運命を変える刃 (水流)
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始まりの日

俺の名前は、荒神 紅蓮

そして、目の前の状況が信じられずにいる

本当に“鬼滅の刃”の世界にきたんだな

赤ん坊の状態でもわかる

目の前には、明らかに現代では無い光景が広がっており、あの神様を殺してやりたい気持ちで一杯

 

何があったのか、数時間前に遡る

 

 

真っ白な部屋の中に気づいたら、お爺さんと2人で居た

 

「貴方、誰ですか?」

 

髭をはやしたヨボヨボのお爺さんに名前を聞く

このお爺さん、大丈夫だろうか

明日も危ういように見える

 

「私は神様だよ」

 

「詐欺だな、よしわかった。お引き取り願います」

 

おれおれ詐欺ならぬ神様詐欺か

キリスト教徒じゃないから引っかからないぞ

 

「違うぞ、君は飛び降りただろ?10階建てのビルから地面目掛けてワザと頭から落ちて自殺」

 

場所も死に方も全て合っている

という事は本当に神様なのか

 

「聞きたいことがあるんだが、聞いても良いか?」

 

神様だからなんでもお見通しかと思えば違うんだな

ちょっと安心する

 

「なんだよ?説教なら受けないぞ」

 

死んで説教なんて受けてたまるか

地獄に落ちても良いぞ、別に

 

「なんで、君は自殺したの?」

 

「直球だな、おい」

 

「で、答えは?」

 

自殺動機

そんな物は至って単純

 

「退屈だったんだよ、俺は」

 

「というと?」

 

「先生が何かを教えてくれる前に出来た、運動も出来た」

 

「完璧だったんだな、君は。家柄も裕福だったと聞く」

 

あぁそうだよ

歳上の女達は金目当て、同い年の女達は顔目当て、歳下の女達は才能目当て、女が何を考えてるのかなんてすぐわかった

 

「男達には羨ましいと言われたがこんなの俺は望んじゃいない!」

 

「君はやはり転生してもらおうと思う」

 

考えたが、とでも言わんばかりに言ってくるお爺さん

何言ってんのか一瞬理解できなかったがすぐに理解する

 

「なんでだよ?」

 

「君は生を全然謳歌していないじゃないか。そんな気持ちで地獄にも天国にも居てもらう訳には行かない」

 

「いや、俺はもう死んでるんだ。転生した後、すぐ自殺してやるさ」

 

興味深そうに少し考えた後、こちらをさっきまで閉じていた瞳で見つめてくる

緑と赤の色違いの目

何故か自然と威圧感を覚える

 

「君、炎の炎色反応が好きだったよね。君の家の本はほぼ炎の事で埋め尽くされて居た。ろくに漫画も読んだ事も無いんだろ?」

 

何を言ってるのかわからない

なんで俺の本棚の中身を知ってるんだ

それに漫画くらい歴史の物なら読んだ事あるし

 

「基本的に人体や動物の体の仕組み。君はそんな本しか興味がなかった」

 

「まて、話を勝手に進めんな!」

 

「君にぴったりな特典、そして君が望んでいる世界に連れて行ってあげよう。時々、私も見に行くからね」

 

 

そして、冒頭に至る

今、自分の頭の中はほぼ怒りなのかよくわからない感情で溢れてる

勝手に泣き出すは少しも動けないは、災難だ

あの神様、絶対殺す

 

産まれた瞬間、俺の体は燃えだしたそうだが、何故こんな普通に生活出来るのか

それはこの家は中々、子供が産まれなかったしやっと出来た子供が丈夫な体だというのがわかって嬉しいらしい

あまり深く細かいことは考えない性格だというのがわかる

 

というか、燃えたって何?

 

そういえば、なんか特典がどうこう言ってたな

まって、という事はあのじじいのせいで俺、燃えたの!?

何故、どうして一体何?

 

『あーテスト中、テスト中。荒神君、元気してる?』

 

何が聞こえるんだけど、何

本当何が起きてるの

親達は今、寝てるから隣の部屋に居るけどこの声の主はまさか

 

『そう、わしです』

 

心の声が聞こえてると取っておこう

今の状況じゃろくに声を出さないからな

 

『質問があるだろうと思ってな』

 

じゃあ質問するぞ

一つ目、燃えるってなんですか

 

『ん?あぁ、それは君が炎色反応が好きすぎて一時期そうなりたいって言ってたろう?』

 

それは幼稚園の時だ

ってかそれお爺ちゃんにしか言ってないんだけどなんで知ってるの

そういえば、お爺ちゃんどうなったんだっけ

 

『特典の説明を開始するぞい。体の中の電気を倍の電流にして、体に流す。周りの物を無差別では無いが感電させる事が可能」

 

使いようによっては強いだろ、それ

というかさっきから言いたかったけど、世界観に能力が合ってない

 

『尚、それだと強すぎると文句を言われる気がしたので、その使用中は自分も感電する』

 

人は動く時、やりたい事やしたい事を弱い電気の信号にして、神経が脳に伝えてる

それを踏まえての電流と見て間違いない

まぁ、それならデメリットとしてのちょうど良いだろう

だが、やっぱり世界観が違う

 

『燃えるというか、もう出てるデメリットだが君が世界一嫌なデメリットになる。火傷で皮膚に傷が付くがそれがずっと続き治っていく』

 

つまり、痛みがずっと続いていく

その痛みで死ぬ事は無いから、永遠に俺が発火させていれば俺は拷問状態なのか

 

『燃える仕組みは、自分の意思で体温を上げる時くらい。後、これは1番重要で、この世界の呼吸法は使えないので自分で考えて下さい』

 

まってくれ、俺は今、何を言われてるの

えっと、つまり、結論的には・・・・

 

『我流の呼吸を考えなければ確実に死ぬ』

 

それ1番重要だよね

というか、お前は俺のこと殺したいの?殺したく無いの?

 

『お前さんがそれを言うか?わしの事、殺すとか言っといて』

 

言ってはいないけど、そん時から居たならなんかいえや

くっそ、なんだこいつ、調子狂うな

 

『わしは妻、居るからな』

 

居るの!?

というかその情報いらないし聞いてない

なんなの、お前

 

『神様』

 

はい、死ね

というか、神様に今頃だけど俺はこの口調で良いのか

 

『わしがお前さんを見捨てない限りまたくるからな』

 

あっそ、期待はしないでおくよ

神様ってもしかしたら暇なのかもしれない

 

 

あのクソジジイ

次、出てきたら絶対に殴るというかしばく

どうやって捌き倒してやろうか

 

そんな事を考えて居たらこっちで俺が8歳になっても連絡が来ない

えっ、俺もしかして見捨てられた

そんなこんなで俺の生活はまだ続きそう

 



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初戦闘

そういえば、こっちにくる時に一気に鬼滅の刃の情報流されたけど何がしたいの、神様は何をさせたいんだ

次いでに言えば、俺はこの世界では死ねなさそう

 

自殺を何回か試みた

だが、体がそれを拒否をしているのか切り傷なんかだと勝手に体温が上がって傷口を炙って塞ぐ

それの繰り返しだ

 

『あぁ、テスト、テスト。荒神君、ごめんねー。今、仕事が凄かったんだけど終わったから連絡したらすごい時間経ってたね』

 

いろいろ言いたいけど単刀直入に聞きます

今、原作のどの辺りなんですか

 

『まだ始まっちゃ居ないよ。後、今から杣人になってもらいます』

 

は?何言ってんのかわからないんだけど

殺すよ、まじで

 

『霞柱って覚えてる?その元々の仕事が杣人なんだけど、まずそこの2人を救ってもらいます』

 

まずって何?

それをやったら原作通り進まなくない?

 

『君だったら承知の上だと思ってたんだけどな。良いかい、ここは鬼滅の刃の世界であって鬼滅の刃の世界じゃない』

 

つまり、俺というイレギュラー

ここは鬼滅の刃の世界であって誰かが違うって事なのか?

 

『見たような物だね。今、君が住んでる家は今から仕事で木を扱おうという事になるから杣人になりたいって君は言うんだよ?』

 

時透達を救うって言われてもな

他にも胡蝶 カナエとか真菰とか他に救う人が居るんじゃ

 

『まぁまぁ、そこは後のお楽しみって事で。じゃあよろしくね』

 

最後らへんほぼ丸投げじゃねぇかよ

まぁ、取り敢えず言われた通りにするか

 

 

 

 

 

この時、俺は大いなる勘違いをしていた

その事に気づくのは少し後

 

 

 


 

言われた通りに行動すると、朝から昼まで杣人の手伝い

夜は自分の家で勉強に励む

そういう事になってしまった

 

「よろしくね、紅蓮君。この子達の名前は有一郎と無一郎。双子の子なんだ」

 

「可愛い男の子ですね」

 

「は?何言ってんだよ。俺達は女だ」

 

おい、神様よ

こんなこと聞いてねぇんだけど

まず一つ言ってやる

時透無一郎や有一郎は男だからこそ良かったんだ

この名前で女って可哀想だろ

 

「ごめんね、女の子みたいな顔した男の子に最近会ったばかりでね。もしかしたらと思って」

 

無一郎の方はなんも言わないんだけど、人見知りってやつかな

まぁ良いや

そんなこんなで始まった謎の生活

杣人は木を切って売りに行く

俺の場合は自分家で使う分の木を切って夜に持ち帰る

そんな生活だった(お金はちゃんと払った)

 


 

俺は今はもう10歳になり2人は8歳になった

今は高熱を出して寝込んでいる

何故こんなに熱が、突然出たんだ

昨晩、面白いと言って本を大量に読んだからなのか

 

 

・・・それしかないな

 

 

それに昨日は首を横に振る事が多かった

免疫力の低下を促したのだろう

そこに、寝不足とくると当然の事か

天井を見ながら昨日の本の内容を思い出す

 

『荒神君、お熱のところ悪いけど今からその家に鬼が来ます』

 

は?

今鬼って言ったよね

 

「今なんて!?ゲホッゴホッ!」

 

大きな声を出して喉が痛い

頭に声が響く

 

『いやね、鬼殺隊士から逃げてる鬼がそこに今から行くからどうにかしないと死ぬよ』

 

いや、唐突

物語が急展開すぎて付いて行けません

というか、その鬼殺隊士は間抜け過ぎない?

逃げられてるってなんなのさ

 

『それをわしに言われてもなぁ。君ならなんとかできるだろう?自分の身は自分で守りなよ。それじゃ』

 

正論すぎて何も言えない

しょうがない、親をどうにかしないと行けないのは目に見えている

・・・・どうしよう

 

そうだ、気づかれる前に倒せば良いんだ

入ってくるなら玄関だろうからと包丁を10本程度を持ち玄関へ向かう

体は重いし頭がズキズキ痛む

 

あの神いやここでは糞爺とでも呼ぼう

絶対に殺す

どうやって殺してやろうか

そう思っていると玄関が開いた

鬼狩りが来る前に少しでも人間を食べようとでも思ったのだろう

あまりに考えが分かり易い

 

「鬼狩り風情が俺を狩るだなんて百万年早いぜ」

 

おい、隣に子供がいる事に気付けよ

アホだなこいつ

人間の寿命から考えて100万年なんて生きていけない

 

「そうだな、お前が弱いから100万年待たないとお前が鬼狩りに狩ってもらうに相応しくないからな」

 

こちらを振り向いた時には時既に遅し

隣には既に人間の範疇を超えた人間、いや悪魔と称するのが正しい者が牙を剥いていたのだから

 

「だって風邪をひいた子供に狩られるからな」

 

鬼の首は思いの外、硬かったが日々の木を切る習慣のおかげか意外と素直に落ちた

鬼は親の仇といわんばかりに血走った目でこちらを睨み

 

「くっそ、なんだこのガキは!?

 

首をつなげようと首に手を伸ばすので、包丁で両方の手の平を刺す

 

 

だが、そうすると両手を自分の方に引き怪我を負ったが、直ぐにその怪我は治る

 

初めての戦闘でここまでは当たり前だ

鬼の能力は身体能力や回復能力

 

「そんな物じゃ俺を殺せないんだよ馬鹿がぁ!だがまぁ俺相手によくやったよ」

 

 

相手は完全に油断していた

これが、そこら辺の子供だったら間違いなく死ぬ

だけども俺は、あいにく普通の人間じゃない

 

真っ直ぐあちらに走ってくる鬼

今日は雨が降っており、俺的には好都合な状況

初めての実践に、とてつもなく危険な賭け

今はその賭けをやるしかない

 

ただ、真っ直ぐ向かってくるだけ

 

それだけでもスピード感は人間とは比べ物にならない

 

真っ直ぐ来るだけであって直ぐに目の前にやってきた

 

間一髪と言うべきか、髪の毛に手が当たるも傷は無い

 

「やるな、お前さては頭の回転が速いな。良いよなお前みたいなやつは働き手が大量にある」

 

憎しみを含んだ視線

 

対して俺は哀れみの視線を向ける

 

視線と視線がぶつかると再び鬼は動き出した

 

電気は水に触れると暫く水が流れ続ける

感電死なんて言う言葉があるが、自分で自分の電気に感電死は流石にしないと思う

鬼が感電死するのかも気になった所だ

 

周りにある木々を蹴り居場所の錯乱

 

大方、俺は真っ直ぐ来ていたから避けれたとでも思っているように思える

 

鬼の動きが一瞬止まり、力一杯木を蹴り飛んでくる馬鹿鬼に包丁を一本投げつけ

 

「はぁ、可哀想に。馬鹿だね」

 

次の瞬間にはあたり一面に眩い光に包まれ、俺はと言うと倒れて居た

 

空中で身を捻り、怪我を避けた鬼

 

あのまま突撃してくれば良かったのに・・・・

その判断が鬼の命取りになったのだ

今、鬼は電気で一応ショック死状態

 

動こうと思えばギリギリ俺は動けるので立つと体は悲鳴を上げる

親は目が覚めて居ないようだ

あとは、鬼殺隊士が来るのを待つのみ

 

 



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夜・1

結局、次の日の朝に隊士はやってきた

朝日が昇る前に普通の縄に予め針金のような物を入れて居たから良かったけど、あと少しで千切られそうだったぞ

 

数日後

 

その日は、親達が変な事を言っていた

 

「紅蓮、君はもう十分頭もいい。それに性格だって大人びている。大人が居なくても暴漢を1人で撃退したから強くもある」

 

あの隊士、鬼を暴漢って言ってたなそういえば

いきなり改まった、両親を見て些か不信感を抱く

 

「紅蓮、お前はまだ10歳だが自立して私達の仕事を継いでくれ」

 

話によると、両親は遠い場所で他の薬会社を建てたい

だが、薬などを扱う所なので辞めると困る人が大量に発生する

そこに俺が居たという事だろう

 

「わかりました」

 

その日の朝、両親は遠い所へ旅立って行った

 

会社の運営なんかも上手くいっていて、生活にも稼ぎにも困っていない

ただ、今は女に困っている

10歳の内に婚約者にしようという物が大量にいて困るのだ

親がこの仕事を始めてまだ3日

これからどうなるのか考えると恐怖を感じる

 


 

 

「初めまして。私は鬼殺隊・産屋敷 耀哉の代理人のあまねと申します。単刀直入にお願い致しますが鬼殺隊に入って下さいませんか?」

 

本当に単刀直入だな

人が庭の手入れをしていたらいきなり来るから困ったよ

 

「無理です、仕事の運営などがありますから。まぁ仕事場もここから遠いのですが」

 

「はい、貴方の事は大方調べております。仕事の指示は遠隔で行い尚且つ、10歳と若いながらにも大人を凌駕する知識量。尊敬します」

 

尊敬と言われても困るんだけどな

というかこの人、なんで勧誘しにきたのさ

一体、何が狙いなのか

 

「何が狙いですか?」

 

「貴方というより貴方の能力です」

 

もう少し他の言い方があるだろ

まぁこの言い方のほうが好ましい

 

「なるほど、取り繕う気も無いんですね。良いですよ、鬼殺隊。入りますよ」

 

「本当ですか、ありがとうございます」

 

こうして、俺は鬼殺隊士に入るための訓練を開始した

多分だけど、神様は鬼が来る事を知っていたと思う

だとすると鬼殺隊に入れ、というのが狙い

全部、神様の思い通り

 


 

〜3年後〜

 

全ての呼吸を使えないのは知っていた

だから他の呼吸を使うという考えをしない

だからこそ、この短期間で出世している

他の隊士には良いように思われていないが、殺せるなら殺してみろ

そう思いながら辺りを無意識に威圧していた

 

休暇になれば、有一郎達の所へと出向き杣人の仕事をする

ほぼ休みなんか無い

だけど、これがまた良い鍛錬になるのだ

腕の筋力を使うから、鍛えられるし片手に斧を持って今は切っている

 

2人は11歳となっており、鬼殺隊からの勧誘もあるのだが何故かそれを拒否する2人

無一郎は入りたいと言っていたらしいのだが、並行世界だからなのか

だが、2人のことを考えるとというか結末を知っているからか入れたくない

それに、2人は俺が鬼殺隊だなんてしらないし

 

この時にはもう既に甲になっていた

柱の定員は9名なので暫く甲だが、これはこれで案外悪くない

会社経営も未だに順調で近くだったら会社に顔も出す

 

ある日、突然2人が喋らなくなっていた

話を聞くとあまね様に水を掛けた事で無一郎が怒っていると

なんだろうな、夏が来るのがもう少し遅かったら良いんだけどな

 

「ナンデ俺ガコンナ事シナクテハナラナイノダ」

 

そして、鎹鴉という設定の鷹の足に手紙をくくりつけ飛ばす

最終選別の時、善逸じゃないけど『これ鷹だよね』と隣に居た女子と男子に聞いたのを覚えている

鷹なので間違える事は無いが、後頭部の辺りにお揃いの黒い狐の面を付けている

ただ、何故人の言葉を喋れるのか

それだけはどうにもわからない

 

手紙の内容は

 

《夏の間、夜は暫く嫌な予感がするので休暇を取ります。

有休を随分と溜めたのでそのくらいの時間はもらいます。

クソ雑魚鬼程度では行くつもりは無いのと付近にもし鬼が居たら狩るのは俺なので誰も送らないで下さい。

理由1・目障りな上に邪魔、2つ単なる人間不信》

 

これはお願いでは無い

要求である

ほぼ、100%で俺は鬼を狩り続けているから鬼殺隊も俺を簡単に手放せ無いのを知っているのと手放した後の報復が怖いのだ

 

俺は一回、鬼に顔を見られて気持ち悪いと言われた

その鬼に当然俺は激怒

嫌な事に相手は女の鬼で顔しか見ておらず、『あんたくらいの子なら私のそばに永遠に置いておいてあげるわよ?』

 

この一言

俺は外見、才能、金・・・・

それしか見ない女は屑、いやゴミ、もう生ゴミだと思っている

後に俺の鷹はこう思ったそうだ

 

(あいつを怒らせたら死ぬ。鬼だったら生き地獄に合うような物。あれと溺死だったら溺死を選ぶし溺死のほうが優しい)

 

確かに、脳を頭の中から引き摺り出したりしようかとは、思ったけど汚いしグロテスクで見れたもんじゃ無い

だから目玉をずっと刺して遊んでいたのだ

だってあの鬼、自分の目が大好きだと目の前で語っていたからな

それ以外のことも一応はしたけども・・・・・

 

会社の方にも根回しはした

後は、あの二人の監視

俺がそばにいる事を何故か妙に嫌がるので気づかれないようにしておこう

後は、あのくそ神が何も言わないんだよ最近

嫌な予感しかしない

 


 

夜、近くに川を見つけそこで多少、葉っぱを流して遊び2人の様子を走って見てくる

その繰り返しをずっとしていた

葉っぱを流す事に何の意味も無いが、流すのが面白いのだ

 

まぁ今夜とは限らないし・・・・

ゆっくりと鬼が来るのを待つだけさ

 

 



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柱合会議

その日は、どうしても山から離れるしか無かった

ここから1番近い村に鬼が出たらしく、それの討伐を終えたのは当然ながら夜

 

走って帰る

いつもなら歩いて帰ってゆっくり休むがそうもいかない

鷹をあの2人の所に居させたのだ

鬼が近くにきたら来るように教えたから

 

鷹に2人の近くに居たら出来るだけ攻撃して時間稼ぎをするように頼み走り出す

全力疾走というのは、いつまでも出来るわけじゃない

いつか限りが来るのだ

 

体が鉛のように重く息ができているのかわからない

視界が涙で歪む

昔は泣き虫だったからなのか弱い自分が居る

 

(ここで、諦めてもいいんじゃないか?)

