シンフォギア装者が銀魂の世界に行くお話 (龍狐)
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番外編
番外編1 二年


 ほぼ思い付きで書いた小説。
 本編とはあんま関係ないんで、気軽に読んでくださいヤ。


 江戸の町―――かぶき町。

 その町に住まう人々の中に、一人の青年―――【志村新八】の姿があった。

 

 

「はぁー、ぶりにシン銀投稿再会か。作者が『東方悪正記』の改正版に力入れて、ほとんどこっちに手が回ってなかったけど、今日からまた頑張らなくちゃ」

 

 

 しばらく歩き、『スナックお登勢』とか書かれた店―――の上にある、『万事屋銀ちゃん』の扉へと向かい、扉を開けた。

 

 

「何だか万事屋も久しぶりな感じがするなぁ。おはようございまーす!」

 

 

 扉を開け、リビングに入るが、誰もいない。

 

 

「まだ寝てるみたいだな。あれ、…マリアさんもいない…。もう外に出たのかな?」

 

 

 大分前に万事屋へ神楽同様居候している女性だ。

 いつもならソファーで寝ているのだが、今はいない。おそらくは外に出ているのだろうと新八は思い、この万事屋の主人である銀時を起こすために、彼の寝室に入る。

 

 

「銀さん、起きてください!休みはもう終わりましたよ。作者がこの小説に再び手を付けて、忙しくなりm―――」

 

 

 ふすまを開けた瞬間、新八の目が点になる。

 彼の目の前にいたのは、燃え上がる炎のような赤い頭髪の男性だった。

 服装は白と黒を基準とした隊服のようなもので、その背中には純白のマントが風に呷られていた。

 そして、目立つのは腰に下げられている、巨大な剣。

 

 

「何も変わらねーな、この町は。相も変わらずどいつもこいつもしけたツラして歩いてやがらぁ」

 

「ちょっ!誰ですかアナタ!人んちで一体何やってんですか、警察呼び「新八」ッ!」

 

 

 目の前の、初対面のはずの人物が、自分の名前を呼んだことに、驚きを隠せない新八。

 そんな彼の驚きなど知らないと、目の前の男が話を続ける。

 

 

「てめーも相変わらずみてーだな。ったく、作者が全く手を付けていない間に一体何やってたんだか、進歩のねぇ野郎だよ」

 

「そ、その声は…?」

 

 

 新八は、ようやく気付いた。

 この声は、彼が良く知っている声だった。そして、男は振り向いた。

 

 

「おいおい、休んでいる間に俺のツラまで忘れちまったってのか?まぁ男子三日合わざれば刮目して見よというからな」

 

 

 そう言いながら、新八の方向を向く男。

 その男の碧眼が、新八を見据えた。

 

 

「俺だよ俺、銀さんだよ」

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

「エエエエエエエエエエエッ!!!??」

 

 

 新八の驚愕の声が、木霊する。

 目の前の赤髪の男性、それが坂田銀時だった。

 

 

「久しぶりだな、ぱっつぁん。元気にしてたか」

 

「いや、ええええ、久しぶりって、え!?確かに再投稿は三か月ぶりですけど、この三か月で一体なにがあったんですかアンタ!?」

 

 

 銀時ご自慢の銀髪が完全に赤く染まり、瞳も碧色にカラーチェンジしていた。

 もう銀さんじゃなかった。赤さんだ。

 

 

「そりゃあこんだけ時間が立ってれば、イメチェンくらいしようと思うだろ?」

 

「いやこの小説の原作要素『銀魂』!銀髪が売りのアンタが一番変えちゃ駄目なチャームポイント変えてどうする!!?」

 

 

 まったく、その通りである。

 

 

「それに、ほとんど別キャラになってんじゃないですか!主人公の命の危機を颯爽と助けた剣聖みたくなってんじゃないですか!」

 

 

「何その赤髪!」

 

「何その碧眼!」

 

「何その騎士の服装!?」

 

 

 何度も言うが、もう銀さんじゃない。

 肩書も『白夜叉』じゃない。ただの『剣聖』だ。

 

 

「何ってお前、ひょっとしてあの約束忘れた?」

 

「は?」

 

「作者がまた次回話を書くのをさぼった後、俺達で打ち合わせしたじゃん」

 

「は?なんのことですか?」

 

 

 目の前の『剣聖(仮)』は語り始める。

 

 

「きっとこの後、作者がさらに物語を面白くするために、激ヤバなラスボスを出す可能性だってあるわけだ。だが、もしそれが本当に出てきた場合、俺たちは一方的に蹂躙される。そんなのは読者がつまんないって感想送ってくるに決まっている。だから、少しでも読者に興味関心を持ってもらえるよう、俺たちは強くなる必要があるって話をしたじゃん」

 

「―――――」

 

「この空白の時間を利用して各々がそれぞれのやり方で力をつけてくる。そして、ニュー万事屋として必ずまた集結しようって―――」

 

 

 回想が入り、四人がそれぞれ別の道へ歩き出し―――。

 

 

『『『『二年後に、シャボンディ諸島で!』』』』

 

 

「―――って知らねーよそんな約束!シャボンディ諸島ってどこぉお!?」

 

「どこでもいいんだよ、そんなもんは。大切なのは語感とインスピレーションだ」

 

「インスピレーションじゃねーよ!それ違う物語の約束!誰もおめーらの事なんて待ってねーよ!」

 

 

 実に曖昧な回答をしながら、銀時はいつもの服装に戻る。―――が、髪と瞳はそのままだ。

 

 

「ったく、こっちは必至に修行してきたのに。何やってたんだよお前、大変だったんだぜ俺」

 

 

「ガルザ・グランヒルテって言う女と死闘を繰り広げたり。14歳の金髪幼女気絶させて夜の王都の夜景をバックに飛んだり、挙句の果てにはその幼女を王選候補者の一人として推薦したり―――」

 

「さっきから別の小説の思い出借用しすぎだろ!ていうかこれ三か月で全部やったの!?」

 

「は?三か月?なに言ってんのお前?現実世界では三か月だけど、この小説の中じゃ2年経ってる事になってるからね」

 

「なにその中途半端な引き延ばし?つーか嘘でしょ?この世界はサザエさん方式で年は―――」

 

「嘘じゃねーよ。俺の変わりよう見ればわかるだろう?」

 

 

 確かに、銀時は成長と言うか完全に別キャラになっているが、新八はまだ認められない。

 そんなとき―――。

 

 

「ただいまー」

 

「えっ?」

 

 

 一人の長身の女性が、万事屋へ入って来た。

 その女性は、茶色のゴーグルや帽子、布を体に巻いていて、全体が見えない仕様となっていた。

 

 

「オッス、久しぶりだなー。2人とも、元気にしてたか?……アレ?新八オメー背ェ縮んだんじゃねーか?」

 

「えっ、あの、すいません、アナタ誰ですか?」

 

「誰って、オラだよオラ」

 

 

 そう言い、帽子やゴーグルを外した。

 

 

「神楽アルよ」

 

「だあだあだあだあだあだあだあッ……!」

 

 

 女性の正体。それは神楽。

 神楽はとても女性的な体型となっており、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる―――マリアみたいなグラマスクな体型をしていた。

 

 

「ええええええッ!?」

 

「ほんと相変わらず冴えないアルな」

「お、お、お…?」

 

「そーなんだよ。コイツ二年間なにもしてなかったらしいぜ?」

「ええ…、ええ!?」

 

「ちょっ、コレ、神楽ちゃ、神楽さーん!!?嘘でしょぉーー!?メッチャ大人になってんじゃないすかぁあ!」

 

「女子三日合わざればパンパンして見よ言うアルからなぁ」

 

「言わねーよ!」

 

 

 新八はため息を吐き、二人を見る。

 確かに二人は変わった。ていうか銀さんは別キャラになった。

 

 

「あれ、そう言えば定春は?」

 

「定春なら、神楽の旅と同行してたな」

 

「帰るとき、ペットは一緒の船に乗れなかったから、別の船で送り届けてもらったネ」

 

 

 そんなとき、『ピンポーン』と、チャイムが鳴った。

 

 

「あ、きっと定春ネ!見とけよナッパ、定春もすっごく成長してっぞ!」

 

「誰がナッパだ!でも、定春は動物だから、成長したと言っても中身だけでしょ?」

 

「そんなことないアル!とにかく行くネ!」

 

 

 三人は玄関に向かい、神楽が扉を開けた。

 そこには、小さな定春と、帽子を被った宅配のおっさんがいた。

 

 神楽がサインを書いている間、新八は安堵した。

 

 

「ほら、やっぱり変わってないじゃないか。これのどこが成長したって言うんだよ神楽さん。つーか、前よりちょっと小さくなってない?」

 

「ハイ、受取書」

 

 

 受取書にサインを書き終わった神楽は、渡した。―――小さな定春に。

 小さな定春は、扉から出て行き、姿を消した。

 

 残ったのは、宅配のおっさんのみ。

 

 

「あの、すいません。定春行っちゃったんですけど。あの、ペットが逃げちゃってるんですけど、オジサン」

 

 

 おっさんが、帽子を取り外す。

 そこにあったのは、白い犬耳。

 

 

「お久しぶりです。定春。ただいま服役から戻りました」

 

「こっちかよぉおおおお!!?ちょっと待てぇええ!!んなワケねーだろぉおおー!コレどう見てもただの運び屋のオッサンじゃん!どう考えてもあっちの犬が定春じゃん!」

 

 

 目の前にいるのが、定春だった。

 運び屋のオッサンにしか見えないが、定春だった。

 

 

「アレは狛犬星の配送員さんアル。人見知りの定春のためにそっくりの種族に送ってもらったネ」

 

「そっくりつーかアレが定春だろ!つーかアレとコレがどう見たらそっくりなワケ!?」

 

「だから、成長したって言ったアル」

 

「成長どころの騒ぎじゃねーよ!全く別の生き物になってるよ!」

 

「新八、犬ってのは人間より成長がはるかに早ぇんだよ。二年も経っちゃもう立派なオッサンなんだよ」

 

「ホントに立派なオッサンになってんだろーがぁあああああ!!!」

 

 

 犬が人間より成長が早いのは常識だが、もうこれは種族と言う壁を超越した、全く別の生き物へと変化していた。

 

 

「―――新八兄さん、何やらわしゃ、しでかしちまったようで、申し訳ありやせん」

 

「兄さん?」

 

「姉さんを責めるのだけは、およしになっておくんなせぇ。ケジメは、わしがつけます」

 

 

 定春(オッサン)がケツに手をやり、ズボンを破くと、そこから立派な尻尾が出てきた。

 耳だけでもそうだが、これで完全に定春だと認めざる負えない状態になった。

 

 そして、どこからか板とナイフを用意し、板の上に尻尾を乗せた。

 

 

「わしのワンコですむなら、1本でも2本でもつめますんで―――」

「待てぇええええええー!!待て待て待て待て待て!」

 

 

 即座に定春の脇を両腕で拘束して、止めた。

 

 

「ワンコって何、何でエンコみたいになってんの!?何この定春!何でこんなVシネテイストなのぉ!?―――あれ

?ちょっと待って」

 

 

 その時、新八がある異変に気付いた。

 

「よく見たら尻尾の先にあるコレ―――」

 

 その異変とは、尻尾の先。そこには―――。

 

「定春!?ちっちゃい定春ついてる!」

 

 

 尻尾の先、そこには小さな定春がくっついていた。

 

 

「なんだこれ?」

 

 

 銀時がその小さな定春に触る。

 

 

「どーいうことですかコレ?」

 

「オジキ、兄さん。少し、昔話をしてもいいですか。―――」

 

 

―――ある所にとっても素敵な主人達に飼われる、とても幸せな犬がいた。だが彼はいつも思っていた。自分はこんな素敵な主人達に飼われるにふさわしい素敵な犬になれているだろうか。さらなる躍進(やくしん)を目指す主人達と共に前へ進むために、彼は主人達と同じ己と闘う道を選んだ

 

―――来る日も来る日も、焼けた砂の上に尻尾をつけ続ける

 

「それ何の意味があるの?」

 

―――来る日も来る日も、だらだらと【ベスト・キット3】を尻尾に見せ続ける

 

「それ何の意味があるの?」二回目

 

―――やがて鍛え続けた彼の尻尾には、硬いイボのような物が出来始めていた。それは日増しに大きく頑強になっていく。しかし、イボが大きくなるにつれ彼の体は小さくなっていた。まるでイボに力を吸い取られるように。わかりますか?そう、そのイボが―――

 

 

「わしです」

 

「分かるワケねーだろぉおおおおおお!!!!」

 

「要するに尻尾からできたイボと本体が入れ替わったアル」

 

「要しすぎて意味分かんねーんだけど!」

 

 

 全くである。

 イボと本体が入れ替わるなど、普通ないから。

 

 

「ご安心ください。わしと定春は他人に見えて、尻尾でつながり意思も疎通しあう運命共同体。イボ兄弟です

 

「うまくねーんだよ!!」

 

「イボ春と呼んでください。よろしくお願いしやす」

 

 

 完全に本人が定春とは完全に別の存在であることを自白したが、今の混乱した新八にはそれが分からない。

 

 

「呼ばねーよ!こんな得体の知れないペット飼えるワケねーだろ!」

 

 

「認めない!僕はこんなの認めないぞー!!」

 

「おい待てナッパ!」

 

 

 新八は万事屋を飛び出し、ある所へ向かった。

 場所は―――スナックお登勢だ。

 

 

「お登勢さーん!!」

 

 

 急いで、扉を開けた。

 

 

「ちょっとぉ、聞いて下さいよ、銀さん達が!」

 

 

「何だい騒々しいね、レディーの部屋だよ。ノック位して欲しいもんだよ」

 

 

 そう、お登勢が。

 

 

「何か揉め事でもありましたか、新八様?」

 

 

 そう、たまが。

 

 

「どうせまたロクでもねぇ話でも持って来たんでしょ。シカトシカト。関わるだけ損ですよ」

 

 

 そう、キャサリンが。

 いつもと変わり映えない、日常が広がっていた。

 

 

「やっぱりぃ、皆全然変わってないじゃん。二年も経ったなんて嘘じゃん」

 

「何をワケの分からないことを言ってんだい。それはそうと、アンタ随分とまた―――」

 

 

「お久しぶりです」

 

「お久しぶりです」

 

「お久しぶりです」

 

 

「――――――」

 

 

 そこには、顔がイボ春になった、三人がいた。

 

 

「全員イボ春じゃねぇかぁあああああああ!!!」

 

たま「アレ?ひょっとしてワシ等のことご存じで?」

 

「ご存じも何もおめーらどこまで進出して来てんだ!つーか機械にもイボなんてできるの!?」

 

たま「皆さん大変向上心の強い方でこの2年、頑張りすぎて我々を作ってしまわれて。とりあえず【イボ勢】【イボリン】【イボ】とお呼び下さい」

 

「たまさんは存在そのものがイボになってんだろうがぁ!!」

 

 

 そのとき、肩を叩かれた。

 後ろを振り向くと、そこには『剣聖銀さん』がいた。 

 

 

「だから言っただろ?皆なぁ、お前の知らない所で日々努力してんだよ。成長しようとしてんだよ」

 

「ほとんど皆イボしか成長してませんけど!?」

 

「ぱっつぁん、お前が認めようと認めまいと、この二年は戻って来ねぇ。だったら現実を受けとめて前を見ろよ」

 

「―――――」

 

「これから挽回するチャンスはいくらでもあるだろ?今のお前はそのチャンスを、イボを作るチャンスを拒絶しているんだぞ!」

 

「全力で拒否るわ、そんなチャンス!!」

 

 

 もう、駄目だ。

 新八以外は全員がここまで成長してしまっている。

 

 だが、混乱が新八の頭の整理を邪魔していた。

 

―――そんなとき、新八の脳内に、一人の女性の姿が浮かんだ。

 新八以外の、ツッコミキャラ―――!

 

 

「そうだ、マリアさん!マリアさんはどうしたんですか!?

 

「マリア?マリアはな「なぁ、今マリアって言ったか!!?」ん?」

 

 

 そのとき、女性の声が、銀時の声を遮った。

 二人がその方角を向くと、そこには二人の女性と少女がいた。

 

 一人は女性。歳の頃は20と言ったところか。

 ボサボサな赤い髪が目立ち、肌の露出が目立つような軽装をしており、その服装が、グラマスクな彼女の体型を強調している。そんな美人だ。

 

 そしてもう一人は、少女。歳のころは13歳。

 甘栗色のストレートな長髪が目立ち、非常に可愛らしい、人形のような顔立ちをした少女だ。

 

 

「教えてください、今、マリアって言いませんでしたか?その人って、ピンク色の髪をしていませんでしたか?」

 

「そうですけど……あの、マリアさんのお知り合いですか?」

 

 

 新八がそう答えると、二人は嬉しそうな顔をした。

 そして、赤髪の女性が、言葉を続けた。

 

 

「実は、アタシたちはそのマリアを探しているだ。知ってるなら教えてくれ!」

 

「あの……その前に、まずあなたたち誰ですか?」

 

「あぁ、紹介が遅れた。まずはアタシから―――。」

 

 

 

 

 

「アタシの名前は、【天羽奏】だ。よろしく」

 

「私の名前は【セレナ・カデンツァヴナ・イヴ】と申します。よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 そう言い、二人―――奏とセレナは、ほほ笑んだ。

 

 

 






作「改正版でも感想がまともに来ないからモチベ上がらない。―――ホタテになりたい」


 感想お願いしやーす。


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番外編1-2 北斗絶唱シンフォギア/ほぼアク○ズ教

 この回は原作にない、完全オリジナルですね。
 いやぁいろいろと考えるの苦労しましたよ…。その分、読者さんたちの反応が面白そうで楽しみです!

 それでは、どうぞ!


 奏とセレナは、気づいたら、全く違う場所にいた。

 二人の共通点は、原作世界に遊びに行こうとした点。ギャラルホルンのゲートに入り、目的地に着いたと思ったら、何故かここいいた。

 

 

「あれ、セレナ!?」

 

「奏さん!?どうしてここに!?それに、ここは…?」

 

「アタシにも分からない…。なんなんだ、ここは?」

 

 

 二人の眼に映るのは、大量にスクラップされたゴミだ。

 ここはさしずめ、スクラップ工場だろうか?

 

 

「スクラップ工場…なんでこんな場所に…?」

 

「あ、奏さん!誰か来ますよ!」

 

 

 そのとき、セレナが人影を見つけた。

 奏がその方向を見ると、砂煙がこっちに向かってきていた。その中には、複数の人影だ。

 

 

「乗り物にでも乗ってるのか…?」

 

「あ、見えてきまし、た、よ…」

 

 

 二人は、絶句した。

 人影の主は二人や三人どころじゃなかった。その数、ざっと五十名。

 

 しかも全員がバイクを乗り回し、その恰好はボロボロの服に、棘付き肩パット、そして共通して髪型はモヒカンだ。

 全員が武器に鉄バットや銃などを持っている。

 

 完全な、野蛮人だった。

 その内の一人が、二人に話しかける。

 

 

「おいおい、お嬢ちゃ~ん。どうしたのかな?俺らの縄張りに勝手に入りこんじゃって~!」

 

「おい!この二人クッソエロい恰好してるぜ!こりゃあ確実に男を誘ってんな!ヒャハハハハ!!」

 

「「「ヒャハハハハ!!」」」

 

 

 モヒカンBの言葉に、他のモヒカンが同調して笑い出す。

 これだけで、二人は生理的嫌悪感を隠せない。

 

 

「奏さん…この人たち、怖いです…」

 

「安心しろ、セレナ。アタシたちにはシンフォギアがある。こんな野蛮人どもなんかには負けねぇよ」

 

「でも、ギアは人を傷つけるものでは…」

 

「何言ってんだ!こいつら見ろ!」

 

 

 周りには少女と女性を囲む野蛮人五十人。

 言うなれば北斗の拳のモブキャラたち。二人には『I AM SHOCK!』と言う幻聴が聞こえたような聞こえなかったような…。

 

 

「襲い掛かってくる気満々だぞ!やらなきゃ、こっちがやられる!」

 

「だけど…!」

 

 

 そんなとき、だった。

 後ろの方から、もう一台の、バイク音が。しかも、バイクの影が普通のよりデカかった。

 いや、あれはバイクと言うより、三輪自動車だ。そして、前方にモヒカンが操縦しており、その後方に誰かが立っているのが見えた。

 

 

「おい、ボスだ!」

 

「てめぇら!ボスが来たぞ!」

 

 

 周りのモヒカンたちが騒ぎ出す。

 これほどの野蛮人たちをまとめ上げるほどの人物だ。相当なワルに違いないと、奏はアームドギアである槍を構える。

 

 そして、ボスの全貌が露わになる。

 

 ボスの性別は、意外にも女性だった。

 肩口まで伸ばしたボブカットの蒼い髪。それを片方にまとめ上げてサイドテールにしている。私服は動きやすさを重視したもので、Tシャツ一枚の上に、薄いジャンバーを着用している。

 

 彼女の口の中から、くちゃくちゃとガムを嚙む音が響く。

 彼女は三輪自動車から降りて―――。

 

 

「てめぇらか?俺らのシマ、荒らしてる奴は…?」

 

「「あ、あ、あ…!?」」

 

「おいガキども!目をかっぽじってよく見やがれ!これが俺らのボス!風鳴翼さんだぁああああああああ!!!」

 

 

 

「「―――――」」

 

 

 

 二人の目元が、暗くなった。

 

 

 

 

「ちょっと待てぇええええええええ!!!」

 

 

 

 瞬間、画面が新八の手によって破られる。

 回想を、強制中断させられた。

 

 

「あれ翼さんか!?真面目一筋のイメージがある翼さんか!!?完全にヤンキーになんってんじゃないすか!!」

 

「翼か…。あいつも、成長したんだな」

 

「成長つーかむしろ退化だよ!人間性や社会性が丸々劣化してるよ!!」

 

 

 あれから少し時間が経ち、剣聖銀さんと新八は、奏とセレナを連れて万事屋の応接室へと座っていた。

 そして、二人からここまで来た際の事情を聞かされ、新八がツッコんだ形だ。

 

 

「あんな翼…見たくなかった…」

 

 

 奏が半泣きになりながら、目をハンカチで覆った。

 かつての相方が、あんな風に変貌していたら、無理もないが。

 

 

「なんなんですかアレ!?もう銀魂要素が微塵もないよ!【北斗絶唱シンフォギア】になってるよぉおおおお!!」

 

 

 北斗の拳×戦姫絶唱シンフォギアのコラボ作品だとでも言うのだろうか?

 ちなみに、この作品は全く違います。

 

 

「ていうか、真選組はなにをしているんですか!?土方さんがいたはずだから、あんな風になるワケないじゃないですか!」

 

「何度も言うがぱっつぁん。ここ2年で皆変わったんだよ。いい加減受けとめろ」

 

「い、いや……まだマリアさんがいる…。僕は認めない、認めないぞ…」

 

 

 まだ現実が受けとめ切れておらず、現実逃避を続ける新八。

 その現実逃避の一環として、新八は話を変える。

 

 

「あの……聞きたいんですけど、セレナさん、でしたっけ?」

 

「はい。そうです」

 

「セレナさんの苗字……カデンツァヴナ・イヴって、マリアさんと同じ苗字なんですけど…もしかして…」

 

「はい、マリア姉さんは、私の姉です」

 

 

 目の前の甘栗色の髪の少女、セレナはマリアの妹だと言う。

 確かに、どこか面影がマリアに似ているような感じがすると、新八は思う。

 

 

「それで、あなたは…」

 

「アタシか?アタシは……まぁ、マリアの仲間だな」

 

 

 彼女、天羽奏はどこかギクシャクした返答をする。

 次に、銀時が。

 

 

「……なるほどな、話は大体分かった。お前たちは、仲間であり姉であるマリアを、探しにここまで来たってことでいいのか?」

 

「はい。そういう風に考えてもらって構いません。それで……私たちかも質問していいですか?」

 

「あぁ、実はアタシも気になってたんだ」

 

 

「「……なんか、情報と違うって…」」

 

 

「―――情報?どういうことですか?」

 

 

 新八が首を傾げる。

 情報とは、一体なにか。言ってしまえばそのまんま情報だが、一体なんの情報なのだろうか?

 

 

「実は、この町の名前を聞いたり、あなたたちを見た瞬間に、頭の中に、情報が、入ってくるです」

 

「情報が入ってくる…?」

 

「あぁ。例えば、この『かぶき町』の文字が目に入った時なんだけど…」

 

 

―――かぶき町。

 江戸の下町に所在し、飲食店の立ち並ぶ繁華街である。ヤクザなどの土着の権力者により天人があまり住んでいない土地らしい町。

 

 

「―――ってな感じで、情報が流れてくるんだ」

 

「ちょっと待ってください。これ僕にも見えるですけど。明かにテロップが僕らの頭の上にくっきりと存在しているんですけど」

 

 

 新八の言う通り、テロップ(せつめいぶん)が彼らの頭の上に存在していた。

 テロップの存在を見える新八に、二人は驚愕した表情を見せた。

 

 

「これが見えるのか!?」

 

「本当に!?」

 

「は、はい……。見えますけど…」

 

「実はこのテロップ的なの、周りには見えてないのか、当初すげぇ驚いたら周りの人に笑われてな…」

 

「見える人と見えない人に、なにか違いがあるのでしょうか?」

 

「銀さんたちは?銀さんたちはどうなんですか?」

 

 

 もし頭上にあるテロップに、見える人と見えない人の区別があるのなら、出来るだけ確証材料は多い方がいい。

 銀時たちの返答は…。 

 

 

「見えねぇな」

 

「オラにも見えないネ」

 

「すいやせん、新八兄さん。ワシにも見えません」

 

 

 どうやら剣聖銀時、神楽さん、イボ春には見えていないようだ。

 

 

「僕しか見えないのか…。一体、違いは何なんだろう…?」

 

「さぁ…私にもわかりません…」

 

「いいんですよ、僕にも分からないことはたくさんあるので。……ちなみに、僕たちのことを見た時って言ってましたよね?つまり、僕たちの情報もすでに知っているですか?」

 

「あ、はい。騒がしかったので……すぐそっちに目が入りました」

 

「おい新八、お前もうちょっと音量小さくした方がいいんじゃないか?」

 

 

 新八のツッコミ、二人がここに来た主な理由だったようだ。

 だが、二人にとってはこの出会いは僥倖だったかもしれない。

 

 

「これはもうクセだし、もうイメージが定着してるから無理ですよ。それで、なんて出たんですか?」

 

「あのな……銀時さん?神楽さん?定春さん?は、情報と現実が全く一致してないんだよな…」

 

「……つまり、あなたたちに流れている情報は、僕の知っている銀さんたちとまんまってことか…。それで、僕は?やっぱり、僕はなにも変わってないから、情報との齟齬もないだろうし…」

 

「あ、いえ、その…」

 

「あの、だな……」

 

 

 なんだろう、二人の端切れが悪い。

 と言うより、言うのを躊躇っている?そんなとき…

 

 

―――志村新八。

 ツッコミ役。本体はメガネ。人間をかけたメガネ。メガネが無いと体が屍になります。(以下略)。

 

 

「ちょっと待てぇええええええ!!なんだこの情報!!誤りだよ、間違いしかねぇよ!!つーかここでもメガネネタかましてくんじゃねぇえええええ!!本体人間だから!純度100%の人間だからぁああああ!!」

 

「―――と、人間の体を操っているメガネ(新八)が言っている」

 

 

 ここで、剣聖銀さんが悪ノリをかます。

 

 

「そこ!同調すんじゃねぇえええ!!ていうかなんだ(カッコ)以下略(カッコ閉じ)って!さぼってんじゃねぇよ!!もっと情報書けよぉおおおおお!!」

 

 

 新八のツッコミが炸裂する。

 それを見て、二人は、「ツッコミ役」と言うのは本当なんだな…と思った。

 

 

「――――あの、申し訳ないだけど…話進めていいか?」

 

 

 新八が熱くなっていると、奏がそう言った。

 確かに、まだ話の続きだ。

 

 

「あ……すみません。それで、銀さん。マリアさんは今どうしているですか?」

 

「まぁついてこれば分かるよ。あんたらもついてきな」

 

「じゃあオラお留守番してるアル」

 

「留守は任せてください」

 

 

 神楽さんとイボ春は留守番をするようだ。

 銀時に言われるがまま、三人は万事屋を出て、歩く。

 

 

――歩き、歩き、歩き、歩き、歩き……。

 

 

 30分くらい歩いた後、町の見た目はかぶき町とはすっかり変わっていた。

 

 メルヘンチックな見た目の住宅が立ち並んでおり、その中心に立派な教会が存在していた。

 そして、剣聖銀さんがその教会の扉の前で立ち止まる。

 

 

「ここだ」

 

「教会…?」

 

「ここに、マリア姉さんが…?」

 

「まさか、マリアの奴宗教にハマったのか?」

 

「まぁ、ハマったって言うか―――」

 

 

 剣聖銀さんの端切れの悪い言葉と同時に、銀時の手によって扉が開かれる。

 そして、三人の目に映ったのは―――。

 

 

「―――神は、言いました。成長とは、努力の証であると。しかし、努力は形となっては現れないと」

 

 

 説法だった。

 教会の内装は定型的なものだ。

 木製の巨大な丸い物体がご神体として飾られており、それに向かって両手を合わせて握りこぶしで祈っている、たくさんの人々。

 そして、その教えを説いている、修道女の恰好をした、ピンク色の長身長髪の女性―――。

 

 その女性の声は、とても聞き覚えのある声で――。

 

 

「「「――――」」」

 

「―――しかし、そんなときでした。神は、私たち人間に、努力の証を授けたのです!」

 

「ハマったって言うより、教祖やってるね」

 

 

 ―――マリア・カデンツァヴナ・イヴだった。

 

 

 

 

 

 

* * * *

 

 

 

 

 

 

「「「えええぇえええええええええ!!!!??」」」

 

 

 

 三人の絶叫が教会に響く。

 今、三人の目の前に存在しているのは歌姫マリア―――否、シスターマリアであった。

 

 

「えぇええええ!!あれ、本当にマリアさんですか!?」

 

「何言ってんだ、逆にあれのどこがマリアじゃないって言うんだ?」

 

「いや確かにそうですけど!見た目はそのままマリアさんですけど!服装とか丸々違うじゃないですか!それに今教祖つったか!?この宗教マリアさんが創ったの!?」

 

 

「―――どうしたのですか、迷える子羊よ」

 

 

 ツッコミをしている新八に、マリアが話しかけてきた。その喋り方は、とても修道女らしい喋り方だった。

 

 

「久しぶりね、新八くん」

 

「ま、マリアさん…どうしたですかその恰好!?」

 

「修道士の服よ?それがどうかしたの?」

 

 

 新八がマリアの恰好について尋ねると、当たり前の答えが返って来ただけだった。

 

 

「な、なぁマリア…ここってなんなんだ?」

 

 

 次に、奏がマリアに聞いた。

 教会と言うことなのだから、何かを祀っていることは確かだ。

 

 

「あら、奏。あなたも入信しにきたの?」

 

「いや違う。一体ここは何を祀っているんだ?」

 

「あら、あれを見ても分からないの?」

 

 

 マリアはご神体であろう木星の巨大な丸い物体を見据えた。

 その瞳は、曇りなど存在せず、無垢な子供のようで―――。

 

 

「あのお方は、【イボノカミ】様よ」

 

「イボノカミ!?イボノカミってなんだ!?イボの神様か!?つーかあれどう見てもただのイボじゃねぇかぁああああ!!」

 

 

 どう見ても、木製のイボ。まさかここでもイボが浸透していた。

 しかもイボノカミなど訳の分からない神を、この教会は信仰していた。

 

 

(まさか宗教にまでなっているなんて…!一体、江戸はどうなってしまったんだ!?)

 

「新八くん。今の言葉はイボノカミ様への冒涜よ。今すぐ撤回と謝罪をしなさい」

 

 

 瞬間、マリアの顔が新八の顔に近づく。ものすごく近づく。

 どのくらい近づいているのかと言うと鼻と鼻がくっついているほど近づいている。

 

 普通なら、ラブコメみたくキスシーンに近いが、今のマリアからは恐怖しか感じられなかった。

 

 

「ご、ごめんなさい…」

 

「そう、そうよ。イボノカミ様はとっても優しいの。きっと、今の謝罪もイボノカミ様は快く(こころよ)受け止めてくれるでしょう」

 

 

 マリアは木製のイボに、天に仰ぐような形で祈った。

 彼女は、熱心な宗教家へと転職?――を果たしていた。

 

 唖然としている新八と奏の代わりに、今度はセレナが。

 

 

「ま、マリア姉さん…?」

 

「あら…セレナ。久しぶりね、元気にしてた?」

 

「は、はい…っ」

 

 

 マリアはここにセレナがいることにあまり興味を示さず、ただ挨拶をしただけだった。

 

 

「それにしても、セレナ。あなたはいつも通りね、本当、変わっていない…」

 

「ま、マリア姉さん…?」

 

 

 なんだか、マリアの様子がおかしい。

 それに同調するように、教会内の雰囲気も、どんどんと暗くなっていく。

 

 そして―――!

 

 

「駄目よ!!変わらなきゃ!!」

 

 

 マリアが、鬼気迫るような顔でセレナに怒鳴った。

 

 

「ヒッ!」

 

「いい、セレナ。努力すれば、人は必ず成長するものなのよ!そしてその成長の証―――それこそがイボ!イボとはイボノカミ様が私たちに授けてくださった努力の証なの!それを一つも作っていになんて、セレナ!あなたは成長する気はあるの!?」

 

「お、おいマリア、そのくらいに―――」

 

「奏や新八君もそう。何一つ変わっていないじゃない。二年よ?二年!こんなに時間が経っていると言うのに、なんで貴方達は何一つ変わっていないの!?」

 

「え、あの、ちょ…」

 

 

「マリア、こいつらはな、二年間全く努力をしていなかったんだぜ?」

 

 

「あっ、ちょ!」

 

 

「―――なんですって?」

 

「「「「「―――――」」」」」

 

 

 銀時の爆弾発言が、見事に起爆した。いや、それだけじゃなかった。起爆した燃えカスは、周りの爆弾へと燃え移り、誘爆を起こした。

 今まで、ずっと無言を決めていた信者たちが、一斉に立ち上がった。

 

 

「え、なんだ、この状況?」

 

「まさかとは思ったけど、本当に二年間なにもしてこなかったのね…」

 

「「「「「それはイボノ教の教えに反する」」」」」

 

「マ、マリア姉さん…?」

 

「成長とは、変化なり」

 

「「「「「変化、すなわち―――」」」」」

 

 

 一斉に、信者たちが――――無数のVシネマ風のオッサンの顔が新八たちの瞳に映った。

 

 

「「「「「イボを生むことなり!!」」」」」

 

 

「全員イボ春ウゥゥウウウウ!!!??」

 

 

 新八の絶叫が響く。

 信者たちの顔が、全員イボ春で統一されていた。

 

 

「なんだこれぇええええ!!?」

 

「ぜ、全員が同じ顔…!?」

 

「キモいよ!もう摩訶不思議を超越してキモいよ!!」

 

 

「貴方達にも、教えねばなりません―――」

 

「「「「「成長の、素晴らしさを!!」」」」」

 

 

 全員が、三人に近寄ってくる。

 

 

「に、逃げましょう!!」

 

「あぁ!!」

 

「はいッ!」

 

 

 三人は本能的に危機を感じ、すぐに教会から飛び出た。

 

 

「待ちなさい!」

 

「「「「「待てェ!」」」」」

 

 

 三人が猛スピードで逃げても、後ろの集団が猛スピードで追いかけてくる。

 

 

「貴方達も成長と言う名の変化に気付いて、一緒にイボノカミ様を信仰しましょう!さぁ!この入信申込書にサインを!!」

 

「「「「「この素晴らしいイボノ教に祝福をォォオオオオオ!!」」」」」

 

 

「アァアアアアアアア!!」

 

「イヤァアアアアアア!!」

 

 

「やってること完全にアク○ズ教徒じゃねぇかあぁああああああああああ!!!」

 

 

 

 二人が悲鳴を叫ぶ中、新八の咆哮が、空に木霊した―――。

 

 

 

 

 



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番外編1-3 絶唱顔

 投稿遅れましたー…。でも後悔はしてない!

 それに、誕生日だぜ、いえーい!

 それでは、どうぞ!


―――あの後。

 新八、奏、セレナの三人は無事に逃げ延び、場所は変わって志村宅。

 家に着いたあと、新八は二人を姉に任せて新八は自身の部屋で落ち込んでいた。

 

 

「―――」

 

「新ちゃん、入っていい?」

 

 

 部屋のふすまの奥から、姉――妙の声が聞こえた。

 

 

「ごめんなさい。今は、誰の顔も見たくないんです」

 

「―――」

 

「皆、いつの間にか遠くに行ってしまっている気がして。今迄(いままで)だって、ホントは何度も感じてたんです」

 

「―――」

 

「姉上、僕、よくこんな夢を見るんです」

 

 

 そう言い、新八は自身の夢の内容を語る。

 ”暗がりの中、銀時、神楽、新八の三人は走っている。しかし、周りは足が速く必死に追いつこうとしても、結局、最後は暗がりに一人になってしまう”、そんな夢を見た。

 

 

「それだけじゃないんです。前回の投稿日、『3月17日』なんです。二か月半も放置されて、悲しいんです。それに、作者が久しぶりにこの小説に手を出した理由も、自分の誕生日で気分が有頂天になっているからなんですよ?いくらあと数年もすれば社会人になるから忙しいと言っても、その理由は酷いと思うんです。もっと、マシな理由で、手を付けて欲しかったんです」

 

 

 作者のリアル話を愚痴る新八。(おいこら、それ言うんじゃねぇよ。あ、これ書いてんの俺だったわ。ガハハ。でもこっちは東方悪正記を社会人になる前になんとしてでも完結させたいんじゃァァアアア!!by作者)

 そんな新八に、妙は――、

 

 

「新ちゃん、あなたは幸せね」

 

 

 その言葉に、微妙に反応を見せる新八。

 

 

「だって、暗がりの中でも進むべき目標が見えているんだもの。本当に悲しい人は、走るべき方向も見えずに立ち止まっている人、そして本当に辛い人はどっちが前か後ろかも分からない暗がりを、先頭切って走っている人

 

「―――ッ!」

 

「確かに歩調を合わせてくれる優しい人なんかじゃないかもしれない。グニャグニャ回り道が多い人なのかもしれない。それでもあなたは、その人の走る方向が前だと信じているんでしょう?それはね、とても幸せなことなのよ、新ちゃん」

 

「―――」

 

「どんなに遠くなっても、見えるわよ。足さえ止めなければ、きっと追いつけるわよ。だって、私がずっと隣で、あなたのケツ引っ叩いてあげるんだもの

 

「…ねうえ、姉上…」

 

 

 新八のメガネの奥から、水滴が零れる。

 

 

「それに、作者のことだって悪く言っちゃだめよ?作者の意見だって、一理あるのよ?物語を作ったのなら、それを完結させるのが、製作者の使命でもある。それに、社会人になってからだとそれも難しくなる。だから、今しかない。作者だって、自分なりに頑張っているのよ?事実、社会人になったせいで一話の投稿が大分遅れている作者だっているのだから」

 

「―――」

 

「それでも新ちゃんが納得できないというのなら、私が『第四の壁』をぶち破って作者を引きずりだすから」

 

 

 新八の涙腺が――決壊した。

 

 

 

「姉上ぇえええええ!!!2年後なんてもう関係ねーよ!姉上となら、僕はどこまでも、走っていけまーぁす!そして、一緒に作者を殴り(喝を入れ)に行きましょぉおおおお!!」

 

 

 新八は走り、ふすまを開けた。(作者は逃亡準備中)

 その奥には、最愛の姉、妙と―――、

 

 

「あぁ、それでこそ我が弟だ!必死にお妙さんと俺に食らいついて来い。手加減はしない、だが必ず君たちをネバーランドに連れて行ってみせる!」

 

 

 近藤勲(ゴリラ)が、いた。

 

 

「もぉー、勲さんったら、あんまり張り切って私たちを置いて行かないでくださいね?どこまでもついていきますけど」

 

「―――」

 

「さぁーて、元気出たところで夕飯だ。ホラホラ、早くしないと置いてっちゃうぞ」

 

「いやん待って勲さん」

 

「今日のご飯は何かなー」

 

「うふふ、勲さんが好きなもの」

 

「えっ!カレーラ――」

 

「卵焼き」

 

「だよねー。や、やったー。コレで嫌なこと全部忘れられるなー」

 

 

「――――」

 

 

 その光景を見た新八の目は、瞳孔が開き、目が血走っていた。

 徐々に血涙、鼻血、吐血していき――

 

 

 

「おのれ、作者ぁアアアアアアアアアアアア!!!」

 

 

 

 全ての怒りが、この小説を書いている本人に向けられた。(え、俺悪くなくない?皆もコメントで養護頼むぜ!)

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

――昼。

 そこには五人の人物が集まっていた。

 

 

「ハイ、勲さんアーン」

 

 

 妙が箸で劇物を掴み取り、勲の口に向ける。

 近藤は顔を赤らめながら――、

 

 

「オイオイ、お妙さん。ご飯くらい自分で食べられるよう」

 

「もぉー、何照れてるのよ勲さんったら」

「えへ、えへへ、えへへ、えへへ」

 

「私たちも夫婦でしょ?これ位いいじゃないですか」

 

「「「―――」」」

 

 

 そんな二人の目の前に座る、三人の男女。新八、奏、セレナ。三人の表情は、一貫していて額から目元にかけて黒く染まっていた(演出的に)。

 その理由は、明白だ。机に並んでいるのは、妙が作ったであろう漆黒の劇物(たまごやき)が大量に並んでいたから。

 三人が手を付けているのは、実質白米だけだ。

 

 さっきまで、血塗れ(絶唱顔)を晒した新八を見て、絶叫していたと言うのに。

 

 

 

「ホントにお妙さんは甘えん坊なんだから」

 

「どっちがストーカーやってたか、いまとなっちゃ分かりゃしないよねぇ」

 

「そんな言い方やめてよ。お客さんもいるんだから。それに、もっと早くに勲さんの優しさに気付いていたら、もっと早くに幸せになれていたのに。まさか真選組を辞めて一緒に道場やってくれるなんて」

 

「真選組はね、俺なんかいなくてもやっていけるんです。頼もしい奴らが一杯いるから。ただお妙さん、あなたは僕が支えてあげなきゃダメでしょ?僕も、あなたがいないとダメなんです」

 

「もう勲さんったら!」

 

 

 近藤の顔を恥ずかしそうに殴る妙。その攻撃を、まるでMかのように顔を赤らめて笑う近藤。

 

 

「「「ご馳走様です」」」

 

 

 三人が、無力な声でそう言う。

 こんな色気話を聞かされては、食欲が進まないのも無理はない話である。

 

 

「あら新ちゃん、それにお二人も、全然食べてないじゃない」

 

「新八君、仕事に差し支えるよ、それじゃ」

 

「え?」

 

 

 無気力な声で、仕事は反応した。

 

 

「今日は君の記念すべき初出勤日じゃないか」

 

「そうよ」

 

 

 妙が横に置いてあったハンガーを手に取って、新八に近づいてくる。

 

 

「勲さんがせっかくいい仕事紹介してくれたんだから期待に応えなきゃ、ハイ」

 

 

 

 

 

 

―――そして、着替えて…。

 

 その服装は、真選組の服装だった。

 

 

 

 

 

 

 

「―――」

 

 

「俺の代わりに君が行ってくれるなら心強いよ。真選組を頼んだぞ」

 

「研修が終わるまでは住み込みらしいから、なかなか会えなくなるけど、頑張ってね。私たち二人――いえ、三人が応援してることも忘れないでね」

 

 

「「―――え?」」

 

「――――」

 

 

 ここで、初めて素っ頓狂な反応を示した二人。

 

 

「うむ…ん?三人…三人って」

 

 

 近藤も動揺を表した。これは、つまり―――、

 

 

「うふ、新ちゃん。帰ってくる頃にはあなたも叔父さんよ。この子に自慢できるような立派な侍になって帰ってきてね」

 

「ほ、本当ですかお妙さん!?聞いたか新八くん――」

 

 

 近藤が振り返ると、新八は既にそこにはおらず、少し遠くの方で走って言っているのが見えた。

 

 

「い、いつの間に…!」

 

「これ、私たちも追いかけた方がいいのでしょうか?」

 

「当たり前だろ!行くぞセレナ!」

 

 

 新八の後を追いかけるために、二人も走る。

 

 

「フフッ、あんなにやる気出しちゃって」

 

「全く、頼もしい義弟、いや、叔父さんだな」

 

 

 

 

 

 

 

―――街中にて。

 街中で歩くカップル二人。とその他モロモロ。

 

 

 

「あん時イカ蔵が――ん?」

 

 

「ああああああああ!!!」

 

 

「――ん?」

 

 

 新八が自前の脚で爆走していた。

 

 

「ああっ、おおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 そして、すぐに見えなくなる。

 

 

 

「な、なんだったんだ今n―――ん?」

 

「待てよ新八――!!」

 

「待ってくださぁーい!!」

 

 

 

 そしてその後ろを、同じく爆走してくるインナー姿の女性と少女。あまりにも速すぎてシンフォギアを使わざる負えなかったようだ。

 再び、見えなくなっていく。

 

 

 

「おおおおおおおおおおおッ!!」

 

 

 

 川へ、ダイブ。高速でクロールを使い泳ぎ、また地上を爆走していく。

 

 

 

「待っててばー!」

 

「止まってくださーい!!」

 

 

 

 二人のインナー姿の女性と少女が、川を飛び越えて新八を追う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――特設ドーム。長距離走会場にて。

 

 

 

 

「うえええーあああああああああッ!!」

 

 

 

 走っているアメリカの現役ランナーを軽々と追い越す。

 

 

 

「待てよー!」

 

「待ってー!!」

 

 

 

 ランナーを追い越す二人のインナー少女とインナー女性。

 

 

 

 

 

 

 

―――夕暮れをバックに、新幹線が走る線路。

 

 

 

「うえええーあああああああッ!!」

 

 

 

 走っている新幹線を追い越し、そのまま爆走していく。

 

 

「なんで生身で新幹線より早く走れるんだよあいつはー!?」

 

「愛憎の力だと思います!」

 

 

 

 

 

 

 

 

―――野生動物が蔓延る、夜の森の中。

 

 

 

「あああああああああああああッ!!」

 

 

 

 クマ、猿、ゴリラなどの危険生物が見守る中、発狂しながら爆走する新八。

 

 

 

「どいてくれー!」

 

「あなたちは攻撃できません!」

 

 

 

 野生動物たちに、足止めを喰らう二人。

 

 

 

 

 

 

 

―――夜明けをバックに、砂浜を走る新八。

 

 

 

「あああああああああああああ!!」

 

 

 

 二人は、追ってきていない。

 

 

 そして、(きし)で立ち止まり――、

 

 

 

「マジでかぁあああああ!!!」

 

 

 

 溜まっていた言葉を吐き、ザバ―ンと波が鳴る。

 

 

 

「神様ぁあー!一体僕が何をしたというんですかぁ!たった三ヶ月と二か月半休んだだけでこんな仕打ちあんまりだぁ!」

(原作じゃ一年休んでたんだ。五か月くらい別にいいだろー?)

