デート・ア・ゼロワン (紫姫・真)
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プロローグ

今回はデート・ア・エグゼイドを置いて新たにゼロワンのコラボした小説を作ったので良ければ見てください。


SIDE:ナレーション

 

森の中で暴走したヒューマギアが暴れていた。そのヒューマギアは“ゼツメライラザー”を腰に装着し、其所に“アルシノマギア“と大量の“リトロバイトマギア”が暴れていた。

 

『人間は全て…抹殺だ…!』

 

また“滅亡迅雷net”によるテロ活動で町に向かっていた所に“飛電インテリジェンス”の代表取締役社長の“飛電或人”と “A.I.M.S.”の隊長の“不破諌”が駆け付けた。

彼等はそれぞれマギアの反応を察知して駆け付けてきたと言ったところだ。

 

「またこのパターンか!」

 

「兎に角止めないと!」

 

諌は同じ事に苛立っていた。或人は左手に飛電インテリジェンスの社長の証でもある“飛電ゼロワンドライバー”を持ち腰に当てて装着する。

 

〈ゼロワンドライバー!〉

 

「雑魚は俺に任せろ。社長はあのマギアをやれ!」

 

〈ショットライザー!〉

 

苛立っていた諌も左手に持つベルトを腰に装着した後、青い銃型の“エイムズショットライザー”を左手に持ち直した。

 

各自赤いスイッチがある銀のグリップ…“アサルトグリップ”が付いた特殊な“プログライズキー”を懐から取り出す。或人は“シャイニングホッパープログライズキー”を、諌は“アサルトウルフプログライズキー”を取り出す。

 

同時にアサルトグリップの赤いスイッチを押した二人はそれぞれ変身シークエンスに入った。

 

〈Hyper Jump!〉

 

〈Adult Barrett!〉

 

起動させた或人はゼロワンドライバーに翳して認証させ、諌は右手で力ずくで抉じ開けてからカバーを展開しショットライザーへ装填した。

 

「…ふん!」

 

〈〈Owner RIZE〉〉

 

〈Kamen Rider…Kamen Rider…Kamen Rider…〉

 

待機音がゼロワンドライバーとエイムズショットライザーから鳴り響き、或人はシャイニングホッパープログライズキーを挿入し、直ぐに右手に持ち変えた諌はトリガーを引く。

 

「「変身!」」

 

〈プログライズ!〉

 

〈ショットライズ!〉

 

ショットライザーから放たれた青い弾丸は軈て同じ色をした狼になり森の中を走り回り、或人はの頭上にはネオンイエローと青いラインが入った巨大な飛蝗型のライダモデルが出現し、彼の姿を変えた。

 

〈Warning,warning. This is not a test!

ハイブリッドライズ!

シャイニングアサルトホッパー!

"No chance of surviving this shot."〉

 

〈Lady,Go!アサルトウルフ!

"No chance of surviving."〉

ゼロワンの素体に変形した飛蝗型のライダモデルは彼を覆い、“ゼロワン シャイニングアサルトホッパー”へ、森の中を走り回り回っている青い狼のエフェクトがかかった弾丸を左手で受け止めてから握り潰した瞬間“バルカン アサルトウルフ”に変身を完了した。

 

「或人社長、気をつけて下さい。あのマギアは今迄のマギアとは異なり少し様子が変ですので油断しないで下さい」

 

ゼロワンに忠告したのは後から追って来ていた飛電インテリジェンスの秘書型ヒューマギア、社長秘書兼ゼロワンのサポートをしている“イズ”。

 

いつも倒していたマギアより可笑しいと思ったイズは解析した様で、結果これ迄のマギア達とは違い油断は禁物と判断した様だ。

 

「分かったイズ!忠告サンキュー!」

 

〈オーソライズバスター!〉

 

彼女に礼を言った後にアックスモードのオーソライズバスターを召喚したゼロワンはそのままアルシノマギアに高速移動した状態で斬りかかった。

 

「ふん!…おぅぅぅら!」

 

一方、バルカンはショットライザーで次々と自身に襲い掛かるリトロバイトマギア達に向けて連射する。後ろからきたリトロバイトマギアには足で引っ掻けてから蹴り飛ばし、攻撃される所でカウンターを決めていく。

 

「こいつ等…倒しても倒してもどんどん沸いて出て来てやがる…!」

 

破壊しても増え続けているリトロバイトマギア達はまるで蟻の軍隊の様に群れを成して次から次へと襲いに来る。

 

厄介だと感じたバルカンは一体一体相手をしていたら此方の体力が保てなくなると思った。

 

「ちょこまかと逃げんな!」

 

大量のリトロバイトマギアの軍勢にやや苦戦しているバルカとは違い、ゼロワンはアルシノマギアといつの間にかおいかけっこをしていた。

 

端から見ればただ遊んでいる様にしか見えない。

 

アルシノマギアは戦う意志がまるっきり無くただひたすらにゼロワンから逃げようとしているのだ。それにゼロワンも流石に苛々してしまった。

 

「だから逃げんなって言ってるだろ!頼むから大人しくしてくれ!俺はただお前を救いたいんだ!」

 

完璧に破壊するバルカンとは異なり、ゼロワンはアルシノマギアを元のヒューマギアとして元に戻そうとしている。ヒューマギアを心から信じたゼロワンは…或人は喩え初めて出会った者でも必死に足掻き続けた。

 

「こうなったら…そっちがその気なら…俺にも考えがある…不破さん!」

 

〈ガンライズ!〉〈ゼロワンオーソライズ!〉

 

追い掛けるのを止めたゼロワンはオーソライズバスターをガンモードに変えた後、ゼロワンドライバーにスキャンしたら直ぐにバルカンへ投げた。

 

「…!そう言う事か…有り難く使わせて貰うぞ!」

 

〈ゼロワンダスト!〉

 

キャッチしたバルカンはオーソライズバスターの銃口を大量のリトロバイトマギア達に向けてトリガーを引く。

 

 

 

 

ダ ス ト

 

放たれたネオンイエローの巨大なエネルギー弾は一発でリトロバイトマギア達を破壊した。

 

その間にゼロワンは一度シャイニングホッパープログライズキーをゼロワンドライバーから抜き出し、仕舞うと代わりに形状が特殊な大型の銀のプログライズキーを取り出す。

 

そのプログライズキーは“ZAIA”が開発したゼロワンを身動き出来なくさせる為に“人間の悪意をラーニングした“通信衛星アーク”に”造り出させた禁断のプログライズキー…“メタルクラスタホッパープログライズキー”。

 

嘗てはアークの意志で人間の悪意のままに活動し、破壊だけをする存在で変身者の或人の意識を幽閉してしまう程の最悪の代物だった。だがイズやその他のこれ迄或人が手を差し伸べてきたヒューマギア達による善意のデータで造られた“プログライズホッパーブレード”でそれらの制御が出来る様になった。

 

〈Everybody Jump!〉《オーソライズ》

 

取り出したら直ぐにメタルクラスタホッパープログライズキーを起動させゼロワンドライバーにスキャンとカバーを展開しキー状にしたら挿入し、折り畳んだ。

 

〈メタルライズ‼︎

Secret material! 飛電メタル!

メタルクラスタホッパー!

It's High Quality.〉

 

刹那、ゼロワンドライバーから無数の銀の飛蝗…“スラスターセル”が或人を中心に飛び回り、一度目の前で集まって巨大なスラスターセルの集合体の飛蝗になった後、バラけては飛び銀色の素体となったゼロワンに集まりアーマーを形成し、“ゼロワン メタルクラスタホッパー”となった。

 

〈プログライズホッパーブレード!〉

 

現段階ではゼロワンの最強フォームであり、ヒューマギア達の善意のデータでやっとの思いで制御出来る様になった形態。

 

右手には召喚したプログライズホッパーブレードが握られており、トリガーを引いてスラスターセルを刀身に纏わせて切り裂いた。

 

「はあぁぁぁぁぁ!」

 

『ぐあぁ!』

 

油断をしたアルシノマギアは斬撃を喰らって叫び声を上げる。転がっていくアルシノマギアに止めを刺すゼロワン。

 

〈フィニッシュライズ!〉

 

トリガーを五回引き、下から切り上げる様にしてアルシノマギアに斬撃を浴びせた。

 

「はあ………はあぁぁぁぁぁ!」

 

〈プログライズストラッシュ!〉

 

『があぁぁぁぁ!』

 

断末魔の叫び声を上げたアルシノマギアは爆発した。

 

 

ストラッシュ

 

必殺技のプログライズストラッシュを喰らってこれでこのマギアは元に戻ると内心思った。だが次の瞬間…其所からブラックホールが発生した。

 

「えっ…ちょっ待っ…⁉️」

 

「或人社長!」

 

吸い込まれそうになるゼロワンにいち速く駆け付けたイズは左手を引っ張ってなんとか木の影に引き込む事に成功する。

 

「危っねえ…引っ張ってくれてありがとなイズ」

 

「無事でなによりです。しかし…まだ問題は山積みです」

 

「ああ…そうだな」

 

荒く激しく吸い込もうとするブラックホールを二人は見つめていた。

 

「なんじゃこりゃ⁉️」

 

「「⁉️」」

 

突然の叫び声にゼロワンとイズは驚きその方向に向くと今にも吸い込まれそうになるバルカンがいた。

 

「いったいどうなってんだ…!」

 

「「不破さん!」」

 

必死に木にしがみついているバルカンは大声を上げた状態で耐えていた。これは流石にまずいと思ったゼロワンはどうにかしてバルカンを救いに行こうとするが吸い込む力が強すぎて逆に向かえないでいた。

 

「くっそ!このままだと…みんな吸い込まれてしまう!こうなったら…マンモスちゃんのプログライズキーを使うしか…」

 

「それは不可能です或人社長。メタルクラスタホッパーの状態でのブレイキングマンモスは使用できません」

 

どうにかこの状況を打破出来る策で言ってみたものの、イズにきっぱりと使用不可を言われるゼロワン。

 

「マジかよ⁉️じゃあどうしろってんだよ…!」

 

折角考えた策も使えないと知りゼロワンは頭を悩ませた。

 

━人…━

 

「え?」

 

考えている途中に突然、頭に直接女性の声がゼロワンにはうっすらと聞こえた。

 

「或人社長、どうされたのですか?」

 

「いや…今何か聞こえた様な気がしたんだけど」

 

━或人…━

 

(まただ)

 

二度目は確かに自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。だが声が小さいため、まだ確信はない。ただの空耳かと思ったが次の呼び掛けで確信した。

 

━或人━

 

(やっぱりだ。聞き間違えとかなんかじゃない。誰かが俺を呼んでいる!)

 

そう思ったゼロワンはイズに言い、ブラックホールを見つめたまま己を呼ぶ者の為に。

 

「悪いイズ」

 

「?」

 

「誰かが俺を呼んでいるから行かないとならない。助けを求めているなら…………その人を助けたい」

 

「…」

 

其処まで言い切るとゼロワン少し無言でいたイズは一度目を閉じて考えたが直ぐに目を開けた。

 

「或人社長がそう仰るのであれば私も共に向かいます。社長秘書としての責務を最後まで果たすのと或人社長の為に全力で私もサポートします」

 

「!イズ…」

 

以外な返事が反ってきたから少し動揺したが仮面の下では笑顔でいるゼロワン。彼女が一緒に来てくれるならこれ程心強い味方は居ないと言っても過言ではない。

 

「必要な物はたった今ゼアに送信しました。未知なる場所とは言えある程度はゼロワンの戦いやその他のサポートも可能にしました」

 

イズが言っている間に上空からドローンがアタッシュケースを運んできた。丁度ゼロワンとイズが居る位置にドローンはアタッシュケースを投下する。

 

それをイズはキャッチして準備は出来たとゼロワンに伝える。

 

「これで必要な物は全て揃いました。行きましょう、或人社長」

 

「ああ…!しっかり俺に掴まってろよなイズ。離れるなよ!」

 

「はい!」

 

お互いに覚悟を決めたゼロワンとイズはバルカンに言う。

 

「不破さん、あのブラックホールから誰かに呼ばれたから俺とイズは行きます。後の事をお願いします」

 

「はあぁ⁉️いきなり何言い出すんだ⁉️滅亡迅雷netとZAIAの件はどうするんだ⁉️」

 

事情を知らないバルカンはゼロワンに叫ぶが、彼は冷静に反す。

 

「確かにそれもあります。あのZAIAの社長がいつヒューマギアを暴走させるかも分からない。でも!助けを呼ばれているのなら俺は、その助けを求めている人に手を差し伸べて上げたいんです!」

 

強い思いをバルカンに伝えるゼロワンにイズも頷く。彼の決断にバルカンは仕方ないと思いある提案をする。

 

「…仕方ないな。だったら…俺も一緒に行ってやる」

 

「!不破さん」

 

それはバルカン自身もゼロワンとイズに付いていくと言うものだ。彼から聞いたゼロワンはその以外な返事に目を丸くしたが寧ろ嬉しく思えた。

 

「ふん。どういう状況でそう言う話になったかは知らん。だが、お前が言うくらいだから余程の事なんだろ?なら俺も一緒に付いて行った方が早く片付けられる。そう思っただけだ」

 

面倒事を早めに片付けようと言ったバルカンにゼロワンは一瞬だけ『ツンデレなのか?』と思ったがそれは敢えて言わないでおいた。

 

「分かりました。そう言う事にしておきます…行くぞ、イズ」

 

「はい」

 

呼び掛けに応答するとゼロワンは木の陰から勢いよく飛び出して、その木をジャンプ台にして使った。イその際にイズはゼロワンから離れない様にしっかりと掴まった。

 

「どういう意味だ…って俺を置いていくな‼️」

 

バルカンはライズフォンにA.I.M.S.のメンバーに必要な事だけメールとして送った後、同じ事をしてブラックホールに吸い込まれていった。

 

三人を吸い込んだブラックホールは消えて誰も居なくなった。残されたのは破壊されたリトロバイトマギア達の残骸のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




プロローグはどうでしょうか?

