緋弾のアリア 妖精の武偵 (北方守護)
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第1話

ある世界にある大陸の一つにフィオーレ王国という国があった。

 

その国内の街の一つマグノリアには魔導師達が集まり仕事をするギルドという組織があり……

 

そのギルドは名前を……

 

FAIRY TAIL
と言った……

 

そして、そこに所属する1人の魔導師が仕事(クエスト)に赴いた時……

 

その者は命を落とした……

 

仲間たちは心の底から悲しんだ……

 

だが、その者の運命はそこで終わらなかった……

 


 

武偵……武装探偵の略称であり、世界中に武偵を育成する機関が幾つかある……

 

そんな中の一つ、東京武偵高。

 

そこに通う生徒達が住む男子学生寮の中の一つの部屋……

 

2()()()()()()()がいた。

 

1人は黒髪の男子で名前を遠山(とおやま)キンジと言い……

 

もう1人は茶髪の男子で名前を遠山 武昭(とおやま たけあき)と言った。

 

そんな2人が眠っていると誰かがドアホンを鳴らしていたのでキンジが起きて玄関に向かった。

 

「うーん……こんな時間に来るって言ったら……()()()か……はーい」

 

「あっ!おはよう!キンちゃん!!」

キンジが玄関を開けると長い黒髪をリボンで縛った制服を着た女子【星伽 白雪(ほとぎ しらゆき)】が立っていた。

 

「やっぱり白雪だったか……けど、どうしたんだ?こんな朝早くから」

 

「あ、あのね!昨日まで合宿で居なくて春休みの間、お世話が出来なかったから……」

 

「そうか、まぁ入れよ、アイツはまだ寝てるけどな」

キンジは白雪を部屋に招き入れた。

 

招き入れた白雪は2人分のお弁当を作って持ってきていた。

 

「悪いけど、お茶を淹れてくれないか?俺はアイツを起こしてくるから」

 

「うん、分かったよキンちゃん」

キンジはルームメイトの部屋に行き、白雪はキッチンに向かった。


キンジがルームメイトの部屋に入ると彼はまだ寝ていた。

 

「全く……おい起きろよアキ、白雪が来てるぞ……」

 

「フワァ〜 悪いなツギ……なんだユキが来てるのか……おはようユキ」

 

「あっ!おはようアッちゃん!ほら朝ご飯作って来たから食べよ」

白雪に促されてキンジと武昭はそれぞれの場所に座ると朝食を食べ始めた。

 

朝食を終えて、白雪は弁当箱を洗っておりキンジと武昭は着替えていた。

 

「キンちゃん、アッちゃん、今日から私達も2年生だね」

 

「あぁ、そうだったな……ツギ、そう言えば今日から探偵科(インケスタ)に編入したんだったか」

 

「そうだけど……お前まで来る事無かったんだぞ?アキ」

 

「へっ、別に構わないだろ?ツギのそばにいたら何か事件に巻き込まれそうだからな」

 

「2人共話してる暇があるなら早く着替えた方が良いよ。はい!()()()()()()()()()

 

「今日は始業式なんだから銃は持たなくていいだろ?」

「俺は逆に持ってると邪魔くさいんだよな」

 

「駄目だよ校則で義務付けられてるんだから……それに【武偵殺し】みたいなのが出るかもしれないし……あと……」

 

「はぁ……分かったよ、これで良いだろ?」

 

「全く、俺もユキに甘い所があるよな」

白雪の落ち込んだ表情を見たキンジは引き出しに合ったナイフを武昭は置いてあった小手を付けた。

 

それを見た白雪は笑顔になった。

 

「じゃあ俺はメール確認してから行くから先に出ててくれ」

 

「そうか、なら行くぞユキ」

 

「うん!行こうアッちゃん!!」

キンジは部屋に残り武昭と白雪は部屋を出た。

 

 

 

 

 



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第2話+主人公とその他の設定。

武昭の名字を七龍から遠山に変えました。


武昭と白雪は学校に向かいながら話していた。

 

「別にユキはバスで言っても良かったんだぞ?」

 

「これならまだ歩いても大丈夫な時間だし……それにアッちゃんと2人きりで行けるから……

 

「ん?ユキ、何か言ったか?それに顔が赤いけど……」

 

「ううん!何でも無いよ!!……それよりも、アッちゃんのご両親の事なんだけど、まだ……」

照れていた白雪は真剣な表情である事を尋ね、聞かれた武昭は頭を掻きながら答えた。

 

「あぁ、未だに見つかる気配が無いみたいだな……(まぁ、元々は()()()()()()()()()()()()()()()())」

武昭は自分が、この世界に来た時の事を思い出していた。


今の時代から少し昔の事……

 

(うん……ん?何で俺が生きてるんだ?……確か、あの時に俺はアイツを庇って……)

武昭が目を覚ますと今の状況になった事を思い出していた。

 

(取り敢えずは、ここが何処で何があるか確認しないと……あれ?体が自由に動かないぞ……なっ!?)

武昭が、その場から動こうとした時に自身に起きた異常に気付いた。

 

(何で俺の手がこんなに小さいんだ!?まさか……体が小さくなってる!?)

自分が知る年齢の時代よりも小さくなっている事に気付いた。

 

(おいおい!こんな体じゃ何をしようにも、何も出来ないじゃねぇか!!……ん?誰かの気配が……)

 

「ん?何で、こんな所に赤ん坊が居るんだ?……多分、ウチの下の子と同い年って所か……」

武昭が何かを考えてると1人の男性が来て、そのまま抱き上げた。

 

「全く、こんな小さい子を置き去りにするなんて……あ?何か書いてあるぞ……」

男性が武昭を抱き上げると体を覆っていた毛布に「タ・ケ・ア・キ」と記してあった。

 

「なんだお前はタケアキって言うのか……よし、今日からお前もウチの子供だ」

男性は武昭を抱いて自分の家に戻った。


 

「……ゃん……アッちゃん?」

 

「ん?あぁ、どうしたんだ?ユキ」

 

「どうしたもこうも、アッちゃんが話しかけても反応が無かったから」

 

「そうだったか、悪かったな……ちょっと考え事をな……」

 

「アッちゃん何か心配な事があるなら私やキンちゃんに話してね?……」

 

「あぁ、分かったよ……ありがとうなユキ……」ナデナデ

 

