詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん! (名は体を表す)
しおりを挟む

週に何回してんの!ヤオヨロちゃん!

ド下ネタ注意。


 俺の発言で放課後のクラス全体が凍りつく。

 

「……はい?今、なんと仰いました?」

 

 凍りついた世界の中で一番始めに動き出したのは、俺のパートナー(会話相手的な意味で)の八百万百ちゃん。同年代と比較しておっぱいが目立つお嬢様可愛い女の子。

 

「だから、週に何回オナニーしてんの?」

 

「貴方は何を言ってますの?」

 

「えっ、聞こえなかった?じゃあ大きい声で……モモちゃんはぁ!週にぃ!何回「そういう意味ではありません!!!」ぎゃふん!非暴力不服従!!」

 

 思い切り(優しく)ビンタされて机に倒れ込む。愛が……痛い……!

 

「変な事言わないで下さい!あ、愛だなんて……」

 

「そんな!?俺とモモちゃんの仲じゃないか!互いの身体をむさぼり合うほど深い仲じゃないか!!」

 

「誤解を招く言い方しないでもらえません!?」

 

 クラスがざわめく。まさかあの副委員長がそんなぽっと出の男と爛れた仲だなんて予想だにしなかっただろう。さっきからクラス一のオチビがスゴい目で俺を睨み付けてきてる。

 

「そんな言い方ではまるで私達が、ふ、ふ、不埒な交際をしているようじゃないですか!!」

 

「不埒な交際って?具体的に教えて!」

 

「うるさい!」

 

「痛い!それでも僕はやっていない!」

 

 本日二度目のビンタ。かの有名な宗教で右の頬を打たれたら左の頬を差し出せって言うし、まだまだセーフ。

 

「とにかく、私達はそんな不健全な関係ではありませんから!クラスの皆様に変な誤解を与えないで下さい!」

 

「そうだね!俺達はお互い()()身体だもんね!」

 

「な、何か気に障る言い方ですわ……」

 

 そう、俺達はヴァージン。

 互いの身体をむさぼり合うというのも、ただ俺が昔弁当を忘れたときにヤオヨロちゃんの『個性』由来の食べ物を食ってたってだけだし。

 ……ちなみに、ヤオヨロちゃんの『個性』は自分の脂肪を様々な物質に変える事が出来る超有能個性だ。ぶっちゃけ宝石や貴金属類を産み出せば巨万の富が得られるだろうに。そんな『個性』なのに昼飯を忘れた俺に食わせるために『個性』を使ってくれるヤオヨロちゃんマジ天使。

 ヤオヨロちゃんの『個性』は脂肪を使う、そしておっぱいは脂肪。つまり俺はヤオヨロちゃんのおっぱいをお昼ごはんにしていた?なんだ俺は勝ち組じゃないか。

 

「うっ……何故か寒気がしますわ……」

 

「大丈夫かモモちゃん!裸で暖め合えば寒さを凌げるらしいぜ!」

 

「服を脱いで近づいてこないで下さいませんこと!?」

 

「えっ……じゃあ服着たまま抱きつけって?」

 

「どうしてそこで心底不思議そうなお顔をするんですか?」

 

「逆に聞くけど、服着たまま抱きつくのっておかしくないの?」

 

「えっ……?えっ……その……」

 

「服着て抱きつくなんて変態行為だよ!エッチ!」

 

「えっ?えっ?私が悪いのですか……?」

 

「深く傷つきました!責任とってください!」

 

「えっ、あ……、ごめん……なさい……」

 

「んーヤオヨロちゃんのかわいさに免じて許す!」

 

「ありがとうございます……?」

 

「ヤオモモ、良いように騙され過ぎ」

 

 俺達の会話にジロちゃんが口を挟む。

 

「落ち着いてよく考えてヤオモモ。服を着たまま抱きついたらセクハラだけど、服を脱いで抱きついたらただの犯罪行為だよ?」

 

「…………また騙しましたわね詭弁さん!!」

 

「はぁい!貴方だけの詭弁ですよ!ヤオヨロちゃん!」

 

 ヤオヨロちゃんの混乱グルグル目可愛い。好き。

 

 閑話休題。

 

「で!だ!よ!!モモちゃんは週に何回オナニーを__」

 

「ですから!アナタは!どうして!そんな!おはなししか!出来ないんですか!?」

 

「痛い!痛い!往復ビンタは痛い!」

 

 ヤオヨロちゃんの両頬が真っ赤に染まる。そして俺の両頬が真っ赤に腫れあがる。この違いはなんだ。可愛さか。なら仕方ない。

 

「そんな変な話かなぁ?」

 

「どう考えましても変でしょう!?」

 

 痛みでじんじんする頬を抑えながら、極力真面目な顔でヤオヨロちゃんの眼を見る

 

「モモちゃん。じゃあ聞くけど、友達に好きな食べ物を聞かれたら普通に答えるだろ?」

 

「うっ……(じっと見つめられると恥ずかしいですわ……)それは、まあ……」

 

「例えば友達が寝不足で、寝ようにも寝られないような不眠症に悩んでたら、寝る前にこの音楽を聴いた方がいい、この枕が寝やすくてオススメ、みたいな事を言うだろ?」

 

「そう、です、ね……」

 

「友達と普通に食欲、睡眠欲の話をするなら、最後の三大欲求の性欲のはなしだって普通にするだろ!」

 

「そ、そうなんです、か……?」

 

「いや、ンなわけ「そうだよ!それが庶民一般人の会話ってもんだよ!!」

 

 ジロちゃんの口を塞ぎながら大きな声を出す。余計なことを言われる前に畳み掛けるんだよホラホラ。

 

「『あの女の子可愛いよな!!』とか、『やっぱ男は顔よね!』とか話すだろう!男が数人集まれば女の子のおっぱいやお尻の話しかしないし、女が数人集まれば彼氏の性癖の話しかしない!違うか!?」

 

「そ、そうなんですか!??」

 

「そんなわけ無いじゃん」

 

「お前バンド仲間とファックしてるだけだもん"ン"ン"ン"!!??」

 

 ジロちゃん、心臓に耳をぶっ刺すのは止めよう。俺、死ぬよ?

 

「死ね」

 

「死なん!とにかく同性集えばシモ話しかしないのは天地開闢自明の理!何故ならそれが手っ取り早く自分と相手のハートをぶつけ合って仲良くなるこぬゅみゅけーしょんだからだ!」

 

「今噛んだ「噛んでない!」噛んだよね「噛んでない!」

 

「そ、そういうことですか……」

 

「そうだよ!俺はもっとモモちゃんと仲良くなりたいんだ!互いを知っていきたいんだ!」

 

「詭弁さん……!」

 

「おい、良い話に持っていこうとすんな!ヤオモモ、コイツただの馬鹿だからね!?」

 

「今良い雰囲気なんだから、空気読めよジロちゃん"ン"ン"ン"ン"」

 

「いいかげんに怒るよ?」

 

 心臓が破れそう。

 

「ど、とにかく、だ……仲良くなるなら、おハーブティーの話じゃなくてもっと下世話な話が良い……。そう、俺と練習しよう!」

 

「もう復活したし」

 

「詭弁さん……ありがとうございます!私、もっとクラスメイトの方々と仲良くなりますわ!」

 

「その意気だぜモモちゃん!早速会話トレーニングだ!さあモモちゃん、リピートアフターミー!『へいYou!君デイリー任務何回ヤッてんの?』」

 

「へ、へいゆー、きみでいりーにんむなんかいやってんの……あの、デイリー任務とは一体?」

 

「隠語だよ隠語!何回オナってんのってドストレートに聞くのは恥ずかしいだろ?」

 

「お前最初のやり取り覚えてる?」

 

 ちと黙れジロちゃん。

 

「そ、それは隠語と淫語をかけていらっしゃいます、の……?」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

「…………あ、うん。あ、あ~なるほどね、あー、えぇ~、ん~……えっ、マジで言ってんの?ド天然かよ」

 

「聞かなかった事にしてくださいましッッッ!!!!」

 

 耳まで真っ赤にして教室から逃走したヤオヨロちゃん。やだぁ……可愛すぎて萌え死しそうだよぉ……。

 

「ちなみに俺はウィークリー任務で10回以上かな」

 

「聞いてないし……一日一回以上シてんのかよ」

 

「やだ、すぐ分かっちゃうなんてジロちゃんエッチ」

 

「死にたいのね?」

 

「最近のトレンドはイヤホンコキかな!とある可愛い子を思いながらするとめっちゃ濃く出るんだよね!」

 

「だから聞いてないって言ってるでしょ!!!」

 

「ん”目”がッ”」

 

 ジロちゃん、目はダメよ……。

 

 

 

 

 後日の話。

 

「あ、あの、アシドさん……!デイリー任務は何回行っているんでしょうか……!」

 

「……へっ?」

 

「あ、あ、あの、その、すみません何でもないです!忘れてくださいませッ!!!!」

 

「えっ、あっ……行っちゃった。で、デイリー任務……?

 

 

 

 

 

「…………はへぁ↑????!??!?!?!???/////」

 

 





先生「詭弁、ちょっと来い」



明日めっちゃ早いのに何書いてるんだ、俺。



・詭弁答弁 個性:口八百万丁
 イケメン、金持ち、高身長、んでオープンスケベ。ヤオヨロちゃんとは幼馴染。モテる男だが性格で全部台無しにしている感もある。モモちゃん大好き。
 個性は口が達者になる。異常。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

何センチですか!ヤオヨロちゃん!

勢い全振り



「……詭弁さん。ここが食堂で、周りに多くの方が居ると承知の上での発言でしょうか?」

 

「気になったことは何でも聞いてください!……って言ってたモモちゃんはどこにいったのでしょうね」

 

「それは勉強の話です!!決して私の身体についての質問に答えると言う意味ではありませんわ!!」

 

 ヤオヨロちゃんと一緒に食堂で昼飯を食べながら、前から気になっていた胸の大きさについて質問したらこれだよ。

 

「……あのなあモモちゃん。例えばここでリッちゃんが筋肉晒して『最近筋肉の付きが悪くなってきてよー』って言っても別に違和感ないだろ?あっリッちゃんってのは砂糖の事な」

 

「それは分かってますが……男性の筋肉のお話と女性の胸のお話は全く違いますわ!」

 

「男女差別は良くないぞモモちゃん!!」

 

「こういうことは男女差別とは言いませんわ!」

 

「分かってないなぁ。公共の場で、男は良いけど女はダメ……なんて男女差別そのものじゃないか」

 

「うっ……い、いえ、今日という今日は騙されませんわ!」

 

「騙すもなにも、例えば『ヤオモモちゃん髪キレー!シャンプー何使ってんの?』って聞いてきても普通にこたえるだろ?」

 

「それは勿論ですわ」

 

「『あーそのミサンガかぁいいー!』って話も普通にするだろる」

 

「え、ええ……まあ、しますわね」

 

「『爪キレーだね!』とか大きい声で話してる奴だって居るだろ?」

 

「確かに居ますが……」

 

「なら『おっぱい何センチ?』だけがダメな理由を教えてくれよ!」

 

「それはっ……!と、とにかくダメですわ!!」

 

「……ほー。『とにかくダメ』と。なるほどなるほど。まるでそれが一般常識かのように言うんだね?」

 

「かのようにって、普通に一般常識ですわ!!」

 

「ん、言いたいことは分かった。ならここで俺が『おっぱい何センチ?』に類する言葉をモモちゃん以外に聞いて、怒られなければそれは普通の一般常識ではないと認めてくれるね?」

 

「っ……いいでしょう!詭弁さんが他の方におっ……その、胸部の大きさを聞いて、怒られたのなら一般常識とお認め頂けますわね!?」

 

「あい分かった。じゃあ早速聞いてこようじゃないか。じゃとりあえずお先にー」

 

「って、いつの間にお食事を終えられてましたの詭弁さん!?」

 

 食堂の中は混雑しているというのに不思議と周りに誰もいなかった席から少し離れ、お目当ての人物に早速聞いてみる。

 

「リッちゃん!大胸筋何センチ?」

 

「はっ?え、90くらい……だと思うぞ?」

 

「それはあまりにも卑怯ではありませんか詭弁さん!!!」

 

 ヤオヨロちゃんがわざわざメガホンを使って声を届けにきたので、しぶしぶヤオヨロちゃんの席まで戻る。

 

「ちゃんとモモちゃんの言う通りに『胸部の大きさ』を聞いてるだけじゃん!」

 

「ズルいですわ!それはズルいですわ!!」

 

「何がズルいのか言ってみろ!俺はちゃーんとモモちゃんの言う通り『胸部の大きさ』を聞いてきただけじゃん!言わないと分からないよ!ちゃんと『おっぱい』の大きさを聞いてこいって言わないと、ちゃんと『()()()()』の大きさを聞いてこいって言わないと!」

 

「そ、そんなはしたない事を言えるわけがないですわ!?」

 

「何がはしたないって?」

 

「そ、その……おっぱい……などと……」

 

「きーこーえーまーせーんー!!」

 

「君たちイチャつくなら余所でやろうね」

 

「「はい先生!すみませんでしたッ!!」」

 

 食堂からダッシュで(歩いて)出る俺とヤオヨロちゃん。教室に戻る道すがらもヤオヨロちゃんをからかうのを止めない。

 

「俺達が怒られたのは食堂という公共の場で大声を出していた所為であるからして、『おっぱいの大きさを聞くこと』なんかよりも遥かに普遍的な一般常識であると認めてくれるね?」

 

「それとこれとはまた違う話ですわ!」

 

「違わないさ!公共の場で大声を出すのは周りの人に迷惑なだけだけど、おっぱいの大きさを聞くことなんてありきたりな話題の一つだからね!」

 

「おっ、ぱい……の話題がありきたりな話題な訳ありませんわ!」

 

「なんでもかんでも否定するのは良くないぜモモちゃん!胸の内をさらけ出すのはこみゅぬけーしょんの真髄だぜ?セレブリティなお嬢様にそんな経験なんてなくても、自分の身体的特徴を笑いに変えられる奴はいつだってクラスの人気者さー!オールマイトも言ってるだろ?『ユーモアは力だ』って。デカイおっぱいの一つや二つで相手が笑ってくれるんなら、ヒーロー冥利に尽きるってもんだろ?」

 

「えっ、えっ?そ、そういうものなのでしょうか……?」

 

「そういうもんだ!恥ずかしいとか、みっともないとか全部捨て置け!おっぱいのサイズくらい大声で言えるくらいの気概を持とうぜ!」

 

「えっ、その……わ、分かりましたわ……?」

 

 そんなこんな話してたらA組のドアの前に着いていた。

 

「さあ、善は急げ!セレブリティなモモちゃんに庶民ユーモアってのを実際にみてもらおうか!じゃあモモちゃん、一旦教壇の前に立ってておくれ!」

 

「えっ、あ、はい」

 

 素直なヤオヨロちゃんは、言う通りに教壇の前に立って不安げにこちらを見ている。教室の空気は『またあいつらか……』と冷え気味。ヒーローは挫けない。

 

 バン、と教室の扉を開けて高速ステップでヤオヨロちゃんに近づく。誰かが「ヒェッ」と短い悲鳴をあげるが気にしない。

 ガッ!と足が縺れてヤオヨロちゃんの前で激しく転倒……する直前にヤオヨロちゃんが「危ないですわっ!」と豊満な胸で受け止めてくれる。優しい、好き。

 

「……あの、詭弁さ「歩行者用エアバッグ!!!」……えっ?」

 

「万が一の時でも安全、驚異(胸囲)の歩行者用エアバッグ!!」

 

「……えぇ……」

 

 教室の空気が氷点下だがヒーローは挫けない!(涙目)

 ヤオヨロちゃんを支点に飛び、背中側から回ってヤオヨロちゃんの股下を潜り持ち上げる。所謂肩車状態になる。

 

「ちょ!?詭弁さん!!?」

 

「八百万モモ肉!!」

 

 肩車しながらヤオヨロちゃんの太ももを強調するように屈んで立つ。腰がヤバイが重いなどとは死んでも言わない。教室の空気は死んでいるが。

 

「……詭弁さん?」

 

 ビキッ、ビキッ、と上から謎の音が聞こえる。ヤオヨロちゃんの顔が見れないぜ……。ヒーローは挫けない(震え声)

 

「八百万バラ肉!」

 

「えっ、ひゃん!!」

 

 肩車したままヤオヨロちゃんのお腹回りの肉を掴む。……嘘だろ毎日あれだけ食って贅肉の類がほぼ無い……だと……?

 しかし教室の空気は相変わらずマイナスケルビン。これはもう最終手段を切るしかない!

 

「八百万むねに”っ」

 

 長い舌のような物がポグッと俺の(チン)を掠め撃ち、一瞬で意識を奪う。半強制的に床とヤオヨロちゃんにサンドイッチされるが、完全に意識を手離す直前に感じた八百万ぼんじりの幸せな重さを忘れない。

 

 

 

 

 

「(アカン、思わず吹き出してまう所やったっ……!あの空気で(わろ)てたら批難囂々やった……)」

 

「お茶子ちゃん?」

 

「ん”っ!何でもない!何でもあらへんよ!!」

 

 





こいつらコレでまだ付き合ってないんだぜ?

ナード系主人公「口八百万丁の個性は、主に相手の精神に作用させてバフ・デバフを掛ける事が出来る個性だよ。相手を挑発して単調な攻撃を誘ったり、味方を鼓舞して場を有利にしたり、災害現場でも一斉に多くの人を安全な場所に誘導したり、専門的な知識の無い一般人に指示出しして救助現場のサポートに役立てたりと幅広く活躍できる凄い万能個性なんだ。更に例え周りに誰も居なくても発声による自己暗示で能動的に火事場の馬鹿力を発揮できるんだ。その上八百万さんが言うにはフルマラソンしながら寿限無を噺せるほどの肺活量お化けなんだって。弱点としてはあんまり格闘術が得意じゃないみたいで、一対一の接近戦になると凄く苦しいみたい。だからヒーローコスチュームには短距離用の捕獲網が仕込まれてるんだ」
セクハラの呼吸「何で俺より俺の個性に詳しいんキミ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

男にセクハラする趣味はないですよ!

ネタ切れなので後は任せた。
詭弁くんはどうやって雄英の入試を乗り越えたのか。


「レッツ・ゴー!バクゴー!まだまだファイトおー!ゴー・ファイト!行ける!ウィーアーゴーナーメイクイット!」

 

「さっきからうっせえんだよクソ口!!!」

 

 現在は雄英の実技入試試験の最中。持ち込んだ小道具の笛を吹きながら、たまたま近くにいたボンボコうるさい個性の持ち主を応援しながら近づいてきた仮想敵を蹴り壊す。

 なんでわざわざ競争相手を応援しているかというと、こいつの個性がこれまたド派手で次から次へと仮想敵を呼び寄せるから、こいつの近くに居るだけでポイントを稼ぎやすいからだ。

 俺の個性も使って大音量の即席ライブを開催してると何処からか次々と仮想敵がやってくる。

 

「右!後ろ!来たぞ3ポイント!飛ばしていこー!」

 

「黙れや!!!」

 

 個性も頭も暴言も爆発している男の名前は爆豪。試験始まりと比べて更に火力を増し増し、一撃で仮想敵を爆殺している。しかも多少の距離をものともしない個性による投擲で3ポイントを難なく獲得していく。

 

「いーぞ!いーぞ!カ・ッ・ちゃん!魂!燃やせ!カ・ッ・ちゃん!」

 

「かっちゃかっちゃ黙れやァ!!!」

 

「カッちゃーん!後ろー!」

 

「っ!死ねやぁ!!!」

 

「ひゅー!ないっすー!」

 

「やめろやァ!!!」

 

 カッちゃんの後ろから飛び込んできた2ポイントの存在を教えただけでこの罵倒。お前ヒーロー志望ちゃうんか?

 そうしてカッちゃんが大量に得点を重ねていく合間に掠めとるように点を集めていくと、大量のロボットと共に他の受験生も集まってきた。

 

「何故ここだけこれ程の残骸が!」

 

「なんか髪形キリシタンな奴来た!」

 

「ん」

 

「なんか……なんか来た!」

 

 髪が緑色で刺々したおっぱいの大きめな女の子と、黒髪で普通のボブヘアーのおっぱいの大きめな女の子が来る。やったぜ……いやいや、俺はヤオヨロちゃん一筋……いや、ハーレム路線もありやな!(クズ)

 

 大量のロボットが集まってきて、カッちゃんの点数が90点を越えたくらいで地面が大きく揺れだした。

 

「きゃっ!?」

 

「ん!?」

 

「あぶなーい」

 

 バランスを崩した女の子二人を支えるように抱える。やわこくてかるーい。

 

「ど、何処を触っているのですか不埒者!?」

 

「んん!!?」

 

「緊急事態だからしかたない"っだい"!」

 

 救助の際に()()胸と尻に触れてしまっただけだというのに両頬を挟まれるようにシバかれた。

 俺がシバかれている間にも揺れは更に大きくなり、少し離れた地面からクッソデカイロボットが出てくる。

 

「でかっ」

 

「お、大きいですね」

 

「男を挟んでお前らでかいだの大きいだの……もっと言って!」

 

 クソでかロボットが暴れ始め、辺りの建物が破壊される。

 崩れた破片が飛んでくるから女子二人担いで避難すれば、可愛い声ででかいとか大きいとか囁かれて、んもうセクハラかと。狙ってるのかと。

 

 ボォン!ボォン!と音が鳴って、その方向を見ればマジもんのヴィランみてーな顔つきでクソでかロボットを睨み付けるカッちゃんが。

 

「おいカッちゃん!幾らなんでもそりゃやべぇぞ!」

 

「あ"あ"っ!?黙れやビビりクソ口野郎!!敵相手に逃げるザコがヒーロー名乗んなカス!!!」

 

「暴論んぅ!!でもそういうの……不思議と嫌いじゃないぜ!!」

 

「……私も、そこまで言われたら奮い立たねば」

 

「ん」

 

 肩の女子二人もやる気ムンムンな感じ。肩から下ろしながら軽く自己紹介をする。

 

「俺は詭弁答弁、個性は言葉で色々出来る。よろしくな」

 

「私は塩崎茨、個性は髪のつるを伸ばして操ることが出来ます」

 

「小大唯。生き物以外小さくしたり大きくしたり出来る」

 

「ンよろしく!あそこの爆発頭は爆豪、手のひらと暴言が爆発する個性だ」

 

「誰が爆発頭だザコクソ口野郎!!」

 

「ダイちゃん、あのデカロボ触れて小さく出来る?」

 

「……ん」

 

「よし、ならいっちゃんがつるを伸ばして足止め、ダイちゃんがその隙に触れ続けて、小さくなった所をカッちゃんが爆殺して終了!」

 

「い、いっちゃん……?」

 

「ちなみに俺は戦闘力クソザコナメクジだから気にするな!!俺ら全員雄英受験者でライバルだが、皆学校一の優秀な奴らだ!俺らが纏まれば、どんな奴でも倒せる!気合い!入れて!行くぞ!!!」

 

「ん!」

 

「は、はい!!」

 

「勝手に仕切んなカス!!!」

 

 暴れまわるロボットに向かって、腹の底から押し出したデカイ声を上げる。

 

「スゥゥゥ……やいこのポンコツデクノボー!!ノロマで無能なAI搭載して恥ずかしくないのかー!?

 

 俺の声に反応したのか俺の罵倒に反応したのかは分からないが、ロボの顔が俺の方を向き、その腕を振り下ろしてきた。

 大きな地響きが起きるが、悠々と回避した俺はいっちゃん担いで駆け回る。

 

「何処を狙ってんだぁ!?テメエのカメラ曇ってんのかぁ!?モーター回転トロ過ぎんじゃないのー!?」

 

「どっちが悪役だか分からないですね」

 

 チョロチョロと駆け回り、相手のヘイトを稼ぎながら更に挑発を重ねる。そろそろ良いかな?

 

「ッてなわけで、そろそろよろしくぅ!」

 

「承りました」

 

 笛を鳴らしながらいっちゃんを応援し、能力の強化を施す。

 

「ゴーゴー!し・お・ざ・き!レッツゴー!い・ば・ら!!太く強靭!正義の一撃!必殺のぉー、ジャッジメントヴェイン!!」

 

「勝手に変な技名をつけないで下さい!……っ!!?」

 

 いっちゃんの個性によるつるが巨大なロボに絡み付き、僅かの間拘束に成功する。

 

「(普段よりも速く……何より凄く強靭!応援パワー……なんと強力なんでしょう)」

 

「今だ!ダイちゃん!信念貫け!ゴー!ゴー!ダイちゃん!決めろー!スモールスケール!!」

 

「ん…………ん?」

 

 ダイちゃんがすかさずロボの足に触れて、ビル並みにでかかったロボがすごい速さで縮んでいく。

 

「(明らかにいつもより早く小さくなってく……凄い……)……ん」

 

「トドメだカッちゃん!弾けろソ・ウ・ル!!決めろ!必・殺!ニトロぉ、クラッシュ!!!」

 

「指図すんなクソが!!『ニトロ・クラッシュ』!!!」

 

 既に一軒家程度の大きさにまで縮んだロボの顔に向かって飛び、今まで聞いてきた中で最も大きな爆音と共にロボが粉砕された。ひえー怖。でも咄嗟のノリで名付けた必殺技の名前が即採用されて、ひょっとして爆豪って面倒なツンデレではと思う。

 

「んっ!?」

 

「危なっ!!?」

 

 ロボ(故)の足元に残っていたダイちゃんが爆発の勢いに押されてしりもちを付きそうだったので素早く抱き止める。咄嗟に抱き止めてしまったので、今の俺達の状況はお姫様抱っこする俺と、お姫様抱っこされるダイちゃん。やだ……ガチ恋距離……

 

「…………」

 

「……大丈夫か?」

 

 抱える少女の胸の辺りからドクドクと強い鼓動が感じられる。

 ……あの、何か反応を返して欲しいのですが。

 

「…………ん」

 

 何故貴方様は目を閉じているのでせうか。

 そうこうしている内に、試験終了の声が響く。お、終わったか……。

 

「お、おう。試験終わったぞ?」

 

「……ん」

 

 何故貴方様はそない残念そうな顔をするのでせうか。(無表情)

 

「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」

 

「テメエクソ口野郎!!最後の技のアレはノーカンだゴラァ!!!」

 

「大丈夫大丈夫!分かってるって!友達に必殺技の名前貰うとかザラだし!俺とカッちゃんの仲じゃんかー!」

 

「黙れや殺すぞ!!!」

 

「なんて野蛮な」

 

「ん」

 

「あそうそう、お三方。ちょっとお願いがあるんですけども」

 

「ん?」

 

「如何なさいました?試験はもう終了いたしましたが……」

 

「んだクソ口野郎!!」

 

 こんなんでも一応聞く気になってるカッちゃんマジ天使。

 

「いや、ね。ちょっとこの後俺死にかける予定が有るから……助けてくれ」

 

「ん?」

 

「は?」

 

「アァ?」

 

 試験が始まる前に自分の身体の限界を越えて力が出せるように自己暗示を行った。要するに火事場のバカ力を出し続けていた。だって一応鍛えてるって言っても俺の身体は一般的な男子中学生の域を超えない普通の肉体だ。それでロボットを破壊する程の攻撃が出来るだろうか?

 まあ、要するに……

 

「脳内物質ドバドバで今痛みとか無いけど、大暴れした反動で全身ボロボロなんだよね俺!だから助ゲボッッッ!!!」

 

「ん!!?」

 

「詭弁さん!!?」

 

 口から想像以上に吐血し、全身の骨がバッキバキに折れる。いや、正確には既に骨が折れていて、その事にようやく身体が気がついたとでも言うべきか。痛ーい!

 

「もうマジムリ……フリスク食お……手動かないけど……」

 

「詭弁さんがお壊れになられました!?」

 

「ん!」

 

「クソアホかテメぇはァ!!!」

 

 

 そうして気を失い、俺の雄英受験は終了したのだった。

 因みに三人はちゃんと俺をリカバリーガールの元に連れていったそうです。ありがとう!

 

 

 結果?お察し!

 




B組の女の子ハアハア。
じゃ、後は頼んだぜ。感想待ってるよ!

追記
なんか評価伸びてきてるから続き書こうかなぁ(優柔不断作者)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

テーマパークに来たみたいだぜー! テンション上がるなー!

何か評価が赤色だったので書きやすい所から書くだけマン


 

 救助訓練に向かうバスの中。ヤオヨロちゃんはバスの一番後ろ、五人掛けの席の窓側に座っているので俺は当然のごとくヤオヨロちゃんの横に座り、ヤオヨロちゃんの頭をなでりこなでりこ。

 

「……詭弁さん?今度はどういうおつもりですか?」

 

「やー、俺個人で救助活動するのってかなり厳しいじゃん?だからせめて知識面だけでもしっかりしないと不味いでしょ?」

 

「……まあ、確かに詭弁さんが直接救助活動を行うよりも、他に適した方に任せた方が合理的ではありますね」

 

「んでっしょー?だからヤオヨロちゃんの頭の良さにあやかろうと思ってね。まあ庶民風のおまじないよおまじない!」

 

「そ、そうですか……まあそう言うことなら……」

 

「いや、そいつヤオモモにセクハラしたいだけだからね?」

 

「いいなぁ……あんな風に女子と直接触れ合えて……」

 

「やはり男は顔か……!」

 

 中々にカオスな状況の中でバスは進む。流石に先生の目の前で露骨なセクハラはしませんよーだ!!

 

「ねーねー!詭弁とヤオモモって付き合ってるのー!?」

 

 俺の隣には透明人間が座り、一見するとホラーチックだが中々にコミカルな女の子。名前は……なんだっけ!

 

「葉隠透!自己紹介三回目だよ!」

 

「ゴメンとーちゃん!」

 

「とーちゃんはやめろー!」

 

 と、まあ愉快な女の子である。基本的に気に入った相手の名前の頭文字を取って○○ちゃんと呼ぶのが俺のじゃすてす。時々名字からも取ったりしなくもない。まあ好きに呼んでるだけだわな!!

 ちなみに、下手な呼び方をすると拳が飛んでくるので……気を付けようね!

 

「それで?付き合ってるの?」

 

「そりゃもうこうして言葉を交わし軽いボディタッチを交わし、休日にデートに行ったり親公認だったり家の中ではとても口には出来ないようなアーンな事やソーンな事をしている……仲になりたーい!」

 

「いや、まだやってないんかーい!」

 

「紛らわしいわ」

 

 俺とヤオヨロちゃんの恋バナが気になるのか近くの女子ーズがジロジロこっち見る。俺はイケメンスマイル(当社比5倍)で迎え撃つ。いわゆるニコポと言うやつだが、下手に使うと野郎にソッチのケが出てくるので控えよう!

 

「っ……」

 

 ほらー!今黒いカラスの男が顔を思いっきり背けたー!夜道と尻には気を付けろってね!つらい。

 

「で!どこまでが本当なの!?」

 

「親公認って所までかな!まあちょくちょく家にお邪魔してるけど、何故か二人きりにしてくれないんだよねーヤオヨロちゃん!」

 

「当然だと思いますわ。……私だけだと詭弁さんを拒みきれませんし……」

 

「それってつまり二人きりなら色々イケるってこと!?」

 

「ヤオモモ大胆!もう付き合っちゃえよ!」

 

「なっ、違……!そういう意味ではありませんわ!!」

 

「ねえ、休日にデートって何処に行ってるの?」

 

「ん?まあ映画見に行ったり紅茶飲みに行ったり色々買いに行ったり、あ、後近くのホ「き、詭弁さん!」ん、あ、あー……まあ色々」

 

「えっ、近くのホ?」

 

「ちょっとそこ詳しく」

 

 どうしたものかとヤオヨロちゃんの顔を見ると、必死に首を横に振っている。まあ、確かにバレたらヤバい事してたからなぁ……。

 女子ーズの方を見ると皆ニヤニヤしながらこっちを見ている。二人程表情変わんないけど。ここで何でもないでーすは通用せんなこれ。

 

「えーと、ねぇ……」

 

「何々?ナニを何処でしたの??」

 

 めっちゃ圧がすごいとーちゃん。顔を反らそうにも両手で俺の頬を挟むもんだから逃げられない。多分これ透明人間だからアレだけど、仮に普通の人だったらこれガチ恋距離よ?

 

「ちょっと詳しく言えないんだけどぉ……」

 

「うんうん!」

 

 

 

 

「結論から言うと避妊はしてる!!」「ちょぅえ!?き、き、詭弁さん!!?」

 

 

 

 

 バスの中の時間が俺とヤオヨロちゃん以外止まった。

 無常にもブロロロロとバスのエンジン音が響く。

 

「詭弁。後で話がある」

 

「あっ、はい」

 

 先生の一声でバスの中の時間が動き出す。頬を抑えてたとーちゃんは、頬を放してゆっくりと席につく。みーちゃんつーちゃんちゃこちゃん三人はスッとバスの外を見て、ジロちゃんはすごい眼で俺とヤオヨロちゃんを交互に見ている。

 ヤオヨロちゃんは両手で顔を隠し、ぅー、だのぁー、だの言っている。

 その他男共はざわついたり前屈みになったりと忙しそうだった。

 

 い、いやー……まあ狙い通りかな?

 

 

 その後、例のUSJ事件が起きた後の最初のHRの後に先生に一人呼び出されたのはまた違う話……うそ、同じ話でした。

 




非童貞非処女とクラス内で囁かれるのだった。
デートの後、二人で近くのホテル街の路地裏によく出没するヴィランを説得ないし退治をしていた、という話をしようとした詭弁くん。それを直前に察し、ヴィジランテ行為は違法であり、学友とはいえ誰かに話して良いことではない、と咄嗟に止めたヤオヨロちゃん。
止めたタイミングがあまりにもあんまりだったので下手な事を言うと追及がしゅごいのが目に見えたので、爆豪並みの爆弾発言をぶっぱなす詭弁くん。
結果はお察し。

じゃあ後は任せたぜ!感想よろしくな!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

祭りですよ!ヤオヨロちゃん!

なぁんで赤評価だったのに色違ってるのぉ!!!
はーつっかえ、投稿やめるわ(作者の屑)


 

 体育祭が迫った日の放課後の教室での事。

 

「ンっというわけで体育祭、やるぞー!」

 

「おぉーっ!!」

 

 俺の掛け声に返してくれたのは麗日お茶子ちゃん、通称ちゃこちゃんのみだった。

 ぐん!と拳を握って空につき出すちゃこちゃん可愛い。

 

「なんかキャラ変わったわねお茶子ちゃん」

 

「て言うか、詭弁ってそんな祭大好きキャラだっけ?」

 

「ご褒美目当てだばかやろう!」

 

「はぁ?」

 

 

~回想~

 

「詭弁さん!雄英体育祭と言えばプロヒーローも見る最高のアピールの場ですわ!」

 

「あー……みたいねー……」

 

「だというのに何ですかそのやる気の無さは!!」

 

「いやいや。ヤオヨロちゃんや、この前ヴィランに襲撃されたばかりやないか。それを撃退したA組……それだけで話題性は十分じゃない?」

 

「プロの方々に実際の実力を見て貰える機会ですのに!」

 

「やー、そういうけどもさー。俺としてはヤオヨロちゃんのサイドキック目標にしてるわけで、それ以外の所とかわりとどうでもいいのよねえ」

 

「そ、それは嬉しいですが……それでも選択肢は多いに越したことはないですわ!プロヒーローの指名が、将来何かしらの役に立つ時が来るはずです!」

 

「まぁ、ヤオヨロちゃんの言いたいことも分かるけどもさ。んー……じゃ、こうしよう。体育祭の順位がヤオヨロちゃんよりも高かったら何か一つご褒美ってのは?」

 

「なっ……またそんな即物的な……」

 

「んで、ヤオヨロちゃんの方が高かったら俺から何でも一つご褒美を」

 

「やりますわ!」プリプリ

 

「(急にプリプリし出すヤオヨロちゃん可愛い)おーし、じゃー俺の方が順位高かったらヤオヨロちゃんとおせっせってので良い?」

 

「お、おせっせ……?」

 

「ちょっとした(火)遊びと言うか(大人の)こむにけーしょんだよ!それで良い!?良いよね!?」

 

「わ、分かりましたわ……!では、私が勝ったら……その……名前で呼んで下さい……」

 

「歴史的可愛いかよ」ガバッ

 

「えっ、ひゃあっ!!?」

 

「はぁぁぁぁ!もっと欲張れよ!愛しさの権化か貴様ぁ!今日からお前は詭弁姓だこのやろー!」

 

「あっ、ちょっと!?き、詭弁さん!?お、落ち着いて下さいまし!ひゃっ!?急に抱き締めるのは、あぁ……」

 

~回想終了~

 

 

「うん、俺あそこで手を出さなかったのは奇跡だね!」

 

「急に何言い出してんの?」

 

「いやあ、負けられない戦いがここにあるって思ってね」

 

「頭打ったのかテメエ」

 

「はっはっは、頭爆発してるカッちゃんに言われたくないわ」

 

「喧嘩売ってんのか殺すぞクソ口!!」

 

「はははこやつめ、選手宣誓の文言代わりに考えてやろーか?」

 

「要らんわボケクソ!!」

 

「語彙力64ビットかよ」

 

「どういう意味だあ"あ"あ"ん"!!?」

 

「かっちゃんがおちょくられてる……!」

 

 

「ヤオモモー、アレ止めなくて良いの?」

 

「私が詭弁さんのストッパー役になれると?」

 

「……ゴメン」

 

「つーか詭弁止められる奴とか居んの?」

 

 ガラッとA組のドアが開けられ、外から誰かが入ってくる。

 

「おーい詭弁!お前来るの遅いから呼びに来たよ!」

 

「んぉー悪い悪い、そこの口内ボンバーマンを弄るのが楽しくてな」

 

「ブッ殺す!!!」

 

「わー!かっちゃん教室で暴れんのは不味いよ!!」

 

「……な?」

 

「な、じゃねーよ!」

 

 鋭い手刀が詭弁の首に当たり、一撃で床に崩れ落ちる。

 

「じゃ、こいつ借りてくから」

 

 そしてそのまま引きずるようにして詭弁を連れていった女の子と、後に残されるA組の皆。

 

「……今の誰?」

 

「あー、確かB組の奴だった気がする」

 

「マジで!?可愛くね?LINEやってるかな?」

 

「……てか、何でB組が詭弁を連れていくんだよ」

 

「それは……個性関連か?」

 

「普通にB組に口説きに行ってたりして」

 

「コミュ力お化けイケメンめ……」

 

 

「な、なんか凄いことになってきたね。……ね、ヤオモモ……?」

 

「…………」

 

「……ヤオモモ?」

 

 

 

「私というものがありながらまた他の女性にまで手を出すのですね詭弁さんまあ詭弁さんは魅力的ですから誰もが放っておかないですし詭弁さんも拒絶をしませんから思わせ振りな態度をとりますがやはり一番である私を通すのがスジと言うものではありませんかこれではそのうち勘違いした可哀想な子が増えるだけですのにそんなこと許されませんねやはり詭弁さんには今一度分からせてあげなければなりませんね私だけが彼の本当の理解者ですし彼もそう望んでいますし近い内にじっくりとおはなししましょうその時は特別なお紅茶を用意しませんとうふふふふふふ」

 

 

 

「ぎゃー!?ヤオモモから闇が!闇が!?」

 

「あら芦戸さん?いかがなさいました?なんのおはなしでしたっけ?お紅茶のおはなしでしたっけ?」

 

「だれかー!?ちょ、助けてー!」

 

 あぁ体育祭が近いなぁ。と現実逃避をする耳郎響香だった。

 




明日朝早いのにまたこんなん書いて!おかーちゃん怒るよ!!


ヤオモモは中学生の時、自分の体から生み出した食物を詭弁に食わせた時に仄暗い悦びが背筋を走ったんだって。これ、内緒のはなしね。-ジロちゃん

詭弁くんは入試の縁からちょくちょくB組に顔を出してるみたい。そこでもわりとセクハラ言動を繰り返してるけどウケは良いらしいんだ。放課後一緒に個性アリの訓練をしてるそうだよ。-イズちゃん


評価、感想ありがとう!投稿続けるね!読者しゅきしゅき♥️(オクスリ摂取)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

トーナメントですよ!ヤオヨロちゃん!

書きたいとこだけ書く。それが俺の忍道だ!
予選とかセクハラ出来そうにないんだもーん!


 

「……やー、なんだかんだでここまで来たぜ」

 

「……詭弁さん。幾つか質問をしても宜しいでしょうか?」

 

「んぉーう、俺といっちゃんの仲じゃん。遠慮すんな!」

 

 雄英体育祭、決勝トーナメントの選手用控え室の中。そこに俺といっちゃんことB組の塩崎茨が居た。同じ椅子に並ぶように座って、互いの距離は拳一つ分だけ開いていた。

 

「詭弁さん、貴方は……少し前まであまり体育祭に乗り気ではなかったように思えました。ですが実際にはこうして決勝トーナメントまで勝ち残る程に全力を尽くして、貴方のお体もボロボロでしょう?何故……そこまでして頑張るのですか?」

 

「ははは、言うほどボロボロでもないさ。俺ってずる賢いからうまーく人を使って楽してたし」

 

「騎馬戦中、ほぼ常に貴方のお声が響いていましたが?」

 

「それしか取り柄ないしねー」

 

「そんなことはありません!!」

 

 突然、いっちゃんが大きな声を出して面食らう。キミそんな大声出るんか。

 

「詭弁さんは……常に周りを見渡して状況を把握し、そこから最善を狙う戦術眼に長けています。少しの間でしたが、貴方と一緒に訓練しただけでも分かる貴方の長所です。直接戦うのが苦手と仰ってますが、相手の意表を突いて戦ったり、時間を稼ぐような戦い方も優れています」

 

「……はは、まー良く見てるね」

 

「当たり前です。優れた人を観察し、自分の糧とするのも優秀なヒーローになる為ですから」

 

「照れるぜ」

 

「……その軽薄な口は治した方が良いと思いますが」

 

「そりゃ無理だわ。なんせ詭弁家は口から産まれたような奴ばかりだからな!」

 

 HAHAHA

 

「……それで、何故貴方は突然本気を出してこられたのでしょうか」

 

「ん、まあ大したことじゃねえ…………好きな女の子に良いところ見せたくなっただけさ」

 

「っ……。……やはり……そう……ですか…………」

 

「ん、後その子より順位が高かったら()()()貰えるんだよね!そりゃ男なら目指さないと嘘っぱちじゃん!」

 

「んなっ……!!ま、まさか不埒なことではありませんか!?」

 

「はっはっはー」

 

「笑ってごまかさないでください!!」

 

 いっちゃんの顔が少し赤くなり、プンプンと怒る。可愛い。

 あまりの可愛さにニコニコと見ていると、ふっ、と顔を反らし、無表情を作って会話を再開しようとしてた。それもまた良し。

 

「……では次の試合、私が勝利したら……私に、何かご、ご褒美をいただけますか……?」

 

「……ん、良いよ。ハグで良いかね?」

 

「っ……はい」

 

 いっちゃんの耳まで赤く染まり、小刻みにふるふると震える。それは武者震いか、それともただの羞恥心からか。それは分からない。

 

「じゃあ俺が勝ったらハグするね!後ろから!」

 

「は、はいっ!?」

 

「その時()()()()触っちゃうけど良いよね!事故だよ事故!!」

 

「な、な、何故に!?」

 

「いっちゃんだけ勝ったら何か貰えるとか不公平だろ?なら俺も同じ条件じゃないと!」

 

「いや、確かにそうかもしれませんが……!!と言うか何故後ろからなのですか!?」

 

「えっ?そりゃハグした時に回した腕がイロイロ当たる予定だからだけど?」

 

「ふ、不埒者!不埒者!」

 

 ポコポコと両の拳で叩かれる。地味に痛い。

 そのまま気のすむまで叩かれ続けると、不意にピタッと止まる。

 

「わ、私が勝てば良いのです。私が勝てば……」

 

「ま、そう言うことだね。ハグハグするのを楽しみにしてるよ」

 

「余裕綽々でいられるのも今のうちだけです」

 

 ニッと不敵に笑えば、同じようにニッと不敵に笑ういっちゃん。やだ、キュンと来た。そんな表情出来るのね貴方。

 

「……それで、聞きたい事って幾つか有るんじゃないの?」

 

「あ……そうでした。……色々と衝撃があってほとんど忘れてしまいました」

 

「なんだそりゃ」

 

「あ、一つだけ……」

 

「んぅ?」

 

 

 

 

 

「何故に詭弁さんは控え室Aにいらっしゃったのでしょうか?詭弁さんの控え室は恐らくBの方だと思うのですが……」

 

 

 

 

 

「ウッソだろ!?控え室って二つあったの!?」

 

「気がつかなかったのですか……」

 

「戦う前の談話時間だと思ってた……い、今から向かって間に合うかな?」

 

「試合開始予定の1分前ですが……」

 

「……よし、こうなったら同じ場所から出よう!なんかもうそっちの方がインパクトあるし!」

 

「……まあ、致し方無いですね」

 

 そうしてグダグダのまま試合場に二人で向かった。

 プレゼントマイクにめっちゃ野次られた。

 




一級フラグ建築士のお手前、お見事でした。
まあ塩崎ちゃん可愛いから許してね!!!

詭弁はなにかとモテるから、そういうフェロモン的な何かが出てんじゃないかって男子達の噂になってるんだ。そして稀に詭弁のことが気になる男も居るんだって。-まっちゃん


もう毎話2000字以下で良いような気がしてきた。良いよね!良いよね!
答えは聞いていない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

容赦ないですよ!ヤオヨロちゃん!

本日三回目ェの更新!!爆速ターボ!!
詭弁くんの戦闘シーンはカット。

ちなみになんですけどぉー、この小説でぇー、主人公(緑)の覚醒シーンとかぁー、紅白饅頭の覚醒シーンとかぁー、ご期待なさってる読者様はぁー、感想欄に好きなおっぱいのサイズを書いてぇー、ブラウザバックした方がいいですよぉー?(クソ煽り)


 

「危なげなく勝利を納めたぜ!」

 

「全身ズタボロだったじゃねぇか」

 

 男には、意地でも立たねばならん時があるんですたい。

 皆さん客席からこんにちは!一回戦無事突破しました詭弁ですっ!なんか血が足りなくて変なテンションだけど気合い!入れて!行きます!!

 

「あっ、やっぱしんどい……」

 

「あーもー無理すんなっての。ほら、肩貸したげる」

 

「肩より膝を……」

 

「調子のんな馬鹿」

 

 今日もジロちゃんは平常運転。こういう時ヤオヨロちゃんなら膝を貸してくれるんだろーなー。

 

「刺されたいの?」

 

「堪忍してつかぁさい」

 

 物凄い目で睨まれた。こわっ。タシケてつーちゃん。

 

「つ()ちゃんと呼んで」

 

「……つぅゅちゃん」

 

「ケロ、詭弁ちゃんって言葉の個性持ってるのに時折滑舌悪いのね」

 

「深く傷つきました、訴訟も辞さない」

 

「膝なら貸してあげるわよ」

 

「つぅちゃんだいすきー」

 

 颯爽と膝枕に借りるが、なんかネトッて感触がする。流石カエル。

 

「ウォーターベッドみたいで独特ですね」

 

「ケロケロ、家族にも好評なのよ」

 

 そしてずっと凄い目を向けてくるクラス最小がいるが、さっきのジロちゃんの足元にも及ばないので無視する。

 

「……つゆちゃんって、よくまあ()()()()相手に出来るね」

 

「背の大きい弟みたいなものよ、ケロケロ」

 

「聞いたか非モテ男子共。これが俺流モテテク、相手の弱点を突く!一回懐に潜り込んだらこっちのものよククク…………ちゅぅゆちゃん、俺の首はそっち方向にもう回らないですわ。待って、待って!まわ、回らないから!!回らないから待って!!!」

 

「そろそろヤオモモちゃんと轟ちゃんの試合が始まるからしっかりとしなさい?」

 

「あーい」

 

 ほんまつーちゃん姉みが強い。可愛い。太もものもちもち感を楽しみながら中央のフィールドを見る。前がとーちゃんで助かってるよほんと。

 

 

 うん、なんかとーちゃんから視線を感じる気がするけど気のせいね!

 

 

 

 

 

『さーーあ皆さんお待ちかね!次の試合はなんとA組の推薦組対決!!!騎馬戦では同じ仲間だったがトーナメントの非情な組み合わせが牙を向く!!フィールドを一気に凍らせた大出力!轟焦凍!!VSあらゆる物質を生み出すA組のクイーン!八百万百!!』

 

「……お前相手に手加減は出来ねぇ。悪いな」

 

「もう勝った気でいるのですか轟さん。貴方の……その半分の力だけに負けるほど私は弱くないですし、負ける気もないですわ」

 

「っ……テメエに何が分かる……!オレは、氷の力だけで勝つ……!」

 

「そうですか。……まあ、貴方の事を気に掛けて欲しいという詭弁さんの願いは聞けそうにありませんわね」

 

「……あのお節介野郎になんの関係がある。氷の力だけで一位を獲る……!」

 

「……そうですか」

 

『お互い気合い万端!レディィィィ……スタートッ!!!』

 

 

 試合開始直後、観客席を越えてスタジアムの外まで出るような大氷結が観客の()()()()の視線を集める。

 

「お"っ!?嘘だろ!?なんだあの威力!!ヤオモモ死んだんじゃねえか!?」

 

「勝手にヤオヨロちゃん殺すな。いやー、一瞬の勝負でしたね……ど、どうしたちゅーちゃん」

 

「か、カエルは寒いのが苦手なの……」

 

 ぺっとりと俺に抱きついてくるつーちゃん。密かにおっきな弾頭が俺を包む。んーベネ!

 

「ま、マジかあ……ヤオモモ気合い入ってたのに一回戦負けかぁ……」

 

「んなぁに言ってるんだみーちゃん。負けたのはショーちゃんだぜ?」

 

「……んぇ?」

 

 

 

「……あ?何が……」

 

「開始直後、貴方が氷結で決めに掛かるのは予測出来てましたわ。……少々ズルいですが、試合開始前からジャージの下で防寒着を作ってました。そして開始後、貴方の攻撃に合わせてこちらも攻撃させていただきましたわ」

 

 

 

「ヤオヨロちゃんなら腕を銃身に見立て、そこから銃弾を飛ばすなんてお茶の子さいさいサイゼリアな訳よ。後は弾丸はゴム弾なり麻酔弾なりにすれば、大抵の相手は一撃でノックアウト。A組最強は轟?爆豪?馬鹿言っちゃいけないねぇ、最強はヤオヨロちゃんだよ。その気になれば、音速を越える攻撃が出来るんだ……誰が避けられる?」

 

 いや、もう本当にヤオヨロちゃんがヒーロー志望で良かったよ。もしヴィラン堕ちなんてしたら、どんな厳重な警備態勢の中でも楽々要人暗殺できるんだもん。おー怖い怖い。

 

 

 

 

「でも何より怖いのが、ヤオヨロちゃんに次当たるの俺ってことなんだよね!!!いずくちゃん!なんか対策練って!!!お願いします!!!」

 

「ええええ!?」

 




赤評価!!赤評価だよ赤評価ァ!!!
というわけで仕事の合間合間に書いて投稿。真面目に仕事しろよ。

 今日のコレでクラス最強はヤオモモに決まったけど、実は腕から直接銃弾を撃つのは、大砲を体外に作り出して使うよりも凄い燃費が悪いんだって。何でかは知らない!-みーちゃん

頑張って1日3話更新したんだから読者は3回感想書け。ほらはよ(外道)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

だってたまにはカッコいいとこ見せたいじゃん!

書きたいところだけを書く幸せ♥️
少しシリアスも書きたいところ。


 いやーもー参ったねーこりゃ。どうやって銃撃を回避しようか。

 ……と、今度こそ自分の控え室に座って、ヤオヨロちゃん対策を練る。勝ったらヤオヨロちゃんとおせっせという煩悩に満ちた頭で勝てるかいな。

 

 と、突然控え室の扉がノックされる。誰か応援に来てくれたかな?と思って扉を開けるとニコニコ笑顔のヤオヨロちゃんが立っていた。

 閉めた。

 

 

 トン、トン、トン。

 

 

 待って待って待って!今これ下手なホラーゲームより怖い状況なんですけどぉ!?誰か助けて!

 

 

 トン、トン、トン。

 

 

 出ますからノックやめぇ!

 がちゃりと扉を開けると、やっぱりニコニコ笑顔のヤオヨロちゃんが立っていた。

 

「どしたんヤオヨロちゃん」

 

「私を名前で呼ぶ心の準備は出来ましたか?」

 

「んおぅ、もう勝った気でいやがるんですかね」

 

「はい」

 

 なんていい笑顔で言い切りよるん?あーたそんな性格でしたっけ?

 控室の長椅子に拳一つ分空けて座る。ニコニコ笑顔のままのヤオヨロちゃんが俺の頭を押さえ、いっそ強引なまでに自身の太ももに押し付ける。

 

「……ヤオヨロちゃんや」

 

「蛙水さんとのやりとり、見えてないと思ってましたか?」

 

 怖い。いや、嬉しいんだけどね?肝心なのは何で皆の前でも同じような態度を取らないのって事。

 強引な膝枕と、頭ナデナデのコンボにK.O.寸前。あ~ダメになるんじゃぁ~。

 

「……ここに来る時に、塩崎さんに会いましたわ」

 

「んー……」

 

「『負けません』と、一言。……さて、何のことでしょうね?」

 

「……おー」

 

 いっちゃんは一回戦で俺が倒した。それでもヤオヨロちゃんに『負けません』ってのは……まあ、そういう事なんだろう。俺としては色んな女の子にちょっかい掛けるのはライフワークというか因果というか業というか、そういうアレなんだが。

 

「『また泣かせることになるなぁ』ですか?」

 

「ははは、面白い冗談だ。今更もうそんな事思わんさね」

 

 まあロクな死に方しないだろうとは思ってるが。

 

「……詭弁さん。私は、強くなりましたか?」

 

「んぅ。(つよ)く、そして(したた)かになったな」

 

 昔に比べりゃ、本当に成長した。……いや、別人のように変わった。俺が変えてしまった。

 

「後悔しないでください。私は貴方に救われ、自分の意志で此処に居るのですから」

 

「んな大げさな。俺が居なくてもヤオヨロちゃんは此処に居ただろうよ。ヤオヨロちゃんは優しいし、正しいと思った事に全力を尽くすのは前からだったんだから」

 

「……今日、貴方を超えていきますわ」

 

「俺の前を歩かせるんにゃぁまだ早いなぁ」

 

 悪い方向に変えてしまったのなら、最後まで責任を取らなきゃぁ……()()()()になっちまうよなぁ。

 

「……さあ、そろそろ時間だ。ヤオヨロちゃんも自分の控室に戻りな。一回戦の二番煎じは観客も飽きちゃうぜ」

 

「はい。……全力で行かせてもらいますわ」

 

 ばたん、と扉を閉めて行った。

 ……さて、俺も()()でいこうか。

 

 

 

 

 

『決勝トーナメント!最初の試合を勝ちあがった二人の登場だ!!一回戦を血だらけになりながらも女の子相手に怪我をさせる事無く場外に叩き出した意外な紳士!詭弁!VS大氷結を受けた上で相手を一撃K.O.!無限の可能性を見せつける!八百万!両者準備は良いかァァ!!?レディィィィ……スタートッ!!!』

 

「左いいいいいい!!!!」ドンッ!!!

 

 銃声の直前に会場全体が震えるほどの大声で叫ぶ詭弁。亜音速で放たれたゴム弾は正確な狙いで詭弁の眉間に直撃……することは無く外れた。

 

「よ、避けた!?」

 

「違う、狙いを外させたんだ……!言葉で……!」

 

 

「……やはり一筋縄では倒れてくれませんか」

 

「んったりめえだろうが」

 

「でしたら催涙ガスは如何でしょうか!」

 

 八百万の両手から大量のガスが散布され、一気にフィールドを覆い尽くす。

 

「ふ、ふぁ、ふぇっくちゅん!!」

 

((( ミッドナイトのくしゃみ可愛い )))

 

 観客の心が一つになった瞬間、再び会場全体が震えるような大声が響く。

 

「俺は怪力!俺の両腕は岩よりも硬い!」

 

 ドガン!と大きく硬い物が砕かれる音が鳴り、フィールドの中心から暴風が巻き起こって催涙ガスが会場全体に散らされる。

 会場のあちこちから大きなくしゃみや咳が響き、観客は試合を見る事が出来なくなるがそれでも状況は移り変わっていく。

 

 

「相変わらず何でも出来ますのね!!」

 

「出来る事しか出来ねえよ!」

 

 詭弁はセメントスが作ったステージを大きく割り、その巨大な破片を担いで振り回して催涙ガスを吹き飛ばした。更に小さい破片を足で蹴り飛ばし、八百万が催涙ガスを散布すると同時に着けてたガスマスクの装着ベルトを的確に撃ち抜いて切り落とした。

 八百万の個性:創造は生物以外なら何でも作ることが出来るが、無尽蔵に作ることは出来ない。初撃とガス散布で既に自身の許容量の半分近くを使っている。だが、逆に言えばまだ半分残っているのだ。

 地面に転がすように閃光弾を創造し、同時に遮光グラスを作ってかける。

 シュボッ!

 閃光弾が炸裂し、強烈な光が放たれる。

 八百万はすぐさま無反動砲を創造し、対ヴィラン用の捕獲ネット弾を装填して詭弁に向けて発射した。

 詭弁は担いでいたステージの破片を盾に閃光弾を回避し、そのまま破片を捕獲ネット弾に投げつける。

 バァンと弾がハジけ、ネットが広がるがその先に既に詭弁はいない。

 詭弁は自身の足からミシミシと骨が悲鳴を上げる音を聞きながら高速歩法で八百万に接近、勢いそのままに腹部に掌底を叩き込む。

 八百万は敢えてその一撃を見逃す。掌底は狙い通り鳩尾に入るが、そこにピンポイントで防ぐように鋼鉄の盾が創造されていた。

 

「一手ッ!」

 

 伸びた八百万の左手から手錠が創造され、ガシャリと詭弁の右手に繋がった。

 

「それは悪手だろぉ!」

 

 怪力そのままに、手錠ごと八百万を振り回して意識を奪おうとする。筋繊維がブチブチと音を立てるが、その音が聞こえないかのように詭弁は振る舞う。

 強力に振り回された八百万は、強いGによって頭から血の気が引いていく。なんとか気を強く保って気絶しないように耐えるが、ミシミシと全身が悲鳴を上げる。何かを創造しようにも、創造のためには思考が必要だ。思考に割くだけの血が圧倒的に足りない。

 筋繊維が断裂していく詭弁と、頭から血が引いていく八百万。我慢比べはギリギリで八百万に軍配が上がった。ほんの僅か、回転速度が緩まった瞬間に繋がっていた手錠を破壊し離脱した。

 ふらふらと足取りがもつれるが、仕切り直しと言わんばかりにもう一度対ヴィラン用捕獲ネットの射出をしようとした瞬間、巨大なステージの破片が飛んで来た。

 

「っ!?」

 

 転ぶ様に避ければ、避けた先にも礫が飛んでくる。自身の身を隠せる程度の大きさの強化プラスチック盾を作り、礫の飛ぶ方向に対して斜めになるように防ぐ。まだ頭に血が戻ってきてないのか、ふらつく身体を抑えた瞬間、車に轢かれた様な衝撃が八百万の身体を走る。

 受け身を取りながら見れば、体重を乗せた前蹴りの姿勢で立っている詭弁の姿が見えた。

 八百万が場外ギリギリのラインで立ち直れば、詭弁は再度ステージの破片を担いで飛びかかる様にして突進してくる。詭弁は既に誰が見ても満身創痍で、立っているのもやっとな筈だというのに一切弱さを見せない。

 

「ハハハハハハハ!!!」

 

 大きな声で嗤いながら大きな破片を投げる。八百万に避ける場所は無く、すぐ後ろは場外。受ければその質量によって後ろに叩き出されるだろう。なら、受けなければ良い。八百万は腕を砲身に見立て、無反動砲を放つ。放たれた砲弾とステージの破片がぶつかり合い、互いに弾かれる。

 今度は八百万の方から詭弁に接近する。詭弁は握り拳で迎え撃とうとしたが、ビクリと身体を震わせて止まった。

 

「っ……すみません!」

 

 八百万は手に創造したスタンガンを持って詭弁に押し当てる。バヂッと電撃が流れ、詭弁はそのまま意識を失った。

 

 

「ふぇっくちゅん!しょ、勝者!八百万さん!!」

 

 くしゃみや咳混じりの歓声が会場を包む。

 

 

 

 

「……次は、次こそは……貴方の優しさにつけこんだ勝利ではなく実力で勝利をもぎ取ってみせますわ」

 

 




セクハラ無いやんけ!
でもたまのシリアスがギャグパートを盛り上げるスパイスになるってばっちゃ(ゴリラ)が言ってた。


詭弁君は必殺技を幾つか持っているんだ。聞いた相手を僅かの間錯乱させる『覇声(ばせい)』。自分、或いは相手に向かって放った言葉によって深くそう思い込ませる『嘘八百万(うそはちミリオン)』。後は能動的に火事場の馬鹿力を引き出す『覚声(かくせい)』。緑谷君みたいに自爆覚悟の切り札だ!近接戦闘は不得意だと言っているが、クラス内でも指折りの実力者だと思うぞ!-てんちゃん

大声で嗤う事で脳内物質ドバドバ、セルフ麻酔状態でバーサーカーモード。でも下手に人を殴るとあっさりと骨折させちゃうので人を殴れない。
ヒーロー足るもの、おもいっきり人を殴れないとですね!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

祭りは終わりですよ!ヤオヨロちゃん!

おらっ!連投!(tntn亭)

ヤオモモちゃんが勝つのは既定路線でした。

だって1話と2話ではモモちゃん呼びだったのに3話以降はヤオヨロちゃん呼びだったからね!伏線ってヤツよぉ!!


「……知らない天井だ」

 

「ハイハイ嘘おっしゃい。一回戦の後でも見たでしょうに」

 

「言われてみれば一回だけ見た天井だ」

 

 ここは多分リカバリーガールの出張保健室だろう。視界が霞んでいてよく分かんないが。

 そして全身が動かない。まるで石で固められているかのように……いや、マジでコレ石で固められてるな?