(人間、いつか死ぬんだから休もう)

 

そんな悪魔の囁き

出来る事なら今すぐ止まりたい

だけど今、止まったら大事なものを無くしてしまいそうだ

 


 

やっと、やっと家が見えた

 

金属音の音が聞こえる

 

あぁ、間に合わなかったんだ

 

今からでも、もしかしたら助けられるかもしれない

 

無一郎らしき人物が木にぶつかり頭を打った

その時に後ろに回り首に軽く電流を流すと気絶する

体は随分とボロボロだが、鬼はというとダメージは回復しており元気なようだ

 

「ん?また増えたのか。まぁいいさ、食う量が多いならそれに越した事はねぇからなぁ!!」

 

野心剥き出しにして真正面からの攻撃

相当、飢餓状態なんだろうな

だけど、お前なんかにそんな時間かけてられねぇんだ

 

「闇の呼吸・熾天牢・迅雷電」

 

足を早く動かし、動いた後に電流が走る

 

電流に触れた鬼は指先に走った痛みに警戒して動けなくなるのがこの技の特徴の1つで・・・

 

「いった!!くっそ、なんだこの光!」

 

ほら、鬼でも痛いのは嫌なんだよ

 

首を跳ねると、いつもよりも大きな悲鳴が聞こえた

 

人の体には【交感神経】と【副交感神経】の2つに分かれる【自律神経】というものがある

【交感神経】は、緊張や興奮する場面で活性化し、リラックスしているときに活性化するのが、【副交感神経】

アドレナリンは、【交感神経】が活性化されたときに出るものだからだろうか

 

いつもより、電力が強く痺れやすい

 

そうは、おもったけどここまでとはなぁ

 

「四郎、蝶屋敷に急患2名の報告」

 

てもう居ないし

やっぱ、あの鷹は出来すぎていて怖いな

 

無一郎の方は全身の怪我がひどく出血量が半端ない

有一郎は、何とか腕はあるけど切断になるかもしれないな

 

有一郎を背中に背負い、無一郎をお姫様抱っこする

構図的にこの運び方が1番いい

あまり2人に負担を掛けず、それでいてスピードを生かしながら進む

 


 

蝶屋敷には明け方に着き、2人とも死にかけと称するのが正しい容態だった

有一郎は止血もしているから死にはしないけど無一郎は微妙な所

 

それが俺の見解で、この屋敷の主人の胡蝶さんも同様だと言う

治療を終えたようで今は、安心できそうにないと

鬼殺隊・蟲柱の胡蝶 しのぶ

姉が居るが、昏睡状態で性格がその時に豹変したと聞く

 

「貴方がこんなに焦るなんて、この子達は幸せ者ですよ」

 

胡蝶さんからすれば、笑いもしなければ泣きもしない

これが印象強くあったらしいが今は見ただけで焦ってるのがわかるそうだ

皮肉だろうか

 

「はぁ、なんでそんな事が言えるんだよ?」

 

「私だって一生に1人くらいには、こんなに焦ってもらいたい物です」

 

結婚すれば?

なんて口が裂けても言えない

だけど、恐らく異性にそう思って貰いたいのだろう

 

「じゃあ、誰かと遊びで付き合えば?そんくらい、誰にでもできるだろ?」

 

「私は貴方と違ってそこまでモテないですしそんなひどい事したくありません。それにしてもよくあそこまで恋文が来ますね」

 

なんでそれをお前が知ってるの?

まぁ全部、顔・才能・金が目当てだけども

 

「おい、流石に俺でもした事がないぞ。それに言ってみただけだ」

 

流石に遊びでもあんなのと付き合うのは嫌だ

 

「そういえば、今度の柱合会議に貴方と他に2名呼ばれてるんですよ」

 

何かしたんですか?

そう聞かれたが、覚えがない

他に2人居るなら相当、覚えが無いのだ

 

「他の二名の名前は?」

 

「確か・・・遊馬 雨月(うげつ)君と西園寺 乙葉さんでしたっけ」

 

西園寺 乙葉

嫌な予感がする

今すぐあのダメな神を捕まえて引き摺り回したい

もしかしたら・・・・

 

「どうしたんですか?そんなに顔を青くして」

 

「い、いや、なんでもないんだ」

 

そう、なんでもない

もう()()()()なんだ

 


 

「今回の柱合会議ではね、最近になって人外の力を使って鬼を討伐する隊士が3名も現れてね。その者達に新しい階級について貰おうと思うんだ」

 

入っておいで

 

その言葉によって中に入ると目の前の光景を疑いたくなった

西園寺 乙葉

見間違えるはずが無い、あんな神童を

 

「あれ?もしかして紅蓮君!?久しぶりだね」

 

そう微笑む彼女が鬼よりも恐ろしく感じた

 

この女が俺の()()()()()()1()()だったのだ

 

足が震える、血の気が引くのが俺でもわかる

目の前にある明確な恐怖に感情を飲み込まれそうになるのを抑え、柱の近くに跪く

 

「絶対予測の剣士・西園寺 乙葉。回復力の現れの剣士・遊馬 雨月。炎と雷の剣士・荒神 紅蓮。この3名を新階級・御前に任命しようと思う」

 

西園寺 乙葉

こいつは、学園でも1番の美人で幼馴染み

頭も良いし運動もできていたが、俺のストーカーだと中学の時に気づいた

あいつの部屋の中に俺の盗撮写真が大量にあり、それも何故かプールの時と男子生徒といる時だけの写真

 

友人にその事を相談するまで俺は、筋肉を描く練習でもしていたのかと思ったが、それはストーカーだと言われ気づいたのだ

 

それからは自然に距離を置いたし違う高校へ行った

時折り、茂みからあいつと目が合う時が何よりも怖いもので、恐らく自殺の瞬間も見られていたかもしれない

 

「紅蓮君。この後、少しお願いがあるんだけど?」

 

笑顔の裏に何か必死さを感じ、従うという道しかない

 



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過去との再会

柱合会議が終わり、路地裏にまで連れてこられた

 

「何?こんな所まで連れてきて」

 

どんな要求をするつもりだ

場合によっては斬るぞ

 

「その、あのね。前のというか前世の事なんだけど、ごめん!!」

 

「は?」

 

何をいうかと思えばいきなりの謝罪

理解ができないからか間抜けな声が口から出る

 

「あれ、実はね・・・・」

 

そこから語り出した乙葉は酷く面目無さそうだった

 

「つまり、お前は腐女子だったと。それで、俺の事を構図にして漫画を描いて出版。それが思いの外、売れてしまい辞めるに辞めれなくなったと」

 

「本当、ごめんね。だけど、そんな事を意地でも言いたくなかったし・・・」

 

なんだ、こいつ

つまり俺をキャラクターにしてたのか

どうりでいきなり人気が伸びてバレンタインのチョコの数が伸びた原因がお前かよ

 

「はぁ、最初は俺だってお前は頭が良いのに悪いからそんな事だと思ったんだ。だけど、田中と山岸がストーカーって言ってたから」

 

田中、山岸・両名がとても今は憎い

ストーカーじゃなくて良かったけども

 

「田中君達はあんたの事、好きだったんだよ!?」

 

だから私の事、嫌ってたし・・・

苦笑いをしながら言ってくるこの女を俺は今まで怖がっていたと

うっわ、情けなさすぎ

 

「何その情報、怖いから辞めろ。山岸はともかく田中は男同士だぞ」

 

「あのボディタッチの激しさで気づかないあんたが凄いよ」

 

そういや、なんかボディタッチが激しかったような

今、思い出すとエロ本とか物凄い持ってきてたけど結局、目の前で破り捨てると喜んでた

 

「ん?待て、お前はなんでここに居るんだ?」

 

そうだ、こいつがここに居る理由が分からない

 

「あぁ、それ?推しキャラが居ないとやる気が起きなくて自殺しちゃたの。それで、神様に『紅蓮に会いたい』て言ったらここにきたの」

 

なる程、そういう経緯だったの

というか『自殺しちゃったの』て簡単にいうけども・・・

 

「あぁそう」

 

「そういえば、炎と雷の剣士って何?」

 

「そのままだ、特典でそれがきた。お前も特典が絶対予測だろ?」

 

「まぁ、そうなんだけども。あの子、知ってる?」

 

もう1人のと言われて気づく

そういや、回復の現れの剣士だっけな

あの、目つきが悪いやつ

 

「しらねぇよ。俺、これから任務だから」

 

「それ、私も一緒だよ」

 

「あっそ。じゃあ行くぞ」

 

さっさと、前を歩いて行くと付いてくる乙葉

その時に恋する乙女の表情をしていたと恋柱の甘露寺さんが言っていたらしい

 

「四郎、この辺りで間違い無いんだよな?」

 

「アッテイル!!ソレヨリ、アノ女ハドコダ!?」

 

女?乙葉の事だよな

 

「何言ってんだ、それならさっきまで煩かったから後ろに・・・」

 

えぇ、どこ行ったの?

近くに鬼も居る事だし、後回しで良いか

 

「血鬼術・雨の雫(あまのしずく)

 

手の平から水が出てくるとその水が雨のように降り出す

 

木にその水が触れると溶けているのを見ると液状の毒だな

 

呼吸を使って体温を上げると体に炎が付く

 

黒炎は大きくなり、やがて龍になった

 

「お前、俺と相性が災厄だったな。闇の呼吸・炎獄・黒龍生雷」

 


 

乙葉目線

 

ある一定の場所に来たら紅蓮が居なくなった

つまり、もう血鬼術に掛かっていたんだ

気付いた時には一斉に飛びかかられていた

 

右斜め上から、左斜め下から、右から真っ直ぐ・・・

攻撃の道筋が一斉に頭に入ってくる

 

だけど、そんなにも体は対応できないから倒す

 

「星の呼吸・壱の型・流星雨!」

 

星が降るように鬼に攻撃を与える

 

上半身の捻りを生かした技で間合いの内側・365度

 

その全方位に星が降り注ぎ、普通の鬼には絶対不可避の技

 

「血鬼術・かまいたち!」

 

風が吹き出しその風に触れると羽織が少し切れた

 

風もどんどん強くなり始めている

 

左斜め上、右斜め下、真上!

 

攻撃をうまい具合に避けながら向かう

 

鬼に近づいて行くと攻撃の隙間が無くなって行く

 

「星の呼吸・参の型・天の川」

 

鬼であれ瞬きをする

その瞬間、攻撃が少し止んだ

 

一瞬で首を落とすような雷の呼吸

 

その呼吸法を使えないが、足運びは真似できる

 

瞬きをする間に斬られた鬼は、なんでって顔をするけど間抜けだなぁ

 

乙葉目線終了

 


 

鬼をさっさと倒してこっち来たけど、乙葉怖

最後の星は綺麗だったけども

 

乙葉が通った後に残像を残すかのように流れた星

 

「乙葉、帰るぞ」

 

「見てたなら言ってよ、もう」

 

「俺はこの後、用事があるんだよ」

 

 

 



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柱合会議

「胡蝶さん、起きましたか?」

 

「お姉さんの方は起きていますが、妹さんとは会わない方がいいでしょう」

 

心底、顔を暗そうにする胡蝶さんは笑顔を歪めている

妹と会うなとは?

 

「どうして?」

 

「記憶の欠損が見られており、姉の事を目の前で『誰、この人』と」

 

「暫く、有一郎の部屋に居ます。人払いして下さい」

 

有一郎はかなりのシスコンだった

妹の為に何かをするタイプで、不器用なやつ

それが、心の支えを失ったんだ

 

「わかりました。暫く人が来ないようにしておいてください」

 

なんとなく、嫌な予感がするんだ

この背筋のぞわぞわする感覚

 

「有一郎、腕は平気か?」

 

繋がっては居るものの包帯でぐるぐる巻きにされた包帯

それを、眺める有一郎はどこか悲しそうだ

 

「お前・・・・!鬼殺隊だったのか」

 

「あぁ、黙っててすまない」

 

夕日が差していて影になり顔がよく見えない

 

「そうだよな・・・・金持ちで才能も顔も良いお前が何の目的も無く俺らのそばに居る訳ないよな」

 

目的はあったけどそれはお前らの為で

それに、たかがそれだけの事だったら喋らない

 

「何、言ってんだ?」

 

「鬼殺隊に俺らを入れる為だろ!?」「それは違う!!」

 

できる事なら入って欲しく無い

これが本音で、こいつらは嫌がっているんだ

それを無理やりやらせる訳には行かないだろうに

無言で服を脱ごうとする有一郎を見て固まった

 

「じゃあ・・・・・・体、か?良いぞ、別に。街に行った時も何回かそういう目で見られたし」

 

急いで、有一郎のボタンを外す手を止めると、有一郎の顔を見る

頬に涙が伝っていた跡を見つけた

 

「ま、待て!!ダメだ、それは!」

 

「抱けよ・・・・・俺を・・・!抱いてくれ

 

これが普段の有一郎なら抱いたのかもしれないが

 

「愛し合ってる人がする事だし、それにそんな悲しい顔をした人を抱きたく無い」

 

そう言いながら優しく抱きしめると腕の中で大号泣する有一郎

多分、1時間以上はそのままで羽織の1部分がびしょ濡れになっていた

 

「無一郎は、頑張ってたんだ。俺は、優しく出来なくても頑張ってた。なのに、あいつは・・・・!」

 

目が真っ赤になり、頭も痛いだろうに抱きつくのを辞めない有一郎を抱きしめて頭を撫でると再び、羽織が濡れた気がする

 

「結局、神様も仏様も居ないんだ」

 

「なら、俺がなってやるよ。お前らの仏様でも神様にでも何にでも」

 

顔を上げ、こちらを見る有一郎は年相応の少女に見えた

慰める言葉を言えているのかなんて知らないけど、このくらいのことしか言えない

 

「だから、今日は寝るんだ。今日は悪い日だから早く終わらせるんだ」

 

そういうと、『なんだよ、それ』と言いながらも疲れていたのかすぐ寝る有一郎の額にそっと口付けを落とし

 

「はぁ、無一郎の記憶が戻った時に接吻をして貰う予約」

 

この一言を残して部屋から出た

予約だったら生きているしか無いし、2人の様子を見るしかない

それに、予約をキャンセルしてそれを文句言われてる物を見られたことあるし

 

その時、有一郎が起きていたのは知らずに

当然、別の意味に捉えていたが

 


 

〜三年後〜

 

無一郎は霞柱になり有一郎はというと同じ霞柱になっていた

相変わらず無一郎は、有一郎のことを理解していない

それどころか自然に避けて行く

柱や御前の面々はそれを無言の認識としており、誰一人として何も言わない

 

影御前・光御前・星御前

俺は影、雨月は光、乙葉は星・・・・

半年に一度の柱合会議は自由参加

不定期に一度、御前会議とやらに強制参加させられている

 

「荒神・・・・・・早く死ね」

 

「何故、お前はそんなに俺を殺したいの?というか何?」

 

不定期に一度の御前会議に行くといつもこれだ

なんだ、コイツは・・・・

 

「そんなに俺を殺したいならお前が殺せばいいだろう」

 

「はいストップ!!隊員同士の喧嘩は禁止、それは御前になっても同じなの」

 

これがいつもの会話

何故か雨月は熊の面を付けていて、顔を見た事が無い

俺はというと最近、ずっと黒い狐の面になった

それを苛立っているかのように雨月は怒る

 


 

〜柱合会議〜

 

普段は参加しない柱合会議に参加する

柱から見れば異常な行動でしか無いだろうけど、俺はここに用事があるのだ

 

「これが、主人公か」

 

竈門 炭治郎

最愛の家族を殺され残った家族は鬼となった

その妹の名前はネズコ

このストーリーからして気になる事がある

 

なんで、ネズコを連れて逃げなかったのか

 

人間に戻る方法を探すにしても、逃げてそのまま探せば良い

別に富岡という男の言う事を聞かなくても良い訳だから

コイツの人柄に触れればわかるだろう

 

そして、ここは並行世界

 

何が起こるのかわからない

柱の上司となれた今、何としてもコイツを処刑させる訳にはいかないのだ

 

「やっぱり、紅蓮も来てたんだ。それにしても、何で屋根の上から見てるの?」

 

「乙葉。ここから見てる理由?それはどう考えても奴が居るからだろ?」

 

「あー、うん。何となくわかったよ」

 

奴、それは当然だけど雨月だ

あいつは俺を再起不能にする事を望む

今降りた瞬間に攻撃されても困るので、お館様が来るまで待機

 

「乙葉は、この漫画を読んだ事があるんだよな?」

 

「19巻くらいまでね。そこまでは生きていたからね」

 

19巻くらいまでねってどんだけあるのこの漫画

それにしてもそんだけ長いのかよ

 

「この会議では、俺は基本的に雨月との戦いだと思っている」

 

「雨月は鬼を殺すことに風柱よりも執着してるからね」

 

あいつは何としてもネズコを殺すのは想像できる

殺す前に奴を抑えるのが得策

だが、乙葉に相手させるのは少々ぶが悪い

乙葉は予知を使った柱達の動きの邪魔(原作通り以外の)

 

下に降りた乙葉は、慌てるでも無く取り敢えずその場にいる

荒れている柱達を見る乙葉を見ると言う妙な構図

それとなく乙葉が嬉しそうなのは何故?