「そ、そんな事無いよ……私はアッちゃんやキンちゃんの幼馴染なんだから……(撫でてもらっちゃった…)」

白雪は武昭に頭を撫でられて湯気が出る程に照れていたが表情は笑っていた。

 

そんな2人が歩いていると自転車に乗ったキンジが猛スピードで後ろから迫って来ていた。

 

「ん?今のは……ツギだよなユキ?」

 

「うん……そうだけど……何であんなに急いでるのかな?……」

 

「ユキ、いつものやるぞ。おーいツギ、そんなに急いでどうしたんだ」

武昭は白雪を背中におぶるとキンジの後を追いかけた。

 

「なっ!?アキに白雪!!2人共急いでここから離れろ!!俺の自転車に爆弾が仕掛けられてるんだ!!」

 

「爆弾!?ってもしかして朝、私が言ってた武貞殺し!?」

 

「なら自転車を乗り捨てればいいだろ?」

 

「降りたら、その場で爆発するんだよ!それに後ろを見てみろ!!」

言われた2人が後ろを向くと銃座が付けられた複数のセグウェイが追って来ていた。

 

「なっ!!ユキ!俺のカバンを渡すから前に来い!!」

 

「う、うん!良いよ!アッちゃん!!」

武昭は白雪を背中から前にずらしてお姫様抱っこに体勢を変えるとキンジの自転車に並走した。

 

「ツギ、一応聞くが……心当たりは……」

 

「あるわけ無いだろ!?……って言うかアキの身体能力は化け物だな」

 

「おいおい、俺の何処が化け物なんだ?」

 

「人ひとりを抱えて猛スピードの自転車に追いついてる時点で、そうだと思うが?」

キンジの言葉に白雪は黙ってうなづいた。

 

「まぁ、それはそれとして……これから、どうするんだ?」

 

「どうするんだって……アキは拳銃……って持ってなかったか」

 

「悪いな俺はコイツだからな」

武昭が籠手をキンジに見せてるとセグウェイから銃撃が来た。

 

「チッ!悪いなツギ、ここは二手に別れさせてもらうぞ!!」

 

「あぁ!無事でいろよ!アキ!!」

2人が違う方向に向かうとセグウェイも二手に別れてた追って来た。

 

「おいおい、犯人さんは俺も目標だったって事かよ」

 

「けど、このままならアッちゃんも危ないんだよ?……」

白雪は心配そうに武昭を見上げた。

 

「ケッ、何だろうと俺が、()()()()()()()で殺せると思ってるのかねっ!!」

武昭は白雪を抱えたまま飛び上がると、そのまま一台のセグウェイの上に乗った。

 

「へっ、俺をやりたいなら戦車でも持ってくるんだなっ!!」

武昭は乗ったセグウェイを他のセグウェイに、そのまま蹴り飛ばして破壊した。

 

「ふぅ、とりあえずは終わったみたいだな……ん?」

 

「どうしたの?アッちゃん」

 

「いや……何か向こうの方で爆発した音がしたんだけど……多分、ツギの方だろ。

さてと、遅刻する前に教室に行くか」

 

「アッちゃん……その下ろしてくれると……良いんだけど……」

 

「あぁ、悪かったなユキ、ほら」

武昭は白雪を下ろすと自分達の教室に向かった。

 

 

 

 

 




遠山 武昭(とおやま たけあき)
身長175cm 体重75kg O型
髪 肩までの茶髪 瞳 光の加減で青に見える黒

1年時 強襲科(アサルト)Sランク。
2年時 探偵科(インケスタ)Eランク

タケアキ・シエルバレーノ
転生前はフェアリーテイル所属の魔導師でランクはS級。
ギルドマークは左上腕部で虹色。
聖十大魔道の1人でマカロフと一緒に評議員から嫌味を言われていた。
ギルド内では副マスターであり、マカロフがいない時のマスター代行。
享年 32歳。

年齢的に年下のメンバー達から兄貴分として見られていて、ラクサスからも一目置かれていた。

実はナツ達と同じ400年前に生まれた人間だが未来に送られる際、唯一記憶を覚えていた。

虹竜王(こうりゅうおう)レインディアから虹の滅竜魔法を習う。
全身が七色に輝いておりあらゆる魔法を使用可能。

他の滅竜魔導師達とはは違い多重属性の為、色々な物を食べる事が出来る。
1人で合体魔法(ユニゾンレイド)が使用可能。

レインディアから滅竜魔法を覚える前からラーニングの魔法を覚えておりギルドに所属してからはメンバー達の魔法を覚えていた。

例:グレイの造形魔法やミラジェーンのテイクオーバーなど。

レインディアは滅悪と滅神のラクリマを所持しており、それぞれの魔法も使用可能。

今の武昭は?


















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第3話 何かの始まり。

武昭が教室に入り自分の席に座ると同時に慌てたキンジが入ってきた。

 

「よっ、ツギ 大丈夫だったか?」

 

「あぁ、何とかな……俺もだけど、アキの方は大丈夫だったのか?」

 

「大丈夫だから、ここにいるだろ……それよりも何か疲れてるな」

 

「あ、あぁ、ちょっとな……おっ先生が来たな」

そう言うとキンジは自分の席に座った。

 

先生がHRを終えると転入生がいると言うので教室に入る様に促すと、その相手を見たキンジが顔を青くした。

 

その相手はアリア・H・神崎(ピンクのツインテールの小柄な少女)でありキンジを見つけると指差してこう言った。

 

「先生!私あいつの隣に座りたいわ!!」

 

「おい!キンジ!良かったな!なんかお前にも春が来たみたいだな!先生!俺、転入生さんと席を変わります!!」

キンジの隣にいた武藤と言う男子生徒が席を交換した。

 

そして席に座った時だった……

 

「あっ、キンジこれ、さっきのベルト」

アリアがポケットからベルトを出したのを見たクラスメイト達は軽く固まっていた。

 

そんな中、金髪のツインテールにフリルが着いた制服を来た女子生徒峰 理子(みね りこ)が騒ぎ出した。

 

「理子分かっちゃった!これってフラグがバッキバキに立っちゃってるよ!!」

 

(あぁ……そういや理子は、そんなゲームが好きだったっけ……)

 

「キーくんは彼女の前でベルトを取る様な行為に及んだ……そして2人は、そのまま恋愛関係に……」

理子の言葉にクラスメイト達が騒ぎ出した。

 

「な、何が恋愛関係よ!そんなのくだらないんだから!!」

 

(そうだろうなぁ……まぁ、ツギの奴がそう言う事に嫌悪感を持ってるからなぁ……)

 

「全員良いかしら!そんなバカな事を言う奴は……風穴開けるんだから!!

