神獄塔メアリスケルター 獄中童話炎日譚 (謎のコーラX)
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第1回 加筆、もといほぼ後半リメイク

(´・ω・`)不定期っす、見てくれる人と感想がくるかで早めにくる


ある大晦日、金髪の少女が一人寒空の下マッチを売っていました、少女は言いました。

 

「マッチは、マッチは入りましたか?」

 

しかし一向にマッチを買いに来る人は年の瀬の忙しさのせいもあっておらず、このままでは少女は父親に叱られてしまいます。

夜も更けていき、いっそう寒さが増していきます、少女は暖まろうとマッチに火を付けました、すると不思議なことに火の中にガチョウの丸焼きが見えました、少女はそれに手を伸ばしますが火が消えると同時にガチョウの丸焼きも消えてしまいます。

少女は再び火を付けます、今度見えたのはロウソクが枝に飾られたクリスマスツリーです、そしてそれも触れようとすると火と共に消えてしまいます、しかしロウソクの光は消えず天まで昇っていき星となり、その一つが消えました、少女は死んだおばあさんの言葉を思い出しました、『星が一つ落ちる時、一つのたましいが神さまのところへのぼっていくんだよ』。

 

「あぁ、おばあちゃんに会いたいな」

 

少女はそう願い、マッチを付けました、そしてそのマッチの火に映ったのはそのおばあちゃんでした。

 

「おばあさん、わたしも連れてって。火が消えるといなくなるなんて、いやよ。・・・わたし、どこにも行くところがないの」

 

 少女はそう言いながら、残っているマッチを一本、また一本と、どんどん燃やし続けました。

 おばあさんは、そっとやさしく少女を抱きあげてくれました。

「わあーっ、おばあさんの体は、とっても暖かい」

 やがて二人は光に包まれて、空高くのぼっていきました。

 

その後、少女は安らかな顔で死んでいるところを新年の朝に見つかり、町の人々は皆、

 

「かわいそうに、マッチを燃やして暖まろうとしていたんだね」

 

と、言いました。

 少女がマッチの火でおばあさんに会い、天国へのぼった事など、誰も知りませんでした。

 

 

ジェイル――

 それは、突如世界に降ってきた、悪夢の種の萌芽。

 空から降ってきたその種は、根を張った大地を腐らせ、建物は歪み、生き物は飲み込まれてその姿を変えた。

 

 そうして地下深く沈んだ、太陽さえ奪われた街で、人々はジェイルが産み出した異形の化け物『メルヒェン』に怯えながら生きることとなった。

 

 そんなジェイルの中で、人類が化け物に対抗するための組織である『黎明解放戦線(れいめいかいほうせんせん)』が生み出した、対メルヒェン用決戦部隊――『血式少女隊』は、ジェイルからの脱出を目指し、自らの手を血に染めながら、監獄塔を登る。

 

様々な苦難を乗り越え、二人の少年と少女の記憶がよみがえり、悪夢は終わりを迎え、そうして彼女たちは、太陽を取り戻した。

しかし、そうはならなかった。

 

「けれど、夢の終わりは、別の夢の始まり、……誰かにそう聞いたことは無いかい?」

 

 

マチは、マチ、一人旅をするしがないマッチ売りの少女。年齢5歳。

とにかく旅がしたかった、家から飛び出して、新しく、変化する日常をおくりたかったからだ。

マッチ()()の力を片手に、メルヒェン退治とマッチを売りながら生計をたてていた、寒い寒い冬という季節、手は悴み、震えてくる、そしてそれ以上にマッチの火を見たいという欲求が湧きまくる。

マチは一人、廃村に迷い込む、そこにはメルヒェンがいたけど武器の大きなマッチを使う必要なんて無いくらいには弱い、けど、めんどくさい、とにかく数はいっちょ前に出てくるものだからマッチに火をつけることもできない、これでは凍え死んでしまう、こんなやつらに負けるほどマチは弱くないけど、マチはそれなりに形が残っている家の中に入った、扉を閉め、それを叩くメルヒェン達を尻目に、数分ほど心を落ち着けた辺りで、マチはマッチを―――

 

「おーい、そこにいるのー?」

 

「そこにいるんだろ、噂のメルヒェンを狩る代わりにマッチを売ってるっていうやつは」

 

マチは声がした方向の窓から顔を覗かせる、フードを被った少女、マチと同年代辺りの少女は大きな声でおーいと呼んでいる、マチはお前の友達じゃないんだぞ。

もう一人は眼帯をつけたガラの悪い男、だいたい三十代辺りかな、男は冷静な声音でまだ聴きやすい、けど誰だよいったい、こっちは寒くてしょうがないってのに。

というかさっき叩いていたメルヒェンがいない?、それもまだ数分しか経ってないのに、つまりはそうか、なるほど、マチと同類だな、あの少女。

 

「まったく、珍しい客がきたものだ、自分の家じゃないけど」

 

マチは扉を開き、二人に姿を見せる、少女は笑顔をマチに向けて、両手でマチの右手を掴む、結構な力で。

 

「あたし赤ずきん!、あなたはなんていうの?」

 

赤ずきん、確か実家にあった古びた本の中にそんな名前のがあったな、マチもマッチ売りの少女から来てるし、マチ達ってもしかしてそういう?。

 

「あの、名前なんて言うの?」

 

おっと、そういえば名前聞かれていたな、質問には返答をだな。

 

「マチはマチだよ、何の用だ、赤ずきん、あと眼帯」

 

「俺にはハルっていう名前があるぜ、お前、その背中の大きなマッチ、話では20はいたであろうメルヒェン相手に圧倒したっていうことからお前さん、血式少女だろ?」

 

ほう、そう呼ばれるものなのか、一般人とは一欠片も思ったことなかったがそんな通称が、それにメルヒェンか、メルヘンからきてるだろうけどなんていうかあってない感じがするがまぁいい。

 

「ふむ、で、あなたらは何をしにここに?」

 

「あぁ、それでだ、マチだったか、黎明にこないか?、いや、来てもらう」

 

黎明ねぇ、話では聞いたことあるけど、一回滅びた組織だったけ、まぁついてく義理ないし脅すか。赤ずきんの手を離させ、背中の大きなマッチに手をかける。

 

「自分で言ってませんでしたか、マチは20のメルヒェン相手に勝てる力があるんですよ」

 

「そうだな、だがこっちも逃げられるわけにはいけないんだよ、偶然出会ったとはいえな、だからこうしよう、お前さんのマッチを100本買おう」

 

「・・・ほほう、値段も聞かずにずいぶんとまぁ」

 

うーむ、マチ、殺すのはメルヒェンだけにしたいんだよね、血を浴びても気持ちよくないし、ただただ汚いだけだからね、このボサボサ頭の30くらいの男、いろんな人見てきたからわかる、悪い人ではない、そう直感できるね、ただ何か隠してる雰囲気するんだよねぇ。

 

マチは背中のマッチに伸ばす手を止めて、マッチを100本の束を造り出す、大きくため息をすると、それをハルに渡す

 

「別に行かないとは言ってない、マチもそろそろ旅に疲れましたし、ただし、あまり束縛はしないでくれよ、マチは自由に、現実から背いて生きることがモットーだからね」

 

それに寒くてやってられん、こんなところにいるよりから安全にマッチの火を見れる機会が多そうだ。

 

「良いだろう、改めて、俺はハルだ」

 

「あぁ、これからよろしく頼むよ、ハル」

 

こうして、マチは黎明の二人目の血式少女に加わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第2回 リメイク

感想一個の力は大きい、ソースはなろう(一個もこなくて折れた)


マチはそのまま赤ずきんとハル達と一時間ほど歩いていき、黎明に訪れた、最初に大柄のどこか負の感情が見え隠れするにこやかな男性が立っていた

 

「こ、こんにちは」

 

「うむ!、こんにちは!」

 

 

挨拶すると優しい声音で返した、男の名前は永遠というらしい。

その後も様々な人と挨拶と交わしていき、いくつかの検査をした。

そして今マチは黎明の最奥、研究室にて右目に傷を負う、長い白髪の老人が椅子に座り、こちらを鋭い眼で見ていた。赤ずきんが言うにはお父さん、博士とも呼ばれているらしい、お父さんは赤ずきんだけだが。

 

「ほう、ハルくん、この子はもしや」

 

「あぁ、紛れもなく血式少女だ」

 

「マチだ、おじさんが博士で間違いないな」

 

その名前を聞いて、博士は少し目を見開いた、そしてうわ言のようにマチの名を反復しだした、やだ何この人こわ。

 

「マチ、マチ、そうか、やはり……マチ、マチくん」

 

「はい、マチに何か質問でもあるのか?」

 

「あぁ、3つ質問するから答えてほしい、年齢はわかるかい?」

 

「あぁわかるよ、5歳だ」

 

「赤ずきんと同い年か、では次に、マチという名前は自ら名乗ったのか?」

 

「……うーん、それは違うな、マチはマッチを売っていたから他者からそう呼ばれるようになったからそう名乗っているだけだよ」

 

「そうか、つまり君は()()()()()()()()()()()()()()()を使っているのか、いや、君はマッチ売りの少女の血式少女なのは間違いないが、不可解ではある、初めての事例だよ。三人目ではあるが」

 

おや、もう一人いたのか、赤ずきんからはそんなこと一言も聞かなかったが、あ、赤ずきんめっちゃ驚いているな、本当に知らなかった感じか。

 

「三人?、おかしいね、マチは二人目だと赤ずきんに言われたんだが」

 

「お父さん、もしかしているの!」

 

赤ずきんは目を輝かせ質問した。

 

「あぁ、接触を避けていたがこの際だ、会わせてあげよう、フユ」

 

博士は近くにいた白衣を着た15歳ほどの銀髪の少女に声をかける、少女はあくびをしながら老人のもとまで歩いてくる。

 

「なんですかーい?、わたし寝不足ですのに」

 

「フユ、シンデレラを呼んできてくれ」

 

「呼ぶだけでいいんです?」

 

「…連れてきてくれ」

 

「はいはーい、呼んで、連れてきますよ」

 

そう言って軽快な足取りでフユは研究室から出ていった。

 

「あの子はなんだ?」

 

マチは博士に質問する、なんか知らんが見慣れたような、いや、初めて会ったんだが、どうにもね、既視感、デジャヴ?そんな感じがするな。

 

「あぁ、フユだよ、10年前に捨て子だったところを拾って今は私の助手をしてもらっているよ、なかなかあれでも頭がよくてね、よく研究について話し合っているよ」

 

「ほうほう、でだ、最後の質問は?」

 

「あぁ、忘れるところだった、最後の質問だ、噂で聞いたがメルヒェンを20近くを圧倒したと聞く、君は限界でどれだけの数を相手にできるのかね」

 

「そうだね……30…いや、40をいけると思っているよ」

 

メルヒェンの血を浴びれば更に伸びるが、まぁ言わなくてもいいか。

 

「なるほど、これで質問は以上だ。さて、そろそろフユが戻ってくる頃だろう」

 

そう言うと、二人分の足音が聞こえだし、フユが姿を見せる、その右手には青髪の幼い少女の手が握られていた。

 

「さぁ、自己紹介しようか、シンデレラ」

 

フユはそう言って手を離し、シンデレラと呼ばれた少女の背中を押す、赤ずきんとマチの前までくる、マチ達はシンデレラの言葉を待っている、それにしても結構かわいいな、レズではないが、ときめきというものが湧く。

 

「シ……シンデレラともうしますわ」

 

「お父さん!、この子も……」

 

赤ずきんは博士の返答を待っている、十中八九わかりきってることだが。

 

「そうだよ赤ずきん。お前と同じ、二人目の血式少女だ」

 

それを聞いた赤ずきんは満面の笑顔になる、なんだよジェラシーってわけではないけどマチのときより反応でかいな。

 

「やっぱり! 初めましてシンデレラ、あたしは赤ずきんだよ!」

 

赤ずきんはシンデレラに飛びついて、おもいっきり抱きついた、シンデレラはかなり嫌そうな顔をしている。

 

「な、なんなんですのもう!、ほっぺ!ほっぺた熱いですわよ!」

 

うわ煙でそうなくらいシンデレラのほっぺた、自分のほっぺたすりすりしてる、やっぱ反応すごいな、年下好きか?

 

「はぁ……赤ずきん」

 

マチは無理やりシンデレラから赤ずきんを引き離した。

 

「あー!」

 

赤ずきんはおもちゃをとられた時のような声をあげる。

 

「あーではない。マチから見てもスキンシップが過ぎるぞ?」

 

「あ、ありがとうございますわ、えっと」

 

「ん?、あぁ」

 

マチは屈んでシンデレラに目線を合わせる。

 

「マチだよ、黎明に初めてきたという点で言えば後輩なのかな、シンデレラ、よろしく」

 

マチは右手を伸ばし、シンデレラの左手をとる。

 

「よ、よろしくお願いいたしますわ……マチお姉様」

 

シンデレラら顔を赤らめて照れながらそう言った、

 

「ははは、年上だからってそれはむず痒いぞ、普通にマチさんでいい」

 

「じゃあ……マチ姉ではダメですか?」

 

うーむ、上目遣いでくるとは卑怯な・・・。

 

「うーん、まぁ良いだろう」

 

これは・・・なんか好かれたかもしれん。そしてマチも赤ずきんみたいな感情湧いてるやもしれん。

 

「はい、それではよろしくですわ、マチ姉、赤ずきんさん」

 

「えー!、あたしも赤姉って呼ばないの?」

 

「当たり前ですわ、あなたなんか赤ずきんさんで十分ですわ!」

 

「あははは!、マチ爆笑」

 

「ちょっと!、なに笑ってるのよマチ!」

 

マチと赤ずきんの追いかけっこを優しい眼差しでフユとハル、博士は見守っていた。

 

 

実験ケージの中、動きやすい格好に着替えたマチは大きなマッチを2本両手に持って、待機中だ、欠伸をするくらいにはリラックスしている、いやほんと眠い、いろいろとあって疲れているのにさ。そんなことをよそに外のガラスの向こうの博士が声をかける。

 

「本当にいいんだね?」

 

「さっき言った通りだよ、いいから大型3体放り込んでよ」

 

それくらいしないと眠気覚ましにもならんしな、まぁ限界が3体らしいけど別に10いても変わらん。

 

「あぁ、だがその前に用意されたそれを飲んでくれ」

 

「はいはい」

 

マチは用意されたピンク色の液体、メルヒェンの血液が入った試験管を全て飲み干す、眼はピンク色に、髪は白く染まり、ピンク色のマントが具現化した。

 

「なるほど、きみの覚醒状態はそうなるのか、ではお望み通り、5ヶ月ほどかかってやっと捕獲したLサイズメルヒェン3体だ」

 

目の前には鎖に繋がれていた3体の普通より大きなメルヒェンがいる、その鎖今ちぎれ、雄叫びをあげながらマチに襲いかかる。

 

「ギギィィィ!!」

 

「うるさ」

 

マチはその2本のマッチを床に擦り付けて着火、メルヒェンの攻撃を跳躍して避けて、後ろに回り込み、そのまま燃えた大きなマッチをメルヒェンの胸に深々と突き、前のめりに倒れるメルヒェンの身体を足場に再び跳躍、回転を加えながらもう一体のメルヒェンの頭部をそのマッチで叩き潰した。

 

「さて、最後の一体だ」

 

うん、そこそこの耐久力、でもめっちゃ足りない。

 

「ギ!?……ギギギギィィ!!」

 

一瞬メルヒェンのやつ、たじろんだが、すぐにその大きな腕をマチに振り下ろすが、それをマッチ2本で防ぎ、そのまま弾き飛ばした。

 

「はぁ……捕らえられる程度なんてこの程度か、残念だよ」

 

床にヒビが入るほど力を込めて跳び、その勢いで最後のメルヒェンの頭部をマッチで貫いた。

 

「……おっそろしいほどに強いですね、最低でも17人屠ってきたメルヒェン相手にですよ、赤ずきんでもこうもいかない」

 

その様子をフユと博士が見ていたが、ここまで圧倒されるとは考えていなかったためか博士の額に汗が滴っている、ここまではできないのか赤ずきん、残念。

 

「あの年齢でここまで強いか……これは黎明にとって最高の戦力だろう」

 

「でしょうね、ほんと、なんて少女をつれてきたんだか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第3回 リメイク

(´・ω・`)ほんへとだいたい文が一緒ですまない

だいぶ変わった感じ、心情描写を増やしてみた。




あれから5年、マチは赤ずきんとは同い年であるのもあり、親友と言える仲になり、赤ずきんのストッパーとしてよく一緒にいる、喧嘩もあったけど。

 

「おい!、何人のマッチの火消してるんだ!」

 

「えー!、だってあんたが遊んでくれないからじゃない!」

 

「さっき思う存分やっただろ!まだ足りんのかこのばかずきん!」

 

「バカずきんってなによ!、寝たら遊びたくて仕方なかったの!」

 

「ならシンデレラに――」

 

と、そんな口喧嘩を見つけたシンデレラが涙目でオロオロしてると、

 

「・・・はぁ、悪かったわよマチ」

 

「・・・ま、マチもこんな見つけやすい場所にいたのも悪かったしね」

 

ため息を吐きつつ、1日で仲直りしてきた。

 

「マチ姉!、これ読んでくださいまし!」

 

「んー?、あぁ、これか、まぁいいぞ、漢字使われてないやつだし」

 

「ありがとうございますわ!」

 

シンデレラとは本を読み聞かせることが多くマチ姉と呼ばれ慕われている、あと、よくおしゃれについて聞かれるけどマチにはそういうのわからない。

 

そして赤ずきんの10歳の誕生日がやってくる。

 

「10歳のお誕生日おめでとう、赤ずきん」

 

「ありがとうみんな! ふーっ」

 

誕生日ケーキに立てられた小さなろうそくの火を吹き消すと、周りの大人達とシンデレラ、あとマチもぱちぱちと拍手が送られた。

 

「ねぇ、これ食べていいの!?」

 

「もちろん。あなたのために作ったのよ」

 

「わーい!、ミコ大好き! いただきまーす!」

 

その桃色のケーキは本来とはかけ離れたものではあるが赤ずきんは美味しそうに食べていく。

滅多に食べることができない甘味に顔をほころばせる赤ずきん。

作ったのは救護班に所属しながら博士の教えを受けている眼鏡をかけた白衣の少女、視子(みこ)18と若く、博識のためよくマチの質問に答えてる。

 

「あ!、これもしかしていちご入ってる?」

 

「えぇ、入ってるよー」

 

