リリカルでマジカルな世界に来たんだけど、どうしろってんだ...... (牡羊座のボク)
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アンケートの結果
まずは、アンケートのご協力ありがとうございます。
一週間程放置してみた結果、「書けやオラァ!」との意見のほうが多かったのでご要望通りNANOHAサンとフェイトそんの決戦を書くことにしました。ただ、自分が書き手として未熟な為に基本としては三人称視点かオリ主視点でしか地の文が書けません故、次回もそのような形になってしまいます。それでもいいという方はもう暫くお待ち下さいm(_ _)m
それでは、次回の投稿もお楽しみに!
以下、オリキャラ設定(という名の文字稼ぎ)
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この作品のオリ主くん。普通に高校生活を送っていたらいきなりリリなのの世界に転生させられた可哀想な一般人。日本のサブカルチャーにはガッツリ触れてきていたがリリなのはちょっとの二次創作知識のみ。自分では準メインキャラぐらいのポジションで頑張りたいと思っている(そうはさせない)
転生特典
リンカーコアおよび家庭環境
レアスキル:再生
三度奇跡を起こす権利
使用デバイス
カナン
ガンブレード型のインテリジェントデバイス。待機状態は十字架のネックレス。設定としては亡くなった元管理局員の母親が使っていたものとなっている。普段は主人思いの気遣いのできるデバイスなのだが時折毒を吐く。セットアップする時の音声ネタが分かる人は作者と握手!
もう一人の転生者。晴斗とは違ってテンプレオリ主のように事故って神様に会って転生、赤子の頃からやり直している。その結果NANOHAサンの幼馴染みへとランクアップ。実家は剣術道場を開いており、幼いながらも師範である父親から手解きを受けている為そこら辺の同年代男子よりかは運動神経はいい。
転生特典
魔力変換資質『炎』
魔力ランクSS
未来予知5秒
使用デバイス
イガリマ
赤い大剣型のインテリジェントデバイス。待機状態は翼の模様が刻印された指輪。七条が道端で拾った事になっている。基本は無口だが、七条に全幅の信頼を寄せている。術式はミッドチルダ式。そこ、「ミッド式なのに大剣っておかしいだろ!」とか言わないの!
フィーナ・アタラクシア
晴斗の母方の叔母であり現保護者。ミッドチルダ在住で時空管理局傘下の研究所で働いていて、数ヶ月に一度晴斗の様子を見に海鳴市までやって来る。もう少ししたら自分の甥が大事件に巻き込まれていたことを知って腰を抜かす予定。歳?聞いちゃいけません......
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無印編
リリカルマジカル、始まってしまいます()
皆さんは輪廻転生ってやつを信じているかい?俺は全然信じてなかったよ。別に無神論者ってわけでもないけどそこまでオカルトチックな思考をしているわけでもない。ん?なんでそんなことを聞くかって?それには理由があって......
「どこだここ?」
絶賛それっぽい事態に陥っているからさ(涙目)
———————————————————————
「とりあえず、なにがどうなっているのかを確認しよう」
確か俺はバイトが終わって家に帰ってきてから、明日の英気を養うために日課のアニメ鑑賞をして布団に入ったはず...それがどうしてこんな路地裏みたいなところに居るんだ?
「通りに出てみるか......」
大通りなら看板とかでここがどこだかわかるだろう、そんな考えで通りに出た俺の目に映った看板には......
『〇〇スーパー
「はえ?」
本日二度目の驚愕を覚える文字が書かれていた
あ...ありのまま今起こったことを話すぜ!気がついたら全く知らないところに居たと思ったらそこはアニメやゲームに登場する地方都市だった。な...なにを言っているのか分からねーと思うが俺もなにを言っているのか分からねー......
なんてふざけてみたがまじでどうなってんだ?海鳴市ってあのリリカルでマジカルなお話の舞台だよな?なんで二次元に存在する場所に居るんだよ?
「夢か幻か、はたまたただの妄想か......」
「ねえ君、こんなところで何してるの?」
あん!?と考え事を中断して声のした方を見てみるとそこには警官の格好をした女性が一人
「大丈夫?ここで何してたのかな?」
再度声をかけられるがそんなことよりも気になったことがあった
『君』って呼びかけ方、大体は小さい子相手とかに使わない?
そんなことを考えてふと改めて自分の体を見てみると......
某少年探偵のように記憶にあるそれよりも明らかに
「ピェッ、......っ!」
と、悲鳴をあげそうになったがなんとか踏ん張って堪える。目の前に人がいるときに奇声なんてあげようものなら明らかにヤバい人だからね!
「え、ええと...落とし物を探してて......」
などとなかなかに苦しい言い訳をしているとちょうど良さげなものが地面に落ちているのを発見、素早く拾い上げる
「み、見つけたからもう大丈夫!そ、それじゃあ!」
それだけ言い残し女性警官が立っているほうとは逆方向に駆け出す。なにか言っているような気がしたがそんなことを気にしている暇も余裕もなかった
———————————————————————
「ぜぇっ......ぜぇっ......キ、キツい......」
どうにかあの場所を離れることができたが、この体では長時間の全力疾走は厳しいものがあったらしい。ようやく息を整えることができた
「はぁ、よくよく考えれば走って逃げる必要なかったんじゃないか?まあもういいけど。というか、咄嗟に拾ったけどなに拾ったんだろう?」
自分の手の中にあるそれをよくよく観察してみる。それは丸くて青く輝く宝石であった。注意して見てみると
「そっか、これがジュエルシードか」
HAHAHA............
えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?
ジュエルシードぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?
本日三度目の驚愕である
こうして俺こと
ここまで読んでくださりありがとうございます。今後もこんな感じで続いていきますのでどうぞ宜しくお願いします
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現状確認といきましょうか
それではどうぞ
あの後まじめに大声を出してしまい周りから注目を浴びることになってしまったので視線を避けるようにそそくさと歩き出した俺であった
「それにしても気味悪い感じがするな」
そう、今自分は確固たる足取りで歩みを進めているのである。
今となっては偶然拾ってしまったジュエルシードなんかよりもそちらの方が気になっている。見えない力に引っ張られているようでなんだか不気味だ
「その時不思議なことが起こった、とは違うけど本当に不思議なことってあるんだなぁ......まじで気味悪いけど」
———————————————————————
そんなこんなで俺はある一軒家の前で足を止めていた。そう、
「ただいま〜、って感じもあんまりしないなぁ」
中は外観と変わらず普通の住宅のものである。靴を脱いで上がりそのまま真正面の扉を開けて入るとリビングダイニングであった。テレビの前にソファが置かれ、キッチン側には四人程度なら同時に着くことのできるダイニングテーブルがあった
「ここまでは至って普通の家だけど......ん?なんか置いてあるのか?」
テーブルの上を見てみると一通の手紙と十字架をあしらったネックレスが置かれている。どう見ても怪しい...そう思いつつも俺はまず手紙を手に取ってみる
「えーと、なになに?」
『吉川晴斗さん、まずはこのような事態になってしまい誠に申し訳ありません。現在晴斗さんがこのような状況に置かれているのは、貴方達が言うところの「神」である我々の責任です』
あっ、やっぱり神様転生だったのか......
『こちらとしましても直接対応をしなければと思ったのですが、何分こちら側にも事情があり、このように手紙を残すといった手段での説明とさせていただきます』
正直ここまで読んでなにを勝手なことを、という思いもあるが既にどうしようもないだろうと諦め手紙を読み続けることにした
『我々の今回のミスで死亡してしまった晴斗さんには「魔法少女リリカルなのは」の世界に転生してもらいました。これは晴斗さんや我々自身で選ぶことはできず、ランダムで選択されます。また、お詫びとして三つの特典を付けさせていただきました』
えぇ......転生する世界は兎も角、特典ぐらいは選ばせておくれよ......
『まず一つ目は魔法を使うのに欠かせないリンカーコアとデバイス、およびそれらを所持していることが違和感にならないための家庭環境の提供になります』
なるほど、確かにそれはそうだ。原作に関わるのならばリンカーコアは必要不可欠であるしデバイスがなければ魔法を使うのもままならないであろう。そして一番重要なのはなぜそれを持っているのかということだ。ここは本来であれば管理外世界であり、たまたま魔力資質があったにせよ、デバイスまで持っているのは不自然である。
俺の家庭環境としては、両親のうち母親が元管理局員で父は現地の日本人。俺が幼い頃に交通事故に遭って亡くなってしまい、現在は母方の叔母に引き取られているという"設定"らしい。しかもその叔母も基本はミッドチルダの方で暮らしており、時々様子を見にくる程度という至れり尽くせりなものである。これらの事柄を全部一つの特典で収めてくれるのは多分良いサービスなんだろう
『二つ目の特典はレアスキルで「再生」となっております。こちらは晴斗さんの魔力を使用して四肢の欠損や眼球への外傷による視覚障害などを修復するほか、壁や乗り物などの無機物も直すことが可能です。ですが、あくまでも「再生」であり「蘇生」ではありませんので死んだ者を生き返らせることはできません』
普通にチートじゃん。蘇りはできないにしても普通にチートである。魔力が残っていて即死でなければどんな致命傷でも回復して生き残れる訳だろ?しかも生き物でなくても再生できる。自分も完全治療できるクレイジ○・ダイヤモンドじゃん何度も言うけどまじでチートじゃん
『そして最後の三つ目は「三度奇跡を起こす権利」でございます』
ん?なんじゃそりゃ?
『説明させていただきますと、お分かりのようにこの世界には「原作」という元の形が存在します。そこに貴方というイレギュラーが紛れ、歪みが生じています。ただそれだけでしたら多少本来の物語から外れる行動をしても問題はありませんが、あまりにも乖離した行動を行ってしまうと歪みは大きくなり最終的に晴斗さんごと世界が崩壊してしまいます。』
まじかよ。俺あんまり原作知らないんだけど。それこそ二次創作を少し齧った程度なんだけど。意図せずに原作ブレイクする可能性があるんだけどぉ!?
『そんな時にこの権利を使用すればそれがどんなに矛盾を孕んでいたとしても、どんなに不可能なことでも、そのまま事象として起こすことができるのです。ぶっちゃけていうと任意で発動できるご都合主義のようなものです。そのほかにも単純にこれが欲しい、あれを無かったことにしたいといった願いも叶えることができます』
まじでぶっちゃけたなこいつ。いや確かにそんな感じのものだけど......つまりこれさえあればレアスキルではできない死者の蘇生もできるしなんでもやりたい放題って訳なのか......どんな特典付けてるのさ神様......
『以上が晴斗さんに与えられた特典となります。また、この世界には晴斗さん以外の転生者がもう一人います。できるだけその方と衝突することなく協力していただけたらと思います。今回の事態をしでかした我々の言うことではありませんが、どうぞ第二の生をお楽しみください』
そう締め括られた手紙を読み終えると、役目は終わったと言わんばかりに灰も残さず燃えてしまった。というか、他にも転生者がいたのね、別にいいけれども。ハーレムを作りたいとかそういうつもりもないし。
そんなことを考えながら次は手紙の横に置かれていたネックレス——母親の形見ということになっているデバイス——を手に取る。すると、
〈こんにちは、マスター〉
「うおっ、びっくりした。お前が俺のデバイスで間違いないんだよな?」
〈Yes,その通りですマスター〉
どうやら間違いないようだ。今は待機状態なので起動するとどんな見た目なのかはわからないがそれは後で追々確認するとして、まず聞かなくてはいけないことがある
「お前って名前はあるのか?」
〈いいえ、今はありません。ですのでマスターがつけてくださると大変喜ばしいのですが......〉
なんと、このデバイス名無しであった。しかも俺に名前を決めろという。こちとらネーミングセンスなぞ皆無であるというのに......追々確認すると言ったが一度起動してしまったほうが名前も浮かびやすいだろう
「悪いが、バリアジャケットは展開しないでいいから起動できるか?」
〈はい、可能です〉
「それじゃあ、えっと......セットアップ!」
お決まりの台詞を言うと持っていたネックレスが光り出した。少しして光が収まると俺の手には一挺のガンソード——ダストカバーの部分に刃が取り付けられているハンドガン——が握られていた
「......っ!............!?」
カッケェ!?すっげえカッケェ!?なにこれ!?男のロマン武器じゃん!?俺の母さんなんでこんなの使ってたの!?(褒め言葉)
〈二挺拳銃もできますよ?〉
「ファっ!?まじかよ!?」
ロマンガン詰まりである。つい最近(体感時間では)まで高校生をやっていた身である。こんなものを見せられて感動を覚えないわけがない。見た感じはボ○ミヤのアレに一番近い。全体的に黒一色で配色され、所々に機械的な赤いラインが走っている。マジカッケェ(語彙力)
「って違う違う!名前を考えるんだよ名前を」
———————————————————————
少し目的を見失いつつも改めて自分のデバイスの名前をうんうん唸りながら考える。そして十分後......
「決めたっ!お前の名前はだな......」
〈..................っ〉
自分につけられる名前を聞き流すまいと固唾を飲むように聞き入る我が愛機
「お前の名前は......『カナン』だ」
〈『カナン』......ですか?〉
「あぁ、恥ずかしいが本当に俺にはネーミングセンスがなくてな。なんとなく浮かんだやつで一番お前にピッタリだと思ったんだ。嫌......だったかな?」
〈...いいえ......いいえ!とても素敵な名前です!ありがとうございますマスター!......コホンっ、それでは...正式名称を『カナン』に変更。これで正真正銘、私は貴方のデバイスになりました〉
「そっか......!それじゃあこれからよろしくな、カナン!」
〈Yes,my master〉
こうして俺の魔導師としての生活が始まったのだった
「とりあえずこのジュエルシードを封印して格納してくれる?」
〈ファっ!?〉
先行きは若干不安ではあるが............
説明回なんでなんやかんや文字数が多くなりましたね
デバイスの音声(台詞)は〈 〉を
念話や通信なんかは『 』を使わせていただきます
次回もお楽しみに
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探索、そして魔法少年に......
なんとか今日も仕上げるテンションを保つことができました......
それではどうぞ
〈まさか、すでにジュエルシードを確保していたとは〉
「いやほんとたまたまだったんだけどね?まさかそこら辺に落っこちてるとは思わないじゃん」
〈それもそうですが......。とりあえずこれで封印処置は完了です〉
「おー、サンキュ。にしても魔力が使われたっていう感覚はするけどさっぱり魔法の使い方はわかんないな」
〈それはそうです。マスターは今初めて魔法に触れたのですから〉
「そりゃあね?一発でできたらただの天才だよ。どっかの魔王様とかはその類いなんだろうけど......」
などと自分の魔法の才に不安を感じながらぶっちゃける。カナンは神様が用意したからか俺の事情に関しては既に知っている。それでもなお俺を支えてくれるというのだから感謝してもし切れない
「まぁ、魔法に関しては今後特訓していくとして......まずはここでの暮らしに慣れなくちゃなぁ......少し散策に出て地理を覚えるとしよう」
思い立ったが吉日。リビングから出て廊下にある階段を上り二階へ上がる。自分の部屋らしき部屋を見つけて入ると勉強机や小さい本棚にクローゼット、ベッドがある。机の上にはこれまた自分のものらしき財布と携帯電話が置いてあったのでズボンのポケットに突っ込む。これで準備は完了だ
「そんじゃ、行ってきます」
玄関を出て施錠する。これでよしっと。現在地は閑静な住宅地なので少し市街地の方に行きながらどこになんの店があるかを見ていく。ただ歩いているのもアレなのでカナンと念話の練習をするとしよう
『こんな感じでいいのか?』
〈はい、上出来ですマスター〉
『頭の中に直接声が響くって新しい感覚だなぁ......慣れるまで時間かかりそう』
〈そんなに焦る必要はありませんよ、マスター〉
『いやぁ、ジュエルシードがあるってことはもう一期は始まってるってことだろ?だとしたらあんまりのんびりしているわけにもいかないだろうからさ』
そう、既に物語は動き始めているのである。細かい時系列とか全くわからないので魔砲少女こと高町なのはがいくつジュエルシードを集めたのか、フェイト・テスタロッサが登場しているのかも見当がつかない
『そういえばさ、俺ってどんくらい魔力があるの?自分ではよくわからないんだけどさ』
〈単純に魔力量だけでいうとマスターはAランク程度です。管理局でのエースクラスは大抵AAクラス以上なのでそれよりも低いぐらいですね〉
『低いのかぁ......こりゃ役立たずになる可能性が高いぞぉ......』
〈確かに魔力量はランクを左右する大きな要因の一つですが、それ以外にも本人の能力や資質も問われますので、マスターが弱いとは一概には言えませんよ?〉
『あ〜、あのクロノ・ハラオウン?だったっけか。彼もそんな感じだったか。魔力の出力は低いけど魔力操作の技能がずば抜けてて執務官まで上り詰めたとかなんとか......あんま詳しくは知らないけど』
一応メインキャラクターに関してはちょろっとだけ覚えているのでカナンの説明に当てはまる人物を思い出したのだが、自分がそうなれる未来が全く思い浮かばない
『まぁ実践あるのみ、かぁ......自分がどんな魔法が使えるかもわからないし』
〈私はミッド式のデバイスですのでミッド式でしたら一通りは使用可能ですので、後はマスターの適正次第ですね。もしくはマスターがオリジナルの魔法を作ってしまうか......ですが〉
魔法ってそんなポンポンできてしまうん?と思いつつ歩き続きていると大通りの方まで来たのだろう、道行く人の数が増えてきたがそんなことよりも目の前の光景に呆気にとられていた
「なんじゃこりゃ、ここだけ局地的な災害にでも見舞われたってか?」
地面のアスファルトが砕けていたり、ビルに大きな穴が開いていたりと辺り一帯が凄まじい有様になり果てていた
〈......解析完了。魔力の残滓が感じられることから、おそらくはジュエルシードの暴走が原因の被害だと思われます〉
『こんな恐ろしい事態を引き起こすものを十代にも満たない少女がどうにかしようと考えるなんて......さすが未来の魔王様だぜ』
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そんなこんなである程度必要だった店の位置などの情報は覚えたのでお次はスペースが必要だと思い近くの公園に移動中である
「なあカナン、これから魔法の練習をしようと思うんだけど、発動してる結界を感知させないようにすることってできるか?」
〈発動した結界の上からさらに隠蔽魔法を使用すれば可能ですが、なぜそのようなことを?〉
「いやさ?もーちょっと原作には関わらないでおきたいのよ。流石にこんなド素人の状態で突っ込んでも邪魔になるだけだからね。だから高町なのはや管理局にはあんまり見つかりたくないのさ」
〈なるほど、かしこまりました。では結界を張った際は秘匿するようにします〉
「うん、助かる」
公園に到着。誰もいない今のうちに結界を張ってしまう。後は気が済むまで思う存分魔法の練習をするだけである
「バリアジャケットも考えなくちゃなのか」
〈頭の中で思い浮かべていただければこちらで自動生成します〉
ファッションセンス皆無の俺が通りますよぉ〜っと。前世で通っていた高校は制服着用でありバイト先も制服だった。休日は遊ぶような友達もいなかった為あんまり外には出なかったし、中学校時代まで遡っても似たようなものである。あれ......なんだか涙が............
「なんて黒歴史はシラナーイシラナーイ。それじゃあ、カナン!」
〈Standing by〉
「セットアップ!」
〈Complete〉
なるべく鮮明に自分のバリアジャケットを纏った姿をイメージする。一瞬、光が体を覆ったと思うとすぐに止み、晴斗の姿が現れる。そこには......
黒のカッターシャツとジャケットに黒地のスラックス、膝丈よりやや長い黒いチェスターフィールドコート、おまけに黒のオープンフィンガーグローブと全身真っ黒コーデの出で立ちになった少年(御歳9歳)が立っていた
「いや......流石にヤバいかな......?」
〈似合っていますよ、マスター〉
「うん、まあ昔から明るい色の服は全く似合わなかったからさ。自分でも黒系統の服の方が落ち着くんだよね?でも流石に全身真っ黒はやりすぎたかなぁ......というかこれ、性能は大丈夫なの?結構薄っぺらいけど」
〈バリアジャケットとしての基本的な性能に問題はありません。ちょっとやそっとでは壊れませんよ〉
「ならいいんだけどさ......ま、いっか。とりあえず魔法少年(笑)になったところでちゃっちゃと始めますか!」
〈All right〉
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〈マスター、本日はここまでにしておきましょう〉
「んあ?もうそんな時間か?」
公園に備え付けられている時計を見てみると、20時を少し過ぎているぐらいである。始めたのが15時ぐらいからだったので約五時間は経過している
「まだいいんじゃねぇの?多少頭は痛いけどまだ動けるし」
この五時間で行ったのは、まず魔力弾の生成から。これで大まかな魔力操作のコツを掴もうということだったが、最初は散々であった。いくら魔力を集めようとしてもなかなかうまくいかずにすぐ霧散してしまうのだった。練習の成果もあって今はわりかしスムーズに作れるがあまり多くの数は同時には作れない。まあ、俺のデバイスは腐っても銃型。魔力を込めて引き金を引くとそれだけで魔力弾が発射される仕組みになっているみたいでそれをそのまま遠隔操作することも可能な模様。戦闘時はもっぱらこっちが主流になるだろう
そうやってある程度魔力の扱いに慣れてからは飛行魔法、射撃魔法、索敵魔法、捕縛魔法と色々と試していったのである。まぁ、ある重大な欠陥があったのだがそれは追々。魔法を使うには高度な演算を行うため、デバイスの助けがあるとはいえ今までにない程頭を使ったようで締め付けられるような感覚がする。明日は知恵熱かな?
