俺の幼馴染みはヤンデレです (太公望)
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1話 ヤンデレ日記の一ページ目

 こんちゃす
Twitterでアンケートしたら
ヤンデレキャラはやっぱり
この人ですね。
とゆうことでお楽しみください


 今日も俺、真宮 耀太(じんぐう ようた)は今年から通っている花咲川高校への道のりを歩いている。隣で歩く金色の髪をした幼馴染みの白鷺千聖と一緒に…

 

「…ねぇさっきから聞いてるの?」

 

「ん? あぁごめんごめん…それでなんだっけ?」

 

 まぁここまではどこからどう見ても普通の幼馴染みだよな。でも、元子役かつ現在進行形でアイドル兼女優として活躍している彼女が幼馴染みなのは俺としてもかなり嬉しいところではある。

 

「あ! 千聖ちゃん耀太君おはよう」

 

「あら花音おはよう」

 

 この子は千聖の親友の花音だ。かなり方向音痴だし、千聖も電車の乗り継ぎができないから俺が二人のお守りをして出掛けることがかなり多い。

 

「花音おはよう」

 

 俺が挨拶をするだけで千聖はこちらをギロッと睨み付けてきた。

 

 そして学校について席につく。元々は女子高だったのだが少子化で今年から共学になったのだ。なのに男子は俺だけ…酷いよ(´;ω;`)俺は親に言われるがまま転入したのだ。前の学校も悪くはなかったがひとつの問題があったからな…

 

「耀太こっちにきなさい」

 

 俺は千聖に引っ張られていった。誰もいないところに来ると……

 

「あなたさっき私以外の女の子と話してたわよね? 花音や彩ちゃんなら我慢するけどそれ以外なら我慢できないわよ?」

 

「いや…あれは不可抗力なのですが?」

 

 この発言で想像したであろう、なにを隠そう。俺の幼馴染み、白鷺千聖は完璧なヤンデレである。そしてその依存先が俺なのである。いつからだろうか……中学校辺りになってもうこうなっていた記憶がある。

 

「まぁさ授業戻ろうぜ? もう始まるし」

 

「もう時間が…しょうがないわね」

 

 なにかあるといつもこんな調子であるまぁ話すことを辛うじて許されているのは、花音、彩、燐子、紗夜。あとは二年生だとイヴとポピパのメンバーかな? なんていうかガールズバンドのメンバー? で統一されてるし……話すといっても長々と話しているとさっきみたいになるし

 ふざけあったりするのはもっての他。他の女子と挨拶するだけでもこうなります

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 キーンコーンカーンコーン

 

「終わったぁぁぁぁ」

 

 午前中の授業も終わりやっとお昼休みさてさて弁当を…

 

「耀太ほらいくわよ」

 

「はい…お待ちくださいませ…」

 

 食わせてはくれないみたいだね、どこかへ連行されるみたいですわ。俺の平穏なお昼休みはないみたいだよ……連行されてきた場所は屋上。

 

「なんで屋上に…?」

 

「ここなら誰にも邪魔されないでしょう?」ニコッ

 

 いやいやちょっと待ってよ? その不適な微笑みはなに? まさかまさか後ろに包丁とか持ってて……

 

「なにしてるの早くお弁当食べるわよ」

 

「あーはい。了解しました」

 

 あっぶねぇ、さすがに……考えすぎだよな、即死ルート回避したわ。

 

千聖視点

 

 私の愛しい愛しい耀太。どうやったら誰とも話さずにいられるのかしら。あれだけ他の女としゃべらないでと釘を指しているのに……花音や彩ちゃんなら少しは許してあげるけど誰かも知らない女が近づくのは許せない

 

「ほら口開けて私が作ってきた卵焼きあげるわよ」

 

「いやいい「は や く」はい…」

 

 それでいいのよ♪ 私が作ってきた私がはいった卵焼き……今日は髪の毛しかいれてないから今度は唾液でもいれてようかしら♪ 

 

「味のほどは?」

 

「よろしいでございます」

 

 いつもより少し早めに起きたかいがあるわね♪ 今度はなにを作ってこようかしらね。耀太の好きなものはチーズケーキだから……そうよ紅茶も一緒にすればいいわね。

 

「そろそろ時間だから戻ろうぜ?」

 

「あらもうそんな時間なのね」

 

 放課後はどうしようかしらね

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あ! ねえねえ耀太君ここなんだけど…」

 

「ここ? ここはね…」

 

 耀太はなんで話してるの? 話さないでって朝もいったわよね? 

 

 何で何で何で何で何でなんでなんデなンデなンでなんでナンデナンデなンでなんでナンデなんでナンデなんでなんでナンデなんでナンデ

 

 私じゃダメなの? 他のひとじゃなきゃいやなの? 私の思いが伝わってないの? どうしてどうして……ガリガリガリガリガリ

 

「ち、千聖ちゃん? だ、大丈夫?」

 

「ええ大丈夫よ花音」

 

 危ない危ない取り乱しちゃったわ。落ち着かなくちゃ……あとでお説教が必要みたいね

 

「あの…千聖さん? なんでそんなにこわい顔をしてるんですか?」

 

「あなたにはちゃんと教えておかないといけないわね…放課後は開けておきなさい。そして明日明後日も休みよね? 私もお仕事はないから…」

 

「あの…俺の意見は?」

 

「あるわけないじゃない」

 

 私ならあなただけを見ていてあげれるのよ? 

 あなたのことを一番知ってるのは私なのよ? 

 小学校六年生の時のテストの点数も、中学校入ってから居眠りした回数も、高校に入って他の女と話した回数も

 口癖もよくする仕草も、すべて知っているのよ? 

 

耀太視点

 

「あの…俺の意見は?」

 

「あるわけないじゃない」

 

 はぁぁぁ……かんっぺきにヤンデレモードに入ったわ。これでもこの頃頑張ってたんだけど……どうすれば治るんでしょうねぇ? まぁこうじゃないと女優もやってられないっていってるし? 他の人に依存するよりも幼馴染みの俺の方がいいんだろうな~。 あぁぁ面倒な幼馴染みを持ったこと。

 

「あなたは話を聞いてるの?」

 

「はい…すいません」

 

「まったく…朝もね。とりあえずまずはカフェにいくわよ」

 

 カランカラン

 

 俺達は駅の近くのカフェに来た。いつもなら羽沢喫茶店なのだがな。かなりご立腹の様子ですね。あそこはAfterglowのつぐみちゃんがいるからいかないの? 余程おれを他の女子と会わせたくないのね

 

「私はレモンティーと…フランボワーズをお願いします」

 

「俺は…ストレートティーとチーズケーキで」

 

 注文も終わり俺がスマホを取り出すと……

 

「誰に連絡しようとしているの?」

 

 ダメです、その笑顔はダメです。顔は笑ってるけど目は笑ってないです、死んだ魚の目をしています。

 

「アハハ…母さんにちょっと帰りが遅くなるって伝えようと…」

 

「それなら問題ないわよあなたのお義母さんにはもう連絡してあるわ」

 

「へ…? なんで?」

 

「だって今日からあなたは私の家に泊まるのよ?」

 

「please repeat give me」

 

 あなた今なんとおっしゃいました? 聞き間違いですよね? 

 

「まったく…だからあなたは今日から3日間私の家に泊まるのよ。あなたのお義母さんとお義父さんには許可はもらっているわ。むしろお願いしたいっていってたわよ」

 

 うちの親はなにをいっているんだ? まぁ毎日毎日

 

「千聖ちゃんと早くくっつきなさい」

 

 とかいうしそれを千聖がいる目の前で普通にいうし、まぁそれで

 

「そうなれば嬉しいんですけどね」

 

 って返す千聖も千聖だよな。

 

「それより千聖のご両親はいいと?」

 

「それなら問題ないわよ。二人ともあなたならいつでも家に泊まりにきてもいいって言ってるしね。それに早く嫁にもらってほしいっていってる始末だし」

 

 千聖の親も親よのぉ…

 

「そんなこといってるのかよ…千聖はそれでもいいの?」

 

「それでもって?」

 

「だから…その…嫁入りとかくっつくとかって…そのさ…結婚? するってことでしょ?」

 

 この人はそうゆうことを考えてるんですか? はぁぁぁ花音か紗夜なら千聖を止められるかな…

 

「私はむしろそうしたいのだけれど?」

 

「ゲフッは!?」

 

 なんですか千聖のこの爆弾発言、しかも表情ひとつ崩さずに紅茶飲みながらいってるし……いやいやちょっとまてよ? 俺さここに千聖のファンいたら多分ぶっコロネされるよね? いや多分じゃないわ、絶対だわ。

 

「そろそろ時間も遅いわね。帰りましょうか」

 

「はい…了解いたしました」

 

 いつか千聖に勝てる日は来るのだろうか、それよりこの後3日間のことを考えよう…




 ナンデナンデナンデナンデナンデ
ヤンデレってこんな感じですか?
まだまだつかめてないので
頑張りマッシュ


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2話 お持ち帰りされました①

 こんばんちゃす
別の方も今日更新しようと
思ってるんですが
こっち優先しました-w-w

ドリフェス終わっちゃったぁ
お目当てのものは当たりましたか?
蘭が…蘭がぁぁぁぁ

と叫んでいてもしょうがない
千聖さんはでたので満足満足
ここで話すのもなんですので
本編へどうぞ~


 「おじゃまします」

 

俺は着替えも持ってきて千聖の家に来た。

まぁ家は隣だしいつでも帰ってこれるけど…

父さんも母さんも

 

「うちの耀太をお願いね。早くうちにお嫁に来ればいいのに~」

 

「でも耀太はヘタレだからな」

 

っていってるし千聖は

 

「私も是非そうしたいです」

 

とか笑顔でいってるし…ハァァァァァ

ダメだこりゃ…

 

「そんなため息ついてないで早くこっちにきなさい」

 

「あい」

 

千聖には逆らえそうにないよ…

さてさて何をさせられられるのやら…

 

「そこで正座しなさい」

 

「したけど?」ポスッ

 

あーはいはい。膝枕しろと

素直に言えばやってあげるのにさ

 

「撫でて」 「はいはい」ナデナデ

 

今は比較的平和だわ

今日の夜はなにもないよね?

 

「それよりお母さんとお父さんは?」

 

「二人とも家を空けてるわ。あなたが泊まりに来るっていったら『二人で楽しんでね』とだけ」

 

お二人さんよぉぉぉぉ

大事な大事な娘さんですよね?

あなたたちの娘さんは女優ですよ?

俺がなにかしたらどうするんですか?

いやなにもしないけどさ

 

「そして今日あなたは他の女と何回喋ったのかしら?」ゴゴゴゴ

 

あ…オワタ

 

「数えてないんですが…」

 

「花音とは四回。その他の女とは彩ちゃん達を抜いて23回。その時に触られた回数5回…ブツブツブツ」

 

こうなったら落ち着くまで放置しておこう

千聖がこのドス黒いオーラを放ち始めたら

収まるまで待つ以外の方法を俺は知らない。

てか千聖は俺の行動

一つ一つすべて監視してるの?

こわいっす。単純にこわいっす。

 

「…あなたは私がいるのにこんなに他の女と話しているのよ?なんかいいったらわかるの?」

 

「いや…だから不可k『なにか異論は?』ございません…」

 

彼女はいったいどうやったら

なおるのだろう…

花音みたいに純粋だったり

彩みたいにドジっ子だったり

紗夜みたいにしっかりしてたり

燐子みたいにおしとやかなら

いいんだけどなぁ…

 

「そして今からするのは私をないがしろにした罰よ」

 

そういって千聖は顔を近づけてきて…

いやいやまてまてまだ早まるな!

ファーストキスはまだ大事にしろって!

あ…やばい…もう真後ろは壁だ

逃げらんないし、いやいや近いって!

まって息が混ざって…

 

「私をあなたの体に遺しておいてあげる」カプッ

 

「痛っ…」

 

千聖は俺の首に噛みついて傷をつけた

本人いわく

「私を遺しておく」らしい

千聖が離れると俺の首には

小さくでもくっきりと千聖の歯形が遺っている

そして今も鼻の奥をくすぐる

千聖の髪の匂い…

八重歯が刺さっていたのだろうか

二ヶ所から少し血が流れている。

 

「おまえな…やりすぎだろ」

 

血を拭こうとすると

 

「これも私のものよ。あなたは私だけのものなのだからあなたの血も私のもの。当然でしょう。」ペロッ

 

そういって俺の首筋をつたう血をなめとった。

なんていうかこう…色気付く?

っていう表現であってるのかな

まぁしょうがないか…

ここまでエスカレートしたのは

俺の責任でもあるし…

いやそれって俺の責任?

やばい…自分に問いたくなってきたよ…

 

グゥゥゥ

 

「そんなことより腹へったよ」

 

「軽くなにか作るわ。待ってて」

 

一人で作らせるのはやばいだろ

考えすぎだとは思うが血をいれるために

自分で指切ったり爪いれてみたり

なんか変な薬いれたり…

 

注(耀太はお昼の弁当に入っていたことを知りません)

 

「俺も手伝うよ。一緒に作ろう」

 

「二人の共同作業ね。やりましょうか」

 

千聖視点

 

私の耀太

私の私一人だけの耀太

お義父様とお義母様にも許可は得ているんだし

早く襲ってくれないかしら

あなたは私だけのものなのよ?

私もアナタだけの物なのに…

私一人

わたし独りだけのものなの 

ワタシならあなたのことを

すべてわかってあげられる

アナタ一人だけを永遠に愛し続けてあげられる

 

グゥゥゥ

 

「そんなことより腹へったよ」

 

「軽くなにか作るわ。待ってて」

 

今度はなにをいれてあげようかしら

私が耀太の血を飲んだから耀太も

私の血を飲めばいいのよ

 

「俺も手伝うよ。一緒に作ろう」

 

「二人の共同作業ね。やりましょうか」

 

二人の共同作業は久し振りだけど

私の血をいれられないじゃない…

気づかれないように唾液ぐらいなら

入れられるわね

 

結局作ったのは茶碗蒸し

耀太はこういう物も好きだし

私も唾液を入れられたからよかったわ。

 

「ほら口を開けて、食べさせてあげるわよ」

 

熱くないように息を吹きかけて冷まして…

このスプーンも私が口につけたものだから

もうこれで間接キスね

 

「はいはい。あーん」

 

耀太の分にだけ少しお酒をいれておいたから

食べて少ししたらきっと酔っぱらうわよね

その勢いで夜に私のベッドで

押し倒したりしてくれないかしら…

あれ…おかしい…わね

なぜ…だかワタ…シもから…だが

熱くなっ…てきちゃった…わ

 

耀太視点

 

やばい…なんか茶碗蒸し食べてから

すこし頭がクラクラする…

なんかいれた?見てる限り

気づかなかったんだけど…

 

「耀太ぁ…」

 

「なに…ってどんな格好してるんだよ!?」

 

千聖は頬を赤く染め上げて

来ている制服のボタンを上から

外していっている…

おまえ本当になにをいれたんだよ!?

 

「なにってぇなんだかぁ体がぁあつくてぇ」

 

「体が熱くてじゃなくて…とりあえず風呂に入って体を暖めてこい。風邪かもしんないし」

 

「ムー」プクー

 

なんでむつけてるの?

千聖は俺に顔を近づけてきて…

額を合わせてきた

顔近いし…それにこの匂いってお酒?

まさかとは思うが俺のにも入って…

 

「よ~君と一緒にはいるの~」

 

「はっ!?」

 

なにをおっしゃっているんですか

千聖さん?

 

「よ~君と一緒じゃなきゃやぁあ」

 

「やぁあじゃない。流石にそれはダメ。そのかわりできることならなんでもするから…」

 

「なんでもぉ?」

 

「できることなら…な?」

 

「それじゃぁあ、よ~君と一緒に寝る!」

 

かんっぺきに酔っぱらってますね。

「よ~君」なんて昔

薫と一緒に遊んでた時か俺と二人きりの時しか

呼ぼうとしてなかったし

中学に入っていわなくなってたのに…

それにしても

結婚しろとかじゃなくて助かったわぁ

 

「えへへ~、今日はよ~君と一緒におねんね~♪」

 

千聖って酒に弱いんだな…

これで弱味を握れたよ

お酒様々ですわ。アザーす

 

「それなら早く入ってきなさい。」

 

「はぁい」

 

さてさてこの後どうしよう…

考えていると千聖は

風呂を上がってきた

 

「あがったよぉ~」

 

髪は濡れてるし

来てる服も薄いのか

肌に張り付いて体のラインが

くっきりと目に見えるから

すごい目のやり場に困るんだけど?

 

「ん!」

 

「はい?」

 

ドライヤーを渡してなにをしろと?

 

「髪、乾かしてぇ」

 

「はいはい。そうゆうことね」

 

しっかし千聖の髪ってすごい

きれいだよな。色も色だけど

めっちゃさらさらしてるし…

いや女子ならみんなこうなのか? 

ていうかストップ俺の思考回路

千聖からまたドス黒いオーラがでてる

思考回路まで読めるのかよ…

 

「俺も入ってくるからここで待ってて。なにもいじるなよ?」

 

「はぁい」

 

千聖の家の風呂に入るのは

小学校ぶりか?いやどうでもいいか

その頃には子役として頑張ってたし

帰ってきたら毎回俺のとこ来たしな

あぁああの頃が懐かしいよ

妹みたいだったのにさぁぁ…

てかいっしょに寝るってまさか

同じベッドでじゃないよな?

一人では寝相いいのに

俺と寝るときだけ悪くなるのって…

なおってるわけないか…

 

「あがったよ」

 

「えへへ~よ~君の匂いがする~」

 

あ…やったわ

なんで着替えようで持ってきた服を

おきっぱにしていたのだろう

そしてなんで毎日朝取りに行けばいいっていう

頭が思い浮かばなかったのか…

 

上がってくると目の前には

俺の服を着て匂いをかいでいる

千聖がいる…

おまえってやつは…

 

「はいはい。着てていいから寝ようぜ」

 

「ワタシのベッドへゴぉ~」

 

やっぱりそうですよねぇー(棒)




 耀太のだけにいれようとしたのに
自分のにもいれちゃって自爆した
千聖さん-w-w
さてさて酔っぱらってますが
夜はもうなるんでしょうかねぇ-w-w
次回もお楽しみ~


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3話 お持ち帰りされました②

 こんばんちゃ~
三日連続で同じ時間にあげるのは
やっぱしキツかったです。
そしてUA3000突破
お気に入り登録40突破
ありがとうございます!
感想もくれたらうれしい?
なんちゃって

とりあえず
本編へどうぞ


 ガチャ

ここか…久しぶりに入るな

この人形まだ持ってたんだ

昔の誕生日プレゼントであげたやつ…

このころの純粋な千聖は

いったいどこへ消えたことやら

 

「ほらぁよ~君もおいでおいで~」

 

千聖は自分のベッドに入って

俺を自分の横にくるように

手招きしてるんですが…

入れるわけがないですよね!

いやだって俺だって高校生ですよ!?

今年で17歳ですよ!?

小学校までならあんまり

抵抗なかったって言うか

そういう頭がなかったからさ

 

「いや…おれは床で」

 

「いっしょに寝てくれないの?」ウルウル

 

やめてくれ千聖

そんな涙ぐんだ目で俺を見つめるのは…

断るに断れないじゃないか

 

「わかったよ…」

 

「ほんと?やったぁ」パアッ

 

こういうとこなんだろうな

千聖に依存される理由…

まぁ依存相手が俺でよかったよ

他の人ならどれだけ迷惑かけてることか…

寝たらそっとベッドから出よう

 

「んふふ~よ~君離さないよ~」

 

フラグたててしっかりとフラグ回収しました

耀太選手です

 

こうやってみるとさ

やっぱり普通のどこにでもいる

女子高校生だよな

今時の女子高校生ってモデルやってたり

してるらしいしその延長線で

アイドルって考えれば…

まぁ今日は明日のために寝るかぁ

 

「よ~君だぁいすき~」ムニャムニャ

 

「はいはい。」ナデナデ

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

千聖視点

 

 なんだか頭がいたいわね…

昨日は確か…茶碗蒸しを食べてから

記憶がないのだけれど…

この服って耀太のものね。

横にもいるし襲って…

くれた訳じゃないみたいね

私も酔っていたのかしら

水でも飲んできましょう。

 

「ん…千聖…起きたか?」

 

「ええ、いまさっきね。昨日は何か迷惑かけたかしら?」

 

「特にはない。お前に迷惑かけられたことなんて一度もないだろ」

 

朝から気分がいいわ

なんたって耀太といっしょに寝れたのだもの

いつぶりかしらこんなに気持ちが高鳴るのは

ワタシの家にいる間は

私独りだけのものになる

他の女が寄り付く心配もない

学校も仕事も全部やめて

このままでいいのに

それより「迷惑かけられたことがない」のなら

私から襲っても大丈夫ってことよね?

 

朝御飯は軽くトーストとコーヒー、

あとはスクランブルエッグで済ませた。

私はなにも入れていないわ…

まったく一人で作らせてくれてもいいのに

 

「それで?今日はなにをするご予定で?」

 

「なにってずっと二人でいるわよ?」

 

「え?」

 

そんなのあたりまえじゃない

何のために家に泊まらせたと

思ってるわけ?

アナタの中に私を遺すため

ワタシの中にアナタを

永遠に遺しておくため

 

アナタはワタシのモノ

 

ワタシはアナタのモノ

 

これをしっかりとワカラセナイトネ

そうじゃなきゃまた

耀太に寄り付く女がいる

耀太もワタシから離れていく

そうならないように必要なことなのよ

 

「あのさ近すぎて動きずらいのですが?」

 

「これくらい近くないと私を感じられないでしょう?」

 

テレビを見ているのだけれど

私は耀太の腕をとってピッタリくっついている

私が一番アナタのことを知っているんだから

 

「こうすると気持ちいいのも知ってるわよ?」

 

「それはやめといて?」ゾクゾク

 

「嫌よ。私独りのものになるまでやめないわ」

 

耀太は昔から耳元で囁かれるの

好きなことはしってるのよ?

それぐらいしってて当たり前よ

 

「ほら横になって。体をほぐしてあげるから」

 

「いやこって「はやくしなさい」はい」

 

そう。それでいいのよ

アナタのことはワタシが

一番知っているのだから

ワタシがやるっていったら

素直に聞けばいいのに

 

「ほらね?楽になったでしょ?」

 

「なんで俺がわかんないのにわかるんだよ…まぁありがとな」

 

そんなの当たり前じゃない

ワタシがアナタをアイしてるっていう

証拠になるもの

そのためならなんだってするわ

 

ずっとズットずットズっとズっトズッ友ずうっと図っと頭っとずっとずっとズットずっとズットズットズットズットズット

一緒にイルタメダモノ

アナタのためならなにもオシマナイワ

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

耀太視点

 

「それで?今はどういう状況に?」

 

「二人っきりで買い物でしょう?なにか悪いことでもあるかしら?」

 

「ナニモナイデス」

 

拒否できるわけないよなぁ

まぁ来てるっていったって

ショッピングモールなんだけど…

相変わらず電車苦手よのぉ

駅のホームで迷子になって

電話かけてくる所辺り…

 

「ねえこんな服なんかどうかしら?」

 

「普通に似合ってるじゃん」

 

こうしてみるとさ

普通の女子高生で

誰からみても可愛いとか

美人とか思われてんだろうな

まぁ俺もいわないだけで

思ってたりするんですけど

 

「次はあそこいきましょうか」

 

「いやいやゆっくりいこうぜ。店は逃げないから」

 

「時間は逃げていくわよ?」ゴゴゴ

 

「ソウデスネ。ハヤクイキマショウ」

 

意見はおろか否定したら

どうなるんだろう

 

「あら?真宮さん?」

 

「あ~紗夜か」

 

「私ですがなにか?」

 

めっちゃタイミング悪いよなぁ

千聖がいないからいいけど…

 

「あら、紗夜ちゃんじゃない」

 

「白鷺さんも一緒だったんですね」

 

何この二人

なんでこの二人の間に火花が

散ってるように見えるの?

幻覚見えてるよね?

 

「ほら耀太いくわよ」

 

「え あ はい。またな紗夜」

 

「ええ、また学校で」

 

あっぶね~

戦いが起きなくて安心安心

 

「それで?紗夜ちゃんとは何を話してたの?」

 

俺が終わってるわ

 

「話す前に千聖来たから話せてないよ」

 

「そう、ならヨカッタワ」

 

だからその片言やめてください。

はい。俺が悪かったです

 

さてさて帰ってきたよ(千聖宅)

ハァァァァァ 疲れました

 

「アナタ、ワタシといたのに紗夜ちゃんといたのよね?」

 

「はい。すいませんでした。」

 

なにされるの…待って待って

 

「今回はしょうがないわ…私も目を離したのだし。次はナイワヨ?」

 

「以後気を付けます」

 

あぶねぇ…

 

「そのかわり今日は私一人で夕飯作るからね?」

 

「え…了解しました」

 

危なくもなんともないわ

かんっぺきにアウト

なんかやられても耐えろよ

俺の体と理性

 

千聖視点

 

やったわよ

今日は一人で夕飯作れる

さて何を作ろうかしらね

血をいれようかしらそれとも爪?

ガタッ

あら…そうよこの薬いれればいいのよ

興奮薬だったかしら?

これいれれば夜に襲ってくれるわよね

 

「できたわよ」

 

「それで?俺の箸は…」

 

「あるわけないじゃない」

 

何を考えてるのかしら

そんなものいらないでしょ?

ワタシが全部やってあげるわよ

 

「お風呂どうする?」

 

「そうね…先に入ってきていいわよ」

 

夕飯も食べたし早くお風呂に入って

ベッドにいって…

それともお風呂に一緒に入ろうかしら

 

「入ってくるなよ?」

 

「ん…しょうがないわね」

 

先読みされちゃったわ…

いいわよ。耀太の服きて

我慢しておくわ

 

「上がったよ…てかその服…」

 

「別にいいじゃない。ワタシのものなんだから。それじゃ…入ってくるわね」

 

耀太が入った後の残り湯…

飲んでもいいわよね?

だって耀太のものはワタシのものだしね

ベッドで襲いやすいように下着着ないで

寝巻きだけで…

 

「上がったわよ」

 

「おう。んじゃ俺ここで「早くベッドいくわよ」はい」

 

早速ベッドにねて…

どう誘えばいいかしらね

耀太の顔も微妙に赤くなってるし

薬が効いてきたのかしら?

それならダメ押しで

 

「私はアナタの物なのよ?だからワタシの腕も足も心も体もすべてアナタのものなの。アナタがしたいことならなんでもするわよ?もう我慢しなくていいんだしシマショ?」

 

耀太視点

「ワタシの腕も足も心も体もすべてアナタのものなのよ?」

 

待てよ俺の理性持てよ?

 

「アナタがしたいことならなんでもするわよ?」

 

やめろ耳元で囁くな…

 

「もう我慢しなくていいんだし…」

 

あ~もうダメだ

ガシッ

気づけば腕をつかんでベッドに

押し倒してた…

千聖は思い通りと言わんばかりに

体から力を抜いて微笑んでいる

 

ここでノッたら千聖に負けることになる…

 

「俺はやらないぞ。お前が俺にやってほしいこともわからないしな。」

 

千聖は

 

「ならいいわよ。もう寝ましょう」

 

いよっしゃぁぁぁ

千聖に勝った!

 

やばい…疲れすぎて…

いし…き…が…

バタッ

 




 千聖さん…ヤバイっすね
次は紗夜さんとの絡みで
やっていこうと思うので
お楽しみに~


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4話 風紀委員が風紀を壊す

 こんちゃ~す
四日連続はやっぱり無理ッした-w-w
これから他のも書いてるから
3日から5日にいっかい程度になるかな
ちょくちょくアンケートとかも
いれるのでTwitterフォローしてもらえると
うれしいです!
@ain_zwai これIDです!

今回は紗夜さん回です~
かなりキャラ崩壊してますが
なぜか書いてて楽しかった…
話はここまでにしといて
本編へどうぞ~


 「ハァァァァァぁぁぁ」

 

「朝からどうしたんですか?そんなに大きなため息なんかついて」

 

やっと千聖のお持ち帰りから解放された

俺は学校で自由を満喫していた。

それを紗夜に聞かれた。

もちろんなんと答えるかは

 

「自由を満喫しています」

 

「そうですか」

 

あたりまえだろ!

千聖がいると周りとの距離感が

おかしくなるんだよ!

まぁじゃないと千聖がおかしくなるし

仕事もままならないって言うし

幼馴染みってこともあるし?

しょうがないって割りきってる自分がいる

 

「えーとじゃあペアを組んで練習してください」

 

きたよ英語のペアのやつ。

いつもなら千聖に捕縛されるんだけど

今週は金曜日しか学校にこれないみたい

だから本当に自由を満喫できる

さてさて少し寝ますか…

 

「寝ようとしないでください」

 

「なんで?俺一人だから寝てもいいじゃん」

 

「私がいます」

 

俺のsleeping timeが…

まぁいいか。たまには紗夜とやるか

 

「んじゃやるぞ」

 

~五分後~

 

「終わりましたね」

 

「それじゃ俺は寝るね…」

 

「ナニイッテルンデスカ?ネカセマセンヨ?」ガシッ

 

どうやら寝させてもらえないみたいだね

まさか紗夜さんあなたもヤンデレって

やつの一種ですか?その片言なんですか?

疑いすぎだとは思うけどさ

やめてね?これ以上は重すぎるよ?

 

「私だってヒトリなんです。寂しいでしょう」

 

「あーはい。なら他の人のところへは?」

 

「アナタがいいんです。真宮さん」

 

オワタ。これはヤンデレ認定入る?

てか俺って紗夜になんかしたっけ

日菜と仲直りできるように

取り持っただけだよな…

いやあれは千聖にも許可はもらったし

まさかあれだけで…

女子ってなりますよねぇ…

 

キーンコーンカーンコーン

 

「授業終わるぞ~」

 

やっと解放された~

少しゆっくりできるかなぁ

 

「真宮さん?ちょっとお話いいかしら?」

 

「えーあーはい」

 

無理っぽいわ

ちょうど少し長めの休み時間だし

尋問するにはいいぐらいなのだろう

つれてこられたのは風紀委員の部屋

 

「アナタはこの前白鷺さんとなぜあそこにいたんですか?」

 

「言わなきゃ『ナゼデスカ?』買い物に付き合わされました」

 

「その後はどうしたんですか?」

 

「家に直行しました」

 

「白鷺さんの家にですね」

 

ストップストップなんでわかるの?

 

「なんでそこまで…」

 

「なぜって当たり前でしょう?フウキを守るために必要なんですよ?アナタは最近白鷺さんと距離が近すぎます。なので私が距離の取り方をオシエテアゲマス」

 

いやいやまてまて

紗夜、おまえまでそっちにいくな

 

「コワガラナクテイイデスヨ?キズナンテヒトツモツケマセンカラ」ズイッ

 

「思い直そう。ね?ね?まだ戻れるから…」

 

キーンコーンカーンコーン

 

「もう時間ですね…」

 

「だから戻ろう?」

 

あっぶねぇ…チャイムに救われた

 

「ではお昼休みにでも話し合いましょうか」

 

「え…なんd『異論は認めません』承知しました」

 

あーあ俺終了のお知らせ

見事にフラグを回収しました

フラグ建築士一級の真宮耀太です

 

 

紗夜視点

 

あの日真宮さんは白鷺さんと一緒に

ショッピングモールにきていた。

ナンできていたの?

白鷺さんと真宮さんが幼馴染みっていうことは

もちろん知っていますよ?

 

「日菜と仲良くなれたんだな。日菜と一緒に笑ってる紗夜は本当に綺麗だよ」

 

その言葉で

ワタシはアナタに

奪われたの

日菜と仲直りするために

手伝ってくれた

アナタにワタシは

心を奪われたの

 

あれからアナタの行動すべて知ってるわよ?

学校に来る時間もどの道を来るかも

朝御飯に何を食べてきたのかも

朝来てから他のオンナと喋った回数も

あれもこれも

ゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブゼンブゼンブゼンブセンブ

ワタシは知っているのよ?

 

アナタの中でもワタシが

一番にならなくちゃ

なにも意味がない

あなたのためなら一番になるためなら

なんだってするわよ

 

キーンコーンカーンコーン

 

「それでは真宮さんいきましょうか」

 

「はい…わかりました」

 

また風紀委員の部屋にきた。

お昼休みは基本的に誰も使わないから

私が使っても大丈夫でしょう。

鍵を閉めてカーテンも閉めて…

 

「あのー紗夜さん?なんでカーテン閉めたの?」

 

「なんでって話し合うためでしょう?」

 

「何を話し合うの?」

 

「そうですね…まずは他のオンナと喋らないようにするにはどうすればいいかを話しましょうか。お弁当を食べながらですがね」

 

どうすればいいのかしら

白鷺さんや白金さんは少しは許せるわ

ワタシの知り合いならまだしも

それ以外のクラスのオンナとしゃべるなんて

どうかしてるわよ

 

「紗夜は最近日菜とはどうなんだ?仲良くやってる?」

 

「そうですね。あなたのおかげで何よりです。」

 

「よかったよ」

 

「ですがなぜ日菜のことを話したんですか?ワタシと今一緒にいるんですよね?ネエネエネエネエ?」

 

「わるいわるい!だから落ち着いて…な?ギターの話でも聞かせてくれよ」

 

まったく…まぁいいですよ

とりあえずお弁当も食べ終わりましたし

本題に移るとしましょうか

 

「この首の傷はなんですか?」ツー

 

耀太視点

 

「この首の傷はなんですか?」ツー

 

やめろ紗夜。首筋撫でるのもやめてくれ

距離も近いしそれを

教えてくれるんじゃなかったの?

 

「ねえ紗夜?距離の取り方を教えてくれるんじゃ…なかったの?」

 

「教えているでしょう?ワタシとアナタはこれぐらいでも遠いんですよ」ガタッ

 

そういって紗夜はさらに距離を詰めてきて…

やば…俺と紗夜の息が混ざって…

待て待て鼻をくすぐるのはやめてくれ

何この紗夜の匂い…麻薬みたいじゃん…

 

「それで…ドウシタンデスカ?」ボソッ

 

「ぐっ…これは…その…」ゾクゾク

 

耳元で囁くのもやめてくれ…

言うからね?言うからね?

 

「千聖と遊びでやったんだよ」

 

「遊びにしてはずいぶんと力をいれたんですね」

 

「ま…まぁ…ね」

 

「それなら今からワタシがアナタにすることも遊びですね」

 

「へ…なにを…」

 

そういって紗夜は傷がついてない方の首に

顔を向け吸い付いた。

肌をなめられ吸われ続け

どのくらいだろ時間にしては一分に

みたないのだろうが体感的にはかなり

長く感じられる

 

「ふぅ…これでいいですよ…」

 

「これでって…」

 

紗夜が口をつけていた所は

軽く内出血を起こしたのか

赤く染まっていた

 

「本当はもっとしたいのですが…まぁ今はこれで許してあげますよ」

 

「今はって…なにをする気なんだよ…」

 

「それはこれからのアナタの行動次第ですよ?もうワタシはスベテアナタに奪われたんです。体も心も何もかも。なのにアナタは見向きもしないで…嫉妬するのは当然でしょう?」

 

そういいながら紗夜は

俺の手をとって自分の腕から首筋を

伝わせて頬を通り俺の指を咥えて

舐めまわした。

 

「満足した…?」

 

「今はそういうことにしてあげます。」

 

それがこわいんだよなぁぁぁ

そのさ「今は」がこわいんだよ「今は」が

これの次っていつ?

明日?明後日?

せめて千聖がいないときにしてくれ…

あーやっべ。やられる前提になって

話してる俺がいる…

 

キーンコーンカーンコーン

 

「もう時間ですね。戻りましょうか」

 

「そうさせてもらうよ。」

 

いったいいつになって

どこなら俺の自由がみつかるのやら…

それは少なくとも

紗夜と千聖のどちらかがいても

見つかることは決してないと

悟った耀太であった




 どうでしたか?
女子ってなんか一つのことで
気になるってどこかで
きいたような聞かなかったような…
あと二回ぐらい?
紗夜さん回は続くので
お楽しみくださ~い


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5話 歪んだ感情

 こんちゃす。
これにかんしてはおひさしぶりですね。
最近忙しくて全然かけなかった…
すいませんでした( ノ;_ _)ノ

 話は変わりますがコロナウイルスの影響はやはりすごいですね。僕の部活の大会はもしかするとインターハイもなくなるかもしれないとの事です。皆さんもかからないように気を付けてくださいね。
それでは本編へどうぞ


 学校とはなぜあるのだろう

俺は授業中であるにもかかわらず、ふと頭に浮かんできた疑問に頭を悩ませていた。だって家に帰れば千聖がいるでしょ?学校には千聖はいない時があるけど紗夜は絶対いるじゃん!?俺の安息の地はどこにある、いや存在するのか…

 そんなことを考えるために脳のほとんどを使っているさなか、真横から紗夜の冷たくまとわりつくような視線を受けながら授業を受けている耀太君です。紗夜も千聖もだけどさもしかして俺の思考回路読めてる?疑ってもよろしいでしょうか?

 

キーンコーンカーンコーン

 

やっと午前中の授業が終わりか…紗夜に捕まる前にさっさとどこかへ逃げないと…

 

「真宮さん?ドコヘイクンデスカ?」ガシッ

 

「どこへって…お昼を食べにですよ…?」

 

「私もなんですよ、一緒にいきましょうか」

 

これは抵抗しない方がいいな、諦めるとするか…そんなこんなでまた今日も風紀委員の部屋に連行されましたとさ。この後どうなるの?変なことはやめてね?

 

「またきたけど…ただ食べるだけだよね?」

 

「まずは食べてからデスヨ?少し多めに作ってしまったのでどうですか?」

 

「ありがたくいただきます…」

 

へー"まずは"ね…まずは!?!?いやいやいやなんで!?!?怖いって…やめてよ紗夜さん?ね?

紗夜なら千聖ほどひどいことにはならないとは思うけど…ていうかそうであってほしい。だって風紀委員だよ?いやそれがわかっていても昨日のあれがあるからな…

まぁ…あきらめるしかないよな…

 

「それで、真宮さん?」

 

「なんでしょうか紗夜さん」ビクッ

 

「あなたは白鷺さんとはどこまでいったんですか?」

 

はぇ?どこまで?どこまでって…そういう意味のやつであってる?

 

「どこまでって…特になにも…」

 

ホントウデスカ?

 

「本当だよ…」

 

俺だってむやみに手を出すほどバカじゃないよ…?そんなに落ちぶれてないしゲスでもないんですが?確かに危ないと思ったことは多々あるんですがね。

 

「なら安心しました…」

 

よかったよかった~これでひと安心…

 

「それなら容赦なくできますね」ガタッ

 

・・・容赦なく!?!?まてまてまてって…あれ?力が入んねぇ…まさかさ、紗夜が…いやないよな?ないって信じたいんだけど?

 

「紗夜…なにかやったか…?」

 

「なにか?特に変な事はしてませんよ?やった事と言えばあなたのために薬を入れたぐらいですが」

 

それじゃん…動けないしやばいやつやん。ドウシヨドウシヨドウシヨ(´Д`|||)まぁまずは落ち着け落ち着け。ここで一人で叫んでいてもなにも変わらない、変に刺激しないように話してみるか

 

「なんの薬入れたんだよ…変なやつじゃないよな?」

 

「怪しいものではないですよ?あなたが他のオンナと喋ラナイヨウニシタダケデス。」

 

それだろ!?それしかなくない!?

 

「それしかないじゃん…」ゲホッゴホッ

 

「ナゼですか?そんなの当たり前でしょう?昨日も言ったじゃないですか。ワタシがアナタに風紀って言うモノをオシエテアゲマスって。それに白鷺さんに先を越される前にアナタスベテを私のにします。そのために必要なことデスヨ?

 

そういって紗夜は椅子から動けない俺に迫ってきた。元々俺は壁際に座っていたし薬の事もあって抵抗なんてできるわけがない。それをいいことに紗夜は俺の耳を噛んでみたり首に吸い付いてきたり…やりたい放題されたよ。頬も舐められたりしたからね…千聖よりもひどいかもしれないわ、、、

 

「真宮さん、もう一度聞きます。アナタは白鷺さんとはキスもなにもしてないんですよね?」ボソッ

 

「してないよ…一方的に千聖がやって来るだけでね…」ゾクッ

 

 

「ならワタシがハジメテですね」ズイッ

 

「は?なにがっ、!?!?」

 

俺がその後に言葉を続けようとするとそれを塞ぐかのように紗夜が唇を重ねてきた。俺はかろうじて指先が動かせるようにはなってきたけどそんなのじゃまったくもって意味がない。しかも紗夜はそれだけじゃ足りなかったのか舌まで入れてきた…その後、俺の口の中を舐めまわしてきたりして息が続かなくなったのか紗夜は口を離した。紗夜って風紀委員だよね?疑いたくなるよ?

 

「っ!?紗夜!?なにして…」

 

「んっ…スゴいですね…」クスッ

 

口を離して最初の言葉がそれ?何がすごいだよ、まぁ否定は…するよ!しますよ!てか体が本当に動かねぇ。紗夜の口から垂れてるし…見ちゃいけない気がするんだけど。てか時間は?そろそろじゃない?

 

「ほら紗夜、時間だよ?早く教室戻らなきゃ…」

 

「アナタはその状態で戻れると思ってるんですか?」

 

言われてみれば…少しずつは確かに動かせるようにはなってるけどまだまだ足りない。どうしようか、、、

 

「そこで真宮さんに提案です。早退しませんか?それならイイデショウ?」

 

「まぁ…学校でやらかすよりはマシだな…」

 

もうダメだ。抵抗なんてできるわけがない。千聖といい紗夜といいヤンデレってなんでこうもね…?好かれてて悪い気はしないし逆にありがたいと思うよ?なんせ特技もあんまりないからパッとしないしね。でも…ね?

少し重いっていうか…苦しいんだよね。

 

「では帰りましょうか」

 

「そうするか…」

 

 そういって俺と紗夜は学校を後にした。そしたら紗夜は俺の家までついてくるって言い出すし…そうだよ、親がいるって言えばいいんだよ

 

「紗夜?流石に家に親いるんだけど?」

 

「嘘はいいです。知ってるんですよ?アナタのご両親は昨日から旅行中だってことを。アナタの事はスベテ知ってますからね?

 

やっぱりバレてるか…隠しきれるわけもないよな。家についたけど…紗夜どうするの?

 

「着いたよ、紗夜はどうするの?」

 

「ワタシですか?真宮さんの面倒を見る予定なのですが?」

 

そういうことね。だから来たのね。もう抵抗もなにもしないよ、なるようになれ(放心)

 

「そう…ならお願いするよ…」

 

「さっそく台所をお借りしますね」

 

そういって紗夜は台所へいった。俺はというとまだ薬が完全に抜けきってない状態で無理やり歩いてきたのでかなりの疲労が溜まっているからそれを無くすためにソファーに体を預けている。やっぱり体に力がいれずらいな…流石にこれはヤバイんじゃないかな…

 

「そんなに警戒しなくてもダイジョウブデスヨ?お茶を入れたので飲みましょうか」

 

「あ、ありがとう…」

 

警戒しなくてもって…この前の週末は千聖の事で頭がいっぱいだったけどいま思うと紗夜も紗夜でヤバイんだよな…まさかここまでエスカレートしてるなんて思っても見なかったよ。千聖とは違って薬使うし自分からやってくるし…

とりあえずいまはこの状況をどうにかするためだけに頭を使うとするか

 

ノマナインデスカ?冷めてしまいますよ?」

 

「冷める前に飲ませていただきます」

 

 さて、これからどうするべきか。俺は今体が全くといっていいほど動かない、薬が抜けきるのを待つか紗夜が解毒剤を持ってるならそれを使うしかない…グラァァァ

え?なんで視界が…まさかさ…

いやそれしかないよな

 

「紗夜…また…」フラフラ

 

「体を休めてくださいね。夜までゆっくりしててください、起きたらオシエテアゲマスネ

 

視界がぐらつき耳も遠くなってきたところで俺はその紗夜の言葉を最後に意識が途絶える。その瞬間に目に入った紗夜の不適で色めかしい笑顔の意味はわからずじまいのまま、俺の意識はまるで深い海の底に落ちていくかのように消えていった。

 

 

 それを見ていた紗夜は

 

「おやすみなさい、真宮さん。起きたらタノシミマショウネ

 

と不適な笑みを浮かべて呟いていた…




 千聖さん以上に歪んでいるように見える紗夜さんの耀太に対する感情はいったいどこまで暴走するのか…
たぶん次も紗夜さん回なんでおたのしみにしててください。
千聖さんはその後です


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6話 感情の裏側に

 はいどうもこんばんわ~
今回もしっかり更新していきます
前回の紗夜さんはかなり大胆でしたね
薬を使って体を麻痺させてみたりそのあと家に押し掛けてみたりと…
千聖さんも後々薬に手を出してみたり…なんてね?
今回で紗夜さん回は一旦終了ですね~

ということで口が滑る前に本編にいってみましょ~


 目を覚ますと見慣れない真っ白な天井…って感じは一切なくいつも見慣れている俺の部屋の天井だな。なんで寝てるんだっけ……そうだ、紗夜と家に帰ってきてその後にお茶を飲んで…そのあとが思い出せない。そして体を起こそうとすると足首と手首の辺りに冷たく触る違和感をおぼえた。それを確かめようと目を向けるとそこには手錠のようなものがつけてあった。足首は歩けないようにくくりつけられ、手首に至ってはベッドの取っ手につけられていて自力じゃとるのが難しそうだった。こうなったのは…紗夜だよな…

 

「起きましたか?真宮さん」

 

言った途端にきた張本人の紗夜が俺の部屋へ入ってきた。なんでワイシャツなんかきてるの…

 

「起きたんだけどさ…これなに?」ガチャガチャ

 

「なにって手錠ですよ?」

 

「なんでつけるんだよ…」

 

「ナンでって?アナタがワタシから離れないようにするためでしょう?これなら身動きとりづらいですよね、だからワタシがアナタの事をスベテやってあげますよ」

 

はずしてくれればいいんだけど!?

どうすればいいんだよ…まず手錠だけでもはずさないとなにもできないな…

 

「ね?手錠なんてしてたらなにもできないよ?外してもらえると助かるんだけど…」

 

「確かになにもできないですね…それじゃあこうしましょうか」

 

そういって紗夜はベッドの取っ手につけられている手錠を自分の腕につけてベッドに横たわっている俺にまたがる形で乗ってきた。

 

これならアナタが動かなくてもズット一緒にいられますよ?外す必要は無くなりましたね

 

問題しかないのだが?それの塊なのだが?

なんとかして説得しないと…

 

「わかったよ。一緒にいるからね?逃げないから手錠は外して?」

 

「ん…しょうがないですね…」ガチャガチャ

 

かなり不服そうだが外してくれただけありがたいな。さてここからどうすべきか…

 

「ていうか紗夜は家に帰らないの?」

 

「もう連絡済みです、友達の家に泊まっていくと。ちゃんと着替えはあるのでご心配なく」

 

もともとそのつもりだったのかよ…

今日昨日で紗夜がどれだけヤバイのかを身をもって知ったよ…千聖も千聖だけどね?

 

「時間も時間ですので夕飯でも食べましょうか」

 

「そうだね…その前に水飲んでくるよ」

 

「なら待ってください」

 

なんで?水飲むのに少し離れるだけでもダメなの?俺どうしたらいいのかわかんなくなってきた…

 

「こっち向いてください」

 

「なんでっ!?!?」

 

紗夜に言われその方向を向くとまた紗夜が唇を重ねてきた。今回はなにかと思えば紗夜が自分の口の中から水を俺の口の中に流し込んできた。いつも水道から出してコップに注いで飲む水とは違って少し甘く、酸味を帯びていた。これが紗夜の味…って考えるな考えるな。

 

「プハァ…やはりすごいですね…」クスッ

 

「だからさ…やめようか?その…千聖もやばいから…」

 

こんなの千聖に知られたら俺本当に終わるよ?最近千聖と会えてないから現状はわからないけどさ…ある程度はね?さすがにこれは容認できないと思うんだけどね…

 

「ワタシじゃ…ワタシじゃダメなんですか?白鷺さんでなくてはイケナインデスカ?

 

口を離して二言目に紗夜はそう口から溢した。その表情はさっきまで俺を独り占めしようとしていたものとはまったくといっていいほど違い、少し下を向き先程までの威勢はどこに消えたのかといいたいほど悲しげな表情をしていた。

 

「アナタの幼馴染みが白鷺さんだと言うことは重々承知です。でも白鷺さんよりワタシはアナタのことを想ってるんです。日菜との関係が治ったのもアナタのお陰、ワタシが今まで頑張ってこれたのもアナタのお陰…」

 

「紗夜…」

 

「ワタシはアナタがいないとなにもできないんです…アナタを好きになってはダメですか?確かに白鷺さんのようにおしとやかで見た目にも自信があるわけでもないです。白鷺さんに比べたらワタシなんて道端に咲く名前も知られない花と同じようなものなんです…」

 

ここまで言って紗夜は俺の方を向き、肩に手をおいてこう言った

 

「ワタシがアナタの隣にいては迷惑ですか?ワタシでは…ワタシじゃダメですか?」

 

その声は震え、目には涙を浮かべながら訴えかけてきた。そんなの迷惑なわけないだろ…

 

紗夜視点

 

 「日菜とは仲良くしろよ?何があろうと血が繋がったたった一人の妹なんだからな。日菜と一緒に紗夜も笑っていてくれ、その笑顔が一番綺麗だからな」

 

アナタはワタシと日菜の関係を治すのを手伝ってくれた。そしてワタシにそういった。

ワタシはその一言で心を奪われた

その後もワタシがなにか困っていると

毎回のように助けてくれた。

風紀委員の仕事で荷物を運んでいるときも

先生の手伝いをしているときも

提出物を届けにいくときも

いつもいつもいつもいつも

アナタはワタシを助けてくれた。

そのお陰でワタシは救われた。

そして心の奥からこう思った

 

アナタの隣にいたい

 

でもアナタの隣には白鷺さんがいた。

幼馴染みだった。

白鷺さんもアナタに好意を寄せていた。

ワタシよりアナタのことを知っていた。

アナタはワタシといるときには見せない表情を白鷺さんの前でしていた。

 

ワタシの方がアナタのことを想っているのに…

なんでナンでナんでナんデなンでなんでナンなんでナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデナンデ

       なんで!!!

 

ワタシのアナタに対するこの想いが歪んでいるのも、おかしいのもわかってます。

だけど!!!

それでも!!!

どうなっても!どう思われても!

ワタシはアナタの隣にいたい!!!

 

ただ…ただそれだけなんです…

私じゃあなたの隣にいることは叶いませんか?

 

耀太視点

 

 俺に対する紗夜の想いは前々から気づいてはいた。なんせ千聖みたいにぐいぐい来るからね。だけど最近になってその想いが重くなってきた。それが嫌だって訳じゃないよ?ただ俺のために紗夜がおかしくなるのは見ていられない。

 

 ありがとうございます

 

 アリガトウゴザイマス

 

 アリガトウゴザイマス

 

日を増すごとに紗夜の俺に対する感情は目に見えるように歪んでいった。

 

俺は紗夜のことは好きだよ

でも千聖のことも好きだ

 

どちらかを選べなんていわれたって今すぐにできるわけがない。でも紗夜が歪んでしまったのは俺のせいでしかないのかな。

 

「紗夜…」

 

「真宮さん?」

 

「俺は紗夜のことは嫌いじゃないよ、むしろ想ってるぐらいだよ。でもそれは千聖のことも同じでね、幼馴染みだから千聖のことしか頭の中にないって訳じゃないんだよ?」

 

俺は今できるだけのことをしよう

ここまで紗夜のことを歪めてしまったんだ…

そう思って俺は紗夜の唇に俺の唇を重ねる。紗夜からするときよりは全然長くないけどな。

 

「紗夜の心が俺に盗られたなら俺の心は誰に盗られてると思う?千聖?紗夜?答えは誰にも盗られてないよ。だから紗夜が俺の心を盗ってみせて」

 

時間にしてものの数秒だけど…

そして口を離した後こういった。

今言えるのはこんな感じかな…

千聖にも同じこと言えればいいんだけどな。

 

「それじゃ…私があなたの隣にいてもいいんですか?」

 

「紗夜が俺の心を盗れたらな。だから涙なんて流してないで笑っててくれよ?紗夜の笑顔には盗られるかもしれないからな」

 

そういって俺は紗夜の頭を撫でた。

その後はなにもなく静かな夜を迎えた。

紗夜の歪んだ感情はこれで失くなったのかどうかはわからないけど、俺はこれでよかったと思う。俺の想いも伝えられたからね。

 

 

 

 この後、紗夜と千聖の耀太をめぐる闘いの火蓋が切って落とされることをまだ知らずにいた耀太君でした




 紗夜さんの歪んだ感情の裏側は
本当に恋する乙女そのものでしたね
紗夜さんの心の叫びは耀太に届いたみたいでなによりです。
紗夜さんがここまで手を出したってことは我らが千聖さんも指を咥えて見ているわけがないでしょう
次回は千聖さん回ですね
どうなるかは次回のお楽しみに~


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7話 俺の意見は何処に消えた?

 どうもこんにちわ~
今回は千聖さん回といいたいところなんですが、千聖さんオンリーではないです。
でもちゃんと千聖さんも積極的に動きますよ!紗夜さんのように暴走するのか…
それでは本編をお楽しみくださ~い


 紗夜の一件から数日立ち千聖が帰ってきて初めての登校日だった。今日はなぜだか朝から彩が一緒だ。よくも千聖がOKしたこと…

 紗夜のことはまだ話してないけど後々バレそうだからバレないうちにかなり穏やかに話してみればさほど被害は受けずにすむかな…(被害を受ける前提)

 

「それでね!千聖ちゃんがね!」

 

彩は朝から元気ハツラツだこと…俺は隣にいる千聖からのドス黒いオーラに威圧されてるよ…

 

「彩ちゃん?それぐらいにしといてね?」

 

「あ、うん…」

 

千聖の一言は彩に対してもかなり絶大な威力を持って放たれるみたいだね(ゲームですか?)

 

「千聖も彩もそれぐらいしといて…授業始まるよ?」

 

「そうね…がんばりましょうか」

 

そういって俺達は席についた。千聖がいない間に席替えがあり俺の右側に彩、1つ後ろに千聖、2つ前に紗夜がいる。俺の左は誰もいないのかって?俺の左側は窓なんだ。見晴らしがいいし、日光が気持ちいいよ~。日頃の疲れが癒される…

 

「えーそれじゃぁ今度は何人かで集まって相談してみようか」

 

はいはい来ました、恒例行事。今回は数学の問題集を解くために何人かで集まれのこと。もちろん俺は…

 

「耀太♪一緒にやりましょうか?」

 

「喜んでさせていただきます」

 

そりゃ千聖に捕まるよね~(白目)

そうしていると

 

「私もいい?」

 

「私も混ぜてもらっていいですか?」

 

彩と紗夜が来た。紗夜はなんとなくわかるけど彩は何で?こういうのでやったことなんてあんまりないのに…まぁいっか。多い方が速く解けるしね。

 

「あ~もう、わかんないよ~」

 

「彩ちゃん、ここはね…」

 

 千聖は彩がわかんないところがあると教えていた。逆に自分がわからなくなるとすべて俺に聞いてきた。まぁ…平常運転だね。そして紗夜は

 

「真宮さん、ここなんですが…」

 

「ん?あぁそこね。そこは…」

 

わからなくなると俺に聞いてきた。それに彩から助けを求められると彩に教えていた。横から見るその表情はあのときの悲しげな表情とも俺を独占しようとしていた表情とも違い、どことなく歪む前の紗夜の表情に戻っている気がした。これでよかったんだよね…そう思いながらボーッとしていると

 

よ う た ?ドコヲミテイルノ?

 

「いやなんでもないです…それより千聖、ここ解こう?」

 

やっぱりね?千聖さんよ、今ここでモードにはいるのはやめてください。俺が悪かったです。はい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

キーンコーンカーンコーン

 

「それじゃぁ次の時間までにここまで終わらせてくるように」

 

四時間目の終わりを知らせるチャイムと共に授業が終わった。いつもこの先生だと遅くなるんだけどぴったりに終わったことが奇跡だよ…

お昼か~ならやっぱりさ~

 

「真宮さん?少しいいですか?」

 

「あ、え、紗夜?どうしたの?」

 

千聖よりも先に紗夜が話しかけた来た。また俺なんかやらかした?

 

「先日は…その…ありがとうございました…」

 

「あ~あれね、気にしなくていいよ。紗夜は笑顔でいてね。」

 

あの事か…まぁ紗夜も戻ったみたいだから何より何より。それじゃ平和にお昼ご飯を…

 

「へ~耀太?ワタシが仕事でいないときにに紗夜ちゃんとナニヲシテイタノ?詳しく聞かせてもらおうカシラ?

 

食べれるわけがないですよね。知ってます。それに紗夜とのやりとりまで聞かれるとは…これはヤバイぞ…

 

「千聖ちゃ~ん…ってあれ?これって…」

 

「彩ちゃん?少し静かにしていてね?」ゴゴゴ

 

「あ、はい…」スススススス

 

彩ぁぁぁぁそこで小さくなってないで逃げろ!悪いことは言わない。逃げろ!

 

「その件については私からお話します。」

 

「え?紗夜?」

 

俺が話そうとしていたら紗夜が千聖に説明をしていた。

 

「単純に言います。私は白鷺さんに宣戦布告という形で真宮さんに告白します。」

 

ん?なになに?何かの聞き間違えかな?

 

「紗夜?今なんて?」

 

「まどろっこしいですね…真宮さん、私とお付き合いしてください。」

 

 その瞬間、教室の空気が一瞬にして凍りついた。そしてワンテンポおいて意識を取り戻した瞬間のように彩が話し始めた。

 

「紗夜ちゃんどうしたの!?」

 

紗夜ちゃん?それはどういう意味かしら?

 

彩は驚いてるし、千聖はさっきより目の光が消えてるよ?やめて…怖いから…

 

「白鷺さんと真宮さんが幼馴染みだということは知っています。ですから宣戦布告ということで私が真宮さんを奪って見せます。」

 

「そう…そうなのね…」

 

「ふ、二人とも?落ち着いてね?紗夜?千聖?」

 

「千聖ちゃん?紗夜ちゃん?耀太君の言う通り一旦落ち着こ?」

 

 これはやばいって本当にヤバイって。なんでって?千聖がさ!千聖がさ!ドス黒いオーラも出さずにたたずんでるんだよ?それの異常さよ…恐ろしい限り…

 それにしても紗夜も大胆に出たな…「宣戦布告」か…千聖がどうでるかだよな…

 

「耀太?」

 

「はい、なんでございましょうか。千聖さま」

 

あまり刺激しないようにやんわりとね?ね?

 

「あなたはどうしたいの?」

 

「どうって…どうしたいもこうしたいも何も決めてないよ?」

 

 どうしたいもこうしたいもさ誰が好きとかわからない僕にそれを聞きます?

 

「なら…いいわね。こっち向きなさい」グイッ

 

「だからなにっ!?!?」

 

こういわれると紗夜にやられたことしか頭に浮かばなかったのだが唇にではなく頬に柔らかい感触があった。その千聖の表情はしてやったりといいたげな顔だった。

 

「ち、千聖ちゃん!?!?」

 

「ちょ!?千聖!?!?」

 

あのですね、状況理解はできましたよ。ですがですが問題が多くてですね…

まずは千聖?アイドルだよね?ね?

それにここってさ教室だよね?

なにやってるんですか?(白)

 

「紗夜ちゃん、残念ながら耀太は私の物なの。奪えるものなら奪ってみなさい。」

 

「それより!いいから場所を変えるぞ!」

 

こいつはことの重大さに気づいてないの!?

なんで?ねぇなんで?

 

アイドルが学校の教室で異性にキスをする

 

スキャンダルもいいところだよ?

場所を変えるために千聖たちをつれて(彩もなぜか同伴)とりあえずこの時間ならあまり人がいない屋上に来た。

 

「なんで屋上に来たの?」

 

千聖さん?あなたの行いのせいですよ?まぁ振り回されるのは慣れてるからいいんだけどね…

 

「『なんで』じゃなくて!事の重大さに気づいていられます!?!?」

 

「なにが重大なのかしら?別にキスしただけじゃない。」

 

俺が間違ってた。千聖はそれが当たり前なんだよなぁ…

 

「それともう1つ。耀太、あなたには私たちのマネージャーについてもらうわ。」

 

「please repeat give me」

 

「あなたには()()()()()()()()マネージャーになってもらうわ。」

 

はいはいはい。・・・はい!?

 

「それいいかも!千聖ちゃん()()耀太君と一緒にいれる時間長くなるもんね!」

 

「なら真宮さんには生徒会に入ってもらいましょうかね…」

 

「あの~俺の意見は?」

 

「「「あるわけない(デス)?」」」

 

知ってました。それは知ってました。聞いた俺がバカでした。しかもなんで彩まで片言に?みんな目の光が点ってないよ???やるから!やるからね!許してください!

 

「精一杯がんばらせていただきます…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 今日も一日が終わりやっと家に帰って平和になれるはずなのだが帰る前にショッピングモールに連れてこられた。千聖はもちろん彩も一緒にね。

 

「なんで連れてこられたの?」

 

「なんでって…これからあなたはマネージャーになるんだから必要なものを買うためでしょう?」

 

「えーと、マネージャーさんは…あれとこれと…あとそれも!」

 

強制連行されてきたらこれかよ…まぁいっか。これで満足するならいくらでも付き合うよ。

 

「耀太、これあなたに似合うんじゃない?」

 

「耀太君!これつけてみて!」

 

そういって見せてきたのは彩が黒のサングラス、千聖が蒼く光るネックレス。つけてみると案外あうこと。

 

「やっぱりすごい似合う!」

 

「これは買うのは決定ね。あとは…メモ帳とかね」

 

 その後、俺は二人にマネージャーに必要?なものを買うために色々なところへ連れ回された。そして彩を家まで送り俺と千聖も家についた。

 

「それじゃおやすみ」

 

「ええ、でもその前に…」グイッ

 

また引っ張られて俺は少し体制を崩し千聖を壁に押し付ける状態になった。千聖がキスしたがってたのはわかってたんだけど、この状態になるとは…

 

「なんか…ごめん…」

 

「案外耀太も積極的なのね♪私も頑張るわ♪」

 

そういって俺は千聖に唇を奪われた。

紗夜とは違い長くなくほんの一瞬だったがその柔らかい感触はまだ残り、千聖の髪のさわやかな匂いが俺の鼻の奥をくすぐる。

 

「千聖っ!?!?」

 

「これからはもっとするからね?それじゃおやすみなさい♪」

 

千聖はそういうと満足そうにして家に入っていった。俺もその唇の感触を確かめながら家に入りなにも考えることなく布団に潜った。




 千聖さんも耀太の唇を奪いましたね-w-wさすが千聖さんとしか言いようがない…
彩もグイグイ来ますね~
次回は耀太がマネージャーとして活躍する?話です
パスパレメンバーとも絡んでいくのでお楽しみに~


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8話 ふわふわピンク担当の小悪魔です

 どうもこんばんわ
最近暇すぎて投稿ペースがすごいことになってます-w-w
今回はタイトルにもある通りふわふわピンク担当が小悪魔っていうか本当に悪魔になってきます。
最近千聖さんの出番が少ないって?
あの鉄仮面の女王様がこれをしったらどうなることやら…
そのときになればわかりますよ-w-w
それじゃ読んでみましょ~


 「というわけで今日からマネージャーになりました。真宮 耀太です。よろしくお願いします」

 

 あれから初めての週末で、俺の初めての仕事になった。ついでに俺の両親は二人仲良く海外出張だとのこと…いったいなにしてるんだか…

 まぁ普通に挨拶はしますよね~っていっても顔見知りしかいないのだが…

 

「マネージャーさんって、よー君だったんだ!よろしくね!」

 

「話は聞いていたんスけど耀太君だったとは…よろしくお願いするっス!」

 

「よろしくおねがいします!耀太さん!」

 

日菜、麻弥、イヴが普通に接してくれて助かったよ…千聖はまぁ~ニコニコしてますけどきっと心の奥底は黒いんでしょうね…彩に至ってはなぜだかはわからないけど日菜たちと話してると目の光が消えてるんだけど?まさか…彩、お前までそっちにいくな…まだ間に合うから…

 

「それじゃ今日はバンドの練習かな…とりあえず一回通してみてあとは各自、苦手なところを練習ってことでいい?」

 

「そうね、それじゃやりましょうか」

 

 それから次のライブで演奏する曲を一度通しで練習した。間近で聞いてみるとなんとまぁすごいことすごいこと。ライブには千聖にたまに誘われてたけど実際来るのは初めて…ではないな。確か一回だけ…そっかあの時に彩たちと初めて会ったのか~、懐かしいわ~

 

彩視点

 

 耀太君♪耀太君♪私の大好きな耀太君♪この前、紗夜ちゃんに告白されてたね~。千聖ちゃんにもキスされてたね~…ナンデ?

ナンデそんなにサれちゃうの?

ナンデ抵抗しないの?

ナンデ抵抗できないの?

千聖ちゃんも紗夜ちゃんも怖いから仕方ないよね~。私もたまに怖いと思うもん。

でもだからってサれちゃうのはダメダヨ?

当たり前でしょ?耀太君は皆の物じゃなくてワタシ独りだけのモノなんだよ?

でも千聖ちゃんも紗夜ちゃんも耀太君のこと狙ってるのか~…ドウシヨッカナ~

 

「ちょっと外の空気吸ってくるよ」

 

「あ!私も!」

 

二人っキリダネ♪私もキスしちゃおうかな~。千聖ちゃんはあんなに大胆に出来たんだもんね。私もいいよね?てもイイヨネ?

 

「耀太君!はい!家で作ってきたんだ!」

 

「そっか。ありがとな、彩」

 

家で特製ドリンク作ってきて正解だったな~

耀太君の分しかないんだけどね♪いつ効くのかたのしみだな~

そうだ!今聞いちゃおっと!

 

「ねぇ耀太君?ナンデ教室で皆のいる前で千聖ちゃんとキスシタノ?

 

「え…彩…?」

 

「ネェ答えてよ?耀太君?ナンでしちゃったの?

 

答えてクレナイノ?千聖ちゃんと紗夜ちゃんはよくてワタシだけがダメなの?ワタシのナニがイケないの?二人にあってワタシにないモノってなぁに

 

「いや…あれは見てたろ?千聖が無理矢理やって来たからさ?不可抗力ってやつだよ?」

 

「そっかぁ…それじゃぁワタシが今からやったら不可抗力ってことにナ ル ヨ ネ ?」グイッ

 

「ちょっ!?ストップ!!!」

 

止められちゃった…ワタシじゃダメなの?それならアレ使うしかないよ?

 

「ワタシじゃダメ…?」ウルウル

 

「そうじゃなくて…時と場所って言う物を考えよ?ここって人目につくよ?」

 

「そうだね♪それじゃぁ帰ってからにしようか♪今日はお泊まりだね!楽しみだな~」

 

帰ってからか~

お風呂入って~、ごはん食べて~、一緒のお布団で寝て~、それからそれから~

 

「彩…?家に来るの?親がいるんだけど…」

 

「当たり前でしょ?それにお家にお父さんもお母さんもイナイヨネ?二人とも海外出張なんでしょ?ワタシは耀太君のことならスベテ知ってるんだよ?

 

「なんでそこまで知ってるの…俺だって朝言われたのに…」

 

「ナンでって?それはこれだよ♪」

 

そういって私はスマホの画面を見せた。そこにはすごい量の録音データが保存してある。これが耀太君への想いの塊だよ♪もちろん、これだけじゃないんだけどね~

 

「これね、耀太君が話してるのをゼーンブ録音してあるの♪この前の紗夜ちゃんのも全部ワタシは知ってるんだよ?これを学校で流したらどうなると思う?千聖ちゃんにもナニされるか分からないよね?」

 

「あれもしってるの…わかったよ…なにすればいい?」

 

やった♪耀太君を独り占め♪

どうしよっかな~…そうだ!

