結界師 -奇譚- RTA【完】 (トウカ)
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墨村守美子撃破RTA 結界師チャート
(キャラメイク)Part.0


 漆黒の意思を以てやり遂げるRTA、はーじまーるよー!

 今回持ち出したゲームはこちら、「結界師 -奇譚-」です。今後は結奇と呼びます。

 

 充実したルート分岐や豊富なエンドが魅力のフリーシナリオ形式を採用したRPGジャンルに属するこのゲームでは、原作に登場するキャラクターたちと絆を育んだりバチバチに対立したり、逆に何もせずにぐーたら過ごすだけだったり、はたまた世界を滅ぼすことも可能。

 マジで自由度が高いゲームなので実績解除の数も山ほどあります。

 

 本RTAは結奇の裏ボスと名高い、あの墨村守美子を撃破することで解除できる実績コンプリートが目的になります。

 このキャラに実装されている撃破系実績は四つ。

 彼女にただ勝つだけなら様々な手段を取ることでまだ楽なんですが、戦闘前にデバフをかけたりパーティを組んで戦いに挑んだりすると、せっかく勝利しても守美子撃破関連の実績を全て解除することは出来ません。

 つまり、タイマンが最低条件です。

 万が一フラグ管理に失敗して戦闘中に友好キャラが増援にやってきた日には取り逃し確定。

 最終対決まで進めておいてそんなガバを起こすなんて最悪ですよ(1敗)。

 

 計測開始は初めから選択時点……ではなくキャラメイク後にOPが流れ始めた時点、計測終了は実績が解除した時点です。

 何故OP映像から開始なの? という視聴者兄貴の為に説明すると、実は結奇ってエディットキャラの選んだ出自によってOP映像がちょっと変わるんですよね。

 OP自体はスキップ可能なんですが、出自で変化する映像部分だけはどうしても飛ばせないんですよ。

 ほぼ誤差の範囲ですが映像が流れている時間がそれぞれ違うのと、ゲーム内時間が進み始めるのはOP開始なので、そこからスタートになります。

 

 細かいことの解説は動画の途中でしていけばいいとして、始めていきましょう。

 

 キャラメイク画面に入りました。

 まずは出自を選択します。これは概要欄通り「結界師」一択。ホモは嘘吐きですがこんな序盤から嘘は吐きません。

 次に性別ですね、「男性」を選びます。因みに、妖を選んでいたら選択肢に中性が増えます。

 次に名前です。入力速度を考慮し「雪村時祓(ときばら)」、略して薔薇なので実質ホモくんです。

 よろしくな、ホモくん!

 

 次はステータス振り分けです。ここが地獄。

 初期の成長ポイントを使って能力を高めるというあるあるシステムなんですけど、スクロールを真下まで下げると「ダイスを振るう」という選択が選べます。選ぶと自動でステが完成します。一見するとランダム用に置かれた選択肢ですが、これを使うと低確率で天才型が出ます。

 

( ダイスを振るう … 倍速中 … )

 

 本来なら20しか使えない筈のポイントが70に早変わり。

 70あっても振り分けがランダムなので凹凸すぎるステになる可能性が高いです。しかし天才型はレベル上限が通常より高く経験値効率も上昇、レベルアップによる能力の伸びが良い。更にはポイントを入手した時も数が増える。

 リカバリーは充分利くのでランダムの結果が残念だった場合でも大丈夫です。お望みでないステだったとしても素直に喜びましょう。

 

( ダイスを振るう … 倍速中 … )

 

 そして私が狙うのは、当然天才型。

 ……よりも更に出現率の低い、極々低確率で出てくる化物型です。

 本来なら20しか使えない筈のポイントが1000に早変わり。

 目の錯覚かな?(霞目)

 マジモンのバケモンやんけ!(迫真)

 通常プレイならどんなに尖ったランダム結果であってもお釣りがジャンジャンバリバリですね。

 しかし本RTAではあの裏ボスをタイマン尚且つ最短時間で倒すという狙いがあるので、化物型のステータスを厳選していきます。

 

( ダイスを振るう … 2倍速中 … )

 

 化物型を引けることが叶っても尖りすぎていたらやり直しになります。

 結界師選択時のみ出る特殊ステータス、「結界力」は能力を上げる毎にポイントを3も消費しますが、キャラメイク時のポイント振り分けだけは他と同じく1消費だけで向上可能なので、出来るだけ結界力が高めなステを目指して今も画面上の私が振り続けてます。

 結界力向上の専用イベントもありますけど、ほぼ例外なくテキストが長いのと回避不可ムービーが入ったりもすることから、(この動画では使わ)ないです。

 

( ダイスを振るう … 3倍速中 … )

 

 ぶっちゃけると計測開始がOP開始からの本当の理由はゲーム内時間云々というより、ここで凄まじい時間が盗られるからなんだ、本当にすまない。

 嘘吐きというより真実を伏せていただけなのでセーフ。

 ステの方はまーだ時間掛かりそうですかね~?

 ……。

 まだかかってますね。

 ……。

 …………。

 

( ダイスを振るう … 4倍速中 … )

 

 ……zZZ……。

 

( ダイスを振るう … 5倍速中 … )

 

 しゃぶれよ……zZZ……。

 

( 倍速停止 )

 

 あ、やっと出ましたね化物型、開始序盤どころか開始前からステが可笑しいことになってます。マジでバケモンだな。出自一般人サラリーマンルートで原作エンドを迎えた主人公の最終ステよりも高いですよ、これ。

 知力がトップ、良いゾ~コレ。次いで高いのは器用さ。よしよし、どちらもチャートの手助けになるので嬉しいです。

 一番肝心な結界力は三番目ですね。正直言えばもっと数字欲しかったですが、最低ラインはクリアしているのでこれでいきます。

 最下位は腕力でしたが、それさえもサラリーマン主人公と同等です。

 目当ての化物型を一発でぶち抜きました! やったね!

 

 

 ……ぬわあああああん疲れたもおおおおおおおおおん!

 

 

 画面が停止してますがこれは四時間ダイス振りっぱなしによる疲労によって、もうここで終わっていいんじゃないかなと考えているからです。

 高水準なステしてるだろ。嘘みたいだろ。裏ボスの撃破には全然足りないんだぜ。

 この時点で既に達成感が有り余ってますが、続行します。

 でも休憩はさせちくり~!

 

( 暗転カット )

 

 10分仮眠したので元気百倍です。

 ステ厳選が終わったところで次にいきましょう。

 容姿はデフォのまま。次の年代は裏ボスと同じ。次は出身、名字が雪村なので自動。

 以上でキャラメイク終了です。

 ……ステータスに滅茶苦茶てこずってんなぁ……。

 

 はい、よーいスタート(棒読み)。

 いざ鎌倉!

 

 




結界師ssはもっと増えていい。
皆も書こう! 俺も書いたんだからさ(ダイマ)


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(スタート)~(小学校入学)Part.1

 ゲームが始まった瞬間に動画が終わった前回からの続きRTA、はーじまーるよー!

 

 OP映像を早速スキップ。飛ばすことのできないラスト部分が流れます。

 出自:結界師の場合だとご覧の通り、深夜の烏森学園ですね。不気味な夜の校舎を上空からのアングルで長々と見下ろしてから、最後の一瞬だけ烏森家の屋敷が映ります。

 

 長ったらしい(RTA比)OPが終わったところで画面が暗転。場所は変わって道場に似た内装の和室に女性が立っています。

 出自を結界師、名字を雪村、名前に時を混ぜる、年代を裏ボスと同世代に設定したことにより、ホモくんの生まれ先は原作ヒロインの実家雪村家になりました。

 チュートリアルを担当するのは時子おばあちゃんです。

 といっても一世代前の時代なので時子おばあちゃん(若)なんですけど。21代目現役時代時子さんのモデリングは本当に麗しいですね……おっと勘違いしないでください、私は綺麗だと感じたものには素直に綺麗だと言う主義なだけです(ホモは純真)。

 

「時祓、先日誕生日を迎え四歳となった貴方も本日から結界師として修行が始まります。……覚悟は良いですね?」

 

 ふむ、どうやらホモくんには方印が出ていないようですね。墨村か雪村に生まれると低確率で方印が出るんですが、方印があるのとないとじゃ最初の台詞が異なります。正当後継者関連イベはチャートの妨げになるのでラッキー。

 

 結界師verは四歳スタート、結界師として技を授かる体で戦闘操作を教わります。

 肯定or否定の台詞選択肢が二つ出てきました。ここは当たり前のように頷いておきましょう、断ると親子の口喧嘩という名の烏森及び墨村雪村の歴史が語られてロスです。

 

【開祖様と先祖様の名に恥じぬよう頑張ります】

【深々とお辞儀をした。】

 

 知力バケモンなだけあって四歳にあるまじき対応です。器用さも高いので頭でっかちにはならず、角を立てない言い回しになりますね。

 ここでは結界術の基礎を教わります、仮想敵の式神を相手に戦闘画面に入りました。

 はい包囲定礎結習得。はい滅解習得。無事に仮想敵を滅して戦闘終了。

 ホモくんが雪村家の子という経歴になったので成功補正も入ってるんですが、素の結界力がスタート直後の癖にぶっ壊れてるので全て一発成功、オーバーキルです。

 

「たいへん素晴らしい! 上出来です!」

 

 他に道具の使い方など基本的な操作も教わり、チュートリアル終了。

 自由行動の時間だオラァ!!

 ホモくんを操作できるようになったのでメニューを開き、スキル欄を確認します。

 

【無想 Lv.1】

 

 あぁ^~いいっすね^~。化物型ステだと無想取得確率は7割ですがもし3割を引いていたら無想を習得すべく修行内容を一部変更しなくてはならなかったので、取得済みは助かります。

 

 ではさっき別れたばかりの時子さんに会うべく部屋に直行。

 話しかけて修行をつけてもらいたい旨を伝えます。しかし、初めて結界術を扱って疲れているだろうから今日はもう休みなさいと優しく拒否されました。

 結界術を鍛えたい意思を時子さんに知ってもらうことで、好感度「好」が上昇します。ゲーム上では表示されない隠し好感度「信」も同時に上がっています。

 ……ホモくんと親子関係だから恋愛に発展する好感度「愛」が無いんですね……。

 個人的に、子供を産んで数年経った時子さんが一番麗しいと思っているので愛を育めないのが残念でなりません。

 親子愛とか普通じゃないですか? 頭にきますよ~。

 

 (ノンケじゃ)ないです。愛という響きが好きなだけなんだよなぁ……。

 

「時雄との修行の兼ね合いもあるので毎日というのは難しいですが、時祓を蔑ろにする気はありません。出来るだけ時間を作ります」

 

 修行を見てくれるとのことで、今後自宅で結界術の修行をする際に時子さんが在宅だと一定の確率で指南役になってくれるようになりました。教師がいた方が経験値効率が上がりますし、雪村家の子だと指南志願条件が無いのが良いですね。

 時子さんは原作主人公の次に殿様から気に入られているだけあって、結奇オリジナルキャラを含めた結界師人間キャラでも実力は上位に食い込みます。実力者、しかも人妻に修行を浸けてもらえるんだからホモくんは幸せ者……ホモだから関係ないか。

 

「貴方は賢い子です、これを渡しておきましょう」

 

 お。まさかの初日で「雪村秘伝の書」をゲット出来ました。試走では全て小学校に入ってからだったんですが……知力と器用さの数値があれぐらいだと、この時点で貰えるようです。

 まあなんてったってステのツートップですしおすし。

 秘伝の書を入手したことで新たなスキルが習得可能になります。

 

 では小学校入学するまで能力向上の為にひたすら修行漬け。

 力の求道者スタイル(真理)。

 裏ボスと戦うには小細工なしの孤立無援だからね、しょうがないね。

 修行内容は結界関連一択です。時子さんに頼りまくりましょう。

 ……はい、初っ端大成功クリティカル出ました。能力の上昇具合が半端ないです。

 でもこれぐらいの恩恵、ステ厳選の苦労を考えれば……当たり前だよなぁ?

 

 本来は一つのことにかまけたら他のステがちょっとずつ下降していきます。

 しかしホモくんは知力トップの化物型ステ! 取得していたスキル「予習復習」によって下降はあんまりありません。

 現在はLv.1なので然程期待しない方がいいものの、練度を上げれば完璧に下降を阻止できます。

 それどころか上昇までするようになります。神か?

 隙があればスキル上げをしていきたいですね。

 

 変わり映えのない日常が続きますので、ゴー! ゴー!

 

( 少年修行中 … 倍速中 … )

 

 ここで一つ注意。あまりにも修行を続けると家族からストップを掛けられます。なので修行20回毎に遊び1回を挟みます。非常にもどかしいですが、心配イベはテキストがマジ長いんで絶対に起こさせないようにしましょう。

 事前に結界術関連スキルを鍛える修行で精神力を消費しておき、兄を誘って公園にでも遊びに行くのがおすすめ。精神力が回復し易いので。

 家族からの「信」が溜まれば修行20回毎に修行1回(レモンのハチミツ)漬けをしていても放置してくれるようになりますから、それまでの辛抱です。

 

 まだ入学式まで時間があるので、無想についての説明でもしておきます。

 

 これって墨村家のスキルなのでは? と疑問に思っている人もいるかもしれませんが、無想自体は結界術とも墨村家とも関係のない、究極的に言えば誰でも習得可能なスキルです。

 心を何事にもさざめかない無の状態にするのが条件なので、難易度が高すぎるだけで理論上は可、ということですね。

 極限無想までいくと管理者を出現させないと危険極まりない為に異能者でなければハイリスクになります。がしかし無想ぐらいなら一般人でも可能。

 スポーツ選手ルートなどに超低確率で出現する異様に強い敵選手、あれも無想してます。

 

 墨村家出身だと無想箱という専用アイテムがあるので習得容易になりますけど、化物型ステならばスタート時点7割の確率で無想取得済み、未取得であっても修行中に習得可能。あんまりうま味がありません。

 無想の全能力上乗せ補正も大事とはいえ、他のスキル上げの方が重要度が上ですからね。

 

 さて、ホモくんも今年で六歳。

 修行漬けの日々も終了し、入学式を迎えました。

 校門前に設置されている看板の前に立ち、時子さんとツーショ。その後に家族全員でパシャり。

 皆ニコニコ、いやぁ微笑ましいです。

 

「――ハッ!?」

「――ムッ!?」

 

「「貴様、何故ここに!!」」

 

「墨村さん家も今年は守美子ちゃんが入学するんですから顔くらい合わせますよ、ね?」

「ふふ、そうですね。今後もよろしくおねがいします」

 

 はい。これは墨村か雪村に誕生かつ同い年に原作キャラがいると必ず発生する入学式イベントですね。21代目継承者たちがバチバチしているのを尻目に、それぞれの妻と夫はほのぼのと会話しています。

 

【守美子もいる、どうしようか。】

【→ 話しかける / 無視する 】

 

 無視しても支障はありません。

 しかし挨拶は大事、古事記にもそう書かれている。

 話しかけるを選んで、幾らか台詞選択肢が出てきますが挨拶一択。

 挨拶は大事だって言ってるダルルォ!?

 

【おはよう、守美子】

「おはよう、ときばら」

 

 はい終わりです。

 他の台詞だと会話が発展したり家族ズが会話に混ざって来たりするのでロスになります。

 本RTAに必要な裏ボスの好感度は隠し要素の「信」のみ。好かれていようが憎まれていようが実績解除には関係ありません。「好」が高いと「信」が上がりやすくなるのは裏ボスも同様なので、あっこれはやばいなっていう選択肢だけ避ければ良いです。

 挨拶をするとほんの僅かですが地味に「信」が上がるのでこれからも継続していきましょう。倍速中の二年間でも時々裏ボスと出会ってますが挨拶オンリーでしたよね? これが理由です。

 やっぱり、挨拶って大事!

 

 墨村一家と別れ、入学式が進みます。

 ホモくんのクラスは一年三組。組が幾つあるかはランダムですが大体三から五ですね。

 ……あっ、裏ボスと同クラスです! 幸先が良いですよこれは。

 これなら毎日挨拶爆弾を投下できますね。

 

 

 小学校入学まで進めた所で今回はおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモは優しい)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは、守美子」

「……こんにちは、ときばら」

 

 時祓は、私と出会うといつも笑顔で挨拶してきた。

 緊急時を除けばそれが常で、私はそんな彼に習い挨拶だけは完璧に言える人になった。

 笑顔はまだ上手くいかないが、欠かさずに練習すれば上達するだろう。

 そしていつか、烏森に戻ってきた彼を迎えるのだ。

 

 




閃が好きなんですけど、このssには登場させられなくて残念。
気力が続く限り頑張ります。


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(烏森の警備)~(指導イベ)Part.2

 前回の続きを再開します。小学校の入学式が終わりその翌日からですね。

 ……え?

 恒例行事のあの言葉は言わないのかって?

 

 ……。

 

 うるせぇ!

 

 では画面を動かしていきます(豹変)。

 時代が現代で結界師ver、学校に通うのは義務です。六年間の平日ほぼ全てが授業に費やされることになりますのでイライラタイム突入。

 というわけでもないんですよ。

 効率が落ちるので喜ばしくはありませんけど、授業でもステは上昇します。本当に効率は落ちますが。

 

 授業の本領はステ上昇ではありません。

 先生からの有り難い話を聞きつつ、周囲にバレぬようスキル「式神作成」を発動します。

 唸れ、ステNo.2器用さ!

 バレなきゃいいんだって! ヘーキヘーキ!

 

【式神の作成に成功した。周囲の視線は誰も自分には向いていないようだ。】

 

 な、平気だったろ?

 こそこそ隠れて何かをする系統の行動判定は敏捷+器用さ。器用さが敏捷を助ける形になったっぽい。

 敏捷、ビリっけつ腕力よりちょい上くらいなので……。

 腕力はこのままでも良いんですが敏捷はもう少し欲しいですね。

 今後の授業中は今やった式神作成と無想のスキル上げに勤めますが、この数値だと式神作成が1割以下の確率でバレて説教イベが入る可能性アリアリのアリーヴェデルチな為保険を掛けたい。

 ガバを未然に防ぐ、走者の鑑!

 

 小学校での行動もパターン化しますし倍速入ります。

 

( 少年授業中 … 倍速中 … )

 

 学校での成績ですが、本RTAにまったく関係ないです。赤点さえ取らなければモーマンタイ。

 圧倒的知力様のお蔭でテストは余裕なので、倍速中私たちは授業中ホモくんが別作業していることを先公にバレないよう……祈りましょう。

 ガバりませんよーに。

 授業で敏捷が上がりますよーに。

 運動会イベまでバレず、イベ中に敏捷がいっぱい上がりますよーに。

 はい、視聴者兄貴もオナシャス! 合掌!

 

 敏捷も必要最低限はクリアしてるし無理に上げる必要はないんで、ま、多少はね?

 

 あっ、そうだ(唐突)。

 結界師の原作開始が2000年代で、裏ボスが小学生であるゲーム内年代は1970年代なんですけどもよく画面をご覧ください……学校の背景、ちょっと現代染みてませんか? 校舎ももっと古臭い筈ですが真新しくてピカピカです。

 この辺り、齟齬を感じますね。

 細かいコト気にしてんじゃねえよホモ野郎! と突っ込みを入れている方もいるでしょうが、結奇は本当によく作りこまれたゲームなんでこういう細部に目がいってしまうんです。

 細かいことが気になってしまうのが、僕の悪い癖。

 

 深夜の烏森見回り、まだ話来ませんね。

 21代目たちは現役バリバリでその親たちもまだ在生しているこの時代、卵の殻を被った状態の雛(爆笑)であるホモくんたちに出番はあまり回ってきません。

 ただ、現場の空気に慣れる為に見回りの件が低学年でやってくることに違いはないです。

 成長期真っ只中なのに成長ホルモンを分泌できない悲しき良守たちよりも多く分泌できるので、ホモくんはきっと背も伸びるでしょうね。

 時期的にそろそろ始まっても良い頃なんですが、起こらない……おっ。

 

「もう良いでしょう……時祓、明日から結界師見習いとして任に就き烏森の警邏に加わりなさい」

【はい】

「結界師として貴方に忠告をすることは何もありません。ですのでこれは、母としての言葉です」

【……】

「無茶だけはしないでね」

【うん】

 

 はい、時子さんら家族の「信」も充分上がってるようですね。

 好感度は道具を使えば確認できますが「信」は隠し好感度扱いなので、どんなルートやエンドでもめっちゃ関わってくるのにゲームの仕様上確認できる手段がひとっつもないのが面倒です。

 台詞で察しろ!

 先程の見習い結界師の儀イベでようやく深夜の烏森に出掛けられるようになりました。

 「信」数値が足りている状態で一定回数烏森見回りを手伝えば、正式に烏森家付き結界師として単独行動が可能になります。

 

 烏森GO! GO!

 任務スタート。スキル「探査用結界」の練度を上げるべく、発動しまくります。白尾の嗅覚の方が上なのであんまりうまくできませんが、やらないよりマシです。

 あ、白尾が妖発見したようですね。現場急行!

 イきますよ~、イクイク……

 

【戦闘終了。】

 

 はい、瞬殺。逝ってしまわれたようですね。

 他にも妖が出現していますが虫けらのように蹴散らしていきます、例外はありません。

 ホモくんの結界力もそろそろ我らがNo.2器用さを上回りつつありますし、周囲のサポートもあって余裕のよっちゃんですわ。

 このまま一定回数クリアしましょう。

 

「や、やめて……ごめんなさい、わたしすぐに出ていくから、ゆるして」

 

 おーっと? 幼女モドキの妖が同情を誘ってきましたね。

 良守が過去ひっかかったトラップですけど、(ホモくんはホモなので女に興味は)ないです。

 サクサクいきます。

 

【始末終了。】

【これぐらいの妖が襲ってきた場合は、身構える必要もなさそうだ……。】

【戦闘スキップを使用できるようになった!】

 

 よしよし、一個前の戦闘で得たポイントで結界力を上げたお蔭でやっとスキップ解禁ですよ!

 戦力差が隔絶すれば戦闘スキップが使えるようになります。

 一定レベル以下のモブ敵とエンカすると、しかし なにも おこらなかった ! 扱いになるということですね。

 実家にいる間は烏森の見回りを続けなければならないので、戦闘カットは大助かり。

 代償として雀の涙ほどの経験値も得られなくなりますがこの世においては時間短縮こそが宝、スキップ機能オン!

 

 スキップ無双で手早く烏森家付き結界師になれました。

 既に亡くなってる家に仕えるだなんて、そんなボランティアよく続けられるもんです。しかも真夜中て。

 400年経過して世界の常識がまるで変わった為、烏森の裏事情と現代の生活環境がまったく合っていません。良守が反発するのは当然ですね。

 お金が発生するなら分かりますが使命だけ……私のような凡人には理解できません。

 

 ……。

 

 え、今やってるのは何かって?

 これは趣味なので……(冷静)。

 自分でやりたい事をやる分にはええやんな!

 

 では倍速に戻しま――――ん?

 

【下校しようとすると、クラスメイトから守美子が廊下にいると伝えられた。どうしようか。】

 

 あれ、裏ボスイベですか? このタイミングで?

 試走中では一回もなかったですね。

 無視でも支障はない……か?

 ……いいや見た事ないイベがただただ気になる~! いっちゃお!!

 

【どうしたの?】

「お願いがあるんだけれど、いいかしらぁ」

【いいよ、母さんには内緒ね】 

「ええ、お父さんには内緒。ランドセル持って来て」

【守美子の後に続くと図書室に着いた。】

「前に国語の授業で読書感想文が出たの。感想って自分が思ったことという意味でしょう? だから思ったことをその通りに書いたんだけど、先生から書き直しなさいって言われちゃったの」

 

 あ~なるほど。裏ボスは確かに国語とか道徳の授業は苦手そうだ……。

 

「他の子の感想文を見せてもらっても私のと何がどう違うのか分からなくて……どうすればいいかしら?」

【分かった。コツを覚えれば簡単だよ】

「ありがとう時祓」

 

【守美子にやり方を教えている……。】

【完璧の出来だ!】

 

 他人に物を教える判定は知力と勘違いしている方も多いですがこれは器用さ判定になります。

 器用さ+知力だったかな?

 自分が理解するのは知力ですけども、他人に理解させるのはまた別の技量が必要という扱いなんでしょう。

 

「先生に褒められたわ。でも結局、最初の何が駄目だったのかな……」

 

 現実だと先生の気に入らない答えを書くとペケをもらったりすることもあったりしますが、裏ボスの場合は思ったことをそのまま書きすぎてNGを食らっただけかもしれません。

 

 

 丁度三年生終了なので区切りがいいですね、今回はこれでおしまいにします。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 人の心というのがいまいちよく分からない。

 自分の心すら分からないと言うのに、他人の心を理解できる筈もない。

 小学生の時から国語のテストは芳しくないし、特に作者の気持ちを答えなさいだなんて問題は鬼門だ。

 

「コツを覚えれば簡単だよ」

 

 時祓は、何故うまく出来たのだろうか。

 世渡り上手でとっても器用、周りから話しかけられることの多い人だった。

 やり方を乞おうにも、彼がいないことには不可能で。

 答えは今も分からないままだ。

 

 




投票評価感想諸々、ありがとうございます。
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(アイテム屋訪問)~(強襲イベ)Part.3

 なんで頭おかしくなっちゃわないの? あっごめんもう既に……なRTA、はーじまーるよー!

 恒例行事なので当然言います。

 前回……? 知らんなぁ、なんのことだろう(純粋な瞳)。

 

 えー小学三年目が終わり、春休みに突入したところから動画再開します。

 ヒャッハー休みだぜ! 好きなことする時間だァ!!

 じゃ、修行いこうか(無情)。

 だってやることは何も変わらないのでね、しょうがないね。

 

( 少年修行中 … 倍速中 … )

 

 この三年間ひたすら無想(むそ)りながら式神作ってたので、アイテム欄の式神の数がとんでもないことになっています。

 やったねホモくん、仲間が増えるよ!

 無想を取得していると上乗せ補正どころか諸々の成功率も上昇するのが良いですよね。お蔭で集中的にスキラゲした式神作成は既にLv.10、天井に届きました。

 ここまできて裏ボスが原作で使っていた本人の記憶実力を7割再現できる領域です。

 専用アイテムを使えばレベル上限が上がって9割再現を目指せますが、式神はスキルマで充分なので放置。

 

【明日は母さんの誕生日だ、何を贈ろうか。】

 

 今年の時子さんへの誕プレでは今さっきスキルマ完了したLv.10仕様の式神を渡します。

 食らえ、息子の愛!

 使用すると、作成した時点でのホモくんのステを7割再現した成人男性人型タイプに変わります。つまりバケモンですね。

 そして暫く日常を過ごします。

 

「ただいま帰りましたよ」

 

 時子さんが仕事から帰ってくるシーンが挿入されました。

 まさかの迅速なイベ成立! ラッキー!

 

「少しいいですか、時祓。私が御用達にしている道具屋の方が貴方と会わせてほしいと頼みごとをしてきました。信頼ある方ですしこれもいい機会です、来週の日曜に顔合わせさせたいのですが、時祓はどうですか?」

【時祓は頷いた。】

「日曜はあけておいてくださいね」

 

 はい、これで皆さん何時もお世話になっているアイテム屋に行けるようになります。

 行動範囲が広がるぜ。

 じゃあ学校で式神を作成(内職)しつつ待ちます。

 

 あ、この今までに作り上げた式神の数々は後で役に立つので売り捌いたり捨てたりせず大事にとっておきましょう。

 今のところ無駄にアイテム欄を圧迫させるだけですが、数が必要になってくるんで。

 Lv.10仕様だけでなく、Lv.8 Lv.5 Lv.3など細かく作っておきます。

 Lv.10仕様の式神をほいほい作るとホモくんの精神力が一気に減ってしまいますし、それに弱い式神(当社比)にも使い道があります。

 

 にしてもホモくん、学校は何しに行ってるんだ……式神を作りに行ってるだけなのでは……?

 ホモくんにとって学校は内職場、ハッキリわかんだね。

 

【日曜になった。時子に案内され、道具屋に着く。】

「やあ、君が時祓くんだね」

 

 皆大好き店主さんの御登場です。

 結奇に登場する人間キャラ上位陣の半数がこの店を一度は利用したことがあるくらいのガチ有能キャラ。

 店主さんがホモくんに会いたいと言った理由、それはずばり妖退治の依頼です。

 攻略本の解説によると〝店に訪れた対象キャラに世間話の一環で式神がプレゼントされたことを自慢されたその時、彼の目は式神の術者がどれほど高度な腕を持っているのかを一目で見抜き、対象キャラが信頼している相手ならばと、顔も知らない主人公を信用して依頼を頼む決心をした〟……とのこと。

 条件は主人公が道具屋に来たことがない、ステータス総合が一定の数値以上になっている、スキル「式神作成」がLv.10になっている、「信」が高い一部対象キャラにLv.10仕様の式神を贈る、この四つです。

 

「どうかな、引き受けてくれるかい?」

【時祓は頷いた。】

「――随分とあっさりだね。僕にはありがたい話だが、理由を聞いても良いかな」

 

 こ↑こ↓で出現する台詞選択肢では選ぶものが決まっています。

 

【傲慢な考えだと自覚はしていますが……普段相手をしている妖は、俺の敵ではないんです】

「ほう。おっと失礼、続けてくれ」

【こう言ってはなんですけれど、もっと強い妖と戦ってみたいと思っていたんですよ。ですのでお引き受けいたしました】

「時祓くんの気持ちは分かった。引き受けてくれて感謝する、依頼の詳しい話はまた後日になるが……可笑しいな、君なら全てやり遂げてくれる気がするよ」

 

【道具屋の店主から依頼を受けた。】

【強敵が待ち構えている予感がする。連絡用の式神が来るまでの間、鍛えておこう。】

 

 フラグを忘れずに立てましょうね、あの台詞めっちゃ重要です。

 さぁまた倍速入りますか。

 鍛えといてちょ☆と言われたからには鍛えなきゃいけませんから(通常運転)。

 

( 少年修行中 … 倍速中 … )

 

 それにしても、目にみえたガバも全然ありませんし、順調快調ですね。

 このままノーガバでフィニッシュ余裕ですわこれ。

 勝ったな、ガハハ! 第三部完!

 

【今夜はやけに静かだ。】

「ねえ時祓、またお願いが――――」

【守美子に話しかけられたその時、突如上空から強い妖気を放つ妖が現れ襲い掛かってきた。どうしようか。】

【→ 一人で戦う / 二人で戦う / 距離を取る … 】

 

「時祓!」

 

 ……あ、やっべ。

 今やっているイベント、これは原作最終盤クラスの敵と戦う可能性があるものです。

 竜姫が能力増幅の為に烏森にやってきたようなもんですね。最早災害。

 極低確率で出現する烏森強敵強襲イベですが、戦えるレベルに達していないなら侵入感知結界でヤバい妖が来たことを察した21代目二人が救援にくるまで時間稼ぎするミニゲームを死ぬ気で頑張るか、もうリセットしてやり直した方が良いです。

 強敵ではありますが今回なら裏ボスと共闘すれば普通に勝てます。

 なので二人で戦うを選びたかったのですが……。

 

【術を使って守美子を遠いところまで追いやり立ち向かう、戦闘開始。】

 

 やっちまったなぁ……。慢心でもしてたんでしょうか、連打を止めるのが間に合わずに一番最初の選択肢を選択してしまいました。

 ええい、このままいくぜ! 現時点一回もセーブしてないからリセは無理だし舐めプしなければちゃんと勝てます!

 敏捷が低いせいでこの敵だと素早さ負けして一ターンに三回しか動けないので式神を使う余裕はありません。五ターン経過すると裏ボスが加勢してくれるので踏ん張りましょう。

 

 ホモくんがんばえー! けっきゃいちまけうなー!

 うわクリ食らった……でもホモくんも結しまくって敵の動きを封じます。双方体力はまだまだ残ってますしいけるいけファッ!?

 うせやろゴリッと減ったぞ!!? 一気に赤ゲージになっちまったぜオイ。

 まさかのこのタイミングで敵が再びクリ当ててくるなんて屑運すぎひんか?

 防御しても結局意味はないし回避は今のホモくんにはきつい……。

 諦めるな私、どれだけの努力を重ねてきたと思ってるんだ、過去に乗り越えてきた試練を思い出せ(主にステ厳選)。

 

 奮い立てホモくん! さっき強い敵と戦いたいって言ってたし丁度いいよね!!

 

 おっしゃ連続技発動! 現状最大攻撃の六芒星じゃい!! おかわりもいいぞ!!!

 えっ、うわホモくん凄い! 全部クリ! もしかしてホモくん伝説のプリキュアか? 追い詰められて覚醒するタイプ?

 画面上の私が今後の修行内容を変更すべきかどうか必死こいて考えながらホモくんを操作してます。……敏捷もっと上げるべきだったですかね。でもなぁ……火力を優先したいしなぁ……。

 ギリギリですが敵も満身創痍です、ホモくんってば急所狙いすぎやで!

 五ターン目突入泣いても笑ってもこれが最後ですね、いけー!

 

 またクリティカル……どいつもこいつも攻撃しかしないノーガードの殴り合い合戦でした。

 クリフィスティバル開催中かな? 殺られる前に殺れ精神か? ノーガード戦法をとるのは私ではなくまた別の世界線の走者ですよ!

 

【戦闘終了。】

 

 死ななきゃ安い(真実)。

 総合評価は……ガバが悪いよ、ガバが(真理)。

 本RTAでホモくんの初めて♡(赤ゲージ)を奪ったのは烏森の強敵モブ妖くんでした。

 あーもう滅茶苦茶だよ。

 

【今日はもう動けなさそうだ。式神を使用し、帰路についた。】

 

 ああ、折角のLv.1仕様が使われてしまった……。

 しかしまあ、式神もそろそろ目標数に達することですし、今消費した分も作り直したら他のスキル育成に手を回すべきですね。

 店主さんからの依頼の難易度もかなり高いんで、さっきみたいなガバが依頼中に起きたら間違いなく死にます。

 敏捷は…………諦めましょう。

 それよりも回避が重要です、スキルの練度を上昇させれば問題ありません。

 

 

 そろそろ六年生になりそうなところで、今回はおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分以上は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私のお父さんと時祓のお母さんが張り合っているのを、私たちはいつも少し離れた場所で眺めていた。どちらが多くの妖を倒したか、どちらが強力な結界を張れるのか、どちらが烏森家に相応しい結界師なのか。

 興味が無かった。

 無かったけど、そうしなさいと言われたから。言われた通りに夜中の烏森で彼と競っていた。

 勝ったり負けたりした、そこまで昔でもないそんな思い出。

 

「い、一瞬で、そんな……」

「あらぁ、この程度で驚かないで?」

 

 彼の兄の様子が変わる。まるで妖か何かを見ているような目だ。もう妖は滅したというのに。

 

「ば……化け物、」

 

 そうか、私は化物だったのか。不思議とすんなり納得がいった。

 しかしそれなら、彼はなんだったんだろう。

 滅するのに時間が掛かりそうな妖がいれば、戦う為に一目散に駆けつける人だった。

 強い人……なのだと思う。私と同じくらいに。でも、彼はもっと上を目指して外に飛び出した。

 答えは今も分からないままだ。

 

 




お気に入り登録ありがとうございます。
想像よりずっと反響があって嬉しいです、もっと結界師ss増えてほしい。


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(依頼その壱)~(中等部入学式)Part.4

 ガバを防ぐのが走者の鑑ならガバが起こるのは走者の嗜みなRTA、はーじまーるよー!