〈そういうわけにはいきません。今日は日曜日で明日は月曜、つまりは平日です。マスターには学校があるのですから早めに休んでいただかなくてはなりません〉
「え゛っ」
衝撃の真実が発覚。まぁよくよく考えれば学校に行かなければいけないのは当たり前なのだがいつの間にか転生していたことから、早々にジュエルシードを拾ってしまったり、今までの魔法の練習でスッカリと頭から抜け落ちていたのである
「転生するまで高校生やってたんだから小学校ぐらい行かなくてもいいんでない?」
〈ダメです。マスターの通っている小学校は既に新学期が始まっており、マスター自身も登校していることになっています〉
「ガッデム!!」
なんてこった......まさか二度目の小学校生活......前世でもそこまでいい思い出があったというわけでもないのに誰が好き好んでそんなところにまた通わなくてはいけないのだ......といっても家には居ないとはいえ保護者も存在するのであまりわがままも言ってられないのである
考えることをやめた俺は結界と隠蔽魔法を解除して家路についた。公園から自宅までは歩いて三十分といったところ。これからは暇さえあればここで訓練することにしようと思い、足早に帰る。家に着いてからはそのまま風呂に直行。湯船には浸からずシャワーだけで済ませ、寝巻きに着替えてベッドにダイブ......する前にクローゼットの中に掛かっている明日から行かなくてはならない学校の制服と思われるものを手に取ってみる
「なぁカナン、この制服、なんか知っている気がするんだ」
〈見たところ、聖祥大学付属小学校のものと思われます〉
........................。
制服の上着のポケットに入っていた生徒証を見てみる
『私立聖祥大学付属小学校生徒 3年1組 吉川 晴斗』
原作主人公の通ってる学校やんけぇ!!!???
(体感的に)明日から魔王様と同級生です(涙目)
いかがだったでしょうか?見切り発車ですのでこれからはおそらくガクンと投稿ペースが落ちると思います。それでもよろしければ次回もお楽しみに!
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がっこーにいこー
それではどうぞ
「なぁ、マジで行かなくちゃダメ?」
〈ダメです〉
俺のささやかな抵抗はカナンにアッサリと切り捨てられる。こんなことってあるかよぉ......
あの後、結局俺は思考停止状態のまま寝落ちしてしまった。夢だったりしないかなぁと思ったがそんな都合の良いことはなく、なんの解決策も見つけることができないまま朝を迎えることとなった......ちなみに現在朝の6時を少し過ぎたくらいである
「これが神が与えし試練か......気が滅入る......」
〈そもそもマスターは、何故そこまで学校へ行くことを拒んでいるのですか?〉
「いやね?単純に面倒であるっていうのもあるよ?そんなとこに行ってる暇があったら戦力増強として使える魔法を増やしていった方がいいっていう考えもある。けどな?それ以外にも今この段階で原作キャラに接触っていうのはなるべく避けたかったんだよ」
そう、昨日も言ったが今はまだ原作に積極的に関わりたくはないのである。なにせまだ魔導師になって半日程度しか経っていない。そんな状態でジュエルシードとの戦闘やら魔導師同士の戦いに巻き込まれてみなよ?死ぬしかないじゃない(絶望)
「行くからには全力で隠蔽するけれども、そんな付け焼き刃のものが見破られないかなんてわかったもんじゃない。しかもメインキャラのすぐそばだなんて気が気じゃないよ。だから乗り気にはならないんだよ」
俺としてはここまで考えた上で行きたくないと言っているのだ。断じて小さくはない心の傷を負ったあの
「もう諦めたけどさ......そんなわけで、昨日使った隠蔽魔法を俺にかけて魔力を隠すっていうのはできるのか?」
〈はい、可能です。寸分違わずこの星の現地人と同じようにしか見えないようサポートします〉
わーい頼もしいなー()、なんて朝から頭を空っぽにしなくてはいけないという現実に辟易しながら、制服に着替え一階に降りていく。朝食は面倒なのでトーストを二枚焼いて終了。牛乳と一緒に流し込み、ニュースを見ながら時間を潰してからちょうど送迎バスに間に合うように家を出る
「イッテキマース」
やはり、気が重い......
———————————————————————
そんなこんなでバスに揺られること数十分。無情にも目的地である聖祥学園に着いてしまう。モウニゲラレナイ......ほぼヤケクソになりながら校門をくぐり昇降口へ向かう。ここで毎度お馴染み
家を出る直前にカナンに言われたことがある
〈学校に居る間は
本気で頭が痛くなりそうである。内容としてはまずは二つに思考を分割し、一つは授業を受けるのに使い、もう一つは延々と魔法の術式を組み上げ続けるといった至極単純なものである。だからといって今までそんなことしてこなかった俺にとっては難易度が高いったらありゃしない。まともに授業が受けられるか心配である
「みんなおはよーなの」
「あ、おはよー」「おはようなのはちゃん!」
「......っ!」
遂に来てしまった......今後『管理局の白い悪魔』だとか『魔砲少女』だとか『魔王少女』なんだとか言われることになる物語の中心人物、高町なのはが彼女の親友である月村すずかとアリサ・バニングスと共に教室に入ってきた。その瞬間、全身に寒気に似た何かが走った
(なんつー魔力量だよ......)
自分とは比べ物にならない魔力保有量に恐れ慄く。なるべくないようにしたいが、あれが敵に回ったらと考えると嫌な汗が噴き出てくる。本気でそんな事態になったら速攻で土下座をかます自信がある
「ほら、いつまでも扉の前に立ってるんじゃない、なのは」
「あっ!ごめんね、
そんな風に声をかけながら登場した一人の男子生徒。高町から『ゆー君』とあだ名で呼ばれていることから察するに相当仲が良いのだと予想できる。そして否が応でも感じさせられるその膨大な
(それにしても、ゆー君ねぇ......随分と仲が良いこって。俺と同時期に転生してきたとしたら説明がつかない......まぁそういう特典を願ったとしたら話は別だけれども。もしくは、あっちの彼は俺よりももっと前にこちらの世界に転生してきて友好を築いてきたか......)
正直どちらが正解なのか———はたまたどちらも不正解か———わからないが、現状では後者であると仮定しておく。証拠も理由も特にはないが......
(そして、特に隠すつもりもなし......っと)
現在の彼らは、俺が二人の魔力を感じることができたことから分かるように、己の魔力を隠蔽している素振りはない。おそらくは自分達以外の魔導師の存在を認知していないのだろう。だから隠す必要もないのだ......こちらとしてはそれがプレッシャーとなりかなり辛いのだが......
(もう一人が同い年っていう確証はなかったから、一応の収穫はあったと......はぁ、早く帰りてぇなぁ......)
最高に憂鬱な気分のまま担任が登場し、朝のHRが始まった......
———————————————————————
「きりーつ、れーい」
「「「ありがとうございましたー」」」
午前中の授業が終わり昼休みに入る。ここで俺はある失態を思い知ったのだった
(この学校、昼飯は弁当なのね......)
そう、この聖祥大学付属小学校、私立であるからか昼食は各家庭から弁当を持参することになっていた。原作主人公と同じ学校に通わなくてはいけないという事実で手一杯だったのでそれを調べることすら頭から抜けていたのである
(購買とかあったっけな?もしなかったら今日の昼飯は抜きかぁ......)
自身の確認不足が招いたことなので完全に自分に落ち度があるのだが、やはり育ち盛りの体。一食抜くのはキツいものがある———主に
徐々に訴えてくる空腹を抑えながら購買を探しに行くが見つかる気配はない。中等部以上は知らないが初等部の方は購買は存在しないようだ。晴斗の昼食抜きが決定した瞬間である
(最悪だ......明日からは気をつけよう。一応家事スキルはあるから弁当くらい作れる......はず)
主張の激しくなってくる空腹を紛らわすために気分転換をしようと解放されている屋上に出てみる。しかし、そこはかなりの人数の生徒によって賑やかな場となっており、ついでに今最も一緒に居たくない人物達もここで食事をとっているらしい。頭を抱えて叫び出したくなったがどうにか我慢することに成功した
(はぁ......前世と変わらず相変わらずの独りぼっち......寧ろ楽しくなってきたよ(諦観))
学校に居る間はカナンとの念話は行わないと取り決めている。うっかりそれが高町らに気取られてしまったら、せっかく魔力を隠している意味がなくなってしまう。本気で帰りたくなってきた(クソでか溜息)
景色がキレーダナー()海が見える屋上とか贅沢ダナー(小並感)
ここから飛び降りたらキモチイインダローナー(狂気)
「............ハッ。なんかトリップしてた気がする。」
ようやく正気を取り戻すとあと少しで昼休みが終わるぐらいの時間になっていた。教室に戻る生徒達もちらほらといるので便乗する。後は午後の授業を乗り越えればこっちのもんだ......!二、三時間程度耐え切ってやる!
「はーい、それじゃあ皆さん、寄り道をせずに帰ってくださいね」
「はーい」「先生さようならー」
ようやく帰れる......!長かった......実に長かった............やっと授業が終わったかと思えば帰りのHRで委員会の人選が始まり、通常の終了時間よりも大幅に遅れての放課後突入である。俺?全部ガン無視してたよ、やりたくないもの
(早く帰って飯を食いたい......この飢餓状態でよくも
そそくさとまだ談笑しているクラスメイト達の間を縫って教室から脱出、ほぼ一番乗りで昇降口まで到着する。手早く靴を履き替え一直線で校門へ。このまま徒歩で帰るとなると行きよりもさらに時間がかかってしまう。普段ならそれでも全然構わないのだが今日は違う。
『カナン、飛行魔法を使うからバレないようにしてくれないか?』
〈本来ならこの状況での魔法の使用は諫めるべきなのでしょうが、今日は大目に見てあげましょう〉
『ナイスゥ!流石俺の愛機!大好きだぜ!』
〈くぁwせdrftgyふじこlp〉
なんかバグった......まぁそれは置いといて、早速昨日習得したばかりの飛行魔法を発動させる
〈Float〉
すると両足首の辺りにそれぞれ円環が現れ、そこから浮力が発生して体が浮き上がる。安心してください、『フロート(笑)』ではないので。隠蔽魔法もちゃんと発動しているようでまだ校舎に残っている高町と転生者———
———————————————————————
その後、無事誰かに見つかることも墜落することもなく家に到着することができた。急いで中に入り速攻で着替えて料理に取り掛かる。時間が惜しかったので特に考えず具なし炒飯を大量に作ったのだが、やはりロクに準備もしなかったため、味は普段よりも微妙であった。まぁ胃に収まっちまえばこっちのもんだ!
「ふぅ......ようやく落ち着いたぜ。登校初日からハードすぎるわ」
〈マスターがお弁当を忘れたのが悪いんですけどね?〉
「わーってるよ!明日はちゃんと作ってくってば......。それにしても、いざこの目で直接見ると如何に高町なのはが規格外であるかがわかったような気がしたよ、もう一人の方も」
〈おそらく現状では、あの二人と戦った場合マスターの惨敗が予測されます〉
「わかってるからわざわざ口に出さないでいいよ......それはそれで心にクルから......はあ、ほんとどっと疲れたよ。今日はもう訓練なしでいいや。風呂と飯を済ませたらもう寝よう」
〈はい、本日は休息に充てた方がよろしいかと思います。〉
「おっし決まり。ったく、原作介入も楽じゃないぜ......」
改めてこの世界の過酷さを思い知らされた一日であったが、これから先は更に大変なことになるのを思い出し、わりかし本気で絶望しつつ夕飯の下準備をしにキッチンへ向かうのだった......
なんか中途半端な終わり方ですがご容赦を
あれ......主人公学校で誰とも喋ってなくね......?(汗)
戦闘シーンなんかはもうちょっとお待ち下さい!それではまた次回もお楽しみに!
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温泉で羽を伸ばしたかっただけなのに......
閲覧数やお気に入りが徐々に増えてきていて感謝の限りです!
それではどうぞ
あれから数日、初日にやらかした弁当事件も二度目が起こることはなく、トラブルに見舞われることもないまま過ごしていた
魔法の練習はあの日以降は休むことなく行い自分でも上達しているのがわかる程度には成長していた。分割できる思考の数も四つまでに増やすことができ、ここまでは順調である。一度ジュエルシードの反応があり見に行ってみたところ、何やら馬鹿でかい屋敷———後で月村の家だと知った———にジュエルシードを取り込んでしまったと思われる猫に高町と七条、そして
『ここまでは確か原作通りだったはず。それにしても、あの時は見てるだけだったにも関わらず本気で恐怖を覚えたね。ナニアレ?あんなの勝てる気が一切しないよ』
〈現在のマスターの力量では高町なのは、七条優輝らは兎も角、あのフェイト・テスタロッサという少女には歯が立たないでしょう〉
『そりゃそうだろうさ。あの子との勝負は二人に任せるよ......あれ?そうすると俺、原作に介入できるのか?』
そんな不安を新たに抱えながら現在下校中。あの二人は今日も普通に登校してきていたのでも今のところ体調などに問題はないのだろう。こちらも依然バレた様子はないので安心している
「たっだいまー......おろ?」
家に着いて玄関を開けるとそこには見慣れない女性モノの靴が一足。不思議に思いながらまずは手を洗いリビングの方へ。扉を開けた先には......
「おや、おかえり晴斗」
「......ただいま。お久しぶりです、
そう、そこに居たのは
「ああ、久しぶりだ。相変わらず君は堅苦しいね。もっと普通に、家族のように接してくれていいんだよ?」
「すみません......こっちの方が慣れちゃってて」
まあいいけどね、と言ってコーヒーを飲むフィーナさん。それを尻目に俺は自分の部屋に戻って制服から普段着に着替えてしまう。そうして、またリビングへ行き自分の分のコーヒーを入れてソファに座る
「へえ、いつの間にコーヒーなんて飲めるようになったんだい?」
「ええ、まあ、つい最近ですよ」
と、当たり障りのないように答える。フィーナさんはカナンとは違い、普通にこの世界の人間として暮らしているため、不自然にならないように細心の注意を払わなくてはいけない
「そうそう、晴斗に渡したい物があるんだ」
「......?なんです?」
そう言って渡されたのは一枚のチケット
「温泉の......招待券?」
「ああ。駅から家に来るまでの間にもらったんだがな、その日はちょうど仕事が入っているんだ。しかし、捨ててしまうのは勿体ないので、晴斗にあげようというわけさ」
「はあ......別にいいですけど。いつですか、これ?」
「今週末と言っていたかな?」
「げっ......もうすぐじゃん。ええと、なになに?『海鳴温泉優先招待券』......。明日の連休からか。まあ予定もないので行きますよ」
「私が言うのもなんだが、友人と遊ぶ約束などはしていないのかい?」
「HAHAHA......」
な、泣いてなんかないんだからっ!
「送り迎えは私も行くから安心するといい」
「そうですか、ありがとうございます。どうせならフィーナさんもゆっくりできればよかったですね」
「君は優しいね。確かに少し残念だよ......そうだ、今日は翠屋でケーキを買ってきたんだ。一緒に食べるとしよう」
「いただきます」
冷蔵庫からケーキを出して皿に盛り付ける。フォークを一緒に持ってテーブルまで持っていく。
「好きな方選んでください」
フィーナさんが買ってきたケーキはモンブランとガトーショコラの二種類。
「では私はモンブランをいただこう」
「じゃあ俺はガトーショコラで」
ケーキだったら紅茶のほうがよかったかな、なんて考えつつ早速一口食べてみる............ウマッ!?なんだこのケーキ、甘すぎないチョコの味わいが口の中に広がっていくっ!うまい、うますぎる!(語彙力)俺食レポ下手すぎかよ
その後は適当にお互いの近況を報告し合うだけで特になし。俺は本日出された宿題を片付けるために自室に戻り、フィーナさんはそのままリビングで仕事関係の作業をするそうだ。
連休ということでいつもより多めに宿題が出されたが、所詮は小学生がやるものなので小一時間程度で終わらせてしまう。その後はカナンの指導の元
「おーい、晴斗!夕飯ができたぞー!」
下の階から声がかかる。バルディッシュの魔力刃で切り裂かれたところでイメトレを終了。壁にかけられた時計を見ると20時近くになっていた。フィーナさんが帰ってきた日は彼女が夕飯を作ることになっている。本日のメニューはペペロンチーノにオニオンスープ、サラダの三品
「「いただきます」」
「それにしても、また姉さん達に似てきたね」
「そうですか?」
「ああ、面影がある」
そう言って二人して部屋の一角に飾られている両親の写っている写真を見る。言われてみれば......と思うぐらいには彼らのことを両親だと認めているし、確かに似ている部分があるようにも感じるが、なんとも不思議なものだ......
「そら、食べ終わったのならさっさと風呂に入って明日の準備をしてしまうといい。かなり早めに出るつもりだからね」
そう言われた俺は食器をシンクに持っていき水につけ、自分の部屋から着替えを持って浴室に向かう。長風呂はせずに足早に上がり、部屋に戻って明日からの着替えや洗面用具などをカバンに詰めてゆく。そんなこんなで既に23時を回ってしまっている。そろそろ寝なくてはいけない。転生前の生活と比べるとえらく早いような気もするが、幼くなったこの体のせいかこの時間でもそれなりの睡魔に襲われるようになってしまった。フィーナさんに一言寝る前の挨拶をしてからベッドに入る。さて、明日が楽しみだ
———————————————————————
「それじゃあ、また明後日に迎えに来るから」
「はい、フィーナさんも気をつけて。いってらっしゃい」
翌朝、車で送ってくれたフィーナさんと宿の前で別れる。子供一人で大丈夫なものかと思ったが特に問題はなく、受付を済ませてしまう。部屋の鍵を渡され荷物を置いたら早速温泉に浸かろうかと考えているとなにやら後ろから賑やかな声が......
「あれ?吉川くんだ。こんなとこで会うなんて奇遇だね」
なんと、現れたのは高町なのはとその家族一同にアリサ・バニングスや月村すずか、七条優輝ら同級生組。そしておそらくは月村の姉と思われる人物と見かけない女性が二人いた
(そういや、温泉回があったんだったか......かんっぜんに忘れてたわ......)
ということは、近くにフェイト・テスタロッサに彼女の使い魔であるアルフもいるというわけである。恐ろしや......
「なのはのお友達かな?僕は高町士郎。駅前の翠屋でマスターをやっている。こっちは妻の桃子に息子の恭弥と娘の美由紀だ」
「え、ええと......吉川晴斗といいます。高町さんとは同級生です。よろしくお願いします......」
「うん、よろしく」
差し出された手を取って握手をする。大きな手にほとんど包み込まれる形になってしまい改めてこの体の小ささを実感する。その後は各人と挨拶をして回り———この時ノエルさんとファリンさんのことを知った———この宿にいる間、寝るのは流石に自分の部屋でだがそれ以外は高町ら一行と過ごすことが決まった。今は部屋に荷物を置いて男性陣で浴場へ向かっている
「晴斗は今日は一人で来たのか?」
「はい、本当は叔母と一緒に来る予定だったんですけど急遽仕事が入っちゃったみたいで......」
恭弥さんに尋ねられた俺は少し嘘を混ぜつつ説明する。こっちの方が世間体が良いからね
脱衣所に着いたので服を脱ぎ、各々体を洗ってからいざお湯に浸かる
「あ゛あ゛〜〜、極楽なんじゃぁ〜」
体が弛緩し疲れが溢れ出すような錯覚がする。やはりこの二週間近く、思っていたよりも疲労が重なっていたようだ。心も軽くなったところであることを聞き出そうと話しかけてみる
「そういえば、高町さんは七条くんと学校でもかなり仲がいいんですが、小さい頃から知り合いなんですか?」
「ああ、実を言うと僕は随分前に一度大きな怪我を負って入院したことがあってね。翠屋もオープンしたばかりで桃子達も忙しくしていて、あまりなのはの面倒を見てあげられなかった時期があったんだ。そんな時に仲良くしてくれたのが優輝くんなんだ。おかげでなのはも寂しい思いをしないで過ごせたみたいなんだ。本当に感謝してもし切れないよ」
「そ、そんな!俺はただ独りぼっちは悲しいだろうなって声をかけただけなので......そんな感謝されるようなことはしてませんよ」
照れくさかったのか、慌てて訂正する七条。これで疑問だった七条の転生した時期を知ることができた。ではこの差は一体なんなのかとは思ったが考えても埒が明かないので考えるのはやめ、談笑しながら温泉を満喫することにした。
温泉から上がった後は定番の卓球をしたり、お土産を見て回ったりしていた。今は一人でマッサージチェアで全身を揉み解されている。
「あ゛あ゛〜〜、気持ちええんじゃぁ〜」
これでもか、と全身を脱力して満喫していると声をかけられる
「なあ坊や、それはどうやって使うんだい?」
「え?膝掛けのところにお金を入れれば動きますよ」
突然質問されたが邪険にあしらう必要もないので教えると、言われた通りに硬貨を入れてマッサージチェアに腰掛けたようだ
「あ〜、こいつはいいね〜」
そんな気持ち良さげな声を出している人物の方を見てみると、そこには驚くべき光景が......
(......まじかよ)
視線の先に居たのは橙色の髪、そして額の宝石が特徴的な......何を隠そうフェイト・テスタロッサの使い魔、アルフであった
『なんでこんなところで遭遇するかなぁ......カナン、隠蔽魔法はちゃんと効いてる?』
〈はい、正常に稼働しています。これでしたらこちらが魔導師であると悟られることはないでしょう〉
『ならいいや』
ひとまず安心したところでマッサージチェアが時間切れとなる。ナイスタイミング、と心の中で叫びながらアルフに一応声をかけて足早に退散する。今ので寿命がかなり縮んだ気がするぜ......!
しばらくしてから従業員さんにお願いして高町御一行と夕食を取らせてもらい、また温泉に浸かって和気藹々とした後に自分の部屋に戻った
明かりを消し、窓から月を見て時間を潰しているとジュエルシードの反応があった。その後すぐに誰かによって封印されたようだが、様子が気になったのでコッソリと見に行ってみる
「どうしてジュエルシードを集めてるの!?」
「君達は一体何者なんだ!」
「さぁ?答えてやる理由はないね」
現場に到着し、近くの茂みに身を潜めるとそこには高町と七条にユーノ、そしてテスタロッサとアルフが居た。あわや一触即発かと思っていると......
「そこにいるのは誰だいっ!」
ギクゥ......!
「出てこないんなら、こっちから行くよ!」
バ............バレたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!???