 

「「お館様のおなりです」」

 

その言葉と同時に、屋根から飛び降りると残念な事に雨月とは真逆の位置

場所取りを失敗した

 

「よく来てくれたね、私の可愛い子供達。今日は雨月と乙葉、紅蓮も来ていると聞いたよ。半年に一度の柱合会議を御前と柱で出来て嬉しいよ」

 

顔の半分が病気によって焼け爛れたようになっている

痛々しいが、何の病気なんだろう

目も見えていないようだ

 

「お館様におかれましても益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」

 

風柱・不死川 実弥

数が多く、知性も理性も無さそうだが礼節を身につけている

そこらへんの獣よりは荒々しい時もあるが

 

「恐れながらお館様。柱合会議の前にこの竈門 炭治郎なる鬼を連れた隊士についてのご説明をお願い致します」

 

「驚かせてすまなかったね。ネズコの事は私が容認していた。そしてみんなにも認めて欲しいと思っている」

 

柱の面々と雨月は心底、心外だと言わんばかりにお館様を見ている

この威圧感に何とも思っていないのか平然としていられるお館様は凄い

 

「心より尊敬するお館様であるが、理解出来ないお考えだ!全力で反対する!!」

 

炎柱・煉獄 杏寿郎

髪色が炎を思わせる色

炎柱という名の通り、炎の呼吸を使う男

心の中の情熱(炎)は誰よりも燃え上がっている

 

「嗚呼…たとえお館様の願いであっても私は承知しかねる…」

 

岩柱・悲鳴嶋 行冥

盲目の僧侶を思わせる巨体の男

常に慈悲の涙を流している

鬼殺隊の中で1番、腕力がある男

 

「俺も派手に反対する。鬼を連れた鬼殺隊員など認められない」

 

音柱・宇髄 天元

悲鳴嶋程では無いが巨体

額に宝石をはめ込んだら額当てを付けている

派手な事がとにかく好き

 

「信用しない信用しない。そもそも鬼は大嫌いだ」

 

蛇柱・伊黒 小芭内

蛇のようにしつこく、鋭い眼光を持つ男

この男の刀は鋭い切れ味であり、太刀筋が曲がる

蛇を連れており、名前は鏑丸(かぶらまる)

 

「私は全てお館様の望むまま従います」

 

恋柱・甘露寺 蜜璃

桜餅の食べ過ぎで、髪の毛がピンクでだんだんと緑になっている子

隊服は大きく胸元が開いている

隠しの人に騙されたらしい

 

「僕はどちらでも・・・・どうせすぐに忘れるので」

 

霞柱・時透 無一郎

今は何に対しても興味を抱かない

有一郎と間違えられると

『は?何、間違えてるの?人を見間違える程、君の目は悪いの?』

という感じでご立腹

 

「俺は反対だ。1体の鬼を救うなんて不平等だからな」

 

霞柱・時透 有一郎

髪を後ろで一つに結んでいる

無一郎と間違えられるとこちら側が心底申し訳なくなる

 

それ以外は、水柱・富岡 義勇と蟲柱・胡蝶 しのぶ

この二人は意見を言うつもりはなさそうだ

雨月は今にも斬りそうだが・・・

 

「お館様、竈門・富岡両名の処罰をお願い致します」

 

「御前・・・紅蓮達はどう思う?」

 

聞かなくても良いじゃんか

というか、柱の視線が痛いから

 

「人を喰わないなら良いんじゃ無いですか?それに、俺は少しそこの隊員に興味を持ちました」

 

「私も賛成です」

 

「俺は鬼と同じ空間に居るだけで嫌だ。今すぐ斬首すべきだ」

 

なんだろう、この纏まりの無い御前

本当に雨月に嫌われてるな

ものすごく睨まれてる

 

「手紙を」

 

「はい、一部抜粋して読み上げます」

 

“炭治郎が、鬼の妹とあることをどうか御許しください

禰豆子は強靭な精神力で人としての理性を保ち飢餓状態であっても人を喰わず、そのまま二年以上の歳月が経過しました

俄には信じ難い状況ですが、紛れもない事実です

もしも禰豆子が人を襲い掛かった場合は、竈門炭治郎および、鱗滝左近次、冨岡義勇が腹を切ってお詫び致します”

 



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柱合会議

ポロポロと涙を流す炭治郎

安定の無表情の富岡

 

「・・・・切腹するからなんだというのだ・・・死にたいのなら勝手に死に腐れよ、なんの保証にもなりませぬ!」

 

「不死川の言う通りです!死んだ人は戻らない!!」

 

「確かにそうだね。人を襲わないという証明ができない」

 

「では!!」

 

歓喜に顔を塗り替える煉獄

ここで、お館様が何を言うのか俺でもわからない

最悪、ここで柱を実力行使でネズコ略奪を考え出した

 

 

 

 

 

 

人を襲うということもまた、()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

悔しそうな顔してお館様を見る2人

 

「ネズコが2年以上人を食べていない事。ネズコの為に3人もの人が命を掛けていると言う事。否定する側も否定する側でこれ以上の物を差し出さなければならない」

 

流石にこれを否定する為に命を差し出す阿保は居ないようだ

逆に雨月がここまで大人しいのが心外だったが・・・

 

「それに、炭治郎は紅蓮と同じく鬼舞辻と遭遇している」

 

は?

今なんて言いました?

なんでそこに俺が出てくるの

1番関係ないよね俺

 

もしかして・・・・・

 


 

山の中、厄介な血鬼術にあった物だ

痛みや痺れを通常の倍にするもの

 

そう、つまり俺の天敵だった

 

俺の炎を使う能力と雷を使う能力を何も知らずに使ったから物凄く痛いし痺れて殺されそうになった

まぁ、首を切り落としたのだが

 

その時に・・・

 

「あんなクソやろう!!ワカメみたいな頭してる癖に俺をこんな目に合わせるとか!大体あの赤い目が大嫌いだ!鬼舞辻=クソワカメさっさと死ね!!」

 


 

とかいってたんだよね

もしかしたらそれを四郎がお館様に報告したんじゃ

恐る恐る、振り返るとドヤ顔をした鷹・四郎がドヤ顔してた

あの鷹、後で撃ち落とす

 

「そんな馬鹿な!!柱、ましてや御前ですら1人しか遭遇していないのにこいつが・・・・・!どんな姿だった!?能力は!?」

 

俺を引き合いに出さないで

これは炭治郎の強運のおかげなんだから、お願いだ

 

「鬼舞辻の根城は突き止めたのか!?おいこら答えろ!」

 

炭治郎の髪を掴み揺さぶるので目が回っていて何も言えない

流石に俺はそれをされたら相手を燃やす

 

「戦ったの?」

 

柱全員が気になるようで必死に聞いている

宇髄に至っては身を乗り出して、不死川と喧嘩しながら

 

静かにお館様が人差し指を口の前に持っていくと、さっきまでの騒ぎが嘘のように黙る柱

雨月は何かぶつぶつ言っているが聞こえない

 

「わかって貰えるかな?」

 

「分かりませぬお館様。人間ならば生かしてもいいが鬼はダメです。承知できない」

 

それでも不死川は賛成しようとしない

羽織の大きな殺と言う字

それは、“どんな鬼でも皆殺し”

不死川のそんな思いが篭った羽織だ

 

刀を抜くと深い緑色の刀身が露わになった

この緑の深さは不死川がそれ程、風の呼吸と相性が良いという事

腕を切り、庭の石が血で染まる

甘露寺は“何してるのか理解できない”そんな感じだった

 

「証明しますよ!俺が!!鬼の醜さという物を!!」

 

「実弥」

 

最初に刺した箱の傷がある場所に血を垂らす

こいつは確か稀血

その血液ならば耐え難いだろう

 

「おい、鬼。飯の時間だ、食らいつけ。俺が斬ってやる」

 

箱の中からカリカリ音が聞こえる

木を引っ掻いて我慢してるんだ

 

「我慢するこたぁねぇ、お前の本性を出せば良い」

 

「不死川、日向ではダメだ。日陰に行かなければ鬼は出てこない」

 

蛇柱の指摘により、お館様の方を見る不死川

 

「お館様・・・・失礼、仕る・・・・・!!」

 

そう言うと、目には止まらぬスピードで箱を持ち屋敷に上がる

 

箱を目の前に投げ、三度刺してから箱を開ける

 

すると、竹筒を咥えたネズコが出てきた

 

「・・・・・何まわりくどい事してやがる。鬼という存在が目の前に居るんだささっと殺せばいい」

 

地面を蹴って、部屋の中に入った阿保の腹を蹴り庭に出す

 

腹を蹴られた雨月は、こちらを睨み不適な笑みを浮かべる

 

「油断の隙もねぇな」

 

「そりゃこっちのセリフだ。何いきなり殺そうとしてんだアホ」

 

お前、油断の隙も無いって言葉の意味わかってねぇだろ

さっさと刀を終え

心の中で相手に言いながら雨月を見る

 

「良いぜ、影御前と光御前。どっちが強いかここで白黒付けようじゃねぇの!!!」

 

しまった、こいつはこういうやつだった

 

 



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御前対戦

刀を抜いてこっちに来る雨月

 

真っ直ぐ切り掛かって来るので刀で相手の刀を受け流し、顔面を蹴る

 

飛んで行った雨月は嬉しそうに刀を構え、懐から銃を出す

 

「おい、派手にヤベェじゃねぇの」

 

柱は何名かこちらを向いているが構っている余裕は無い

伊黒は炭治郎を抑え込み、炭治郎は必死にもがいている

 

「ちょっと2人とも隊律違反だってば!!」「うっせぇ黙ってろ!てめぇは鬼でも見てやがれ!!」

 

雨月は止めようとする乙葉に罵声を浴びせ、ネズコも確認

 

なんとしても裁判が終わる前に首を切るつもりだ

 

だが、こちらも腹を蹴られ腹部に重い痛みを覚える

 

「テメェの“炎と雷の剣士”てのはどこにあるんだ?本気を出さないで俺に勝てるとでも思ってやがるのか!?」

 

確かに、今までの戦いよりやばい

 

相手の能力がいまいちよくわからないうえに、銃を出している

銃弾に干渉するほど炎を操れる訳じゃ無いんだ

 

「確かにお前を相手取るにはぶが悪いな」

 

刀を構えると黒い炎が体を包み込む

 

柱は顔を驚愕に染め上げ釘付けになる

 

皮膚が焼けているのが乙葉には見えているようだ

長期戦はこっちが不利

ここは短期決戦で行くべき

 

「闇の呼吸・炎雷・電光石火」

 

雨月が瞬きをした

 

その瞬間、足の裏に炎の放出

 

炎を細めると推進力によるスピード

 

瞬間的に軽い電流で相手が痺れさせ、相手の背後に周り首筋を狙って刀を振る

 

「テメェ、一体なんだよ!?」

 

当然、相手の反応速度も早く振り返って刀を躊躇なく振るわれ胴体に切り傷をつけられた

 

「っ!・・・・やったなお前!!」

 

今度はこちらが相手の背中を切る

 

だが、何故かすぐ治っていてまるで鬼のようだ

 

「はっ!お前程度の刀で俺に切り傷を付けるなんて100万年早いんだよ!」

 

「人間、そんなに長く生きられねぇよ!」

 

柱達は止めようとしたが、もはや呆れていた

 

この高レベルな戦闘技術が段々低レベルな口喧嘩に化していっているからだ

一部の人はこんなのが上司だなんて・・・・

そんな反応をしていた

 

銃で俺を狙い弾丸を撃つ雨月

 

これは、さすがに怒って良いよな

 

体の炎が燃え上がり、弾丸に触れた

かなりのスピードが出る弾丸は火器から発射され飛んでる訳だから逆に炎の付いた刀で叩くと

 

「いった!!!」

 

真っ直ぐ垂直に叩けたのか、雨月の右肩の辺りから血が出ている

 

「何したお前・・・!」

 

「いや、何したって言われても見ての通り弾丸を叩き返した」

 

銃を捨てて、刀を構え再び来る雨月

 

おかしいな、電流を少量ながしたから痺れてるはずなんだけどな

 

「光の呼吸・壱の型・煌めき」

 

半透明な刀に時折り月のような模様が付いた刀

 

それが陽光、太陽の光を反射して眩しい

 

思わず目を瞑ってしまい、その間に後ろに雨月が居た

 

隊服がズタズタになり皮膚には大量の切り傷をつけられ、かなり痛い

 

「闇の呼吸・炎獄・黒龍生雷!」

 

炎が龍の形になり刀身に絡まる

 

そのまま雷までも体や刀身に絡みつき刀をふるう

 

雨月は、体が痺れ()()()()()()()()()()()から炎と電流が入り込み苦しみ出す

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!!テメェも道連れだ!」

 

腕を掴まれ背負い投げられそうになるが何とか耐える

そして、かなり努力して自分の中で最大の電流を流すともがく雨月

炎は消えて電流だけが周りに見え始めた

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!!」

 

雨月の声にならない叫び声が響き渡る

体に痺れが出始めたのか力が弱まりだした

電流を流しながらも拘束を解くと痺れてよろめきながらも立って距離を取る

 

その瞬間、首筋に痛みが走り気絶してしまったが

 


 

乙葉目線

 

2人の戦いは人外だった

紅蓮は『この世界にいる時点で人間捨てた』

そう言っていたけど、そんな悲しい事を言って欲しくなかったな

 

水を有一郎にかけられ無一郎に首筋を叩かれた紅蓮は気絶

雨月も喧嘩相手が止まったからか大人しい

 

「雨月、柱合裁判はもう終わったよ。ネズコと炭治郎は認められた。だから斬ってはいけないよ」

 

「・・・・・・・御意」

 

渋々と言う感じで了承する雨月

思うんだけど御意って堅苦しいよね

 

「紅蓮はどうしようか。だれか面倒を見てくれるかい?」

 

柱合裁判は終わったので取り敢えず紅蓮を連れて帰りたいけど、流石にそれは問題があるしなぁ

私の屋敷に雨月が来たら紅蓮の屋敷みたいに壁に穴が空きそうだし

それは普通に嫌だ

 

「では、私の屋敷で「僕が面倒を見ます」

 

名乗り出たのは蟲柱の胡蝶さん

もう1人はこの場の全員が予想外だった

 

霞柱・時透 無一郎

 

何事にも興味を持たない人がいきなり興味を持った事

胡蝶さんの話を遮ってまでなんでだろう

 

「もう1人の霞柱にも許可は取りました。影御前とは少し話したい事があるので」

 

「そうか・・・わかった。無一郎と有一郎に紅蓮は任せるね」

 

話したい事・・・・・多分だけど、無残絡みかな?

この前、欲しい物はって試しに聞いたら『無残の情報』って言ってたから覚えてる内に情報源確保したんだ、きっと

 

紅蓮、多分だけど次会うときはげっそりしてるなぁ

 

乙葉目線終了

 



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霞柱

目が覚めると布団に寝ていた

 

ここは影屋敷ではないし蝶屋敷でもない

じゃあ他の誰かの屋敷になるな

 

雨月は布団に寝かせるわけが無い

というか今頃きっと死んでる

だから無い❌

 

乙葉は、医療に関する知識がどうとか言ってまずしないな

という事で、❌

 

悲鳴嶋さんは屋敷が遠くの山だと聞く

山にこんな広い部屋がある建物を建てられると思わない

それに、あの人なら隣で尺八はいてそうだ

一応、❌?だな

 

宇髄さんはもっとなんか派手そうな屋敷

住みにくそうなイメージ

それにあの人は、俺の羽織りをたたんでくれそうに無い❌

 

枕元を見ると、羽織が畳まれており仮面も取られていた

なんかわからないけど悔しい

 

煉獄さんの家は❌だな

煉獄さんの家なら面倒見が良い弟が時折り観に来るだろうし

それに、煉獄父が隣でお酒を飲んで起きたら文句を言いそうだ

 

恋柱の家なら蛇柱がなんとしても阻止するだろう

それを考えると蛇柱ぽいけど、途中で蝶屋敷送りにするか起きたらすぐ返す為に近くにいそう❌

 

不死川は何というか面倒見が良いからな

というか奴が1番、可能性がありそうで無いんだよな

不明・・・・ 

 

冨岡さんは・・・・・❌だな

考えもしないのはどうかと思うがあの人は即答できる

本人がいたら(心外!)って感じだろう

 

後は、霞柱

何事にも興味を持たない奴が俺を引き取る

多分無いから❌

 

俺はお館様の屋敷で倒れたからお館様か

今度、お礼を持ってこよう

 

「あっ、起きたんだ」

 

襖が開いた先に居たのは無一郎だった

何でわかるのかって?

いや、顔だけなら暫く見ないと分からないかも知れないけど白い羽織りを着てるから分かりやすい

 

「げ、お前なんでここに居るんだよ?」

 

まぁ、俺がここに居るんだけども

口から出た言葉に、自分でも驚くよ

 

「何でも何もここ僕達の屋敷だし。ねぇ無惨の事教えてよ」「嫌だ」

 

今すぐ教えたい

だけど、教えたら原作が壊れそう

何年も阿保神からの連絡が無いから不安なんだよな

 

無一郎はため息を深くついた

なんか段々と近づいてくるんだけど、何、普通に怖い

 

「仮面、邪魔なんだけど。取ってよ」

 

有無を言わさない為なのか怒気を孕んだ声

先程の事を断ったので、これくらいならいいか

そんな事を思っていた自分を物凄く殴りたい

 

何故だろう、目の前の子が凄く色っぽく見える

見た目はこの子の二つ上だけども、精神年齢はかなりのおじさん

だから従兄弟の娘の面倒を見てるイメージだったんだけどな

 

少しずつ、少しずつ迫ってくる無一郎

 

一定の距離を保てるように俺も後ろに下がってしまう

 

なんだろう、もはや何かの戦いになってはいないかい?