 いや起こらなくていいから(ガチ)。

 前回のあれは胆が冷えました、念の為セーブを一回挟んだくらいですよ。

 

 では再開します。

 終業式~の春休み~の、はい進級。

 

 まず授業中の行動を変えます。今までは無想って式神の量産をしていましたが、もう目標数に来たので終了。

 今後はスキル「波同」を鍛えていきましょう。

 Lv.6達成でありとあらゆる場所の壁抜けが可能になり、実戦で使用可能になるのはLv.7からですが、ホモくんは現在Lv.4。

 雪村の子だと波同適性があります、じゃんじゃんスキラゲで戦闘併用出来るようになり、更なるステージを目指しましょうね。

 

( 少年授業中 … 倍速中 … )

 

【スキル「無想」がLv.9からLv.10に変化しました。】

 

 おお、ついに無想がスキルマになりました!

 極限無想についてはもっと後に習得します。現段階では無想で充分。

 マックスに達した無想はほんとぉにすっごぉい(小並感)から、見とけよ見とけよー。

 

 ……探査用結界のレベルはまだLv.7ですね。

 最近はずっと烏森へ遊びエッヘン見回りに行ってるんですけど中々経験値が溜まらない……探査対象がいつも妖で、しかもホモくんにとっては塵も同然だからかやる気がでないのかもしれません。

 偶には街へ繰り出して良い男を探査して気分転換でもするべきか?

 というのは冗談で、悪い乱数ばかり引いているようです。

 贅沢を言うならスキルマが理想ですが、しかしLv.8まであればチャートに支障は出ないので妥協しても大丈夫です。このまま成果が芳しくないとLv.8で妥協することになりま……うわまただよ。

 もう早く上昇してくれませんかねぇ……。

 何の為に見回りしてると思ってるんですかねぇ……。

 

【下校途中、目の前に蜻蛉型の式神が現れた。】

「お初にお目にかかる、貴方が時祓殿であるな」

 

 蜻蛉型ということは店主さんの式神ですね。

 あの人の式神は見た事がない視聴者兄貴も結構いるんじゃないでしょうか、ご覧の通り蜻蛉の姿をしています。

 一般の方からの認識度が高い、空中飛行ができる、小さいから発見し辛いと効率特化の式神となっております。式神には術者の性格が出やすいので、皆さんも次回から意識して観察してみると面白いかもしれません。

 

 式神がやってきたので店主さんの依頼イベが発生します。

 蜻蛉さんが長々と説明していますが、簡潔に言い換えれば〝戦闘型の人型妖が暴れている噂が近頃流れていて、その妖の特徴がどうにも若い頃に反発して家を出て行った店主の息子と似ている為に調査を頼みたい、もし本人だった場合は退治してほしい〟……とのこと。

 RTAにネタバレもクソもないので結末を言ってしまいますと、妖=息子さんです。

 親子関係の修復を手助けする行動も出来ますがテキストが長引くので殺します。

 

 このイベを進めている時はまだ幼い年齢であっても一人で遠出が可能になるのが魅力的。

 通行費も全額店主負担です、やったね!

 ホモくんはバケモンとはいえ小学生ですし、時子さんたちは大人としてきっちり責任は果たしますからね、無断外出や遠出は禁止されていますが仕事ならば話は別。

 帰宅して家族に依頼が来たことをササッと説明して、早速蜻蛉さんから伝えられた情報を元に息子さんを探しに行きます。

 学生時代に仕事をするとどうしても平日に出掛けなきゃならなくなりますが、式神作成の練度が高ければ自前で学校に通わせることが出来ます。登校は式神に任せ、イクゾー!

 

【あちこちから妖の気配がする。】

 

 探査用結界Lv.6まであれば息子さんを探査可能。ホモくんはLv.7なのでいけます。

 スキップ無双しながら無駄は省いて息子さんに会いに往きましょう。

 

【足を止めた。扉の先に店主からの情報と一致する妖がいる、どうしようか。】

 

 おっ開いてんじゃ~ん!

 妖退治の時間だぜぇ!(ダイナミックお邪魔します)

 

「なぁ~んか騒がしいし人間臭ぇなって思ってたら、なに、お前が侵入者?」

【そういう君は赤城冬獅郎さんだろう】

「え、誰それ? 姓と名がくっついてるってそれ人間が使う奴だよな、見てわかんないか?」

 

 息子さんは父である店主さんの才能にコンプレックスを抱いて拗らせ、父の技術を再現出来ない自分の力量が憎くて拗らせ、ぶっちゃけ父が好きなんだけどそれを認めたくなくて拗らせ、そしてほんの出来心で突発的に家出した時に運悪く妖と遭遇し人間が生きていられる時間縛りから解放されれば親父に追い付けるんじゃね? と妖になった人です(開幕種明かし)。

 

【幾ら種族を変えようが能力を身に付けようが、その心は冬獅郎さんのものでしかない。君が今もあの人の息子であることに違いはない。これも仕事だ、退治させてもらう】

「ゴチャゴチャうるせぇんだよテメェは――やれるもんならやってみろやァァ!!」

【戦闘開始。】

 

 人間から妖になったキャラは結奇含めた結界師の中でも彼と火黒しか出てきません、人が妖に変容するってそんなに珍しいんでしょうか? 白沼こと白はギリ人間でしたが……まあ彼は本心が本心でしたし、無意識にブレーキがかかってたのかな。

 よっぽど二人が妖になりたかったという事実の証明なのかもしれませんね。

 

【最後の一撃を加えようとした時、赤城冬獅郎は妖気を何やら怪しげに動かし始めた。】

「チッ……! 勝負はお預けだ、あばよっ!!」

 

 はい、そんなことを言ってる間にバトル終了です。

 イベントバトルなのでどんなバケモンステをしていてもストーリー展開上絶対に息子さんが逃亡成功します。妖になって手に入れた能力を有効活用してますが、まだ扱いきれていません。

 火黒と異なり息子さんは妖歴が短いので一回戦目では雑魚ですね、味噌っかすみたいなもんですわ。彼とは三回戦うことになり、最後の戦いの時には滅茶苦茶強くなってますので舐めプは禁物。

 では店主さんに経過報告しましょう。

 ごめんな店主さん、息子さん取り逃がしちまったよ……。

 

「まさかこんな短時間で発見してくれるとは思わなかったよ。

 ああ、これは間違いなく息子の冬獅郎だ……以前とは程遠い姿になったなぁ……」

 

 蜻蛉さんから渡されたポラロイドをイベントバトルの途中で使い、息子さんの写真撮影に成功すれば後で追加報酬が出ます。今回は偶々うまくいきましたので有り難く受け取ります。

 

「奇妙な術を使い負ける直前で忽然と消える……か。

 それはまた面倒な力だな……僕の方で詳しく調べてみるから、君は暫く休んでいてくれ」

 

 はい、これで依頼イベも一段落つきました。

 二回戦目は少し月日の経過が必要になりますので、何時もの日常に戻ります。

 つまりスキラゲと修行だね!

 

( 少年授業中 … 倍速中 … )

 

 因みにさっきの息子さんとの戦闘前会話ですが、台詞選択肢で特定のものを選び続ければ店主さんと息子さんの和解ルートに辿り着きます。

 そのルートでしか見られない店主さんの意外な一面もありますよ、気になる人はやってみよう!

 この時空では死んでもらうがな。タイムロス半端ないし(RTA感)。

 

 ショッギョ・ムッジョ!

 

 ついにホモくんも小学校を卒業する日がやってきました。

 おお、見よあの力強い後姿……目を閉じれば思い浮かぶ、生まれたばかりの彼の姿とは似ても似つか、つか……いや別にそうでもない……。

 

 (主に走者が)苦しみぬいた  \百体妖大乱闘!/

 (主に式神と)力を合わせた  \四師方陣!/

 (主に走者が)偶にはお休み……  \寝る間も無想!/

 

 僕たちは今日  \新たな地獄に旅立ちます!/

 

 うっ、なんて素晴らしい卒業式答辞なんだ、涙がで、出ますよ……(ホモは嘘吐き)。

 本音ぶちまけると学業の方はなんの思い出もありませんね。

 放課後のクラブ活動とか友達との遊びとか全て式神に任せましたし。

 まともに参加していたのは授業くらいですがそれすらも無想with式神作成and波同。ちゃんと先公の話聞いてやれよぉホモくんよぉ!

 しかも裏ボスの方も四分の三くらい式神で授業に出ているので、幼馴染み二人してやってることが大して変わらないという……。

 

 さぁホモくんが烏森学園に入学する時が来ましたね。

 良守たちよりも前の時代なので微妙にデザインが違うらしいですが学ランなんて何がどう違うのか分かりません。ホモくんは男性主人公なのでこうですが、女性主人公を選んでいたら昔ながらのセーラー服が着れます。結構可愛いですよ。

 校門前に設置されている看板の前に立ち、時子さんとツーショ。その後に家族全員でパシャり。

 皆ニコニコ、いやぁ微笑ましいです。

 

「――ハッ!?」

「――ムッ!?」

 

「「貴様、何故ここに!!」」

 

「相変わらずあの二人は仲が悪いというか、寧ろ良いというか……」

「高等部の時もやるかもしれませんねぇ」

【おはよう、守美子】

「おはよう、時祓」

 

 既視感を感じる……。

 こいつら昔と何も変わってねぇなぁ。

 

 

 時間も良い感じですし、そろそろ今回はおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分一半は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「守美子ちゃん! この前は本当にごめん、助けてくれたのに酷いこと言って……!」

「否定することないわぁ。だって、事実でしょう?」

 

 私は化物。これは事実なんだろう。他の人よりもお父さんよりも時祓のお母さんよりも、小娘の私が形成する結界の方が強いから。化物染みた力を持っているのだろう、と。

 彼は、どうだったんだろうか。

 家族や友人に囲まれて、それでいてよく一人でいる人だった。

 毎日笑顔で、楽しそうで。人生謳歌を体現していたかのような彼は、あの日私に勝ったのだ。

 しかし……。

 

「……」

 

 ――あの時、もし私が本気で戦っていたら。勝負はどうなっていたの?

 答えは今も分からないままだ。

 

 




一気にUAやお気に入り数が伸びて吃驚しました、ランキングIN効果は凄いですね。
そんなに長くするつもりはないのに、毎話少しずつ文字数が多くなってきている……何故だ……。


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(依頼その弐)~(キヨコイベ)Part.5

 見所は特にないし盛り上がる所も特にないRTA、はーじまーるよー!

 視聴者兄貴が一番熱狂するであろうガバはないからね、しょうがないね。

 

 前回は烏森学園入学式が終わった部分でしたね。

 では、再開します。

 花の中学生生活だよ♡嬉しいねホモくん♡

 

( 少年授業中 … 倍速中 … )

 

 RTAに慈悲はありません。

 出自結界師だと大体部活に入ることも出来ませんし、式神を使えばやれますがフレーバー以外の意味がないです。

 

 部活要素を楽しんでやりこめるのはやっぱり一般人ですね。汗水流して夏合宿を送り、大会の決勝を賭けた切符を奪い合う……。うーん青春。

 どんな技術や職業でも能力が突き抜ければ無想を習得することが出来ますし、スポーツ選手ルートでオリンピックまで突破しメダルを総舐めするプレイも遣り甲斐があって面白いですよ。

 サラリーマンルートで大企業の社長になって日本を世界No.1に押し上げる人もいれば、美容師ルートでカリスマ的人気を得て世間の流行を操作し原作キャラの髪形の変化を楽しむ人もいます。

 その時はタイトルの三文字を全部忘れておきな!

 ゴミ箱にシュゥゥゥーッ!! 超! エキサイティン!!

 妖混じりを選んでいたらオリンピック選手まであっちゅーまに到達出来ますけれども、知名度が上がっていくと無知な異能者が退治しようとやってくる可能性もあるので、天才型ステの一般人選択の方が楽です。

 

 にしても本当にサクサクあがりますね波同は。あっという間にLv.9到達です。

 最初とは違い無想がスキルマ達成しているとはいえ、テンポよく上昇してくれています。順調で何よりですね。

 本来ならスキルレベルを上げる専用イベを利用するのが正しいですが、そうすると当然テキストが入って時間効率が悪くなるのでこうして地道な作業で上がってくれるのは助かりますよ。

 なぁに、ホモくんは知力バケモンなので授業なんて話半分で構いません。

 テストは赤点回避してくれれば充分ですし、第一成績自体このチャート中マジで関係ないので。

 

「時祓殿、久方ぶりだな。主人からの伝言を伝えに参った」

【見覚えがある、道具屋の店主の式神だ。】

 

 はい、依頼イベの続編が入ってきました。

 またクッソ長いテキスト……ハァ(クソデカ溜息)。高速連打。あくしろよ。

 

 前回のPart.4動画と前々回のPart.3動画でのコメントを確認したところ、意外とこのイベの存在を知らなかった人が多数いたようなのでまた説明をしておきます。

 動画の方で息子さんが拠点としているかもしれない予測した土地数点ピックアップやら能力の考察やらペチャクチャ話している間にね!

 

 皆さんそれぞれアイテム屋に初訪問する時、どんな手段を使っていますか?

 伝手を使って訪れたり偶然迷い込んだり、偵察用に放した式神が発見したりだとか、幾つか王道パターンがありますが……

 しかし、全て駄目です。NG。

 通常のプレイスタイルではイベント発生の入り口にすら辿り着けません。一度でも直接店主さんと顔を合わせていると依頼イベは発生しなくなりますので、皆さん覚えてきましょう。

 

「では時祓殿、健闘を祈っております」

【式神は去って行った。渡された情報を整理し、首を傾げる。どこから行こうか。】

 

 まずこのイベを起こすに条件があります。

 アイテム屋未来店、ステ総合3000以上、式神作成MAX、一部キャラの「信」を80目安まで上げLv.10仕様式神を贈呈、以上四つですね。

 そうすればキャラが店主と引き合わせてくれ、後は自動でトントン拍子。

 勝手にフラグが成立してストーリーが発展していきます。

 

【赤城冬獅郎を発見した。どうしようか。】

 

 一部キャラには誰が該当するのかといえば動画でも出てきた雪村時子に、墨村繁守、松戸平介、扇二蔵の四名です。どいつもこいつも爺さん婆さんですな。結奇オリジナルキャラも含めれば六名になりますけど省略。

 息子さんとは合計三回戦闘になりますが、最初と二回目はクソザコナメクジなので撫で斬りにしてあげましょう。しました(動画を見ながら)、あと三ターン時間稼ぎします。

 三回戦って漸く始末をつけられ、台詞選択肢を正しく選んでいれば親子関係が改善されてハッピーエンドにすることも可能です。

 イベの存在を知っていた人でもハピエンに出来ることまでは知らない人が多かったですね。

 

「親父の奴がテメェに俺を絶対に殺せって言ったんだろ!? 俺が汚点だから!! 俺みてえなガキはいらねぇからってよお!!?」

 

 あのさぁ……(呆れ)。

 妖になって大量殺人鬼と化した息子を認めるような親御さんがいるとすれば、倫理観がブッ壊れてるに決まってるんだよなぁ……。

 

【戦闘終了。店主からの忠告通り、少しばかり敵に余裕を持たせる形で追い込んだ。】

「ふざけんじゃねえぞ……! あんなオッサンなんかよりも、もう俺が上なんだ……!! アイツの時代は終わったんだよ!!」

 

 流石は結奇オリジナルキャラNo.1拗らせ野郎ですね。

 口を開けば親父、二言目にも親父です。頭が親父で出来ているのかもしれません、これもうわかんねぇな。

 本当に父の時代が終わったと思っているなら、もっと肩の力を抜いて大笑いしていればいいのですが、実際そんなことは欠片も考えられてない息子さんは二回目の戦闘後にかなり精神面が切迫して、無茶な呪法に手を伸ばしたり同族を共食いしたりと様々な手段で妖力を強めていったようですね(by攻略本)。

 

 ……あ、そういえば前回人間から妖になったキャラの中に無道さん忘れてるよとコメントされた方々、そして無道ファンの皆さん失礼しました。あの人は妖というか幽霊のイメージが強かったので。

 

 蜻蛉さんから渡されていた改造レコーダーを返却し、店主さんへの報告を終えます。

 先程の戦いは店主さんが息子さんのバトルスタイルと能力の根本的な解析を行う為の実践調査、店主さんは本当に有能な方なのでこの一回分の映像で息子さんの力を殆ど暴いてしまいます。マジ凄ぇや……。

 しかし肝心の三回戦目で息子さんの執念が店主さんの解析を上回ります。

 腕の見せ所だぞホモくん!

 そろそろ倍速に戻します。

 

( 少年授業中 … 倍速中 … )

 

 息子さんは三回戦目が本番です。通常プレイならかなり強いですが、本RTAではそこまで苦戦しません。彼の能力である瞬間移動は初見殺しで大体の人が引っかかりますけど法則性は存在します。多少のランダム性も入ってますが……。

 ホモくんも頑張って鍛えてますしね、冷静にいけば大丈夫。

 

 探査用結界は結局Lv.8で諦めました。この子だけ異様に伸びが悪いです、もしかして反抗期?

 器用さが高いから探査も捗る筈なんですけどねぇ……?

 乱数に嫌われてしまったみたいですわ。

 

【スキル「波同」がLv.9からLv.10に変化しました。】

【「雪村秘伝の書」を使用しました。】

【秘伝書を読み込んでいる内に、とある頁が目についた。〝波同を極めし者ならば、土地神が操る呪力すら無効化に至ることも決して不可能ではない。〟……今の領域に入った自分なら、現状よりも一段階上に昇れることに気が付く。】

【究極スキル「空身」を習得した。】

 

 はい、無事に空身を覚えられました。戦闘時に発動すれば土地神クラスの攻撃すら全てすり抜けて回避出来ます。

 但し強力なスキルな分精神力の消耗も大きいです。原作で時音が試みたような常時発動の持久戦は危険です。なので普段は波同を使い対処しましょう。

 そもそも普段の敵なら波同で充分ですからね。

 

 結界力が知力を追い越す日も一見すればそう遠くはなさそうです……が、しかし! 知力は授業で上がりやすいステ! No.1の称号は後暫く彼のままです。

 最初のステータス振り分けでトップだったステは上昇補正が掛かりますからね。

 だからこそ結界力が一番上であってほしかったんですけど、厳選にはもうウンザリです……チカレタ……。

 

 波同のスキラゲも終了し、次の授業(ないしょく)では何をしようかスキル欄を見て逡巡なう。

 必要なものは終わりましたから、この空いた隙間では何をしていても良いです。

 探査用結界のスキルマでもいいんですけど私はなんか探査と相性が悪い気がして止めました。どうせ追々実戦で酷使する時にマックスになりますし。

 よーし、「妖使役」! 君に決めた!

 

 現状一回も使ってないのでLv.1のままですね。

 ぶっちゃけこのスキルの成功判定って練度よりも主人公の戦闘関連ステ数値が優先されるので、スキルマ達成しても雑魚ステじゃ格上の妖を使役させる確率は五分です。

 まあ弱い人間が強い妖を従わせるのは相当な凄技ではあるんですけど……それはロマン枠に入る奴ですね。

 

「よぅ雪村はよっすー! なあなあ昨日のテレビ見たでだっふんだ?」

「あれ凄かったよな、あんなこと起こるか普通だっふん!」

【……何やらクラスメイトの様子が可笑しい。】

 

 おや、例のイベントですね。まさかホモくんが在学中に起こるとはついていません。

 此方は設定された数値内でのランダム判定と一定の月日経過がフラグになり発生する、原作キャラのキヨコが出現するイベです。

 何もしなければ三日後にキヨコは別の場所へ去っていきますので、何もしなくてOKです。

 ただこのイベが起こっている週、キヨコが新たな予言を増やす度に洗脳されたクラスメイトの台詞が流れるので厄介。

 一年目に遭遇するとは運が無いです、来年の今頃には家出してる予定なのに……。

 

「害はないようだけど、騒がしくなったわねぇ」

【浮遊霊が何十年も悪霊にならないのは珍しいよね】

「滅しておくべきかしら?」

【うーん、俺はあの子は良い霊だと思うな】

 

 アンラッキーをラッキーに変えるべく「信」確認チャンス、この台詞選択肢で相手の反応を見ましょう。

 

「そう……分かったわぁ、時祓がそう判断するなら放置にしましょう」

【守美子は頷き、弁当を食べ始めた。】

 

 グッド!(オービーくん感)最高やな!

 これで裏ボスの「信」は目標に達しているとみて間違いありません。

 でも挨拶はずっと続行します、挨拶は大事なんでね。

 

「おはよ雪村」

「あ~授業だりぃなー」

【クラスメイトが元に戻っている、キヨコは烏森から去ったようだ。】

 

 

 キヨコイベが完了した所で、今回はおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分と心臓は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう一人の方が見当たらんがさては死んだか? ガキ」

 

 烏森学園七十七不思議の一つ、伝説のキヨコちゃん。中等部一年生頃――時祓がまだいた時に、数日間だけ一般生徒を洗脳で躍らせた浮遊霊の少女。それが再び烏森の地に現れた。

 

「ここにはいないだけよぉ、今も元気にしてるでしょうね」

「ほぉ~ん? もしやもしや? この地から出て行きよったんかぁ?」

「ええ。彼にとって烏森は狭すぎたみたい」

「…………そうか。まさか、烏森に雁字搦めにされとった結界師がなぁ……」

 

 新しい発想を生み出し、全体の効率を上げるのが得意な人だった。

 だから、烏森から離れたのも効率を気にしてのことなのではと思っている。

 何の効率なのかは……今でも、よく分からないけれど。

 

「なんやガキお前、能面みたいな顔しとる癖にもう一人がおらんで寂しがっとるんかい、意外や」

「残念ねキヨコちゃん。私には人の心が理解できないから、そういうのは縁がないの」

 

 私はただ、烏森にいつか帰還する彼を迎えるだけだ。

 だって彼は必ず戻ると言ったのだから。

 

 




誤字脱字報告兄貴ありがとうございます、とても助かりました!
投稿した現時点までに報告して頂いたものは全件目を通しましたが、本気で間違っていた物と、意図的に誤った表記で表現している物の二通りあったので、前者は有り難く変更し後者はそのままにしております。感謝感激。


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(依頼その参)~(vs火黒)Part.6

 実は一回しか出自妖でプレイしたことがない走者のRTA、はーじまーるよー!

 一般人プレイが楽しすぎるのが悪い(責任転嫁)。

 まだ私は本当の一般人を味わっていない気すらしているので、妖の面白さは良さ気な動画を視聴して確認しています。

 妖で裏ボスを撃破するRTA動画出てきませんかね……。

 

( 少年授業中 … 倍速中 … )

 

 息も吐かぬ間に倍速入ります、画面が乱れて見れなかったりはしていませんよね?

 って今更過ぎる質問でした。快適に視聴できる動画を目指しているので、こうしたらいいんじゃないかというアドバイスがあれば是非コメをお願いします。

 

 そういえばこの前、開祖と同年代の結界師として生まれて、同業者兼商売仇になってギスギス仲良くしつつ奥さんや息子さんの件で只管開祖と殴り愛宇宙を開催するプレイングをしてみたんですがね?

 改心した開祖が遠い場所で妻と暮らしたいと言い出したので、主人公はしゃーねぇ力貸してやらァ! と妻を掻っ攫う手助けをし、途中まで禁術に手を出していたせいで魂蔵持ち(効果半減)だった宙心丸の子育ても式神を貸して手伝ってあげ、片手間に月久をぶっ飛ばして他二人の洗脳を解き、最終的に間家は子孫繁栄して主人公はそのお抱え結界師に就職し、原作完全崩壊エンドを迎えることに成功しました。

 

 原作改変ってレベルじゃねーぞ!

 

 このエンドに到達した時の感想は……達成感を噛みしめる気持ちよりも、開祖って本当に本編の黒幕だったんやなって納得する気持ちが強かったです。

 原作開始時に発生していた問題がほぼ解決しましたんで……。

 開祖もこんな人生を送ることが出来たかもしれなかったんですね、もしもの世界くらいは順風満帆に生きていても良いんじゃないでしょうか?

 本編の方では殿……というよりもう息子か、息子の反抗期に悩んでいれば良いと思います。

 

「時祓殿、連絡が遅れて申し訳ありませぬ。主人の準備が完了しましたので、時祓殿の都合が空き次第迅速にお頼み申す」

【式神の真剣な眼差しを受け、頷いた。】

 

 依頼イベの最終段階に突入します。

 蜻蛉さん越しに店主さんからの支援アイテムを受け取り、パンを咥えながら息子さんの場所へ!

 

 逝っけなーい! 殺意殺意!

 私、裏ボス撃破RTA走者! 漆黒の意思を持つごくフツーの男の子だゾ!

 ある日突然「私の息子を殺してくれ」って店主さんから殺害依頼を頼まれちゃってもう大変!

 早くチャートを進めたいのに三回も張り倒さなきゃいけないなんて怠すぎるってば!

 一体私、これからどうなっちゃうの~!?

 次回、「冬獅郎死す」! デュエルスタンバイ♡

 

【茂みに向こうで立っている妖は赤城冬獅郎……その筈だが、明らかに様子が以前とは異なっている。邪気と妖気が比べものにならないほど上昇していた。】

「……来ると思ってたぜ」

 

 ごっめ~ん、約束した時間に遅れちゃったカナ?

 

【これを告げるのはもう三度目になるが、三度目の正直とも言うし……終わりだ冬獅郎さん、退治させてもらう】

「ああ、これで終わりだ……何もかも終わらせてやる」

【戦闘開始。】

 

 では戦っていきましょう(豹変)。

 私の場合開幕から波同を使用しますが、波同未使用の方は息子さんの行動ルーチンは決まってますので左下に映った通常プレイバージョンをご覧ください。

 トラップも固定なので位置は事前に覚えておきましょう。

 しかし一個だけ注意、通常プレイなら彼の瞬間移動の法則性に気付いた頃になると多少のランダム性が混ざってきます。開始から七ターン後ですね。

 それまでの間に倒した方が当然楽です。OK、良い感じ。

 おっクリ入りました! 運は私に味方しています押し切ったれ!

 

「……そっか、わかった……」

 

 急激に膨れ上がった妖力に耐え切れず、息子さんは戦闘中に意識が薄れてポロポロと本音を零していきます。

 台詞は幾つか種類があるので、全部聞きたい人は耐久戦で踏ん張ってください。

 

「俺は、ただ」

【迷子の子供のようにか細い声を耳が拾い上げた。】

「ただ親父に……認めてほしかっただけで――」

 

【戦闘終了。】

 

 幼少期の時は息子さんも可愛らしい笑顔を浮かべて父を慕う子供だったらしいです。月日の経過ってのは残酷ですわ。

 最初から何もいなかったように存在が消えますが、彼が倒れた場所には一つだけアイテムが落ちているので拾います。店主さんが息子さんにあげた誕生日プレゼントですね。

 店主さんに返してあげましょう、追加報酬が貰えますので。

 じゃ帰りまひょ。

 

【死角の背後から猛スピードで妖が接近してきた!】

 

 は?(困惑)

 

【戦闘開始。】

 

 いや待てなんだよこのイベントォ!?

 ホモくん自動ガード! ナイスゥ!(建前)ナイスゥ!(本音)

 

「やっぱ受け流されちゃったかぁ……いや凄い凄い、その年でよくそこまで鍛え上げたもんだ!」

【ケラケラと軽薄に笑う、全身に包帯を巻いた人型の妖。まともに相手をしている暇はない、隙を見て逃げよう。】

 

 失礼取り乱しました。

 えー、これは……超低確率で発生する火黒襲撃イベですね。

 実は息子さんと火黒は知り合いでして、元人間現人型更には戦闘型というタイプ諸被りだった点から、火黒はちょっとだけ息子さんを気にかけていたようです。

 

「なあ君さ、もっと上を目指したくない? 君ならやっべーところまでいけると思うんだよな俺! 人間は柵が多いだろう? 君の強さの妨げになっちまうぜ。ここで会ったのも何かの縁だ、自由になろーよ」

【俺はもう自由だよ】

「あー辞書に書かれてる意味じゃなくてさ、自由ってのは孤独を恐れないことなんだよ。人間は不自由な奴ばっかりだ、どいつもこいつも繋がりだ絆だくだらねぇことばっか求めやがる……強さに必要なものを履き違えてる! でも君なら、そこから抜け出して自由になれる素質があるんだ」

【そういう君は自由に生きているって?】

「勿論。そっちよりもこっちのがずーっと良いぞ」

 

 火黒が息子さん目当てに訪れたタイミングと、ホモくんが息子さんを始末しにきたタイミングが一致したランダム判定が下されるかつ、余力をもって息子さん撃破に成功すれば火黒がそれを成し遂げた相手に興味を持って襲ってくる模様(by攻略本)。

 

【自分の本心に気付かないふりをするより、もっと素直になったらいいと思うよ】

【時祓は呆れたように言いながら溜息を吐き、包帯の妖をじっと見つめた。】

【君、孤独仲間を求めるただの寂しがりじゃないか】

 

 いやまあこの状態でも倒せるので構わないんですが……なんで本番に限ってこういうレアイベを引いちゃうかな……。

 台詞選択肢で火黒を煽れば行動パターンが一定化します、そこを叩きましょう。

 はい終わりました。もっと読み込んで楽しみたかったですね。

 

【戦闘終了。】

「待てよ――――クソがッ峰打ちしやがったな!?」

【時間を食ってしまった。赤城冬獅郎の最期を店主に報告すべく、道具屋へ向かう。】

 

 依頼達成の方が優先順位が上なので、逃亡は元より戦闘に勝っても火黒にトドメはささずにイベント終了になります。

 ではちゃちゃっと店主さんに報告して報酬貰って、あと追加報酬二つも忘れずに!

 落ち込んでいるというか、やや寂しげな店主さん。妻を亡くして天涯孤独の身、唯一この世に残っていた家族が死んだので当然ですね。可哀想……(下手人)。

 

「本当に時祓くんには感謝している、あれ以上に被害が広がる前に食いとめられて良かった……正直これだけでは礼が足りていないと思っているんだ。何か困っていることはないかな? 叶えられる範囲なら僕は何でもするよ」

 

 ん? 今なんでもするって言ったよね?

 じゃあやってもらおうかぁ! 折角だから俺はこの右下を選ぶぜ!!

 

「……君のやりたいことはよく理解したつもりだ。……それで、いいんだね?」

【時祓は頷いた。】

「分かった、直ぐに用意する」

 

 前々から家を出る云々の発言をしていましたし、フラグ台詞も立てていたので察しの良い視聴者兄貴たちはいっぱいいましたが……そうです、店主さんの依頼イベをクリアしたのはこの選択式別途報酬が欲しかったからです。

 さて……では、もう良いですかね。

 やるべきことは全てやりましたので、次はいよいよ裏ボス撃破実績を取りに参りましょう。

 

 

 頭に掠りもしていなかった火黒戦も含めた依頼イベが満了した所で、今回はおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分と心臓と髪の毛は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――君、孤独仲間を求めるただの寂しがりじゃないか。

 クソ。

 ――君、孤独仲間を求めるただの寂しがりじゃないか。

 クソ。

 ――君、孤独仲間を求めるただの寂しがりじゃないか。

 クソが。

 

 クソッタレが。

 会ったばかりで何を見抜いた気でいやがる、ガキ。

 殺そう。

 必ず居場所を突き止めて殺す。殺す――――殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺殺殺殺殺殺殺殺戮戮戮戮戮戮――

 

 ……腹立たしいが、奴が完璧に俺の動きを見切ってカウンターを決めたことは事実。

 まずは今以上の速さ、そして強さを手に入れなくては。

 

 ――君、孤独仲間を求めるただの寂しがりじゃないか。

 

 あのガキの深い闇のような目と、そして呆れたような声が頭にこびり付いて離れなかった。

 そんなことはない。俺は、不自由なんかじゃない。

 

 




淫夢も結界師もにわかなので、何か原作の設定を間違えている点がありましたら柔らかい言葉で教えてクレメンス。それ以外は全て捏造です。


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(vs守美子)~(世界へ)Part.7

 裏ボスを撃破しに行くRTA、はーじまーるよー!

 来たぜ、ぬるりと。

 

 墨村と雪村の間柄とはいえホモくんも裏ボスもその辺の確執に一切興味が無いので普通に友好関係にある両者、どうやって戦闘に発展するのかといえば……本人に頼めば普通に実現します。

 何も難しいことをする必要はありません。挑むだけなら四歳スタートの時点でも可能。

 因みにその頃から強いです、流石裏ボス。

 だがしかし、仮に裏ボス撃破成功したとしても実績解除とはならないのです。

 

 墨村守美子に実装されている撃破系実績は四つ。

 その内の一つを今回解除します。

 オラ、ワクワクすっぞ!

 

 一先ず前回の続きから動画を再開しましょう。

 

【守美子だけに認識可能な式神を解き放った。】

 

 行け、Lv.1仕様式神!

 世間ではこれを果たし状とも言いますね。

 誰にも邪魔をされることのない本気のタイマン勝負を行いたい場合オススメする、ほぼ確実に周囲の人に情報を漏らすことはない挑戦方法です。スキルマでないと作れません。

 事前のセーブは忘れずに。

 

「時祓は両家の争いには関心がないものと思っていたけれど、違ったみたい」

【それには興味ないよ。でも守美子とは一度戦ってみたいと思ってた】

「そう……私は思ったことないわぁ」

 

 でしょうね。それでも来てくれる裏ボス、もしやデレ期?