「わーい!、これ甘酸っぱくて好物なんだ、ありがとうフユ!」

 

ケーキの中に入ってるそのいちごはフユが開発したものだ、残された本来のいちごに()()()()を加えてやっと太陽を必要せずに完成したものである、そしてそのあるものと似たものをピンク色のケーキそのものにも入ってる。正直マチは食べたいとは思わない、が、せっかく用意されたものだから食わず嫌いともいかず誕生日にたべている、美味しいけどなぁ、うーむ。

 

「視子さん、あれ入ってるんでしょ、甘いということは」

 

マチが小声で視子に問いかける。

その顔は眉をひそめて赤ずきんから顔を背けてる。

 

「……えぇ、そうよ」

 

「そっか、うん、害がなくて美味しいならなんでもいいよ」

 

マチは少し口を手で覆う、一方で博士はケーキを食べる赤ずきんを微笑ましそうに見守りながら、タイミングを見計らって声をかける。

 

「赤ずきん、今日は他にもプレゼントがあるんだよ」

 

「ほんと!?、なに?」

 

「ハルくん」

 

「へーい」

 

ハルは大きな包みを渡す、それに「なにこれ?」と疑問を口にしながらそれをばりばりと豪快に破る赤ずきん。その中に入っていた物は。

 

「わぁ~……おっきなハサミ……」

 

赤ずきんの身長ほどの大きさのハサミを、赤ずきんはしゃきんしゃきんとその刃を鳴らす。本体は黒く、刃の部分は白い。そういえば赤ずきんには無かったな、武器、マチには自作のマッチ棍棒、[通称は巨大マッチになったけど]とも言うべきやつがあるけど。

 

「赤ずきん、それはハルくんが作ってくれたお前のための武器だよ、マチく」

 

「くん付けはやめていったよね」

 

マチは博士の言葉を遮る、男に使うやつだからね、マチも一応女だ、なんかやだなんだよね、シンデレラほどレディにはなりたくないが。

 

「すまないね、……話を戻そう、マチの巨大マッチで戦ってることを話して自分もそんな武器がほしいとよく言ってたからね、それにこれで多くのメルヒェンを倒すことができる」

 

博士の言葉を聞いた赤ずきんは目を見開いた

メルヒェン。人間を捕まえて拷問する、悪いやつら。マチ達が倒すべき敵。正直雑魚だからマチは何の殺意も敵意もわかない、例えるなら、虫に敵意を向けるのかってやつ、極度のやつならまぁいるんだろうけどさ。

 

「博士! これ 早く使いたい!」

 

「落ち着きなさい。なにも今日でなくてもいいだろう」

 

「ううん、今日! すぐに!」

 

「はぁ……マチ、きみからもなにか言ってくれ」

 

マチは苦笑しつつ、赤ずきんに近づいて声をかける。なんだいつものか。

 

「おちつけ赤ずきん、直情的な行動は身を滅ぼすぞ。て、何回目かなこの五年で」

 

「むー!、あたしはすぐにこれを試したいの!」

 

「むぅ、今回は頑固だな、そのハサミ試作品でしょハル」

 

「あぁ、だからとりあえず使ってみてから色々と改良してかなきゃいけねーんたよ」

 

「ハル、何故より背中を押す発言を……」

 

「じゃあとりあえず使ってみればいいじゃん!」

 

「ほら」

 

まぁ今までより簡単に、多く殺せるんだ、本能的なものが騒いでるんだろ、さてどうしようか。

マチは頭を抱えて考える、そんな様子に博士はこちらも困ったようなため息をつきながら提案した。

 

「仕方ないな……水族館に行かせてみるか。あそこなら、あまり奥まで行かなければ大丈夫だろう」

 

あぁ、確かあそこは浅いところなら水の中以外なら自由に動けないやつらだし試し切りにはいいね、ナイス博士、けど止めて欲しかったとは思うけど。

 

「ハルくん、自警隊から何人か選んで一緒に行ってやってくれ」

 

「へいへい……」

 

「お父さん、行っていいの!?」

 

「ああ」

 

「じゃあ博士、マチも一緒に行かせてくれないか、何時ものストッパーとして」

 

「ああ。願ってもないことだ、きみが一緒なら大型メルヒェンが出ても大丈夫だろう、ただし、ナイトメアに出会ったら無理せず逃げる。そして」

 

「スナークには絶対に手を出さない、だろ、それくらい耳にタコできるくらい聞いたさ」

 

まぁ実際のところ、ナイトメアやスナークとは一度戦いという欲求はあるけど、よい非現実感が味わえそうだし。

シンデレラにも同意をえようとそちらに向くと、なんか寂しそうな目をしていた。

 

「それじゃあシンデレラはお留守番か?、まぁ赤ずきんよわがままにお前まで関わる必要ないしな」

 

「ちょっと、勝手に決めないでくださいまし?、それなら……わ、わたくしも行きますわ!」

 

そう言うよな、まったく変わらないな、まぁそういう兎的なところが良いんだろうけどね。

 

「ありがとうな、シンデレラ」

 

「──!」

 

マチは笑顔でお礼を言うと、シンデレラは顔を赤らめて笑顔で返答した。

 

「それでは3人とも、気をつけて行ってらっしゃい。お前達は私たちの大事な娘なのだから」

 

「うん! 行ってきます!」

 

「待てやおい、バカずきん、先走るのはお前の悪い癖だぞ」

 

赤ずきんのそういうところは嫌いだけど好きでもあるな、暇にさせてくれない、そういうところは。

 

「バカじゃないもん! 離せー!」

 

「赤ずきんさん、本当にそういうところ治しましょ?」

 

「はぁ……行くぞ」

 

走りだそうとした赤ずきんの首根っこを掴んで引きずりながら、マチはシンデレラと共にハルに連れられて隣の部屋に消えていった。ダンジョンに向かうメンバーを選びにいったのだ。

 

後に残されたフユが、博士に冷たい声で語りかける。

 

「ずいぶんと、簡単に3人とも向かわせますねー、大事とか言っておきながら」

 

「……仕方ないんだ、人類をこの監獄から解放されるためには、彼女達の力を借りるしかない」

 

博士は杖をついて、傷をおった右足を引きずりながら、傷ついた右目に触れる、それは黎明が一度全滅したときに負った傷である。

 

「本当に、博士は監獄脱出について熱心ですね」

 

そう言ってフユは自分の研究室に続く扉に目を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第4回 リメイク

(´・ω・`)実質2話同時投稿

今回はあまり変わってない


「さて、ついてきたわけだが、マチやることないんだよな浅いとこだと」

 

マチは一人で楽しそうに数を数えながら魚型のメルヒェンを次々と切り捨ているのを見ていた頬に血を舐めて恍惚な表情を浮かべ、本当に楽しそうにしている、マチはというとあくびをして、かなり暇、漏らした敵を手で払っては潰すの繰り返し、シンデレラも、いや一匹もこないから本格的に暇だな。

 

「おい、あんま奥にまでいくんじゃねーぞ」

 

「わかって――」

 

入り口付近で立っているハルが釘を刺す、赤ずきんは返事、する途中で口を閉じ、通路の奥の方に耳を澄ませた、それにマチも気づく、うーん、これは二人分?、だいぶ息が荒いような気がするな。

 

「……誰かいるっ!」

 

「あぁうん、いるね、でも先走るのは」

 

赤ずきんはマチの言葉を聞かずに、声が聞こえた方へ全力で走っていく。

 

「ふふふ、話を聞いてくれないですよクソが」

 

今度漫画にあったアイアンクローってやつしてやろう。

 

「あっ、待て赤ずきん!、くそ、あいつの速さに追いつけるのはマチだけだ、頼む」

 

「言われなくてもそうするつもりだよ、シンデレラ、そこで待っててね、今すぐバカずきん連れてくるから」

 

「は、はい、赤ずきんさんをよろしくお願いしますわ」

 

それを聞くと頷き、マチも全速力で赤ずきんを追いかけていった。

 

そして、暗い通路を何度か曲がった先。

部屋中が、メルヒェンの返り血で染まっていた。

部屋の真ん中にら人と魚が融合したMサイズが10ほど、そしてLサイズが2体のメルヒェンがいて、そこには傷つきながらも必死で一人の少女を護ろうとしている少女がいた。

 

「くそ!、姫はぼくが護る!」

 

護ろうとしている少女は膝が震え、限界が近い。ようやるな、見込みがある。

 

「やめろぉぉぉぉ!」

 

赤ずきんがそこに突撃しようとした時、マチが追いつき、マチもまた突撃する。

 

「Lサイズはマチがいただくよ、残りは赤ずきん、頼む」

 

むしろそれくらいしかマチが出るやつではないからね、Mサイズ程度やっても何の感情もわかん、おっと、緊急のときに何考えてるんだか。

 

「!?、わかったわ!」

 

マチは背中の大きなマッチ2本を両手にそれぞれ持ち、Lサイズ2体を二人の少女から吹き飛ばして引き離した、赤ずきんもMサイズを一体、二体、三体……次々と倒していくが敵が多すぎて、少しずつ攻撃を受け始めた。このままだとやられそうだな、一体のメルヒェンが赤ずきんの背後から攻撃しようとした瞬間、そのメルヒェンの胸が飛んできたマッチによって吹き飛び、大量の血が赤ずきんの体を濡らした。

 

「こっちは終わったが、そっちはまだ終わらないの

か?」

 

「……あは、あははは!」

 

二体のLサイズメルヒェンが重なって倒れているところの上に立ちながらマチがそう言うと、赤ずきんは狂気の笑みを浮かべ笑い声で返す、同時に赤ずきんの目が、ひときわ

ピンク色に、髪も白く、頭からは狼のような耳と腰から尻尾が生え、ピンク色に光っている。

そのまま赤ずきんは一振りでメルヒェンの四肢を数体分まとめて切り跳ばし、頭から股間までを真っ二つに断ちきる、やがて全てを倒しきる、やだこの子怖。

 

その後ピンク色の目も元の色に、ピンク色の尻尾と耳も消えた。

落ち着きを取り戻した赤ずきんは二人の少女に向き直る。

 

「あなた達大丈夫?、もう安心していいよ!」

 

「……お、お前達はなんなんだ!」

 

護っていた少女の返答にメルヒェンから降りて、マチは優しく答える。こういうのには少し慣れている。

 

「よっと、マチ達は黎明、監獄脱出を企ている者達だよ、そっちの怖かったお姉さんは赤ずきん、マチはマチ、黎明最強だと自分も皆思ってるよ」

 

「怖いは余計よ、さぁここは危ないわ、一緒に行きましょ!」

 

「どうしよう、おつうちゃん」

 

「……行かなくていいよ。こいつら、嘘つきかもしれない」

 

おつうと呼ばれた護っていた少女はマチ達を疑ってる様子だ。嘘つきとは心外だな、これでと嘘をついたことなんてあまりないのに。

 

「むぅ、これは困った……待て」

 

マチは奥のほうを見る、つられて護ってた少女ことおつうと赤ずきん、護られていた少女も見る、そこからは灰色の何かがこちらに接近してくる。けど足音は聴こえるな、デカイやつ特有の重い音、そして床の破砕音、それなりのスピードで来てる感じか。

 

「あれは…ナイトメア!?、マチ!、逃げなきゃ!」

 

「いや……このままだと間に合わないなこれは」

 

マチはその灰色に一人突っ込んでいく、何かとぶつかり、灰色は静止する。

 

「マチ!?」

 

「ここはマチが抑えておく、赤ずきんは二人をつれて逃げてくれ」

 

「でも!」

 

「全員共倒れするよりはましだろう、いいから!」

 

「ぐっ……二人とも!、今は逃げるわよ!」

 

赤ずきんは二人の少女の手を引いて、この場から逃げていった。

 

「さて……ナイトメアか、マチ初めて戦うんだよね、いやぁいい非現実感が味わえそうだよ」

 

マチは懐からメルヒェンの血液が入った試験管を5本を飲み干す、いやぁクソ甘くてまずいのなんの。

すると髪は白く、目はピンク色になり、ピンク色のマントが顕現する、そして両手のマッチを地面に擦り付けて着火させ、戦闘準備は完了。

目の前には全体的に白く、頭の部分には魚の尻尾のようなものがたくさん生え、身体にはいくつもの剣らしきものが刺さっている。キッモ、メルヒェンより異形だなこれは。

 

「さぁて、こいや!」

 

 

それから赤ずきん達は水族館から脱出した、その時に。

 

「え……うそですわよね、マチ姉がそんな……あなたがついていながら!」

 

シンデレラは赤ずきんに怒鳴り散らす、初めてここまで怒っているシンデレラに赤ずきんは下を向き、涙目で言葉を漏らす。

 

「──ごめん」

 

「ぐっ……うぅ……」

 

赤ずきんからマチがナイトメアと交戦と聞きシンデレラは号泣し、目もメルヒェンの血を浴びてないのにピンク色になった、なんとかなだめることができたが、かなり堪えたようで気絶してしまう。

二人の少女、名前を護っていたのはつう、もう一人は人魚姫という、二人は血式少女だったらしく、黎明に迎えられた。

そして、それから1日が経過した、黎明の救護室で最大戦力を失ったことに博士含め皆陰鬱な表情を見せている。

 

「……あたし、もう一度水族館にいく」

 

最初に名乗り上げたのは赤ずきんだった。

 

「それならわたくしもいきます」

 

それに続き先程まで精神的ショックでベッドで寝ていたシンデレラも賛同する。

 

「駄目だ、これ以上きみたちを失うわけにはいかない」

 

「でも!、あたしが……あたしがもっと強ければこんなことには……!」

 

「残念だとは思ってるよ、だが事実は」

 

「いやいや、何勝手にマチが殺されてる流れになってんですか、傷つくよ?」

 

その声に皆そちらに振り向いた、そこに立っていたのは、全身傷や、打撲痕でボロボロながらも生きているマチの姿だった。

 

「よう、赤ずきん、シンデレラ、どうやら抜け出せたみたいで安心だよ」

 

「あんた……!、この――バカマチ!」

 

「ははは新しい呼び名だなバカずきんの当てつけか?」

 

マチは叩かれると身構えたが、違い、おもいっきり抱き締められた、やっばい骨のヒビががが。

 

「いたいいたいぞ!、怪我人にはもっと優しくでしょ」

 

「あんた……よく生きて戻ってきたわね、ほんと、ほんと……」

 

その顔からは大量の涙が流れ、感極まった感じだ、シンデレラも続いて抱きつき、涙を流した。

 

「いやほんと辛い、わざわざ救護室に足運んだ理由考えて」

 

わりとぎりぎりで立ってるぞマチ、なんとか二人を引き離して、博士のほうを向く。

 

「いや……まさか、ナイトメアから逃げてきたのか、だがその傷は」

 

博士は驚いた様子だ、完全に死んだと思っていたのだろう。

 

「いやなに、逃げたわけではないよ……倒してきた」

 

「──なんだと!?」

 

博士は椅子から立ち上がり、目を見開いて更に驚いた、今にも掴みかからんとした様子だ。これはまた初めての表情、博士もそんなにびっくり仰天することあるんだな。

 

「ナイトメアを倒しただと、いったいどうやって!」

 

「あぁ、とりあえず身体がズキズキしてヤバイから視子さんヘルプ」

 

「わ、わかったわ」

 

マチはベッドに腰かけて、ここまでどう生き残ったのか説明した。本来ナイトメアとは(コア)からのエネルギーでほぼ不死といって過言ではない、しかしマチのマッチの火にナイトメアの指に少し燃やしたとき、それはボトリと落ちて、灰になった、これに望みをかけて、次々と大きなマッチを投擲して、刺していき、腕だけになっても襲いかかってきたがなんとか完全に灰にすることができた。なんで生きているのか怪しいレベルの戦闘だったわ、マチもナイトメアも。

 

「で、これがその灰」

 

ポケットから試験管に入った何らかの灰、先ほどの話のナイトメアの灰だろう。いくつか風にのって飛んでいって咳き込んだな、だからかマチ自身灰まみれよ。

 

「これが……ふむ、これはよい研究材料になりそうだ」

 

「ははは、とりあえずマチ寝ていいか、全身ボロボロのことからもう二度とやりたくないからなあんなの」

 

あそこまでさ望んでなかったからね、さて、早いところ寝よ。

 

「待ちなさい、その試験管……この前無くなった実験用のやつとそっくりな気がするのだけど」

 

視子は冷たい声質でマチに言う、マチの顔から血の気がひく。

 

「あ……その、うん、あの、すみません」

 

この時くらった視子さんの拳骨はナイトメアの攻撃より痛かった、そう思えたマチだった。こんなことなら試験管捨てて帰るべきだったな・・・うん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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第5回 リメイク

こっから本番

あまり変わってないけどご容赦を(´・ω・`)


それから2ヶ月、マチは寝たきりになった、視子が言うと、あの状態でここまでこれたのが奇跡という見解らしい、事実、ベッドで寝た瞬間に、安心したのか指一本動かせなくなったからだ、火事場のバカちからってやつだね。

 

見舞いにシンデレラと赤ずきんがほぼ毎日訪れ、ハルや博士などもきている。

つうや人魚姫も助けてくれたお礼など述べてマチのところに訪れてくれる。

そして本来より1ヶ月早いらしい完治となって、マチは復帰した。

それを祝って、黎明の皆でパーティーを開いた、といってもピンク色のケーキを食べるだけだが。苦手だけどなぁ、ピンクケーキ・・・まぁ断れないわけだが。

 

「それじゃあ、皆で言おうか!、えっとこういうとき確か、そう!、退院!、せーのっ!」

 

「「退院!、おめでとう!!」

 

赤ずきんのタイミングで、皆声をあげた。

 

「あはは、ありがとうな、みんな、さてこれを食べるか」

 

3分ほどでケーキを食べ終わる、うーんこのクソ甘くてしつこい味よ、腹がふくれた辺りで、つうが話しかけてくる。

 

「んー?、なんだつう」

 

「……改めて、メルヒェンから、ナイトメアからぼくと姫を助けてくれてありがとう、だから今こそ言おうと思う、ぼくを弟子にしてくれ!」

 

その言葉に皆驚く、そりゃあそうか、だが、マチは笑みを浮かべて、つうの肩を叩く。

 

「いいね、寝たきりで身体がなまっていたんだ、存分に鍛えてやるよ」

 

「──!、ありがとうマチ──師匠!」

 

「マチでいいよ、博士、ケージを使っていいか?」

 

「あぁ、今きみの実力がどれほどが確かめておきたいしね」

 

「なら……あたしも混ざっていいかな」

 

赤ずきんが名乗り上げる、その顔は冗談ではなく、本気の目をしている。

 

