【未完】嵐龍に転生したワタシの幻想郷生活 (未確認桜餅生命体N)
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プロローグ:神の住む山と嵐の龍

タグの通りなので過度な期待に溺れてお亡くなりにならないように気をつけて下さい、おいそこ期待する要素が無いだろとか言わない。


遥か極東のある国に、「幻想郷」なる場所があるらしい。そこは科学文明が発展し、妖怪や神等の「非常識な存在」が拒絶されたこの世界において、そんな彼らが暮らすことのできる地上唯一にして最後の楽園であると言う。そこには人間は勿論妖怪や神、妖精、仙人、神霊等、数えるのが無駄な程大勢の存在が住んでいて、今から百年ほど前に地上と幻想郷を隔てる「博麗大結界」を貼った「賢者」達によって管理されているのだそう…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ここはそんな幻想郷の一角。「そこ」の大体向かいの位置には天を貫く巨大な山(幻想郷の住民からは妖怪の山と呼ばれているらしい)があり、「そこ」の頂上はその山には劣るものの十分な高度があり、頂上から見える雲海はこの幻想郷には無い大海を彷彿とさせる。そんな山の麓には、青々とした葉に包まれた美しい渓流が、幻想郷の中心側にある麓を囲むように小規模に広がっている。

曰く、そこには天の神が住んでいると。曰く、そこには暴風と竜巻を従える龍が住んでいると昔から畏れられており、かつて周辺に住んでいた人々は「その者」を「嵐龍」と呼び、「その山」を「霊峰」と名付け畏れ、崇めていたという。

 

だが、そんなことも今は昔。霊峰も、その麓にある渓流ものんびりとした時間を過ごしていた。そんな渓流の昼下がりにて、一人の()()()()()()()()()少女が水辺に向かって座っている。ふんふんと鼻歌を歌い、()()()()()()()()()()()()()を振りながら()()()()()()()()()()()()に長い棒を持っていて、その近くには入れ物が置いてある。どうやら釣りをしているみたいだ。

そんな状況が数分続いたかと思えば、不意に少女が釣り竿を振り上げる。振り上げた釣り竿の先には、青や朱色の体に鰭の先が黄色く染まったカラフルな魚がかかっている。

 

「これだけ集まれば充分じゃな」

 

満足気に頷いた少女は、釣具を片付けて入れ物を持ち、ふわりと周囲に生えた少女の背丈の大凡二倍はある草を揺らしながら飛行し、()()()()()()()()()()()()()

霊峰の頂上付近に付いた少女は平らな面が広がった場所に着地し、そのまま面の端(即ち断崖絶壁である)に腰をおろす。そして先のカラフル魚を入れた入れ物を自身の横に置き、そこから取り出した他の物より一回り大きいカラフル魚を、どこからか出したナイフでいくつかに切り分け、脂がのった非常に美味しそうなその一つを口に放り込んだ。尻尾をブンブン振りながら、誰が見ても美味しそうだと言わんばかりの百点満点の笑顔を浮かべた少女は、あっという間に切り分けた一尾を残さず食べきってしまった。

 

「うむ、やはりトロサシミウオは別格じゃのう」

 

サシミウオも上手いがの、と付け足しながら満足気に感想を独りごちると、少女は再びサシミウオを切り分けて口に放り込みながら、その角と同じ黄色い瞳で眼下に広がる幻想郷を眺めていた。

 

「向かいの山が妖怪の山、その麓にあるのが霧の湖で、その近くに建ってるのが……紅魔館じゃたか?いや、紅茶館だったような……うーむ」

 

つい最近神出鬼没で胡散臭い知り合いから聞いた幻想郷各地の目立った場所を一つづつ暗唱している。いや、ついさっき一つ間違えたが、どうやら彼女にとってあの二つは間違えやすいのだろう、片方は幻想郷に存在しないが。

 

「あれが迷いの竹林で、その近くに人里があって、一番東にあるのが博麗神社じゃな。そういえば、今代の博麗の巫女はどんなやつなんじゃろうか、紫の奴は才能はあるものの自由気ままで困り者の暢気な奴だと言っていたが……」

 

湧き水のように出てくる記憶を呟きながら、少女は楽しそうに時を過ごしていた……………




閲覧ありがとうございました。ご意見や感想などは感想に叩き付けて下さると作者が喜びます。


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嵐龍に転生してしまったワタシ

モンハンも東方も執筆も初心者なので所々設定やキャラ付けや文章に違和感が出るかも知れませんがその時は容赦なく感想に叩きつけてくださると幸いです。
今回は一人称視点です。


拝啓

早春の候、いかがお過ごしですか。私は元気に毎日を過ごしています。起きて気が向いたら釣り等で食料を採取して食べて、気が向いたら霊峰の中を散歩したりするのが今の私の楽しみです。大学生として日々勉学に励んでいた時とはまるで違いますが今の生活も充実していて楽しいで……………

 

「いや、何を考えとるんじゃ妾は」

 

頭の中ではがきを書いたって何の意味もありゃしねぇよ、誰かが郵送してくれる訳じゃないし、そもそも頭の中で思い描いた事が現実に出てくる訳がない。いや、この世の中急に背後から出てくる胡散臭い奴もいるし頭の中のイメージを具現化出来る奴がいても可笑しくない……………

 

「……もしかして妾、関わりのある人物あのスキマだけなのか?」

 

思えば自分以外の事を考える時必ず紫を基準にしてる。えっ何それショック。唯一の知り合いがあんな得体の知れない奴とか妾悲しい、今度紫に誰か紹介してもらおうか……な…………

 

「やっぱり妾紫しか知り合いいないじゃないか!」

 

うわー悲しい妾悲しいぞ。…と言うか何でこの話になったんだっけ。

 

「………確かこの体になる前の()()()の事を思い出そうとしてたんじゃっけか」

 

そうだそうだ思い出した、その後折角だからいっちょ脳内はがき書いてみるかと思い立ったんだった。

あと()()()と言うのは、この体になる前の自分ーー即ち前世と言うやつであるーーの仮称だ。折角だしまた思い出してみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「駄目だ妾記憶障害かもしれん」

 

虚空に向かって唐突に独りごちる。だって仕方ないじゃん何時間粘っても下記の事位しか思い出せないんだもん妾わるくない。

〜思い出せた事まとめ〜

・ワタシは女で、妾と姿は違った(具体的には思い出せないが)