 

「だって時祓には幾つか借りがあるもの、お願いを叶えて返さないとね」

 

 はぇ^~、国語の勉強を中心に何度か裏ボスから手伝いを頼まれていましたがそれがあるとちょっと台詞追加されるんスね。やらなきゃよかった。

 補足しておくとこのタイマン勝負、相手が了承して指定場所に訪れてくれるかはキャラによってそれぞれ判断基準が違いますが、裏ボスは無条件になってます。

 妖主人公でも受け付けてくれますし、滅茶苦茶憎まれていても問題なし。

 此方の指定日付に前からの予定が入っていてブッキングしたら、日付をズラして貰っても良いかと返信の式神まで寄越してくれます。

 

「いつでもどうぞ」

【戦闘開始。】

 

 裏ボス戦で気を付けたいのは、裏ボスが遠くにいても近くにいても油断をしないことですね。

 彼女の使用する術は結界術、互いの距離は関係ないのです。

 しかし安心してください。

 まだ裏ボスも子供なので、半径一㎞以内なら瞬時に形成した探査用結界でどこにいても捕捉され結界を張ってくるぐらいで済みますし、空間移動の術はまだ未習得で此方の結界で囲んでも切界してくるか自分の結界で無理やり破壊して穴を作り脱出するだけです。

 あ、それと定期的に念糸で捕えようとしてくるだけです。

 

 そして何より、彼女は今回の勝負に本気を出してきません。

 真剣な様子で挑んできたから真面目に応対するが本気ではない、それが今の裏ボスです。

 

 狙っている実績は一つと言いましたが、この実績を解除するには〝墨村守美子の年齢が中学生から成人を迎えるまでの間であること、人間とも妖とも手を組まず単独で挑戦すること、勝負方法が平等であること〟が条件になります。

 パーティを組んではいけないし時期を逃してはいけないしズルをしてもいけません。

 対等に手を組んでいようが強制的に使役しているだけだろうが、ともかく挑むのは一人じゃないと駄目なようですね。

 

 結界で相手を囲おうとしては切界され。

 何十個もの結界を一秒毎に設置して道を誘導しては自分の結界で粉々にされ。

 目を細めて薄らと見える程度の念糸を鞭のように操作して相手の背後を狙っては勘で避けられ。

 

 はい、見事に同じような光景ばかりですね。

 結界師対結界師の対決は、互いに実力があると攻撃しては往なし往なされては攻撃しの繰り返し。ご覧の通り、いたちごっこのねずみごっこになります。

 ただ見ているだけだと結構退屈しますね。

 次々と結界が作られては消えていくので観戦側の目も疲れますし。

 現在進行形でボタンを連打している画面上の私に言ったらオォン!? とブチ切れられそうな感想です。

 でも本当のことなので……。

 

 えー、裏ボス戦のキーポイントは如何様にして相手の精神力を削っていくのか、です。

 

 裏ボスは重傷を負って体力ラス一になっても精神力さえ残っていればポコポコ気軽に結界を生み出してきます、精度は一切落ちません。ふざけんな。

 意識があれば結界を作るのに何の障害もないようですね。

 それでホモくんの体力を奪い、そしてプレイヤーの気力を削ってくる。

 そんなクソ強な裏ボスでも精神力、つまり結界を作り上げる力の素がなくなれば白旗をあげてきて強制的に戦闘終了、此方側の勝利になります。体力が残っていても降参してきます。

 

 ……駄菓子菓子案山子!! 耐久戦はクッッッソ時間がかかるのでRTA的にNGなんだよなぁ!!

 

「――――それは、」

 

 よって、今まで裏ボスの前では一度も使用したことのない波同を勝負の土壇場で発動。

 裏ボスの隙を作り急接近、一気に体力を削ります。ガリガリ。

 ……おっしゃ削り切った!

 

【〝星崩し〟】

【戦闘終了。】

 

 はい、実績解除余裕でした(ホモは嘘吐き)。

 嘘です、マジ疲れました(ホモは正直)。

 どのタイミングで波同を使うのかが勝負の鍵だったので上手くいって何よりです。

 体力を削って撃破すると当然裏ボスは気絶しています、起こしてあげましょう。

 おっ、大丈夫か大丈夫か?

 

「……あら、気を失ってたみたい」

【ありがとう、付き合ってくれて】

「どういたしまして。……これで満足した?」

 

 私は満足してます!! もう止めてもいいんじゃないかと思ってます!!!

 

【守美子は本当に強いよね】

 

 でもホモくんは違うってよ。

 RTA、続行します。

 

「……」

【ねえ、大人になったらもう一回俺と勝負してくれない?】

「別に構わないけど」

 

 さあ言質も取ったことですし、裏ボスをおうちに帰らせましょう。

 二人の勝負中に傷ついた土地の箇所は責任もってホモくんが修復術で直します。終わりました。

 ホモくんもぼくもかえろおうちにかえろ。

 

【道具屋に着いた。】

 

 嘘だよ。

 家には二度と帰りません。

 というより、このチャート中には帰宅の予定が入ってません。

 

「…………来たか。僕から君に言えることはもう何もない。向こうでも元気でね、時祓くん」

 

 店主さんから専用アイテムと餞別アイテムを貰い、タクシーで空港へ。

 人もいっぱいでにぎやかだし外国人観光客もいたりして、なんだかまるで……テーマパークに来たみたいだぜ。テンションあがるなぁ~。

 ゲートを潜って搭乗。

 

『当機はまもなく離陸となります』

【アナウンスが入ったのを聞き、最後に日本の風景を窓越しに横目で眺めてから、眠りにつく。】

 

 え、家族にはこのことを伝えてるのかって?

 まったくしてません。

 行き先は国内どころか国外ですし、「信」が低かろうが高かろうが未成年なのもあって大反対ですし。

 実家には最低限の置き手紙を用意してあります。

 家族それぞれと裏ボスに宛てた個人へのメッセージも後日届くので勘当はされません。

 まあメッセージは送らなくても問題にはならないのですけど、あると多少は大目に見てくれるよ(理解してくれるとは言ってない)ってことで。

 

 こ↑こ↓のロード画面はとても長いので暇潰しがてら、裏ボスのステータスについての小話を入れておきます。

 

 彼女の強さを結奇のステで言い表すなら、結界力が問答無用のNo.1。

 次いで精神力と器用さが横並び。

 更に体力は妖退治で鍛えられているのでそこそこ。

 念糸を操るので腕力もこの年の女性にしてはある方。

 敏捷はそれほどでもありません。

 戦闘に直接関係のない魅力ですが、これは結構高かったりします。美人さんだもんね。

 最下位は実は知力だったり。

 ……とまあ、裏ボスのステは結界力特化の精神力&器用さによる双璧システムとなっております。

 

【目が覚めたら、そこはもうイタリアだった。】

 

 

 実績を一つ解除して世界に旅立った所で、今回はおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分と心臓と髪の毛と服は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

墨村守美子様へ

 伝えたいことだけを書きます。

 外の世界を直接この目で見てみたいと思ったので見に行くことにしました。

 家も街も烏森も嫌いじゃないし寧ろ好きだけれど、だからとはいえ行きたい場所に行けない現状は嫌でした。

 ここにいるだけでは自分は永遠に井の中の蛙のままだと感じたのです。

 各国で活動している筈の其々の妖たちを一通り堪能したら必ず戻ってきます。

 自分が戻るまでの間、烏森をお願いします。

 雪村時祓より

 

 引き出しの一番上から取り出した手紙を開いて読み返し、閉じて引き出しに入れ直した。

 あれから数年経つが、時祓が戻ってくる気配は今の所感じない。

 この世界にはどれほどの国があるんだったか……。

 どちらにせよ、私はただ待っていればいいだけだ。

 彼とは一つだけ約束を交わしている。

 彼が戻ってきた時に私たちが大人になっていたのなら、次回は出し惜しみは無しにしよう。

 

 




誤字脱字報告兄貴ありがとうございます。
妖が中心に出てくる話なのに舞台の日本から出てくってどうよ……と悩みましたが、もう自分の好きなように書いちゃっていいかなって……かなって!?


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(自作自演)~(クエスト祭り)Part.8

 ホモくんの活躍は日ノ本だけに止まらないRTA、はーじまーるよー!

 背景もBGMも美しいですね。私的に街に滞在している時に流れるBGMで一番好きなのがローマです。こう、荘厳な感じが、ええやんな……。

 色んな種類もあるし皆さんどれか一つは絶対気に入ると思うので、サントラ買お?(ダイマ)

 

 では前回の続きからですね。

 ああそうそう、丁度イタリアの首都ローマに到着したところでした。

 

 街に下りてまずしなければならないこと、それは探査用結界です。

 残念ながら今は昼なので滅多に引っかかりませんが、この場合でもやれることはありますね?

 言語習得です。

 ホモくん、英語はそれなりに理解してますがイタリア語は全く触れたことがありません。

 ちんぷんかんぷんなので現地で習得しましょう、唸れステNo.2知力様!

 

 大通りを歩く人々の会話をチェック、チェックゥ!

 

【大体は理解できた、これからは言葉なら差し支えなく意思疎通することが出来るだろう。】

 

 ナイス学習だホモくん。

 実家にいた時は修行で忙しかったですし、伊和辞典を買うくらいなら式神用の用紙を買った方がマシです。そもそも英語がある程度可能ならぶっちゃけ何とかなるので。

 英語は万国共通の言語だってそれ一番言われてっからよぉ。

 

 そろそろ夕方ですね、本格的に悪魔を探していきます。

 ……あー、憑りついてる奴が一匹ですか。うーんもうその人と契約済みっぽい、次。これは弱すぎる個体ですねパス。パス、パス、うーんもう一押し。

 威勢が良いのが欲しい……おっ、発見!

 現場急行、お縄につきやがれ!

 

「ギャーッ通り魔ーッ!! 人間の屑が畜生ーッ!!」

【悪魔は念糸に全身を縛られ、じたばたと抵抗している。】

 

 僕は違います(半ギレ)。

 人聞きの悪いこと言わないでくれます? まるで私たちが悪人みたいじゃないですか!

 罰として下僕になってもらいます。一生許さないゾ♡

 さぁ都合の良いアッシーくんがこの世に爆誕してくれました、早速こき使っていきましょう。

 アッシーくん、この近くに悪評ある悪魔とか人とかいないのかね?

 

「……一匹とびきりのがいるな、そいつがどうした」

 

 悪魔だな? じゃお前今から喧嘩売ってこい。

 そして派手に暴れてこい。

 ついでに焼きそばパン買ってこい。

 あ、あとホモくんのことは他言無用です。

 

 よし、悪態吐きながらもきちんと従ってますね。

 念の為に式神を使用し、悪魔を追跡して余計なことをしないか監視します。

 今発動させたものが妖使役です。対象が妖ではなく悪魔になっていますが問題ありません。

 Lv.6なのでぶつくさ不満を漏らして発言数を稼いできますけど仕事をするなら多少のロスは見逃しましょう。

 

【街の外れで大きな騒音が掻き鳴らされている。】

 

 被害が出るまで待ちます。

 ……もういいですかね。

 

 待たせたな君たち! 無事かい!?

 なんてことだ、人が血を流して倒れているじゃないか! えっ? これは悪魔の仕業だって!?

 なっ! 何をするだァーッゆるさん!!

 私は他人に迷惑をかける輩が一番嫌いなんだ! 成敗ッッ!!

 

「なんだテメェ、人間風情が――――ゴボッ」

「え、なんで俺まで――――ブッ」

【厳めしい方の悪魔を素早く滅し、もう一方の悪魔に歩み寄る。】

 

 アッシーくんよ今から言う台詞をそのまま大声で繰り返しなさい。

 

「す……すみません、反省しました! 傷つけた人と建物は全て直すので見逃してください!!」

 

 おう、ええで(ホモは優しい)。

 まったく、二回目はないですからね? 絶対の絶対ですからね?

 はい、被害者の方々にバレないように修復術で建物を直していきましょう。

 放っていた式神が重症人は出ないようにフォローしていたので怪我人も軽傷ばかりです。

 

「君、東洋人? 親はどこにいるんだい? ……えっ、一人なの!?」

【時祓は頷いた。】

 

 そうなんでしゅぅ……霊力を鍛えるべく武者修行の旅に出てるんでしゅけど、身一つ()で今日寝る宿もないんでしゅぅ……(チラッチラッ)。

 

「君は僕たちを助けてくれた恩人だ、是非泊まっていってくれ!」

 

 あれ、いいんスか!? いや悪いなぁ催促してしまったみたいで!

 大変感謝感激雨霰です!

 アザーッス!!

 

 ……。

 

 なんですか、その目は?

 何かマッチポンプが行われていたような気がする、って? ……?? ……??? ? ?? ?

 わたちあかちゃんだからなにいわれてりゅのかわかりゃないの。ばぶー。

 

 それは君の錯覚だよぉ(能天気)。

 というわけで本日の宿をゲットしました、やったね!

 

 さて気持ちのいい朝を迎えた所で、まずはアッシーくんに少し力を流し込みましょう。

 使役した妖……今回は悪魔ですがそれは置いておいて、妖には自分の力を渡すことが出来ますのでその機能でアッシーくんを強化します。

 強化版アッシーくんを連れてローマ版アイテム屋に向かい、入店。

 失礼するぜ!

 

「……ほほう? 面白そうな奴が来たな」

【くたびれたシャツを着た眼光の鋭い店主がこちらを見て笑っている。】

 

 一定以上の強さを持つ妖や悪魔をパーティに入れていると、この人が仕事を斡旋してくれるようになります。

 日本版店主さんほどではありませんがローマ版店主さんも優秀。

 アイテム屋に来たからにはローマでしか買えないアイテムを購入したい所ですが、無一文なので今は不可能。残念。なので早速、修行兼金稼ぎを開始します。

 

 初日時点でこのアイテム屋に訪れても中に入れないので注意してください。何故でしょうね?

 

( 少年仕事中 … 倍速中 … )

 

 ローマ店主さんから仕事を受けられるようになるには何個か方法がありますが、手っ取り早いのが私がさっき行った奴です。

 アイテム素材を探してランダムな場所に出没するローマ店主さんを襲撃して力を認めさせるという一番まどろっこしい方法なら最初から最高難易度の仕事を選択可能になりますので、タイムを気にするなら一長一短ですね。

 今回は低ランクのクエ達成で貰える精神力回復アイテムが欲しいのでこっちを選びました。

 

 時代設定が1970年代だから通貨がリラなんですよね……現代ならユーロになってヨーロッパの主要国でなら自由に買い物が出来たんですけど……。

 両替しようにも公定為替レートがひっどいことになってるので、現地で稼ぐ方が良いし……。

 

 世知辛い話はこれまでにして、ホモくんがバリバリの仕事人と化している間に妖使役の補足。

 

 妖使役で仲間になった妖と悪魔には自分の力を流すことが出来、それとは反対に力を奪って自分のものにすることも可能です。

 しかしアッシーくんに力を貸すことはあってもアッシーくんの力を貰うことは本RTAでは行いません。人外の力を自分のものにする、という方法が裏ボス戦でアウト判定になるからです。

 どうやらパーティの人員だけでなく、力の貸し出しもきっちり判別してるようですね。

 ですので妖と悪魔を仲間にしまくって力を搾り取るだけ搾り取ってポイ捨てするやり方は、非常に残念ですが不可能になります。レベル差酷過ぎて恩恵ほぼないし。

 

 そして……この貸し出しの手段、何かに似ているとは思いませんか?

 特定の相手から力を奪い、また与えることのできる能力。

 そう、魂蔵です。

 えっ? 結奇の主人公って魂蔵持ちだったん!? と驚いた視聴者兄貴、それは違います。

 話は最後まで聞きましょう、だから貴方は早漏なんです(精神攻撃は基本)。

 

( 少年仕事中 … 2倍速中 … )

 

 この二つは確かに似ています。しかし、これ等は似て非なるもの。

 魂蔵持ちの貸し出しは一種の才能であり生まれついてのもの、先天的。

 妖使役の貸し出しはただの技術でありテクニックさえあれば誰でもできるもの、後天的。

 

 魂蔵持ちなら対象の相手の傷を癒すことも可能ですが、妖使役では不可能。

 魂蔵持ちなら相手を選ばずに力を毟り取ることが可能ですが、妖使役では不可能。

 魂蔵持ちならどれほどの力でも無尽蔵に蓄えることが可能ですが、妖使役では不可能。

 

 つまり、妖使役で使える能力の一端は魂蔵持ちの下位互換ということですね。

 ……改めて魂蔵持ちについて纏めてみると、やっぱり魂蔵持ちはやべぇですな。特に無尽蔵に溜めこめる部分。幾ら吸い込んでもパンクしないってどういうことなの……可笑しいよ……。

 まあ魂蔵持ちだと自分の死因について滅茶苦茶悩むことになるので、どうしようもないです。

 無道のように人間から脱すれば楽でしょうが、そういう発想に至れる人は早々いないですし。

 

「おう、終わったか。お前さんの腕はやっぱ信用できるみてぇだな。次からはこのリストの中にある奴も選んでいいぜ」

【A級難易度の仕事を受けられるようになった!】

 

 お、日々クエを受注しまくったお蔭でB級からA級に昇格しましたね。

 

 

 最高難易度クエストの一歩手前まで来たのでそろそろ今回もおしまいにします。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分と心臓と髪の毛と服と靴は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれ以来手当たり次第に妖や異能者と戦ってきたものの、物足りなさが拭えなかった。

 そもそもの話、俺に勝てる程の力を持つ輩が早々いる筈もない。

 仕方がなく人間時代の初心に返り、一から竹刀を振るったり走り込みで鍛えてみると、身体能力と妖力、そして剣の腕そのものが上がった実感を得た。

 こんなことで妖力まで上がるものなのか……と少し驚きながら鍛え続け、そして妖共と戦うことを繰り返していたある日、斬り倒した相手が妙な内容を口走るのを耳にする。

 

「ちょっと居座るだけで妖力が上がる土地ねぇ……」

 

 ただの戯言だと斬って捨てるのは簡単だ。

 そんな眉唾ものの噂、真に受ける方がどうかしている。

 だが、俺の現時点での力では奴を殺すことは不可能だろう。まあどうせなら少しばかり遠出をしてみてもいいかと、そう思った。

 

 




皆さん特に気にせず好意的な反応だったので一安心。RTAだから、二次だから、を合言葉に好きなように書きました。
お気に入り投票感想、いつもありがとうございます。その御蔭で駆け抜けていられます!


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(クエスト祭り・2)~(竜の捕獲)Part.9

 クエは続くよどこまでもなRTA、はーじまーるよー!

 毎日悪魔を相手にしたり戦闘で荒れた地を修復するだけの日々なのに、ホモくんは脳筋になるどころか予習復習によって知力は寧ろ上がり続けているという……勉強お化けかな?

 

 では前回の画面から続けていきましょう。

 

( 少年仕事中 … 2倍速中 … )

 

 低ランクの依頼報酬でアイテムも補充できましたしA級に挑めるようにもなりましたので、早速クエスト受注。戦闘スキップ無双が続きましたので、そろそろ戦闘画面が恋しくなってきましたね……嘘ですが……。

 海外の悪魔の類は世界三大宗教の一つに属している人達にヒャッハー汚物は消毒だ~!! されています。日本の異能者は悪さをしない妖には基本何もしませんが、此方では存在が罪みたいな扱いでした。

 海外の異能者と悪魔の争いは日常茶飯事ですので、イベや仕事で戦うことになる敵のレベルも当然高いのですが、今の所無双ばっかり。

 

 国の対立、戦争、宗教、派閥、利権、その他諸々の要素によって、ヨーロッパでは日本でいう裏会が乱立しており、国に一つどころの話ではありません。

 そんな気軽に立ち上げちゃう? ってぐらいポンポン組織を作ってます。

 彼らが纏まってくるのは2000年代に入ってからなので、この時代ではただの烏合の衆です。ですので、彼らの組織に入るよりもローマ店主さんの下で仕事を受けていた方が快適になります。

 

 あ、そういえば実家への連絡ですけど、してもしなくてもOKです。

 今回は支援アイテム欲しさから定期的に式神を送って現状報告してますが、プレイヤーの腕が高ければ必要ありません。

 

「貴様、近頃噂にな(あっ、ヅラだ)っているジャパンからやってきたというガキだな? どれほどの実力なのか見てやろうじゃないか」

【戦闘開始。】

 

 失礼、音声に妙なものが入り込みました。

 この見るからに大人のふりかけをかけた人は外国マップでの強力な助っ人キャラです。

 職業は祓魔師、つまりエクソシストですね。

 通常プレイならとても頼りになる人ですので、皆さん仲良くしておきましょう。

 結奇でも有数の火力キャラですから、共闘する時は支援に回ってこの除草剤を撒いた後の原っぱのような方の攻撃を手助けした方がいいです。

 しかし今回は化物型ステなので、この毎朝初日の出が楽しめる方の役割は肉壁です。

 

 ヅラが出てきたということは、地道にD級から進めてきた甲斐もあってホモくんの名声もそこそこになっている様ですね。

 戦闘も終わった所でヅラと一緒にクエストに出掛けましょう。

 はい、また倍速入ります。

 

( 少年仕事中 … 2倍速中 … )

 

 オラァ結界師様の御通りじゃい、道を開けんか!

 ……うーん、スキップ機能が有効になってますね。A級になっても序盤に出てくるモブ敵はまだ格下判定ですか。

 優先的なスキラゲも終了しましたし、そろそろホモくんのレベル上げの続きをしたいのですが、イベ戦闘でしか経験値貰えてませんね。さっきのヅラ戦とか。

 早く最高難易度であるS級をやりたいです。

 

 もう暫くクエが続きますから、雑談でもしましょうか。

 結奇は本動画をご覧の通り、移動範囲が日本だけに収まりません。今のように海外で活動することも可能な、自由度の高いゲームです。

 しかしやっぱり本筋は日本なので、作られているマップは各々の国の首都のみ。

 後は海外仕様の背景が使われた戦闘画面、異界という名のダンジョンマップとなっています。

 クエを受けたら街でNPCから噂を集めたりどこかに潜んでいる情報屋から買ったりして、街の外に出たら直接戦闘画面に移行するか、ミニゲームが開始するか、ダンジョンに移動するかになりますね。

 

 なーんだ、○○にも行けたらよかったのになー、と肩を落とした視聴者兄貴はご安心ください。

 マップの数が限定される分、首都の作りこみは半端じゃありません。

 開祖の時代に生まれたら流石に行けませんが、1950年代から10年ごとに街の構造が変わり、人も変わり、特殊イベの内容もちょっとずつ変化します。

 

 外国滞在時のみ遊べるミニゲームも面白いですし、皆、結奇、買おうぜ(ダイマ)。

 

「はぁ!? その連れてる悪魔、契約じゃなくて力で従えてんのかよっ!??」

【時祓は頷いた。】

「嘘だろ……下級悪魔ならともかく、そいつ上級じゃねえか。こんなの初めて見たぞ……」

 

 おっしゃ、この会話は特殊イベの前兆ですね。

 

「貴方方二人がフェリーノとユキムラか?」

【真っ黒のローブを着た謎の人物が声をかけてきた。】

 

 よし来ました、依頼人。

 このクエストのフラグは最初の会話の通り、〝ヅラとパーティを組んでいること、契約を交わさずに服従させた一定以上の強さの悪魔がパーティにいること、名声が80を超えていること〟です。

 アッシーくんが強いのはホモくんが力を渡してるからなんですけどね。

 でも戦闘の数も大分熟してきましたし、本魔の強さ自体も上がってきてるかもしれません。

 行き先はイギリスですね。イケイケGOGO!

 

「あのローブの奴、鱗が欲しいとかのたまってたが、本当にそれだけかね? 今の時代滅多にいないレアものの竜がいる場所の情報提供に異界に入る方法に帰る手立てに……此処までお膳立てしてくる奴ってのは普通いないぜ?」

 

 ロンドンは大体霧がかかっているか雨が降っているかです。もし快晴パターンが見れたらスーパーウルトラレアですので明日は良いことあるかもしれません。

 シックな雰囲気がいいですね。

 ささっと情報収集とアイテム購入と、あと念のためにセーブして、イクゾー! デッデッデデデデ!(カーン)

 

「重苦しい空気だな……」

 

 ダンジョン攻略をしてる間にあの依頼人について説明すると、バチカン市国のお偉いさんで、それからローマ版店主さんの友人です。

 大の鱗コレクターであり、なんかもう鱗が好きで好きでたまらないらしいです。

 ヅラが訝しんでますけども、ふっつーに鱗が欲しいだけです。

 竜の鱗たんprprしたいお! でもそんなの滅多に手に入んないし市場にも流通しないしprprできないお……でも諦められないお!! そうだ、強い人にゲットしてきてもらえばいいんだお!! 金に糸目はつけん、迅速な依頼達成を求む(キリッ)と依頼してきました。

 本人曰く、人外の力を暴く為の研究に必要な材料だの推考に必須だのペラペラ喋りますが、まあ、趣味嗜好ですよ。

 

【探査用結界で発見した位置で、竜は眠りについている。】

「絶好の機会だ、慎重にいこう」

 

 彼に指摘してみると「なら清廉な趣味だ」とか抜かしてきます。

 嘘つけ絶対ただの性癖だゾ。

 

【フェリーノが気配を断って近寄った瞬間、突如竜の瞳が開いて襲い掛かってきた!】

「しまった! 仕方ない、力で押し切るぞ!!」

 

 は?(威圧)

 おめーの頭はハッピーセットか?

 そりゃゲーム内時間じゃもうその商品出てきた後だろうけどよ?

 ヅラの頭にゃ鬘だけ被せておけばいいんだよ、大人しくしてろ(ホモは辛辣)。

 私は全部が欲しいんです、妥協はしません。

 ※ステ厳選は除く。

 

【俺に良い考えがある】

【式神を大量にばら撒いた。】

 

 山ほどの式神を作っておいたのはこの時の為です、物量攻めで錯乱させます。

 それで隙を作り、念糸でぐるぐる巻き。

 一丁上がり!

 

【念糸で身体全てを縛り上げ、身動きを封じて竜の頭に降り立った。戦闘終了。】

「おお、成功したか!? 後は任せろ!」

【すかさずフェリーノが竜の懐に入り込み、作業を行っている。】

 

【〝竜の鱗〟を手に入れた!】

【〝竜の逆鱗〟を手に入れた!】

 

 相手の体力を削って戦闘終了になると、逆鱗が折れてグチャグチャになり報酬は半減になります。鱗の報酬分だけでも破格なんですけどね、ホモは欲張りだから……。

 無事に特殊イベも成功出来ました。

 鱗コレクターはprprできるし私たちは報酬がうまうま、実にWIN-WINな関係です。

 この特殊イベを受ければホモくんも竜の鱗を入手しますが、本RTAでは使用しません。

 土地神クラスの力を持つ竜からのみ採取できるアイテムなだけあり、強力な武器の材料になる竜の鱗ちゃんですけども時間的に作れないのですよ。

 

 私の目当てはこれ!

 竜の逆鱗を依頼主に渡したら貰える報酬の一つ、水晶玉です。

 古代の悪魔が戯れに作った膨大な魔力の籠った魔具とのこと。

 いいのかお前、こんな強力な宝を性癖の為に手放して……? いや性癖だから手放したのか、納得納得!

 では早速使っちゃいましょう。

 

【スキル「無想」を発動しました。】

【「水晶玉」を使用しました。】

【水晶玉を見つめながら無想に入り込んでいると、今まで以上に神経が研ぎ澄まされていく感覚が湧きあがってくる。……今の領域に入った自分なら、一段階上に昇れることに気が付く。しかし、このまま感覚が過敏になると少々不便なことにもなりかねない。】

【それならば、自分以外のものに無想の状態を管理して貰うのはどうだろうか? 良いアイデアだと思ったので、直ぐにイメージを想起して膨らませていく。】

【……管理者が現れた。】

【究極スキル「極限無想」を習得した。】

 

 はい、このアイテムを使えば極限無想を覚えることが出来るようになります。

 何度も発動させて経験を積めば何時かは管理者がいなくとも極限無想を操ることも可能。

 しかし原作で良守が行っていたように、術者が無意識に感じ取っている情報を管理者は言語化して伝えてくれるという副次効果があるので、出現させていると便利。

 良守も学業という意味での頭脳は置いておいて、それ以外の頭脳は決して悪くはありません。しかし感じた情報を冷静に判断できる下地がまだ出来ていなかったので、極限無想+管理者という組み合わせは良守にピッタリでしたね。

 

「お前さんにならどんな仕事でも任せられる。そこの箱に入ってるリストの仕事には命の危険が常に纏わりつくが、うまく切り抜けられるだろう。だが気を付けろよ、どれもこれも本当に危ねぇもんばっかだからな。んーそうだな……難易度でいえば、Sだ」

 

 最高難易度の依頼も受けられるようになりました、やったねホモくん!

 

 

 全ての依頼の受注が可能になりましたし、今回はこれでおしまいです。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分と心臓と髪の毛と服と靴と帽子は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんでだ……!? 何故人間のままそれほど強くなれた!?」

 

 速い。この妖は速い。どんな力を持っていようが、私の意識に妖が映らなくては結界で囲えず意味が無い。烏森ごと探査用結界で覆い位置把握しても、妖の速さに追い付けなくては意味が無い。

 身に纏う結界で妖の攻撃を防いではいるものの、現状のままではいけない。

 この烏森という土地において、時間は妖に味方をする。

 

「人間が……その若さで、なんでその領域までいける……? それなら、俺は――」

 

 時祓の兄程度ではあの妖の相手は無理だ、父と彼の母に救援を要請しよう。

 力は大したことはない。この手のタイプを滅するには数で叩くのが丁度いい。

 

「――――止めだ。こんなもんで強くなっても意味はねぇ……アイツには勝てない」

 

 突如増した妖力によって学園を囲っていた結界を斬られ、逃走されてしまった。

 なんとなくだが、あの妖はもう此処にはこない気がする。

 速さ、か。今の妖のように速さを駆使されれば今回のように逃げられてしまう、それはよく分かった。……彼は特別速くはなかったが、風のように結界をすり抜けたことがある……。

 ……結界術とは空間を支配する能力。ならば、それを応用して空間そのものを歪める術を作るというのはどうだろうか?

 良いアイデアだと思ったので、直ぐにイメージを想起して膨らませていった。

 

 




少しだけ出番がある脇役の中で割と好きだったのは赤亜です。なんで人間になりたかったんでしょう?
お気に入り評価感想、いつもありがとうございます。


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(レべリング)~(真・vs火黒)Part.10

 そろそろレベルアップしたいRTA、はーじまーるよー!

 今回からは最高難易度のクエを受けられるので、ホモくんのレベル上げに勤しんでいきます。

 つまりは倍速ですね。

 

 では、続きから動画リスタート。

 

( 少年仕事中 … 3倍速中 … )

 

「今夜は満月だからな、背後に気を付けろよ」

【狼男が現れ襲い掛かってきた!】

「そら来た、狩りの時間だ!」

 

「おっしゃあ! これが伝説のエクス――」

【〝エクスカリパー〟を手に入れた!】

「ヴァカめ!! 私は贋作だ!!」

「カリパー!?」

 

「歴史のない国にいる怪物ってのは弱小だと素人は判断しがちだが、そんなことはないぜ」

【ガロクウズウィスが現れ襲い掛かってきた!】

「早速だな! パターンCの挟撃だ!」

 

「ファラオってこういうカッコで寝てるイメージがあるけど、これだっせぇよな!」

【スフィンクスが現れ襲い掛かってきた!】

「あっごめん陰口叩いてごめん!!」

 

「なあ、ジャパンにいる人魚って魚を食えば不老不死になれるって、あれ本当か?」

【時祓は首を傾げた。】

【吸血鬼カーミラの残り香が現れ襲い掛かってきた!】

「ヴァンパイアか!? 今ニンニクしかねえ!」

 

「この封印札、字がちまちましてんな……どうやって描いてんだろ……」

【キョンシーが現れ襲い掛かってきた!】

「おっと、こいつが中国のゾンビか! 行くぜユキムラ!」

 

「俺が今までの人生で一番倒すのに心が傷ついたのはサキュバスだな、涙が出た……アーメン」

【インキュバスが現れ襲い掛かってきた!】

お前はお呼びじゃねえんだよおおおおおお!!!!

 

 ……はい、S級に出てくる敵はどれもこれも手強いものばかりなので経験値ウマウマでした。

 特に妖混じりの西洋版、悪魔混じりの方との勝負はやはり素晴らしいですね、何度でも挑みたいくらいですわ。

 ホモくんのレベルそのものも順調に上がり、基礎能力も……なんか見てて気持ち悪くなる程度には上昇しました。

 現時点、この時代で受けられる特別なクエストは全て受けてスッカラカン。

 あとは低ランクの何度クリアしても無限に復活する普通の仕事しかありません。

 

 そして何より、ホモくんは19歳。今年中に20歳を迎え、成人になります。

 こうなると潮時ですね、裏ボス戦の為に日本に戻りましょうか。

 ホモくんの諸国漫遊の旅も終わりです。

 日本店主さんに連絡してチケットを用意して貰い、空港へ。

 こちらで仲良くなったキャラとは事前に挨拶を済ませておきましょうね、何も言わずに去ろうとするとこの場面で押しかけてきてロスになりますので。

 

『当機はまもなく離陸となります』

【アナウンスが入ったのを聞き、最後にイタリアの風景を窓越しに横目で眺めてから、眠りにつく。】

 

 偽造パスポートやらチケットやら、ホモくんは日本店主さんに世話になりっぱなしです。

 仕事の為とはいえ更にこの子数々の犯罪行為もやらかしてますからね、権力やらコネやらで誤魔化してきましたが。

 アングラな世界で生きてきましたし、これからの人生も結界師として仕事を受けて生きるのでしょうか。

 そうさせてるのは私……? ちょっと何言ってるかよくわかんないです。

 

 さて、後はホモくんの誕生日がやってくるのを待つばかり。

 最後に装備品を確認したりアイテムを買い足したり、念の為のセーブをしておきます。

 

( 少年準備中 … 倍速中 … )

 

 本RTAでは私は採用しませんでしたが、最初の実家滞在時に家の蔵を漁り過去に墨村・雪村と相争い殺し合って散っていった結界師の一族が受け継いでいた能力を覚えられる書物を見つけるのもアリだと思いますね。

 幻術関連のスキルは結構便利です、戦闘以外にも様々なことに応用が利きますから。

 私の場合は単純にレベルを上げて物理(結界)で殴る戦法でいこうと思ったのと、幻術は勘が鋭い相手には効き辛いので裏ボスにも通用し辛いというわけで止めました。

 でも、幻術で裏ボスを倒すパターンも見てみたいですね。

 不利な筈の手段で敵を打ち倒すなんてロマンやん?

 

【深夜、なんとなく寝付けなかったので森の上空に足場を作り、月を眺めることにした。】

 

 どうしてイベントが起きるんですかねぇ???

 画面上の私は何のフラグがあってどのイベが起こっているのか、全く思い当たらずに混乱しています。

 その狼狽えっぷりを笑いながら視聴ください。

 

【月見ということで、他に何か飲み物や食べ物を持って来れば良かったとぼんやり考えていると、背後から何者かの声がかかる。】

「よう、この間ぶり……って感じじゃねえか、お前は人間だもんな」

【全身に包帯を巻いた妖。以前、店主からの仕事中に会ったことがあると、時祓は何となく思い出した。】

 

 ファッ!? 火黒!? 火黒ナンデ!!?

 どこだ、どこでフラグが立ってた? 何か押し間違いでもしたか? それとも裏で乱数が関わってるのか? と考えまくってますね。

 

「あれから色々あってさ、俺も思う所があって一から修行し直したんだわ」

【妖は時祓の姿を目を細めながら見つめ、掌から生やした刀を振るう。】

 

 さて、ここでPart.6を思い返してください。

 

 『台詞選択肢で火黒を煽れば行動パターンが一定化します、そこを叩きましょう。

 

 はい、お前本当は自由じゃねえよバーロwwwwと煽ってましたね。

 あれは正しく、火黒の強化フラグ及び因縁フラグでした。

 

 あっ、これかぁ!(納得)

 

 ……。

 …………。

 ………………。

 

 よりにもよって今のタイミングで火黒が襲ってくるとか、ガバガバの実を食べたガバ人間か?

 

 海に落ちろ!

 

「お前らが何故そんなにも強いのか、考えてみたが俺ァ学がねえから分からねえ。だからもー直接戦りあって確かめるしかねえと思って…………よっ!!」

【戦闘開始。】

 

 ガチのガバで余計なイベが挟まってしまった件。

 そして裏で何かしらの進行があったみたいですねぇ……主人公がキャラや事件に関わった結果、それが波紋となり目にみえない場所で他の出来事が誘発されることもあるのが結奇の素晴らしい美点の一つではありますが、今回ばかりは起こらないでほしかったです。

 無想で即終わらせましょう。

 対裏ボス仕様のホモくんなので相手になりません、瞬殺です。

 

「また俺は負けるのか……!? 繋がりも捨てられない奴らに……!!」

【何度でも来ていいよ、俺が相手してやるからさ】

 

 火黒と戦闘する時に面倒なのは、彼はお喋り好きなので大体会話が入ることです。

 ここから煽ってもガン無視しても他のイベのトリガーとなるので、RTA中に出てくることのないようにいっそのこと受け入れてしまいましょう。

 この選択肢ならば裏ボスに挑むまでの時間を考えて、100%火黒の出番は無くなります。

 完全撃破は逆に時間が伸びるので絶対に止めましょうネ!

