アイアンマンのヒーローアカデミア (苔猫)
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プロローグ
目覚め


海外のヒーローと日本のヒーローをクロスオーバーすればおもしろいんじゃね、そんなバカの発想の元書きました。

⚠アベンジャーズは見たことがありますがにわかですので、ファンの方々は「違うぞ!ふざけんな!」とか「そうじゃない、死ね!」とか思う方もいると思いますが
そこは暖かく見てもらえると嬉しいです。誤字脱字報告や感想も書いていただけると幸いです。


サノスとの戦いで僕ことトニー・スタークは死んだ、世界を守れたから未練は無い…………いやペッパーを一人にしてしまうのは少し、いやかなり心残りだ。

だけど彼女なら解ってくれると思う、世界の危機の引き換えが一人の人間の命によって救われるんだ。

 

そう思いながらも僕はどうして死なないのかと考えていた、え?最初に死んだって言ったじゃないかだって?

そりゃあ僕も死んだと思っていたさ、けれども今こうやって考えているんだ死んでいるとは思えない。

 

もしかしたら人は死ぬとこういう風になるのかと考えていると意識が鮮明になって行くのを感じる。もしや死んでなかったのだろうか、そんな疑問を浮かべていると

体の感覚が戻って来るのを感じる。手は動………けないな、なら足……もだまるで重症を負った時みたいだ。

だとしたら助かったけど歩くには時間が掛かりそうだな

 

そして目を開ける、夢から覚めたような感覚が襲ってくる。そして最初に目についたのは天井だった、どこにでもありそうな白い天井。

 

恐らく病院なのだろう、手足を見ると包帯でぐるぐる巻きにされていた。

 

手にナースコールがあるのを見つける、ボタンを押して

ナースを呼ぶ。世界を救ったヒーローが起きたのだ、何か面白いジョークを考えるべきだな。

 

 

 

しばらくジョークを考えていると病室の扉が開き東洋人のナースが入ってきた、ふむ見るところ日本人のようだ、ならこのジョークは受けないな。

考えていたジョークを記憶の済にしまいナースの後に入ってきた医者を見る。こちらも日本人だ、しかしおかしいな、僕が見たことがある日本人は頭に角なんて生えて無かった筈だか………あぁイベントがあったのか、日本人はイベントにとことん楽しむと言う中々良い性分をしているから、恐らくハロウィンだったのだろう。

 

ナースが僕の取り付けてある医療機器を調べる、それにしても酷いな僕の体は。何本も管が体に繋がっている。

 

 

「バイタルは安定しています」

 

「ふむ、坊や私が見えるかい?」

 

 

坊や?馬鹿にしてるのかこの大天才のトニー・スターク

を。それともなんだ、日本人の医者は皆患者のことを坊やって言うのか?

 

 

「見えてるよ………?」

 

 

そう言った筈の言葉はとても幼い声だった。何が起こった?僕の声がまるで子供みたいな高さだったぞ、しかも日本語だ。おかしいな、英語で喋った筈なんだが。

 

               

「そうかそうか、それは良かったよ戸似伊 星区(とにい せく)君」

 

「戸似伊 星区?誰のことだ?」

 

 

そう言うと医者は何やら困ったような顔をしてナースと喋りだした。

 

 

「自分の名前を覚えていないようだね」

 

「記憶喪失でしょうか?」

 

「そうみたいだね、ひとまず彼の安否を保護者に伝えないと」

 

「な、なぁドクター?」

 

 

思わずドクターに声を駆ける。記憶喪失?僕は自分についてハッキリとわかっているぞ。それに戸似伊星区とは誰だ?僕の名前に似てるが人違いだろう

 

 

「?なんだい星区君」

 

「ぼ、私はどんな見た目をしている?」

 

 

ひとまず確認だ、最初に医者が"坊や"と言ったことについて確認しよう。もしかしたらインフィニティ・ストーンの使用によって若返ったのかも知れない。だとしたら大変だな、アイアンマンとして活動ができなくなるしペッパーとの結婚も数年、いや数十年またないといけなくなる。

自分の見た目について考えていた僕に対し予想の斜め上に登る答えが返ってきた。

 

 

「見た目……あ、そうだほらこれ」

 

 

医者がだしたのは普通の手鏡、それを僕に向ける。

そこに映っていたのは自分でも若返った僕ではなかった。

 

 

 

そこに映っていたのは心底驚いている表情の日本人の子供だった。



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状況確認

思っていたより多くの皆さんに見ていただきました、とてもおどろいています!

そしてそのまま勢いで次話投稿です。


鏡に映っていたのはトニー・スタークでも若返った自分でもない

 

「…………………は?」

 

 

驚愕している日本人の子供が映っていた。

 

 

「?どうしたんだい、自分の顔に何かあったのかい?」

 

「………い、いやなんでもない」

 

「そうかい、それじゃあ私達は行くね、何かあったらその手にあるナースコールを押すんだよ」

 

 

そう言うと医者はナースを連れて病室を出ていった。

………まだ理解が追いついていない、さっき映っていた子供は誰だ?僕?そんな筈ない、僕はアメリカ人であって日本人じゃない。それに良い年したダンディーで天才の僕よりも何十年も下の子供じゃないか。

 

 

 

 

…………いや否定はよそう、考えられる可能性は2つ、1つは幻覚または夢を見ており体は昏睡状態で意識だけが活動していること。そして2つ目は記憶を失った衝撃で前世の記憶が蘇ったこと。