「あんたばかりに無理をさせたくない、あたしだって強くなってナイトメアなんかも倒せるくらいになりたいの」

 

うーむ、決意は堅そうだな、断る理由もないし。

 

「おう、何人でもマチは歓迎するよ」

 

そして、本来メルヒェンと血式少女が戦うケージの中でマチと赤ずきん、そしてつうが相対している、マチは2本のマッチを持ち、赤ずきんはハサミ、見慣れたやつだな。

 

「そっちは本気でかかってくるといい、武器も自由だ、つうはもう貰っているようだな」

 

つうが持っている剣も赤ずきんのハサミと同じく本体は黒く、刃の部分は白い。

 

「いつでもこい、少しは本気を出させてくれよ」

 

行くわよ(行くよ)、マチ!」

 

それから一時間、赤ずきんとつうは戦ったが一向にマチに一撃をいれることができない、そのまま二人は体力が尽きて倒れる。

 

「ふむ、まぁまだこんなものかな、メルヒェンよりは楽しめたよ」

 

「ぐぅ……ぼくはまだ、まだいけるぞ!」

 

「あたしだって、まだ負けてないわよ!」

 

なんとか赤ずきんとつうは立ち上がったが、傷こそないものの、体力は限界で足は生まれたての小鹿のようになっていた

 

「二人とも足がガグガクでよく言えるね、今日はここまでだ、なに、時間はたくさんある、少しずつでもマチに追い付けばいい」

 

そう言って、マチはケージから出ていく、二人は悔しそう頭を下げ、そのまま倒れ伏した。

 

 

解放地区の一角、そこには大規模な孤児院があり、この街が沈んで十数年で、メルヒェンにより、親がいなくなった子供が増えていった、反対に子供を無くした親達が子供を保護し、親代わりとしてここで生きている。

そしてその孤児院で、特に愛されているのが、長女の親指姫、次女の白雪姫、三女の眠りひめ、そして、ミチルと千昭の姉弟が仲良く遊んでおり、大人達の心を癒していた。

 

「ふむふむ、ここがあの孤児院か」

 

つうと人魚姫が黎明にやってきて約一年、血式少女隊は既に8人にまで増えていた。

彼女達の正確な年齢ら不明だが、黎明が暫定的に決めた、現時点で最年長は11歳の赤ずきん、マチ、その下に9才のシンデレラ、6才のつう、人魚姫と続き、5歳の親指姫、白雪姫、眠り姫、三姉妹はその保護者から黎明のメンバーとなった、拾った時に目がピンク色になったことを黎明が聞き、博士自らが迎いいれた。

 

そして、今マチは教団なっているという孤児院に訪れていた、たった一人で、なんとかバレないようにシンデレラと赤ずきんに言っておいたが、露見する可能性は高いだろう、そしてマチはその教団の扉を開こうとした。

 

「あら、あなたマチだっけ、孤児院に何か用?」

 

マチは後ろを振り返る、そこには親指姫、白雪姫 眠り姫、そしてつうと人魚姫が立っていた。

 

「あー、いや、そのー……」

 

なんでいるんだよクソが、親指姫の疑問に、マチは予想外のことに言葉がでない、その様子に何か察したのか、親指姫が手を叩いて話し出す。

 

「わかった!、ミチルに会いにきたんでしょ?」

 

「……あー、うん、そうそう」

 

マチは話を合わせる、良かった、そこまで頭回るやつでなくて。

 

そしてマチは5人と一緒に孤児院に入り、ミチルと千昭

に会う。まぁ最初からの目的だし、一応良かったのかな?

 

「あら?、あなたは」

 

「ミチルだったか、マチはマチという、自他ともに認められた黎明最強だと思ってるよ」

 

自分で言っておいて恥ずかしく無いかだって?、1ミリもないね。

 

「わたしはミチル、あなた……ふぅん、」

 

ふむ、この子がミチルか、いろいろと謎なやつだ、そしてなんだろうな、どこか……うむ、とりあえず目的を果たすか、なにか察したような気配してるけど、まぁ、いいか。

 

「千昭、お前に少し話がある」

 

マチは千昭に近づいて、小声がそう言う。

 

「……わかった」

 

マチと千昭は孤児院の裏に向かって歩いていった、その様子を見ていた三姉妹は何かおかしな察しかたをしたのにマチが気づくのは後の話。

 

「……それで、なんの話だ」

 

「いやなに、話を聞いたんだよ、調査してるんだってね、千昭」

 

千昭は先程までより鋭い目でマチを見る、確実に警戒心が湧いたな、まぁそりゃあね。

 

「それで?、やめろとでも言われたのかな」

 

()()()()ね、誰か裏にいると思ってる口ぶりだ、これは噂は本当だったんだな。

 

「いや、むしろ一人でくるつもりだったからな、その調査とやらに関わりたいんだよ」

 

その言葉に千昭は目を見開いて驚いたが、すぐに冷たい視線を向ける。

 

「駄目だ、この調査は危険を伴う、見ず知らずの人にこんなことさせられない」

 

だよね、マチがそっちの立場だったら同じ言葉を吐くと思う、けど理由はあるね。

 

「では理由を述べるか、一つは非現実感が味わえる、もう一つはお前に対してのメリットになるが、危険ならむしろマチをつれていくといい、最強だぞ、下手な危険なんてはねのけられる、そしてマチ自身も疑ってるのさ、この6年の間ずっとね」

 

千昭はその自信に満ちた態度と言葉に、諦めからかため息を吐き、手を差し出す。

 

「いいですよ、どうせ何を言っても無駄でしょうし」

 

「あぁ、断ろうがマチはその調査とやらに関わるつもりだしな」

 

こうして、マチと千昭は二人で教団と黎明の謎の調査が始まった。

 

 

 



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第6回 リメイク

後1話で終わるかも

かぐや姫のところが変わりました、(´・ω・`)リメイクとはいったい……うごごご


ある日の黎明本部、被服室

身体測定の日、視子がくるまでの間、マチは親指姫と向き合っていた。

 

「なんのようだ親指、話って」

 

親指姫はニヤニヤとマチを見ながら口を開く。

 

「とぼけちゃってさー、あなた……千昭と隠れて付き合ってんでしょ!」

 

思いがけない言葉にマチは一瞬思考が停止するほどの衝撃をうけた、付き合ってる?、千昭と?。ないない、自分より弱い男になんの恋愛感情もわかんわ。

 

「いや何か勘違いしてるのか知らんが、マチは千昭と付き合ってないからな」

 

「ほんとー?」

 

「はははこれ以上追求するなら殴るぞ」

 

「ちぇっ、まぁいいわ」

 

なんなんだいったい、まぁ教団になってからもよくあってるからな、それにしても意外とバレないのはさて、誰が口止めしてくれるんだろうか、赤ずきんは……無いな、シンデレラもそんなメンタルじゃないし……フユが一番怪しい感じがするな、まぁ誰であっても構わんが。

 

そんなことを考えてると、視子がきて、身体測定が始まる。

その理由をシンデレラが聞くと、新しい制服を作ると視子は言う。

 

「ふむ、新しい制服か、マチや赤ずきんが着ているこれか?」

 

皆制服ができると聞いて喜んでいるが、親指姫だけは真剣な表情で考え込んでいる、それに気づいた視子が首を傾げながら問いかける。

 

「親指姫、どうしたの? 制服欲しくないの?」

 

「あ、ううん、そうじゃなくて……」

 

「親指姫は少し言いよどみ、意を決して声をあげた。

 

「制服の色、白と青にできない?」

 

それ対して視子は反対する、親指姫、それが良い考えだと思っていた眠り姫と白雪姫は落ち込むが。

 

「あ、僕も、白と青って良いと思うな!」

 

「つう?」

 

「ほら、白って、なんか雪みたいで綺麗だし」

 

「雪……雪、ね」

 

マチはその言葉を聞いて、苦虫を噛み潰したような顔をした、マチは一度も雪というものを見たことないが、なぜかそれは嫌いだと思っている。

 

「マチ?」

 

「……なら、マチだけでいいから白と青、黒と赤の制服を作ってくれないか、視子さん」

 

「それは……どうして?」

 

「あー、マチって氷とか雪みたいな冷たいものがほんと駄目だったわね」

 

「そういえばそうでしたわね、暑い日でも冷たいものをあまり食べませんでしたし」

 

赤ずきんとシンデレラは比較的長く一緒にいるため、マチの好みを知っていた。嫌がらせのように氷を服の中に入れたのまだ許してないからな。

 

「うーん、あなただけ特別ってわけにはいかないのよね」

 

「別に無理して作ってとは言わない、ダメなら白と青で我慢する」

 

「……ま、生地を変えればいいだけだしね、フユにも手伝ってもらって、この先二種類作ってしまいましょ、ただし、団体行動のときは同じ服を着ることよ」

 

「わかってる、親指もいいか?、シンデレラ 赤ずきんも」

 

「まぁわたしのわがままだしね、それでいいわよ」

 

「わたくしもよくてよ」

 

「あたしもー、今の服気に入ってるし」

 

「それじゃあ決定ね」

 

「やったー!」

 

最近元気がなかった三姉妹が嬉しそうに抱き合うのを見て、まぁいいか、と苦笑する、そして研究室のフユは何か悪寒を感じた、面倒なことをやらされるためか。

 

 

それから三年は、何事もない日々が続いた。

マチは親指姫達とも仲良くなっていき、赤ずきんとつうも日々強くなっていく、同時に血式少女の特性が2つわかった、一つは仮説だが。

一つは覚醒、ジェノサイド化、メルヒェンの血を浴び続けることで覚醒する、性格は凶暴、残忍となる、髪は白く目はずっとピンク色になる、もう一つはフユがシンデレラの変化を見て思い当たった、仮説、ブラッドスケルター化、ジェノサイド化よりも更に凶暴になり、何らかの身体に変化が起きるというのがフユの仮説だ、条件として穢れ、ストレスと言ったほうがわかりやすいそれが限界まで達することで起きるかもしれないらしい。

 

ある日、つうと人魚姫が黎明がきて五年が経過した、そんな時、新しい9人目の血式少女が加わった、名をかぐや姫、博士がつれてきたが実験のあと、自身の部屋に籠っているらしい。

 

「ここか、新しい血式少女がいるという部屋は」

 

マチは視子から貰った鍵をかぐや姫の部屋の鍵穴に入れて、開いた。

 

「よー、元気してるか、かぐや」

 

「……なんなんですか、そなたは、わらわは今は関わりたくないのですが」

 

「そうか、まぁなんだ、話くらい聞いてくれ、あと何か困ってること、あるいはやってほしいことがあったら言ってくれ」

 

「?、あれ、そなた、どこかで……!マチさん!」

 

「おう、2年ぶりかな、一時期お前の村によったのは」

 

「……久しぶりですね、マチさん」

 

それから色々とかぐや姫とマチは話した、昔宝物を村人に捨てられそうになったところを助けてくれたり、一週間だけだったがよく手伝ってくれたりといなくなったときは悲しかったなど、それから一週間、世間話や雑談などしあった、日に日に、かぐや姫は元気になっていき、マチにお姫様抱っこでだが、外にでるようになった。

 

「あら?、あんたかぐや!?、相変わらずマチにおんぶに抱っこって感じね」

 

「あらほんとですわ、かぐや姫さん、元気でいらっしゃってますか?」

 

「赤ずきんさんですか、相変わらずがさつそうですね、シンデレラさんも何時もお綺麗で」

 

「あはは!、変わらないわねー」

 

「そうですわね、後わたくしそんなに綺麗と言われるほど着飾ってませんことよ?」

 

赤ずきんとシンデレラは黎明を抜け出したときについてきたからかぐや姫とも知り合いだ、てかだいたい抜け出したときにさ二人がついてくる感じだ、まぁこれからも仲良くしてやってほしいな、かぐや姫とは。

 

 

 

 

そして、ある日、千昭は血式少女達を呼び出した、マチには告げたが、千昭は今、ある一つの真実に近づいていた、その真実を掴むために、血式少女から聞き取り調査を行うことにした、

最後になったシンデレラへの質問を終えた後、千昭はある独り言を呟いた。

 

「なぜ血式少女は7人必要なんだ……」

 

それを聞いたシンデレラは心臓が大きくはねて、ある考えがよぎる、もう血式少女は9人もいる、ならいらないのが二人も出てくる、一番低いのは自分、そう、シンデレラは自分が捨てられると思った、シンデレラは千昭と別れ、自分の部屋に戻っていった。

それを見計らって、隠れていたマチが出てくる。

 

「どうだ、何かわかりそうか?」

 

「……いや、何も、やはり独房エリアに行かないとダメかもしれない」

 

「そっか、つまりただシンデレラを怖がらせただけになったわけだ」

 

マチは千昭は悪くないとは思うが睨んでしまう、マチの注意不足もあるが。

 

「?、僕は別に怖がらせた覚えは無いんだが」

 

「だろうな、さて、千昭、念のため、お前もついてこい、その後、目的の独房エリアに向かう」

 

「わかった、だがなぜ?」

 

「近くにいないと護れないからな、なーんか嫌な感じがするんだよ」

 

「……わかった」

 

マチと千昭はシンデレラの部屋まできた、扉に鍵はかかっておらず、部屋の隅でシンデレラが震えていた、その目はピンク色に光っている。

 

「これは……」

 

「フユの言っていたブラッドスケルターの兆候だろう、まだ髪が白くなってないだけマシかもね、千昭はそこで待ってろ」

 

マチはゆっくりとシンデレラのほうに近づいていき、頭にポンと優しく手を頭に触れる。

 

「……マチ姉?」

 

怯えた目でシンデレラはマチを見る。

 

「自分が捨てられるんじゃないか、そう思ってるな」

 

「……わたくしは一番ダメな子なの、だから、何か、何か役にたたないと」

 

「……はぁ、何もわかってないな」

 

マチはシンデレラを抱きしめた、シンデレラは何か起こってるのか戸惑っている様子だ。

 

「お前がいたから、マチは今ここにいるんだ、本来なら3日で出ていくつもりだったが、その……あれだよ、ここがいて楽しいと思えたんだよ、だから、お前は役にたってるよ、今までも、これからも役にたつ、だからそんな何時もよりしょげた姿を見せないでくれ」

 

マチが照れ臭そうにそう言う。

 

「──本当に?、わたくし、役にたってるの?」

 

シンデレラの目からピンク色の光が無くなり、代わりに大粒の涙が溢れる

 

「わたくし、わたくしまだここにいていいの?」

 

「あぁ、もし博士が出ていけと言っても、マチが必ず護ってやる、だから安心してくれ」

 

「うっ──うわぁぁぁぁ!!」

 

5分ほど、シンデレラは泣き続け、落ち着いた辺りでマチは抱きしめるのをやめる

 

「さて、千昭、行こうか」

 

「マチ姉、どこにいきますの?」

 

「内緒、すぐ戻ってくるよ」

 

「い、嫌ですわ!、わたくしもついていきます!」

 

シンデレラは立ち上がり、いつもの調子になってる。

 

「どうする?、千昭」

 

「そうですね、このまま勝手についてこられて迷われたら嫌ですし、つれていきましょう、この際」

 

「だそうだ、一応言っておくがこれは秘密だからな、誰かに喋るなよ?、言ったら怒る」

 

「わ、わかりましたわ」

 

「よし、それじゃあむかうとするか……独房エリア、もとい、繁華街エリアに」

 

マチはシンデレラをつれて、千昭の繁華街エリア調査に向かった

 

 

 

 

 



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第7回

(´・ω・`)頭の良さがなくてすまない、推理ものは苦手というか無理なのだ


マチのマッチの炎、それは普通に石の床や壁に擦れば付く、そしてもう一つ、自身の生命力によっても着火が可能、それはナイトメアすら殺せるが何本も使用しないといけないため確実性に欠ける、メルヒェンにも有効である、そしてもう一つ、それは生命力の火には本人の記憶、もとい願うものが映し出される、軽い幻覚とでも言うべき、それこそがマチの血式能力、ファイアビジョン、なぜ不死状態のナイトメアを殺せるのか、それは今のマチにも不明である。

 

 

「さて、繁華街エリアを進んでいったわけだが、これはなんだ?」

 

千昭の調査隊と合流して、マチとシンデレラは繁華街エリアを進んでいった、そこには眼のようなものがあった。

 

「わかりません、ただ何かを監視する、というのはわかります」

 

「そうかそうか──じゃあ、聞いてみるか、今後ろからついてきていた人に」

 

「!?」

 

千昭と調査隊が驚き振り向く、そこには……博士が立っていた。

 

「……へぇ、一人できたんだ、博士」

 

「なに、きみたちがメルヒェンを掃討してくれたおかげで楽できたよ、さぁマチ、今すぐ帰ろう、きみであってもナイトメアには苦戦する、それにスナークが現れては」

 

「そうだね、では今ここで倒すか、そのスナークを」

 

「マチ姉、それはどういう?」

 

シンデレラはなにかなんだかわからず困惑している。

 

「ほう、つまりきみがそういうのは、ここにスナークがいる、と、言ってるのかな?」

 

「はい」

 

「マチ、きみはどこまで知ってるんだい」

 

「そうだね……では一つ、勝手に入らせてもらったことがあってね、フユさんにわがまま言って、最初は鍵かかっていて入れなかったけど」

 

「ふむ、それはもしかして、モニター室かな?」

 

「正解、で、今ここにある眼、モニター室にある映像のやつと同じ場所なんだよね」

 

「……それは前に調査」

 

「あぁ、そういうと思ったよ、ただ、なんで破壊されないのか疑問が起きちゃうんだよね」

 

「……」

 

「ついでにもう一つ、博士、これなーんだ」

 

マチは懐から何かの機械を取り出す、それを見た博士は目を見開く。

 

「ナイトメアを倒した後にさ、そいつがきたところを戻っていったんだ、そしたらこんなものが落ちていてな、フユさんが言うには昔人と人どうしが遠くから会話するための装置、たしかトランシーバーだっけか、そこから聞こえたのが……あなたの声なんだよ」

 

「──やれやれ、行動を急ぎすぎたかね、つまりきみは10歳のときから私を疑っていたのか」

 

「大丈夫、それはあんたに会ったときから、会ったやつ全て疑っていたよ、確証がとれれば信頼するがね」

 

「あの、わたくしは」

 

「もちろん信頼してるよ」

 

シンデレラは一瞬顔が曇ったがすぐに笑顔になった。

 

「……とりあえず、あんたがスナークでなくても、あなたが裏切り者なのはここに来ていることでほぼ確定なんだよ」

 