今回の作品はデート・ア・エグゼイドの時とは違い思考を変えてやったので楽しめたのなら幸いです。

因みに今回の作品にはちゃんと士道にも精霊の霊力を封印させるのでお楽しみに。



次回、デート・ア・ゼロワン


「此所は…」

「飛電インテリジェンスやヒューマギア、ZAIAも無ければ面滅亡迅雷netも存在しないようです」

「君は…」

「お前も…私を殺しに来たのか」


第一章:十香デンジャラス

1話:俺の知らない世界


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第一章:十香デンジャラス
1話:俺の知らない世界


或人とイズ、不破さんがデート・ア・ライブの世界に来てしまいました!
或人はいつものギャグを言ったりするので見てください!


SIDE:或人

 

「人…長、きて…さ」

 

薄れている意識の中、誰かの声が聞こえた。

 

「或人社長、起きて下さい」

 

目が覚めると俺はベンチで寝ていた様だ。イズは俺を起こしてくれたんだ。身体を起こして傍らに居るイズに俺はお礼を言った。

 

「イズ、起こしてくれてありがとう。それにしても…此所は…」

 

「或人社長が気を失っている間は私が介抱していたのでもう少し寝ていても大丈夫です」

 

「俺は大丈夫。不破さんは?」

 

然り気無く不破さんの事を聞く。そしたら居ないと言われた。まああのブラックホールの吸い込み力からしたらはぐれてもしょうがないか。

 

「不破さんはどうやら姿がないため少なくとも此所には居ないようです恐らく、はぐれたのかと」

 

「そうか…グレ(・・ )てなけれな良いけどな。はい!アルトじゃあ…ないと!」

 

ここで一発ネタを出す。でも毎度の事ながらイズにギャグの説明されてしまう。

 

「今のははぐれたらの“ぐれ”の部分とグレてないの“グレ”を合わしたギャグです」

 

「だから、ギャグの説明はしないでって~!」

 

嘆いていると思ったが俺はいつの間に変身が解けていた様だ。身体を探って見たらちゃんとゼロワンドライバーとプログライズキーは有った。

 

あともう1つ思った事それは…

 

「俺の身体が縮んでる。何で…」

 

そう、俺の身体は何故か縮んでるのだ。それも高校時代ので丁度二年くらいだと思う。普通なら元の身長で倒れているのが当たり前だが其所が分からなかった。

 

「これはあくまでも私の推測ですが、恐らくあのブラックホールに吸い込まれたのが原因なのではないでしょうか?見たところ身体が縮む以外は異常は見受けられません」

 

「やっぱりそうなるよな…」

 

正直言って身長が縮んだ事に関しては一旦置こう。今は自分達の状況をを確認しよう。

 

「イズ、今の俺達の状況を整理しよう。でないと話がまとまらない」

 

「分かりました。現在の私達の状況をまとめます。ア或人社長と不破さんは暴走したヒューマギア達を止める為に戦っていました。メタルクラスタホッパーで止めを刺した直後、爆発した同時にブラックホールが発生し吸い込まれない様に必死に木にしがみついていました。しかし或人社長にはブラックホールから誰かが呼ぶ声を聞こえたと言い、その方を助ける為に私と不破さんもそれに賛同して一緒に飛び込みました。或人社長が目が覚めると身体は縮んでるのと不破さんが行方不明となってしまったところまでが今の状況です」

 

一通りの状況を言ってくれたイズに俺もうんうんと頷く。確かにそこまでは俺も知る状況ではある。問題なのは今自分達が何処にいるのかと言うところだ。

 

「ゼアが無いためアクセスは出来ませんが或人社長が気を失っている間に落ちていた新聞を見つけたのでそれを見てラーニングしました」

 

「何をラーニングしたか教えて欲しい」

 

「かしこまりました」

 

「現在、私達がいるこの町は…いえ、正確にはこの世界は私達の知る世界とは違う“別世界”の様です。実際、先程も申し上げました様に衛星ゼアががないのと飛電インテリジェンスやヒューマギア、ZAIAも無ければ滅亡迅雷netも存在しないようです」

 

「マジかよ…スゲー」

 

イズからラーニングした内容の一つ、別世界に来てしまった事。以前は12年前に飛んだ事があったりしたが…まさか別世界に飛ぶとは思ってもみなかった。

 

俺を呼んだ人物もこの世界の住人なんだと納得がつく。

 

「もう一つは今私達が居るこの高台の場所ですが、町の名前が“天宮市”と呼ばれている都市の一部に該当していました」

 

「じゃあ俺達はその天宮市の高台に居るって事なんだな」

 

「はい。付け加えて言えばここ近年、数多くの“空間震”と呼ばれた災害が多発しているもようです」

 

空間震?初めて聞く災害だけどいったいどんなものなんだ?

 

「空間震って何だ?」

 

「空間震とはこの世界で言う今から約三十年前にユーラシア大陸で発生した超大規模の災害で文字通り空間を歪ませる程の最悪な力を持っている様です。それが日本にも発生が確認され、地中にそれ用の住民が避難出来るシェルターが存在すると他のネットワークを使って調べみました」

 

成る程…空間を歪ませる程の力を持つ災害、か…なんだかデイブレイクとは訳が違う。ヘタをすれば地球の一部が無くなってしまうぞ空間震って。

 

「デイブレイクよりたち悪い」

 

自分で言っててなんだけどあれは人間の悪意をアークにラーニングさせたZAIAの社長が元凶なのは分かっているが、実際は人同士で争いを行っている人間にも問題があった。他人事だと思っては駄目だ。

 

「今後の事はどうでしょう…或人社長」

 

これからの事についてイズからどうするか聞かれた。先ずはこの町、天宮市を探索しないと何も始まらない。

 

そして寝床ろの確保もしないとだし…やる事が多いな。よし、行くか。

 

「イズ、先ずはこの町の探索からだ。ある程度の情報があってもまだ安心は出来ないからな」

 

「分かりました」

 

そう言いながら俺はイズを連れて高台を後にした。

 

 

 

 

SIDE:士道

 

「漸く一通りの式は終わったな。さてと…琴里との約束があるし、早く帰るか」

 

鞄に荷物を積めて琴里との約束を思い出す。それは“ファミレスで集合し昼食を取る”事。待たせない様にしないとな。

 

そう思いながら荷物を鞄に詰め終えるといざ教室を出ようとした。

 

「よう五河、今日昼一緒に食べに行かないか?」

 

殿町から昼の誘いを受けた。参ったなあ…この後に琴里とのファミレスで食事の約束が入っているしな…仕方ない…

 

「悪い、今日は先約が居るんだ」

 

「何と!もしかして…女か?」

 

「まぁ…合ってはいるな。琴里とだけど」

 

「ああ、成る程」

 

あっさり納得したよこいつ。どうせいつもみたいに『嘘つけ!本当は俺に隠れてJKとデートでもしに行く気だったんだろ?羨ましいな!』とか言いそうなのにな。

 

「琴里ちゃんとなら仕方ないよな。…確か琴里ちゃんは今年で中二だったっけ?」

 

「そうだけど…どうした?いきなり畏まって…」

 

嫌な予感しかしないぞ…

 

「いやー琴里ちゃんはもう彼氏とか作っているのかなって思ってさ…空いているなら付き合ってあげてもと思って」

 

あーあー、やっぱそう言うと思った。呆れた俺は間髪入れずに断った。

 

「そう言う話しなら断るぞ。と言うか琴里に近づくな」

 

「おい五河!冗談だって!」

 

「だったら変な事を言うなよ。二度と会わせないぞ…」

 

いや、冗談にも程があるだろ。慌てる殿町に容赦なく言う。琴里の為だ。

 

「そんな、お兄様!」

 

「誰がお兄様だコラ!気持ち悪いわ!」

 

殿町からお兄様とか言われるのはめちゃくちゃイラッとしたぞ。まあ良いけど…こいつは頭はそれなりに切れるが知能がもうバカだからほんとどうにかしてほしいよ。

 

女たらしの部分が無ければそれなりにモテると思うがな。と言っても彼女居ない歴16の俺が自分で言ったらなんか悲しく思えてきた。

 

流石に殿町みたいに変な考えはしないからいいが疲れる。あの鳶一は俺を覚えているみたいだけど、俺自身あんま覚えていない。

 

そもそも彼女とはいつ出会ったかすら記憶に無い。喩え会ったとしても一度会っているなら顔もしっかり覚えている筈。どうしたものか。

 

ウウウゥゥゥゥゥゥ

 

「「!」」

 

すると空間震の警報が鳴った。俺と殿町は反応し窓から外を見る。同時にアナウンスも聞こえてきた。

 

『これは訓練ではありません。空間震の余波を察知しました。住民の皆様は速やかにシェルターに避難して下さい。繰り返します。これは空間震の余波を察知しました。住民の皆様は速やかにシェルターに避難して下さい』

 

このタイミングで空間震かよ⁉️冗談じゃないぞ!

 

響き渡るアナウンスに心の中で絶句した。文句言っても仕方ないため殿町と一緒にたまちゃんの誘導に従った。

 

「皆さん、落ち着いてくださ~い!おはしですよ、お・は・し!押さない走らないしゃらべらこ~べ~‼️」

 

「「「「「先生が焦ってどうする⁉️」」」」」

 

漫才かってツッコミたくなったが敢えて言わない。それにしても何で空間震がこの天宮市に発生しようとするんだ?

 

まあいつ何処で発生するか分からないからしょうがないと言えばしょうがない。

 

一瞬だけふと脳裏に琴里が映った。

 

「そう言えば琴里の奴大丈夫なんだよな?今朝の約束を守る主義とはいえ流石にファミレスの前に居るなんて事は無いよな?」

 

妹の心配しつつ俺はポケットからスマホを取り出してGTS機能を起動させて琴里の現在位置を確認した。それを見た時焦りと悪態をついた。

 

「あのバカ!何で馬鹿正直にファミレスの前なんかに居るんだよ!警報が鳴ったのが分からないのか⁉️」

 

くっそ!琴里を迎えに行かないと!今頃彼奴、ファミレス前で泣いているに違いない!