 

まぁ2つ目だろう、1つ目の幻覚または夢の場合抓ったり痛みなどの感覚が無いからだ、しかし怪我をしていると思われる腕や足、心臓付近はとても痛い、麻酔をしているからか本来の痛みよりは和らいでいるようだが子供の痛覚ではかなり痛い。

 

 2つ目の前世の記憶が戻ったなら辻褄が合う、記憶がなくなる程の衝撃で前世の記憶が蘇るなんて聞いたこと無いが現に体験しているのだから僕が生き証人だ。

 

だとしたらこれは素晴らしい、ここが前世と同じ世界の可能性は少ない、別次元の可能性もある。ペッパーに会えないのが辛いしキャップやハルク等のアベンジャーズの皆に会えないのも悲しいが、その覚悟でインフィニティ・ストーンを使用したんだ。

 

恐らく5〜6歳程のこの体ではアイアンマンスーツは着れないがこの頭脳にはアイアンマンスーツや今まで開発していた技術が山のようにある。ならこれを使ってもう一度会社を立ち上げるのもいいな、他にも前世ではできなかったこともやりたい、親父のせいで楽しく送れなかった高校生活にまたヒーローになるのも良い。

 

 

そうして今後について模索しているとコンコンと病室のドアを叩く音がした、そしてドアが開くと先程来たナースとハルクを想像する筋骨隆々の大男がいた。

ハルクよりも身長は低いが筋肉の量が凄い、なんか画風が違うと感じる。それに加えキャップのような正義感が強い目をしている、ヒーローのようなスーツも着ている

こんなヒーロー見たことが無い、やはりここは別世界のようだ。

 

考えているとナースが僕に声を掛けた。

 

 

「星区君、なんとオールマイトが来てくれたわよ!」

 

「ハーハッハッハッ!!少年、私が来た!」

 

サムズアップしながらアメリカンな笑いでヒーローの登場シーンのセリフのようなことを言う大男、大物なのだろうか?

 

 

「あの、貴方は誰だい?」

 

 

子供のような口調じゃなく年齢が近い人に対する口調で喋る僕に驚いたのか、一瞬体が固まるも直に笑い出した。

 

 

「HAHAHAHAHAHA!口調はともかく私を知らないのかい少年!!」

 

 

余程の大物なのだろう、僕が自分について知らないことに驚いているようだ。

 

 

「オールマイトさん、星区君は記憶喪失のようでして」

 

「なんと!なら知らないのも当然か!」

 

 

そしてオールマイトと呼ばれる大男はゴホンと咳をして

自分について語りだした。

 

 

「私は平和の象徴オールマイトだ!!」

 

 

格好いいポーズをしながら語るオールマイトに僕は思ったことを話す。

 

 

「ですからオールマイトさん、私は記憶が無いので平和の象徴だの言われても何がなんだかわからないんです。まず貴方と私の関係について教えてくれないか?」

 

「意外と辛辣っ〜!」 

 

「オールマイトさんはNo1ヒーローなのよ、日本に彼がいるお影で犯罪率はとても低いのよ」

 

「そのとおり!そしてヒーローとは!個性を悪用し、一般市民に危害を加える敵を捕まえるお仕事さ!」

 

 

なるほど、アベンジャーズは世界の危機に立ち向かうヒーローだったがこの世界のヒーローは市民の危機に立ち向かうヒーローなのか、ならかなり人数がいるだろう。

その中のNo1だとするならオールマイトはかなりの人物だったようだ。

 それよりも先程の言葉に見慣れない単語が…………

 

 

「個性?」

 

「Uuuuuum、個性も知らないのかい?少年」

 

「あぁ、個性は性格ではないのかい?」

 

「そっちの個性ではないのだよ!なら教えよう!

 ことの発端は中国軽慶市、発光する赤ん坊が確認されたのだ。それからと言うもの世界各地でこのような超常現象が発見され、今では世界人工の約8割が個性を持つ超人社会となったのだ!」

 

「……なるほど」

 

「そ、それにしても星区少年。君は中々に大人な性格だね。HAHAHA」

 

「そうかな?」

 

「うむ、過去の診断書には明るい性格と書かれていたのだが………記憶を失ったショックで人格が変化したのだろうか…?」

 

「それはわからないね、なにせ記憶がないのだから」

 

「まぁそう言うときもあるさ!道端で偶然十円玉拾ったり記憶がなくなったりね!HAHAHAHAHAHA!!」

 

 

なんとも良く笑う人だな、でも彼の笑顔で何百人と助かったのだろう。怯えている人を助けるには笑いかけるのがいちばんだからな、No1ヒーローなのもうなずける。

しかし、気になる点が1つ

 

 

「私はどうして記憶失ったんだ?」

 

「……!………そ、それについたなんだが……」

 

 

オールマイトが苦しそうに言ってきた、何があったのだろう?