「……やれやれ、ここまで頭が回るとは、本来ならシンデレラにやらせるつもりだったが、わたしはね、こんな始まってすらいない段階で死ぬわけにはいかないのだよ」

 

博士が指を鳴らすと、何かが近づいてくる音が聞こえる。

 

「……千昭、狙いはお前だろう、そしてマチも含まれている……さて、赤ずきん、お前はどっちにつくんだ」

 

「!」

 

マチは博士の後ろからついてきていた赤ずきんを見る。

 

「おぉ、赤ずきん、お前まできていたのか」

 

「……お父さん、本当に、本当にスナークなの?」

 

「──あぁ、この際だ、ここにいるやつらは皆死ぬのだから見せよう」

 

博士、いやスナークは本来の姿に変わっていく、白い姿の怪人に。

 

「それがあなたの本当の姿か」

 

マチは背中のマッチを手に持ち、臨戦態勢に入る。

 

「さぁ!、こいナイトメ」

 

突如、スナークの身体が頭だけ残して、凍りつく。

 

「ガッ!?、こいつは──なにを──」

 

「……本当にバカなやつだね、お前の出番の世界ではないのにさ」

 

マチは何か、言い表せない悪寒が走る、今の自分には勝てない、そのようなものを空から、それは空中から飛来し、ゆっくりとスナークの側に降り立つ。

その姿は全身がスナークのように白いが、冷気を纏い、ドレスのような物を着ており、顔は右半分が鏡のようなもので覆われている、左の目からその冷気のような冷たさはなく、むしろ優しい眼差しをマチとシンデレラに向けている。

 

「あなたは……」

 

「ワタシは、ワタシはゲルダですよ」

 

「ゲルダ!?、何故だ!、貴様は既に死んでいるはずだ!」

 

「スナーク、あなたには2つの選択肢がある、一つら心情を曲げず、このままワタシに殺されるか、黎明から抜けてこの世界と共に生きるか」

 

「……ぐぅ」

 

「選べ」

 

そうこうしてると、ナイトメアがマチ達の目の前に現れる。

 

「くっ、来たか、マチが相手する、お前らは」

 

「大丈夫だ、支配権は今はワタシにある」

 

ゲルダは手を下ろすと、ナイトメアは平服のように頭を下げる。

 

「なっ!?」

 

「驚いたかなスナーク、もうアナタには戦力はいないのだよ」

 

「ぐっ、赤ずきん!、お前は私についてきてくれるだろ!」

 

「あたしは……あたしは」

 

赤ずきんが言い淀んでいると、マチが口を開く。

 

「赤ずきん、お前の選択だ、どちらを選んでもマチは恨まない」

 

「マチ……うん、決めた、いや決まってたわ」

 

赤ずきんはスナークのところ──を、通りすぎ、マチの横に立った。

 

「あたしは、仲間をとるわ、スナーク、いやお父さん」

 

「──そうか」

 

「さぁ、スナーク、潔く死ぬか、共存の生か、選べ」

 

「──わかった、共存を選ぼう」

 

「そうか、では」

 

ゲルダが指を鳴らすと、氷が砕けて、スナークは自由になる、そしてスナークの姿は再び十島博士のものとなった。

 

「私は黎明を抜けるよ」

 

「お父さん……」

 

スナークは無言でこの場から去っていった。

そして、ゲルダはマチ達のほうを見る、調査隊は武器を構えるが千昭が手で制する。

 

「驚かせてすまなかったね、今は敵対する気はない、ナイトメアも帰らせる」

 

ゲルダがそう言うとナイトメアは再び奥に消えていく。

 

「……あなた達は何者なんだ」

 

「わかりやすい言い方をするなら異星人かな、今の状況を作り出してるのはスナークが滅んだワタシ達の星の種

本来人を滅ぼすはずだったらしいけど、ジェイルは共存を選んでいる」

 

「なるほど、お前の他に仲間はいるのか?」

 

「そうだね、まぁ言ってしまっていいかな、一人だけ言っておこう、ハル、アナタ達の武器を作った人だよ」

 

「やっぱりか……それで、この後マチ達はどうすればいい」

 

「出来れば帰ってほしいかな、今アナタ達が進んでも、勝てないし、あぁ、それと千昭、ミチルちゃんはもう大丈夫だよ」

 

「それはどういう?」

 

「それは会えばわかるよ、さて、ワタシの支配権も長くない、早く帰られよ」

 

「……わかった、あえてその支配してるやつのことは聞かないさ、帰るぞ、シンデレラ」

 

「わ、わかりましたわ」

 

その後、マチ達は襲われることはなく、無事黎明に帰ることができた。他の異星人の謎を残して

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、もう1話続きます、次で本当に最後に……なるといいなぁ


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第8回

一応最終回です


マチ達は信頼できる人達を集めて、研究室に集まった、集まったのは今いる血式少女全員、そしてハル 視子、フユ、教団のミチルと千昭の5人がここいる、その内容はもちろん博士がスナークだったこと、ゲルダという謎の氷の怪人が現れたことを話した、内容を聞いた面々は皆驚きや困惑の表情を見せている、今まで一緒に脱獄を目指していたのだから当然ではあるが。

 

「……まぁこんな感じだ、独断専行してすまないとはマチは思ってるよ、でもこれでいままでマチが10の時に8人もいたのに脱獄を進めなかった理由は明白ではある、そりゃあ計画に支障をきたし、自分を護ってくれるナイトメア殺せるやつがいるんだから、進められないよな」

 

「それって博士、もといスナークは弱かったと?」

 

「見た感じそうだと思うな、視子さんでも頑張ればいけるかもよ」

 

「それは過小評価すぎるわね、それにしてもいったいどうするつもりだったのかしらね」

 

「それについては、ハルさんに話してもらおうかな」

 

「……ゲルダのやつがいってんだな、俺も異星人だって」

 

それを聞いて、血式少女達は武器を向けるが、マチが制する。

 

「大丈夫だ、本当に敵ならもう少し動きがあったさ、マチから見て信頼できるやつだよ」

 

「そりゃあ怪しい行動なんてないよな、俺はただ見ていただけだからな、スナークの正体を知っていても」

 

「で、スナークの目的は?」

 

「……最初に言っておくがジェイルの監獄塔についてだ」

 

ハルが言うには、監獄塔 ジェイルは月に触れることで白い核を作り出すらしい、それはありとあらゆるものに擬態し、世界を塗り替える力を持っている、それを聞いたつうとマチは頭に頭痛が走った、が、すぐに治まった。

 

「大丈夫?、おつうちゃん」

 

「大丈夫です姫、大丈夫てす……」

 

「マチ?」

 

「こっちも大丈夫だ赤ずきん、頭が痛い話だと思ってな」

 

「それは信じていないのか?」

 

「大丈夫、本当だと思ってる……一応聞いておくけど、ゲルダの正体も知ってたり?」

 

「残念ながらそれは本人から口止めされてる、言うわけにはいかないな」

 

「あぁ来てたのか、残念、さて、こういう話をしにきたわけではないんだよな、で、どうする、黎明のトップいなくなったわけだけど、たぶんいないと一般人てんやわんやだぞ」

 

「はいはーい、ミチルから提案があります」

 

最初に名乗りだしたのはミチルだった。

 

「姉さん、もう大丈夫?」

 

「えぇ、靄が晴れた気分です、親指姫達には心配かけましたね、さて、一つ提案なんですが、マチが黎明のトップになればいいと思います」

 

「──は?」

 

「うん!、それはいいわね!、マチなら納得できるわ、あたしは」

 

赤ずきんが賛同すると、他の血式少女も賛同していく、それにマチはあたふたしながら反対する。

 

「いや待ってくれ!、マチにはそんな器ないし、一般人には嫌われているから認められないから、なるなら視子さんじゃないか?」

 

「私は──うん、昔なら喜んでいたでしょうけど、わたしでは不十分よ、なるなら……フユ、あなたよ」

 

「──ん?、え?、へあっ!?、わたし!?」

 

ふられるとは思ってなかったのかぼーとしていたフユは驚いて変な声がでた。

 

「あー、フユさんね、一般人からも受けがいいし、研究者としても一流、うん、フユさんならマチも納得できる」

 

「あたしもいいわよ、早いメルヒェンの倒しかたとか、いろいろと教えてくれたし」

 

「わたくしも賛成ですわ、たまに励まされたりしてますし」

 

「ぼくもいいよ、姫共々最初の生活のときアドバイスもらっていたし」

 

「おつうちゃんが言うなら私もいいよ」

 

「私もいいわよ」

 

「白雪もいいですよ、爆弾の改良に手伝ってもらってますし」

 

「ん……ボクも」

 

「わらわはマチさんが言うなら賛成しますー」

 

血式少女皆賛成してくれた、フユはため息を吐きながらハルを見る。

 

「俺もいいぜ」

 

「……そっかー、うーん……はぁ、わかったよ、私がやりますよ新しい黎明の長を」

 

その後、博士は行方不明になった、フユが黎明の新しい長になったと報じて、しばらく大忙しになった。

それが落ち着いたある日、フユとハルは二人だけで夜の黎明本部の屋上にいた。

 

「……ここなら誰も来ないぜ」

 

「えぇ、ここでならゆっくりできるね、話を」

 

「……これもお前の計算通りか、()()()

 

「……そうね、長になるのは予想外だったけどおおむね、スナークを追放できたわ、予定通りに」

 

「それは良かったな、それにしても殺さなかったのはお前らしくないんじゃないか、昔のお前ならそのときに一瞬で殺っていたはずだが」

 

フユは少しうつむき、そして笑みを浮かべ顔を上げる。

 

「生物は変わるものだよ、どんな生物でも、適応するために」

 

「そうか、本当にお前は変わったよ、ゲルダ、いやフユ。それでこれからどうするつもりだ、スナークはいなくなり、これから本格的に白い核、ウィッチクラフトを誕生させるか」

 

「うまくいけばね、全てが、ただそううまくはいかないと思うわ」

 

フユの顔が曇る、何か計算できないものがあるからだ

 

「……いるんだな、お前の他にも()()したやつが」

 

「さぁね、ただ最近になって人の動きもメルヒェンの動きも怪しいからね、何かが動き始めてると見ていいわ」

 

「……どちらも更に頑張らないとな」

 

「えぇ、これから大変になるわね、お互いに」

 

二人だけの夜は更けていった。

 

 

それから数年が経過した。

 

「赤ずきん、シンデレラ、そしてマチ」

 

「なんだ、マチ達を呼び出して」

 

すっかり成長した3人、赤ずきんは黒の制服のフードをいじり、シンデレラは髪を整え、マチは寝不足からかあくびをしながら聞いている。

 

「元街道エリアのダンジョンに行ってた調査隊が戻ってきたの。報告によ?と、そこに囚われている人々の中にいるかもしれないの、血式少女が」

 

「ほう、ついに10人目か」

 

「本当に!?」

 

「それは楽しみですわね」

 

目を輝かせる赤ずきん、手を合わせニヤニヤしてるシンデレラ、靴を鳴らすマチ、血式少女。メルヒェンを倒せる新たな仲間、妹のような存在。

 

「まだわからない。だから確かめてきてほしい、あなた達3人でね」

 

「わかった、それで、見分け方は?」

 

「このメルヒェンの血を噴射するスプレーを1人1本ずつ持っていって。これを浴びせれば、目がピンク色に光れば血式少女だから、たぶん」

 

「見つけたらどうしますの?」

 

「もちろん、連れて帰ってきて」

 

「わかった、マチ!、シンデレラ、いこう!」

 

嬉しそうに答え、赤ずきん達はメルヒェンの血が入ったスプレーを受け取り、赤ずきん自分の身長ほどの大きなハサミを抱え、シンデレラは左右違う形の具足をはき、マチは大きなマッチ2本を持って走り出す。

 

その背中を見送り、フユは建物の屋上へと登った。

遠くにそびえ立つどこかおかしい監獄塔を見上げる。

 

(さて、あれから皆力をつけた、そろそろ本格的に動いても良さそうだな、メルヒェンを殺し、核を破壊し、ナイトメアを殺し……そして、塔を伸ばして天幕を破り、ウィッチクラフトを誕生させる)

 

それが、フユの、黎明が目指す悲願。

 

(ひた走れ、血式少女たち。日を差す場所に向かって)

 

フユは天高く腕を上げ、白い月を握りつぶすように、拳を握った。

 

 

新たなる脱獄劇、新たな役者を加え、血塗られた少女たちの、最後の脱獄劇が始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、最後まで見ていただきありがとうございます、続きは明日か、もしくは一週間後かもしれません、もとは不定期でしたし、本編の前にオリキャラの設定のせるかもです


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番外1 赤ずきん①

赤ずきん視点のお話です、一応1と付けたけど、続きは未定です()

あ、一応本編(ゲーム、神獄塔メアリスケルター)の赤ずきんとは違うとだけ、2みたいなものだと思ってください。


あたしは仲間が欲しかった。

他にも同い年の子供は探せばいたけど、それでもあたしと同じの子供はいなかった、たまに遊ぶことはあった、けどどこか距離を感じることが多く、何時もあたしは孤独に似たものを抱いていた。これが、寂しいというものだろう。

 

ある日の寒い日の昼、食堂であたしは少し遠くに行きたいと、ハルに言った。

 

「駄目だ、危険が過ぎる」

 

「なんでよ!、あたしだってやれるもん!」

 

その時のあたしは何かを感じていたのかもしれない、同じような人がいる、そのような直感的な何かが、今にして思えばわがままが過ぎたかもね。

あたしが何度も行きたいと言ってると、おとうさんがそこに現れる。

 

「そんなに外に行きたいのなら、近頃噂になっているメルヒェンを20も倒すマッチ売りの少女とやらを探しに行ってくれないかな?」

 

マッチ売りの少女、本で見たことのある童話の一つ、あたしと同じ童話の名前、あたしと同じメルヒェンを倒せる少女、あたしはいてもたってもいられなかった。あたしは急かすようにおとうさんに近寄って、質問した。

 

「その子はどこにいるの!」

 

「あ、あぁ、何でも廃村に向かったとのことだ」

 

それだけ聞くとあたしは急いで飛び出していった、その後ろをハルさんが追いかけてきて、ハルさんに先導されて廃村に向かった、事実、あたしはその廃村の場所を知らなかった、ハルさんがおとうさんから聞き出してくれて、あたしはそこに向かった。

 

その廃村は、何時ものようにメルヒェンが攫われていなくなった村だった、普通の人でも頑張れば一匹程度なら火器無しでも倒せるくらいには弱い、あたしはそんな雑魚メルヒェンを倒しながら、廃村にたどり着いた。

 

「いったいどこにいるのかなー♪、マッチ売りの少女ちゃんは」

 

「あまりはしゃぐなよ、もういない可能性だってあるんだから」

 

「・・・いや、ここかも」

 

あたしは数十匹のメルヒェンが死んでいる廃屋を見つける、全て強い力でいたるところが吹き飛んでいて、血も新しい。

 

「おーい、そこにいるのー?」

 

「そこにいるんだろ、噂のメルヒェンを狩る代わりにマッチを売ってるっていうやつは」

 

しばらくすると、廃屋から赤い髪が見える、長い髪で手入れがしばらくされてないようでボサボサだ、それでもあたしは綺麗だなって思えた。

 

「まったく、珍しい客がきたものだ、自分の家じゃないけど」

 

その子が出てくると、あたしはその子の手を強く握った、そして。

 

「あたし赤ずきん!、あなたはなんていうの?」

 

それから、マッチ売りの少女、マチとの生活が始まった。

 

「ふんふんふん♪」

 

「なぁ、髪の手入れとかいるのか?、マチには必要とは思えないんだが」

 

「だめ!、女の子なんだから、それにそんな綺麗な髪してるのに」

 

あたしはマチのブラシで髪をといていた、鼻歌を歌いながら。

 

「ぬぅ、なぁ、赤ずきんさん」

 

「赤ずきんでいいわ、なに?」

 

「あれからマチとよく遊ぶんだが、他のやつらとは遊ばないのか?」

 

「・・・うーん、なんかね、距離感があるの、あはは、メルヒェンを素手で倒せるなんて、人間とは呼べないからかもね」

 

ハルさんも、視子も、おとうさんも、人間だ、だけど、優しく()してくれる、けど、それでもあたしのことを心から理解してくれる人は。

 

「そうか?、マチには赤ずきん、お前だって同じに見えるが」

 

「・・・え?」

 

「笑って、泣いて、遊んで、楽しんで、例えメルヒェンを殺せても、マチにはそれが出来る全てが人間と同じに見えるが?」

 

・・・あぁ、あたしも、あたしも人間って呼べるものなのか。

 

「ん?、おいどうした!?、なんて涙流す!」

 

いつの間にか、あたしの目から、涙が流れていった。

 

 

それから5年が過ぎ、あたしは誕生日を迎え、ケーキをそっちのけに、武器をプレゼントされて、水族館に訪れていた。

そこで、多数のメルヒェンを殺していった、楽しんで、マチ、シンデレラ、ハルさんに見守られながら。

そして、声が聴こえ、その場所に向かい、つうと人魚姫を見つけた。

そして。

 

「あれは…ナイトメア!?、マチ!、逃げなきゃ!」

 

灰色の闇が近づいてくる、それはナイトメアと来るものだとおとうさんが言っていた。

 

「いや……このままだと間に合わないなこれは」

 

マチがその灰色に一人突っ込んでいく、それと同時に灰色は静止する。

 

「マチ!?」

 

あたしもそこに飛び込もうとする、が。

 

「ここはマチが抑えておく、赤ずきんは二人をつれて逃げてくれ」 

 

「でも!」

 

「全員共倒れするよりはましだろう、いいから!」

 

あたしも戦いたかった、でも、あたしには、あたしには無理だと、震える足が物語っている、逃げたい、そう思えて仕方ない、あたしは唇を噛み締め、背を向けた。

 

「ぐっ……二人とも!、今は逃げるわよ!」

 

あたしは二人の少女の手を引いて、この場から逃げていった。マチを一人そこに残して。

 

「あら、お帰りなさい・・・あら?、マチ姉はどこに?」

 

「・・・ごめん、マチは・・・ナイトメアと」

 

あたしはシンデレラにマチが殿をつとめ、ナイトメアと戦ってると告げる。

 

「え……うそですわよね、マチ姉がそんな……あなたがついていながら!」

 

シンデレラはあたしを怒鳴り散らした、初めてここまで怒っているシンデレラを見た、そして消え入りそうな声で俯きながらも、声に出した。

 

「──ごめん」

 

「ぐっ……うぅ……」

 

シンデレラはそのまま気絶して、皆、暗い顔をしながら、水族館を後にした。

 

そして、それから1日が経過した、黎明の救護室でマチを失ったことで、博士含め皆陰鬱な表情を見せている。

 

「……あたし、もう一度水族館にいく」

 

死ぬかもしれない、もしかしたらマチが生きているのかもしれない・・・死んでいるかもしれない、けど、あたしはこのまま待つのは死ぬよりも辛いことだと心から思える。

そして、最初に名乗り上げたのはあたしだった。

 

「それならわたくしもいきます」

 

シンデレラも顔を上げ、寝ていたベッドから起き上がる。

 

「駄目だ、これ以上きみたちを失うわけにはいかない」

 

おとうさんに止められる、けど、ここで止まるわけにはいかないの。

 

「でも!、あたしが……あたしがもっと強ければこんなことには……!」

 

そうだ、あたしが強ければ、こんなにも悲しく思う必要なんてなかった。 

 

「残念だとは思ってるよ、だが事実は」

 

おとうさんはマチはもういないと思ってる、けど、あたしはそれでもここに。

 

「いやいや、何勝手にマチが殺されてる流れになってんですか、傷つくよ?」

 

・・・いつの間にか、そこには傷だらけながら立っているマチがいた。

 

「よう、赤ずきん、シンデレラ、どうやら抜け出せたみたいで安心だよ」

 

「あんた……!、この――バカマチ!」

 

「ははは新しい呼び名だなバカずきんの当てつけか?」

 

そう言って、あたしはマチを抱きしめた。

あぁ、本当に・・・あたしはマチが大好きなんだ、例えこれが・・・偽物だと言われようとも、あたしには、あたしには変えがたいものであると、心から言える。

そして、強くなる、マチの背中を守れる、いや、前に立てるくらい、強くなりたい、何が何でも強くなって見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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番外2  シンデレラ①

時間ができたので、(´・ω・`)公式キャラがオリキャラを慕うって実際他方面からみてどうなんやろ。


わたくしには、2つの親に関する記憶がありますの。

一つは綺麗綺麗と称賛してくださる記憶。

もう一つは掃除や雑用など言い渡されてこき使われる記憶。

もちろん前者の記憶が本当の記憶だと思ってますの、でも、性というものなのでしょうか、時々不安になるときがありますの、そのせいで少し精神が不安定な気がします。

 

「・・・はぁ」

 

自室のベッドの上、4歳ながら自らの記憶のことで悩みまくって、ため息が漏れる、だめですわね、いくら考えてもわかりませんの、そもそも雑用なんてできないはずですのに、部屋を綺麗にすることが好きだったりとよくわかりません。

そんなことを考えてると、部屋のドアにノックがかかった、誰でしょうか?