そう言いながらアリアは二丁拳銃を発射して座った。

 

(ツギ……放課後にでも事情を聞かせてもらうぞ?……)

 

(あぁ、分かってるよアキ……)

武昭とキンジは目で会話をしていた。


その日の昼休み、屋上で武昭は白雪とお弁当を食べていた。

 

「俺も料理は作るけど、やっぱりユキの方が上手だな」

 

「褒めてくれてありがとう、アッちゃん……ほら、一気に食べると喉に詰まらせちゃうよ?」

 

「おぉ、ありがとうなユキ……それにしてもいつも悪いなこんなに沢山作ってくれて」

武昭の前には5段重ねの重箱が置いてあった。

 

「気にしなくて良いよ、これは私が好きでやってるんだし……それにアッちゃんは美味しそうに食べてくれるから……

 

「そうか……フゥご馳走さん……それにしても今朝の事件だけど……何か気になるな」

昼食を終えた武昭は手を枕にして横になった。

 

「アッちゃんは、どう考えてるの?」

 

「そうだなぁ……多分だけど、あの事件は何かの始まりみたいに思えるんだ……フワァ……」

 

「アッちゃん?……やっぱり朝のアレで疲れてたんだ……このままなら頭が痛いよね?……

白雪は昼食を終えると武昭に膝枕をした。

 

昼休みの間、白雪は顔が綻んでいた。

 

 

 

 

 

 



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第4話 新たな住人

アリアが転入した日の放課後の学生寮のキンジ・武昭の部屋で……

 

「なるほど……あの後にツギは神崎と出会ったのか……」

武昭が夕飯を作りながら今朝あった事の詳しい事情を聞いていた。

 

「あぁ……それで変に絡まれたくなかったんだけどな……」

 

「だけど神崎が俺達のクラスに来て、あぁなったと……もしかしてだけどツギ、お前……()()()()のか?」

武昭がある事を言うとキンジは体をビクッとさせて汗をダラダラ流していた。

 

「ハァー……仕方ないけどなツギの()()は……っとツギ、悪いけどテーブルの上を片してくれ」

 

「ん、分かった……〔ピンポーン〕こんな時間に誰だ?」

キンジが動こうとした時に誰かがインターホンを鳴らした。

 

「ユキが来たのかも……けど、アイツだったら〔ピンポンピンポンピンポン〕絶対違う!」

 

「おいっ!いい加減に……なっ!?なんでお前がここに!?」

キンジが玄関のドアを開けるとキャリーケースを持ったアリアが立っていた。

 

「私が来たんだから早く開けなさいよ!まぁ良いわ入らせてもらうわね」

 

「ちょ、ちょっと待てよ!!」

 

「んー誰かと思えば神崎じゃないか、どうしたんだ?」

武昭はズンズンと部屋に入ってきたアリアに普通に事情を聞いた。

 

「あら、この部屋って貴方もいたのね、ちょうど良いわ今日から私もこの部屋に住むから」

 

「そうか……なら夕飯を1人分増やさないと……」

 

「待て待て待て!アキ!!なんでお前は普通にしてるんだよ!?」

 

「ん?あぁ……何か言っても聞かなそうな感じがしたからな、それにグギュルルー

 

「な、何よ!?今の音は!!」

 

「あぁ、今のはアキの腹の音だよ……荷物があるなら邪魔にならない所に置いて待ってろよ

ちなみにアキの食事を邪魔したら……恐ろしい事が起こるからな」

 

「な、何よ……恐ろしい事って!!」

アリアは青い顔をして震えながらキンジの言う通りにしていた。

 

暫くして武昭が夕食を作り終えたので食事を開始した。

 

「それで神崎「アリアで良いわよ」あぁそうか、それでなんでアリアはここに来たんだ?」

 

「あぁ、それは……キンジ!あなた私のドレイになりなさい!!

 

「は?アリア、ドレイってどう言う事だ?あ、アキ、そこの唐揚げをくれ」

 

「ん、ほらツギ、それでアリアが言うドレイって言うのはよくある女王様とドレイのアレか?」

 

「ンニャ!?ち、違うわよ!そんな事を言う奴は風穴を開けてやるから!!

武昭がキンジにオカズを渡しながらアリアに言葉の意味を聞いたが顔を赤くして照れて発砲しようとしたが……

 

 「アリア……悪いけど食事中は静かにしようか?……」 

 

「ハイ、スミマセンデシタ」

アリアは震えながら青い顔で土下座をした。

 

食事を終えて武昭はキンジにはお茶をアリアには紅茶を淹れていた。

 

「それでアリア、さっき言ってたドレイって奴はツギとチームなりなんなりを組みたいって意味で良いのか?」

 

「えぇそうよ、ん、美味しいじゃない よし武昭、あなたも強襲科になって私のドレイになりなさい」

 

「いやいやいや、ちょっと待てアリア、俺は強襲科が嫌で探偵科に転科したんだぞ……

武貞自体も辞めるつもりだ、あんな所に戻るなんて【無理だ】……」

 

「良い事キンジ、武昭私には嫌いな言葉が3つあるわ【ムリ】【疲れた】【面倒くさい】この3つの言葉は私の前では二度と言わない事、良いわね?」

 

「それは【無理】だな「ちょっと!」アッ?「ごめんなさい」分かれば良いんだ」

 

(うん……ある意味アリアは武昭に逆らえなくなったな)

キンジは武昭に睨まれて土下座をしたアリアを見て上下関係がハッキリした事を確認した。

 

「まぁ、アリアがその言葉を嫌いなのは構わないけど、それを他人に押し付けるなって事だ」

 

「どう言う事よ、武昭」

 

「人にはどうやっても出来る事と出来ない事があるんだよ 例えば、死んだ人を生き返らせてくれって言われてアリアは出来るのか?」

 

「そ、そんなの出来る訳ないじゃない、ム……」

 

「今のはちょっとしたイジワルだったから無茶を言った事は謝る。

だけどな自分が出来ることでも他人が出来ない事があるし、アリアが出来ない事が他人が出来る場合があるんだ」

話を終えた武昭は部屋を出ようとしたのでキンジは声を掛けた。

 