 

「あっ」

 

足がもつれ転びそうになる無一郎を支える為、近くに行く

 

支えた瞬間、騙された事に気づいてしまった

離れようとしたがとき既に遅し

足を絡め取られ、床に押し倒されていた

腕に力を込めても、昼間の余韻があるのか痺れて力が出ない

 

それを見透かされたのかニヤリと笑われる

こいつ、無表情なのにこんな時には笑いやがって

 

「御前なのに柱で2歳も歳下の女の子に押し倒されちゃって可愛いね」

 

いや、キモイ!!

 

そう言おうとした筈の口は時透により塞がれた

現代なら幼い2人がこんな事をするなと怒れるだろう

だが、今は大正時代つまりは戦前だ

 

女性の婚姻を結ぶ丁度良い年齢が15歳

男の場合は17歳だ

何が言いたいかと言うと誰も俺らを叱れる人が居ない

 

相手は14、俺は16で縁談話も多い時期

婚前交渉をしたんだから結婚しろ

そう言われればどうしようも無いのだ

 

油断をしていると、舌を絡めとられ相手の思い通り

こいつ、何したいんだろ

キスされてふわふわする頭で考える

頭に残っている空気が少ないからかこいつがやりたい事がわからない

 

長い間、お互いのくぐもった声や水の音が響いた部屋

相手がようやく口を離すと2人がさっきしていた行為の印に銀色の糸が引かれた

 

 

 

 

ギャァァァァァァ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男なのにかなり情けない声が出てしまった

だが、そんな事を気にしている余裕がないのだ

 

「な、何すんだお前?!?!!」

 

「声がとてもうるさい」

 

慌てる俺に対して無一郎は何を考えてるのかわからないが冷静だ

というか意味わかってやってるのか、こいつ

 

「いや、うるさいけどもこれが当たり前の反応だぞ!?お前好きな人ができた時、嫁に行けなくなるぞ!!」

 

「口を合わせただけでしょ?それに、その時は君が僕を嫁に取れば良いでしょ?」

 

いや、まぁ行為的にはそうなんだけども・・・!

それに、なんでお前を俺が嫁に取るの!?

炭治郎とか煉獄さんとか不死川とか、他にも男は沢山、居るじゃないか

 

「いや、言ってる意味がわからない、第一!なんで接吻なんかを!!」

 

「色仕掛けって知らないの?本当なら拷問だけど上官だしそれに」

 

それに?

他に何があるっていうのさ

というか、誰だこいつに色仕掛けなんて教えたの

 

「君を忘れた事は無いし」

 

なんだろう、嬉しいような、悲しいような・・・

俺じゃなくて姉を覚えて欲しい

後、それを今、言われても嬉しく無いからな

さっきから電流が流れないか試してみるが、流れない

なんだろう、今すごく虚しい

 

「と、とにかくこれは一夜の過ちとしてお互い忘れよう。とりあえず退け」

 

隊服のボタンを外そうと手を伸ばして来るので、その手を掴みそういうと静かに睨まれる

俺は何か地雷を踏んだのだろうか

 

「こんな事をしてる間に何人死ぬと思ってるの?」

 

なんだろう、俺は悪いことしてないのに悪い事をした気分になる

 

「だ、だったら鬼を狩りに行こう!!そうだ、それが良い!!!」

 

お願いだから俺を諦めて下さい

四郎を絶対撃ち落として焼き鳥にでもしよう

心に決めた

 

「ねぇ、僕が目の前に居るのに他の人の事を考えちゃダメだよ」

 

こいつ、どこでそんなセリフ覚えてきたんだ

変な知識だけ蓄積されているのか

 

「なぁ、どうしたら辞めてくれるんだ?」

 

「無惨の事を言うなら辞めてあげる」

 

自分の身か原作

このどうでも良い天秤はなんだろう

俺は男だから大した負担は無いんだよな

 

「・・・・・・・・うん、無理!!」

 

「じゃあ」

 

服を脱がせにきた

こいつは、色仕掛けがそんなに好きなのか

 

「いや、『じゃあ』じゃねぇよ!エロガキ!!」

 

「エロガキじゃ無いんだけど?」

 

やってることはエロガキだけどな

どうしよう・・・・・・

 

「なぁ、お前に色仕掛け教えたの誰?」

 

少しでも時間を長く持たせろ

今、指先がビリってしたからもうすぐで電流が流れる

かなり痛いけど

 

「えっとなんだっけ、あの隠しの名前。えっと・・・・・マッチ?」

 

マッチ?

どこからその発想が来たんだ

隠しでマッチ・・・・全くわからん

 

「その人から貰った隊服を燃やせってマッチを貰った」

 

多分、ゲスメガネ?

恋柱の隊服の胸元が大きく開いている理由

それはゲスメガネが渡したかららしい

あいつ、しばき倒す

 

「そうか、ご苦労さん。そして、おやすみ」

 

やっと、真面目に電流が流れた

ただ、ピリピリする

倒れた無一郎を布団の中に入れて縛り枕元に

 

《エロガキ、これに懲りたら二度と色仕掛けをするな!!》

 

デカデカとその文字を書いて置く

顔には多量の落書きをして

 


 

〜翌朝〜

 

前田ー!!

 

全速力で呼吸を使いながら蝶屋敷の中に入っていく

そこには満面の笑みをした胡蝶に隊服を渡している丸メガネが居た

 

「これは影御前様。どうかなさいましたか?」

 

「おいこら、ゲスメガネ。14歳に色仕掛けなんて言葉を教えんじゃねぇ!!!」

 

その言葉を言うと思い切りぶん殴る

 

「わー!あはは」

 

隣で胡蝶が嬉しそうに笑っている

その手の中にはマッチと油

隊服を燃やすようだ

さっさと別の場所に行こう

 

その瞬間、糸の切れた人形のように前に倒れた

 

 

 

 



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無限列車

「久しぶりだね」

 

「あっ、駄目神が居る」

 

目が覚めると不思議な雲の上に居た

そこに1人のおっさんと

 

「いや、神様だから君の分かりやすいようにしているだけであって実は若いんだぞ、わし」

 

いや、別にどうでも良いし

本当、お前は何がしたいのさ

 

「用件は?」

 

「炎柱・煉獄 杏寿朗を助けてもらいたい」

 

「で?」

 

「君なんか冷たくなってない?」

 

お前が何年も放置するから嫌がらせかと思ったんだよ

かなり俺は怒っている

 

「もう作戦としては考えている。だが、問題が色々あってな」

 

「何が問題なんじゃ?」

 

「任務、その日は乙葉が他の任務に行くのが決まっているのだが、俺1人だとキツそうでな」

 

「何を言って居るんじゃ?もう1人御前が居るじゃないか?」

 

「お互い嫌いなんだよ。なんか何処かで見た事あるんだけどな」

 

仮面だけ、だけど

なんというか、あっちもすごい俺を嫌ってるし

 

「そう言うもんなのかね。まぁ、よろしく頼むぞい」

 


 

「目が覚めましたか?」

 

「すまない、胡蝶。今度、お礼は持って来るから」

 

「これが私の仕事ですので。出口はあちらです」

 

目が覚めると蝶屋敷だった

これが当たり前であり、先程のは嫌がらせと言うことにしよう

ちょっと顔面が痛いから

 

「俺とカナヲのどこが違うんだろう」

 

あ、炭治郎だ

機能回復訓練に入ったんだな

という事はあと少しで無限列車か

 

「あ、あの時の!柱合会議の時はお世話になりました!」

 

「俺はあの馬鹿を止めるのが正しいことを知っているから止めたそれだけだ。お礼を言われる筋合いはない」

 

本気で無いからな

お願いだからそんな純粋な瞳で見ないでくれ

心がどんどん痛くなる

 

「あの、影御前さん!俺もっと強くなりたいんです。だからご教授、願えますか?」

 

「俺の名前は荒神 紅蓮だ。影御前じゃない」

 

影御前さんってなんか嫌だな、その名前

炭治郎の行く末に問題が無い程度ならまぁ教えるか

 

「カナヲとお前のどこが違うと思う?」

 

蟲柱の継子・栗花落 カナヲ

黒髪の美人らしいが、あまり見た事ないのでわからない

隠しなどの間では人気がある

 

「まず、目が違うと思います」

 

「だろうな」

 

お前の目は赤でカナヲの目は紫だからな

そこから考えるなや

 

「柱の人達に近い匂いがします」

 

「柱、御前もだけど全集中・常中って技を取得していてカナヲも使っているんだ」

 

「その常中ってどうやるんですか?」

 

「全集中の呼吸を一日中使い続ける事だ」

 

物凄く意味深に頷く炭治郎

これを見ると、やはり歳相応の少年だ

額にある痣はとても目立っている

 

「紅蓮さん」

 

「紅蓮で良い」

 

「紅蓮はどうして、鬼殺隊に入ったんですか?」

 

「敬語もいらん。入った理由か・・・」

 

どうしよう、聞かれると思わなかった

俺の理由は入る義務があったからで良いのか?

それとも適当な理由が必要

 

「そうだな・・・・俺は人間だけど人間じゃないからなぁ」

 

「え?」

 

カランと耳飾りの音が聞こえる

炭治郎は俺が言っている意味がわかっていないようだ

 

「俺は人間として生まれたけど、燃えたりするからな。そん奴、普通の人間よりかは鬼殺隊に向いてるんだよ」

 

「紅蓮は、不思議な匂いがするな」

 

「おい、俺が臭いって遠回しに言っているのか?」

 

このガキは喧嘩を売っているのか

喧嘩なら買うぞ

お前を全治、10年にしてやろう

慌てて炭治郎はそれを否定して説明を開始

 

「気配もしないしそれに色んな感情の匂いがあるのに、焦げた匂いがあってよくわからない。()()()()()()()()()()()()()みたいな」

 

無意識に炭治郎の鼻まで燃やしているような感覚だった

“お互いがお互いを隠している”

間違ってはいないから恐怖を感じ、つい引きつった笑みを仮面の下で浮かべた

 

「俺はこんな事が初めてなんだ。紅蓮、俺は君が何を考えて居るのかわからない・・・・あれ?居ない」

 

炭治郎の隣には黒い炎が燃えている

それがどんどん小さくなりやがて消えていく

黒い炎がどうしても炭治郎には寂しく見えてしまう

触れる物が全て燃えて消えるかのように

 


 

〜影屋敷〜

 

取り敢えず炭治郎で炎で外形を取り繕った腹話術的な物は成功

とてつもなく難しく、形を作るだけでも神経が削られた

目の前にあるのは白い彼岸花

花の名前が 白花曼珠沙華(しろばなまんじゅしゃげ)

 

暑い地方の方によくある彼岸花

赤と黄色の彼岸花から出来ると前に聞いたが、どうやったらできるんだよ出来るんだろう

まぁ良いや

 

「よし、出来た・・・・!」

 

これで、煉獄は死なない筈

俺は死ぬと思うけど・・・・・

 


 

〜無限列車〜

 

無理矢理、有給を取って無理矢理、四郎を置いてきた

とにかくあいつらは邪魔なのだ

四郎はちくり魔とでも呼ぼう

あいつは色々、報告してしまうからおしゃべりだ

 

「うまい!うまい!うまい!うまい!」

 

この謎の『うまい!』コール

これは、煉獄 杏寿朗が発する声

列車なのだから静かにして欲しいと思いながらも近くへと行く

この方が手っ取り早いのだ

 

「うまい!うまい!うまい!おや、影御前!どうしたんだ、こんなところで!?よもや、合同任務だったか!」

 

「おい、うるさいし話を勝手に進めるなや」

 

合同任務は違うが休暇で息抜きに乗った

そう伝えると

 

「この列車は鬼が出る!良ければ鬼を一緒に退治してくれないか?」

 

「別にかまわないが、他の隊士も来るのか?」

 

来るのは知ってるけど、一応聞いておこう

たぶん、これが自然な反応だからな

 

列車が動き出した

こんな揺れかたするのか

中々動き辛そうだ

突然の揺れなどが時折ある

 

炭治郎、伊之助、善逸も合流

車長が切符を切りやってきたな

 

「切符を拝見します」

 

その顔はクマが酷く、疲れ切っているようだった

切符を渡してすぐ過ちに気づく

ヤバイと

 

ダメだ、意識が落ちる

 

 



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無限列車・2

目を開くとそこは学校だった

はぁ、この鬼は嫌な奴

よりにもよって何でこんなところを・・・

 

「あの、紅蓮先輩!好きです、付き合って下さい!」

 

俺が好きになった事がある少女

小学生の時、苦手な勉強を頑張っていた君が好きだなと思ったから

 

「ありがとう。俺も好きだよ」

 

そう言ってしまったんだ

 

 

付き合って数ヶ月経った

それまでは夢物語のように楽しく、騙されるなんて考えもしない

 

「ねぇ、紅蓮先輩とはどうなの?」

 

「うーん、スポーツとか勉強とか出来るし特に問題は無いけど無さすぎて気持ち悪くてさぁ」

 

「えぇー。その方がいいじゃん、そこらのダメ男とかじゃないし」

 

「それにしても私、賭けで負けてそれで告白したのに『俺も好きだよ』って笑えるよね」

 

そう言って笑う彼女の声を信じたくなかった

彼女のことを俺は好きだったのに向こうは遊び

まぁいいさ、別れれば良いんだから

 

この世界、星の数いや腐る程に女は居るんだ

あの女じゃないと死ぬなんて通り、ない

 

手元にあったカッターで、頸動脈を切った

 


 

乙葉目線

 

前の日に無限列車の切符を買ってそして、着いた途端に列車が出て泣きそうだった

急いで飛び乗ると後から、善逸と炭治郎と伊之助も乗ってきたので、この日だったんだ、そう思いながら皆んなを探す

車長さんに切符を切られて寝ちゃったけど

 

 

 

〜夕暮れの渡り廊下〜

 

そこには、沢山の男子と女子が居て私は物陰からそこを見ていた

 

「うざいんだけど、なんなのあんた?」

 

「す、すみません、もう何もしませんから許して下さい」

 

震える声でそう訴える少女を笑う皆んなを止められない自分が恥ずかしかった

水をかけた後に粉を掛けて、生卵をぶつける時の少女の歪んだ顔

 

“あの子、お家が貧乏な子だった”

 

中学生だから働けず、だからせめて大人になってから家族を養おうと勉強し、学力学年3位をキープしている子

一回、一位になったけどすぐ紅蓮が抜いた子だ

 

「優雨ちゃん!」

 

「皐月くん!!」

 

皐月くん?

そんな子、学校に居たかな

顔が見えない

 

「美しいねぇ、幼馴染みの友情は」

 

「優雨ちゃんを返せ!!」

 

いつの間にか男の子達に羽交い締めにされて殴られていた

助けなくちゃ、だけど体が恐怖で動かない

暫くして、男の子はピクリとも動かなくなって女の子は泣き叫んだ

 

「誰か、誰か助けて!皐月くん!皐月くん!!起きて!」

 

チャリン、そんな鈴の音が聞こえた

この鈴の音は今の現状では不相応だけどもとても落ち着く音色

渡り廊下の向こう側には・・・・

 

“黒い狐の面の耳元に鈴をつけたヒーローが立っていた”

 

「また来たぞ!!」「悪魔め!」

 

「俺が悪魔ならお前らはなんだよ」

 

その声は酷く低くてとても安心感を覚えた

だけど、後から思えば恐怖を感じる声

 

「毎回、毎回、俺達の邪魔をして!!」

 

「年中無休で虐めをして毎回返り討ちに遭っても飽きないのか?次は吊し上げるぞ」

 

「殴るな!!」

 

殴りかかった男子を止めた主犯格のような男 

一回、殴りかかった男はその攻撃を避けられて戸惑っていた

あんな速い攻撃を避けたんだ

 

「先に喧嘩を打ったのはお前らだな」

 

あっという間に皆んなボコボコにして、怪我をしてないのかピンピンしてた

“仮面のヒーロー”

この学校にはそんな七不思議が最近出来ていて、そんな人、居ないと思ってたんだけどなぁ

 

「口止め料、貰っとけ」

 

その中にチラッと緑色の券も見えて、優しいんだなと感じた

口止め量と称してクリーニング代も出しているなんて

最後、財布ごと投げたのはどうかと思うけど・・・

 

「こんなにもらえません!」

 

「端金だ。さっさと男連れてけ。息はあるから」

 

途中、早口で捲し立ててどこかへ行くように仕向けた

その間、ずっと不自然にお面を抑えて

最後に“カラン”そう音を立てて落ちた仮面の破片

その先には・・・・

 

乙葉目線終了

 


 

「くっそ、何で乙葉がここにいるんだ!?」

 

列車が傾いた頃に目が覚めた

遅すぎたんだ、御前なのに、何と言う無様

 

「あっ、金髪!乙葉を頼んだ!」

 

善逸を見かけたので乙葉を投げ、炭治郎がいるであろう場所に向かう

横転する前は先頭車両にいたんだ

なら近くに・・・・!

居た、炭治郎しかいない

 

煉獄が居ないと言う事は上だ!