 

 

「構わないよ、言ってくれオールマイト」

 

「………………うむ、星区少年。辛いかも知れないが聞いてくれ、君は敵によって起きた爆破事件に巻き込まれたのだよ。……それでその時いた両親は」

 

「…………それ以上は言わないで結構、それよりも爆破事件を引き起こした敵は逮捕されたのか?」

 

「…!勿論だとも!私が逮捕したのさ!」

 

 

それなら良かった、記憶が無いとはいえ僕を産んでくれた両親だ、前世では余り良い思い出は無いが亡くなったのなら弔わなきゃいけないからね。それに……

 

 

「そうか、良かったよ」

 

「あえて聞くが星区少年!君はどうして安堵したんだい?」

 

「…?その敵がまた事件を起こすのは良くないと思ったからだよ」

 

「家族を殺した敵だからじゃないのかい?」

 

「確かに両親はその敵に殺された。でも私には記憶が無いじゃないか。記憶が無い、もういない両親よりも敵を取り逃がしたせいで他の人が被害に合う方が重要だ」

 

「Uuum……こんなこと普段は言わないが……星区少年!素晴らしいよ!! 君はヒーローの素質を持っている!」

 

「そりゃどうも、No1ヒーローのお墨付きなんて光栄だよ。」

 

「HAHAHAHA!そりゃあ良かったよ!!」

 

「そういえば………なぁオールマイト、私には個性はないのかな?」

 

「君は個性診断に行く途中で爆破事件に巻き込まれたのだよ、だから現時点ではわからないさ!」

 

 

「最後に星区少年!私は君が記憶を失っても他人を想うそのヒーローとしての素質に感動している!!このヒーロー飽和社会、実は良くも悪くもヒーローとしての質が段々と低下しているのだよ!君のような子供が次代のヒーローとなるのを楽しみにしている!! それでは時間もそろそろなのでさらばだ!」

 

 

そう言うが早いかオールマイトは風の速さで病室を出ていった。残されたのは先程のオールマイトとの質疑応答を見ていたナースと重症で動けない自分だけ、いつもならこういう時はナースにナンパするのだが、今はオールマイトに貰った情報量を整理するのに忙しかった。

 

個性と言う超能力、ヒーローと言う職業。様々な情報と様々な思考の末自分が導き出した答えは『この世界でもヒーローをする』だった。 世界が変わってもやることは同じだ、むしろ個性と言う物が存在するこの世界の方が難しいだろう。でも、だからこそやらなきゃいけない。あの時スパイダーマンが塵になって行くのを何故止められなかったと何度悔やんだことか、結果助かったもののあの時の後悔は二度と忘れないだろう。自分を慕う者が、自分と共に戦った戦友が何もできずに死んでいくのを。

何が天才だ、今度こそ、今度こそ誰も失わせない誰もを助ける『救いのヒーロー』になってみせる!

 

 

何、きっとできるさ。なにせ僕は天才発明家のトニー・ スタークことアイアンマンなのだから




コロナウイルスが原因で故郷に帰れなかった………
くっ!グンマー帝国とてウイルスには勝てなかったか


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入試

かなりすっ飛ばしちゃったけど大丈夫かな?

まぁ過去編とかやるんで勘弁してください。


ここはオフィス街で一番目立つビル、『STARK』と書かれた電光掲示板が昼夜問わず光り輝くこのビルの頂上にあるヘリポートで学生服を着た少年と彼が足から出している光が喋っていた。

 

 

「身なりよし、髪型よし、準備バンタン」

 

『そのようですね、スターク様。』

 

「あぁ、それでは行ってくるよジャーヴィス君。留守番は頼んだよ。」

 

『私の分体が留守をするのであって私はスターク様と共に入試会場へと行きますよ。』

 

「それぐらいわかってるさ、無駄口はここまでにして行こうか。ジャーヴィス、マーク3を用意しろ」

 

 

少年、星区がそう言うと目の前にあるアーチ型の機械や下から赤と金に彩られたパワードスーツが出てくる。それを半自動で装着しながら、星区は心臓部にあるペースメーカーを触る。

 

 

「(この世界でも、僕はアーク・リアクターを装備しなくちゃいけないとは。)」

 

 

それは遡ること10数年前、前世の記憶が蘇った星区はオールマイトとの会話を終え次の日からは誰も来ない(ナースや医者は来るが客は来ない)暇な日々を過ごしていた。そんなある日真剣な顔つきで入ってきた医者がこう言った。「星区君、言い辛いんだが実は君の心臓の周辺に爆発で散った破片が刺さっていてね。そのベッドから出ることはできないんだ」心苦しそうに言う医者に対し僕は「この世界でも、僕は心臓に縁があるのか」と思ったね。医者は僕に安楽死するかと薦めてきた、5歳児に言うことじゃないと思うが仕方ない。両親は死に血縁もいないらしい僕の安楽死を決定できるのは、僕しかいないのだから。

 

 

 僕は紙を貰い、前世でも使っていたペースメーカーことアーク・リアクターの設計図を作った。医者に見せると化かされたような顔をしてどうしてこんなこと知っているのかと問い詰めてきた。自分としては前世の記憶を持ってるなんて口が割けても言えない。だから頭に浮かんできたと答えた。

 

 それでも心底驚いたような顔をしてる医者だったが信じてくれたようで後日、作られたアーク・リアクターを付ける手術が行われた。手術は成功しアーク・リアクターは特許も無事に取れた。しばらく天童だの天才だの言われた僕はリハビリを終えて無事に退院したんだ。

 

 

 両親も死に血縁もいない僕が帰る場所が無く困っていると、オールマイトがやってきて僕の為に家を借りてきたと言う。1ヒーローが有象無象の一般市民にそこまでするのかと聞いてみると、オールマイトは笑いながら「お節介を焼くのがヒーローの本質だからな!」と言った。その時はとても嬉しかったのを覚えている、今までヒーローとして活動してきたからか助けられることが滅多に無かったんだ。