 

 

 幻聴が、どこからか聞こえた。

 

 

「万事屋の皆だけじゃなく、あのストーカーゴリラまでもが姉上を堕とし、僕の兄になるまで急成長を遂げてるなんてぇー!!」

 

「完全に邪魔者になってたじゃん。完全に厄介払いで真選組に押し付けられてんじゃん!万事屋でも、家でも置いてけぼり!こんな短い間僕の居場所はなくなってしまうようなものだったのかぁああああ!!」

 

「ひっ、酷いよ。まるで一人だけ知らない世界に放り出されたような気分だ…。僕は、これから一体どこに行ったら――」

 

 

 新八の涙で、地面が濡れる。

―――そんなとき、だった。新八の左手に、優しく誰かの手が触れた。

 

 

「分かるよ。君の気持ち。だって、僕も同じだから」

 

「―――ッ!」

 

 

 その声は、とても聞き慣れた声で。

 新八が振り向くと、そこにいたのは、柳生九兵衛だった。

 

 しかも、恰好がとても女性らしくなっていて。

 

 

「あっ、きゅ、九兵衛さん?メ…メチャクチャ女の子らしくなってる。つーか、手――」

 

「あっ、ご、ごめん」

 

 

 九兵衛は恥ずかしそうに少し離れた。九兵衛は男性に極度の抵抗があり、自分から触れない限りはその男性を投げ飛ばしてしまうほどだ。

 そんな彼女が、自らの意思で――、

 

 

「九兵衛さん、男に触っても平気になったんですか?つーか、そのカッコ…」

 

「ご、ゴメン。泣いてる新八君見てたら、ほっとけなくて。お妙ちゃんがいってしまったから、僕も変わらなきゃなって」

 

(そうか、姉上への失恋がきっかけで…)

 

 

 柳生九兵衛は、志村妙を愛していた。

 それは本人ですら「自分が男性人格として妙を好きなのか、それともただ単に百合なのか分からない」と言うほどに。

 しかし妙がゴリラ(いさお)と結婚してしまったがために、変わってしまったのだろう。

 

 

「へ、変かな?」

 

「ご、ごめんなさい失礼なこと言って。メチャクチャ可愛いです。メチャクチャ好みです。あっ」

 

 

 そこで、新八は自分が少し恥ずかしいことを言っていたことに気が付いた。

 しかし、九兵衛の反応は初々しく、

 

 

「あ、ありがとう」

 

「あ…」

 

「あ、あの。新八君、君は一人じゃないよ。僕もいるから、だから辛い時はここにおいでよ。僕もよくここに来るから。同じ気持ちの人がいるだけで、ちょっとは気が楽になるだろう?――その代わり、僕もいいかな?」

 

「え?」

 

「いや、あの…」

 

 

 そういい、九兵衛は再び新八に向かって手を伸ばす。

 

 

「たまに触る、実験台になってもらっても」

 

(え、何コレ?)

 

「新八君だと、平気みたい。どうしてだろう?やっぱり、妙ちゃんと似てるからかな?それとも――」

 

「うっ!」

 

 

 新八の手に手を伸ばし、触れた。そして、新八も同じように、手をつないだ。

 だが、恥ずかしくなったようでお互い顔を逸らす。

 

 

(むっ、胸が張り裂けそうだぁ!)

 

「僕、妙ちゃんを忘れたいんだ。これからは、ちゃんと男の子と向き合わなきゃいけないって、だから、いい?」

 

 

 互いを見つめ合い、顔を赤らめる。

 

 

(九兵衛さんってこんなに可愛かったけぇぇえ!?)

 

「いいよぉおお!全然いいですよぉおおお!たまにじゃなくて、毎日でもいいです!僕にできることなら、なんでも強力します!毎日触ります!」

 

「ホント?嬉しい。じゃあ、いっぱい触って」

 

 

 新八の手を今度は両手で掴み、立ち上がる。

 そして――股を少し開いた(立った状態で)。

 

 

「優しく、実験してね」

 

 

 そういい、九兵衛は自身の意思で、新八の手を自分の股へと向かわせる。

 そんなとき、だった。

 

 

「はぁ、はぁ…新八、どこ行った?」

 

「確かここら辺で目撃情報が…って、あ!いまし……って、えぇえ!?」

 

 

 そんな時、後ろの方で、奏とセレナが現れた。シンフォギアの状態で今までずっと探していたようだ。

 しかも、このR-18の案件の最中に、だ。

 

 

「ななななな////!何やってんだあの二人はぁあああ!!??」

 

「と、とりあえず止めましょう!」

 

「そそそそ、そうだな!おい目を覚ませ新八ー!」

 

 

 二人がこちらに向かって走る。

 しかし虚しく、行為の途中の二人の耳には届いていなかった。

 

 

(えっ、ちょっ、待ってぇ!九兵衛さぁあああああん!そんなっ、そんな実験してたらぁ、僕は!僕はぁー!マッドサイエンティストになっちゃうよぉー!!!

 

 

(「「あああああああああああああっ!!」」)

 

 

 二人の絶叫と、新八の心の絶叫が響いた―――瞬間、三人は異変を感じ取った。

 その異変とは―――九兵衛の股間。そこには、ナニか、フニフニしたものがあった。

 

 新八は何度も手を動かし、無気力な顔でその感触を何度も確かめる。

 

 

「「「――――」」」

 

「アレ?何かあるんですけど。触り慣れた何かが」

 

 

 新八は力が抜けた手を、九兵衛の股から離す。

 そんな彼を他所(よそ)に、九兵衛は説明を続ける。

 

 

 

「どうだろう?新八君のと比べて、先日工事が終わったんだが、異常なのか正常なのかもよく分からなくてな」

 

「――工事って、なに?」

 

「ナニだ」

 

「ナニって、何?」

 

「男の子をつける突貫工事だ」

 

 

 瞬間、三人の目が白目になった。

 つまり、九兵衛の股には、男の象徴である、アレが取り付けられていると言うことになる。

 

 

「何をしとんのじゃぁあ!おのれはぁああああ!!『たま』に触るってそっちの『玉』かあぁああ!!」

 

「な、なななななにやってんだよあんた!?」

 

「ど、どうしてそんなもの付けたんですか!?」

 

 

 急に現れた女性と少女にも動揺を示さず、九兵衛は言葉を続ける。

 

 

「以前のようにではなく、上は女、下は男。ハッキリと分かれた者に生まれ変わったのだ」

 

「結局更にややこしい事になってんだろーが!」

 

「なんでそれをする必要があるんだよ!バカかあんたは!?」

 

「今からでも遅くありません!すぐにでも――!」

 

「出会ってばかりの君たちに言われる筋合いはない」

 

「いやアタシ等は出会いとかそんなんじゃなく、『女』として言ってるんだよ!」

 

「そうです!それはいくら何でも…!」

 

 

 だがしかし、九兵衛の意思は固く、それにぽっと出の人物の言葉など聞く耳も持たず、

 

 

「もう男だ女だと追及するのは疲れた。今は、性別を超えた存在になれる新世界を、あの人たちと探している」

 

 

 そういい、海岸の方にいた人物たちの方を見る。

 そこには、女性ものの水着を着た、オカマたちがいた。

 

 

「九ちゃーん。そろそろ帰るわよ」

 

「この人とんでもない新世界に行こうとしてるよ!青ヒゲ海賊団と新世界にボンボヤージュしようとしてるよ!」

 

「ダメだ!それは行っちゃだめな新世界だぁあ!」

 

「――?」

 

 

 叫ぶ二人。そして、精神年齢上にその意味がまだ理解できていないセレナ。

 

 

「つーかかまっ()倶楽部(くらぶ)で働いてんのアンタ!」

 

「フン、一応エースをやらしてもらっている」

 

「フンじゃねーよ!色々衝撃的過ぎて全然ついて行けないんですけど!」

 

 

 

「―――いい加減にしろ、九兵衛殿」

 

 

 

「「「「―――ッ!!」」」」

 

 

 

 その時、九兵衛と新八には聞き慣れた声が。奏とセレナには初めて聞いた声が聞こえた。

 その方向を振り返る。そこには、ロン毛の男が太陽の光をバックに立っていた。

 

 

「そんな粗末なものをつけて、あくまで俺とキャラをかぶらせてくるつもりか」

 

「――貴様は」

 

「な、なんだ?」

 

「え、え?」

 

「両者堅物マジメキャラ、違う所といえば性別くらい。その支えなくして俺の出番を食う魂胆か。フフ、だが読みが甘かったな。そなたがその粗末なモノをつけている間に――俺は!!」

 

 

 その人物が、服を脱ぎ棄てる!

 

 

「おっ」

 

「えっ!?」

 

「え…?」

 

 

 その人物―――桂小太郎は、女物のチャイナ服を着て、バラの背景をバックに、叫ぶ

 

 

「ズラ子は、とったどォォオオ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

 

 

 

 

「かぶってねーって言ってんだろーが!!腐れ電波バカァアアア!!!」

 

「うおおーっ!」

 

 

 新八は桂――ズラ子を海に勢いよく投げ飛ばした。

 

 

「キャラ被りを気にしてキンタマとってくるバカがお前以外に何処にいるよ!つーか結果的にニューハーフキャラ自ら被せちまってんだろぉー!!」

 

「しっ、しまった。局地的戦術にこだわるあまり対局を見失ったわ」

 

「対局依然にとんでもねーもん失ってるからね!?」

 

 

「――九兵衛殿。やはり私たちはどこまでいっても被り倒す運命から逃れられないようね。出番が欲しければどちらか一方の存在を消すしかない」

 

「そ、そんな!共存して、仲良くなる道はないんですか!?」

 

 

 そんなとき、セレナが叫ぶ。優しい彼女のことだ。存在を消す――つまり、殺し合うと言うことに反応したのだろう。

 

 

「少女。これはもう運命――必然なのよ」

 

「それに、キャラ被りと言うのはキャラクターにとって死活問題…。同じ特徴を持つ者は、この世界(小説)に二人もいらない!」

 

「その通り!これは私たちの問題。だから口出し無用よ。―――九兵衛殿。タマと胸がある者、タマも胸もない者、どちらが真のオカマかはっきりつけようではないか!」

 

 

 九兵衛とズラ子が飛び――、

 

 

「「カマっ娘倶楽部のエースは、この『僕/私』だぁああああ!!!」」

 

 

「それは取り合う価値のあるものなんですかぁ!?」

 

「それは取り合う価値のあるものなのかぁ!?」

 

 

 二人のツッコミを他所に、空中にて黄金のオーラを纏いながら戦闘を繰り広げる二人。

 唯一、セレナが心配そうな目で二人を見つめる。

 

 

「やっぱり、殺し合いなんて――」

 

「いや、あれに関しては無視していいぞ、セレナ」

 

「えぇ!?なんでですか!?」

 

「動機が下らなすぎるからな」

 

 

 奏もこれに関しては諦めたようで。

 

 

「…なんてこった。まさか成長どころか性別まで変わる人が出てくるなんて。ただ一つ全員共通してるのは、アホなのは変わりないって事だけだ」

 

「おい、それは聞き捨てならねぇな」

 

「そうです!」

 

 

 新八のまとめに、二人が反論を示した。

 

 

「翼はちょっと家事ができない残念な子ってだけだ!」

 

「マリア姉さんはおっちょこちょいなだけです!」

 

「それを言い換えれば『アホ』って言うんですよ?」

 

 

 そのとき、『ポフッポフッ』と、言う、車の音が鳴った。

 三にが後ろを振り向くと、そこには真選組と書かれた白と黒の車が。

 

 

「いたいた、オイ腐れメガネ。てめぇ初日からエスケープきめこむたぁいい度胸じゃねーかあぁん?」

 

「――死ぬ準備は出来てるか?あぁん?」

 

 

 車の窓が開き、そこからバズーカ砲の銃口が出てきた。

 そして、容赦なく発射される。

 

 

「「「うわぁあああああ!!!」」」

 

 

 着弾し、爆発を引き起こす。二人はシンフォギアを纏っているからある程度は問題ないが、新八は別だ。

 新八は前に押し出され、地面とキスをした。

 

 

「な、なんだよ急に…!」

 

「あっ、志村さん!大丈夫ですか!?」

 

「ごあぐっ、う、お、沖田さん?そのバズーカは沖田さん――」

 

「何寝ぼけてんだァ。しばらく会わねぇうちに脳みそにもメガネが必要になったかあぁん?」

 

 

「俺だよ俺。真選組鬼の副長」

 

 

 

 その男は、タバコをふかし、体にニコチンを取り入れる、容赦無用の金髪の男―――!

 

 

ジミー山崎だよあぁん?」

 

 

 

―――山崎 退(さがる)

 真選組の監察(密偵)。黒目黒髪の冴えない地味な男性であり、職種も地味。

 あると言える特徴は圧倒的な地味さとバドミントン(ついでにアンパン)。

 二回目の人気投票では9位。

 

 

 

 

「「えぇえええええええ!!!??」」」

 

 

 

 

 

 




 次回、【真選組帝国】

 一つ 風変りしていた真選組
 二つ 変わり果てた雪音クリス
 三つ 二年後の真実

 次回をお楽しみに!


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本編
わいせつ物陳列罪


受験がある程度終わったので投稿します。

これも息抜き程度に書くので投稿速度はかなり遅くなると思います。

それでは、楽しんでください!


どうも皆さん。私の名前は【立花響】って言います。

 

S.O.N.Gという組織で【シンフォギア装者】をやっています。

 

私……誰と話してるんだろう?

 

まぁそれはどうでもいいとして、私は今……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、お前ら三人、わいせつ物陳列罪で逮捕な」

 

 

 

私の先輩である憧れの【風鳴翼】さんと、同じく先輩であり友達である【雪音クリス】ちゃんと三人で茶髪で黒い服を着た。、刀を持った男性に手錠をかけられました。

 

 

「ちょ、話を聞いて――」

 

「話なら取調室で聞いてやらぁ。ほら、乗った乗った」

 

 

そしてそのまま黒服で刀を持った人たちにパトカーに乗せられて…連行されました。

 

 

どうしてこうなったんだっけ…!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、あれはさかのぼること数時間前のことだったかな?

私や翼さんやクリスちゃんは、急に指令室に呼び出された。

 

 

「師匠ッ!!どうしたんですかッ!?」

 

 

私は指令室にいる私たちの司令であり私の師匠、そして翼さんの叔父である【風鳴弦十郎】さんに呼び掛けた。

 

 

「響くん!翼!クリスくん!!よく来てくれたッ!!」

 

「叔父様!この度は一体…?」

 

「皆さん、聞いてください」

 

 

そしてそこに私たちS.O.N.Gの研究者であり私の友達でもある【エルフナイン】ちゃんが翼さんの問いかけに答えてくれた。

 

 

「この度、ギャラルホルンが起動し、また平行世界への扉が開かれました」

 

「またカルマノイズかよッ!!」

 

 

 

【ギャラルホルン】―――今だに謎が多い完全聖遺物で、平行世界側に異変が起こるとこちら側の世界につながるらしんだ。

 

ギャラルホルンが発生させるゲートを通れるのはシンフォギア装者だけで、それで私たちは平行世界の異変を解決するべく、平行世界に行かなければならない。

 

 

「そのことなんですが……実は少し変なんです」

 

「変?」

 

 

クリスちゃんがエルフナインちゃんにそう問いかける。

変ってどういうことだろう?

 

 

「はい、皆さん。ギャラルホルンが平行世界私たちの世界を繋げるとき、とても大きな音が鳴ることは知っていますよね?」

 

 

それは私でも知っている。毎回その音で平行世界と繋がったんだなってわかるから。

 

 

「それがどうかしたのか?」

 

「実は…音の大きさが変なんです」

 

「音の大きさ?」

 

「はい、いつもは大きな音が鳴りますが、今回はなぜか大きな音と小さな音が交互に鳴り響いていたんです」

 

「それはつまりどういうこと?」

 

「理由は分からない。だが、もしかしたら今度の平行世界は今までとは違う可能性がある。マリアくんは今は別の任務についてもらっているし、調くんと切歌くんは今学校の補習で手が外せない。だから君たちで行ってもらいたい」

 

「分かりました師匠ッ!!!任せてください!!」

 

「ありがとうッ!!では、行ってきてくれッ!!」

 

「「「はいッ!!」」」

 

 

そうして私たちはギャラルホルンの光を通って、平行世界に向かったんだけど、着いた先は……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ガヤガヤ……――

 

 

ザ・昔と言えるような街だった。

 

周りの人たちも浴衣のような昔の服を着ていた。

時代的には…江戸時代くらいかな?

 

でも、そんなことより…問題は…

 

 

「まずいぞおい……めちゃくちゃ人に見られてる…!」

 

 

クリスちゃんがそう言う。

実際、何故か私たちがついた先は街中。つまり、人がたくさんいる…

 

ということで、今急に表れた私たちを『なんだなんだ』とたくさんの人が見ている。

 

まさかこんなことになるなんて……

 

 

「はいはい、どいたどいた」

 

 

すると、周りの人を掻き分けて黒い服の人が入ってきて、私たちに近づいてきた。

その人の第一印象は爽やか系のイケメンさん。

 

そしてその人は……

 

 

「はい、お前ら三人、わいせつ物陳列罪で逮捕な」

 

 

私たちに手錠をかけました……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、今現在こうなっているわけです……

 

 

「いやぁ~~まさかパトロールの最中にビッチを見つけるとはねぇ~~」

 

「ちょっ!私たちはビッチなどでは…」

 

「うるせぇよ。大体なんだぁ?その恰好?プ○キュアだってもっとマシなもん着てるぜ?」

 

 

プ○キュアがなんなのかはわからないけど、実際そんな勘違いされても仕方ないのかな…?

シンフォギアって、端かた見たらすごく変だもん……性能はすごいのに…

 

 

「あのなぁ…頼むからアタシ等の話を――」

 

「だから話は豚箱で聞いてやるって言ったでしょぃ?頭も裸になってきてやがるのか?」

 

「おい!!!さっき取調室ッつたよなっ!?豚箱になってるぞッ!」

 

「そんなこと言ったけっなぁ~~?まぁちゃんと話くらいは聞いてやらぁ。裏社会に売り飛ばしたでなぁ」

 

「ひぃぃいい!!」

 

「ちょッ‼‼裏社会ってどういうことですかッ!?」

 

「そのまんまの意味でさぁ。裏社会にはお前らのような変態でも買いたいってやつがいるぜ?」

 

 

この人…悪い人だッ!!爽やかな顔してるのに、すごく怖い人だッ!

完全に私たちを売り飛ばす気だ…ッ!!

 

 

「翼さん、クリスちゃん。これ逃げないとやばいよ…」

 

「あぁ。私もそう思う。あれは完全に裏の世界の人間だ…!」

 

「でも、ここで逃げたらアタシ等完全にこの世界で逃亡犯になっちまうぞ?」

 

「売り飛ばされるよりはマシだろう。では、私の合図で一斉に飛び出すぞ。せーの――」

 

 

そうして一斉に車から飛び出そうとしたその時、

 

 

「まぁ嘘なんだけどよぉ」

 

 

この一言で、三人で一斉にこけた。

 

 

「う、嘘…?」

 

「顔が完全に本気だったぞ…?」

 

「あれで嘘なんてありえねぇだろッ!!」

 

「はっ、なに言ってんだおめぇら。俺だって仮にも警察だぜ?そんなことするわけねぇだろぉよぉ」

 

「な、なんだ…よかった……。あ、ところで気になったんですけど……あなたのお名前教えてください」

 

「どうしてそこでその質問が来るのかは分からねぇが…いいぜ。教えてやるよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の名前は【沖田総悟】だ」

 

 

沖田総悟…?

あれ?確か私の知ってる歴史に沖田総司って人がいたはずだけど……

 

 

「総悟?総司じゃなくてか?」

 

 

どうやら翼さんも同じことを思っていたそうだ。

 

 

「は?何言ってんだおめぇら。それはオリジn―――なんでもねぇや」

 

「今、なにか言おうとしなかったか?」

 

「おめぇの耳はストローかぁ?あぁそうだ。もうそろそろつくぜぇ」

 

 

そして総悟さんは車を走らせる。

そういえば、他の人たちはどうしたんだろう…?

 

 

「他のやつらならパトロールの最中だぜ」

 

「なんで考えてること分かったんですかッ!?」

 

 

なんで私の思ってることバレたのッ!?

 

 

「なんでってそりゃぁ……ご都合主義ってやつでさぁ。さてそろそろ………ん?」

 

 

すると総悟さんは車の窓を開けて後ろを見る。

私もなんだろうと思い後ろを見てみる。

 

そこには……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「待てい真選組ッ!!」

 

 

そこには、原チャリに乗って車に追い付いてきた、ロン毛の男性がいた。

そしてその隣には……何あれ?白い着ぐるみ?の人がいた。

ていうかなんで自転車で車に追い付けてるのッ!?

 

 

「桂ッ!!」

 

「また会ったな真選組1番隊隊長沖田総悟ッ!」

 

「まさかわざわざテロリストの指名手配犯自ら来るとはなぁ。豚箱にでも入りに来たのかい?」

 

 

テロリストッ!?

もしかして私たちピンチ?いや、私たちはにはシンフォギアがあるけど、このままだと沖田さんが危ないッ!

 

 

「そんなわけがなかろうッ!!今日こそはお前ら真選組を壊滅させてやるッ!!手始めにお前からなッ!」

 

”そうだそうだ”

 

 

あの白い人?はプラカードで話している。

 

 

「そんなことはさせねぇが…ところで桂、その怪我どうした?」

 

 

……それは私も気になってたな……

だってこの人、血まみれなんだもん……

 

 

「あぁこれか?実はさっきこの原チャリでサファリパークを走ってきたんだ。ライオンとかがすごい近くで楽しかったぞ」

 

「お前ただのバカだろッ!!」

 

 

クリスちゃんがそうツッコんだ。でも、私もそう思う。あの血塗れの姿を見て思った。多分檻の中を走っていたんじゃ……

 

 

「はっ!さっきまで街中でそんな恰好をしているお前には言われたくないぞッ!」

 

「お前見てたのかよッ!」

 

「当たり前だ。なにせさっきまであそこでバイトをしていたからな」

 

「なんでテロリストがバイトをしているんだ…?」

 

「資金確保だ!」

 

「以外と真面目!」

 

「ていうか血塗れでバイトしていたのかッ!?」

 

「当たり前だッ!!この程度の怪我、俺の覚悟と比べればどうということはない!」

 

「いや手当てしろよッ!」

 

「ところで君たち、その恰好はもしかしてプ○キュア?もしくはセー○ームーンか?いや、セー○ームーンはセーラー服を着ているからそれはないか……あ、もしかしてガ○ダムが女性に擬人化したとか…」

 

「お前は何言ってるんだッ!?」

 

 

本当にそれなに!?

私たちってこの世界の人たちに一体どんな風に見られてるのッ!?

 

 

「てめぇら、なにベラベラ話してんでぇ。桂ッ!!くたばれぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

すると、沖田さんはハンドルを右にやり、その衝撃で桂さんが空に吹っ飛んだ。

 

 

「えぇぇええええええ!!!?」

 

「何故ぶつかっただけで空を飛ぶのだッ!?」

 

「ていうかあいつ大丈夫なのかよッ!?」

 

「あっ!しまった!あれじゃ桂を捕まえられねぇ!」

 

「安否はッ!?」

 

「どうでもいいに決まってんだろうよぉい!!むしろ死ねッ!!!」

 

「酷!」

 

「まぁ、吹っ飛んじまったのはしょうがねぇか。あとで【土方】さんに報告しねぇとな……。さて、そろそろつくぜぇ」

 

 

そして、車から降りるとそこは……

 

 

「ここが俺たち、真選組の屯所だぜぇ」

 

 

真選組と書かれた場所だった。

そして門番の人があいさつしてきて、そして中に入ると……

 

 

 

「よぉ総悟。そいつらが報告に来た変態三人組か?」

 

 

 

黒髪の、黒い服を着た男性がいた。

 

 

後、私たち変態じゃありませんッ!!!

 

 

 



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マヨネーズとゴリラ

「あの…私たち変態じゃありませんッ!」

 

「は?その恰好のどこが変態じゃないっていうんだよ?」

 

「うっ……」

 

 

正論を言われると何も言えない……

 

 

「そんなことよりてめぇら。特別に教えてやる。こいつは【土方十四郎】って言って、俺たち真選組の副長だぜぇ」

 

「敬語を使え総悟ッ!!まぁいいか……そう、俺こそが鬼の副長、土方十四郎だ。名前くらい知ってんだろ?」

 

「知らないな」

 

「知らねぇよ」

 

「ごめんなさい、知りません……」

 

 

土方歳三は知っているけど……この人たち少し名前違うからなぁ……

しかも、私たちこの世界の人間じゃないし……

 

 

「……………」

 

「……プッ」

 

「総悟ッ!!おめぇ今笑ったろッ!」

 

「何言ってんすか?俺は別に土方さんのことは笑ってませんよ。ただ自分が有名だと勘違いしているお調子者を笑っているだけですぜぇ」

 

「それ俺のことだろぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

「えっ、もしかして土方さん。今まで自分のこと超有名だと思ってたんですかい?そりゃあ失礼しやした。土方さんが有名になっていると勘違いした理由はたぶん……今まで斬り殺した奴らが土方さんを知っているだけで、一般市民にはあまり伝わってないんじゃないですかねぇ?」

 

「てめぇ総悟ッ!!俺のこと舐めてんのか!!」

 

「えぇ舐めてやすぜ。前も言ったでしょう。俺が舐めてるのは土方さんだけだって」

 

「殺すッ!!!」

 

 

そうして土方さんは持っている刀を抜刀して沖田さんに斬りかかった。危ないッ!!

私は沖田さんに向かっている刀を受け止めようとした。だけど……

 

 

「これなぁ~~んだ?」

 

 

沖田さんは懐からあるものを取り出した。あれは……?

 

 

「マ、マヨネーズッ!!?」

 

 

それを取り出した瞬間に土方さんは刀を振るうのを止める。

ていうかなんでマヨネーズッ!?

 

 

「て、てめぇ!!」

 

「どうしやしたか土方さん。このマヨネーズがどうかしやしたか?」

 

「そ、そ、それは………」

 

「あぁ、これですかい?実は土方さんの部屋の隠し倉庫に締まってあったのを拝借しておいたんですよ」

 

「そ、それは……俺の手作りマヨネーズッ!!返せこの野郎ッ!!」

 

 

土方さんはそのマヨネーズを取り返そうとするけど……

 

 

「あぁ~~~やっちまったぁ~~~」

 

 

「#&%?*|¥@;+<>?’”~^=ッッッッッッ!!!!!!」

    ⇧

言葉にならない叫び

 

 

なんと、沖田さんはそのマヨネーズを地面にぶちまけた。

そして土方さんは奇声を上げてしまった。あのマヨネーズにどうしてそんなにッ!?

 

 

「うるせぇし…手錠で耳がふさげねぇ…」

 

「たかがマヨネーズに一体どうしてここまで……?」

 

「お、俺の高級卵ッ!!高級塩ッ!!高級酢ッ!!高級コショウッ!!高級油ァァァァ!!!」

 

 

あ……もしかしてそのマヨネーズって、全部高級品をふんだんに使ってたんだ……

 

 

「すいやせん土方さん。手が勝手に動いてしやいまして。本当はこんなことするはずなかったんですがねぇ」

 

 

その時の沖田さんは……すごい顔で笑っていた。

絶対わざとだ……

 

 

「てめぇぇぇえぇええ!!!殺すッッ!!絶対殺してやるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

そしてすごい勢いで沖田さんに刀を振るう。

まずい!!間に合わないッ!!

 

 

 

「油断したな土方ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 

その瞬間、土方さんがものすごい勢いで吹っ飛んだ。

あれ?逆じゃない?

 

 

「こうなるだろうと思って、用意して正解だったなぁ」

 

 

沖田さんの手にはバズーカが握られていた。

なんでバズーカッ!!?

 

 

「おめぇ、さっきまでそのバズーカ持ってなかったろッ!?どっから取り出したんだッ!?」

 

「そんなの今さっき出現したに決まってるだろぉよぉ」

 

「何故出現するのだッ!?」

 

「そんなの、ギャグの特権ってやつだ」

 

「何故そこでギャグッ!?」

 

「ていうか土方さん無事なんですかッ!?」

 

「あぁそうだ。死んでくれたらいいんだけどなぁ……」

 

「物騒なこと言わないでくださいッ!!」

 

 

煙が晴れると、そこにはピクピク痙攣しながら上半身が壁に埋もれている土方さんだった。

 

 

「土方さんッ!!!」

 

「ちっ、まだ生きてたか」

 

「殺すつもりで撃ったのかッ!?」

 

「当たりまえだろぉよぉ。逆にバズーカってのは人を殺すために撃つもんだ。いい加減死んでくんねぇかな…」

 

「酷いじゃないですかッ!!上司なんでしょうッ!?」

 

「確かに上司だけど、本当に心配していいのかい?」

 

「どういうことですか?」

 

「おめぇら、もしかしてわかんなかったのか?実はな、土方の野郎。お前らのこと視姦してやがったんだぜ」

 

「「「えぇええ!??」」」

 

 

し、視姦って!?もしかして///……

でも、そんな素振りなかったような……///

 

 

「土方の野郎はな、ああ見えて結構エロいんだぜ?きっとお前らのあんなところやこんなところ……具体的に言うとお前たちの【ピ―――――――――】とか【ピ―――――――】を想像してたにちがいぇね」

 

「「「きゃあぁぁぁああああ!!!」」」

 

 

なんでそんなこと平気で言えるんですかぁぁぁっぁぁ///!!?あわわわわわ……///

 

 

「なんでそんなこと平然と言えんだよッ!!?」

 

「当たり前だろぉよぉ。そんなんで驚いてたらここじゃやっていけねぇぜ?」

 

「そんなんでって……それ以上にすごいものがあるのかッ!?」

 

「あるに決まってんだろうよぉ。さて、そろそろ行くぜ。出ないとおめぇら土方に【ピ――――――――】されるぞ」

 

「「「行きますッ!!!」」」

 

 

あの人………真面目そうな見た目だったのにそんなエッチなこと考えてる人だったなんて……

近寄らないでおこう……

 

 

――――――――――――

謎のナレーター

 

こうして、土方の知らない間に、土方の評価は底辺、いや、奈落の底まで落ちて行ったのであった。

 

そしてその時、沖田がものすごく悪い顔を誰も見えないようにしていたのは言うまでもない

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、お前らには俺たち真選組の頭、【近藤】さんに会ってもらうぜ」

 

「近藤……もしかして近藤勇かッ!?」

 

「ちげぇよ。近藤さんの名前は勲だ」

 

 

やっぱり、この世界って私たちの知っている歴史と少し――いや、大分違う………

そして沖田さんは一つの部屋のふすまの前で止まった。

 

 

「ここに、局長の近藤さんがいるんだぜ」

 

「どんな人物なのだろうか……?」

 

 

翼さんもやっぱり疑問に思うよね……

私だって疑問に思うよ。だって沖田さんは爽やかな見た目だけど悪そうな人、土方さんは真面目そうだけどエッチな人だし……どんな人なんだろう?

 

 

「ついでだ。お前らに近藤さんの秘密を教えてやる」

 

「秘密?」

 

「そうでぇ。近藤さんは毎回この時間帯にある練習をしているでぇ。これは俺が裏ルートから仕入れた情報だ」

 

「裏ルート…?」

 

「そこは聞くんじゃねぇぜ。このままノックすると入るのに時間が掛かっちまう。だからそのまま入るぜ」

 

「近藤さーん。開けますぜー」

 

 

そして沖田さんはふすまを思いっきり開けた。

そこには……

 

 

「お妙さ―――――んッ!!」

 

 

()()の男の人が、誰かの名前を叫びながら布団に飛びついていた。

そしてその時に、見えてしまった……

 

 

「「「きゃあああああああああ!!!」」」

 

 

その時、私たちは思いっきり叫んで、無我夢中に歌った。

そして翼さんはアームドギアを大きくして、クリスちゃんはミサイルを出現させて、私は拳にフォニックゲインのエネルギーを集めて、裸の人に集中攻撃をした。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」

 

 

裸の変態の人は声を大きく上げる。

 

 

「うぉおい……なんだこりゃ……?」

 

「「「あ…………」」」

 

 

たぶん、この時の私の思考と二人の思考はつながったと思う。

やってしまった。と………

 

 

「すげぇ威力じゃねぇか……」

 

「えっ、そっちッ!?」

 

 

てっきり部屋壊しちゃった挙句、あの人に攻撃したこと怒られると思ったのに………

 

 

「いやぁ、近藤さんのあの姿を見せて驚くお前らの姿を見たかったんだが……まさか急に歌いだしたと思ったらこんな結果になるなんてなぁ……」

 

「あれ知ってて見せたんですかッ!?」

 

「当たり前だろぉよぉ。最初に言ったろ。練習してるって……」

 

「逆にあれはなんの練習なのだッ!?」

 

「なんでも、今近藤さんが絶賛ストーカー中の女と一夜を過ごすときのための練習らしいぜ」

 

「はぁッ!?ストーカーッ!?」

 

「何故警察がストーカーをしているのだッ!?しかも局長なのだろうッ!?」

 

「し、しかも一夜って……あわわわ……///」

 

「まぁ、俺もそんな日は一生来ないと思ってるから、気にすんな」

 

 

どこを気にしなければいいんだろう………?

 

 

「局長ッ!!どうしたんですかって……沖田隊長ッ!?それに……痴女?」

 

「「「痴女じゃない!!!」」」

 

 

すると、そこに黒髪の沖田さんたちと同じ服を着た男性が走ってきた。

ていうか、手に何持ってるの?

……アンパン?

 

 

「おお、【山崎】。どうしたんでぇ」

 

「どうしたもこうしたもないですよ。急に大きな音が聞こえたと思ったら、こんなことになってたんですから」

 

「ああ。それならさっき変態をこの変態が退治したぜ」

 

「「「変態じゃない/です/っての!!!」」」

 

「あ……またあのゴリラか」

 

 

無視された……

ていうか今、ゴリラって言わなかった?

上司にゴリラって……ていうかゴリラってどういうこと?

 

 

「でも、変態が変態を倒すってなんかシュールだなぁ」

 

「それのどこがシュールなんですか。ていうか、その子たち手錠をかけてるってことは、犯罪者なんですか?」

 

「おうよ。わいせつ物陳列罪だ」

 

「ああ、確かにそうですね。そんな恰好してれば……」

 

「うぅぅぅ……翼さん、クリスちゃん。一回元の姿に戻らない?」

 

「そうだな……最初からそうすればよかったな」

 

「ていうかさっきまでそんな暇さえなかっただろ……」

 

 

そして私たちは元の服装に戻るために一回光に包まれる。

そして光がなくなると私たちは元の服装に戻る………はずだった。

 

 

「「「……え?」」」

 

 

私たちは、しばらく思考が停止してしまった。

何故なら、私たちの今の姿は、元の服装ではなく……

 

 

沖田「……………」(ゴミでも見ている目)

 

山崎「……………」(鼻血を出している)

 

 

「「「きゃ……きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全裸、だったから………

 

 



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ゴミクズ野郎の本性を、後から知るって怖いよね。

どうも、立花響です。

 

私たちはわいせつ物陳列罪で警察の人に逮捕されて、爽やかそうな見た目なのに悪い人の【沖田総悟】さん。

 

真面目そうな見た目なのに沖田さん曰くエッチなことを考えているという【土方十四郎】さん。

 

そして変態の【近藤勲】さん。

 

 

もはやこの人たちが本当に警察なのか疑ってしまうところなんだけど、今、私たちは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みみみみ、見ないでくださいッ!!///」

 

 

シンフォギアを解除したら、何故か全裸になっていました!//

 

 

「……山崎、童貞のお前には刺激が強すぎらぁ。とりあえず毛布持ってこい」

 

「ちょッ!童貞は沖田隊長も同じじゃないですかッ!」

 

「そうだが、とりあえずいいから毛布持ってこい」

 

「分かりましたよ!」

 

 

そうして山崎さんは毛布を取りに行ってくれた。

 

 

「ていうか、お前いつまで見てんだよッ!」

 

「頼むから、見ないでくれッ!」

 

 

まさか…会って間もない男性に自分の全裸を見られるなんて……

 

 

 

―――カシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャカシャ―――

 

 

 

ッ!!??

その時…多分、いや、絶対だろう。

 

 

カメラのシャッター音が鳴り響いていた。

 

 

その音の方を見ると……

 

 

 

「………………」

 

 

 

シャッターを切っていたのは沖田さんだった。

 

 

 

「ななななな//何やってるんですかッ!!?」

 

「いや、ちょっとした小遣い稼ぎでさぁ」

 

「まさかその写真を売る気かッ!?」

 

「あぁ。お前ら、結構なベッピンさんだからな。高く売れんだろぉよぉ」

 

「おい!!マジでやめろッ!」

 

「あっちょッ!!クリスちゃん!」

 

 

クリスちゃんが立ってしまったことで……見えちゃったぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 

 

「お、これは高く売れるぜぇ~~」

 

「えっ…?……あぁぁあああああああああ!!!!///////」

 

 

クリスちゃんは今すぐ隠すけど、もう遅いよぉ……

 

 

「お前、今すぐそれを捨てろッ!!」

 

「俺が犯罪者の言うことを聞くとでも?」

 

「今でも貴様は十分犯罪者であろうッ!!」

 

「おめぇら。一つ教えてやる。……犯罪ってのはなぁ……バレなきゃいいんだよ」

 

「「「それ警察の言うことじゃない/だろ!!!」」」

 

 

この人たち、絶対警察じゃないよぉ~~~!!

 

 

「沖田隊長ッ!!毛布持ってきましたって、なんですかこの状況」

 

「おお山崎。こいつらの裸の写真、一つこれくらいでどうよ?」

 

「えぇッ!?これはちょっとお得かも………入りませんよッ!!」

 

 

今、お得かもって…!!

ていうか売らないで!!

 

 

とりあえず、私たちは毛布で体をくるむ。

 

 

「はぁ……何と言いうことだ……」

 

「まさか、裸を取られるなんて……」

 

「沖田隊長。その写真今すぐ消した方がいいですよ」

 

「えぇ~~。本当にいいのかよ山崎」

 

「何がですか?」

 

「実はな、俺はさっきあの銀髪の【ピ―――――】を激写したんだ。見たくはないかぁ?」

 

「はぁあああああああ/////!!マジでやめろッ!!ていうか消せ!!」

 

「えっマジですか!?ってあ……とにかく、マジでやばいですよそれ!」

 

「とりあえず、これを裏ネットにばらまくか……」

 

 

え、本当にまずい!!

 

 

「や、やめろぉおおおおおおおおお!!キリタァァァァァ イチイバァァァァル トロォォォォォォン!!!」

 

 

クリスちゃんはすごい声でシンフォギアを纏って、沖田さんをミサイルで攻撃したッ!?

それはまずいよクリスちゃん!!

 

 

「ッ!!」

 

「あぁああ!!沖田隊長まずいですよッ!!」

 

 

 

すると、そのとき……

 

 

「おい総悟てめぇ!!さっきはよくもやりやがったnは?」

 

「土方ッ!!いいところに来たなッ!!土方シールドッ!!!」

 

「てめぇ総悟ふざけんな゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

…土方さんが現れたけど、沖田さんの盾にされちゃった……

 

 

「く、クソ……サディスティック星の王子……め……」

 

 

そう言って土方さんはまた倒れた。

ていうか、サディスティック星ってなに!?

 

 

「変態死すべし慈悲はない……てなぁ」

 

「今はお前が変態だろッ!!」

 

「まぁまぁ落ち着け巨パツ」

 

「巨パツ!?」

 

「巨乳のパッツンパッツンって意味だ」

 

「こ、この変態野郎ッ!!」

 

 

クリスちゃんはそうして胸を隠す。

 

 

「それ、逆に胸を強調してさらにエロくなってるぜ?」

 

「~~~~~/////!!!!」

 

 

クリスちゃんは完全に顔が真っ赤になってしまった。

あんなこと言われたら私でもああなっちゃうよぉ~~///!!

 

 

「まぁ、それはどうでもいいとして……山崎」

 

「はいッ!!なんですか?」

 

「これをだな……ゴニョゴニョ………」

 

「えぇっ!?それはご自分でやっt【ゴニョゴニョ】分かりました…」

 

 

そうして山崎さんはそのまま走り去っていった。

 

 

「ところでてめぇら。取引と行こうじゃねぇか」

 

「取引だとぉ!?さんざんアタシらのこと辱めたクセに何言ってやがるッ!!」

 

「辱めた?何言ってんでぇ。また序盤だぜぇ。まだ【ピ――――――】や【ピ――――――】もしてねぇだろうよぉ」

 

「なななななな////!!!!」

 

 

なんで……そんなこと平気で言えるんですかッ!?

 

 

「まず、てめぇらは俺たちのとこで働け」

 

「「「はい??」」」

 

「てめぇらをただの変態と思っていたが……かなり力のある変態じゃねぇか。だから、それをこの江戸の平和のために使え」

 

「私たちは、もとより、この力を世界のために使っているッ!!」

 

「なるほど……大体わかったぜぇ。お前らの後ろにはなにかすげぇもんがついてるのかもな?」

 

「「「ッ!!!」」」

 

「これを見ろ」

 

 

そうして沖田さんは近くにあるリモコンでテレビをつけた。

ていうか、なんでテレビがあるのッ!?

 

 

『それでは、現場に中継を合わせます。結野アナ。結野アナ』

 

『はい、こちら現場の結野です。本日、かぶき町のど真ん中に信号機の色をした謎のハイグレ姿の女性三人組があの謎の水色の穴から現れ、わいせつ物陳列罪で真選組によって逮捕されました。真選組があの穴について、現在調べており、何かわかり次第、お伝えする模様です』

 

『はい、ありがとうございました』

 

 

そうしてテレビのニュースが違う内容になる

 

 

「なんということだ……もうニュースになっているのか……!?」

 

「ていうか、あれアタシら帰れんのか……!?」

 

「まぁ今見た通り、もうお前たちは立派な犯罪者だ。それに、あの穴はもう将軍の監視下に入った。この情報はまだ伝えられてねぇがな」

 

「……どうしてそんなこと知ってるんですか?」

 

「裏情報だ」

 

「「「(す、すごい気になる……)」」」

 

「まぁそんなわけで、お前らが出てきたであろうあの穴にはもう近づけねぇってことだ」

 

「ど、どうしよう……」

 

 

そんな…あれじゃあもう帰ることすら難しくなっちゃった……

 

 

「おめぇらだってなにか事情があるんだろぉよぉ。だから、俺ら真選組がお前らを匿ってやる」

 

「そ、総悟さん…!!」

 

 

なんだろう……すごく最低な人だと思ってたのに、なんだか眩しく見えてきた…!

 

 

「まぁ、俺一人じゃ決定できないから、土方さんや近藤さん。やっぱ片栗虎のおっさんに相談しねぇとな……」

 

 

片栗粉……?なんでそこで片栗粉が出てくるんだろう…?

 

 

「…そういえば、匿ってくれるのはありがたいが、さっき山崎とやらに頼んだものはなんなのだ?]

 

「あぁ、あれか?あれはな――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのカメラを持たせてコンビニのコピー機に直行させただけだ」

 

 

「「「…………え?」」」

 

 

え、それ、もしかして……

 

 

「お前らの【ピ――――――――】が映ってるやつが、今頃どうなっているのかねぇ…?」

 

 

その時、沖田さんはすごい悪い顔をしていた。

やっぱり、この人最低だ…!!!

 

 

「雪音ッ!!!立花ッ!!今すぐにそれを回収するぞッ!!」

 

「「はいッ!!!」」

 

「おっとこの敷地からは出さねぇぜ」

 

 

そうして沖田さんは無線機らしきものに手をかけた。

 

 

「真選組の全隊員に告ぐ!!変態信号機三人組が脱走を試みているッ!!全員ただちに配置について、一人も逃すなッ!!!捕獲しろッ!!!」

 

 

その瞬間、刀を持った人達が私たちを取り囲んだ。

もうすでに…!!