 

右目が既に潰れている

結構時間が経っているじゃないか

何をしてるんだ俺

 

「闇の呼吸・召雷・赤雷炎」

 

炎を細めて推進力で炎のスピードを上げるのでは無く、飛ぶ

自分の体重を持ち上げる力と炎によってバランス保つ

それに落雷の時のスピードを再現する為

普通は皮膚が抉れるが、体が強化されているのか抉られない

 

上弦の参の鬼

素手を使い戦う鬼であり、1番厄介

そいつの腕が煉獄の胸を貫こうとする

腕を切ったが、腕も刃が通り辛く少しズレていたのか煉獄の腕が飛んだ

 

右腕までも奪ってしまうとは・・・・・

 

「なんだ・・・・お前は・・・!」

 

「影御前・荒神 紅蓮」

 

嬉しそうに笑い、煉獄を見る

何をしてるんだこいつ

 

「鬼にならないか?」「ならない」

 

即答され、悲しいのか攻撃を仕掛けてきた

その腹を蹴っ飛ばし、懐から“青い彼岸花”を見せる

 

「!紅蓮、それをこちらに渡せ。渡せば命は取らない」

 

「断る」

 

一気に目の前で彼岸花を燃やす

ビキビキと効果音が付きそうな程、青筋が勢いよく着く

俺的には苛つくあいつの顔を見れて嬉しい

人間、怒りに任せた行動が1番、脆いからな

 

アカザはこちらに蹴りを何発を放つが全て、間一髪で避ける

それどころか、攻撃がどんどん脆くなっていく

本人も違和感があるが口に出してはいない

熱湿疹

熱で血の量を少なくさせ、動きづらくする

間合いに入り込んだ

 

何してる、アカザ?そいつぁ俺の獲物だ。下がれ

 

その言葉の瞬間に、体から血が大量に流れた

 

何が起きたのかなんて理解できない

 

確かな事は・・・・俺がこの瞬間を持って負けた

 

ただ、それだけだ

 

「荒神少年!!」

「紅蓮!!!」

 

炭治郎と煉獄の声だ

この傷を負わせたと思われる男

その男を見ると、“上弦の狂気”と書いてある

 

残念ながら、もう夜明けだ。また会おうなぁ

 

赤髪の男はそう告げて闇夜に溶けていく

気づけば上弦の参もいないじゃないか

誰も死んでない、これで良いんだ

 

 



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遊郭

炎と雷の酷使でもう体は限界

それに加えてあの出血量

死んでもおかしくない状態だった

 

1週間後に目が覚めた

 

「紅蓮さん!なんで生きてるんですか!?」

 

「おい、胡蝶。お前にそれ言われると死んでくれって言われてる気がするんだけど」

 

「違いますよ!」

 

心臓が止まったそうです

呼吸も停止したので死亡したと診断しようとした瞬間、起きた

危なかったぁ

 


 

怪我も治っていたので、次の任務へ出るか鍛錬か

何より、あの上弦の狂気が気になる

確か、炭治郎は今は屋敷から抜け出した

という事は宇髄 天元が来る訳で女装なんてしたくない

 

「四郎、お館様に婚約者探しに行くって言ってくれ」

 

遊郭といえば身請けだろう

あんな所で遊ぶのも働くのも嫌だから身請けで女探し

その理由が最も、遊郭では良いと判断する

 

俺の中のシナリオは、身請けする女探してたら鬼が居て戦闘

そして、身請けを諦めた事にする

我ながら良い作戦だ

 

「マテマテ、何故?婚約者ナラ腐ル程、イルダロ?」

 

「いる訳無いだろ?暫く、取り敢えず休むって言ってくれ」

 

四郎は、目先にいた人間が炎となって消えるのを見届けた

ただ言わせて貰いたい事がある

 

「フザケンナ、毎回、毎回、変ナ烏ニ怒ラレルノワ俺ダゾ」

 

四郎はお館様の所へ行く

相変わらず、従順な良い烏だな

 


 

青い彼岸花の複製品はもう見せた

恐らく、次の狙いは俺になる

俺は青い彼岸花の栽培法を知っていると見られたと考えると上弦の狂気

あいつがくる可能が高い

弱点がわからない限り、勝機はないからな

 

今回は雨月との合同任務に来た所

あの烏に言われた最後の仕事だ、ちゃんとしてやるさ

 

「鏡の呼吸・壱の型・鏡花水月」

 

儚い幻を表す言葉

その言葉の通り、目先に居たはずの雨月が消え、首を切られる

実際は霞の呼吸を使っていた雨月が思いついた我流

鬼の瞬きをした瞬間に横にずれ後ろへと回り首を切る技

本当、見事な技だよな

 


 

遊郭に来た

この遊郭は面倒くさい

勧誘が多いのだ

並行世界だからなのかメイド喫茶ならぬ執事喫茶の進化版がある

 

そのうちの一軒へと入っていく

まぁ、働く訳で嫌がらせかのように体を撫で回す客が多い

そんなに触って面白いか?

 

若いからという理由で今は免除されているが、2年後には個室に連れて行かれる様になるらしい

1週間程度の滞在のつもりだからまぁ受けたものの・・・・

 

 

 

 

 

猛烈に今すぐ辞めたい

 

 

 

 


 

◾️◾️目線(上弦の狂気)

 

イライラする

今すぐに影御前を血塗れにして、永久に玩具にしたい

あぁ、あの驚きと痛みに歪んだ顔

一度見てしまえば、あの時の快感を忘れられないであろう

あいつの面を剥がしたい

 

アァ!お前らじゃダメだ!!やはり影御前で無ければいけないんだ!!

 

頭に掴んだ生きた男の頭

それを壁に叩きつけ、血がべっとりと部屋に着く

だが、それでも尚その頭を離さず部屋に血を擦り付ける

部屋には血の匂いが染み付いており、嗅覚が鈍い人でも吐いてしまう程

先程までは今、死んだ男も吐いていた

血の匂いが部屋に広がり染みつく

 

「何してるの?」

 

あ?・・・・なんだ花?

 

突然、聞こえた女の声

狂気にはおしとやかに聞こえるが、他の者は気持ちが悪く悪寒がする程の異質な声

 

上弦の花

この惨状は鬼であっても・・・・あの無惨でも嫌がる光景

それでもなお、笑顔を崩さない鬼

流石の狂気もこの鬼には心を開いている

 

「最近荒れてるねぇ」

 

どこがだよ、俺は絶好調さ

 

「これを荒れてると言わずになんと言うのさ?」

 

全てを見通されているのが気にくわない

そう思っては居るが、憎めないのが事実な訳で・・・

 

何のようだ?いくらお前の頼みでも、もうくだらない彼岸花なら探さないぞ

 

彼岸花探しで酷い目にあった

人間が1人逃げたんだ

そう言っているが先程、殺したのが逃げた人間だろうにと上弦の花は考える

 

「遊郭に・・・行こうと思うんだ。そこには影御前が居るという情報もあるんだけど「行く」わかった」

 

上弦の花の狙い

それはよくわからないが・・・・

あいつを捕まえて、体を壊してちぎって痛みで、恐怖で顔を歪ませろ

 

待ってろよ、荒神 紅蓮

 

うっとりした顔で誰かを思い出す上弦の花

その様はまさに恋する乙女といった所で、にんげんなら逃げなければ死んでしまう

 

一つ、いや二つの影に殺意が近づいていく

その事に気づかない、もう一つの影は一体誰なんだろうなぁ?

 

◾️◾️目線終了

 


 

「疲れた・・・・」

 

店が終わり、外に出て空気を吸う

やっぱり、あの店より俺には外の空気の方が好ましい

 

「影御前、何してるんだ?」

 

人のリラックスしている時、光御前が来た

巡回?

こっちはこいつの担当の地区じゃないだろ

 

「この辺りに鬼の気配があってな、わからないから働いて気づかれないようにしてるんだよ」

 

「なら・・・俺も働く」

 

えっ、何突然

ちょっと怖いんだけども

 

 



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戦闘

「荒神・・・・早く死ね、とは言わない。そのかわり、鬼を殺せるだけ殺して死ね」

 

まさかの戻ってきてからの第一声

本当にこいつは意味がわからないんだけど

 

「は、何お前?普通にいきなりそんなこと言われても困るんだけど」

 

「良いか、お前は上弦と戦って残ったんだ。俺は会いもしなければ勝てるか分からない」

 

珍しく自信が無いな

いつもなら『俺がその鬼を殺す、お前はすっこんでろ!』

そんなこと言って来る癖に

 

「なんで、そこまで鬼を殺すことに執着する?」

 

「・・・・お前には、関係無い」

 

そう言って何処かへ行く雨月はどことなく知っている気がする

だけど、特に問題は無い

俺は鬼を殺すためだけに生きてるんだから

 


 

炭治郎達が来て一日経った

あいつらの化粧見て爆笑してたら善逸にぶん殴られた

雷に打たれた人間は基本、生きてないのに生命力が凄いのか大正時代の人が凄いのか

 

「今日は・・・月が綺麗だ」

 

綺麗な満月

さらに満遍なく散らばる綺麗な星

 

「この景色の中でお前が居なけりゃ最高なのにな」

 

おっと、気づかれてたか。仮面をつけて日中すごしてる癖に視野は広いんだな

 

天井の丁度、俺の真上に居る上弦の狂気

どうやってお前のところを観んだよ

頭に目玉なんざねぇんだ

 

「そんだけ、殺気を出してれば誰でも気付く」

 

ハハハハ!そうかい、そうかい

 

変な奴だ

気持ちが悪い、違和感が尽きない

 

天井から降りてワザと急所を避けた場所を斬ろうとしてくる

 

それを避けるが、腕が少し切れて血が出た

 

「いきなり奇襲かよ」

 

戦う準備、できてるじゃねぇの。もう、わかっていたんだろ?

 

執事服だと戦いにくいので、隊服を着ていた

その為、執事服がちょっと大きいやつだったけども

 

それに、俺は正々堂々ってのは好きじゃない

 

「戦闘に向いてないぞ、お前!」

 

爪を使った攻撃

 

ごく単純な動作だが、あの時の攻撃

 

一瞬にしてどうやって俺を傷つけたんだ

 

それに、この匂い

酷い匂いだ

鼻は平均的な良さだが、臭い

何というか、嗅いだことも無いし表し難いんだよ

 

「臭いぞお前!ちゃんと風呂に入れ!」

 

入ってるさ、血の風呂と真水の風呂にはな!

 

血の風呂

どうりで臭い訳だ

お前はエリザベートか何かなのか

 

血?

 

今は血の風呂と言ったなこいつ

では、血が何かを表しているんじゃ無いか

今、俺は怪我をしていないがあの時は怪我をしていた

 

血鬼術・血刃液

 

自分の手の平から血を出して攻撃してくる

 

血は、周囲に飛び散って刀で弾こうとすると普通の液体になるが・・・

 

「っ!卑怯な奴」

 

血が固まって、足が動かない

 

戦いには卑怯は無いだろ?勝てばいいんだから

 

「あっそ、じゃあ恨むなよ」

 

そういうと、炎になって消えた

 

「闇の呼吸・灼熱・地獄の業火」

 

いつもは黒い炎が青い炎となり、空を舞う

 

炎は全てを焼き尽くす為、燃え上がり鬼に絡みつく

 

だが、炎は全て周囲に吹き飛び屋根などには引火せず消えた

血を使う血鬼術だと思ったが見せかけなのか?

じゃあ一体何を使うんだ

 

そんなんじゃダメだ、俺を殺せない

 

狂気の後ろを見ると上弦の鬼と炭治郎が戦闘している

しまった・・・変なやつと戦ってる間に

それにしても、しつこいなこいつ

 

両手に当然のように血液で出来た刀を持って出てきやがった

面倒くさい

 

パワーもあればスピードもあるな

 

二刀流だからなのか、戦いづらい

 

片方の刀を抑えたらもう片方の刀が迫ってくる

 

キリがない

 

それにしても何故、雨月は来ないんだ

炭治郎達の所にも居ないんだけど・・・

まさか、他にも鬼がいるの?

 


 

雨月目線

 

「光の呼吸・参の型・雷火」

 

「血鬼術・茨」

 

何なんだこいつ、ふざけるな

頸を何回も切っているのに何故死なない

これが、上弦の力

 

さっきからトゲの生えたへんな蔓が迫ってきて触れると切れる

 

攻防一体と言った所で、このままだと体力が無くなって先に死ぬ

 

「もっと、もっと困って、お願いもっと私を貴方という人で興奮させて!!」

 

「俺はそんな趣味持ってねぇから諦めろ、クソ女!!」

 

何こいつ、さっきより蔓の数増えたし

屋内だからか、動きは制御されているから良いものの

外に出ないとダメだ

 

「ぐはっ!」

 

蔓が腹に当たると、皮膚に穴が空いた

 

それでも生きられるのは俺の特権だろうか

 

壁が抜けて外に出ると、自分の目を疑った

 

影御前が死にかけだった

 


 

息を吸うことさえ、辛い

 

立っているのも嫌だ

 

体の傷を塞ぐために炎がつく

 

辞めろ、もう炎なんか付かないでくれ

 

面白い、人間なのに炎が着くんだよな

 

ジリジリと迫ってくる鬼

 

死を切望してしまう

 

いや、元から死を切望していた

それを無理矢理、押し込んでいただけ

何が、予約だ

あれは、俺が利用してただけだろ

 

アァ!やっとお前を俺の物にすることが出来た!!

 

「影御前、この草燃やせぇ!!」

 

お前・・・・嫌なやつ

 

走ってこちらへと来ると狂気の攻撃を受けるもすぐに回復する

 

痛みという概念はあるのにどうしてそんなに頑張るんだ?

もうそれすら考えることが出来ない

 

油をかけられると、周囲に炎が燃え移った

 

爆発のような勢いで燃え広がり、蔓を全て燃やし切る

 

「テメェ、何勝手に死にそうになってやがる」

 

そう言って腹を蹴られるが返す言葉もない

逆にその蹴りで死んでしまいそうだ

 

「影御前、反撃開始だ!」

 

 



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刀鍛冶の里

反撃?そんな物が出来るわけねぇだろ

 

二本の刀を作り、また向かってくる

 

迫ってくる刀を雨月が受け止め

 

「お前の相手は俺だ!!」

 

そう言って反撃に出た

はっきり言って相性が悪かったんだなと痛感

 

「そうよ、諦めなさい」

 

蔓を周囲に出現させ、狂気との連携攻撃が炸裂する

 

切っても燃やさない限り蔓は消えない

 

狂気を抑える雨月の所にも蔓はあるのでそれを切る事の繰り返し

 

「やだね、鬼に殺される訳にはいかないからな」

 

案外、死にかけても暫くすれば痛みなんか無くなる

 

死にそうな痛みの次にまた痛みだから大して痛くない傷でも痛く感じたのだろう

今、体は瘡蓋だらけでいたって気持ち悪いが

 

「邪魔!」

 

蔓にトゲが生えていたのだが、そのトゲが飛んできた

 

刀で受け流しつつ焼いて行くが体的にもうしんどい

 

鉛をつけたかのように重い体が言う事をまだ聞いてくれる

今のうちにやれる事を済ませるんだ

そうじゃないと、玩具として永遠に生きないといけない

 

「闇の呼吸・死者の冷気・冥界の訪れ」

 

普段は体は熱く、血が流れている感覚がわかるが今は冷たくなってさらにわかりやすくなる

 

ある刀鍛冶にお願いをした

 

鍔のすぐ下に小さな穴を一つ、刀の先にもう一つ穴を作ってくれと

そこに音が響くようにして欲しいと言うお願い

 

熱音響冷却

廃熱を使って冷気を発生させることが可能か、各国で検討されておりつまり冷えるのだ

 

鍔のすぐ下の穴を炎で集中的に熱していく

そうすると、“刃が赤くなった”

 

俺のすぐ背後には骸骨が並んでおり、刀身を掴もうと迫りくる

刀身を掴んだ骸骨は、消えて白い冷気へ

 

「何、何よ、それ!キモイ、こっちにくるなぁ!!」

 

蔓の勢いやスピードが格段に上がる

 

トゲも飛んでくるが、刀で全て受け流し進む

 

致命傷以外は気にするな、どうせ治る

進め、進んで勝利を奪い取れ

 

頸に刃が入った

 

意外と簡単な頸は切れたが・・・

 

「何なのよあんた!?本当に人間なの!?」

 

生きている

どこかに弱点があるはずだ

 

「光御前!!」

 

「光の呼吸・陸の型・千輪菊!」

 

技の名の通り、花火をイメージする動き

 

火花が吹き荒れるかのように浅い切りだが、雨月を目視できない

 

一瞬、遅れたが鬼の体から血が吹き出す

 

本人は無意識なのだが動脈まで切っている為、例え浅い切りでも血流によって穴が大きくなり出血量がふえる

その為、回復するのに少し時間がかかり、回復する前に他に傷が出来るという仕組み

 

っ!次会ったら必ずお前を玩具にするからな!

 

朝日が差し込む寸前に、そう言い残しどこかへ行く狂気

体が蔓となり、殺し損ねた花

下を見ると逃げたと思われる穴が見つけた

 

視界が狭くなり、立つのも辛いのでもう寝る

死んだかのように倒れ込む紅蓮を見て、慌てて隠しの元へと連れて行った雨月

 


 

全身が痛い

 

「本当、どいつもこいつもですよ。私、言いましたよね?無理をしてはいけないと」

 

起きて早々、説教をされていた

理由?約束をやぶったかららしいけど意味がわからない

 

「無理しないとやっていけないだろ?」

 

「口だけは達者なんですね。良いですか、貴方の体はもう壊れかけています」

 

知ってる

あんな酷使をして生きてる体があるものか

常時、炎や雷を少量流しているのに・・・・

 

「今回、生きているのも奇跡と言えます」

 

後半は聞いていなかったが、3時間くらい説教された

優しいのはわかるんだけど・・・何と言うかなぁ

 

炭治郎は未だに眠っているらしい

 

雨月は手紙を残していて

 

《早く起きろ、そして死ね》

 

こんだけの心配してるのか殺したいのかわからない手紙を残していた

 

仮面はバキバキに割れ、素顔が今は晒されている

そこで、鏡を胡蝶に見せられた時に絶望した

 

痣が出ていたのだ

 

龍と狼が背中を預けあった痣が右の頬

左の目を引き裂くような雷の痣もあり、これはなんだ?

 

自分でもそう思った

 

まだ、痣が出るだけなら良いんだけど何故か消えない

体温も常に39度を超えるようになっているからかもしれないけど

 

そして、いまは必死に氷で頬を冷やしている

 

鴉に痣が出る方法を聞かれるが、全力無視

四郎には何故かガン見されているが気にしない

 

「さて、抜け出すか」

 

炭治郎がここからいなくなって、

 

黒い着物に黒いマフラーに黒い狐の面

動きやすい服をこれしか持っていないんだよな

隊服よりこちらの方が動きやすいし

 

その時、胡蝶は

 

「本当、何なんですかね、あの人は。処置が大変なのは私達なんですけどね」

 

青筋を立てて怒っていたという

 


 

◾️◾️(狂気)目線

 

〜無限城〜

 

上弦の肆・鳴女が支配する城という認識の城

琵琶を鳴らすと部屋の位置を変えらる女

 

アァ、怠い

 

そこに来いと言われついた瞬間、なんか知らない里についた

 

「ヒョヒョッ、狂四郎様は随分と苛ついていらしゃいますな」

 

命が惜しけりゃその名前で呼ぶな

 

「ヒイイイ、殺されてしまうー!」

 

変な奴らと里に向かわされた

本当なら今頃、影御前の家を探している筈なのに

クッソ、ふざけるなよ

 

◾️◾️(狂気)目線

 


 

隠しらしき人が通ったかどうかの情報調べ

誰もいない里の位置

その他諸々を調べると里の位置の特定が完了した

里の周辺にたどり着くともう夜で、遅かったなと思いつつも里の中へ入って行く

 

 



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刀鍛冶の里・2

「それにしても・・・・ストーカーかお前は!!」

 

刀を持って木の上から急降下してきた狂気

 

何、こいつ、毎回毎回なんで会うの

 

刀で受け流し、頸を切る為に刀を横に振るうも逃げられる

 

俺とお前は運命の赤い糸とやらで繋がってるんじゃないのか?ここまで来たら大人しく俺のおもちゃになれよ

 

「誰がそんなのになるか!!それに、赤い糸じゃなくて黒い糸だ!」

 

黒い糸の意味

意味・因縁の相手、憎み合う相手

 

刀から血液の斬撃が飛んでくる

 

それを、避けたり刀で受け流したりして木の上に逃げ込む

 

悲しい事を言うねぇ。黒い糸が何か知らないけど、赤い糸の方が綺麗だろうに

 

「闇の呼吸・炎獄・黒龍生雷」

 

回転して威力を上げるのは水の呼吸と一緒

 

スピードを緩く穏やかに・・・そして、油断した相手に

 

足の裏からの炎を噴射

 

裸足になるがこの際、しょうがない

 

電流を刀身に流し込み、腕を切り落とす

 

お天馬は嫌いじゃないが、危ないぜ?