 

「へぇいリカバーちゃん」

 

「ちゃんとリカバリーガールと呼びな!」

 

「リカバリーガール。何で俺こんな拷問服みたいにガチガチ固められてるん?」

 

「アンタが自分に『嘘』をついて無理矢理動こうとしてるからだよ。全く、一日で二回も全身の筋肉ぶっちぎる奴が何処に居るんだい!」

 

「多分リカバーちゃんの目の前」

 

「トイレくらいなら行かせてあげようと思ったけどその気づかいも不要そうだね」

 

「この若さで尿瓶は辛いっ!?スンマセンッシタァ!!」

 

 背中が痒い。

 

「……リカバリーガール。俺、どんくらい寝てました?」

 

「大体3時間って所だね。もうとっくに体育祭は終わってるよ」

 

「……優勝は」

 

「アンタの彼女さ」

 

「いやぁまだ彼女じゃないんすけどねぇ~!やっぱ周りから彼女に見えますか~!」

 

「なら名実共にさっさとくっつきな」

 

「……ま、俺はそれでもいいんですけどねー。ほら、ヤオヨロちゃんって意外と男らしい所あるのよさ」

 

「知らないよそんな事。まったく……セメントス!四肢の固定だけ残してあと外してやりな!」

 

「おや、もう大丈夫なんですか?」

 

「こんだけベラベラくっちゃべる程元気なら大丈夫だよ!詭弁、分かってるとは思うけど無理に動かそうとするんじゃないよ!関節がバラバラになりたくなきゃね!」

 

「そこまでヤバいの俺!?」

 

「冗談無しに死ぬ一歩手前だったよアンタ。どんだけ元気余ってるんだか……」

 

「ハハハ、人間死ぬ気になれば何でも出来るってね」

 

「……詭弁、アンタはまだ若いんだ。簡単に命を捨てようとするんじゃないよ」

 

「……簡単じゃないよ、命を捨てるのは。俺の代わりに、俺の命を拾おうとしてくれる人が居るんだからさ」

 

「なら、せめてその子に余計な心配かけさせんじゃないよ。全く……さあ、もう帰りな。アンタは明日休みだけど、アタシらは明日も忙しいんだ!」

 

「……あー……なんか、スンマセン」

 

「いいからさっさと帰りな!」

 

「へぃ。治療ありがとうございました」

 

 

 

「……はぁ~。難儀なモンだねぇ」

 

「そうですねぇ」

 

 

 

 

 学校の中から校門に向かう最中、松葉杖を突きながら日が沈んでゆく世界をえっちらおっちら歩いて行く。

 

「いて、て……んぉ、凄いLINE通知」

 

『無事?』

 

『生きてる?』

 

『死ねカス』

 

「名前を見なくても誰か分かるLINE通知。『黄泉の国からこんにちは』っと」

 

『オレがブッ殺すまで勝手に死ぬんじゃねえクソ口野郎』

 

『生きてた』

 

『後遺症とか大丈夫!?』

 

「既読速度マッハかよ。やっぱアイツ面倒なツンデレだわ。『明日休みってマ?』」

 

『マ』

 

『体育祭の打ち上げやるけど来るよな?』

 

『詭弁は安静にさせてやれよ……』

 

『体育祭で唯一死にかけた男』

 

『家族がテレビでみてたけど詭弁の試合だけ放送事故レベルだったみたいね』

 

『寝てたから知らんけどいずくちゃんの試合は?』

 

『お前の試合よりマシ』

 

『比較する時点で……』

 

『今行きます』

 

『んで体育祭の打ち上げって何処でやるん?』

 

『駅近の広いカラオケ』

 

「詭弁さん」

 

「んぅ?おお」

 

 スマホから視線を上げれば、いっちゃんこと塩崎茨が薄い微笑みを浮かべ校門の前に立っていた。

 

「……歩きスマホはいけませんね」

 

 スッと自然な流れで俺のスマホが取られた。まあ確かに歩きスマホしてた俺が悪いな、うん。

 

「怪我は……大丈夫でしょうか?」

 

「んん~……まあ歩ける程に回復してもらったし大丈夫だろう」

 

「そうですか。良かった……。試合後すぐに様子を見に行ったのですが意識不明の面会謝絶と……」

 

「寝てただけで大袈裟だぜ。……ま、心配掛けたね」

 

「ええ本当に」

 

「そこはとんでもないとか言うところよ?……っつ」

 

「詭弁さんっ」

 

 腕の痛みで松葉杖を落としたら、すぐに支えに来てくれるいっちゃん本当に優しい。唯一固定されてない指先でさりげなくぱいたっち。

 

「まったく、無理をしないで下さい」

 

 困ったように眉を下げて笑いかけるいっちゃん。ヤバいなんか罪悪感。

 

「……仕方ありませんね。詭弁さんのお家まで一緒についていきましょう」

 

「ははは、気持ちは嬉しいが駅前まででいいよ。体育祭の打ち上げやってるみたいだし」

 

「貴方そんな身体で参加するつもりですか?」

 

 スン、といきなり無表情にならないで?ムニムニと指で頬を突っつく。

 

「……あの?」

 

「ははは、病は気からと言うだろ!こんな怪我でも笑い飛ばせばなんてこと無いさ!明日しっかり休んで気力を回復して、明後日またリカバリーガールに治療して貰えばいい!」

 

「……はぁ、聞き分けの悪いお方……」

 

「それに約束、忘れてないからな?」

 

「っ……!ほ、本当に行うのですね……」

 

「おー、両手のコレ外せるようになったらすぐにでもハグハグしようずぇ!」

 

「ぅ、す、すぐにはちょっと……せめて1日ほど猶予を……」

 

「ん?……ああ!大丈夫大丈夫!午後に戦闘訓練とかある日を狙って、放課後に汗の匂いむんむんのいっちゃんを抱きしめるから!」

 

「な、何が大丈夫なのですか!!?」

 

「はっはっはっはっ」

 

「ほ、本当にやめてくださいね!?」

 

 駅に向かって歩きだしたら、肩を支えるように隣を歩くいっちゃん。既にいい感じに汗の匂いが漂っていることにはまだ気がついてない。いいねしました。

 

 ふ、と気がつけば、正面に凄いニコニコ笑顔のヤオヨロちゃんが立っていた。

 

「……無事なようで安心しましたわ。ええ、本当に無事なようで」

 

「んぉう、心配かけたね。優勝おめでとう」

 

「……はい、頑張りましたわ!約束、覚えてますでしょうか?」

 

「ん、勿論。強くなったな……モモちゃん」

 

「はい、貴方のお陰ですわ!……それでは塩崎さん?私と詭弁さんは家が同じ方向ですので代わりますわ」

 

「いえいえ、八百万さんも連戦でお疲れでしょう。一回戦で負けて、体力が余っている私にお任せください」

 

「大丈夫ですわ、既に近くまで執事が迎えに来てますもの。車で詭弁さんの家まで送り届けますわ」

 

「車でしたら私も一緒に乗れそうですね。私が詭弁さんの看護を致します。こう見えて何度もボランティアで経験していますから慣れたものですよ」

 

「うふふ、それこそ大丈夫ですわ。家の執事はそういった事のプロフェッショナル揃いですから、素人よりも質の良い看護が出来ますわ」

 

「えー、折角ならナース服着たいっちゃんとモモちゃん見たいなー!」

 

「「詭弁さんは少し黙っていてください!」」

 

「だぁが断る!病は気からって言っただろ?多分ナース服着た二人見たら一発で治る気がするなー!見たいなー見たいなー!!……っつ」

 

「っ!ああもう急に大声を出すから……仕方ない人ですね本当に」

 

 いっちゃんとは反対側を支えてくれるヤオヨロちゃん。おっきいおっぱいが当ててんのよ状態で俺の詭弁さんが起立しそう。

 

「い"っつつ……はぁ、流石にコレで打ち上げ会に参加は無理か……」

 

「さ、参加するつもりでしたのね……」

 

「おぅ、常に楽しくがモットーなもんで」

 

「初めて聞きましたわ」

 

「今考えたからな」

 

 そのまま二人に支えられ、本当に迎えに来た黒塗りの高級車の中に押し込められる。そのまま両隣を抑えられたまま車は発進する。

 

「……ってか、ノリでそのまま付いてきてるけどいっちゃん、家族に連絡とか大丈夫?仮にも男の家に行くのに連絡無しはまずくない?」

 

「お気遣いありがとうごさいます。それでは少し連絡させていただきますね」

 

 そのまま小さい声で電話し始めたいっちゃん。……なんかしっかり『男性の家に泊まる』だとか『彼氏か』とか『まだそうではない』とか聞こえるんですけどー。

 

「詭弁さん、私のお父様が詭弁さんとお話をしたいようです」

 

「えー」

 

 いや、もう本当にえーだわこの状況。そのままいっちゃんに携帯を支えて貰って電話に代わる。

 

「えーもしもし、お電話代わりました詭弁です」

 

『娘を傷物にした責任は取って貰いますからね』

 

 物凄い丁寧な口調なのに怒り全振りなのが分かる声色でしたとさ。

 

「えーと、傷物も何も、体育祭でも怪我しないように丁重に場外に叩き出しましたし、それ以外でも娘さんに手を出すような事はしてないのですが」

 

 軽いオサワリは手を出すの範囲外です。

 

『なっ……貴様、娘が可愛くないと言うつもりか!!!』

 

 うわーお色んな意味で面倒なタイプのお父様ですね。

 

『ここで決めて貰います。娘を娶るか腹に穴が開くかの二択です』

 

「電話口でまさかのショットガンマリッジ!?」

 

『黙れ小僧!丹精を込めて育て上げ、今まで男に興味を持たなかった娘がいきなり男の話題を出したんです!!これで何もない訳が無いでしょう!!』

 

「いやぁ、高校に上がり周囲の環境の変化で男性に興味を抱く事なんて普通の事では……?むしろ同じ女性に興味を持つより一般的だと思うのですが」

 

『ならば何故いきなり男の家に泊まりに行くことになるのです!!男の家に泊まって、そういうことが起こらない訳が無い!!』

 

「偏見がすごーい」

 

 流石にこの両手脚で間違いは起こらないんだよなぁ……もし完治してたら間違いは起こるかもだが、多分ヤオヨロちゃん以外に家に連れ込んでそういうことを起こそうとしたらヤオヨロちゃん家の執事に消される。多分というか、絶対。

 

『茨も昔はお父様と結婚しますわとそれはもう目に入れても痛くない可愛さでした』

 

「いっちゃんが小さい時でもそんなこと言うとは思えないのですけど」

 

 小さい時から『汝隣人を愛せよ』を体現してたと思います。偏見だけど。

 

『反抗期らしい反抗期も無く、小学校でも自ら進んで学級委員に立候補したり、生徒会長となり学内の不正を正したり、学校で行われてた不祥事を摘発したりとそれはもう立派な人間でした』

 

「小学生で!?」

 

 俺が小学生の頃はヤオヨロちゃんのおっぱいを触ることしか頭になかったぞ。いや、それもどうかと思うけど。

 

『ともかく!貴様のような何処の馬の骨とも知れぬヤカラに大事な娘はやれん!!』

 

 電話の声が聞こえてたのか、携帯を支えていたいっちゃんがまた代わって話す。

 

「何処の馬の骨ではなく、詭弁答弁さんはかの有名な弁護士の一人息子ですよ、お父様」

 

『ええい茨!男の大事な話に割って入るんじゃ……何、詭弁と言いましたか?』

 

「はい。叩き上げの弁護士、詭弁勉号先生の一人息子です」

 

『……さっきの男に代わってください』

 

「……えー、代わりました、詭弁です」

 

『娘をよろしくお願いします』

 

「いや待って」

 

 素晴らしい手のひらクルーに感心するがそれはそれでまた話がややこしくなる。

 

『家の娘は何処に出しても恥ずかしくない娘です!詭弁先生の一人息子なら、これ以上のお相手も居ない!どうか、娘を幸せにしてやってください……!おい、茨についに彼氏が出来たぞ!本当ですか!?あぁ……あの茨に彼氏が出来るなんて……!

 

「凄い勢いで外堀が埋められていく!だからいっちゃん……茨さんとはまだそういった関係ではなくてですね!?」

 

『娘も本気でプロヒーローを目指している身!高校を卒業したら、すぐにでも貴方に相応しい立派なレディになるでしょう!』

 

「いや、あの、俺もプロヒーロー目指してますんで……」

 

『お電話代わりました、茨の母です。茨にはもしもの時のためにゴム製のお守りを持たせております。……万が一の時は、家で育てる準備も出来ていますので遠慮無くご相談ください』

 

「信頼度凄いなっ!!親父は塩崎家に何した!!?や、だから茨さんとはそういった関係ではなくて……マジか切れやがった!」

 

「ふふ、お父様もお母様も大はしゃぎでしたね」

 

「なんと言うか、話の聞かなさが娘に遺伝しなくて良かったな……ところで、ゴム製のお守りがどうのとか言ってたけど……」

 

 するとその言葉でいっちゃんがピタッと停止し、見る見るうちに顔が真っ赤に染まる。耳も首もとも赤く染まった。

 

「使ったことはありませんが、使用方法は勉強しましたので大丈夫です……」

 

「使わねえよ!!?」

 

「つ、使わないんですか!?」

 

「ごめんそういう意味じゃない!!」

 

「そ、その……今日は危険な日ですので使用して頂けると……でも詭弁さんがどうしてもと仰るなら……」

 

「ん”ん”~~遺伝してるじゃぁ~ん!」

 

 頭を抱えて悶絶してると、横からふぅー、と風船が膨らむような音が聞こえた。

 思わずそっちを確認すると、バナナ型の細長いゴム風船を膨らませているヤオヨロちゃんがニコニコ笑顔でこっちを見ていた。

 

「私が居る限り物資不足はあり得ませんわ」

 

「うん、分かったからソレしまってくれない?使わないから。使うような状況にならないから」

 

「うふふ。ところで詭弁さん、勝負のお話覚えてますか?」

 

「いや、まあ覚えてるけど……」

 

「その時詭弁さんは、『俺が勝ったらヤオヨロちゃんとおせっせ』って言ってましたね」

 

「ん、ん~?そんな事言ったかなぁ~?」

 

「私、調べたんですよ。『おせっせ』の意味を」

 

 はい死んだー。俺は今日死にましたー。HDDは全消去しておいてください。

 

「詭弁さん。溜まっているというやつでしたら、素直にそう仰っていただければ良いのに」

 

「い、いやぁその、ね……いわゆるジョークって奴でしてぇ……」

 

「そんな事を冗談でも言ってしまう方の家に、女性が寝泊まりする?うふふ……それで本当に何も起きなかったら、それこそ冗談というものでしょう?」

 

「……助けて運転手の方!」

 

「責任とってお嬢様と結ばれてください」

 

「四面楚歌ァ!!」

 

「そ、その。こういう事は初めてですが色々ご指導お願いします……」

 

「詭弁さん。私たちが直々に看護してあげますからね?」

 

「待って!マジで待って!ウッソだろこういうのって俺のキャラじゃなくない!!?」

 

 

 暴走する女子二人に囲まれながら四苦八苦していたが、俺の家に到着した後一悶着あり、親父の言葉によって何とか事態は沈静化した。

 その後、普通に三人でお泊り会した。俺の純潔と二人の純潔は守られた。

 




清楚系「……ん」パルパル

はい、これで塩崎ちゃんも親公認になりました。素晴らしい手の速さだ素晴らしい。
ついでに投稿速度も素晴らしい。自画自賛。

さて、次はヒーローネーム、及び職場体験ですがぁ……なんも考えてねえ!

詭弁ってめっちゃくちゃ歌上手いんだぜ。音感も中々良いらしい。天はアイツに色々与えすぎだろ!不公平だ!-でんちゃん


なんと私初めて評価0を頂きました!評価ばっか気にしてんのはむしろ匿名投稿だからなんだよなぁ。
と言う訳で私の好きな色は赤です。言いたい事、分かりますよね?
という感じで感想もお待ちしてますんで!よろぴく。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺は一途を止めるぞージョジョー!

感想と評価が爆発して草草の草。なにがあったんだ。
評価は赤一色!いいですね~。
前回の後書きに書いた通りヒーローネームと職場体験が全く良い感じにまとまらないので、先にご褒美タイムとしましょうねー。


さて、マジで詭弁のヒーローネームどうしようか。


 自分のヒーローネームを考える時間が過ぎ、放課後に職場体験の行き先を考えながらリカバーちゃんの治療を受けた。

 

「ハイ、体育祭の時の傷はこれで完治だよ。全くアンタの体力はどうなってんのかね」

 

「肺活量メタクソ鍛えてるけど関係ありますかねぇ」

 

「肺活量だけで体力がつくか」

 

 今の俺ならどこぞの死刑囚の如く5分間潜水できるだろう。やった事無いけど。ってか泳げないけど……。泳げないのはヒーローとして致命的ではないかと思ったがヤオヨロちゃんに手取り足取り教えてもらえばいいよと脳内会議で即決採用されました。

 

~♪

 俺のスマホが鳴る。やっべバイブモードにしてなかった。

 

「んぃモシモシ。たった今保健室で治療完了、どーぞ」

 

『はぁ?いきなりどうした……まあいいや、今日は訓練室αが使えるからそっちに来てな』

 

「おーぃ了解。すぐに向かう……じゃ後で、あーい。あい、はーぃ……」

 

「引く手数多の様だね」

 

「えぇそりゃ、B組全員にガンガンアピールした甲斐があるってもんで」

 

 放課後になると、事前に予約した訓練室及びトレーニングルームが使えるようになる。その事を知って俺はすぐさまA組B組全員に俺の個性の有用性をアピールした。俺の個性によって応援され、強化される事で個性の伸びが違ってきたり、習熟度が格段に違ってくる。

 んまあ、他の奴等を出し抜く様で若干気が引けるが、俺も一秒でも長く個性トレーニングをしたい。だから俺自身が訓練室を予約するだけじゃなく、他の人に便乗する形で訓練室に入り浸るようになった。

 無論、強化されるのは個性だけじゃなく筋肉や身体捌き等も強化されるので、何かにつけて訓練室に俺を呼ぶのがセットになっている。俺的には大変良い結果に繋がっていると思う。

 

「ってなわけで訓練室αに行ってきますんで!」

 

「完治したとはいえ、また無理に身体をブッ壊すんじゃないよ!」

 

「分かってるってぇー!」

 

 訓練室αは確かここから結構近かったな。

 購買で買ったカツサンドを食いながら早歩きで向かう。

 

 

「はぁいお待たせぇー!ヒーローを支えるヒーロー『チャッティエイド』のお出ましよ!」

 

「……ああ、ヒーロー名か。チャッティエイド……まあまあいいんじゃない?」

 

「ん」

 

「詭弁さんらしくて良いと思います」

 

「そうか、良かったか。……じゃあこれを第一候補にしよう」

 

「決まってないのかい!」

 

 いつかちゃんの鋭いつっこみが額を貫く。割と痛い。

 

「いやぁ、だってヒーロー名とか全然考えて無かったんでさ。最初『トウベン』で良いと思ったけどダサいって言われて……俺の名前ダサいって言われて……」

 

「ん」

 

「んぅ、スマンのダイちゃん。んまぁ色々考えてる最中な訳」

 

「ふーん……ところで詭弁、職場体験は何処にするか決めた?体育祭の時かなり大立ち回りしてたし、やっぱ結構来てた?」

 

「んまぁ~割と。A組の中では多い方だったな。でも何処にするか決めてないんだよねぇ……やっぱランカーのミルコの所かなぁ」

 

「……ミルコさんは美人な方ですからね」

 

「うぇーいいっちゃん、俺が顔だけで職場体験の行き先を決めるような奴だとお思いですか?」

 

「ん」

 

「思います」

 

「……いつかちゃん?」

 

「否定できる材料無くない?」

 

「揃いも揃ってひでえや。んま~ぁ確かにオッサンの所行くより女性の居る所の方が良いけどさ」

 

「はいはい。折角訓練室借りられたんだからお話もここまでにしよう!じゃ詭弁!いつも通り頼んだよ!」

 

「うぃ」

 

 そうして始まる、個性を使った組手。俺はとにかく相手を鼓舞し、褒めて伸ばしながら相手の攻撃を避け続ける事で戦闘勘を養う。相手は調子のよい状態で個性を使い、自分の限界を伸ばす。

 飛んだり跳ねたり、当然相手の胸部装甲も跳ねまくるから大変眼福……いやいや、これは動体視力のトレーニングなだけでして。

 そうして一人息が上がってきたらすぐに次の人と交代。休みながらも伸びた個性を使い続けて鍛える。

 そんなトレーニングの中、唯一ひとりだけ一切息が上がらず、延々と動き続けられる奴が居た。そう、俺だ。笛を吹いて全員の鼓舞をしながら、迫りくる拳や脚を避け、視線は揺れまくる胸を捕らえ、個性を鍛え続ける。火事場の馬鹿力ではなく素の身体能力を鍛えて、いざという時の伸びしろにする。

 

「ゴー!ファイト!穿て!大拳!レッツゴー!」

 

「はっ、はっ、く……マジでスタミナお化けだな……!」

 

「はぁー、はぁー、……やはり流石……詭弁さんです……はぁー」

 

「ふぅ、ふぅ、ん……」

 

 はあはあ喘ぐ美少女三人に囲まれる俺。なんてご褒美!

 ……まあ、今日みたいな日は珍しいが。これが普段だったらはあはあ喘ぐ野郎三人に囲まれる俺ってなるし……精神的にキツイわ。

 そしてただ応援して伸ばすだけじゃない。時には発破をかけて、尻を叩いてプルスウルトラさせる事もある。……本当に尻を叩いている訳ではない。

 

「さあどうしたどうしたー!?そんなんじゃ混戦時に役に立てないぞー!」

 

「くっ……!素早いですねっ……!」

 

「ぜぇー、ぜぇー、腕が上がんない……」

 

「ん……」

 

 更には言葉で威圧することで、相手の行動や個性を抑制したりも出来るようになってきた。抑制された中でも個性を使う事で、今度は個性の底上げになるようだ。

 

「弱い!弱い!弱すぎる!!もっと早く!速く!疾く!!最小から最大になるまでが遅すぎて掠りもしないぜ!」

 

「はあっ、はあっ、ん!!」

 

「はー、はー、……また目に見えて変化したね……」

 

「この中では小大さんの個性が一番変化が分かり易いですから……。個性を鼓舞して強化したり、逆に抑制できたりと、本当に色々できますね……」

 

 そうして四人が部屋の中を動き回り、俺以外の全員がへばった所で俺も休憩する。息が上がらないとはいえ汗は掻く。スポドリを飲みながら俺なりに今日の動きを反省する。

 揺れる乳を見続けた所為か動体視力が向上し、避ける事がかなり出来るようになってきた。だが避けて反撃するまでのラグがまだまだ課題か。まあそもそもそんなに接近しないように立ち回るのが一番なんだが。うーんおっぱい使ってそんなトレーニング出来ないかな?

 そうして椅子に座って一息ついていると、隣にダイちゃんが座ってスポドリを飲む。この子もヤオヨロちゃん程ではないがいいおっぱいだ。

 

「はぁ、はぁ……ん?」

 

「何で女の子って汗かいてもいい匂いするんだ?」

 

「んっ!!?」

 

 ゲホゲホとむせるダイちゃんの背中をさする。背中も柔らかいとか狡くない?何が狡いのか俺も知らんけど。

 

「またセクハラしてる……」

 

「違うぜいつかちゃん。これは長年疑問に思ってたことがつい口からこぼれ出てしまっただけだ」

 

「アンタがどう思ってるかじゃなくて相手がどう思ってるかが重要なの!相手がセクハラと思えばセクハラだよ!」

 

「ははは、それならコレはただの友達同士のこゅみにけーしょんだから問題ないな!」

 

「女の子に汗の匂いの話を振るな!」

 

「俺は男女差別はしないんだ!女の子の汗の匂いの話はこの前も物間と話したぞ!」

 

「意外すぎるヤツとなんてこと話してるんだ!」

 

「なーダイちゃんなー、セクハラじゃなくて普通の友達同士の会話だよなー」

 

 ダイちゃんと肩を組んで仲良しアピールする。なーかよーしアピール。

 

「……ん」

 

「ほらダイちゃんもそうだってさ!」

 

「あーもーこのアホ!汗臭い状態で女の子に抱きつくな!」

 

「えっ、嘘、俺汗臭い……?」

 

「……ん」

 

 スンスンと匂いを嗅ぐダイちゃん。今まで汗かいてもそんな臭いとか言われたこと無いから、もし臭いとか言われたらかなーりショックなんですが……。

 

「……」スンスン

 

「……どう?臭くないよね……?」

 

「……」スンスン

 

「……小大さん?」

 

 

 

「クンカクンカクンカクンカ」

 

「うおおおお!!?なんかダイちゃんバグった!!?」

 

「ちょ、唯!落ち着きなって!」

 

 ダイちゃんに押し倒されて脇に顔を突っ込まれる。あまりにも予想外過ぎて身体に力が入らないままされるがまま。いーつかちゃーん、これこそセクハラではないでーすかー?

 わちゃわちゃしてるといつかちゃんがダイちゃんを引き剥がしに掛かるが、凄い力で抵抗する。お前何処にそんな力が……とか思ってると不幸な事故が起きた。

 

「あっ」

 

 床に落ちた汗によって滑ったいつかちゃんが俺に覆い被さるように倒れ、俺といつかちゃんの顔の距離が僅か数センチまで近づく。

 いつかちゃんの瞳に俺が反射しているのが見えるほどに近い。

 

「……」

 

「……いつかちゃんってリップ塗ってる?」

 

「っっっ!!!」

 

 顔を真っ赤にしながらバッタのように跳ねて離れるいつかちゃん。その反応は結構傷つくですよ?

 ちなみに支えるため、つい咄嗟に出した手はいつかちゃんのお胸をキャッチハート(物理)してしまってたが気付かれてはなかったもよう。すっごい柔らかかったです(語彙消失)。いっちゃんが凄いジト目をしてるからそっちにはバレてると思うけど。

 

 それとダイちゃんだが、いつかちゃんが咄嗟に出した腕の下敷きになった為気絶しました。

 

「あっ……ご、ごめん唯!!」

 

 気絶したダイちゃんを担いで、保健室に向かういつかちゃん。ほんま男前やでぇ。

 そして訓練室に残される俺と、凄いジト目のいっちゃん。

 

「詭弁さん」

 

 なんだろう。言葉に感情が感じられないよ。

 内心震えていると、ため息混じりに隣に座られた。

 

「八百万さんの気持ちが少し理解出来ました」

 

「今回は俺悪くなくない?」

 

「今回()?」

 

「今回()!!」

 

 あぶねー口が滑っ……なんでもない。

 凄いジト目だが、ふぃと視線が外され『まあ詭弁さんですし』みたいな顔すんのやめなはれや?

 

「そ、そういえばいっちゃんはヒーローネーム決めてある?」

 

「私ですか?私も特に良い名が思い付かなくて……『マリア』などどうか、と言われたりしたのですが……」

 

「『マリア』……慈愛の聖母……それ自分で名乗って恥ずかしくない?」

 

「少し……」

 

「……んまあ、プロヒーローってキャラも大事だし、しっかり考えな」

 

「詭弁さんが仰ると説得力が違いますね」

 

「そりゃあ歩く説得力と呼ばれているからな」

 

「歩く色欲の間違いでは?」

 

「はははこやつめははは」

 

 何も言えないとはこの事か。いきなりぶっ込んでくるいっちゃんも好きよ。

 

「あ、そうだ。体育祭のご褒美、今やっていい?」

 

「今!?じ、事前にお伝え下さいと申したではないですか!!」

 

「聞いたが、承諾した覚えは無いなぁ!敗者に権利など無いのだよ!!」

 

 椅子から飛び上がるように距離を取るいっちゃんだが、俺もまた追いかけるように椅子から飛び上がる。

 訓練室はそこそこ広いとは言え、追い駆けっこをするには少々狭い。あっという間に部屋の隅っこに追い詰めて、ジリジリにじり寄る。

 

「お、お待ちください!今は汗も引いておりませんし、それに匂いが……ふ、不衛生ですから!」

 

「ははは!分かってないなぁ!ハグハグは五感で楽しむもんだ!折角の匂いを洗い流すなんて勿体ない!」

 

「ご、五感で楽しむ!?私は何をされるのでございましょうか!?」

 

「そりゃぁ勿論誰にも見せられないような事さ!さあハグハグしようずぇ!」

 

「御無体な!お、お止めください!」

 

「やーめーない!」

 

 ぱっと抱きつき、俺を支点にくるりといっちゃんを回し、改めて後ろから抱きつく。いっちゃんの髪がチクチクする。

 

「あぁ……」

 

「ははは、いっちゃんも誘い受けが上手いなぁ。その気になれば個性を使って俺を拘束する事も部屋から逃げ出すことも簡単だったくせにー」

 

「うぅ……だっ、だって本当に嫌な訳がないじゃないですか……」

 

 後ろから抱きついているから表情は見えないが、長い髪から覗く耳が真っ赤に染まっている。

 

「てぇてぇなぁ!」

 

「あっ……!」

 

 うなじに顔を突っ込みいっちゃんの匂いを嗅ぐ。雨上がりの自然公園の匂いと女の子の匂いが混ざってもう凄い(語彙消失)

 

「うはぁ、いっちゃんの腰細いなぁ。ちゃんと食べてる?」

 

「ふぁぅ……か、身体は資本ですから……」

 

「腰細いけどおっぱい中々大きいよね。何カップ?」

 

「そ、それは……お許しください……」

 

「おへそはここら辺かなぁ~?」

 

「は、ひぁ……くすぐったいです……」

 

「いっちゃんって週に何回オナニーしてんの?」

 

「っ!?し、してません!!」

 

「ほんとにーーー???」

 

「ほ、本当にですう……」

 

「……ふぅーん?」

 

「あっ、詭弁さん、な、何をなさ……ひぁぁぁっ」

 

「嘘はイケナイなぁお嬢さん。俺の前で嘘八百はぁエンマサマに舌を抜かれるぞ?」

 

「ひぁ、ひゃめへふゃひゃぃ……」

 

「なら、正直に答えてごらん?何回オナニーしているかを……」

 

「ふぁ……ぅ、つ、月に二回程……っ!」

 

「いつからオナニーし始めたの?」

 

「うぅ……ち、中学一、年生の頃から……です……」

 

「ふぅん?じゃあオナニーのオカズは?」

 

「はぅ……それは……お許しくださ……ひぅっ」

 

「ちゃんと言ってくれないともっとおへそをイジメるよ?」

 

「ふぅ、ふぅ、ぅ……その……お、男の人に、縛られるのを……ふぁぅっ」

 

「ふーん、マゾなんだ。じゃあもっと強く締め付ける様に抱き着いたほうがいい?」

 

「あっ……は、はぃぃ……」

 

 いっちゃんの耳元で息を吹きかけるように言葉で攻めながらぎゅっ、ぎゅっ、と抱き締める。その度にいっちゃんがゾクゾクと震え、更に俺の心を悪い方向に倒していく。

 いっちゃんのジャージを捲り上げ、くびれた腰の中心にあるおへそを直に弄る。ぐり、ぐり、ゆっくり円を描く様に。指を動かす度に、後ろから抱きついている俺にもたれかかる様に全身の力が抜けてゆく。

 いっちゃんはトロォと溶けたような顔で虚空を見上げている。俺の中の悪い心が、更にいっちゃんを溶かそうと悪魔のような天啓を授けた。

 いっちゃんを強く締め付ける様に抱え、訓練室αに備え付けられた全身鏡の前に移動する。

 蕩けたいっちゃんが、鏡に写る自分の顔を見た瞬間に顔を赤くさせながら血の気が引いた。

 

「あっ……!ああっ……!そんな……止めてください……っ」

 

「ほら、鏡に写った自分をよく見なよ。男に締め上げられながらも恍惚とした表情を浮かべる自分をさ」

 

「い、嫌ぁ……こんな、嘘です……、あんまりです……」

 

「いっちゃんは本当にやらしいなぁ」

 

「ひぁ、ふ、はぁぁ……」

 

 いっちゃんにも見やすいように両手を使ってへその穴を広げ、指を入れて掻き回す。くにくにと形を変えるへそは、なんだかとても淫靡だった。

 

「あぁぅ……悪魔ぁ、詭弁さんは悪魔ですっ……」

 

「可愛い女の子にイタズラしたいだけさ」

 

 

 

 

「何やってんの……?」

 

 

 

 ゾッ。

 

 背中に感じたことの無い程に冷たい針が刺さったような感覚が走る。

 ぱっといっちゃんから離れて声のした方向を見れば、瞳に闇を携えたいつかちゃんが個性を発動していた。

 俺が離れた瞬間、いっちゃんがくにゃっと床に倒れ込んだが気にしてられない。俺は此処まで濃密な気配を感じたことが無かった。中学生の頃行っていたヴィジランテ行為の最中に出会ったヴィラン共やUSJに現れたヴィラン共なんて、所詮チンピラに毛が生えた程度の物でしか無かったと思い知らされた。

 

 

 俺は、今日、死ぬ。

 

 

 

「ねえ、もう一回聞くけど……

 

 

 

 何、やってたの?」

 

 

 

 

 意識を失う直前に見えたのは、人よりも遥かに大きな拳が迫ってくる光景だった。

 

 




「無理に身体をブッ壊すんじゃないよ……って言ったその日の内に来るかい普通……」
「なんでやろなぁ……」

そして更に後日ヤオモモにもオシオキ(頭蓋骨粉砕機の刑)を受けた詭弁くんでしたとさ。めでたし!!

途中『これは嘘をついてる味だぜ』と言わせたかったが流石に付き合ってないのに舐めるのはNG。
ヘソ姦は有りなのかだって?さあな。

雄英高校の生徒用訓練施設は幾つかあり、事前に申請することで生徒は使えるようになる。訓練室は少し狭いが、生徒3~4人が存分に個性を使う事の出来る丈夫な作りの部屋だ。トレーニングルームは更に広く、大よそ10人近くが個性を存分に使えるくらい広い。ただし監修の先生無しに利用は出来ない。他にも原則個性使用禁止の道場やスポーツジム等もあり、そっちは申請無しでも使用できる。譲り合って使おう。-めっちゃん

独自設定だから他所でデカい声で言うなよな!-みっちー


月に二回発情期が来るいっちゃんだが、今日この日を境に週4回ペースになったようだぞ!縄で縛られるのがお気に入りだが、両腕で強引に押さえつけられるしゅちゅえーちょんがアツいらしい!やったな!-クズ

また頭を粉砕されたいようですね-モモちゃん

止めて!-クズ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

おっすお願いします!んで何で俺を指名したんすか!

なんか日間ランキングに乗ったせいか評価がうなぎ上り!
評価も赤一色のままでイイゾ~コレ。

(最近ジャンプも単行本も読んでないって言える雰囲気じゃねえなコレ)


「コスチューム持ったな。本来なら公共の場じゃ着用厳禁の身だ。落としたりするな」

 

「はーい!」

 

「わーい!」

 

「返事は伸ばすな、『はい』だ芦戸」

 

 俺は!?

 

「一々反応しない。成程、相澤先生は合理的だな」

 

「どういう意味だめっちゃん」

 

「自分で分かってるだろう」

 

 思わず(´・ω・`)となった。お前、まるで聞き分けの無い子を叱るかのような……。

 

「モモちゃんは何処に行くんだっけ?」

 

「リューキュウ事務所ですわ!色々考えたのですが、やはり受けた指名の中で一番トップに近い方の方が学べることが多いと思いまして!」

 

 職場体験に気合が入ってるのか、さっきからずっとプリプリしてる。皆がヤオヨロちゃんを見る目が心なしか優しい。

 

「……ところで、結局詭弁さんは何処に行くのかを言ってくれませんでしたね……」

 

「ん?ああ。俺も何処に行けばいいのか分かんねえから」

 

「はい?」

 

「だから俺はこの駅から何処に行けばいいのか分かんないって事」

 

「……えー、と。冗談の類ではなくてですか?」

 

「おう。なんせ俺の職場体験先は『居たァーー!!!』声でっか」

 

 改札の内側から特徴的な耳を携えた、小麦色の肌で白髪ロング、赤眼の女性がズンズンと歩み寄って来た。

 

「よォ!お前が詭弁答弁か!テレビで見たよりタッパあるなァ」

 

「どうもミルコさん。テレビで見た時より脚ムッチムチですね。モモちゃんのくびれより太くない?」

 

 そう、彼女こそが俺を指名した中で最も強いヒーロー。『ミルコ』だ。俺と並んでると頭一つ分小さいな。

 

「き、詭弁お前ラビットヒーロー『ミルコ』から指名受けてたのかよ!!!」

 

「ラビットヒーロー『ミルコ』!単独でのヒーロー活動でビルボードチャートTOP10入りしてる、名実ともにNO.1女性ヒーローだ!詭弁君そんなところから指名貰えたなんて凄い!」

 

「(意外とちいせェ)」

 

「……詭弁さんは、()()()褐色肌がお好みですの……?」

 

「ヤオモモがまた闇を噴き出してる!?」

 

「……やはり?」

 

「あ、あ~、ミルコさん。何で俺に指名入れたんですか?」

 

「あァ!?お前が鍛え甲斐のありそうなサンドバッグっぽいからだ!」

 

 ミルコの周囲の時間が止まる。

 

「はい?さんど……?」

 

「テメェのオヤジには前に辛酸舐めさせられてなぁ……!今思い出しても腹が立って来た!」

 

 俺の親父は若きミルコに何をした。……いや、今も十分若いのだが。

 

「……いや、私怨なら親父に直接行けぇい」

 

「もう行った!アイツ枯れ枝みたいにすぐ折れやがるから蹴り甲斐ねえんだ!その点お前は中々に頑丈そうだからなァ……楽しみだ♥」

 

 ニタァと口を歪めるミルコ。俺は何をさせられるのでしょうか。

 

「ヒェ……あの、相澤先生、俺体調不良で休んでいいですか」

 

「腐った性根叩き治されて来い」

 

「教職者が暴力推進するなよぉ!!」

 

「ヒーローになるなら必要な事だ。さっさと行け」

 

 シッシッ、と手を振られMK5(マジでキレる5秒前)

 

「なあに、足腰立たなくなるまで一週間ミッチリ私が鍛えてやる……!さあ行くぞ!!」

 

「職場体験とは!!!?というか何処に行くの!?ねえ!?」

 

 そのままミルコに首根っこひっ捕まえられ、引きずられるように何処かに連れていかれた。

 おい誰だ今ドナドナ歌った奴。でんちゃんか。覚悟しとけよ……

 

 

 

「……嵐みたいな奴が台風に連れてかれた」

 

「一週間後生きてるかなぁ」

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

「はははっ!結局お前も乗り気じゃねえか」

 

「ミルコさんに引きずられたままでいるより一万倍マシです」

 

 あの後何とか立ち上がって普通に歩きだした。

 歩きだしたはいいけど何処に行くんです?

 

「お前、私の活動体系は知ってるか?」

 

「事務所もサイドキックも持たないフリーランスってヤツですかね」

 

「そうだ。基本的に私は要請が有れば全国何処にでも向かう、要請が無い時も勘で色々なところに向かう」

 

「勘」

 

「勘だ。私らプロヒーローの給料は歩合制でな。まあ雄英ならそこらもしっかり教えてるだろ。私が一から全部教える意味もないな」

 

「はぁ……で、何処に向かってるんですかね」

 

「プロヒーローっつってもヴィラン退治でもないのに街中で個性を使った訓練なんて出来ねえからな。存分に身体を動かせる場所がある」

 

 そうして連れてこられたのは、小さな体育館のような場所だった。

 

「ここはプロヒーロー用の訓練室みたいなもんだ!喜べ今日は貸しきりだぞ!」

 

「……それって一日中ボコボコにするという宣言ですか?」

 

「そうだ!気合い入れないとすぐ死ぬぞ!」

 

「ヒーローに殺されるん俺?」

 

 中に入ると思ったより広く、何より頑強に作られているのが分かった。

 そっかー、そうだよなー。普通この手の施設って有料だよなー。予約制とはいえ、雄英が訓練室やトレーニングルームを無料開放してんのがおかしいよなー。

 

「さあ、さっさとコスチュームに着替えろ!」

 

「え、あっはい。……更衣室は?」

 

「時間がもったいねえ!別に見られて困るような身体してないだろこの場で着替えろ!」

 

「うっそーん」

 

 まあ、普通に鍛えているから見られて困ることは無いと言えば無いですけども。

 渋々その場でサッと着替えた。俺のコスチュームは言うなれば応援団長!!ってな感じで、黒の長ランに白いハチマキ、首から笛を下げて白い手袋をはめれば着替え終了。丈夫な事と見た目以上に動きやすい事、後長い袖に対ヴィラン用捕獲ネットを仕込んでいる以外に機能は無いのだよ。

 

「よし!さあやるぞ!」

 

「うーんミルコも早速病かぁ」

 

 雄英の教師陣を中心に流行している早速病、まさかのプロヒーロー共通だった件。

 んニッ!とミルコが笑ったと思った瞬間、ミルコの姿が消えた。

 

「嘘でしょ?」

 

 と言いきる間もなく、顔を触られたと思った瞬間勢いよく突き飛ばされた。

 

「どうしたオラァ!まだ準備運動にもなっちゃいねえぞ!」

 

 んもー本当に流石トップクラスのヒーロー。全く影も見えやしなかった。これでもし今のが腕の押し出しじゃなくて本気の蹴りだったら今頃この体育館の壁に汚いオブジェが出来上がってたところだ。

 

「ん、痛くない。効かない。俺は強い。俺は速い。俺は、最強だ」

 

「何ブツブツ言ってんだァ!?」

 

 勝ち気なバニーことミルコは、なんと言うか体術特化のカッちゃんレベル90くらいに思っておこう。なにそれ無理ゲー。

 

「オラァ次行くぞ!今度は反応してみろ!!」

 

 っだぁん!と床を蹴り抜くミルコ。さっきの一撃より少し早くなっていたが、今度はしっかり見えている!

 

「ミルコやっぱ乳揺れプッ」

 

「っらぁ!!あぁ!?今なんか言ったか!?」

 

 しっかり見えているけど身体が反応出来るとは言ってない!!勢いよくバルンと揺れる胸は見えた!

 

 その後、何度も何度も突き飛ばされながらも揺れまくる乳や尻を見て、何とか反応しようと思っても俺の身体は思考速度についてこなかった。

 

「ッチ!これじゃあ本当にサンドバッグと変わんねえな。おい!少しは個性を使って反撃でもしてみろ!!」

 

「うっぷ……むちゃくちゃ言いよるで……」

 

 何度も突き飛ばされた影響で絶賛気持ち悪い。胃の中身をリバースしてないのは、単に朝飯を食ってないだけだ。

 

「ヴェ、はぁ、マジでさぁ、酷いわぁ。こちとらまだ高一やぞ、それなのに良い大人が転がしにくるとか、ないわぁー」

 

「あァ!?」

 

「無理ゲーだぜ、あー無理無理、無理無理無理のかたつむり。やぁってらんねぇー」

 

「っチ!体育祭で見たときは多少見所があるって思ったが見込み違いだったぜ!」

 

「そーそー、俺みたいなのがさぁ……何も馬鹿正直に正面から突っ込むのは、それこそキャラじゃないんで!」

 

「っ!?」

 

 例え相手がプロヒーローだとは言え、やられっぱなしは性に合わない。

 

 やる気亡き呟き(ダウナーツイート)

 

 受けた相手は身体中の戦意や気力等、いわゆる『やる気』を奪われる。ダラダラと動き、楽な方楽な方に転げやすい。

 全く酷いデバフだが、このまま良いようにやられっぱなしは男としてあり得ない。少なくとも突き飛ばされた回数分は乳や尻を揉ませてもらう気で攻める。

 

「くっ!?中々生意気な個性だ面白ェ!」

 

「面白い?恐ろしいの間違いだろ!おれの個性はただ聞くだけで効果を発揮する!耳の良いミルコは特に俺の声に過敏に反応するのさ!ほぅら、耳元で囁かれるのはどんな気分だ?」

 

「っ!離れろ!!」

 

 ミルコが両腕を突きだし、空を打つがそこに俺は居ませんよ。

 

「ははは、俺はずっとここに立ってるよ!今、ミルコはどんな音も聞き逃さない程に聴覚が敏感になっている。足が床を蹴る音、建物の外で子供たちが遊んでいる笑い声、おっと!今、遠くで誰かがくしゃみをしたな。衣擦れの音や、呼吸する音、心臓の音がどんどん大きく聞こえる。すると今度は不思議な音が聞こえてくる。小さく、小さく囁くような子供の声。笑っているようで、泣いているようで、怒っているようで、それでいて何の感情も届かない程に暗い声。ミルコ、ミルコ、どうして、どうして。子供の声は一人、また一人と増えていき、終にはミルコを取り囲むほどに大勢の子供がミルコに囁き掛ける。ミルコ、ミルコ、どうして、どうして……」

 

 ミルコの顔色が一気に青ざめていく。俺の言葉を引き金として、今ミルコには本当に子供の声が聞こえている。それがミルコ以外に聞こえない幻聴だとしても、そこに、居る。

 

 嘘八百万(うそはちミリオン)

 

 俺が話した内容を実際に起きていることが如く深く思い込む。無論、あまりにも荒唐無稽な事を思い込ませる事は出来ないが、言葉を重ねればそれに似た事が出来る。

 子供の声をチョイスしたのは、ミルコは小さな子供に人気のヒーローだから。沢山の子供に囲まれるような経験はしたこともあるだろうし、何よりミルコが想像しやすそうだったから。

 

 ジワジワと毒のように効いてくるやる気亡き呟き(ダウナーツイート)嘘八百万(うそはちミリオン)のコンボによってフラりとよろめくミルコ。相手はプロヒーローのランカーなんだ。手段を選んで勝てる程俺は強くなければ、ミルコは弱くない。

 

「耳を塞ぎたいか?塞いでも無駄だ。その声は小さくても、心の底の叫び声なのだから。『ミルコ、ねぇどうして、どうして……』」

 

「くそっ!今まで出会ったことのねェタイプだ!テメェがヒーロー志望で良かったよチクショウが!」

 

 罵声を出すことで必死に気力を絞り出してるようだが……もう、遅い。錯乱して前が見えていないミルコに近づくのは容易かった。

 

 

「『ミルコ、ミルコ、どうして、ねぇどうして……

 

 

 

 

 

 どうしてウサギの尻尾は真ん丸なのぉぉぉぉ!!!!!

 

ぴゃあああああっ!!!?

 

 

 

 

 

「あっ……その……お、思ったより可愛い叫び声でしたね」

 

「死ねェ!!!!!」

 

「お"ぜふ"ん"!?」

 

 ミルコの本気のソバットによって壁までぶっ飛んで行き、俺は勢いそのままに壁のきたねえオブジェになった。

 

 

 仄かに香るアンモニア臭と共に俺は意識を失った。

 




ムチムチミルコは良いですね。ですがガチムチミルコの方が好きよ。
こういう時キャラ崩壊タグはほんと便利ですねぇ。
ミルコよし!(現場猫)


今後の参考にするのでアンケートにご協力ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

生存競争ですよ!ミルコさん!

アンケートは次の話の投稿をもって終了とします。
ただ参考にする程度ですので、気軽にご参加下さい。

評価やお気に入り数がうなぎ登り♥️

さて、このままだとミルコに詭弁君のニンジンがモグモグされそうですね。ヤオモモ、ピーンチ。



 気がつけば、いつの間にやら私服に着替えてるミルコが匂うだち……もとい仁王立ちしていた。

 

「起きたか。まあテメェの力量はだいたい理解した。これからは多少マトモなサンドバッグにしてやるから覚悟しとけ」

 

「サンドバッグになるのは確定っすか」

 

「まず、テメェの弱点は即効性が無い!基本的に二人以上で組んで動くことが前提だろうが、ソロ活動()()()()()()に現場で発言力はねえぞ!」

 

「……はい!」

 

「良し!いい返事だ!私とテメェとはタイプが違う!戦いで教えられることは全然ねェからとにかく実戦だ!いいか、テメェは私の攻撃を全て避けて、私に触る事を意識しろ!」

 

「避けて、触る……ですか」

 

「そうだ。お前、人を本気で殴った事無いだろ」

 

「……はい。分かるんですか?」

 

「ッたりめえだ。それで体育祭負けただろお前」

 

 やっぱ分かる人には分かるか。俺は誰かを本気で殴った経験はない。少なくとも、脳のリミッターを外している時に誰かの身体を直接殴った事はない。

 

「本気で殴った経験が無ければ、手加減が出来ない。手加減出来ないから、殴れない。だからまずはリミッター外した状態で、相手に触る事から始めろ」

 

「うーん流石プロ」

 

 正直、サンドバッグにするって聞かされた時はなんて脳筋なと思ったが、実際にはしっかり考えてあるんだな。

 

「テメェ今すげェ失礼な事を考えてるな?」

 

「ははは、ミルコって見た目以上に考えて動いてるんですねえー」

 

「よぉしテメェそこを動くなよ」

 

「お断りします!」

 

 ミルコの飛び膝蹴りが顔面に飛んでくるが、しゃがんで避ける。やはりまだ調子が戻ってないのか動きにキレが無い。

 そのまま潜るようにミルコを遣り過ごし、後ろから抱きつくように触れ……

 

「そう易々触らせるかよ!」

 

 ミルコが空中で縦回転し、伸ばした脚で俺を踏みつけるように再度跳躍する。そして少し離れた場所に着地したと思ったら、すぐに俺に向かって跳躍する。

 

「っ!ウサギだけに跳ねるのがすブッッ!!」

 

「はっはァ!くっちゃべらなきゃ発動しねぇなら喋る間無く攻めりゃ良い!私がヴィランなら喉を潰してヤるところだ!」

 

「怖いこと言うの止めて!!」

 

 んまぁー確かにミルコの言う通りだ。個性が強力なら、発動自体を抑えりゃいい。実際ヤオヨロちゃんとのヴィジランテデートの時も、無力化する際に個性に関係ありそうな所はガッチリ縛ってたし。俺の場合口を抑えられたらそこまでだ。

 

 ンだからって履いてた靴投げる!?凄い芳しい匂いでむせそう。

 

「オラオラァ!!さっきの威勢はどこ行ったァ!!?」

 

「口まわりばっかし狙わないでくれませんこと!?」

 

 靴を脱いで、ムレッムレの足先が俺の口……つまり鼻先を何度も掠める。掠める度にミルコの足の匂いを嗅がされる訳だからもう色々としんどい。発狂しそう。俺の詭弁君がスタンダップトゥーザビクトリーしそう。

 

 いやぁー着ているのが長ランで良かったわー!普通のジャージだったら詭弁君の詭弁君がピョンピョンしてるのがばれるところだったわー!

 

「どうした?動きがニブくなってきてるぞ!」

 

「そりゃニブくもなるわこんなん!」

 

「オラ足元隙だらけだァ!!」

 

「さべっじ!!!?」

 

 顔に飛んでくる蹴りを必死で避けていたら、思わず揃ってしまった両足が纏めてミルコの蹴りでなぎ払われる。両足を刈られ、瞬間宙に浮いた俺は重力そのままに床に仰向けで倒された。その直後ミルコの足が俺の顔に乗せられる。おい人を足蹴にするな。

 

「ったく、ガキの癖に口は達者で生意気なヤツだ!だが気に入った。これから一週間ガチで半殺しになるまで鍛えまくってやるよ!」

 

「ふむぐむむ、ふむむむぐぐむふふむふむむ!」

 

「あァ?何言ってっかわかんねえなァ!いいか?テメェみてぇなクソ生意気なガキには徹底的に上下関係を教え込んでやる!分かったら『ミルコさん』と呼ヘニャッ!???」

 

「よへにゃ?何が言いたいのか分からんなぁ!」

 

 一応年下として最低限の礼儀は弁えていたつもりだが流石に顔を踏まれるのはかなり頭にキたので、踏みつけていた足を裏から舐め、僅かに浮いた隙を突いて足の指を甘噛みする。

 

「ぴぁっ!?て、テメェ何してェひっ!!?」

 

 甘噛みしながら足の指と指の間を舐め回す。

 噛み噛みペロペロしてるとすぐにミルコが脱力し、その隙を突いてミルコの脚を抱き締めるように捕まえ、転がる。

 

「はっ、わピッッ!!?」

 

 ミルコを引き倒し、うつ伏せにした状態でミルコの脚の間に俺の脚を差し込み、足を抱えたままミルコの上に跨がる。いわゆるさそり固めと呼ばれる極め技だ。

 

「ミぃルコさんよぉ……俺にもプライドってもんがあるってのに顔を踏むとはどういう了見ですかねぇ」

 

「くっ!?クソガキテメェ私の足をな、舐めるとか気持ち悪い事をしやがって!離しやがれ!!」

 

 まあ?分かるよ?ミルコみたいな勝ち気な気質の人は、その後の人間関係のために一度はっきりとした上下関係を決める必要があることは理解出来るよ?でもさぁ、やり方ってものがあるでしょ?

 

「ミルコさん、知ってます?人の足裏には大量の毛細血管が通ってて、大変敏感なんですよ。そしてウサギの足は、人の足よりも更に多くの毛細血管が通っていて、足の感度は人の約100倍だとか。なんでも地面の僅かな揺れから捕食者を感知して、すぐに逃げられるようにするためだとか」

 

「ッだからなんだってんだァ!さっさと離せ!!」

 

「離れたかったらどうぞ、ご自由に。極め技が完全に入っているのに振りほどけたら、ですが。さて、本題ですが……ミルコさんの足もウサギ並みに敏感何ですかねぇ?試してみましょうねぇ」

 

「ッッッ!!?テメェ、まさか!?止めろッ離せッ!!」

 

「感度100倍のくすぐり地獄にようこそ!」

 

 コチョコチョコチョコチョ

 

「ピィッ!?ひゃ、ひゃひひひひひひ!!!ふざけっ、ハハハハハハハ!!!」

 

 小さな体育館みたいな建物の中で、一人の女性が大きな声で笑い続ける。身体全体をガクガク震わせながら、必死に両腕を振り回しながら、ゲラゲラと笑い暴れる。

 

「ヒャハハハハハハハ!!!はっ、ハァッ!離せッ!ひひひひひひひひ!!!苦しっ、ひひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!」

 

 常人よりも遥かに敏感な足をくすぐられ続け、身体が痙攣しだす。じたばた暴れても、完全に極った技から抜け出すには至らない。

 

「ひひっ!?ヒィッ!止めッ!!もう止めヘッッッ!!!死、死ぬぅ!!!ははははははははは!!!

 

 顔は引きつり、目からはポロポロ涙がこぼれ落ちるが、それでも地獄は止まらない。

 

「ハァッ!!?あ"っ!はっ、はっ、い"ヒッッッ!!?ま"っ、待てっ!!身体ッおかしッ!!?ヒィッ、ひっ、ふぁ"っ!!」

 

 

 

 まあ、ウサギの足が人よりも敏感かどうかなんて知らないんですけどねぇーーーーー!!!!!

 

 嘘八百万

 

 それらしい理論を用いて、相手にそれっぽいことを信じ込ませる。ウサギの足が、本当に感度100倍かどうかは重要ではなく、相手が『本当にそうだ』と思い込んだのならそれが実現する。今のミルコは足の裏だけ感度100倍という、どこぞの忍者が鼻で笑いそうなモノだが常人には想像を絶する地獄を見ている。

 くすぐり始めて30秒、俺はミルコを解放して嘘八百万も解除した。健康な大人なら1分程度でも息が苦しいくらいの時間だが、感度100倍状態だとこれ以上続ければ死にかねない。1分も続けたら重大な後遺症が残るか、もしくは発狂してしまうかもしれない。

 

 ……あ、これはヤオヨロちゃんや親父、路地裏のヴィラン相手に実験した結果であり、一応被験者全員生きているということを伝えておく。

 

 さて、個性を解除して、さそり固めから解放されたミルコは顔を真っ赤に染めながら血の気が失せている。顔色パープル。

 一応呼吸させやすいように回復体位を取らせようと、倒れているミルコを抱えると腕が湿って……

 

「……嘘でしょ?」

 

 白目をむいて気絶しているミルコの股間部分を中心に、アンモニア臭のする正体不明の液体が床に広がっていった。

 

 

 

 

 俺、明日の朝日を拝めるかなぁ。

 

 




ヤバイ。適当に書いてたらミルコがショロインになってしまった。何でだ?
こ、こういう時にキャラ崩壊タグはべ、べ、便利だなぁ!(震え声)
ミルコよし!(遺言)


ところでニコ静だと失禁描写はR-18G扱いなんですがハーメルンは大丈夫ですよね?大丈夫じゃなかったらミルコの私服にたまたまアンモニア臭のする薬品が入ってたことにします。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お泊まりですか!?ミルコさん!

というわけでアンケートは、はいしゅーりょー(サバサバ系)

みんな見えてる地雷を踏みに行くのね。好きよ、そういうの。
だけど、あくまでもアンケートは参考程度にします。だって正ヒロインのいない間に童貞喪失とか……滾るッッ!!!

皆さんお忘れかもしれないのですけどぉ……詭弁君はお金持ちなんですの。


タイトルでもうオチてる気もする。


「……で?死ぬ準備は出来たか?」

 

「本当にマジすんませんしたぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

 ミルコさんしーしー事故(あくまでも事故)の後、俺は気絶したミルコさんを担いで訓練室に併設されているシャワールームに飛び込み、びちゃびちゃの私服のままのミルコさんを洗う。

 だって脱がすわけにもいかないだろ!?誰に言い訳してんだ俺は。

 とにかく洗ってる最中にミルコさんが起き、そのままにシャワールームから蹴り出された。

 

「クソガキテメェ……ダッシュで服一式買ってこい!!!」

 

「畏まりました!!!」

 

 そうして俺は大急ぎで近くにあったブティックに入り、安く置いてあった服を上から下、中に至るまで一式揃えて購入し、とりあえず紙袋に入れるだけでそのままダッシュで戻っていった。

 いきなり汗だくで男が飛び込んできたかと思ったら、凄い勢いで女性物一式抱えてお会計して去っていったのだからお店側も良い迷惑である。

 勢いそのままに戻り、シャワールームの前でミルコさんに声をかける。

 

「服一式買って参りましたぁ!!!」

 

「置いとけェ!!!」

 

「はい!!!」

 

 シャワールームの更衣室から飛び出る。

 

「(……んだァ?どっかで見たことあるような紙袋だな)」

 

 ミルコさんがシャワールームから出てくる間、訓練室の汚れをキビキビ拭き取る。

 掃除し終えたタイミングでミルコさんが着替えて出てくる。

 

「……テメェ、ソコソコのセンスはあるんだな。……ン」

 

「……ミルコさん?その手は……」

 

「レシート出せやァ!!」

 

「うぇええ!!?」

 

「テメェみてェなクソガキに服代施される程貧乏じゃねえわ!!幾らだボケェ!!!」

 

「うぃっ!!?よく覚えてないですけど大体5ケタ円程度です!!そんくらいミルコさんに迷惑かけた俺が出しま――」

 

 ミルコさんの腕が俺の首に伸びてチョークスリーパーホールドをする。

 

「5ケタ円程度でイキんなバカ野郎!!レシート出せってんだ!」

 

「ぐぇぇ……か、紙袋の中に入ってるはずです……」

 

「チッ!さっさとそう言え!」

 

 俺を投げ放しながら紙袋をガサるミルコさん。

 

「いや、もう本当に安物で申し訳ないです……後日ちゃんとしたのミルコさんに贈るんで……」

 

「要らねえわ!ッチ、クソガキがァ……あ?」

 

 

「(5ケタ円って、『一つで5ケタ円』って事かよおおおおおおお!!!?)」

 

 

「……あの、ミルコさん?」

 

「(しかも一式って、よく見りゃトップス、インナー、肌着、ボトムス、パンツ、ソックス、アウター、靴、ワンポイント、さらに帽子だァ……!?ガチガチのガチ一式揃えてんじゃねえよ!?総額は……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、じゅうまん……服だけで数十万後半……ハハ、私は何ヵ月生活できんだ?)」

 

「み、ミルコさーん?や、やっぱり安物過ぎましたか……?」

 

「(安物って言ったかコイツ!!?)」

 

「すみません。ほんとならもっとしっかりした所で揃えるべきだったんですが……近くに俺が知ってる店も無くてですね……」

 

「(ってかよく見たらこの紙袋クソ高級店のじゃねえかァ!!?ソレ知らないって何処の貴族様だテメェは!!!?)っ~……ッッッ~~~~~~!!!!ボケがァ!!!!奢らせてやるよ!!!!

 

「ひぇ、すみません。今度もっとちゃんとしたのを贈らせて頂きます」

 

「要らねえよ!!!(これよりちゃんとしたのとか一生着る機会ねえよボゲェ!!!)」

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

「……すっかり日も暮れましたねミルコさん」

 

「あァ……(色んな意味で疲れたわ)腹減ったし、どっかメシ食いに行くか」

 

「あ、それなら近くに「テメェは黙ってろ(クソ高級レストランにでも連れてかれたら完全に立つ瀬無くなる)」

 

「バーガーキングがあるって言おうとしただけなのに」

 

「ンでテメェ其処だけ微妙に庶民感覚なんだよ!!!」

 

 めっちゃハンバーガー食った。

 テーブル席に向かい合うように座って、俺はアイスコーヒーを、ミルコさんは野菜ジュースを飲んでいた。

 

「っと、そうだ。おい、基本的にヒーローは私服の時に派手に動いちゃいけねえ。何でか分かるか?」

 

「はぁ、お仕事モードじゃないからですか?」

 

「……まァ、そういう一面もあるがな。プロヒーローは良かれ悪かれ人気商売だ。仮にオールマイトがまる分かりの私服でそこらへん歩いてたとしたら、どう思う?」

 

「危機感ねえのかと思います」

 

「………………」

 

「な、なんですかその苦虫を100匹纏めて噛み潰したみたいな顔は」

 

「……テメェの言いたいことはまあ、分からんでもないがそうじゃねえよ。一般人はオールマイトだーって色紙持って飛びつくだろうよ。ン時に場所が広い道だったらまだ良い。だがもしココみてェに狭い屋内だったら?」

 

「あー……次々一般人が押し掛けてくるかもですね」

 

「そう、人気商売()()()()()余計なトラブルの種は蒔くな」

 

「分かりましたミr……あー、え~……なんて呼べば?」

 

「ハッ!そこで私のヒーローネームを言わなかった事は評価してやる。兎山ルミだ、私服ン時は適当に呼べ」

 

「分かりましたルミみん!」

 

「死にてェのか」

 

「ユーモアッ!?ちょっとした冗談じゃないですか……あー、じゃあルミちゃん先輩で」

 

「……はぁぁ、まあ良い。一般人にバレないように、ってのはまあ平常時の話。緊急時の場合は当然この限りじゃねェ。休日でも常にコスチュームを携帯するなんてヤツはそう居ねェ。良くない事が起きた時、現場すぐ近くに居るんなら私服のままで対応に当たるとかザラだ。普通にコスチュームが使えなくなって他の服を着てる可能性も有る」

 

「今日みたいにですね……る、ルミちゃん先輩。首絞めるのはダメですって……」

 

「クソッ、何で私はコイツを指名しちまったんだ……」

 

 その時、帽子に隠れたミルコさんの耳がピクピク動き出した。

 

「……詭弁、行くぞ」

 

「はいっ」

 

 ゴミをゴミ箱に突っ込んで素早く店から出る。ミルコさんはそのまま路地裏に入り込み、奥へ奥へと進んでいくとそこには大男が小柄な女性に手に持ったナイフを振り下ろそうとして居る所だった。

 

 ッダァン!!

 

「っらァ!!」

 

 ミルコさんが地面にヒビが入る程強く踏み込み、跳躍するように大男のナイフを蹴り飛ばした。

 

「詭弁、女を頼む!敵はコイツだけじゃねェみてぇだ!ヤベェ時は個性を使え!」

 

「了解!さあお嬢さん、ヒーローの到着だ!もう大丈夫だぜ!」

 

「あっ、ありがとうございます!」

 

「礼は後だ、完全に助かってからまた聞く!お嬢さんを狙うのは何処のどいつか分かるか?」

 

「っ、その……あいつらはストーカーで……少し前から私の事を付けて来た事しか……」

 

「んぃ、オーケー。全く、人をオトすのに刃物なんて無粋なモン使うんじゃァねえわな!」

 

「「クソ!クソクソクソォ!!その女が悪いんだ!!オレをその気にさせておいて!!ふざけるな!!」」

 

「黙ってろデカブツ!詭弁テメェは周りに注意しながら警察呼べ!」

 

「もう呼んでますぜ姉御ォ!」

 

「調子のんなバカ野郎!」

 

「「ふざけるなふざけるなふざけるな!!!どいつもこいつもオレをバカにしやがってええええ!!!!」」

 

「はっ!デカイ図体して気の早いヤツだ……なっ!」

 

 ミルコさんの蹴りが大男の意識を刈り取る。

 

「っち、やっぱヒラヒラした服は動きづれェな」

 

「す、凄い……あっという間に倒した……」

 

 しかし、倒れた筈の大男から黒い液体のようなものが染み出し、人の形をとった。

 

「くそっくそっくそっ!!!てめぇさえいなければぁぁ!!」

 

 黒い液体が小柄のオッサンになり、ミルコさんに飛びかかる。

 

「テメェが本体か!」

 

 ミルコさんが蹴りで迎え撃つが、蹴りが当たる瞬間オッサンが液体化し、ミルコさんに取りつく……直前に跳躍して回避した。

 

「んぁ、なんだありゃ!オッサンが黒い水になった!」

 

「オッサンじゃねえ!オレはまだ26だ!!」

 

「ファーwwwパイセンとタメかよwww見えなさすぎwww」

 

「だッ……まれだまれダマレ!!!てめえからブッ殺してやる!!」

 

 怒りで顔を真っ赤にしたオッサンが俺に向かって飛びかかる。

 

「だるまさんが転んだ!!!」「っ!?」

 

 俺の覇声(ばせい)によってオッサンが思わず止まり、大きな隙を晒した瞬間に袖に仕込んであったヴィラン用捕獲網を投げる。

 

「っ!?クソ!こんな網なんてオレに効かねえんだよバカが!」

 

「ほう、どれどれ」

 

 ヴィラン用捕獲網の名は伊達ではなく、網には面白い機能がついている。

 網の手元側にあるスイッチを、ほいポチッとな。

 

バリバリバリ

「あばばばばばばばば!!!」

 

 ヴィランを無力化するための機能として、スタンガン程度の電撃をお見舞いする。

 電撃によって痺れてる間に、オッサンの顎を揺らす。そのまま軽い脳震盪によってオッサンは気絶した。

 

「凄い……まだ若いのに、こうも簡単に……」

 

「ふぅ、大丈夫ですかお嬢さん。怪我はない?我慢しないで正直に言うんだよ」

 

「あ、ありがとうございました!!怪我はありません!」

 

「そうか。じゃぁこっちのちっさいオッサンと向こうの大男は知り合いかい?」

 

「そ、その……私のお客でした……」

 

「んぅ、なるほど。……ここら辺は危ないし、近くまで送ってあげるよ」

 

「あ、ありがとうございます!私の家は近くなんですけど、もう怖くて怖くて……その、お恥ずかしながら……手を、握ってくれますか?」

 

「ははは、いいってことよ。じゃ、送ってあげる……警察署までな」

 

「……何を言っているのですか?」

 

「すっとぼけんなよお嬢さん。君からは嘘の臭いがプンプンする、悪臭だ。普段から嘘をつきまくってなきゃこうはならねえな。身体に仕込んである刃物を何とかしてから弱みを見せるんだな」

 

「………………あは♪」

 

 すると次の瞬間女が溶けて、俺と同年代くらいの金髪少女に姿を変えた。全裸で。

 

「凄いです!私、同年代の人に見破られたの始めてです!」

 

「……ミルコさん!この子スタイルやべぇ!!」

 

「バカ野郎集中しろ!」

 

「詭弁くん、詭弁くん!!良い名前だねぇ!私、トガです!渡我被身子!体育祭、見ました!スゴくカッコよかったです!!」

 

「ははは、可愛い子にそう言われるのはテレるなあ」

 

「私、可愛いですか!?うふふ、両想いですね!詭弁くんの事、大好きです!画面の向こうにいるのに、まるで目の前に居たみたいでした!あんなにドキドキしたのは、初恋の男の子に変身した時以来です!……もっともっとお話したいところなんですが、時間みたいですね」

 

「つれないこと言うなよ、もっとゆっくりお話ししようぜ」

 

「それはまた今度にします!次会う時はいっぱいドキドキしましょう!!!」

 

「ッ待ちやがれ!!」

 

「それじゃあまたね詭弁くん!おばさん!」

 

「誰がおばさんだッラァ!!!」

 

 ミルコさんがトガに蹴り掛かるが、直後警察が2人路地裏に駆け込んできた、ホンの僅かに意識が逸れたその瞬間にトガが路地の闇に消えた。

 

「ックソ!逃げられたか!」

 

「……はぁ……んまぁじか。ずっと心臓に細い針が刺さり続けるみたいな感覚がしてましたよ」

 

「……ふん、本当にヤベェヴィラン相手なら心臓に風穴空いてるぞテメェ」

 

「うへぇ、プロの道は険しいなぁ。……そうか、アレでまだ序の口なのか……はぁー、同年代でアレとかキッツいなぁもう!」

 

「はっ!んならこれからは胆力も鍛えてやるよ!警察がきたし、テメェは休んでろ!」

 

「おっす」

 

 そうしてミルコさんが手慣れた様子でヒーロー免許を見せて警察に引き渡していく。

 

「い、意外だな。ミルコさんってあんな私服なんだ」

「それな。何処の深窓のお嬢様かと思ったよ」

 

「聞こえてんぞおまえら!」

 

「「すみません!!」」

 

 楽しそうで何より。

 ……しかしなんというか、少しへこむ。USJ事件の時に、今までとはレベルが違うヴィランに出会ったが、その時とはまるで違う。あの時のヴィランの狙いはオールマイトだったが、トガは()()狙っていた。たったそれだけの違いで、このザマだ。はぁー。やっぱ俺、口しか取り柄ねぇなぁ……。

 

 

 まぁ、今は……それで良い。これからだ、これから。

 ヤオヨロちゃんの背中を守れるようなヒーローになるんだ。そんなヒーローに()()()()()()()()()()()

 出来ることから、一歩一歩。常に成長し続けるんだ、俺。

 

 

 

 警察の聴取は意外と長かった。なんでもあのトガヒミコは連続失血死事件の容疑者だとか。

 

「んぇ……眠い……」

 

「シャキッとしろ!夜こそヴィランが活発に動き出す時間だ!ヒーローがその調子でどうすんだ!」

 

「んですがミルコさん、俺は夜9時を回ると体質的に眠くなるんスヤァ」

 

「ン寝るなァ!!」

 

「うぅ……わりとしんどいっす……」

 

「っち!あーもー!分かった分かった!今日の活動は終了だ!近くのビジホ行くぞ!」

 

「ぅん、びじほぉ?」

 

「お前何も知らねぇのか!?寝るとこだよ寝るところ!」

 

「しらにゃい……」

 

「(昼と夜で性格変わりすぎだろコイツ!?ギャップ萌え狙ってんのか!!?とりあえず近くのビジホ……チッ、一件だけか。まあねえよりマシだ)オイ、移動すっからもう少し耐えろ!」

 

「にゃい」

 

「(狙ってんのかコイツ!!)」

 

 そうしてフラりフラりと倒れかけながらミルコさん先導のもと『びじねす』と書かれたホテルに連れてこられた。

 

「何?ダブル一室しか空いてない!?………………チィッ!!そこで良い!詭弁!まだ寝るな!」

 

「んゃい」

 

 エレベーターで移動してる時も、今にも倒れて眠りそうになっている。

 そのまま引っ張られるように部屋に到着した。

 

「だァァもー!コスチューム着たまま寝るな!脱いでシャワーくらい浴びろ!」

 

「んぅい」

 

「(……ハァー、マジで大丈夫かアイツ……つーか最近のガキにしては随分とまあ規則正しい生活してんだな。……なァんか一日が異常に長く感じたぜ…………っつーか、職場体験に来たガキとはいえホテルの、しかも同じ部屋に連れ込むのはマズい……よなぁ……クソッ、私も疲れてやがる。とりあえず今日はさっさと寝るか……)」

 

 

 

 

 

 

「いつまでシャワー浴びてんだテメェ!!!」

 

「……ふォ!?」

 

「シャワー浴びながら寝落ちする奴があるか!!さっさと出てベッドで寝ろ!!」

 

 既に眠気がプルスウルトラしていた俺は肌着を着て、そのまま泥のように深い眠りについた。

 

 

 

「……ダブルベッドのド真ん中で寝てんじゃねェよ。ったく、ほら、もっとつめろバカ野郎」

 

「すぅ……すぅ……」

 

「…………寝顔は生意気じゃねえのな」

 

 




2~3千字で投稿するつもりが何故か伸びた。何で?

