンハンス・アーマメント!」

白銀のレーザーが怪鳥に突き刺さる。

その隙を狙い、

 

「【毒竜】!」

毒竜が怪鳥に迫っていく。

羽ばたく瞬間レーザーで狙われ、体勢が崩れたところに来る楓の攻撃に怪鳥は為す術もなかった。

毒竜の三つ首全てが怪鳥の胴体にヒットする。

 

「【ウィンドカッター】!【ファイアボール】!」

隙あらば理沙も攻撃に加わる。少しでも多くのダメージを蓄積させなければならない。

しかし、毒竜の毒は再び凍らされ払い落とされる。

瞬間

もう一度、白銀のレーザーが怪鳥を襲う。

 

グガアアアアアアアアアアア!!!

怒った怪鳥は零に突進する。

 

避けようとするが、間に合わず

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪鳥の翼が零の体に叩き付けられ、爪が零の体を引き裂く。

零の青薔薇の剣が怪鳥を突き刺す。

 

 

【不屈】で耐えるとしても二連撃の前に零は倒された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ように思われた。

 

「リリース・リコレクション!!.............咲け-------青薔薇!!!」

 

 

 

怪鳥が凍りつき、その体には巻き付くように氷で出来た青薔薇が満開に咲いていた。

 

 

 

 

怪鳥には氷の魔法が使えるから凍らせても無駄のように思えるかもしれない。

 

 

 

それはきっと正しいだろう。

 

 

 

 

()()()()()()()

 

 

怪鳥を凍らせているのは、

『全てを凍てつかせる永久氷塊』の氷である。

 

 

 

 

 

 

鳥を一羽凍りつかせるぐらい余裕だ。

 

 

 

凍った怪鳥は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)】!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な光の剣によって一刀両断された

 

 

 

 

 

 

 




零くんの新スキルはfgoから取りました


あと、幻獣について全く決まってません。助けてください

いいのあったら教えてください


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キリト擬きと裏事情

お気に入りが100件を超えました!

ありがとうございます!!


「あああっ!銀翼がやられたっ!」

「殺傷能力が高いスキルを詰め込んだ俺達の悪意の塊が?」

「誰に、誰にやられた!?」

「これだ!」

「メイプル!?マジか!?おいおい...流石に銀翼は無理なはずだろ...?」

「機動力が足りないはずだ。ありえない」

「ああっ!卵!幻獣の卵が持っていかれるってことか...」

「中身は!?」

「狐と亀。まあ、まだマシな方だが...」

「ああ...ありえねえ。メイプルに取られるなんて....」

「手の空いてる奴はメダルで取れるスキルにチェック入れ直せ!変な使い方ができそうなスキルがないか再確認だ!」

「おー!」

「..........あ!忘れてた!」

「何をだ?」

「幻獣の卵だよ!あいつもあること忘れてた!」

「あいつって....それやばくないか!?」

「.......」汗ダラダラ

「おい!これ見てみろ!」

「何だ?」

「このゼロとか言うやつやべーぞ!あいつ、俺達が作った五大超難関クエストの内四つクリアしてる.......」

「「「「な、なにーーーーー!!!!」」」」

「あの銀翼よりヤバイやつか!?」

「ああ....レベル10以下で超厳しい修行と銀翼よりは弱いがそれでも強いドラゴンとNPCを倒さなければならない『青薔薇の竜騎士』。

自分のレベルの五倍のドラゴンを瀕死まで追い込みその後に最上級悪魔を倒さなければならない『竜王の力』。

十二体の銀翼並のモンスターとそれ以上のモンスターを一体倒さなければならない『十二の試練』。

普通のボスモンスター並が三十人、銀翼より少し弱いが普通に強いのが十五人、銀翼より強いNPCを一人倒さなければならない『円卓の騎士達』。

このゲームの中で最強のNPCを倒さなければならない『闘神との戦い』。その内、『青薔薇の竜騎士』、『竜王の力』、『十二の試練』、『円卓の騎士達』をクリアしている」

「それぞれ、チート級なスキルが手に入る...あのクエストの内四つを!?」

「やべーぞ!」

「どうする?修正を入れるか?」

「........いや、このままでいい」

「なんでだよ!」

「こいつがどうなるのか気になるだろ?」

「そりゃあ.....気になるけど」

「じゃあ決定だな。修正は入れない!」

「はーい」

「じゃあ、各自自分の仕事に戻ってよし!手の空いてる奴はメダルで取れるスキルのチェックなー」

「はーい」

「........あのー。皆さんに報告したいことが......」

「何だ?」

「実は幻獣の卵にあれが入ってまして.......」

「マジで?」

「.......」コクコク

「何やってんだてめえぇぇぇぇぇぇええええ!!!!」

「すみませぇぇええええええええええええん!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

運営側では

こんなことがあったとさ

 

 




幻獣どうしよ......


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キリト擬きと第二回イベントPart5

「ふぅ......疲れた。あの二つよりまだマシだったけど.......」

「いやー。聞いてた以上に凄かったね。そのスキル」

「かっこよかったよ〜!」

「ありがとさん」

二人はあらかじめあのスキルを使うことを聞いていた。

 

()()()()チートすぎるでしょ」

そう()()あるのだ。

 

 

時は作戦会議の時に遡る。

 

「俺は....隠してたがイベント前にこういうスキルを手に入れた」

零がスキルの内容を説明すると、

 

「チート過ぎ!」

「ずるいよお」

理沙は驚き、楓は羨ましがっていた。

そのスキルの能力は

 

 

 

 

【十二の試練】

自分のレベルの半分以下の攻撃が効かず、死亡しても自動的に蘇生する。

蘇生のストックは十一回。

一週間でストックは回復する。

 

取得条件

エクストラクエスト『十二の試練』をクリアする。

 

 

 

約束された勝利の剣(エクスカリバー)

騎士王の持つ聖剣を一時的に顕現させ、巨大な光の斬撃として放つ。

放たれた一撃は金色の奔流となり、斜線上にある全てを消し飛ばす。

代わりに自身のMP全てを使う。

 

取得条件

エクストラクエスト『円卓の騎士達』をクリアする

 

 

 

チートもいいところである。

 

 

 

 

 

 

時は戻り現在

三人は部屋の探索を始めていた。

 

「二人は怪鳥をお願い。私は鳥の巣を見てくる」

「わかった」「おっけー」

二人は光となって消えた怪鳥の付近に向かう。

 

「あっ!素材が残ってる!」

「よかったな」

「うん!」

落ちていたのは零を貫いた大きな爪が六つと真っ白い羽が十四枚あった。

 

「メイプルー!ゼロー!ちょっと来てー!」

理沙が大きな鳥の巣から叫ぶ。

二人は走り下から理沙に問いかける。

 

「上まで行った方がいい?」

「うん!【カバームーブ】で来て!」

「おっけー!【カバームーブ】!」

「........どうしよう」

楓は【カバームーブ】で行けたが、零は現状上に行く手段がない。

【竜人化】で飛翔すればいいが、【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】を使った為MPが空なのだ。

 

「.....いけるか?」

零は少し後ろに下がり、助走をつけ

 

 

 

 

 

 

 

壁を走った

 

 

 

 

 

「ふぅ.....意外といけるもんだな」

「ふぅ.....意外といけるもんだな。じゃない!」テシッ

「いてっ」

「凄いね〜」

壁を走り、鳥の巣に着いた零に理沙が軽く頭を叩く。

 

「これを見て」

理沙が視線を移した場所には五枚のメダルと三つの卵があった。

「これ....怪鳥の?」

「色合い的に違うと思うぞ」

「なんの卵かは分からない....けど持って帰れるみたいだよ。誰が最初に選ぶ?」

「ゼロでいいと思う!」

「私も。今回のMVPだし」

「いいのか?」

「うん」

零は卵を見る。

ひとつは、深い緑の殻の卵。

ひとつは、淡い紫色の卵。

ひとつは、輝くような黄色の卵。

 

「じゃあ......これ」

零が手に取ったのは、黄色の卵だった。

 

「メイプルはどうする?」

「先に選んでいいの?」

「いいよ。お好きな方をどうぞ」

楓に選ばれたのは緑の卵でした。

 

「じゃあ....緑が好きだからこっちで!」

「それじゃあ、私はこっちね」

三人が卵の情報を確認する。

 

 

【モンスターの卵】

温めると孵化する。

 

 

 

「情報が少ない」

「だよね.....モンスター出てきたら嫌だけど、テイム出来るかも知れないしなあ」

「テイム出来たら熱いな」

このゲームにはサモナーもテイマーも居ないので可能性は低いが、怪鳥の討伐難易度を考えると有り得なくもない。

三人は取り敢えず卵を持って帰ることにした。

 

怪鳥のドロップは三人で均等に分け、余りは理沙にあげた。譲ってくれたお礼だ。

三人は巣から降りて帰るための魔法陣に向かう。

 

「魔法陣三個あるよ?」

楓の言う通り、現れた魔法陣は三つある。

違う場所に繋がっていると考えるのが妥当だろう。

 

「ゼロ、サリー。どれがいい?」

「【悪食】もないし戦闘の少ない所がいいよね....」

「MPないから休める所がいい」

理沙はしばらく悩み、一つの魔法陣を指さした。

 

「これで!」

「おっけー!じゃあ行こう!」

「おう!」

三人が魔法陣の中へ入ると、光となって消えていった。

残ったのは、激戦を物語るボロボロの部屋と零が付けた深い大きな溝だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボス部屋に深くて大きな溝作る【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】の威力えげつな

 




休憩でゲームしてたら途中から書き直しになってショックを受けたころころです。


零くんのドロップ増加で銀翼のドロップアイテムが増えてます


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キリト擬きと第二回イベントPart6

魔法陣から三人が現れる。

楓は奇襲攻撃に備えて大盾を構える。

 

「大丈夫そう...かな?」

三人で周囲を確認する。

辺りには廃墟が広がっており、倒れた建物の跡が幾つも残っていた。

山岳地帯の位置から考えると、現在地はスタート位置の真反対らしい。

 

「取り敢えずいい方向には来れたかな?」

「でも、もう誰かが探索しちゃってるかも」

「まだ二日目だし...隠されてるような所は見つかってないはず」

「魔法陣の転移先だし、ここには何もないだろうな。」

流石に、転移先の傍にメダルを配置することはないだろう。

安全な場所を探しつつ、探索もするという方針で廃墟を歩き回る。

 

「....プレイヤーが三人いる。どうする?」

「出来れば戦いたくないかな...【悪食】もないし...負けたら不味いし」

「俺が行こうか?」

この中で一番速く、攻撃力もあるのは零だ。奇襲攻撃をしたら、かなりの確率で成功するだろう。

 

「んー....じゃあお願いしようかな。私達はあの森に入っておくから。終わったら追いついて来てね。行くよ!メイプル」

「分かった!」

そう言うと、楓と理沙は森の方へ行ってしまった。

 

「それじゃあ......やりますか!」

零が走り出す。

まず、一番近くにいるやつにあえて分かるように近づく。

 

「っ!はあっ!」

こちらの存在に気づき攻撃を仕掛けてくるが、それをするりと避けカウンターをくらわす。今の零なら普通のプレイヤーならワンパンで倒せる。

一人目を倒すと、二人目に気づかれないよう走り背後から首を掻っ切る。

三人目は、魔法を撃ってくるが【反魔の意思】を剣に纏わせ魔法を叩き斬る。すると、魔法が跳ね返り三人目も自分の魔法で倒れた。

 

「メダルは......お!一枚ある!」

現在このパーティーは零が夜にプレイヤーを狩ったり、ダンジョンを攻略したおかげで今の一枚を加えると十八枚ある。

残り十二枚。今はもう日が落ちかけているので、あと四日だろうか。

それほど時間があるなら、十二枚集めることは容易いだろう。

 

「メイプル達と合流するか.......ん?あれは.....ペインとドレッドだ!

おーーい!ペインー!ドレッドー!」

「ん?」

「何だ?.....ヒィ!」

二人は零が見えた途端逃げ出した。

 

「なーんで逃げるんだい?」

「え!もう追いついてきやがった!」

「何メートル離れてると思ってんだ!」

「逃げんなよー。前のこと根に持ってる?」

全力で逃げる二人の最強プレイヤー(規格外の三人を除く)とふざけながら走る零という構図は、ペインとドレッドを知るものなら爆笑ものだろう。

 

「根に持つに決まってるだろ!なんだよ、毎日最低三回もPKするって!PKしなくてもHP1にまで追い込んで!そんなに俺達をいじめるのが楽しいか!この外道!」

「」コクコク

「お前のせいでペインはな!お前を見ると言葉を発しなくなるんだよ!全部お前のせいだ!何とかしろ!」

「外道はひどいと思うな〜。責任の押し付けも酷いし。俺なんにもしてないよ〜。ただ毎日挑んでるだけで」

「それが迷惑なんだよ!!」

何してんだおい

 

それからしばらく経ったら

 

「あ、もうこんな時間だ!メイプル達に怒られる!じゃあね!二人とも

!」

そう言って零は森の方へ行ってしまった。

 

「「た、助かった〜〜〜!!」」

ほんとに何をしたんだお前

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃楓達は

美味しくご飯を食べてました。

 

「ごめん!ちょっと遊んでたら....」

全速力で走った零は、ご飯を食べていた楓達を発見した。

 

「ごめんじゃない!遅すぎでしょ!ちなみに今何時だと思う?」ゴゴゴゴゴ

「夜の......十一時です......」

「遅いんじゃあ!このハゲ!」

「まあまあ、落ち着いてサリー。で、何をしてたのかな?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「........追いかけっこして.......ました......」ブルブルブルブル

「誰と?まさか女の子なんて言わないよね?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「..............ペインと......ドレッド......です」ブルブルブルブル

「じゃあ......許す!」満面の笑み

(メイプルがすごく怖いっ!)

「........ホッ」

楓だけは怒らせないようにしようと決意した零だった。

 

 

 




零はペインとドレッドを毎日最低でも三回はキルしてます。

そして怒られる零くん

将来はしりに引かれそうですね。


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キリト擬きと第二回イベントPart7

「リリース・リコレクション!」

何故いきなり記憶解放術を使っているかというと、

二時間程前に遡る。

 

 

 

 

 

二時間前

「遅れた罰として、朝までモンスターとの戦闘は全部お願いね!」

「えっちょっ!」

「お願いね?」ニッコリ

「アッハイ」

「じゃあ行こ!メイプル!」

「うん!」

「........ハア」

「なんか言った?」

「何も言ってません!」(怖えぇよ)

 

 

 

 

 

五分程前

光る竹を見つけそれを切るとメダルがあった。

それを取ると大量の兎のモンスターが出てきて

現在に至る。

 

「きりがない...な!」

「頑張れー!」

「ガンバ」

「あいつらなあ......」

百を超える兎の大群を凍らせたり、斬ったり、ビーム撃ったりして倒していった。

 

 

三十分後

 

戦闘が終わった後の竹林は無残なことになっていた。

一部は凍っていたり、一部は何かが放たれ抉れた跡があり土が焦げていたり、真っ直ぐに伸びていた竹は途中で切り落とされていたりして地獄絵図だった。

 

「疲れた....」

「おつかれー!」

「お疲れ様!」

「なんで......なんでボスが出てくるんだよー!!」

「知らんわ!」

「あはは」

そう。零は量の多さにムカつき、光る竹と兎で月という答えに辿り着き、闇を払うものの武装完全支配術を月に撃ったのだ。

そうしたら、月からロボのようなものが降ってきた。

そのボスを倒したところでまた新しいボスが出てきたりして大変だったのだ。

月の大事な建造物を壊してしまったのだろうか。

しかし、興味深いスキルが手に入った。

 

 

 

【絶対命中】

射撃系の攻撃が絶対に命中する。

 

取得条件

圧倒的に距離が離れている物に射撃系の攻撃を当てる

 

 

実はこれ心意のおかげである。零が怒りそれをスキル【心意】が力に変化させ、いつもより射程距離がだいぶ伸びたのである。心意さまさまである。

それがマジで月に当たり運営が泣いたのは知らない話である

ちなみに月をテーマとしたイベントを開催する予定で準備をしていたようだ。今回の零のおかけで白紙になりそうだが。

ボスも運営が送り出した刺客でだった。

 

「いやー災難だったねー」

「今日俺なんか運悪くない?」

「明日はきっといい事あるよ!」

「メイプルの優しさが沁みる〜」

自業自得な気もするが.......

 

 

 

 

 

 

コオッケコッコー

交代で見張りをしつつ眠った三人は日が昇り始めたので探索を再開した。

 

「メイプル。どっち行きたい?」

「じゃあ.........真っ直ぐ進んで森を突っ切っていこう!」

「りょーかい」

三人はそのまま真っ直ぐ進んで行く。

三十分ぐらい歩いたところで零が二人に小声で言う。

 

「背後と右にプレイヤーがいる。俺が合図を出したら跳んでくれ」

二人は軽く頷く。

 

「今だ!」

「「っ!」」

「エンハンス・アーマメント!」

零達を狙っていた二人は氷漬けにされていた。剣を軽く振るとその氷は粉々に砕ける。

メダルはなかった。

 

「ゼロとメイプルを狙うのは無謀だと思うんだけどなぁ....私なら絶対狙わないよ.....特にゼロは....」

あいつに勝てたらやべーぞ。メイプルと戦ったら心意でメイプルの硬さを超えそう。

 

 

 

森を再び進むこと三時間。

だいたい昼頃だろうか。ようやく森の外の景色が見えた。

 

「おー.......」

「すご.......」

「高いな〜」

三人の前に広がるのは渓谷だった。

谷底は深い霧に覆われていて、全貌は把握出来ない。

 

「ここ、誰か探索してるかな?」

「これだけ広かったら探索漏れもあるだろ」

零の言う通り、かなり大きいのだ。

ここから下まで最低でも百メートルは絶対にある。

 

「そうだね。じゃあ、どうにかして降りてみようか」

「メイプルは俺がおぶっていくよ」

「ありがとう!」

そう言うと、零は楓をおぶり..........ってあれ?背負ってないぞ。

お姫様抱っこしてるではないか。そこ変われ。ゴホン

楓を抱っこすると、助走をつけ谷底へダーイブ!

 

「ぇぇぇぇぇぇええええええええええええ!!」

「【龍翼】!」

零の背中に漆黒の龍の翼が生える。

地面が見えてくると、羽を動かしゆっくり着地する。

 

「大丈夫か?」

「...........」ポカーン

「気絶して........いる!?大丈夫か!おい!しっかりしろ!」ブルブルブル

零は激しく楓の肩を揺らす。

 

「............ハッ!」

「あ、起きた」

「ん?なんか妙に肩が痛いような.....」

「気のせい気のせい」

零はさっきのを誤魔化す。

すると、楓は理沙にメッセージを送る。

 

【先に探索しとくね。着いたらメッセージ送って】

 

送って十秒ぐらいしたら、理沙から返事が帰ってきた。

 

【分かった。こっちは時間かかりそうだから】

 

「サリーは時間かかりそうだってさ」

「分かった。じゃあ行くか」

そう言って、探索を進める二人。

 

「それにしても、霧が濃くて前がよく見えないな」

「そうだね。もしかしたら見逃したメダルがあるかもね!」

「そうだな」

談笑しながら歩く二人だが、なにか見つけたようだ。

 

「ん?あれはなんだ?」

「どうしたの?」

「いや、あそこになんか.......祠?みたいなのないか?」

「あ!ほんとだ!」

ギリギリ分かるレベルだが少し離れたところに祠のようなものがある。

二人はそれに近づいていく。

 

「何もないな」

「メダルあると思ったんだけどなあ」

メダルがあるとふんだ二人は何もなかったので、少し落ち込んだ。

しかし、そんな二人に不運が訪れる。

 

ボコッ

 

「ん?」

「え?」

 

「「ぇぇぇぇぇぇええええええええええええ!!」」

底が見えない程深い落とし穴へ落ちてしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

マシで運悪いなお前




FGOの今回のイベントのガチャでクー・フーリンオルタが出てくることを知り、家の姉が喜んでた。
僕は金鯖が出たと思ったら持ってるけど使ってないキャラが出てきて泣いた。悲しい


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キリト擬きと第二回イベントPart8

「「ぇぇぇぇぇぇええええええええええええ!!」」

底が見えない穴に落ちてしまった二人。

 

ドサッ!!

なんと落下していた時間三秒。

 

「あれ?思ってたより浅い?」

「いや、多分黒い膜みたいなのがあるんだと思う」

「なるほど...」

「けど、ここはどこだ?」

「意外と広いけど...あ!道があるよ!」

意外と明るい場所だったのが幸いし、今いる所がどのような場所か確認出来た。

少し広く、前方に道があった。それ以外あまり変わったところはなく、取り敢えず進んでみることにした。

 

「隠しダンジョンかな?」

「多分そうだろうな。元々霧が濃くて見にくいのに、見つけにくい場所にあったからな」

「だったらメダルあるよね!」

そんなことを話しながら進んでいく。

途中モンスターが出なかったのでスムーズに行けたが、零はそれを疑問に思っていた。

 

(普通ダンジョンはモンスターが出るはず.......ダークドラゴンの時のように強いモンスターが出てくるかもしれないな.....)

「強力なモンスターが出てくるかもしれないから気を付けろよ」

「分かった!そのときは防御は任してね!」

「おう!こっちも攻撃は任せろ!けど、もしもの時は俺が守るからな」

「う、うん」ボッ

楓が照れたそのとき、突如上から壁が落ちてきた。

壁には顔が掘られており、少し不気味だった。

 

『ここから出たいか....』

「へ?」

「しゃ、喋った!?」

『ここから出たいか.....』

「「は、はい!」」

喋ったことに驚いたが、顔の質問に答えた。

 

『ならば我が三つの試練に挑んでもらおう。それを突破出来たのならここから出してやろう。しかし、突破出来ないのなら一生ここにいてもらう。』

「それで三つの試練って?どんなことをするんだ?」

『慌てるな。まず、第一の試練は........自身の秘密を一つ暴露しろ』

「「は?」」

「ええ......そんな、恥ずかしいよお......」

「..........」ゲシゲシ

『蹴るな!』

第一の試練の内容に楓は恥ずかしがり、零は顔を蹴っていた。

零のSTRはかなり高い方だが一向に壁は削れそうにない。

 

『だから蹴るな!一生ここで暮らしたいのか!?』

「チッ」

『あ!今舌打ちした!もう許さないかんな!』

「ごめんなさい!ほら、ゼロも謝って!」

「反省はしてるが後悔はない」

『いや後悔もしろよ!ていうかなげーよ!はよ言え!』

顔がキレたところで早速言ってみよー

 

「わ、私は......実は身長を伸ばそうとして毎日ストレッチしてます!」

「プッ」

「わ、笑うなー!」

楓の秘密に吹いてしまう零だったが、それを誤魔化して自分の秘密を言う。

 

「まあまあ.......次は俺かな。俺は.....父さんと母さんの結婚記念日にサプライズでこのゲームと他に何かプレゼントしようとしてる。」

「そうなんだ!きっと喜ぶよ!」

「そ、そうかな....』

『では、第一の試練突破だ』

「で、第二の試練は?」

さっさと帰りたいのか第一の試練突破と聞くと、次の試練の催促をする。

 

『まあ、慌てるでない。第二の試練は...........自分にとって相方はどのような存在かを言え』

「ハッ!」ドカーン

『イダっ!だから蹴るなって!さっきの本気で蹴っただろ!おい!』

「.............」

『無視かコノヤロー!』

「落ち着いて落ち着いて」

零が顔を蹴り、顔がそれに怒って、楓がそれを宥める。

本日二回目なのだが。

まあ、とにかくいってみよー

 

「言えばいいんだろ!いえば!.........俺にとってメイプルは....落ち込んで塞ぎ込んでた時に手を差し伸べてくれて....なんて言うんだろ。こう....自分の命にかけて守りたいそんな人だ」

「..........」ポッ

『ヒューヒュー!青春してるねぇー!』

「うっせ」

珍しく照れる零。

 

『それで、そっちの女の子は?』

「私はにとってゼロは......強くてかっこよくて.....でも。子供っぽくて可愛い一面もあって.....とっても大好きな....人...です...」プシュー

顔から湯気が出るほど熱くなり、真っ赤にする楓。

ちなみに、零も顔を真っ赤にしていたりする。

 

『甘すぎだろ....アオハルかよ(ボソッ).....えー第二の試練突破!』

「だ、第三の試練は?」

かなり照れている零くん。こんな調子で第三の試練を突破することが出来るのか。

この流れだと、結構恥ずかしい命令が出てきそうだが.....

 

『それでは第三の試練を言い渡す.......キスしろ』

「「え?」」

『キスしろ』

「「はあああああああ!!」」

いきなりのキスしろ発言にかなり動揺する二人。

 

「........」プシュー

「ふざけんな!なんでこんな所でキスしなきゃいけないんだ!」

『キース!キース!』

「蹴り砕いたろか.......なあメイプル!お前も言ってくれよ!嫌だって!」

「ゼロは私とキスするのいや.....なの?」

「嫌じゃないです!」

零はもうやけくそだった。

 

「......いくぞ」

「...う、うん」

「....なあメイプル」

「なに?っ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!いたいた!」

二人はあのダンジョン?から脱出して理沙と合流した。

 

 

 

 

 

そのとき零と楓は顔が真っ赤だったという。

 




クーフーリンオルタが二枚でた.........
その後李書文も出た。
姉のデータではオデュッセウスとキルケーが出た。


今月で死ぬかもしれん


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キリト擬きと孵化

遅れましたー!すみません!


零達は帰る途中に見つけていた洞窟に向かった。

そこで、休憩しつつ卵についても確認することにした。

卵を温めるも今回は孵化することはなかったので、探索に出かけることにした。

しかし、何も無かったので結局卵を温めることになった。

 

「中々孵化しないねー」

「まあ、すぐに孵化するようなものでもないでしょ」

「こればっかりは気長に待つしかないだろ」

卵を温めること三時間。

三人は談笑しつつそれぞれ卵を撫でる。

 

「何が生まれてくると思う?」

「私のは紫でメイプルが緑、ゼロが黄色...んー....メイプルのは草食動物でも生まれるんじゃない?鹿とか」

「卵から鹿はないだろ」

「ゲームだから有り得そうかも」

「なら俺はピカチュウか?」

「それこそ絶対ない!」

別ゲーのキャラだから絶対にありえないだろ....

 

「可愛い子だったらいいなあ...」

楓は色々な動物を思い浮かべる。可愛い動物は沢山思い浮かぶが、同じくらい可愛くないものも思いついてしまったが。

 

「私のは何が生まれるかな?」

理沙の卵は紫色だった。

零と楓は紫の卵から生まれてきそうな生物を想像する。

 

「紫、紫........んー?.......毒竜?」

「あー...それは、ちょっと遠慮したいかなぁ」

「一緒に戦うとなると、サリーの周りが毒の海になるな.....」

笑えない冗談である。

 

「毒竜...毒竜かぁ....出来ればもうちょっと穏便なのがいいなぁ」

三人が卵の中身について話し合う。

こんな動物かな、それともこれかなと、わいわい話しながら愛情を込めて温める。

 

 

そのとき、三人の卵にヒビが入る。

 

 

「「「うわっ!?」」」

「ど、どどどどうする!?」

「お、落ち着け!」

「と、取り敢えず地面に置いて!」

三人は平らな地面に卵を置くと寝そべるようにして卵を見つめる。

 

すると、卵が割れて

 

中から三匹のモンスターが姿を現した。

 

 

 

「おー!」

「生まれたねー!」

「あ、あれ?俺の卵....まだ生まれてないんだけど.....」

「ほ、ほんとだ」

ように思われた。

零の卵だけ生まれなかった。

しかし、楓と理沙の卵は生まれた。

楓の卵からは卵より少し小さいサイズの亀だった。

卵と同じ深緑の体をしている。

理沙の卵からは白い毛並みの狐だった。

数回伸びをすると、紫の火を宙に浮かし眺め始めた。

 

「おおー...卵から狐かぁ....予想外だった」

「モンスターだからその辺は関係ないのかもね」

「なんでや!なんで俺の卵だけ産まれへんねん!」

「あちゃー...ゼロが壊れた...」

何故か関西弁になった零がショックを受けていると、亀と狐は楓と理沙に近づいていく。

二人が恐る恐る撫でてみると二匹は気持ち良さそうに目を細めた。

すると、二匹が入っていた卵が薄く光始めた。

光は段々強くなると卵は指輪に変わった。

楓と理沙は指輪を拾うと能力を確認する。

 

「指輪?」

「えーと....【絆の架け橋】。これを装備すると、一部のモンスターとの共闘を可能にする...だって!これはもう外せないかなぁ」

メイプルも自分の目でその能力を確かめる。

 

 

【絆の架け橋】

装備している間、一部のモンスターとの共闘が可能。

共闘可能モンスターは指輪につき一体。

モンスターは死亡時に指輪内での睡眠状態になり、一日間は呼び出すことが出来ない。

 

 

死亡時にすぐに消えてしまう訳では無かったので二人は安堵する。

すぐに消えてしまうのなら迂闊に戦闘に出せないところだった。

 

「指輪かぁ....装飾品枠はいっぱいだから【フォレストクインビーの指輪】を外そうかな。HPは【瞑想】でも回復できるし」

そう言って指輪をはめると二匹は嬉しそうに体を擦り寄せてくる。

 

「んー!もふもふー...」

「あははは!もう、くすぐったいよー!」

「いいな〜。俺も戯れたいな〜」

「よかったら撫でてみる?」

「いいの!?」

「う、うん」

「やった!」

実は零はかなりの動物好きである。今、狐を撫でているが超気持ち良さそうにしている。撫でに撫でまくったため撫でスキルがカンストしたのだ。

心を開かない動物でも零がひとたび撫でればすぐになつく。故に家族からは神の手(ゴットハンド)と呼ばれている。

狐が蕩けた顔を見てか亀も零に撫でろ撫でろと頭を擦り寄せる。

それに気付き頭を撫でると、狐同様亀も蕩けた顔になる。

そんな状況に苦笑いしつつ理沙はあることに気付いた。

 

「この子のステータスが見られるようになってるね」

指輪の効果なのだろう。自身のステータスの下にもう一つステータスが書いてある。

二人はその内容を確認する。

 

 

 

 

 

「ノーネームってことは....名前を付けてあげないとだね!」

「そっか。それもそうだね」

二人は慎重に考える。

その間は零と遊んだり、撫でられたりしていた。

零のなでなでなしでは生きていけないだろう。

冗談抜きで

 

「よーし決めた!」

「うん、私も!」

二人は名前を思いつくと零と遊んでいるそれぞれのモンスターの元へ近づき、しゃがんでモンスター達の目線を合わせる。

 

「この子の名前はシロップ!ムフフ...二人合わせてメイプルシロップだよ!」

亀は名前が気に入ったようで体を擦り寄せてくる。

 

「あなたの名前は朧!朧でどう?」

理沙が狐に尋ねるように言うと、狐は嬉しそうに理沙の肩に乗り首元に巻き付くようにしがみついた。

マフラーと朧でもふもふである。ウラヤマシイ

 

「あ!【AGI 15】!」

「あ、メイプルより早い...」

 

 

 

 

 

その後、話し合った結果

零→卵を温める

楓、理沙→二匹のレベルをあげる

ということになりまして、三日目を三人はモンスターと過ごしました。

ちなみに、零の卵は生まれませんでした

 

 

その夜、十時頃。

 

「あー...どうするー....探索行くー?」

「今日はもういいかな.........」

「私もそんな気分........」

「俺はPKでもしようかな」

「「いってらっしゃい...」」

楓と理沙がそう言うと、零は

 

「あ、明日の予定は決めていたらそれに従うから」

と言い洞窟から出ていった。

 

 




次回、零の卵が孵化します


急なクイズを始めます。
Q、ころころはどこ出身でしょう

答えは次回



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キリト擬きと新しい仲間

春休みの宿題をやっていない....オワタ\(^ω^)/


あといつもよりちょっと長いです


「おはよう」

「おはよう」

「おはよう」

挨拶を交わしたら三人は早速探索に向かう。

ちなみに、零のPKの成果はあまりよろしく無かったが三枚はゲット出来たのでよしとした。

話は戻るが、今日の予定は下流に向かい登ってきた方と逆側の崖に登ることにした。

 

 

 

「何かあった?」

「いや、今のところ何も」

注意深く辺りを観察してもダンジョンや魔法陣はいっこうに見当たらない。そのまま下流へと向かうこと二時間。

道中で数回の戦闘を挟み、シロップと朧のレベルが1上がった。

そして興味深いスキルを手に入れた。

【休眠】と【覚醒】というスキルだ。

【休眠】は主の指令で指輪の中で眠って安全に体力を回復させるスキル、

【覚醒】は主の指令に応じて指輪から出てくるというスキルだ。

現在、二匹は指輪の中で眠っている。

 

 

 

そうして歩くこと三十分。

とうとう川の終着点にたどり着いた。

途中、零が隠れていたメダルを一つ見つけたが他には何も無かったので三人はかなり期待していた。

なぜかというと、ここに近づくほど霧が濃くなっていき最早真横にいても視認出来ないほどになっていた。

つまり

 

 

 

「ここが霧の発生源だね」

「うん、間違いない」

「何かあるかもしれないから気をつけろ」

「「分かった」」

三人が川に近づくと、強い風が吹いて霧が吹き飛ばされていき目の前が顕になる。

そこには、泉があり、中心には壺があった。

 

 

 

「あの壺...調べてみる?」

「........それしかないか」

「....いくぞ」

三人が足を泉に入れた瞬間、風が止み濃霧が辺りを埋め尽くす。

「ゼロ!サリー!いる!?」

「俺はここにいる!」

楓の呼びかけに対して帰ってきたのは零の声だけ。

二人とも警戒心を高めると、

 

 

 

「うわっ!?くっ!ああっ!」

理沙の声が聞こえた。

それと同時に激しくぶつかる金属音も聞こえてくる。理沙の声は焦っているようで二人の不安を煽る。

楓は理沙の声が聞こえる方へ行くと真っ黒な穴があった。

覗き込んでも中は何も見えない。

しかし、理沙の声はここから確実に聞こえてくる。

 

 

 

「よしっ!行こう!」

目を瞑り、真っ黒の穴の中に飛び込んだ。

目を開けると、体から赤いエフェクトを散らしているサリーと白銀の鎧を全身に纏い、白く輝く大剣を構えた騎士だった。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃零の方では、

「こっちか!」

楓に遅れつつも黒い穴を見つけていた。

そして、楓同様穴に飛び込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ん?.....おお!メイプル!サリー!」

「ゼロ!?っ!危ない!」

「へ?」

目を開けると目の前には楓と理沙がいた。

声をかけると予想外な答えが帰ってきた。

なぜなら、零の後ろにはあの騎士がいて剣を振りかざしているからだ。

楓は【カバームーブ】を使おうとしたが、それより早く零が騎士を切り伏せていた。

 

 

 

「「え?」」

「おっ、メダルゲット〜」

剣を鞘にしまうと騎士の残骸の近くにメダルがあったためそれを拾う。しかし、急に体を捻り横に転がった。

 

 

 

自分がいた場所を見ると、そこには

 

 

 

 

 

 

 

瓜二つの自分がいた。

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど。偽者ってわけね....メイプルとサリーはいないか...なら....全力を出せるな」

零は現状を確認すると、闇を払うものと青薔薇の剣を抜いた。

 

 

 

「エンハンス・アーマメント!」

考えていることは同じなのか二人とも闇を払うものの武装完全支配術を繰り出した。

白銀のレーザー同士がぶつかり合う。

互角かと思われたが少し零が負けている。

 

 

 

「やっぱり強化されてるよな...」

そう言葉を零すと、あえて零は武装完全支配術を止めた。

 

 

 

「ハッ!」

零に白銀のレーザーが迫るが闇を払うものでレーザーを斬り裂くと倍の大きさ、倍のスピードになって偽者に向かっていった。

零は闇を払うものに【反魔の意思】を纏わせていたのだ。

相手は煙で見えないが、これではHP全損は確実だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

()()()()

 

 

 

 

 

 

 

しかし、相手は偽者であっても零なのだ。

 

 

 

つまり、()()()()()()なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「......やっぱり生き残ってるよな....」

そう、零は強化された自分を十二回倒さなければならないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

苦戦を強いられるかと思われた。

 

 

 

 

偽者と戦うこと三時間。

お互いの残機は零が三、偽者が五。

零は持ち前の技術やオリジナルスキルを駆使して善戦したが、こちらは体力は限界。偽者は体力などない。あるのは激しい剣戟だけ....かなり苦しい状況だった。

 

 

 

「くっ.....」

しかし、零はさらに追い詰められることになる。

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオオ!!