 

腕から血が大量に吹き出し、怪物の形になった

 

その怪物は切っても切っても斬撃を斬撃と思わないかのようにさらに勢いを増していく

 

腕を切ったと言う事は失敗だったようだ

選択ミスをした

ここで炎で蒸発させる事はまず不可能

 

嫌な奴と来たからなぁ。今日の俺はついているようで良かった

 

大きく風が吹き、脇腹に何か当たり倒れてしまう

 

そちらを見ると

 

「乙葉と有一郎!!?」

 

この2人が横に倒れていた

 

よりにもよって何故このタイミングできたのかわからない

それに飛んできたけど、何が起きたの?

 

「イタタ・・・あっ、紅蓮!こんばんは!」

 

頭がおかしくなっているようだ

飛んでくる時の恐怖によって頭がうまく働いていない

そういえばジェットコースターで、泣いてたな

 

「こんばんはじゃないだろ!?目の前に鬼が居るんだぞ!」

 

「お前ら・・・帰れ。邪魔だから帰れ。それにうるさいし」

 

よりによって本当になんでここなの

相手の攻撃が今は止んでるから良いものの・・・

 

アァ!なんでこうも邪魔が来るんだ!!俺の邪魔をするなぁ!!

 

血の斬撃が飛んでくる

 

さっきより早いし、威力も高い

 

「霞の呼吸・参の型・霞散の飛沫」

 

血の斬撃を弾く有一郎の背後には、上弦の狂気が居た

 

霞の呼吸か・・・ちと厄介だ

 

霞の呼吸に良い思い出が無いとでも言いたげな様子

 

有一郎は咄嗟に距離を取る

 

「星の呼吸・肆の型・天の河原」

 

上半身の激しいねじりによる攻撃

 

切るというよりネジ切ると言った方があっている

 

だが、乙葉が切ったのは腕だった

 

「馬鹿!!腕を切るな!!」

 

腕を切ると先程と同じように血の化け物が現れて、乙葉の片目を潰した

 

痛みなのか泣く乙葉だが、そこまで阿保でも腰抜けでも無いようだ

 

「星の呼吸・伍の型・七つ星!」

 

鋭い突き技

 

胡蝶とほぼ同レベルのスピードで着く

そして、血液を切り裂く乙葉

 

血液がどう動くか予測は出来ても予測が出るまでに避けることが不可能なのが伺えた

能力頼りだというのが丸わかりになった瞬間

 

綺麗な血飛沫あげろよクソガキ!!

 

いつ、有一郎の後ろにいたのかわからないが、有一郎の片腕を切り落とした

あまりにも一瞬で、瞬きする暇すら無い

何が起きたのか有一郎は一瞬、理解できずに居たが理解すると呼吸での止血

 

「闇の呼吸・炎獄・黒龍生雷」

 

回転して威力を上げるのは水の呼吸と一緒

 

スピードを緩く穏やかに・・・そして、油断した相手に

 

足の裏からの炎を噴射

 

裸足になるがこの際、しょうがない

 

電流を刀身に流し込み、腕を切り落とす

 

お天馬は嫌いじゃないが、危ないぜ?

 

腕から血が大量に吹き出し、怪物の形になった

 

その怪物は切っても切っても斬撃を斬撃と思わないかのようにさらに勢いを増していく

 

腕を切ったと言う事は失敗だったようだ

選択ミスをした

ここで炎で蒸発させる事はまず不可能

 

霞の呼吸に良い思い出が無いとでも言いたげな様子

 

有一郎の片腕を切り落とした

あまりにも一瞬で、瞬きする暇すら無い

何が起きたのか有一郎は一瞬、理解できずに居たが理解すると呼吸での止血

 

「闇の呼吸・炎熱・暗黒雷雲!」

 

俺の刀の色が漆黒でも水色でも無い

勝色、と言われる黒に近い色

 

闇の呼吸の由縁は“黒い霧が発生”するからだ

 

残念、だったな、今日は、致命傷だから、帰る

 

右肩から左の腰あたりまでしか切れておらず、急所を外している

そして、何処かへいく狂気

必ず殺せる筈なのに何故、殺さないのか理解ができない

 

「ゲホッ、ゴホッ、ガハッ!」

 

突然、咳き込んだ事に有一郎も乙葉も驚いている

咄嗟に押さえ込んだ手には水の感覚

口の中には、血の味が広がり気持ちが悪い

生臭い臭いがする

 

手を見るとべったりと()()()()()いた

 

『無理をしてはいけませんよ』『貴方の体はもう壊れかけています』

 

胡蝶の言葉と顔が浮かんでくる

 

「“壊れかけ”じゃなくてもう“壊れて”んだよ」

 

一度は死んだ身

何がなんでも、鬼は殺す

特にあの狂気は今までの鬼の中でも1番殺意が強い

 



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刀鍛冶の里・3日後

「おい、どうしたんだよその血!」

 

「・・・・・・・・・口の中、切った」

 

「絶対に嘘だよね!?なんでそんな嘘つくの!?」

 

乙葉と有一郎の質問攻めにあいながら、里に戻りつつある

俺の吐血よりお前らの方が怪我は、ひどいんだけどな

朝日が差し込んだからなのかテンションが、高い気がするのは俺だけだろうか

 

「それにしても・・・・うるさいな」

 

2人は蝶屋敷への連行

そのついでと言わんばかりに俺も連行させられた

 


 

「だからってこの部屋の組み合わせはないと思うんだけど」

 

この組み合わせとは有一郎と無一郎と同じ部屋だという事

まだ、乙葉なら良かったものの何かの組み合わせ

俺に死ねと言いたいのか

 

「わがまま言わないで下さい。元はと言えば貴方が逃げ出すからでしょ?2人の事を見ててくださいね」

 

事実だから何も言えない

そのまま、大人しく眠っていた

 

次の日の朝

ネズコがトコトコ外を歩いていたのを見かけた

きちんと、原作通り進んでるんだな

俺の体が壊れた意味があって良かったよ

 

そういえば、あのくそ神は出てこないけど死んだのか

 

『まだ、死んどらんよ。勝手に神を殺すのをやめないか』

 

「チッ!」

 

盛大な舌打ち

それに、神すらも驚いた

 

『ねぇ君、今もしかして舌打ちした!?』

 

してねぇよ、用件は何?

お前、言ってないことがあるだろ

そういえば、体壊れました

 

『君の事じゃが、すまない』

 

何が?

 

その後の言葉に神を恨み“二度と出てくるな”その言葉を残して寝た

神様はやっぱり理不尽でしょうがないんだ

 


 

2日後

無一郎も有一郎も目が覚めた

やけに顔を見てくる

何か付いているのだろうか

無一郎にしてはロクなことをしないので多少の恐怖を感じるが

 

「紅蓮、僕は記憶を取り戻したよ」

 

「そうか」

 

特に興味がない

記憶があろうが無かろうが知ったことじゃないんでね

それに今は、機嫌が悪いんだ

 

「紅蓮、僕と婚約しよう」

「紅蓮、俺と婚約して欲しい」

 

「嫌だ」

 

普通の男ならここで“はい”とでも言うのだろう

ごめんだけど、俺はそんな余裕は無いし

長くても25歳で死ぬんだからほぼ意味がない婚約

誰がそんな物をするか

 

「そんなに僕達の事嫌い?」

 

そんな可愛い顔でお願いするのは卑怯だ

女は皆、卑怯なのかもしれないな

上目遣いで泣きそうになっているのか涙目の目

 

「違う、俺は鬼殺隊だ。それに長くても25歳で亡くなる」

 

しまった、余計な事を口走った

 

「紅蓮、それはどう言う意味だ?」

 

心底心配だと言いたいのか顔を覗き込む有一郎

そんな目で見ないでくれ

ある筈の無い心が痛い

 

「・・・・炎と雷の酷使と狂気との戦いで体はもうボロボロになっている」

 

「っ!なんでそれを早く言わないんだよ!?」

 

無一郎に肩を掴まれ、揺さぶられる

それもそうだろう

愛おしくて求婚した男が戦うのが危うい状態で戦っており、自分を頼ってくれなかった

その事実がどれだけ辛いかという話

 

「紅蓮・・・・!お前は俺らをもっと頼れよ!!何が俺が神様でも仏様にでもなってやるだ!なる前に死んじゃ意味ないだろ!」

 

自分が言った言葉を考えるとずっとそばに居なければならない事に気付く

こいつらの役にはもう俺はたてないんだ

 

「・・・2人とも・・・・すまない

 

この言葉を言うと、2人とも抱きついてきた

有一郎は片手で器用に首に腕を巻き付かせて肩でまた泣いた

無一郎は、胸の辺りで泣いている

女ってなんでこんな涙貰いんだろうな

 

「泣くなよ、2人揃って・・・そんな事されたら、()()()()()()って思ってしまうじゃないか」

 

鼻が熱くなり、目も熱くなる

初めての感覚

神が生きたいって思えるようになるまでこの世界に居させると言ったな

その目的は果たされたよ

 

紅蓮も、この2人の少女との出会いで変わった

良くも悪くも生きたいと願っている

だが、それを残酷にも切り裂くのが運命だ

 

 



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番外編

蝶屋敷から解放されて、鬼の出現報告は無し

炭治郎は未だに眠っているけども・・・

 

今日は、時透達の引っ越しの手伝いをしに来た

影屋敷に住むと一点張りで介護でもするつもりなのだろうか

婚約もまだ諦めていないようで、疲れる

 

何かの嫌がらせなのか、婚約届があるらしくそれを書くだけで良いと言ってくる日々

書くだけって言ってるけどさ、書いたら婚約じゃん

俺、アホじゃないから知ってるんだよな

無知な自分になりたいけどなったら恐らく婚約

絶対に嫌だ

 


 

ある時は

 

「荒神 紅蓮ってどんな字で書くの?ちょっと書いて見てよ」

 

「いいぞ」

 

唐突に言われたが、まぁいいだろう

名前を書くくらい

ん?名前・・・

 

「はい、これに書いて」

 

《婚約届》

そう書かれた紙を無言で、破り捨てた

油断の隙もない

 

ある時は

 

「紅蓮、お前さ見合い話も来てるんだろ?なら丁度良いじゃねぇか」

 

「良くねぇよ」

 

結婚したくないから断ってるんだよ、有一郎

妹とは違う手口で攻めてきたな

 

「紙に名前を書くだけだろ?」

 

「書いたら婚約だろ?」

 

なんだよ、この世界の女は面倒くさいな

婚約に対する執着がすごいんだけど

 

ある時は

 

「今日こそは会わないように」

 

藤の花の屋敷

鬼が出ない今は、まわる必要なんか無い

今は鬼より恐ろしい者から逃げている

 

「それで、逃げたつもり?」

 

聴き慣れた聴きたく無い声

ここまでされたら普通、諦めるだろ

 

「そんなんだったら俺らが面倒見てやる」

 

余計なお世話だ

やけに上から目線だな、おい

 

「お婿さんにおいで」

 

当然のように言うな

そして、普通そう言うことを言うの俺だと思う

 

「絶対に嫌だ、というかなんでお前らここがわかったの?」

 

そうだ、四郎も頑張って置いてきた

どうやって俺を見つけたの

もしかして、監視?

 

「目撃情報を聞いてこの辺りかなって思ってきたんだ」

 

恐怖しか感じない

それ、俺が刀鍛冶の里に行く時にやった事だけども

 


 

もう嫌だー!!

誰か、あのアホどもを忙しくしてくれ

柱や知り合いの誰かと話してる時に

 

「紅蓮と僕達、婚約したんですよ」

 

「してない、寝言は寝てから言いやがれ」

 

このままだと俺は知り合いと話せなくなる

 

「なぁ、お前ら俺のどこが好きなの?というか好きってどんなの?」

 

本人達に聞くことにした

あわよくば諦めさせる

 

「口が悪い割に面倒見が良いところとか、頑張り屋な所とか好きだよ?」

 

今言ったのは別人じゃなかろうか?

そもそもお前らの面倒なんて見たことがないし

 

「恋愛の好きがわからないから教えてくれないか?」

 

2人は少し考えている

多分、友人としての愛情が恋愛の愛情とでも思っているのだろう

そうであって欲しい

 

「心臓がドキドキしたり」

 

「動悸だ。胡蝶のところへ行け」

 

よし、一つ目はごまかせた(ごまかせてません)

無一郎のは簡単にごまかせたな

 

「頭の中がお前でいっぱいになったり」

 

えぇ、そんなに重傷

いや、重症なんかじゃない

 

「恐怖しか感じない!それは、新しい病気だ!吊り橋効果も入ってるかもしれない」

 

ジリジリとジト目で迫ってくる有一郎から距離を置きつつ逃げる

こういう顔した女が近づいてくるとろくでもない事が起きるからな

ある種の呪いなのかもしれない

 

「じゃあ・・・お前に接吻したいって思うのもか?」

 

「・・・・・・」

 

ダメだ、なんも言えない

とにかく頑張って逃げなければ

電流を流したら多分、無一郎に捕まる

どうしよう・・・

咄嗟に口元を抑える

 

「手、邪魔」

 

「至急、産屋敷ニ集マレ!!」

 

初めてまともに四郎に感謝した瞬間だった

 

 



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柱稽古

この日、産屋敷邸では緊急御前会議が開かれていた

柱もおり、それ程の重要な事なのだろう

 

「あーあァ。羨ましい事だぜぇ、なんで俺は上弦に遭遇し無いのかね」

 

風柱・不死川 実弥が退屈そうに言う

だが、一度戦ってしまうともう懲り懲りなのだ

それがいつか、こいつにもわかるのだろう

 

「こればかりは遭わない者はとんとない。甘露寺と時透、御前達はその後、体の方はどうだ?」

 

蛇柱・伊黒 小芭内

上弦と戦ったこの場に居るメンバーに質問する

甘露寺の事が心配なのだろう

 

「あっ、うん。ありがとう、随分良くなったよ」

 

恋柱・甘露寺 蜜璃

頭に包帯を巻いているからまだ完治はして居ないのだろう

暫く、眠って居たらしいからな

 

「僕も・・・まだ本調子じゃないですけど」

 

霞柱・時透 無一郎

顔に2枚、絆創膏のような物を貼っている

本調子じゃなければ何故、あそこまで行動力があったのだろう

 

「これ以上、柱や御前が欠ければ鬼殺隊が危うい・・・死なずに上弦二体倒したのは喜ばしい事だ」

 

慈悲の涙を流しながら言う岩柱・悲鳴嶋 行冥

まぁ、ごもっともなことを言うな

 

「今回のお2人は傷の治りが早い。何かあったのですか?」

 

蟲柱・胡蝶 しのぶ

純粋な疑問をぶつけているな

 

「その件も含めてお館様からお話がある」

 

水柱・冨岡 義勇

久しぶりに声を聞いた気がする

 

「そんな事より影御前・・・何故お前が居ながら時透と乙葉が戦線離脱する結果になった!?」「大変、お待たせ致しました」

 

雨月は乙葉に最近、求婚したと聞く

その為、怪我のことを1番考えているらしい

 

「本日、産屋敷 耀哉の代理を産屋敷 あまねが務めさせていただきます」

 

奥方が出てきた

体調が優れないらしく、大変だな

 

「承知・・・お館様が一日でも長くその命の灯火を燃やしてくださる事を祈り申し上げる・・・あまね様も御心強く持たれますよう・・・」

 

鬼舞辻の長い月日の目論見が叶った今、鬼の行動も収まっている

太陽を克服した鬼を探す鬼舞辻だが、あいつはまだ克服してはいない

 

「時透様、甘露寺様。痣の発現のご教授。お願いいたします」

 

「「!?」」

 

「痣?」

 

甘露寺が純粋な疑問を聞く

他の柱も興味があるようで、聞く姿勢を整える

 

「戦国の時代。鬼舞辻無惨をあと一歩という所まで追い詰めた始まりの呼吸の()()()()。彼らは全員に鬼の紋様と似た痣が発現して居たそうです」

 

その言葉を聞いて柱達は大きく反応

雨月に至っては、思考を巡らせている

 

「伝え聞くなどしてご存知の方はご存知です」

 

「俺は初耳です。何故、伏せられていたのです?」

 

不死川が聞く

その様子にそれほど、重要な事なのが見て取れる

ついでに言うので有れば、伏せられていたのが余り喜ばしくないのだろう

 

「痣が発現せずに思い悩む方がいらっしゃいました。それ故に伝承が曖昧な部分が多いです。当時は重要視されていなかったせいかもしれませんし鬼殺隊がこれまで何度も壊滅させられかけた時に伝承が途切れたせいかもしれません」

 

壊滅状態になっても、鬼殺隊があるのがすごい

後、伝承が途切れる程の危険な状態でよく頑張ったな

 

ただ一つはっきりと記し残されていた言葉があります

 

 

 

痣の者が1人現れると共鳴するように周りの者にも痣が現れる

 

 

 

    

 

                              」

 

 

 

「この時代での最初の痣者は柱や御前の階級ではありませんでしたが、竈門 炭治郎様。彼が最初の痣者」

 

 

「次の痣者は荒神 紅蓮様」

 

その言葉と共に席を立ち、居なくなる

講義の声も上がったが、何を言われるのかわからなかった

変な事を言われるはずのないのになんなんだ、あの恐怖

 


 

あまね様と乙葉と有一郎を除く柱と御前はまだ全員居た

悲鳴嶋が話しかけてくる

不死川と冨岡が喧嘩している時にパンッと手を鳴らしたのは驚いたけど

 

「私に一つ提案がある」

 

ここで、柱稽古と御前稽古の提案が上がった

柱の所で稽古をする隊士

その隊士達が、柱の所で稽古をする事での実力アップ

痣が発現した者は常時、痣の発言ができるように

発現して居ない者は、痣を発現させる

それがこの稽古の趣旨

 