 

【戦闘終了。】

 

 はい終わり! なんか選択の中に妖使役の発動ってのがありましたが、もしかしてこの時点で火黒を仲間にすることが出来たのかもしれません。

 RTAじゃなかったら興味本位でやってたところですよ。

 はぇ^~、唐突なイベ開始はほんまやめちくり~(絶望)。

 

 きっちり釘も刺しましたしもうイベも入り込まないでしょう。

 火黒は放置で大丈夫です、丈夫な子なんでね。もう出てくんなよ。

 では日付も変わり朝になったので行動。

 

【守美子だけに認識可能な式神を解き放った。】

 

 行け、Lv.1仕様式神!

 世間ではこれを果たし状とも言いますね。

 この辺りでアッシーくんはしっかりとパーティから外しておきましょう。忘れぬ内に!

 妖使役は既にスキルマ済みなのでそこらに放置しても問題行為は起こさないんですが、まあ草むらに放っておくよりは日本店主さんのアイテム屋で待機して貰っておくとRTAが終わった後に取りに戻るのが楽になりますね。

 

「あー……あれだ、お前に言うのもあれだが、無茶すんなよ」

【心配してる?】

「バッカ、んなわけねーだろ! よりによってお前なんかにするわけねぇわ!」

 

 強敵と戦いを申し込んでいると、その雰囲気を察したパーティメンバーはそれぞれの好感度に応じたコメントを残してくれます。

 アッシーくん、なんやかんや好感度高いな……「嫌」「憎」が高くなっても可笑しくないこき使いっぷりだったんですけど……お前もしかして、マゾか?

 

 アイテムOK、装備OK、ラストセーブOK!

 では、墨村守美子撃破系実績の残り三つを解除しに行きましょうか!

 

【待ち合わせ場所に赴くと、周辺には呪符が貼られ既に人払いがされていた。まだ時間前だが、守美子が立っている。】

「こんばんは、時祓」

 

 五分前行動とは感心ですね裏ボス。

 昔タイマンで戦ったあの日から七年が経過し、お互いに20歳になりました。

 あの日は確かにホモくんが勝利しています。

 しかーし! 私もホモくんも、貴女が本気を出していないことはバッチリスッキリ丸っと全部お見通しだーッ!!(TRICK感)

 

【俺たち、二人とも大人になったよね】

「ええ」

【あの時君は満足したかと聞いた。その質問に今答えるよ……俺は全然満足していない】

 

 

 

【だから今、もう一度。俺と勝負してくれ】

 

「私も――満足はしていないみたい、こちらこそお願いするわ」

 

 

 

【戦闘開始。】 

 

 

 今回はこれでおしまいです。次回、最終話。

 動画の最後にこの時点でのホモくんのステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。倍速だったので見え辛いですよね?(ホモの半分と心臓と髪の毛と服と靴と帽子とアホ毛は優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白い装束を着たガキと黒い装束を着たガキ、そのどちらも妖になることを選んだ俺よりもずっと若く、そして強かった。

 理解不能だ。訳が分からない。繋がりを得たままの状態で、どうしてああも強い?

 俺がかつて捨てたものを持っているだけの連中が、俺よりも強い力を持っている。

 何故こんなにも胸がざわつく。

 俺とアイツの何が違う。

 

 殊勝にも鍛え直して、以前よりも遥かに強くなって、それで今回も負ける。

 分からねぇ……。

 ただ、意識を失う直前に感じたあの感覚は……この身体が今より無駄に熱をもっていたあの頃、一番確かだと思っていたものに似ていた――――

 

「何度でも来ていいよ、俺が相手してやるからさ」

 

 ……そりゃあ……ああ、それは良いなぁ。

 やっと思い出せた。

 このヒリヒリした時間が続いてほしくて、俺は……。

 

 




まさかここまでこれるとは思ってなかったですね。次で終わりです。
皆さんの声援、評価、お気に入りの御蔭です。誤字脱字報告兄貴、ありがとうございました。


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(真・vs守美子)Part.11【完】

 裏ボスを倒しに行くRTA、はーじまーるよー!

 早速動画を再開します、サクサクっとね。皆さんも前置きは短い方がいいでしょう。

 

【戦闘開始。】

【スキル「無想」を発動した。】

 

 まずは小手調べ。

 離れていた期間でどれほど腕を磨いたのか、互いに結界を作りあって審美します。

 墨村家の青色の結界と雪村家の緑色の結界がぶつかりあい、一瞬だけ空色に変わって弾けて消えていきます。

 こうやって後から見返す分には綺麗ですね。

 綺麗だね、後から見る分にはね(大事な事なので二回言いました)。

 

【やはり守美子は強い。彼女の技術がどれほど昇華したのか、一目見ただけでよく分かる。】

【それと同時に、守美子と俺が今、同じ立場同じ目線に立っていることも……よく分かった。】

 

 戦闘中に主人公のモノローグが流れるのは滅多にありません。

 復讐鬼プレイで復讐相手と戦ったり、オリンピック選手ルートで決勝戦に挑んだり……主人公が一つのことに本気で取り組んだ時の本番真っ最中ぐらいでしかモノローグは流れないです。

 つまりホモくん、滅茶苦茶本気です。

 私も本気です、つまり相思相愛だゾ♡

 

 ギアが入ってきた裏ボスの怒涛の攻撃と、それを凌いで反撃に転じるホモくん。

 なんつうか、どっちも人間じゃねぇ……(ドン引き)。

 事前に耐久度馬鹿高な専用バトルフィールドを準備してなかったらとっくに大地が割れているレベルです。お前らはアラレちゃんか?

 

 墨村守美子に実装されている撃破系実績は四つですね。

 その内の一つはゲーム内時間七年前に解除しておりますので、後三つ。

 裏ボスが成人を迎えている状態で撃破することで一つ。

 戦闘中に裏ボスを追い込むことで放ってくる最大技を正面から打ち破ることで一つ。

 成人の裏ボスからの「信」が高い状態で撃破することで一つ。

 以上、計四つになります。

 

「これはどう対処するかしら」

【スキル「波同」を発動した。】

 

 ホモくんの場合は必要になる都度、無想を発動しています。主人公のグラフィックも無想OFFとONでは変化が起こっていましたね。

 しかし裏ボスの場合は異なり、彼女は無想を常時発動している状態です。

 幼少の頃から裏ボスの目は常に黒く影っていてレイプ目です。ハイライトが入っていることはほぼありません。が、それは赤子時代や幼少期の最初を除いてその人生の殆どを無想の境地で過ごしているからです。

 裏ボスが常に無想でいられるのは、生まれついてそれほどの技術を所有していたというわけではなく。生まれついて感情の振れ幅がとても狭かったから、が正確になります。

 心を何事にもさざめかない無の状態にするのは、彼女にとっては容易なことでした。

 彼女だと「無にする」というより「無に戻る」という表現の方が近い気がしますが……。

 

「絡め手はいける?」

【スキル「念糸」を発動した。】

 

 つまり、裏ボスは意識して無想をしているわけではないのです。

 ほぼ生まれつき無想状態なわけで、最早呼吸と同位。

 それが却って彼女の弊害になっています。

 無想が無自覚である彼女には、極限無想を発動できません。

 いやもう殆ど極限無想に成っているようなものではありますが、一応極限無想ではありません。

 そこが付け入る隙となります。

 針の穴に向かってフリスビーを投げて通すレベルですがね!

 

「もっと出力を上げるわね」

【スキル「空身」を発動した。】

 

 このままじわじわ体力と精神力を削っていきましょう。幼少期の対決とは違って、相手のゲージをどちらも下げる必要があります。

 ……ゴジラ対ゴジラみたいなことになってんな……。

 

 ゴッホン。

 

 えー、私が雪村出身の結界師を選んだのは、同年代かつ同業者ならば裏ボスの「信」を稼ぐ機会が多くなるのと、空身が欲しかったのと、結界術が使えるようになるのが目的でした。

 墨村守美子は好感度「好」「嫌」「愛」「憎」、最後に「信」、このどれもが上がり辛く、そして下がり辛い鋼鉄の女です。

 一度に大量の「信」を上昇させるのは不可能といってもいいでしょう、地道に上げるしかないですね。

 空身は現在画面上で使いまくっている通り、裏ボスの超高火力を無効化できる唯一の方法です。

 一撃でもまともに食らえば体力が半分は持っていかれてしまうので、プレイヤースキルとしての回避力を上げるか主人公がこのスキルを身に付けるかの二択。ということで後者。

 

「――――……」

 

 おっと、裏ボスの体力精神力共に四分の一まで減り集中モードに移行しました。

 此処からは原作で龍相手に使用していた空間移動の術を多発してくるようになります、油断=死ですので気を抜かないでください。ここからが本番です。

 ワープとかマジクソ、本当に気力が削られます。二度とやらん(ホモは嘘吐き)。

 

 先程の話を続けます。

 最後に結界術、これは裏ボスを追い詰め易くなります。裏ボスが使用する技術と同じである為、千日手になり得る諸刃の剣ですが、しかし安定して裏ボスの体力と精神力を削ることが可能。

 よって、接触の機会が多い幼馴染みかつ結界師の一族である雪村にするべきだと思いました。

 

 因みに原作では誰からの指摘もなかった為に裏ボスは生涯ほぼ無想のまま生き抜きましたが、結奇ではとあるイベントを熟すことで彼女の無想を解き、人間味を増やすことも可能です。

 (撃破の必要は)ないです。

 彼女は色々と不運な要素が重なって非人間としての道を歩んでいますが、きちんと胸の中に人の心があります。

 時間をかけて向き合っていけば幸せという感情を理解することも出来るのではないでしょうか?

 

【守美子が今までで一番、神経を尖らせているのを感じる。】

【……とんでもないものが来るだろう。】

 

【スキル「極限無想」を発動した。】

 

 裏ボスとステの数値が同格かそれ以上だと警告メッセージが入ります、有り難いことですね。

 ホモくんの最大技、十芒星を真正面から放ちます。

 こ↑こ↓が勝負の分かれ目。

 

【二つの力が激突し、行き先を失った青と緑の力は絡み合いながら放物線を描いて、上空へと流れていく……。】

【〝宵が明けた日〟】

 

「そう……そうなのね」

 

 実績解除。もう一息、踏ん張りどころです。

 裏ボスはこの最終盤でもまったく切れ味が衰えないから本当に辛い。普通のキャラなら驚いたり怒ったり嘆いたり無気力になったりで差はあれど変動するのに。泣きそう。

 

 尚、もしもこの勝負を烏森の傍、或いは烏森で行っていた場合、勝負終了後に二人共々仲良く後付け共鳴者になる……らしいです。

 あくまで後付けであり、赤子の内から浮かびあがり馴染んでいくわけではないことから本来の正当後継者よりも色味が薄いですが、それでもハッキリと四角の印が浮かぶ模様。

 烏森に封印されてる時の殿は面白いことが好きなだけのただの子供ですからね……。

 バケモン同士一切の手加減抜きで怪獣大決戦をド派手にブチかましてれば、そりゃ面白い奴認定されて即お気に入り登録されますわ……。

 

 

「これでおしまいにしましょう」

 

【ああ】

 

 

 最後の瞬間です。

 気張れ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

【〝星砕き〟】

 

【〝二人の明星〟】

 

 

 

 

 

【戦闘終了。】

 

 

 計測完了!

 

 時間は……3時間49分32秒。

 裏ボス撃破RTAを目論んだ人が他にいないので私が世界最速です。

 

 完走した感想ですが……情緒もへったくれもないこと言うと、スタート前の化物型ステの厳選しか印象に残ってません。

 あれが本当に地獄でした。

 それ以外は大体試走や練習通りにいったので、ガバッた時もそこそこありましたがその場限りの怒りや困惑は起こっても終わった今となっては気になりません、良い思い出です。

 ……あっ、淫夢使いのRTA走者としてオリチャーを結局しなかったのはマイナス点ですね、そこは反省。

 チャートもちゃーんと説明できていなかったような気がする……。

 

 じゃ今しちゃお(開き直り)。

 結界力が高め(トップが理想)の化物型ステを引き、裏ボスと同年代の雪村家に生まれて只管修行を重ねて得たポイントは全て結界力に突っ込み、小学校の間に店主イベを引き起こし台詞選択肢で海外に飛び出せるようにしておき、中学生に上がるまでに裏ボスの「信」を挨拶や学校イベと烏森見回りで溜め、実力と海外チケットと「信」が揃ったら一つ目の実績を解除、直ぐに海外出張を起こし社畜化して高難易度クエで経験値を稼ぎまくってステを完成させ、成人を迎える前に日本に帰り裏ボスとタイマン。

 これが今回の裏ボス撃破RTA結界師チャートでした。

 

 裏ボスの「信」稼ぎと幼少期の内に一回倒さなきゃいけない時機調整を考えると、やっぱり出自結界師で姓を雪村にするのが一番いいと思います。

 ですがこれ以外にもうま味なチャートが存在するかもしれませんので、私は座して待ってますね!

 

 

 本シリーズはこれにて終了になります。

 動画の最後にホモくんの最終ステータスを載せるので、最短裏ボスタイマン撃破を目指す人がいれば参考資料にしてください。ステが映る場面が動画中なかったですし分からないですよね?(ホモの全ては優しさでできてます)

 そしてそれが叶った日には私にも参考資料をください。

 では、ばいなら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――夜が明ける。

 瞼の向こう側がとても眩しくて、暖かい。

 

「……負けちゃったぁ」

 

 真面目だった。

 本気だった。

 真剣だった。

 油断はなく、慢心もなく、倨傲もない。

 それでも……敗北した。

 

 不思議な感覚だ。一度も味わったことのない感覚が、五臓六腑から滲み出てきている。

 何故だか、ひどく目の奥が熱い。

 ああ、なんだ。

 ずっと分からなかったことなのに、この瞬間がいざやってきてみれば、こんなにも簡単に分かることだったのか。

 

「ねえ時祓……私って、思ったよりも人だったみたいよ」

 

 ……そういえば言い忘れていたものが一つあったことを思い出す。

 貴方と私が同じ日に年を重ねるなんて今更なのに、なんだか変な感じがしてきた。

 誕生日おめでとう、時祓。

 

 







「結界師 -奇譚- RTA」、これにて無事に完結しました。これも全て皆様の御蔭です。
更新する度に送られる感想、日々増えるお気に入りと評価、そしてアクセス数……とても現金な性格なので、数値として直ぐに表れるシステムに凄まじく支えられた自覚があります。
ホンットにマジで本気で! 三日坊主で直ぐに熱が冷める性質だったので、今まで五話前後の中編以外を完結させられたことがありませんでした。
しかし今回、ストックがないままこのお話を終わりまで駆け抜けることが出来たのは、間違いなく読者である皆様の力添えの御蔭です。

本当にありがとうございました!!


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番外編
【おまけ】イベント振り返り集


 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTAの倍速でさらっと流していったイベント特集。

 RTA真っ最中に起こったイベですのでそのまま再生すると文字のスピードが速く読み辛い為、スロー加工してあります。

 実況や解説でもないただのおまけ動画なので、編集もそんなに力を入れていません。

 

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

◇シャボン玉

 

「……?」

【守美子はシャボン液が入っているヤクルトの容器を手に持ち、じっと見つめている。】

 

 Part.3動画の倍速中で流れた、「幼少期時代に主人公が原作キャラと同年代」だと発生するイベント。これの裏ボスバージョンは見た事がないから見たい! というコメを採用しました。

 

「!」

【液体を飲みだして嘔吐いた!】

【大丈夫? 守美子】

「…………ヤクルトじゃない」

 

 表情の変化は僅かしかありませんがしょんぼりしてますよね、この瞬間の裏ボス。

 

【飲み物じゃないからね、このストローを使うんだよ】

【ぷかぷかと多種多様なシャボン玉を作り、空に浮かべていく。】

「これにどういう意味があるのかしらぁ……?」

【俺にとっては観賞用だね、綺麗だから】

「そうなの……。私にとっては……ただの丸に見えるけど」

【守美子はクラスメイトによって次々と作られていくシャボン玉を、ぼんやりと見上げている。】

 

【空いた授業の自由時間は過ぎていった……。】

 

 幼少期にこんな感じで一緒に遊んでいると、大人になってから同じ遊戯イベが起きる時があります。発生率はそんなに低くなかった気がするので、皆さん御自分の目でプレイして確かめてみましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ストローを銜え、軽く息を吹き込んだ。

 石鹸が使用された液体は形を変えて丸みを帯びながら宙に浮かぶ。

 

「……ふふ、やっぱり丸よねぇ」

 

 子供用の玩具として修史さんが購入してきたものの中に、記憶に引っかかる玩具が一つあった。

 いつのまにか手元にあったストローと容器。

 私が作り出すシャボン玉、それに正守が興味を示している。

 

「きれー!」

「そんなに綺麗?」

「うん。……おかあさんはちがう?」

 

 おずおずと控えめに意見を訊いてくるのは修史さんに似ていると思う。

 息子が修史さんを彷彿とさせる振る舞いをする度に、私は安心を得ていた。

 

「お母さんは綺麗だと思わないわ」

「……そっか」

「でも、シャボン玉を楽しそうに見てる正守を見ているのは好きよ」

「えっ?」

「いっぱい作るわね、ちゃんと見ていなさい」

「……! うん!!」

 

 これが綺麗だとは思わないし、思えない。

 多分、こういった感性は生まれつきで、元々の私の性質なのだと……そう考えられるようになってきた。世の中には色んな種類の人がいて、汚いものを綺麗だと感じる人も、そもそも視力がなく色としての美しさを認識することができない人もいる。

 視力があってもこういうものを綺麗だと認識しないタイプの人だった、私はそれなのだろう。

 

「おかあさん、次はおれがやりたいっ」

「ええ、いいわよ。気を付けてね」

「うん!」

「飲み物じゃないからね、飲み込んだらすごく不味いわ」

「そんなのしないよ、だいじょうぶ!」

「……あらまぁ」

 

 本当に彼に似て良かった。

 

 

 

 

 

◇競争

 

「墨村の娘に出し抜かれることなく仕事を遂行させるように、良いわね時祓?」

 

 Part.4動画の倍速中で流れた、「出自結界師の主人公が墨村or雪村出身で近い年頃の相手がいる」と発生するイベント。裏ボスに勝つパターンは見た事がないから見たい! というコメを採用しました。

 負けるのは簡単ですからね……。

 

【こんばんは、守美子】

「こんばんは、時祓」

 

「この二人って本当に対立してる墨村と雪村の子供なのかってくらいには落ち着いてるわよねぇ」

「ダーリンも守美子ちゃんも大人なのさ、無駄な争いはしないんだよ」

「あーら、まるで誰かさんたちは無駄な争いをしてるし大人じゃないみたいな言い方」

「そう聞こえたか?」

 

 裏ボスとの勝負はステの数値よりも、最初にランダム配置される初期妖の位置と追加投入される中盤妖のリポップ位置を把握しておくことと、運の要素が重要です。主人公の近くに妖が出現してくれれば、低レベルだったとしてもちゃんと勝つことが出来ます。

 ステがしっかりと上がっていれば妖の配置が悪くとも勝てますが、やっぱりこの勝負は運要素が強いですね。

 どうしても裏ボスに勝ちたいという方は良い配置を引けるまでリセットを繰り返した方が良いと思います。裏ボスの周辺にばかり妖が出現した日にはもう終わりです、諦めましょう。

 はい、ホモくんの勝利。

 

【6】

「4」

【今夜は俺が母さんにどやされなくてすむね】

「そうね、残念」

 

 この時期の裏ボスに勝っても特別な台詞は流れません、勝敗には関心ない人なので。

 で、本来なら裏ボスの台詞の後に家に帰ったメッセージが出て、翌日まで時間が流れ結果によって21代目に叱られたり褒められたりします……が、折角なのでRTA中一回だけ遭遇した特殊パターンを載せます。

 

【丑三つ時も過ぎた、そろそろ帰路に就こう。】

 

 着いたではなく就こうとなってますね、追加イベント発生。

 

「なあダーリン、ちょっといいか?」

【時祓は足を止め、校門に留まった。白尾が何か言いたそうな顔をしている。】

 

 これは白尾の「好」が50以上で、戦闘スキップを一定回数使用していると発生するイベです。

 墨村の子だったら白尾ではなく斑尾に変わりますね。

 

「ダーリンって結構淡々と妖を滅するけど、この結界師業についてどう思ってるんだ?」

【別にどうとも思ってないけど?】

「夜に学校くるのが嫌とか、たまには休みたいとかさ」

【仕事だし、気にしたことないな】

「……まあ、ダーリンが苦行に思ってないならいいんだけど……」

 

【腑に落ちていない様子の白尾と共に帰路に着いた。】

 

 白尾と斑尾の二匹は主人公が雪村か墨村の子で生まれると「好」ボーナスがつき、好感補正もかかります。

 ホモくんは普通に仕事をしてるだけですが開祖の時代から脈々と受け継いだ勤めを果たしているので、何時の間にか「好」が50を超えて発生してしまいました。

 尚、二匹は人間に友好的なので「憎」が上がることは滅多にありません。開祖をドきつく罵ったらガクッと上がるくらいで、地雷もハッキリしてます。

 「嫌」は苦手度も示しているのでわりかし上がったりしますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ダーリンが置き手紙を残して突然家からいなくなった日のことは、今でもよく覚えている。

 烏森の地を守るようになって400年。時守様から言いつけられた使命を放り出そうとする輩もいないわけではなかったし、実際に逃げ出した奴も零ではない。だが、そういった連中には事前にそうと分かる傾向があった。

 しかし、ダーリンは――雪村時祓だけは違った。

 使命を重く感じているわけではない。

 妖と戦い続けるのを嫌がっているわけではない。

 結界師として生涯働くことを疎んでいるわけではない。

 けれど、彼は家を出た。

 

白尾様へ

 伝えたいことだけを書きます。

 外の世界を直接この目で見てみたいと思ったので見に行くことにしました。

 家も街も烏森も嫌いじゃないし寧ろ好きだけれど、だからとはいえ行きたい場所に行けない現状は嫌でした。

 ここにいるだけでは自分は永遠に井の中の蛙のままだと感じたのです。

 各国で活動している筈の其々の妖たちを一通り堪能したら必ず戻ってきます。

 暫し母が騒ぐと思いますので、適切な対処をお願いします。

 雪村時祓より

 

「……やっぱ人間って分からないよなぁ」

 

 彼がいなくなった翌日、雪村家一人一人に手紙が届いた。

 俺にも用意されていた手紙を上から下まで何回か熟読し、溜息を吐く。

 他の手紙と違い、手を持たない俺の妖力に反応して開け閉めが出来る特別性のもの。妖犬である俺にも手紙を届け、読めるように手間をとる心遣いは存在するというのに、彼は全てを放って消え去った。

 俺に時子ちゃんを押し付けないでほしい。思ったより暴走はしてないけれど、何時また爆発するか分からないんだし。

 帰ってくる気持ちはあるようだが……。

 

 各国って、つまり今彼は日本にはいないってことだろ?

 日本の外なんて俺どころか時守様だって行ったことないし、どんな妖がいるか想像もつかない。

 ……どんな妖がいるんだろうか?

 というか、外の妖って確か呼び名が違ったような……。いやそもそも妖はいないんじゃなかったか? 外国の輩なんて凶暴な印象しかないし怪我はしてないだろうか――――それはともかく! 俺からの質問を大人びた物言いで煙に巻き、挙句何も言わずに出ていくというのは、酷い行為だ。

 

「ダーリンが帰宅したら、まず……噛みついてあげよう。それがいい!」

 

 相談されても彼にとって善い答えなんて到底返せなかっただろうし、止めていただろう。だから何も言わなかった、態度にも出さなかった。それは、分かっている。

 無機質な目で妖退治して、烏森の仕事はつまらなかったんだってことくらい、察してたさ。

 彼が生まれた時から、俺はずっと見ていたんだから。

 それでも。

 

「ひどい人だよなぁ、ダーリンって」

 

 だとしても……彼に頼られることは一回もなく、追いかけることも出来ずにただ待っているしかないなんて、本当に酷い仕打ちじゃないか。

 

 




お茶濁し回。
原作を読み返しながら本作と原作との変更点を洗い出していく作業は、なんか楽しい。
祓守美√に関しては自分もとても興味はあったのですが、それを本ルートに据えると原作開始時点で前提条件が粉々に砕けてどう進めたらいいか迷い筆を折る自信しかなかったので、いつかIFルートの話として書けたらなと思っています。


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【おまけ】あれからそれから

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについてです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

 20歳という若さで裏ボスを倒したホモくん。

 ゴジラの皮を被ったバケモンが目標達成した後に赴いた場所は実家です。あ、アッシーくんは回収してます。

 

「まったく時祓は、唐突に家を飛び出したかと思えば日本どころかイタリアへ!? 半年から一年ごとに式を送って現在地を伝えてきましたが、貴方はまさかこれが連絡を寄越した内に入ると思っていたのですか!!?」

【はい】

「ハァ……! 本当に呆れた子だこと!! この七年間、私たちが墨村にどれほど冷たい目で見られてきたことか……!! 貴方を心から信じて頼っていた昔の自分が恥ずかしいです!!」

【はい】

【正座の時祓が頷く毎に、後頭部に大きく齧り付いている白尾が揺れている。】

 

 雪村か墨村の家を無断で出ていってまた戻ってくると、大体こんな感じで説教乱舞が待っています。テキストが長い。なのでRTA中には死んでも戻らんと決めていました。

 家出前に溜めていた「信」が高ければ高い程説教タイムが伸びます。

 白尾もずっと噛みついてきますね。ホモくん頭から血がドバドバ出てますけど大丈夫なんです?

 家出を起こすと家族からの「信」は一気に下がります。特に21代目。

 

「色々な所を見てきたんだろう? 時祓はこれからどうするつもりなんだ?」

【今まで烏森は皆に任せきりだったからね、俺が守っていくさ。兄さんもやりたいことをやっていいんだぜ? 好きに生きてくれよ】

 

 裏ボス撃破という人生最大の目標を終えたホモくんにとって、今後はただの余生です。

 烏森は任せろー!(バリバリ)

 というわけで、夜になったら烏森の見回りを熟す毎日を過ごします。

 

 火黒が襲ってきたり、

 同士討ちで滅んだ間流結界術の結界師一族について記された本を蔵から探し出してスキル「幻術」を身に付けたり、

 裏会からの要請で仕事をしたり、

 また火黒が襲ってきたり、

 ヅラから道具作成を依頼されたり、

 海外の連中からクエストをお願いされて式神を出張させたり、

 あとなんか火黒が襲ってきたり、

 

 途中でイベも結構発生しましたがカット。

 良い感じに強くなったアッシーくんを顎で使いながら、もうちょっと人手が欲しいし追加の(どれい)をハントしつつ仕事とお休みを繰り返していきます。

 竜の鱗を使用し特注の仕込み天穴を作成して貰ったので、棒術を習ったりと体術方面のスキルも習得して伸ばしてみました。食らいやがれ、新生・天穴!(物理)

 

「時祓さんって母さんとどういう関係なの……?」

【ライバル】

「それ、母さんも言ってた……本当に?」

【どうしてそんなに疑うの? 正守くん】

「だってなんか、父さんよりも母さんと仲が良さそうだし……」

 

 今回が初陣の正守くん(ななちゃい)……可愛いですねぇ。まだ弟くんは裏ボスの腹の中なので正統継承者だのなんだの堅苦しいことに悩んでいない数少ない時期です。

 いやそれにしてもまだ擦れていない純粋無垢な正守くん、可愛いですねぇ(野獣の眼光)。

 なんやかんやあって正守くん(ななちゃい)と師弟関係になっちゃったので、ビシバシ鍛えることに。手取り足取り教えてあげるゾ♡

 

「どうして俺には方印がないんだろう、俺の何がダメなのかな、ねえ時祓さんっ教えてよ!」

【それってそんなに重要なことか?】

「大事でしょ!? 御家の跡取りだよ!?」

【もしかして、守美子と修史は跡取りが欲しいから君を産んで、方印がなかったからさぁ次だと良守くんを産んだと思ってる?】

 

 弟子がなんや思い悩んでいたのでちょっとばかしOHANASIして放置。

 裏ボス夫婦に息子さんその一の悩み事を伝えておいて、後は知らん顔で鍛え続けます。

 家庭の事情に他人が首を突っ込んでも碌なことにはならないんで。

 

「……時祓さんって、」

【どうしたの、正守】

「……なんでもないっ! それより早く、昨日やった攻撃を跳ね返す結界の続き教えてよ!」

【敬語】

「うっ、く……教えてください師匠!」

【よし】

 

 微妙に後継者コンプレックスが落ち着いた弟子と共に妖退治に勤しむこと数年。

 一年周期で火黒が襲ってくる現象に名前を付けてみました。

 火炙りの季節です。

 

「今度はトンファーかよ、手広くやりすぎだろお前」

【君は根性があるから殴り甲斐があって面白いよ】

「ハッ、柔和で親切な男だって褒めちぎる無稽な連中に見せてやりてぇなぁ、今のお前の顔!!」

 

「……師匠、あの妖、いい加減滅しなくて良いんですか? 奴は貴方を殺すつもりで――」

【全部見てたろ正守。アイツ、烏森の効果を知ってる上でずっとああなんだ。土地に入らない限りは好きにさせておくさ】

 

 今年の火炙りは終わったのでまた来年ですね。

 何時も通り烏森見回りに戻り、たまに裏会の仕事で外出しつつ暫くして。

 裏ボスから「まず烏森(ウチ)さぁ、地下に異界あんだけど……封印してかない?」と誘われました。

 ホモくん視点、この誘いを断る理由はありません。

 オッケー、封印しちゃおっか!(暇潰し)

 突撃! 地下の晩ごはん!

 

「あらぁ、幸先がいいわね。こんばんは、あなたが間時守様?」

【こんばんは。折り入ってご相談がありまして、少々お時間頂けませんか?】

「き、君たちは……」

 

 ダンディズム溢れる白髪のおじいさんが我らの開祖であることも判明したので、単刀直入に裏ボスがかくかくしかじかと説明。

 うちの方印が出た息子、家は継ぎたくないってよ! だから妖を惹きつける力を封印したいんだけども? いいよな? お、お??

 あれ、開祖も封印賛成派でしたか!

 そもそも昔に封印しようとして失敗した開祖のケツを自分たちが400年拭いてる感じっすか!

 あ~それはそれは……。

 

「尻拭いを自分でする程の力も残っていないのですね。次男用に購入したムーニィが少し余ってますので差し上げましょうか?」

【うちにはメリィーズがありますよ、開祖殿。お似合いになられるやもしれません】

「いや大丈夫だ。その、外来語はよく分からないが……怒ってるかい?」

「【まさかそのような、畏れ多い】」

「……そうか」

 

 皆で仲良く計画練って、やっぱ真界が必要だよねーというお話に。

 小難しい会議はカット!

 

「君達の能力は全盛期の私などとっくに超越している。しかしそれだけではいけない、真界を維持するには殿からの力の供給が必須だ。力の伝達はより速い方が望ましいが、肝心の君達に方印は浮かんでいない……」

【当代の正統継承者は既にお年を召しておられます】

「無理は利かないか?」

「私共が判断する限りでは」

「……方印の候補者は他にもいた筈」

【ええ。では、次代の後継者である時音の力か】

「又は良守の力が増すのを待つのが一番……になるのかしらね」

 

 難しい顔になる裏ボス。情緒が育ってきているようで何よりです。

 殿の機嫌がタイムリミットに直結してるみたいなもんなので、一応時間はあります。

 具体的には10年くらい。

 若者たちの実力がどんな風に上がっていくのか一先ず経過を様子見しつつ、思ったよりも力がつかなかった場合に備えて裏ボスとホモくんも真界の精度を磨くことになりました。

 そして大事なポイント、神佑地探し。

 原作では裏ボスが日本全国を渡り歩いていましたが、今回はホモくんがいたので規模が世界に変更。殿は日本人だからそりゃ日本が良いだろうけど、世界中を探せば案外良いのが見つかるんじゃね? とホモくんの台詞選択肢の中にあったので、興味本位で選んじゃいましたねぇ……。

 一通り作戦会議を進めて原案が纏まった所で地上へ帰還。

 そして其々の21代目当主に地下での件を伝えます。

 

「烏森を、封印――」

【はい】

「……貴方を信じろと? 不敬にも開祖・間時守様の名を持ち出し、現実味のない計画を垂れ流す、貴方は……墨村と手を組むと?」

【はい】

「……暫し時間を置かせてください」

 

 すんなりとはいきませんでしたがこれで時子さんは大丈夫です、今すぐではありませんが追々OKサインを出してくれます。サインは貰えるんで今の内に計画を進めますねハハッ!(甲高い声)

 繁守も問題ないでしょう。墨村家は直情型ですが、21代目同士を比べてどちらがより直情なのかと聞かれればそれは雪村の方なので。彼は結構頭脳派です。

 

【俺が日本も調べるよ、守美子は子供たちを大事にしてやりな】

「私が言い出したことなのに、何故時祓に押し付けなきゃならないの?」

【独り身はフットワークが軽いんだ】

「時音ちゃんだって貴方に懐いてるじゃない」

 

 そういえば、何故か時音からの「愛」が高くなってるんですよね……。

 一緒に過ごしたり術を教えたりしていたら「好」「愛」がランダムで増加するんですけど、なんかやたら「愛」の振り分けばっかで。

 可笑しいですね、「好」が上がる確率が一番高い筈なんですが。

 

【じゃあこうしよう。お互い定期的に家には帰る。それで家族と過ごす時間を作ってるあいだは式神に調査を頼む】

「……」

【正守も良守くんも、母親が必要な年だよ。守美子の方が多く帰ってやれよな】

「……それはそうだけど、でも」

【はい、決まり。いっぱい式神作っとかなきゃねー】

 

 現時点で烏森封印計画を知っているのは開祖、ホモくん、裏ボス、21代目たちだけです。

 成功する保証もないですし、子供たちが知ってしまえば糠喜びするかもしれませんからね。

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 倍速ではなくカットが使えるって素晴らしいですね。すごい編集が楽。

 では、ばいなら。

 

 




どのキャラ視点で物語パートを書こうか迷いましたが、登場するキャラが多くて選べそうになくいっそのことカットすることにしました。
動画パートが終わるまでお預けで、後で短編集として出せば良いかな……? でもザクザクのぶつ切りになっているssだかsssだかが一つのページに纏まってると、違和感ありますかね?