 

「それじゃ~今日から耀太君のお家でお泊まり!」

 

「わかった…」

 

耀太視点

 

 彩!?彩!?!?お前までそっちにいったのかよ…

ていうか盗聴機!?!?どこについてるんだよ…それなら俺が学校に持っていったタオルとかなくなってるのも彩の仕業なんじゃ…

 

「彩…もしかしてなくなったタオルとかも彩が盗ったの?」

 

「それはわからないな~ それより今日はお楽しみだね♪」

 

どういう意味のお楽しみなのかはわからないけど…最悪の事態だけは避けれるようにしようか…

 

「彩ちゃーん!よー君ー!練習再開するよー!」

 

「はーい!いこっか♪耀太君♪」

 

「あ、うん…」

 

そういうと彩は俺の手を握って先走った。その手はぞくにいう恋人繋ぎとか言うやつだった。スタジオに戻ると思った通り

 

「耀太?彩ちゃんとナニをして来たの?

 

「なにもしてないです。練習に戻りましょう。」

 

そのあとはなにも起こらず平和(?)に俺の初めての仕事は終わった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「耀太君?分かってるよね?」

 

「わかってるよ…」

 

今のこの状況は彩に脅されてるってことであってる?どうにかしてって考えてるけど打開策が見つからない…

 

「耀太♪帰りましょうか♪」

 

千聖にいわれるが彩からの纏わりつくような冷たい視線が送られてくる。わかりましたよ、わかってますよ…

 

「わるい、用事あるから…」

 

「む~…わかったわよ…そのかわり…」グイッ

 

可愛らしく頬を膨らませた千聖は、そういうと俺の首に手をかけて自分の顔に引き寄せ唇を重ねてきた。この前とは違い舌を入れてきて俺の口の中を舐め回す。息が続かなくなったのか口を離すとかなり長い時間していたため、俺と千聖の間には銀色の線が垂れていた。

 

「千聖ちゃん大胆だね~」

 

「ち、千聖さん!?!?」

 

「イヴさんは見ない方がいいっスよ…」

 

「これで我慢してあげるわ♪」

 

「おまえも時と場合を考えろよ…」

 

 千聖達と別れ、俺は彩の家を経由して俺の家へ向かっている。「着替え取りにきただけ」って彩はいってるけど着替えだけにしては、どうみてもバッグがパンパンに見えるのは気のせいってことであってる?

 

「彩?バッグになにいれてるの?」

 

「え!?えーと…着替えだけだよ!?」

 

うん、きっと目も疲れてるんだな。そうだそうだ。きっとそうなんだ。ゆっくり休もうか

 

「彩、ついたよ。」

 

「うわぁ~耀太君のお家か~おじゃましまーす!」

 

とまぁかえってきたのですが…なにしようかね。まぁ時間もいい頃だから夕飯でも作るか。彩って何食べれるんだっけ

 

「彩、何食べる?」

 

「なんでもいいよ!私も手伝う!」

 

そんな感じで何事もなく作り終わり平和に夕飯を食べてゆっくりとしていた。

そんなときだった

 

「ねぇ耀太君?千聖ちゃんとキスしたよね。ワタシがいたのに、ワタシの目の前でしたよね?

 

まてまてまてまて!目の光が!悪かったですよ。俺が悪かったです!(白目)

 

「いやだから不可抗力だって…」グラァァァ

 

え?なんで?彩と一緒に作ったし彩も変なことしてないよね?なんでこんなに視界がぐらついて…力も…はいら、ない…

 

「あれ?やっと効いてきた?やっぱり入れる量間違えたのかな~…でもいっか♪」ジャラシャラ

 

俺の体がおかしくなってる目の前で彩は大量の錠剤がはいった瓶と手錠をちらつかせた。まさか…まさかね?やめてよ?おねがいだよ?

 

「やっとって…彩…なにしたんだよ…」ハァハァ

 

ナニって?ちょっとしたお薬だよ♪耀太君がワタシだけのモノになるために必要なお薬♪すごいでしょ?あ と は…」

 

そういいながら動けずにソファーに寄りかかっている俺に彩は手錠の片方を向けながら近づいてくる。

 

ガシャン

 

聞きなれない金属音と共に俺の右手と彩の左手が手錠で繋がれた。そして俺も呂律が回らなくなり意識が遠退いたところで彩は耳元でこう囁いた。

コレデイッショダヨ♪

 

その一言は可愛らしくも悪戯気味でいやらしく、彩が言うとまるで悪魔の囁きのようだった。そしてその一言と共に彩は俺の唇に自分の唇を重ねた。舐め回し、絡みつけ、押し込んで…やりたい放題したあと唇を離すと、感触を確かめるかのように自分の唇の辺りをさわり舌舐めずりをした。

 

ハナサナイカラネ♪

 

そういって抱きついてきた彩だったが、俺はそれとほぼ同時に強い衝撃を受け、まるで電話が切れるかのようにプッツリと意識が途絶えた。




 弱味を握られた耀太君
ふわふわピンク担当の小悪魔こと彩になにをされるのか…
紗夜さんも紗夜さんだったけど
案外紗夜以上にやばいのでは…
起きたらどうなることかお楽しみですね♪
それでは次回で~


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9話 アナタだけのアイドルに

 どうも暇人を極めし者アインです
学校なくて暇してます
なので投稿ペース早めです。
書けるときに書き貯めしたい人です。
今回はふわふわピンクの小悪魔さんが暴走し始めますよ~-w-w紗夜さんよりやばいかも…
 それでは本編へどうぞ~


 「耀太君♪耀太君♪大好きだよ~♡」ギュー

 

目を覚ますと俺は彩に抱きつかれていた。なんで…あぁ~そうだった。彩までもがそっちに…ていうかあの衝撃はなんだったんだよ…

 

「彩…苦しい…」

 

「や~だ♡こうしてないと耀太君、ホカのオンナと一緒にいるでしょ?」ギュー

 

「家のなかだしさ?だれもいないでしょ…?」

 

「たしかに…そこまでいわれちゃったらしょうがないな~」

 

これで少しは楽になったかな…

ていうか今度はなんで首の辺りに顔寄せてるわけ?噛みついたりなんかしないよね…?

 

「彩…?なにしようと…」

 

「こうするの♪」カプッ

 

そういうと思った通り彩は俺の首に噛みついてきた。噛みつくといっても強くはなく、舐め回し、口を離した後にはキスマークがくっきりと残っていた。

 

「よし!これで耀太君はワタシのモノってワカルネ♡

 

「満足した…?」

 

俺はまだ手錠がつけられてるから、あまり抵抗できそうにないな。どうしよう…紗夜の時みたいにいってみようかな…

 

「ん?まだまだよ♪それよりも耀太君?耀太君が寝てる間にさ、耀太君のスマホにこんなものが来てたんだよ~」

 

そういいながら彩は俺のスマホを見せてくる。そこには()()()()()()()()()()()()()年頃の男子が見るであろう、そっち系の文面と共に画像が送られてきていた。

大事だからもう一回言っとくよ?

()()()()()()()()()()()()()だよ!?

恐らくセールスかなんかだろうとは思うんだけど…この状態の彩に見つかるのはかなり危ないような…

 

「耀太君もオトコのコだもんね~。年頃のオトコのコだもんね~。やっぱり可愛いオンナのコとこういうことシたいの?

 

「いや…そのアドr『答えはハイかイイエだけだよ?』えっと…その…」

 

まてまて、落ち着け落ち着け…

年頃の男子にそれを聞くのは間違ってるし答えは目に見えてるよね?でも流石にそれを言うのはヤバイし…っていうかそもそも俺はそういうの興味ないし…

 

よ う た く ん ♪答えはどっち?

 

「ぅぅ……0では…ない……です…」

 

果たしてこれが正解なのだろうか…

俺の頭で想像できる最悪のパターンだけは避けたいのだが…

 

「そっか~そうだよね~…とりあえずお風呂入ろっか!」

 

え?まってよ?一緒に入るとか言わないよね?流石にそれはヤバイよ?まさかないよね…

 

ガシャン

 

「はい!入ってきていいよ♪」

 

「え、あ、うん。いってくる…」

 

手錠外してくれたか…

てかふつうに危なかったわ…

ほんとにそうなるのかと思ってた…

 

「あれ?もしかして一緒に入りたかった?水着あるよ♪」

 

「一人で入るからね?ね?」

 

「む~…早く上がってきてね?上がってきたらオタノシミダヨ♪

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「これからどうするか…」

 

 俺は風呂に肩まで浸かりながら今後のことを考えていた。千聖との会話も紗夜との会話もすべて彩に聞かれてたなんて…

それだけじゃなくてさぁ…あれはさ?不可抗力ってやつだよ?本当に知らないアドレスなんだよ?まったく…どうしたものか…

 

「耀太君~早く上がらないとワタシも入っちゃうよ?」

 

「上がらせていただきます…」

 

なんで脱衣所にいるんだよ…

まぁ何かされる前に上がるとするか…

 

「上がったよ…」

 

「それじゃ~今度はワタシが入ってくるね♪キット耀太君の匂いでスゴインダロウナ~♡あ!そうだ!」

 

ガシャン

 

「ここからドコニモウゴカナイデネ?

 

「わかったよ…」

 

動こうにも動けないだろ…

手錠は俺の右腕と柱を繋いでいた。柱の回りにはなにもないし、スマホも彩がテーブルの上に置いていたので取れそうにもなかった。

 

それにしても盗聴器かよ…いったいどこにあるんだか検討もつかないよ。学校のやつも全部聞かれてたわけでしょ?それじゃ何時も身に付けてる物にでもついてるわけ?

もしそうだとしたら、どこでつけたんだよ…

 

「耀太君~ 上がったよ~♪」

 

って考えてるうちに彩が上がってきた。ていうかなんで俺のYシャツ着てるわけ?何時盗ったの?その前にストップ!まさか彩、お前…

 

「あれ?耀太君気づいた?」

 

「気づいたもなにもまさか…ないよな?着てるよな?」

 

「バレちゃったか~…耀太君のYシャツの中にはなにも着てませ~ん♪」

 

いや着てください。マジでお願いだから着て。

単純に目のやり場に困るからさ?

 

「じゃ~お布団にレッツゴー!」

 

そういって彩は手錠をとり俺の腕を抱き寄せ、俺の部屋へ向かった。Yシャツしか着てないみたいだから、なんていうか当たってるんだよね…その…柔らかいものが…

 

 俺の部屋につくと彩は早速俺の布団に倒れ込んだ。そして足をバタつかせながら、俺が使っている枕に顔を押し付けている。

 

「ん~!!!耀太君の匂いだ!耀太君♪耀太君♡いい匂い~♡」

 

「それより彩?時間も時間だし…寝よ…?」

 

「そうだね~…それより耀太君?」

 

まって、嫌な予感しかしないんだけど?

 

「今はオンナのコとシたい?」

 

「言わなきゃダメ?」

 

ダメだよ?ちゃんと正直に言ってね?

 

「なんていうか…その…やりたくないっていったら…嘘になる…的な?」

 

はぐらかそう。これでなんとかやり過ごそう。今はそれしか解決方法が見つからない。やめようね?それだけはやめようね?

 

「そっか~…やっぱり耀太君もオトコのコだもんね~…それじゃぁさ…」

 

そこまでいうと彩は俺をベットに押し倒し、俺は仰向けに倒れた。彩はその上に馬乗りになるようにまたがり

 

ワタシがシてあげるね♡我慢なんてしなくていいよ♪

 

最悪のパターンに突入しました(白目)

まだ未遂だ。まだな!どうにかしてここから抜け出さないと…

 

「何をスるの?」

 

「あの画像みたいに耀太君を気持ちよくしてあげるんだよ♡そうだ!ついでに既成事実も作っちゃおうか♪そうすれば耀太君はワタシのモノだね♪」

 

それだけはダメです。あなたはアイドルですよね?高校生ですよね!?

 

「でも…俺だってハジメテだよ?」

 

「大丈夫!ワタシもハジメテだから!」

 

「親に知られたらどうするの…?」

 

「お父さんもお母さんも『好きな人なら早く既成事実作って一緒になっちゃいなさい』だって!」

 

おいおい彩のご両親?

あなたの娘さんはアイドルでは?

それに可愛い可愛い娘さんでは?

 

「本当にできちゃったらどうするの?」

 

「そしたらワタシが耀太君のお嫁さんになる!絶対なる!」

 

「シちゃったら事務所とか大変じゃない?アイドルやめるようになるかもしれないんだよ?」

 

「そしたら耀太君だけのアイドルになる!」

 

ダメだこりゃ…

どうにかしないといけないんだけど、どうにもできそうにないのが現実…

 

「でもシちゃいけない気がするんだけどな…」

 

「む~…そんなに言うなら…」バチッ

 

「痛っ!?!?なに…した…」

 

彩が言ったとたんに俺はまた衝撃を受けた。彩に抱き付かれたときと似たようなものだけど、今回は意識が飛ぶほどのものではなく、体が痺れる程度のものだった。

 

「え~とね~耀太君が抵抗しないようにスタンガンでバチッとね♪

 

あのね、彩?「スタンガンでバチッとね♪」じゃなくないですか?まさかあの時もスタンガンで…紗夜みたいに薬使うだけかと思ってたらスタンガンも使うなんて…

 

「これで抵抗できないね♪それじゃぁ…キモチヨクナロッカ♡

 

そういって彩はYシャツのボタンを一つ一つ外していった。ヤバイって!真面目にヤバイって!どうしよう…どうしたらいい…何て言えば…

あ、でもこれ言っても…いや言わないよりはマシだろ。これに賭けるしかないよな…

 

「彩、ストップ…ゲーム…ゲームしよ」

 

どんなゲーム?キモチヨクナレル?

 

「彩が勝てればなれるよ…ルールは簡単、俺が一瞬でも寝たら彩の好きにしていいよ。その代わり俺が起きてる間は既成事実とか作るのはやめてね?」

 

「ん~…でもそれじゃワタシがつまらないじゃん…そうだ!起きてる間はキスだけって言うのは?」

 

そうくるのかよ…まぁゲームにのったからいいか。この状況なら寝たくても寝れないからな

 

「わかったよ…キスだけね?」

 

「やった~♪それじゃぁゲームスタート♡」チュ

 

 それから俺は朝まで彩に抱きつかれ、キスされ続けた。結果、俺は寝れるわけもなくゲームには勝てたものの彩に弱味を握られていることには何も変わりはない。

 




 薬だけでなく盗聴機にスタンガンまで…
彩の暴走はいったいどこまで続くのか…
でも耀太は今回もちゃんと理性保てましたね!
これがいつまで続くのか…精神的にも身体的にもそのうち洗脳されてみたり…
そんな話はさておき次回は千聖さんメインで書こうかとおもいます~
その中でも耀太の私物が消える事件に迫っていきます。犯人は意外と近くにいたりして?
ヒントはニンニン! です!
わかる人はわかるかな?

それでは次回もお楽しみに~
(明日投稿の可能性大)


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10話 白い天使だけど黒い妖精

 どうもこんばんわ~
最近はどの番組もコロナの話ばかりですね…
もうすこし別のニュース見てないと気が滅入りそう…
そんなことはおいといて、今回は前回の予告通り犯人を耀太が捕まえます!
さぁいったい誰なのか…
それは読んでからのお楽しみで!


 「耀太?顔色が悪いみたいだけど大丈夫なの?」

 

「大丈夫だよね~耀太君♪」

 

「ぜんぜん元気だよ…」

 

 今日は彩との一夜を過ごした次の日。学校です。はい、キツいです。ゲームには勝ったからいいよ?彩も一旦とはいえ諦めてくれたしね?

 

「なにかあったらすぐに言うのよ?倒れたりしたら大変なんだからね?」

 

「わかってるよ…」グデー

 

 それから学校につくと紗夜にも同じようなことを言われた。こうなった原因の彩はというと、千聖や紗夜と話すのはギリギリセーフらしいくあまり言ってこなかった。だけど他の女子が話しかけようとすると

 

「耀太君!ちょっときて♪」

 

とか適当な理由をつけて俺をそこから離す。なにがなんでも会話すらさせたくないみたいだわ…どうするべきか…

 

 そんなこんなで朝から絶賛お疲れモードだったんだけど、なんとなんと三時間目の休み時間に天使が舞い降りてきた。

 

「耀太さん!千聖さん!彩さん!このクッキー、頑張って作ってきました!ぜひどうぞ!」

 

白い天使、イヴの降臨である。

 

「あら、イヴちゃんありがとう♪」

 

「わぁ~かわいい!ありがとね!イヴちゃん!」

 

「耀太さん、具合大丈夫ですか?顔色が悪いみたいですよ?」

 

そういってイヴは俺の顔を覗き込んできた。かなり近いですね~。髪の匂いがスッゴいわかるんだけど、それを考えちゃったら終わるから無心でいこう…

彩と千聖は察したみたいだよ…

 

「ん?大丈夫大丈夫。クッキーありがとな」

 

「ハイ!」

 

普通に美味しいです。うん、美味しいよ。

これで残りの授業も頑張らせていただきま~す…っていってるけどこの時間だけは寝させて?彩のお陰で本当に寝不足なんだよ…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「耀太君?耀太君ったら…起きないとゲーム再開しちゃうよ♡」ボソッ

 

「ん…それだけは…やめて…」

 

 彩の悪魔の囁きに起こされ、時計を見るとお昼休みになっていた。四時間目は丸々一時間寝てみたいだね…少しは寝不足解消できたけどなんだか今度は体が熱い。なんか微妙に汗ばんでるしね。熱はないと思うから、まぁ今日は帰ってやることやったらすぐ寝るとしよう。

 

「耀太、お昼食べましょうか」

 

「そうするか」

 

「私も一緒に食べる♪」

 

なんか千聖が彩に対しての警戒薄くなってきてる気がするんだけど?助けてちーちゃん…

 

「なんか暑くない?気のせい?」

 

「まぁ今日はあまり風もないし、比較的暑いんじゃないかしら?でも耀太みたいに汗はかかないわよ…」

 

「まぁタオルとか常備してあるからいいんだけど…ってまた一つ減ってるし…気にしないでおこ」

 

この事まで気にしてたらなにがあるか…

今は千聖と紗夜と彩の相手で精一杯だって言うのに、あと何個問題抱えればいい?

 

「ねぇ二人とも?次、体育だよね…」

 

「着替えなきゃダメじゃん…」

 

俺のクラスは男子が俺一人なので更衣室どうこうの前にめんどくさいからトイレで着替えをしてる。まぁここは窓開ければ風通しいいから、少し楽かな…

 

 ということで体育なのですが今日は体力測定だって。こんな状態でやれと?先生あなた鬼ですか?オーガですか?まぁ文句を言ってもしょうがない、やるしかない。

 

「それじゃぁ始め」

 

その合図と共に走り出した。長距離走を走ってるのだが、これまたメンドクサイ。この学校は長距離走は外周で1周が約1.2kmを2周と3周で走る。今回は3周コースです(白目)

 

「千聖?彩?大丈夫?」

 

「ええ…これぐらい…なんてこと、ないわよ…」

 

「私も…だい…じょうぶ…」

 

「お二人とも大丈夫ですか?」

 

千聖と彩に合わせて走っていると紗夜も来た。まぁ紗夜は弓道部だし、ある程度は体力あるみたいだね

 

「紗夜は先にいってていいよ。二人には俺がついとくから。」

 

「わかりました…くれぐれも変なことはシナイデクダサイネ?

 

「わかってるって…」

 

紗夜は俺に釘を刺し、そのまま走っていった。

一方二人はというとかなり息が上がり、さっきよりペースダウンしていた。

 

「ゆっくりいこうか…」

 

 それからしばらくして俺達は走り終えた。紗夜はあのあと俺達を周回遅れにさせてゴールしていた。

 

耀太の匂い…」ギュー

 

あの?千聖?今すっごい汗かいてるんだよ?

すっごいベトベトなんだよ?

こういう匂いって女子は嫌いなんじゃ…

ってまてまて!紗夜も彩もそんな目で見るなって!俺だって不可抗力なんだよ?ね?ね?

 

真宮さんは白鷺さんだけのモノではありません」グイッ

 

えへへ~ 耀太君の匂いだ~♡」ギュー

 

「苦しいから…三人ともやめてよ…」ゲホッゴホッ

 

その後、俺は動きずらいなか教室に帰った。

あとは帰るだけか…って俺、日直じゃん…

メンドクセェけどやってくか~

 

「耀太♪帰りましょうか♪」

 

「その…ごめん、日直だからさ?この埋め合わせはいつかするよ…」

 

「そう…なら…」グイッ

 

優しく抱き締めて?

 

千聖が俺を引っ張り、耳元で囁いてきた。

 

「はいはい、やりますよ」

 

仕方なく俺は千聖のことを抱き締めた。

ちなみに俺と千聖の身長差はそこそこある。なぜそんなことをいきなりいったのかと言うと、身長差があるなかで抱き締めると俺と千聖の場合、俺の胸に千聖がスッポリとはまるのだ。不覚にもすこしかわいいと思ってしまう。

 

「それじゃ、帰るわね♪」

 

千聖は満面の笑みを浮かべながら、ご機嫌なようすで帰っていった。さてさてあとは俺も仕事を早く終わらせて、ゆっくり帰って休むとしますか

 

 「それじゃお願いしまーす」

 

担任の先生に日誌を出して、あとは教室に荷物を取りに行くだけだ。

だがしかし…だがしかし!

問題が発生した…いや発生していたといった方があってるか…

なぜならその教室には俺以外誰も来ないはずなのに、話し声が聞こえた。除いてみると俺のロッカーを漁っている。こいつか犯人は…一気に捕まえるか、、、いやすこし待つか…

 

「これとそれと…あとこれも!」

 

いや捕まえなきゃダメだろ(使命感)

 

「そんなに俺のロッカーを漁って何をしてるんだい?」

 

「!?!?」ガタガタッ

 

俺が声をかけた瞬間、その人物は一気に走り出した。その走る早さが早いこと早いこと…

そんなに俺から逃げたいの?まぁそうなんだろうけどね…せめて顔ぐらい覚えてやる。でも今でもわかることは髪の毛が白いってことだから、それだけでも大もうけだろ

 

その人物はしばらく走ると武道場の中に逃げこんだ。袋のネズミってやつだ、絶対捕まえる。

部活も終わってるらしく、靴はひとつだけ…つまりその靴は犯人の持ち物だってことが確定する。さっきから人物人物っていってるけど女子だからね?しかもさっき持っていった袋の中には体操服も入ってるからね?汗すごかったやつだよ!?!?いったいなんのために…

 

「ねぇ犯人さん?返してもらえると助かるんだけど…つかれたからね?なにもしないよ?返してもらえればそれで満足なんだけど…」

 

我ながら変なこと言ってるとは思う。すると更衣室と書いてある部屋から物音がした。ここか…

 

「犯人覚悟!…ってイヴ?なんでここに…」

 

「!?!?よ、耀太さん!?ど、ドウシタンデスカ?」アタフタ

 

まさかとは思うけど犯人はイヴなわけないよな?だってあの真っ白で純粋な心を持つ、天使みたいで妖精みたいなあのイヴだよ!?ありえないよな?な?

お前までそっちにいってないと信じさせてくれ…

 

「イヴ、ここに誰か来なかったか?」

 

「ここに…ですか…誰も来てないですよ?体操服が入った袋を持った人なんて来てないですよ?」シドロモドロ

 

「俺は一言も『体操服が入った袋を持った人』なんて言ってないんだが?…イヴ…まさか…」

 

「んー!もう我慢できないです!」ガバッ!

 

そういうとイヴは俺を押し倒した。下は普通に固い床だったし、かなりの勢いで倒れたので普通に痛い。いや今はそんなことどうでもいいよ…イヴさん?イヴさん!?やめてよ…ね?ね?

 

「んー!耀太さんの匂いだ!耀太さんに触っちゃった!体操服よりも汗ふいたタオルよりも濃い匂い…♡いい、スゴくいいデス♡もう我慢なんてしないデス!ずっとこのままです!走ってきたんですもんね!汗も適度にかいてて、スゴいです!耀太さん♪耀太さん♡」ギュー

 

「イヴ…離して…」

 

イヴは剣道部にも入ってるからか、かなり力がつよく抜け出せそうにはなかった。

 

「嫌です!もう離さないです!せっかくこうなったんデスカラ!耀太さんの匂い…いい匂い♡そうだ!」チュ

 

「イヴやめtモゴモゴ」

 

イヴは俺の上に馬乗りになる形でいた。そしていきなりキスをして来た。彩たちみたいに長く何回もするんだけど一回が彩たちよりもかなり長い。それに加えて舌も絡み付いてくるからもうなんかヤバい…

 

「プハァ♡耀太さんとキスしちゃった♡スッゴい幸せデス♡」

 

 何が起きてるのか頭の回転が追い付かない耀太をおいて、イヴは暴走していく。

 耀太はまだイヴのこの一面のほんの欠片の部分を見たにすぎなかった…




 どうでしたか?
いつもは白い天使だけど耀太の前で、初めて見せた耀太に対する思いを爆発させた黒い妖精ことイヴ…
もう耀太は何が起こってるのか頭の回転が追い付いてないですね-w-w
そんな耀太はこれからどうなるのか…
更衣室から無事にでれるのか…
次回もお楽しみに~!


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11話 ワタシ以外アナタには必要ない

 どうもこんばんわ~
投稿ペースがはやくなってますアインです
僕のTwitterフォローしてくれてる人ならわかると思うんですけど、かなり荒ぶってます-w-w

今回は前回同様にイヴが暴走していきます-w-w
さぁ「黒い妖精」こと暴走状態のイヴと耀太はどうなっていくのか…お楽しみください!


 「イヴ…離してって…」

 

「嫌です!離さないですよ♡」

 

 なぜこんな状況になっているのかと言うと、最近俺の私物がなくなることが多く、たまたまその犯人を見つけた。そしたらその犯人がイヴであり、イヴは暴走し始めた。イヴの黒い一面を知った直後に押し倒され、今に至るって訳だ。

こうなったら普通の方法じゃ離してくれないのは、千聖達で経験済みなんだけど…どうするか…

 

「ていうかなんで俺の体操服とってったわけ…?」

 

なんで…ですか?それはもちろん、ヨウタさんの汗が染み込んでるからデス!ヨウタさんが着てたんデスよ!?走って汗かいてヨウタさんの汗の匂いとヨウタさんの匂いが混じった濃い匂いデスよ!?そんなもの欲しいに決まってマス♪だから忍者になって盗ませていただきました!ニンニン♪

 

いや「ニンニン♪」じゃないでしょ…いやまてよ?まさか…

 

「それじゃ…他になくなったタオルとかも、」

 

「もちろん!ワタシが盗ませていただきました!タオルとかだけではないですよ?靴下もシャーペンもハンカチも!他にも色々ありマス!」

 

イヴは興奮しつつ、目を輝かせながら俺にいった。いや普通じゃないよ?ね?普通じゃないよね?

でもこんなもの千聖達に比べればまだかわいいものかな…

 

「それとこの前、彩さんと既成事実?でしたっけ。ツクロウトシテマセンデシタカ?

 

「いやストップ…なんでその事を…」

 

「実はワタシも盗聴機を仕掛けさせていただきました♡これでズーットヨウタさんの声聞いてたんです♡」

 

訂正、イヴも既にかなりヤバい…

盗聴機だけだよね?それだけだよね?

しかもなんでカタコトに…やめてね?イヴ、お前だけはそっちにいっちゃいけないって…

 

「盗聴機はいいとしてさ…体操服は返してくれない?授業で使うからさ…」

 

「ん~…しょうがないですね…体操服は返しあげます!」

 

千聖達よりは聞き分けいいみたいで助かった…

 

「でもそのかわりに…ワタシのお家でお泊まりしましょう!素敵な一夜になりますよ!」

 

「いまなんて?」

 

「だ!か!ら!今日はワタシのお家でお泊まりです♪安心してクダサイ!お父さんもお母さんもいないので!耀太さんと二人っきり…♡今夜は寝れなそうですね♡」

 

聞き分けよくてもこれじゃ別の意味でダメか…しょうがない、体操服のためだ。

 

「わかったよ…変なことは一切しないからね?」

 

 そういって俺とイヴは学校を後にした。まぁもちろんのこと俺の家によるんだけど、千聖にバレないように極力電気はつけないでおくとしよう。

 

「さて…持つもの持ったから行くか…ってイヴ?なにをして…」

 

「その前に…んー!耀太さんの布団…幸せ♡」

 

イヴは俺の布団に倒れ込み、枕に顔を押し付けて騒いでいた。そんなにいいかねぇ…

 

「イヴ?いかない…?」

 

「そうでした、いきましょう!」

 

さっきよりイヴのバックがふくれているように見えるのはきっと気のせいだな。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「着きました!どうぞお上がりください♪」

 

「おじゃまします…」

 

「今お茶を出しますね♪」

 

 そういうとイヴは台所の方へいった。まさかあの純真無垢に見えたイヴが…俺なんかしたっけ…見に覚えが一切ない…っていったら彩も同じか…ナンデダローナー(思考停止)

 

「どうぞ!緑茶でよかったですか?」

 

「ありがと…てかなんでそんなに俺なんかに…」

 

「ヨウタさん?『俺なんか』じゃないですよ!」

 

「でも俺、イヴに何かした?見に覚えが全くといっていいほど覚えてないんだけど…」

 

本当にした覚えがないし…なんならイヴとあったのパスパレ組んでからじゃない?それから学校でも喋り初めてだし…

 

「ヨウタさんは覚えてますか?ワタシが高校生になったばかりの時に困ってるとき話しかけてくれましたよね?あのときは先生探してて困ってたんです。でもそこでヨウタさんがきて一緒に探してくれましたよね?かなり時間はかかってしまったんですけど、それでも最後まで一緒に探してくれてと~ってもうれしかったんデス!ヨウタさんは私の王子様デス♡」

 

イヴは早口でまるで夢でも見ているかのように話していた。しかも目がハートマークになってるんだけど…

 

「思い出した…あんなことで?だって困ってたら助けるのが当たり前だし…」

 

ヨウタさんだからデスよ♡もうあれからヨウタさんを独り占めしたくてしょうがないんです!ヨウタさんの声がいつでも聞けるように盗聴機をつけて、ヨウタさんをいつでも感じられるように色々盗んで…♡でもいまはこうやって独り占めデス♪」ギュー

 

こうなったらあまり変なこといって刺激しない方がいいのは千聖達で学んだから…っていうかなんか体が熱いんだけど…

 

「あっつ…イヴ、暑い…」

 

「しってますよ♪そういうお薬です!あとは興奮剤?でしたっけ、それもいれてみました!」

 

おい、しれっと言うなよ…

てことはまさかとは思うけどさ?

 

「もしかしてクッキーにも…」

 

「もちろん入れました♪そのお陰で体操服が…♡それに興奮剤はたしか強いやつなので既成事実作りたくなかったらガンバって我慢してくださいね!でもヨウタさんに襲われる準備は万端デスよ♡」

 

「我慢してればいいのね…それなら大丈夫…」

 

そこまでしてるのかよ…でもやらないからな?既成事実とかぜっっったいに作らないからな?

 

「それじゃあ、お布団で寝ましょう♪」

 

時間もいい頃だし…ってお風呂に入らせて?

 

「お風呂は…?」

 

「あ!忘れてました!ヨウタさんと一緒にお風呂♪あの綺麗な肌に、大きい背中…♡ワタシだけのモノに♡」

 

「一緒に入る気してるの…?さすがに…」

 

ダメだよね?ね?ね?

やめようね?嫌ではないけどその興奮剤が作用するかも知れなくない!?やめとこうね!?

 

「安心してくだサイ!水着着ます!」

 

「俺のないかr『ヨウタさんのもありますよ♪この前とってきちゃいました!これもスゴかったですよ♡』ダメかよ…」

 

もう観念しよう…

女子の水着でしょ?スク水でしょ?小学校のやつでしょ?あれなら我慢できる…はず(白目)

 

「さぁ!お背中お流しします!」キラキラ

 

結局イヴが着てきたのはスク水じゃなくて露出がすごいやつ(なにとは言わない)

いいよ、目をつむってるから。それが一番被害少なくてすむ。

 

 その後、俺は手を出さずに何事もなかったかのように浴室からでた。よくやった俺、あんなにやってくるイヴによく手を出さなかった。でもさ?精神的にも身体的にも疲れました…

 

「あとはお布団で寝ましょうか♡」

 

「俺はソファーでねr『ダメですよ?一緒にお布団ですよ?』だよな…」

 

思った通りだわ~(本日二度目の白目)

そしてイヴの部屋に入ると目の前に広がる様子に俺は驚きを隠せなかった。なぜかって?イヴのことだから部屋ぐらいは普通の女子高生みたいだろうと思ってたけど、そんな甘い考えを持ってた俺を殴りたくたくなってくるよ。

 

壁一面に貼られた俺が写る写真、その周りには千聖や彩、俺と話したことがあるであろう女子が写る写真。しかも千聖達の写真は破られたあとがあったり、顔を塗り潰されていたりと酷いものだった。

 

「ヨウタさん?どうしました?」

 

「なんでこんなに…写真なんてどこで…」

 

「あれ?言ってませんでしたっけ?

じ つ は ヨウタさんが出掛けるとこに着いていっていっぱい撮ってみました♡カッコいいですよね~、この横顔もアイスを食べているところも♡

ダ ケ ド

ヨウタさんの隣にいるのはホントウはワタシなんですよ?千聖さんでも彩さんでもない、このワタシなんデス

 

イヴはそういった。俺はその言葉からいつものイヴの雰囲気は欠片も感じられなかった。感じられたのは俺に対する強い感情と自分以外に俺に近づく女子に対しての嫉妬と憎悪の塊…

いつものイヴを「白い天使」と例えるなら今のイヴはまさしく「黒い妖精」で間違いないだろう。

千聖達は「遠ざける」だったからよかった。

だけどイヴはちがう。「遠ざける」のではなく「存在を消す」方にいっているのだ。

 

「それじゃヨウタさん♡寝ましょうか♡」

 

「あぁ…そうしようか…」

 

 俺はその夜、イヴに抱きつかれながら寝た。

そんなことよりもイヴの感情は既に常軌を逸していることに驚きを隠せず、どうすればいいのかを考えていた。

でも…今この状況じゃわからないよな…




 イヴと千聖さん達と決定的に違うところは耀太の回りに対する考えですね-w-w
千聖さん達は「遠ざける」
イヴに関しては「排除」
もうイヴは狂気ですね(自分でかいてるのになにいってるんだよ)

そうそう、それはそうと
咲野さんが書いているヤンデレ作品もとても面白いですよ!千聖さんと主人公が…っとここでしゃべったらネタバレなのでリンクおいておくのでそこから飛んで是非読んでみてください!


「新日常はパステルカラーの病みと共に」
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    https://t.co/snqosz6FZT

そして感想、お気に入り登録ありがとうございます!感想なんかは客観的に見た僕の作品が気になるので、軽くでもいいのでくれると嬉しいです!

それでは次回をお楽しみに~


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12話 るんってくる不思議少女

 はいどうもこんばんわ
かなり時間が空きましたが更新していきます。今回なぜこんなに空いたのかと言うと、単純に忙しかったのと感想の方で小説に対する知識が足りないと言うご指摘をいただいたからです。実際のところ否定できない部分も多々あったため、少し勉強させてもらいました。

 そんなところで本編へどうぞ~


 今日はパスパレの仕事で繁華街に来ている。アポなしで俺達だけで回る感じなんだけど、おれも入ってよかったの?イヴは相変わらず俺の物を盗っている。学校生活に支障がない物限定で目を瞑っている状態なんだけど写真は撮りまくってるのね。それより今の問題は

 

「よー君!あそこあそこ!」

 

「まってって」ハァハァ

 

日菜に連れ回されております。なんでかって?それは日菜の提案で一旦別れて自分達がいいと思う店をいくつか探してこようと言うわけだ。それで千聖達が俺を捕まえる前に俺が日菜につれてかれたって訳

 

「ねぇねぇここなんかどう?るんってくるでしょ!」

 

「その『るんっ』がなにかわからないけどなかなかいんじゃない?ていうかそろそろ時間だし、待ち合わせ場所もにいこうか」

 

「ほんとだ!レッツゴー!」

 

日菜のハイテンションに俺じゃついていくのは無理みたいだな。だって毎日毎日、他の方向でひどいでしょ?学校では紗夜がいて彩には全部聞かれてるし、イヴはどこにいるかわからない上に千聖は常にヤバイ。

これ以上悩みを増やさないでくれよ?身近な四人(そのうち三人は同伴)がヤンデレみたいなもんだぜ?気が滅入るに決まってる

 

「あ!ヨウタさんと日菜さん!」

 

「ちょうど彩さん達もきたところっスよ」

 

ちょうどよかったみたいだな。さてさてここからどうするかだな。

 

「皆、見つかった?」

 

それから近場のカフェに移動して今後の予定をたてた。

 

チャイナドレスの試着&撮影

繁華街で食べ歩き

近くの神社にお参り

解散

 

大まかな感じだとそんな感じかな。そして一番めんどくさいのが日菜さんや、あんたの発言ですよ

 

「撮影終わったらさ、よー君のお家でお泊まり会しない?」

 

「・・・なんで俺の家?」

 

「なんかるんって来るから!」

 

「いいわね♪久々に耀太の家に泊まるのもよさようだし♪」

 

「いや千聖までなn『なにか問題でも?』ないです……」

 

「それじゃあ今日はよーた君のお家でお泊まり会決定♪」

 

理解するまで少し時間かかったけどさ?嫌な予感しかしねーよオイ。まぁまずは目先の撮影のことを考えるべきだな

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「じゃじゃーん!どう?似合ってる?」

 

「うんうん、すごく似合ってると思うよ」

 

まずは予定通りにチャイナドレスの試着なんだけどさ?日菜がまず着替えてきたんだよね。まぁそれはいいじゃん?まだ千聖達が来てないからいいよ

 

「ハァ……」

 

「よー君?大丈夫?」

 

「日菜っ!?!?大丈夫だから!!!!」

 

日菜が俺のうつむく顔を覗き込んできた所まではよかったんだよ。でもさ?でもさ??服の隙間から見えそうだったんだよね…不可抗力だからね!?決してやましい心なんて持ち合わせてないからね!?千聖達にバレたら二度と家から出してもらえなくなる。幸い声に出してないから盗聴機にも引っ掛かりはしないだろう

 

「耀太、どうかしら?」

 

「どう?耀太くん?」

 

「変化の術です!ドロン♪」

 

いってるそばから来たよ、悩みの種たちが

 

「似合ってる似合ってる、だからそんな目でこっちを見ないで」ススススス

 

 場所は変わって今度は食べ歩きしている。繁華街と言えば俺は小籠包かな。いやぁでも熱いこと熱いこと

 

「ヨウタさん!こっち向いてください!食べさせてあげます♪」

 

「それたべかけじゃん『いいから、口開ケテクダサイネ?』わかったよ」

 

イヴにいわれるがまま口を開けると、食べかけだった小籠包を口に放り込まれた。いやまぁ美味しくない訳じゃないんだよ?もちろん美味しいよ?でもさ…食べかけって言うのが問題なんだよね。千聖と彩に見られてないだけいいかな。気づかれてないよね?

 

「おいしかったですか?」

 

「うんうん、おいしかったおいしかった」

 

もうこの時点で疲れちゃったよ……

 

 

 そしてお次は神社に来たんだけど、厄介なことにここの神社は"恋愛成就"とか"安産祈願"とかだから、あの三人がすごいことになってるのだが、特に彩がヤバイ

 

よ う た く ん♡安産祈願のお守り買っておこうね♪いずれは子供を二人で……ね♡

 

「それは……わからないな~」(目を逸らす)

 

どうやったらそんな思考にたどり着くんだよ、って聞いても無理だよな~。諦めるしかない。

 

「言ったでしょ?"ヨウタ君はワタシのモノ"なんだよ♪抵抗するなら……」

 

そこまで言うと、彩はポケットからスタンガンを取り出して続けた。

 

「スタンガンでバチッとしちゃうからね♡」

 

彩はいつもはふわふわしててすごく可愛らしいんだけど、今みたいにモードに入るともう周りのことなんて気にしないでただ俺のことだけを見続ける。まるで"狂気"そのもの。イヴの時とはまた違った恐怖を時々感じるから恐ろしい。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「おっじゃましまーす!!」

 

日菜に続き、千聖達も家に上がった。千聖と彩とイヴは来たことあるもんな~。盗聴機が仕掛けてあるならとってほしいんだけどな~(無理なお願い)

 

「お腹減ったし、夕飯作るからみんな座ってて」

 

「わたしも手伝うよ!よー君!」

 

「たのむよ、日菜。まず野菜とか切っちゃおうか」

 

日菜なら何もないから安心できるよ。千聖達だったら俺のに薬を入れかねないって言うか、絶対にいれるでしょ。

 

 そして出来上がって皆でテーブルを囲んで食べた。日菜と作ったんだけど、意外と日菜って料理うまいんだな~ いつもは不思議ちゃんだけど見直したよ

 

「よー君のご飯美味しい~♪」

 

「そうですかい……よかったよ」

 

俺はこう言うしかなかった。理由はわかるでしょ?もちろん千聖達だよ。三人して俺の方をジト目で見つめてくる。俺を離さないように、纏わりついて来るような視線。俺はそれからただ逃げたいんだけどね。

 

「皆、お風呂入ってきちゃっていいよ。俺布団敷いとくから」

 

そういって千聖達を風呂にいかせたと思ってたんだよね。布団を部屋(もちろん俺の部屋じゃなくて)に敷いていたら後ろから抱きつかれた。

 

「ヨウタさん!一緒に入りませんか?」ギュー

 

「!?イヴ!?だからダメだってね?みんなもいるし……今日ぐらいは勘弁して?」

 

今日ぐらい勘弁してくれよ。いやまて「今日ぐらい」って俺いった?てことは……

 

「それじゃまた今度ですね♪千聖さん達がいないときに二人っきりですよ♡」

 

ダメだこりゃ

もう諦めるしかないのかな

 

 

 そんなこんなでイヴも含めてお風呂を上がったから今度は俺の番になった。さてさてまさかとは思うけど

 

「彩?風呂に入ってくるなよ?」

 

「え~『ダメだ』しょうがないな~。皆がいるから今日は我慢してあげるね♡」

 

いつも我慢してください。じゃないと俺の精神力も体力もゴリゴリ削られまくるから

後もう一人は……

 

「千聖は俺の服を勝手に漁らないこと。今もあるんでしょ?それで我慢して」

 

「しょうがないわね。そのかわり明日はオタノシミよ?」フフッ

 

千聖もダメだわ。聞かなかったことにしておこ

 

 その後は日頃の疲れを癒すかのように、ゆったりと湯船に浸かった。彩が乱入してきそうになったり、イヴが水着で入ってきたりするから一人で入れるなんてそうそうないからね。しかもこんなにゆったりと

 

「いまだけすごい幸せだわ」

 

そんな本音を溢しつつ、俺は浴室を出た。電気も消してあるしみんな寝たんだろうな。平和で何より何より。

 そして俺は少しの間、居間でお茶を飲みながら静かな夜を楽しんでいた。たまにはいいよな、一人で静かに過ごせるのも。まぁ千聖達はちょっと行きすぎてるけど俺を好きなだけなんでしょ?その気持ちは単純に嬉しいんだけど、単純に重すぎる。

 

 

時間も時間なので俺も寝ようと思い自分の部屋にいったのだが、またもや問題発生。だれかはわからないけど俺の部屋の中から話し声がするんだけど?千聖かな

 

「なんで俺の部屋にいるんだよ……!?!?」

 

「んっ……よー君♡よー君っ///」ハァハァ

 

なんで日菜が?は!?日菜!?

 

「あ、よー君……見た?」

 

「ナニモミテナイデス」

 

なんも見てないです。日菜が俺の服を持って俺のベッドの上で一人でシテいたことなんて一切見てないです。忘れていい?忘れた方がいいよね?

 

「俺のベッド使っていいから寝てね?俺はソファーで寝r『一緒に寝よ?』ちょっ!?日菜!?」

 

いきなり日菜に抱き付かれた。なんか妙に汗ばんでる気がするけど気にしないでおこう

 

「よー君のベッドの上でシチゃった♡すーっごくキモチヨカッタヨ?よー君の匂いでいっぱいで~、よー君がいーっぱい感じられて!すっごいルンってきたよ!ダカラさ一緒に寝よ?一緒にキモチヨクナッテ~るんってしよ♡」

 

「一人で寝たいんだk『ダメだよ?』なんで?」

 

「せっかくよー君と一緒に寝れるんだよ?カッコよくて、すっごいルンってきて、私のだ~い好きなよー君と一緒に寝れるんだから……ワカッテルヨネ?

 

「わ、わかったよ……」

 

まさか日菜まで?イヴに続き日菜まで??紗夜と日菜は姉妹揃ってですか!?

 

「今夜は二人でタノシモウネ♡よー君♡」

 

嫌な予感しかしないんだけど……

こういうときの嫌な予感ってあたるんだよなぁぁ。ハァァ……どうしよ




 日菜が耀太を襲う理由は「るんってくるから」でしょうね。そろそろ千聖さんも黙ってないかな~

最初にも書いた通り、まだまだ小説に対する知識が足りないと自分でと自覚しています。これからも勉強しつつ、投稿していきたいのでご指摘などありましたらしていただけると嬉しいです


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13話 やっぱり俺には分からない

 どうもこんばんわ~
前回の最後の後はいったいどうなっているのか、日菜まで千聖さん達と同じゾーンにいってしまうのか……
はてさて、見ものですね~
日菜もいったら紗夜さんと日菜の両方なら攻めよられることもあったりして?笑

まぁそんなことを考えながらかいていたので、楽しんでいただけると嬉しいです


 「よー君♡」ギュー

 

俺は今、ベッドの上で絶賛日菜に抱きつかれている。まさか日菜まで……まさかとはおもってたんだけど、そうは思いたくなかったんだけどさぁぁぁ

 

「よー君は私のこと好き?」

 

「嫌いではないよ」

 

俺はこういうしかないよな。だって「嫌い」っていったらどうなるか……千聖達にいった瞬間、意識は吹っ飛ぶだろうね

 

「ほんと!?じゃあさ!あたしと付き合って!」

 

「・・・はい?」

 

日菜はもしかして紗夜のことも千聖のことも知らないの?俺がされてきたこと知らないの?え?え?もしかして普通に俺のことが好きってだけ?それならうれしいんだけど……とりあえず確認しとくか

 

「薬とかスタンガンとか盗聴機とかないよね?」

 

「よー君なにいってるの?私はそんなことしないよ?だってそんなことしたらよー君、私のこと嫌いになっちゃうでしょ?」

 

今まであれやこれやとさんざんな目にあってきた俺にはこの日菜の発言がよくよく理解できなかった。なんでって?今までは薬で眠らされたり、スタンガンで気絶させられたり、手錠つけられたりしたでしょ?日菜ってそういうことしないの?って思ってる。でもそれは他の人から見たら少し、いやかなりずれてるんだろうな。

 

「でもさ、やっぱりよー君って千聖ちゃんとか彩ちゃんが好き?この前キスもされてたもんね……それに彩ちゃんと喋ってるときスーッゴク楽しそうだし……」

 

日菜の目にはそういう風に写ってたのね。でもあえていっておくけど、一切そういうことはございません。半場強制的やつ

 

「でもねでもね!あたしは誰よりもいっっちばん、よー君のこと大好きだから!絶対によー君のお嫁さんになるからね!」

 

日菜の言葉を聞いていると千聖達とは違って、ただ純粋に俺の事を想ってるように聞こえる。

 

「うんうん、わかったけど今日は寝よ?時間も遅いし……ね?」

 

「うん!それと……さっきはごめんね?よー君のお部屋に来ちゃったから我慢できなくて///それじゃおやすみ!」

 

日菜は顔を赤く染めながら、それを言い残し俺の部屋から出ていった。それをみてあっけに取られている俺はかなり重症なんだろうな。なにはともあれ、今は寝るだけ。なんだが、日菜がシテいたベッドで寝るかも悩むんだよなぁぁぁ

 

日菜視点

 

 よー君に言っちゃった♪好きって言っちゃった♪でも……よー君のベッドの上でシチゃった///恥ずかしいけどとってもキモチよかった///

 

「どうしたの?日菜ちゃん?」

 

「なんでもないよ♪」

 

やっぱりすっごくるんってくる♪だーい好きだよ♪よー君♡おやすみ!また明日ね♡

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 むぅ……おねーちゃん?あ!そうだ!よー君のお家にお泊まりしたんだ!みんなは……寝てるね。またよー君のお部屋に~、はやめておこっかな。また我慢できなくなっちゃうかもだし///

そんなことを思っていると、なにやら下の階からいい匂いがしてきたからいってみると、そこには紅茶を飲みながら朝御飯を作っているよー君がいた。

 

「あ、日菜?おはよ」

 

「お、おはよ!///」

 

昨日言っちゃったし、顔見れないよ///

でも料理作ってるよー君もかっこいいな~。るんってくる♪みんな起きてくるまで二人っきりか~、よーし!頑張るぞ~!

 

「よー君!私も手伝うよ!」

 

「ん、わかった。スクランブルエッグお願いできる?」

 

「うん!任せて!」

 

それからよー君のお手伝いをしたのはいいんだけど……

 

「……」

 

「……」

 

昨日のこともあって話ずらいよ……あ、そろそろ料理できちゃう、二人っきりの時間が終わっちゃう。

 

「日菜、みんな起こしてきてもらえる?」

 

「わかった……」

 

なんかるんってこないな~。よー君と話せなかったし、二人っきりの時間も終わっちゃったもん。また今度二人っきりになるんだから!

 

「みんなー!朝だよー!」

 

だから今はよー君のために頑張ろ!絶対にお嫁さんになってあげるんだから!

 

耀太視点

 

 朝か~昨日のことは……そう思いながら俺は机に手を置くと、そこには昨日の夜に日菜が使っていた俺の服があった。まだ微妙に濡れてる……

 

「夢じゃなかったかぁぁぁ」

 

これがあるってことは夢じゃないってことの裏付けになるだろ?てことはさ……イヴと彩に知られてるんじゃないかって言う疑問が湧いてきた。彩はともかく、イヴがヤバイよな。だってあのリストに日菜も追加されるんでしょ?そしたら……兎に角、聞かれてたとしたら(聞かれてるだろうけど)できるだけはぐらかしておこう

上から足音?だれだ……って日菜!?落ち着け俺。落ち着け真宮 耀太。平常心でいつも通りに

 

「あ、日菜?おはよ」

 

「お、おはよ!///」

 

顔赤くなってるしな。やべ、俺もにやけてるかもしんねーや。でも……顔あわせずれぇ(切実)

 

「よー君!私も手伝うよ!」

 

「ん、わかった。スクランブルエッグお願いできる?」

 

「うん!まかせて!」

 

うん、手伝ってもらったのはいいんだよね。でもさ……話すことが見つからねぇ!ついでに話しかけずれぇ!なんでって?そりゃもちろん昨日のことでしょうよ!告白?されたし、見ちゃいけないものを見ちゃったし!

 

「……」

 

「……」

 

しばしの間、俺と日菜の間には暗い空気が壁を隔てていた。この感じ嫌だわ……そんなこんなで料理ができた。日菜は少し寂しそうにしてたけど、また今度一緒に遊びいくからな?

 

「日菜、みんな起こしてきてもらえる?」

 

「わかった……」

 

ごめんね?ごめんね?日菜。ほんっとにごめんね?ちゃんと埋め合わせはします。させてもらいます。だから許してください(渾身の土下座)

 

「んにゅ……おはよ、耀太君」ファァ

 

「おはようございます!ヨウタさん!」

 

俺が皿に盛り付けて、テーブルへ運んでいるとパスパレの面々が起きてきた。彩に至っては寝癖がひどいこと…

 

「彩ちゃん?寝癖ひどいわよ?あ、耀太じゃない。おはよ、ダーリン♡」

 

まぁた進化したよ、この(いってはいけない言葉)は……変な誤解を

 

「よー君……」

 

「千聖さんどうしたんすか??」

 

うんでますよねぇぇぇ

知ってた。こうなることは知ってた。だから全力で誤解を解くからな。絶対解くからな!?

 

「千聖さんや?あーたはなんでそんなことをわざわざ言いにk『ナニか問題でも?』ないです」

 

問題なんてありまくりだわ!だけど……怖いってね?怖いから逆らえない……どうすればいいんだかな~。せめてその呼び方だけでもやめてほしいものだよ

 

「『ダーリン』って呼んでほしくないのなら好きな人でも見つけてみれば?そうすればやめてあげるわよ」

 

いやそれだけでありがたいです。ちゃんと見つけて見せるわ

 

「ただし……アナタを独り占めするのは一生諦めないわよ?耀太

 

その言葉と同時に他二人からも「私もだよ?」とでも言っているかのような視線が送られてきた。やめて……助けて……こうなったら奥義

 

「麻弥、日菜、ヘルプ」サッ

 

「ジブンすか!?」

 

「いいよ~ よー君♡」

 

ここは二人を頼るしかない。ちゃんとあとで二人にはなんかするから!ごめんね、助けて!

そうして麻弥と日菜の後ろに隠れた俺は、もう一人に後ろから引っ張られて、ソファーの後ろ側につれてこられた。こんなことするのは……

 

「ヨウタ君?昨日は日菜ちゃんと何があったの?」

 

彩だよなぁぁぁ

イヴと千聖は二人に気をとられてるからその隙にって訳か……はぁぁ、ダメだこりゃ

 

「なにもない、よ?」

 

「そっか~、それじゃ~これはな~に?」

 

そういって見せてきたのは昨日の日菜との会話が録音されているであろうファイルだ。まて、それはやめて?

 

「告白されました。はい。」

 

「ヨウタ君は日菜ちゃんのこと好き?」

 

「いや~嫌いではないよ?まだ誰が好きとかわかってないしね?」

 

なんとかはぐらかせ。引っ掛かるんだ彩、引っ掛かってくれ!

 

そうだよね♪ヨウタ君のお嫁さんはワタシだもんね♡

 

それに俺は苦笑するしかなかった。なんでそんな思考に行き着くわけ!?まぁしゃーないか

 

 この後、イヴにもおなじ質問をされたのだが、イヴもまんまんと引っ掛かってくれたから助かった。毎日こんなのだったら先が思いやられるよ……俺が好きな人見つければいいんでしょ?頑張りますよ!




 はい、ここで登場した正統派ヒロインの日菜!-w-wまだ最初少し我慢できずにヤってましたが、まだ紗夜さん達と同じゾーンにまでは入っていなかった!
そして耀太も好きな人を探し始めましたね~
理由は千聖さんからの呼び方を変えるため……見つけたとしても千聖さん(他二人も同様)に耀太のことは絶対に諦めないと言う執念……オソロシヤ

 それはそうと、話は変わりますが僕のTwitterを持ってる人ならわかりますが、今度チュチュ様をヒロインとした小説を書くことになりました~
登校日も出てきたので更新は今週末辺りになるかと思われます。そちらも読んでいただけると嬉しいです~

@ain_zwai

上のがIDなので良ければフォローしていただけると嬉しいです。それではまた次回~


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14話 正妻の威厳

 どうもこんにちわ、アインです
課題をやりながらの投稿となります
今回の主役はタイトルをみてもわかる通り、千聖さんです。今回はちゃんと千聖さんオンリーで書きました!この前みたいにはならなかったです!
さてさて、今回の千聖さんはどんな風に暴走するのか……最近ほったらかしにされてたからすごいかも-w-w

それじゃ本編にどうぞ~


 「耀太、今度はあっちにいきましょうか♪」

 

「はいはい、今行きますよ」

 

今日は土曜日。仕事もないので一日中家の中でグータラするか、日菜と麻弥にこのまえ助けてもらった礼をしようかと考えてたんだけど、見事に千聖に連行された。なぜ連行されたのか、それは一昨日の木曜日まで遡る……

 

 

~木曜日~

 

 「真宮さん、ここを教えてください」

 

「そこ?そこはーーーー」

 

俺はいつも通りに授業をしていたところで紗夜に教えていた。彩にも聞かれることもあったから、彩にも教えてたんだけど珍しく千聖は聞いてこなかった。そのかわりに無言で突き刺すような視線が送られてきた。痛いです。スッゴク痛いです。それに千聖って重力操作できる?スッゴく空気が重いんだけど?そして午前中の授業が終わって、昼飯を食べようとしてたところで呼び止められた。

 

「耀太、屋上にいくわよ」

 

「え?でも彩とかが『早くいくわよ?彩ちゃん達には私から言っておくわよ?はいぃぃ……

 

逆らえるわけもなく、屋上に連行されました。もちろん弁当は持ったよ?じゃなきゃお腹減るからね。食べさせてくれるかは別としてだよ?

 

それで?なんで呼ばれたかわかってるのよね?

 

「いや、わからんのだけど?」ガクガク

 

怖い怖い、マジで怖いって!なんで?なんで呼ばれたの!?教えてよ!

 

「そう、なら教えてあげるわ。アナタ、最近ワタシの扱いが雑じゃないかしら?正妻であるワタシを差し置いてよくもまぁあんなにもホカのオンナと目の前でイチャついて、喋れること……ネェ?」ゴゴゴゴ

 

スイマセンデシタ。わかるんだよね、最近千聖のことをあんまり構ってなかったってことを自分でも自覚してるから。でもさ、しょうがなくない!?紗夜も彩もイヴもすごいんだもん!睡眠薬!?手錠!?盗聴機!?盗撮!?しまいには既成事実でしょ!?高校生にはあまり関係ない単語ばかりじゃない?オッカシーナー、高校生ってこんなに酷いものなの?(お前だけだよ耀太)

 

「それで、何処にいくの?ダーリン♡未来のお嫁さんといくのだから、ちゃんとエスコートしてくれるのよね?」

 

だからその呼び方もやめんしゃい。それに「未来のお嫁さん」ってのはいつ決まったの?俺が好きな人見つければいんでしょ?

同級生と放課後デートして告白したり!

夕日が綺麗な屋上で告白してみたり!

夏祭りで花火をバッグにして告白したり!

俺だったら仕事もあるから仕事仲間と恋愛してみたりさ!

ん?待てよ?俺の回りにまともに恋愛できそうな人がそもそも少なかったわ

 

「え~と、その日は~『仕事が無いのは知ってるわよ?もちろん、ホカの用事は全部キャンセルよ?』うん、遊園地にいこうか」

 

 

 

 とまぁこんな感じのことがあって、現在に至るって訳だ。そんでもって今はジェットコースターに並んでる。土曜なのに比較的人が少なくて並ぶ時間はあまりとられはしなかった。でもさ今から乗るジェットコースターはネットでも騒ぎになってるんだよ。なんの騒ぎかって?

 

新感覚絶叫マシーン!

吊り橋効果間違いなし!

 

って感じのやつでね。俺はまず絶叫は苦手!めっちゃ苦手!お化け屋敷とかは行けるんだけど絶叫系だけは無理無理。ついでに高いところもかなり苦手。昔からなおらないんだよなぁぁ

 

「さぁ順番が来たわよ♪いきましょうか、ダーリン♡」

 

ガタガダガタガタ

 

乗ると段々地面から離れていった。怖い怖い怖い怖い!落ちるって、下みたくないって!

そしてジェットコースターは急降下した。ほとんど90°真下にいって今度は上がっていく。それを繰り返して、回転を挟んでいく

 

「イィィィィヤァァァァダァァァァ」

 

降りた後はかなりぐったりしていた。不覚にも千聖に肩を借りた自分を悔やむしかないな。男としてもだし、思っちゃいけないのにかわいいって思っちゃったし!でも確かにいい匂いだった……って忘れろ忘れろ!

 

「ねぇ耀太?ワタシがアナタを"ダーリン"って呼んでるのだからアナタはワタシのことをちゃんと"ハニー"って呼んでほしいのだけれど?」

 

「それだけは却下」(即答)

 

「もぅ……つれないわね」プイッ

 

ハムスターが頬袋に餌を溜め込むように、千聖も頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。いや、流石に呼ばないでしょ!?

 

「ま、まぁ時間も時間だし?お昼にしない?パンケーキ屋さんあるからさ?行こ?」

 

「お腹も減ってきたしちょうどいいわ♪流石ダーリンね♡」

 

呼び方は諦めるとしようかな。さてさて、来てみたんだけど思ったより並んでなかったな。お目当ては……あったあった。この「紅茶風パンケーキ」ってやつだよ。流石に千聖の好きなものぐらいは把握してるよ?それぐらい覚えておかなきゃ、今ごろ無事じゃないよ

 

「このパンケーキとてもおいしいわ♪ダーリンも食べる?」

 

「いや、俺は自分のあるからいいよ……」

 

自分のチーズケーキと紅茶だけで満足でございます。ナプキンでもとってくるか~と思いつつ、千聖を残して席をたった。ナプキンが置いてあるところは俺たちが座っていた席から少し遠かったため、少しあるいた。そして戻ってくると面倒なことに千聖が金髪のチンピラ共に絡まれてた。本当ならここで男が助けにいくだろ?でも千聖の場合、違う。なぜかって?ドス黒いオーラが漂っているんだよ……

 

「なぁなぁ嬢ちゃん、一人だろ?遊ぼうぜ」

 

「わるいけど、ちゃんと相手がいるの。帰ってもらえるかしら?」

 

よくもまぁそんなにも堂々と言えること。さすが女優ですわな

 

「そんなこといったって今一人だろ?置いてかれたんだろ?そんなグズは放っておいて遊ぼうぜ」

 

そこまでチンピラが言うと千聖は一口紅茶をのみこういった。

 

ワタシのダーリンはあなた達みたいに品がない輩とは違うのよ。今すぐさっき言った言葉を取り消しなさい?そして一刻も早くここから立ち去ることね」ゴゴゴゴ

 

ひぃぃぃ……スイマセンデシタァァァ」バタバタバタ

 

俺はこのとき確信した。

「千聖だけは怒らせたらダメ!ゼッタイ!

ことが終わり、俺が千聖の方へいくと

 

「ダーリン、怖かったわ……もう一人にしないでね?」ギュー

 

「はいはい、さーせんした……」

 

さっきと違いすぎだろ!猫被ってるって言うの?いや違うな……猫じゃなくて悪魔の仮面を被ってるんだ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「さ、遊園地も満喫したことだし、今日もお泊まりね♪」

 

「ソウデスネ、タノシミデスネー」(棒)

 

またぁぁ?またするの?この間したばっかりだじゃないっけ?でも意見した瞬間に威圧感で押し潰されるからやめておこう。ここはおとなしくしたがっておくのが得策だな

 

「それより耀太、見つかったの?」

 

「見つかったのって何が?」

 

「それは……好きな人よ///私だったら大歓迎よ?///」

 

「見つかるわけないでしょうが」

 

まず、こんな短期間で見つかったら苦労しないわ。それにしても千聖を好きになるって?まぁありえないことは無いかな。普通に可愛いし、他のやつだったら速攻告白してるんじゃね?でもガード固いしな~、玉砕してくのがいいところだろ

 

「そろそろハニーって呼んでよ、よー君……?」

 

まて千聖、そこで上目遣いして昔のあだ名で呼ぶのはさすがに反則じゃねーか?

 

ハ、ハニー……いったろ!これで終わりだかんな!もう言わねーからな!」

 

「全く照れちゃって♪でもいつかちゃんと呼んでもらうわよ?アナタのことをしっかりと魅了して見せるわ♪待っててね?ダーリン♡」

 

するんだとしたら平和にしてください。薬とか手錠とか使わないで平和にやってね!?お願いだよ!?

 

「さぁ、今夜は楽しみましょうね♡」

 

「よからぬことはさける覚悟で」

 

これからも千聖には振り回されていくんだろうな……頑張りすか~




 威圧感だけでチンピラを追い返す千聖さん……流石としか言いようがないけど恐ろしい((( ;゚Д゚)))
そして耀太も早く好きな人が見つかるといいですね~。っていっても回りにはまともに恋愛できそうな人が少いのが現状なのですが-w-w

それでは次回もお楽しみに~


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15話 氷川家お泊まり会 壱の巻

 どうもどうもアインでございます
今回は~氷川姉妹がちょっとやらかしますね-w-w紗夜さんはもちろんのこと、日菜はどんな感じになっていくのか……

とりま本編にいってみましょ~


 今日は金曜日。今週はめっちゃ頑張ったよ。月火は仕事で水曜に学校挟んで、木曜にまた仕事。それで今日は学校でまったりとしたいものだが、もちろんできる訳がない。学校なら紗夜もいるからな

 

「真宮さん、今日の放課後から明日までは空いていますか?」

 

「別になにも用事は入ってないけど……どした?」 

 

「ちょうどよかったです。私の家に来てください。色々と話したいことがあるので」

 

please repeat after me(久々の英語)

え?え?何て言った?今隣に千聖もいるんだよ?紗夜、なにいってるかわかる?

 

「それで、来ていただけますか?」

 

「俺はいいんだけど……」

 

そこまでいって俺は千聖の方をみた。すると千聖は目に光が灯っている筈もなく、虚ろな目で俺にこういった。

 

もちろんいいわよ?それでも耀太がワタシの許嫁(フィアンセ)なのはかわりないけれどね♡

 

そういって自分の腕を俺の腕に絡めてきた。あんたはいい加減学びなさいよ。

 

「それでは決定で。もちろん泊まっていただきますよ?日菜もいるのですが両親は旅行中ですので」

 

ハメられた。まぁ両親旅行中だから不安なのね。うんうん、わからんこともない。でもさとりあえず日菜もいるんでしょ?この前のこともあるから気まずいと思うっていうか普通に気まずいんですけど。それに家にいったらなにされるかだよ。日菜は分かってなかったみたいだから覚えてほしくない……

 

「荷物もったらいくよ」

 

「私も同行しますよ。家がわからなくては困りますので」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「お邪魔します」

 

「どうぞ」

 

放課後、早速荷物をもって氷川家にお邪魔した。まだ日菜は帰ってきてないみたいだな。

 

「真宮さん」

 

「はいぃ!?」

 

「そんなに怯えなくてもいいですよ。薬とかはもう使わないですから」

 

よかったぁぁ。それが聞けてひと安心ひと安心。すこし気が楽になるよ

 

「でも、その代わりにちゃんと魅了して見せます」

 

「は?紗夜っ!?!?」

 

俺は荷物を置くとソファーに押し倒されて、またキスをした。したっていうよりされたの方が正しいか。まぁ、薬とかはなにもないからいいんだけど、それ以上の問題がおきた。

 

「おねーちゃん!たっだいまー……ってよー君?なんでおねーちゃんと……」

 

日菜がこのタイミングで帰ってきたのだ。すっごく悪いタイミングだわ!ヤバイヤバイヤバイ日菜が涙目になってる。

 

「日菜?これは誤解d『両想いなのだからキスするぐらい当然でしょう?』いやまてや」

 

「よー君の……よー君のバカー!

バタバタバタ

バタン!

 

日菜は泣き叫んで自分の部屋にいってしまった。ヤバイ、今世紀最大にやらかしてる。

 

「なぜ日菜があそこまで?」

 

「言いづらいんだけど……この前、パスパレのメンバーで俺の家に泊まりに来たのよ?そこで日菜に告白されたんだよね……それと俺は別にまだ両思いじゃないからな」

 

そこまでいうと流石の紗夜も顔から血の気がひいていって、どんどん青ざめていった。

 

「とりあえず、日菜をなだめてくるからそこ退いてくれる?動けないからさ?」

 

「すいません……」

 

さて、どうやって誤解を解こう

 

日菜視点

 

 バカぁよー君のバカぁ……なんでおねーちゃんとキスしてるの。なんで両想いなの。両想いならあのときにフってくれればよかったじゃん……よりにもよって家の中でキスするなんてぇ……バカー!