 

「フユだよ、博士がお前をお呼びだよ」

 

「博士が?」

 

わたくしはフユに案内されながら、博士の研究室に入りました、そこには二人のわたくしより年上そうな少女が。

一人は栗色の髪のフードをつけ、もう一人は綺麗な赤い髪ですが、くせっ毛がところどころ目立つ大きなマッチを背負った少女でした。

 

「さぁ、自己紹介しようか、シンデレラ」

 

博士にすすめられ、わたくしはスカートを裾を掴んだ、お姫様のような仕草をして、自分の名前を言った。

 

「し……シンデレラともうしますわ」

 

「お父さん!、この子も……!」

 

「そうだよ赤ずきん。お前と同じ、二人目の血式少女だ」

 

 

 

それを聞いた赤ずきんさんは満面の笑顔になる、わたくしは、続けてよろしくお願いしますわ、お姉さまがたと言おうとした瞬間、

 

「やっぱり! 初めましてシンデレラ、あたしは赤ずきんだよ!」

 

赤ずきんさんはシンデレラに飛びついて、おもいっきり抱きついた、更にはほっぺたを擦り合わせて、かなり熱い、というか痛いレベル!。

 

「な、なんなんですのもう!、ほっぺ!ほっぺた熱いですわよ!」

 

わたくしは振りほどこうとしますが同じくらいの年なのにまるでできません、なんなんですのこのかた!?

 

「はぁ……赤ずきん」

 

もう一人の赤髪のかたが赤ずきんさんを難なく引き離して見せました。

 

「あー!」

 

赤ずきんはおもちゃをとられた時のような声をあげますの、やっぱりわたくしより子供らしいと言いましょうか、とてもお姉様とは呼べません。

 

「あーではない。マチから見てもスキンシップが過ぎるぞ?」

 

「あ、ありがとうございますわ、えっと」

 

言葉が出てきません、初めてと言っていいほど同い年くらいのかたと話すのもありまして、そんな様子を赤髪のかたは、わたくしの様子に気がついたような声を出しますと

屈んでわたくしに目線を合わせてくれます、それほど離れておりませんが、目線が合います、よく見ると眼も赤い、いや紅いとも言うべき綺麗な瞳をしてました。

 

「マチだよ、黎明に初めてきたという点で言えば後輩なのかな、シンデレラ、よろしく」

 

マチと名乗ったおかたは優しい笑顔で右手を伸ばし、わたくしの左手をとりました、あぁ、まるでそれは……王子様のような。けど、マチさんは女性だから。

 

「よ、よろしくお願いいたしますわ……マチお姉様」

 

わたくしは顔を赤らめて照れながらそう言いました。

 

「ははは、年上だからってそれはむず痒いぞ、普通にマチさんでいい」

 

「じゃあ……マチ姉ではダメですか?」

 

親しみやすい、その言い方がわたくしには合ってました、けど断られたらどうしましょう。

 

「うーん、まぁ良いだろう」

 

けど、マチ姉は了承してくれました。わたくしは笑顔で再び、マチ姉から少し下がって、スカートの裾を掴んだ仕草をした。

 

「はい、それではよろしくですわ、マチ姉、赤ずきんさん」

 

「えー!、あたしも赤姉って呼ばないの?」

 

「当たり前ですわ、あなたなんか赤ずきんさんで十分ですわ!」

 

マチ姉は爆笑して、赤ずきんさんとの追いかけっ子を始めました、これから楽しくなりそう、そう思える出会いでしたわ。

 

しかし5年後、あのようなことが起きるとは思いませんでした。

 

「……ここは」

 

目が覚めるとそこは病室の天井、隣には博士や視子さんがおりました。

 

「わたくしは……」

 

「起きたみたいね、赤ずきんからだいたいのことは聞いたわ」

 

そうですわ、マチ姉が、赤ずきんさんからナイトメアと戦ったって、わたくしはしばらく頭を悩ませました、ネガティブ思考と言うのでしょう、悪いことばかり考える、そんな嫌で受け入れがたいことがイメージされますの、けど、それは杞憂に終わりました。マチ姉はボロボロながら帰ってきてくれました……けど、またこんなことが起きないとは限らない。

 

「……シンデレラか」

 

「マチ姉、具合はどうですの」

 

数日経ち、わたくしは寝静まった夜、一人マチ姉のベッドにきました、わかっていたようで目を開けて、待っていてくれました。

 

「そうだな、右腕がようやく動くようになってきたってあたりだ、シンデレラ、今日はどうした」

 

「……」

 

わたくしは無言でマチ姉のベッドに、潜り込みました。

 

「シンデレラ?」

 

「わたくし、怖いんですの、何時マチ姉を失うのか、離れて言ってしまうのか、そんなことを考えたり、夢に見てしまうんですの、だから」

 

「わかってる」

 

マチ姉は動く右腕でわたくしを抱き寄せ、頭をさすった、優しく、笑顔で。

 

「もうあんな無茶はしない、もうお前を悲しませることはしないと約束するよ、だから、今日はここで眠っていけ、安心して、そんなネガティブなことを考えないくらい、楽しいことを頭いっぱいに考えられるまで、マチが側にいてあげる」

 

「マチ姉……」

 

わたくしは大粒の涙を流しながら、静かに、マチ姉の側で眠りました。

 

だけど、博士は危険なことをさせるだろう、監獄エリアの開放、核の破壊、絶対に安全とは限らない、ナイトメアと戦うことだってある、だから、わたくしは。

 

強くなってみせますわ、マチ姉、赤ずきんさん、これから来る妹達を護れるほどに。

 

 

 

 

 

 




見て下さりありがとうございました(´・ω・`)、たぶんシンデレラの続きはある可能性はある、構想まだだが


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番外3 かぐや姫①

(´・ω・`)うん、なんか一番のったんだ、済まない、後続くと思うよ


わらわは昔モテていた。

同じ年頃の男子からよく遊ぼうと言われたり物を貰ったり、別に悪い気はしなかった、わらわもその生活が楽しかった、そう、楽しかった。

ある日、メルヒェンがわらわの暮らす村に現れた、わらわも戦い……そこでメルヒェンの血液を浴びた時、わらわの生活は変わった、メルヒェンを大人より簡単に殺して見せた、あの瞬間、大人達のわらわを見る目は変わってしまった。

大人達の視線はしばらくして嫌悪に変わった、わらわはそれが嫌で、嫌でしょうがなかった、何故?、わらわは皆を助けるために動いたはずなのに、何故そんな目を向けられなければならないの?、そうして、わらわは家の中に籠もる日々が続いた、あの視線がとても嫌だった、男子はよくきたけど、わらわはそれを突っぱねた、外に出てもあの視線がわらわにくるから……もうわらわはこんな生活しかできないのだろうか。

 

ある日、久しぶりに人の気配を感じた、もうわらわには関わないと思っていたのに、何者なのだろう。

 

「うーむ、ここにいるのかな、おーい!、そこにいるんだろ!、かぐや姫さん!」

 

知らない声だった、それは女子の声音で、しかし勇ましさを感じるものだった。

 

「ふーむ、ま、いっか」

 

帰るのだろうか、そう思った次に目にしたのは、部屋の戸が破壊され、その先には赤い髪に紅い瞳の少女がそこに立っていた。

 

「な!?、なんなのですか!、非常識な!」

 

「お、黒髪ロングの美人、マチから見ても良い美貌」

 

何者なんですかこの少女は、人の家の戸を破壊するなんて。

 

「帰って」

 

「ん?」

 

「帰りなさいって言ってるのです!、わらわは部屋から出ません!」

 

「ふーむ……良いぞ、じゃあ()()()()

 

そう言って赤い髪の少女は出ていった、また明日と言って。

大人達の話に耳を傾けたら、少女の名前はマチ、最近黎明なるところから放浪してきたらしい、数日したら帰るらしく、今はこの村の空き家に住んでいる。

 

「……また来ましたね」

 

今度は戸を破壊されないよう、少し戸を開けて出迎えた。

 

「ようかぐや姫、何かしてほしくないか?」

 

「わらわは一人でいたいのです、わらわに関わるのはやめなさい!」

 

「……髪ボサボサだな、といてやるよ」

 

「はい?」

 

……わらわはマチとやらを招きいれてしまった、何故なのだろう、わらわ自身よくわからない、けど、悪い気はしなかった。

 

「こんな感じかな、シンデレラの見様見真似だが」

 

わらわの髪をといていく、持っていたというブラシで優しく、丁寧に。

 

「聞いてもいいか」

 

「なにか」

 

「そんなに一人になりたいと言ってるのに、何故そんな悲しそうな声音だったんだ?」

 

驚いた、声音で人の感情が読めるのだろう。

 

「幻聴でしょう」

 

「そうかもね、ただ涙のあととか、こうやってマチを招いたのは、やっぱり寂しいんじゃないか?」

 

「……貴方に何がわかるというんです、あの視線の辛さが貴方にはわかるとでも言うんですか!」

 

何を言ってるのだろう、視線のことなど一言も他の人には話したことなどないのに。

 

「視線、ね、なかなか非現実感あって良いぞ」

 

「非現実感?、いや、貴方、もしかして同じような視線を?」

 

あの視線に耐えられるなんて、もしや。

 

「マゾというものではないと言っておく、まぁメルヒェン倒した時にね、退治が家賃って感じ」

 

「……貴方はわらわをどうしたいんですか」

 

「そうだな、友達ってやつになりたい、かな」

 

「……なら、燃えない布とかを」

 

「お前はモノを対価に人と仲良くなりたいのか?、マチならそんな関係嫌だね」

 

「……もう良いです、十分です」

 

「そうか?、まぁこのくらいでいいか」

 

マチは、ブラシを懐にしまうと、部屋から出ていく。

 

「そうだ、今度会うときは友達連れてくるから」

 

そう言い残してマチは帰って……え?、いまなんて。

 

また一日経ち、今度は話し声が聴こえたので、戸を開けた、そこには父と、その反対にはマチがいた。

父のまくし立てるような声が、わらわにも届く。

 

「……だからあの子は、かぐや姫は化物なんだよ! あの子は今、部屋に引きこもって何をしているのか分かったもんじゃない。みんな私たちを化物の親のように言うし……ああ、こんなことになるんなら、あんな子、拾ってくるんじゃなかった……」

 

……わらわの心が凍りついていく感覚がする、あぁ、唯一信じられた親が……これか。

 

「……クソだな」

 

あぁマチも、こんなことなら。

 

「お前だよクソ親父」

 

え?。

 

「あんな子拾ってくるんじゃなかった?、それはお前が勝手にやったことだろ!、何勝手に被害者みたいなこと言ってるんだ!、かぐや姫だって辛いんだ!、ならお前だって耐えてやるのが親ってものだろ!」

 

「うちのおとうさんと違って、いやこんなやつ父親と呼びたくないわね」

 

「本当ですわ、なんでかぐやさんって言う人と会いに来たのにこんなクズの話を聞かなくてはいけないんです」

 

マチの他にも、二人の少女が聴こえる、昨日言っていた友達だろうか、あの子達も父を責めている。

 

「とりあえず、マチからは何も言わんぞ、かぐや姫が決めることだからな」

 

そう言って、わらわの部屋に近づいてくる。

 

「あ、マチ、これ聞かれてたわよ」

 

「マジか、はず……くそハズ」

 

マチは顔を赤らめて顔を覆う、あぁ、こんな反応するんですね。

 

「ふ……ふふは、あはは!、マチさん自分で言っておいて今更ですか」

 

「な!、なにおー!」

 

……この人は、いい人なのだろう、マチさん、貴方は本当に、良い視線を向けてくれる。

 

 

 



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番外3 かぐや姫 ②

(´・ω・`)よく考えたらかなり元のキャラと離れてないかって思うことがある、まぁオリジナリティってやつかな、そういうの苦手の人もいるだろうけど、公式が絶対だ的な、メアリスケルター2みたいなものかな、あっちは外面は働きものだったし


それからというもの、わらわの人生に色がついたような気がした、まぁ籠もりっきりですが。

 

「なぁ、かぐや姫」

 

「かぐやで良いですよ、なんですか」 

 

今わらわはマチさんにマッサージをしてもらっています、意外とうまいものです。

 

「何故……マチの空き家に来ているんだ」

 

そう、わらわは今マチさん達の空き家に住んでます。

 

「いやだってですね、()()()()のところにいるのが嫌ですもの、貴方はあそこで無理して住めとでも?」

 

「ふふふ言いよるわ小娘、まぁ確かに無理はいけないな、なら、旅でもしてみればいいんじゃないか?」

 

「旅、ですか」

 

「マチも一時期、いや今もやってるけど、旅は良いものだぞ、良い交流があるし、まぁ人の醜い部分も見ることになるが」

 

「……ふむ、考えておきます」

 

「マチー!、あんたまたかぐやを甘やかしてるわね!」

 

「なんだ赤ずきん、お前もマッサージしてやろうか?」

 

「別にいいわよ、ところでもう夜よ、早く風呂入りましょ」

 

「ん、もうそんな時間か、それじゃあかぐや、風呂行くぞー」

 

マチはわらわをお姫様抱っこで運んでいく、その様子を赤ずきんさんは不服そうですね、関係ないですが。

 

「……マチより明らかにある」

 

マチさんに脱がされて、わらわは小さな風呂に入りました。マチさんは入らず、じっと見ています、少し恥ずかしいですね。

 

「なんでしょうか、わらわの胸をじっと見て」

 

「いや……何かコツとか」

 

「?、無いですわ、自然と大きくなっていったので……え?、もしかしてマチさんも胸のこと気になさるのですか!」

 

「……悪いか」

 

驚きました、そういうの気にしないと思ってましたのに、意外な一面が見えましたわね。

 

その後、髪を洗ってもらい、身体を拭いてもらって、服を着替えさせてもらい、寝床につきました。

そんな時、話し声が耳に入ってきました、シンデレラさんとマチさんのようです。

 

「マチ姉、何時まで世話をする気ですの?」

 

「んー?、まぁ一週間で帰るわけだし、その時までかな」

 

一週間?、後……3日ですか。

 

「でもあの娘、ついてくるとか言い出したらどうする気ですて?」

 

「んー、本人の意思によるかな、博士も血式少女求めているわけだし」

 

血式少女、それがわらわ達の総称、ですか……、わらわは行きたいとは思います……が、このままで良いんでしょうか、もし、あちらでもあの視線を浴びることになったらと思うと……「旅でもしてみればいいんじゃないか」、ですか――。

 

あの後、完全に眠りについたわらわは、朝に()()を取りに家にいきました、そこには村人達がいました、その手にはあれが入ってる箱を握っていました。

 

「あ、貴方達!、それをどうする気ですか!」

 

「か、かぐや姫か!、ちぃ!」

 

村人達はわらわを見るなり、逃げ出しました、わらわは追いかけようと走ろうとしましたが運動不足が祟り、転んでしまいました、あれは、あれだけは!。

 

「わらわの……5つの宝物!」

 

「なるほど、早く起きたのには理由があったわけね」

 

わらわが叫んだ瞬間、村人達が逃げた方角から、マチさんが現れました、その手には先程の箱があり、わらわは不意に涙が流れてしまいました。

 

「そ、そんなにか、はぁ……そんなに大事なら肌身離さずおいておけ」

 

「あ、ありがとうございます、ありがとうございます……マチさん、本当に……」

 

「……ん、どういたしまして」

 

その後、わらわは5つの宝をマチさん赤ずきんさんシンデレラさんに見せました。

 

「こ、これが宝ですの?」

 

「ふーん、よくわからないけど大事なんでしょうね」

 

「マチにはこれの価値はわからないが……まぁそんな大事な物を見せてくれるだけの信用はあるみたいだな」

 

皆にはこれのことはわからないですが、わらわには大切なものです。

 

――そして、マチさんが来て一週間が経ちました。わらわは村を抜けて、少しの間、3人と一緒に行きましたが。途中で別れます。

 