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【おまけ】あれからそれから・2

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

「よお、久し振りだな」

【何年振りかな】

「12年ってところか。ユキムラそっくりの式神とはよく顔合わせてたからあんま実感わかねえがな! そんで、本人が直々になんて珍しいじゃねえか、用件はなんだ?」

 

 少年期を含めた20年以上に亘る歳月によって、ホモくんは海外勢から黙示録のラッパ吹きみたいな扱いをされてます。

 その中でフランクに接してくれるのはヅラと各首都のアイテム屋店主くらいですね。

 別にこの世の終わりを報せるつもりはこのルート中だとないんですけど。

 

【実家が守ってる土地の主を引っ越しさせてから完全封印したくてね、良い条件の場所ない?】

「だからお前は台風の目なんだよ」

【時祓は首を傾げた。】

 

 ヅラの協力も得られましたので、調査先をピックアップしてくれました。

 といっても、結奇では殿の封印先を海外の神佑地に替えることも可能ではあるものの原作と同じ覇久魔の方が諸々の都合が良いので、恐らく替わりはしないでしょう。

 ホモくんの諸国漫遊の旅、再開。

 元祖アッシーくん、アッシーくん二号、アッシーくん三号と共に神佑地を巡って下見していきます。

 

「……あの奥にボスがいるな」

「ちょっ、時祓ここは不味いだろ!? 死ぬ! 俺死んじゃう!!」

「鋼夜、突っ走んじゃねぇ! 赤亜はもっと気合い入れろ!」

 

 1990年代に入ったのでクエストも一新され、次のイベ敵も出現しているのでレベリングついでにクリアしました。

 ホモくんの力を譲渡するのも良いですが、アッシーくんズの能力そのものを上げておいた方が便利になります。これで経験値も入りましたかね。

 

【戦闘終了。】

「このクソ野郎、邪魔すんじゃねえよ!」

「もっと早くに助けろよ~!!」

「なあ時祓少し俺に有給くれ、此奴らの相手疲れた」

【君たちはもっと精進してね。有給制度はうちにはないよ、アセンブリー】

 

 実力的にアッシーくんが一番、三号が二番手、最下位に二号です。

 もうRTAじゃないので、能力厳選とかはしなくていいのが大変楽ちん。人手が欲しかっただけなので、最低ラインの数値に拘らなくて良いって、素敵。なんか解放感に溢れる。

 イギリスは他と比べて神佑地が多いので時間をかけてゆっくり調査して、一年ぶりに帰省。

 

「おじさんおかえりっ!」

【ただいま、時音。ああ兄さんもただいま】

「お帰り時祓。時音、叔父さんは帰ってきたばかりで疲れているんだからあんまりしがみついちゃ駄目だよ?」

「うー……はあい」

 

 家族団欒を過ごしてから時子さんの部屋へ。まだジト目で見られてますね。

 以前とは違い一ヶ月毎に式神を送っていましたが、改めて中途報告。一応は候補地あったけどイマイチでしたーと。

 

「墨村の娘が担当している調査も芳しくないようですね」

【そうでしたか。では俺も引き続き調査を続行します】

「……それから、あの娘、主の鞍替えをこの目で確かめる為に……今まで散々蹴っていた裏会の仕事を利用して神佑地まで赴いて、神殺しを実行したらしいですよ。まあ、世代交代という理由もあったようですが」

【彼女も面白いことをやりますね。そろそろ失礼します】

「――――他者が目を光らせている場所ではそのような発言は慎むように。…………ハァ」

 

 まだ一年目なので大した成果は出ませんね。諦めず進めていきましょう。

 

「もう行っちゃうの……?」

【ごめんね、次はもっと早くに帰ってくるから】

「ほんと? 約束だよ?」

【うん、約束ね】

 

「師匠……師匠は海外でどんな仕事をしているんですか?」

【日本の神佑地と海外の神佑地には相違点があるのか、それに関する実地調査が一番多いかな? 繊細な作業だから俺に向いてるんだ。あとは悪魔退治とか】

 

 次はベルギーとオランダなので、イギリスほど神佑地もありません。

 ちゃちゃっと済ませます。

 

「げ、俺の触手がっ!?」

「んな大きく振りかぶる必要はねぇ、無駄が多すぎる! 狩りもまともにできねぇのか赤亜ァ!」

「なんだと!? 鋼夜だってさっき陽動ミスってたじゃんかよ!」

「あぁ!? 海産にゃ興味はねえがてめぇは今ここで喰ってやる……!」

 

「時祓、お前主人だろ、ちゃんと躾けろよ」

【歯向かう先が俺じゃなきゃ気にしないね、死ななきゃ良いよ】

 

 数ヶ月で終わらせてーの、実家に戻ってーの、また海外出張してーの、戻りーの、繰り返し。

 

「叔父さんが仕事でいないあいだにいっぱい修行したの、みてみて! ほらっ」

【前よりもずっと上達したじゃないか、時音は凄いなぁ】

「えへへ~!」

 

 だからなんで「愛」が上がるんですかねぇ……?

 

「叔父さんの天穴って、なんか他とちがうねー」

【俺のはちょっと手を加えてる特注品だしね。重いから気を付けて】

 

「……」

【雪村と墨村の中間にある塀をよじ登った良守が、強い視線を向けている。】

「あっ! 覗き見しないでよ良守ー!」

「の、のぞき見なんてしてないよ!」

「してたでしょ!」

「してないもん!」

「してた!」

「してない!」

「しーてーたー!」

「しーてーなーいー!」

 

 お前らノンケかよぉ!?(驚愕)

 ホモくんと裏ボスの虚静恬淡を地でいく老後のじいさんばあさんのような落ち着きっぷりを見ていると、ああ若いっていいなぁ、こういうもんだよなぁ……とほのぼのしますな。

 あの年頃の二人って確か……挨拶しかしてなかった気がするけど……(張本人)。

 

【開祖殿、お久しぶりです】

「やあ、時祓くん。……殿は随分と良守くんを気に入っているようだ、妖退治が成功しても失敗しても手を叩いて喜んでいる。もう少し期間を長く見繕っても良い気がするね」

【時音は】

「彼女も時々突拍子もないことを仕出かすからね、好いてはいるが……良守くんほどじゃない」

【ならば良守くんを重点的に鍛えた方がよさそうですね】

「ああ。海外の調査も頼むよ、時祓くん」

 

 こうして開祖に会いに行くと、近頃の宙心丸の様子を教えてくれます。

 定期的に話の内容は変わりますが、基本的に宙心丸が如何に良守を気に入っているかについてですね。歴代共鳴者の中でもトップクラスのお気に入り具合の模様。

 

【ついでにこれ、お土産です】

【時祓はメリィーズを時守に渡した。】

「…………こういう時はどういう反応をすればいいのかな?」

 

 笑えばいいと思うよ。

 

「少しいいですか、師匠。お伝えしたいことがあります」

【どうした、正守?】

「師匠はここ数年海外へ赴任してましたが、今年の春先頃に火黒が俺の所にやってきたんです。アイツを探してるんだが見つからない、と。それで貴方が今何処にいるのか質問してきたので」

【答えたか】

「ええまあ、赴任先の国の名前だけなら問題ないと思いまして。仕事が何時終わるのかまでは分からないと言えば、奴はつまらなさそうにそうかと頷いて、消えました。その様子だと流石に貴方の許に現れはしなかったようですね……」

 

 【速報】火炙りの季節終了のお知らせ【プレイヤー歓喜】

 まず間違いなく、黒芒楼に行ってますね。

 主人公の行動次第で火黒など原作で黒芒楼側に立っていた妖キャラが参加しなかったり、関係なかった筈の妖キャラが参加したりもするんですけど、ホモくんが海外出張するようになって戦う機会がなくなったので、空白の期間が出来た火黒は白の接触を受けたか以前から誘われていたかで黒芒楼に参入してますわ、これ。

 

【彼ならどこかで元気にやってるだろうな】

「あんなバトルジャンキーが元気にやっていても困ります!」

【それもそうか。それよりも正守、俺が留守にするあいだは時音と良守くんのこと、お願いね】

「……はい、家を出るまではちゃんと面倒を見るつもりですよ」

 

 あそこは異界なので出るのも入るのも制限がかかる為、妖キャラが黒芒楼に参入した場合は原作の時期になるまでは一部のキャラ以外出現しなくなります。

 火黒どうなるかなと思ってましたが、こうなりましたか。

 

 更に海外と実家を行ったり来たり。同じ光景なのでカット。

 

「なぁなぁ! 俺アイス! アイス食いたい!」

「人間の食べ物の何が良いんだよ」

「アイス~~~~!!!」

【そんなに食べたい?】

「食いたい!!」

 

 (げぼく)のささやかな望みくらいは叶えてあげましょうかね。

 要望通りにしてあげると、妖使役のレベルが低ければ反抗し易くなり、高ければ従順に成り易いです。ホモくんはスキルマなので従順になりますね、オラッ食え!

 

「!? 頭が痛いぞこれ、アイスって甘いのに痛い!」

「バカ赤亜、一気に食うからだ。あとこれ、アイスじゃなくてジェラートな」

「臭ぇ……」

【アセンブリーと鋼夜は何か食べたいものあるかい】

「お前の肉」

「鹿……いや、てめぇの肉」

【良いよ、一センチ程度ならね】

「食った気しねーなそりゃ!」

 

 主要国は一旦巡り終えたので、後は力が衰えて人どころか悪魔の気配も少ない僻地の調査になります。一通りイベ敵も倒しましたし二号と三号のレベルも上昇しました、そろそろ元祖のように一匹でお使いも頼める頃ですかね。

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 イベ敵と戦ったりはしましたが、基本神佑地を調査してばっかなのでカット大活躍ですね。

 では、ばいなら。

 

 




書き続けていると、読者にはどの辺りがウケるのかさっぱり分からなくなってきますね、なんか。自分が読みたいものを書いてはいるんですけど、自分の趣味がどれくらい他人と共通してるのか分からなくなっていきます。執筆作業が続くと自分の世界に閉じ籠っていく感覚的な?


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裏・あれからそれから


 

――Case.鋼夜

 

 

 日本各地を流離い、のこのこと俺の領域に入り込んだ人間を食い荒らしていた過去。

 相対する敵が格上だろうが格下だろうが、俺の態度は変わらない。

 ずっとそうやって生きてきた。

 死後であろうが、その生き様に変化などない。

 

 そんな折、この俺の嗅覚に掠りもせずに突如として現れ――特殊な糸で捻じ伏せた者が現れた。

 

「降参するか、しないか。どっち?」

 

「なんだてめぇ、本当に人間か……!?」

 

 ありえないほどに圧倒的な力。

 抵抗すら不可能。

 妖犬として500年生きた俺が、どこにいでもいそうな雰囲気の若い人間に倒される?

 無様に殺される?

 それこそありえない。

 ありえる筈がない!

 

「心を入れ替えるなら見逃すけど」

 

「――――死にさらせッ!!

 

 身動き一つ出来ない。

 配下として連れていた三匹もそこらで無残に転がっている。

 腸がイキりたつ感覚。

 背筋がざわついて、糸できつく縛られて零れた血が熱く燃え上がっていた。

 人間如きがこの俺を見下すんじゃねえ。

 弱ぇ癖に。

 十匹単位でもなけりゃ狩りもできねぇ癖に!

 

「そうか」

 

 そこから始まったのは、ただの蹂躙だった。

 肉体的にも精神的にも俺を追い詰めることだけに神経を注ぎ込んだ拷問。

 身体中の流血が止まらず、呻き声をあげることしかできない。

 

「ぐ、ぅぅぅうう!! ガァァァッ!!」

 

 死。

 ……死だ。

 死が近づいてきている。

 500年振りに我が身に降りかかる死の気配に、歯を食いしばった。

 まさか二度目の死という屈辱すら人間から与えられるなど――

 

「何か言い残すことはある?」

 

 糞が、最後まで俺を見下しやがって。

 本当に気にくわねぇ人間だ。

 

死、ね……クソ……やろうが……

 

 死が間近に迫り、過去の出来事が走馬灯のように脳裏に巡る。

 

 ――生まれ育った山。

 ――俺たちの山で、銀露と駆けた日々。

 ――人間共に荒らされた俺たちの山。

 ――餌を求めて歩き回り、餓死した銀露の姿。

 ――怒りに任せて人間を襲い、殺されたあの夜。

 ――死後、未練を残して霊として、妖として山に戻り動物や人間を食い殺す日々。

 ――あの男の側についた裏切り者の銀露。

 ――銀露の懇願で見逃され、惨めに彷徨い続けた俺……

 

 生きてる間も、死んだ後も、碌でもねぇ一生だった。

 糞が……。

 本当に、碌でもない。

 

 …………ちくしょう、最後だけでも、帰りたかったなぁ。

 

 俺たちの、あの山に――――

 

 

 

 

「行くところがないなら俺と来てよ、丁度手が欲しかったんだ」

 

 

 ――妖が好む常闇をそっくりそのまま瞳に移し替えたような男が、そう言って微笑んだ。

 

 その時、俺は漸く気付いたのさ。

 俺が相対していた敵の正体を、或いは男の中身を。

 

 

 

 

 

 

「よりにもよって鋼夜、アンタが人間に仕えてる姿を見る日が来るだなんてねぇ……」

「人間? ハッ、笑わせるなよ……どこの誰が、人間だって?」

「そりゃ勿論、時祓以外に誰がいるのさ」

「俺は人間に頭を垂れた覚えはねぇ! アイツが例外なだけだ」

「鋼夜、この時代そういうのってツンデレって呼ばれてるらしいよ」

「つん……? 訳わかんねぇこと喋んな銀露」

「だーから、今のあたしには時守様がくださった斑尾という大変素晴らしい名前があるの!」

「うるせぇぞ銀露」

 

 

 あのクソ野郎が人間だなんて笑わせる。

 銀露も他の連中も、脳と目が正常に機能してねぇんじゃねえのか?

 ずっと近くにいたんだろうが。

 気付かないか?

 

 アイツは人の皮を被った、とっておきの化け物だ。

 だから一応、形式的にだけでも従ってやっているだけだ。

 ただそれだけだ。

 

 ……ふん。

 

 

 

 

 


 

――Case.間 時守

 

 

「師匠、その……絶界? という術、師匠はどうして……」

「ん?」

「……いえ、なんでもありません。それよりも修行の続きをお願いします」

 

 深夜の烏森見回りを行う時祓くんと正守くんを上空から眺め、見下ろしながらふと思ったことがある。

 そういえば私、墨村・雪村など数多の人々に結界術を含めた術、まじないを教えはしたが、〝間様〟〝時守様〟〝結界師殿〟と呼ばれるだけだったな……と。

 

「無駄がなくなってきてコントロールも上達してるね、流石俺の弟子だ」

「はい!」

 

 私、結構色々教授してきたつもりだけど……。

 一回も……。

 なかった……。

 

「丁度良くもう一匹来たね、さっきのを実践してみようか」

「了解です、師匠」

 

 師匠って呼ばれたことないなぁ……。

 なんとなく良い響きだな、師匠……。

 ……でも、守美子くんも時祓くんも、私から教えられることはないしな……。

 

「ナイス、正守。上出来だ」

「はいっ師匠!」

 

 ……。

 

「先程からなんなんですか、開祖殿」

「――バレたか」

「バレますよ、それは」

 

 白い鳩を象った時祓くんの式神が、何時の間にか私の肩に降り立っていた。

 これくらいの距離ならば実時間で通信出来るという機能が搭載されているが、地上にいる時祓くんを見てみても、式神が話す内容と彼の口が連動していない。

 まさか地上の彼が式神だとは思わないが、彼が作った本気の式神ならば私でも見抜けないだろう。

 

「腹話術です」

「君は大道芸人が向いているんじゃないか?」

「やれるとは思います」

「実に君らしい返事だ。興味はないんだな」

「何か御用ですか?」

「ああ……いやぁ、あはは」

 

 本当に大した用事はなくて。とは言い辛い。

 彼は私を相手にしている時のみ、妙な威圧感を醸し出してくる。

 それに少しばかり困っていて――警戒している所でもあった。

 

「……君と正守くんは、良い師弟関係だと思う」

「弟子に恵まれているだけですよ」

「それでだが、あー、一つ聞いてもいいかな」

「はい」

 

 

「一度も弟子たちから師匠と呼ばれていなかったことについ先程気が付いたのだが、私はそんなに師匠という顔をしていないのだろうか?」

 

 

「成程、そのようなことを考えていたんですね。ご安心ください、人の善意につけこんで阿漕な商売をしてそうな胡散臭い顔ですが、非師匠顔というわけではありませんよ」

「……そうか」

 

 私は胡散臭いのか……。

 というか私のことそんな風に見ていたのか、時祓くん。

 少し傷ついたぞ。

 

 

 

 

 


 

――Case.墨村 正守

 

 

 最初は優しいお隣さん。

 次はとても強い雪村家の結界師。

 その次は、父さんを差し置いて母さんととても親しい人。

 更にその次は……。

 

 

「君が今生きているのは何の為?

 方印? 烏森? その前に、君はあの二人に愛されて望まれたからこの世に産まれてきたんだよ。

 烏森如き、気にするな。俺だって正守はただ生きてるだけで嬉しいんだから」

 

 

 道を示してくれた、師匠。

 

「絶界……か」

 

 師匠から教わった、自分の負の感情を高めることで生み出されるという高位結界。

 色々と悩み事の多い君にピッタリだと言われた。

 今でもそれには納得していない。

 ……それは一先ず置いておいて、絶界だ。

 俺の力量ではほんの少しだけ、身体に纏う程度しか作り出せない。

 未熟な俺がこれくらいしか実現できないのは、仕方ないと分かってはいるものの……。

 息を吸って、吐く。

 深く集中して、自分の周りに絶界を形成していくこの感覚を忘れないうちに物にする。

 

「俺と君の母さんには、絶界は作り出せないんだ」

 

 引っかかっているのは、俺に絶界を教えたあの日の師匠の台詞。

 

(なぜあの二人が出来ないんだ……)

 

 師匠も母さんも、俺なんかよりもずっと高度な結界術を扱えるのに。

 まだこの程度しか使えないが俺でも片鱗は掴めている。

 しかし、師匠はそもそも作り出せないと言った。

 

「……まさか二人とも、負の感情がないとか?」

 

 無意識に口から零れ出た言葉。

 それを首を振って否定した。まさかそんな人がいる筈がない。

 二人とも穏やかで静かな人だから、絶界を形成するほどの負のエネルギーが足りていないだけだ。

 たまに意地悪してくるけど。

 おやつとか奪って、取り辛い場所まで持っていったりするけど。

 メロンクリームソーダのサクランボを、一口頂戴とか言ってくるけども!

 つむじを押すと身長が縮むらしいとか言いつつ、押してきたりするけれども!!

 

「――あっ」

 

 予想外の所で、絶界の規模が大きくなった。

 こんなことを望んでいたわけじゃないのに……クッ、あの二人のせいだ!

 

 




動画パートが終わったら他視点を投稿すると言ったな……あれは嘘だ。
ぽちぽちしていたら、分量が思いの外溜まったので投下。今後もこんな感じです。
(追記)正守の部分に少し追加。


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【おまけ】あれからそれから・3

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

「ねえねえ、叔父さんって結界術すごく上手なのにどうして身体を鍛えてるの?」

【異能を封じるやり方も世の中にはあるからね、取れる手札はあればあるだけ安全だ】

「そうなんだ……! じゃあ私もトレーニングする!」

「時音? 叔父さんのレベルまでいく必要はないからね?」

「まず一キロダンベルを普段から身に付けておきたいんだけど、どこで売ってるかなお父さん?」

「時音??」

【日常使いならバングルの方がいいよー】

「時祓!!!」

「まあまああなた、時音はかわいいんだから自衛手段が多いのは良いことだし、落ち着いて」

 

 目ぼしい箇所の調査は終了しているので、何時もよりも実家でのんびり長く過ごしていたら時音がホモくんの体術関連スキルを磨いている姿を気にして、新たな方向性を見出してきました。

 そろそろ柔道もスキルマですかね。

 

【柔道 Lv.9 空手 Lv.10 中華拳法 Lv.10 棒術 Lv.10 槍術 Lv.10 剣術 Lv.10 弓術 Lv.10 … 】

 

 ホモくんちょっと戦闘スキルの鍛錬積み過ぎた感あるな。

 こんな過剰戦力いるか?

 いやいらん(反語)。

 しかもホモくん、別に頭が悪いわけじゃないし……寧ろ結界力の次に高いNo.2バケモンステは知力様だし……。予習復習で未だに上がり続けて数値が恐ろしいことになってます。

 

「時祓、裏会から協力要請が回ってきました。手は空いていますか?」

 

 いいよ!(気軽)

 海外での神佑地調査は式神たちが頑張ってくれているので、本体のホモくんも偶にはコネ付き合いを手伝いましょう。結界術は異能の中でも珍しい空間支配に関する能力、結構重宝されています。ただしやらかした実績のある裏ボスを除く。

 

【妖力と騒々しい破壊音が段々とこちらに近付いてくる。】

「クソ……!」

 

 普段と変わらない空間調整の仕事かと思ったら、その仕事終了後にレアイベに遭遇しましたので載せます。裏会関係者が高レベルの妖に襲われているっぽいので救出。

 ……あ、これイベ敵じゃなくてモブ敵扱いだ。へー、レアですね。

 

【始末終了。】 

「……これはどうも、助かりました。ボクの能力とは相性が悪かったものでね。よりにもよって先程の妖は血液が大好物で、それを取り込んで自分の力へと置換させることに特化していたとは思いもよらずに近道をしようと通ってしまったのが運の尽き。赤の他人の手を煩わせてしまって心苦しく感じております。いや素晴らしい早業でしたね、一瞬何が起こったのか理解が追い付きませんでした。ところで、貴方は雪村時祓さんに違いはありませんか?」

 

 台詞が長ぇ。

 

【ええ、そうですが】

「それは良かった。貴方の御噂はかねがね……ボクも運が良い」

【身動きに支障はないですよね? では、俺はこれで】

「えっもうですか!?」

【他に何か用件がありましたか?】

「いえ…………あの……あのっ!! ボク、個人の話に付き合って貰っても宜しいですか……」

 

 このイベントの発生条件は〝裏会の仕事を一定期間熟し続けていること、海外での名声が80を超えていること〟で、低確率で起こります。

 海外で名声を上げること自体難しいですし条件を達成しても発生が更に低確率なもんで、レアイベですね。

 

「ボクは昔貴方に助けられたことがあって、ですね、その……ボクがしたヘマを貴方がカバーしてくれたんですけど……」

【時祓は首を傾げた。】

 

 ゲーム中に描写されてないのでプレイヤー目線でも知りませんヌェ……。

 

「はは、やっぱり覚えてないか……でもボクはあの時のことをずっと忘れずにいました。それで……雪村さんのことをあれから色々調べて……御実家のことや、国外で活動していたことも知っています」

【うんうん、それで?】

「あ、いや、…………ボ、ボクを貴方の助手に――――いやッ、違くて! え~~~~、あれです、あれ! ……さ、サイン! そう、サインをください!」

 

 ここら辺、滅多に見れない全力で照れて顔を赤くさせているグラフィックが出てくるので、そういう意味でも貴重です。

 

【一回も書いたことないし、下手でもいいならいいけど……】

【時祓はトランクから迅速に取り出された色紙にサインを書きあげた。】

「あ……あ、ありがとう、ございます……」

【……もう大丈夫?】

「は、はい……お時間とらせてしまってすみませんでした」

 

【裏会からの仕事は終了した、家に帰ろう。】

 

 以上、運よく発生したレアイベでした。

 なんかホモくん、男キャラのレアイベをよく引き寄せますね……やはりホモくんはホモ……。

 もう一度出会う機会があれば、その時は今度こそ助手にさせてくだちいと頼んでくるので、視聴者兄貴たちはご検討してあげてくだしあ。

 

「そろそろ殿を封印する道具を作り始めておこう。一日に一個ずつ使い潰していく計算として、最低でも一ヶ月分だな」

【で、それを納める箱もそれぞれ準備すると】

「当然だ、殿の神輿のようなものだぞ」

【封じる玉には労力を惜しみませんが、こっちにもお金かけるんですか?】

「殿が万が一癇癪を起こしたら困る」

【三、四個買って使いまわしましょうよ】

 

 開祖が懸念している通り、箱を使いまわすと殿が癇癪を起こす可能性も超低確率ではありますが存在してます。

 

「駄目だ、全て新品にする」

【別にバレやしませんって、ピカピカに磨けばいいですって】

「殿の目利きを侮るな、あの子に相応しい美しく綺麗な箱を用意しなければならない!」

【親馬鹿……】

「お、……畏れ多いことを言わないでくれ、私なぞが殿の親になれるわけがないのだから」

 

 そういうことなので、こんなしょうもないことで計画失敗しても困りますし、大金かけて封じ玉の数だけ箱を揃えましょう。

 

【ついでにこれ、お土産です】

【時祓は四点杖を時守に渡した。】

「…………君はどうしてここにやってくる毎に介護グッズを渡してくるのかな?」

【おお、漸くお気づきになられましたか。現代の知識や言葉を順調に身に付けていっているようですね、俺もまるで自分のことのように嬉しいです、開祖殿】

(……なんだろうか、この腹の底を無遠慮に突かれるような感覚は……)

 

 封じ玉を作成しながら海外調査に戻ります。

 もう調査出来る場所は全て調査し終えますので、ラストスパートですね。

 

「なぁなぁ、俺も強くなってきたしもう太陽浴びれるだろ?」

【もうちょっとしたらかな】

「まだかよー……」

「なんだ赤亜、お前まだ諦めてなかったのか」

「兄貴は自由に歩き回れるから良いよなぁ、俺はずっと日陰もんだぜ。……はぁ、いっそのこと人間になりてぇ」

「ア゛ァ?」

「げっ起きてたのかよ鋼夜!?」

 

 カット&カットで調査完全終了。

 調査に全面協力してくれたヅラに挨拶して、はい実家に戻ります。

 今年で良守も中学二年生、様々な騒動が巻き起こる年ですね。

 

「あー!?」

【扉の前で、悩んでいる様子の良守と鉢合わせた。】

「あ、アンタ、海外から帰ってきたのか!」

【丁度ね。我が家に何か?】

「そ、そのぉ、別に……いや、でもおじさんなら雪村でも話通じるし……だけど俺が直接渡した方がいいかな……あ~でもババアがうるせぇし……!」

 

 若者の真っ直ぐさが眩しい……(ホモが浄化される音)。

 

【ああ、時音か】

「ギクーッ!! おじさんなんでいっつも鋭いんだよ!!?」

【君が分かりやすいんだけどね。時音に用があるなら伝えておくけど、どうする?】

「……昨日、妖に背後とられた俺を時音が助けてくれて……そのお礼にこれ、渡してくれよ! 頼むっおじさん!」

 

 いいよ!(気軽)

 

「軽っ!! い、いや俺が頼んどいてなんだけどさぁ、おじさんほんとに俺が墨村なの気にしてないのな!」

【家の確執とか興味ないしねぇ。じゃ、しっかりと君からだって伝えとく】

「お……おう!」

 

 時音パパが生存していると良守が愛娘に懸想していることを察してるので、年頃の時期になれば警戒モードに入ってますね。ホモくんが橋渡しをしてあげましょう。

 ホモはね、ノンケだろうが純愛には優しいんだ。

 

【時音、久し振り】

「えっ叔父さん!? お、お帰りなさい、珍しいね事前の連絡がないなんて」

【偶にはサプライズもいいかなって。はいこれ、良守くんから昨晩のお礼にってさ】

「昨日の? ……あの馬鹿、仕事で疲れてる叔父さんを使いっ走りにして! まったく!」

【俺は気にしてないから。良い子だよね良守くん、真っ直ぐだし】

「まー、悪い奴ではないけど……叔父さんって、ああいうタイプが好きなの?」

【嫌いじゃないよ、特に良守くんは】

「……真っ直ぐで元気な子が良いのかぁ……」

 

 時音ちゃんはなんでこんなホモくんが好きなの?(純粋な疑問)

 

 烏森城、約十年ぶりに三人が揃いました。

 一対一や式神越しでなら喋ってたんですけどね、三人揃い踏みは十年前以来です。

 

「総合的に考えて、やはり覇久魔を封印の地とするべきだ」

「覇久魔は大一宮クラス。主はまほら様と呼ばれおり、姿を見せることの少ない神佑地の主でも特に目撃数がなく、滅多なことでは目覚めないものだと思われます」

【開祖殿は烏森を作り出す時、どうやってウロ様を説得したんですか?】

 

 小難しい会議はちょいちょいカットしてダイジェスト。

 

「最初は返事もなかったよ、時間と回数だ。一回一回に私自身が持ち得る誠意と熱意を籠め、一心に言葉を奉げ続けた……想いが通じたのかも定かではないが奇跡的に森の真ん中を譲ってくれたものの、ウロ様は神佑地の主の中では温厚な方だからね。あの方でもこうだったのだから……まほら様の説得は推して知るべしだな」

 

「【……】」

 

【暫くの間、時祓と守美子が見つめ合って時間が過ぎる。】

「……どうした、二人とも?」

 

【恥ずかしながら俺たちは、今までの人生で説得という行動を殆ど取ったこともなければ……】

「成功したことも一度もないもので……」

【恫喝なら百発百中なんですけど……】

「脅迫なら出来ると思いますけど……」

【どう思われますか、開祖殿】

「どう思われますか、時守様」

 

「よし、他の結界師の誰かに任せよう」

「【そうしましょう】」

 

 バケモン共にまほら様の説得をやらせるのは無謀だ、時音パイセンお頼み申す!

 裏ボスはホモくんに空間移動の術を、ホモくんは裏ボスに波同を、それぞれやり方を教えて習得済みですが、説得はスキル欄にも出てこない別枠なので……。うん、無理ポ。

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 ついに原作時期に入りますね、頑張って烏森封印しちゃうぞ~。

 では、ばいなら。

 

 




原作キャラの活躍を奪ってしまう! とかでもなんでもなく、普通にこいつらに説得は無茶だ……と思いました。神佑地の主からの攻撃を無効化しつつ説得するって、相当なハードモードですよね。
改めて原作を読み直してプロットを考えたいので、今後の更新は不定期になります。申し訳程度の気持ちを込めてこの時間に投下。


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【おまけ】あれからそれから・4

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

「行くわよ――」

【守美子と呼吸を合わせ、同時に力を練り上げていく。】

 

【究極スキル「真界」を発動した。】

 

 基本的に絶界や真界は一個人で使用するものですが、結界力が四桁の大台を突破すれば他人の結界師が使用する○界シリーズへの関与が出来るようになります。火力が高ければ他の技でもぶった切って無効にすることは可能ですが、これなら○界の力を奪ったり逆に与えて規模をでっかくしたり、そういうことが出来ます。

 それと同時に、結界力が四桁台に乗ってる結界師が二人以上いれば、四師方陣のように複数で協力して一つの○界を作れるようになります、先程のように。

 しかしそれは四師方陣よりも難易度が高いので、失敗する可能性もあります。

 

【守美子との協力技「真界」を習得した。】

 

 上手くいきました。三回目で成功……まずまずですね。

 真界は○界シリーズの中でも習得するのが難しいしスキラゲも面倒だしで、複数人で作り上げるのは一苦労。

 ホモくんと裏ボスの結界力があっても三回の合わせが必要になりました。

 ステの暴力でぶん殴って無理やり習得! これぞ最高に頭の良い戦法よ。

 

「良守は相変わらず、猪突猛進だし……これでいざという時も大丈夫ね」

【どちらにせよ、宙心丸本人は良守くんに任せることになりそうだけどね】

「あら、殿様を呼び捨ては切腹ものよぉ。家臣様に報告しなきゃ」

【俺侍じゃないし、そもそも殿というより若じゃない?】

「自分の城をお持ちだし、一応領土もあるわけだし、殿様で合ってるわよ」

【そういうもんか】

 

 習得難易度が最高クラスなだけあり、習得にさえ漕ぎ着ければ恩恵も半端ないです。

 消費する精神力は三分の一、強度と維持時間は二倍ですからね。

 ついでなのでもう一個、協力技を紹介しておきます。

 

【「雪村秘伝の書」を使用しました。】

【秘伝書を読み込んでいる内に、とある頁が目についた。〝四師方陣の発動方法〟……今の領域に入った自分なら、一段階上に昇れることに気が付く。】

【守美子に今さっき思いついたアイデアを伝えると、頷かれた。】

 

「行くわよ――」

 

 行動力の化身……!(戦慄)

 

【守美子と呼吸を合わせ、同時に力を練り上げていく。】

 

 協力版真界ほどハードルは高くないですが、そこそこ失敗判定あります。

 どうかな?

 

【守美子との協力技「二色方陣」を習得した。】

 

 お、一発成功! ええやん!

 四人でやる四師方陣とは違って、これは二人だけでやれる結界です。

 ただ、四師方陣は結界師四人がそれぞれ直角の支点となり四角を再現することで結界を作り易くしていますが、二色方陣は結界師二人である為支点二つ分にしかなれませんので、四師方陣よりも難易度が高くなっています。

 

「へえ、色が……水……いえ、空色かしら。緑と青が合わさったから?」

【多分そうだろうね。力を合わせて結界を作るとこうなるのか、初めて見た】

 

 四師方陣は結界師が四人も集まって協力する機会は早々ありませんし、二色方陣は二人ですが難易度が高く並み大抵の術者では発動できません。

 習得難易度がアレな割に活用できる機会は全く無しという、ネタ扱いされてる技です。

 でも協力技って、ワクワクしますよね。ロマンですよロマン。

 普段いがみ合ってる両家が協力する姿も盛り上がりますし。

 ロマン技と考えれば、使用率なぞさして気にする要素でもないですね。

 

「完成度も申し分ないわ。……ふふ、きっとどんな妖でも閉じ込められるわねぇ」

 

 ……。

 

 ただの小ネタ紹介のつもりが、俺はとんでもねぇ兵器を作り上げちまったようだな……。

 まぁね、損はしないから! ヘーキヘーキ!

 (妖の命が)逝きますよ~、逝く逝く……。

 ……御愁傷様!

 

【こんばんは。これ、お土産です】

【時祓は日本刀を時守に渡した。】

「初めてまともな物を渡された気がするよ」

【その通りですからね。開祖殿からあの子にあげてください】

「……ああ、ありがとう」

 

 烏森封印にはお金がかかるので、裏会からの仕事を受けて資金繰りします。

 無くても完遂出来ますけどあった方が融通が利いて便利。裏ボスは実質裏会出禁みたいなもんだから、ホモくんがやりましょ。

 と思ったら、予想外のイベントが発生しました。

 

「やあ! 君が俺の足場を確保してくれるという結界師か、よろしく頼むよ!」

【よろしくお願いします】

「まま、堅苦しい挨拶はこれくらいにして。と、こ、ろ、でぇ~! 君……坊やのお師匠様なんだって?」

【時祓は首を傾げた。】

「だから、坊やだよ坊や。墨村正守! 俺は彼の裏会での師匠にあたる男でね、結界師での師匠にあたる男の顔を一度拝んでみたかったのさ! だからとりあえず、本来この任についていた筈の奴から無理やり奪ってやったってわけ!」

 

 画面がちょっと停止してますが、これリセットしようか迷ってるところです。

 いや、なんというか……この時期の彼ってまだまともだったと思うので、ホモくんと一緒に仕事にするとなると少し面倒事に発展してしまうというか……。

 ……まあこれはこれで面白そうだからいいか! と判断しましたね、続行します。

 

 あ、モブ敵と遭遇。

 雑魚レベルの妖が二体……来るぞホモくん!

