コギツネ語り (白萩)
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前章〜プロローグ

注意!初心者、初投稿のお話です。 不思議な世界ですが、お許し頂けるお方以外はおすすめ致しません…それでも読んで頂けるお方はどうぞスクロールを…


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 古狐。途轍もなく永く生きた狐の事である。それはあるモノは人の言葉を解し、あるモノは人の崇拝の対象となり、あるモノは神にお仕えする、人の世とはかけ離れた存在。

 

 それ等は大きな狐の姿や、何とも言えない畏れられる姿、時に人の姿を成す。そう、狐の神様である大稲荷様や、唐の国を傾け、戦を起こした伝説の残る玉藻の前と、昔から狐は人々に畏れ敬われていた。

 しかし、時には恨みの対象にもなっていた…人々は悪しい事があると、時として祟りのせいや、存在そのモノを恨んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 冬の夜。風が吹き、生き物の力を減らしてゆく。雪が降り、生き物を凍えさせる。積もる雪は、足を取る。

 

 そんな最中に、人里離れた山には一人の旅人――の様ななりの女性がいた。

 

 それは傍から一目見ても疲弊していて、今にも倒れてしまいそうだった。髪は乱れ、唇は酷く乾いていた。

 けれど、もし人がすれ違っても関わろうとしないだろう。

 ―――何故なら、その者の頭には黄金色の尖った耳―そう、狐の様な耳があるのだ。遠目に見れば笠に隠れて見えないが、すれ違えば見える。大きな耳だ。

 

 体には酷い傷が目につく。どうやら人に傷を付けられた様だ。石を投げられたのだろうか。拳で殴られたのだろうか。

 

 恐らくは人里で何か悪しい事が起こって、追い出された、といったとこだろう。

 

 おや、幾重にも重ねた衣服の中に、幼子を抱いている。この女性の子だろうか? 

 

 よく見ればその子の頭にも可愛い耳が生えているではないか。その子はすやすやと母の温もりを感じて眠っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ついにその者が倒れてしまった。とうに限界を越えていたのだろう、よくここまで歩いたものだ。

 

 抱かれていた子は目を覚ました。女の子だ。その子は起き上がり、母の異変を知った。

 ただ困惑して、声をかける。

 

??「ぇ…母、上?ねぇ、起きてよ、さむいよ」

 

けれど立ち上がる力も無く、ただ、

 

??「…お行き…」

 

とだけ言った。

 

??「いや…いやだぁ…起きてよ!母上をおいてきたくない!」

 

駄々をこねて拒否している。

 

??「私はもう歩けません…この山を越した先に、私の生まれた静かな森があるの……其処へ行きなさい…………分かった?」

 

??「だめ!母上が来てくれなきゃいやなの!」 

 

??「私はもう…動けないの。――ごめんね?」

 

 

 ―――遂にはその子は大きな声で泣き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「何だ?………泣き声?」

 

 聞こえた、確かに。耳を澄ませる。

 

???「やはり…聞こえる」

 

 こちらの方から聞こえた。だけど、どうしてこんな山の中で泣き声が?

 

 人の子がここまで来れるのか?いや、無理だろう。ここは一番近い人里から四里程もあるのに。私は泣き声が聞こえた場所へ向かった。

 雪道が険しく、どうも子供が一人で来れるとは思えない。

 

 

 

???「この辺りから聞こえたが…」

 

すると、不思議な二人の女性に会った。

 

 

 

 




 ここまで読んで下さったお方、ありがとうございます!
 初心者、駄文、初投稿の三拍子ですが、頑張りたいです。学生なので勉学と両立なので更新遅いです…
 少しの間、ストーリー性ありです。四話からほのぼのします。
 四里はだいたい15.6キロメートル位ですかね


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出会いの物語
一話〜出会いとさよなら


続いたやったぁ


???「………貴女達は…いったい…此処で…何を?」

 

 目の前にいる二人に話を聞いた。何と頭の上に狐と同じ様な耳が生えているではないか。

 しかし今はそんな事ではない。

 

??「お願い!助けて!…母上が動けないの!」

 

 少女が必死の形相で訴えかけて来た。倒れている状況からして、ただ事では無いと知る。

 

??「…逃げて…早く…お前だけでも…」

 

 此方の少女の母らしき女性は私に対して警戒を露わにした。それは獣の警戒そのもので、今にも牙を剥く勢いだ。

 

 私は誤解を解くために言った。

 

???「待って!私は敵ではない!落ち着いてほしい!」

 

??「お前は…人間なの…か?」

 

???「そうだ。私は人間だ! だが貴女達に危害を与えるつもりはない!」

 

??「………そう」

 

 そこまで話すと、ようやく少しだけ警戒を解いてくれた。

 倒れたままでは辛いだろうと近くの木にもたれさせ、詳しい話を聞く事にした。

 

??「…貴方の…御名前は?」

 

???「私の名前は久那(くな)です。それで…貴方は何者なのです?」

 

??「私の…名前?」

 

 どちらかと言うと頭の耳について聞きたいのだが。

 

小萩「私は…小萩と…申します。ほら。色葉も」

 