ちなみにですが、突然この部屋がセックスしないと出られない部屋に変わる可能性は宝くじに当たる確率並みです。


詭弁って自分の服のセンスは普通だけど、何でか女性服のチョイスはエグいんだよねー。流行色もしっかり押さえてるし、ヤオモモに鍛えられたのかな?-みっちゃん

詭弁はイイトコのオボッチャンで、普段はそれなりに普通だけど時々強烈なオボッチャンジョークブチかましたり、常識的な事を知らなかったりするぜ。最近までしまむらの事をペット用品店だと思ってたんだってよ。-えいちゃん

詭弁さんはお昼は活発ですが、夜の9時を回ると一気におねむモードに入りますわ!どんなに遅くても夜10時には就寝してしまいますが、それまでの間に詭弁さんにお電話を掛けますと大変かわいらしい事を仰ってくださいますの!ただ惜しむべきはその時の詭弁さんはほぼ無意識ですので、次の日には何を言ったのか覚えてない事ですわ!まあ私はおねむモード詭弁さんのお言葉を全て録音しておりますが。-モモちゃん

何で9時回ったら一気に眠くなるのか、だって?俺にもよく分からん。両親からの遺伝って訳でも無いし、小学生の低学年の頃は普通だったぞ。ただある日急に9時回ったら眠くなるようになったんだ。-クズ

そうですか。ところで詭弁さん、パブロフの犬を御存知ですか?-モモちゃん

いや、知らん。-クズ

うふふふふ-モモちゃん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

初日以外は快速運転ですよ!ミルコさん!

もうタイトル変わっちゃったよ。どうしてくれんの?(少し前から)
そんな事より、星9評価がついに緑のラインに!ですがやはり好きな色は赤ですぐへへ
感想も150件の大台を超えていきました。プルスウルトラ!
ところで感想欄でアウトアウトと何度も言われてますが、仕事の速い運営からまだ何も言われてないので前話はセーフです。はい勝ち~(小説が削除されてないので)

-追記-

R-18タグ強制的に追加されました!ですんで前話消して違うタイミングで上げます。どうしてくれんの!

--




さあ皆でくっ殺希望と書いて詭弁くんをヴィラン堕ちさせよう!(トガちゃんルート)
それか好きなおにゃのこ書いてヤン堕ちさせよう!(作者の趣味)



「……ん”っ……んぁ……ぁ?(なんかとんでもねェ夢を見た気がする)」

 

 朝、ミルコは暖かな熱によって目が覚めて、ふと横を向いたらすやすやと寝息を立てて眠る詭弁の姿を写す。

 

「……はぁ。良く寝やがるぜほんとに…………………ャ、近過ぎねえか?」

 

 今ミルコと詭弁の顔は約10cm程度しか離れていない。しかも顔以外の身体のパーツは、まるで抱きついているかのようにべったり密着していた。

 

「っっっ!!!?調子に乗んなッ!っあ!?脚が動かね……あっ、私が抱きついてたのか……」

 

 詭弁の両腕ごとホールドするようにミルコの脚が詭弁の腰に絡まっていた。

 むっちりとした脚と両腕で抱き枕にされていた詭弁は、眠りが深かったのか一切起きる事無くすやすや眠り続けている。

 ミルコは、その姿を見られていない事にひっそり安堵しつつ、顔を赤らめながら脚を解いていった。

 

 

 

 

 

 

「おはようございますミルコさん!!」

 

「おーゥ、おはよう。今日からはあちこち移動しつつ、テメェを鍛えていく。身体もそうだが、精神もヒーローの資本だ。昨日みてェにヴィラン相手にビビッて何もできませんでした、じゃあヒーローは務まんねえぞ」

 

「はいっ!ご指導よろしくお願いします!」

 

「おう、よろしく(昨日と比べて犬みてえだな……)。さァて、ヒーローの仕事の一つで最も有名なのは何か。詭弁、言ってみろ」

 

「えっ、凶悪ヴィランの退治ですかね?」

 

「そうだ。私らはヴィランが現れたらそいつを退治する。大きな事故や災害が起きたんなら、一般人を保護する。そういったド派手な事をやるのがヒーローの仕事だが、ヒーローの仕事はそんな事だけじゃねえ。自分の事務所近くの地域を定期的にパトロールし、ヒーローが居るってアピールすることで起こる犯罪の抑制。困ってるヤツを助ける声かけ。それとヒヤリ・ハット案件なんかをまとめて注意喚起。まあ色々と地味な仕事も多い。とは言え私みたいなフリーのヤツがあちこちパトロールしても効果は薄い。偶々見える範囲で起きた事件事故に急行出来るくらいしかメリットは無い」

 

「はあ、なるほど。それでは普段は何をしているのですか?」

 

「主に応援要請に応えて現場に向かう。特に私は他のヒーローより遥かに機動力が高いからな。常に自分の居場所を近隣の警察やヒーロー事務所に通達してる。緊急の要請が来ても、凄く遠くに居ました、じゃ連絡取る時間が無駄になるからな」

 

「一分一秒を争う世界ですもんね」

 

「そうだ。自分の無駄な時間を削るのもそうだが、相手に無駄な時間を使わせないのも私らフリーのヒーローが気を使うところだ」

 

「はぁー、やっぱりフリーのヒーローというのも一筋縄じゃないんですね」

 

「事務所を持つのも持たないのも、メリットデメリット有る。テメェがプロになったとしても、最初はサイドキックだろうからそんときにでも学べ。ッつー訳で行くぞ」

 

「はいっ!……いや、何処へ!?」

 

「言っただろ?無駄な時間を常に削るんだよ。フリーのヒーローは基本応援要請待ちとはいえ、それ以外暇してるだけじゃねえんだよ。近くのヒーロー事務所に行って、顔合わせも兼ねて多少()()()きてやんのさ」

 

「マジか」

 

 

 ……そうしてミルコさんと一緒に、近くのヒーロー事務所を何件か回って、そこで一緒に戦闘訓練をした。意外にもちゃんとアポイントメントは取っていたらしい。いつの間に。

 

「詭弁!昨日も言ったがテメェの個性は即効性が無い!覇声(ばせい)ってヤツだけじゃ限界もある。更に即席のチームアップだっていくらでもある。だから相手によって一発で効く言葉を瞬時に見極めろ!」

 

「はい!」

 

「よし!ということで頼んだぞティアドロップ!」

 

「わかりましたミルコ先輩ー。えっとー、詭弁くん、だっけ?アタシは飴玉ヒーロー『ティアドロップ』宜しくね?飴たべりゅ?」

 

「たべりゅ~!……ん"っ、俺はおしゃべりヒーロー『トーキー』です。よろしくお願いします!」

 

「ノリが良いわねー、よろしくねートーキー。うちに就職しない?」

 

「まだ就職はしません!ところでティアドロップさん、その青い髪は地毛ですか?雰囲気と合って凄い可愛いです!コスチュームも女性ヒーローに流行ってるタイツ系じゃなくひらひらのドレス系も凄くキュート!それでいて腰周りもほっそりしててとてもアダルティですね!真っ赤なブーツも可愛さを引き立ててとても似合ってグへぇ!?」

 

 ミルコさんに腰を蹴られた。

 

「一発で効く言葉を見極めろっつったが、誰が口説けって言ったァ!!」

 

「うごご……腰が……」

 

「や、やだわぁ……そんな、可愛いだなんて……えへっ」

 

「ティアドロップ!テメェもガキの言葉でクネクネすんな!」

 

「ねぇトーキー?雄英卒業したら、やっぱりうちに来ない?おねぇさんが色々教えちゃうよー?」

 

「お前少し前に独立したばかりだろうが!」

 

 ……といったことがあったり、次のヒーロー事務所では

 

「おしゃべりヒーロー『トーキー』です!よろしくお願いします!」

 

「おー、トーナメントで血だらけになったヤツか!いいか?ヒーローってのは、結局頼れるヤツじゃないと生き残れない!顔は良いかもしれんが、身体が細っちくていけねえなお前は!もっとオレみたいに身体を鍛えろ、身体を!ガハハ!」

 

「ミルコさんより体脂肪率高そうな良い年したおっさんが頼れるヒーローなんですか?」

 

「っ……!ッ……!!」

 

「バカ野郎テメェヒーローを一発で黙らせてどうするんだ!」

 

「ミルコ姐さんオレコイツ嫌い!!」

 

「オメェも図星つかれたからって、ガキっぽいこと言うんじゃねえ!いい年して泣くな!」

 

 といったこともあったりした。

 そうして色々なヒーロー事務所を周りながら顔合わせと、身体を鍛えながら時折現れたヴィラン退治に参加したり、避難誘導を行ったりした。

 

「ほへぇ~、トーキーの個性って色々な事ができるのねぇ~。サイドキックにいてもらうと助かるわ~」

 

「オレらを鼓舞する力もそうだが、一般人の避難誘導があそこまでスムーズだとスゲーやりやすいな」

 

「そうねー。ヴィランが出現した時に一般人が近くに居ない事の方が少ないわ。それにヒーローが到着したらしたで、安心しちゃってその場で撮影始めちゃったりとかも多いのよねぇー」

 

「それな。いいかトーキー、ヴィランによる一般人への被害でわりと多いのが、ヒーローが現着してからの被害だ。理由はヴィランとヒーローが戦ってるすぐ近くで撮影始めたり、独断でヴィラン相手に攻撃しだしたり、まあ色々だ。よく言われるのが、ヒーローが来たことによる『危機意識の欠如』!お前がプロになったとしても、常に一般人の避難誘導を怠るなよ」

 

「……脳みそまで筋肉詰まってると思ってたんですけど、意外と知識豊富なんですねおっさん!」

 

「おいテメェ良い年したおっさんを泣かせて楽しいかコラ」

 

 ……と、自分の中ではとても充実した職場体験だった。

 あっという間に時間は過ぎ、ミルコさんと別れる時間になった。

 

「大変お世話になりましたミルコさん!……あの、初日の件に関しては本当に申し――」

 

「蒸し返すな!!私も忘れてェんだよ……ったく、詭弁!テメェが好き勝手やるのは良いが、後悔しないように毎日死ぬ気で息をしろ。必死で息してりゃァ自然と笑顔になるもんだ」

 

「……はいっ!!!」

 

「あとコレやる」

 

「ええっ!?そんな、ミルコさんのフルヌード写真集なんて有り難うございだだだだだ!!!折れる!腕が折れる!!」

 

「写真集出してねえよボケが!!(ちげ)ェよ私の連絡先だ!」

 

「れ、連絡先?既にミルコさんのケー番持ってますが……?」

 

「バカ、そりゃ仕事用のだ。こっちは私の私用番号だ。困った事がありゃコッチに掛けろ、相談にのってやる。流出させんなよ?」

 

「み、ミルコさん……大変感動しましたがアームロック掛けられたままじゃ泣くに泣けません」

 

「……ッチ、男が泣くな!……マジでテメェと居ると調子が狂うぜ」

 

 そう言ってアームロックを外す。

 

「いってェ……ははは、まあ超マイペースで行かせてもらってますんで」

 

「フン。……精々必死に足掻けよ詭弁。テメェがプロになったら私のサイドキックになれ。待ってるからよ」

 

 ミルコさんは拳を俺の胸に軽く当てる。仕草イケメンかよ。

 

「……最後までヒーロー名で呼んでくれませんね」

 

「バーカ。ヒーロー名で呼ばれたかったら早く一人前になるんだな!」

 

 そういってミルコさんは一番の笑顔を見せ、じゃあな、と長い髪をたなびかせて振り返って去っていく。

 惚れてまうやろ……。

 

 

「ミルコさん!!俺はおしゃべりヒーロー『トーキー』!絶対に貴女以上の大活躍してやるからな!!!」

 

 

 

 ミルコさんは振り返る事も無く、ただ片腕を振り上げて答えるだけだった。

 

 

 




職場体験終了!長かったなぁ(初日だけ)

さあさあセクハラしまくれそうな林間学校行くぞ行くぞ!
今だからハッキリ言える!最近単行本全然読んでないから適当記憶でふぁっとした感じで行くぞ!と言うか元からそんな感じでしたね!ふう落ち着いた。

セクハラ出来ればいいや。


詭弁とは初日以外はちゃんと違う部屋で寝たぞ!初日の時もマスコミにスッパ抜かれてないようでまあ何より。ま、バレてたらそん時はそん時だ!-るみみん

初日()()()とはどういう事でしょうか詭弁さん?-モモちゃん

記憶にございません-クズ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

バスからの急転直下ですよ!ヤオヨロちゃん!助けてー!!

私は怒ってます。なんで少年誌レベルのスケベ書いただけで運営に強制収容所(R-18)送りにされたのか。
くそっ、この小説ごとノクターンに移り住むぞ!?

はい。面倒ですけど作りました。R-18版。各自勝手に検索してくれ。
みんな!リクエストは活動報告に送ってくれよな!(清々しいクズ)



 

 職場体験終わった後の最初の授業の日。

 

「いずくちゃん、ニュース見たぜ。んなぁんかヤバかったらしいなぁ」

 

「あ、詭弁くん。本当に大変だったよ……」

 

「あの位置情報だけのヤツって、今そのタイミングで襲われてたって事だったわけだ」

 

「そう、本当に強くて……状況説明をしてる暇も無かったんだ」

 

「ふーん……ところでニュースであんな感じで言ってたけど、実はヒーロー殺しを捕まえたのっていずくちゃんとしょーとちゃんとてんちゃんの三人だったり――」

 

「そそそそんなことないよ!!?あんのときはエエエエンデヴァーがたたた偶々すぐに来てくれたからななななんとかなっただけで、ぜぜぜんぜんそんな僕と轟くんと飯田くんが捕まえたとかそそそんなことななないよ!!!?」

 

「お、おう……(ちょっとしたジョークのつもりだったんだが……まさかな?)」

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 バスに揺られてゆーらゆら。バスの揺れに合わせて揺れるヤオヨロちゃんのおっぱいを横から眺めてると、みっちゃんがスマホ突きつけながら飛びかかってくる。

 

「ねえ詭弁!この動画の人って詭弁でしょ!」

 

 なんだなんだと野次馬根性丸出しでわちゃわちゃしだしたので、みっちゃんのスマホを借りて中の写真データを

 

「ちょぉ!!?何処見ようとしてるのかなぁあああ!!!?」

 

「エロ自撮りとか無いかなとか思って」

 

「無いよ!!!」

 

「えっ!?無いの!?彼ピッピに送る用の自撮り無いの!?」

 

「無いよ!!彼ピッピも居ないから!!」

 

「えっ!?事ある毎に俺とモモちゃんの恋ばなねだるみっちゃんが!?彼氏どころか彼ピッピも居ないですと!?野郎共喜べ、みっちゃんが今フリーだぞ!!」

 

「詭弁うるさい!!」

 

「詭弁ちゃん、ミナちゃんの顔が真っ赤よ?」

 

「だってねぇ!?A組の恋愛番長のみっちゃんさんともあろうものが、動く彼ピーの一人も居ないなんて信じられな「うるしゃいっ!!!」黄金の右っ!!!」

 

「動く点Pみたいに言うなよ……」

 

 みっちゃんから右ストレートを貰い、殴られた勢いでヤオヨロちゃんの胸に軟着陸する。

 

「えーんモモちゃーん、みっちゃんが家庭内暴力をふるってくるよー」

 

「は?」(威圧)

 

「あっ、スミマセン」

 

 みっちゃんが家庭内暴力と聞いて何故か更に顔を赤く染めるが、モモちゃん的には許せない言葉だったらしい。思わず背筋を伸ばした。

 

「っていうか、そんなこと言う詭弁は自撮り写真持ってるのかー!!?」

 

「あるよ」

 

「ほらやっぱ……あるのかよ!!?」

 

 バス内が更にざわつく。

 

「い、いやいや、待てよ。ヤオモモの自撮りと見せかけて詭弁の自撮りっていうパターンだ。そうに決まってる。……でなきゃ男としての敗北感がはんぱねぇ……」

 

「……いや、そのパターンやったら誰に送ってるのかが問題ちゃう?」

 

「誰にって……そりゃぁ……」

 

 そこで思わずヤオヨロちゃんを見るでんちゃんとちゃこちゃん。

 ヤオヨロちゃんの顔は真っ赤に染まっていた。

 

「「マジか!!?」」

 

「き、詭弁さん!お話しはもうそこまでにしましょうそうしましょう!!」

 

「えー?あっ、じゃあ俺の自撮り見る?」

 

「えっ……!?」

 

「嘘よん!」

 

「死ねっ」

 

 ジロちゃんのフックが俺の顎を撃ち抜く。これが世界レベル(遺言)

 

「き、詭弁さん!?」

 

「ひぇー、爆豪より強いんじゃね?」

 

「んだとゴラァ!!クソ耳!嘗めんじゃねえぞ!」

 

「なんでウチに喧嘩売ってくる!?」

 

 ジロちゃんも口悪くなったなぁ。ヤオヨロちゃんのおっぱいを後頭部に感じながら一眠りすることにした。

 

 

「……動画は?」

 

 

 そしてホンの僅かに寝て起きたら、何もないパーキングエリアに下ろされた。いやほんと……何も無さすぎて嫌な予感しかしない。

 

 

「煌めく眼でロックオン!」

 

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」

 

 なんか、凄いのが来た。俺はすぐさまヤオヨロちゃんに猫耳を創造して着けてくれとお願いした。断られた。

 

「なんで!!」

 

「当たり前だろバカ」

 

「モモちゃんの猫耳みたいみたいみたーい!」

 

「少し黙れ詭弁」

 

「はい先生!!」

 

「元気な子だね」

 

「心は18!!」

 

「ねこねこ、可愛げのあるキティちゃんね!」

 

「身体はー?」

 

「さんじゅ……なに言わせんの!!!」

 

「ざんばつっ」

 

 本日三回目の顔面セーフ。そろそろ顔が歪むわよ?

 ふらっふらになりながらヤオヨロちゃんの肩を借りてると、辺りの雰囲気がスルリと変わった。

 

 小声で個性を発動。ヤオヨロちゃんに聞こえたが、まへーきへーき。

 やべぇと思ったらすぐに強化。ミルコさんの教えが今日も生きてる。

 

 そしてその直後に背後の崖から濁流のように土砂が流れてきた。嘘過ぎない?

 既に目の前まで土砂が迫っている、全員を助ける時間も力もない。ああ、クソ。

 

 俺は最低な選択をした。

 

 

 

 

 

「うぉぉん!皆ごめんよぉぉぉ!!!俺は我が儘で一人しか救わないクズだぁぁぁ!!!」

 

「詭弁さん!皆さん生きてます!崖下で生きてますから!!」

 

「うーん面白いキティちゃんね」

 

「あれを避けちゃうかー」

 

「あのバカ……」

 

 相澤先生は心底痛そうに頭を抱えた。

 

 

 

 その後俺だけ崖から蹴り落とされた。ヒドス。

 

 

 




次にお前は『活動報告ねえよクズ!!』と言う。
じゃあ仕方ないですね!リクエストは無しです。(無慈悲)


ヤオモモはリューキュウ事務所から戻ってきて、なんというか更に一皮剥けた感じがするな!オレももっと気合い入れて頑張んねえと!-えいちゃん

えっ、えいちゃん皮被ってんの?なんか意外。-クズ

そういう意味じゃねえよ!!!-えいちゃん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

フルマラソンぐらいよゆーーーなんだが!?

続けて投稿だオラァ!ダークネスの方?気が向いたらな!

詭弁くんはフルマラソンを個性アリで2時間切れます。余裕です。余裕ではあるんですが……まま、ええわ。

ところで前話投稿してから気がついたのですが、期末試験忘れてた。


 期 末 試 験 忘 れ て た !!



「ファイト!いっぱつ!レッツゴーレッツゴーA組!気合い爆発!弾けろ個性!!」

 

 

「う、ぉぉぉ……マジで詭弁のヤツ、スタミナお化けだな……」

 

「いや、違う!詭弁君も限界なんだ!」

 

「な、なにっ!?」

 

 

「レッツゴーレッツゴー陰陽師!ドーマンセーマン!すぐに呼びましょウルトラソゥ!!」

 

 

「あれ多分本人もなに言ってるか分かってないよ!!」

 

「……マジで叫ぶのだけは得意なんだな……」

 

「詭弁君があんなにも頑張っている!オレ達も負けないように気合いを入れよう!!」

 

 

「 マムェンパパワァーれぃぃんベーッ!!!マムェンパパワァーれぃぃんベーッ!!!)マムロードオォバジジィスワーッシセーィ!!!(マムロードオォバジジィスワーッシセーィ!!!) 」

 

 

「おいヤベェ誰かアイツを止めろ!!!軍隊訓練始まるぞ!!!」

 

「くっ、詭弁の足が早すぎる!?飯田、行けるか!?」

 

「すまない!もう燃料が切れた!!」

 

「常闇ィ!」

 

黒影(ダークシャドウ)!!」

 

「ヤダヨアイツナンカ怖イ!!」

 

 

「おらァー大声出せェー!!テメェらそれでも人間かァ!?シャウトイットアウッ!!」

 

 

「詭弁はもうなんか色々ダメだ!見捨てよう!!」

 

「バカ野郎!アイツのおかげで全員がハイペースで来れてるんだろうが!!」

 

 

「最高にハイってヤツだぁぁぁァァァ!!!」

 

 

「っ嘘!まだ加速すんの!?」

 

「ケ、ロッ。あれ以上は詭弁ちゃんが壊れちゃうわ!」

 

「ヤオモモ!麻酔弾とか打てないの!?」

 

「はっ、はっ、既に脂質を、ほぼ使い果たして、銃撃、出来ないですわ!」

 

「僕にお任せ☆ネビルレーザー(弱)!!」

 

 

「もう何も怖くなゲボッッッ!?

 

 

「詭弁がぶっ飛んだ!?」

 

「……出力間違えちゃった☆」

 

「キャーッ!!?詭弁さん!!!」

 

 

 

 

「やーっと来たにゃん……一人死にかけてるけど」

 

「……詭弁の個性の代償って不運になるとかじゃないの?」

 

「んなバカな……って言いきれないな」

 

「レーザー食らってぶっ飛んだ先に魔獣の群れが居るとか不運で片付けられるか?」

 

「あまりにも早すぎるフラグ回収……」

 

「ん~まあトラブルあれど、6時間でここまで来れたのは正直意外よ!中々優秀みたいねイレイザー」

 

「……まあな」

 

 

 ◆

 

 

「あれ?ご飯の時間なのに……詭弁くんは?」

 

「腹が死んだ上揺さぶられまくって何も食う気しねぇってよ」

 

「だ、大丈夫なのかなぁ……?」

 

「……」「……」「……」

 

「そんな目で僕を見ないで☆」

 

 

 ◆

 

 

「生きてるって素晴らしい……」

 

 汚れまくった身体を清めるべく一足先に風呂に入っているのだが、なんとまさかの露天風呂である。都会の光から離れた夜空は、キラキラと星が輝いている。うん、キラキラ……

 

「あンのキラキラ野郎覚えてろよマジで……」

 

 ものすごく腹が減ってるのに何も食う気がしない。こんな経験初めて。初体験だわいやん(棒読み)。

 

 ……風呂入るか。

 身体についた汚れを洗い流してから露天風呂に入る。擦りまくった傷がしみる。あぁ、今頃みんなメシ食ってるんだろうな。……食事の事を考えると吐き気がしてきた。マジで腹の調子がおかしい。俺、今日はメシ抜きかな……。

 夜風が目に沁みるぜ。泣いてないやい。

 露天風呂の中を揺蕩うように移動する。すこし行儀が悪いが、まあ今は一人だ。多少自由形で泳いだってばれへんやろ。……俺泳げないけど。

 入口から見て奥の方に大きな岩があり、そこの裏に回る。丁度露天風呂の入り口からは見えない位置だ。なんかこういう所って秘密基地感あって好き。

 

「……はぁぁぁぁぁぁ……腹減ったし、疲れて眠いし、なんもやる気が起きねぇ……」

 

 今日も十分頑張ったのでご褒美ください神様。なんてね。

 ……疲れてるな俺、ちょっとだけ寝よ。

 

 

 

 

 

 

「(……んにぃ?)」

 

 ギャーギャーキャーキャーと騒がしい声によって起こされる。頭を軽く振って目を覚ませば、騒がしい声はA組みんなの声だった。

 

「(……ま、どうせみっちーが女湯覗こうとしたんだろ)くぁ……ん~」

 

 そういう意味では信頼出来る男である。信頼というか、まあ残念な方向に信頼しているというか。

 ヤオヨロちゃんを覗いてたらぶっ潰してやろう。ナニをとは言わないが。

 そんな事を考えながら風呂からあがろうと、岩の裏から出れば

 

「……詭弁……さん……?」

 

「……あー、えぅ。……ドッキリ?」

 

 わぁ、なんて体を張ったドッキリなんでしょう。女子達のお身体が丸見えで御座います。はい、脳内HDDの容量がいっぱいになりました。

 というか、俺の身体も丸見えで御座いました。タオル無いや。ヤバい。もうなんか色々ヤバい。色々やばい中で何が一番ヤバイって言うともうこの状況がヤバイ。

 

 

 

 勃起()った。

 

 

 

 

 なんというかありがとう神様。恐らく、すぐそちらに逝きます。

 

 

 




詭弁だけ最後の晩餐が無い。


?「ねこねこねこ!皆よく食べてるわね!さて、お風呂準備の最終確認~っと……あっ、男女の暖簾付け忘れてたわ!いっけないけない……よし、これでオッケー!」

なにも良くは無いのだよ。


詭弁がぶっ倒れた後運んだのは青山と砂糖の二人だよ。青山が特に震えて詭弁は今にも吐き出しそうだったんだ。-まっちゃん

詭弁は風呂にはタオルを入れない主義だった。-しょーちゃん


ちなみに詭弁くんは三段階小・中・大で言ったら中寄りの大です。日本人の平均値オーバーですね。ちん――……身長の話です。(運営警戒)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

詫び投稿

ダークネスと無印間違えて投稿してしまったので、お詫びに健全イチャラブ書きます。ゆるして。


 

「モモちゃん。今更だけど俺らって付き合ってるの?」

 

「本当に今更ですのね。……まあ、世間一般的には恋人同士と言っても過言では無い……かと……」

 

「そっかぁ……じゃあそろそろ大人の階段のぼっちゃう?」

 

「ん”っ!!?ちょ、詭弁さん!?それは一体どういう意味でしょうか!?」

 

「どうもこうも、そろそろ本格的に将来の事決めなきゃじゃんか。俺達そろそろ卒業近いし」

 

「そ、そういう事でしたか……(それはそれで残念に思うのは何故でしょう)」

 

「あ、もしかして大人の階段って聞いて、エッチな事想像しちゃった?」

 

「ッッッ!!!!」

 

「モモちゃん、一旦その鉄球下ろそうか。明らかにそれ成人男性より重いですわよ?」

 

「……ふん!詭弁さんなんて知らないですわ!!」

 

「んぅー、そう言うなよー。ワザとそういう言い方したんだからさぁー」

 

「やっぱりワザとでしたのね!!?」

 

「当たり前じゃ~ん。可愛い子にイタズラしたがるのは宿命なのよ」

 

「かわっ!!?もう!そういって他の女の子にもいっぱいちょっかい出してるの、知ってるんですからね!!!」

 

「でも俺の中での一番はモモちゃんだよ?」

 

「ッ!!?もうっ!!もうっ!!!!詭弁さんは本当にもうっ!!!!」

 

「モモちゃんは?」

 

「ッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の中での一番は詭弁さんです…………///」

 

「俺もモモちゃんすきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

 

 

 もう好きにしろよ……と思うクラス一同であった。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「んで、真面目そうな話してたからウチも混ぜてもらうけど……いい加減にしなよ?特に詭弁」

 

「俺だけ?」

 

「……ヒーロー科の全員どころかサポート科の子もフっておいて、その上でアレを見せつけられる身にもなれよ?」

 

「それはスマン」

 

「謝るんなら態度で示せ?」

 

「キスでいい?」

 

「頬じゃなく口なら許す」

 

「そりゃ勘弁。口は先約があるので」

 

「ンだからそういう所だっつってんじゃん!」

 

「んぃぃ、なんか理不尽に怒られた気がする」

 

「詭弁さんのそういう所今でも直した方が良いと思いますわ」

 

「それは俺に喋るなと言ってるのと同義よ?」

 

「真面目に話して頂ければそれでいいじゃないですか!」

 

「逆に聞くけど、俺から不真面目要素除いたら何が残るジロちゃん?」

 

「……………………クズ」

 

「ほらぁ!だからこの軽さは必要なんだって!」

 

「何故100か1か0かの話をしているのでしょう」

 

「知ってるか?1の百倍は100だが、0は何を掛けても0なんだ。本当のオンリーワンってのは0の事なんだぜ?」

 

「ONLYという言葉の意味ご存知ですか?『無』をONLYとは呼びませんわ」

 

「ぐぬぬ……モモちゃんも手強くなったなぁ……」

 

「ずっと貴方の傍に居るんですもの」

 

「ねえ、誰かコーヒー買って来て。ブラックね」

 

「あ、では私はハロッズを」

 

「んじゃ俺ドクペ。おうでんちゃん頼んだ!」

 

「全部雄英の自販機にねえよ!特にハロッズ!っつかオレを巻き込むな!」

 

「なんか、あの二人も庶民慣れしてきたなぁ……」

 

「確かに」

 

「話がずれたな。卒業後はどうするんだ?」

 

「そうですわね……私の個性が個性ですし、卒業後すぐに独立したほうがトラブルが少なそうですわ」

 

「んーウチはやっぱサイドキックかなぁ。熱心なヒーロー活動も良いけど、やっぱり音楽で誰かに手を差し伸べられる様なヒーローになりたいからさ」

 

「……ジロちゃんも昔はなりたいヒーロー像語るのにマゴついてたのに変わったなぁ」

 

「誰の所為だ、誰の」

 

「さぁて、ね」

 

「それで、詭弁さんはどうなさるおつもりですの?」

 

「ん?んぁー、まあ俺は独立してもサイドキックになるにしても多分やる事は変わんねえなぁ」

 

「ヒーローを援けるヒーロー、でしょ?まあ、アンタじゃオールマイトやエンデヴァーみたいなナンバーワンは無理だからね」

 

「ソレな。だけど俺は俺のやり方でトップになるさ。んまぁ、そういう意味じゃあこれからもきっとお前達の世話になるなぁ!」

 

「はん、ウチんとこに来たらガンガンこき使ってあげる」

 

「私は詭弁さんに負けないようもっともっと精進しますわ!」

 

「はっはっは。それじゃぁ結局今までの雄英生活と変わんねえわ!」

 

「それは言えてる」

 

「確かにそうですわ」

 

 ガラッ、と教室の扉が開く。そこから現れたのは俺達の担任、相澤先生だ。

 

「詭弁、進路希望出してねえのはお前だけだ。早く出せ」

 

「先生はいつ婚姻届け出すん?」

 

「お前には関係ない」

 

「じゃあ先生の代わりにMs.ジョークに婚姻届け出してき「止めろ」食い気味ィ」

 

「いいからさっさと進路希望出せ、以上だ」

 

 そう言い放って教室の扉を閉めて出ていった。

 

「くぅ~要件人間ベムめ」

 

「要件人間……?」

 

「妖怪人間のシャレでしょ」

 

「冷静に分析するなぁー」

 

 ……待て、何でジロちゃんは今のですぐ分かったんだ?まあ、ええか。

 

「……んじゃ、希望表出してくるわ」

 

「おう、サッと行ってすぐ訓練室来なよ」

 

「……詭弁さん!」

 

「んぅ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は、いつまでもお待ちしてますわ」

 

「ん、待ってろよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それは俺がヒーローの本場、アメリカに渡る前の話。

 

 

「……本気か?」

 

「勿論。俺の『言葉』がアメリカで通用しなきゃぁ~本当の意味で『トップ』になれねえでしょ?」

 

 

「あ、アメリカに行くのか!?詭弁少年!」

 

「ええ、最終的には『世界』を獲るので、その足掛かりを」

 

 

「マジかお前!アメリカに行くのか!!なら英語で困ったらオレに頼りな!いつでも力になってやる!」

 

「ありがとうございます山田センセ!」

 

「お前だから『プレゼント・マイク先生』て呼べっつーの!お前のせいで今の1・2年にも山田先生呼びされてるんだからな!?」

 

 

 それは俺が、『世界』のヒーローになる前の話。

 

 

「あ”の、ボケがァ!!!勝ち逃げはぜってェ許さねえ!!!!」

 

「かっちゃん落ち着いて!もう詭弁くん今頃空港だよ!!?」

 

「やっぱプライベートジェットとか持ってんのかな?」

 

「持ってるんだろうなー」

 

「オレ国内線しか乗った事無い」

 

 

「……それが詭弁さんの選択なら、私は尊重します」

 

「本音は?」

 

「次会った時はもう逃がしません。フフフ……」

 

「うわぁ、闇崎茨」

 

「……ん」グスッ

 

「詭弁さん!サポートアイテムが必要ならいつでも私に連絡ください!!ドッ可愛いベイビーをいっぱい作って待ってますから!!!」

 

 

「ッたく、この私を袖にするなんて大した根性じゃねェか。バカ野郎。……『頂点』獲る前に逃げ帰ってきたら蹴っ飛ばしてやる」

 

「アタシもアメリカ行こっかなー」

 

「アンタはせめて県一のヒーローになれや」

 

「んぅー、そんな無茶なー」

 

「口調移ってんぞ」

 

「あっ、やだ……恥ずかしっ」

 

 

 そして、『宇宙一』のヒーローになる。俺の前日譚だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「モモちゃん、トップになって迎えに来たぞ!結婚しよう!」

 

「……はい!!!」

 

 

 

 

 

 










はいBGM


えんだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああいやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ



書いてて泣きそうになったのは内緒だ。

ヒロアカが完結して、自宅に単行本全巻揃ったらこれがこの小説の真エンドってことにしよう。そうしよう。


打ち切りは!認めません!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お、怖い話?これは実際にあった話なのですが、ある日風呂場で意識を失ったと思ったら次の日の朝布団で起きた。怖い!

クズ「何が怖いって女子全員普通に会話すんのに、お風呂での話を一切しないんよ」
電気「それは怖い」
葡萄「う”ら”や”ま”し”い”」


なんか前回の詫び投稿は綺麗なジャイアン扱いな雰囲気。
「違う、もっと汚いの汚いの!」
という読者の声が聞こえた気がします。

セクハラ、よし!(現場猫)


 

「…………えっ、朝?」

 

 昨日はとんでもねえ事が起きて、なんか複数の個性由来の攻撃が凄い勢いで身体に向かってきたと思ったら布団の中だった。そんなことある?

 むくっと起きれば、昨日感じていた腹部の気持ち悪さも無く、周りにはぐーすかといびきをかいてるA組男子達が揃って寝ていた。

 

「……夢?」

 

 時計を見れば、短針は5時を指していた。外はそこそこ明るくなってきて、カーテンを開ければ日の光が部屋に入るだろう。ま、流石に寝ている奴等の邪魔になるから開けんけど。

 

「……浴衣着てる……」

 

 本当に何事も無かったかのような状態だが、俺の脳内HDDはしっかりと昨日のお風呂の様子を記録している。何だったら全員のB地区の色まで覚えてる。ありがとうございます。

 

「……えっ、怖っ」

 

 なんか特に意味は無いけどトイレに行きたくなった。

 

 

 

 

 林間学校2日目、個性訓練。

 俺はB組の奴等も含めて全員を見て鼓舞しまくるというとんでもねえ訓練だった。

 

「……全員?」

 

「全員だ」

 

「……ふっちゃん洞窟の中に居るけど?」

 

「ちゃんと聞こえる様に鼓舞しろ」

 

 相澤先生。なんか俺だけおざなりじゃない?ねえ。

 

 

 丸々カット!!

 

 

 クソデカ大声で全員に行き届くように個性を使ってると、半日もすれば当然声がガサガサになる。マジでちょっとほんま喋れへん……。

 

「の、のど飴ですか……分かりました。少々お待ち――」

 

「ん」

 

おぅ、すまんねダイちゃん

 

「ん、ん」

 

 気にすんな。との事。のど飴舐め舐め。

 

「……」

 

「……んふ」

 

「っ!?」

 

そう言えば、牛乳って喉に良いって聞いたような

 

少々お待ちください!私が出します!

 

「ん!?」

 

 そうしてヤオヨロちゃんが腕から牛乳を出した。

 

「はいどうぞ!!」

 

ありがとね。モモちゃんの出した牛乳飲むね。モモちゃんの、乳、飲むね!!

 

「……はぁっ!!?や、やっぱりお待ちください!!!?」

 

待たない!

 

 ……んぅ、普通のぬるい牛乳だ。でもなんかえっちだからよし!

 

「…………ん」

 

「唯、それはやりすぎ」

 

「ん……」

 

 今だいちゃん服に手を掛けなかった?ねえ。なにしようとしたの?ねえ。いつかちゃん止めなかったらなに曝け出そうとしたの?

 

 

 

 さて、夕食の時間である。なんと夕食はカレー!ただし自分たちで作らなきゃならないらしい。

 

と言う訳でそこらは任せた!

 

「おいずりーぞ!オレ達だって料理慣れてねえんだ!」

 

「あぁ、皆さん。詭弁さんは、詭弁さんは良いんです」

 

「ヤオモモ、そうは言っても一応具材切るくらいは参加させないと」

 

「いえ、その……詭弁さんが料理に参加すると大変な事に……」

 

「何?詭弁って料理下手なの?」

 

「へぇー、まあ御坊ちゃまだし。らしいっちゃらしいな」

 

「そうではなく……」

 

 

 

 

人参厚く切り過ぎ!火が通らんだろうが!この人参なら厚さ1.3cm!火力が強すぎ!焦がしたいのか!!薪引け薪!玉ねぎの切る向き違う!横じゃなく縦だよ縦!

 

「……と、まあ出来上がったものは何でも食べるんですが、作る段階では……」

 

「料理ヤクザかよ」

 

「意外すぎる一面なんだが」

 

「ヤオモモ良くアレで中学校の間詭弁の弁当作ってたね」

 

「ま、まあアレはつまり詭弁さんの好みの味付けと言う事ですので……」

 

「もう結婚しちまえお前等」

 

 いつの間にかA組B組対抗カレー勝負なる物が開催されていて、A組が勝ったらしい。実感わかねえなぁ……。

 

「いやオメェだよ」

 

 

 

 そうして合宿二日目が終わる。

 

 

 直前の出来事であった!!

 

 時計は8時30分を回り、風呂から上がったので男部屋でごろごろしようと思っていたら突如襟首を掴まれてとある部屋に引きずり込まれた。

 

「何故に俺はここにいるのでせう」

 

「決まってんじゃん。……そろそろ白黒つけて貰おうかなってねー」

 

 ニタニタと俺の顔を覗き込むせっちゃんこと取蔭切奈。

 凄い神妙な顔つきで俺を取り囲むB組女子一同。

 

「……ん」

 

「あ、あの……皆さん、こういった事は……神が見ておられます……」

 

 そして座布団で祭り上げられてるだいちゃんといっちゃん。えー……何コレ。

 

「で?小大と塩崎、どっちが好きなの?」

 

 俺の耳元を舐めるような距離で囁くせっちゃん。俺は今何をされる時間なんすか。

 

 

 

 

 助けてヤオヨロちゃぁん!!

 

 





さて、覚えていますかね。詭弁くんは夜9時を回るとおねむくんになります。塩崎さんと小大さんはおねむくんに耐えられるのか。



耐えられないパターンは書いたらダークネスに上げますね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

これは違うんですよ!ヤオヨロちゃん!

月終わりと月始めは忙しいんだよ(半ギレ)コロナ終息しろ(全ギレ)

B組女子ーズに囲まれて尋問されたい人生でした。
そして唐突な過去編ですがあっさり塩味。


「それで、小大と塩崎どっちが好きなの?」

 

 もう俺の耳を舐めてるんじゃないかって程に近くで囁くせっちゃん。

 どうしてこうなった?

 

「Heyキベンさん!シロクロはっきりオサメどきデス!」

 

「それを言うならシロクロはっきりしろ、か年貢の納め時のどっちかだぞポニーちゃん」

 

「こーら、話をそらすな」

 

 ふにっと耳をつねられると同時に背中に柔らかい感触が当たる。んもーほんとなんでコイツらパーソナルスペースガン狭なの?俺は嬉しいけど!!

 嬉しいついでに言うけど全員が無防備に近い寝間着で俺を囲み、部屋全体を女の子特有の良い香りが包む。これで反応しないとか逆に失礼では!?

 

「……邪な色欲を感じました」

 

 ジト目で睨み付けてくるいっちゃんの眼光が怖い。俺の詭弁くんがステイした。

 あれ?これ調教されてね?

 

「本命はどっち?あ、八百万ってのは無しだから」

 

 せっちゃんの声色がさっきから性的で大変お困りになられるんですがぁぁぁ!!?耳元で囁くのは止めて!

 

「ノコノコノコ……詭弁ってもしかして耳が弱点なノコ?」

 

「きーちゃん君そんなあざとい笑い方だったっけ!?」

 

 そう言うときーちゃん改め小森希乃子は顔を両手で隠した。

 

「や、やっぱアイドルヒーロー目指すならキャラ付けは大事ノコ……」

 

「ワイプシに影響されたか!?」

 

 自分の事可愛いって思ってるヤツはこれだからよぉ!カワイイ!!!!

 周りの女子ーズも暖かい目で見ている。多感な時期ね!

 

「よし、今日はきーちゃんの今後の進路相談会ということで!」

 

「あっ、それはまた今度で」

 

 いつかちゃんがあっさり止める。ちくしょう。

 

「ま、あんたが八百万の事が好きなのは知ってるよ。でもほんとに誰か一人選べって言われたら……即答できんの?」

 

「ぐっ……」

 

 鋭い視線が俺を貫く。……いや、鋭くは無い。ただ、俺の弱い心がいつかちゃんの目を怖がっているだけだ。

 

 ……即答は、出来る。出来るはずだ。今までだってそうだったじゃないか。俺の軽い行動に釣られてしまった女の子に、絶望を叩きつけてきたじゃないか。

 浮わついてた心が一気に沈んでいく。俺が、誰かを選ぶ権利なんてあるはずが無い。

 

「ははは。いやー難しいなぁー、だって皆カワイイから甲乙付けがたいぜ!」

 

 沈んだ心とは裏腹に口調は軽くなる。多くの人を傷つけた言葉を紡ぎ続ける。軽い言葉、軽い意思を紡いで、繋いで、積み重ねて、詭弁が出来る。

 

「皆違うタイプでカワイイし、一人を選ぶのは難しいって!うん、こういう時にやっぱ大事なのって安心感じゃない?包み込むような母性と言うか……とにかくそう言ったのが大事だね!だから簡単に安心感を感じられるようなハグをして決めるってのは」

 

「ん」

 

 すっと、頭を抱き締められた。

 

「ぅえっ、ちょ、唯!?」

 

「Wow、ダイタン!!」

 

「だ、だいちゃん?あ、良い匂い」

 

「嘘は、だめ」

 

「……や、良い匂いですよ?」

 

「そっちじゃない」

 

 責めるような、慰めるような、軽い俺では判別付かないような複雑な感情が小大唯の目に宿っていた。

 

「皆、自分に嘘は吐けない。貴方も、そう」

 

 自分に嘘は吐けない。その言葉が俺の中に沁みていく。思わず泣きそうになる。

 

「嫌なら、嫌で良い。好きなら、好きで良い。正直に言って?」

 

 そう言って俺に柔らかく笑いかける小大唯。

 色々ともう限界だった。ポロポロと涙が零れ、本音が口から吐き出される。

 

「っ……好きだよ!ああ!皆好きだよ!!俺はクズだから、色んな女の子が好きになっちゃうんだよ!!でもっ、俺の、俺の口が軽いせいでモモちゃんを傷つけた!!俺がっ、モモちゃんを狂わせたんだ!!!なら、俺がモモちゃんを守らなきゃ、俺が守らなきゃ、それこそ嘘だろうっ!!!」

 

 小大唯の胸の内で、俺の慟哭が響く。

 俺が壊してしまったモモちゃんの平和は、俺のせいで狂ってしまったモモちゃんの人生は、俺の人生全てで償わなければいけない。モモちゃんがヒーローになると言うのなら、全霊で支えなければいけない。弱い俺が出来ることなんて、それしかないから。

 

 

 ◆

 

 

 夏休み前

 

 放課後 B組

 

 

「……何?詭弁に昔何かあったか、知ってることを教えろって?」

 

「うん、物間なら何か調べてるかなって」

 

「あのねぇ拳藤、僕が何でも知ってると思ってるのかい?……まあ、知ってるけど」

 

「ほら知ってるじゃん」

 

「うるさいよ。……聞いてて気持ちの良い話じゃないが、それでも聞くかい?」

 

「……うん。アイツの痛々しそうな笑顔が頭に残るんだ。……お節介かもしんないけど、何かしてあげたいって思って」

 

「惚れた弱みってヤツかい?」

 

「なっ!?ち、違うよ!!ただ私は……!」

 

「分かってる分かってる……ハァ、拳藤()かぁ……」

 

「……も?」

 

「塩崎と小大はもちろん、取蔭と小森、男子なら鉄哲、黒色、庄田に同じようなことを聞かれたよ。ホントにモテモテで羨ましいよ全く」

 

「……後、物間にも好かれてるみたいだしね」

 

「う、うるさいな……アイツの()()のルーツを調べたかっただけさ。……本当に聞くかい?拳藤の性格上、聞いたらきっと知らん振りは出来ないよ」

 

「……うん、聞かせて。私は、アイツの力になりたい」

 

「……はぁぁ~。本当にアイツはタラシだな……分かったよ。……これを見てくれ」

 

「ん?これは……新聞?」

 

「昔のスクラップをスマホで撮ったんだ。この記事を見てくれ」

 

「……『八百万財閥の一人娘、無事救出!』……これは?」

 

「これより前の記事は見つからなかったけど、小学生の時にヴィランに拉致されたそうだよ」

 

「なっ……!」

 

「財閥の一人娘だ、身代金目的()()()のは間違いない。……その子の個性がバレるまでは」

 

「それは……まさかっ」

 

「『創造』、貴金属や宝石なんて作り放題だっただろうね。どんな大人でも悪用をすぐに思い付いてしまうような個性さ。そしてその時に個性をバラしてしまったのが……」

 

「詭弁……」

 

「……実際のところは、詭弁を人質にして八百万に言うことを無理やり聞かせてたんだろう。記事には『男の子を保護した』と書いてあるけど、こっちは怪我云々が書いてない。八百万の方には『無事で』と書いてあってこれは……まあ、良い想像しないよね。……そして、記事には一切書いてないけど、八百万を救出する時に何人も死んだのは間違いない。それも恐らく、二人の前で」

 

「っっっ!!!」

 

「『喋るしか能がない』なんて、なんの自虐かと思ってたけど……当人にとっては本当にそうだったんだろう。自分は何も出来ないで、目の前で人が死んでいく。そりゃトラウマにもなるさ」

 

「……」

 

「……拳藤。僕から見てだけど、詭弁と八百万の関係はかなり歪で、複雑だ。正直、僕や鉄哲、庄田も黒色も……僕たちじゃ手におえない。たぶん、男と女のシンプルな関係でぶった切る方が良い。無理にとは言わない。拳藤が良ければ、アイツを八百万から奪い取っていけ」

 

「なっ、それとこれは違うだろ!?」

 

「違わないよ。詭弁にとって、八百万は『自分の罪』の象徴だ。そして八百万にとっては、共に地獄を生きた『依存相手』だ。……もしかしたら、このままでも良くなるかもしれない、だけど悪くなる可能性は非常に高いよ。だったら、いっそのこと関係を壊して作り直した方が良いはずだ」

 

「……だけど」

 

「拳藤、僕は同じことを塩崎と小大、取蔭、小森の四人に伝えた。……それと、影で聞いてる柳とポニーにも今伝えた」

 

「っ!?」

 

「……盗み聞きする気は無かったの……ごめんなさい」

 

「Sorry……」

 

「後は、君たち次第だよ。自分がどうしたいかって思いに、正直になれよ」

 

「……自分が、どうしたいか……」

 

「……はぁー、なんかギャルゲー主人公の友達役になった気分だ」

 

「……ギャルゲー、やるんだ」

 

「詭弁に会うまではやったこともやるつもりも無かったよ!なんだよアイツ初対面でいきなり『うわ、ギャルゲーの相談役っぽい顔』って良いやがって!そんなに僕はモブ顔かっ!?」

 

「モノマさんもNiceguyだけど、キベンさんのほうがモアモアイケメンデスねー!」

 

「傷つくからそう言うこと思っても言わないでくれ。ポニーさんや……」

 

「あ、なんか今の詭弁さんっぽい」

 

「あ"ぁ~!!もう!何でアイツの口調はこうも感染しやすいんだ!!」

 

 

 ◆

 

 

 唯の胸の中でボロボロ泣く今のアイツに、普段のニヤけ面や痛みを堪えるような笑顔の面影はなく、ただの子供のような顔で泣き叫ぶ。追いかけたかった詭弁の背中が、今はどうしようもなく小さく見えた。

 

「俺がモモちゃんを守らなきゃいけないんだ!!俺が狂わせたからっ!!」

 

 わんわんと泣く彼を抱き締める唯と、その横で子供をあやす様に頭を撫でる茨。

 普段アイツの()()を見ていたが、その裏にある()()を私は見ようともしなかった。本当のアイツは、あんなにも傷ついているのに。……私には、アイツを抱き締めてやる資格なんて……

 

「変なこと考えてるでしょ一佳」

 

 急に耳元で切奈の声が聞こえた。振り向けば切奈の口だけが浮いていた。

 

「いいのかなぁ?うじうじしてる内に機会、逃しちゃうよ?」

 

「機会……って」

 

 ふと見れば、切奈が詭弁の背中に自身の胸を押し付けていた。

 私の顔が気恥ずかしさやら怒りやらで赤くなっていくが、切奈の口はニヤニヤと笑い続けて

 

「ほらほら、右隣に小森が来ちゃった。レイ子かポニーが左隣に来るのも時間の問題かもよ?気が弱ってるときに優しくされるとコロッと落ちちゃうのは男女一緒なんだってさ」

 

 心臓が跳ねた気がした。その言葉が聞こえたのか、レイ子とポニーが焦るように詭弁の左隣に向かって動き出す。

 

「あーあ、埋まっちゃった。一佳は戦闘訓練だと行動が早いのに、なんでこう言ったことにはうじうじすんの?」

 

「だ、だって、私は、別に、詭弁の事をそう言う目で見てないしっ!」

 

「あ~ん?耳が遠くて聞こえないわ?物理的に」

 

 ケラケラと笑うその声に、自分の感情がふつふつ、グツグツと煮え立ってくる。それが怒りなのか、悲しさなのか、悔しさなのか、自分でも判断がつかない。

 

「……一佳はさ、難しく考えすぎなのよ。『好き』になるのに、難しい理屈や劇的な運命なんていらないでしょ」

 

「……切奈は、なんで詭弁の事が好きになったの……?」

 

「……何の事はないよ。アタシみたいなヒネクレモノに、真っ正面から可愛いって何度も言われたから。自分でもどうかって思うけどさぁ、……それで好きになっちゃったんだもん」

 

 思わず、詭弁越しに切奈の顔を見る。そこには、見たこと無いような乙女の顔をしてる切奈がいた。

 

「……あー、もー恥ずかしいな……ほら一佳!みんな詭弁を慰めてんだよ、アンタも一言くらい声掛けろ!」

 

 そう言って、背中を押される。まだ胸の内でよく分からない感情が煮えているが、一度そっと蓋をする。

 立ち上がって詭弁に近づき、詭弁の周りに取り付いているみんなを引き剥がす。……特に切奈は叩くように引き剥がしてやった。

 

「詭弁っ!!」

 

 自分で思った以上に大きな声が出た。だが、そのまま続ける。

 

「わ、私は……私は詭弁の事が好きだっ!!だからっ!好きなヤツが守りたいモンは私も一緒に守ってやる!!詭弁!お前は一人じゃないよ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつかちゃんがイケメン過ぎて死ねる……」

 

 

 

 いつの間にか泣き止んでた詭弁が、そのまま後ろに倒れながら両手で顔を隠す。

 

 ……うん、私、今なんて言った?

 

「うーん……。焚き付けたのはアタシだけど、まさかそんなダイタンな告白するかな普通……」

 

「み、MEもまけないデース!ヘェイキベンさん!私もI Love youデス!!!」

 

 感情のままに口から出た言葉を思い出し、つい思わず詭弁を叩いてしまった。

 

「いつかちゃん、照れ隠しは良いがめっちゃ痛い」

 

「っ、あ、ご、ごめん!!」

 

「ああ、くそ……痛くてまた涙が出てきた……っ、みんな……なんでこう……本気で惚れちゃうじゃん……辛いじゃんよぅ……」

 

「ん、惚れさせた報い。甘んじて」

 

「だいちゃんもさっきからイケメン過ぎる……」

 

 床に撃沈した詭弁の頭を、自身の膝に乗せる茨。そして慈愛の掌で詭弁の頭を撫でる。、

 

「詭弁さん。私たちは貴方の力になりたいのです。貴方がどういう選択をしても、私は尊重します。ですからどうか……私たちを、拒絶しないでください」

 

「いっちゃん……」

 

 

 

 

「……みんな、ごめん。クズの俺を好いてくれる気持ちは、凄く嬉しいよ。……でも、やっぱり俺の一番はモモちゃんなんだ」

 

「そうですか……」

 

 

 

 

 

「ですが、一番が変わる可能性はありますよね?」

 

「……はへぃ?」

 

 ……茨?

 

()()詭弁さんの心は八百万さんに向いているのかもしれません。ですが、だからと言って私の心は諦められません。これからも全力で貴方の心を奪いにいきます」

 

 そう言って、普段からでは考えられないほどに、歯を見せるほどに大きく笑いかける茨。

 

「ん。……私も、獲りに行く」

 

「あーた達人の心を優勝旗かなんかと勘違いしてましぇんかねぇ」

 

「同じようなものでしょう。詭弁さんの一番の座は一つしかないのですから。覚悟、しててくださいね?」

 

「……うん、なんかとんでもないことになっちゃったぞ?」

 

 ……身から出た錆ってやつだ。

 

「……さて、もう9時回っちゃってるし、消灯まで後30分も無いわね。……どうしようかなぁ?詭弁を部屋に返さず、ここで寝かしちゃおうか?」

 

 ニヤニヤと切奈が切り出し、全員に戦慄が走る。まさかの、同じ部屋でお泊まり会である。いや、頭ではみんなただの冗談だと分かっているが、それでもその光景を想像しない訳にはいかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……んぇ、9時……?」

 

 たった一人を除いては……。

 

 

 

 




詭弁くんは9時になったら、というより9時回ってることを認識したらおねむモードになります。フシギダナー。

走り書きモード。後で修正の嵐かもしれん。

ワタクシが創造するのに最も得意なものはマトリョーシカですが、次に得意なのが拳銃ですわ。詭弁さんを何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も撃ち抜いた自動式拳銃が、私の夢に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も出てきて、いつしか何も思わなくても創造出来るようになりましたの。-闇モモちゃん

全身銃創で酷いことになってたけど、ヤオヨロちゃんのお父さんによる財力パワーで身体には傷一つ残ってないよ。最近の整形外科ってすごいよなぁ。あっ!顔は整形してないからな!?-クズ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

おねむです!

相談役「詭弁の口調は怖いほど感染力があるんだ。んぇ、とか、んまぁ~、とか、わりと使いやすいものから時折とんでもないものまで感染る時があるんだ」
未登場「鉄哲が小森さんに『冗談は隠れ巨乳だけにしろよw』と言った時は耳を疑いましたね」
相談役「そのあとの小森のレバーブローの威力に目を疑ったけどね……」




 9時を回ると、唐突に眠くなる。頭が活動するのを拒もうとする。

 大抵、9時って普通の高校生なら何かしらやってる時間だが、俺は何故か眠くなるからそのまま寝る。でも一回寝ちゃえば大丈夫なのだが、寝るとまぁーそのまま朝までぐっすりよ。

 だから俺は夜早く寝て、朝超早く起きる習慣が染み付いてしまった。

 

 何が言いたいかと言うと、今くっそ眠い……。

 

 

「お、おーい。もしもーし?詭弁、聞こえてる?」

 

「んにぃ……?」

 

「「「(子供かッ!?)」」」

 

 頭をくらくら揺らしながら座り込み、ぽけっ、といつかちゃんの方を向く。

 顔を向けたら鼻を抑えて顔を逸らされた。

 

「(普段とのギャップが……鼻血出そう……)」

 

「キベンさん?Are you Okey?」

 

「んぃ……ん」

 

「W……WHAT!!?」

 

 ポニーちゃんが心配そうに近寄って来る。手を伸ばしてポニーちゃんを捕まえ、頬と頬を擦り合わせる。

 

「んぅぅ……ポニーちゃんは偉いよねぇ……アメリカから、遠く離れた日本にきて勉強するって……偉い……好き……」

 

「……oh」

 

 ぽしゅん、と音を立ててポニーちゃんの顔が真っ赤に染まる。そしてそのまま倒れるように布団に潜り込んだ。

 

「I′m so happy...」

 

「ぽ、ポニー!?」

 

「あっ、きゃぁ!?」

 

 近くにいたきーちゃんを引き寄せ、後ろ抱きにする。そして腕を回して、頭を撫でる。

 

「ふにゃぁっ……」

 

「きーちゃんは、自分に自信があって凄いねぇ……すきぃ……きーちゃんが可愛いのは俺が知ってるから……頑張ってアイドルヒーローになるんだよぉ……」

 

「あっ……あっ……ダメっ……詭弁さんだけのアイドルになりゅぅ~……♥️」

 

「希乃子もヤられたっ!?」

 

「……ん」

 

 だいちゃんが俺からきーちゃんを引き剥がすが、引き剥がした代わりにだいちゃんが俺に捕まって正面から抱き付かれる。鼻先だけが優しいキスをするほどに近寄る。

 

「むにぅ……だいちゃんは影でみんなを支えてるって知ってるよ……頑張ってるねぇ……偉い……好き……」

 

「ん……ねぅ……♥️」

 

 ふにゃっと笑いかけると、布団に優しく押し倒されて服を……

 

「ちょちょちょ!!?唯、待て!」

 

「小大さん!姦淫は罪です!」

 

「小大、服を脱がすのはやり過ぎだって!」

 

 いつかちゃん、いっちゃん、せっちゃんの三人がかりでだいちゃんが取り押さえられる。

 

「あんな顔で誘われたら我慢できる筈がない」

 

「詭弁は誘うとか、そんなつもりねえよ!」

 

「一佳も一緒。あの顔で微笑まれたらメス堕ち不可避」

 

「妙なこと言うなバカ!」

 

「きゃぁん!」

 

「「っ!??」」

 

 レーちゃんの頭を胸に抱きしめ、ぱたぱた暴れる両腕を押さえる。

 

「レーちゃんが一人でこっそり特訓してるのは知ってるよぉ……頑張ってるねぇ……好き……偉い、偉い……」

 

「っ、ぁ、ひゃぁぁ……♥️」

 

 ぎゅって抱き締めながら頭をなでなですると、暴れていた両腕が落ち着いて、ひっそりと俺の腰に回り込んでくる。

 

「んもぅ!急にキャラ変わりすぎでしょ!もう寝るなら寝なさいっての!」

 

 せっちゃんの両手が身体から離れ、俺とレーちゃんを引き剥がす。そして飛んでいる手が俺の目を覆い、枕に無理やり押し付けられた。

 

「ったく……手のかかる奴ね……ッひゃ!?」

 

 目を覆ってた手を掴んで、優しく舐める。しなやかな指はすべすべとして、お肌にちゃんと気を使っていることが良く分かった。

 

「んひっ!?き、詭弁!?あんた何をッふぁ!」

 

 じゅる。じゅる。音を立ててせっちゃんの指をしゃぶる。

 

「あんたが舐めてんの飴玉じゃなくてあたしの指だって!ちょ、ひゃぅ!?んっ、もう!返しなさい!か、仮にも女の子の指を舐め回す普通!?」

 

「んにぅ……知ってるよぉ……せっちゃんは、人一倍負けず嫌いの努力家だって……ん、ひとをよぉく見てる……綺麗な目だねぇ……」

 

「っ!!?あ、んまジロジロ見ないでよ……っ」

 

「んにぇ……じゃ、かわりにベロベロ舐める……」

 

「だから舐めんなって……っ!くっ……やめっ……変な気分になるぅ……♥️」

 

 せっちゃんの手が本体に戻っても指を舐め回すのを止めない。指先、関節、指間、そして手のひらまで舐め回す頃には、せっちゃんの抵抗も形だけとなっていた。

 

「あっ……ふぁ……やめてよぉ……手ぇ、ふやけちゃうじゃん……♥️」

 

「……はっ!?何見入ってるんだ私!詭弁!寝惚けてるからってセクハラ続けんな!!」

 

 いつかちゃんがついに個性を発動して、強引に引き剥がされる。

 ……ペロペロ。

 

「ん私の手を舐めるなっ!!」

 

「ぷぎゅう」

 

 いつかちゃんの掌によって押し潰され、そのまま意識を完全に手放した。

 

 

 

 




みんなに好き好き言うのが気に食わない方が居るようでしたので、予定のセリフを変えて一人づつ好き好き言ってもらいました。
やったね!

えっ、お気にのキャラに言ってない……?だって個別ルート書くの確定して……ゲフンゲフン。


眠気が限界に近付くと色々なものを舐め回す癖がある……らしい。自分の事ながら良く分からんけど……ミルコさんとこで暴発せんで良かったと思うか。-クズ

詭弁がもし男部屋で寝惚けてたら……考えるのが恐ろしいな。-はんちゃん

もしその悪癖が露呈したら……まあ、詭弁の寝る位置は部屋の一番隅で、その隣が爆豪だな。-りっちゃん

ンでオレが詭弁の隣だクソ唇!!-カッちゃん

一番ダメージ少なそうだしな。-えいちゃん

どういう意味だボケが!!!-爆殺狂


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

肝試しですよ!ヤオヨロちゃん!

クズ「んにぁ……」
心は18「女子部屋で寝るなんてなかなか豪胆なキティね!」
姉御肌「そ、そっすね」
クズ「ピクシーボブはねぇ……明るいムードメーカーで凄い頑張ってるねぇ……偉い、偉い……」なでなで
心は18「……えっ、これ私口説かれてる!??」
姉御肌「それただの寝言なんで気にしないでください!!」


 

 昨日に引き続き気がついたら男子部屋に転がされていた。おかしいな、B組女子部屋に居たのは覚えてるんだが……。

 そしておかしいついでに、男子部屋の様子もおかしい。なんでカッちゃん、しょーちゃん、いずくちゃんと俺の4人しか居ないん?まだ5時前よ?