 

そう思った俺はスマホを仕舞うと直ちにシェルターから逆方向へと走っていった。後ろから殿町が呼び止めようとするが振り向かずに誤魔化して走り去った。

 

「五河、何処に行くんだ⁉️シェルターはそっちじゃないぞ!」

 

「忘れ物をした!だから取りに行く!」

 

急いで殿町を振り切って廊下を走るが、途中で鳶一が走る姿を目撃した。だが今はそれよりも琴里が心配だ。

 

気にせず玄関を抜けて学校を飛び出してファミレスに行く道をただひたすらに走る。町の様子は静かで既に他の住民の人達はもうシェルターへ避難したと思われる。

 

「無事でいてくれよな、琴里!」

 

大事な妹の無事を祈りながら町の中を走った。だが次の瞬間、少し遠くのコンクリートに黒い渦が触れた時に大きく膨れ上がり爆発した。

 

「くっ!があっ…!」

 

爆風で吹き飛ばされたがそれは一時的なもので直ぐに収まった。ぶつかった箇所が背中で良かった。頭とか当たっていたら洒落にならない。

 

辺りを見渡すと先程の空間震が発生した目の前にはクレーターが大きく出来上がっていた。その縁まで来ると下を見る。

 

その中心部に背凭れの部分に剣が刺さった大きな玉座とその前に立っているのは闇色の長い髪に紫の鎧とドレスを着込んだ少女の姿があった。

 

この時俺は思った。彼女からは暴力(・ ・ )的な美しさに見とれていた。これまで見てきた女性よりも圧倒的だったのだ。何故そう思ったのか自分にも分からない程に。

 

彼女の美芳に見とれていると、少女は俺に気付き玉座から剣を、いや…大剣を抜いて此方の方へ飛んで来た。しかも一振りしただけで斬擊波が来てその場に尻餅を付いてしまう。

 

「おわ⁉️い…つつ…」

 

痛みに気をとられているといつの間にか少女は近くまで来ていた。大剣の刃先を俺に向けて警戒していた。

 

「お前も…私を殺しに来たのか?」

 

「え?」

 

私を殺しに来たのかだと?彼女にいったい何があったかは分からない。でも……これだけは言える。この()の悲しそうな表情から感じられたのは…この世界に対する絶望感。そして何より…幼かった嘗ての俺自身と全く同じだった事。

 

なんとなくだけど、彼女は間違いなくあの頃の俺と同じで何もかも諦めて決して救われなかった者だと。

 

「君は…」

 

無意識出た最初の言葉で少女に名前を尋ねた。そしたら悲しい表情で反された。

 

「名前か…そんな物は…無い…」

 

「名前が無いのか?」

 

「ああ…生まれた時からな…」

 

うそだろ?まさか少女に名前が存在しないなんて。名も無き少女は大剣を振りかざし、俺に振り下ろそうとした。

 

って…

 

「待て待て!何をする気だ⁉️」

 

「む?何をと言われても殺すに決まっておろう?おも奴等と同じ様に私を殺しに来たのだろう?」

 

俺が彼女を殺す?違う!

 

「ちょっと待ってくれ!俺は別に君を殺しに来た訳じゃない!」

 

「惚けるな。今迄の奴等は皆、私は『死ぬべきだ』と言い襲い掛かって来ていた」

 

話しが通じないみたいだ。どうする?このまま大人しく殺されるのも、琴里を放って自分だけ逃げるのも俺は嫌だ。

 

何か良い手がないのか。

 

絶体絶命なこの場を振り切る手段を考えていると何処からか別の声が聞こえた。

 

「ちょっと待ったー‼️」

 

「「⁉️」」

 

俺と名も無き少女は同時に驚き、声が聞こえた所に頭を向ける。其所には俺と同じ高校生くらいの少年が立っていた。その後ろには未来的な白と緑の服装をした女性もいるけど耳のヘッドギアは何だ?

 

「うおおおぉぉぉぉ!」

 

少年はは俺と名も無き少女の間に入ってきた。女性の方も同じ速度で俺の隣に立つ。

 

「お怪我はありませんか?」

 

「はい。大丈夫です」

 

「なら安心しました」

 

いきなり女性から心配された俺は頭がスリープしそうになる。敬語で話しているけど此所は年上と見て良いだろう。

 

止めた少年は必死に名も無き少女に止める様に説得する。

 

「落ち着けって!何があったかは知らないけど、そんな物騒な物を振り回すのは良くないぞ!」

 

「何だ貴様。邪魔をするな」

 

「邪魔なんかじゃない。こいつは君に何をしたって言うんだ!」

 

「戯れ言など受け付けぬぞ。三人まとめて切り伏せてやる」

 

駄目だ。少年の説得でも聞いてくれない。このままだとマジで殺られる。しかし少年は引くどころか一歩も譲らない姿勢を示していた。

 

「だから話しを聞けって!ああもう…しょうがないなあ‼️こうなったら俺のとっておきを見せてやる!」

 

そう言うと少年は何をする気かいきなり変な事を言い始めた。勿論、名も無き少女も大剣を持つ手を止める。

 

「あっ!君が切り伏せるとか言うから…お腹がキリキリ(・・・・)してきたじゃん。はい!アルトじゃあ…ないと!」

 

「…え?」

 

「む?」

 

突然、少年は意味不明な事を言い出してきた。それに対して女性は説明をする。

 

「今のは、切り伏せるの『切り』とお腹がキリキリするの『キリ』を掛け合わせた…ギャグです」

 

ああ…成る程ね。そう言う事か。女性の説得を聞いて理解した。まあ…名も無き少女は余り理解出来てないみたいだけど

 

「ぎゃぐだと?」

 

「はい」

 

爽やかに反す女性に少年は叫んでいた。

 

「だからさあ⁉️ギャグの説明すんなって!もう見てよイズ!二人共ポカーンとしちゃってるよ!」

 

「申し訳ありません或人社長」

 

何…このカオスは?とっておきって言うから何かするのかと思いきやまさかの一発ギャグかよ⁉️普通大剣を持った相手にギャグをするか⁉️もうただの漫才だよこれ!

 

というか…社長⁉️この少年何かの企業の社長をやってるの⁉️初めて見たぞ。高校生で社長を勤めている奴を。

 

「よく分からんがふざけてるのか?」

 

笑わす依然に逆に相手を怒らせたぞ⁉️どうするんだこの状況!ツッコミ満載な少年と女性はいや…或人とイズさんに名も無き少女は大剣を振り下ろそうとするが空からミサイルが飛んできた。

 

それを片手を上げて俺達の回りにバリアみたいなのを張った。ミサイルは直撃するが俺達は全然大丈夫。

 

上空を見上げると、レオタードの様な格好に背中にはスラスター、両腕には重火器を持つ集団が飛んでいた。

 

バリアを消して名も無き少女はうんざりした声で言う。

 

「その様な攻撃が通じぬとまだ学習しないのか。愚か者共」

 

飛んでいる集団を睨み付けて名も無き少女は足に力を入れてその場を飛ぶ。リーダーらしき女性は号令をし団員達に攻撃を開始させた。

 

「来た。総員、攻撃開始!」

 

「「「「「「「「「「「「「了解!」」」」」」」」」」」」」

 

ある者は重火器で射ち、ある者はビームソードで切りつけ様と襲い掛かる。

 

何だよこれ。あの()がいったい何をしたって言うんだよ。これじゃあただの集団リンチと変わらないじゃないか!

 

目の前で起きている事に俺は腹が立った。どうする事も出来ない俺にはただ見ている事しか出来ない。

 

「彼奴等…止めさせないと!」

 

そんな中、或人は何かのアイテムを取り出して腰に当てる。そのアイテムは腰に巻き付きベルトとなった。

 

〈ゼロワンドライバー!〉

 

「或人社長、ゼロワンドライバーは衛星ゼアが無いため変身は不可能です」

 

「そう言えばそうだった!なら…此方を使う迄だ‼️」

 

二人の会話に付いて行けなかったが或人は装着したベルトを一度外して仕舞うと今度は別のベルトを取り出した。

 

それを見たイズさんは直ぐに止めに入る。

 

「!駄目です或人社長!フォースライザーは危険過ぎます!」

 

「でも、あの女の子を放っておけないだろ!」

 

どうやらこいつも俺と同じ様にあの名も無き少女を救いたいと思っているんだなと思った。

 

「なあ」

 

「うん?」

 

「今更だけど、自己紹介まだだったよな?俺は五河士道。あんたは?」

 

「俺は飛電或人。飛電インテリジェンスの社長をやっている。気軽に或人と呼んでくれ。此方がイズ」

 

「改めまして士道さん。私は社長秘書のイズと申します。どうぞ宜しくお願いします」

 

お互いに自己紹介が済んだところでどうするかを話した。

 

「或人、何かあの()を救う方法はないのか?」

 

「ある。このフォースライザーを使えば彼女を救える。ただ…」

 

「ただ?」

 

途中で口が篭る或人。さっきイズさんが使用するのを止めに入っていたけど何か関係があるのかもしれない。

 

「そのフォースライザーは人間が使った場合、かなりの負担が課せられます。前も何回か使用して苦しんでいました」

 

苦しんでただと⁉️それじゃあデメリットしかないじゃないか!或人は危険だと分かっておきながら使おうとしたのか⁉️

 

「でも、やるしかない。このまま野放しには出来ない!」

 

そう言うと或人はフォースライザーを腰に当てて装着した。同時に赤い電流が或人に走る。

 

〈フォースライザー!〉

 

バチバチ!

 

「ぐあ…!」

 

「おい止せ!死ぬぞ!」

 

「或人社長!」

 

苦しむ或人にそれ以上の事をさせない様に言うが、無視して四角い物を取り出してスイッチを押す。

 

〈Jump!〉

 

「ぐ…変身…!」

 

四角い物を直ぐにベルトに右側から挿入し、警告音が鳴り響き、勢いのまま黄色いレバーを引っ張る。

 

〈フォースライズ!〉

 

すると巨大な銀の飛蝗がベルトから現れて或人を包み込む。

 

〈ライジングホッパー!

A jump to the sky turns to a rider kick.

Break Down…〉

 

飛蝗は消える代わりに或人の身体にバインドが伸びていてフィットすると蛍光色の黄色の装甲などが装備された。

 

俺が或人が目の前で変身した姿を見たこの時、運命の歯車が動き出すを感じた。

 

 

 

 

SIDE:ナレーション

 

~???の艦内~

 

艦橋内は暗く大きめのモニターがある。そのモニターのやや上の辺りに司令官が座る椅子が設置されておりその隣に背丈が高い金髪の男が立っていた。

 

椅子に座る人物は顔までは暗くて見えないが少なくとも赤い軍服を肩に掛けている少女だと見受けられる。

 

「状況は?」

 

「はい。予測ポイントに“精霊”が出現しました」

 

モニターには闇色の長い髪に紫の鎧とドレス姿の少女が大剣が刺さった玉座の前に立っている映像が映し出されている。

 

「お出ましね。それと“秘密兵器”の様子はどうなっているの?さっきから電話かけているけど繋がらないわ」

 

司令官の少女は片手にスマホを持って誰かにコールしていた様だが通話を諦めて止めている。

 

「それがシェルターには避難していない様です。寧ろ精霊が出現したポイントに来ています」

 

「あのバカ…死ぬ気なの?普通、警報が鳴ったらシェルターへ避難するでしょうが。まあ…良いわ。出現ポイントに“秘密兵器”が居るなら探す手間が省けたからよしとしましょう」

 

呆れつつも呼び出そうとした人物に司令官の少女はスマホを仕舞いモニターを見る。暫くして青い髪の少年、五河士道が精霊の少女に襲われそうになる直前に或人による静止と乱入に驚いていた。

 

後から来たイズにも司令官の少女は誰だと思った。

 

「“秘密兵器”の回りに居る二人は誰かしら?」

 

「恐らく彼と同じくシェルターへ避難しなかったか、あるいは逃げ遅れた者と思います」

 

下に居る男はそう解釈してそれを司令官の少女に伝える。聞いていた司令官の少女は『成る程ね』と言い咥えている白い棒をピコピコ動かしながらモニターを見続ける。

 

『ぐ…変身…!』

 

『〈フォースライズ!〉』

 

『〈ライジングホッパー!

A jump to the sky turns to a rider kick.

