#IF·FUTURE (冠龍)
しおりを挟む

レポート①〜テュポーン(ニシキヘビ科)

  
※sは全長、hは体高、wは体重




《テュポーン》

この時代のヨーロッパで最高位の捕食者が《テュポーン》s9m,h80cm,w1t―と呼ばれる大蛇だ。外見はアナコンダやニシキヘビを思わせるが、実はコブラ科を祖先に持つ。特徴的な毒牙は健在で、これと巨体ならではの怪力を駆使してどんな相手でも息の根を止める。毒は筋肉毒で噛まれると酷い壊死を引き起こす。この進化は標的が危険な大型動物になった事と深く関わっており、締め上げてもなお暴れる獲物を早急に無力化できる。さらに毒には消化酵素としての役割もあり、狩りの間から獲物の体組織を分解しておくことで、大物でも楽に消化してしまう。一度の狩りで最大体重500kgもの獲物を丸呑みにする。また多くのヘビには出来ない方法を用いることで、それ以上に大型の獲物も食べてしまう。それはワニ類に見られる“デスロール”という方法で、簡単には飲めない獲物に食べる際は、足や首に巻き付いて頸部を思い切り回転させる。この時に牙の後ろに並んだ無数の鋭利な歯にと、回転時の勢いによって餌を切断し、それを改めて飲み込む。このデスロールのおかげで、本種は漂着したビヒモスやネフィリムといった巨大植物食ですら餌として有効活用できるのだ。―現代ならば一部のクジラさえメニューに加えただろう。

視覚は動くものに対して鋭敏に反応し、それらには反射的に襲い掛かる。しかし動かない物は見えづらいので、基本的にはヤコブソン器官を利用した嗅覚で周りの状況を判断している。多くのヘビがそうであるように、二股の舌で匂い物質を捉え、口蓋の器官で分析する。その探知範囲は広く、10km離れた血の匂いすら嗅ぎつける程。

夏場にかけて繁殖する。繁殖期には前述の嗅覚を使って伴侶を探す。もし同性と出会ったら頸部のフードを開いて威嚇し合い、それでも引き下がらなければ“コンバットダンス”と呼ばれる儀式的な闘争を行うことがある。これに負けたほうは即座に逃げ去っていく。ただし体格差が激しいと小さい方が獲物になることも多い。異性であっても体格差が重要で、より巨大になりやすいメスは、あまりにもオスが気に入らないと絞め殺して食べてしまう。これには競争排除の他に、産卵に控えて栄養を蓄えておかなければならない事も原因とされている。

運良く交尾を成功させたオスは早々に退散し、後の子守はメス1頭で行う。メスは手頃な隠れ家で一腹30個前後の卵を産み、片時も離れず絶食を続けたまま約3ヶ月間卵を守り抜く。オルトロスやスキタリスに代表される卵泥棒は、隙を伺って忍び寄ってくるが、大抵は蜷局を巻く母親に敵わず追い払われ、時には断食中の非常食にされてしまう。

孵化した稚ヘビは数日は母親に守られるが、やがて母親から離れていく。稚ヘビは真っ先に川や池などの水場へと向かい、そこで陸水空の小動物を獲物にしながら十数年かけて少しずつ成長する。成長に合わせて獲物のサイズも変化し、カエル大→ウサギ大→イヌ大→ブタ大→ウシ大と大型化する。孵化したての本種は肉食動物の格好の餌食だが、大きくなったらなったで、大きな獲物の反撃や天敵の襲撃によって命を落とす個体も多い。とりわけ3〜5mになる子供は隠れ家を失ったところをリンドヴルムやレウクロッタの餌食になりやすい。誕生から25年もして全長5mになると性的に成熟するが、まだ巨大化は続く。寿命は長ければ70年に達し、老年個体は文字通り手の付けようがない王者として、周辺の頂点捕食者となる。

繁殖方法や体温調節のために水場や森から離れられないため、分布は限られがち。さらに頂点捕食者の宿命として環境の変化に脆弱で、寒波に襲われる年には、大人はまだしも生後5年までの子供が全滅に近い被害を被る。この時代の他の爬虫類と違って中温性に進化しなかった事が、寒波の時とばかりは裏目に出てしまう。それでも十分に成長した個体ならば休眠状態で寒波を凌げる。

大陸北部の気候に耐えるため、胴回りが南部の大型ヘビ類よりも太い。移動する時は泳ぐか陸を這うかし、体重のせいで木に登るのは下手。とりわけ泳ぎが得意で、こういった点は絶滅種のアナコンダやティタノボアに似ている。