 

 

「くっ……!!彼らには悪いが、ここは強硬突破させてもらうぞッ!!」

 

「おうよッ!!あの写真をばらまかせるわけにはいかねぇんだよッ!!」

 

「皆さん!!すみませんが無理やりにでも通してもらいますッ!!」

 

 

二人はシンフォギアを纏ってそれぞれの武器を向ける。

そして、シンフォギア装者VS真選組の闘いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと…山崎の方はうまくやってるかね…?」

 

 

争いが続いている中、沖田はあるものに手をかけた。

それはカメラだった。そう、このカメラは先ほど響たちの裸を取った写真だ。

 

 

「本当は、こうした方が面白いんだろうけど……俺だって警察だ。それに、こんなことやらかしたら土方を殺したところで、近藤さんの隣に立てなくなるに決まってんだろうよぉ」

 

 

そうして、総悟はカメラの中からメモリを取り出した。

 

 

 

 

 

「山崎には【旦那】宛てに手紙を持たせた。【旦那】ならあの【穴】のことなんとかしてくれるだろぉよぉ。さてと、報酬は土方の通帳からとらなきゃぁなぁ……。あいつの番号は把握済みだ。さて、これからどんどん面白くなるぜぇ……!!」

 

 

 

 

沖田は不適な笑みを浮かべた後、刀を抜剣し、メモリを細切れにした。

 

 

 

 



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そのころ、シンフォギア世界では……

~これは、三人が平行世界に行ったしばらく後の話である。

 

 

「さて……三人は大丈夫だろうか…?」

 

「今回も、無事を祈るしかありませんよ」

 

「そうだな……」

 

「弦十郎さん」

 

「どうしたんだ?エルフナイン君」

 

「僕たちは僕たちにしかできないことをやろうと思います。まず、ギャラルホルンのアラーム音についてです」

 

 

エルフナインがそれを言うと、全員が顔をしかめる

 

 

「そうだな…今まで、あんなことはなかった…」

 

「やはり今回の平行世界はいつもとは違うということでしょうか……」

 

 

考えれば考えるほど謎が出る。

そんなときだった。

 

 

 

「ッ!?司令!!」

 

「どうしたッ!?」

 

「操作が……操作が効きませんッ!!」

 

「なんだとぉッ!!?」

 

 

オペレーターの二人にいろいろと操作するが、どうやら受け付けないようだ。

 

 

「もしかして、ハッキング……ッ!?」

 

「そんなこと、今までなかったぞッ!?」

 

「と、とにかく、ボクもやってみますッ!!」

 

 

二人を助けるためにモニターの席にエルフナインがついたその瞬間だった。

 

突如、画面が変わった。

 

 

『どーですか、龍さん』

 

『こちらは準備オーケーだぜ狐さん』

 

 

そこには、いろいろ謎の機材を持った龍と狐が映し出されていた。

身長は成人男性ほど、そして手も足もある。

 

 

この謎の映像に皆は困惑するしかなかった。

 

 

ちなみにだが、字幕はあります。

 

 

『ほら、スタッフの皆も、さっさと持ち場に着くよ』

 

『そーだぜ。これが俺らの仕事なんだからよ』

 

『『『『『はいッ!!』』』』』

 

 

画面には映ってはいないが、どうやら人?がたくさんいることには間違いない。

 

 

「な、なんだ、これは……?」

 

「龍と、狐……?」

 

 

『はい、それじゃあ、3、2、1、カットッ!』

 

 

龍がそう言うと、映し出されたのは江戸の町、そして人だかり。

 

 

『人だかりがありますね』

 

『とりあえず進んでみましょう』

 

 

そうして龍と狐、そしているであろうスタッフたちがその人だかりの中に入っていく。

そしてそこには……

 

 

「響君ッ!翼ッ!!クリス君ッ!?」

 

 

そう、シンフォギアを纏った三人が映し出されていたのだ。

 

 

「な、なんで響さんたちが…」

 

「今響君たちは平行世界に…まさかッ!?」

 

「はいッ!!たぶん……今映し出されているのは、平行世界でのこと……ッ!!」

 

「ですが、今までそんなことありませんでしたよッ!?」

 

「だが、この映像を見る限り、そうとしか思えん……」

 

 

しばらくすると人だかりの中から茶髪のイケメンが出てくる。

そして、その男は響たちに手錠をかけた。

 

 

『わいせつ物陳列罪で逮捕な』

 

 

「「「「「…………」」」」」

 

 

あまりの出来事に、全員が硬直した。

 

 

「え……?」

 

「ひ、響さんたち……逮捕されちゃいました……」

 

「いやいや!!そんな風に見てる場合ッ!?」

 

「でも……私たちじゃ何もできないし……」

 

 

そんなときだった。

 

 

『おや、貴様ら何をしているのだ?』

 

『ん?』

 

 

カメラが後ろを振り替えったそのとき、画面に映ったのはロン毛で血塗れの男。

 

 

「ひゃあぁああああああ!!!」

 

 

あまりにもむごく、それを見てエルフナインが悲鳴を上げる。

 

 

『そこの、龍と狐、そしてカメラを持ったお前らだ。お前たちは一体何をしているのだ?』

 

『あぁ、【桂】さんじゃないですか』

 

『ほほぉ、貴様ら、俺のことを知っているのか』

 

『えぇ、えぇ。悪い意味でね』

 

『まぁそうだろうな』

 

『ところで桂さん。ところで一体何を?その血は一体どうしたんですか?』

 

『今はバイトの最中だ。それとこの血は……聞きたいか?』

 

『えぇとても』

 

 

『実は………『サファリパークを、原チャリで走ってきました』」

 

『桂さん。いえ……ヅラ。あんたやはりバカでしょう』

 

『ヅラじゃない桂だッ!!ライオンやトラ、チーターに追いかけられるこの瞬間がなによりたまらんではないかッ!!』

 

『あんたもうただのドМですよだたの』

 

『ドМではない桂だッ!!それに、命を賭けた方がより武士らしいと言えようッ!』

 

『そんなくだらないことで命かけないで』

 

 

「な、なんだこのやり取りは……?」

 

「こんなことより、翼さんたちの方を映してもらいたいのですが………」

 

 

『さてさて、俺はこれからさっきの真選組のパトカーを追いかける。そして沖田総悟を討ち取る!』

 

『急な決定ですね。あ、さっきの女の子たちは()らないでくださいね』

 

『わかっている。俺だってそこまで鬼畜ではない。()ろうとはしないさ。』

 

「ちょッ!!字幕がヤバイんですがっ!!」

 

『それは助かります』

 

『あ、でも誤って沖田総悟ごと殺してしまうかもしれん』

 

『えーそれは困りますよー』

 

『まぁ仕方ないだろう。街中であのような恰好をする変態など、生きていてもしょうがないからな』

 

『桂さん。それは酷いですよ。あの子たちは………風俗店の看板娘さんですから』

 

 

「「「「おいッ!!!!」」」」

 

 

あまりのウソにエルフナインを除く四人がツッコんでしまう。

 

 

「あの、風俗店というのは…」

 

「エルフナインちゃんは知らなくていいのッ!!」

 

「は、はいっ!!」

 

 

『なるほど……最初はプ○キュアとかその辺りの方を考えていたのだが……それはあの女子(おなご)たちに失礼だな……。よし、ここはあえて、知らないフリをしておくか……』

 

『お願いしますよ桂さん。それじゃあ俺たちはこれから打ち合わせがあるので』

 

『そうか。それじゃあ俺とエリザベスはあの車を追うので、失礼するッ!!』

 

 

その瞬間、口からドリルが生えた謎の白い人形的なものが出てきて、どこからか出した原チャリに乗り超スピードで遠くに行ってしまった。

 

 

『いやぁ。早いですなぁ狐さん』

 

『そうですね龍さん』

 

『お二人とも。そろそろ第一部は終わりにしましょう』

 

『そうだね。それじゃあ、また次回ッ!!』

 

 

映像が途切れたと思ったその次の瞬間、コマーシャルが流れる。

 

 

 

『次回ッ!!』

 

 

『真選組の屯所についたシンフォギア装者三人ッ!!』

 

 

『そこに待ち受けていたのは、ドSの沖田総悟ッ!!マヨネーズの土方十四郎ッ!!変態の近藤勲ッ!!そしてアンパンの………名前なんだっけ……?ま、いっか………とにかくアンパンが待ち受けていたッ!!』

 

 

『そこでさまざまなトラブルが装者を襲うッ!!』

 

 

『次回、【装者、なぜか全裸になるッ!!】次回もお楽しみにッ!!』

 

 

 

そして、画面がいつもの通りに戻った。

 

そして、皆が思ったことはただ一つ。

 

 

 

『楽しみにできるかッ!!』

 

 

 

である。

 

 

「すぐにあの映像の出どころを調べろぉッ!!」

 

「「はいッ!!」」

 

 

二人はすぐさまにあの映像が送られた場所を調べる。

 

 

「な、なぜ全裸なのだ……?」

 

「一体、平行世界で響さんたちはなにを……?」

 

「とにかく、今はなんとかしないと………「司令っ!!」」

 

 

すると、職員が司令室に大急ぎで入ってきた。

 

 

「少し待ってくれッ!!今はそれどころじゃないんだッ!!」

 

「それはこっちもですッ!!侵入者ですッ!!」

 

「なんだとぉッ!?」

 

 

今ただでさえ情報の整理ができていないのにさらに混乱する出来事が起きた。

 

 

「侵入者は今どこにいるのだッ!」

 

「それが………ギャラルホルンがある部屋ですッ!!」

 

「なんだとぉッ!?まさか、侵入者の狙いはギャラルホルンかッ!?」

 

「それは分かりませんッ!!ですが、その侵入者、血まみれです!」

 

「血塗れっ!?一体どういうことだッ!?」

 

「それは俺にもわかりませんッ!!ただその侵入者、さっきっからプ○キュアだとかセー○ームーンとかガ○ダムとか訳の分からないことばかり言ってて……」

 

 

――ピクッ――

 

 

それを聞いて、皆が手を止めた。

今職員が言った言葉の一つだけ、聞き覚えがあったからだ。

 

 

「プ○キュア………?本当にそう言っていたのか?」

 

「えぇ…そうですが……」

 

「なぁ、もしかして、その男って、ロン毛で和服を着ている男じゃない…よな……?」

 

「えっ、なんで分かったんですかッ!?」

 

 

それを聞いた瞬間、弦十郎と緒川はすぐに行動を開始した。

見えない超スピードでギャラルホルンの部屋まで移動したのだ。

 

 

そして、そこで目に映ったのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だから、貴様らは何者だと聞いているッ!!闇○織ド○ッドかッ!?それともバイ○ロン!?反○邦組織かッ!?まさか……初代プ○キュアのド○クゾーンだったりするのかッ!?」

 

「だからお前はなにを言ってるんだッ!?」

 

 

 

 

そう!!

 

職員にツッコまれている目の前にいるこの男こそ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桂 小太郎

 

 

 

 

であるッ!!!

 

 

 

 

…………なんでいんの?

 

 

 

 

 




一方そのころ。


「おいぃぃぃぃぃぃ!!!なんだよ名前なんだっけってッ!?山崎退だよッ!!一応原作キャラなんだから名前覚えろよッ!!」


天空に向かってツッコんでいた。


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三人の処遇+αの災難

場所は再び変わり、銀魂の世界。

 

あの戦いの結果はと言うと……

 

 

「はぁ〜……いつまでここにいればいいんだろ…」

 

「そう言うな立花……仕方ないだろう」

 

「はぁ…こんな鉄格子壊せたら楽なんだけどなぁ〜」

 

 

結果から言えば、装者たちの負けであった。

直接的な力は響たちが上なのだが、相手は刀を持っているとしても生身の人間だ。

 

それ故に手加減するしかなく、逆にそこを突かれたのが敗北の理由となった。

 

それで今響たちはシンフォギアを纏った状態で牢屋の中にいる。

 

 

「元はと言えば、全部あのクソ野郎のせいだッ!!」

 

 

クリスの言うクソ野郎とは、もちろん沖田のことである

 

 

「あの男……今度会ったら斬り刻むッ!!」

 

 

クリスの言葉に同調し、翼も大声を上げる

 

 

「あの男…取り調べのときなんと言ったと思うッ!?」

 

 

 

『並行世界?』

 

『そうだ。私たちはこの世界の異変を解決するために違う世界から来たのだ』

 

『はいよ、ええっと……重度の厨二病っと……』

 

『おいッ!!』

 

 

 

「などと!私を中二病患者として扱ったんだぞッ!?」

 

「先輩……それはあいつじゃなくともそんな反応すると思うぞ……」

 

「たぶん、精神科問題にされてもおかしくないですよ……」

 

「何故だッ!?他の並行世界ではあっさりと信じてもらえたではないかッ!?」

 

「それは並行世界の司令がオッサンだからだよ。そうじゃない世界でもある程度の信頼を培ってる。それに並行世界には第一にノイズがいたしな。だけどこの世界にはノイズが現れてないし、それにこの世界じゃアタシたちは犯罪者だ」

 

「むっ……」

 

 

クリスの言葉に何も言えなくなった翼は黙り込む。

 

 

「それにしても、服装がシンフォギアしか着れないのが難点ですね……」

 

「そうだな。あれから何度も武装を解除してみたが、結果はすべて同じだ」

 

 

あの後、お風呂(女性なので許されている)などでシンフォギアを解除すると、必ず全裸になっていた。

それで、三人はある結論をつけた。

 

 

「おそらく、この世界はなんらかの事情で私たちはシンフォギアしか身に纏えないということなのだか……」

 

「なんでそうなるのかねぇ…?」

 

「でも、着てるだけマシです」

 

 

響の言葉に二人は頷く。

すると、そこに傷だらけの山崎が食事を持ってやってきた。

 

 

「3人とも、食事を持ってきたよ」

 

「ありがとうございます!!」

 

「あの中であなたはマトモそうだからな。マトモな人間がいれば、幾分か心が落ち着く」

 

「そう言ってくれると俺も嬉しいよ」

 

「ところで、怪我の方は大丈夫ですか?」

 

「あぁ。ホント沖田隊長には困ったものだよ」

 

 

あの戦いの最中、三人の最大の敗北理由は山崎の帰還である。

元々三人は沖田から自分の裸の写真を取り返すのが目的だ。

 

山崎が帰ってきたとき、すでに【沖田】と【土方】に翼とクリスは捕まっており、響も絶対絶命の大ピンチだったが、山崎が帰ってきて、響もそれに気を取られて捕まった。

 

そのあと、写真ではなく手紙を持たされていたという山崎の供述により、沖田が嘘をついていたことが判明した。

三人が牢屋に連れていかれるときに沖田が三人に向かってものすごく悪い顔をして、三人が『イラッ』と来たのは言うまでもない。

 

 

「にしても、なんだよあいつッ!?ミサイル真っ二つにするとかありえねぇだろッ!?」

 

 

クリスは沖田に対して強烈な殺意を持っていたためミサイルを放ったのだが、沖田によってそのミサイルをことごとく真っ二つにされている。

 

 

「まぁ沖田隊長の剣の腕に関してはとても真似できるものではないよ」

 

「あの男もそうだが、あの変態男もなかなかの太刀捌きだった………」

 

「変態男って、誰のこと言ってるの?」

 

「あの土方と言う男です。あの男から私たちを、その……視姦をしていたと……」

 

「視姦?あの規律を重んじる副長がそんなことするわけないけど……」

 

「ですが、あの沖田と言う男が……待て、あの男の言うことが信じられなくなっている……」

 

「まぁ、沖田隊長は屈指のドSですからね」

 

「ドS……。そういえば、土方がサディスティック星の王子、と言っていたが……」

 

「まぁそんな星あるわけじゃないけど、実際そのレベルなんだよなぁ……」

 

「話を戻すが、やはり土方はとてつもない剣の腕だ。私でも捉えるのが精いっぱいだった」

 

「まぁそうでしょうね。ですけど、やはりこの真選組の中で一番剣の腕が立つと言ったら、やはり局長だろうね」

 

「はぁッ!?あの変態がッ!?」

 

「私も流石にあれは……」

 

 

三人とも、やはりすぐには信じられていない。

あのフルチン男がこの中で一番強いなど信じられるわけがない。

 

 

「あの人は普段はああだけど、隊士皆が局長を尊敬しているんだ。あの人がいなけりゃ、今の俺たちはいないからね」

 

「本当にそうなんですか……?」

 

「まぁ、君たちからしたらそうだろうね。ちなみに、沖田隊長が副長の命を狙っている理由があるんだ」

 

「あれ、理由があるんですかッ!?」

 

「明らかに面白半分……いや、もう完全に面白がってやってるだろッ!?」

 

「ところがどっこい。違うんだな。沖田隊長も、副長も皆局長を尊敬している。沖田隊長は、どうしても局長の隣にいたいんだ。だから、そのためには副長が邪魔なんだよ」

 

「……あの男にも、人情があったのだな……」

 

「……尊敬する人の隣にいたい気持ちは何となくわかりますけど……でも、命を奪っていい理由にはならないと思います」

 

「ははは、そんなまともな回答を聞いたのは久しぶりかな。でも、ここはそんな綺麗事で通じる世界じゃないんだ。過激派組織【攘夷志士】もいるし、そいつらが江戸の平穏を脅かすのから、そいつらを斬って止めるのが俺たちの仕事だからね」

 

「その人たちと、話し合えないんですか?私たちは同じ言葉が話せる人間だから、きっと話し合えば分かり合えるはずです」

 

「……話し合いで解決できるほど、ここは優しくないんだ。それに……君たちの話、俺は信じてるよ。君たちは嘘をつけるような人間じゃないことも、俺は分かる」

 

「山崎さん………」

 

「だからこそ、そんな綺麗な心を持っている君たちにはここは過酷な世界だ。君たちの世界がどれほど平穏なのかわからないけど、そんな綺麗事は通じない。それを肝に銘じておいてくれ。さて、俺はそろそろ行くよ」

 

 

山崎は牢屋から出る。

 

 

「さてと………」

 

「「「???」」」

 

 

 

「そこのてめぇらッ!!さっきからコソコソコソコソ全部聞こえてんだよッ!!いいだろ別に地味キャラがカッコいいこと言ってもッ!!お前らは俺を雑に扱うのがそんなに楽しいのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 

 

山崎はそう叫びながら、曲がり角に走りながら消えて行った。

 

 

 

「……なんだったんだ?」

 

「さぁ……声、聞こえたか?」

 

「多分、山崎さんは耳がいいんですよ」

 

「まぁ、逆にそうじゃなかったらただの変人だだぞ?」

 

「とりあえず、飯食おうぜ………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

「ほら、出ろ」

 

 

隊士の一人が檻の扉を開けた。

 

 

「なにかあるのか?」

 

「局長たちがお前たちを混ぜて話し合いをするらしい。さっさと来い」

 

 

三人は檻を出てある一室に案内された。

そこには【近藤】【土方】【沖田】、そしてアフロの人。合計四人が胡坐をかいて座っていた。

 

 

「…………………」

 

 

三人は沖田を親の仇のように睨み、近藤をゴミを見る目で見ていた。

 

 

「あれぇ?なんで俺けなされる目で見られてるの?」

 

「当たり前ですぜ近藤さん。思春期真っただ中の女に男魂を見せりゃあそりゃ興奮もしまさぁ」

 

「興奮などするわけがなかろうがぁ!!!」

 

「安心してくださいお嬢さんたちッ!俺はお妙さんの裸じゃなきゃ、俺のバベルの塔は決して立ちませんッ!!」

 

「安心できるかぁッ!!」

 

 

なぜかドヤッっとしながら断言する近藤。

それにツッコむクリス。

 

 

「それで、なんで私たちは呼ばれたんですか?」

 

「あぁ。とりあえずそれを話すから座れや」

 

 

土方に言われるまま座る三人。

 

 

 

 

「さて、まずお前たちの処分についてだ」

 

「結論から言えば、俺の提案は可決された」

 

「本当ですかッ!?」

 

 

沖田の言葉に喰いつく響。

 

 

「落ち着け落ち着け。焦っても何も始まらないぞ」

 

「すみません……」

 

「さて、話を戻すが、まず君たちの『自分たちはこことは違う世界から来た』と言う供述だが、やはり最初は誰も信じてなかったな。急にそんなこと言われて、信じろと言う方が無理があるからな」

 

「それに関しては承知しております。ですが事実ですので、そう供述したまでです」

 

「「(数日前はそんなこと思ってなかったクセに………)」」

 

「まぁ、とりあえず俺たちはこの内容を上に提出した。それが以外なことに可決されたんだ。普通ならこんなのオヤジの目に通るとは思えないんだが………」

 

「近藤さん。今は天人(あまんと)がいる時代ですぜ。それに、この変態どもが出てきたあの穴は最新機器を使ってもなんなのか不明だしなにより、あの人のことでさぁ。キャバクラや娘のことで忙しいに決まってまさぁ」

 

「まぁそうだな。あの穴だけで説明する材料にはなってる」

 

「それじゃあ……いつでも帰れるってことですかッ!?」

 

「残念だが、それは無理だ」

 

「な、なんでですかッ!?」

 

 

近藤の返答に疑問を抱く響。

仕方ないだろう。故郷にすぐに帰れないと言われるのだから。

 

 

「すでにこの話は幕府の耳に入っている。あまり大きな声で言えないが、幕府の連中はまず自分たちの安全を第一に考えるからな」

 

「どこの世界でも政治家があまり信用できないのは同じか」

 

「それに関しては同意だ。話を戻すが、自分たちの身の安全を守るために、その問題が終わるまで君たちを元の世界に返すつもりはないだろうなぁ」

 

「そんな…ッ!!それじゃあ、しばらく未来に会えないの…!?」

 

「その未来ってのが誰だか知らねぇが、まぁしばらくの間仲のいいやつに会えないのは事実だな」

 

「そ、そうですか……」

 

 

部屋全体が暗い雰囲気になる。

 

 

「まぁまぁ。とりあえず話を戻そう。それで、俺たち真選組はオヤジから君たちの保護を命じられた。短くなるかもしれないし、長くなるかもしれないが、よろしく頼む」

 

「はいッ!!よろしくお願いしますッ!」

 

「それじゃあ、まずは自己紹介だ。すでに知っているかもしれないが、俺の名前は【近藤勲】この真選組の局長をしている」

 

「俺の名前は【土方十四郎】。鬼の副長と言う二つ名を持っている」

 

「俺はすでにやったからいいが……ちなみに、このアフロの人は真選組3番隊隊長【斎藤終】って言うんだ。終兄さん。挨拶してくだせぇ」

 

 

沖田がアフロの人――終に話しかける。

 

 

「…………」

 

「終兄さん?」

 

 

「Z~~~Z~~~」

 

 

「あぁ、寝てやがるな……」

 

「えっ、寝てるんですかッ!?」

 

「ていうか、寝てるときZって言ってるヤツ初めて見た……」

 

「それに関しては同意見だ。私も初めてみたぞ……」

 

 

「まぁ、いいだろう。終も内偵の仕事で忙しいのだろう」

 

「ていうか、終の声聞いたのいつぶりだ?」

 

「確か……桂が真選組内に潜入してた時以来ですね(原作アニメ294、295参照)」

 

「確かに、あのときは滅茶苦茶喋ってたな……。もういつもの無口キャラに戻ってっけど…」

 

 

「無口キャラ?その…終さんってそんなに無口なんですか?」

 

「そうだぜ。今言った時を覗くと、声を聴いたのは二年前だからな……」

 

「どれだけなのだ……?」

 

 

「さて、それじゃあ明日からは普通に仕事がある。話し合った結果。君たちにはそれぞれ一人ずつの仕事を手伝ってほしいんんだ。世間には、真実とは違う内容をニュースで報じているから少し制限が入ってしまうが、基本的な生活にはなんの問題もない」

 

「この度は、私たちのためにここまでしていただきありがとうございます」

 

「いやいや、人を守りたいという君たちの考えは、十分理解できるからな」

 

 

ちなみにだが近藤と翼が話している中、二人はこう思った。

 

()()がなければ普通にカッコいんだけどな……』

 

と。

近藤は実際、あの変態的行動がなければ弦十郎と似たようなものだ。

それゆえにそう思える。

 

 

「それでは、君たちには上からの命令で一人に俺たちから一人、監視が入る。まぁ、君たちはここじゃあまり活動しにくからな。俺たちが一緒にいれば、真選組の部下と言う大義名分が作られる」

 

 

そして近藤は最初にまず響を見る。

 

 

「さて、まず響君だったかな?」

 

「は、はいッ!!」

 

「君は終が担当することになる」

 

「分かりましたッ!!よろしくお願いします終さんッ!」

 

「Z~~Z~~」

 

 

「おい茶髪。終兄さんはまだ寝てるから静かにしてろぃ」

 

「す、すみません……」

 

 

「さて、次に翼君。君はトシが担当する」

 

「トシ、とは?」

 

「土方さんのことでさぁ。近藤さんは土方さんをトシって呼んでんでさぁ。だよな土方」

 

「うるせぇよッ!!まぁ総悟が言ったとおりだ。青髪、お前は俺が担当する。足引っ張るようなことはするなよ」

 

「青髪ではない。私には翼と言う名があるのだ」

 

「あっそ。あと誤解すんなよ。俺はまだお前らを認めたわけじゃねぇからなッ!変なことしたら即刻斬り捨てるッ!悪・即・斬だッ!!」

 

「まぁまぁ落ち着けトシ」

 

「おい青髪。お前なかなかに苦労すんぞ。毎日犬の餌食わされるぜ」

 

「犬の餌……!?」

 

「ちげぇよッ!!土方スペシャルをバカにすんじゃねぇ!!」

 

 

「お前ら一旦静かにしろッ!さて、最後になってしまったが、クリス君。君の監視は総悟が担当する」

 

 

そのとき、クリスの顔がこの世の終わりみたいな顔をした。

 

 

「クリスちゃん。この世の終わりみたいな顔してるよッ!?」

 

「な、なんでこいつなんだよッ!?せめて別なのにしてくれッ!!例えば山崎とかッ!!」

 

「山崎は観察が仕事だからそれは無理だ。それに、総悟が自ら君の監視を買って出たからなぁ」

 

「はぁッ!?」

 

「まぁ、酷になるかもしれないが決定事項だ。すまないが、これで我慢してくれ。それでは、解散ッ!!」

 

 

そうして最初に近藤が部屋から出ていく。

そして終わったのを待っていたかのように終も起きて立ち上がる。

 

 

「あ、待ってください終さんッ!それじゃ、またね翼さん、クリスちゃん!」

 

 

終が出ていくと同時に響も出ていく

 

 

「さて、やるとなったからにはまず、てめぇの剣の腕を見てやる」

 

「いいだろう。あなたの剣の腕には興味があった。その決闘、ぜひ受けよう。では、また会おう雪音。その……頑張ってくれ」

 

 

そう言いながら部屋を出ていく二人。

そして部屋には総悟とクリスが残された。

 

 

「さて、これから楽しい楽しい日々が始まるなぁ……」

 

「う、うわぁああああああああああああ!!!!」

 

 

そのあまりの絶望への落差により、クリスはしばらく牢屋に閉じこもったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~とある場所~

 

 

 

「もうすぐで……もうすぐで着く……。平行世界。待ってて三人とも。すぐに行くから。さて、到着場所は町のど真ん中。着いたらすぐに空に逃げないと」

 

 

ここはとある場所。そこにピンク色の長い髪を揺らしながら進んでいる女性がいた。

そして、しばらくすると彼女の目の前が昼の江戸の風景になった。

 

 

「よし、すぐに飛「邪魔ネッ!!」グハァッ!!」

 

 

着いた瞬間、何かに頭を蹴られ、その勢いで方向感覚を失い、キリモミ回転をした。

その次に、

 

 

「自分のバイクで走ってるー!」

 

 

宙を浮いていた自分の体にバイクが激突し、遠くに飛ばされる。

 

 

「ちょ、銀さんッ!誰か撥ねましたよッ!?」

 

「知らねぇよッ!!さっさと行くぞッ!!じゃないと間に合わねぇ!」

 

 

そのままバイクは走り去っていき、彼女は路地裏へと叩き落された。

 

 

「………な、なに?なんなのこの世界…?シンフォギア纏ってなかったら死んでたわよ普通に…」

 

 

そのとき、頭になにやら生暖かい液体がかかった。

 

 

「…何かしら、これ…?」

 

 

上を見ると、そこには……

 

 

 

「ワンッ」

 

 

 

デカい、犬がいた。

 

 

「い、犬?にしていはデカすぎ…って、ちょやめ―――」

 

 

―バクッ―

 

 

女性は犬によって頭からバックリ行かれた。

実際には死んでないが、犬の顎の力がすごすぎるために抜けられない。

 

 

「ちょ、ワンちゃんお願いだから出してッ!!」

 

 

犬は女性の静止を聞かぬまま、女性の上半身を口に入れたまま、自分の住処に帰るのであった。

 

 

 

 

 



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二人と猫

~真選組屯所~

 

 

~滞在許可が下りた二日目の夜~

 

 

ここは真選組の屯所。

そしてある部屋に、三人の歌姫が泊まっていた

 

 

 

「さて……本日の報告会を始める」

 

「はい……」

 

「……………」

 

 

シンフォギアを纏った状態の響、翼、クリスが報告会を始めていた。

ちなみに、三人ともすごく暗い雰囲気だった。

 

 

 

「さて、まずは立花……」

 

「はい……それでは私から説明させていただきます……」

 