 

「日菜?ちょっといい?さっきのこと謝りたくて……」

 

「バカ!よー君のバカ!バカバカバカバカ!」

 

よー君とおねーちゃんが付き合ってたなんて知らなかったもん!キスまでしてるなんて知らなかったもん!

 

「顔みて話したいんだ……嫌だったらいいよ」

 

そこまで言われちゃ断れないよ……

 

「いいよ、入っても」

 

よー君は部屋に入るとあたしがベットに座ってその隣に座った。

 

「なんでおねーちゃんとキスしてるの……おねーちゃんと付き合ってたならちゃんとフってよ……」グスッ

 

「言いづらいんだけど、まず紗夜とは付き合ってない。まぁ……キスに関しては不可抗力っていうかなんて言うか……」

 

「ほんとに?付き合ってない?あたし勘違い?」

 

「そういうことになる……」

 

「よー君♡」ギュー

 

よかった!よー君が付き合ってるなんて嘘だもんね!あたしがお嫁さんになるっていったもんね!

 

「なんか誤解するようなことしてごめんな?」ナデナデ

 

「んーん、あたしも早とちりしてごめんね?///」

 

よー君にナデナデされるとすっごくるんっ♪てくるの!大きくて安心するの!やっぱりよー君のことだーい好き!

 

「ねぇ、よー君?」

 

「どうかした?」

 

「キスしよ?///」

 

「っっは!?」ゲホッゴホッ

 

よー君噎せちゃった。でもおねーちゃんとも千聖ちゃんともしてたでしょ?私にはしてくれないの?

 

「私とはしてくれないの?」ウルウル

 

「わかったよ……するよ?」

 

「うん///」

 

よー君はそういって顔を近づけてきた。よー君の匂いがする♪そして私の唇とよー君の唇が重なった。暖かくて柔らかくて気持ちよくてるんっ♪てくるの!あんまり長くなかったけど、唇を離すとあたしとよー君の間には細長く光る一本の線が垂れてて、思わず唇に手を当てて感触を確かめちゃった///

 

「えへへ///すごかったね///」

 

「うん、すごかった……」

 

あれ?よー君照れてる?顔赤いよ?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

耀太視点

 

 なんとか誤解とけてよかった。一安心できるかな、と思うけど紗夜とどうなるかだよな。

 

「日菜、リビングいこうぜ?今日は泊まっていくから料理もまた一緒に作れるし」

 

「泊まっていくの!?やった~♪」

 

そして俺と日菜はリビングに戻った。そこには紗夜がソファーでうなだれていた。多分、さっきのことで兎に角反省してるのだろう

 

「日菜……その、さっきは……」

 

「おねーちゃんはよー君のこと好き?」

 

「? えぇ、もちろんよ。白鷺さんに宣戦布告したもの。真宮さんはワタシのものよ」

 

だから紗夜さんや、あーたもいい加減覚えて?こんな冴えない1男子と紗夜みたいなクールビューティーで文武両道できる美少女とは釣り合わないからさ?

 

「それじゃ、おねーちゃんに宣戦布告!よー君のお嫁さんにはあたしがなるからね!おねーちゃんでもそれは譲らないよ!」

 

紗夜の目の前で日菜はそう宣言して、俺を抱き寄せた。勢いすごくてよろけたのは内緒な?

 

「そうですか……相手が日菜であろうと真宮さんは渡さないです。既にファーストキスは貰っているもの♪」

 

わすってた。そういえばそうだった……あの~日菜?力強くなってない?

 

「ならいいもん!よー君とおねーちゃんよりいっぱいキスするもん!私のハ、ハジメテだって全部あげちゃうもん!///」

 

「日菜!?なに言ってっっ!?モゴモゴ」

 

日菜が爆弾発言を放ち、そのまま俺の言葉を遮りキスをしてきた。今度は舌を絡ませてきた。さっきよりずっと深く、長く、濃厚に。近くに紗夜いるのわかる?

 

「プハァ……今日泊まっていくなら一晩中キスしてあげるもん!ハジメテもなにもかも全部あげちゃうんだから!///」

 

「だから!?なんでそんなに話が『真宮さん、いえ、耀太さんは私と寝るんです!私が誘ったんだから私と一緒に寝るんです!』だからなんでやねん」

 

いつの間にか話が進んでるし。俺の意見は聞かないの?そんなことを思ってると二人はこっちを見て

 

「よー君は」

「耀太さんは」

「「どっちと寝たい(ですか)!?」」

 

アハハー(思考停止)どうしようね

 

「三人で寝るって言うのはダメ?」

 

「しょうがないですね……」

 

「むぅ~ よー君と二人っきりがいいけど今日は我慢してあげる~」ブーブー

 

今夜も大変な夜になりそうだよ……

でも日菜もいるからまだ楽かな




 日菜は自分でヤバイこといってることに気づいていらっしゃらないと???紗夜さんは薬は使わないみたいだからよかったですね~。それに名前呼びになったし-w-w

次回は~なんとなんと、成り行きのままに二人と寝てみたり?なんてことがあるかですよ~

それじゃお楽しみに~


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16話 氷川家お泊まり会 弍の巻

 どうもこんばんわ。お久しぶりです。投稿頻度がめっちゃ悪いですね-w-wお待たせしてすいません 
緊急事態宣言のことで学校だったり親の仕事だったりと忙しくて打ち込めずにいました。これからは頑張っていきます!

さてさて今回は氷川家にお泊まりと言うことなんですが日菜の前回の発言-w-w紗夜さんがどうでるんでしょうか それでは本編へどうぞ~


 「よー君♡」ギュー

 

「耀太さんこっちです」グイッ

 

「わかったからわかったから……」

 

俺は氷川姉妹に左右両方から迫られていた。にしても俺もバカなことをいったもんだよな「三人で一緒に寝る」ってアホかよ……

 

「それより、夜も遅いので夕飯を作りましょうか。日菜、やるわよ」 

 

「え~よー君もやろ?」

 

「わかったよ……」

 

拒否できるわけがなかろう。拒否したら紗夜がモードにはいるか日菜が泣き叫ぶか、最悪の場合両方か……どれも選びたくねぇ

 

「耀太さん、こっちを手伝ってください」

 

「ダメ!よー君はあたしと一緒にやるの!」

 

また始まりました、俺の取り合い何試合目?とりあえず考えるだけ無駄だってことは理解したからオケ

 

「まぁまぁ、日菜とやってること終わったら紗夜の手伝いするからいいでしょ?」

 

「絶対ですよ。早く終わらせてください」

 

「ゆっくりやろーね、よー君♡」

 

天の邪鬼すぎる……精神的にも身体的にも持たなそうだよ。さてさて、手っ取り早く終わらせて俺はゆっくり……できるわないか

 

「それで?俺の箸はないの?」

 

「あいにく割り箸もきらしていまして……それに料理も手伝ってもらったんですから食べさせてあげます」

 

「ほらよー君口開けて?」

 

「アハハ~そういうことね~」

 

紗夜も紗夜なんだよ。だってこれでも勝手ぐらいにぐいぐいくるからね!?それに日菜は紗夜に負けたくないのかこれまたそれ以上にぐいぐい来るもんだから相手をするのが大変すぎるんだよな。でも今日はまだ楽な方かもな

 

「お味の方はどうですか?耀太さんの好みの味で作ってみたつもりなんですが……」

 

「うん、おいしいよ。俺な好きな味だしね」

 

「それはよかったです。まだまだあるのでもっと食べてくださいね」

 

紗夜は俺が誉めると頬を赤く染め上げながらも笑っていた。やっぱり紗夜には笑顔が1番似合ってるんだよな~

 

「それじゃ今度は……口移しで」

 

「だからなんでそこまでいくの!?」

 

ダメデスカ?

 

「わ、わかったから!いくらでもするから!」

 

自分でいっているのもあれだけどさ、盛大に墓穴掘ったよね(本日二度目)まぁ紗夜がモードにはいらないだけよかったよ……

 

 

 

 夕飯も食べ終わり、片付けを済ませて少しゆっくりしたいところなんだが紗夜が洗い物をしているということなので……

 

「よー君♡なにする?」

 

「なにもしないで平和に過ごしたいんだけど」

 

「それもいいかも!るんっ♪てくるし!」

 

案外日菜といるほうが楽かもしれないや。だってドス黒いオーラ放たないでしょ?モードもないから入らないでしょ?基本的には安全でしょ?その"るんっ♪"てのはやっぱりわからないけどね

 

「あ!そうだ!」

 

「なんかあっっっ!?!?」モゴモゴ

 

なにかを思い出したようなことをいった瞬間、日菜は俺にキスをしてきた。しかもさっき食べてたポテトの味するし、長いし……まって息が続かない

 

「ハァハァ……だから日菜!?」

 

「えへへ~///あれがよー君の味か~……なんだかすっごくるんっ♪てきたよ?///」

 

なんなんだろう、キスをしたあとの日菜っていつもより子供っぽくなるし小悪魔って感じもするし、なにより妙に色気付いて見えるのは気のせいかな……うん、きっと気のせいだな。つかれてるんだよ、わすれよわすれよ……っていって忘れられるかボケ!

 

「いや平和に過ごしたいっていったやん!」

 

「平和でしょ?お嫁さんと一緒にテレビ見てなごんでてキスしただけだよ?……それかあたしじゃダメだった?」ウルウル

 

「いやそういうことじゃなくて……」

 

「ならもっとキスしてギューってしよ!」

 

そのあとはご察しの通り、されるがままだった。なんか日菜がいうには

 

『さっきおねーちゃんといっぱいラブラブしてたから今度はあたしの番!』

 

っていうことらしい。だってラブラブもなにも紗夜は怖いもん!逆らえやしないもん!薬はやめたっていってたけど、またいつ使われるか……うぅ、恐ろしすぎる

 

「耀太さん、日菜と遊んでるのもいいですがワタシのことも忘れないでクダサイネ?」

 

「忘れられるわけがないでしょうが……」

 

「まぁ、そんなことはおいておいてお風呂が沸いたので御先にどうぞ」

 

 

そういわれ俺は風呂に入っているのだが……二人のことだ、いきなり乱入はしてこないだろうとは思うんだけど……いや日菜ならありえるが、流石にそれは紗夜が止めるか?それとも紗夜が来るか……どっちもありえないこともないし、怖いから念のためにはやく上がっておくとしよう

 

「上がったよ、ありがと」

 

「それじゃ今度はあたし入ってくる!」

 

そういって日菜は風呂場へ駆け出していった。夜なのによくもそんなに元気があること……

 

「それでは耀太さん、日菜がお風呂に入っているということなので……」

 

何々何々!?何をする気!?よからぬことじゃないよな?既成事実だとかアレとかコレとかじゃないよな!?全力で阻止するからな!?

 

「既成事実だとかじゃないよな?紗夜はそんなことしないよな??」

 

「そんなことしませんよ。アナタは私のことをなにと勘違いしてるんですか」ムスッ

 

よかったよかった。無駄に気を張る必要もなくなったよ。だけど紗夜の機嫌が……なんとかしなきゃ

 

「なんでもしていいから機嫌を直してください」

 

「"なんでも"ですか?なら遠慮なく」

 

あれ?墓穴掘った?とおもっていたんだけど紗夜がしてきたのはくっついてきただけ。でもそれだけならよかったんだけど俺の服の内側に腕をいれてきた。

 

「あのさ?なんでくっつくだけならまだしも服の内側に手をいれてるの?」

 

「なんでってわからないんですか?耀太さんと密着していたいからですよ?あ、そうでした、私も服を脱がなければできませんよね」

 

「いやいや脱がなくていいし!だったらこのままでいいです!」

 

なんでそういう思考に至るのかなぁぁぁ

俺は不思議でならないよ???なんでそうなるんだよぉぉぉ

 

「おねーちゃん!あがったから次いいよ♪」

 

「ほら、日菜も上がってきたし?お湯が冷める前に入ってきちゃったら???」

 

「そうですね……それでは寝るときにしましょうか」

 

そういって紗夜は寝間着を取りに行った……寝るときも同じようなことやるのかよ!それで寝るの!?寝返り打てないよ!?え!?

まぁそれはおいておいて、少しはゆっくり……

 

「よー君♡二人っきりだね~♡」

 

「うん、日菜が来るって知ってた」

 

そうだよなぁぁぁ……来るよな

 

「それで日菜は……っては!?なんでそのまま!?」

 

後ろから声がしていたから向いてみるとそこにはビックリ仰天、バスタオルのままの日菜がいたんだからな?は?おかしくね!?

 

「いやいや服着てよ!?」

 

「え~着なくてもいいじゃん~ 暑いし、これからよー君にハジメテあげちゃうんだから///」

 

は?は??はぁ???

いやだから俺は了承してないし欲しいとも言ってないし!?流石にダメだから!

 

「よー君になら裸も見られてもいいよ?あたしの全部あげる♡///」

 

「だからダメだってば!?服を着て!ね?」

 

「それじゃ服着るからヤろうね♡」

 

そういって日菜は寝間着を取りに行った?のかな。なにはともあれ、危機は去った(今だけは)日菜が戻ってきたらどうしよう……いや紗夜が上がってくるよな?な?

 

「よー君着替えてきたよ♪でもいまから脱いじゃうけどね♡」

 

「今上がりました……ってワタシをさしおいて何をしようとしてるんですか?

 

「ほら、紗夜も上がってきたでしょ?夜も遅いし寝ようね?」

 

「むぅ……それじゃ今度よー君のお家にお泊まりしたときにヤっちゃおっか♡」

 

日菜、そこに行き着くのはダメだからな?まだ純粋……とは言えないかもしれないけどそこまでいってないから大丈夫だからそこでとどまって!

 

「それでどこで寝るの?」

 

「そうですね……私の部屋で『あたしの部屋で!』私のよ!」

 

いやいやそこは言い争わなくてもいいでしょ

 

「こうなったら」

 

「そうだね、おねーちゃん」

 

ん?まさか?ないよな?

 

「「どっちの部屋で寝たい(ですか)?」」

 

てなるよね~(白目)

悩むけど~いや、悩んでいいの?まぁそれはおいておいてここは潔くそうしよう

 

「紗夜には悪いけど日菜の部屋で寝よ?ほらキスも紗夜としたんだし……な?」

 

「しょうがないですね。でもそのかわり肌身離さずについてますからね」

 

「やった~♪いっぱいキスしよーね!よー君♡」

 

また寝れないの?なんで?寝させてよぉぉぉ




 またまた寝れないですね-w-w耀太と誰かが寝るって言う出すと絶対といっていいほど寝れなくなるっていうのがもう恒例行事ですね
次回はちょっとブシドーって感じにお買い物にいってきます!もう少しで夏休み回書こうと思ってます!ちゃんとゲーム内のイベントに沿いつつオリジナルもちょくちょくいれていくつもりです~
それではまた次回~


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17話 レッツ ブシドー!

 「ヨウタさん!早く来てください!」

 

「わかったからわかったから、もう少しゆっくりいこうぜ」

 

「それじゃあ写真と音声を『今いくから待ってて』わかりました!」

 

 今日は仕事がオフだと言うのにイヴと買い物に来ている。本当だったら一人でゆっくりまったりのんびりと優雅に一日をおくろうとしてたんだぜ?それが一本の電話で崩れ去ったんだよ

 

『ヨウタさん!今からお出掛けしましょう!』

 

「今から紗夜と日菜がくるんだけど」

 

ウソですよね?もしホントウだとしても断らないならヨウタさんの写真と音声を……』

 

「いくからそれだけはやめて。どこで待ち合わせ?」

 

『心配ご無用です!もうヨウタさんのお家の目の前です!』

 

その言葉を聞いてまさかと思い、窓から外を覗いてみると待ってましたと言わんばかりの視線でこちらを見て手を振るイヴがいた。まじかよおい……

 

「いま下にいくから待ってて」

 

『お待ちしています!』

 

それで下に行って玄関を開けるとイヴがニコニコとしながら目の前で待っていた。普通に休日なのに家に女子がいきなり押し掛けてくるとかは陽キャの特権だと思うんだけど、イヴとかは……やめてほしいんだけどなぁ ん?まてよ?俺は陽キャでもないわ。でも拒むわけにもいかないしな~ 拒んだら音声流されるわ写真流出だわで……お先真っ暗だよ。イヴにも逆らえる気がしない

 

「それで、どこに買い物にいきたいの?」

 

「服屋さんと雑貨屋さんと……あと武道具店です!そろそろ竹刀も買い換えなければいけないんです!」

 

「それで荷物持ちにと……まぁいくか」

 

「早速いきましょう!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 そんなこんなでショッピングモールに来たわけである。あとから知ったけど近くに剣道の用具店もあったみたいだわ。やってないからはじめて知ったよ。

 

「ヨウタさん!こんな服はどうですか?」

 

そういって最初に連れてこられた服屋でイヴの服を見てるんだが……単純に言うと普通の男子からしたら(俺含め)目に毒なんだけど?肩は出てるし脇腹も出てる。そんでもってロングスカートで髪は後ろで結んでる。たしかにかわいいんだよ?でもかわいすぎて目に毒になる

 

「うんうん、似合ってる似合ってる」

 

「もっと着替えるのですべてみてくださいね!」

 

その"もっと"の量がわからんからなんとも言えないがやばくなりそうな予感……

 

 そのあとは本当にイヴは着替えに着替えまくった。店も何軒か回ったし、最終的には20着以上着替えたんじゃねぇかな。その中でも最初に着たやつと、水玉模様の服が気に入ったらしく買っていた。まぁ()()()()可愛いからな。もう一回いっておくぞ?()()()()可愛いからな。どこが普通じゃないかって?盗聴機つけてストーカーしてるんだから普通なわけがないだろ!まぁでも可愛いってことは否定しない

 

 そして今度は雑貨屋かと思いきや水着を選んでるんだけど?俺は店内にいづらいんだけど?

 

「こんなのはどうでしょう!攻めてみました!」

 

「いやいや攻めすぎだから!?別のにしようか!?」

 

イヴが選んだのはあまりにも生地が少ないものであきらかに高校生が着るものではなかった。でもそうそう着たくなる人もいないと思うけどな。そのあともまたあれこれ着ていたのでショルダーでフリフリのやつを誉めまくってそれに決めた。だって他のも同じようなやつでそれが一番まともだったんだもん!彼氏でもなんでもない俺が選んでいいものかとおもっちゃうんだよねぇ……

 

「見てください!このわんちゃん可愛いですよ!」

 

「千聖の家のレオンに見えた……」

 

 場所は変わって雑貨屋に来た。なんでも今度は手頃な置物を探したいだとか。イヴって案外犬派なのか……俺は犬派じゃないと千聖にヤられるから口が裂けても猫なんて言えないよ

 

「ヨウタさんはなにかいいもの見つけましたか?」

 

「俺?俺は~この風鈴とか?」

 

「流石ヨウタさん!ブシドーを感じます!」

 

夏が近いからさ?(そんなこと言っても7月中旬) 俺の家は毎年毎年風鈴は買い換えてるんだよね。去年は風柄だったから今年は金魚でいいかな。風情を感じるよな~ 風が吹くたびにチリンチリンと鳴って少しばかりか暑さを飛ばしてくれるよ

 

「ヨウタさん、そろそろお腹すきませんか?」

 

「言われてみればな。時間も時間だし、どこかいきたいとこある?」

 

「それならご安心ください!お店は調べてきました!」

 

 そういったイヴに連れていかれたのは蕎麦屋だった。まぁイヴならファミレスとかチェーン店とかじゃないとは思ったけど……まぁ予想の範囲内か?中にはいるとまぁすごいことすごいこと。少し時代に取り残された感じの雰囲気だけどこれがいい。盆栽とかセンスあるやん

 

「どうですか?とてもブシドーだと思いませんか???」

 

「うんうん、ブシドーだね」

 

毎度毎度思うんだけどさ?日菜の『るんっ♪』もイヴの『ブシドー』も意味がわからんのですが?擬音語であってるよね?でも意味がわからんから翻訳しようがない……

 俺は普通の麦蕎麦を頼んだがこれもおいしかった。昔ながらの味って感じで蕎麦湯もちょうどよかった。

 

「それでは!腹ごしらえもすんだところで武道具店へ行きましょう!」

 

「早くいって早く帰ろうか。俺はもう疲れたよ……」

 

「なにいってるんですか?今日はお泊まりデスよ?」

 

「いやいや!?聞いてないんだけど!?」

 

おいおい?それはさすがに難しくないかい?

 

「今日はワタシと二人でお出掛けしてましたよね?」

 

「してたけど『それなのになんでチサトさんの名前が出てきたんですか?』へ?」

 

「せっかく二人でしたよね?二人っきりデシタヨネ?それなのに他のオンナのヒトに目線を当てて、ワタシ以外のオンナの名前を口にして……ヨウタさんはワタシと一緒にいるのが一番のシアワセなんですよ?

 

「それを決めるのは俺なんじゃ……」

 

シアワセに決まってるじゃないですか♪だってヨウタさんのことなら全て知ってるのをワスレタんですか?ヨウタさんのことを一番知っているワタシといるのが幸せなんですよ♡

 

千聖よかヤバイかもしれない……彩にも音声は録られてるんだった気がするけどイヴは写真まででしょ?どうにかしなきゃならんけどさ、どうしようもない

 

「それはあとで考えるからさ?今は買い物に来た目的を果たそう?」

 

「そうしましょうか!ヨウタさんと二人っきりで……寝れないですね♪」

 

よからぬワードを聞いた気がするけどそれは頭の隅においておいて、まずは買い物を済ませることに集中した。武道具店にはいるのは初めてで、竹刀やら何やらがたくさんあったのを覚えている。イヴは元から買うものを決めていたらしく、早めに終わった。

 

「さぁ!お泊まりデス!夜は一緒に寝ましょうね♪あ!下着は何色がいいですか?ヨウタさんの好みに合わせますよ♡」

 

「いやだから泊まるの『キョヒできると思ってるんですか?するならお薬使いますよ?』思ってなんかないから薬はやめて……」

 

最近寝れてないからゆっくり寝たいし、なにより明日からは仕事が多めに入ってくるから休みたいんだよね。しかもイヴまで薬とか……こうなったら最終手段

 

「今着てる服をイヴにあげるから今日は許して?最近疲れたまってるから……」

 

「本当ですか!?それなら下着もすべてください!そしたら今日のお泊まりは無しです!」

 

「そうしてくれるならなんでもするよ……」

 

「ヨウタさんの着ている服に下着♡汗が染み込んでヨウタさんの匂いと混ざって……♡下着は家で着ますね!一人でもキモチよくなれます♪」

 

 

 

 最後の方はかなりよからぬことを口にしてる気がするけど……休む時間ができたからなにより。写真とかの対策もそろそろ考えとかなきゃな。じゃなきゃ……本当にイヴに逆らえなくなる




 どうもどうもこんばんわ。学校も始まり投稿頻度が落ちるかもです……最低でも月に一度は更新していきます!

さてさて、イヴもイヴでやりますね-w-w等々薬にまで手を出して……-w-w
そして次回は夏休みに突入してパスパレで海に行きます!彩や日菜、イヴに正妻宣言した千聖さんがどうなるのかおたのしみに!


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18話 海辺の水着 壱ノ段

 どうもこんばんわ~ 今回もしっかりと更新していきます。
なんとなんと、お気に入り登録が300越えました!ありがとうございます!
 さてさて、今回は海です。海と言えば水着、水着と言えば?耀太が目線を当てるだけで嫉妬するのがちらほらといますよね-w-wせっかくの休暇を楽しめるのか!本編を読めばわかりますよ~


 「やったー!休暇だ~!」

 

「よし、俺は家で寝るわ」

 

今はもう夏休みでパスパレとしての活動は事務所のはからいから一定期間なしになり、日菜の言う通り休暇と言うことになっている。いつも大変な目にあってるんだから休暇ぐらい家でのんびりしてたいわ(誰のせいとは言わない)

 

「せっかくなので皆さんで海でも行きませんか?静かでとてもいいところを知っているんです♪」

 

「いいっすね!ジブンも行きたいです♪」

 

「私は……ダーリン次第ね。ダーリンがいくなら私もいくわよ?」

 

「だって!よー君いこうよ~ 海だよ~ 水着だよ~」ユサユサ

 

んなこといったって休みたいんじゃ!それに水着とか言うなし。痛い目にあうこと間違いなしだろ

 

「いやさでも『耀太くん耀太くん、こっちにきて?』はいはい、いきますよ」

 

そういわれて彩と部屋の隅にいった。何を言われるわけ?なんかやった?

 

「耀太くんは海行かないの?ワタシ(お嫁さん)の水着とか見たくないの?///」

 

「見たいもなにもさ?休みたいんだけど」

 

「なぁらぁ……ヨウタ君のお家にお泊まりして~今度こそ既成事『夏だから海行きたいな~ どうせだしみんなでいくか~!』だってよ!みんなでいこっか!」

 

「それじゃ水着も選ばなくちゃ!かわいいの選ぶから待っててね!よー君♡」

 

「はいはい……」

 

彩にそんなこと言われちゃ無理だろ……しかも彩にも音声録られてんだろ?拒否するのも無理だし、なにもできないよな……

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 日にちがたち、海に行く日になった。たしか待ち合わせ場所まで千聖と一緒に行く(連行)はずだからそろそろ来るか?

 

ピンポーン

 

きたか。よし、平常心だぞ?無心で対応するんだからな

 

「俺もそろそろって……彩!?」

 

「えへへ///一緒にいきたいから来ちゃった♡」

 

「行きたいからってなぁ……まぁいいよ。千聖も一緒だからな?」

 

「あら?ダーリン、ワタシと二人きりで行くって言ったはずよね?

 

「彩が迷いそうだから一緒に行こうだってさ。埋め合わせはするから……な?今日ぐらいはいいだろ?」

 

「しょうがないわね。帰ってきたらオタノシミよ?そろそろ襲ってくれてもいいんだから♪ワタシの体はいつでもアナタを迎える準備もできてるし、赤ちゃんだっていつでも作れるのだからね♡」

 

「聞かなかったことにしておくよ」

 

あのさ?千聖がそれを言うならまだ慣れてるんだよ。でもさ、今は彩がいるんだぜ?ずっと腕を絡ませててあるものは当たってるし、千聖の話が進むにつれて力強くなってるんだけど?

 

「さぁ、みんなもそろそろついてるだろうから私たちも行きましょうか♪」

 

「ねぇヨウタ君?千聖ちゃんと赤ちゃん作るなんてダメだからね?言ったよね?ヨウタ君のお嫁さんはワタシなんだよ?ハジメテはちゃんと交換だからね♡そうじゃなかったら……ナニするかワカラナイカラネ?」ギリギリ

 

 

「力強いから!痛いからさ?やめよ?」

 

「しょうがないな~ 海にいったら……覚えておいてね?」

 

なんだろう、彩の言葉に妙な寒気があるんだけど。まぁ千聖とかイヴほどヤバイことにはなることはないと思うけど、とりあえず用心だけはしておくとしようか

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 待ち合わせ場所から電車に乗り、イヴの言っていた海につく。人は多いけど波はあまりないし、なかなかよさげなところだな。

 

「それじゃ私たちは着替えてくるわね?ビーチパラソルをお願いできるかしら?」

 

「それぐらいやっておくよ」

 

「ありがとう ダーリン♡」

 

さてさて、ビーチパラソルたてて俺はゆっくり寝るとしますかね~

 

「ヨ~ウ~タ~君♡」ギュッ

 

「あ、彩!?離れろって!見られたらヤバイし……その、当たってるし……」

 

「見られてもいいもん♪だって未来の夫婦だからこれぐらい当たり前でしょ?それに当たってるのはわざとだよ♡もしかして……興奮しちゃった?///」

 

「そんなもんでするかよ。もう慣れたわ」

 

「むぅ~ つれないな~」プクゥ

 

そんな顔したって慣れたものは慣れたんです。毎日のようにそんなことやられてりゃ嫌でも慣れるわ!

 

「それじゃあ~これならどうだ!どう?似合ってる?」

 

「ハイハイニアッテマスネ-」(無心)

 

彩は着ていた上着を脱ぎ捨てて、下に着ていた水着姿になった。ピンク色のフリフリビキニですごく露出多いし、胸のところと腰のところで紐を蝶々結びにして着ている状態だからなにかあったらすぐに脱げるんじゃないかと思うんだけど……毎度毎度思うんだけどさ、あんたらいくらなんでも攻めすぎじゃないですか!?

 

「ダーリン♪着替えてきたわよ♡」

 

「じゃじゃーん!どう?似合ってる?///」

 

「水着に変化です!ドロン!」

 

「皆さん待ってくださいよ~」

 

なんだかんだいってたらいつの間にか来てるし。てかいろんな意味で視線を当てづらいんですけど

 

「ねぇダーリン?女の子には日焼けは大敵なのよ。だ か ら♪はい、日焼け止めを塗ってちょうだいね♡」

 

「いやいや、自分で塗れるでしょ?」

 

「いいじゃない こういうときぐらいね♪それとも……どうしてもダメかしら?よー君?」ウルウル

 

「塗るからその呼び方と涙目はやめんしゃい」

 

「早速お願いね♪ちゃんと背中のフックもとるのよ?そこだけ変になっちゃうからね♡」

 

「はいはい、わかりましたよ~」

 

めんどくせぇ。まじでめんどくせぇ

本当だったらこんなことじゃなかったのに……優雅にゆっくりと家で寝てたのに!

 

「んんっ///そこよ♡」

 

「変な声だすなし。やめるぞ」

 

「つれないわね。そろそろ誘惑に乗ってもいい頃なのに」

 

「ヨウタ君♪次はワタシにもお願いね♡」

 

「はいはーい!次あたし!」

 

「皆さんばかりずるいです!そのつぎお願いします!」

 

なんでそんなにくるんだよ!疲れるんですけど?これは休暇なのでは?

 

「お疲れさまっすね。よかったらジブンもお願いできますか?」

 

「もう順番で塗るから待っててよ」

 

なんでこうさ?休みがないんだろうね~ もうそろそろ休みが休みじゃないってことにも慣れなきゃいけない時期かな。諦めがつくようになるよ

 

 塗り終わるとみんなは海に遊びに行ったが俺はビーチパラソルの下で小説を読んでいた。よくもまぁあんなにも元気にはしゃげることね。俺にはもうそんな体力は残ってないよ

 

「耀太さ~ん 千聖さんたちには伝えてあるんすけど、あっちの岩場の方にいってみないっすか?きっと小魚とかたくさんいますよ!」フンスッ

 

「ここでずっと読んでるのもあれだし、いくか」

 

岩場か~ 転んで怪我とかしないかな。危なっかしいのが一人二人三人と(今回は千聖は含まれない)

 

「見てみてよー君!お魚さんがいっぱいだよ♪」

 

「うんうん、すごいね~」

 

「ヨウタく~んってアレレ?」ズルッ

 

「あっぶな!アホか!」

 

言わんこっちゃないよ。注意しておいてよかったわ~ 怪我するだけでも大変だし?そしたら自分に罪悪感ハンパないからさ

 

「よ、ヨウタ君?さすがに…近すぎだよ?き、キス……したいの?///」

 

「お前がスッ転んだからこんな体勢になってるんだろうが。キスなんて自分からはそうそうしないわ」

 

転びそうになってたから抱き抱える体勢になってるけどさ?これは正真正銘の不可抗力だよね?

 

「耀太?早くその手をハナシナサイ?アナタならワタシの体すべてさわっていいのよ?///」

 

「冗談でも言うのやめとけや。聞かれたらどうすんだよ」

 

 

 

 

 まったく、いつも通りに「平和」という二文字はほど遠いみたいだね。帰るまでにあと何個問題解決すればいいのかな……




 今回は彩がぐいぐい攻めましたね-w-wそれをみた千聖さんたちはどう行動に出るのか……次回もお楽しみに~

 今回もお気に入り登録、感想お待ちしてます!


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19話 海辺の水着 弐ノ段

 どうもどうもおはようございます。今日は朝イチの電車の中からの更新となります。何でこの時間かって?特に深い理由はありません-w-w
さてさて本文の方ですがタイトルに「弐ノ段」とあるように前回の続きでございます。海では千聖さんもグイグイ来ますがそれに負けないぐらいに彩も来てますね-w-wどうなっちゃうのか、わかるのは本編を読んでからですよ~


 「そろそろお腹すかないかしら?時間もちょうどいい頃よ?」

 

「さんせーい!あたしもお腹減っちゃったよ~」

 

「近くに海の家あったからな。いってもいいが、岩場を抜けるまでは絶対に走るなよ?今度は捕まえないからな」

 

「は~い」

 

 あのあと、少し魚を見つつ海を楽しんでいたら千聖がお腹が減ったみたいだった。千聖から言うなんて珍しいこともあるもんだ

 

 「よー君早く~ お腹減ったから食べたいよ~」

 

「ならなんでそんなに早く走れんだよ……おれなんか疲労困憊だわ」

 

「あれ?彩さんが見当たらないんすけど……」

 

麻弥の一言で辺りを見渡すと確かに彩の姿は見当たらなかった。岩場からはかなりの距離があるからまだあっちに残ってたり?麻弥なら考えられるけど彩じゃな~

 

「俺が探してくるよ。先にいって席とっておいてよ。見つけたらすぐ食べれるようにさ」

 

「了解したっす」

 

 

 さぁて、そんなこんなで岩場に戻ってきたのはいいがどこにいるのやら。さっきみんなでいたのがもう少し先だからな。そっちの方に行ってみるか

 

「彩~?いるか~?」

 

「よ、耀太くん!こっち!こっちきて!」

 

彩の声が聞こえた方を見ると彩は下半身は海に浸かっていた。なんで海に浸かってるんだかな。足つったか?それなら抱き抱えてくからいいけど

 

「足でも『そ、そこでストップ!それ以上はちょっと……』いやいや、何があったんだよ」

 

「み、水着が流されちゃったの……///」

 

「足つったなら引き上げるから。手、だせよ」

 

「だ、だから……水着が流されちゃったの!///」

 

「・・・はぁ!?」

 

いやさ、彩の水着さ?確かに紐で結んであったし、なにかあったらすぐにでもほどけそうに見えたけど……まさか現実になるとはな

 

「あのね?海から出ようとしたらそこの岩に引っ掛かっちゃって……それであっちの方に流されていっちゃって出れないの……」ウルウル

 

「ったく、しゃーなし。そこから動くなよ?探してくるわ」

 

「ごめんねぇ ありがとぉ」

 

そして彩が指差した方向へ行くと彩が着ていた水着が見つかった。上だけあるけどさ?流石になんか持ってきづらいんだよなぁ……でもやるっていったんだし、やるっきゃない。しっかし、よくもはずれたこと……

 

「彩~?見つけたぞ~」

 

「ぅぅ……ありがとぉ~///」

 

彩に見つけてきた水着を手渡し、俺は目を背けた。いや当たり前だろ?見るわけにはいかないしな?でもこうやってドジるところも可愛いって思ってみたり……だってたまに噛んじゃうけどめっちゃ努力してるやん?一人や二人ぐらい惚れててもおかしくはないだろ。っていってるけど自分に当てはめててもなるけどこんな安易に決めていいことじゃないだろおい

 

「よ、耀太くん……?」

 

「どした?また流された?」

 

「そ、そうじゃなくて…見た……?」

 

「誰が見るかよ。付き合ってもないんだから見る必要ないだろ」

 

「むぅ~ 耀太君になら見られてもよかったのに……それか目の前で脱いであげようか?///」

 

「それならおいていくだけだが」

 

訂正、やっぱり彩はまだまともな恋愛対象に入りません。最近は自重してるかと思ったらいつも通りに平常運転じゃねぇかよおい!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「ん~おいひいよ~♪」

 

「確かにうまいな……味付けどうしてるんだか」

 

彩を連れてくると千聖達が席を取っておいてくれたらしい。うん、スッゴい疲れたからありがたいね!その一番大きな原因(今のところ)の彩は焼きそばに焼きとうもろこし、焼き魚を平らげてかき氷のイチゴ味を食べている最中だった。食べてる姿を眺めてると惚れるかどうかは別として、たしかに可愛いことは否定しないぜ?なんだけど……

 

「彩、流石にちょっとばかし食べ過ぎやしないか?」

 

ひょんなことにゃいよ!?(そんなことないよ!?)

 

「彩ちゃん?そんなに食べていたらまた太るわよ?スタイルにも関わるのだし、また衣装がきつくなったらどうするつもりなの?」

 

「ぅぅ……だっておいしかったからぁ……」

 

そういってる千聖は千聖であっさりとした塩ラーメンを頼んでいたのだが、なんせこの真夏日に炎天下にさらされながら外で食べるラーメンだ。猫舌じゃなくても熱く感じるんだろうな

 

「ダーリン、口開けて?」

 

「んだよ……ってあっつぅ!?」

 

千聖にいわれて口を開けてみると塩ラーメンの麺が放り込まれてきた。いやいや、熱いから!?

 

「ご、ごめんなさい……冷ましたつもりだったんだけれど……」

 

「お前に火傷とかないなら全然いいわ。しっかし……あっち~」

 

「よー君♪今度はあたしの番だよ♡」

 

「今度はって冷たっ!?」

 

千聖が熱々のラーメンを放り込んできた次は日菜がブルーハワイのかき氷を大量に流し込んできた。てかさ、さっき千聖あやまった?なんかそれだけでスゴいと思えてきたんだけど

 

 

 

 食べ終わって食休みをしていると喉が渇いてきた。まぁそうだよな、夏だし渇くのは当たり前か

 

「喉渇いたし飲み物買ってくるわ~」

 

「あ!私も一緒に行く!」

 

「なら『彩一人で十分だし、千聖達の分もちゃんと買ってくるわ』わかってるじゃない♪お願いね♡」

 

実際のところさ?俺一人で十分なんですけどけ!まぁここで拒否したらなにされるかわかったもんじゃないし?力強いから怖いし?大人しくしておくとしよう

 

「彩はなに飲むの?」

 

「私は~『イチゴミルクな』な、何で飲みたいのがわかったの!?」

 

「だって視線そっちにやってたし」

 

「やっぱり旦那さんだからわかるんだ~♪私も耀太君の考えてることわかるようにならなくちゃ!」

 

そういうことじゃなくね?っていっても無駄ってことはもう重々承知でございます

 

「彩~ 会計終わった『や、やめてください!』は?」

 

「いいじゃねぇかよ。遊ぼうぜ?どうせ一人なんだからよ」

 

なんでこうさ?休みの日に出かけると毎度毎度のように問題がおこるのかねぇ……毎日のように千聖やらイヴやらで問題あるやん?休みの日はこんな感じやん?一言で表そう

 

メンッドクセェ

 

「おら行くぞ!」

 

「痛い!離して!」

 

よくもまぁ彩みたいなひ弱な女子に大の大人が二人もよってたかってやってることね。アホ?もう呆れに呆れたわ

 

「悪いんすけど、彩は俺の連れなんで離してもらえます?」

 

「あぁ?うるせぇぞクソガキが。ガキは大好きママにでもすがってろよ」

 

「よ、耀太君……!」

 

そんな目で見るなって。助けづらくなんだろうがよ。まぁ大の大人二人っていうこともあって?ガタイはそれなりいいし、普通に強そうじゃん?でもまぁなんとかなるか

 

「それじゃぁそのクソガキにノされる二人にいっておくけど、『喧嘩は力だけじゃない』からな?覚えておけよ」

 

「ガキが舐めてるとっっ!?」

 

「お前なにしてっっいってぇ!」

 

ゴスッ!ボスッ!と音を立てて打撃を与える。俺は別にあまり力は入れていない。やったのは裏拳で相手の脾臓の部分に衝撃を与えただけだった。空手じゃかなり痛いからな~ 経験者じゃなければかなり堪えるぜ?

 

「んで?ガキにノされた気分はどうなわけ?力込めてないからそれですんでるけどさ、これ以上彩に手を出すなら本気でやるけど?」

 

「す、すいませんでしたぁぁぁぁ」

 

「耀太君~ 怖かったよ~」

 

「バカかおまえは。俺がいなかったらどうすんだよ。まぁ怪我がなくて何より、お前ぐらいしかこんなんならないからな」

 

いつぞやの千聖が追っ払ったチンピラに似てるな。それにしてもやったのはいいが、このあとどうしよう。彩がこれ以上になるのだけはごめんだぜ?

 

 

 

 その後は時間も時間なので帰ることにした。帰りの電車じゃもちろんみんな寝てたぜ?彩と千聖に関しては俺の肩に寄りかかってるしな

 

「ダーリン、また来ましょうね♪」

 

「えへへ~///大好きだよ♪耀太君♡」

 

うん、退屈はしないよな。だけど愛情表現のしかたをもう少し考えてほしいんだよなぁぁぁ!

 

 

彩視点

 

「君、大丈夫?」

 

「う、うん……ありがとう///」

 

「耀太、早く行くわよ?」

 

「もう少し待ってろって。悪い、千聖に呼ばれたから俺はこれで。絆創膏渡しとくから何かあったら貼っといた方がいいぜ」

 

今日みたいに知らない人に絡まれてたところを通りかかった耀太君は助けてくれました。名前も知らないし、あったこともなかったのに……そして私は質問したんです

 

「なんで、何で私なんかを助けてくれたんですか?」

 

「さぁ、何でだろうな。メンドクサイことは嫌う主義なんだがどうしても見てらんなかったからよ。ほら、俺の幼馴染みも同い年ぐらいに見えたから多分それだよ」

 

「そんな理由で……」

 

「別に礼とかはいいぜ?俺がやりたいことをしただけだからな。そんじゃ、どっかで会えたらな」

 

そういいのこして耀太君は去っていきました。私の手の中には耀太君に渡された絆創膏が握りしめられていて、とても胸が熱くなって……その時私は思ったんです

 

「絶対に見つけ出すから待っててね♪私の王子様……ようた君♡」




 彩が耀太を好きになった理由がやっとわかりましたね-w-wするがわにとっては何気ないことでもされる側にしてはすごく印象に残ってる。たまにありますよね~
そして、アンケートは明日の午前0時に締め切ります!最初はりんりんの独占首位でしたが今は美咲も入ってきてますね~ アンケートのほうもよろしくお願いします!一票差で今後のストーリーの展開が変わってみたり?-w-w
今回も評価、お気に入り登録、感想待ってます!


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20話 妖魔王と魔術師の結婚生活

 どうもどうも、こんばんわ。調子がよくて2日連続の投稿になります。

さてさて今回ですが、先日のアンケートで選ばれた人が出てきますよ~-w-w っていっても多分、タイトルでわかると思うんですけどね。
妖魔王は耀太のプレイヤー名でノリでつけたあこのような中二病が疑われるネーミングセンスですよね(あんたもやろ)
とまぁ、ここで話すのもあれですし本編へどうぞ~


 「おはよ~」

 

「おはようございます、耀太さん。早速いきましょうか」

 

「はいはい、いきますよ……」

 

 今日はまだ夏休みだってのに紗夜に学校に呼び出された。俺を生徒会に入れるために先生に掛け合っててやっとこさ入れるようになったんだとか……あんたらさぁ、そういうときの謎の行動力よな

 

「白金さん、入りますよ?」

 

「は、はい」

 

「紗夜さんが推薦したのって……ゲッ 耀太先輩じゃないですか」

 

「なんだよその"ゲッ"て。俺だって入りたくて『ヨウタさん?』入らせていただきました。がんばります」

 

「そうですよね♪一緒に頑張りましょうか」

 

あっぶね。普通に口が滑るところだったわ。しかしなぁ~ この状況を千聖や彩に見られたらどうなることやら。考えたくもないわな

 

「と、とりあえず、資料整理をしましょう。夏休み明けには、羽丘との合同文化祭も、合同体育祭も、あるので」

 

「なんかどっかで聞いた覚えがあるやつ。やるならやっぺし」

 

「なんで耀太先輩はいつもこんなんなんだろ。紗夜先輩や燐子先輩みたいに先輩って感じがしない……」

 

すいませんねぇ!もう最近疲れすぎてて脳死状態なんだよ(誰のせいとは言わない。言えない)

 

「市ヶ谷さん、そんなことないですよ…!いつも優しいですし、勉強もできますし……かっこいいですし!」

 

「ま、まぁそうですよね」

 

燐子?燐子!?

めっちゃうれしいんだけど。やっと見つけたよまともな恋愛対象の候補。普通に燐子だったらいいかもなぁ~ ん?でも花音でもいいかも。いまさらながら考えてみるとさ、俺の回りって普通にかわいいこ多くない?それに付随してちょっとヤバめのやつも多いんだけどな

 

「はぁぁ燐子マジで天『ヨウタさん?』さぁ~仕事やっちまおうぜ~」

 

「さ、流石に、天使は……いいすぎです、///」

 

バレてるしなぁぁぁ!?言いたかったのは否定しないけどさ?有咲のその汚物を見るような視線はやめてよ。かなり堪えるんだけど。しかも紗夜ぉぉぉ!?悪かったから!な?だからその千聖並みのドス黒いオーラをしまってください!

 

 そのあとはお昼過ぎまで事務作業に当たっていた。四人でやったからかなりの量が進んだが、まだまだあるみたいでどうしようか悩むんだよなぁ

 

「すいません、私は午後から予定が入っていて……」

 

「やっべ、あたしも練習だ……」

 

「俺はなんも予定ないけど、どうする?」

 

「それなら……今日は一旦、解散にしませんか…?」

 

燐子の提案で今日のところは解散することにした。っていっても家に帰っても熱いだけだろ?アイスでも買って帰るかな。それかつぐちゃんの家に寄ってくか?久々に寄ってってもいいかもしれないな

 

ピロリン♪

 

そんなことを考えているとNFOと連動しているアプリからの通知が来た。このあと30分後から襲撃イベントが始まると言うこと、それとゲーム内での相方のRinRinというプレイヤーからのチャットだった

 

妖魔王(あやかしまおう)さん、このあとの襲撃イベント一緒にいきませんか?先日行っていた装備の強化素材が手にはいるんです!』

 

「いいぜ。これから家に帰ってすぐに準備するよ。イベント開始5分前にクエストボード前に集合でいい?」

 

『はい♪お待ちしております(^-^)ゝ゛』

 

俺のNFO内でのプレイヤー名は妖魔王(あやかしまおう)になっている。そんな名前でも職業はネクロマンサーではなく、今はアーチャーとして中堅ポジか後方支援に回ったいる。ただし、RinRinとやるときだけはアサシンやナイトなどの前衛ポジにジョブを変えている。なぜかって?理由は簡単、RinRinのジョブはウィザードで後方支援に向いているから俺が前衛で攻め続けるって訳だ。最近は二人きりで行くイベントが増えてるんだよな~

 

~20分後~

 

 俺は予定よりも早く準備を終えてPCの目の前にあるゲーミングチェアにヘッドセットをつけて腰を掛けた。日光も眩しいのでカーテンを閉めて冷房はガンガンつける。横にあるテーブルにはアイスと水だしのミルクティーに冷えたチョコがある。ゲームをやるときはこれが一番なんだよな。いわゆるルーティーンってやつ?

 

「RinRin、お待たせ。準備できたぜ」

 

『お待ちしてました!今日はアサシンなんですね。その装備、ナイトメアフォックスのやつですか?』

 

「そうだよ。迷彩効果に衝撃波軽減とこの前追加された呪力蓄積がついてるやつ。連擊で蓄積させていってダメージを追加してくんだってさ」

 

『妖魔王さんの戦術にぴったりじゃないですか!今日はスピードと攻撃速度を中心にバフをかけますね♪』

 

そんな話をしていると時間になったので俺達はクエストに向かった。今回のクエストは大型モンスター《八尾ノ大蛇(ヤマタノオロチ)》の討伐でメンバー制限が二人だった。その代わりにアサシンとウィザードのHP20%up AP.NPの回復速度が30%upになってるから俺とRinRinには最適だった

 

『ステージは《神々の里》の夜間ですね』

 

「俺の装備が輝くぜっていってるそばから来たぞ!」

 

『詠唱開始します!妖魔王さんは攻撃準備を!』

 

「了解した!」

 

クエスト開始直後に目的のモンスターが出現して即座に戦闘に入った。攻撃は見ている限り

 

・首での噛みつき、むち打ち攻撃

・尻尾の一撃

・毒霧攻撃

 

の3パターンで特に尻尾の一撃の後に攻撃硬直のモーションが入るみたいだった。首での攻撃でも入るが最大8連続で硬直も短いので狙うなら尻尾の一撃のあとだろう

 

「8、9、10!呪力蓄積は最大だぜ!RinRin!攻撃力に最大のバフ頼んだ!」

 

『了解です!』

 

少しずつ攻撃を与えていって呪力蓄積値のゲージをMAXにした。そしてRinRinに間髪いれずにバフをかけてもらって決めにかかる

 

「呪力開放!《呪撃暗黒一閃》!」

 

『ふぅ……なんとか倒せましたね♪流石妖魔王さんです!スキルの発動タイミングも攻撃のタイミングもピッタリです!』

 

「それもこれもRinRinのバフのお陰だよ。ありがとな」

 

その後はイベントが15分間で終わるみたいだったので二人で高速周回をしていた。いや~素材が集まったこと集まったこと。これなら装備の強化もできるな

 

「RinRin.今日はありがとな!」

 

『いえ、こちらこそです。それと……一つ、提案いいですか?』

 

「どした?ジョブチェンジ?」

 

『いえ、別のことなんです。私たち二人はゲーム内でかなり有名になってきているんです。それで……最近追加されたコンテンツで《結婚》というのがあって、これをすればアイテムボックスにゴールド、装備も一緒に使えるんです!』

 

ん?RinRin?まさかとは思うけどさ、本っ当にまさかとは思うけどさ?

 

「それを俺としようと?」

 

『そうなんです。最近討伐クエストでの報酬も二人重なることもあるので振り分けもせずに済みますし……なにより、私のフレンドさん達から進められてしまったので……無理にとは言いませんよ!?///』

 

たしかに最近は報酬アイテムの振り分けも大変になってきたし、期間限定のウィザード装備も俺はもってるからなぁ

 

「いいぜ。俺でよければな」

 

『あ、ありがとうございます♪早速、儀式の間にテレポートしましょうか!』

 

~RinRin視点~

 

 妖魔王さんと結婚しちゃった~♡これで妖魔王さんのことがもっとわかる!それに二人きりでのクエストも増えていくんだろうな~

 

『RinRin、これでいいのか?』

 

「はい!あとは指輪の交換です!」

 

『これで……結婚か。ゲーム内ではあるけど照れくさいな///』

 

「ですね///これからよろしくお願いしますね?妖魔王さん、いえあなた……///」

 

『んじゃ俺はハニーって呼んだ方がいいか?///』

 

ぅぅ……本当に結婚しちゃった///でもゲーム内でかぁ~ それにしても「あなた」って呼んだら「ハニー」って返してくれた♡流石に妖魔王さん、うぅん耀太君(ようたくん)♡ 現実世界でも娶ってもらうからね♡

 

 

 




 生徒会の伏線をやっと回収できた…… それに結婚についてなんですがラノベ作品を見て思い付いたのと、前のゲーム内でのイベントですね-w-w あのときの衣装がめっちゃほしかった…… 星3のあこすらでなかったよぉぉ(´;ω;`)

そして次回ですが~ 燐子が○○○○○ます!ある程度は予想できるかな?-w-w 燐子は燐子でそれなりにねぇ……
てなわけでまた次回~

今回も感想、評価、お気に入り登録待ってます!
それと追記して美咲を出すかどうか迷っています。燐子回が終わるまで(あと二回ぐらい?)なのでアンケートよろしくです!


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21話 現実の妖魔王と魔術師の結婚式

 どうもどうもこんばんわ
最近は暑かったり寒かったりすごいですよね。俺は部活で剣道やっているので影響がかなりデカイです-w-w
さて、今回ですが燐子のヤンデレみたいなメンヘラみたいな?とりあえず暴走します-w-w 燐子ならではの攻め型はどうなるのか、本編を見ていただければわかりますよ~


 あのあとはRinRinと色々なクエストを周回した。夏限定のイベントばかりで水着装備や浴衣装備などなど……とちゅうからRinRinのフレンドの《聖堕天使あこ》が入ってきてまたもや周回をした。どうやら二人はリアルでも知り合いらしく、とても仲が良かった

 

『RinRin、本当に妖魔王さんと結婚しちゃったの!?』

 

『うん♪そうだよ♪』

 

『あこもしたいしたい~(*`エ´)』

 

「なら俺のサブ垢としておく?」

 

『ほんと!?ありがとう!』

 

聖堕天使あこからのチャットが来ると同時に俺は別のアカウントを開こうとした。だがその瞬間、RinRinからのチャットが飛び交った

 

『ダメ』『あこちゃんでもゆるさない』『妖魔王さんは私の旦那さんだよ』『私だけの旦那さん』『浮気なんてゆるさない』『逃がさない』『絶対に離さない』『私と二人きり』

 

「RinRin!?」

 

『ゆるさない』『一緒じゃないならダメ』『別れるなら心中しよ』『裏切らないよね?』『いつも優しいもんね?』『ふりじゃないもんね』『相思相愛だもんね』

 

『ぅぅ……RinRin、ごめんなさい……』

 

『うぅん、大丈夫だよ♪あこちゃんにもきっといい人見つかるからね♪』

 

『そうだよね!フレンド増やそっかな~』

 

RinRinは落ち着いたみたいで良かったよ。でもさ……どこか千聖たちに似たような感覚を覚えたんだけど、とりあえず気のせいってことにしておくか。これ以上問題を増やすと俺の負担が鬼のように重くなるだけだからな

 

 RinRin視点 

 

 妖魔王さんは私の旦那さんなんだからね。誰だろうと渡さないんだから。それがあこちゃんでも、氷川さんでも…… だって毎日優しくしてくれるもんね♪困ってたら助けてくれるし、勉強も教えてくれる。相思相愛だね♪耀太君♡

 

『あこ、そろそろ落ちるね!お疲れさま!』

 

『おう、お疲れ様』

 

これで耀太君と二人っきり♪個人チャットがいいかな~ でも個人チャットだとたまに流れていっちゃうことがあるから夫婦チャットでいいかも♡

 

「妖魔王さん、今度のイベント告知であったんですけど……夫婦専用のクエストがあるみたいなんです!」

 

『俺らにピッタシのやつじゃん!報酬はどんな感じ?』

 

「男性アバターにはタキシード型の防具、女性アバターにはウエディングドレス型の防具です!その衣装が一目見たら気に入っちゃいまして……」

 

あのドレス、すごく綺麗だったなぁ~ 色も黒と白があったけど私は黒のほうが好みなんだけど、耀太君の好みに合わせちゃお♪

 

『見てきたぜ。黒のドレスとか似合いそうじゃん?RinRinってウィザードだし、雰囲気的にも大人っぽいって感じがするからさ』

 

「大人っぽいだなんて……言い過ぎですよ///」

 

ぅぅ……/// 現実世界でも着てみたいなぁ~ あ!そうだ!明日は氷川さんも市ケ谷さんもこれないっていってたから二人っきりでやっちゃおう!

 

耀太視点

 

ピロリン♪

 

 ん?燐子か?こんな時間にどうしたんだろ。明日の生徒会のやつか?あとは……おもいうかばねぇ

 

『こんばんヽ(。・∀・。)ノ♪ 明日なのですが氷川さんも市ケ谷さんも予定があり、これないそうです。もしよければ学校ではなく、私の家で資料整理しませんか?もちろん、耀太君のお家でも構いません(*^^*)』

 

資料整理か。まぁあの量だったら二人でなんとかなるかな。しかも生徒会室あっついんだよな~ 窓開ければ風通りはいいんだけどそれ以上に日当たりがいいから暑さがどうしても勝っちまうからな

 

「それなら俺の家にってちょいまち。確認することがあるわ」

 

確認すること。それは簡単なことだろ?家に呼ぶんだったら千聖達の予定見なきゃならんからな。予定は……千聖とイヴはドラマの撮影で彩と麻弥はバラエティか。全員午後4時終了予定だからなんとかなるかな。ってか来週はパスパレとして(俺も含めて)バラエティやん……出るのはいいが、四人が余計なことしなければいいなぁぁ。ん?日菜は……午前中で終わるやつやん!うん、燐子の家にお邪魔しよう

 

「燐子、悪い。俺の家ダメだから燐子の家でも大丈夫?」

 

『もちろんです(*´∀`)♪資料を取りに行くのに学校にいくので、朝8時に校門前でいいですか?』

 

「了解した。お菓子かなんかつくって持ってくよ」

 

『おぉ!ありがとうございますヽ(。・∀・。)ノ♪それではまた明日ですね。おやすみなさい(。-ω-)zzz』

 

「おやすみな」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

次の朝 AM7:30

 

 準備は万端。クッキーも作ったし、筆記用具とかも全部ある。とりあえず熱いから念のために塩分補給できるタブレット系統のやつもあるしなんとかなるかな。あとは燐子の家に行く前にコンビニででもアイス買えばちょうどいいだろ

 

「しっかし……熱すぎる」

 

学校への道を歩いていると8月ということもあり、かなり熱い。まぁまだお盆前だからな~ これぐらい熱いのも納得がいくよ。てかもうすぐ誕生日やん。今年は母さんたちは帰ってくるかどうかは知らんけど……千聖達がどうなるかじゃね?誕生日ぐらいね、普通にいられるよね!まぁ無理な願いなんだろうけどな

 

「耀太君、待ちました?」

 

「いんや、俺も今来たところだぜ。さっさと資料とってきちまうか?熱いったりゃありゃしないからな」

 

「そうしましょうか」

 

今さ、俺のこと『耀太君』って呼んだ?まぁさん付けよりはかなり親近感わくから全然いいんだけどな。にしても燐子が呼んでくれるなんてな~ 結構引っ込み思案なイメージ強いからさ。今回で一気に変わったわ

 

 

 

 

 そして燐子の家に着いた。今日はちょうど両親は仕事で遠出していて2日は帰ってこないらしい。なんなら泊まっていってとまでいわれたが、流石にそれは悪いし俺にとっては特大の地雷に他ならないからな。だってこの状況も盗聴されてるんでしょ?あとあとヤバくなりそうな気しかしない

 

「とりあえずお昼頃までにできるだけやっちゃいましょうか。お昼ご飯はそうめんで大丈夫ですか?」

 

「時期的にも食べたくなってくる頃だからな。買ってきたアイスと作ってきたお菓子でも摘まみながらやろうぜ」

 

そのあとはしばらくはお互い集中して作業に当たっていた。時々どうしたらいいかわからず質問することはあったが、それ以外は特に会話はなかった。ていうか会話すると地雷踏みそうだからしづらかったんだよな。ごめんな、燐子

 

「そろそろお昼にしませんか?私お腹減ってきちゃって……」

 

「時間的にもよさそうだし、今やってるやつ終わったら食べちゃうか」

 

平和だわ~ 毎日これぐらい平和ならいいのにな。平和っていってもなにもないのも退屈だろ?ある程度はハプニングとかあってもいいけど……千聖達のはある程度ではない。かなりやばいやつ

 

「ゆで上がりましたよ♪薬味は大丈夫ですか?」

 

「なんでもいいぜ。さ、食べよっか」

 

やばい、最近感じてなかった至福の瞬間だわ。てか料理うまいしな?燐子が彼女ならめっちゃいいんだろうな~ まてまてまて!好きな人の候補として燐子ありじゃね!?こんな簡単に決めていいのかどうかはわからんが……頭においておくだけおいておこう

 

 

 

 食べ終わったあとはまた作業に当たった。今度はすこし雑談も入りながらやっていった。まぁ早く進むこと進むこと。逆にこの単純作業が楽しくなってきたよ

 

「耀太君、すこしいいですか?」

 

「どした?なんかあった?」

 

「ここなんですけど、耀太君のサインが必要なんです。名字から全部この欄にかいてもらえますか?」

 

「了解」

 

生徒会の経費のやつかなんかか?まぁいっか。普通に書けばおわるんだしな。ちゃっちゃと~

 

「これで現実でもだね♡」

 

燐子の怪しげな呟きで俺のペンを進める手は止まった。まさかとは思うけどさ?最近は色々とありすぎて用心深くなりすぎって自分でも思うけどこれだけは見ておこう。俺の名前が半分書かれた横の欄には燐子の名前がフルネームでかいてある。うん、ここはなんともないよな。そしてその上の欄は……妻!?はぁ!?

 

「燐子!?これなんな訳!?」

 

「なんなのって……婚姻届だよ?」

 

「・・・はぁ!?」

 

「だってゲームの中で結婚したもんね~♪耀太君♡それともこれならわかる?あなた♡」

 

ゲームの中で!?それにこの呼び方ってまさか……

 

「燐子があのRinRin!?」

 

「そうだよ♪妖魔王さん♡ゲームの中だけじゃなくて現実でも結婚しよっか♪もちろんドレスは黒だよ?耀太君が好きなんだもんね///」

 

燐子の爆弾発言に俺は耳を疑うしかなかった。だってそんな素振り一つも見せてないじゃん!まってまって、ヤバイ。普通にかなりヤバイ。どうしよう……頭の中が混乱しすぎてる……




 告白するよりも先に婚姻届にサインさせる燐子の行動力-w-w ゲームの中だけじゃあきたらず現実でもしようとするなんて……しかもやりかたがかなり強引な手段って言う-w-w さてさて、次回はどんな風に燐子が攻めていくのか、そして耀太はどうやって回避していくのか……お楽しみに!


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22話 愛されてないならこの世界に用はない

 どうもどうもこんばんわ。アインでございます。最近の調子はどうですか?僕は熱中症予備軍になったり、今日は左腕の肘を部活で負傷してレントゲンを撮ったのに原因不明で採血までして……厄日かな?-w-w
 そして今回は燐子がそこそこな暴走をします-w-wどんな攻めかたで耀太を攻略していくのか……読んでみてからのお楽しみですね


「いやいやいや!?なんでいきなり婚姻届な訳!?」

 

 俺はいきなり婚姻届にサインさせようとした燐子に驚きを隠せなかった。だってさ?さっきまでのおしとやかな雰囲気はどこにいったのさ!

 

「サインしてくれないの?」

 

「できるわけないだろ!」

 

「ナンデ?なんでしてくれないの?あなた?」

 

 そういいながら燐子は俺の方に寄ってきた。俺が座っていたのがちょうど燐子のベッドの側で、後ろにいこうとするとすぐにぶつかってしまった。それでも燐子は寄ってこようとする

 

「ちょっと!?燐ブグゥ!?」

 

「私がお嫁さんになれば耀太君の好きなこと全部してあげられるんだよ?耀太君の好きな料理も毎日つくってあげられるし、服装だって全部耀太君の好みに合わせられる。それに私、自分には自信ないけど体にだけは自信あるんだよ?」

 

 燐子はそういって俺の顔を自分の胸のなかに埋めさせる。まって、呼吸がヤバイ。しかもなんだか眠くなってきたし……って寝ちゃダメだろ!

 

「燐子!ちょっとタイム!」

 

「もぅ……もっとしててもよかったんだよ?」

 

「『しててもよかったんだよ』じゃないからな!?」

 

 俺はなんとか燐子の抱き締め攻撃から脱出できた。千聖も彩も紗夜もさ?燐子もだけどさ!?まだ俺ら高校生だぜ!?17歳ですが?まぁ女子は結婚できるよね。でも男子は無理だぜ?んなこといっても俺ももうすぐ18歳にはなるけど……そんな早く結婚は考えてないです!

 

「俺だって18歳で結婚なんて考えてないからな!?それにまだ18歳じゃないし!」

 

「でもあと3日で18歳でしょ?それに男の子はみんなはやく結婚してかわいいお嫁さんほしいって聞いたよ?」

 

 おいおい、どこ情報だよそれ。あんなにおしとやかで純粋だった燐子が目の前で想像とは真逆のことをいってやがる……どうにかして逃げないとな

 

「それとも……私と結婚するのが嫌なの?私じゃダメなの?」

 

「いや、そういうわけじゃなくて……」

 

「なら……いいよね♪」

 

 そういうと燐子は立ち上がろうとしていた俺を自分の布団に押し倒した。しかも俺の右手首にはあらかじめ用意してあったとしか考えようがない手錠でベッドの突起している部分と繋がれて身動きがとりづらくなった。それを見計らって燐子は服を脱ぎ出した

 

「ちょっ!?燐子!?」

 

「これで大丈夫だね。白鷺さんとか氷川さんに負けないように頑張らなくちゃ……ね♡」

 

「頑張らなくちゃねじゃないやん!とりあえず手錠はずそ?」

 

 そこまでいうと燐子の表情は一変した。さっきまではおしとやかさを少し残しながらもいつもの千聖達のような感じだったが、今は完璧にモードに入っているようだった。むしろ千聖達よりやばいんじゃね?

 

「私には耀太君しかいないんだよ?学校でだって一人だし、ゲームでもいつも耀太君と一緒だし、この前生徒会に入ってくれて嬉しかったんだよ?それが氷川さんの紹介だったとしても」

 

「それでもさすがに『それだけじゃないよ?』まだあんのかよ……」

 

「だって言ったでしょ?『相思相愛だもんね』ってね♪いつも耀太君、私に優しくしてくれるもんね。この間だって荷物運ぶの手伝ってくれたし、勉強も教えてくれたし♪」

 

 なになに?女子ってそんなもんで惚れたり勘違いしたりするの?? だって困ってたら助けるのは当たり前だろ?まぁそんなこといったって全員を助けたいって言うほど正義感はないけどさ。できることならやるだけだろ?

 

「それだけじゃんかよ……」

 

それだけ?そんなことないよ♪まだまだ沢山出せるからね」

 

「てかまず相思相愛じゃないからな?俺にだってまだ好きな人とかいないし……」

 

イマナンテイッタノ?耀太君?

 

 ん?俺やらかした?盛大にやらかした?ヤバイヤバイヤバイ!燐子の雰囲気がますます黒くなってくし、さっきまでのおしとやかさはどこにも感じられないんだけど!? 俺地雷踏んだ?地雷って言う地雷は~まさか、「相思相愛じゃないからな?」ってやつ!?んなわけないよな……さすがに…な?

 

「私と耀太君が相思相愛じゃないの?いつもあんなに優しいのに?NFOでも結婚したのに?」

 

「それはゲームの中だしさ?それに優しくしてるって言うか困ってるからであってさ、誰でも助けるぜ?」

 

「そっか。それじゃぁ耀太君は私のこと好きじゃないんだ……それなら心中しよっか♪」

 

「・・・はぁ!?」

 

 心中?心中!?いつの時代の話ですか!?たしか江戸かそこらじゃないっけ……ってちがう、そうじゃない。

 燐子は俺から一旦離れて自分の机で何か探していた。まさかカッターとかじゃないよな?今のうちに逃げねぇと……

 

「あ、あった♪」

 

「やめろよ?まだ死にたくなんてないからな?」

 

「大丈夫だよ?死ぬときは一緒、これ飲めば苦しまずに一緒にいけるから寂しくないよ♪」

 

 そういいながら燐子は錠剤を取り出した。まさか毒かなんか!?めっちゃヤバイやつやん!それだけはどうしても避けねぇと……

 

「な?燐子、考え直そうぜ?」

 

「ナンで?だって耀太君は私のこと好きじゃないんでしょ? 白鷺さんや氷川さんがいるもんね……だから一緒に別の世界にいけば二人っきりだもんね♡」

 

「だからダメだってば!な?もう少し時間かけようぜ?……って電話かかってきてるからさ?ひとまずでよ?」

 

「そうだね。最後の遺言でも話そうかな♪」

 

 なんでそんなことをやすやすと言えるのかなぁぁぁ 最後の遺言とか親とか恋人とかに言うんじゃなくて?まぁ燐子の場合、俺になるんだろうけどな。どうにかして避けないといけないんだけど、どうするかだよな

 

「うんうん、待ってるね。それじゃあまた後でね」

 

「心中とかしないよな?な?」

 

「いまからあこちゃんがお家に来るから……今回はダメだね」

 

 あっぶな!マジであっぶな!その”あこちゃん”に感謝しなきゃな。てか「今日は」ってヤバいやん……

 

「絶対心中しなきゃダメなわけ?」

 

「そうだよ?だってそうしないと耀太君の回りにホカのオンナがいっぱい寄ってくるでしょ?そしたら相思相愛になれないもん」

 

 ん?ちょっと待てよ?そうとは限らんくね?