 

《内容は随時更新予定》

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レポート②〜リンドヴルム(ワニ類)

 
※sは全長、hは体高、wは体重




《リンドヴルム》

しかし最も危険なのはテュポーンではない。その半分しかない大きさの《リンドヴルム》s4.5m,h1.2m,w350kg―こそが、この地における最悪の殺し屋だろう。

リンドヴルムはワニ類クロコダイル科の1種でありながら、完全な陸生適応を遂げた珍しい種だ。―とはいえ1億年後では珍しいことでもないが―筋肉質な四肢と箱型の頭部を持ち、外見は新生代に絶滅したはずのノトスクス類に酷似している。こうした先祖返りの具合は本種の各部位で見られ、背中の皮骨板が2枚まで減少していたり、歯が鋸歯の明確なナイフ状になっていたりする

狩りの方法は、待ち伏せ、追跡、集団戦、など実に多彩。同体格の相手ならば単独で軽々仕留めてしまう。またジラントのような巨大生物も、執拗に急所を攻めて疲弊されることで倒す。この場合に形成される群れは結束が緩く、強い同胞意識はない。事故死した同族も平然と食べてしまう。

同種以外には極めて攻撃的で、競合相手としては共存する中型〜大型肉食動物の全てが入る。中でもマンティコアとの縄張り争いは壮絶極まりない。唯一の天敵に成体のテュポーンが存在するが、彼らは個体数が少なく非活発な捕食者のため、この地域の実質的な頂点捕食者は本種が占めている。また前述のとおり時には集団で下克上を成し遂げるようだ。

繁殖期にはオスメス混合で大規模な群れを作り、その中で序列争いやディスプレイ合戦を繰り広げる。この時期オスは喉を真っ赤に染めているので、遠方からも発見が容易。喉の発色度合いは、その個体が健康であればあるほど美しい。

交尾が終わるとメスが産卵に適した砂地を見つけて穴を掘り、その内部に15個程度の卵を産み落とす。卵は祖先よりも大きく殻も頑丈。これらはr戦略からk戦略へと変化した結果とされており、母親は孵化後も献身的に赤ん坊の世話を続ける。これは我が子が1m程に成長するまで続き、長いと半年〜1年近くに及ぶ。このおかげで赤ん坊の生存率は野生動物として高い数値を誇る。

子供は自立すると兄弟姉妹で固い結束に結ばれた群れを作る。こうした群れは天敵を避けつつ、ペリュトンのような獲物を食べて生活し、それぞれが2.5m程に達すると自然に解散する。(ただし成熟しても2〜3匹で行動を共にする例もある。この場合は強い結束が維持されたまま)

この頃になると平野や疎林でも平然と狩りをするようになり、オルトロスの小集団であれば簡単に撃退してしまう。それでも完全に成熟した大人には敵わず、各地を放浪しながら研鑽を積み、数年かけて他の生物から縄張りを奪い取る。

先祖譲りの凶暴性と高い知能を兼ね備える本種は適応力に優れ、草原、氾濫原、疎林、森林、渓谷、など幅広い環境に順応して支配地域を拡大した。これには代謝が高い中温性となった事も関係しているらしい。

地域によってリンドヴルム、リンドドレイク、リンノルム、レンオアムといった亜種(もしくは別称)が存在する。

 

 

《内容は随時更新予定》

 




 《参考文献》

・英Wikipediaおよびリンク先の文献

・King, D.; Green, B.; Butler, H. (March 15, 1989). "The Activity Pattern, Temperature Regulation and Diet of Varanus-Giganteus on Barrow-Island, Western-Australia". Wildlife Research. 16 (1): 41–47. doi:10.1071/wr9890041 – via www.publish.csiro.au.http://www.varanidae.org/Vol1_No1.pdf#page=22

・https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC389226/

・Small, Bryan John (1985.12). The Triassic thecodontian reptile Desmatosuchus: osteology and relationships (Masters thesis). Texas Tech University.

・https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191224-00010000-clc_guard-int

・Zulma Gasparini; Marta Fernandez; Jaime Powe]] (1993). “New tertiary sebecosuchians (Crocodylomorpha) from South America: Phylogenetic implications”. Historical Biology 7 (1): 1-19. doi:10.1080/10292389309380440.