 

 

 

偽者が龍になったのだ。

零も【龍変化】を発動させようにも深夜にPKしている最中に見つけたダンジョンのボス戦に【龍変化】を使ってしまったのだ。

 

 

 

零はこれから生身でドラゴンと戦わなくてはならないのだ。

しかも相手は強化されており、倒してもずっとドラゴンのままかもしれない。

諦めかけた時、アイテムストレージから卵が勝手に飛び出て空中に浮いている。

そのまま空中に浮いていると

 

 

 

 

 

 

 

 

卵にヒビが入った。

 

 

 

 

ヒビはどんどん大きくなり

 

 

 

 

卵が割れると

 

 

 

 

黄色の体をした恐竜が現れた。

 

 

 

 

「ボクの名前はアグモン!よろしくね、ゼロ!」

「え」

「え?」

「ぇぇえええええええええええええええ!!!」

恐らく今までで一番驚いただろう。

なにせ、ずっと温めた卵が戦闘中に生まれたのだ。

しかも喋っているのだ。

誰もが驚くだろう。

しかし、そんなこと偽者からしたら興味がなく容赦なく襲いかかってきた。

 

 

 

「っ!」

「うわっ!」

かろうじて避けたものの、半分だったHPが残り三割になるまで減った。

 

 

 

「くっ...アグモン!お前戦えるのか!?」

「うん!戦えるよ!君が強くなる分僕は進化するんだ」

「進化?」

「とにかくアグモン進化って叫んで!」

「わ、分かった!アグモン進化!」

零が叫ぶと、アグモンが輝き出す。

その光はどんどん強くなっていく。

 

 

 

 

光が治まるとそこには

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレンジの体躯で腕には大きな爪を持っており、黄色の鎧と背中の一対の装甲を持つ竜戦士の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アグモン進化!ウォーグレイモン!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、お前...アグモンなのか?」

「そうだ。今の姿はウォーグレイモンだけどな。それよりいくぞ!ゼロ!」

「おう!」

そう言って二人は偽者に向かっていく。

 

 

 

「ガイアフォース!」

ウォーグレイモンは腕を真上に上げ炎のエネルギーを球状にし、偽者に放つ。

 

 

 

「【スターバースト・ストリーム】!」

高速の十六連撃が偽者を襲う。

 

 

 

ウォーグレイモンの攻撃は強力で偽者にダメージをかなり与えていた。

零も両手の剣で偽者にダメージを与えていく。

 

 

 

グオオオオオオオオオオオ!!

 

 

 

 

偽者もやられてばかりでもなくブレス攻撃を仕掛けてくる。

しかし、ウォーグレイモンは零の前に出てくると、背中にある一対の装甲『ブレイブシールド』を一つに合わせ盾に変形させることでブレスを防ぐ。

しかし

 

 

 

 

グオオオオオオオオオオオ!!

 

 

 

 

突然、偽者が苦しみ出した。

 

 

 

「どうだ!」

零がウォーグレイモンがブレスを防いでいる間に気配を消して偽者に攻撃したのだ。

偽者はブレスを零に標準を合わせようとする。零が当たったらひとたまりもないないだろう。

 

 

 

「させるかっ!」

零にブレスが放たれる前にウォーグレイモンが両手に持つ爪『ドラモンキラー』で偽者の顔を切り落とす。

すると、偽者の姿がドラゴンから人型に戻る。

 

 

 

「ははははは!【竜人化】!」

「よしっ....ウォーグレイモン!行くぞ!」

「おう!」

偽者が【竜人化】を使い腕や足に龍の鱗を纏い、こちらに向かってくる。

偽者に応えるようにに零とウォーグレイモンは己の得物を構え偽者に向かっていく。

 

 

 

「ハアッ!」

「オラァ!」

「ははははは!」

激しい剣と剣と爪のぶつかり合い。

それを制したのは

 

 

 

 

 

 

 

零とウォーグレイモンだった。

 

 

 

 

 

 

 

しかし【十二の試練】の偽者の残機は四つ

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで零は()()()を使ったbr>br>零は闇を払うものと青薔薇の剣をアイテムストレージに直すと一つの武器を装備する。

 

「来い.....【夜桜】!」

零の左腰に現れたのは()だった。

夜空のような漆黒の鞘

漆黒の夜空に映える桜の模様

 

まさしくその刀は『夜に咲き誇る桜』だった

 

 

静かに鞘から抜くと白銀に輝く刀身

 

「っ!」

それと同時に今まで感じたことのない威圧が偽者を襲う。

 

「う、うわああああああああぁぁぁ!!!」

【夜桜】の威圧に耐えられなかったのか偽者が零に襲いかかる。

 

 

一閃

 

 

「ああああぁ、あ」

 

偽者の首を斬られていた

 

誰にも目視出来ないほどの速度で斬られたのだ。

 

「これからは.....俺達のターンだ。.....ウォーグレイモン!少し時間を稼いでくれ!一気に仕留める!」

「任せろ!」

「うわあああああああああああ!!!」

最早偽者は叫びながら突っ込むしか出来なくなるほど『夜桜』の威圧に押し潰されていた。

 

「一一一一体は剣でできている」

「オラァ!」

「うおおおお!」

零が詠唱する中、ウォーグレイモンと偽者は激しいバトルを繰り広げる。

 

「一一一一血潮は鉄で心は硝子」

「うああああ!」

「行かせるか!」

偽者が詠唱している零を狙おうとするが、ウォーグレイモンがそれを止める。

 

「一一一一幾たびの戦場を越えて不敗」

「ガイアフォース!」

「うああああ!」

「チッ!」

ウォーグレイモンが両手にエネルギーを貯めて放出すると、偽者は【反魔の意志】で跳ね返す。

 

「一一一一ただ一度の敗走はなく、ただ一度も理解はされない」

「うああああ!」

「グッ!ハァ!」

偽者の攻撃がウォーグレイモンに当たるがウォーグレイモンの攻撃も当たる。

 

「一一一一彼の者は常に独り戦場で剣を振るう」

「オラァ!ブレイブトルネード!」

「ぐううう!」

ウォーグレイモンの持つドラモンキラーを合わせて高速回転し、竜巻となるブレイブトルネードで偽者を貫く。

偽者の残機が一つ減る。

 

「一一一一その能力(ちから)はまさしく剣の神」

「うああああああああ!」

「まだまだ!」

ウォーグレイモンと偽者が爪と剣で攻撃し合う。

 

「一一一一担い手はこれを継ぐ」

「一一一一その能力(ちから)は無限の剣でできている!」

「一一一一【固有結界:無限の剣製】!」

「っ!なんだ...これ...」

「うああ...ああ」

零の詠唱が終わると零を中心に世界が変わっていく。

今まで戦っていた場所から無限に広がる夜の草原になった。

草原には剣が何本も刺さっている。

そして、零の後ろには満開の一本の大きな桜の木があった。

 

「ウォーグレイモン、あとは休んでくれ...あとは任せろ。」

「おう...そうさせてもらう」

「さて....決着といこうか。偽者!」

「うああああああああああああぁぁぁ!!!」

偽者が迫ってくるが、零が手を上げると地面に刺さっていた剣が宙に浮き始める。

 

「無駄だ!」

手を振り下ろす。すると、宙に浮いていた剣は偽者に向かっていった。

 

「があああああああああああああああ!!」

偽者の残機が二つも減った。残りは一つ。

偽者は両手の剣を握り締め、零は【夜桜】の柄に手をかける。

辺りを静寂が支配する

 

先に動いたのは

 

偽者だった

 

「うおおおおおおおおおおおお!!!」

 

両手の剣を振りかざす。

 

しかし、零が動いた。

 

 

「守天流 奥義一一一一一一一

 

 

自身の大切な存在を守るための流派、守天流。

大切なものに襲いかかる悪意をこの剣で絶つ。

そんな意志のもと編み出されたこの奥義の名は

 

 

 

 

 

 

 

 

一一一一一一『絶剣』!」

 

 

 

 

 

 

 




クイズの正解は....また次回

多分そのうち言います


【夜桜】のイメージはマインクラフトの抜刀剣modの狐月刀 黒狐です

感想書いてくれたらモチベ上がるんで書いてくれるとありがたいです


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キリト擬きと再開と出発と出会い

皆さんに聞いておきたいことがあります。
最早零くんはキリト擬きと言っていいのか分からないぐらい魔改造しています。
なのでタイトルの『キリト擬きと〜』を卒業するかどうか迷っています。
どっちがいいでしょう?


「疲れた〜〜!!」

「ボクも....」

偽者を倒した二人はそこに座り込んでいた。

睡眠時間二時間でこんな戦いをしたら疲れるだろう。

零は密かにPKしないことを誓った。(ずっととは言っていない)

アグモンも疲れただろう。生まれてすぐに進化して激戦を繰り広げたのだ。ちなみに零が偽者と決着をつけている間にアグモンに戻っていた。

 

「メダルを回収してと....なあアグモン」

「なあにゼロ?」

偽者がドロップしたメダルを拾うと零はアグモンに問いかける

 

「交代で見張りを付けて寝ないか?」

「いいね!」

「じゃあ先に寝ていいぞ。俺見張ってておくから」

「ありがとう!」

そう言ってアグモンはぐっすりと寝てしまった。

アグモンが寝たあと零は考え事をしていた。

 

(メダルは、現在二十九枚.....。まあメイプルやサリーも偽者を倒している前提だが、あの二人なら倒しているだろう。あと一枚か...ゆっくり進んでも残り二日とちょっとで見つかるだろ。........ペインとかドレッドんとこに行ってみようかな。炎帝の国にも行ってみたいなぁ。よし!五日目はメイプル達と離れて行動しよう!)

こうしてペイン達がまた怯えることになりました。

 

 

 

 

一時間後

 

 

「んん...おはよう」

「おう、起きたか」

アグモンが起きたとき零は料理をしていた。

 

「何作ってるの?」

「サンドイッチ」

「サンドイッチってなに?」

現実世界の料理は分からないのか零になにか聞いてくる。

 

「サンドイッチっていうのは野菜とか肉をパンで挟む料理だ」

「ゼロって料理できたんだね」

「母さんに教えられたからな」

零の母 桐生明日奈は料理の腕がピカイチ。店は出していないが店を持っていてもおかしくないレベル。

そんな母に教えてもらった零の料理はめちゃくちゃ美味い。高級レストランの厨房に今すぐ入れるレベルで美味い。

学校でも零の作った弁当は人気がある。俺に作ってくれよ!私にも!みたいなノリで一日十個限定で『零のお弁当』を販売してたりする。

ちなみに楓と理沙は無料で貰っています。

 

「わあ!美味しそう!いただきまーす!」

「そんなに急いだら喉に詰まるぞ」

「モグモグ...バクバク...モグモんぐっ!んー!」

「言わんこっちゃない。ほれ、特製ジュース」

「んっ...んっ...んっ...プパー!死ぬかと思った!それにしても美味しいね、このサンドイッチとジュース。もう全部食べちゃったよ」

「早っ!お、お粗末さま」

和気あいあいと話ながら食事を終えると二人は魔法陣に乗った。

零は食事中にこれからの流れをアグモンに説明していた。

自分には仲間が二人いること

明日から別行動しようと思っていること

強敵と戦うかもしれないこと などなど

そして、魔法陣に乗ると目の前には螺旋階段とメイプルがいた。

 

「よう!」

「本物....だよね?」

恐らく楓も偽者と戦ったのだろうと本物であることを確かめさせなければならないと思い、ちょっとしたイタズラも含めた確認をする。

 

「本物たぞ。なんならお前の秘密を言ってやろうか」

「えっ、ちょっと待っ」

「実は毎日身長を伸ばすためストレッチをしている」

「待っ」

「サリーと会話していると思ったら犬と会話していて周りの人に笑われたことがある」

「なんで知ってるの!?」

「最近俺の母さんに料理を教えてもらおうか悩んでいる」

「そんなことも!?本物!本物って認めるから〜!」

顔を真っ赤に染めて叫ぶ楓はとても可愛かった。とても可愛かった。

重要だから二回言った。ここテストに出ます(嘘)

 

「なんで知ってるの!?犬と話していた事と料理を教えてもらおうとしてること!?」

「犬は見てた。料理の方はメイプルのお母さんから聞いた」

「お母さん...なんで言っちゃうの....」

「ハハハ」

楓が落ち込んでる姿を見て、零は乾いた笑いしか出てこなかった。

しかし、そんな姿を見かねてか零がアイテムストレージからあるものを取り出した。

 

「ほい、これやるよ。」

「これは....ゼロくん特製のサンドイッチ!?」

「ああ、そうだけど...」

「やったー!ゲームの世界でゼロくんの料理を食べれるなんて...サリーが聞いたらすごく喜ぶだろうなぁ」

楓は零特製と聞くと顔を寄せて本当か尋ねるほど好きなのだ。

完全に餌付けされてしまっている。

 

「モグモグ...やっぱり美味しいなぁ」

「気に入ってくれたら何よりだ。あと、紹介したい奴がいるんだ」

「?」

「コイツはアグモン。俺の卵から生まれてきた新しい仲間だ」

「ボク、アグモン!よろしくね!」

「私の名前はメイプル!よろしくね。あ、そうだ!シロップ【覚醒】!この子はシロップ!」

「よろしくね!シロップ!」

人間と亀と恐竜が会話していてシュールな光景になってい...ゴホン!

話を戻そう

互いに挨拶をしてから、零は楓にこれからどうするかを伝えた。

 

「そうなんだ...行ってもいいよ」

「意外とあっさり許可してくれるんだな」

「その代わり女の子と仲良くしたらダメだからね」

「はい!」

この時の楓はなにか凄みがあったという。

 

おしゃべりすること三十分

その場が転移の光で包まれる。楓が念の為大盾を構える。

 

「はぁ......やっと勝てた.....」

光が薄れると、そこに居たのは理沙だった。

 

「本物....だよね.....?」

理沙も楓の声でこちらに気がついたのか身構える。

 

「中二のときあるゲームの大きな大会で優勝した後俺を煽った挙句俺にフルボッコにされて泣いたサリーか?」

「え」

「小学校四年生のときファインディング〇リーの排水管を泳いでいるシーンで俺の妹は普通に見ていたのにガン泣きして俺に慰められたサリーか?」

「ちょっ」

「小学校三年生のときゲームのキャラの真似をしていたら電柱にお気に入りの傘がぶつかって曲がり大泣きしたサリーか?」

「いや」

「小学校二年生のとき〇リオが全然クリア出来なくてムシャクシャしてゲーム機を床に投げつけたら壊れてお母さんに泣きついたサリーか?」

「やめて!」

「最近徹夜でゲームをして学校の授業中に寝ていたら名前を呼ばれてゲームの技名を叫んだサリーですか?」

「......私の心に百万のダメージ」チーン

「やめて!サリーのライフはもうゼロよ!」

また零がイタズラを仕掛けてしまった。

 

 

 

 

その後、撃沈した理沙は零特製のサンドイッチを渡したら元気になりました。

 

 

 

螺旋階段を登ったら森でした。進むと砂漠になりました。

 

「さあ行きますか!」

「「「おー!」」」

 

新たなダンジョンを求めて砂漠に入って行った。

 

 

「喉が渇いたりしないのはありがたいね」

「そうだね。それだったら探索できないもんね」

「ジュースだったら持っているが飲むか?」

「「「飲む!」」」

即答するほど零特製のジュースは美味しいらしい。

 

砂に足を取られながらも着実に砂漠を進んでいく零一行。

 

「なーんにもないね」

「取り敢えず進むしかないな」

「そうだね」

「なにかあるといいなぁ」

そんな会話をしつつ砂漠を進む。

すると、遠くの方にオアシスを見つけた。砂ばかりの景色にそれは緑に輝いて見えた。

これで何も無かったら零は運営を一度ボコるだろう。

 

「早速行こう!」

「何があるかな!?」

「ダンジョンとかあるといいけど」

「トラップに気を付けろよ!」

そう言うと、少し移動するスピードをあげた。

オアシスに着くとまずは散策。

 

「どう?ダンジョンに繋がってそう?」

「手分けして隅々まで見てみよう。そんなに大きくなさそうだからすぐ終わるだろうし」

「それじゃあ俺とアグモンはあっち見てくるよ」

「またね〜!」

 

 

数十分後

 

 

「何も....無かった....」

「残念だけどここにはなんにもないみたい」

「ちょっと休憩してから行く?」

「そうしよう!」

「俺が見ておくからみんなは休んでいてくれ」

「ありがとー」

そう言うと楓と理沙はそこらに寝っ転がって寝始める。きっと偽者戦で数時間も戦って疲れていたのだろう。

するとそこへ

 

「おっと、先客か。それもゼロとメイプルとは......私も運が悪い」

やって来たのは一人の女性。

桜色の着物、紫の袴、腰に一本の刀。

 

「確か...前回六位の...カスミ...だったか?」

「そうだ。ああ、こちらには戦意はない。出来れば見逃して頂きたい。」

どうやらこの女性 カスミは戦うつもりはないらしい。

 

「別にいいけど...その代わり一つ手合わせを頼めるかな?」

「フッ、いいだろう...【超加速】!」

「アグモン、メイプルとサリーを頼んだぞ」

「分かった!頑張ってね〜!」

「おう!【電光石火】!」

砂を撒き散らしながら二人は少し遠くに走っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

その音で気持ちよく寝ていた二人を起こしたことを知らずに.....




宿題が終わらない.....

緊急事態宣言が出ましたけど皆さんコロナには気を付けてください



あと感想とアンケートお願いします


クイズの答えは大阪です


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キリト擬きと別行動

文章構成を少し変えました


あと遅れてすみませんでした

宿題が終わらないんだよおぉぉおおおおおお!!!!!


「?あなたの武器は片手剣だったはずだが」

 

「刀には刀と思ってな。大丈夫、いつもの1.5倍は強いぞ?」

 

「ふふっ、それでは胸を借りさせてもらおう!【一ノ太刀・陽炎】」

 

カスミの姿が揺らいで消えた。

 

しかし次の瞬間、目の前にカスミの姿が現れた。

横薙ぎに振られた刀に対してゼロは半歩後ろに下がることにより紙一重で回避する。

 

「流石イベント一位だな」

 

「期待に応えれてなによりだ。それじゃあ、今度はこちらから行かしてもらう!」

 

「来い!」

 

カスミが構えた瞬間、ゼロの姿が消えた。

 

「何っ!?...ぐぅ!」

 

カスミが何事かと驚いた瞬間横腹が切られていた。

姿が消えたゼロがカスミの懐に気付かれずに入ったのだ。

 

「まさかあなたも【刀術】スキルを!?」

 

「いいや、そんなスキル俺は持っていない」

 

「なら何故陽炎を使えるのだ!」

 

そう、つい先程ゼロがした動きは完全にカスミの使った【一ノ太刀・陽炎】だった。

しかも、カスミより練度をあげて

 

「盗んだんだよ」

 

「盗んだ?」

 

「ああ、俺は家庭の事情で小さい頃から色んな流派の剣術を見てきた。見て、感じて、受けた剣技を模倣し上回る。それが『模倣剣技(ブレイドスティール)』だ。」

 

今までゼロが費やした剣術の修行の末、手に入れた剣技の極地の一つ。

相手の剣技を観察し、その剣技に潜む弱点を克服した剣技に進化させて模倣する。

それが模倣剣術(ブレイドスティール)

 

「そんなことができるのか!?」

 

「出来る。手に入れたいなら十年くらい剣のことだけ考えたら出来ると思うぞ」

 

出来るわけない。天賦の才、たゆまぬ努力、周りの環境、全てが揃っても出来るかどうか分からない。

それなのにゼロは()()()()()で成し遂げたのだ。

 

「まて!模倣剣術(ブレイドスティール)ということは....あの剣聖の息子が使えるというあの!?つまり......あなたは!?」

 

「現剣聖は俺の父さんだが」

 

剣の頂きに居る者に与えられる称号『剣聖』。

ゼロは剣聖の息子であったりする。

現剣聖桐生 和人、頭脳明晰かつ剣聖と呼ばれる程の腕を持つ文武両道の頂点。顔良し、性格良し、学歴良しというモテる男の三要素を全て完ストしている男。そろそろゼロに剣聖の座を譲ろうと思ってたりする。

 

「......ふふっ。私の負けだ」

 

「いい剣技だったよ。機会があったらまたやろう」

 

「その時はまた胸を借りることにしよう。それでは、私は帰ろうと思う。またな」

 

突如として始まった手合わせでゼロは勝利を収めるのであった。

良い雰囲気のままカスミはここから去ろうとし、ゼロは見送ろうする。

しかし、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼーーーローーーくーーーんーーー?」

 

「何いい感じで終わってるのかな?」

 

「は、はい!」

 

安眠を邪魔されブチ切れた二人がゼロの背後にいたのだ。

 

「私たち気持ちよーく寝てたのに」

 

「貴方たちが移動する時の騒音で目が覚めちゃったんだよね〜」

 

「す、すみませんでした!」

 

ゼロがメイプルとサリーに烈火の如く怒られている内に、カスミは関わったらまずいと逃げ出そうとする。

 

しかし

 

「そこのあなた、どこに行くの?」

 

「まだお話は終わってないよ〜?」

 

「は、はいぃ!」

メイプルとサリーの凄みに怯んだのか素直に戻る。

少しカスミのキャラが壊れたが、そんなことは何処かにスパーキングして

 

「スパーキングするな!ハッ!私は何を!?」

 

「急に何言ってんだ?」

 

「??」

 

「その視線はやめて!可哀想な子みたいな視線!」

 

え〜ゴホン!話を戻しましょうk

 

 

「どぉぉおおおおおいいいいいいいいいいいてええええええええ!!」

 

「な、なにごと!?」

 

「あ、アグモン!?」

 

話を戻そうとした瞬間、隣の砂丘からボルトもビックリの速度で走って来た。チッ(小声)

四次元ポケットを持っている猫型ロボットが出ているアニメの走り方で走っているではないか!すっげー!あの走り方初めて見た!

あ、コケた。すっごい転がってる

 

 

ドコオオオオオオオオオオオオオン!!!

 

 

アグモンが地面に激突した衝撃で砂埃が舞い、地面が蟻地獄のように渦を巻いた。

そして、その場にいる全員が引き摺り込まれる。

 

「「「うわあぁああああああ!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んん.....ここ...どこ?」

 

「ダンジョンっぽいね」

 

「ッ!?」

 

互いの存在に気付きサリーとカスミが武器を構える。

二人の間に静寂が訪れる。

 

「あれ?ゼロとアグモンが居ないよ!」

 

「本当だ!」

 

「いつの間に.....」

 

 

 

実は【龍翼】で羽ばたいて抜け出していたりする。

ちなみにアグモンは【休眠】で【絆の架け橋】の中で反省中である。

【絆の架け橋】の中はポケットのモンスターが入っている赤と白がメジャーなボールの中のように快適らしい。

しかし、反省中のアグモンは正座している。

 

 

 

「ふ〜危なかった.....このままペインのところに行くか。メッセージでメイプル達が無事なのは確認できたし。..........怒られずに済んだし」

 

そのまま、ゼロはその場から飛んで行った。

漆黒の龍の翼を羽ばたかせ砂漠を抜けた先にあったものとは.........

 

 

 

 

 

 

 

 

「白い雲!照りつく太陽!火傷するような熱い砂浜!

 

 

 

 

 

海だーーーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

という訳で砂漠から海!現実じゃありえないね!(無知なので実際にこのような場所があったらごめんなさい)

 

 

「そんなことより.......暑い!なんだよ!砂漠から海って!?しかもご丁寧に夏仕様だし!暑いよ!」

 

砂漠が終われば涼もうと思っていたゼロは海という現実に八つ当たりをしていた。

 

 

その結果.....

 

 

 

「海、割っちゃった」(๑>؂•̀๑)テヘペロ

 

(๑>؂•̀๑)テヘペロじゃねーよ!

なんで海割ったの!?まずそんな事できるの!?

やっぱりこいつ人外だ......あっ、ゲームだから人外的な能力なんだ.....

 

説明しよう!どうしてこんな状況になったかを!

ちなみに上の文は運営陣の内の誰かです。(この人は知らない.........現実でも人の域を超えた人物ということに)

 

暑さでテンションが最高にハイってヤツになったのでそのまま【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】を海に向かって振ったら真っ二つになっちゃった。

 

みたいなノリである。

 

「まあいいか、困るのは運営だけだし。割れた海を通るのってなんかかっこいいし.........強者みたいで」

 

剣の天才も立派な男の子のようです。ロマンを分かっていらっしゃる。

 

 

ゼロは歩いた。自分が割った海にできた道を

そして、歩き続けたゼロはある物を発見した。

 

水の壁、そう!【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】の射程的な問題で割れなかった海である。

その壁を見たゼロは歩いている途中で回復したMPをまた全損させて巨大な光の剣を放とうとしたが寸前で止めた。

見えたのだ。人より優れた視力で、一度見た剣技を模倣出来るの目で、

海の壁の先にある小さな結界のようなものとそのまわりにいる大きなイカを。

そして思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

あのイカが食べてみたい

 

 

夏といえば祭り

 

 

祭りといえば食べ歩きがしたい

 

 

目の前にうってつけのものがあるじゃないか

 

 

あれに自分の作ったソースをかけて食べたら

 

 

美味しいだろうなぁ

 

 

 

そう思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのイカはボスだから超低確率でしか食材としてドロップしないのに

 

 

皆さん、第二回イベントのゼロはとにかく運がない。

 

無尽蔵ともいえる量の兎をたった一人で戦ったり

少し遅れただけで怖い思いをしたり

怖いからという理由で森の奥にある不気味な屋敷に一人で探索させられたり

一人だけ卵が生まれるのが遅かったり

少し走っただけで睡眠の妨害になったからと言われ怒られたりetc

 

半分ぐらいは自業自得だが、運が悪い方なのは間違いない。

 

そんな運勢でボスの超低確率のドロップ品を手に入れることが出来るだろうか。いいや出来ない

 

それでゼロが怒り、運営が困ることになる。

いいぞやれやれ!やるならもっとド派手にやれ!