 

「ならさ?燐子のことを惚れさせて見せてよ」

 

「私の事を耀太君に?」

 

「そうそう。俺だって誰の事が好きとかわかってないからさ。だから最初に俺が惚れたら相思相愛?になるじゃん」

 

 千聖も紗夜もこれで納得してくれたから……燐子ならものわかりいいはず!(俺の中では) 頼む!

 

「そっか…そうなんだぁ~。それじゃぁ私も頑張らなくちゃ」

 

「したらこれはずしてもらえる?痛くてさ」

 

「痛かったの!?ごめんね?耀太君が目の前にいて私と二人きりだったから……」

 

 そういいながら申し訳なさそうに燐子は手錠をはずしてくれた。そう思うんだったら元からしなければいいのにって思ったのは少しあるが、こんなことは日常茶飯事だからあんまり気にしてないけどな。ん?これが日常茶飯事ってヤバイのか……

 

「あの、その……痛くしたお詫びに私の事襲っ『絶対にしないからな!』むぅ……」

 

「頑張って耀太君を魅了して見せるから……そうだ、生徒会長命令使っちゃお♪」

 

 最後の一言はちょっとばかしヤバイ気がするがまぁ許容範囲。めんどくさいことにならなければいいんだけどなぁぁ

 

 

 そのあとは燐子の家にきたあこちゃんことあこも含めてNFOの話をしていた。あこが『聖堕天使あこ』だったらしく、中二病がヤバイと実感した。でもさ?懐いてくれてるみたいだし、妹みたいでめっちゃかわいいんよ。そんなこと思ってたら燐子やら千聖やらに何をされるか…… あと3日で18歳か。俺も年とったもんだな~ まぁ、今年の誕生日は平和じゃないことは確かなんだろうがな。誰が原因とは言わないけれど




 心中とか本当に江戸辺りの風習ですよね-w-w 一緒に見投げしたり、あとは飛び降りたり?でも燐子は薬でやろうとする辺りすごいですよね。しかも今度からは生徒会長命令で呼び出したり、一緒に仕事してみたりとか?-w-w
 次回は耀太の誕生日回をやろうと思います!まぁ千聖さんや彩、イヴがいる辺り平和ではないことは想像がつきますよね-w-w それに燐子と紗夜も来てみたり?まぁそれは次回ですね
そして美咲の投票ですが今日の12時に締め切ります!それでは次回まで~


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23話 耀太の平和(?)な誕生日

こんばんちゃす。どうもアインです。一発勝負の学期末テストも終わり、終業式が近づいてきた今日この頃です。みなさんはこの湿気と寒暖差の中で体調とか大丈夫ですか?僕はやばいです笑笑
そんなことより、今回は耀太の誕生日回です。タイトルにもある通り平和かどうかはわかりませんがね笑笑 とりあえず本編へどうぞ〜


「あっちぃぃぃ 早く家いかねぇと」

 

「暑くて溶けちゃいそうだよ~」

 

 今日は8月14日。俺の誕生日で誰にも邪魔されず一人で楽しもうとしてベッドから出て、下の階に行くと千聖達パスパレメンバーが勢揃い。しかもそんときはまだ7時半な?

 

「あらダーリン、起きたのね♪」

 

「『起きたのね♪』じゃなくてなんで全員いるんだよ……」

 

「だって今日は耀太君の誕生日だもん♪」

 

「それでいつもお世話になってるので誕生日パーティーしようってことになったんすよ」

 

 うんうん、普通にありがたいよ?だけど時間を考えようよ時間を。まぁ全員にスペアキー渡してた俺にも非はあるんだけどな

 

「パーティーの準備するのでお出掛けしてきてください!」

 

「だからよー君、早くいくよ!」

 

 そのまま俺は日菜に外につれていかれた。なんでも、今回は誰が一緒に出掛けるか口論になったらしく公平にじゃんけんで日菜が勝ったんだとか。そして暑すぎる今に至る

 

「何時まで出掛けてればいいわけ?」

 

「えっとね~ 千聖ちゃん達から連絡が来るまで!あとあと、おねーちゃんと燐子ちゃんも来るってよ?」

 

「マジかよおい……」

 

 色々と不味いんだけどなぁぁぁ 燐子がこの間の調子ならどんなことをやらかすかわからないじゃん?まぁ紗夜がいるからって思いたいけどそっちもそっちで怖い

 

「千聖ちゃん?準備できたの?……うん!今いくね!」

 

「準備できたと?」

 

「だって!早くいこ♪」

 

 

 

 

 家に入ると玄関から豪華な飾りつけだった。いやすごすぎだろ。まぁすぐ座ってもよかったんだけど、汗がすごくてベトベトしてるし、さすがにここまでしてくれたんだからって思って一旦部屋で着替えることにした。

 

「早く着替えて『耀太ーーーー!』ってはぁ!?」

 

 部屋のドアを開けるとそこから黄色の長い髪をなびかせた少女。弦巻こころに抱きつかれた。結果的に壁に激突したから抱きつかれたってよりはタックルされたっていった方が正しいのかもしれない。

 

「ちょっとこころ?あんたはさぁ……」

 

「よー君せんぱーい!」

 

「はぐみもだから!」

 

 混乱している俺をよそに、部屋の中からはぐみと美咲も出てきた。千聖達がいるならまだわかるよ。なんでいるわけ!?

 

「よ、耀太くん大丈夫……?」

 

「ふっ……幼馴染みの誕生日にこうやって祝う。あぁ、何て儚いんだ!」

 

「儚いも何もあるかよ。なんでいるかはあとで聞くからさ、とりあえずはぐみとこころは離れようぜ?汗だくだから着替えたくてさ」

 

「いいわよ。そのかわりにいつもみたいに撫でてもらえるかしら?最近してくれてないもの」

 

「はいはい。忙しかったんよ」

 

 こんな姿を下にいる千聖達に見られたりしたら……俺終わるわな。そして満足したこころは俺から離れて花音達と一緒に下へ向かったので、俺は部屋で着替えようとした。だけど一つだけ違和感すごいんだよなぁぁ

 

「美咲はなんでいるわけ?」

 

「なんでって……着替えるの手伝うためですけど?」

 

「いや俺高校生だしな?手伝われなくてもできるわ」

 

「やっぱりそうですよねー。あたしどうかしてたのかなー。あ、それはそうとあたしからの誕生日プレゼント、ベッドの上においておきましたよ。よかったら飾っておいてください」

 

 そういい残して美咲は部屋を出た。プレゼントってこの紙袋の中か?あとで開けるか

 そのあとはみんなを待たせるわけにはいかないから早めに着替えて下へ降りた。まぁ着替えるっていっても部屋着なんだけどな

 

「着替え終わったぞ~」

 

 一同「誕生日おめでと~!」

 

 リビングに入るとみんながクラッカーと一緒に出迎えてくれた。日菜が話してた通り、紗夜と燐子。そしてあこも来てくれてた。まぁ多いのはいいんだけどさ?ちょっとばかし警戒しとくか

 

「さ、ダーリン♪料理が冷める前に食べちゃいましょ♡」

 

「はいはい、わかったから急かすなって」

 

 ここまではまだ平和だな。うん、いつもと比べれば随分と平和。だっていつもなら押し倒してきたり、手錠付けたり、薬飲まされたり?ヤバいやつのオンパレードだからな

 

「よー君よー君、あたしが作ったパンケーキ食べさせてあげるね♪」

 

「日菜!抜けがけは反則ですよ!日菜がそうするなら私も作ってきたカップケーキを食べさせてあげます」

 

「それじゃぁ私はチョコムース食べさせてあげるね♪」

 

 でたよ怒涛の3連発。まぁなんて答えるかはもちろんのこと

 

「うんうん、俺は1人だけしかいないんだから順番な?」

 

「なら、ここで生徒会長命令使っちゃお♡これで一番最初だよ♪」

 

燐子ちゃん?ソレはどういう事かしら?耀太もどうすればいいのか分かってるのよネェ

 

「千聖も落ち着けって。誕生日ぐらい平和にいさせてくれよ」

 

「そう…だったわね……ごめんなさい。取り乱したわ」

 

 なんだろう。最近千聖がやけに素直になってるんだけど。まって、普通に可愛いって思ってる俺がいるんだが?これも作戦か……まぁ、今日はそんなこと放っておいて楽しみますか〜

 そして食べていると忘れかけていた疑問を思い出した。また忘れる前に聞いておくか

 

「そいや、こころ達はなんで俺の誕生日知ってたの?」

 

「それはこの前の練習で花音と薫が話してたのよ!」

 

「それでせっかくだからみんなで子猫ちゃんのためにお祝いしようということになったのさ」

 

「なるほどな。でもさすがにあのタックルは堪えるわ」

 

 そんなこといってもこころの行動力なら見た瞬間にやってきそうだよな。身体的ダメージも精神的ダメージも今後でかくなりそうで怖いよ

 その後は食べさせたり食べさせられたり(割合的には2:8ぐらい)して時間が過ぎていった

 

「それじゃぁそろそろプレゼントタイムだよ♪」

 

「はいはい!最初『最初はワタシです!』ちぇ~ 先越されちゃったよ~」

 

「いや競うところじゃないしな?」

 

 そういうといつものメンツが目を光らせた。だからさぁ……もういいや。麻弥と美咲と花音は困ってるし、あことハロハピ3バカは上の空だし、なんかもうこれが俺の平和なのかな。まぁ退屈はしないし?そのかわりに精神的にも身体的にもゴリゴリと削られていきますが。

 そのあとは順々にプレゼントを貰っていった。靴やら帽子やらパーカーやら、意外と気に入ったのは花音がくれたクラゲの形をした帽子。いや可愛くね?そして最後の最後でこころが切り出した

 

「最後は私ね!黒服さん!アレをお願い!」

 

「かしこまりました。みなさんは庭の方へ」

 

 言われるがまま庭へ行くといつのまにかテーブルが用意されていてその上にはめっちゃでかいケーキがあった。まさかこころからのってこれ?

 

「私からの誕生日ケーキよ!」

 

「今回のケーキはこころ様のご要望でご自分でデコレーションしていました」

 

「おいおいマジかよ。俺なんかのためにありがたすぎるだろ」

 

「愛しい耀太のためですもの♪私も頑張るわ!」

 

 その一言で千聖達いつものメンバーは目を光らせた。いやさ、別に俺はなんともないんだよ?こころはただの可愛い後輩なだけだし……まぁ少なからず恋愛対象には入るけどさ

 

「さ、外だしこんな大きいのだと時間かかりそうなので食べちゃいません?」

 

「そ、そうしようぜ!せっかく作ってもらったんだからな!」

 

 美咲ナイス!マジでこのタイミングでその言葉なありがたいわ。

 その後はまた食べさせたり食べさせられたり、今回はこころが凄かったんだけどな。千聖達もさすがにそこは自重してみくれたみたい。だってこころの笑顔がやばいんだもん!見てるこっちがにやけてきててもおかしくないわ

 

「さぁて、ここまでやったからには片付けだ〜」

 

「片付け疲れる〜」

 

「あこも〜」

 

「日菜、ここまでしたんです。最後までしなさい」

 

「あこちゃんもだよ?」

 

「「はーい」」

 

 そして問題なのは千聖なんだよなぁぁ!だってプレゼントは「また後で♪」って言ってたし、あんまり絡んでこなかったしな?平和だからいいんだけど明らかに不自然すぎて逆に怖い

 その問題はみんなが帰ってから起きた。千聖は家が隣だからって言うことで最後までいたんだよ

 

「ねぇ耀太?私からの誕生日プレゼントはなんだと思う?」

 

「まさかとは思う。絶対ありえないと思うけど自分自身とか言うなよ?絶っっっ対に言うなよ?」

 

「もぅ、なんでよ。今年の誕生日プレゼントは私なのよ?」

 

 だからさぁぁ!なんでそうなるの?最近構わなかった俺も悪いんだけどさ?もうダメだこれ

 

「気持ちだけ受け取っとくわ」

 

「それだけなの?昔みたいに撫でてくれたり、キスもしてくれないの……?」

 

 千聖は涙目で訴えかけてきた。いつもなら演技だと疑う俺だが流石に今回は違うことが分かった。

 

「しゃーなし。撫でるだけだからな?」

 

「えぇ♪」

 

 そういって俺は千聖のことを撫でた。でもこうしてみるとさ、髪はサラサラだし、抱きついてきたらすっぽり収まるだろ?それに普通に可愛いってもんじゃん?俺なんかよりもカッコイイ男子はいるとは思うが、この前の燐子や紗夜みたいに眼中には俺しか入ってないんだろうな。まったく、めんどくさい幼なじみを持ったもんだよ

 

「それじゃぁ私も帰るわね」

 

「気をつけろよ。ったって隣だけどな」

 

 千聖が帰ったあとは風呂に入って直ぐにベッドに寝そべった。そして後で開けようとしてた美咲からの誕生日プレゼントを開けるとミッシェルの形をした羊毛フェルトが6つ入っていた。1つはキーホルダー型だったからせっかくだし、バックに着けてみた。残りの5つはベッドの上の棚に飾ってみた。羊毛フェルトにしては少し重く感じたが、そんなことは気にとめずに俺は瞼を閉じた

 

???視点

 

 そろそろ耀太さんも寝た頃かな? そんなことを思いつつ、あたしはパソコンの端末を開いてカメラを起動する。そこには暗くなった部屋とベッドが映っていた。ちゃんと耀太さん飾ってくれたんだ〜 えっと……黒服さんの説明書だとここをドラッグすると……できた! あたしは視点をずらして羊毛フェルトを動かし始めた。この羊毛フェルトは少し特殊で黒服さんにお願いして動くようにしてもらったのと録画、録音を可能にしてもらった。その目的はただ1つ

 

「………zzz」

 

 耀太さんのことをもっと知るため。あたしの大好きな耀太さん。今日困ってた時に助け舟出してあげたら「ありがとな」って言ってくれたし、ちゃんと料理も分けてくれたし。本っ当にカッコよすぎるもん。運動もできる、勉強もできる。それに生徒会も入ってるんだもんね。あたしはもう耀太さん無しじゃ生きて行けないからな〜 耀太さんがいなかったら……ね。このまま幸せだな〜




さてさて、いつもよりは比較的に平和?だったのかな笑笑 それにしても千聖さんがいきなり素直になって甘え出すなんて狙ってますよね笑笑 そして最後の視点は誰だったのか……まぁ大抵は予想ついてると思いますがね。次回はその正体が明らかになります! それでは次回!


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24話 可愛い後輩にからかわれる今日この頃

どうもどうもこんにちは。具合が悪くて毎日うなされてるアインくんです。最近凄いですよね。天候もすごいしコロナもまた騒がれ始めて……もう大変って言ったらありゃしない
とまぁここまでにしておいて、今回は可愛い後輩ちゃん(2人。主に片方)に色々やられますね。ということで本編へ


「ねっむいんだけど」

 

「キモチよく寝させてあげるわよ?」

 

「遠慮しておくわ」

 

 休み明けの学校ほどめんどくさいことはないと思う今日この頃。休み明けって言ってもまだ夏休み。二学期にある文化祭と体育祭の説明があるからわざわざとうこうなんだけどさ、このだるさわかる?連休明けとかよりも土日休みとかよりもキツいんだよな。そんなことを考えながら朝っぱらから俺の家で朝飯を作ってた千聖と一緒に学校に向かってるって訳だ。なんかもういつもこんな感じだからなぁ~……もう慣れたわ

 

「あら、花音に美咲ちゃんおはよう」

 

「白鷺先輩に耀太先輩じゃないですか。おはようございます」

 

「千聖ちゃんおはよう」

 

 朝から花音の笑顔とかヤッバ。マジで天使すぎて朝から和むんですけど。って考えてると横から怖いんだよなぁ

 

「ヨウタ?朝からナニを考えているのかしら?

 

「なんでもないからさ、とりまコンビニ寄らね?暑いから冷たいもの食べたくなってきたわ」

 

「あ、あたしも行きたいですね。ちょうど学校の近くのコンビニで新作出てるらしいですよ?」

 

 美咲の一言で花音が目を輝かせ、千聖も渋々着いてくるようになった。最近美咲に助けられっぱなしなんだけど?よし、なんか奢っとこ

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「美咲、なんか食いたいものとかある?」

 

「あたしですか?あたしは……耀太さんのオススメとかあります?」

 

「俺の?俺のはやっぱりこのプリンだな。安い割にはうまい」

 

「それじゃそれですね。って自分で払いますよ?」

 

 俺が自分の分とは別に美咲の分もレジに持っていこうとすると少し慌てた様子だった。これぐらいいいのにさ

 

「最近美咲に世話になりっぱなしだしよ。さっきの千聖のやつもな」

 

「いやいやだからって流石に悪いですって」

 

「いいからいいから。ここは先輩としてカッコつけさせてくれよ」

 

「は、はぁ……それならお願いします」

 

 そんな話をしていると千聖が光の灯っていない目で見つめてきたのでちゃんと千聖の分も買ってあげた。駄々こねたから少し高めのやつな?それ渡した時の千聖の笑顔に少し心を掴まれたりして

 

 

 

 

 

「それでねそれでね!この前日菜ちゃんがさ〜」

 

「彩ちゃん、少し落ち着くのよ?」

 

「耀太君耀太君♪今日の夜のクエストなんだけどね」

 

「耀太さん、今後の生徒会の活動ですが」

 

 学校に着くと朝っぱらからいつものメンバーが絡みまくってきた。こうなったらどうするかって?逃げるに決まってるだろ

 

「あれ?耀太先輩、さっきぶりじゃないですか」

 

「美咲か?てことは……」

 

「耀太ーーーーー!!!」

 

「だよなァァァ!」

 

 せっかく千聖達から逃げてきたというのに廊下でいつも通りこころに抱きつきタックルをくらって周りから注目を浴びた。逃げてきたのによ〜

 

「とりあえずこころ?場所を変えようぜ?暑いし屋上とかの方がさ、人目にもつかないし」

 

「ほらこころ、早く行くよ」

 

「そうね!そうしましょうか!」

 

 そういってこころを一旦引き剥がして屋上に向かった。ついでに飲み物も買っていった。暑いこの時期、飲み物は欠かせないだろ?

 

「暑っつい。めっちゃ暑っつい」

 

「そうですよね〜 どうにかならないですかね、この暑さ。ていうか、こころはいつまで耀太先輩に抱きついてるわけ?暑くないの?」

 

「全然暑くないわよ?それにこうしているとなんだか心がポカポカしてくるの!」

 

 言ってる事わかんねぇ……なんか俺の周りってヤバいやつも多いけどさ、結構擬音語使うやつ多くね?日菜は「るんっ♪」でイヴは「ブシドー!」でしょ?イヴのは擬音語って言っていいのかわからないけど、こころはなにか話す度に入れるもんな

 

「美咲もして見ればわかるわよ!」

 

「こころがそこまでいうならしてみますか〜」

 

「ん?美咲?今なんて?」

 

 美咲は何気なく俺の腕に絡みついてきた。いや暑いって言ってたのにさ?なんか千聖に似てる気がするし、なんで耳元に息を当ててるんですかね

 

「なんとなくこころの言うことわかるかも」

 

「これで3人で笑顔になれたわね!」

 

「美咲までなんなんだし」

 

 呆れながらスマホの時計を見ると後10分で授業が始まる時間になっていた。こころと美咲をどうにか引き剥がさねぇと……よし、こうなったらやったるか

 

「こころ、また後でしてやるからな?だからいまは授業行こうぜ」

 

「よ、耀太!?///」

 

 俺は昔、千聖や薫によくやっていたように耳元で囁いた。ついでにこころだから頭も撫でながらな?こうやると千聖も薫も顔を真っ赤にして大人しくなったからこころにも効くかと思ったけど、これはこれで効果絶大?

 

「なら帰りにやってもらうわ!も、もう行くわね!///」

 

「そうしとくれ〜」

 

「こころいっちゃった……これで耀太先輩はあたしのモノですね」

 

「いやさ、美咲も離れてくんね?」

 

「こころと同じことやってくれなきゃ嫌で〜す」

 

 なんやねん美咲まで。そう思っていると美咲は腕から離れてさっきまでこころがいたところに来た。そして狙ったように上目遣いでこっちを見つめてきてものほしそうにしていた。はいはい、やりますよ

 

「いつもおつかれさん。あとでなんでもしてやるからさ、今だけはな?」

 

「言質取りましたよ?絶対に聞いてもらいますからね」

 

「なんでもいいから離れてくれってば」

 

「もちろん離れますよ。それじゃ、まずは放課後から聞いてもらいますからね」

 

 満足したようだったが、どこか悪戯っぽく笑いながら美咲は教室に戻っていった。やれやれ、一体どんなお願いされるんだかね。まぁ千聖たちよりはまともってことは確かだな

 

 

 

 

 

「それじゃ、お仕事行ってくるね!」

「耀太も一緒だったら良かったのに……でもいいわ。来週はパスパレとして収録あるもの♪」

「なんでもいいわ。気をつけてけよ」

 

 午前中だけだったのでかなり早く放課後になった。この後は千聖と彩はバラエティに出るらしいからスタジオへ、俺は最近はラジオによく呼ばれるようになったけどさ?そんなに呼ばれなくていいんだけどな〜

 夏の暑さに頭をやられて机に寝そべって外を見ているとピロリンという電子音がなった。スマホの画面を見てみると美咲からだった

 

『そんなところで寝そべってないで早く校門に来てください。ひとつもお願いしてないんですけど?』

 

「はいはい、今行きますよ」

 

 そして俺はさっさと荷物をまとめて教室を出た。ていうかさ、なんで美咲は俺が寝そべってるのわかったわけ?だって俺がいる教室から校門なんて見えないし、校門からも俺がいる教室も見えないだろ?誰かから聞いたんだろうな

 

「ヨウタさーん!ハグですハグ〜!」

 

「今度はイヴ!?」

 

 下駄箱に向かって廊下を歩いていると今度はイヴにハグされた。最近なんもしてこないと思ったらさぁ……まぁこれで満足するならもういいや

 

「久しぶりにヨウタさんの成分補給デス!これで今日のお仕事も頑張れますよ!」

 

「へいへい、遅れないように早く行けよ」

 

「もちろんです!では、サラバ!」

 

 嵐のように去っていったイヴを見届けて俺は一息ついた。まずなんなんだよ俺の成分ってよ。そんなこと考えてないでさっさと美咲のとこ行くか。と歩き出した瞬間、また電子音がなった。するとまたまた美咲からだった

 

『若宮さんに何抱きつかれてるんですか?そんなことしてる暇あるなら早く来てくださいよ』

 

 うん、明らかにおかしくね?だってさっきの教室のやつならまだわかる。でもさっきイヴに抱きつかれた時は誰もいないし、階段の影になってたから見られることもないだろう。すなわち、誰も見ていないのに美咲が知っていることがおかしいってことだ。ん?我ながら名推理?ってどうでもいいから早く行かねぇと

 

美咲視点

 

「あちゃ〜 流石にバレたかな」

 

 若宮さんに抱きつかれている画像が見えたので流石のあたしも後先考えずに連絡しちゃったけどさ、これはバレたよね。こころやはぐみならまだわかるけど耀太先輩だからな〜 ただでさえ白鷺先輩とか紗夜先輩にあんなに絡まれてるんだから敏感になってるはず

 

「おっす美咲。待たせたな」

 

「本当に遅すぎですよ。一体何してたんですか」

 

「何って、寝そべってた」

 

「まぁいいですよ。早く行きますよ」

 

 意外とバレてない感じかな?このまま隠し通せるなら隠しちゃえ

 そして来たのはファミレス。なんで来たかって言うと夏限定のパフェがあるからなんだよね。しかもあたし一人じゃ食べられないしさ いや〜耀太先輩がお願い聞いてくれて助かったよ

 

「ご注文をどうぞ」

 

「えっと、期間限定のパフェとドリンクでお願いします」

 

「カップル限定の期間限定のパフェとドリンクですね。かしこまりました」

 

「ちょっと美咲!?」

 

「別にいいじゃないですか。これだってお願いなんですよ?本当なら待たせた分ですけどね。それとも、あたしとカップルだって見られることが嫌だったりします?」

 

「いや、それは…その……」

 

 そこまで言うと耀太先輩も諦めたらしく、大人しくしていた。やっぱりこういう所がいいんだよね〜 いつもはめんどくさがり屋だけど白鷺先輩とかに絡まれると自分だけじゃなくて相手に被害が出ないようにするでしょ?今日のこころの時だってね。やっぱり幸せだ〜

 

「あのさ美咲」

 

「ドリンクのことですか?もちろんストローは1本ですよ?それにパフェはちゃんと食べさせてもらいますからね」

 

「そうじゃなくてさ、俺に連絡してきた時どこにいた?」

 

「どこって……校門ですけど?」

 

「それならなんで俺がイヴに抱きつかれてることがわかったわけ?それに寝そべってるのもさ」

 

 やっぱりバレてたか〜 しょうがないな、種明かししますか




どうでした?流石にあれだけやってれば気づきますよね。そして美咲の少し小悪魔っぽいところもなかなか……どんな感じになるんでしょうね〜 ということでまた次回!感想、お気に入り登録、評価、待ってます!


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25話 クマさん後輩と放課後デート(?)

こんばんわ。アインです。世間はもう夏休みムードですね〜 そんなこと言っても部活ですがね笑笑 社会人の方はお仕事お疲れ様です。そんな中でもコロナコロナで大変ですよね〜 うちのじっさまともよく話してます笑笑
そんなことはさておき、千聖さんをほっぽりだして美咲と放課後デートですよ!しかも夏休みの終わりごろに!いいですよね〜 放課後デートとかしてみたいです(学校の周りなんもないだろ)てなわけで本編へどうぞ〜


「それで、どうして分かったわけ?」

 

 あたしはファミレスで耀太先輩に問い詰められていた。ただでさえ白鷺先輩とか紗夜先輩達にやられてるんだからそりゃ敏感になるよね〜 あたしとした事が……

 

「そんなに教えて欲しいですか?」

 

「盗聴ならされたことあるけど流石に今回はわかんないからさ」

 

「盗聴なら抵抗ないんですね。まぁ〜今日あたしが家に着くまでお願い聞いてくれたらいいですよ?」

 

「しゃーなし。千聖達みたいなことは無しだかんな」

 

「白鷺先輩たちにいつも何されてるんですか……あたしは別に変なことはしないですよ」

 

 そう話していると注文したパフェとドリンクが来た。もちろんのこと、ストローは1本でハート型になっているやつと持ち手の先がハート型になっているスプーンがひとつ。しかもパフェにはハート型のチョコが所狭しと敷きつめてあってドリンクにはヘタの繋がっているさくらんぼがひとつ。これって2人で一緒に食べろってことでしょ?やっぱり夏だし、カップル感あるよね〜

 

「ほらほら耀太先輩、早く食べさせてくださいよ。じゃないとあたし帰っちゃいますよ?」

 

「わーったよ。今日だけだかんな?」

 

「それでもいいですよ〜」

 

 耀太先輩はそういうとあたしにアイスを一口、食べさせてくれた。やっぱり美味しいな〜 自分で食べるより好きな人に食べさせてもらうとか本当に最高。いつもより甘く感じるし、耀太先輩の顔見ながら食べれるとか至福だよ。このために毎回毎回ミッシェルの中に入って頑張ってたんだ……がんばったぞ、あたし!

 

「それじゃ、今度はあたしが食べさせてあげますね」

 

「それは流石に悪いわ」

 

「あたしもそういったのに朝プリン奢ってもらったじゃないですか。これでおあいこだし、可愛い後輩がやってくれるんですよ?」

 

「わかったからわかったから。あ、あ〜ん」

 

 今度はあたしが食べさせる側になってちょっと多めにとって食べさせてあげた。すると耀太先輩は少し顔を赤くして最初は目を反らせてたけどちゃんとあたしと目を合わせてくれた。顔赤くして可愛いなって思いながらニヤけてたのにいきなり目を合わせてきたからあたしが目を逸らしちゃったじゃん。不意打ちは反則だって///

 

「おおお美味しかったですか!?///」

 

「まぁな。てか顔赤くね?」

 

「だ、大丈夫ですから!早く食べちゃって他のとこ行きましょ!」

 

「そうだな。早めに食いすぎてむせるなよ?」

 

 動揺してるのバレちゃったかな……うん、絶対にバレてるよね。それでも気にせずにしてるし、ましてやフォローまでしてくれるしね。流石耀太先輩。マジでイケメン

 その後、支払いを済ませて今度はショッピングモールに来た。また耀太先輩に支払い持たせちゃったよ。まぁその話は置いておいて、なんでショッピングモールに来たかって言うとちょっと買い物したくてね

 

「すいませんね。あたしの買い物に付き合ってもらっちゃって」

 

「まぁ別に俺も今日は仕事もやることもないしな。それに可愛い後輩の頼みだろ。断る理由なんてどこにもねぇよ」

 

絶対無自覚じゃん……

 

「なんか言ったか?」

 

「なんでもないですよ!?」

 

 買い物って言っても羊毛フェルトの材料だけだったからすぐに終わった。でもその後にまだ時間あるって言って、なんなら雑貨みたいって言ったから隣の雑貨屋さんに来た

 

「ここ、この前イヴに連れてこられたとこだわ」

 

「若宮さんに?何買いに来たんですか?」

 

「俺の用事じゃないけどな。さて、俺も俺で探し物しますか」

 

 耀太先輩の探し物はかなり早く見つかったらしく、あたしが店の外で待っていると直ぐに袋を持って出てきた。中身はわかんなかったけどね。すると今度はゲームセンターに行きたいって言い出してきたからあたしも時間をとりあえず確認した。まぁまだ大丈夫だったから行くことにした。その途中でなんとなんと意外な人物に出会った

 

「薫さんに麻弥先輩じゃないですか」

 

「こんばんはっすね」

 

「おや?耀太に美咲じゃないか。千聖にだまって美咲をエスコートかな?」

 

「誤解うみそうな言い方やめとけよ。そんなこと千聖に聞かれたら俺がどうなるか……」

 

「最近千聖さんの耀太さん見る視線すごいっすもんね。遮って通りずらいっす……」

 

 麻弥先輩も耀太先輩もそこまで怯えちゃうなんて白鷺先輩何してるんだろう。まぁ薫さんはいつも通りに気楽だよね。幼馴染2人は芸能人なのにさ〜 でもある意味薫さんが芸能人でも違和感ないかも

 

「とりあえず、薫はそれを千聖にだけは言うなよ」

 

「もちろんさ。私をエスコートできるのは私以外に耀太だけなのだからね」

 

「薫さんの理由の意味わかんないんですけど」

 

「薫はいつもこうだろ」

 

 偶然あった2人と別れてゲームセンターにつくと耀太先輩はあたしをプリクラの所に連れてきた。ちょっとまってよ、なんであたしと!?

 

「なんであたしなんかと!?」

 

「この前彩に写真撮る練習しとけって言われたんだよ。俺こう見えてもそういうとこ疎いからさ」

 

「ま、まぁそれならいいんですけど」

 

 結局プリクラを2人で撮った。ポーズとる時なんかはいきなり抱き寄せてきたり、手を繋いでみたり……やってる側もやってる側だと思うけどさ?やられてるほうってもっと恥ずかしいんだよ!?

 

「なんでこんなポーズに!?!?」

 

「なんか次出させてもらうドラマで恋人役やるから慣れときたいんだよね。しかも後輩っていう設定だから美咲が適任だったからさ。気ぃ悪くした?」

 

「いや別にそんなことは無いですけど」

 

 撮った写真をデコるのも任せてくれっていったから耀太先輩に任せたんだよね。そうしたらなんと凄いこと凄いこと。本当にカップルかって思うぐらいだよ。なんでも、彩先輩に写真の撮り方とデコり方をみっちりと教えこまれたんだとか。芸能人としてはそういう所は大事だよね〜 でもこうやってどうどうと後輩とプリクラ撮ってるのはどうかと思うけど

 その後は時間も時間で暗くなってきてたから家まで送って貰うことになった。楽しかったし、そろそろ種明かしと行きますかね〜

 

「そうそう、さっきの質問ですけどね?あれは耀太先輩自身が分かりますよ?身につけてますし」

 

「身につけてる?それってまさか……」

 

「そのまさかですよ。その羊毛フェルト、黒服さんに頼んで録画も録音も出来るような機械を入れてもらったんです」

 

「いや何してんのさ黒服さん」

 

「まぁ黒服さんですからね〜 こころの破天荒さもアレが原因ですよ。それと、他の5個にも入ってますからね?」

 

 そこまで言うと流石の耀太先輩でも驚いたらしく、声を上げていた。そりゃぁ驚くよね〜 あたしも最初黒服さんと会った時驚いたもん

 

「そういえば耀太先輩、ゲームセンターで恋人役やるって言ってましたよね?」

 

「まぁそうだな」

 

「それなら本当の彼女作ってみません?」

 

「ブッッッッ は、はぁ!?」

 

耀太視点

 

「それなら本当の彼女作ってみません?」

 

「ブッッッッ は、はぁ!?」

 

 いきなり投げつけられた美咲の大爆弾発言。いきなりどうした!?!?

 

「な、何吹いてるんですか!?」

 

「いや何もかにもいきなりどうした」

 

「だって恋人の相手役って後輩なんですよね?それならあたしが適任だし、それにそろそろ耀太先輩も彼女のひとりやふたり欲しい頃じゃないんですか?」

 

「んなこといってもなぁ……」

 

 たしかにいれば楽しいと思うし、日常生活も何かしら変わると思うぜ?でもそれをまさか美咲の口からそれを聞かされるとは……

 

「あたしが……なってあげてもいいですよ?耀太先輩の彼女に///」

 

「流石に話が早すぎる。もう少し考えようぜ?」

 

「考えてこの結果ですよ。あたしは耀太先輩に一目惚れしたんです。それから耀太先輩のこと知りたくて頑張ったんですよ?羊毛フェルトのやつもそれなのに、こころには懐かれてるし白鷺先輩達もいるからあたしには目もくれないで……こんなあたしでも少しは見た目には自信あるんですよ?だから今日少し頑張ったんですよね」

 

「そこまで考えてたのかよ……」

 

「それに知ってます?あたしって結構めんどくさがり屋なんですけど、耀太先輩になら尽くせる自信ありますよ?」

 

 いつもの美咲の雰囲気とは裏腹にこころみたいにグイグイと押してきた。普段なら我関せず、自分からはあまり行動したがらないように見えてるけどこうなるとはね。ある意味ギャップかよ

 

「だとしても、今ここで俺が返事を出す訳にはいかない。日菜とか紗夜にも同じようなこと言われてて俺も混乱してるから保留にしてるからさ」

 

「やっぱりそうですよね〜 焦んなくていいですよ?あたしも言えただけでかなり嬉しいんで」

 

「まぁなるべく早く返事は返すよ。それと忘れる前にほい。誕生日プレゼントのお返し」

 

「わぁ〜 すごいですね」

 

 渡したのは一緒に行ったショッピングモールの雑貨屋さんで買ったクマの置物。どこかミッシェルに似てると思ったからさ

 

「あ〜 耀太先輩、最後に一つだけお願いいいですか?」

 

「ん?どした?」

 

 美咲の家の前まで来ると立ち止まって美咲はそういった。理由はともあれ、謎はわかったんだからなんでもいいや

 

「それじゃぁ目を瞑ってこっちを向いてください」

 

「は?まぁいいよ………!?」

 

 美咲の言う通り目を瞑って声のした方をむくとネクタイを引かれて顔を引っ張られた。何事かと思ってつい目をあけると美咲は俺にキスをしてきた。ここ外だぜ!?しかも自分の家の前じゃん!

 

「あたしのファーストキスあげたんで、いつでもあたしに告白してきていいですよ。今日はありがとうございました。おやすみなさいですね」

 

 そういった美咲の顔は月明かりに照らされている笑顔で、とても輝いているように見えた。例えるならこころの事を撫でてる時みたいな顔かな。でもこころはどこか安心したように笑っいたんだけど少し違って、なんか言葉にしずらいけど美咲が「奥沢美咲」として笑ったように見えた。そして今度は屋上でやったように悪戯っぽく笑うと家に入っていった。それを俺は呆然と見ていた….っていうかさ、いきなりされたら混乱するやん!まぁ何はともあれ俺も俺で帰らねぇとな

 

美咲視点

 

 キスしちゃった…… いきなりキスして嫌われたかな?でもあれがあたしのファーストキスなんだよね。そんなことを思いながらあたしはベッドに寝そべりながら耀太先輩とキスした唇に手を当てて感触を確かめていた。

 

「耀太先輩〜 大好きですよ〜」

 

 あたしが今日やれると思ったことはやったんだし、耀太先輩も「保留」って言ってたもんね。白鷺先輩達に負けないように頑張らなくちゃ。こればっかりはこころにも譲らない、譲れないんだから。




盗撮してたけど美咲はどっちかって言うと純粋な感じ?日菜と純粋になりつつある紗夜さん、こころに続いての純粋メンバーの追加です笑笑 そろそろヤンデレ関係が一人増えてみたり、やばくなってみたり?とだけ言い残して次回ですね〜 今回も感想、評価、お気に入り登録待ってます!それと誤字修正ありがとうございます。俺自身見落とすこと多いので笑笑


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26話 お薬の時間です

こんばんわ。アイン君でございます。とりあえず予定としては今日と明日で3つ更新しようかと考えていますのでもし良ければ他のも読んでいただけると幸いです
さて、今回ですが久々のお薬の時間でございます。薬といえば何人か頭に浮かんでくると思いますが最近静かだったあのヒトが出てきますよ〜


 夏休みも終わりに近づき暑さにも慣れてきた今日この頃。俺は1人で悠々自適に休日を謳歌しようとしていた。だがしかし、2本の電話によってそれは夢となって消えていった

 

「耀太、宿題手伝ってもらっていいかしら?日菜ちゃんと彩ちゃん、それにイヴちゃんまでやってなかったらしいのよ」

 

「耀太さん、申し訳ないのですがバンドメンバーの課題を手伝ってもらってもいいですか?どうにも私達だけでは手に負えなくて……」

 

 なんなんやねんマジで(白目)もう夏休み終わるぜ?今日も合わせてあと2日だぜ!? 紗夜のバンドってたしか燐子とあこちゃんも入ってるんでしょ?燐子はともかくあこちゃんはやらなそうだからな……

 どっちも断れることも無く、千聖達パスパレと紗夜達のバンドを俺の家へ呼んだ。10人?家にはいりきらなかったら近くの図書館にでもって一瞬思ったけど日菜がいるから無理っぽいな。なんなら燐子の生徒会長命令で紗夜と千聖がなんて言うか…… ってことだから紗夜達には午後から来てもらうことにした。じゃなきゃ絶対にカオスになる

 

「耀太、連れてきたわよ」

 

「耀太くん助けて〜」

 

「やっほーよー君!」

 

「ヨウタさんこんにちはですね!」

 

 連絡すると早速千聖達がきた。イヴと彩は仕事が午後から入っているから早くしなければならないとの事。麻弥はバイトあるのに終わらせてるんだぞ?そんな事だったら前々からやっておけってなぁ……

 

「残ってる組は何が残ってるの?」

 

「ワタシは…数学と化学が……」

 

「私は歴史と国語だよ!」

 

「誇って言えるもんでもないだろそれ。んで?日菜は?」

 

「あ、あたし!?え〜っと〜ぜ、全部?」

 

 うん、とりあえず一旦整理しようか?彩とイヴはまだ救いようがあるだろ?問題は日菜だろ

 

「ごめんなさいね。私もこうならないように口を酸っぱくして言っていたのだけれど……」

 

「今回の件に関しては千聖は悪くないだろ。まぁ千聖と麻弥はイヴと彩を見てもらえるか?俺は日菜の面倒を見る」

 

「了解したっす」

 

 そういって俺が日菜の方へ行こうとすると千聖に引っ張られた。なに?なんかしましたっけ?

 

「私頑張ったのよ?少しご褒美が欲しいのだけれど……」

 

「また後でな。それより今は勉強の方をどうにかしようぜ」

 

「言質とったわよ?他にも聞かなきゃならないことはアルモノネェ」

 

 千聖がそういうと麻弥が身体を震わせた。まさか麻弥のやつこの前のこと言ったのかよ…やばいわぁ終わったわァ

 

「よー君ここわかんなーい」

 

「そこさっきやっただろ。同じやり『あ!わかった!』はぁ……」

 

 日菜と勉強をしていると集中力が続かなくて度々俺に抱きついてくるのであった。それを見たイヴと彩と千聖の視線よ。特に千聖にはこの前の美咲との放課後デートっぽいのもバレてるからさらにヤヴァイ

 その後、彩とイヴは仕事に麻弥はバイトに向かった。それと入れ違いで紗夜達が家に来た。そしたら燐子とあこちゃん、ギャルっぽい見た目の子と銀髪で身長が小さい子も来た。まさかこの2人が……

 

「うわ〜 すごく広いんだね。あたしは今井リサだよ♪気軽にリサとでも呼んでね〜☆」

 

「湊友希那よ。それだけで十分でしょう?」

 

「まぁそれは置いておいてさ?一体どんだけ課題が残ってるわけよ」

 

 そういうとあこちゃんが身震いをした。予想通りあこちゃんはやってないだろうけどリサは笑って友希那の方を見ていた。おいおいマジかよ

 

「あ、あこは数学と物理がわかんなくて……」

 

「勉強なんて知らないわ。私には音楽さえあればいいもの」

 

「キッパリ言いやがったよ……」

 

「こんなこと言ってて全く手をつけてないんだよね〜。 ごめんね耀太、手伝ってもらえる?」

 

「別にいいけど少し休ませてもらえる?午前中ずっと日菜の面倒見て疲れたから」

 

 俺を困らせた張本人(日菜)は寝息を立ててスヤスヤと寝ていた。これでも生徒会長なんでしょ?どこにもその面影が見れないのだが

 

「午前中から日菜もお世話になってますので、クッキー焼いてきたのでどうですか?」

 

「マジか。なら紅茶でも入れるわ。リサと友希那は飲める?」

 

「あたしは大丈夫だよ〜」

 

「私も構わないわ」

 

 それを聞いて俺はキッチンに向かった。すると千聖も一緒にいたんだけど案の定、目に光が灯っていなかった。まさかなぁ……紗夜達呼んだからか?

 

「ねぇヨウタ?なんで紗夜ちゃん達を呼んだのかしら?」

 

「それはぁ『ちゃんとはっきりと答えなさい?』課題手伝ってって頼まれたから」

 

「そう。ならこの話は終わりね。でもこの間の話は別モノなのよ? なんでワタシが仕事の時に美咲ちゃんとショッピングモールでデートなんてしてたのカシラ?

 

「美咲が買い物で荷物多いって話してたから手伝ってあげようと思ったんだよ。ほら、後輩だし?世話になってるし?」

 

「ならいいわ。ワタシという正妻がいるのだから他のオンナは要らないわよね♡」

 

 何とかはぐらかせてよかったよ。この調子だといつまたこんな感じでバレるか分からんぞ?どうにかして対策を講じないとなぁ

 

「とりあえず、紅茶は入ったから砂糖はお好みでいれてもらって」

 

「あれ?この紅茶って特別なやつだったりする?」

 

「特別かどうかはわからんけど、母さんが送ってきたヤツだよ。確か……フランスからだったはず」

 

「耀太のお義母さんは色んなところ行ってるものね」

 

 うん、千聖が言う通り俺の母さんは父さんを連れて世界中をほっつき歩いている。海外出張に今行ってるけど、どこにいるのかなんて検討もつかない。アフリカ行ったりヨーロッパ行ったり、連絡もよこさないで帰ってきたりするしね?よく父さんも母さんについていけるよ

 

「紗夜が作ってきてくれたクッキーめっちゃ上手いんだけど。紅茶の香りとかとちょうどよく合うわ」

 

「そういってもらえて何よりです。砂糖の分量を変えて正解でしたね」

 

「さてさて、休憩は終わりにして早めに終わらせるぞ。宿題はめんどくさいだけだからな」

 

 その後はそれぞれ残ってる組は順調とは言わずとも少しずつ進めて行った。日菜が駄々こねると紗夜が話して止める。あこちゃんは思ったより集中してて一番最初に終わった。一向にやる気を見せなかった友希那に関してはバンドのことをネタに出すと渋々やり始めた。いやちょろ過ぎだろ

 

「終わったよ〜」

 

「日菜とあこちゃんは終わっても友希那はまだ残ってんのかよ……」

 

「アハハ〜 友希那のことはあたしに任せておいてよ。何とかするよ。それよりさ〜耀太ってやっぱりモテる方?紗夜から話聞いてたけど今日会ってみたら結構タイプかも〜…なんてね☆」

 

「そんなことは無いと思いますけど〜……」

 

 あのね?リサ?別にモテる方とかは思ってないぜ?だってやって当然のことをやってるだけだしさ。しかもそれを言うとちょっとヤバい方向で目を光らせるのがひい、ふう、みい、よ、といるんですよねぇぇぇ

 

「あら?お母さんから……今から出かけるみたいね。私は先に帰るけどくれぐれも変なことはしないのよ?アナタのすることは全て知っているのだからね♡」

 

「へいへいそうですかい」

 

なにはともあれ千聖がいなくなっただけでもかなり気が楽になるんだよなぁぁ っていうかめっちゃ暑いんですけど。クーラーなんてガンガンつけてるぜ?

 

「そういえば言い忘れていましたが、耀太さんのには特別なものが入ってますので」

 

「はぁ!? まさかとは思うけどさ……」

 

「なんといいましたっけ。惚れ薬みたいなやつでしたね。発汗作用と興奮作用があるみたいですよ」

 

 何やってんだよマジでさぁ!? 最近めっちゃ大人しくなって来てて良かったと思ったけどさ?日菜とか美咲とかこころみたいに純粋になってきたと思ってたんだぜ!? マジでなんやねん……

 

「最近学校でも構ってくれませんでしたものね。生徒会に入ったのに市ヶ谷さんや白金さんとばかり話してねぇ……」

 

「いやいやそんなこと言ってもさ?俺だって色々あるしさぁ」

 

「そんなこと知らないですよ。アナタはワタシから離れすぎです。いい加減分かってくださいよ?アナタはワタシのモノなんです」

 

 そう言いながら紗夜は俺に迫ってきた。知ってる?燐子もリサも日菜もいるんだぜ?日菜となんかこの間やらかしたばっかりやんか……

 

「あれ〜? 紗夜と耀太いい雰囲気じゃ〜ん☆」

 

「よーくん?全然るんっ♪てこないよ?」

 

「ヨウタ君?わかってるんだよね?いつでも準備はデキテルンダヨ?」

 

 ほらきたぁぁぁ! リサだって煽ってきてるし?まぁ友希那とあこちゃんは上の空だからな。これはこれでいいんだよ。とりあえず燐子と日菜をどうにかしないとなぁ……

 

「と、とりあえず今日は解散しようぜ!俺も疲れたしさ?」

 

「それもそうだよね〜 さ、帰ろ帰ろ〜♪」

 

 とりあえず今はこれでいいかな。なんとかしてこの体を学校までには治さなきゃな。明日はずっと寝てるかぁ……ってラジオの生収録入ってたはず。でも1人だったからまぁいいかな。そう思ってると紗夜がまた近づいてきた。なになに!? なんかやらかしました!?

 

「忘れ物しましたので取りに来ました」

 

「なんだそういうことか……っっ!!!」

 

 紗夜の忘れ物っていうのはどうやら俺にキスすることだったみたい。日菜も燐子も家から出てて家の中、って言っても玄関にいるのは俺と紗夜の2人だけ。しかも扉も閉めてあるから誰にも見られる心配がないってきたもんだ。なんでこうなるかなぁ

 

「学校でもこれからこうしますか。白鷺さんの目の前でやるのもアリですかね♪」

 

「頼むからそれだけはやめてくれ」




紗夜さんちゃっかりやらかしてますやん。純粋になりかけてると思ったらちゃんとヤンデレに戻ってきましたねぇ。しかもまた薬に手を出すし、学校で千聖さんがいる前でキスする気なんでしょ?耀太がピンチすぎる笑笑 次回は夏休み明けですよ。転校生が来てみたり?? とりあえずお楽しみに〜


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27話 ギャルった魔王は転校生 前編

こんばんわ。アインです。今回はオリキャラが出てきますよ〜 実際、男子ならまだしも女子のオリキャラはあまりいないんですよねぇ とりあえず、本編へどうぞ


「学校だり〜」

 

 今日は夏休み明けの月曜日。ただでさえ月曜日はめんどくさいと言うのに夏休み明けということも重なりやばいほどめんどくさい。課題が終わってないとかそういう事じゃなくて、今日は千聖も彩もイヴも仕事が入っていないからめんどくさいんだよなぁ

 そんなことを考えながら準備をしているとスマホがなった。何かと思うとそこには「紗夜」の文字がある。朝っぱらからなんだよ

 

『おはようございます。今お時間大丈夫ですか?』

 

「準備終わりそうだから大丈夫だよ。なんかあった?」

 

『先日、転校生がうちのクラスに来ることが決まっていたらしくて、学校案内を耀太さんに任せたいとの事です。その打ち合わせでホームルーム前に生徒会室に来てください』

 

「なんでわざわざ俺なんだよ……まぁ分かった」

 

『それでは』

 

 はい。場合によっては二学期初日からやらかすパターンですわ。頼むから転校生さんよ、なにもハプニングを起こさないでくれ。千聖たちが……いいや、俺がカバーしまくればいいんだよ。そうだそうだ、そうしよう(思考停止)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはざーす」

 

「あ、耀太君、おはよ♪」

 

「おはようございます、耀太先輩」

 

 登校して教室に荷物を置いてからすぐに生徒会室に来た。千聖はって? 普通に玄関から出ようとしたらもう既にそこにいたから靴だけ持って裏口から出た。裏口だと学校への距離は短くなるけど、ここらじゃ有名な『地獄の100段階段』っていう100段のめっちゃ急な坂があるんだよ。そこ通ってきたから汗がすごい。とりあえず下着は着替えたけどYシャツは忘れてきたからそのまんま。少し気持ち悪いんだよなぁ

 

「耀太さん、先程連絡した通り、あなたには転校生の案内をしてもらいます。わかってると思いますが、くれぐれも粗相のないように……デスよ?」

 

「はいはい。んで、どこら辺案内すればいい訳?」

 

「とりあえず特別教室と体育館、それと購買辺りですかね。なにかあれば必要に応じて案内してもらえれば」

 

「りょーかいした。まさかと思うけどさ? 俺が案内するからって俺のクラスじゃないよな?」

 

「何言ってるんですか。当たり前ですよ。しかもあなたの隣の席らしいです。妬ましい……なにかあったらもっと強い薬で」

 

「なんもしないから安心しといてってば」

 

 クラスが同じだけなら何とかなった。だけど席まで隣とか……千聖も燐子も紗夜もやばいやん。しかも最近彩は何もしてこないから要注意。いや〜初日なのになんなんですかね、この絶対包囲網は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「耀太♡ ナンデヒトリデ学校にキタノカシラ?

 

「いやいや、生徒会の用事あったからさ?」

 

「それならしょうがないわね… なら帰りは一緒ね♪」

 

 うん、千聖はいつも通り。これがいつも通りって言って安心するとか俺も俺だよなぁ。あとは彩なんだけど……

 

「よ〜う〜た〜くん♡ この前のお仕事頑張ったからぁ ご褒美が欲しいなぁ」

 

「どこで覚えたんだよ、そんな演技」

 

 以前の彩とは考えられないぐらいの甘い声で俺に話しかけてきた。しかも後ろから抱きついてきて耳元でな。なに?なんか変なものでも食べた? 千聖もいるんだからやめて欲しいんだけどさぁ……

 

「頭撫でるだけな」

 

「えへへ〜///」

 

 いつもこれぐらいなら可愛いと思うんだけどさ、既成事実だのなんだのかんだのっていうから怖いんだよ

 

「座ってくださ〜い。ホームルーム初めて転校生を紹介しま〜す」

 

 担任の先生が入ってきてそういった。俺と紗夜、燐子以外は初耳だったらしく、一瞬騒がしくなったがすぐに収まる。そして先生に名前を呼ばれて入ってきたのは濃い青色の髪をしてポニーテールを決めて、紫色の縁のメガネ、怪我でもしたのだろうか顎に絆創膏を付けた女の子が入ってきた

 

「私は黒羽(黒羽)サーリャ! マミーがフランス人でパピーは日本人!絶賛彼氏募集中!よろしく!」

 

「ということなのでよろしくお願いします。黒羽さんは真宮君の隣の席へ」

 

「はーい☆」

 

 うん、第一印象を一言で言い表しますと……ギャル! もうホントに純正のギャルやん。リサもギャルっぽかったけど比にならんぞ。しかも彼氏募集中とかこの学校で男子っていったら俺しかいないんだけど!?

 

「黒羽さん、よろし『ストップ!』どうしたの?」

 

「妾は黒羽サーリャでは無い。魔王の血を受け継ぎし、じきに世界を征するものとなる……妾こそ、『サリヤス』である!」

 

「・・・はぁ?」

 

 なになに、今度は厨二病?あこちゃんみたいなやつ? つまりリサとあこちゃんのハイブリット的な……めちゃんこめんどくさいやつやんけぇ

 

「サーリャちゃん、耀太は私のモノだから手を出さないでね?」

 

「いいえ、私の物です」

 

「ちがうもん!私のだもん!」

 

「私がお嫁さんだよね?」

 

 おいこら。何吹き込んどんじゃこら。ん?でもその方がサーリャも彼氏募集とかいわなくなるか。これはこれでありがたい

 

「こ、こんなにも伴侶が沢山……貴様、もしや魔天使の血が流れておるな!」

 

「いや俺は列記とした人間ですk『そんなことより学校教えてーー!』どわっ!?」

 

「それじゃぁ真宮君と黒羽さんは1時間目は学校探検ということで」

 

 早速ギャル兼厨二病に振り回されております耀太です。1時間目だと言うのになんなんだい? とりあえずさっさと案内しますか

 

「サー『サリヤス!』サリヤスはまずどこ行きたい?」

 

「まずは〜体育館に行きたいでごじゃる!」

 

「へいへい」

 

 ごじゃるとかどこぞの伸びる尺持ったお子様ですか。ちょっと色んな意味で日本語の知識を間違えてる気がするんだけどなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

「すっごく広いじゃん!」

 

「まぁ敷地も敷地だからな。あと別で武道場とプール、第2体育館もある」

 

「そうだ!バスケしよう!バスケ!」

 

「鍵借りられたらな」

 

 案の定、楽々と鍵が借りられた。警戒薄すぎだろ……まぁここの学校はサボりっていう名目で部活の練習するからな。これぐらい当然なんだろう

 

「んで、フリースローでもやる?」

 

「もちろん1体1! 我が身に宿りし煉獄の力の前にひれ伏すがいい!」

 

 という訳で1体1をすることになった。とりあえずハンデとして俺は左手だけを使う。例外枠はシュートのみってことにした

 その後、準備運動として軽くフリースローを何本かずつやった。さてさて、ほどほどにいきますか

 

「さぁ、妾の身に宿りし煉獄の力よ!今ここに放たれよ!」

 

「なんでもいいから怪我だけはするなよ」

 

 始まった瞬間、俺は身構えた。が、サーリャはボールをつきながらゆっくりとこちらに向かってくるのであった。ん?なに?もしかして運動音痴的なやつ?

 

「あの〜サリヤス?」

 

「見たか!これが妾の……ってあ!」

 

 ちょっと大人気ないとは思ったけどボールを取った。いや、確信したわ。サーリャは運動音痴だろ

 

「うぅぅ……ずるいずるい!付呪するな!」

 

「何もしてないしさぁ……わーったから。ボール渡すから」

 

 ボールを渡して試合再開。今度はボール取るフリしてサーリャにいれさせて満足してもらう作戦。何とかなりそうだよな

 

「煉獄の炎よ!妾に力を!」

 

「抜かれたわァ」

 

「くらうがいい!煉獄魔球!」

 

 ゴール目の前でジャンプしたサーリャはボールをゴール目掛けて投げる。ん?ジャンプ?運動音痴が?

 

「あっぶねぇってんの!」

 

「うわっとっと」

 

 サーリャは俺の思った通り、着地する時に滑ってよろけた。しかもボールはゴールポストにあたって跳ね返ってきていた。とりあえずサーリャを受け止めてからボールを手で弾いた。と思ったら弾ききれずに俺の頭にぶつかった

 

「いってぇ!」

 

「ダダダダ大丈夫!? 耀太君?頭痛くない? 怪我してない!? 」

 

「んな事よりお前だろ。足くじいてないよな?」

 

「ま、まぁだい…じょうぶ」

 

 とりあえずサーリャを座らせておいて鍵を返してきた。そして腕時計を見るとあと5分で終わるので教室に戻ることにした。あとはお昼休みにでもかな。うん、千聖達から逃げられる口実が出来て良かったわぁ




ということです。あこよりちゃんと語彙力あるのにギャル気質が強いって言うね笑笑 さて、次回は前編があるということで後編です。どうなるんでしょうね〜笑笑


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28話 ギャルった魔王は転校生 後編

本日二度目のこんばんわ。今度はヤンデレを更新です。暇人の極みですので笑笑 さて、今回ですがサーリャがいる事でいつものメンバー、特に微笑みの鉄仮面様がアクションを起こします。さぁてどうなるんでしょうね〜


「耀太、お昼ご飯食べましょ♪」

 

「悪い。サーリャの案内まだ終わってなくて」

 

「なら私も行ってイイわよね?」

 

 サーリャちゃんが転校してきた初日のお昼休み、私は耀太と一緒にお昼ご飯を食べようとしたら断られた。ナンデ? ドウシテ? 私は耀太の正妻なのよ? 

 

「いや、今日はさすがにさ?」

 

「『さすがに』ドウシタノ?」

 

「はぁぁ……わーったよ。今日泊まっていいから今は勘弁して」

 

 そういって耀太はサーリャちゃんと何処かに行ってしまった。なんでこんなに最近避けられるのかしら。でも泊まれるならいいわね♪ 

 

「黒羽さんの案内を任せたのは失敗でしたね」

 

「サーリャちゃんにヨウタ君が盗られちゃう……盗り返さないと」

 

 ここで私は閃いたの。本当ならしたくないんだけど、今回の場合は特別。だって転校してきたばかりのサーリャちゃんに耀太が盗られちゃう緊急事態なのですもの

 

「彩ちゃん、ここは一旦休戦してサーリャちゃんを一緒に耀太から遠ざけない?」

 

「あ! いいかも! ヨウタ君のお嫁さんは私なんだから……♡」

 

 そして彩ちゃんと一緒に耀太とサーリャちゃんを尾行し始めた。まず行ったのは購買部。ここで何をするの? 

 

「ここが購買部。パンとか弁当もあるし、デザート類とかもそこそこ揃ってる」

 

「そっか〜。ならプリンと〜あんぱん! それとそれと〜……」

 

「なんであんなに食べるのに太らないだろう」

 

 彩ちゃん? そこじゃないわよ? ちゃんと腕の当たりを見て見なさい。耀太の腕をさりげなく掴んでるじゃない。ワタシの耀太よ? ワタシの耀太の腕よ? ナンデ私の許可なく勝手に触っているのかしらねぇ

 

ワタシの耀太なのに。ワタシだけの耀太なのに。ワタシが耀太の正妻なのに。ワタシが耀太のことを1番知っているのに

 

「あれ? 千聖ちゃん、ヨウタ君とサーリャちゃんは?」

 

「いつの間にか居なくなってるわね。私としたことが……」

 

 白鷺千聖、一生の不覚ね。早く探さないと

 

 

 

 

 

 

 

耀太視点

 

 サーリャの案内中に購買部に立ち寄ったのだが、後ろから発せられる2つのドス黒いオーラに圧倒された俺はサーリャが買うものを買った途端にそそくさとその場をあとにした。こういう時には生徒会室に逃げ込むのが1番。この時間なら有咲がいるはず

 

「耀太? どこいくの?」

 

「ちょっとした場所。まぁついてきなって」

 

 そして生徒会室の目の前に立つ。ここなら安心……と思った俺なのだが、ドアノブに手をかける手前で止まった

 

「耀太? 入らないの? お昼休み終わるよ?」

 

「それもそうなんだけど……いや、はいるか」

 

「やっぱり来ましたね」

 

「待ってたよ♪ 耀太君♡」

 

 ですよねー(棒) 有咲もいるけど俺らのことを見て「やれやれ」とでも言いたげに首を振った。そんな目で見られてもしょうがないよな。だって俺だって大変なんですもん! 浅はかな考えで来たらこうなりました! もうやけくそだ! 

 

「サリヤス、俺がいればここで昼飯食べていいよ」

 

「ほんと!? ヤッター!」

 

 はしゃいでるサーリャを外に、その場にいた燐子と紗夜は詰め寄ってきた。うん、こうなることはわかってた。どうしようも無いし、逃げられるわけがない

 

「誰の許可を得て言ってるんですか? それなりのことをしてもらいますよ?」

 

「ねェ、生徒会長は私だよ? 私が言ったら耀太君のことも全部私の自由にできるんだよ?」

 

「もうなんでもいいから少しでも平和に居させてくれってばぁ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、お昼休みは生徒会室にこもっていたのだが、紗夜と燐子に詰め寄られていたのでお昼ご飯は食べてません。すっごくお腹減りました! 

 

「よ〜う〜た♡ 早く帰りましょ? 今日はお泊まりだもの♪」

 

「その前になにか買って行っちゃダメ?」

 

「ダメに決まってるわよ? ご飯なら帰ってから私が作ってあげるから安心して♡」

 

 というわけなので家に直行してソファーに座らせれてます。キッチンでは1人ご機嫌な様子で料理をしているエプロン姿の千聖。作る味自体には不安はない。でも不安があるとしたら入れるモノである。彩とか紗夜みたいに薬とか? 燐子みたいに心中とか言い出してみたり? それか前みたいに酒入れて酔っ払わせてみたり? 何が来ても後々厳しいことになるんだけどなぁ

 

「耀太、出来たわよ♪」

 

「最初に聞いておく。何も入れてないよな?」

 

「それは〜食べてからのお楽しみ♪」

 

 そう言いながら作ったものを口に突っ込んできた。いや強引だしな? でもいつもなら口移しとかだからそれよりはまだマシかもしれない

 

「お味のほどは?」

 

「悪くはな、い……?」

 

「おやすみなさい。耀太♡」

 

 放り込まれたものを飲み込んで少しすると意識が途切れて、俺はそのままソファーに倒れ込んだ。あらかた睡眠薬でも入れたんだろう。もうなんでもいいや

 

千聖視点

 

「ちゃんと寝てるわね♪」

 

 かなり強めの睡眠薬を入れた食べ物を食べた耀太はぐっすりとワタシの膝の上で寝ている。いつ見ても寝顔は可愛いものね。早くワタシだけのモノにしないと♡

 

「今はこれだけで許してあげるわ。今度は…既成事実でも作ろうかしら♪」

 

 そういいながら私は耀太の首筋にキスをした。しっかりとキスマークが残るように深く、強く。これで耀太に私のマーキングができたわね♡




耀太を寝させてから首筋にキスマークを作って『自分のモノ』と分かるようにマーキングする千聖さんよ笑笑 最近静かでしたからねぇ。多分、次回もやらかすかも。そしてボチボチと文化祭が近づいてまいります。ここで宣言しておくと、文化祭がかなり大きな節目的なやつになるかもです。この宣言覚えておいてくださいね?テストだします夜笑笑


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29話 文化祭まであと少し

ひっさびさの更新です。
遅れました。ごめんなさい。
考えてたのに内容めっちゃ薄いです。
文化祭編で色んな意味でやばい事になります。
こっから5話ぐらい(予定)で終わると思いますが、頑張ります。


「というわけで文化祭の案ですが……なにかありますか?」

 

「私はあまりありませんね。耀太さんはありますか?」

 

「俺は〜……後夜祭でダンスパーティーとか?」

 

「耀太先輩じゃそれが限界ですって」

 

 文化祭シーズンに差し掛かった今日この頃。俺は朝から生徒会室で会議をしていた。日菜がいる羽丘も、近くにある月ノ森も文化祭の日にちが近いらしいからな。それはともかく、俺は後夜祭で誰か誘ってダンスでもしたい。っていっても誘えそうなのは限られてるんですけど。だって文化祭の後夜祭って青春って感じするじゃん? 俺の青春、高校生活は……ヤンデレしか記憶にねぇ! 

 

「とりあえずお昼休みにもう一回集まれますか?」

 

「俺は何とかする」

 

「私は大丈夫です」

 

「私もです」

 

 そんなこんなでお昼休みに再集合することになった。生徒会で出し物とかするなら……無難に喫茶とか? いやまて、冷静になれ。絶対にバカする野郎共がいるじゃないか。黄色い髪とかピンクの髪とか翡翠色の髪とか黒髪ロングとか。

 

「ヨーター! 見て見て! このパン美味しいの!」

 

「山吹ベーカリーのやつっしょ? あそこのパンがうまいのは知ってる。っていうか咥えながら走ってくるなし」

 

 教室に入るとサリヤスがパンを咥えながら向かってきた。もちろんその両手にもパンを持ち、ほっぺたにはこれでもかとぐらいにパンが詰め込まれている。いやハムスターかいな。

 

「ヨウタ? 遅かったみたいだけど何を話してきたのかしら?」

 

「普通に文化祭についてですが」

 

「ホカには?」

 

「何も話してないです」

 

 当たり前のように突っかかってくる千聖。今日は彩は仕事でいないからまぁまだ安全。でも明日から1週間は土日しか仕事入ってないから大変なんだよなぁァ…脳死するかも。

 

「もう文化祭ね。今年は何やるのかしら」

 

「去年は出店やったろ? だったら喫茶店でもいいんじゃね」

 

「コスプレしましょうか? 耀太の好きなようなの着てあげるわよ? ほら、この前のバラエティーできたチャイナ服とかはどう?」

 

「どうでもいいから断固拒否」

 

 結局、このあと燐子と紗夜まで入ってきてややこしくなった。燐子はコスプレするならウエディングドレスとか言うし? 紗夜はミニスカ警察とか言うし? なぜかサリヤスは魔女とか言うし……ハチャメチャ大混乱。ていうか紗夜さんよ、あんたは風紀委員なのに自分から率先して風紀を乱しに行ってなにしてんねん。

 

 

 

 そしてお昼休みになる。千聖は説得(花音に半分任せて)して回避。イヴからは猛ダッシュで逃げてこころは美咲に任せた。もうこの時点でへとへとなんだけど。

 

「もう疲れた」

 

「耀太君、お弁当食べる? ちょっと多めに作ってきたの」

 

「耀太さん、お腹減ってませんか? 耀太さんの分も作ってきました」

 

「( 'ω')ふぁっ」

 

 打ち合わせをしていたのかと思うほどの同じタイミングでそういった燐子と紗夜。知ってる? 俺も自分の分あるんだよ? 