「おい、こんな時間に何処に行くんだ?アキ」

 

「あぁ、少し散歩をしてこようと思ってな……ツギ、アリア互いに話したくない事があるかもかしれないけど話せる事だけは話してた方が良いと思うぞ」

武昭は、そう言うと部屋を出た。

 

 

 



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第5話 始まりと再会

部屋を出た武昭は近くの公園に来てベンチに座っていた。

 

「ふぅ、ツギもアリアもある意味素直じゃねぇよな……まるで()()2()()()()()みたいだな」

武昭は星空を見ながら黒髪で鉄を食べる青年と読書好きな青髪の少女の事を思い出していた。

 

「あれ?アッちゃん、どうしたの?」

 

「あ?ユキか、あぁ、ちょっと夜風に当たりたかったからな、ユキの方こそ、なんでここに居るんだ?」

 

「うん、お買い物に行った帰りなんだけど、アッちゃんを見かけたからなんだ 隣に座るね」

白雪は買い物袋を見せると武昭の隣に座った。

 

「ねぇ、アッちゃん……何か私に隠し事をしてない?」

 

「ん?どういう事だユキ」

 

「うん、何か分からないけど、たまにアッちゃんて何処か遠くを見る事があるから……」

 

「そうなのか……なぁユキ……何かがこの先起きたとしても……お前は俺の仲間だ……それだけは言わせてくれ」

 

「アッちゃん?……何かあったの……」

白雪は心配そうに武昭を見つめた。

 

「何も無いよ……ユキに心配させても徳は無いから部屋に帰るか」

 

「じゃあ途中まで一緒に帰ろうよ」

白雪が武昭の右腕に抱きついて来たが武昭は気にする事なく、そのまま帰った。

 

その後、武昭が白雪を送って自分の部屋に帰ろうとするとキンジが近くのコンビニから出て来た。

 

「あっ、ツギどうしたんだ?」

 

「あぁアキか、いやアリアに部屋を追い出されたんだ」

 

「ん?追い出されたんって……アソコは俺達の部屋だろ?」

 

「そうだけど、理由を言う前に追い出されたんだ……さてと、それよりもアキの方は大丈夫か?」

部屋に戻ろうとした時にキンジが武昭に声を掛けた。

 

「何が大丈夫なんだ?」

 

「どう言ったら良いか分からないけど何か考えてるみたいだったからな……」

 

「さっき公園にいたらユキに会って同じ様な事を言われたよ……確かにツギの言う通りだ……

けど、コイツは俺が答えを出さないとダメなんだ……それでも出なかったらツギやユキにも手伝ってもらうよ」

 

「あぁ、いつでも手伝ってやるよ、俺が出来る範囲でだけどな」

 

「そうか、ありがとうな……そういやツギはアリアと組むのか?」

 

「うーん……俺は武偵をやめようと考えてるんだだよな……けど……」

 

「じゃあ一回位ならアリアと組んだらどうだ?最後のシメって感じで」

 

「おいおい鍋とかの雑炊とかじゃないんだぞ……まぁ、一回位なら……ん?」

2人が部屋に帰るとアリアの姿が無かった。

 

「どうやら帰ったみたいだな……」

 

「そのよう……ん?アレは確か……」

 

「ア、アキ!大変だ!」

武昭が部屋の隅に何かを見つけると慌てたキンジがバスルームの前に立っていた。

 

「どうしたツギ?「ハァー気持ちよかった……な、な、な、何してんのよー!?」なるほど」

武昭はバスルームからアリアの声がした事で状況を理解した。

 

その後、アリアとキンジは正座をして武昭の前に座らさせられていた。

 

「おいアリア、ここは俺とツギの部屋だって知ってるよな?」

 

「し、知ってるわよ……」

 

「だから俺とツギがここに帰ってくる事は自然だ……簡単に言うとここではアリアが部外者なんだぞ?」

 

「ピィッ!?は、はい……」

 

「それに()()()お前もちゃんと現状を確認しないとダメだよな?」

 

「あ、あぁ、それは俺も悪かった……(名前で俺の事を呼ぶって事は…アキの奴マジでキレてるな……)」

アリアとキンジは武昭に説教をされて青い顔で震えていた。

 

「まぁ、今回はアリアは風呂に入ってるなら何か分かる様にしておかなかった事が悪かった ツギは本当にアリアがいなくなったかの確認を怠ったって事で互いに謝罪しろ」

 

「あぁ……アリア、悪かったな 」

 

「私の方こそキンジ達が帰ってくる事を忘れてて、ごめんなさい」

 

「よし、じゃあこの話はこれで終わりだな それでアリアは本当にここに泊まっていくのか?」

 

「えぇ、私はキンジをドレイにしたいのよ だからキンジが良いって言うまでこの部屋にいるわ」

 

「けどな……ここは男子寮で女子の宿泊は認められてないんだぞ……」

 

「そうだアキの言う通りだ これがバレて処罰を受けるのは俺達3人だろうな……まぁ、今夜くらいは構わないけどな」

 

「はっ!?どうしたら、そうなるんだよ!!」

 

「ん?変に今、部屋を出たら誰かに見つかるかもしれないだろ?だからだよ」

 

「くっ……分かったよアキが言うならな……」

 

「ありがとう!武昭!!」

 

「別に感謝される様な事じゃないよ、それよりも何か朝食のリクエストはあるか?アリア」

 

「え?良いわよ、そんなの……私の方が迷惑かけてるんだし」

 

「そんなの気にするなよ、たまには違う奴にも食べてもらいたいからな」

 

「じゃあ……モモマンを食べたいんだけど、良いかしら?」

 

「モモマンって確か……桃の形をした饅頭だったか?」

 

「えぇ以前に食べてから気に入っちゃったのよ、無いなら、それで良いわ」

 

「うーん……まぁ、それは明日だな とりあえずは寝るぞ……そうだアリアは俺の部屋を使えよ」

 

「え?そうしたら武昭はどうするの?」

 

「あぁ、俺は朝食の仕込みがあるから終わったらここのソファで寝てるよ」

 

「なら、俺の部屋に来いよ、アキだったら構わないぞ」

 