 髪は黄金色の腰まで届くさらりとした髪。

 眼は山の川の翡翠の様な透き通る緑色。

 肌は雪の様に細かく白い。背の丈は私の肩くらいだ。

 落ち着いた物静かな雰囲気を漂わせていた。

 

 色葉と呼ばれた少女も名乗った。こちらはまるで緊張も警戒もしていない。

 

色葉「はじめまして!わたしは色葉って言うの!」

 

 狐色の髪、髪は肩の少し下まで伸びていて、とても眩しく輝いている。

 眼は夕焼けの様な穏やかな橙色。背の丈は私の鳩尾の辺りくらいだ。

 

 見た目は大体十を数えるくらいだろうか。どうやら元気の良い子の様だ。

 

久那「どうしてこんな山の奥に?人里はあちらの向こうだが…」

 

小萩「私は…私達は……里を追われてしまいました。今までは人里でひっそりと、けれど認められて住んでいました」

 

久那「何があったんだ?」

 

小萩「ある年、里で日照りが起きて、畑も田も…育たない年がありました。それからと言うもの、里で良くない事が起こるようになりました。そして、人々は私達を疫病神だと言い、攻撃する様になったのです。そして、私達はここまで逃げて参りました」

 

 小萩が事の起こりをぽつりぽつりと語る。

 

しかし、いきなり小萩が倒れてしまった。人里からこの場所までは酷く険しい道で、容易く来れる場所ではない。相当無理をしていたのだろう。事は一刻を争う事態のようだ。

 

色葉「母上!?ははうえ!」

 

 色葉が慌てて駆け寄る。そして小萩を揺すり続けた。

 

 見れば酷すぎる怪我だ。何かをぶつけられた様な傷、拳で殴られた傷、とても直視出来ない。これら全て人間にやられたと思うと、心から怒りを覚える。

 

久那「…少し待っていてほしい。手当をする。」

 

小萩「待って!!」

 

 驚いて立ち止まり振り返ると、小萩が此方を見据えている。倒れていながらも、決意と本気の宿った眼だった。

 

小萩「お願いが…一つございます」

 

 掠れて小さい声だ。私はそばへ寄った。

 

小萩「私は…もう持ちません…ご覧の通り、とても酷い傷を負ってしまいました。…そこで、貴方に…頼みたい事があります」

 

 私は、聞き逃すまいと耳をそばだてた。

 

小萩「この子を…色葉を…お頼み致します…この子を…育てて下さい。この子には父がいません。私が居なくなれば…この子は一人に…なってしまいます…」

 

 驚いてしまった。いきなり初対面の女人に子供を預けられる事になるのだから当然だ。

 

小萩「どうか…お願い致します…出会ってまだごく少ししか経っていない貴方にお頼みするのは不躾ですが、この子は真面目な子です。言う事も聞く子です。ですから、貴方の、お側に…」

 

 その眼に嘘偽りは無かった。全てを覚悟して、託そうとしている。この人の最期の願いならば、私は………

 

 

 

 

 

 

 

  久那「…分かった…必ず立派に育てて見せましょう。強く、優しく…賢い人に。」

 

断ることなんて、出来ない。

 

小萩「ありがとう…ございます………色葉。必ず、この方の言う事を…お聞きするのですよ?」

 

色葉「いや…はは、うえぇ…死んじゃいやぁ…」

 

 小萩が、ぼろぼろと涙を流す色葉の頭を撫でた。慈しむように、とても優しく。

 その手は色葉の頬まで降りて、その手を色葉がとった。

 

小萩「良い子、良い子…頑張るのよ……」

 

 そして、その手は力無く色葉の頬から滑り落ちた。

 目覚めることなく、気がつけば、さらさらと雪の様に消えた。

 私は驚いてばかりだが、この人達がただならぬ者だと理解した。

 

色葉「ははうえぇ…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 遂には大きく泣き声をあげて悲しんだ。

 

 私は、その頭を優しく撫でてやる事しか出来なかった。

 




読んで下さったお方、誠にありがとうございます。
初心者丸出し中学生小説ですが精進します。
感想やこここうしたら良いとか誤字脱字あればお聞かせください!


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二話〜お互い

もう3話目か…


色葉「ぅう…ぐすっ……ふぇぇぇぇ………」

 

ナデナデ

 

色葉「…ひくっ…スンスン…うっ…ははうえぇ…」

 

ナデナデ

ナデナデ

 

色葉「………ん…も、大丈夫…」

 

 ようやく落ち着いて来たようだ。

 木陰に入ってもうかれこれ三十分こうしていたからな…疲れてきたことだろう。

 

久那「…落ち着いたかい?」

 

色葉「……うん」

 

久那「…寒くはないかい?」

 

色葉「……少し…さむい」

 

私は上着を脱いで色葉の肩に掛けてあげた。流石に寒い。

 だが、私は彼女にこの子を託されたのだ。何があっても守らなくては。

 

 不思議な縁で巡り合った。あの人は自分の命を賭けてあの子を守ったのだ。私は…それに応えなくては。

 

すると、色葉が此方へ寄って来て、私の肩に顔をうずめた。驚いていると、色葉が口を開く。

 