 

「燐子先輩と紗夜先輩が洗脳されてる……」

 

「いや俺そういうの出来ないからな?」

 

「食べてくれる?」

 

「どうするんですか?」

 

 朝飯も普通に食ってきたし、自分用の弁当もそれなりの量がある。ここは二人には悪いけど断るしかないか。

 

「悪いけど今日は遠慮『流石耀太先輩。そういう所やりますよね』……美味しく食べさせていただきます」

 

 有咲に当たり前のように毒を吐かれて渋々食べることに。いやさ、有咲に言われることはもう慣れてるんだよ? (いやおい)でも言った瞬間の二人の目よ。光は灯ってないし、燐子はカッターナイフ取り出してるし、紗夜はポケットから薬を出したんだぜ!? いや無理。抵抗しても絶対に逃げられない自信がある。

 

「そうですよね。食べてくれますよね」

 

「頑張って作ってきたからね。どーぞ♡」

 

「はい……」

 

 食べていてもすごい威圧。有咲は相変わらず俺の事を汚物扱いだしな? 後輩にこんな扱いされるなんて悲しすぎるわ。

 

「あのさ、有咲。なんでそんなに俺に対して対抗心湧くわけ?」

 

「先輩がタラシだからですけど。私は燐子先輩と紗夜先輩の味方ですから」

 

「俺なんかやったかなぁ」

 

そうやって去年のことも忘れてるんだから……

 

 そんなこんなで話していると、突然俺の電話がなった。仕事の電話? でもこんな時間にかかってくるなんてな。ま、でるか。

 

「もしも『よーくーん!!!!!! 』耳いてぇ」

 

 電話の主は日菜。しかもめっちゃ声でかかったから耳痛いし。てかなんやねんこんな時間に。

 

「どしたわけ?」

 

『おねーちゃんに電話かけても出ないからよーくんにかけたの。それでねそれでね、今花咲川にいるんだよ!』

 

「は? マジ?」

 

 まさかと思って窓から校門を見てみる。すると電話を耳に当ててこちらに手を振る日菜と渋々ついてきたっぽいつぐちゃんがいた。やっぱ日菜の行動力パネェわ。

 

「紗夜、燐子、校門行こうぜ」

 

「ナンデですか? お昼ご飯食べてる最中じゃないですか」

 

「そうだよ? ちゃんと食べてくれるんだよ….ネ?」

 

「とりあえずこっから校門見てみ」

 

 二人の威圧に怖気付きながらもそう言った。燐子はともかく、紗夜は校門の方を見るなり頭を抱えて大きめのため息をついた。まぁそうなるよな。だって日菜だから行動予測不可能でしょ。ため息つきたくなるのもわかる。

 

 校門に着くと、すでに人だかりができていた。だってお昼休みだもん。暇人だらけだろうし、日菜もアイドルだし、出来る理由にはなる。でもそうやって考えると俺も芸能人って枠に入るのか? まぁバレないから変装も何もしないんだけど。

 

「あ! よーくん! おねーちゃん!」

 

「全くあなたって子は。なんでわざわざお昼休みに来るんですか。せめて放課後でしょう」

 

「だって早く話したかったんだもん。それによーくんとも会いたかったし♪」

 

「だからって抱きつこうとするなよアホ」

 

 日菜は「ケチ〜」と言いながら頬をふくらませる。まずさ、学校でしょ? あんたはアイドルで俺は芸能人(?)でしょ? ついでに紗夜と燐子がいるんだけど? ちょっとはわきまえて欲しいけど不可能だってことはわかってる。

 

「んで、わざわざ何しに? 話したかったって何をだよ」

 

「んとね、えとね。つぐちゃん、あの紙ちょうだい!」

 

「こ、これですか?」

 

「そうそう。じゃじゃーん! 羽丘と花咲川と月ノ森の3校で合同文化祭をやろって話!」

 

 その爆弾発言に俺たちは疑問符を頭にうかべた。2校ならまだしも3校? しかも合同!? チョットナニイッテルカワカラナイ。

 

「あなたはまた無鉄砲なことを……本当に出来ると思ってるの?」

 

「出来るもん! 絶対るんっ♪ てするよ!」

 

「だからってなぁ……」

 

「よーくんっ♪ お〜ね〜がいっ♡」

 

 狙ったかのような上目遣いと甘い声の大人の色気コンボ。あのさ、俺それに弱いの知っててやってるよね? 狙ってるよね? 確信犯だよね!? こうなったら最終手段だな。

 

「って言ってますけど、どうします? 生徒会長」

 

「わ、私!?」

 

 ここで最も権限をもつ生徒会長である燐子にバトンパス。あとからなにかされるのは目に見えてる。だけど何とか避ければ…いや無理か。諦めよう。

 

「耀太君がいいって言えばいいよ?」

 

「結局俺かいな」

 

「やろーよー。絶対にたのしーからー。るんっ♪ てするからー」

 

 そういいながら俺の肩を掴んで揺すってくる日菜。さっきの大人の色気は消え去り、ただの駄々っ子になった。はぁぁぁ……しょうがないか。

 

「分かった分かった。やるから。やります」

 

「ほんと!? 言質とったよ! この会話は羽丘で放送してあるから♪」

 

「いやそれは想定外」

 

 流石の紗夜も今まで見た事がないぐらいの大きなため息をついていた。

 

「とりあえず、3校の生徒会と先生で話し合わなきゃダメよ。予定は後で連絡するわ」

 

「それじゃあたしは月ノ森の生徒会長に連絡しとくね!」

 

「生徒会じゃない俺は関係ないからおさらばってことで」

 

 めんどくさくなりそうだったから適当な理由でその場から逃げようとした時、俺の制服の袖を燐子が引っ張った。何事も無かったかのように逃げ去ろうとしたけど、いつもオドオドしがちで、運動から縁が遠い燐子とは思えないほどの力で引っ張られたから少しよろけた。

 

「え、ちょ、なに」

 

「耀太君だって生徒会でしょ? 違うノ?」

 

「望んで入った訳では無いのですが()」

 

「それならいいよ。耀太君は今から生徒会副会長で学校では極力私と一緒にいること。お昼休みは生徒会室で一緒にお弁当。家に帰ってからは2人だけでNFOやる。絶対だよ?」

 

 声のトーンが低い。故に恐怖を感じる。って言う訳ではなかった。紗夜とか千聖が今の燐子みたいに言うならかなり怖いって感じると思う。でも今の燐子からは恐怖よりも、なんか言いずらいけど気を抜いたら俺の全部を支配されるかもっていう不安を感じさせられる。

 

「も、もし断ったら?」

 

「断れるわけないでしょ? 生徒会長命令だもん♡だから……話し合いもちゃんと一緒に来てくれるヨネ? じゃないと……ワタシ、なにするかワカンナイヨ? 

 

 周りにいる紗夜たちに聞こえないように俺の耳元で燐子は囁いた。千聖達とは別の意味の恐怖。俺に危害を加えるんじゃなくて、俺の全てを管理しようとしてる。一瞬、俺の中でそれでもいいんじゃないかって考えが浮かんだ。だってそうしたら千聖と紗夜、彩にイヴにも絡まれなくて済むし、燐子の相手だけしてればいいから絶対に楽。

 

「ね? ワカッてクレタ?」

 

「はいはい。行きます行きます。喜んで行かせていただきます」

 

 だとしても俺はそうはなりたくない。だって退屈だもん。千聖の相手してるのも、紗夜の相手してるのも、彩の相手してるのも、イヴの相手してるのも全部俺の日常。生徒会室で有咲に毒吐かれてる事だって、サリヤスにツッコミ入れるのだって、こころにタックル食らうのも全部な。身体的にはかなりしんどいけど……なんやかんや、俺は笑ってられるからな。これが一番なんだよ。




部活の大会でど戦犯カマして東北大会逃してガン萎え中です。っていうか、かなり病んでます。このまんまならヤンデレ書けますかね?多分めっちゃ病み満載笑笑

そんな話は置いておいて、燐子も燐子ですよね〜。生徒会長だからあの場ではなんでも出来ちゃうし……恐ろしい。それでもヤンデレ軍団に絡まれることを日常として笑ってられる耀太ですよ。めっちゃかっこええ。


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30話 普通ってなんだっけ

こんばんわ
ストーカーされます
普通を求めます

この2人ですね。ストーカーはわからないかも(お前だけしかわからんよ)でも普通を求める方は分かりやすい?まぁとりあえずどうぞ


「はぁぁぁぁ……」

 

「どうしたんですか?早く行きますよ」

 

「早く行かないとNFOやる時間無くなっちゃうよ?」

 

3校合同文化祭をやろうという話を日菜が持ちかけて来た日から2日後の放課後。俺は紗夜と燐子に腕を引っぱられながら月ノ森に向かっていた。もちろん、最初は逆方向の家に向かってたぜ?バレないかと思ってたら燐子が校門で待ち伏せしてて、紗夜もあとから合流……キッついわぁ。

 

「着きましたね。たしか校門で日菜と待ち合わせだったはずなのですが…『よーくーん!!!』噂をすれば」

 

「だから抱きつくなら俺じゃなくて紗夜にでも」

 

「おねーちゃんでもいいや♪」

 

俺が立っていた場所に日菜がいつも通り向かってきたから紗夜を引っ張って身代わりにした。だってこうでもしないと……な?

 

「ヨウタさん?アナタ、何してるかわかってるのよね?」

 

「なんもしーらね」

 

「あ!紗夜さん!」

 

「日菜せんぱ〜い」

 

紗夜の威圧をものともせずに話しかけてきたのは、いかにも高校生活を満喫してそうな雰囲気のクリーム色の髪をした女の子と、ちょっと掴みどころがなさそうなピンク色の髪をした女の子だった。

 

「羽丘と花咲川の生徒会の方ですね?お待ちしてました。私は月ノ森の生徒会長。3年B組の美剣 桜弥(みつるぎ さくや)と申します。以後お見知り置きを」

 

そしてその奥からツカツカと歩いてきた銀髪ロングの生徒会長も俺たちに挨拶をしてくる。返したかって?もちろんNoだよ。紗夜に威圧されてて、燐子はニコニコしながら俺の方を見てて?返せるわけないだろ!

 

「紗夜さん?大丈夫ですか?」

 

「いたんですね。耀太さんのお説教のことを考えていたらつい自分の居場所を忘れていました」

 

「日菜先輩は何してるんですか?」

 

「大好きなおねーちゃんにぎゅーってしてるの♪本当はよーくんにしたいんだけどな〜」

 

「ダメ。絶対」

 

俺の説教考えてて居場所を見失うとかマジかよ紗夜。お前どんだけやねん。って言ってると燐子もこわいんですけど!つぐちゃんと有咲は傍観してるし。有咲に至っては呆れてるし!つーか、こっちのピンク色の髪の子、どっかで見覚えあるような感じがするけど……

 

「日菜さんのそれって普通なんですか?」

 

「大好きな人にぎゅーってするのは普通なんじゃない?」

 

「そうなんですか〜。普通なんですね〜」

 

そう言ったピンク色の髪の子はユラユラとおぼつかない様子で俺の方へ向かってきた。

 

「それならこうやって抱きついても普通だよね。()()()()()♪」

 

その言葉と共に抱きついてきたピンク色の髪の子。思ったより力が強く、肋の辺りが少し痛い。でも、俺はこの感覚に身に覚えがあった。たしかこれは4年ぐらい前の……

 

「ナナ!?離せって!」

 

「やっと思い出してくれたんだ〜。寂しかったな〜」

 

俺はこいつのことを知っている。なんなら知ってなきゃおかしい。こいつは広町 七深。俺の母さんの妹の子供。要するに従姉妹って訳だ。最後に会ったのは4年前。ナナの小学校卒業祝いのパーティーの時か?

 

「ほら、私だって今年で16歳だよ?約束通りお嫁さんにしてくれるよね。だって普通なんでしょ?好きな人に告白して、好きな人と一緒に普通に幸せになりたいって思うのは。教えてくれたもんね。よーちゃん♡」

 

みるみるうちに俺の血の気が引いていく。昔からナナのことは苦手だった。何をするにも俺のあとをついてきて、俺のすることなすこと全てを真似する。しかもそれを俺以上に完璧に近くできていた。要するに天才。日菜と似たようなもんだな。だから俺は気味悪がって、できるだけ距離を置いた。それでも諦めないでついてきた。だから俺はこう言った。

 

『16になって、普通になってたら結婚でもなんでもしてやるよ』

 

今思うと墓穴掘ってる。昔に戻って言ってやりたい。無理ならちゃんと断れってな。現在進行形で出来てないんですけどね()

 

「よーくん、どういうこと?」

 

「耀太さん?まだわかってないんですか?アナタはワタシのモノ。ワタシはアナタのモノなんですよ?」

 

「耀太君、今すぐ広町さんから離れて私のところに来て。生徒会長命令だよ」

 

日菜は少し涙目、紗夜と燐子はどす黒いオーラ……俺オワタ?

 

「透子さん、これはどういうことなんですか?」

 

「私にも分からないんですけど……とりあえず耀太先輩から離れたら?」

 

「それじゃぁまた後でハグしよ〜」

 

透子?が言ってくれたからナナは離れてくれたけど……どうしよ。絶対にきついってば。

 

「と、とりあえず話し合いしね?来た目的それだし……時間もな?」

 

「それでは、生徒会室へご案内します」

 

月ノ森の校舎はまぁ凄いこと。金持ちが来る学校ってだけあって高そうな壺やら絵画やらがそこら中にあった。母さんもここのOBだっけ?高校花咲川で良かったわぁ。ここなら色んな意味で結構息苦しいかも。

 

話し合いは結構長くなった。どこでやるか。どんな日程か。等々色んなことをな。結局、1ヶ月後の11月最後の週の金曜に月ノ森、土曜に羽丘、日曜に花咲川でやるということに。最終日は花咲川で後夜祭だって!俺の意見が通った!やったね!(頑張ったよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よーちゃん、今日さ〜泊まってもいい?」

 

「は?なぜに?」

 

帰り道、何故か着いてきているナナにそう言われた。え、なんで?なんもしないよな?

 

「だってさ〜久しぶりじゃん?普通にお泊まり会したくなっちゃったから。それにシロちゃん達にも紹介したいしね〜」

 

「はぁぁぁ……誰だか知らんけどまぁいいわ」

 

「それじゃ着替え持ったらお母さんに送ってってもらうね」

 

そう言ってナナと俺は別々の道を歩いて行った。さてさて、これならやりやすい。何をやりやすいかって?最近ずっっっっっと気になってる事だよ。それは……ストーカーだ!あからさまに気配わかりやすいし、物音ガサガサ言ってるし。わからん方が馬鹿だわ!日菜も彩も千聖も猫じゃない?って毎度のことのように言うんよ。俺だから分かると思うんだっけ。だってあんたらの殺気やら何やらに毎日のように当てられてますから!(脳死)

 

「さっきっから……っていうかココ最近ついてきてるストーカーさんよ。なんもしないから出てきなよ」

 

「にゃ、にゃーお?」

 

「そんなんで隠せるか!」

 

「す、すいません〜」

 

物陰から出てきたのはピンクと蒼の髪をしたツインテールの女の子。え、なに。普通にファンの方ですか?もしかしてストーカーされるぐらい人気になったの?ありがたいけど複雑なこの感情()

 

「パスパレの耀太さんですよね?私、鳰原 令王那と申します☆気軽にパレオとでも。耀太さんのファン第1号です☆」

 

「へー、そうなんだ。ファン第1号ね〜……だからってストーカーしていい訳あるか!」

 

「だって耀太さんの事が好きなんですもん!ファンじゃなくて、恋人、いいえ、妻になりたいんです!最近の動向も全て知ってますよ?先程まで月ノ森にいた事も、昨日の夜ご飯を何食べたかも、今日の朝、何時に起きてゴミ捨て場に何を捨てたのかも。それに見てください!このTシャツ、あなたの直筆サインです!肌身離さず持ってますよ☆」

 

オーマイゴット。ストーカー?いやさ、イヴ並にやばくね?千聖達とはちょっと違う部類に入ると思うんだけどさぁ……なんでかなぁ。

 

「だとしても、俺は『小学生ではありません!れっきとした中学2年生なので、あと2年で結婚可能です!』

 

「んじゃぁさ、逃げるわ」

 

そう言って俺は家まで全力疾走。家に入るや否や、鍵をかけて自分の部屋にレッツゴー。いや怖いって!え、なに?ストーカー?変質者!?えぐいのに目をつけられたなぁおい。

布団にくるまって怯えていると、ナナから連絡が来た。

 

『お家ついたよ〜』

 

「はいはい。今開ける」

 

玄関の扉を開けると、そこにはナナが立っていた。家に来るのいつぶり?知らんがな。

 

「お邪魔しま〜す」

 

「はいはいどうぞ」

 

「さっそくよーちゃんのベッドで一緒に寝よっか〜」

 

「( 'ω')ふぁっ」

 

いきなり何言ってんねん。飯もまだ。風呂もまだ。しかも一緒?ふっざけんなぁ!千聖達にバレたらどうすんだよ!そろそろ本当に監禁とかされんじゃね?えぐいぜ?

 

「だってお嫁さんと一緒の布団に寝るのって普通なんでしょ?」

 

「普通は男の方から誘うんですけど。そして俺は疲れたから一人で寝たいです。俺の布団で寝てどうぞ」

 

「それって普通?」

 

「全然普通」

 

そう言うとナナは納得した。結構大胆な嘘ついたけどね。とりあえず安心……今日だけで散々な目にあってるんですけど?文化祭大変すぎるってばァァァ!!!




ストーカーされて?苦手な従姉妹と再開?耀太も大変だねぇ〜(遠い目)
前回の前書きで5話ぐらいって言ってましたが、多分圧倒的に超します。普通に長めになります。最後の方はシリアス?ちょっとネタ要素は抜きで普通に病み病み病みパーティーやりますぜ。さてさて、耀太とだれかな?千聖さん?彩?日菜?美咲かな〜。イヴかな〜。お楽しみに!


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31話 文化祭準備 羽丘編

ハイセーノッこーしん!こーしん!

タイトルにある通り羽丘編です。てことはあと二回はなんとなく想像着きますよね?つまり、そういうことさ(薫さん風)


 時が流れるのが早いこと早いこと。だってもう文化祭一週間前だぜ? そんで日菜が「羽丘の手伝いに来てー!」ってうるさいから渋々走って羽丘に向かってる。なんでそんな朝っぱらから走ってるって? いい質問だ。よく聞いてくれた。理由は簡単、こいつだよ。

 

「ヨータさ────ん!」

 

「だから俺の恋愛対象はせめて年が離れてても1つまでだから!」

 

 朝、カーテンを開けたら家の目の前にパレオが待ち伏せしてたんだよ。あのね、俺起きたの6時半だよ? パレオの学校がどこにあるかも知らんし、家がどこかも知らんけどさ、ヤバいっしょ。それで裏口からでたらまたパレオが追っかけてくるじゃん? だからこうやって猛烈ダッシュで逃げてるわけ。

 

「待ってくださーい!」

 

「てかはっや!」

 

 俺だってかなり運動はできる方だと思うよ? それなのについてくるってどういうことよ。速すぎやってば。

 

 逃げながらも俺は羽丘に向かう。すると、目の前に見たことがある翡翠色の髪をしたるんるんガールがいるじゃないか。

 

「ひーなー! ヘルプ!」

 

「あ! よーくん! おはよ!」

 

「ひ、日菜ちゃん!?」

 

 俺のことを知ってるなら必然的にパスパレのこと知ってるだろ? だったら日菜に任せればなんとかなる。さすが俺。名推理。

 

「話は後で。パレオのこと任せた!」

 

「え? ちょっと!」

 

 混乱する日菜をパレオと一緒にその場に残して俺は全力疾走。結果、パレオに追いつかれることなく羽丘につくに至った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、耀太先輩? 大丈夫ですか?」

 

「ダーイジョーブ」

 

 全力疾走したからめっちゃ疲れました。とりま、先生に通された。そんでつぐちゃんがいたからグデっとしてたんです。はい。単純に言おう。朝から猛ダッシュはキツい! 

 

「よーくーん!」

 

「今タンマ」

 

「やーだ☆」

 

 椅子に座って机に項垂れている俺。その後ろから日菜は抱きついてくる。こんな時期でも少し汗かいたんだぜ? しかもつぐちゃんもいるんだよ? 自重しなさい(無理なお願い)

 

「んで、今日は何やるの?」

 

「えーとね、よー君には薫くんと一緒に劇に出てもらうでしょ? あとあと、あたし達の模擬店も手伝ってもらうし、つぐちゃんのところも手伝ってもらうでしょ?」

 

「え、なにそれ。俺分身必要?」

 

「流石にやりすぎですよね…」

 

 日菜の言葉に少し苦笑いをするつぐちゃん。そりゃそうなるよな。ま、でも千聖達に絡まれなくて済む。でもパレオからは逃げながらかな。

 

「それじゃ早速劇からね!」

 

「は? ちょっと待ってってば!」

 

 疲れているというのに引っ張られて体育館まで来た。するとそこにはどっかでみた高身長の紫髪。王子様こと、薫がいやがる。ついでに麻弥と赤髪ロングと赤メッシュもいた。つぐちゃんの店に行くとよくいるから幼馴染? 

 

「やぁ耀太。久しぶりじゃないか」

 

「知るか。俺は相も変わらず大変なんだよ」

 

「耀太さん、毎日大変っすからね。体の方とか大丈夫なんすか?」

 

「さぁな。ま、何とかなってるからここにいるってことよ」

 

 適当な会話をしていると、桃色の髪をした女子が駆け寄ってきた。えーと、つぐちゃんの店で一緒にいたから……また幼馴染? 何人いるんだよおい。

 

「耀太さんですよね! パスパレの耀太さんですよね!」

 

「はいそうですが。てか落ち着いとけって。俺は逃げやしないから」

 

「私、上原ひまりって言います! 大ファンなんです!」

 

 あ、ヤバいやつ。この間のパレオのせいで『ファン』っていう言葉に拒絶反応起こしかけてる俺氏である。あのね、後々やばくなりそうなんだけど。

 

「ひまり、やめときなって。リサさんから聞いたけど、この人タラシだってよ」

 

「え!? そうなの!?」

 

「蘭もそれを鵜呑みにするなって……」

 

「まず俺はタラシの前に彼女も何もいないんですけど」

 

 リサのやつ、こいつらに何吹き込みやがった。彼女すらいない俺は非リアだし、リアルは充実してないし、なによりタラす相手いないだろ! 

 

「まぁリサさんが言いたいこともわかると思うけどな〜。だってモカちゃんみたいな超絶美少女を目の前にして動じないんだも〜ん。ね、耀太先輩」

 

「え、どこの誰でしょうか」

 

「あれ? 忘れちゃったんですか? この前痴漢から助けてくれたじゃないですか〜」

 

「あ……あの時の銀髪パンパーカー!」

 

 2週間ぐらい前、ちょっと遠くの方でロケがあったから電車でいった。んで、その帰りの電車が満員でさ。そして乗ってたらこの銀髪パンパーカーが中年じじいに変なとこ触られてたからそいつをとっ捕まえただけなんだけどな。

 

「え、この人が助けてくれたの? リサさんがあんなにタラシって言ってたのに?」

 

「いやだからタラシてないってば。なんなら彼女すらいないんですけど」

 

「そうだよ蘭〜。耀太先輩は悪い人じゃないよ〜」

 

 めっちゃ助かるんだけど。え、なに? 天使? つぐちゃん並みの天使ですか? 

 

「っていってるぜ? えーと、蘭?」

 

「気安く呼ばないで貰えます?」

 

「はい。すいませんでした」

 

「蘭、さすがに言い過ぎじゃないか?」

 

「そ、そうだよ! 耀太先輩は悪い人じゃない……はず!」

 

 なにこの天使達。花咲川じゃ後輩にこんなされるなんて考えらんないんだけど。こころはタックル? イヴは殺意? 美咲は置いておくけどさ、えっぐいやん!

 

「ほらほら、蘭も落ち着いて〜。モカちゃんが盗られちゃうからって焦んない焦んない〜」

 

「モカのこと盗るもなにもしないだろ」

 

「え? あの時言ったじゃないですか〜『俺の女に手を出すな』って〜」

 

 は? え? なんて? 

 

「いやそんな『よー君? それ、どういうこと?』アウツ……」

 

「えーとですね〜、この前モカちゃんが痴漢された時に〜、耀太先輩が一緒の電車に乗ってたんですよ。それでモカちゃんが困ってたら耀太先輩が『俺の女に手を出すな』って言ったんですよ〜」

 

「耀太さん、千聖さんたちに聞かれたら……」

 

「もう手遅れな説」

 

 千聖はともかく、彩とイヴには盗聴されてんだろ? 俺終わったやん。てか、俺がモカに言ったことはあんまり覚えてない。あの日は疲れすぎてたから寝ぼけてたか? それでもあんまりない気がするけど……俺ならやりかねないな。

 

「ということなんで〜モカちゃんが彼女ですよね? 耀太センパイ?」

 

「あー、えーと……日菜、ちょっとこっち来ようか」

 

 一瞬、モカからも千聖達と似たオーラがでてた。ついでに日菜が泣きそうになってから場所を変えることにしました。はい。俺が悪いです。寝ぼけてた俺が悪いです。せめてさ、泣かせたくはなくね? それは人としてやっちゃいけない気がする。

 

「よーくん? 嘘だよね? ね?」

 

「嘘では……なくもない気がするけど……」

 

「よー君の嘘つき。あたしのこと好きって言ったのに……」

 

 そんなこと言ったつもりは無いのですが。って思ってても日菜は今にも泣きそうだし? あーもう、ヤケクソだ! 

 

「どうすれば嘘じゃないって信じて貰えますか」

 

「キスして」

 

「はい?」

 

「キスして。今ここで」

 

 オーマイゴットファーザー降臨。ここ学校。とりま人はあんまりいない。階段の下だから見つかりづらいといえば見つかりづらい。俺は芸能人で日菜はアイドル。これによって導かれる答えは『見られたら色んな意味で終わる』っていうこと。まぁ千聖達も何食わぬ顔でするからなぁ……

 

「少しだけだからな」

 

「うん」

 

「それでねそれでね、さっきね〜」

 

「「!?!?」」

 

 そういってしようとするも、俺たちがいる方へ向かってくる生徒がいる 。しかも、声からして先生も一緒みたいだったから反射的に日菜に覆い被さるような形で隠れた。

 

「よー、君……近い///」

 

「ん? あ……悪い」

 

 とっさの事であんまり考えてなかったけど……この状況意外にやばいんじゃね? あーもうめんどくさい。帰っていい? 

 

「してくれないの?」

 

「するから。待ってって」

 

 涙目になっている日菜を宥めて前に立つ。普通にキスするか……いや、もしものこと考えよう。だったらこうしたほうがいい。そして俺は日菜の唇に自分の指を当てて、その指を自分の唇に当てる。最後に自分の唇に当てた指をもう一度日菜の唇に当てる。やるって言ったけど、キスはキスでも間接キスです。

 

「これでいいだろ」

 

「うん……」

 

 日菜は自分の唇の辺りを何度も触って確認している。ほんとに一瞬だったからな。しょうがないか。

 

「またしてくれる?」

 

「人がいない所でな」

 

「それじゃ家で『ついでに俺が惚れてから』むぅ……」

 

 また膨れたよこのガキンチョめ。

 

「いいもん。あたしがよー君のお嫁さんになれば毎日してあげるから。起きた時、ご飯食べる前と食べてから、出かける時、帰ってきた時、お風呂入る前と入ったあと、寝る前と寝てからもいっぱいするんだから!」

 

「へいへい。それはどうも」

 

「そんなことより早く文化祭の準備するよ!」

 

「それを忘れてたァァ! 」

 

 勝手に妄想しててください。それが現実になるのは俺が日菜に惚れたらだけどな。もうそろそろ12月か。クリスマスにはリア充カップルがそこら中にいるだろ? 高校卒業までには返事しないと……な。

 

 

 

 

 そんな自分のことを獲物のように見つめる少女の瞳が1つ。そして別方向からも1つあったことを耀太自身は知らない。これがあとあと自分の身を苦しめるようになるとも知らずに……




2つでしょ?羽丘組でしょ?まぁパンのブラックホールは確定として、あと一人は誰だろう…… めっちゃ突っかかっていきそう笑笑

次は残りのふたつのどっちかです。感想で言ってもらえればそっち優先するかも?


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32話 文化祭準備 月ノ森編

今回は月ノ森でーす
もちろんどっかの普通ガールと子犬がやらかすと思いまーす


「よーちゃん起きてよ〜」

 

「眠い。やだ」

 

「は〜や〜く〜」

 

「もう少ししたらな」

 

 変な夢だな。昔、ナナが泊まりに来てた時のはず。あの時はたしか土曜日だっけ? 俺が珍しく寝坊した時に起こしに来たのがナナだったんだよな。しかも俺の上に乗っかってきたから苦しかったのを覚えてる。

 

 そして今、夢だろうかなんだろうか知らないけどめっちゃ苦しいのだが。

 

「よーちゃん、遅刻しちゃうよ?」

 

「知らない。眠い」

 

「ここからじゃ自転車じゃないと月ノ森まで間に合わないよ?」

 

「ったくめんどっちぃ……って七深? うん、夢か。寝よ」

 

 体を起こそうとすると、夢に出てきた構図と同じように七深が俺の上に股がっていた。うん、夢だよな。第一、こいつが俺の家の鍵を持ってるはずがない。

 

「夢じゃないよ? ほっぺたつねってあげるよ」

 

「いったいんだけど。え、マジで夢じゃないの? 鍵あんの?」

 

「うん、あるよ。お母さんから貰ったんだ〜」

 

 鍵を目の前にチラつかせて得意げに言う七深。多分だけど、七深の母さんに俺の母さんが渡したよな。それしか考えらんないんだけど。帰ってきたら〆るか。

 

「それよりさ、早く行こ?」

 

「時間やっばいやつやん。チャリ使うか」

 

 起きた俺は着替えを済ませて倉庫からチャリを出してきた。朝飯はどうしたかって? 食ってねーよ。

 

「あーそっか。七深、チャリ乗っていいよ。俺走るから」

 

「え〜一緒に乗ろうよ〜」

 

「いや『よーちゃ〜ん』めんっどくせぇな」

 

 七深にねだられて渋々了解した。千聖と同じぐらい一緒にいるだけあって、俺の弱点をわかってやがるな。

 

 そして、七深をチャリの後ろに乗せて月ノ森までの道を行く。俺もあんまり知らないから七深にナビしてもらうしかないことに少しムカついてるけどな。

 

「そこ左だよ〜」

 

「はいはい」

 

「よーちゃん大好き〜」

 

「は、やめとけ」

 

 落ちないように俺の事を抱きしめる七深。坂だからスピード上がってるってこともあるから今回だけは許そう。今回だけな!? 

 

 学校に着くのは本当に始業ギリギリ。まぁ俺が寝坊したのもあるけど途中でコンビニに寄りたいって言った七深のせいでもあるんですけど。

 

「七深ちゃん遅刻ギリギリ!」

 

「な、なにかあったの?」

 

「よーちゃんが起きるの遅くてさ〜」

 

「いやお前が上に乗ってたから起きれなかったんだよ」

 

 白髪とツインテールの女子と話している七深がありもしないことを吹き込むから突っ込みを入れる。すると、白髪の方は俺からたじろぎ、ツインテールは疑問符を浮かべた。絶対に俺警戒されとるやん。

 

「あ、耀太先輩〜、桜弥先輩が呼んでましたよ」

 

「マジ? えーと『透子です』ありがとな、透子」

 

「それと、あとで一緒に写真撮って貰ってもいいですか?」

 

「それぐらいならいくらでも」

 

 そして、俺は逃げるように生徒会室に向かった。何から逃げてるかって? 七深が千聖達みたいな黒いオーラを発してるからだよ。

 

 向かったと言っても、俺は生徒会室までの道が分からないから白髪に案内してもらってる。だけどさ、めっちゃ警戒されててすっごい心苦しいのだが。

 

「あんまり警戒しなくてもいいぜ? なにもしないから……な?」

 

「で、でも…お母さんが年頃の男の子はみんな狼さんだから襲われないようにって……」

 

「いや普通そうだよなぁ!」

 

 愛する愛娘を守るためならそれぐらいして当然だよな。なんなら千聖達にも同じ教育をして欲しいぐらいなのですがねぇ! 

 

「だけど、耀太先輩なら安心できるかも。七深ちゃんの従兄弟だから……!」

 

「そう言って貰えるとありがたいわな」

 

「私、倉田ましろっていいます。しろとかしろちゃんってみんなに呼ばれてます。なんでもいいですよ」

 

「俺は真宮耀太。俺もなんでもいいよ」

 

 そして生徒会室の前まで来た。

 

「ここです」

 

「おう。ありがとな」

 

「ちょ、ちょっといいですか?」

 

「ん? どした?」

 

 生徒会室に入ろうとすると、ましろに呼び止められた。なんか口元ゴニョゴニョしてるし…なんかやったっけ? 

 

「そ、その……頭、撫でて貰ってもいいですか? 七深ちゃんがすっごく安心するって言ってて」

 

「言えばそれぐらいやるってんの」

 

 そういって俺はましろの頭を撫でた。撫でている間、俺とましろの間には会話は一切ない。だって、ましろの顔がめっちゃ赤くなってて湯気吹きそうなんだもん。なんだろうこの感じ。守りたくなる子犬的な感覚だわ。

 

「もう、大丈夫です///」

 

「あいよ。んじゃ、またあとでな」

 

 ましろと別れて生徒会室に入ると桜弥が一番奥の椅子に座っていた。めっちゃ生徒会室って雰囲気あるし、桜弥も生徒会長って感じの威厳がある。それに比べて日菜と燐子は……いや、考えるのはやめておこう。

 

「お待ちしていました。耀太さん」

 

「お待たせしました。そんで、俺は何をやるわけ?」

 

「話に聞いた通りせっかちなのですね。まぁそう焦らずに座って紅茶でも飲みませんか?」

 

「聞いた? あー、紅茶はいただきます」

 

 桜弥の言った『聞いた』っていう言葉に疑問が浮かぶが、それを置いて淹れられた紅茶を飲む。いやでもさ、『聞いた』って誰に聞いたんよ。

 

「ところで、この制服は誰がデザインしてくれたか分かりますか?」

 

「いーや、全然。昔と変わったってことだけはわかる」

 

「ですよね。実は、この制服をデザインしてくれたのはあなたのお母さん、琴美(ことみ)さんなんですよ」

 

「へー、うん、そう。ってマジ?」

 

 え、あのどこにいるかも連絡よこさずに自由気ままに家に帰ってくる母さんが? 最近なんて電話すらないんですけど。一方的に服とか城とかの画像が送られてくるだけなんですけど。

 

「ちなみに、あなたのことを聞いたのも琴美さんからです」

 

「やっぱり母さんだよな。母さんしかここに繋がりないもん」

 

 よし、今度帰ってきたら絶対に〆るわ。ついでにいる間は母さんにずっと家事やらせよ。父さんは寝させておく。だって母さんに振り回されてるの知ってるもん。

 

「忘れる前に文化祭の話に移りましょうか。耀太さんには全体的な見回り、1年生の出し物の補助とMorfonica(モルフォニカ)がライブの時の照明などをお願いしたいです」

 

「了解した。ってか、モルフォニカ? ってどこのバンド?」

 

「聞いてないんですか? 七深さんが所属するバンドですよ。補足として、七深さんはベースです」

 

「あいつが……いや、逆に納得。今日は何すればいい?」

 

「それでは、七深さん達のクラスを手伝ってきてください。出し物の準備をしているそうですよ」

 

 そういわれて七深のクラスにいった。すると、そこでは甘い匂いに包まれてお菓子やら紅茶やらが作られていた。この感じだと喫茶店でもやるつもり? うちらのクラスと同じようなもんだよな。

 

「あ! 耀太先輩! 見てくださいこのお菓子。めっちゃ可愛いですよ!」

 

「そ、そうだな」

 

 教室に入るや否や、透子にお菓子を見せつけられた。お菓子と言ってもクッキーの上にチョコペンで動物やら何やらが書かれているものだった。これって……猫? 

 

ボフン! 

 

「きゃあ!」

 

 透子と話していると、教室の奥からなにかが爆発したような音と一緒に悲鳴が聞こえた。しかもこの声はさっきまで聞いてたましろの声。教室で爆発とか何やってんだよ。

 

「しろ!? なにやってんの!?」

 

「カップケーキ焼いてたらなんか爆発しちゃって……」

 

「爆発……って程でもないな。分量に対して時間が長すぎる感じ。ま、気をつけとけよ。怪我は?」

 

「ない、です」

 

「後処理手伝うよ。こっちの生徒会長に頼まれてんでね」

 

 桜弥もめんどくさいこと頼むもんだよ。いや、まだ楽な方かもしれない。だって知り合いがいるんだもん。知り合いいなかったら絶対に気まづいし、何かとやりずらいきがするからな。逆に感謝感謝。

 

 結局、その日はお菓子作りをめっちゃしました。それに試食と題してめっちゃ食べさせられました。みんなして黄色い悲鳴? 上げてるけどさ、俺はそんなに人気じゃないぜ? 透子が騒ぎ立ててるだけだしさ。そんでもって透子と一緒に撮った写真をSNSに透子が上げたらしいんだよ。その反響がデカいことデカいこと。だってすぐさま彩から連絡来たもん。ま、無視しましたけど(後で終わるけどな)

 

「しろちゃ〜ん、一緒に帰ろ〜」

 

「うん。いいよ」

 

「んじゃ俺は『よぉちゃんも一緒でしょ?』え、あ、はい」

 

 帰ろうとするけど七深に捕まった。マジでめんどいんですけど。逃げていい? 

 

「よーちゃんさ〜、昔みたいに『ナナ』って呼んでよ〜」

 

「却下」

 

「耀太先輩と七深ちゃんってそんなに仲良かったの?」

 

「それは『そ〜だよ〜。昔は一緒にお風呂入ったり、一緒に寝たりしたしね〜』おいコラ。余計なことを吹き込むな」

 

 それをきいたましろは顔を赤くして俯いていた。こんのアホンダラ、あとで苦手なもの食わしてやる。

 

「耀太先輩、呼び方ってなんでもいいって言ってましたよね?」

 

「あー、言ってたな」

 

「よー先輩って呼んでもいいですか……?」

 

 ウップス。あのね、ましろって絶対に無自覚だよね。え、なに? 年上キラー? じゃなくてもめっちゃ守りたくなるこの子犬ちゃん(薫風)

 

「それで呼びやすければ」

 

「ありがとうございます。よー先輩……///」

 

 あーもう無理。この笑顔だけで1日頑張れるかもしれない。って心のどこかで思った瞬間、千聖達に勘づかれるからやめておこう。あーあ、明日は花咲川で明後日から文化祭本番だろ? ダッる。




って言うことでした。
ましろの年上キラーが発動して耀太の心が持ってかれかけました。そしたら怒るのは?もちろん知ってるよね笑

これ押せば感想欄にとべます。
来たら投稿頻度上がります。いや、上げます
https://syosetu.org/?mode=review&nid=217756&volume=1


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33話 文化祭準備 花咲川編

準備編最後なり〜
花咲川に戻ってきた耀太君。さーて、どうなるのかな笑笑


 朝、俺はいつも通り花咲川への道を歩いている。いつも通りといっても、珍しく1人っきり。千聖も彩も紗夜も誰もいない。少しだけ平和な時間だよ。でも学校に行ったらすぐに終わるに決まってる。だって彩は『連絡くれないなら分かってるよね?』ってメッセージ送ってきたし、千聖に至っては『学校で待ってるわよ♡』って来たんだぜ? 平和が無くなる確定演出のオンパレードかよ。

 

「はぁ……学校行きたくねぇぇ!」

 

 1人虚しく叫びながら歩いていくのだった。

 

 

 

 

 学校について教室の扉の前に来た。開けようかな、開けないかな。あんなこと言われたじゃん? 開けた瞬間目の前に彩とか千聖とかいたりして? 彩には首締められそうだし、紗夜なら薬の原液そのまま飲ませてきたり? 千聖なら……なにしでかすか1番わからん。

 

「うん、生徒会室に逃げようか」

 

 始業のチャイムが鳴るギリギリで教室に来れば流石に手が出せないと思って生徒会室に逃げ込むことにした。燐子も朝は生徒会室に来ないしな。あとは行くまでにイヴに見つからないようにするだけか……

 

 そしてなんとか生徒会室についた。扉に手をかけると既に鍵が空いており、中に誰かいる様子だった。いや、燐子なわけが無い。そう信じて俺は生徒会室の中に入った。

 

「なんだ、有咲か」

 

「なんですか、私で悪いですか」

 

「いや有咲で助かったわ」

 

 有咲は蔑んだ目で俺を見る。なんかこれにも慣れたわ。慣れちゃいけないと思うけど。

 

「そいや、有咲達のクラスって出し物なにやんの?」

 

「お化け屋敷ですよ。香澄がどうしてもやりたいって言うからつい。てか、そんなこと聞いてどうするんですか。来ないでくださいよ。気色悪いんで 」

 

「あのさ、これでも一応先輩だぜ?」

 

「先輩でも変態で忘れてるから最低限の敬語使ってるんですよ。先輩じゃなかったら敬語すら使ってないですから」

 

 変態じゃないんですけど。なんかすっごい偏見生まれてね? 

 

「ん? 忘れてるって何を忘れてんの?」

 

「ほらそうやって忘れてる。先輩じゃなかったら引っぱたいてますよ」

 

「それだけは勘弁。仕事手伝うから機嫌直してください」

 

「それじゃ今日中にこれ全部お願いします」

 

 ドンッと音を立てて大量の書類が俺の目の前に置かれた。いや絶対に今日じゃ終わらんてぇ……

 

 

 

 

ヨウタ君? この写真はどういうコト? なんで連絡くれなカッタノ?」

 

耀太さんはいい加減自覚してください。アナタはワタシのモノ。ワタシはアナタのモノなんですよ? 

 

耀太……言わなくてもわかってるわよね? 

 

「ヨウタクン……お薬あるよ?」

 

 うん、こうなるのは知ってた。説明すんのめんどっちいんですけど。花音はオドオドしてるし、サリヤスは何が何だかわかってないし? まぁしょうがないか。何はともあれ平然を装うしかないな。

 

「んじゃ飾り付けしよーぜー」

 

「逃がさないヨ?」

 

「っっっ!?!?」

 

 平然を装ったのが間違ってた。俺が目を逸らして壁の方に歩いた瞬間、彩は俺を壁に押し付けて首を絞めてきた。しかもかなり力が強いから呼吸も身動きもしずらい。

 

ワタシがお嫁さんダヨネ? 赤ちゃんも作るんでしょ? ワタシ以外見ないでよ。ワタシのことがキライ? キライなら耀太君の好みのオンナのコになるよ? 

 

「ちょっっ、まっって」

 

「彩ちゃん、それ以上やったら耀太の意識が飛んじゃうわよ」

 

「そっか……またあとでちゃんとお話しようね。2人っきりで……♡」

 

 千聖に制止された彩はそう言い残して俺の前から去っていった。助かった……のか。

 

「耀太、大丈夫……?」

 

「え、あー、まあな」

 

 千聖にも問い詰められると思ってた俺だったが、見当違いな言葉が来たから思わず口から出てしまった。本当にこいつは千聖か? なんかすごい違和感あるんだよな。

 

「早く飾り付けしましょ。時間は有限よ?」

 

「あ、はい。やりましょうか」

 

 その後、サリヤスや花音と話していても千聖は俺に絡むことは無かった。もちろんのこと、彩達は絡んできたぜ? こいつなにしたんだよ。さすがの俺でも心配するんですけど。

 

「あ、いたいた。耀太先輩〜」

 

 しばらくすると、美咲が来た。まだ昼飯時でもないじゃん。美咲が来るならそれぐらいじゃね? 

 

「どした?」

 

「高いところにリボンとか貼り付けたいんで手伝って貰えますか? 机とか使っても届かなかったんですよ」

 

「りょーかい。行くわ」

 

「妾も行ってくりゅ!」

 

「私もついて行こうかしら」

 

 美咲の教室に行くって言ったじゃん? サリヤスと千聖もついてくるって言ったじゃん? なんかヤバない? (語彙力皆無)

 

「あ! 耀太先輩!」

 

「連れてこなくていいって言ったのに……」

 

「んな事言っても届かないから呼ばれたんですけど。貼り付けたらさっさと自分の教室に帰りますよ」

 

「窓の冊子の5センチ上に4センチ間隔で3つずつ、4面にお願いします。やれたからってカッコつけないでくださいね」

 

「しねーよ」

 

 とりあえずめんどくさいから順序よく冊子の上に貼り付けて行った。画鋲は下から千聖とサリヤスが渡してくれて、有咲と美咲が場所の指示を。そんな感じで結構手早く進んだからすぐに終わった。

 

「これで終了っと」

 

「耀太先輩は書類の整理も忘れないでくださいね 」

 

「あーはい。頑張ります」

 

 教室に戻るともちろん残りの仕上げ。仕上げって言ってもカフェだから生地の仕込みとかメニュー表の最終チェックとかな。しかもさ、なんかコスプレするらしいぜ? 俺は執事と魔王なんだとか。俺がいない間に勝手に決めやがって……まぁ決めたのは誰だか予想は着くんだけどな。

 

 

 

 

 

 

「ヨーター! 構って!」

 

「は?」

 

「構って構って! 今日は父上も母上も遅いから暇なの!」

 

「はぁ……」

 

 放課後になって生徒会室に向かおうとした時、サリヤスに構ってって言われた。こいつと絡むとネイルとかで遊ばれんだよな。結構悪くは無いけど。

 

「千聖、悪い。先に帰っててくれ」

 

「……ええ、わかったわ」

 

 は? マジで? 

 

「お前、なんかあった? 具合悪かったり熱あったりする?」

 

「なんでもないわ。それじゃ、帰るわね」

 

 絶対におかしい。あいつに限ってこんなにすんなり……いや、やっと分かってくれたのか。ありがてぇわ〜

 

 サリヤスと生徒会室にきて、サリヤスに構いながら書類の整理を進める。部活動や学校行事の経費、体育館倉庫の用具などなど、単純にめんどくさいものばっか。これ全部有咲に押し付けられてたのか。逆に俺がやってよかったかもな。

 

「あ、耀太先輩。ちゃんと逃げずにやってるんですね」

 

「逃げねーよ。それにサリヤスがなんか寝てるから静かにな」

 

「流石に押し付けすぎたんで手伝います」

 

 いつの間にかソファーで寝ているサリヤスに備え付けの毛布をかけて、俺は席につく。目の前には大量の書類。それを挟んで有咲が見える。

 

「あのー、有咲? ひとつ聞いていい?」

 

「なんですか」

 

「朝言ってた俺が忘れてることって何? 本当に思い出せないんだけど」

 

「だから変態なんですって」

 

 いやそれは理不尽じゃないですか。さすがの俺でも傷つく。って言いたいところなんだけど、有咲がここまでなるって俺は相当なこと忘れてんじゃね? 

 

「それってなんか約束みたいなもん?」

 

「そうですよ。3年生になったらってやつです」

 

 3年生になったらってやつ? 全くもって身に覚えがございません。

 

「申し訳ございません。全くもって身に覚えがございません」

 

「はぁ……」

 

「約束だったら今できることならすぐにやるから」

 

「へぇ……今すぐにですか?」

 

「そう」

 

 そこまで言うと、有咲は顔を赤らめた。俺に近づいてきた日菜とかましろみたいに。え、何この雰囲気。

 

「それじゃ私と付き合ってください」

 

「よく聞こえませんでした。もう一度お願いします」

 

「私と付き合ってください」

 

「今は無理です」

 

「ほら変態」

 

 俺、付き合う約束なんてしたっけ。内容を覚えてないんだけど。でも、3年生になったらってことはしたのは去年か。有咲と会話……したっけ? 

 

「内容わかんないってことで無理なんですよね。それなら教えてあげますよ……このメガネかけてこの髪型なら分かりますか?」

 

「2年始まってすぐじゃん! しかもあの時って有咲、不登校気味だったんだろ!?」

 

「それで耀太先輩が言ってくれたんですよね。『無理してやりたくないことをやる必要は無い。これでも俺は先輩だから相談だって乗るし、勉強も教えられる』って。普通初対面で言います?」

 

「言いません」

 

 いやごもっともでございます。

 

「でもそれだけで付き合えは違うんじゃね?」

 

「まだ終わってないんですけど。1番忘れちゃいけないでしょ。私が学校に来るようになって初めて会った時に言った言葉覚えてますか?」

 

「んー……覚えてない」

 

「はぁ……『学校来れたんだな。いつでも頼ってくれよ』って言ってくれたんです。その時の私は自信ないから、名前も知らなかった自信満々な耀太先輩のことを少しでも知りたくて『先輩の傍にいてもいいですか?』って聞いて、耀太先輩は『3年になって彼女もいなかったらな』って返したんです」

 

「あーはいなるほど。俺バカだな」

 

 3年生になっても彼女がいなかったら? 俺今3年。彼女いないです。非リアです。リアルは充実してるけど彼女がいないから非リア判定なんですけど。

 

「だから付き合ってください。私なら耀太先輩のこと満足させられます。別にアッチの方向でも……」

 

「年頃の女子が言うことじゃないだろ」

 

「それじゃそれ言わなかったら付き合ってくれるんですか?」

 

「それも別。俺ってば、結構すごいことになってるから」

 

 ヤンデレがいて、従姉妹もいて、泣きそうな生徒会長にストーカーと天才兼天災後輩。こんなにいるのにどうしろってんだよ。今すぐなんて無理無理。

 

「いつまで待てばいいですか? ちゃんと3年生になるまで待ちましたよ?」

 

「卒業式。俺の卒業式まで待ってくれ。その日までには絶対に返事をする。顔を見て、どんな結果になろうとも俺は返事するから」

 

「ま、耀太先輩の周りには燐子先輩と紗夜先輩もいますもんね。それに奥沢さんまで。どれだけいても負けませんから。耀太先輩しか見てないんで」

 

「意外。有咲って意外と一途」

 

「ち、ちげーし! 耀太先輩だけなんだから! ///」

 

 口走ったからには卒業式までには決めなきゃな。高校最後の日。それまでに決めて、返事して。俺の気持ちにもケリつけて……か。

 

 

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼

 

 今日、私は耀太にどんな顔をしていればいいかわからなかった。SNSにアップされている写真も見たし、彩ちゃん達とも仲がいいし。それでも私は耀太と1番長くいる。1番長く想っている。誰よりも長く、強く。それ故に重く。耀太を誰にも渡したくない。耀太と2人でいたい。想いが重いのは彩ちゃんや紗夜ちゃんも一緒。それをうけて耀太は平然としているけど、生活の枷となっている気がしてならない。もし、枷になっているとしたら。1番は私なんだろう。だって、1番長く想っている。1番長く一緒にいるんだもの。

 

「私と付き合ってください」

「今は無理です」

 

 

「卒業式。俺の卒業式まで待ってくれ。その日までには絶対に返事をする。顔を見て、どんな結果になろうとも俺は返事するから」

「ま、耀太先輩の周りには燐子先輩と紗夜先輩もいますもんね。それに奥沢さんまで。どれだけいても負けませんから。耀太先輩しか見てないんで」

 

 忘れ物をして教室に戻る途中、生徒会室の前を通っていたら中から聞こえてきた耀太と有咲ちゃんの声。耀太は有咲ちゃんに告白されていたけど、返事はすぐにはしなかった。いや、きっとできなかったんだわ。私がいるから。耀太のことは私がよく知っている。自分のことより相手のことを先に考えて自分自身を押し殺す様な時がある。まさにそれが今、目の前で起こっていた。私がいなければきっと今頃誰かと付き合っていたのかもしれない。彩ちゃんやイヴちゃんかもしれない。紗夜ちゃんやサーリャちゃん、日菜ちゃんや花音だったり。そうなったとして、目の前で耀太と誰かが一緒にいたとしたら私はきっと耐えられない。

 

「もう、どうしていいのか分からないわ。自分に正直にあるべきか。耀太のことを考えるべきか……いつも通りの白鷺 千聖を演じていてもバレたのだし」

 

 平然を装っていても耀太にはバレた。本当はあそこでキスでもしてワタシのモノだっていうことをアピールしたかった。でも、それは耀太にとっての枷になる。鎖として耀太を引き止めることになる。

 

 私は私の想いと耀太のことを考えながら、夕焼けに照らされながら1人、帰り道を歩く。いつもなら隣に耀太がいた。私にとってはそれが当たり前。耀太が隣にいて、ワタシのモノで当たり前。それが耀太にとってはどんなことかも知らずに。気づけば自然と頬を一筋に雫が道を作っていた。理由は分からない。自分自身がどうしたいのかすらも分からない。きっと、演じきれていない白鷺 千聖が流した涙だったんだろう。そう思って道を歩いた。




え、なにげ千聖さんが葛藤してるって?
有咲が耀太のことを好きだったって?
花咲川に帰ってきた瞬間すごいことになってた笑笑
しかも彩には首締められるしね。耀太、The苦労人って感じがするよ。

さてさて、最初は5話で終わるとか言ってた文化祭編が準備までで5話も使っちゃいました(・ω<) テヘペロ
なんで次回からは文化祭本番。また学校ごとに分けていこうかと思います。



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34話 文化祭初日 羽丘で

ハイハイどうもこんばんわ。アインです(いや漫才かいな)
今回は予告通りの文化祭本番です。まぁまずは羽丘ですよね。モカがいるし、日菜もいるし。今回でこの前、日菜と一緒にいる時に覗いてた謎の人物が分かりますよ。ついでに言っちゃうとその謎の人物はアンケートの謎の人物と同一人物です。アンケートは改定したやつをあげておきます


「あのさ、家まで来るのは慣れたからいいよ。鍵があるからって部屋にまで入る?」

 

「だってよーくんと一緒に寝たかったんだもん♪」

 

「いいから早く起きてください。朝ごはんはキッチンをお借りして作っておきました」

 

「薬とかいれてないよな?」

 

「さぁ。わかりませんね」

 

 目を覚ましたら目の前に日菜が寝てて、謎に思ってたら紗夜が朝飯作っとるやん? めっちゃカオス状態なんですけど。てか、薬入れてないって断言してくれよ! 

 

 学校につくと日菜と紗夜は生徒会の仕事が〜とかなんとかいって俺は1人その場に残されたから適当にぶらぶらと歩いてる。

 

「あ、よ〜さ〜ん」

 

「ゲッ、モカじゃん。しかもなんか呼び方変わってるし」

 

「ゲッってなんですか。愛しの彼女のモカちゃんですよ〜?」

 

「愛しくないです。彼女でもないです」

 

 朝っぱらから日菜と紗夜に絡まれてたのに今度はモカかよ。だっる。まじダルすぎてもう帰りたい(いや語彙力皆無かよ)

 

「ちょっと耀太先輩、うちのモカに触らないでください。汚いです」

 

「いや突っかかってこないでください」

 

「そうだよ蘭〜。モカちゃんの彼氏なんだから〜」

 

「いや違うから 」

 

 そしてさらにめんどくさい蘭が来た。あのね、後輩にそんなこと言われたらいくら俺でも傷つくぜ? 

 

「そうそう。巴と薫先輩が探してましたよ〜。劇の準備じゃないですか〜?」

 

「あ! そうじゃん! 体育館いかなきゃ!」

 

「そこの階段を降りて左側の渡り廊下を渡ったところですよ〜」

 

「悪い。もう行くわ!」

 

 そういって俺は猛烈ダッシュで体育館に向かった。時間が無いのはもちろん、モカから早く離れたい。ついでっていうかなんていうか、蘭の威圧が半端ないから逃げました。

 

「はぁ……めんどくさい」

 

「おや? どうしたんだい? 朝からそんなにお疲れの様子で」

 

「朝から双子が家に忍び込むわイカつい赤メッシュの後輩に威嚇されるわで散々なんですが」

 

「蘭のやつ何してんだよ……」

 

「朝から大変っすね。お疲れ様です」

 

 体育館の舞台裏に行くと、薫と一緒の劇に出る巴、機材担当の麻弥がいた。あーあ、マジで朝からお疲れモードなんですけど。ってか、ワンチャン薫なら千聖のこと知ってんじゃね? だって昨日のあれは明らかにおかしいじゃん。

 

「薫、最近の千聖の様子で変わった感じしないか? なんかちっちゃい事でもなんでもいいからさ」

 

「さ、さぁ……私は何も知らないよ」

 

「ほんとうか? かおちゃん」

 

「ほ、ほんとうだよ! その名前で呼ばないでって言ってるじゃん。よーちゃん……」

 

 うっわ。からかうのおもしろいわ笑。なんてことは置いておいて、薫でもしらないならどうしようも無いな。俺から直接聞くって言うのがいちばん手っ取り早いけど、やっちゃいけないってことぐらいよく分かる。千聖の口から俺に言われるまで待つだけ。待つ方はいくらでも待つよ。

 

「さ、さぁ、気を取り直して舞台へ上がろうじゃないか」

 

「ったくめんどくせぇな。幼馴染ってことでがんばりますよ」

 

「ふっ、幼馴染との初共演だ。奮っていこうじゃないか!」

 

 

 

 

 

「はい疲れました。もうやばいです。帰りたいです。帰ってもいいですか」

 

「何言ってるんだい? 文化祭の醍醐味はこれからじゃないか」

 

「んなこと言っても俺は逃げながらなんだよ。どうやっても逃げきれない鬼の鬼ごっこだわ。スケボー使っていい? 逃げ切れる自信あるぜ?」

 

「そんなの無理っすよ。でも、そう思うのも分かります」

 

 劇が終わってそんな話をしている俺たち。まぁ悪くはなかったよ。だって劇が『ロミオとジュリエット』で、俺たちがロミオ役で薫がジュリエット役。珍しく女役って聞いてて渡された台本に『お姫様抱っこして』って書いてあったからしたんだっけ。そしたら薫の顔が赤くて内心めっちゃ爆笑してたのは内緒な。てかさ、スケボーったって人多いから使えないってのは分かってる。故に完全に積みゲー。でも逆に人混みだからバレないか? 

 

「それならアタシ達の模擬店に来ます? つぐが珈琲いれてるんですよ」

 

「それなら行く……か」

 

 一瞬迷ったけどつぐちゃんがいるなら何とかなりそうだな。モカが絡んでこなければ蘭も何もしなさそうだし……うん、そうしよう。

 

「1名様ご案内〜……ってよーさんじゃないですか〜。愛しの彼女のモカちゃんの衣装を見に来たんですか〜?」

 

「こうなるから来たくないんだよな。帰っていい?」

 

「え〜 モカちゃん泣いちゃいますよ〜?」

 

「いるから泣かないでください」

 

 巴に言われてクラスに来てみると喫茶店をやってるようだった。でも普通の喫茶店じゃなくてコスプレ喫茶店な。俺のクラスと同じだからわかる。やる方も見る方もエグいことになる。

 

「この衣装に合ってますか〜? ハロウィンなんで猫ですよ〜」

 

「いやハロウィンなんてとっくの昔に終わってるわ。注文は珈琲で頼む」

 

「承りました〜」

 

 つぐちゃんがいないってことは生徒会のやつでどっか行ってんのか。俺は俺で日菜の所とつぐちゃんのところ手伝って劇やって……あ、もしかしてここ手伝う系? 

 

「お待たせしました。ご注文のコーヒーです」

 

「あーはいありが……何も見てないから。忘れるから」

 

「………///」

 

 珈琲を持ってきてくれたのは蘭でした。しかもその蘭はメイド服着てました。なんかめっちゃ空気重いです。めんっどくせぇ……

 

「何も見てないなら忘れてください。忘れたとしてもあたしが見られたことを覚えてるんで後で覚悟しておいて下さいね」

 

「いやそれは不可抗力d『ごゆっくりどうぞ』

 

 はい。もうこの時点で帰りたいです。まだ文化祭が始まって2時間だってんのにこの疲労感。しかもお昼から2時間つぐちゃんのクラス(ここを)手伝って、それ終わったら日菜のとこを2時間手伝ってそれから自由じゃん? ここ手伝いずれぇ……

 

 

 

 

 店にも居づらいからさっさと飲んでそこら辺を適当に回っていた。なんかカップル多くね? 羽丘は結構男子多いらしいからな。ま、花咲川も男子はいるにはいるけど3年じゃ俺だけだしな。寂しーわー(遠い目)

 

「あ! 耀太さん発見です〜♪」

 

「ってパレオ!? 離せ! 逃がせって!」

 

「今日は離しませんよ〜♪」

 

 適当に歩きすぎて見つかりたくない人に見つかったんですけど。マジでめんどいわ。どうするか……

 

「アレ? ヨウタ君?」

 

「ヨウタさん……何してるんですか?」

 

「ウップス」

 

 更にめんどくさくなったわ。よりにもよって彩と紗夜に見つかるなんて……いや、不幸中の幸いか。彩がいて助かったわ。

 

「ほらパレオ、パスパレの彩だぜ? 滅多におめにかかれないぜ?」

 

「うっ……彩ちゃんがいるなんて……」

 

「え、なになに? もしかして私のファン?」

 

「なんでもするから離してください。もう時間が無いんです」

 

「それでは、今日の文化祭が終わり次第お迎えにあがります♪」

 

 そういって俺はパレオから解放された。まぁパレオから。だぜ? 彩はパレオとワチャワチャしてるけど紗夜は……な? 

 

「もう時間だからいくわー」

 

「その前に一つお話があります」

 

「薬飲ませるとかはやめろよ」

 

「そんなことはしませんよ。3日目の後夜祭のダンスですが、私と踊っていただけませんか?」

 

「あー、そゆことね」

 

 俺が発案したやつなのになんで俺が忘れてんだろう。いやアホすぎてワロタ。

 

「悪いけど……多分きついと思う。最近ちょっとあってな」

 

「そうですか……それではまた別の機会に」

 

 紗夜はキッパリとそう言った。いや最近どうしたんねん。まぁちょっとあってってのは千聖の事だからな。普通に話せなくても俺から誘えば何とかなるだろ。誘いたくないけど()

 

 そして時間になったからつぐちゃんのところに手伝いに来たんだよ。そしたらつぐちゃんがいないくてさ……

 

「つぐみの代わりになんであたしが面倒なんか……」

 

「分かりません。てか、何この衣装」

 

「モカが選んでたやつです。控えめに言って全然似合ってないですよ」

 

 モカが選んだとか言う執事みたいな黒のタキシード。サイズもピッタリだし、結構俺好みな感じだし。なんで知ってんだよ……

 

「なんでこんな先輩なんかにモカが……モカがいなかったらあたしが……」

 

「蘭がどうしたって?」

 

「あたしが耀太先輩の嫁にって……あ……」

 

「( 'ω')ふぁっ」

 

 え、こいつ今なんて言った? 俺の嫁に? は? 

 

「だって当たり前じゃないですか。モカを助けた時にあたしもいたんですよ。本当に一目惚れってあるんですね。自分がなるなんて思ってもみなかったですよ 」

 

「へー、そうなんですか。それで……もう行ってもいい?」

 

「行くならこれにサインしていってください。そしたらいいですよ」

 

 開き直って見せつけていたのは婚姻届。あのね、分かってんのかな。燐子もこういうことしてきたけどさぁ……

 

「今すぐじゃなきゃダメ?」

 

「ダメです。サインしたらこれをお父さんとお母さんにみせて耀太先輩の家に引っ越すんですから。第一、一人暮らししたいなら婚約者を見つけるのが前提だったんですから」

 

 なんでそうなってんのかなぁ……俺の両親がラフすぎてわかんないんだよな。そもそも家にすらいないからな! 

 

「どうしても行きたいって言うなら目を閉じて頭を横に倒してください」

 

「なん『いいから早く』はい分かりました」

 

 言われた通り俺は目を閉じて首を横に倒した。ったく、何すんだよ。

 そう思った次の瞬間、首元の服の感覚が無くなって生暖かい吐息があたる。やばいと思って首を戻そうとしたけど、時すでに遅し。蘭は首筋にキスをしてきた。いや、キスと言うより吸い付いてきた。って言った方が表現的には正しい気がする。蘭は俺にそう思わせるぐらい強く首を吸い続けた。

 

「ぷはぁ……これで安心ですね」

 

「いっつつ……なんか赤くなってるんですけど」

 

「当たり前じゃないですか。誰にも触られないようにキスマークつけといたんですよ。これで日菜先輩も耀太先輩に手を出せませんね。耀太先輩はあたしの旦那なんで。あ、耀太先輩もあたしの首につけます?」

 

「嫌です」

 

 その後は解放されて普通に手伝いって感じの仕事をした。珈琲はつぐちゃんが戻ってきてくれたから任せて、俺はお菓子の盛り付けとか何やらかにやら。まぁ蘭とモカの視線がえぐいんですけど。

 

 時間が来て、日菜の所にも行った。そしたら何あったと思う? 

 

「首のそれ、何?」

 

「蚊に刺されました」

 

「それじゃあたしが治してあげる♪」

 

 日菜はそう言って同じところに同じことをしていたんだよね。しかも日菜のほうが強くやってきたから、しばらく跡が残りそうで怖いんだよなぁ〜。ついでに言っちゃうと蘭の戦略は破られました。日菜にそういうのが通用すると思うな! 

 

「あれ? 耀太、日菜とちゃんとスることしてきたの?」

 

「何もしてないんですけど」

 

「リサ、そっちのライトをつけてちょうだい。耀太は回転板をやって。話してる暇はないのよ」

 

 なんか日菜のクラスはちっちゃい人形劇場をやってたからこき使われた。しかもあの友希那が仕切ってたんだぜ? なんかリーダー感半端なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「よーくん♪ いっしょに帰ろ♪」

 

「疲れたから1人で帰って寝るわ」

 

「ちぇ〜。それじゃまた明日ね!」

 

 やっと長い長い一日が終わって校門をくぐった。なんか今日だけで身体的にも精神的にもキツっいんだけど。モカも蘭も日菜も……俺を攻め立てないでくれ。あ、いっその事、恋愛関係ならリサに聞くのもありかもな。なにげ彼氏いそうだし。っていうかこんな状況じゃなくて同じ学校だったら普通に告白してたと思うわ。

 

「お迎えに上がりました。耀太さん♪」

 

「あ、逃走開s『確保です♡』ツカマッタァ」

 

 忘れてたわ。パレオが『お迎えにあがります』って言ってたのはこういう事ね。え、なに? 家まで来る気? 

 

「家まで来る気してんの? 帰んなくて大丈夫なの?」

 

「私の家は門限などは基本的にありません! 友達の家に泊まってもいいし、日付が変わる頃に帰ってもいいし。お父さんかお母さんに連絡してあれば大丈夫なんです! それと、何があっても自己責任なんでこの歳で妊『何も聞いてない!』

 

 中学生とは思えないぐらいの話しぶり。いや最後のやつは口に出しちゃあかんやつでしょ。

 

「でも、今日はお疲れのご様子ですのでご自宅までお送りしたら帰ろうと思います」

 

「そうし『そのかわり!』はい?」

 

「ファン第1号としての特典をください! 耀太さんの私物を!」

 

「( 'ω')ふぁっ」

 

 第1号とか知らんし。俺の私物とかイヴが勝手に盗んでるしな。あー、でもそれ渡すだけでいいのか。なら適当なやつでいいや。

 

「えーと、はいこれ」

 

「これ……ですか?」

 

「俺が使ってる小物入れ。中身も全部あげるから」

 

「感謝感激です! どこまでもついて行きますよ♡」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで一日目が終わった。あとは明日、月ノ森でやって明後日の最終日。花咲川でだな。後夜祭のダンスね……うし。千聖誘ってみるか。




ということで謎の人物は蘭でしたね。キスマークつけて旦那宣言とか強気ですよね〜笑笑
そして次は月ノ森。七深とましろがやらかす……かも?