戦闘は......戦闘はもうちょっとお待ち下さい......(汗)
士郎さんの口調がわからない......(愕然)もうほとんどオリキャラとして見てください......(諦め)
七条くんも台詞が全然ないし......どうしたものやら
それではまた次回もお楽しみに!
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よし!逃げよう!......えっ?逃げられない?
それではどうぞ
(ヤバいヤバいっ!まさか見つかるとはっ!)
不測の事態だ......今後の為に少し観察をしておこうと思ったら速攻でアルフに気付かれた。魔力は隠しているからそれでバレることはないだろうし......ちょっとした物音と気配だけで気づいたってか!?どんだけスペック高いんだよ!
〈マスター、如何なさいますか?〉
『ちくせう......カナン、変身魔法って使えるか?』
〈はい、可能ではありますが......なぜ今それを?〉
『現状誰かが隠れているってのはバレちまってるけど、まだ
そう、最悪の場合隠れているのが魔導師であると露見しても構わないのだが、その魔導師が吉川晴斗であるということを現段階では気取られたくないのである
『そんなわけだからよろしく!』
〈Shapeshifting〉
カナンが俺のオーダー通りに変身魔法を発動したのだろう、自分の体が変化したことがわかる。変身が無事成功したことに安心しつつ、警戒したまま両手を上げて隠れていた茂みから顔を出す
「ようやく出てきたね。アンタはこのお嬢ちゃん達のお仲間かい?」
「な、仲間?何を言っているのかさっぱりわからないんだが......?」
俺が変身した姿は今よりも身長が伸び、幼かった顔つきも青年として成長した———前世の死ぬ前の俺自身である
「ば、僕はただ、この辺りを探索していたら大きな光が見えて、な、なんだったのか確かめに来ただけなんだ......っ!」
「そんな言葉が信じられると思うかい?」
「ほ、本当なんですって!」
気弱な青年風の迫真な演技も虚しく、疑惑を晴らすことに失敗する。そりゃそうだろう。こんな時に隠れている奴がいたら普通疑うだろう。誰だってそうする、俺もそうする。でもできれば今回は見逃して欲しかったなぁ!
「でもアルフ、あの人からは魔力は感じないよ?もしかしたら本当に民間人かもしれない」
「そうは言ってもねぇフェイトぉ」
ナイスフォローだフェイトそん!!そう、今はジュエルシードを手に入れる為に高町達と敵対しているが、フェイト・テスタロッサという少女はただ母親の願いを叶えてあげたいという根は優しい女の子なのだ。そんな彼女が無関係の人間を巻き込むのは良しとしないだろう(決めつけ)
「流石に民間人に被害を出すのはリスクが高過ぎるよ。だからここは見逃すべきだと思う」
「はぁ......アタシはフェイトの言うことに従うよ。ほら、聞いてたかいそこのアンタ!どっか行くんならとっととするんだね!早くしないとガブッといっちまうよ!」
「ひえっ......!」
アルフの忠告にわりかし本気でビビりつつ、その場から離れる為に背を向けて走り出そうとする、しかし......
「............ファイヤ」
〈Photon Lancer〉
全身に悪寒が走り、本能で危険を感じ取ったので全力で横に跳びながら地面に倒れ込む。すると俺が元いた場所は地面が陥没し、帯電しているのかバチバチと電流が流れていた
「チョット待てぇ!今逃してくれる流れだったじゃん!なのに後ろから撃つって!あんなん喰らったら死ねるわ!」
「非殺傷設定にしていたから死にはしない筈だよ」
「バァカ!普通の人間はあんな電流浴びたら普通に死ぬっつうの!」
「でも、貴方は普通じゃないから当たらなかった」
「............っ!」
しくじった......これなら避けずに攻撃されて、気絶したフリでもなんでもしつつ、レアスキルを使って再生してれば良かったな......どうにか戦闘には巻き込まれないようにしないと......
「......はぁ。確かに、僕は君達の使っている魔法について知ってはいるがそれだけだ。別に君達の邪魔立てをするつもりはないし、その宝石のような物をどちらが手にするのかも興味は無い。だからここは穏便に済ませてくれないか?」
「なっ!?ちょっと待ってくれ!あれを彼女達に渡すわけにはいかないんだ!あれは危険すぎる!」
ここで漸くフリーズ状態から解除された七条がこちらに向かって大声で叫んでくる。この発言だと、七条は原作を知らないのか、それとも知ってはいるが原作通りに進める為に建前で言っているのかはわからないが、そんなことはどうでもいい。今はどうやってこの状況を無傷で乗り越えるかだ!(ゲス顔)
「それこそ僕には関係ないね。それが如何に危険なのか僕は知らないし、どっちが所持してもどうだっていいんだよ」
嘘です本当はどんだけヤバいものか知ってます。それに物語的にはテスタロッサの方に渡ってくれないと困るんです許してください
「そんなわけだからさ、今回は見逃してくんない?」
「......わかりました。でも、私達がここから立ち去るまで、貴方はそこを動かないでください。いいですね?」
「それくらいで赦してくれるんだったら万々歳さ」
これでなんとか命は繋がれた。また不意打ちがないとは言い切れないがその時はその時である。なので俺はこれから行われる彼らの戦いの観察に集中する
「どうしても、話し合いでは解決できないんだね?」
「ええ、貴女達か私達、どちらがジュエルシードを得るか戦って決めるしかない。だから賭けて、それぞれ一つずつ、持っているジュエルシードを」
「......わかったなの」
「なのは!?......クソっ!ユーノ!あっちの使い魔の方は任せていいか!?」
「なんとかする!優輝はなのはのサポートをしてあげて!」
そう言うとユーノはアルフを巻き込んで結界内の何処かに転移してしまった。
「じゃあ、こっちも始めようか」
「うん。でもその前に、貴女のお名前を教えて欲しいの」
「名前?」
「そう、お名前。私の名前は高町なのは。そしてこっちが......」
「......七条優輝だ」
「......私は、フェイト・テスタロッサ」
「フェイトちゃん......ありがとうなの」
そう言って高町は自身のデバイス———レイジングハートを構える。それに釣られてテスタロッサもバルディッシュを構え、七条も遅れて大剣型のデバイスを両手で持ち直す。いよいよ始まるみたいだ
「......っ!」
テスタロッサが仕掛ける。その速さはこの距離でも姿を見失いかける程に速い。高町達からしたら一瞬で目の前から消えたように見えただろう。
「うおおおおお!!」
————ガキィィィン!
高町を狙った一撃を七条が間に体を滑り込ませ、自分の持つ大剣で受け止める
〈Flier Fin〉
その隙に飛行魔法を発動し空中へ逃れた高町。それに追随するように七条も上空に上がる。
「お願いっ!レイジングハート!」
〈All right〉
「バルディッシュ、いける?」
〈Yes,sir〉
高町とテスタロッサの一騎討ち。高町はレイジングハートの穂先に魔力スフィアが、テスタロッサは自らの腕に円環がそれぞれ出現する
「ディバイン......!」
「サンダー......!」
「バスターーーー!!!」
「スマッシャーーー!!!」
————ズドォォォォォン!!
砲撃魔法のぶつかり合い。その余波はこちらにまで振動が伝わるほどに規格外のものだった。威力は互角、一対一ならばどちらかの魔力が尽きるまで拮抗し続けるだろうが、この戦場にはもう一人魔導師がいる
「取った!」
〈Assault Slash〉
————ゴウッ!
七条の放った斬撃が
〈Blitz Action〉
七条の攻撃に反応した瞬間、砲撃魔法を破棄してその場から瞬時に移動する。拮抗するものがなくなったディバインバスターは七条のアサルトスラッシュをそのまま飲み込み、テスタロッサの後ろから攻撃した七条に向かう。慌てて避けるが着弾の衝撃でその場から吹っ飛ばされてしまう。七条の斬撃もそれなりに魔力の篭ったものだったのに、それを易々と打ち消してしまう高町の砲撃に戦々恐々とする
〈Scythe Slash〉
高町が硬直している隙にテスタロッサが後ろに回り込み、バルディッシュをサイズフォームに変形させてその刃を首筋に当てる
「これで......終わりだね」
「うっ......」
〈......Pull out〉
レイジングハートがその身からジュエルシードを排出する
「レイジングハート!?なにを!?」
「主思いのいい子なんだね」
そう言うとテスタロッサは宙に浮くジュエルシードを手に取り、地上に降りてくる。高町も後に続くがその顔は暗い表情に包まれている。七条も離れた場所からそちらを見ながら悔しそうに顔を顰めている
「......帰ろう、アルフ」
「はいはい、アタシのご主人様。それじゃあね、ちびっ子達」
暫くの間見つめ合っていた三人だったが、アルフを呼んだテスタロッサはそのまま背を向けて何処かに転移してしまった
「さてと、それじゃあ僕も退散っと」
テスタロッサ達がいなくなった以上ここに居続ける必要もないと思い立ち去ろうとする。すると、
「待ってください!」
「......おや、何かな少年?」
七条に呼び止められる。早くこの場から離れたい俺は不機嫌さを隠すことなく振り返って彼の方を向く
「貴方はいったい、何者なんですか!?」
「何者って......君達に名乗るような名前のない、魔法についてただ知っているだけの男だよ」
そう言ってはぐらかし、体の向きを反転させ今度こそこの場から離れることにした。後に残された二人は神妙な顔つきをしてその場に暫くの間佇んでいた
「あっぶなかったーー!マジで身バレするかと思ったわ!」
あの場から少し離れたところで変身魔法を解除し、部屋に戻ってきた俺。当初はどうなることかと思ったがなんとか無事(?)切り抜けることができた
〈お疲れ様です、マスター〉
「マジで疲れたわ......寿命何年縮んだんだよ......あー、もう何も考えられない。もうこのまま寝てしまおう。体は朝洗えばいいや。そんじゃおやすみぃ......」
〈はい、おやすみなさいマスター〉
そう言ったきり、俺は泥のように眠りについた。直接戦闘を行ったわけではないがそれでも疲労は溜まっていたのである
こうして温泉旅行の一日目は終了したのだった
皆さんお待ちかね(?)の戦闘回でした!(なお主人公......)
おかしいな......?七条くんももっと強くするつもりだったのに......
主人公くんもなかなかにゲスムーブしてましたし......なんでだ?(すっとぼけ)
それではまた次回もお楽しみに!
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連休明けって凄くだるいよね......
いつもと違う時間の投稿となりました
相変わらずの文章力ですが......誰か作者に文才をください......(切望)
それではどうぞ
初日の夜以降は何事もなく、温泉旅行は無事終了した。まあ、高町と七条はずっと浮かない顔をしてたから保護者連中は心配していたがな......俺?普通に過ごしてたよ?無関係を装ってるからね。
そんなこんなで今は連休明けの学校で昼休み中である。俺の席は窓側の一番後ろ、教室内を見渡すにはうってつけの場所だ。ついでに寝やすい。そんなわけで昼休みはもっぱら弁当を食べ終えたら寝たフリをしながら教室内を観察している。誰かと遊ばないのかって?精神年齢17歳に無茶言うなよ()それに向こうからも声かけてこないしさぁ......
「いい加減にしなさいよっ!」
おっと修羅場発生。今の声はバニングスか?相変わらずのくぎゅう声だなぁ、なんて思っていたらバニングスが教室から出て行ってしまった。月村が後を追い、七条は怒りの矛先であったであろう高町を慰めている。
(十中八九、魔法関連だろうなぁ......)
バニングスは悩んでいる高町を心配して悩みを打ち明けて欲しかったのだろうが、そうもいかない。今高町達が抱えている問題は魔法が関わっているため、おいそれと無関係の人間に話すわけにはいかないのである。聡明なバニングスのことだから、自分に話してくれない時点で自分では高町の悩みを解決することができないのだとわかってはいるのだろうが、それはそれ。親友として頼ってもらえないことに憤慨しているのだろう
(ま、俺はもう暫くは無関係なので......)
そう思い、狸寝入りを続行。気のせいかもしれないんだが......なんか七条の奴、こっち睨んでね?なして?
———————————————————————
そして放課後。帰り道に臨海公園に寄っていつも通り魔法の練習をする。順調ではあるが、一人での特訓なため対人戦闘には未だ不安が残っている
「はぁ......マジで勝てる気がしないや......こんなんで大丈夫かね?」
〈安心してください、マスター。今のマスターなら瞬殺されることはありませんから〉
「それを聞いてどう安心しろっていうんだ」
だが確かに、初めて高町達と会った時やテスタロッサを見た時には勝ち目はないとカナンに扱き下ろされたのに比べれば充分成長できているのだろう。それでも不安なものは不安なのであるが......
「いっそのことこのまま突入しちゃうってのもアリだけど......」
〈マスターはヘタレなのでそんなことできないですよね?〉
「ウッセ!余計なお世話じゃい!にしても、なんで七条はこっちを睨んでいたんだろう......?」
〈おそらくは本来のストーリーならそこにいるはずのない同級生、つまりマスターが居たことから警戒をしているのかもしれません〉
「なるほどな。それに加えて、謎の男......いやこれも俺なんだけどね?そんな奴が居たんだからそりゃあ関連性を疑うわけだ。しくじったなぁ......」
〈ですが向こうからの接触がないということは、少なくともマスターがあの場に居たとバレてしまったわけではなさそうですね〉
「だといいけど」
そうやって愚痴りながら続けていると早いものでもう19時を少し過ぎるところ。辺りはすっかり暗くなってしまっている。まだ続けるか悩んでいると......
————ズオォォォォォォ......
「なんだ?いやに大きな魔力の流れだけど......?」
〈おそらく、ジュエルシードを発見する為に魔力を流し込んで意図的に暴走させようとしているのかと思われます〉
そう言った瞬間、ジュエルシードの反応が現れた。カナンの言う通りだったということだ。その直後にユーノが張ったと思われる結界が街を覆う
「見に行くべきか......でも同じ轍は踏みたくないしなぁ......」
〈偵察用の魔力スフィアを飛ばしますか?〉
「うんにゃ、結界の外だったら流石にバレないだろうし......」
〈了解しました。では、隠蔽の精度を優先します〉
「よろしく」
そう言って俺は飛行魔法で飛んで行き、結界の範囲からギリギリ外のビルの屋上に着地する
「おお、ドンパチやってんなぁ......カナン、アレ封印できてると思う?」
〈いいえ、原因はわかりませんが術式が綻んでしまっています〉
「だよなぁ......どう見たって不安定ですって感じだし。気付いてないのか?」
タイミングが悪かったのか、どうやら七条は居ないらしい。もしあの場に居るのならすぐに気付くだろうに......
「ま、いいや。今回こそは高みの見物といこうじゃないか」
〈ゲスいですね、マスター〉
「しゃーないだろ!いざとなったらなんとかするけどさぁ!」
〈Roger.結界破壊用の術式を構築しておきます〉
「ありがと!」
そんな会話をした後、暫くの間黙って高町とテスタロッサの戦いを観戦する。驚くべきことに、高町の奴、あのテスタロッサとほぼ互角に渡り合っているのである。
「すげぇな、つい数日前は二人がかりでもほとんど一瞬でやられちまったつうのに」
〈驚くべきセンスと成長速度ですね〉
「ほんと、嫉妬しちゃうくらいすげぇや」
必死に会話を試みようとする高町を見て改めてその大きな才能の差を感じさせられる。もはや羨ましく思うどころか呆れてしまうほどに......
「にしても、ここからじゃなに言ってるかさっぱりだな」
そう、こんな遠くからではなにか話していることはわかっても、その内容までは窺い知れないのである
「おっ、動いたか」
なにを言っているのかわからずやきもきしていると、ジュエルシードの確保を優先したのか、テスタロッサは高町との戦いを放棄してジュエルシードに向かって突貫する。それに気付いた高町も急いで追う。そして二人のデバイスがジュエルシードを間に挟みぶつかり合った瞬間......
蒼い閃光と衝撃が迸った
「なんだったんだ、今のは......」
漸く視界が正常に戻った俺は今の現象の説明をカナンに求める
〈二人の魔力に反応してジュエルシードが次元震を起こしたのだと思われます〉
「次元震?なんだそりゃ?」
〈莫大なエネルギーの奔流によって起こる次元災害の一つであり、これの規模が大きくなってしまうと次元断層という更に高次な災害に発展します〉
「ちなみ、その次元断層が起こるとどうなるん?」
〈発生した地点から複数の次元世界を巻き込んで崩壊します。また、虚数空間というあらゆる魔法が無効化されてしまう空間へ繋がる穴が空いてしまいます。今回は小規模だったのでそこまでいきませんでしたが〉
「マジかよ......そんな危なっかしいもんだったのかよこれ」
思わず、カナンに格納していたジュエルシードを取り出して見つめてしまう
「でも魔力タンクとして使えそうだからなぁ......」
そう、純粋に魔力を取り出すだけならば暴走する心配はないのである。これを使って高町達と比べて低い魔力量を補填しようと思っていたのだが......少しでも使い方を間違えたら恐ろしいことになりそうだと不安になる
「ってそんなことより、あいつらは大丈夫か!?」
ここはジュエルシードから離れていたうえ、結界の外であった為衝撃は殆ど届かなかったが、彼女達が居たのはモロ中心地。被害は相当なものであると思ったが......
〈二人を発見、どちらも外傷等は見受けられません。ですが、両名のデバイスは損傷してしまっているようです〉
「そうか......無事ならいいんだけどさ......あいつらのデバイスって直るのか?」
〈おそらくは自動修復機能が搭載されているでしょうから、少し経てば直るかと〉
「ヘぇ〜、そりゃ便利。カナンにもあるん?その機能は」
〈はい、私にも搭載されています〉
「そいつはよかった。まぁ最悪俺がスキルで直せばいいんだけどな............おいおい、あいつなにやってんだ!?」
見るとテスタロッサが宙に浮いていたジュエルシードを手に取り、自力で封印しようとしていた。その両手からは青い光が漏れ出ている
「それはマズいだろう!?ったく!カナン!」
〈All right. 結界破壊、及び封印効果を付与します〉
そんなカナンのサポートを聞き流しつつ、一か八かでテスタロッサに念話で呼びかける
『フェイト・テスタロッサ、君が身を挺して封印しようとするのは勝手だが、その前にその場から離れるといい』
『っ!なにを!?』
どうやら無事聞こえたらしい。こちらを疑いつつもすぐに離脱してくれた
〈マスター、準備完了です〉
「さんきゅっ!当たってくれよ!」
〈Failnaught〉
発動させたのは自動追尾性能のある射撃魔法。的は動かないだろうが結構距離があるので念の為である。放たれた弾丸は目の前の結界を突き破り多少威力は減衰しているが、攻撃が目的ではないので問題ない。そのまま一直線に飛んで行きジュエルシードに着弾する
「ジュエルシード、シリアルXIX ......封印」
着弾した俺の魔力がジュエルシードの周りを包むと、発せられていた不気味な鼓動と光が収束していく。やがては完全に収まり、吹き荒れていた魔力も感じなくなった
「これでよし、っと......俺がやるのはここまで。とっとと帰ろう、カナン。これでまたバレたら面倒だ」
〈Roger. 転移魔法を複数のダミーと同時に展開します〉
こうして俺は、何気に初めて直接的な介入をして家に帰ったのだ
如何だったでしょうか?作者が原作アニメを見たのは随分と前なので作中のオリ主の知識量とほぼ同じです(おい
なので現在片っ端から見直しながらの執筆になりますのでおかしな点がありましたら報告してください(雑なコメ稼ぎ)
あと原作であったバトルは主人公くんが介入しない限り基本細かい描写はカットします。ご容赦をば......
それでは次回もお楽しみに!
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バレちまったってばよ......
作者は題名を考えるのも苦手です
それではどうぞ
「カナン、追跡はあったか?」
〈いえ、そのような形跡はありませんでした〉
「そっか、ならいいや......だあぁぁ疲れたぁぁ!」
〈お疲れ様です、マスター〉
まだ着替えていないがベッドに倒れ込む。あれからダミーの座標を交えながら複数回に分けて転移して家に帰ってきた。何故わざわざそんなことをしたかって?仮に一発で家に転移したとして、その座標を解析されて我が家を特定されるなんてことになりたくなかったからだ。
「あぁ〜、魔力が空っぽに近い......」
直前まで自己練でそれなりの魔力を消費した上に、結界破壊と封印の術式を組み込んだ射撃魔法で通常時以上に持っていかれ、とどめの複数転移である。一般の魔導師よりか多少は多いものの、潤沢にあるとは言い難い魔力量の俺にはかなりの負担だった。
「これでなんともなかったら、ジュエルシードを魔力タンクにしようなんて思わねぇよ......なぁカナン、疲れたから明日は学校休んでいい?」
〈ダメです〉
「あァァァんまりだァァアァ!!」
〈それでですが、マスター〉
「アッハイ」
渾身のネタもカナンには通じなかったようだ
〈おそらく、今回の次元震を観測した管理局が近いうちに干渉してくるかと予想されます〉
「ああ、このタイミングなのか、動きづらくなるなぁ......」
ということは、次のジュエルシードの発動の時にあのクロノ・ハラオウンの登場というわけだ。いつ、どこでだったかは忘れたが......