色葉「…あったかい………ねぇ、くな」

 

久那「?」

 

色葉「眠たい……」

 

 言われて気づいたが、そういえば今は真夜中だ。

 この子は今まで母の胸で寝ていたのだろう。それは眠いはずだ。

 

 しかし、この吹きさらしの中で寝てはいけない。どうするか…あれやこれや悩んでいた。すると、

 

色葉「…くなのお家につれてって…おねがい」

 

 如何せん幼い少女を連れて帰るのは何となく抵抗があった。そんな事を考えていると、

 

色葉「わたし…今日からくなといる。だから…大丈夫……つれてって。おねがい。」

 

 何か心を読まれた気がした。まぁどちらにせよこの状況で、それ以外選択肢なんて無いだろう…

 

久那「分かった…。おいで。連れて行ってあげるから」

 

色葉「ん…」

 

 とてとてと歩いて此方へ来る。目の前に背を向けてしゃがんだ。

 

 背に飛び付いて来た。そしてしっかりと首に手を回してしがみついた。

 色葉が寒くないように、雪蓑を色葉の上から被った。

 

 さて、家に帰ろう。私は元々山菜を取りに来たのだが、まさか女の子を拾うとは…

 

 少しすると、背中から小さな寝息が聞こえる。安心してくれたのだろうか。首に当たる色葉の耳がくすぐったい。

 

 家に戻ったら温かい布団に寝かせてあげよう、今夜の月は綺麗だな、そんな事を考えながら帰途についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久那「さて…ただいまっと…」

 

 ようやく着いた。まず雪を払って蓑を脱いで、色葉をそっと下ろして寝かせる。よく見たらこの子には狐の尻尾まで生えている…ますます謎だ。

 

 靴脱いで上がって奥から布団を出してきた。私の布団だが、仕方無い…もう一枚の掛け布団も持ってきた。今度里で布団を買おうと思った。

 

 布団を敷いて、良し。

 

 色葉の靴を脱がせ、布団に寝かせた。お湯に濡らした布で頭、顔をさっと拭い、冷え切った足を温めた。

 

 どうやら心地よく眠ってくれている。部屋を温めなくては。私は囲炉裏の火を少し強くし、家の戸締りを確認した。

 

久那「ふう…これで良いかな?」

 

 色葉の所へ戻り、座った。

 

 一体この子は何を見てきたのだろう。今まで住んでいた里を追い出され、寒い最中に旅をし、そして母を失ったのだ。まだ気持ちの整理が追いつかないだろう。

  

 さぞかし辛かっただろう。まだこんなにも幼いと言うのに、酷いものだ。

 

 何気なく頭を撫でてやる。心なしか心地良さそうにしてくれている。そんな顔を見ると安心する。しかし、明日はどんな顔で目を覚ましてくれるのか。

 

 さて、この子は一体何者なのだろう。明らかに分かるのは、人間とは違う事。狐の耳を持っている時点でそれは分かる。

 

 そして、この子の母がさらさらと雪の様に消えたこと。まるで、自然に帰るかのような。

 

 

 私はその疑問を残しながら、隣の部屋で寝る事にした。




勢いついて3話ですね…精進します!
ここ良くないとかこここうしたら良いとか
ツッコんでください!


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三話〜知る

 

 

 

 

 

――このバケモノ共め!

―テメェ等がこの村にいるから!

――山に帰っちまえ!!

―この村から出て行け!

――二度と来んな!

―山の中でくたばれ!

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――ほら、見える?あの山の向こうが私の生まれた森よ。

―とっても静かで心地良い所なの。

――彼処で暮らしましょ?気にいると思うわ。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

――寒くない?

―私?大丈夫よ。少しずつでも行きましょ?

 

 

 

 

―――――いい子、いい子………――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色葉「んぅ……朝?」

 

 あれ…わたしお布団にいる…どうして?

 

 ここは…どこ?母上はどこ?………そうだ。母上はいないんだ。

 

色葉「…ははうえぇ……ぐすっ」

 

 そうしたら昨日のことを少しずつ思い出した。でもむかし母上に、いつまでも泣いちゃだめだって言われた。

 お兄さん…くなさんだったかな?そうだ。おんぶしてもらって…そのまま寝ちゃったんだ…じゃあ…ここはくなさんの家?

 

 呼んでみよっかな…

 

色葉「……くなさーん」

 

 すると、外の方から足音が聞こえてきた。小走りだ。直ぐに戸が開く音がして、ふすまが開いた。そこには昨日のお兄さんがいた。 

 

久那「ああ、目が覚めたかい?おはよう。」

 

色葉「おはようございます」

 

久那「体の調子はどうだい?おかしい所は無い?」

 

 そう言われて私は立ってみたり、丸まってみたり、伸びをしてみたりした。うん。大丈夫。

 

色葉「大丈夫ですっ」

 

久那「そうか。良かった。よく眠れたかな?」

 

色葉「ん…はいっ」

何かいやなゆめを見た気がするけど。

 

久那「朝ご飯食べるかい?……と言ってももうお昼だけど」

 

クゥゥ……

あっお腹がっ!……はずかしい……

 

色葉「食べ、ます………」ハズカシー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 お昼ご飯です。ご飯と豆腐の味噌汁、そして鳥の肉と山菜のあえ物、お漬物でした。 

 久しぶりにたくさん美味しいご飯を食べることができました。

 

 おいしかったので、おかわりしちゃいました!