御前稽古は柱が手合わせをしたいので有れば、相手をする

隊士達は柱達のところを終えて来た場合、こちらもこちらで稽古をつけなければならない

敢えて言うので有れば、御前が何をどう稽古するのかも注目されているのがプレッシャー

 

宇髄による基礎体力向上訓練

甘露寺による地獄の柔軟

時透達は高速移動

不死川による無限打ち込み稽古

伊黒による太刀筋矯正

悲鳴嶋の筋肉強化

 

なお冨岡、胡蝶、煉獄、乙葉は不参加だと聞く

 


 

柱稽古開始、一日目

 

隊士は誰一人として来ない為、至って平和

いつかこの景色が隊士の悲鳴などで埋め尽くされたりすると考えると

 

柱稽古で1週間くらい経過

 

時透達の所には大量の隊士が現れた

へばった隊士が大量発生

ものすごく、疲れるらしく可愛そう

 

次の日の朝

 

「御前ってたかが、特殊能力があるだけだろ?」「俺だってそんな能力があったら鬼くらい殺せるさ」

 

そんな事を言う足音が近づいてくるんだけど

何をしにきたんだ

 

「影御前・・・俺達があんたに勝ったら俺達に御前の地位を譲ってくれ!!!」

 

 



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柱稽古でのトラブル

御前への不満

前々からその節はあった

特殊能力を自分も持っていれば・・・・

そのような考えを持つ隊士がいた所で不思議ではない

 

「お前達と勝負するに当たってハンデは?」

 

普通にやって勝てるアテがないのだろう

そして、だからこそのこの人数

十数人集まっており、なんだこの集団

これが素直な感想

相当なストレスが溜まっているのが伺える

時透に稽古中に抱きつこうとした隊士がいるらしくそいつはボコボコにされたとも聞くし

 

「あんたの能力はもう知っている、炎と雷!その両方を封じてもらうからな!」

 

みんなしってるだろうよ

それをドヤ顔で言われても困るんだけど

 

「了承した。勝負する種目は?」

 

俺の能力の完封

それを求めているようだ

俺は、双子のせいで運動ができない

丁度良い話だ

御前じゃなくなれば単独で動き易くなる

 

「鬼ごっこと剣術の手合わせ。それと乱闘!」

 

参加する隊士は、ハチマキをつける事

これを条件としての提示

 

「村田さん、時透に隊士の十数名を借りると言っといてくれ」

 

廊下を歩いていた、さらさらした髪の隊士

村田さんだ

 

「は、はい!!あの、なんで俺をさん付けで呼ぶんですか?」

 

「いや、苗字からしてなんか呼び捨てが出来ない」

 

なんだろうな、本当に

この苗字の人だけはどうしても呼び捨てに出来ない

 


 

「影御前、何んですか、その鉛?」

 

「ハンデのハンデ。これでも勝てる」

 

ハンデのハンデで体重の半分くらいの鉛を装着

これで勝ったらプライドをズタズタに出来る

ん?なんだ今の考えは

というか、なんか黒い感情が芽生えた気がするのは気のせいか

 

「この砂時計の砂が落ちるまでに俺らを捕まえて下さい。捕まえた隊士は縛り上げる。時間が経ったら俺が大声で叫びますから」

 

主犯格が告げる

まぁ、簡単なルールだな

苛ついているのが目に見えて笑える

 

砂時計はひっくり返された

もうルール上では開始

動きたいのだが、体はそれを許さない

10秒経った後に動き出した

全員捕まえることは成功

 

次は剣術の手合わせ

何故か心底から何かがゾクゾクして楽しい

なんだ、この感情

 

「初め!!」

 

この合図で一斉に全員が動き出す

一人の隊員の木刀を受け流し他の隊員に当てる

その時にハチマキを奪い取ることも忘れずに・・・

これでは引き分けと言った所

 

次は乱闘

素手の殴り合い

殴り合いと言えば・・・・()()()()()

この時に、もうやめておくべきだったんだ

 

「初め!」

 

一斉に囲んだ男達が殴りかかってくる

 

これは降参と言うまでは好きに出来る遊び

 

隊士を一人ずつゆっくりと殴り続ける

 

「こ、降参!!」「俺も!」

 

隊士も異常に気付いたのだろう、降参とみんな口を揃えて言う

 

アァ、ツマラねぇなぁ

 

そうだ、“降参って言わせなければ”良いんだよ

 

一人の隊員に目星をつけて、殴る

 

鼻血が出て、面白い

綺麗な血の色だ、やめろ

 

「は、ハハハハ!!!面白い、もっと、もっと、もっと、血を流してくれ!!!!」

 

やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、止まれよ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、止まれって、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、止まれって、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、動くな、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、俺の前で死を切望するな、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、止まれ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、止まってくれ、やめろ、やめろ、やめろ、やめろ、頼む

 

頭の中がうるさいな

 

もう、無視しちまおう

 

隊士はまた半殺し状態で死を切望

 

「紅蓮!!やめて、やめてって!!」

 

時透だ、なんでここに居るんだ?

 

両手で後ろから俺を羽交い締めする無一郎

隊士はその間に他の隊士に何処かへ運ばれていく

あぁあ、良いおもちゃだったのに

 

目の前に片腕だけの女が現れた

有一郎だな

何してきたんだろう

仮面を剥ぎ取り胸ぐらをぐいっと捕まれ、接吻された

 

有一郎はその時、驚愕の事実に気づく

紅蓮の目は赤い夕焼けのような眼なのに何故、今は青い眼だったのかと

あの上弦の狂気と同じ色の目

 

 

 



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誘拐

鎖で体の拘束

腕はピクリとも動かず、口は口かせか何かで塞がれている

目は目隠しでもされているのだろうか

 

そういや、さっきまで何してたっけ

 

「目を覚ましましたか?紅蓮さん」

 

そう言って目隠しと口かせを外した胡蝶

あらかたの事情を聞いた

 

「これはあくまで雨月さんが建てた仮説なのですが、鬼の階級で数字がありますよね?その数字がないと言うこと。そして血鬼術がそれに伴っているのではないかと言う仮説」

 

「要するに、狂気は俺の中にある悪い感情を出したという事か?」

 

「はい、その認識で間違いありません」

 

血鬼術は血を使う物だと思っていたのだが、違ったのか

見せかけなのか、他にもその場に鬼が居た

もしくは“2つの血鬼術”を持っていたという可能性

 

胡蝶は毒の調合があるみたいで、すぐに何処かへ行く

夜が来る事にも気づかずそのまま眠っていたのがいけなかったのだろうか

誰一人として、ここに奴が居たことに気づかなかった

柱でさえも存在を疑わない隠密技術

 


 

目、覚ましな

 

目を開けると、そこは蝶屋敷では無かった

 

 

「上弦の狂気・・・・!」

 

またお前か

というか、お前はどうやって俺をここまで連れてきた

 

人間の割に、良い拘束具を持ってんなぁ。丁度良いからそのままで聞けよ

 

人間の割にって人間をなんだと思ってるんだ

丁度良いって俺は拘束されたまま話すの

流石に嫌だよ

 

「どこも丁度良くねぇよ!!」

 

舌打ちして、背中を向ける狂気

この状態では何も出来ないからだろう

とてつもなくうざいのは変わってないけども

 

俺の血はなぁ、相手の理性が有ればあるほど進行は遅えが、威力は高い

 

「何が言いたいんだ!」

 

知っている

何を言いたいのかは予想がついた

だからこそ、否定する答えが返ってきてほしい

 

まずは体から壊す、その後はもうわかってんだろ?精神を壊していく。列車の時に俺に切り刻まれたろ?その時に大量の血を流し込んだんだよ

 

かなりの重傷を負った時の事

炎と雷の酷使で体が駄目になったのではなくこいつが原因

そして、精神を壊す

 

「それじゃ・・・・!」

 

お前だって好きな奴くらい、居るだろ?そいつをお前はどうしても殺したくなるんだ。それ以外の人間も、殺したくなる。気づかなかったろ?

 

隊士の相手をしていたのは俺であり俺じゃない

俺の裏側、どちらかというと狂気よりの感情が相手していた

 

「良い性格してるよ」

 

今、言うことのできる精一杯の嫌味

このくらいはしてやらないと気が済まない

はぁ、俺はどうしても最悪なほうこうにすすんでいくんだな

 


 

乙葉目線

 

紅蓮の行方不明情報が出た

片目を潰して、雨月が婚約ってうるさいから折れた時に言われた言葉

鬼殺隊は辞めたけど、このくらいはするよ

紅蓮は蝶屋敷で拘束されていて、鎖は何かで断ち切られていたそう

 

「本当、どうして私の周りの男は、こんなトラブルに巻き込まれるのかな」

 

紅蓮はワザと悪く見せてるけど全然、悪い人じゃない

どちらかと言うと善人だ

 

昔からそうだった

七不思議の“仮面のヒーロー”も紅蓮で、いつも誰かをさりげなく助けたのを知ってる

私だってお金と才能があるのを知っていたし顔が良いのも知っていたんだよ

 

だけど、だからこそ君が嫌いだった

人生の勝ち組だから大した努力もした事が無い

そんな勝手な妄想で、偏見で君を嫌っていたんだよ

 

バスケの試合に出る時は、家でバスケの練習を

剣道の試合に出る時は、防具を身につけたままの筋トレ

テスト前になると教科書に穴が開く、くらいの勉強量

 

全部、私が出来ないような事をやってのけていた

紅蓮は天才なんかじゃなくて努力家だったんだなと確信してからは、そばに居る事が増えた気がする

なんだかんだ言って紅蓮は、少し抜けているのが可愛かった

 

レジで品物を出さないといけないのに、財布を出して店員さんが笑うのを見て、表情を全く崩さないのが凄いと思った事

ワイヤレスのイヤフォンが、いつの間にか取れていて音漏れのレベルを超えたりして周りの人に怒られていた

 

道路の信号待ちのボタンを押すのを忘れて立っていて、他の人に押されるとか

気付いたらいつも、ラッキースケベしてる事に気づかずにそのまま物事を進めていくとか本当に凄い事してた

 

手動のドアが自動で開くと思って、ずっと立って待っていたから教えたり本当に、頭がいいのかドジなのかわからない人

 

「あれ?なんで私、泣いてるんだろう」

 

ポロポロと流れ落ちる一筋の雫

今まで気づかなかった、いや気づかないふりしてたけどもう無理みたいだよ

紅蓮、君が大好きでした

 

私は紅蓮には何もしてあげられない

時透さん達とお似合いなんだよ

だから、変な死に方をする前にきちんと本当の気持ちを伝えてあげて

散々、色んな人に好かれて断ってきたんだからその人達の分までも幸せに、世界一の幸せ者にしてあげて

原作でも辛い過去だったんだから、それすら洗い流すような

 

「だから俺は・・・お前に死んで欲しかったんだ、紅蓮」

 

後ろでは悔し涙を流す雨月

その事に気づかず泣き続ける乙葉を見て、雨月は紅蓮を探しに出た

 

乙葉目線終了

 



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明確な殺意

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!!!」

 

声にならない叫び声が部屋に響く

血生臭い部屋にこびりついた臭いがする

 

やっぱ、良いなぁお前!!

 

剣で肩を何度も刺される

だが、炎で何度も傷を塞ぐから死ねない!!

 

殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す

 

目の前の相手に全く同じことをして、内臓引き摺り出したい

なんだ、この感情は・・・

 

で、鬼になるか?

 

首を即座に横に振る

 

「痛い、からって・・・!そんな、物、には、なら、ない・・・!」

 

精一杯の強がり

相手の顔は嫌な事にどんどん歪んだ笑顔になっていく

それが、恐怖の対象となる

なんで俺はいつもこんな事になるんだ

 

視界の隅に血が映る中、過去の様子が脳裏に浮かんできた

 


 

5歳の時

両親が部屋に呼んだ

何か悪いことでもしたのかな

 

「なんで、家の子は子供らしく無いのかしら?」

 

そんな事、言われても何も言えないよ

これが、俺の素なんだから

というか、再婚した後の女に言われたく無い

俺は、お前の息子じゃ無いんだ

 

「この家の子なんだ。当然、しっかりしてるに決まってる」

 

なんだよ、その当然って

何にも知らない、無知な親なくせに

子供の事は見ずに実績だけは求めてきた

 

音楽に才能は無く、一日中頑張ってやっと一般人より少し上

どちらかといえば武芸の方に才能があった

だが、

 

「そんな物は野蛮だ。ボディガードを雇って終えば良い」

 

ある程度の護身術を身に覚えた瞬間、習えなくなった

父は、格闘術を見るのは好きだしやるのも好きだ

それなのに、なぜそんな事を言うのか理解できない

 

実は、あまり器用な方では無いのにバイオリンなんかをやらされてワザと弦を切ったりしたが、新しいのが来る日々

 

「兄さん達よりお前の方が優秀だなぁ。それに比べてお前の兄さん達は・・・」

 

いつも、息をするように聞く言葉

執事やメイド達も同じ事を言って、何がしたいのだろう

上には兄が2人居て、性格がかなり違った

 

「こっちに来んな!!お前なんか居なければ・・・・!」

 

1人の兄さんは俺の事が嫌いらしい

言ってはいけないが人格的にはナルシストで、顔がキモかった

女子更衣室の前で、鼻血を流していたりと変な事していてそのストレスが俺らしい

そんな事で嫌われても困るんだけど

 

「紅蓮、そんな所に居ては枯れてしまうからおいで」

 

2人目の兄さんはよくわからない

何を言いたいのか分からないけど不思議な人だった

目を開いている所を見た事が無く、目の色を酷く嫌っているのを知っている

 

なんでも、兄さんはお父さんの左目と同じ目らしい

左目は眼帯で隠しているから見れないけど、お父さんの右目は赤だった

頭をぶつけたら目の色が変わったと聞く

何、色なんだろう

 

「兄さんは、何色が嫌い?」

 

嫌いな色を聞けば目の色がわかる

そう思って聞いた

 

「そうだなぁー、僕は黄色と青が嫌いかな」

 

何も疑わずに答える兄

手に止まる、蝶

どうやって止めたんだろう、後で聞こう

 

「どうして嫌いなの?」

 

「なんでだろうね、勘かな?」

 

能天気にそう答える兄と2人で笑った

優しく頭を撫でてくれる手、優勝したら褒めてくれる

そう言う所がとにかく大好きだった兄

 

「紅蓮、焼けてしまうよ」

 

ある一室のドアノブに手をかけた瞬間に言われた

肩を掴む兄は、その時は目を開いていて綺麗な青と黄色の目だった

澄んだ海のような青、夢が入りきったような黄色の瞳

 

「兄さんの目、綺麗」

 

いつの間にかそんな事を言っていた

ただ、嘘では無い事は兄さんにも分かっていたみたいで、少し驚いて

 

「ありがとう、紅蓮。そんな事、言われたの初めてだ」

 

目を閉じてるから

そんな事、思っていたけど違った

本当のお母さんの目が黄色で、お父さんが嫌っている瞳

 

12年後

 

「紅蓮、この子と結婚を考えた交際をしなさい」「お断りです」

 

お母さんが死んだ後、人が変わったように仕事に没頭

再婚は取引先の令嬢としたらしい

今度は俺に結婚の話しを

 

相手も俺もまだ、子供なんだけど

早めに決めると言って聞かない

まぁ、子供といっても17歳だけども

 

「なんでダメなんだ!」

 

当たり前だろ

普通に早いだろ

許婚とか普通に古いし

 

「人が嫌がる事も分からなくなる程、落ちぶれたのですか?」

 

怒ったのか顔を赤くして机を叩く

机の上の物が地面に落ちる

 

「何!?今の言葉を取り消せ!!」

 

「取り消しません。そんな事ではお母さんも呆れます」

 

この、親父・・・

胸ぐらを掴み揺さぶってくる

ふざけんな、この親父

 

「今は関係ないだろ!!奴との結婚も間違いだったんだ!愛さなければこんな思いもしなかった!俺は仕事に人生を捧げた!」

 

「くだらない、人生ですね。お父さん」

 

そう言って、胸ぐらを掴む手を弾いて部屋へ帰った

まぁ、その後に頭から落ちたんだけど

会いたくなかったし、生きてるのもめんどくさかったのも事実

 


 

今のは、走馬灯か

体験した事をもう一回、体験したかのような感覚

流石にちゃんとした大人になってるといいな、あの親父

 

肩に刺さろうとする刀がやけに遅く感じた

拘束も今なら解ける気がする

 

ボッと音がしそうな勢いで燃え上がる体

俺の体表にはさっき、大量に出た血があるからなのか体が焼けそう

体を巡る血が異常に熱い

この戦い、終わったら俺は確実に死ぬな

 

それでも良い

とにかく、今はどうしてもこいつを殺して一気にストレス発散してやる

確実に殺してやるからな、お前

 

 

 



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遭遇

アァ?拘束具が溶けちまったなぁ

 

なる程、拘束具が鉄か何かだから死にそうなくらい痛いのか

液体になった熱した鉄

それを熱くて涙を流しながらも片手で投げる

 

お天馬だねぇ。嫌いじゃない

 

後ろに避けながら余裕とでも言わんばかりに告げられ

 

お願いだから嫌ってくれないかな

こんな事を考えられるならまだ余裕だから

 

懐に常に隠していた

隊服と同じ繊維で作って絶対に燃えないようにしてもらったナイフ

 

それを二本、ろくに力の入らない手で持つ

 

隊服の上を脱ぎ捨て、捨て身の一手に出る

 

「闇の呼吸・壱の型・疾風迅雷」

 

狂気が目を瞑った瞬間に、脚の裏からの炎の噴射

 

雷を纏った攻撃

 

一歩、また一歩と近づく度に自分の死期が近づくのがわかる

 

もう体がろくに動かないような物なんだ

絶対、死ぬのは人間だから確定はして居る

いずれ死ぬのなら責めて仕返しを

 

お前・・・・!

 

ニヤリと嫌に余裕がありそうだ

 

その余裕を崩してやるから覚えてろよ、お前

 

骨身に染みて確実に蓄積され、威力が倍増された痛み

 

涙目になりながらも目の前の鬼の頸、目掛けて刃を振るう

 


 

狂気目線

 

痛みの連鎖

これを防ぐ術を持たない人間は、哀れだ

 

目の前の男がいい例だ

 

死にそうなボロボロの体で・・・!

 

お前見てると本当、飽きねぇな!!!血鬼術・閉ざされ血潮

 

丁度良い事にお前の体はもう、鬼の血が入り込んでる

後、ほんの少し待てばお前も()()()()()()

鬼舞辻から血を貰うなんて嫌だったがまぁ良い

お前の歪んだ顔がもっと、もっと、もっと見れるからな

まだ気付いていない

早く気づけ

 

腕を爪で切り裂いて血をまくと赤い四角い箱の出現

 

その箱を、避けるも

 

「ガハッ!!」

 

アァ、良いねぇ、その吐血

 

吐血も憎しみや殺意で歪んだ顔も、苦しそうなのも・・・・

 

全部、俺の思い通りの俺の好きな仕草だ

 

やっぱり、お前は・・・良い玩具だよ!!