 

 

 

 

 

「エンハンス・アーマメント!」

【夜桜】からいつもの二刀流に変えて、【青薔薇の剣】を抜き地面に突き刺す。

突き刺した場所から悠々と泳いでいるイカに向かってどんどん凍てついていく。

 

 

 

ここは海だ。あとは、分かるよな

 

 

 

 

「リリース・リコレクション!」

 

 

半径五十メートルの範囲を凍らせる

 

そして、イカのHPが全損した




途中、執筆していた内の半分ぐらいが消えて泣きそうになりました。

そして急に始まるころころの最近あった意味不な出来事

進級してクラス替えがあったんですね。2組になったんですよ。クラス発表の後に2組のグループラインに招待されたんですね。そしたらその日の夜に1組のグループラインにも招待されてしばらく「ちょっと待って」と言ってました。改めて確認しても自分は2組なのに謎でした。


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キリト擬きとトッププレイヤー

ゼロくんの無双回


「どうしてだよぉぉぉぉ!!」

 

開幕早々なぜ叫んでいるのかと言うと、もちろんイカがドロップしなかったからである。

読者の皆さんもこんな経験はないだろうか。家に帰ったら楽しみにしていたじゃがりこが家族の誰かに食べられていたり、友達に後で見ようと思っていた映画のネタバレをされたり....。

あんなに楽しみにしていたイカが食べられない。ベタかもしれないが実際にあったらかなりムカつくことベスト10に入っていたりするこれは、絶賛ゼロの心を怒りで燃えたぎらせていた。

ここまで来るとゼロが運営に八つ当たりするのはもう目前だろう。

しかし、そんなゼロくんにもやっと運が向いてきた。

 

「なんだ、あれ?どこかで見たことあるような柄だけど.....」

 

ゼロの視線の先に既視感のある卵があった。海の青と同色で紛らわしいが、鍛えられられたゼロの目からは逃れられなかった。

 

「思い出した!アグモンの卵の柄と一緒だ!ということは....この卵も孵化するのか....アグモンと同じ柄だからアグモンみたいモンスターが生まれてきたりして。それはないか!」

 

卵が出現したことで怒りが鎮まったことで何処かのゆるキャラみたいな姿をした人達が安堵したり現実逃避してたり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだ!ペイン達の所に行こう!」

 

夏休みに友達の家に行くみたいなノリで言われても困るのだが.....。

イカのことを忘れてくれたのは感謝するがそんな軽いノリでプレイヤーの中で二番目なったに強いペインの元に行くのは関係者以外でゼロだけだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということで、ペイン達のところに着きましたー!!」

「着きました!じゃねーだろおぉぉおおおおおお!!!」

「お前マジなんなの!?モンスターに乗って来るし!挨拶したと思ったら斬りかかってくるし!なんなのあの赤いドラゴンのモンスター!でっけえ銃持ってるし!」

「まあまあ、落ち着きたまえドラグよ。こういう時こそ一休み一休み」

「お前それ一休さんだろ!」

「落ち着けドラグ。それで、君は何をしに来たんだ?ゼロ」

「お前のところのパーティーに入れてくれ」

「」

「ペインが死んだ!」

 

順序だてて説明しよう。まず、ゼロはペイン達を探すことにした。走っても良かったが時間がかかるためアグモンを進化させて飛んで探すことにした。その後、一時間程かけてペイン達を捜し出した後はドラグの言う通りである。

 

ペインは倒れた体を起き上がらせ真意をゼロに尋ねた。

 

「何が目的だ?」

「特に無い!」

「ねーのかよ!?」

「強いて言うなら楽しそうだから」

「.....それだけか?」

「それだけ」

 

その場が静寂に包まれた。しかし、その静けさはすぐに破られることになる。

 

「いいだろう。君が嘘をつくような人間ではないだろう」

「案外とんでもない嘘つきだったり」

「フッならばこのパーティーの全力で君を倒すよ」

「できるもんならやってみな」

「えーと.....帰ってきたけど、どんな状況?」

 

ゼロとペインが話している内にプレイヤー狩りに出向いていたフレデリカとドレッドが帰ってきていた。

二人はいまいち今の状況が分かっていないみたいなのでペインが説明する。

 

「なるほどなるほど。つまり君がペインとドレッドとドラグの三人が話していたゼロくんねえ。あの三人ずっと君の話してたんだよ」

「へ〜そうなんだ」

「そうなんだよ〜。勝ちたいとか悔しいとかもう一度戦ってみたいとか」

 

ゼロとフレデリカが楽しく談笑していると、ゼロから驚きの発言が出てきた。

 

「なるほど、じゃあ今からやるか」

「え!今するの!?」

「いつやるんだよ。今でしょ」

「林先生か何かか!お前は!」

「早速やろうか」

「こっちはこっちでやる気だし!」

 

どうやらこの作品ではドラグはツッコミ担当らしい。

しかし、元の性格である好戦的な面はなくなっておらず

 

「お前はやらないのか?」

「.....やるに決まってるだろ!」

「なら俺も参加しようかな」

「おっみんなやる気満々だねえ。それじゃあ私もやろっかな〜」

「おう、全員でかかってこい」

 

またもやゼロから驚きの発言が出てきた。だが、実際に出来るので侮れない。この発言でその場が緊張感に包まれる。

 

「その言葉後悔することになるぞ」

「あいにく俺の辞書に諦めはあっても後悔は無い!それじゃあ.....行くぞ!」

「来い!」

ペイン達は全員身構える。その場が静寂に包まれると最初に仕掛けたのはゼロだった。背中に背負った二振りの剣を抜くと、ゼロの姿が消えた。カスミから盗んだ【一ノ太刀・陽炎】を使ったのである。

 

「ッ!消えた!?」

「残念、こっちだ」

「えっなんd」

「くそっフレデリカがやられた!」

「くっ」

 

 フレデリカの背後をとったゼロは彼女の背中を十字に斬りHPを全損させる。そのままドラグに斬り掛かるが防がれてしまう。

しかし、その程度ではゼロを止めることは出来ない。

 

「【ホリゾンタル・スクエア】!」

「何!?」

「ドラグもやられるとはな...しかしスピード勝負ならどうだ?【神速】!」

「.....」

「仕掛けて来ないのならこっちから行くぞ!」

 

【青薔薇の剣】でドラグの脇腹と胸を斬る。反撃されるが回転して避け、背中と脇腹を切り裂きHPを全損させる。ドラグがドットになって消えると、ドレッドがスピードを上げて翻弄する。すると、ゼロは腕の力を抜きだらんと構える。

 

「【断罪の聖剣】!」

 

 ドレッドの高速機動は囮だったようだ。しかし、この程度ではゼロを越えることは出来ない。ゼロは予知していたかのような速度で反応すると、【闇を払うもの】を添えるようにペインの剣にぶつける。

 

「【反魔の意思】、守天流 奥義────回帰」

「なっ!ぐあああああ!!」

 

守天流 奥義──回帰。相手の技の威力や衝撃、その他諸々をそれ以上にして全て相手に返す技。

【反魔の意思】も合わさって【断罪の聖剣】の全てが上回ったものがペインに襲いかかる。だがしかし、HPが全損することはなかった。

ゼロはほんの僅かだが驚き、その一瞬をつかれペインとドレッドに両手の剣をパリィされてしまう。

 

「俺は【不屈の守護者】を持っているのさ!ハア!」

「これでもくらいな!」

「くっ!........なんちゃって」

 

ゼロはほんの僅かだが驚き、その一瞬をつかれペインとドレッドに両手の剣をパリィされてしまう。

しかし、ゼロは笑っていた。

ゼロの両手にあった剣は消え、腰には一振りの刀が出現した。

システム外スキル【クイックチェンジ】、ゼロが元々あったシステムを使って一瞬で武器を変える方法。それを使って武器を【夜桜】に変えたのだ。

 

「ッ!」

「守天流 奥義────『絶剣 二連』」

 

守天流 奥義──絶剣。高速で放たれる居合は後手であろうと相手を斬り伏せる。

二連続の居合がペインとドレッドを襲う。

 

「やっぱり強いな。けど今回はよく追い詰めた方だろ」

「次は勝つぞ。ゼロ」

「言ってろ」

 

白銀の刃が二人の首を切り飛ばす。

ゼロは振り抜いた刀を鞘に納めると、とある事に気づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「パーティーに入れなくなった.........!!」

 

この男、天然である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ということで炎帝の国のミィさんの所へやって来ましたー!!ってやろうと思ったら..........不味い現場に出くわしちゃったな」

「見ていたのか!?貴様!」

 

またどういうことか順序だてて説明しよう。

まず、ペイン達をキルしてしまったゼロはありがたくペイン達の集めていたメダルを頂戴し、次の目標であった炎帝の国のミィの元へ向かうためまたもやメタルグレイモンに進化させミィを探していた。そして、一日かけて見つけたミィに話しかけるため下降すると、読者の皆さんは知っているであろうミィの弱気な姿を見てしまい現在に至る。

 

「いつから見ていた!?」

「えーと...結構最初の方から....」

「〜〜〜〜!!」

 

ミィが声にならない悲鳴をあげると、顔を真っ赤にしてワナワナと体を震わせる。自分の本当の姿を見られたことが恥ずかしいようだ。それに気が動転して気づいていないのかゼロは更に追い討ちをかける。

 

「えーと...その...か、可愛いかったよ!」

「......」

「ど、どうした?」

 

 

 

「貴様はここで死んで行けーーーーー!!!」

 

「落ち着けーーーー!!」

恥ずかしさでいっぱいだった頭が先程のゼロの言葉でオーバーヒートを起こしたようだ。顔を真っ赤にしてゼロに炎の魔法を浴びせる。

しかし、何と言うことでしょう。ミィから放たれた(いつもより大きい)炎の魔法を青薔薇の剣でバッサバッサと真っ二つに斬っているではありませんか。

 

「無駄無駄!」

「なにっ!」

 

それには、ミィも驚いたのか一瞬魔法を撃つ手を止めてしまう。しかし、その一瞬が命取りになりゼロの攻撃を許してしまいHPが全損してしまう。

 

「ヴォーパル・ストライク!」

「ぐはあ!くっ....さっきのことは誰にも言うな!いいな!」

 

そう言ってミィはドットになって消滅してしまう。

一人になったゼロはポツリと独り言を零した

 

「もとよりそんなつもりはねえよ......人の秘密を言ったら姉さんに殺されるし」

 

 

 

そんなゼロの背中はかなり震えていた。

 

 

 

 




ゼロくんを倒すには十二回倒す必要があるのでほぼ無理ゲーだったりする。

そんなゼロくんを震え上がらせる程の姉とは........

そしてまたやるころころクイズ

Q ころころの好きな声優は誰でしょう

ヒント 作中にそれっぽいやつがあります。FGOやってたらわかるかな?


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キリト擬きと裏事情2

FGOの2000万ダウンロード記念.....星5貰えるのは破格すぎる
皆さん誰もらいました?
僕は孔明をもらいました
やったぜ

※メイプルのゼロの呼び方を訂正しました


「オイオイオイオイオイオイ!!どうなってんだこれ!?ゼロがペインとミィをやったぞ!」

「なんでもありかよあいつ!?」

「」(゜Д゜)

「俺.....昔剣道やったから剣聖と守天流について知ってるんだ...」

「何なんだ?剣聖って言うのは?いかにもゲームの最上級ジョブみたいな名前だけど」

「確かにww」

「いっその事追加してみるか?こう剣聖討伐イベントみたいなww」

「もしくはイベントボスみたいな?」

「それもいいなあ。あ!こんなのどうだ?」

 

この先は言えないよ!

 

「いいな!それ!」

「よし、採用」

「よっしゃー!早速準備だ〜」

「おー!」

「おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃねえだろぉぉおおお!!!」

「うおっ!なんだよそんな大声出して」

「話が変わってるんだよ!剣聖についてじゃなかったのかよ!」

「あ〜そういえばそうだったな。で、剣聖とあと何だっけ?四川流?」

「美味しいよな麻婆豆腐」

「そうそう辛くて美味しい麻婆豆腐。ってちっがーう!」

「で、守天流がどうだって?」

「ゴホンッ。えーまず剣聖についてだな。剣聖はその名の通り剣士の頂点だ。平安時代から続いていて剣聖になるには剣聖に勝った者が新たな剣聖となるか、剣聖に認められて新たな剣聖となるかの二通りしかない」

「一度も負けたり認めずに剣聖が死んだら?」

「新たな剣聖になるために国中の剣士が戦い出す」

「で、守天流ってのは」

「守天流は初代剣聖が編み出した剣術だ。師範代に認められた者だけが指導を受けることが出来る。」

「ってことは.......ゼロはリアルではそんなヤバイ剣術やってんのかよ!?」

「しかも剣聖の息子って......リアルチートにも程がある......」

「俺が思うにあの二人.....どぅぇきてる〜」

「あの二人って誰だよ」

「ま、まさか....」

「ゼロとメイプル」

「「「「なに〜〜〜〜!!!!」」」」

「だってこのイベントで俺たち(女性と縁がない男性陣)が作った【男女で入ったら必ず赤面するようにできているダンジョン】の担当がおれだったんだよ」

「それで?」

「まさか...」

「お前...」

「キスして──」

「ぎゃああああああああぁぁぁ!!!」

「運営Cが死んだ!」

「やめて!Cのライフはもうゼロよ!」

「次回ABDも死す」

「ぜってー見てくれよな!」

「遊戯王とドラゴンボールが混ざってて森」

「──ないんだよ」

「ないのかーーーーい!!」

「してんのかと思ったらしてへんのかーーい」

「急な吉本新喜劇で森」

「してないのかよ」

「しかけたんだよ。けど....」

「けど?」

約束された勝利の剣(エクスカリバー)でダンジョン壊されてそこから脱出された」

「」

「」

「」

「」

「「「「はああああああああああああああぁぁぁ!!!!!!??????」」」」

「え、え、え?」

「うそん」

「」

「さたたはかたとややなたたてややなかたやふかまわらかかまやら」

「おい!AとBが壊れたぞ!」

「次は俺なの.....か」

「返事をしろ!おい!Aー!Aーーー!!」

「と、いうわけで」

「Bは無視されてて森」

 

 

 

 運営がお祭り騒ぎになっているところで【男女が入ったらかにゃらず】............................長いので恥ずかしいダンジョンにしましょうか。いや、べ、別に噛んだからじゃないんだからね!

 

・・・・・・・

 

 茶番はそこら辺のゴミ箱に捨ておきましょうか。あ、外した。すみませんカッコつけました今すぐ入れてきます

 

 

 

 

えーゴホン。ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とりあえずその後!(ヤケクソ)

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 時は恥ずかしいダンジョンに遡る。今は丁度顔によってキスをせがまれている時。顔を近づけそんな雰囲気ができている。

メイプルが顔を赤面させドキドキしているとゼロが小声で話かけてくる。

 

「メイプル」

「なに?」

「俺が合図したら俺の後ろに下がれ。ここを壊して脱出する」

「え!?そんなことできるの?」

「MPが全部無くなるけどな。....いくぞ。3、2、1、今だ!」

 

 ゼロの合図でメイプルが後ろに周り、顔が驚いている。

放つのは聖剣というカテゴリーの中で最上位に立つ最強の聖剣。

ゼロは両手を胸の前に持ってくる

 

────この明かりは星の希望

 

すると、ゼロの目の前が光り輝き一振りの剣が出現した。その輝きは間近で見ていたメイプルが二度目にも関わらず美しいと感じる程だった

 

────地を照らす生命(いのち)の証

 

足を引き、剣を振りかぶる。これを阻止したいのか顔が硬そうな金属でできたゴーレムを出現させる。しかし、この究極の斬撃の前では無意味

 

────見るがいい!

 

両手に持っていた剣が巨大な光の剣となり、大きく振り抜いた

 

────約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!

 

放たれた一撃は光の奔流となり放射線上の全てを消し飛ばし、視界が真っ白になった

 

 

 

 

視界が晴れ最初に目に映ったのは

 

 

『地上まで続く巨大な穴だった』

 

「ふぃ〜疲れた」

「すごーい!すごいよ、ゼロくん!」

 

そう言ってメイプルがゼロに走り寄ってきた。

 

「そ、そうか?っと、じゃあ地上に戻るか」

「うん!....でもとうやって?」

「走る」

「ん?」

「だから、走る」

「はああああああ!!走れるの!?この壁を!?」

「うん。こんなスキルあるし」

 

ゼロはそう言ってステータス画面を見せる。

そこには

 

 

壁走り(ウォールラン)

一定時間壁を自由に走る事が出来る。

 

 

取得条件

10メートル以上高い壁を走って登る

 

 

「このスキル便利だね」

「そうだな」

 

 こんな会話してる時点で少し....ね?

 するとゼロはメイプルを抱き抱える。俗に言うお姫様抱っこで

 

「よし!じゃあ行くか!」

「ええぇ!!」

 

赤面するメイプル。壁を走るゼロ。ニヤニヤするころころ。ダンジョンを壊されて落ち込む顔。なにこの絵面

 

 

 

 

 

 

地上に出ると太陽がもうそろそろ沈みそうになっていた。横に並んでゆっくり歩く二人。メイプルは先程のお姫様抱っこでまだ赤面していた。黙って歩く二人だったが段々気まずくなってきたのかメイプルが口を開く。

 

「あ、あの....」

「ん、どうした?」

「あ、あのね?さ、さっきの続きなんだけど」

「!!」

 

メイプルは段々顔が赤くなっていき後ろの方に言った言葉は小さすぎてよく聞き取れなかったが、ゼロは気づいた。

そして あたま が まっしろ に なった。

 

「う〜〜」

 

メイプルは恥ずかしすぎて顔を赤くして唸っている。

そんなメイプルに何か思ったのゼロはメイプルの肩をちょんちょんとつついた。

 

「?っ!!??」

「さっきの....続き」

「う、うん.....」

 

二つの影が繋がり、ゼロは顔を真っ赤にして言う。それ以上にメイプルは顔を赤くする。そのまま二人は寄り添って歩いて行く。

二人の顔は他人には夕日で赤くなっているように見える。しかし、きっと分かるだろう。少年少女の甘く酸っぱく、時々戦闘のそんな青春に

 

 

 

 

「あ!いたいた!」

 

特に二人の傍にいる青い少女には

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いかがだったでしょうか、この裏話。

【キリト擬きと第二回イベントPart8】ではこんな事がありました。

え?なぜ本編で書かなかったのか?ハッハッハそんなことはどうでもいいんですよ

それでは次回予告といきましょう。

 

 

サザエさん?は

ハーメルンとご覧のスポンサーの提供でお送りしました

 

 

さーて、来週(とは言っていない)のサザエさん?は

 

こんにちは。サリーです。アグモンに地下に落とされてメイプル達と三人でダンジョン探索をする事になりました。その時ゼロが居なかったので、名探偵の私はゼロが逃げたことに気づき後で『お話』する事を決めました。

 

さて、次回は

「ゼロ、炎帝の国と戦う」

「ゼロ、メイプルとサリーとカスミの四人で『お話』する」

「第二回イベント終了」

 

の三本です!

 

次回もまた読んでくださいね!

じゃんけん

 

ぽん

 

 

うふふふふふ




武蔵ちゃん当たったんですよ!!十連で!!よっしゃラッキー!!

なのに本命のギルが出なかった(66連).......
すり抜けでワルキューレとエリちゃん当たりました。
どおおおしてだよおおおおお!!
その後に魔神さん66連して水着ノッブしか金鯖が出ないって言う.........
もう一度言おう
どおおおしてだよおおおおおおぉぉおおおおおお!!!!
感想ください



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次回予告通りだと思ったか!!

すみませんタイトルふざけました
だが後悔はしていな「毘天八相車懸かりの陣!!」( ´ཫ` )グハァ

なぜ景虎さんがここに!?

「私の宝具レベルを5にいつになってもならないので迎えに来ました。ほら、行きますよ」

ああああああああぁぁぁ!!!( ゚∀ ゚)ハッ!すごい夢を見た.....とりあえずガチャ回すか。.....ログボの呼符でナイチンゲールが当たったああああああああぁぁぁ!!!

※メイプルのゼロの呼び方を訂正しました


「くぅ........んん........あっ.......そこっ...........あ、あ、ああああああああぁぁぁ!!!」

「また俺の勝ちと」

「負けた〜〜!!ゼロくん強すぎ〜〜」

「ん〜〜!ゼロもっかい!」

「何を言うサリー!ゼロ!次は私だ!」

「落ち着けお前ら」

「「ぐえ」」

「女子がぐえなんでこと言うな」

 

彼らは何をしているかと言うと勿論ボードゲームだ。

なぜこのような状況になっているかというと二十分程前に遡る。

 

 

二十分

 

 

「あー!!うぜぇ!!何なんだこの集団!?」

「ミィ様の敵ー!!」

「メイプルちゃんを独り占めするなー!!」

「フレデリカさんとも仲良くしていたぞ!」

「なんだって!?」

「俺はカスミちゃんと話してるのを見た!」

「許すまじゼローー!!!」

 

第二回イベント最終日。

何処から情報が漏れたのか分からないが、ゼロがNewWorld Onlineの人気な女性達と関わりを持っているというのがプレイヤー中に広まり嫉妬した男性陣が質より量とこの時だけ結束し、ゼロに襲いかかってきた。

遂にキレたゼロはイベント中にゲットした超広範囲を攻撃出来る大魔法の詠唱を始める。

 

「長い!!こうなったら.........黒より黒く闇より暗き漆黒に我が真紅の混淆を望みたもう。覚醒の時きたれり。無謬の境界に落ちし理。無行の歪みとなりて現出せよ!踊れ踊れ踊れ、我が力の奔流に望むは崩壊なり。並ぶ者なき崩壊なり。万象等しく灰塵に帰し、深淵より来たれ!【エクスプロージョン】!!」

「「うわああああああああぁぁぁ!!!!」」

「.......フー。人がゴミのようだ」

 

少しキャラが変わったゼロは目の前の景色を見て唖然とする。なぜなら、隕石が堕ちたかのようなクレーターが出来ていたからだ。これであの嫉妬に狂った男たちも成仏出来ただろう。と、ゼロは黙祷する。しかし、目を開けるとこのクレーターのインパクトに苦笑してしまう。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)】が直線的な超破壊力を持った攻撃だとしたら、【エクスプロージョン】は超広範囲の破壊力を持った攻撃なのである。前述の通り威力は【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】の方が上で、【エクスプロージョン】は範囲の面で上回っている。

約束された勝利の剣(エクスカリバー)】程威力が無くても高威力なのは変わりない。

 

「レベル上げが便利になるな.....って忘れてた!これもMPが全部無くなるんだった....。ハア、燃費悪いのばっかだなぁ。なんかいいの無いかな?」

 

そんなことを考えながら歩いていると、ある洞窟を見つけた。洞窟の入口には猛毒で出来た膜のような物があり、いかにも何か有りそうな雰囲気を醸し出していた。

そんな洞窟に男の子が逆らえる訳もなく(ゼロは状態異常無効を持っています。画面の前の皆さんは真似しないでね!)洞窟の中に入っていくと.........

 

 

 

 

ボードゲームを楽しむ彼女と友達二人だった。

 

 

 

そこからは簡単。料理を振る舞い、メイプルと対戦したら勝利して、おかわりを求められたのでもう一度料理を振る舞ってボードゲームをしたりしてた。このリア充がっ!羨ま死〜

 

そんな楽しい時間も束の間イベント終了のアナウンスが鳴り響く。どうやら今から五分後に元のフィールドに戻るらしい。それを知るやいなや急に女性陣が料理をがっつき始めた。

 

「ど、どうした?急にかきこんだりして」

「こんな...もぐもぐ...美味しい...もぐもぐ...料理が食べられないと思うと」

「食べるか喋るかどっちかにしろ....」

「しょうだぞめいふる。ふぁしたないじょ」

「お前もじゃねーか!」

「そうこうしてる内に私が全部貰っちゃうからね〜」

「ずるいよサリー!」「ずるいぞサリー!」

 

そんなわちゃわちゃした時に、体が青く光り出す。転移の時に発生する光である。この光を見てメイプルとサリーが食べるスピードを上げ、カスミがすごい剣幕で尋ねてくる。

 

「ゼロ!!」

「な、なんだ?」

「私と、フレンド登録してくれ!!」

「ああ、良いぞ」

「あと、毎日料理を作ってくれ!」(ただ料理を食べたいだけ)

「ああ、良いってええええ!!??」

「!!??」

「!?ゴホッゴホッ」

 

カスミ自身はこの言葉の意味に気づいていない。一様説明するが、「毎日料理を作ってくれ」この言葉はプロボーズである。他にも「毎日味噌汁を作ってくれ」とか「毎日酢豚作ってやる」だとかがある。(ちなみに、ゼロのお父さんの和人が明日奈へのプロボーズはSAOアリシゼーション1期1話のキスシーン参照)

 

「?.....!!な、何を言っているんだ私は!?ち、違うからな!!」(自分が言っていることの意味に気づいた)

「」(急なプロポーズに壊れたゼロ)

「あ、ああ!ち、違うからな!違うからn」

 

カスミが顔を真っ赤にしながら否定の意を示そうとするが転移によって遮られる。そしてイベント終わり、もといた場所に帰ってくる。運営によると三十分後にメダル交換を行うらしい。

 

 

 

〜〜〜メイプルとサリーが料理にがっつくこと三十分〜〜〜

 

 

「お、やっとか」

 

ゼロの視界にはスキルや装備品の名前がずらっと並んでいる。ゼロの集めたメダルはなんと90枚。なぜこんなにも大量なのか辿っていこうと思う。まず、メイプルと別れる時に10枚。その後1枚集めたあと、ペイン達をキル。50枚ゲット。その後2枚ゲットした後ミィと会合。そしてキル、13枚ゲット。その後、17枚集めた。

なんのスキルを選ぶかを考える。生産スキルなどもあるがイズや他の生産系のプレイヤーの方が何倍も上手い。となると戦闘系のスキル一択だが、その中には【聖剣術】だとか【龍槍】やらあるがそんなものは興味の範囲外だ。

しかし、一つゼロの目を引くスキルがあった。

 

【消費MP半減】

消費するMPを半減させる

 

(これを取るのは決定だな。あと八つか.....。装備はどんなのがあるかな?.....お?これは....良いな。よしこれにしよう!あ、これも良いな.....これも、それも......あ、でも....うーん)

 

 

ゼロが選べるスキルや装備品は9個。他のプレイヤーよりは断然多い。選択の幅は広いので悩みに悩むゼロ。

 

 

十分後

 

 

景品を貰ったゼロは元々メイプル達と手に入れたスキルや装備品のお披露目を約束していたので早速フィールドに向かう。

草原を歩いていると初日の延々と続く草原思い出す。しかし、そんな思い出よりもっとインパクトのある光景が見えた。

 

「.......あれってメイプルだよな。シロップに乗って空を飛んでる......」

 

驚いているがゼロも人の事を言えない立場である。メタルグレイモンに乗って空を飛び、上空からミサイルぶっぱしてメダルを獲得していた。

 

「あ!おーーい!ゼロ〜!」

「.....」

「げっ......カスミ」

 

浮遊要塞メイプルの誕生に唖然としていたゼロに気づいたサリーはゼロに声をかけるが最後のプロボーズ擬きでカスミは赤面し、ゼロはカスミに苦手意識が芽生えている。仕方ないと思いながらサリー達の方へ駆け寄り大きな風呂敷をサリーに渡す。

 

「はい、これ」

「おっ待ってました!」

「言っておくが今回は少なめだからな」

「分かった分かった。メイプル〜〜!!ゼロが来たよ〜〜!!」

「分かった〜〜!!今戻るね〜」

「......」

「......」

「......」

 

遠くでモンスター達を毒魔法で殲滅しているメイプルにサリーが帰ってくるよう呼びかける。

そんな様子を見ながら先程の出来事を思い出し、黙っているカスミとそんなカスミを見て黙るゼロだが、この状況を見兼ねたサリーがこの現状を打開しようとするがなんの案も浮かばず自身も黙りこくるしかなかった。しかし、この静寂と化した空間に亀に乗った天使が現れた。

 

「ん?どうしたの?」

「まあ、ねぇ?」

「......」

「......」

「あ〜なるほど!」

 

この場の静かさに疑問を抱いたメイプルだが、サリーのぼかした言い方に理解したようだ。しかし、流石のメイプル。おかしな方向に話を持って行ってしまう。

 

「あのねカスミ」

「な、なんだ?」

「ゼロくんに言った事はゼロくんの料理をいーぱい食べたいから言っちゃったんだってみんな知ってるよ?」

「メ、メイプr」

「だけど、本気でゼロくんのことを狙うんだったら........容赦しないよ!」

「.......」

「.......」

「.......」

「あ、あれ?なんでみんな黙ってるの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり.....付き合ってたんだ.............」

「Cーーーーーー!!!」

「立て!立つんだC!!」

「けど、メイプルはメイプルで.....ガク」

「Dーーーーーー!!!」

「A達全員死んじまった....後はお前だけだ!E!」

「次回、全滅」

「ぜってー見てくれよな!」




はい、めぐみんの爆裂魔法入れてみました。

次は何入れようかな?

入れて欲しい物があったら感想へGO


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みんなはじゃがりこ何味が好き?

結局魔神さんは引けず.......
ギルも出ない......約150連分か......爆死したの

泣きそう

※朝食時の会話を少し変えました


「えーと....複数個あるから順番に見せていくな」

 

カスミプロボーズ事件がメイプルの謎言動により解決?したため新スキルの発表会が再開されゼロの順番になった。

ゼロは装備を【夜桜】に変え、遠くの敵の群れに向かって居合をする。

 

「【次元斬】!」

 

ゼロはただ居合をしただけ。その事に他の三人が疑問に思っていると、突如敵の群れがポリゴンになった。

 

「ど、どういうことだ!?」

「なんで急に?」

「すごいすごーい!」

 

メイプル達の三者三様のリアクションに口を緩めつつ【夜桜】を納刀して三人に声をかける。

 

「これは【次元斬】っていうスキルで敵との距離関係なく斬撃を当てるスキルだな。ちなみに【索敵】とかにも引っかからないからプレイヤーの直感でしか避けられない」

「また厄介なスキル持ってきたね」

「そんなスキルよく見つけたな」

「攻撃系のスキルはあんまり見てないけどそんなスキルあったっけ?」

「ないぞ」

「「「え!?」」」

 

ゼロの問題発言に女性陣は驚愕する。スキル交換で手に入れたスキルと言っているのにそんなスキルはないと言ったのだ。

しかし、問題発言はまだ続く。

 

「ないから作った」

「またか.....」

「サリー...ゼロはいつもこんななのか...」

「うん。別のゲームでもゼロの作ったスタイルが一番強いってなってる」

「そうか.....」

「「ハア......」」

 

ゼロの問題行動に常識人組が深いため息を吐く。それに比べて天然組は......

 

「ねぇねぇ!どうやってやったの?」

「【不可視】ってスキルと【隠蔽】ってスキルと【飛刃】ってスキルを組み合わせて使ってみたら出来た」

「でも【次元斬】って言ってなかった?」

「それは試しに三つのスキルで【次元斬】をやったら【次元斬】っていうスキルを手に入れた」

「へぇー」

 

なんかほのぼの会話していた。

取り敢えず次のスキルを見ることなった。

 

 

 

〜〜〜十分後〜〜〜

 

 

 

「とにかく」

「規格外だ.....」

「あいつ......ハア」

また常識人組が深いため息をついていたことをここに記す。

 

 

 

 

次の日(リアル)

 

 

 

 

「..........zzz」

 

月曜日の午前七時三十五分。桐生家宅。

零、絶賛寝坊中。普段ならば五時半には起きて朝の稽古をしているのだが、今日は昨日の疲れが出たのか深く眠っている。六時半に布団を干すためにお手伝いさん(メイド)の十六夜さんが零の部屋に来たが零が寝ていて驚きつつも起こしたのだが全く起きなかった。(少しイタズラした事は秘密です❤とは彼女談)

しかし、そんな零を起こすことが出来る人物がいる。零の両親である和人と明日奈。

そして、

 

「零!いい加減起きないと遅刻しますよ!」

「ん〜〜後二週間」

「二週間も寝てたら死んでしまいますよ!」

「そして零は力尽きた」

 

姉のユイである。前に零が殺されると震えていたが、別に仲が悪い訳ではない。むしろめちゃくちゃ仲がいい。怒ると怖いだけだ。

そんなユイが部屋に入ってきて布団にくるまっている零を起こそうとするのだが何をどう声掛けても全く起きる気配がない。というか会話している時点で起きているのだがそんなことは置いといて。

こうなればとユイは零の布団をひっぺがし実力行使で起こすことにした。

 

「こうなったら....えい!」

「っ...やめろ!俺は布団が無いと寝れないんだ!」

「零が起きるまで返しま......プッ」

「どうした?姉さん」

「アハハハハハハハハ!!」

「え?え?え?」

 

急に大笑いしだした姉に困惑しつつも完全に目が覚めてしまったので仕方なくリビングに向かう。道中十六夜さんに会ったのだが彼女も零の顔を見て小さく笑っていた。どうしたんだろうと考えながら歩いているとリビングに着き、ソファーに座りテレビのニュース番組を見ている和人に挨拶する。

 

「おはよう、父さん」

「おはよう、零。今日は遅かったな」

「ちょっとね。.......ん〜癒されるんじゃ〜〜」

 

そして、寝ている愛猫の碧のことをもふもふしてからテーブルに座る。すると、キッチンから明日奈が出てきて朝食を出す。

 

「おはよう、零」

「おはよう、母さん。朝ごはんありがと。明日は俺がするよ」

「フフ、ありがと」

 

笑いながら礼を言う母に疑問を持ちながら朝食を食べる。すると、ユイもテーブルに座り朝食を食べる。零はなぜ大学に行ってないのか疑問に思い聞いてみる。

 

「姉さん。大学は?」

「今日は設立記念日で休校なんです」

「そうなんだ。......そういえば母さん」

「なに?」

 

姉さんだけずるいと思いながら零はトーストを齧るが、ふと気になったことを明日奈に聞いてみた。

 

「最近太った?」

「殺されたいの?」

「違います!からかったりしている訳では無いのでお許しを!」

「零はデリカシーが無さすぎます!」

「ほんと、楓ちゃんとか理沙ちゃんにもそんなこと言ってないでしょうね?言ってたら、許さないゾ!」

「そんな歳かよ」

「ん?」

「その笑みが怖い!」

「アハハハハ!!本当に面白いな。お前たち」

 

零と明日奈の会話に和人が爆笑する。そんな和やかな雰囲気にユイが気付いたことを零に尋ねる。

 

「あっ!零、学校はいいんですか?遅刻しますよ?」

「ん?」

 

そこでふと時計を見ると八時五分と針が示している。その事に慌てた零はトーストを喉に詰まらせ水を飲む。

 

「!?ゴホッゴホッ」

「大丈夫ですか?」

「全然だいじょばない!」

 

零は急いでトーストを食べ終えると自分の部屋に向かうと、そこでは十六夜さんが部屋を片付けていたが、これから自分は着替えるため出ていってもらおうとする。

 

「十六夜さん!着替えるから出てって!」

「あら、私は大丈夫ですよ?」

「俺が大丈夫じゃないの!ほら!出てって」

「あらあら」

 

そう言って十六夜さんを部屋から追い出して一息つこうとするが時間がないことを思い出しすぐに着替える。

着替え終わると鞄を持ち、急いで玄関に向かう。

 

「いってきまーす!」

「「「「行ってらっしゃい」」」」

 

自分の慌てる姿に笑っている姉には何も言わない。しかし、そこで何かしら言っといた方が良かったと後悔することになる.......