・https://www.nature.com/articles/416388a


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

レポート③ 〜オルトロス(イヌ科)


※sは全長、hは体高、wは体重



《オルトロス》

1億年後においてなお、一部のイヌ科はしぶとく生き残り続け、軍隊顔負けの芸当を披露してきた。例えば《オルトロス》s1m,h50cm,w20kg―である。

この全長1mぐらいのイヌ科の末裔は、統率の取れた群れで一生を過ごす。個々の生涯は群れの繁栄のためだけに捧げられるのだ。

容姿は人類紀のインドで猛威を振るっていたドールに似ているが、体色は灰色が基調で、これには生物相の変化―哺乳類一強から陸生の鳥類爬虫類が数を増やしたため、彼らの3色覚に対応するための適応―が理由。また温暖化のため耳は大きく体毛が短い。

基本的な生活様式は祖先と大差ないが、生態系上の位置は降格を余儀なくされている。これにはリンドヴルムのような新手の捕食者が台頭したことと、気温や植生、獲物の変化により大型化が困難になったことが大きな理由となっている。

主な獲物はペリュトンやパイアのような中型哺乳類で、それらが手に入らないと魚類をはじめとした脊椎動物の全てを狙う。脚が走行に特化しているため顎と歯だけで獲物を殺す。倒した獲物は早いと30分で平らげてしまうので、カラドリウスのような掃除屋には骨しか渡さない。これも生態系での位置が降格したことが理由で、ぼやっとしていればレウクロッタなど上位の捕食者に獲物を強奪される。獲物を守ろうとして争うことも少なくないが、走るのに特化した骨格と小型な体格のせいで打たれ弱く、ヒットアンドアウェイが通用しないかぎりは獲物を手放してしまう。しかし脆弱さとの引き換えで本種の狩りの成功率は90%に迫っている。

年に2回繁殖し、一度の出産で5匹前後の赤子を出産する。これは群れを率いる一対のアルファオス/メスにしか許されていない。そのため若い個体は、性的な成熟を迎えると大半が群れを出ていき、放浪の日々を送る。こうした“一匹狼”の生存率は非常に低く、約3/4が道半ばで息絶えるか故郷の群れに戻る。戻った場合はヘルパーとして子育てを手伝いながら、自立に必要な技能を仲間から授けてもらう。その代償として群れでの序列は子供にすら劣る最下位となるが、一度ヘルパーになった個体は、次に独立するまで滅多に反旗を翻さない。

子育て自体は地下の巣穴で行われ、生後3ヶ月になって足腰が発達してくると、赤ん坊は外で活発に遊び回るようになる。しかし騒ぎ回る子供は天敵に見つかりやすく、生後3ヶ月以降の死亡率は急増する。こういった悲劇を未然に防ぐため、常にヘルパーが子供の護衛を担当しているが、そのヘルパーも競合生物の餌食になりやすい。さらにヘルパーの労働条件は劣悪なので、少なくない個体が耐えられず病気によって死ぬ。それでもヘルパーは自立できる能力が備わるまでは、決して群れから離れようとしない。子供は1年かけて成体へと成長し、やがては群れを支えるようになる。群れの序列は、アルファオス/メス>生後1年の子供>アルファの親族>生後2年目以降の子供>ヘルパーで、親族と2年目とでは序列が入れ替わることも多々ある。

本種はリンドヴルムに匹敵する適応力を持ち、多少の例外はあれど両者の分布は驚くほど綺麗に重なっている。しかし成体のリンドヴルムには全く歯が立たず、亜成体であっても勝率は決して高くない。他の競合相手に樹上性のヤクルスや単独性のレウクロッタが挙げられ、しばしば小競り合いを引き起こしている。これら2種には集団攻撃が通用するため、獲物を守り抜くどころか相手の獲物を奪い取ることもあり、それどころか機会さえあれば殺害さえ計る。大半のヤクルスは木に登って難を逃れられるものの、地上性のレウクロッタは幼体から亜成体と虚弱個体が犠牲となりやすい。力の差が歴然としているテュポーンやリンドヴルムは卵か赤子しか狙わないが、一度母親の逆鱗に触れた群れが生還できる可能性は薄い。

なお本種の古巣は多くの動物の巣穴として再利用されるだけでなく、テュポーンのような大型爬虫類の産卵場所にもなっている。

 

 

《内容は随時更新予定》

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

ワニ目>クロコダイル亜目>リンドヴルム科…


※sは全長、hは体高、wは体重



 《リンドヴルム科》

 