Break Down…〉』

 

或人が万が一ゼロワンドライバーでの変身が不可能となった時のみ緊急変身した“仮面ライダー001 ライジングホッパー”へとなった。

 

緊急変身に使用したフォースライザーは前回のをそのまま持ち歩いていた。変身した001に艦橋内は驚きに染まった。

 

「うっそ…変身した⁉️」

 

「ワイヤリングスーツとは違うテクノロジーでしょうか?」

 

これには驚き様を隠せずにいる司令官の少女は暫く様子見をする事にした。恐らく変身したのは精霊の少女に攻撃してくる集団の中へ殴り込む為だと直ぐに察した。

 

「あの少年…精霊と共闘するつもりの様ね。暫くは様子見をしましょう」

 

「は」

 

金髪の男は指示に従い、他のメンバー達にも通達する。司令官の少女はニヤリと笑いモニターに向けて呟く。

 

「お手並み拝見させてもらうわ。さぁ、私達の戦争(デート)を始めましょう」

 

 

 

「イズ、今装備出来る武器は?」

 

「アタッシュカリバーのみです。しかし、本当にやるおつもりですか?相手は人間とは言え未知なる装備を武装しています。001でも勝てる確率は少ないでしょう」

 

空中に飛んでいる集団に勝てる確率を低いと言うイズに001は直ぐにアタッシュカリバーを召喚して握る。

 

〈アタッシュカリバー!〉〈ブレードライズ!〉

 

《Attache case opens to release the sharpest of blade.》

 

掴み取ったら直ぐにブレードモードに切り替えた。001も覚悟の上でのこと。今更引き返せない。

 

「それでも…あの()を一人だけに戦わせる事は俺には出来ない!うおおおぉぉぉぉ!」

 

一人で立ち向かって行った闇色の少女の元へ向かいながら001は武装した集団のメンバーを一人一人蹴散らしていく。

 

「邪魔だ、退けぇぇぇぇ!」

 

「きゃ!」

 

「ぐふっ!」

 

「ぐあっ!」

 

「何なの⁉️」

 

闇色の少女を救おうと突っ込んできた001の気迫に武装集団のメンバー達は次々とアタッシュカリバーの斬擊の餌食になっていった。

 

切りつけていくうちにやっと闇色の少女の元へ着いた。闇色の少女は自分の元まで来た001に睨み付けて叫ぶ。

 

「貴様、何者だ!こやつ等の仲間だろう!」

 

変身した姿を見た彼女は武装集団の仲間だと思い大剣を構えて警戒する。それに001は慌てて誤解を解こうとする。

 

「違う!俺はさっき青い髪の少年と一緒に居た茶髪のだ!」

 

「何?」

 

仲間じゃない事を聞かされた闇色の少女はピタッと動きを止めて思い出す。よく聞いたら急にギャグを言い始めた少年だと気づく。

 

「先程の茶髪の方か。貴様、何しに来た!」

 

「助けに来たに決まってるだろ!こんな連中に君の様な女の子一人任せておけない!」

 

「助けに来ただと?笑わせるな!今迄に会った奴等は皆私を殺そうと襲ってきた!」

 

彼の説得をこれ迄の経験した彼女からしてみればただの嘘や騙そうとすると思いそれらを切り捨てた。

 

なかなか聞いてくれない闇色の少女に001は心から叫んだ。

 

「信じてくれなんて言わない!でも今だけ俺と共にこいつらをやつけるんだ!」

 

「…」

 

必死になって説得した001に闇色の少女は一瞬黙った。そして…背中を彼に任す様にして合わせる。

 

「今回だけだぞ。裏切ったら承知しない」

 

「…!ああ!期待に答える様になんとかしてみせるさ」

 

そう言うと001はマスク越しで少しふと笑うと視線を前に戻す。構えた両者は目の前の敵を倒す為に動き出す。

 

「「はあぁぁぁぁ!」」

 

力強い声を出して武装集団の中へ飛び込む二人。この両者の覇気に圧されている者もいれば我に帰り襲い掛かろうとする者もいる。

 

そんな中、一人の男が二人の戦いを見ていた。

 

「たっく…変なのに吸い込まれて気がついて見てみれば知らねえ場所に飛ばされているし…おまけに急に警報が鳴ったと思いきやこの騒ぎだ」

 

顔は建物の影で隠れているため見えないが少なくとも二人の助太刀に入いようとしていた。

 

「相変わらず彼奴は面倒事に巻き込まれているみたいだし行くか」

 

男はそう言うと二人の元へ駆け足で向かった。腰に青い銃型のショットライザーを装着した諌が001と闇色の少女の助けとなる為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1話どうでしょうか?

精霊に出会った士道は或人イズに出会いどんな成長するか楽しみですね。

アンケートをしたりしますのでお願いします!



次回、デート・ア・ゼロワン


「お前の相手は…この俺だ!」

「ようこそ、フラクシナスへ。歓迎するわ」

「精霊を殺す?」

「飛電或人社長、あなたに依頼するわ。士道が精霊の霊力を封印が安心して出来る様に不破と一緒にサポートをお願い」


2話:その依頼、受けてやる


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2話:その依頼、受けてやる

SIDE:ナレーション

 

001と闇色の少女は一時的に共闘し武装集団の相手をした。その際に001に声がかけられる。

 

「社長!伏せろ‼️」

 

「!」

 

言われた通りに伏せた瞬間、二人の武装集団のメンバーに飛んできた弾丸が命中し火花を散らす。ベルトを装着した状態でショットライザーを構えていた諌が立っている。

 

それに気づいた001は無事だったと思い安心し喜んだ。タイミングは悪いがはぐれてしまったと思われた仲間に会えた事に。

 

「不破さん!無事だったんですか⁉️」

 

「ああ。変なのに吸い込まれたあの後、気がついたら公園で倒れていた。警報が鳴ってしかも爆発したもんだから来てみればお前があの娘と武装した連中とやり合っていたから助けに来た」

 

一番信用している諌が来た事で001は勝利を確信した。『今なら誰にも負けはしない』と。

 

右手には“シューティングウルフプログライズキー”を持って変身プロセスに入ろうとする。

 

「行くぞ」

 

シューティングウルフプログライズキーを持った右手で起動させて無理矢理抉じ開けてショットライザーへ挿入した。

 

〈Barrett!〉

 

「…っ!」

 

左手に持つショットライザーを右手に持ち変えてから前に向ける。

 

〈オーソライズ!〉

 

〈Kamen Rider…Kamen Rider…Kamen Rider…〉

 

そしてトリガーを引き飛んできた青い弾丸にパンチした。

 

「変身!」

 

〈ショットライズ!〉

 

「はっ!」

 

〈シューティングウルフ!

The elevation increases as the bullet is fired.〉

 

諌は“バルカン シューティングウルフ”に変身を終えるとショットライザーで武装集団を射ちまくる。当然、彼女達は簡単に受ける程バカではない。バリアらしき物を張って弾丸を防ぐ。

 

「それにしても社長、いつものゼロワンじゃないんだ⁉️」

 

「ゼアが無いから変身が出来なかったから仕方なくフォースライザーを使いました!はっ!」

 

「成る程、そう言う事か…お前も災難だな…!ふん!」

 

普段のゼロワンじゃない理由を001から聞いたバルカンは納得し今度は逆にアサルトウルフじゃないのかを聞かれた。

 

これ迄のバルカン…諌なら最初からアサルトウルフとなっていたが今回のはシューティングウルフ。確かに気になる所だろう。

 

「そう言う不破さんこそ、アサルトウルフじゃないんですか⁉️」

 

「使おうと思ったらうんともすんとも言わなくなっちまった!使えるキーはウルフとゴリラとハリネズミとスパイダーの四つしか使えねえ!」

 

「ええ⁉️」

 

まさかのアサルトウルフプログライズキーが使えなくなったと聞き001は絶叫する。強化アイテムのプログライズキーが理由不明の使用不可になったと聞いて『もしかしたら自分の強化用のプログライズキーも使えなくなっているのでは?』と思った。

 

だが今は001であるためプログライズキーの“ハイブリッドライズ”が使えないのは分かっている。もし本当に使えなくなっているのであればシャイニングアサルトホッパー、メタルクラスタホッパーにもなれない。

 

そう考えると余計に心配になってしまう。しかしいちいちそんな事を気にしている程今の001には余裕がない。まずは武装集団をどうにかしたいところ。

 

そう思っていると奥からガキィン!と金属同士がぶつかり合う音が聞こえた。見るとあの闇色の少女は白髪の少女と激しい攻防を繰り広げているのだ。

 

自分の位置からだと遠い。ここはバルカンに頼むしかないと思い声をかける。

 

「不破さん、彼女をお願いします!」

 

「ああ…分かった!」

 

〈アタッシュショットガン!〉

 

〈ショットガンライズ!〉

 

《Attache case opens to release the incredibly powerful shotgun.》

 

頼まれたバルカンは承諾しアタッシュショットガンをコール装備して闇色の少女と白髪の少女の間に入りその場で射ち込む。

 

白髪の少女…鳶一折紙はビームソードのノーペインで弾丸を弾く。自分達の間に入ってきたバルカンに目を向けると質問する。

 

「あなたは誰?」

 

「バルカンだ。そして…」

 

アタッシュショットガンを構えたまま折紙に向けて叫ぶ!

 

「同じ人間でも襲うってんなら容赦しない!お前の相手は…この俺だ‼️」

 

「!」

 

連射して折紙を追い払う。背後から闇色の少女が話し掛けてくる。バルカンはそれに対し真剣に答えた。

 

「貴様はさっきの奴の仲間か。何故そこまでして私を救おうとする?」

 

「決まってるだろ。俺は、“俺のルール”で動いているだけだ。お前が何者であれ…やる事は変わらない」

 

懐から“ガトリングヘッジホッグプログライズキー”を取り出し起動させてからアタッシュショットガンに装填した。

 

「それに、彼奴がお前を救おうとするのなら俺はそれを信じて動く!それだけだ‼️」

 

〈REVOLVER!〉

 

《Progrise key comfirmed. Ready to utilize.》

 

狙いを折紙に定め、バルカンはトリガーを引く。それにより銃口から緑色の針状のエネルギー弾が発射された。

 

《HEDGEHOG ABILITY!》

 

〈ガトリングカバンショット!〉

 

「喰らいやがえぇ!」

 

カバンショット

 

「くっ!」

 

無数に放たれた針状のエネルギー弾は折紙に降りかかる。スラスター…顕現装置(リアライザ)で回避していくがその内の五発当たってしまい壊れてしまう。

 

「ちっ…こんな時に…!」

 

苛立った折紙はやむを得ず顕現装置(リアライザ)を背中から外して飛び降りる。ノーペインでバルカンに斬りかかるがかわされた。

 

そろそろ引き際かと思ったバルカンは他のメンバーを倒した001と合流し闇色の少女と背にしてから逃げる様に言う。

 

「俺達がこいつらの相手をしている隙に逃げろ!」

 

「何?」

 

「早く!」

 

「…(コク)」

 

001の急かしに乗った闇色の少女は頷くとそのから離れて消滅した。居なくなったのを確認した二人。バルカンはアタッシュショットガンを地面に向けて射ち込み折紙と他の武装集団…AST(アンチ・スピリット・チーム )が怯んだ隙をついて逃げた。

 

元々ヒューマギアでもない相手をそれ以上攻撃する必要無かったため彼女が逃げる時間を稼げたからよしとした。

 

イズと士道も二人と一緒にその場から離脱した。近くの建物の陰に隠れると001は安堵の息を漏らす。

 

「ふう…此所まで来れば追ってこないだろ」

 

ASTが追ってくる事もないと思いレバーを押し込み、ライジングホッパープログライズキーを抜いて変身を解く。

 

「なんとか撒いたか」

 

バルカンもアタッシュショットガンを下ろし、腰に填めてあるショットライザーからシューティングウルフプログライズキーを抜き変身を解いた。

 

諌を初めて見る士道は或人とイズが知っているから味方だと認識し、名乗った。

 

「さっきは彼女を助けてくれてありがとうございます。俺は五河士道といいます」

 

「不破諌だ」

 

名前だけ名乗り終えると諌はライズフォンを取り出して画面を士道に見せつける。名前と顔、A.I.M.S.と記載された自身の所属する組織名も載っている。

 

「A.I.M.S.?」

 

聞いた事のない名前が出たため士道は頭を傾げた。それもその筈。悪事を行ったヒューマギアを倒す為の組織だと知りもしなくて当然なのだから。

 

すると、或人達の身体が浮遊感に見舞われた。

 

「「⁉️」」

 

「何だ⁉️」

 

「これは…」

 

これには或人、諌、士道は驚くがイズは余り驚かず寧ろ興味深そうだった。そして四人はそのまま姿を消した。

 

 

 

 

SIDE:或人

 

─或人…やっと会えた─

 

誰だ?頭にあのブラックホールが開いた時に聞こえた女の人の声がまた聞こえてきた。

 

─ごめんね。ずっと独りぼっちにさせたりして─

 

何の話だよ。答えてくれよ。

 

─でも、安心して。もう間違わない。きみをあの子と同じ様に手放したりしないから…─

 

あの子って誰の事だよ。訳がわからねぇ。

 

─それまで…待ってて。必ず、迎えに行くから…─

 

その時一瞬だけ、懐かしさを感じた。何でだろう…この声を聞いているとなんとなくだけど、落ち着くのは…

 

声が聞こえなくなる前に俺は呼び止めようとした。

 

「待ってくれ!あんたはいったい…⁉️」

 

そこから俺の意識は途切れた。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

「う…ん…」

 

意識が戻り目が覚めると眼鏡を掛けた薄紫色?の長い髪をした女の人がペンライトで俺目に当てながらジッと見つめていた。

 

「うん?」

 

「うおぉぉぉぉ⁉️」

 

思わず大声を上げて後ろへ下がった。でも下がり過ぎてベッドから転げ落ちてしまう。

 

ガタンッ!