 

「つー訳でなんか知らないカッちゃん?」

 

「知るか!」

 

「あっ、起きてた。ダメだよカッちゃん、いずくちゃんとしょーちゃん寝てるんだから静かにしないと」

 

「テメェが話しかけてきたんだろ!!」

 

 だから起きるっつってんだろ。寝転がってるカッちゃんの口を両手でふさいだる。

 

「……」

 

「っ……!!!」

 

「カッちゃんって意外と綺麗な目だよねぇ」

 

「ふ"ん"っ!!!」

 

「うぐぅ」

 

 カッちゃんの両拳を警戒してたら、まさかの足。みぞおちに突き刺さった蹴りに悶える。

 

「死ねやクソホモ野郎!!」

 

「誉めただけでホモは言いすぎでは?あ、めっちゃ痛い」

 

 俺の口が軽いことは認めるけど、割りと女の子だけじゃなく男も誉めるよ?いやまあ女の子の方が9割なのは認めるけどもさぁ。

 あぁー、カッちゃんが騒ぐからしょーちゃんといずくちゃん起きちゃったじゃーん。

 

 その後食堂に降りてったら女子ーズが談話してたので挨拶した。B組女子ーズ全員に顔を逸らされた。悲しいなぁ。

 

「おはようございますわ詭弁さん。ちょっとお話が」

 

「おはようモモちゃん。今日も『ガチャン』かわい……あの、この手錠は?」

 

「うふふ」

 

「モモちゃん?ちょ、ご飯前ですよ?ねぇ、ちょっと、どこに連れてく気!?」

 

「うふふふふ」

 

 そのまま外に連れ出されて、昨日の夜は何時まで何処で何をしていたのかをキリキリ吐かされた。モモちゃん、朝から拷問器具はだめですよ。

 

 フラフラになって食堂に戻れば、同じようにフラフラの男子勢が揃っていた。

 

「お、おう詭弁……おはよう……」

 

「おはようえいちゃん……なんでそんなやつれてんの?」

 

「ちょっと早朝練をな……ってか、詭弁お前昨日の夜どこ行ってたんだよ!なんかピクシーボブが寝てるお前運んできてたし!」

 

「あとピクシーボブのおっぱいガン揉みしてたなお前ェ!!感触はどうでしたか教えてくださいやがれ!!!」

 

「うるさいみっちー。……えっ?俺がピクシーボブの胸を揉んだ?」

 

「詭弁さん」

 

「ひえっ、いつの間に真後ろに!?ち、違うですよモモちゃん!」

 

 本日二度目の拷問器具。あぁ、もう馴れちまったよ……。

 

「ひぇぇ……ヤオモモ怒らせないようにしよ……」

 

「詭弁あれよく生きていられるな……」

 

 結局なんで皆朝から居なかったか聞けなかった。……んまぁいいか。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 朝飯を食べたら即個性訓練。今日も今日とて声張るぞーおー。

 

「詭弁、ちょっと来い」

 

 なんでしょう先生、日頃の行いを叱られるのでしょうか(自業自得)

 

「詭弁、個性を使う時何を考えて使っている?」

 

「何を……ですか。一応相手に効きそうな言葉を使うことを考えてますが……」

 

 俺の個性は、大前提として言葉の意味を理解できるだけの知能を相手が持っている必要がある。だから犬や猫といった動物には効きづらいし、一見頭悪そうな脳無相手に効いたりもする。

 

「なら、自分の個性の発動プロセスは理解してるか?」

 

「個性の発動ぷりょぇす?」

 

「……」

 

 ちゃうねん。わざとや無いんや。そんな目で見ぃんといて。

 

「んぁー、えぇ~……発動ぷりぉしぇしゅはですね、俺の言葉……正確に言えば喉の振動が相手の脳に色々作用して、限界を越えさせたり認識を誤魔化したり、まあ色々脳に作用するって聞いてます…………個性発動ぷるぉれす!!」

 

「プロレスになってるじゃねえか」

 

「ちゃうねん……」

 

 えーいこうなったら相澤先生も噛み噛みになぁれ!

 

「個性発生ぷろぇふ!」

 

「何が言いたいんだ……とにかく詭弁、これからの訓練は相手の感情を刺激することを意識してみろ。お前の個性発動プロレ……プロレス……詭弁、お前何しやがった……!」

 

「おこなの?」

 

「お前も補習組と一緒に補習するか?」

 

「すんません!!!感情の刺激っすね!かぁしこまっ!!!」

 

 あー個性訓練で忙し~い~な~!!!

 

 あっ、何で感情を刺激させるのかを聞いてない!でも今のセンセには近付けねぇな!

 

 

 

 

 

「個性発動プロフェス…………治らねぇ……」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 さて、ついに来ましたか。……肝試しタイム!!!!

 

「肝試ェェェーーー!!!」

 

「いえー!!!!」

 

「肝試しってそんなテンションでやるもんだっけ?」

 

「つーか、マジで詭弁まだ叫ぶ気力残ってるのかよ……」

 

「詭弁君って朝から叫び続けてなかったっけ……」

 

 はい。まあぶっ飛んだテンション戻して、と。

 

「では肝試し恒例、肝を冷やすタイムです」

 

「肝を冷やすタイムってなんだよ。素直に怪談って言え」

 

「お、良く分かったねジロちゃん。護身用のお守りを一つ贈呈しよう」

 

「準備万端か」

 

 ちなみに中身は俺特性の笑い袋。狂ったように笑い続けてテンション上がってくるよ。

 俺の個性は電子機器通すと効果が半減するけど、無いよりましですわ?

 

「……さて、こういった怪談話はマクラに『これは私の友達の話なんですが』とか、『先輩から聞いた話なんだけど』とか、何処かの誰かの話が、んまぁ常套句とでも言いますか。いわゆる『ありきたり』って奴だな」

 

「おぉ……なかなか雰囲気あるな……」

 

「んでも詭弁の話だぜ?ぜってぇ最後に笑いに走るだろ」

 

「……どしたの、ヤオモモ。顔色悪いよ?」

 

「……いえ、何でもありませんわ……」

 

 

「今から話すのは、『誰か』の話じゃない。誰でもない『俺の』話だ。俺がまだ、小学校に上がる前の、豆粒みたいな子供の頃の話だ。舞台はそう、丁度ここいらみたいな暗い、暗ぁい森の中での出来事だ」

 

 

 

「目を閉じてみれば、あぁ……聞こえる聞こえる。虫のさざめき。虫には詳しくないが、りーん、りーん、と鳴く音は鈴虫か?ざぁ、ざぁ、と風が木の葉を打つ音も聞こえる。少し離れた場所で、さらさらさらさら……あぁ、これは川の音だ。もぉっと耳を澄ませば、ひぅ、ひぅ、緩やかな風の音も聞こえて来た。俺は昔からこういう自然の音ってのが好きでね、家族で遠くにキャンプしにいったら、夜な夜な抜け出して静かな自然の音色を聞いていた。まあ自分でもマセたガキだと思うけどな」

 

 

 

「その日も、両親が寝静まったのを確認したらゆっくりゆぅっくり、音を立てないように、テントから抜け出して、月明かりの中暗い森の中に身体を沈め、気を静めた。りーん、りーん、ざぁ、ざぁ、さらさらさらさら……ひぅ、ひぅ。あぁ、なんていい音なのだろうか。目を閉じて、さらに耳を澄ませる。すると、遥か遠くで子供の無邪気な笑い声がしたんだ。ああ、きっとその声の場所で、今の俺達みたいにキャンプをしてるんだなぁ……って、その時は思った」

 

 

 

「月が更に昇り、真夜中。たまたまその時、明るい月に分厚い雲がかかった。月明かりに照らされた暗い森は、一気に真っ暗。闇の世界へと姿を変えた。足元すらおぼつかない闇の森でも、俺の心はまだ落ち着いていた。耳を澄ませば、自然の音が聞こえてくるから。りーん、りーん、ざぁ、ざぁ、さらさらさらさら……ひぅ、ひぅ。自然は、いつも味方だ。それに無邪気な子供の笑い声だって聞こえる。何にも怖くは無い」

 

 

 

「その時、そっ……と、俺の中の好奇心が『この笑い声の所に行ってみよう』と囁く。月はまだ厚い雲の中でも、何度も訪れたキャンプ場だ。そうそう道には迷わない。好奇心に身を委ねて、その笑い声の場所に向かっていった」

 

 

 

「『あははははは』『あははははは』よくよく聞けば、どうやら複数人の子供の声がする。そこで何やら楽し気に遊んでいるようだ。すると俺も真夜中だっていうのにウキウキしてきて、つい笑い声の場所に走っていった」

 

 

 

「真っ暗闇の森の中だ。何度か転びかけたが、怪我をすることなく笑い声の傍まで来れた。『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』幼い俺は、ようやくそこで異変に気が付いた。子供の声が多すぎる。近づくにつれ、声は二人、三人、四人、五人。もっともっと増えていく。おかしい。何かが変だ。この……この茂みの一つ向こうに、この声の主が居る。俺は嫌な予感がしたが……好奇心に勝てなかった。テントから抜け出した時よりも遥かに慎重に、ゆっくり、ゆぅっくり、茂みを覗いた。その時、雲が晴れて月明かりが森に差し込んだ。そこで見た声の主の姿は」

 

 

 

 

「影を固めたような、真っ黒な大男だった」

 

 

 

 

「その大男から、複数の子供の笑い声が聞こえる。『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』狂ったように笑い続ける子供の声。『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』俺は恐怖した。背中に泥水が降り掛かったかのように、嫌な感じがした。逃げなきゃ。逃げなきゃ。逃げなきゃ。俺の頭にはそれしか無かった。『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』『あはははは』

 

 

 

「笑い声から遠ざかる様に、ゆっくり、ゆっくり、後ろに下がってゆく。一歩、二歩、三歩、ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり。逃げる、逃げられる。逃げられるんだ。そう、思ったその時。パキッ……っと、木の枝を踏み抜いてしまった。ゾクッと背中に寒気がしたと同時に………………子供の笑い声が、止まった」

 

 

 

 

 

『ヒャハハハハハハハ!!!ヒヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!』

 

 

 

 

 

「狂ったように笑いだす大男の野太い声。俺はすぐに暗い森を走った。目指す所は、俺の両親が居るテント。走って、走って、走って、走って。全力で森を走り抜けていった。もはや自然の音を聞く余裕なんて無かった。暴れ狂う心臓がバクバクと鳴り響く音。ハァッ!ハァッ!ハァッ!ハァッ!走る俺の荒い呼吸音。草や落ち葉を走り蹴る音。そして狂ったように笑う大男の声。一心不乱に笑い声から逃げる。走って、走って、走って、走って。ハァッハァッハァッハァッ!」

 

 

 

「逃げて逃げて逃げて逃げて、足が動かなくなるまで逃げた。地面に倒れるように転がり、息を整えた。ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。未だに心臓はバクバク鳴り響く。滝のように汗が流れる。ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。空を見上げれば、月が再び雲に隠れて闇夜が訪れた。ハァ、ハァ、ハァ、ハァ。未だに耳がうるさい。心臓が鳴り響く音、荒い呼吸音、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ。違う。その呼吸音は、()()()()()()()()。ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ。荒い呼吸は、後ろから聞こえてくる。ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前の後ろからあああああああ!!!!」

 

 

「ぴッ『ワハハハハハハハハハハハハ!!!』くぁwせdrftgyふじこlp;!!!!!」

 

 ジロちゃんが死んだ!!この人でなし!!!

 

「お前の笑い袋じゃねえかあああああああああ!!!!!」

 

 はい。

 と言う訳でジロちゃんにはビックリドッキリアシスタントになってもらいました。こういうのによわよわなジロちゃんに予めお守りという名の笑い袋を持ってもらい、一番の盛り上がる所でジロちゃんを刺激すれば、思わずギュッとしちゃった心の音を、どうぞまだ忘れられない悲鳴になるわ。

 

「ジロちゃん、待って。待って!」

 

「死ねッ!!死ねッッッ!!!!」

 

「すけぁり”ッ”ッ”」

 

 今日もジロちゃんの個性はイキイキしてるじぇ。

 俺はジロちゃんに殺されかかってるけど。

 

 

「いやー……まじかー……」

 

「うむ、あの話の後でこの森は……」

 

       ワハハハハハ……

 

「今なんか聞こえた!!?今なんか聞こえたぁ!!?」

 

「気のせいよ、気のせい」

 

「コレさぁ……怖がらせる方も怖いんだけど……」

 

「……はい!と言う訳でB組が驚かす側先行、A組は二人一組で組んで出発!驚かす側は直接接触禁止で、個性を存分に使って驚かせまくりなさい!」

 

「嘘だろ!?この流れで普通に進めただと!!?」

 

「止めようぜ?な?止めようぜ?」

 

 




ヴィラン連合サイド

「ワハハハハハハ!!!要は適当に暴れまわりゃあ良いんだろ!!!?」

「ちょっとマスキュラー!?声大き過ぎよ!!作戦遂行前にバレちゃ何の意味も無いでしょ!?」

「おお!スマンスマン!!」

「大丈夫かコイツら……」


ジロちゃんは恐怖に引き攣った顔が良き……普段の顔もまた良き……。
俺も書いたんだからさ(同調圧力)

あ、裏でひっそり補修組は回収されていきました。


今回の怪談話は俺の体験談だ。ちなみにオチは、俺の親父が真夜中に俺が外に抜け出す事を止めさせるために親父の友達連中集めて、個性使いまくって俺を脅かした、ってのが真相。その後お袋に全員纏めてバチボコにぶちのめされたけどな。-クズ

詭弁さんの笑い袋は、非常に簡単な作りではありますがお守りとしてはとても効果のある代物ですわ。詭弁さんの笑い声は心を高揚させる効果がありますの。-ヤオヨロちゃん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

襲撃ですよ!ヤオヨロちゃん!

思えば、最初は毎話1~2千くらいの駄文垂れ流しにしようと思ってたんだ……
と思って最初っから見直してみれば、もう一話から3千超えてるし草。俺は何がしたいの。


 

 んッてな訳で肝試し。当然のように俺はヤオヨロちゃんと同じチームで

 

「組み分けはクジよ!」

 

「んぃぃ……」

 

 はい。運ゲーきた。仮にもし、万が一、ありえないとは思うが、男子がヤオヨロちゃんと同じ組になった場合そいつを埋める。

 

「(詭弁からの圧が凄い)」

 

「(ヤオモモもなんかプリプリしだした……)」

 

 お願い神様!ここ一番で俺の徳ポイントを使って何とかして!!!

 

 えっ、徳ポイント皆無?うそぉぅ……

 

「はい、引いて詭弁!」

 

「んぅ…………2番」

 

「はい詭弁2番!次!」

 

 そうして俺のパートナーはつーちゃんになった。

 

「……」

 

「ケロっ、よろしくね詭弁ちゃん。……そんな顔しないの」

 

「いや、本当にゴメンちゅぅちゃん……つぅぅちゃんは悪くないのに……」

 

「いいのよ」

 

「あとしょーちゃんはブッ○す……」

 

「嫉妬」

 

 あ、やば。ヤオヨロちゃんの隣にイケメンが立ってるって想像しただけで吐きそう。

 

「……詭弁、替わるか?」

 

「かわりゅぅぅ」

 

「待て、クジの結果は絶対。故に決まったパートナーでゆけ!」

 

「腐れ筋肉が……」

 

「詭弁ちゃん、そういう事は言っちゃダメよ」

 

「止めないでくれちゅつちゃん。男にはやらねばならん時がある」

 

「少なくとも今じゃないわ」

 

「ぐぬぬ……おいしょーちゃん!モモちゃんに触れたら埋めるからな!」

 

「おう……」

 

「そして各グループはパートナーと常に手を繋いでいる事!互いに交流を深めていけ!」

 

「夜道には気を付けろよテメェ……」

 

「今が夜よ詭弁ちゃん」

 

「今ならダークパワーっぽいのが使えそうな気がする……」

 

「止めなさい」

 

 つーちゃんから舌ビンタを食らった。なんかもう色んな意味で泣きそう。

 

「……なんか、悪いな」

 

「いえ、まあ……詭弁さんですし」

 

「それもあるが、お前もアイツとの方が良かったんだろ」

 

「……まあ、そうですが……ですが、いつまでも離れられないのも問題ですわね……よし、轟さん!肝試し、頑張っていきますわよ!」

 

「お」

 

 

 そんなこんなで、俺とつーちゃんが進む番になった。

 

「よっしゃー!俺らの番だ!行くぞつーちゃん!」

 

「詭弁ちゃんのその切り替えの早さ好きよ。ちゃんとつゆちゃんと呼んで」

 

「……ちゅゆちゃん!」

 

「ケロッ」

 

 そうして暗い夜道を進んでいく。

 

「ねえ詭弁ちゃん。さっきの怪談だけど、あれは本当にあった事なの?」

 

「んぃ?まあね。俺の親父がハッチャけたのが一つの要因だが、まあ夜な夜な外に飛び出してた俺も悪いからな」

 

「ふぅん……夜は怖くなかったの?」

 

「んぅ~……まあ、怖くは無かったかな。自然の音が好きってのは本当だし、昼より夜の方が良く聞こえるんだ」

 

「肝が据わってたのね」

 

「んまぁね。まあ、アレが原因で夜出歩くのは止めたけど。……つぅゅちゃんはどうなん?」

 

「そうね。私は、夜は怖かったわ。昔はお化けとか信じてたもの。暗い夜になると、外をお化けがウロウロしてるって本当に思ってたわ」

 

「ん~……今は?」

 

「もうお化けなんて信じてないけど……でも、ちょっと夜は怖いわね」

 

「そっかぁ。んまぁ、今は俺も夜がちょっと苦手になってんだ。夜がというか、暗い闇がさ」

 

「……それは」

「ばぁぁ」

 

「……」

 

「……」

 

「……ん」

 

「だいちゃん、満足げに戻らないで?」

 

「ビックリしたわ」

 

「全然表情変わってない事にビックリしたわ」

 

「詭弁ちゃんは驚いてないのね?」

 

「……んぅ~、まあ……なんだ?なんというかこういう暗い所だとなんとなく第六感が冴えるって言うか……あ、なんか来るってのが直感でわか『ふぅ~』ゥひん!」

 

「……」

 

「あ、やっぱ詭弁って耳弱いんだ」

 

「せっちゃん、耳に息吹きかけるのは有りなん?」

 

「さあ?でも直接接触してないからオッケーでしょ?ぅひん!あははは!ぅひん!だって!」

 

「覚えてろよ……」

 

「……第六感が、何だって?」

 

「違うのよちゅルゥちゃん……本当に耳は弱いだけなのよ……」

 

「ふぅーん」

 

「……なんだその意味深な視線はぁ……つぅちゃんの弱い所探っちゃうぞ」

 

「それはダメよ詭弁ちゃん。ケロケロ」

 

「いいや、探っちゃうね。弱みを知られたからにはタダじゃ…………」

 

「……どうしたの?」

 

「つーちゃん、なんか来る!!凄い嫌な、なんかが!!」

 

「えっ」

 

 パァン

 

 ()()()()()()()()()銃声が聞こえた。

 その直後、左腕が灼けるように熱くなる。

 

「……えっ、詭弁……ちゃん?」

 

「あ”ぁ”っ……クソッ!!痛いなあッ!!!」

 

「……ひゃひゃひゃ、撃たれたらデカい声で痛がる()()をするクセは変わってねぇよーで何よりだぁね」

 

「な、誰!!?」

 

「ひゃひゃ、誰だお前と聞かれたら、答えてあげるが世の情け」

 

 馬鹿々々しい名乗りを上げている間に、足元の石を銃に向かって蹴り飛ばす。

 

「痛っ!!てめぇこういう口上の時ぃに攻撃しないのがお約束だろぅが!」

 

「つーちゃん!逃げろ!!!」

 

「詭弁ちゃんは!?」

 

「俺は、()()()()()()……つーちゃん、急いで先生を呼んできてくれ!!」

 

「ひゃひゃひゃ!おぉれの個性を覚えててくれてるとぁーコーエーだぁね!なぁキベンくぅん!あん時の女の子、どぉこにいるのかぁな!?」

 

「つーちゃん、『行けッ!!!』

 

「ひゃひゃ!逃がすかぁよ!!」

 

「逃がすんだぁよ!『上ェェ!!!』

 

 パァン

 放たれた弾丸は、つーちゃんに当たることなく森の中に消えていった。

 

「ああっ!!?んでぇこの距離で外れるんだぁよ!?ちぃッ!……まぁいぃや。オレの目標はまぁ半分ってとこだぁな」

 

「テメェ……刑務所にぶち込まれたはずだろうが!」

 

「ひゃひゃひゃ!そぉだな!確かにオレは一度ムショにぶち込まれた!んだが、そんなオレを解放したモノズキがいたんだぁよ!なあキベンくぅん?あん時の女の子さえいれば、オレ達ゃ億万長者だ!もう一度聞くぞぉ?あん時の女の子、何処に居る?」

 

「テメェみてえな寄生虫に教える訳ねえだろ!」

 

 パァン

 銃弾が俺の脚を貫く。

 

「ひゃひゃ、聞き方が悪かったなぁ。いいかぁ……よぉーく考えろ。テメェがふざけた口利けるのは、オレがテメェのドタマに鉛弾ぶち込んでねえからだ。生きたけりゃぁ、その軽い口に乗っかったかるーい頭で考えなぁよ?金、宝石、美術品、何でも作り出せるあの女の子は何処だ。言え」

 

「……あの子はなぁ……」

 

 

 

「あの子は俺みてぇな奴の命より、遥かに重いンだよ。負け犬ヴィランが!」

 

「……ほー、そぅかー。んなに頭ぶち抜かれたいかぁ。おーし、んじゃぁあの子にテメェが糞便漏らしながら死んでる様見せてやりゃぁ、心もへし折れるだろぉよ」

 

「ハッ!!どうした社会の負け犬。出来もしねえ事ウダウダ言ってる暇あったらその銃の引き金さっさと引いてみろよ。まぁお前みたいなクソ不細工ゴミ人間には無理だろうがな。コバンザメみたいにデカイヤツにくっついて生きるしか能の無い寄生虫だもんなぁ!」

 

「……死ね」

 

 拳銃が俺の額に向けられ、その引き金が引かれた。

 

『左ィィィ!!!』

 

 本当にタイミングが分かり易くて助かる。

 引き金が引かれた瞬間、声を張って銃撃を妨害する。俺の耳がチリチリするが、吹き飛んでないようでまあ何より。

 

「っ!?また外しただと!?」

 

「ははは!どうしたヘタクソ!怒りで手が震えてまともに照準合ってねえぞ!てめぇの目ん玉は節穴かぁ?それとも酔っぱらってんのかぁ!?アルコール中毒者かぁ!!?」

 

「テメェッ!?何をしやがった!!」

 

 パァン

 パァン

 銃声が鳴るが、弾丸は俺の身体を掠めるだけに留まった。

 

「ははははは!何処狙ってんだぁ!?俺はつっ立ったままだぞ!急に局地的な地震でも来ちゃいましたかぁ!?さっきから肩ぷるっぷるしてるぞ!!」

 

「クソッ!クソッ!クソがァ!!!何で当たらねえ!!?当たりさえ!当たりさえすればテメェみてえなクソガキ一発で」

 

「一発で、なんだぁ?」

 

「は、なっ!?」

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()俺の遥か上を狙って拳銃を何度も撃つヴィラン。そんなデケェ高校生いる訳ねえだろ、バーカ。

 

「俺はよぉ、口先だけしか取柄がねえから……必死で、必死で鍛えたぜ……口先を!」

 

 今、全力で出せる握り拳をヴィランの鼻にお見舞いする。拳が鼻を潰す気持ち悪い感覚が残る。あーくそ。最悪だ。

 コイツの個性は『加重』。個性を込めた物に当たった物の重量を上げるという個性だ。木刀とかに個性を込めりゃぁ殴った相手は重くなるし、こうして銃弾に個性を込めりゃぁ撃たれた相手は重くなる。

 昔、俺とヤオヨロちゃんがヴィランに攫われた時に、逃げられないようにさんざっぱら撃ちこまれた個性だ。

 

「……あぁー……クソ。腕が千切れそうだ……」

 

 重い脚を引きずって、千切れそうな程重い腕を抱えて、何とか辛うじてこのクソ野郎をブッ倒した。万が一起き上がられると困るので拳銃は分解してそこらへんに投げ捨てた。学んでよかった分解術。

 

 ……刑務所にぶち込まれた筈のヴィランを解放したモノズキ。……ああ、嫌な予感が止まらねえ。一刻も早く戻らないと。

 

 ぞぷっ……

 

「……あぁ?」

 

「こんばんは詭弁くん!会いに来ちゃいました♥」

 

 気が付いたら、腹にナイフが突き立てられていた。

 

「ぁ……会いに来ちゃいました……じゃねえだろ……」

 

「血の匂いがしました!思わずそこに向かったら貴方が居ました!血だらけでカァイイねぇ!」

 

「カァイイって言われるのはなぁ……」

 

「……あ、そう言えば詭弁くんは殺しちゃダメなんでした!どうしよ!」

 

「勝手に殺さないでくれないかね。『俺はこの程度じゃ死なない』」

 

 ナイフを握っていたトガヒミコを突き飛ばす。傷口から赤黒い血が流れ出るが、気合と筋肉で塞き止める。

 

「……わぁ!凄い!傷口が塞がっちゃいました!!」

 

 こんな事が普通の人間に出来るかどうか、なんて知らない。出来なきゃ、死ぬような地獄を見たから。

 

「……そう、俺は、この程度じゃ『死なない』『倒れない』『負けない』」

 

 プチ、プチ、と身体の内側が切れていく感覚がする。全身に力が漲る。辺りの景色に色が抜け落ちていく。

 

「っ♥凄い!凄い!どんどん血の匂いが濃くなってきました!詭弁くん!カッコいいです!!もっと!もっと血に染まりましょう!!」

 

「いぃやぁ……染まるんなら血のような赤よりも蒼が良い。青天の空の色は嫌な事を忘れられる……あぁ、下着の色なら赤も良いなぁ……」

 

「良いですよね赤!私も好きな色です!!」

 

「えっ、それは今穿いてる下着を告白してんの?」

 

「違います!!詭弁くんはエッチです!!」

 

「男は皆ココロにエッチを掲げてエロくなるのさ。H、ero、合わせてヒーロー。つまり男は誰しもヒーローに憧れるのは自明の理……」

 

「その理論なら弔くんもステ様も皆エッチでヒーローに憧れてるじゃないですか!」

 

「弔くんとステ様とやらも、男なら自分のエッチを掲げてんのさ。誰にも内緒でな」

 

「そうだったんですか!意外です!!」

 

「いやいや、納得しないでよ。オジサン困惑しちゃう」

 

 第三者の声が耳に届いたその瞬間。俺の意識は闇に呑まれた。

 

 んもぉーなんかこんなの多くねぇ~?

 

 

 




オリキャラが好き勝手やるのは二次創作の特権。


気が付いたらUA10万超えてたぜやったね!記念になんか書くか……(いや待てよ?何で俺が頑張ったのに更に頑張んなきゃいけないんだ?つかそもそも思いついたの片っ端から書き上げてるから記念話とか何の意味があるんだ?むしろ俺が祝われる側なんだから何かされる側では?)
よし、欲しいものリスト公開しよう(しない)

と言う訳でこれからも応援よろしこ。感想くれ。R指定の方も返信しないけど読んでるから。いや返信しろよ。(自己完結)

あ、ヒロアカ単行本全巻欲しいです。最終話まで揃ってるの。誰かタイムマシン使って買ってきてくれぇい。


ウチのモモちゃんは能力的にかなり覚醒してっからヴィラン連合に襲われても血の一滴も流さなさそう。(特に何も考えて無い)
というかヴィラン連合の最優先捕獲対象になってそう(本当に何も考えて無い)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ここはどこですか!

コロナが流行ってますが、私の中でエロナ熱が再発してます。全て某カオスシェイプが悪いんや……

血生臭いとがちゃんルートも良いけど、純愛(意味深)ルートもええなぁ……


 はっ、と気がつけば、硬いなにかに覆われたような空間に閉じ込められていた。やぁー……なぁにここ。

 づっ……あぁ、そう言えば鉛玉二発撃たれて、腹にナイフがブッ刺さってたんだ……。

 小さい声で『大丈夫』『治る』『痛くない』と自己暗示をする。痛みは収まり、傷も閉じた……気がする。

 

「あーあー、こちら『コンプレス』。目標の一人を回収した」

 

 外の声が聞こえる。この声は、俺が意識を失う直前に聞こえた声の主だ。こいつが俺をここに閉じ込めているのだろうか。

 ……今、目標の()()っつったか?

 あー……くそ、傷を塞ぐための自己暗示は身体に相当負荷がかかる。何より精神的につらい。思い出したくもない地獄を思い出してしまうから。

 何もやる気が起きない。ヴィランに捕まっている現状は最悪だが、今は何かやる体力もない。

 硬い地面に横になり、少しでも体力を回復させる。外の声が聞こえるってことは、内側からの声も届く可能性があるのだから。

 

 機会を、待つ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「八百万!大丈夫か!?」

 

「はぁっ!はぁっ!まだまだ行けますわっ!!」

 

「ネホヒャン!!」

 

「くそっ……凍らせてもすぐに戻る、コイツも再生個性持ちか……!」

 

「くっ……致死性のある攻撃はしたくはなかったのですが……轟さん!あの脳無の脚をガチガチに凍らせて下さい!!」

 

「っ、何か策があるんだな!」

 

 パキパキパキッ

 脳無の下半身を完全に氷で閉じ込める轟。

 

「ネホヒャン!」

 

 バキッ、バキッ、とすぐに氷が剥がれていくが、その隙に八百万が創造した大砲で氷ごと脳無の足を粉砕した。

 

「……容赦ねえな」

 

「あのままでは私たちだけでなく、他の誰かにも危険がありましたわ。……それに、怪物とはいえ誰かを殺める結果にならなさそうですわ!」

 

 ボゴッ、ごぽっ、異音を立てながら粉々に粉砕した脳無の下半身が復活する。

 

「まだ倒れねぇのか!」

 

「ですが先程よりも脚が貧弱になってますわ!轟さん、もう一度!今度は上半身ごとお願いしますわ!!」

 

「マジか、人使いの荒い……ふっ!」

 

「ネ、ホヒャ」

 

 先程よりも大きな氷に包まれた脳無は、暴れるように氷を破壊しようとする、が、二発目の大砲によって上半身も粉々に粉砕した。

 それでもごぼっ、ボゴゴッ、と異音を立てて復活する脳無だが、先程よりも遥かに細い身体に変化していた。

 

「ホ、ヒャ」

 

「しぶてぇな……」

 

「ですが明らかに弱体化してますわ!今なら……!」

 

 八百万が創造した大砲から、対ヴィラン用捕獲網が発射される。それは脳無に絡み付き、脳無を引き倒す。畳み掛けるように鋼糸と鉄杭を創造し、倒れた脳無を地面に固定する。

 

「轟さん!地面ごと脳無を凍らせて完全に固定させてください!」

 

「……容赦ねえ……」

 

 そうして脳無を完全に拘束した直後、少し離れた場所で木々が薙ぎ倒される音が鳴り響いた。

 

 

 

 ◆

 

 

 

 あれから、どれくらい時間が経ったか。自分の身体が見える程度の薄闇に包まれ、どれだけ時間が経過したかはよくわからない。心臓の鼓動による時間測定方法も、今の暴れ狂う心臓じゃ無理だ。たぶんもう9時過ぎてるんだろうが、身体が辛すぎて眠気なんて欠片も無い。

 

 がさがさ、ごそごそ、外側で何かが鳴る。何かが鳴っていたが、急に全ての音が止まった。

 しん、と自分の血が流れる音しか聞こえない。

 俺を捕らえた奴は、そういえば音もなく近付いてきてたな。何かを狙ってるのだろうか。何を?決まってる。俺以外の()()って奴だろう。それが誰かは分からないが、それはきっと生徒の誰かなんだろう。

 

「ははは……」

 

 あー、俺は静かな空間ってのは嫌いなんだ。図書室も嫌いだし、映画館で映画が始まる直前も嫌いだし、中学の時に連れてかれたどっかのチェーン店ラーメン屋も嫌いだ。黙ってる、静かにしてるなんて、俺の性に合わない。

 

「ははは!!」

 

 そう。俺は元々ワガママなんだ。どうせなら賑やか、華やかに騒いだ方が良いだろう?お前らみたいな隠れて、こそこそして、静かに暗躍してる日陰者のヴィランとは反りが合わないかもなぁ?

 

「ははははは!!!!」

 

 俺はここだ。ここにいる。黙らせたけりゃ個性を解除してみやがれ。テメェの鼻っ面ブチ折ってやるよ。

 

「あははははははは!!!!ははははははははははは!!!!

 

 

「っ!今の声は詭弁……誰だ!」

 

「なっ、嘘だろコイツ!?俺の奇襲作戦台無しにしやがって!?」

 

「ヴィランっ!?」

 

「チィッ!ここは一旦退くか……」

 

「待てやクソヴィラン!!!」

 

「ダメだかっちゃん!深追いしたら……」

 

「オレに指図すんなクソデク!!!」

 

 

 ああ、痛みがぶり返して来やがった。無理矢理閉じた傷口が熱くて狂いそうだ。頭がガンガンと騒いでうるさくて仕方ない。外で誰かが話しているのは分かるが、それが誰なのか、何を話してるのかが分からない。

 

 あー……くそ、結局俺はまともに喋ることも出来やしねえのか……。

 

 あぁ……、くそ…………ねむ…………ぃ…………。

 

 

 

 

 

 

「起きろやクソ口!!!」

 

 カッちゃんの呼ぶ声で、深く沈んでいた意識が浮上する。だが目蓋は鉛のように重く、目を開けることが難しい。

 

「詭弁くん!!」

 

 いずくちゃんの呼ぶ声で、今俺が首を掴まれて立たされている事を自覚した。腹の刺し傷から、じくじくと血が漏れ出る。

 

「詭弁!!」

 

 しょーちゃんの呼ぶ声で、目に力が入る。俺の所に三人、ヴィランが合宿場所に襲撃しに来たんだ。ならもっとヴィランが居る可能性の方が高い。んな中でモモちゃんに怪我負わせてたら許さねえぞ。

 ……なんて、肝心な時に何の役にたてない俺がどうこう言う権利なんてある訳無いのにな。

 

「詭弁さん!!!」

 

 モモちゃんの呼ぶ声で、ようやく目蓋が開く。モモちゃんは個性を使い過ぎたのか、直前に見た時よりもかなりやせ細っていた。だが怪我らしい怪我は無く、しょーちゃん()ちゃんと守れたって事なのだろう。

 

モ、ちゃ……無事で……良……」

 

「詭弁さんッ!!!」

 

 視界の隅から黒い霧が覆ってくる。モモちゃんが手を伸ばしてくるが、俺に届く前に俺の身体全てを黒が覆った。

 

 

 

 やっぱり俺じゃあ、守れないんだな。

 様々な()が混ざって黒くなった心ごと、身体は何処かへと引っ張られていった。

 

 

 




と言う訳で詭弁くんだけがヴィラン連合に連れ去られました。
詭弁くん闇堕ちルートが解禁されたゾ(書くとは言ってない)

さて、ヤオモモがネホヒャン倒したせいで発信機無しでヴィラン連合のアジトをつきとめなければなりません。どぉ~したもんかなぁ~~~~~!

ほんとはマスタードくんボコボコにするB組書きたかったけど、ンなん書いてると投稿いつになるか分からんから断念。んぇ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

もしも詭弁くんヤオヨロちゃんがヴィランだったら

思いつきのオマケ回


「んぅ……じゃぁアレでいこっか」
「アレですか。確かに今回の状況には良いと思いますわ」


「ようこそ名も無きヒーロー諸君!!我が名は『ナイトメア』!これから君達に楽しいアトラクションを案内してあげよう!!」

 

 ビルの屋上から見下ろし、眼下のヒーロー二人を出迎える。常に()()()()()を気にしながら、手元のコントローラーでカメラドローンを操作し続ける。

 

「さあヒーロー諸君!君達の力、知恵、勇気を見せて貰おうか!おっと、案内には素直に従った方がいいぞ?案内用ドローンに武装を施している!それに、こんな街中で核爆弾を爆発させたくないだろう?お互い時間が限られてる身だ、遠慮無くドローンに着いてきてくれたまえ!!」

 

 ドローンを操作すると、画面には困惑しきっているヒーロー二人の顔がよく写っていた。

 一人は道着のようなコスチュームを纏った、尻尾が特徴的なヒーロー。もう一人は肌の露出が多めの、ピンク肌のヒーロー。

 その2人の前でドローンを揺らすように操作し、意識を目の前のドローンに移させる。

 ドローンはそのままビル内部に移動させ、ヒーロー二人がドローンを追いかけてきているのを確認した。

 

「……よし、作戦続行だ」

 

『了解ですわ』

 

 ドローンを追いかけてきたヒーロー二人が規定のポイントに着いたのを確認して、マイクのスイッチを入れる。

 

「さぁヒーロー!目の前にあるのは挨拶代わりの第一関門だ!張り巡らされたワイヤーをくぐり抜けて二階に上がってこれるかな?ワイヤーに触れたり、壊したりしたら容赦無いオシオキがまってるぞ!せいぜい気を付けて焦って来たまえ!」

 

「た、短時間でよくこんなにも罠を張れるな……」

 

「うわぁ!なんか面白そうだね!」

 

 ヒーロー二人がワイヤートラップ地帯を慎重に、かつ素早くくぐり抜けていく。うーん流石、身のこなしは鍛えてあるのだろう。……だが、それでは()()()()()()()ので、ちょっとした()()()()()()を起こして貰おう。

 

「んってなわけでよろしく」

 

『はい』

 

 パスっ、と小さな音が鳴り、豆鉄砲がワイヤーの一つを弾いた。

 その瞬間、けたたましく大きなブザーが鳴り響き、壁に仕込んだ電撃トラップが作動。ワイヤーが大きく動き、ワイヤーに触れたヒーロー二人にバチバチ電撃が走る。

 

「おおっと!?なんということだ!慎重にワイヤー地帯を進んでいったが、不覚にもワイヤーに触れてしまったぁ!!そんな迂闊なヒーロー達に襲い掛かるのは、ビリビリトラップ!!無慈悲な電流がヒーロー二人を焦げ焦げにしていくぅ!!!」

 

 とは言えまだまだ第一関門なので電撃はこの辺でストップ。

 身体の一部が焦げ焦げになったヒーロー二人をよそに、ドローンは次の階に進んでいく。

 

「さあ第二の関門は立体迷路!ハズレの道にはオシオキがまってるぞ!自分の勘と勇気を信じて進むがいい!!」

 

「くっ……好き勝手して!」

 

「こんな壁なんて簡単に……!?」

 

 男が尻尾を回して壁を破壊しようとすると衝撃を与えた部分の壁が爆発し、破片がヒーロー二人に襲い掛かる。

 

「ははははは!迷路を破壊して進むなんてマナー知らずだな!そんなあんたにはコレ!炸裂壁面!壊した壁の内側から()()()が飛び出る!今回は爆発が飛び出した!さぁー迷え迷え!」

 

 そうしてヒーロー達が必死で迷路を解くのを嘲笑いながらゴールを待つ。

 

「はいハズレー!!トリモチ弾の刑だ!おっとぉそっちじゃないぞ?熱湯風呂の刑!はぁーい残念!チクチク毬栗の刑!そこじゃないんだなぁ!カプサイシンスプレーの刑だ!」

 

 ヒーロー達がへろへろに消耗していくのを眺め、次の関門にご案内。

 

「はぁーいよく来たヒーロー!これが最後の関門……()()()()()()はどれだ!ははははは!本物の核爆弾が上の階と最上階のどちらかに隠れている!探して、()()()()で君達の勝利だ!だがそっくりのレプリカが本物とは別にあり、間違えたほうに触れれば……『サプライズ!!』心臓が止まるほど驚くよ!これが最後のアトラクションだ、当然俺らも妨害させてもらう!さあ、時間はあと3分だ!二手に分かれるか?それとも集中して落とすか?好きにするといい!!」

 

 ハイビジョン映像が、ヒーロー達の眉間に寄ったシワまでくっきり映し出す。さあ、どっちに来るかな?

 

 そうして僅か1分弱、ヒーロー二人は最上階に現れた。

 

「ははは!!コッチに来たか!」

 

「ふざけんのもいい加減にしろ詭弁!」

 

「そうだよ!このドロドロねとねと取れないじゃん!どうしてくれんの!」

 

「ふざけているとは心外な!俺は最近はやりの『劇場型V(ヴィラン)チューバー』を演じているだけだ!みっちゃんの身体に白くべたつく何かをブッカケたのも偶々だよ偶々!!」

 

「トリモチと言ってください詭弁さん……」

 

「っ!?前後挟まれたか!」

 

 最上階に俺、その下の階にヤオヨロちゃんが待機し、もし俺側に来たらこうして挟み撃ち、ヤオヨロちゃん側に来たら仕掛けたトラップを起動して時間稼ぎ、どちらに転んでも優位に立てる位置取りで待ち構えていた。そしてどちらに転んでも、へろへろに疲弊した相手に負ける程俺達はヤワじゃない。

 

「さぁー!決戦を始めようか!!」

 

「行きますわ!お覚悟!」

 

「くっ……芦戸さん、核に触るのを最優先に行こう!」

 

「了解!」

 

 そうして始まった2分弱の攻防の末、みっちゃんの放った強酸を壁に、まっちゃんの尻尾が核を確保した。

 

「ぅわぁ~お!?G・G(グッドゲーム)G・G(グッドゲーム)。お見事!一本取られたぜまったく!」

 

「はぁっ、はぁ、本当に戦いづらい……」

 

「よしゃー!私達の勝ちぃー!」

 

「お見事お見事、よく頑張ったぜヒーロー諸君!ズバリそっちが()()()()()()だ!いやー惜しかったなぁー!ところで勝敗の決まり方、覚えてる?」

 

「えっ……ヴィラン二人の確保、或いは核に触る事……だろ?」

 

「んっん~!正確にはヴィラン二人の確保或いは、『レプリカの核爆弾の確保』だぜ?何度も言っただろ?()()、『本物の核爆弾』だってさ」

 

「……えっ?」

 

「そう!俺の大事なパートナーの紹介がまだだったな!彼女は『マジシャン』!その個性は『創造』!生物以外なら()()()作れるんだ!そう!たとえそれが大量破壊兵器の代名詞、『核爆弾』でさえも!!」

 

「…………えっ?」

 

「そしてこれも言ったな!『間違えたほうに触れば、()()()()()()()驚く』ってな!みんな、ご視聴ありがとう!『劇場型V(ヴィラン)チューバー:ナイトメア』の最期は派手に逝こう!!Everyone、Everybody!Goodbye!!!

 

 そうして手に持った拳銃をまっちゃんが確保した『核爆弾』の弾頭に向けて引き、視界が真っ白に染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……詭弁さんは趣味が悪いですわ」

 

「そう言うなよぉ!ヤオヨロちゃんだってノリノリで作ってくれたじゃーん!」

 

 拳銃から放たれた銃弾は弾頭を貫き、中に入ってた閃光弾を撃ち抜いた。そうして中身が弾け、閃光が俺達の視界とカメラの向こうにいたクラスメイト、あとオールマイト先生の目を焼いた。

 気絶したみっちゃんとまっちゃんの腕に確保テープを巻いて、試合終了。

 

『……ヴィランチームWIN!だけど君達少しは自重して……』

 

「だ~が断るぅー」

 

 

 




さて、何人失禁したかな?


今回のMVPは詭弁少年だな!ぶっちゃけ引くくらい劇場型ヴィラン役がハマっていたぞ!相手を挑発したり、嘘の残り時間を教えたり、言葉巧みにヒーローチームから選択肢を奪っていく手腕も見事だった!八百万少女も、個性を存分に振るって的確に相手の足止めに貢献していた!素晴らしい!尾白少年と芦戸少女は、個々の能力は良かったがヴィランの口車に乗せられ続けてしまったのは減点だったな!相手が上手だったとはいえ、まんまと策に嵌められてしまった事、途中警戒心を解いてしまった事も反省点だ!これから頑張っていこう!-オールマイト

詭弁さんの個性は機械を通すと効果が半減します。とはいえ個性の影響は有りますので、もし詭弁さんが本気で劇場型ヴィランになり、その動画をインターネット上にアップロードしたら間違いなく固定ファンが増え続けるでしょう。彼の声はとても魅力的ですからね。-ヤオヨロちゃん

んぃ、ヴィランになる気はねーですよ!-クズ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

監禁生活ですよ!トガちゃん!

だいたい毎日更新だったあの小説、最近更新ねぇなぁ……。
とか思われたい今日この頃。

オナニーして寝て起きてオナニーしてという生活から脱却するための更新。おのれ非常事態宣言、近所のカラオケ屋が閉まったじゃねえか。

……来月から給料60%で俺は生きていけるのだろうか……。


 黒い霧から引きずり出された先は、寂れたBARの様なところだった。

 

「……よう、『詭弁くん』」

 

「お前は……USJの手男!」

 

 BARの回転椅子に座って、テーブルに寄りかかってる手男が此方に振り返る。

 

「……お互い相手を忘れてないようで何よりだなぁ。対オールマイト用の脳無が生徒一人に抑えられるってのは衝撃的だったぜ?」

 

「何が目的だ……」

 

「目的……か。オマエはヒーロー殺しを知ってるか?」

 

「……あれだけテレビで騒がれてりゃぁ知ってるさ。勿論『英雄回帰』についてもな」

 

 ヒーロー殺し、ステイン。彼の『英雄回帰』は世間に色々と衝撃を与えた。無論、俺にも。

 

「なら話は早い。俺達の目的は『世間への問い』だ。今の世界は、オレ達みたいなはみ出し者には呼吸もし辛い世の中だ。今のヒーローが手を差し伸べられない奴等を受け入れ、今の世界が本当に正しい状態なのかを問う」

 

「んぁ、なるほどね。それで俺達の楽しい楽しい夏休みをぶっ潰したって訳だ」

 

「それは悪かったな、だが必要な事だった。ヒーロー校としてある意味天下を取っている雄英が襲撃される。メディアはこぞって取り上げるだろう……それでこそ『問い』の意味が生まれる。良い方に変わるのか、悪い方に転がり落ちるのか、それとも変わらないのか……まあ、オレ達は変わるまで『問い』を続けるがな」

 

「ふん、じゃあ何で俺を攫ってきたんだ?襲撃したって事実があれば話題性十分だと思うけどね」

 

「それは「私です!私が詭弁くんを攫って来るように提案しました!」……まあ、ヒーロー科の生徒がヴィランに拉致された。そんな話題も目的の一つだが、オマエならきっとオレ達の理念に共感してくれると思ってな?」

 

「ヴィラン連合の理念に?俺が?……冗談だろ?」

 

「体育祭、オマエの一回戦と二回戦を見て判断した。お前は誰かの為に平気で自分の身体を投げ出すヤツだ。模範的なヒーロー像……()()()()()、オレ達に協力してくれないか?オレ達はただイタズラに世界を混乱させることが目的じゃない。()()()()()()()()()()ヤツラに希望を見せたいだけなんだ」

 

「……チッ、USJン時とは大違いじゃねえか。あン時の方が本音に近いんじゃねえのか?」

 

「あの時はオレも子供だっただけだ。色々あって変わったんだよ……」

 

「……ふん。人の本質ってのはそうそう変わんねえだろうが……お前達ヴィラン連合に協力はしない。それが俺の答えだ」

 

「そうか……まあ、なんにせよ時間はまだある。ゆっくり説得する事にしよう。……トガ、マグネ、詭弁を部屋に案内してやれ」

 

「はーい!」

 

「わかったわ」

 

 そうして両腕をマグネと呼ばれた大男に掴まれて移動される。

 

「おっと、忘れる所だった。トゥワイス、詭弁の持ち物をチェックして、スマホや発信器の類が無いか探れ」

 

「はあ!?何でオレが!任せろ!……お、コイツ最新式のスマホ持ちだぜ!要らねえけど!」

 

 そうして俺のポケットに入ってたスマホの画面が点灯する。

 

「あらぁ、待ち受けに乗ってるのは彼女さん?可愛いわねぇ……ってよく見たらこの子体育祭の優勝者じゃないの」

 

「人のスマホジロジロ見んなコラァ!」

 

「詭弁くん!詭弁くん!こっち見てピースしてください!」

 

「えっ、あ、ピース」

 

 思わず指二本立てて目にあてがう様にキラッ★ピース。

 トガちゃんが頬を合わせるように抱きついてきて、スマホで写真を取られる。

 

「はい!私もコレ待ち受けにしますね!」

 

「ヤダこの子凄いゴリゴリ攻めてくる!」

 

「おいおい、今時スマホロックもしてねえのかよ!?盗まれたら大変じゃねえか!」

 

「今本人が大変な目にあってるんですがぁ!?」

 

 大変じゃねえかと言いながら俺のスマホを適当に操作しているトゥワイスと呼ばれた男。うわ―エグイな!とか言うのヤメロ!

 

「あら、もう10時になるのね。夜更かしはお肌の天敵だから早く寝なきゃ」

 

「え、もう10時ぃぃ…………」

 

 そうか、色々あってもうそんな時間か。体中あちこちが痛いが、痛み以上の眠気が襲ってきて一気に俺の意識を奪っていった。

 

「わっ、わっ、詭弁くんが倒れ込んできました!?お、重いぃ……」

 

「すぅ……すぅ……」

 

「はぁぅ!?詭弁くんの寝顔が尊すぎます……」

 

「ヴィランのアジトで寝れるとか大した肝っ玉だなコイツ!ビビリが!」

 

「まぁまぁ、さっさと部屋に運んじゃいましょ」

 

 

 

「……一気に騒がしくなったな」

 

「アレがオジサン達と一緒に行動してくれそうなタマかね?」

 

「そりゃ説得次第だ。それに……いや、今はいいか」

 

「?」

 

 

 

「(()()に応じなかったら、それはそれでいい。『先生』もアイツの個性に興味を持ってたしな……。)」

 

 




テンション上がらない日々ですがこの辺で。
『先生』に興味を持たれた詭弁くんの明日はどっちだ!?オレも分からん!

この辺は作者の記憶が凄い曖昧な場所。なんか違和感だらけだと思う。オレも思う!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

詭弁くんが最初から悪の道ルートだったら

ヤオモモに出会わず、例のあの人に見つかった場合。

今回はエロというよりキツめの下ネタ。


「はぁーい皆様コンニチハー!今日も笑いと悪夢をお届けに参りました『ナイトメア』です!昼間からの生配信だけどご機嫌如何かなー?」

 

『この声が聞きたかった』『全裸待機余裕でした』『生リョナ助かる』

 

「んぃ、いつもの事だけど、配信始まってから即コメント貰えるのはマジで嬉しいねぇ。事前連絡もつい10分前なのに、いつもありがとうな!」

 

『枕草子んぃ助かる』『枕草子ってなんや』『説明しよう!ナイトメアが』

 

「コメントでいきなり無茶振りすりゅヤツおる?枕草子は俺の口癖の『んぃ』とか『んぇ』が枕詞とか言い出したコメに俺が草生やしたらいつの間にか枕草子とか呼ばれ出してんだよ。誰だよ言い出したヤツ」

 

『あま噛み助かる』『ワイの息子がすまんな』『お前の息子になった覚えねえよ』『お前まさか……太郎か?』『親父……?』『←ノリ良くて草』『流れ草』

 

「はい本題!そんな訳で今私はとある重要施設にいるんですが、さぁてどこでしょーか!」

 

『何処って、どう見ても草木しげる林の中やろ』『雄英除籍ワイ、見覚えのある景色で草』『雄英現役生ワイ、ここで訓練したことあって草』

 

「雄英関係者まで視聴してて草ァ!はぁいそういうわけで今日は雄英アトラクションこと嘘の災害や事故ルーム、略してUSJに来てまーす!!!」

 

『その略し方は草』『嘘の災害や事故ルームとかいう完璧USJ有りきの名前』『ガチでこの名前なんだよなぁ……』

 

「俺が此処に居るのは、まあご存知の通りただ侵入してみた系の動画を上げるだけじゃーねーんですことは、当然皆さんご存知ですよねぇ!」

 

『知ってた』『知ってた』『ご存知を二回言っちゃうナイトメアほん萌え』

 

「はぁいはい、勿論これからプロヒーロー達をおちょくって、辱めて、甚振るのはまあ確定事項んなぁんですが……今日は更に一歩踏み込んじゃいましょう!!」

 

『更に一歩?』『まさか……ついにヒーローをヤる(意味深)のか!?』『動画保存する準備出来た』『おい、動画保存する方法教えろ』

 

「そう、遂にR-18を超えて、ってちゃうわ!小さいお子さんも見てるんですからね!」

 

『ボクの小さいお子さんも見てます』『脱いだ』『この前のMt.レディの失禁は100万回保存した』『アレで精通しました』

 

「だぁもー無視だ無視、そう、今までは『プロの』ヒーローをおちょくってきました。どいつもこいつも戦闘意識高めで、画面ブレブレ高速戦闘で見づらかったですよね?」

 

『それな』『ナイトメアの高級カメラでも納められないとか人間止めてね?』『それでもお漏らしを逃さないカメラワークは最高です』

 

「はい、つまり今日重点的に狙うのはプロヒーローではなく、ヒーローの卵達!!俺と同じ年齢層だぞ喜べショタロリコン!」

 

『ktkr』『パンツすっ飛んだ』『待てい!高校生はショタ、ロリじゃないゾ!』『←十分ショタロリでは?』『何!?中学生以下がショタロリではないのか!?』『ペド乙』

 

「そうこうしてるうちにもうすぐヒーローエッグ共がやってくる!さあ今日のスペシャルゲストの紹介だ!!カモーン髭の人!」

 

「『ジェントル・クリミナル』だ!」

 

『またかよ』『もう見飽きた』『貴重なツッコミ属性やぞ、大事にせい』

 

「んぃ、つー訳で今日もゲストとしてジェントルに来てもらいました!なんでゲスト枠かって言うと、雄英に潜入するって聞いて直前まで心臓止まりかけてたから最悪抜きで進行出来るようにするためですね!」

 

『高校生より小さい肝のオジサンがいるらしい』『まじかよラブラバのファンやめます』『ラブラバはよ』

 

「はい次!ジェントルと来たら彼女もセット!こう見えて俺より年上!キューティー・ラブラバ!!」

 

「年上は余計よ!」

 

『癒される』『合法ロリきた、これで勝つる』『ジェントルをめぐる三角関係……良い』『←ああ……いい……』『髭親父をめぐってて草』

 

「なんか俺がホモ扱いされてるけど、まあ良し!」

 

『現場猫助かる』

 

「私が良くないのだがね!?それよりゲスト枠はまだいるだろう!」

 

『ナイトメアは一度ボケ始めると腹筋が家出するまで続けるからマジでツッコミ属性助かる』『分かるマン』『何なら一日腹筋が外出届出すまである』

 

「つまり俺とジェントルこそ真の相方……!」

 

「なっ……!?」

 

『ラブラバの絶望顔すこ』『(分かる)』『直接脳内に……!?』

 

「ラブラバ!アレはたちの悪い冗談だ!私のパートナーは君だけだ!」

 

「ジェントル……!」

 

『どう見ても事案』『警察呼ばなきゃ』『今呼ぶんだったら最初から呼べ定期』

 

「はいはい、それとお次のゲストは……この方!」

 

「ハイはーい!画面の向こうの皆さんお久しぶりです!トガです!」

 

『ヒエッ』『はいR-18G』『歩く年齢制限(グロ)の方じゃないですかーやだー』『でも可愛いから許す』『それな』

 

「と言う訳でメインは俺等四人、あとはその辺に居たクソ生意気なモブチンピラ共を囮として雄英に襲撃かけまーす!」

 

『モブの人ほんと可哀想』『だがよく考えろ、延々とナイトメアの洗脳ASMRを聞かされるって考えると……?』『凄い!羨ましい!』

 

「ASMRが人気な様で何より。また専用動画作っちゃう?」

 

『作って!!!!!!!!!!!!!!!!!』『警察が残業して動画削除する未来が見える見える』『これだから性的搾取ヴィランは』『アレじゃないとイケなくなりました責任とって結婚してください』『オレもアレじゃないと射精できなくなりました』『ホモォ……』『ナイトメアが一般視聴者種付けオジサンにRTAされる同人誌はよ!』『←言い出しっぺ』

 

「この動画ホモ率高いな。なんで?」

 

「ナイトメアが男女関わらずボディタッチ多いからじゃないですかね!」

 

「なら仕方ないな!」

 

『それ仕方ないで済ませるなし』『でもイケメンヴィランが男ヒーローをネチョネチョ(過小表現)にするのは大変捗る』『分かる、間に挟まって二穴攻めされたい』『←ブス女が入るとかお前は何も分かってない』『は?男なんだが????』『えっ』『ちょっと何言ってるか分からない』

 

「おっと!そう言ってる間に来ましたよヒーローのタマタマ達が!事前情報では男も女も美男美女揃いとの事ですが、さあて!カメラさん、ズーム!!!」

 

『こいつタマとか言い出しましたよ』『なんかアホ顔多くね?』『女子キャワワ』『アレらが血みどろになるのか……(興奮)』

 

「うーん……これは……アレですね。なんか今あの毛モジャにばれたっぽい♪」

 

『はい企画倒れ』『詫び土下座はよ』『無論全裸で』『ラブラバが』『←鬼畜ゥ!!』

 

「はっはあー!こぉのおバカさんどもめ!ラブラバヨロシク!」

 

「えっ!?ど、土下座を!?」

 

「チゲーよさっき話してたプランBのアレ!」

 

『草』『草』『はぁーてぇてぇ』『これでこのメンバーの中で二番目に年上って誰がわかんの?』

 

「あ、あれね!ちょ、ちょっとまって……よし、オッケーよ!」

 

「はぁいおっけねー!さて視聴者の方に軽く説明しましょう!あの毛モジャ、今から襲撃するヒーロー科一年A組の担任で、ヒーロー名イレイザーヘッド!個性は抹消!見られたら個性が消される激やばちゃん!」

 

『ググっても出ないんですが』『そんなドマイナーなヒーローが雄英の教師なん?』『あ、出たわ、アングラ系ヒーローらしい』『メディア嫌いか』

 

「なんかエグイ性癖してそうだよねあの顔!猫耳コスプレとか好きそう」

 

『着る方?』『着る方?で草』『どう見てもあの顔は攻め』『妄想班妄想助かる』『くっ殺?』

 

「さあ皆くっ殺希望と書いてイレイザーヘッドの股間どころか全身を小便まみれにしてやろうぜ!」

 

「発言がとても高校生は思えないのだが!?」

 

『尿ぶっ掛け……有りやな!!』『また今日も新しい性癖の開拓が行われる』『ヴィラン名『ナイトメア』人呼んで、性癖の開拓者!!』『くそダサくて笑う』

 

「さて!見ての通りイレイザーヘッドがこっちに向かって突進してくるけど……『進めザコ共!お前等は壁だ!お前等は大津波だ!お前等は死を恐れぬ亡者共だ!!』……と、チンピラたちがイレイザーヘッドの足止めをしてる間に、こんな事もあろうかと用意しておいた爆薬がUSJの入り口に仕掛けて有りまーす。このスイッチをポチっとな!!!!」

 

『もっと余韻に浸らせて』

 

「だが断る!はい*チョドーン*!!」

 

「わあ!入口が汚い花火です!!」

 

『トガちゃんJKなのに咄嗟にその言葉が出る当たりホンマにナイトメアに調教されてるでぇ……』『ナイトメアがトガちゃんに調教……!?』『捗る』『やっぱナイトメア攻めが真理』

 

「そして紹介してなかったですが、ここで某外部協力者のワープ系個性ドーン!!」

 

『唐突に新キャラ出すの止めて?』『脳の処理がおいつかねー』

 

「はい!これで今このUSJのあちこちに生徒共が散らされました!それぞれの様子は定点カメラによって撮影され、ラブラバが一晩でやってくれた後投稿されます!コッチも見てくれよな!」

 

『みりゅぅぅぅぅぅ!!!』『やべえ洗脳だ!見なきゃ!(混乱)』『あっあっあっ、この洗脳掛けてくる声の感じほんとすこ……』『ネット麻薬扱いで草』

 

「……キミの個性は本当に、なんというか()()()()ね」

 

「んぇ、何言ってんですかジェントル。動画にして面白いのはジェントルの個性じゃないっすか」

 

「……だが、現にこうして人気が出ているのはキミの方だ。私の動画は……」

 

「……はぁ~……」

 

 マイクのスイッチを切り、ジェントル……否、飛田弾柔郎の目を見る。

 

「ダンちゃんさぁ、難しく考えすぎだぁよ。再生数だけが自身の評価じゃねえだろ?アンタに付いてきたあいちゃんの立場はどうなる?他の誰でも無い、()()()の動画を見て、付いてきたんだろうが」

 

「……だが……」

 

「ダガーもナイフもねえわ。自分が『面白い』と、『良い』と、思った事を動画にすんのが俺達動画クリエイターの仕事だろうが。自分の仕事に自信を持てぇな。自分が『良い』と、思った物を形にしてくれるあいちゃんに感謝せぇな。嫉妬や後悔なんて、最良の動画を作り上げてからすればいいでしょ?」

 

「……」

 

「そんな感情論じゃ自信が持てないか?じゃあ数値にしてやろう。俺の動画の視聴回数のデータだが、『ジェントル』『ラブラバ』が出演している動画とそれ以外の動画じゃ、平均して約3割程視聴回数が違う。この意味、分かるよな?」

 

「な、本当か!?」

 

「警察に消されても再び視聴者によって上げられる『フェニックス動画』の再生数も含めた総計だぞ?面白いデータだろ?……なあダンちゃん。今はこうしてなかよしこよしだが、本来の俺等の関係は違うだろ?俺をバネにして、世界に名を残す有名ヴィランに()()()()()()。んじゃなきゃぁ……俺が、お前等を食っちまうぜ?」

 

「……ふ、ふはははははは!!!私の半分程度しか生きていない子供にここまで言われて引きさがるジェントルではないっ!!いいだろう、()()後塵を拝しておくが、最後に笑うのはこのジェントル・クリミナルだと言う事を教えてやろう!!」

 

 ニヤリと不敵に笑うジェントル・クリミナル。ああ、そうだ。やっぱりライバルがいないとつまらないじゃないか。

 マイクのスイッチを入れ直す。

 

「んぃ!ってな訳でこのジェントルがあのイレイザーヘッドを足止めしている間に、俺達は生徒達を辱めに行こう!!」

 

「ええええ!!?ま、待てナイトメア!!?そんな話では無かっただろう!!?」

 

『ジェントル大慌てで草草の草』『じぇんとるがんばえー』『激しい散りっぷりを見せてくれ』『とか何とか言ってこの中で一番戦闘力あるのジェントルだから順当っちゃぁ順当なんだよなぁ……』

 

「んまぁそういう事!ちりぢりにした生徒達は俺等に任せて、ジェントルは一番ヤベーと噂のイレイザーヘッドを頼むぜ!ちなみにジェントルにはまだ説明してなかった外部協力者の方々が一緒になって戦います!ぶっつけ本番だけど頑張れ!」

 

「だからその話は聞いていないのだが!!?」

 

『ジェントルが不憫すぎて心のおちんぽが勃起しました。責任とってください』『ジェントルの声で心のおまんまんが濡れ濡れです。責任とってください』『←こいつら怪文書すぎて草』『視聴者の方に(心の)お医者様はいらっしゃいませんかー!?』『←(無言で首を振る仕草)』『匙を投げるな』

 

「大丈夫!ジェントルなら出来る!それに、ジェントルは一人じゃないだろ?」

 

「そうよ!だってジェントルには……」

 

『てぇてぇ』『オレもナイトメアに応援されたい』『がんばれ♥️がんばれ♥️』『やめろ』

 

「ジェントルには、私が「スーパー超人みたいな筋肉ムキムキマッチョヴィランがついてるからな!!!」……えっ?」

 

『草』『草』『草しか生えない』

 

「ってなわけで後よろしくジェントル!ラブラバ、トガちゃん、行くぞ!!」

 

「えっ、ちょっと!?じ、ジェントル!頑張ってね!!」

 

「それではまた会いましょう!チュッ!」

 

『トガちゃんの投げキッス助かる』『おいカメラ置いてくな』『オレはjkがリョナるところが見たいの!』『戦闘シーン助かる』『イレイザーを失禁させるんだよあくしろよ』

 

「こ、これは私はどうすれば……!?」

 

『ナイトメアより先輩なのに進行グダグダってマ?』

 

「っ!うおっほん!後輩に任されてはジェントルの名折れ!!ここは私が華麗に戦うシーンをお見せしよう!!……あっ、カンペ……『他のカメラの映像は適時編集を終え次第投稿するから、生放送終了後もお楽しみ下さいって言え』……ジェントル!!」

 

『カンペ棒読みで草しか生えない』『最後のところ言わなくて良いですよ』『誤魔化し方かわいい!』『しまった!新性癖だ!隔離しろ!』『さりげにカメラさんにまでナメられててかわいそう』

 

「う"っ……だ、だがジェントルは挫けない!諸君!私が華麗に戦うシーンをよく見ておけ!」

 

『さっき聞いた』『Vチューバーの癖にメンタルクソザコってマ?』『ばか、そこが萌えるんだろうが』『実はこっそり強いジェントル期待』『オレも』

 

「で、ではこのまま広場に向かって戦闘シーンを撮ろうではないか!イレイザーヘッド、見ただけで相手の個性を封じる個性:抹消!しかも見ての通り、体術も非常に優れている!相手にとって不足無しだ!」

 

『全然無名の癖にくそつよ』『認知度と実力は比例しない定期』『それな』『つよつよイレイザーに即落ちするジェントル見たい……見たくない?』『別に……』『超接戦して互いに血ミドロのぐちゃぐちゃになってるの見たい』『分かる』

 

「ふはははは!さあ諸君、刮目しろ!!ジェントルのショータイム、まもなく開演だ!!」

 

『キャージェントル!』『キャージェントル!』『内心ガクブルしてるのに声に出さないところ、本当に好きだよ』『ジェントルのこの姿のお陰で後1年は戦えます!』『戦うのはジェントルとヒーローなんだよなぁ』

 

「さあ、いい感じにゲストの彼らがハケたところで向かおうか!カメラさん、ついてこれるかな?」

 

b

 

『カメラの人の手助かる』『カメラさんって多分女の子……だよね?』『厚手の手袋しかみえねえだろうが』『でも画面端に稀に見えるピンク髪は女の子としか思えない。思いたくない。』『カメラさん出演しないけど凄い美形って信じてる』『誰もジェントル見てなくて草』

 

「さあ行こう!イレイザーヘッド!!!ここ、USJに我々『Evil Brat Party』が来た!さあ、世界に辱しめられる準備は出来たか!?」

 

「チッ、まさかと思ったがあの悪ガキ共か……目的はなんだ」

 

「無論、世界を騒がせる事だ!」

 

 

 

 

 

「くっ……ここはいったい……」

 

「いったた……ヤオモモ、上鳴、大丈夫!?」

 

「ああ、まぁ何とか……ん?んだこれ……ロープ?」

 

 

「んじゃラブラバ、カメラよろしく!」

 

「もー本当に人使い粗いんだから!ジェントルを見習いなさい!」

 

「あはは!一番撮るのが上手なのはラブラバじゃないですか!」

 

「分かってるけど!」

 

「カメラスタンバイ、オーケー?よし!一発録り、放送事故、ハプニング、なんでもオッケー!嗤って笑かすEvil Brat Partyの収録、始めるよっ!!」

 

 

「な、あ、アイツら!?」

 

「うっそだろ!??」

 

「お二方はあの方々をご存知なのですか!?」

 

「むしろなんでヤオモモは知らねえの!?」

 

「あ、アイツは世界一()()()()()()()()ヴィラン……数々のヒーロー()遊んで、その動画をネットにアップし続ける悪夢『嘲笑のナイトメア』!あっちは沢山の人を刺し殺したスナッフビデオの演者、『吸血鬼トガヒミコ』!あっちの小さい子はよく知らないけど……時々『ナイトメア』が撮る映像に出演するヴィランだよ……」

 

「……あの方が、()()()()()()()()……!」

 

「んぁ、自己紹介は要らないみたいだね!時間がないから巻きで行こう!今から君達にはゲームをして貰います!失敗したらぁ~~……死にたくなるほど恥ずかしい目にあっちゃうかもね!!」

 

「えーと……あっ!耳郎ちゃん!上鳴くん!八百万ちゃんだね!私、トガです!みんな、かぁいいねぇ!ズタズタのボロボロにしたら、もぉっとかぁいくなるねぇ!!」

 

「おっと!逃げようと思わないでね!ゲームから逃げちゃうとぉ……アレをみてごらん!!」

 

「っ!」

 

 ラブラバがカメラで撮りながら、スイッチを起動させる。するとドォン!!と火災ゾーンが吹き飛んだ。その爆風は俺たちの場所まで届き、ヒーローの卵達を怯ませる。

 

「君達がそれぞれ飛ばされた各所に爆薬を仕掛けてまーす!火災ゾーンには誰も居なかったけど……つまらない口答えや逃走の意思を見せたらぁ……分かるよねぇ?」

 

「っ……!!」

 

 あぁ……良い、その怯えた表情がとても良い……。最高だ、ゾクゾクしてきた。もっと痛め付けて、辱しめて、ぐちゃぐちゃに犯し尽くしてあげなきゃ……!