 ―概要―

リンドヴルム科は1億年後の地球において、大繁栄を遂げたワニ類の一派。先祖譲りの卓越した適応力や、完成された身体能力でもって度重なる環境変動を生き抜いてきた。やがて人類紀から7500万年後頃に気候が整い、さらに陸上生態系に空白が生まれると、積極的に陸へと進出し、瞬く間に生態系の頂点へと登り詰めた。

 

適応放散の具合は凄まじく、2足歩行を行う種もいれば4足歩行を行う種もおり、食性も虫や果実を含む雑食から大物狙いの肉食までと幅広く、加えて全長1m未満から9mに迫る種さえ存在する。代表画の1種が肉食性の大型種リンドヴルム/s4.5m,h1.2m,w350kg―で、本種はヨーロッパを手中に収めている。他にも、脚に蹄を進化させた変わり種のレウクロッタや、2足歩行のグライアイがユーラシア大陸全土へ分布を広げている。なおレウクロッタは走行に適した草原を好むが、リンドヴルムとヴィーヴルは環境を選ばない。そんな両者が棲み分けていられるのは、歩行形態とそれによる獲物の違いによる所が大きい(前者は四足、後者は二足)

 

リンドヴルム科は3科に分けられる。

・Ⅰリンドヴルム亜科

・Ⅱヴィーヴル亜科

・Ⅲレウクロッタ亜科

これ以外にも数種類の原始的な仲間が存在するが、九割五分が上記3科に属している。明確な先祖は不明で、現状は小型のクロコダイル亜目から進化した事しか分かっていない。ⅠⅡⅢの中ではリンドヴルム科が初期に登場し、レウクロッタ亜科やヴィーヴル亜科は後発である。だが最大勢力はⅠで、ⅡとⅢを合わせた属数の1.5倍を誇る。

 

 ―形態―

 

・頭部

多くのクロコダイル亜目が横に平らな頭部をしているのに対し、リンドヴルム科は縦に厚みのある頭部をしている。これは抵抗の弱い空気中で激しく悶る獲物を安全に攻撃するためで、獲物を咥え留めるのではなく、一瞬にして息の根を止めるか肉を噛み切るのに使われる。(詳しくは生態で後述)

 

歯は先端が全て鋭い。形状自体は骨を砕く円錐形であったり、肉を切り裂くナイフ状であったり、その中間であったりする。それらには明確な鋸歯が存在するので、どの種が獲物を食べたのかを食べ残しから特定できる。雑食性の種では奥歯に相当する臼状の歯も見られる。

 

知能は爬虫類の中でも高く、単純な序列や数量を認識し、狩りでも群れを成して行うことがある。考えうる中で可能な戦術(待ち伏せ、追跡、etc)の多くを使用するため、獲物のバリエーションに富む。繁殖期や縄張り争いでも聴覚や視覚に訴えかけるディスプレイを盛んに行い、例えばリンドヴルムでは5つの鳴き声を使い分ける。

 

五感はどれも優れている。

とりわけ視覚は先祖よりも大きく進歩し、眼窩が斜め前を向いているおかげで立体視が可能。この特徴は系統に関係なく大型種ほど顕著で、小型種は側方寄りの視野を残している。一部の種では吻部が視界を妨げないように削れており、ワニ類よりもティラノサウルス類や猛禽類に近い顔立ちである。

 

聴覚や嗅覚は先祖と変わらず鋭敏。空気中から音を聞き取る能力はもちろん、下顎や足裏から伝わる超低周波音を感じ取る能力も依然として保持している。ただし哺乳類のように高周波の音を聞き取る能力は低い。嗅覚について先祖から変化したことは少ないが、一部には開放鼻孔を獲得した種もいる。また嗅覚は獲物を探すためだけではなく、マーキングによる仲間内でのコミュニケーションにも使われる。

 

全身が鱗に覆われているため触覚は比較的弱いが、口先の圧力センサーや下腹の熱センサーは高性能である。圧力感知は対象に噛み付く際や子供を持ち運ぶのに役立てられ、熱感知は陸上での体温維持に役立てられている。

 

味覚は基本的に塩味、旨味、刺激(苦味と酸味)の4つを持ち、過食部位を判別するのに使われる。例外ながら小型種には甘味を感じる種も存在し、彼らは果実なども好んで食べる。しかし水中の魚類や両生類を狙う種は少ない。

 

下顎の付け根には先祖から引き継いだ一対の臭腺がある。ここから意思表示に使う匂い物質を空気中へ放出するか、もしくは周囲の物へ擦りつけて臭いを残す。これは哺乳類のように糞尿でアピールできないため、その代用として進化した。