 

 

 

 

 

 

「やばい!」

零は走っている。零の家から学校まで歩いて二十五分かかる。零が家を出たのは八時十分。急いがなければ遅刻確定である。

 

しかし、才能マンの桐生 零。間に合ってみせた。見せたのだが......

 

「「「「ギャハハハハハハハハハハハハ!!!」」」」

「「「「アハハハハハハハハハハハハハ!!!」」」」

「解せぬ」

 

クラスメイトの全員から笑われていた。

 

それは零が教室に入り自分の席に着いて疲れたから机に突っ伏した時、仲が良い友人の中山 金二久が話しかけてきた。

 

「今日は遅かったな」

「寝坊しちゃってな」

 

そう言って金二久の方を向くと

 

「寝坊ってお前らしくない...な...ってお前....なんだこれ!アハハハハ!!」

「??」

「おい!みんな!零の顔見てみろ!ギャハハハハハハ!!」

「「「??ギャハハハハハハハハ!!」」」

 

金二久の指さした零の顔にはThe 顔へのイタズラって感じの絵が描かれていた。それを見たクラスメイトが爆笑し、気づいた零は顔を洗いイタズラ書きは消えたがクラスメイトは未だ爆笑中だった。

そして、零はいつもの二人に慰められていた。

 

「災難だったね零」

「ド、ドンマイ!」

「なぜこんなことに...姉さん達が笑っていたのはこれのせいか」

 

零は知らない。その犯人は現在自分の部屋を掃除しているお手伝いさん(メイド)ということを。金二久を始め他の男子(他のクラスも含む)に血涙を流しながら嫉妬に満ちた視線を向けている事を......

 

零は知らない

 

 

〜〜〜放課後〜〜〜

 

「今日は散々だった...」

「そうだね」

 

学校が終わり二人は一緒に帰っていた。途中、楓が本屋に寄りたいと言って寄った帰りである。その途中に近くの公園で座って喋っている。放課後デート......羨ましい。゚∵・(ノД`)∵゚。 うわああん

 

「ねえ」

「ん?」

「私、三日間NewWorld Onlineをお休みしようと思ってる」

「あ〜楓今日失敗ばっかだったな」

「うん。それで一旦ログインせずにお休みして失敗を無くそう!っていうことで」

「いいんじゃないか?恥ずかしい思いをいっぱいしたし」

「思い出させないで!」

「そんな楓も可愛かったぞ」

「〜〜〜///」

 

笑う。二人は笑う。

他愛もない会話をしながら好きな人と過ごす時間の幸せを噛み締めながら笑う。

そして二人は願う。

 

こんな時間が永遠に続けばいいと




タイトルは本編と一切関わりがありません
ちなみにじゃがバターが好きです

最近、口をめちゃくちゃ噛んで口内炎になりそう
痛い




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祝 ギルド結成!一方その頃主人公は?

最近、サブタイトルをふざけてるけど許してちょ

反省はしているが後悔はしt「第六天魔王波旬〜夏盛〜(ノブナガ・THE・ロックンロール)!!イェイ!」(#)ཫ` )グハァ

なぜ水着ノッブがここに!?
「はよワシを育てんか」
え〜もうちょいお待t「待たん」や、やめろーーーー!!グハッ_:( _ ́ཫ`):_

「是非もないよネ!」


〜〜〜前回から三日後〜〜〜

メイプルはログインして広場でサリーを待っている。

しばらくするとサリーがやって来た。

 

「ごめん!待った?」

「ううん、全然。今日はどうする?」

「メイプルはこの三日間のこと知らないよね?」

「うん」

 

メイプルは三日間ゲームの情報を全てシャットアウトしたため新しい情報を全く知らない。そこでサリーが説明するのだが、その中で最もメイプルが興味を示したのがギルドホームについてだった。

 

「光虫っていう金色の虫が追加されて、それを倒すと【光虫の証】っていうのが手に入るんだけど」

「それを何に使うの?」

「ギルドホームを買うのに必要なんだよ」

「ギルド....ホーム?」

「そう、ギルドホーム。この街ってさ、入れない建物がいっぱいあるよね」

「うん」

 

この街には建物が幾つもあるが、NPCの店や部屋を借りる鍛冶屋などの建物以外全て入れない建物なのだ。

今回追加されたギルドホームは証一つに対して入れない建物を一つ買える。しかも虫の種類によってホームのランクも違う。

 

「ふむふむなるほど」

「しかも虫は建物の数しかいない」

「じゃあ急いで探さなきゃ!」

「こんなこともあろうかと.....『光虫の証』はゲット済み」

 

そう言ってサリーはインベントリからアイテムを取り出しメイプルに見せる。そして、ギルドホームを購入するための次の条件を言う。

 

「あと、ギルドホームを購入するためのお金も必要なんだ」

「ど、どれくらいなの?」

「ざっと五百万ゴールド」

「ご、五百万!?」

 

メイプルはお金が必要になることが少なく、貯めてもいなかったため五百万なんて大金を持っているはずがなかった。

そのため、すぐに稼ぎに町の外へ歩きだそうとするが

 

「メイプル」

「も、もしかして....」

「用意してあるんだなぁこれが」

「凄いよサリー!」

(うう....メイプルの純粋さが眩しい....ゼロに借りたなんて絶対に言えない.....)

 

サリーは第二回イベントの時にメダルを取りに行く際に、ゼロがプレイヤーを狩りまくったため近くにプレイヤーが居なくて遠出した。そのため、装備の耐久値が減り修繕に出したせいで懐が少し寒かったのだ。

仕方ないのでリア友であるゼロに借りた訳だが、それで後々めんどくさいことになることをサリーは知らない。

 

「それじゃあしゅっぱーつ!」

「おー!って、その前にメイプルに話しておきたいことがあるんだ」

「なに?」

「第二層に仮面をつけてて自分と戦って勝てたら強い装備と全財産をやるってプレイヤーがいるんだけどね」

「そんなプレイヤーが?」

「しかも、ギルドにも入るって」

「ギルドにも?」

「そう。で、強い装備とお金が手に入るならってギルドホームを買いたいプレイヤー達が挑んだんだけど、全然歯が立たないらしいんだ。勝てないから周りのプレイヤーが勝負を仕掛けなくなったんだけど」

「そんなに!?」

「しょうがないから五分間攻撃しないで避け続けるから当てたら勝ちでいいって。なのに今でも勝てた人は0。それで誰が呼び始めたのか分からないけど、付いた名前が『絶剣』。確か...絶対無敵の剣、空前絶後の剣みたいな意味だったかな?」

「それじゃあゼロくんとどっちが強いのかな?」

「どっちだろうね?ずっと仮面をつけてるあたり本人だったりして」

 

そんなことを話しながらギルドホームを探しに歩いていった。

奇しくも『絶剣』という呼び名はゼロの持つ必殺技の名前と一致していた。

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ゼロくんは?

 

「この!くそ!おら!ハアハア.......全然当たらねえ」

「.......五分経過。タイムオーバーだ。」

「また当たらなかったぞ!」

「一体どんな反応速度と動体視力してたら躱せるんだ!?」

 

第二層、主街区。大きめの広場の一角にゼロは居た。そこには大勢の観衆がいて、その外には看板があり「挑戦料千ゴールド。腕試しやデュエルがしたい奴ははかかって来い!」と書かれていた。

その中でゼロは

 

「次の挑戦者はいるか!?」

 

仮面を被り、中央に居て、観衆達に叫んで呼びかけていた。

サリーの言っていた『絶剣』はゼロだった。名前関連は本当に偶然だったのだが、全く本人は気にしていなかった。

 

しかし、観衆は誰も名乗り出なかった。ゼロが今日はこれで終わりかと思い帰ろうとしたその時、観衆から少し離れたところから声が聞こえてきた。

 

「俺が相手をしよう」

 

ゼロは仮面の下でニヤリと笑う。観衆はその声が聞こえてきた方を見ると、ある者は驚きで言葉が出ず、ある者は『絶剣』を倒してくれるのではと期待をし、またある者はどんな戦いが起こるのかドキドキしていた。

 

「ペインだ!」

「ペインが来たなら《絶剣》はもうお終いだな!」

「ペインがもし負けたら....」

「ペインを倒したあの《黒の剣聖》は何処なんだろうな?」

 

《黒の剣聖》とはもちろんゼロのことだ。漆黒のコートを羽織り、両手の剣を操り無双する。それはまるで剣聖の如き実力ということで名付けられた。

しかし、観衆の中である疑問を唱える者が現れた。

 

「もしかして....《絶剣》が《黒の剣聖》だったりして.....」

 

実際その通りなのだが、そんな事は観衆は知らないので周りにいるプレイヤーが否定する。

 

「ないない。だって《黒の剣聖》の所以たる漆黒のコート、青い薔薇を象った剣に青く輝く剣も持ってねえじゃねえか」

「装備してないだけかもしれないだろ!」

「確かに.....まあどっちにしたってこのゲームの上位プレイヤーの戦いなんだ!俺は《絶剣》に賭ける!」

「俺はペインに!」

「私は《絶剣》!」

 

段々盛り上がってきたのか賭けをするプレイヤーが出てくる。ゼロなそんな観衆の様子を無視してペインに早く来い的な視線を送る。しかし、無意識に発した覇気に当てられたペインは自分の知らない内に後ずさっていた。

 

「.......ッ」

「早く来い」

「あ、ああ」

 

ペインはゼロに催促され恐怖を飲み込み前へ歩き出す。自然と周りに居たプレイヤー達が横にはけ、ペインに応援の声をかける。

 

「頑張れ〜!」

「負けるじゃねぇぞ!」

「お前に賭けてるんだ〜!」

 

しかし、当の本人は応援には耳を傾けず、目の前の敵に闘志を燃やす。目の前の人間に自分は勝てない。先程、覇気を感じたとき察した。それでもアイツ────《黒の剣聖》に勝つためには、この強敵に打ち勝たなければならない。その強敵はゼロ本人なんだけど

 

「五分避け続けるコースかデュエルコースか、どっちだ?」

「もちろんデュエルコースだ」

「「「「「オオオオオオオオオオ!!!」」」」」

 

観衆が沸き立つ。《絶剣》という名がついてからデュエルコースは誰も挑まなかったからだ。周辺が熱くなっていく中、向かい合う二人は自分の得物を握る。

 

ペインは白く輝く大剣を

ゼロはいつもの二刀流ではなく、イベントの報酬で手に入れた大太刀を

 

ペインの青のマントとゼロのイベントで手に入れた青い羽織が靡く。両手が剣の柄に手をかけ、駆け出す。

 

「.....ッ!」

「....シッ!」

二人が交差する。すると、ペインがポリゴン片となり消えていく。

勝ったのはゼロだった。

 

歓声がの嵐がゼロを包む。喜ぶ者、興奮する者、悔しむ者、様々なプレイヤーがいる中で

 

「凄いね〜」

「ペインさんを倒しちゃうなんて.....《絶剣》。思ってた以上に強い」

「サリーは戦わないの?」

「ん〜〜やめとこうかな。かなわないだろうし」

「そんなんだ。じゃあ私がやろっかな。感覚を取り戻すために」

「お!頑張れ!」

「うん!」

 

二人は居た。ギルドホームを購入し、ギルドメンバーを集めていたメイプルとサリーはイベント中に出会ったカスミやカナデ、知り合いのクロムやイズを誘った後、ゼロを勧誘するためメッセージを送った。返ってきた返信は「用事があるからそちらには行けない。二層の主街区にいるから来てくれ」というものだった。

なので二人は二層に来た訳なのだが、一向にゼロの姿が見つからないので《絶剣》とペインの対決を見ていたのだ。

 

「あれ.....メイプルとサリーだよな?おーい!」

「??ゼロくんの声が聞こえなかった?」

「うん。聞こえたけど......どこかな?」

 

そう言って二人は辺りを見回すが、それらしき人影は見当たらない。段々声が近くなっているのは分かるが何処にいるか分からない。二人が困惑していると《絶剣》が近寄ってきた。二人は《絶剣》=ゼロということを知らないため凄い緊張しているのだが、そんなことは露知らずどんどん近づいていくゼロ。

 

なんか近づいてきてない?

わ、私達に用がらあるのかな?

とりあえず知らない振りをしよう

 

小声で会話する二人に無言でどんどん歩み寄るゼロ。そんなゼロに恐怖を感じたのか二人は抱き合いながら涙目で問いかける。

 

「あ、あの〜......」

「何か御用ですか?」

 

周りのプレイヤーが固唾を飲んで見守る中、《絶剣》が発した言葉は驚くべきものだった。

 

「え?俺だけど。なんで敬語を使ってるんだ?」

「「へ?」」

 

その場に居るプレイヤー全員が固まった。あの《絶剣》が《浮遊要塞》メイプルと攻撃が勝手に避けていくスキル持ちと噂のサリーに声をかけたのだ。しかも友達のように。それは今までの《絶剣》のイメージを軽く覆すインパクトだった。

 

「あ〜そういえば仮面を外してなかったな。....ほれ、俺だよ」

「「...........」」

「「「「「ええええええええええええええ!!」」」」」

 

仮面を外した《絶剣》の素顔にその場に居たプレイヤー全員が驚いた。一度話題になった『《絶剣》=《黒の剣聖》説』が本当だったのだ。

目の前に居る二人は固まり、周りに居る観衆が絶叫する。

まさに地獄絵図なのだ。そんなことを露知らずペインはというと

 

「《絶剣》必ずリベンジして、ゼロにも勝ってみせる!」

 

 

 

同一人物なのに




ちなみに大太刀は魔神さんの煉獄、青い羽織は沖田さんの羽織です


友達にギル当たらなかったって言うと
友「十連で当てた」
思わず襲いかかってしまった



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新たな戦力を求めて

今回、自分の好きなキャラの宝具がスキルとして手に入ります!

宝具って言ってる時点でFGO確定という

※レベルを変更しました


「くっ......まだまだぁ!!」

 

ゼロはそう言って『青薔薇の剣』を地面に突き刺し【完全武装支配術】で目の前の敵を氷漬けにする。しかし、即座に砕かれ反撃をくらう。

 

「こうなったら.....決着を着ける!」

 

自分の目の前に居る敵にそう宣言する。

 

なぜこうなったのかは三十分程遡る。

 

 

 

 

 

 

 

 

《絶剣》がゼロだと判明したすぐ後、サリーが本題に入ろうと話をきりだす。

 

「とりあえず.....《絶剣》がゼロだったことは置いといて」

「ゼロくん!私達のギルドに入ってくれるかな?」

「ああ、いいぞ」

「「「「「いいのかよ!?」」」」」

 

そんなツッコミが観衆からゼロに浴びせられるが無視して話を進める。

 

「で、ギルドホームはどこだ?これからクエストに行こうと思っていてな。早く行こう」

「分かった!じゃあ、早速出発!」

「........今はこのテンションについていけないや....」

 

そう言って三人は第一層に向かう。そんな彼らを呆然と見るプレイヤー達の視線にゼロは無視し続けるのであった。

 

 

ギルドホームに着いた三人は待っていてもらった四人に詫びを入れ、ギルド登録した。

 

「よーし。ギルドマスターはメイプルでギルド名は《楓の木》でいいな?」

「「「「「「異議なし!」」」」」」

「うし!じゃあクエスト行ってくるわ」

「行ってらっしゃーい!」

「気をつけてね〜」

「おう!」

 

ゼロはやることやって早速クエストに行くのであった。

 

 

 

クエストを受注したゼロは専用フィールドに転移した。周囲を見回すと、この場所は大きな岩に囲まれていて天井はなかった。所々に大きな鳥籠のようなものがあり、中に青白く光る球状の何かが幾つか浮いていた。その光景はまるで地底の世界、冥界のようだ。

 

A──Aaaaaa、aaaaaaa────!

 

「ッ!」

 

歌声のような声が後ろから聞こえてくる。急いで振り向くとそこには獣のようであり、どこか神々しくもある何かが居た。

ゼロはある確信をもって呟く。

 

「こいつがこのクエストのボスか.....」

 

Aaaaaaaaaaaaaa────!

 

 

 

「チッもう攻撃を仕掛けて来たか....こうなったらいつもの連携でっ!」

 

背負った二振りを構え、駆け出す。ボス──ティアマトの近くにたどり着くと両手の剣をもって斬りつける。しかし、全く傷はついてない。

 

「なにっ!?」

 

Aaaaaaaaaaaaaa────!

 

 

そして冒頭に戻る。

両手に握った剣を鞘に直し、右手を正面に上げる。すると、光の粒子が集まっていき一つの聖剣を形成する。しかし、その聖剣は今までの聖剣と形が少し違っていた。

 

十三拘束解放(シール・サーティーン)──円卓議決開始(デシジョン・スタート)!」

 

そう宣言する。すると、何処からか声が聞こえてくる。

 

「承認。ベディヴィエール、ガレス、ランスロット、モードレッド、ギャラハッド」

 

その声は円卓の騎士の名を告げる度に聖剣は七色に輝く。

 

「これは、世界を救う戦いである」

「アーサー」

 

アーサーと言った瞬間、聖剣が一際大きく輝く。聖剣を構えると、巨大な光の剣を形成していく。

 

「【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】!!!」

 

放たれた光は奔流となり地面を削りティアマトを呑み込む。砂埃が舞い、砕けた岩石の欠片が吹き飛ぶ。

視界が晴れたその場には

 

 

 

上半身が消滅したティアマトの姿があった。

 

「なっ!?」

 

全力で放った【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】を当たったのにも関わらず、上半身を消滅するだけだったのだ。本来なら全て消滅していても可笑しくはないのだ。しかも、HPも半分以上残っている。やけくそになったのか次の攻撃の準備に入る。

 

「こうなったらとことんやってやる!」

 

そう言うと両手を前へ突き出し、詠唱する。

 

「紅き黒炎、万界の王。天地の法を敷衍すれど」

 

両手の前に紅い魔法陣が現れる

 

「我は万象昇温の理。崩壊破壊の別名なり」

 

足下にも魔法陣が現れる

 

「永劫の鉄槌は我がもとに下れ!」

 

ティアマトの頭上に巨大な魔法陣が何枚も現れる。

 

「エクスプロージョン!!!」

 

巨大な爆発がティアマトに襲いかかる。噴煙が治まるとティアマトは完全に消滅していた。

 

「ふぅ〜〜【消費MP半減】が無かったらヤバかったな......」

 

軽く息を吐き、入れていた力を抜く。すると、スキル獲得とレベル上昇の通知が来た。

 

『エクストラクエスト『創世の女神』をクリアしたため【抑止の守護者】を獲得しました』

『特殊クリア条件を満たしたので【天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】を獲得しました』

『レベルが68に上がりました』

 

「ふむふむ。どんなスキルかな〜」

 

 

【抑止の守護者】

所持者の敵に絶対に勝利出来る数値までステータスとスキルの能力を上昇させる

 

取得条件

エクストラクエスト『創世の女神』をクリアする

 

 

 

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)

STR値×二万の固定ダメージ。確率で即死。MPを全て消費する。

 

取得条件

エクストラクエスト『創世の女神』をソロで十回以内の攻撃でクリア

 

 

 

「なるほどなるほど。強いなあ....まあいいか。とりあえず次のクエスト行ってみるか」

 

ゼロは帰還用の転移魔法陣に乗って第二層に一旦戻った。そこからまた歩いて次のクエストを受けに行く。

フィールドに出てしばらく歩いて行くと一軒の和風建築があり、その中には一人の二十代の女性と高校生ぐらいの青年が居た。話かけると、長々しく話始めたので要約すると「十五年前に凄い戦いがあった。その戦いがまた行われようとしている。何とかして止めてくれ」ということらしい。庵を出ると、夜の江戸のような町並みが広がっていた。

 

「いつの間にか転移されてたか....!?」

 

時代劇のような町並みに呆然としていると、後ろから矢が飛んできた。咄嗟に【硬化】することでダメージを負うことは間逃れたが、気が抜けていたとはいえ【索敵】していたのに気づけなかった。そのことにゼロは背中に冷たい汗を感じながら後ろを振り向くと、屋根の上には敵意を剥き出しにする七つの影があった。

僧のような服装のがたいのいい男性。《ランサー・プルガトリオ》

弓を持ち白い甲冑に身を包む若い女性。《アーチャー・インフェルノ》

くノ一のような服装の小柄な少女。《アサシン・パライソ》

鬼のような装いの小柄な少女。《バーサーカー・衆合地獄》

武将のような装いの長身の女性。《ライダー・黒縄地獄》

陰陽師のような装いの長身の男性。《キャスター・リンボ》

侍のような服装の少し老いた男性。《セイバー・エンピレオ》

一人一人が尋常ではない程の覇気を纏っている。ゼロが七人を観察していると、プルガトリオが話かけてきた。

 

「我ら英霊剣g「先手必勝!」何!?ぐあああああ!!」

「なんだと!?」

 

しかし、ゼロは敵の名乗りを妨げ攻撃したのだ。その行動にパライソが驚きながらも批判する。

 

「卑怯だぞ!」

「けど、俺は名乗りとか嫌いなんだよね」

「しかし!英霊剣豪はそんなやわの攻撃では死なん!見よ!我ら英霊剣豪の不死性を!」

「へ〜、おい、そこののっぽ!」

「のっぽとはなんだ!のっぽとは!」

「そのまま消えていくぞ」

「何を言ってい...な!?」

 

首を切り飛ばしたはずのプルガトリオが立ち上がる。なんてことはなく、そのままポリゴン片となり消えていく。その様子に六人全員の圧が強まる。そして、負けじとゼロもスキルも使って覇気を送る。

 

【覇王色の覇気】

自分よりレベルの低い者を威圧する。差があればあるほど効果は強くなり気絶させることも出来る。

 

取得条件

クエスト『冥王の修練』をクリアする

 

このスキルと元から持つゼロの覇気や【超集中】と【先駆者】のスキルの効果を倍にするスキルの影響で自分よりレベルが高く設定されたボスでも気絶とまではいかないが、恐れを抱かせることは出来る。

圧と圧のぶつかり合いを負けた英霊剣豪達はゼロに恐怖を抱きながらも襲いかかる。

 

「ハアアアアア!!」

「...........」

「なぜ食らわない!?インフェルノの矢も!エンピレオと黒縄地獄の剣も!私のクナイも!リンボが出す妖も!衆合地獄の酒も!何もかも....なぜだ!?」

「読んでるんだよ。未来をな」

「未来....だと.....!?」

 

しかし、一向に当たらない。後ろから放たれる矢も、襲いかかってくる剣や爪、死角から飛んでくるクナイも、全てを蕩かす酒も。全てを避けていく。その理由をパライソが聞くが、ゼロはその答えに未来を読んだと答えた。

スキル【見聞色の覇気】、相手の気配や動きなどを感知するスキル。極めれば未来をも読める。ゼロは最近このスキルを手に入れたので極める程の時間はなかったので相手の動きを読んだだけなのだが、少し誇張して伝えた。『動きを読む』のと『未来を読む』では恐怖の与え具合が違う。だからあえて誇張したのだ。

 

「未来など読めるものか!」

「読めるんだなあ、これが」

「戯言を.......っ!?」

 

それは一瞬だった。パライソが歯ぎしりした瞬間、目の前にはゼロの姿があり気がついたら視界が黒に染まっていた。

 

「ちょっと人数が多いな......新スキル試してみるか」

「あんさん戦ってる最中に何考えてるん?」

「【覚醒】!ウォーグレイモン!時間稼ぎよろしく!」

「了解!」

「......英霊剣豪達よ!目に焼き付けろ!.....これがお前たちの見る最後の光景だ!」

 

ゼロの周りに赤いオーラが螺旋する。夜の町並みの一角が赤き光で照らされる。ゼロの一歩手前の空間から金色の渦状の穴から凄まじいエネルギーを持つ剣が出てくる。それに伴い赤いオーラの渦も量と速さが増す。ゼロはその剣の柄を掴み詠唱を始める。

 

「原初は語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝ぐ。」

 

剣の刀身がゆっくりだが回り始める。すると、剣の周りにもゼロと同じ赤いオーラが渦巻く。

 

「世界を裂くは我が乖離剣」

 

刀身の回転する速度が速まり、赤雷を纏い始める。この剣の異質さに気付いた英霊剣豪達は何とか止めようとするが、それをウォーグレイモンが阻む。

 

「!?全力であれを止めろ!あれを放たれたらお終いだ!」

「残念だがここは.....通行止めだ!」

 

「星々を廻す渦、天上の地獄とは創世前夜の終着よ!死を以て鎮まるが良い!」

 

剣を掴む右腕を上空に掲げる。剣の先には尋常ではない程のエネルギーが密集して球体となっており、全てのエネルギーを凝縮した姿はまるで太陽の如く。

 

「【天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】!!!」

 

圧倒的質量のエネルギーは赤い極太のビームとなり、英霊剣豪どころか町をも破壊し尽くす。

 

 

全てのエネルギーを放出し終えた後、残ったものは『無』だった。

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】そのものでは地形データごと壊すことはないのだが【超集中】や【先駆者】と【抑止の守護者】のせいもあってか地形データごと破壊してしまったのだ。

ここはデータのない場所。例えるならポケモンのダイヤモンド・パールのアルセウスを捕まえるために入る真っ黒な場所みたいな物。バグの場所。

 

 

ゼロはプレイヤーではなくゲームに殺されたのだ。

 

 

「どおおおしてだよおおおおお!!」




ギルーー!うちのカルデアに来てくれないけど好き
魔神さんも来てくれねーかな


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うんえいさんのおはなし

姉の引越しのお手伝いで忙しかったです
起きたらすぐに手伝い....まあ4時ぐらいまで寝てるからなんですけど


これは本作の主人公 ゼロが地形データを破壊した後のお話......

 

 

〜〜〜《楓の木》ギルドホーム〜〜〜

ホーム内にはギルドメンバーが全員机に座り、モニターの前に立つメイプルへ視線を向けていた。メイプルは全員の視線を感じると、今日の本題を話し始める。

 

「それでは、定例ギルド会議を始めたいと思いまーす!今回はクロムさんからお知らせがあるということで、クロムさん!お願いします!」

「ああ、皆も知っての通り運営からの連絡で第三層の追加と第三回、第四回イベントの開催が発表された」

「立て続けにするんだな」

「参加するプレイヤーが増えたからだろう。うちにもド派手な広告塔が二人もいるしな」

「確かに....」

「「??」」

「「「「「ハア」」」」」

全員がゼロとメイプルをジト目で見つめる。二人はギルドメンバーからのジト目の意図が分からず同時に首を傾げるが、それにため息を吐くメンバー達。

 

 

その後、会議は滞りなく進み、今では雑談タイムに入っていた。各々が最近受けたクエストや攻略したダンジョンの話、ただの世間話に花を咲かせる中、ゼロが初めてデスしたことを伝えるとギルド中が大騒ぎになってしまった。

 

「お前が死んだのか!?」

「何処の!誰に!?」

「ありえない......ゼロが死ぬなんてありえない...」

「そんな人がギルドに入っていたら....私たち終わったね」

「ペインさんにやられたの?」

「だれなの?」

 

殆どのメンバーが机に身を乗り出してゼロに問い詰める。その他の者は椅子にもたれかかり、これから始まるイベントに絶望していた。

メンバーの問いかけにゼロは少し機嫌の悪そうに答えた。

 

「ゲームにやられた」

「「「「「「???」」」」」」

「だーかーら、プレイヤーにやられたんじゃなくてゲームに殺されたんだって」

 

しかし、ゼロの言っていることを全員理解していない。そのことに気付いたゼロは一から説明したのだが、漏れなく全員に再びため息を吐かれていた。

 

「「「「「ハア........」」」」」

「うっ.....なんだよ皆してため息なんかついて」

「クエストのボスが多くて」

「時間がかかりそうだったから」

「新しく手に入れた強いスキルの試し打ちをしたら」

「うっかり地形データを壊してしまい」

「そのまま死んでしまったと....」

「......そうだけど」

「「「「「ハア.......」」」」」

 

またため息を吐かれたゼロは皆の態度に不満を持ち、少しやけくそになり爆弾を投下した。

 

「悪いかよ!もう大丈夫だし!ログアウトした後、父さんにそのことを言ってフィールドをもっと強くしてもらうよう頼んだから!」

「まあまあ。その辺で落ち...つ...け....ええええええええええええ!!??」

「ってことはつまり、ゼロのお父さんって....このゲームの運営スタッフ!?」

「あー、ちょっと違うぞ」

「運営スタッフでもないなら......じゃあ誰!?」

「このゲームのスポンサーの社長だよ」

「へえ、そうなのか。....うん?待てよ....なんでサリーがゼロの父親の職場知ってるんだ?」

「だってリア友だし。幼馴染っていうのかな。保育園の頃から一緒になんだ」

「ああ。なるほど。だからよく二人で話してるのをのか」

 

ゼロとサリーのカミングアウトで全員が驚いたが、その後のカスミの一言により二人は背筋を伸ばす。後ろに居るどす黒いオーラを纏ったメイプルの気配に気付いたからだ。

二人は冷や汗を流しながらゆっくり顔を振り返ると、そこにはメイプルがにっこり笑いながら黒いオーラを発していた。二人はメイプルのその笑顔に恐怖をし、頬を引き攣らせながらメイプルに話しかける。

 

「ど、どうした?メイプル」

「な、何かあった?」

「ううん。何でも無いよ。ただ......二人が仲良さそうだなあって思って」

「それは、なあ?俺たち友達だからさ」

「そ、そうだよ!メイプル!」

「友達、ねえ」

「そう!仲のいい友達」

「けど二人とも、私がゲームお休みしているとき学校で仲良く話してなかった?それにゲームの中でも楽しくおしゃべりしてたらしいし」

「そ、それは.......」

「だ、だって幼馴染だもんね?仲良く話すよね?ね?」

 

サリーは周りに助けを求めるが、返ってきたのは大人達の無情な返しだった。

 

「幼馴染ってずっと仲のいいもんか?」

「そうだな。少しは疎遠になると思うが」

「まあ、仲のいい幼少期を過ごしたんでしょ」

「って、言ってるけど」

(おいいいいいいいいいいぃぃぃぃ!!??......どうする、どうする!?とりあえず.....あいつら後で絶対はっ倒す)

 

大人達に裏切られ、窮地に立った二人はどうしようかとオロオロしながらも打開策を考える。

 

 

一方その頃運営は

 

「ヤベーよ!○○○○社の桐生社長からなんか来たよ!」

「どういうことだ!?何が、何が行けなかったんだ!?」

「もう無理.....ただでさえメイプルの浮遊化にゼロのフィールド破壊.....」

「立てぇ!立つんだAー!」

「燃え尽きたよ.....真っ白にな......」

「Aーーー!!」

「おいそこ!茶番はよせ!このまま行けばこのゲームの運営に関わるかもしれん.....!B、手紙の内容は!?」

「えっ!?マジかよ......」

「どうしたB!?何があった!?」

「隊長!やばいです!」

「何がやばいんだ!?」

「と、とりあえずこれを!」

「......こ、これは!」

「どうしたんですか!?隊長!」

「....今から手紙の内容を発表する。えー『うちの息子がNewWorld Onlineにハマっていて楽しそうに今日あった出来事を話してくれます』」

「おおぉ!」

「良かったな!」

「『しかし』」

「「「!?」」」

「『プレイの最中ゲームの不手際で死んでしまったようなのです。話をよく聞くと、クエストで手に入れた新しいスキルを試し打ちしたらフィールドが崩壊して、そのまま死んでしまったそうなのです。なので、ゲーム内のフィールドの強度を上げてもらえないでしょうか?』と、書かれていた」

「た、隊長....これって、つまり」

「ゼロは桐生社長のご子息だ.....」

「........」

「Eー!?しっかりしろ!E!Eーーーー!!」

「今回の勝敗、ゼロの勝利。Eを気絶させたため」

「とりあえずフィールドの強度は上げるとして、問題は....」

「やっぱり...ゼロだよな」

「どうするべきか....」

「.....あっ!隊長!こんなのはどうですか?かくかくしかじか.....」

「ふむふむ...なるほど...よし!それでいこう...みんな!この件についてだが、フィールドの強度はもちろん上げる。それに加えペナルティという形で”ゼロのスキルを十個ほど消去させる”」

「なぜ消去させるんですか?」

「流石にフィールドを壊しておいてペナルティ無しという訳にもいかない。それにこれ以上ゼロに何かされるのも困る。なのでスキル消去という形でゲームの安寧を図りつつ、桐生社長の頼みを叶える。ウィン・ウィンの関係なのだ」

「すげー!隊長すげー!」

「さっすが隊長!」

「いや考えたの俺なんだけど」

「A....どんまい」

「D〜〜」

「ですが隊長。ゼロのスキルを消去するのはいいですが、そのスキルはこちらが選ぶんですか?それともゼロが?」

「そう、そこだ!そこについて皆に相談がある。皆はどっちがいいと思う?」

「ん〜ペナルティなんでこっちが選んでもいいと思うけど」

「だけど集めたスキルが勝手に消されるのもなあ」

「確かに...」

「そこでランダムで消えるようにしようと思うがどうだろうか?」

「それでいいと思います」

「よし!これでこの問題は解決とする!他に何かある者はいるか?」

「はい!」

「なんだF?」

「GとCとオレで考えた案なんですけど、対ゼロ・メイプル用超高難易度ダンジョンを作るのはどうでしょうか?」

「なるほど......採用!」

「やったー!今月はいっぱい提案したからな.....夢のマイホームのローンもあるけど使いすぎない程度で嫁さんにちょっと良いもん買ってやろう」

「お前....良い夫してるな」

「ありがとなG。しかし、お前はお前で良い嫁さん貰っただろ?」

「ああ。僕には勿体ないぐらいだよ」

「おーい。お前らー。惚気話はやめろ!虚しくなってくる......」

「あ〜隊長、アラフォーなのに結婚はおろか恋人すらいないからなあ」

「あの人、有名大出身の高給取りなのに.....なあ?」

「好みというか、フェチというか、性癖というか.....」

「果てしなく幼女が好きなんだよなあ」

「違う!俺は、俺は断じてロリコンではない!フェミニストだ!それに小さな子供ならいいんじゃない!黒髪で、清楚で、敬語で、ツンデレ気味の.....そんな子がタイプなんだ!」

「......」

「......」

「......」

「......」

「......あのね?その視線、やめてくれる?軽蔑しきった視線....なんか、こう...段々悲しくなってくるから。........でも、段々...ハア....こ、興奮してきた......ハアハア」

「隊長が.....隊長がぁ.....ロリコンでドMのド変態になってしまったっ......!!」

「もう喋りかけないでください」

「右に同じ」

「左に同じ」

「職場に変態が居るとか.....仕事に集中できない」

「この件は社長に報告させていただきます」

「そ、そんなぁ....ハアハア」

 

 

 

 

 

次回予告(ver.メイプル)

やめて!未婚の隊長の性癖で、運営スタッフのやる気が削がれたら、NewWorld Onlineの運営にまで響いちゃう!