 

「さて、君達の現状が理解できたところでぇ……ゲームの説明、行っちゃいましょう!!」

 

「おー!」

 

「さぁやってみようか、『ドキドキ引っ張り綱ゲーム』!!!」

 

「わぁー」パチパチ

 

 

 あぁ、楽しいなあ、愉しいなあ!俺に静かな世界は似合わない。全部、ひっくり返して、混ぜ返して、ごちゃごちゃにして、騒いで、暴れて、楽しんで!

 誰かの夢とか、誰かの願いとか、希望とか、未来とか!ぜぇんぶ壊して混ぜてぐちゃぐちゃにして丸めて固めて一つにしてしまおう。

 

 

 

 さあ、世界に『素敵な悪夢』を見せようか!

 

 

 




詭弁くんが悪い方向にはっちゃけまくった結果。原作?なにそれ、美味しいの?
ところで失禁って……良いよね……。


悪夢を魅せるヴィラン『ナイトメア』
某有名動画投稿サイトにて、ナイトメアの個人チャンネル『Nightmaregames』と、多くのゲストヴィランが出演している『Evil Brat Party』を開設している。
例のあの人の『教育』を受け、ねじ曲がった精神と個性によって生み出された『動画』を見た視聴者はナイトメアの虜になってしまう。リピーター率は驚異の95%。ヒーローや警察関係者にもナイトメアのファンは存在している。

Evil Brat Party 悪ガキ党
ナイトメアが動画のネタ探しのために数多のヴィランに声をかけたり、ナイトメアの動画を見て『オレも出演したい』という一般人を使ったりした動画を集めているチャンネル。演者全員が『Evil Brat Party』を自称している。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

悪の道ですよ!トガちゃん!

この辺何日くらい拘束されてたとかよぐわがんにゃい!!
んですのでまあ……適当に。
あ、特に本編には関係ないですが、作者は朝一にハンバーガーでも大丈夫です。


 クラクラする頭を抱えながら起床。ああ、そう言えば俺はヴィランに拉致されたんだった……。ヴィランに拉致されることが人生に二回も起こるとは思いもしなかった。

 ジャラッ……と冷たい手錠の感覚が手首に感じられる。まあそりゃぁ拘束の一つはしてるよなぁ……。他に身体の何処かが拘束されてないか、身をよじりながら確認してると

 

「ん……くぅ……」

 

 布団の中で何者かの寝息が聞こえた。恐る恐る布団を剥ぐと、なんとそこには半裸の金髪美少女が。

 

 えっ、嘘過ぎない?

 

 ほのかに香る鉄の匂いが頭を刺激し、再び夢の世界に誘おうとするが気合で起き上がり、ベッドから転げ出る。

 ドタドタ暴れてるのに気がついてか、布団の中の美少女が起き上がる。

 

「ん、ふぁぁ……おはよ、きべんくん……」

 

 にへっ、とふにゃふにゃした顔で笑いかけられ混乱してると、その声に聞き覚えがあるような気もした。

 

「……トガヒミコ……?」

 

「はぁい……」

 

 ぐしぐしと目元を擦って、ふわぁ……と両腕をあげて大きく伸びをするトガヒミコ。ヤオヨロちゃん程ではないがそれなりに主張している山二つが更に大きく主張していた。……よく見れば透けてますねこれは。

 

「……んぁー……トガちゃんや、寝る時はブラ外して髪降ろすタイプなのね」

 

「んん、まぁ……昔からの癖なので……」

 

「だからって着るのが白い薄手のタンクトップとパンツだけなのはどうかと思うよ?うん、ましてや知り合ったばかりの異性に見せるもんじゃないね?」

 

「んへぇ……?」

 

 頭を軽く振って、自分の身体を見下ろすトガちゃん。そしてゆっくりこっちに顔を向ける。

 

「……ジロジロ見ないでください、エッチ」

 

「見るなって言うのは、見ても良いって言ってるのと同義ですよ」

 

「嘘ですよそんなの……」

 

 片腕でうっすら見えてた突起を隠し、ベッドの横に腰掛けるように座る。どうすればいいのか分からないがとりあえずトガちゃんの横に座る事にした。

 

「……逃げないんですね」

 

「はっはっは、可愛い女の子から逃げるなんてそんなそんな」

 

「嘘ですね」

 

 射貫く様な視線が俺の瞳を突き刺す。

 

「分かるんです、気持ち。特に詭弁くんのは。今すぐここから逃げたいと思ってます。でも、それはヴィランから逃げたいって気持ちじゃなくて、ただ何処かに()()()()って気持ちです。詭弁くんは、顔に出やすいです」

 

「……んだよ、それ」

 

()()()()()()()んですか?()()()()()()()んですか?私に教えてください」

 

 心臓が矢で貫かれたかのような苦しさが俺を襲う。思わず顔を歪めてしまった。そんな俺の顔を見て、トガヒミコは俺の手を掴む。

 

「詭弁くんから、古くて黒く変色したような血の匂いがします。昨日の傷とは違う匂いです」

 

「……だから、なんだってんだよ。そんな事聞いて、何がしたいんだよ」

 

「好きな人の事を知りたいって思うのは、変な事ですか?」

 

 真っすぐな(歪んだ)視線が俺を刺す。

 

「詭弁くんを刺したいです。刺して、チウチウしたいです。でも、詭弁くんの事をもっともっと知りたいです。教えてくれなきゃ、分からないです……」

 

 トガヒミコが、両手で俺の手を掴む。

 

「私がヴィランだから何も言ってくれないんですか?」

 

 今にも泣きそうな声で、微笑まれる。

 止めてくれ、そんな顔しないでくれよ……。

 トガヒミコの顔を、手錠のついた手で押さえつつベッドから立ち上がる。

 

「わっ」

 

「腹が減った、流石に朝食くらい用意してくれるだろうな?」

 

「わっ、分かんないです!」

 

「……あそ。じゃあ……まぁー手男に聞けばいいか、トガちゃんはちゃんと服着てから来るんだぞ」

 

「……はーい」

 

 自分の服を見れば、昨日戦ってズタズタボロボロのジャージのままだった。……臭うし、替えの服とかも貰えないかなぁ……。

 そうして寝ていた場所から退室する。……()()()()()()()、か……逃げたいモンだらけだよ俺の人生は……。

 

 

 ◆

 

 

「……朝からハンバーガーって舐めてんの……?」

 

「文句あるなら食わなくていいぞ」

 

「ハンバーガー美味いだろ!クソ不味いなコレ!」

 

「……」

 

「分かった、お前等ヴィランしてるのって朝一からハンバーガー食う事が当たり前な生活してっからか。オイ、ここキッチンねえのか?」

 

「BARなので簡単なモノですが……」

 

「食材は?」

 

「ある訳無いでしょう。普段から料理しないんですから」

 

「………………はぁぁぁぁぁぁぁ……分かった、俺が食う分は俺が作る。食材買ってくるから近くのスーパーの場所教えろ」

 

「バカ言え、お前はオキャクサマなんだ。そう簡単に外に出す訳ねえだろ」

 

「じゃぁ適当に食材買って来いよォ!!朝一からジャンクフード食うやつの気が知れんわ!!」

 

「まーまー、偶にはジャンクフードもいいじゃない。お味噌汁も有るわよ?インスタントだけど」

 

「お前等が勝手に食うなら良いけど俺は育ちが良いから朝一インスタントはヤなんだよ!!」

 

「(コイツ一々鼻につくな……)黒霧、朝から騒がれても迷惑だ、なんか適当に買ってきてやれ」

 

「し、しかし……いえ、分かりました」

 

 

 

 

「……買ってきましたよ」

 

「ワープゲートの個性便利だな。さて何買ってきたのか………………いや、適当ってか本当にテキトーな……まぁええわ。キッチン借りるぞ」

 

「……マグネ、一応逃げないように監視しておけ」

 

「はいはい」

 

 

 ◆

 

 

 狭いキッチンに俺と大男の二人きり、なにも起きない訳無く……キッチンの片づけから始めてた。

 

「んもー本当に何なんココ!酒の空き瓶とか片付けとけや!!マグネっていったなアンタ、コレ捨てに行ってくれ!」

 

「アタシあんたの監視任されてるんだけど……」

 

「じゃあコレ捨てに行くか俺が捨てに行ってる間キッチン片付けやるかどっちがいい!!?」

 

「分かったわよ、捨てに行くわよ……もぅ、人使いが粗過ぎるわねぇ……」

 

「……早く誰か助けに来てくれー……こんな生活三日も続けたら俺ストレスで死にそう……」

 

 そうして何とかキッチンの片づけを終えてようやく朝食を作った。

 

「お前そんな見た目で料理出来んのかよ!?男らしいな!」

 

「……旨そうだな」

 

「さっきハンバーガー食べたけどオジサンこれならまだ食べられそうだ」

 

「お前等コレ俺の朝食だからな!?」

 

「わぁー!詭弁くんお料理上手なんですね!!一口ください!!」

 

「……一口だけやぞ!!」

 

「あ、じゃあオレも」

 

「オレにもくれよ!要らねえけどな!」

 

「アタシにも頂戴?」

 

「お前等はハンバーガー食っただろ!?」

 

 結局半分以上食われた。おいぃ、これでも育ち盛りやぞ俺……。

 

 

 

「……これ食材買って来るのは私だけですか」

 

「当たり前だろ。大勢でゾロゾロ歩き回る訳にいくか」

 

「……はぁ……」

 




どうしてこうなった!どうしてこうなった!
筆がノったからとしか……。


クズ「卵、豚肉、トマト、ニンジン、青ネギ、豆腐……米はァ!?」
黒霧「なんであんな重い物買わなきゃいけないですか」
クズ「いやお前200gくらいで小分けされてるモンあるだろ……ってか買って来た食材もこれまた統一感の無い……調味料も無い……まあ……何とかなるか……?」

クズ「ヘルシー豚バラ卵とじ丼~フレッシュ野菜に刻みネギを添えて~。ご飯の代わりに豆腐を使いました」
ヴィラン's「うまそう」
クズ「俺の朝食に手を出すんじゃなぁぁい!!!」

詭弁くん、手錠したまま料理するという無駄に器用なマネをするの巻。


こんな時期でも仕事がある。これは良い事なのか悪い事なのか……
唯一つ言える事は、明日早いのになんで俺はまた懲りも無く小説書いてるのか。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

おい監禁生活ってなんなんだ!

一言評価欄になんか雑になってきたとかいって星1評価入れる人が居るんですけど!!!!!!!?!??!?!!?!?



お前、第一話から内容雑だっただろ……今更何を言っとんねん……。


 監禁生活2日目にしてヴィラン連合の料理人に転職した件について。どうしてこうなった!?どうしてこうなった!?

 

「ラーメン作れないのか?」

 

「私オムライス食べたいです!!」

 

「おじさんサンドイッチが良いなぁ」

 

「肉食いてぇ」

 

「何でも良いぜ!オレ焼きそばな!」

 

「お前ら俺を何だと思ってやがる!!?食材調達係に言えンな事!!!」

 

 

 昼飯はオムライスになった。

 

 

「ケチャップ大盛でお願いします!」

 

「好きに掛けろよ……」

 

「せ、せっかくなので詭弁くんにかけて貰いたいなぁって……ダメ……ですか……?」

 

「 」

 

 

 

 

「そういうあざとい所好きになっちゃうじゃん!……ハートマーク描いてやるよォ!!」

 

「わぁ!!凄い嬉しいです!!」

 

「あ、じゃあアタシにも描いて?」

 

「オレもオレも」

 

「お前らは好きに掛けろよ!!!」

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

「くっ……フフッ……ずいぶんとまあ好かれたモンだなぁ?詭弁くん」

 

「いい迷惑だ……トガちゃん置いて全員さっさと捕まれ」

 

「酷いじゃないか、ヒーローがそんな差別しても良いのか?」

 

「野郎にかける情けは無いし、マグネは成人してんだろうが。自己責任だ」

 

「……ふうん?マグネは一応別枠扱いなんだな?」

 

「カマだからナベだから、そんなんで偏見しねぇよ。俺もこんな顔で友達の事ちゃん付けで呼ぶから()()()()()に言われる事もあるし」

 

「お前何処と無くバイっぽいしな」

 

「お前に何が分かるんだよ」

 

 キレそう。

 

「っつーか、なんで俺を引っ張り出してきたんだよ」

 

「なあに、一緒にテレビでも見ようかと思ってな。スマホも何も無いと退屈だろ?」

 

「スマホ取ったのお前らだからな?」

 

「だからこうして退屈しのぎを用意してやってるんじゃないか」

 

 そう言って、リモコンを使ってテレビを点ける手男。……個性の関係で器用に三本の指で摘まんで、リモコンのスイッチを余ったうちの一本だけで操作している。

 

「テレビは良いよな、マスコミが何を一番大事にしてるのかがよく分かる。それが真実かどうかは置いてきぼり。ただ視聴率のために、食い付きの良さそうな情報を加工して、放送する。正しい情報を真っ当に視聴者に伝えるつもりなんてさらさら無いのさ」

 

「……何が言いたい?」

 

「別に、ただの独り言さ……」

 

 そうニヤニヤしながらテレビを眺める手男。テレビは元芸能人がオメデタ云々のニュースを放送していた。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

「詭弁はまだ見つからねえのか!?先生!!」

 

「……学校側も手を尽くしている。いいか、お前らはじっと待機してろ」

 

「っ……!オレ達には……何も……出来ないんスか……!」

 

「……怪我をした奴の見舞いに行ってやれ」

 

「……」

 

 

 

「か……かっちゃん!落ち着いてよ!」

 

「黙れクソデク!!!クソッ!!クソがッ!!!」

 

「爆豪、病院で暴れるな!」

 

「うるせえんだよ!!クソ口野郎、あの時オレを助けたつもりか……!!そのくせ自分だけ拐われただァ……ッ!!ふざけやがって……ふざけやがって!!!」

 

 

 

「……皆さんは、まだ起きないのですか」

 

「八百万か、……おう」

 

「……あの時、私が脳無を深追いせず、逃走を選択していれば……皆さんが倒れる前にガスマスクを渡す事も出来たのかもしれません……」

 

「……かもな。だが、アイツを放っておいたら誰かが死んだかもしれねぇ」

 

「いえ……今思えば、あの脳無はUSJの時のよりも遥かに弱かった。他の方達でも、きっと無事に倒すことが出来たはずです……私は、私にしか出来ないことを優先するべきでした……っ!」

 

「八百万、それは違う」

 

「違いませんッ!!私は、選択を間違えたんです!また、また私は……また、間違えたんです……っ!」

 

「(……くそ、やっぱオレの言葉じゃ駄目だ……。詭弁、お前はいま何処に居るんだ……!)」

 

 

 




短めのあっさり塩味。

誰か原作ではだいたい何日くらいかっちゃん拉致されてたか知りませんかね……。ま、最悪その辺テキトーにしとくのも有りですけどね。

さあ、ノーヒントで詭弁くんの居場所は突き止められるでしょうか!?
次回、ご都合主義って言うな。来週もまたみてくれよな!(嘘)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

平和ではないですが日常ですよ!トガちゃん!

俺もジロちゃんみたいな幼馴染が欲しかったお……
あっ、こっちダークネス次元じゃねえや。

そろそろ詭弁くん救出するつもりだったんですが、なんか延々ヴィラン連合だけでやっていけそうな感じなんですけどー!!
本編の影でSAN削れてる子達も居るのよ!


 結局晩飯まで作る羽目になった。この怒りは留まるところを知らない。

 

「しょーがねーじゃんお前の作るメシめっちゃ美味いんだし!ゲロまずだけどな!」

 

「ほんとほんと、このままアタシ達の料理人として働かない?」

 

「ヴィラン専属料理人とかヤだなぁ……」

 

「へぇ……肉じゃがか……」

 

「詭弁くんは何でも作れて凄いです!」

 

「みりん使ってないボソボソ肉じゃがだけどな。食材調達係がアレだから……」

 

「失礼ですね。みりんなんて物何の意味があるんですか」

 

「アナタそれで俺より年上なんですか?常識ないですね」

 

「バラバラにされたいですか?」

 

 ギャーギャー騒ぎながらの夕食。まあ、御通夜みたいな空気よりかマシか。

 

「スピナー君もそっちで立ってないで、一緒に食べましょう!」

 

「……ふん」

 

「ほっとけトガちゃん。アレはあーいう態度がカッコいいって思っちゃってる所謂中二病患者って奴だ」

 

「えっ!?ビョーキなんですかスピナー君!」

 

「違う!誰が病気で中二病だ!!」

 

「おいスピナー、肉じゃが冷めるぞ?」

 

「……もしかして肉じゃがは豚肉派だったりする?そうか……ごめんな……俺ん家じゃ肉じゃがは牛って決まってんだ……本当に……ごめん……」

 

「そんなこだわりねえよ!クソ……分かった分かった!!」

 

「あ、スピナー君用の白米残ってねえわ」

 

「はああああ!!!?」

 

「肉じゃがにご飯が無いとか、それなんて拷問?オジサン困惑しちゃう」

 

「あら、ごめんなさい。あんまりにも美味しくてご飯すごい進んじゃったわ」

 

「マグネか!!?」

 

「悪いな!オレもめっちゃ食ったわ!全然足りねえけどな!」

 

「トゥワイス!!?」

 

「……うるせえぞお前等。米くらいでゴチャゴチャ言うな」

 

「とか言いつつしっかり自分の分の白米確保してるじゃねえか死柄木!!」

 

「そんなスピナー君に朗報です!てれれてってれー(※例の効果音)二つ目の炊飯器~」

 

「お、お前……準備いいな……」

 

「なんと中身は炊き込みご飯です!!!」

 

「は?肉じゃがに炊き込みご飯???」

 

「あらそっちも美味しそうね」

 

「うわ~!具沢山です!!」

 

「待て、おい待て。オレの白米に対する期待感を返せ」

 

「え?もしかしてスピナー君肉じゃがに白米じゃないと許さない系男子?」

 

「おいおいスピナー!そんなワガママ言うんじゃねえぜ!」

 

「炊き込みご飯美味しいですよ?」

 

「いや、肉じゃがには白米だろうが!炊き込みご飯は普通違うタイミングで出すだろ普通!?」

 

「おう、そう思って先に白米出してたのに、スピナー君が気取って来ないからご飯無くなったんだよ?カッコよさじゃぁお腹は膨れんよ。なあ荼毘君!」

 

「おう」

 

「ぬっ!!?ぐっ……」

 

 

「……いや、家族団らんですかココは」

 

「突っ込むのが(おせ)ぇよ黒霧」

 

 

 ◆

 

 

 夕食が終わった後、俺はカメラ片手にトガちゃんを撮影していた。

 

「あーいいねーいいねーその表情いいねー!」

 

「こ、こうですか!?」

 

「あーそれ凄い良い!いいねーハートにクル感じめっちゃいいよー!!」

 

「……一応聞くが、何やってんだお前等」

 

「え?凄い暇だからヴィラン撮影会を……」

 

「マジで何やってんだお前等……つーか、そのカメラ何処から持って来た」

 

「バーの奥に置いてあった」

 

「……はあ?」

 

「よーし次はマグネ、行ってみよー!先ずは良い感じにキメポーズお願いしまーす!」

 

「えっ、あ、アタシ?まいっちゃうわぁ……こうかしら?」

 

「やるんかい」

 

 サングラスを掛けた巨漢がダブルピースをする。

 

「んーなんか違うなー。マグネ、膝立ちになって小顔ポーズしてみて!」

 

「え、ええ……?こうかしら?」

 

「あーいいねー!カワイさでてきたねー!」

 

「マグ姉かわいいです!!」

 

「そ、そう?」

 

「じゃあ今度は自然にスマイル!頬に指を当てて子供っぽい感じで!」

 

「子供っぽい!?こ、こうでいいの?」

 

「マグ姉かぁいい!!!」

 

「ノってきたねー!今度は立ち上がって後ろむいて、振り替える感じで笑いかけてー!」

 

「……こうね!」

 

「超いいねー!美が舞い降りてきてるねぇー!」

 

「………………なんだこれ」

 

 手男は呆れてバーの奥に消えていった。

 

「よし、見てたなトゥワイス!次はお前だァ!」

 

「はあ!?何でオレが!任せろ!!」

 

「トゥワイスは体幹良さそうだしジョジョ立ちに挑戦してみようか!膝を曲げたままつま先立ちして、腰は斜めに真っすぐ、背筋で身体を起こして、右肘を前に突き出して左腕を腰に添えるように立って!」

 

「なんかオレだけ難しくねぇ!?」

 

「頑張ってください仁くん!!」

 

「トゥワイスなら出来るわよ!」

 

「そう言われちゃぁやらねえわけにはいかねえな!見てろ!」

 

「おぉー!いいねートゥワイス!今最高にイケてるねー!こりゃあ見開き一ページ待ったなしだぜ!」

 

「あったりまえだぜ!あっ、ちょっとまって、これ背中へんなとこツるっ!?余裕!」

 

 そういいながら背中から床に倒れていったトゥワイス。

 

「あ”~!ツった!変な所ツったぁ!!」

 

「……まあ良い感じの写真一枚取れたからヨシッ!次荼毘君カモーン!」

 

「待ってオレを見捨てんな!!?」

 

「ナイスファイトでした仁くん!!」

 

「めんどくせぇ」

 

「おっ?写真は嫌いか?それとも怖いのか?こんなカメラが??」

 

「……チッ、いいだろう」

 

「ひゅー!んじゃぁ荼毘君は強キャラ感全面に出していこうか!先ずは両手に炎出してみよう!」

 

「……こうか?」

 

「……ん~……なんか違う、荼毘くんもっと表情出して!今目の前に殺したいほど憎い奴が居るって思って!!」

 

「……殺したいほど…………憎い…………っ!!」

 

「いいねぇー!その表情サイコーにパスってるぅ!!両手の火力そのままで自分の背中側に炎背負う感じでやってみて!!」

 

「…………ふっ!!」

 

「うおーキマってるねぇ!!ガンギマリだねぇ!!憎悪って感じがサイコーだねぇ!!じゃあ今度はそのままアクション行ってみようか!」

 

「バーを燃やす気ですか」

 

 黒霧が間に入って荼毘くんを何処かに飛ばす。

 

「詭弁答弁、さっきから何が目的ですか」

 

「目的ぃ?そんなもんヴィランの写真撮りまくって写真集デビューさせるためだよ」

 

「嘘ですね。……いや、嘘ですよね?」

 

「なんで?ヒーローの写真集があるんだからニッチな層にヴィラン写真集売れるかもやんけ。まだ撮ってないスピナーくんとかコンプレスとか絶対写真映えするし。あと俺趣味が人物写真なんだよねぇ。だから退屈凌ぎに今までなかったジャンル開拓とか、そそるじゃん?」

 

「……貴方本当にヒーロー志望ですか?」

 

「勿論ヒーロー志望さ。お前等いつかブッ倒してやるからなヴィラン連合。……ま、それとこれとは話が別だから」

 

 そういいながら黒霧をカメラでパシャリ。

 

「それとも、写真を撮られるのが嫌なんて子供みたいな事言うのかぁい?」

 

「……まあ、いい。精々ゆっくり寛いでいるといい。貴方の命運を分ける選択肢は、もうすぐそこにまで迫っているのですからね」

 

「べー、命運分ける選択なんていつもの事さ。本気でヒーロー目指してりゃぁな」

 

「……後悔しない選択をすることですね」

 

 そう言って黒霧が去っていき、いつの間にか荼毘君が戻ってきていた。

 

「……どうした、あいつ」

 

「んぃ、良く分からん。よし、じゃあアクション撮っていこう!」

 

「悪いな、もうそんな気分じゃねえ」

 

「……んぅ……じゃあコンプレス呼んできて!」

 

「コンプレスはどっか行ってる」

 

「…………じゃあスピナー君」

 

「オレはぜってえ写真撮らせねえからな!」

 

 BARの壁際の椅子に座って睨み付けてくるスピナー君をパシャっと撮り、その写真データをマグネとトガちゃんと一緒に見る。

 

「こんな感じどう?」

 

「あら、なんか闇背負ってる感じ良いわねぇ」

 

「大きい武器が良い感じです!」

 

「……っ」

 

「ただなぁ~……スピナー君の表情がちょっと全体のイメージとマッチしないんだよなぁ~……」

 

「そうねぇ、こういう感じなら、ニヒルに笑ってる感じかしら?」

 

「睨み付ける感じよりかは良いですかね!」

 

「っ」

 

 めっちゃこっちを見て写真確認したい雰囲気出してるけど、さっきああ言った手前確認に来れないスピナー君可愛いよ。

 

「でもな~スピナー君が写真嫌いじゃぁなぁ~、撮りなおしもさせてくれないだろうなぁ~!」

 

 チラッ

 

「あ~あ~折角いい雰囲気なのにな~、スピナー君が写真嫌いじゃぁなぁ~!」

 

 チラッ

 

「撮らせれば良いんだろ!撮らせれば!!!」

 

「わーい」

 

 その後めっちゃ写真撮った。

 そうこうしているうちに夜9時回ってたのでさっさと寝る事にした。

 

 




そして目が覚めたら全裸のトガちゃんが!?
はい嘘です。このまま三日目突入しちゃいます。マジで何も考えてねえなコイツ。


詭弁さんの趣味は色々ありますが、主に写真撮影が趣味といえるでしょう。特に人物写真が好きなようですわ-モモちゃん

特に女の子のキワドイ写真とか撮るのが本当に好きですねぇグフフ-クズ

お、オイラにもその写真みせてくれよ!-みっちー

残念だが全てヤオヨロちゃんに検閲されてるので俺の脳内HDDにしか残ってないんだよなぁ!!(泣)-クズ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

急転直下ですよ!

さて、何やかんや閑話含めて30話達成しました。そろそろ普通に連載扱いでいいかな……?

いい加減話を進めないと……


 監禁生活三日目。

 

「詭弁くん!チャーハン!チャーハン食べたいです!」

 

 今日もトガちゃんは元気にぴょんぴょん跳ねてる。

 

「えー朝からチャーハン?作れなくは無いが……多分具材足りねえわ」

 

「じゃあ買ってきてください!」

 

「おいおい……詭弁お前、トガちゃんの要望ばっかりじゃねえか。おじさんの希望聞いてもバチ当たらないと思うよ?」

 

「じゃぁなに食いたいんですかねぇコンプレス」

 

「おじさんやっぱ分厚いステーキを……」

 

「オーブンねえのに無理言うな。黒霧、チャーハンの材料メモするからちゃんと買ってきてね」

 

「これオレが悪いの?」

 

「ドンマイコンプレス!ざまあねえな!」

 

 

 ◆

 

 

「さあ出来たぜ!詭弁家に伝わる秘伝チャーハン!!」

 

「チャーハンねぇ、久々に食べるわね」

 

「しっかし何でトガちゃんいきなりチャーハン食いたくなったん?」

 

「詭弁くんが寝言でずっとチャーハンチャーハン言ってたので私も食べたくなりました!」

 

「んぇ、うそ。恥ずかしっ……待って、トガちゃん俺の寝言を何で聞いてたん?」

 

「添い寝してたので!」

 

「今日も!?」

 

「おい待って、オジサン困惑してるんだけど。お前等の会話は突っ込み所が多い……まずトガちゃん、キミなんで詭弁くんに添い寝してるの?」

 

「詭弁くんの事が好きですから!」

 

「OK分かった。……んで詭弁、お前いま『今日も』って言ったか?」

 

「聞こえなかった?じゃあもっと大きい声で言うね」

 

「言わなくていいよ!って事は何?昨日も添い寝してたの君達。オジサン不純異性交遊はゆるしませんよ」

 

「何言ってんだこのヴィラン……」

 

「大丈夫です!詭弁くんとは()()そういった事してませんので!」

 

「んぃ、良かった。実はこっそり寝てる間に俺の純潔が散られてる可能性を考えてたんだよね」

 

「大丈夫です!私が見張ってるので!」

 

「「あははははは」」

 

「最近の子って良く分かんなくて怖いんだけど。オレだけ?」

 

「安心しろコンプレス。オレも良く分かんねえ」

 

 

 ◆

 

 

 朝食が済み、とりあえずバーのカウンター席に座ってたら手男が新聞片手に現れた。

 

「よお詭弁くん、今日の朝刊見たか?」

 

「朝からチャーハン作ってて見てると思うか?」

 

「そうか、じゃあ今見ろよ。面白いことが書いてるぞ?」

 

 そうニタニタ笑いながら新聞を投げ渡す手男。手に取ろうとしたら、横からトガちゃんが伸びてきて新聞をさらっていった……と思いきや俺の膝の上に座った。猫かお前さんは。

 トガちゃん越しに新聞の一面を見る。するとそこには、デカデカと『雄英大失態』の文字が載っていた。

 

「『雄英大失態』『問われる危機管理能力』雄英高校の林間合宿にヴィラン連合が襲撃……わぁ、私達の事が載ってます!」

 

「重軽傷者合わせて10名を超え、意識不明者は16名、行方不明者1名を出した……まるで雄英が怪我をさせたみたいな書き方だよなぁ?」

 

「……チッ、お前等が怪我させたんだろうが」

 

「ああ、そうだな。だが紙面ではどうだ?内容こそよく読めばヴィランによる被害と分かるが、まるでヒーローが無能だからここまで被害が拡大した。みたいな書き方だよなぁ?オレ達の作戦開始早々に捕まったお前は知らないだろうが、此処に居るメンバー以外にも大暴れしていた奴は居た。そいつらは、まあ生徒によってやられた訳だが、そんな事紙面には乗ってないだろ?マスコミは少しでも『仕方ない出来事だった』なんて言い訳を作らせない徹底ぶりだ……テレビも見てみるか?」

 

 ニタニタしながら、俺の返事を待たずテレビの電源を付ける手男。映った朝のニュース番組では、男女のコメンテーターが雄英を散々に扱き下ろしていた。

 

「あの時のメンバーには相当血の気が多い奴も居た。それこそ生徒やプロヒーローの一人や二人殺してくるんじゃないかってくらいにな。……まぁ、結果から言って誰一人とて死んではいない。オレ達からすれば詭弁くん一人攫って来れただけ。だが世間様にとっては、誰も死ななかった事実より、()()()()()()って事実の方が重いらしい。ヒーローも大変だなぁ。違うか?」

 

「……今日はよく喋るじゃねえか手男」

 

「……ハハハ、少しお喋りしたい気分なんだ。昨日見たニュース、覚えてるか?どっかの有名人が子供を産んだって言ってたその口で、今度は雄英の態勢を扱き下ろしてるんだ。大怪我をした奴や、こうして攫われていた奴も居たってのに、自分らは関係ないって態度で、努力した奴等を貶す事しかしない」

 

「何が言いたいんだ手男」

 

「『死柄木 弔』だ。いい加減名前で呼んでくれてもいいだろ?……で、何が言いたのか、だっけ?最初に話しただろ?()()だよ。詭弁くんと、あともう一人……爆豪って言ったな、そいつを攫ってくる予定だった。お前達二人はそれぞれ違う意味でヴィラン連合に合ってると思った。……まあ、爆豪くんは捕まえられなかったけどな」

 

「だから言ってるだろ、俺はお前等に協力しないってよ」

 

「くくく……まあ聞けよ。オレ達の目的は『世間への問い』だって言ったな?新聞、テレビを見てどう思う?雄英も、お前達生徒も、あの時全員が必死にオレ達と戦った。だっていうのに、世間はお前達の行動を一切評価しない。それどころかあの時の行動のほぼ全てを批判しているだろ?本当に悪いのは、オレ達ヴィラン側なのにな。世間にとって批判されるべきなのはヒーロー側だ。『全て守って当たり前』『少しでも被害が出たら、ヒーロー側の責任』……それが当たり前にまかり通っている。おかしいと思わないか?」

 

「……だから、なんだってんだよ」

 

「今の時代、ヒーローもヴィランも生き辛いと思わないか?ヴィラン(オレ達)は、ただ『普通と少しだけ違う』だけでオレ達(ヴィラン)一括りだ。ヒーローは、常にミス一つ許されない、完璧であり続ける事(オールマイトである事)が求められ続ける。そこに、『自分は要る』のか?それが本当に正しい()()なのか?……難しい話は抜きだ。オレ達は、ただ自分のままで居たいだけだ。お前は、どうだ?」

 

 ふと気が付けば、手男……死柄木 弔の後ろにヴィラン連合の面々が揃っていた。トガちゃんは微笑みながら、俺の膝の上でじっと俺の顔を見ている。

 

「詭弁!お前は良い奴だ!嫌な奴だけどな!オレ達と一緒に騒ごうぜ!」

 

「オジサン達と一緒に世界を変えよう」

 

「ヴィラン生活も悪くは無いわよ?アタシが手取り足取り教えてあげるワ!」

 

「詭弁!お前はステインの主張に沿うかどうか、間近で見極めてやる」

 

「……」

 

「なあ詭弁くん。お前の本当にやりたい事が『ヒーロー』だって言うのなら、それでいいさ。オレ達も抑圧されてきた側だ。それを止めやしない……。だけど、本当にやりたい事が別にあるんなら、オレ達に協力してくれないか?なんも難しいことは無い。昨日や今日の朝みたく、オレ達専属の料理人になっても良い。他にやりたい事があれば、オレ達も協力しよう。ココが嫌でも、友達として時々力を貸してくれるだけでもいい」

 

「……俺は」

 

 本当は、分かってた。昔俺を監禁したクソ野郎みたいなヴィランも居れば、今俺を監禁しているとは言え気の良い奴等みたいなヴィランも居る、と。それぞれの事情があって今がある。中には、ただ一度間違いを犯してしまっただけでヴィランと呼ばれ、世間から後ろ指を指されながらも堕ちた生活しか出来ない者もいる、と。

 ……俺が、生まれながらのヒーローならこんな誘いに悩む事なんて無いんだろうなぁ。もしくは、もっと強い気を持っていたら、ヴィランはヴィランと断じて打ち倒すくらい出来たのかもしれない。

 

「詭弁くん、悩んでいるんですか」

 

 耳元でトガちゃんが囁く。

 

「私は昔から血が好きでした。でも、それは『普通』じゃないから、我慢させられました。好きなモノを我慢するのは、辛いです。『普通』じゃないからと理解してもらえないのも、辛いです。詭弁くんも、我慢してるんですか?」

 

「……そんなに辛そうに見える?俺」

 

「見えます」

 

「……そうかぁ……」

 

 好きなモノを我慢、してるように見えるのか。……そんなもの、俺に無いのになぁ。

 

 ホントウニ?

 

『緊急ニュースです!今回の事件について、雄英が緊急記者会見を開くとの情報が入りました!繰り返します!今回の事件について、雄英が緊急記者会見を開くとの情報が入りました!準備が整い次第、記者会見を始めるとの事です!!』

 

 この場にいる全員がテレビに視線を動かした。

 

 




ちょっと中途半端ですが、ここまで。
ヴィラン連合書くの楽しいけど、各々の内面書くの難しい。
そして詭弁くんの闇も見え隠れしてきました。良いぞ。

……記者会見の内容忘れたわぁ……どないしょ……

なんか最近書いてないことあるよね?
そうだね!感想、評価ヨロシクお願いしますだね!!ぶっちゃけ忘れてたね!
そういうわけで感想評価バンバンください。コッチは全ての感想に返信する勢いで居ますんで、コッチは。(絶対返信するとは言ってない)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

記者会見ですよ!

ヴィランに手を差しのべる系ヒーローが流行ってるので、ヒーローに手を差しのべる系ヴィランがいても良いじゃない!

あ、これ面倒なツンデレってヤツだ!


 記者会見が始まった。

 先生達が揃って深くお辞儀をする。あ、流石に髭剃ってるね相澤せんせーは。

 

「……まるで悪者扱いだな。プロヒーローも最善を尽くしただろうに」

 

「……」

 

 お前らヴィランがそれ言うのか……。

 テレビでは謝罪から始まり、その後すぐ問われた質問に答えているところだ。

 ……雄英の基本姿勢は、体育祭の時と変わらない。『あえて開催することで強気の姿勢を見せる』だ。マスコミはその事を知りながら、再び説明させようとしている。無関係な奴らは、()()()()()()()()()なら鬼の首を取ったように騒ぎ、糾弾する。そこに過程なんて考慮されはしない。

 

 ほんの少しぼやっとしてると記者会見は進み、新たな質問が出た。

 

『今回攫われた生徒である詭弁くんは、かなり問題行動の多い生徒であると伺ってます。同年代、年上年下関係なく、多くの女性とお付き合いに等しい関係を結んでいるとか』

 

「詭弁くん、本当ですか?」

 

 怖っ。トガちゃんの首がいまグリンって回った。そしてクレヨンで塗り潰したような真っ黒な瞳が俺の目を貫く。

 

「嘘だよ。俺は誰ともお付き合いしてないし」

 

 中学生の時は多くの女の子に告白されたが、結局その全て断っているのだから。

 

「お付き合いに『等しい関係』とはどういう意味ですか?」

 

「……俺が知りたいな」

 

 まさか日常的にセクハラしてる事……な、訳ないか。ないよね?

 

『失礼ですがそのような事実はありません』

 

『彼の同級生達からの証言があります。更に体育祭で、あれほどまでに大怪我を負ってまで暴れる精神性に目を付けられ狙われたとして、もし詭弁くんが悪の道に染まってしまったとしたら?詭弁くんがヴィランにならないと言い切れますか?』

 

 根拠のない暴論、その言葉に酷い()()を感じた。

 ただ先生を怒らせて、『売れる言葉』を引き出したいだけのクソッタレの論理だ。

 

「まあ体育祭のアレで目を付けられたのは間違いじゃねえけど」

 

 言って、自嘲する。それこそ()()()()なら、あの怪我で動き回ることなんて『ありえない』。そして()()()()()()()()を糾弾することに、人は思った以上に抵抗感がない。

 

 全身酷い傷だらけの俺を排斥するのは、至極当たり前の事だ。

 今までもそうだった。これからもそうだろう。この世界は『歪』に敏感だ。姿形の話じゃない、内面の話。だから俺は……

 

『体育祭での彼の行動は、生徒を預かる身として許容するべきものではなかったかもしれません』

 

 テレビの向こうで相澤先生が頭を下げる。

 

『しかし、あれは彼の『成長』であると我々は捉えています。彼は複雑な事情を抱え、迷いながらも尚自ら思い描いたヒーローへの道を歩んでいる。誰かを想う心があり、援けたいと願う心を持っています。皆さんに見える形がどうであれ、そこは変わりません』

 

『彼はヒーローに向いている。敵になることはありえません』

 

「……昔さ、俺、友達一人と、あるヴィラン共に身代金目的で攫われたことがあってな。そん時からヒーローに憧れてたもんだから、ヴィランなんかに負けるか、って友達と一緒に抵抗したんだよ。そん時にさ、ヴィランの前でポロっと友達の個性バラしちゃったんだよね。それからは酷いもんでな。ヴィラン相手に子供二人で何とかなる訳が無かったんだ。友達は厳重に拘束されて強制的にヴィラン共の資金源作りさせられて、俺は言う事を聞かせるためだけに生かされ続けた。友達が少しでも失敗すると、俺の身体に鉛玉撃たれたり、ただ虫の居所が悪いからって鉛玉撃たれたり、んまぁ散々さ。そんな生活が……結局どんだけ続いたんだ?俺自身なんでそんなんで生きてられたのかも分かんねえけど、ある日、友達の親が雇った傭兵とプロヒーローが俺達が監禁されている場所に来たんだ。俺も、その友達も、ようやくこの地獄から抜け出せるって喜んだ。だけど……ヴィラン共は俺達の予想よりも遥かに強かった。俺達の目の前で、何人も人が殺されていった。アイツは化け物みたいな強さだった。俺達が助かったのは、あの化け物の気まぐれに過ぎないって今でも思う。そうして助かって……俺は、もう純粋な気持ちでヒーローを目指せなくなった」

 

 テレビの向こうでは未だに謝罪会見が続いてる。

 

「多分、その友達も純粋な気持ちでヒーローを目指せなくなってると思う。でも、その子が、それでも『ヒーローになりたい』って言うから、俺のせいで地獄を見たのに、本気でヒーローになりたがっているから……俺が、その子を支えないと、俺が、一生を掛けてその子に償わないと、そう思ってたんだ。だから俺は俺自身より、誰かを強くする事に個性を伸ばしていった。雄英に進学したのだって、友達がそこ志望したから以上の理由なんて無かった」

 

 ヴィラン連合の面々がじっと俺の顔を見ている。

 

「クラスメイトは皆が皆本気でヒーロー目指して突っ走ってるし、先生達は殺しに来てるほど厳しいし、笑って誤魔化してるのも難しいしで大変だった。何が大変かって、クラスメイト達が純な目で『お前もヒーロー目指してんだろ?じゃあライバルで仲間だな!』ってな風に見てくるんだよ。……俺の勘違いかも知れねえけどさ。だから俺はずっと自分に言い聞かせてたんだ。『俺は本気でヒーローになる』『ヒーローを援ける最高のヒーローに』ってな……。それが、俺に吐き続けた『嘘』だ……嘘、だった……」

 

 相澤先生の言葉が、再び頭で響く。その言葉に呼び起こされて、職場体験で受けたミルコさんの言葉や、ティアドロップの言葉、オッサンの言葉も想起された。

 

「それは、『嘘』じゃあ……なかったんだよなぁ……。俺の中で死んだ筈の、()()()()()()()()()()()()()だったんだよなぁ……。相澤先生が、ミルコさんが、クラスの皆が、俺に()()してる。んなら、期待に応えなきゃだよなぁ……!違うな、俺が期待に応えたいんだ……!」

 

 俺の中で燻り続けた黒い心は、俺の()()に応える様に晴れてゆく。

 ああ、そうさ。下らない嫉妬なんてしている暇は無かった。偶々一回、モモちゃんが俺以外の誰かに守られたからってしょうもない嫉妬に悩む必要は無かった。ただ、もっと強くならなければならない。

 何故なら、俺は最高のヒーローになるのだから!

 

「死柄木 弔、俺はヴィラン連合に入らない。俺は、ヒーローになるんだ!」

 

「……そうか」

 

 俺の言葉に、死柄木はただ目を瞑って返しただけだ。

 他のヴィラン連合の面々は、それぞれが難しい顔をしていた。

 いつの間にか、記者会見は終わっていたらしい。少し長く自分語りし過ぎたかな?

 

「詭弁くん……今の顔、さっきまでの顔よりすっごく素敵です!新鮮な血の匂いがします!」

 

「ありがとよ、トガちゃん。ただその褒め言葉はどうなの?」

 

 思い返せば、トガちゃんの()()()()()()()って言葉……いつだって逃げたかったのは、過去の俺からなんだ。もう逃げるのは止めだ。過去に、トラウマに向き合う時が来たんだ。

 

「交渉は、決裂だな。残念だ……黒霧」

 

 黒い靄が伸びてくる。また何処かに連れていく気か?だが、問題ない。たぶん!

 

「トガちゃんの横に!!!」

 

「っ!?」

 

 黒い霧に包まれて飛ばされる感覚を覚えるが、数瞬後に見える景色に大きな違いは無かった。

 

「黒霧のワープ個性、かなり凶悪だよな。だがそれって事前に登録したポイントに飛ぶって言うより、リアルタイムで座標を設定してるんだろ?んなら、俺にとって相手の銃口ずらす程度と変わんねえわ」

 

「……成程、私達はまだ貴方の事を見くびっていたようです」

 

「んにぃ……舐めんなよ?迷いのない詭弁さんはスーパーモードだ、負ける気しねえ『こんにちわー!ピザーラ神野店でーす!』はぁーい今出まーす!んなぁんかピザ来たし一旦中断で」

 

「……誰だよピザ頼んだバカは……?」

 

「……っ!マズい、トガ!詭弁を刺せ!」

 

 トガちゃんが何処からかナイフを取り出して、入口に向かって駆けた俺に向かって突進する。

 

「『だるまさんが転んだ』!!!」

 

 覇声(ばせい)をトガちゃんとその他ヴィラン連合の面々にかけ、ほんの僅かだけ時間を稼ぐ。その間に俺は扉に向かって一目散に走り抜ける。

 

「俺の後ろにヴィラン1名!さらに少し離れてヴィラン7名!ん後よろしくぅ!!!」

 

 扉に向かって駆けながら飛びこむようにして地面に伏せる。その直後、轟音と共にバーの壁が吹き飛んだ。

 

「無事か詭弁少年!!よく頑張った!!!」

 

「オールマイトぉ!待ってたぜコノヤロー!!」

 

 吹き飛んだ壁からオールマイト、及び実力派プロヒーローが複数人揃って壁から突入してきた。

 

「先制必縛ウルシ鎖牢!」

 

 伸びて来た樹木が、僅か止まってたヴィラン連合全員を一気に捕縛する。

 

「クソッ!!黒ぎr――」

 

「忍法、千枚通し。最も厄介故に眠ってもらおう」

 

 プロヒーロー達が大暴れして、ヴィラン連合を一網打尽にした。

 

「クソッ、クソッ!!何で此処がバレた!?」

 

「……俺の『言葉』って、意外とすげー遠くまで届くんだよ。それこそクソ騒がしいコミケの中とかでも、俺の声が遠くまで届くくらい。そんな特徴的な声でヴィランの名前呼んだり、俺の名前言ったり……分の悪い賭けだったが、まあ終わりよければって奴かね?」

 

「なっ、お前……まさか、最初からっ!!?」

 

「お生憎……叫ぶことしか取柄がねえからな!万が一攫われた時のひゅみゅれーしょんもバッチリよ!!」

 

「詭弁っ!チクショウっ!オレ達を騙したのか!?」

 

「っ……」

 

 トゥワイスが暴れながら俺に言葉の矢を射る。そうだ、相手はヴィランだ。捕まえるって事は、そういう事なんだ。

 ……でも、だからといって『はいそうですか』と切り捨てられるほどあいつ等は悪い奴じゃない。

 

「……カメラはっ!俺が持ってる!!今度は全員で撮ろうッ!!!」

 

「っ!!!チクショウ!!チクショオオオ!!!」

 

 自惚れじゃなければ、あいつ等も俺に友情を感じていた。それなのに、俺の行動は酷い裏切り行為にも思えるだろう。

 もし、あいつ等が罪を償って無事に帰ってきたら、また飯でも作って……ッ!!?

 

「な、脳無!?何もないところから……!!」

 

「クソ、どんどん出てくるぞ!!」

 

 なんだ、コレ……!?喉の中で、()()()が溢れ出る……!

 

「ゴボッ!?んだ、これは……身体が……」

 

「詭弁少年!!?No!!!!」

 

 黒霧のワープとも違う。引きずられるような感覚に襲われながら、口から吐き出された黒い液体に呑まれて俺は何処かに飛ばされた。

 

 

 残されたのは詭弁を呼ぶオールマイトの叫びだけだった。

 

 




迷いを断ち切った詭弁は、また新たな迷いを抱いた。
悪を友とし、詭弁の描くヒーロー像は……?
と体裁整えた癖に行き当たりばったりで書いてます。許して!


詭弁くんが初日から騒いでいたのは、近くを通ったヒーローや警察、或いは一般人に通報してもらうためだったんだよ!!ん~ご都合主義ッ!!

詭弁が最初に攫われた後、彼は全身酷い銃創だらけでした。周りの子供は気味悪がり、その保護者も被害者である詭弁に対してエンガチョ(比喩表現)した所為で更に闇倍率ドン。整形手術によって治っても尚エンガチョ(比喩表現)が続いたため、詭弁は自分の味方を増やす為にかなり意図的に女の子と仲良くなっている部分もあります。(まあ生まれつきの所も多いけど)
それで女の子にモテている詭弁に対し、中学の頃の同級生男子諸君は快く思ってませんでした。男の嫉妬は見苦しいぜ……。


感想欄でストックホルム症候群と書いた方、ネタバレはやめようね!まあ予測出来る展開しか書けない私が悪いね!ゴメンね!でも感想はドンドン送ってね!評価も頂戴!私赤い色が好きだなー!!

次回、悪夢降臨。皆さんお待ちかねの『先生』の御登場になります。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

バレンタインデーですよ!ヤオヨロちゃん!

シリアスの真っ最中ですが、予定を変更して閑話をお届けいたします。
だって書きたくなったんだもーん!!

中一の詭弁
「何!?バレンタインデーと言えばチョコレートじゃないのか!?」



「……詭弁さんは受験生だということを承知の上で仰っているのでしょうか?」

 

「んにぃ、俺が受験生である事と、来週のバレンタインの事は厳密には関係ないねぇヤオヨロちゃん!」

 

 中学三年生の冬の時の話。ヤオヨロちゃんはとっくに雄英の推薦入試を突破し合格を決めているが、一般受験の俺にとっては本当に最後の最後の頑張りどころである。

 まあ、普段から勉強面はヤオヨロちゃんに見て貰って万全ではあるのだが、それでも万が一ってことがある。最後まで勉強に抜かりはしない。抜かりはしないが……息抜きはほしいじゃん?

 

「詭弁さんは大事な時期ですから勉強に集中してください」

 

「いやいや、一心不乱に勉強漬けになるより、継続的に続けて時折気分転換した方がストレス無く色々覚えられる。最近の研究でもそう言ってるし」

 

「ええ、ですから勉強の合間に個性訓練を一緒にしてるではないですか」

 

「違うんだよ、俺はもっと色味のある息抜きがしたいの!というわけで次の土曜日にでもデートしようデート。チョコ巡りデート」

 

「しませんわ!もう、少しは危機感を持ってくださいまし!」

 

「えー、だってバレンタインデーは平日だぜ?多分ゆっくり出来ないと思うし」

 

「もう!詭弁さんは勉強に集中してください!」

 

「んぅ……」

 

 そうして今日も勉強漬けの日が終わる。

 最近は本当に勉強、体力作り、個性訓練、勉強のローテーションが激しいから、あんまりヤオヨロちゃんとゆっくりこゅみけーしょん取れてない……。

 

 そうして一週間後のバレンタインデー当日。こういう時モテる男は事前準備を欠かさない。……んまぁ、去年一昨年の経験がモノを言うのだが。

 まず家を出るときはいつもの時間より10分ほど早く出る!すると家の前で待ち構えていた近所のお姉さん方からの熱烈プレゼント攻撃!

 

「んふふ~。はい、チョコレートだよ。それ、本命だからね?」

 

「詭弁くん!これは私の気持ちです!」

 

「ありがとう、おねーさん達」

 

 そして登校途中も気が抜けない。交差点の角から偶然を装った後輩がエントリーだ!

 

「き、き、詭弁先輩!雄英受験、頑張ってください!」

 

「ありがとう。うん、頑張るよ」

 

 そして更に校門の前では同級生のスーパーお嬢様が乱入だぁー!!

 

「おーほほほほ!!ごきげんよう詭弁さん!今日は親しき仲にチョコレートを送る日だそうですわね!詭弁さんに私のお手製チョコレートを送りますわ!」

 

「そちらはお嬢様が一週間試作に試作を続けたチョコレートで御座いますゆえ、御召しになられたら是非ともお嬢様にお味の感想をお伝えください」

 

「め、メイドの分際で、言わなくて良いことを言わないの!!」

 

「出すぎた真似をしました。申し訳御座いません」

 

「うん、ありがとう。食べたら、感想を伝えるよ」

 

 と、学校についてようやく一息つける。今時下駄箱にチョコを入れる奴は居ないからな。

 ……ん?チョコを貰った後の女子達の反応?詭弁スマイル(当社比5倍増)でお礼を言えば大抵の子はその場でK.O.する。残りの子は……まあ、性獣(意味深)となるが……。

 さて、一息ついた後だが、まだまだ油断は出来ない。上履きに履き替えたら三年の校舎に向かうのだが、その通路の間に下級生女子が揃って待っている。そしてその全員が俺の事を見るわけですよ。これ軽い恐怖体験なんですが分かりますかね……。

 

「詭弁先輩!バレンタインのチョコです!」

 

「き、詭弁先輩……これ、どうぞ……」

 

「ん……どうぞ……」

 

「先輩!アタイの愛が詰まったチョコですよ!」

 

 これでも極一部なのだが、とにかく全員キャラが濃い。熱血、ダウナー、無口、ラブ全開、んもーほんと色々キャラが立っている。

 まあ、勿論受け取らないなんて選択肢は無いわけですが。

 

「みんな、ありがとう!」

 

 我ながらいっそ清々しいまでの会心の笑みで答え、ほぼ全員をK.O.する。わずかに残った数人は蒸発した理性で俺に飛び掛かるが、そこは鍛え上げた身体捌きで回避する。

 そうしてようやく教室に到着し、俺の一日の半分が終わる。うん、ここまでで半分なんだ。既に紙袋二つにいっぱいチョコレートを貰っている。席に座り、簡単に食べられそうなものから勘で選びながら食べる。今の内から食べ進めないと食べきれないからだ。

 

 ちなみに、一昨年のバレンタインには自分等身大のチョコレートを送ってきた某お嬢様が居たが、流石に食べるのが怖かったのでそればかりは受け取りNGを出した。それから小さいチョコが喜ばれると知られて、去年はチロルチョコサイズの物が多かったのは良い。

 そして今年はチロルチョコサイズのチョコレート袋詰めが多かった。違うそうじゃない。

 包装を開けながら、このチョコは誰に貰った物かを頭の中で想起する。ちゃんと味の感想を伝えるためだ。モテる男は細かな努力を欠かさない。最終的に100人分にも上るが、気合いで何とかするのがモテる秘訣。ふふふ、モテモテ男子は辛いな……。

 

 授業が始まるまでに、朝受け取った分の4分の1を食べ終わる。くくく、残り4分の3。しかも昼になったらまだ増えるんだぜ?これ。致死量ってご存じ?

 俺の個性に掛かれば、何個チョコを食べても最初の一口目の幸せ感を堪能できる。思い込みの力ってスゲー。逆に使わないと味に飽きて食べ進めることが出来ないんだけどね……。

 うう……新鮮な感覚のままでヤオヨロちゃんのチョコを食べたかった……。

 

「詭弁!アタシのチョコを受け取れぇ!」

 

 もーいやぁー!!!

 

 

 ◆

 

 

 放課後、ようやく家に帰れた。朝受け取った分は何とかその日の内に食べ終え、その感想を一人一人に伝えた。そして昼以降に貰った分は、明日の朝までに食べ尽くして感想を伝えるつもりだ。

 自分の部屋に戻り、メモ帳とペンを取り出す。チョコを渡してくれた相手の名前と既製品か手作りかを記入し、既製品だった場合はチョコの値段を調べて大体三倍返し、手作りだった場合は同じように手作りのモノを、ホワイトデーのお返しとして渡すために、忘れないうちにすべてメモしておく。モテる男は辛いねぇ、ふふふ。

 

 マジでしんどい……。

 

 食べた感想はLINEで伝えられたらLINEで、そうじゃなければ明日直接伝える。

 くくく、チョコレート地獄はまだ終わらねぇ。『昨日渡し忘れちゃった♥️』という女子が必ず一定数は居る。何故ならバレンタイン当日に渡したがる女子は多数!だが敢えて日にちをずらして渡すことで印象に残そうっていう腹積もり!そしてなんと、今日渡しておきながら明日も渡してくる女子もまた僅かながらに居るのだ!!無論モテる俺はその全てのチョコレートを食べ、感想を伝えるのだ!

 

 人間関係って、つらい。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 バレンタインデーから数日後。

 

「詭弁さん。……詭弁さん!大丈夫ですか!」

 

「んぅ、んぁー……ヤオヨロちゃん、おはよう」

 

 大量のチョコレート地獄からようやく解放された翌日、ほんの数日とは言え、ずっと自分を騙しながらチョコを食べ続けた反動が体調に現れている。しんどい。

 

「詭弁さん、明日が雄英の一般受験日なんですのよ、そんな調子で本当に大丈夫ですか!?」

 

「んぅ、へーきへーき。俺の個性でいつでも絶好調になれるって知ってるでしょー?」

 

「それでも普段から体調を整えておくに越したことはないですわ!もう……本当に大丈夫なんですか?」

 

「んぃ、そーだなぁ、ヤオヨロちゃんのおっぱい揉んだら元気になりそう……」

 

「でしたら絶不調のまま受験を受けてください」

 

「ねぇ、酷くない?」

 

「はぁ……まったく。別にチョコを食べるなと言っている訳ではないのですし、貰ったその日に無理に食べて感想を伝える必要はないでしょうに」

 

「んぅぅ……でもさ、折角渡したのに、その日に感想貰えなかったら悲しいじゃん?」

 

「詭弁さんがその日大量のチョコレートを貰っているのはもはや周知の事実なのですから、当日に感想貰えなくても仕方ないで済みますわ」

 

「うーん、そう言われればそうかもしれん」

 

「……詭弁さんは本当に時折おバカさんになりますわね」

 

「ヤオヨロちゃん、心臓に毛の生えてる俺だって傷つく時もあるのよ?」

 

「うふふ、それは失礼しましたわ。お詫びと言ってはなんですが、こちらをどうぞ」

 

 そう言ってヤオヨロちゃんは、丁重にラッピングされた小箱を渡してきた。

 

「……んにぃ?なぁにこれ。な、なんか見た目よりちょっと重めですねぇ……」

 

「こってりとした甘い物はしばらく見たくもなさそうな詭弁さんにぴったりの物ですわ」

 

「ふぅん……?」

 

 そうして家に帰り、明日の試験に向けて入念にストレッチを行って体調のリセットを行う。そしてヤオヨロちゃんから貰った小箱のラッピングを丁寧に剥がし、中を見ると……

 

「……大福餅?」

 

 キチッと箱詰めされた大福餅らしき物と、箱の外にバレンタインカードが添えられていた。

 カードを開いて、ヤオヨロちゃんらしい字で書かれた内容を読む。

 

 詭弁さんへ

 詭弁さんが、本当はチョコレートがあまり好みではないのに、女の子を悲しませたくないから食べているという事は知っています。

 変なところで無理をしてしまうのは昔からの悪い癖ですよ?

 そんな詭弁さんのために、砂糖を一切使ってないイチゴ抹茶大福を作りました。

 雄英に合格したら、デートに行きましょう。待ってますよ?

   八百万 百より

 

「愛の女神かよ」

 

 んも~ホントに好きぃぃぃ!!!(語彙力消失)

 というかいちご抹茶大福手作りコレ!?和菓子職人かよ。

 小箱に4つ入ってたが、家族に分けずに全部俺が食べた。高級な抹茶本来の甘味と苦味、イチゴの酸味と甘味が組み合わさってなんかもうなんか凄い美味しい。(語彙力蒸発)

 

 

 

「というわけで俺がもう待てなくなりましたデートに行こうヤオヨロちゃん!!!!!」

 

「明日入試ですわよ!!??」

 

 その後、ヤオヨロちゃんにぶん殴られるまでべたべたしてました。

 

 




正妻「計画通り」ニヤリ

中学卒業間近の詭弁
「えっ?バレンタインにチョコ以外の物を送るのって、わりと一般的なん……?なしてそれをもっと早く言わないの……?」
哀れ詭弁、自分の言動によって苦しめられているのだ……
ざまぁねえな!(トゥワイス感)

なんで今さらバレンタインデーの話なのかって?んなもん……とある小説に感化されたから……。


俺はチョコは好きでもないが、まあ嫌いでもない。カカオ98%ビターチョコとかは結構好きかも。-クズ

ちなみに詭弁さんはラーメンなら醤油派、納豆にネギとカラシを入れるタイプ、唐揚げにレモンは要らない派ですわ。ただあまり深く拘らないので、他に鍋奉行の方がいればその方に任せる事が多いですわ。-モモちゃん

詭弁くんはソバよりウドン派、ウドンは暖かいのより冷たい方が好きみたいだ。目玉焼きには塩コショウをかけるよ。市販のトンカツソースはあんまり好きじゃないみたいだ。お好み焼きはマヨネーズとソースを3:1でかけて食べるよ。チョコがあまり好きじゃないからきのこ派でもたけのこ派でもないんだって。朝はパンよりご飯派。カレーは甘口寄りの中辛が良いんだって。カツ丼よりカツカレーの方が

待った待った、いずくちゃん。お前何処でンな事調べてるんだよ。-クズ

凄いと思った人を調べるのは癖みたいなもので……。-いずくちゃん

私も知らなかった情報を知ってるんですのね……。-モモちゃん


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

悪夢ですよ!

つい先日、住んでるタコ部屋にコロナ感染者が確認されました。
誰か助けてくれ。ラッキースケベで助けてくれ。
エロい心が地球を救うと信じて!