 

 

 そしてオールマイトが借りてくれた家に住みながらトニー・スタークとしての知識をフル活用して次々と特許を取った。どれもが革新的だったため一時期TVにも取り上げられたのを覚えている。まぁ今もTVの話題には事欠かせないと自負する僕だがね。

 

 

アイアンマンスーツマーク3、前世とは少し違いどんな場所でもアタッシュケースとして収容可能となっている現時点での主力機を装備した僕は、自分の会社『スタークインダストリー』の本社から飛んだ。

 

 

 

 目指すは雄英高校入試会場、天才の僕なら筆記は簡単だろう。問題は実技だ、雄英はその莫大な資金で金に糸目をつけずに教育するのが特徴だ。雄英のセキリュティ強化には多少関係しているが雄英だ、依怙贔屓せずにするだろう。

 

 

 それでもやらなければいけない、"あの時"誓った、アイアンマンとして、僕と同じ『無個性』の人々を救う為に………




おやおや、"あの時"とはなんだろうな?(すっとぼけ)

タイトル詐欺になってしまったけど安心してくれ!次は必ず、きっと、できれば………やれれば入試だから


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今度こそ入試

前話で記述した足から出す光について……

靴の表面に立体映像投影装置を取り付けジャーヴィスと話したり暇な時にルービックキューブを遊べる優れ物!!お値段なんと1000万円!!さぁそこの君、是非とも買ってみてくれ!


スタークインダストリーの本社から出発すること30分、戦闘機並みの速さで進み、とうとう雄英高校が見えてきた。このまま雄英の所有地に入ると防衛装置が作動する為、星区は徐々に速度と高度を落とし地上へと着地する。

 

 このままアイアンスーツのまま入試には挑めない為、アイアンスーツをアタッシュケースへと変形させる。

傍から見たらAの文字がある黒いアタッシュケースを持ったナイスガイなイケメン学生に見えるだろう。

 

 そのまま星区は雄英の校門へと向かった。近未来的な、校門と言うよりアーチに近い門を潜る。周りにいる受験生達も他の受験生とは違う気迫を持っていた、受かるだけで称賛される雄英高校、倍率300とか言うスタークインダストリーの入社倍率よりも10倍近い倍率が受験生達にプレッシャーを掛ける。

 

 

 ((アベンジャーズアッセンブル!!))

 

 

 懐かしい声が聞こえ思わず後ろを振り向く、いたのは戦友ではなく薄い金色の髪をした怖面の少年と彼に声を掛けられビビっているモサモサ緑髪の少年だった。

 

思わず苦笑してしまう、未だ僕はトニー・スタークとしての人生を忘れられないらしい。彼らはきっと大丈夫だろう、そう想い星区は歩み始める。

 

 

 

 

『今日は俺のライブにようこそぉー!!』

 

 

入試会場では『"ボイスヒーロー"プレゼントマイク』が

彼特有のうるさい声とラッパーな雰囲気が会場に全く合っておらず、応える程ノリの良い受験生はいなかった………僕以外は。

 

 

「イェーーアッ!!」

 

『サンキュー!受験番号529のリスナー! この後は事前に配布した入試要項通りだ!持ち込み自由の"模擬市街地演習"!!』

 

 

 そのままプレゼントマイクは説明を続けた。

制限時間は10分、演習場にある1P〜3Pの3種の仮想敵がおり、それを破壊もしくは行動不能にしてポイントを稼ぐ形式。

 

配布された用紙に書かれていたが説明しなかった物に関しては受験番号7111と言ういかにも真面目な彼がプレゼントマイクに質問したお影で解った。なんでも0Pと言うお邪魔虫のギミックだと言う。

 

 

一通り聞き終わるとプレゼントマイクが話し出す。

 

 

『俺からは以上だ!最期にリスナーへ我が校の"校訓"をプレゼントしよう』

 

『かの英雄ナポレオンボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えて行く者」と!!』

 

"Plus Ultra"!! それではリスナー諸君、良い受難を!!』

 

 

 

場所は変わって模擬市街地、試験会場の前に数十人が各々スタートを待っていた。ある者は精神統一をまたある者は体を温めていた、そんな中にアタッシュケースを持っている星区は異様に目立った。それでもお構いなしと星区はいつでもスーツを着れるようジャーヴィスに伝えていた。

 

そんな彼に一人の少女が話しかける。

 

 

「なぁアンタ、誰と話しているんだ?」

 

 

オレンジ色の髪のサイドテールで止めたその少女は先程からブツブツと一人で喋っている星区が気になったようだ。

 

 

「ん?ジャーヴィスだ、人工知能だよ。」

 

「人工知能?!そんなの持ってるのか、どこかの金持ち?」

 

「スタークインダストリーって知ってるかい?」

 

「そりゃあ、近年名を轟かせる一大企業じゃないか…………!それって」

 

「そう、僕が『スタート!!』………?」

 

 

いきなりのスタート宣言、受験生達がポカンとしているとプレゼントマイクが声を続ける

 

 

『どうしたぁ!?実践じゃカウントなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!! 賽は投げられてんぞ!!?』

 

 

その声と同時に受験生達も焦るように走り出す、その中に星区とサイドテールの少女もいた。

 

 