お願い、死なないでA~H!

あんた達が今ここで倒れたら、ゼロのお父さんやプレイヤー達との約束はどうなっちゃうの?

時間はまだのこってる。この人の性癖に目を瞑れば、結婚相手は見つかるはずよ!

 

次回『隊長 (社会的に)死す』 デュエルスタンバイ!

 

 

「こんなの読んで意味あるのかな?」

「いいんだよ。どうせ作者のつまらないネタだろ」

「あはは。ゼロ、そういうメタイ話はやめといた方がいいと思うよ」

「別にいいだろ」

 

そんなこと言うゼロくんには次の次回予告を担当してもらおっかな〜

 

「ふざけんな!」

「まあまあ。落ち着いてゼロくん」

「ゼロが断っちゃうと最初からだから、また私が言うことになっちゃうな〜。嫌だな〜。ゼロが読んでくれると次の番にいくんだけどな〜(棒)」

「うっ.....わかったよ....」

「わーい!ありがとー(棒)」

(ふっ、こいつチョロい)




最近、宿題やら宿題やらでモチベがぐんぐん落ちていく.....
更に学校も近々再開するから書く時間も無くなってくる

モチベを上げるために感想とかください


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新たな戦力を求めて2

体を動かす度にボキボキ鳴るっていう
運動しなきゃなあ


なんやかんやあって解決したメイプルちょいヤンデレ化事件。その後、第三回、第四回イベントに向けてメンバーを増やすことにした《楓の木》はギルドマスターであるメイプルと補佐でサリーが第二層へ赴き、探していた。そんな中、ゼロはというと

 

「ん〜、俺はまだやりたいクエストがあるから」

 

と言い、イズからもらった新たな刀を装備し、意気揚々とクエストに向かってしまったのだ。

そんなゼロだが、幸先悪く運営からメッセージが送られたきた。その内容にゼロは驚愕した。

 

『フィールドを破壊したペナルティとしてランダムでスキルをら十個消去させていただきます』

「流石に十個はないだろ......。しかもランダムって。頑張って集めたのに【約束された勝利の剣】と【十二の試練】とかはは無くならないで欲しいな。俺のメイン戦力だし」

 

そう呟いた直後、新たに運営からメッセージが届いた。

 

『ダンジョンやクエストをクリアして獲得したスキルは消えません。

※イベント中のダンジョンは含みません』

「なるほど....なら【爆裂魔法】とかが消えるかもしれないんだな」

 

ゼロはメッセージウィンドウの下の方にある『スタート』と書かれているボタンのような物を押す。すると、通知が来た。中身を確認すると消去されたであろうスキルが書かれていた。

 

「消されたのは....【爆裂魔法】っていきなり高火力のスキルが消されたし.....。ま、まあ次を見てみよう。えーと、【闇属性無効】と【バトルヒーリング】、【索敵】に【悪魔殺し】、【剣防御】、【竜人化】、【体術】、【ドロップ増加】、【次元斬】と.....。【バトルヒーリング】と【竜人化】は惜しいな。ていうか入手したばっかりの【次元斬】がすぐに消えるという.....」

 

そんなことを呟きながら歩いていく。ボソボソ呟いていたのをウザがられたのか、その辺のチンピラに怒鳴られてしまった。

 

「おいてめえ!ボソボソ煩いんだよ!黙って歩くこともでき、ねえ...の.....か」

「あ、すいません。ちょっと考え事していまして」

 

チンピラと騒ぎを聞いた周りのプレイヤーがゼロの方を見ると固まった。そんなことに気付かず素直に謝るゼロ。そんなゼロに目がハートになりチンピラプレイヤーや青い髪をした優男が話しかけてきた。

 

「わ、分かればいいんだよ、分かれば。そ、それにしても...」

「そこの()()()()!とても綺麗ですね。これから僕と一緒にカフェにでも行きませんか?」

「え?あ〜えーと」

「おい、てめえ!俺が先に声をかけた()だぞ!」

「あの〜?」

 

ゼロの言葉を無視してヒートアップしていく二人の男性プレイヤー。

しかし、二人の言い争いの中で不思議な言葉が出てきた。「お嬢さん」「女」 そんな男であるゼロに向かって言われるはずの無い言葉がかけられた。

それは何故か?

ゼロが()()しているからだ。

これがメイプルちょいヤンデレ化事件の終息した理由なのだ。メイプルのことをほっぽかした罰として第三回イベントまで女装させられているのだ。

補足で言うが、ゼロはメイプルを一切ほっぽかしていない。放課後は毎日一緒に帰っているし、勉強や料理を教えたりしている。

 

それで、罰として女子メンバーが相談した結果、女装という形に収まった。その際にはイズが張り切ってしまい、美少女が生まれてしまったのだ。

顔は小さい頃は女の子と間違えられるほどの両親譲りの美しい女顔に、筋肉は付いているがが着痩せするタイプの細身の体は女性用装備を着ている。白髪のカツラを被り裏声を出すことによって、ゼロは美少女剣士になったのだ。それは女性であるメイプルやサリー、イズやカスミが拝む程の出来栄えだった。クロムやカナデは驚愕していた。

当の本人は首を傾げて不思議がっていたが、その仕草で女性陣がキュン死することになったのだった。

 

二人が言い争ってる中、ゼロ子(仮称)はそそくさと退散しようとするが二人に声をかけられ肩をビクッとさせ驚き振り返る。

 

「な、なんですか?」

「お嬢さん、僕と」「女、俺と」

「「デュエルしろ!」」

「なんで!?」

「勝った方がお嬢さんと」

「デートできる!だから!」

「分かっ.....分かりました。」

 

ゼロ....ゼロ子の返答に周囲のプレイヤーが沸く。

女性が負けたら強制的にデートさせられるのに勝負を受けたのだ。プレイヤー達はそれはもう楽しみだろう。

 

「おい、そこの青髪!どっちから先にやる?」

「では、私か「二人共一斉にどうぞ」」

「「なっ!?」」

 

再び周囲のプレイヤーが沸く。

一斉にかかってこい。二対一でも勝てるという自信の表れだ。女性(男)プレイヤーが言ったのだ。周囲のプレイヤーは沸くし、二人の男性プレイヤーも沸く。主に頭が

 

「調子乗ってんじゃねえぞ、このアマ!」

「流石に僕のプライドも傷つけられたよ。覚えてろよ...ぜってー"ピー"して"ピー"にして"ピー"してやる

「デュエルは一体一。なのでフィールドに出ましょう。これからクエストに行くので時間がありません。早くやりましょう」

 

そう言って歩き始めるゼロ子。ほわほわしたかわいい女の子からクールでかっこいい女の子に早変わりしたゼロ子のギャップにキュン死したプレイヤーは男女関わらず多かったとか

 

 

 

フィールドにてチンピラと優男は各々の武器を持って構える。それに対しゼロ子は持っている刀を抜かずに目を閉じていた。

その様子を見た二人は直ぐにキレた。

 

「うおおおおぉ!!」

「はああああぁ!!」

「........」

 

チンピラプレイヤーが両手に握った大斧を振り回し、優男プレイヤーは右手に持った細剣で突きまくる。ゼロ子はそれを目を瞑ったまま避け続ける。その姿に恐れを感じたのか二人は動きを止める。

その瞬間、チンピラプレイヤーはポリゴン片に変わり、傍にはゼロ子が目を開けて佇んでいた。

 

「やめろ....やめろ....やめろ!これ以上僕に近づくな!」

「.....」

 

細剣を適当に振り回しながら後ろに下がる優男プレイヤーを見ながらその場を動かないゼロ子。最早、優男プレイヤーは紳士的な優男の影をなくしていた。セットしていた青髪は崩れ、整った顔は恐怖に染まっている。

ゼロ子に怯えた優男に勝利はもうありえない。

 

腰に拵えた刀を抜き顔の横に構える。

 

「一歩音越え」

「く、来るなあ!」

 

相変わらず優男は錯乱しているが、そんなことは無視して距離を詰めるゼロ子。この一歩でゼロ子の速さは音を越える。

 

「二歩無間」

 

二歩目でゼロ子の姿が消えるほど加速する。

次にゼロ子が目に見えた時には五十メートル程あった距離が詰められていてもう優男の目の前だった。

 

「三歩絶刀──『無明三段突き』!」

 

それは一瞬の出来事だった。優男がゼロ子を目で捉えたら次の瞬間には自分の後ろにいて、自分はポリゴン片へと変わっていた。

『無明三段突き』──全く同時に放たれる三回の突き。弱小人斬りサークルこと新選組の一人、最強の人斬りと名高い剣士 沖田 総司が編み出した魔剣。確実に相手を屠る必殺の剣技。

この技を天然理心流を収める剣士から聞いた日から練習し、使えるようにはなった。しかし、肉体的な問題で完璧に再現は出来ないが、ゲームであるこの世界ならば話は別だ。むしろ、本物を越えることも可能だろう。

 

 

必殺の魔剣を放ったゼロ子は納刀してクエストに無言で向かい始めた。

 

 

 

 

その日の夜、『謎の美少女剣士がカッコ可愛くて最高すぎスレ』と『謎の美少女剣士が強すぎスレ』が誕生し、ゼロ子について熱く論争を繰り返していた。果てには、ペインやゼロに勝てるのではないかという話も出たそうだ。

本人なのに

 

 

 

 

クエストに向かったゼロ子は

現在、スライムと戦っていた。

 

「なんですか、このスライム!?強すぎません!?」

 

そう、このスライムとても強いのだ。下位の魔法だが、連続で大量に放ってくる。いくらゼロ子とはいえそう長くはもたなかった。魔法を捌いている隙を取られ、スライムに呑み込まれてしまった。

 

「流石に、ちょっと多いですね!って、えっ!?ちょっと待っうわあああああああああ!!」

 

ゼロ子が呑み込まれた先には巨大なドラゴンと炎を纏うがたいの良い男──イフリートがいた。二人は向き合っていて手を動かしていた。しかし、ゼロ子の居る場所からでは何をしているのかはよく見えなかった。

 

「とりあえず行ってみますか。他に行くところは見当たらないですし」

 

ゼロ子が周りを見回すとここには何もなかった。なので、とりあえず目に見える場所から当たってみることにした。

 

「なかなか近づけないですね。.....同じところを繰り返して進んでる感じですかね?こう...結界的な何かで」

 

そう言って、ゼロ子は【見聞色の覇気】を発動させて原因を探る。すると反応がありそれを刀で斬ると、パリンと鏡が割れるような音と共に向こうに居るドラゴンとイフリートがこちらを向いた。

 

「これから戦闘ですかね?」

 

ウオオオオオオオオオオ!!

 

「よっと。あれ?ドラゴンの方は襲って来ないんですね」

 

イフリートがこちらへ襲いかかって来たが、軽いサイドステップで避ける。

 

「さっさと終わらせますか....守天流奥義────『絶剣』」

 

イフリートが追撃として炎を放つが、走りながら避けてイフリートの首を断つ。イフリートはポリゴン片になったが、遠くに居るドラゴンは決して動かない。

 

「動かないですね?....いっその事ここごと壊してみましょうか」

 

そう言って、詠唱を始めるゼロ子。赤い稲妻を纏いながら金色の穴から出てくる乖離剣エアを右手で持つ。

 

「裁きの時だ。世界を裂くは我が乖離剣」

 

乖離剣エアが高速で回転し始める。それに比例して周りの赤雷も増してくる。乖離剣エアを持つ右腕を上げると、剣先に莫大なエネルギーが蓄えられる。

 

「受けるがいい!【天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】!!」

 

剣先に溜められたエネルギーが放出され、そのままドラゴンに向かっていく。しかし、ドラゴンもやられるだけとはいがすブレスで応戦するが、膠着することもなく【天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】に押し負ける。そのまま大質量のエネルギー砲はドラゴンどころかこの空間すらも破壊する。

すると、視界が白で埋め尽くされた。視界が晴れると、ゼロ子が立っていたのはさっきまでスライムと戦っていたところで、近くには例のスライムどころか普段いるモンスターもいなかった。

 

「さっきまでいた場所なんでしょうが....何もいませんねえ。どうしましょうか?」

 

ゼロ子が迷っていると、目の前に例のスライムがやって来た。クエストクリアと書かれた看板を持ちながら。

 

(ドッキリかっ!)

 

ゼロ子は内心でつっこむが、そんなことはスライムに関係なかった。スライムはゼロ子の肩ぐらいまで伸びると人間の姿になったのだ。水色の長髪でゼロ子にも負けないぐらいの美少女だ。

 

「クエストクリアおめでとーー!」

「はぁ」

「クエスト報酬として俺の能力をあげちゃいまーす」

「それはありがたいんですが....」

「どうした?」

「あなた....誰ですか?スライムから人間に変わりましたけど....」

 

そりゃあそうだ。目の前でスライムが急に人間に変身したのだ。気にならないわけがない。

そんなゼロ子の疑問にスライムは気軽に答える。

 

「俺か?俺はリムル=テンペスト。ただのスライムだ」

「あなたがただのスライムだったら普通のスライムは一体なんなんですか.....。まあ、そっちが名乗ったならこちらも名乗らなければいけませんね。私はアオイと申します」

「ならアオイさん」

「アオイで結構です。その代わり、リムルちゃんって呼んでもいいですか?」

「俺.....男なんだけど」

「俺っ娘じゃなくてっ!?」

「うん.....。そんなに女の子に見えるかな?」

「十人中十人が女の子って言いますよ。まあ、私も男ですけど」

「えええ!?嘘だ!だって女の子にしか見えないぞ....」

「罰ゲームでちょっと....」

「なるほど。...まあ、この話は置いといて、ほい」

「えええええ!こんなあっさり渡すもんなんですか!?って、あっちょっ!」

 

リムルが上着の内ポケットに手を突っ込み、巻き物を渡してくる。そんなあっさりとした渡し方にアオイは驚いていると、リムルは踵を返していた。

 

「もう....ありがとーーー!!」

 

アオイはリムルに感謝の意を伝えると、リムルは右手を軽く振り返してくれた。リムルが見えなくなると、早速アオイは巻き物を開く。

巻き物にはスキルが書かれており、このようなスキルだった。

 

 

暴食者(グラトニー)

対象を異空間に取り込む。プレイヤーやボスエネミーを取り込むことは出来ないが、敵性エネミーやスキル、魔法など幅広く取り込める。

そして、アイテムストレージの容量を二倍にする。

 

取得条件

エクストラクエスト『魔国連邦(テンペスト)の主』をクリアする

 

 

 

「強くないですかコレ。.....ああ、これで取り込まれたんですね」

 

スキルを習得し、呟くのだった。

 




ゼロ子の女装はもちろん沖田さん(ポニテ)がイメージです

「今度女装なんかさせたら殺すぞ作者」

やめて!【青薔薇の剣】を抜きながらこっち来ないで!

「とりあえず一生凍ってろ」

ぎゃあああああぁぁぁ!!


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スペシャル:かすみ様は告りたい

カスミをヒロインにしてくださいとの希望が届きましたのでのでパロディと合体して作ってみました

あと、最近気づいたんですね

ラブコメの主人公に姉妹キャラ、あるいは姉妹的なキャラが中確率でいることに....


──人を好きになり、告白し、結ばれる

  それはとても素晴らしいことだと誰もが言う

 

 

 

──()()()()()()()()()()()()()

 

──恋人たちの間にも明確な力関係が存在する!

 

──搾取する側とされる側

  尽くす側と尽くされる側

  勝者と敗者

 

──もし貴殿が気高く生きようと言うのなら

  決して敗者になってはならない!

 

 

──恋愛は戦!!

 

──好きになった方が負けなのである!

 

 

 

 

 

『私立秀知院学園』

かつて、貴族や士族を教育する機関として設立された由緒正しい名門校である。

貴族制が廃止された今でなお富豪、名家に生まれ、将来国を背負うであろう人材が多く就学している。

そんな彼らを率い纏め上げる者が凡人であるなど許されるはずもはずとない。

 

「ご覧になって!生徒会のお二人よ!」

 

 

秀知院学園生徒会副会長

四宮 かすみ

 

総資産200兆円。千を越える子会社を抱え、四代財閥の一つにも数えられる四宮グループの長女として生を受けた正真正銘の令嬢である。

その血筋の優秀さを語るが如く芸事、音楽、武芸、いずれの分野でも華々しい功績を残した紛れもない才女。

それが、四宮 かすみである。

 

そして、そのかすみが支える男こそが!

 

 

秀知院学園生徒会会長

白銀 零

質実剛健。文武両道。学園模試は不動の一位であり、自らが所属する剣道部では学生でありながら世界大会で優勝を勝ち取っている。

その知識と能力、性格で畏怖と敬意を集め、その模範的な立ち振る舞いにより外部生でありながら生徒会長に抜擢される。

代々会長に受け継がれる純金飾緒の重みは秀知院二百年の重みである。

 

 

「いつ見てもお似合いのお二人ですわ〜」

「神聖さすら感じてしまいます」

「もしかしてお付き合いされているのかしら?どなたか聴いてくださいな!」

「そんな!近づくことすら烏滸がましいというのに。出来るはずが.....」

 

 

 

 

 

 

「なんだか、噂されているみたいだな。わ、私たちが...こ、交際してい....とか」

「そういう年頃なんじゃないか?嫌なら聞き流せばいい。噂であれ俺と交際しているなんて嫌だろ?」

「そ、そんな事無い!ハッ!」

「なんか言ったか?アメリカまで出稽古に行った名残りがまだ残っていてな。少し眠いんだ」

「そ、そうか....大丈夫なのか?」

「ああ」

「ならいいんだ」

(俺とかすみが付き合っているって?俺なんかがかすみと釣り合っているわけないじゃないか。馬鹿な連中だ。.......かすみが俺のことを好きなはずないのに)

(な、なんてこと言ったんだ私!危うく会長に私が会長のことを好きなことがバレてしまう所だった....。しかし、交際しているかか。私と会長がデート.....。って何を考えているんだ私!?私が会長と釣り合うはずがないのにな。私にギリのギリッギリ可能性があると思いたいものだ。.....だけど、この思いを会長に伝えたい。好きだって、いつか)

 

──そんなことを思っているうちに

 

 

──半年が過ぎた!

 

──その間、特に何も無かった

 

 

 

生徒会室にて

 

零は何枚もの書類に目をとうして判子を押していた。対してかすみは書類にサインしていた。

事務的な作業をしつつも最近学校であった話や、身内の話など他愛のない会話をしている。

すると、二人の向かいに座っている少女。秀知院学園生徒会書記 藤原 楓が口を開いた。

「そういえば、聞いて!なんか、映画のペアチケットが当たったんだけど、家の方針でこういうものを見るのを禁止されてて。二人は興味はある?」

 

そう言って、ポケットから二枚のチケットを出す。そのチケットには『ラブ・リフレイン』と書かれており、恋愛ものの映画ということが察することが出来る。

 

「へえ、えーと。そういえば週末は珍しくオフだったな。だったらかすみ。俺たち「なんでも、この映画を男女で見にいくと結ばれるジンクスがあるとか。素敵!」っ!?」

 

一緒に見ないかと誘った後であんなジンクスを後出しされ、冷や汗まみれの零にかすみはペンを置いて話しかける。

 

「会長....。私のこと誘ったのか?」

「いや...その....えっと」

「是非!行こう!」

「へ?」

「その映画、前からずっと見たかったんだ!しかし、使用人の予定や私の予定で色々あってな。今回は行けないと思っていたんだが、会長がいるなら話は別だ!今週は私も空いている。何時にどこで集合にする!」

 

早口でまくし立てるかすみに呆然としつつも零はしっかりと危機していることを言う。

 

「ま、待て、かすみ!お前忘れてないか?この映画は男女で見に行ったら結ばれるジンクスがあってだな?」

「バッチ来い!」

「え?」

「え、ああ!その、ただそういうジンクスがあるだけだろう?なら良いじゃないか」

(なんだったら帰り道のムードのいいタイミングで告白とか.....。そういうジンクスがあるからな!いける.....はず!はず!)

 

零の警告に更に早口で捲したてるかすみ。零は何とかしようとする。思考戦は詰め将棋の要素を呈していた。追い詰めるかすみ、逆転の機を探す零、二手三手先を読む天才たちの頭脳は常人を越える速度で回転し、ぶつかり合う。守りを固めるかすみ、うち崩さんとする零、二人の思考は決着への理論を組み立つつある。その理論を完成させた方が勝者となる──!

その時、まさかの提案が楓から出た。

 

「あっ、もし恋愛映画で揉めるんだったら『とっとり鳥の助』のチケットもあるよ!」

「とっとり....」

「....鳥の助?」

 

カオス理論。楓の何気ない一言により完成寸前の理論にカオスが混入する。たかが一点であるがカオスはビッグバンの如く可能性を増大させる。莫大に増えた選択肢を処理するために、二人の頭脳は限界を越えた回転を強いられる。

結果、脳は大量の糖分を欲する。この生徒会室に存在する糖分はこの饅頭一つ限り。すなわち、この饅頭を手にしたものが勝者──!

 

「あっ、午後の授業始まっちゃう。あむ」

 

勝利の鍵となる饅頭は楓の胃の中に入ってしまった。そのまま生徒会室を立ち去る楓に二人はずっこける。

 

「でふぁ、またふぉう課後に。あむっ!」

 

口に咥えた饅頭を放し、口でキャッチするという何気にすごい技を披露してから部屋の扉閉める楓。そして、糖分が足りなくて机に突っ伏す二人だが、

 

「ふふふっ」

「ははは」

 

二人は相手の顔を見合い笑い合う。

 

「ねえ、会長」

「どうした?」

「私と映画、行ってくれる?」

 

かすみは微笑みながらそう告げる。零は日差しに照らされたその笑みにドキッとしながらも返事を返す。

 

「──ッ!....ああ、一緒に行こう」

 

 

 

 

 

 

──これは天才たちの知略とプライドをかけた恋愛頭脳戦ではなく、勝者や敗者、力関係など関係ない、ただ一人の乙女が想い人に告白するまでの恋愛頭脳戦(青春ラブストーリー)である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──かすみ様は告りたい

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ、理沙!会長と今週末映画行くことになったの!どれを来ていけばいいと思う!?」

「かすみ様、貴方は顔も綺麗でスタイルもいいんですからなんでも似合いますよ」

「違うの!私にあった服がいいの!」

「だから、全部かすみ様にあってますよ。それに、いつまで私を半裸でいさせるつもりなんですか?いい加減風邪引きますよ。私」

「あ、ごめん」

 

 

「母さん、姉さん!一体いつまで続くんだ!?俺は着せ替え人形じゃないぞ!」

「だって、零が女の子と出かけるって聞いたら、ねえ?」

「そうですよ零!貴方は女っ気が無さすぎます」

「誰のせいで彼女いない歴=年齢だと思ってんだ!姉さんが俺に女子を近づけなかったからだぞ!そのせいで周りからホモって呼ばれてたんだぞ!」




こういうのはいかがでしたでしょう?
今後も機会があればやってみようと思います
もしかしたらシーズン化しちゃうかも......あれ?なんでゼロくんがここに?

「お前のせいでメイプルが怒ってるんだよ!」
「ゼ~ロ~くん?なんでそう浮気しちゃうのかな?」
「してないしてない!俺は断じて浮気なんてしてない!ほら!お前も何とか言え、作者!」
えーどうしよっかな〜?
「なんで逃げるの?」
「め、メイプル!落ち着け!これは作者が勝手にしたことなんだ!だから俺は悪くない!作者が十割悪い!」
ちょっとゼロくん!?
「ほんと?」
「ほんとほんと!俺はメイプル一筋だって!」
「うん、信じるよ。ゼロくんのこと」
「メイプル.....」
「ゼロくん.....」
今のうち、今のうち......
「逃がさないよ!毒竜(ヒドラ)!」
うぎゃああああああああああ!!


「またやってくれるかな?」


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酒は飲んでも飲まれるな

学校が始まりますね

投稿する頻度が減ると思います
許してちょ


学校にて (理沙side)

 

「ふんふふんふふ〜ん♪」

「なんか、最近の本条機嫌良くないか?」

「だよね?なんか、こう.....今すぐ踊りだしそうというか」

「なんというか」

 

「........ねえ、楓」

「なに、理沙?」

「最近.....いや、何でもない」

「?変な理沙」

 

最近、楓はすこぶる機嫌が良い。それこそ移動している時に鼻歌を口ずさむ程に。

何かあったのか聞きたい。なのに、心のどこかでそれを拒んでいて、それを聞いたら深く傷つく気がして......。

そんなモヤモヤを抱きながら、私は今日も親友の隣に立つ。

 

 

 

 

第一層、ゲテモノ料理専門店『ホークハット亭』 (三人称side)

 

飲食店のテーブルで二人組のプレイヤーが話している。同じパーティーらしく、世間話に花を咲かせているようだった。

 

「知ってるか?あの《絶剣》がギルドに入ったって話だ」

「知ってる知ってる!確か....《楓の木》だっけ?」

「それだ。それにクロムやカスミに、イズも入ったらしいぞ!」

「マジか!トッププレイヤーだらけじゃねえか!でも《集う聖剣》みたいに大規模じゃねえなら第三回、第四回イベントちょっと期待できないな」

「けど、あのメイプルもいるしな。しかも、《絶剣》もいるからなあ」

「大変だ大変だ!」

 

すると、一人の男が慌てて入店してきた。

男は二人組のプレイヤーのテーブルの元にに向かった。その男は声を荒げて驚いている訳を話した。

 

「どうした?そんなに慌てて」

「なんと、あの《絶剣》が《黒の剣聖》だってよ!」

「なんだって!?大スクープじゃねえか!」

「しかも、もう一つあって.....近くの森に幽霊みたいなNPCが居るってよ!なんでも話しかけても返事もしねえし、襲いかかっても来ないらしい」

「なんかのクエストか?」

「いや、分かんねえ。けど、クエストだったらさぞ豪華な報酬だろうな。....じゃあ全員揃ったし、会議と行きますか!」

 

三人はそのまま今日の方針について相談し始めた。

 

「......そんなNPCが居るのか」

 

一方ゼロは、三人の会話に聞き耳を立てていた。()()で。

なぜ、ゼロがNPC経営の飲食店の厨房に居るのか。それはクエストを受けているからだ。

とある理由で急遽食材を大量に手に入れなければならなくなったゼロは、食材をゲット出来るクエストを回っているのだ。

今もその最中で、この飲食店の厨房を任されている。しかも、このクエスト、クリアしたら料理スキルにブーストがかかり、料理スキルを完ストしているゼロにとっては一石二鳥なのだ。

 

「すみませーん。この『色塗り鶏の親子丼』下さい」

「私も同じのを!」

「なんで二人がここに居るんだよ.....」

「アハハハ」

「まぁいい。それで『色塗り鶏の親子丼』だな。その注文、承った」

「カッコつけてるぅ」

「うっせ」

 

楽しげにやり取りをしつつ、用意していくゼロ。

メイプルとサリーはそんなゼロの姿を眺めながら、これから行くクエストを相談する。

 

(それじゃあ始めるか。まず、色塗り鶏の肉を2cm大に切り、醤油、みりん、酒、砂糖を合わせ、切った鶏肉を入れて5分〜10分程漬けておく。何故か色が黄色の玉ねぎを薄切り、三葉を3・4cm幅にざく切りにし、卵は割って軽く溶いておく)

「「おお〜〜」」

 

ゼロの鮮やかな手さばきに感嘆する二人。その反応に苦笑いしながら手を動かすゼロ。

 

(漬けておいた鶏肉を調味料ごと鍋に投入。更に玉ねぎ、水、出汁を入れたら強火で火にかけ、煮立ったら中火にして3〜4分程煮る。肉と玉ねぎに火が通ったら溶いた玉子を三回に分けて入れ、火を止める。ご飯を盛った丼に盛り付けて、完成!)