 

久那「そうだ、ご飯の後に色々お話をしようか。知らない事が多すぎるからね…」

 

色葉「あっはいっ」

 

ご飯がおいしかったです。幸せです…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いろりの火の横で休んでいました。すると、くなさんがお茶を持ってきました。わたしの横に置くと、向かい合わせに座ってお茶を置きました。

 

久那「さて…と少しお話をしよっか」

 

色葉「はい…」

もしかしてわたしの事で悪いことでしょうか………

 

久那「ま、とりあえず名前かな?私は久那。よろしくね?」

 

色葉「えと…色葉です。よろしくおねがいします!」

 

久那「あー固くならないで?ここは君の家なんだから」

 

色葉「は、はいっ」

 

 本当にここに居させてくれるんだ…!

 

久那「突然だけど…君のその耳と尻尾について聞いてもいいかな?」

 

色葉「はい!」

 

久那「君は…どういう存在なんだ?」

 

色葉「わたしはわからないです…でも、母上は五百年生きた狐です。わたしはその子どもです!」

 

久那「なるほどねぇ…分かった。君の年は?」

 

色葉「今年で十一です!」

 

 わたしの事を…きらったりしない…?

 

久那「そか…分かった。あと、嫌ならいいんだけど、里を追い出された事、詳しく聞いていい?」

 

色葉「っ……はい。母上が言ってたように、里がひでりや山崩れにおそわれたんです。

 そしたら、ある人がわたしたちの家に来て、ひでりや山崩れにおそわれたのはお前たちのせいだって…言ったんです…

 そしたら、まわりの人たちも口をそろえて言ったんです…しばらくしたら、家に入ってきて、母上をなぐったりして…それで…逃げたんです。

 逃げるときにもたくさん石が投げられて…母上はわたしをかばってくれました。」

 

 

 

 

 

 また…なきそう…でもがまんしなきゃ…!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポンポン  

ナデナデ

 

 

色葉「…ふぇ?」

 

久那「……よく耐えたね。偉いよ、色葉は」

 

 頭……なでられて…目の奥が…あつく…

これじゃ…がまんできないっ

 

色葉「ぅう…ふえぇぇぇぇぇ……すんっ…ひくっ」

 

久那「こんなに小さいのに……頑張ったね」

 

 だめ…止まらないっ…!

 

色葉「くぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 くなさんにとびつく。がまんできない。

 

 涙を止めようにも止められない。いくらでも涙がこぼれてくなさんの服を濡らしていく。

 がまんしたいのに…止めたいのに!  それでもわたしの涙は止まることはなかった。

 

 

 抱きしめて頭をなでてもらいながら、わたしはしばらく泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ああ…ここはあったかい。だって、守ってくれているんだから。こんなにも大切にしてくれているんだから…。

 

 

 

 




再投稿です…ミスがありました…
次こそはほのぼの話にしたい!


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四話〜理解

ほのぼの話にしましょう…


色葉「すぅ……すぅ……」

 

 今、私の上?いや…前?に色葉がいる。またもや泣き疲れて眠ってしまった。思い出して泣き出すという事を考慮出来なかった、私の弱きだ。

 

 けれど、これでこの子の本心を聞いた気がする。そう。この子は孤独だ。故に心の拠り所が必要なのだ。願わくば私がなりたいものだが、なかなか難しいだろうな…

 

久那(それにしても、どうするか…)

 

 そう。もう一度言う。今、私の懐に色葉がいるのだ。

 分かりやすく言うと、今、私はあぐらをかいている。

 そしてその中に色葉がいて、脇の下から腕を回して抱き着いている。そして顔を私の胸に埋めて(私は男だから埋める胸は無いが。)穏やかに眠っている。

 

 しかし。

一つ、脇が閉められない。

二つ、脚が痺れた。

三つ、私まで眠くなってくる。

 

 この様に大変危険な状況だ…下手な動きをすると起こしてしまう…

 

色葉「すぅ……すぅ……っんうぅ」

 

久那(!!!)

 

色葉「…すぅ……すぅ…」

 

久那(危なかった…起こす所だった)

 

 それにしても色葉は軽いな…背の丈は確かに小さいが、凄く軽い。これも狐の特性か?

 

 じっと見ていると、たまに狐耳がぴくりと動く事が分かった。本当に不思議だ、こうして見ていても、耳と尻尾が無ければ人と何ら変わらないではないか。膝の上で眠るこの子を見ているとそう思う。

 

 心もあるし、意志もある。ならばこの子は決してバケモノなどでは無い。酷いものだ…どうしてこの子が大変な目に遭わなくてはいけないんだ。色葉は…もっと母のぬくもりの中で育つべきなのに。まだ母から離れるには早かった…

 

 そんな少し悲しい事を考えていると、胸の中で寝ているこの子が無性に愛おしくなってきた。悲しい定めに囚われて哀れな目にあったこの少女を、心から守りたいと再び思った。

 

 何気なく頭を撫でた。さらりとした手触りが心地よい。背に手を回し、背中をさすってやった。すると色葉が強く私を抱きしめた。まさかな…?