 

【始末完了。】

 

 はいカスwwwwお前らホモくんの足元にも及ばな~~~いwwwww

 てか視界にすら入ってませ~~~~んwwwwwww

 

「……」

【無道は時祓に強い視線を送っている。】

 

 はい、〝無道がまともな時期〟に共闘でも敵対でも同じ場にいて〝一定数値以上のステで戦闘スキップを行う〟と、無道の目の色が変わります。

 

「なあ、時祓くん」

【無道に背後から話しかけられると同時に殺気を放たれた。】

【戦闘開始。】

 

 具体的に言うと嫉妬してます。

 総帥のポジションが挿げ替わるということになりますね。

 

【戦闘終了。】

「何故だ……!? 何故力が奪えない、どんな手を使っている!?」

 

 話がややこしくなるかな、と思ってリセを考えましたけどもうRTA関係ありませんからロスも気にしなくていいですし、発生条件の一定数値以上のステの部分が普段のプレイだと解放が面倒なのでね、ついでに見てみようと思いまして。

 

「結界を極めればこの力すら防ぐというのか!!?」

【戦闘開始。】

 

 激昂して第二ラウンド開始。

 害意を持つ魂蔵持ちを相手にする場合、吸収能力への対抗手段があると自動で使用されます。

 今回だと臨界が発動してますね。

 御存知の視聴者兄貴も多いかと思いますが、見る機会のない無道戦が続いているので説明して時間潰しします。

 ホモくんは最初から無想取得済みだったので感情を抱き辛いという設定を請け負っているっぽくて、その弊害で絶界が使えない為に、代用品として習得できるのが臨界です。

 効果は真界のスケールダウンバージョン。

 

【戦闘終了。】

「まだだッ! 俺は〝不死身の無道〟だぞ、何度でも蘇るッ!!」

【戦闘開始。】

 

 無道は魂蔵持ちの中では比較的規模が小さい方で、死んでから生き返るスパンが数日あるんですけど……見るからにおじいちゃんだった総帥と違って年下のホモくんが対象なので、怒りで普段以上の力を発揮してますね。

 

 えー、臨界は都合の悪い存在を排除するだけの世界を維持することが可能です。

 都合の良い存在を生み出すことは出来ません。

 絶界と何が違うのかと言えば、嫌悪や憎悪によって触れるもの全てを消し去るか、不必要だと判断したものだけを消し去るか……云わば精神が悟っているかどうかですかね。

 当然絶界よりも精神力の消耗が高く、真界よりも精神力の消耗は低くなってます。

 

【戦闘終了。】

「――――これほどの、差が……信じられない……」

【もう宜しいですか? 仕事の続きに行きましょう】

「仕事……だと? この期に及んで? フ、フフッ、フフフフフフフ……! 俺が殺しにきた所で、お前は何も感じていないということか!! ふははははは!!」

【無道は一頻り腹を抱えて笑い、顔を上げた。】

 

「……分かった、仕事を終わらせよう。こんな仕事、今更どうだっていいが、時祓が遂行したいというのならそれまでは付き合うさ。……やりたいことも出来たしな、早く行こう」

 

【裏会からの仕事は終了した、家に帰ろう。】

 

 仕事自体はスムーズに終了しましたのでカット。

 ホモくんはやっぱり男キャラのイベを引き寄せるなぁ、さすホモ。

 

【守美子、交代しよう】

「ええ」

【暫く戻ってこなくていいよ、ゆっくりしてな】

「ゆっくりしたら直ぐ戻るわ。ああそうだ、途中で式神になにか差し入れさせた方がいい?」

【籠る準備はしてきてるから大丈夫】

 

 エネルギーを蓄える性質を持つ道具にひたすら力を注ぎ続けるというクソつまんねぇ作業を今後は交代制でやっていきます。

 烏森封印には大きく精神力が消耗されますからね、事前に溜めておけるだけ溜めておきましょう。えい、えい、おー。

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 予定外の無道戦が挟まってしまいましたが、烏森封印の障害にはならないので実質何も起こらなかったも同然ですね。

 では、ばいなら。

 

 




風呂敷はとりあえず広げるだけ広げてやろう、後始末は未来の自分がやるし、なんだったら畳まなくてもいい! という方針になりました。
無道が日永に会った時期がよく分からないので、もしかしたら前話の裏会関係者エピソードと順番を入れ替えるかも……。


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裏・あれからそれから・2


 

――Case.1

 

 

 正守は眉根に皺を寄せ、悩んでいた。

 

 正当継承者への渇望。

 力と権力への憧れ。

 烏森という土地に抱く狐疑。

 実家で暮らす内に感じる、どんなに薄まろうとも決して消えない居場所の無さ。

 

 家族にそのようなつもりがないことは分かっている。

 だから、これは全て己の問題なのだ。

 青二才である自分が己の精神を律しきれていないという証左。

 空間を支配する結界師たちの中で唯一絶界を得手とする、悪感情の塊。それが己だ。

 

 所詮、己の性根などそんなものなのだ。

 あの家族に生まれたたった一つの劇物、それが自分であり……そんな自分だからこそやり遂げられることがあると、そう信じたかった。

 

 ――裏会という全国の異能者を統括する裏自治組織に入り。

 ――真っ新な環境にて自分の知恵と力で伸し上がって地盤を固め。

 ――強欲な連中が烏森に下手な手出しなどできぬように権力を手に入れる。

 

 墨村正守、十五歳。烏森学園中等部三年生。

 将来を考える年を迎えた正守が打ち立てた目的であった。

 

 最低限、義務教育は修了させる。

 中等部の卒業式が過ぎたら、直ぐに裏会に潜り込もう。

 そういう計画を組み立てていた。

 

 しかし……一つ、彼を踏み留ませる要素が存在した。

 

 その要素とは、海外で神佑地の委託調査を担い普段は留守にしている、正守の師匠の事を指す。

 丁度本日帰国することとなっており、隣の雪村家に戻ってくるのだが……。

 正守はいまいち彼の本質を掴みきれないでいた。

 悪い人ではないし、墨村と雪村は対立関係にあるというのに雪村の彼は墨村の正守に何の見返りもなく懇切丁寧指南してくれた程の人だ。

 しかし彼はなんといえばいいか……とにかく不思議な人だった。

 まるで雲のようにふわふわしている割に地に足はついていて、だが目を離した隙にあっという間に何処かへ消えているような、そんな掴みどころのない男なのである。

 

 その人物の名は雪村時祓。

 正守と同じく、方印が浮かぶことのないままに烏森を守る使命を持った結界師である。

 

「それで、話って?」

 

 正守が悩んでいたのは、己が考えたこの計画を師がどう受け止めるか判別不能であるからだ。

 あっさり頷きそうでもあり、きな臭い噂も多い裏会の懐に入り込むのは控えろと引き留めてきそうでもあり。

 脳内でごちゃごちゃと考えているだけでは前にも後ろにも行けない為、こうして彼に時間を空けてもらい、誰にも知らせずに二人だけで話せる空間を作り出して貰うことを決めた。

 彼が本気で自分を引き留めようとしてきたら……もしそうなったら、素直に実家から出るのは諦めるという心積もりで、師と対面して話を切り出した。

 

「良いんじゃないかな、そういうのも」

 

 ――結果はあっさりとした、あっさりすぎる返事だったが。

 

「止めないんですか」

「俺にそんな権利はないのが第一。後は正守の覚悟を感じたのと……」

「感じたのと?」

 

 正守は身を乗り出して師の発言を待った。

 

「……君って、良い子だよね」

「いきなりなんですか!」

「真剣に自分で考えて決定したことなのに、他人の意見を聞いて翻す可能性があるなんて、俺じゃ考えられないからさ」

「馬鹿にしてますよね」

 

 こめかみに筋を浮かべながら正守は頬を引き攣らせる。

 そんな弟子の姿を見た時祓は相も変わらず微笑みを浮かべたまま、首を振って否定した。

 

「単純に凄いなって思ってるだけだよ、俺は誰にも言わずに出て行ったから」

「……え? 出て行った、って、師匠が!?」

 

 顎が外れんばかりに大口をあけ、時祓を見上げる正守。

 

「そうそう。当時は俺も若かったからさぁ、俺よりも強い妖を探しに行くだなんつって世界中を飛びまわったんだよ」

「…………俺をからかってますか? 語学が堪能で海外にも伝手があるから調査の仕事が回されたという話は聞いてましたけど……」

「言葉を学んだのもコネを作ったのも家出中の時だからね、当時十三歳」

「……マジですか」

「本気も本気、大マジ~」

 

 眉間に手を当てて天井を仰ぐ。

 人畜無害そうな顔をしておいて、まさかそんなことを仕出かしていたとは思いもよらなかった。

 

「烏森を守るのは良いんだけど、それじゃ自由に外に出られないでしょ? 成人した後だと色々と責任追及されるから、子供なら甘くみられるだろうと……今ならいける、今だからこそ行け! なんてね」

「ただ突発的に出ていくならまだしも責任問題まで熟考して飛び出す中一は最悪です」

「だよね、俺もそう思う!」

「貴方はまったく……」

 

 脱力して背筋が曲がってしまった正守だが、先程まであった肩の力までも自然と抜かれていたことには気付かずに溜息を吐く。

 

「ま、俺は自由に動いたわけだからさ、そういう意味でも君を縛る権利はないわけだ。だから、君が本気でやりたいと言うなら俺は止めないよ」

「……はい、今の話を聞いて改めて思いました。俺も、師匠の姿勢を見習って自由に動きます」

「うん、頑張れ正守」

 

 正守と時祓は向き合って笑いあい、頷いた。

 

「一応聞いとくけど、裏会にも仲良くしてる奴もいるし紹介した方が良い?」

「いいえ、まずは自分の力でいけるところまでいってみます」

「OK。でも困ったことがあれば頼ってね、裏会の人達は社会に適合する術を持たないはみ出し者ばっかりだからさ、若くて力がある正守ならイジメとか嫌がらせとか絶対されるよ」

「異能者であっても人は人ですね、随分としょうもない……まあ、どうしようもないことがあったらお願いします」

 

「任せなさい、君は俺の弟子だからね」

「はい、師匠」

 

 

 

 

 


 

――Case.2

 

 

「ただいま」

 

「うえっ!? か、母さん!?」

「えっお母さん!? お母さんが帰ってきたの!?」

 

 玄関の扉を開けた途端に騒がしくなる家中。それは至って何時も通りの反応なので、守美子はなにも気にせずに自室へ向かって荷物を置き、リビングに移動した。

 そこには既に夫である修史がお茶を用意して座って待っている。

 

「ただいま、修史さん」

「おかえり守美子」

 

 ガヤガヤと相変わらず騒がしい子供二人を横目に、守美子は修史が淹れたお茶で喉を潤す。

 良守からはもっと定期的に家に帰ってこいという催促、利守からは良い点数をとったテストを見てほしいという懇願。

 それぞれに対応にしつつ、厳つい表情で腕を組んでいる己の父へ目を向けた。

 

「例の仕事についてですけど」

「……なんじゃ、今ここで話すようなことか?」

「ええまあ、皆も耳にしておいた方が良いかと思って……」

「え? なに、なに?」

「またあの仕事の話かよ……未熟な俺たちには話せないことだとか言っといて、今更なんだ?」

 

 今現在家を出て働いている長男を除いて勢揃いした家族の意識が自分に集まっていることを確認し、守美子は口を開いた。

 

「時祓が担当していた仕事が落ち着いたから、私と合流して同じ仕事をすることになったの。それで今後は私と時祓が入れ替わる形で交互に家に帰ってくるわ。以前よりも多く帰宅できると思うから、吉報でしょう?」

 

 リビングがシンと静まり返り、壁に設置された時計がカチコチと鳴る音だけが響く。

 最初に我に返ったのは大黒柱の繁守だった。

 

「お、終わったって、なら外の調査が――」

「お母さんなんで時祓おじさんといつも一緒なの!?」

「本当にちゃんと帰ってくるんだろうな!?」

「こ、こらこら皆! 守美子が困ってるだろう、深呼吸して!」

 

「あらぁ……」

 

 ぎゃあぎゃあガヤガヤワイワイざわざわ。

 喧騒を巻き起こす家族に、頬に手を当てて首を傾げる守美子。

 

「それで守美子、これからはどれくらいの周期で帰ってこられるの?」

「時祓と話し合ったんだけど一先ず一週間毎にしたわ。変更も有り得るけれど、一応ね」

「そっか、それは本当に吉報だね。子どもたちも喜ぶよ」

「二人同時に帰ってくるかもしれないし、二人同時に家を空けることもあるから……あんまりハッキリとは言えないの、ごめんなさい」

「気にしないでよ。僕たちは君と時祓が二人にしか出来ない仕事を頑張ってるんだって、ちゃんと分かってるから」

 

 修史と守美子の会話中キョロキョロと視線をうろつかせていた利守は、机を叩いて立ち上がる。

 

「お父さん!!」

「どうしたんだい、利守?」

 

 利守はキッと目つきを鋭くさせ、父である修史に力強く指差した。

 

「お父さんは怒らないの!? お母さんと時祓おじさん、二人っきりだよ!?」

「えっ、怒る?」

「おじさんが母さんと二人っきりだとなんかあんのか?」

「良兄はバカなの!? 時祓おじさんって絶対お母さんのこと好きじゃん!!」

「へぁ!!?!?」

(時音に想われてんのにその上で母さん狙ってんの!!? なんて奴だ!!!)

 

「いや、時祓は守美子のことが好きだろうけど、そういう意味じゃ……」

「やっぱり好きなんじゃん!!! ダメだよお父さんキッパリと態度で示さなきゃ、『守美子は俺のものだ、お前には渡さない!』って言ってきて!!」

「だから恋愛感情じゃなくって二人は幼馴染や結界師として……」

「お父さんしっかりしてよー!! あの人ずっと独身だもんずっとお母さんに片想いしてるんだよおおお!!!」

「と、利守、近所の人に聞こえるからもうちょっとボリューム下げ、」

 

こうなったら僕がジカダンパンしてやる!! お母さん時祓おじさんの現在地教えて! 僕の式神送るから!!!

 

式神をそんな事で使うでないわ馬鹿者ぉ!! この耳年増め!!

 

「……?」

 

 目前で次々と繰り広げられる話し合いを守美子は終始首を傾げて見守っているのだった。

 

 

 

 

「ああ良守、アンタは後で道場に来なさい。どれぐらい育ったのか、この目で確かめるから」

 

「ほぁ!?」

 

 




エイプリルフールなので初投稿です。


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【おまけ】あれからそれから・5

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きの続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

 引きこもってエネルギーを蓄えるだけの単純作業工程はカットしまくることにして、ホモくんが実家にいるターンで何をするのかというと、基本的には資金繰りか時音のレベル上げです。

 

【時音にやり方を教えている……。】

【完璧の出来だ!】

「ありがとうございました!」

 

 RTA中にも説明しましたが、人に物を教える判定は器用さ+知力です。

 ホモくんのステはキモいくらいこの二つの数値が飛び抜けているので、まあこうなりますね。

 ステNo.1の結界力を含めたスリートップが本当にえぐい数値になっていますが、エンド達成時の最終的な総合ステがどれほどまでに達しているのか楽しみです。

 どんなバケモンになってるんだろうか?

 

【時音にやり方を教えている……。】

【完璧の出来だ!】

「はあ、はあ、ありがとうございました!」

 

【疲労が溜まってきたし、今日はもう休もうか】

「ま、まだまだできるよっ、大丈、夫……」

【ダーメ。ちゃんと自分を大事にしなよ、時音】

「うう……」

 

 時音のレベル上げに何か恩恵があるのかと聞かれれば、ぶっちゃけありません。

 主人公が介入しなければ原作キャラは原作通りの行動をとるので、(強くする必要)ないです。

 しかしこうでもしないと実家にいる間、ホモくんは修行をするか仕事をするのかの二択になります。動画的に女の子がいた方が画面も華やかになりますし、手持ち無沙汰なのでレベル上げでもするか~というノリ。

 ノンケ視聴者兄貴たちへの配慮も忘れない動画投稿者の鑑ですまんの!

 

「時祓、裏会の方がいらっしゃいました。急な話ですが書状もお持ちでしたから、客室の準備を」

 

 あ、イベ発生。時期と口ぶりからして夜未ヨキでしょうか。

 

「……初めまして、春日夜未と申します。急遽派遣が決まりまして、暫く御厄介になりますがどうぞよろしくお願い致します」

【春日さんですね。客室にご案内しますから、こちらへどうぞ】

「まさかあの時祓さんが御在宅だとは思っておりませんでしたわ、オホホ」

 

 微妙にグラフィックの口元が引き攣ってますが、夜未がやってくる時点で主人公の裏会での名声が50を超えていると(やべえ、こいつ裏会でも目立ってる実力者じゃん……)と警戒してきます。

 この二十年分が積み重なって、そこそこ名声が上がっていたようですな。 

 最近は資金繰りで裏会や店主さんから回される仕事を精力的に受理していましたからね、その所為かな。

 

「ねえ叔父さん! あの人を10日くらいお世話するって聞いたけど、知り合いなの?」

【時祓は首を傾げた。】

「春日さんっていったっけ……あの人、なんだかすごく叔父さんのことチラチラ見てるから……」

【俺は知らないな。兄さんの方は何回かあの子と一緒に仕事をしたって話は聞かされてるけど】

「そうなんだ……」

 

 えー、先程主人公が介入しなければ原作通りの行動をとるといいましたが、このままでは夜未が原作通りの行動をとりません。

 具体的に言うと、こちらを警戒して限界まで潜伏し、裏会の追手を懼れ待ちきれなくなった夜未は烏森にヨキを解き放って暴走、連動してヨキも暴走。原作以上に進化して大暴走するので、原作のままのレベルでは良守たちは大怪我を負ってストーリー進行フラグがグチャります。

 一応時音のレベル上げはホモくんがしてますし、交代で裏ボスが墨村家に戻っている時はあっちもあっちで良守をレベル上げをする行動ルーチンの筈なので、ヨキが暴走しても大丈夫な範囲まではいってるかな? 多分。

 う~~ん……よし!

 

 神は乗り越えられる者にしか試練を与えないと聞きます!(セーブしてデータ保存しつつ)

 

「おばーちゃん、あたしの天穴知らない?」

「ええ?」

「いつもの所にないのよ。変だなー、叔父さんは知らない?」

【予備品が倉の手前に置いてあるから、今日はそれを持っていきなさい。探しておくよ】

「分かった、ありがと叔父さん!」

 

 原作主人公と原作ヒロインは強い子なのできっと試練を乗り越えられるでしょう!

 

「少し良いですか時祓。春日さんの件が少々気になるので裏会に連絡し、春日さんが任されているという仕事を照会しておいてください。私は時音の天穴を探します」

【はい、母さん】

「問題がなければいいのですけれど……」

 

 無理だったらリセでやり直して、ホモくんは急用が出来て数日家を離れると夜未に嘯いておけばOKです。

 はい、裏会側が異変を察し家まで来ることになりました。

 派遣されてくるのは夜行の方なので自宅前で待っていれば蜈蚣がやってきます。超特急で飛ばしてくれたみたいですね、息も耐え耐え。

 

「お待ちしておりました、裏会の方々」

「早速ですが、春日夜未は今どちらに?」

 

 時子さんが夜行と情報共有している今の内に墨村家へ式神を向かわせて繁守を呼びだします。

 

「夜中に何じゃあ! ヌッ雪村の小僧か!? こんな時間になんて非常識な――その格好」

【少しばかり困ったことになっています。仕事着に御着替え下さい、繁守さん】

「……チィィィッ!! 一度限りじゃぞ小童ぁ!」

 

 繁守相手だと「好」は殆どないんですけども、目にみえない好感度の「信」が高いと今みたいに渋々という態度を取りつつも言う事を聞いてくれます。

 なんというかホモくんは「信」を稼ぐのがやたらと得意っぽいんですよね……外面が良いのか?

 

「何故このようなくそじじいを呼ぶのです時祓! 必要ありません!」

「ふははは! 貴様の倅は儂の手を借りたいと泣きついてきおったぞ、くそばばあ!」

 

【では行きましょうか、皆さん】

「……あの二人を放っておいてよろしいので?」

【問題ありません、ちゃんと追いかけてきますよ】

 

 さあ、ホモくんたちのレベル上げ作業は上手くいっていたのか、結果発表の時間です。

 ドキドキ。

 

「むっ、あれは……!」

 

「ヨキ!!」

【鬼の妖は進化を繰り返しながらも、手足は腐り落ちるかのようにぼとりと取れた。】

 

 人も校舎も大分ボロボロですが、とりあえず二人とも欠損が起こったりはしていませんね。

 体力は……セーフです! これならストーリーも問題なく進みます(安堵)。

 もし入院イベが入るような大怪我を負っていても、ホモくんが煎じた薬で回復できる程度ならそのまま続行しようかと思ってましたが、どうやら二人のレベルが大暴走verヨキ相手でもやり遂げられるくらいには上がっていたようです。良かった良かった。

 

「月刃!! 月刃ァ!! ……チッ、まだ妖力が有り余っているようだな。黄道」

「……加減はなしでいいな? 白道」

「やれ」

 

「いやっ……ヨキ!」

 

 特大ファイアーボールを大暴走verヨキにぶつけて、それでもまだちょっと体力残ってますね。

 上半身が二つに割れて全身に火が燃え広がるというエイリアン映画に出てくるラスボスの最終局面みたいな状態ですが、まだ生きてるとか……。

 強化されたヨキくんは強いねぇ。

 

「あぁああ……!! ヨキ、ヨキィ!」

 

「もう一度だ黄道、今度は軽めでいい」

「ああ」

 

ヨキ……

 

 小さめのファイアーボールがおかわり。今度こそ召されました。

 天穴で回収して終了です。

 方印四人組と夜行二人が話しているので、ホモくんがパパーッと式神を出してとっとと荒れ地と化した校庭を修復しちゃいます。

 大暴走verヨキが大きく破壊してったから被害も大規模です、さっさと家に帰って寝たいしね!

 

「では片付けを……ハァ」

「あれ、綺麗になってる!? なんで?」

【時音も良守くんも今夜は疲れたでしょ? 帰ろうか】

「叔父さんがやってくれてたの!? ご、ごめんなさい……でも凄いっ!」

「ぐ、ぐぬぬ……!(油断ならん奴だ……!)」

「なんでアンタは叔父さんを睨むのよ」

 

 隙あらば青春を挟みこんでくる二人、ノンケの鑑かな?

 この二人はパーティに入れたことがなくて現在のステやレベルを確認していないんですけど、凶悪化したヨキを退けられるくらいのレベルはあったみたい。

 暫く放置してもいいかもしれん。

 

【翌日。】

フザけんじゃねえぞ、このくそばばあー!!

 

「時祓くん、どうしましょう……!」

【彼らなりのコミュニケーションですからあれで良いんですよ、静江さん】

「そのうちおさまるって、お母さん」

 

【携帯電話の着信音がする。……正守からだ。】

 

 夜未ヨキイベで現場にいた&夜行の頭領と仲良くしていると、この辺りのタイミングで電話がかかって様子を伺ってきます。

 

『お久しぶりです、時祓さん。昨夜の件で少々質問したいことがあるんですけど、いいですか?』

【良いよ、どうしたの?】

『では単刀直入に聞きますが……わざとですよね、貴方』

【ん? なんのこと?】

『……まあ、俺も人のことを悪く言える立場ではないんで、あんま強く聞きませんけど』

 

 動画ではカットしてますが、ホモくんが携帯を所持してるのは正守が勧めてきたからですね。

 ホモくんの式神作成はスキルマ済み、現在は限界突破アイテムを使用して更にスキラゲしているので簡易的な通話機能もありますし、そんなに必要じゃないんですけど、あって損はしないからと押し付けられました。

 

『本題はこっちです。この前帰省した時に、時祓さんと母さんは交互に実家に戻ってくると教えられました。もうそろそろ、二人が何をしてるのか……俺には本当のことを教えても良い頃だと思いませんか』

【ん? そんなに気になる?】

『時祓さんは海外調査が終わったら直ぐに母さんの仕事の手伝いに入った。貴方の海外調査と母さんの仕事は何処かしらで繋がっていると睨んでます。どうです? 当たってるでしょ』

 

 正守もなー、夜行とか裏会で頑張ってるのって烏森も関わってるしなーどうしよっかなー。

 今の時期にネタバラシすると追々の彼の動きが大幅に変わるので、結構悩み所。

 教えれば悶々するし、教えなくても勝手に悶々してるので、正守くん(にじゅういっちゃい)ってば可愛いんだからもー。だから年寄りキャラに弄られるんだゾ☆

 

【成程ねぇ。それじゃ守美子とちょっと相談してみるから、暫く待ってて】

『お願いします』

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 ホモくんは良守たちのサポートに回る予定なので、華々しい活躍とかはあんまりないかな。分からん。どうかな(ホモは嘘吐き)。

 では、ばいなら。

 

 




正守に優しくして良い思いをさせようか(更なる困難を与える)、それとも重い展開を押し付けようか(更なる苦難をぶつける)、迷う。


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【おまけ】あれからそれから・6

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きの続きの続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

 正守が教えて教えて! と駄々をこねてきたのを早速、交代のタイミングで裏ボスに伝えます。

 御宅の息子さんがこんなこと言ってましたよ~。

 

「正守にはまだ早いんじゃないかしら」

【まだ?】

「時祓は違うの?」

【そりゃ、彼奴は俺の弟子だからね】

「……そう。そういえば、そうね。貴方の弟子だわぁ、正守は」

 

 どう転んでも構わないので判断は裏ボスに任せました。

 こうすることで、バックグラウンドで現在の正守のレベルを乱数判定して暫くしたら裏ボスの口から結果が掲示されます。

 

【あそうそう。この前裏会に所属してる子が烏森目当てで来てね、使役してる妖を強くさせたいと思ってる所に正守に唆されたっぽかったんだけど】

(急激な力をつけた所で、元々の器が矮小なら自滅するだけなのに……よく来ようと思うわねぇ)

【烏森の力も俺たちの代と比べて強くなってきてる、これからも色々な出来事を引き寄せてくるだろう。俺たちが事前にそれを食い止めるよりも、逆に利用した方がいい】

「利用?」

【正守が寄越してきた子、放っておいたら案の定いい感じに良守くんに刺激を与えてくれてね。力をつけるには実戦が一番だし、烏森にも役立って貰った方が効率が良くなる】

「……ああ。良いわね、それ。そうしましょうか」

 

 悪い大人の作戦会議。

 いたいけな子供を甚振る計画を淡々と話し合うなんて……。

 視聴者キッズはこんな大人になっちゃ駄目ですよ!(ゲームパッドから手を放しながら)

 

【俺たちは保険と事後のフォローってことで】

「了解」

 

 烏森封印の為の準備と、実家で過ごして働いたり休んだり。長閑な日々です。

 同じことばっかで何も起こらない所はサクッとキットカット。

 ……と、前回から何回目かの交代で特殊な会話が挟まってきました。

 

「正守の帰省と被ったから、ついでにちょっと遊んでみたんだけど……」

【うん】

「及第点かしら。動きはマシになってた、でも裏会ではぬるい仕事ばかりしてるみたい」

【あそこはたいした仕事ないからね、しょうがないよ】

「時祓のコネクションで海外留学を経験させてもいい? 確か、楽しかったって言ってたわよね」

【それも良いね。無事に達成できたら教える?】

「ええ……私だと少し贔屓目で見てしまうようだから、どの仕事をやらせるかは時祓 お願い」

 

 サラッとひでぇ会話が見えた気がするって?

 気のせいですよ(無垢な目)。

 そんなこんなで早速正守に連絡! もしもーし! ……電話が繋がりませんね。ならメールで。

 

 〝海外でドでかい獲物を狩ってきたらいーよ! それが最終試験ね!〟(意訳)

 

 監視兼護衛役として……ヅラに一回頼んでみましたが、ヅラはあれで現在かなり偉い立場に就いているんで、断られました。中々忙しいようです。

 しゃーねぇ、ならうちのアッシーズのどれかに任せましょう。

 ど、れ、に、し、よ、う、か、な~。……どうせですし、三号を連れて行って貰いましょうか。

 

【鋼夜を選択しました。】

「俺が人間の子守だと? ふざけんじゃねぇよ」

 

 ゲームシステム上あっさり向こうまで行ってあっさり帰ってきますが、現実ならめっちゃ喧嘩してるんだろうな……。

 正守は実家の妖犬によって匂いの重要性を知っていて、常に微量な結界を纏って匂いから辿られないように警戒を怠らないですし、同時に精神系の異能による干渉も結界でシャットアウトしてるという、一見すれば懐疑心が擬人化したような男ですからね。

 良守に似たタイプの鋼夜と合うとは言えん。

 

 カットを挟み、ホモくんの実家ターン。

 

「あらっ!」

【台所から静江の焦った声が聞こえたので覗いてみると、静江はあわあわしながら弁当箱を持って慌てていた。】

「いっけない、時音に渡すの忘れてたわ~。どうしましょう……」

【俺が持っていきますよ】

「お任せしていい? ありがとねぇ時祓くん」

 

 今発生してるのはウロ様イベントです。

 原作だとこんなことは起こっていませんが、主人公が原作に顔を出しやすくなるようこんな風にゲーム側から助け舟が出されることも。

 ぶっちゃけこれはプレイヤーのリアルラック次第なので、アンラッキー体質の人は悲しいことになります……が、主人公を動かして普通に自分から介入も出来るのでモーマンタイ。

 

【時音のクラスまで向かい、クラスメイトの子に声をかけて時音を呼んでもらった。】

「え、本当に叔父さんだ、もしかして何かあったの?」

【ほら、これ。お弁当】

「あーっ! やばっ忘れてたぁ……叔父さんありがと、ごめんね」

【いいんだよ。それじゃ、授業頑張ってね】

 

 折角の介入助け舟が出てきたのでね、有効活用していきましょう。

 てなわけで探査用結界発動、ウロ様の現在地を検索、ターゲット発見、現場急行!

 

【大きくて丸い姿をした土地神を発見した。どうしようか。】

 

 授業中で周辺に人はいないので、遠慮なく話しかけちゃいます。

 

【お初にお目にかかります、私は間時守から伝わりし間流結界術を扱う結界師、雪村時祓と申します。ウロ様でよろしいでしょうか?】

「その通り! この御方は無色沼の主、ウロ様である! それがしはウロ様が側近 豆蔵なり! 時祓と言ったな、中々の腕利きと見た! ウロ様は結界師を探して態々この地まで足を運んだのだ、貴様が寝床を直すがいい!」

【事情は理解しました。しかし今回の一件を任せたい結界師が一名おりますので、そちらの手があくまでお待ち頂きたい】

 

 ホモくんが直してもいいんですけどね。

 でもそんな……パーッといってパーッと直すだけの、何の変哲もないこと……見てて面白いか? いや面白くない。どうせならお若い二人にやってもらいましょう。

 中等部の屋上なら良守がやってくるのでそこで待機。

 でもウロ様は自由なので、お腹が空いてるのかなんなのか色んな人から食べ物を盗んで周ってくるという。

 最終的には此処に戻ってきますから、追いかけなくて大丈夫です。

 

「はっ!? なんでおじさんがいんの!?」

【やあ良守くん、待ってたよー】

「え、俺に用事……」

【うん。良守くんってウロ様知ってる?】

「うろさま?」

 

 昼の時間になったので、時音に式神を飛ばして通話機能をオン。

 現時点の二人はその辺まったくの無知なもんで、ウロ様が来るまで暇ですし土地神について教えておきます。……良守はちんぷんかんぷんって顔してますね。対する時音は通話越しであるにも関わらず、飲み込みが早い。

 良守は百の理論より一の実践を素でいきますからねぇ、言葉だけじゃ無理か。

 

「えーっと、俺が修復術でウロ様の寝床を直して?」

『私は良守がちゃんと戻ってこれるように中繋ぎする、と』

【単純明快に言えばそうなるね】

「たん……一々難しい言い方すんな!」

『ただの四字熟語でしょ?』

 

「む、貴様が時祓の言っていた結界師か?」

「おわっ妖!? ……ん? あ、ウロ様か……あれ、どっちが?」

「それがしとウロ様を見間違うでないわ、この無礼者!」

 

 ウロ様の御持て成しは墨村家に任せて、こっちは時音にきちんとアドバイスをしておきます。

 墨村と合同でやるってんで時子さんから冷たい目で見られてるけど、何も言ってこないのはなんやかんや「信」が回復してきてるからでしょうね。

 家出でガクッと下がりーの、地道な家業手伝いで戻りつつの、烏森封印発言でガクッと下がりーの、地道な海外調査と間時守自身の説得により戻りつつの……急降下が激しいな、ここ。

 

「つまり、神の寝床に居座り続けたら戻ってこれなくなる……?」

【烏森以外の地で修復術を使うとそれほど効果が出ない、だから実行はパワー型の良守くんに任せる。良守くんがきちんと帰ってこれるように、時音は彼を呼び続けるのが大事】

「……叔父さんがやった方が確実なのに、なんで良守にやらせるの? あいつの前じゃ流石に言わなかったけどさ……」

【今はもう若い子たちの時代だから】

「叔父さんだってまだまだ若いよ!」

【確実性を重視するのは良いことだけどさ、かといって若者の可能性を軽視するのは如何なものかと思うんだ。二人なら出来ると思って任せた俺の判断を、もっと信じてほしいな】

「――――うん、わかった」

 

 まあ式神はこっそり追尾させておくんですけどね!

 ふんふん……あ、途中の道で喧嘩し出した。あー、そういや良守は烏森関連の謎に時音を関わらせたくなかったんでしたね。まだゴーイングマイウェイ期でしたか。

 しかし良守から帰るように言われても素直に帰る時音でもないわけで、微妙な雰囲気で無色沼に到着、寝床へGO。

 

 ……。

 

 おっ、成功しました。流石原作主人公&原作ヒロイン補正。

 泣きじゃくる良守を抱きしめる時音、すこすこのすこ。

 あぁ^~ホモが浄化されてしまうんじゃ^~。

 

「ウロ様の寝床、修復完了したよ叔父さん。……やっぱ、なんやかんやあいつは凄いなぁ」

 

 私は君達二人のノンケパワーがすごいと思いました。浄化されてまう。

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 そろそろ黒芒楼の刺客がやってきますね。存分に経験値になってもらいましょう!

 では、ばいなら。

 

 




ウロ様は可愛くて好きです。おっさんだってちゃんと分かるのにあんなに愛嬌あって可愛いとか最強じゃないですか?