「美味しそうな匂いだなあ」

「ゼロの料理ってなんであんなに美味しいんだろうね」

「親子丼だ」

「わぁぁ、美味しそう!」

「それでは.....」

「「いただきます!」」

 

メイプルとサリーは手を合わせて親子丼を口に含む。

 

「ん〜〜美味し〜〜」

「絶品だね〜〜」

「美味い!君、どうやってこれを作ったのだネ!?」

「誰ですか!?」

 

急に登場してきた初老の男性にサリーがツッコむ。

 

「この人はモリアーティさん。この店のオーナーだ」

「オーナー!?」

「私はモリアーティと言う。よろしく、お嬢さん方。是非、教授とでも呼んでくれ」

 

純白のコック服に身を包む男性はモリアーティと名乗り、綺麗にお辞儀した。モリアーティは顔を上げると即座にゼロに詰め寄り目を見開きながら尋ねる。

 

「で、君!これのレシピを教えてくれないカ!?」

「ぱぱ、うるさ〜い」

「パパ!?」

「ごめんネ!」

「ハハハハ!流石の君でも娘に責められたら一溜りもないか!」

「何故貴様がここにいる!?」

「やはり蒸気機関が最強である」

「ロボット!?」

「おう、三人とも飯食うか?」

「たべる!」「頂こうか」「頂こう」

「私を無視するなーー!」

「うるさいアラフィフ」

「もう....泣きそうだよ」

「メイプル....」

「サリー.....食べよっか」

「.....うん」

 

そんなやり取りに呆然とするメイプルとサリーはそのまま親子丼を食べ始めた。

 

 

 

〜〜〜三十分後〜〜〜

 

あれからフランとホームズとバベッジに『蛮神の心臓のステーキ』をお出しし、モリアーティに親子丼のレシピを教えることでクエストはクリアした。

その後、店を出るとメイプルとサリーが待っていた。

 

「おう、待たせたな。ほれ、報酬の一部で作ったちょっとしたおやつだ」

「これ....一番安いNPCで売ってる黒パンだ」

「これに....こいつを塗れば」

「あむ......はむはむはむ....」

 

ゼロは二人に黒パンを渡した後に白いクリームが入った小瓶を渡した。それを受け取ったメイプルとサリーはゼロのやった通り小瓶の蓋を開け、指に少し付けてパンに塗って食べる。

 

「どうだ?美味いだろ?」

「何これ.....控えめに言って滅茶苦茶美味しい」

「このクリームってなんのクエストで手に入るの!?」

「『逆襲の雌牛』ってクエスト。やるならコツ教えるぞ」

「「是非!」」

 

目を輝かせながらゼロに詰め寄る二人。ゼロはその様子に苦笑しつつも二人にコツを教えると、それを聞くと二人はやる気満々になったようだ。

 

「おーい、先行くぞ〜」

「あ!ちょっと!」

「置いてかないで〜」

 

そう言うと三人は歩き出した。

三人が向かった場所とは

 

 

 

 

《楓の木》ギルドホームだった。

 

 

「よーし!おめぇら!グラスは持ったか〜!?」

「「「「「「「「イェーイ!」」」」」」」」

「それでは!ギルド《楓の木》創設パーティーを始めたいと思います!乾杯の音頭はギルドマスターのメイプルです!それではメイプル、よろしく!」

「はいはーい。それでは、かんぱ〜い!」

「「「「「「「「乾杯〜!」」」」」」」」

 

風船やテープで綺麗に飾られたギルドホーム。テーブルにはローストビーフやステーキ、サラダなどのゼロが作ったパーティー料理がズラリと並んでいた。

全員が自分のグラスを持ち、天高く掲げていた。

その中にはゼロが厳選したワイン、酒、ジュース、お茶などが並々入っており、ゼロが厳選しただけあって極上の一品でその中にはゼロが作った飲み物もあるらしいが本人曰く"シークレットだ。こういうのがあった方が面白いだろ?"との事だ。

 

会場が盛り上がってきたところでゼロが台に乗り、声を上げた。

 

「俺主催!《楓の木》恒例(になる予定)!大食い選手権〜!!」

「イェーイ!」

「今回の挑戦者は四人!NO.1 我がギルド《楓の木》のギルドマスター!メイプルー!」

「サリー!頑張るね!」

「No.2 我がギルドの常識人の一人!クロムー!」

「常識人って言うくらいなら自重してくれ」

「No.3 我がギルドの後方支援担当!"私が居なきゃギルドは回らない"、イズー!」

「それ考えたのゼロくん?後でおはなしね」

「それはごめんだ!No.4 俺、以上!ってあっ!」

「あ〜テステス」

 

ゼロがマイク的なもので選手紹介していると、サリーが横からマイク的なものを掻っ攫いゼロの紹介に移る。

 

「No.4 我がギルドの最高戦力!その強さはプレイヤースキルか、スキルの強力さか?いいや、その両方さ!"俺が剣を抜けば立っていられる奴はいない"、《黒の剣聖》ゼロー!」

「おお〜かっこいい!」

「なにやってくれてんの!?俺あんなクサイセリフ言ってねえし!」

「料理はシェフのゼロさんが用意しました!それでは始めましょう!3、2、1、スタート!」

「ふぃとのふぁなしを聞けーー!」

 

ゼロは叫んだ。両手に自身の作った料理を持ちながら。しかし、サリーの一言でゼロの纏う雰囲気が一転した。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()ー!」

「ッ!」

「えっ!?何言ってるのサリー!?」

 

そこからは圧倒的だった。他の選手の分の料理まで完食したゼロは、他の選手と圧倒的に差をつけて優勝した。

 

第一回《楓の木》大食い選手権優勝…ゼロ

優勝賞品…メイプルの一日自由権

 

 

 

 

「なあ、なぜこんなにもうどん料理が多いんだ?」

「俺が料理してるとメイプル達がやって来てな。それからなんやかんやあって『《楓の木》チキチキ!一番美味しいうどんを作るのは誰だ!?』が始まった」

「.....」

「メイプルとサリーがキツネとタヌキ。イズが焼きうどんで、俺がぶっかけ」

「ぶっかけ?」

「材料をこだわりにこだわった一品だ。出汁に使う昆布や水、極めつけは『桐生家特性手打ち麺』だ!」

「〜〜ッ!」

 

ゼロがギルドメンバーを転々としながら談笑したり料理をつまんだり、自家製のジュースをちびちびと口にしていた。そして、メイプルのところに行ったのだが、なんとメイプルは顔を真っ赤にしてフラフラになっていたのだ。

 

「あ〜ゼロくんだ〜」

「......」

 

おぼつかない足取りでこちらに向かってくるメイプル。ゼロは、なぜメイプルが泥酔したおっさんみたいな状態になったのか頭を回転させた。

 

「大将やってる〜!」

「どうしたんだ、メイプル?」

「どうもこうもないのです!ゼロくんは〜他の女の子に構ってばっかりじゃん。私にも〜構って欲しいのれしゅ〜」

「呂律が回っていない.....まさか、酒を飲んだのか?」

「お酒なんか〜なんでましぇーん!」

「絶対飲んだな....とりあえず、水を飲ませてと。....ってあれ?もう寝てる」

 

ゼロはとりあえずメイプルを抱き抱え、端にあるソファに彼女を寝かせて毛布をかける。

ちなみに、この毛布は同じ品質の布団でしか寝れないゼロが血眼になって作成した毛布なのだが、売りに出したら結構高く売れたのでゼロの資金源の一つでもある。

 

ふぅと軽くため息を吐くゼロだが、思わぬ攻撃を食らうことになる。

 

「ん〜.....ゼロくん.......むにゃ......大好き」

「〜〜〜〜ッ!」

「....むにゃむにゃ」

 

メイプルの寝言にゼロがしばらく悶えていた。

すると、サリーがやって来てゼロに透明の液体が入ったグラスを渡した。

 

「ん、おつかれ」

「ん。ていうかお前のせいで散々な目にあったぞ」

「まあまあいいじゃん。そのお陰でメイプルを一日自由にできるんだし」

「クロムとかに渡ってたらどうすんだよ....。まあ、あいつに手を出すって言うなら、絶対に許さないけどな。()()()()に手を出した奴は地獄の果てまで追っかけて、絶対に後悔させてやる」

「......」

(そうだ、この目だ。私が小学生の時に助けてくれた時の目。零が覚悟を決めた目だ。私にあの一度しか見せてくれなかった目。......ああ、そうか。そうだったのか。あの時、あの場所で......私は零に....)

「さり〜、どうした〜?急に黙りこくっちゃって」

「ゼロ!?どうしたの?顔真っ赤にして....」

 

ゼロはメイプルよりも顔を真っ赤にし、酔拳をも越える千鳥足でサリーに歩み寄る。

その事に多少ながら驚愕するも、原因はすぐ分かった。

 

「.....私が渡したグラスか。そういえばイズとカナデ、笑ってたな...!」

 

このグラスはイズとカナデの二人に今回のパーティー開催におけるMVPであるゼロを労ってこいと渡されたグラスなのだ。その事に一切疑問を抱かなかったサリーは、酒が入っていることなど知らずに渡してしまったのだ。

 

「ゼロにお酒を飲ませるなんて.....。どうなっても知らないからね」

 

サリーは内心でほくそ笑む。

いつの頃だっただろうか。その日、バレンタインデイに貰ったチョコを二人は食べていた。顔良し、性格よし、家柄良しの零は学校中でモテまくった。部活の先輩、名の知らぬ後輩、あまり話したことも無い同級生と言った具合でチョコがたんまり集まり、もはや山と言っても過言ではないレベルで集まった。

そのチョコを一つずつ食べていると、急に零の顔が真っ赤になり、呂律が回らなくなった。それに当時の理沙は慌てふためいているとゼロは寝てしまったのだ。理沙の膝の上で

その後、渡した本人に尋ねるとスーパーで買った物だと判明。パッケージを見てみると、アルコールが微小なりとも入っていた。

それから零にはアルコール厳禁と明日奈から言われるのだが、当の本人は全くもって覚えてはいない。

なので

 

『零、あなたはこれからお酒が入った食べ物は食べてはいけません』

『う、うん。それはわかったけどなんで?』

 

ということになった。のだが、

中学時代、山のようにあるチョコを食べていた時に事件は起こる。

その時、近くに理沙はおらず一人で食べていたのだが、またアルコールが入っていたのだろう。零の顔は突如真っ赤になり、心配して近くにいた者が声をかけるが、一秒後にはその者は倒れていた。

暴れ回る零、逃げ回るクラスメイト。その中に理沙は含まれておらず、後から人から聞いた話なのだが

全員、気絶していたようだ。

零を含むクラスメイト全員が気絶していた。犯人である零はチョコを食べてからの一切の記憶がない。なので、幸い暴力沙汰にもならず平和に解決したのだ。

零が急所を的確に当て身して、痣など一切残らず気絶させていたのも要因だが.....

まあ、ひとまず言えることは

 

 

 

零に酒を飲ませるな

 

 

「ヒャッハーー!!」

「ぎゃああああああああ!!!」

「止まれゼロ!これ以上暴れると取り返しのつかないことに..........」バタン

「「「クロム〜〜〜!!」」」

「今夜は祭りだぜ〜!」

 

 

《楓の木》結成記念パーティー…終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、ん〜。ふぁぁ、よく寝た.......ってあれ?なんでみんな倒れてんの?」




初めての一人称視点!
どうだったでしょうか?



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俺の女に手を出すな

今回は楓視点の回でありキャラ崩壊の回でもある

投稿が遅れた理由は塾と学校と父の手伝いとrequiemコラボです
これからもこのような事があると思いますがご容赦ください


今日は私、本条 楓の特別な一日を紹介しようと思う。

 

 

 

「ねぇねぇ!どっちがいいかな?」

「うーん、楓はどっちも似合うと思うけど....今は春だし、やっぱり白ね」

「やっぱり白か....ありがとう。お母さん」

「いいのいいの。娘のデートのコーデ一緒に考えるの昔っからの夢だったから。それに、今日の楓はとーってもオシャレですーごく可愛いから彼氏くんもメロメロね!」

「も、もう!お母さんのバカ!」

 

今日は零くんとの初めてのデートだ。

早起きしてお母さんと一緒に今日着ていく服を選んで、少しなれどメイクもした。零くん、可愛いって言ってくれるかな?言ってくれると嬉しいな。そんなことを考えていたら、もう家を出なければならない時間になっていた。

 

「いってきまーす!」

「いってらっしゃ...って、楓!スマホ忘れてるよ!」

「あっ!ほんとだ....。ありがとう。お母さん」

 

カバンの中を確認すると案の定スマホが無かった。またいつものかと、お母さんは笑うがその後に少し寂しげな表情をする。

 

「いつもの事だしね。大したことないわよ。それにしても.....ほんと、子供の成長は早いわね。....可愛いよ、楓」

 

最後の言葉に思わず頬を緩めてしまう。

おかげで自分に自信がついた。

 

「....いってきます」

 

そう言って玄関の扉を開けると、顎に手を添えながら同じところを何度も歩いている零くんがいた。

 

「え?」

「...あ」

「....なんで零くんが家の前にいるの?」

「....ちょっとこっちの方で用事があってな。サプライズで驚かそうと思ったんだけど.....」

「?」

「女子の家のインターホン押すの初めてだからめっちゃ緊張してなに言うべきか考えてた。......そ、その服似合ってるぞ」

 

服のことを褒めてくれて嬉しいと思いつつ私は納得した。私も零くんの家に訪問した時はどう挨拶したらいいか分からなかったし、前に零くんから聞いた話だけど零くんはお義姉さんのユイさんが過保護過ぎて小さい頃女の子話したことがなかったらしい。だから、女子と話すのに免疫がないとのことだ。

理沙とは親が友達で零くんの家に遊びに行ったことで知り合ったらしい。......羨ましいとは決して思って....思って..........思った!

玄関で立ち止まっている私に疑問を抱いたのかお母さんが家の中からひょっり顔を出てきた。

 

「どうしたの、楓。誰か来たの?....あら?明日奈さんのところの....零くん?だっけ。大きくなったわね〜。覚えてる?零くんがこーんなに小さい時に何回か会ってるんだけど」

「「へ?」」

「その様子じゃ覚えてなさそうね。まあ、二人とも一歳とかだったもんね」

 

どういうこと、どういうこと、どういうこと!?私と零くんって実は会ったことあるの?

そんな心境の私を置いて、お母さんが懐かしいわ〜とか言いながら思い出に耽っている。

きっと私が天然とか言われるのはこの人の遺伝だ。そうに違いない。

 

「あ、あの....俺たちちっちゃい頃に会ったことがあるんですか?」

「そうよ。一緒に公園の砂場で遊んだり....とはいかなくて、ずっと君の素振りの様子とか見てたわねぇ。それに楓がつまんないって言って泣き出して、零くん困ってたっけ」

「私達に」

「そんな過去が....」

 

私も零くんもすごく衝撃を受けた。

なんせ自分達が忘れているだけで恋人同士が幼い頃に会って話したことがある。ロマンチックで、素敵で、昔憧れていた恋愛小説みたいな恋をしていると思うと私は少しドキドキしてしまう。

理沙のことがちょっぴり羨ましかったのだ。まず小さい時の零くんを知ってるなんてずるい。小さい零くんを私も撫で回したい。(理沙はやっていません)

 

「そ、その話はまた今度にしよう。お母さん」

「あら、そう?じゃあ、デート楽しんで来なさい」

「うん!」

「零くんも家の愛娘をお願いね。この子、私に似ておっちょこちょいだから」

「任せてください。桜さん」

「ふふふ。思い出したかしら?」

「はい。確か俺と姉さんにお菓子くれましたよね?」

「そんなこともあったわね〜」

 

........置いてけぼり感がすごい!

ていうか、なんで一歳の時のこと覚えてるの!?普通感覚的に覚えてるんじゃないの?めちゃくちゃしっかり記憶してる!?......これが天才の力.....っ!

 

「って、もうこんな時間!零くん、早く行かなきゃ!映画始まっちゃうよ!」

「うおっ!ほんとだ!じゃあ桜さん、いってきます!」

「いってきます!」

「いってらっしゃ〜い」

 

そうして私達は駅に走り出した。

映画館のあるモールが近くには無いから電車での移動だ。

私達はなんとか電車の出発時刻に間に合い、座席に座って休んでいた。

 

「ふぅ。疲れた....」

「危なかったね」

「確かに楓をおぶってなかったら乗り遅れてたな」

「あ、あはは」

 

そう、実は零くんにおんぶしてもらったのだ。

零くんの返しに苦笑いしか出ない私だが、内心零くんにおんぶしてもらって超舞い上がっていたりする。足が遅く生まれてきた私ナイス!

私をおんぶして走ったから零くんは少し汗をかいていた。ふっふっふ、こんなこともあろうかとハンカチを持ってきたのが幸いした。私はカバンの中に入ったお気に入りのハンカチを渡した。

なんか大事な日にはお気に入りの物を持っていきたくなるよね?それに私のハンカチが零くんが使うのだ。可愛いハンカチを渡して、零くんに可愛いと思われたい私は間違っているだろうか。

 

「はい、ハンカチ」

「ありがと。準備良いな、珍しい」

「ふふん。私が今日という日をどれだけ楽しみにしていたって珍しいってどういうことっ!?」

「ごめんごめん。でも、そうかそうか」

「?」

「楓はそんなに俺とのデートを楽しみにしてたのか〜」

「あの、その、えっと....」.

 

すると、零くんは私の耳元に顔を寄せ囁いた。

 

「....嬉しいよ」

「〜〜〜!!」

「「「「「......(リア充爆発しろ!)」」」」」

 

何この可愛い生物!!この世にこんなにも私の心を撃ち抜くものはいるだろうか!?いいや居ない!

ここが公衆の前じゃなかったら絶対に抱き締める!ていうか帰ったら抱き締める。 これ決定事項。

 

零くんは気恥ずかしくなったみたいで顔を赤らめてそっぽ向いてる。

あ〜〜可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い!!なにこの人〜〜!私をキュン死させる気!?もうダメ....無理、尊い..... 。

 

 

 

そんなこんなでモールに到着しました。

流石に休日というだけあって人が多かったが、移動中は手を繋いでたからはぐれることはなかった。

あの時の零くん格好良かった。ていうかいつも格好良い。異論は認めない。

 

『ん』

『なに?』

『こんなに人がいたらはぐれるかもしれないだろ?だから手、繋ごうぜ』

『う、うん....』

『『『『『........(リア充爆発しろ!)』』』』』

 

いや〜あの時は最高だった!少し顔を赤らめた零くんが私に手をすっと差し出して、私がその手にそっと手を重ねると零くんは少し笑って私の手をギュッて優しく握ってくれた。〜〜〜ッ!!

 

そんな零くんの格好良いシーンを思い出して顔を真っ赤にしていたら最上階にあるシアターに着き、零くんと一緒にポップコーンとドリンクを買うために列に並んだ。

 

「楓はポップコーン塩とキャラメルどっちがいい?」

「うーん、私はキャラメルかな?」

「じゃあポップコーンはキャラメルにして」

「次の方どうぞー!」

 

そんな会話をしていると、私達の番になった。

 

「ダブルドリンクセットでポップコーンはキャラメルで」

「ドリンクは如何なさいますか?」

「じゃあコーラで」

「俺はカルピスで」

「かしこまりました。〜〜円になります」

「俺が出すよ」

「ありがとう」

 

ポップコーンとドリンクを買った私達はシアタールームに向かい、自分達のシートに座った。

その時に零くんが私に真ん中の方の席を譲ってくれた。そういう優しさに私はぞっこんなのだ。もちろん零くんの全てに惚れてはいるが、その中で特に優しさが好きなのだ。弱々しい時の零くんとか、自信に満ちた零くんとか、戦ってる時の零くんとか、ふとした時に笑顔になる零くんとか私は全ての零くんが好きなのだ。

 

............って何を考えてるの私!心の中とはいえなんて恥ずかしいことを....

 

 

 

 

 

映画を見終わり、小腹の空いた私達はモール内にあるカフェに来ていた。

店員さんに案内され、座席に座った私達はメニューを見てみた。そしたら、私はびっくりした。丁度私の大好物である苺が期間限定のデザートに大量に使われていた。

 

「ね、ねえ零くん」

「ん、どうした?」

「あの、私このデザート食べてみたいんだけど、良い?」

「なんでも好きに食べて....い、い....よ」

 

零くんの反応も当然だ。だってこのパフェは()()()()()()と書かれているからだ。

正直私も恥ずかしい。

実は大好きな苺がいっぱいあるなんていうのは建前で、本当は零くんにあーんとかしてみたいだけとかそんなのではないが、それでもカップル限定という商品を買うのは勇気がいる。

 

「ダメ.....?」

「......分かったよ。でも苺いっぱいあるけど食べ切れる?」

「大丈夫!すみませーん。この『大盛り苺パフェ』ください」

 

よし。後は零くんにあ、あーんってスプーンを差し出すだけ.....!

けど、考えただけで顔が熱くなる。こんなんで出来るだろうか?

 

「お待たせしました。『大盛り苺パフェ』です」

「あ、ありがとうございます.....」

 

あ〜緊張する〜!

心臓がドクドク言ってる......。零くんに心臓の音聞こえてないかな?

 

意を決して、私はスプーンを手にした。

 

「あーん」

「あ、あーん」

「美味いか?」

「うん.....」

 

あれ?なんで零くんにあーんされてるんだろ?

でも......それはそれで有り!

幸せだ〜〜!

「れ、零くん。.......お返しのあーんさせて?」

「........」

 

すると、零くんは目を瞑り、少し口を開いて私の方を向いた。

これって、していいってことだよね?

 

「あ、あーん」

「.....美味い」

「へへへ」

 

これすっごい恥ずかしい.......///

しかも、このスプーンで食べたら......か、関節キスだよね?どうしようどうしよう。あーんも恥ずかしかったけど、関節キスもすっごく恥ずかしい!

すると、零くんがパフェを一口食べてからボソッと呟いた。

 

「.......楓に食べさせてもらった方が美味いな」

「〜〜〜!!な、何言ってるの!?」

「本当のことだぞ」

 

反則〜〜!!そんなの反則だよ〜〜!!

格好良い!可愛い!こんなの誰でも惚れてしまうよ!

 

「わ、私は零くんがして欲しいならずっとしてあげても.......良いよ?」

「っ!」

「「「「「........(リア充爆発しろ!)」」」」」

 

私の思ってることを言うと、零くんは目を逸らして私の頭を力強く撫でた。

私の髪はぐちゃぐちゃになってしまったが、可愛い零くんを見れたから良しとしよう。

 

 

 

 

「わりぃわりぃ」

「ああいう事はもうしないこと!」

「はいはい」

「も〜!分かってないでしょ!」

 

パフェを食べ終え、カフェを出た私と零くんは今、モール内のお店を回っている。

私が服を試着して零くんに見てもらったり、逆に零くんの服を私が見てみたり、本屋でオススメの本を紹介したり、気になる本を探してみたりした。買った荷物は零くんが率先して持ってくれた。私も持つと言ったけど断られてしまった。

 

「楓、トイレ行ってくるからちょっと待ってて」

「分かった」

「ごめんな〜!」

 

そう言って零くんは走っていってしまった。

私は近くのベンチに座り、今日のことを思い返していた。

すると、近くのお店から出てきたいかつい三人組のお兄さん達がこっちに歩いて来た。私は待ち合わせをしているのかな?と思いながら今日のデートの思い出に耽っていたのけど、お兄さん達は私の前に立って話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ君」

「な、なんですか?」

「これから俺達と遊ばない?」

「楽しい所に連れてってあげる」

「つ、連れが居るので」

「じゃあその子も一緒に行こうか」

 

こ、怖い.....。

モンスターなら平気なのに......体が言うことを聞かない。まるで、トラウマを見ているみたい......。

た、助けて.....零くん!

 

「じゃあ行こうか。そこまでちょっと遠いから俺らの車で行くから」

「え?」

「ほら、さっさと行くぞ」

「辞めてくださいっ!」

 

お兄さん達に手を掴まれてしまった。

もう、ダメ......!

 

「おい.......()()()に手を出すな」

「ちっ、男連れか.....。いいじゃねえか、ちょっとぐらい貸してくれよ?な、痛い目に会いたくないだろ?」

「うるさい」

「へ?ごはっ!」

「なっ!」

「〜〜〜!!てめぇ、やりやがったな!こうなったら.....オラッ!」

 

零くんは目の前にいるお兄さんの鳩尾に拳を叩き込んだ。

お兄さんはお腹を抱えて数歩下がるが、すぐに怒って零くんに殴りかかった。

 

「俺はお前らを許さない」

「ごちゃごちゃうるせぇ!.......え?」

「な、何が起こったんだ!?」

 

零くんに殴りかかっていたお兄さんは一瞬のうちに倒れていた。

急に目の前の景色が変わってお兄さんは呆然としている。

 

「え、あ....お、おい!行くぞ!」

「お、お....おう!オラァ!」

 

残りのお兄さん達が零くんに襲いかかる。

しかし、零くんは突っ立ったままだ。全く動く様子はない。

 

「俺は基本的に怒らないようにしている」

「ごちゃごちゃうるせえんだよ!カハッ!」

「そんな俺でも怒ることが三つある。一つ目は料理を作った人に感謝しないこと」

「なっ、達也!こいつ!うわっ!」

「二つ目は動物に危害を加えること」

「何やってんだ!一斉にかかるぞ!」

「そして、三つ目は.....俺の大切なモノに手を出すことだ!」

 

そこからは一方的だった。

お兄さん達が殴りかかろうと、蹴りをかかろうと、その巨躯を駆使して襲いかかっても零くんに一回も触れることはなかった。しかも、その度に零くんにこかされたり、急所に攻撃されたりしてボロボロになっていぬ。

そして、お兄さん達は体力が尽き、床に突っ伏していた。

零くんは汚物を見るような目でお兄さん達のことを見ていた。

 

「金輪際こんな真似はしないことだな」

「........」

 

お兄さん達にそう言う零くんだけど、お兄さん達は返事をすることが出来ないほどに疲弊しているらしい。

 

「......」

「へ......?」

 

零くんは呆然としている私の手を掴み、黙って走りだした。

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あの......」

「ごめんな」

「え....」

「俺のせいでデートがめちゃくちゃになったから」

「そんなこと気にしてないよ!零くんのお陰で私、あの人達になんにもされなくて済んだし」

「でも....」

 

零くん、すごく落ち込んでる。

自分のせいで折角のデートがめちゃくちゃになったと思ってる。それは違う。映画を見たこと、カフェであーんってしたこと、服を選びっこしたこと、オススメの本を話し合ったこと、それだけで私は楽しかった。満足だった。

 

「零くん、こっち向いて」

「なに?.......っ!」

 

私は頬っぺたにそっと手を添えて、一気に顔を近づける。

そのまま唇と唇を重ねて

 

──キスをした

 

 

「.....これでこの話は終わり!これ以上蒸し返すなら即絶縁だからね!」

「.........ああ、分かったよ」

「それで良し!」

「でも、なにかさせて欲しい」

「もうっ!そういうのは無し!」

「じゃあ.....あ〜なんか俺の隣にいる人のお願いを何でも一つ聞いてあげたいな〜」

「そ、そこまで言うなら.....」

 

せ、折角だし、お願い聞いてもらっても良いよね?

 

「も、もう一回......俺の女って言って」

「.......」

 

返事は返って来ない.....。引かれちゃったかな?

 

「......楓」

「ひゃ、ひゃい!」

 

あわわわ、噛んじゃった〜!

大丈夫かな?大丈夫かな?

すると、零くんは私の耳元に顔を近づける。

 

「俺の女なってくれるか?」

「〜〜〜っ!!これ....恥ずかしすぎる.....」

「......俺も恥ずかしい」

「か、帰ろっか.....」

「お、おう。....あ、楓の頭に埃付いてる」

「嘘、取って!」

「ほれ、取れたぞ」

「ありが、ん、ちゅ.........んむ、ぷはっ!」

 

 

 

 

 

「お返しだ」

 

満面の笑みで零くんはそう言った。

 

 

 




メイプルの服はご想像にお任せします!
オシャレのオも分からない人間なんで....

自分、学生なのでこれからどんどん執筆する時間が減っていくのでモチベを上げるために

感想
よろしくお願いします!


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妖精郷の賢王

みんな大嫌いなあのキャラが出てくるかも!?
だーれだ!

ヒント
〇〇〇〇ン


「もういいぞ、ガルルモン」

「分かった」

 

 ゼロの前には大きな狼がおり、つい先程までモンスターと戦っていた。

この狼──ガルルモンは第二回イベントのイカのボスの巣から見つけた卵から孵ったガブモンが進化したモンスターなのだ。

 

 明るく陽気なアグモンとは対照的にクールで寡黙な性格だが、案外アグモンとは上手くやれているようだ。

 

「ガルルモン、お疲れ。ゼロの作ったご飯食べる?」

「食べる!」

「そんなに急がなくても、まだまだあるからな」

 

 食事には目がないようだ。瞬時にガブモンに戻り、アグモンから差し出されたサンドウィッチを幸せそうな顔で咀嚼する。その様子を見てゼロは笑顔を浮かべる。やはり、自分の作った料理を誰かに幸せそうに食べられるのは嬉しいようだ。

 

「ん? あれは.......サリーか? おーい!」

「あっ! ゼロじゃん! 今日は何してるの?」

「こいつのレベル上げ。丁度そこで飯食ってるけど、食べるか?」

「もちろん!」

 

 偶然、サリーと出会ったゼロはサリーを食事に誘い、アグモンとガブモンの居る場所に戻った。

二人が戻ると、アグモンとガブモンは気持ち良さそうに寝ていた。しかも、サンドウィッチを入れたバスケットの中を空にしてだ。

これには二人も苦笑するが、ゼロは二匹を【休眠】で指輪の中に戻してサリーにストレージに残しておいたサンドウィッチを渡す。

 

「ほれ、今日は空飛び豚のカツサンドだな」

「......それって赤かったりする?」

「ああ、赤い豚だったな」

「それって紅のぶ「カンのいいガキは嫌いだよ」.......」

「とにかく食べろよ」

「.......うん」

 

 微妙な空気になってしまい、気軽にサンドウィッチを食べる雰囲気ではなくなってしまった。

どうしたもんかとゼロが考えていると、二人の近くに青髪のプレイヤーがやって来た。

それを見たゼロはニヤリと笑いメニューを開き出した。

 

「やあ、そこのお嬢さん方。」

「なんですか?」

「いや、レベル上げをと思いここに来たのですが、そしたら貴方方がいたもので.....。良かったらご一緒にいかがですか?」

「そうですね......今回は遠慮させて頂きます」

 

 そう言ってサリーは断るが、青髪は諦めない。ぐいぐいと押していく。その勢いにサリーもタジタジになっていく。

 

「さあ、一緒に行きましょう。パーティーの方もご一緒に!」

「お断りします」

「お、お前はっ!?」

「先日はどうも」

「ヒ、ヒイイイイイイイイ!!」

 

 ゼロの顔を見た途端、青髪は奇声を上げ走り去っていった。

それを見たサリーは呆然としたが、すぐさまゼロの方を見る。

そこには.....

 

「なんで女装してんの!?」

「あいつを驚かそうと思ってな」

「そ、そう。それにしても......似合ってるよね。女装。」

「そうか?」

「うん。ぱっと見、色白白髪の綺麗というか可愛いって感じの華奢な少女だね。十人中十人が振り向くような美少女──」

「それ以上はやめてくれ。なんか.......辛い」

「分かった.....」

 

 またも空気が沈んだが、サリーがこの空気を何とかしようと口を開く。

 

「さ、さっきの人とは前にも会ったことがあるの?」

「あ、ああ。前に罰ゲームを受けただろ? その時にちょっとな」

「そうなんだ」

「全くだ。あいつにしろ、あの三人組にしろナンパしすぎだろ」

「? あの三人組って?」

 

ゼロはメイプルとのデートの事を話す。その話を聞いたサリーはかなり怒っていた。それに同調するようにゼロも怒り出す。

 

「なんでこう、痴漢やらナンパやら多いのかねぇ!」

「メイプルは可愛いよ! でも、多くないか!? 電車では痴漢しようと寄って来るし、モールでも痴漢やナンパが大量発生! 全部阻止したよ!? けど、最後の最後であんな力づくで来たからもう噴火しちゃったよ! 今までの怒りも含めて噴火しちゃったよ!」

「ああ!もうムカついてきた! 行くよ、ゼロ!」

「おう!」

 

ゼロとサリーはその場の勢いで突っ走っていく。目的地がどこなのか分からないままスキルまで使い走っていく二人。

ただこの怒りを鎮めるために.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「ここはどこなんだ(なの)ーーーーーーー!!」」

 

そこには見渡す限り花、花、花。色とりどりの花が咲き乱れ、空飛ぶ小人が二人の周りをふわふわと飛んでいる。

すると、二人の青年がこちらにやって来た。

 

「やあ、君達は混乱していると思うが、私の話を聞いて欲しい」

 

白髪の青年が二人に話しかけて来た。それでゼロとサリーはこの状況について相談する。

 

「クエストか?」

「多分そうだと思う。まあ、とりあえずこの人達に付いて行くことにしよう」

「そうだな」

「それで、話は纏まったか?」

 

すると、もう一人の金髪の青年が二人に尋ねる。それに、二人は返事をすると、二人は満足そうに頷く。

 

「今、ここは一人の王によって支配されている。その王の名はオベイロン、偽物の王さ」

「偽物の王?」

「そう。オベイロンは本当の王を幽閉し、民を洗脳して王となった。まあ、その王は今封印を解いてこの場に居るんだけどね」

「え!? ということは....」

「そう、この(オレ)が妖精王 ギルだ」

 

金髪の青年──ギルが前に出てそう宣言する。それに続いて白髪の青年も前に出て言う。

 

「君達にはオベイロンを倒し、この妖精郷に平穏をもたらして欲しい」

 

すると、ゼロとサリーの前にウィンドウが発生する。

 

 

クエスト『慈悲深き聖騎士』

 

OK CANCEL

 

 

「こうなったら...」

「やるしかなよね」

 

そう言って、OKボタンを押す二人。

 

「よーし、それじゃあ一旦私達の基地に案内しよう」

「この(オレ)が直に案内してやろう。付いてこい!」

「へーい」

「ゼロ! もっとシャキッとしなよ!」

「お前は俺のオカンか!?」

「ハハハ! 君達は仲がいいね」

「.......おい! (オレ)も混ぜろ! 面白そうではないか!」

 

和気藹々と歩いて行く四人。その様子を見て周りの妖精達は笑い合う。

 

「やっと王様笑ったね」

「マーリン様も作り笑いじゃなくて本当に笑ってる」

「あの人達が来てくれて良かったね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそ、ここが私達の秘密基地さ!」

「早速作戦会議だ。早く席に座れゼロ、サリーよ」

「分かった」

 

二人が椅子に座ると、ギルが指を鳴らした。すると、机の上に金色の穴が出現し、何かの図らしき物を出した。

二人がそれに驚いていると、次々と似たような物が出てくる。

 

「あの.....これは?」

「オベイロンの居る塔の見取り図だ。これを参考にして作戦を作る」

「何故そんなものを?」

「ハッ、元々は(オレ)の物だ。(オレ) が考案し、(オレ)が設計した塔だぞ? 持っているに決まってるではないか!」

「....お、王様ってスゲー」

「....そうだね」

 

こうして始まった作戦会議。

時には喧嘩し....

 

「あっ!それ私のクッキー!」

「ハッハッハ! 君のクッキーという証拠はどこにある? 名前でも書いているのかい?」

「グッ!」

「まあまあ、まだ沢山あるから」

 

 

時には実力行使で.....