「そうか、なら、そうさせてもらうか、じゃあ俺はキッチンに行くか」

武昭がキッチンに行くとキンジとアリアは、それぞれの部屋に向かった。

 

 

 



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第6話 後輩との出会い

アリアがキンジ達の部屋に泊まって次の日の朝……

 

「ふわぁ……おはよう〜って、武昭もう起きてたの?」

起きたアリアがリビングに行くと朝食の用意をしていた武昭がいた。

 

「あぁ、おはようアリア、それはそうだろ、俺が作らないとツギの奴は簡単な物で済ますからな」

 

「へぇ、そうなんだ……あっ、私シャワーを浴びたいんだけど……良いかしら?」

 

「良いぞツギの奴はまだ寝てるから、浴びるなら早めにしてきた方が良いんじゃないのか?」

 

「武昭の言う通りに、じゃあ浴びて来るわ」

許可を貰ったアリアはシャワーを浴びに行った。

 

暫くするとキンジが起きて同時くらいにアリアもシャワーを浴び終えたので皆で朝食を開始した。

 

「そうだ、ツギ、ほら弁当だ」

 

「あぁ、悪いなアキ」

 

「それと、こっちはアリアの分だ」

 

「ふぇ?私のも作ってくれたの?」

 

「当たり前だろ、事情はどうであれ俺たちの部屋にいるんだからよ」

 

「ありがとう、じゃあ遠慮なく貰っていくわ」

 

「そうだ、部屋を出る時はアリアが先に出てけよ」

 

「え?何でよ、一緒に出たら良いじゃない」

 

「あのな、ここは男子寮で本当ならアリアは居たらダメなんだよ」

 

「ツギの言う通りだな、まぁ変に見つかって()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

「そう言う事なら分かったわ、じゃあ私は先に行ってるから」

 

「あぁ、さてとツギ俺達も行くぞ」

 

「そうだな、鍵は俺が閉めるから先に出てろ」

部屋から出た3人は、各々で学校に向かった。

 

その日の放課後……

 

「おーいツギ、依頼は決まったのか?」

 

「あぁ、青梅での猫探しって奴があったからな アキの方は何を受けたんだ?」

 

「ん?俺は空き家を占拠してる不良達の排除って奴だ」

 

「全く……本当にアキは、そう言う乱暴な奴を選ぶよな」

武昭の依頼を聞いたキンジは軽く呆れていた。

 

「別に良いだろ、ここに依頼を出すって事は、それだけ困ってるって事だからな」

 

「まぁアキは誰も選ばない奴を選ぶからな」

 

「別に良いだろ、俺がそうしたいんだから……「おぉ、ちょうどえぇところにおったな」蘭豹先生?」

2人が話してると武偵高の教師である蘭豹が話しかけて来た。

 

「先生、俺かツギに何か用ですか?」

 

「あぁ、用があるのは武昭の方や」

 

「そうですか悪いがツギ、晩飯は冷蔵庫にある物か何か買って食べてくれるか?」

 

「あぁ分かったよ、それじゃ 俺は依頼に行ってくる」

キンジが依頼に向かったので武昭は蘭豹に連れられて教務部(マスターズ)に来た。

 

「それで先生、話は何ですか?」

 

「それなんやけど、確か武昭は戦徒(アミカ)がおらんかったやろ?」

 

「戦姉妹って……あぁ、上級生が下級生とコンビを組んで1年間指導するって奴でしたっけ?」

 

「そうや、それで強襲科の1年から誰か居ませんかって言われたんや」

 

「それで俺に声をかけたんですか……まぁ、俺は誰とも組んでないから構いませんけど」

 

「そうか、せやったら今から呼び出すから待っとってや」

蘭豹は席を外すと校内放送をかけた。

 

しばらくして武昭は蘭豹に連れられて強襲科内にあるトレーニングジムに来ていた。

 

ジム内では数人の生徒が訓練をしていたが、その中の1人が武昭達のそばに来た。

その者は女子にしては少し高めの身長で金髪のポニーテールで蝙蝠型の髪飾りをつけていた。

 

「先生、彼女がさっき言ってた……」

 

「せや、ほら火野自己紹介せんかい」

 

「あっ!初めまして!強襲科1年の火野ライカって言います!!」

 

「あぁ、俺は探偵科Eランクの遠山武昭だ、よろしくな」

 

「え?Eランクって……先生、私はSランクの上級生と戦徒が組みたいって希望したんですけど……」

 

「確かに今の武昭はEランクやけど1年生の時はれっきとしたSランクやで」

蘭豹がニヤッと笑いながら武昭を見た。

 

「あぁ、先生の言う通りだな……まぁ事情があって今は探偵科にいてな……まぁ火野さんが組まないって言うなら俺は構わないよ」

 

「そう……「だったら俺の相手をしてくださいよ先輩」」

武昭達の話に1年生の男子が入ってきた。

 

「ん?お前は最低限の礼儀を知らないのか?今は俺が彼女と話してるだろ?」

 

「確かに先輩かもしれませんけど……何で強襲科の俺たちが探偵科の言う事を何で聞かないとダメなんですか?」

男子の後ろには数人の男子達がいて武昭をバカにした態度で見ていた。



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第7話 戦姉妹

武昭は蘭豹に許可を取った。

 

「先生、先にコイツらの相手をしても構いませんか?」コキコキ

 

「あぁ、こっちは構わんで。クソガキ共に先輩の力見せたれや」

 

「ありがとうございます、先生合図をお願いします。 さてとガキ共、どこからでもかかってこい」

武昭が広場の中央に立つと一年生達の数人が向かってきた。

 

「へっ!探偵科の奴に俺たち強襲科が負ける訳ねぇだろうがぁ!!なっ!?」

一年生達の中でも一際大きな体格の奴が殴りかかってきたが武昭は3本指で受け止めた。

 

「ふぅ、なかなかの力だな……けどっ!」ギュルッ!ドン!