「ふむ…………流石雄英だな、本番を想定した開始か……。」

 

「冷静に解析してる場合!?私達も急ぐよ!」

 

 

受験生と言うのは基本周りは敵と思うのが当たり前なのに彼女は星区の心配までする、中々にヒーローの素質があるようだ。

 

 

「僕のことは心配しなくていいサイドテールくん、それよりも君はポイント稼ぎに勤しみ給え」

 

「サイッ…………まぁいいや、それじゃあまたね!」

 

「あぁ、教室で会おうサイドテールくん。」

 

 

そう言って星区はビルに入り階段を登っていった。登り終わり20階近いビルの屋上から勢い良く飛び降りる。下にいたサイドテールの少女は青ざめて手を巨大化させた。なるほど、それが君の個性か。反射的に個性を使って助けようとするとは、やはり彼女には素質があるようだ。

 

そんなことを考えながら落下している星区は声を出す。

 

 

「ジャーヴィス!起動しろ!」

 

『了解です、スターク様。』

 

 

すると持っていたアタッシュケースが星区の手を離れ一度上に上昇。そして変形しながら落下していき星区を包み込んだ。地面ギリギリの所で星区は一回転しヒーロー着地を決める。

 

 

『完璧だ』

 

「…………な!?」

 

 

機械音が混ざる彼の声で目が覚めたようにサイドテールの少女は声を発した。どうやら助からないと思っていたのに鉄の鎧を空中で着たことに驚き思考が停止してしまったようだ。

 

 

『だから言ったろ、僕のことは心配しなくて良いと』

 

 

そう言って手足からエネルギーを噴射し街中へと飛んでいった彼を、呆然と眺めていた彼女は何が何やらわからないまま仮想敵が待ち構える街中へと走り出した。




ポニーテールをサイドテールに変更しました。3/17


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序章


思ったよりも多くの皆さんに見てもらえて喜びに打ちひしがれています!!

この話でプロローグは終わりです、次から本編です。(何も考えていない………)


 

アイアンスーツマーク3で空を飛び、街中を駆ける。途中ビルにへばりつく仮想敵がいるが両手のリパルサーレイで吹き飛ばす。

 

とうとう仮想敵と受験生が戦う激戦地に到着した星区は

直に仮想敵をロックオンし、両肩から小型ホーミングミサイルを発射する。次々と破壊されていく仮想敵に対し今まで戦ってきた受験生達は突然の事で驚くも何人かは察し別の場所へと向かった。

 

 

時にはリパルサーレイで、時には近接攻撃で次々と仮想敵を倒す星区、その行動は雄英教師陣も注目していた。

 

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

 

「ん〜〜〜、正に圧巻って感じね。」

 

 

18禁ヒーロー"ミッドナイト"が言った言葉は他の教師達も同じなようだった、見ている映像には赤と金で塗装されたパワードスーツに乗って空を駆け回り試験会場にいる仮想敵を次々と撃破していく少年、戸似伊 星区が映っていた。

 

 

「確かに、だが周りの被害を考えていないように見えるが……」

 

「まぁ今回は"どう救う"のではなく"どう倒す"のが目的ですからね、他の子達も周りを気にせず戦っている子ばっかですし」

 

「ソウダナ、ソレニ良ク見テミロ彼ハ受験生ニ危害ヲ加エナイヨウニ攻撃シテイル。他ニモ見ドコロガ多イ子供モ多イ、今年ハ豊作ダナ。」

 

「その通りなのさ!今年は一段と構える事になるそうだね!」

 

 

雄英教師達が意見を交わしている中で一人だけ採点もせずに見ているだけの教師がいた。頬は痩せこけ目には隈ができ、ガリガリなその体に派手な黄色いシャツ。彼を知っている人からすれば、ありえないと驚愕するだろう。平和の象徴ことオールマイトは"弟子"を見る為に採点せずにモニター室にいたが空を縦横無尽に駆け巡る彼を見て、思い出した。

 

 

「(あぁ、懐かしいな星区少年。彼と最後に会ったのは何時頃だろうか………)」

 

 

帰る場所が無い彼を見てられずアパートの一室を借り、そこに住まわせていた。時々しか見に行けなかったが彼はそんな不満を口にすることなく成長していった、実際は悲しくなど無く寧ろ機械弄りを注意されるかヒヤヒヤしていたのだが。

 

 閑話休題

 

小学生になると次々と特許を取った功績で特別に起業を許可され瞬く間に大企業へと変貌していった。その時に今までのアパート代と生活費を私に返し、それ以来会っていない。今まで面倒を見ていた子供にお金を返されたら会わないなんて失礼だと思うが、緑谷少年の訓練や年々活動期間が短くなることに反して積極的に活動をするため時間が取れなかったのだ。もしかしたら幻滅しているかも知れないと思い、私は少しでもこの高校生活を楽しませてやりたい。そう願っている。

 

 

 

▼▼▼▼

それから1ヶ月後……

 

 

「身なりよし、忘れ物なし、準備バンタンだ。」

 

『いよいよですね、スターク様。』

 

 

スタークインダストリーの玄関口で沢山の社員が社長の初登校を今か今かと待ち望んでいた、革新的な技術を持つ彼に惹かれて来た者達は彼に対し半分尊敬半分親心を抱いていたのだ。そんな彼らの心情を知ってか知らず星区は彼らに声を掛ける。

 

「さて、我が社の優秀なる社員諸君。君達の上司たる私はしばらく社長ではなく、一人の華の高校生として生活する。会社のことは任せたぞ。」

 

 「「行ってらっしゃいませ社長!!」」

 

「あぁ………行ってくるよ。」

 

 

沢山の社員に見守られ星区は雄英高校に向かう、言い忘れていたがこの物語は、僕ことトニー・スタークがこの世界でもヒーローとして名を轟かせる。そんなお話だ。



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雄英高校1-A組 戸似伊 星区


アマゾンビデオでポケモン見てたら遅れた〜!!