 

「てめぇ、ふざけんなよ! まだケーキ残ってるじゃねえか!」

「ハッ、この(オレ)の口に入っただけ光栄に思え!」

「料理を粗末にする奴は許せん! 表出ろ!」

「フハハハハ! いいだろう、かかってこいゼロ!」

「ストップストーップ!」

 

 

時には話し合いで....

 

「どうしてゼロはいつもそうなのかな?」

「はい....すみません」

「駅前に新しく出来たお店の一番高いパフェね」

「はい....」

 

 

と、時には....

 

「ん〜....ここだっ!」

「残念! そこは罠だ! マーリン!」

「なっ!」

「ゼロっ! (オレ)もやる。相手をしろ!」

「いいだろう。無敗のボードゲーム王と言われたこの俺が相手だ!」

 

あれ?作戦会議してなくね?

 

「そんな訳無かろう作者よ。この(オレ)(オレ)が認めた程の頭脳を持つマーリンとゼロがいるんだぞ? 作戦などとっくの昔に完成しているわ。たわけ!」

 

え? なんか....すみません。って王様メタい!

 

 

 

 

 

 

「話を戻すぞ。今回の作戦はゼロ、サリー、マーリンが塔に侵入する。(オレ)が後方でこちらの兵を指揮をする。なに、封印のおかげで力がいつもの四分の一も無いと言っても自衛出来る程には残っている。塔に侵入後三人はそのままオベイロンの元へと向かえ。他の雑兵はこちらが対処する」

「オベイロンの元に着いたらそのまま戦闘だ。道中不備が起きた場合の対処はこの通り、各隊の将軍はこれをみんなに伝えておいてくれ。あと、裏切り者やスパイのリストはこれだ。役立ててくれ」

「他に何かある者は居るかい?......居ないようだね。作戦実行は明日の昼だ。それまで英気を養ってくれたまえ」

 

マーリンがそう言うとこの部屋に居た妖精達は退室していく。このまま自身の隊に作戦を伝えに行くのだろう。

残ったのはゼロとサリー、ギルにマーリンだけだった。

 

「後はオベイロンを倒すだけだ。明日に向けてもう休もうか」

「そうだなn──」

 

ドゴオオオオオオオオオオオオン!!

 

部屋に爆音が響いた。

 

「──何だ!?」

「分からない! しかし、只事ではないようだ!」

「とりあえず外に出よう!」

 

サリーの一言で四人は外に出る。そこには、この基地を包囲している妖精達だった。

 

「王よ、何事ですか!?」

「オベイロンからの攻撃だ! 至急武装し、迎撃に向かえ!」

「はっ」

 

ギルは部下に支持しているようだ。

一方ゼロ達は.....

 

「【龍変化】っ! 乗れ! その方が速い!」

「分かった!」

「まさかドラゴンに乗ることになるとは思わなかったよ!」

 

前線に向かっていた。黒龍と化したゼロはサリーとマーリンを背に乗せて空を飛ぶ。もちろん、その最中に攻撃も忘れない。ゼロが炎を吹き、サリーが風の刃を放つ。反撃されるが、それはマーリンが花に変える。

 

「【覚醒】! アグモン、ガブモン進化だ!」

「オッケー!」

「任せろ」

「なっ! 伝説の聖獣じゃないか! 何故ゼロくんが召喚したんだい!?」

 

呼び出されたアグモンとガブモンは強い光に包まれる。光が治まるとそこには、 ウォーグレイモンとメタルガルルモンが居た。

 

「下の奴らを殲滅だ! 北と東は任せた! 俺達はここら辺を殺る!」

「分かったぜ!」

「了解」

 

二匹は北と東に飛んで行った。少しした後、爆発音が聞こえたのでもう始めたのだろう。

ゼロ達はそのまま空から殲滅していく。

 

「どデカいのいくぞっ!」

「ゼロくん、何故君が聖獣を召喚したのかは今は聞かない。けど、後で話してもらうよ。っと!」

 

ゼロが通常より二倍は大きい火球を放つ。すると、マーリンが杖を振るうと、花の道が出来た。

 

「君達は先にオベイロンの元に行ってくれ! ここは私達に任せてくれ!......とか一度は言ってみたかったんだよね」

「分かった! けど、あいつらはそっちに預けようか?」

「いや、連れて行ってくれ。君達は全力でオベイロンを倒してくれ」

「......そっちは任せたぞ! ウォーグレイモン、メタルガルルモン! 終わったらこっちに来てくれ!」

「もう終わってる」

「はやっ! ちなみに君達レベルはいくつ?」

「俺はレベル17」

「15」

「す、すごい......」

「っ【龍変化】が切れる。サリー降りて」

「え、あ、ああ」

 

ゼロが光に包まれると、元の人間の姿に戻る。が、そのまま話をの道を走っていく。

 

「もうすぐだ!」

「ゼロ、このまま突っ込むの?」

「もちろん!」

「へえ、なら簡単だ!」

 

そう言ってサリーはニヤリと笑う。

 

 

そして、とうとうオベイロンの住まう塔が見えてきた。




ゼロくんは自分から女装するようになったようです。
ああ、私は悲しい。ポロロン

「なわけねーだろ」
なっ、いつの間に背後に!?

「とりあえず逝っとけ」
ぎゃあああああああああ!!!


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白き聖騎士

今回はみんな大好きなあの人が.....!!

ヒント
〇〇〇〇ン


「ここか....」

「とりあえずウォーグレイモンとメタルガルルモンは戻っていてくれ」

「上手くやれよ」

「次はハンバーグ」

「分かったよ、【休眠】」

 

 二匹は指輪の中へ戻っていく。それに合わせて二人は動き出す。

 

「なるべく戦闘は避けてオベイロンの所に直行する」

「了解!」

 

 なるべく音を立てずに走る。オベイロンへの道筋はギルの設計図を見て完全に把握している。

 

「ギルの言う通りならここを上がって右に曲がると.....」

「っ止まれっ!」

「えっ、きゃあああ!!」

「くっ、サリー!」

 

 サリーはトラップにかかってしまう。サリーの足元には紫に光る魔法陣があり、そこから紫色の触手が伸びてサリーを絡める。

ゼロは即座に触手を切り落とすが、触手は再生してまたもサリーに襲いかかる。

 

「こうなったら........エンハンス・アーマメント!────咲け、青薔薇ッ!」

 

 【青薔薇の剣】を地面に突き刺し、【武装完全支配術】で魔法陣ごと触手を凍らす。そして、【闇を払うもの】で切り払う。

 

「これで大丈夫だろ。さあ、次行くぞ」

「あっ.....ありがとう」

「どういたしまして」

 

そして、二人は再び走り出した。

しかし....

 

 

 

 

 

「くっ、トラップが多いっ!」

「いっその事全部凍らせるか?」

「ん〜.......やっちゃえ!」

「了解! エンハンス・アーマメント!────全てを凍らせろ、青薔薇ッ!!」

 

 ゼロが【青薔薇の剣】を地面に深々と突き刺す。すると、今までの比では無い程の巨大な魔法陣が現れ、そこから発生する氷が塔を覆い尽くす。

 

 

 

 

一方その頃、オベイロンの軍と戦っているギル達は.....

 

「なっ! ゼロの奴、(オレ)の塔をなんだと思っている!?」

「あはははは! いや〜ゼロ君は私の予想を遥かに超えるね! いいぞいいぞ、もっとやれ!」

 

 丁度ゼロ達の様子を遠目から見ていた。

すると、ギルの傍に襲撃時に来た妖精と同じ妖精がやって来た。

 

「王よ、周囲を包囲していた敵軍全てを殲滅しました。このまま進軍致しますか?」

「うむ、ならば(オレ)が先陣を切ろう。我が臣下達よ、(オレ)に付いてこい!」

「はっ!」

 

────決着の時は近い

 

 

 

 

───────────────────────

 

 

 ゼロとサリーは廊下を駆けていた。

 

「この塔、見た目に反して中広すぎない!?」

「王家の持つ神器がどうたらこうたらってギル達が言っていたな」

「とりあえずこの中は四次元ポケットみたいになってるってことは分かった」

 

 そんな軽口を話しつつ走っていく二人。

 

「次曲がるぞ」

「了解」

「.....サリー」

「なに?」

「角にモンスターが居る。俺が斬り掛かるから援護頼む」

「分かった。そういえば【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】とか打たないね。なんで? 」

「馬鹿か?」

 

 ゼロは馬鹿にするように笑う。

 

「なっ! 馬鹿とはなんだ、馬鹿とは」

「こんな閉所的な場所で打ったらこっちにも被害が出るし、塔が壊れる」

「以外.....そんなことまで考えてるなんて」

「以外とはなんだ、以外とは」

 

 二人は角を曲がる。しかし、そこには何も無かった。

 

「何も....無い?」

「.....っ! 透明化だ! 気を付けろ!」

「了解!」

 

 二人は武器を構え警戒する。だが、何時になっても敵からの攻撃は襲ってこない。しかし、二人は構えを解くことは無かった。こういう敵は油断している瞬間を襲ってくると知っているからだ。

 

「サリー!」

「分かった!」

 

ギャアアアアアアアアア!!!!

 

 サリーは後ろに向かって【ウィンドカッター】を放つ。すると、そこから悲鳴が聞こえる。

 

名前を呼ぶ。

それだけでお互いの言いたい事が分かる。そのレベルまでゼロとサリーはお互いのことを分かりあっているのだ。

伊達に何年も同じゲームを一緒にプレイしている訳では無いのだ。

 

「【暴食者(グラトニー)】!!」

「何それ!?」

 

 ゼロの突き出した右手から渦状の紫の煙のようなものが噴出され、透明のモンスターを吸い込む。

サリーはそれを初めて見たからか傍で驚いている。

 

 透明のモンスターを吸い込んだ煙は段々ゼロの手に戻っていくかのように収縮していく。

 

「それなに!?」

「罰ゲームの時に受けたクエストの報酬」

「モンスター吸い込んでたけど、他にも吸い込めるの?」

「ボス級は無理だけど普通のモンスターぐらいだったら結構行けるんじゃないか? 吸い込んだモンスターは勝手にHP削られていくし」

「......強くない?」

「俺もそう思う」

 

 そう言うと、二人はまた走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、とうとうゼロとサリーはオベイロンの待つ王室の前にやって来た。

 

「ここか.....」

「開けるよ?」

「奇襲に気を付けてくれ」

「分かった」

 

 大きな扉を開ける。すると、そこは大きな広間で、奥には王座があり誰かが座っていた。

驚いたことに奇襲や攻撃は無く、二人はすんなりと部屋に入ることが出来た。

 

 

しかし、二人は地を這っていた。

 

「なっ......なんだこれは。体が.....」

「どうだ! あの馬鹿な王に雇われた人間よ! これがボクの重力魔法だ!」

「体が....動かない.......!」

「重力魔法ってそういう事か....これは結構ピンチだな」

 

 そう言いながらゼロは()()()()()

その様子を見たオベイロンが高らかに笑いだす。

 

「ハッ、とうとう諦めて笑いだしたか! やはり人間など塵に等しい!」

「......誰が諦めたって?」

「え?」

「この状況で諦めてないとは馬鹿か! やはりあの王に雇われただけはある。ボクの重力魔法を打開する方法は無い! そのようなことが出来る奥の手など持っている訳が無い!」

「奥の手は無いかって? 阿呆が。そんなもん、あるに決まってるだろ」

「何!?」

 

 今まで立つことすら出来なかった重力下でゼロは膝を立てる。そのまま立ち上がりオベイロンに向けて手を向ける。

 

「な、何をするつもりだ!」

「そんなもん決まってるだろ。────お前を、斬る」

 

────かつて求めた究極の一刀

 

────其は、肉を断ち骨を断ち命を絶つ鋼の(やいば)にあらず

 

────我が()が求めるは怨恨の清算

    縁を切り、定めを切り、業を切る

 

────即ち。宿業からの解放なり

 

────其に至るは数多の研鑽

    千の刀、万の刀の(かたちど)り、築きに築いた刀塚

 

────此処に辿るはあらゆる収斂(しゅうれん)

    此処に示すはあらゆる宿願

    此処に積もるはあらゆる非業

 

────我が人生の全ては、この一振りに至るために

 

 

 

────剣の鼓動、此処にあり――――!

 

 

 

 鉄を叩く音が鳴り響く。

ゼロの体に青い線が迸り、突き出していた右手には熱く熱した刀が一振り。

その一振りは遥かなる昔、神々の御代にて八岐大蛇(やまたのおろち)の尾より出でし、都牟刈の刃。

ゼロは刀を天に掲げ、刀身は紅く煌めく。

 

 

「【都牟刈村正】ーーーーッ!」

 

 轟音が妖精郷に響き渡る。

誰もがその様を見た。妖精郷の誇りたるあの塔が人間に真っ二つに斬られる様を。

 

塔に青い亀裂が入る。

 

「ば、馬鹿なっ! 矮小な人間があの賢王が作ったこの塔をき、斬っただと!?」

「そら、お前のご自慢の重力魔法は無効化したぞ。さあ、宣言通り今からお前を斬る」

「フ、フフフ、フハハハハハハハ!! 無駄無駄無駄ァ! この程度でボクを倒せると思っているのか!? この塔の持つ魔力はボクが操っている! この魔力をボクに収束すれば.........」

 

 オベイロンは両手を掲げると、掌から魔法陣が出現する。すると、塔のあちこちから魔法陣が現れ、その中から紫色の触手が伸びてきた。その触手はオベイロンに巻き付いていき、とうとうオベイロンの体を全て包み込んだ。

 

「長い」

「なっ!?」

 

 しかし、ゼロがオベイロンごと触手を切り落とす。が、触手は再生してオベイロンをまた包み込む。

 

「エンハンス・アーマメント!」

「..........」

「........やったの?」

「分からない.....」

 

 ゼロが【青薔薇の剣】の【武装完全支配術】で触手を全て凍らせる。

 

 

ビキ、ビキビキ

 

 

 氷が割れる音が部屋に響き渡る。

中にオベイロンと触手が入っている氷塊に亀裂が入っていく。

 

ズドオオオオオオオオオオン!!!!

 

「ダメだったか!......!?」

 

 中から出てきたのはオベイロンの特徴が一切残っていない()()だった。

 

 

「クハハハハハハハハハハハ!! この塔が持つ圧倒的な魔力をボクの体の中に注入し、制御することでボクは更なる力を手に入れることが出来た! 今のボクに傷を付けることは不可能! 矮小な人間風情が幾ら頑張ろうと無駄なのだ!」

「ご丁寧に説明どうもっ!」

 

 ゼロは両手に持つ二振りの剣でオベイロンを切り付けるがHPバーは一切変動しない。

 

「ハッ、この程度か! 人間共よ、言っただろう。今のこのボクを傷付けることは不可能だと!」

「サリー! 頼むっ!」

「りょーかいっ!」

 二人は散開してオベイロンに向かって走り出す。ゼロは【闇を払うもの】の【武装完全支配術】で攻撃し、サリーは【ウィンドカッター】や【ファイヤボール】の魔法で攻撃する。

 

しかし、オベイロンには全く効いていないようだった。

 

「無駄無駄無駄無駄ァ! そんな弱小な攻撃がボクに通用する筈が無い!」

「やっぱり駄目か.......こうなったら、サリー!」

「なに!?」

「十秒稼いでくれ!」

「オッケー!」

 

 サリーはそのままオベイロンに攻撃し続ける。

その内にゼロはスキルを発動させる。

 

「ギル、マーリンすまん。やっぱ使うわ」

 

 

────束ねるは星の息吹、輝ける命の奔流。 

 

────受けるが良い!

 

 

 両手が握るは星の聖剣。剣の周りに光が集まっていき、とうとう巨大な光の剣と化した。

ゼロは聖剣を両手で構える。

 

 圧倒的な存在感を放つ聖剣に危機感を覚えてか、オベイロンはサリーからゼロにターゲットを定める。

 

「させないよ!」

「くっ、小癪な!」

 

 しかし、サリーの持つスキル【蜃気楼】でオベイロンの攻撃は空を切る。

ただ、その時間だけで十分だ。

 

放たれるは究極の斬撃。

斜線上の一切を消し飛ばす金色の奔流。

 

「【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】!!」

「な、なんだそれは!?」

「これで.....!」

「ぐあああああああああああ!! なーんて」

「「なっ!?」」

 

 そこに居たのは無傷のオベイロンだった。

 

「さあ、お返し、だ!」

「ぐはっ!」

「ゼロ!」

 

 オベイロンの持つ触手にゼロが弾き飛ばされる。そのまま塔の壁にぶつかり、HPがすごい勢いで削られる。そして、とうとうHPが全損し、【十二の試練】が発動される。

 

「この、野郎」

「フハハハハハハハ!! 無様、無様だな! 人間よ! これまでよくも馬鹿にしてくれたなぁ。しかし、それもこれで終わりだぁ!!」

 

 ゼロは立ち上がろうとするが、その前にオベイロンからの追撃が迫る。

 

「それはどうかな!」

「な、なんだこれは!?」

「いよーし! 間に合ったー!」

「マーリン!」

 

 天開きになっている天井からマーリンが降りてきて、杖を振るう。すると、ゼロに襲いかかる触手が全て花と化した。

 

「なんでみんなマーリンがここに?」

「あっちは早々に終わったからね。すぐに応援に向かおうと思ったんだけど、ゼロ君のおかげでね。ちょっと遅れたけど許してくれたまえ」

「とりあえず回復を......」

「ああ! ごめんごめん。【ヒール】!」

「サンキュー」

「ボクを無視するなーーーー!!」

 

 暴走。オベイロンは既に理性を殆ど無くなっていた。今のオベイロンにあるのは破壊欲求だけだ。

 

 マーリンが花に変えた触手は既に再生しており、オベイロンは全ての触手を使ってゼロ達に攻撃する。

それを見たゼロは何とか立ち上がり、触手に立ち向かおうとする。が、既にマーリンが触手を花に変えていた。

 

「ゼロ君、サリーちゃん。一つお話をしよう」

「話?」

「妖精郷にある言い伝えさ。

 

 

 ────昔、ある妖精が居た。その妖精は周りの中で最も強く、みんなを虐げていた。その噂を聞いた当時の王様が力ずくで妖精を説教し、反省させた。しかし、妖精は説教されたことを根に持っていた。王様にやり返そうとする。が、妖精は王様には敵わなかった。平民の中で強い方ってだけでは王様には勝てなかったんだ。それで、その妖精が取った方法は.....

────悪魔に、祈ることだったんだ。その結果、得た力で王様を殺し、妖精郷を破壊し続けた。そして、妖精を鎮静化させ、封印したのが伝説の聖獣、ゼロ君の従える二匹だよ」

「.......」

 

 ゼロは黙ったままで、そのままマーリンは話を続ける。

 

「妖精との戦いで聖獣と心を通わせた男が居た。これはその男が持っていた真珠だ。これを君に託そう」

「そんな大事な物、俺に渡していいのか?」

「......ゼロ君、ここに至るまで誰も彼もが多くの手を尽くしてきた。だが、まだ足りない。奴に届く武器が無い。奴を傷付ける刃が無い。それが出来るのは君だ、ゼロ君」

 

 マーリンが力強い目でゼロを見つめる。それに応えるようにゼロは頷いた。

 

「分かったよ。ただし、やるからには徹底的にやるぞ」

「それについては大丈夫だ! 既に王様に許可は取っているからね!」

 

 マーリンはそう叫び、飛んでくる触手を杖で捌く。すると、塔の外から声が聞こえた。

 

「ゼロよ! (オレ)が許す。ド派手にやれ!」

「了解!」

 

 ゼロは真珠の持つ手を強く握り締める。すると、ゼロの体が青白い光に包まれる。

 

「【覚醒】! ウォーグレイモン、メタルガルルモン!」

「こっから本領発揮だぜ!」

「触手.....ゼロ、やっぱりたこ焼き」

 

 【絆の架け橋】から出てきたウォーグレイモンとメタルガルルモンがゼロの包む光に吸い込まれていく。

 

「【慈悲深き聖騎士】!」

「な、なんだこの光は!?」

 

 ゼロを包む光が一層強まる。

オベイロンはゼロに向かって触手を伸ばすが....

 

「させないよ!」

「小娘がァ.....!」

「残念、私も居るんだなあ。これが」

 

 触手が短剣に切り裂かれ、燃やされ、花へと変わる。

 

「小癪な....! 潰してやる潰してやる潰してやるううぅぅううう!!」

「うわ何あれ、キモ.......」

 

 自分の邪魔ばかりするゼロ達への怒りが溢れたのか、オベイロンは姿が変形する。元々、異形と言える程の姿だったが、今ではオベイロンの影も形も無いただのモンスターだ。

 

「うるさいうるさいうるさい! ぐしゃぐしゃに潰して壊して塵にしてやるぅぅううう!」

「うぇぇ、無理無理無理ーー! 私ああいうの無理ーーー!」

「ああ! ちょっとサリーちゃん!?」

 

 オベイロンのグロさがサリーには無理らしく、壁の隅に後退る。が、そんな隙を見逃される筈もなく、サリーに触手が襲いかかる。

 

「死ねぇぇえええええええ!!」

「あっ.....ごめん、ゼロ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何がごめんなんだ、サリー?」

「ゼロ!」

 

 サリーを襲うはずだった触手は消え去り、目の前にはゼロが立っていた。しかし、その姿は変わっていた。

髪は雪のように白く、瞳は空のように澄んだ青。羽織っていた【黒龍のコート】は漆黒から純白に変わっており、所々青いラインが引かれている。

右手にはメタルガルルモンの意匠のある白い銃、左手にはウォーグレイモンの意匠がある白い長刀。そして、背中には純白の翼。

 

それは聖騎士を彷彿とさせる装いだった。

 

 

 

「さあ、オベイロン。始めようか、悪魔の怪物と白き聖騎士の戦いを」

 

 

 




ちなみに何故オベイロンがこんなに強いかは運営が苦戦するようにステータスを調整しているからです。ゼロくんの場合だと、えげつない程上げられてます。


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シロキモノ

「ボクはただ創るだけ」という小説を投稿し始めました。
どうぞ読んでみてください。




「さあ、オベイロン。始めようか、悪魔の怪物と白き聖騎士の戦いを」

 

 ゼロは左手に握る白刀をオベイロンに向ける。それにオベイロンが怒りに吠える。

 

「うがああああああああぁぁぁ!! 黙れ、黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れええええぇぇええええ!!」

「黙るのは、お前だ!」

 

 オベイロンの触手がゼロへと伸びる。対して、ゼロは右手に持つ【ガルルキャノン】をオベイロンに向ける。すると、銃口に青白い光が集まり、光の球となる。

 

「はあっ!」

 

 ゼロが光球を放つと、迫っていた触手は一撃で消え去り、その後も再生する様子も無かった。

 

「な、何ぃぃぃぃイイ!!?? き、貴様....ボクに、ボクニナニヲシタアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 オベイロンは最早理性など捨てており、ただの人の言葉を発する怪物と化していた。そんなオベイロンにゼロは左手に持つ刀【グレイソード】を向ける。

 

「確か俺はお前にこう言ったよな。お前を()()って」

「??.....ニンゲン、ナニヲイッテイル??....!!??ギイイイイイヤアアアアアアア!!! イタイイタイイタイイタイイタイ!!」

 

 それは一瞬だった。刀を向けたゼロがオベイロンに話しかけたその時、オベイロンの体に青白い亀裂が走り、真っ二つに割れた。

 ゼロが斬ったのだ。目にも止まらぬ速さでオベイロンをその一刀で綺麗に真っ二つに斬ったのだ。

 

「これで終わりだ! 【オールデリート】!!」

 

 ゼロの言葉に呼応するように【グレイソード】が光を帯びる。ゼロが【グレイソード】を振るうと、光の奔流がオベイロンを呑み込む。

 

「凄い.....!! これが伝説の聖騎士の力!!」

「見事、誠に見事な一撃だった! ゼロのこの一撃を以てこの一件の終息とする!」

「「「「「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」」」」」

 

 ギルの元へ集った戦士達の雄叫びが妖精郷に響き渡る。

 

 

 

────クエスト『慈悲深き聖騎士』クリア

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、大変だったな」

「本当にね。ゼロがあのスキルを獲得してなかったらクリア出来なかったんじゃないかな?」

「あのスキルってなんだ?」

「クロムはすぐ掲示板に書き込むから言わん」

「じゃあ私は〜?」

「口が軽そうだから言わん。まあ、いつか見せる時が来るから、その時までのお楽しみだ」

 

 ゼロは《楓の木》ギルドホームでメンバーと談笑していた。あと、少ししたら第三回イベントが始まるからだ。

 

「いやー、もうイベントも三回目か.....楽しいといいね、牛イベ!」

「なに、牛イベって?」

「牛を倒して、ベルを獲得するっていうイベントなんでしょ? だから、牛イベ!」

「ベルの数に応じて報酬が貰えるみたいだね」

「イベントとしてはオーソドックスなタイプだな」

 

 メイプル達の会話しているさなか、イズが立ち上がった。

 

「はいはーい! 注目ー! みんなが沢山羊毛を集めてくれたので、やっと完成しました!.........じゃーん!」

 

 イズはメイプルとサリーとカスミの三人に何かを渡したようだった。すると、三人の装備は白い羊毛に包まれた新しい装備にかわっていた。

 

「可愛い!」

「うん。そして、あったかい!」

「使った羊毛の量によって、イベントドロップにボーナス補正が付くみたいよ」

 

 女性陣は可愛い衣装に嬉しそうにしていた。.......カスミ以外は

 

「しかし....」

「ん?」

「こ、これでは可愛すぎる.....! もう少し違うデザインにはならなかったのだろうか?」

「ならなかったの〜。モコモコ装備のメイプルちゃん達を見たかったから

 

 どうやらイズは確信犯らしい。すると、ゼロがイズに詰め寄る。

 

「イズっ!」

「はいはーい、何かな? ゼロくん?」

「言い値で買おう......!」

「毎度あり〜」

 

 ゼロはこのイベント中ずーっとはしゃいでいたとか。いなかったりとか.....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゼロくんのバカーーー!!」

 




書く時間がない.....
学校と塾が〜〜〜!

なので、アンケートを取ろうと思います。
1、短いけど短期間で投稿される
2、ボリューミーだが投稿頻度は遅め

どっちがいいですかね?


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フラグ建築家特級持ち主人公

「絶対に俺はメイプルと行くっ!!」

「けどなあ.....こっちの方が効率がいいんだが」

「効率なんて知るか。それよりも、こんな姿のメイプルを放っておく方がダメだろ! 俺がメイプルを守るんだーー!!」

 

 ゼロは絶賛暴走中だった。

 どうやら、あの装備を着たメイプルを見たせいで頭のネジが過半数が吹っ飛んだらしい。

 

「ゼロっ! 嬉しいよ? 凄く嬉しいんだけど.....恥ずかしいよぉ.......」

「可愛いーー! 可愛い可愛い可愛い可愛い!」

 

 暴走しているゼロの発言を聞いたメイプルは顔を真っ赤にしてゼロを止める。が、それを見たゼロのネジが余計に吹っ飛ぶ。

 

「あはは。今日はゼロ、ぶっ壊れてるね」

「それもそうよね。あれだけ楽しみにしていた第四回イベントに参加出来なくて、しかもしばらくログインできないときた。ゼロくん、ゲーム大好きみたいだから結構しんどいらしいわよ」

「しょうがないよ。リアルの用事でしょ?」

「そうだね。お母さんが実家に帰省するんだって。それで、その実家が由緒ある家系でゲームとかやらしてくれないらしいよ」

「「ゼロさん....可哀想です」」

 

 ゼロは他のギルドメンバーから同情と哀れみの視線を向けられるが、頭の中にはメイプルのことしか無いので気付いていないご様子。

 しかし、帰省する日程はまだ先なので、今のうちにメイプルニウムを補給して来るべき時に備えているらしい。

 

 ギルド対抗戦に《楓の木》最高戦力であるゼロが出れないというのは、《楓の木》からしたら大問題である。なので、今回のイベントでなるべく最高のイベント報酬を貰いたいのだが......当てにされている当人がこうなっているので難航していた。

 

「........分かった」

「おっ、ようやく分かってくれたか.....」

 

 ゼロを説得していたクロムから安堵の息が漏れる。が、それは意味の無いものとなる。

 

「俺がお前ら全員が集めたベルの二倍集めてくれば問題ないだろ!!」

「「「「「........」」」」」

「「「「「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!??」」」」」

「おまっ、それ意味分かってんのか!?」

「止めときなよ」

「お前は馬鹿かっ!」

「本当にやるんですか?」

「ゼロさん.......凄い.......!!」

「まあ、いっぱい集まれば損は無いんだからいいんじゃない? ゼロくんなら多分出来るでしょ! ゼロくんが味方でほんと良かった......」

「こうなったらゼロは絶対に曲げないからね。そ・の・か・わ・り! それが達成できなかったら.......一週間女装だからね

「やってやらぁ! 行くぞ、メイプル!」

「あ、ちょっと待って!」

 

 そう言ってゼロとメイプルはギルドホームを出ていってしまった。すると、サリーは悪い顔をして笑った。

 

「みんな、全力でやるよ」

「「「「「おー!」」」」」

 

 ゼロの女装はここまでみんなに期待されていたらしい。

 

 ゼロがどうなったかはお察し......

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エンハンス・アーマメント!! リリース・リコレクション!! 【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】!! 【天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】!! 【都牟刈村正】!! 【龍変化】!!」

「ゼロくん....流石にやり過ぎなんじゃ.....ほら、もう地面がズタズタだよ?」

 

 ゼロは自分の持つスキルを総動員して牛を狩っていた。十分前に始めたのに今ではもう200個を軽く超えていた。

 

 しかし、それでもゼロはスキルの発動を止めず、ずっと狩り続けた。

 

「そういえば気になったんだけど、ゼロくんのスキルってMP消費激しくなかった? なんでそんなにバンハン撃てるの?」

「ああ、それはこの【聖杯】ってスキルだな。一日に自分のMPの十倍を肩代わり出来て、予めMPを貯めておけるスキルだな。この前、クエスト報酬で貰った」

 

 これは『慈悲深き聖騎士』のもう一つの報酬だ。帰り際にギルに投げ渡された杯がゼロの体に吸い込まれると、出現したウィンドウにスキルを獲得したことが書いてあった。

 しかし、サリーにはこのスキルは無かったので、MVP制だったと二人は推測していた。

 

「それじゃあまた狩りに行こうかな。今回は二人にも手伝って貰おうか。【覚醒】アグモン、ガブモン!」

「呼んだ?」

「ゼロ....たこ焼きまだ?」

「今日は成果によって報酬の配分を決めようと思う。二人とも頑張って」

「「分かったっ!」」

 

 そう言ってアグモンとガブモンは自ら完全体に進化して飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼロの料理は人気なようだ。その後、メイプルがゼロにご飯を頼んで、二人でイチャイチャしていたのは多くのプレイヤーに見られたとの事。




アンケートにご協力お願いします!

あと、新作読んでみてね


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暗い空間に男女が二人きり

今回はゼロくん視点でお送りします!


 

「メイプル....」

「ゼロくん....」

 

 父さん、母さん。俺は今、人生最大の危機に直面しています。

 

どうしてこんなことになったかと言うと....

 

「いや〜ここら辺は全部狩り尽くしたな」

「そうだね。....そうだ! あっちの山の方へ行ってみようよ!」

「分かった」

 

 俺達はシロップに乗り、空の散歩を楽しんでいました。

 

「今日はワッフルを作ってみた」

「お〜、凄く美味しそう! 食べていい?」

「もちろん」

 

 バケットに入ったワッフルを二人で談笑しながら食べていたその時です。

 

「っ....! なにか来る!」

「へ....?」

「....下だ!」

「「....! うわああああああ!!」」

「カーーーメーーー!!」

 

 何処かから攻撃され、シロップが墜落してしまったのです。

 そして、下にある深い谷底に落下している中、メイプルを守ろうと抱き寄せたはいいものの、俺がメイプルを押し倒したような体勢になってしまいました。

 

 暗い空間に男女が二人きり。これは....()()()()()()なのか?

 目の前にはメイプルの顔があり、綺麗な黒目に吸い込まれて.....

 

「あ、あの....」

「ご、ごめん! すぐにどく...」

「ま、待って!.....私はこのまま....その.....い、いいよ?」

「っ.....! お前、本気で言ってるのか?」

 

 ゲームとはいえ、メイプルの言っていることは女性にとって大切な物だ。

 俺はメイプルの目を見て尋ねる。メイプルからの答えは先程とは変わらないものだった。

 

「私は...ゼロくんとなら....ううん、ゼロくんとがいい」

「メイプル.....」

「ゼロくん.....」

 

 その言葉は俺の心のHPをいとも容易く全損させた。破壊力ヤバすぎだろ.....!

 俺とメイプルの顔はだんだん近づいていき....