 

「いだっ!痛っつ~」

 

やっべ、尻餅ついた!今のはマジで痛いんですけど⁉️

 

「大丈夫かい?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「私はこのフラクシナスの解析を担当をしている村雨令音だ。あと此所はフラクシナスの医務室だから安心するといい」

 

「はい、ありがとうございます」

 

女の人から差し伸べられた手を掴み立ち上がる。お礼を言うと『それは無事で何よりだ』と反された。

 

「不破さんとイズと士道は?」

 

「少年なら先に向かって貰ったよ。二人なら…」

 

そう言いながらチラッと視線を変えて指す。見ると二人共起きていた。良かった、無事で。

 

「或人社長、気がつきましたか?」

 

「全く…なかなか起きてこないもんだから心配したぞ」

 

ああ…心配かけてしまったか。なんだか申し訳ない気がしてきた。

 

「すいません不破さん。でも、この通り俺は元気です。イズも心配させてしまったな」

 

「いえ、或人社長の身体の容態を確認してただ気を失っているだけだと分かったので心配はしていませんが…何か体調に異変があれば言ってください」

 

見たところ、不破さんとイズにも特にこれと言った外傷はないみたいだし良いか。

 

「揃ったみたいだね。では向かおう。うちの司令官は君達を待っている。」

 

「「分かりました」」

 

「分かった」

 

令音さんに俺達に会いたがっている司令官の人の元まで案内してもらった。医務室から出て廊下を歩き、少ししたらスライド式の扉の前に来た。

 

扉が開き中に入ると艦橋内だと直ぐに分かった。よくテレビとかで見ていたから大体だけどな。

 

中に入り上側に進むと椅子があり、その隣には金髪の男性が立っていた。その人は笑顔で振り向き俺達に挨拶をしてきた。

 

「皆さん初めまして。私は此所の副司令官を勤めております、神無月恭介と申します。皆さんの事は士道君から聞いておりますので名乗らなくても大丈夫ですよ。」

 

一応、先に此所に向かっていた士道が俺達の名前を教えておいたんだ。

 

そう思っていると士道が声をかけてきた。

 

「或人!起きたんだな!」

 

「士道、ああ…俺はバッチリ元気だ!」

 

「イズさんと不破さんも起きたんですね」

 

「はい。一時的に機能が停止しただけですので直ぐに再起動しました」

 

「ふん。いきなり身体が浮くもんだから何事かと思ったがな。俺も特に問題ない」

 

こうしてまた四人揃ったから…よしとするか。安心していると椅子から声が聞こえた。立ち上がった人物を見て俺達は驚いてしまった。

 

「これで四人揃ったみたいね」

 

「「「うん?」」」

 

「?」

 

「ようこそ、フラクシナスへ。歓迎するわ」

 

「「「ええー⁉️」」」

 

何故なら…俺達に会いたいと言っていた人物は赤い軍服の上着を肩に乗せてキャンディを舐めている赤いツインテールの女の子だったから。

 

これには俺と不破さん、士道もビックリした。イズは声には出していないけど目を見開き口元に両手を添えていた。

 

「お前…琴里だよな?」

 

「あら士道。妹の顔も忘れたの?老人ホームにでも連絡を入れて予約しようかしら」

 

この女の子が令音さんが言っていた司令官さんで良いのか?と言うか見たまんまだけど中学生だよね?見るからに司令官ぽさが伝わってこないんだけど。しかも妹って…士道が兄貴って事か。

 

「そんな事よりも琴里、心配したんだからな!携帯のGTSで居場所を確認したらファミレス前に居るって分かった時は本当に焦ったぞ!」

 

「ああ、その事ね。言っとくけど、このフラクシナスは今ファミレスの位置にあるわ。フィルターを切って」

 

琴里ちゃんだっけか?彼女が言うと薄暗かった艦橋内は明るくなった。いや、正確には外の景色を映した様な感じになった。

 

「なんじゃこりゃ…っ⁉️」

 

「うえぇ⁉️空を飛んでる⁉️」

 

「おい、これどうなってんだ⁉️」

 

「飛電インテリジェンスの技術にも無いシステムですね。少々興味深いです」

 

士道は勿論、俺と不破さんもいきなり艦橋内が空の背景になったから絶叫する。イズは相変わらずズレた感想言うな⁉️

 

「三人共黙って頂戴。これはあくまで外の景色をそう見せているに過ぎないわ」

 

「外の景色って…」

 

「ええ。天宮市上空一万五〇〇メートル。位置的には丁度待ち合わせしたファミレスの前になるわ」

 

おいおいマジかよ…こんな凄すぎる技術は飛電にも無いぞ。それをあっさり言う琴里ちゃんはいや、フラクシナスって凄すぎる…

 

不破さんでさえ目を見開きして俺と同じ表情してるし。

背景が元に戻ると本題に入った。

 

「さて…本題に入りましょうか。まずはこれ、ASTね。正式名はアンチ・スピリット・チーム。要は精霊の天敵ってところね」

 

説明に合わせて画面は切り替わる。あの時戦った武装集団が映っていた。連中はASTって呼ばれていたのか。

 

「次は精霊がこれよ」

 

また違う画像に切り替わった。今度は一時的に俺と不破さんと共闘した紫の鎧とドレス姿の少女だ。まさかあの女の子が精霊って存在だったとは初めて知った。

 

「あの()が精霊って存在なのか?」

 

「そうよ。で、彼女達の目的はただ一つ…排除する事」

 

「排除って…まさか…」

 

「そう、要は精霊をぶっ殺す事よ」

 

「「「!」」」

 

黙って聞いていた俺や不破さんも今の言葉で反応した。琴里ちゃんは簡単に言うけど、それじゃあZAIAの社長の天津さんと何も変わらない。

 

彼女が人間にいったい何をしたんだ。あの時彼女から感じられたのはとても人間に危害を与える様な()には見えなかった。

 

悲しそうな表情をした彼女が人間を襲う様に見えない。それを士道も分かっているうえで反論した。

 

「精霊を殺す…?」

 

「精霊をぶっ殺すだと?ふざけるな!あんな悲しそうな表情をした女の子が人を襲う訳ないだろ!」

 

「確かに士道の言う通りよ。でも忘れたの?空間震の存在を。あれは彼女がこの世界に来る為に起きた物で彼女の意志とは関係なく起きるの。つまり…彼女自身は何もしてなくても結局は周りの民家やその場に居る人間を消した時点で殺った事と変わらないわ」

 

何だよそれ。もしそれが本当なら俺達の世界で言うヒューマギアの暴走と同じじゃないか!彼等も人を襲いたくて襲ってるんじゃない。滅亡迅雷.netの連中によって無理矢理させらえてるんだ。それを天津さんはヒューマギアを目の敵にして廃棄するべきだの人間社会に必要ないだの言っていたけど…そんな事、俺が止めてやる‼️

 

「だったら、俺があの精霊を救ってやる!」

 

俺が言おうとしたら士道が叫ぶ。やっぱりお前も同じ気持ちなんだな。

 

覚悟を決めた表情で士道は琴里ちゃんに向けて言う。

 

「相手は世界にとって猛毒な存在よ。喩えそれが、最悪な結末になったとしても?」

 

「ああ…やってやる。あんな悲しそうな表情をした子に人を殺せる筈がない。だから…俺が彼女を救ってやる!その為ならなんだってやる覚悟だって出来てる!」

 

真っ直ぐな瞳で琴里ちゃんを見る士道。それにクスリと笑う彼女はどこか安心した様にも見えた。

 

「なら、手伝ってあげる。元々、このフラクシナスや私達ラタトスクは士道、あなたの為にあるのだから」

 

「俺の為に?」

 

「そう。だから私達は精霊の霊力を封印出来る様に全力であなたをサポートするわ。精霊を救う手段は二つ。一つは武力による完全な殲滅。二つ目は精霊との対話で解決するの」

 

倒す以外の方法を教える琴里ちゃん。その対話はどのようなものかは俺は知らない。でも、対話で世界と女の子が救えるなら俺も協力してやりたい。

 

「琴里、肝心なその対話方法は?」

 

「簡単な話よ。デートして精霊をデレさせればいいだけ」

 

「は?」

 

今の言葉の中に受け入れがたい単語が聞こえた瞬間、俺達【イズ以外】はフリーズした。

 

いやだって今、デートって言ったよね?男女が外で買い物したり映画観たり、夜空を満喫しつつお互いの事を知るあれだよね?

 

頭がパンクしそうになった。不破さんに至っては顔をひきつってるし。

 

「デートってお前、本当にそれで良いのか?」

 

「妹の言う事を信じないの士道。言っとくけど、ただのデートじゃないわ。デートをする事で好感度が上がりデレた時が霊力を封印するチャンスになるの。それさえ出来れば晴れて彼女は狙われなくて済むわ」

 

デートをしなくてはならない理由を聞いて俺達は納得した。確かにその霊力とか言うのを封印さえしてしまえば命を狙われないというのはいい。

 

「上等だ。この際可能を救える事が出来るならやってやるよ!」

 

「ふふ…それでこそ私のお兄ちゃんね。さて…」

 

話がまとまり琴里ちゃんは目線を士道から俺達に向ける。多分話さないとならないかな。仮面ライダーの事や俺達自身の事についてを。

 

「話がまとまった事だし、次はあなた達の事を話して貰うわよ」

 

「分かった」

 

「仕方ない」

 

「分かりました」

 

振られた俺達はそれぞれの事を話し始めた。

 

「では最初は私から話させてもらいます。お二人が変身した姿は仮面ライダーと呼ばれております」

 

「俺が変身したのはこの四角いアイテム、プログライズキーとフォースライザーで変身した001って言うんだ」

 

イズの説明に合わせて俺は懐からフォースライザーとライジングホッパープログライズキーを取り出して琴里ちゃんに見せる。

 

「俺のはショットライザーとウルフのキーで変身したバルカンだ」

 

続いて不破さんも自身が持つショットライザーとシューティングウルフプログライズキーを取り出した。

 

「001にバルカンね…」

 

「まあな。本当なら…此方で変身して戦いたかったけどな」

 

苦笑いした後、フォースライザーを仕舞い代わりにゼロワンドライバーを取り出す。新たに取り出されたゼロワンドライバーの琴里ちゃんは興味深かそうにしていた。

 

「そのベルトを使う予定だったの?」

 

「うん。このゼロワンドライバーは特別でね、衛星からの交信しないと使えない」

 

「衛星?何でまた」

 

「それについては私からお答えします。ゼロワンドライバーは我々、飛電インテリジェンスが管理している人工衛星があり、名前は衛星ゼアと言いゼロワンドライバーから発信される電波を受けて変身に必要な生物型のライダモデルを送ったり新しいプログライズキーの製作にも使われています。しかし、その衛星ゼアはこの世界には存在しないためゼロワンドライバーを使う事が出来なくなっているのです」

 

途中からイズにバトンタッチした。ナイスアシストだ!