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裏・あれからそれから・3


 

――Case.3

 

 

 雪村時子には、愛する夫との間に生まれた自慢の息子が二人いた。

 長男は人好きのする笑顔が魅力的な、穏やかな性格。

 次男は才能豊かで品行方正な、静かな性格。

 結界師という世間から外れた職務を真摯に受け止め烏森を守ろうと働く、最愛の息子達がいた。

 

(ああ、素敵な息子を二人ももてて私はなんと幸せ者なのかしら)

 

 どこに出しても恥ずかしくない、立派で自慢の息子だった。

 

 そう、〝だった〟。

 現在進行形ではなく、過去形。

 

 時子が抱いていたその幻想は、ある日、突如として破壊され尽くした。

 

暫く世界を見て回ってきます。 時祓

 

 リビングに置かれていた、たったこれっぽっちしか書かれていない置き手紙。

 最初は性質の悪い冗談かと首を捻った。

 次男の時祓は幼い頃から中学一年に至るまで、母である時子自身大きい声を発したことは赤子の時以来見たことがないほど物静かな性格で、そして真面目だった。

 結界師の術を教えた日から来る日も来る日も鍛錬を怠らず、家族が心配して休むよう声をかけたくなるような入れ込み具合。

 

 鍛錬だけしかしていなかった訳ではなく、たまに長男の時雄と公園へ遊びにいったり昼寝をしていたりと、本当にたまにだが息抜きもしていたので実際に声をかけたことはなかったものの、とにかく時祓は家業とひたすら向き合う真面目な子であった。

 そんな子だったからこそ、時子は最初、この置き手紙を時祓が生まれて初めてついた拙い冗談ではないかと思ったのだ。

 

 しかし、門限を過ぎても時祓が家に帰ってくる気配はなく。

 

 このメモ書きにも似た紙は真実を伝えているだけではないかと、そんな考えが頭を過り。

 ありったけの式神を解き放って町中を捜索した。

 父、兄、時雄。式神を作成できる術者は限界まで式神を使用したが、時祓は見つからなかった。

 何故唐突に時祓はいなくなったのか、「世界」が「海外」を指すのであれば未成年がどのようにして向かったのか、恐らく協力者がいる筈だがそれはいったい誰なのか、何の為に世界を見るというのか。

 疑問は泉のように湧いて出るが、それに対する答えは何一つとして浮かんでは来なかった。

 

 そしてその次の日、家族それぞれの枕元に、時祓からの手紙が届いた。

 

雪村時子様へ

 伝えたいことだけを書きます。

 外の世界を直接この目で見てみたいと思ったので見に行くことにしました。

 家も街も烏森も嫌いじゃないし寧ろ好きだけれど、だからとはいえ行きたい場所に行けない現状は嫌でした。

 ここにいるだけでは自分は永遠に井の中の蛙のままだと感じたのです。

 各国で活動している筈の其々の妖たちを一通り堪能したら必ず戻ってきます。

 定期的に連絡はするので、ご安心ください。

 雪村時祓より

 

 ――私はこの子のことを何も分かってあげられなかった。

 

 時祓の本心が綴られた手紙を読んだ時、時子に襲い掛かってきたのは自責の念だった。

 あの子はずっと鍛錬を続けていた。 何が理由で?

 あの子は滅多に喋らず首を動かすばかりだった。 何が理由で?

 あの子は昔から目の前の景色ではないどこか遠くを見つめていた。 何が理由で?

 

 時祓は、外の世界に行きたかったのだ。

 烏森のみ見つめている現状が嫌で、だから飛び出したのだ。

 

 この手紙に書かれていることだけが真実だったのだろう。

 時祓からの手紙を読んで、まずそう思った。

 抱いた感情は悲しみ。母親たる自分が息子の想いを察してやれず申し訳なく思う気持ち。

 ただそれだけだった。

 

 明言こそしていないが、自分も含めた結界師一族は多かれ少なかれ烏森にこの身を縛られていることを全身の肌で感じているのだ。

 方印が浮かび雪村家21代目正統継承者となった自分こそ、その事実を一等強く理解していた筈なのに。

 時祓は本当の感情を誰にも打ち明ける事なく抱え続け、ついにそれが我慢の限界を超えた。

 そして、世界へ向かって行った。

 

 本来なら母親である自分が、大人である自分が、先達である自分が、息子であり子供であり後進である時祓を導いてやらねばならなかったのに。

 悔やんでも悔やみきれない事実だけが、胸に残った。

 

 400年対立し続けた墨村家21代目正統継承者・墨村繁守が時祓の出奔を揶揄してくることは一度としてなく、自身の父と彼の父が激しく口論するのみだった。

 そのことが寧ろ時子の胸を締め上げる。

 時祓の一件で、時子が思うことは一つ。

 

 ――これは私の至らなさが招いたものだ。

 

 時子は次男を信じていた。

 なんて出来の良い子なのだろうと。なんて素晴らしい術の腕前なのだろうと。

 そんな表面的なものしか見ていなかった。

 

 時祓は母親を信じていなかった。

 都合のいいものしか視界に入れない相手を、信じる気にはなれなかったのだろう。

 だから何も言わなかった。

 

 時祓がいなくなって数日は学校には風邪を引いたと連絡していたが、次の週からは時子が己の式神に時祓の容姿を模らせ、毎日通わせ続けた。

 父は怒った。

 あのような輩は結界師として相応しくない、扇一族にでも処分させるように依頼を出すと豪語していた。

 

「やめてよっ……! おじいちゃんはいつも自分勝手だっ!」

 

 それを必死に押し止めたのは、時雄だった。

 

「時祓だって勝手だけど、おじいちゃんはそれ以上に自分勝手だ! 結界師の誇りだとかなんとか耳触りの良いことばっかいって、本当は墨村の人に馬鹿にされるのが嫌なだけだろ!」

 

「ただ下に見られるのが耐えられないだけなんだろっ!? この、自己中!」

 

「そんなくだらないことで時祓は殺させない!!」

 

 家族の中ではいまいち影が薄く、実力主義者の祖父から悪く扱われていた孫の長男。

 猫可愛がりしていた時祓が出て行った途端、冷遇していた筈の自分に目をかけるようになった掌の返しっぷりに辟易していた時雄は、初めて明確に祖父に反抗した。

 一気に燃え上がった激怒の感情で孫に手をあげようとする祖父。

 自分にとっての父の手を止めた時子は、ハッキリと時雄の意見に賛同し――

 

(……後悔は、していません)

 

 一見すれば、雪村家で大々的に巻き起こった内輪揉めの原因は時祓に違いない。

 だが時子はそうは思ってはいない。

 火種は元々存在していて、長い間……そう、本当に長い年月もの間、燻り続けていたのだ。

 着火した理由が偶々時祓だった。その程度のこと。

 

 この一件が起こったことで寧ろ、開祖・間時守の正当なる継承者を巡る400年の争いを鎮火させる目途がついて、溜飲も下がった。

 繁守の父もそろそろいい年だ、大人しく天に昇って貰えると助かるのだが。

 そうすれば少なくとも、開祖の弟子たる結界師一族間で長年続いた継承者争いにて死人が出ることはなくなるだろう。

 くだらない争いもこれで終いだ。

 

 自分がしっかりとしてさえいれば、十分に防げていた。

 犠牲者も、死人も、時祓も。

 防げなかったのは一重に自分が至らなかったから。

 全ては己の責任、つまりそういうことだ。

 

 

「まったく時祓は、唐突に家を飛び出したかと思えば日本どころかイタリアへ!?半年から一年ごとに式を送って現在地を伝えてきましたが、貴方はまさかこれが連絡を寄越した内に入ると思っていたのですか!!?」

 

 

 それでも、私は――――

 

 あのような出来事を招いた上で、雪村の正統継承者として、このような憎まれ口を叩く事しかできないのもまた事実だった。

 

 

「はい」

 

「ハァ……! 本当に呆れた子だこと!! この七年間、私たちが墨村にどれほど冷たい目で見られてきたことか……!! 貴方を心から信じて頼っていた昔の自分が恥ずかしいです!!」

 

 

 本当に本当に恥ずかしくて仕方がない。

 息子の気持ちに気付けなかった自分が、知って尚謝罪することもできない自分が。

 墨村家から、いや21代目からは……繁守から冷たい目でなど見られていない。

 あの目は、寧ろ……。

 同情?

 憐れみ?

 

 ――いや。

 

 そうだ。

 次は自分がこうなるのではないかという、恐れにも似ていた気がする。

 

 馬鹿な奴。

 アンタは精々私を反面教師にして、あの能面みたいな一人娘と仲良くしてたらいいのよ。

 ま、へたっぴには難しいことなんでしょうけど。

 

 

「烏森を、封印――」

 

「はい」

 

「……貴方を信じろと? 不敬にも開祖・間時守様の名を持ち出し、現実味のない計画を垂れ流す、貴方は……墨村と手を組むと?」

 

「はい」

 

 

 様々な国を渡り歩き、七年もの月日を経て家に帰ってきた時祓の雰囲気は、昔と変わっていた。

 必要最低限以外の言葉を喋らなかったあの頃と違い、なんてことのない軽口も話すようになったし、時祓の方から取るに足らない話題を振ってくるようにすらなっていた。

 時祓は頭が良い子だ。更に見識を広げ、もしかすると結界師など辞めて表社会で真っ当に生きたいと言い出すかもしれぬと、一先ず高等部を卒業する日まで式神は通わせていた。

 しかし時祓はその真逆で「これからは俺が烏森を守る」と言いだし、時雄の仕事を肩代わりした挙句、表社会に歩み出そうか迷う兄の背中を押した。

 

 ――この七年できっと色々な人と出会い、色々な困難にぶつかってきたのだろう。

 時雄と違い、時祓が辿ってきた七年の成長をこの目で見れなかったことは残念だったが、それを口にして嘆く資格が自分にないことは分かっていた。

 

 

「……暫し時間を置かせてください」

 

 

 だからせめて、400年のタブーに触れようとするこの子を見て見ぬふりにしようと。

 この子がやりたいと思ったことを、今度こそ、近くで見つめていたいと。

 

 

(好きにしなさい、私では貴方を止められない)

 

(……まあ、我々結界師の中で最も身軽で自由な貴方なら――)

 

 

「――――どこへだって、どこまでだって飛び立てるのでしょうけどね」

 

 

 雪村時子には、愛する夫との間に生まれた自慢の息子が二人いた。

 長男は人好きのする笑顔が魅力的な、穏やかで芯はしっかりとした性格。

 次男は才能豊かでたまに突拍子もないことを仕出かす、静かで破天荒な性格。

 結界師という世間から外れた職務を真摯に受け止め、それぞれが自分に出来ることをしようと働く、最愛の息子達がいた。

 

 どこに出しても恥ずかしくない、立派で自慢の息子である。

 

 雪村時子はずっと、そう思っているのだ。

 

 




時祓が家出した後の雪村家は結構火が燃えました。対岸の火事を見て明日は我が身と考えた墨村の21代目はそれなりに頑張って娘と交流していたという感じ。
心理描写を頑張って書いてみましたが、諄かったかな……。


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【おまけ】あれからそれから・7

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きの続きの続きの続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

『師匠……』

【何々? うまくいってない?】

『いえ、そっちは上々で……それよりも、し 時祓さんから直接紹介して貰った方以外、結界を使う度会う人会う人に悲鳴を上げられるんですが……』

【根性入ってないねぇ】

『アンタ海外で何やってたんですか?』

【ちょっと派手に動いてたくらい】

『詳細な説明を求めます』

 

 RTA中にホモくんがやってたのは日本における土地神に当たる上位存在に喧嘩売ったりケツの毛まで毟ったり地上げしたり半殺ししたり偶に殺したり、天使という名の悪魔を滅してはちゃめちゃに怒られたり、裏で世界を支配しようとしてた悪魔混じりと決闘して経験値奪い取ったり、海外の裏会たちが報酬をケチるから各支部に特攻かけて金品現物回収で一通り回ったら結果的に壊滅しちゃった、そんな取るに足らないことだけです。

 

馬鹿じゃないですか!?

【もうしないよ、若気の至りってやつ?】

『そんな簡単な言葉で片付けて良いことじゃないでしょ! いえ、ちょっと……ちょっと待ってください。……アンタも神殺ししてたんですね?』

【うん】

『しかも母さんと違って合意の上じゃないってことは、大丈夫なんですか? 呪いとか祟りとかそういうの、有り得るでしょう』

【そういうのがどれだけダメージになるかは知らないけど、最後の悪足掻きをさせる隙は与えず素早く滅せば問題ないからね、大丈夫さ。……あ、正守もやる? いい経験になると思うよー】

 

やるわけないって!!

【通話が切れた。】

 

 経過報告の電話が来たので、もう暫くすれば正守は日本に戻ってますね。

 本来なら海外電話だと料金がかかるんですけどね、ホモくんの式神作成もスキラゲ成果で短時間なら地球の裏側からでも通話できるようになった為自由にお話できるぜ、イエー。

 限界突破からの再度スキラゲって、必要な経験値も倍増するんですけど……流石化物型、ギュンギュン溜まっていい感じにレベルアップしていってますわ。

 マジ人間じゃねぇ。

 

「あれ? 時音から応援要請が届いた……修復を手伝ってほしいって、時祓いけるか?」

 

 かしこまり!

 こういった要請が来るのは大体が原作介入チャンス、ゲーム側からの手助けなので、折角親切にもこっちおいで~と言ってくれたんですからじゃかじゃか介入します。

 

「ごめんなさい叔父さん、良守が学校の外まで被害広げちゃって……」

「わ、わざとじゃねえよ!」

「その辺にちゃんと気を遣って立ち回りなさいってことよ!」

「うぐー……」

【少しずつ気を付けていけばいいよ、元気があるのは良いことだ】

 

 黒芒楼の刺客が来ていた様子。

 ポイポイと式神を放って修復術発動。……うーむ、やはり式神作成のスキルレベルが上昇してるだけあってスピードも上がってますね。

 左下にRTA中初期段階の術の発動と修復速度を映してますが、ご覧の通り雲泥の差です。Lv.20になったらどうなんだろ……私もまだ見た事はないです。

 

「見た目は完全に人間だったんだけど、動きが絶対人間じゃねーの! おじさんは昔色んな国を回っていっぱい妖を見てきたんだろ? なんか知らね?」

【千切れた右腕を観察する。】

【……妖犬の鼻と結界師の目を同時に誤魔化せる、随分と烏森向けの隠蔽工作だね。面白いや】

「面白がってどうすんだよ! 俺でもやべぇことになってるって分かるぞ!?」

【あはは。とりあえず、この証拠品は良守くんが持って帰って繁守さんに渡しておいて】

「じじいならわかんのか」

【繁守さんじゃなくて彼の知人がね。俺たちがこの皮を弄り回したところで得られる情報はたかがしれてるから、その人にお任せしよう】

「ふーん、分かった」

 

 刺客がやってきたということは明日に志々尾が転校してきますね。

 正守と親交を深めているとそういう情報が流れてくる筈ですが、なんの報せもなし……さてはホモくん、知らない内に彼を怒らせたか?(すっとぼけ)

 

【チャイムが鳴った、来客が来たようだ。】

 

 お、志々尾ですね。はいはい今出ますよー。

 

「! アンタは……」

【おや、どちら様?】

「……裏会・実行部隊〝夜行〟所属構成員、志々尾限です。烏森の地の警護及び結界師補佐役として派遣されました。こちらが紹介状です」

【確かに。中へどうぞ、当主をお呼びします】

 

 いやぁ髪型も性格もツンツンしてますねぇ。

 改めて見ると、その業界筋の人に愛されそうな見た目をしてます。

 勿論私も好きです!(大胆な告白は女の子の特権)

 

「あの、雪村時祓……さん、ですよね」

【時祓は頷いた。】

「頭領の……あっ、いや、なんでもないです」

 

「失礼、裏会の方ですね」

 

 丁度時子さんが入室したので交代。

 現時点だと夜行のボスが正守だってことは烏森側だと誰も知らないので、志々尾は口を噤みます。弟子時代の正守を色々と知りたいんだろうにねぇ、ほんま健気な子やわぁ。

 

 若者たちの青春に良い年したおっさんが混じるのは虚しくなるだけ……悲しいけど事実……そんなこんなで式神で良守たちの青春を見守りつつ、裏ボスと入れ替わり。

 

「裏会が首を突っ込んできたのね」

【夜行は正守の管轄だから問題ない、裏会はまだ未介入だ】

「そうだったの? あの子ったら前に帰省してきた時は私に何も伝えないで……それなのに私たちの情報は欲しがるなんて、欲張りねぇ」

【隠し事をしたい年頃なんじゃない? 話を戻すけど、裏会の上層部大半は腐ってるから宙心丸の利用価値にまで到達した時はいっそ潰した方が良いと思う。総本部には俺の式神を隠してるからいつでも内部事情は探れると、開祖殿に言っておいて】

 

 裏会完全崩壊ルートもありますが一気に潰すのとじわじわ追い詰めるのとで大分変わります。

 じわじわ追い詰めるパターンで、集団ヒステリックを起こす十二人会の人達を眺めるのは楽しいゾ~(恍惚)。

 

「殿様の機嫌はどう?」

【新しいタイプの玩具も来たし、十中八九妖が組織を作り上げてる。今後襲撃もあるだろうから、もう暫くは放っておいてもよさそう】

「分かったわ。暇潰しが終わって殿が不機嫌になった時の対応は、私に任せてもらえるかしらぁ」

【妙案でもある?】

「殿様は妖が好きだから、余所から持ってこようかと。気に入りそうなのを幾つか張ってるのよ」

 

 はい、ホモくんの烏森封印準備はいつもと変わらん画なのでカット。

 ……と思ったら、正守から連絡が来たので載せます。

 

『ちょっと急用が出来たので、一時帰国してもいいですか?』

【試験に期限はないから平気だよ、本来の仕事を優先するべきだ】

『ありがとうございます』

【数十秒間、沈黙が続く。】

『相変わらず、時祓さんは質問をしませんよね』

【相変わらず正守は脈略なく喋るよね】

『貴方ほどじゃないですって。じゃ、失礼します』

 

 正守に課した試練は適当に選んだんですけど、今確認してみたら竜の鱗採取になってました。

 ……なるほど、パッと終わらないわけだ。

 多分ホモくんの特別性天穴の材料になったあの竜と同一です、竜も近代に入って大分貴重種になってきてるので。

 そんであの竜も通常プレイだったらかなりの高難易度だからなぁ……頑張ってくれ正守くん。

 それに帰国する用事は十二人会の会議でしょうから……頑張ってくれ正守くん。

 

 今度こそカットして、週を跨いでいきます。

 

【繁守の式神が現れた。】

「雪村時祓さん、裏口にて主人がお呼びです。この間の人皮についてお聞きしたいことがあるそうです」

 

 あ、「好」か「信」が一定以上だとこんな感じで相手キャラから呼び出されることもあります。

 今回の繁守の場合だと「信」になりますが……どのタイミングで「信」上がってんだろう。

 RTA中は勿論、その後ですら繁守と話したことなんて片手で数えられるくらいしかないんですけどね。

 

「小僧、烏森に着いた時の詳しい情報をお前が断言できる範囲で全て教えろ」

【それが松戸さんの条件ですか】

「……報酬もなしじゃからな、これくらいはせんと」

【喜んで協力しますよ。しかし断言できる範囲となると、後処理で呼ばれた俺では大したことは】

「事後のみだろうと敵の情報を読み取る術はお前の方が確かじゃろうが。侵入者と直接対峙した良守は説明が下手クソ、感覚でしか物を言えんからな。そっちはそっちで聞くが、どちらにせよお前から聞いた方が量も正確性も上じゃ」

【分かりました。明日の夜までには紙に纏めますので、松戸さんにお渡しください】

「ああ、任せた」

 

 肘までの右腕と繁守から伝えられた情報だけで黒芒楼にまで辿り着いて、短期間で簡易的だろうと人皮の再現にまでかこつけるんですから松戸も相当なハイスペックですよね。

 しかも最初は白が関わってるとは知らないから、ただ興味本位で調べているだけで熱も入れていないのに……。

 

 また淡々と似たようなシーンが続くのでカットします。

 ちょっと時間が飛ぶので、どの辺をカットしたのか当時の画面シーンを切り取って貼り付けつつ説明すると、

 

 良守が風邪引いて烏森見回りを休んだ。

 十二人会が終わった正守が海外へ向かった。

 黒芒楼が昼間に烏森へやってきて、夜に対決した。

 正守が扇一郎に呼び出しくらって帰国して、また海外へ向かった。

 志々尾が暴走しかけたので解任されかかっていたが、継続決定になった。

 

 正守くん、日本と海外を行ったり来たりで忙しいね……ほんと頑張ってね……。

 

「初めましてー、裏会・夜行所属の花島亜十羅と申します! 時音ちゃんはいらっしゃいますかー?」

 

 はい、亜十羅のコンビネーション試験の所まで来ました。

 ホモくんはいざって時のフォロー要員なので、原作以上の大事に発展しない限りただ事件を後ろから見守ってるおっさんです。

 置物にも似た見守るだけのおっさん……地味に嫌ですねこれ。

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 裏舞台ばかりで、もうちょっと自発的に動いた方が良いのかな? と当初は考えていましたが、プレイしていく内にホモくんは今の動き方がそれらしい気がしてきたので、このままいきたいと思います。

 では、ばいなら。

 

 




アンケート機能を使ってみたいんですけど、そもそもアンケをとるようなことがないから……。ハーメルンに搭載されてる機能を全活用できるようになりたいです。


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裏・あれからそれから・4


 

――Case.雪村 時音

 

 

 あたしがまだ小さい頃、幼稚園にもまだ通っていなかった昔の話。

 覚えている中で、あたしが結界術という存在を認識したのは叔父さんの修行姿を見たのが切っ掛けだ。

 思い返す度恥ずかしくなってしまうので思い出したくないが、あの頃のあたしはひたすら叔父さんの後ろを雛のようについてまわっていた。

 

「どこいくの?」

「時音はお昼寝タイム、俺は修行タイムだ」

「む~~~っ、やっ!」

 

 恐らく、その日はお父さんもお母さんも外出していて止める人がいなかったんだと思う。

 昼寝の時間になっても寝ようとせず見守る為に用意された式神を叩き、道場に行こうとする叔父さんの裾を掴んで離さないものだから、諦めた叔父さんは胡坐をかいてあたしを膝に乗せてくれた。

 修行を開始して、半透明な緑色の正方形が現れる。

 あたしは五センチにも満たないそれに釘付けになった。

 

「わあっ!」

 

 次々と作り出される正方形。

 同じサイズの正方形が増え続け、それはやがて巨大な正方形へと形を変えた。

 小さい正方形が瞬きをする間に積み重なり、息を吐く暇もなく二メートルを超えたのだ。

 圧倒的な存在感、そして力強さ。

 窓から差し込む光に反射して煌く美しさ。

 目を逸らした瞬間に跡形もなく無くなってしまうかのような神秘性。

 あたしだって女の子なのだから、綺麗なものは好きだった。

 

「すごい! すっごーい!!」

 

 ――きらきらしている、きらきらがこんなにおおきい!

 

 胸の内にも眼前のキラキラが生み出されたようで、世界が一気に輝いて見えた。

 衝動のまま叔父さんの膝から駆け出し、大きな正方形を見上げながらその周りをくるくると回り続けた。

 叔父さんが作り出したそれに魅了された。

 通常の結界ならばもっと濃く暗い色をしているというのに、その時あたしが見たそれはとても薄く明るかった。

 きっと叔父さんは、日曜朝に放送されている女児向けアニメを毎週見ていたあたしの趣味に合わせて、意図的にそのような結界を作ってくれたんだろう。

 

 小さいのに大きくて、力強いのに美しくて、神秘的で目が離せない結界。

 あの結界を今でもずっと憶えている。

 

 叔父さんは魔法使いだったんだ、あたしも魔法を使ってみたい! それをそのまま叔父さんに言ってみたら、まだ早いと窘められて気分が沈んだ。

 あからさまに落ち込んだあたしに苦笑した叔父さんは「時音は何の動物が好き?」と聞いてきた。「わんわんがすき」と答えると、叔父さんは笑って頷いて……。

 

「ほら時音、あっちを見てご覧」

「え? ……きゃあ! わんわんだっ!」

 

 叔父さんが指差した先にいたのは、先程と同じ半透明の薄緑色で作られた柴犬。

 今ならば、幾千幾万という多角が用いられた高等技術をたかが犬を再現する為だけに使用したというまさに目を疑うような光景だったのだと分かるが、当時のあたしは知る由もなく、可愛らしい柴犬にただ夢中になった。

 そして絶対にこの魔法を使えるようになってみせると意気込んだものだ。

 

「ねえねえっおじさん、またあれやってー!」

「時音は本当にこれが好きだね、いいよ」

 

 それからあたしは毎日叔父さんに魔法で――途中でおばあちゃんが結界だと教えてくれたが暫くは魔法であると信じ込んでいた――動物の再現をおねだりした。

 特に犬シリーズがお気に入りで、チワワやマルチーズのような小型犬を出されるとぴょんぴょんと飛び跳ねて喜んだ。黒歴史だ。

 幼稚園に通う年を迎え、次期22代目として結界術を習うようになってからは自分で可愛らしい犬を作り出せるように修行に明け暮れた。

 

「凄いじゃないか、もう結界が作れるようになるなんて天才だな!」

「……むぅ」

 

 犬を形作れるようになるべく日々精進し続けたが、全然うまくいかなかった。

 

「どうしたんだ時音?」

「……わんわんできない」

「――ああ、時祓のように作りたいんだな。四角以外の結界を扱えるのは時祓だけ……それか守美子ちゃんくらいしか出来ないんじゃないかな。時音が出来なくっても気にすることはないぞ?」

「やだ! あたしもやる!」

「今だって時音は上手だから……ほら、これとかフレーミーみたいで可愛いじゃないか」

「おとうさんのばかーっ!!」

 

 あたしは四角いフレームではなく、犬を作りたかったのだ。大泣きして、とても暴れた。

 お父さんにはとても悪いことをしたと反省している。

 今ではフレーミーもこれはこれで可愛らしいと思っているので、許してほしい。

 

 そんな幼少期もとうに過ぎて、あたしは大人と子供の間の時期にいた。

 

 小学生になって、叔父さんの技術は実はとんでもなくハイレベルなのではないかと気付き。

 中学生になって、叔父さんに追い付こうと必死に修行を続けおばあちゃんに待ったをかけられ。

 高校生になって、自分の才能の底が見えてきた。

 

 テクニックこそそれなりに磨けていると思うが、大人たちには敵わない。

 パワーは年下の良守の足元にも及ばず、結界師の中でも下位に属する。

 

(……駄目だ、このままじゃ)

 

 焦燥感が全身を駆け巡っているのをひしひしと感じていた。

 良守の前では取り繕い大人ぶっているものの、あの強大なパワーを扱えるテクニックを身に付けた時、あたしが良守に勝てる要素は無くなる。

 勝ち負けなんかじゃない。そんなの気にする必要はない。烏森を守れればそれでいい。

 理性でそう言い聞かせても、また別の理性が泣き言を言う。

 

 追いつかれることを恐れ、そして半ば諦観を抱いていた。

 

 鍛錬は怠らない。負けん気はある。

 あの猪頭の良守が、そう易々と妖相手に必要である冷静な判断力を培えるとは思えない。

 言い訳とこじつけとプライドと対抗心。

 

「自分に出来ることをやればいいでしょ」

 

「人には向き不向きがあるんだからさ」

 

 口ではそう言いつつ、あたしも良守のような圧倒的なパワーを使えるようになりたいと、どこかで羨望していた。

 だって、なりたいのだ。

 叔父さんみたいな優秀な結界師に。

 頭が良くて優しくてとっても強くて、皆が頼れる、そんな人になりたかったのだ。

 

 だけど、頑張れば頑張るほど限界が見えてくる。

 冷たい現実が襲ってくる。

 

 それでも歯を食いしばって鍛錬を続けていたある日、海外で働いていた叔父さんの仕事が終わったようで、日本で暮らせるようになった。

 叔父さんは優しいけど、仕事に関しては厳しい。他言無用な仕事で守秘義務が存在すると最初にハッキリと言われたから、あたしは仕事について何も知らないのだ。

 これからは守美子さんと同じ仕事をするようになる、らしい。

 守美子さんもとても忙しい人で、海外に行っていた叔父さんほどではないけど滅多に家に帰ってはこれないようだった。

 それに海外の仕事が終わった叔父さんが加わって、定期的に帰宅することが可能になったようだ。

 

 一週間から二週間毎に叔父さんと守美子さんが交代で仕事場に行き、そして家に帰ってくる。

 叔父さんが戻ってきて、広かった筈の家が少しだけ狭く感じた。

 それがとても嬉しかった。

 現実の冷たさが、ちょっとばかり薄れたのだ。

 

 叔父さんが家にいる間はお母さんの家事を手伝ったり、別の人から依頼を受けて出掛けたり。

 最初はそんな風に過ごしていたのだが、ある日道場でばったりと叔父さんに会ったのが転機だった。

 

「時音の邪魔になっちゃうね、後にするよ」

「待って! ……あの、叔父さんの修行、あたし見てみたいな」

「修行は大げさだよ、鈍らないように一通り結界を作るだけさ」

「それを見たいの。でも、叔父さんが嫌なら無理は……」

「あはは、それくらい平気平気。好きなだけ見てって、今からやるから」

「う、うん!」

 

 結界を作る時、結界師は大抵手を動かす。

 それは必ずしも必要な動作ではないが、明確な基準となり空間認識を補助する役目を果たしている為、あたしは勿論のことおばあちゃんも良守のおじいちゃんも、術を発動する際は構えを取っていた。

 そして、叔父さんは補助を必要としない結界師だった。

 

「強い妖が相手だと、構えのポーズが術の発動目安になって結界が完成する前に脱出してくるようになるからね。時音も気を付けて」

「叔父さんの結界の形成スピードに追い付ける妖がいるの!?」

「単純な速度なら今でも稀にいるよ。そういう時は他の手段で隙を作るか、体力を削って速度を緩ませてから囲ってるんだ」

「そうなんだ……」

 

 やっぱり、叔父さんは凄い。

 同時に十重の結界を張ることも、多角形の結界を張ることも、あたしは今でもまったく出来そうにない。

 手を一切動かさずになんてことのないような顔で、視界の範囲外にある場所へ結界を張るなんて、達成するイメージが湧かない。

 遥かな高みにいるのだと改めて実感した。

 

(……あたしよりもよっぽど正統継承者に相応しいのになぁ)

 

 ――何故、方印があたしに出たのだろう?

 

 ずっと疑問だったことが改めて脳裏に浮上した。

 あたしよりも叔父さんの方がテクニックもパワーも判断力も、全部上だ。

 方印ってなんだろう。

 烏森に選ばれるって、なんなんだろう。

 叔父さんやお父さんを差し置いて、どうしてあたしが……。

 

 それでも、不思議と心は穏やかだった。

 小さな時から格上の存在だと知っていただろうか? 家族だからだろうか? 最初から敵うはずがない人だと思っているからだろうか?

 追いつくビジョンがない。

 ……それでも、本当に不思議とやる気が漲ってくるのを感じた。

 

「ねえ叔父さん、お願いがあるの」

「ん?」

「稽古をつけてください! 叔父さんの都合がついた時だけ、ほんのちょっとでもいいの、お願いします!!」

 

 土下座をして頼み込んだあたしに、叔父さんはあっさりと頷いてくれた。

 叔父さんの手解きを受けるようになってからというもの、少しずつではあるが以前よりも多くそして長い時間結界を作り出せるようになり、前に進んでいる実感が湧いて出る。

 

 おばあちゃんはあたしの自主性を重んじて、最初に基礎を教えてからは放任、自分で課題を見つけて自分で答えを探し出す方針だった。

 対する叔父さんは明確な指示があり、どの能力を伸ばせば良いか、何故伸ばすべきなのかの理由を語って方向性を掲示してから修行メニューを決めてくれた。

 

 おばあちゃんのやり方だったからこそ手に入れた武器。

 叔父さんのやり方だったからこそ手に入れた武器。

 どっちも大切で、あたしにとって重要な戦い方だ。

 

「――よっし、今日も自主練頑張るか!」

 

 もっと強くなりたい。

 日々追いかけて成長する良守を見て、その想いは段々と膨れ上がっていく。

 ……あたしは結局、どんなに修行を積んでも力技は向いていないみたいだし、そこはアンタに任せるわ。

 でも、技術一点じゃ負けるつもりはないから。

 だっておばあちゃんと叔父さんの二人から教えを受けてるんだもの、負けたら悔しいじゃない?

 

 そこの所、しっかりと覚悟しておくように!

 

 

 

 

 


 

――Case.火黒

 

 

 いっそ笑えるほど、退屈していた。

 退屈すぎて刀を生み出しては捨てる無意味な作業を繰り返し、以前よりも形成速度が上がってしまったほどだ。

 

 ほんっとつまんねぇわ、アイツどこいったんだ?

 いつでも受けて立つとか言っといて急にいなくなるとか、ないわー。

 アイツに引っ付き虫してた坊主頭くんにちょっかいかけんのも有りだが、アイツと比べると大したことねーだろうしなぁ……。

 黒い装束の方も姿見かけなくなったし。

 外国に行くってのもなー、泳ぐのあんま得意じゃねーから……てかリヒテンシュタインってどこだよ、聞いたことねーよ。

 

 あー、つまんね。

 

 惰性的に日々を過ごしながらも、修練だけは欠かさずに続けていた。

 そしてある日、妙な輩が俺に会いに訪れてきた。

 

「お前が周期的に烏森周辺に現れるという火黒だな? 話を聞かせて貰おう」

「んぁ? ……おー良いぜ、話してやるよ! どうせ暇だからなァ」

 

 白とかいう妖にも似た人間。

 ちょっと面白い匂いがするし、丁度いい暇潰しになりそうだ。

 なんでも答えてやるからさっさと話とやらを聞かせな。

 

 

「烏森についてね、妖に力をくれるってこと以外はなーんも知んね」

 

「……いいやぁ? 最初はそれ狙いだったが、今はもう止めたよ。気が乗らなくなってな」

 

「あの町にいる奴に用があっただけだ、今はいないからもういってねーしな」

 

「こくぼーろー? おう、入ってやるぜ。あ、その変な虫はノーセンキュー、っと」

 

 

 ……へえ、黒芒楼は烏森の土地を狙ってんのね。

 黒芒楼っつか黒幕ぽいアンタが狙ってる感じ?

 ほぉーお……。

 

 ――あそこを脅かせばアイツも戻ってくるか?

 

 アイツ個人は土地に興味はなさそうだが、立場的に戻らざるえないだろうな。

 黒い装束が来ても良いな、うん。

 

「ひひっ、やる気出てきた」

「……身勝手に烏森に襲撃したりするなよ、分かってるな火黒」

「へーへーわかってますよぉ」

 

 アイツと殺し合って感じる刹那の瞬間が好きだ。

 それが一番生きてる心地がする。

 アイツが本気を出さず、命を懸けた殺し合いじゃないってのだけが不満だが、それは俺の力量不足の所為だ。

 だが今のままだとただの殺し合いすら叶わない。

 

 だから、それを得られる為なら不自由も悪くは無い。

 俺はその日から黒芒楼という組織に参入した。

 

「アイツ等の後を継いで守ってる奴らの力も気になるなぁ、後のお楽しみにしとくか、ハハッ」

 

 

 

 

 

 

 

 ――――なんてことをまあ、少なからず考えてたわけだが……。

 

(想像以上に想像以下だわ……マジかよ)

 

 アイツと同じ白い装束を着た小娘とあの女と同じ黒い装束を着た小僧、どっちも期待外れ。

 血気盛んな妖混じりが最も実戦慣れしていて、俺の力に勘付いた。

 つい最近入ったばっかの外部者が一番マシとか、烏森大丈夫か? なんて威力偵察にきた俺が思わず逆に心配してしまうほどの警備の薄さ。

 

「黄金世代の後には谷間の世代が来るって聞いたことあるな、あ~クソ! これかぁ!!」

 

 屋上のフェンスに理事長室の椅子をひっかける。

 椅子に悠々と座りながら、人皮を被った妖共と結界師連中を見下ろす。

 

「あーあ、まんまと入り込みやがって」

 

 事前に用意しておいた呪力封じの結界の領域まであっさり誘導され、結界が使えなくなる始末。

 がっかりだ。

 がっかりとしか言いようがなかった。

 早めに烏森で準備していた俺たちを見て、罠を仕込んでいる可能性すら考慮していない知力の低さもがっかりだったが、それ以上にがっかりなのはあの程度の呪力封じで使用不可になるほどの呪力しか持っていないということだ。

 

 妖四体がかりで作動する呪力封じ結界に入っただけで、異能使えなくなるか?