 

毎年300を超える倍率の正体、一般入試定員36名18人ずつでなんと2クラスしかない。優秀なヒーローを育てる為とはいえ毎年約1200人以上が挑みその殆どが涙を飲む事となる。

 

そんな雄英高校の廊下を星区は歩いていた、スタークインダストリー本社から電車徒歩合わせて1時間半。アイアンスーツでの登校も考えたが雄英からの駄目出しで諦め普通の生徒がするように登校した。

 

しばらく歩くとバリアフリーの扉の前で止まる、この先に1年間を共にする同級生がいるのだ。前世では学校に余り良い思い出は無かった星区だが雄英を楽しみにしていた、ヒーローの金の卵達の集まりだ。まず虐めはないだろう。そう安心して扉を開く、中には一人しかいなかった。尻尾を持つ彼は星区を見ると安堵して立ち上がり手を差し伸べる。

 

「あはは、緊張して早く来たから誰も来ないかと心配してたよ。僕は尾白 猿夫。」

 

「同じく緊張して早く来てしまった戸似伊 星区だ、よろしく。」

 

「やっぱり緊張するよね」

 

「まぁね、天下の雄英に入れたんだ。緊張しないなんて無理さ」

 

 

しばらく雑談しながら時間を潰しているとどんどん人がやってくる。

 

 

「俺ぁ切島 鋭児郎!よろしくな!」

 

「私は芦戸 三奈!よろしく!」

 

「私は戸似伊 星区、よろしく。所で芦戸くん、今日の放課後カフェにでも行かないかい?」

 

「ナ、ナンパ!?男じゃないぞ!戸似伊!」

 

「ごめ〜ん!無理!」

 

「ふむ、残念だ。また今度誘うよ。」

 

 

赤髪の切島くんにピンク肌の芦戸くん。他にも鳥頭の常闇くんに透明な葉隠くん等、個性豊かな面々が次々と入ってくる。そして今、先程入ってきた眼鏡くんとヤンキーくんが言い争っている。

 

 

「机に足をかけるな!雄英の先輩方や机の製作者方に申し訳ないと思わないか!?」

 

「思わねーよ、てめーどこ中だよ端役が!」

 

 

お、扉が開いてまた入って来たか。緑の髪……どこかで見た覚えがあるような…

 

 

「ボ…俺は私立聡明中学出身、飯田天哉だ。」

 

 

なるほど、飯田くんか。それにしてもヤンキーくんのヤンキーっぷりが凄まじいな、そこらのチンピラでもチビるくらい怖い。

 

 

「聡明〜〜〜〜!?くそエリートじゃねえかブッ殺し甲斐がありそうだな」

 

「ブッコロシガイ!?君ひどいな本当にヒーロー志望か!?」

 

 

ヤンキーくんのヤンキーぶりに驚愕している飯田くんは扉の前で固まっていた緑くんに話しかけにいった。

しばらくドアの前で喋っていると

 

 

「お友達ごっこしたいなら他所へ行け。」

 

「ここは、ヒーロー科だぞ。」

 

 

ゼリー飲料を一瞬で飲み干す寝袋に包まれた男が飯田くんたちを注意する。なんだ?この生き物

 

 

「ハイ、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限君たちは合理性に欠くね」

 

 

なんと、先生だった。ここに来ると言うことは担任か………不安になってくるな、大丈夫か?

 

 

「担任の相澤消太だ、よろしくね」

 

 

やはり担任だったか、雄英の教師、ましてヒーロー科と言うことはプロヒーローなのだろう。後でジャーヴィスに調べさせるか。

 

担任の相澤先生は寝袋から体操服を取り出し

 

「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ」

 

寝袋から体操服をだすと教室から出ていった、あの体操服着たくないな……

 

 



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個性把握テスト


一日一本はむりだった……


寝袋マンこと担任の相澤先生から渡された体操服を更衣室で着換え校庭へと向かう、全員集まると相澤先生が話しだした。

 

 

「ここで個性把握テストを行う。」

 

「「個性把握…テストォ!?」」

 

 

生徒がわけもわからず混乱していると確か……麗日くん

だったかな、相澤先生に質問した。

 

 

「入学式は!?ガイダンスは!?」

 

「ヒーローになるならそんな悠長な行事出る時間ないよ」

 

「雄英は"自由"な校風が売り文句、そしてそれは"先生側"もまた然り。」

 

 

それにしては自由すぎないか、しかし困ったな………個性把握テストか……

 

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横飛び、状態起こし、長座体前屈。中学の頃からやってるだろ?"個性"禁止の体力テスト」

 

「国は未だ画一的な記録を取って平均を作り続けてる

、合理的じゃない。まぁ文部科学省の怠慢だよ。」

 

 

そこまで話すと相澤先生は生徒達をチラリと見てヤンキーくんに目を止める。

 