「ゴホッゲホッ!くっさ!なんなんだ!?」

 

 黒い水から引きずり出され、辺りを見回すとさっきまでいたバーとは違う場所に居た。

 俺の第六感が、ここはヤバいと告げる。辺りを見回すと、辺りは瓦礫の山。そして何もない所からバシャバシャと黒い水が湧き出し、ヴィラン連合の面々が出現した。

 

「な、んなんだココ……」

 

 背中から心臓にかけて冷たい針が突き刺さっている様な感覚に襲われる。

 固まった身体を無理矢理動かそうとした、その時。凍えるほどに冷たい声が後ろから投げかけられる。

 

「やあ、詭弁くん。久しぶりだね……いや、()()姿()()()初めまして、かな?」

 

 声色自体は、何処か喜色を感じられる声だ。だが俺はその声を聞いて、心臓を掴まれたかのような錯覚に陥った。

 

「ふふ……その臆病な所は変わっていないみたいだね」

 

 眩暈がする。身体からあらゆる熱が奪われたかのように寒気がする。俺は、この声を()()()()()()()()()()()()()

 倒れるように転がりながら声の主から離れ、その()を見た。

 

 そこには、顔の潰れた大男が立っていた。

 

「そうか、もうあれから8年になるのか。随分大きくなったなあ、あの時の傷は……残ってないようだね」

 

 まるで親戚のおじさんの挨拶のような気軽さで俺に声を掛ける。その()()()は、まるであの時の……

 

「……おや、まだ気が付かないのか?それとも忘れたいほどのトラウマになっているのかな?ふふ……なら教えてあげようか。今から8年前、君が小学1年生の頃にとあるヴィランに攫われた事を覚えているかな?」

 

 その喋り方は、まるであの時の……()()()

 

「その時に、君達の目の前で何人も叩き潰して殺した男の、まあ中身と言うか、本体とでも言えばいいか。()()()()姿()は、当時僕が持ってた『憑依』という個性で入り込んでいた名も無いヴィランの姿さ。とても使いづらい個性で『憑依』している間は他の個性が使えないから、今はもう誰かにあげちゃったけどね」

 

 呼吸が浅く、早くなる。

 

「おっと、昔話が長くなってしまうのは年寄りの悪い癖だった」

 

 視界が暗く淀んでいく。目の前で何人も死んでいった光景がフラッシュバックする。吐き気がする。血の匂いがする。頭が揺れる。

 

「さて……やあ弔、また失敗したね」

 

 あの()()()が死柄木に話しかける。その後何かを言っているようだったが、それを理解出来る程俺には余裕がなかった。

 あの()()()が目の前に居るだけで、地獄が何度も何度もフラッシュバックする。脳と身体が離散しそうだ。呼吸もままならない程に息が浅くなる。身体が震える。目の前で、また人が死ぬ。俺は、また、何も出来ない。

 

「全て返してもらうぞ!オール・フォー・ワン!!」

 

 上空からオールマイトが現れ、化け物に向かって殴りかかる。

 

「また僕を殺すか、オールマイト!」

 

 化け物はそれを受け止めて、二人の足元がその衝撃で弾け跳んだ。

 クレーターが出来るほどの衝撃波によって俺とヴィラン連合の面々は吹き飛ばされる。吹き飛んで行く視界の端に金色の何かが見え、咄嗟に手を伸ばして守るように抱えた。

 

「きゃっ!」

 

「ぐへぇっ……」

 

 人二人分の衝撃を背中に受け、一瞬意識が飛びかける。ぐわんぐわん揺れる頭を抑え、目を開けると視界の大半に白と肌色が映っていた。

 なんかほんのり甘味と酸味のある匂いが……

 

「……あの、詭弁くん、守ってくれてありがとうございます。ですがあまりジロジロ見られるのはちょっと……」

 

「……あ~、そういう……」

 

 吹っ飛びながら咄嗟に抱えた所為で不自然な形で抱える事になり、着地の衝撃によって大変な『トラブル』に見舞われた。捲れたトガちゃんのスカートを戻しながら立ち上がる。

 ありがとうトガちゃん。トガちゃんのお陰でトラウマモードから抜け出せました。言葉には出さないけど。

 

 目の前で化け物の左腕が歪に膨れ上がり、オールマイトに向けられた。その直後、空気の塊が発射され、オールマイトは吹き飛ばされた。

 

「オールマイト!?」

 

 オールマイトは数百メートルほど吹き飛んでいき、その間にあるビル群を破壊していく。

 

「ふふ……心配しなくてもあの程度じゃ死なないよ」

 

 化け物は俺に向けて冷静に言い放つ。そしてその後死柄木に向けて「ここは逃げろ」と言いながら右手指から赤黒い枝のような物が伸び、地面に倒れている黒霧の身体に刺さる。

 

「『個性』強制発動。さあ、その子を連れて行け」

 

「先生は……」

 

 死柄木の縋るような声が聞こえた直後、オールマイトが瓦礫を砕きながら化け物のすぐ傍に降り立った。

 

「逃がさん!!」

 

「常に考えろ、弔。君はまだまだ成長出来るんだ」

 

 化け物はそう言いながら、オールマイトの拳を受け止める。

 その様子を唖然と眺める死柄木。

 

「行こう死柄木!あのパイプ仮面がオールマイトを食い止めている間に!」

 

 そして、俺に目を向けた。

 背中がゾワゾワと粟立つ感覚が走る。これはアレだ。所謂窮地って奴。

 ……だが、オールマイトに救けてもらうことは出来なさそうだ。オールマイトも、あの化け物で手一杯。だけどオールマイトは()()()()だから、俺に意識が割かれているのを感じる。つまり、俺がこの場にいる所為で、オールマイトは()()が出せない。

 ……んなら、やる事は一つ。俺が()()()この場から()()()脱出する。

 

 さあ、腹から声を出せ。今、叫ばずに何時叫ぶ。

 

「オールマイトォ!俺は俺で勝手に助かってる!!だからその()()()()()()()()は任せたぁ!!!」

 

 我ながらヒーローの大先輩になんて言い草だと思う。だが、オールマイトを頼ってしまえば、あの化け物にオールマイトがやられてしまう。自分を救う。オールマイトを助ける。両方出来ないで何がヒーローか。

 

「さぁヴィラン連合諸君!楽しい楽しい鬼ごっこを始めようかぁ!!」

 

 コンプレスが、スピナーが、トゥワイスが、俺に向かって攻撃を仕掛けてくる。特にコンプレスに気を付けながら攻撃を回避する。

 荼毘、マグネは動きが鈍い。トガちゃんに至ってはずっと俺を見てるが、棒立ちに等しい。あいつ等はあいつ等で何を狙っているのか、何か思う事があるのか。それらに思考を割いている余裕はない。

 

「クソ!チクショウ!詭弁テメェオレ等と一緒に来やがれってんだ!!」

 

「詭弁!お前もステインを継ぐ者となれ!」

 

「行かないし継がない!!俺には俺なりの『ヒーロー像』があるんだよ!無理に押し付けんな!」

 

 瓦礫の山々の中で攻撃を回避し続けながら、逃走経路を探す。オールマイトがあの化け物を抑えているが、安全に逃げられる場所は見当たらない。これジリープアーって奴?

 

 ……すると見覚えのある影が見えたかと思えば、「あっ」と言う間にヴィラン連合の面々に蹴りを入れて俺の傍に降り立った。特徴的な白い耳に褐色肌、そしてムキムチの太もも。そのヒーローは……

 

「るみみん先輩!!」

 

「お前も蹴っ飛ばされたいのかァ!!?」

 

 スパァン!!と尻を蹴られる。ちょっとしたジョークじゃないっすかミルコさん……。

 そしてそのままミルコさんに担がれて戦線を離脱。離れていく光景には、次々ワープゲートに飛びこんでいくヴィラン連合が見えた。

 

「詭弁、怪我は……大したことなさそォだな。私はこの辺りにいる一般人達を避難させる。お前も手ェ貸せ!」

 

「……他にも、プロヒーローは居るんですか?」

 

「あァ!?元々この辺りに居たプロや、近場に居た奴等全員引っ張って来た!とにかく急いで避難させろ!瓦礫の下に埋まってる奴が残ってるかもしれねェから、そっちに多くヒーローを割きたい!!」

 

「……分かりました!」

 

 なら、悠長にしていられる時間は無い。ヴィラン連合は何処かに消えた。俺は助かって、オールマイトはあの化け物を倒してくれる。

 ……本当に?個性無しに、ヒーロー達を叩き潰していったあの化け物の本体だぞ?

 オールマイトは、勝つ。勝つはずだ。勝って……くれる……筈だ。

 迷うな俺!俺は俺で出来る事をするんだ!オールマイトが心置きなく戦えるように!時間が無いんだ!こんな大災害の後みたいな場所で、一人でも多く救うんだ!

 

 

 だから、短く、簡潔に纏めるんだ!!

 

 

「オールマイトォ!!!!後は全部()()が救うからッ!!!!」

 

 

 俺の『個性の力』を、圧縮して、圧縮して、ほぼ全てをその言葉に注ぎ込むイメージで。

 オールマイトに()()を送った。

 無駄かもしれない。

 無意味かもしれない。

 オールマイトの邪魔になるかもしれない。

 

 それでも、オールマイト(ヒーロー)が負ける姿は見たくないから。

 

 オールマイト(ヒーロー)は一人じゃない。肩を並べる同志()がいる。遠くで支える仲間(ともがら)が居る。未来を託す生徒(俺達)が居る。

 相対する(ヴィラン)は、心置きなく打ち倒して!!

 

 

「その変なマスク野郎は()()()ァ!!!!」

 

 

 

「ああ!!任せろ!!!」

 

「フフ……()()()()()()()()()なんて、守れもしない事をよくもまあ言えるものだね……」

 

「詭弁少年は、やると言ったならやる男の子だ!」

 

「そうか……なら、キミの矜持ごと叩き潰してあげよう」

 

 オール・フォー・ワンの左腕が膨れ上がり再び破壊を撒き散らそうとした直前。

 

『ミルコさん!オールマイトの右奥瓦礫の下!』

 

「任せろォ!!」

 

 ダァン!!と踏み込む音と共にミルコが飛びこんで瓦礫ごと蹴り飛ばし、下でうずくまってた一般人を抱えて再び離れていく。

 

「オールマイトォ!コッチは気にすんな!」

 

「っ!ありがとう!!」

 

「……ほう」

 

 戦闘は、更に激しくなっていく……

 

 





うん、やっぱりこの辺の描写は原作手元にないと分かんないよね!(諦め顔)
オールマイトとAFOの戦闘シーンは大幅カット予定。

詭弁とヤオモモを攫ったヴィランは実は複数犯でした。たしか直接描写はしてないと思いますが、まああの拳銃ヴィラン一人だけで子供二人を見張り続けるのは無理がありますからね。
黒幕がこっそり同じヴィラングループだったって方が無理有る?それな。

ヴィラン連合の面々は、ヒーローになるという夢を持った『友』を相手に、『それでも一緒に居たい派』と『夢は応援したいけど……派』と『最後にこのヒミコの横におればよい派』に分かれてました。死柄木は……まあ、先生に気を取られてたんじゃないんですかね。

詭弁くん、トガちゃんのパンツで覚醒。実際にはトラウマの克服とか死線を超えた為に個性とか感覚とかが爆発的に成長したとかあるんですが、場面だけ見るとトガちゃんパンツで覚醒しました。パンツって偉大ですね。いいぞ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

伝説が終わりを迎えましたよ!

本日二度目の投稿。
セクハラ……セクハラどこ……ここ……?
オールマイトVS.AFOはカット。詭弁くんの応援有りでも原作とほぼ同じって事で。


「『エッジショットの直進50メートル先に複数人!虎さん!オールマイトの後方に……たぶん一人!』

 

 瓦礫の山を駆ける様に移動しながら、ミルコさんから受け取った無線機を使ってプロヒーローに指示を出す。

 まだ仮免も取ってない、言うなれば一般人に過ぎない俺の言葉に最初は文句に近い言葉を言われていたが、いざ其処を確認すれば要救助者が本当に居た。

 そこで俺は暫定的にプロヒーローによる『個性使用許可』を受け、探知系ヒーローと共に要救助者を探し回る。

 

「皆さん怪我はありませんか!?歩ける人はこのまま南東方向に向かって避難を!歩けない人に手を貸して!今、動けない人を救えるのは貴方達だけなんです!皆で助かりましょう!!」

 

 五感が異常な程に強化されてるのがわかる。耳は僅かな呼吸音を聞き逃さない。肌は僅かな振動を探知できる。脳は異常な程の情報量でパンクしそうだが、まだ倒れる訳にはいかない。

 また瓦礫の山にのぼり、更に聴覚と触覚を研ぎ澄ます。

 オールマイトと化け物の居る方角から絶えず爆音のような物が轟くが、それに惑わされるな。

 

 肌がピリつく感覚。意識的に聴覚を向ければ、僅かな呼吸音が聞こえた。

 

「『こちらトーキー!子供が瓦礫の下に居る!一人!』」

 

『了解、オレが向かう!』

 

 頭が割れそうなほどに痛むが、我慢しろ。一人でも多く助ける。オールマイトが戦闘に専念できるように、誰も零さないように!!

 

「トーキー!何処だ!?」

 

「ココです!ここから約5メートル!この方向に!」

 

「よし、一気に掘り進む!山が崩れ始めたらすぐに声だせ!」

 

「はい!」

 

 そうして程なくして女の子を救助した。

 両腕がかなり悲惨な事になっている……だが、すぐに治療すれば命は助かりそうだ。

 

「トーキー、オレはこの子を連れていくから次に向かえ!」

 

「待ってください!キミ、お父さんやお母さんは?」

 

「ぅ、ぅぅ……おか……さ……」

 

「……トーキー、お前は早く次に向かえ」

 

「ですが、恐らく近くにこの子の親が居るかもっ」

 

「いいから向かえッ!!!」

 

「っ」

 

 一人でも多く助けなければならない現場で、居るかも分からない人間を探すのと、確実にそこで生きている人間を探すのとどちらに時間を割くべきかは、頭では分かっている。居るかもわからない、居ても、生きているかどうか……ッ!!クソっ!考えるな!()はその時じゃない!!

 そうだ、余計な事を考えていられるほど俺の脳に余裕はない!切り捨てろ。無駄な事を切り捨てるんだっ!

 切り替えろ、スグに!一人でも多く助ける為にッ!!

 

「皆さん!大丈夫です!!ヒーローが来ました!さあ落ち着いて避難しましょう!ここから真っすぐ進んで、避難場所があります!動ける人は協力して助けを必要としている人に手を貸してください!皆さん全員で生き残るんです!」

 

 無力な自分への怒りを表に出さない。見ている人が不安になるから。

 歪みそうになる表情の上から、笑顔を張り付ける。皆を安心させるように。

 

「皆さん避難を!大丈夫です!ヒーローが守ってくれる安全な場所に向かいましょう!」

 

「安心してください!ヒーローが来ました!さあ避難しましょう!」

 

「大丈夫です!」

 

「さあ此方に!」

 

 『そこに自分は要るのか?』

 死柄木の言葉が、ふと頭をよぎった。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

『ヴィランは……倒れたまま動かず!!勝利!!オールマイト!勝利のスタンディングです!!!』

 

 遠くで、報道記者が叫ぶ声が聞こえる。そして歓声の声も。

 

「そうか……オールマイト……勝ったかぁ……」

 

 脚が千切れんばかりに駆けずり回り、耳や鼻、目からも血を流しながらぶっ倒れている俺が一人。

 一人では、何も出来ない。きっとこの瓦礫の下には、俺が探知しきれなかった死体(誰か)がいるのだろうか。

 

「……よう、無事かァ?」

 

「無事に見えます?」

 

「死にかけに見えるなァ」

 

 ぐったりとただ空を眺めていると、ミルコさんがひょこっと顔を出して覗き込んできた。あー良いアングル……。

 

「……ミルコさん、俺、役に立ちましたかね」

 

「あァ?」

 

「笑顔ぉ頭に張り付けて、避難誘導しながら瓦礫の下に埋まった人探し回りました。……ですけど、誰も俺一人じゃぁ救えないんですよ……。全力以上だして探し回って、でも出来る事は要救助者の居場所を知らせる事だけ。地面を掘り抜くチカラも、瓦礫を持ち上げるチカラも、んなぁんも持ってねぇから……サイレンみたいにただ五月蠅く鳴り響くだけで、俺は結局誰も―――」

 

「ふん」

 

 ぶにゅっとミルコさんに踏みつけられる。なんかこれも懐かしく思えるなオイ。

 

「バカ野郎が。まだ高校生(ガキ)の癖に何でもかんでも一人でこなせるワケがねェだろうが。クソ生意気な事言いたけりゃプロになってから言えボケ」

 

「キレそう」

 

 おいミルコさん。ただでさえ俺の頭は今いろいろ疲れでブチブチなんだからこれ以上ブチ切れさせないで?

 

「テメェがバカな事言ってるからだろうが。要救助者を探し出して、救助して、避難場所まで連れていく。確かに一人で出来りゃァ良いなァ。だが現実にそんな事出来る奴なんて居ねェんだよボケ。良いか、先輩からの有り難い言葉だ、よーく聞け。ヒーローは神サマじゃねえ、人間なんだ。全てを救う事も、死んだヤツ蘇らせる事も出来やしねえ。だけどな、テメェ一人で何でもやる必要もねェ。脚の速い奴、力自慢の奴、頭の良い奴、人間には各々『個性』がある。『得意分野』がある。それぞれの『得意分野』で人間は戦うんだ。『戦うのが得意な奴』が敵を抑えている間に、『人を見つけるのが得意な奴』が『力自慢な奴』に場所を伝えて、『治療が得意な奴』の場所まで運ぶ。分業だ要するに。テメェはテメェの得意な事、出来る事を必死にやりゃぁいいんだよ。わかったかボケ」

 

「……ですが、俺はある子供の親を見つけられなかった。救えなかった……」

 

「確かにヒーローは守れなかった物、救えなかった物を数える事も大事だ。……だが、()()()()()()()()に目を向ける事もまた大事だ。瓦礫の下で声も出せないヤツの代わりに、テメェがサイレンみたいに五月蠅く鳴り響いたお陰で救えた命がある。テメェが騒いでいたお陰で迅速で無事に避難場所に来れたヤツが居る。つーか、あんなド派手に暴れ回ってる中で救助活動が進んでたのがオカシイからな?テメェはそれを自覚しろバカ野郎」

 

「……ミルコさん。いい加減足退けてくれません?」

 

「バカ野郎には丁度いい薬だ。オラありがたがれ」

 

「舐め回しますよ」

 

「やめろ」

 

 ようやくミルコさんが足をどけた。

 

「空、青いっすねぇ……」

 

「……そうだな」

 

 プロヒーローの増援が駆けつけ、辺りの探知や救助活動が本格的に進行した。あの化け物が暴れ回っている時から全力全開で救助活動に当たっていた俺は案の定息切れしてダウン。腕脚の筋肉がブチ切れて動けなくなった。耳もキンキンする。痒い所も掻けないぜ……。

 

「……詭弁、よく頑張ったな」

 

「んぇ?なんか言いましたミルコさん?」

 

「なんでもねえよボケ。おし、お前も避難所でいったん治療受けろ、運んでやる」

 

「……あー、運ぶ前にちょっと痒い所掻いてほしいんですけど……」

 

「あァ?……ったく、しょーがねーな。何処だ?」

 

「チンチン……」

 

「シバくぞテメェ!」

 

「いや本当にマジで痒いんですけど……ミルコさん、脚を振り上げて何をする気ですか?ねえ、ちょっと?私怪我人、おーけー?」

 

「ふんっ!」

 

「お°っ」

 

 

 

 そして気が付いたら雄英の保健室に寝ていた。そして気絶する少し前の記憶も無い。不思議!!

 

 

 ……あっ、スマホ無い……。





後日ヴィラン連合の拠点にしていたBAR(跡地)から詭弁くんのスマホがサルベージされました。

さあ、いよいよ待ちに待った全寮制!どうにかして詭弁くんを女子棟に入れさせる案を御待ちしております!!!!!!!!
やりたい放題かよ。

『痒み』というのは、もの凄く弱い『痛み』だという説があるそうです。カリカリ引っ掻く事で、より強い『痛み』で上書きするのだとか。なら詭弁くんの股間の痒みを蹴り飛ばすミルコ姐さんの行動は何らおかしくないですね!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

全寮制ですよ!ヤオヨロちゃん!

執念の一日三回投稿うおおおおおおお!!!!あー疲れた。
と言う訳で読者の皆様方、短い間でしたがご愛読ありがとうございます!!



詭弁父「なに?全寮制?」
詭弁母「あらぁ」
クズ「そー。なんかその説明に相澤先生とオールマイトが来るんだそうで」
父「相澤……ああ、イレイザーヘッド」
母「へぇ……私の可愛い息子をみすみす拐われたプロヒーローがどの面下げて来るのか楽しみだわぁ……」
クズ「……あの、お母様は何をそんなにお怒りになられてるのでせう」
母「あらあら、息子が危険な目に会わせられて怒りを覚えない母は居ませんよ?」
父「……すまん答弁。俺が母さんを説得するから、先生にウチは後回しにして貰うように言っておいてくれ」
クズ「……んぃ」

クズ「ってな訳でウチは後回しでお願いします」
先生『いや、これは完全に雄英の不手際なんだ。お前の母親に説得するのは、お前の担任であるオレの役目だ』
クズ「んにぃ……でもいま先生に来られても火にガソリンスタンドごと油を注ぐ結果にしか繋がらないですし、ワンクッション置いてからの方が無難ですよぅ」
先生『そこまでか……そういえばお前の父親はよく知ってるが、母親の方は知らないな。どういう人物だ?』
クズ「ど、どういう……」


クズ「通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃、場合によっては呪いやデバフを掛けまくってくるお母さん……かな」
先生『……はぁ?』


「よう!なんかひさしぶぇぁ!!?」

 

「「詭弁(さん)!!!」」

 

 雄英の保健室で目を覚ませば、見舞いに来てくれたモモちゃん、いつかちゃんがボディチャージを御見舞いしてきた。お前等、俺怪我人、OK?あ、でもおっぱいクッションのお陰で思ったほど痛くはないかな?

 

「保健室で騒ぐんじゃないよ!」

 

 リカバーちゃんの一喝で引き剥がされる二人。興奮も落ち着いたところで近状情報の交換をする。

 

「……そうか、ヴィラン連合に襲われた時にガスで……」

 

「医者の見立てでは、皆さん身体はほぼ回復しているそうですわ。じきに皆さん目を覚ます事でしょう。……もし、あの時……私が脳無を深追いせずに森の異変に気が付いていれば……」

 

「おいおい、そりゃぁいち早くヴィランに捕まった詭弁さんをディスってんのかい?」

 

「い、いえっ!そんなつもりは!」

 

「んまぁそうだろうな。みぃんなそうだ。誰もモモちゃんが失敗したって思ってねえよ。……なあモモちゃん。モモちゃんは叱責されたいのか?それとも許されたいのか?」

 

「っ……私は……」

 

「……まあ、分かるよ。俺も神野のあの時、もっと強ければ、もっと速ければ、何でも出来れば、なんて思った。何でも一人で出来れば、そりゃぁ良いよな。でもミルコさんに叱られたよ。『テメェ一人で何でもやる必要はねェ』ってさ。俺も、モモちゃんも、個性が万能だからついつい何でもやりたくなるよな。んでも、今は周りに色んなスペシャリストが居てくれるんだ。んなら、任せられるところはどんどん任せていくのも必要な事だよなぁ……」

 

「詭弁さん……」

 

「モモちゃん。また一緒に、一から鍛えなおそっか」

 

「……はいっ!」

 

「おーい、私も居るんだけど。二人の世界に突入すんな」

 

「おぅ、悪い。いつかちゃんもそうだけど、これからもB組の皆ともガンガン特訓していくからヨロシクな!」

 

「……はぁ、元気だよなぁお前。……お前が動けるようになったら、寝てる皆にも元気分けに行きな」

 

「おうよ」

 

「……あ、そう言えばまだ聞いてないだろ?全寮制の話」

 

「全寮制?」

 

「そうそう、なんでも―――」

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 ガスで倒れた皆が復活し、雄英の教師陣による家庭訪問も恙なく……まあ、大した問題も無く終わって入寮日。

 

「……相澤先生?どうしたんですその大怪我……?」

 

「ま、まさかまたヴィランが……!?」

 

「これは大丈夫だ、気にするな」

 

「……んぃぃ……ほんとマジすんません、ウチの母が……」

 

「いい……。元々オレが不甲斐無い所為だからな」

 

「……どういう事でしょう詭弁さん?」

 

「んまぁ、俺の母さんがちょっと暴走したというか……そんな感じだ」

 

「ああ、そうだ。詭弁」

 

「はいなんでしょ先生」

 

「お前の荷物、もっと何とかならなかったのか……」

 

「……マジすんません、ほんと、うちの母が……」

 

「……さて気を取り直して。明日からは林間合宿の続き、『仮免』取得に向けて動いていく。……林間合宿が潰れた分、更に圧縮して個性を鍛えていく。詳しい説明は明日にするが、キツイ日々が続く。死なない程度に全力でついてくるように。……さあ、それじゃあ中に入ろう」

 

 

 ◆

 

 

 ハイツアライアンスの中に入り、相澤先生から簡単に説明された後女子棟、男子棟それぞれの部屋割り表を渡された……直後の出来事だった。

 

「……おいおい、なんだこの部屋割り!」

 

「不公平だ!!」

 

男子棟

5階:瀬呂、轟、砂糖、詭弁

4階:爆豪、切島、障子、詭弁

3階:尾白、飯田、上鳴、口田

2階:常闇、青山、緑谷、峰田

 

女子棟

5階:蛙水、 、 、八百万

4階:芦戸、 、 、麗日

3階:葉隠、 、 、耳郎

2階: 、詭弁、詭弁、 、

 

「何で詭弁だけ二部屋!?」

 

「つーかよく見たら女子棟にまで部屋持ってるじゃねえか!?どういう事ですか先生!!」

 

「……なんでだろうな」

 

 その時の相澤先生の目は初めて見るような、遠い色をしていた。

 

「んもうほんと、マジでなんかすみません……」

 

 俺の部屋が複数あるのは、俺の母親のワガママと言うべきか、俺が不甲斐無い所為と言うべきか……まあ母さんの言い分は『雄英が不甲斐無いだけ』との事だが……。

 とにかく要するに俺の部屋が計4つも有るのは、単純な話それだけ大量に物を置く必要があるからだ。スーパーコンピューター並みにデカい警備システム、警備システムを管理警備するシステム、そのシステムを管理警備するシステム、と完全に独立した三つの警備システムが互い二つのシステムを監視することで強固なセキュリティを作る三権分立システム(Separation Of three Powers System)、略してSOPSを導入しているから。雄英のセキュリティシステムとは完全に別の物で、サーバーも物理的に分けられているから『ガバガバセキュリティの雄英で寝泊まりするなら必須』との事。ちょっと何言ってるかよくわからない。とにかくすごいデカい物が鎮座してるからそれだけ部屋が多く使われる。

 まあ警備システムは俺の部屋だけじゃなく()()()()全部屋警備しているらしいからまだ良いとして、それだけじゃなく母さんが送ってきた私物もまた多い。部屋一つが足の踏み場もなくなる程に。服、本、トレーニングアイテム、パソコン、その他生活小物、もの凄い量を。

 以上の点で、凄い事に警備システム的に俺が既定の時間にベッドについていなければ自動で警報が鳴る。まあ事前にスマホから設定すれば解除できるのだが、それも一日でリセットされる。

 

 んまぁ……要するに。警備システムの関係で男子寮4階、5階の俺の部屋は機械で埋め尽くされ、4階の僅かに開いたスペースに置いたベッドで寝なければならない。当然そんな部屋だから『私生活』なんてモンは無い。だから比較的開いてる女子寮に部屋を持っていると言う訳だ。

 うん、我ながら訳が分からん。

 

「と言う訳なの……迷惑かけてゴメン……」

 

「お、おう……まあ、ヴィランに拉致されたからな詭弁は……仕方ない、のか?」

 

「っていうか、寝る時は女子寮2階から男子寮4階まで移動するのか……大変だなお前」

 

「就寝時間から起床時間、就寝時の体温、レム・ノンレム睡眠時間の測定、寝がえりの回数、呼吸量まで完全監視されてるんだぜ?これは完全に安心しますわ(白目)」

 

「……そうか、お前も大変だな」

 

「でも堂々と女子棟に行けるんだろ!?羨ましい……!」

 

「ブレねえな峰田ほんと」

 

 別に女子棟と男子棟の行き来はされてないんだがな。

 女子達の反応も、『まあ詭弁なら良いか』と中々。これが日頃の行いって奴か。

 

 そうして各自自分の部屋に届いた荷物の整理を始める事になった。

 

 

 

 俺等の雄英生活はまだまだ始まったばかりだ!!

 




 相澤先生は詭弁母によって『不幸な目』に合わされましたが元気です。

ご愛読ありがとうございました!!名は体を表す先生の今回作にご期待ください!!!
もうちっとだけ続くんじゃ。

まあぶっちゃけ、オリキャラ(詭弁くん)の成長とか本編として書きたいことはわりかし書き終わったので後はもう延々日常回(セクハラ有り)と原作沿い(セクハラ有り)とダークネス展開を好きに書くだけになったぜ。やったね。

 はい、そんな訳でアンケートにぜひご協力ください。
思いつきで書き進めてますので更新速度にはどれも期待しないように。

『原作沿い』
作者の手元に原作が無いのに原作沿いとな?

『オリジナル展開』
原作何それ状態でヴィラン連合と戦ったりとか……かな?

『個別キャラエンド』
別名未来ルート。原作沿いとオリジナル展開を足して混ぜてなんやかんや。

『日常回』
誰ともくっ付かず、色んなキャラ(男女問わず)にセクハラしまくる。第1、2話みたいな感じの話。

『ダークネス展開』
うぇるかむR-18ルート。基本NLだけど気分次第でBL、TSも書こうかな……なルート。当然コッチの更新は止まり、ダークネスの方が進む。

 アンケートはあくまでも参考程度ですので深く考えず投票お願いします。前のミルコアンケートの二の舞は嫌じゃ……。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

キャラクター資料的なサムシングですよ!モモちゃん!

渋風味。


一応区切りとして書いた、適当に考えたキャラ資料です。矛盾点とかあるかもですが、あまり気にしないでネ!
とりあえずパッと思いついたオリキャラ達の設定が載ってます。そんな重要な事は書いてないと思いますので、興味ない方はスルーしてどうぞ。
・詭弁一家
・職場体験のヒーロー二人
・銃ヴィラン
・AFOの憑依先

オリキャラはこんな所かな?


 

 詭弁 答弁 (きべん とうべん)

 

『A組一のイケメンモテ男!お喋りマン参上!』

『ウィークリー任務何回してんの?』

『だってたまにはカッコイイとこ見せたいじゃん!好きな子にはさぁ!』

 

口八丁に相手を惑わす、お喋り上手のスーパーイケメン!

一人より二人、二人より沢山。誰かと共に今日を征く!

 

ヒーロー名:お喋りヒーロー『トーキー』

個性:口八百万丁

出身校:堀須磨大付属中学校(ヤオモモと一緒)

誕生日:1月19日(良い口の日)

身長:180代

血液型:A型

好きなもの:女の子、

性格:超オープンスケベ、時々イケメン

 

・人物

 自他共に認める整った顔と高身長。男子にしては長めの黒髪をウナジくらいの高さで纏めている。一人称は『俺』。

 女子に猥談を振ったりセクハラしたり、※ただしイケメンに限る を躊躇なく実行する胆力を持っているが、基本的に臆病な性格ではある。

 細かい変化に目聡く気が付き、戦闘では主に司令塔、或いは後方支援に特化している。その観察眼は日ごろでは女子の小さな変化を褒めたりするのに使われる。時折男子も褒める為、口さがない人からよくホモ、バイ扱いされる。

 人をよく褒める為、色んな人の好感度が高いが徹底したアンチが一人二人は居るタイプ。ヒーロー科は良い人揃いなので全員からの好感度は高い。

 

 色んな女の子にちょっかいを出すが、一度として肉体関係を持ったことは無い。だけど同じ男子から非童貞扱いされることがある。フシギダナー。

 八百万が一番好きと公言し、八百万もまんざらではないがまだお付き合いしていると言う訳ではない。その隙を狙う女子多数。

 横文字が苦手。シチュエーション、コミュニケーション、センセーションとかその辺が言えない。ビックリするほど言えない。

 

・個性

 個性は『口八百万丁』。好きな女の子の名前に肖ってこんな名前。

 喉が発達し、『声』に混じる特殊な波長が自分・相手の脳に作用して様々な効果を引き起こせる。代表的な物は自分の脳に作用させて、意図的に火事場の馬鹿力を引き起こす事や、実際にはありえない事を相手に錯覚させ脳を騙す事、相手の個性を促進・抑制させる事等が出来る。

 火事場の馬鹿力を引き出すとその反動で自分の身体にダメージが入るが、概ねサポート系の能力。

 喉が発達している為か、詭弁の声は素でもかなり遠くまで届く。

 

 神野区の悪夢を経験して肉体と個性が一段階成長し、自身の五感を強化したり、自分の個性効果を()()したり出来るようになった。

 

・必殺技

 『覇声(ばせい)』簡単な単語を大きく叫ぶことで相手の意識を一時的にずらす。銃口を反らしたり、少しの間相手の動きを止めたり、ワープ先を咄嗟に変えたりと大活躍。

 『嘘八百万(うそはちミリオン)』出鱈目な嘘を、本当に起こる事と相手の脳に錯覚させる。相手に幻覚、幻聴を見せたり、相手の感度を100倍にしたり出来る。技名は《嘘っぱち》+《嘘八百》+《八百万(やおよろず)

 『覚声(かくせい)』火事場の馬鹿力を引き出したり、自分の身体を岩並に硬くしたり、痛みを感じなくしたり出来る。脳内麻薬ドバドバなので使い過ぎるとキマってくる。

 『やる気亡き呟き(ダウナーツイート)』相手の戦意や気力、いわゆる『やる気』と呼ばれる物を削る。実は聞いた全員に効果が出てしまうので、使い過ぎると自分ごと周りが壊滅する。

 『滑舌(スライド・ワード)』相手の言葉を封印する。かっこよく書いてるが、単に噛んで言えなくなるだけ。

 

・余談

 作者の性癖によってMッ気というか逆レ体質気味。

 積極的に手を出してっちゃうと話が続かないからね!シカタナイネ!某トラブル主人公の方とか肉食系だったら話続かないのと一緒だね!

 ちょっかい掛けるだけ掛けていざという時にヘタレる分こっちの方がかなりクズいけどね!

 

 

 

 詭弁 勉号 (きべん べんごう)

 

この息子にしてこの親あり!?

顔が広い叩き上げの弁護人!

 

職業:弁護士

年齢:秘密

個性:口達者

 

・人物

 詭弁の血によってこの方もまたイケメン。顔が広く、『弁護士詭弁』はそこそこ有名。浮き名も有名?

 結婚してからは妻一筋……だが、それでも色んな女性にちょっかいは出している。ミルコや塩崎家と知った仲のようだが……。

 

・個性

 個性は『口達者』滑舌が非常に良く、頭の回転がとても速い。それだけ。

 

 

 

 詭弁 巫女 (きべん みこ)

 

元神職にして現一児の母!

闇属性と光属性が合わさり最強に見える!

 

職業:専業主婦(元御神子)

年齢:女性に年齢を聞いてはいけませんよ?

個性:呪い

 

・人物

 とても徳の高い所の神社に生まれ、『神の声を聞く役割』を与えられた……らしい。

 今はなんやかんやあって実家を飛び出して勉号の元に嫁ぐ。恋のライバルは多く居たが、その全てを薙ぎ倒したという逸話がある。

 夫と一人息子が大好き。

 

・個性

 個性は『呪い』。のろいと書いてマジナイと読む。いわゆる『言霊』を操る個性。

 強力な『呪い』は自身にも降り掛かる、だけど大半の不幸は跳ね除ける事が出来るパワー持ち。ちょうつおい。

 

・余談

 相澤先生とオールマイトによるお宅訪問の際に、余りにも不甲斐無い雄英に対して呪詛を吐きまくった為相澤先生が帰り道に大怪我を負う程の『不幸』に見舞われた。やっぱ(のろ)いじゃないか。

 

 

ヒーロー

 

 

 飴川 涙子 (あめかわ るいこ)

 

「アタシは飴玉ヒーロー『ティアドロップ』宜しくね?飴たべりゅ?」

 

ヒーロー名:飴玉ヒーロー『ティアドロップ』

個性:飴の涙

誕生日:9月6日(飴の日)23歳

好きな物:飴

性格:おっとり

 

・人物

 ゆるふわの青髪。身体のラインを見せない感じのふわふわドレスを身に纏っている。去年独立したばかり。

 

・個性

 個性は『飴の涙』。目から飴玉をコロコロ出して投げつける。踏んだら痛いぞ!頑張れば飴の形を変えられる。飴の硬さは鋼鉄並だ!

 

 

 オッサン

 

「おいテメェ良い年したおっさんを泣かせて楽しいかコラ」

 

ヒーロー名:スピードスター

個性:加速

好きな物:格闘技観戦

性格:まめな人

 

・人物

 ヒーローを目指し、沢山勉強したオッサン。ちょっとだけ肥満体質なのを気にしている。

 全国的には無名ではあるが、地域に根差すヒーローとして割と人気。

 

・個性

 個性は『加速』。素早くなる。素早いオッサン。

 

・余談

 あんまりヒーロー名で呼ばれていない上、詭弁の所為で更にその風潮が加速した。だけど少しづつ人気も加速したオッサン。その事には凄い複雑な感情を抱いているオッサン。

 基本的に良いオッサン。

 

 

 

ヴィラン

 

 

 生里 重足 (なまり おもたり)

 

幼き詭弁に多くの銃痕を与えた非道のヴィラン

 

ヴィラン名:レッドバレット

個性:加重

身長:180代

年齢:40代

 

・人物

 金!金!暴力!という感じでTHE・ヴィランみたいなヤツ。ヤオモモの目の前で何度も詭弁を銃撃し、ヤオモモにトラウマを植え付けた張本人。ただ詭弁のトラウマではない模様。

 一度は捕まって刑務所に入れられたが、林間合宿襲撃の際詭弁・ヤオモモに対する嫌がらせの為に解放、襲撃に参加させる。しかし成長した詭弁に負け、再び牢獄生活。ヴィラン連合に回収されなかった哀れな奴。

 

・個性

 個性は『加重』。『個性を付与した物』()()()()()()を重くすることが出来る。普段は装填した鉛玉に個性を付与している。一度に加重できる重さは自分の体重と等しい。効果は累積し、効果時間は約半日。

 

・余談

 レッドバレット=鉛弾

 安直。

 

 

 ?? ??

 

AFOの憑依先に選ばれてしまったヴィラン

 

ヴィラン名:シャドウ

個性:体力回復

 

・人物

 AFOに憑依される前は裏世界の回復屋をやっていたチンケな小悪党。

 憑依された後はAFOの隠れ蓑として()()されたが、脳無としても微妙な性能だった。だが中身がアレだから結果とんでもない強さの怪物になった。

 

・個性

 個性は『体力回復』疲労感や失った血液などを回復させることが出来るが、怪我は回復しない。AFO曰く『期待外れの個性』。

 何度も銃で撃たれたショタ詭弁を死なせないようにギリギリで回復させて遊んでいた。

 

・余談

 詭弁・ヤオモモ救助の際に数多ものヒーロー・傭兵を潰したが途中で面倒になってわざと負けた。その後AFOが憑依を解除し、後に残った『抜け殻』は回収される事なく収容所で()()()

 





という感じのオリキャラ資料でした。たぶんコレが役に立つ日は来ない。

そしていい加減この小説を連載にしてあげるべきだと思いました。
ぶっちゃけ『連載』と『短編』の違いがアタイには分かりません!

アンケートはまだ行ってます。直感的に選んでください。
ただ得票数が高かったからと言ってその話が書かれるとは限りませんのでご了承ください。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

テスト対策ですよ!みっちゃん!

投稿先を間違えたぁんもぉー!

学ばないね。


というわけで今回は一学期末テスト前の話。


「まったく勉強してねー!!体育祭やら職場体験やらでまったく勉強してねー!!」

 

 あああああ!!!と教室内で騒ぐでんちゃん。まったくうるさいなぁ。

 

「言っとくけど普段は詭弁ちゃんの方がうるさいわよ?」

 

「つぅちゃん、世の中には言って良いことと悪いことがある。今のは言って良いことだ」

 

「いや良いことなのかよ」

 

 スパンと良い音を鳴らしてツッコミを入れるはんちゃんこと瀬呂範太。ノリの良い奴だなぁ。

 

「そういえば詭弁って中間テスト何位だったっけ?」

 

「俺?俺はーー」

 

 

 詭弁答弁 中間テスト5位

 

 

「意外っ!頭良いの俺ってば!」

 

「くそぁ!!詭弁はぜってぇコッチ側だと思ってたのに!!」

 

「普段から勉強してる差よぉ!差!!」

 

「流石詭弁さんですわ。それでは週末の勉強会はもう行わなくても……」

 

「や り ま す !!」

 

 そう、俺はヤオヨロちゃんの協力無しに雄英の筆記試験を突破するのは無理……ではないにせよ、多分成績的にはもっと下、それこそでんちゃんこと上鳴電気や、みっちゃんこと芦戸三奈より多少マシ程度まである。

 

「勉強会やってるの!?」

 

「……あのー、是非ともオレ達も一緒に参加してもよろしいでしょうか……」

 

「良いんじゃない?ねぇモモちゃん?」

 

「勿論ですわ!」

 

「あっ、じゃあウチも良いかな?二次関数、ちょっと応用につまずいてて……」

 

「悪いオレも!八百万、古文分かる?」

 

「古文、漢文、現代文!俺に任せろー!」

 

「マジか詭弁!」

 

「おれもいい?」

 

「私もー!」

 

 まっちゃんこと尾白猿夫、とーちゃんこと葉隠透も勉強会に参加表明。ヤオヨロちゃんと俺合わせて、計8人の大所帯となった。

 

「場所どうする?」

 

「私の家で行いましょう!講堂の準備をしておきますわ!」

 

「講堂あるの!?やっぱお金持ちだわ……」

 

「こんな大人数だし、教えられるところは分担しようじぇ」

 

「そうだな」

 

 

 ◆

 

 

 そうして放課後早速ヤオヨロちゃん家に突撃お宅訪問。

 

「うわ、でっか……」

 

「凄いおおきいね……」

 

「どれだけ大きいの……」

 

 ジロちゃん、みっちゃん、とーちゃんの女子三人がとても心踊る感想を呟いた。

 

「……今の良いな」

 

「分かる……」

 

「えっ、お、おう……」

 

 はんちゃんが呟き、でんちゃんとまっちゃんが反応する。

 

「さあ皆さん、講堂はこちらですわ!」

 

 ヤオヨロちゃんがプリプリ気合いをいれながら講堂に案内する。その時に使用人を呼び、人数分の紅茶を淹れるように指示していた。

 

「ま、マジであんなメイドさん居るんだな……オレLINE交換してきていい?」

 

「無礼切りされたければどうぞどうぞ」

 

「いや詭弁が許可だすのか……無礼切り!?」

 

「そう。時々メイド、或いは執事に言い寄る無礼な客人がいるから、八百万家では従者の権利を守るために脇差しを持たせてるんだ。それでしつこく寄ってくる相手にはズバァっと」

 

「堂々と嘘を教えないでください詭弁さん!!」

 

「いや嘘かよ!!ビックリしたわ!」

 

「うん!()()()()()そういうことになってるね!」

 

「表向きもなにも、そんな事実はありませんわ!!」

 

「……オレ、メイドさんに声かけるの止めとこ……」

 

「勉強目的で来てるんだから最初っからやるな馬鹿」

 

 

 そうして、勉強会自体は恙無く進行した。

 

「ってな感じで……もうすぐ日が沈むし、そろそろ終わろうか」

 

「おっ、もうそんな時間かぁー。悪いなヤオモモ!詭弁!がっつり教えてもらって」

 

「構いませんわ。こうして人に教えることで、知識を定着させることも大事ですから」

 

「ありがとねー!」

 

「良いって事よ……あ、そうだ良いこと思い付いた。期末テスト、俺より成績良かったら何かご褒美をやるってのはどうよ?」

 

「えっ、マジ?」

 

「ご褒美ー!?何々!?」

 

「そうだなぁ……例えば服とかどうよ?」

 

「服か……詭弁のセンスは中々良いし……うん、それが良い!」

 

「……んで、その代わり詭弁より点数低かったら何しろって言うのよ」

 

「ヤだなぁジロちゃん、そんな詐欺まがいな言葉回しなんてしないって……や、ほんとだからあんまりジッと見ないで欲しいなぁなんて……」

 

「ふぅーん……ま、いいや。貰えるものは貰っとくわ」

 

「……なあヤオモモ、オレ達にも何か……」

 

 でんちゃんの問いに対してヤオヨロちゃんはすごく良い笑顔で返した。

 

「あっ、その……なんでもないです……」

 

「モモちゃん、折角だし何か良いものでも考えたら?やる気になってテストの点数上がったら良いと思うし」

 

「またそうやって詭弁さんは……はぁ、ではもし私より良い点数を取れたら……1教科につき一回デートというのはどうでしょう」

 

「えっ」

 

「はっ」

 

「なっ」

 

「ん!?」

 

「ちょっ!?」

 

「マジかヤオモモ」

 

 上からでんちゃん、はんちゃん、まっちゃん、とーちゃん、みっちゃん、ジロちゃんの順での反応である。

 

「えっ、ま、マジで?マジでかヤオモモ?」

 

「はい、二言はありませんわ」

 

「だっ……で、でも詭弁が」

 

「あら。詭弁さんからの提案なのですから、まさか否とは言いませんよね?」

 

「き、詭弁!?いいの!?あり得ないと思うけど、万が一……億が一上鳴がヤオモモより点数取ったらヤオモモと上鳴がデートだよ!?」

 

「うわー!悪女!ヤオモモ悪女だ!」

 

「……詭弁?」

 

 

 

「大変だ!詭弁の奴息してない!!」

 

「「「「「 マジか!!? 」」」」」

 

 

 

 ◆

 

 

 

「はっ!?ゆ、夢か……」

 

「残念ですが現実ですわ」

 

 八百万家の客室。日も沈みきって月が上り始める時間で、俺はベッドの上で飛び起きた。

 

「……みんなは?」

 

「もう帰りましたわ」

 

「そっか……あのさ、マジでデートに行くん?」

 

「勿論ですわ。私よりも高い点数を取れたのなら、ですが」

 

「そ、そうか……ちょっと安心した」

 

 基本的にヤオヨロちゃんは、テストでは満点が当たり前なので()()()()なんてよっぽどの事がない限り起こり得ない。そしてヤオヨロちゃんは期末テストで手を抜くなんて事はしないから、安心である。

 

「……と、思っていらっしゃいますか?」

 

「ははは……えっ、モモちゃんの個性って読心できるん?」

 

「うふふ……」

 

「えっ、えっ、何を考えてるんです?」

 

「『服を選ぶという名目で二人でデートに行こう』と……目論んでますわね?」

 

「……」

 

 ヤバい。何がヤバいって、ヤオヨロちゃんの笑顔がマッハでヤバい。何?俺は今日死ぬん?

 

「……あの、モモちゃん……ちゃうねん……これは……あれやねん……」

 

「詭弁さんが期末テストで全力を出すのなら、私も全力を尽くしますわ?」

 

「死力を尽くさせていただきます」

 

「はい」

 

 これでもし成績が悪かったら……ヤオヨロちゃんが他の男とデートに行く……?ヴォエ!(強烈な吐き気)

 

 

 

「…………そ、その代わりといってはなんですが……詭弁さん、詭弁さんの点数が私の点数よりも高かったら…………デートに行きましょう?」

 

「……」

 

 モモちゃんが可愛すぎて吐く。

 

「……詭弁さん?詭弁さん!?ちょ、息をしていません!?誰か、誰かー!!!」

 

 

 

 

 

 そうして尊死した俺はまったく勉強に手がつかず、テストの点数が散々なことになってしまった。

 

「イェーイ、詭弁に勝ったー!!」

 

「ありがとねー詭弁!!めっちゃ教えて貰った上に服まで貰っちゃって!」

 

「……ねえ、あんた馬鹿なの?」

 

「やめろぉ……その言葉は俺に効く……」

 

 なおヤオヨロちゃんはしっかり全教科満点を取ってました。

 

「勝てる気がしねぇ……」

 

「くそッ!それでもワンチャンあると思ったのに……!あ、古文教えてくれてサンキューな詭弁」

 

「おれも数学教えてくれて助かったよ。ありがとう」

 

「ええんやで……」

 

「まあ総合成績オレより下だったけどな!」

 

「死ねクソ電気……」

 

「爆豪の口調移ってる!?」

 

 放課後めっちゃ4人(みっちゃん、とーちゃん、ジロちゃん、ヤオヨロちゃん)の服買った。

 

「……ま、マジでこの服買ってくれんの?」

 

「男に二言はないですよ」

 

「(一着6桁って高校生が着る服じゃなくない!!?)」

 

「(詭弁、財布デカ過ぎんだろ……これ一着でちょっと良いドラム一式買えるし……)」

 

「みてみてー!ザ・大富豪の妻って感じの服ー!」

 

「とーちゃんそれが良いの?」

 

「これにする!」

 

 そうしてお会計。支払いはカード一括で。

 

「(ねー三奈ちゃん、今のカード黒かったねー)」

 

「(ブラックカードってやつ?都市伝説かと思ってた……)」

 

「(……この服どうやって洗えばいいの?)」

 

 




結論、詭弁は馬鹿。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

写真撮影ですよ!とーちゃん!

最近更新途絶えてた小説の更新再開しててうれしい♥️


ハイツアライアンスに引っ越しして少し経ったくらいの話。

詭弁の部屋は、一つは機械と冷房で埋まっている部屋、一つは機械と冷房とベッドで埋まっている部屋、一つは様々なものがぎっちり詰まっている物置、そして最後の自室は頻繁に変わる気分によって模様替えを行ってます。

なんで前書きで書くかというと、部屋王戦は書かないからです!


「写真撮りたい」

 

「……どうしました詭弁さん」

 

「いや、急にちょっと写真を撮りまくって本を作りたい衝動に襲われてな」

 

「なんだよその衝動は」

 

 ある日の放課後。ハイツアライアンスの談話室でジロちゃん達とダベってたら急にズキューンと撮りたい欲求が湧き出てきた。

 

「……よし、ヒーローコスチューム写真を撮ろう!というわけで協力してくれ!」

 

「唐突」

 

 と言う訳でハイツアライアンスの中庭で写真撮影。とりあえずA組女子に適当に呼び掛けて、コスチュームに着替えて来てもらった。

 

「……ってな感じで、皆の良い所をガンガン撮っていきたいんでまずは個人撮影しようね!」

 

「個人撮影って響きエロいよな」

 

 何処から聞きつけたのかみっちーこと峰田実が来て、アホなことを呟いてた。ちなみに分かる派。

 そうしてカメラのセッティングしてると、コスチュームに着替えてきた女子達が集まってきたので撮影に入ろうね。

 

「よーしまずはみっちゃん!躍動感ある感じでいこうか!」

 

「躍動感ー!」

 

 そう言って飛び跳ねるみっちゃん。乳が揺れるッ!ヨシッ!い、いや、写真としてはまだまだ良くないけど。

 

「うん、もっと酸出していこうか!溶解度も粘度も最低の感じで!それで高く飛び跳ねて、最高点で決めポーズ!腕を上げて腰を捻って……身体全体で『J』の字になるように思いっきり飛んでみよう!」

 

「む、難しいな……よし、行くよ!」

 

 そう言ってぽいんっと跳ねるみっちゃん。手から弱酸性溶解液をバッと出しながら飛んだせいか写真に撮った時に液が顔に被ってて撮影失敗。

 

「うーん惜しい!元気さMAXで良い感じだったね!もう一回やってみようか!」

 

「もう一回ね、行くよー!」

 

 そしてぽいんっと跳ねる。乳と、若干尻が浮き上がってる超ベストショットが撮れてとてもよろしいのですが大変性的過ぎるのでNG。

 

「やー!可愛さバッチリだったけどもう一回行こうか!もう一回!飛んでポーズ決める時に片足だけ若干下げようか!」

 

「か、片足だけ!?分かった、行くよー!」

 

 もう一回ぽいんっと跳ねるみっちゃん。今度は可愛さと元気さと華麗さがMAXのベストショットが撮れた。

 

「流石だぜみっちゃん!ナイスPinky!!」

 

「うわー!詭弁凄い綺麗に撮れてる!」

 

 ちなみにさっきからぽいんぽいん言ってるのはおっぱいです。ねえ、コスチュームとはいえブラ着けなくていいの?ナイスおっぱーい、ヒーロー科サイコー。

 次つーちゃん。と呼ぶ前に、みっちーがコソッと近づいてくる。

 

「き、詭弁……写真データ後で譲ってくれ……!」

 

「タダで?」

 

「オイラの秘蔵コレクションと交換するからさぁ!」

 

「市販のモノと超高校生級発育JKの生写真が等価だと?去れ愚か者!」

 

「クソッ!!ダメかっ!」

 

 さあつーちゃん!おいで!

 と呼んだら舌ビンタを食らった。

 

「詭弁ちゃん。使わない写真はちゃんと処分するのよ?」

 

「……はい」

 

 哀しみ。

 気を取り直してつーちゃんの写真構成を考える。つーちゃんはセクシー系や元気系で行くより、迫力ある感じの一枚かなー?

 

「ということでつぅゅちゃんはジャンプしながら舌ビンタをカメラギリギリ狙って!」

 

「……ケロッ、中々難しいわよ?」

 

「大丈夫!ちゅぅちゃんなら出来る出来る!それにこのカメラめちゃクソ頑丈に出来てるから最悪当たってもへーきへーき!トラックに轢かれても無傷ってお墨付きよぉ!」

 

 そんな感じでつーちゃんには跳躍力と勢い感の写真を撮る。

 つーちゃんがぴょんと跳ねて、叩きつけるように舌を振り下ろす。そして着地。その一連の動作の中で何度もシャッターを切った。

 ぴっちりスーツと揺れるおっぱいの合わせ技よ……。

 

「ちゅゆちゃん!もう一回跳ぼうか!今度は違う角度から撮るね!」

 

「ケロッ」

 

 そうして今度はつーちゃんの斜め後ろから撮る。もう一度跳んでもらって……あっあっあっ、お尻良き……。

 

「……詭弁ちゃん」

 

「はい!不要なデータは削除します!!」

 

「なら……まあいいわ。ケロッ」

 

 あ、良いんだ。つーちゃんの懐のでかさ半端じゃねえぜ。

 まあ、最初でベストショット撮れてるから良いかな?んーこの迫力、ドキドキするぜ。

 

「よし、次はちゃこちゃんカモーン!」

 

「ほ、ホンマに撮るん……?」

 

「プロになったらカメラ向けられるのはザラだぜちゃこちゃん!ちゃこちゃんはー……そうだなぁ、カワイイ系で一つ撮ってみるか?っつーことでアイドルになった気分でポーズよろしく!」

 

「ぅえっ!?アイドルって言われてもやね!?えっ、えーっと……こう!?」

 

 ちゃこちゃんは左腿を腰まで上げて、右手を鎖骨と鎖骨の間らへんに置き、左手を顔の高さまで上げて手を広げる。そしてバチコーン★と鳴るくらい大袈裟なウインクをして笑顔でポーズ。

 

「カ"ワ"イ"イ"な"ぁ"ち"ゃ"こ"ち"ゃ"ん"は"!!!」

 

「そ、そう!?」

 

 照れ顔、ヨシ!360°余すことなくカシャカシャ撮る。

 

「もう一個!もう一個ポージングおなしゃす!!!」

 

「もう一個!?えっ……こうや!」

 

 ちゃこちゃんはお辞儀をするように体を倒し、背筋を伸ばして顔をカメラに向けて満面の笑みダブルピース。

 

「尊ッ!」

 

「尊!!?」

 

 そのポーズアレじゃない?海とかでよくカップルが見せる(知らない)アレじゃない?クソッ!なんでちゃこちゃんは水着じゃねえんだ!!!こんなカワイイ彼女が欲しい!!

 

「詭弁さん?」

 

「(殺気!!?)」

 

 跳ぶ様にその場から退くとほぼ同時に、ついさっきまで居た場所に何かが通り過ぎていった。

 

「……ヤオモモ、散弾銃はやり過ぎじゃない?」

 

「うふふ、詭弁さんが不埒な考えをしていたように思えましたので。それに今のはラットショット……ここからなら当たっても『痛い』で済みますわ」

 

「ケロッ……幾ら何でも銃をぶっ放すのはやり過ぎよ……」

 

「ひぇぇ……ヤオモモガチやん……」

 

 モモちゃんが怖いので次だ次!……まあ、撮れ高は十分なんだけど。

 

「おいでジロちゃん!!」

 

「……ま、流れ的にウチだよね……ウチなんか撮っても面白くないでしょ」

 

「何言ってんの!今サイコーにロックな感じでインスピってるよ俺は!」

 

 ジロちゃんは女性ヒーローでは珍しいスタイルのコスチュームだからやっぱカッコいい系が似合うよね!

 と思ってたらジロちゃんからイヤホンジャックが伸びてきて俺の心臓にドグン

 

「スタイル悪くて悪かったな!」

 

「そういう意味じゃないの……」

 

 心臓破れそう。だがめげない。ぴっちりスーツじゃない女性ヒーローとかマジで希少価値なのでしっかり写真に納めたい所存。

 と言う訳で中庭の日陰になって居る所と日向になっている所の境界近くに座ってもらい、見上げるようなアングルから写真撮影。

 

「おーめっちゃ今パンクだよー!スゲー今ロック来てるよー!」

 

「ロック来てるって何だよ……」

 

「ジロちゃん!気だるげにスポドリ飲んで!」

 

「はあ?……こう?」

 

 文句言いながらちゃんとポージングしてるジロちゃん好き。

 ジロちゃんの正面やや遠目からハイツアライアンスに掛かる影と日の光のコントラスト&ジロちゃんのクールな目つきがジーマーでバイヤーな感じ(語彙消失)一枚と、舐めるような下からのアングルで青空を背に担ぐジロちゃんのパンクでロック(語彙行方不明)な一枚。

 なんかCDのジャケ絵感しゅごい。

 

「ドチャクソカッコよすぎる……これは俺の腕が良すぎる所為だな!」

 

「そこはウチを褒める所でしょ!」

 

 イヤホンのプラグが額を打ち抜く。痛いわ。

 

「フン……どーせウチはヤオモモみたいにスタイル良くないし……」

 

「何か誤解をしてるようですけども、俺はジロちゃんみたいな細い体系も大好きよ?」

 

「……はぃ?」

 

「腰回りキュっと締まってるし、手足もスラって伸びてモデル体型!とても良いと思います!」

 

 そう言いながらジロちゃんの腰回りに両手をキュっと沿わす。

 

「ひゃふん!?」

 

「……」

 

「……ぁ」

 

 思った以上に大きい喘ぎ声が俺の耳を通り抜ける。ジロちゃんの顔は真っ赤に染まって、まるで食べごろの林檎の如く美味しそ殺気!! 

 

 チュン

 

 地面に崩れるようにしゃがめば、ついさっきまで頭部があった高さの壁に穴が開いてるのが見えた。わぁ、なんかの煙が穴からもやもやって出てるー。

 

「モモちゃん!マズいって!ソレはヤバイって!!!」

 

「駄目よモモちゃん!!」

 

「ヤオモモの笑顔が怖いよ!?落ち着いて!!」

 

「お離しください皆様。ええ、私は至極落ち着いておりますわ」

 

「どう見ても銃刀法的なアレでアカンヤツ持ってる人が言うセリフちゃうよ!!?」

 

「大丈夫ですわ。こちらのライフルは急所に当たらない限り殺傷度が低い事で有名ですので」

 

「思いっきり詭弁の頭狙ってたよね!?」

 

 向こうでは女子5人がキャッキャウフフと戯れてた。ワータノシソーダナー。

 

「……詭弁、悪い事は言わないから人にベタベタ触んない方が良いよ?」

 

「セクハラはライフワークなので」

 

「命賭けてまで!!?」

 

「男はな、エロい事に命を張る生き物なのさ……」

 

「ヤオモモだけに命張れよ……」

 

 モモちゃんが銃を振り回してご乱心なので落ち着けないと撮影続行できない。

 と言う訳で対モモちゃん用108の必殺技!チェスト・ハグ(真正面から抱き付く)

 

「えい」

 

「なっ!?まさかアレは!!?」

 

「知ってるのかアシデン!」

 

「誰だアシデンって」

 

「自分の首もとに相手の顔を埋めるように抱きしめる事で相手に有無を言わせない胸キュン攻撃!!これは見てるこっちもキュンキュンしてきました!解説の葉隠さん!」

 

「これは胸キュンP(ポイント)が非常に高いですね。身長差が適度にあるカップルでないと無理なく成立しないという条件がありますが、詭弁・ヤオモモカップルはその差を難なくクリアしています。しかし怒り狂っているヤオモモには決め手に欠けますね」

 

「お前等のそのキャラ何だよ」

 

「あああ~!!なんとここで詭弁選手、ヤオモモ選手に頭ナデナデをしてます!これは凄まじいQQC(キュンキュンコンボ)です!!」

 

チェスト・ハグ(真正面から抱き付く)QQC(キュンキュンコンボ)の起点に成りますからね。詭弁選手はタイミングを逃さず上手くコンボを繋げました」

 

「謎の競技始めんな」

 

「ハグからのナデナデコンボは非常にタイミングが重要ですからn……なっ!?」

 

「これは!?」

 

「チューです!おでこにチューしました詭弁選手!!」

 

「ハグからのナデナデ、そしてトドメのDC(デコチュー)により胸キュンP(ポイント)が最高得点を更新しました。詭弁選手試合を一気に決めましたね!」

 

「ヤオモモ選手、堪らずダウン!!苛烈なQQC(キュンキュンコンボ)によりヤオモモの耐キュン力が耐えられませんでした!」

 

「有無を言わせない詭弁選手の横綱相撲的展開でしたね」

 

「……二人ともちょっとは落ち着いたら?」

 

「いや、その……今黙ると胸キュン死すりゅぅ……」

 

 楽しそうだなみっちゃんととーちゃん。つーちゃんは顔を反らして、ちゃこちゃんは両手で自分の顔を覆ってるけど指の隙間からチラチラ見てる。ジロちゃんは顔を赤くしながらも俺を睨んでいる。

 

 よいしょっ、と気絶したモモちゃんを抱き上げ、とりあえず俺の部屋に運ぶ。しょうがないから撮影会は終了だなぁ。

 

「はわわぁ……お姫様だっこ……胸キュンP(ポイント)凄い……」

 

「……あ!詭弁私まだ撮ってもらってないよ!」

 

「おー……じゃあ俺の部屋で撮影の続きをしようか」

 

「おっけー!」

 

 そうして女子棟の方の部屋に向かう俺withモモちゃんととーちゃんだった。

 

 

 

「……あいつ今さらっと女子を自室に連れ込んだな」

 

「ケロッ、そういう所よ詭弁ちゃん」

 

 




葡萄「……オイラは!?」

感想とか評価も頭打ち感出て来たし、ネタが詰まってきたのでそろそろメイン小説書くか……
いやーこういう時匿名投稿は便利だなぁ!!!


ところで勝手に手が動いたのですが、耐キュン力ってなんですかね。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

TSしたカッちゃんをメスに堕とそうとする話

ゴールデンウィークをずっと家で過ごしておきながら小説を書き進められない作者が居るらしいですよ。

身体女の精神男がつよつよオスによってメス堕ちする展開すこ。
話の整合性とか流れとかの文句は一切受け付けません。

そうです。いわゆるIFストーリーって奴です。


「大変だ!爆豪の奴がヴィランの個性によって女になった!」

 

「はははえいちゃん、そんな馬鹿な事があるぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

「黙れやクソ口!!」

 

「えっ、おま……えっ?なんでお前……モモちゃんよりおっぱい大きいん……?」

 

「オレが知るか!!!」

 

「つーかお前……今の身長目測で160cmくらいか……?えっ、ちっちゃくて可愛いかよ」

 

「黙れやその口閉じろ!!!!」

 

「みっちー、キレデレ巨乳幼馴染……有りか、無しか!?」

 

「有りよりの有り」

 

「だとよ良かったないずくちゃん!幼馴染が性転換したよ!」

 

「ええ!?なんで僕に振るの!?」

 

「死ねやクソ口!!クソデクぁ!!!」

 

「ばっ!?おま個性使うの反則ゥ!!」

 

 

 そんなこんなで約一週間。カッちゃんの性別は未だに女のままだった。

 

「爆豪さん!女性用の服を買いに行きますわよ!!」

 

「あ”あ”ッ!!!?ンでオレが女モンの服着なきゃならねえんだボケ!!!!」

 

 ここはハイツアライアンスの談話室。今日は休日で、偶々皆インターンとかが無いのかほぼ全員揃ってダラダラしていた所に、モモちゃんの鋭い声が刺さる。

 

「爆豪、悪い事は言わねえ……女物はともかく、新しい服買って来い。お前の今の服、全部胸元がだな……」

 

 えいちゃんも苦言を呈する程の悲惨さと言わせてもらおう。みっちーなら『それも良し!』と言うが、今のカッちゃんはモモちゃんよりおっぱいがデカい。推定Hカップだ。高校生の大きさじゃねえよ……。

 男だった時から着続けている部屋着及び制服がもう可哀想な事になっている。ぱっつんぱっつんのぴっちぴっちだ。制服のボタンとか気を抜けば飛んで行ってるの知ってるんだからな?制服もそうだが、今の部屋着は黒のタンクトップである。男物だから……その、大変目の保養に成ります。

 しかもカッちゃんってば男の感性持ったままだから()()()()()()に非常に鈍感なのだ。これはもう歩くズリネタ提供器と言っても過言ではない」

 

「全部口から漏れてンぞクソ口!!!!」

 

「うるせえお前エロ本から飛び出て来たみたいな恰好しやがって!下着何も着けてないのまるわかりだからなこの痴女!」

 

「オレは男だボケがァ!!!」

 

「冗談はクラス一デカい胸もいでから言ってくれません?腕振り回すたび揺れまくってそれはもう大変ありがとうございます」

 

 両手を合わせて一礼。

 

「拝んじゃったよ」

 

「と・に・か・く!!爆豪さんは今は女性の身体なのですから!女性らしさを身に着けていただかないと困りますわ!!!」

 

「黙れやポニーテール!!女モンの服なんか着るかボケ!!!」

 

「爆豪、つってもさー……いつまでも男物ばっか着る訳にはいかないじゃん?」

 

「引っ込んでろクソ耳!!」

 

 そうだぞカッちゃん。ジロちゃんの言う通り、身体は女の子なんだから女物の服を着ないと色々不都合あるぞ?ジロちゃんとは違”っ”!!?