「ふぅ、それじゃあこっからは別だな、かぐや、悲しくはないか?」

 

「別に大丈夫ですわ、わらわが決めたことですもの」

 

本当に悲しい、ですが、わらわはわらわの目でたくさんの人を見てくると決めました、悲しんではいられません。

 

「……そっか、じゃあな、かぐや、また会えたら」

 

「かぐや!、あんたのそのずぼらさ、治してきなさいよ!」

 

「また会いましょうかぐやさん、わたくし黎明で待ってますので!」

 

「えぇ……また会いましょう、マチさん、赤ずきんさん、シンデレラさん……」

 

別れの言葉を告げて、わらわは歩を進めました、この調子だと何日かかるかわかりませんが、途中で何か歩かないですむものがあればいいんですが……。

 

そして、2年後、わらわは黎明に入り……再会をはたしました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




(´・ω・`)さて、番外のネタが尽きそうだ、いやほとんど無いに等しいけど、次投稿するの遅れそう。


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番外4 三姉妹 ①

獄中童話炎日譚の最終話まで読んでからがオススメです


私は姉だ、同じ年だけど、それでも私が二人を守らないと、そんなことを物心つく頃には思っていた。

私、白雪 ネム チー ミチル、5人は仲良しだったわ、でも急にチルが来るなと言われて、私は悲しかった。

黎明でも暮らしは悪くない、けど、二人に会えないのは、とても寂しかった。

 

「……はぁ」

 

私の口からため息が漏れる、白雪とネムから離れて、一人黎明の中を俯きながら歩いていた、心の整理がつくと、そう思って、けどそんなに晴れないわね、これ。

 

「お、親指か」

 

反対方向から、聞き覚える声がした、私と同じ赤い髪、いや、私より綺麗な髪の色の女の子、マチだった。

 

「暇してるなら少し付き合え」

 

「でもあんたチルと」

 

「いいからさ、悩んでる顔してるぞ、あとチルとは何もないから」

 

私はマチに引っ張られて、マチの部屋に入った、思った以上に整えられていて、少し驚いた、私はそのまま椅子に座らされた、テーブルもあり、マチは何か葉っぱが入った透明なモノから水を、コップに注いだ、不思議と葉っぱは出てこない。

マチはそれを私の前に置いた。

 

「ハーブティーっていうものだ、飲めば少しは気持ちが晴れるんじゃないか」

 

「……」

 

私は言われるままそのハーブティーに口につけた………美味しい、爽やかな味で、頭がスッキリしてきた。そのまま私はそれを全て飲み干してしまった。

 

「……もし、チーが、ミチルが私達を嫌ってたらって思って」

 

「……チルはなんて言っていたんだ」

 

「心を守る仕事をしてるって」

 

「なるほど……ま、マチから言ってしまうと、チルは本当に3人を嫌ったりなんかしてないぞ、ミチルだって同じだ」

 

「どうしてそんなことが言えるのよ」

 

「それは言えないな、だってチルから口止めされているし、口止めされていることを言うなとは言われてないから言ったけど」

 

「……ふふ、やっぱりあんた達仲がいいわよね」

 

「別に仲はそこまでじゃないよ、それと、笑えるようになったな親指」

 

私は口に触る、確かに口角が上がっていた、あぁ、そういえば最近笑えて無かったな、二人にも心配かけていたのかな。

 

「……ありがとう、心が楽になったわ」

 

「それは良かった、二人に心配かけるなよな、まぁ悪いこと考えるより次遊ぶとき何して遊ぶか考えてればいいと思うぞ」

 

「えぇ、わかってるわ、ところであのハーブティーって?」

 

「あぁ、それはだな」

 

「マチ姉、いますのー?、入りますわよー」

 

シンデレラが突然、マチの部屋に入ってきた。

 

「さっき教団の人が……あら、そのハーブティー、視子さんに頼んで何日もかけて作ったやつじゃないですの?」

 

「ば!?、おま――何を言ってるんだ!」

 

マチは顔を赤らめて、シンデレラの口を塞いだ。あぁ、マチ()もそんな顔するのね。

 

「もごごー」

 

「あれほど口止めしてたのにお前ー!」

 

「……本当にありがとうね、マチ姉」

 

―――その数時間後に、博士が裏切り者だと知らされ、ミチルの様子が昔に戻った、詳しいことはよく知らないけど、マチ姉がやったんじゃないかと、そう思った。

 

 

 

 

 

 

 



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番外5 つう

(´・ω・`)くそ長くなったわ


僕は王子様だ。

王子様でなくてはならない、姫のためなら僕はなんでもやれる、けど、僕は弱い、最初に姫と会った時だって小さなメルヒェンにも苦戦する、それでは駄目だ、それじゃあ姫を護ることなんて出来っこない。だからこそ、僕はマチの圧倒的な強さに惹かれた、あれだけの強さがあれば姫を悲しませない、傷つけさせないだろう。

思い立って、僕はマチに弟子入りした、基礎的な運動から、次に行ったのはマチとの実践での戦闘による訓練だった。

 

「はぁ!」

 

僕は開放地区にある空き地でマチと戦っている。僕は用意された剣で攻撃する。

 

「筋は良いが、やはり型がなってないね、ほら」

 

「がはっ!」

 

マチは持っている大きなマッチて受け流し、僕の腹に蹴りを入れる、吹っ飛ばされ、壁にぶつかる、全身に響く、なんとか立とうとするけど、足がガクガクでなんとか剣を地面に刺して支えにしないといけない。

 

「こうやって楽に捌ける……うん、やはりマチが相手では身体が持たないな」

 

「ま……まだ僕はやれる!」

 

もう一ヶ月はやってるけど一向にマチには届きそうにない、けど、僕は、

 

「別にお前に才能ないと言ってるわけじゃない、そうだな、旅に付き合え」

 

「旅?」

 

「おう、そっちのほうが自然と強くなれる、まぁ辛いことには変わりないが、どうする?」

 

「行くよ」

 

断る理由もない、いったいどんなことでも、耐えてみせる。

 

「ふむ、威勢はよし、じゃあ、30分くらいで支度してこい」

 

「あぁ!」 

 

僕は急いで自分の部屋に向かった。

 

「よし、ついた……え?」

 

ドアを開けて、そこで待っていたのは、姫だった、それも怒ってる様子で。

 

「おつうちゃん、また危ないことしようとしてるでしょ」

 

「えっと、その」

 

マチの訓練については話してない、マチと遊びに行ってると何時もそう返答していた、心配をかけたくないからね、でも今僕はかなり焦っている、傷も隠して、バレないようにしてきたのに、何故だろう。

 

「な、なんのことかにゃ?」

 

……噛んでしまった、まるであいつみたいじゃないか――あいつって誰だ?。いやそんなことより、姫が更にご立腹だ。

 

「ちゃんと!、話して!」

 

「うっ……ごめん」

 

観念して僕は全て話した、姫を守るためにマチに稽古をつけてもらってること、これから旅にでることなど全て。

 

「おつうちゃん、危険なことはしないで、私、おつうちゃんに何かあったら……」

 

「姫……」

 

「……だから、私もついていくよ、その旅に」

 

「え、えぇ!?、危険ですよ姫、もし姫に何かあったら」

 

「それはお互い様でしょう?、駄目って言ってもついていくよ、私は」

 

「ぬぅ……」

 

このまま押し問答を続けたら時間に間に合わないし、かと言って勝手について来られたらもしものとき守れない……仕方ないか。

 

「……わかりました、ですが、あまり前には出ないでくださいね、姫」

 

「おつうちゃん……わかった、約束するよ」

 

そして僕と姫はだいたいの物をリュックに詰め、今まで通り、フユ達大人にバレないように外に出た、そこにはマチと、それに赤ずきんとシンデレラが待っていた。

 

「お、来たわね、意外と早かったじゃない、おつう、人魚」

 

意外…ではないか、何時も二人はマチと一緒なわけだし。

 

「それでは行きますわよ、永遠さんには話はつけておきましたので」

 

 

永遠さんに見送られ、黎明の外に踏み入れた。

 

「で、マチ、いったいどのルートを通っていくの?」

 

どのルート?、赤ずきんとシンデレラはよく知ってる様子だ、マチは地図を取り出して、赤青黄緑の点を順番にゆびさしていく。

 

「どーれにしよーうかな、神様の言うとおりっと、まぁ決めていたが、最初だから緑だ」

 

「緑ですわね、それならわたくし達の出番はそうはないですわね」

 

「あの、その点にはどんな意味があるんですか?」

 

姫がマチに聞いた、まぁだいたい予想はできるけど。

 

「緑がレベル1、赤が最高の4って感じの難易度だ、まぁお試しレベルの緑だが、マチから見てだ、あまり助けないから」

 

 

やはり危険はある感じのようだ、いやむしろそうじゃないと来た意味がない。

 

「さて、行く前にマチから一つ改めて聞きたい、お前は何故強くなりたい?」

 

前にも聞いた質問だ、無論変わってなどいないさ。

 

「姫を守るため、そのために僕はメルヒェンに、ナイトメアにも負けない力が欲しいんだ」

 

「……そうか、ただ一つマチから言わせてもらうと、強さだけにこだわってるだけでは、まだ未熟だな」

 

「未熟?、強ささえあればそんなの」

 

「……ま、いい、とりあえず進むぞ」

 

 

……それから一時間ほどで、変化が起きる。

 

「や!、てやぁ!」

 

メルヒェンがかなりの量で襲ってくるんだ、マチ達は汗一つかかず自分に向かってくるやつだけ倒している。

 

「はぁはぁ……」

 

全て倒し終えた僕は、汗がたくさん流れている、姫も守ってることもあってかなり疲れた、これを一週間続けることになるのか。

 

「おつうちゃん……無理しないで」

 

「何を言ってるんです、こんなのまだまだですよ」

 

そうだ、僕はまだやれる、やれるんだ。

 

その夜、更に変化が起こった……いや、メルヒェンではない、マチに関してだ。

 

「うぅ……寒いです、マチ寒いですよ」

 

今日は冷えると大人達から聞いていた、マチが冷たいのが嫌いだとも聞いていたけど、まさかこんな弱弱しいそうになるとは予想外だった。

 

「あぁ、温かい、暖かいですよマッチ、うふふ」

 

マチは本来より二まわり大きいマッチを数本で自身を囲んで温まっている、なにこれ何かの儀式?。

 

「えっと、赤ずきん、これは」

 

「あー、おつうは初めて見るんだっけ?、マチは身体が冷えると性格が変わるんだよね、まぁ数分マッチなりで温まれば元に戻るからいいんだけどね」

 

「ですがわたくしとしてはこのマチ姉も良いものですわ、容姿に似合った可憐さ慎ましさが出ていて見ていて癒やされますわぁ、ぷにぷに」

 

「あぁ、やめてくださいシンデレラ、あぁぁ」

 

シンデレラはマチの頬をつんつんしている、なんだこれは。

 

「ちょっと!、こんなんでもしメルヒェンが襲ってきたらどうするんだ!」

 

「あはは、大丈夫よ、あ、来たわね」

 

「ギギキィ!」

 

またメルヒェンの大群が押し寄せてくる、くっ、でも僕は。

 

「うぅ、マチはこんななので、その、赤ずきんさん、シンデレラさん、お願いしても良いですか?」

 

「わかってるわよマチ、行くわよシンデレラ」

 

「えぇ、行きましょう赤ずきんさん」

 

赤ずきんとシンデレラは、マチを守りながら、戦っている、まさかマチにあんな弱点があったなんて……。

 

「ギギィ!」

 

「きゃあ!」

 

メルヒェンが姫に襲いかかろうとしている、くっ、こんなこと考えてる暇はないか。

 

「姫に近づくな!、はぁ!」

 

僕は姫に近づくメルヒェンを倒していく、だけど、やっぱりまだ疲れが残っているみたいだ、身体が重い。

 

「ギギギギ!」

 

「しまっ」

 

剣を振るう、けど、その前にメルヒェンの攻撃が届く、このままだと間に合わない……!。

 

「はぁ!」

 

その時、メルヒェンの横から姫が槍でその頭を貫いた。

 

「おつうちゃんは……私が守る!」

 

「姫……駄目だ、姫じゃあの数を相手できるわけ……っ!」

 

身体が悲鳴を上げている、もうまともに動ける体力は残ってない……姫を、姫を守らないといけないのに!。

 

『マチから言わせてもらうと、強さだけにこだわってるだけでは、まだ未熟だな』

 

出発する前にマチに言われたことを思い出す……あのときは意味がわからなかった、()()守らないと、そう思っていた、けど……。

 

「……姫を、姫を助けてあげてくれ!、赤ずきん!シンデレラ!」

 

「ギギキィ!」

 

「……なんだ、意外と早くに気がついたわね」

 

「赤ずきんさんは3日かかりましたしね、それに比べれば早いですわね」

 

姫にメルヒェンの攻撃が、当たろうとした瞬間、目にも止まらない速度で、シンデレラの蹴りが姫の周りにいたメルヒェンを吹き飛ばし、赤ずきんは僕の近くに来て、肩を貸してくれた。

 

「後はあいつに任せて、おつうは休みなさい」

 

「でも、流石にあの数を相手には」

 

「大丈夫よ、ほら、マチも元気になったみたいだし」

 

僕はマチのいたほうを見る、そこにはマチがおらず、いつの間にか、シンデレラと一緒にメルヒェンを掃討していた。

 

……数分でメルヒェンは全て倒されて、僕はマチと対面している。

 

「わかったかな、つう、お前に足りなかったの」

 

「……あぁ、自分一人だけじゃなく、他者にも頼って大事な人を守れと、守る人と共にいけ、ということかな」

 

「ほう、もうわかったか、なら残りの6日は自力を上げることだな、人魚姫と一緒にな」

 

「あぁ、やりましょう、()()()()この旅という名の訓練を!」

 

「うん!、やろうおつうちゃん!」

 

僕は姫を守る、それは変わらない、けど、それだけではなく、姫の前にいるのではなく、隣で一緒に、姫を守ろうと、そう思ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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新7回

(´・ω・`)9回に増えますねこれは


繁華街エリアに来たわけだが、今のところはほぼほぼ成果は無い、あるのは壁の目玉くらいかな。

 

「……この目玉」

 

チルは壁の目玉に触れる、しばらく凝視した後、仲間からナイフを貰い、それをえぐりだした。

 

「何かあるのか、それに」

 

「えぇ、多分ですが……やはりこれは監視カメラの役割、いや、擬態化した監視カメラと言ったほうが良いんでしょうか」

 

「ほう、そんなことがわかるのか」

 

「えぇ、生物的ではありますが、機械的な動きも見受け、れ、他にも」

 

「あ、マチそういうのわからないから」

 

「そうですか」

 

難しいことを考える気にはならないんだよね、まぁマチはただの護衛だし、もう辺りのメルヒェンは狩り終えて暇でしょうがない。

 

「しかし、手がかりは見つかりませんね、このまま帰るのは流石に……いや、監視カメラと断定できたわけだから無いわけではありませんが、いやしかし」

 

「ふふふ、迷っていらっしゃりますね」

 

突然背後から声が聞こえた、油断していたわけではない、警戒していたし、チルと仲間どもの動向にも気を配っていた、完全に、唐突に、出現したんだ。

 

「誰だ」

 

マチは普通のマッチを振り返りながら投擲した。それはもう一人いたそいつの仲間に片手で掴み、握りつぶされた。

 

「物騒だね、ヒヤッとしたぜ……ウソなわけだが」

 

「あらあら、狼少年くん、あれは牽制でしたよ、別に防がなくても顔にかする程度だったかと」

 

そこにいたのは、大きな胸の黒髪の女性、それと獣の耳を生やした青黒い肌の男、どちらからも異質な気配が感じ取れる。

 

「――ジャックさん?」

 

男のほうを見て、そうシンデレラからそんな言葉が出た。

 

「ジャック?、俺は狼少年だ、ま、半分嘘だな」

 

「え、はい……あれ、知らないですわよね、そんな名前……だ、誰ですの!」

 

「シンデレラちゃん、別に取り乱す必要はありませんよ、私はあなたと同じ血式少女ですもの」

 

「俺は普通の一般人だぜ、ま、これも嘘だ」

 

礼儀正しいやつと、飄々とした嘘吐き男、どっちも信用ならんな。

 

「あなた、わたくしを知ってますの?」

 

「……いえ、ただ、名前だけ、()()()()、知ってます」

 

「記憶だけ?」

 

「シンデレラ、少し下がれ、とりあえず名を名乗れ不審者」

 

マチは背中のマッチを握り、戦闘態勢に、無駄だと思うがチルも教団の仲間に持ってきた銃を二人の不審者に向けさせる。

 

「怖いな、うん、シャーロット、こいつら殺していいか?」

 

「駄目ですよ狼少年くん、私達は彼らに助言をしに来たんですから」

 

シャーロットと狼少年か、狼少年は読んだことあるが、シャーロット?……何者なんだ、黎明の知らない血式少女?。

 

「自己紹介を、はじめましてマチ、いや、()()()()なのかもしれませんね、わたしはシャーロット、こちらは狼少年、ケンという名前もあります」

 

「よっ、マチ、久しぶりだな……嘘、はじめましてだ」

 

久しぶり?、何なんだ、一度もマチはこんなやつらとは会ったこと無いぞ。

 

「マチ、この人達のことは」

 

「残念ながら記憶にない、初めて会ったはずだ」

 

チルも知らない様子か、教団のやつらでもなし、本当に何者だ?。

 

「警戒されてますね、では手短に……あの塔を知ってますよね、監獄塔」

 

「あぁ、あそこか、それがなんだ」

 

「えぇ……その塔の中にある淡いピンクの花の木の下、調べて見てはいかがでしょう」

 

「ピンク色の花?」

 

「聞いたことがある、確か桜という木がそのような花を咲かすと」

 

「ふふ、それじゃあ私達はこれにて、あぁ、それと、私達のことはご内密に、こんな怪しい者ですが、どうか、それだけは約束してください」

 

チルは少し思案した後、口を開く

 

「……対価がその情報か、良いだろう、ただし何も無かったら黎明にも、血式少女達にも伝える」

 

「えぇ、では、また会いましょう、今度は……()()()()()で」

 

シャーロットは持っている本のような杖をカンッと鳴らすと、狼少年と共に一瞬で姿を消した。

 

「……シャーロットに狼少年ケンか……」

 

 

 

 

 