・ワタシはモンスターハンターと言うげーむなる物が好きだった

・家族構成は父と母とワタシだった

・ワタシは大学生なる物だった

・ワタシは日本という国で生まれた

・その他曖昧な記憶等

ざっと挙げるとこんな感じである。それ以外の事はなーんにも覚えてない。()()()が妾になった時とかも綺麗さっぱり覚えてない。そう思えばその時の()()()はどうしていたのか気になる。喜んでいたのだろうか。悲しんでいたのだろうか。今は只、父と母という()()()との関係以外思い出せない彼彼女に何か想いを馳せていたのだろうか。

 

「………そんなものは、もう過去の話じゃ」

 

不意にそんな言葉が口から溢れる。

そう、過去の話だ。とっくに過ぎ去った過去の話だし、もう二度と過ごす事も出来ない、それも本当にあったのかすらも分からない過去の話だ。それに…

 

()()()と妾は、只の別人じゃ」

 

仮に元の人格や魂が同じだったとしても、妾は()()()を殆ど知らない。どんな人物だったか、どんな性格だったか、どんな姿だったかすらも思い出せない。そんな人物を、果たして同一人物と言って良いのだろうか。それなら体のいい妄想と考えた方がよっぽど筋も理屈も通っている。

だが、簡単にそうだと割り切ることができないのは何故なのだろう。心の何処かではそうだと思っているから?それともーーーーーー

 

「何か悩んでいるみたいね」

 

「うひゃぁ!?」

 

「あら、驚かせてしまったみたいね…」

 

「ゆっゆゆっゆかゆか紫!びっくりするからそれは辞めろと前にも言ったじゃろ!?」

 

「あら、そんな事言ってたかしら、私忘れてしまいましたわ」

 

「…………こやつめ」

 

悩んでいた妾の首筋をいきなり紫が触ってきたせいで、思わず思考の海から引きずり出された。紫の手はひんやりしてるから急に触られるとびっくりしてしまう。前にその事を言ったら「私は冷え性なの、だから冬は冬眠してるのよ」と返された。無性に腹が立った妾は一発グーを決めようと紫を数時間追いかけ回したが結局一発も決められなかった。おまけに何回か石にこけさせられた。ぐぬぬ。

 

「一発グーで殴りたくなったわ」

 

「あら怖い、こんなにちっちゃくてかわいいのに性格は凶暴なのね、私怖いですわ」

 

「お?お?また追いかけっこしちゃうか?次は妾勝っちゃうぞいや割とマジで」

 

「嫌よ、こんな服では満足に走れないもの」

 

「お主スキマ使ってたよな?前回バリバリ使ってたよな?これ以上巫山戯ると妾本気で怒っちゃうぞ」

 

「それは割と困るから勘弁してちょうだい、流石に私も巫山戯すぎたわね」

 

「分かればよい、して、何故妾の所に来た」

 

「さっきも言ったけど、何か悩んでたみたいだから」

 

「えっマジ?妾全然聞こえなかった、どの辺で言ってた?」

 

「私が貴方の首筋を触った時」

 

それは聞こえなくても仕方ないと思う。妾わるくないぞそれ。だが、折角のいい機会だ。渡りに船と言う奴か、まぁ紫の事だからそれを見越してた可能性もあるけど。

 

「そうじゃの……一つ、聞きたいことがある」

 

「聞きたいこと、ねぇ」

 

それを言うべく、意を決して妾は口を開いた。




頭の中のイメージを具現化出来ると出て来ましたが別にキラメイジャーを意識した訳ではありません。偶然の産物です。
感想が来てテンアゲしまくってて気付いたら指が勝手に動いてました。ご意見感想等はどんどん感想に叩き付けて下さると作者が喜びます。
主人公ちゃんの身長はレミリアとかと同じ位です、身長:低のグループに位置しています。


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急募・知人紹介求ム

某平成醜いおじさんの人がロックされてしまいましたね、余りにも早すぎた埋葬に思わずびっくりしてしまいました。サブタイトルはみんな大好き神おま厳選のアレです、詳しく知りたい方は「ブラキ炭鉱」で検索してみて下さい。


「……お主の知り合いを妾に紹介してくれないか?」

 

「はぁ」

 

「おいなんじゃその顔は」

 

そりゃこんな顔にもなるわよ、と紫は内心思っていた。いかにも深刻そうな顔をしていたから何か重い悩みでもあるのかと思って聞いてみたら「知り合いを紹介してくれ」と言われたのだ。むしろ何故そこまで深刻な顔が出来るのだろうか。いや、小さい子どもは些細な事に真剣になれるものだ、きっとそういう感じのアレなのだろう、たぶん。

 

「別に失礼なことを考えてた訳じゃないわよ」

 

「…まぁええわ。それで、誰が丁度よさそうな知り合いはおらんのか?」

 

「私からの紹介だと、貴方に対する最初の好感度はかなり悪いわね、きっと」

 

 

私、何故か周りから嫌われてるのよーと付け足しながら悲しげな顔を浮かべた紫に、少女は呆れた様な顔になる。

 

「そりゃあ、そんな性格してたら誰からも好かれんわ」

 

「そこはお世辞でもそんなことはないって言って欲しかったわ」

 

「お主程お世辞を言われるのが似合わない女はおらん」

 

「酷いわー」

 

はっきりとそう言った内心イライラしている少女に、紫はしくしくとわざとらしく悲しんだフリをする。少女はこうなる事を大方分かっていたのだが、生憎彼女以外に相談できそうな人物どころか知り合いすらいないので、このわざとらしい三文芝居を聞かなければならない所が少女を更に苛立たせる要因になっている。

 

「お主に知り合いを紹介してもらうのはやめだ、手っ取り早く知り合いを作れる方法を教えてくれ」

 

「悪銭見につかず、ですわ。楽して手に入れたもの程価値のない物はないわ」

 

「真面目に教える気はないのかお主」

 

「あるわよ。そうねぇ…知り合いを増やしたいってことは、とどのつまり色んな人に認知されれば良いのでしょう?」

 

「まぁ、そうなるな」

 

「なら、何か大きな事を起こせばいいのよ」

 

「大きな事、とな?」

 

「えぇ」

 

この幻想郷、狭いが故に知名度の影響は意外と大きいのである。過去に「異変」と呼ばれる事件を起こした者達は、基本幻想郷の多くの住民から存在が知られており、異変を起こした側もそれの影響か顔が広い者も多い。つまり、異変、もしくはそれくらいの規模の何かをすれば必然的に幻想郷での知り合いは増えるのである。

 

「ふむ、確かにそれは良いかも知れんな」

 

「えぇ、私に相談したのは間違ってなかったでしょ?」

 

「……実際そうなのが何か腹立つわ」

 

「それ位我慢しなさい、良薬口に苦しって言葉、知ってるでしょう?」

 