「諦めて次は普通に介入しようかな......?でもそうするとアイデンティティがなぁ......」
〈どんなアイデンティティですかそれは......〉
「いや流石に冗談だから、イッツジョーク」
〈わかってますよ。ではこれからも今まで通り、マスターの心の準備ができるまでは訓練ということでよろしいですね?〉
「なんか棘のある言い方だなぁ......なにも言い返せないけれども......!」
〈ご安心ください。マスターのことが勘付かれないようしっかりとサポートしますので〉
「そいつぁどうも!」
———————————————————————
あの後、流石に限界だったのか、いつかのように寝落ちしてしまい朝起きてからシャワーを浴びるハメになってしまった。
「本日も晴天なり......ってね。はぁ、だるいぜ......」
〈サボりは許しませんよ〉
「わかってますぅ〜!だからこうやってちゃんと制服に着替えてるんですぅ〜!」
〈ええ、よろしい〉
「ったく......ほんじゃまぁ、今日も行ってきやーす」
同時刻—次元空間内—
次元空間航行艦船アースラのブリッジにて
「さて、あとどれくらいで例の管理外世界に着くかしら?」
「もう間も無くで目標次元に到達できる予定です」
ブリッジ内で一番高い位置にある席に座る女性、リンディ・ハラオウンの質問にオペレーターの一人が答える
「それにしても、管理外世界で五人、しかも少なくともそのうちの二人は現地人の魔導師が確認されるなんて......凄いこともあったものね」
「前回の小規模次元震以来、目立った動きは見受けられないですが、捜索者同士の再度の衝突の危険性は非常に高いですね」
「そうね。それに、小規模とはいえ次元震の発生は見逃せない事だわ。もし危ない状況になったら急いで出撃してもらうわね、クロノ?」
そう言ってリンディはある少年に目線を向けた。クロノと呼ばれた視線の先の少年は黒い装いのバリアジャケットを装着している
「勿論、わかっていますよ艦長。その為に僕はここに居るのですから」
———————————————————————
どうも、今は毎度お馴染みの昼休み......ではなく既に放課後。いつものように訓練中である。高町はいつも通りに学校に来ていたので問題はないようだった。面白かったのはバニングスの奴だ。学校にいる間、高町の方を見ていて目線が合いそうになると急いで顔を背ける、というのを延々と繰り返していた。怒ってはいるが関係の修復が不可能という程でもなさそうなので大丈夫そうである
「今朝見た占いだと、今日の運勢は最悪とのこと。なにか嫌なことが起きるような気がしてならないぜ」
〈マスターは意外と世俗的なのですね。もっと捻じ曲がったものの見方をしているのかと思っていました〉
「お前ってちょいちょい俺のことディスってくるよな?」
そんな軽口を叩いているとあっという間に時間が過ぎ、時刻は18時半。練習を始めてから二時間が経過する頃である
「なぁカナン、まじで嫌な感じがしてきたんだけど......」
〈マスターは心配性ですね。なにも問題は............いえ、マスターの予感が的中したようです〉
「え、なに、どゆこと?」
〈この場からすぐ傍、公園の敷地内でジュエルシードの反応を確認。また、ユーノ・スクライアによるものと思われる封時結界が張られました〉
「まじかよ、逃げられねぇじゃん......」
〈はい、それともう一つ報告があります〉
「今度はなに!?」
〈私達の結界が破られるまで、3...2...1〉
「ちょちょちょ、待っ......」
————バリィィィィィン!
カナンのカウントダウンの後、訓練の為に張っていた結界が音を立てて割れてしまった。その先に居たのはジュエルシードを取り込んだと思われる木の化物。そして高町、七条、ユーノ、テスタロッサ、アルフの計三人と二匹の姿。
「......うっそだろぉ......って危なぁ!?」
一瞬何が起こったか理解できずにいたが、鞭のように振るわれた枝を見て慌てて回避する。ついでに魔力弾を数発撃ち込むがバリアで弾かれてしまった
「どうして吉川くんがここに!?」
全員が驚いているなか、高町がこちらに話しかけてきた
「......ええい、説明は後だ!今はこいつをどうにかするのが先だろ!」
〈Float〉
いつまでも地上にいても仕方ないので飛行魔法を使い高町達の傍まで飛ぶ。
「ったく、なんで結界が割れたんだよ......」
「えっとね?ジュエルシードの反応があって来てみたら、ちょっとわかりづらかったけど結界が張られてて......気になったからゆー君と一緒に......」
「お前が元凶か高町ぃ!てかなんでバレたんだ!?」
〈おそらくはジュエルシードが発動した際に周囲に撒き散らされた魔力が隠蔽魔法を掻き消してしまったのかと〉
「うっそーん......そんなことってあるぅ......?」
ちくせう。こんなことになるんだったら公園内だけでも一通り探しておくべきだった......後悔しても時既に遅し。ウジウジしていても意味がないので思考を切り替え、テスタロッサ達の方に声をかける
「そっちの二人。アレを封印するの手伝ってくれないか?」
「ふんっ!なんでアタシ達がアンタらに手を貸してやらなくちゃいけないのさ?」
「流石のお前らでも、二人だけでアレをどうにかするのは手がかかるだろう?あくまで封印するまでの協力だ。そっから先は俺には関係ないからな」
「......わかった。いいよね、アルフ?」
「まぁ、フェイトがそう言うんならアタシは従うけどさ......」
「なら決まりだ。七条、一つ聞きたいことがある」
フェイト達の協力を取り付けられたので、次は七条に話しかけると戸惑いを隠しながらこっちを向いた
「なんだ?俺はお前に一つどころかいくつも聞きたいことがあるんだが......」
「そういうのは全部後でだ。そんで、お前はジュエルシードの封印ってできるのか?」
「ああ、できるといえばでいきる。だけど、俺の場合はなのはやフェイトとは違ってかなり近づかないと使えないんだ」
「なるほどオッケー。これで方針は決まった。まずはアルフとフェレットもどきで奴の動きを止める」
『フェレットもどきって言うな!』
......なにやら下の方からツッコミが入ったが無視する
「そんで次に俺と七条でバリアを破壊、ラストは高町とテスタロッサの二人で封印って流れだ」
「ちょっと待て、なんでお前が仕切ってるんだ!?」
「あぁ?ンなことはどうでもいいんだよ。まずはアレを止めるのが第一優先だろうが」
「くっ......わかっている!」
作戦を言い終えたところで七条から文句を言われるが、強引に黙らせる
「そんじゃあ、さっさと終わらせるぞ!」
「あいよ!」
『わかった!』
俺がそう言うとアルフとユーノが動き出す。二人が発動したのは捕縛魔法のチェーンバインド。二色の鎖が化物の枝と根を縛り上げる
「よし、そのまま縛っとけ!七条!俺達もいくぞ!」
「だからお前が指図するな!」
〈Photon Ray〉
〈Cross Burner〉
————ズドォォォォォォォ!!!
俺と七条が同時に放った砲撃魔法でバリアが破壊される。これで漸くあの化物に直接当てられる
「やっちまえ!高町!テスタロッサ!」
二人がそれぞれレイジングハートとバルディッシュを向ける
「ジュエルシード!」
「シリアルVII!」
「「封印!!」」
————グオォォォォォォォォォ......
木の化物は断末魔をあげて光に包まれて姿を消し、その場にジュエルシードが現れる。全員暫くそのままでいたが不意に高町とテスタロッサが向かい合った
「フェイトちゃん......私はどうしてもフェイトちゃんに聞きたいことがあるの。だから、私が勝ったら......お話、聞いてくれる?」
高町の言葉にテスタロッサは戸惑ったようだがなにも答えず、黙ってバルディッシュを構える。高町もそれ以上はなにも言わずにレイジングハートをテスタロッサに向ける。少しの間二人は見つめ合い、同時に動き出し前に出る。互いのデバイスがぶつかり合うその瞬間......
「そこまでだ!」
「「「っ!?」」」
一人の少年が現れ、高町とテスタロッサの間に割って入る
「ここでの戦闘行為は危険だ。僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンだ。直ちに武装を解除しろ。詳しい事情を説明してもらおうか」
二人の四度目の戦いはこうして邪魔され、遂に管理局が手を出してきた。今のうちにトンズラして帰らせてもらおう......え?ダメ?ちくせう......(涙)
変なところで終わりますがここで力尽きてしまったのでご容赦を
次回は主人公と管理局との絡みや七条くんとのお話がメインになると思います
それでは次回もお楽しみに!
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対話って大事よね
お待たせしました、ようやく書けました
相変わらずの文章力の低さですが......
それではどうぞ
来ちゃったー......遂に来ちゃったー。なんつータイミングで来てくれちゃってんだよ...... せめて俺がいない時とかさぁ?もっとあっただろうに......このままなにも言わずにフェードアウトすればあるいは......
「無駄な仕事が増えるだけだから、逃げようとしないでもらえるかな?」
きっちりバレてらぁ......仕方ないので俺も逃げるのは諦め、全員そのまま地面まで降下する
「再度通達するが、全員武装を解除しろ。このまま戦闘行為を続けるというのなら......」
クロノ・ハラオウンが最終通告を言い終えようとしたその時......橙色の弾幕がこちらに飛んでくる
「なにっ!」
ハラオウンは一瞬驚きつつもすぐにプロテクションを発動する。どうやら魔力弾を撃ってきたのはアルフのようだ
「逃げるよフェイト!こんなところでこいつらに捕まってる場合じゃない!」
「っ......!」
アルフは更に魔力弾を生成して発射し、地面に着弾し煙が上がる。その隙にテスタロッサはその場から離れジュエルシードに手を伸ばすが......
〈Stinger Ray〉
煙の中から青い魔力光の弾丸が飛び出し、テスタロッサを襲う。避け損ねたのか、ジュエルシードを掴む前にバランスを崩して落ちていってしまう
「フェイトっ!」「フェイトちゃん!」
地面に衝突する前にアルフが駆け寄り、間一髪でその体を受け止める。それを見て安堵した高町だが、ハラオウンは構わずにデバイスを向け魔力弾を続けて発射しようとする
「ダメ!撃たないで!」
「なっ......!?」
すると高町が射線を遮るようにテスタロッサ達の前に躍り出る。ハラオウンが撃つのを躊躇っている隙にアルフは反対方向に走り出し、少し離れたところで転移魔法を発動させどこかへ去ってしまった
「......エイミィ、追跡は?」
『ん〜、ダメね。多重転移で逃走してるみたい。追い切れないわ』
「そうか......」
通信の内容の限り、無事逃げ切れたようだ。ついでに俺も逃げられるかと思ったが無言でデバイスを向けられてしまったのでおとなしくすることにした......カナシイ......
———————————————————————
その後俺達は事情聴取とのことでアースラまで連れて行かれた。転送ポートのある部屋を抜け、艦内の廊下と思われる場所に出た時にハラオウンがこちらに振り向く
「いつまでもその格好というのは窮屈だろう。バリアジャケットとデバイスは解除して大丈夫だよ」
さっきよりも優しげな雰囲気で話しかけてくるハラオウン。なんだ、ずっとさっきまでみたいなツンツンした態度じゃないのか。お言葉に甘えさせてもらい、全員バリアジャケットを解除し制服姿に戻る
「ブフッ......すまない、なんでもない」
「おいちょっと待てや。今こっち見て笑ったよな?おぉん?」
「いや、その......君はあまりその白い服は似合ってないなって......」
「うっせぇなぁ!?んなこたぁ自分でもわかってるっつうの!余計なお世話じゃ!なんか昔から明るめな色の服装は似合わないんですぅ!黒とか紺とかそういう暗い色しか合わないんですぅ!なんでなんですかねぇ!?」
「お、落ち着けって吉川!?クロノにも迷惑になるから......!」
「はぁ......はぁ......次同じような話題で笑ったら魔力弾を直接体内に転移させるからな......!」
「なんだその恐ろしい技は......!?」
「ん、んっ!それはそうと、君も元の姿に戻ってもいいんじゃないか?」
「あ、ああ。そうだね、だいぶ長い間この姿だったから忘れてたや」
「???ユーノくん、元の姿って?」
高町がそう言った途端、ユーノが光に包まれる。すぐに光が収まったかと思ったら、そこには高町よりも少し背の高いくらいの男の子の姿があった。
「ふぅ......あれ?なのは、どうしたの?」
「え?だって、その、えっと......あれ?」
えぇぇぇぇぇぇぇぇ〜!?!?
高町の声がアースラ中に響き渡る
「な、なのは?一体どうしたんだい?」
「だ、だってユーノくんが普通に男の子で......」
「あれ?なのはと優輝に初めて会った時はこの姿じゃなかったっけ?」
「違うの!最初からフェレットだったの!」
「あ、あれぇ?」
七条も無言で頷いている。どうやらユーノの記憶違いのようだ
「クロノ・ハラオウン執務官。アレが自分の正体をフェレットだと偽って女の子と一緒に風呂に入ったユーノ・スクライアってやつです」
「ちょっと!?なんでそんな語弊のある言い方をするかなぁ!?」
「あぁん?だってお前、温泉に行った時に抵抗もせずに女性陣と一緒に女湯に入っていったじゃん」
「あ、あれは仕方なかったんだ!なのはにガッチリ捕まってたし......!」
「などと申しております執務官殿」
「ま、まあ僕も人の趣味に口出しはしませんから......」
「誤解だぁ!?」
ユーノの魂の叫びもここにいる人間には聞き入れてもらえなかったようだ
「おっと、そんなことよりも艦長を待たせているんだ。できれば早く話をしたいんだが......」
「ご、ごめんなさいなの......」
「それじゃあついてきて」
馬鹿話も終わり俺達はハラオウンに連れられ、ある部屋の前で立ち止まる。応接室かなにかだろうか?
「クロノです。連れてきました」
『ご苦労様、入ってちょうだい』
「失礼します」
中から聞こえた女性の声に従って扉を開けるハラオウン。その先に見えたのは大量の盆栽、茶器......そして普通屋外にあるであろう鹿威しというエセ日本文化をこれでもかというくらい詰め込んだような部屋だった。そしてその部屋の中で茣蓙の上に正座している女性が一人居た
「初めまして皆さん。私はリンディ・ハラオウンといって、この艦の艦長を務めています。ささ、そんなところで立ったままもなんですし、楽にしてちょうだい?」
えらく軽いノリで自己紹介されたな......凄い優秀な人ってことは知ってるけど直接目の当たりにすると反応に困る。まあ確かに突っ立ってるのもアレなので部屋の中に入り、リンディさんの正面に腰を下ろす
「それじゃあ自己紹介をしてもらおうかしら?」
そう言われて各々が名乗っていく。そして管理局が介入してくるまでの出来事のあらましも同時に説明してしまう
「そうでしたか......ユーノさんがあのジュエルシードを発掘して、その輸送中にトラブルが起こり地球にばら撒かれてしまったと......」
「それを自力で回収しようとする責任感は立派だが無謀すぎる。それに民間人を巻き込むのは感心できない」
「すみません......」
言われてみればそれもそうである。それこそ最初から管理局に要請を出していれば高町が魔法を知ることはなかったのだ。まあ、そんなことされてしまっては物語が根底の部分から成り立たなくなってしまうからダメなのだけれども......
「ユーノくんが謝る必要はないの。私達が自分達でユーノくんのお手伝いをするって決めたんだから」
「そうだぞユーノ。あくまでも俺達の意志でお前に付き合ってるんだ」
「なのは......それに優輝も......二人とも、ありがとう」
「貴方達はとても仲がよろしいのね。それで、晴斗さんはどうしてあの場に?」
「あの時は完全に巻き込まれたんだよ。そもそも俺はジュエルシードを回収しようっていうつもりはないしな」
「ほう......では聞くけど、なぜ君が指揮を執っていたのかな?」
ハラオウンが意地の悪い質問をしてくる。結構初めの方から見てたんじゃないか!後で泣かしてやろうか......!
「あの時は敵同士の奴等じゃなくて第三者が指示したほうが纏まると思っただけだよ、他意はない」
「そういうことにしておこう」
チッ、覚えてろよ......
「コホン、これよりジュエルシードの回収は我々時空管理局が全権を持ちます。ですので貴方達の協力はこれ以上は必要ありません」
「「え?」」
リンディさんの言葉に高町とユーノが驚く。七条は元から知っていたからだろうか、特に驚いている様子はない。
「君達は今回のことは忘れて、それぞれの世界に戻って元通りに暮らすといい」
「と言っても、いきなりそんなことを言われたところで納得はできないでしょう。今日は一旦ここまでにしてゆっくり考えてちょうだい。また明日話し合いましょう?」
こうして管理局側とのファーストコンタクトは終了し、行きと同じようにハラオウンに連れられ転送ポートのある部屋まで戻り、先程までいた公園に転移した
「なのはとユーノは先に帰っていてくれ」
「ゆー君はどうするの?」
「俺はコイツに聞かなくちゃいけないことがいくつかあってな......気をつけて帰れよ」
「うん......わかったなの」
そうして高町はユーノを抱えて公園を後にした
「一緒に帰らなくてよかったのか、ゆー君?」
「ふざけるな、お前にそう呼ばれる筋合いはない」
「冗談だって、怒んなよ」
少し茶化すと思い切り睨んでくる。色々と言いたいのだろうが、溜息をついて堪えたようだ
「......それで、お前は転生者なのか?」
「そうだよ。それ以外あり得ないだろ?」
そう、現段階で魔法を使えるのは原作主人公である高町とそのパートナーのユーノ、そして敵対するテスタロッサとアルフに加えて管理局側の人間しかあり得ないのだ。俺達、転生者というイレギュラーがいない限り。
「なんで今まで魔力を隠して、尚且つなぜ今になって介入してきたんだ?」
「今回に関してはさっきも言ったけど本当にたまたまあの場に居ただけなんだ。魔力を隠してたのはまだバレたくなかったから」
「どうしてだ?」
「俺はお前らと違って潤沢に魔力があるわけじゃないから、ゴリ押しができないんだよ。だから、ある程度小手先でも技術を習得してからがよかったんだ」
「......とりあえずはその言葉を信じよう」
「そいつはどうも」
どうやら信じてもらえたようだ。まあ、嘘は言っていないのだから信じてもらわなければ困るのだが......
「んじゃ今度はこっちから質問なんだが、あんたの転生特典ってなんなんだ?勿論そっちが教えてくれたらこっちも教える」
「俺の特典は魔力ランクSSと魔力変換資質の『炎』、そしてレアスキルの『未来予知』だ」
「未来予知?またメジャーながら便利なものを......」
「俺のはそんなに使い勝手のいいものじゃないんだ。見れて五秒後までしか見れない。戦闘中に回避の為に使うくらいだ」
「キング・クリ◯ゾンのエ◯タフみたいなものか......充分チートだよ......ん?デバイスはどうしたんだよ?」
「デバイス?元から用意されてたぞ。偶然拾ったってことで」
えぇ......?俺は特典の一つとして数えられてるんだけど......なんかズルくない?
「まあいいや。俺の場合はリンカーコアとデバイス、後はそれを持っていても不自然ではない環境の提供で一つ。二つ目がレアスキルで『再生』。んでラストなんだが......」
「なんだよ、教えないっていうのはなしだぞ?」
「わーってるよ。ラストは『三度奇跡を起こす権利』とやらなんだよ」
「......なんだそれ?」
「俺もよくわからん」
「なんでだよ、自分の特典だろ」
「俺が決めたわけじゃねーんだから仕方ないだろ......」
「そうなのか?俺は自分で決められたんだが......」
えっ?ナニソレ?
「なんか色々違うみたいだな。少し整理しよう。まずはどっちも神様転生ってことでオーケー?」
「ああ、大丈夫だ」
「んで俺はそもそも神様に会ってない上、つい最近に転生してきた。そっちは?」
「俺はトラックに轢かれたと思ったら変な空間に居てそこで神様に会った。その後特典を選んで赤ん坊からやり直してる」
「そっから違うのか......こっちなんてよこされた手紙だけで説明されて特典まで勝手に決められてるんだぜ......?そっちはどんだけ優遇されたんだよ......」
「俺に言われてもな......確かにこの差は不思議だが」
本当にこの差はなんなんですかねぇ?明らかに待遇が違うと思うんですが......まあいいや(諦め)
「それでこれが俺からの最後の質問なんだが......吉川はこの世界をどうするつもりだ?」
「どうする、とは?」
「知ってるだろうがこの世界は「リリカルなのは」が元の世界だ。そこに俺達がいることで本来の物語の流れから変わってしまう可能性もあるんだ。もしお前が物語を破綻させるように動くというのなら、俺はそれを止めなくちゃいけない」
「ああ、なるほどそういうとこね。そんなことするつもりはないよ。ンなことしたら俺ごとこの世界が壊れちまうって聞いたからね。ただまあ、俺はあんまり原作知識はなくてね、大まかな流れとメインキャラが少しわかる程度なのさ。だからそこんとこ助けてくれるとありがたい」
「そうか、それならいいんだ。俺としても一人じゃ心細かったからな。協力者がいてくれたほうがいい」
「なら今後はよろしく。あとついでに言っておくと一つ目標があるんだ」
「目標?なんだそれ?」
「原作の流れを壊しちゃあいけない、けど原作以上のハッピーエンドを迎えさせたい、って思ってるんだ」
そう、俺は自分に与えられた特典を使って本来の物語よりもよりハッピーな結末をつくりたい。ご都合主義?それを叶える為の特典って神様も言ってたからいいだろう?
「......原作知識がないお前がか?」
「うっせぇ!だから協力してくれってこと!」
「ああ、それならいい。より良くなるんだったらきっと大丈夫だろうさ。」
「あっそ!そんじゃよろしく!」
こうして俺は第二の生を与えられた者同士の協力者を得ることができた
あっ、俺が一個ジュエルシード持ってること言い忘れてた......
如何だったでしょうか?主人公くんは神様のお願い通り七条くんとこれからは仲良くしていきます
次回は影も形もなかったプレシアさんとか出せるように頑張ります......!
それでは次回もお楽しみに!
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協力、それとお喋り
まずは謝罪を......
全然プレシアさん出ませんでした!ごめんなさい!(土下座)
じ、次回にはきっと出ますので......(震え声)
それでは、どうぞ
七条の協力を得られた次の日、休日だったので朝からダラけているとハラオウンが迎えに来た。家を教えたつもりはないのだが、と尋ねると俺の魔力反応を頼りに来たらしい。プライバシーの侵害だと思いつつ普段は今まで通り魔力は隠しておこうと思った
「なぁハラオウン、一つ聞きたいんだけどさ」
「なんだ?」
そして今居るのは昨日ぶりのアースラ。高町とユーノ、七条は既に来ているらしい
「お前って歳いくつなん?」
「............14だ」
「............フーン」
「......おい、なにか言いたいことでもあるのか?」
ハラオウンがコチラを睨んでくる。嘘を言ってもすぐにバレるだろうから思ったことを言うしかあるまい......