(´・ω・`)シンデレラがジャックに会った反応については、あまり見てる人のいないリメイクにて。


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新8回

それからマチ達は監獄塔に向かった、今行ったところで塔は月には届いていないから、目的のピンク色の花弁の木を目指している。

道中メルヒェンには遭遇するものの、雑魚ばかりで守る余裕すらある、まぁシンデレラも加勢してくれてるのもあるが。

 

「……ここか」

 

マチ達はたどり着いた、扉を開くとそこには確かにピンク色の花弁の木があり、かなり綺麗だと見惚れるほどに美しい、3重になった?、気にするなそれくらいなんだよ。

 

「まぁ目的は花鑑賞ではないんだが、ほら、探せ一般人ども、そのために了承したんだ」

 

『は!』

 

チルの部下達が進んだ瞬間、何か他のメルヒェンとは違う大きな気配を、木の先の道から感じ取れる。

 

「ふむ?、シンデレラ、ここは任せる」

 

「わたくしも行きますわよ」

 

おや、シンデレラも気づいていたか、だが二人行くのもなぁ。

 

「誰が守るんだあの脆弱なやつらを」

 

「マチ姉のほうが第一です」

 

わぁ、過保護な思考になっちゃってまぁ、これは折れる前に気配の主くるな。

 

「……はぁ、わかった逆だ、行ってこいシンデレラ、一応これ持ってけ」

 

「なんですの?、血?」

 

「そ、それでも勝てなかったら必ず後退してこい、責めないからさ」

 

「わかりましたですの!」

 

シンデレラに視子から(正式に)貰ったメルヒェンの血が入った小瓶を渡す、ジェノサイド化しないと多分辛いからな、マチはシンデレラが向かうのを見送った。

それから40分経過したあと。

 

「マチ、やはりナイトメアが近くに?」

 

「いや、ナイトメアはもっと気配強かったからメルヒェンの上位個体辺りだろう、で、そっちはどうよ」

 

「えぇ、面白いものが見つかりましたよ」

 

マチはチルについていく。

 

「なにこれ」

 

木の下まで来ると、部下達が掘りおこしたもの、銃に骨か?、それを様々なもので調べていた。

 

「何かの骨と銃ですね」

 

「見ればわかる、うむ、なかなか曰く付きっていうモノなのかね、この木」

 

「でしょうね」

 

『陽司様!、身元が判明しました!』

 

部下の一人が報告にやってくる。

 

「誰だったんですか」

 

『はい、黎明の主要人物の物だと思われます……その中に』

 

「なんですか?、もしや博士のだけ無かったのですか」

 

前から博士のことは疑っていたし、そうだと思っても仕方ないが、そんな顔してないよな、部下。

 

「いえ、博士のものだと思われるものは……見つかりました、その代わり、助手と呼ばれていたものだけが無かったんです」

 

「……なるほど」

 

一瞬驚いたが、すぐに思案する冷静な真顔に戻った、それにしても助手だけか、まぁつまり今の博士は、そういうことだよな。

 

「考えるまでもなく、助手が黒幕で、博士に化けているんだろ、いや、本当の意味で擬態化したっていったほうがいいのかね」

 

「はい、それで間違いないかと、しかし、目的が見えないんです、何故人間の脱出を手助けすることを……」

 

「まぁそういうのは本人に聞くんだな、さて」

 

「――ぁぁぁあああ!」

 

タイミングが良いのか悪いのか、先の道からシンデレラがダッシュでこちらに戻ってきた、全身傷だらけで、接戦というのが伺える。

 

「シンデレラか、倒して喜んで……な、表情ではないな」

 

「はい、何かおとぎ話の鬼のようなメルヒェンを倒したまでは良いんですが、次に」

 

「あらあらぁ、逃げちゃうなんて悲しいですよ、わっちのこと嫌いですの?」

 

――なるほど、これは逃げるわ、先の道から人の姿をとってはいるが、手には肉と骨で作られたチェーンソー、頭には角をはやした、少女と呼ぶべき容姿だが、ナイトメアと同じ気配をあの小さな身体からひしひしと感じ取れる。

 

『ひ、ひぃ!?、何なんだこいつ!』

 

部下どもは銃を向けるが、まぁ効かないだろうな。

 

「やめなさい!、あなた達では勝ち目はありません」

 

「そそ、シンデレラ、さがってろ、あれはマチが退()()()()

 

マチでも少し厳しいな、今の身体じゃ、まぁやれるところまでやるか。

 

「あら、あんたがわっちの相手してくれるのかな」

 

「おう、一応聞いておくけど名前は?」

 

「はい、酒呑童子って言います、そちらは?」

 

酒呑童子か、まさに鬼だな、ナイトメアではないのは確かだが、血式少女って言われると、近いが違うな。

 

「マチだ、……ま、挨拶はこの辺にして……やろうか」

 

マチは酒呑童子に向かっていく。

 

「えぇ、楽しいひとときにしてくださいね!」

 

酒呑童子もチェーンソーを手に、マチに向かっていく。

 

 

――何時間か、それとも何分ほどなのかわからないが、マチはジェノサイド化して酒呑童子と相対したが、正直言って前に戦ったナイトメア以上だ、強い、知恵もあるから余計に。

 

「はぁはぁ……や、やりますねぇ、っととと」

 

酒呑童子もボロボロではあるが、しばらくすると傷が塞がる、治癒能力ありだが、体力は無限ではないらしい、ふらつきが見られる、まぁマチの火が阻害しているんだと思うが、マチ自身はボロボロだからな、傷が塞がるわけでもなし、あのチェーンソーをまともに受けないで精いっぱいだ。

 

「はぁ……はぁ、なぁ、まだやるのか?」

 

正直マチはまだやれる、逆に戦いたいと身体が言う、熱が入ってきた、燃えてきたっていうんかね。

 

「……」

 

酒呑童子は踵を返し、歩いていく。

 

「割に合わないです、これ以上戦うとなるお、ガチでやらないといけないわけで、ま、監獄塔完成を目指すなら、また会えるでしょ」

 

「だろうね」

 

「ん、それじゃあマチ、さようなら」

 

酒呑童子は軽い足取りで、この場を去った、なんだよ割と元気じゃん。

 

「はぁ……疲れた」

 

マチは地べたに倒れこむ、髪も目も戻り、少し眠ることにした。

 

 

 

 

 




(´・ω・`)次最終回です


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新最終回

「……では、話とは何だね」

 

マチらは博士……の偽物、もとい助手であったやつのいる研究室に押し入った、チルの部下達はさがらせ、マチ チル シンデレラの3人、そして博士を慕う赤ずきんを呼んできた。

 

「ねぇ、あたしも呼んで何の話?、おとうさんに用があるみたいだけど」

 

「チル、お前が始めたことなんだからお前が切り出せ」

 

チルは、少し驚いた表情をするが、すぐに何時もの鋭い目つきの真顔になり、一歩、博士の偽物の前に出る。

 

「単刀直入に言います、貴方がスナークですね」

 

「え……え!?、ちょ、どういうことよマチ!、じょ、冗談にしては笑えないわよ!」

 

赤ずきんは明らかに狼狽してるが、当の本人、スナークはいたって冷静である、取り繕っている可能性もあるがな。

 

「ふむ……どうやらマチ、きみが鍵になったようだね」

 

「鍵?、別にマチはシンデレラをなだめたり、護衛をしていただけなんだが」

 

「そう、それだよ、きみのその行動が今回の物語でいうトゥルーエンドを導いたんだよ」

 

いったい何を言ってるんだ、まぁ確かにあのままシンデレラを放っておけば何をしでかすかわからなかったし、マチ無しでチルが調査していたらどこかでチルは死んでいたのかもしれない、けど結果論だ、今スナークが言ってるのは、まるで()()()()()()()()()()()()()()つまりスナークはこの状況もわかっていたし、自身が追放されるのを知っている。

 

「なんなんだお前は、何が言いたい」

 

「……ところでシンデレラ、もしかして自身に化けた者と戦わなかったかね」

 

「え?、あ、そうですわね、何体かわたくしに似たメルヒェンとあの鬼みたいなメルヒェン会う前に何度か」

 

「あぁ、そうだね……言ってしまうとあれはわたしが送り込んだものなんだ」

 

「えぇ!?」

 

シンデレラも驚きの声をあげるが、それ以上に、赤ずきんは本当にスナークなんだと、目がピンク色に輝きだして、更に酷くなってる。

 

「う、嘘よ、だって、だって、おとうさんは……」

 

「嘘ではないよ、わたしは()()()()()()()チルくんを殺すために、シンデレラに罪をなすりつけるためにそう動いたんだから」

 

「……赤ずきん」

 

「うそうそうそうそうそ」

 

……マチは、赤ずきんを優しく抱きしめた。

 

「ま……マチ?」

 

「……お前はどうしたい、このままスナークをおとうさんとして追放した後もついていくか、このまま黎明に残るか、お前が決めろ、赤ずきん」

 

「ちょ!、マチ姉!?」

 

「マチ、それは赤ずきんを敵とするということになるが」

 

「別にマチは強制してまで赤ずきんと一緒に暮らすつもりはない、強制はマチ自身が嫌というのもあるがな」

 

「あたし……あたしは……」

 

「考えをまとめろ、現実を見ろ、それでもスナーク……十島博士を慕っているなら、二度言うがマチは止めない、他の奴らが止めようとも、マチは赤ずきんの医師を尊重する」

 

「―――」

 

赤ずきんは目を閉じ、考えをまとめようとしている、その様子をスナークは優しげな瞳で言葉を待っている。

 

「……おとうさん」

 

「なんだね、赤ずきん」

 

赤ずきんは、意を決して、スナークの前に立つ。

 

「……あたしには、育ててくれた恩がある、今までならあたしはあなたについていったのかもしれない……けど、あたしはこの黎明が、視子が、ハルが、フユが、マチが、シンデレラが、皆好きなの……だから、あたしは黎明で生きるわ」

 

……まだまだ子供ながら、その意志は堅いように思える、何時もの瞳で、赤ずきんはスナークを目を見てはっきりと言った。その様子に、博士は……笑ってみせた。

 

「ふ――ふはは、なるほど、マチの影響が大きいね、そこまでのことを言えるとは……さて、一つ聞きたい、きみらは()()すると言ってるね、わたしを殺そうとは思わんのかね」

 

「ん?、でも倒せないって……あぁ」

 

「そう、あれはわたしが言った言葉だ、言ってしまえば、わたしは弱い、不意打ちや、言葉くらいがわたしの取り柄だよ」

 

「なら、ここで死んでいただきましょう」

 

チルは懐から拳銃を取り出して、スナークに向ける、お前そんなの持っていたのか。

 

「まぁそうくるだろうね……だが、ここで死ぬわけにはいかないのだよ」

 

チルは拳銃の撃鉄を鳴らし、銃弾を放つ、その弾はスナークの眉間に向かっていき……、突如現れた者の腕によって防がれる。

 

「お前は……確かケンだったか」

 

「また会いましたね、俺のこと覚えてくれていて助かるよ」

 

なるほど、そっち側……にしては、何故わざわざバレるような真似を……。

 

「さて、スナークのおっさん、帰るぞ」

 

「あぁ、そうしよう」

 

「まて、マチがそれを見過ごすと思うか?」

 

「……なに?、邪魔するの?、殺すよ?」

 

瞬間、ケンの姿をが一変する、髪は黒く、目がピンク色になり、赤ずきんのような獣耳、その両手は両足は本で見た白いオオカミのようになる。

 

「……やばいな、マチでも難しいぞこれ」

 

マチが今の力量さに戦慄してると、すぐにケンの姿は元に戻る。

 

「――嘘だよ、こんなところで戦うなとお達しだからな、じゃあ行こうか、スナーク」

 

「あぁ、だがその前にきみたちの疑問を一つ払拭しておこう」

 

「疑問?、それって何故すぐにバラしたことや、こんなこと続けた理由かな」

 

「あぁ、一つに、わたしが追い求めたのは、監獄塔の成長ではない、それは途中経過だ」

 

「ほー、ならその先を聞こうか」

 

「……言ってしまえば白い月、雌しべと、監獄塔、雄しべをくっつけることで生まれる、白い核、別名ウィッチクラフト、種子による――神の誕生だよ」

 

随分と大きな話だが、嘘を言ってるようには見えない、それができるのだろう、そのウィッチクラフトにはそれほどのことができたのだろう。

 

「だがそれも……()()()()()()()()

 

「なに?」

 

「わたしはマチ、そしてここにはいないフユ、きみ達のこの世界を変える力に興味があったんだよ、まぁ、もう十分見てきた……さて、話は終わりだ」

 

「まて、その神とやらは生まれたんだろ、それは何処にいる」

 

「それは、地上で話すとしよう、この後の世界で生きていたらの話だかね」

 

「……」

 

「では」

 

スナークは、ケンに担がれると、ケンと共に突風と共に消え去った、いや、これは。

 

「き、消えた!?」

 

「チル、消えてはいない、ただ高速で走り去っただけだ」

 

「はい、わたくしの12ダッシュ以上の速度でした、なんとか走ったということはわたくしでもわかりました」

 

「……いったいなんなんだ」

 

 

――その後、チルは教団の家に戻り、ミチルが元に戻ったらしい、マチは他の黎明の人達にも博士はスナークということを少しずつ流した。

 

……そして、それから一年が経過する。

 

 




(´・ω・`)最終回とは言ってもまだ続きます、うん、まぁほぼ終わってるんだけど


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エピローグ

「……はー、これで、最後……」

研究室

フユは最後の書類に印鑑を押すと、椅子に深く座り込み、机に突っ伏した。

 

「お疲れ、新長様」

 

ハルはそこに冷えた水の入ったコップをフユの頬に当てる。

 

「冷たぁっ!?、あぁハルか……何、からかいにでも来たの?」

 

あれから一年、博士が消えて、新しくフユが長になった、本人は最初やる気は無かったが、血式少女達の説得を受けて、渋々長にの座についた、大好きな研究ができない時間が多く、早く誰かに代わってもらいたいと思っている。

 

「あぁ、それもあるな、そりゃああのお前がトップを立つなんて、()()()なら考えることも無かったからな、本当に変わったよ、お前」

 

「……そうかもね」

 

フユは顔を上げて、天井を見上げ、苦笑する。

 

「いや、変わってないかもしれないね」

 

「……そうか?……なぁ、フユ、俺にも話せないことがあるんじゃねぇか?」

 

「ノーコメントで、そもそも話せないことなんだから言えるわけ無いでしょ」

 

「言ってるようなもんじゃねぇか」

 

「あ、そうかも……ま、いつかは話せるとは思うよ」

 

「……そうか、ま、気長に待ってることにするわ、じゃあな」

 

ハルはそれだけ言って、研究室から出ていく。

 

「すまないね、ハル……さて」

 

フユはハルが持ってきた水を飲むと、再び天井を見上げる。

 

「……()()()()元気にやってるかな」

 

――それから4年、マチ 赤ずきん シンデレラが、研究室に呼び出された。

 

「マチ達に何か用かな、新長」

 

「うん、実は元街道沿いエリアで新たな血式少女がいるって」

 

「本当!?」

 

赤ずきんは最後まで聞かずに向かおうとするがそれをマチに止められる、顔にアイアンクローもとい顔掴みで。

 

「いだだだだ!、わ、わかったわよ、最後まで聞くから!」

 

「よろしい」

 

マチはアイアンクローをやめると、フユはため息を吐きながら、言葉を続ける。

 

「はぁ、でだ、血式少女の捜索にあたり、これを渡す」

 

フユは机にあった、スプレーを3人に一つずつ渡す、中にはピンク色の血液、メルヒェンの血液が入っている。

 

「それをかけて瞳がピンク色に光ったら血式少女だ、で、質問あるかな」

 

「じゃあわたくしから、何故わたくし達3人なんですの?、結構な過剰戦力な気がしますが」

 

シンデレラの意見は正しい、彼女ら3人は血式少女隊でも群を抜いて強い、いくらナイトメアがいると言っても、苦戦なく撃退できるほどだ。

 

「……今回向かう場所、前の長が使っていた監視カメラにおかしな影が映ってね、明らかに他のメルヒェンとは格が違うから、最善策であなたら3人にした」

 

「じゃあ次はマチ、気になっていたけど、何故今になって?、5年前でも十分行けるとは思うけど」

 

「今の年齢のほうがあまりバカな真似をしない、じゃ、だめかな」

 

「……ま、いいか」

 

マチは少し訝しげに見たが、一応これで納得した。

 

「じゃ、準備が整ったら行ってきて」

 

「「「はい!」」」

 

3人は元気よく返事をした後、研究室から出ていった。

 

「……さて、()()()()()()()まで来たわけだ、ここからだフユ、失敗は出来ないぞ」

 

フユは顔を叩き、気合を入れて、監視カメラの映像が映る部屋に向かった。

 

計9人となった血式少女隊、時間の荒波を乗り越えて、彼女達は未知なる運命へと歩をすすめる。

 

 

 

 

 

 

 



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番外⑥ マチ ある過ちの一日 ①

(´・ω・`)宇崎ちゃんは遊びたい良いよね、ということでこんなのを投稿しました。


「お誕生日おめでとう!」

 

20になった日、マチは自室にて黎明皆に祝われた。

ピンク色じゃない貴重な白いケーキが用意され、マチのマッチの棒も刺さっている。

 

「ほら、吹き消しなさいな」

 

「そうだな……ふっ」

 

赤ずきんに進められ、マチは火を一息で吹き消した。

 

そして、ケーキを食べ終えると、赤ずきんが何かの瓶を持ってきた、ジュース……にしては、入れ物の色が明らかにそんな雰囲気じゃないし、まさか。

 

「ふっふっふ、まずあたしからプレゼントよ、酒!」

 

酒……20になったときに始めて飲めるやつか、そんなモノを用意してるとは、先に20になったのは赤ずきんだし、まぁ買えるっちゃ買えるか。

 

「ハル、あなたも付き添ったのかな」

 

「ん?、あぁ、赤ずきんがこれが良いとか言っていたからな、あぁそれと、俺からはこれだ」

 

ハルが渡してきたのは、小さな、手のひらくらいの犬のぬいぐるみだった、なかなか可愛いなおい。

 

「これこの前マチが見ていたやつか、意外と見ているんだな」

 

「まぁな」

 

「マチ姉!、わたくしからは――」

 

「私からも――」

 

「白雪からは――」

 

「僕から――」

 

血式少女の皆から、様々なプレゼントを貰った、皆大切に選んでくれたのがわかるものばかりだ。

 

「それにしても、マチ、あんた意外と少女趣味よね」

 

「失礼だな赤ずきん、マチだって女だぞ」

 

「あはは!、そうね」

 