細かい所は俺にもよく分かっていない部分があるから助かった。

 

「衛星ゼアとの交信で変身出来る…ね。うん?ちょっと待って…貴女今『この世界』って言わなかった?」

 

「はい。元々私達は暴走したヒューマギアを止める為に戦っていました。勿論、戦っておられたのは或人社長と不破さんで、私はサポートをしていました。或人社長が必殺技の一つでもあるプログライジングストラッシュを浴びせた瞬間、ブラックホールが発生し私達はそれに吸い込まれました」

 

「暴走したヒューマギアを止める為にね…。そう言えば飛電インテリジェンスって会社の名前が出てきたけど或人って社長なのよね?一応、士道から聞いてはいるけど」

 

「はい。或人社長は先代社長の指命で選ばれました。見た目こそ今は高校生の姿ですがこの世界に来る前にはちゃんとした大人の姿ですので安心してください」

 

「まさか異世界からの人間に出会うなんてね。おまけに会社の社長ときたから驚くわよ」

 

流石イズ。受け答えが元から上手だから話しがスムーズに進んでいくのを感じる。てか琴里ちゃん今、俺を呼び捨てで呼ばなかった?兄妹で呼ばれるのはよく聞くけど他人にいきなり呼び捨てするとかこの子本当は精神年齢が俺より年上じゃないのか⁉️

 

まあ、この見た目【高校生くらい】がこんなんだからフレンドリーで話しているかもしれないけどせめて常識は持とう‼️頼むから!敬語までは使わなくても本当にて“さん”付けくらいはしような!な⁉️

 

「或人社長は飛電インテリジェンスの代表取締役社長でかなりの努力家です。それにヒューマギアの事を信じていて『家族だ』と仰って下さいました」

 

「そのヒューマギアって具体的にはどんな物なの?」

 

「ヒューマギアとはAIが搭載された高性能なロボットです。姿形は人間と変わらないですが、唯一違う所があります。それは…」

 

そこまで言うとイズは自らの耳元に取り付けてある“ヒューマギアモジュール”を指して言った。

 

「このヒューマギアモジュールが取り付けてあるのが何よりの証拠です」

 

「と言うことは…貴女は…」

 

自ら正体を明かしたイズに琴里ちゃんは少しだけ驚いていた。まあ無理もない。ずっと人間だと思っていた人物がロボットだなんて誰も気付かないなのは当然だし、彼女の反応が正しい。

 

「ヒューマギア…なのね?」

 

「はい、お察しの通りです。私は社長秘書ヒューマギア、イズ。そして或人社長が変身するゼロワンのサポート等を行っています」

 

やっと落ち着いた琴里ちゃんはそうかと改めてイズがヒューマギアだと認識して納得する。当然、士道や周りの人達も驚いた。

 

「マジかよ…てっきり人間だと思ったぜ」

 

「司令!凄いですよ!外見は完璧な程のもので何処から見ても普通の人間にしか見えなかったです!」

 

「異世界の技術は凄い!」

 

みんな大絶賛だ。でも一人だけ違う方向へ走る人が居るみたいだ。

 

「イズさん、もしかしてヒューマギアで生きている人間をコピーする事も可能ですか?」

 

「一応は可能です。しかし、私達の世界ではヒューマギアで人間のコピーを造る事自体が違法になっているため現状は不可能です」

 

「な、何ですと~⁉️」

 

つか、よく見たら目から血涙を流してるし⁉️怖いんですけど⁉️あなたは何を考えたんですか神無月さん!

 

琴里ちゃんも呆れてますよ!他の人達もドン引きだし‼️

 

「えっと…神無月…何でヒューマギアで人間のコピーが出来るかを聞いたか…逆に聞いて良いかしら?」

 

「待ってました司令!もしヒューマギアで人間のコピーが可能ならば私は自分専用の司令を手に入れていろいろとされてみたいと思っていいました‼️」

 

それを聞いて俺達はドン引きした。だってあれだよ?自分達の司令官をヒューマギアでコピーさせて好き放題する気だったよこの人‼️

 

見てよ琴里ちゃんなんかは額に青筋浮かべてるし!次の瞬間、琴里ちゃんは指を鳴らして黒スーツ姿にサングラスを掛けた二人の男の人呼んだ。

 

その二人はそれぞれ神無月さんの腕を掴み持ちズルズルと引きずっていく。遠ざかっていく神無月さんは必死に叫び声を上げていた。

 

「はぁ…」パチン!

 

ガシッ

 

「そんな!司令、私はただコピーされた司令に蹴られたりしたいだけなんです!お慈悲を!お慈悲を~‼️」

 

連れて行かれた神無月さんを俺達は黙って見ていた。見てはいけないものを見てしまった気がしてならないのはの俺だけか?

 

不破さんは目を見開いて固まっているし。何がどうやったらあんな事になるのか俺達にはよく分からなかった。

 

二人の男の人に連れて行かれた神無月さんを気にせずに話を再開する琴里ちゃん。

 

「話を戻すけど…貴女が人間ではなくヒューマギアだと」

 

「ここまでが我々、飛電インテリジェンスの関係する話です。次は…」

 

俺達の話しが終わり、次が不破さんが一歩前に出た。ライズフォンを持って自身の顔写真や所属先の組織の名前等が記載されているのを出して琴里ちゃんに見せる。

 

「俺の番だな。改めて名乗るぞ。俺は不破諌。内閣官房直属の対人工知能特務機関A.I.M.S.に所属で隊長をやっている。主に人工知能特別違法したヒューマギアを撃破する事だったが、後から暴走させているテロリスト、滅亡迅雷.netの仕業だと知りそいつ等を殲滅する方針で動いていた」

 

「成る程…それで滅亡迅雷.netと言うテロリストは?」

 

「具体的には通信衛星アークと呼ばれる飛電インテリジェンスが衛星ゼアを宇宙に打ち上げる前に打ち上げ予定されていたのがあった。そいつに人間の悪意をラーニングさせたZAIAの社長、天津垓がやった所為でアークは『人類は滅亡するべき』と判断し“滅”と“迅”と言うヒューマギアを中心に滅亡迅雷.netと呼ばれるテロリスト組織が生み出される要因となった」

 

そう言うと不破さんはライズフォンを操作して滅亡迅雷.netの紋章と滅と迅【復活した姿】の顔写真を出す。

 

「この二人がヒューマギアを暴走させている滅亡迅雷.netって訳ね」

 

「ああ。そいつ等は今も倒すべき敵であり、人類の敵だ。それだけは覚えておけ」

 

それだけ言うと暫く黙ってしまった。とにもかくにも、これでお互いの事は話せたからよしとしよう。

 

話が終わり、琴里ちゃんは手を差し出してきた。

 

「これでお互いの事は話せたね。改めてだけど…

飛電或人社長、あなたに依頼するわ。士道が精霊の霊力を封印が安心して出来る様に不破と一緒にサポートをお願い」

 

ふと笑い、俺は差し出された手を握り握手をする。不破さんやイズも握手した。

 

「ああ、これから頼むぜ!琴里ちゃん!」

 

「仕方ねえな。専門外ではあるが手伝ってやる」

 

「或人社長が決めた以上、私も全力でラタトスクの皆さんに力をお貸しします。宜しくお願いします」

 

こうして俺達は正式にラタトスクの協力者となり士道にサポートをする契約を完了させた。これからの精霊の攻略に殲滅しに来るであろうASTに士道の邪魔をさせない様にする事が俺と不破さんの役目。

 

目的がクリアさえ出来ればそれ以上の戦闘はしなくても良いらしい。まあ、正直言って俺も仮面ライダーでもなければレイダーでもないほぼ生身に近い相手と戦うのは気が引けてはいたしな。

 

よし、一発やるか。

 

「そんじゃあ、正式にラタトスクの協力者となった祝いにここは俺の一発ネタを見せてやるか!」

 

「一発ネタ?」

 

「まさか…」

 

俺の言葉に琴里ちゃんは頭から?を出す表情になり、士道はうげって顔を歪めていた。

 

「ラタトスクに協力すればストスト(・・・・)と解決して行く~‼️はい!アルトじゃあ~ないと‼️」

 

シーン

 

周りを見るが誰も笑っていない。イズから何時ものギャグの説明が入った。

 

「今のはラタトスクの“トス”の部分とトストスの“トス”の部分を掛け合わせたギャグです」

 

「だ・か・ら・ギャグの説明をしないでってば~‼️」

 

お約束のやり取りをやっていると不破さんは口を押さえてはいるが半分笑っていた。

 

「不破さん、今笑った?」

 

「笑ってない!」

 

もう~不破さんたら~素直に笑ったって言えばいいのに。そう思っていると琴里ちゃんの様子が可笑しかった。なぜなら…()()()()()()()()()()()()()()()からだ。

 

それも微かに、プププと声に出ている。これはもしかして…

 

「琴里ちゃん、もしかして笑ったって「笑ってないわよ!」おうっ⁉️」

 

言い切る前に怒鳴られてしまった。まあいいか。兎に角琴里ちゃんも不破さんと同じで顔には出さないけど陰では笑ってくれているタイプと俺はそう思い、イズもこれを見てラーニングした。

 

また楽しくなるなこれは。

 




2話どうでしょうか?

琴里を或人のギャグで笑う様にしたのは不破さんと同じ感じにしたかったのでそうしました。
他にも或人のギャグで笑うキャラは居ますがもう少しの先になります。

アンケートをしたりしますのでお願いします!



次回、デート・ア・ゼロワン

「俺も特訓するの~⁉️」

「やってみないと分かんないだろ…っ!」

「ゼロワンドライバーで変身出来る様にフラクシナスに接続させます」

「新しい仮面ライダー…」

3話:誰がゴリラだ‼️


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3話:誰がゴリラだ‼️

急遽のタイトル変更しました。


SIDE:士道

 

或人達が俺やラタトスクに協力する事が決まって一日が経った。今日は朝から騒がしかったりした。

 

何故なら…

 

「いったい…誰が…ゴリラだゴラァ‼️」

 

「やべぇ!逃げろ!」「ゴリラ教師が来るぞ‼️」「ヒイィ⁉️」「キャハハハ‼️」

 

絶賛、グランドでは大騒ぎになっていた。その理由は数時間前に遡る。

 

~数時間前~

 

何時もの様に登校して鳶一に呼ばれて誰も居ない階段付近で昨日の事を話をした後、たまちゃん教諭から大事な話しがあると言われて皆席に着いた。

 

「はーい皆さん!今日このクラスに転入生と副担任の先生の方が居ますので注目してください!」

 

転入生か。この時期に限って珍しいな。副担任の先生の方も急とはいえこのクラスになるとは以外だった。

 

まあ正直言ってたまちゃん教諭だけだと逆に心配でならなかった。

 

「では先ず副担任の先生からお願いします!」

 

たまちゃん教諭の声と共に教室のドアが開く。なんと見知った人が副担任だったからだ。胸ポケットびクマのぬいぐるみに普段から眠たそうにしている女性。そう…ラタトスクの解析官を勤めている村雨令音さんだからだ。

 

そう言えばこの人廊下で一回会ってるんだった。たまちゃん教諭が悲鳴を上げるものだったから驚いていて見てみれば倒れているし。すっかり忘れていた。

 

「今日から珠恵教諭の副担任を勤める事になった村雨令音だ。人からは眠たそうな人等と言われているが気にしないでくれ。以上だ」

 

「ありがとうございました!では次に転入生さん入って来てください!」

 

令音さんの紹介が終わり、次に転入生の紹介が始まった。しかし、これもまた見知った人物が入って来たから思わず目を見開いてしまった。

 

「どうも飛電或人です。今日からこのクラスに転入する事になったので宜しくお願いします」

 

爽やかな表情で自己紹介をする或人。つか何で或人が転入生なんだよ⁉️バッチリ来禅高校の制服を着こんで来てるし!