文化祭はちょっと長めに書こうと思います。結構大事にしたい場面なんで笑笑


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35話 文化祭2日目 月ノ森で

今回は月ノ森です。

テスト期間で投稿出来ませんでした。
投稿してなかったのに学年3位とかいうナメクジ順位でした。悲しいので頑張りました。


 夜が明けて、窓から差し込む朝日に照らされて目が覚める。今日は日菜も紗夜もいない。めっちゃ平和な朝ですわ。っていってもこれから月ノ森に行くんですけど。それでもいつもと比べたら比較的に平和かな。

 

 朝飯を食べて、手短に準備を済ませて自転車を取りに行く。月ノ森は普通に考えて遠い。距離的には花咲川の1.5倍ぐらい(体感)あるから歩くのは嫌だ。めんどっちいし、チャリを使えばパレオからも彩達からも逃げ切れる自信がある。

 

「さぁて、さっさと行くか」

 

「あ、よー、先輩……」

 

「ましろ? どうしたんだよ。こんな朝っぱらから俺の家の前なんかで」

 

 玄関のドアを開けると、目の前にマフラーをしたましろが立っていた。あれ、家の場所教えたっけ? 

 

「そ、その……七深ちゃんからよー先輩のお家の場所聞いて、家が近かったから一緒に行こうかと……」

 

「てかずっと待ってたわけ!?」

 

「多分……30分ぐらい?」

 

「うっそだろ」

 

 こんな寒い中30分とか……普通にインターホン押せばよかったやん。

 

「インターホンおそうと思ったんですけど、いないかもしれなかったし、まだ寝てるかと思ったし……」

 

「あー、なるほどね。中入ってていいよ。すぐに準備するから」

 

 そういって俺はましろを家に入れて準備をした。準備って言っても、制服は半分着てるからちゃんと着て、寒くないように上着とネックウォーマーするだけだけどな。まぁ弁当は……食わなくても何とかなる。

 

「うし、待たせたな。行くか」

 

「は、はい…!」

 

 家から出て、俺はましろと2人だから自転車はやめて徒歩で月ノ森への道をいく。朝はちょっと霧がかかってて、吐く息も白くなるほど寒い。あーあ、手袋してきた方が良かったかな。

 

「よー先輩……?」

 

「どした?」

 

 半分ぐらい行った所にある信号に引っかかって止まった時、俺はましろに話しかけられた。

 

「そ、その、文化祭って誰とまわるかって決まってますか? よかったら一緒にまわりたいな……って///」

 

「別にいいぜ。見回り終わり次第だけど暇だし」

 

 尚、彩たちに絡まれなかったらの話であるが。

 

 月ノ森に着くと、ましろはライブの準備があるって言って体育館に向かっていった。それで俺はどうするかって? めんどくさいけど生徒会室に向かいました。

 

「おっす。おはよ」

 

「ごきげんよう。朝早いんですね」

 

「まぁな。早起きは三文の徳って言うじゃん?」

 

 そんな年寄りくさいことを言いながら話し込む。話すって言っても今日の予定だけどな。

 

「そろそろ時間ですね。Morfonicaのライブが始まるので体育館にご案内します」

 

「悪いな。仕事はきっちりとやり遂げるよ」

 

 

 

 体育館の中に入ると人が多いこと多いこと。その人ごみを掻き分けて舞台裏に行くと、既にステージ衣装に着替えたましろ達がいた。ってことは必然的に……

 

「よーちゃんっ♡」

 

「ですよねー」

 

「広町さんはいつもそうやっているの? 真宮さんの迷惑を考えないのかしら」

 

 七深に抱きつかれると、透子曰く、『正論爆撃機』こと、ヴァイオリン担当の八潮 瑠唯が話しかけてきた。

 

「だって私とよーちゃんだよ? 従姉妹だし、好きな人だから当然だよ〜」

 

「だとしても、周りの目は気にしないの? 貴方はともかく、真宮さんはこれでも芸能人なのよ?」

 

「そうそう。まぁ時と場合を考えればやってもいいけど」

 

「そうやって広町さんを甘やかしている真宮さんにも問題があると思います」

 

 マジで正論爆撃機って言われる理由がわかったわ。なんか精神的にグサグサ刺さったよ。

 

「みんな! そろそろ時間だよ!」

 

「だって〜。また後でね〜」

 

「はいはい。ましろも頑張ってこいよ」

 

「は、はい!」

 

 ライブが始まると普通に凄かった。キーボードがいないからどうなるかとは思ってたけど、そこは八潮のヴァイオリンの技術で遜色なくカバーした。

 

 それに続いて透子が少しあどけない音でギターを鳴らす。このあどけない音の中でも、華やかさや気品さがあり、さすがお嬢様学校のバンドって感じがする。

 

 透子からアイコンタクトを受け取った七深がギターのあどけない部分を、持ち前の天才肌を発揮してカバーしつつ、自分の見せ場もしっかりと決めきった。

 

 そして3人の音を支えるドラムのつくし。技術面では麻弥には劣ると思うが、3人が安心して音を出せてることから、絶対的信頼を置いてることが分かる。まぁさすがリーダーってとこだな。身長のことは置いておいて()

 

 そんな音をまとめて引っ張っていくのがボーカルのましろ。いつもオドオドしてるのがましろなのかって疑いたくなるぐらい自信に満ち溢れた歌声。

 

 音楽なんてやってない俺が言うのもなんだけど、パスパレのマネージャーとしてかなりのバンドを見てきたから言わせてもらう。実際のところ、細かい部分での指摘はかなり多い。でも、俺はMorfonicaの音は結構好きだな。華やかさも気品さもあって、めっちゃいい雰囲気だし、この5人だから出せる音なんだって感じがする。まぁ音楽やってない語彙力皆無の俺が言えるのはこのぐらいだけどな。

 

「疲れたぁ〜」

 

「よーちゃんご褒美ちょうだ〜い」

 

「なにも持ってねーよ」

 

「撫でてくれるだけでいいから〜」

 

「はいはい」

 

 そうやってねだってくる七深を俺は渋々撫でた。なんていうか、もう少し空気を読んで欲しい。だってさ、ライブ終わったばっかだぜ? そこら辺が気色悪いから苦手なんだよ。

 

「よー先輩……?」

 

「ん? どした?」

 

「私も、して欲しいです」

 

「いえばやるってんの」

 

「えへへ///」

 

 ちょっと雑めにわしゃわしゃとしてみた。さすがに髪が崩れるからやらかしたと思ってたけど、満足気だからよかったんだけどさ。

 

 ましろ達はクラスに戻り、俺は学校を見回りということでブラブラしてる。ましろとの待ち合わせはあと1時間後。俺がましろのクラスまで行くんだよな。だって、じゃないとましろが迷いそうで怖いから(過保護になってます)

 

「あ! ヨウタさん!」

 

「耀太先輩じゃないですか〜」

 

「美咲とイヴじゃん。逃げていい?」

 

「逃がさないデス!」

 

 時間が近くなってきたからましろのクラスに向かう途中、ハグに見せかけた関節技を決めてこようとするイヴを止めながらため息をつく。美咲もやれやれ、と言いたげにため息をつく。やっぱそうなるよなぁ〜

 

「一緒に文化祭回りましょう!」

 

「今1人ですか? よかったら一緒にどうです?」

 

「あー、えーとさぁ……」

 

 どうしよう。ましろが来るって言うと美咲はともかく、イヴが何をしでかすか。こんな所でされたら……嫌な予感しかしねーなおい。

 

「あ、よー先輩」

 

「ましろ? ……いいこと思いついた!」

 

「ふぇ?」

 

 そういって俺はイヴから離れてましろの肩を掴んで自分の方へ抱き寄せた。

 

「悪いな。今日は先客がいるんだ」

 

「ちょ、先輩……///」

 

「耀太先輩だいたーん」

 

「ヨウタさん? ワタシがいるんですよ?」

 

 こうしてもダメなのかよこら。よし、こうなったら最終手段だ。

 

「さてさて、そんなイヴにご報告。ここになんと俺のハンカチがあります。しかもさっき汗拭いたから匂いついてるぜ?」

 

「くださいください!」

 

「んじゃ取ってきな〜」

 

 取り出したハンカチをちょっと遠くに投げると、イヴはそれ目掛けて一目散。いや速いこと速いこと。

 

「んじゃ、俺行くわ」

 

「お気をつけて〜」

 

 あとはましろと一緒に回るだけで今日が終わる。めっちゃ体に優しい日で何より。

 

 

 

 ▽▽▽▽▽

 

 ライブが終わって、私たちはクラスに戻ってきた。戻ってくるや否や、クラスのみんなからの大盛況。ライブ頑張った甲斐があるね。

 

「あ! そうだ! シロってさ、シフト終わってからとか空いてたりする?」

 

「終わってから? よー先輩と一緒に回る予定だけど……」

 

「マジ!?」

 

 私がそう言うと、透子ちゃんだけじゃなくてクラスのみんなが驚いていた。なにか不味いことしたかなぁ……

 

「シロ、悪いことは言わないから何かあったら上目遣い!」

 

「ましろちゃんならきっと大丈夫だから!」

 

「えぇ〜???」

 

 仕事をやっている間にも、他の人からも「危なくなったら抱きついて!」とか「何か買ったら食べさせあってね!」とか言われたりして何が何だかもう…… でも、お母さんにも手伝ってもらって少し多めにお弁当作ってきたから一緒に食べれたらいいな。

 

「あと10分で時間だ……」

 

「あたしが代わりにやっておくから早く早く! 耀太先輩と楽しんできて!」

 

「え、でも『いいからいいから♪』……うん」

 

 時間になってないのに透子ちゃんに押される形で着替え始めた。撫でられてわしゃわしゃになっている髪の毛を整えて、制服のボタンをちゃんとつけたのを確認して教室を出た。ちゃんとしてなきゃよー先輩の前に出られないよ……

 

「あ、よー先輩」

 

 教室から出ると、待ち合わせの時間前なのによー先輩は待っていた。というよりも、若宮先輩になにかされてて困っていたって言った方がいいのかな? 

 

「ましろ? ……いいこと思いついた!」

 

「ふぇ?」

 

 よー先輩は私のことを見つけた瞬間、何かを思いついて私の肩を掴んで自分の方に抱き寄せた。

 

「悪い。今日は先客がいるんだ」

 

「ちょ、先輩……///」

 

 先輩の手はすっごく大きくて、ちょっとした切り傷とカサブタがあってザラザラしてた。それでも何故かすごく安心できる。抱き寄せられた時に少しよろけちゃったけど、先輩が抱きとめてくれたし、先輩の匂いがすごくいい匂いで……もう何が何だかわからなくなってきちゃった。

 

「ましろ、行こうぜ……ましろ?」

 

「うぅ……」

 

 

 

 

 

 

「あれ? よー先輩…?」

 

「起きたか。具合は大丈夫か?」

 

「具合……あ、大丈夫です///」

 

 先輩の声で私は目が覚めた。そこは生徒会室のソファーのひとつで、よー先輩だけじゃなくて桜弥先輩もいた。そっか、先輩に抱き寄せられて倒れちゃったのか……

 

「耀太さん、あなたは倉田さんに何をしたんですか?」

 

「言わなきゃダメ?」

 

「まぁ琴美さんに免じて今回は無罪放免です。今後、我が月ノ森の校舎内でこのような事がないように」

 

「ハイ」

 

 私が倒れちゃったのが悪いのによー先輩が怒られてる……申し訳ないな。

 

「ところで倉田さん、今回はあなたから耀太さんのこと誘ったのですよね?」

 

「そ、そうですけど……」

 

「耀太さんのお母様、琴美さんからの伝言です。『うちの耀太は押しに弱いからとにかく押して押して押しまくれ!』だそうです」

 

 押して押して押しまくれ? 私なんかにできるかな……

 

「あ、ありがとうございます」

 

「私も陰ながら応援していますよ。あなたの恋路に花が咲きますように」

 

「こ、恋路だなんて///」

 

 恋路と言われても、私がよー先輩の事を好きになっていいのかな……。七深ちゃんと従兄弟だし、よー先輩の周りには私なんかより可愛い子がいっぱいいるから私なんて……。そもそも、私自身がよー先輩のことを好きなのかどうかも分からないのに……

 

「私も自分のクラスの出し物がありますのでしつれいします。どうぞおふたりでごゆっくりして行ってくださいね」

 

「ありがとよ」

 

 桜弥先輩にお礼を言っているよー先輩の横顔。私にはもったいないぐらいにカッコイイな。

 

「あ、そういやさ、ましろが持ってたこれって何だったの?」

 

「そ、それは……お弁当、です。ちょっと多めに作ってきたんでどうですか……?」

 

「昼飯買ってないしな。うん、少し貰うよ」

 

 お弁当箱を開けると、生徒会室の中に美味しそうな匂いが広がって行った。中身は定番のハンバーグや卵焼き。それに加えて七深ちゃんから聞いたよー先輩の好きな漬物を少し。喜んでくれるかな? 

 

「そういや、箸ってある?」

 

「え、箸ですか? えーと、あれ…1つしかない……」

 

 忘れてきたかと思い、お母さんの連絡先を開く。そこには私が連絡するのを見越したように『箸は1膳しかいれてないです。好きな人と食べさせあってください♡』って連絡が来てた。

 

「わ、忘れてきちゃったみたいです……」

 

「まーじか」

 

「で、でも! 私が食べさせてあげます! 毎日疲れてるし……さっきまで見回りしてたし……!」

 

 好きなのかどうかは分からない。けど、胸のあたりがすごいモヤモヤしてて分からなくて……よー先輩と一緒にいる時だけはそれが無くなるから、もっと近づけば分かるのかな。

 

「口、あけといてくださいね?」

 

「あ、あーん」

 

 よー先輩のあいている口の中に卵焼きをひとつ入れる。ちょっと甘めだけど大丈夫かな? それより、こういうのって付き合ってからするんじゃ……

 

「味の方は大丈夫ですか?」

 

「めっちゃ美味いよ。毎日食べたいぐらい」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「んじゃ〜今度は俺の番だな」

 

 今度は立場逆転して私が食べさせてもらう側になった。なんだかむず痒いな。

 

 お弁当箱の中身が無くなるまで、私とよー先輩は食べさせあっていた。よー先輩は気づいてないかもしれないけど、同じ箸使ってるから間接キス……だよね? 高校生なのにしちゃった///

 

「うし、とりあえず回るか」

 

「は、はい!」

 

 その後、私とよー先輩は2人で時期外れのかき氷やおいしいクレープを食べ歩いたり、お化け屋敷などを回って行った。お化け屋敷ではあまりにも本格的に作ってあったのでついよー先輩に抱きついちゃって……迷惑かけちゃった……

 

「耀太さん、倉田さん、いいところに来ましたね」

 

「ん? いいところってどしたんよ」

 

「話は中でぜひ」

 

 桜弥先輩のクラスの前に来ると、桜弥先輩が出てきて私とよー先輩を中に連れていった。

 中に入るとオカルト的なものがいっぱい飾ってあって、中央に『みっちゃんの占い』と書いてある看板があった。

 

「私のクラスに占いができる人がいるんです。おふたりもどうですか?」

 

「せっかくだしやってみっか」

 

「よー先輩がやるなら私も……」

 

 案内された席に座ると、前には桜弥先輩のクラスの人が座っていた。

 

「えーとね、そっちの男の子!」

 

「俺?」

 

「そうそう! 君は色々と大変そうだね。沢山の人から色んな感情を向けられている。その感情の根源と行き着く先は一緒だけれど、その道はどれも違っている。真っ赤な血に染められた道。歪みに歪んで今にも壊れそうな道。まっすぐ綺麗な道。心当たりは?」

 

「いや心当たりしかないです、はい」

 

 沢山の人から向けられている感情は私でも何となく予想できる。それは『好き』という感情。私も持っているのかは分からないけど、持ってもいいのかな。

 

「それでそっちの女の子は〜、なかなか面白いね」

 

「?」

 

「今は真っ白でどの色にも染まれる。だけど、端の方からひとつの色にだんだんと浸食されて行っている。こっちは心当たりある?」

 

「たぶん、なんとなく……」

 

 私が染められていくのはきっとよー先輩の色に染められているんだと思う。最初にあってからずっと頭の中から離れなくて、いつの間にかよー先輩と。って考えてたり、虹を見たり、何かいいことが起きる度に最初によー先輩に伝えたくなる。

 

「だけどまだ芯の部分は迷ってるみたいだね。転機が訪れるのは今年中、その中でもクリスマス前後。あ、でもお正月がすぎたらキツくなりそうだからがんばってね!」

 

 

 

 

 よー先輩との一日はあっという間に終わってしまった。時間は5時を過ぎようとしていて、月の光が雲ひとつない空から絶え間なく降り注ぐ。吐く息も白く、手が悴んでくる。

 

「今日はありがとな。どうせ俺も1人で暇だったし、楽しかったよ」

 

「わ、私こそ楽しかったです!」

 

 ニカッと笑いながらよー先輩はそういった。その声を聞く度に胸の鼓動が高鳴って呼吸が早くなっていく。

 

「そんじゃな。気をつけて帰れよ」

 

「あ……ま、待ってください!」

 

 離れたくない。もう少しだけ、もう少しだけでいいから一緒にいたい。迷惑かけるかもしれないけど、我儘を言いたい。

 

「一緒に帰ってもいいですか?」

 

「家近いんだもんな。暗いし送っていくよ」

 

 私の我儘でよー先輩と帰り道を歩く。横の道では車が走り、人が家に帰っているであろうことがうかがえる。私もよー先輩も家に帰っている。家に着いたらもう1人。次会えるのなんていつか分からない。でも、よー先輩のことをもっと感じたい。

 

「あ、あの……手、繋ぎませんか? 寒いですし……」

 

 2つ目の我儘。こんなに我儘をいうなんて私はなんて悪い子なんだろう。そう思うけど、よー先輩にだけは我儘を言ってしまう。

 

「そうするか。確かに悴むしな」

 

 そんな我儘を気にもとめず受け止めてくれる。手を繋ぎ、よー先輩を感じていると胸の鼓動が高鳴る。呼吸が早くなっていく。この時間がずっと続けばいいのに。そんなことが出来ないことがわかっていても、そう願ってしまう。

 

 家の前に着いたけど、まだ手を離したくない。ずっと繋いでいたい。よー先輩を感じていたい。でも、それは出来ないと諦めて手を離す。

 

「今日はありがとうございました。とっても楽しかったです!」

 

「俺もだよ。じゃあな」

 

「おやすみなさい」

 

 よー先輩の後ろ姿を見送った。見えなくなったところで、私も家に入ろうとしてドアノブに手をかける。酷く冷えたドアノブ。よー先輩の暖かい手とは違う。

 

 その時、私の中のモヤモヤの答えが出てきた。あのモヤモヤはきっとよー先輩の事が好きだってことを隠していたんだ。あんなに暖かくて優しいよー先輩のことを好きになってしまった。数回しかあっていないけど、もっと知りたい。もっと感じたい。もっと話したい。もっと一緒にいたい。

 

 私は自分に自信が無い。でも、これだけは自信を持って言える。

 

「よー先輩、大好きですよ」

 

 よー先輩のことが好き。単純な事だけど1番大変なこと。伝えなくちゃ……頑張れ私!




長すぎた笑笑
ましろが健気すぎてちょっと感慨深いです。
自分に自信がないけど、自分の耀太に対する思いだけは自信を持って言えるなんてかっこよすぎですやん笑笑

最終日はわかってますよね?
そう、花咲川です。

後夜祭のダンスもあるし? サーリャも千聖さんもいるし? 耀太……文化祭最終日だ。気張っていけや!


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36話 文化祭最終日 花咲川で

文化祭編ラストです

ラストなんで頑張りました

頑張ったんで(たぶん)長いです


 今日は文化祭の最終日。そんな朝に俺は隣の家の玄関の前、つまり千聖の家の玄関の前に立っている。

 

「っっっ! さっむ! もっと厚着してくればよかったわ」

 

 いきなり吹いた強風に体温を奪われながら呟いた。こんなことになりながらも玄関の前にいる理由は、千聖を今日の後夜祭のダンスパーティーに誘うため。なんだけど、誘うタイミングが見つからなさそうだから朝一緒に登校して、そこで誘おうって言う作戦を成功させるため。

 

 なんで千聖を誘おうとしてるかと言うと、実際のところ理由はあんまりない。強いていえばずっと一緒にいた幼馴染だから高校最後の文化祭で一緒に思い出を作れたらなってこと、最近様子がおかしいからそこでなら話せるかもってこと、この2つぐらい。

 

「うし、ちさt『いってきます』ぐふっっ」

 

「よ、耀太!?」

 

 俺が千聖の家の扉を開けようとした瞬間、逆側から千聖がドアを開けた。つまり、俺の顔面にクリーンヒットした。寒さもあり、当たったところが分かるように縦一直線に跡が出来ていた。

 

「ご、ごめんなさいね」

 

「いや、俺が悪い。ついでに運も悪い……」

 

「それよりどうしたの? 耀太が私の家まで来るなんて……」

 

 千聖は当たり前のことを聞いてきた。だけどその言葉からはいつもの千聖からは感じられない不安が感じられた。まぁそれはしょうがない。とりあえず誘うだけ誘うか。

 

「一緒に学校行かね?」

 

「……久しぶりにそれもいいわね」

 

 俺と千聖の2人きりで学校への道を歩く。文化祭が始まってからはいつも誰かと登校していた。何か話しながら登校していた。

 

 だけど、俺と千聖の間には会話は一切ない。そうしている間にも学校が見えてくる。学校に行ったら話しづらいからな……ここで言うしかないか。

 

「今日の後夜祭さ、相手いなかったら一緒に躍らね?」

 

「!? ……わかったわ。キャンプファイヤーが始まる5分前には屋上にいるから。またあとで」

 

「ああ。またあとでな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 またあとでと言ったものの、午前中は生徒会で忙しく、千聖と会う機会は1度もなかった。

 

 そしてお昼頃になってやっと生徒会から開放された。と、思いきや今度はクラスの出し物の喫茶店。おれの仕事はフロアスタッフで注文を受けるのと注文の品を持っていくこと。でも服装が魔王のコスだから厨二病みたいな発言ヨロシクって言われてるんだよね。

 

「はぁぁ……もう疲れた」

 

「ヨーター! 今度これおねがい!」

 

 注文を受けてキッチンに連絡して注文の品を持っていく。この一連の作業を何度も何度も繰り返していく。俺はそんな作業に飽きると言うよりも疲れを感じていた。いつもとはまた違う疲れ。多分だけど千聖のこと考えてるんだろうなって自分でも思う。こんなこと無かったのに……

 

「ヨータ、今日なんか変だよ?」

 

「我は普通だぞ?」

 

「ほら、妾と話す時も魔王ボイスで喋ってるもん」

 

「あ、無意識じゃん」

 

 サーリャに言われた通り、俺は無意識に魔王ボイスのまま会話をしていた。ずっとこのままいなきゃ、って感じの感情なのかな。俺もなんかわかんないけどモヤモヤしてきてる。

 

「むぅ……そんなヨータつまんない! 遊び行くよ!」

 

「でも仕事が『カノン! あとよろしゅう願うなり!』

 

「う、うん……!」

 

 

 

 妾はいつもと雰囲気が違うヨータを連れて学校を回ろうとしていた。朝、チサトと一緒に学校来た時からどこかおかしいと思ってて、カノンも一緒のことを思っていたらしく、「なにかあったら任せて」って言ってくれたからカノンの言葉に甘えてヨータを連れ出した。

 

「どこに行きたい? お化け屋敷? わたあめ?」

 

「俺はどこでもいいかな」

 

「それじゃお化け屋敷に決定じゃ!」

 

 そう言って連れてきたけど、すっごく並んでた。最後尾は30分待ち……待とうかな。

 

「30分待ちか。それまで暇だな」

 

「そうよの〜。そうだ、今日嫌なことあった?」

 

「……いや、なんもねーよ」

 

 妾でも一瞬でわかるほどわかりやすい嘘。そんな嘘をついて妾を騙せるわけが無い。だって……ヨータのこと考えると同じような嘘つくんだもん。実体験があるからわかること! 妾は天才! 

 

「あ、耀太先輩とサリヤス先輩じゃないですか」

 

「足元気をつけてくださいねー」

 

 順番が回ってきて受付席に行くと、ミサキとアリサがいた。ヨータの様子を見て何となく察してくれたみたいでその事には触らずに接してくれたからあとは妾が頑張るだけ。ヨータに元気だしてもらわなきゃ! 

 

「ワーーー!!!」

 

「オバケメイクかわいいね!」

 

「いやそこは驚くところだろ」

 

「あ、そっか!」

 

 ちょっとズレた反応をしたことをヨータに言われて気づいた妾。こうやっているとマミーと一緒にいるみたい。こんな妾でヨータのこと元気にできるかな……ちょっと不安になってきたかも。

 

 そうして最終日の文化祭を満喫して、キャンプファイヤーが始まる15分前になった。周りではカップルが校庭にでて踊ろうとしていたり、男子が女子をナンパしたりしていた。

 

「なぁサリヤス、俺って千聖のことどう思ってたんだろうな」

 

「ヨータがチサトのこと?」

 

「そう。サリヤスも分かると思うけどさ、俺と千聖は幼馴染で俺にとっては一緒にいて当たり前だった。それはウザイほど絡まれたりするのも含めてな。全部ひっくるめて千聖だったし、今の千聖はなんか違うんだよな」

 

 ヨータの言うことも何となくわかった。妾が来た頃、チサトは「ヨータは私のモノ!」って感じで妾は近づけなかったし、チサトはヨータのことを離そうとしなかった。

 

 でも、今のチサトは違う。ヨータの事が大好きって言うことは変わってないんだけど、ヨータを自分から手放してる感じがする。まるでチサトがヨータのことを嫌いになったみたいに突き放している。チサトがそうしたいんだったら好き好き大好きって感じにはならないと思う。だけど……妾はヨータを見るチサトを見てて羨ましいって思っちゃってる。妾はヨータのことを欲しいって思っちゃってる。例えるなら妾が来た頃のチサトみたいに。

 

 今だってそう。ヨータが妾に話しかけてきてくれて嬉しい。このままずっと2人でいたい。ヨータを()だけのものにしたい。そうしたらみんなが困るのが分かってる。また前の学校の時みたいに仲間外れにされるのがわかってる。だから妾はヨータにこの思いはまだ伝えない。出来れば伝えないでいたい。だって、妾が伝えたらヨータとチサトの仲が悪くなっちゃって泣いちゃうかもしれないから。妾のせいで誰も泣いて欲しくない。泣くなら妾だけでいいんだもん。

 

「妾はね、ヨータはチサトのこと好きだったんじゃないかなって思うの。好きじゃなかったらヨータはそんなにチサトのこと考えないと思うよ? それにね、好きな人のことを考えると、ここがキューってなってモヤモヤしてぐるぐるするの」

 

 妾は自分の胸の当たりを指さして話を続けた。

 

「だからね、ヨータはきっとチサトのことが好きなんだよ。チサトはヨータのことが大好き。だけどきっと我慢して今のヨータみたいに苦しいんだと思うの。それを無くしてあげられるのはヨータだけだよ?」

 

「そっか……」

 

 ヨータはそう呟いて空を見上げた。

 

「千聖のこと好きなのか……だったら言うことは決まってる。ありがとな、()()()()!」

 

「妾は後の世に君臨する大魔女のサリヤスだぞ〜!!!」

 

「そうだったな。んじゃ、約束あるから行ってくるわ」

 

「行ってらっしゃい!!!」

 

 妾はヨータの背中を見送った。誰にわからないように、誰にも見えないようにヨータの背中に向けて手を振った。これで良かったんだ。大魔女の妾が我慢すればいい。大魔女の妾だけが悲しめばいい。いい大魔女は誰にも頼らないのに1人ですっごくつよいって本で読んだもん。

 

「……あれ?」

 

 突然頬を伝った一筋の涙。止めようと拭うけど、拭えきれないほど溢れ出てくる。それと一緒に嗚咽も込み上げてきてその場に座り込んだ。

 

「いやだよぉ……好きだよヨータ…好き、好き、大好き! いかないでよ……」

 

 我慢しなきゃ。そう思っても立ち直れない。我慢しなきゃまた独りになる。我慢せずにいたらみんなを困らせてみんなを悲しませる。それがわかっていても止めることが出来ない。

 

 ヨータは我儘な妾のことを構ってくれた。いや、構ってくれたんじゃない、一緒にいてくれた。ヨータの隣にいたい。ヨータの隣で笑っていたい、一緒に笑いたい、甘えたい。チサトでもアヤでもサヨでもない、()がヨータの隣にいたい。

 

 それが出来ないことがわかっている。だから今だけ、今だけは泣いていいんだよね。誰も怒らないよね。

 

「さびしい……よぉたぁ……いかないで、そばにいて欲しいよぉ……ひとりに…しないで……」

 

 

 

 耀太との約束の時間の少し前、私は1人で屋上にいた。外はやはり寒く、風が寒さを風と共に吹き付ける。やはりコートだけでは寒いと思いながらポケットに手を入れて1人で待つ。

 

 私は今まで何をしてきたのか、私は何をしたかったのか、私は誰が好きだったのか。そんなのは決まっている。私は耀太に認められたい、耀太と一緒にいたい、パスパレの中でも耀太のことが好きで好きでたまらない。

 

 だけど、その思いは私から耀太に向ける一方的なものだった。それを今考えてみると耀太自身の枷になっていたのかもしれない。

 

「私は今まで何をしてきたのかしら」

 

 自分がしてきたことに呆れながら呟く。いつからだろうか、私は耀太のことを苦しめていたのかもしれないと考えるようになったのは。私が諦めればきっと耀太は幸せになれると思ったのは。

 

 私なんかじゃ耀太に見合わないもの。耀太といる時間が人一倍長いからって調子に乗っていた。身長も小さいし、ベースも上手く引くことが出来ない。お芝居だって下手だし、パスパレだって私がいなくてもきっとうまくやって行ける。

 

 そして合図となる吹奏楽部の演奏と共にキャンプファイヤーの火は灯された。

 

「ハァ、ハァ……千聖!」

 

「耀太……そんなに急がなくても間に合ったわよ?」

 

「いいんだよ。1秒でも待たせるのは悪いだろ」

 

 今もこうして耀太は自分が苦しむより人のことを考えて行動している。私じゃ耀太のように行動できないわ。こんなにも人のことを考えて自分のことを押し殺すことなんて……生き地獄のようなものじゃない。

 

「っっ……ふぅ、踊ろうぜ」

 

「もう大丈夫なの?」

 

「まぁな。昔から体力はそこそこある方だし。そんじゃ早速お手を拝借お姫様。ってか?」

 

「ええ、しっかりとエスコートしてね? 王子様」

 

 耀太に手を取られて私は踊り始める。基本的なステップはドラマでやったっきり。そんな私を完璧にリードしてくれる耀太。きっと薫の入れ知恵だろうけど、それだけじゃないわね。

 

 目と目を合わせて見つめあって微笑みを交わす。私と耀太の間には朝のように会話はないが、朝とは明らかに違う空気が流れていた。

 

「これで3校合同文化祭の全日程を終了します。みなさんお疲れ様でした……!」

 

 燐子ちゃんの放送によって文化祭は終わった。そして私と耀太のダンスも終わり、私は自分の思いを告げる覚悟を決めた。

 

「耀太、話があるの」

 

「奇遇だな、俺もだよ。お先にどうぞ」

 

「ええ……」

 

 そして私は一息ついて口を開いた。

 

「耀太のことは今日、今ここで諦めるわ。おやすみなさい。今日は楽しかったわ。そして……さようなら」

 

 私は立ち尽くす耀太をそこに残して屋上を去った。

 

 

 

 

 

 

「耀太のことは今日、今ここで諦めるわ。おやすみなさい。今日は楽しかったわ。そして……さようなら」

 

 千聖はそう言って屋上を去った。

 

 俺はと言うと、その言葉を聞いた瞬間に頬を叩かれた感覚がして、周りの全てが止まった。いや、周りの全ては動いていた。止まったのは俺の方だった。

 

 千聖が俺の事を諦める? なんで? なんのために? 

 

 俺にとって千聖がいて当たり前。千聖が絡んできて当たり前。千聖が俺を好きでいてくれることが当たり前。

 

 でも、そんなことは当たり前ではない。

 

「俺、なんのためにここに来たんだっけ」

 

 俺はバカだった。千聖がいてくれて当たり前じゃない。千聖がいてくれたから俺の当たり前があったんだ。

 

 絶対と言いきってもいい。千聖がいなきゃ俺の高校生活はこんなにも華やかなものでは無い。千聖がいなきゃパスパレに関わることもなかった。そもそも花咲川にすら来なかったかもしれない。

 

 俺の日常はたった一言で簡単にも崩れ去った。それを俺は止めることは出来ない。取り戻すことも出来ない、しようともしない。千聖が選んだことなんだから俺が邪魔する余地はない。

 

 虚無感と喪失感に纏われながら俺は1人で家への道を歩く。当たり前が当たり前ではなくなった俺は家へ帰るやいなや、何をする訳でもなくベッドに体と意識を投げ出した。




書いてるひとが書きたく無くなる文章があるってまじ?笑

サーリャもだし、千聖さんも耀太も今回はえぐいほど病んでますねぇ(ボルサリーノ風語尾)特にサーリャのセリフなんて書いてて泣きそうになったもん笑

ここで文化祭編としては一旦区切り着きます。

今度は耀太のことを書きます。

心苦しいけど頑張ります。


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37話 耀太がしたいこと

誠に申し訳ございません
寝ぼけて書きかけの方を投稿してたみたいです。何でもするから許してください


 文化祭が終わった次の日、俺はいつも起きる時間になっても体が起きるのを拒否していた。理由はわかっている。昨日のことだ。

 

『耀太のことは今日、今ここで諦めるわ。おやすみなさい。今日は楽しかったわ。そして……さようなら』

 

 今でもその言葉が頭の中に浮かぶ度にピシャリと頬を叩かれた感覚に襲われる。嘘だったんじゃないか、なにかのドッキリだったんじゃないか、いつもの悪ふざけかなにかじゃないか。そう思っているなら自分から千聖に電話をかければいいだけだろ。そんな自分の思考とは裏腹に、指先は千聖のアドレスを押そうとしない。なんか、もうなにもかもがどうでもよくなってきた。

 

 その日の学校はもちろん休んだ。パスパレのレッスンの方も麻弥に『休む』とだけ連絡を入れておいた。

 

「一日……暇だな」

 

 今日の学校は文化祭の片付けをするだけだから午前中だけで終わる予定だった。それぐらきならいけばいいとおもったけど、いまは一人でいたい。千聖と会いたくない、顔を合わせたくない。

 

 ふて寝してみるけど気分が悪いだけ。変わったことといえば腹が減ったこと。昨日の昼飯をサーリャと一緒に食べたあとから今に至るまで飲み物すら口にしていない。喉も乾き、胃袋は空のままだった。

 

「腹減ったし、飯食うか。時間はありに余ってる……どうせならパーっとフランス料理でも作るか!」

 

 冷蔵庫の中身と相談して作ることにしたのはオニオングラタンスープとラタトゥイユ。初めて作る訳では無いからあんまり時間はかからなそうだな。

 

 材料を取り出してまな板の上に並べる。1人にしてはそこそこ多い量だが、昨日の昼以降なにも食べてないし、元から量は食べれるから何とかなるだろう。

 

 準備をしてまな板の前に立つ。そして包丁で材料を切ろうとした時、指先に痛みが走った。

 

「いっっっつ」

 

 材料を切るどころか自分の指を切る始末。俺は腹が減っていたけど、血が止まらないので応急処置をしてもう一度まな板の前に立った。その結果、また指を切った。

 

 何度繰り返しただろうか、俺の手は絆創膏だらけになっていた。その絆創膏も何重にもなっており、ところどのろ赤黒く染っているところもあった。

 

「あーもうやだ。気晴らしにどっか行く」

 

 一人でいたい、それと矛盾しているが、気を紛らわすためにしょうがない事だった。

 

 俺だって言うことを悟られないように、父さんの衣装ケースから左胸に虎マークがあるライダースーツを引っ張り出して、サングラスをかける。普段の俺だったらライダースーツなんて着ないから誰も分からないよな。

 

 外に出てしばらく歩くと花咲川の制服がちらほら見える。もう終わったのか、なら千聖は事務所に向かってるから大丈夫か。

 

 フラフラと歩いて行き着いたのはコンビニだった。どうせならここで昼飯買ってくか。

 

「あれ? 耀太君……?」

 

「誰のことでしょうか」

 

「いやいや、ライダースーツ着ててもさすがに分かるんですけど?」

 

 最悪の事態に陥った。コンビニに入るや否や、中にいた花音と美咲に見つかってすぐにバレた。いや気まずいわぁ……

 

「具合大丈夫?」

 

「まぁ……なんとかな」

 

「その手、どうかしたんですか?」

 

「な、なんでもねーよ」

 

 花音に具合の事を聞かれて髪をかこうと右手を上げた。それを美咲に見られて、花音の視線も俺の右手に向けられる。

 

「なんでもないならこんなに絆創膏だらけで血だらけなんですか?」

 

「何かあったら話聞くよ?」

 

「はぁ……この後、空いてるなら家きてよ。ここでは話したくない」

 

 2人とも時間が空いていたらしく、俺の家に来た。話すって言っても本心は話したくない。でも言っちゃったならしょうがない、話せば少しぐらい楽になれるかな。

 

「耀太君、無理しないでね?」

 

「時間なんていくらでもあるんですからゆっくりでいいですよ」

 

「……俺、千聖にフラれたっぽいわ」

 

 俺は一言そう言った。これ以上にわかりやすい言葉がないぐらいに簡潔に済ませた。これ以上何をいえばいい? どう説明すればいい? そんなことを自分で自分に聞いたって答えが出てくるわけもないし、答える気にもならない。

 

「最近千聖の様子がおかしかったからダンスに誘って聞こうとしてさ。そんで踊り終わって聞こうとしたら千聖から言ってきたんだよ。ま、別に楽になるからいいんだけどな。そもそも好きでもないし、ただの幼馴染の腐れ縁だったんだから。そんなこと言われたぐらいで料理すら出来なくなる俺が幻滅対象なのは知ってるよ」

 

 自分自身を嘲るような口調で話す。実際のところ、俺は俺自信に呆れてるからな。たった1人にフラれたぐらいで、好きでもなんでもない相手にフラれたぐらいで、ずっと一緒にいた幼馴染にフラれたぐらいでこんなにも落ち込むなんてありえない。

 

「それ、サーリャちゃんの顔みても言える?」

 

「サーリャの顔みても? 言えんじゃねーの」

 

「だって……サーリャちゃんは耀太君のこと好きなんだよ? 昨日告白されたでしょ?」

 

「告白? そんなのされてないけど……」

 

 告白するならタイミング的には1番良かったんじゃないか? 2人だったし、千聖も彩も誰もいなかった。それなのになんでしなかったんだよ。いや、されたとしてもすぐに答えを出せたか? 出せるわけが無いの知ってるし、サーリャは転校してきてから嫌という程見てるはず。だからなのか……

 

「っっ、あーもう何もわかんねーよ!」

 

「耀太君……」

 

「今の先輩はあたしが知ってる、あたしが好きになった先輩じゃないですよ」

 

「は? 俺はいつも俺だろ」

 

 美咲の言葉に一瞬苛立ちを覚え、声が低いまま返答をしてしまう。そのせいで花音は怯えるが、美咲はそんなことお構い無しで話を続ける。

 

「あたしが好きになった先輩はいつも後先考えなくて誰にでも優しいバカな先輩ですよ。誰も悲しませないようにいつも自分のことを後回しにしてその人のことを一番に考えてあげられる先輩です。

 

 それに比べて今はなんなんですか? 白鷺先輩にフラれたからってなんでそんなにいじけてるんですか? 黒羽先輩の思いに気づけなかったからってなんなんですか? 

 

 今の先輩が幻滅対象? そんなわけないに決まってますよ。いっつも優しいし、頼りになる先輩を幻滅するわけないじゃないですか。自分を押し殺して押し殺して今この状態なんでしょ? 白鷺先輩が、幼馴染が遠くに行っちゃいそうで寂しいんでしょ? 

 

 自分のことを後回しにするのも別に構いません。だけど、それがいいとは思わないです。人を頼ってくださいよ。寂しいなら寂しいっていえばいいし、悲しいなら話して泣けばいいし、我慢しないでください。弱い先輩だって頼りになる先輩だって耀太先輩はあたしの先輩です。誰がなんと言おうとあたしはいつでも先輩の味方だし、あたしが好きになるのは先輩以外ありえないですから」

 

「んなこと……知るか…」

 

「ほらそうやって泣いてる。あたしだっていつも頼りっぱなしで何も出来てないですよ。だからこういう時ぐらい頼ってくださいよ。こんなあたしじゃ頼りないと思いますけどね」

 

 いつの間にか流れていた涙に気づく。俺が自分を押し殺してた? そんなの知るか、美咲の言葉を一蹴しようとして言った言葉も震えていた。

 

 本当は怖かったんだ。ずっと一緒にいて当たり前だった千聖がいなくなるのが。当たり前の日常が壊れるのが。美咲がいってた「自分を押し殺してる」の意味が何となくわかる、俺が俺じゃなくなってたんだ。

 

 人を頼っちゃいけない、人に頼られていたい、人の役に立ちたい、人を悲しませたくない、ずっと俺は他の人のために動いていた。

 

 それなのになんだ? 美咲と花音には迷惑かけて、サーリャにはとんでもないことをしている。これでどこが他の人のために動いてたんだろうな。矛盾がすぎるよ。

 

「はぁ……やっぱりダメなやつだな、俺ってやつは。いっそ死んだ方がマシか?」

 

「そんな事ないですって……あーもう! 耀太先輩、こっち向いて!」

 

「なんだよ……いふぁいんだふぇど?」

 

 自分自身に呆れている中、美咲に言われたから美咲の方をむく。すると美咲に頬を抓られ、伸ばされたりして遊ばれた。そんなことをしている美咲の顔を笑ってる訳では無い、目が赤くなって今にも泣きそうになっていた。横にいる花音も一緒だった。

 

「今のままだったら絶対一人で耀太先輩死んじゃいそうで怖いんですから! どれだけ心配させるんですか! いい加減にしてくださいよ!」

 

「そ、そうだよ! 耀太君がいなかったらみんな悲しむし……千聖ちゃんだってサーリャちゃんだってどうすればいいの!」

 

「……」

 

 ほんっとに自分に呆れる。人に心配させないようにしてきたつもりが、逆に心配させてるなんてな。あーもういいや、好き勝手させてもらうわ。

 

「はいはい、わかったわかった」

 

「先輩……?」

 

「絶対に死なねーから安心しとけ。迷惑かけて悪かったな、俺はもう大丈夫だから……な?」

 

「もう二度と冗談でも死ぬとか言わないでください! 絶対絶対絶対ですからね!」

 

「わーってるって。冗談でもいわねーよ」

 

 人のためになるってことは自分のためにもなること。人のためになりたいなら自分が自分であること。こんな当たり前のことに気づくのに俺はどれだけの時間をかけた? どれだけ迷惑をかけた? 自分に呆れるし、殴りたくなる。

 

「気晴らしになんか料理でも作るよ。迷惑かけたしな」

 

「だから迷惑じゃないですってば。ていうか、その手で料理する気ですか?」

 

「何とかなんじゃね?」

 

「そういうところがダメなんだからね! 耀太君は座ってて。私と美咲ちゃんで何か作っちゃうから」

 

「でも『いいから』はい…」

 

 説教まがいなことを言われたので静かに座って待っていた。結局、俺はバカやってたんだなってやっとわかった。それに気づくのに時間がかかりすぎた。

 

 そして自分のやりたいこともわかった、しなくちゃならないことも分かった。

 

 俺は千聖に好きだって伝える。あいつが諦めようがなんだろうが知るか。だからって答えが今すぐ出るわけじゃないし、卒業式まで待たせることになると思う。

 

 だとしても俺は迷惑かけるとかはもう考えない。俺は俺のやりたいことをやりたい時にやりたいだけやる。もう二度と後悔はしない、自分を殺さない。

 

 じゃなきゃ今ここにいる意味が無いだろ? 

 

 待ってろ千聖、ぜってぇに言ってやるよ。お前の顔を見て、目と目を合わせてな。




今日中に次の話投稿します。それでどうかごかんべんを


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38話 千聖のしたいこと

穴があったら入りたいほどの失態を冒したので、掘って穴に入って書いてきました。もちろん病み度1000%です(ZAIAクオリティ)


 文化祭の次の日、耀太は学校に来なかった。体調不良で欠席と言っていたけれど、私には本当の理由がわかる。

 

 昔もこんなことがあった。中学生のころだったかしら、私と耀太が喧嘩してそのまま家に帰った。次の日学校に行ってみると耀太の姿はなかった。その日は水曜日だったのに、次の月曜日まで学校に来なかった。心配して家に行ってみたら耀太のお母さんが『理由も言わずにずっと部屋で泣いてるの。ご飯も食べるし、お風呂も入るんだけど学校にだけは行きたくないって……』って言っていたわ。

 

 私がしたことは何気ない喧嘩だった。だけど、耀太からしてみれば何気ないことなんかじゃない、本当に重大で大きなものだった。

 

 いつもヘラヘラしてて、いざとなると頼りになる耀太だけれど、本当の耀太は全然違う。自分のことを後回しにしているのは弱い自分を隠すため。人に頼るしかできない弱い自分を隠そうとして、少しでも強い自分を演じているの。

 

「ヨータ、大丈夫かな……」

 

「パスパレのレッスンも休むって連絡きたって麻弥ちゃんが……」

 

「そう……ここ最近頑張りっぱなしだったから疲れでも出たのかしらね」

 

 嘘をつきながら学校が終わる。燐子ちゃんも紗夜ちゃんも耀太のことを心配しているようだった。それもそのはず。2人が生徒会で耀太と一緒に仕事をしていたんだもの、耀太の仕事量は私よりわかってるはず。でも、今の私にはそんなことはもう関係ない。だって耀太のことは諦めたんですもの。

 

 

 

 パスパレのレッスンをするために事務所に来たんだけれど、今日はどうも様子がおかしい。いつもなら遅刻ギリギリに来るはずの日菜ちゃんが私より早く来ているし、麻弥ちゃんとイヴちゃんはソワソンしている。そして何よりおかしかったのは彩ちゃんの様子だった。いつもなら明るく振る舞う彩ちゃんなのだけれど、今日はやけに静かで暗かった。

 

「おまたせ。レッスン始めましょ?」

 

「あ、あのね……」

 

「どうしたの、彩ちゃん?」

 

「う、ううん。なんでも、ないよ……」

 

 今日は耀太が作ってくれていたメニュー表通り、ダンスレッスンから入った。その中で私は何度も何度もミスをした。腕のふりが一瞬遅かったり、前に出す足が逆だったり……いったいどうしたのかしら。

 

「千聖さん、大丈夫っすか? ミスも多いし、具合悪いなら休んだ方が……」

 

「大丈夫よ。体調は悪くないし、逆に絶好調よ?」

 

「な、ならいいんすけど……」

 

 麻弥ちゃんが言葉を濁したけれど、私はそれを気にせずに次のレッスンへ移った。次は演奏のレッスンで、近々あるバラエティ番組で演奏することになっている2曲を練習した。

 

 曲の練習中にも私はまたミスをした。何度も何度も、簡単な所なのに、いつもならできる所なのにミスを繰り返す。耀太がいないなら私がいちばんしっかりしてなきゃ行けないのに、なぜだか全てが上手くいかない。

 

「千聖ちゃん……」

 

「ごめんなさいね、番組で披露するのが近いからちょっと焦っちゃうのよ」

 

「千聖ちゃんの嘘つき」

 

 レッスンが始まってから一言も言葉を発さなかった日菜ちゃんが初めて発した一言がそれだった。私が嘘つき? 一体何について嘘をついてるのよ。

 

「嘘なんかついてないわよ? 体調悪くないし、番組が近いのもあるでしょ?」

 

「だって今日の千聖ちゃんはるんっ♪ てしないんだもん。よーくんがいないから練習できないの? 今から電話してきてもらう?」

 

「そこまでしなくてもいいわよ。私なら大丈夫だから……ね?」

 

「私だってわかるよ? 学校で1日ずっと暗かったもん。それに耀太君も今日いないし、昨日の後夜祭で耀太君と一緒に踊ったのって千聖ちゃんでしょ? もしかして……耀太君と何かあった?」

 

 嘘をついているつもりはなかった。暗くなっているつもりもなかった。なのに、日菜ちゃんと彩ちゃんは分かっていた。まただわ、耀太の時みたいに隠し通せていない。演じきれていないのよ。もうこうなったら話すしかないわね。

 

「彩ちゃんの言う通りよ。昨日の後夜祭で私は耀太と踊っていた。そして……私は耀太を諦めるって言ったのよ」

 

 私の一言にみんなが驚いた。それもそのはず。私がいちばん耀太のことを好いていたし、誰よりもずっと一緒にいた。でもそれも今はどうでもいいこと。耀太は諦めたんだもの。

 

「私、耀太にずっとくっついていたでしょ? お泊まりの時だって、ロケの時も収録の時もずっと耀太と一緒。それで耀太の迷惑になってたんじゃないかって。それに、私は耀太のこと好きじゃなかったみたいだから」

 

「千聖ちゃんは……それでいいの?」

 

「これでいいのよ。だって私は耀太のことが好きじゃないのよ? 一緒にいる必要がないじゃない」

 

「千聖ちゃんってこんなに嘘下手だったっけ? 全然るんっ♪ てこないし、嘘ついてるのバレバレだよ?」

 

「嘘なんてついてないわよ!」

 

 日菜ちゃんの言葉に苛立ちを覚えてつい大きな声を出してしまった。その声でみんなはビクッとして怯えていた。落ち着きなさい千聖、諦めたんだからもういいのよ。

 

「千聖ちゃんが耀太君にやってたこと迷惑なら私がやってたことも迷惑でしょ? 私も耀太君のこと諦めなきゃダメになるの……?」

 

「彩ちゃん、それは違うわよ。私は耀太といちばん長くいるもの、耀太にとって迷惑だったのは私だけよ」

 

「あーもう全然るんっ♪ てしない! 千聖ちゃんの嘘つき!」

 

「嘘なんてついてないって何回言えばわかるの?」

 

「じゃ、じゃあ、なんで泣いてるの……?」

 

 彩ちゃんに言われて自分の頬を触ると、確かに涙が流れたあとがあった。そして触っている指の上にも涙が流れてくる。

 

「なんで、なんでよ……とまって、止まりなさいよ!」

 

「耀太君のこと、諦めきれてないんでしょ? まだ耀太君のこと好きなんでしょ……?」

 

「そんなわけない! 自分の意見を言えないくせに人の意見をまとめるのだけは人一倍上手くて、いっつも誰にでも優しく接して、ヘラヘラしてるのに頼りになって、本当の自分を見せようとしない男は嫌いよ! 大嫌い! バカでクズでマヌケで自分のこと押し殺して……とにかく嫌いよ!」

 

 私の中で最大限の罵倒を口にする。耀太のことを諦めたんだからどれだけ罵倒しても心は痛まないはず。なのに、一言口にする度に心臓が苦しくなって呼吸が出来なくなる。頭が痛くなって涙が止まらなくなる。

 

「嫌い、嫌い……大嫌い……耀太なんて嫌いよ……」

 

「よーくんのこと1番わかってるの千聖ちゃんじゃん。悪口言ってるつもりだけど、全部よーくんのいい所だよ? 

 

 ヘラヘラしてるのに頼りになるのは私たちみんな知ってるでしょ? 今日やったメニューだってよーくんが考えてくれたものだし、番組に出れるのだってよーくんがプロデューサーに掛け合ってくれたからだよ? 

 

 それに、よーくんが自分のこと押し殺してるっていうなら今の千聖ちゃんも一緒だと思うけどな〜。よーくんが好きなのに嫌いって言って、自分に嘘をついて自分を苦しめて。よーくんをバカにしたいのにいいことしか出てこなくて。

 

 それだけよーくんのこと考えてあげられるんでしょ? それだけよーくんのことが好きなんでしょ? なら我慢するに必要なくない? 

 

 よーくんは嫌ならちゃんと嫌だっていうし、ダメならちゃんとダメだって言ってくれる。でもそれを千聖ちゃんは1回でも言われた?」

 

「言われてないわ……」

 

「でしょ? ならよーくんにとって、それは嫌じゃなかったんだよ。この前、よーくんが羽丘の生徒会室で休んでる時に勝手にスマホのフォルダ見ちゃったんだけどさ、あたしたちパスパレの写真とか予定表とかでいーっぱいで、よーくん自信が写ってる写真なんか全然なかったんだ。

 

 でもね、その中でもちょーっとだけよーくんが写ってる写真があったの。それはね、みんなで撮ろって言った記念写真。それと……千聖ちゃんと一緒に写ってる写真だよ」

 

 それを聞いた瞬間、私は驚くことしか出来なかった。記念写真があるのは何となくわかる。だけど、なんで私と一緒に撮った写真があるのよ。最後にとったのは中学生のときでしょ? その時はスマホなんて持ってなかったじゃない。

 

「だからさ、きっとよーくんも千聖ちゃんのこと好きだったんじゃない? 千聖ちゃんのことが好きだったけど、あたしとおねーちゃんが告白したり、七深ちゃんも燐子ちゃんもよーくんのこと好きでしょ? 

 

 よーくんは誰にも迷惑をかけたくないし、誰にも泣いて欲しくないっていってた。だから千聖ちゃんに好きだって言えなかったんだよ。それで、一緒に踊った後に言おうとして……千聖ちゃんに先に言われてって感じだと思う。

 

 でもさ、よーくんってモテモテだからあたしも返事してもらえてないんだよね〜。『卒業式までには返事する』って言ってくれたから、それまであたしを好きになって貰えるように頑張るけどさ」

 

「私が……耀太と一緒にいてもいいの? 好きになってもいいの?」

 

「そんなルールはあるわけないデス! 大好きな人と一緒にいたいって思うのが当たり前デス!」

 

 当たり前、そんなことを言われてハッとした。耀太と一緒にいるのが私にとっての当たり前。だとしたら、耀太は私といるのが当たり前だった。耀太が本当に嫌ならすぐに拒絶するって1番知ってるのは私なのに……どうしてこんなことに気づけなかったのかしら。

 

「わかったわ……もう1回、ちゃんと耀太の顔を見て話してみるわよ」

 

「そうなったら千聖ちゃんとライバルだもんね! 私だって耀太君に告白したんだから!」

 

「ワタシもデス!」

 

「あたしもだもんねー!」

 

 もう……みんながみんなライバルじゃない。

 

「麻弥ちゃんはよーくんのこと好きじゃないの? よーくんと話してる時はいつもよりるんっ♪ てしてたけど」

 

「じ、ジブンなんて皆さんと比べたら途方もなく地味でダメなので耀太さんには全然釣り合わないって言うかなんて言うか……」

 

「でも好きなんでしょ?」

 

「likeよりもLoveの方で……」

 

「なら麻弥ちゃんもライバルだ! パスパレみーんなライバル! すっごくるんっ♪ てくるよ♪」

 

 麻弥ちゃんまでって……まったく、日菜ちゃんのペースに乗せられたらみんな勝てないわね。

 

「みんなライバルなら負けないわよ? 耀太のことを1番知ってるのは私なんだから♪」

 

「ズルいズルい! 耀太君のちっちゃい頃の話聞かせてよ〜!」

 

「千聖ちゃんもるんっ♪ てきてるよ♪」

 

 わかったわ。もう自分に嘘はつかない。私は耀太のことが好き、大好き、私のモノにしたい。歪んでても歪でもこの思いは正真正銘ホンモノよ。だったらこれを全力でぶつけるだけ。手段はちょっとあれだけどね♪ 

 

「ごめんなさいね。私、耀太のところにいってくるわ」

 

「うん、行ってらっしゃい!」

 

 行くなら夜、耀太の家に行って、ちゃんと耀太の顔を見て言うのよ。この思いの全てを全力でもう一度ぶつけるの。もう二度と自分に嘘はつかない。もう二度と……耀太のことは諦めたりしないんだから♡




このあと千聖さんはどうなるんでしょうね〜。そしてパスパレがライバルとか( ゚∀゚)・∵ブハッ! エグすぎですやん笑

今度はちゃんとしたヤンデレです(ちゃんとしたとは?) 早いうちにあげると思うので、頑張ります。

あと、クリスマス回のやつ絶対遅れます☆年内には書きあげるので(本編として)ご容赦ください_|\○_


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39話 仲直り

最近更新しすぎて書くことないので書きません(眠いっていう理由です)


「それじゃ、あたしたちは帰りますね。二度と死ぬとか言わないでくださいよ?」

 

「言わないってんの。心配かけて悪かったな、明日は学校行くよ」

 

「また謝って……謝るのも禁止だからね?」

 

「わかりました」

 

 夕飯を作ってくれた美咲と花音は2人で帰っていった。普通なら送るところなんだけど、2人とも家にいてっていうし、麻弥から「今日のレッスンは終わりました」って連絡が来てたのを見て少し家にいたいって思った。

 

 昔、中学生の時に喧嘩した時に今と同じ感じで学校を休んだ。しかも1週間近く休んでいた。理由は簡単、千聖に会いたくない、一人でいたい。それなのに千聖はわざわざ俺の家にまで来てノートも届けてくれたし、自分が悪かったって言って謝ってきた。千聖は何も悪くなかったのに、俺が全部悪かったのに……

 

「待ってるだけで来るわけねーし、なんなら自分から行くか」

 

 そういって俺は玄関に靴を履きに行った。まだ帰ってないか……いや、そしたらまた後で行けばいいか。そう思いながら玄関の扉を開けた。

 

「いたっ」

 

「ち、千聖!?!? ど、どうしたんだよ……」

 

「ちょ、ちょっと話しがあって……」

 

「偶然だな、俺もだわ。上がれよ、紅茶でもいれるよ」

 

「え、えぇ」

 

 俺の心臓はもうバックバクで、今にも口から飛び出しそうな勢いで鼓動を刻んでいた。冷や汗は止まらなくなり、呼吸も浅くなっていく。あの日、俺を振った千聖がわざわざ俺の家に来るか? あ、そっか、完璧に俺を諦めるってことできたんじゃね。もう新しい好きな人見つけて、婚約までしたからとか? はい、俺ゲームオーバー、お疲れ様でしたぁ! 

 

「ふぅ、いつ飲んでも耀太がいれてくれた紅茶は美味しいわね」

 

「それはどうも……そんで、話って……」

 

「耀太からいいわよ?」

 

「いや千聖からでどうぞ」

 

「なら一緒に……ね?」

 

 渋々納得したが、もう覚悟は出来てる。千聖に振られたって、俺は自分の言いたいことを言えればそれで満足。そして一呼吸おいて、俺と千聖は同時に口を開いた。

 

「悪かった!」

 

「ごめんなさい!」

 

「「え?」」

 

 ん? 聞き間違いかな? うん、そうに違いないな。千聖が謝るなんてことしてないもん。

 

「い、いまなんて……悪かったって……千聖は?」

 

「私もごめんなさいって……」

 

 俺はその答えを聞いて、空いた口から声がでずにパクパクと金魚のように動かしていた。振ったのにごめんなさい? 意味わかんねーんだけど。

 

「ぷっ……おかしい顔ね、昔みたいにアホズラで♪」

 

「るっせぇな、お前こそ昔みたいに笑いやがって……」

 

「さっきまで思い悩んでたのがバカみたいだわ」

 

「お前は何時でもバカだろ」

 

「そういう耀太こそね♪」

 

 千聖の言う通り、さっきまで思い悩んでたのがバカみたいに思えてくるぐらいくだらないことで笑いあった。だって相手の顔がおかしかったからだぜ? こんなくだらないことがあるかよ。

 

「昨日はごめんなさいね。あんな言い方で」

 

「別にいいよ。お前が決めたことだ、振ろうがなんだろうがご自由に」

 

「そんな事ないわよ? 私がそう簡単に諦めるとでも?」

 

「んなわけ……え、俺、お前に振られたんだよな?」

 

「いつの話をしているのかしら? 私は絶賛耀太にベタ惚れ中よ?」

 

 またもや俺はキョトンとする。振って1日後にはベタ惚れ中? マジで何言ってんのかわかんないです。情報量多すぎ()

 

「そういう耀太の話したいことってなんなの?」

 

「あ、お前が好きだってこと」

 

「!? よくもそんなに迷いなく言えるわね……」

 

「それが俺の取り柄だろ」

 

「ま、まぁそうだけど……」

 

 俺はド直球に言葉に出した。だってこうでもしないと後悔するじゃん? 俺はもう二度と後悔なんてしたくない。だったら迷わずに言うだけなんだよな。

 

「その気持ちは嬉しいけれど、答えはすぐには出せない、っていうよりは出さないわ」

 

「え、今度こそ病んでいい?」

 

「そこまでのことではないわよ。耀太だって日菜ちゃんや有咲ちゃんに告白されてるんでしょ? 私の知らないところでもいっぱいね」

 

「まぁな」

 

「だからこそよ。あなたは『卒業式までに返事する』って言ったんでしょ? それに私が割って入るのはさすがに悪いわ。だから卒業式まで、その気持ちが変わらなかったらもう一度告白して欲しいの」

 

 珍しい。あの千聖がこんなこと言うなんて……

 

「そういう事なら納得納得」

 

「それまではまた色仕掛けやら何やらするから覚悟しておくのよ? 日菜ちゃんも彩ちゃんもイヴちゃんも、麻弥ちゃんまでもが耀太に惚れてるみたいだからライバルいっぱいだもの、これまでより頑張らなくちゃね♡」

 

「控えていただけると俺の体のためになると思います」

 

「そこら辺は考えるわよ。幼馴染みだからこそ知ってることは思いっきり使っていくわよ?」

 

「oh.」

 

 はぁ……なんか前より忙しくなりそうだよな、当たり前が戻ってきて嬉しいのは嬉しいけど、これはこれで泣きそうになる。

 

「まぁいいや、適当に料理作るから食べてくか?」

 

「もちろんよ。そういえば、その手の傷はどうしたの?」

 

 これ言ったら笑われそうなんだよなぁ……

 

「……包丁で切りました」

 

「耀太が料理で怪我するなんて珍しいこと。私も手伝うわ」

 

「薬とかいれんなよ」

 

「さぁね♡」

 

 そこは自信もってないって言ってくれってば!




仲直り完了?前より酷くなっていく?えっぐいってぇ……


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40話 無理やり決められたペアです

燃え尽き症候群になったのになんで更新するのかって?クリスマス回のタイミングがズレたから新年回ぐらいちゃんとやりたいからです!


 文化祭が終わって、もう少しで冬休みになる今日この頃、朝から俺は紗夜に体育館で虐められてます。

 

「耀太さん、次です!」

 

「もう休憩していい? てか、もうそろそろ着替えて教室行かね?」

 

「ダメですよ。あなたはことごとく仕事で体育休んでますよね? だからせっかくペア組んだのに練習できなかったんですよ? それで体育祭当日はスケジュールがやっとあって……こんなの朝から練習するしかないじゃないですか」

 

 とか言って俺は学校があく7時から始業の15分前、8時15分までずっと体育館に拘束されてます。昨日の夜に紗夜から連絡来たからとりあえず体操服とは別にジャージ持ってきてるけど……ジャージは汗だくなんですよねぇ! 

 

「っていってもさぁ……」

 

「何か文句でもアリマスカ?」

 

「なんでもないでございます」

 

「とは言うものの、時間も時間ですしね。今着ているジャージをくれれば許してあげます」

 

 うーん、なんでそっち系の思考に至るのかが俺にはわからないんですねぇ。好きな人のものは欲しいと思うけど……さすがに俺はそこまでは行かないと思います。

 

 そして着替えながら着ているジャージを紗夜に渡して教室に戻った。1時間目から6時間目までぶっ続けで体育祭だからすぐに体育館に戻るんだよな。しかも生徒会の仕事として色々あるからめんどくさいんだよね。

 

 開会式が終わり、試合が始まるんだけど、俺と紗夜のペアは1番最初の試合になっている。そもそもなんで俺と紗夜がペアなのかって? そもそもうちの高校は男子が少ないから、男子はバトミントン限定で女人ペアを組んでエントリーっていうルールになってる。そんで俺のペアを決めるためにくじ引きをして勝ったのが紗夜だったんだとか。そもそも千聖は仕事入ってたらしいからややこしくなくてすんだわ。結果の改竄とかやりかねない……ってそれは誰でも一緒か。

 

「さぁ耀太さん、張り切っていきましょうか」

 

「ダルいって言ってわざと負けたら?」

 

「その場合は……わかってるんですよね?」

 

「ア、ハイ」

 

 試合が始まるとあっという間に体力メーターがギリギリの赤ゲージになった(訳、もう既にヘトヘトです)なんでかって? そんなの分かりきってるだろ、朝の練習のせいでございます。しかも相手は1年のバトミントン部コンビと来たもんだ、地獄だろ。ついでに今回の試合はハンデがあって、学年が離れてる数×2点加点される。ようするに、今の状況だったら初っ端から相手に4点取られてるの。それなのに俺らは1点取られて2点取り返して……5-2とか絶望的ですやん。

 

「はぁ……紗夜、ミスったって怒るなよ?」

 

「それは場合によりますね。まぁその後なにかしてくれるなら話は別ですが」

 

「後でなにかすればいいなら今思いっきりやって成功させるだけ。失敗する気がしねぇ!」

 

 紗夜に作戦を伝えて試合が再開される。作戦って言っていいほどのものでもないとはおもうんだけどな。内容としては別に難しいものではなく、返す時にできるだけネットに触るか触らないかぐらいの高さで返す、スマッシュを打つ時は相手の利き手じゃない方を狙う、このふたつ。だって初心者ですもの、バトミントン部に勝てると思うか? 回らない頭を回してもこれっぽっちしか出てこねぇんだよ! 

 

「耀太さん、そこです!」

 

「知ってるってんの!」

 

 雑な作戦であるものの、だんだんと相手のスマッシュのスピードに対応できるようになり、なんとなくだけど、どこら辺に落とそうとしてるかもわかってきた。

 

「せーのっ!」

 

「ナイスです……が、まだ1セットなのにそんなに息が上がってるんですか?」

 

「どっかの誰かさんに朝っぱらから練習に付き合わされたせいで体力全開じゃないんですけど」

 

 スマッシュを打つ時に手首を捻って、左側のアウトラインギリギリにいた俺が右側のアウトラインギリギリに羽をたたきつけた。ほら、バレーでインナースパイク? だかなんだかでラインすれすれに落とすやつ、あれイメージしたら上手くいったわ笑笑

 それで1セット取ったのはいいけど、点数差は21-19で本当にギリギリ。しかもラリーもアホみたいに続くんですね。俺の体力はもう憤然の灯火だよ。

 

 

 

 

 

 

「はい、お疲れ様でした、おやすみなさい、僕はもう寝ます」

 

「寝させると思ってるんですか? そもそもすぐに次の試合ですよ」

 

「過労死確定案件、しかもそれ聞くと変な意味に聞こえるんだけど」

 

「そうですか、なら本当に夜は寝れないようにしましょうか?」

 

「忘れてください」

 

 1試合目は1セット取られたけどなんとか勝利。俺らのペアはこれからあと4試合残ってる。あのね、3年生だからって多すぎやしないですかねぇ……本当に明日えぐいぜ、筋肉痛になるわ。

 

「はい、ということで次の試合にまいりました。負け確なので降参してもよろしいでしょうか」

 

「はぁ……さっきは自分で『失敗する気がしねぇ!』とか言っていたのになんなんですか? そのやる気の無さは」

 

「え、だってもうオデノカラダハボドボドダ!」

 

「そうやって意味のわからない言葉を使って……」

 

 ベストタイミングで繰り出した渾身のオンドゥル語をスルーされて悲しくて泣いちゃいそう。

 

「1回戦は勝ったんです。それなら2回戦、3回戦と勝ち進んで優勝するのが当然ですよね?」

 

「当然ですよね? じゃねーよ」

 

「そうなんですか? まぁ、今回優勝できなかったら耀太さんにお仕置できるから私はいいんですけど♡」

 

「先に聞いておく、そのお仕置ってよからぬ事ではないよな?」

 

「よからぬ事? 私と耀太さんには必要なことですよ。使ったことない薬があるので、私も耀太さんも使って……合法的に襲って貰えますから♡」

 

 え、これ絶対に勝たなきゃならないやつじゃん。めっちゃだるいんですけど、体が本当にボドボドになるよ? 