 

「爆豪、中学の時ソフトボール投げ何mだった」

 

 

「67m」

 

「じゃあ個性を使ってやってみろ、円から出なきゃ何してもいい。早よ」

 

 

爆豪は軽くストレッチし

 

 

「死ねぇ!!!」

 

 

罵声と共に文字通りボールは爆発的に吹っ飛んだ、相澤先生が持っていた端末に705.2と距離が書かれる。

 

個性使用可能と知って生徒達も騒ぎ出す。

 

 

「705mってマジかよ」

 

「なんだこれ!!すげー面白そう!」

 

「個性思いっきり使えるんだ!!さすがヒーロー科!」

 

 

確かに小学、中学と個性の公な使用は禁じられていた。

高校入って直に個性が使えるのだ、騒ぎ出すのもわかるが………相澤先生の目がどんどん暗くなっていく、まずいな

 

 

「……………面白そう……か」

 

「ヒーローになる為の3年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい?」

 

「よし、トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し"除籍処分"としよう。」

 

 

はぁ〜〜、合理的な先生とは聞いていたがまさかこれ程とは。騒いでいた生徒達も先生の話に漠然としている。

僕について相澤先生なら知っているだろうから除籍にはしないだろう、大企業のTOPだからではなく僕が……

 

 

「生徒の如何は先生の"自由"、ようこそこれが」

 

「雄英高校ヒーロー科だ」

 

「最下位除籍って…!」

 

「入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても理不尽すぎる!?」

 

 

生徒の文句に対し先生はこう話す

 

 

「自然災害…大事故…身勝手な敵たち…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれている」

 

「そういう理不尽を覆していくのがヒーロー、放課後マックで談笑したかったらお生憎、これから3年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。」

 

"Plus Ultra"さ、全力で乗り越えて来い」

 

 

先生の本気さに気づき生徒達は各々表情を変える、ある生徒はこの洗礼に意気込み、またある生徒はこの壁を笑っている。星区はこのテスト自体余り関係無いのでボーっとしているが。

 

 

 

 

第1種目:50m

 

 

「3:04!」

 

 

観測ロボットの報告に先程走った飯田くんは満足そうな顔をしなかった、まぁ彼の個性が兄のインゲニウムと同じならばギアがあるものな50mでは本気は出せん。

僕はまぁ平均より高いぐらいの速さで走った。

 

 

 

第2種目握力では背中に生やした腕で掴みゴリラ並みの驚異500kgwを出した人がいたり他の種目でも各々個性を使用して超人的な記録を出していた。ボール投げでは緑谷くんが先生に注意されたりその後に指の一本を犠牲に爆豪くんと同じくらいの記録を出したりと(あの時の緑谷くんの表情はキャップに似ていたな)次々と種目が終わり、結果発表となった。怪我をした緑谷くん何かは絶望した顔になっていた、大丈夫だよ緑谷くん、君が最下位になる可能性は0だ。なんったって……

 

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

「君達の最大限を引き起こす合理的虚偽」

 

「「はぁーーー!!??」」

 

 

嘘付け、見込みが無い生徒がいたら順位関係なく処分するそんな目をしていた癖に。僕の順位は最下位だった、まぁ当然か、なんたって僕は『無個性』なんだから



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僕の個性

久し振りに書きました!待っていた方申し訳ございません!!


最近はコロナウィルスで外室自粛が続いています、そんな中楽しめるのがゲームやこの小説です。是非こらを読んでくれている皆様は感染しないよう、手洗いうがいをきっちり行い、人と接するのを控えましょう。



まぁ引き篭もりの僕には関係無いんですけどね!(吐血


 個性把握テストが終了し教室でカリキュラム等を受け取った後。何人かのクラスメイトはもう下校していた為、帰ろうかと足を教室の扉に運ぼうとした時、クラスメイトであるチャラ男くんが僕についての話を始めた。

 

 

「そういやさ、戸似伊は最下位だったよな。個性も使ってるように見えなかったし。何の個性なん?」

 

「あ、確かにウチも気になる……」

 

「確かに!ねぇ戸似伊君、戸似伊君って何の個性?」

 

チャラ男くんと話していた、ロックガールな耳郎くんに透明な葉隠くん。彼女らも僕の個性を知りたいようだ、まぁ無いんだけどな。

 

 

「私かい?私は無個性さ」

 

「「「え?」」」

 

 3人とも口を開けて(葉隠くんは透明な為解らないがきっとそうだろう)微動だにしなかった。聞き耳を立てていた他のクラスメイトも僕の返答に驚いているようだ

 

 

「星区ちゃん、質問をいいかしら?」

 

 

他の皆が固まってる中、蛙少女の蛙吹くんが質問をしてきた。

 

 

「何だい?蛙吹くん」

 

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

 

蛙吹くんこと梅雨ちゃんは話を続けた。

 

 

「星区ちゃんは無個性なのよね、失礼かも知れないけど無個性で雄英に合格するなんて並大抵の努力がなきゃできないわ。どんな訓練をしてるかヒーローの卵としてとても気になるの」

 

「俺もだ!聞いてたんだけどな、無個性で雄英入れるなんて凄ぇな!どんな鍛錬してんだ?」

 

 

どうやら梅雨ちゃんと切島くんは僕が雄英に合格した秘訣を知りたいようだ、二人共血の滲む様な修行をしたのだと思ってるようだが………二人に尊敬の眼差しを浴びせられるのは罪悪感が凄いので正直に話そう、別に隠してるような事でも無いし。