 

ベンッ!

 

部屋の位置が変わった

あの根暗女か

くっそ、いい所だったのによぉ

どこ言ったんだ、荒神 紅蓮

別々の部屋に飛ばされた事に多少の苛つきを覚え、他の部屋に探しに行く

 

狂気目線終了

 


 

ここ、どこ?

あと少しで、頸に刃が入ったのに・・・

悔しさもあるけど良い事に気づいた

 

体が痛くない

 

恐らく、アドレナリンのお陰だ

ずっと電気ビリビリ言うのも何も感じない

この怪我ももう塞がった

ほぼ、本調子だ

 

廊下をずっと歩くと鬼が大量に群れて居るのを発見

これは・・・隊士か

 

「闇の呼吸・参の型・獅子奮迅」

 

壁を蹴って移動し続ける屋内用の技

 

時々、炎を足の裏から出したりしてスピードを上げ混乱させ頸を切る

 

「は、裸足?なんで、って影御前!!」

 

雨月だ

こんな顔できるんだな

刀を構え酷く機嫌が悪そうだ

 

「あ?光御前か。なんでここに?」

 

「いきなり音が聞こえたらここに居て囲まれた瞬間にお前が頸、切ったんだよ」

 

まぁ、その後の説明はなんとなくだが聞いた

雨月の認識だとお館様は亡くなったらしく、無惨達に柱が遭遇

その時にここに落とされたと・・・

 

こんなシーンがあったの?

 

「まぁ良い、鴉達もここに居る。鴉を使った連携を取るにしろ部屋の間取りの確認が第一だ」

 

冷静な判断してる

変な物を食べたのか、こいつ

 

暫く歩いてるとやけに冷気がある部屋

そして、音が聞こえる

中には4人?くらい居ると雨月は言う

 

「影御前、俺が先に入る。お前は後ろから来てスピードで攻め落とせ」

 

「光の呼吸・日輪・月影」

 

ドアを蹴破り、中に猛スピードで入って行く光御前

 

部屋の中には胡蝶の継子・カナヲと伊之助・胡蝶が居た

 

胡蝶は既にボロボロでトドメを刺されそうな時に光御前の突撃

 

上弦の弐・・・か

虹色の瞳の中の数字

鋭い扇を持っており、それで攻撃をしたのだろう

 

「血鬼術・粉氷」

 

凍らせた血を微細な霧状にする技だな

扇子で扇ぐことで周囲に散布していて、呼吸を封じる技だろう

 

「その氷を吸ってはいけません!!」

 

「闇の呼吸・弐の型・炎雷電」

 

一瞬にして氷を溶かし、頸を落とす為に突っ込んだ

 

「血鬼術・霧氷・睡蓮菩薩」

 

大仏!?

こんなでかいの持ってたのかよ

なんとかしろ、何とか・・・

 

大仏の側頭部あたりに蹴りを入れ、炎で威力倍増

池のような水溜りに落ちた大仏を水で沸騰させて溶かす

 

「君も面白いね。長い間、生きてたけど君のような人は始めだ」

 

「たくさん居たら怖いし」

 

「光の呼吸・日輪・月光円!」

 

特殊な形になったナイフのような物

 

その先にある輪に指を通しぐるぐると回した雨月

 

上弦の弐は扇で弾き

 

「血鬼術・冬ざれ氷柱」

 

上から氷柱を降らせてくる

 

胡蝶達の方にも攻撃は届いているようだ

 

俺とこいつの相性は相手にとって悪い

それもあるからか氷の数が他のやつに比べて少ない

 

「血鬼術・茨」

 

横から蔓が伸びてくる

 

今度はトゲが飛んでくるし数が多い

 

「影御前!渡し忘れてた!」

 

俺の日輪刀だ

今、渡されても困ると言いたいが・・・

 

「闇の呼吸・炎雷・電光石火!」

 

瞬きをするのを待つのも惜しい

 

それ程の圧倒的に不利な瞬間

 

黒い炎が白い炎に変わり、辺り一面が白で埋め尽くされ何も見えなくなる

 

炎が蔓に触れた感触

 

その感触の先へ刃を振るった

 

 

 



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氷の剣士

頸を切った

 

 

「あれ?中々治らないなぁ」

 

随分と元気そうだな

じゃあ何か弱点があるはずなんだが・・・

 

蔓の猛攻が激しくそんな物を探す暇が無い

室内という事もあるからか、蔓が部屋に張り付いて燃やすのですら苦労する

だが、痛みが無い

アドレナリンのおかげなのか電流ですら痺れないのが幸いだ

 

「光の呼吸・鬼術・雪華!」

 

体に寒気がした

 

あまりに一瞬で感じ取るのも遅かったがかなり温度が低い

 

「胡蝶、嘴平、栗花落、下がれ!!」

 

冷えた空間を一気に熱すると爆発する

 

だが、なんで雨月がこんなにも空間の温度を下げられるんだ?

 


 

雨月目線

 

鬼と人間の間に生まれた事

普通の鬼なら良かった物の、母の兄が鬼で父親だった

 

産んで殺せば良いのに殺さなかった母親

 

自分の体の半分に流れる血がとても憎いという思い

 

夜にしか出歩けない親父は、一定の期間に人を食えなかった

その時は、少しずつ母を食っているのを黙って見てることしかできない自分が恥ずかしい

 

隣の家は良いな

子供が最近産まれたと喜んでいたというのを母に聞いた

同い年らしい

 

母は、毎日同じように壊れていく

殴られて、蹴られて、喰われて・・・・

なんで死なないのかは知らないけどもうすぐ死ぬのがわかる

 

俺は父親みたいにはならない

そう思って、母が倒れている時、足に包帯を巻いてあげよう

足に触れた瞬間

 

背中に熱湯を浴びせられた

 

屈んでいたから、顔には掛からなかった

 

背中が熱い

 

ヒリヒリしていく

 

だが、痛みはすぐに引く

 

 

 

 

 

 

 

そっか俺、人間じゃないんだ

 

 

 

 

 

 

 

鬼じゃないなら父を殺せるかもしれない

 

そんな事を考えていた

 

夏祭りが行われるらしく、父は人を喰いたいから行くそうだ

俺は、興味本位と父の動きの分析が目的で行った

父は会場に着くなり、金渡してどっか行く

 

人が多くてもみくちゃになり、転んでしまう

財布も落としてしまい、探さなければならない

 

「おい、これを落としたぞ。ガキ」

 

黒い狐のお面を付けてリンゴ飴を持った少年

財布を拾ってこっちに来る子

 

「あ、ありがとう」

 

なんだろう、この子ちょっと怖い

それが正直な感想だった

この歳でそこまで気が回るだろうか

それに、妙にしっかりしている気がする

 

「お前の親は?」

 

「えっと、1人で来た」

 

苦し紛れの嘘

仮面の下の顔は見えない

嘘だとバレたのか

 

「・・・・・・・ふーん、まっいいや。ほれ」

 

手を差し伸べてくる子

なんだろう、この子は頭がおかしいのだろうか

普通、知らない子とは手を繋がないだろう

 

「えっと、何?」

 

「何じゃねぇよ。お前、歩くの下手だし1人なら一緒に回ってやるよ」

 

歩くの下手って失礼だろう

他の人達が大きいのがいけないんだ

この子、人をイラつかさる天才になれる

それにしても、本当に子供

 

「・・・・・君、何歳?」「6歳」

 

この子、人として大丈夫なのか

親を見て見たい

 

「今、親を見て見たいと思っただろ?」

 

「すごい、何でわかったの!?」

 

「すごいも何も、俺と会った奴はみんなそういうんだ」

 

それが通常の反応だと僕は思う

この子が異常なのはきっといつも通りなのだろう

なら、あまり気にしない方が良い

 

その後、お面屋さんで熊のお面を買ったり色々して遊んだ

 

隣の家の子供だと気づいたのはその後

敢えていうなら初任務の日、その子は鬼を殺していた

 

思った事は“あり得ない”

どう見ても普通の子で、何にも関心は無さそうな子だったのに鬼を殺した

本能的に何かを察知して殺したんだ

 

この子は()()()()

そして、それを体に反映させて動く能力

俺は傷が治るくらいで、あまり戦力とはいえない

 

今回の戦いでも苦戦を強いられた

 

鬼を()()()隊士

 

優れた消化器官を持っているからできる技

食べた鬼の能力を使うことができる

 

俺はすぐに傷が治る

なんで他の奴が出来ないのかは知らないけど俺にもすぐできるんじゃないか

 

その考えもあったが、実行には移すのはかなり勇気が必要なようで、食えない

肉は目の前にある

その肉を食うという事は()()()()()()()()だと思っていたから

 

俺は元々、鬼と人間の間に産まれた子供

本来は居てはおかしな存在

鬼は人間、もしくは鬼を食う

俺が鬼を食うという事はあのクソ親父と同等になった

そう言われてる気がする

 

ただ、そんなになりふりかまっていられないよな

 

上弦の弐を食った

 

首を切る前に両腕を食いちぎると鬼は普通は驚く

 

だが、笑っていた

 

何故、笑うのか理解できない

俺を哀れだといいたいのか

それとも、()()()()()()()()

この2つの選択肢しか浮かばなかった

 

頸を切り落とし、上弦の弐の血鬼術は氷

 

なら、試してやろう

 

 



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戦いは終わった

雨月目線

 

「光の呼吸・鬼術・雪華!」

 

雪の華が咲き誇り、ツタが刀身に絡みつく

 

間合いの内側が寒い

 

水も少しばかり氷だした

 

「胡蝶、嘴平、栗花落、下がれ!!」

 

高火力で空気の温度を温める紅蓮

 

次の瞬間、爆発が起きた

 

爆風で飛ばされた先には、花の入った壺がある

派手な装飾で、宇髄が居たら欲しがりそうなほど

この壺はどこかで見た事がある

 

もしかして・・・

 

壺の中に入っていた花を掴み取ると水の中に落ちた

一か八かとはまさにこの事

違ったら俺が瀕死の状態になるだけ

成功なら、上弦の花を殺せる

 

血鬼術・閉ざされ氷柱

 

水面から尖った氷柱のような物が生えてくる

 

そして、水は一気に凍りつき俺も一瞬、凍りつく

 

次の瞬間、炎の熱により池の氷が溶け息を吹き返す

 

花は粉々に割れて壊れた

 

上弦の花の正体はこの花だったのだ

 

無惨の血は人間に与えると鬼になる

ただ、例外もあるのだろう

急所を切っても死なない鬼も居るが、この鬼は花が急所

それを持ち歩く事によっての移動が可能だった

こう推測をしつつ、爆発の原因の男の元へと急ぐ

 

「影御前!!死んでるのか!?死んでいてくれたらありがたいが、先へ進みたい!出て来い!!」

 

虚しくも響く声

 

砂煙がまあ荒れる中、ゆっくりと立ち上がったのは“鬼”だった

 

何故、どうして?

それが何故なのか意味がわからなかった

さっきまで、紅蓮は人間だったはず

 

「◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️!!」

 

胡蝶、嘴平、栗花落がいないのが幸いだろう

 

突然、目の前から紅蓮が消えると背中に猛烈な痛みが走る

 

「かはっ!」

 

柱に体を叩きつけられたのだ

 

何が起きたのかなんて理解はできないが、目の前の紅蓮が恐怖の対象なのは間違いない

 

体が震えて足が竦む

嫌な汗が体から吹き出し、傷の回復も望めない

ここで、回復したら俺はもう、動く体力すらもなくなってしまう

 

襖が開くような音

 

金属を引きずるような乾いた不気味な音

 

柱の後ろ側には上弦の狂気が立っていた

 

いくらなんでも状況が悪い

 

刃こぼれした鎌を持つ狂気はまさしく、死神といえよう

 

やっと見つけたぞ。ん?鬼になってやがるな・・・そうか、鬼に・・・!これで永遠に遊べる玩具の完

 

完成

 

その言葉を言おうとした上弦の狂気の言葉は紅蓮によって遮られた

 

元々、剣士であり全集中・常中の会得をしていた上に人間らしからぬ能力も持っていたからだろう

 

狂気の胸に紅蓮の腕が突っ込まれている

 

脈打つ心臓を取り出し、潰すと吹き出る血飛沫

 

それを楽しそうに浴びてから心臓を食べる紅蓮は()()()()

 

他の鬼とは明らかに違う、スピードにパワー

 

なんだぁ、これは?面白ろい、このままぶっ壊してやる!!!血鬼術・凝血界

 

鎌で自分の腕を切り落とした狂気の腕から血が吹き出たと思うと周りに広がり、まるで俺たち3人を囲むように作られた

 

まるで、籠の中の鳥のような気分

 

散血刃!!

 

突然、籠のような部分から雪のように降り注ぐ血の刃

 

こんな技を持っていたのか

 

いや、とにかく今は体力の回復を優先しろ

 

恐らく、この戦いは紅蓮が勝つ

 

そう思えるのは紅蓮はまだ血鬼術を使っていないから

だが、もし使えないのなら?

良くない事を考えるよりも勝利の道を掴みとるんだ

 

 


 

目が覚めると、狂気の姿はどこにもなかった

その代わりに紅蓮の姿もない

 

「一体、どこに?」

 

「ここだ」

 

後ろから声がする

振り返って確認するも、いない

 

次、目の前を見ると返り血を浴びて白銀の髪が赤黒く染まった紅蓮が目の前に居る

 

瞳の色は赤から青へと変わり、牙も生え、爪も長い

右の額から生えた一本の角

そして、前からあった痣が前よりも濃くなっている

 

一言、言ってイイだろうか

 

こんなの、乙葉が見たら絶対に惚れ直す

それは嫌だ

 

なんとも気の抜ける状況だが相手は鬼

 

「光の呼吸「端的に言うぞ」

 

呼吸の名前を言おうとした途端に言われた言葉

何を言うんだ?

無惨の力の特徴とかならばありがたい

 

「俺は鬼になった」

 

「見ればわかる」

 

この男は俺に喧嘩を売っているのだろうか

今すぐ殺したいが理性もあるようなので話くらい聞いてやる

遺言くらい残して死ね

 

「俺の頸を落とせ」「は?」

 

要するに死んでほしい相手に殺してくれと言われているのだ

しばらくの沈黙が訪れる

 

「ふざけんなテメェ!!」

 

この静寂を無かったかのようにする罵声を発したのは自分だった

 

なんでなのかはわからないし理解もしたくない

 

ただ、言わなければならない

 

そう思ってしまった

 

紅蓮の左頬を殴ると、威力があったのか口が切れて頬が腫れる紅蓮

これくらいはしないと意味がない

体に炎が付いて、傷を塞いでいくので、馬乗りになって殴り続ける

 

「テメェが鬼になったのは対して重要な事じゃねぇんだよ!お前は・・・!お前は時透達どうすんだよ!?」

 

ばつが悪そうに目を晒し、虚空を眺める紅蓮の胸ぐらを掴んで揺さぶる

 

「俺らじゃあいつらの面倒なんて見れねぇぞ!!お前みたいに無駄に完璧なやつじゃねぇとダ」

 

ダメなんだよ

 

そう言おうとすると、口の中に血の味が広がった

紅蓮に殴られたのだ

 

「ふざけんな・・・・誰が完璧だ!!完璧な人間なんて居ねぇんだよ!神様ってのは適当な欠点を与えてくるもんなんだよ!!」

 

何故か、紅蓮に言われると説得力を感じる言葉

 

戦闘の才能もある、家庭的なのか家事一般は出来ている

金持ちで眉目秀麗・・・

 

ほら、欠点なんてないじゃないか

 

「眉目秀麗で家事一般や戦闘の才能のあるお前が何言ってやがる!!凡人を馬鹿にしたいのかよ!?」

 

走り出すと、紅蓮の腹に飛び膝蹴りを喰らわせる

 

流石に鬼でも内臓まで響くらしく吐血する紅蓮

 

「努力で得た結果だ!!」

 

「結局全部出来てるから完璧じゃねぇか!!何言ってやがる!?」

 

「そもそもお前、俺を殺せという話からなんでこの話になったんだ!?早く俺を殺せよ!」

 

「嫌だね!!せいぜい、愛しの時透達に抱き殺されろ!」

 

「っ!何言いやがるんだこの監禁男/////!!」

 

「監禁してるんじゃねぇよ!?ってかなんでお前が俺の屋敷に乙葉が居て、どうやって管理してるか知ってんの////!?」

 

「だいたい想像だ馬鹿!というか本当にやってたの!?そして照れるんじゃねぇよ!!褒めてねぇんだよ馬鹿!」

 

「「あぁ、もうめんどくせぇ!!」」

 

長い間の口論が終わる言葉

 

まさか、2人とも同時に言い出す言葉が一致するとは

 

「あぁ!もう良い!」

 

日輪刀を手にとり、自分の首に刃を向けた紅蓮

 

そして、首を切り落とした

 

だが、何故か消滅しない

 

炎で再生し出しているからだ

 

「光の呼吸・鬼術・雪華」

 

呼吸を使って再び切り落とす

散々嫌だと言っていた割にはすぐに殺せるものなんだな

自分に呆れてしまう

 

「すまない・・・・ありがとな」

 

消滅していく、紅蓮を眺める目が、視界が歪んでいる

 

そうだ、俺が泣いているのだ

 

なんだかんだで俺はまぁ、こいつの事は嫌いでは無かった

 

「上弦ノ狂気討伐!!鬼ニナリ影御前・荒神 紅蓮死亡!!光御前・滝瀬 雨月ガ討チ取ッタ!!」

 

こう聞こえる声ももはや興味がない

 

上弦を滅ぼしたのはもはや名誉のはずなのに

 

自害を選んだ紅蓮を俺の手で殺した

 

今まで何気なくやっていた行動が何故か、その感覚が体にこびりついて離れない

 

「罪作りな男だよな」

 

そう言って、紅蓮の日輪刀を持って他の鬼を狩りに行く

 

 

 

 

 

戦いの代償は大きかった

 

無惨は討伐完了したがその代わりに大切な者の命が大量に消えた

 

乙葉もこの戦いに参加しており、死亡した

 

時透姉妹も何故か飛ばされており、上弦の壱との戦いで死亡

 

何も良い事がないじゃないか

 

こんなのでどう生活しろっていうんだよ

 

 



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