「そういう所じゃ」

 

「心外ねぇ、悲しいわ」

 

「まぁ、そうと決まれば善は急げじゃ。早速準備に取り掛かるかの」

 

「まさか本当に大事を起こすつもり?」

 

「そうしろと言ったのは紫じゃろう、もしかしてお主、やっぱり真面目に教える気なかったのか?」

 

「それはご想像にお任せしますわ。あと、私は提案はしたけど強制はしてないわよ」

 

「提案も強制も似たようなもんじゃ、第一妾にはお主しか頼れる奴がおらんのじゃし」

 

そう言いながら何をするかと悩んでいる少女の横で、紫はつい先日にあと一歩の所で思い出せなかった事が急に思い出せた時のように「あ」と一言呟いた。

 

「急にどうした、もっと良い方法でも思いついたのか?」

 

「いや、ついさっきまで何故か忘れていた重大な問題をふと思い出したのよ」

 

「なんじゃそりゃ、言うてみぃ」

 

「言われなくても言うわよ、いい?……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

貴方、名前は何て言うの?」

 

「……………は?」

 

神妙そうな顔で言った紫の言葉に、()()は何を言っているんだこいつ、と言った顔で紫を見つめる。

 

「いや、名前よ名前。貴方、一度も自分の名前を名乗った所を見たことがないから」

 

「……ついに紫も痴呆が出たか?」

 

「ちょっと」

 

「妾が悪かったからその物騒な標識をしまってくれ」

 

「……少女に痴呆なんて言葉は似合わないわよ、まったく」

 

果たして彼女は少女と呼べるべき年齢(人外基準)なのだろうかと少女は言おうとしたが、よくよく考えてみれば自分が彼女より歳上な事に気付いてしまって言おうにも言えなかった。

 

「…まぁええわ、名前じゃろ?それ位言えるに決まっておろう。妾の名前は………………えっと………なんじゃったっけ…」

 

「………やっぱりね、貴方、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「………ほぇ?」

 

紫は、少女が人間から「嵐龍」と呼ばれ畏れられていたのは知っていたのだが、肝心の少女本人の名前を今日の今日まで知らなかったのだ。少女自身も自分の名前を一向に言わなかったので、もしかしたらと思ったら案の定だったと言う訳だ。

 

「いや、多分忘れてしまっただけじゃ、ほら……の?」

 

「貴方がそう言って思い出せた試しが今までないわ」

 

「マジか、色んな意味で妾超ショック」

 

「…取り敢えず、先ずは貴方の名前を決めないとね」

 

「……うむ」

 

かくして、名もない龍少女の名前決めが始まったのであった。……知り合いじゃなくて友達を紹介しよろと誰も思わなかったのは内緒の話である。




閲覧ありがとうございました。
はい、中々展開が進みませんね。取り敢えず主人公ちゃんの名前を決めなきゃいけないので次回は大分遅れるかもしれません。思いつきで始めたいきあたりばったり小説なので勘弁してください。


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名無しの嵐龍サマ

どうも読者の皆様、お久しぶりです。名前決めもあったのですが、その他色んな事情(大体ソシャゲ)に気を取られてたら一切執筆をしないまま6日が過ぎてました、申し訳ありません。と言うわけで今回は名前決め回です。作者のセンスのなさに涙するがいいふははー
※☆で視点が変わります


「…………」

 

「紫ー、そろそろ決まったかー?」

 

「まだだからもう少し藍をモフっておきなさい」

 

「うむ」

 

少女の名前を決め始めて早数時間が経過していた。始めは二人霊峰でうんうんと唸っていたのだが、紫が寒いと言い出したので仕方なく紫の家に上がり込んだのだ。後少女が藍と言う九尾の尻尾に埋もれてるかと言えば、簡単に言うと「名は体を表す」である。自分で付けた名前よりも他人に付けてもらった名前の方が良いと少女が思ったからだ。紫自身もそれに反対するつもりはなく、ちゃぶ台に肘を立てて一人物思いに浸っているのだ。

 

「うーむ、お主の尻尾は柔らかいのぅ、妾のとは大違いじゃ」

 

「それはもう十四回程聞きました、何時までこうしてるつもりなんですか…」

 

「だってお主の尻尾をモフモフする以外にすることないじゃんか此処」

 

「いや、私にも仕事があるので…尻尾を触られながらだと集中できなくて…」

 

「それは仕方ないな…紫ー!何か退屈しのぎになりそうな物はないかー?」

 

「日向ぼっこでもしてなさい、寝てしまってもそれはそれで時間潰しになるわよ」

 

「それ名案、妾陽に当たってくるわ。九尾よ、感謝するぞ」

 

「紫様の命令なので、お気になさらず」

 

紫からの提案に少女は嬉々として頷き、縁側へトタトタ走っていった。こうして少女から開放された藍は、紫がいる場所とは別の場所に向かった。大方紫がいてはおちおち集中して仕事が出来ないからだろう。紫は変わらず肘を立てて考え込んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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思いっ切り引き上げられる様な感覚と共に、妾の意識が覚醒する。おそらく日向ぼっこをしていたらそのまま寝てしまったのだろう。ならば今は縁側にいるはずだが…

 

(柔かい…何かの上に乗っておる?それにさっきから誰かが妾を撫でておるし…)

 

まぁ、何はともあれ目を開けてみなければ分からない。急な光に目をやられないように、妾はゆっくりと目を開けた。

 

「ん…」

 

「あら、ようやく起きたのね。もう名前決め終わっちゃったわよ」

 

「おぉう!?紫、何をしておるのじゃ?!」

 

「何って膝枕よ、ひ・ざ・ま・く・ら」

 

「いやそうじゃなくて………やっぱええわ」

 

理由を聞いてもはぐらかされるだけじゃろうし、と妾が付け足すと、紫はそう言うと思ってたと言わんばかりに笑みを浮かべる。こういうとこがあるから妾あんまり紫が好きじゃない。

 

「して、どの様な名になったのじゃ?」

 

「今から言うわ…貴方の名前は、天津風披靡(あまつ ふひび)よ」

 

「ふむ…妾は文字の事は余り存じないが良い響きじゃ、気に入ったぞ」

 

「そう言ってもらえて幸いよ」

 

「うむ、妾の為に時間を割いてくれたこと、感謝するぞ」

 

「そんなにかしこまらなくて良いわよ、帰りはそこのスキマからね」

 

「またの、紫」

 

「またね、()()()

 