 

 

久那「起きてるのかい…?」

 

色葉「………うん…起きてる」

 

 まさかだった。

 

久那「起こしてしまったか。すまないね」

 

色葉「ううん…気持ち良かった…ありがと」

 

少しの間、沈黙が流れた。

その沈黙を破ったのは色葉だった。

 

色葉「…ごめんなさい…」

 

久那「どうして謝るんだい?」

 

色葉「また…迷惑をかけちゃった…」

 

 やれやれ…この子はまだだいぶ固いな。何と声をかけてあげればいいだろう?………。

 

久那「色葉」

 

色葉「んぅ?」

 

久那「ここはね。君の家なんだよ。例えまだ来て一日目でも君の家。そして私は君の家族の様なもの。だから…迷惑なんて微塵も感じないし、むしろ私に甘えても良いんだし、迷惑かけても別に良いんだ。

 もっと緊張を解いて、ゆっくりして。やりたい事があれば協力するし、聞いて欲しい話があったらいくらでも聞いてあげるから…。分かった?」

 

 

色葉「……どうしてそんなに良くしてくれるの?」

 

久那「そうだね…一つは、君の母上に頼まれたから。君の母上はとっても色葉の事を大事にしていて、それを託された。それに応える為に。

 もう一つは、君がとっても大切だから」

 

色葉「わたしが…?」

 

久那「そう。私は君がここに来るまで一人だった。人里からも遠く離れたこの場所。人ともほとんど会わない。

 でも、君が来てくれたんだ。そして守りたいモノができたから」

 

 ん…自分でも恥ずかしいな…この台詞は。

 

色葉「……!!///」

 

 すると、色葉が抱き着いて来た。こちらも愛おしいその頭を撫でてやる。

 そう。私は母に会ったことがない。孤独な者同士、惹かれるものがあるのだろうか。

 

 

 

 

色葉「ありがと…」

 

 すると小さな声が聞こえた。

 さて、一つ言わなくては行けないことがあるな。

 

久那「…色葉」

 

色葉「ん…なぁに?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久那「………脚が…痺れた……」

色葉「……あっ」

 




ついにほのぼのになりました…日常的な感じになります!
ところで挿絵についてどうするか考えています。登場人物の絵くらい載せようか迷って…
皆さんのお声をお聞かせください!


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五話〜遠い過去

更新おくれてごめんなさい…


 ――ふう。今日は久那さんの家に来て一日目。さいしょからとってもいろんなことがあった。

 

 わたしは久那さんにたくさん迷惑をかけてしまうけど、久那さんはそれをやさしく笑ってうけとめてくれました。

 上に座ってあしをしびれさせてしまったのはほんとにごめんなさい…。

 

 さっき、わたしの事をたくさん話したけど、わたしは久那さんの事をまったく知らない。

 どうしてこんな山のおくで一人でくらしていたんだろう。

 わたしが久那さんの事を知っているといえば、男の人で、今までひとりだったこと。これだけ。 

 

 久那さんはさっき、山にでてごはんをとりに行ってくると言いました。それでわたしはおるすばんです。

 家にある物は好きにしていいと言われて家の中を全部見たけど、とくにびっくりしたことはお風呂があること。木で作られた、大きな桶みたいなお風呂です。もしかしてわたしも入れるのかな?

 玄関のよこにえんがわがあって、部屋はかべで七つに分けられてます。けっこう大きなお家だと思いました。

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな事を考えていると、足音が聞こえてきました。

 久那さんが帰ってきたんだ。わたしは玄関へ行って、扉を開けて言いました。

 

色葉「おかえりなさーい!」

 

 そして次のしゅんかん、わたしはびっくりしました。久那さんが片手に山の菜っ葉をかごに入れて、そしてもう片方の手にうさぎを持っていたからです。

 うさぎはまったく動いていません。

 

久那「ああ、ごめんね。驚かせてしまったかい?」

 

色葉「え…と、とってきたんですか?」

 

久那「ああ。きょうの晩御飯だ」

 

 そう言ってかごを置いて、おけに水をためて家のうらへ持っていき、しばらくしたら血まみれの手で赤い血の入ったおけを持って帰ってきました。

 

久那「ウサギの肉は…美味しいよ?」

 

色葉「たべます!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と言ってもまだ日ぐれの少し前です。晩ごはんには早すぎです。なんとなくえんがわでごろごろしていると、

久那さんがお茶を二つ持ってきてとなりに座りました。

 

久那「はい。お茶」

 

 わたしは起きあがって久那さんのとなりでお茶を飲むことにします。それで晩ごはんまでまちます……

 ところで、いまなら久那さんの自分のことを教えてくれそうな気がします。とっても気になるのでいま聞きましょう。

 

色葉「……久那さん」

 

久那「?」

 

色葉「久那さんは、どうしてこんなところに住んでるの?」

 

久那「…そうだね…」

 

 どうやら考えています。やっぱり聞かないほうがよかったかもしれない…

 

久那「…簡単に言えば、色葉と同じようなことがあったから…かな?」

 

 わたしと…同じ?