 

~~~~~~~~~~

 

 

「よろしくお願いします、終さん!」

 

「…………」

 

「(無口だから、体でしか表現できないんだっけ……)終さん、私はなにをしてればいいですか?」

 

「…………」

 

 

終は無言で響に一冊の本を差し出した。

 

 

「これ…なんですか…?」

 

「…………」

 

 

終は再び作業に戻ってしまった。

 

 

「とりあえず見てみよう…」

 

 

響はその本を見てみた。

すると、そこには……

 

 

 

「な、なにこれ……?」

 

 

そこには、人の名前にバツが入っており、その下にZに一本線が入ったZがたくさん書かれていた。

 

 

「どうしてこんなにバツとZが……あれ?」

 

 

ページをどんどん開いていくと、ある一ページに一つだけ、ポツンと自分の名前が書かれていた。

 

 

「なんで私の名前が……?」

 

 

ちなみに、【立花響】と書かれているその下に

 

と書かれていた。

唯一違うのは一本線が入っていない。

 

 

「終さん。このZってなんですか?」

 

「…………」

 

「終さーん……」

 

「…………」

 

「他の人に聞こうかな…。終さん。出ていいですか?」

 

「…………」

 

「それじゃあ、行ってきまーす……」

 

 

 

 

「……はぁ~~~。無口の人とって、喋りにくいなぁ~~」

 

 

 

 

響は誰かに話を聞くために廊下を歩いていた。

するとそこへ……

 

 

「あれ、響ちゃんじゃないか」

 

「あ、山崎さん!」

 

 

そこにアンパンこと山崎が現れた。

 

 

「アンパンことってなんだよッ!!」

 

「山崎さん?」

 

「あ、ごめん。それで、何の用かな?終さんは?」

 

「そのことで話がしたいんです。実はこの本なんですけど……」

 

「その本かい?どれどれ……」

 

 

山崎は本のページを開いていくごとに、険しい顔になっていく。

 

 

「山崎さん?」

 

「響ちゃん。これどこで見つけたの?」

 

「終さんからもらったんです」

 

「……これはね。今までの真選組の裏切り者の名前ばっかりだ」

 

「えぇ!?」

 

 

裏切り者の名が書かれていた。

それだけでも驚きなのに、響はある結論に至った。

バツ印の意味。それは…

 

 

「もしかして、そのバツ印って…」

 

「あぁ。今まで真選組に背信行為を働いた隊士たちは、すべて終さんによって粛清されている」

 

「粛清って…殺してるってことですか…?」

 

「そうさ。終さんの三番隊は、裏切り者を入れて粛清していることから、【沈黙の部隊】として恐れられているんだ。一人しかいないけど」

 

「一人しかいない時点で隊と呼べるかどうかすら怪しいですけど、じゃあこれ見てくださいッ!」

 

 

響は自分の名前が書かれているページを山崎に見せた。

 

 

「響ちゃんの名前が……ッ!……多分、このZが完成したら……」

 

「しゅ、粛清されちゃうんですか!?で、でも、私何も悪いことしていません!」

 

「大丈夫だ!君たちはまだ不確定要素が多い人物だから。終さんだってまだ疑っている段階だ!だからこのZが完成しないように頑張ればいいだけだよ!」

 

「は、はい、そうですね!が、頑張ります!」

 

 

この後、響は終の部屋に戻った。

 

 

「ただいま戻りました……」

 

「…………」

 

 

そのとき、終は響の方を振り向き……

 

 

「ひぃいいいいい!!」

 

 

不敵な笑みを浮かべた。

それをみて思わず響は後ろ下がってしまった

 

 

「あ、あわわ……(これ…命がいくつあっても足りないよぉ~~……未来~~~!)」

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

「と、言うことがありまして……」

 

「立花……それ、完全に殺害予告をされてないか…?」

 

「………」

 

「そうですよね……終さんとつながりたいんですけど……どうも……」

 

「そうか……。だが、私の方がもっと悲惨だぞ……」

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

「さて、食え」

 

「……なんだこれは…」

 

「土方スペシャルに決まってんだろうが」

 

「いや、これはもはや食べ物ではない……ただのマヨネーズだ」

 

 

朝、食事の時間に翼に出された食事は、マヨネーズだった。

正確には、食べ物の上にマヨネーズがありえないほどかかっていること。

 

 

「いいから黙って食え!土方スペシャルの味をしっかりと感じてもらうからな!」

 

 

土方はこのマヨネーズを淡々と食べる。

それを翼はありえないと言った表情で見る。

 

 

「(あの男が言った犬の餌とはこのことか……)こんなの、人間の食べ物ではない……」

 

「あぁん!?おめぇも土方スペシャルをバカにすんのか!?」

 

「当たり前だ!こんな得体のしれないマヨネーズを食べることなどできるか!」

 

「うめぇんだぞマヨネーズは!いいから食えよ!」

 

「こんなの栄養バランスが偏っているにもほどがある!私は女性だ!もっとバランスが取れたものが食べたいのだ!」

 

「ちぃ!なんでこの味がわからねぇのかね……」

 

「分かりたくもないぞ…」

 

「わーたっよ!じゃあこれも俺が食う!!」

 

 

ちなみに、自分の分はすでに食べ終わっている。

土方はまた食べだした。マヨネーズを。

 

 

「うっ…」

 

 

翼はもう見ていられなく、普通に食事をした。

 

 

 

~30分後~

 

 

 

「さて、それじゃあ行くぜ」

 

「よかろう!今日こそ貴様に一太刀を入れてやる!」

 

「やれるものならやってみなぁ!」

 

 

翼と土方は木刀を持ってそれぞれに太刀を入れる。

 

元々、シンフォギアを纏っている翼の方が普通の人間である土方に対して圧倒的有利なはずなのだが、なぜか勝てない。剣道防具を纏っている土方がシンフォギアを纏っている翼に対して圧倒的有利に戦っているのだ。

 

翼が太刀を入れようとするとそこからカウンターを喰らわせられる。

 

逆にスピードを上げて後ろから攻撃しようとしても、防がれる。

 

もういっそのこと突進しながらやろうとするが、また逆に入れられる。

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

「まだまだだな。もっと腕を上げろ」

 

「肉体的な差はあれども、機能的にはこちらが圧倒的に勝っているはずなのに…」

 

「機能なんて所詮まやかしの力だ。もっと己を鍛えろ」

 

「そうだな……」

 

「さて、疲れただろう。これ飲め」

 

 

そうして土方は無理やり翼の口にあるものを突っ込んだ。

最初は飲み物だろうと何の抵抗なしに飲もうとするが…

 

 

「ブッ!ゲホォ!!」

 

 

すっぱく、また少し甘いドロッとしたものを飲まされたことに驚き、それを吐いてしまった。

 

 

「おい吐くな汚ねぇ!」

 

「な、なに飲ませた!?」

 

「なにって、マヨネーズに決まってんだろうが!」

 

 

土方の手には空っぽのマヨネーズの容器があった。

 

 

「何故マヨネーズだと聞いてる!それにそれはなんだ!?丸まる一本飲ませたのか!?」

 

「そうに決まってんだろ!マヨネーズはどんなときにも適応するオールマイティアイテムだ!」

 

「私はそれに当てはまらないぞ!」

 

「そんなわけねぇんだよ!だったらわからせてやる!」

 

「やってみろマヨ方!ではなく土ネーズ!ではなくマヨネーズ!」

 

「ではなく多いわ!」

 

 

~しばらくして~

 

 

「くっ、殺せ……!」

 

「どうやら、俺の勝ちみてぇだな……。あとなに負けた女騎士見たいなキメ台詞だしてんだ」

 

 

翼は、マヨネーズまみれになった

 

 

「これで分かったか。マヨネーズの素晴らしさが」

 

「わ、わかるわけなかろう…」

 

 

端から見たらすごい光景なのだが、それに気づく二人ではない。

そして、そこに追い打ちをかけるかのように…

 

 

「土方さん。ちょいと話が―――」

 

「「あ」」

 

 

そこに、()()が入ってきた。

 

 

「あーすいやせん……まさかお二方がそこまで進んでいたとは思ってもいやせんでした。俺は邪魔者ですね。失礼しやした」

 

 

バタン

 

 

「「ちょっと待てぇえぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」

 

 

 

よりにもよって最悪なヤツに見られてしまった。

そして、予想してたかのように

 

 

「おーいおめぇら!土方が青髪に欲望の白い液体をぶっかけてるぜぇ――――――!!

 

 

ソッチ方向に話を持ってかれた。

 

 

「おぃいいいいいいい!!!総悟てめぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 

土方はすぐに道場から出て行った。

 

 

「ま、待て!私もい―――」

 

 

翼は立とうとするが、マヨネーズが油となって尻から倒れる。

 

そのとき、運命のいたずらか隊士たちが入ってくる。

 

 

「副長が青髪に【ピ―――――】したって本当か!?」

 

「【ピ―――――】されてるってマジかよ!?」

 

「ちがぁあああああうぅぅぅぅぅぅぅ!!!」

 

 

隊士たちからもまさかの自主規制が発生。

それにより顔を赤めてしまう翼。

 

だが、隊士たちの顔が翼を見た途端一変する。

 

 

『あ(察し)』

 

 

それを見て隊士たちは散っていった。

 

 

「なんだよ、ただのマヨネーズかよ」

 

「またか、副長のマヨネーズ事件。もうこれで何度目だ?」

 

「さぁ?いちいち数えちゃいねぇよ」

 

「ていうか、沖田隊長も迷惑だなぁ」

 

「まぁ、今回のは誤解されても仕方ないんじゃないか?」

 

「いや、沖田隊長なら間違いなくわざとやるな」

 

「………だな」

 

 

そして、それを見た翼は…

 

 

「これだけ早く収まるとは……土方、普段マヨネーズでどれだけ大事を起こしているんだ…?」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「と、言うことがあった」

 

「そ、そうですか…。でも、誤解が解けてよかったですね」

 

「解けたというより暗黙の了解と言う感じだろうな。さて……雪音はどうだ?」

 

「………」

 

「雪音?どうしたのだ?」

 

「そういえばクリスちゃん。さっきっから一言も喋ってないよね?」

 

「………」

 

「雪音?」

 

 

翼が疑問に思いクリスに近づく。

すると、その瞬間……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フニャァ!!」

 

「ゲフゥ!」

 

 

 

クリスは空中回転をしたかと思うと、周り蹴りを翼に喰らわせた。

 

 

「翼さん!」

 

 

響はすぐさま翼に駆け寄る。

 

 

「大丈夫ですか!?」

 

「あぁ…問題ない。だが、問題は雪音の方だ」

 

 

二人は一斉にクリスを見る。

そして、クリスはと言うと……

 

 

 

「ニャァ~~~」

 

 

「「…………え?」」

 

 

 

クリスは突然猫のような鳴き声をした。

 

 

 

「クリスちゃん?どうしたの?」

 

「どうした雪音?お前らしくないぞ?自ら猫の真似をするなど……」

 

「ニャン?」

 

 

 

そのとき、二人に電流が走った。

 

 

 

「「(か、完全に猫と化している……!!)」」

 

 

 

そう、クリスは猫と化していた。

 

 

 

「ど、どうしたのだ雪音!?」

 

「そうだよクリスちゃん!なんで猫!?」

 

「ニャン、ニャン、ニャァ~~」

 

「駄目だ、言葉が通じない……」

 

「どうしてこんなことに…」

 

「そんなの、答えは一つだろう!今すぐにいくぞ!」

 

「は、はい!」

 

 

翼と響はクリスを担いで部屋を飛び出して、ある部屋へと駆けつけた。

そして、そこには土方、沖田、近藤の三人がいた。

 

 

「翼くんに響くんじゃないか。どうしたんだ一体?」

 

「そんなに急いでどうしたんだ?」

 

「どうしたんでぇ、飯がまずくなるだろ?」

 

「私たちが来ただけでか!?そんなことはどうでもいい!貴様、雪音になにをした!」

 

「クリスくんがどうかしたのか?」

 

「これを見ろッ!」

 

「ニャァン」

 

 

「「!!!!??」」

 

 

そして、近藤と土方にも電流が走った。

 

 

「おい総悟、お前こいつに何した!?完全に猫になってんじゃねぇか!」

 

「いやぁ、思った以上に覚醒しちまったようで。こいつ、あのときの女(原作アニメ27、28話)よりもこっちの方の素質がありますぜ」

 

「覚醒!?あの時の女ってところがちょっと気になるけど、総悟!……具体的になにした?しなみに俺のお妙さんの愛は常に覚醒しっぱなしだぜ」

 

「あんたの恋話は今はどうでもいいんだよ!それで、どうなんだ?」

 

「詳しくはどうでもよかったんでも覚えてねぇ。ほら、こっち来いよゲロリス」

 

「ニャン!」

 

 

クリス基、ゲロリスは沖田に近づき、沖田はゲロリスの顎を撫でる。

そして、四人は……

 

 

「「「「(こ、これは…完全に調教されているぅぅぅぅぅぅ!?完全に服従してるよ!)」」」」

 

「そ、そんな…クリスちゃん…まだ監視が入ってから一日しか経ってないのに…」

 

「それよりてめぇこの一日でこいつに何した総悟!?」

 

「ていうか、ゲロリスってなんだ!?」

 

「こいつの元の名前のクリスに、ゲロとゲリとロリと足してつけた名前だ」

 

「不名誉すぎるだろ!」

 

「こ、これちゃんと元に戻るんですよね!?」

 

「さぁ?試してねぇからわからねぇな」

 

「ニャン!」

 

「今すぐ雪音をもとに戻せ!」

 

 

翼は抜刀をするが、沖田はそれに平然と答える。

 

 

「いやぁ、覚醒しちまったもんはしょうがねぇだろ」

 

「仕方なくないだろ!もう人格が完全に変わってしまっているじゃないか!」

 

「おい、言葉遣いは直していいぞ」

 

「え、いいんですか、ご主人様?」

 

「「「「ご主人様!!?」」」」

 

「はい!私、ゲロリスはご主人様のペットです!」

 

「く、クリスちゃん?冗談だよね?」

 

「もう、響ちゃん。私はご主人様一筋だから、私が仕えているご主人様を悪く言わないで」

 

「響ちゃん!?クリスちゃんは私に対してそんなこと言わないよぉ~~!」

 

 

もう……手遅れだった。

完全に人格が変わってしまったクリス――ゲロリス。

 

 

「ど、どうしてこんなことに…!」

 

「さて、とりあえず今日は寝ましょうや」

 

「そうですね。ご主人様!ほら、響ちゃんも先輩も、早く行きましょうよ!朝まで恋バナです!」

 

「目を覚ませ雪音!お前はそんな人間じゃないだろ!お前はもっと俗にいうツンデレと言う人種だったはずだ!」

 

「ていうか、力強い!シンフォギア纏ってるのになんで!?」

 

 

ゲロリスによって完全に引っ張られていった二人。

そして見えなくなると……

 

 

「さて、寝ましょうか」

 

「いやその前にいろいろと話せ」

 

「俺はもう寝たいんですが。もしかして土方さん一人で怖くて寝れないんですかい?それじゃあ俺が寝かせてやりますよ。永遠に」

 

 

沖田は机の下からバズーカを取り出した!

 

 

「は?」

 

「死んでくだせぇ」

 

 

 

ドゴ――――――――――――ンっ!!!!

 

 

 

「(ピク、ピク……)」

 

「さて、これでようやく眠れるなぁ。あぁ、そのせいで俺の部屋は滅茶苦茶になったがな」

 

「修理費は土方さんから取っといてくださぇ。俺は寝ます」

 

「あぁ、お休み……」

 

 

 

そうして、沖田は何事もなかったかのように、自分の部屋へと戻って行った。

 

 

 

 




次回、白銀の装者と万事屋銀ちゃん。


「なぁ…なんだこれ?」

「定春が女咥えて帰ってきたね。しかも股開いてる変態女アル」

「ていうか、定春の口から出してあげましょうよ」

「いやいや、その前にまずやることあるだろ。それはお前にとってもいいことだ」

「なんですかそれ?」

「それはだな『誰かそこにいるのッ!?お願いだから出してぇ――――!!』」




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白銀の装者と万事屋銀ちゃん

【万事屋銀ちゃん】

 

その場所はあまり儲かっていない。

 

と、いうより、仕事があまりないのと、そこの主人が『クズ』であるのが主な原因である。

 

 

そんな万事屋のメンバーを紹介しよう。

 

 

「なに?」――ホジホジ

 

 

今現在鼻くそをほじっている鼻くそ製造機が、この万事屋銀ちゃんを営んでいる

 

・【坂田銀時】

 

 

「神楽ちゃん。そこで寝てないでどいてよ。掃除ができないじゃないか」

 

「何言ってるネ。全部新八が悪いネ」

 

「ボクなにかしたぁ!?」

 

 

そしてこのツッコミのうるさい、眼鏡が本体の童貞。

 

 

【志村新八】

 

 

「余計な情報言うなぁ!」

 

 

おっと、早速ツッコまれたぞ。

 

 

「うるさいネ、新八」

 

「そうだぞ新八。事実じゃねぇか」

 

「てめぇら一旦黙れぇ!」

 

 

このツッコミのうるさい男は置いておいて、語尾にネとかアルをつける中国風の服装を身に着けている少女、

 

・【神楽】

 

 

「おいナレーター。自己紹介も済んだし、邪魔だからさっさと立ち去るネ」

 

 

 

勘弁してくださいよ神楽さん。

僕のことは無視してくださいって言ったでしょう。あなたたちはいつも通りに過ごしてくれればいいんですから。

 

 

「そうだぞ、神楽。久しぶりの報酬がいい依頼だ。しかもその内容が俺たちの日常を映像に撮るだけでいいなんて楽な仕事、他にねぇかもしれねぇんだからよ」

 

「でもナレーターさん。その映像何に使うんですか?僕らのプライバシーが侵害されちゃったら、どうするつもりなんですか」

 

「元々私たちは創られた存在ネ。プライバシーもクソもねぇんだよ、分かったかメガネ」

 

「なんでそこでメガネぇ!?普通に新八でいいよね!?ていうかさらっとメタ発言してんじゃねぇよ!」

 

 

それでは、私はステルス状態になっているので、どうかお気になさらず~

 

 

「いや、それだと逆に気になるんだけど…」

 

「考えても仕方ねぇだろ。とりあえず俺たちはいつも通りに過ごしときゃいいんだ。さて、そろそろ例の本題に入ろうじゃねぇか」

 

 

銀時のその言葉で二人は席に移動する。

 

 

「これはあいつからの手紙だ」

 

「これ…沖田さんからですよね。沖田さんが直々に依頼してくるなんて、珍しいこともあるんですね」

 

「なんで私たちがあのクソガキの依頼なんて受けなきゃいけないアルか」

 

「だが、かなり報酬がいいぜ。報酬額はあのV字ハゲの預金から好きなだけ取っていいってよ」

 

「沖田さん、何気に犯罪レベルのことしてるんじゃ…」

 

「あいつがこんなことしてんのはいつも通りだろうよ。今更気にしててもしょうがねぇ」

 

「で、内容は何あるか?」

 

「えぇっとなになに…」

 

 

銀時は手紙の内容を述べる。

 

 

「『万事屋の旦那。久しぶりでさぁ。今俺たちは知っての通り、『ハイグレ星人』の処理で忙しい日々を送っております。いきなりではありますが、旦那たちにはあのハイグレ星人が出てきたあの水色の穴のことを少しでもいいから調べてほしいんでさぁ。俺たちはある事情で表に出て調べることも、裏から調べることも難しい状況なんでさぁ。だから、外部の人間の協力が必要なんでさぁ。報酬として土方のカードと暗証番号を教えます。どうか、お願いしますぜ、旦那』……だってさ」

 

「ハイグレ星人って、今ニュースで話題のアレですか?」

 

「確か中二的思考に囚われた哀れなヤツらで、ハイグレしか着ることができないらしいアル。見た目は完全な人間の女って話ネ。しかも属性として獣どもを刺激させる、変態、ドМ、堅物、ネコ属性その他モロモロがあるらしいね」

 

「神楽ちゃんそれどこ情報!?属性の話初めて聞いたんだけど!?」

 

「どっかのおっちゃんが言ってたね」

 

 

これは響たちの身分を隠すためのフェイクニュース。

このニュースのせいで響たちのイメージがヤバイことになっているのだが、今本人たちはそれを知らない。

 

ちなみに、このニュースのネタを考えたのはどこぞのドS野郎らしい。

 

 

「そのハイグレ姿を間近で見てみたいが、この話は置いておいてと。さて、とりあえずあの穴に行ってみたわけだが、いたのは何かわからないヤツ一人だったな」

 

「今あんたさらっと自分の欲望言いませんでしたか?ていうか、あの時ノリで突っ込みましたけど、大丈夫なんですか!?それに、あの時確実に引きましたよね、人!」

 

「過ぎちまったもんはしょうがねぇよ。それに、この世界のご都合主義でなんとかなるって」

 

「だからメタ発言すんじゃねぇよ!」

 

 

万事屋はいつもこんな感じ。

そんなとき、玄関から大きな犬の影が現れる。

 

 

「あ、定春が帰ってきたネ。今開けるから待ってるアル」

 

 

神楽は玄関に向かって行き、扉を開ける。

 

 

「お帰り、定は―――」

 

「お、どうした神楽?」

 

「銀ちゃん銀ちゃん、来てみるネ」

 

「定春がどうしたんだ?」

 

「一体何が―――」

 

 

そして、それをみて二人も言葉を失った。

何故ならそこには…

 

 

「さ、定春が女の人咥えて帰ってきたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!!!???」

 

 

ここで、いつもの新八のツッコミが炸裂した。

そう、定春はハイグレ姿の女性の上半身を咥えて帰ってきたのだ。

しかもかなりバックリ行かれている痛みのせいか股が無理やり開かれている状態。

 

それに、時々痙攣している。

 

 

「おいおい、さすがにこれはねぇだろ」

 

「とりあえず定春。そんな汚物咥えてないで吐き出すよろし」

 

「まぁ待て、神楽」

 

「どうしたネ、銀ちゃん」

 

「これは逆にチャンスじゃないか?新八」

 

「なんですか、銀さ『ねぇ!?そこに誰かいるの!?お願いだからここから出して!もう、生臭い!』あの、これ出した方がいいんじゃ…」

 

 

生臭さで今まで意識が朦朧としてきた中、誰かがいることに気付いて大声で叫ぶ。

大声で叫んでも、定春の口の中のせいかあまり聞こえていない。そしてそれは彼女の方も同じで誰かがしゃべっているとしかわかっていない。

 

 

「まぁ待てよ。新八、お前この女で【ピ――――】したらいいじゃねぇか」

 

「『はぁ!!?』」

 

「もうよぉ、お前このままだと死ぬまで童貞のままだぜ?これはきっと神様がお前にチャンスを与えたに違いねぇ。それにこの恰好。股開いて、これ明らかにそういうの狙ってきてるよね?完全に男を誘惑するポーズだよね?」

 

「いやでも、顔もわからない女性と、そんなことできるわけないじゃないか!」

 

「じゃあ顔分かってたら【ピ――――】するってことアルか?おめぇ最低だな」

 

「なんでボクが悪い風になってんの!?この話切り出したの銀さんだよね!?」

 

『いやぁ――――!!出して、お願いだから出してぇぇぇぇぇ!!』

 

「えっ、出してって何を?【ピ―――】をか?あ、遠回しに言えば欲望の白い液体ね?お姉さん結構大胆だねぇ。と、本人も言ってるし新八、いっちょやるか?」

 

「やらねぇよ!ほら、定春!吐き出して!」

 

「ペッ」

 

 

そして、女性はようやく臭いと言う地獄から解放された。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ…」

 

「これ、端から見たらすごい光景だな……」

 

「――ッ!!その声は、まさかぁ……ウェルゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

 

そのとき、女性は片腕を大砲に変えてビームを発射した。

 

 

「あぶね!」

 

 

銀時はすぐに体を逸らしてそのビームを避ける。

そのビームは空中で爆発する。

 

 

「うぇぇぇぇ!!?今のなに!?」

 

「ウェル!あの犬は貴様が作ったのかぁ!」

 

「いや知らねぇし!ていうか誰だよウェル!?」

 

「惚けるなぁ!その声はまさしくウェル……あれ?喋り方が違……」

 

 

彼女はようやく視界が安定したようだ。

そして、叫んだ人物と違うことをようやく理解する。

 

 

「いやちげぇし…」

 

「よく考えてみればそうね…あなたからウェルと同じクズ感が出てるから、間違えちゃったみたい。それに、あなたはウェルとは違う意味でクズだと今理解したしね」

 

 

銀時と彼女の言うウェルは中の人が同じなため、どうやら間違えて殺そうとしてしまったそうだ。

……殺そうとしてる時点で危険か。

 

 

「おいてめぇ!初対面の男にクズとはどういうことだ!」

 

「無防備な女性を襲おうとするやつらの、どこがクズじゃないと?」

 

「やつ()!?なんかちゃっかりボクも入ってるんだけど!?」

 

「そうね。新八は童貞で、銀ちゃんがクズね」

 

「神楽ちゃんはこの人のどこに共感してるの!?ていうか今回童貞強調しすぎだろ!」

 

「そんなことどうでもいいから、とりあえず中で話さねぇ?ここだといろいろまずいしよ」

 

「…そうね、粘液まみれの体を洗いたいんだけど、いいかしら?」

 

「お風呂なら別に使っても構いませんよ」

 

「そう…ありがたく使わせてもらうわ。だけど…」

 

「大丈夫ネ。この二人は私が見張っておくから安心するアル」

 

「ありがとう」

 

 

 

~しばらくして~

 

 

 

「お風呂かしてくれて、ありがとう」

 

「あぁ。使用料はしっかりもら「あんたちょっと黙ってろ」」

 

「いえいえ、僕らのペットがあなたに悪いことしてしまったんですし、これでお互いさまってことで」

 

「こっちも間違いで攻撃してしまったからお互い様よ。あ、自己紹介がまだだったわね。私の名前は【マリア・カデンツァヴナ・イヴ】」

 

「名前からして外人さんか?俺の名前は【坂田銀時】。好きに呼んでくれて構わねぇ」

 

「僕の名前は【新村新八】。よろしくお願いします」

 

「私の名前は【神楽】ネ。よろしくな、変態」

 

「変態じゃないから!」

 

 

四人の自己紹介が終わった後、銀時はある疑問をマリアに問う。

 

 

「ところでよ、まずあんたなんでその恰好、ハイグレのままなんだ?他に服ねぇのかよ?」

 

「あいにく、これしか着れないのよ(まさかあの内容が本当だったなんて……お風呂場で確認できたのが幸いね)」

 

「え、そのハイグレしか着れねぇのか?……ってことわよ、お前もしかしてハイグレ星人か?」

 

「……ハイグレ星人?」

 

「はい。ニュースだと、新種の天人で、特徴がハイグレしか着ることができないという欠点を持っていて、コスプレ姿のようです。今のところ信号機色の三人トリオが見つかっているそうです」

 

「その話詳しく」

 

 

マリアはそれが絶対自分たちの仲間だと分かったようだ。

銀時たちはその話を詳しく話した。そしてマリアはこの世界の装者の扱いを聞いて、膝から崩れ落ちる。

 

 

「は、はは……。私たち、この世界じゃ変態扱いなのね…」

 

「いや、その恰好のどこが変態じゃないんだよ」

 

「どうやら、ハイグレ星人はハイグレしか着れないというのは本当らしいですね」

 

「その言い方やめて!それに、私たちハイグレ以外に着れるから!」

 

「じゃあ今すぐそれ脱いで普通の服に着替えろよ」

 

「何故かこの世界だとこれしか着ることができないの!これ解除したら私本当の変態よぉ!」

 

「その恰好の時点で変態ですが…。とにかく、あなたの話を聞かせてくれませんか?」

 

「……分かったわ。その代わり、あなたたちの話も聞かせて」

 

 

そして、マリアと銀時たちはお互いの世界の情報を共有した。

 

 

「話聞いてると、中二的思考に囚われている哀れなヤツ等と言うのは本当らしいアル」

 

「いや、真実だから!本当に平行世界から来たから!」

 

「ていうか、あなたの話が真実だとすれば、なんでテレビでそんなウソのニュースが…」

 

「そんなの決まってんだろォ。答えは一つだ」

 

「銀さんはどう考えているんですか?ボクなりの答えはもう出してるんですけど…」

 

「分かってるなら行ってみるアル。早くしろよ」

 

「(この男、普段は最低なヤツでも、やるときはやると見たわ。ここでも政府…いえ、幕府の連中がその真実を隠しているんでしょう)」

 

 

マリアは一人だけ少し違うことを考えていた。

だが、これも事実である。

 

銀時はやるときはやる男である。

だが、今は…

 

 

「たぶん、変態性癖の持ち主なんじゃねぇか?」

 

「「はぁ!?」」

 

「なるほどネ。わざわざハイグレ姿を隠さずに街中に出るだけはあるネ」

 

「「違ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁう/だろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」」

 

 

新八とマリアが同時にツッコむ。

 

 

「どう考えたらそうなるんだぁ!」

 

「そうよ!普通に幕府の連中が隠蔽してるって事実が出てくるじゃない!」

 

「いやさ、じゃあなんでそんな変態設定を作ったんだよ。もっと別なのがあるだろ?例えば【ピ―――――】とか」

 

「てめぇの願望モロ出てんじゃねぇか!」

 

「ていうかそれもっと酷いじゃない!」

 

「それにしてもお前ら出会ってからツッコみが合いすぎネ」

 

「やっぱりお前らアッチの意味でつながりあう運命にあるんじゃねぇか?」

 

「アッチってどっちだぁ!?」

 

「決まってんだろぉ。さっきも言ったじゃねぇか。【ピ――――】だよ」

 

「なんであなたはそんな猥褻な言語を平気で言えるの!?」

 

「こんなの日常茶飯事なんだよ。こんなんで驚いてんじゃねぇよ」

 

「そうネ。これごときで疲れてたらここじゃやっていけないアル」

 

「ここは本当にどんな世界なの!?」

 

 

ハァ、ハァ…と息を整えるマリア。

 

 

「ていうか、あなたは疲れないの?」

 

「新八はツッコミ役だからな」

 

「ツッコミ役…?」

 

「新八にとってツッコむことは仕事みたいなものネ」

 

「いや、結構疲れてますけど!?」

 

「まぁこれは仕方ねぇな。とりあえず、マリモ」

 

「マリアよ!」

 

「マリア、おめぇはそのノイズっつーやつを倒しにきたんだな?」

 

「そうよ。なにか情報はないかしら?」

 

「そんなこと聞いたことがありませんよ。人を灰にする怪物なんて…」

 

「そう、そうよね…」

 

 

マリアは肩を落とす。

そして、マリアは何かを思い出したかのように銀時たちに問いかけようとする。

 

 

「実は、あなたたちに聞きたいことが―――」

 

 

 

ピンポーン

 

 

 

 

そのとき、ちょうどインターホンが鳴った。

 

 

 

「なんだなんだぁ?」

 

 

 

銀時は玄関に向かおうとする。

そのとき、見えてしまった。

 

 

()()()()()()()()の影を……

 

 

 

「あのアフロって…!」

 

 

新八はそのアフロを見て驚く。

 

 

 

「間違いねぇ。あんなアフロをつけてんのはヤツだけだ」

 

 

 

銀時は玄関の扉を開ける。

 

 

 

「お久しぶりですね、Zさん」

 

 

 

そこにいたのは、真選組の【斉藤終】だった。

原作アニメの294話では仮名でZと手紙で名乗っている。

 

 

「一体何の用ですか?うちにはなんも怪しいものはありませんよ」

 

「…………」

 

 

終は銀時に一枚の手紙を渡した。

そこには、札束の入った封筒も混ざっていた。

 

 

「仕事の依頼ですか?」

 

「…………」コクッ

 

 

終は静かにうなずく。

 

 

「分かりました。依頼、承りましょう」

 

「…………」ペコリッ

 

 

終は頭を下げて、その場を立ち去って行った。

 

 

 

銀時がいつもの部屋に戻ると、マリアが話しかけた。

 

 

「あの人は?」

 

「真選組の内偵を任されている、3番隊隊長、【斉藤終】さんです」

 

「真選組…あの子たちがいるところね」

 

「あぁ、ハイグレ星人って確かあいつらのところにいたっけ」

 

「その呼び方やめて。あの子たちにはあの子たちの名前があるの」

 

「はいはい。さて、依頼料ももらったし、前と同じ要領だ。さてさて、なんて書いてあるか…」

 

 

 

そうして銀時は、終からの手紙を開いた。

 

 

 

 

 




次回はこの続きです。


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マリア、万事屋にお邪魔することになったZ

「えぇっと……『万事屋の皆様、お久しぶりです。また急な依頼を出してしまって申し訳ございません。封筒の中にはその謝礼料も混ざっております。これは私が勝手にしたことなので、返してもらう必要もありません』」

 

「あの人、感じ悪い感じがしたけど…ものすごくいい人じゃない」

 

「そうなんですよ、あの人ものすごいシャイなんですけど、いい人なんです」

 

「そうアル。ただのアフロ野郎ね」

 

「神楽ちゃん、今それ必要なことじゃないから」

 

 

はじめは謝罪の言葉が記されていた。

それを聞いてマリアは関心した。最初マリアは無口で感じが悪い印象を持っていたが、この文を聞いてとても終に関心を持った。

 

 

「続き読むぞ。『まず、依頼の内容を記します。実は私、最近今噂のハイグレ星人の一人、【立花響】という女性の監視を任されているのです』

 

「立花響!」

 

 

マリアは自分の仲間の名前が出たことに驚く。

 

 

「もしかして、仲間ですか?」

 

「そう。私の仲間よ」

 

「『僕は今まで仕事三昧で、ましてや女の子との触れ合いなどしたこともありません。僕はなにをすればいいのでしょうか?僕なりに彼女といろいろと接してみましたが、うまくいきませんでした』」

 

「その接し方って……まさか…」

 

「たぶんそうネ」

 

「あぁ、そうだな……」

 

 

新八と神楽は何かを察した。次の文を頭の中で人通り呼んだ銀時は二人の考えが当たっていることを言う。

 

 

「『僕はまず、彼女にZ帳を見せました』」

 

「Z帳…?」

 

「それは略で、是非友達になりたい人帳と言う意味なんです」

 

「なんで分かりにくい略し方…」

 

「『Z帳を見ただけでは彼女がそれがどんなものなのかわからないのは十分承知しています。ですが、僕はこのキャラを通している関係上、喋ることができません』」

 

「以外とキャラ気にしてたの!?」

 

「そうなんですよ。終さんは冷静そうに見えて、実はこんな人なんです」

 

「『だから仕方なく彼女には人に聞いてもらうことにしました。きっと他の皆も僕が友達が欲しいのを分かってくれているはず……。僕は、彼女と友達になりたいんです』」

 

「……これ、絶対ロクな結果になってませんよね!?」

 

「そうだな……。あんな内容が他のヤツ等に分かるわけがねぇ。それに他のやつらだってきっとああ思ってるはずだ」

 

「思ってるって……なにを?」

 

「終さんの三番隊は、裏切り者を粛清するためにあるようなものなんです」

 

「――ッ!!?」

 

「終さんは、今まで自分の隊に裏切り者を入れて、それを粛清してきました」

 

「それ……人を殺してるってことよね…」

 

「その通りです。……話を変えますが、僕たちは今までそう思ってきました。ですが、本当は違いました」

 

「?」

 

「実はな、こいつただ自分の隊に友達になりたい人を入れてただけなんだよ」

 

「はぁッ!?」

 

 

さっきのシリアスめいた雰囲気から一転、またギャグ風になった。

 

 

「Z帳を見たそいつらは、こいつに自分が裏切り者だってバレたと思い、逃げ出した。それで殺すしかなかった…。実は全くの偶然なんだよ」

 

「ほんと、あの人可哀そうですけど内偵向いてますよね」

 

「そうアルなぁ」

 

「なに、それ…」

 

「さて、話を戻すが、Z帳の内容は今までの裏切り者の名前とそこにバッテンが書かれていて、その下には一本線がついたZが書かれている」

 

「Zが書いてある理由がわからないけど、それで?」

 

「おそらくだが、こいつが言ってる女の名前と、一本線が入っていないZがそこに書かれてるに違いねぇ。これが何を意味すると思う?」

 

「まさか…!」

 

 

マリアが考えた通り、絶対勘違いされる。響はいつか自分が殺されるのではないかと言う危険を感じているだろう。

実際はそんな心配する必要は全くないが…

 

 

「そう。続きを読むぜ?『彼女が帰ってきたとき、彼女は怯えていました。理由は分かりませんが、きっとなにかあったのでしょう。そこで僕はお帰りという意味も込めて彼女に笑顔で対応しました』――ッておいぃぃぃぃぃい!!!」

 

「まさか女の子にあの顔見せたのかぁ!?」

 

「そりゃあ怖がるに決まってんだろォ!」

 

「え、どういうこと?」

 

「実はあいつ、滅茶苦茶笑顔が怖いネ。子供が見たら泣くレベルアル」

 

「そこまで!?」

 

 

神楽の言う通り、終の笑顔は滅茶苦茶怖い。

子供どころかホラー耐性のない大人まで泣いてしまいそうなレベル。

 

 

「あいつに自分の笑顔の危険性伝えんの忘れてたぁ!何々……『その後、彼女は悲鳴を上げながら泣いてしまいました。一体僕のなにがいけなかったのでしょうか?どうかアドバイスをください…』……どうするよこれ?前なんかと比べればメチャクチャ難易度高ぇぞおい!」

 

「前回見たいに銀さんがフォローしてくださいよ」

 

「前回とは勝手が違うんだよ。俺女経験皆無だぞ!?」

 

「それを言ったら僕もですよ!」

 

「じゃあ…神楽!……は、無理か」

 

「おいどういうことアルか。表出ろや」

 

「いやさ、ヒロインならぬゲロインのお前に女関係のことは無理に決まってんだよ」

 

「(ゲロイン…?)」

 

「さて、話を戻すが、これどうする?」

 

「銀さんがなんとかしてくださいよ。依頼受けたの銀さんじゃないですか」

 

「……はぁ……。そうだ、マリア。お前手伝えよ」

 

「はぁ!?」

 

 

急に話を振られたマリア。

 

 

「だってこの中で唯一の女だし、女のこと分かってるじゃん」

 

「おい、私が入ってねぇぞ。私だって女ネ」

 

「わ、分かったわよ……。立花響は、きっと終と言う人とそれでも仲良くしようと思っているはず…彼女はそういう人だから。仲間のためと言うのなら、協力するわ」

 

「よし!それじゃあ決まりだな!早速あいつに送る文章考えるぞ!」

 

 

 

 

 

 

~終の部屋~

 

 

 

 

『Zさん。今回は前と同じような感じですが、実は違います。あなたが前回仲良くなろうとしたのは男性ですが、今回は女性です。それだけで手順が違ってくるのです。まず、あなたは彼女があなたのことを知らないように、彼女のことを知りません。なのでまずは彼女のことを知ることから始めましょう』

 

「…………」

 

 

終は響の方を見る。

 

 

「ヒィ!」

 

「…………」

 

 

終は響に対しておいでおいでをする。

 

 

「な、なんですか…?」

 

 

響はこっちにこい、この意図は分かっているのだが、怖くて近寄りたがい。

だが、終はそれを続ける。やがて、その無言の圧力に負けて仕方なく終の近くに来た。

 

 

「…………」

 

「なんですか…?」

 

 

終は響に一冊の本を手渡す。

 

 

「(ヒィ~~~!またなにか書いてあるんじゃ…もしかして、殺す!とか…!?)」

 

 

響は恐る恐るページを開く。

 

 

「(えっ…あなたのことを教えてください…?)」

 

 

ノートにはそう書かれていたのだ。

それを見て響は一時的に安堵した。

 

 

「(なんだぁ…終さんも、なんだかんだで私のことを思ってくれて…って、ヒィィィィィ!!!)」

 

 

響は終を見ると、急に遠ざかった。

その理由、それは…

 

 

「…………」ニィイィィ……

 

 

終が、笑っていたからだ。だが、いつもの満面の笑みではなく、口角が少し上がっているだけ。

歯はむき出しで、目は全開。これがまた満面の笑みとは違った恐怖が存在した。

 

 

『まず、急に自分のことを教えてくれと頼んでも、女性は不信にしか思いません。ですので、まずZさんが自分は無害でなんの心配もする必要はない、と彼女に認識させることから始めましょう』

 

『女性に自分は無害だ、なんの心配もする必要はない。と認識させるにはまず、信用、信頼が必要です。ですがZさんは声が出せず、コミュニケーションができないので、言葉以外の方法で表現するしかありません。それで効果的なのが笑顔です』

 

『ですが、男性が急に満面の笑みをしたところで、女性には逆に不快感を与えます。なので、口角が少し上げる程度にしましょう。やわらかい笑みだと、女性に安心感を与えることができます』

 

 

終は出来るだけやわらかい笑みを浮かべようとした。

だが、逆にそれが響に恐怖を与えた。

 

 

「いやぁぁああああああ!!」

 

 

響は、その笑みに耐えられず逃げてしまった。

 

 

「…………」

 

 

そして、それを見る影が四つ。

 

 

 

「……(少しの笑顔でも怖すぎだろぉぉぉぉぉ!!)」

 

「(どうすんですか銀さん!満面の笑みでも怖いのに、さらに怖くなってますよ!)」

 

「(ていうか、なんで満面の笑み以上に怖いネ)」

 

「(逃げ出すのもよくわかるわ…ていうか満面の笑みだとあれ以下なの!?どんだけ!?)」

 

「(俺が知るか!あんなの予想外だ!)」

 

 

そう、銀時、新八、神楽、マリアの四人だ。

 

 

「(ていうか、あれが噂のハイグレ星人か……。すごくエロいな)」

 

「(そこ!そんな目であの子を見ないで!それに、無事でよかったわ。あとは翼とクリスだけだけど…どこにいるのかしら?)」

 

「(そういえばあと二人いるんですよね?監視があるってことは、きっと誰かと一緒にいるんですよ!)」

 

「(そうだといいアルな。もしかしたら【ピ――――】されてるかもしれないネ)」

 

「(女の子が心の中だとしてもそんなこと思わないの!………ていうか、なんで私たち心の中での会話が成立してるの!?)」

 

 

そう、先ほどから心の中の会話が成立しているのだ。

 

 

「(知らねぇよ!とにかく、すぐに万事屋に帰るぞ!)」

 

「(そうですね!見つかったらヤバイですし!)」

 

「(不法侵入アルからね)」

 

「(皆、捕まって!)」

 

 

マリアに三人は捕まる。

そして見えないスピードで飛ぶ。

 

 

「おぉ!すごいアル!」

 

「すごい!」

 

「ところでよ、なんで俺だけ足ぃぃ!!?」

 

 

ちなみに、銀時だけマリアの足に捕まっていた。

 

 

「あなたは何やるか分かったもんじゃないわ!」

 

「それを言うなら新八もアル」

 

「僕はやらないからねぇ!?」

 

 

 

~万事屋~

 

 

 

「「「はぁ~~」」」

 

 

万事屋に帰った四人。神楽を覗いた三人は椅子に座ってため息をついていた。

 

 

「あれは予想外だったぜ…」

 

「ですね。まさか少しの笑みでもあれとは…」

 

「怖かったわ…。でも、私としては立花響が無事なのを確認できたのはよかったわ」

 

「俺たち的にはよくねぇよ…。どうする?」

 

「とりあえず、次の手紙が来るまで待ちましょう」

 

「そうね。そうしましょう」

 

「ていうか。なんでおめぇ当たり前のようにここに居座ろうとしてるアルか」

 

「大丈夫よ、酷潰しになるようなことはしないわ。あなたたちの仕事手伝うから、ここにしばらくの間居座らせてもらえないかしら?」

 

「無理だ無理。俺たちだって財産難なんだぞ?」

 

「今回のでかなり入ってるじゃない」

 

「それはそれ。これはこれだ」

 

「申し訳ありませんが、僕たちにはもう一人養う余裕がないんです。悪いですけど、出て行ってもらえませんか?」

 

「そう……ごめんなさい。我がまま言って。それじゃあ私は出て行「あの~~」ッ!?誰!?」

 

 

すみません。急に声をかけてしまって。

 

 

「あなた…いつからいたの!?」

 

 

あの、お願いですから剣を向けないでください。

 

 

「安心してください。この人はある仕事の依頼者です」

 

「依頼者?」

 

「そうアル。私たちの日常を撮るだけっていう楽な仕事ネ」

 

「そ、そうなの…(ていうか、この人さっきまでいなかったのに…どこから現れたのかしら?)」

 

「で、わざわざステルス機能を解除してまで何の用だ、ナレーターさん」

 

「(ステルス機能?納得だわ。それにナレーター?)」

 

 

いや実はですね、この仕事、人数が多い方が僕たちとしても助かるので人数が多ければその分依頼料を増して「マリアさん。どうぞしばらくの間住んでください」

 

「お願いします、マリアさん」

 

「おい、特別にしばらくの間住んでいってほしいネ」

 

「(この変わり様…すごい現金な人たち!)そ、それじゃあ、お言葉に甘えて住まわせてもらおうかしら…」

 

「あざーっす!!」

 

 

こうして、マリアは銀時たちの家に住まわせてもらうことになりましたとさ。

 

 

 

 




終って少しの笑顔でも怖そう。

満面の笑顔じゃなくても笑うだけでも怖そうだから、このネタを考えました。


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そのころ、シンフォギア世界では……2

コロナでどこも大変ですねぇ…


さて、小説内ではコロナは関係なし!
では、どうぞ!


前回のあらすじ。

 

何故かシンフォギアの世界に来ていた桂小太郎。

 

 

「司令…間違いありません。あの映像に映っていた人ですね…」

 

「そうだな…」

 

「む、貴様、一体何者だ。常人ではない気配を持っているな」

 

 

桂は二人に対していつの間にか持っていた刀を向ける。

それと同時に職員が桂に対して銃を向ける。

 

 

「銃を下ろせ」

 

「ですが、司令!」

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

 

弦十郎にそう言われて、銃を下ろす職員たち。

 

 

「周りのやつらからの反応からすれば、貴様がここの親玉らしいな。答えろ!ここはどこだ!?」

 

「その前に、その刀を下ろしてはくれないだろうか?」

 

「悪いが、得体の知れないヤツ等相手に、警戒しないなど無理がある」

 

「まぁ、確かにそうだが……。すまない。とりあえずその現在進行形で頭から流れている血をどうにかしてくれないか?」

 

 

ちなみに、ライオンに噛まれた桂の頭からの血はまだ止まっていない。

 

 

「怪我の心配をしてくれているのか?これは戦傷だ」

 

「いや…猛獣に噛まれたんですよね?」

 

「っ!?貴様、何故俺がサファリパークのライオンに噛まれたことを知っている!?」

 

 

桂のその言葉で職員たちがこける。

 

 

「司令!こいつただのバカですよ!」

 

「とりあえず…慎次。すまないが彼を無力化してくれ」

 

「わかりました」

 

 

とりあえず弦十郎は桂を治療するため、慎次に指示を出した。

それと同時に慎次は桂を気絶させようと後ろに移動する。

 

だが、

 

 

「甘い!」

 

「ッ!?」

 

 

なんと、桂は後ろに回った慎次に刀を振り下ろしたのだ。

それに驚き、一歩下がる慎次。

 

 

「驚きました…。まさかこのスピードについてくるとは…」

 

「あいにく、忍者にはお墨付きをもらっているのでな」

 

 

そこで慎次はあの映像が頭によぎった。

響たちが転移した世界は明らかに江戸の町のような外観。

江戸らしくない風景もたびたびあったが、時代が江戸ならば忍者がいてもおかしくはないと。

 

 

「本場の時代の忍者からお墨付きをもらっているほどとは…納得ですよ。お名前を聞いても?」

 

「いいだろう!俺の名は、攘夷党党首!桂小太r【バタッ】」

 

「えっ?」

 

 

桂は突然倒れた。

それに驚きを隠せない一同。

桂は白目を向いていた。

 

 

「もしかして…」

 

「あぁ…限界…だろうな…」

 

 

一番かっこいいところで倒れてしまった桂に同情の視線が刺さる。

その後、桂は治療室に運ばれるのであった。

 

 

 

 

 

~しばらくして~

 

 

 

 

「司令、ただいま任務から戻りました」

 

 

 

その間、ピンク色の猫耳の髪をした女性【マリア】が帰ってきた。

 

 

「マリア君!帰ってきてすぐすまないが、緊急事態だ!」

 

「なにかあったんですか!?」

 

「あぁ、実は…」

 

 

弦十郎は今までのことをマリアのにすべて話した。

 

 

「そ、そんなことが…司令。念のため確認しておきます。休まれては?」

 

「すまないが…事実だ」

 

 

実際、こんなことになるもの仕方ない。

 

 

「翼たちが平行世界で警察に捕まって、平行世界の住人がこっちの世界に来て、そして全裸ッ!?どこをどうしたらそうなるの!?」

 

 

マリアが特に反応を示したのは次回予告だった。

実際、全裸になるのはありえない。

 

 

「それは俺たちにもわからない。現在、エルフナインくんたちがあの映像が送られてくる場所を特定しているが、手掛かりなしだ」

 

「そう…私も平行世界に急行したいけど…」

 

「それは無理がある。なにせ今回ゲートが開いている場所は街中だ。それはあまりにも目立ちすぎる」

 

「それに、何故翼たちが全裸になるの?全く意味がわからないわ…」

 

「それは俺たちにもわからん。あとは、桂くんが起きてから平行世界の事情を聴くしかないだろう…」

 

 

そのとき、通信機から慎次の声が聞こえた。

 

 

『司令、あの映像が再び流れました』

 