「いや、身長が近いからもうちょっと歳も同じくらいなのかなぁって思ってたんだよ」
「悪かったな!どうせ僕は平均よりも背の低いちんちくりんだよ!」
案の定キレるハラオウン
「別に悪いなんて言ってないだろう?その歳と体でよく執務官なんて大変そうな仕事やってんなって思っただけだよ」
これはお世辞ではなく本心である。少なくとも自分なら絶対に選ばないであろう過酷な道をハラオウンは進んでいる。その事実に俺は称賛を送りたいと俺は思う
「......褒めてもなにも出ないぞ」
「そんなん考えてねぇよ」
昨日の意趣返しも交えた軽口の叩き合いもそこそこに昨日と同じ部屋に案内される
「おはようござーい」
「にゃはは、もうお昼だよ晴斗くん」
「俺の気分的には昼前だから......あと、なして急に名前呼び?」
昨日呼ばれた時は名字で呼んでいたのに一体この変化はなんだろう?家族以外から下の名前で呼ばれたのが何気に初めてだったので内心かなり驚いている......言ってて悲しくなってきた......
「えっとね......ユーノくんは名前で呼んでるでしょ?それにゆー君は渾名だし......晴斗君だけ名字ってのもなんか変だなぁって思ったの」
「......さいですか」
名前呼びの真意を聞かされつつリンディさんの正面に正座する
「なのはさんとユーノさんは昨夜のうちに我々に協力してくれると連絡してくださいました。あとは七条さんと吉川さんがどうするかです」
「俺も協力します」
七条が即答する。ちょっと張り切りすぎじゃないですかねぇ......
「では吉川さん、貴方はどうしますか?」
「......勿論協力はするが、いくつか条件がある」
「なんでしょうか?」
「一つは俺のデバイス......カナンのメンテナンスをアンタらが見てくれること。自分じゃできないからな」
単純な外装の破損程度なら自分で直せるが、システム面はそうもいかない。そういった技術があるわけでもない俺が弄ってしまってはかえって悪化させてしまうのは明白である
「それは当然負担します。協力してもらえるのでしたら必要なバックアップはさせていただきます」
「それならいいや。んで二つ目は......」
そう言って俺が待機状態のカナンからジュエルシードを取り出すとこの場にいる全員が驚愕する。そりゃあ脈絡なく出てきたら誰しもが驚くだろうけど、流石に驚きすぎじゃね?
「随分と前に回収したコイツなんだが、これの所持を許可してもらいたい」
俺の発言に険しい表情をするハラオウン親子。まあいきなりそんなことを言われたらそんな顔にもなってしまうだろう
「一応確認させてもらいますが、その理由は?」
リンディさんが質問してくる。確かになんの理由もなしに認めてくれるわけがないだろう、許可が下りるかどうかは別として......
「アンタらのことだからもうわかってんだろうけど、俺はそっちの二人と比べて魔力の保有量が少なくてね。保険があったほうが安心なんだよ。いざという時に魔力タンクとして使えるからな」
「そんなことに使わせられる「わかりました、許可しましょう」なっ!?なにを言ってるんですか艦長!?」
......まさかこんなすんなりと許されるとは思わなかった。逆に怖いわ......
「ただし、許可できるのは本事件を解決するまでの間のみです。また、所持していいのはその一つのみで今後回収したジュエルシードはきちんと届け出るように」
「......まあずっと持ってられないのは残念だが、許可が出ただけ良しとしよう。では改めて俺も協力させてもらおう」
こうして俺達地球組の魔導師三人と一匹(?)はアースラに協力することになった
———————————————————————
「ハルト!もっと慎重に動け!」
「でぇい!まだるっこしい!」
管理局に協力することを決め、アースラに乗り込んでから十日ほど経過した。そんな今俺はなにをしているかというと......
「やるぞカナン!」
〈Photon Ray〉
————ズバァァァァァァァァン!!
『キシャアアアアアアアアアアアア!!!』
幅2メートル、首を持ち上げた際には全高が約10メートルにまで届く蛇を取り込んだと思われる暴走体と戦っています......普通に怖いわ!?
「クロノ!押さえつけるのは任せた!」
「言われるまでもない!」
そう言うとクロノとアースラに常駐している武装局員の数人がバインドで暴走体の動きを止める
「ナイスゥ!んじゃラスト!」
〈Sealing〉
「ジュエルシード、シリアルXII ......封印!」
————バシュウウ......
暴走体の体が消え、素体となっていた蛇も元に戻りスルスルと逃げていった。傍に落ちていたジュエルシードを拾い上げてミッションコンプリート
「お仕事終了っと。ほれ、クロノ」
回収したジュエルシードをクロノに投げ渡す。するとクロノは慌てたようにキャッチし彼のデバイス、S2Uに格納する
「おい!僕は君に投げ渡すなと前にも言っているんだが!?」
「別にいいだろ。封印した後なんだから平気だって」
クロノとジュエルシードの回収をしたのはこれで二度目である。俺は七条や高町と違って単独では暴走体の相手をすることができないので、クロノをはじめとしたアースラのスタッフと一緒に出撃することになっている。まあリンディ艦長と取り決めた持ってていいジュエルシードは一つまでってのをすぐに履行するためでもあるけども......
『クロノくん、ハルトくん、お疲れ様!近くにゲートをを開いておいたからね!』
目の前にモニターが現れる。通信先はアースラでオペレーターのエイミィがサムズアップしている様子がデカデカと表示されていた
「エイミィ......恥ずかしいからやめてくれ」
「ははっ、クロノも大変だねぇ......ま、いっか。吉川晴斗、帰投します」
「あ゛〜〜〜、つっかれたぁ〜〜〜〜」
そう言ってアースラ内の俺用に宛てがわれた部屋のベッドにダイブする。以前もこうやって倒れ込んだことがある気がする......
〈お疲れ様です、マスター〉
「腹減ったけど食堂に行くのも辛い......カナン、魔力の補充やっといてくれ......」
〈All right〉
カナンがジュエルシードに込められた魔力を抽出し、俺のリンカーコアに流し込んでいく。こうすることでかねてより考えていた魔力タンクとして運用することができるのである。カナンにバックアップしてもらうか、完全にやってもらうしかないのだが......
〈マスター、魔力の補充は完了しました。食堂に向かいましょう〉
「うぇぁ......なんでさ?」
〈マスターは人間ですので栄養補給をしっかりしなければいけません。私にはマスターの体調を管理する役割もあるのですから〉
急に小言を言う母親のような物言いをするカナン。初めて会った時と比べてやはり性格が捻じ曲がってきた気がする......
〈デバイスは主に似るとよく言われてますから〉
「おい、それは俺の性格が悪いって言いたいのか?」
〈はい、その通りですマスター〉
「お前なぁ......否定する材料が見当たらんけど」
そんな風にぶつくさと文句を言いながら食堂に行くと高町、七条、ユーノの三人が揃って食事をとっている......あっ、向こうも気付いたようだ
「やっほー晴斗君、お疲れ様ぁ」
「あいあい、お疲れ様。高町はテンション高いなぁ」
「にゃはは......」
カウンターでサンドウィッチとコーヒーを注文し、少しして出てきたそれらを手に三人がいたテーブルに移動。座ったのはユーノの隣、七条と対面の席である
「お疲れハルト。どうだった?」
「クロノ達の助力もあるから、お前達よか多少は楽だよ。スッゲー疲れたけど」
「ははは......ハルトは頑張ってくれてるよ。僕はなのはや優輝のサポートがメインだからたいして力になれてないけど......」
「そんなことないよ!ユーノくんがいなかったら私、もっとてこずってるもん!」
ユーノの自虐ともとれる言葉に高町が反論する。まさか言い返されるとは思ってもみなかったユーノは本気で驚いている
「なのはの言う通りだ。ユーノがサポートしてくれるから俺達は全力でジュエルシードの封印にあたれるんだ」
「そもそも暴走体を一人で押さえ込める時点で充分な戦力だって。結界魔導師としてはアースラのスタッフを含めてもお前が一番優秀なんだから」
七条と俺も高町に続きユーノを励ます。実際、現段階では俺よりもずっと役に立ってるだろうからね
「みんな......ありがとう」
そう言うとユーノは目に涙を浮かべながらも嬉しそうに笑顔を見せた。ユーノはその能力の割に自己評価がべらぼうに低い。そんなことないのになぁ......
「ユーノくんは泣き虫さんだね」
「ああ、小さい頃のなのはみたいだ」
「ちょっと、ゆー君!?」
「公園で遊んでる時なんてなにもないところで転んではよく泣いてたじゃないか」
「もうっ!そんな前のことは無効なの!」
「つい三年くらい前だぞ?まだまだ最近だよ」
七条に恥ずかしいエピソードを暴露されてむくれる高町。幼い高町がこける様子が簡単に想像できてしまいつい笑ってしまう
「あぁ〜!晴斗君まで笑ったの!もうっ!先に部屋に戻ってるの!」
「あっ、なのは!......僕も戻るけど優輝はどうする?」
「俺はもう少しここにいるよ」
「そっか。それじゃあまた後で」
そう言ってユーノも高町の後を追い食堂を出る。残ったのは俺と七条の二人だけ......
「ありゃいじけちまったぜ、ゆー君?」
「だからお前がそう呼ぶなと言ってるだろう......」
「はいはい......そんで、今の時点で原作と変わってる部分は?」
「......ジュエルシードの集まってる数が多い。本来ならアースラで回収できたのは三つで残り六つが海の中にあるはずなんだが、お前が持ってた分を入れて二つ多くあるんだ」
現在俺達が所持しているジュエルシードの総数は十一個。テスタロッサは六個でこれは変わってないらしい
「てことは、海の中にあるのは四つになってるのか?」
「おそらくは。海上での戦いは物語上外せない場面だからきっと起こるはず」
「六つ同時に相手するよりかは楽になっていいんじゃないか?いや、四つでも大変だろうけども」
「ああ、たった一つでも次元震を引き起こすほどの力が秘められているんだ。もし同時に次元震が起こったら......」
今度こそ次元断層が起きてしまうだろう......可能性として捨てきれないそれを声に出さずなんとか飲み込む
「まあそうなったら俺のこと守ってくれよ?その馬鹿みたいな魔力量で」
「自分でなんとかしろ」
「ひっどいなぁ〜。言っただろ?俺
そう、初めて魔法を使った時からいくら練習をしてもプロテクションなどの防御魔法だけが発動できないのだ......なんでさ!?
「魔法には得手不得手があるが......まさか防御ができないとはな」
「ほんとなんでなんだろうね?もう防衛手段がバリアジャケットしかないって......どんな無理ゲーだよ」
まあその分少ない魔力を攻撃に回せるのでいいのだが......いや全然良くないな
「ひ、非殺傷設定があるから、だだだ大丈夫......」
「次元犯罪者相手にそうは言ってられないだろ」
「..................デスヨネェ」
とはいえ、できないものはいくらやってもできないのでそこは割り切ってしまう
————ビーーーッ!ビーーーッ!
『ジュエルシードの反応......同時に四つ確認!海上の方です!』
「言ってるそばから......」
「急ぐぞ、吉川!」
「わかってますよ!」
残っていたコーヒーを流し込み、俺と七条は転送ポートのある部屋まで駆け出した
全然話が進みませんでしたね......すみません(汗)
随分前に言ってた主人公くんの欠陥もただの会話での露見ですし......いい感じの展開が思い浮かびませんでした(涙目)
次回はフェイトそんがジュエルシードを強制発動させる辺りから始まると思います
それでは次回もお楽しみに!
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死ぬほど痛いぞ......
どうも、お待たせしました
今話を執筆中にお気に入りが100件を超えました!皆様ありがとうございます!これからも頑張らせていただきます!
それでは、どうぞ
海鳴市近郊の海、その上空に本来なら有り得ない人影と一匹の獣の姿が見える
「アルカス・クルタス・エイギアス......」
誰もが美少女だと褒め称えるであろう容姿の少女は杖を構えながら呪文を唱え、その傍らに橙色の毛色の狼が寄り添っている
「煌めきたる天神よ、いま導きのもと降りきたれ。バルエル・ザルエル・ブラウゼル」
少女、フェイト・テスタロッサを中心に展開されている巨大な魔法陣。込められた術式は局所的に落雷を発生させる天候操作魔法
「撃つは雷、響くは轟雷。アルカス・クルタス・エイギアス......!」
最後の一節を唱え終わると周りに巨大な魔力スフィアが複数個現れ、放たれるのはまだかと言わんばかりに電流が駆け巡っている
「はああぁぁぁ!!!」
〈Thunder Fall〉
気合とともにバルディッシュを振り下ろす
————ズガシャアァァァァァァン!!
空気の炸裂する音を響かせながら稲妻が海へと降り注ぐ。すると海の底から光の柱が聳え立つ。その数は四本......
「見つけた......残り四つ......アルフ、結界とサポートをお願い!」
「任せてよ、フェイト!(......でもこんだけの魔力を打ち込んで、さらに全てを封印して......いくらフェイトの魔力でも限界を超えている......だからアタシが絶対に守ってやる!誰にも邪魔させやしない!)」
光の柱はやがて周りの海水を巻き上げ大きな竜巻を形成し、そこから幾条もの光が漏れ出ている
「行くよバルディッシュ。頑張ろう......」
〈Yer,sir〉
相棒を手にフェイト・テスタロッサは荒れ狂う暴風へと突貫する
———————————————————————
「出撃できないって......どういうことなんだクロノ!?」
「声を荒げるなユウキ」
アースラのブリッジ、前面にはテスタロッサとアルフがモニターに映し出されているそこに俺達はまだ居た
「クロノくん、どうしてなの?」
「......このまま放っておけばあの子は自滅する。そこを回収すればいいし、仮に自滅しなかったとしても激しく消耗しているだろう」
「そ、そんな!?」
......クロノの言っていることは残酷なように聞こえるが正しくもある。向こうが弱っている隙にジュエルシードを回収してしまえばこちらは損害を出さずに済む。最小限の労力で最大の成果を......それはきっと正しいのだろう
「けどクロノ、こうやって待ってる間に次元震やらなんやらが発生したらどうすんだ?」
「......次元震を抑え込む方法はある」
「それが間に合わなかったら?もし失敗したら?そんなんで俺達の住む世界に被害が出るのは御免だ」
俺の言葉にクロノは押し黙る。リンディさんやエイミィ、他のオペレーターの人達も声を掛けあぐねている。確実に次元震を止められるという保証はない。だったらテスタロッサ達と協力して自分達で封印した方が手っ取く、また安全だ
「クロノ、説教は後で聞くからここは行かせてもらうぞ。吉川、お前もついて来い」
「はいはい、わかってますよ。流石に俺だけここにいるってのはないですからね。そんなわけだクロノ、許してくれ」
そう言って俺、七条、そして高町の三人で転送ポートに駆け込む。転送のための魔力は既にユーノがチャージしている。手際がいいことで......
「君達!なにを馬鹿なことを......!」
「みんなごめんなさい!高町なのは、指示を無視して勝手な行動をします!」
「七条優輝、同じく」
「え、俺も言わなきゃいけない感じ?......吉川晴斗、同じくだ」
そうして俺達はテスタロッサを助けるためにアースラから転移した
「......って、うおぉぉぉぉぉぉぉ!!??なんでだぁぁぁぁぁぁ!!??」
転移できたはいいが、なぜか俺達は絶賛高高度からのスカイダイビング中である
「ユーノのやろう、座標間違えやがったのか!?」
「そんなこと言ってる場合か!いいからセットアップするぞ!イガリマ!」
〈Standby ready〉
「お願い、レイジングハート!」
〈Standby ready〉
なんでそんなに落ち着いてられるんですかねぇ!?あ、飛べるからですねハイ......
「ちくしょう、やるぞカナン!」
〈Standing by〉
「「「セットアップ!」」」
全員バリアジャケットを装着、雲を突っ切る!
「フェイトちゃん!」
「っ!?」
テスタロッサとアルフの姿が見えた。二人ともかなり消耗しているうえに、テスタロッサに至っては魔力が尽きかけている
「アンタら......フェイトの、邪魔をするなぁ!」
「ちょっと待てアルフ!俺らはお前達と戦いに来たんじゃない!」
必死にアルフに訴えかけるが聞く耳を持ってくれない。そのまま突っ込んでくるアルフ、その目の前に緑色のシールドが展開される
「そうだ!まずはジュエルシードを停止させないとまずいことになる!」
「ユーノ!」
「ごめん、ちょっと遅れた!」
アルフの動きを止めたのはユーノだった。話を続けようとするとクロノから通信が入る
『なにをやっているんだ君達は!』
「ごめんなさい、命令無視は後でちゃんと謝ります!だけど今は......あの子のことがほっとけないの!」
『っ!?」
高町の悲痛な叫びにクロノはなにも言えなくなったようだ。俺もあんな風に言われたら流石に言い返せない
「そんなわけで、あいつはお前のご主人様を助けに来たんだ。勿論俺達もそうだ。だから、協力してくれアルフ」
「でも......アタシは......」
「頼む、アルフ。お前とユーノじゃなきゃアレを抑えられないんだ。フェイトを助けるためだと思って......ダメか?」
「うぅ......わ、わかったよぉ......」
七条もズルい奴だ。今のアルフの行動理念はテスタロッサにある。そこにテスタロッサの名前を出されれば従うしかないだろうに......まあいいか、うん......
「それじゃあ前と同じようにアルフはフェレットもどきと一緒にジュエルシードの動きを抑えてくれ。その間に俺達全員で封印する」
「誰がフェレットもどきだ!?」
「ユーノ!今はそれどころじゃないから!」
アルフのことはユーノに任せて、俺と七条は高町達のところに向かう。見たところ高町がテスタロッサに魔力を譲渡しているようだ
「よっ、お二人さん。お話は終わったか?」
「あっ、晴斗君......ううん、まだ一緒に封印しようってことだけ......」
「そうかい......まっ、お喋りはここまで。続きはジュエルシードをどうにかしてからだ」
「俺達で一人一つずつ封印する。吉川、足引っ張るなよ」
「なんで俺だけ!?一番弱いからですね知ってましたちくしょう!」
「にゃはは......みんなで一緒にせーので封印だね。フェイトちゃん、頑張ろう!」
「......うん」
......テスタロッサが笑ったの、初めて見たな。こんな時にあれだが少し和むと緑色と橙色の鎖が竜巻を縛り上げる。チェーンバインドって便利だなぁ......などとどうでもいいことを考えつつ各々配置につく
「ディバインバスター!」
〈Divine Buster〉
「......サンダーレイジ!」
〈Thunder Rage〉
「クロスバーナー!」
〈Cross Burner〉
「フォトンレイ......!」
〈Photon Ray〉
全員が現状出せる最大威力の攻撃に封印効果を付属させる。これで準備は万端!いくぞぉ......!
「「「「せーーーーの!!」」」」
————————————————————!!!
視界を埋め尽くす閃光が結界内を眩く照らす......!
〈Sealing complete〉
視界が回復しきってない俺の代わりにカナンが封印の成功を告げてくれる。どうやら無事に収まったようだ......おや?高町の様子が......?
「フェイトちゃん......私ね?」
「......?」
「貴女と......お友達になりたいんだ......!」
「......っ!?......とも、だち?」
「そう、友達......」
「わ、私は......でも......」
なるほど、ここからこの先永遠と続く百合ワールドが構築され始めるんですね、七条がいるからわからないけど......
———————————————————————
同時刻——時の庭園——
————バンッ!!
「なにを......お人形の、分際でっ!!」
モニターを険しい表情で睨みつけていたプレシア・テスタロッサが傍にあったテーブルを握り込んだ拳で叩く
「お人形は......私の思うように動けば良いのよっ!!」
————ヴォン!
デバイスを通し、プレシアは複雑極まりない術式をとてつもない早さで構築していく
——次元跳躍魔法——
プレシアが大魔導師として認められた技術の一端、今では使い手がほぼいない失われかけている技法である
————バチバチバチッ!
プレシアの周りの魔法陣がそれを構成する魔力と共に帯電する。込められた術式は......攻撃魔法
「はあああぁぁぁぁぁ!!!」
———————————————————————
事態を静観していたアースラのモニターにある文字がいっぱいに表示される
『EMERGENCY』
————ズドォォォォォォォォォン!!!
全員が理解する前にアースラを凄まじい衝撃と揺れが襲う
「きゃあああ!?」
モニターの前に座っていたオペレーターの数人がシートから投げ出されてしまう
「状況は!?」
転倒を免れたリンディがすかさず声を上げ事態を把握しようと指示を出す
「本艦と戦闘空域を狙った......魔法攻撃!?そんな馬鹿な!?」
そう、現在アースラがいるのは次元航行艦でも用いなければ立ち入ることのできない準虚数空間。そんな場所で魔法を発動させるには限られた手段しかない。リンディはその中からあらゆる可能性を考え、一つの結論を導く
「まさか......次元、跳躍魔法」
先ほどまで計器の確認や損害の把握で慌ただしかったブリッジがリンディの一言でしん......と静まり返る。仕方のないことだ、自分達が知り得る知識の中でそれを扱うことのできる人間はただ一人、ミッドチルダ唯一の大魔導師にして天才的な研究者。ある日忽然と姿を眩ませた一人の女性しかいない......
「貴女が......黒幕だったのね」
手元の機器を操作して先ほどの攻撃で解析した魔力の固有パターンをデータベースと照合する。そしてリンディの、クルー全員の予想通り、ある女性の写真が表示される
「プレシア......テスタロッサ!」
———————————————————————
————ゴロゴロゴロゴロ......!