じゃあ…おい出されたってこと?

 

久那「色葉。私の目をよ〜く見てごらん」

 

 …?どうして?

だけど気になって仕方がないから、見てみた。けどとくに違うところはわからない。とっても暗い色の目の…

 あれ?よくよく見たら黒いろじゃない!少しだけど、青いろがまざってる。

 

久那「分かったかな?すこーしだけ青いの」

 

うなずく。

 

久那「するとね。この目を見て里の人間達は、呪われた子だとか災いを呼ぶだとか勝手な事を言って避け続けた。

 そして気がついたら、私の居場所は無くなっていたんだ」

 

久那「それで人里離れてこの場所を見つけて。この家は元々ぼろぼろの小屋だったのさ。誰が作ったのかもわからない。それを綺麗にして、大きくしたのが今のこの家、という訳だ。それからぼうっと一人で暮らしていた」

 

 じゃあ…久那さんはわたしと同じみたいに、追い出されて来たってこと?

 

それも、一人で。

 

色葉「……久那さん」

 

 じゃあ…わたしはずっと、この人のとなりで。さみしくなったりしないように。

 

色葉「これからも…ずうっとここにいさせて下さい」

 

 久那さんとふたりで、悲しいことを忘れて。

たっくさん楽しいことをしてくらして。

 

 すると、わたしは久那さんに頭をやさしく撫でられた。そのやさしさには、わたしを大切にしてくれる心がこもっていた。

 ふと、どうしてか母上に撫でられた時のことを思い出した。母上もこんなふうに気持ちよく撫でてくれたりしたんだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、二人で楽しくなにげなくお話をしてお茶を飲んで。気がついたら日がしずむ時間になった。

 

久那「…さて。 晩御飯の時間だ」

 

色葉「手伝う!」

 

 

 




どったばったしていて筆が進みませんでした…
ジビエ料理は美味しいですよ!


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六話〜憩い

週1で頑張ります


 

 さて…と。晩御飯は食べ終わったな…。色葉がとっても美味そうに食べていて、それだけで私の腹も膨れそうだった。

 あれだけ幸せそうに食べてくれたなら、また美味しい物を食べさせてあげたくなってくる。

 明日は、明後日は何を食べさせてあげようか。そんな事を考えながら皿を片付けていると、色葉が歩み寄ってきた。

 

色葉「手伝う?」

 

久那「あー…そうだな、茶碗だけ持ってきて」

 

色葉「はーい」

 

 優しい娘だな…ここに来て一日目だが随分と馴染んでくれた様で良かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところで。昨日の夜は遅かったからなかったが、考えなくてはならない。そう。 風呂の事で。

 まずあの娘は風呂に入った事があるのか?入り方は知っているのか?いや、その前に風呂に入る習慣はあるのか…狐?である所も持ち合わせているから、まず風呂自体嫌いかもしれないな。

……まだまだ知らない事がたくさんあるな…後で色葉に聞かないとな。

 

 

 皿を洗いながら、そんな事を考えていた。

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しかし、その頃。居間にて。

 

色葉(晩ごはんとってもおいしかったなぁ…久那さんごはん自分で作れるんだぁ……)

 

色葉(そういえば晩ごはん食べ終わって、お風呂入らせてくれるんだろか…さいきんお風呂入ってないからにおいがするよ…)

 

色葉(臭かったら嫌われるかも…それはいや…)

 

 

 なんて、こちらは考えていた。久那の予想を破壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふう…二人分の皿を洗ったのはいつぶりだろうか。家に人が居るというのは、こんなにも明るいものだったか。

 手を拭いながら部屋に戻った。さて、風呂の事で話をしなくては。

 

久那「さて…色葉」

 

色葉「んぅ?なに?」

 

久那「聞くけど…君って風呂に入れるのかな?」

 

色葉「…へ?」

 

         沈黙。

 

久那「いや…風呂に入る習慣があるのかなーって思って…」

 

色葉「え…うん、入れるよ…。さいきんは入れてないけど…」

 

 拍子抜けした気分だ。私はさっきまで何を考えていたのだったか。

 

久那「そうか。良かった。じゃあ今から風呂を沸かしてくる。入るといい」

 

 

 

 

 そして、竈(かまど)の中から火のついた薪を取り出し、外に出た。風呂の窯に薪を突っ込み、炭を足す。

 少しして火が移ったのを確認すると、中へ戻った。…のだが、その途中でとんでもなく大事な事に気が付いた。

 

久那(色葉…着替え持ってないよな……)

 

 そう。あの娘は昨日、身一つでここに来た。そして今は着たきりスズメの状態だ。少しだが、あの娘から獣臭がする。

 まああの状況からしてしばらく入れてないだろうから仕方ないが。

 

久那(今日の所は私の着物を貸すしかない、か。近い内に人里に下りて買う必要があるな…

 あと、着物以外にも色々と買う必要がありそうだ。皿、茶碗、湯呑み…布団やいくらか布がいるだろう。他には色葉が欲しい物を)

 

 

 

 

 

 

 家に入ると、自分の着物を気にかけている様子の色葉がいた。

 