「ッ!わかった、今すぐそっちに行く!」

 

「急ぎましょう!」

 

 

 

 

~司令室~

 

 

 

 

二人が着くと、前回同様龍と狐の姿があった。

 

 

 

『さてさて、第二部始まり始まりっと』

 

『は~いカメラさん。こっちこっち』

 

 

その映像を見てマリアは困惑の表情を浮かべた

 

 

「なに、これ…?」

 

「俺がさっき言った映像だ。まだわからないか!?」

 

「すみません、全く分かっておりません!」

 

 

『さて、とりあえず今日は真選組の内部に入っていこうと思うんですが…土方さん、どうしちゃったんですかね?』

 

 

映像には、上半身が壁に埋まり、隊士たちがそれを精いっぱい引きずりだそうとしている姿が映し出された。

 

テロップ

【真選組副長 土方十四郎】

 

 

「なぜ!?」

 

 

マリアがそれを見てツッコむ。

実際、理解不能の状況だ。

 

 

『すみませーん。これ一体どういう状況ですか?』

 

『なんだあんたら!?今はあんたらの相手してる場合じゃないか!沖田さんがまたやったよ!あぁ壁を修理する俺らのことも考えてくださいよあの人!』

 

『あ、土方さんの心配はしてないんですね』

 

『当たり前だ!こんなの日常茶飯事だからな!』

 

 

「日常茶飯事!?これが!?」

 

 

『さて、とりあえず中に入りましょー』

 

 

カメラが真選組の内部に入る。

 

 

 

『普通ですねー』

 

『本当ですよ。沖田さんとか拷問器具置いてませんかね?』

 

 

「さらっととんでもないこと口走ったよ!?」

 

「藤尭くんうるさい!」

 

 

『おい、そこで何してんでぇ』

 

『あ、沖田さんじゃないですか?』

 

 

テロップ

【真選組一番隊隊長 沖田総悟】

 

 

 

(かわや)*1に行こうと思ってたんだが…不法侵入者か?だったら逮捕『これどうぞ』ッ!……見逃してやらぁ』

 

 

沖田の手に渡ったのは、謎のこけし

実際、全員『なぜこけし?』と思っている。

 

 

すると、そこへ…

 

 

 

 

 

「あれは…【ジャスタウェイ】!?」

 

 

「ッ!あなたは!」

 

「起きたのか。よかった」

 

 

 

包帯で体を包んでいる桂の姿だった。

ていうか、もうミイラと化していた。

 

 

 

「あなた…あのこけし知ってるの?」

 

「何を言うか!ジャスタウェイはそれ以上でもそれ以下でもない!ましてやそれ以外の何物でもない!わかったかこのバカども!」

 

「誰がバカよ!」

 

 

マリアは桂を殴る。

その影響で桂は地面転がる。

 

 

「マリアさん!相手はけが人です!」

 

「あっ!ごめんなさい。大丈夫?」

 

「こちらこそすまない。まさかジャスタウェイ見てしまって、興奮してしまったようだ」

 

「ジャスタウェイって何なの?」

 

「さっきも言っただろう!ジャスタウェイはそれ以上でもそr「それはいいから」……ジャスタウェイの効果はな、聞いて驚け!まずは爆発する!」

 

「爆発!?」

 

 

最初であの謎のこけしが爆発物だと聞いてマリアは驚く。

それは弦十郎達も同じだ。

 

 

「だが、ジャスタウェイの使い道はそれだけではない!これが重要なのだ!風鈴や目覚まし時計、さらに料理の出汁などに使えるのだ!」

 

「そんなのどうでもいいじゃない!?ていうか出汁!?なんで爆発物から出汁がでるのよ!?」

 

「ジャスタウェイだからだ!」

 

「理由になってないわよ!」

 

 

二人の漫才が繰り広げられている中、映像は進んでいっている。

 

 

『まさか、ジャスタウェイが手に入るなんてなぁ~』

 

『ところで、ジャスタウェイは何に使うんですか?やっぱり爆弾としてですか?』

 

『まぁまずは出汁を取ってからだな』

 

 

「えっ、マジで出汁取れんの!?」

 

「爆発物から出る出汁はあまりおいしくないと思いますが…」

 

 

『それじゃあ、俺たちはこれからまだ用事があるので。沖田さん、土方さん殺すの頑張ってくださいね』

 

 

「物騒!」

 

 

『おう、頑張らぁ』

 

 

そうして、画面に沖田の姿がなくなると、違う場面に移動する。

 

内容は真選組の中身の案内のようなもの。

しばらくの間これと言ったことは起こらなかったのだが……

 

 

『あれ?なんで天人がここに?』

 

 

そこに現れたのは、黒髪の青年だ。

 

 

『あ、えーと……』

 

『山崎…』

 

 

テロップ

【なんだっけ?】

 

 

 

『おいテロップ!なんだよ、なんだっけって!?退だよ!しりぞくと書いてさがるだよ!山崎退!』

 

 

そう彼、山崎退は見えないはずのテロップにツッコみを入れていた。

それに困惑する一同。

 

 

テロップ

【あぁ、アンパンか】

 

 

『アンパンかってなんだよ!山崎退ってちゃんと書けよ!』

 

 

テロップ

【じゃあバトミントン】

 

 

『じゃあってなんだよじゃあって!しかもバトミントンは初期のキャラ設定だろ!もう俺は完全なアンパンキャラになってるんですぅー!バトミントンの面影なんてもうないよ!』

 

 

テロップ

【ちっ、モブキャラのクセにうるせーな】

 

 

『ついにテロップに悪口書きやがったなこの野郎!あとモブキャラ言うなし!』

 

 

「…これ、なんで会話成立してんですかね?」

 

 

 

藤尭がそういう。

実際、今までこれは編集されているものだと考えるだろう。

 

だからテロップにツッコむなど無理がある。

最初からそういう算段ならありえるが、そうする理由がわからない。

 

 

 

「当たり前だ。今の世の中、本来見えないものにまで気を付けないとやっていけないぞ」

 

「いや、普通見えないものにツッコめないから!」

 

「んー及第点だな。もっと物事に的確にツッコめ。それでは俺の盟友の仲間(志村新八)に遅れを取るぞ」

 

「別にあなたの友達のこと目指してないから!」

 

「さてさて、まだ続いてるぞ」

 

「話を聞きなさい!」

 

 

『はぁー、はぁー、はぁー、俺、もう行くから…』

 

『ツッコミお疲れー』

 

『誰のせいだと「「「きゃあああああああああ!!!」」」ッ!?』

 

 

そのとき、女性の悲鳴が聞こえ、滅茶苦茶な歌が聞こえた。

 

 

「この歌は!」

 

「翼たちの歌!」

 

「でも、ここまで乱暴な歌、初めて聞きました…。一体なにが…!?」

 

 

『うわぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!』

 

 

次に男性の悲鳴が聞こえた

 

 

『この声は!局長ォォォォォォ!!!』

 

 

カメラが声が聞こえた方に移動する。

 

 

『局長ッ!!どうしたんですかって……沖田隊長ッ!?それに……痴女?』

 

『『『痴女じゃない!!』』』

 

 

カメラには、さっきの男、沖田総悟とシンフォギア装者三人の姿があった。

 

 

『おお、【山崎】。どうしたんでぇ』

 

『どうしたもこうしたもないですよ。急に大きな音が聞こえたと思ったら、こんなことになってたんですから』

 

『ああ。それならさっき変態をこの変態が退治したぜ』

 

『『『変態じゃない/です/っての!!!』』』

 

『あ……またあのゴリラか』

 

 

『ちなみに、ゴリラとはここの局長さんのことです』

 

『たぶん、さっきの悲鳴は…予測がつきますねぇ。とりあえず飛ばされたところまで行ってみましょう』

 

 

カメラは移動する。

ちょくちょく部屋の壁に穴が開いている。

 

 

「あいつら……帰ってきたら叱ってやらねばな…」

 

 

弦十郎は久しぶりに怒っていた。

それは本来守るべき人に攻撃をしたからだ。

しかもその威力は周りの残状を見れば即座に理解できる。

 

 

「司令、落ち着いてください。響さんたちは理由もなしに人に攻撃する人じゃありません」

 

「だが慎次。人に攻撃するなど…」

 

「ていうか、なんで翼たちは悲鳴を上げていたのかしら?」

 

「攻撃したのって局長らしいじゃないですか。もしかして響ちゃんたち、ヤバイんじゃ…。それにゴリラってどういうこと?」

 

「桂さん…だったわよね?局長さんについて何か知らないの?」

 

 

友里さんが桂に聞く。

 

 

「敵だ。永遠のな」

 

 

桂は即答する。

桂は攘夷党党首。ここの局長は警察。真逆の立場の者が敵といってもなんら変でもない。

 

 

「即答なのね…」

 

「あぁ。それはゲーム、モンハン(モンキーハンター)でも一緒だった。ヤツのアバター名は俺のアバター名と似ていたのだ」

 

「へ、へぇ~ちなみに、どんな名前だったんですか?」

 

『あ~長。どこまで行ったんですかね?あ、見つけた――――

 

「俺の名前は【フルーツポンチ侍G】と言う名前だった。対してヤツの名前は――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『「フルーツチンポ侍G!!」』

 

 

『『『きゃ……きゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!』』』

 

「「いやぁあああああああああああああ!!!!」」

 

「…………」

 

 

わいせつ物が入っているアバター名に驚く二人。

まさかのアバター名に固まる藤尭

 

 

「あの、チ○ポってもしかして「「見ても言ってもダメです/だ!」」

 

 

それに困惑するエルフナイン。

彼女は純粋な気持ちで聞いている。それを止める緒川と弦十郎。二人はエルフナインの目と口を閉じた。

 

だが、ここで一つの疑問が生じる。

 

ただのわいせつ物の名前を出しただけで『見ても』とは言わないはずだ。

塞ぐのは口だけでいいはずだ。それだけでは目を塞ぐ理由にはならない。

 

その理由は、画面にあった。

 

 

『うわぁ~……』

 

 

龍が声を上げる。

 

 

そこには、【近藤勇】の姿があった。

だが、姿が問題だった。

 

 

『マジでギャグって感じですねぇ。まさか、こんなポーズになっているとは…』

 

 

近藤は、カニ股になって上半身が埋まっていた。

その際、前向きの方がカメラに向いている。もちろんそこにちゃんと編集が入っているのだが、またその編集も問題だった。

 

 

「なんと!まさかテロップをモザイク代わりに使うとは…なかなかやるな!」

 

「何言ってんのよ!とんでもない場所にテロップあるじゃない!?しかも縦向きだし!」

 

 

マリアが言う通り、今までテロップは横向きだった。

だが、近藤のテロップの向きだけ縦だった。

しかもテロップの場所がチ○コを隠すモザイク代わり。

 

これだけで今どういう状況なのかが理解できるだろう。

ちなみにテロップには

 

【真選組局長 フルーツチンポ侍G……じゃなく、ゴリラ、じゃなかった近藤勇だよ】

 

と、書かれていた。

テロップの形式は今限定で色がついている長方形に文字が彫ってあるような形。

色は黒で、文字の色は白だ。

 

しかも、余計な文字が入っているために長さがエグく、それが原因でさらに卑猥感を増している。

 

これが流れたために司令室は大パニック。

周りにいた他のオペレーターたちも悲鳴を上げ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。

 

 

「ちょっと待って!?」

 

 

そこに、藤尭が声を上げた。

どうやら元に戻ったようだ。

 

 

「さっき、女性たちの声でほとんど相殺されてたけど、同時に響ちゃんたちの声も聞こえなかった…?」

 

『『『『『あ』』』』』

 

 

画面を再び見ると、画面の映像が変わっていた。

 

 

『全く龍さんは……人使い、いや、狐使いが荒いんだから…』

 

 

映っているのは狐だ。

どうやら龍は狐をさきほどのところまで行かせたのだろう。

 

そして、そこに映ったのは…

全裸の三人だった。

 

それが映った瞬間、

 

 

 

「男どもは見るなぁ!!!」

 

 

 

GXの6話の言葉と同じ言葉を叫び、弦十郎たちは目を閉じたり、違う方向を向いた。

だが、それをしないヤツが一人。

 

 

「おい、手が動かないんだが?」

 

 

そう、桂小太郎だ。

今桂は包帯巻き状態で実質両手が動かない。

どうやら、いらないところまでも巻かれていたようだ。

 

 

「目ぇ閉じればいいでしょ!」

 

「それは無理だ!最近目が乾燥して、目薬を使用しないと目がヤバいんだぞ!」

 

「じゃあ後ろ向きなさい!」

 

「脚を動かすだけでも一苦労なのだぞ!?」

 

「じゃあどうやってここに来たのよ!」

 

「そんなの決まっておろう!それはだな――

 

 

『実はな、俺はさっきあの銀髪の【自主規制なし】を激写したんだ。見たくはないかぁ?』

 

『はぁあああああああ/////!!マジでやめろッ!!ていうか消せ!!』

 

 

まさかの展開だった。

自主規制を入れなければならないところにピー音が入れられてなかった。

これに硬直してしまう一同。

 

 

「く、クリス君……」

 

 

このあまりの衝撃展開に、保護者である弦十郎は後ろを向いて壁に手をついていた。

 

 

「司令、落ち着いてください…」

 

 

さらに、そこに追い打ちが掛かる。

 

 

「あの、【自主規制なし】ってなんで―――」

 

「誰か!今すぐエルフナイン君を司令室から出してくれ!」

 

「えっ、あの、ちょ!弦十郎さん!僕なに悪いことしましたかぁ~~―――――……」

 

 

数人の職員たちがエルフナインの体を掴んで司令室から出した。

これは、正しい決断だったと皆が思った。(桂除く)

 

 

「これは…仕方ない…」

 

「司令の判断は正しいわ」

 

「なんなのよこれ…教育に悪すぎるでしょ…」

 

「貴様ら、あれごときに心を乱すな。たかが【ピ――――】や【ピ―――――】と言っただけであろう」

 

「それ自体が問題なのよ!わかりなさいこのロン毛野郎!」

 

「ロン毛野郎ではない桂だ!それに、見ろ」

 

 

桂が画面に目を移す。

 

 

『辱めた?何言ってんでぇ。また序盤だぜぇ。まだ【ピ――――――】や【ピ――――――】もしてねぇだろうよぉ』

 

『なななななな////!!!!』

 

 

「警察であるヤツが言っているのだ。俺は俺の世界では世間的に有名な犯罪者なのだ。警察であるヤツが言っているのであるのなら大丈夫だ」

 

「全然大丈夫じゃないわよ!ていうか、今、聞き捨てならないこと聞いたんだけど!?」

 

 

二人のボケとツッコミが繰り広げられている最中に、響たちは毛布にくるまっていた。

これで男性たちは目を逸らさず済む。

 

その次に、沖田からここで働けを言われ、沖田がテレビをつける。

 

 

『それでは、現場に中継を合わせます。結野アナ。結野アナ』

 

『はい、こちら現場の結野です。本日、かぶき町のど真ん中に信号機の色をした謎のハイグレ姿の女性三人組があの謎の水色の穴から現れ、わいせつ物陳列罪で真選組によって逮捕されました。真選組があの穴について、現在調べており、何かわかり次第、お伝えする模様です』

 

『はい、ありがとうございました』

 

 

「ケツのアナ…?」

 

「結野クリステル、有名アナウンサーだ。ていうか、あの穴、飛ばされた時に入ってしまったヤツではないか。そうか…俺はあの穴に入ってここに来てしまったのか」

 

「そうだったの!?ていうか、単純に言ってるけど、あなたがいること自体おかしいんだからね!?」

 

 

話は進み、翼はある質問を沖田にする。

 

 

『…そういえば、匿ってくれるのはありがたいが、さっき山崎とやらに頼んだものはなんなのだ?』

 

『あぁ、あれか?あれはな……あのカメラを持たせてコンビニのコピー機に直行させただけだ』

 

『『『…………え?』』』

 

『『『『『はぁ?』』』』』

 

『お前らの【ピ――――――――】が映ってるやつが、今頃どうなっているのかねぇ…?』

 

 

「一体この間に何があったの!?」

 

「さっき、響ちゃんたちを撮ったカメラを山崎って人がコンビニのコピー機に持って行ったそうだ…」

 

「え゛。それって、もしかして…」

 

 

そして、始まる修羅場(物理)

 

 

「こうしちゃいられないわ!司令、私もこの世界に行きます!」

 

「駄目だ!ゲートを出た途端一目に触れてしまうぞ!」

 

「出た途端に路地裏辺りに隠れれば大丈夫です!」

 

 

マリアは弦十郎の静止を聞かずにギャラルホルンがある場所へと向かってしまった。

 

 

「全く!クソ、どうすれば…」

 

 

弦十郎は目の前で自分たちが守らなければならない状態の響たちをフォローすることができないことに悔やむ。

 

 

「司令、悔やんでも仕方ありません。ここは、マリアさんに任せましょう」

 

「そう、だな……。さて、そういえば桂く……どこだ?桂君?」

 

 

弦十郎が辺りを見渡すが、桂はいなくなっていた。

 

 

「……ッ!まさか!」

 

 

弦十郎は気づいてしまった。

桂がいつ逃げ出したのかを!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっ、あの女子(おなご)には感謝しなければな。おかげで無事脱出できた。ありとうな、【エリザベス】」

 

”どうもどうも”

 

 

 

彼の隣には白い着ぐるみのようなペット?エリザベスがいた。

 

実はエリザベス。

最初からいたのだ。

あのときエリザベスは事の異変に気付き、桂に報告してからエリザベスは床の下に隠れていたのだ。

 

そして、桂の移動方法を説明しよう。

 

桂は怪我の重大さを思われ、意思から包帯グルグル巻きにされた。実際はテンパりすぎてこうなっただけだが。

そのせいで桂は身動きすら取れなかった。

 

そこで、ある方法を使ってその移動を可能にした。

 

 

「本当に感謝するぞエリザベス。まさか草履の裏に磁石を仕込んでいたとは…」

 

 

そう、磁石だ。

潜水艦は基本的に鉄でてきている。だから磁力が伝わる。

 

桂の草履に仕込んだ磁石はN極を。

対して床下に隠れていたエリザベスはS極の磁石を持っていた。

 

これだけでもうわかるだろう。

 

そして桂がいつ逃げ出したのか、それはマリアが司令室を出るとほぼ同時だ。

注意がマリアに、他の人間に向いているところを狙ったのだ。

 

 

「さて、俺たちは元の世界に帰るためにこの世界の情報を集めなくてはならない。いくぞ、エリザベス!」

 

 

桂が包帯を外した後、二人は陸を駆けて行った。

 

ちなみにだが、これを見て誰もが『いやS.O.N.Gの人たちに聞けばいいじゃん』と思うだろう。

残念だが、今の桂はそこまで頭は回らなかった(血液不足が原因で)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~司令室~

 

 

「監視カメラの映像は!?」

 

「今探している最中です!」

 

 

桂が逃げ出したことで司令室は今混乱していた。

エルフナインはちゃんと戻ってきており、逆に緒川が桂を探しに行った。

いくら緒川とは言え、緒川同等の速さを持つ者を見つけるのは難しいだろう。

 

そのときだった。

 

 

 

『次回予告だよぉ!』

 

 

 

突如画面が次回予告に変わる。

 

 

 

「重要な時に…!」

 

「でも弦十郎さん。これ、LIVEって書いてありますよ?」

 

 

 

エルフナインがそう指摘する。

実際、前回とは違いLIVEと言う文字があった。

 

 

 

『もうすぐで……もうすぐで着く……。平行世界。待ってて三人とも。すぐに行くから。さて、到着場所は町のど

真ん中。着いたらすぐに空に逃げないと』

 

 

「この声は、マリアさん!?」

 

「それじゃあ、今流れているのは、今のマリアさんの現状…!?」

 

 

そして景色が江戸の町になる。

 

 

『よし、すぐに飛『邪魔ネッ!!』グハァッ!!』

 

 

着いた瞬間、何かに頭を蹴られ、その勢いで方向感覚を失い、キリモミ回転をした。

その次に、

 

 

『自分のバイクで走ってるー!』

 

 

宙を浮いていた自分の体にバイクが激突し、遠くに飛ばされる。

 

 

『ちょ、銀さんッ!誰か撥ねましたよッ!?』

 

『知らねぇよッ!!さっさと行くぞッ!!じゃないと間に合わねぇ!』

 

 

そのままバイクは走り去っていき、彼女は路地裏へと叩き落された。

 

 

『………な、なに?なんなのこの世界…?シンフォギア纏ってなかったら死んでたわよ普通に…』

 

 

そのとき、頭になにやら生暖かい液体がかかった。

 

 

『…何かしら、これ…?」

 

 

上を見ると、そこには……

 

 

 

『ワンッ』

 

 

 

デカい、犬がいた。

 

 

『い、犬?にしていはデカすぎ…って、ちょやめ―――』

 

 

―バクッ―

 

 

女性は犬によって頭からバックリ行かれた。

実際には死んでないが、犬の顎の力がすごすぎるために抜けられない。

 

 

『ちょ、ワンちゃんお願いだから出してッ!!』

 

 

 

司令室に、沈黙が訪れる。

 

 

 

『……次回予告だよぉ!』

 

「今のなんだったの!?」

 

「ていうか次回予告より今のを見たいんだけど!」

 

 

画面が違くなる。

LIVEの文字は書かれていない。

 

 

 

『次回!暴れたことにより牢屋暮らしを余儀なくされるシンフォギア装者三人!』

 

『そこに、誤解の解けた山崎(モブキャラ)のいい言葉にシンフォギア装者たちは感動する!』

 

『そして最後に三人はこの真選組でどうなるのか!?』

 

『次回、『4人目の装者現り、交通事故にあう!』次回もお楽しみに!』

 

 

 

 

「……次回予告、さっきのLIVE映像まんまじゃん!やり直す必要あった!?」

 

 

 

 

司令室に、藤尭のツッコミが木霊した。

 

 

*1
トイレ



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桂、一騒動を起こす。

【小日向未来】は困惑していた。

いつものように、友達三人と下校した後お好み焼き屋に行こうとしていたときのことだ。

 

 

「ビッキー今日も仕事だったっけ?」

 

「そうなの。無事だといいんだけどなぁ(確か今度も平行世界と繋がったんだっけ?)」

 

「ほんと、アニメ見たいな生き様してるよねぇ」

 

「でも、いつも無事ですので大丈夫かと」

 

 

 

今日は響は任務なので学校は休みになっている。

四人で歩みを進めた時、そいつは現れた。

 

 

「ふらわーにそろそろ着――」

 

「あのーすみません。そこの女子(おなご)四人組よ」

 

「えっ、私たちです……か……」

 

 

未来だけじゃない。三人もそれを見て固まった。

 

そこには、ロン毛の和服を着た男と、謎の白い着ぐるみを着た何かがいたからだ。

 

この謎の二人組?に注目が周りから集まっている。

 

 

「実はついさっきここに来たばかりで土地感に疎いんだ。どうか、ここらへんのことを教えてはくれないだろうか?」

 

”お願いします”

 

「え、えー……」

 

 

何故よりによって自分たちなのだろうか?

その考えを一旦捨てて四人で話し合う。

 

 

「なに、あの人急に…?」

 

「ていうかあの着ぐるみなに?」

 

「とりあえず、どうします?」

 

「私に任せて」

 

 

未来は率先してその男性にこういった。

 

 

「そういうのは私たちのような学生じゃなくて警察に聞いたほうが――」

 

「すまないが、警察とはなにかと因縁があってな。その選択は嫌なのだ」

 

 

未来はすぐに三人のところの戻った。

 

 

「どうしよう!?一番最善の方法がつぶれちゃったよ!」

 

「警察との因縁って…なにがあったのかな?やっぱりアニメ展開!?」

 

「今は真面目に話し合おうよ!とりあえずはぐらかそう!」

 

「それが一番いいかもしれませんわ」

 

 

得体の知れない謎の人たち?と関わりたくないと四人は試行錯誤する。

 

 

「あの~すみません。私たち今から用事がありまして…」

 

「そうか。それは失礼したな。では他の人に聞くとしよう。行くぞエリザベス」

 

”わかりやした、桂さん(チッ、はぐらかしやがって。あとで覚えてろよ)”

 

「「「「(着ぐるみの人に完全にバレてるー!!)」」」」

 

 

着ぐるみの人?はプラカードで会話しているために心の中のことが完全に分かっている。

そして、完全に見えなくなると四人はため息をついた。

 

 

「はぁ~~~。なにあの人達…」

 

「ていうか、完全にあの白いのにはバレたよね」

 

「しかも後で覚えてろよって書いてあったし……」

 

「報復されないですかね?」

 

「いや、さすがにそこまでは――【プルルルル】あれ?」

 

 

そのとき、未来のカバンの中にある通信機が鳴った。

 

 

「なんだろ?」

 

 

未来は通信機を取り、周りに人がいるために小音にして耳に当てた。

 

 

『未来くんか?』

 

「そうですけど……どうしたんですか?」

 

『実はな、ある人物を探しているんだ』

 

「はぁ……」

 

『その人物の特徴は、ロン毛で和服を着ているんだ。名前は桂小太郎。』

 

「…………」

 

『その人物は平行世界の人間で、下手したらこの世界になんらかの影響を与えてしまうかもしれない。………未来くん?』

 

「………弦十郎さん。その人、さっき見ました」

 

『何ッ!?それでどうした!?』

 

「この場所のことを聞いて回っていて…」

 

『そうか。ならばその近くにまだいるんだな。ありがとう、未来くん。それでは』

 

 

通信機の通信が切れる。

 

 

「…………」

 

「ヒナ、一体なんて……」

 

「さっきの人、探してたんだって……」

 

「えっ、さっきの人!?」

 

「ごめん!すぐにその人探してくるから!皆は先にふらわーに行ってて!」

 

 

未来はすぐにさっきの男性を探すことに決めた。まだ遠くへは行っていない。そう信じて。

だが、その時、

 

 

 

 

「ぐおぉぁあああああ!!!」

 

 

 

「「「「ッ!!?」」」」

 

 

 

 

さっきの男性の悲鳴が聞こえた。

 

 

 

「な、なにが!?」

 

 

 

未来たちはすぐにその場所に向かった。

そして、目に映ったのは……

 

 

 

「え、エリザベス…もうそろそrゲフゥ!」

 

 

――カキ――――――ンっ!

 

 

 

 

そこは、桂をバットの代わりにしてボールを打っているエリザベスの姿だった。

ちなみに、桂は背筋がまっすぐになるようにいろんな器具で体を拘束されていた。

 

 

 

「「「「なんでっ!?」」」」

 

 

 

これにはさすがに全員がツッコんだ。

集合住宅の公園で野球が繰り広げられていた。ボールを打っているのはまだ5歳くらいの子供たちであり、バット代わりになっている桂はエリザベスによって振られている。

 

正確に言えば、ボールを投げているのは悪ガキの体現のような子供である。

他の子どもたちはそれを唖然とした目で見ているだけ。

 

子供の保護者たちはいない。だから止めるものが今現在誰もいないのだ。

周りの大人も傍観しているだけだ。

 

 

「なんで着ぐるみの人人間バット使ってるの!?まるで意味がわからないんだけど!?」

 

 

あまりの光景にいつもボケ役であろう弓美がツッコんだ。

そこで未来は近くの人に話を聞いた。

 

 

「あの、これ一体どういう状況なんですか?」

 

「俺に聞かれても……。さっきの声聞いてきたからさ」

 

 

未来は諦めずに聞き込みを続けた。

そして、最初から見ていた女性を発見した。

 

 

「実はね……

 

 

―――――――――――――――

これは女性の回想である。

 

 

『(なにあの二人組……?)』

 

 

女性は集合住宅のベンチで小説を読んでいた。

ふと目に入った謎の二人組。

 

 

『(目合わせないようにしとこ)』

 

 

女性はそう心に決めて再び本に目を移す。

そのときだった。

 

 

『あ、危ない‼』

 

 

子供がそう叫ぶ。

女性が咄嗟に見ると、ボールがさっきの二人組の方に速球で向かっていた。

 

 

『うわ危な!』

 

 

男性はすぐに避けたが、変わりに着ぐるみの人に当たってしまった。

顔面に当たったことで着ぐるみの人は地面に転がる。

 

 

『エリザベス―――――ッ!!!!!』

 

 

男性はすぐにエリザベスと呼ばれた着ぐるみの人に駆け寄った。

 

 

『(えっ、あれ大丈夫なの!?)』

 

 

女性もエリザベスのことが心配になった。

あれほど早い球を顔面に受けたのだ。無事なわけがない。

 

 

『大丈夫かエリザベス!?安心しろ!すぐに立派な墓を作ってやるからな!!』

 

『ハァ!?』

 

 

これには女性も絶句。

心配どころかすでに死人として扱っていた。

 

 

『(怪我をするとしてもあれだけじゃ死なないっての……。あの人頭イカれてるの?)』

 

 

そのときだった。

エリザベスの姿が消えた。

 

 

『(えっ?)』

 

 

これに女性は戸惑うが、すぐに驚きの表情に変わる。

 

 

『なぁ!?』

 

 

なんと、エリザベスは男性を拘束器具で背筋がピンとなるように拘束していたのだ。

 

 

『い、いつの間に……』

 

 

そして、エリザベスはプラカードを掲げた。

 

 

”野球、混ぜて”

 

『えっ!?』

 

 

急な提案に子供たちも困惑する。

だが、そのうちの一人が

 

 

『おい、さっさと続きやるぞ!やらないのなら、こっちからやってやる!』

 

 

子供がエリザベスと子供に向かってボールを投げた。

 

 

『うわぁ!』

 

『危ない!!』

 

 

これにはさすがの女性も声を上げてしまった。

だが、その時。

 

 

『ウォラァア!』

 

 

どこからか恐怖を感じさせる男の図太い声が響いたと同時に、男を足から持ってボールを打ち返した。

 

 

『ぐおぉぁあああああ!!!』

 

 

そしてそのボールは、男性の顔面に当たったのであった。

 

 

 

―――――――――――――――――――

 

 

 

「――――ってなことがあったのよ。たぶんあの着ぐるみの人――エリザベスって呼ばれたたけど。ていうか着ぐるみにエリザベスって似合わなくない?……話がずれたわね。たぶんエリザベスって人は安否より死んだって決めつけられたことに怒ってるんじゃないの?」

 

 

四人と女性はあの光景を再び見る。ちなみに女性が話している間にも桂の悲鳴は絶えなかった。

 

 

「よっしゃ、行くぜ!」

 

 

子供が再びボールを投げ、エリザベスがそれを桂バットで打ち返そうとする。

だが、場所が柔らかかったためにあまり威力が出なかった。

 

 

『ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!』

 

 

威力とは裏腹にさっきまで聞こえなかった悲鳴が響いた。

それを見ていた男性たちは青ざめた。

 

なにせ、当たった場所は股間だったから。

 

 

”股間が威力がでねぇな”

 

 

このプラカードでの発言でたぶんわざとではないかと言う可能性が浮上してきた。

 

 

「エ、エリザベス……悪かった!怒っているのだろう!?俺が数日前に勝手にお前のプリンを食べてしまったことを!」

 

”ちげぇよ!”

 

「グハァ!」

 

 

エリザベスはまた向かってきたボールを桂で打つ。

桂の中では完全にさっきのことは頭から消されているようだ。

 

 

「こら、たかし!」

 

「母ちゃん!?」

 

 

そのとき、ボールを投げていた子供の母親が騒ぎを聞きつけて駆けつけてきた。

だが、

 

 

「グヘェ!」

 

「ブホォ!」

 

 

エリザベスが走ったと思えば子供のことを掴んだ母親の頭にバットの桂を振るって頭どうしをぶつけた。

それを見て唖然とする人々。

 

これにより母親は気絶した。

 

 

「エ、エリザベス……これ以上は、もうむr」オロロロロロロロロ……

 

 

桂は吐いた。

 

 

「汚!」

 

「うげぇ…臭い…」

 

 

思わず鼻を抑えてしまう皆。

だが、そこに救世主が現れた。

 

 

ファン、ファン、ファン、ファン

 

 

 

「警察だ!そこの着ぐるみのヤツ!おとなしくその男性を解放しろ!」

 

 

 

警察が警棒を持ってエリザベスを取り囲む。

そこで、エリザベスはある物を取り出した。

 

 

「へ、ヘアスプレー?」

 

 

未来は無意識に口に出してしまった。

 

 

”アイ○バ、桂、アイ○バ、ヘアスプレー、Oh!”

 

 

エリザベスはどこぞのあの人の踊りそのままを踊り、そして二つを合体させた。

 

 

そして、出来上がったものは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”ブレ○ドブレード!!!”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『なんで!?』』』』』

 

 

 

男性とヘアスプレーが合体し、仮○ライダーブレ○ドがFFRして変形するブレイ○ブレードとなったのだ。

 

もう、桂の面影はない。

 

桂とヘアスプレーの合体によって剣になった光景に周りの人たちは困惑。

 

※無意味ですがモザイクがかけられています。

 

 

そして、剣に青い雷が纏われる。

 

 

 

”喰らえヤァ―――――!”

 

 

 

「総員、伏せろォォォォォォ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後、なんやかんやあって、エリザベスは――

 

 

 

「ほら、キリキリ歩け」

 

「………」

 

 

 

暴行罪、公務執行妨害罪により逮捕されました。

あの後なにがあったのかって?どうやってエリザベスが捕まったのかって?

 

知るかボケ。

いろいろとヤバくなるので捕まるところまで進みました。

 

 

 

「変な事件だったね……」

 

「そうだね……」

 

「大変だったけど、アニメっぽくてよかったわ」

 

「弓美さんはいつもそれですね」

 

「あ、あの人も無事だし…」

 

 

未来は桂に目を向ける。

 

警察は桂の拘束具を外すのに苦戦していた。

 

 

「おい、さっさと外せ!金○がかゆくてしょうがないのだ!」

 

「今やってますから!我慢してください!」

 

「ていうかこの拘束具、今まで見たことも聞いたこともないぞ?外し方がわからない……」

 

「この役立たずどもめぇ!」

 

 

皆は見なかったことにした。

それは最初に桂が金○と言った時から決めた。

 

 

「それじゃ、ふらわーに行こっか」

 

「そうだね。そうしよう!」

 

「あとはS.O.N.Gの人たちがなんとかしてくれるから」

 

「一件落着ですわね!」

 

 

四人はその場から離れようとしたそのとき、再び事件は起こった。

 

 

 

「キャァァァァ!!!」

 

「バイクが暴走してるぞ!逃げろぉ!」

 

 

 

黒いバイクに乗った黒服と黒いヘルメットをかぶっているライダーがすごい速さでこちらに向かってきていた。

 

 

 

バイクはそのまま四人を通り過ぎ、一人を標的にした

 

 

「あっ!」

 

「えっ、ちょっと待って!おいサツども!さっさとこれをなんとかsアァァァァァァァァァアア!!!!」

 

 

「「「「えぇええええええ!!?」」」」

 

 

 

バイクに吹っ飛ばされた桂はそのまま空へと消えていった。

 

 

 

「ま、まるでアニメ見たいな吹っ飛び方…」

 

「第一声がそれですか!?」

 

 

 

 

そして、警察も空に吹っ飛んでいった桂に夢中で、バイクを取り逃がしてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「昨日のあの人、結局どこに行っちゃったんだろうね?」

 

 

次の日の朝。

四人は教室で昨日のことを話していた。

 

四人だけではない。

昨日のことはすでにニュースとなって教室の生徒全員がこの話をしていた。

 

 

「S.O.N.Gでも見つからなかったらしいし…どこ行ったんだろうね?」

 

「拘束されたままだからその場から動くことは不可能に近いから、今もどこかでシクシク泣いていたりして…」

 

「可哀そうですわ。どこに行ったのでしょう?」

 

 

そのとき、クラスの一人が叫ぶ。

 

 

「一校時目体育だから、更衣室に行くよー!」

 

 

その言葉を聞いて皆が荷物を持って更衣室へと移動する。

 

 

そのとき、更衣室から何か音が聞こえた。

 

 

 

「音が聞こえる?」

 

「どうしたんですか?」

 

「皆待ってて。更衣室から音が聞こえるのよ。もしかして、泥棒!?」

 

 

生徒の言葉に全員がザワザワとなる。

リディアンの更衣室は鍵がかけられており、鍵は最初に入るクラスの委員長が開ける仕組みになっている。

 

 

「先生呼んでくるわ!」

 

 

クラス委員長は一度職員室に行って、先生を呼んできた。

 

 

「皆さん下がっていてください。今開けますので…!」

 

 

先生は棒を持って更衣室の扉を思いっきり開いた!!

そして、中にいたのは…

 

 

 

「…………」

 

『『『『『……え?』』』』』

 

 

 

そこにいたのは、拘束具で拘束されながらうつむけになって倒れている、桂の姿があった。

 

桂のこの姿はすでにニュースで流れているため、全員が『あ、ニュースの人だ』と気づいた。

 

 

 

そして、桂は扉が開くのを待っていたかのように、こう言った。

 

 

 

 

 

 

「き、昨日の夕方、鍵をかけられてからずっと、スタンバってました………」

 

 

 

 

 

桂は、力尽きて倒れた。

 

 

 

 

 

 




シン銀裏話。















???「はぁー黒服ってかっこいいすね」

???「そうでしょう?にしても、お疲れ様、スタッフ君」

スタッフ「いえいえ、これも仕事なので。龍さんもナンバープレート外すの手伝ってくれてありがとうございます」

龍「私は機械いじりが得意なのでね。こんなのお茶の子さいさいさ」

スタッフ「桂さんどうなってますかね?」

龍「さぁ?でも面白くはなるよね」

スタッフ「それじゃあ、帰りましょうか」

龍「そうだねぇ。さっさと銀魂の世界に戻ろう」





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真選組の一日

これは、真選組の一日である。

 

 

「お、おはようございます…」

 

「…………」コクッ

 

 

響が挨拶をすると、終は首を縦に振る。

 

 

「…………」クィクィ

 

 

終がおいでおいでをして、歩く。

響は怖がりながらも終についていく。

 

 

ワイワイガヤガヤ……

 

 

着いた先は食堂。

そこにはすでにたくさんの隊士たちがいた。

 

そして、響と同じような恰好をした者も一人。

 

 

「…………」

 

「つ、翼さん…?大丈夫ですか…?」

 

 

彼女、【風鳴翼】は青ざめていた。

それは彼女の目の前にあるものを見れば一目瞭然。

 

 

「……………」

 

「おい、さっさと食えよ!」

 

 

彼女の隣にいる男。【土方十四郎】

そして、その机にあるものは…

 

 

「だからなんども言っている!私にこんなものは食べられない!」

 

「土方スペシャルにケチつけんじゃねぇよ!」

 

 

彼女の目の前にあるのはマヨネーズ丼と言えるべき存在。土方スペシャル

 

 

「これ、元々なんだったんですか?」

 

「元々はただの和食セットだった…。だが!土方は私のご飯と鮭とみそ汁をすべて混ぜた挙句その上にマヨネーズをかけたんだ!」

 

「え゛ッ…」

 

 

それは絶句ものだった。

まさかすべてを混ぜてその上にマヨネーズ。まさに鬼畜の所業。

 

 

「いいか?確かに白米と鮭とみそ汁。これだけじゃ微妙な味になるだけだ。だがな!そこにマヨネーズを注入するすることによって味が中和し!さらにおいしくなるんだ!」

 

「そんなことあり得るワケないだろう!」

 

「あ、はは……」

 

 

もう響はなにも言えなかった。

 

そんな中、終はすでにとんかつ定食を持ってきていた。

しかも二人分。

 

 

「あ、持ってきてくれたんですね!ありがとうございます!」

 

「勝手に決めたのか?」

 

「いえいえ!私今日はとんかつ定食を食べたい気分だったので!ありがとうございます!」

 

「……………」

 

 

終は土方の席から一つ離れたところに座る。

 

 

「……翼さん」

 

「な、なんだ、立花?」

 

 

響はゆっくりと翼の方を見る。

そして、言う。

 

 

「余計なこと言わないでください。でないと私が危険な目に合いそうなので」

 

「ッ!あ、ああ…分かった」

 

 

響は虚ろな目で翼にそう告げたあと、響は終の隣に座る。

その目を見て翼は恐怖を感じたのであった。

 

 

「(立花…お前も大変なんだな。常に監視役から命を狙われている恐怖…。私は体験したことはない。それほどの恐怖を立花は感じているのだろう)」

 

「まったく、どうして土方スペシャルの良さがわからねぇのか…」

 

「分かりたくもない!」

 

「チッ。……にしても総悟、遅ぇな。いつもはこの時間帯に来てるんだが…」

 

 

そのとき、

 

 

ビチャビチャビチャビチャ……

 

 

土方の頭から緑色の液体がかかった。

 

 

 

「あっつぅ!!!」

 

 

 

その勢いで土方はのたうち回る。

 

 

「いやぁ、すいやせん土方さん」

 

「ッ!?」

 

 

その声を聴いてすぐに翼は後ろを振り向いた。

そこには、総悟がいた。

 

 

「総悟てめぇ!」

 

「お茶をこぼしてしやいやした。ほんとすいやせん。これ使ってくだせぇ」

 

 

総悟は一枚のタオルを土方に渡した。

 

 

「おい。このタオルなんか湿ってるぞ?」

 

「使った後なんで、当たり前でさぁ」

 

「ちゃんと洗ったんだろうな?」

 

「もちろん、水で洗いやしたぜ」

 

 

土方はタオルで全身を拭く。

 

その時、都合よくある話が聞こえた。

 

 

「そういやさ、さっき厠に行ったんだけど」

 

「お前さ、その話食事が終わってから切り出すつもりだっただろ」

 

「まぁそうなんだけど。そのときに手抜きタオルが一枚なくなってたんだよ」

 

「洗いに出したんじゃねぇのか?」

 

「いやそれがさ、それと同時に便器の水がなくなっててよ」

 

「……それと今の話がなんの関係があるんだ?」

 

「分かるだろ?なくなって一枚のタオルと、流してもないのにない便器の水。きっと誰かがやったんだ」

 

「そんなのどうでもいいだろ。ほら、さっさと準備するぜ」

 

 

食堂で話すには下品な話だが、一同はそこで止まっていた。

 

 

「おい、もしかして、それって…」

 

 

土方が総悟の方を見るが、総悟はすでにいなかった。

それで、全員はすべて察した。

 

 

「「「うわぁああああああ!!!」」」

 

 

大きな声を上げたことで視線が集中する。

 

 

「どうするこれ!?どうするこれ!?」

 

「どうでもいいからとにかく捨ててくれ!そして近づくな!」

 

「私、ちょっとトイレに…」

 

「わ、私も行ってくるとしよう!」

 

「こらぁ!てめぇらだけ逃げんな!」

 

「離せ土方!汚顔を近づけるな!」

 

「誰が汚顔だこらぁ!」

 

「実際そうだろう!早く洗いにでもいけ!」

 

「そうですよ!そもそも汚いのは土方さんだけですから土方さんが逃げてもなんの意味もありませんよ!」

 

「てめぇついに言ったな!よぉし、おめぇの顔もこのタオルで拭いてやる!」

 

「えっ!?ちょ、やめてください!!!あ―――――――――!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちなみに、あのあと……

 

 

「お前ら、食事くらいもう少し静かにできんのか?」

 

 

「「「すみません…」」」

 

 

近藤に怒られていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~総悟の場合~

 

 

 

あの後、響と翼は解放され、廊下を歩いていた。

 

 

「はぁ~疲れた…」

 

「そうだな……。立花はこれからどうするんだ?」

 

「私はいつもどおり終さんのところにいます。部屋から出るのは終さんの許可が必要ですけど、部屋の中だったら基本的になにしても大丈夫、なんですけど……」

 

「余計なことをすれば、命が危うい、か…」

 

「はい、最初の方は漫画とか読んでても全く怒られなかったんですけど、突然あの恐ろしい笑顔でこっちを振り向いたとき、『あ、これはダメだ』って悟りました」

 

「私は交流が少ないから分からないが、そんなに恐ろしいのか?斉藤の笑顔は」

 

「怖いですよそりやぁ!だって不定的にあの笑顔ですよ!?もう、耐えるので精いっぱいです…」

 

「そうか…。私はあのマヨネーズ地獄からいつ抜け出せるのかと今も思っている…」

 

「…………」

 

「どちらがマシか、全くわからないな…」

 

「そうですね…」

 

 

二人はそういうが、二人は心の中で、斉藤と土方はまだマシだと思っている。

何故なら……

 

 

「お、おめぇらじゃねぇか」

 

「沖田!!」

 

「沖田さん!!」

 

 

そう、目の前の男、沖田総悟に比べれば…

 

 

「沖田貴様!よくもあんなものを持ってきてくれたな!」

 

「いやぁ、元々土方さんの使っている専用の剣道着の中に入れようと思ってたんだが、あんな場面だったからな。ちょうどよかったから利用させてもらったぜ」

 

「それはそれで問題だ!それにその割には自分から事を引き起こしていたではないか!」

 

「そうですよ!お茶をざばぁー!って!」

 

「………星座占いで、牡牛座の人は体に熱湯をかけると、今月運が0.1%あがるって言ってたからな」

 

「なんだその占いは!?しかも0.1%!?意味がないじゃないか!」

 

「よく考えてみろ。今日は一日だ。これを10日続ければ1%運が上がるんだぜ」

 

「どっちにしろ意味ないじゃないですかそれ!?」

 

「まぁ、どうでもいいだろ。それじゃあ俺はこれから用事があるんでな」

 

 

沖田は袋を持っている手を肩にのっけた後、そこを立ち去ろうとするが、

 

 

「あの…それ、なにが入ってるんですか?」

 

 

響がその袋の中身に興味を持った。

 

 

「これか?これはあいつの飯だ」

 

「……雪音のか」

 

「そうだが?」

 

「雪音は無事なんだろうな?変なことはしてないだろうな?」

 

「当たり前でぇ。俺だって警察だからな」

 

「そうか…」

 

 

翼はもう、諦めていた。

あれから何度も元に戻そうと試みたが、すでにクリス――ゲロリスの心は調教済み。

もう主従関係を定着させられていた。

 

 

「翼さん、元気出してください!」

 

「すまない、立花…。だが、仲間のあんな姿を見てしまったら…!」

 

「あー、俺はそろそろ行くぜ」

 

 

沖田が振り返ったその時、袋の中身が一つ落ちる。

 

 

そして、それを見た二人は

 

 

 

 

 

!!!???

 

 

 

 

 

絶句した。

 

あまりの衝撃に思考が固まってしまっていた。

 

 

 

「おい…」

 

「なんでぇ?あ、落ちちまった」

 

「なんだ、これは?」

 

「なにって、あいつの飯だ」

 

「こんなものを…食べさせる気か!?」

 

 

 

翼が怒鳴る。

彼女がここまで怒るのには理由がある。

それは…

 

 

 

 

「これは…どこからどうみてもキャットフードじゃないか!!」

 

 

 

 

そう、沖田が落としたもの、それはキャットフードだ。

しかも缶詰タイプの。

 

 

「そうだが?」

 

「そうだが?じゃないですよ!まさか、クリスちゃんに食べさせる気じゃ…!」

 

「食べさせるんじゃねぇよ」

 

「じゃあ、これは…」

 

 

沖田は続ける。

 

 

「もう、食べてるよ」

 

 

その時の沖田の顔は、悪だった。

その言葉を聞いた二人は青ざめた。

 

 

「雪音ぇぇぇぇええええ!!!!」

 

「クリスちゃぁあああああああん!!!」

 

 

二人は大急ぎで沖田の部屋に向かった。

自分の仲間が人の食べ物じゃないものを食べさせられているという事実に驚愕し、仲間のためを思った行動だった。

 

 

走り、走り、走って。

沖田の部屋についた。

 

 

 

「「クリスちゃあぁああああああん!/雪音ぇぇえええええええ!!!」」

 

 

二人が扉を開けると、そこには…

 

 

 

「んにゃ?」

 

 

 

案の定、ペット用皿で、しかもフォークやスプーンを使わずに食べていた。

元々クリスは食べ方が汚かったが、今のゲロリスはもっと酷い。

もはやただの猫だ。

 

 

 

「雪音ぇ!それは食べてはだめだぁ!」

 

 

 

翼はゲロリスから食器を奪おうとするが、

 

 

 

「私の食事を奪わないでください!」

 

 

 

ゲロリスは翼に蹴りを喰らわせた。

 

 

「ぐはぁ!」

 

「翼さん!?」

 

「アムアムアム…」

 

「クリスちゃん…」

 

 

壁に激突する翼。それを最初からなかったように食事を始めるゲロリス。

 

 

「くっ、雪音を救う方法はないのか…!?」

 

「クリスちゃん、これは猫用のご飯だよ。私たちは人間だから食べないほうが…」

 

 

響は響らしく話し合いで解決しようと乗り出す。

 

 

 

「えっ、響ちゃん。名に言ってるんですか?これは―――

 

 

 

そのとき、ゲロリスが衝撃の言葉を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――私は猫です。猫の食事を食べるのは当たり前じゃないですか」

 

 