 アイツ等ならあんなのものともしないで結界作れるぞ?

 確か年は中二高二……て十四と十六だったか。初めて会った時のアイツの年齢より上?

 ……ええ?

 嘘だろ、なんであんなんな訳?

 普通、もうちょっとやるもんじゃ……。

 

 ――その瞬間、はたと気付く。

 

あっ!! そういやアイツ等、化け物だった!!

 

 やっべ~~~~、常人とあの二人を同じ物差しで測ってたわ~~!

 危ねぇ危ねぇ、〝普通〟はできねーわな。

 普通のガキならこんなもんか? うん、こんなもんだな。普通はこっちだった。

 あっぶねー、普通の基準が完璧に汚染されてたぜ俺。

 結界師つっても流石にアイツ等と同じ実力がわんさかいるわけねーだろうが、普通はそうだわ。

 

 パンパンと頬を叩いて、検めて評価しようと小僧と小娘の動きを観察する。

 冷静に!

 普通に!

 一般的、を念頭に置いて!

 

「……」

 

 結界の速さ、駄目。あんなのちょっと歩けば抜けられる。

 強度もてんで駄目、ボロクソ。風が吹けば壊れるんじゃね?

 寸法は……小僧はまあまあって所だが小娘が駄目だな。小回りが利くのは小娘の方だから、そういう意味ではバランスが取れている。そこは報告書通りだ。

 頭脳で敵側の動きを制限させるなりでカバーできればまだ良かったが、それも駄目。

 

「駄目駄目尽くしじゃん……」

 

 これなら坊主頭くん……名前なんだっけ、正……元? 正元くん? のが良いわ。

 その正元くんもいなくなってるし、マジつまんねぇ。

 呪力封じの結界から脱出できたのは普通の術者にしては及第点と言えるぐらいだ。

 

 背凭れにぐっと体重を乗せ、欠伸をかいた。

 

(あー、やる気なくなった……帰って修行してーな)

 

 

 小僧が絶界に似た技を使ったのを見たことで俺の気が持ち直すまで、あと五分。

 

 




どっちも長くなったので分割しようか迷いましたが、シナリオの進行ペース的に今入れた方が良いので投下。


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【おまけ】あれからそれから・8

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

 前回の画面から再生します、亜十羅がやってきた所からですね。

 

「初めましてー、裏会・夜行所属の花島亜十羅と申します! 時音ちゃんはいらっしゃいますかー?」

【ええ。長用でしたら中へ】

「いえいえ! 烏森を警護してる三人と少し話し合いをしたいんですけど、良守くんが今限の家に行ってるみたいなので時音ちゃんの手が空いてたら一緒に行きたいと思いまして」

 

 時音に事情を話して志々尾と良守の所まで見送ります。

 このイベもスクショ載せて前回のカット一覧に組み込もうと思ってたんですけど……。

 

「時祓さん時祓さん、よかったら今夜 限たちの特訓に協力してもらえません?」

 

 去り際にお誘いを受けたので頷きます(乗り気MAX)。

 

【構いませんよ。三人のコンビネーション、俺も勿体ないと思ってたので】

「さっすが話が早い! ではまた後でお伺いしまーすっ!」

 

 正守と友好関係を築いているとこんな風に夜行所属の人からのアプローチが多くなります。

 ゲーム側から出される助け舟の確率が高くなるということですね。

 

 ……はい、三人との話し合いが終わった亜十羅がやってきました。

 

「連携が全くなってないのは時祓さんも御存知ですよね。で、その連携に問題があるのはこちら側、補助役の限が先走るのが一番の原因なんです。も~頑固な子でごめんなさいっ」

【良守くんのいい起爆剤になってくれてますよ】

「男の子ってなんであんなに張り合うんでしょうかねー。今回の特訓で妖獣たちと私が三人を相手にしている間は学校側の警備が手薄になるので、時祓さんには妖退治の微調整をお願いしたいです」

【特訓が成立する数を維持すれば良いんですね?】

「はい、やってくる妖ちゃんが普段よりも多かった場合にちょっと減らす程度で大丈夫なんで」

【お任せあれ】

 

 特訓会議が終わり、亜十羅と一緒に烏森へ。

 

「雷蔵に乗って行くと早いですよ、時祓さんもどうぞ」

 

 亜十羅と行動すると雷蔵に乗れます。熊に乗る機会なんて早々ありませんよね。

 折角なので雷蔵に跨ってみます。あ、位置は亜十羅の後ろになるようです。

 

「うそ、叔父さん!?」

「まさかおじさんも特訓に参加すんのか!」

【俺は裏方だよ、気にしないで進めて進めて】

 

「ただし――こうしてる間にも他の妖ちゃんが来ますので、それは随時倒してください。最近は妖ちゃんが来る数も増量してるみたいだから、念の為時祓さんに微調整を頼みましたが、だからって放置するのは禁止ね!」

 

「なるほど、叔父さんがバランサーになってくれるのね」

「ば、ばらん……?」

 

 始まりました、三人のコンビネーション試練。

 ホモくんが三人の戦闘を直接見るのは、何気にこの試練が初めてだったりします。

 普段は式神に任せているのでね。

 

 ……。

 

 ちょこちょこホモくんが時音を、裏で裏ボスが良守を鍛えているからか、志々尾が一人で突っ込んでもフォローを回しきれるせいで結果的に志々尾との連携が原作以上に噛み合ってないっぽいですね。

 欠けてる部分を満ちている部分で無理やり補ってる感。

 人間関係はちゃんと進んでるみたいなので、後は慣れかな?

 雷蔵を倒すのに二十分、あと四十分も残ってます。

 茶々入れしても大丈夫みたいですし、ホモくん出動。

 

【亜十羅が限に捕まりかけた瞬間、二人の間に防壁の結界を張った。】

 

「なっ!?」

「あらっ?」

【花島さん、こっちもコンビネーションでいきましょう】

「……OK、そういうことですね! いっちゃいましょ!」

 

 歩み寄ることなく能力のゴリ押しで特訓終了になりそうなので、難易度を上げます。

 

「マジかよ、裏方だっていったのにずりぃぞ!」

「限くん! 叔父さんは私たちよりもずっと巧く結界を使うから気を付けて!」

【折角の訓練なんだ、こんなに早くに終わることはない】

 

【アセンブリーの能力を借り受け、空中飛行が可能になった。】

 

 亜十羅が妖獣の力で空中戦が出来るように、主人公も妖使役で仲間の力を借りたり奪ったりすることで空中戦が出来るようになります。あと妖混じり、妖出身で空が飛べる能力を最初のランダムで手に入れられたら出来ます。

 ホモくんの場合、RTA中だと他人や他妖 他悪魔の力を借りると実績が解除出来なくなるので使用しませんでしたが、実はアッシーくんが飛行能力持ちですね。

 

「アンタも飛べるのか……!」

【花島さんには近付けさせないよ~】

 

 ここでレベル差が一定以下なら戦闘、一定以上ならミニゲームに移行します。

 ホモくんは当然一定以上なのでミニゲームですね。

 制限時間内まで亜十羅を志々尾から守り抜けば勝利。

 画面上のように、志々尾が亜十羅に近付こうとする度結界で妨害するだけで良いです。

 少し時間が経つと亜十羅の妖獣に抑え込まれていた時音が復活するので、時音が志々尾のサポートで結界を出してきますが、それは切界で斬ります。

 時間経過で勝利と言ってもホモくん&亜十羅チームが勝つわけではなく、志々尾が自分の手ではなく良守の手を使って亜十羅を捕らえさせようと行動変更する為、勝利判定。

 はい、勝ちました。

 

「行けぇ!」

「おうよ!」

 

 特訓クリア、お疲れ様です。

 男同士の青春はイイ……(ホモ並感)。

 

「もー……まさか叔父さんが入ってくるなんて思わないじゃん」

【思ってたより個々の力が強くて、あっさり終わりそうだったからね】

「いじわる」

【こうした方が皆の為になるかなー? って。ごめんごめん!】

「もう、まったく……まったくもう!」

 

 志々尾&良守&時音のチーム力が高まりました、拍手。パチパチ。

 ああいうほのぼの日常回はともかく、シリアス事件回にホモくんが本腰入れて首突っ込むと呆気なく終わっちゃいますからねー、化物型ステだとほぼ例外なく蹂躙できるっていう。

 シナリオブレイクするフラグもないんでホモくんを動かす必要もないですし、事件の方からホモくんの許にやってくるのを待つ感じですね。

 そんで開祖からの訪問がありました。

 

「昨夜、無色沼の沼が荒らされた。すっかりと干上がってしまっていたが、時祓くんは何か情報を掴んでいるかい?」

【人の皮を被って侵入してきた妖がいましたよね、それが所属する組織と同じ連中でしょう】

「妖が組織運営に手を出すとは時代は変わるものだ……目的はやはり、烏森か」

【以前の主であるウロ様の寝床を探ろうとしている辺り、十中八九烏森目当てかと。普通の妖なら力の増幅が目的になりますが組織ぐるみの敵ですからねぇ、増幅だけじゃないと思いますよ。……ははっ】

 

 結奇の主人公の性格って、プレイヤーが選んだ台詞選択肢や操作してきた実際の行動によって温和好戦的無気力etcそれぞれ性格値の数値が変動していって、台詞選択肢で選択できる内容も細かく変更されるんですけど、ホモくんはやっぱ……器用さが高いので直接的な物言いではないですが、好戦的ですね。

 RTA中に溜まりに溜まった人外狩りが響いてますね~、この辺。

 裏ボスを最短で倒すルート作ったら自然とそうなるわ。

 

「ここ最近、烏森周辺がきな臭くなっていることは時祓も知っていますね。相手は黒芒の化け狐、本来なら貴方に出向いてほしいところですが……」

 

 時子さんから呼び出されました。

 主人公が雪村の縁者で一定レベル以上だと、黒芒の本拠地を調べに行けるようになります。

 が、今回のルートだとホモくんは烏森封印関連以外の長期的な外出は避ける方向になるので、原作通り時子さんが赴くことに。

 

「墨村の娘と相談して、私が留守にしている間は極力時祓が家に居座るようにしてください」

【分かりました、彼女にしかと伝えておきます】

 

 ふむ。

 

【携帯電話の着信音がする。……正守からだ。】

『時祓さんにお伝えしたいことがあります。亜十羅を含めた、烏森を見張らせている数名の夜行の者も連れて仕事に行かなければならなくなりました。増員もそれに応じて少々伸びることになります、片が付くまでは良守たちの面倒をよろしくと、母にも伝えておいてください」

 

 ふむふむ。

 

【直接言えばいいのに】

『母は携帯を携帯しないじゃないですか』

【携帯しとくように言い聞かせておくから、メールでもなんでも自分で伝えな】

『む…………はい』

 

 どうやら事件が向こうからやってくるようです。

 早速裏ボスに教えます。わー急げ急げーい、式神飛ばせーい。バッサァ。

 

 いや~……ね?

 私もホモくんもね?

 別に、来てほしかったわけではないんですがね?

 時子さんと正守から後はよろしくって頼まれている上でね?

 鴨が葱背負って、土鍋持って、しかもガスコンロまで一緒にやって来るって言うならね?

 きっちり煮て食ってやらないと失礼にあたるって、古記事にもそう書かれていますからね?

 そういや、狸鍋や猫鍋は聞いたことありますが、狐鍋ってどうなんでしょうか。

 

 ――――(閃いた顔)。

 

 次回、 実 食 !

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 前々から存在感を醸し出していた黒芒楼がついに遊びに来るみたいですから、全力で御持て成ししてあげましょう。

 では、ばいなら。

 

 




人間が妖に勝てるわけないだろ!(迫真)


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裏・あれからそれから・5


 

――Case.4

 

 

「絶対、変だ!」

 

 夜行の本拠地にて。

 おやつのプリンを食べ終えた閃は大袈裟な動作で腕を組み、頷きながら言った。

 

「なにふぁ?」

「だーかーら、頭領の動き! 変だろ!?」

「ふぉっふぉう」

「プリン食うの止めろ!」

 

 閃によって奪われたプリンが乗った皿を悲劇的な形相で手を伸ばす秀。

 奪われるどころか、残りのプリンが閃の口に運ばれる始末。

 成長期の子供にとっておやつはガソリンとも言い換えられる、秀は泣いて抗議した――――わけではなく、自分の食べかけのプリンを閃が食べたことにちょっとだけドキドキしていた。

 

「そ……それで、どのあたりが変なの? 相変わらず忙しそうにあっちこっちに動いてるように見えるけど」

「海外に行き過ぎ! イギリスに行くたんびに他の用事が出来て戻って! また行って! 呼び出し食らったりして戻って! また行って! 多いだろ、変だろ!」

「海外の……なんだっけ、ディフェンス……? ストライカー? とかいう、ヨーロッパの裏会みたいな組織と協力してる任務があるって話だし」

「ディフェンダーだ! そもそもこの組織名も変だ、ネーミングセンスがなさすぎる!!」

 

(閃ちゃん、自分の機嫌が悪いから手当たり次第に突っかかっているようにしか見えない……!)

 

「頭領が日本から出たことは一度もない筈だ、どうしてディフェンダーと繋がってる? 手軽に日本に舞い戻れるくらいに融通が利いて、ちゃんと期間を設ければいいのにそうしないで隙間を縫うように海外に行く必要がある任務ってなんだ? ちゃんと考えろ、変だろ!?」

「うーん、そう言われてみれば……そうかも」

「だろ!!」

 

 圧に負けて一旦頷いて見せる秀に、閃は満足そうに肯定する。

 プリンを一個半食べられたから満足したわけではない。

 

「――確かに、変かなって思ったけどさ」

「あ?」

「頭領が自分たちにする秘密事っていうのは、夜行には関係ない案件か、もしくは自分たちを……仲間を守る為にあえて黙秘しなきゃいけないどっちかだよね?」

「……う、」

「変だって思って知りたがる閃ちゃんの気持ちも分かるけどさ、自分たちの立場じゃ知っちゃいけないトップクラスの機密情報があるかもしれないし……」

ぐう……

「まあ、色々組織の込み入った事情も入ってるかもしれないわけで」

ぬううう

「あんまり首を突っ込むのはよくないよ」

 

「……お前……お前、偶に痛い所を突きまくるよな!!」

 

「痛いっ!? 痛い! いつも爪で突きまくるのは閃ちゃんだよね!?」

 

「うっせーバーカ!!」

 

 

 

 

 


 

――Case.5

 

 

 烏森に送り込んだ斥候部隊によって集まった情報を纏めあげてから書類として形に落とすのは白の役目だった。

 様々な方法で黒芒楼の配下に引き入れた妖に蟲を入れて支配するのは、逃げ出さないようにする為の首輪という面が大きい。

 しかし、並大抵の妖には文書による情報提出など出来やしない。

 口頭での報告すら、下級の妖では支離滅裂で満足に行えないのだ。

 蟲により脳すらも支配下に入れることで、人間の作業に手間取る妖に割く時間を削る為でもあった。

 

「……ハァ」

 

 野生の獣であっても獣同士では不文律が存在しているように、妖にも多少のルールがある。

 その数少ないルールの一つが『弱肉強食』である為、外法に手を伸ばし続けた結果人でありながらも妖と相違ない力を手に入れ強者となった白が課した規律を、妖たちは内心はどうだろうと表面上は守っていた。

 それでも、と白はつくづく思う。

 組織という体制は、徹底的に妖には向いていないと。

 

「ハァ……」

 

 最初から分かっていたことだったが、近頃は組織拡大に従って配下も増員している為、自ずと下級の妖が増える傾向にある。

 初期の増員は白の手でスカウトした者が多かったので、逆らう馬鹿は滅多にいなかった。

 だが今では鼠算方式で配下が増えている。

 よって、そこかしこに馬鹿が混ざっていた。

 幹部の一人である藍緋の部下は、藍緋自身による教育の手腕が優れている為に、多少は使えるのだが――……。

 

(姫の容体も段々と悪化している……短期決戦が望ましい)

 

 粛清するのはいい。

 問題なのは、ここまで組織が拡大すると阿呆の数がかなりの割合を占めるということだ。

 質も重要だが、数というのは侮っていいものではない。蔑ろにしていいものではない。

 捨て駒とて、いやいつでも切り捨てられる捨て駒だからこそ、組織には必ず常備するべき品なのである。

 大事にとっておくべき部下ばかりでは意味がない。

 それでは損失を懼れた組織全体の動きが緩慢になり、余程の能力を保持していなければ大胆に動けない。

 余程の粗相を仕出かす馬鹿でない限り、放置しなければならないのが、白の頭痛の種であった。

 再び溜息を吐こうとした瞬間、膨大な妖力の持ち主が白の執務室に近付いている事に気づき、気を引き締めて顔を上げる。

 

「今戻った、お前から渡された卵はきっちり妖混じりの小僧に渡しておいたぜ」

 

 部屋に入ってきたのは、火黒という名の全身に包帯を巻いた和服の妖。

 立場としては何の肩書きも権力もない、ただの一配下でしかない。

 しかしこの存在は、白が作り上げた組織の中で一番の実力を持ち得る――最強の妖だった。

 

「ああ、よくやった。どのように受け取らせたのか、詳細を述べてくれ」

 

 火黒には、白の蟲が入っていない。

 黒芒の姫が求める――――今では副産物の効力を狙って白が強く求めている、烏森の地周辺で目撃される事が多かった火黒を警戒した白が直接出向いた際に、使い用さえ間違えなければ黒芒楼の力が増すだろうと蟲で支配しようとしたのだが、一瞬で斬り捨てられてしまったのだ。

 刀身を右掌に生やし振り下ろされた速度は、限界まで身体を改造した白の目を以てしても捉えることすら適わなかったほど。

 

「――とまあ、小僧が隠してるつもりらしいコンプレックスを刺激してやったら簡単なもんさ」

「成程。……火黒、お前は人の心の動きをよく理解しているな」

 

 獅子身中の虫を飼っている自覚はあった。

 火黒の性格上、今、なんとなく気が向いたから……たったそれだけの理由で白に反逆を起こしても何も可笑しいことではないと確信している。

 

「あれはあの小僧が分かり易かっただけだ、たいしたことじゃない」

 

 だが、なんとも不思議なことに。

 火黒は白率いる黒芒楼の手で〝烏森に特大の異変を起こす〟という事実が変わらぬ限り、黒芒楼を抜けることなく手伝ってやると明言していた。

 

「結局、あの妖交じりの小僧に渡した卵って何なんだ?」

 

 それが偽りのない本心なのか、断言することは白には不可能だが、それでもある程度の信用はしても良いだろうと判断を下している。

 

「……ほぼ言った通りさ。持ち主の姿を真似て愛玩を誘う、忠実な使い魔……」

 

 仲良くやろうではないか。

 烏森を襲撃するまで、もう少し。

 

 常時烏森を防衛しているのは二人と、外部の協力者一人。その誰もが子供である。

 結界師の実家は紫遠を使って取り押さえて増援を呼べなくし、烏森は牙銀を使って一気に制圧する。

 事前の斥候部隊から得た情報通りなら、これで上手くいく筈だ。

 もしもの事態のことは当然予想、予測しているが、問題は無い。

 我々の目的は姫の回復。

 烏森に長期滞在することさえ出来れば姫の容体もきっと良くなるだろう。

 組織にどれほどの被害が出ようが構いやしない。

 

 それまでの短い間ぐらいは、()()()な。

 

 

 

 

 

 

「絶界って結界師が扱う術だったんだなぁ……ならアイツも使えたのか?」

 

 白の執務室から去った後、ふと浮かんだ考えに首を捻る火黒。

 脳裏に浮かぶ三人の人物。

 初めて見た絶界を纏う男、先日発見した絶界未満を使う未熟な小僧、今は海外にいるあの男。

 絶界という技が技術による形成なら、あの男は当然使用できる筈だ。

 少しの時間思案し、火黒は唸りながら頭を掻く。

 

「いや……拒絶・嫌悪する感情由来の技っぽいし、アイツにゃ無理か」

 

 ――アイツ、どーにもそういう感覚が分かんねえっぽいからなぁ……。

 

 笑ってても大して喜んでいない。

 眉を顰めてても不機嫌ではない。

 殺気を出しても怒ってはいない。

 人で無しである妖よりもよっぽど妖らしい人で無しであるあの男が演じる表情の変化を思い出し、舌を突き出しながら絶対に無いと断じた。

 

(……そういや、アイツが感情を出した瞬間って――)

 

 目を閉じて、思い返す。

 

 弟子をからかっている時は、そこそこ感情が乗っているように見えた。

 火黒と男が戦う際に弟子が観戦を申し出た時も、それは構わないが結界から出てはいけないと、態々頑丈な結界を作ったほどには心配もしていた。

 しかし、火黒との対話で感情が乗ったことは早々ない。

 

 それでも、火黒に向けた言葉で、明確な感情が籠っていたのは……。

 

 

「何度でも来ていいよ、俺が相手してやるからさ」

 

 

 あの日。

 火黒が〝刹那の感覚〟を思い出した、あの一瞬。

 あの言葉ぐらいだ。

 

「ひひっ――――相手するっつったもんな、おい、時祓」

 

 

 

 お前も俺も、戦うことが好きでたまらない同じ穴の狢なんだからよ。

 

 切っ掛けがあれば、絶対戻ってくるよなぁ?

 

 



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【おまけ】あれからそれから・9

 本動画は、以前投稿していた結奇裏ボス撃破RTAシリーズのおまけです。

 最終回のPart.11で書かれていた視聴者兄貴たちの要望コメントは読ませて頂きました。

 自分が出来る範囲になりますが、叶えられることは叶えていきたいと思います。

 今回はRTA後のホモくんがどういった風に過ごしてどんなエンドを迎えたかについて、その続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きの続きです。

 ステを盛りに盛ったホモくんはどういうエンドにいくのか気になる方は多くいたようでしたので、カット&ダイジェストでお送りします。

 

 大体はその場の流れにぷかぷか浮かんで流れ、後は気まぐれでルートとエンドが決まりました。

 では、どうぞ。

 

 

 

 

 

【だから母さんの黒芒調査が終わって戻ってくるまでは俺がこっち。良いよね?】

『ええ、改めて事情は分かったわ。……時祓の式神と違って、携帯って通話が面倒ね。口元に合わせなきゃならないんだもの』

【扱えるようになってた方が楽だよ、手段が増える】

『……通話はともかく、メールの打ち方がいまいち分からないのだけれど』

 

 時子さんの黒芒本拠地調査が無駄になるかどうかは、今後の展開にかかってます。

 その展開というのはずばり、第一次烏森侵攻時における原作キャラの有無。

 

【修史に教えて貰えば?】

『修史さんはパソコン派だから。お父さんは携帯の存在を知ってるのかも怪しいわねぇ』

【なら正守が試練達成した後は会う機会を作らなきゃいけなくなるだろうし、メールの仕方を教わればいい。ついでに烏森封印の説明も済ませれば一石二鳥だ】

『確かに。そうするわ』

 

 とあるキャラが第一次烏森侵攻に参加していなかったら、うわ~なんたる撤退速度なんだ~!(棒)と敵本陣の黒雲を見送って、後の黒芒楼乗り込みイベに同行します。

 しかしとあるキャラが原作通り第一次烏森侵攻に参加していたら、その時点でストーリー進行フラグが一部折れているので、黒芒楼乗り込みイベを起こしても意味がないのでそのまま潰します。

 

【深夜。】

【実家の敷地内に設置している感知結界が反応した。】

 

 結奇は主人公が行動を起こさなければ何事もなく淡々と原作通りに進みますが、ホモくんの場合、黒芒楼に属するその原作キャラとちょこちょこ絡んでいる為に、行動が予測出来ません。

 なのでホモくんが直接烏森に出向いて確かめなければならないのです。

 ……え?

 さっきからとあるキャラとあるキャラって言ってるけど、シリーズ動画を視聴している視聴者兄貴にはモロバレだから一々遠回しに言わなくて良いって?

 様式美です(キリッ)。

 

「上空から次々と……時祓、どうする?」

【静江さんは母さんの式神に任せれば問題ない。俺が外に出たら兄さんはこれを窓に貼っていって】

【時祓はお札を時雄に渡した。】

「分かった、全部に貼れば良いんだな。……墨村は大丈夫かな」

【不在のうちと違って繁守さんがいるんだ、無事さ】

「もし手が空いたら増援に……」

【分かってる分かってる】

 

 まあ、はい。紫遠の部下はモブ敵判定が入るので戦闘スキップですね。

 オラオラァホモくん様の御通りじゃい! 頭が高いわ!

 この黒い部下ズってなんか、雑魚臭が漂いつつも不気味さは伴ってて、良い感じに得体のしれない感が滲み出ていて私は好きです。

 

【雪村の敷地内に侵入した妖を殲滅した。】

 

【繁守さん、手伝います】

「雪村の手出しなどいらぬわーっ!! こっちに入るでない、しっしっ!」

【はは、仰る通り余計なお節介みたいですね。では俺は烏森へ向かいます】

「――うむ、油断はするなよ」

 

 このタイミングで視点を上空に向けると、ほら見事な黒雲を眺めることが出来ます。

 今の位置だと黒雲で月が隠れてしまっていますが、眺める位置をズラせば黒雲と月を同時に見上げることが出来て良いお月見が出来ると思うんですがね。しかしできません、残念。

 烏森到着。

 牙銀の姿が人型でなく妖に戻っている状態ですね。

 良守たちも追いつめられていますが、強い子なので放置で構いません。

 確認タイムです。彼は来ていますかね?

 

 ……。

 

 ああ、いますね。

 ということはつまり、ストーリー進行フラグがちょっとポシャっているようです。

 後で修正せなあかん……。

 確認も済みましたから、それじゃあ狐鍋の仕込みに移りましょうか。

 

【上空に漂っている黒雲を結界で囲んだ。】

【烏森全域を結界で囲んだ。】

 

「なんだこれは!?」

「おい、どうなってる! 出られねぇぞ!!」

 

 とあるキャラはRTA中に強化フラグを立たせてしまっているので、現時点では当然原作よりも凶悪的な強さを持っているのですが、そのことで白も彼の機嫌を易々と損ねられなくなっているんですね。嫌だと思う仕事は拒否できるし、ある程度の問題行為は見逃されるという。

 

【探査用結界を発動した。】

【周辺の妖を選別し、一定力量以下の妖は滅した。】

 

 自由奔放な性格をしている為行動にランダム判定が入って、原作通りに動く可能性は残しつつも全く別の行動を取るかもしれないという面倒臭い性質になっています。

 

【良守くん、時音、志々尾くん、その妖は頼んだよ】

「叔父さん!」

そんなまさか、応援が本当に……?

「おっしゃ! もう出し惜しみは必要ねえ、行くぜぇ志々尾!!」

「あ……ああ!」

 

 ええ青春や。私はめっちゃ好きやで(ホモ並感)。

 

「ちょっと待ちなさいアンタ達! ごめん叔父さんっ烏森を覆ってる結界を一時的に解除してくれないかな!? あたしたちじゃ敵の攻撃を空に跳ね返すことしか出来ないの!」

【時祓は馬に似た妖を一瞥し、時音に視線を戻す。】

【そのまま跳ね返していい、遠慮はいらない】

「え――――了解、全力でやるね!」

 

「待てやテメェ! お前が一番強ぇだろう、俺と戦え!」

「お前の相手は俺たちだろうが!」

「隙だらけだ!」

「チィィィッ……! 仕方ねーな、まずはお前らからだ!!」

 

 侵攻に来た妖の大半は消し炭になっているので、後はネームドしか残っていません。

 じゃあアッシーくんの力を借りて空へ行きましょう。

 上空を進んで行けば、とあるキャラが向こうの方から訪れてきてくれます。

 

「よう……いつのまに帰ってきたんだよ、お前」

【火黒が現れた。】

 

 はい皆さん拍手、とあるキャラとは火黒を指していたのでした。

 ……え、『知ってた』? デスヨネー。

 

【その前に一つ聞きたいんだけど、黒芒楼に入った目的は?】

「は? 俺のが先だろ」

【俺の質問が先でしょ。烏森襲ってくれちゃってさ、どうしてくれるの】

「何の知らせもなく日本から出て行ったお前が悪い!」

【教えてたらこの組織に入らなかったって?】

「いや、多分入ってたな……いや、絶対入ってたわ」

【だろうな】

「これでも結構怒ってるんだぜ? どんなに強かろうが人間には寿命があるからな、時間が限られてるっつうのに無駄遣いしやがって……」

 

 えー、強化状態の火黒は昼間の烏森調査に来るかどうかが不確定になるわけですが、もし来ていたら良守の絶界を目の当たりにして第一次烏森襲撃の参加を決めます。

 追い込まれればもっと確かな絶界になるかもしれないですからね。

 で、ここからが大事なんですけど……良守が黒芒楼までやってきた時、強化火黒はなんと良守からの精神攻撃をスルーするメンタルを手に入れているのです。

 結果的に良守の真界習得フラグがポシャる。

 

【お互い自由に生きてるだけだろ。君って本当に自己中心的だよね、だから友達いないんだ】

「俺友達とかいらねえもん。……じゃなくて、だから、こういう話をしてえわけじゃねーんだって! ……ごちゃごちゃした話は後でいいか、とりあえず殺し合いだ」

【倒したら今回は大人しくしててね】

「あーほんっとムカつく、自分の勝ちを疑ってねぇところが特にムカつく」

【まさか、可能性は無限だ】

「結果は有限だろう――」

 

「――――行くぜ。何時も通り、ヒリついた刹那の瞬間を感じさせやがれ!!」

【戦闘開始。】

 

 もし昼間の烏森調査に来ていなかった場合、第一次烏森襲撃にも来ないことになります。

 良守との因縁は無くなりますが、良守は志々尾生存死亡に関わらずどちらにせよ黒芒楼にやってくるので、そこで強化火黒が良守と初対面すると予想外の絶界遭遇にテンションが上がり、ネガティブな感情を強めてやろうと一緒にいる仲間を殺そうとして真界習得になります。

 

「ああそうだ、これだよこれこれ! 良いねぇ、お前との戦いは血沸き肉躍る!」

 

 なので、強化火黒が今この場にいるということは、真界習得のリカバリーを入れなければいけないわけです。

 黒芒楼乗り込みイベは本ルートにおいて良守が真界習得する為の踏み台なわけで、その真界フラグがポシャっている以上、態々乗り込む必要はありません。

 

「ったく……切れ込みすら入らねぇ。いっそ笑えるな、ほら次だ!」

 

 それに、鴨が葱背負って他にも色々持った状態でやってきてくれてますし、相手をしてあげなきゃ可哀想です。

 そういうわけで、黒芒楼を今潰します。

 

【戦闘終了。】

「また俺の負けで、お前に生かされるのか……お前の全盛期は何時まで続くんだ?」

【死ぬまで】

「はっ、そうかよ」

 

 火黒との戦闘の弊害で学校がミンチよりも酷い状態になってるので、今の内に式神を使って修復作業をさせておきましょう。

 戦闘後の火黒は放っておいても大人しくしている為、このまま黒芒の姫の下へ行きます。

 

「あ、来た来た。ねえ、なんでアタシは殺さなかったんだい? やれるだろ、アンタならさ」

 

 紫遠ですね。黒芒楼を去った後、行方が不明なキャラ。

 

【力が強い妖は重要な情報を持ってる可能性が高い。今後一切烏森に手を出さないことを誓って、有力なネタを吐いたら見逃すよ】

「……吐いたら命の保障をしてくれるってことで良いよね? なら――」

 

「口を閉じろ、紫遠」

「……はーい。はい、はいっと」

 

 黒雲を閉じ込めた結界には姫と紫遠と、あと今出てきた白しかいないっぽいですね。

 

「初めまして、私は白という。まったく驚いたな、事前の調査ではこれ程の実力者がいたとは何も記されていなかったのでね」

【探査用結界を発動した。】

【ああ、君の主は死に掛けなのか。態々その状態をおした上で連れてきたなら、延命が目的?】

「……その通りだ。あくまで姫の容体を治すことが目的なのであって、君や今牙銀と戦っている結界師たちを殺める気はなかったと、伝えておこう」

 

 嘘つけ絶対殺しも辞さなかったゾ。

 

【土地神であろうと妖は妖、でも君の主はこの烏森を訪れてさえも体調が芳しくない、そうだよね】

「君は……貴方に誤魔化しもゴマ擦りも通用しなさそうだな……」

【話が早いと助かるよ。君たちの部下の命を対価として、まずここにいる三匹を見逃してあげる。そして今後一切烏森に余計な茶々を入れることを禁ずる、少しでも気配を感じたら責任を持って俺が滅しに行こう】

「……ここまで来たと言うのに、これまでか」

【主への忠誠は見事だ、拠点は割れてるから精々大人しく余生を過ごしてくれ】

 

 と……なんかうまい感じに纏まりそうじゃん?

 このまま引き下がってくれそうじゃん?

 

「待って!」

 

 ならないんだなぁ! これがよぉ!

 

「姫!? そのように大きな声をあげられては身体に障ります!」

「白は下がりなさい。ねえ、そこな人。人でありながら人ならざる力を持つ者よ。私は面白いものが好きよ、楽しいものが好きよ――わがままを言うのが一番好きよ」

 

 

「ねえ貴方、その巨大なる力を使って、私を滅してごらんなさい」

 

「なっ――――」

 

 

【俺は構わないけど、そっちの側近が黙ってないんじゃ?】

「古今東西『どのような妖であっても何れは人の手で退治されるもの』なのは知ってるでしょう、本来ならこれが()()()()()死に方であった筈なの……第一、私は今までこの白の手でじめついた部屋に閉じ込められていたのよ? これぐらい、ええ、良い意趣返しになるとは思わないかしら?」

【……】

 

「待――――お待ちください姫、それだけはどうか、どうか! お止めくださいませ!!」

「あらぁ……そこで泣きそうな顔になるの。やっぱり、人間って分からないわ」

「何故そのようなことを望まれるのですか!? 自然に身を任せるままに死を受け入れるならば、まだ、まだ理解できます! しかし何故、結界師などに――!」

「じゃあ白、貴方に私を殺せる? 私を生かすと言った、烏森を献上すると言った……何も成し得なかった役立たずの白、今の貴方に……私のわがままを叶えられるの?」

「……っそ、れは……」

 

 

「……もういいわ。さあ結界師よ、私を滅ぼす名誉を与え給うぞ――」

 

【――ええ、謹んで受け賜ります】

 

 

 

「あ……ああああああああっ!!!

 

 

 というわけで、今回はここまで。

 黒芒楼、死す!(ガチ)でした。美味しい狐鍋が出来上がりましたよ~、やったね!

 では、ばいなら。

 

 




妖は人間には勝てなかったよ……(男泣きダブルピ)。


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