久那「色葉。明日か明後日位に、里へ買い物へ行こう。色々と必要なものがあるだろう?」

  

 しかし、どうやら思う所があるようで、返事に渋っていた。

 

色葉「……人の…所?」

 

 …そうだった。この娘はついこの前人里を追われたばかりだった。 

 

久那「ああ、大丈夫。色葉が来た所とは違う里だ。大きな人里で、色んな人がいる。私は顔が知れているし、何なら里の作物を荒らす獣の狩りもしているから気軽に行ける。…もし何かあっても守ってあげるから」

 

色葉「へぇ〜。なんだか…楽しそう!」

 

久那「それに…そこの人達は今更狐の耳が生えていようが気にしない人ばっかりだし」

 

色葉「…へ!?」

 

 

 暫くして、風呂が沸いた。

 

久那「えーと、まあ特には変わったものはないけど、これ手桶。すのこを敷いてあるから滑ったりはしないだろうけど、まあ気をつけて。体をこする手拭いはこれ。着物はここに置いてね」

 

 分からない事が無いように、しっかりと教えておかないと。

 

久那「着替えの衣は扉の前に置いておくから。上がったらここにある手拭いで拭いて着替えてらっしゃい。良いかな?」

 

色葉「えーと、はい!」

 

久那「じゃ、ごゆっくり〜」

 

さっさと出て行こう。

 

久那「あ、入る前に湯加減見てから入ってね」

 

色葉「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 火の強さの加減に、外の窯へ向かう。そしたらいきなり『あちっ!』て聞こえてきた。

 

久那「…大丈夫かい?」

 

色葉「は、はいぃ…」

 

…別に火は足さなくて良さそうだな。

 

久那「何かあったら呼んでね。一応近くに居るから」

 

色葉「はい〜」

 

 少し窯を離れて空を見上げる。晴れた夜空で、よく星が見えた。まだ冬の最中で、窯を離れすぎると肌寒い。

 吐息が白く昇り、冷え込みの具合を教えてくれる。あとひと月程で冬が終わる。暖かい陽が若葉を育むだろう。

 明日はどうしようか。買い出し(色葉の分)以外に必要な物はあったか?

 あとこの季節は稀に獣が餌を求めて人里に下りてくる。その狩猟の依頼もあるかもしれないな。いい稼ぎになりそうだ。

 ああ…あと「あいつ」の店にも顔を出すか…。

 茶碗、湯呑み、着物、帯、草履、他にも布を多めに買うか。蓑も笠も、あの娘に合う大きさの物を揃えよう。

 

 ふと、何か視線を感じて振り返ってみると、風呂場の格子窓から顔を覗かせる色葉と目が合った。

 するとさっと引っ込んだ。こんな些細なことでさえ楽しく感じられる。それに笑いが零れてしまう。

 

今は、幸せだな

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色葉「久那さーん!」

 

久那「はいはーい」 

 

色葉「今から上がるね!」 

 

久那「はーい」

 

 

 

 

…明日も楽しく過ごせそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ごめんなさい、修整で上げ直しました。


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七話〜布団

どんどん更新遅れて…読んで下さっている方、ごめんなさい。


 

 

 

色葉「ふふ〜ん♬」

 

 とっても久しぶりにお風呂に入った。おかげですごくさっぱりした。

 だけど、おいしいご飯を食べて、温かいお風呂に入って。わたし、こんなに幸せで大丈夫かな…?何か悪いことが起きたりしないよね…?

 お風呂にゆっくり浸かって、つかれていたのがなくなった。気を抜いたら寝てしまいそうだったけど。

 

 ぬれた体をふいて、着がえを取るために少し戸をあける。そこにはあさぎ色のきれいな浴衣が、たたんで置いてあった。それと一緒に、手紙が。

「着替えです。少し大きすぎるかもしれないけれど、今晩はそれで我慢して下さい。 久那」

と書いてあった。

 

 ひょいと持って広げてみたけれど、どう見ても大きすぎた。ためしにはおってみても、袖はだぼっと手から大きくあまって、すそは床にたれて広がっている。

 しかたなく前で合わせて帯をまきました。

 ぬいだ着物を持って、久那さんの所へいきます。

 

 

色葉「久那さーん。お風呂上がりましたー!」

 

久那「はいはーい」

 

 ふすまを開けてでてきた、きがえを持った久那さん。

 

久那「温まったかい?」

 

それはもう本当に。 

 

色葉「はい!」

 久しぶりのお風呂はとっても良かった。なんか…つかれがすっと取れたかんじ。

 

久那「じゃ、風呂に入ってくるから、何か…適当に遊んでて良いよ。あ、でも外にはあんま出ないでね、危ないから」

 

色葉「はーい」

 

 わたしは湯冷めしたくないのでささっと囲炉裏の部屋であたたまる事にした。

 

 

 囲炉裏の火に手をあてて、ぬくぬくしている。

ふと、なにげなくまわりを見わたす。

 