「「―――ッ!!!」」

 

 

 

二人にとって衝撃の言葉。

まさか、自分が猫だと思い込むようになっていたとは思いもしなかった。

 

 

 

「目を覚ませ雪音ぇ!そもそも、人語を喋る猫などいないぞ!?」

 

「私は特別だとご主人さまは言ってました。ご主人様の言葉に間違いなどありません」

 

「沖田ぁぁああああああ!!!」

 

「ご主人様には感謝しているのです。私を目覚めさせてくれて……」

 

「雪音ぇ!お前は一体沖田になにをされたのだぁぁぁぁああああ!!!??」

 

 

もう、手遅れだと勘づいていたが、まさかここまでとは思いもしていなかった。

そのとき…

 

 

 

「つ、翼さん……」

 

 

 

響が、あることに気付いたのだ。

 

 

 

「なんだ、立花…」

 

「これ、見てください…」

 

 

響が持っていたのはすでに開けられているさっきのキャットフードの缶だった。

 

 

「それが、どうかしたのか?」

 

「これ、缶の後ろ…」

 

 

翼が缶の後ろに目を向けると…

そこには、こう書かれていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『きびう○こ味』

 

 

 

「なんだこの味は!?」

 

「きび……!?これ本当に食べれるんですか!?」

 

 

 

思わず二人はゲロリスのほうを見る。

ゲロリスはこれをおいしそうに食べている。

 

 

「なになに…『お通コラボレーション缶』……。誰だお通!?」

 

「そんなことよりこれ本当に大丈夫なんですか!?絶対おいしくないでしょ!」

 

「私が知るか!そんなことより、沖田を探すぞ!」

 

「はい!直談判しなくちゃいけませんよね!」

 

 

 

二人は走って沖田を追いかけるのであった。

そして、ゲロリスはと言うと…

 

 

 

 

 

 

「あーおいしかったです…。にしても…」

 

 

 

 

 

 

ゲロリスは空き缶を取る。

 

 

 

 

 

 

 

「ご主人…。なんで猫の私にこんなものを…」

 

 

 

 

ゲロリスは缶を見る。

小さい文字で書かれており、集中しないと見えないその文字は、こう書かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『キャットフードに似せた感触!普段猫に食べさせている感触を味わえる!人間用』

 

 

 

その文字の大きさは味が書いてある文字の大きさと反比例して小さい。

初見の人は文字に集中が言ってこれを見逃す。

 

 

 

「ご主人様がこれを私に食べさせたのは…なにか意味があるはずです。それを考えないと…。……喉が渇いたな。水飲みましょう」

 

 

 

ゲロリスはペット用皿に入っている水を、舌を使って飲むのであった。

 

 

 

 

 

 

 



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パトロール/散歩 再開の時

かぶき町。

 

ここに、パトカーに乗った一組の男女がいた。

 

 

「そっちはどうだ?」

 

「異常はない」

 

「そうか」

 

 

その二人組は【土方十四郎】と【風鳴翼】。

翼はシンフォギアを纏っている状態なので、青いローブとフードを身に着けている。

 

元々シンフォギアは目立つので、こちらの方がまだマシだ。

 

服自体はダメだったが、間接的にならOKだったらしい。

 

 

「パトロールとは…貴様らもまともなことをやるのだな」

 

「あったりめぇだ!このくらい普通だろ!」

 

「今まで普通じゃなかったのだが?」

 

「ありゃあいつらがおかしいだけだ」

 

「貴様も十分おかしいぞ…」

 

「なんか言ったか?」

 

「いや何も?」

 

 

パトカーをいったん止めて、車内でその場所をグルグルと見て回る。

 

 

「そういえば…立花と雪音はどうしているのだろうか…」

 

「響って奴の方は終がいるから大丈夫だろ。問題は総悟の方なんだよな…」

 

「もしかしたら…いや、絶対なにかされているかも…」

 

「まぁ気にしててもしょうがねぇ。あいつのあの行動は今に始まったことじゃないからな」

 

「そう、だな…」

 

 

そうして、パトカーを動かしその場を去っていき、パトロールの続きをするのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~終&響~

 

 

 

 

二人は、街中を歩いていた。

響も翼同様、黄色いローブとフードをかぶっていた。

 

 

 

「…………」

 

「し、終さーん……。どこに向かっているんですか…?」

 

「…………」

 

 

終からの返答はない。

響はそれにより、さらに恐怖が生まれる。

 

 

「(ど、どこに連れてかれるんだろう…?土方さんはパトロールって言ってたけど、もしかして!?私を路地裏で抹殺…!?)」

 

 

と、普段考えることもないことを、響は考えてしまっていた。

恐怖は、普段の人を崩壊させるほどなのだ。

 

そして、終は足を止めた。

 

 

 

「?」

 

 

 

響が終が足を止めた方向を見ると、そこには…

 

 

【ゴートゥーヘル】

 

 

……と書かれたコンビニだった。

 

 

 

「…………」( ゚Д゚)

 

 

 

翻訳すると『地獄に行け』である。

これを見ただけで嫌な予感がした響であった。

 

 

「し、終さん…?このコンビニ、本当に入るんですか…?」

 

「……………」

 

 

終は何も言わずに入っていく。

響は、びくびくしながら入っていく。

 

見た目は普通のコンビニだ。

だが、恐怖が感情を支配している響には…

 

 

「(見た目普通のコンビニだけど…もしかしたら、この地下は拷問部屋とかになってるんじゃ…!)」

 

 

と、怖い妄想を考えるようになっていた。

終は二人分の弁当を持つと、レジに向かった。

 

 

「弁当、温めますか?」

 

 

店員に聞かれるが、終は喋らない。

 

 

「あのーお客さん?」

 

「し、終さーん…?」

 

 

響も終を呼びかけるが、無反応。

こうしているうちにどんどんと人が並んでいく。

 

 

「……?これって…」

 

 

そこで、響はあることに気付く。

 

 

「Z~…Z~…」

 

「あ、これ、眠ってる…」

 

 

響のその言葉に、客や店員、皆が唖然としていた。

 

 

 

 

このあと、二人は無事弁当を変えました。

そして、温めかの質問は、『温めてください』と、響の言葉でなんとかなりました。

 

 

 

 

「ハァ……。疲れた…」

 

「………?」

 

 

 

 

響は、公園のベンチでお弁当を食べながら、そう呟くのであった。

 

 

 

ちなみに、

 

 

 

【ゴートゥーヘル】

 

 

 

「またか…誰だよ、こんないたずらする奴は、いい加減、経費を削減してでもここらへんに監視カメラつけるべきかな…?」

 

 

このコンビニの店長は、周りを探すと、凸状態の文字の残りを見つける。

 

 

「ほんと、盗まれてないのが幸いだよ…」

 

 

小さい脚立を持って、そこを登り、凸状態の文字を取り付け、場所を置き換えた。

 

 

【ヘーイ ドゥーコール】

 

 

「よし、これで大丈夫だな。……にしても、いつ見ても変だなぁこの名前…」

 

 

この店長の言う通り、このコンビニのネーミングを考えた者はネーミングセンス最悪だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって土方と翼。

 

 

 

 

「終と響は、そこらへんの公園で飯食ってるってよ。今響から入った」

 

「わかった。では私たちもそろそろ昼ご飯にしないか?」

 

「まぁ待て。確かに腹が減ってるが、今日の予定じゃここで総悟と落ち合う予定だ。総悟が来るまで待て」

 

「雪音…無事だといいのだが…」

 

「さぁな。まぁあいつも女の扱いくらい慣れてるだろ。前にキャバクラ(アニメ241話)で天才的なことしてたしな」

 

「キャバクラ…。公務員だろ?キャバクラなんてしてていいのか?」

 

「大丈夫だよ。どうせ次の回にはすべてなかったことにされてるからよ」

 

「次の回…?」

 

「おっと。俺としたことが俺らしくない発言をしちまった。さて、そろそろ目的の場所に行くぞ」

 

 

二人はパトカーを降りて、目的地まで向かって行った。

 

 

 

「さて、あとはあいつが来るだけだ」

 

「そうだな」

 

「…いつものことだが、遅いな、あいつ。ちょっと連絡入れてみるか…」

 

 

土方は懐から無線機を取り出すと、沖田につないだ。

 

 

 

 

『土方さん?どうしやしたか?』

 

「総悟。お前今どこにいる?」

 

『…ちょいと買い物をしていて…すいやせん』

 

「おい、雪音は無事なんだろうな?」

 

 

翼は二人の会話に割り込んで、クリス――ゲロリスの心配をする。

 

 

『大丈夫だ。目立つようにはしねぇよ』

 

「…それは逆に目立たないようになにかしているということか?」

 

『……まぁそんなことはどうでもいい。土方さん。俺も今からそちらに向かいます』

 

「そうか。待ってるからな『あ…旦那』」

 

 

無線機越しから、『旦那』と言う声が聞こえた。

 

 

「あ゛ッ!?そこにあいつがいるのか!?」

 

『土方さん。ちょいと切りやすぜ』

 

「おいちょ!―――…切れちまった」

 

「旦那、とは誰のことだ?」

 

「あぁ…。万事屋の野郎だ。あいつが一緒にいると、大抵ロクなことが起きやしねぇ。俺にとっちゃ疫病神みたいなもんだ」

 

「…例えば?」

 

「そうだな…。例を挙げると、あいつは総悟と同じドS。あいつと一緒にいじってきやがるんだ。まるで最初から打ち合わせでもしていたのかと思うほどシンクロしててな」

 

「つまり…沖田が二人いる、という解釈でいいか?」

 

「まぁ…めんどくせぇからそれでいい。とりあえず、どうする?」

 

「待ってるしかなかろう」

 

「だよな…」

 

 

 

 

そうして、二人は黙々と弁当を食べ続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~万事屋&マリア~

 

 

 

 

銀時たちは、街中に出ていた。

 

 

 

「………」

 

「どうよ。かぶき町は?」

 

「いい、町ね…。時代と背景があってないけど」

 

「そんなのいつものことだよ」

 

「そうですよ。気にしててもしょうがありません」

 

「これが当たり前アルよ」

 

 

「……(時代を超えた、平行世界への移動…。でも、普及しているのは現代の物…。ほんと、ワケがわからないわ)」

 

 

時代が江戸、背景が現代の矛盾に、マリアは違和感しか感じられなかった。

この世界の人間からしてはこれが普通なのだが、この違和感を感じられるのはマリアたちだけであろう。

 

マリアたちは今、かぶき町にいる。

マリアはこの世界を見るということで来たのだが、この恰好じゃ目立ちすぎる。

なので、白いローブとフードをかぶっている。

 

 

「私たちの世界じゃありえないことが、こんなにも…」

 

「まぁお前の世界がどんなんだか知らないが、ここならまだ道路交通法も制定されてないし、事故起こし放題だぜ」

 

「いや起こしちゃダメよ。ていうかなんであなた現代知識を持ってるの?」

 

「気にしちゃぁいけねぇぜ。………そんなことより、ちゃんと大丈夫なんだろうな?()()()()()にならないだろうな?」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

~昨日~

 

 

 

「あぁ~疲れたぁ……」

 

「そうですね。でも、無事依頼達成できてよかったじゃないですか」

 

「銃をバンバン撃たれたときには焦ったアルなぁ」

 

「ほんと、肉盾(マリア)がいてくれて助かったぜ」

 

「…今、私の名前のところで悪意を感じたんだけど?」

 

「気のせいだろ。……ところでよ。お前の頭の上のそれ…なんだ?」

 

「あ、それ僕も気になってました」

 

「私もネ」

 

「頭…?」

 

 

マリアは自分の頭の上を見る。

そして、そこには信じられないものがあった。

 

 

 

 

 

 

 

00:01:39

   

 

 

 

 

 

 

 

「なにこれ!?」

 

 

 

なんと、マリアの頭の上にはカウントがあったのだ。

しかも、後一分。

 

 

 

「これいつからあったの!?」

 

「いや…あと24時間って時から」

 

「そのときからありましたね」

 

「なんで言ってくれなかったの!?」

 

「いや、どうせいつかは気づくだろうと思ってたんだけどよ。あまりにも気づかなすぎたから、さすがに可哀そうと思って教えたんだが…」

 

「それ、一体何アルか?」

 

 

こうしている間にも、時間はもう00:00:48になっていた。

 

 

「これ…爆発とかするんじゃねぇか?」

 

「爆発!?」

 

「今回は爆発オチアルか」

 

「爆発オチ!?いやダメでしょ!ていうかオチ言うなし!」

 

「おい…あと二十秒だぜ?」

 

 

 

 

 

00:00:19……00:00:18……00:00:17…

 

 

 

 

『『『『……………』』』』

 

 

 

 

ゆっくりと、時間が経過していく。

そして、残り三秒。

 

 

 

「来た!!」

 

 

 

 

 

ついに、時間がきた。

そのとき、マリアの体から煙が放たれる。

 

 

 

 

「キャア!!」

 

「ウワァ!」

 

「ドワァァァ!」

 

「何アルか!?何アルか!?」

 

 

 

 

急なことに混乱する一同。

 

 

マリアの体から急に煙が放たれたことにより、ゲホゲホ!と聞こえる。

 

 

 

「お前の体どうなってんだよ!?」

 

「なんで煙が出るんですか!?それにこれ、催涙効果もありますよ!?」

 

「ヴヴェ!!目に、目に入ったアルゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

「ゲホッ!ゲホッ!知らないわよ!こんなの、なかったはずよ!?」

 

 

 

今の状態を言葉で表すのなら、死屍累々。

最早地獄絵図と化している万事屋。

 

 

のたうち回り、泡を吹き、悲鳴を上げる。

 

 

そんな地獄の状態が一分ほど続いた。

 

 

そして、部屋を支配していた催涙ガスがようやく消える。

 

 

 

「はぁー、はぁー…。窓開けて、ようやくかよ…」

 

 

 

銀時がそう呟く。

ガスの量がなかなか多かったため、外に出るのに時間がかかった。

 

 

 

「大丈夫ですか?三人とも?」

 

「私は大丈夫ネ」

 

「俺もだ。…マリアは?」

 

 

三人はマリアの方向を見る

そして、固まる。

 

 

 

「はぁ……。なんなのよあれ…」

 

「マリア…」

 

「どうしたの?銀さん?」

 

「お前……そんなのが得意だったんだな」

 

「はっ?………」

 

 

マリアは急なことで思考が停止した。

だが、すぐにその意味を理解するになる。

 

マリアは自分の体に違和感を覚えた。

 

恐る恐る、自分の体を見ると…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全裸、だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

マリアはすぐさま両手で秘部を隠してソファーの後ろでうずくまる。

その間約0.5秒。

 

早くても遅すぎたため、銀時たちにはばっちり見えていた。

 

その証拠に、銀時を鼻血を垂らし、神楽は侮辱の目で見ており、新八に至っては鼻血を出して気絶している。

 

 

 

「~~~~~ッ////!!!」

 

 

 

マリアは最早涙目だった。

当たり前だろう。なにせ合って間もない男性に自分の秘部を見られてしまったのだから。

 

 

そこで、銀時はある行動に出た。

出てしまった。

 

 

 

「ちょっと、トイレ行ってくるわ」

 

「待ちなさい!」

 

 

 

 

マリアはすぐさま止めた。

 

 

 

「な、なんだよ…。俺はお前の裸を見ないように、あえて違う場所に行こうとしてるんだぜ?止める理由なんてないだろ」

 

「この…」

 

「あぁ?」

 

「この状況で……トイレに行く理由なんて…たった一つしかないでしょう…!」

 

「………」

 

 

そう、たった一つしかない。

マリアは性経験は全くないが、知識くらいはある。

 

故に、銀時がなんのためにトイレに行くのか理解できた。

 

 

 

「要するに、銀ちゃんはオ○○ーしに行くということあるか?」

 

 

 

誰も言わなかったことを、神楽が言った。

言ってしまった。

 

 

まぁ、実際はそうである。

マリアは自分の裸でヌかれたくない。ていうか無理だ。

 

 

そこで、銀時が吹っ切れた。

 

 

 

「あぁその通りだよ!!なんだよ!?オ○ッたらダメだってのか!?えぇ!?」

 

「駄目に決まってるでしょ!第一、私のことも少しは考えてよ!」

 

「はっ!だったら俺のことも考えやがれ!第一?ここに泊めてやってるのはどこの誰かなぁ!?【ピ―――――】をしようとしねぇんだ!それくらいいいだろ!」

 

「あなたよくこんな状況でそんな最低なことが言えるわね!」

 

「あのなぁ!お前の世界ではダメだと思うがな、この世界じゃ例えば街中で【ピ――――】とか【ピ―――――――】とか、挙句の果てに【ピ――――――――――――――】と言っても許される世界なんだよ!!!!」

 

「いやダメでしょ!?どんな世界なのよ!?理解に苦しむわ!!」

 

 

 

「…………」

 

 

 

一方神楽は、ソファー越しに送られている醜い争いを白い目で見ていた。

 

もう見ていられなくなった神楽は、新八を起こした。

 

 

「おーい新八、起きろー」

 

「……はっ!父上!僕も今そっちに…!って、あれ?」

 

「どこに行ってたネ。たかが裸で死ぬなよ」

 

「神楽ちゃん!あれ…なにこの状況?」

 

 

新八は銀時の背中が見える場所で起こされていた。

だが、声は大きいので内容ははっきりと聞こえる。

 

 

「なんでこんなことに……ん?」

 

「どうしたアルか?新八?」

 

「いやあの…マリアさんの頭の上…、なにか書いてるんだけど…」

 

 

そこには―――こう書かれていた。

 

 

 

 

 

『初回限定特典!72時間LiNKER効果持続!終わりにプレゼントとして催涙ガスをプレゼント♪w』

 

 

 

 

 

「「………………」」

 

 

そして…

 

 

 

「なんでだぁああああああああああ!!!!???」

 

 

 

新八の、ツッコミターイム。

 

 

 

「「ッ??」」

 

 

 

新八のツッコミに二人も争いを止める。

 

 

 

「なんだよこれ!?初回限定特典!?LiNKERってなに!?ていうかプレゼントで催涙ガスプレゼントってどんな嫌がらせだよ!?しかも最後に音符ついてるし!それにw!これ明らかに僕たちのこと嘲笑ってるでしょ!」

 

「ど、どうしたの?急に…?」

 

「おい、マリア。お前の上…」

 

「上?………って、なにこれ!?」

 

 

二人もようやく上の文字に気が付いたようだ。

 

 

「初回限定特典LiNKER持続って……それにプレゼント。これもうアンラッキーよ!」

 

「たち悪ぃプレゼントだなぁ…」

 

「ところで、そのLiNKERってのはなんなんですか?」

 

「あぁ。これはね、私がこの鎧を纏うために必要な薬なの。元々この鎧は適合率が高くないと纏えないから、薬で補っているのよ」

 

「つまり、パチモンってことか」

 

「いやな言い方だけど。認めざる負えないわね」

 

「パチッモン、パチッモン、パチッモン」

 

「ねぇ、殴っていいかしら?」

 

 

マリアがパチモン装者と認めると、銀時が煽り始めた。

 

 

「銀さん。やめてあげてください。とりあえず、なにか身を隠すものをつけた方がいいですよ」

 

「つってもなぁ…。特にいいものなんてないしなぁ…」

 

 

 

……あのー

 

 

 

「あ、ナレーターさん。どうしたんですか?」

 

 

 

よかったら、これ使ってください

 

 

 

「これは…服、なのか?」

 

 

 

本来装者たちはこの世界じゃ服を着れない仕様になってますが、こういうフード付きローブとかなら大丈夫ですよ。

 

 

 

「ねぇ?その言い方だと、あなた。あの龍や狐と何か関係があるのね?」

 

 

あ、しまった

 

 

「今聞こえたわよ!しまったって!関係があったのね!」

 

 

僕たちナレーターは、ただあなたたちを観察できればいいのです。

 

 

「銀さん!新八さん!神楽ちゃん!悪いけど、私の代わりにそいつを捕まえてくれないかしら!?」

 

「は?やだよ」

 

「……もう一度、言ってくれないかしら?」

 

「だから、やだよって」

 

「な、なんで!?」

 

「いやだってよ。俺ら、この依頼でかなりもらってるだぜ?毎日口座確認しているけど、かなり入っててさ。そんな依頼者様を捕まえるなんて…俺にはできねぇなぁ」

 

「くっ!じゃあ二人は!?」

 

「無理ですね。こんないい依頼、他にないですから」

 

「そうアル。絶対無理ネ」

 

「くッ、三人とも、心を掴まれてる…!」

 

 

と、いうわけで、私はこれからもステルス状態で皆さんを観察しています。それではそれでは

 

 

「あっ、待ちなさい!……どこにいるの…!?」

 

 

私は近くにいますが、ステルス機能が起動している以上、見つけることは不可能ですよ。

ましてや、触ることもね。

 

 

「いいから、とりあえずこれつけろよ」

 

「そうアル。裸じゃパッとしないネ」

 

「あ、ありがとう…」

 

 

マリアは私があげたローブを身に纏った。

 

 

「とりあえず…。大丈夫ね」

 

「でも、中は裸なんだろ?マジモンも変態だぜ?その状態で外で風なんて吹いてみろ。お前の【ピ―――】が露出して一瞬で豚箱行きだぜ?」

 

「そのときは私たちとは無関係にさせてもらうからな?」

 

「すみませんが、我慢してください」

 

 

このとき、マリアは『このクズ野郎ども…!』と、心のどこかで思っただろう。

だが、心の防衛本能がそうは思わせない。もっと柔らかに銀時たちを侮辱したはずだ。

 

 

「(とりあえず、今はあのナレーターたちは保留ね)ま、まぁいいとして…。これからどうすれば【ガラララッ!!!】…?誰か来たわよ?」

 

 

 

「この強引な開け方は!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「てめぇらぁああああああああああああああ!!!!!!!!さっきっからうるせぇよぉぉぉおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

 

 

「バ、ババァ!!」

 

 

 

 

そこから現れたのは、三人の女性。

 

 

黒い浴衣を着たおばあさん。【お登勢】

ブサメンに猫耳がついた女。【キャサリン】

そして、ロボの【たま】

 

 

本来の三人ならこうなのだが、今回の三人は、いつもとは違った。

 

 

 

「ていうか、なんで武装してんだよ!?」

 

「あたっりめぇだ!!てめぇら真昼間からうるせぇんだよ!一回お灸を据えてやらなきゃなぁ!!」

 

「オカゲデコッチモ大変ナンダヨ!!」

 

「銀時様。お二人の怒りゲージはともにMaxです」

 

「ありがとうね!?でもいらないよそんな情報!」

 

「つーワケで覚悟しやがれぇえ!!」

 

 

お登勢は箒を銀時に振るおうとする。

 

 

「お待ちください。お登勢様」

 

「あっ!?どうしたんだいたま!?止めるってのなら容赦しないよ!?」

 

「こちらの女性を見てください」

 

 

たまはマリアに手を向ける。

 

 

「あっ?そういえば…あんた誰だい?」

 

「イツモノメンバージャネェナ」

 

「あ。わ、私の名前はマリア。マリア・カデンツァヴナ・イヴと言います」

 

「名前からして、外人か天人か。ずいぶんと日本語がうまいんだね」

 

「い、いえ…」

 

「それで。こいつがどうかしたのかい?」

 

「見てください」

 

 

たまはマリアを銀時とお登勢の中間に移動し、お登勢の方に向けた。

 

 

そして、たまは驚きの行動に出たのだ。

 

 

 

「これを」

 

「「ッ!!!??」」

 

「「「ッ!!!!」」」

 

「ッ//////!!!??」

 

 

 

なんと、マリアのローブを下から上に持ち上げたのだ。

マリアの下はもちろん裸。つまり、二人にマリアの裸をたまは見せたのだ。

 

たまはマリアの背中から上げたので、銀時たちからは見えにくかったが、それでもすごくヤバイ。

 

 

 

 

 

「いやぁああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

マリア、本日二度目の絶叫。

ローブをすぐさま奪ってうずくまる。

 

 

 

「………」

 

「と、このように、この女性――マリア様はこのローブ以外何一つ身に着けていません。説明をお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?銀時様」

 

「いやいやいやいや!!たまさん!!なんでローブ上げたんですか!?」

 

 

そこに新八のツッコミが入る。

 

 

「マリア様が服を着ていないという確証を得るためです。サーモグラフィで確認したところ、マリア様の体温が銀時様やお登勢様より低かったので、もしかしたらローブ以外着ていないのではと言う仮説を立てたのです」

 

「それでも実行に移すのはどうかと思いますけど!!?」

 

 

そして…

 

 

「銀時ぃいいいいいいいいいいいいい!!」

 

 

お登勢も、キレた。

 

 

 

「てめぇ!!ついに犯罪に手を染めやがったな!!」

 

「ちげぇ!誤解だよ!!」

 

「イツカハ犯罪ニ手ヲ染メルト思ッテイマシタガ、マサカコンナニモ早クコンナ時ガ来ルトハ思ッテマセンデシタヨ!!」

 

「ちょ!!キャサリンさん!?本当に誤解ですから!!」

 

「そうね!!マリアは自分から裸になっただけネ!!」

 

「それはそれで駄目だろうが!!そんな変態置いとくんじゃねぇ!!」

 

「ちょ!!私は自分から脱いだわけでもないしそもそも変態じゃありません!!」

 

「皆さん、落ち着いてください」

 

 

「「「「「「元はと言えばお前/あんた/たまさんが原因でしょ/だろ!!」」」」」

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「あの後、たしかどうなったんだっけ?」

 

「あのあと、なんとか事情説明して、落ち着いたじゃないですか」

 

「でも、なんで今マリアはその鎧纏えてるアルか?昨日は結局裸で寝たのに」

 

「思い出させないで…。朝起きたら枕元にLiNKERがあったのよ。打ったら頭の上のタイマーが復活して、12時間って出たわ」

 

「それじゃあ、12時間後にまた全裸になるってことじゃないです!?」

 

「そもそも、そのリンカーっての、誰が置いたね?」

 

「たぶん、あのナレーターでしょうね」

 

 

ギクッ。

バレた。まぁいいか

 

 

「とりあえず、今日はここでなにをするんだっけ?」

 

「買い出しだよ。イチゴ牛乳も切れてきてるしな」

 

「えーと、あとは…」

 

 

 

そのとき、一同はあることに気がついた。

 

 

 

 

「なぁ…なんで人の目線がアッチ向いてんだ?」

 

 

 

銀時が指指した方向にいる人々は、全員ある方向を向いていた。

 

 

「なにかあるのかしら?」

 

「行ってみるアル!」

 

 

四人は走って、それを見た。

それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ…旦那」

 

 

 

 

 

 

 

沖田と…

 

 

そして、その下。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、マリアァ…久しぶりィ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

四つん這いになり、首を首輪と鎖でつながれて、沖田にまたがれているクリス――ゲロリスの姿だった。

しかも、恰好はローブを纏わないシンフォギア状態。

 

そして、それを見たマリアは…

 

 

 

 

 

 

 

 

「クリスゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

仲間のありえない姿を見て、心の底から叫んだのであった。

 

 

 

 

 



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桂、またもややらかす。

どうもー六日ぶりです。

シン銀投稿しました。

現在、転ノイの最新話を書いている最中です。
一か月以内に投稿できればなと思っておりますので、楽しみにしている方々、是非お待ちくださいますようよろしくお願いします。


「………む…?」

 

 

桂は、目を覚ました。

 

 

「ここは…?」

 

「あ、起きたわね」

 

 

状況が理解できていない桂に、白衣の女性が話しかける。

 

 

「あなたは…?」

 

「私はこのリディアン音楽院の保険室の先生よ」

 

「リディアン…?」

 

「…記憶が混乱しているのかしら?もしくはただリディアンを知らないだけ?」

 

「すまないが、リディアンなどと言う場所は聞いたことがない…。ところで、俺の体を拘束していたはずの拘束具はどうしたのだ?それに、何故服が変わっているのだ?」

 

「順を追って説明するわね」

 

 

まず、桂はあの後保健室に運び込まれた後、拘束具を外そうとしたが、どうしても外れなかった。だから、仕方なく鉄の部分をペンチなどを活用し、桂がこれ以上怪我をしないよう慎重に事を進めたという。

 

 

「それと、あなたの服が変わっているのは一応怪我人だからね。ところどころ怪我してたのよ?その証拠絆創膏とかが張ってあるでしょ?」

 

「確かに、その通りだ…」

 

「さて、私からは以上よ。あとは…」

 

 

そのとき、黒服の男たちが保健室に入ってくる。

それを見て、即座に戦闘態勢に入る桂。

 

 

「ッ!?貴様ら、何者だ!?」

 

「落ち着いてください。私たちはあなたに危害を加えるつもりはありません。ご存じないでしょうが、前日のあなたの行動は世間にニュースに公表されました。ですので、その時のことを詳しく聞きたいのです」

 

「ご協力、ありがとうございました」

 

「いえいえ」

 

 

保健室の先生と、一人の黒服の男がそう言葉を交えると、先生は部屋から出て行った。

 

 

「それでは、行きましょう。一応怪我人ですので、ゆっくりと、な」

 

「わかりました」

 

 

二人の黒服が桂を起こした。

 

 

「(くッ…今は万全の状態ではない…。隙を見て逃げ出すしかないか…)」

 

 

今まで何度も脱獄を繰り返してきた桂。

この程度、余裕で脱走できるだろうと考えていた。

 

 

外に出ると、そこには数台の黒い車が止まっていた。

 

そして、桂が校舎の方に目を向けると、たくさんの生徒がこちらを見ているのが見えた。

 

 

「………」

 

「どうしたんだ?」

 

「本当にこの人数であの車数だけで来たのか?」

 

 

どうでもいいことに桂は疑問を持った。

そのことに黒服は少しだけ戸惑う。

 

 

「あぁ…別に問題はないぞ?一人くらい追加でも」

 

「だが、それだとお主らが大変だろう?どうだろう?俺も一応運転できるし車を持っている」

 

「はぁ!?」

 

 

黒服は間抜けな声をだした。

なにせ、車を持っている、と桂は言ったのだ。周りを見渡すが自分たち以外の車はどこにもない。

 

 

「どこにもないだろ」

 

「いいやある。ちょっと待ってろ」

 

 

桂は二人の男の手から離れ、違う場所へと向かって行った。

そして、桂はある動作をした。

 

 

 

その動作とは「車に乗る動作」だ。

それをした後、桂はなにかに乗っているように宙に浮いていた。

 

 

 

「「「「「!!!!!!??????」」」」」

 

『『『『『!!!!!!??????』』』』』

 

 

 

 

そのありえない状態に黒服どころか遠巻きに見ていた生徒たちも絶句していた。

 

 

 

「えっ!?いや、え、はぁ!!!?」

 

 

 

これにはさすがに男たちも驚きを隠せない。

 

 

 

「どうした。乗らんのか黒服たちよ」

 

「いや乗るって何に!!?」

 

「決まっておろう。俺の守護霊【カローラじゃないカツーラだ】にだ」

 

「守護霊!!?」

 

 

 

守護霊と聞いて絶句する男たち。

現に、桂は浮いている。

 

 

 

 

そのとき――不思議なことが起こった。

 

 

 

 

 

【桂小太郎の守護霊】

 

 

 

「なにこれ!!?」

 

 

謎の解析画面が現れた。

 

 

 

【以前、交通事故に遭った際彼の魂は真っ二つに割れ、一方はカローラへ入り、もう片方は地獄へ向かうがカローラで体まで送ってもらい事なきを得た】(丸コピ)

 

 

「事なき得てないだろこれ!?ていうか丸コピってなにから丸コピしたんだよ!?」

 

「さて、それでは行くとしよう。それでは!」

 

 

 

桂のカローラは走り出した。

一同がポカン、としていると、一人がようやく現実に戻る。

 

 

 

「逃げられたぞ!!!」

 

「あっ、しまった!!」

 

「すぐに追え!!」

 

 

黒服たちはすぐに車に乗り込む。

 

桂のカローラはもうそろそろ正門から出ようとしている。

 

 

 

 

そのとき――――とてつもないことがおこった

 

 

 

 

ブロロロロ!!!!

 

 

 

 

「ぐはぁああああああああああああ!!!!!!!」

 

 

 

ちょうど、そのとき横からトラックが通り過ぎ、桂のカローラごと吹っ飛ばした。

 

 

 

「「「「「えぇええええええええ!!!!!????」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころS.O.N.Gでは、先ほどの映像をすべて見ていた一同は固まったままだった。

 

 

 

 

「………しゅ、守護霊…」

 

「そんなものが実在していたとは…驚きなのデス…」

 

 

 

この二人は【月読調】と【暁切歌】。二人は響たち同様のシンフォギア装者。

今日はこのこともあり学校はお休みだ。

 

 

「なんてことだ…。こんなの、想定外だ…」

 

「想定できることではないと思いますが…」

 

 

その通り。

誰がこの世界で(カローラ)の守護霊に乗って交通事故に遭う人間などいるだろうか?

 

いるわけがない。

 

 

「彼の捜索は?」

 

「リディアンの生徒たちが見た先ほどのことの機密事項にして、書類を書いてもらっていると同時にやっています」

 

「そうか…」

 

 

「あの…」

 

 

 

そのとき、未来が弦十郎に問いかけた。

 

 

 

「あの人、大丈夫ですかね?」

 

「分からん…。大体、どこに吹っ飛ばされたのかすら不明な状態だ。一体、あの世界はなんなんだ…?」

 

 

ジャスタウェイ。FFR。守護霊。この世界じゃ絶対にありえないことを桂たちは何度もしでかしていた。

 

 

 

「メディアが桂くんのことについてが探っているという情報もあるし、これ以上彼をこの世界に干渉させたらなんらかの影響が出始めるだろう」

 

「トラブルしか呼ばない人…トラブルメーカー?」

 

「本当に迷惑なのデス!!」

 

「…………」

 

「未来君?桂くんのことが心配なのか?」

 

「はい……。事故に遭ったこともありますが、やっぱり響たちがどうしているのか…?」

 

「……………」

 

 

ちなみに、弦十郎はまだあの映像のことを未来に伝えていない。

彼女は民間協力者だが、そもそも親友の全裸姿が映し出されていたとなればどんな風になるか想像がつかない。

 

 

 

そのとき……。

 

 

 

 

 

「司令!!!」

 

 

 

 

一人の職員が勢いよく司令室に入ってきた。

 

 

 

「どうした!?」

 

「桂小太郎を見つけました!!」

 

「なんだと!!?」

 

 

 

 

その急な報告にざわつく司令室。

弦十郎は周りを落ち着かせ、その職員に話を聞く。

 

 

 

「それで、どこで見つかったんだ?」

 

「………言わなきゃ、ダメですか?」

 

「どうした?なにかあるのか?」

 

「………桂が見つかった場所は……―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――ここ、S.O.N.G本部の内部です」

 

 

「「「「「………は?」」」」」

 

 

 

 

あまりの衝撃的な内容に、再び硬直する一同。

そして、弦十郎が動く。

 

 

「待て。……頭が混乱しているが……。つまり、桂くんはここで見つかったということなのか?」

 

「…………はい」

 

 

 

沈黙が訪れる。

まさか、自分から逃げ出した場所にまた戻って来るとは思っていなかっただろう。

 

 

「どこにいる?」

 

「食堂です」

 

 

何故そんなところにいるのだろうか?

そんな疑問を一回振り払い、弦十郎たちは食堂へ向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、食堂の扉の前。

弦十郎は自動ドアの扉を開けた。

 

 

 

そこには…

 

 

 

 

「むッ!!!?貴様ら、何故ここに!!?」

 

 

 

 

そこには、エプロンをつけてなにかを鍋で煮込んでいる桂の姿があった。

桂は弦十郎たちの登場に心底驚いている様子だった。

 

 

 

「すまないが、それはこちらのセリフだ…。ここは俺たちの本部。昨日君がいたところだぞ」

 

「な、なんだとぉぉぉぉおおおお!!!!!???」

 

 

 

桂の驚きっぷりに、全員が思った。

「あ、これ気づいてなかったな」。と。

 

 

 

「自分が逃げた場所を忘れて、しかも自分から戻って来るとか…バカにもほどがあるデスよ」

 

「黙れ金髪の女子(おなご)!俺の勘が言っているぞ!!貴様だってバカだろう!!」

 

「なっ!?お前みたいな明らかなバカとそのバカの推測だけでアタシをバカ扱いするなデス!!」

 

「はッ!!小さいときパパから教わらなかったのか!?バカと言った方がバカだと!」

 

「それはお前も同じデス!!お前こそ、親に教わらなかったのデスか!?」

 

「……それで、貴様らは一体なにしにここへ?」

 

「話を聞けデス!!」

 

 

途中から完全に話を変えた桂。その表情に焦りは見られない。

切歌は調が落ち着かせた。

 

 

「それはこちらのセリフだ…。それに、何を作っているのだ?」

 

「豚汁だ。出汁が聞いてうまいぞ?せっかくだから食べていくか?」

 

「その食材、どうせ全部うちの食材じゃ…」

 

 

 

藤尭の言葉を無視して桂はお椀に豚汁をよそる。

さきほどまでの動揺がまるで嘘のように落ち着いている。

 

 

 

「ほら、食え」

 

人数分――8人分の豚汁を机に置いた桂。

 

 

 

「これ…一つ多くないか?」

 

「俺も食うからな」

 

「…そうか」

 

 

 

弦十郎はこうでもしないと話が進まないと思い、席に座った。それを見て次々に席に座っていく一同。

 

 

「いただきます」

 

 

いただきますをして、豚汁に手を付ける。

 

 

「デデェス!!?なんデスかこの豚汁は!?とてつもなくおいしいのデス!」

 

「確かに…なんだろう、これ?」

 

「本当だ…元気がでるよ」

 

「なにかしら?この味…?」

 

「今までこんな味、食べたことがない」

 

「これ、和食にも合いますよ」

 

 

桂が作った豚汁は絶賛されている。

皆が豚汁に浸っているが、弦十郎は桂に話がある。だから一口飲んだあと、桂に問いかける。

 

 

 

「桂君。君に聞きたいことがある」

 

「なんだ?俺に言えることないいぞ?」

 

「君は何故ここから逃亡したのだ?」

 

「……それを聞く前に、一つ確約してほしいことがある」

 

「なんだ?」

 

「俺がここの食材を勝手に使ったことはチャラにしてくれ」

 

「あ、ああ…そのくらいは別にいい」

 

 

予想の斜め上の確約に戸惑う弦十郎だったが、これくらいなら別になんの問題もない。

 

 

「すまないな。俺がここから逃げ出した理由は、この場所のことを知るためだ。訳も分からない場所に飛ばされたらまず、情報収集が大事だからな」

 

「それ以前にまずわからない場所に飛ばされたら困惑すると思うのですが…」

 

「それは三流のすることだ」

 

「桂君…。情報を収集したいのなら、俺たちが交換でしていたのだが…」

 

「よくよく考えてみろ。訳の分からない組織の場所にいたのだぞ?そいつらが信用できるかすら怪しい状況で、逃げるという選択肢が消えると思っているのか?」

 

「そうだったな…。君にとっては俺たちは不確定な存在だった」

 

 

弦十郎は桂に軽く頭を下げる。

 

 

「その通りだ。それにその体格、どこぞのゴリラを思い出させる」

 

「そのゴリラって…」

 

 

桂の言う『ゴリラ』は聞き覚えと見覚えがあった。

 

 

「近藤勲だ。どうせ貴様もあいつと同じようにストーカー行為や全裸で料理をしていたりしているんじゃないか?」

 

「ストーカー行為!?」

 

「全裸で料理!?」

 

「……桂さん。司令はそんなことをする人間ではありませよ。ただ体格などが似ているだけではないですか」

 

 

緒川が不満そうな顔で桂にそう言った。

弦十郎はS.O.N.Gの面々からの信頼は厚い。

 

だから、怒ってくれる人がいる。

 

 

「そうですよ。弦十郎さんはそんな人じゃありませんよ」

 

「その勲って奴がどれだけ最低なヤツかはわかりませんデスが」

 

「司令はそんなこと絶対にしない……」

 

 

 

「………そうか。すまなかったな。弦十郎殿。このように、人のために怒ってくれる人の上に立つ人間が、悪いヤツなわけがないからな」

 

 

桂が弦十郎を呼ぶ言い方が貴様、から【弦十郎殿】に変わった。

これは、桂が自分たちを信用してくれたのではないだろうか、という一種の希望を弦十郎は持った。

 

 

「…理解してくれて、感謝する」

 

「それはこちらも同じさ。最初会った時、俺は刀を弦十郎殿に向けた。そうしたにも関わらず、紳士的に対応してくれていたではないか」

 

 

 

さっきの緊迫したムードから一転、ほのぼのとした雰囲気になった。

 

 

 

「さて、まず俺のことについて話すとしよう。知っているようだが、俺の名前は【桂小太郎】だ」

 

「【風鳴弦十郎】だ。よろしく頼む」

 

 

二人は硬い握手をする。

 

 

「お互いの理解ができてよかったですね」

 

「桂くんが元の世界に戻れるよう、俺たちも精いっぱい協力しよう」

 

「………………」

 

 

だが、桂は気まずそうな顔をしていた。

 

 

「どうしたんだ?」

 

「いや……協力してくれるのはありがたいことこの上ないのだが…。一つ聞こう。何故弦十郎殿はそんな優しい性格をしておきながらこのような仕事をやり始めたのだ?」

 

 

全員の頭の上に?マークが浮かび上がる。

桂の質問の意図がわからない。

 

 

「どういうことだ?」

 

「弦十郎殿は寛大な男だ。もっとマシな職業に就けているはずだろう。だから、弦十郎殿がこの仕事をやっている意味が分からない」

 

「…すまないが、俺も君が何を言っているのかが、理解できていない。一体俺たちがなんの仕事をやっていると思っているんだ?」

 

 

「何って―――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――風俗店だろ?」

 

 

「「「………は?」」」

 

 

「「「「………………」」」」

 

 

 

「あの龍と狐の天人が言っていたぞ。あの信号機色の三人トリオは風俗店の看板娘だと」

 

 

急な意味不明な桂の言葉に、素っ頓狂な声を出す三人。

そして、四人は思い出した。

 

あの龍と狐が、桂に三人のことをなんと言ったのか……

 

 

 

 

『あの子たちは………風俗店の看板娘さんですから』

 

 

 

 

そう。こういったのだ。

桂の勘違いは―――勘違いと言うより、あの二人の策略だったかも―――は続いていた。

 

 

 

 

この後、桂の知識の訂正、そしてそのことについて未来からすごい勢いで来る質問に、苦労する一同であった。

 

 

 

 

 

 



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そのころ、シンフォギア世界では……3 前半

久しぶりに投稿したなぁ…。

でも、文字数が多すぎて、前半と後半に分けましたんで、そこらへんお願いします。


前回、桂と和解したS.O.N.Gの面々は食堂で話し合っていた。

 

 

 

「なるほど…つまり、あの天人たちは嘘をついていたと…」

 

「そういう訳だ」

 

 

シンフォギア装者を今まで彼らのせいで風俗店の店員としてしか考えてなかった桂。

 

 

「では、彼女らは一体なんなのだ?」

 

「む……。これはこの世界では最高機密に当たることだ。だが、今はこれは君らの世界も関係していることになる。特別に、この世界の住人には、もちろん、君の世界の住人にも話さないと約束するならば、話そう」

 

「司令!いいんですか!?」

 

「言っただろう。これは桂君の世界も関係しているのだ。少しでも情報を共有した方がいい」

 

「…なるほど。では聞かせてもらうか。弦十郎殿」

 

「分かった」

 

 

それから弦十郎は桂にシンフォギアやノイズのことを説明した。

 

 

「なるほど…。人を炭に変える怪物、ノイズ。そしてそれに唯一対抗できる存在、それがあの女子が纏っていたものか…。てっきり、プ○キュアの恰好がさらにいやらしくなったものかと思っていた」

 

「決して!!響たちはそんなのじゃありませんから!」

 

 

さきほどの話を聞いて一度精神的に来て気絶していた未来がようやく復活した。

 

 

「調…結局風俗店とは一体なんなのデスか?」

 

「切ちゃんは知らなくていいよ」

 

「デェス…」

 

「金髪の女子。風俗店と言うのはな「言うな!」ゲフゥ!」

 

 

無垢な切歌にそういうことを教えたくない調は教えようとした桂に鉄拳を喰らわせた。

 

 

「な、なにをするのだ!?」

 

「そういうのは教えなくていいから」

 

「そうか…。だが今のは痛かったぞ!」

 

「それはごめん」

 

「ならば許そう」

 

「軽いな…」

 

 

桂は再び席に座り、話を続ける。

 

 

「悪いが、そんな怪物のことは見たことも聞いたこともないな」

 

「そうか…。だが、まだ出現していない可能性はある」

 

「なるほど。では弦十郎殿。なにかあったら俺に言ってくれ。できる限り、力になろう」

 

「感謝する」

 

 

二人の話が終わると―――

 

 

「あの、少しいいですか?」

 

 

緒川が桂に質問をした。

 

 

「なんだ?えーと…忍者殿」

 

「緒川です。実は、さっきあなたが使っていた出汁のことを聞きたいのですが…」

 

「あぁ!確かに、あれ、すごく気になりますよね」

 

「確かに…。あんな味、今まで食べたことなかったわよね」

 

「とっても美味しかったのデス!」

 

「ぜひ教えてほしい…。できるのならそれを使って今度皆にみそ汁を作ってあげたい…」

 

「じゃあ私は響になにか作ってあげようかな?」

 

「あの出汁のことか?まぁ、別に隠す必要などないからな」

 

 

そういい桂は鍋の方へと向かって行った。

そして、お玉ですくい上げたのは…

 

 

 

「「「「「「「え?」」」」」」」

 

 

 

皆、頭が空に―――思考が停止した。

とくに弦十郎がそうなっていることに驚きだろう。

 

なにせ、桂がお玉で取った物は…

 

 

 

 

 

 

 

「この、【ジャスタウェイ】だ」

 

 

 

 

 

 

 

それは、あのとき爆発物として画面に映し出されていたものだったから…。

それに一番に反応したのは…

 

 

 

「「うわぁあああああああ!!!!」」

 

 

 

藤尭と友里だ。

 

二人はすぐさまトイレに向かおうとするが…。

 

 

「ちょ!?藤尭さん!?」

 

「あおいさんも!どうしたんですか!?」

 

 

切歌と調が二人を止める。いや、止めてしまった。

 

 

「切歌ちゃん離してくれ!」

 

「すぐに食べたものを吐き出さないと!」

 

「いったいなにがどうなってるんデスか!?」

 

「どうしてそんなに焦ってるの?」

 

「二人は知らないだろうけど!」

 

「あれは……」

 

 

「「爆発物だ/よ!!」」

 

 

 

「「「…え?」」」

 

 

二人の回答に、三人は再び思考が停止した。

 

そして、真っ先に動いたのは未来だった。

 

 

「ちょっと桂さん!?どういうことですか!?爆発物って!?」

 

「ん?その通りだぞ?ジャスタウェイは爆発するが「なんてものを食べさせたんですか!」」

 

 

未来は桂の襟を掴む。

 

 

「安心しろ女子よ。命の危険はない。それに俺の世界じゃ、一家に一個、ジャスタウェイと言われているぞ?」

 

「なんで爆発物が一家に一個あるんですか!?」

 