「おい......これってマズいよな......?」
雲が晴れて光が差し込んだと思ってたらまた暗雲が垂れ込んできた。しかもその暗雲にはとてつもない量の魔力が込められている
「かあ......さん?」
「フェイトちゃん?お母さんって?」
少し離れた場所でテスタロッサは茫然と雲を見上げて動こうとする気配はなく、またそれに付き添っている高町も同じだ
「七条、これは?」
「......ここまでは原作通りだ。ここまで凄まじいとは思わなかったがな......」
「カナン、本当に大丈夫か?」
〈それはなんとも......ただ一つ懸念が〉
「っ、なんだ?」
〈詳しくは解析できませんが、可能な限り術式を見てみましたところ、非殺傷設定が施されてないかと思われます〉
「「はあっ!?」」
カナンの言葉に俺も七条も驚愕する。人を殺せる攻撃が自分の娘を巻き込む形で放たれることに薄ら寒いものを感じる
「おい七条!原作だとどうだったんだ!?」
「わからないっ!確か落雷はフェイトに直撃して、意識を失ってはいたが大きな外傷はないように見えた......細かい描写はなかったんだ!」
「くそっ!間に合えよぉ!」
急いで高町とテスタロッサの下に向かう。なんとか落雷が放たれる前に二人の傍に辿り着き、二人の上空に身を投げ出した......
———— ズガシャアアアアアアン!!
「............っ!......、............ぁっ!?」
声が出せなかった。痛いとも、熱いとも感じることもできず只々地獄のような苦痛を味わっていた。体が炭化していく端からレアスキルで再生される。残っていた魔力だけではすぐに底が尽きてしまい、カナンにジュエルシードから供給してもらった魔力を片っ端から消費しながら半ば無意識に再生させ続ける。そしてようやく、永遠に続くかと思われた苦しみから解放される。
「......!......くん!!」
誰かがなにかを叫んでいる。耳は全く聞こえず、視界も網膜をやられたのか薄ぼんやりとしか見えない。体中からも血が流れ出ている。それらも徐々にではあるが再生していき、漸くある程度クリアになった視界で周りを見ると、流石に余波までは防げなかったのか、高町とテスタロッサのバリアジャケットが所々焦げ付いているが、大きな外傷は見受けられない。その事実を確認すると既に限界だった俺の意識はブラックアウトした......
キリのいいところまで書けましたので今回はここまで
四月からは更新が今まで以上に遅くなってしまうと思います。詳しい理由は活動報告の方に書かせていただきましたのでそちらもお読みください
それでは次回もお楽しみに!
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寝付きはいいほうだと思ってたんだが......?
今回も全然話が進まなかったですね。頑張って書こうにもネタが詰まってなかなか難しいですね......精進あるのみです
それでは、どうぞ
「知らない天井だ......」
前世ではかなりの人が聞いたことがあるであろう言葉を呟いて自分の意識が戻ったことを実感する。なんともアホな確認方法だが、こういうのって一度でいいから言ってみたいよね?
「やあ、目が覚めたかい?」
「......なんだ、クロノか。つーことはアースラの医務室だなここは」
どうやらあの後、俺はちゃんとアースラに回収されたらしい。あのまま海に落ちてそのまま溺死、なんてことにならなくてよかったと心から思う
「そんで、ジュエルシードはどうなった?」
「こちらと向こう、それぞれ半分の二つずつ回収した。本当は全て回収したかったんだが......」
「いんや、全部持ってかれなかっただけ御の字だろうよ」
これで二十一個全てがそれぞれの手に渡ったことになる。ここからは最終局面になるだろう
「それで、君達の独断専行だが......」
「ああ......やっぱりなんか罰則を喰らうのか?」
「いや、今回はお咎めなしだ。ただし、次はないからな」
「はいはい、もうしませんよ」
意外なことになにもないらしい。なんでも有益な情報を得られたようで、その結果俺達は無罪を勝ち得たようだ
「んで、その有益な情報ってのは?」
「今回の事件の黒幕、その正体と思われる人物が浮上した」
「プレシア・テスタロッサか?」
「......なんだ、知っていたのか?」
「一応、アイツらとは違ってミッドチルダのことはある程度知ってるからな。フェイト・テスタロッサの名前を聞いて一番最初に思い浮かんだよ」
本当は前世の知識で、七条も知っているのだがそういうことにしておく
「そうか、それなら別にいいんだが......そうそう、艦長から一時帰宅が許可されたから君も一度家に戻るといい」
「あらそう、考えとくわ」
そう言うとクロノはさっさと医務室から出て行ってしまう。もう少しゆっくりしていけばよかったのにと思っているとすぐに扉が開き高町、七条、ユーノが入ってくる。どうやら三人が廊下で待っているのに気付いて部屋を後にしたのだろう。別にいてもよかっただろうに......
「やあハルト、具合はどう?」
「ん〜っと、......おし、これでもう大丈夫」
改めて自分の体を観察して、まだ少し残っていた火傷も再生させてしまう。これで無傷のパーフェクトハルトくんに元通りだぜ............自分で言っといてなんだがすげえダサいな......
「やっぱりハルトのレアスキルは反則モノだね」
「そうでもねえよ。魔力が切れたら使えないし、そもそも痛いもんは痛いしな。あんなのは二度と御免だな。んで話は変わるが、お前ら一時帰宅はどうするんだ?」
「私達は明日お家に帰って明後日に学校に行く予定なの。晴斗君は?」
「俺はアースラに残るよ。万が一ってこともあるしな。それに家に家族がいるわけでも、学校に会いたい友達がいるわけでもないんでな」
「......言ってて悲しくならないか?」
「......若干な。あとはもう一つ、個人的な理由がある」
そう、俺としてはこの理由が最大の要因と言っても過言ではない
「なんだそれは......?吉川のことだからどうせくだらないことなんだろうが......」
「ひっどいなぁ〜......えっとな、俺達は今十日間ぐらい学校を休んでるだろ?しかも三人同時に」
「そうだね、それで?」
「んで高町と七条がセットなのはある意味当然のこととして周りには受け入れられるだろ?けど、俺はそうじゃない。お前達二人は勿論、他のクラスメイトともそんなに仲がいいわけじゃないからな」
「はあ......?」
「そんな中、俺達三人が一緒に登校したら『吉川も同様の理由で休んでたのか?』なんて勘繰られてしまう、いや本当にそうなんだけれど......まあいいや。そっから『普段たいして会話とかもしてないのになんでアイツも......』なんて考えに発展したら俺の平穏な学校生活が終わりを迎えてしまう」
「あはは......ちょっと考え過ぎじゃないハルト?」
俺が冗談を言っているのだと思ったのだろう、ユーノが苦笑いをしながら言ってくる。甘いなユーノ......
「所詮人間なんざ自分達のグループから外れてるやつを簡単に排除する生き物なんだ。ガキとなりゃあもっと顕著だろうよ」
「......なんだかすっごく実感が篭ってるの」
「言わないでくれ......兎も角、俺だけ行かなければ『吉川は別件だ』という事実が向こうの中で成り立つ。そうなりゃ俺は無罪放免、その為に俺は今回アースラにお留守番しようというわけだ」
前世、そして今生の分を合わせて十年以上の学生生活を送って学んだことの一つ。人ってのは些細なことを理由に幾らでも他人を蹴落とせる。それがたとえ正当性のないものだったとしても、集団での意見として無理矢理正当化させられる。そんな面倒に俺は巻き込まれたくないのでなるべく波風を立てないように振る舞うのが俺のスタンスだ
「そんなわけで久々の休暇......と言うのも変だが、まあ君達だけで楽しみたまえ。そして俺のことは一言も出さないでくれ」
「わかったよ......ったく、そこまでしなくてもいいと俺は思うんだが吉川?」
「にゃはは......私もちょっとそう思うの」
「いーや絶対に必要だね。君達人気者と俺みたいな日陰者は本来ならそもそも相容れないんだよ」
俺は自分のためならできることはなんでもやるのさ。無意味な誹謗中傷に晒されるくらいならそもそも視界に入らなければいい。そうやって自分の身を守るんだ、結局は同じ穴の狢だがお互い様ということで許してくれ
「つーわけで、俺はもうちょっと寝たいんでお話しはまた今度にしようや」
「......うん、お大事になの」
高町を皮切りにそれぞれ別れの挨拶を述べて医務室から退出する。漸く一人になれた......自分で言うのもなんだが、やはり俺は会話をするという行為は苦手である。饒舌に語っているように見えるかもしれないが、それは会話の最中は少しでもこちらが優位に立てるようにという虚勢によるモノであり、必要無いと思えばそもそも言葉を発することすらしたくない......まあこんな性格だから周りから嫌われるんだろうけど......
〈よろしかったのですか、マスター?〉
「それは何についての質問だカナン?」
〈......自宅に戻らなくていいのですか、ということです〉
......コイツは時々とんでもない毒を吐くが、なんやかんやこうやってわざわざ気を遣ってくれる主人思いの良いデバイスである。最高の相棒を得た喜びと共に今更変えられない自分の性分のことを思うと申し訳なくなってくる
「家に帰ったらカナンは絶対学校に行けって言うだろ?だからヤダ。行かなくていいんだったら帰るけどさぁ?」
〈そうですか、それではマスターはアースラでなにをなさるおつもりで?〉
「そうだなぁ......暇があるんならクロノあたりに模擬戦でもお願いしてみようかな?」
そんな風に今後の予定を適当に考えながら、再び襲ってきた眠気に身を委ねたのだった......
———————————————————————
————バシン......!
「ああっ!?」
「はぁ......はぁ......、このっ、役立たずがっ!」
————バシン......!
「ひぐっ!?......ぅぅ」
「あれほどのっ!好機をっ、前にしてっ!」
————バシィン......!
「はぁっ、あぐっ......!」
......夢を、夢を見ているのだろう。そうとしか言いようがない。あの後そのまま眠りについたと思っていたら気づけば目の前の悲惨な光景を眺めていた。体を動かそうにもその体自体がなく、声を上げようにも震わせる喉がない。そしてなによりも、俺はこの光景を直接その目で見たことはない。だからこそこれが夢だとわかるのだろう、だがこれは今現在現実で起こっている事象でもある、そのことも漠然と理解している。なんとも不思議なものだ......
「フェイト......貴女は私のことが嫌いなのね?そんなに私の願いを叶える手伝いをするのが嫌なのね?」
「......っ!?いいえっ、いいえ母さんっ......違うっ、違うんです......!」
テスタロッサの心が流れ込んでくる。大好きな母に嫌われてしまうという恐怖、役に立たなければいけないという焦燥感。そしてまた昔のように一緒に笑い合いたいという郷愁に似た感情。結末を知っている俺からすれば不可能に近いそれを思い続けるテスタロッサの想いはまるで俺の心まで抉り取るようで、とても直視できなかった。
「いいかしら、フェイト?貴女の本当の味方は母さんだけ......だから、私のお願いを聞いてくれるわよね?」
「はい、母さん......」
「いい子ね。貴女が手に入れてきたジュエルシードは八つ、けれどこれじゃ足りないの。少なくともあと六つ、できればそれ以上......手に入れてきてくれるわね、フェイト?」
「わかり、ました......母さん」
「ええ、頼んだわよフェイト。なるべく急いでちょうだい、私にはもうあまり時間が残されてないの」
「............」
......意識が浮上していく。もうじき目覚めるのだろう、急速に景色がぼやけていく。奇妙な体験だ、何故こんな夢を見たのかわからない。ただわかるのはこの光景は本物で、流れてくる感情も偽りのないもので......ああ、けれど、この場にいた人物は一人ではなく、必然的に感じてしまうこの
いかがだったでしょうか?書いていると何故か主人公くんの能力が増えてました......なして?
こんな風にちょいちょいノリで設定が増えていく可能性がありますので今後矛盾しているようなことがありましたらどうぞお声がけください(土下座)
それと今回は大まかな流れは変わらないのですが、NANOHAサンとフェイトそんの決戦を書くかどうかアンケートを取らせていただきます。こちらの方もご協力ください
それでは次回もお楽しみに!
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模擬戦なんだよぉ!
それでは、どうぞ
やあ、おはよう。と言っても時間は既にお昼時である。夢見が悪かったので寝足りず二度寝をしたらこんな時間になってしまった......高町達はもう艦を降りているようだ。とりあえずベッドから下り、近くにいた医務官から退院の許可を得て医務室を後にする。道すがらすれ違う乗組員達に会釈をしつつ自分に宛てがわれた部屋に戻り、着ていた服を脱ぎ捨てて備え付けのシャワールームに入り頭からお湯をかぶる
「......なんだったんだ、あの夢は」
今俺の頭の中を占めているのは二度寝の原因となったあの夢。そもそも俺は夢というものをあまり見ることがない。三年に一度でも見れたらラッキーな方だ。なのでどんな夢が普通とかそういうのはわからないが......
「一説には、夢は自身の記憶で構成されるなんて言われているが......となると、あれは前世の知識を夢という形で見ていたってことになるのか?」
......だがおかしい。確かに、俺はあの場面を知識として知ってはいるが、それでもあんな風に人物の心情が手に取るようにわかるものなのだろうか?......確証が得られない。自分のことなのにこれっぽっちもわからない。どうしようもない状況に苛立ちが募っていく
「はぁ......ダメだ、考えても埒が明かない」
これ以上は考えても無駄だと割り切り、体を洗い終えてからシャワールームを出てバスタオルで拭く。ある程度拭いたら鞄に詰めて持ってきていた私服に着替える
「......暇だな」
ジュエルシードは全て回収されたので出撃は無し、艦内を見て回ろうにもたかが一時的な協力者なので機密保持の為入れない場所もあり、そもそも広すぎる。さてどうしたものかと頭を悩ませているとぐぅ......と腹が鳴った
「そういや昨日の夜からなんも食ってなかったか。食堂行ってなんか食うか」
デスクの上に置いていたカナンを首から下げて部屋を出る。すると、ちょうど休憩に入ったのだろうか、クロノとバッタリ出会した
「よぉ、おはようさん。今から飯かい?」
「おはよう......と言っても既に昼だがな。ああ、食堂に行くところだったんだが君も一緒に行くか?」
「クロノから誘ってくれるなんて珍しいねぇ。勿論同伴させてもらうよ」
そう言って少し戯けながら、俺達は並んで食堂まで向かった
「ズルズル......そうそう、一つ聞いてみたいことがあるんだけどさ」
俺はメニューにあったうどんモドキをすすりながら、テーブルを挟んで正面に座っているクロノに問いかける
「なんだ?あまりにも下らないことだったら砲撃を叩き込むからな」
「......当初のクールキャラはどこに行ったんだ?まぁいいや。クロノはさ、夢を見ることはあるか?」
「夢って......睡眠中に見るアレかい?」
「そうそれ。ちょっと気になることがあってさ」
そう言って俺は今朝見た夢を、内容については触れないにせよ、当たり障りのないように説明し疑問に思ったことをぶつけてみる
「なるほど......夢に出てきた人物の感情を......僕もあまり夢を見るほうではないからなんとも言えないが、そんなことは一度もなかったね。それがどうかしたのか?」
「いや、なんとなく気になっただけなんだ。深く考えなくていい」
そう言って俺は自分で振った話題を早々に切り上げる。収穫はなし、真実は闇の中......と心の中でひとりごちる。こうなっては仕方ないとスッパリ諦めることにした
「はぁ......まぁいっか。さて、ところでクロノ。この後暇だったりする?ちなみに俺は凄く暇」
「ふむ......一応、提出期限に追われている書類はないし、動きがあるまでは待機との命令だから時間はあるが......なぜだ?」
「いや、ちょっとばかし模擬戦でもどうかなって思ってさ。嫌なら別にいいんだけど」
「......そうだな、ただ暇してるのも時間の無駄だ。受けて立とう」
「OK、なら善は急げだ。早速やろうじゃないか」
そう言って俺達は席を立ち、食器を返却してから訓練室に向かう為に食堂を後にした
艦内を移動して到着した訓練室では既に使用していた武装局員が何組かいて、それぞれデバイスの動作確認や軽い魔法の撃ち合いを行っていた。軽く会釈をすると手を挙げて応答してくれる人やこちらをチラリと見やるだけの人など反応はまちまちだったが、そんな中一人がこちらに歩み寄ってきた
「珍しいですね、クロノさんが誰かと訓練室に来るなんて。模擬戦ですか?」
「珍しいは余計だ。別に僕がいつ誰と訓練しようと構わないだろう」
「あはは〜、すいませ〜ん」
なんとも気さくな感じでクロノに話しかけたのはクランク・バーイ一等空士。年齢は二十五歳と言っていた筈だ。ジュエルシードの封印に一緒に出撃したこともある人である
「こんにちは、バーイ一士。今日は俺がクロノに頼んだんですよ」
「ああ、そうだったんですね!それじゃあ自分達は捌けるんで広々と使ってください」
「あ、いや......別にそこまでしてもらわなくても大丈夫ですから......」
「いえいえ、お気になさらずに。正直に言えばお二人が戦うところを見てみたいという私欲もありますので」
「はぁ......じゃあ、お言葉に甘えて......?」
なんだがとんでもないことになった気がする......俺はただちょこっと体を動かそうかなって思っただけだったのに......気づけば先程まで訓練をしていた面々は壁際まで避けており、魔力障壁の中には俺とクロノの姿しかなかった
「なんでさ......?」
「知らん。さっさと始めるぞ」
「ぴえん......」
ギャラリーの観戦なんて微塵も考えてもいなかったのに......どうしてこうなったのさ?今から中断なんて無理だろうし、腹を括るしかないのかぁ......(諦め)
「..................」
「........................っ」
開始の合図はない。お互いに隙を探り合う。そして徐々に間合いを図りながら同時に......!
〈Shoot Ballet〉
〈Stinger Snipe〉
いきなりクロノの十八番!?ギリギリで身を捩って躱したものの、すぐに周りを旋回して追撃してくる。対して此方は誘導性のない直射型の射撃魔法だったのであっけなく避けられてしまう。が、気にせずに回避を続けながら引鉄を数度引く。これもあっさりと見切られてしまう......ちくせう(涙)
〈Stinger Ray〉
クロノも負けじと俺を追い詰めるように魔力弾を放ってくる。これが速すぎるっ......!飛行魔法を発動して空中に逃げるもクロノは寸分違わずに此方を射抜こうとしてくる。スティンガースナイプを避けながらでは大きく回避運動をとることもできないのでなんとか銃剣部分で弾いて逸らしていく。そうこうしている内にスティンガースナイプの威力が弱まってきた。ということは......!
「スナイプショット!」
来たっ!クロノの放ったキーワードによって再加速、再び俺を攻撃しようと向かってくるが......
「この、タイミングゥ!」
〈Photon Impact〉
————ズパアァァァァン!!
「なっ!?」
衝撃波でスティンガースナイプを追撃の魔力弾ごと消し去り、クロノが一瞬動揺したところを一気に距離を詰める!
「だらっしゃぁ!」
接近してからの魔力で強化した蹴りをクロノの頭に向かって繰り出すも、流石執務官と言うべきか、すぐに動揺から立ち直り距離をとって回避。去り際に三発の魔力弾を撃ち込んでくる。それをまた衝撃波を放ち今度はクロノごと吹き飛ばす
「クロノ避けんなぁ!」
「無茶を言うな!?」
このまま距離を取られまいと接近を試みるが、予測していたのか、設置されていたバインドにまんまと引っかかってしまった
「おわっ!?てんめぇ......」
「油断するなよっ!」
追撃される前になんとかバインドの分解に成功したが、結果として再び距離が空いてしまった。また先程までのように射撃戦を行ってもいいが、それではすぐにガス欠になってしまう。なので......
〈Invisible〉
姑息な手を使わせてもらう。自分の姿だけでなく発動した魔法や結界なども隠蔽することができる幻術魔法だ。これでクロノには目の前にいた筈の俺が急にいなくなったように映った筈......この魔法の弱点は大きな動作をしたり魔力を一気に消費してしまうとあっさりと解けてしまうことだ。なので慎重に動きつつ、クロノを取り囲むように魔力スフィアを設置しては気づかれないように隠蔽していく
『クロノのやつ、全然動かないな......』
〈マスターがどこから攻撃してきても対応できるように備えているのでしょう〉
『それならそれでなんとかしてやるさ』
準備は完了、あとはやれるだけやってやる。これが失敗したら潔く降参してやる......!
————ジャラララララララ!!
「っ!!」
まず最初に発動したのはチェーンバインド。四方から自らを絡めとらんと迫る鎖をクロノは一瞥してすぐに正面の一つを破壊、その場から離脱しながらプロテクションを使用し残り三つをやり過ごす
「まだまだぁ!」
インビジブルを解除しクロノが向かってくる正面に立ちカナンを構える。いきなり目の前に現れた俺に再び驚きつつもすぐに気を取り直しS2Uを構えて突貫してくるクロノに対して俺は引鉄を引いて魔力弾を発射する......と見せかけてその動作をトリガーにセットしていた一発の射撃魔法がクロノのプロテクションを撃ち抜く!
「甘いぞクロノォ!」
「何だとっ!?」
仕掛けていた射撃魔法にはクロノが防御魔法を使うことを想定してバリアブレイクの特性を付与してあり、それによってプロテクションを貫通、小さいながらも確実なダメージと一瞬の怯みを与えることができた
「動きが止まってるぞぉっ!そぉらもういっちょ!」
硬直したクロノに再びチェーンバインドを発動。今度は避けられることなく四肢をそれぞれ拘束、ついでにS2Uを手から叩き落としてから銃口を額に突きつける
「チェックメイトだぜ......」
「ああ......全く驚かされたよ」
〈安心してください執務官殿。今回は我々の辛勝......まだまだ至らないところも多く、こちらが負けても何ら不思議ではありませんでした。私ももっとダメマスターを扱かなければなりませんね〉
「ねぇ、なんで勝ったのに俺が貶されてんの?なして?」
「ははっ、君達はつくづく面白い奴らだな」
なんでさ。愛機からの罵倒に不満を覚えつつ魔法、バリアジャケットを解除してフィールドを出る。すると待ってましたとばかりにバーイ一士が駆け寄ってくるのが見える。他の人達も笑顔を浮かべたり手を叩きながらこちらに寄ってきている。なんやかんやあったが、起きた時に感じていた不安感は取り除くことができたようだ。それよりも今は......向かってくる人達を無視してシャワーを浴びたい......
いやホントすみませんorz
なんとか書き上げようとしたところ、アンケートをした意味が全くない内容になってしまいました。このあとはちゃんとアンケ通りにNANOHAさん達の戦闘を描くつもりですので......どうかご容赦を......