 

「光ノ者ヨ、1000年モノ封印ハ解ケタ。今コソ復讐ノ時ダ」

 

 不気味な姿をしたモンスターが出てきた。

 

「......」

「......」

「1000年前ノ屈辱、晴ラセテクレル!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うるせぇぇぇぇぇ、バァァァァァァァァカ!! 何が1000年の屈辱だ! そんなもん俺には関係ない! ふざけんなよ、このクソ野郎! てめぇは俺を怒らせた!」

「ナッ、コノ圧ハナンダ!? 1000年ハコンナモノ無カッタゾ!」

 

 こいつは絶対に俺がぶっ飛ばす!! 一片の肉も残さず消滅してやる!!

 

「メイプル! ここから離れてろ。ワンチャン、死ぬぞ」

「りょ、了解!」

 

 予めメイプルに避難を呼びかけておく。もし、メイプルを倒してしまったら俺はマジでヘコむ。とてつもなくヘコむ。

 

 それに、やっとこれでこいつを消し炭に出来る。

 

「.....よし」

「ナニヲスルツモリダ」

「お前には関係ない。あと.....死ぬぞ、お前」

 

 刹那。この斬撃は正しく刹那の一撃。

 既にモンスターの両腕は無くなっており、モンスターはまだその事に気付いていないようだ。

 

「我流一ノ型────閃光」

 

 この我流は守天流を主軸に、天然理心流やアインクラッド流などの今まで体験してきた剣術を俺なりに研究し、まとめ上げ、一つの(わざ)として作り上げた俺独自の型だ。

 

「我流三ノ型────星斬り」

 

 この技は斬ることに特化した技だ。星をも切り裂く斬撃を受けたモンスターは真っ二つになり、その体が紫のドットの光に包見込まれていた。

 

「メイプルとの時間を邪魔した罪は重い。万死に値する.........ってもう死んでたか。んじゃまあ、メイプルのとこに行くか」

 

 そう言って歩を進める俺は近くに廃屋と化した教会を見つけた。中に入って見ると、真っ先に目に入ったのが.......

 

 

 

炎の中、メイプルが悪魔型のモンスターに食べられているところだった。

 

 

「........スー................................死n「ただいまー」ぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!?」

「あっ、ゼロくん! ちょっと口直しに何か美味しいものある?」

「クッキーならあるけど.....ってまさかお前....」

「やったー!」

 

 

 

 

 

 

 少し引いてしまった俺だった。反省反省。




次回、来週に投稿されると思われます

多分、恐らく、きっと、メイビー


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なんか偽物が出ていた件

まああああああああああことにいいいいいいいいいいいすうううううううううういませんでしたあああああああああああああああ!!!!!

テストあったんで勉強してました(ノ≧ڡ≦)☆
後、再来週にまたテストあるんでもうしばらく更新は出来なさそうです!

誠に申し訳ない!


 

「ねえ零、最近《絶剣》として活動してたりする?」

 

 俺は教室の机で居眠りしていると、理沙が話しかけて来た。

 

「いいや、してないけど。それがどうした?」

「いや、最近《絶剣》がPvPをまた始めたっていう噂を聞いてね」

「マジ?」

「マジマジ」

 

 ええぇ.....マジかぁ.......。騙りの対処って面倒臭いんだよな....。そんな事をするぐらいなら楓を弄びたい。

 

「とりあえず今日の夜に確認してみる」

「分かったよ。一応楓にも言っておくね」

「了解」

 

 そう言うと、俺は次の授業の準備を始める。

 

「後悔しろよ、騙り犯。俺のお仕置きはちょっとばかりキツイぞ」

 

 

─────────────────────

 

「さて、行くか」

「さて、行くか。じゃねぇよ! なんで俺まで行かなくちゃならないんだ!」

「僕は気になるはなるけど、そこまでなんだよね」

「いや、ギルドの男子メンバーでなんにもしてないなあって思ってな。それで、丁度いい時にこんな事が起きたから」

「確かにこのメンバーでなんにもした事無かったね」

「じゃあ行こう」

「じゃあの意味!?」

 

 俺は高いSTRを生かし、クロムは無理矢理引きずって現場に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、現場に着いた俺達が見たものは予想以上の光景だった。

 

「いけぇぇえええ!!」

「そこだ! ちげぇよ、右だ!」

「《絶剣》様頑張ってえ!」

「キャアアアア! こっち向いて!」

 

 競馬を見ているおっさん、格闘技を見ているおっさん、好きな選手を応援するファン、推しのライブで興奮するファンなど.....

 ここのそれはとうに俺の時の物を超えていた。叫声、熱気、怒号が織り成すこの場所は混沌に包まれていた。

 

「とりあえず2人はここで待っててくれ」

「それはいいが、どこに行くんだ?」

「クロム、ゼロには僕らの常識は通じないんだ。聞くだけ無駄だよ」

「確かに」

「解せぬ。まあ、()()()に待っててくれ」

「「??」」

 

 そう言うと、俺はここから離れていった。

 

 

──────────────────────

クロム視点

 

 ゼロに待てと言われてから3分後、とうとうPvPの決着が着いた。観客のプレイヤー達が次こそはと《偽絶剣》にぞろぞろとなだれていった。《偽絶剣》に問い詰めるなら今しかない。しかし、ゼロは一向に姿を見せない。

 

「ゼロはまだか?」

「うーん、それらしき影は無いからまだ待ってとけって事なのかな?」

「そういう事にしてお「《絶剣》く〜ん、遊びましょー!!」なっ!?」

 

 ゼロの声が聞こえてくる。その場に居た全員が声の持ち主を探す。そして、誰もが驚きの声を上げた。

 ゼロは────

 

 

 

 

 

────────上空から落下していた。

 

ドゴオオオオオオオン!!!

 

「よいしょっと.....。まあ、偽物さんや。1勝負しようか」

 

 

 

──────────────────────

ゼロ視点

 

「折角なら派手な登場にしようか」

 

 クロムから離れた後、俺は人気のない路地裏へとやって来た。そこで【竜翼】を発動し、背中に竜の翼を展開する。かなりの高さまで上昇したら、さっきまで居た場所の真上まで移動する。

 

 そこでは、《偽絶剣》の剣がプレイヤーの胸に刺さり決着が着いていた。

 

「こんなもんか」

 

 俺は【竜翼】を解除し、背負っている【青薔薇の剣】を抜いてスキルを発動させる。

 

「【レイジスパイク】!」

 

 自然落下の速度に加え、突進技である【レイジスパイク】の勢いだけでも十分な速度が出るだろう。しかし、俺はまだ上を行く。

 

「エンハンス・アーマメント!」

 

 俺は左手に持った【闇を払うもの】の武装完全支配術を発動させる。剣先から後ろに白銀の奔流が放たれ、俺の落下速度を早める。

 

「《絶剣》く〜ん、遊びましょー!!」

 

 そろそろ、か。俺は体を回転させ、足に【武装色の覇気】を纏わせ着地する。その際に衝撃を逃がすことも忘れない。

 

「よいしょっと.....。まあ、偽物さんや。1勝負しようか」

「.......いいだろう」

「うし。なら、決闘を申請するな」

「?? ここでしないのか?」

「こっちの事情でね。あんまり見られたくないんだよ」

「分かった」

 

 俺は偽物くんに決闘を申請する。偽物はそれを承認すると、俺達は闘技場へ転移する。

 

────3

 

「おい、偽物さんよ」

「偽物ではない。私は正真正銘《絶剣》だ」

 

────2

 

「あくまでしらを切るか。まあ、いい」

 

────1

 

「後悔させてやるよ」

 

────0

────決闘開始(スタート)

 

「俺の黒歴史を蒸し返したことをなぁ!!」

「どういうことだ!」

「うるせぇ! 【慈悲深き聖騎士】か〜ら〜の〜【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】!!」

「なんだそのスキルは!?」

 

 俺の姿が変わると同時に巨大な光の剣撃が飛んできた事に驚いたのだろう。偽物はその場に立ち竦んでしまう。しかし、寸前で横に避けようとするが

 

「残念、そっちは囮だ! 【天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)】!!」

「なっ!?」

 

 先程の剣撃よりも強いスキルを放たれた事に驚くが、すぐに回避行動を取り始める。

しかし

 

「残念ながらそっちも囮なんだよなぁ。【都牟刈村正】!!」

「クッ!」

「囮だ! エンハンス・アーマメント!!」

「うぉぉ!」

「囮! エンハンス・アーマメント! ──咲け、青薔薇ッ!」

「ギリギリー!!」

「【暴食者(グラトニー)】!!」

「ぎゃああああ!!」

「もういっちょいく「ごめんなさいー! もうしませんからーー!!」ったく、最初からこんなことをするなよな。()()

「うう、すみません。零さん.....」

 

 春香というのは父さんが開いている剣術教室の生徒の一人だ。生徒の中で1番歳が近いのでよく話している。まあ、剣の腕は光るものがあるが、いかんせんポンコツなのだ。

 実は、俺は偽物については完璧では無いが予め分かってはいた。が、クロムとカナデと一緒に行った時に確信に変わった。春香の動きを遠目から見ていたのだ。足の運び、剣の振り方、その他の動きもも守天流独特の動きだった。

 そう、《絶剣》を騙っていたのはまさかの身内だったのだ。

 

「全く、これに懲りたらもうこんな事はするんじゃないぞ」

「はい.....」

「ああ、言っておく事があったんだった」

「なんですか?」

「回避だが、もっと相手の行動を予測することを意識しろ。お前のはただ来てから避けてるだけだ。やりやすい方法は...........」

(で、出た.....! 桐生家の持つ悪癖の1つ、長時間の説教と指導! その全てが分かりやすいくて、ためになる話なのに異常に長い!)

 

 

「..........ということだ。分かったか?」

「ハイ」

「もっと言うとだな」

「!? あーあー! 私、この後予定入ってるんでした! それでは失礼します!」

「?? あ、ああ......。じゃあな」

「はい! さようならー!!」

 

 

 

「.......やべえええええええええ!! メイプルとダンジョン行くんだったーー!! 黒歴史を蒸し返された事で頭の中からすっ飛んでた! 早く、早く行かないと.....! メイプルに殺される.....!」

 



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黒 vs 黒

祝・初コラボ〜〜!!
今回はリューオさんの『姉に勧められて一緒に始めたら、いつの間にか神聖円卓領域になりました』とコラボです!

リューオさん! コラボありがとうーー!!


 ある森の中、2人の男女が歩いていた。どちらも黒をメインカラーとしている装備を纏い、ただならぬ雰囲気を醸し出していた。

 

「なあ、許してくれよ。もう遅れたりしないから」

 

「.......」

 

「あの.....無視が1番心にクるんで、やめてもらっても?」

 

「......」

 

 ただならぬ雰囲気を....醸し出していた?

 

「なんでも言うこと聞くからさ。許してくれ、頼む!」

 

「......なんでもって言った?」

 

 とうとう少女が口を開いた。しかし、それと共に少年は気がついてしまった。

 

────自分から地獄への道を踏み出した事に

 

「じゃあ.....この一週間、私の命令を絶対に聞くこと」

 

「......What's?」

 

「ほら! 早く行くよ!」

 

「...............やってしまった」

 

 この一週間、ゼロかメイプルに使い潰されることはまた別のお話で........

 

 

 

 

 

 

 

□□□

 

 ある日、全プレイヤーにあるメッセージが送られた。

 その内容とは──

 

『限定ダンジョン解放!!

 いつもNWOを遊んで頂いているプレイヤーの皆さんに嬉しいご報告です。なんと、このNWOが○○○ランキング、××××大賞、△△ランキングなどの多くのランキングで1位となりました!

 

 その感謝とお祝いとして☆月?日から☆月#日までの間、初心者用ダンジョン、中級者用ダンジョン、上級者用ダンジョン、最高難易度のトッププレイヤー用ダンジョンの4つの限定ダンジョンを解放させていただきます!

 

 この4つのダンジョンはレベル制限と経験値ブースト、幾つかの規制があり、以下の通りとなっています。

 

・初心者用ダンジョン…Lv1~Lv15まで。30パーセントの経験値ブースト。パーティーは10名まで

 

・中級者用ダンジョン…Lv16~Lv30まで。50パーセントの経験値ブースト。パーティーは8名まで

 

・上級者用ダンジョン…Lv31~Lv50まで。80パーセントの経験値ブースト。パーティーは5人まで

 

・トッププレイヤー用ダンジョン…Lv51~のプレイヤーと第一回イベントTOP10のプレイヤーと運営に選ばれたプレイヤー。100パーセントの経験値ブースト。パーティーは2名まで

 

 運営側の選んだプレイヤーに関してはこのメッセージとは別にメッセージが送られます。

 尚、この限定ダンジョン解放と伴い"特別な"クエストもご用意しています。

 

 以上ご不明な点、気になる点などがありましたらお問い合わせまで。

 

             ────NewWorld Online運営より』

 

 このメッセージは全プレイヤーを震撼させた。

 

『経験値ブースト』

 

 この言葉に誰もが喜ぶだろう。モンスターを倒す度に獲得する経験値にブーストがかかる。それにより、レベル上げも捗るだろう。

 

 しかし、そんな事などどうでもいいと吐き捨てる1人のプレイヤー(バカ)が居た。

 

────ゼロだ

 

 しかし、そんなバカ(プレイヤー)を野放しにしないプレイヤー(天然)も居た。

 

────メイプルだ

 

 紆余曲折あって、《楓の木》からは中級者用にカナデとユイとマイとイズが。上級者用にサリーとクロムとカスミが。

 そして、トッププレイヤー用ダンジョンにゼロとメイプル(バカップル)が。限定ダンジョンは期間限定フィールドの中にあり、メンバー同士は別行動になる。

 

 そして、今がそのダンジョンへの移動中である。が、黒歴史を蒸し返された怒りで約束を忘れ、大分遅刻したゼロに、メイプルはご立腹だった。

 さっきの通り話しかけても無視されたり

 

「ちょっとーメイプルさーん」

 

「......」

 

 手作りクッキーをあげても

 

「これで機嫌直してくれるか?」

 

「........」モグモグ

 

 何も反応しない。

 それもそうだ。だって、メイプルにとってこのダンジョン攻略はゼロと"2人きり"での初めてのダンジョン攻略なのだ。しかも、少し前にあんな事があったのだ。それは意識するなと言う方が難しいだろう。

 

 なのに、当の本人は

 

「遅れてごめん! ちょっと()()()()してて」

 

 他の女と話していて遅れたと言うのだ。

 ゼロからしたら自分の黒歴史を身内に蒸し返されたお仕置き(お話)をしていただけなのだが、メイプルがそう聞こえたのだから仕方ない。仕方ないったら仕方ない。

 なので、メイプルからは

 

「は?」

 

 この体から出たのかと疑うレベルの声が出てしまう。

 

 

 

 

□□□

 

 ゼロのなんでも言うこと聞く宣言でメイプルの機嫌が直ったことで、2人の雰囲気は一段と落ち着いた。

 それはもう

 

「あ、あーん」

 

「あーん。ん、美味しい」

 

「光栄です、お嬢様」

 

 バカップルに戻り、イチャイチャしまくるレベルで。それはもう近くに居たプレイヤーに引かれる程に。

 

 そして、森の奥に進むと段々霧が出てきた。その霧はどんどん濃くなっていき、とうとう隣に居るはずのメイプルの姿を確認出来ないほどになった。

 

「メイプル! 何処だ!?」

 

 段々濃霧が晴れていく。隣にはメイプルの姿はなく、それは唐突に訪れた。

 

「──シッ!」

 

 暗い森に響く金属音。ゼロの持つ【青薔薇の剣】と何者かの黒い剣が打ち合ったからだ。

 ゼロは逆の手で【闇を払うもの】を即抜刀からの薙ぎ払い。しかし、バックステップで躱されてしまう。

 

「危なっ! 暴力反対!」

 

「そっちから仕掛けてきたのにか? こっちは正当防衛だ」

 

「あ、確かに」

 

 納得したように手の平に手を落とす襲撃者。草木の生い茂る森のせいで全貌は見えないが、ゼロは未だ手に残る衝撃に気を引き締める。

 緊迫する状況下、互いに動き出そうとした瞬間、ふわっとした声が聞こえる。

 

「あ、オルター! 勝手に行かないでよー!」

 

 声の聞こえてきた方を見ると、青い体操服のような服を纏った黒髪の少女だった。

 

「おっ、エム「────ッ!」ッはあっ!」

 

「チッ、気付かれたか」

 

「不意打ちとか卑怯だぞ! 正々堂々戦え!」

 

「そ、そうだそうだ!」

 

「不意打ちも戦術の内、そんな事も分からないのか? っていうか自分も不意打ちしたんだから人のこと言えないじゃないか」

 

 黒の襲撃者──オルタと青の少女──エムは奇襲してきたゼロに抗議するが、ゼロは煽りも含め言い返す。

 その言い草に敵側の2人は怒り心頭の様子だが、またもやこの緊迫とした空間にふわっとした声が聞こえてきた。

 

「あっ! やっと見つけたよー! あの霧のせいでゼロどっか行っちゃうんだもん。方向音痴なんだから先々行かないの! って、あれ? なんか険悪な雰囲気.....?」

 

「ハァ.....メイプル、お前って奴は........」

 

「うん。まあ、とりあえず、互いの連れも揃ったということで」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 

 

「「殺る(戦う)かぁ!!」」

 

「「字がちがーう!!」」

 

────交じり合う剣と剣、重なり響くツッコミの声。

 

 

────黒と黒の戦いが今、始まる。

 

 

 

 

 

「はあっ!」

 

「おらぁ!」

 

 同時に駆け出し、切り結ぶ2人。その衝撃は周りの地形を少しずつ壊していく。が、そのことは2人ともお構い無し。どんどん切り結んでいく。

 

「ふっ!」

 

「よっと」

 

 互いの剣が弾けたと同時に2人は深めに下がる。そして、これで最後と言わんばかりの覇気が2人から放たれている。

 

「──束ねるは星の息吹」

 

「──卑王鉄槌」

 

 光の粒子がゼロの周りを囲む。そして、段々と光が集まり、剣を形作る。ゼロがその剣の柄を掴むと、剣は正体を現す。

 

 オルタは剣を下段に構えると、闇の粒子を放ち始める。そして、粒子が段々と刀身に集まっていく。

 

「──輝ける命の奔流」

 

「──極光は反転する」

 

 ゼロが聖剣を上段に構えると、光の粒子が刀身に集まっていき、巨大な光の剣と化す。その大きさは、まだまだ大きくなっていく。

 

 オルタが剣に力を込めると、ゼロの聖剣と同等の巨大な闇の剣が出現し、聖剣と同じく大きさが跳ね上がっていく。

 

「──受けるがいい!」

 

「──光を飲め!」

 

 ゼロが上段で振り抜く。オルタが下段で振り抜く。

 放たれるは究極の斬撃。

 

「「【約束された勝利の剣(エクスカリバー)】/【約束された勝利の剣(エクスカリバー・モルガン)】!!」」

 

 光と闇の斬撃がぶつかり合う。究極の斬撃と究極の斬撃の戦いは互いが互いを打ち消し合い、周辺の大地はめくり上がり、木々はなぎ倒され、風は荒れ狂う。

そして、2人の聖剣(エクスカリバー)は....

 

────消滅した

 

 

「こうなったら......!」

 

「大技をキメる!」

 

 割れた大地に立つ2人の少年は自身の持つ最高(最強)を放つ。

 

「──決着を着けるぞ、オルタとやら。そして、この一撃を以て決別の儀としよう。

 

──原初は語る。天地は分かれ、無は開闢を言祝ぐ。世界を裂くは我が乖離剣。星々を廻す渦、天上の地獄とは創世前夜の執着よ。死を以て鎮まるが良い!」

 

「── ああ、そうだな。()()()()()()()()()よ。

 

──虚空の神よ、今人智の敗北を宣言する。眼は古く、手足は脆く、知識は淀む。最後の人間として、数多の決断、幾多の挫折、全ての繁栄をここに無と断じよう。この一撃を以て、神は撃ち落とされる。変革の鐘を鳴らせ!」

 

 

 

────天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)

────冠位指定/人理保障天球(グランドオーダー/マニマ・アニムスフィア)

 

 

 数多もの隕石が降り注ぎ、その悉くを破壊する赤雷の光線。幾つもの破片が体に突き刺さるが、そんな事を気にせずにスキルにMPを注ぎ込む2人の黒の少年。

 

「「うぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!!!」」

 

「まだ、だ......!!」

 

「これが終われば....メイプルと2人きりでダンジョンなんだ! 負けてたまるかああああ!!」

 

 拮抗する2人のスキル(最強)。しかし、段々ゼロが押し負けていっている。

 

「くたばれリア充ゥゥゥウウウウウ!!!」

 

「うるせぇバァァアアアカ!! 好きな女のことを想って何が悪いってんだ! そんな事言うお前は居ないのかよ!?」

 

「あ゛あ゛! そんな奴居ねぇ......いや、やっぱ居るわ!」

 

「居るのかよ!? それなら...」

 

「ああ!」

 

「「かっこ悪い所は見せられねぇな!!」」

 

 スキルを解除して肉薄する2人。ゼロの【青薔薇の剣】とオルタの黒い剣がぶつかり合い、鍔迫り合いになる。

 レベル、STR共に負けているゼロだが、【抑止の守護者】の恩恵で何とか互角へと持ち込む。

 

 長い間、鍔迫り合いが続く。

 ゼロはかなりのステータス差のある相手との戦いだからか、疲労が溜まっているようだが、以前としてまだ、余裕を持っていた。

 

 対してオルタは何がなんだかという様子だった。

 

 また、鍔迫り合いは続く。まるで、何かでくっついているかのように。

 

「剣が、凍っているだと.....! てめぇ....!」

 

 そう、ゼロは剣を打ち合う際に、【青薔薇の剣】の【武装完全支配術】で接触部分を凍らせていたのだ。

 

「悪いな。これ以上時間をかける訳にもいかないんだ。.......まあ、とりあえず、逝っとけ」

 

「承太郎....! 貴様ァァァアアアアアア!!」

 

「承太郎じゃねえ! リリース・リコレクション!! 咲き乱れろ──青薔薇ッ!!」

 




次回は金曜日ぐらいかな?


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落ちて堕ちて墜ちて

コラボ編第2話!


「リリース・リコレクション!! 咲き乱れろ──青薔薇ッ!!」

 

 その言葉が響いた後、一帯が凍りついた。その範囲は今も広がっており、留まる所を知らない。

 妖精郷の時のものを見た者が見れば分かるだろう。今回のはあの時の()()()()()()

 

────スキル【心意】

 

 想えば想う程ステータス、スキルの効果を強くするスキル。

 ゼロは先程、何を願って(想って)いたか。

 

 

 強者との戦い?──いいや違う

 戦いの決着?──いいや違う

 メイプルとのダンジョン攻略(デート)?──そう、正解だ

 

 

 強者との戦いでもなく、この戦いの決着でもなく、ゼロはメイプルを想っていた。

 

────本条 楓(メイプル)

 

 少年は何故こんなにも彼女を想うのだろうか。

 それは、恋している、愛しているで片付くことだろうか? 

 

 

 

□□□

 

 ゼロの目の前には全身あまなく凍りついているオルタの姿があった。氷像には氷で出来た薔薇がまとわりついており、オルタのHPを吸収して1輪ずつ咲いていっている。

 

「オルターー!」

 

「......やったか」

 

「ゼロ! それフラグ!」

 

 案の定、氷にはヒビが入り、小刻みな震え始めた。その震えは段々大きくなっていき、とうとう氷が砕けてしまった。

 それにゼロは身構えるが....

 

「よくもやってくれたな! 流石の俺でも激おこプンプン丸だぞ!」

 

「オルタ.....激おこプンプン丸はちょっと.....」

 

「あっ、じょ、冗談だから! だから引かないでぇ!」

 

「何やってんだ、あの2人」

 

「さあ......?」

 

 その必要はなかったようだ。

 ゼロとメイプルは呆れてため息を吐いているが、オルタとエムの夫婦漫才はまだ続いている。

 

「あのー、そろそろシリアス展開に戻りたいんですけどー」

 

「え? あ、すいませんすいません。うちのオルタが粗相を...」

 

「え、あ、す、すいません....ってなんで俺が謝ってるんだ!?」

 

「オルタ、うるさい!」

 

「はいすみませんでしたーーー!!」

 

 夫婦漫才はまだ続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけで.....」

 

「もういっちょ」

 

「「殺りますか!「「ダメー!!」」」」

 

「「な、なぜ....」」

 

 もう一度戦おう(殺り合おう)とした2人は、メイプルとエムからのストップに困惑していた。

 だってそうだろう。ゼロがキメたと思っていた技は破られ、この戦いの決着はまだ着いていないのだから。しかし、それは男子理論であって、女子共通の思考ではない。

 何よりも...

 

「こんなに地形が壊れているでしょ!」

 

「そんな中でやるなんてバカじゃないの!」

 

「「で、何か言うことある?」」

 

「「はい....すみませんでした...(泣)」」

 

 メイプルとエムよりも大きい体が正座していたとしても、何時もより小さく見えた。

 

 

 

 女性陣に叱られたオルタとゼロは、現在エムとメイプルのご機嫌取りをしていた。

 

「ゼロ、オムライス」

 

「オムライス一丁!」

 

「はいよぉ!」

 

「こっちは野菜炒めね!」

 

「野菜炒め一丁!」

 

「はいよぉ!」

 

「紅茶」

 

「へいお待ち!」

 

「オレンジジュース」

 

「搾りたてです!」

 

 ご機嫌取りをしていた.....?

 

「よし、茶番はこれぐらいにして、さっさと行こっか」

 

「ちゃ、茶番って.....こっちは結構キツかったんだぞ....」

 

「ん? なんか言った?」

 

「いいえ! 何も言っていません!」

 

 相変わらずゼロは、メイプルのしりにひかれているようだ。

 

 ゼロとオルタは食べ終わった2人に再戦をしたいとお願いした。

 

「あのーメイプルさん? こちらも不完全燃焼なので、全て決着の着くまで殺らしてはもらえないでしょうか?」

 

「エムも、ほらっ! この通り!」

 

 土下座までしたゼロとオルタに思う所があったのか、メイプルとエムは肯定の意を返す。

 

「「.....」」

 

「じゃあ、このボロボロになった地形をどうにかしたら考えてあげる」

 

「まあ、できっこないと思うけどね」

 

「「よしっ!」」

 

 仲が良いのか悪いのか、2人は同時にガッツポーズをして、踊るように喜んだ。

 しばらくして、興奮が治まるとゼロがオルタの前に出て、ある提案をオルタに持ちかけた。

 

「なあ、オルタ。1分で間でどっちの方がより綺麗に出来るか勝負しないか?」

 

「いいね、乗った! けど、勝利は俺が貰うぞ?」

 

「抜かせ。それじゃあ始めるぞ.....よーい始め!」

 

 ゼロが声高らかに勝負の開始を宣言する。それを合図にオルタは装備を漆黒の剣から漆黒の槍に変え、スキルの詠唱していた。

 

「──聖槍抜錨! 突き立て、喰らえ! 13の牙!──最果てにて輝ける槍(ロンゴ・ミニアド)!」

 

 槍の穂先から闇の波動が放たれ、凸凹とした岩や地面を消し飛ばしていく。

 

 そして、ゼロもまた、スキルの詠唱を始めていた。

 

「──かつて求めた究極の一刀。

其は、肉を断ち骨を断ち命を絶つ鋼の(やいば)にあらず。

我が()みが求めるは怨恨の清算。

縁を切り、定めを切り、業を切る。

 

────即ち。宿業からの解放なり。

 

......其に至るは数多の研鑽。

千の刀、万の刀の(かたちど)り、築きに築いた刀塚。

此処に辿るはあらゆる収斂(しゅうれん)

此処に示すはあらゆる宿願。

此処に積もるはあらゆる非業。

我が人生の全ては、この一振りに至るために。

 

剣の鼓動、此処にあり────!

 

──都牟刈村正ァ!」

 

 火炎を纏った刀を横薙ぎに振るゼロ。出鱈目に見える一撃だが、その実、地形はまっ皿な平であった。某スティーブも真っ青である。

 

「.......ふぅ。まあ、俺の勝ちだな」

 

「.....なにそれ、ずるすぎん?」

 

「ちょっ、オルタ! 関西弁になっちゃってる!」

 

 呆けたオルタの口から関西弁が出てくると、真っ先にエムが反応してツッコム。

 その間に、軽く体をほぐしたゼロが未だに呆けているオルタに声をかける。

 

「おーい、そろそろ始めるぞー」

 

「....あ、ああ」

 

「メイプルー、スタートの合図よろしくー」

 

「おっけー。それじゃあ、始め!」

 

「「──ッ!」」

 

 オルタはメイプルの開始の号令と同時に駆け出す。その途中で抜剣し、いつでも攻撃出来る準備は出来ている。

 対して、ゼロは背中に背負った2振りの剣をアイテムストレージに収納した。

 そして、新たに装備したのは『アオイ』として活動する時に使っている1振りの刀だった。

 

「──一歩音超え」

 

 そう言って、ゼロは半身になり、刀を構え地面を蹴った。

 この技はいつかのデュエル擬きにて使った秘奥義。しかし、今回のこれは前回とは余りに違っていた。速度、足運び、そもそもの構え。いずれも前回より速く、素早く、細やかで、何よりもゼロの体に()()()()()

 

 ここで皆さんに問おう。学校の授業で貴方が逆上がりの練習をしていたとしよう。しかし、中々上手くいかない。困っていると、クラスメイトが貴方にコツを教えてくれた。

 しかし、そのコツを意識しても中々上手くいかない。なぜなら、そのコツは貴方の体に合わないからだ。体が大きい人に小さい人の動き方を教えてもなんの意味も無い。

 だからゼロは自分の体に適応する動き方を探した。それがこの技だ。

 そして、ゼロの剣の才を以てすれば──

 

────本家など、軽く声が超える事が出来る。

 

「二歩無間──」

 

 言葉通りの二歩目。ゼロが地面を蹴ると──

 

──姿を消した

 

「──なっ」

 

 オルタの口から驚きの言葉が零れる....

 前にゼロはオルタの懐まで来ていた。

 

「三歩絶刀──無明三段突き・改っ!」

 

「うぉおお! 【水晶渓谷】!」

 

 オルタは前に水晶の壁を出現させるが、ゼロはそれを飛び越えて上からオルタに迫る。

 

「これで、終わりだ!!」

 

「ほ、【星の杖】!」

 

 【星の杖】を使い周辺に真空の刃を放つが、ゼロはそれを諸共せずにオルタへその刃を振るう。

 

「ハアッ!」

 

「うわぁぁあああああ!! って、あれ? なんで俺斬られてないの?」

 

 自身の体に一切の痛みを感じなかったオルタは訳も分からずに辺りをきょろきょろと見回していた。

 すると、納刀したゼロがオルタに近寄り、訳を説明した。

 

「俺は無駄な殺生はしない主義なんだ。感謝しろよ?......まあ、お前との戦いは楽しかったし.....」

 

「あ〜! ゼロが照れた〜!」

 

「うっせ別に照れてなんか....」

 

「いいや、絶対に照れてたね!」

 

 メイプルがゼロの傍に寄り、ゼロが照れていたと弄るが、当の本人はそれを否定。バカップル感をこれでもかと醸し出して、周りをピンク色のオーラで塗り潰していく。

 今まで真剣勝負をしていた相手が、彼女と戯れている光景を見ているオルタは一瞬ポカンとするが、直ぐに大笑いしだした。

 

「ククク...ハハハハハハハ!! いや〜負けだ負けだ! こっちの完敗だ! ここまで来ると、最早清々しいね!」

 

「嘘.....オルタが、自分から負けを認めた....?」

 

「おいエム後でお仕置きな」

 

「アッハイ」

 

 そう言ってオルタはゼロに向かって歩き出そうと、右足を前に進めると....

 

──ピキピキ、バキバキバキ

──ゴロゴロ、ドドドド

 

「「ピキピキ?」」

 

「「バキバキバキ?」」

 

 謎の音と揺れに全員が首を傾げていると、ゼロが真っ先に二つの発生源を発見した。

 

「──っ!? オルタ、足元!」

 

「足元?」

 

 オルタが首を下に倒すと、()()()()()()()()()()()()()()()()があった。そして、音と揺れは益々大きさを増していき──

 

────崩落した

 

「ええぇぇええええ!!??」

 

「ゼロー!! 助けてー!!」

 

「すまんメイプル! 【龍翼】はもう使ってる!」

 

「嘘ぉぉおおお!」

 

「お父さん、お母さん.....生きて帰ったら親孝行いっぱいするからね!」

 

「エムさん、それフラグぅぅぅぅううううう!!」

  

 そして、4人は落ちていった。

  

 

 




どうも、最近黒歴史を思い出しまくり、その度に悶えているころころです。

皆さんはこんな時どうやって対処しますか?


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