「いや、実際市販されているぞ?」

 

「爆発物が市販されてるってどういうことですか!?大丈夫なんですかその世界!?」

 

「あれ?でもあの時、沖田って言う男の人、結構驚いてましたよね?市販されているのなら、どうしてあんなに驚いていたんですか?」

 

「それもそうだな。それにあの男性も、あれを渡したらあの狐と龍たちを見逃していた。市販されているのなら交渉材料としては意味をなさないと思うのだが…」

 

 

ちなみに、緒川と弦十郎は平然としていた。

 

 

「ちょ!緒川さん!弦十郎さん!どうしてあなたたちそんなに平気なんですか!?爆発物の出汁を飲まされたっていうのに!?」

 

「いや…普通に考えてみれば、爆発物の出汁を飲んだところで体内で爆発するワケでもない。それに桂くんだって同じものを口に入れていたじゃないか。つまりは本人が安全を保障しているからこそできる芸当だと思ってな」

 

「だからって…」

 

「流石は弦十郎殿だ。ついでに緒川殿も」

 

「ついで…」

 

「ちなみに、今の疑問だが、従来のジャスタウェイは、手が下に下がっているのだが、あの映像のジャスタウェイは手が上に上がっていただろう?」

 

「そういえば…そんな気も…」

 

「そこまで目は言ってはいなかったが、一応録画している映像があるので、それさえ見れば…」

 

「実は、その形違いのジャスタウェイは、従来のジャスタウェイの出汁より、さらに濃厚で旨味成分であるグルタミン酸がかつおだしや昆布だしの数億倍取れる世界でたった10個しか販売されていない長希少品だ」

 

「10個!?」

 

「なるほど…。道理で」

 

「グルタミン酸が数億倍って…どんな美味になるんでしょうね?」

 

「噂じゃ、ある人物がその出汁でできた蕎麦つゆを飲んだ瞬間、あまりの旨さに服が一瞬にして弾け飛んだらしい」

 

「どんな味だよ!?ていうか食べたら服が弾け飛ぶってどういう節理!?どこの漫画だよ!?」

 

 

今まで沈黙していた藤尭がツッコんだ、

ちなみに、あまりの旨さに服が弾け飛ぶネタは【食○のソーマ】である。

 

 

 

「あまりのおいしさに服が弾け飛んだ…。どんな味なのデしょうか?食べてみたいデス」

 

「切ちゃん…。食べれば全裸になっちゃうんだよ?」

 

「しかも、その旨さにより服だけではなく、体の不純物が一掃されたらしい」

 

「それもう食べ物じゃないだろ!?」

 

「しかもその不純物の中に体毛が含まれていてな…。産毛や腋毛、すね毛、しかも髪の毛までもが一掃されてしまってな」

 

「それ…一時の幸せと引き換えに永遠の地獄を味わう(たぐい)のものじゃないのか?」

 

「あぁ…あの時は大変だった。おかげで服を新調しなくてはならなかったぞ」

 

「いやそれあんたの話だったんかい!!」

 

 

まさかの噂の人物が桂本人だった。

噂と言うより体験談だった。

 

それには全員がズッコケた。

 

 

「た、体験談だったとは…」

 

「じゃあ、なんで髪の毛があるんですか…?」

 

「いやぁ、さすがに毛根までは消滅していなかったので、なんとか生えてきた次第だ。服の件で幾松(いくまつ)殿に迷惑をかけてしまった」

 

「幾松?」

 

「あぁ。ラーメン屋の店主でな。そこの蕎麦はうまいのだ」

 

「なんでラーメン屋で蕎麦食ってんだよ!?ていうかそこの店主もよく作ってくれたな蕎麦!」

 

「かなり面識があるからな」

 

 

藤尭と桂のボケとツッコミを一同が見ている中――

 

 

 

「む?通信が入った」

 

 

 

弦十郎の無線機に通信が入った。

相手は同じにS.O.N.Gの職員。

 

 

「どうした?」

 

『司令。例の映像が再び流れ始めました』

 

 

その言葉を聞き驚愕する一同。

 

 

「それは本当か!?」

 

『はい!』

 

「そうと決まれば」

 

「早速司令室にゴーなのデス!」

 

 

 

 

皆は急いで走り、司令室へと到着する。

 

 

 

『第三話。四人目の装者現り、交通事故に遭う………でしたが』

 

 

「「「「「「「「???」」」」」」」」」

 

 

『やっぱ延期して、違うヤツやりま~す』

 

 

「ええぇえ!!??」

 

 

 

まさかの趣旨変更に驚愕する一同。

もしこれが本物のアニメなどだったら炎上ものだっただろう。

 

 

『それでは、どうぞ』

 

 

そうして映し出されたのは乱闘中の映像だった。

 

 

 

『そこを、通せぇぇえええええ!!』

 

『『『『うわぁああああああ!!!!』』』』

 

 

 

響の拳から生まれた風が竜巻となり、隊士たちを一掃していく。

 

 

 

「あれ!?これ前回の続きじゃん!」

 

「響先輩!?」

 

「人を攻撃している…!?」

 

「響!?」

 

 

三人は響が人を攻撃している状況に、戸惑いを隠せなかった。

 

 

「どうして響が…!?」

 

「さっき言った通りだ。沖田と言う男性が響君たちの―――ッ、素肌を連写しまっくってな」

 

 

弦十郎は一瞬ためらったが、もう言ってしまった以上、隠す必要などない。

ちなみに、これを聞いたとき未来は暴走した、が、なんとか収められた。

 

 

「最低…」

 

「その沖田ってヤツ、許せないのデス!」

 

「じゃあ、今響たちが他の人を攻撃しているのは…」

 

「先ほど言った通り、その写真が入ったメモリーを山崎と言う男が沖田と言う男の命令でコンビニのコピー機に持って行ってしまったらしい」

 

「………」

 

「だが、直で攻撃しているワケではないぞ」

 

 

弦十郎が話している間にも、翼やクリスも映っていた。

三人とも、共通点があるとすれば、最低限、人を傷付けないようにしていた。

 

先ほどの響の様に攻撃の際の風圧や爆風を用いて戦っている。

 

 

「人を守るシンフォギア装者として、人を傷付けるのはご法度だが、理由が理由だからな…。俺にはなにも言えない」

 

「ですよね…」

 

 

そして、そのとき…

 

 

 

『おぉおぉ、いい感じになってきたじゃねぇか』

 

『バカ言ってんじゃねぇよ。俺らのシマで暴れるヤツぁ、容赦しねぇよ』

 

 

 

そう、沖田と土方だ。

 

 

 

『沖田!!』

 

 

クリスが叫ぶ。

 

 

『貴様ぁ!よくもやってくれたな!』

 

『え?なんのことだっけ?』

 

『惚けるな貴様ぁ!私たちの裸の写真を撮って挙句の果てにそれを売って商売しようというゲスがぁ!!』

 

 

翼の叫びに、隊士たちや土方の目が、沖田に集中する。

 

 

『おま…ッ!なにやってんだ!?』

 

『いやですね土方さん。俺がそんなことをやると思いますか?』

 

『いや、やる予感しかしねぇよ。ていうかやるだろ』

 

『いえいえ、流石にそれは犯罪なんでやりやせん。ただやるとしたら土方さんの【ピ――――】や【ピ―――――】を撮って拡大コピーして女子高の門に貼り付けまさぁ』

 

『てめぇこの野郎!!!』

 

 

土方は沖田の襟を掴む。

 

 

『信じてください土方さん…。俺は、わいせつ物陳列罪で捕まった変態より、土方さんを社会的に抹殺することしか考えてやせん』

 

『なにも信用できねぇよ!!!』

 

『私たち変態じゃありません!!』

 

『ていうか捕まえたのはお前だろうがぁあああああ!!』

 

 

クリスは怒りのあまりミサイルを沖田に向かって発射した

 

 

『なッ!?』

 

『クリスちゃん!?』

 

 

「なにッ!?」

 

 

 

流石にこれは弦十郎ですら驚いている。

生身の―――刀を持っているが、それだけ―――人間にミサイルを撃ったからだ。

確実に殺意が籠った一撃だった。

 

 

 

『はぁ…。いきなり撃ってくんじゃねぇよ!ロリ巨乳!!』

 

 

 

沖田は、迫りくるミサイルを一刀両断した。

 

文字通り、ミサイルは真っ二つになり、爆発する。

 

 

『『『えぇぇええええええええ!!!!????』』』

 

「「「えぇええええええ!!!!???」」」

 

 

まさかの刀でミサイルを真っ二つにしたことにより、驚愕する一同。

 

 

『嘘だろ!?どんなイカサマだよ!?』

 

『イカサマもクソもねぇよ。ただ、斬っただけだ』

 

 

あまりにも衝撃な展開に、ポカーンとなっている現実。

その時…

 

 

『いやぁ…ミサイル撃った時はビックリしましたね』

 

『でも、気持ちは分からなくもないんだよな。だって…』

 

 

そのとき、過去映像が入る。

その映像は驚愕的だった。

 

 

 

沖田のカメラによってクリスの【ピ―――】が激写された場面。

※モザイクあり(大事な部分だけ)

 

 

 

『沖田さんに【ピ―――】を激写されたんだから』

 

 

 

あのとき、出されていなかった映像。

大事なところだけが隠された映像に、固まる司令室。

 

そして…

 

 

「みみみ、見ちゃだめぇえええええええ!!!」

 

 

 

未来の大声で、周りの男たちはようやく脳が追いつき、顔を逸らす。

 

 

 

「な、なんてものを…!!?////」

 

「こ、これはさすがに…」

 

「ヤバイの一言なのデス」

 

 

 

映像は戻る。

 

 

 

「もう戻しても大丈夫ですよ」

 

「すまないな。突然のことで、脳が反応しきれなかった」

 

「僕もです…」

 

「俺も…」

 

「情報処理に長けている藤尭君がそうなるほど、あの映像は突然すぎたってことね…」

 

 

 

『だったらこっちだって!!殺す気でやってやらぁあああああ!!!!』

 

 

クリスはついにキレ、ガトリングガンを沖田に向けてぶっ放す。

 

 

『甘ぇ!!』

 

 

だが、沖田はそのすべてを刀で弾き、受けとめ、斬る。

 

 

『雪音!!私も加勢し『させねぇよ!』ッ!!?』

 

 

翼に、土方の刀が襲う。

 

 

『おめぇの相手は俺だ』

 

『貴様に用はない!変態め!!』

 

『誰が変態だこの野郎!!』

 

 

二人の剣と刀がぶつかり合う。

機能的な差では翼が圧倒的に勝っているのだが…

 

 

 

『なに!?』

 

『うらぁ!!!』

 

 

 

力で、完全に押し負けていた。

 

 

 

「翼が押し負けているな」

 

「翼さんが!?」

 

「あぁ、圧倒的だ」

 

 

『翼さん!私も加勢し『『『『『させるかぁ!!』』』』』あわわわわ!!』

 

 

 

響は翼を加勢しようとするが、隊士たちがそれを邪魔する。

 

 

 

『喰らえぇ!!』

 

『なッ!?』

 

 

土方の剣技に圧倒され、体制を崩す翼。

その隙を狙われ、翼の腹に刀の頭が突き刺さり、翼は地面にひれ伏す。

 

 

 

『ぐぅ…ッ!!』

 

『重要参考人だ。殺しはしねぇよ』

 

『先輩!!』

 

『お前ぇの相手は俺だよ!』

 

『しまった!!?』

 

 

翼に気を取られたクリスはその隙を突かれ、沖田の接近を許してしまった。

沖田は刀でクリスのガトリングを真っ二つに斬ったあと、足で地面に体を叩きつける。

 

 

『ぐはぁ!!』

 

『おっと!すまねぇ。手でやるつもりが、足でやっちまったぜ』

 

『絶対…わざとだろ…』

 

 

『翼さん!クリスちゃん!!』

 

 

 

もう二人が捕まってしまい、困惑を隠せない響。

 

 

『さて』

 

『残るは』

 

『お前』

 

『『『『『一人だけだぁぁああああああああ!!!!』』』』』

 

 

隊士たちが、響を一斉に襲う!!

 

 

 

『うぎゃあああああああああああ!!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前たち!女に大勢で挑むとは、なにをしているんだ!!」

 

 

 

 

そこへ、威厳ある声が、隊士たちを静まり返らせた。

 

 

 

全員が、その声の聞こえる場所へと顔を向けた。

 

 

 

「よかった…」

 

「闘いが止まった」

 

「これで一件落着デェス!!」

 

「いいや、まだそうと決まったわけではないぞ」

 

 

 

 

『この声は…』

 

『近藤さん…?』

 

 

 

 

そう、その声の主近藤勇の声が聞こえた方向に、誰もがそこを向く。

そして、彼は現れた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全裸で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『は???』』』』』

 

「「「「「え???」」」」」

 

 

 

大事なところはモザイクが掛かっているが、響たちにはばっちりと見えているだろう。

 

 

 

『全く!少しは落ち着かんか!』

 

 

 

そして…

 

 

 

 

 

『お前が落ち着けぇえええええええええ!!!!!!!(服装的に)』

 

 

 

 

 

土方が、バズーカ片手に、近藤を攻撃した。

 

 

 

『うぎゃぁああああああ!!!』

 

 

近藤は地面にひれ伏す。全裸で

 

 

『な、なにするんだトシ!?』

 

『それはこっちのセリフだこらぁ!!なんで全裸なんだよ!?』

 

『だって!そこの女の子たちに攻撃されて服が燃えきったんだよ!』

 

『はぁ!?』

 

『嘘つくなぁ!私たちと始めに会ったころすでに全裸だっただろう!!』

 

『あの攻撃で俺の服をしまってる場所が焼けたんだよ!!』

 

『……それは…悪かったと思うが…せめてなにか巻いてくるくらいしてこい!!』

 

『それはすまん。ついいつものクセで…』

 

『いつも!?』

 

 

土方から離れた翼が、ツッコんでいる。

 

 

「変態…」

 

「死ねばいいのに…」

 

「最低デェス」

 

 

近藤は女性陣からはかなり底辺評価を受けていた。

 

 

 

 

『だってだって!開放的な気分でいたいときあるじゃん!なにもかもを捨ててヒャッハーしたいときあるじゃん!』

 

『だとしても周りの迷惑を考えろ!!』

 

 

 

二人の漫才が始まろうとしたその時…。

 

 

終わりの鐘がなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『沖田隊長!!言われたこと、きちんとやってきましたよ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう、この修羅場を作った間接的な原因、山崎退が…。

 

その瞬間、三人の目が光る。

先に動いたのは響だ。

 

 

『捕まえたぁああああああ!!!』

 

『えッ!?なに!?』

 

 

 

響は山崎を捕まえた。

 

 

『あの写真のメモリーはどうしたんですか!?』

 

『いてててて!!何のこと!!?』

 

『惚けないでください!私たちのあの写真!コンビニのコピー機で複製してきたんでしょ!?』

 

『え!?そんなことしてないよ!俺はただ沖田隊長の命令を受けて手紙を届けに…』

 

『へ?手紙?』

 

『そうそう!!あの写真の事に関しては俺なにもしてないよ!!』

 

 

三人は、沖田の方を見る。

沖田はその視線を見た後…。ニヒッ、と笑った。

 

 

それで、三人はようやく理解する。

 

 

「騙された」と。

 

 

 

そして…。

 

 

――ガチャ――

 

 

 

『え?』

 

 

 

響たちの手に手錠がかけられる。

 

 

 

『ようやく捕まえた。しばらく反省しているんだな』

 

 

 

このあと、響たちは牢屋に連れていかれた。

 

 

そして、山崎は…。

 

 

 

 

『おい、山崎…』

 

『へ?』

 

『こちとらお前のせいでかなり苦労したんだぞ?その分のお礼…しっかりしないとな…』

 

『いやあれは完全に沖田さんが悪「問答無用!」ぎゃぁあああああああ!!!!』

 

 

山崎は、他の隊士たちにコテンパンにされましたとさ。

 

 

 

 

 

『ここで一旦コマーシャル』

 

 

 

 

龍の声が聞こえ、謎のCMが流れる。

 

 

 

「「「「「「………………」」」」」

 

 

 

 

これを見て、全員がこう思った。

 

 

 

 

「これまで、全部沖田が悪い」と。

 

 

 

 

 

 




Q.そういえばエルフナインはどうしたの?

A.教育的にも悪いので、研究室に移動させています。
映像が流れていないときは指令室にいますが、流れれば即座に退場。

Q.桂が途中から出てきてませんけど?

A.それは後編で分かります。


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そのころ、シンフォギア世界では……3 後編

前回、装者たちが捕まったところで終わる。

 

 

「さて…今はCM中だ。……感想を聞きたい」

 

 

弦十郎は、調と切歌の方を向く。

今の現状で唯一、ギャラルホルンであの世界に移動できる二人だ。

 

 

「すぐにでも、響さんたちを助けに行きたいデス!」

 

「でも、それができればどれほどいいものか…」

 

「そうだな…。こちらを手薄にする訳にも行くまい」

 

 

装者全員を平行世界に行かせた場合、こちらでアルカ・ノイズが現れると、対抗する手段がなくなってしまう。

 

 

「あの、私じゃダメでしょうか?」

 

 

未来がそういうが…

 

 

「駄目だ。君が神獣鏡のファウストローブを使えるとしても、民間協力者の未来くんには―――」

 

「平行世界だったら何度だって言ったことがあります!問題ありません!それに、響のためならどんなところにだって!」

 

「……」

 

 

弦十郎は黙る。

なにせ、今回の世界はなにかと危険が多い。それに、女性としての尊厳がいろいろと失いかねない世界。

しかし、本人の意見を無視するワケにもいかない。

 

 

 

「弦十郎さん!」

 

「……………」

 

 

 

未来は、本気だ。だからこそ、どうすればいいのか弦十郎にはわからない。

だが―――――

 

 

 

『はぁ〜……いつまでここにいればいいんだろ…』

 

 

 

突如響いた響の声。

それを聞いて、全員が画面の方を向く。

 

 

『そう言うな立花……仕方ないだろう』

 

『はぁ…こんな鉄格子壊せたら楽なんだけどなぁ~』

 

 

 

「始まったか!」

 

 

 

ナレーション『装者たちは捕まり、ここ数日間、檻に入れられていた』

 

 

「ナレーションが入りましたよ…」

 

「妙に律儀ですね…」

 

 

ナレーション『沖田総悟の策略―――悪ふざけに完全にハマった彼女らに掛けられる言葉は、哀れ。それしか言いようがない』

 

 

「酷ェデス…」

 

「悪いのはあの男なのに…」

 

 

 

『元はと言えば、全部あのクソ野郎のせいだッ!!』

 

『あの男……今度会ったら斬り刻むッ!!』

 

 

 

ナレーション『二人は完全にご立腹だった。なにせそうだろう。あそこまでやられたのだから』

 

 

『あの男…取り調べのときなんと言ったと思うッ!?』

 

 

ここで、回想が入る。

 

 

『で、お前等って結局なんなの?』

 

『私たちは…こことは違う世界。平行世界からやってきた』

 

『並行世界?』

 

『そうだ。私たちはこの世界の異変を解決するために違う世界から来たのだ』

 

『はいよ、ええっと……重度の厨二病っと……』

 

『おいッ!!』

 

『いやいや、違う世界って。今時そんな冗談通用しないから。ほら、さっさと出身の惑星言いなよ。子供でもできることだぞ?』

 

『いや、私たちの故郷は地球――』

 

『はいはい。もういいから』

 

『話を最後まで聞け!』

 

 

翼は立ちあがるが、周りの隊士たちに剣を向けられ、おとなしく座る。

 

 

『お前に選択権なんてないから。素直には吐いちゃいなよ』

 

『くッ!外道め…!』

 

『正道?いやぁ~照れるねぇ。正しい道を進んでいるって言ってくれるなんて』

 

『―――ッ!』

 

 

翼は歯ぎしりをする。

 

 

『あ、そうだ。お前、ちょっと例のセット持ってきて』

 

 

隊士の1人が部屋を出る。

 

 

 

「翼…」

 

「先輩…」

 

「翼さん…」

 

「あの最低野郎!絶テェ許さねぇのデス!」

 

 

『なにを…する気だ?』

 

『見りゃわかるよ。お、来た来た』

 

 

隊士が持ってきたのは、何かの箱だ。

 

 

『なんだ、それは?』

 

『よし、とりあえず…』

 

 

沖田は、その箱からある物を取り出した。

 

 

 

『………?』

 

 

 

翼はそれを見て、困惑の顔を見せた。

 

実際、見ている皆も同じ顔をしていた。

 

 

「あれって…?」

 

「ラジカセ…?」

 

 

そう、沖田が取り出したのは、ラジカセだ。

 

沖田は今の服を脱ぎ捨てると、一瞬にしてラッパーの姿になった。

 

 

 

『!!?』

 

「「「「「!!!??」」」」」

 

 

 

今から、なにが始まるのか、用意に想像できた。

だからこそ、どうしてそれが始まるのか、全く理解できなかった。

 

 

 

『YO!YO!start!』

 

 

そして、なぜかミラーボールが展開される。

そして、それすら周りの隊士たちは無視をしている。

 

 

『何故取調室にミラーボールが!?それに何故他のヤツ等は何事もないようにしているのだ!!?』

 

『さぁさぁ始まるお前のディスり!準備はOK!?』

 

『いやダメに決まって――

 

 

『YO!YO!YO!YO!お前の頭は固いなキューブ!』*1

 

 

『なッ!?』

 

『お前の頭は大丈夫!?Hey!』

 

『見てみよあんたの頭の細部!』

 

『わかったお前の頭の全部!』

 

『お前の頭は、不丈夫*2!』

 

『対して俺らの頭は丈夫!』

 

『そして小さいお前の胸部!』

 

『今なら訂正お前のアドリブ*3!』*4

 

『ほらほら次はお前のウェーブ*5!』

 

『イェヤァ……』

 

 

 

ラップが終わったあとのその場…静寂に包まれていた。

 

 

 

『……………』

 

「「「「「…………………」」」」」

 

 

 

ナレーション『沖田のディスりラップが、取調室と司令室を、静寂に包まらせた…』

 

 

 

「なんで俺らのこと予知できてんだよ?」

 

「最初から予想していたんじゃない…?」

 

 

 

『貴様…!』

 

『あん?』

 

 

『貴様ぁ!どさくさに紛れて私の胸をディスったなぁぁぁああ!!』

 

 

「「「「「そこ/デスか/かッ!?」」」」」

 

 

翼はものすごい勢いで立つが、隊士たちに止められる。

 

 

『へッ!貧乳が!ほかのヤツと3cmと9cm違うだけでキレてんじゃねぇよ』

 

『何故立花たちのバストサイズを知っているんだ!?』

 

 

「まさか…測られた!?」

 

「寝ている隙に…」

 

「ウワァ…」

 

 

切歌はすでに語尾のデスをつけることすら忘れているほど引いていた。

だが、答えは―――

 

 

『いやぁ、ちょっとあるヤツが俺にその情報をくれてなぁ』

 

『誰だそいつはぁ!!?』

 

 

そのとき、画面に編集の力で龍と狐が画面に映る。

そして…

 

 

『『僕たちが渡しました』』

 

 

「お前等かあぁあああいぃい!!!」

 

 

藤尭のツッコミが炸裂する。

 

 

「ていうかなんで響ちゃんたちのバストサイズをあいつらが知ってるのよ!?

 

 

友里さんの言葉に…

 

 

『いえいえ、バストサイズだけじゃなく、ウエストもヒップも調べてありますよ』

 

「なぁこれ本当に編集済みの映像か!?なんで友里さんの疑問に当然のように答えてるんだよ!?」

 

 

 

取調室が錯乱とする中、回想が終了する。

 

 

 

『…先輩、なに泣いてるんだ?』

 

『いや、すまない…。取り調べのことを思い出すと、思わず涙が…』

 

『なにされたんですか!?』

 

 

 

そして、皆の相談が続いたとき…

 

 

 

「3人とも、食事を持ってきたよ」

 

 

 

傷だらけの山崎が三人の食事を持ってきた。

 

 

 

『ありがとうございます!!』

 

『あの中であなたはマトモそうだからな。マトモな人間がいれば、幾分か心が落ち着く』

 

『そう言ってくれると俺も嬉しいよ』

 

『ところで、怪我の方は大丈夫ですか?』

 

『あぁ。ホント沖田隊長には困ったものだよ』

 

 

『にしても、なんだよあいつッ!?ミサイル真っ二つにするとかありえねぇだろッ!?』

 

 

『まぁ沖田隊長の剣の腕に関してはとても真似できるものではないよ』

 

『あの男もそうだが、あの変態男もなかなかの太刀捌きだった………』

 

『変態男って、誰のこと言ってるの?』

 

『あの土方と言う男です。あの男から私たちを、その……視姦をしていたと……』

 

『視姦?あの規律を重んじる副長がそんなことするわけないけど……』

 

『ですが、あの沖田と言う男が……待て、あの男の言うことが信じられなくなっている……』

 

『まぁ、沖田隊長は屈指のドSですからね』

 

『ドS……。そういえば、土方がサディスティック星の王子、と言っていたが……』

 

『まぁそんな星あるわけじゃないけど、実際そのレベルなんだよなぁ……』

 

『話を戻すが、やはり土方はとてつもない剣の腕だ。私でも捉えるのが精いっぱいだった』

 

『まぁそうでしょうね。ですけど、やはりこの真選組の中で一番剣の腕が立つと言ったら、やはり局長だろうね』

 

 

そのとき、さきほどの全裸仁王立ちの姿が、回想で映し出されていた。

 

そのとき女性陣は一気に目を隠す。

 

 

『はぁッ!?あの変態がッ!?』

 

『私も流石にあれは……』

 

 

 

これには皆も驚いていた。

あの変態が、この中で一番強いというのだから。

 

 

「あんな全裸野郎が強いとか…ありえなすぎるのデス」

 

「切ちゃん…人は見た目によらない…。あんな恥部丸出し変態野郎でも、意外と強いのかもよ」

 

「デデェス!?調の口が悪くなってしまったのデス!」

 

 

そう言っている間にも、会話は続く。

 

 

『あの人は普段はああだけど、隊士皆が局長を尊敬しているんだ。あの人がいなけりゃ、今の俺たちはいないからね』

 

『本当にそうなんですか……?』

 

『まぁ、君たちからしたらそうだろうね。ちなみに、沖田隊長が副長の命を狙っている理由があるんだ』

 

『あれ、理由があるんですかッ!?』

 

『明らかに面白半分……いや、もう完全に面白がってやってるだろッ!?』

 

『ところがどっこい。違うんだな。沖田隊長も、副長も皆局長を尊敬している。沖田隊長は、どうしても局長の隣にいたいんだ。だから、そのためには副長が邪魔なんだよ』

 

『……あの男にも、人情があったのだな……』

 

『……尊敬する人の隣にいたい気持ちは何となくわかりますけど……でも、命を奪っていい理由にはならないと思います』

 

『ははは、そんなまともな回答を聞いたのは久しぶりかな。でも、ここはそんな綺麗事で通じる世界じゃないんだ。過激派組織【攘夷志士】もいるし、そいつらが江戸の平穏を脅かすのから、そいつらを斬って止めるのが俺たちの仕事だからね』

 

『その人たちと、話し合えないんですか?私たちは同じ言葉が話せる人間だから、きっと話し合えば分かり合えるはずです』

 

『……話し合いで解決できるほど、ここは優しくないんだ。それに……君たちの話、俺は信じてるよ。君たちは嘘をつけるような人間じゃないことも、俺は分かる』

 

『山z―――』

 

 

~ザ・ワー○ド~

 

 

 

「「「「「!!!???」」」」」

 

 

 

突如、止まったと思えば、謎の文字が登場した。

そして…。

 

 

『は~い。ちょっとストップね』

 

 

画面に狐と龍が現れる。

 

 

『いやぁ~いい感じだねぇ』

 

『そうだねぇ』

 

 

「…雑談なんていいから、さっさと続き見せろデス」

 

 

『さて、さっさと言うこと言って終わりましょう。誰かに視聴者さんに怒られちゃうからね』

 

『そうそう。特に切ちゃん辺りに』

 

「これ本当はリアルタイム映像なんじゃないのか!?」

 

 

藤尭のツッコミが入ったが、無視だ。

 

 

『俺から言いたいことはただ一つ。調子に乗るなよ、山崎』

 

『そうそう、山崎のクセに』

 

 

そう言って、時が戻る。

 

 

「「「「「………………」」」」」

 

 

『akiさん…………』

 

『だからこそ、そんな綺麗な心を持っている君たちにはここは過酷な世界だ。君たちの世界がどれほど平穏なのかわからないけど、そんな綺麗事は通じない。それを肝に銘じておいてくれ』

 

 

 

~ザ・ワー○ド~

 

 

「またかよッ!?」

 

 

『だからアンパンのクセにカッコいいこと言うなよ』

 

『ほんと、バトミントンのクセに』

 

 

「山崎さんって人…すっごいボロクソ言われてますね…」

 

 

山崎に、未来の同情の視線が突き刺さる。

 

 

『さて、俺はそろそろ行くよ』

 

 

 

「………」

 

 

このとき、弦十郎は山崎の言葉に、感動していた。

彼女らに対したら、きつい言葉かもしれない。だが、そこにフォローを入れて彼女たちの心に衝撃と安らぎを与えていた。

 

 

「彼は…すごいな」

 

「え?」

 

「彼は俺たちに似ている気がする。過酷な環境にいれば、自然と人は、曲がってしまうものだ。それを自覚しているというのが、とても素晴らしいことだと俺は思っている」

 

「司令…」

 

「それに、さきほど狐と龍が言ったことだが、カッコいいかっこ悪いではなく、子供が不安になっているときに、手を差し伸べてくれる誰かがいることは、0と1ほど違う。彼は、そんな1になってくれている。彼に、感謝しなくてはな」

 

 

 

 

『さてと………』

 

『『『???』』』

 

 

 

『そこのてめぇらッ!!さっきからコソコソコソコソ全部聞こえてんだよッ!!いいだろ別に地味キャラがカッコいいこと言ってもッ!!お前らは俺を雑に扱うのがそんなに楽しいのかぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』

 

 

 

カメラ方面に、山崎が鬼の形相で走ってくる。

 

 

 

『嘘だろおい!?なんでザ・ワー○ドの中の――時が止まった状態での声が聞こえてるんだよ!?』

 

『知らねぇよ!!とにかく逃げるぞ!でないとアンコまみれにされるぅぅうううう!』

 

『待てやてめぇら!!!アンパンの刑に処してやるぅぅううう!!』

 

 

 

『『『『『ぎゃあぁあああああああ!!!!』』』』』

 

 

 

 

 

~数日後~

 

 

 

 

『さて、まず響君だったかな?』

 

『は、はいッ!!』

 

『君は終が担当することになる』

 

『分かりましたッ!!よろしくお願いします終さんッ!』

 

『Z~~Z~~』

 

 

『おい茶髪。終兄さんはまだ寝てるから静かにしてろぃ』

 

『す、すみません……』

 

 

 

「あれ?なんかすごく飛ばされてない?」

 

 

 

次の画面が、かなり省略されていた。

 

 

 

ナレーション『哀れな藤尭にご説明しましょう』

 

 

「なぁこれやっぱりリアルタイムの映像じゃないのか!?それと哀れって言うなよ!」

 

 

ナレーション『今までの内容を簡単にご説明いたします』

 

 

 

そうして、ナレーションは語った。

三人がここ、真選組屯所で滞在することを許されたこと。

こちらの世界での問題が終わるまで、この世界の政府――幕府が三人を返すつもりがないことを。

そして、今彼女たちの監視を担当する紹介をしていることを。

 

 

「返すつもりはない、か…」

 

「では、一刻も早く翼さんたちが平行世界の異常を解決しないと戻れないということですか…」

 

「響たち、ちゃんと帰れるかな…?」

 

「大丈夫だ。きっと、翼たちなら問題ないだろう」

 

 

そして、進んでいって、クリスが絶望の顔になるところまで進む。

 

 

『クリスちゃん。この世の終わりみたいな顔してるよッ!?』

 

『な、なんでこいつなんだよッ!?せめて別なのにしてくれッ!!例えば山崎とかッ!!』

 

『山崎は観察が仕事だからそれは無理だ。それに、総悟が自ら君の監視を買って出たからなぁ』

 

『はぁッ!?』

 

 

「よりによって、あの男の人…!?」

 

「しかも、自分からって、明らかに悪意しか感じない…」

 

「なに企んでいるんデスか!?」

 

 

『あ、待ってください終さんッ!それじゃ、またね翼さん、クリスちゃん!」

 

 

終が出ていくと同時に響も出ていく

 

 

『さて、やるとなったからにはまず、てめぇの剣の腕を見てやる』

 

『いいだろう。あなたの剣の腕には興味があった。その決闘、ぜひ受けよう。では、また会おう雪音。その……頑張ってくれ』

 

 

そう言いながら部屋を出ていく二人。

そして部屋には総悟とクリスが残された。

 

 

『さて、これから楽しい楽しい日々が始まるなぁ……』

 

『う、うわぁああああああああああああ!!!!』

 

 

そうして、クリスの絶望の声が響、画面が一度暗くなる。

 

 

 

 

「クリス…」

 

「クリスさん…」

 

「クリスさん…」

 

「クリス君……」

 

 

 

 

皆の懺悔の声が、虚しく司令室に響く。

そして…

 

 

 

 

『次回……』

 

 

 

次回予告が始まった。

 

 

 

『くゥ……ッ!!雪音ェ!目を!目を覚ませぇ!!』

 

 

「「「「「!?」」」」」

 

 

 

聞こえたのは翼の声。

しかも、その声には後悔などの負の感情が混じっている。

 

 

『クリスちゃん……ッ!!どうして!どうしてこんなことに…!』

 

 

次に響の声が。これには、悲壮感が漂っていた。

 

 

『すまない。これは、完全に俺の責任だ…』

 

 

悔しそうに言う、近藤の声

 

 

『あのバカ…!なんてことを…!』

 

 

怒りを露わにする、土方の声。

 

 

『……………』

 

 

無口を貫き通す、斉藤。

 

 

そして…

 

 

 

『助けてェ!!』

 

 

 

クリスの、悲痛な声が響く。

 

 

『おいおい…。逃げんなよォ』

 

『ひィいい!あ、アタシをどうする気だよ!?』

 

『なに、ちょっとばかしいろいろとヤるだけさ』

 

『なにをやるつもりだ!?』

 

『それはヤるまで秘密だ』

 

『に、逃げ『逃がすかァ!』』

 

 

沖田は、逃げるクリスに縄を投げ、グルグル巻きにする。

 

 

『ヒィ!』

 

『安心しろォい。R―18のような展開にはならねぇからよ』

 

『だとしたらなんなんだよ!?』

 

 

沖田は、悪に満ちた顔で、こう言う。

 

 

『Gに近いことだ(脅し)』

 

『Gってなんだよ!?』

 

『Hじゃねぇだけ堪忍しろォい。それじゃあ、ゴォ…』

 

 

沖田は、縄を引っ張って、謎の部屋へとクリスを引きずる。

 

 

『た、助けて!先輩!響!おっさん!みんなァあああああああ!!!』

 

 

 

 

 

『次回…雪音クリス、死す!』

 

 

 

 

 

『おいどうすんだよ、クリスちゃん逝っちゃったぞ!?』

 

『これは流石に予想外の展開ですよ!どどどどどどうすれば!!!』

 

 

 

予告の後に、小さな小声が聞こえた。

そして、沈黙がこの部屋を支配する。

 

そして…。

 

 

 

「クリスゥゥうううううう!!!」

 

「「クリスさぁああああああん!!!」」

 

 

 

大パニックが発生した。

仲間の死。それは皆を動揺させるのには、充分であった。

 

 

 

「弦十郎さん!行かせてください!今すぐに!」

 

「そうデス!今からでも皆のところに!」

 

「司令!」

 

 

 

「………よしっ!わかった!だが、せめて一人でも残ってくれ!」

 

「じゃあ、私が「皆さん大変です!」

 

 

 

そんなとき、一人の職員が司令室に入ってきた。

 

 

 

「すまないが今はそれどころではない!例の平行世界の件でとてつもないことが「桂小太郎のことです!」桂くんがどうかしたのか!?」

 

 

「桂が……桂がまたいなくなりましたァ!!

 

「なんだとォォおおおお!!??」

 

 

 

再び、追い打ちがかかった。

まさか桂のまたもや脱走。

 

 

「あいつまた脱走しやがったのデスか!?」

 

「なんでそんな急に…!?」

 

「そのときの状況は!?」

 

「それが、トイレに行ったきり行方が分からなくなりました!」

 

「よし!慎次!お前たちは桂くんを探してくれ!」

 

「かしこまりました!」

 

「俺たちは平行世界に行くメンバーを決め「弦十郎さん!」今度はなんだ!?」

 

 

 

司令室に、エルフナインが入ってきた。

しかも、息を切らしていることから急いで走ってきていたのだろう。

 

 

「どうしたんだエルフナイン君!?」

 

「た、大変なんです!大変なんですゥぅうううううう!!」

 

「分かった!大変だというのは一まずわかった!それで、何が大変なんだ!?」

 

「実は―――――――ッッ!!!!」

 

 

 

……………

 

 

 

 

その、エルフナインが放った衝撃の言葉に、さきほどまで騒がしかった司令室が、一瞬にして静寂に包まれたのであった…。

 

 

 

 

 

*1
訳:お前強情だな

*2
大丈夫の反対の意味。オリジナル用語

*3
思いつきで話すこと

*4
(訳:今ならお前の思い付きの発言訂正させてやるよ)

*5
波と言う意味。ゲームでもよく使われ、次のモンスターの波が来るぞ、と言う意味でも使われている。



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再会と逮捕

今回、試しとして 「 の前に誰が言ったかわかりやすくするために名前や苗字を付け足してみます。

そして、久しぶりのシン銀投稿!
中身は薄いと感じますが、久しぶりなのでご了承ください!


それでは、どうぞ!


「クリスゥウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!」

 

 

前回、クリス――ゲロリスを馬乗りにして登場した沖田総悟。

そしてそれを目撃した万事屋組とマリア+モブども!

 

衝撃のクリスの変貌ぶりに驚愕を隠せないマリア。

さぁ、どうぞ!

 

 

新八「ちょッ!?沖田さん!?なにやってんですかあんたぁ!!?」

 

沖田「なにって、騎乗だろ」

 

新八「いや騎乗してるのバリバリ人間じゃないですか!?」

 

銀時「そうだ!それに騎乗っつったら普通女が上じゃねぇか!」

 

新八「てめぇはナニの話をしてんだぁ!!」

 

 

出会った瞬間のツッコミとボケのオンパレード。

この話の内容に白い目で見る神楽。

そして今だ放心中のマリア。

 

そして、目覚める

 

 

 

マリア「はッ!そうだわ!あなたクリスに何をしたの!!?」

 

 

 

マリアは沖田の胸倉を掴もうと沖田に突進する。

だが、

 

 

 

ゲロリス「とぉ!」

 

 

 

起き上がったゲロリスがマリアを背負い投げした。

 

 

 

マリア「ぐはぁ!」

 

 

 

その衝撃でマリアは電柱に激突する。

マリアは頭から地面に崩れ落ち、コートが外れる。

 

 

 

新八「マリアさん!?」

 

銀時「クソっ!股が開かれる状態になってっんのにカメラがねぇなんて!」

 

新八「てめぇはさっきからエロ話しかしてんじゃねぇよ!」

 

沖田「おい……」

 

 

沖田の声が地面から聞こえる。

先ほど、ゲロリスは沖田を守るために立ち上がった。

そして、沖田はゲロリスに馬乗りになっていた。

 

 

沖田「俺を地面に落としてどうすんだよ…」

 

ゲロリス「あっ!すみませんご主人様!」

 

マリア「ご主人様!?」

 

 

マリアは先ほどの状態から立ち直り、銀時の腹に一撃を入れてから驚いていた。

 

 

銀時「グホォ…」

 

神楽「自業自得ね。ていうか作者。私の出番が遅すぎアル。もう650文字行ってるアルよ」

 

新八「神楽ちゃん、誰に喋ってるの…?」

 

 

そんな三人は無視され三人の口頭は続いていた。

 

 

 

マリア「どういうこと!?クリスがご主人様だなんていうはずはないわ!!」

 

沖田「いやぁいろいろと事情があるんだよ」

 

ゲロリス「いくらマリアでも私のご主人様を悪く言うのは許さないニャン!」

 

マリア「ニャン!?とうとう語尾も変に!?」

 

 

そんな口頭が続いていると、周りに人が集まっていた。

特に男が。

 

 

銀時「おいマライ」

 

マリア「マリアよ!」

 

銀時「いやぁすまねぇ。作者のタイピングスピードが速すぎてミスっすた結果だ」

 

マリア「作者…?」

 

???「言わないで!」

 

マリア「…今、誰かの声が聞こえたような…?」

 

神楽「仕方ないネ。これでも作者はパソコンスピード認定試験2級の実力者アル。少しミスるくらい問題ないネ」

 

新八「リアルの話を持ってくんじゃねぇよ!」

 

銀時「でもこれ書いてんのも作者だぜ?」

 

新八「おい作者!てめぇただ自慢したいだけだろ!!」

 

 

???「いやぁ…えへへ。実はこれ書き始めたのビジネス文書検定の合格発表で合格した日なんだ」

 

 

新八「おめでとう!でもそういうのは前書きや後書きでいいだろ!!本文で書く必要ねぇだろ!」

 

???「これはそういう小説じゃないか!」

 

新八「身も蓋もないこと言うんじゃねぇ!!」

 

 

マリア「……かすかに誰かの声は聞こえるんだけど、何を話しているのかわからないわ…」

 

ゲロリス「私もです…」

 

沖田「この声はお前たちにゃぁ聞こえねぇよ。なにせ天の声だからな」

 

マリア「天の声…?」

 

沖田「ところで、とりあえずお前等の体に発情している猿共が周りにいるんで、場所変えようや」

 

マリア「あ」

 

 

マリアはようやく周りを見た。

周りに人の大群。そして大抵が男で自分たちの――マリアとゲロリスの――体を見ていた。

 

 

モブ1「あれって噂のハイグレ星人じゃね?」

 

モブ2「赤の方はニュースでやってたけど…あの白い方、なんだ?」

 

モブ3「まさか新たなハイグレ星人か!?」

 

ゲス1「グヘヘ…ハイグレだぁ」

 

ゲス2「うっほッ!興奮してきた!」

 

 

 

マリア「…とりあえず、場所変えましょう!」

 

 

 

マリアとはじめとした一同は、人気のない場所へと向かって行くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マリア「はぁ、はぁ…」

 

 

 

一同は、人気のない場所へと到着した。

 

 

 

マリア「こ、ここまでこれば…」

 

新八「大丈夫でしょうね」

 

神楽「一部変態もいたアルよ」

 

銀時「まぁ、分からなくもないがな…」

 

新八「おい!」

 

 

沖田「にしても、まさか仲間がまだいたとはねぇ…」

 

ゲロリス「私も驚きでした。来てたんだね、マリア」

 

マリア「つい数日前にね…。そんなことより!沖田って言ったわね!クリスを早く解放しなさい!そしてそこから降りろ!」

 

 

ちなみに、沖田はクリスにまたがって、またゲロリスは四つん這いになって移動していた。

 

 

沖田「こいつ次第だ」

 

マリア「その言葉に嘘はないわね!?クリス、目を覚ましなさい!」

 

ゲロリス「なに言ってるんですかマリア!私はご主人様のペット兼奴隷!ご主人様の元を離れるなんてありえません!」

 

マリア「奴隷!?」

 

沖田「だとよ。残念だったな」

 

マリア「まさかあなた!始めっからこうなると分かってたわね!?」

 

沖田「なんのことやら?」

 

マリア「クリスを返しなさい!」

 

ゲロリス「ご主人様をいじめるな!」

 

 

沖田を攻めるマリアだが、それを阻止するゲロリス。

だが、そこに止めに入るヤツがいた。

 

 

銀時「おいてめぇッ!!!」

 

沖田「なんですか?旦那?」

 

銀時「もしかして、奴隷ってことは毎夜毎夜そのロリ巨乳に【ピ――――――】をさせてんのか!?夜の処理をさせてんのかぁ!?あぁああん!!?」

 

新八「てめぇはなんつーこと聞いてんだぁ!」

 

マリア「あなた少し黙ってなさい!」

 

 

二人のツッコミと同時に二人の蹴りが銀時に直撃する。

 

 

銀時「ぐはぁ!」

 

新八「すみませんマリアさん、うちのバカが!」

 

マリア「大丈夫よ。とにかく、今すぐにクリスを解放し【ガチャ】ガチャ?」

 

 

マリアの手に、手錠がはめられていた。

マリアに手錠をはめたのは沖田だ。

 

 

沖田「それじゃあ、13時15分。わいせつ物陳列罪と暴行罪で現行犯逮捕」

 

 

そして、しばらくの沈黙が訪れ…。

 

 

三人「「「はぁあああああああああ!!!!!?????」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~しばらく前~

 

 

 

土方と翼、斉藤と響は合流していた。

 

 

 

土方「よぉ。終」

 

終「…………」

 

土方「相変わらずだんまりか。そっちはどうだった?」

 

響「と、特に問題ありませんでした!そっちはどうでしたか?」

 

翼「私たちの方も特に問題はない。あとは沖田だけなのだが…」

 

土方「今、たぶん面倒くさいことになっているに違いねぇ」

 

響「ど、どうしたんですか?」

 

 

土方は先程の事を響に説明する。

 

 

響「沖田さんが二人か…」

 

 

響は明らかに渋い顔をしていた。

 

 

土方「まぁあいつは総悟とは違う方向なんだけどな…」

 

翼「例えばなんなのだ?」

 

土方「別に言う必要ねぇだろ。言ったら言ったで絶叫するに決まってらぁ」

 

翼「それは、沖田のような発言を、すると…」

 

土方「まぁな」

 

 

二人の脳裏に、沖田の言葉、【ピ―――――――】【ピ―――――――】【ピ――――――――】などが連想された。

 

 

響「その坂田さんって人も、そんなこと言っちゃうんですか…?」

 

土方「おうよ。俺も詳しくは知らねぇが、セクハラじみた行動を時々起こしてる」

 

響「それ、なんで捕まらないんですか?」

 

土方「まぁ時間が経てばすべてなかったことにされるからなぁ、この世界は」

 

翼「いや、なかったことにしちゃダメだろ!?」

 

土方「ご都合主義ってヤツだ」

 

響「いやぁ、アニメじゃないんですし、そんな法則があるわけ―――」

 

土方「は?なに言ってんだてめぇ。この世界は――――おっといけねぇ。これ以上はタブーだ」

 

 

響「ちょっと!!そこまで言ったなら最後まで言ってくださいよ!なんなんですかこの世界は!?」

 

翼「そこまで言うのなら最後まで言え!」

 

土方「いやぁ、だけどなぁ…」

 

 

土方の発言はどうも区切れが悪くなっている。

それは確実に何かを隠しているという証拠であった。

 

 

 

ポンッポンッ

 

 

 

そのとき、終の手によって土方の肩が叩かれる。

 

 

土方「なんだ?」

 

【副長。それはこの世界にとっては周知の事実。常識です。なので隠す必要はないのでは?】

 

 

土方「なんでおめぇ今に限って発言!?執筆!?してんだよ!?今それいらねぇよ!!」

 

 

まさかの終にボケ?をされたことに驚愕を隠せない土方。

 

 

響「終さん、普通にできたんだ…って、そうじゃなくて!土方さん!教えてください!この世界の秘密を!」

 

翼「そうだ!それに常識なのであろう!?ならば私たちに隠す必要などないではないか!」

 

土方「…黙秘権を使う!」

 

響「あっずるい!」

 

翼「ずるいぞ貴様ァ!」

 

ズル方「うっせぇな!てめぇら一旦黙れや!!…ていうかズル方ってなんだよ!?土方だよ!!俺はどこもズルくねぇよ!」

 

 

全くズル方は…。ズルいの方のズルに決まっているじゃないか。

別にどこもずれているわけでもないのに。バカなの?

 

 

アホ方「誰がバカだぁぁああああ!!ていうか、なんでアホ方!?せめてバカ方にしろよ!統一しろよ!ん………誰がバカ方じゃぁあああああ!!!」

 

翼「何故だかわからんが、土方が勝手にキレたぞ?」

 

響「どうしたんですかね?」

 

土方「ただの創造主の嫌がらせだ…」

 

響・翼「――?」

 

 

二人には土方の言っている意味が分からない。

 

 

土方「はぁ…とりあえず、あいつらが来るまで待つぞ。―――なんだ、終?」

 

 

終が土方の肩を叩く。

そして、終が指をさす。そこには――――

 

 

 

???「ちょ!離して!」

 

沖田「だーかーら。わいせつ物陳列罪だっての」

 

ゲロリス「そうです!おとなしく捕まってください!」

 

???「わいせつ物はあなたもだからクリス!ていうか反論できる余地がないのが悔しい!」

 

銀時・新八・神楽「「「―――…………」」」

 

 

 

そこには……手錠をかけられたマリアと、それを黙認して歩ている万事屋組三人。

そして、沖田とゲロリスだった。

 

 

 

土方「なんだそいつゥ―――――――――ッ!!!?」

 

響「マリアさぁああああん!!!??」

 

翼「マリアァアアアア!!?」

 

終「………」

 

 

そう、それはマリアだ。

マリアがいたことに驚愕し、絶叫する二人。

 

 

響「な、なんでマリアさんがこの世界に!?」

 

翼「まさか、ギャラルホルンを通ってきたのか!?」

 

マリア「あ、翼に響!」

 

響「どうしたんですかその状況!!?」

 

マリア「見ての通りよ。あなたたちと同じ理由で捕まったの」

 

響・翼「あ……」

 

 

二人はその発言だけで完全に理解した。つまりはそういうことなのだ。

 

 

土方「ていうかなんでこいつらも一緒にいるんだよ!?」

 

 

土方は銀時たちを指さす。実際、彼らがここにいる理由も土方達にとっては謎である。

 

 