「まったく……さて、酒ねぇ、今からでもいいか?、フユ」

 

マチは一度フユに確認をとる、うつらうつらとしながら、目を擦った後、手で丸をつくった。

 

「いいよいいよ、どうぞご勝手にぃ――すぅ」

 

すぐにまたフユは立ったまま眠りにつく、寝不足なのだろうか。

 

「あぁ、ここ最近忙しそうだったからな、今は寝させてやれ」

 

ハルはそう言ってフユを抱えると、部屋から出ていった。

 

「まぁ起こす理由はもう無いしそうするか、さて」

 

マチは酒のコルクを人力で抜き取ると、コップに注いでいく、不思議な臭いが鼻につく、これが酒か。

 

「なぁ、赤ずきんも飲んだことあるのか」

 

「えぇ、一度ね、意外と酒に強いことがわかったわ」

 

「ふむ、ならマチだって……ごくごく」

 

マチは喉を鳴らして、酒を飲み干す、喉にくる痛み、味は苦い、が、悪くない。

 

「ふぅ……なるほど、これはいけりゅ――」

 

――そこからの記憶は無かった。

 

 

「……うーん、頭が……痛い」

 

頭のズキズキとした痛みから、マチは目を覚ます、すると目に入ったのは、赤ずきんの横顔、次に自身の状態に気づいた……()だ。

 

「……は、え?、ん?、お?」

 

そしてマチは赤ずきんを抱いて寝ていた、うん、わけわからん、理解が追いつかない、何がどうなっているんだ!?。

 

「うぅん……あ、起きたみたい……ね」

 

赤ずきんは顔を赤らめて、しかしすぐにニンマリとした顔になる、な、なんだ、何があったというのだ。

マチは赤ずきんから離れ、床に落ちていた服を拾い上げてすぐに着た。

 

「あの、えっと……赤ずきんさん?、何があったんです?」

 

「うふふふ、まさかあんたがあんなにもねぇ」

 

「マジで何があったって言うんだ!?」

 

「そうねぇ、とりあえず他の人に聞いて回ったらいいんじゃないかしら、あたしからまず聞いてもよくわからないとは思うわよ」

 

え、なに、いろんなところ言ってんのマチ――駄目だ、まるで思い出せない、酒って本当に記憶とぶんだな。

 

「とりあえずまずはシンデレラから当たってみると良いわよ」

 

「そ、そうか……まぁいい、後でじっくり聞くからな」

 

「はーい、待ってるわー」

 

マチは急いでシンデレラのところに向かって走った、この無くなった記憶の間に何があったのか、聞き出さないとな。

 

 

 

 

 

 



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旧 獄中童話炎日譚
1話


(´・ω・`)自分の身についた(真似て得た)文章力で昔のやつを書いたらどうなるかってやつ。

一応ほぼ新しいやつです。


ある年の瀬が押し迫る大晦日の夜、ある街の道の端で、寒空の下で小さな少女がマッチを売りに来ていました。

 

マッチを売らなければ父親から叱られるため、全てを売らなければ家には帰れない。

 

「マッチは……マッチはいかがですか。誰かマッチを買ってください」

 

そのようなことを言っても、年の瀬のため慌ただししく道行く人達は彼女に目もくれず、目の前を通り過ぎていきます。

 

夜も更け、より寒さが増していくと、少女は少しでも暖まろうと売り物のマッチに手を付け、火をつけました。マッチの炎はストーブや七面鳥に飾られたクリスマスツリーの幻影が一つ一つと現れて、マッチの炎はそれらと共に消えました。

 

不思議な体験だった、天を向くと流れ星が流れていき、少女は可愛がってくれた祖母が言っていた言葉を思い出す。「流れ星は誰かの命の消えようとしている象徴なのだ」。

 

少女は再びマッチをすった、その祖母が幻影として現れる、また消えてはならないと恐れから少女は慌ててマッチを全て使い、火をつける。

 

新しい年の朝、少女はマッチの燃えカスを抱えて幸せそうに微笑みながら息絶えていた、祖母と共に天国へ言ったことを誰一人知らずに。

 

――ここまでが本来の物語です。しかしある国では悲惨な結末に書き加えた、蛇足とも言える続きがある。

 

少女は息を吹き返し、裕福な家庭に引き取られ、幸せに暮らしました。

 

これを少女が救われて安心したと思うか、完成された物語に余計な続きを付けたと怒るか、人それぞれだろう。

 

しかし、彼女の物語の結末は、複数存在していたというのは事実だ。

 

これより語られるのはその()()()()()()()()()()だ。

 

 

ジェイル――生命のある監獄

 

それは十数年前に空から飛来して世界を侵食し、大地を腐らせ、建物は歪み、生き物は異形へと変貌していった。

 

そうして地下深く沈んだ、太陽さえも奪われ、人々はジェイルから生まれた化け物、通称《メルヒェン》に怯えて生きることとなった。

 

そんなジェイルに対抗する組織《黎明解放戦線》、そこに所属するメルヒェン用の決戦部隊、童話の転生体である《血式少女隊》の手によってジェイルから脱出するために彼女達の手をピンク色の血液で濡らしながら、監獄塔を登り、太陽を取り戻す。

 

そのはずだった。

 

――この物語は()()()()()()()、しかし一部のキャストが変更された物語である。

 

 

ある村、そこは元は活気があったことは伺える建物の変異して腐った残骸がところどころに残され、仮の物と思えるお粗末な木の建物が並んでいる。

 

このジェイル(地下世界)には当たり前の村だ、今なお減り続ける人達はこのような村からまず先に消えていく運命にある。

 

メルヒェンは人を攫い、監獄塔、あるいは独房エリアで血を流し、叫ばせ、肉の壁を舐めさせられる。

 

そんな村に襲撃し、攫おうとしていたメルヒェン達は、今最後の1体の頭が一人の少女の華奢そうに見える手によって握り潰された。

 

「……ま、こんなところか」

 

年齢は5歳ほどだろうか、少女は身体をメルヒェンの血で汚し、ため息を漏らしながら巨大なマッチを背中の袋に収める、紅い髪をなびかせ、黄色の瞳孔を村の家屋に隠れている人々に聞こえるように声を張り詰める。

 

「お前ら!、メルヒェン全部倒してやったぞ!」

 

その勇ましい声に反応し、家屋に閉じこもっていた人々が顔を出す、少女の後ろに重ねられ、山となったメルヒェンの大群を見ると安心して外に出てくる。

 

「いやぁ、ありがとうございました……えっと」

 

村長らしき老齢の男は少女の名前を言おうとするがどうやら忘れている様子で、再び少女はため息を漏らし、その名を告げる。

 

「マチ。マチはマチだよ」

 

「あぁそうでしたそうでした、それで報酬なんですが」

 

マチは村長の話を手を前に出して止める。村長が呆気にとられてると、マチは一泊おいて話し出す。

 

「別に報酬は求めてない、交換、あるいはマチのマッチを買うという形なら良いよ」

 

マチは懐からマッチの箱を取り出す、なんの変哲もなく見えるが、その中のマッチを取り出してすり、村長に渡す。

 

「え、これは……。おぉこれは、何故か癒やされますね、この火を見ていると何故か」

 

村長の顔から何処か緊張の糸がほぐれたような笑みが見え、火が消えると村長は残念そうに顔を下げる。

 

「これを一箱45本入ってるやつを渡す、その分そうだな、お金か食べ物、どちらかをくれ、金額も量も問わない、そちらが自由に決めてくれ。ま、皆に配るとして、1人1つだけだがな」

 

先程の安らぎが得られると思い、村長は年甲斐もなく、全速力で走って家までいき、数分後、保存しておいた食料の入った袋をを結構な量を持って帰ってきた。

 

「これくらいでどうでしょうか?」

 

マチは大きな袋に入っている食料を見て、頷き笑みをこぼす

 

「ふむ、だいたい一ヶ月は持つかな。節約するならな。よしいいだろう、交渉成立だ」

 

マチは再び懐からとても入っていたと思えない量のマッチ箱を村長に渡した、数えてみるとその数は村人全員分きっちりだった。

 

「あ、ありがとうございます!、村人達は少し訝しげですが、一度使えば納得するでしょう。あのような高揚感は救いでしょうしね」

 

「……村長、あんたらはマチがメルヒェンを倒していても恐れることも無駄に崇めもしないんだな」

 

村長はマチの言葉に首を傾げ、マッチの影響で精神が回復して余裕が生まれたのか豪快に笑った。

 

「はははは!、そのようなことをしても何もならんでしょうに」

 

「……なるほど、当たりかな」

 

マチはそう小さく呟き、踵を返して村から去っていく。

その際に食料の袋を置いて、メルヒェンを何体か持って。

村長が止めに入ろうとするが、マチは笑顔で手を振りながら逃げるように走った。

 

マチは赤子の頃、このジェイルでも裕福な大人に拾われて3歳まではそこで育ったが、4歳の誕生日の頃に書き置きを残し、1人旅に出ていった。

 

5歳までの1年間、マチは多数の人種――内面的な意味での――を知った。

 

一番多かったのは畏怖などの感情をぶつけてくる人種、この世界ではまず当然な反応だ、メルヒェンを単独で倒すのは人間とは言えないだろう、それも怪しい術や、素手で倒すのだから。

 

次に多いのは崇める人種、自分で考える、行動しない、諦観してる無能達。血式少女、あるいは新興宗教にその身を委ねた人種。

 

交渉して前者からはもし事前に約束しておいて裏切った場合は無理矢理にでも奪った、後者は勝手に与えてくるが。

 

そして今回の希少のケースが、純粋な善意を持った人種。

 

どちらもせずにただいつものように、対等な人のように話し、報酬をくれる、マチはこの人種からは搾取はしないと決めている、この世界においては希少で、救われるべきだから。

 

マチはその場合の選択肢としての食料、それがメルヒェンの死体だった。

 

「……うーん、無駄に甘い匂い」

 

マチからしたらそういう匂いのするメルヒェンを、今簡易的な肉焼きセットで焼いている、パチパチと木が鳴り、ジュージューという肉――なのか怪しいメルヒェンを焼く音だけが辺りに響く。

 

空はより薄暗く、今が夜なのだということを告げる。

 

「このくらいかな」

 

マチはメルヒェンの肉を取り、それにかぶりついた、肉のはずなのにどこか甘いような、それでいて最悪な食感が口の中で混ざり、ようするに不味い。

 

「吐きそう……」

 

本来ならメルヒェンの肉、それに付随した作物は毒だ、思考を奪う、下手したら死ぬかもしれない代物だ、しかしどういうわけかマチは1週間に1日だけならデメリットがなく食せる、あのような村は稀なので1日だけこのような食事でも旅は問題なく遂行できる。

 

全て食べきり、腹も膨れ、マチはシートを敷き、そこに寝転がる。

 

「おやす……み?」

 

そのまま寝ようと瞼を閉じようとしたとき、ふと足音が耳に入り、飛び起き、臨戦態勢をとる。

 

「誰だ、姿を見せないならこっちからぶっ倒しに向かうが」

 

「――おやおや、これは驚かせてしまったようだね」

 

物陰から音の正体が姿を見せる。

 

「あんたは……」

 

初めて見る顔だ、顔には傷と皺があり、黒の服装に白衣を着た、まず見ない下駄を履き、杖を持った老齢の男だ、目には決意がこもった鋭さがあり、優しげな笑みはどこか不釣り合いな物を感じる。

 

男はその場から動かずに手を差し伸べる。

 

「マチくん、だったかな、私は十島だ、黎明解放戦線の長を務めている」

 

「……それで?」

 

「単刀直入に言おうか、私の黎明に来てくれないかね」

 

これはある物語の()()の1つ、それでも、彼女達はそれを知ることなく生きている。

 

マチもまた、その一人。

 

 

 



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2話

(´・ω・`)何だかんだ流れはできてるから執筆は早い


「マッチ売りの少女?」

 

赤ずきん、現在いる黎明の一人目の血式少女は十島博士から技術者のハルと共に黎明の研究室にて一人の少女について話し合っていた。

 

黎明解放戦線、通称黎明はスナークの襲撃において唯一生き残った十島博士を長とした組織で、様々な治安維持から生活環境の向上などの事柄を行っており。研究室は博士の部屋と言っていい場所でもある。

 

ハルは赤ずきんの疑問に答えるために、その少女のことについて説明を始める。

 

「そうだ。まぁそのままの意味だが。なんでもある村では略奪、ある村では崇拝されていたり、ある村じゃ何もしなかったり。そのどれでもマッチ箱を売っていたらしいぜ」

 

「なにそれこわ~い。で!、その子って血式少女なのぉ?!」

 

赤ずきんはその噂には興味ないが本人が血式少女かに目を輝かせ、興味がある様子だ、やれやれと頭を振るハルをよそに、博士はこれからやることを話す。

 

「そうだね、そのマッチ売りの少女が童話のマッチ売りの少女の場合、是非黎明に引き入れたいと考えている、ハルくん、彼女の所在はわかっているかね」

 

「あぁ、わかっている感じだと」ハルは一枚のこの辺り一帯の地図を机に広げる。

「まず、最初にわかったのはここ、で、次はここだ」

 

地図のマッチ売りの少女が現れた村々に丸を描いていき、そして最近マッチ売りの少女が現れた村と、向かった方向から最も可能性の高い場所を割り出した。

 

「ふむ、この公園跡の森の近くか、普通なら危険だと考えるべきだが」

 

「もし、マッチ売りの少女がいるならそこにいるメルヒェン達の動きにも変化があるはずだろうな」

 

「ならするべきは――」

 

「ここはこう――」

 

「――ふわぁ」

 

2人の話し合いに、赤ずきんは大きく欠伸をかく、しばしの時間が経過すると、マッチ売りの少女との接触の決行日は決まった。

 

そして最後の確認として、博士が質問する。

 

「ハルくん、それでだ、そのマッチ売りの少女の名前はわかっているのかね」

 

「あぁ、なんでもマチ、というらしいぜ」

 

安直だなと赤ずきんは思うが、博士は思考を回している、本来マッチ売りの少女という童話において、名前は存在しない、赤ずきんも名前とは呼べないが、自身をマッチ売りの少女と名乗らず、オリジナルの名前を付けている。

 

例が少ないため、無駄な思考だと断じ、博士は一人、奥の部屋に向かう。

 

「私は少し休むとしよう、赤ずきん、今日はもう遅いから寝なさい」

 

「はーい」

 

そう言って博士は扉の向こうに消えた。

 

 

マッチ売りの少女と会うのは夜が良いと決めた、その時間なら休んでいると思い、幾らかの兵士と赤ずきん、そしてハルを連れて、公園跡の森の前まで博士はたどり着く。

 

「ここかね」

 

「はい、この先の村では目撃情報がないため、その可能性は高いかと」

 

兵士が博士に告げる、皆、いやワクワクしている赤ずきんを除いて緊張しており、兵士の銃の手は震え、ハルも未知の血式少女の勧誘に緊張から冷や汗をかいている。

 

話ではマッチ売りの少女、マチは今の赤ずきんでも単独での倒すのが難しいとされる大型のメルヒェンを5体まとめて相手して倒している。

 

そのような血式少女がもしこちらに敵意を向けてきたから赤ずきんがいても殺されるしかない、それほどの危険なはずだが、博士は一人で行くと宣言している、相手に警戒を抱かせないためにだ。赤ずきんが行っても交渉ができるとは思えず、ハルや他の黎明の者でも心もとない。

 

なら、黎明の長たる博士が適任だという結論に、ハルは何も言い返せない、だがもしものとき用に照明弾を博士に持たせている、できる限り近くに赤ずきんらを配置しているため、もしものときの盾にはなるだろう。

 

「さて、行ってくるよ」

 

「お、おとうさん」

 

赤ずきんはそう博士に白衣を掴みながら、心配そうに言う。

 

「大丈夫だよ赤ずきん、きっとマチくんは良い人だよ」

 

「……わかった、気をつけてね」

 

いくばくか間をおいて、赤ずきんは博士の白衣から手を離し、博士は一人、森の中に入っていった。

 

森の中は不自然なほどに静寂に包まれていた、理由はメルヒェンの血の匂いが教えてくれている。

 

この森にいたメルヒェンは一匹もいないことを博士は確信できた、きっとこの先の濃厚な、目視ができるかもしれないほどの気配がメルヒェン達を追い返していることが肌が寒くないのに鳥肌が立っていることが伝えてくれているからだ。

 

木の陰に隠れていたメルヒェンの死体の大きさはかなりのもので、その死体は何か強力な力で身体を吹き飛ばされ、一撃で殺しているのだとわかる。

 

博士は火の光が見えてくると、脚が勝手に止まってしまう。

 

「これは……」

 

あそこにいると、気配が告げている、しかし生物としての本能が退けとも告げている。

 

足が進まない、しかし後ろには動く奇妙な感覚に博士は好奇心でそれを上回る。

 

歩を進めると、不意に声がかかる。

 

「誰だ、姿を見せないならこっちからぶっ倒しに向かうが」

 

ドスの利いた少女の声だ、明らかに警戒を抱いていることがわかる、もしこのまま逃げれば自分を殺すに来る、それが博士には理解できた。

 

「――おやおや、これは驚かせてしまったようだね」

 

優しげな笑みと声で、博士は少女の前に姿を見せた

 

「あんたは……」

 

その姿は野性味があった、服はところどころ破け、紅い髪は汚れまみれであり、風呂はしばらく、いや何ヶ月も入ってないことがわかる、黄色の瞳孔は鋭く博士を見る様は肉食動物、武器らしき大きなマッチを両手に構える姿は歴戦の戦士だ。

 

博士は物怖じせずになんとか言葉を紡ぐ。

 

「……マチくん、だったかな、私は十島だ、黎明解放戦線の長を務めている」

 

「……それで?」

 

「単刀直入に言おうか、私の黎明に来てくれないかね」

 

 

赤ずきんは待機場所でぐるぐるも同じ場所を周りながら、博士の無事を願っている、ハルが止めずにいるのは不安をわかっているためでもあり、自分の不安で手一杯なのもある。

 

長いようで短い時間で過ぎ、博士が森から出てくる――マチを背後に連れて。

 

「待たせたね、無事勧誘は成功したよ」

 

「おとうさん!」

 

赤ずきんは走ってくるが、安堵と喜びからマチに話しかけに行くか、博士に抱きつくかで迷って器用に走るポーズで立ち往生している。

 

数分後、結果として、止まった動画が再生されたかのように博士のほうに抱きついた。

 

「……ふーん、なんかおもろそうなやつじゃん」

 

マチは赤ずきんを面白いやつ認定したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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