 見えるのは二方にはふすま。壁には棚がふたつ。ひとつは本棚みたいで、本と巻き物がたくさん並べてある。

 もうひとつは、引き出しがたくさんついた棚。

そして部屋のすみには明かりの行灯がふたつ。それ以外はひとつ、毛布がおいてあった。わたしは立ち上がってその毛布を拾うと、それにくるまってまた火にあたった。

 

 

 

 

 

 

  ことっ

 

 

色葉「…?」

 

 しばらくしたら、どこからか音が聞こえた。

気になってしまったので、わたしは音のなったモノをさがした。

 この部屋の様子は見たとこかわっていないよう。じゃあたぶんとなりの部屋だ。 行ってみよう。

 さっきまでまったく動こうとしなかったわたしの事を、好奇心というものが動かした。

 音が聞こえてきたのは奥のほう。だったらこっちの部屋だ。

 ふすまを開けて、部屋に入った。こっちの部屋は明かりがないけど、お月さまの明かりが入って来ているからものが見えるくらいには明るい。

 この部屋には、低い机、ざぶとん、反対の壁にはたんすがならんでいる。

たぶん、ふだん久那さんが使っている部屋だと思う。

 机の上には本がたくさんおいてあって、床にもかさねて積み重ねてある。。 

 

 

 そして、音の正体をわたしはさがした。

それは以外と早めに見つけた。

 部屋のすみに、きらりと光る物を見つけたから。わたしはかがんでそれを手に取って、まじまじと見つめた。

 それは、手のひらに収まる大きさの、まぁるいもの。水みたいに透きとおっていて、お月さまの光が玉にあたって、とてもまぶしい。

 

そのきれいな玉に、わたしは見とれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

久那「やあ。何しているんだい?」

 

色葉「ぴゃあ!!!」

 

 

 

びっっっっくりした…

 

久那「おおっと、ごめんね。驚かせて」

 

色葉「う、ううん…」

 

まったく気が付かなかった。いつの間にかそんなに時間がたっていた。

 

久那「それで、この部屋で一体何をしてたの?」

 

周りに気が付かないくらい集中して、と付け加えられて、恥ずかしくなる。

 

色葉「ええっと、何かこの部屋から音がして、気になって見てみたの。そしたら、床に、これが…」

 

 わたしはさっき拾った物を久那さんにみせた。すると、久那さんが驚いていた。

 

久那「おやおや…これを見つけたのか。不思議な事もあるもんだ」

 

色葉「…?」

 

久那「色葉。この水晶玉で、月を覗いたかい?」

 

首をふる。

 

久那「そうか…じゃ、これで月を覗いてご覧。おや丁度良い。今宵は満月だ」

 

そう言って外を指さした。

 

 言われるままに、わたしはこの部屋をてらすお月さまをのぞいた。そして、そこには。

 

色葉「だれ…?この人。おんなじ耳だ」

 

 そこには、わたしと同じ狐の耳を持つ、女の人がうつっていた。

 

久那「一つ、教えてあげると…その水晶で月を覗くと、覗いた人の先の事か後の事を映し出すんだ。不思議だろう?」

 

じゃあ…今うつっている、この人は…

 

色葉「これ…わたしなの? わたしより大人に見えるけど…」

 

久那「ああ。周りは一切映らずに覗いた人だけ映すからな、今色葉が見ているのは、紛れもない君自身だ。たぶん、大人になってからの。 良い事も悪い事も全て映し出すから隠してたんだが、見つけたなら、見るべきだろう。  さて…君の見ている色葉は…どうしてる?」

 

そこにうつっているわたしは、とっても、

 

色葉「…笑ってる…」

 

 すごく楽しそうに。幸せそうに。いったい何を見てるんだろう。

 

久那「…そうか…良かった。そこに映し出されるのは、必ず起きることじゃないけど、…良かったね」

 

 それを聞いてわたしはうれしかった。いつか、わたしがあんなに楽しそうに笑えるんだ。できれば、その時も、久那さんといることができたなら。

 わたしは水晶玉から目をはなし、久那さんに手渡した。久那さんはそっとほほえんで、水晶を棚に戻した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

______________________

 

 

 

 

 

 

色葉「…ふぁぁ……」

 

とても大きなあくびがでた。

うん…眠たくなってきた。ぼうっとする。

 

久那「そろそろ寝るかい?」

 

色葉「はい…」

 

今日、あんなに寝たはずなのに。

久那「じゃ、布団を敷いておくから待ってて」

 

 そう言って久那さんは部屋を出た。囲炉裏の火をぼうっとながめていたら、よけいに眠くなってくる。

 目を開けているのがつかれてきて、少しずつ目をつむってしまう。頭がかくっとおちて、はっと目をさます。

 

 ……そしてまた眠ってしまう。

 

 色葉がぴたりと目をつむるまで、時間はかからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

久那「色葉。布団敷いたからそこで寝て…色葉? 

…おやおや」

 

 既にかっくりと寝て、すうすう寝息を立てている色葉をみて、苦笑する。

 色葉をそっと抱きかかえてか布団へ持っていき、布団に寝かせて毛布を掛ける。

ぴん、と張っている耳の生えた頭を撫でてやる。すると色葉の顔がふにゃりと微笑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

久那「おやすみなさい。良い夢を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




週に一回ペースは維持したいです…


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