 

確か或人は大人だったよな⁉️なんでこのタイミングで⁉️

 

「飛電君は五河君の隣が空いているので其所にお願いします」

 

「はい」

 

話が進み或人はたまちゃん教諭の言う通り俺の隣に空いている席に座った。気になったから取り敢えず聞いてみた。

 

「なあ或人。お前何でこの来禅高校に転入なんかしたんだ?」

 

「うん?ああ、そう言えば言ってなかったけ?琴里からお前のサポートするのに一緒の学校へ通わせた方が都合が良いんだと。ラタトスクの力で急遽ではあったけどなんとか転入する事が出来たんだ」

 

理由を聞いて納得した。確かに俺のサポートをするなら近い方が良い。なら同じ学校へ通わせた方が万が一何かあった場合でもそれなりに対応が出来る。

 

そこまで考えたうえで或人を転入させたなら話がつく。

 

「イズさんは?」

 

「今ラタトスクで俺のゼロワンドライバーを使える様にする為に技術顧問の人と開発チームと協力して作業に取り組んでいるよ」

 

「そうか」

 

「ああ。だから昨日見せたゼロワンドライバーは今イズに預けてる。あれにはこれ迄の戦闘データがあるし、使ってきたプログライズキーのデータも入ってるからとの事だってさ」

 

イズさんも或人の為に今フラクシナスに残って必死に作業をしている事が分かる。俺に至っては精霊とのデートをする為に必要なコミュニケーション力を身につける特訓を今日するとか言われているからな。

 

あと咄嗟の判断力も必要になってくるからとかも言われたし。相手は世界を破壊しかねない猛毒指定とされた精霊だ。下手な言葉や行動をとってみろ。確実に怪我や痛いだけでは済まされない。最悪の場合、死ぬ。

 

正直言って、まだ怖い。死ぬかもしれない。でも、それでもやらなければならないと俺は思った。

 

あの()の表情を見た時、とても悲しそうにしていた。同時に嘗て小さかった俺と合わせてしまった。

 

そっかからだ。彼女を放ておけないと思ったのは。琴里からは俺自身に精霊の霊力を封印する能力がある知らされたあの時から。

 

それは()()()()出来ないと分かったから、俺がやらなければこの先もずっと彼女はこの世界に来る度にASTに命を狙われ続ける事になる。

 

もう、誰も悲しませたりしない。あの時の小さかった俺の様な奴を出したくない。だからその為にやるんだ。

 

心の中で俺はそう誓った。授業もあらかた進み、体育の授業へとなり体操服へ着替えた俺はグランドに出る。其所に待っていたのは

 

「よし、全員揃ったな。先に皆に自己紹介をしておく。俺は今日から体育の授業の担当となった不破諌だ。基礎体力をきっちりと叩き込んでやるから覚悟しとけ」

 

なんと不破さんだった。令音さんや或人に続いて不破さんまでもこの学校に来るなんて以外だった。いや、予想外にも程がある。

 

だって初めて会った時に感じられたのは明らかにこう言った事を不破さんはやらなそうの見えたからだ。寧ろ昨日のフラクシナスの休憩室でコーヒーを俺と或人を含めた三人で飲もうとしてやった“あれ”は印象高かった。

 

そんな人が教師に成れるのが以外だった。まあ、それはそれで怖いが。

 

「うんじゃ最初の授業でランニングをするぞ。今笛を出すから待ってろ」

 

こうしていると不破さんは小さい箱みたいな物を懐から取り出す。どうやら笛を箱から取りだそうとしているのが分かった。

 

しかし、その箱は鉄タイプの様で兎に角固い。俺達なら先ず何がいけないのかを調べてから原因を探る。だが次の瞬間不破さんはとうとうみんなの前で“あれ”をやってしまったのだから。

 

「うん⁉️固い…うっ…この箱の蓋…メチャクチャ固いぞ…うーがーーーーーー‼️」

 

ばかん‼️

 

「「「「「「「「「「えっ…?」」」」」」」」」」

 

なんと調べもしなければ考える事もせずに無理矢理力で抉じ開けたのだ。それを見たみんなは数分だけピタリと止まって固まっていた。

 

「ふう~!やっと開いたか!うん、どうしたお前等?そんな顔をして」

 

固まっている俺達を見た不破さんは不思議そうな表情をするがみんなの反応がかなりヤバかった。

 

「「「「「「「「「ゴリラが降臨したー!」」」」」」」」」

 

~現在~

 

とまあこんな感じになった訳だけど…

 

「待ちやがれコラ‼️」

 

「キャハハハ‼️」

 

今ではすっかり鬼ごっこと化してしまった。もうこれは授業と言うより遊びに変わってしまっている。フラクシナスでも不破さんはゴリラ扱いされてた。

 

だって、琴里から一応どれくらいの強さを持っているのか見たいと言われて実体化した疑似AST隊員のバーチャル体と戦う事になりバルカンへ変身する為にショットライザーにプログライズキーを挿すんだが…これを無理矢理馬鹿力で抉じ開けてやった。

 

令音さんいわく『おそらく本来の変身する手順が有るのだろう。しかし彼のやり方を見る限りその手順を知らない感じに見受けられた。あれではそこら辺に居る野生のゴリラと変わらない』との事だ。

 

まあ確かに俺も心の中では『この人もしかしてゴリラじゃないのか?』って思ってしまったくらいだからな。おまけに琴里からも『プログライズキーを無理矢理力でこじ開けるとか…貴方…ゴリラなの?』なんて言われる始末だったし。

 

一回それでぶちギレた不破さんは『はぁ⁉️』って琴里にメンチ切っていたが或人に止められてた。お陰でクルーの人達は新しく認識されたのがイズさんいわく『無理矢理力でプログライズキーを抉じ開けることから“ゴリライズ”』なんか言われてた。

 

当然、本人は全くもって自覚してなかった様だが。更に話を聞くと初めて会った時から変身のやり方がゴリライズをしていた様だ。

 

まああの人ならやりかねない。正直言って、頭は脳筋かと思ってしまうくらいにバカだと思った。

 

体育が終わり、みんなはドッと机の上に倒れていた。相当ヤバかったと見る。あれだけ暴れてれば誰だって身体に疲れが溜まってくるだろう。

 

「大丈夫か士道」

 

「これの何処が大丈夫に見えるんだ?」

 

心配する或人に俺は素っ気なく反す。他の生徒同等に机の上でのびていたのだ。あの馬鹿騒ぎの所為でグランド十週走らされたうえに腕立て伏せ五十回もしたからもう身体がある意味ボロボロなのだ。

 

「なんか…悪いな」

 

「別に気にしてない。ただ…あの人はどんだけ脳筋なんかよって思ったぞ?」

 

「あー、不破さんは元々ああいう人だから今更言ってもしょうがないんだ。流石に俺も疲れたけど…」

 

平気そうな顔をしているが或人もあの内容の事をやって疲れた感じの雰囲気を出していた。やっぱり或人も疲れているんだなと改めて思った。

 

俺なんかノックアウトしそうだったくらいだ。今ならこの場で寝れる自信がある。そう思いながらいると放送が鳴った。

 

『五河士道君、飛電或人君、至急職員室まで来て下さい』

 

なんと俺と或人が呼び出しを喰らった。なんかあったのだろうか?以外にも先生から呼び出されたから頭を傾げた。

 

「呼び出されたな」

 

「なんだろうな。声から見てたまちゃん先生だと思ったぜ」

 

そう、俺達を呼び出したのはたまちゃん教諭だ。繰り返しの放送が終わると直ぐに教室を出て職員室に向かった。

 

其所まで来るとたまちゃん教諭が待っていた。着いた俺達にたまちゃん教諭は話しかける。

 

「すいません、五河君、飛電君。急に呼び出したりして」

 

なんだかたまちゃん教諭は申し訳なさそうにしていた。無論、俺達は大丈夫だと伝える。

 

「先生、俺達は大丈夫ですよ」

 

「士道の言う通り俺達は気にしてないんで問題ないです」

 

「そうですか…良かった…」

 

安心して安堵の息を漏らすたまちゃん教諭。俺達はたまちゃん教諭から本題を聞く。

 

「先生、俺達を呼んだのはいったい…」

 

「実はお二人にお客さんが居ましてそれで呼び出させてもらいました」

 

「「お客さん?」」

 

どうやら俺達にお客さんが来られた様だ。でも誰だろう。別に思い当たる人物が頭に思い浮かべないが。考えているとたまちゃん教諭の背後から聞き慣れた声が聞こえた。

 

「ヤッホーおにーちゃん達!」

 

「「琴里⁉️」」

 

まさかとは思っていたが琴里だった。しかも来校された方が着ける名札を首から下げている。その隣には令音さんと不破さんも居た。

 

琴里が居るとなると絶対嫌な予感しかないのは気のせいか?万勉な笑みを浮かべているし。今は白いリボンでいるから“妹モード”でいる。

 

黒いリボンだと“超ドS司令官モード”だと知ったのはその後だったがな。あのドS使用な性格さえ無ければ可愛いんだが。言う事が一つ一つが無茶苦茶だ。

 

「お前何でこんな所に来たんだよ!」

 

「大事な話しがあるから来たんだよ?それじゃあ令音先生、不破先生、お願いしま~す‼️」

 

あっさり俺の質問をスルーされてしまい、そのまま二人と行ってしまう。一応俺達も来る様に後から言われたから付いて行った。

 

着くと準備室の様だ。こんな所に何の様かと思ってしまった。令音さんに言われ、俺と或人は中に入っていく。

 

「中に入りたまえ」

 

言われた通り入っていくと中は以前見た時とは変わっていた。内装はシンプルで奥に机があり、その上にはパソコンが何台か置かれていた。それ以外の物はない。

 

普通の生徒なら誤魔化せばなんとかなっていただろう。しかし俺は違う。明らかに可笑しいと思った。

 

前に此所に用事で来た事があったけど、ここまでシンプルではなかった。どっちかと言うと物置部屋だった筈だ。

 

部屋の変わり様に気を取られていると琴里は白リボンから黒リボンに付け替えてモードチェンジした。

 

「さて、いきなりだけど特訓を始めるわよ士道」

 

「今からかよ⁉️」

 

「当たり前でしょ?精霊は待ってくれない。だから今の内に特訓して少しでも進めておいた方が後が楽よ。あと、或人も特訓に参加させて貰うから」

 

唐突に言われ俺は『は?』と思ったがそれ以前に或人も何故やらないとならないか訳が分からなかった。

 

「はぁ⁉️俺もやんの⁉️」

 

「当然。と言っても、念のためよ。昨日、二人に身体検査した際に士道は問題無かったけどあなたからまさかの霊力を封印する力があったのが気づかなかったの。それを令音から言われてたから急遽してもらう事にしたわ」

 

霊力を封印する力を持つのは俺だけだとあれだけ言っておきながら、結局或人も持ってるのか。これを聞いた或人は目を丸くして驚く。

 

よく見たら隣の机にも同じタイプのパソコンが配置されていた。用意周到なこった。

 

呆れていると琴里から渡しておきたい物があると言われた。令音さん、貴女いつからアタッシュケースを持っているんですか⁉️

 

「それと士道、あなたに渡しておきたい物があるかた先に渡すわ。令音」

 

「ああ」

 

持っているアタッシュケースを令音さんは空いている椅子に置きロックを解除する。蓋を開けると不破さんの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が入っていたのだ。

 

これには俺、或人、不破さんも驚く。形はショットライザーに似ているけど多少は形状が違う部分もある。銀のベルトに本体のショットライザー似のカラーリングは紫で僅かに赤色のラインが入っている。

 

「ベルト…だと…っ⁉️」

 

「マジで⁉️」

 

「琴里…これは…」

 

質問すると琴里はニヤリと笑みを浮かべて説明は令音さんからされた。

 

「これは()から預からせて貰ったショットライザーを解析してイズと共にシン(・・)専用のベルトを開発をしたのさ。名付けて“ラタトスクショットスラッシュライザー”。二モード変形が可能でガンモード、スラッシュモードの二つ。待機音声もモードによって変えられる様にした。性能はショットライザーよりも高性能で装着者の戦闘データを自動で取り、戦い方を学習させられる事も可能にした。そして…」

 

そこまで言い切る令音さんはプログライズキーを手に取り俺に見せつけた。

 

「要となるこの“レイジングバタフリープログライズキー”は君専用のプログライズキーだ。キーには指紋認証機能が追加されているため、君以外の人間が開けようとしても完璧なセキュリティーにより開ける事は不可能。無論、諌の得意とする抉じ開けるやり方も当然不可能さ」

 

レイジングバタフリープログライズキーか。しかも俺専用のプログライズキーだと知ると早く変身してみたい気がする。

 

カラーリングは青紫と黒で、表が揚羽蝶の絵があり青紫となっており英語は“RAGING BUTTEFLY”と“ABILITY:FAIRY”と表記されていた。

 

…ってそうじゃない!令音さん、不破さんの目の前でそれ言っちゃ駄目!何をやらかすか分からないから‼️

 

「俺には抉じ開けれないだと?」

 

ほら言わんこっちゃない!完全にスイッチ入ったよ!令音さんの言葉に乗ってしまった不破さんはレイジングバタフライプログライズキーをひったくると抉じ開け始めた。

 

「そんなの…やってみないと分かんないだろ…!うおぉぉぉぉぉぉ!」

 

メキメキメキメキィ…!

