殺人貴は暗殺教室に行く (あるにき)
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始まる教室

乾有彦 2番
遠野志貴 18番


ガラガラッ、と音を立てて扉が開かれる。

いつものように三日月のような笑みを浮かべ、ぺちぺちと音を立て教壇の前まで歩く。

そいつは教卓に出席簿を置くと開口一番こう言った。

 

HR(ホームルーム)を始めます。日直の人は号令を!」

 

 

今日の日直は潮田だ。

その潮田は少し萎縮、いや自分の行動の意図を悟らせないように慎重に、

 

「...き、起立!!!」

 

次の瞬間。

クラス全員が一斉に銃を取りだし教諭に迎えて構える。

 

「気をつけ!!」

 

生徒に銃を向けられてなお教諭はニヤニヤとエフェクトが出るくらい笑っている。

 

俺達は、殺し屋。

 

「れーーーーーーい!!!!!!」

 

一斉発射。

術理もクソもない集中砲火だが、素人でも人間(・・)相手だったらダメージになっていたはずだ。

しかし、

 

「おはようございます」

 

それをこの触手生物(教諭)は出席簿を手(?)に持ったまま残像が出るほどの勢いで躱し続ける。

 

「発砲したままで結構ですので出欠を取ります

磯貝君」

 

「........!!」

 

「すみませんが銃声の中なのでもっと大きな声で」

 

「...は、はい!!」

 

「岡野さん」

 

「はい!!」

 

「片岡さん」

 

「はい!!」

 

未だ撃たれる弾をかわしながらボールペンと出席簿を持ちながら出欠を取ってゆく。

 

「遅刻無し....と

素晴らしい!先生とてもうれしいです」

 

 

 

標的(ターゲット)は、教諭。

 

 

 

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

「残念ですねぇ。今日も命中弾ゼロです」

 

ニヤ...ともはやそれは普通の顔なんじゃないかと思うほどの張り付いたような笑みを浮かべた謎生物(教諭)が言う。

銃の乱射は既に終わり、改めてこの生き物のスピードを実感する。

 

(早すぎる!!)

 

(クラス全員の一斉射撃で駄目なのかよ!!)

「数に頼る戦術は個々の思考をおろそかにする。

目線、銃口の向き、指の動き。一人一人が単純すぎます」

 

「もっと工夫しましょう。でないとーーーー」

 

 

 

「最高時速マッハ20の先生は殺せませんよ」

 

 

そうなのだ。この触手生物(教諭)は最高時速マッハ20。

おおよそ人の反応できる速度を超えた化け物なのだ。

ある生徒が教諭に抗議する。

 

「本当に全部よけてんのかよ先生!どう見てもこれただのBB弾だろ?」

 

実のところ、俺達が撃っていたのは所謂エアーガンで弾はBB弾。

そのぐらいのスピードならまだ人間でも対処出来る。

が、それがクラス約三十人の集中砲火でなければ、の話だが。

 

「当たってんのにガマンしてるだけじゃねーの!?」

 

「そうだそうだ!!」

 

ブーブーと一人の声に釣られてみんなが声を上げる。

 

「......」

 

表情は変わらないものの、教諭は少し考えるように間を開けて、また別の生徒に触手を翳して銃を渡すよう促した。

 

「では弾をこめて渡しなさい」

 

 

その銃を左側の上に向けた触手に向ける。

 

「言ったでしょう。この弾は君達にとっては無害ですが......」

 

軽い発砲音が響くと同時に教諭の触手がブチュ!!と音を立て切断される。エアーガンの威力ではない。

正確には弾の力だ。

 

「国が開発した対先生特殊弾です」

 

つまるところ、この教諭にはナイフや普通の銃弾は聞かないらしい。

しかし、このBB弾のようなこの生物のためだけに開発された物質ならダメージを追うらしい。

 

「先生の細胞を豆腐のように破壊できる。ああ、もちろん数秒あれば再生しますが」

 

しかしながら触手が吹っ飛ぶ光景は中学生にはグロテスクなようでみんな引いている。

 

「だが君達の目に入ると危ない。先生を殺す以外の目的で室内での発砲はしないように」

 

教諭は顔を縞模様に変色させながら今日一番にいやらしい笑みを浮かべてこう言った。

 

「殺せるといいですねぇ、卒業までに」

 

キーンコーンカーンコーンと始業の鐘が鳴る。

 

「銃とたまを片付けましょう。授業を始めます」

 

教諭が四本ある触手にバケツやコロコロクリーナー箒に...なんかポンポンはたくやつを取り出しBB弾や銃の片付けを促した。

 

 

 

椚ヶ丘中学校三―Eは暗殺教室

 

 

言い忘れていた。

俺は遠野志貴。普通の生徒だ。

 

 

 

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

 

 

 

今は英語の時間。教鞭をとるのはもちろん触手生物(教諭)だ。

黒板に書かれた英文四つにはそれぞれ色の違う触手を当てている。赤、青、黄(もとの色)、緑の四色。

 

「ーーーそこで問題です木村君

この四本の触手のうち仲間はずれは?」

 

木村が少し考える、というより少し引きながら一つだけ関係詞になっている青を選ぶ

 

「......青い触手?」

 

「正解!!青の例文のwhoだけが関係詞です」

 

顔に丸印が浮かんでいる。

俺の席は窓際一番後ろ。この授業の範囲はそれなりに前に済ませたところだ。

いつ貧血になるかわかったもんじゃない身体なので授業に出席出来ないことも稀ではないのだ。

そんなこんなでやっているふうを装い外を眺めていると、三日月になった()が目に入る。

 

なんで俺達がこんな状況になったのか

 

三年の始め、俺達は二つの事件に同時に()った。

 

 

 

____________________________

 

 

 

 

『月が!!爆発して七割方蒸発しました!!

我々はもう一生三日月しか見れないのです!!』

 

それは朝のニュースのことだった。

眠さを噛み殺しながら味噌汁を啜っていたのだが、その味噌汁を落としてしまうほどの衝撃だった。

困惑しならがも学校には行かないといけないのでバッタリ会った有彦と20分ほど遅刻して登校したのだがそこに居たのはスーツ姿の大人達と2m半はありそうな黄色いタコだった。

 

 

「「.......」」

 

「君たちも生徒ですねぇ。とりあえず座ってください」

 

「「喋った!」」

 

 

黄色い触手生物が顔(おそらく)をこちらに向けて目(らしき)ごまじ見た2つの点で俺と有彦を見据える。

 

(おい、なんだよこれ!ドッキリ?モニ〇リング?色々とツッコミどころ多くてなんて言えばいいのかわかんねぇよ?!おい遠野、お前なんか聞いてみろよ!)

 

(は?!ここで俺にふるのか?! 手に負えないから!マジで!ていうかもう帰りたいぐらいだわ!)

 

そんなふうに小声でわーきゃー言っていれば、目つきの悪いスーツの1人が俺達に向かってこういった。

 

「単刀直入に言おう。君たちにコイツを殺して欲しい」

 

 

 

 

それが、遠野志貴の人生において、━━━━━━だった。




どーも、初めましての方は初めましてあるにきと申します。
いや、唐突にこっち書いたのは言わば深夜テンションと言うやつなのですが...
有彦必要かどうか
で、アンケートとる予定なのでそれでいらないという結果になった場合書き直します。
わたくしの他の作品に関してですが、無論続けていくつもりです。
ただ考え方の変化により書き直してリメイクすることも視野に入れておりますのでご了承ください。
あと、自分はコメントが原動力なのでめちゃくちゃ応援コメントとか感想コメントとか投げ銭(できない)とか期待してます。


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