病んでますよ!アイズさん (abc)
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第一話

昔書いたの発見したので


 

 『ベル・クラネル』は困惑していた。

 

 何故かと言えばここ豊穣の女主人で食事をしていたところ、突然女性が抱きついてきたからである。

 

 知らない女性……という訳ではない。何故なら彼女は自分がダンジョンに潜っていた時に命を助けてくれた相手だからであったからだ。

 

 

「かわいい……その白い髪も赤い目も……かわいい……」

 

「あ、あの……と、とりあえず離れてくれませんか?」

 

「どうして?私達付き合ってるんだよ?」

 

「え!?いや、危ない所を助けてもらったのは覚えていますけど、会ったのは今日が初めてですよね!?」

 

「うん、だから、ミノタウロスから助けてあげた時に付き合うって私が決めたの」

 

「何の話をしているんですか!?」

 

 

「はぁ……とりあえずお互いに少し話そうや……」

 

 

 そう言って赤髪の神『ロキ』が仲裁に入るのであった。

 

 それからベルはロキファミリアと一緒のテーブルにつくことになる。ロキファミリアはオラリオ屈指のファミリアであった。ベルも一度入団を申し込みに行ったものの門前払いを食らったのである。

 

 少しボサついた髪に、目の下には隈がある、ベルに抱き着く少女の名前は『アイズ・ヴァレンシュタイン』であるということが分かった。名前が分かった後も周囲の目などお構いなしと言わんばかりにベルに抱き着いているアイズ。しまいにはベルの匂いまで嗅ぎ始めている。

 

 ロキはアイズを無視して話を進めることにした。

 

 

「ほーん、ベルはあのドチビのとこの冒険者だったんか」

 

「まぁ、はい…………あの、アイズさん、やっぱりもう少し離れませんか?」

 

「嫌」

 

「嫌って言われても……あの、ロキ様からも何か言ってあげてください」

 

「……アイズたん、いい加減にせな、ベルが困っとるやないかい」

 

 

 アイズはロキを睨むようにしてベルに抱き着く力を強める。

 

 そこには決して離すつもりはないという鉄の意思が感じられた。

 

 

「ロキの方こそ勘違いしないでください。ベルは私のことが好きだから抱き着かれているんです。ベルは私のことが嫌い?好きか嫌いかの二択で言ったらどっち?」

 

「えっ!好きか嫌いかですか?いや、あの、その二択なら好きの方ですけど」

 

「ベルに好きって言ってもらえた……これはもう両思いだね」

 

 

 

「いや、二択で迫っとるんやから好きって言うしかないやろ……」

 

 

 

 あまりにアイズがしつこいのでロキファミリアの狼人『ベート・ローガ』はしびれを切らした。

 

 

「兎野郎がさっさとアイズを振ればいい話だろうが……めんどくせえ……」

 

「兎野郎……まあ、何でもいいですけど……」

 

 

 兎野郎と言われたことに少しだけショックだったベル。

 アイズはそれまでベルに微笑みかけていた笑いから、ベートへの怒りの形相に変わっていた。

 

 

「ベートさん……何で余計なこと言うんですか?ベルと私は運命の出会いだったんですよ。それなのに別れるなんて……ひどいこと言わないでください。殺しますよ?」

 

「……(頭が)やべえな」

 

 

 




続いてない


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第二話

「ベートさん……何で余計なこと言うんですか?ベルと私は運命の出会いだったんですよ。それなのに別れるなんて……ひどいこと言わないでください。殺しますよ?」

 

「……(頭が)やべえな」

 

「ベル、ベートさんの言うことは聞いちゃダメ。私の事だけを見て、私の言葉だけを聞いて、私の事だけを考えて、ね?」

 

「あ、あの、気持ちだけ受け取っておきますから……」

 

「体も心も受け取って」

 

「いや、もう勘弁してくださいよ、ほんとに……」

 

「照れてるとこもかわいいよ」

 

 

 ベートはもう手の付けようがないと言わんばかりに別のテーブルへ移る。

 それと同時にエルフの少女がアイズに対して声を荒らげる。

 

 

「アイズさん!いい加減にしてください!私はもうこんなアイズさんは見たくないです!」

 

「レフィーヤは黙ってて……私はもうベルと添い遂げることにしたんだから」

 

 

「……ロキ様、紹介してもらえますか?」

 

「ああ、うちの冒険者のレフィーヤや。アイズたんの後輩ってことになるんかな」

 

「後輩ですか……でも、何か様子がおかしくないですか?」

 

「……うん、まあ、レフィーヤはアイズたんのことちょっと好きやったからな。意見が食い違うのもしゃーないやろ」

 

「えぇ……僕もう意味が分からないです」

 

「そんなん……うちもやで……」

 

 

 ベル、理解するのに10秒ほどかかる。

 

 レフィーヤがアイズのどこを好きになったのか分からないベルであった。

 

 

「酷いですアイズさん!いつもの根暗で優しいアイズさんに戻ってください!」

 

「いい加減にして。根暗というのはいくら何でも失礼すぎる。自分の言動にはよく注意した方が良い」

 

「あ、すいません」

 

 

 ベルは思わず率直な感想を述べてしまう。

 

 

「……いや、今のアイズさんの発言はおかしくないですか!?何で僕に対しての言動には注意しないんですか!?」

 

「ごめんねベル。私が好きなのはベルだけだから。レフィーヤの言いがかりのせいでベルが混乱してしまったね。レフィーヤ……もうこれ以上ベルに迷惑掛けないで」

 

「いや、僕が混乱してるのはアイズさんの発言にですよ!しかもこの場で一番迷惑かけてるのはアイズさんですからね!」

 

「……ちょっとうち、トイレ」

 

「ロキ様も逃げないでください!自分のところのファミリアでしょう!」

 

「いや、もう、疲れてきたし、気づいたらうちら以外全員別のテーブル行っとるし」

 

 

 ベルは悩んでいた。確かに自分は出会いを求めてオラリオに来た。それなのに気づけば何か変なのに絡まれてる。ベルはオラリオに来たことを少しだけ後悔した。

 

 

「アイズさんはさっきからそこにいる少年に対して付き合ってるって言ってますけど、全然付き合っている感じじゃないですよね。付き合ってるならキスぐらいできるはずじゃないんですか?」

 

「え?」

 

 

「これは……(キスをして証明)するしかない」

 

 

◆どうするベル……――!?

 

 



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