 

ヤバい…不破さんは本気で抉じ開けようとしてる。これには流石に琴里も止めに入った。

 

「ちょっ、不破‼️止めなさい!壊れたりしたらどうするの‼️」

 

「あわわわわわ…」

 

静止する琴里に抉じ開けようとする不破さんに便乗する或人。令音さんはジーと見ているだけだし。もうカオスだ。

 

「うぅぅぅぅ…!あぁぁぁぁぁー‼️」

 

バキン‼️

 

めいいっぱい両腕に力を籠めて引っ張った結果、本当に抉じ開けてしまった。これを見た琴里は驚きの表情になり

 

「うっそ…本当に抉じ開けちゃった…」

 

ロックを解除された事に放心状態になった。まあそうだよな。開く筈のない特殊型プログライズキーをいとも簡単に抉じ開けれてしまったから無理もないか。

 

ドヤ顔で『どんなもんだ』と言いたそうにしているゴリラ先生。

 

「ふん…見たか。この俺にかかればこんなセキュリティーなんて簡単に抉じ開けれる。これで分かっただろ、司令」

 

「…」

 

無言でいる琴里は未だに不破さんのゴリライズに付いていけてないのかと思った。だが次の瞬間、ガチ切れした後にドロップキックをお見舞いしてきた。

 

「なんて事をしてくれてんのよバカゴリラ!いい加減力だけで解決すると思うなこの脳筋野郎‼️」

 

「ぐはぁぁぁぁ!」

 

見事なドロップキックは不破さんの鳩尾にクリティカルし、琴里は着地する。怖いなおい⁉️

 

その反動で不破さんが落としたレイジングバタフライプログライズキーを拾い俺に渡した。令音さんからもショットスラッシュライザー一式を受け取った。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

ショットスラッシュライザーを受け取ってから俺と或人は地獄の猛特訓をした。いや、強制的にやらされた。正直なところ普通にコミュニケーション力を鍛えるのかと思ったがそうではなかった。

 

何故ならただのギャルゲーをやらされたからだ。しかも三択問題で現実で起こりうる事をギャルゲーで鍛えるんだと。

 

おまけに一回でもしくじればペナルティとしてその場で罰が下される。既に俺は三回くらいしくじったから恥ずかしい内容を色々と暴露されてしまうコース行きになってしまった。

 

或人に関しては『この世界に来てまだ間もないから激辛ラーメン地獄の刑で許してやる』とかえらい差だなとつくづく思う。

 

『お兄ちゃんの変態!スケベ!』

 

「あっ」

 

『ゲームオーバー…』

 

「はい、アウト」

 

またやっちまった‼️もう勘弁してくれ!

 

こうして俺と或人の地獄の猛特訓は続いていくのだった。

 

 

 

SIDE:或人

 

「よっしゃぁぁぁぁ‼️クリアしたぞ!」

 

あれから数時間やってなんとかギャルゲーをクリアした。因みに士道は今頃は鳶一さんにナンパ(実戦)しているだろう。

 

俺は士道が実戦している間にギャルゲーを進んでいたのだ。ペナルティだけはやりたくないと思いながら必死になってやったんだよな。

 

まあ無事にクリア出来たから良いけど。にしても…まだかなイズ。

 

『ゼロワンドライバーで変身出来る様にフラクシナスに接続させます』と言っていたからゼロワンドライバーを預けたけど。

 

しかも不破さんが言っていた強化アイテムに該当しているシャイニングホッパープログライズキー(光の飛蝗ちゃん)とZAIAが造ったメタルクラスタホッパープログライズキー(銀の飛蝗ちゃん)が使えない状態になっていた。

 

不破さんのアサルトウルフプログライズキーも使えないっと言う事で取り敢えず三つ共イズに預けた。使える状態になるまで時間が掛かるらしいけど。

 

フラクシナスにゼアと同じ様にするとか言っていたけどどうする気なんかな?気になる所ではあるがここはイズに任せよう。

 

持ってきたアタッシュケースにはヒューマギアプログライズキーにゼアの人工知能が入ったデータ入りのプログライズキーなんかも入っていた。

 

流石はイズ。鳩尾を痛がっていた不破さんは復活しかなり怒っていた。まあ…あれは誰が見ても不破さんが悪い様にしか見えない。

 

幸い、抉じ開けられたプログライズキーはなんとも無かったから良いが琴里が『今後自分のプログライズキー以外のプログライズキーを抉じ開けない事‼️分かった⁉️』と思いっきり釘を刺されたみたいだった。

 

ウウウゥゥゥゥゥゥ

 

気を緩めていると警報がなった。このタイミングで精霊が出現するとはね。琴里ちゃんからも連絡が入った。

 

士道がナンパしている間に彼女は一足先に帰ったから恐らく今はフラクシナスに居るだろう。しかも俺と不破さんにインカムを渡した後に。この時に令音さんも一緒に行ってしまった。

 

『或人、不破、今直ぐ学校裏に出て頂戴。フラクシナスで回収するから』

 

耳を当てて返事する。

 

「OK。今から不破さんと向かうよ」

 

「了解した。行くぞ社長!」

 

「分かった!」

 

通信が途切れると即座に俺達は部屋を出て廊下を走り学校裏へ向かった。着くと身体が浮遊感に見舞われ、フラクシナスに回収された。

 

丁度、士道と同時に回収された様だったため良かったと思った。迎えに来たイズに続き艦橋に向かった。

 

「或人社長、不破さん、士道さん、私に付いて来て下さい」

 

艦橋の中に入ると琴里や令音さん、神無月さんが待ち構えていた。

 

「来たわね三人共。早速だけど、作戦内容を通達するわ」

 

着くなりいきなり作戦内容の説明に入った。俺達はそれぞれ真剣に琴里ちゃんの話を聞く。

 

「先ず、観測された波長から見て〔プリンセス〕と見ていいわ」

 

「「「〔プリンセス〕?」」」

 

 

よく分からないけど、突然聞き慣れない言葉を言ってきたからイズを除く俺達三人は聞き返す。

 

「ああ、まだ言ってなかったわね。〔プリンセス〕てのは士道と或人が会った精霊のコードネーム。姿や能力等でコードネームは決まるの」

 

「精霊のコードネームって事は明らかに他にも居るって感じしかしないけどな」

 

彼女の口振りからして俺はそう言う。この一言で『ほう』と声を出してきた。

 

「他にも居るって言うのは合ってるわね。でも今は〔プリンセス〕の方に集中しなさい」

 

「分かったよ」

 

渋々返す。この反応からして絶対何かを隠していると見てまず間違いないと俺は思った。画面には〔プリンセス〕の映像が写し出され、それともう一つの画像も出された。

 

その画像はなんと見た事がない仮面ライダーの姿が表示されていたのだ。足のアーマーの造りはバルカンやバルキリーの物と同じデザインになっており、上半身のアーマーは蒼白い揚羽蝶を思わす姿をしていた。

 

背中には折り畳み式の羽根が付いていて迅の様な感じにも見える映し出された仮面ライダーの姿に士道は心を奪われていた。

 

「新しい仮面ライダー…」

 

「これが、俺が変身する仮面ライダー…なのか?」

 

「そうよ。士道が変身する予定のこの仮面ライダーは対AST撃退用として開発されたの。アーマーとかはバルカンの形状をそのまま使い、イズの協力もあって顕現装置(リアライザ)を組み込む事にも成功したわ」

 

ライダーシステムに顕現装置(リアライザ)を組み込むなんてそいう発想が無かった。

 

画像には士道が変身する予定の仮面ライダーの能力やアーマーの説明文が記載される。同時に〔プリンセス〕が何処に現界したかも表示されて琴里ちゃんの口元がニヤけた。

 

「現界先は…成る程…士道、運があるわね。今回の〔プリンセス〕の現界した場所は来禅高校よ。しっかりと話しをして成功させてきなさい」

 

「ああ、出来る限りの事はやってみる」

 

胸を張ってやると宣言する士道に琴里ちゃんはふと笑う。

 

「一応、或人も付き添いで向かわせるから安心しなさい。あと不破にはASTが来禅高校の周りに居るから相手をしてもらうから。と言っても士道が〔プリンセス〕とのデートの約束をする迄の時間稼ぎする程度でいいわ。頼むわよ」

 

「ふん…どうせそうだろうと思ったぜ。良いだろう。任せろ」

 

やる気を出す不破さんはショットライザーをバックルに填めた状態のベルトを取り出しながら言う。

 

「イズ、ゼロワンドライバーの方はどんな感じ?」

 

「ラタトスクの技術顧問の方と開発チームの皆さんのお力であともう少しで衛星ゼアの人工知能を搭載及びゼロワンシステムの使用が可能になります。ですが、未だにシャイニングホッパープログライズキーとメタルクラスタホッパープログライズキーと不破さんのアサルトウルフプログライズキーの方に関してはまだ使えない原因が判明出来ないため使用は不可能です」

 

「そっか…分かったよ。ありがとな」

 

「いえ、私は或人社長の為に当然の事をしたまでですのでお気になさらず」

 

現在ゼロワンドライバーの様子が聞けただけでもよしとした俺は作戦を実行に入った。先に不破さんをASTの連中の所に送り込み時間稼ぎをしてもらい、その間に俺と士道が校舎に入って〔プリンセス〕の元へ行き話をしてデートの約束まで持ち込む。

 

やれる…俺達なら。自分にそう言い聞かせた。

 

「さぁ、私達の戦争(デート)を始めましょう」

 

 

 

 

SIDE:不破

 

作戦が開始され俺は直ぐに奴等の元へ転送してもらった。五河が〔プリンセス〕とのデートの約束が終わる迄の間だけ時間稼ぎをする為に。

 

既に校舎はASTの連中に溢れかえっていた。流石に校舎の中では力を発揮出来ないみたいだから寧ろ好都合だ。

 

屋上でスタンバイしている俺は奴等に向けて声を出し気を此方に向けさせた。

 

「よう、随分と揃っているな」

 

「「「「「「「⁉️」」」」」」」

 

かけられた連中は全員此方に顔を向けて驚いた様子で見上げていた。

 

「あなたは…」

 

「誰なの?と言うか、何でシェルターに避難してないの⁉️」

 

白髪は鳶一で眼鏡を掛けた女は恐らくASTの中のリーダーだろう。本来ならばシェルターに入っていなければならいない一般人が外に出歩く自体があり得ないからな。

 

「ふん。そんな事はどうでもいい。俺が用があるのはお前等にだ」

 

ショットライザーが填まったベルトを取り出し直ぐに装着する。見た連中は察したのか各々が持つ武器を構えた。

 

〈ショットライザー!〉

 

「そのベルトは…あなたまさか!」

 

「ああ…そうだ」

 

懐からウルフのキーを取り出しスイッチを押して起動させた状態で両腕で抉じ開けた。

 

〈BULLET!〉

 

「ふん…っ!」

 

直ぐにショットライザーへ装填し、バックルから外して前に突き出す。

 

〈オーソライズ〉

 

《Kamen Rider…Kamen Rider…Kamen Rider…》

 

そして引き金を引くと飛んで来た青い弾丸に正拳をかます。

 

「変身!」

 

〈ショットライズ!〉

 

弾丸は分解され、俺は分解されたパーツを身体に纏わせてバルカンへと変身を完了させた。

 

〈シューティングウルフ!

The elevation increases as the bullet is fired.〉

 

変身した俺に驚くASTは警戒心から攻撃態勢に入った。さてと…司令の言いつけ通り、時間稼ぎをするか。

 

「来るなら来い!まとめて相手をしてやる‼️」

 

一斉に襲い掛かるASTにショットライザーを構えた俺は立ち向かって行った。




3話はどうでしょうか?

我等の主人公【原作本編】不破さんがデート・ア・ライブの世界でもゴリラ呼ばわりとゴリライズを披露したシーンは。
因みに士道が仮面ライダーに変身するのは確定です。さて、変身した士道のライダー名は何かはお楽しみに!

アンケートをしたりしますのでお願いします!



次回、デート・ア・ゼロワン

「俺は五河士道。君と話しをしに来た」

「十香、素敵な名前だろ?」

「私と士道はともかく、或人が少し気になるわ」

「面白くなりそう…ですね…」

4話:君の名は…


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