また間が空いてしまうと思いますがどうにか投稿しますので!
それでは次回もお楽しみに!
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一日って結構長いね......
本当にごめんなさい......
今回も皆様のご期待には添えなかったです......
それでは、どうぞ
クロノとの模擬戦の後、バーイ一士をはじめとした数名の武装局員の人達に囲まれてあれこれと質問されていたが、どうにか脱出して現在は自室にて休憩中である
「今回はなんとか勝ちをもぎ取れたけど、次はもうやりたくねえなぁ......」
〈そうですね。この度の模擬戦でハラオウン執務官もマスターの手癖の悪さをよく理解されたでしょうし、おそらく次回の勝率は三割を切るでしょう〉
「手癖の悪さではなく戦略と言って欲しいんだが......まぁもう勝てないだろうな」
改めてクロノの強さを確認し、再びやる事のなくなってしまった俺はこの先の
『明日の放課後、バニングスの家で保護されたアルフを高町が見つけて協力関係を築く。そんでさらに次の日の早朝にテスタロッサとの最後の戦い、続いて時の庭園にて最終決戦......か。もうちょっと休めそうだな、カナン?』
〈随分と呑気ですねマスター。あまりにもだらけていると頭の中で魔力をハウリングさせますよ?〉
『なんでお前は事あるごとに俺に叛逆しようとするの?あっ、でもそれ対人戦で相手に使えたら強そう』
〈極接近しなければできませんので実戦では使い勝手は悪いですよ?〉
「アッハイ」
......カナンと会話をしているとどうしてもどうも話が脱線するな......
〈......コホン。それで、マスターはどのように動くのですか?〉
「庭園突入までは外から眺めさせてもらうよ。高町とテスタロッサの戦いを外野がどうこうしちゃったら
原作ブレイクは俺達の死と同義である。一応俺は
「そんなわけでこの後飯食ったら寝ますか」
〈マスターはもっと周りの方とお話ししてみては如何ですか?〉
「............機会があったらね?」
〈......ハァ〉
べ、別に誰かと話すのが怖いだとか面倒くさいだなんて、お、思ってないんだからね!?
———————————————————————
翌日——早朝——
「目が覚めてしまった......」
現時刻は5:00a.m.、事が動くまであと半日近くある。絶望的なまでにやることがない状況だ
「どうしようカナン、今日すっごい暇だよ?」
〈学校に行けばよろしいのではないでしょうか?〉
「やぁだぁ〜〜!ぜっっっったいにやだ〜!!」
〈子供みたいに駄々を捏ねないでください〉
いくら暇だからとてここで学校に行ってしまえば、以前危惧したように俺と七条達の関係を勘繰られてしまう......それだけは避けなくては!
「家の掃除でもしようかなぁ〜?」
〈勉強したくない受験生みたいですね〉
実際にそんな心境である。こんな当日に言って許可下りるかなぁ......?
「いいですよ」
「あっ、いいんですね」
「えぇ、無理に引き止める必要もありませんし。ですが、こちらから指示があった際にはすぐに帰投するように」
「了解しました」
アッサリと許可が下りてしまった。おそらくはいくら自ら残ると言ったとはいえ幼い少年を何日も自宅に帰さないでいるという状況に多少なりとも罪悪感があったのだろう。それを逆手に取っているようでなんだか申し訳ない気もするが......
「気をつけるんだぞ、今は動きを見せていないからってなにがあるか分からないんだからな」
「心配すんなってクロノ。俺だってまだまだ死にたくねえし、死なねえように逃げられるくらいの実力はあるつもりだからよ。それに、レアスキルのおかげで他の人よりかは死ににくいしな」
「............あまりそういうことを言うんじゃない。君の力は僕らだって認めているし、頼りにさせてもらっている。けど、慢心は油断を生むし、君の『再生』にだって限界はあるんだ」
「......分かってるて。クロノは相変わらず心配性だなぁ〜」
「茶化すな!僕は本気で......」
「わーったわーった、俺が悪かったって」
この後少しヘソを曲げてしまったクロノにぶちぶちと小言を言われ続けながらも自宅付近に転送ポートを開いてもらい、約十日ぶりに我が家へと帰宅したのだった
———————————————————————
「さて、こんなもんだろう」
現在は11時を幾らか過ぎた頃。やはり一週間以上家を空けていたせいか、僅かながら埃が積もってしまっているのを見て火がついてしまい、掃除機をかける程度で済ませるつもりが廊下やキッチン、風呂場に自室、さらには今は物置同然になっている空き部屋まで隅々と綺麗にしていった結果思っていたよりも時間が経ってしまっていた
「流石に腹が減ったな。ちょっと早いけど昼飯にしよう............げっ......」
〈どうかしましたかマスター?〉
「食料が全然ない......そういや長期間家を空けるからって大体食い尽くしたんだった......」
元々冷蔵庫の中身が減ってきていたところでアースラへの搭乗だったうえに、食材を放置しておくのはあまり良くないだろうと思い残っていた分も処理してしまっていたのだ
「すっかり忘れてた......カップ麺とかの買い置きもないし......どっか食いに行くか」
そうと決まればあとは早い。簡単に後片付けをしてから財布に携帯と必要最低限の物を持って家を出る
「家を出たは良いものの、
〈ないです〉
ないのかぁ
「となると、知ってる飲食店なんて一ヶ所しかないんだけど......まぁいっか」
ひとしきり考えて弾き出された答えは一つ。あまり気は進まないものの、背に腹は変えられないので諦めるほかない。行き先は決定したので道順を思い出しながら重い足取りで歩を進めた......
————カランカラン
「......おや、珍しいお客さんだね。いらっしゃい」
「あっ......士郎さん......ドウモ」
「そう硬くならなくてもいいよ。カウンター席でいいかな?」
「だいじょぶです......」
そう、俺が来たのはみんな大好き『翠屋』である。平日の昼時にもかかわらず、店内は多くのお客さんで賑わっている。それだけでこの店の評判が窺える
(やっぱ女性客が多いな......)
こんな時間に男一人、しかも小学生が入店したからだろう、若干の好奇心を含んだ視線に晒されながら席に案内される。メニューを手に取り眺めていると士郎さんがお冷を出してくれ、そのまま注文を聞くためにその場に留まった。あまり待たせるのも悪いだろうな......
「ええっと......ホットサンドとガトーショコラのセットで。飲み物はコーヒーをお願いします」
「かしこまりました。ちょっと待っててね」
そう言うと士郎さんはカウンター内に戻っていき、厨房の方———多分桃子さんだろう———に注文を伝え、本人は俺の目の前でコーヒーを淹れ始めた。その所作がものすごく様になっていて、同性でありながら思わず見惚れてしまった
(いかんいかん、相手は既婚者だぞっ!?)
〈それも少しおかしいですよマスター〉
おっと、心の声が念話で漏れていたみたいだ。危ない危ない......店内の雰囲気に呑まれてしまっていたようだ。高校生になったらここでバイトをしてみてもいいな......なんて柄にもないことを考え、すぐにそんな未来は訪れることはないと切り捨てる。今後原作に介入し続けるのであればどこかの段階でミッドチルダに移り住まなければならないのだ、バイトなんかをしている暇はないだろう
そんなことを考えていると、目の前に出来立てのホットサンドと淹れ立てのコーヒーが置かれた。意識外からの出来事だったので思わず顔を上げると士郎さんがこちらを見て微笑んでいた。ハズカシイ......
「砂糖とミルクはいるかい?」
「あっ、いえ、ブラックで平気です」
そう言ってから俺はカップを手に取り、一口啜ってみる。口の中に強烈で、しかしキツ過ぎない苦味と旨味が広がる。良し悪しがわかるほど嗜んでいるわけではないが、それでもこの一口で士郎さんの淹れたコーヒーは絶品だと分かった
「美味しい......」
「それはよかった」
一度カップを置き、次にホットサンド———具はツナたまごとハムチーズの二種類にした———にかぶりつく。こちらもとてもジューシーで食べ応えがあり、自然と頬が緩んでしまう。口いっぱいに頬張りよく咀嚼してから嚥下し、コーヒーをちびちびと飲む。これを数回繰り返しているとあっという間に完食してしまった。余韻に浸っていると空いたお皿を下げてケーキを出してくれる士郎さん。この人は気配りの天才だと思う
ガトーショコラの甘味を堪能していると、カウンター内から出てきた士郎さんがエプロンを外して軽く畳み、それをレジの傍に置いてから俺の隣に座ってきた。結構距離が近い......
「......いいんですか、お仕事中でしょう?」
「店長権限でね、休憩時間は自分で決められるんだ」
ははっ、とにこやかに笑う士郎さんを見ているとこの人は本当にあの戦闘民族高町家の一人なのかと疑いたくなるが、以前温泉で見た傷跡を見た限り普通に強いのだろう。それこそ、俺なんかじゃ逆立ちしたって敵わないくらいに......
「それはそうと、晴斗くんはどうしてこんな時間に?」
「あぁ〜......えっと、最近ちょっとやらなくちゃいけないことがあって、それで学校を休んでたんですけど......ひと段落ついたんで気分転換にって感じで......」
「そうだったのかい。まぁ、内容に関しては僕も聞かないでおくよ。きっと言いにくいこともあるだろうしね」
「あはは、そうしてもらえると助かります......」
「いやいいんだよ。実を言うとウチのなのはも同じでね。やらなきゃいけないことがあるの、って言って家を空けてから結構経って、昨日ようやく帰ってきたと思ったらまたすぐに出なくちゃいけないみたいで......父親としてはあまり良くは思ってはいないんだが......」
「ソ、ソウナンデスカ......」
言えない、「実はそれ自分も関係あります」だなんて絶対に言えない......言ったら何されるかわかんないよ......(涙)
「娘の成長が早いことは喜ばしいことなんだけど、それでも少し寂しくてね。君も大人になって、父親になると分かると思うよ......って、こんな話を小学生にしてもしょうがないか」
「いえ、そんなことは......そうやって士郎さんが高町のことを心配するのは普通のことだと思いますし、それだけ高町のことが大事なんだなってのが伝わってきます。それはきっと高町本人にもわかってるだろうし、高町にとっても士郎さんは大切なお父さんなんだと思いますよ?」
「......あはは、これじゃ僕が慰められてるみたいだね」
「あっ、すみませんそんなつもりじゃ......」
「いや、いいんだ。なんだか不思議だな。娘と同い年の男の子と話していたかと思ったら、もっと成熟した子と一緒にいるようだ。晴斗くん、よく達観してるなんて言われないかい?」
「ど、どうでしょう......」
この人はいちいちが鋭くて本当に怖い。いつか普通に魔法のこととかバレそう......
「さて、あんまりおじさんの長話に付き合わせるのも可哀想だし僕は仕事に戻るよ」
「そうですか......俺はもうちょっとゆっくりしていきます」
「そうか、ぜひそうしてくれ」
そう言うと士郎さんは席から立ち上がりカウンター内に戻っていく。俺はその姿を見ながら大きくため息をつき、残っていたコーヒーを一気に飲み干して一息する。その後、少しの間思考を巡らせてから士郎さんにコーヒーのおかわりを注文した。結局俺が家に戻ったのはこの二時間後で、高町がアルフと遭遇したという知らせを聞くまでにそんなに時間はかからなかった......
頭の中に浮かんだものをひいこら言いながら文字にしていった結果、またもやアンケをガン無視したものになってしまいました......
書いてる途中はバトルの最初までは行くかな?なんて思っていたのですが全然ダメでした(唖然)今回のタイトルは今話を書いている作者の内心でもあります()
これも自分の至らなさのせいです......本当に申し訳ない......
次回はNANOHAさんとフェイトそんの戦いから始めようと考えております。こんな拙作でも読んでくださる皆さんのことを裏切らぬよう精進していきます!
それでは次回もお楽しみに!
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見てる分にはいいよね......
お久しぶりです、大変お待たせしました<(_ _)>
長々と前書きで喋るのもあれですので......
それでは、どうぞ
A.M.06:04——海鳴臨海公園——
〈Divine Shooter〉
〈Photon Lancer〉
「シュート!」
「ファイヤ!」
桃色と金色の閃光が互いにすれ違い、敵を撃ち抜こうと迫る。高町は身を捻って回避し、テスタロッサは上昇してやり過ごそうとしたが高町の魔力弾は軌道を曲げ追撃する。振り切れないと判断したのか、反転し魔力刃を展開したバルディッシュで切り裂いた
「はあぁっ!」
そのまま突貫、恐ろしい速さで高町との距離を詰める
〈Round Shield〉
急いで防御魔法を発動、バルディッシュの刃を防ぎ残っていた魔力弾を操作して背後から奇襲をかける。それに気づいたテスタロッサは自身もシールドを使い難を逃れるがその隙に高町は距離を取ることに成功する
「「............」」
無言のまま向き合い続ける両者。隙を伺う二人の息は少しだけ上がっているが、まだまだ余裕を感じる表情だ。その様子を俺達は
「始まっちゃったね......」
「あぁ、なのはが勝ってくれれば何も面倒はなくて済むんだけどね」
「なぁ、俺まだ寝てていい?すっごい眠いんだけど......」
「ダメに決まってるだろ!」
クロノからお叱りを頂いてしまったため、半開きの目を擦りながら再びモニターに目線を戻す。するとなんということでしょう......ほんの一ヶ月ほど前までただの小学生だった高町なのはさんが、空中を激しく飛び回りながらテスタロッサさんと自身の愛機をぶつけ合っているではありませんか......
「高町って砲撃魔導師だよな?何普通にテスタロッサと接近戦で張り合ってんの?ぼかぁその強さと成長ぶりに涙が出ちゃうよ......主に恐怖から」
恐怖心
俺の心に
恐怖心 吉川 晴斗
おっといけない、心の中のダディャーナザァンが顔を出してしまった......うっかり顔芸カマさないよう気をつけなきゃ......
「それにしても、ユウキ君達はここにいてもいいの?」
「まぁな。今回の戦いは勝ち負けは最悪どっちでもいい。目的は向こうの本拠地の座標を割り出すことだからな。それに......」
「それに?」
「なのはが負けるわけないだろう?」
なんの疑いもなく言い切った七条にクロノとエイミィは沈黙を禁じ得ない様子......いやまぁ原作のことを知ってるから勝つのは分かっていることだし、寧ろ勝ってもらわないと今後の展開的に困るのだけれども......二人にはただの惚気にしか聞こえなかったみたい。是非もないヨネ!
「はいはい、惚気るのは結構ですのでちゃんと警戒しとけよ」
「誰が惚気た!?」
「無自覚だったか......」
そんな風にわいわいとやっていたら、どうやら向こうも最終局面に入ったようだ......
(最初はただ魔力が多いだけの素人だった......でももう違う。迷ってたら......やられる!)
テスタロッサがバルディッシュを構え直すと足元に巨大な魔法陣が現れ、周囲には数十基の魔力スフィアが生成される。これまで以上の大技がくることを予感した高町はすぐさま対応しようとするが、既に設置されていたバインドの術式が発動し手足を拘束されてしまう
「フォトンランサー・ファランクスシフト......撃ち砕け、ファイヤ!!」
————キュドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……!!
テスタロッサの掛け声をキーワードに、宙に浮いていた魔力スフィアからとてもじゃないが目では数え切れない量の魔力弾が雷撃を伴って高町に襲い掛かる。着弾点である高町の周辺には爆煙が立ち上り、その姿をモニターで視認できなくなってしまった
(お願い......これで倒れて!)
数秒間にわたる掃射が終わり、残った魔力弾を一点に集中させて追撃をかけられるよう備えつつ煙の晴れつつある高町のほうを見やる。そこには......
「たはは......撃ち終わると、バインドっていうのも解けちゃうんだね?」
バリアジャケットがやや煤けているものの、大きな破損や負傷は見られず殆ど無傷の状態で高町は佇んでいた。咄嗟にシールドを張ったのだろうが、いくらなんでも無傷で防ぎ切られるとは思っていなかったのだろう、テスタロッサが驚愕する様子がこちらからも確認できる。そりゃそうだよね......なんで無傷なの?(ガクブル)
「今度は、こっちの番だよ!」
〈Divine Buster〉
レイジングハートの周りに円環が現れ桃色の魔力が凝縮、砲撃として繰り出される
「はあっ!!」
テスタロッサも負けじと最後の魔力弾を放つが、あっさりとディバインバスターに飲み込まれてしまう。直撃は免れないと察したテスタロッサは前面にシールドを張り、正面から受け止める
————ズドォォォォォォォ!!!
「うっ、あぁっ......!?」
凄まじい衝撃をその身で受けるテスタロッサ。その表情は苦悶に満ちていたがなんとか高町の砲撃魔法を耐え切った。しかし、威力を殺し切ることはできなかったようで、バリアジャケットはあちこちが破れており、魔力もほぼ底を尽きかけているようだ。満身創痍である、しかし......
大 魔 王 か ら は 逃 げ ら れ な い
辺り一帯が桜色に輝く。高町の足元にある巨大な魔法陣の中央に周囲を漂っていた魔力が集まっていく。よく見ると金色の魔力も集束しているので、どうやら使えるのは自身の魔力だけではない模様。つまり、今回の戦闘で使われた両者の魔力全てがテスタロッサに向けて放たれるというわけだ............ナニソレコワッ()
「くっ、......なっ!?」
急いでその場を離れようとしたテスタロッサ。だが、今度は自分がバインドで手足を拘束され離脱ができなくなってしまった。先ほどとは逆の立場であるが、よくもまぁ自分の受けた戦略をすぐそのまま返せるよ......
「これが私のっ、全力全開!スターライト......!」
魔力の塊が極限まで膨れ上がり、放たれるのは今か今かと待ち侘びているかのように躍動する。そしてついに......
「ブレイカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!」
————ズゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!
大瀑布が頭上から迫ってくる。テスタロッサはもはや防御することも叶わず砲撃に飲まれてしまい、魔力の波はそのまま海面と衝突して大きな水飛沫を上げていた
「なんつーバカ魔力......」
「うわぁ......フェイトちゃん生きてるかなぁ?」
「いや、非殺傷設定なんだから死なないでしょ」
「俺だったら確実に死んでるな。防御魔法使えないし」
「そういう問題じゃないだろ!?」
いやまぁそりゃ死にはしないだろうけどさ......あんなの撃たれたら死を覚悟するに決まってんじゃん......あーよかった敵対ルート選ばなくて
「そういやテスタロッサはどうなった?」
モニターに視線を戻すと既に砲撃は終了していたが、テスタロッサとあと何故か高町の姿が見えなかった。慌ててユーノが飛び出そうと扉に向かおうとした時、高町がテスタロッサを抱えて海中から勢いよく浮上してきた。何かを話し合っているようで、その際にバルディッシュからテスタロッサの持つジュエルシードが排出されたのが見えた
「どうやら、海に落ちたフェイト・テスタロッサを引き揚げてただけみたいだね」
「みたいだな......ここからが正念場か」
「ああ......ナノハ、まずはジュエルシードを確保して。それから......」
「いや、待って!来た!」
周辺を観測していたエイミィが声を上げる。すると忽ち空が暗雲で覆われて、その中では紫電が走っている。そしてその一部がテスタロッサに向かって降り注ぐ
「フェイトちゃんっ!?」
高町が堪らず叫ぶが余波で近づくことがない。また、この戦いで傷ついていたバルディッシュは耐えきれずにバラバラに砕けた末待機状態に戻ってしまった。さらには、宙に浮いていた六つのジュエルシードはプレシアの元に転送されたようだ
「ビンゴ!尻尾掴んだ!」
「よしっ!不用意な物質転送が命取りだ。エイミィ、座標は?」
「もう割り出してるよ!」
どうやら向こうの根城を突き止めたようだ。ということは、遂に最終決戦が始まるというわけだ。まず先に先遣隊の武装局員が道を開き、そこへ俺と七条、高町とユーノ、そしてクロノによる突入部隊が侵入する算段になっている
「いよいよだなぁ......戦わなければ生き残れない!」
「それ結局生き残れないからやめろ!......そんなことより、ハッピーエンドとやらへの道筋はついてるのか吉川?」
「勿論だよ。とびっきりのエンディングにしてやる」
そう言って俺は不敵な笑みを浮かべ......られてたらイイナ......
改めましてお久しぶりです
前回投稿から3ヶ月経ってしまいました......
本当に申し訳ありません......
頑張って書こうにも時間もあまり取れず、取れたとしてもなかなか内容が思い浮かばず結局筆が遠のいてしまったり......なんとか書き上げましたが、皆様のご期待に添えているか分かりません
もしかしたら今後書き直すこともあるかもしれませんが、その時はどうぞ宜しくお願いします!
あと、Twitterを始めまして作者プロフィールにリンクを貼ってあります。更新したらつぶやきますので是非チェック用にフォローしてやってください......
よろしければ誤字脱字の報告、感想なんかもくださると嬉しいです!
それでは次回もお楽しみに!
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俺、場違いじゃない......?
お久しぶりです、牡羊座です......
ほんっと〜〜〜〜にお待たせいたしました!執筆が二進も三進も行かず、気づけば四ヶ月弱......申し訳なさすぎる......
それでは、どうぞ!
「先遣隊、準備完了しました!」
「......目標はプレシア・テスタロッサの身柄確保です。何があるかわかりません、細心の注意を。では......状況開始!」
アースラの武装局員らが転送ポートから先程突き止めた敵の本拠点、『時の庭園』に転移する。俺達は彼らの切り開いた道を最速で進み、プレシアの元にたどり着けばいいのだが......