紫と挨拶を交わした後に、気味の悪い隙間に入って霊峰に帰る。最後に呼んでくれた妾の名前は、とても心地よく感じた。




主人公ちゃんの名前は、「天津風披靡」で決まりました。天津はアマツマガツチから取って天津(某1000%社長は関係ありません)、風は披靡だけじゃ何か物足りなかったので増やしました。名字と合わせるとかの名句にも使われた天津風になって、「空高く、天を吹く風」という意味になります。アマツマガツチが上空で嵐を纏いながら飛ぶ姿にも合致しますね。披靡は、「草木が風に吹かれてなびき伏すこと」で、まぁ言葉の通りです。名前は最初神奈備をもじろうとしたのですが、それだと神奈子様とモチーフがダダ被りな上に余りいいのが思いつかなかったので風に関連したワードをチョイスしました。蛇足ですが天高くにある高天原に住む神のことを天津神と言います。


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(知り合いが)欲しいなら 異変を起こそう ホトトギス


どうも皆さん。モンストフェアリーテイルコラボやアーケアに挟まれて中々執筆に手が付かなくていざ執筆しようと思ったところで高校から課題が出て軽く絶望している作者です。今回は風披靡ちゃんが異変を起こそうと躍起になる回です。


陽の光が照り付ける午後の真っ只中にて、今日も今日とて風披靡は霊峰の例の場所に腰を下ろしていた。違うところがあるとすれば、彼女の手に一枚の真っ白な無地のカードがあるという事だ。言わずもがな、それは「スペルカード」である。

命名決闘法案(スペルカードルール)」、かつて幻想郷を吸血鬼率いる軍勢が襲った「吸血鬼異変」。その影響は凄まじく、当時幻想郷にいた妖怪の大半が様々な影響で力が衰えていたとは言え、彼らの軍門に下ったと言えばその凄まじさは伝わるだろう。結局異変は当時幻想郷で最も力があった妖怪が力技で解決したのだが、これを受けて当代博麗の巫女、即ち博麗霊夢が提案したのが先の命名決闘法案(スペルカードルール)である。詳しく説明すると長くなるし話が脱線してしまうので簡潔に言うと、

・人間が異変を解決しやすく、妖怪が異変を起こしやすくする

・形式的に妖怪が人間を襲い、人間が妖怪を恐れるという図式を作って妖怪の生存を図る

・美しさが一番であり、避けられない弾幕(不可能弾幕)などは基本禁止、つまりかつての幻想郷の完全な実力主義の否定

ざっと言うならこんなところである。他にもスペルカードを使う際のルール等もあるが、それは各自で調べるなりして頂きたい。

風披靡はと言えば、スペルカードでどんな弾幕を撃とうかであれやこれやうんぬんかんぬんどうしたものかと唸っていた。スペルカードは自分を表現するものだと紫に言われたせいか、余計に悩んでいるのである。

 

「うーむ…………どうしたものかのぅ」

 

世の中には急がば回れという言葉があるなと思い出した風披靡は、先に完成したスペルカードと共に無地のカードを袖に突っ込んだ。

 

「ただ悩んでいても仕方があるまい、どんな感じで異変を起こすか考えるとしようかの」

 

こうして風披靡は胡座をかき、雲一つない快晴の空を見上げた。ぼーっと空を眺め続ける。快晴のせいか雲のない空は、僅かに動く太陽以外の時間が止まってしまったかのようで、どれ程の時間が経ったのか風披靡自体も余り分かっていなかった。

 

「…この快晴の空を嵐で埋め尽くしてみるのは面白そうじゃの」

 

ぽつり、と風披靡が呟く。その言葉はぼーっとしていて半ば放心状態にあった彼女の意識を一気に覚醒させた。

 

「そうじゃそれじゃ!この空を雨雲で真っ黒に染めてやろう!」

 

そうなれば善は急げだ。もうとっくに沈んだお天道様の代わりに出てきたお月様を背に、風披靡は「やるぞー!」と何か忘れ物があった気がしたがそれを無視しつつ意気揚々な掛け声をあげるのだった。

 

 

 

 

 

 

霊峰の頂上よりも少し高めの上空。自慢の白髪や服を風に揺らしながら風披靡は霊峰を見下ろしていた。大の字のように両手を広げ、目を瞑って静かに一息つく。その姿は普段の見た目相応な行動をしたりする彼女とはまるで別人で、かつて彼女を信仰していた者達が見れば涙を流していたことだろう。木々がざわつく、水面が揺れる、周囲の動物達は強大な力の波動に当てられ、一斉に霊峰の頂上を見上げる。この地に永く住み続けている龍の影響で、大地の龍脈に溶け込んだ彼女の力が霊峰の頂上へと集まっていく。それが暫く続き、止まったかと思えば、風披靡の眼前には嵐を無理やり押し込め、押し込め切れなかったエネルギーが風として周囲を纏っているかのような宝玉があった。彼女が両手を上に上げるとそれと同時に宝玉も上へと上昇し、ある地点へ到達した途端にそれを中心にして瞬く間に幻想郷全土を覆う分厚い雨雲を形成した。

 

「さぁ、長い雨の始まりじゃ!」

 

これから、一人の龍少女が起こす異変の幕が上がるのだった……




遂に異変が始まりましたね。風披靡ちゃんの髪は時々紫が手入れをしているんだとか。ちゃんと弾幕の感じを文章で表現出来るか不安ですが、何とか頑張ってみようと思います。自機組もレイマリとあと一人誰か入れようと思ってたりします。次回、「全てを奪い去る嵐」乞うご期待です(自らの手でハードル上げ)。


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全てを奪い去る嵐

大変遅れてしまい申し訳ありません、作者です。保存をし忘れて書いた文が消し飛んだりしてやる気がなくなっておりました。一話辺り1500字程度のソフトな作品なので可能な限り短いスパンで更新したいんですけどねぇ…何はともあれ今回は異変の前日譚です。東方風に言うならタイトル画面のストーリーで見れる部分です。サブタイはモンハンxxでのG級アマツマガツチのクエスト名からコピペ。


「…………ん」

 

吹き荒ぶ風と激しく打ち付ける雨の音で博麗霊夢は目を覚ました。普段は朝日が登ると同時に起きる習慣が根付いていた彼女は、異音で起こされた為かはたまた寝起きはいつもそうなのか不機嫌そうな顔をしている。

 

「……外、薄暗いわね」

 

昨日は快晴だったのにと怪訝しながら霊夢は障子を開く。すると開いた障子から凄まじい強風が彼女を襲い、霊夢は思わず尻餅を着いてあんぐりとする。

 

「………こりゃあまた随分と降ってるわね」

 