 

「はぁ……頑張るしかないか」

 

「私はどちらでもいいですよ? 私にメリットしかないので♡」

 

「どっちも俺にはデメリットなんだよ!」

 

 

 

 

 

 そして2回戦、準々決勝、準決勝と勝ち進み、残すは午後にある決勝戦のみ。しかもその相手は2年生で、決勝戦に来るまで1セットも落とさなかったんだとか。あーオワタ。

 

 とかいいなが疲れまくったので生徒会室のソファーに寝そべってる俺であった。

 

「耀太さん、お昼ご飯食べないんですか? 時間はすぎていきますよ?」

 

「お昼ご飯食べる気力もございません」

 

「そうですか……それなら食べさせてあげますね。もちろん口移しですよ♡」

 

 体を動かす力も出ない俺に紗夜は近づいてきた。その口は自分の弁当箱に入っていた白米が含まれており、何度も噛む動作をしていることから、既に飲み込みやすいぐらい柔らかくなってることが予想される。知ってるんだっけ、有咲来たら積むからやめてください。

 

「それじゃぁ『耀太せんぱーい』

 

「あ、美咲じゃん、どした?」

 

「市ヶ谷さんに聞いたら生徒会室にいるって聞いたんですけど……氷川先輩と何してるんですか?」

 

「別に何もしてませんよ。耀太さんの髪にゴミが付いていたので取っていただけです」

 

 ナイスタイミングで来てくれた美咲。口移しをする直前で来たので、紗夜は不服そうだった。いや、やめてください、怖いめぅ。

 

「ところで、耀太さんになんの用があるんですか?」

 

「別に特別なものでもないですよ。お疲れ様ってことでスポーツドリンクとタオル持ってきただけなんで」

 

「マジ? さんきゅ……って言いたいところだけど、動く気力すらないんだわ」

 

「そりゃあれだけ動けばねぇ……」

 

 ほとんど連戦、しかもコートを走りまくってウサギみたいにピョンピョン跳ねまくって? 試合の途中から女子の声援が凄かったせいで紗夜の視線が怖くて、それをかき消すために大声出して喉もやばいです。しかも声出したら女子の声援がさらに大きくなったので逆効果だったみたいです。

 

「なら飲み物は置いておきますね。タオルは頭の上に置いておくんで使えたら使ってください」

 

「ありがとさん。マジで助かるわ」

 

「これぐらい当然ですよ。あ、そうだ、言い忘れてたんですけど、次の決勝戦はあたし達のペアが相手なんで負けませんよ?」

 

「oh.」

 

「それじゃ試合で会いましょうね」

 

 美咲のペアが相手? 美咲ってテニス部じゃん、そもそもミッシェルにも入ってるから体力あるじゃん。てことはさ、ヤバくない? 男子もきっとバトミントン部かテニス部とかだって、終わったわ。

 

「次の試合は大変そうですね。負けてもいいんですよ?」

 

「いや、俄然やる気出てきたわ。美咲の前でかっこ悪いとこ見せられるわけねぇだろ」

 

 そういいながら勢いよく体を起こし、テーブルに美咲が置いていった飲み物を一気飲みする。が、しかし、見事にむせました。

 

「ゲホッゴホッ」

 

「まったく、あなたって人は……」

 

「これぐらいでいいんだよ。負ける気がしねぇ!」

 

 時間になったから体育館に行ってコートに入る。美咲の言った通り、目の前にいる相手は美咲と男子。あーやばい、負けられるわけがねぇ。

 

「耀太先輩、あれだけ疲れてたのに大丈夫なんですか?」

 

「後輩に負ける先輩はいないだろ?」

 

「この前泣いてたのに」

 

「し、しるか! それより、容赦しないからな」

 

 試合が始まるとあらあら凄いこと。美咲はバンバンスマッシュ打ってくるし、何故か紗夜が対抗して美咲に目掛けて打ち返す。それで美咲は紗夜に打ち返して……あれ、俺と美咲のペアの男子くんの出番なくね? 

 

「紗夜……? 俺も『いいです! 私がやるんで休んでてください!』ア、ハイ」

 

「美咲ちゃん、僕も……『大丈夫! あたしがやんなきゃダメなの!』わ、わかったよ」

 

 俺と美咲のペアの男子くんは目を合わせて頷いた。俺たちの出番ねぇじゃん! 

 

 その後、試合結果は俺たちの勝ちということになった。しかし、俺たちと言っても、決勝戦に至っては美咲と紗夜の1体1と言っていいほど、俺と男子くんの出番がなかった。

 

「勝ちましたね。これでお仕置はなしですよ」

 

「ふぅ、セーフ」

 

「あれ? やってほしかったんですか? 私はいつでも準備は出来てますよ。どうせならこの後、着替えずに汗だくのままトイレや生徒会室ででも♡」

 

「俺は行くところあるからダメです!」

 

 試合が終わって始まった表彰式。バトミントンでは俺と紗夜のペアが優勝して、テニスのシングルスで優勝したのはサーリャだった。そう、俺が行かなきゃ行けない、っていうか話さなきゃ行けないのはサーリャなんだよ。この前の花音の話聞いたら……な? 聞けないなら言ってくれるまで待つよ。あれは俺が悪いんだから。

 

「おっす、サーリャ。優勝おめでとさん」

 

「妾はサリヤス!」

 

「知ってる知ってる。わざとだよ」

 

「むぅ〜」

 

 わざと間違えてからかってみる。聞けるかと思ったけど、いざサリヤスの目の前に来てみるとちょっと気が引けるんだよな。

 

「ヨータ、チサトにちゃんと言えた?」

 

「言えたよ。卒業式までにもう1回俺を惚れさせるってさ。まったく、面倒事が増えるよ」

 

「そっか……」

 

「サリヤスは好きな人とかいねーの? ほら、高校3年だしさ」

 

「!?」

 

 あ、やらかした。疲れすぎて頭が回ってないなんて言い訳にならないわ。

 

「わ、わる『いるよ』え……?」

 

「妾もいるよ。好きな人。文化祭でコクハクしようとしたけど、その人に好きな人がいたからダメかなって思ってた。けど、まだ時間はあるみたいなんだよね」

 

 花音の言ってたことマジだったのかよ……あーあ、俺って最低最悪の男ですね。何が人の役に立ちたいだよ、役に立つどころか二酸化炭素みたいに邪魔になってるだけのゴミじゃないか。

 

「そ、そっか。よかった、な」

 

「それでね、もう1回コクハクしようと思うの。今度こそ誰にも邪魔されないで二人っきりでね。だからさ、ヨータ……」

 

 やめてやめてやめて、今ここでするのはちょっとキャパオーバーしてぶっ倒れること間違いなしだから。

 

「コクハクするから待っててね! それまでも妾のこと好きになって貰えるように頑張るけど、コクハクしてからもい〜っぱい頑張るから! 妾の美貌と魅力に魅了されるがいい!」

 

「あ、えーと『それじゃまた明日ね! バイバイ!』

 

「じゃ、じゃぁな」

 

 いや、こんなんでいいのか? こんな告白焦らされた感じでいいのか? なんだよ、『今度こそ誰にも邪魔されないで二人っきりでね』とかさ、完璧乙女じゃん! 恋愛小説とかドラマとかであるやつですか? えぇ!? 三学期にある修学旅行でされてみろ、勢い余って俺OKするかもよ!? 心臓に悪い。これ以上面倒事を増やすなぁぁぁ! 

 




美咲と紗夜さんの勝負笑笑 耀太を賭けた勝負だったりして?それともプライドを賭けた勝負?どちらにせよ、女同士の小競り合いに男が入る余地はございません。

そしてなんだかんだあったけど、サーリャとも仲直り?出来て良かったね〜。でも面倒事が増えるから±0?


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41話 終業式のスピーチめんどい

クリスマス回のアンケート締切マース


「というわけなんで、終業式のスピーチお願いしますね」

 

「断っていい?」

 

「そしたら私がやる羽目になるんで泣いていいですか?」

 

「やるから泣かないでください」

 

終業式当日、朝っぱらから有咲に生徒会室に呼ばれてきてみたらこうだよ。なんでこう当日になって言うのかなぁ……でも泣かれるのは困るからな、やるしないだろ。

 

「っていってもさ、原稿とかあんの?」

 

「え、そんなものないですよ?」

 

「oh......」

 

「そんなにしょげないでくださいって。私も一緒に作りますから。まぁ……生徒会は1時間目から終業式の準備に駆り出されるんで時間はありますよ」

 

「そうだな……とりあえずHR終わったらもう1回生徒会室で」

 

悩みを抱えながら俺は教室に向かう。あ、そっか。教室に行っても面倒事のオンパレードじゃん。このままHRサボって生徒会室に籠るのもありか。

 

「朝からだr『ヨーーターー!!!』ゲフッ」

 

「おはよおはよ!妾は今日も元気だよ!」

 

教室のドアを開けた瞬間、目の前からサリヤスがタックルをきてきた。イヴとこころにされまくってるからある程度は耐性はついてる。けど、この前の体育祭で馬鹿騒ぎしたせいで筋肉痛なんだよね。それが酷いこと酷いこと。

 

「なにか気づかない?」

 

「なにかって……髪の結い方変えたか?」

 

「それもだけど!もっとなんかこう……ぶわ〜ってなるやつ!」

 

え、もっとなんかこうぶわ〜ってなるやつ?意味不なんですが。そもそも、そんな擬音語分からないし……って言ってるとまたこの間みたいになりそうだからちゃんと考えよう。サリヤスがいう『ぶわ〜』が周りに広がるものと仮定しよう……あ、そう考えたら簡単じゃん。

 

「香水つけた?」

 

「あってるけど違う!」

 

いやなんやねん。あってるけど違うとか矛盾しすぎて僕にはわからないですメェェ。

 

「ほら、サラサラ〜ってなって、すっごくいい匂いのヤツ!」

 

「サラサラ〜ってとか……まさか、シャンプー変えたとか?」

 

「あったり〜♪最近ね、ベルガモットのやつにしてるんだ!ヨータが全然気づいてくれないからさ〜、我慢できずに妾から言っちゃった♡」

 

「ハイハイそうですか」

 

体育祭が終わってからというもの、サリヤスも俺の悩みの種のひとつとなった。いやさ、千聖たちみたいに精神的なダメージはあんまりないんだっけ。だけどさ、タックルとかしてきたり、抱きしめてきたり休み時間に寝てたりするといつの間にか目の前にいたり?どちらかと言うと身体的ダメージがでかいです。

 

「耀太♪朝は一体どこに行ってたのかしら?」

 

「耀太くん……学校では極力一緒って言ったよね?」

 

「ヨウタさん?私の許可がない中で一体どこに行っていたんですか?」

 

「ヨーウーターくん?あれだけ連絡してるのになんで既読もつけてくれないの?ずっと寝てたの、知ってるんだよ?」

 

「え、あ、その……先生!生徒会の仕事頼まれてるんで行ってきます!」

 

サリヤスを連れて教室に入るや否や、いつもの面々が脅してきたので生徒会室に猛ダッシュ。あのね、もう怖いの!朝から帰りまでずっと!しかも最近に至っては帰ってからもなの!スマホには彩から下着姿の自撮りは来るし、NFOは燐子からのチャットでいっぱい!紗夜なんかは家まで来るからね!?もう誰かの家に泊まってもいいかなぁ……

 

「あーもうやだぁ!」

 

「って来てみてそうそうなんで発狂してるんですか。気持ち悪いですよ。まぁ私なら許容範囲なんで。早く付き合いましょうよ、そんな変な耀太先輩を普通にスルーできるの私ぐらいですよ?」

 

「俺発狂してるつもりないんだけど。それに返事はちゃんと卒業式にするから待っててください」

 

「それじゃそれまで毎週なにかしてくださいね。頭撫でるでもいいし、手を繋ぐでもいいし。キスとか既成事実とかでもドンとこいですよ」

 

「あ、そういうのは高校卒業してからって決めてるんで」

 

キスはともかく、既成事実とかは高校卒業してからってちゃんと決めてるんだよ!そもそもの話な、自分からキスしたことなんてないからな!ま、まぁ、どうしてもって時は除いてな?

 

「それより早く原稿考えますよ。HR終わったら氷川先輩と白金先輩も来るんですから」

 

「なん、だと……今のうちに終わらせなければ」

 

そして考えること10数分、HRが終わったのを知らせるチャイムがなり、その直後に紗夜と燐子が来た。いやー怖いこと怖いこと。燐子に至ってはいきなり首絞めながら問い詰めてくるし、紗夜は自分のバッグから錠剤入った瓶となんか変な液体入ってる瓶を出してるし……もうヤダ、この2人野蛮です。

 

2人に酷い目に合わされながらも(色んな意味で)原稿は書き終わることが出来た。といってもステージの横で書き終わったんですけどね!ついでに燐子が話を伸ばしてくれたから書き終わったんですよ!あんたら2人が俺の事をいじめるからこんなことになったんだかんね!?ちょっとは反省してください!(無理なお話)

 

「……ですので、冬休みも充実したものにして行きましょう」

 

燐子のスピーチが終わり、俺の名前が呼ばれて俺の番。あーだるい。けど、ここで決めきればかっこいいじゃん?俺ってば天才、シャーロック・ホームズ並の名推理だろ(迫真)

 

「えー、生徒会副会長ということでスピーチすることになったんですが……さっきまで考えてきた原稿をド忘れしました!」

 

さっきまで名推理していた天才くんとは思えないほどの爆弾発言を口にしましたね。そのせいで先生は呆れ顔の人もいるし、笑ってる人もいる。まぁそれが俺だって笑ってる千聖も見えるんだけどな。

 

「ていうことなんで、ここからはアドリブでお願いします。

 

俺にとって、二学期は本当に色々ありすぎて夢でも見てるみたいにあっという間にすぎていきました。それに想定外のこともありすぎましたね。ここに俺が生徒会副会長として立ってるのも、俺の高校3年間の予定には一切入ってなかったです。

 

文化祭は皆さんどうしでしたか?羽丘の生徒会長のせいで月ノ森と羽丘とうちで3校合同開催になりましたね。俺ら生徒会は仕事色々あって大変でしたが、めっちゃ充実してました。それぞれのクラスもまわらせてもらったんですけど、すっごく良かったですよ。あ、それと、後夜祭のダンスの時に告白すると絶対に成功するって噂あったじゃないですか、あれ流したの俺です。実際、俺の母さんと父さんがそうなんで。

 

あとはこの間あった体育祭ですね。テニスとバトミントンとバスケと……大変お疲れ様です。それと、優勝したメンバーの皆さん、遅くなりましたがおめでとうございます。俺も優勝したんですけど、最後はパートナーが頑張ってたんで俺の出番はなかったです。

 

あとは……話すことあんまりないですね。とりあえず俺の言いたいこととしては、高校最後の文化祭と体育祭、ついでに二学期は最っ高に充実してました!そして3年生の皆さん、来年は修学旅行もあるし、言ってくれれば生徒会でなんかやりますので最っ高の思い出作りましょう!」

 

俺はそう締めくくってスピーチを終わった。そしてそれに拍手が送られるのだが……無意識に俺はまたマイクを掴んでいた。

 

「あー、それと言い忘れてたんすけど……俺に好きな人が出来たら卒業式の日に告白するんで思い当たる人がいたら待っててください!」

 

 

 

 

 

スピーチが終わったあと、年配の先生にはめっちゃ怒られました。でも、校長先生と若い先生にはめっちゃ褒められました。『よくあんな所で堂々と言えるもんだね』とか『学生の時にそんな青春を送りたかったよ。俺の分まで頼むぜ!』とか言われたんだよね。なんであんなことを言ったのかは言った本人でも分からないんですけど、後悔はないのでヨシ!

 

「はぁ……耀太先輩、なんであんなこと言ってるんですか。先輩のせいで私まで巻き添えくらって書類整理じゃないですか。こういう時に限ってRoseliaは練習入ってるし……肩痛いなー」

 

「はいはい、ある程度終わらせたら肩揉んでやるから許しておくんなさい」

 

「知ってます?ある程度大きいと肩凝りやすくなるみたいですよ?だから氷川先輩より私と白金先輩のほうが凝るし、いまならだれもいないから先輩に襲われても『よからぬ事を言うな!』ケチですね」

 

「そもそも、そっち系の話しを全くしない耀太先輩って本当に健全な男子高校生なんですか?街中の男子高校生とかすっごいんですからね。あの子があーだこーだ、早くヤりたいとかなんだとか」

 

「それはそいつらの知能指数が原始人並みな証拠だ。だからそんな話をしない俺は原始人から進化して人間ってことだよ」

 

またまたしました名推理。1日に2回も名推理したぜ?天才でしょ?最っ高でしょ!

 

「あーあ、早く私も彼氏欲しいなー」

 

「俺が告白するのは卒業式だからな」

 

「今から卒業式します?あっち方面の意味で」

 

「あのさ、なんでそういう思考に至るわけ?有咲って本当は変態?」

 

「セクハラで訴えますよ?まぁなにはともあれ、告白はいつでも待ってますんでね。さっさと書類整理終わらして帰りましょ、その前に耀太先輩に肩揉んでもらいますけど」

 

今日だけで数え切れないほどついたため息のカウントを1増やす。もう冬休みか……しかもすぐにクリスマスじゃん?誰か誘うかな〜って思ってても、千聖とかが来るんで俺は朝から隣町にでも逃げようと思います!




全校生徒の前で宣言したからにはちゃんと耀太は卒業式に告白するんだろうなぁ?笑
しかも有咲はさっさと耀太を襲っちまえよ!

ていう事なんですが、クリスマス回のアンケートを締め切って集計をしたんですが……ましろが圧倒的に多かったので圧勝です☆ 明日クリスマス回を書いて、大晦日と元旦に合わせて本編を進めたいんですけど……なんとなんと、クリスマス回が2話になったら明日2回更新しなきゃ行けないハードスケジュールです。まぁ課題も終わってるし、明日は用事あるけど自分でやるって言ったからには頑張ります!

耀太にだけカッコつけさせてたまるかよぉぉお!


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42話 メリークルシミマス?

なんで時期遅れてるんだよ!今クリスマスだよ!(アホの子丸出し)

というわけなので新年回だけはちゃんとあわせて明日明後日で投稿しようと思います。出来なかったら腹切する所存でございます。


 12月24日。今日はみんな大好きクリスマスだよ! 俺はどこにいるかって? それはもちろん電車使ってきた隣町。理由は簡単……千聖達から逃げる為だぁ! だって昨日から俺はL〇NEとか連絡アプリは一切開いてないからな? 通知来ても全部無視してます。だって内容何となく予想つくし、怖いんだもん。

 

「さてさてさ〜て、1人で楽しく過ごしますよ!」

 

「よー先輩、なんでそんなに騒いでるんですか……?」

 

「!? なんだ、ましろか。安心したわ」

 

 どこからともなく現れたましろに驚いたけど、逆に安心。何事もなくて済むからええわぁ〜。

 

「あ、てかましろってなんでここにいるんだ?」

 

「え、えっと、買い物で……」

 

「あー、そういうことね」

 

「だ、だから、もし良ければ一緒にどうですか……?」

 

「暇だから行くわ」

 

 どうせならってことで一緒に行くことに。だってクリスマスなのにひとりは嫌じゃん? いや元々1人の予定でしたが、寂しかったんです(今更感パない)

 

 ましろについていって来たのは駅の近くにあるめちゃデカショッピングモール。どっちかって言うと百貨店? 違い分からないんですけどメェ。

 

「よー先輩、ここです」

 

「ここって……」

 

「みんなでクリスマスプレゼント交換しようってことになったんです。何がいいかわかんないから、とりあえず雑貨屋さんに来てみればいいかなって」

 

「まぁたしかにここなら結構揃うかもな」

 

 俺とましろはそこの百貨店で結構長い時間悩みに悩んだ。そんで結局選んだのが……

 

「瑠唯さんと七深ちゃんのだけ見つからない……」

 

「分かる。七深も瑠唯も何考えてっか全然わかんねぇ……」

 

 透子とつくしのは秒速で見つかったんだわ。だけどさ、瑠唯も七深もわかんなくね? そもそも俺は瑠唯とあんまり話したことがないのでわかりませんが、腐れ縁のいとこである七深のことすら分かりません! だってあいつの考えてる事わからんもん。人のこと真似しまくって、何やらかにやら? あいつって最近何にハマってるんだよ……

 

「七深ちゃんの好きな物って分かりますか?」

 

「あいつの好きな物? 昔は……ずっと俺にくっついてきたからあんまし分からん。俺の好きな物は全部好きって言ってたし……あとは珍しいものとか?」

 

「珍しいもの……あ、なにかの特典とか?」

 

「そんなもんじゃね? ここら辺じゃないけど……」

 

 そういいながら俺はスマホの画面に指を滑らせる。ここら辺で特典ついてるのはバーガー屋さんとか、そんなもんじゃね? 

 

「こ、こんなものはどうですか? 七深ちゃん、最近これの話をしてた気がするんです」

 

「こ、これかぁ……」

 

 ましろが見せてきたのは映画の特典ストラップだった。でも、それを手に入れるためには映画を見る必要がある。ついでに男女2人限定でだぜ? これいいのかなぁ……

 

「ましろがいいなら見るか」

 

「は、はい!」

 

 映画の内容はめっちゃメルヘンチックなものでした。ユニーコンと魔法少女が世界を旅してドリームストーンとかいうものを集めてアクセサリーを作る、って感じのやつ。俺は途中飽きて寝そうになったけど、隣のましろはめっちゃ興味津々だったから寝る訳にも行かなかった。

 

「すごかったぁ……見ました? あのユニコーンが飛ぶところ!」

 

「見た見た。あれは凄いわな」

 

「とりあえず、七深ちゃんのは確保……ってお腹減りましたね」

 

「んじゃどっか食いに行くか〜」

 

 時間も時間で12時を少しすぎたぐらい。お昼ご飯を食べるにはちょうどいい頃だし、ここにはめっちゃでかいフードコートがあるらしいんだよな。しかもあそこに有名なたこ焼き屋さんがあったのを見ちゃったんですよ。寒いから食いたいでーす。

 

「あ、美味しそうなビーフシチュー……」

 

「ましろってビーフシチュー好きなんだっけ?」

 

「そ、そうです。でも、人参とかブロッコリーとかは食べれなくて……」

 

「何となくわかるわ。俺もトマトだけは絶対に無理」

 

「わ、私買ってきます!」

 

 そういってましろは売り場の方へ向かっていった。俺はと言うと、急がなくてもいいから場所取りしてるんだよ。だって昼時だぜ? 絶対に座る場所なくなるから。

 

「買ってきました!」

 

「んじゃ俺も行ってくるわ。すぐ戻ってくるよ」

 

 席を立って売り場に向かう。そして並んでいるのだが、いい加減に既読しないと家帰ってからすごいと思うので、 覚悟を持って返信をしようと思います。と思ってみたんだけど、そこまで怖いものでもなかった。千聖はクリスマスプレゼントのやつだし、燐子は今日あるイベントのこと、まぁ彩に至っては自撮りがクリスマスだとか言って送ってきたけど……怖くはないよ? だけどめんどくさい。

 

「戻ったぜ〜」

 

「冷めないうちに食べましょ?」

 

「そうだな」

 

 ましろの言う通り、冷めないうちに食べ始める。俺のやつはネギだれのたこ焼きとタルタルソースのたこ焼き。本当はネギだれだけにしようと思ったんだけど、タルタルソースも美味そうだからつい買っちゃったよ。

 

「ましろ、ほっぺたについてるぜ」

 

「ここ、ですか?」

 

「もうちょっと上」

 

「ここ……あ、とれた」

 

 え、なにこれ。めっちゃ甘い雰囲気じゃないですか? え? こんな空気になったことないんですけど!? ましろといる時はめっちゃ癒される……天使だろ。

 

「……」

 

「食いたい?」

 

「いいんですか?」

 

「2つもあるしいいよ」

 

 俺はそう言ってたこ焼きをひとつ差し出す。あ、ネギだれって食えんのかな。

 

「ハフッハフ、あふい……」

 

「焼きたてだし? まぁそりゃそうなるよな」

 

 一口で食べたましろは想像通りの反応を示す。そりゃ焼きたてだからあっついもん。冷ましてやれば……ってえ、俺なに恋人みたいなやつやってんの? しかもナチュラルに間接キスしてるやん! 

 

「あー、もう馬鹿やってんな!」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「気にしなくていいよ。俺が馬鹿なだけ」

 

 はぁ……よからぬ事を考える前に無心になれやアホ。

 

 

 

 

 ▽▽▽▽▽

 

 よー先輩とお昼ご飯を食べて、今度は瑠唯さんのプレゼントを買いにお店を探している。さっき、熱すぎて気づかなかったけど、間接キス……またしちゃったんだよね。

 

「瑠唯さんのが1番難しい……」

 

「難しいならもういっそ何でもいんじゃね?」

 

「何でも?」

 

「だからって雑に適当なものじゃないけどな。アクセサリーとかだったら一瞬見て、一番最初に瑠唯に似合うと思ったものとか?」

 

 なるほど。そうやれば悩まなくて済むし、1番いいのが見つかるかも! でもアクセサリーとかは瑠唯さん興味無さそうだし……

 

「バイオリンだったら松ヤニとか? あ、でもあれって人によって好みがあるから……」

 

「なら無難にお守りとか置物でいいんじゃね?」

 

「そ、それじゃぁ置物で……」

 

 午前中とは別の雑貨屋さんに来て、選んでみる。パッと見て、瑠唯さんに似合いそうなやつは……

 

「これ!」

 

「クリスマスドームじゃん。ちょうど時期もあってるし、良さげじゃね?」

 

「これにします!」

 

 よかった、何とかみんなの分買えた。よー先輩のおかげだな〜。やっぱり頼りになるし、一緒にいて安心する……ん〜、大好き。

 

 その後は別にすることもなかったので、イルミネーションを見ることにした。時間も6時からだったし、それまで暇だったけど、よー先輩と一緒にいたからあっという間に感じられた。

 

「なぁ、ましろ、ここの噂知ってるか?」

 

「噂……ですか?」

 

「そうそう。ここのイルミネーション見ながら告白すると成功するらしいぜ。この前テレビでやってた」

 

「!?!?」

 

 え、私そんなこと知らない。もしかしてよー先輩ってそれ知ってて私をここに誘ってくれたの? そしたらよー先輩の好きな人って……

 

「まぁここに来ても告白する相手はいないんだけどな」

 

「で、ですよね……」

 

 ちょっといいことがあったからって舞い上がってバカみたい。なんで噂なんて信じたんだろ、そんなの噂なんだから本当じゃないんだし……

 

「でもさ、来年は来るんじゃね?」

 

「来年ですか?」

 

「そうそう。この前の終業式で『俺の卒業式に告白するんで思い当たる人がいたら待っててください!』って言っちまったんだよな〜」

 

「そ、そうなんですか……」

 

 私はきっとよー先輩の目に入ってないんだろうな。こんな気弱だし、自分の言いたいことも言えないし……七深ちゃんが羨ましいよ。よー先輩にあんなに大胆に抱きつけるし、私にはできないことを平然とやってのける。私にもそんな才能があればな〜。

 

 そしてイルミネーションを見て、時間も時間だったので2人で電車で帰ることに。家の方向も一緒だし、暗いからってよー先輩は私のことを送ってくれて……もうこれだけで十分なのに。

 

「よー先輩、もし、よー先輩の好きな人が七深ちゃんだったら卒業式に告白するんですか?」

 

「あったりまえ。するって言ったらカッコ悪かろうがなんだろうが最後まで押し通す。俺の母さんはバカみたいだけどそういう所あるからさ、そこら辺は遺伝みたいだわ」

 

 かっこいい。よー先輩はなんでこんなにかっこいいんだろう。頼りになるし、一緒にいて安心する。だけど、それだけじゃなくて、よー先輩自身は気づいてないだろうけど無意識に人のことを考えてあげられてる。私には絶対にできないこと。だから憧れるし、その魅力に魅入ってしまう。

 

「よー先輩……」

 

「どした?」

 

 家が近くなってきたところで、私はよー先輩がきているコートの袖を引っ張った。卒業式まで、よー先輩と何回会えるか分からない。今ここで言ったら、よー先輩に迷惑かけるかもしれない。でも……今言わなくちゃ後悔する。いつも何も出来ないから……こういう時ぐらい頑張れ! 

 

「私、よー先輩のことが好きです」

 

「え、あ、は、はぁ!?」

 

「よー先輩のことが大好きなんです。寝ても覚めても、なにしててもずっとよー先輩のことばっかり考えてて……今日だって会えて嬉しかった、一緒にいてくれて嬉しかった。この先ずっとよー先輩と一緒にいたいんです……ずっとよー先輩と笑ってたいんです。私じゃ……ダメですか?」

 

 言いたいことは言えた。もう後悔はない。振られたって構わない。

 

「その気持ちは嬉しいよ。だけど、今はごめん」

 

「やっぱり……」

 

「今は、だからな? ちゃんと卒業式までに返事はするって言ってあるしさ。俺ってば、そこら辺鈍感だから時間かけてちゃんと考えなきゃ行けない気がするんだよね」

 

 

『今はごめん』ってことは……まだ私も大丈夫? 

 

「そ、それじゃぁ私も……」

 

「まぁ……ましろの想像通りになる」

 

 嬉しい。ただそれだけだった。私にとっての最高のクリスマスプレゼント……よー先輩のその言葉が聞けただけでおなかいっぱいだよ。

 

「んじゃまたな。今日は楽しかったよ」

 

「は、はい! 私も楽しかったです!」

 

「そんじゃおやすみ 」

 

「おやすみなさい」

 

 自分の家の方に歩いていくよー先輩の背中を見つめていた。そしてちっちゃく手を振って、誰にもわからないように『大好きですよ』とだけ呟いて家の中に入る。

 

 やっぱりよー先輩のことが好き。七深ちゃんもライバルなんだ……私だって頑張らなくちゃ!




ということでした。なにげ関節キスするのって勇気いるよね!耀太は千聖さんたちとするときは嫌々だけど、ましろとする時だけはなぜかテンパるよね!年上キラーELで滅されちゃうよ!
しかもメリークルシミマスどころかハッピーメリークリスマスじゃん笑 2人とも甘々すぎて胸焼けします()

そして次の予告ですが……めっちゃ長くなると思います☆


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43話 大晦日の大騒ぎ

なんか不具合で消えたので再投稿です


「もう年末だね〜♪」

 

「年末といえばコタツとミカンです!」

 

「やっぱりこたつ暖かいな〜」

 

「あのさ、それよりなんで俺の家にいる訳?」

 

「いいじゃない♪ 耀太も1人で寂しかったんだし、ちょうどいいでしょ?」

 

 千聖の言うことに反論できずにいる俺がもどかしい。今日は大晦日の12月31日。せっかくの大晦日を紅白でも見ながら1人楽しく過ごそうと思ってたのに、お昼すぎたぐらいになんか5人ほど押しかけてきたんだよねぇ〜。

 

『やっほ〜♪ 来ちゃった♡』

 

『ヨウタさん! こんにちはデス!』

 

『耀太く〜ん♡遊びに来たよ〜♡』

 

『お、おじゃまします』

 

 あのね、俺は寂しくなんかないからな? 1人っきりの年越しなんて寂しくもなんともないからな! 

 

「はぁ……」

 

「なんでそんなにため息をついているのよ。年越しはメンバー全員でってこの前言ったじゃない」

 

「んなの覚えてねーよ。俺は1人でいたかったのにさ〜」

 

「そ、それより、誰か来ましたよ」

 

 麻弥に言われて庭の方を見ると、1台の黒い車がバック駐車をしようとしていた。どうせどっかのアホが道間違えたからUターンしようとしてるんだろ? そのうちどっか行くだろ。

 

「止まんないと『止まったよ』( 'ω')ふぁっ」

 

「ちょっと行ってくるわ」

 

 そういって俺は庭へ向かう。黒い車か……思いあたる節がないこともないが、今日に限って有り得ることがない。そして、運転席から出てきたのは……

 

「あ、耀太、久しぶりだね」

 

「あ、おかえり。友達いるけどいいでしょ」

 

「ひさしぶりに帰ってきた実の父親に対しての扱い酷くない!?」

 

 帰ってきたのは俺の父さんだった。しかも父さんだけ。まぁ母さんはどっかほっつき歩いてんだろうな。何となく予想つくよ。

 

「ど、どうもはじめまして。耀太の父の光羊(こうよう)です。いつも耀太がお世話になってます。とりあえずお土産を……」

 

「貰いますよ、お義父さん♪」

 

「まだお前はそうやって呼ぶな」

 

「千聖ちゃんだけずるいな〜。あたしもよーくんのパパのことお義父さんって呼ぶから!」

 

「ずるいずるい! 私も!」

 

「あ”ーーー! お前ら全員黙れ!!!」

 

 帰ってきてそうそうなんなんですかこの人たちは。父さんは俺に千聖以外の女友達ができたことに感動して泣いてるし、母さんは別で向かってるらしいし……なんでこう大晦日なのにまとまりがねぇのかなぁ……

 

「あ、耀太、今回もこれよろしくね」

 

「バイト代とるから」

 

「いつも通り紅茶は買ってきてあるよ」

 

「耀太さん、それ、見せて貰ってもいいっすか?」

 

「知らんけどいいよ」

 

 麻弥に言われた俺は、父さんに何も聞かずに麻弥に手渡す。渡された麻弥は、それをじっと見ていた。

 

「耀太さんのお父さんってもしかして『羊の光』さんなんですか!?」

 

「羊の光? それってなーに?」

 

「なにもかにも、世界的な小説家っすよ!? この前の国語の授業で先生が言ってたじゃないっすか!」

 

 当たり前すぎて忘れてたけどさ、俺の父さんって小説家なんだよな。そういう母さんもだけどさ、うちの両親はどっちも有名人なんだわ。その子供が俺? 普通すぎてワロタ。

 

「あ、忘れてた!」

 

「今度は何忘れてるんだ?」

 

「車にお寿司とかいれっぱなしだ!」

 

「いやそれは忘れちゃいけないやつ!」

 

 みんなにも手伝ってもらって車の中から救出完了。それにしても、寿司とおせちと大量の肉とケーキと何やらかにやら……よくもこんな量買ってきたこと。流石に3人で食べ切れる量じゃないぜ? 

 

「なんでこんなに買ってきてんだし」

 

「母さんがこれとこれとこれ〜って買っていったらいつの間にかこんなことに……」

 

「いつも通りだわな」

 

「うん、いつも通りだよ……って母さん来たんじゃない?」

 

 庭の方からブロロロとバイクの音がする。え、なに? 母さん今度はバイクで来たの? そう思いながら玄関の扉を開けようとするが、その必要はなかった。なぜなら勢いよく開いたからだ。

 

「んー、耀太ーーー!」

 

「いい加減子離れしろ」

 

「ゲフッ……相も変わらず鋭いツッコミと綺麗な体捌き……さっすがあたしと光羊の息子ね!」

 

「とりあえず家に入りなさい。そして状況説明して」

 

 いつも通りにスルースキルを駆使しつつ、母さんのウザ絡みを避けまくる。まったく、母さんは……

 

「たっだいま〜……って千聖ちゃんじゃない! ひっさしぶり〜♪」

 

「お邪魔してます、お義母さん♪」

 

「あ、初めての子もいるわね。あたしは耀太のママ、琴美(ことみ)でーす☆よろしくね♪」

 

 そういいながらピースサインとテヘペロポーズを可愛く決める母さん。いっつも思うんだよ、この人が俺の母さんなら俺のこの性格はなんなわけ!? 

 

「ももももしかして耀太さんのお母さんは『KOTOMI』さんなんですか!?」

 

「あれ? 分かっちゃった? あたしもファンが増えちゃった☆」

 

「私も知ってます! この前の雑誌の表紙見ましたよ! お菓子も服もすっごく可愛かったです!」

 

 またもや麻弥が反応して、それに気づいた彩も続く。俺の母さんは何やってるかって? 名前は知らんけど、ファッションブランドを立ち上げた天才です。月ノ森にいた頃から美的センスはずば抜けてたらしく、今となっては世界のトップブランド。だから月ノ森の制服も任されてんだよな。

 

 そしてその性格はいつになっても子離れができない親なんだよな。海外行く時は毎度のことのように行きたくない行きたくないって子供みたいに泣いて俺にしがみついて、それを俺と父さんがひっぺがす。しかも1度決めたらそれを成し遂げるまでなにがあっても突っ走る頑固者。そこだけは俺も受け継いでるし、尊敬できる。ただし、周りの迷惑を少しぐらい考えて欲しいんですけどね! 

 

「つーか、あの量の食い物どうする気してたわけ? 3人じゃ食いきれなくね?」

 

「元々は千聖ちゃんのお母さんたちも呼ぶ予定だったんだけど、その必要も無いじゃない? だってこーんなに耀太のお嫁さん候補がいるんだもん! あたしは誰が娘になっても大歓迎よ☆」

 

「ま、まぁ、耀太も高校生なんだし、そこら辺は……」

 

「そういう光羊はどうなのよ、この中で誰が来て欲しい?」

 

「ええっと……」

 

 俺の怒りが爆裂するまで、3.2.1

 

「少し黙ってろこのドアホ!」

 

「耀太に怒られた……琴美ちゃんショボボン」

 

「こ、これでよかったの?」

 

「いつもの事だから気にすんな」

 

 少し強めに声を出して母さんを黙らせた。あのね、こうでもしないとうるさいんだよ。いまでも一緒に風呂入るとか言ってくるし。俺はいつまでたっても小学生じゃねぇ! 

 

 そんなこんなもありつつ、夕飯を並べて行った。並べて行ったと言っても、買ってきたものを開けてテーブルに並べるだけ。とても簡単なお作業でございます。

 

「とりあえずこれで全部か」

 

「それにしても凄いね〜。よーくんのお母さん面白いし、お父さんもるんっ♪ てくるんだもん!」

 

「そろそろ食べましょ? お腹も減ってきたし、お話は食べながらでもいいじゃない」

 

「そうするかそれじゃ……」

 

「いただきます!」

 

 学校以外でこんなに大人数で食べるのとかいつぶりだよ。日菜と彩はめちゃくちゃがっつくし、それと対照的にイヴと千聖は行儀よく食べている。そしてそんな中でただ1人、麻弥は食べたいものを取ろうとしても取れずにいるようだった。

 

「ほい、適当に取ったから」

 

「いいんすか?」

 

「彩と日菜ががっつきすぎて取れないだろ。俺は残ったら食べればいいし、なくなる前に食っといた方がいいぜ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「いいねぇ耀太、カッコイイじゃん♪」

 

 あーまじうぜぇ。なんなんでしょうこのウザ絡み。まぁまだ酒飲んでないからいい方か。

 

「そんじゃ年代物のワインでも開けてみよ〜♪」

 

「ちょっ、バカ! 飲むな!」

 

「耀太、もう遅いよ」

 

 父さんがそう言ったから俺はもう諦めた。なんでって? 母さんは酒に弱いくせにめっちゃ酒が好きなんだよ。それに父さんも酒には弱いから飲まないようにしてる……あのね、流石に調子乗りすぎじゃね? 

 

「よぉたのお嫁さんは『部屋に行くぞこら』やらぁ」

 

「ごめんね、琴美はいつもこうだから」

 

「父さんが謝る必要は無い。あ、寝る時はこの前の部屋に布団敷いておくからそこでな」

 

「やぁらぁ〜。ちさとちゃんといっしょにねりゅの〜」

 

 ダメだ、もう酔っ払いまくってる。

 

「別に私はいいわよ」

 

「あたしもいいよ〜」

 

「そういうことなら大歓迎です!」

 

「はぁ……んじゃ布団に投げつけておくわ」

 

「お母さんの扱い雑でいいの?」

 

 彩の言葉に俺は「もちろん」と即答する。だって当たり前じゃん。こんだけ人に迷惑かけやがって….…さっさと年明けねぇかなぁ。

 

 ▽▽▽▽▽

 

 耀太のお義母さんが布団で寝ていて、私達も布団で体を休めることにした。久しぶりに会ったけど、やっぱり破天荒な性格よね。

 

「あー、あったま痛いわねぇ……」

 

「お水飲みますか?」

 

「ありがと☆」

 

 酔いが覚めて起きたみたい。年越しはやっぱりこうじゃなきゃダメよね。

 

「しっかし、耀太はモテまくってるわよね〜。千聖ちゃんにパスパレメンバーでしょ? それに月ノ森の1年生にも告白されてるんじゃね〜」

 

「そうなんですか?」

 

「そーよそーよ。桜弥ちゃんに聞いたのよ〜。そんでさ、みんな耀太のこと好きなわけ?」

 

「もちろんです♪」

 

「ま、まぁ自分は告白も何もしてませんが……」

 

 確かに麻弥ちゃんだけみたいね。私も彩ちゃんと日菜ちゃんが告白してたのは知っていたけど、イヴちゃんまでとはね。

 

「なら早く告白しちゃいなさいよ〜♪ ほら、初詣行く時にでもさ!」

 

「で、でも……」

 

「仕方ないわね。私もサポートしてあげるわ」

 

「あたしもするー!」

 

「わ、私もしてあげるよ!」

 

 もちろんイヴちゃんも加わって麻弥ちゃんの告白をサポートすることに。本当だったらこんなことはしないんだけど、ここで麻弥ちゃんだけ告白できなかったら不公平じゃない? 競うどころかスタートラインにすら立ててないののですもの。それで勝ち取ったっていい気はしないじゃない。

 

「そうとなったら振袖の用意しなきゃね! ちょっと待ってなさい、あたしの部屋から着てたやつ持ってくるから! あ、そうだ! 車にもいくつか積んであるじゃない! みんなの分も用意するから、待ってなさいよ〜!」

 

 そういってお義母さんは勢いよく部屋を飛び出して行った。やっぱりこういう所は似ているわよね。良くも悪くも……だけど、それだから好きになっちゃうのよね〜。

 

「ほらほら麻弥ちゃん! どうやって告白するの? いつする? 今する?」

 

「日菜ちゃん、そう焦らないのよ。新年早々だし、耀太のことだから寝ぼけたりするわけがないわ。しっかりとシチュエーションも考えなきゃ落とせるものも落とせないのよ」

 

 とりあえず、麻弥ちゃんと耀太が2人きりになるようにすることが大前提として、お参りをするのかおせちを食べるか。まぁそこはもちろんお参りをということに。まったく、いつもだったら私がするのに….…しょうがないわね。

 

「あったわよ! ほらほらみんな、いまから着付けタイム〜♪」

 

「あ! あたしこの水色のやつがいい! るんっ♪ てきたもん!」

 

「それじゃ私はこのピンク色のやつ!」

 

「麻弥ちゃんにはあたしが選んであげるから安心してね☆とびっきりいいやつ選んで、耀太に目にもの食らわせてあげるわよ!」

 

 着付けと言っても、自分が着たい着物を選ぶだけだったので直ぐに終わった。そしたら何をするかって? もちろん女子トークよ。その内容は知っているでしょ? 耀太の話し♡

 

「あたしがいない間にそんなことあったのね〜」

 

「そうなんですよ。耀太ったら、私たちのマネージャーとしての仕事振り凄いんですよ」

 

「ま、あたしの息子だから☆」

 

「琴美さん、雑誌とか読んでても耀太さんのこと何も出てないんですけど……何かあったんですか?」

 

「んーん、なーんにもないよ。むしろアレはあたしの問題だからさ」

 

 麻弥ちゃんはきっと興味本位でした質問だったと思う。だけど、それは場の雰囲気を一瞬にして暗くした。そしてそれを次の一瞬でお義母さんはさらに深くした。

 

「あたしね、お母さんとお父さんの顔を知らないんだ。いつだっけな〜、たしかあたしが4歳のときだっけ? 両親が喧嘩して別れて、あたしは捨てられた。それで孤児院入って、そこのおばあ様が月ノ森の校長の姉妹だったから月ノ森に幼稚舎から入ってね。それからはずーっと勉強だったんだよ。 おばあ様に褒めてもらいたいって思ってね。

 

 そして高校生の最後の文化祭、今年もやってたみたいに3校合同でやったんだよね。そこであたしは最終日に光羊にナンパされて、その日の夜のダンスの時に告白された。もちろんあたしも一目惚れだったから即答OKだよ。その後は大学出て、耀太産んでブランド立ち上げて世界中飛び回って今に至るってこと。

 

 海外飛び回ってたせいで耀太と一緒の時間ってのがあんまりなかったのよね。海外にいなくても、あたしはあんまり家にいれなかった。あたしについて来てくれた光羊も一緒でね。それに、あたしは親がいないからどうやって子供に接していいのかも分からないのよ。この歳になっても酷いわよね〜。だから不器用でも愛してあげたいんだよね。でもそのせいで耀太に子供扱いされちゃってて最近しょぼぼんナノ」

 

「な、なんかごめんなさい……」

 

「いーのいーの。耀太の嫁になったらこの話聞くことになったんだからね。この話聞いたってことは耀太の嫁に近づいたってことよ。だからシャンとして頑張んなさい! そんでもって耀太にはこの話内緒よ」

 

 まったく、耀太は似ても似つかないって言ってるけど、そっくりじゃない。

 

「まぁ、私が幼なじみなんだから私がお嫁さんですけどね♪」

 

「あたしがよーくんのこといっちばん好きだもん!」

 

「私だって負けてないからね!」

 

「じ、じぶんもっすよ!」

 

 ふふっ。これはこれで大変そうね♪ 

 

 ▽▽▽▽▽

 

「あーおわった。疲れた。けど寝ない」

 

「はい、お茶いれてきたよ。琴美のお気に入りのお茶菓子も一緒に食べちゃおう」

 

「それがいい。後で泣いても知らんけど」

 

 まったく、年末ぐらい平和に過ごせるかと思ったらこのザマだよ。俺に平和と言う二文字はあるのか……

 

「耀太、ここだけの話だけどさ、好きな人とかいるの?」

 

「いや父さんまでなんなんだし」

 

「まだ高校生って言ったけど、もう高校生なんだよ。耀太とこういう話したことないじゃん? 少し気になってさ」

 

 たしかに父さんと学校のこと話したりするのってあんまりないかも。そもそも家にいないからな。まぁそれは母さんもだけれど。つーか、2人ともそこら辺は放任主義だったもんな。付き合うなら勝手に付き合え、結婚するなら一言いってから、とかぐらいだったもんな。

 

「別に。なんもねーよ。普通に告白されて卒業式にちゃんと返事するって言ってるだけ」

 

「文化祭はなにかあった? 僕みたいに告白したの?」

 

「俺にそんな度胸があるとでも?」

 

「いつもは調子いいのにそこだけはないよね」

 

 ごもっともでございます。大事な時は気弱になって、どうでもいい所だけめっちゃ頑張る。あーあ、本当にバカみたい。まぁバカなんですけど。

 

「そんなこと言っても、卒業式にはちゃんと返事するって決めたんでしょ?」

 

「あったりまえ。自分で決めていったんだし、かっこ悪かろうがみすぼらしがろうがどうでもいい。ちゃんと伝える」

 

「やっぱりそういう所は琴美と似てるよね。いつもは僕もこうだけどさ、高校生の時は琴美を僕がナンパしたんだよ」

 

「はぁ!? マジで!?」

 

「マジもマジで大真面目。ナンパしたって言っても、途中までは琴美のペースに乗せられてたんだよ」

 

 いやいや、それでも驚き桃の木山椒の木。今の父さんの状況みてナンパできる性格だと思う!? どうせ罰ゲームかなんかだろうね……って程でもないか。一目惚れなら有り得るし、母さんのことだから……って考えててもしょうがないか。

 

「って話してっともうすぐ年越しじゃん」

 

「そうだね。なにか言っておきたいことは?」

 

「言っておきたいことか……」

 

 なんだかんだあっても、俺は今年楽しかったしな。それなら言いたいことは決まってるだろ? 

 

「今年1年楽しかったぜ。父さん、来年もよろしくな」

 

「うん。来年もよろしくね。そして……」

 

「しってる。そんなところで隠れてねーでこたつでも入ってれば? 寒いだろ」

 

「あちゃ〜、バレてた?」

 

「逆にバレないわけがないだろ、ドアホども」

 

 部屋のドアに母さん含め、千聖たちが揃いも揃って聞き耳を立てていた。理由は何となくわかる。俺と父さんが口を滑らすのを聞きたかったんだろうが、元々気づいてたんで言わないです。

 

「まったく、日菜ちゃんが声出そうとするからよ」

 

「えー! そんなこと言ったら彩ちゃんもスタンガンだそうとしてたもん!」

 

「そそそそんなことないよ!?!?」

 

「耀太、千聖ちゃん達っていつもこうなの……?」

 

「いつもの100倍うるさいわ。ま、これでも楽しくマネージャーやってます」

 

 いっつもめんどくさいぐらいにうるさくて迷惑かけてくる千聖達だけど、これでも結構感謝してるんだぜ。千聖がいなきゃ花咲川に来てないし、彩が強制連行してなきゃパスパレのマネージャーになんかなってない。それに日菜がいなかったら文化祭もうちだけだったじゃん? 退屈しない毎日が当たり前だからさ。それが俺の大切な毎日なんだよな。とはいっても、身体的疲労と精神的疲労は別カウントですけど! 

 

「もう除夜の鐘なるみたいだよ?」

 

「今年ももう終わりね」

 

「みなさん、来年もよろしくお願いします!」

 

「来年も精進していきましょう!」

 

「来年もるんっ♪ てすることあるかな〜」

 

 はぁ……マジうるせぇ。けど、こういう時ぐらい言わなきゃな。

 

「あー、えっとさ、なんやかんなあったけど今年は楽しかったぜ。来年もよろしくな」

 

「もちろんよ♪ ちゃんと惚れさせてあげるからね♡」

 

「あたしも私も! 頑張ってよーくんのお嫁さんになるんだから!」

 

「いつの間にか耀太も色男になっちゃって☆」

 

「時間かけていいから、ちゃんと答え出すんだよ」

 

 ……前言撤回していいかな? まぁ何はともあれ、今年は退屈せずに楽しく過ごせたからよかったか。

 

「ほらほら、もう少しだからカウントダウン!」

 

『3』

 

『2』

 

『1』

 

『ハッピーニューイヤー!』

 

 やれやれ、今年も騒がしくなりそうだな。

 

「あけましておめでとう。今年もよろしくお願いします」

 

 卒業式まで……頑張るとしますか!




あけましておめでとうございます!不具合でなんか消えちゃいました笑笑。ドリフェスで20連で星4が6枚という神引きをしたため、アインくんは今日からまた全力で更新していきます!そして完結まで頑張ってくんで、最後まで読んでくれると嬉しいです!


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44話 謹賀新年も大騒ぎ

あけおめことよろ本年1発目!どうなるかって?もちろん大騒ぎ!


「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」

 

「こういう時だけかしこまっちゃってどうしたのよ。日菜ちゃんを見習ったら?」

 

「あけおめことよろ〜!」

 

「いや、さすがにあれはバカすぎる」

 

 現在、1月1日、元日の朝6時でございます。俺たちは初日の出を見るために寒い中庭に出ていた。もちろん初日の出を拝めたが、その代償として体の芯までの凍りつくような寒さの中で待つという苦行を強いられた。

 

「さてさて、元日といえばお餅よお餅! 早速食べましょ〜♪」

 

「餅自体はあるけどつけるものないんですが」

 

「それなら安心しなさい。きな粉にずんだに特製醤油と海苔! ついでに高級納豆とおばあ様のあんこがあるわよ!」

 

「あんこは全部俺のな」

 

「あたしも食べますー」

 

 子供みたいに舌を出した母さんに俺は呆れる。だってばあちゃんのあんこはめっちゃ美味いんだもん! 甘さもちょうどいいし、舌触りも滑らか……考えるだけで最高。

 

「こ、こんなに沢山……」

 

「美味しそうだけれど、食べ過ぎは良くないわよ?」

 

「適当に焼いておくからお好きにどうぞ。雑煮も直ぐにできるから」

 

「やっぱり元日はこうじゃなくちゃね〜」

 

 まったく、母さんは料理しないし、父さんは車の準備してるからいないし、千聖達はもう食ってるし……俺も早く食いたいんですけど。

 

「耀太、あんた毎日自分で料理してんのにこれぐらいしか出来ないの? 味はともかく見た目が雑よ?」

 

「家で食う分には申し分ない程度だと思いますが」

 

「しょうがないわね、ちょっとキッチン貸しなさい!」

 

 母さんはそう言ってキッチンにたった。いやいつぶりだよ、母さんの料理食うとか。

 

「さてさてさーて、あたしにまっかせなさい☆」

 

 そういいながら切り餅をいくつか切り始めた。切り終えたものを耐熱容器に牛乳、砂糖、チョコレートと一緒にいれてラップをかけて電子レンジにかける。そして取り出したものに片栗粉を入れてまた電子レンジ。柔らかくなってきたところで取りだし、ホワイトチョコを割って、それを包む。そしたらまたまた電子レンジに直行。そうして出来上がったものにココアパウダーをまぶして完成したらしい。

 

「どーよこれ。普通の餅じゃつまらないから大福っぽくして、中身はホワイトチョコ。そんでもってココアパウダーふりかけて色もちょうどいいでしょ♪」

 

「んふ〜♪ ひゅっごくおいひい!」

 

「ホワイトチョコとココアの味がちょうどいいっす!」

 

「この写真、SNS映えしそう……」

 

「そんじゃ夕飯もその調子でよろしく」

 

「あ、夕方にはまた日本たつわよ? 今度はオーストラリアでファッションショーなのよね〜」

 

 流石に早すぎると思うが、それが仕事ならしょうがない。千聖達がいるんだからまた泣きつかなきゃいいけど……無理な話か。

 

 そして元日にすることで優先度が1位のことをするために神社に来た。なにかって? そんなの決まってんだろ、初詣だよ。俺は寒くないように適当な洋服の上に厚めのコート着てきたんだけどさ……

 

「じゃじゃーん! どう? るんっ♪てきた?」

 

「これぞ日本の風物詩です!」

 

「1度着物きてお参りしたかったんだ〜♪」

 

 見事に全員着物着てやがる。しかも揃いも揃って母さんが見繕ったらしいじゃん? まぁ似合ってないことは無いんだけれども、寒いと思うのは俺だけでしょうか。

 

「ったく、こんな寒いのによくそんなの着てこれるよな」

 

「あ! あたしおみくじ引いてくる!」

 

「ちょ、ちょっと待って日菜ちゃん!」

 

「ほらほら、あたしらもいくよ〜」

 

「わ、わかってるから引っ張らないで!?」

 

 日菜が騒ぎ出し、彩と千聖とイヴがついて行く。それをみた母さんも父さんを引っ張ってどっかに行った。そして残ったのが……

 

「の、残っちゃいましたね」

 

「アイツらがアホなだけだろ。さて、どうするか……」

 

 完全に出遅れたし、どこに行ったか知らんし、人めっちゃ多いし……この時間なら少しは空いてると思ったけど、それが間違いだったみたいだな。今の方が人来るみたいだわ。

 

「考えててもしょうがないか。時間かかるからさっさとお参り済ましちまおうぜ」

 

「そうっすね。ってうぅ……寒いっす」

 

 そういいながら麻弥は寒さで赤くなっている両手を擦っていた。はぁ……めんどくせぇな。

 

「手、繋いどこうぜ。どうせ寒いだろ。俺、別にそういうの気にしないから」

 

「え、い、いいんすか?」

 

「その方がはぐれなくて済むだろ。ついでに、そのまんまだとまた千聖に言われるぞ?」

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」

 

 麻弥と繋いだ手をコートのポケットに突っ込んで、本殿まで続く長い列に並ぶ。しっかし、めっちゃ並んでるな。やっぱし元日の初詣ってことだからだよな。こうやって見るとカップルとか……ん? カップル? カップルって手を繋いで、一緒に初詣が定番だよな……今の俺と麻弥の状況と見事にベストマッチ? しかも高校3年だし、麻弥は着物とかどっかの天才物理学者も驚くぐらいのベストマッチじゃないすか? えぇ!? 千聖たちに見られたらヤバいって……もういいや、開き直っちまうか? 

 

「耀太さん、ジブンの着物姿って……どう見えます?」

 

「麻弥の着物姿?」

 

 俺の思考回路がショート寸前に陥った時、麻耶が話しかけてきた。そのおかげでショートしなくて済んだけどさ、いきなり何? 麻弥が今来ている着物は和風柄の黒色。和風柄って言っても、めっちゃ昔の貴族が着てそうなやつで、どことなく大人っぽく見えてくる。なんていうか……奥ゆかしい? って表現であってる気がする。ったく、母さんのファッションセンスには頭が上がらないんだよな。

 

「似合ってる気がするけど。いつもより大人っぽく見えるって言うかなんていうか……まぁそんなとこ」

 

「フへへ、ありがとうございます」

 

 その後も適当な話をしていると、あっという間に本殿の目の前に。神様へのお願いか〜。

 

「去年1年間ありがとうございました。今年も1年間よろしくお願いします」

 

「お参り終わったんでお守り買いに行きませんか?」

 

「そうするか」

 

 ということで売店に来てみましたね。今度は並んでないみたいです。あー良かった、並ぶの嫌い()

 

「何買うか……とりあえず安全祈願かな」

 

「ジブンもそうっすね……って、なんでそんなに買うんすか?」

 

「パスパレ全員分。これでもマネージャーですので」

 

「アハハ……」

 

 金使う所もないからパスパレメンバー全員分のお守りも買って、お参りもして終わり。だよな? なんか忘れてる気がするけど……

 

「なんか忘れてる気が……」

 

「そういえばおみくじ引いてないっすね」

 

「そうじゃん! いっちゃし大事なこと忘れてたわ!」

 

 なんで忘れてたのかなぁ……初詣といえばおみくじ! その年の運勢を占わなきゃなんないんだよ。母さんは毎年大吉引くけど、父さんは毎年末吉か凶を引く。でも父さんは最初に引いたのが1番悪いやつだと年末には1番いいやつになってるって自分に言い聞かせてるんだよね。なんかそのポジティブシンキングにしびれる憧れる。

 

「俺は……これだ!」

 

「ジブンはこれっす!」

 

「さてさて……って末吉なんですけど、泣きたいんですけど」

 

「ジブンは……同じく末吉っすね。あ、でも恋愛運だけは好調みたいっす」

 

「俺も同じようなもんだな」

 

 その後、おみくじをちゃんと木に結びました。俺は大吉以外は木に結ぶ主義なんですよねぇ〜。

 

「あ、そういや母さんも千聖達も見当たんないや。電話するか」

 

「あ、あの……ちょっとだけジブンの話聞いてください!」

 

「ま、まぁ別にいいけど」

 

 連絡しようとスマホを取りだした時、麻弥がそんなことを言ってきた。ま、時間もあるし別にいっか。

 

「耀太さんって色んな人から告白されてますよね。日菜さんも、イヴさんも彩さんも……大変なのが目に見えます」

 

「まぁ大変だわな。でもちゃんと卒業式に返事するので」

 

「耀太さんが大変なのは分かってるんです。だから言おうかずっと迷ってたんすけど……今ここで言います!」

 

 そういった麻弥は俺の手を握ってきた。

 

「じ、ジブン、耀太さんのことが好きです! 付き合ってください!」

 

「気の所為? 聞き間違い?」

 

「そんなことないっす! ジブンは耀太さんのことが好きなんです。頼りになるし、カッコイイし、いつもジブンたちのこと考えてくれるし……いつの間にか耀太さんのことで頭がいっぱいになってたんです。皆さんより魅力も何も無いっすけど……ジブンでよければお願いします!」

 

「あ、ありがたいけど『卒業式に、ですよね!』そ、そうだよ」

 

「ならジブンにも考えがあります。千聖さんにも日菜さんにも負けませんから!今まで何も出来てなかったぶん、皆さんに遅れを取ってるんだから頑張りますよ!」

 

 まさかまさか……うーん、麻弥まで? ありがたいんです。本当にありがたいんです。でも俺の悩みの種が増えそう、っていうか増えてんの。

 

「えへへ、麻弥ちゃ〜『ちょっとまだ!』グフッ」

 

「彩に日菜? なんでそこに……ってイヴと千聖もいるし。……母さんと父さんも?」

 

 ん? てことはまさか……

 

「これ仕組んだやつは今ここで大人しく出てきなさい」

 

「ええっと……『はやく』だって! 彩ちゃん!」

 

「日菜ちゃんも千聖ちゃんもでしょ!?」

 

「じ、ジブンのためにやってくれたんだから怒られるならジブンですよ!?」

 

 

 

 ▽▽▽▽▽

 

 散々な目にあった初詣も終わり、やっと帰宅。あーあ、今年って何? 厄年? 本当になんなんでしょう。

 

「耀太、ちゃんと返事しなさいよ〜? みんな可愛いんだからさ♪」

 

「それ以上茶化したらばあちゃんに言いつけるよ。それとも辛いものフルコースがいい?」

 

「ごめんなしゃい……」

 

 確かに可愛いことは認めるよ。だってパスパレは全員アイドルじゃん? 俺もそれに含まれるかどうかはわかりませんが、事務所所属っていう肩書きはあるんだよね。それが今後関係するかどうかは明白。熱愛報道とか面倒くさそうじゃん。

 

「熱愛報道とかは気にしなくていいよ? あたしはよーくんとラブラブなところみんなに自慢したいぐらいだから自分から言っちゃうもん♪」

 

「私はちょっと気にしちゃうかも……耀太君はカッコイイからほかのオンナのヒトがよってくることになるから……でも安心してね。みーんな私が消してあげるから♡」

 

「とりあえず彩は物騒なことは言わない。日菜は少しぐらい気にしなさい。っていうか2人ともサラッと俺の心を読むなし」

 

「賑やかで何より。耀太1人で少し心配な部分はあったけど……これだけ友達いるなら安心だね」

 

「だから言ったじゃない。あたしらの息子なんだから気にしなくていいわよ〜ってね☆」

 

 母さんも父さんも何言ってるんだか。俺は1人でも大丈夫です〜。

 

「んじゃ、あたしらは行くかんね。今度は卒業式に帰ってくるから。多分!」

 

「多分じゃなくて絶対に帰ってくるよ。仕事も全部片付けてくるから」

 

「うるさいから母さんは来なくてもいいよ」

 

「えぇぇ!?」

 

 その言葉を聞いた母さんはまたしょげて、千聖達はやっぱり笑っている。なんか昨日もこんなことあったような……ま、いっか。

 

「耀太のことは任せてください。ちゃんと面倒はみますから♪」

 

「千聖ちゃんがいるなら安心ね。あ、そうだ。耀太って2輪の免許持ってるの?」

 

「とりあえず夏休みに取れるだけ取っておいた。なんで?」

 

「あたしが乗ってきたやつ置いてくから乗ってていいわよ。ただし、2人乗りするなら一番最初に彼女を乗せること。これが条件よ!」

 

「はいはい、ありがとうございますー」

 

 時間になったので母さんと父さんは空港に行くことに。なんやかんやあったけど、マジで嵐のように去っていったわ。なんていうか……退屈になるな。

 

「そんじゃまたね〜♪ 今度会う時はお義母さんって呼んでね☆」

 

「耀太のことお願いします」

 

「余計なお世話……ま、行ってらっしゃい」

 

 それを聞いた母さんと父さんは空港に向かった行った。『次に会う時はお義母さんって呼んでね☆』とか、俺責任重大じゃん。だるいわぁ〜。




ということでした。
麻弥がやっとスタートラインに立ちましたね。耀太のお母さんのキャラ濃すぎって?実際、同級生の母さんがこんな感じなんですよ。でもすっごくかっこよくて憧れちゃうんですよね。

次回は誰だともと思います?まだ冬休みですよ?修学旅行はまだだし、蘭とかパレオもいること忘れてる人いません?(それはお前がしばらく出てないから) 次回からは嫁候補がじゃんじゃん耀太にアタックしていく……かも!(誰がいいとかあったらリクエストくれると嬉しいです)


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45話 白い天使の猛追撃

白い天使=?


「さっむいわぁ」

 

 正月がすぎてすぐの日曜日。俺はこたつでみかんを食べながら駅伝を見ていた。やっぱし年始はこれに限るだろ。

 

「うし、こたつで寝るか」

 

 そう思って全身こたつに入って丸めた座布団を枕にして寝ようとした時、呼び鈴がなった。どうせ広告配りとか宗教勧誘とかだろうな。適当に流すか。

 

「新年早々なんですか」

 

「あ、あけましておめでとうございます。遊びに来ちゃいました」

 

「まぁ寒いから中入ろうぜ」

 

 いやなんか想定外。年越してパスパレ以外で初めて会う知り合いがましろとか予想するか? 七深か薫かと思ってたけど……まぁ千聖を除けば1番家近いからな。ありうる。

 

「よー先輩ってなにか予定とかあるんですか?」

 

「こたつに入りながらみかん食べて駅伝見るっていう予定がある」

 

「わ、私もそうします」

 

 2人揃ってこたつに入ってテレビを眺める。特に何もすることは無いし……ってなんでましろ来たの? ま、いっか。

 

「よー先輩と一緒のこたつで……夫婦みたい///」

 

「夫婦かぁ……別にいんじゃね?」

 

 あ、めっちゃ口滑ったわ。でも悪くは無いと思うし、なんなら楽しいまで思う。だってのんびり出来そうじゃん? 

 

「じゃ、じゃぁ毎日こうやってよー先輩と一緒にいます!」

 

「さすがにそれは無理があると思いますが」

 

「で、ですよね……」

 

 言いすぎました、ごめんなさい。ていうか夫婦って俺もよく言ったよな……でも家近いし、ましろってめっちゃ料理上手そうだし、一緒にいて退屈しなそうだし……

 

「ま、まぁ……毎日とまでは行かなくとも、週末とかぐらいならいいけど。家も近いんだし、夜遅くまでいても泊まる必要ないしさ」

 

「夫婦なら一緒に寝るんじゃ……」

 

「泊まっていいから泣かないでくれる?」

 

 結局、週末はできる限りましろが泊まりに来ることに。もう通い妻? 週末は絶対に千聖たち呼べないね! もしも千聖達とましろが出くわしたら……俺のバットエンドコースまっしぐら間違いなし。

 

「今から着替えとってきますね! あ、あと枕とシャンプーと……」

 

「荷物多そうなら俺も行くか?」

 

「だ、大丈夫です!」

 

 ましろは1度家に戻り、俺はまた1人になった訳だが……さて、どうするか。枕とかシャンプーまで持ってくる必要あるかって思うけど、女子なんだし、ましてやお嬢様学校の1年なんだからそこまで気にするのは納得出来る。なんから他のやつらが気にしない方がおかしいんだよな。

 

「って絶対に一緒に寝るとかいうやつやん。布団と部屋と片付けるか。ついでに脱衣所とかも全部か……用意に時間かかりそうだしやっちまうか」

 

 まずは自分の部屋からやる、と言ってもやることはあまりない。ベッドのシーツ変えて、机の椅子にかけてあるコートを衣装ダンスにしまう。それだけじゃなんか不安だからこの前日菜に貰ったアロマオイルをお湯の張ったコップに垂らして机の上に置いておく。日菜のやつ、俺がベルガモットの匂いのこと好きだって知っててこれ作ったよな。だって聞いてきたもん。

 

 そして今度は脱衣場。なんだけど……脱衣場をどうやって片付けていいのか分かりません。だからといって何もしない訳には行かないからシャンプーを置いてある台を綺麗にして、タオルとかを入れてある棚も綺麗にする。まぁ……これくらいでいいか? 