「何も出てこないな」
「......どういうことだ?」
局員が庭園内に侵入してから、何の妨害もされずに至って順調に進むことができた。終いには庭園の最奥、おそらくプレシアがいるであろう部屋の前にまで来てしまった
「......ここまでは原作通りなのか、七条?」
「ああ。この後部隊が全滅させられ、ジュエルシードと庭園の魔力炉の暴走が始まる。そこに俺達が突っ込むわけだ」
「おっかねぇなぁ」
ブリッジが忙しなく動いている中———ちなみに、回収された高町とテスタロッサ、アルフもここにいる———俺と七条は隅っこの方でコソコソと小声で話している。『物語』の大まかな流れを再確認して、俺は原作改変を起こすタイミングを思案する。一応の当たりはつけているのだが、前段階が全てうまくいかなければ実現できない希望的観測ガン積みの大博打である。最悪の場合、今回で二つの『奇跡』を使わなければいけなくなるが......その時はその時だ
「おい、聞いてんのか?」
「聞いてるってば」
「ならいいが。で、その時カプセルに入ってるのが......」
「......アリシア・テスタロッサ、か」
自分が関わっていた実験が失敗してしまったが故に亡くなってしまった本当の娘。彼女を取り戻さんとせんがため、ジュエルシードなんてものにまで手を出した。しかも、それを使っても願いが叶わないことは百も承知で、世界を犠牲にしてまでアルハザードなんていう有るかどうかもわからない場所に行くために。七条曰く、大昔には存在したが既に滅亡しているという『設定』がある......らしいが
「プレシアを正気に戻す手段はなんとなく思いついてるけど、そん時にガチンコバトルに発展する可能性があるから援護は任せた」
「どつしてそうなる!?」
小声で叫ぶとか器用な奴だな。そんな風に話してると辺りの探索が終わったのか、正面の扉を開けて武装局員が部屋に押し入る。すると、その先にいたのは気怠げそうに椅子に腰掛けているプレシアの姿だった。局員は素早く目配せをしてから杖を構え、互いの射線が被らないよう扇状に広がりながらプレシアを包囲する
「プレシア・テスタロッサ、時空管理法違反及び管理局艦船への攻撃の容疑で貴女の身柄を拘束します。武装を解除して、こちらへ」
そう呼びかけるも、プレシアはただ虚空を見つめて溜息を零すだけ。しかし、数名の局員がプレシアの横を通り抜け、奥の扉を開き『そこ』に足を踏み入れた瞬間、その態度が豹変した
「こ、これは......?」
「......っ!アリシアに、さわるなぁぁぁァァァ!!!」
————ズガァァァァァァァン!!!!
紫電が走り、プレシアの周りを囲んでいた局員ら全員が体から煙を上げながら倒れ伏す。閃光と爆音に驚き振り向いた局員は目の前に広がる光景に愕然とし、思わず呆けてしまう
油断などしていなかったはずだ。何があっても即座に対応できるはずだった。保たれていると思っていた均衡はたった一撃で崩れ去ってしまった。そして......
「私の娘にぃぃ............!触るなァァ!!」
悪鬼のような表情でプレシアが迫ってきていた
「ひぃっ......!?」
一番扉に近い———つまり、一番プレシアに近い———局員は思わず小さく悲鳴を上げてしまうが、誰もそれを責めることができなかった。ともすれば自分が悲鳴を上げていたやも知れないからだ
慌ててデバイスを構えようとした局員の顔面を鷲掴み、その細腕のどこにそんな力があるのかと思ってしまうような異常な腕力でそのまま宙に掴み上げた
「......ぁっ、ガァ......っ」
怪力から逃れようと必死にもがくがそれも叶わず、激痛のあまり杖を手から放してしまう。周りの局員達は距離が近すぎるため手出しができなかった。ただでさえ狭い部屋の中での攻撃魔法の行使は危険なうえ、プレシアと仲間は密着している。巻き添えにしてしまう可能性が高かった
————バチィィィン!!!
そうこうしているうちに掴まれていた局員はゼロ距離から電撃を喰らい大きく痙攣しながら失神、そのまま手を放されて地面に崩れ落ちる。自分の起こした惨劇には目も暮れず、プレシアは狼狽えている他の局員らを纏めて吹き飛ばしてしまう
「他愛もないわね......」
先程の剣幕から一転、心底くだらなさそうに呟く。
戦闘が始まってからたった数分、それだけの時間で先遣隊はプレシア一人に敗北した......
「見ているかしら......?聞こえているかしら、管理局......?」
———————————————————————
『見ているかしら......聞こえているかしら、管理局......?』
プレシアがこちらに語りかけている。状況をモニターしているのもお見通しだったのだろう、だが、誰も反応することができない。信じられない光景を目の当たりにした時、人は大抵思考を停止させるものだ。まぁ、数人———"それを知っていた者"と、"ある程度予測していた者"に分かれるが———はそうならず、状況を打開するための一手を必死に考えている
さて、ではいったい大多数の意識を縛り付けているモノはなんなのか?それは......
「フェイトちゃん......?」
「アリ、シア......」
培養槽のような密閉されたカプセル、その中の液体に浮かぶフェイト・テスタロッサに瓜二つ、いや、全く同じ少女......アリシア・テスタロッサ。そして、その口から気泡が漏れていない......つまり彼女が息をしていない、死体であるという事実である。さらに言うのならば、その死体を『娘』と呼び保存している、プレシアの異常性自体であろう......
「......知ってても、流石にキツイな、これは」
そんな小言を思わず呟いてしまったが、誰も気に留めることはない。それほどまでに異質な空気に支配されてしまっている
「......アリシアちゃんって、だれ?」
「プレシアの、実の娘だ」
高町の疑問に答えたのはクロノだった
「プレシア・テスタロッサの娘、アリシア・テスタロッサは数年前にある実験中に起こった事故で......既に死亡している」
クロノは苦虫を噛み潰したような表情をしながら言葉を紡ぐ
「過去、プレシアにフェイト・テスタロッサという名前の子供がいた記録は一切ない。だが一つだけ、関連する『名称』はあった。それが......」
「使い魔を超える、人造魔導生命の研究......『プロジェクト「F.A.T.E」』」
クロノの言葉をエイミィが継ぐように告げる事実に言葉を失う高町と......テスタロッサ本人。あの様子だと全く知らなかったということではないのだろうが、朧げにそう感じていたという程度なのだろう。大きく動揺している様は正直に言って見ていられない
『あら、よく調べたのね。えぇそうよ、私の娘はアリシアだけ。そこにいるのはただのお人形よ』
「......っ」
信じていた母親からの拒絶の言葉にその瞳に涙を浮かべるテスタロッサ。その傍に寄り添いながら強い眼差しで睨む高町......この状況で睨み返せるってやっぱり戦闘民族高町家の血筋なんだなぁって......茶化してる場合じゃないなこれ
『やっとアリシアを取り戻す算段がついたの。だから、フェイト......貴女はもう、要らないわ!』
「っ、もうやめて!」
プレシアの言葉に心を打ち砕かれ、テスタロッサはその場にへたり込んでしまう。慌てて高町が支えるがその目は虚げで、涙を流したまま光を写していないようだった
「てンめえぇぇぇぇぇっ!!」
アルフがギリギリと音が鳴るほど拳を握りながら咆哮する。が、それすらも可笑しいのか高笑いをするプレシアは、さも愉快そうに言葉を吐き出し続ける
『ふふふ、あっはははははは......!フェイト、私はねぇ......貴女を作り出してから......アリシアと同じ顔をした貴女のことが、ずっと、ずっと、ずっと......!!』
プレシアがトドメの一言を告げようとする。その様子はまるで
「そこまでだ!!!」
思わず叫んでしまっていた
「「「........................」」」
『........................』
先程まで一言も発さなかった俺が急に声を上げてしまったせいか、艦内どころかプレシアまでその言葉を中断して皆こちらを見ている。七条に至っては隣でいきなり大声を上げられてうるさかったのだろう、凄い顰めっ面で睨んでくる。ハハ......そんな一斉に俺を見ないでよ、吐いちゃうでしょ......
『......急になんなのかしら。貴方には関係ないでしょ、ぼうや?』
「関係ないことはない。俺だってこの場にいる魔導師の一人だ......それに、心にもないことを言おうとしてる奴がいたら、そりゃ止めるだろ」
『............っ!』
俺は先日見た夢を思い出していた。あの時感じ取った想いはテスタロッサのものだけでなく、プレシアのものもあった。だからこそ俺は、場の流れとかそんなのはお構いなしに、続いたであろう言葉を止めたんだ。それを言ってしまってはどうあっても二人の関係を修復することは不可能になってしまうから......
『ふざけないでちょうだい......っ!私は、あの子の為に、アルハザードに行くのだからっ......!!』
そう言ってプレシアが腕を振るうと、モニターの映像が途切れてしまう
「き、局員の回収、終了しました!」
「それと同時に庭園内部に魔力反応出現、いずれもAクラス!総数六十......八十 ......まだ増えています!」
事態が慌ただしく変化する。庭園に出現したのは土くれとも、鉄の塊とも見て取れる甲冑のような姿のゴーレム。それが百を超える勢いで出てきているという......これは普通にどうしようもなくない?さらには......
「ジュエルシードの発動を確認!次元震も同時に発生、中規模以上......さらに強くなります!このままでは次元断層まで......!」
「っ......、振動防御、ディストーションシールドを!転移可能距離を維持したまま影響の薄い空域に移動して!」
「りょ、了解!」
本格的に不味くなってきたようだ。もしや俺のせいでは?と不安になってきたのでチラリと七条の方を見やると、何か言いたげそうな表情をしながらも首を横に振る。どうやら大丈夫そうだ
「なぁ、アンタ......」
「ん?」
そうこうしていると、高町達の所にいたアルフが声をかけてきた。いったいなんだろうか?
「さっきはさ、ありがとうね。あのまま最後まで言われてたら......フェイトは耐えられなかった」
「あぁ......別にいいんだよ、咄嗟に口に出ちまっただけだしさ。お礼なんていらないわ」
「それでも......ありがとう」
テスタロッサは良い使い魔に恵まれてるんだな......俺もせめて性格の良いデバイスだったらなぁ......
〈なにか言いましたかマスター?〉
『ヴェッ、マリモ!』
コイツナチュラルに俺の思考を読んでんじゃないかなぁ......?って、今はこんなボケかましてる場合じゃないだろうに!
「クロノ!これからどうするんだ?」
「っああ、僕達後発組も庭園に突入する。エイミィ、転送ポート開いて!」
「合点承知!」
七条の声かけでやや放心状態のままだったクロノが復帰、すぐさま指示を飛ばす。ここからが俺達にとって最大の山場である。どうにかこうにかして、ハッピーエンドにもつれ込ませてやる......!
改めましてお久しぶりです!
ジワジワ書いては消し書いては消しを繰り返しているうちに長い時間が経ってしまいました......オマケに受験生になってしまっている始末......トホホ
これからもどうにか空き時間を見つけては執筆を続けていきたいと思いますが、また皆さんをお待たせしてしまうかもしれません......どうかご容赦を<(_"_)>
こんな稚作ではありますが、感想など頂けると嬉しくなって作者が舞い上がります!Twitterの方も良ければフォローしてやってください!
それでは次回もお楽しみに!
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危険が過ぎるんだが!?
大変お待たせしました......!ごちゃごちゃと語るのは後書きにてしますので、どうぞ本編をお楽しみください!
『転送、完了しました』
エイミィのアナウンスとともに視界が開ける。どうやら無事にアースラから庭園まで転送されたようだ。目の前に見えるのは馬鹿デカい扉と数えるのも嫌になるほどのゴーレム達。手に剣と盾を持っているタイプやハルバードや戦斧を構えてるタイプ、挙句の果てには翼の生えた飛行タイプまでいる
「まだ入り口だってのに多すぎやしませんかねぇ......」
「クロノくん、あの子たちって?」
「あれは近くの敵を狙って攻撃するだけのただの機械だよ」
高町の質問にクロノが淡々と答える。その様子はやけに物々しく、いつもと違った張り詰めたような雰囲気だった
「......なぁ七条、クロノのやつなんであんなに機嫌悪そうなんだよ?」
「あいつが執務官を目指したきっかけが父親の死だったからな。家族の死を否定しようとして、今の家族に目を向けようとしないプレシアに思うところがあるんだろ」
「なるへそ」
ハラオウン家もなかなかに大変なんだな......原作にわか知識しかない俺としては墓穴を掘りたくないのでクロノにあれこれと突っ込むのはやめにする
「そんで、どうやってここを突破するんだ?全員で殴り込みか?」
「いいや、ここは僕に任せてくれ」
そうクロノが言うと、一人前に出て愛機S2Uを構える
〈Stinger Snipe〉
————ギュガガガガガガ!!!!
以前俺との模擬戦でも使用したクロノの十八番であるスティンガースナイプを無数のゴーレムに向かって放つ。螺旋状に軌道を描く魔力弾が次々と機械の体躯を貫通していく
「スナイプショット!」
クロノが放ったキーワードで徐々に減衰していた勢いが再び盛り返し、残っていたゴーレムも一掃する
「これで中に入れるな」
「えぇ......一撃かよ......怖ッ」
あれだけいたゴーレムが一瞬で壊滅してしまった......複数の敵相手だとあそこまでえげつない攻撃になるんやな......ホントよく模擬戦勝てたわ俺
「内部に突入するぞ。吉川、遅れるなよ」
「なんで名指しされてるんですかね俺?そんなに足手まといならアースラに戻るよ?」
「駄目だよ、最後にプレシアを激昂させたのは君なんだからちゃんと責任を取って捕縛に協力してもらわないと。貴重なた...戦力をわざわざ取っておく必要は全くないんだしね」
「おい今盾って言おうとしたよな?再生にも限度があるんだぞぅ!」
「いや、そういう問題じゃないでしょ......」
————ズガアァァァァァァン!!
俺のズレた反論にユーノが軽くツッコんでいると前方から轟音が鳴り響く
「えっと......壊しちゃってよかったんだよね?」
「え、あぁ、いいんじゃないの...?どうやったらあのでけえ扉を一人でぶち抜けるんだよ......」
それなりに分厚かった扉を砲撃一発でぶち抜いた高町。あまりの規格外さにクロノ他アースラのスタッフ一同まで思わず放心している。本場の魔導師達から見てもやっぱり高町の戦闘力はぶっ飛んでいるらしい......
———————————————————————
「クロノ助けてぇ!?!?」
————ブォン!!!
「危なぁ!?」
「ったく、世話が焼けるな君は!」
〈Round Shield〉
————ガギィィィィィン!!!!
ゴーレムが繰り出してきた戦斧の一撃をクロノに防いでもらい、その隙に頭部を破壊して行動不能にする。何度か同じ手順を繰り返してそれなりの数を機能停止にしてきたが元々の数が多すぎて全く減っている気がしない......
「とりあえず頭潰せば動かなくなるからよかった!これでたかがメインカメラを......な奴だったらマジでどうしようもなかったわ!」
「無駄口を叩いてないで手を動かして!」
「十分働いてるでしょうが?!」
まぁ実際、味方に援護してもらいながらチマチマと倒している俺と比べて高町や七条はバカスカと単独で撃破しまくっているのでスコアとしては俺がドベである。ユーノ?あいつはサポート専門だからノーカンだよ。これでもしユーノまでバンバン落としまくってたら俺は本気で泣いて魔導師をやめるね......そんなことを考えていると周辺のゴーレムを一掃できたみたいだ
「ここからどうするの、クロノくん?」
「......二手に分かれよう。片方は庭園の最上階に向かって駆動炉の封印、もう片方がプレシアの身柄確保だ。ハルトはもちろん僕と一緒にプレシアの方に行くよ」
「強制なんですねわかりました諦めます......んで、封印の方は誰が行くんだ?ユーノだけで行かせるん?」
「いや、俺となのはが一緒に行く。俺達がついてればある程度はなんとかなるだろうし、三人でとっとと封印すればそっちに加勢もできるだろうしな」
七条が衝撃発言をかましてくれやがった!
『おい待て七条ぉ!お前もこっちに来てくれないと原作通りの流れなのかわかんねぇだろぉが!ええんか!?うっかりブレイクして世界ごとあぼーんしてもええんか!?』
『うるさいな!?ここから先に原作が圧倒的に崩壊するような展開はそうそうないだろうし、そもそもお前のことだからプレシアを生き延びさせようとしてるんだろ?その時点で改変なんだからそれ以上考えたって仕方がないだろう』
『そうだけどさぁ......!単純に戦力不足でもあるんだよ!どうせ高町達の方はなんやかんやあってアルフやテスタロッサとかが応援に来るんだからお前までそっちに行く必要ないだろ!足手まといの俺とクロノだけじゃ道中危ないって!二人でイチャコラしたいんだったら時と場所を考えろ!』
『そんなわけないだろうが!?というか自分で足手まといとか言ってて悲しくならないのか!?』
めちゃくちゃ悲しい。自分でもこのメンバーの中で一番実力の無さを認識していたが、改めて言葉にするとかなり心にクるものがある。だがしかしそんな当たり前のことで意気消沈している暇はなく、懲りずに文句を言い続けようとしたのだが......
「よし、それでいこう。なにかあったらすぐに僕か、あるいはアースラに連絡するように。それと、くれぐれも虚数空間には落ちないように気をつけて。あそこはあらゆる魔法をレジストするから、落ちたら二度と上がってこれないからね」
「き、気をつけるの......!」
クロノが地面に広がる極彩色について注意喚起をして高町がやや怯えたかと思うや否や、三人はさっさと上階に向かって階段を上っていってしまった......
「ヘーーールプ!!カムバックプリーズ!!」
「喚いてないで、僕達も行くよ!」
涙に明け暮れていたいところを叱責されてしまい、渋々ながらクロノに続いて七条達とは反対に階段を勢いよく下っていく。もちろん途中にはゴーレムが配置されているが面倒になった俺は撃破はせずに、攻撃を回避して横を通り抜けることにした
「おいっ!そうやって素通りしてたら後で大軍に押し寄せられるぞ!?」
「仕方ないだろーがよ。あいつらをぶっ壊せる程度の攻撃をお前らみたいにバカスカ撃ってたらあっという間にガス欠になるっつーの」
「ジュエルシードで魔力を補充すればいいだろう?」
「戦闘行動をしながら魔力の補充なんて繊細な作業、できるわきゃねぇだろぉ!そっちにカナンの演算を割いたら索敵の方が疎かになって速攻でお陀仏だよ!」
「ええい、なんて不便な......!」
〈Warning!〉
「「っ!?」」
カナンが発した警告に反応すると同時に、前方からゴーレムがこちらに向かって手にしていた剣を投げつけてくるのが見えた
「なんとぉぉ!?」
すんでのところで二人とも投擲を躱すことはできたのだが、風圧に煽られたせいで俺はバランスを崩し地面に落下する......直前になんとか片足をつけてそのまま踏み切り、倒れることなく飛行を再開する
「あっぶねぇ!?なんとかダイナミック五体投地しないで済んだ!!」
〈しっかりしてください、マスター〉
「マジで危なかったって今の......下手したら腕の二、三本ぐらい持ってかれてたって......つーかすげぇ足首が痛い!」
「腕は二本しかないだろうが......」
驚愕と痛みでパニックになった俺の支離滅裂な発言に同じく煽りを食らった筈のクロノが冷静かつ呆れ気味にツッコんでくる。なんで平然と飛んでられるんですかね?経験値の差?ならしょうがないね(諦め)
「それで執務官殿!いつになったらプレシアの下にたどり着けるんですかね!?」
「あともう少しのはず!エイミィ、そっちからのモニタリングは!?」
『クロノ君の言う通り!そのまま進んだ先にプレシア・テスタロッサの反応がある!』
「そのままって......目の前は壁なんですが!?これを突き破って進めと!?」
「やるしかないだろう!タイミングを合わせて!」
「アラホラサッサー!」
〈Blaze Cannon〉
〈Photon Ray〉
————ズドォォォォォン!!!
俺とクロノの砲撃で壁を破壊したところ、ちょうど人っ子一人が入れる程度の穴が空いたので急いで続けざまに飛び込んだ。幸運にもゴーレム達はその図体のせいで穴には入らないらしく、こちらを覗き込んでくるだけである
「大丈夫かな?あいつら目からビームとか撃ってこない?平気?」
「知らないよ、もしかしたら無理矢理に攻撃をしてくるかもね。その前に移動しよう。穴は先に続いてるみたいだから、このまま道に沿って進めばプレシアのところに出られるはずだ」
「ついにラスボス戦か......ちょっと待って、それこそ今のうちに魔力補充するわ」
そう言ってジュエルシードを取り出しカナンに魔力を抽出してもらう。体力の回復も兼ねてやや時間をかけてリンカーコアに魔力を充填させていく。ついでに、ここまでの道中でできた傷を『再生』を使って癒していく。無論クロノの怪我も同時に治す
「むっ......べつに僕のことは気にしないでもよかったんだが......」
「バーロー、隣のやつがボロボロなのに自分だけ真っ新な状態ってのは流石に嫌だわ。それになにが原因で死亡フラグが立つかわかんねぇんだし、この後対峙するのは大魔導師なんだぜ?身体的なコンディションだけでも万全にしとかないでどうすんのさ?」
「確かに、一理あるな......まさかハルトに諭されるとは......」
「おいどういう意味だそれは」
クロノの発言に思わずキレ散らかしそうになったものの、なんとか堪えて治療を終わらせる。『再生』に使った分の魔力もすぐに補充されて準備は万端だ
「よっしオッケー。そんじゃとっととこの事件を終わらせるとしますか」
「ああ、これ以上被害を広げないためにもすぐに決着をつけてやる......!」
そう意気込んだ俺達は洞穴の先に歩を進めるのだった
改めまして、お久しぶりでございます!(1年以上振り)
去年から今年の年始までを大学受験で埋め尽くされ、そこから入学手続き、入学後は膨大な授業と課題にひたすら追われておりました。そして夏休みに突入し、ようやっと執筆時間を確保することができました。日々作品を更新している他の作者様達には尊敬の念を抱きます。
そんなこんなでやっとこさ書き上げました今話ですが、いままで以上にクオリティが低いと思いますがご容赦ください......<(_"_)>
これからも時間がかかってしまうかと思いますが、作品の執筆を続けていきたいと思っておりますので、どうぞ引き続きご愛読ください!誤字脱字などの報告や感想なんかもいただけると嬉しいです!
それでは次回もお楽しみに!
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