眼前に広がるのは雨に打たれる神社と激しく揺れる木々、そして黒雲に覆われて日光が一筋も見えない空。暫く呆然としていた霊夢だが、直ぐに何かに気付いたのか慌てて走り出す。

 

「さ、賽銭箱が吹き飛んじゃう!」

 

どうやら彼女、雨戸の事よりも賽銭箱の方が心配なようである。急いで向かうも悲しいかな、そこにあった筈の賽銭箱は影も形もなく霊夢はがっくりと肩を落とした。

 

「…こんな天気じゃおちおち探しにも行けないし、雨戸でもしめようかしら」

 

賽銭箱の行方を想像し気を落としつつも急いで引っ張り出した雨戸をしめていると、まだ雨戸をしめてないところからひょっこりと黒いとんがり帽子を被った少女が顔を出す。

 

「よっ、霊夢」

 

「あんた、この天気で外に出てたの?」

 

「こんなに激しい嵐はレアだろ?」

 

「レアなのと外出するのに何の関係があるのよ」

 

「レアな天気の時にはレアなアイテムが落ちてるからな」

 

「つまり、レアアイテムを探したはいいもののあまりにも嵐が激しいからここに避難したってわけね」

 

霊夢に図星を突かれたようでうぐっと声を漏らした霧雨魔理沙は、霊夢から手渡されたタオルで濡れた部分を拭きながら縁側に上がった。

 

 

それから暫くして、雨戸の設置やら着替えやらを済ませた二人は退屈そうにしていた。因みに霊夢はいつもの巫女服、魔理沙は長襦袢を着ている。魔理沙の魔女服は濡れたため干してある。

 

「何もすることがないし退屈だわ」

 

「せっかく二人いるんだから綾取りでもするか?」

 

「何で綾取りなのよ」

 

「この前香霖から外の世界の綾取りの本を貰ってきたんだ」

 

「ちょっと、霖之助さんのとこの物を盗るんじゃないわよ」

 

「失礼な、私は今まで一度も物を盗んだことはないぞ」

 

「どの口が言うんだか」

 

この口だ、と返しながら本に書いてある通りに指を動かして何かの形を作る魔理沙。霊夢は魔理沙がこちらに見せている物を見て何か分からないのか首を傾げていると、東京タワーって言うみたいだ、と魔理沙が本を見ながら言った。

 

「何よそれ」

 

「私にも分からん、タワーって付いてる位だから東京って名前の塔なんだろ」

 

「まぁそうなのかもね、でも中々面白そうじゃない」

 

「だろ?」

 

そんなこんなで綾取りを始めた二人。暗雲が空だけでなく時間も隠していたようで、二人は何時間ものめり込んでいた。しかし、最初は楽しくてもずっと続けていればその内飽きが来てしまうものである。つまり何が言いたいかと言えば、二人は退屈そうにしていた(デシャヴである)

 

「流石に綾取りだけじゃ一日は潰せなかったわね…」

 

「でもかなり時間は経った様な気がするぞ、これは私のお手柄だな」

 

「それにしても、止むどころか全然勢いが衰えてないわね」

 

「ここまで来ると、むしろ誰かが起こした異変なんじゃないか?」

 

雨戸を開けて外の様子を見た霊夢に対し、魔理沙は疑問をぶつける。確かにこんな長時間激しい嵐が続くというのは外の世界でもそうそうない、魔理沙が疑うのも無理はない。

 

「まぁ、その線もあり得るわね」

 

「だろ?こうしちゃおれん、さっさと準備をしなきゃ」

 

「でも、異変と決めるのもまだ尚早だと思うわ、たまたま長持ちする嵐が来ただけかも知れないし」

 

「た、確かに」

 

「嵐の中びしょ濡れになりながら犯人探しをしたのに只の自然現象でしたなんて、骨折り損にも程があるわ」

 

それに、あんたまだ服乾いてないでしょ、と言うと魔理沙はますます反論の余地を失った様である。元々あまり反論する気がなかったというのもあるが、やはり彼女も濡れるだけ濡れて骨折り損になるのは御免なのだろう。

 

 

「私としては、異変は早めに解決して欲しいのだけれど」

 

 

「「紫」」

 

「何で異変って分かるのよ」

 

「そんな事より、里の人間を優先したらどうかしら?」

 

「確かに、幻想郷にとって人里は必要不可欠だわ」

 

「でしょう?なら…」

 

「でも、自然の営みならそれは仕方のない事だと思っているわ」

 

正直な所、紫は少しばかり焦っていた。勿論異変の規模もそうだが、風披靡の力が自身の想定を上回っていたからである。紫とて万能ではない、幾らコンピューター並の計算能力を持っていたとしても、そこに意思が存在する以上無意識に自身の思考等と結び付けてしまうからだ。因みに風披靡自身も少しやり過ぎたんじゃないかと焦っているのは別の話。

 

「私の仕事はあくまで妖怪退治と異変解決であって、困ってる人間を助ける万事屋じゃないのよ」

 

「確かに、あなたの仕事は妖怪退治と異変の解決ね。でも、今回は紛れもなく異変よ」

 

「あんたの言う事を信じろってこと?そっちの方が嫌よ、あんた胡散臭いし」

 

「霊夢は変な所で頑固なんだから…分かったわ、今日は神社で時間を潰してても構わないわよ」

 

「そういうあんたはあっさりと引くのね」

 

「えぇ、元より霊夢の意見ももっともだと思うわ、どうせ明日になれば分かる話だし」

 

「それもそうね、魔理沙、他にも時間が潰せそうなものない?」

 

「三人いるから、花札なんかどうだ?」

 

「花札、良いわね。霊夢に負けてられませんわ」

 

「あんたらどっちもぶっ倒してやるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後は、三人で柄にもなく花札に熱中した後にどうやって時間を把握したのか、夜更かしは乙女の天敵ですわ、何て言いながら帰った紫を尻目に二人も床についたのであった。そして迎える朝。霊夢はバァンと雨戸を開け、外の様子を確かめる。

 

「これは…異変で間違いないわね」

 

空を覆うのは昨日と比べて赤みが増した暗雲で、嵐の勢いは昨日と同じか、それより強くなっていた。昨日紫が言っていた事もそうだが、何より霊夢の勘がそうだと言っているのだ。因みに、一晩中交代交代とは言え人里を守っていた烏天狗や河童等はクタクタになっている。紫は案外彼女達の事も気に掛けていたのかもしれない。

 

「こりゃあまた、一段と激しくなってるな」

 

「異変で間違いないわ、私の勘がそう言ってる」

 

「なら尚更だな、早く準備するぞ!」

 

「えぇ」

 