 

「嘘だろ……アイツは俺たちの中でも一、二を争う程の身体能力だぞ……」

踏み込んだ武昭が生徒を一撃で殴り飛ばしたのを見て他の奴が驚いていた。

 

「ほらほら、まだ終わっちゃいねぇぞ!」

 

「チッ!おい!接近戦はやめて、離れて攻撃をするんだ!!」

武昭が近づいてきた奴らを格闘戦で倒しているのを見てた奴は新たな指示を出した。

 

「ふーん、確かにそうする方が勝てる確率は上がるよな……」

 

「へっ、先輩なら知ってるだろうけど、訓練中に怪我や命を落としても罪に問われないってなぁ!!」

彼らは銃口を武昭に向けるとそのまま発砲してきた。

 


一方……

 

「なっ!?あれじゃ幾ら先輩でも……」

 

「ふぅ……いや()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

ライカが武昭の心配をしてる中、蘭豹だけは普通にしていた。

 

「けど……あれだけの銃撃を受けて無事でいられるとは……えっ!?」

ライカは銃煙が晴れて状況を見ると武昭が平然と立っていたので驚いた。


 

武昭の相手をしてた奴らも武昭が無事な事に驚いていた。

 

「なっ!……嘘だろ……あれだけの銃撃を受けて……なんで立っているんだよっ!!」

 

「ん?そんなの……()()()()()()()()()

武昭が制服の袖を捲ると両手にあった籠手を見せた。

 

「さてと……そろそろ……終わらせる……かっ!」ドンッ!!

 

「なっ!?一瞬であの距離を……ガフッ!」

武昭は踏み込むと、そのまま相手に向かっていき彼らを全員気絶させた。

 

 

その後、彼らは全員医務室に連れていかれた。

 

「さてと……次は火野の戦姉妹試験だったな……アレを見ても俺に挑むか?」

 

「はい……けど、その前ににすみませんでした」

ライカは武昭に謝罪した。

 

「それは何に対してだ?まぁ、大体は分かるけど……」

 

「はい、最初先輩をEランクって聞いてなんでと思ってました……けど、さっきのアレを見て私が間違っていた事がわかりました……ですので……遠山先輩……戦姉妹試験をしてください!」

ライカはトンファーを両手に構えた。

 

「あぁ、先輩として後輩からの挑戦を受けてやるよ……さぁかかってこい!!」

武昭が自身の左胸にワッペンを付けたのを見てライカが向かってきた。

 

 

武昭とライカの試験が始まって5分程経っていたが……

 

「ほらほら、もっと上手く長さとかを考えて攻撃してこい」

 

(ハァハァハァ……やっぱり先輩は強い……なら!)

 

「おぉっ!?自分の武器を囮にして関節技をかけてきたか!」

ライカは武昭がトンファーを躱したのと同時に、そのまま右腕に腕ひしぎ十字固めをかけて床に倒した。

 

「はい!先輩には遠距離攻撃が無いのは、さっきので分かってますから!!(この内にワッペンを!……)」

 

「うーん……武偵だから、どうやっても勝とうとするのは良いけど……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「へ?……か、可愛いって……何を言ってるんですか!?(うわわ!そんな事言われてから気づいたけど……この体勢って……)

ライカは自分の格好を見てかなり恥ずかしい事をしてたのに気付いて顔を赤くした。

 

「け、けど!このまま先輩からワッペンを取れば私の勝利です!!」

 

「確かに、このままなら火野の勝ちだな……()()()()()()()()()()()()ハァー!」

 

「えっ!?嘘!!」

ライカは武昭が技をかけられたまま立ち上がった事に驚いていた。

 

「これ位で驚いてたら……武貞は務まらないぞ!!」バキッ!ドンッ!

 

「ガハッ!……まさか……あんな事をするなんて……」

持ち上げらたライカはそのまま床に背中から叩きつけられたが武昭の腕からも何か音がした。

 

「へっ、火野がどうやっても勝とうと考えてる様に俺も簡単に負ける訳にはいかないからな……さてと、このまま続けるか?それともやめるか?」

 

「先輩は片腕が使えないんですよね?……なら、やめる訳無いですよ!」

 

「そうか……なら……これからは…… ()()()()()()()()()()()()()()()

 

「なっ!?……(何……この気配は……いや……先輩は片腕が使えないんだ……このまま攻めれば……けど……)」

ライカは武昭に向かおうとしたが体が震えて、そのまま膝をついた。

 

「先輩……私の……私の負けです……」ポタッ……

 

「そうか………じゃあ、今回の試験は……()()()()()()

武昭はワッペンを外すとライカの前に投げたがライカは軽く混乱していた。

 

「え?……けど私は負けを認めたんですよ?……」

 

「そうだな……けど、俺が認めたんだ良いですよね?蘭豹先生」

 

「あぁ、遠山が認めたんならウチは構わんで ほな後で書類を出しとけよー」

蘭豹はそのまま部屋を出て行き武昭とライカだけになった。

 

その後、2人は下校していたがライカは理由を聞いていた。

 

「先輩、なんで私を合格させたんですか?」

 

「あぁ、それは火野が負けを認めたからだよ」

 

「負けを認めたのに私が勝つって……」

 

「人間その気になれば剣を向ける事は出来るんだ……けど、その出した剣を収める事が出来る奴は少ないんだ……それに、人は弱さを知って強くなる事が出来るんだ……だから俺は火野を合格させたんだ」

 

「そうだったんですか……遠山先輩!これから戦姉妹としてお願いします!!」

 

「こっちからも頼むよ そうだ俺の事は武昭で良いぞ。遠山はもう1人いるから」

 

「わ、分かりました武昭先輩……なら私の事もライカって呼んでください……」

 

「分かったよ、じゃあなライカ あと背中にコレを塗っておけ」

武昭とライカはそれぞれ別れたがライカは名前で呼ばれて軟膏を渡されて喜んでいた。




まだライカは武昭が気になっているだけです。

自分を女の子として見てくれたからです。


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第8話 人間離れ

ライカが武昭の戦姉妹になってから数日経ったある日の放課後……

 

「大分、動ける様になってきたな……けどっ!」

 

「キャッ!!まだ……やれます……」

トレーニングルームで武昭とライカが手合わせをしていてライカが武昭に足払いをされて床に転ばされた。

 

「そうだけど、一旦休憩だ……ほら」

 

「ありがとうございます……ふぅ……そう言えば武昭先輩って少し前に噂になった自転車ジャックの被害者だって聞いたんですけど……」

 

「ん?あぁ、そうだぞ……まぁ正確には俺のルームメイトが被害者であって()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……」

 

「そうなんですか……え?先輩、今、ちょっと変な事が聞こえたんですけど……セグウェイよりも早く走ったって……何かに乗ってですか?」

 

「何って、普通に生身でだけど」

 