 

 

「あーー二人共、私が血の滲む様な修行をして雄英に合格したと思ってるようだけど、私はそれといった訓練も修行もしていない。」

 

「?、ならどうやって合格したのかしら?」

 

「私はね、皆が一度は聞いたこともある企業の社長なんだ。まぁ信じられないだろうけど。」

 

「俺達の歳で会社なんか建てれんのか?」

 

「そこは私の頭脳で大臣を黙らせたのさ」

 

 

さりげ無く大臣を黙らせて会社を立ち上げたと言う偉業を言うが、実の所かなり難しかった。日本の大臣は頭が固い年寄りばっかだったからな、説得に苦労した。

 

 

「さりげ無く言ってるけど、あんたやばい事してる自覚あんの?大臣を黙らせたんでしょ」

 

 

耳郎くんが疑いの眼差しを向けて来る、まぁ当然か15歳そこらの若者が国の一翼である大臣を黙らせたのだから

 

 

「それは勿論自覚してるさ、でもそのお陰で今日、日本社会の技術力が向上したのは事実だろ?」

 

「所で星区ちゃん、貴方の会社名は何なのかしら?そこまで自信満々に言うからには有名な会社かしら?」

 

「あぁ、会社名は『スターク・イン・ダストリー』だ。皆も社名ぐらいは聞いたことがあるだろう」

 

 

不自然に皆が固まる、おかしいなそこまで知られない名前だったかな。やはり若者受けに名前を変えるべきだろうかーー

 

 

 

 

「「「えぇぇぇーーー!!!!」」」

 

 

 

 

 

クラスメイト一同が一気に叫びだす。良かった、社名ぐらいは覚えてくれたんだな。

 

 

「スターク・イン・ダストリーって超有名な会社じゃん!?あんたそこの社長なの!?」

 

「ヒーローのサポート用品から日常品まで、全て一級品をお届けするのがモットーのあの会社!?嘘だろ!?」

 

「ケロォ、凄いわね星区ちゃん」

 

「いや凄いで済ませられないですわ梅雨さん!まさかあの会社だったなんて、お父様もご贔屓にしてる数少ない会社の一つですわ!?」

 

「「いやお前の家は金持ちか!?」」

 

 

一気に騒ぎ出して漫才紛いな事までやりだした、ちょっと五月蝿いが面白いな。しかしこの煩さは他のクラスに迷惑だろう、止めよう。

 

 

「騒ぐのは構わないが少し五月蝿いぞ、他のクラスの迷惑だ。まぁ話を戻すが、その会社で私専用のヒーローサポート用品を開発しそれを入試に使ったのさ。持ち込みは自由だったしね」

 

「な、なるほど。じゃあ鍛錬はしてないんか……」

 

 

若干落ち込んでしまった切島くん、少し可哀相なので付けたそう。

 

「勿論鍛錬はしてるさ、サポート用品に頼り切っては不味いからね。一通りの武術は嗜んだつもりさ」

 

 

そう言うと目がキラキラと輝く切島くん、彼は個性把握テストを見るに近接特化の個性なのだろう。無個性の僕が遠距離を持てる筈が無いため、同じ近接戦闘を行う仲間と思っていたようだ。

 

それからクラスメイトの質疑応答に答えていると、教室の扉が開き担任のあの相澤先生が入ってくる。表情から察するに怒ってるようだ。

 

 

「おい五月蝿さいぞ、他のクラスに迷惑だ。何をそんな………あぁ戸似伊か」

 

 

その、"お前なら仕方ない見たいな表情"止めてくれないか、まるで僕が毎日学校に迷惑を掛ける不良少年みたいじゃないか、あのヤンキー少年こと爆豪くんでもあるまいし

 

 

「相澤先生は戸似伊君のこと知ってたの?」

 

「先生には敬語を使え葉隠、まぁ俺の生徒だからな一通り把握してる。」

 

「じゃあ先生、戸似伊の戦い方って知ってますか!サポート用品も気になるんすよ!」

 

 

チャラ男くんが先生に質問する。そりゃあ相澤先生は入試の合格者決めに参加したようだし知ってるのは当たり前だ。

 

 

「………それは明日解る、さっさと下校しろ」

 

 

面倒くさそうにそう言うと教室を出ていった相澤先生、そして先生の言葉を聞き続々と教室を出ていくクラスメイト。僕も帰ろうとすると肩を叩かれる。

 

 

「戸似伊、一緒に帰ろうぜ!」

 

 

どうやら切島くんが下校を誘ってくれたようだ、何とも嬉しい物だ。同級生と仲良く下校等前世では無かったからな。

 

 

「あ!私も〜!切島!戸似伊!一緒に帰ろう!」

 

やたらハイテンションな葉隠くんも加わり、僕は雄英の校門を通り過ぎる。個性把握テストなる物があったが、それでも中々に充実した高校生活をしてる。

 

 

 

 

そう言えば入学式が無かったが、雄英では無いのだろうか?




轟、爆豪、緑谷と仲良し組(飯田&麗日)とその他モブ共は先に帰ってました。緑谷がいれば30分はブツブツと喋っていたでしょう。


久し振りに投稿しましたが、続くとは解らないので気長に待っていて下さい。遅くなってごめんなさいm(_ _;)m


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