霊夢の言葉に、魔理沙は言われる前に干しておいた自分の服を取りに行く。せっかちだなと思いながら、霊夢も寝間着からいつもの巫女服に着替える。

 

異変は、これからが本番である。




重ね重ね言いますが、更新が遅れてしまい大変申し訳ありませんでした。タグに不定期更新とあるけど、可能な限り早めに更新したいというのが私の本意です。
と言う訳で次回は霊夢達が風披靡ちゃんの山にカチコミに行く回です。時機組の三人目に当たる人物は入れようかまだ悩んでいます、ぶっちゃけなくてもいいかなと思ってたり。と言う訳で閲覧ありがとうございました、ご意見ご感想誤字脱字報告等は積極的にやって下さると嬉しいです。


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神霊の峰

やることがなくて試しに書いてみた所意外と筆が乗ってさらさらっと書き上げられました。サブタイは霊峰のBCでのBGM名から。
☆で視点が変わります。


濡れないようにと合羽を着た霊夢と魔理沙は、荒れ狂う嵐の中を飛んでいた。異変の足掛かりはないが、霊夢が「あっちに元凶がいそう」と言ったため二人で向かっているのである。因みに霊夢の勘はよく当たる様で、親友である魔理沙も太鼓判を押している程であるのだとか。

 

「この感じだと、異変の元凶はあの山にいるのか?」

 

「少なくとも私の勘はそう言ってるわ」

 

「まぁ、霊夢の勘が外れてたとしてもこの魔理沙様が元凶の居場所をピタリと当ててやるさ」

 

「そう、なら期待してるわ」

 

そんなことはないと思うけど、と付け足した霊夢に魔理沙は少し苛ついたが、伊達に霊夢の親友を名乗っているだけはあり直ぐに機嫌を戻した。この程度は日常茶飯事なのだろう。

 

「それにしても、この山に近づく程妖精達の姿が減っているような気がするわ」

 

「確かに、って事はもしかして外れかもな」

 

「でも、私の勘は絶対此処だって言ってるのよ」

 

「なんだそりゃ、まぁそれならこの山を調べる価値はありそうだな」

 

「えぇ」

 

これまでも、こと異変の元凶探しにおいて霊夢の勘は百発百中の精度を誇っているのだ。それならば信じる価値は十二分にある、と魔理沙は一足先に霊峰へと飛んでゆき、後を霊夢が追うのだった……

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーー

 

ーーーー

 

「……異常ね」

 

「あぁ、異常だな」

 

霊峰へと入った二人だが、入って暫くして直ぐに異変に気付いた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。原理はともかく、異変時の妖精はたとえ元凶が大妖怪だろうが神だろうが元凶に近い場所に行くにつれ多くなる性質がある。だが、この山の状況は真逆である。それが返って二人に恐怖を与えていた。

 

「私の勘が働いている以上、間違ってるとは思えないんだけど」

 

「もしかしたら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が元凶なのか?」

 

「やめてよ、そんな縁起でもない」

 

「はは、すまんな」

 

冗談なのか本気なのか分からない魔理沙の言葉にたじろぐ霊夢だったが、直ぐに調子を取り戻して「山なら山頂に元凶がいるはずだ」と言う魔理沙の根拠のない発言に乗って山頂に向かって二人は飛び立った。

自分の張った雲のせいで時間が分からなくなるというヘマをやらかした風披靡は霊峰の頂上と思われる岩に腰を降ろしていた。簡単に言えば、風披靡は退屈だった。

 

「博麗の巫女は異変解決が仕事と聞いていたから直ぐに来ると思っていたのじゃが…」

 

「来ない!全っ然来ない!一体どれだけ妾を待たせるつもりなんじゃー!」

 

異変を起こせば数時間で来ると勝手に思っていた風披靡は、一日以上も待たされていて我慢が出来なかったようだ。傍から見れば癇癪を起こしている幼児に違いないが、命が惜しいならそれを言うべきではないだろう。因みに時間は紫に聞いたそうだ。

 

「早う来てくれんかのぅ…妾退屈過ぎて死にそうじゃ」

 

「なんか大声で呼んだらこっちに来てくれたりしないかの?」

 

「それをしても来るのは山彦だけよ」

 

「なんじゃ紫、お主に構ってる程妾は暇じゃないのじゃが」

 

「さっき暇だーって騒いでたのは「わ、妾が悪かったか、妾が悪かったから!」ふふ、悪かったわね」

 

「むぅ…反省の色が見えんがまぁええわ」

 

「うふふ、でも、私が暇潰しに付き合う必要はない見たいよ」

 

「って事は、もうじき来るのか!」

 

「えぇ、今は此処の麓辺りにいるわ、彼女達が来る前に最後のスペルカードでも考えておきなさいな」

 

「最後のスペルカード?………ってあぁあ!!」

 

くすくすと揶揄っている様な笑みを浮かべながらスキマに入っていった紫に言われた言葉で、風披靡は一枚空のスペルカードがあるのを思い出して目に見えるくらい慌てだす。異変の解決者が来るまであと少しである。

 

「えーっと……どんな感じにしたものかの…」




閲覧ありがとうございました、結局作者の力量的な問題で自機組はレイマリの二人のみになりました。一枚空白のスペルカードがあったのを覚えてる人はどれ位いたのか少し気になります。例のウイルスの影響で5月上旬までは家から出られないのでこの時期に出来るだけ書き進めたいなぁと思ってたり。


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舞うは嵐、奏でるは災禍の調べ

どうも皆さん、緊急事態宣言が一ヶ月延長するとかなんとからしいので課題を進める手を止めて執筆をする作者です。まぁモンストエヴァコラボがあるから更新ペースは上がらないんですけどね。
今回は漸く弾幕ごっこ編、サブタイは皆大好き上位アマツマガツチのクエスト名から。Fの方だと文字数制限のせいでクエスト名の読点が省かれてたりします。


嵐に打たれる霊峰。その頂上にて、三人の少女が睨み合っていた。片や紅白の巫女服と白黒の魔女服をそれぞれ着た二人の少女、片や白い着物の様な服を靡かせその年端も行ってない身に不釣り合いな巨大な角と尾を生やした少女。言わずもがな霊夢、魔理沙、そして風披靡の三人である。互いに睨み合って動かない三人の思っている事は意外にも一致していた。

 

(((この微妙な空気どうしよう…)))

 

どういう訳か、時は少し遡る。

 

魔理沙の「黒幕は山頂にいるのが定番」と言う根拠のない言葉に乗った霊夢は魔理沙を置いて山頂に向かって一直線に飛んでいた。因みに魔理沙は後から付いてきた。

 