 

「詭弁が死んだ!?」

 

「大丈夫か!!?傷は浅いぞ!!」

 

「(どーせウチは胸の大きさは男並だよ……クソが)」

 

「と”っ……とにかくカッちゃんには一度『女子の気持ち』を知ってもらうべきではないでしょうかと提案……」

 

「ケロッ。確かにそうね……このままじゃ爆豪ちゃんも皆にも良くないわ。爆豪ちゃん、なにも身も心も女の子になれって言ってるんじゃないのよ?でも今は女の子なんだから、せめて勉強しないと不幸な結果を生むわ」

 

「黙れや蛙!!オレはトップヒーローになンだよ!!女になりたいワケじゃねえ!!」

 

「んぅ~、この強情さよ。よし、ここは一度攻める方向性を変えよう。いずくちゃん、最近のカッちゃんの動きについて気が付いたことある?」

 

「えっ、動き?えー……あっ!そう言えばかっちゃんの戦闘訓練の動きがどこかしなやかになった気がする!あっ、でも前みたいにパワーのある動き方も出来るし、必要な時により軽くしなやかになったというべきかな……?」

 

「ほう、つまり()()()()()()()()強くなっていると?」

 

「ッ!!?」

 

 カッちゃんが分かりやすく反応する。

 

「へー、ただデカいおっぱいついただけじゃなかったのか」

 

「むしろそのデカいおっぱいで動きが鈍くなりそうなもんだけどな」

 

「それセクハラよ?」

 

「お前等ちょっと黙れ」

 

 でんちゃん、はんちゃんが好き勝手言うのに対し、つーちゃんがツッコむ。

 

「カッちゃん、こう考えるんだ。男の時のパワーはそのまま、より軽やかに、よりしなやかに強くなると。そして強くなる為には自分をより深く知らなければならない。それは分かるよな?」

 

「……チッ!」

 

 もの凄い目つきで舌打ちされる……が、何も言わないので言葉を続ける。

 

「自分を知ると言う事は、色々試すのもそうだが一番手っ取り早いのは周りの目を意識する事だ。カッちゃんってちっちゃい頃から天才肌だったんだろ?んなら自分がどういう風に見られているかなんて()()()()()()()()()()()だ。今は急に女の身体になって戸惑ってるんだろうが、カッちゃんはカッちゃんだろ?中身は一緒だ、なら今の身体で出来ない訳が無い。違うか?」

 

「…………チッ!」

 

 ダンッ、と床を蹴り立って階段を上っていき、あっという間にサイフと外着を着て俺の襟首を引っ掴みながら外に出ていく。

 

「カッちゃん。会話しよ?せめて『服買いに行くぞクソ口!』ぐらい言お?」

 

「黙ってろボケが!ちんたらしてたら他の女共が付いてくんだろうが!」

 

「『服買いに行くけど女の子と一緒に買いに行くのははずかちい☆』って事だな」

 

「ブッ殺すぞ!!!」

 

 そのままカッちゃんに引きずられながらグループLINEで皆に『カッちゃんとデート行ってくる(*´ε`*)ミ♥』と送る。当然カッちゃんのスマホにも通知が来て、カッちゃんがその内容を確認した直後にぶん殴られた。

 

 

 

 その後もの凄い勢いで吹き飛んで行くハイツアライアンス入り口の扉と、同じくらい凄い勢いですっ飛んでくるモモちゃんから一緒に逃げた。とても怖かったです(小並間)

 

 

 ◆

 

 

 さて、買い物と言えば無難にショッピングモール。俺、覚えてる。

 

「世の中の服は別に『男物』『女物』とくっきりはっきり分かれている訳じゃない。異形系用の服があるように、そういった性の悩みを持つ男女用の服もある。……まあ、カッちゃんみたいに後天的に性別が変わったってのはレアケースだろうけど。それでも無いことは無い」

 

「ンな御託はいらねえんだよ。とっとと新しい服決めろボケ」

 

「こういうのは直感だよ直感。俺からはこれどう?みたいな事を言ったりするけど、決めるのはカッちゃんだよ。それにサイズ合うかどうかとか分からんし」

 

「チッ、めんどくせぇ……テメェがいい感じに決めろ」

 

「話聞いてた!?サイズ合うかは分からんって言ったじゃん!」

 

「測れや!オレは測り方なんて知らねえよ!」

 

 えっ、それはなんですかね。ボディータッチOKのサイン?いいの?俺元男とか関係なくイケるよ?

 

「じゃあ遠慮なくハグ」

 

「遠慮しろやクソホモ野郎!!!!」

 

「今のカッちゃんはどう見ても女の子なのでセーフですぅ”っ”!!」

 

 鳩尾にいい拳が入った。コレが世界レベルか……!

 ハグしながら膝を突いた事で必然的に俺の顔の位置にカッちゃんのおっぱいが来るわけよ。良いにおいする訳よ。これで元男?うせやろ。

 

「よし、とりあえずサイズは大体測れた」

 

「今のでマジで測れたのかよ……」

 

 触れば大体分かるとは職人の言葉。少なくともモモちゃんをずっと触ってきた上、モモちゃんの着ている服のサイズも完璧に把握している俺にとって『モモちゃん基準で大きい・小さい』判別が出来る。だからハグすれば正確なスリーサイズは分からなくても大体の服のサイズは分かると言う訳よ。

 

「ってなわけでカッちゃんはコレ試着してみ?」

 

 本当に入るのかコレ?って目をしながら更衣室に入っていくカッちゃん。こういう、時々素直になるのホント可愛いから止めてほしい。ちゅき♥

 そうして試着し終えたカッちゃんがカーテンを開けて服を見せる。うん、サイズはぴったりですね。

 

「……どうかよ」

 

「どうもこうも、単にサイズ確認用に適当に持ってきた奴だし」

 

「チッ!」

 

 えっ、何でご機嫌斜め?爆豪だけにおっぱい爆乳ですねΣb!とでも言えば良かった?ねえ?

 

「うっせぇ!テメェはとっとと次の服持ってこいやボケが!!」

 

 あらぁ~女の子の自覚出てきました~?

 と口に出せば爆殺されるのは目に見えているのでとっとと新しい服を持ってくる。ささっと色んなタイプの服を渡していく。

 

「どうだ」

 

「ひゅー、ロックとエレガントが両立してやがる!」

 

 黒を基調に、大きな髑髏シャツにレザージャケットがカッちゃんのイメージを体現している。『近づくと殺す!』的なかんじ。それでいて下のタイトなジーンズがとってもえっち。

 

「ただやっぱおっぱいデカいから絵柄モノは伸びるな、横に」

 

 そりゃもう爆発的な大きさで。カッちゃんの器は爆発的みみっちさなのに。服の下から突き上げる双球が『ジェンダーレス?なにそれ?』的に大主張。えっち。

 まあ絵柄モノはそれこそ異形型個性の人用に即座に改造できるから良いと言えば良いんだが。カッちゃんのおっぱいは異形型個性。

 

「気に入った?」

 

「あぁ?……フン、まぁまぁだな」

 

「じゃあそれ買いね。他にも色々合わせてこーね!」

 

「あ”!?一つ買えば終わりだろ!!」

 

「おいおい、馬鹿言っちゃいけねぇよ。女の子はお洒落さんだぞ?外行きの服は最低でもアウターインナー10着ずつは用意して、しかも様々に組み合わせてから外に出るんだ。一個買って終了なんてナイナイ」(※個人的な意見です)

 

 女ってクソめんどくせぇ……といった顔をしながら、じゃあ次寄越せと手を差し出してくるカッちゃん好きよ。

 そして次は赤を基調に爆発的派手派手しさで攻める。爆炎のような、赤と黄色柄のシャツに黒と赤のボレロを腰で結んだ。

 

「カッコいいやんけ」

 

「当たり前だボケ」

 

 ドヤァ……と笑うカッちゃんはやっぱ顔はイケメンなのよね。どんな表情もイケてるとかずるいわぁ……。

 更に次、白と青のボーダーシャツにオーバーオールのシンプルな組み合わせ。カッちゃんのスタイルの良さがとてもよくえっちなエッチさで大変えっち。

 

「これも買いだな」

 

「チッ、荷物増えすぎだろ……」

 

 そして最後にフリフリの赤と黒のワンピースを着て貰って、持ってきたものは終了。

 

「ってどう見ても女モノじゃねえかクソ口ィ!!!!」

 

「ちょー似合ってる」

 

 カッちゃんのスタイルがばつ牛ンなのでエロさ全面広告だが、()()が良い顔立ちなので何処のお嬢様だと言わんばかりに似合っている。やっぱ顔が良いと何着ても良いんですねぇ。中身男だけど。

 

「ふざけんなボケが!!!ブッ殺す!!」

 

「店員サーン!お会計お願いしまーす」

 

「聞けやァ!!!」

 

「じゃあこうしようカッちゃん。今日1日()()着てたら今日の会計全部俺が持つよ」

 

「ふざけんな!誰が!!」

 

 

「総額○○万円になりま~す!」

 

「……」

 

「どうする?自腹で買う?諦める?」

 

「……奢らせてやるよボケェ!!!」

 

「素直じゃないんだからもー。カード一括で」

 

 

 

 

 

「あっ、いけねぇいけねぇ。カッちゃんの新しい下着買い忘れたわwwwww」

 

「クソがぁ!!!」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 カッちゃんの新しい下着を一通り買って(当然俺が選んだ)、ショッピングモール内を適度にブラついている。

 

「あっ、そう言えば新しい靴がそろそろ欲しかったんだよね。買いに行こうぜ」

 

「あぁ?……ッチ、好きにしろ」

 

「よし、じゃあ行こう行こう」

 

「自然に手を繋いでくんじゃねえよボケ!!!」

 

「奢り」

 

「ッ!……クソがぁ!」

 

 カッちゃんはとてもみみっちいので、こういう()()はきっちり返してくれる。ふっ、中身アレだけど外側がカワイイので許せるぜ……。

 

「じゃあ俺に似合いそうなの選んで選んで!」

 

「あぁ!?……ッチ!これとかどうだ!?」

 

「カッちゃんはそういうのが好きなんだね!じゃぁカッちゃんが好きな靴を履くね!」

 

「ンでふざけた言い方すんだカス!!!」

 

 鋭い目付きで睨んでくるが、実は満更でもないのは分かりきってるのだよハハハ。

 うん、外で個性使うのはね、ダメだよ、カッちゃん。そのバチバチ火花出してる手を下ろそうか。

 

 そんな感じでカッちゃんと買い物してたらお昼時。モールのフードコートは、休日だからか結構混雑してる。

 

「カッちゃんが変なやつにナンパされても困るし、外に行こうか」

 

「ナンパされねえわ!ふざけんな!」

 

 いやお前、道行く人々が振り返りまくってるの気づいてた?10人中8人振り返る美少女よ君。おっぱいデカいから。

 おっぱいってスゲーよな。どんなに性格クソでもおっぱいデカいだけで許せるもん。そんな事を考えながらショッピングモールを出て、近くのモコイチに行く。

 

「1辛、温玉手仕込みチキントッピング」

 

「5辛、パリチキトッピング」

 

「ご、5辛!?マジかカッちゃん!」

 

「あ"あ"!?別に良いだろボケ!!」

 

「いや、良いけど……5辛かぁ……」

 

 カレーは中辛派の俺にとって、5辛なんて未知の世界である。強い……。

 

「カッちゃん、服汚しちゃうから女の子らしく上品に食べてね!」

 

「カレーぐらい好きに食わせろ!」

 

「でもカレーの汚れって中々落ちないぜ?汚しちゃったらどうする?それ一着でモコイチトッピング全部のせ出来るぜ?」

 

「ンでんな高いモン買ったァ!!?」

 

「可愛い子に良い服を買うのはモテる男の義務で、そんな可愛い子を横に歩かせるのは特権だからだよ」

 

「わかった、テメェそんなにオレを怒らせたいんだな……?」

 

「そして可愛い子は良い服を買って貰うのが特権だけど、良い服を着こなすのが義務だからね」

 

「ふざけんなボケが!!こんな服要るか!!」

 

「良いの?今日買ったモノ全部でいくらだったかな?」

 

「ッ!!……ッソがっ!!!」

 

 やばい、楽しい。カッちゃんをいじくり回すのが楽しすぎる。周りの男共の憎々しげな視線なんて気にならないくらい楽しい。カッちゃん百面相を楽しんでるとカレーが出来上がった。

 いただきまーす。

 

 普通に食べてたが、ふとカッちゃんを見るとなるべく上品に食べようとする努力は見れた。そういうところ好き。

 

「カッちゃん、チキンカツ一切れあげる」

 

「あぁ?……フン、貰うわ」

 

「んで5辛一口ちょうだい」

 

「あっ!テメッ!」

 

 ぱくっと一口。あー、うん、なるほどね。これが5辛の味”っ!?

 

「あ”っ!?痛い!コレ辛いと言うより口が痛い!」

 

「馬鹿が!辛いのに慣れてねえのにいきなり5辛食ったらそうなるだろうが!」

 

「1辛イケるから一口くらい5辛イケるとおもーじゃん!水!水!」

 

「だァー!ちょっと待て……おいテメェそれオレの水だボケェ!!」

 

 いいだろ別に水の一つくらい。と自分のコップとカッちゃんのコップの水を飲み干す。

 

「ばっ……おま……」

 

「んぃ……口がビリビリする……ん、どしたんそんな面白い顔して」

 

「ッ……死ねボケ!!」

 

 カッちゃんから肩パンを食らった。結構痛いのだが。

 

「……んぅ、まさかと思うけど間接キス気にしてる?」

 

「黙れクソ口!!」 

 

 そ、そうか。カッちゃんも意外と子供っぽいところがあるんだなぁ…………いや、よく考えたらカッちゃん前から子供っぽいところだらけだったわ。

 口直しの福神漬けを齧りつつ、5辛のカレーをガツガツ食べるカッちゃんの顔を見る。鋭い三白眼に澄んだ赤い瞳が綺麗だ。あー、そういえばモモちゃんも食べる時はがっつり食べるよなぁ。そうか、俺はよく食べる女の子が好きなのかもしれん。

 じっと見てる視線に気付いたのか、ピクッと反応して俺の視線に合わせるカッちゃん。

 

「なにジロジロ見てんだボケ」

 

「カッちゃん可愛いなぁって思ってた」

 

「あ”?」

 

「んぃ、別に男の時のカッちゃんが嫌いって訳じゃないよ。男の時はカッちゃんは強くて、貪欲で、んでも何処か優しさが透けて見える。ダークヒーロー感って言うのかね?そーいうの、なんかカッコいいよねぇ……」

 

 俺には、持ってないモノだから。

 

「……」

 

「いつ身体が元に戻るんか分かんないけどさ、今くらい女の子満喫しても良いんじゃないかね。こんな機会、そうそう有るもんじゃないだろうしさ」

 

「チッ、何言うかと思えばただの説教か?」

 

「説教って言うか、ただの嫉みかなぁ……」

 

 カッちゃんは俺に無いものを沢山持ってる。勘、反射神経、筋力、個性。全てが噛み合って、天性の戦闘センスを発揮している。しかも最近では周りを使()()事を覚えた。本当にストイックだ。

 だから、眩しい。だから、()()()。ずっと女の子だったら、こうして気兼ねなくちょっかい出せるんだけどなぁ……。

 

「……ハッ馬鹿が!オレがプロヒーローになった時、テメェがサイドキックにいりゃぁ全部解決だボケが」

 

「わぉ」

 

 そうしてニヤリと笑うカッちゃん。なんでこう……ヒーロー目指す女子は獰猛な笑い顔が似合うのかね。あっ、カッちゃんは元々獰猛な笑い顔が似合うわ。

 

「オレは色々できるテメェを()()してんだボケ。オレが前で戦って、テメェが後ろで援護する。プロになったらテメェを雇用してやるよ、覚悟しとけ()()

 

 女の子になっても……いや、むしろ女の子になってイケメン力増してない?大丈夫?結婚する?

 

「するかカスッ!!ッチ!クソ無駄な話してたらカレー冷めちまっただろうが!テメェもさっさと……」

 

「じゃあ先会計してるから」

 

「ンでテメェ先に食いおわってんだボケェ!!?」

 

 はー……本当にさぁ……今のは結構キたわぁ。顔赤くなってない?

 そうして会計を終えて待ってると、案外すぐにカッちゃんが追いついた。

 

「カッちゃん、目的の服はとりあえず買ったけど……カラオケ行く?」

 

「あ?上等だ、歌い殺してやるよ!」

 

 ちなみにカラオケではマウント取り続けた(点数的な意味で)結果、その後のゲーセンでボコボコにぶちのめされた(音ゲーの成績的な意味で)。

 

 

 

 

 

 カッちゃんとはしゃぎ回って(デートして)いた光景は、なんと全裸でずっとコソコソついてきていたとーちゃん(葉隠透)によって撮影・実況されていてA組全員が知る所となっていた。

 そんな事に気が付いたのは、ハイツアライアンスに戻って戦利品(服・クレーンゲームの景品)をカッちゃんの部屋で開封してた最中に部屋に突撃してきたモモちゃんに拘束され拉致されてからだった。

 

「も、モモちゃん……あの、俺はこれからどうなるのでせうか……?」

 

「身体は女性とはいえ、精神は男性の方にまで手を出してしまう詭弁さんを()()()()()にはどうすればよいか、私……考えました」

 

「モモちゃん、一回話し合おうよ。ね?ね?」

 

「ええ、そうですわね詭弁さん。私達、一回()()()()()話し合うべきだと思いますわ?」

 

「モモちゃん!?いやっ、待って!も、モモちゃん!!モモちゃんさん!!いやあああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 

 

 

 




投稿ギリギリまで悩みましたが、一応ダイレクトエロ要素は無いので本編側に投稿しようそうしよう。最初はTSカッちゃんでエロ書こうと思ったんだけどね?カッちゃんの精神力マジカッちゃんだったからね?頑張ってホテルまで行こうとしたけどカッちゃんがカッちゃんだったから諦めました。

あっ……コレTSタグ追加しなきゃだめ……?いや、面倒だから追加しなくても良いか……いや、でも追加しなきゃ駄目かな……でもこの一話だけだしな……
ー追記:一部だけでも必須らしいのでタグ追加しました。それに伴い変なタグも追加。面倒な仕様だ……ちぇっ。


ヒロアカでTSして一番えっちなのはかっちゃん。異論は認める。だからTSかっちゃん小説更新はよ!はよぉ!!!!!!!
ちなみに詭弁くんがTSしたら、身長175cm、AAカップの超スレンダーモデル体型。女子高の女帝(御姉様)と呼ばれ、ノンケでも構わないガチレズかバイになるんじゃないんですかね?


Q.結婚相手に望むモノは?

クズ「んぅー……やっぱり料理が上手な事かなぁ?」
緑髪(かっちゃんだ……)
クズ「あとやっぱりヒーロー目指してる様な『強い』子がいいかな?」
緑髪(かっちゃんだ……!)
クズ「それと時々イケメンムーブしてくれるような子なら言う事無しかな!」
緑髪(かっちゃんだ!)

Q.おっぱいは?

クズ「有るに越したことは無いけどさぁ……まあ、おっぱいだけが魅力じゃないし」
緑髪(かっちゃんだ!!)

Q.性格は?

クズ「やっぱり細かい所にも気がついてくれる繊細な心の人とかが素敵かなぁ」
緑髪(かっちゃんだ!!!)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

あっ、はじめまして。あなたエリちゃんっていうのね。

皆様に謝罪しなければならないことがあります。
本当に申し訳ありません。全ては作者の責任です。
あまりにも無計画に恥作を進めてきましたが……















TSかっちゃんが可愛すぎるので今後も続投します!!!文句は聞かねえ!全てTSかっちゃん小説が更新されないのが悪いんじゃ!!!更新はよ!!

あ、仮免編、ヤクザ編はまるまるカットで。だってセクハラできる隙がないんだもーん。思い付いたら書くんだよ。


「A組一のイケメンモテ男、詭弁答弁とは俺の事!!!愛と、勇気と、可愛い女の子が友達さ!よろしくねエリちゃん!!」

 

「……」

 

 ポカーンと口を開けて俺を見るエリちゃん。よーし掴みは大失敗だ!

 

「詭弁お前そんなキャラじゃなかったろ……」

 

「お黙りえいちゃん!これは先輩リスペクトってヤツだからせーふ!!」

 

「アウトだよ」

 

 ある日の放課後の教室内。いずくちゃんとミリオ先輩の二人が学校に可愛い女の子を連れてきて、何故か分からんがいずくちゃんがその子を紹介してきた。いや、マジで何でよ?

 

 ……ふんふん、個性暴走?ほーほー、俺に抑制出来るかどうか……なるほどなるほど。

 

「要約するとこの子を笑顔にしたいから俺に会わせてみた……と」

 

「んん……なんか色々飛んだけど、そうだよ。詭弁くんならこういうの得意かなって……」

 

「うん、普段から俺の事どういう風に見ているか説明してくれてありがとう。覚悟しろよ?」

 

「ええっ!?違っ、そういう意味じゃ!!」

 

「まぁまぁ、詭弁が女の子に目がないのは事実だろ?」

 

 それなーーー!!!

 冗談はおいといて。女の子を笑顔にすると言えば俺に相談するのは間違いじゃない。俺に任せろー!!

 

 詭弁式五指必殺(クイン・フォーリング)の一、超満面の笑み(イケメンスマイル)!!(当社比10倍)

 

「……」

 

 ポカーンと口を開けて俺を見るエリちゃん。

 

「すまねぇ、俺にできる限りの手を尽くしたがダメだったぜ……」

 

「笑顔浮かべただけじゃねえか!!?」

 

 バカ野郎笑顔舐めんなお前。俺くらいのイケメンになると笑顔一つで相手を倒す事が出来るんだぞ?それなのに一切反応ないとか……俺はもうどうすればいい!?

 

「なんでエリちゃん倒す前提!?」

 

「ちなみに五指必殺(クイン・フォーリング)はニコポ、ナデポ、壁ドン、ハグ、キスの五つで構成されている」

 

「お前何目指してんの……?」

 

「どれもしっかりミッドナイトを一撃死させる威力だぞ!?」

 

「だからお前何目指してんの!?しかもミッドナイトで試したのかお前!!」

 

 俺とえいちゃんのコントを前にしても無反応のエリちゃん。無反応というより……どう反応すればいいのか分からないって所かな……?

 

「んにぃ、よし。ならちっちゃい子には母性と相場が決まってる!行くぞエリちゃん!ついて来い野郎共!」

 

「えっ、ちょ、詭弁くん!?」

 

 エリちゃんをだっこしてとある女子生徒の元まで駆ける。席はすぐ近くなのであっという間に彼女の元に到着。

 

「と言う訳だカッちゃん!今すぐおっぱい出せ!」

 

「出すかボケェ!!!!」

 

 今日もキレ芸が絶好調。少し前から女の子になって、A組一の巨乳の持ち主となったカッちゃんにエリちゃんを抱っこさせる。

 

「フカフカ……」

 

 エリちゃんは非常に不思議そうな顔でカッちゃんのおっぱいをフカフカしている。うーんおねロリは良いぞ。

 

「俺もフカフカするー!」

 

「お前はすんなクソ口!!」

 

「カッちゃん子供の前だぞ!汚い口は駄目だぞ!」

 

「ッッッ!!!」

 

 凄い。カッちゃんの目がとんでもないくらいに鋭角。女の子がしちゃいけない顔だよそれもう。でもちゃんと子供の前では慎むカッちゃん素敵。偉いぞー。

 

「頭撫でんな!!!」

 

「お、お前……本当に怖い物無しだな……」

 

「かっちゃんが良いように抑えられてる……!」

 

 えいちゃんといずくちゃんが信じられない物を見る目で俺を見る。遠くで血涙を流している葡萄が見える。今にも射殺さんと絶対零度の瞳を向けるモモちゃんが見える。……ん?何か言ってる?……『あ』『と』『で』『お』『は』『な』『し』『が』。俺は何も見なかった(冷汗)

 

「と言う訳でカッちゃん。エリちゃんを笑顔にする為に協力してくれ」

 

「あ”あ”っ?ンでオレが……」

 

「女の子一人笑顔に出来ないでオールマイトを超えるって?」

 

「ざけんなボケゴラァ!!出来るわ!!余裕で笑い殺したるわ!!!」

 

「笑い殺すとは?」

 

 と言う訳で場所を変えてトレーニング台所ルーム(TDL)。元々申請出してた人に無理言ってちょっとばかし場所を借りる。

 

「と言う訳で邪魔してゴメンねチャコちゃん!ちゅぅーちゃん!ねじれちゃん!」

 

「う、ウチは良いけど……って、その子は!」

 

「ケロッ」

 

「わーエリちゃん!ねぇねぇ、もう病院から出ていいの?」

 

「おりょ、知り合い?まあ軽く紹介すると雄英のおっぱいビック3の皆様方だ」

 

「……おっぱいビック3?」

 

 エリちゃんが首をかしげながら繰り返す。カワイイ。

 とか思ってると首に長い舌が巻き付く。

 

「詭弁ちゃん、子供に変な事教えちゃダメよ」

 

「ちゅゆちゃん、子供の前で絞首はマズいよ……」

 

 しかし図らずも飛行系ユニットがここに3人も揃うとは。これはエリちゃん笑顔待った無しかな?

 

「飛行系ユニットて。……何する気なん?」

 

「子供の夢と言えば何!?はい、いずくちゃん!」

 

「えっ!!?そんないきなり言われても……ヒーローになる?」

 

「それも良いけどもっと他に夢のある感じの奴!はいチャコちゃん!」

 

「うぇっ!?えっ……焼肉いっぱい食べる?」

 

「……後で皆で食べに行こうか。はいつゅぅちゃん!」

 

「ケロッ……空を飛ぶ……かしら?」

 

「はぁい正解!正解者にはナデナデのご褒美を!」

 

 BOM!!

 真横で爆音が鳴る。耳がァ……。

 

「いいからさっさと本題に入れやボケ」

 

「はい」

 

 カッちゃんの目つきが普段より三倍鋭くなっているので本題に入る。ナデナデタイムはまた今度。

 

「と言う訳でね、是非ともエリちゃんに空中散歩をしてもらおうかと思ってカッちゃん連れて来たんだけど……チャコちゃんとねじれちゃんに手伝って貰えれば済みそうだね」

 

「あ”あ”っ!!?オレの方が速く飛べるわ!!」

 

「エリちゃんと一緒に飛ぶんだから安全に……いや、でも意外とスピードある方が子供ウケいいかも?」

 

「むっ!?ねえねえ、私も鍛えてるから速さでも負けてないよ!」

 

「あ”?ンなもん爆速のオレが一番速いに決まってんだろ!!」

 

 ねじれちゃんとカッちゃんがガン飛ばし合って睨みあう。

 そこで困り顔のセメントス先生がのしのし現れた。

 

「詭弁君、訓練の邪魔をしてはいけないよ」

 

「んにぃ……あっ、良い事考えた!」

 

 思いついた事をすぐさまセメントス先生に相談する。それはTDL内全体を使った三次元レース会場を作る事だ。

 

「うーん……出来ないことは無いが……」

 

「迅速に人を運ぶ事が出来れば、それだけ生存率も上がります!それに空中での細かい制動が出来る(イコール)個性の訓練になるじゃないですか!」

 

「なるほど……」

 

 一理ある、と納得してくれたセメントス先生が個性を使い、すぐにTDL内が変化して山あり谷あり障害物沢山の簡易的なレース場の様になった。

 

「ルールは簡単!ねじれちゃん、カッちゃん、チャコちゃんがレース場を飛び回って先に三週した人の勝ち!」

 

「ウチも参加するん!?」

 

「そりゃぁ飛べるんだから、早く飛べる訓練するに越したことは無いでしょ。足場が悪い中、飛べるってアドバンテージはデカい。伸ばせるなら伸ばしていこう?」

 

「う、うーん……そう言われたら……」

 

「よし!じゃあ飛行レース訓練始めよう!エリちゃん、ちゅゆちゃん、こっちカモーン!」

 

 はいじゃーんけんポン。

 と言う訳でカッちゃんがエリちゃんを抱え、チャコちゃんがつーちゃんを抱え、ねじれちゃんが俺を抱えて飛ぶことが決まった。

 

「いや何サラリと抱えられてん!?」

 

「詭弁テメェふざけんなゴラァ!!!」

 

「ねぇねぇ!ちょっと重いよー!」

 

「ハンデ!ハンデですねじれ先輩!大丈夫!ねじれ先輩なら俺を抱えても一位余裕ですから!先輩の意地見せてください!」

 

「んもー……そう言われたらなんかやる気出て来た!」

 

「ケロッ、詭弁ちゃんさり気なく個性使ってズルするのは良くないわ?」

 

「むしろこれくらいでやっと対等じゃない!?チャコちゃんはつーちゃん軽く出来るし、カッちゃんなんて抱えてる重さ無いようなもんじゃない!?カッちゃん、エリちゃん絶対落とすなよ!」

 

「落とすかクソがァ!!」

 

「はいじゃーよーいスタート!」

 

「いや合図!!」

 

 ねじれちゃんが俺を背中に背負い飛ぶ。流石に俺を背負っての飛行は難しいのか元々の飛行速度が遅いのか、駆け足程度の速さで飛行する。

 

「しっかり捕まってろよガキ!爆速ターボ!!」

 

「きゃっ!」

 

 エリちゃんがしっかり首に抱き着いてるのを確認したカッちゃんが凄い速さで飛んで行く。

 

「もー!いきなりすぎひん!?つゆちゃん!」

 

「ケロ、いつもの事よ」

 

 チャコちゃんがつーちゃんを無重力にし、自身も浮かして地面を蹴って空を飛んで行く。何だかんだ言ってもみんなノリが良いから助かる。

 カッちゃんは障害物を上手く避けて突き進んでいき、チャコちゃんは壁や障害物を更に蹴って加速していく。

 

「うわー!ねぇねぇ、皆速いね!」

 

「ねじれ先輩も本気出せば追いつくでしょう!それに単純な速さだけじゃなく、技術だって負けてないじゃないですか!頑張れねじれ先輩!頑張れ!」

 

「んー!!凄い!なんかお腹らへんからぐんぐん力が湧いてくる感じする!しっかり掴まっててね、行くよ!!」

 

 ねじれちゃんの言葉通り、()()()()掴まる。今の俺はねじれちゃんの後ろから背負われている状態、つまり……俺の両腕がねじれちゃんのおっぱいに触れるのは必然!勝っだ”ぁ”っ!!?

 

「あっゴメン!今当たっちゃったね!」

 

「んの”、のーぷりょぶれむ……」

 

 思った以上に上がった出力に一瞬戸惑ったのか制御不能になって体勢を崩した際、思いっきりコンクリートの障害物に俺の頭をぶつけていったねじれパイセン。頭割れそう……。

 その後何度か俺の身体だけを器用に(ワザとじゃないと思いたい)障害物にぶつけながらも、コースを一周する頃には上がった出力に慣れたのか俺の身体がコンクリに擦られる事も無くなった。

 

「なんで俺こんなボロボロなんでしょーね……」

 

「ご、ごめんね!」

 

 割と命の危機を感じたのである。

 さて、先頭を飛ぶカッちゃんwithエリちゃんとは約半周差、ここから追いつくことは出来るのかな?応援に更に気合が入り、応援の効果がより()()なる。

 

「わっ、凄い!もっと強くなった……これなら!」

 

 それから更に加速しながら障害物を避け続け、あっという間にチャコちゃん達を追い抜かした。

 

「ウソっ、速すぎひん!?」

 

「ケロッ、流石3年生ね」

 

「ひぃ、さっきから顔面スレスレにコンクリが迫ってるんですけど!?」

 

「我慢して!」

 

 情けないようだが、さっきまでそのコンクリにガンガンぶち当たってたのである。恐怖心十分だよぅ……。

 そんな薄皮一枚の超ギリギリのコーナリングを決め続け、それでも尚減速しないお陰で既にカッちゃんの背中に手が届きそうなほどに追いついて三週目に突入。

 

「最終ラップです!スパートかけていきましょう!」

 

「うん!一年生に負けてらんないよ!」

 

「チッ!勝つのはオレだ!!!」

 

「きゃーっ!」

 

 ちらっと見えたエリちゃんの様子は、空を駆ける感覚に怖がっているというよりもそのスリルを楽しんでそうなキラキラした目だった。スピード狂の素質十分ね!

 そして俺は宙に浮く感覚と顔面スレスレに迫るコンクリの恐怖と個性を()()した反動で身体が一気に疲れてきた。とはいえここで力を抜くと振り落とされて赤い染みになるので気合いでねじれちゃんに抱き着き続ける。ねじれちゃんも若干疲れてきたのか汗が出てきてとてもエロティック。

 

 ……あ、ヤバ、勃起(たっ)てきた……生存本能……ッ!

 

「えっ?詭弁君これ……えっ!?」

 

「ごめんなさい!ごめんなさい!」

 

 ねじれちゃんの背中に俺の息子が押し当たっちゃうけど事故だよこれは!だってしっかり掴まってないと振り落とされる動きしてるんだもん!!良いのか!?俺が振り落とされて、すり下ろし詭弁君になるぞ!?良いのか!?

 決してねじれ先輩の汗の匂いとか腕に感じるねじれっパイとか背中にアレを押し当てている状況に興奮しているという訳ではありません故に!ほんとだよキベンウソツカナーイ!!

 顔を真っ赤に染めたねじれ先輩が出力を誤って壁に激突……する直前に俺が身を捻じってクッションになる。ねじれ先輩と壁のサンドイッチ。うーん素敵(吐血)

 

「ねぇねぇ!大丈夫!?」

 

「死にそう(正直)」

 

 ただこれだけは言わせてほしい……ねじれパイセンのお尻はとてももっちりとしていて最高でした……ガクッ。

 

「詭弁君!?ど、どうしよう通形!?」

 

「珍しいね、波動さんがそこまで慌てるなんて!パッと見で命に別状は無さそうだからオレが保健室まで運ぶよ!」

 

 そうして空中レースの結果はうやむやになった。

 エリちゃんは笑顔にはならなかったものの、子供らしくもう一回もう一回!とおねだりしていたようだ。まあ、良かった良かった。

 

「それで、何故詭弁さんが大怪我をしているのかを()()()教えていただけますか?」

 

「あー、えー……何でモモちゃんがココに……?」

 

「相澤先生から連絡がありましたの」

 

「んぃ……なんで相澤先生が?」

 

「エリちゃんの監視役との事でしたわ。詭弁さんが聞きたい事は以上ですか?では私の質問にもお答えください」

 

「えー……えーっとですねぇ……」

 

 その後モモちゃんにコッテリ絞られた。

 

「アンタ達、保健室で騒ぐんじゃないよ」

 

「はい、分かりましたわ。……では続きはお部屋で、じぃっくりとしましょう……?」

 

「……救けてリカバーちゃん!!!」

 

「夫婦喧嘩は他所でしな!」

 

「あら嫌ですわ夫婦なんてウフフ。さあ詭弁さんリカバリーガールの邪魔になりますわお部屋に行きましょうすぐ行きましょう」ガチャリ

 

「ねえ待ってなんで手錠なんて着けたのねえちょっとモモちゃん!モモちゃん!!?嫌あああああああ!!!!」

 

 

 

「(男の子の()()ってあんな大きくなるんだ……)」

 

「どうしたのずっと背中擦ってるけど!まさかさっきので怪我してた!?」

 

「んー……ねぇねぇ、通形のちんちんっていつもちっちゃいよね!」

 

「ンッ!!?!?」

 

 違う所で事故が起きていたのは俺の知る所では無かった。

 

 




相澤先生、こっそりずっと様子を伺っていたの巻。
詭弁君はミリオ先輩のことが苦手。ファーストコンタクトの時に腹パンされたから。でもねじれちゃんの事は好き。おっぱい大きいから(殴

詭弁式五指必殺
 イケメンオーラ全開で相手を精神的に殺す必殺技。ニコッと笑いかけ、軽い身体接触をし、相手のパーソナルスペースに迫り、逃げられないように抱きしめ、キスで殺す。
 この技を受け、抵抗に失敗した相手は()()()()()堕ちる。当たれば最強の必殺技。ただし発動した時点で特定の女性の病み度が上昇する。それ以外にデメリットは無いので積極的に使っていこう!(殴
五指必殺(クイン・フォーリング)の一、超満面の笑み(イケメンスマイル)
五指必殺(クイン・フォーリング)の二、好感表現(ファノーン)
五指必殺(クイン・フォーリング)の三、至近距離の好意(ウォールバーン)
五指必殺(クイン・フォーリング)の四、愛の抱擁(チークトゥチーク)
五指必殺(クイン・フォーリング)の終、終末の口付け(ラスト・キス)
の5つで構成されている。全て食らってしまったら誰もが愛の奴隷だ!
実はこっそりエリちゃんにも効いていた。おっロリコンかな?

さて、次は文化祭……そういえば、文化祭までいってるヒロアカ二次一つしか知らんのですけど、なんかありますかね?

感想、評価、めちゃくちゃお待ちしております!!!5000字以上書いてるんだから作者のモチベ維持に貢献しろおらッ!毎話感想書けッ!(tntn亭感)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

雄英一のモテ男!詭弁大先生が語るモテる秘訣!!!

酒飲んだ勢いで書いた。後悔はしていない。
キャラ崩壊注意……あっ、今更か!

注:個人の意見です。仮に実践してどうなろうとも当方は一切の責任を負いません。


「……んぅ。つまり文化祭が近く、彼女欲しいからモテ男たる俺に秘訣を聞こうと、そういう事だな?」

 

「そうだ!お前ばっかりモテすぎてオイラ達に全く零れてこねぇじゃねえか!!」

 

「祭りでテンションアゲアゲ!良い雰囲気!一日だけのアバンチュール!そういうのに憧れてんだよこちとら!!!」

 

 いつもの二人(葡萄と電気)が俺に頭を下げて『モテテク』を乞う姿はとても憐れみを誘い、少しくらいならいいかぁ~という気分にさせる……のだが――

 

「講堂一つ貸し切って演説させるのはやり過ぎではないかね?ん?」

 

 この愛すべき馬鹿二人は、なんと放課後の一教室を貸し切りにして俺に教師をやれと言うのだ。その行動力を他に生かせよ……バカなの……?

 

「お前のせいだからな!!?お前が学校の女子達を片っ端からオトしてくから、女に餓えた男共がこうして集まっちまったんだよ!!!」

 

「ほう、つまり俺がモテすぎるから学校中のモテたい男達が集まって、結果的に講堂一つ埋まる結果になったと。……そう言うんだな?」

 

「な、なんだよちょっと意味深に言いやがって……」

 

「『雄英一のモテ男!詭弁大先生が語るモテる秘訣講座!受講料500円』……なあでんちゃん、このチケットは何かな?」

 

「あっ、いや……それは……」

 

 でんちゃん(上鳴電気)みっちー(峰田実)に目をやり、みっちーも視線を逸らす。

 

「下らない小遣い稼ぎに協力する気はねえよ?」

 

「す、すまん!つい出来心というか……!」

 

「全員に金返して来い。な?」

 

「すんません……」

 

 

 ◆

 

 

 で、だ。講堂に入れば、中は犇めく男、男、男。うわ、ムサイ。

 

「帰りてえ」

 

「頼むってマジで!オレもここまで集まるとは思わなかったんだよ!」

 

「恵まれないオイラ達にも光明を見せてくれよぉ!!!」

 

 でんちゃんとみっちーが脚に抱き着いてきて離れない。止めんか暑苦しい……。はぁ、分かった分かった……。

 講堂のド真ん前。教壇に上がると、ザワザワしていた男達が静かになり始める。……うーん、これが教師の気持ちか。

 

「えー……ん”っん”っ。皆さんこんにちは、一年A組の詭弁答弁ですヨロシクね」

 

 軽く講堂内を見渡しながら挨拶をする。あれ、よく見たら女子も僅かに居るな?

 

「あー……今から話す内容は『女子からチヤホヤされたい!』や『誰でもいいからお付き合いしたい!』って人向けの内容だ。『特定の女子とお付き合いしたい!』っていう人には若干向いてないから、そこのところヨロシク。……さて、今日皆さんは『モテる秘訣』を聞きに来たんでしょう。結論から言わせてもらうと、『どんな男でも100万人に告白すれば必ず一人はお付き合いできる』と言いましょう」

 

 そう言いきった瞬間、講堂中に巻き起こるブーイングの嵐。『そんな事出来たら苦労せんわボケ!!』やら『んなこと出来るか!!』やら。とても文章に書き起こせない様な言葉で罵る人も居る。あーはいはいおーけーおーけー。

 

「『黙れ』」

 

 一声で騒がしい講堂を沈黙させる。こういう時俺の個性は便利だなぁホント。

 

「『黙っていても女の子の方から寄ってくる』『告白すれば100%成功する』なーんてふざけた幻想を抱いてる奴は2次元の世界で彼女なり嫁なり作ってください。()()無くしてモテる事はありえない。今から皆さんにお伝えする事は、100万分の1の確率を100分の1くらいまで引き上げる事です。彼女がいる男は、須らく何かしらの行動を起こしている事をキモに銘じてください」

 

 では、本題に入りましょう。メモの準備はオーケーですか?

 

「まず第一に皆さんが知っておくべきことは、『彼氏彼女の関係は、単純なLOVEtoLOVEの関係ではない』と言う事。色々苦情が来そうな言い方をすれば、『彼氏』『彼女』は着け外しの面倒な()()()()()()()()()()です」

 

 勿論それに当てはまらない様なLOVEtoLOVEの恋人も居るが、それとこれとはまた別の話なので手短に纏める。

 

「例えば!『流行遅れ、時代遅れの小汚い服』があったとします。休日、友達と何処か遊びに行くとして、その服を()()()着ていく必要はありますか?他にオシャレな、今風の服があれば、そっちを着て行きませんか?……もしそれでも時代遅れの小汚い服を選ぶとすれば、その服に特別な思い入れがあるということでしょう。それがLOVEtoLOVEの恋人の関係です。さて、では()()()は『流行遅れ、時代遅れの小汚い服』じゃないと言いきれますか?もし自信もって言い切れるのなら、多分この後の話は聞く意味は無いと思いますので帰ってもらって結構ですよ」

 

 ほんのちょっとだけ間を開けるが、誰も立ち上がる気配はない。俺、もしかして教師の素質有り?

 

「『流行遅れ、時代遅れの小汚い服』なんてのは、まあ本当に例え話として。本当に好きな人が居る人に『付き合ってください!』と言っても、貴方がその好きな人でない限り『はい喜んで!』は無いでしょう。ですが、好きな人は居ないけど彼氏ほしいなーって人に言ったのなら?人は、そこで付き合うか付き合わないかの()()をします。自分が求める水準以上だったのなら『喜んで!』、水準以下なら『ごめんなさい』。ここまでは、まあ体感的にわかると思います」

 

 彼氏彼女の関係に重要なのは、相手に求める水準以上になる事。ではその()()とは?

 

「付き合う付き合わないの()()において一番最初に行われるポイントは、その人の中にある『ここだけは絶対譲れない!!』という点。そして次に行われるポイントは『合計点』です。どういう事か説明すると、仮にココにとある女の子と、その子に告白した男の子が居るとしましょう。その男の子は顔良し、ファッションセンス良し、サイフの大きさ良し、ただ身長が108cmしかないとします」

 

 お前の事じゃねえよみっちー。座ってろ。……いや、ちょっと参考にはしたけどさ……。

 

「女の子は『身長は絶対自分より高い男じゃないと嫌っ!』という子なら、最初の()()で弾かれますね。仮にどれだけ男の子が性格が良くても、女の子にとって()()()()()()()()()()で終わり。世知辛いですねー」

 

 だからお前の事じゃねえっての、座ってろ。

 

「ハイ、では女の子の条件を変えて『ファッションセンスのある男じゃないと嫌っ!』という場合。最初の()()を見事通った男の子は次の()()に入ります。顔よし、+40点。サイフの大きさ良し、+40点。身長……イマイチ、-20点。その他性格諸々の評価も全部含めると合計点+60点。女の子の決めた水準がもし+60点以下だったら、晴れて男の子と女の子はお付き合いを始める訳です。低身長だってその子にとってチャームポイントと許容出来る訳ですね」

 

 さて、此処までの話はモテる秘訣というより、その前提となる話。誰もあまり意識していないが、確実にそう判断しているポイントを言葉にしただけの話だ。

 

「最初に言った結論を覚えていますかね。『どんな男でも100万人に告白すれば必ず一人はお付き合いできる』。単純な話、それだけ行動力のある男は何かしらの部分が抜群に秀でているので、その部分を評価してくれる女の子は絶対に居るからこそそう言った訳です。無論、何処かしら抜群に秀でていても行動しなければモテません。100分の1でも、母数が0なら当然付き合える人数も0ですので」

 

 前振りが長かったが、御待ちかねの本題に入るぞー。

 

「さて肝心要の『モテる秘訣』ですが、ざっくり分けて二つのパターンがあります。『特化』と『底上げ』。なんとなくイメージはつきますかね?『特化』パターンは、魅力を一点に集中してアピールする事。極端な話、アラブの石油王並にサイフがデカけりゃぁ大体の女の子とお付き合いできるでしょう……長続きするかは別ですが。『底上げ』は自身の欠点を補うように色々な魅力をアピールする事。さっきの男の子の例で言えば自身の身長はどうしようもないので、ファッションセンスを勉強したり、日頃からアピールし続ける事ですね。『全然知らない人』より『なんとなく知ってる人』より『良く知ってる人』の方が()()もしやすいですから。……おっと、言い忘れていた事がありました。付き合う付き合わないの()()において、『よく分からない』事は非常に大きなマイナス点になります。突然知らない人から『付き合ってください』なんて言われても不気味なだけですからねー」

 

 大勢の人の前で喋り続けるのは、ヒーロー活動の時とはまた違う意味で疲れるし緊張するなぁ……。水を一口飲む。

 

「さて、態々『特化』と『底上げ』の二パターン上げておいてアレなんですが、実際にモテる為にはどちらも同時に狙っても構いません。サイフのデカい人がファッションの勉強して、性格良いアピールして、香水着けてピアス着けて……問題ありません。やれることはとにかくやる。コレが鉄則。言うまでも無いですが法律と校則は守る事」

 

 ちらっ、と時計を確認。……もう少し話す時間はありそうだな。

 

「さっきから散々『アピール』という言葉を使ってますが、じゃあ『アピール』とは何か?『アピール』とは簡単に言えば()()()()()()の事です。女の子の気を引けなければ、それはアピールではありません。『俺、歌メチャクチャ上手いんだぜ?カラオケとか100点出すし』『へー、そう(無関心)』となってしまえば、折角の自身の魅力はアピール出来てませんね。でもうまい具合に話をして『俺、歌上手いんだぜ』『えーマジ?聞きたい!(興味深々)』となればこっちのモノです。女の子と話せない?そんな会話出来れば苦労は無い?行動無くしてモテる事はありえない。会話は最も手軽なアピール方法ですよ。普段から行わないでどうするんです?」

 

 コミュ力お化けのお前と一緒にするな。という怨嗟の視線が刺さるが気にしない。

 

「会話の糸口は五感に関する物を選ぶと長続きしやすいでしょう。『昨日のニュース()()?』『話題のアーティストの新曲()()()?』『駅前店の新作スイーツ()()()?』会話のタネは常に収集し続ける事。相手の興味を引く話題を次々提供出来れば、当然相手との会話も弾むでしょう。会話では相手に共感する、必要に応じて意見を()()。間違っても一方的に話し続ける事の無いように」

 

 時計を見ればそろそろいい時間。『講座』と銘打たれたからにはそれなりに長く話したが、皆にとって有意義な時間だったなら良いな。

 

「さて、モテる秘訣講座はこの辺で終了としよう。モテる男は一日にして成らず。日々自分の魅力を研究し、理解し、アピールし続ける事がモテ男の第一歩だ。以上!」

 

 パチパチパチと拍手が起こる。うーん悪い気はしない。

 はーい皆かいさーん。

 

「いやー詭弁せんせーは流石言う事が違うぜー」

 

「ほんとほんと。高身長、顔良し、ファッションセンス良し、サイフデカい、全てを持ってる男は言う事が全然違うよなー」

 

 でんちゃんが肩を組んできて、みっちーが俺の太ももを肘でつつく。

 

「参考にならなかったか?」

 

「割と参考になりました」

 

「でもオイラ女子と会話とか行動力とかかなり頑張ってると思うんだけど?」

 

「みっちーお前……とりあえずエロ一直線なトコ治せよ……」

 

 そうして会話しながら三人で歩いていると、前からいっちゃん(塩崎茨)戦闘服(コスチューム)姿で歩いてきた。

 

「あっ、詭弁さん……!」

 

「よぅいっちゃん!どしたこんなとこで?」

 

「今から演習場に向かう所ですが……詭弁さんこそ何故此処に?A組の教室からかなり離れていますが?」

 

「ん?まあちょっとすぐそこで講義をな……それより前から思ってたんだけど、いっちゃんのその戦闘服(コスチューム)ってコレ脇どうなってんの?」

 

 そう言いながら白い布を巻きつけただけみたいな戦闘服(コスチューム)の脇部分を軽く摘み上げ、その内側から見える茨っぱいの頂点が―――

 

「ななな何を見ているのですか!!!?」

 

「ごばっ!!?」

 

 いっちゃんの肘鉄が俺の顎にクリティカルヒット。ゴギィと鈍い音がして膝から崩れ落ちる。意識を失う直前に、大事な事を伝える。

 

「みっちー……でんちゃん……」

 

「大丈夫か詭弁!!」

 

「傷は浅いぞ!」

 

「ノーブラコスって良いよね……(死っ)」

 

「詭弁!バカ野郎お前だけ無茶しやがってっ!」

 

「テメェだけ中身確認しやがって羨ま死ねぇぇぇ!!!」

 

 ザワザワザワザワ……

 気が付けば廊下一面に棘のつるが伸びていた。

 

「あっ!?」

 

「はっ!?」

 

「……やはり、色欲は罪ですね。ムチで打たねば……!」

 

「ま、まてまてまて!!オレらは偶々一緒に居ただけ……!」

 

「オイラ達悪くねえよ!詭弁だけだろ!?おい詭弁起きろ!!この子説得してくれよぉ!!」

 

「(死)」

 

「『カッコ死カッコ閉じ』とか今そういうのいいから!!」

 

 

「ちょ、茨ー!ストップ!ストーップ!!」

 

 

 いっちゃんがつるの鞭(極太)を生成している最中にB組の姉御こといつかちゃん(拳藤一佳)がいっちゃんを羽交い締めにして止めた。

 

「離してください一佳さん。断罪、断罪しなければ……!」

 

「落ち着けって!ここ廊下!通行の邪魔でしょうが!つーかこんなとこで個性つかうな!」

 

「くっ……確かに一佳さんの言う通りです……」

 

「……た、助かった……?」

 

「おっかねーよー!!おい詭弁テメェ!いつまで床で死んだふりしてんだ!!」

 

 まって、今ちょうどいつかちゃんのキワドイチャイナ服の下が見え……見え……

 

「見えたッ!!黒ッ!!!」

 

「フンッ!!!」

 

 震脚という動作をご存知だろうか?踏鳴とも言い、足で地面を強く踏みつける事で、半歩程の踏み込みでも助走をつけて殴るように十全の力を伝える事が出来る動作だ。

 震脚それ自体は攻撃動作ではないのだが、仮に地面を強く踏みつける際にその脚元に何かあったら、当然それを踏みつぶすような行動になるだろう。

 

 要するに、うん。いつかちゃんの足元に俺の頭があった訳で……。

 

 グシャァ!!

 

「少年誌ではお見せ出来ない状態に!!?」

 

「死んだ!?コレ死んだだろ!!?」

 

イキテマス……

 

「……やはりムチで打たねば……」

 

「手ぇ貸すよ」

 

 その後通りかかったB組常識人達によって救出される頃には全身ミンチになっていた三人であった。

 

「……アンタ等、揃ってトラックにでも轢かれたのかい?」

 

「詭弁覚えてろよマジで……」

 

「何でオイラ達まで……」

 

「モテる男はつらいなーはっはっは」

 

「「なんでお前だけ余裕そうなんだよ!!」」

 

「慣れてるから!」

 

 その後モモちゃんからの折檻が待っている事をまだ知らないのであった……。

 




モテる男(物理耐性付与)
詭弁大先生は自身の才能(顔、富、身長)を鼻に掛けず、きちんと努力をしているお方……すごいえらい……(小並間)
きっと香水とかに拘ってるんだろうなぁ……

いつかちゃんのコスはちゃんと下履いてるだろって?履いてない方が少年誌的にKENZENじゃない?

アンケートはやはりと言うか、やっぱ全員巻き込んでのハーレムが良いんすねぇ……ウン……。あ、いえ、特に深い意味は無いのですが、うん。
意外と男子勢が多いな……ふーん……深い意味は無いですよ?そっかー……A組女子より多いのか……成程ね……。

深い、意味は、ないです。本当に。


あっ、あの~……凄い今更なんですけどぉ~……R-18短編も書いてるんですよぉ……。
リンク、貼っときますね。R-18なのでお子ちゃまは見るなよ!

https://syosetu.org/novel/218627/

なんで今更貼っとくのかというと、今ソッチの方重点的に更新してるけどあんまり伸びてないから……評価とか感想とか欲しいから……感想欲しいなぁ……感想……欲しいなぁ……
オラお前も感想書くんだよ!(豹変)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺はチープなラブソングしか歌わないぞー!!

お久しぶりです。
脳まで脂肪が詰まった所為で更新速度激遅だけどゆるしてにゃん!!!
くくく……最近の楽しみはランキング確認して面白そうな小説を漁るだけだぜ……。
書けよというツッコミは聞きません。

今回は文化祭でやる事を決める所から。


 文化祭。今年は例年に比べて規模が非常に小さくなって開催される事が決まった。まあ文化祭はサポート科や経営科がメインだし、()()()()なんて事になったらヒーロー科に向いているヘイトが爆発するってのも分かる。

 そう言う訳でヒーロー科は文化祭において脇役になる訳だが……脇役にも脇役なりに文化祭を本気で盛り上げる義務がある。

 

「……と言う訳で、学校全体を盛り上げるには水着喫茶がベストだと思いますッ!!!」

 

「峰田並に下心全開じゃねえか」

 

「バカめ!メイド喫茶なんぞより遥かに盛り上がる事間違いなしだぞ!ありきたりでチープなアイデアなんて置いておいて『Plus Ultra!!』しようぜ!!!」

 

「校則をこんな所で使うんじゃない!」

 

「じゃあ皆に聞きますが!?水着喫茶が良いと思う人挙手ッ!!おら男子共っ!女子達の水着姿が見たいかー!!」

 

 教室を振り返って挙手を募る。俺と同じように手を突き挙げている男子はみっちー(峰田実)でんちゃん(上鳴電気)だけだった。

 

「お前らそれでも男か!?見たくないのか女子達のスケベボディを!?」

 

「詭弁、お前一回死んでおけ」

 

「ジロちゃんには是非ともスリングショットを着てもらいたいのですが!!」

 

「誰が着るか馬鹿!!!」

 

 俺がジロちゃんに殴られている間、黒板の前に立っているモモちゃんがてんちゃん(飯田天哉)にこっそり耳打ちしていた。

 

「スリングショット……とは何でしょうか?」

 

「むう、すまないがオレにも分からない」

 

「スリングショットってのは紐みたいな水着でな、ほら、オイラのスマホの……この写真みたいなヤツだ」

 

「…………っ!!!?は、は、破廉恥ですわ!!!」

 

 みっちーがモモちゃんにスマホの写真を見せて引っ叩かれている。

 おかしいな、スリングショット(水着)って一般知識ではないのか?チラッと周りの顔を確認してみるも、なんとなく『何それ?』みたいな顔してる奴等が多数派……あれ?

 

「逆にジロちゃんはスリングショットを知っていた……?」

 

「っ!!!」

 

 心臓にジロちゃんのビート(鼓動)が叩き込まれるのがもはや日常になってきた。あ^~ジロちゃんの心臓の音ぉ^~(瀕死)

 

 そうして俺が瀕死になっている間になんやかんやあってバンドをやる事になった。ねえ、君達俺が瀕死になってる横で何普通に会議してるの?泣くよ?

 

 

 ◆

 

 

「で、俺がボーカル……?」

 

 放課後、寮の共用スペースでダラダラしていると隣にジロちゃんが座ってきて俺にボーカルを任命してきた。

 

「そーそー。何だかんだ言ってアンタがA組の中で一番歌上手いじゃん?」

 

「んぅー……」

 

「ん、嫌だった?」

 

「嫌と言うか……俺が歌うのマズくないかなーって思った」

 

「なんで?」

 

「そりゃー―――」

 

 俺が歌えば、まあ盛り上がるだろう。ただそれは俺の『個性』によって引き起こされた()()だと後から言われたら、それを否定する事が出来ない。要するになんか『ズルい』気がするのだ。

 

「―――という感じで演出で個性使うのならともかく歌に個性使うのは卑怯臭いし、仮に個性使わなくて盛り上がっても後からイチャモンつけられても嫌じゃない?」

 

「んーまあ、確かに……でも気にし過ぎじゃない?それに他に誰がボーカルやるのよ」

 

「ジロちゃんがやればいいのでは?」

 

「う、ウチ!?なんで!?」

 

「なんでって、他に適任居なくね?」

 

 男子勢でボーカルやれるほどの喉を持ってるのは……居ねえな。女子達も同じような感じだし。

 

「でも芦戸とか……」

 

「みっちゃんはダンスの指導で忙しいっしょ」

 

「や、ヤオモモは……」

 

「モモちゃんもジロちゃん推すと思うんだけど」

 

「ば、爆豪……」

 

「カッちゃんがやると思うかね?」

 

 ジロちゃんはいや……とか、でも……とかウジウジしているので強制的に俺の膝の上に寝かせる。

 

「ちょっ!?いきなりなにすんの!!」

 

「はーいステイステイ。ジロちゃんさ、なんか小難しい事考えてるな?」

 

「はあ?」

 

 ジロちゃんの頭を撫でる。

 

「ふふふ。これは内緒なんだが、実は俺には相手の頭を撫でれば相手の思考を読める超能力を持っているんだぜ?……ほら、今『嘘つけ』って思っただろ?」

 

「……」

 

 めっちゃジト目で睨まれる。うん、まあ半分嘘なんだけど。残りの半分は……観察眼、かな。

 

「ジロちゃんさ、趣味にする程音楽好きなんでしょ?何も悪い事じゃないじゃん」

 

「……」

 

「ふむふむ……『音楽が好きだけどヒーロー活動とあんま関わらないから続けるのに悩んでいる』と」

 

「っ!?な―――」

 

 何かを叫ぼうとしたジロちゃんの口に人差し指を添える。

 

「今おしゃべりは無粋だぜジロちゃん。言葉は想いを伝える基本だが、言葉だけじゃ想いを伝えきれない時もある。……なあジロちゃん。『音楽』って言葉は『音』で『楽しむ』って書くだろ?楽しいと人は自然と笑顔になるモンだ。そしてヒーローの仕事は『皆を笑顔にする事』『皆の笑顔を守る事』だ。なら音楽で人を笑顔にさせるヒーローが居ても良いだろ?」

 

「……」

 

「『簡単に言うな』って?んまぁ確かに()()()()()()だ。前例が無い事に挑戦するのは難しい……でも、『前例が無いからやらない』なんてツマラナイじゃん?ま、アレコレ言ったけど要するにさ、ジロちゃんの歌声を聞きたいんだよ、俺は。大舞台でジロちゃんの歌が聞きたいなぁ」

 

 ジロちゃんのサラサラ髪を優しく撫でながら笑いかける。……何故かジロちゃんに顔を殴られた。普段の爆音ビートツッコミに比べたら指先で突っつかれた程度の力加減だが。

 

「なに適当な事言ってんのよ、馬鹿」

 

「酷いわー、ジロちゃんマジ酷いわー」

 

「うるさい。……まあ、ウチがボーカルやれば良いんでしょ?ただし詭弁にもサブボーカルやってもらうからね」

 

「えー」

 

「『えー』じゃない!人にやらせておいて自分は高みの見物とか許さないし!」

 

 まあ、ジロちゃんがメインで歌うんなら良いか。

 

 

 俺が歌う事で起きる下らない『やっかみ』には、俺が対応すればいい。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 A組女子棟 八百万部屋

 

 

「――って感じでウチと詭弁が歌うことになったんだよね」

 

「……そう、ですか」

 

「……?どうしたのヤオモモ。なんか顔色悪いけど」

 

「いえ……大したことでは……」

 

「……思いっきり顔に『大したこと』って書いてるけど?」

 

「う……やはり隠し事は出来ませんわね……」

 

「やっぱ詭弁の事?」

 

「ええ……正確には、『詭弁さんが公の場で歌う事』なのですが―――」

 

 ―――それは中学生の頃の話。学校で行われたクラス対抗の音楽祭で、当時から歌が上手だった詭弁は歌唱パートを一人で任される程にクラスから信頼されていた。そしてその信頼に応える様にしっかりと歌いきり、詭弁のクラスは音楽祭で最優秀賞を獲得した。

 

「……なんも悪い事無いじゃん」

 

「ええ、話が()()()()()()()何も。問題はその後でした。詭弁さんは昔から色々な女の子にちょっかいを掛けており、それを快く思わない方もまた大勢居たのです……。そうした方々が集まり、先の音楽祭で『詭弁さんがその個性を使い不正をし、賞を奪っていった』と騒ぎだしたのです」

 

 勿論、詭弁は不正をしていない。個性を使わず、自身の歌唱力とクラス皆の努力によって最優秀賞を獲得したのは間違いない。しかし、騒ぐ相手にとって『そんな事』はどうでも良いのだ。

 

「『不正をしていないというのなら証拠を出せ』。悪魔の証明ですわ。そうした騒ぎは、得てして声の大きい側の主張が通りやすい……たとえそれが道理に反することでも。その方々の所為で最優秀賞は取り下げられ、音楽祭の思い出は苦いモノに変わりましたわ」

 

「……まあ、詭弁はあんなんだから敵も多そうだしね」

 

「ですから、今回の文化祭ももしかしたら……そうなってしまうのではないか、と……」

 

「……あー」

 

 耳郎は頭を掻く。

 

「そんな気にしなくて大丈夫よ」

 

「……何故、言いきれるのですか?」

 

「そんなの決まってるじゃん。ウチら()()で最高の文化祭にするから。詭弁一人だけに任せるような事しないし、詭弁だけの手柄にもさせない。そんな風に『騒ぐ馬鹿』を黙らせる最高の演奏をすればいいだけ……でしょ?」

 

「耳郎さん……そうですわね!『騒ぐ馬鹿』は皆()()()()()良いですわね!!」プリプリ

 

 なんかお嬢様が言ってはいけない事を続けて言っている気がしたがプリプリしているヤオモモがかぁいいのでどうでも良くなった耳郎であった。

 

「それと自己評価が低い耳郎さんから『全員で最高の文化祭にする』なんて聞けるとは思ってませんでしたわ……!やはり詭弁さんに任せて正解でした!」

 

「まってヤオモモ。ウチの事なんだと思ってんの?」

 

「勿論、素晴らしい学友でありプロヒーローを目指すライバルですわ!」

 

「あ、うん……(なんか照れるな……)」

 

「あ、それと一つよろしいですか?」

 

「んぅ?何?」

 

 

 

「詭弁さんからどのような()()()()()を受けたかご説明お願いしますわ?」

 

「黙秘権を行使します」

 

 

 後日詭弁が折檻を受けたのはまた別の話。

 





クズ「ちなみに音楽祭の話には更に続きがあって、俺の父さんが『騒ぐ馬鹿達』を片っ端から訴えていき、更にその『馬鹿達』が全員何かしらの()()()()にあった所為でまあ色々悲惨な事に」
正妻「最終的には様々な事情で、皆さん登校することすら難しい程になってしまったのは草も生えませんわ」
クズ「誰だモモちゃんに『草も生えない』なんて言い回し教えたヤツ」

モモちゃん的に友達が良い方向に成長したのはオッケーだがソレはソレの精神。女の子膝枕して頭ナデナデしたいなー俺もなー。

ところでウチのかっちゃんTSしてるんですけど……もしかしてドラム叩いてるときおっぱい凄い揺れない?(謎着眼点)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お正月特別編・異世界からコンニチワ!あなた詭弁って言うのね!俺もソーナノ!

あけましておめでとうございます。
脂肪肝と診断されたのでお酒を飲みながら更新。

久々の更新なのにこんな閑話で申し訳ェ~!
本編を御待ちの御方々、お許しください!
タイトルが全てを語っています。全てを許せ(神のお言葉)。


あらすじ
詭弁ですよ!霊夢ちゃん!
https://syosetu.org/novel/227508/
時空よりアイツがやってきた!


 新月の夜。

 分厚い雲が星明かりを遮り、世界のあらゆる物を隠してしまった。

 月さえ姿を消した夜に、とある世界に住む一人の少年が月のようにその姿を消した。

 

 その事に、まだ誰も気が付いていない。姿を消した張本人も…………。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

 目が覚めると知らない天井だった……なんて事も無く、いつも通りハイツアライアンスの(機械に埋め尽くされた)自室で目を覚ます。今日も良い一日でありますように……。

 などと思いながらベッドから起き上がろうと横を向いたら、もの凄く見知った様な人物が俺の横で寝ていた。どれくらい見知った人物かと言うと、鏡を見る頻度と同じくらいの見知った人物だ。

 

 要するに、俺が寝ていた。

 

 

WTF(どういうことだってばよ)!!!?」

 

 

 俺の喉から飛び出た叫び声によって寝ていた隣人が飛び起き、ハイツアライアンス男子寮に居た全員が何が起きたと言わんばかりに部屋から出て来た。

 

 

 ◆

 

 

「俺は詭弁答弁。一応普通の人間……なんだが、最近はそれすら怪しく感じてきたお年頃。よろしくね!」

 

「お、おう……いや、ほんと詭弁にソックリだな……」

 

「ソックリというか、双子?」

 

「き、詭弁くんが増えるのかぁ……」

 

「おいそりゃどういう意味だいずくちゃん?」

 

 ハイツアライアンス一階談話室。その一角でクラスメイト全員に囲まれている人物が居た。というか俺ソックリの俺じゃない俺……自分で思ってワケ分からんくなってきた。

 

「んにぃ……『幻想郷』『博麗神社』か……聞いた事ないなぁ。モモちゃんは?」

 

「うーん、残念ながら聞いた事ありませんわ」

 

 俺じゃない俺曰く、幻想郷という場所に住む便利屋を営んでいるそうだ。どうやって雄英の敷地内に入ったのかとか聞かれても心当たりは一つしかないとの事。

 

「心当たりあるんじゃねえか」

 

「正確に言えば『心当たりはあるがそれを行う理由が無い』と言ったところか。世界間を渡れる様なトンでもねえ能力を持ったヤツを知っているんだが、ソイツはかなりの()()()()と言うべきか……まあ、ともかくソイツが俺をこんな所に飛ばす理由が無いんだよな」

 

「『世界間を渡る』って……それはまた凄い『個性』だね。ブツブツワープ系の個性?いや、それにしたって一度来た場所か特定の条件を満たさないと瞬間移動出来ないっていうのが普通だ詭弁くんの部屋に予め侵入して寝ている間に違う詭弁くんを飛ばしてきた?それはまずありえない雄英のセキュリティと詭弁くん所の厳重なセキュリティの二つを越える事が出来る筈がないだろうしそもそもハイツアライアンスだって出来たばかりだ侵入する機会なんて早々無い筈ならどんな個性で違う詭弁くんを連れてきたんだブツブツ

 

「おいコイツ急にブツブツ言いだして怖いんだけど!?」

 

「あー……うん。緑谷は時々()()()()けど悪い奴じゃないから……」

 

「まあ……なんだ?お前()も優しい目でいずくちゃんを見てくれよ」

 

「嫌すぎる……ん?つーか、んぃ~……その、なんだ?『個性』って?」

 

「……んぃ?『個性』は『個性』だろ」

 

「言葉の意味は分かるっての。だけど、あ~……緑谷って言ったか?ソイツが『世界間を渡るってまた凄い()()だ』って言ってただろ?なんつーか……まるで『個性』って言葉が、個人が持つ超能力的な意味合いに聞こえるんだが……」

 

「んにぃ。だからそう言ってるだろ」

 

「ケロ。もしかしてだけど、ソッチの詭弁ちゃんが住んでるゲンソウキョウ?には『個性』って言葉が無いんじゃないのかしら?」

 

「マジかよちゅるちゃん」

 

「ちゃんと梅雨ちゃんと呼んで」

 

「そうだなぁ……幻想郷ではその手の能力は大雑把に『~程度の能力』って纏めてるな。自分に出来る事を大雑把に纏めて一言に表すんだ。『空を飛ぶ程度の能力』とか『人を驚かせる程度の能力』とかそんな感じに」

 

「『人を驚かせる程度の能力』って……それはまたどういう能力なんだ?」

 

「知らん。そもそも『~程度の能力』ってのは自己申告制だし」

 

「あ、そ……」

 

 ふ、と談話室の壁に掛けてある時計を見れば、もうすぐで始業の時間だ。やっべのんびりし過ぎた!