銀時「いやぁ、ちょっと成り行きで…」

 

沖田「土方さん。どうやらこの女、何日か万事屋の旦那のところで世話になってた見てェですぜ」

 

土方「なるほどな…。だが、どうして今ここにいるんだ?」

 

銀時「いやぁ、あのねぇ、大人の事情ってのがあるんだよ…」

 

新八「そうです。僕らは悪くありません」

 

神楽「むしろこいつに無理やり連れてこられたネ」

 

 

 

~回想~

 

 

三人『『『はぁあああああああああ!!!!!?????』』』

 

 

時間は、マリアが捕まった時だ。

 

 

マリア『え?』

 

 

マリアも突然の出来事に理解が追いつかず、素っ頓狂な声をあげていた。

そして、なんとか思考が追いつき…

 

 

マリア『ちょ!?これどういうこと!?』

 

沖田『さっきも言ったろ。わいせつ物陳列罪と暴行罪だって。そんないかにもSMプレイをご所望しているかのような恰好しやがって。Mなんですか?』

 

マリア『Mじゃないわよ!』

 

 

マリアは反論するが、沖田は聞く様子はない。そこへ…

 

 

銀時『おいおい沖田くぅん?うちの同居人になにしちゃってくれてんの?』

 

 

銀時だ。銀時は厳つい顔で沖田に迫る。

 

 

銀時『こいつはなぁ。今やうちの大事な同居人なんだよ。そう簡単にやれるワケにはいかねぇなぁ』

 

新八『そうですよ。こっちにだって事情はあるんです。理由も聞かないで、勝手に連れて行っては困ります』

 

神楽『マリアを連れて行くって言うのなら、死ぬ覚悟をしてから行けやクソガキ』

 

 

沖田の前に、万事屋三人が立ち上がったッ!それを感じ取り、「フシャーッ!」と警戒の声を出すゲロリス。

 

 

沖田『大事な仲間?【ピ―――――】の間違いじゃありやしませんかい旦那?』

 

マリア『ちょ//!!?』

 

沖田『ところでメガネ。お前ついに童貞卒業したんだな』

 

新八『ちょ!僕とマリアさんはそんな関係では決してないですよッ!ていうかR18の内容多すぎやしませんかね!?』

 

 

新八は顔を赤くしながら必死に弁解する。

 

 

沖田『そうかいそうかい。まぁどうでもいいか』

 

銀時『なんだぁ?お前にしては随分と潔く下がるんだな』

 

 

銀時の言う通り、沖田ならここで絶対一つや二つカマをかけるだろう。だが、それをしなかったことに疑問を持った銀時。

 

 

沖田『旦那。俺にだって真面目なときはありまさぁ。こいつを屯所に連れて行かなきゃなんねぇんで』

 

銀時『だから、俺たちがそう簡単に下がるとでも―――』

 

 

その時、沖田は一枚の写真を銀時たちに見せた。その写真は――――

 

 

沖田『これ、見覚えありますよね、旦那?』

 

銀時『な、何故お前がそれを…!?』

 

沖田『うちの猫は優秀なんでさぁ』

 

ゲロリス『ニャァ~~』

 

 

 銀時たちが見せられたその写真。

それは…

 

 

沖田『この女と一緒に屯所に不法侵入したこと、今見逃せば不問にしますぜ?』

 

 

そう、この写真は前に真選組の屯所に侵入したときの写真だ。その証拠に銀時がマリアの脚にしがみついている。

 

 

新八『これ撮られてたんですか!?』

 

神楽『おいクソガキ!肖像権を行使するアル!』

 

沖田『残念だなチャイナ娘。その法律はまだ制定されてねぇ。故にこれは法律違反じゃねぇんだよ』

 

銀時『じゃあ不法侵入は『不法侵入はいつの時代であろうと犯罪なのは変わりないですぜ』くッ!』

 

マリア『……会話が生々しすぎる…』

 

 

 江戸と現代が融合したこの世界独自の会話なため、マリアには会話が生々しく聞こえてしょうがない。ていうか現代要素が混ざってるならそういう法律くらい制定されててもいいだろ、と思うがそこらへんは触れないお約束である。

 

 

銀時『よーし分かった!じゃあ、手錠はそのままで!だが俺らもついていく!』

 

沖田『……ついていって旦那は何がしたいんですかい?』

 

銀時『そりゃあもちろんかn―――仲間のためだ!』

 

マリア『今確実に本音が漏れ出てたわよ!?』

 

沖田『とりあえず行くか。ホラいくぞ変態』

 

マリア『だから私は変態じゃ―――否定できない!』

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

と、ここで回想は終わる。

 

 

沖田「なんてことがあったんでさぁ」

 

翼「そんなことが…。マリア、大丈夫か?」

 

マリア「えぇ、なんとか…」

 

 

 翼はマリアをなだめる。だが、マリアの表情は暗いままだ。

 

 

響「にしても、マリアさんがこちらの世界にきていたなんて…」

 

マリア「えぇ。でも、降り立った瞬間にバイクに轢かれて体を蹴られてキリモミ回転した挙句、銀さんたちが飼っている犬に頭を噛まれたわ」

 

響「想像以上に悲惨な目に合ってた!」

 

 

 マリアがこちらの世界に来た時のことを聞かされた響はマリアの悲惨な体験に体を震わせる。

 

 

土方「にしても、こいつらの同類が他にもいたとはな…。驚いたぜ」

 

沖田「とりあえず、こいつどうします?」

 

土方「一度屯所に連れてって、そこで決めるしかねぇな」

 

 

 タバコを拭きながら答える土方。確かに今響たちの身柄を預かっている真選組としては同類であるマリアを連れて行くことになんの疑問もない。

 

 

マリア「私はこれからどうなるの?」

 

土方「おそらく、保護対象―――と言うの名の強制的な協力者にされるだろうな。お前らがここに来た理由はこいつらから聞いてる」

 

マリア「そう…」

 

 

 元々、響たちがこの世界にきた理由はこの世界の異常を解決するため。それはこの世界全体に影響しかねないほどだ。だからこそ、彼女の答えは決まっている。

 

 

マリア「強制なんかじゃなくて、こちらから仲間になるわ。だって、それが私たちの使命なんだもの」

 

銀時「マリア…」

 

新八「マリアさん…」

 

神楽「マリア、カッコいいこと言ってるけどその恰好じゃ全然かっこよくないネ」

 

 

 神楽からの指摘に、全員が頷く。

 今のマリアの服装はシンフォギアであり、それに手錠をつけている。これではダサいだけだ。

 

 

マリア「…私、当たり前のこと言っただけなのに…」

 

響「落ち込まないでください、マリアさん…」

 

翼「あぁ気持ちは痛いほど伝わる。今日は遅くまで語り合わないか?」

 

マリア「そうね。そうさせてもら―――「あん、どうした終?」

 

 

 マリアの言葉が中断する。声の主は土方だ。見ると、土方は終が持っているケータイ画面を見ていた。

 しばらく見ていると、土方の顔が驚愕の顔になる。終からケータイを取り上げると、皆に見せる。

 

 

土方「おい、これ見ろ!!!」

 

 

 土方が突き出してケータイ画面には、一つのニュースが流れていた。

その内容とは―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『えー緊急ニュースです。つい先ほど、【ハイグレ星人】が出てきたとされる水色の穴のようなものが、突如消滅しました。繰り返します―――』

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「え…?」」」

 

 

 

 

 その情報は、三人を絶望させるには、十分な内容であった。

 

 

 

 



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江戸一番のからくり技師

新年あけましておめでとうございます!
いやぁー約一か月ぶりの投稿ですね。
 ほんと、書きまくって目がチカチカする…。目が疲れる。サプリメントでも買おうかな?

今回は10000文字以上の大ボリュームとなっております!
 それでは、お楽しみください!


「閉じた…ギャラルホルンのゲートが…?」

 

 

 突然の絶望的な情報により、頭の処理が追いつかない響。

 そして、それは翼やマリアも同じだった。

 

 

「どういうことだ…。一体、どうして…?」

 

「こんなこと、今までなかったのに―――」

 

「おいおい、どうしたんだそんなに絶句して。あ、もしかしてウン―――」

 

 

 銀時のない発言が出る最中、新八のツッコミと言う名のハリセンが銀時の頭を直撃する。

 

 

「痛ってぇな!なにすんだよぱっつぁん!!」

 

「デリカシーなさすぎですよ!!マリアさんの最初の話、もう忘れたんですか!?あれがないとマリアさんたちは故郷に帰れないんですよ!?」

 

 

 いつもと違って切実なツッコミに―――ツッコミに切実もクソもないのだが―――銀時はハッとする。

 確かに、居候させる前にそんな説明を聞いていた、と。

 

 

「それにして、一体どうしてそんなことになったんだ…?」

 

「ニュースに出てるってことは、真撰組にもこの情報は伝わっているはずでさぁ」

 

「――――」自分が行ってきます。

 

「終!よし、悪いがすぐに行って来てくれ!」

 

「えぇ!?あの、私は…」

 

 

 終が率先して立候補したが、響のお付け目役は終だ。

 終が行くとなると、響もついていく必要がある。

 

 

「土方、すまないが今は分かる通り緊急事態だ。立花を私たちと一緒に同行させてくれはしないだろうか?」

 

「―――駄目だ。こいつには今まで通り終と同行してもらう」

 

「そんな……」

 

「あなた、今がどんな状況かわかってるの!?」

 

 

 そのとき、マリアが土方に対して怒鳴った。

 マリアたちには他人事ではなく、完全に関係者だ。ましてや元の世界に帰れなくなったとなれば、それはなんらかの異変かもしれない。もしそこでカルマノイズでも出て来てしまえば、被害は拡大する。

 そのためにも、装者は一人でも多くいた方が良いだろう。

 

 

「あぁ。確かにこれは異常事態だってことははっきり理解してる。だがな、それは公私混合ってヤツだ。今まで通りこいつには終を―――」

 

「―――頭硬いねぇ、土方くぅん」

 

 

 そのとき、銀時のふざけたような声が、辺り一帯に響いた。

 

 

「なんだと?」

 

「いつも言ってるだろう?そんなに頭が固いと、いつか禿げるよ?そのチャームポイントであるV字ハゲも、ジョリジョリ~~ってなっちゃうよ」

 

「チャームポイントじゃねぇよ!あと禿げてねぇし!あとなんでジョリジョリ~~なんだよ!?普通パラパラだろ!?」

 

「いやぁでもほら、今現在進行形でジョリジョリ~~ってなってるよ」

 

「はぁ!?」

 

 

 そのとき、ようやく一同に聞こえた。

 ジョリジョリ~~と言う音が。今まで二人のボケとツッコミで聞えなかったが、実際に、今までずっとその音が鳴り続けていたのだ。

 そして、気づいた。土方は自分の後方に不快感があったことを。そこには――――。

 

 

「何してんだてめぇ!!?」

 

「あ、バレやした?」

 

 

 沖田が、その手にバリカンを持って土方の頭の面積を徐々に減らしていたのだ。

 土方の感じた不快感は、落ちた小さい髪の毛だったのだ。

 

 

「いやぁ、いずれ朽ち果てる運命なんて、今のうちに栽培しとこうかなって…」

 

「俺の髪の毛は作物じゃねぇんだよ!!ふざけんな!!」

 

「いいや、沖田君の言う通りだ。聞き分けのないV字ハゲにはこれくらいのお灸を添えないと…」

 

「ふざけんなよ!!公務執行妨害で逮捕して『ガチャ』あ?」

 

 

 そのとき、ガチャっと言う金属音が土方の腕の辺りに響いた。

 その手には、手錠が。そして、その手錠のもう片方は、とある一軒家のパイプに繋がれていた。

 

 

「ご主人様!繋げましたよ!!」

 

「よくやったゲロリス。あとでご褒美だ」

 

 

 なんと、クリスが気配を完全に遮断して土方の手に手錠をつけたのだ。

 

 

「おい総悟!!これ外せ!!」

 

「いやに決まってるじゃねぇですかい。このままだと話が進まないんで。それに、もう終さんも行っちまってるし」

 

「え、あ…」

 

 

 響が隣を見ると、いつの間にか終がその場からいなくなっていた。

 どうやら、いつの間にかこの場から離脱していたらしい。

 

 

「これで、こいつはついていくしかなくなりますね」

 

「クソっ…」

 

 

 沖田は響を親指で指してそう言った。

 土方は完全に沖田の策略に嵌まっていたのだ。

 

 

「お前、どっちの味方なんだ!」

 

「少なくとも土方さんの味方ではありやせん」

 

 

 沖田はそうキッパリと答えた。

 

 

「あぁもうわかった!今は臨時で認めてやる!!だからこの手錠の鍵を―――」

 

 

 沖田は、土方が言葉を言い終わる前に、懐からマヨネーズを取り出し、そっと胸ポケの中へと入れた。

 

 

「マヨネーズじゃねぇよ!!鍵出せ、鍵!!!」

 

「何言ってんですかい。マヨネーズはあんたのキーポイントじゃねぇですかい」

 

「うまくねぇよ!あ、ちょ、おい!すまん、俺が悪かった!俺が悪かったから全員俺を置いてくな!」

 

 

 一同は悲願する土方を完全に無視して、ギャラルホルンのゲート跡地へと向かっていくのであった―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

* 

 

 

「―――見事になにもないわね」

 

「そうだな。先ほどまで、確かにあったはずなのだが…」

 

 

 時間は過ぎ、銀時や響たちはギャラルホルンのゲート跡地へとついていた。

 正確には、そこが見えやすい建物の上に来ているのだが。そこにはたくさんの人だかりができており、とても入れる状況ではなかったため、当然の措置であった。

 目線の下にはたくさんの政府――幕府関係者であろう人物たちが、この異常事態を解明すべく、躍起になっていた。

 

 

「一体、どうしてこんなことに―――」

 

 

 響たちには、この状況が理解できないため、軽いパニックに陥っていた。

 特に響が酷く、その顔は憔悴しきっているような顔だった。

 

 

「もう、未来に、合えないのかな…?」

 

「気を落とすな立花!絶対に帰れなくなったとはまだ決まってないぞ!!」

 

「そうよ、気を落とさないで」

 

 

 二人も軽く絶望しているだろう。だが、まだ決まったワケではないことで、完全に絶望するほど二人の心は柔くはない。

 最後まで抗って、絶対に戻って見せる。二人はその意志に包まれている。

 

 

「そう、ですよね。まだ帰れないと決まったワケじゃありませんよね。すみません、落ち込んじゃって」

 

「無理はないわよ。こんな状況じゃね…」

 

「にしても、人込みがすげぇな」

 

「これじゃ中に入れないアルよ。こっちに来て正解だったネ」

 

「それに、穴を隠してた幕すらなくなってるとなると、どうやらあのニュースは本当のことだったらしいな」

 

 

 幕、とは。ギャラルホルンのゲートを隠していた幕のことである。

 当初は設置されておらず、ポールのみだったのだが、なんでもそこで人身事故が起こったらしく、危ないとの理由で幕が引かれたのだ。

 だが、それが跡形もなかったため、ゲートが消えたと言う理由は十分に立証できたのである。

 

 

「―――それで、帰れないとなると、皆さんどうするんですか?」

 

 

 新八が、当然の疑問を言い放った。

 そう、まず直面するのはこれからどうするか。帰還方法が断たれた今、何をするべきなのか。

 その答えは、もちろん一つだ。

 

 

「そんなの、決まっています!」

 

「どうにかして、ギャラルホルンのゲートを復旧させるしかあるまい」

 

「ゲートが消えたのなら、あちらだって異常に気付いているはずよ。それに、もし気づいていないとしても映像があるから、いずれ気づいてもらえるはずよ」

 

「でも、あてはあるんですか?跡形もなく消えたんですよ?」

 

「それは―――」

 

 

 確かに、探すと言っても手掛かりなしじゃ、どこから手を付ければいいのか分からない。

 実際、手がつかない状況だ。

 新八の指摘に、黙ってしまう三人。

 

 

「一つ、心当たりがあるぜ」

 

 

 そのとき、救いとも言ってもいい声が響いた。

 沖田だ。

 

 

「本当ですか沖田さん!?」

 

「あぁ。だが、それはあくまで心辺り、であって、必ずじゃねぇ」

 

「それでも、教えてくれ。今は手がかりが欲しいんだ」

 

「―――平賀源外」

 

 

「「「―――――」」」

 

 

「誰ですか、それ?」

 

「平賀源外?源内なら知っているが…」

 

「(やっぱり、この世界は私たちの知っている歴史と酷似している部分があるわね…。まぁ、今はどうでもいいわ。)その人が、どうしたの?」

 

「そいつは、この江戸一番のからくり技師を自称しているヤツでなぁ。今は指名手配中だけどな」

 

「指名手配?」

 

 

 その言葉に、マリアが反応する。

 指名手配。その言葉が意味するのは、その源外と言う人物は、犯罪者であると言うことを示唆していた。

 

 

「そいつの居場所、俺が知ってんだ」

 

 

 その沖田の爆弾発言に、一同は愕然とする。

 

 

「ていうか、なんで指名手配犯なのに捕まえないの?」

 

 

 当然の疑問がマリアから来る。

 

 

「あぁそれはな、あの爺さんには土方専用抹殺マシンの製作依頼を出してるんでさぁ」

 

「なんてもん作らせてんですかあんた!?」

 

 

 警察の職務を放棄し、あまつさえその指名手配犯に殺人マシンを依頼する沖田の鬼畜さに、驚きを隠せない一同。

 

 

「おいクソガキ。源外のじっちゃんに変なことしてねぇだろうな?」

 

「してねぇよ。おめぇらじゃねぇんだから」

 

 

 お前が言うな―――。その言葉が響、翼、マリアの頭によぎった。

 そのとき、マリアが少し、あることがおかしいことに気付いた。

 

 

「ちょっと待って、銀さん。今までの話の流れだと、銀さんたちもその平賀源外って人と知り合いのように聞こえるんだけど…」

 

「あ、そりゃそうだろ。俺ら度々そこに通ってるからな」

 

「えぇ!?」

 

 

 またの爆弾発言に、驚愕する三人。

 まさかこんな身近な人物が指名手配犯と繋がりがあったなど、予想だにしなかっただろう。

 

 

「でもまさか、あの時沖田君が源外のジジーのところにいたのを見た時は驚いたぜ」

 

「居場所がバレたって、源外さん冷や冷やしたって言ってましたよ」

 

「いやぁ、当初は捕まえようと思ってたんですが、あの爺さんのからくりを作る技術は本物だ。だから、俺の役に立つからくりを作ってもらおう思ってね」

 

「その貴様の『役に立つからくり』というのに、悪意しか感じないのだが…」

 

「うるせぇやい。それに、土方が一緒じゃあ行けなかったしな」

 

「あ……」

 

 

 そこで、一同は気付いた。

 最初から沖田は、その源外と言う人物のもとに行くつもりだったのだと。

 そしてそのために、土方を行動不能にしたのだと。もしこの場に土方がいれば即座に「御用改めである!」と叫んで突撃していただろう。

 

 

「そこまで見込んで、土方を……」

 

「そういうワケだ。さて、さっさと行くぜ」

 

「――にしても、よく見つけられたよなぁ。あのときゃ結局はぐらかされて聞けなかったけど、どうしてあそこが分かったんだ?」

 

「フッ、――――旦那」

 

 

 

 

 

 

「二次創作の特権って、知っていやすか?」

 

「いやメタい!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

――――あの後、なんやかんやで平賀源外のいるところへと着きました。

 

 

「ここが、源外さんがいるところなんですね」

 

「そうだぜ。ほんと、二次創作の特権って便利だよな」

 

「そうだな。原作じゃありえなかったことも、二次創作って言っておけば、すべてが許されるからな」

 

「いつまでその話引きずってんだ!あと、すべてが許されるワケじゃないですからね!?」

 

 

 二次創作の特権についていつまでも語り合っている銀時と沖田にツッコミを入れる新八。

 普通、できるはずのない会話をすることが許されるのが、この小説なのだ。

 

 

「二人の意味が分からない話は放っておいて、とりあえず入りましょう」

 

「そうだな」

 

 

 二人に呆れたマリアが、一番に源外のいるであろう建物の扉へと入っていく。

 

 

「お邪魔するわy―――」

 

 

―――瞬間、源外宅から放たれた蒼い光が、マリアを飲み込んだ。

 

 

「マリアさぁああああああん!!!???」

 

 

 あまりにも突然の出来事に、ワケが分からずマリアの安否を確認するために―――本人はただ叫んだだけだが―――響は叫んだ。

 それに、突然家宅から殺人レーザーが放たれれば、誰だって驚く。

 そしれレーザーはそのまま曲線を描きながら上空へと飛んでいき、そのまま爆発音とともに爆裂霧散する。

 

 

「な、なんじゃありゃぁああああ!!?」

 

「ま、マリアはどうなったのだ!?」

 

 

 全員が、マリアがいた場所へと目を向ける。

 そこには、全身が黒こげになったマリアが、倒れ伏していた。

 だが、ピクピクと体が少し動いているので、どうやら生きてはいるようだ。

 

 

「マリアァアアア!!!!」

 

「ヤム○ャァアアア!!」

 

「いや誰ですかそれ!?」

 

 

 神楽の叫びに、響がツッコむ。

 完全に別人の名前を叫んでいた神楽。実際、マリアの伏し方はヤム○ャと酷使している。

 だが、そんなこと知るはずのない響は、完全な間違いとして認識してしまっていた。

 

 

「こりゃぁ見事に黒焦げたな。ま、この程度で済んでよかったな」

 

「そうだな」

 

「いや軽!!」

 

 

 沖田と銀時の軽い対応に、ツッコム新八。

 仲間を全く(いた)わらない彼らの態度に、翼が怒りを表す。

 

 

「貴様ら!マリアがこんなになってしまったんだぞ!?もう少し…労わるとかないのか!?」

 

「無事だからいいじゃねぇかよ。漫画とかでよくある、【ピ―――】とか【ピ―――】が露出しないだけ、マシだろ」

 

「なななななな///……」

 

 

 銀時のセクハラ発言に、顔を赤くしてしまう翼。

 彼女とて一介の女性。やはりこういったものには反応してしまうのだ。

 

 

「それに、今はあのレーザーのことを気にするべきだと思うぜ。爺さん、なにがあったんでぇ?」

 

 

 沖田がそう言うと、扉から入る。

―――そして、そこにはバラバラに散らばったなんらかの機材。

 そして、その機材に埋もれている人の脚があった。

 

 

「ジジィイイイ!!」

 

「源外さぁあああああん!!!」

 

 

 流石の銀時も、この状況に驚愕し、新八とともに脚へと駆け寄り、二人がかりで引っ張る。

 

 

「く、暗いです…」

 

「おぉ、ゲロリス。怖いのか。―――よし、先頭やれ」

 

「貴様は本当に最低だな!!」

 

 

 クリスが涙目で沖田にそういう。

 調教済みのクリスは、感情に素直だ。

 故に見栄などを張らずに自分の意見を率直に言う。

 そして、そんな素直なクリスは可愛い。いやほんとマジで。もう、食べちゃいたいくr〈??〉「ナレーターさん、ちゃんと仕事してください」おっとっと。話が逸れてしまいましたね。給料のために頑張りますか。

 だが、そんなクリスに対し、非常にも先頭を行けと命令する沖田は、まさに鬼畜の極みである。

 

 

「うぉおおお…抜けねぇ!!」

 

「神楽ちゃん!手伝って!!」

 

「おっしゃあ!任せるネ!!」

 

 

 神楽が参戦し、源外の脚を引っ張る。

 

 

「よいしょー!!」

 

 

 スポーンと言う音とともに、飛び出ていた足が出てきた。

―――下半身とともに。

 

 

「「「「「えぇええええええ!!!????」」」」」

 

 

 五人の絶叫が響く。

 抜けたと思ったらまさかの下半身のみ。

 この衝撃の状態に、叫ばずにはいられない。

 

 

「ちょ、どうすんですかこれ!?」

 

「源外のじっちゃんが死んじゃったアル!!」

 

「とにかく戻せぇ!貼り付け直すんだ!上半身を掘り起こすんだぁ!!」

 

「立花!私たちも手伝うぞ!!」

 

「は、はいぃ!!」

 

 

 皆が皆攪乱し、大慌てで源外の上半身を掘り起こす。

 と、いうより上半身と下半身が取れた時点で生存は絶望的だ。

 それでも、パニックを起こした一同は一生懸命に上半身を掘り起こす。

 

 そんな中、冷静に周りを見ている人物が二人。

 沖田とクリスである。

 

 

「おいクソガキ!おめぇも見てねぇでちゃんと手伝え!」

 

「いやぁ、依頼を出しているとは言え現指名手配犯。このままそいつの首を持って行けば、昇進して土方を蹴落とせるかもしれねぇじゃねぇか。俺にとってはどっちに転んでもうまい話なんでね」

 

「やはり貴様はクズだな!!雪音、雪音はどうだ!?」

 

「私はご主人様の意向に従うだけです」

 

「やはり駄目か!」

 

 

 少しの希望を持ってしてクリスに祈願したが、さらりと断られてしまった。

 もう考えても仕方ないと翼は源外の上半身を掘り起こすのに集中する。

 ここ最近酷い目にしかあってなくて存在価値が曇っているが、シンフォギアは元々高性能であり、常人の何倍、何十倍の力を発揮する。

 ポイポイとゴミを投げるような感覚で大きな瓦礫をどかしていく二人。だが、源外の上半身がどうしても見つからない。

 

 

「どこにいったんだ源外のジジーの上半身!?」

 

「まさか、あのレーザーでとっくに真っ二つに―――!」

 

「子供にはお見せできないレベルネ!ナレーター、モザイクの準備するアル!」

 

「一体誰に言ってるんですかそれ!?」

 

 

 今はステルス機能を起動してるんで見えないけど、私はここにいます。

 それにちゃんとバラバラ死体が映っても、モザイクはあちらの方で処理するんで安心してくだせぇ。

 まぁこの声は聞こえてないんですけどね。

 

 さて、そんな中、沖田はとあるところへと目を向けていた。

 

 

「―――ゲロリス」

 

「なんでしょうか、ご主人様」

 

「あそこの瓦礫、どかしてくれ」

 

「はい!仰せのままに!」

 

 

 クリスは沖田の指示通りに皆とは違った場所の瓦礫を退()かし始めた。

 そして、しばらくその場所の瓦礫を退かし続けていると…。

 

 

「あー酷い目にあったぜ」

 

「大丈夫か、爺さん?」

 

「「「「「え?」」」」」

 

 

 クリスの退かした瓦礫のあった場所から、初老の男性が出てきた。

 

 

「ジジィ!」

 

「源外さん!」

 

「源外のじっちゃん!」

 

「え!?もしかして、この人が――!?」

 

「おうよ。江戸一番のからくり技師とは、この俺のことよ」

 

 

 この男こそが、平賀源外。

 自称、江戸一番のからくり技師。

 だが、その名称に似合うほどの腕を持っていることは確か人物だ。

 

 そして、彼にすぐに問いたださなければならないこともある。

 

 

「あ、そうですよ源外さん!さっきのあれ、なんなんですか!?そしてどうして源外さんがそっちに!?下半身だけが出て来てビックリしたんですよ!?」

 

「落ち着けよ。一気に質問されちゃあ耳がもたねぇ。質問は一つずつにしてくれ」

 

「じゃあ……この下半身はなんなんですか!?」

 

 

 まず最初の疑問。

 この源外の下半身そっくりの下半身だ。

 これは一体なんなのか。正直レーザーの方が一番気になるが、今はこの質問の答えが知りたい。

 そして、源外から返ってきた答えは―――。

 

 

「あぁ、それか。それは俺そっくりのからくりだよ」

 

「はぁ!?」

 

「あの実験はなにかと危険が大きかったものでね。リモコン操作性のからくりで俺そっくりのからくりに操作させてたんだよ。俺は安全なところで操作してたんだが、案の定な―――」

 

「そんな危ねぇもの造ってんじゃねぇよクソジジィ!!」

 

 

 当然である。

 あんな危険極まりない核兵器レベルの装備を作っている時点で危険すぎる。

 事実、あれがシンフォギアを纏ったマリアや翼、響以外だったら確実に瀕死だっただろう。

 いや、普通なら即死なのだが、この世界の原作キャラは瀕死で済むのだ。それが、この世界のルー…おっと、喋りすぎましたね。

 

 

「第一、なんでそんな危ないもん造ってんですか!!?」

 

「いやぁ、ある奴から依頼されてよぉ」

 

「誰だよこんな危ねぇもん造るように依頼したバカは!?ていうか受けて造ってんじゃねぇよ!!」

 

 

 銀時のツッコミの通り、こんな危ない危険物を一体誰が依頼したのか?

 どこかの裏社会の人間?それとも地球侵略を目論む天人?どちらにせよとんでもない破壊兵器を造っていることに変わりはなかった。

 

 

「爺さん……」

 

「おお沖田!流石にこんな危険物を造る者を放っておくことなどできない!早急に捕まえるべきだ!」

 

「いえ、沖田さん!捕まえるのではなく、ここは警察としてガツンと―――」

 

 

 翼と新八のもっともな指摘に、沖田は―――。

 

 

「爺さん、このレーザー砲……もうちょっと威力増し増し()つ使用者に負担が行かないように出来ねぇのか?」

 

「無茶言うな。使用者に負担がないようにはなんとかしてみるが、流石に威力向上は見込めねぇな…。それに、そんなに注文が多いとお前さんが決めた予定日に間に合わねぇよ」

 

「いやお前が依頼したんかいぃいいいい!!!」

 

 

 まさかの事実、発覚。

 なんとあの危険極まりないレーザー砲の製作依頼者が沖田だった。

 なんだろう、本当に戦争でも始めるつもりなのだろうか?

 

 

「これが完成すれば、土方を抹殺することも容易い」

 

「あんたにはそれしか頭にないんですか!?」

 

「それに、なんというものを依頼しているのだ!貴様本当に警察か!?」

 

 

 当然の指摘である。

 沖田総悟、本当に彼は警察なのだろうか。いや、ほんとマジで疑うわ。

 名前を鬼畜外道に改名した方が良いんじゃないかな?

 

 

「つーかそもそも、あのレーザー砲はなんなんだよ!?」

 

「あれはな……ス○ブラって…あるだろ?」

 

「ス○ブラ?なんですかそれ?」

 

「大人気格闘ゲームアル。さまざまなゲームのキャラクターを操作して競い合うゲームネ」

 

「それが、どうしたと言うのだ?」

 

「画面外にぶっ飛ばされる時によ、なんか光が出るじゃねぇか。それをぶっ飛んだ時に発生したエネルギー体だと仮定して、逆にそのエネルギーをレーザーとして利用できねぇかなって…」

 

 

 まさかの事実。

 あれほど強力な武器の元ネタがまさかのゲーム。

 しかもあんまり目立たない脱落時のあの光がモチーフになっていた。

 

 

「ジジィ!てめぇやっぱバカだろ!!」

 

「どこの世界にゲームをモチーフにして破壊兵器造るバカがいるんですか!?」

 

「何言ってんですかい旦那。そしてメガネ。こういった斬新な発想が、未来を切り開いていくでさぁ」

 

「言ってることカッコいいかもしれねぇけど、造ってんのはただの破壊兵器だろうがぁ!!切り開く以前にその先ごとぶっ壊されるわ!!」

 

「―――爺さん。実は、造ってもらいてぇものがあるでさぁ」

 

「話変えんなぁ!!」

 

 

 銀時と新八のツッコミを完全に無視し、沖田は源外に対し本題を切り出した。

 

 

「なんだ?今お前さんから依頼されたもん造ってんだ。そういうのは後からにしてくれ」

 

「まぁまぁ。とりあえず話だけでも聞けや。実は、こいつらのことなんだが―――」

 

 

 沖田は拳をグーにして親指で三人―――四人を指した。

 響と翼、そして調教済みのクリスと、今だに自爆されて死んだヤ○チャ状態のマリアだ。

 

 

「―――いろいろとツッコミたいところ満載なんだが、とりあえず……あれ、起こさなくていいのか?」

 

 

 源外が指さしたのは、一番ツッコミどころの多いマリア。

 そして、二人はマリアを見て―――。

 

 

「あー忘れてた!!」

 

「しまった!色々ありすぎて忘れてしまっていた!大丈夫か、マリアー!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

 

「う、うう……」

 

「大丈夫ですか、マリアさん?」

 

「取り合えず、お茶でも飲んで元気出せや」

 

「ありがとう…ございます…」

 

 

 あれからしばらくして、マリアが目を覚ました。

 今だに黒焦げなところはあるが、ようやく色を取り戻している。

 源外から出されたお茶をゆっくりと飲む。自分がこうなった元凶なので、素直にお礼は言えないのだが、それとこれとは別であるため、一応お礼を言った。

 

 

「いやぁ、まさか他人に当たるたぁ思いもしなかったぜ」

 

「いや、普通に考えたら当たるかもしれないって思うでしょうが」

 

「まぁまぁ過ぎたことをぐちぐち言ったってしゃーないだろ?で、その恰好を見るに今噂の【ハイグレ星人】だよな?」

 

「―――ちょっと待ってください。なんですか、それ?」

 

 

 【ハイグレ星人】の単語を聞いて、響が反応した。そして、それは翼も同じだ。

 それと同時に、嫌でも分かってしまう、理解してしまっていた。その【ハイグレ星人】と言うのが、自分たちのことだと。

 

 

「そう言えば、内容が衝撃的過ぎて頭からずり落ちていたが、あのニュースでも私たちのことを、そう…」

 

「いやぁまさか本物に合えるとはなぁ。噂通りのハイグレ姿じゃねぇか」

 

「ちょ!そんなこと言うのやめてください!これには【シンフォギア】って言うちゃんとした名前が――」

 

「でもハイグレなことには変わりねぇだろ」

 

「うッ…」

 

「それを…言われると…」

 

 

 認めたくない。二人の頭にその言葉がよぎるが、姿が姿なので反論の仕様がない。

 実際、この恰好のせいで『わいせつ物陳列罪』の罪状で捕まっているのだ。

 

 

「諦めなさい、二人とも。私はもう……慣れたわよ」

 

 

 マリアがどこか、遠い目をしている。

 もう、なんかすごいくらいの修羅場をくぐって来た目をしている。なんだろう、謎の威圧感がある。謎の説得力がある。

 

 

「マリアさん…どこ見てるんですか…?」

 

「なにやら、いつものマリアではないように思える…」

 

「考えても見なさい。こんな格好、行ってしまえばただの高性能なコスプレ。こんな格好が通用するのはハロウィンだけなのよ…」

 

「マリアさん、本当にどこ見てるんですか!?」

 

「マリアが、謎の境地に至ったように見えるのは、気のせいだろうか…?」

 

 

 本当に、彼女の思考がどこに行ってしまったのかが理解不能だ。

 まるで、悟りを開いたかのような、そんな顔をしている。

 

 

「それで、こいつらを連れて来て、結局何がしたいんだ?」

 

「実は、こいつらの帰還方法がなくなっちまってな。次元やら時空間やらを飛び越えることのできるからくりって、あるか?」

 

「おいおい沖田くん。そんな都合のいいからくりなんて、あるわけねぇだろ。それに、それはもう言っちゃなんだけどからくりっつー枠をはみ出てる「いや、あるぞ」あるんかいぃ!!」

 

「源外さん!それって本当ですか!?」

 

 

 新八の驚きとともに、三人の顔が歓喜に包まれる。

 絶望的だった帰還方法が、こんなにも早く見つかったのだ。喜ばないわけがない。

 だが―――また同時に違う疑問も生まれる。

 

 

「にしても、よくそんな都合のいいからくりがあったネ。前々から造ってたアルか?」

 

「いやぁ、この坊主にからくり製作依頼を出される前に、とある2人の天人から、製作依頼を出されてな。そのまま保管庫にしまわれているんだ」

 

「二人の天人?それってどんな天人だったの?」

 

 

 その製作依頼を出したと言う天人に、興味を持ったのか詳細を聞くマリア。

 

 

「なにって…『龍』と『狐』の天人だったが…それがどうかしたのか?」

 

「え、マジ?あいつらここに来てたんだ」

 

「やっぱりあの二人か…」

 

「え、知ってるんですかお二人とも?」

 

 

 その龍と狐の天人に、心当たりがあると言う二人。

 ていうかあの人たちそんなもん依頼してたのかよ。私たちの知らないところで何やってんだ。こんなに問題が早く解決してしまったら見栄えがないだろう見栄えが。

 あとであの二人に文句言わなければ。

 

 

「あ、そう言えばまだ二人には話してなかったわね。あなたたちの生活、すべて司令室で映像が流れてるわよ?」

 

「「え゛ッ?」」

 

 

 二人の、かすれた声が響いた。

 

 

「ち、ちなみにどのあたりから…?」

 

「私が来たときは、あなたたちが真選組と戦っている前で終わったけど…それ以降ももうとっくに流れている可能性があるわよ」

 

「そ、それって、つまり―――」

 

「あなたたちのこれまでの全部、司令室で流れてるわ」

 

「ああああああああああ!!!」

 

「―――――」

 

 

 マリアからの、実質的な死刑宣告を受けた。響は叫び、翼は膝から崩れ落ちる。

 今までの中には、自分たちが全裸にされたものもあった。それが、司令室で流れているとなれば―――。

 

 

「いや、でも流石にモザイクはされていたわよ?」

 

「それでも!!映されたってことですよね!?もうお嫁にいけないよー!」

 

「(……以外に、気にしてたのね)翼は…」

 

「――――」

 

「駄目ね。心ここにあらずだわ」

 

 

 ショックが大きすぎたため、二人の反応はそれぞれだが、傷ついていることに変わりはなかった。

 ただ、変わらないとすればクリスだ。彼女は今現在も沖田に縋りついている。

 

 

「クリスはダメね…。――――よし、源外さん。そのからくりを見せてくれないかしら?」

 

「――駄目だ。アレはあくまで依頼されている(ぶつ)だ。赤の他人に使わせることはできねぇよ」

 

「せめて、せめて見せるくらいは…」

 

「駄目だ。せめて本人からの許可くらいねぇと―――〈ルルルルルル…〉なんだぁ?」

 

 

 突如、電話がなった。

 ていうか、あの爆発で電話回線が生きてたのかよ。すげぇな。

 

 

「あーもしもし。え、あぁー。一体どのようなご用件で?……え、良いんですかい?はぁ…はぁはぁ…それでは」

 

 

 かかった時間はわずか15秒足らず。

 源外は電話を切ると、銀時たちの方を振り返る。

 

 

「なんか…たった今依頼者から電話がかかってきて、自由に使っていいってよ」

 

「本当ですか!?」

 

 

 急な展開に、思わず声を上げてしまう響。いや、これは響だけではなく、翼やマリアにとっても僥倖であった。

 つーかマジで都合よすぎだろ。どこから見てんだよ。あの二人。情報伝達早すぎだろ。

 

 

「な、なんというタイミング…」

 

「依頼人から許可が出たんだ。案内してやる」

 

 

 源外は瓦礫を退かしながら進むと、扉を開けた。

 全員がその扉の中に入ると、そこには大量のからくりが存在していた。

 

 

「な、なんという数だ…」

 

「す、すごい…」

 

「ていうか、こんなに敷地があって、よく今まで警察の目を搔い潜れたわね…」

 

「まぁしゃあねぇだろ。あんな税金泥棒どもの力量じゃ、源外のジーさんの隠れ家を探すことなんて不可能なんだよ」

 

「旦那。そりゃあ聞き捨てなりませんね」

 

 

 税金泥棒、と言う言葉に反応したのか、沖田が銀時に対して敵意を向ける。

 それと同時に、クリスも「フシャー!」と銀時に対して敵意を向けた。完全に猫である。

 その敵意に敏感に反応したのは、翼とマリア、そして神楽と新八だった。

 神楽や新八は「あぁまたか」程度にしか思っていないが、二人からすれば急に雰囲気が変わった彼に警戒の意を表している。

 

 

「(なに…彼の雰囲気が、急に変わった…!?)」

 

「(まるで隙がない…これが、天才剣士と言われた沖田の実力か…!?)」

 

 

 マリアは沖田の戦う姿を見たことはないが、雰囲気だけで彼が只者ではなくなっているということに気付いた。

 対して翼は一度彼の剣の腕をその目で見ていた。クリスのミサイルをその刀一つで真っ二つに斬ったのだ。波の剣士ではないことは理解していたが、まさかここまでとは―――と、思わず関心してしまう。

 普段はふざけた男だが、こういった場面になると人が変わる。それが彼、沖田総悟だ。―――と言うより、シリアスになったら大抵銀魂キャラは人が変わるんだけどねw。

 

 

「なんだぁ、沖田君。事実を言われてキレてんの?」

 

「―――旦那」

 

 

 より、一層空気が重くなる。

 唯一この邪見な雰囲気に気付かなかった響も、この雰囲気の悪さに気付き始める。

 

 

「え、なんですか、これ?」

 

 

 そんな響の疑問に誰も答えることなく、沖田が口を開いた―――。

 

 

「旦那。せめて『税金泥棒』の後ろに『土方十四郎』を付け加えてくだせぇ」

 

 

「「「――――ッ!!」」」ズコォー!!

 

 

 まさかの返答に、ズッコケる三人。

 あれほど邪見な雰囲気だったのに、まさかのおふざけ回答。

 ズッコケずにはいられなかった。

 

 

「あぁ悪かったね、沖田君。『税金泥棒土方十四郎』。―――あれ、これ漫画にしたら売れんじゃね?」

 

「売れねぇよ!!二人ともバカやってないで、さっさと進んでください!」

 

 

 的確なツッコミが新八から炸裂した。

 いつものおふざけだった。本当、少しチビっちゃうところだったじゃねぇか。ふざけんな。

 

 

「おーい、ここだぞ、ここ!!」

 

 

 源外の声が響き、一同は源外の元へ駆け寄る。

 全員の目に映ったそれは、大きな布で覆われた、謎の大きな物。

 全長5メートルほどあるであろうそのからくりは、異様な存在感を放っていた。

 

 

「これが…時空間を移動するからくり」

 

「まだ形を見てないのに、なんだか不気味な雰囲気がありますね…」

 

「まぁ時空間を移動するからくりなんだから、普通じゃないことは確かね」

 

「でけぇな…」

 

「そうですね…」

 

「「「――――――」」」

 

 

 それぞれが感想を述べている中、万事屋組は物静かだった。

 それを気にしたマリアが、三人に問いかける。

 

 

「どうしたの、三人共?」

 

「いや…なんか、これを見てると、懐かしいっつーか…なんか嫌な予感がするっつーか…」

 

「僕も、なんか同じ感じがします…」

 

「私はなんだか黒歴史が掘り返されるような感覚がするネ」

 

「―――?」

 

 

 三人の言葉に、マリアは訳が分からず首を傾げる。

 そんな中、源外が布に手をかける。

 

 

「お前等、よく見とけ。これが、時空間や次元を移動する、俺のからくり!!」

 

 

 バサァアア!!と言う布の音と共に、その全貌が露わになる。

 ()()を見た瞬間、三人の体が固まり、沖田とクリスはすまし顔で。銀時たちは「やっぱりかー」的な顔をしていた。

 

 源外は、目の前にそびえ立つ()()を、自慢げに語った。

 

 

 

「名付けて!!人体装填型ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲だぁあ!!!!」

 

 

 

 一同の目の前にそびえ立つ()()

 それは、黒光りに光った5メートルのチ○コだった。

 それを見た瞬間、三人は―――。

 

 

 

「「「いやぁああああああああああ!!!!」」」

 

 

 

 悲鳴を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

* * * * * * * *

 

 

 

「な、なんなんですかこれぇ///!!?」

 

「なにって、人体装填型ネオアーム「それはいい!何故こんな形をしているのかと聞いているのだ!」」

 

 

 当然の反応である。

 これが次元や時空間を超えるからくり?どう見てもただのわいせつ物である。

 装者以前に女性である彼女等にこれを使用しろと?無粋の極だろ。どう考えたって。

 

 そして、翼の疑問だが、これは意外な人物が説明した。沖田である。

 

 

「ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲。こいつはすげぇんだぜ。前に【攘夷戦争】について話したろ?」

 

「確か―――天人による地球の支配に異を唱え、決起した者達によって引き起こされた戦争だったな。それがこれとどう関係していると言うのだ!?」

 

「この大砲の元となったオリジナルはな、かつて攘夷戦争で江戸城の天守閣を吹き飛ばし、江戸を開国させちまった戌威(いぬい)族の決戦兵器だ」

 

「お前たちの国はこんな卑猥な大砲に負けたのか!!?」

 

 

 こんな大砲に負けたとなると、完全な恥でしかない。

 こんな大砲に負けたこの国に、同情心を抱いてしまう三人であった。

 

 

「―――で、これが本当に時空間を移動するからくりなの!?」

 

「そうだぞ」

 

「なんでこんな形なのよ!?せめてちゃんとした形に直せないの!?」

 

「無理だ。理由は二つ。まず依頼人がこの形で納品するように言っているからだ」

 

「―――急にあの龍と狐を殴りたくなってきたんだけど」

 

「奇遇だなマリア。私も同じことを思っていた」

 

 

 あーご愁傷様です。龍さん、狐さん。

 つーか、確実にこのために形をチ○コにしたような感じがするんだけど…。

 でも、龍さんと狐さんってギャラルホルンのゲートへの干渉権限、持ってなかったはずなんだけどな…。

 まぁもうどうでもいいか、おもろいし。

 

 

「―――それに、これまでの流れからすると、その龍と狐の天人…かは謎だが、そいつらがギャラルホルンのゲートに何かしらの細工をしたのだろう。でなければ、こんな都合よくからくりの製作依頼を出すはずもないし、都合のいいタイミングで許可も出ないしな」

 

「この一連の黒幕は、あの二人と見て間違いなさそうね」

 

「あのー…とりあえず…どうします?使いますか?」

 

 

 響の躊躇う言葉とともに、現実に引き戻された二人。

 今彼女らは、窮地に立たされている。元の世界に戻るために、女性としての尊厳と矜持をすべて捨てる必要がある、この現実に。

 それに、人体装填型と言う時点でどこが発射口なのかが容易に想像できてしまう。そんなの、モザイクを掛けないといろいろとヤバい。

 

 

「―――とりあえず今は待って。それで、もう一つの理由を聞いていいかしら?」

 

「それはだな…そもそも、この形じゃねえと時空間移動装置は稼働しねぇんだ」

 

「何故だ!?何故よりによってこの形なのだ!?もっとマシな形があるではないか!!」

 

 

 当然の叫びである。―――この流れ使うの何回目だっけ?

 わざわざチ○コの形でなくとも、もっとマシな形が存在していたはずだ。いくらこの形で納品するとしても、もっとマシな形が―――。

 

 

「だから。これは動く動かない以前の問題なんだよ。この形じゃねぇと、中の精密機械がうまく嚙み合わねぇんだよ」

 

「何故!?もっと、ほら、なんか…試行錯誤はしたの!?」

 

「それはもちろん。だがな、やっぱりこの形がジャストフィットなんだよ」

 

「そんな…バカな…」

 

 

 翼が、再び膝から崩れ落ちた。

 元の世界へ戻る手段が得られたと言うのに、まさかのその形がアウト(チ○コ)

 一人の女性として、このからくりを使うのは、どうしても許容することができない。

 だが、このからくりを使わなければ元の世界へ戻れないのも事実。

 迷いが、彼女等を襲った。

 

 

 そのとき―――。

 

 

「―――そんなに迷ってんなら、こいつにやらせるか?」

 

「ご主人様のためになら、なんだってやります!」

 

「「「「「「―――――」」」」」」

 

 

 沖田が、爆弾を投下した。

 そうだった。今のクリスは沖田に従順だ。

 もし沖田がクリスに()()を使えと命令すれば、彼女は迷いなくそれを実行するだろう。

 それだけは、なんとしても阻止しなくては。六人の思考が一致した。

 

 

「よし、命令だ。こいつを使「わせるかぁ!!」」

 

 

 翼が沖田に対して斬りかかる。本気で殺す気だった。

 沖田は咄嗟に刀を抜刀して対峙する。

 

 

「危ねぇじゃねぇか、青髪。俺はお前らがこれの使用を渋るから、仕方なくこいつに命令して―――」

 

「それがダメだと言っている!それに、本当にそれを使用したとして私たちの世界に戻れる保証など、どこにもない!」

 

 

 翼の言う通り、この人体装填型ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲を使用したとして、本当に元の世界に戻れる保証などないのだ。

 別の世界に飛ばされる可能性だってある。そんな不確定要素の多いものを使用するなど、愚の骨頂であった。

 

 

「あーそこら辺は大丈夫だぞ。当初はそこも俺は懸念していたんが、依頼人の天人から特別な精密部品を貰ってな。それを使用することで特定の世界へ行けるようになったんだ。装填したものがあった世界へと一直線だぜ」

 

「大丈夫じゃねぇか」

 

 

 あの人ら、なんつーもん渡してんだか。準備に抜かりはないってか?

 

 

「それでも!こんな卑猥な大砲を本人の意思なくして使わせてなるものかぁ!」

 

「ご主人様から離れろ!」

 

 

 クリスが翼に向けて銃弾を放った。

 そして、それを横からマリアと響が入ってその銃弾を受けとめる。

 

 

「クリス!目を覚まして!あんな大砲使っちゃダメよ!」

 

「そうだよクリスちゃん!あれを使っちゃったら女の子として終わっちゃうよ!」

 

「私は雌ですけど人間ではありません!ですので問題はありません!!」

 

「「大ありだぁ!!」」

 

 

「おい!ここで戦いをおっぱじめないでくれ!」

 

 

 源外の悲痛な叫びも聞き入れられず、闘いは過激さを増した。

 

 

 

――――その数時間後。闘いは終わったが、何故か、何故か源外のからくりはすべて無傷だったと言う。

 何故かって?編集者チートだよ。私はその権限持ってないけどね!

 ちなみに、勝敗だが、沖田とクリスの圧勝だったらしい。

 

 銀時たちはただその闘いを見ていただけだったが、途中で退室した。

 理由だが、「俺達いなくてもいいんじゃね?」らしい。

 

 その後沖田がクリスにあの大砲を使わせようとしたが、なんでも使用するつもりもなかったから充電とか一切しておらず、結局使用できなかったらしい。

 あと、充電には半年くらいかかるらしい。

 

 装者たち三人は思った。

 「あれは最終手段だ。もし、もし本当に帰還方法がなくなってしまったら、本当の本当に、いや、ガチで最終手段として使うしかない…」

 と、心の中で思ったそうな。

 

 

 

 



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