「霊夢、今日はいつもより速いな」

 

「そう言うあんたこそ、私より速いくせに何で合わせてるのよ」

 

「それは霊夢が着くよりも先に私が元凶をぶっ倒しても良いって事か?」

 

「へぇ…随分と舐められたものね、弾幕勝負じゃいつも私の圧勝なのに」

 

「なにおぅ、この前のは結構接戦だっただろ」

 

「あら、そうだったかしら」

 

「こいつめ…」

 

と、そんなやり取りをしながら頂上に着いた二人は直ぐに座り込んでいる黒幕っぽい雰囲気の少女を見つける、仮に黒幕じゃなかったとしても見かけた妖怪は片っ端から叩き潰すのが彼女達のやり方なので逃れられる術はないのだが。

 

「おーい、そこの白い奴ー」

 

「…………」

 

「……おーい」

 

「…………」

 

霊夢が呼び掛けてみたものの、少女はブツブツなにか喋るのみで微塵も反応しない。聞こえてなかったのかなと魔理沙も声を掛けるが全く同じだった。

 

「……もしかして寝てるとかないよな?」

 

「何か言ってるからそれはなさそうだけど……ちょっとー」

 

「わひゃあ!?誰じゃお主ら!」

 

「博麗霊夢。この異変を解決しにきたのよ」

 

「同じく霧雨魔理沙だ」

 

「博麗…と言うことは今代の巫女はお主なのか」

 

霊夢に肩を揺すられ漸く反応した少女に対して自己紹介をした二人。霊夢をみてほぉーと何か納得した様な表情を浮かべた後にそっちの白黒は知らんが、とばっさり切り捨てられるて魔理沙はあからさまに不機嫌そうな顔になる。取り敢えずと起き上がった少女は二人と向き合う。

 

「妾は天津風披靡、お主らが探していた異変の主犯じゃ」

 

「ほぉ、なら話は早い」

 

「そうね……所で、さっきは何で反応しなかったのよ」

 

「さっき?」

 

「何で私達が呼んでたのに反応しなかたのよ」

 

「それは………っ!?」

 

「わわっ」

 

自己紹介を終えた風披靡に霊夢が率直な疑問をぶつけると、途端に顔を赤くして両手で顔を覆ってしまった。

 

「……どの位前からいたのじゃ?」

 

「あんたが反応した少し前よ」

 

「妾が何しておったか知ってるか?」

 

「いいえ、何かブツブツ言ってるのは聞こえたけど…」

 

「……い者」

 

「あん?」

 

「…無礼者ーっ!」

 

「えぇ!?」

 

「人のプライベートを覗き見する何て無礼じゃ!失礼じゃあ!破廉恥じゃぁー!」

 

風披靡、キレた!!確かにプライベートな事情を知られるのは誰だって嫌だが、これに関しては完全に風披靡が悪いので文句を言えた口ではないだろう。

 

「そんなん知ったこっちゃないわよ!第一あんたの事呼んだって言ったわよね私!」

 

「………へ?まじ?」

 

「うんマジ、あんた全然話を聞いてなかったのね」

 

「あー……それは…すまんの、うん」

 

「え、あ、うん」

 

「「「…………………」」」

 

沈黙、只々沈黙していた。話をしていた二人も、それを静聴していた魔理沙もこの微妙な空気にだんまりせざる負えなかった。その後は「そういえばこれ最終決戦だったな」と思い出した三人がキリッとした顔付きになるも、さっきの後でどう話を切り出せば分からず睨み合ったまま時間が更に経った。傍から見れば高度な心理戦を繰り広げてるかのようなその空気を打ち破るべく一人の少女が口を開く。

 

「……弾幕勝負、始めてもよいかの?」

 

「あ、うん…」

 

「あ、あぁ…」

 

「……この嵐を止めたくば妾を倒すほかないぞ!全力でかかって来るがいい!」

 

「「……えぇ!(あぁ!)」」

 

かくして終わらぬ嵐を止めるべく立ち上がった二人の少女の最終決戦が始まるのであった────。




閲覧ありがとうございました。会話をしてたら急に微妙な空気になって黙る事ってありますよね。次回で漸く弾幕勝負編です、作者の文才のなさが溢れ出るので過度な期待は駄目ですよ。
感想でも言われたので聞いてみたいのですが、この小説に「チート」のタグを付けるべきでしょうか、風披靡ちゃんがどの位強いかに関しては感想の方で書いてるのでそっちを参考にさせて貰うとして、皆さんの意見が欲しいです。答えてくれると幸いです。取り敢えず期間は10日までにします。


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幕間:妾はロリババアじゃない!……じゃないぞ?

大変お久しぶりです、課題やらモンストやらアーケアに追われて全くと言っていいほど執筆に手をつけてなかった作者です。今はリハビリを兼ねて別の短めの小説を書いてるのですがこちらで生存報告する必要もあるかと思って急遽したためました。
久々なので口調等が迷走気味、そして時系列が異変後なのでご了承あれ。


「風披靡ちゃんって…もしかしてロリババア?」

「ロリババア!?…とはなんじゃ」

今日も今日とて昼寝ついでに夏真っ盛りの幻想郷に来た菫子に言われた言葉を、まぁ当然だが風披靡は理解していなかった。因みに今は博麗神社にいて、霊夢は縁側で緑のカーテンを作ろうと魔理沙を使いっぱしりにしていたとか何とか。

「ロリババアは、風披靡ちゃんみたいな幼い見た目をしてるのに年増みたいな口調を使ってる子の事だよ」

「年増とは失礼な、妾はピチピチでナウなヤングじゃぞ」

「その発言が既に婆臭いの分かってる?」

「なんじゃとぉ!?」

因みに風披靡は普通に年増である。年齢的には紫の上を行っているからババア呼ばわりされても文句は言えないだろうが、実は本人も分かってたりするのだが認めたら負けだと思ってるらしい。

「ならレミリアとかもロリババアじゃないのか?よく分かんない事よく言うし」

「んー…あの人はどっちかって言うとカッコつけたい子供みたいな感じ?」

「意外とドストレートじゃの…ならフランはどうなのじゃ?」

「あー…フランちゃんはあった事ないなぁ…レミリアさんから話を聞いた事はあるんだけど」

「それは残念じゃ…ならこの口調を改善すれば妾はロリババアにならなくていいのか?」

「まぁそうなるかな」

「そうと決まれば善は急げじゃ!菫子や、付き合ってくれ」

「え、あっうん」

 