「うーんと……先輩、セグウェイって結構な速度出ますよね……」

 

「確か時速40キロ位だったけど……それくらいならライカも出せるだろ?」

 

「いえいえいえ!普通の人間が生身で時速40キロなんて出せませんよ!!」

 

「そうか?だったらユキに……あぁ星伽白雪に聞いてくれ、その時に一緒にいたから」

 

「星伽白雪って……確か生徒会長の……」

 

「俺とユキ、ルームメイトの遠山キンジ……ツギは小さい頃からの幼馴染なんだ さてと手合わせの続きをするか」

 

「はい!分かりました!!」

休憩を終えた2人は再び手合わせを開始した。

 


次の日の放課後、武昭はライカを連れて生徒会室に来ていた。

 

「よっ、ユキ悪いな生徒会の仕事もあるって言うのに」

 

「ううん、今はそんなに忙しくないし……アッちゃんからの頼みを私が断る訳無いよ……

 

「そっか、ありがとうなユキ」

武昭に頭を撫でられた白雪は嬉しくてエヘヘと笑っていた。

 

(へぇ、白雪先輩って武昭先輩の事が好きなんだ……何だろう……何かムシャクシャするな……)

 

「えっと……それで、その子がアッちゃんの戦姉妹の……」

 

「あっ!はい!強襲科1年の火野ライカって言います!!」

 

「そんなに緊張しなくても良いよ 私はSSR所属の2年生 星伽白雪だよ、よろしくね」

2人は自己紹介を終えると生徒会室に来た理由を白雪が聞いた。

 

「えっと、それでここに来たのは火野ちゃんが聞きたい事があるってアッちゃんから聞いたんだけど」

 

「はい、数日前に噂になってた自転車ジャックの事について聞きたいんですけど……あ、後私の事はライカで良いです」

 

「分かったよ、じゃあライカちゃんて呼ばせてもらうね あのね、それに関しては話せる事はあんまり出来ないんだけど……」

 

「いやユキ、ライカが聞きたいのは事件のことじゃなくて俺の事についてなんだと」

 

「え?アッちゃんの事って?」

武昭の言葉を聞いた白雪は軽く頭をひねった。

 

「あぁ、あの時俺がユキをお姫様抱っこして時速40キロを生身で出したって言っても信じないから……」

 

「うーん、そっかぁ ライカちゃんはそれを聞きたくて私の所に来たんだ」

 

「はい、直接の関係者であるお2人の前で言うのはなんですけど……どう考えても普通の人間が生身で時速40キロっていうのは……」

 

「アハハ、確かに……初めてああいうのを見ても信じられないよね 私やキンちゃんは幼馴染だから知ってるけど……」

 

「けど、白雪先輩がそう言うって事は……」

 

「うん、本当の事だよ」

 

「おいおいライカ、俺の言う事が信じられないのか?」

 

「いえ、信じない訳じゃないんですけど……どうも……」

 

「うーん、そうだなぁ……あっ、アッちゃんにお願いしたい事があるんだけど……」

ライカの言葉を聞いて白雪が何かを考えているとある事を思いつくと武昭に提案した。


武昭とライカは白雪に連れられて敷地内にある山の中に来ていた。

 

3人が来た場所では目の前に数本の大木が倒れて道を塞いでいた。

 

「なんだユキ、この倒れてる木は?」

 

「うん、ちょっと前に天気が悪い日があったの覚えてる?」

 

「はい、ちょうど日曜日だったから覚えてます。確か雷が落ちたってTVで言ってた様な……」

 

「そうだよライカちゃんの言う通りだよ それで先生達から授業の一環でこれをどうにかしてみろって言われただけど……」

 

「なるほど、重機を入れようにも道が狭くて入って来れないって訳か」

 

「だからアッちゃんに()()()()()()()()()んだけど……」

 

「えっ!?待って下さいよ白雪先輩!()()を運ぶって出来る訳無いじゃないですか!!って武昭先輩?何してるんですか?」

ライカが戸惑っていると武昭が制服の上着を脱いでいた。

 

「ユキ悪いけど、上着を持っててくれ」

 

「うん、良いよ」

 

「それで、コレはどこに置けばいいんだ?」

 

「道が通れる様になれば構わないって先生達から言われてるよ」

 

「そうか、じゃあ横にズラすか、2人とも危ないから離れてろよ せーのっ!」

武昭は一本の大木を持ち上げると、そのまま横に移動させた。

 

「え?……いやいやいや!なんで普通に持ってるんですか!?」

 

「ライカちゃん、アッちゃんならこれ位は簡単に持てるんだよ。これで信じたかな?」

 

「はい……こんなの目の前で見せられて信じない訳無いじゃないですか……」

2人が見てる前で武昭は次々と大木を移動させて山道を開通させた。

 

その後……

 

「ありがとうアッちゃん、頼み事を聞いてくれて」

 

「気にするなよ、俺がやりたくてやったんだから……けど武偵として依頼料無しでやるのもダメだから……今度、俺の晩飯を作ってくれるか?」

 

「うん!良いよ!それで何が食べたいの?」

 

「ユキの作ってくれる物なら何でも良いぞ そうだ後……()()()()()()でお願いしたいんだけど……」

 

「分かったよ ()()()()()()だね、じゃあ今夜で良いかな?」

 

「俺は構わないけどユキは大丈夫なのか?」

 

「だって……アッちゃんの為だから……」

 

「そうか、じゃあ頼むぜユキ なら帰るか」

3人は帰ったがライカはどこか遠くを見ていた。

 

 




ちょっとしたオリジナル設定です。


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第9話 実際に

武昭とライカが戦姉妹(アミカ)を組んでから日にちが経ったある日……

 

「うん、だいぶ動きが良くなってきたな……」

 

「ありがとうございます、武昭先輩」

2人はトレーニングを終えて帰宅していた。

 

「そう言えば、前に蘭豹先生から聞いたんですけど……先輩って1年生の時は強襲科にいたんですよね?なんで、探偵科に?」

 

「あぁ、俺には()()()()()()()()()()兄弟がいてな、そいつが探偵科に行くから俺も一緒に行く事にしたんだよ」

 

「そうだったんですか……それと今血は繋がってないって……」

 

「俺は赤ん坊の頃に捨てられていてな、そこを俺の兄弟の遠山キンジの父親が保護してくれたんだ、それでユキとは小さい頃からの付き合いなんだ」

 

「すみません、変な事を聞いたりして……フェッ!?せ、先輩!?