 

 

・四脚

最基盤の数種類や初期のリンドヴルム亜科の2種では、後肢のみが直立状態で、前肢は中腰に近い。これらの少なくない種は地下に巣穴を築くため、あえて直立させていない可能性がある。それでも大半は哺乳類のような直立姿勢で大地を闊歩している。前肢と後肢では後肢のほうが太く長い。走り方はギャロップのため、どこか先祖の走り方を彷彿とさせるものがある。

リンドヴルム亜科やヴィーヴル亜科は足先にイヌ科のような先の鈍い鉤爪を持ち、これをスパイク代わりに使う。異質なのがレウクロッタ亜科で、彼らは足先に有蹄類そっくりの蹄を進化させた。過去にも肉食動物で蹄を進化させた種は存在したが、レウクロッタ亜科は数としても分布としても、以前の有蹄肉食動物を凌ぐ繁栄を遂げた。これは1億年後の地球では、走行性能の高い捕食動物が有利に立つ条件が整った事が要因らしい。

前肢は形態の差が著しく、中には鋭い鉤爪で木に登る種類も存在する。とはいえ樹上では、トカゲ類(例はヤクルス)や哺乳類(例はネコ科)がニッチを強固に治めているため、そこで繁栄している種は少ない。

 

・胴体

背びれを備えた種類や皮骨性の鎧を残した種類もいるとはいえ、その殆どが皮骨を退化させている。中でもレウクロッタは、一見せると背中に一列の棘が走っているようにしか見えない。

ダックスフントよろしく胴長の種類もおり、それらは下生えや地下のトンネルで獲物を探す。

 

・尾部

半水棲の祖先とは打って変わり、陸棲オオトカゲのような丸い断面の尻尾になっている。付け根に尾大腿筋が発達していて、後肢を効率よく動かしたり、敵を思い切り弾き飛ばすことができる。リンドヴルムの場合、その威力は小動物が即死する程。

 

 ―生態―

本科は内温性(中温性)のため、非常に活動的な陸棲動物である。だがⅠⅡⅢでは狩りの方法が大きく異なるため、順にそれぞれ記述する。

Ⅰリンドヴルム亜科

リンドヴルム亜科は亜科内部でも形態や習性の違いが激しい。いうなれば人類紀の食肉類(ネコ目)で、ネコ科のように獲物を奇襲するものもあれば、イヌ科のように群れで団結するものもある。そうかと思えばクマ科のように力と持久力で獲物をねじ伏せたり、イタチ科よろしく万能のものもいる。

リンドヴルム亜科は親指に大きな鉤爪を持つものと持たないものがおり、代表格よリンドヴルムは持つ種類。大爪は相手を取り押さえるのに使われる。(ネコ科の親指に似ていなくもない)

リンドヴルム亜科は全長1m〜9mと大きさも幅広い。そのため狩りの方法も前述の通り幅広い。

 

Ⅱヴィーヴル亜科

ヴィーヴル亜科は、さながらテタヌラ下目の獣脚類(例はアロサウルス)を思わせる姿をしていて、狩りの戦術も似ている。彼らは2足歩行を利用して獲物へ素早く追い縋り、無防備な背中目掛けて強烈な一撃を叩き込む。初撃は上下の顎で繰り出されることもあるが、上顎だけを振り下ろして行われることもある。やがて酷い裂傷を負った獲物は倒れ、襲撃者は食事にありつく。

ヴィーヴル亜科は多くが全長3mを超える大型種で構成されているため、狩りの方法に大きな差異はない。(細かな顎や前肢の使い方は別)

 

Ⅲレウクロッタ亜科

プリスティカンプススやメソニクス目(無肉歯類)のように特殊化した足先のおかげで、大地を縦横無尽に駆け回ることができる。

狩りでも獲物を疎林帯や草原で物色し、ひたすら追い回して弱らせる。バテたところを一気に攻め立て、顎と歯だけで獲物を噛み殺す。派生的なレウクロッタおよびその近縁種では、歯が無根歯(齧歯類の切歯のように一本の歯が一生伸び続ける)となっているため、鋭利さを保ちながら、獲物を乱雑に噛み砕く荒業が可能である。

レウクロッタ亜科は全長1m〜4mとややや幅があるものの、多くが疎林や氾濫原、そして草原で暮らすため狩りの方法に大差はない。(狙う獲物の大きさだけが異なる)

 

《内容は随時更新予定》

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。