〜ロリと言えば元気溌剌!活発っ子で行こう!〜

「やっぱちっちゃい子は元気に遊んでるイメージがあるなぁ…」

「なる程、活発な奴と言えばチルノじゃな」

「確かにあの子は元気の化身みたいな性格してるからね…なら、今から言う事を意識してやってみて」

 

場所は変わって霧の湖、年中霧が立ち込み、冬は凍って巨大なわかさぎを釣れる幻想郷最大の湖だ。ここの一角にチルノは縄張りと言う名のかまくらを築いている。そこに現れるのは一人の少女、言わずもがな風披靡だ。因みに菫子は陰で見守っている。

「ち、チルノちゃーん!」

「お?風披靡!何かいつもと違うぞ?」

「いつものわら、ジャナカッタ私とは違う口調にしてみたの!」

「おー!いめちぇん、ってやつだな!似合ってるぞ!」

「!そ、そうかな…」

「うん!」

それにしてもこのロリババア、ノリノリである。風披靡はやるからには全力でやるタイプである。そのため一度暴走すると中々止まってくれないので、紫は内心そうさせないように気を使ってたりする。賢者は意外と苦労人なのだ。

「でも、やっぱいつもの方が風披靡っぽいぞ」

「…マジか?」

「うん!でも、あたいはどんな風披靡でも風披靡だって分かってるからな!」

「…それは良かったわ、気が向いたらまたやってみようかの」

別れの挨拶を告げるとチルノは元気に返して手を降って見送り、風披靡もそれに返して飛び立って行った。意外と満足そうで菫子もこれにはニッコリだった。

 

〜知的な幼女もアリ?クールにキメてみよう!〜

「でも、最近だと落ち着いたクール系もメジャーな様な…」

「んー…なら一番近いのはレミリアかの?」

「確かに、一番近いかもねぇ…」

 

場所は大して変わらず紅魔館、外も中も紅一色とかいう非常に目に悪い館だ。おまけにここのメイドが館内部の空間を弄って広げてるため、迂闊に入ると出られなくなる事も。そんな紅魔館に、いつも通り昼寝をしている門番の上空を通って侵入したのは、言わずもがな風披靡だ。今回の菫子は透視で見守っている。

「おや、風披靡様でしたか。いらっしゃいませ、ご用件は?」

「レミリアに会いに来たわ」

「……いつもと口調が異なるようですが」

「あぁ、その事ね…少し耳を貸しなさい」

「?………なる程、そういう事でしたか。話は合わせますよ」

「理解が早くて助かるわ、早速案内して頂戴」

「承知いたしました、風披靡様」

咲夜は出来るメイドである、そんな彼女はノリも意外と良いのだ。そして案内をするために咲夜は風披靡を先導する。

「それにしても、また門番は寝てたけど良いのかしら」

「その件なら、もう片付けておきました」

「…相変わらず仕事が早いわの」

「口調が混ざってますよ?」

「あっ…ありがとう」

「いえいえ」

一回り大きな扉の前に着くと、規則正しい動作で扉をノックし、許可が得られた所で咲夜が扉を開ける。

「お嬢様、お客様を連れて参りました」

「咲夜、ご苦労様。それで風披靡?何の用かしら?生憎私は暇じゃな「久々に紅茶を一緒に飲みたくなったのよ、付き合って貰えるかしら?」…え?どちら様?」

「どちら様って…見れば分かるじゃない。風披靡、天津風披靡よ」

「いやいやいや、その口調で言われても無理がありすぎよ、ねぇ?咲夜?」

「お言葉ですがお嬢様、風披靡様は前からこの口調でしたよ」

それにしてもこの二人、ノリノリである。ノリノリ過ぎて海苔になりそうな勢いである。

「え?……私も疲れてるのかしら」

「確かに、人の事が分からなくなってるものね」

「いやそれはどう考えても間違ってるわよ…取り敢えず紅茶でも飲みながら話ましょう、理由はそこで聞くわ。咲夜」

「かしこまりました」

そう言って瞬時に消えた咲夜を他所に、レミリアは近くのバルコニーへと風披靡を連れて歩き出した。

 

「なる程、ロリババアを辞めたい…と」

「えぇ」

「別に風披靡は風披靡だから口調なんて関係ないと思うのだけど、後それ違和感凄いからやめて」

「あっうん分かった、後それ一つ前の時にも言われたのじゃが」

「え?マジ?まさかの内容被りとか…因みに誰だったのよ」

「それは……お主の沽券に関わるかもしれないから言わんでおこうかの」

「えっなにそれ、そんなに言っちゃやばいの?気になるじゃない教えなさいよ」

「駄目なものは駄目じゃ、気になるなら自分で探せばええじゃろうが」

「それはそうだけど…まぁ、それも退屈しのぎには良いかもね」

その後も暫くの間談笑した後に、紅茶のカップが空になった所で風披靡は帰って行った。門番は頭にナイフが刺さっていて倒れていた。

それから色々試してみたは良いものの、思う様な成果は得られず、もうやめようかと思っていたその時、菫子に電流走る。

 

 

「……それで、わざわざ地上から地底まで遠路遥々、ご苦労様ですね」

「まぁそういう事じゃ、手短に済ませてくれ」

「あはは…ごめんなさい」

「別に構いませんよ、でも、理由が「私に心を読んでもらってそこから良さげな性格を選んでもらえば行けそう」っていうのはどうかと思いますけどね」

「余計なお世話じゃ」

「説明は大事ですから」

「お前のは説明じゃなくて暴露じゃろうに」

「それが覚ですから、そうですね…」

 

「あなたには自己肯定感が低い根暗な性格がお似合いだと思いますよ」

 

「…それは、そのまんまの意味かの?」

「えぇ、そのまんまの意味です」

「でもそれって、あんま風披靡ちゃんに合ってない様な…」

「確かに、()()()()()()()似合わないでしょうね」

「なんじゃそりゃ、わざわざ遠出して来た妾達を揶揄うつもりか」

「覚はいつも素直ですよ、人の考えてる事を素直に受け取ってしまうので」

「相変わらず質が悪いの、本当か嘘かわかりやしない」

「そんな、恐縮です」

「褒めてないわ」

「覚に質が悪いは褒め言葉も同義ですよ、それはそれとして私としても風披靡さんは風披靡さんのままでいるのが一番だと思いますよ」

「なら最初からそう答えてくれんかの…」

「ふふ、それでは、お気をつけて」

「言われんでも、さぁ菫子、行くぞ」

「え?あ、うん…」

結局、風披靡はロリババアと言う事で落ち着いたと言って良いのだろうか…多分良いだろう。




書いてみたら普通に長めになってびっくりしました、次回はまた時間を置くかと思いますので気長に待って頂けると幸いです。


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