ライカは武昭に謝罪したが頭を撫でられて頬を染めた。

 

「別に良いよ、いつかは話す事だし……それに悪い事をしたなら、ちゃんと謝ってくれる……そんなライカは優しいから、つい」

 

「えっと、あの、その……恥ずかしいんですけど……」

 

「あっ、ごめんな、よくユキにやってるから……癖で」

 

「い、いえ……武昭先輩は……悪くありません……(けど、武昭先輩に撫でられると……何か嬉しいな……)」

ライカは顔を赤くして微笑んでいた。

 

そうして歩いていると親子連れの男の子が持っていたボールを落としてライカの足元に来たので拾うとそのまま渡した。

 

「はい、危ないから道路で遊ばないんだよ?」

 

「うん、わかったよ、お姉ちゃん!」

男の子にお礼を言われたライカが頭を撫でた時だった。

 

猛スピードの乗用車が信号無視をして向かって来るのが見えた。

 

「なっ!?危ない!!」

ライカが男の子を連れて離れようとしたが横断歩道の中央部だったのでどちらの歩道からも距離があった。

 

(せめて、この子だけでも!)

ライカは男の子を守ろうと自分の体で庇おうと抱き締めた時だった……

 

「おい……俺の大切な仲間()に何してんだよっ!!」

 

「えっ!?武昭さん!!……嘘……」

武昭が車が来る方向に立ち塞がると、そのまま向かって来た車を受け止めた。

 

「ふぅ……大丈夫か?ライカ」

 

「あ……は、はい大丈夫です……それよりも武昭さんは!!」

 

「別にこれくらい何とも無いよ……ライカ、無理をするのは良いけど、1人で出来る事なんかそう多くは無いんだから人を頼れ……」

武昭は優しい笑顔でライカの頭を撫でた。

 

その後、運転手は道交法違反で現行犯逮捕され武昭とライカは調書を取って帰路についた。

 

「武昭さんて……本当に凄いんですね……」

 

「ハハハ、大切な奴を守る為ならな。じゃあなライカ、また明日」

 

「はい!今日はありがとうございました!!」

女子寮に着いたのでライカが入ろうとした時に頭を撫でてもらったので笑顔で喜んでいた。

 

 

 

 

 

 



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第10話

その日の授業が終わったある日の放課後、武昭は1人で何処かに来ていた。

 

「すみません、失礼しまーす。強襲科の遠山武昭ですけどー」

 

「おっ、いらっしゃい」

武昭が来た所は武貞高の中にある探偵科(インケスタ)だった。

 

「すんませんね、急に来て()()()()()()()()()()()()()()()()()言ったりして」

 

「ううん、俺達は構わないぜ、もう鑑定とかは終わってるからな。この部屋だ」

武昭が案内された部屋には以前巻き込まれた事件の物が置かれていた。

 

(それにしても、またここに戻って来るなんてな)

 

「先生に許可は取ってるから終わったら声を掛けてくれ」

部屋の中には武昭だけになった。

 

「さてと、久し振りにやるか……」クンクン

武昭は証拠品の中にあった爆弾の破片の1つを手に取ると匂いを嗅ぎ出した。

 

「火薬とオイル系の匂いだな……こっちも同じか……次は……ん?」

破片の匂いを嗅いでいた武昭はその中の1つから何か違う匂いを嗅ぎ取った。

 

「この破片から微かにだけど良い匂いと言うか……香りがするな……前に何処かで嗅いだ事がある様な……」ピピピ

武昭が何かを思い出してると時計のアラームが鳴ったので担当に鍵を返して部屋を出た。

 

探偵科の校舎を出た武昭は歩きながら何かを考えていた。

 

「(どこであの香りを嗅いだんだ?……それも、そんな昔じゃない…って事はここに来てからか?……)」

 

「アッ、武昭先輩じゃないですか」

武昭が何かを考えていると下校中のライカがいた。

 

「おぉライカか、お前も今帰りか?」

 

「はい、ちょっとトレーニングにハマっちゃって、こんな時間になっちゃったんです」

ライカは人指し指で頬を恥ずかしそうに掻いていた。

 

「そうか、なら寮まで送って行くよ」

 

「いえ結構です、近くなんで」

 

「近くでもライカみたいな可愛い女の子が1人で歩いてたら危ないから送ってくんだ」

 

「そ、そう言う事なら……お、お願いします……(もーう先輩って普通にそんな事を言うから恥ずかしいんですけど……)」

ライカは顔を赤くしながら武昭と一緒に帰宅した。


それから日にちが経ったある日の放課後……

 

「それで、俺に何の用なんだ?理子?」

武昭は理子に校舎内の空き教室の一つに呼び出されていた。

 

「うん、アッくんが巻き込まれたキーくんの自転車ジャックの事を調べてるって聞いたから、どうなってるかなぁって」

 

「特に何も分かった事も無いぞ、なんで理子が気になってるのか分からないけどな」

 

「ただ、私にも何か手伝える事が無いかなぁって思ったんだ」

 

「はいはい、そう言う事は本当に好きな相手が出来た時にした方が良いぞ」

理子が武昭の右腕に抱きついて胸を押し付けたが武昭は普通にしていた。

 

「ぶぅ、普通の男の子なら理子りんにこんな事をされたら嬉しいんだよぉー?もしかしてアッくんて男の子の方に興味があるの!?」

 

「バーカ、俺だって普通に女の子が好きだよ、理子みたいに可愛い女の子にそんな事をされたら嬉しいに決まってるだろ」

 

「フェッ!?そ、そうなんだエヘヘ(もーう!アッくんって正直にそんな事を言うから私の方の調子が狂っちゃうじゃない)」

理子は武昭のストレートの感想を聞いて頬を染めて戸惑っていた。

 

「さてと、俺はそろそろ帰るよ……あっ、そうだ理子」

 

「フェッ!?な、何かなアッくん」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

武昭は理子に背を向けたまま教室を出たが……

 

「アッくん……もしかして私の目的に?……」

理子は武昭の背中を見ながら何かを考えていた。

 

 

 

その日の夜……

 

「そうだ……あの匂いは……()()()からしたんだった……まぁ、俺は俺がしたい事をするだけだ……」

武昭はベッドに横になりながら何かを考えていた。



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