 

「という訳で皆早く仕度しないと朝のホームルームに間に合わないぞ!」

 

「げっ!?おい緑谷!いつまでブツブツしてんだ早く行くぞ!」

 

ブツブツ詭弁くんのコピーに全く異なる記憶を―――って、もうこんな時間!?」

 

「んぁ~……俺はどうすれば良いと思う?」

 

 もの凄く間延びした様に聞いてくる俺じゃない俺。俺が知るか……と言いたい所だが、じゃあ誰がどうにかしなきゃいけないとしたらやっぱり適任は俺な訳で。

 

「……とりあえず!1-Aの教室に行ってから考えよう!多分先生に相談しなきゃいけない事だしな!」

 

「人、それを思考停止と言う」

 

「うっせ!とりあえず俺について来い!走るぞ!」

 

「おぉー」

 

 そしてカバンを持ってハイツアライアンスから校舎まで全速力で駆けた……のだが、アイツは俺の全速力に余裕で追いついてこれた。こっそり『個性』を使ってズルしてる俺に、である。どんな鍛え方をしてんだ?

 

「へー君『芦戸三奈』って言うんだ。じゃあ三奈ちゃんだね!ところで三奈ちゃんスカートに埃ついてるよ取ってあげるね!」

 

「ちょっ!!?埃は良いけどスカート捲る必要無いよね!?」

 

「何言ってんの埃落とすときに誤ってスカート破けちゃうかもでしょ!だから丁寧にスカートを手元に寄せるのは非常に合理的な方法と言わざるをえない!そのついでにパンツ見えるかも知れないけど誤差だよ誤差!!!」

 

「それは誤差って言わないし!!!詭弁!ちょ、詭弁何とかしてよー!!!」

 

 ましてや同じように全速力で走ってるクラスメイトにちょっかいを出すまでに余裕であった。マジでどんな鍛え方をしてんだ。

 

「『麗日お茶子』ね、じゃあお茶子ちゃんだ!お茶子ちゃんは凄い恵体だねぇ思わず触りたくなる程に!」

 

「触りたくなる程に言うかおもくそ触っとるやん!!?止めぇや!!!」

 

「すげぇ制服浮いてる!?『葉隠透』だから透ちゃんね!やっぱインビシブルおっぱいも下着着けてないの?」

 

「どういう意味それ!?着けてるよ!!あっちょ、触って確認取ろうとするなー!!?」

 

「『蛙吹梅雨』で梅雨ちゃんね!太ももムチムチかよ大丈夫割れたりしない?」

 

「触るのはダメよ。……貴方はちゃんと梅雨ちゃんと言えるのね、ケロ」

 

「『爆豪勝己』でかっちゃんね!制服のサイズ合って無いんじゃない?採寸し直してあげようか?」

 

「ウルセエ近づくとブッ殺す!!!」

 

「『八百万百』で百ちゃんか!大丈夫そのおっぱい重く―――」

 

「モモちゃんにセクハラしたら殺す」

 

「アッハイ」

 

「詭弁さん……」

 

 

 

「ウチは?」

 

 

 

 そうこうしてる内に教室へ到着。ミッチーが血涙流していたが無視だ無視。全員が着席した直後に予鈴が鳴り、その後に相澤先生が教室に入ってくる。

 

「はい皆おは―――」

 

 教卓に座ってる俺じゃない俺と目が合う相澤先生。

 

「……詭弁。予鈴は鳴ってるんだふざけてないでさっさと席に着け」

 

「だって俺の席空いてないんだモン!」

 

「ああ?お前の席はそこ―――」

 

 相澤先生が指差した先には着席してる俺。

 相澤先生が教卓に座る俺じゃない俺と俺を交互に見る。そして直後に目薬をさした。

 

「…………説明しろ、詭弁」

 

「俺も詭弁です先生!」

 

「「お前は黙ってろ」」

 

 相澤先生が俺じゃない俺を睨み付けながら俺に話を促す。俺は俺じゃない俺の境遇を掻い摘んで話した。何言ってるかよく分からねえと思うが俺も何言ってるか分からん。

 相澤先生が俺じゃない俺を睨みながらも頭痛を抑える様に片手を額に当てた。

 

「つまりお前は『違う世界から来た詭弁答弁』と言う事か?」

 

「より正確に言えば『滅茶苦茶離れた違う世界から来た詭弁答弁』と言う事になるのかな?」

 

 なんせ『違う世界』程度の距離なら幻想郷じゃよくある事だしなぁ~と呑気に言う俺じゃない俺。どんな魔境なんだそこは……。

 そんな事が有り得るのか?と問われれば……まあ『有り得ない、なんて有り得ない』と返すしかない。世界は広いからそういう『個性』があっても、まあおかしくは無い。おかしくはないけども。

 

「まあともかく、そういう訳で行く当ても無いし暫くはこの世界の俺に厄介になろうかと」

 

「……」

 

 相澤先生は何かを考えているのか、何も反応を返さない。ただへらりと笑っている俺じゃない俺を睨み続けているだけだ。

 

「……お前は、元の世界に帰ろうとは思わないのか?」

 

「思うさ。俺が生きる場所は、この世界(此処)じゃない。ンでも、帰るタイミングはきっと()()()()()。慌てる必要も無い。今は機を待つ時だからな」

 

「……」

 

 その言葉を聞いてか、相澤先生は俺じゃない俺を睨み付けるのを止めたようだ。だが警戒自体は続けている。

 

「お前の事については一旦置いておこう、後で職員室に連れていく」

 

「んぃ」

 

「返事は『はい』だ」

 

「お生憎、コッチの世界の俺にとって貴方は先生かもしれないけど()にとっちゃ小汚いオッサンなんだよなぁ」

 

 ニヤニヤと笑う俺じゃない俺。なんだアイツ性格悪いな、小汚いオッサンって。

 

「(そりゃお前に比べれば相澤先生は小汚く見えるだろうよ……)」

 

「(な、なんなんだアイツ。相澤先生の眼光に怯んでねえのか?)」

 

「(おい、どうにかしろ詭弁)」

 

 んなぁんか無言の圧力感じますねぇ。俺にどうしろっての……。

 そんなこんなでなんとか無事にホームルームの時間が過ぎ、俺じゃない俺は相澤先生の捕縛布に縛られて引き摺られていった。なんだったんだ……。

 

 

 ◆

 

 

 そうして俺じゃない俺が戻らず、何やかんや授業が進んで昼休憩も過ぎ、午後の授業。今日は午後一でヒーロー基礎学だ。

 

「えー……と言う訳でね、はい。今日のヒーロー基礎学始めたいと思うんだけどね」

 

「ドーモ。1-Aノ皆=サン。臨時教師のマスクドニンジャです」

 

「「「 360度何処から見ても詭弁だコイツ!!!? 」」」

 

「アイサツを返さないなんてスゴイ・シツレイ!」

 

 その時クラス全員の心がシンクロしたと思う。

 何故なら俺達の目の前には変なマスクをした俺じゃない俺がオールマイト先生の横に立ってお辞儀していたからだ。お前戻って来ないと思ったら何を……。

 

「まあ冗談はさておき。なんで俺がこうして教師の真似事をしてるのか、気になる奴の方が多いだろう。ちなみに俺としてはお前達の恰好の方がめっちゃ気になるんだけど……えっ?何なのその姿?女子とかそれもう存在がセック―――」

 

ん”ん”っ!幻想くん、授業時間は限られてるんだから余計なおしゃべりは禁物だからね!手短に言えば根津校長直々の御指名によって幻想くん――幻想郷からやってきた詭弁少年、の衣食住を保証する代わりに雄英の臨時教師としての仕事を与えたと言う訳だ!」

 

「呼ぶとき、コッチの世界の俺とごっちゃになると困るべ?だからこれからは俺の事は『幻想郷育ちの詭弁さん』を縮めて幻想さんと呼びたまへ」

 

「アイツ教師の立場になったら急に偉そうに」

 

「ちなみに俺はコッチの世界の俺と同年齢という事が判明したわけだけど、俺は既に労働しているという点でもってお前らより偉い訳だからそこの所ヨロシク。()()()()()()()()()()()()って訳だな」

 

 色々突っ込みたい所もあるんだが……まあ、おいとく。

 今俺達が居る場所は雄英のトレーニング施設の一つ、入試試験で使われた様なビル群の中ではなく町と言うより村と表現するのが正しいような大自然に囲まれた様な家々が並ぶ仮想戦闘空間だ。

 人里みてぇだなー、と呑気な様子の俺じゃない俺……幻想くん。

 

「えー……オールマイト先生。それでオレ達は何を……」

 

「うん、ズバリ!君達全員には、これから幻想くんを仮想ヴィランと思って戦ってもらう!如何に周囲に被害を出さずに幻想くんを倒せるかの訓練だ!!」

 

「え、えぇ……幻想くんを仮想ヴィランと思ってって……いや、まあセクハラ魔だしそこは良いとして……一応、別の世界から来たとはいえ詭弁が相手なんだろ?大丈夫なのか?」

 

「何の心配をしてんのか分からんけど……あー……誰だっけ?」

 

「切島だよ!自己紹介しただろ!!」

 

「あーうん、それはホントゴメン。とにかく、まあお前達が何の心配をしてるのか正確には分からんが、大方()()()()()()()()って所か?あー良い良い、言葉に出さんでもその表情でよぉ~く分かった……あー、百ちゃん?確か『個性』で色んなもの作れるって言ってたね。なんか鋭い刃物を出してくれる?」

 

「え?ええ……はい、どうぞ」

 

 そう言ってモモちゃんはペティナイフを創造し、持ち手の方を幻想くんに向けて渡した。

 

「まず、俺が怪我する事を心配するのは()()だと先に言っておこう」

 

 そう言って幻想くんは右手に持ったペティナイフを左手に向けて―――!!!??

 

「ひっ!!!?」

 

「ちょ!?バカ野郎!!!」

 

 その前動作を見て幻想くんを止めようとクラスメイト全員が駆け寄る……が、それよりも早くその手に持ったペティナイフが左手に振り下ろされ、ペティナイフが粉々に砕け散った。

 

「「「 ……は? 」」」

 

「と、まあこの通り俺の皮膚はヘボ金属なんかより遥かに硬い訳だ。俺に血を流させたければそうだなぁ……妖夢ちゃんくらいの剣の達人なら可能かな?」

 

 妖夢ちゃんって誰だよ……

 再びクラス全員の心がシンクロした。

 

「防御面はこれで良いな?んで次だが……『アレを見ろ!!!』『二重結界』

 

 そう言って幻想くんが指差した方向を見る。何もない。

 視線を戻すと……オールマイト先生しか居ない。

 

「「「 なっ!!? 」」」

 

「っ、後ろだ皆!!」

 

 障子目蔵(めっちゃん)の声に反応して振り向いた先にはドヤ顔ダブルピースしている幻想くんが居た。

 

「このように一瞬で20人近くの人数を振り切る速度を持ってる。あ~言いたくないけどなぁ~、言いたくないけど言わなきゃいけないんだよなぁ~俺教師だしなぁ~!ハッキリ言ってお前らくらいなら何人相手でもめちゃくそ余裕だって言いたくないんだけどなぁ~!!!」

 

「言っとる!やろがい!」

 

 成程、コイツは敵だ。だが、間違いなく()()()()()だ。それは俺であって俺ではないという意味と、俺とは全く違う強さを持っているという意味。

 オールマイト先生がパンパンと手を打って注目を集める。

 

「はいはい皆注目!正直私も『別の世界から来た』と言われても信用してなかったけど、彼の強さを見たら納得出来た。相澤くんに彼を預けられた時はどうしたものかと思ったし、その後で聞いた彼の半生もまだ半信半疑なんだけど……ともかく、君達と比べても……否!世界中のヒーローと比べても彼の強さは規格外だ!彼の居た世界ではこれでもまだ弱い方とか何の冗談なのか……

 

「オールマイトせんせ、話は手短にって自分で言ったべ?」

 

「おっとそうだった。とにかく今日のヒーロー基礎学は『自分より遥かに強い相手にチームでどう立ち回るか』!!今から5分間!彼はこの訓練場内の何処かに姿を消し、キミ達を待つ!全身全霊で彼を捕獲し、この檻の中に入れる事がキミ達の勝利条件だ!ヴィランを確保しても、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!」

 

「自信のあるヤツは俺に真っすぐ向かって来るといい!忘れるなよ、()()()()()()()()()()()()()()()!!!」

 

 ふはははははは!!!と高笑いしながらもの凄い速さで村を抜け、森の中へ入っていった。……まだ高笑いが聞こえるし。

 

「クラス全員対一人……か、まるで雄英ビック3の時みたいだね」

 

「あの時より状況はヒデェぞ。何なんだアイツのアレは……オレとダダ被りじゃねえか……」

 

「違う。切島くんと一緒じゃない、と思う……」

 

「どういう事だよ緑谷」

 

「切島くんの『硬化』は、発動すれば見た目に変化が出る。でも、幻想くんのアレは一切変化が無かった。まるで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()みたいに!」

 

「それってつまり……『個性』発動してない()()をついて、ってな事ができねぇってことか!?」

 

「多分……でも、どんな『個性』でも()()()()()()()()()()()!」

 

 流石我等がいずくちゃん。しっかり相手を『視る』事にかけて右に出る者は無いんじゃないか?

 

「それにあの()()も厄介だ。あんな一瞬で僕たち全員の後ろをとるなんて、絶対に()()がある筈なんだ!」

 

「……それなんだが緑谷。恐らくヤツは『瞬間移動』が出来ると思う」

 

 障子目蔵(めっちゃん)の言葉に顔を上げるいずくちゃん。

 

「っ!本当!?どうして!?」

 

「ああ、アイツが『アレを見ろ』と言った直後、本当に小さな声だったが間違いなく『にじゅうけっかい』と言っていた」

 

「それに加えて恐らく……ですが、彼……幻想さん、は詭弁さんよりも声の『個性』は弱いと感じましたわ。あの時の『アレを見ろ』との言葉には詭弁さんの『個性』と同じような感覚を覚えましたが、私は抵抗出来ましたもの。恐らく同じように抵抗出来た方が他にもいらっしゃるのでは?」

 

 モモちゃんがそう言って周りを見渡せば、『パッと消えるのを見たよ!』だの『アレを見ろで視線誘導するのはある意味使い古された手だしな……』だの言ってる奴も居た。使い古された手に引っかかってる人も居るんですのよ!

 

「で、でもよぉ……オールマイトが『世界中のヒーローと比べても規格外』だって言ってたし、『防御』『速度』以上にも『攻撃』だって相応のモンを持ってるんじゃないのか!?」

 

「確かに……『硬い』『速い』だけなら『世界中のヒーローと比べても規格外』なんて言わないか……」

 

 峰田実(ミッチー)の言葉に再び顔を地面に向けて考え込むいずくちゃん。

 

「んにぃ……規格外ってンなら攻撃力はオールマイト級と見積もっておいた方が良いかねぇ……」

 

 ……ん?そういえばオールマイト先生、()()()()()()()()()()()()()

 

「ま、それが無難っちゃ無難か」

 

「だけどどうやって攻略すんだ?防御力は切島以上、速さは飯田以上、更に攻撃力もオールマイト並?本当にアイツ俺らと同い年かよ!」

 

「というか本当に同じ『詭弁』なの?」

 

「うるしぇー。()()()の詭弁君はヘナチョコで悪かったなぁ!」

 

「いや誰もそこまでは……」

 

「……防御力も、移動速度も、確かに凄いよ。あの詭弁くん……いや、幻想くんは。でも、勝ち目が無いわけじゃない!」

 

 そう言って、いずくちゃんは燃える様な輝きを灯した眼を前に向ける。

 

 

「勝利の鍵は……詭弁くん!君だ!!」

 

 

「……俺?」

 

 

 そうして、オールマイトの声によって俺らA組VS仮想ヴィラン幻想くんとの戦いの火蓋が切られた。




つづく!

さて、A組の皆はどうやって幻想くんに勝利を収めるのでしょうか。
あっ、次回の更新はちゃんと早くしますので……ほんと、よろしー。

これってクロスオーバー扱いなのかしら……


詭弁ですよ!霊夢ちゃん未読の方向け

詭弁くん(幻想郷の姿)のスペック
・霊力、魔力、気力といったいわゆる不思議パワーを持ち、自在に扱える。
・仙果と呼ばれる果物を大量に食べ、肉体スペックが人外染みている。
・それでも一応人間にカテゴライズされてます。
・なんか増える(ヤバイ)
・超強くなれる(ヤバイ)

妖夢ちゃん
・超強い二刀流の()()。だが半人前。原作主人公を押さえ人気一位。
・か わ い い (超重要)


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お正月特別編・異世界からコンニチワ!君の名は?『詭弁答弁です!』私達、入れ替わってぇ~ないッ!

前回のあらすじ

 おっす、オラ詭弁!
 なんか知んねえけど、目が覚めたら全くちげぇ世界に来ちまったみてぇだ!
 最初は噂に名高けェ『外の世界』かと思ったけど、どうやら此処は幻想郷以上に『個性的な人間』が居る世界みてぇだな!オラなんかワァクワクすっぞぉ!
 しかもオラと同年代の可愛い女の子達がいっぺぇ居るってんだから、オラぶったまげたぞぉ!

 ま、不満な点としては皆()()()()()()にゾッコンな事とあんまり度が過ぎたセクハラはケーサツに通報される事かな。NTRモノは趣味じゃないし、パンツひん剥いてぶん殴られてたあの頃が懐かしいぜHAHAHA!


 八雲紫ィ~!!!早く来てくれェ~!!!


「しっかしマジでこの辺とか人里周辺ソックリだな……本当に別の世界なのか?」

 

 小さな村から離れた位置の森の中を軽く散策している、幻想くん(幻想郷からやってきた詭弁)。呑気なモノだが、彼はヒーロー科A組を舐めている訳でも自信過剰になっている訳でも無い。

 ただ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけで、それが正当な評価だからだ。

 確かに彼らは皆強いだろう。自ら進んで荒事に対峙する事を選びヒーロー科に入り、キツイと評判の雄英の授業で今日まで脱落者無しで生き残ってきた猛者達。弱い訳が無い。

 ()()()()()()()。命のやり取りを日常とし、週に一度死にかけるくらいに『死』と隣り合わせの生活を長年続けてきた幻想くんにとっては20人を超えるとは言え()()()()に負ける程弱くは無い。

 

 ……ただ幻想くんにとって唯一の誤算は、この世界には『個性』と呼ばれる超常の力があった事だ。

 

 突如、森がざわめきだした。

 

「……んぃ?なんか騒がし―――」

 

 彼の言葉が終わるより早く、空から鳥の大群が押し寄せてきた。

 

 

どういうことだってばよ(WTF)!!?」

 

 

 奇しくも今朝、この世界の詭弁が叫んだことと同じような事が口から飛び出す幻想くん。

 奇声を上げながら鳥の大群に襲われ、隙だらけな身体を晒す。其処に高速で半透明の何かが飛んできて、幻想くんの身体に巻きついた。

 

「今ッ!」

 

「食らえ!導電接触100万V(どうでんせっしょく100まんボルト)ッ!!」

 

 瀬呂の『テープ』によって捕捉された幻想くんに向けて、上鳴の『帯電』による逃れられない電撃が流れ込む。幻想くんを襲ってた鳥の大群は既に退却していた。

 

「はっはぁー!幾ら皮膚が硬かろうとも電撃まで通さないって訳にも行かねえだろ!!!」

 

 ……彼等の誤算は、幻想くんが()()()()()()()()()()()()()()()()()()から来たという事だった。

 

「ん”んんんんッ!!!」

 

「へっ?―――のわぁッ!!?」

 

 幻想くんは身体に流れる電撃を意に介さず、身体に巻き付いたテープを掴み引っ張り上げる事で反対側を掴んでいた上鳴を一本釣り。飛んでくる上鳴をそのまま片手で掴み上げてしまう。

 

「ッッッ!?(コイツ、どんなパワーしてやがる!?)」

 

「刃物も通さない皮膚が、弱い電撃程度弾かねえ訳ねえだろ!!」

 

「いやその理屈はおかしい!!!!」

 

 そして『本物の電撃を見せてやる』と、()()を練り上げる幻想くん。

 

「『電撃破(エクスプラズマ)』!!!」

 

 バヂィン!!と電気災害が起きた様な異音が森の中に鳴り響き、その直後上鳴は地面に倒れ込んだ。

 

「「 上鳴(くん)!! 」」

 

「うぇ……うぇ~い……」

 

 地面に倒れながら握り拳を作り、親指を天に向けて突き出している。俗に言う『脳がショートしアホになっている』状態だ。誰がどう見ても継戦不可能。その光景を見ていた全員が衝撃を受けていた。

 

「な、何だコイツ……急に顔がスゲェアホっぽくなった……」

 

 その状態を初めて見る幻想くんも衝撃を受けていた。

 

「(上鳴くんの『個性』は()()()()()()()()()()()()()()()()()()のに……それを越えてきた!?)」

 

「どうした?作戦はもう終わりなのか?……じゃあ今度はコッチから行くぞー」

 

「ッチ!」

 

 地面に倒れている上鳴を跨ぐように一歩踏み出した幻想くんを警戒し、轟が『個性』の氷を使って足止め&上鳴の救出を狙う。詭弁の『応援』によって細やかな操作も可能となり、それらを同時に行えるだけの器用さを得ていた。

 そして地面ごと脚を凍らす事で幻想くんの拘束と上鳴の救出を見事に両立させた。

 

 させたのだが。

 

「うへぇ……ほぼノータイムで氷出すとか実質チルノじゃねえか」

 

 バキバキッ!!と脚に纏わりつく氷を砕きつつ、意に介さずに進む幻想くんを見て生半可な拘束は無意味と判断。今度はその全身を氷漬けにする……どころか、周囲の森ごと凍らせる様な大規模氷結によって完全に拘束する。

 

「と、轟!?流石にやり過ぎだろお前!?」

 

「……脚が凍ってるのに無理矢理動かしゃ、()()()脚ごと砕ける……なのにアイツは一切そんな素振りを見せなかった!」

 

「って事は、轟の氷まで実質無効してんのか!?」

 

「ああ……だが流石に全身凍らせれば―――ッ!!?」

 

 周囲の森ごと凍らせる様な大規模氷結によって一時的に拘束されていた幻想くん。だが、それは本当に()()()でしか無かった。

 氷を()()()()()此方へ向かって来るのを、透明な氷越しに見ているという光景。それは一体どれだけの『絶望』が押し寄せてくるのだろうか。

 

「まじかよ……まじかよぉ……あんなんに勝てる訳ねえじゃねえかぁ……」

 

 クラス一身長の低い男は震えながら掠れた声を上げる。それはヒーローの卵としては情けないようにも思えるが、その実この場に居る殆どの人間の心情を代弁している言葉だった。

 

 ピシッ!パキバキ……

 

「『熱人拳(ヒートハンド)』!!!」

 

 バァン!!

 

 そうして、山と見間違えんばかりに巨大な氷を真っ二つに割り裂いた男は、両手から蒸気を噴出しながらA組の前に立った。

 

「チッ、炎のエレメンタルさえあればもっと早く脱出出来たんだがな……」

 

 彼は未だに全力ではない。本気ですらない。全力も、本気も、それを引き出す為の()()を全て自分の家(幻想郷)に置いてきてしまった為に、()()()()()の力しか振るえない。

 だが、彼の身体に蓄積された力、経験、意思。それらは例え身一つで異世界に放り出されても消える事は無い。

 ()()

 

「さあどうした勇者達(ヒーロー)!!!()()()()()()()()ぐらい踏み越えてみせろォ!!!」

 

 此方の世界の詭弁では到底出来ない様な()()()()()()を前に。

 

 ()()()()()()を前に。

 

 一体どれだけの人間が膝を屈さずに居られるだろうか。

 

 

 

 直後、爆発音が森の中に鳴り響く。

 

「ッッッらあああああ!!!!」

 

 ()()()()()。爆発力を推進力に変えて繰り出される一撃は、学友にとって割と見慣れた一撃。だが対峙する幻想くんにとっては初めての一撃。その一撃が幻想くんの胴体に直撃―――

 

 スカッ

 

 する寸前に避けられ、カウンター気味に鋭い一撃が爆豪の胴体に入る。

 

「中々腰の入った良い攻撃だ。速さも申し分ない。そうだなぁ……今の不意打ちなら大抵の妖怪をノックアウト出来るんじゃないか?」

 

 まあ俺には当たらんけど。という意味を言外に伝える。

 

 もにもに

 

「揉むなボケカス死ねァ!!!」

 

「いやこんなピチピチスーツ+爆乳とか逆に揉まない方が失礼ゥぼはッ!!

 

 ワキワキと爆豪*1の胸を弄り、ピッチリヒーローコスチュームの上から遺伝的爆乳を揉んでいた幻想くんに超至近距離爆撃が顔面に炸裂。そのコスチュームの籠手に溜まった汗も全開放する徹底具合。

 普通の人間相手なら顔面の皮が吹き飛ぶどころか首ごと粉々になっていてもおかしくない筈の一撃なのだが、幻想くんが着けていた仮面が吹き飛び鼻から血を流す程度のダメージしか負っていない。

 

「ぐっ……顔面に容赦なく叩き込んでくる一撃……懐かしいぜ、幻想郷じゃ顔陥没くらいまでは茶飯事だしな……」

 

「いやどんな修羅の国ィ!!?」

 

 『前がみえねェ』くらいならよくある事という幻想郷こわ……と戦慄するが、訓練が始まって以来の初大ダメージである。足元がふらついている所を全員で囲んで叩く。

 

「麗日さん!!」

 

「おっしゃ!」

 

「援護するぜ麗日!」

 

「応援は任せろー!」

 

「ナイフが刺さらないなら銃撃ですわ!」

 

「モモちゃんのその思い切りの良さが怖いッ!」

 

 麗日に続いて切島、尾白、飯田が幻想くんを囲むように移動しながら各々攻撃を繰り出し、彼等の隙間を縫うように拳銃をぶっ放す八百万。更に声を張り上げる事で味方全体の強化を図る詭弁。

 人一人に対して過剰と言える程の戦力で襲い掛かる。

 

「まず一人目ッ!」

 

 正面に立った切島は、最も危険な位置に居ると言えよう。現に幻想くんの容赦ない一撃がその顔面に高速で迫りくる。

 

「『砕けるなッ!折れるなッ!お前は最強の盾で、最硬の壁だ!!!』」

 

「『安無嶺過武瑠(あんぶれいかぶる)』!!!」

 

 詭弁の応援により最硬を超えた最強の『盾』。それは鋼鉄のナイフすら砕く幻想くんの皮膚を優に超えていた。

 突き出された拳を砕くように突き返す()の拳は、幻想くんの皮膚を貫き拳を砕いた。

 

「ッッッ()ぇぇぇぇぇ!!!?」

 

「『レシプロ―――

 

 拳を返され、大きく仰け反った幻想くんの頭部に向けて超速の()()脚が振りかぶられる。

 

「『速さは重さ!重さは威力!クラス最速にして最強の力を解き放て!!!』」

 

―――エクステンド!!!』」

 

「ッガああッ!!!?」

 

 鍛え上げられた筋力に加算する形で与えられた『個性』による超加速の一撃は辛うじて反応して防がれたものの、防御に使った左腕ごと幻想くんの頭部を蹴り抜いて大きく体勢を崩した。

 そして崩れた体勢は……武闘家にとってはカモ同然だ。

 

「『鍛え上げた時間はクラス随一!筋力=破壊力を見せてみろ!!!』」

 

『尾拳・"沼田打破撃"』

 

 人間の身体を余裕で支えられる程の筋力から放たれる一点集中の突き技が無防備に倒れ込む幻想くんの身体に突き刺さり、確かな手ごたえと共に幻想くんの身体が吹き飛ぶ。

 だが、まだ幻想くんの目は死んではいない。吹き飛んだ先に着地した瞬間にA組を狩りに行くだろう。

 

G・M・A(ガンヘッド・マーシャル・アーツ)

 

 ここで、確実に仕留める。

 言葉に出さないまでも、その身に携える()()でもって宣言する。

 

 

 女の敵はブッ○す

 

 

『断頭崩拳』ッ!!!

 

 飛んでくる幻想くんの頭部を拳と地面で挟むように抉り込んで撃ち込む。まるで頭部が粉々に砕けたかと錯覚する程に地面が抉れ飛び、その中心に沈む幻想くん。

 

「……はっ!?や、やりすぎてもーた!?ちょ、詭弁くんがめっちゃ応援するからぁ!!!」

 

「ヘイ待って麗かガール。俺ちゃこちゃんには『応援』してねェんすけど」

 

「俺麗日だけはキレさせないようにしよ……」

 

「同感……」

 

「というかアレを直撃して生きているのか幻想くんは!?」

 

 一応辛うじて生きているらしい幻想くんを、八百万が『創造』して作ったタングステン合金製のワイヤーロープでもって雁字搦めにして拘束。更にその上から瀬呂のテープと轟の氷で厳重に拘束した。

 

「ふぅ~……マジで一時はどうなるかと思ったぜ……」

 

「結局オレら全然活躍してねえなぁ……」

 

「しゃーないしゃーない。そもそも21対1ってのが無理あったんだ。取り合えず後はコイツをオールマイト先生ん所の檻にぶち込んで……それとカッちゃんの胸の感触を聞くか」

 

「聞くなボケェ!!!」

 

 

 

 

 

「そうだよなぁ、確かに21対1ってのは無理があったわ。だから……今度は21対3ってのはどうだ?」

 

 

 

 

 

 その声がクラス全員の耳に届いた直後、幻想くんを運んでいた砂糖、芦戸、蛙吹、葉隠の四人が吹っ飛んだ。

 

「ぐはぁッ!?」

 

「いたーッ!!」

 

「ケロッ!?」

 

「きゃぁぁ!?あっ、詭弁っ!?ごめっ……いや、ちょ!?」

 

 吹っ飛んだ葉隠の下敷きになった詭弁が実質全裸の感触をモチモチしてると、気絶した筈の幻想くんが宙に浮きあがって雁字搦めの拘束を一つ一つ砕いていった。

 

「う、う、嘘だろ……!!?」

 

「ああ、正直悪かったと思ってるよ。ぶっちゃけここまでやるなんて思いもしなかった。褒めてやる」

 

 物理的にも上から目線の言葉に対し、返答を出来るだけの()()はA組の誰も持たなかった。

 何故なら……幻想くんの身体から、()()()()()()が更に二人現れたからだ。

 

「ハローハローこんにちわー!俺の名前は《陽》!」

 

「そして俺の名は《陰》。以後良しなに」

 

「そして俺が本体の詭弁さん……って、あー、俺のそっくりさんがこの場に4人か。ややこしいことこの上ねえなぁ」

 

 『回復術(ヒール)』と一言唱えると、あれだけ頭からドクドク流れていた血が止まり元の姿に戻った。

 

「ンな……ゲームみたいな回復とかアリかよ……!」

 

「言っただろ?()()()()()()()()()()()()()。この世界的に言ったら、俺はまあ非常識な人間だろう。()()()()()()?この世界にも薄くだが『魔力』がある。呼吸すれば『気力』を得られる。魂を燃やして『霊力』を扱える。それらを扱える『技術』が俺にはある。さあ第二ラウンドだ、楽しく行こうぜ!!」

 

 《陽》と名乗った『騒霊』は空高く飛びあがり、()()()()()()()()()()を大量に放ってくる。

 《陰》と名乗った『亡霊』は片手に()()()()()()()()()()()()()()()を、反対の手には無双ゲームの武将が持ってそうな程の()()()()()()()を持って暴れ始める。

 そして本体を名乗った『人間』は……

 

「ははははは!授業の時間はまだまだ長いんだ。()()()()()()()()を教えてやるよ!!!」

 

 懐から一枚のカードを取り出し、見せつけるように掲げた。

 

「さあ、手加減してやるから全力で掛かってきなァ!!!」

 

戯曲『捻くれ詐欺師の舞台演目』

 

 『人間』の指先から大量の魔法糸が飛び出し、その辺に落ちている石、枝葉、岩、樹木をぶっこ抜いて振り回す。

 

「うわあああああ!!!?」

 

 楽園式の遊びには()()が付き物である。

 ヒーローの卵達は脱落者無しに乗り切る事が出来るだろうか。

 

 

 授業の時間は、まだまだ長い。

 

 

*1
ずっと性転換しっぱなし





森の方角< ウワァァァ! キャァァァ!

オールマイト「皆楽しそうで何より!ヨシッ!」


もうちょっとだけつづく!!!


詭弁ですよ!霊夢ちゃん未読の方向け

詭弁くん(幻想郷の姿)のスペック
・霊力、魔力、気力といったいわゆる不思議パワーを持ち、自在に扱える。
・仙果と呼ばれる果物を大量に食べ、肉体スペックが人外染みている。
・それでも一応人間にカテゴライズされてます。
・なんか増える(ヤバイ) → 自身の魂を三分割し、一つに《陽》、一つに《陰》と名付けた。それぞれの魂で得意分野が若干違う。
・超強くなれる(ヤバイ)


詭弁ですよ!霊夢ちゃん既読の方向け

・陽輝棒無しでも分身する事が出来る詭弁だが、陽輝棒がある時程《陰》も《陽》も強くない。


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お正月特別編・異世界からコンニチワ!ぶっちゃけタイトルのネタ切れ気味なんだよねユルシテ!

前回のあらすじ

 おっす、オラ詭弁!
 なんか知んねぇけど、違う世界から来たオラそっくりな奴と戦う事になっちまったみてぇだ!
 しかもオラそっくりなくせに滅茶苦茶に強ぇし、硬ぇし、その上分身するわ回復技使うわ空飛ぶわでオラぶったまげたぞぉ!

 ぶっちゃけ無理ゲー臭くね……?
 い、いや!戦うのは俺だけじゃねえ、俺以上に頼りになるクラスメイト20人が揃ってんだ!増えようが空飛ぼうがどうって事ねえ!全員でアイツに勝って、生き残るんだ!
授業の時間もまだある!無敵の『個性』が無いように、アイツを攻略できる糸口がある筈だ!


次回『詭弁 死す』デュエルスタンバイ!


「ははははは!!!どしたどーしたぁ!!!その程度の()()で俺を撃ち落とそうなんざ百年早いぞォ!!!!」

 

「宙に浮くなんてモンじゃない……空を、()()()()()()()()()ヤツにどうやって攻撃当てろってんだよ!!」

 

「口動かしてる暇があるなら手を動かしてください瀬呂さん!!『八百万回転機関銃(ヤオヨロズガトリング)』!!!」

 

「はあっ……はあっ……うおおおおおお!『シュガーラッシュ・キャノン』!!」

 

「ふぐっ……『ネビルビュッフェ☆レーザー』!!」

 

「おらおらおらぁ!!!お前等が10の弾幕を張る間に俺は100の弾幕を張れるぞ!!一方的なゲームじゃつまらねえなぁ!!」

 

 絶対的優位な空を自由自在に飛び回り、数多もの光弾が地上を這う生徒達に向かっていく。光弾一つ一つは当たっても殴られる程度のダメージしか入らないが、その数は余りにも多すぎた。

 人は早々に死にはしない。だが、人は殴られただけで打ち所が悪ければ死ぬ。一度殴られて死ななくても、殴られ続ければいずれ死ぬ。これはそういう問題であり、光弾が当たった痛みに怯んで蹲ってしまえば容赦のない追撃が襲い掛かるだろう。

 無論、地に這う生徒達も黙ってやられ続ける訳ではない。『個性』を使い、空を自在に飛び回る男を拘束しようとする者。兵器を『創造』し、撃ち落とそうとする者。その怪力で地面に転がっている岩や、弾幕が当たって折れた木を投げて牽制する者。腹から異音を鳴らしながら光線を出して応戦する者。皆が未だ膝を折らず、宙を舞う『騒霊』に戦意を向けている。

 だが人数差に比べて、その戦力差は余りにも大きすぎる。大量の光弾を放ちつつ、生徒達の攻撃を意識的にかすり避け(グレイズ)するくらいに余裕のある『騒霊』を倒すには、まだ遠かった。

 

 

 

「足りない……力も、速さも、何もかもが!!!」

 

「ごはぁッ!!?」

 

「切島君!?無事か!!?」

 

「だ……ぃじょおぶ……だぁ!!!ぐっ、くそ……なんなんだあの馬鹿力!?オレの『硬化』ごとブチ破ってきやがった!!」

 

「ケロッ、不用意に近づくのはとても危険ね……!」

 

「くっ、黒影(ダークシャドウ)!」

 

『ウオオオオ!!!』

 

「『アシッドショット』!」

 

「うわああああ!『GRAPE RUSH(グレープラッシュ)』!」

 

「『穿天氷壁』!」

 

「『巨人乃腕』」

 

 その手に持った巨大な金属の塊の様な剣を振り下ろす()()で、『個性』による攻撃全てを地面ごと塵にしてしまう程の圧倒的な()()。それはかつてUSJに侵入してきた怪人脳無のようなパワーを想起するが、その()には力だけじゃない()()も兼ね揃えていた。

 その巨大な剣。銘は『巨人の短剣』と言い、長さは《陰》の身長と同程度にしてその重量は優に400㎏を超える。オールマイト二人を片手で持ちあげている様なモノだ。それをまるで木の棒のように気軽に振り回す事で、()()()だけで容易に四肢をもぎ取っていく事は想像に難くない。

 反対の手に持った長大な方天画戟。銘は『気天魔戟』と言い、長さは250cm程度にしてその重量は200㎏近く。『巨人の短剣』よりも軽いとは言えども、その重さは重量挙げの世界記録クラス*1である。なんにせよ片手で持って振り回してよいモノではない。

 勿論それらを振り回せるにはタネがある。その二つとも、彼が元居た世界で作られた『マジックアイテム』であり、()()()()()()()とは異なった法則によってその力を発揮している。

 ……だが、その事実が彼等生徒達に何の慰めになる?現に今、この世界で、彼等の目の前で、圧倒的で理不尽な暴力の体現である『亡霊』に立ち向かっている彼等に。

 近寄る事が出来ない。たったそれだけで人数差による有利なんて消し飛んでいた。

 

 

 

「さあどうしたヒーロー共ォ!!弾幕レベルはHARDどころかNORMALモードだぞ!!」

 

「ッチィ!!?クソがッ!!」

 

「危なッ!?ちょ、嘘ォ!!?」

 

「タッチ!タッチッ!?ダメや!キリがない!!」

 

「くっ……『右』ィ!!『上』ェ!!『被害をそらす』ッ!!!」

 

「『ハートビートドラム』ッ!くっ、次から次へと……!」

 

「『SMASH』!『SMASH』!!くそぉ、際限がない……!」

 

「『小さきもの達よ!森を荒らす不届きものに制裁を下すのです』!」

 

「無駄無駄無駄ァ!!!こちとら生まれた時から田舎っ子よぉ!羽虫が何匹集おうが気にも止まらねぇ!!いや、やっぱキモっ!」

 

 指先に繋がっている糸を操り、糸の先に繋がれている岩や樹木を振り回す。空を飛ぶ『騒霊』や怪力で暴れる『亡霊』よりも()()()()()()()()()()のだが、糸に繋がった岩や樹木を片っ端から粉砕しようにも、粉砕した端から何処からともなく()()されてしまい、無為に体力を削られていく結果に終わる。

 飛び回る障害を縫うように小石や木片を投擲するも、彼自身の()()()にとっては『蚊に食われた』程度のダメージにしかなっていない。

 

 彼ら三人は、意識的か無意識にかは分からないが『三人』という利点を捨て、一切のチームプレーを見せずに各々で暴れまわっているだけだ。

 ただそれだけで、ヒーロー科A組全員が壊滅的状況に陥っている。未だ誰一人とて()()してないのは日々の努力の賜物か、ただの幸運か。

 『騒霊』による弾幕の雨、『亡霊』による暴力の爆撃、『人間』による大自然の嵐、それら全てが広いはずのトレーニング施設を所狭しと破壊していく姿は間違いなくヴィランと呼ぶに相応しく、それらに折れず立ち向かっていく彼らはヒーローと呼ぶに相応しい。

 

「(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!!!!)」

 

 暴乱の嵐の中、なんとか思考を止めずに考え続ける少年が居た。一秒経る毎に誰かの身体に小さな傷が増えていき、反撃することすら出来なくなる程に体力を消耗してしまった者達もまた増えていく。元から有ったのか疑わしい逆転の目は、刻々と消え失せていくのを錯覚した。

 視界の端から岩が飛んで来るのを認識した直後に跳んで避ける。

 地面に映る影が揺らいだのを感知した直後に転がるように飛び込み、その後光弾が降り注ぐ。

 大気が唸る音を耳にした直後に倒れるように伏せ、振るわれた鉄塊による暴風をやり過ごす。

 

「(考える……考える時間が無いッ!!!)」

 

 あらゆる攻撃を直感、経験、山勘で避け続け、とにかく耐え凌ぐしか打つ手が無いことに気が付き、背中に氷のように冷たい絶望が這っているのを錯覚した。

 どれもこれもが『誰かを狙った攻撃』でないが故に、未だに誰も死んでいない。それを理解できないような生徒は誰もいなかった。

 

「(なにか……なにか無いのか!?逆転の一手を……奇跡の一手を……あるいは、()()に繋がる一手を!!!)」

 

 奇跡は、願うだけの者には舞い降りない。縋るだけの者には訪れない。最後まで諦めない者、努力が結ばれるまで延々と続けてきた者、最後の最後に……()()()()()()()()()()()()()()()の元に、舞い降りる。

 

 

 

「うおおおおミッドナイト先生がこんなところで水浴びをしてるぅぅぅぅ!!!!」

 

「「「 (こんな時に何言ってんだこの馬鹿野郎は!!?) 」」」

 

 

 

 それは、A組の中で最も()()()()()()()()()()()()者の声。

 それは、A組の中で最も()()()()()()()者の声。

 それは、A組の中で最も()()()()()()()

 自らを知り尽くすが故に、()()()()()()()()()()()だと気が付いた彼の『声』は、誰しもが求めて止まなかった『奇跡』を引き起こす。

 

「おいおいおい!あのボインボインネーチャンが水浴びしてるって!!?何処!?何処よ!!?何処なのよ!!?」

 

「俺時折コイツが本体だっていうのが恥ずかしいと思うんだけど」

 

「……ノーコメントで」

 

 その声にいの一番に反応した『人間』は操っていた糸を全て投げ捨てて覗きの為にSIGEMI(・・・)にいそいそと隠れ、その姿を見ていた『騒霊』は呆れたように空から降りてきて、『亡霊』は持っていた巨大な武器を地面に一度突き刺した。

 明らかに()()()()()三人を前に、A組全生徒達はその脳みそを全力で回転させた。

 

 

「『スイッチ』!!!」

 

 

 フルスロットルで回りだした生徒達の思考は()の『一言』により束ねられ、強靭な綱の様に()()()()()()()

 声を出さずとも互いの意志疎通を行うアイコンタクトにより、秒も掛からず『三人』に対する振り分けを終えた。

 

 

「『コッチを見ろ』ォォォォォ!!!!!!」

 

 

 詭弁の『覇声』により、思わず声のした方向を()()()()()三人。それが作戦の始まりだった。

 

「『集光屈折ハイチーズ!!』」

 

 一切の前触れなく行われた『目眩まし』に引っ掛かった三人は目を押さえ、無防備な姿を晒してしまう。

 

「とっておきの合わせ技や!『コメットターボ』!!!」

 

「ごォッ、ぐぅぅッ……!!?なっ……()()()()()()()だと!?」

 

 僅かな隙を突くように、飯田の『エンジン』によって強化された()()()から更に跳躍するように『無重力』となった麗日が捨て身の体当たりを《陰》にぶちかまし、その身体を『個性』の制御下に置く。

 

「うぐぉぉぉ……目が痛ぇ……と、とりま飛んで―――」

 

「逃がすかよッ!!峰田ァ!!」

 

「『GRAPE RUSH(グレープラッシュ)』!」

 

「う、ぐ、おおおおおお!!!?」

 

 目が眩み、緊急避難の為に空へ飛び上がろうとしたその瞬間を瀬呂の『テープ』が捕まえ、振り投げられた先に峰田の『もぎもぎ』が大量にくっついた岩によって動きを封じられ、だめ押しとばかりに追加の『もぎもぎ』が投げられる。

 

「おのれ()()()()()()ぇぇぇ!!!よくも騙したなァァァァァ!!!騙してくれたなァァァァァァァ!!!」

 

「騙される方が悪いんじゃバーカバーカ腐り落ちろ!」

 

「いや……うん……今ので騙される方もそうだし、騙そうと思う方も思う方だと……」

 

「『アシッドベール』!()になりそうなものは片っ端から溶かしちゃうもんねー!」

 

 地団駄を踏みながら手に持っていた『スペルカード*2』を投げ捨て、血涙を流す男。

 

 形勢は一気に逆転した。

 空を自在に飛ぶ『騒霊』は飛ぶ術を奪われた。怪力でもって大暴れしていた『亡霊』は宙に浮いて怪力を十全に発揮出来なくなった。自然を絡繰る『人間』は自らその糸を捨て、尚且つ辺りに武器になるだけの物は残っていなかった。

 各々が巻き起こしていた大災害を()()()()()()理由が消え、後は時間をかけて制圧していくだけ…………()()()()()()()

 

()()()()のは好きではないのだがな……」

 

「『岩に張り付けただけ』で拘束できると思うなよ!」

 

「怪異を祓い続けてきた人間の進歩は、この程度で立ち止まりはしない!」

 

 ふわ……と、風に舞う木の葉のような動きでもってその手に持った『巨人の短剣』を大気に叩きつける《陰》。

 ()()()()()()()()()()浮き上がり、意地でもって光弾を放つ《陽》。

 全身から()()()()()()()を立ち上らせ、気迫で辺りを吹き飛ばす幻想くん。

 A組が待ち望み、願い、紡いだ奇跡でおきた逆転劇は再び容易くひっくり返ってしまった。

 その光景を見て、揺らいでしまった。挫けそうになってしまった。屈しそうになってしまった。届かない遥か先を見て、砕けそうになってしまった。

 

 だが、それも無理はない。

 彼らは……否、幻想くんは魑魅魍魎が跋扈する世界で常に難易度Lunatic。息をするように地雷原でタップダンスをし続け、死線を超えた先で踊り遊ぶような人生を送ってきた。

 この()()は、もはや勝ち負けを競うものでは無い。彼等A組は如何にして幻想くんの()()をどれだけ引き出せるかという勝負になっていた。戦ってきた時間が違うのだ。命を張り続けてきた年季が違うのだ。命を懸ける覚悟が違うのだ。

 ()()()()()()()()()()()という矛盾の中に身を沈めてきた彼の本気に勝てる者は、この世界においては()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()において他にない。故に。

 

 彼等A組21人。全員の()()()を煮詰め混ぜ合わせても―――

 

 

―――()一人の()()()の濃度に届かない。

 

 もはやこれは勝負の体を成していない。勝ちと負けが既に決まっているのだから。

 敗者は、どれだけ勝者から何かを引き出せるか。法則さえ異なる別世界からの来訪者から、如何に多くのモノを吸収できるか。

 成程、コレは授業である。()()()()()()()()()()者を見て、学び、自らの糧に出来るなんて、一生に一度あるかないかの機会だ。ああ、なんて素晴らしい体験なのだろうか。どうせ勝てないのなら、せめて満足な内心と共に負けを認める―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(―――ワケが無いだろうがッッッ!!!!)」

 

 

 

 泥臭くても良い。無様でも良い。だが、地に這いつくばるのは駄目だ。倒れ、立ち上がれなくなるのは駄目だ。笑顔を忘れては駄目だ。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 (ヴィラン)相手には不敵に笑え。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 守るべき者には素敵に笑え。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 (ヴィラン)相手には拳を握れ。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 救うべき者には手を差し伸べろ。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 声を張り上げろ。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 拳を振り上げろ。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 さあ、立ち止まる暇は無い。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 その()に憧れたのなら。

 

 

「『俺らは、()だ!!!?』」

 

 

 その姿()になりたいと願ったのなら。

 

 

「『俺らは―――

 

 

 

 

 

―――ヒーローだッッッ!!!!」

 

 

 目の前の()ぐらい、ぶち壊してみろ。

 

 さあ、『Plus Ultra!!(更に向こうへ)』だ。ヒーローらしく、邪魔なモンは全部薙ぎ倒して行くぞ。

 

 

 詭弁のその声に触発されたことにより、諦めかけた者、挫けかけた者、折れかけた者、屈しかけた者、投げだしかけた者、倒れかけた者、その全ての者の魂が燃え上がる。

 心に灯った炎が、尽きかけの炎が、再び全盛期の輝きを取り戻す。

 ヒーローに()()()なんてモノは要らない。守る為の()と、敵を打ち砕く()()さえあればいい。

 

 異世界からの来訪者による()()を、最も愛多き者の()が上回る。

 彼等A組21人。全員の()()()を煮詰め混ぜ合わせても()一人の()()()の濃度に届かない。

 

 だが、A組21人全員の()()()()を煮詰め混ぜ合わせれば―――

 

 

「ははははは!お前らが()()()()ならさしずめ俺は()()か!それもまた良し!!」

 

「笑いごとかよ。あーあ俺も折角ならヒーロー側が良かったなー」

 

「そもそも、ヒーローってガラでも無いだろうに」

 

「これで()()()()()()だぜ幻想くんよぉ。散々遊んだなら、()()()()()()()()なきゃなァ!!!」

 

「さあ、愉快なお遊びはここいらで幕引き(フィナーレ)と行こうか!!!」

 

 圧倒的な暴虐が再び繰り広げられる。光弾の雨が、破壊の風が、黄金色の闘気の(いかづち)が。生徒達に襲い掛かる。

 だが相対する皆が怯む事は無い。それらは既に経験した。対処した。なら、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 勝負の終わりは、刻一刻と迫ってきている。

 

*1
無論『個性』が発見される前の記録である

*2
という名のただの紙




森の方角< オレラハ、ヒーローダ!!

オールマイト「青春してるみたいだね!ヨシッ!」

作者が想定してた以上にもうちょっとだけつづくっ!!!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

お正月特別編・異世界からコンニチワ!奇跡も魔法もあるんだよ!人喰い妖怪も悪魔も死神も居るけど!

前回のあらすじ

幻想くん「あ、あれ!?『超人モード』になるはずだったのに!?」
神「同じジャンプ漫画だからダメです」
詭弁「いやその理屈はおかしい」


 彼らの勝負は、ようやく『勝負』という体をなし始めた。

 宙に浮かぶ《陰》はその両手に持つ()()()()()()を十全に振り回すだけの踏ん張りを得ることが出来ず、武器を叩きつける先が大気しかない事から先ほどまでのように地面に叩きつけ、その衝撃波で『個性』による攻撃を弾く事が出来ない。

 同じく空を飛ぶ《陽》だが、その身に背負った大岩ごと無理に飛んでいるせいで先ほどのように自在に空を飛び回ることが出来ず、その動きも慣性の法則に乗るように酷くゆっくりとしたものだった。

 《陰》《陽》二人は大幅に弱体化した、と言っても良いだろう。放置するには厄介だが、それでも生徒2、3人で抑えることは出来そうだ。

 

 そして、最も厄介な者が残った。

 黄金色のオーラに身を包んだ彼は、その身に備えていた鋼鉄を超える強度を持つ強靭な皮膚の上から更に可視化するほど濃密な気の鎧を纏った、まさに重戦車に等しい防御力。『個性』を持つ彼らよりも多彩な『魔法』と『退魔術』を繰り出す彼に、魂を燃え上がらせているとはいえども攻めあぐねてしまう。

 

「死ねやァァァァァ!!!」

 

 一人、必殺の意志と覚悟をもって爆炎を燻らせ突撃する。それに対応しようとする隙を狙って氷結攻撃のタイミングを図る者、爆炎を当てる為に牽制として『音』を打ち出す者、『影』を伸ばし隙を作り出す者、酸を飛ばす者、大砲を撃つ者。彼ら全員『我』が強い者達ばかりだが、今この時においてはこれ以上ないほどに連携がとれていた。

 どれか1つの攻撃だけを意識してしまえば、他の攻撃に当たってしまう絶妙なタイミングと間隔。それでいて同士討ちにはならない。全てを避けようとすれば必殺の爆炎が追従し、氷塊に襲われるだろう。

 

「『榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)』ォッ!!!」

 

 破壊力ではA組の中でもトップクラスの一撃。それも激しい動きを続けたことで籠手に溜まりに溜まった(爆薬)全てを解放する、『必ず殺す』一撃。

 爆発的みみっちさの爆豪が、それでもなお()()()()()()()気で放った一撃は、ある意味で『それでも立ち上がってくるだろう』という一種の信頼か……敵に向けるには些か場違いにも思える感情。だがその相手は別の世界から来たとは言え、()()『詭弁』である。きっとギリギリで避けるか、防ぐかしてくる筈だ……と、()()()()()()すら超えてくることを想定しながらも尚、全力で()()()()為に、今、右手に、溜まりに溜まった爆炎が―――

 

 

 

 ()()()()

 

 

 

「…………あ?」

 

 『音』が、『影』が、『酸』が、『大砲』が、そしてあらゆるものを消し飛ばす筈の『爆炎』が。

 全てが全てその肉体に直撃し、耳から血を流しつつも、骨が折れつつも、皮膚が溶けつつも、肉が抉れつつも、その半身が焼け焦げ消し飛びつつも。

 その黄金色のオーラには一切の陰りはなかった。

 

「ッッッ!!テメ――」

 

「『魂魄悠々遊惰天衝拳(こんぱくゆうゆうゆうだてんしょうけん)』」

 

 ぺちっ

 

 優しく、非常に優しく。爆豪の頬がはたかれる。ただそれだけで、爆豪の意識が身体から離れていった。

 

 

 ◆

 

 

「『回復魔法(リジェネ)』、『回復術(ヒール)』……よし、これで元通りだ。……服以外はな」

 

 地面に倒れるカッちゃんを後目に、皮膚が吹き飛ぶ程の大怪我をした筈の幻想くんの身体がまるで逆再生する映像のように治っていくのが見えた。

 

「い、今のは……!?」

 

「アイツの再生力もヤベーけど……今、()()()()()()()()()()()()!?」

 

 ()()()()()なんてモンじゃない。幻想くんにカッちゃんがはたかれた直後、カッちゃんの身体から半透明のカッちゃんが()()()()()()()!!

 

「女の子の顔をぶん殴る訳にもいかないしな。ちょっくら()()()()()()()()()()()()()()。まあ10分程度で戻るし、後遺症も無いから安心しろ。……しかし案外居ないモンだなぁ、『魂を視認出来る奴』は。この世界の俺と、紅白髪と、尻尾生えてるのと、梅雨ちゃん……くらいか。いや、案外霊力を扱う才能なんて外の世界でもこんなモンなのか?」

 

「う、わあああああ!!!!」

 

「バッ!?いずくちゃん待っ!!ああもう!『行けデク!!お前の名は、頑張れって感じのデクだ』!!!」

 

 カッちゃんの必殺技が真正面から受け止められ、その上で一撃で意識を奪ったのを見て冷静さを奪われたのか無策に突進するいずくちゃん。何とか『応援』することでサポートをするが……

 

「女の子はともかく、野郎に手加減なんて期待すんなよ?」

 

 『魂魄悠々遊惰天衝拳(こんぱくゆうゆうゆうだてんしょうけん)』!!!

 

 いずくちゃんの『超パワー』による超速機動も一瞬で見切った幻想くんはその拳をいずくちゃんの顔面に突き刺すように殴る。

 

「いやカッちゃんとの落差!!」

 

「ンだから野郎相手に手加減するかよ!」

 

 いずくちゃんの身体はまるで空中で撃ち落とされたかのように地面に落ちるが、その身体から叩き出された(幻想くん曰く)魂は錐揉み回転しながら森の奥へと消えていった。

 直後、景色が一気に切り替わるように氷の世界に変化した。

 

「皆冷静になれ!さっきの攻撃が効いてたなら、攻撃を当て続けりゃ必ず限界がーーー」

 

魂魄悠々遊惰天衝拳(こんぱくゆうゆうゆうだてんしょうけん)』!!!

 

 森の一角を飲み込む程の大氷結攻撃を舞うように跳んで避け、空から刺すように拳が轟焦凍(しょーちゃん)の顔に当たる。しょーちゃんの魂も身体から離れていった。

 

 ほんの短い間でクラスの3トップがやられたという事実は、俺達の戦意を揺るがすには十分だった。

 

「『安無嶺過武瑠』!!」

 

「この技に肉体的な防御力は意味を成さない」

 

 切島鋭児郎(きりちゃん)の魂が弾き跳ばされる。

 

「『アシッドマン』!!」

 

「防ぐには霊的な防御力か、自身の魂をある程度制御出来るだけの力が必要だ」

 

 芦戸三奈(みっちゃん)の魂が弾き跳ばされる。

 

「くそっ!やられる前に捕まえ―――

 

「『レシプロ・エクス―――

 

「それに特別な才覚は要らない。『幻想郷』じゃ大抵の人妖は無意識レベルで行えるし、そもそも霊的な防御力も高い。ま、ネタにもならない『死に技』って奴だ」

 

 瀬呂範田(はんちゃん)飯田天哉(てんちゃん)の魂が弾き跳ばされる。

 

「『黒影(ダークシャドウ)―――

 

「『尾拳・"沼田打―――

 

「まあ、こうして霊力も持たない癖に変な能力を持った『外来人』を触れるだけで倒せるから、完全に『死に技』って訳じゃないけど」

 

 常闇踏影(ふーちゃん)尾白猿夫(まっちゃん)の魂が弾き跳ばされる。

 

 あっという間に6人の魂が跳ばされ、当たりに幽霊のように漂っている。全員が驚愕の表情に染められ、なんとかして自分の身体に戻ろうとしているのが見えた。

 

「お前達の『程度の能力』……『個性』だったか。それらには驚かされたし、ダメージも無視できない以上に食らった。故に……今、俺が出せる全力でもってお相手してやろう!!!」

 

「お前のその上から目線が気に入らん!『だるまさんが転んだ』っ!!!!」

 

 俺の『覇声』を受けて得た()()()()。そこに殺到する『レーザー』、『銃撃』、『投石』、そして『鳥の群れ』。

 

「痛たたた!!!痛いモンは痛いンだぞゴルァ!!『二重結界』ッ!」

 

 その言葉の直後、空気に溶けるように姿を消した幻想くん。

 

「マズいっ!瞬間移動―――」

 

「判断が遅いっ!」

 

 突如後方に現れた幻想くんに殴り飛ばされる砂糖力道(りっちゃん)口田甲司(こうちゃん)

 

「ッ!皆さん、刺又ですわ!距離をとって確保を―――」

 

「力が足りないっ!」

 

 刺又を握り潰され、軽くはたかれる八百万百(モモちゃん)葉隠透(とーちゃん)

 

「ね、『ネビル―――

 

「コッチ来るなよぉ!!『GRAPE R―――

 

「速さが足りないッ!!!」

 

 若干逃げ腰だった所に蹴りを入れられる青山優雅(キラキラ)峰田実(ミッチー)

 

 ほんの僅かの間にクラスメイト達の殆どが幻想くんの凶撃によって倒れ、辺りに皆の魂が漂う。幻想くんの前にまだ立っていられているのは俺と障子目蔵(めっちゃん)麗日お茶子(ちゃこちゃん)蛙吹梅雨(つぅゅちゃん)耳郎響香(ジロちゃん)だけだった。

 

「……絶体絶命ね」

 

「諦めなければ道はある……と言いたいが……」

 

「台風に立ち向かうようなモンだろもうコレ……」

 

「よ、弱気になっちゃあかん!私が幻想くんを浮かせられれば……!」

 

「ウチの『イヤホンジャック』で拘束して―――」

 

 

「あー……盛り上がってるところ悪いとは思うんだが」

 

「俺達を忘れてもらっちゃぁ困るんだがな」

 

 

 光弾が炸裂する音、超重量の鉄塊が振り回される音が耳に届いた事で、俺達は思い出した。人は()()には勝てないことを……。

 

 

 

 俺達は、人の姿をした災厄三人に仲良くブッ飛ばされた。

 

 

 

 

 * * * * *

 

 

 

 

「いやー皆お疲れ様!早速今回の講評をしようかと思ってるんだけどー……あー、幻想くん?何故皆の姿かこう……透けてるのかな?」

 

「やだオール()イト先生、セクハラですわよ」

 

「いや何処が!?というかオール()イトね!オールナイトじゃ徹夜したみたいな感じになっちゃうから!そ、それでコレ皆大丈夫なの!?」

 

「皆()()()()()()ってところかな。死霊は感情が薄いけど、生霊は肉体に残った感情がダイレクトに現れるから……」

 

「……えーっと、つまり?」

 

「いつかは戻るけど、いつ戻るかってのは肉体に残った感情がある程度落ち着いてからだな!早ければ2・3分、遅いと一年は掛かるかも」

 

「差が激しすぎる!!?」

 

「『怒り』とか『悲しみ』とかなら割りと落ち着きやすいけど『恨み』や『恐れ』とかは魂にも刻まれる程の強い感情だからねぇ。それらが落ち着くにはそれくらい掛かるもんさ」

 

「そ、そうか……その、すぐ何とかならない?」

 

 そういってオールマイトは辺りを軽く見回す。幻想くんの回りだけでも数人居るし、A組で唯一無事だった詭弁の回りには幻想くんの三倍近くの幽霊が取り囲んでいるし、残った数人がアホになったままの上鳴の回りに浮いている。

 有り体に言って、混沌とした状況だった。

 

『ブッ殺す!テメェはオレがブッ殺すッッッ!!!!』

 

『バカ止めろ爆豪!その状態で暴れても幻想くんに一切効いてねぇし、暴れる度にお前なんか薄くなってってんぞ!』

 

『くそっ!すまない皆……ボクがクラス委員として不甲斐ないばかりにっっっ!』

 

『お、落ち着けって飯田……ありゃ相手が悪いだけだって……』

 

『うわぁぁん!ごめんねぇぇぇ!ごめんねぇぇぇ!』

 

『ケロッ、大丈夫よ。誰にでも失敗はあるし、今日の事は皆で反省すればいいのよ』

 

「うぇうぇーぃ!?」

 

『……………………』

 

『轟!轟ぃー!!?大丈夫かお前なんか死んだ目してるぞ!!?』

 

『すみません詭弁さん……私が不甲斐ないばかりにこのような面倒事を押し付けてしまって……』

 

「い、いいって事よ……怪我はリカバーちゃんに治してもらえるし、これも救助訓練の一環って事で……」

 

 ボコボコに腫れ上がった顔のまま、複数人を担いで戻ってくる詭弁。大暴れし続ける爆豪(幽霊)。大泣きする飯田(幽霊)と芦戸(幽霊)。死んだように放心し続ける轟(幽霊)。空中で這いつくばるように落ち込む八百万(幽霊)。収集がつかないとはこの事。

 

「……なんとかならない?」

 

「なるんじゃないっすかね」

 

「そんなテキトウな……()()()()()は想定してたけど、流石に今後の授業に大きな支障が出る程の……その、()()()()()は想定外だよ……」

 

「しょうがないなぁ。まぁ皆をすぐに戻す方法はあるよ」

 

「おお!具体的にはどうすればいい!?」

 

「まず服を脱がします」

 

「まって」

 

「そしてケツの中に精神棒をブスッと」

 

「待って待って!!?『せいしんぼう』って何!?ナニをするつもりだい!?」

 

 人の尻には『尻子玉』と呼ばれる目に見えない器官があり、主に人の肉体と魂、或いは精神と繋ぐ役割を持っているとされる器官である。河童が尻子玉を好物としている事は有名であり、尻子玉が抜かれた人間はフヌケになると言われている由縁は尻子玉を抜かれたことで魂、或いは精神が肉体から離れやすくなるためである。

 その尻子玉を強く刺激すると、余りの痛みから死人すら魂引っ提げて現世に戻ってくると言われている。

 

「要するに俺の股間の精神(精子ん)棒で○。。○する事で即座に蘇生が―――」

 

「絶対やらせないからね!!!?」

 

「大丈夫だオールマイト先生。女子は俺に任せろ!」

 

「任せられる要素一つでもあった!!?」

 

 その後詭弁がめっちゃ頑張ってクラス全員蘇生させた。

 

「ほう、この世界の俺は霊使いの素質があるのか」

 

「別の世界の俺はなんというか色々ヤベェって事しか分かんなかったよ……」




オールマイト「い、いや~……まあ何とか無事に終わって良かった!ヨシッ!」
校長「オールマイト。トレーニング施設の一角がほぼ壊滅したって聞いたんだけど?ねえ、元に戻すのだって()()じゃないって……知ってるよね?」
オールマイト「あっ、その……きょ、今日も素敵な毛並みで……」
幻想くん「オールマイトぉー!言われた通り誰も死なせない程度に大暴れしたぜー!」ピースサイン
校長「へえ、オールマイトの、()()かぁ」
オールマイト「あっ、あっ、あっ……か、カハッ(吐血)」
幻想くん「ンだよまた血ぃ吐いてんのか。そーれ『回復術(ヒール)』」
オールマイト「あ、ありがとう幻想くん……」白目
校長「……じゃあオールマイト。二人でお話、しようか」にっこり
オールマイト「…………」

幻想くん「なんかよく分からんが良い笑顔だ!ヨシッ!!」


もうチミッとだけ続くんじゃ。


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。