 

「た、ただいま戻りました……!」

 

「おかえり……でいいのか?」

 

 まず一言だけ。めっちゃリア充してると思います! 何この空気よ。千聖たちと一緒にいる時にこんな空気になったことがあるか? んなわけねぇだろ! あんないつも俺の命狙うみたいに殺伐としやがって……それに比べてましろを見てみろ! こんなにおしとやかで清楚なんだぞ!? 既成事実とか薬とかスタンガンとか婚約とか絶対に口から出てこないからな!? いやでもまぁ婚約が出てくる可能性はまだ少なからずあるのか。

 

「ええっと、私はどうすれば……」

 

「なんもしなくてもいいよ。正月なんだし、のんびりしてようぜ」

 

「そうですね」

 

 本当に俺とましろはのんびりとしていた。こたつに入って、みかんを食べてお茶を飲んで、くだらない話をしていた。こんな平和で心安らぐ週末をすごしたことがあるか? いつもは燐子から連絡来てNFOに拘束されたり、日菜に町中振り回されたり、最悪の場合は彩とか紗夜に脅されてる。しかもそれを全部パレオにストーカーされてるって始末だ。それに比べてみろよ。幸せってこういうことを言うんだな、ってしみじみと実感してる。

 

「あ”ー平和すぎてまじ幸せ」

 

「私も幸せです。よー先輩と一緒に……って、これから毎週末一緒ってことは通い妻に……///」

 

「奇遇。俺も一緒の考えだったわ」

 

「あ、頭がクラクラしてきた……」

 

「こたつに入りすぎ。逆上せたんだろ」

 

 といってましろのほうを見るけど時すでに遅し。ましろは顔から湯気を出して目を回していた。そのまま寝かせておく訳にも行かないから、ましろを抱き上げて自分の部屋に向かう。別に襲おうとかじゃないからな? ベッドで寝させておいた方がいいと思いまして。

 

「ふぅ……とりあえず時間も時間だし、夕飯でも作っておくか」

 

 ▽▽▽▽▽

 

 目を覚ますと、知らない部屋の天井だった。体を起こすと見知らぬベッドで寝ていて、鼻の奥をいい匂いがくすぐってくる。

 

「ましろ、起きたか?」

 

「よー先輩……あ、もしかして」

 

「こたつで逆上せてたんだよ。夕飯できてるけど食べるか?」

 

「は、はい!」

 

 リビングに行くと、よー先輩が作った夕飯が並べてあった。どれも美味しそうだし、とてもじゃないけど私には作れなそう。やっぱりすごいな……

 

「うみゅ……おいひい♪」

 

「口にあってよかったよ。ってか、ご飯粒ついてる」

 

「え、あ……///」

 

「ん? ……わ、わるい」

 

 食べている途中、頬についていたご飯粒をよー先輩が取って口に運んで行った。これって恋人同士でやるんじゃ……でもでも、今はよー先輩の通い妻だから……もうわかんなくなったきた。

 

「うぅ……お風呂いただきます!」

 

「廊下の奥を右に行ったところだから迷うなよ」

 

 よー先輩の部屋に戻って着替えを取ってからお風呂場に向かう。肩まで湯船につかり、ボーっとしてしまう。それでも頭に浮かぶのはよー先輩のこと。よー先輩の声、よー先輩の顔、よー先輩の匂い、よー先輩の全部が頭に浮かぶ。よー先輩のことが好きだって気づいてからはずっとこうだ。こんなにも人のことを求めてしまうのは初めてだから最初はモヤモヤして分からなかったけど、今となってはモヤモヤも晴れている。

 

「あ、また逆上せる前に上がらなくちゃ」

 

 お風呂を上がって、パジャマに着替えてリビングへ向かう。よー先輩はまたこたつに入ってみかんを食べていた。今日だけで何個食べてるんだろう。

 

「お、上がったか」

 

「お風呂、いただきました……」

 

「俺も入るか。あ、そうだ、寝る時って……一緒に寝るとか言う?」

 

「よー先輩がいいって言うなら……」

 

 待って待って待って! よー先輩が一緒に寝ようって誘ってきてくれた!? そ、そんなの聞いてないし、まだ心の準備も何も出来てないのに……なのになのに! なんて返事しちゃってるの私! 

 

「んじゃ一緒に寝ようぜ。俺の部屋で待っててもいいし、ここにいてもいいよ」

 

「わ、わかりました」

 

 よー先輩がお風呂に向かったあと、なぜかよー先輩の部屋に行ってベッドに座っていた。すっごく安心できるけど、この後ここでよー先輩と一緒に寝るんだって考えると……どうにかなっちゃいそう。

 

「上がったぞ」

 

「え、あ……はい」

 

 自分の枕を抱きかかえて待っていると、よー先輩はお風呂から上がってきた。その姿だけでもカッコイイのに。もしかして寝顔はかわいくてギャップとか? そんなことあったら本当にどうにかなっちゃうよ。

 

「眠いし寝るか」

 

「そ、そうしましょっか」

 

 とは言ってみたものの、私もよー先輩もすぐ動くことはなく、少し考えた後に2人同時に動き始めた。私が壁側でよー先輩が逆方向。私が寝返りうって落ちないようにって言ってたけど、間違えてよー先輩のこと抱き枕なんかにしちゃわないかな……

 

「なぁましろ、起きてるか?」

 

「起きてますよ……?」

 

 うつらうつらとしていた時、よー先輩の声が聞こえて目が覚めた。どうせこのまま寝れないんだったら話してた方がいいかな。

 

「家の中でぐらい気楽にいていいぜ? 俺とましろと2人きりなんだし、俺もその方がなんか安心するって言うかなんていうか」

 

「で、でもよー先輩は先輩だから……」

 

「無理にとは言わないよ」

 

 確かに家の中ぐらいでならいいのかな。よー先輩公認の通い妻なんだし、2人きりの時ぐらい頑張らなくちゃ振り向いて貰えないし……うん! 

 

「えっと、その……ようた、さん///」

 

「グフッ……それはさすがに不意打ち」

 

「お、おやすみなさい!」

 

 言えたけど恥ずかしすぎて顔が熱いよ。本当に湯気出ててもおかしくないんじゃないかな。でも、ちゃんと言えたんだね。これで1歩前進できたんだ。明日からも頑張ってよー先輩、ううん、ようたさんに好きって伝えなきゃ! 

 

 そしてその次の朝、私は見事にようたさんのことを抱き枕にしていたのだった。




耀太公認の通い妻は吹くんだけど笑笑。しかもなに?向かうご飯粒とってそれ食べるとかやってんなぁおい。それにましろもましろで抱き枕にするとか……耀太は寝れなかったことだろうね!(実体験あるからわかること)


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46話 迷い赤メッシュを拾った話

久々
1ヶ月空きましたね
燃え尽き症候群ですね
頑張ります



「先輩、拾ってください。可哀想な迷い猫ですよ」

 

「猫なら人間の言葉話せないはずだけど。つーかその荷物……」

 

「知能が人間並みに発達した猫です。寒いんだから早く拾って家に入れて……クシュッ」

 

「はぁ……わーったから」

 

問1.人間の体で人間並みに知能が発達した猫が迷いますか?A.迷います。

 

問2.迷ったって言ってるのに荷物持ってきますか?A.持ってくるみたいです。

 

ここで一つ質問。家の目の前で荷物もった人間サイズの猫が喋って拾ってくださいって言ってきたことある?普通だったらないよな。普通だったらな!でも俺はあるんですよね。だから俺は普通じゃない判定貰ってますよね!

 

仕事帰りで疲れてる時に限ってなんでこうなるかな……しかももうすぐ冬休み終わるんだぜ?なのになんで俺の家に来るんだよ。てかまず俺の家の場所教えてないし。まぁそこら辺は何とかしたんだろうな、もう慣れたわ。

 

「紅茶とコーヒーどっちがいい?」

 

「コーヒーで。あ、ブラックあればお願いします」

 

「はいはい」

 

時刻は午後7時。冬だからめっちゃ暗いし、今日は雪もぱらついたからかなり寒い。そんな中、蘭のやつは俺の家の玄関の前でひとりでいた。上着も薄いやつだし、手袋もネックウォーマーもしていない。しかもこの荷物はなに?目元も赤いから多分泣いてたんだろうな。そうとなれば……家出かなんか?

 

「熱いから気をつけろよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「……」

 

「なんですか」

 

「別に。帰りたくなったらいつでも帰れよ」

 

へたに理由聞こうものならなにかされるに違いない。ここで無理やり聞いてもよからぬ事が起きる予感しかしない。千聖は今日はオフだったから家にいるはず。でかい物音もたてられないな。

 

「聞かないんですか?」

 

「なにを?」

 

「先輩の家に来た理由……」

 

「さぁな。それを聞いて蘭が泣くかもしんないから俺は聞きたくない。だって目、腫れてるし泣いてたんだろ?俺は人の傷をほじくるほど性格は悪くないんでね」

 

とは言ってみたものの、正直なところは普通に気になる。だってさ、よくよく考えてみ。親と喧嘩して家出するならモカとかつぐちゃんの家行けばよくね?

 

「やっぱり先輩は先輩ですね。家でなら襲ってくると思ったのに」

 

「なに、そのために家来たわけ?」

 

「そうじゃないですよ。家出してきたんです。お父さんが『勉強しろ』とか『華道やれ』とかうるさいんです。その理由なんだとおもいます?『高校生なんだから』『美竹家なんだから』とかって……笑えますよ。あたしは高校生でもないし、美竹家でもない、蘭なのに……」

 

「まぁ……それもそうか。てか、だったらモカとかつぐちゃんの家に行けばよかったじゃん。わざわざ羽丘から遠い俺の家に来る必要ある?」

 

「全然ありますよ。だって、モカたちとも喧嘩しましたもん」

 

あ、そういうこと。ごめんなさい。マジでごめんなさい。人の傷ほじくるほど性格悪くない俺は今この瞬間で消え去りました。

 

「それに、あたしは将来ここに住むんですからね。来たことも無い家に住みたくないじゃないですか。宿泊体験みたいなやつですよ」

 

「お前さ、俺の家に来たのそれが本当の目的だろ」

 

「それもあるんですけど、親とも喧嘩したし、モカたちとも喧嘩したから泊まるとこないんですよね。あたし、友達少ないんで。あ、邪魔なら公園で寝ますよ?」

 

「はぁ……好きなだけ泊まってけば。ただし、でかい物音とかでかい声とか出すなよ。千聖にバレる」

 

「それぐらい分かってますって」

 

というわけで蘭が泊まることが決定したんですが……

 

「飯、食ってきた?」

 

「朝食べてから何も食べてないです。家に財布忘れてきました」

 

「マジかよ。なんかリクエストは?俺も飯食ってないし、適当に作るから」

 

「グリンピース抜きのやつならなんでも」

 

グリンピース抜きか……とりあえず適当に肉を焼けばいっか。体の疲れとるためにニンニクって思ったけど匂いだなんだってなるし……ダルいからもう考えなくていいや。

 

「できたぜ」

 

「変な薬とか入れてないですよね?」

 

「逆に入れられるほうなんですけど」

 

「入れて欲しいんですか?」

 

「やめていただきたい」

 

食べ終わったあと、何もせずにテレビを見ていた。明日は仕事ないし、どこにも行く予定がないから1日蘭の面倒でも見てるか。この様子だと宿題とかも終わって無さそうだし。

 

「先輩、お風呂って入れますか?」

 

「もうすぐ入れるけど」

 

「それじゃ入ってから先輩のベッドで寝てますね。あたし、もう疲れたんで」

 

そういった蘭は着替えを持って風呂場に向かっていった。まぁこれで考え事ができるな。考え事は何かって?蘭をどうするかだよ。

 

別に襲おうってことじゃないし、ずっと俺の家にいる訳にも行かなくね?喧嘩してるし、行くあてないからって理由だけどそうも長くいれるかもわかんない。そもそも喧嘩をどうにかしないとな。つぐちゃんたちとあんなに仲良いのに喧嘩するとか……喧嘩するほど仲がいいって言うからか?

 

「はぁ……面倒見の鬼か」

 

俺は俺自身をバカにしながら湯船からでた。そしてもちろん部屋に向かうのだが、蘭は俺のベッドの半分を開けて寝ていた。ここに寝ろって言いたいんだろうが、さすがにそれは俺も気が引ける。

 

「寝ないんですか?」

 

「いや起きてたんかい。ソファーで寝るから使ってていいよ」

 

「一緒に寝てください」

 

「イヤダ」

 

「そんなこと言ってもいいんですか?この状況よく考えてみてくださいよ。ここであたしが警察呼んだら先輩捕まりますよね?先輩の足りない頭で考えてください」

 

少し大きめにため息をついて渋々布団に入った。もちろん落ちるギリギリまで避けて蘭から離れようとしたが、それをさせないかのように抱き枕状態に。ましろの時もだけど、こうなると寝起きに腰が痛くなるから嫌なんだよな。

 

「結構不安だったんですよ。親とも喧嘩したし、モカたちとも喧嘩して誰に頼ればいいかわかんなかったんですから……」

 

「まぁ、なんで俺を頼ったかは聞かないけど、好きなだけいれば。料理も1人分多くなるだけだし、あんまり変わんないからよ」

 

「先輩を頼った理由なんて決まってるじゃないですか。旦那を頼らない嫁がどこにいるんですか?」

 

「前言撤回。早く仲直りしてくれ」

 

めんどくさい後輩に頼られてます。未来の嫁?未来の旦那?それを勝手に決められてたまるかぁ!!!




蘭が嫁なら大歓迎
なにされてもいいから何があっても守る


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47話 迷い赤メッシュの引き取り手

サボりまくってました。誠に申し訳ございません。ちゃんとこれは完結まで持ってきます。なので許してください。


 今日は日曜日。蘭が泊まり始めてから何日か経つが、当の本人は我が家のように平然としている。とりあえずこのことはつぐちゃんにだけは伝えておいたけど、喧嘩の内容まではさすがに聞くことはしなかった。

 

「今日は何します?」

 

「そろそろ仲直りしてくれると嬉しいんだけど?」

 

「それは無理です。あたしも譲れないので」

 

「って言うと思ってたよ。いつも通りダラダラしてようぜ」

 

 まだ肌寒いので俺と蘭は炬燵に入ってテレビを見ていた。蘭が俺の家に泊まりに来てからというもの、家から出るのは仕事以外では極力減らしている。俺以外が家に入ってくるとやばいし、なんか嫌な予感がしてならない。

 

 そんなことを考えながら炬燵で時間を潰しているとインターホンがなった。そして出てみると……

 

「愛しのモカちゃんですよ〜。遊びに来ちゃいました〜」

 

「人違いじゃないですかね?」

 

「そんな事言わないで遊びましょうよ〜。ていうか、ドアなんで閉めようとしてるんですか?」

 

「り、理由は特にないんだけどさ……力強くない? 遊ぶのは遊ぶから少し待って、片付けてくるから」

 

「はーい」

 

 想定外の訪問者が来た。家の場所……いや、これはもうどう考えてもしょうがない。女子のネットワークは広いという考えで行こう。

 

「蘭! モカが来たからどっか隠れろ!」

 

「え、来たんですか?」

 

「いいから早く! とりあえず俺の部屋に鍵かけて隠れとけ」

 

 蘭を部屋に行かせてあるものを適当に片付ける。俺が休みで家にいるなら基本的に1人のことが多いって言うことも多分知ってるんだろう。そうなると2人分の食器とかも怪しまれるから不安要素は取り除いておいて損は無い。

 

「ハイハイおまたせしました」

 

「おじゃましま〜す」

 

 モカはさっきまで蘭が座っていた場所に座って炬燵に入った。何をしに来たのかは知らないけど、めんどくさい事にならないように立ち回るしかない。それならいっそパンで釣るか? モカってパンめっちゃ好きらしいし。

 

「おやおや〜? なにやら美味しそうな匂いがしますな〜」

 

「なんで袋から出しただけでわかるんだよ。犬かよ」

 

「数あるパンを食べてきたモカちゃんだから分かるんですよ〜」

 

 母さんからのメール通りに作った自家製のパンをモカは頬張る。その姿がハムスターが頬袋に餌を貯めているように見えてきて可愛いと思ってみたり思わなかったり。最近なんかこういうこと多くなってきてる気がするんだよな。

 

「もしかしてモカちゃんの美貌に見とれてます〜?」

 

「普通よりは可愛いんじゃねぇの?」

 

「さっすがよーさん。見る目ありますね〜」

 

 褒められてニヤニヤしているモカをみるとムカつくのと同時にまた可愛いと思ってしまう。なんだろう、最近毒されすぎたかな? 

 

「さてさて、何して遊びましょうかね〜」

 

「俺はなんでもいいぜ。遊べるものは無いけど」

 

「なんとなんとモカちゃんはトランプを持っているので〜す。なので神経衰弱しましょ〜。罰ゲーム付きですよ〜」

 

「その内容は?」

 

「モカちゃんが勝っちゃったらよーさんに蘭の居場所を教えてもらいます。モカちゃんが負けちゃったら慰めてもらうためによーさんに1つお願い聞いてもらいます」

 

 え、これ八方塞がりやん。てかそもそもモカには蘭がいることバレてんの? 

 

「それってやる必要なくない? 俺は蘭のこと知らないから」

 

「つぐに聞きましたよ」

 

「知らないです」

 

「それじゃぁここにある赤い髪の毛は誰のですかぁ?」

 

 あ、しまった。まずいまずい、これは非常にまずいです。

 

「まぁこれを聞くためにトランプしましょうね」

 

「俺が勝てそうな神経衰弱でおなしゃす」

 

 とか言ったんだよ。俺が勝てそうなって言ったやん? それなのに何この現状、悲しすぎる。

 

「いぇーい、モカちゃんの圧勝でした〜」

 

「5組しか取れなかったんだけど」

 

「それじゃぁ教えてくださいね〜」

 

「しょうがねぇな。はいはい、それは蘭の髪の毛ですよ。喧嘩したからって俺のところを頼ってきて泊まってたんですよ。でも今はどこにいるか知らんで」

 

 蘭が逃げたのは顔合わせたくないからっしょ? したらここはお引き取り願うのが先輩の役目でしょ。

 

「それ、嘘ですよね。さっき下駄箱に蘭の靴ありましたもん」

 

「おっとおっと、なんで見てるんですか?」

 

「勘なんですよ〜。あと〜、蘭がよーさんの部屋にいる気がするので見てきますね〜」

 

「え、いや、ちょ、おい!」

 

 捕まえることが出来ずに俺の部屋の前に着く。鍵をかけておけって言ったはずなのに蘭は鍵をかけてなかったからモカはあっさり入ることが出来たらしい。もう俺は知らん。だけど頼むから修羅場になることだけはやめてくれ。

 

「さてさて〜、蘭はどこにいるんでしょうか〜」

 

 選択肢1.ベッドの中

 選択肢2.机の下

 選択肢3.ベッドの横の隠れられるところ

 選択肢4.クローゼットの中

 

「モカちゃん的には〜、クローゼットの中かな〜」

 

「も、モカ……」

 

「俺知らんぞ。喧嘩すんなよ」

 

「喧嘩なんてしませんよ〜。蘭、この間はごめんね。モカちゃんも周期的にアレ来てたし、大好きだったパンが発売終了したってことを見たばっかりだったから」

 

 頼む、このまま仲直りして蘭を連れて行ってくれ。ていうかここは俺は見守っていた方がいいみたいかな。

 

「あたしも、ごめん。お父さんとも喧嘩してたから気が立ってた」

 

「その事なんだけどね〜、また皆で話してみようよ。お父さんも蘭のこと考えてのことでしょ」

 

「でも、あたしにだって自由があるのに!」

 

「じゃあさ〜、頼れる先輩がいるでしょ?」

 

「ん? 俺?」

 

 この状況から察するに、俺は嫌な予感しかしない。えー、逃げたいです。非常に逃げたいです。でもそれを世間は許しちゃくれねぇだろうな。

 

「先輩、あたしとお見合いしてください」

 

「ご丁寧にお断りさせていただきます」

 

「そこをなんとか〜」

 

「じゃないとバンドできないんですよ」

 

「えぇぇ……」

 

 そこまで言われると……困る。

 

「一瞬な、一瞬だぞ?」

 

「いいですよ。写真撮るだけでいいんで」

 

「どんな風に?」

 

「抱き寄せてツーショット」

 

「知ってたその構図」

 

 まぁ……それぐらいならいっか(感覚麻痺してます)

 

「……ありがとうございました」

 

「良し、仲直りしたから帰れるよな?」

 

「まぁ普通だったらそうですね」

 

「帰ってくれよ?」

 

「そこまで言わないでくださいよ。ま、結婚したらまた住むんでいいんですけど」

 

 はぁ、ダルいって言ったらありゃしないよ。なんで俺の周りはこうもめんどくさいんですかね。

 

「蘭、よーさんのオンナはモカちゃんだよ?」

 

「何言ってんのモカ、先輩はあたしの」

 

「あの〜、おふたりさん?」

 

「「ちょっとだまってて」」

 

「ハイ」

 

 もう抵抗することができません。はい、僕終了のお知らせです。このお知らせは何回目でしょうね! あーもうだるい! さっさとけえれ!




次回から修学旅行編(4.5話ぐらい)です。その後に少しグダって最終話です。ifルートで書いていこうと思うのでアンケートでとりあえず誰がいいかお願いします。無ければ感想でお願いします。

最後になりますが、サボりまくってごめんなさい。腹切します


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48話 また平和に過ごせない今日

修学旅行編開始
多分これが終章になる、気がする!


「なぁ、そろそろ決めてくんね?」

 

「そんなこと言うなら耀太が早く決めればいいのよ」

 

「俺の独断と偏見で文句を言わないと誓うのであれば」

 

「それはその時の気分と場合によりますね。まぁ一定以上のラインに達していなければ確定で文句が出てきますが」

 

「ほらな」

 

 高校最後の三学期が始まって、最後の特大イベント修学旅行の班を決めている。

 

「耀太君、私と一緒に行ってくれるでしょ?」

 

「もちろん私は一緒よね」

 

「絶対に私です。それは譲りません」

 

「誰がなんと言っても私には生徒会長命令があるから。分かってる……よね?」

 

 腹を空かせた4匹の狼がおびえる獲物を狙い、追い詰めていく。

 

「カノン、妾達はどうすればいいの?」

 

「わ、私にもちょっと分からないな……」

 

 その殺伐とした雰囲気の中、何が起こっているのか分からない仔犬が2匹。

 

「もう逃げていいですかね?」

 

 全ての元凶である獲物、つまり俺なんです。俺が決めればすぐ終わる。けど決めらんないんですね。

 

 修学旅行の班は基本的に最大4人まで。が、しかし、それは俺抜きで考えた場合である。

 

「ほら耀太、早くしなさい?」

 

「ならまずその威圧感やめろよ」

 

「30秒だけ待つわ」

 

「いやいやいや無理難題。あんた正気?」

 

「ええ、正気よ」

 

 修学旅行ぐらい平和に過ごしたい。だから俺はあえて選ばせてもらおう。

 

「花音、サリヤス、よかったら行こうぜ」

 

「うんうん! 行く行く!」

 

「わ、私でよければ……いいよ」

 

 はい、のほほん2人は確定枠です。問題はあと2人よ。

 

エントリーNO.1

 黄色い髪は幼馴染の証。元天才子役は今となってはヤンデレスター。その微笑みは爆発と共に凶器を降らせる。

 その名も白鷺千聖! 

 

「なによその名乗りゼリフは」

 

エントリーNo.2

 ギターとポテトと妹を愛する器用物。その裏の顔はどんなことをしても男を奪ってやろうという不器用な悪党の顔。

 その名も氷川紗夜! 

 

「最後の方は不本意ですが、とりあえずよしとしましょう」

 

 

エントリーNo.3

 黒髪ロングの生徒会長。お淑やかで恥ずかしがり屋かと思ったらベッドに押し倒して心中宣言。魔法と薬と命令を巧みに使いこなす。

 その名も白金燐子! 

 

「だって……好きな人同士結ばれないなら死ぬしかないもん」

 

エントリーNo.4

 まん丸お山に彩を。ドジっ子なのに使うのはスタンガン。ピンクを赤く染めあげる。

 その名も丸山彩! 

 

「私だけなんか雑過ぎない!?」

 

 えー、それぞれ意気込んでおりますが、俺はそれを全て返品したい所存でございます。

 

「で、誰を選ぶの? あと2人よ?」

 

「ちゃんと考えてるから急せかしなさんな」

 

 選ばなくていいなら選びたくない。でもこの中から選ばなくちゃならない。もう八方塞がり、背水の陣なんです。

 高校最大のイベントと言っても過言がない修学旅行。今年は3泊4日で京都に行くらしい。

 そんなんならもちろん楽しみたい。苦労せずに楽しみたい。

 さて、この中から選ぶとすれば誰が1番楽しくなるかが問題なんです。

 

「悩みに悩みまくるしかねぇなこれ」

 

「いくら悩んだって答えは決まってますよ。私です」

 

「なっ、ずるいよ紗夜ちゃん! 絶対に私だから!」

 

「耀太君と一緒じゃなきゃヤダ。耀太君とずっと一緒。お昼ご飯も寝る時もずっと一緒……」

 

「うんうん、言い分はわかったから考えさせろよ?」

 

 社会の中の一般的な常識があることを前提に考えよう。そうなると、必然的に真っ先に千聖が上がってくる俺の頭がどうかしてると思う。

 その次に上がってくるのが同率で紗夜と燐子。あ、彩は問答無用で最下位です。理由は簡単。バレないために変装するんじゃなくて、バレるために変装するからです。

 

「え、私って耀太君の中でおバカキャラだったの!?」

 

「それ以外にどういうポジションがあるんだよ」

 

「お嫁さんでしょ?」

 

「いやそれはまた別の話になってくるんですけどねぇ」

 

 もう僕は何も分からない。紗夜と燐子が上にいるって言ったけど、修学旅行でも生徒会の仕事がちょくちょくあるから、多少なりとも一緒にいる時間が長くなる。

 そしたら文句を言うのは彩なんです。もう何も分からないよレオン、僕は脳死で選ぶとしよう。

 

「もういいや、千聖と彩で妥協する」

 

「なにその妥協って! 妥協じゃないでしょ!」

 

「理由はなんであれ、選んでくれたなら万々歳ね。理由に関しては……また後でね♡」

 

「ひえっ」

 

 もうこの時点で怖い千聖と争う場所を間違えてる彩。その2人とは逆に激おこプンプン丸の2人がいるんですよ。でもちゃんと説得できる自信がある。

 

「そうやって血気盛んになるなって。どうせ生徒会で仕事あんだから一緒になるだろ」

 

「そうなったら離さないからね……♡」

 

「今はそれで妥協します。今は、ですからね」

 

「ねぇ、だから妥協ってなんなの! 紗夜ちゃんまでなんでそんなこと言うの!」

 

「うるせぇやつらだ」

 

 もうなんなんだろう。恋は混沌を呼び、混沌の下僕となる。この誰かの言葉がガッツリ胸に刺さって痛いです。

 

 そして次の時間になり、今度は班ごとに場所を決めるんだよ。 こんなメンバーだ、そう簡単に考えがまとまるわけがないだろう。

 

「妾は絶対にお城に行きたい〜」

 

「私はお守り買いたいな〜。安産祈願のやつと、学業成就、恋愛成就とか!」

 

「私はどこかいい景色が見て見たいわね。ほら、食べ歩きながらとか良さそうじゃない」

 

「わ、私は迷わなそうなところがいいです」

 

「なんでこうもみんなしてバラバラなんだよ」

 

 絶対にまとまらない意見をどうやってまとめるのか。そんなの決まってるじゃないか、決めるのを諦めるんだ。悪いが今の俺に解決策は浮かばねぇ。

 

「耀太が行きたい場所はどこがあるの?」

 

「伏見稲荷の千本鳥居とおもかる石」

 

「あ! 私もそこ行きたい!」

 

「妾も妾も!」

 

「それじゃそこで決定ね♪」

 

 なんか成り行きで決まって行った。いや、千聖が決めやがった。

 実際のところ、言った通り千本鳥居くぐって、おもかる石持てればいいなぐらいの感覚で言ったんだ。

 

「そういえばおもかる石ってなに?」

 

「お城、お城はあるの?」

 

「道、迷わないかなぁ……」

 

 最初にパスパレ入るって言ったのもこんな感じだったな。あ、生徒会も一緒か。

 最初はガチでダルすぎたけど、今となっちゃ無ければ暇になるぐらい俺の生活リズムに侵食してきやがった。

 

「さ、耀太、みんなで一緒に考えましょうか。()()()の修学旅行を♡」

 

「はいはい、全員で楽しめるように頑張って予定立てましょうね」

 

「あら、何を勘違いしてるの? ()()()っていうのは耀太と私を指して言ってるのよ?」

 

 おっと不味い、千聖のスイッチがはいりやがった。

 

「それなのによくもまぁ全員で、なんて口から出せたものね。もっとわからせなきゃダメみたいね」

 

「とととととりあえず、俺は話し合いに混ざってくるからな……」

 

「私も行くわ♪ そして今夜はもちろんお泊まり。体の隅から隅まで私の存在を分からせてア・ゲ・ル♡」

 

「あーもうめんどくせぇ!」

 

 こうやってヤンデレに絡まれるのも日常のひとつなんだけど、そろそろ俺の体が持たないからやめてほしいんですけどねぇ!




具合悪い
耀太も疲れてるかも


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49話 ちっちゃくなっちゃった

何でかわかんないけど絶対に書きたかったからここに入れてみたっていう意味が分からない回です


「美咲お姉ちゃん、お腹減った!」

 

「わ、分かったからさ、もう少し落ち着いてくれると助かるんだけどな〜」

 

「はーい!」

 

 私、奥沢美咲は平日だと言うのに耀太先輩の家におじゃましている。

 なんでこんなことになっているのかを説明すると長くなっちゃうんだけど、頑張って簡潔に言ってみる。

 

耀太先輩が子供になっちゃった

 

 事の発端は今日の朝、こころと一緒に生徒会室に行った時だった。

 

「耀太! あなたのためにお菓子を作ってきたの!」

 

「耀太先輩、朝からうちのこころがすいません」

 

「朝からお疲れ様」

 

 そう言いながら耀太先輩はこころが作ってきたお菓子を食べたんだけど、少ししてむせこんだんだ。

 

「ゲホッゴホッ、おまっ、何入れた」

 

「だ、大丈夫ですか!? ……って、え?」

 

「お姉ちゃん、誰?」

 

 気づいたらこのサイズに縮まってた。

 紗夜先輩達は午後から練習あるから見れないって言うし、頼めそうな白鷺先輩も彩先輩も仕事でいないらしい。

 黒服さんが学校に掛け合ってくれたおかげで特別措置として休めてるけど……

 

「お姉ちゃんお姉ちゃん、遊ぼ! ゲームに鬼ごっこにかくれんぼ!」

 

「なんだかちっちゃくなったこころを相手してるみたい」

 

「おねーちゃーん! はーやーくー!」

 

「はいはい、今行きますよ〜」

 

 正直言っちゃうと、こころを相手してた方が楽に思えてくる。

 だって、子供の頃の耀太先輩がこんなに破天荒だったなんて……でも、これもこれでありかもって思っちゃう自分もいることに驚いてる。

 

「お姉ちゃんまだ〜?」

 

「遊ぶの? ご飯食べるの?」

 

「んー、どっちも!」

 

「それじゃ先にご飯食べてからね」

 

「わかった!」

 

 弟より少し身長が小さくなったぐらいだったから、家から着なくなった服持ってきてみたけど、すごっく似合ってる。

 不意に見せてくれる無垢な笑顔も破壊力抜群なんだよね。はぁ……お姉ちゃんでよかったよ。

 

「お姉ちゃんのオムライス美味しいね!」

 

「あ、ありがと。ていうか、ほっぺたにケチャップついてるよ」

 

「ほんとだ!」

 

「拭いてあげる」

 

「ん、ありがと!」

 

 やばいやばいやばい、本当にこれはやばい。

 たまにこころにもこういう事やるんだけどさ、それとは比べ物にならないくらいやばい。

 だってだって、あの耀太先輩だよ? いっつも頼りになるし、かっこいいし、ちょっと不幸体質なのは忘れておくけど、この子があの耀太先輩なんだよ? 

 今がずっと続けばいいのにって思えるぐらいあたしは幸せです。

 

「ご飯食べたからゲームしよ!」

 

「ゲームって何やるの?」

 

「神経衰弱! 僕、学校でも負けたことないし、お母さんにも負けたことないんだよ! あ、あとあと、負けたら勝った人の言うことなんでも一つだけ聞くってのはどう?」

 

「まぁ、それぐらいならいいよ」

 

「やったー!」

 

 あたしも軽い気持ちで言ってみたが、これが後々めんどくさい事になるんだよ。

 

「ここと〜……ここ!」

 

「な、なんでそんなに当てちゃうわけ?」

 

「えっへん! 4枚連続取り!」

 

 ちっちゃい耀太先輩は運を頼りにペアを引きまくっていった。

 そのまま勝負は進んでいき、見事にあたしはボロ負けしたのであった。耀太先輩、恐るべし強運。

 

「スゴいでしょ、最高でしょ、天才でしょ!」

 

「うんうんすごいねー」

 

「じゃあさ、約束通り1個だけお願い聞いて!」

 

「いやいいんだけどね、簡単なやつだよ?」

 

「簡単だよ。お姉ちゃんの好きな人教えて!」

 

 言われた瞬間むせこんだんですけど。

 でもそういうのが気になるお年頃なんでしょうね。今言っても戻ったら記憶なんてないだろうし、別にいっか。

 

「あー、あたしが好きな人はね、すっごい頼りになるし、すっごくカッコイイんだよ。でもその分マヌケっぽいところもいっぱいあってさ。それも全部ひっくるめて好きなんだけどね」

 

「かっこいいな〜。僕もそんな人になりたい!」

 

 それは君だよってツッコミたいところだけどやめておこうかな。

 薫さんから時たま昔話みたいに耀太先輩のこと聞いてたけどさ、あたしも幼馴染がよかったなってつくづく思うんだよね〜。

 そういえば、今の耀太先輩って記憶もちっちゃい頃のままだから……

 

 

「今度は耀太君の好きな人聞きたいな〜」

 

「聞きたい?」

 

「聞きたい聞きたーい」

 

「うん、いいよ! 耳貸して」

 

 答えは十中八九わかりきってる事だけど聞いてみたい質問No.1のやつ。しかも耳元でとかヤバいんですけど。もう語彙力なくなってきてヤバいしか言えなくなってきそう。

 

「僕の好きな人はね、千聖だよ」

 

「そうなんだー、かわいいもんね」

 

「絶対に秘密だからね! かおちゃんにも秘密だからね!」

 

「わかってるって」

 

 あーあ、本当に羨ましい限りですよ。

 小さい頃からずっと一緒で、今となっては両想いになってるし。付け入る隙なんてない気がしてきた。

 

「あ、薫さん来るんだ」

 

「薫ってかおちゃんのこと?」

 

「んー、多分そうだと思うよー」

 

 でもちっちゃくなった耀太先輩と今の薫さん会わせたらどうなっちゃうんだろう。まぁ、なるようになるか。

 

「やぁ美咲。耀太が縮んだと聞いて来てみたが……」

 

「美咲お姉ちゃん、この人がかおちゃん?」

 

「ぐっ……」

 

「え、薫さん!?」

 

「ほ、本当に耀太が小さくなってたとは……私の心を持って行ってしまったよ」

 

 要するに昔の耀太先輩を見て心を持っていかれたってことでいいのかな? 

 やっぱりちっちゃい子って強いよね。特にあたしたちの年齢には色んな意味で。

 

「かおちゃんすっごくかっこよくなってる! 大人だ大人!」

 

「よ、よーちゃんもすぐにこうなるからね」

 

「あの薫さんが怖気付いてる」

 

「しょ、しょうがないじゃないか。あの頃の耀太にまた会えるなんて……はははは儚い」

 

「いやいや、めっちゃ動揺してるでしょそれ」

 

 いつも堂々としてる薫さんがここまで怖気付いてる。

 ここまで来ると白鷺先輩の怖気付いてる姿も見たくなってきたかも。えーでもどうすればいいかな。

 

「かおちゃんかおちゃん、ちーちゃんは?」

 

「ちーちゃんなら今はお仕事に行っているよ。電話してみるかい?」

 

「うん! おっきくなったちーちゃんとお話したい!」

 

「わかった。少し待っててくれ」

 

 なんか考えてる間に話進んでるんですけど。

 でもそうしてくれる方が楽だからいいんだけどね。

 

「もしもし、千聖かい? 今少しややこしい事になっていてね。な、なんというか….…耀太が小さくなってしまったんだ。え、今から来るって? わ、分かったよ」

 

「ちーちゃん今から来るの!?」

 

「そ、そうみたいだよ」

 

「仕事すっぽかしてまで来るって相当一大事なんじゃないですか」

 

「あの様子からして……いや、考えないでおこう」

 

 薫さんが白鷺先輩に怖気付いてるのもなにげ珍しいかも。

 それより耀太先輩がいつ戻るのか黒服さんに聞いておけばよかったな。

 

「ちーちゃんと会える♪ おっきくなったちーちゃんはどんなんかな。身長おっきくなって〜、すっごくキレイになって!」

 

「え、この頃の耀太先輩ってこんなに白鷺先輩のこと好きだったんですか?」

 

「ああ、そうだよ。耀太が千聖から避け始めたのは中学ぐらいからだったかな。あのころの千聖は……私でも許してくれなかったよ」

 

「あらまぁ……ご愁傷さまです」

 

 そこまでやばいとは思わなかったよ。幼馴染ならまだ許容範囲内でしょ。いやあたしはさすがにそこまでしないかな。好きなら好きって言うし、束縛なんて……ってのも断言出来ない事を悔やむ。

 

「薫! 耀太が小さくなったって本当なの!?」

 

「早かったね。ほらよーちゃん、大きくなったちーちゃんだよ」

 

「ちー、ちゃん?」

 

「ほ、本当にあの頃の耀太が……」

 

「あれ? ちーちゃん? 大丈夫?」

 

 薫さんによると、仕事の疲れと耀太先輩の可愛さゆえに失神してしまったらしい。

 白鷺先輩、お疲れ様です。

 

「うぅ……耀太が……」

 

「そうだ、千聖が寝て思い出したよ。耀太が元に戻る方法が」

 

「え、今更ですか?」

 

「来る時にこころから電話が来てね。どうやら寝ると元に戻るらしいんだ」

 

 え、超絶簡単じゃん。少し一緒に遊んで寝させてあげるだけでしょ? そんなことでいいならあたし一人でやってたんですけど。

 

「ん……な、なんでソファーの上に……じゃないわ! 耀太、耀太よ!」

 

「僕ならここにいるよ、ちーちゃん」

 

「あう……き、気を確かに持つのよ。耀太は耀太、あの頃の純粋無垢な耀太よ」

 

「キレイになったね! 身長は……あんまり変わんないけどやっぱり可愛いよ!」

 

「んーーーーー!!!!」

 

 思ってたより白鷺先輩が壊れてる。

 今この状況で白鷺先輩に私か薫さんが話しかけても耳に入らないんだろうなってことは容易に想像できる。

 耀太先輩、あなたの幼少期はあざとすぎですよ。

 

「ん、眠くなってきたかも」

 

「もしかしてちーちゃんと会えるから我慢してたのかい?」

 

「うん……ふぁぁ……」

 

「よ、耀太……なんていい子なの!」

 

 さっきまで眠い素振りなんて一切見せなかったのにいきなり眠いって言い出すとか反則。あたしもそんなの言われたらぶっ倒れるって。

 

「耀太君、お着替えしてお布団で寝よっか」

 

「美咲ちゃん、耀太は私が寝させるから大丈夫よ」

 

 うん、白鷺先輩ならそう行ってくると思ったよ。

 でもですね、あたしだって今日1日耀太先輩のお世話してきたんですよ。こんなにあざとい耀太先輩のお世話してたんですよ。そしたら一緒に寝るぐらい我儘言ってもいいでしょうが。

 

「それは譲れないです。今日はあたしが耀太先輩のお世話するんで」

 

「そのセリフは聞き捨てならないわね」

 

「ふっ、私も話に混ぜてもらってもいいかい?」

 

「あなたは論外よ、薫」

 

「なっ……」

 

 さてさて、ちょっと白鷺先輩とバトリますか。

 

「さぁ耀太、一緒に寝ましょうか」

 

「だーかーら、あたしと寝るんです」

 

「ま、まぁまぁ二人とも落ち着きたまえ。ここは1つ、耀太に選んでもらうのはどうだい?」

 

「それもそうね」

 

「耀太君、あたしと白鷺先輩、どっちと一緒に寝たい?」

 

 お願い耀太先輩、あたしって言って! 

 

「ん、ちーちゃんと……」

 

「ふんっ、私の勝ちね」

 

「はいつも一緒に寝てるから、今日は美咲お姉ちゃんと寝たい」

 

「あたしの逆転勝利ですね」

 

「ま、まけた、なんて……いいわ、今日は許してあげる」

 

 よし、よしよし! ちっちゃい耀太先輩と寝れるなんてもうヤバすぎるって! 

 あ、でも寝たら元に戻っちゃうなら着替えさせなきゃダメだよね。服着せないで寝たら……いやいや、それもそれでいいかもしれないけど、あたしが起きたらダメになるから却下。

 

「美咲お姉ちゃん、いい匂い」

 

「そ、そうかな〜」

 

「うん、ママみたいな匂いで、眠く……」

 

「ありゃ、寝ちゃったか」

 

 一緒のベッドに寝て横で見る耀太先輩の寝顔は天使みたい。あーもう吐血しそう。情報量多いし、とにかく尊すぎて頭パンクしそう。

 

「あ、れ……? あたしも、眠く……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……き、美咲、起きろって」

 

「ん、耀太先輩……あ、戻ったんですね」

 

「ああ、戻ったよ」

 

 いつの間にか寝てたあたしを元に戻った耀太先輩が起こしてくれた。

 ちっちゃい耀太先輩も可愛かったけど、あたしはやっぱり今の耀太先輩が好きだな。

 

「なんか、その……世話になったな」

 

「これぐらいどうってないですよ。小さくて可愛い耀太先輩のこと見れましたしね」

 

「あー、その事なんだけどさ、俺がちっちゃくなってた時のこと覚えてるって言ったら怒るか?」

 

「え、えぇぇぇ!?!? オムライス食べさせてあげたのも、口吹いてあげたのも、着替えさせてあげたのも、あれもこれも全部ですか!?」

 

「ぜ、全部覚えてます。最近にしては事細かにはっきりと覚えております」

 

 それはないって黒服さん。

 あたしだってちっちゃい耀太先輩だからやったんだよ。そんなの覚えられてたら恥ずかしいに決まってるじゃん。あーあ、これであたしは幻滅されましたよ。お嫁に行けないでーす。

 

「げ、幻滅される……」

 

「幻滅なんてするわけないだろ。めっちゃ優しいし、可愛いとも思った。まぁ、いい母親になりそうだな」

 

「それは言い過ぎです。そのセリフでもっと惚れたらどうするんですか」

 

「って話は置いておいて、頼む、千聖と薫には覚えてることを秘密にしておいてくれ。じゃなきゃ……」

 

「分かってますって。ちゃんと秘密にしますよ」

 

 その後、白鷺先輩と薫さんに問い詰められたけど、知らないの一点張りでなんとかなった。

 耀太先輩の秘密を握っちゃってるわけだし、少しぐらい我儘言っても許してくれるよね。




ちゃんと次は修学旅行行くから!きっと行くから!


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50話 修学旅行1日目

さて、なぜ投稿するのか

気まぐれです


「ぐぬぬぬ」

 

「あと1枚が長い……!」

 

「こうやっててもう10分ね」

 

「2人の引き運は凄まじいですね」

 

 今日は修学旅行当日。

 俺たちは新幹線に揺られていた。

 

「それにしても長いね」

 

「彩とサリヤスだからだろ」

 

 いつも通り座る席で喧嘩になりかけたので、俺は花音と2人用の席に座ることにした。

 残る千聖達はというと、3人がけの席に座って仲良くトランプをしていた。

 

「耀太と花音も一緒にどう?」

 

「絶対にめんどくさいのでご丁寧に遠慮させていただきます」

 

「むぅ……つれないわね」

 

「別にいいだろ。着いたら動くんだし、俺は寝れる時に寝るから」

 

 だって今寝て体力回復しておかないとこの後やばいやん。

 花音は迷子になるし、千聖は電車を乗り間違えるし、彩は見つけてもらおうと頑張るし、サリヤスは……1番素直か。

 とりあえず、俺は寝て到着後に備えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んーー!着いたーー!」

 

「ここから自由行動みたいね」

 

「んじゃ、予定通りに伏見稲荷に行きますか」

 

「よし、しゅっぱーつ!」

 

 もうこの時点から嫌な予感が盛りだくさんなんですね。

 

「と思ってたけど、なんかすんなり着いちゃった」

 

「ま、迷わなくてよかった……」

 

「耀太と一緒だもの、迷うわけないじゃない♪」

 

「って言ってこの間も電車逆方向乗ったバカはどこのどいつだ」

 

「さ、さぁ……」

 

 出迎えたのはズラリとならんだ鳥居だった。どれも鮮やかな色をしていて、どれだけ見ても飽きないと思う。将来住むならここの近くがいい。だって毎日のように見れるじゃん!羨ましいもん!

 

「鳥居くぐったらおもかる石持ち上げて〜♪」

 

「サーリャちゃんはご機嫌ね」

 

「だってだって!なんかバーってくるから!」

 

「言ってる事わからんけど、なんか言いたいことわかる」

 

「でしょでしょ!さっすがヨータ、分かってる〜♪」

 

 なんかサリヤスのギャルっぽいとこ久しぶりに見たかもしれない。いつもなら厨二病炸裂してるけど、こっちの方が可愛いと思っちゃったりしてる。

 

「耀太君……分かってるんだよね?」

 

「そうよ耀太、覚悟はあるのよね?」

 

「ひえっ」

 

「ふ、2人ともおちついて〜」

 

 修学旅行でぐらい自由に平和に居させてくださいよ。

 なんで修学旅行に来てまでこんなことにならないんですかねぇ。もっと穏やかに過ごせないですかねぇ。

 

 読心術を会得した2人に後ろを取られて目的の場所を目指す。

 これがどんなに恐ろしいことか。

 ここが外じゃなければ問答無用で襲われている。なにがなんでも2人は襲ってくる。

 逃げようとはするけど、逃げれる気がしないのが事実なんです。

 

「見て見て!あれっておもかる石じゃない?」

 

「あー、そうだなー」

 

「ヨータ、具合悪い?」

 

「いやいやいや、この通り元気だから大丈夫!」

 

 2人の黒いオーラに心を削られていたが、誤魔化していこう。うん、なんとかなるさ。ここ(伏見稲荷)はそういうのに効くところだからな。

 

「それじゃ〜、早速おもかる石を持ち上げてみよ〜♪」

 

「おー!」

 

「それじゃ最初は私が行くわね」

 

 おもかる石は思ったより軽ければいい事が、重ければ悪いことが起きるらしい。

 そんなの迷信だと思うが、迷信じゃないって信じたい俺もいる。

 

「案外軽いわね」

 

「それはいい事が起きる予兆なのじゃ」

 

「耀太君耀太君、持ち上げるとこ動画撮っててもらえる?」

 

「はいはい、エゴサの材料増やすのね」

 

「ち、ちがうもん!思い出だもん!」

 

 その後、彩は軽く、サリヤスと花音も軽かったらしい。残るは俺だけ。ここまできて俺一人が重いなんてことはありえないよな。神様、ちゃんと空気読めよ?

 

「さてさてさーて、今度は俺か」

 

「私たち全員軽かったんだもの、耀太も軽いに決まってるわ」

 

「せーのっ……って嘘だろ、結構重い」

 

「ていうことは……悪いことの予兆!?」

 

「空気読めよ神様」

 

 なんだろう、俺だけ重いのやめて貰えないっすかね?

 マジでなんなん、呪われてるん?本当にそうとしか思えないんだよなこれ。

 

「な、何とかなるよ!これも迷信だから!」

 

「1番信じてたやつが何を言う」

 

「うぐっ……」

 

「ま、ここはそういうところだからなんとかなるさ」

 

 とりあえずお気楽に行くとしよう。

 うん、この後悪いことが起きるなんて絶対にありえないから。迷信信じてる人だけど、これは信じたくない。

 

「で、上まで来てみたけどやっぱり人が多いこと」

 

「平日なのにかなり多いわね」

 

 頂上の一ノ峰上社に着いたけど、思ったより人が多かった。制服の学生も多いし、何故か知らんけどカップルが多い。頼むから変な気を起こさないでくれよ、2人とも。

 

「ここの神様は……末広大神様?って言うらしいよ!」

 

「末広がりって言うだけあって演技がいい神様みたいね」

 

「それならヨータの悪いことも飛んじゃうじゃん!」

 

「頼むからそうなってくれ」

 

 俺たちはお参りをして、御籤を引くことにした。

 御籤は年始に引いて末吉だったから、今度は吉ぐらいになってくれてると嬉しい。

 

「妾は大吉だったのじゃ!」

 

「わ、私は中吉だったよ」

 

「私はね〜、大吉!」

 

「私も中吉ね。耀太は……」

 

「もちろん小吉引いてやったぜ」

 

 結果は小吉だった。うん、末吉からほんのちょっぴりだけど上がってくれてて嬉しい。

 末吉だったけど、恋愛運と仕事運はかなりいい方らしいから満足満足。

 

 その後、俺たちはお山めぐりをしながら色々なお社を回って行った。眼力社やおせき社、薬力社などなど、色んなとこを回って行った。あ、ちゃんとお手水も忘れていません。

 

「ねぇねぇ見て見て!このパフェ可愛いよ!」

 

「彩ちゃん、落ち着いて食べるのよ」

 

「俺も落ち着けないかも。パフェの見た目も味もやばいし、テラスで食えるとか最高かよ」

 

 休憩がてら、彩が行きたいって言ってた茶屋によってパフェを食べていた。

 彩が映える場所を見つけるのが得意で助かったよ。母さんに自慢できるネタが増えた。

 

「さーて、時間も時間だから電車乗ろうぜ」

 

「ま、また乗るのね……」

 

「来る時だって迷わなかったんだし、今度も大丈夫だよ!」

 

「そうしてくれれば助かる。何事もなければちょうどいい時間だからな」

 

 電車に揺られ、歩いていったのは白髭神社。

 なんかサリヤスがここで夕焼け見たいーってアホみたいに駄々こねるからルートに入れてみた。

 

「夕日が反射して綺麗〜」

 

「サリヤスってこういうのに疎いと思ってたわ」

 

「そんなことないもん!妾だって結構興味あるんだから!」

 

 サリヤスの言う通り、夕日が揺蕩う湖面に反射して、鳥居の朱色をより一層際立たせる。

 不意に吹いた風が木の葉を湖に落としてできた波紋を見つめると、そこにはサーリャが映っていた。

 なぜだか分からないけど、いつの間にかその一点を見つめていた。

 

「ねぇ、ヨータ」

 

「なんかあったか?」

 

()ね、卒業したらマミーがいるフランスに帰るんだ。あ、ずっとじゃないよ、少しだけね。その後はね、日本の大学に通って、日本に住みたいの」

 

 また風が吹いた。

 今度はさっきより強く吹いて、俺の顔を持ち上げた。

 俺の視線の先には、鳥居の中心に沈みかけた夕日をバッグにして、いつも付けているシュシュとメガネを取ったサーリャが居た。

 

「その時、隣にヨータがいてくれたら嬉しいんだ。ずっと、ずーっとヨータと一緒にいたい。だから……私と付き合ってください」

 

 無鉄砲で後先考えずに突っ走るギャルった魔王のサリヤスがこんなこと考えられるかと聞かれたら、俺は迷わずNOと答えよう。

 だとしても、俺はこの状況が偶然だとは思えなかった。

 絵に書いたような図で告白された。ただその事実を俺自身が受け止めきれていない。

 あの時、待っててと言われたのをまだ鮮明に覚えている。だけど、これは不意打ちすぎるってんの。

 

「夕日が沈みかけてる時に言うとか最高かよ」

 

「え、ほんと!?写真とんなきゃ!」

 

「結局そっち行くんかい」

 

「当たり前じゃん!ヨータ、一緒に写真撮ろ!」

 

「ん、あぁ、わかった」

 

 最っ高の瞬間を最高の1枚に収めた。

 この瞬間の気持ちをずっと忘れずにいられるとしたら、きっと幸せになれるんだろう。

 

「じゃ〜、返事、待ってるね!」

 

「そのことも知ってるんかい」

 

「だってこの間の終業式で言ってたじゃん!」

 

「あ、忘れてた」

 

 自分で言ったことも忘れるとか更年期の始まりかな?

 まだそんなに年取ってないはずなんだけどな。その割にストレスはありますけども。

 

「耀太くーん、サーリャちゃーん、そろそろホテル行こ〜」

 

「だってさ。行こうぜ」

 

「うん。早く行こっか、mon prince(私の王子様)

 

「なんて?」

 

「なんでもなーい。ほら、置いてっちゃうからね!」

 

 ホテルに着いてもサリヤスは何を言っていたのかを教えてくれなかった。なんかモヤモヤするから知りたいけど、ここまで聞いてダメなら無理だ。

 サリヤスの事だ、フランス語で喋ったんだろうから、頑張ってフランス語を勉強してみよう。

 

 その後、夕飯、入浴をそれぞれ済ませ、各自部屋へ戻って行った。

 俺の部屋はもちろん男子の部屋なんだけど、俺の学年の男子は俺含め4人。そのうち3人が彼女持ちで、彼女と一緒に寝るから口実頼むって俺に頼んでどっか消えてった。

 さて、どうなる事やらね。

 

 俺も眠気に襲われて、瞼を閉じようとした時、スマホが鳴った。

 取ってみると、電話ではなく、連絡アプリに連絡が来てきた。

 重くなった瞼をこすり、内容を見てみる。

 

『明日の夜、ホテルの屋上で星を見ようと思います。一緒にどうですか?』

 

 それは燐子からのメッセージだった。

 夜って言うこともあるけど、ホテルの屋上は先生の見回り守備範囲外だし、万が一見つかったとしても、生徒会の仕事の一環って言えば許してくれそうだな。だって生徒会担当の先生と仲いいから話合わせてくれるもん。なんなら早く彼女作れって急かしてくる若い先生だから、そういうことならドンと来い精神でしょ。

 

「まぁ、さすがに襲われはしないか。お風呂入って先生の見回り終わったら行くよ……っと。これでよし、送信送信」

 

 俺が送信ボタンを押した瞬間に既読がつき、3秒後には返信してきた。

 

『待ってるね。いつもはちょっと恥ずかしいからあんなことやっちゃうけど……今回はちゃんと思い出作りたいな』

 

 いつにも増してまともな燐子が見れて逆に目が冴えそう。

 そうなったら明日が大変なので、俺は寝るとします。

 明日は……生徒会で少し回るんやん。あーあ、燐子はまともだとしても、紗夜が怖いんだよ。

 でも、紗夜も紗夜で常識人だから何とかなるか。ていうか、何とかしてくれ。

 




なぜ修学旅行の行き先を京都にしたのかぁぁぁ
なぜ琵琶湖の近くのホテルに泊まったのかぁぁ

答えはただひとぉつ……

それはぁぁぁ……

私が修学旅行で行くはずだったルートだったからだァァァ!!!

あ、ちなみにルートも予定だったのやつなんで(๑>؂<๑)♡テヘペロリンチョ♡

俺が行けなかった分、耀太に満喫してもらうんじゃい!

忘れちゃいけないけど、耀太が持ち上げたおもかる石は重かったんだからね?


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51話 修学旅行2日目

4日目(吐き気)


 寒くもなく暑くもない風が吹く今日は修学旅行2日目である。

 朝から動き出して、俺は生徒会として卒業アルバム用の写真を撮りに彦根城に来ている。

 

「耀太君、あっちいこう」

 

「耀太さん、早く天守閣に登りますよ」

 

 とりあえず一言言っておこうか。

 

「めんっどくせぇぇ!」

 

 なんで朝からこんな連れ回されなきゃ行けないんすか。俺だって城がカッコイイからちゃんと見て回りたいんだからさ、もう少し自由にさせてくれよ。

 

「何をそんなに叫んでるんですか。効率良く城を回るなら天守閣からと相場が決まっているでしょう。それともなんですか、私と行くのが嫌なんですか?」

 

「私と一緒に行くことは当然でしょ?」

 

「1人で回りたいからどちらも断ってよろしいでしょうか」

 

「質問に質問で返さないでください。私が先に質問しているんだから答えてからしか何も言いませんよ」

 

「私に質問しないでよ。質問しないでも分かるでしょ」

 

 たとえこの身が滅びようとも、俺は答えはNOと言おう。てか、質問に質問で返すなってダメでしょそれ。質問しないでよもダメでしょそれ。

 

「うん、逃げるね」

 

「逃げられると思ってるの?」

 

「ですよねー」

 

「なら決まりですね。時間もないので白金さんも一緒にどうですか?」

 

「そうしよっか、耀太君」

 

 というわけで逃走手段を失った俺は一緒に回ることになってしまった。

 逃げたい、逃げたいけど逃げられないこのジレンマ。

 でもありがたいのが燐子よりも紗夜が積極的に絡んでくること。燐子が積極的に絡んできたら周りの目線やばいでしょ。

 

「耀太さん、あなたいま私に失礼なこと考えてませんでしたか?」

 

「べ、べっつに〜」

 

「そうですか、ならいいです。どちらにせよお仕置はするので」

 

「意味不明なので最高裁に訴えます」

 

「何言ってるんですか、あなたが私の質問に答えてない上に逃げようとしたからでしょう」

 

 そんなこと言っても紗夜も紗夜でやばいんだよな。

 普通ルックス良すぎるやろ。読モって言われても疑わないぞ? それはリサも一緒なんですけど。

 

「あう、人が多い……」

 

「って燐子が言ってるから休もうぜ」

 

「そうですね。近くのカフェで少し休憩しましょうか」

 

 燐子が顔色悪そうにしてたから、さすがにこれはまずいと思って休憩することにした。バンドじゃあんだけの人を前にして堂々とキーボード弾いてんのに、人が苦手ってなんだよ。ヤンデレじゃなければ速攻で惚れてますよ。

 

 ていうかさ、なんで俺の周りってこんなにヤンデレが多いのか疑問でしかない。ヤンデレじゃなければ惚れてる人ばっかだぞ。

 

「燐子、飲めるか?」

 

「飲ませてくれると嬉しいな」

 

「さっきまでの具合の悪さはどこいったんだよ」

 

「ちょっとだけ嘘ついちゃった」

 

 そういいながらペロッと舌を出すのをやめていただきたい。あざといって言いたいところだけど、後々何されるかわかんないから言わないでおきます。

 

「パフェ食べさせてほしいな〜」

 

「自分で食べて」

 

「私の目の前で白金さんとイチャつくなんて……」

 

「いやいやいや、イチャついてないから! 」

 

「私にも、私にも食べさせてください!」

 

 左右両方から燐子と紗夜から迫られてるこの状況はなんなんでしょう。

 ほかの男子から見たら羨ましいでしょうね。だって2人ともめっちゃ可愛いし、絶対モテてるもん。あれだよあれ、両手に花ってやつ。

 

「暑苦しいし狭いから2人とも離れてくんね?」

 

「暑苦しいって……そっか、この時期に暑苦しいってことは熱があるんだね。それじゃ早くホテル行って休もうか。膝枕がいい? それとも抱き枕がいい?」

 

「そんなことより一緒に寝た方が体が温まりますよ。あ、それより先に汗流した方がいいですよね。背中流しますよ」

 

「とりあえずてめぇらここでそういう話するんじゃねぇ!」

 

 この間紗夜と燐子は比較的常識あるって言ったけど、あれ撤回するわ。常識あったら公共の場でそういう会話しないだろ。こいつら何考えとるん? アホちゃう? 

 

 そんなことを思いつつもちゃんと生徒会の仕事をしながら1日楽しんでホテルの温泉に肩まで浸かっている俺です。1日の疲れを取るのは湯船が1番なんだよ。これ世界共通項でしょ? 

 

「あ、修学旅行2日目終わりやん」

 

 ふとした時に気づくこの時の流れの速さよ。

 昨日はサリヤスに告白されたし、今日は今の今まで生徒会で走り回って疲れてた。

 そしてこの後は燐子と屋上で星見るって約束したんだっけ。さすがに何も無いと思うけど……警戒して損は無いな。

 

 温泉から上がった俺は部屋に用意されていた寝巻きに着替えた。持ってきたパジャマでもいいんだけど、俺が持ってきたのはほとんどジャージみたいなものだから、あんまり人前で着たくない。ならなんで持ってきたかって? 焦って用意したら間違えたんだよ。

 

「あ、耀太君」

 

「おっす」

 

 屋上につくと、燐子は既にベンチに座っていた。

 約束の時間までまだ10分以上あるのにいるのは驚き。だけど、早めに来てよかったよ。

 

「こ、こうやって2人きりになるのは久しぶりだね」

 

「まぁな。ホットミルクとカフェオレ買ってきたけど、どっち飲む?」

 

「ホットミルクがいいな」

 

「知ってた」

 

 少し肌寒くなると思って買ってきたホットミルクを燐子に手渡す。

 なんか昼間と全然雰囲気が違うんですよ。このホテルの寝巻きが他のところより浴衣っぽいせいなのか、なぜか大人っぽく見える。しかも燐子の綺麗なストレートの黒髪をより一層の際立たせていて、どこか妖艶ともとれる。

 

「あの、その……昼間はごめんね。氷川さんもいたし、人も多かったからちょっと気が動転しちゃって……」

 

「さぁーなんのことでしょー。おぼえてないですねー」

 

「そうやって嘘つくんだから。でも優しい嘘つく耀太君が好きなんだよ」

 

 面と向かってそう言われるのは初めてだからいっしゅんドキッとしてしまう。

 優しい嘘だかなんだか知らないけどさ、俺は覚えてたくないんですね。

 

「星、綺麗だね」

 

「山の中だからな。周りに光が少ないから見やすいんだろ」

 

「あ、流れ星」

 

「お願いするか」

 

 流れ星が流れてきたからお願いごとをする。それが流れ星が流れきる間に3回唱えられれば願いは叶う。

 いい歳した高校生が何やってんだよって言われそうだけど、俺はこういうのが好きだからやってんだよ。

 

「お願いごと、何にしたの?」

 

「特に変わったものでもないぜ。健康に楽しく過ごせますよーにってな。燐子は?」

 

「もちろん耀太君と幸せになれますようにってしたよ」

 

 聞かなくてもわかってたけど、聞かざるを得ない事なんです。もうちょっと違うこと言って欲しかったって思ってる自分がいるけど、当然のことだからって安心してる俺もいる。

 

「あ、でもでも、もう薬使ったりはしないよ。耀太君が私を選んでくれるって信じてるから」

 

「もしもの話としてするけど、選ばなかったら……?」

 

「今の気持ちのままならキッパリ諦めきれると思う。耀太君のことは大好き。耀太君と一緒に幸せになりたいと思う。でも、私と一緒で耀太君が幸せになれないなら、私は耀太君を諦めるよ」

 

 いつぞやのバカを思い出させる発言ですね。

 自分を押し殺して押し殺して、最後の最後に耐えきれなくなって潰れる。そしてやっと周りに頼る。

 

 1回潰れた俺だからわかることだけど、燐子も危ないんだと思う。

 心の支えがなくなったら簡単に折れるし、立ち直るのに時間がかかる。

 俺の場合、折れて折れて、何も無くなって0から始めることになった。

 どれだけ辛いことなのかは俺が1番知ってる。あんなのはもう二度とゴメンだ。

 

「耀太君のこと諦めたらね、またピアノ頑張ろうかなって思ってるんだ。Roseliaのキーボードとして今までずっと頑張ってきた。氷川さんと今井さんと湊さんとあこちゃんと。だから、今度はRoseliaとしてじゃなくて、私として頑張りたいなって」

 

「まぁ、いんじゃね。俺は燐子のキーボード好きだけどな」

 

「ふふっ、ありがとう。それじゃ、お願いひとつ聞いてくれる?」

 

「できることな」

 

「卒業したら私は頑張ってピアノを練習します。そして、私が納得できるような音を出せるようになったら……一番最初に聞いてください」

 

 今まで接してきた燐子からは想像できないほど()が籠った声で言った。

 てっきり「私と付き合って」とか「私と一緒にいて」とかだと勝手に思い込んでいた。

 

「一番最初に聞いて終わりじゃねぇからな。一年に一回はぜってーに聞きに行ってやる」

 

 柄でもないことを口にしてしまう。

 正直、俺はピアノについては疎い。やっていた訳でもないし、触れたことがある訳でもない。

 でも、燐子のピアノは何故か聞きたいと思ってしまう。

 

「約束だよ」

 

「おう、約束だ」

 

 なんなんだろう、この甘い雰囲気は。

 これがアレですか、高校生の甘い青春の1ページってやつですか。

 ついに、ついに来たのか俺の青春! 高校3年生の最後の最後の大イベントである修学旅行にてついに来てくれたのか。髪は俺を見放さなかったようだ、アーメン。

 

「ホットミルク無くなっちゃった」

 

「カフェオレ、飲むか? 口つけたやつだけど」

 

「うん、飲みたい」

 

 そういいながら飲みかけのカフェオレを燐子に渡そうとしたその時だった。

 

「ヨウタさん?」

 

 伝説の風紀委員番長、氷川紗夜の降臨である。

 

「なんかいい雰囲気だったんだから空気読んでくれます? ぶっ壊さないでくれます!?」

 

「そんなの知りませんよ! なんで私に黙って白金さんと2人っきりで天体観測なんかしてるんですか。私も生徒会ですよ!」

 

「じゃあなに、一緒に見たかったと。1人だけ仲間外れにされて寂しかったと」

 

「そ、そうですよ。何が悪いんですか!」

 

 紗夜の可愛い一面をしれたのは面白い。

 紗夜って犬っぽいと思ってたけど、案外うさぎの方が近いかもな。

 

「じゃ、一緒に見ようぜ」

 

「ええ、そうします。が、またこれは話が別ですね」

 

「今度はなんなんですか」

 

「なんなんですかじゃないですよ。なんで飲みかけのカフェオレを渡してるんですか。ハレンチにも程があります! 風紀の乱れは人間性の乱れ! あなたの人間性の乱れを粛清してあげます!」

 

「ちょっ、おわっ!?」

 

 なんか意味わかんないことを叫んでいる紗夜にベンチに押し倒された。うん、これはヤバいやつでしょ? ヤバいよねぇ、ねぇ! 

 

「このまま2人で卒業しましょうか。そうすれば風紀を守れますよ♡」

 

「いやいやいや、それこそダメなやつやん!」

 

「耀太君はそうやって浮気するんだ……氷川さんがそうするなら……私も実力行使だよ♡」

 

 紗夜に感化された燐子も迫ってきました。

 あの、はい、さっきまでの胸焼けするほど甘い雰囲気を返してください。お願いだから落ち着いて! 

 

「離せ2人とも! そうだ、話し合いで解決しようよ!」

 

「今から話し合いは遅いよ。でも、実力行使なら間に合うよ♪」

 

「そうですよ。ちゃんと楽しみましょうか」

 

 その後、服を剥ぎ取られそうになりましたがしっかりと逃げ切りました。夜の屋上に呼び出されても二度と1人では行かない。そう誓った夜になった。

 

 ではここでひとつ叫んでみましょう。

 

「俺の青春を返しやがれぇぇぇ!!!」




明日は六花
1日1話書き上げるのは大変だね。僕頑張るバル!


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52話 修学旅行3日目

明日も投稿するから切腹で許してください



 修学旅行3日目にして最高の日。

 そう、今日は琵琶湖周辺限定だけど1人行動が許される日。しかも生徒会の仕事もない! 

 

「今日こそ……今日こそ修学旅行を満喫して最後に青春してやるぜぇ!」

 

「そうね、どこに行こうかしら」

 

「……は?」

 

 さて、質問をしたい。

 

「お前はなんでここにいる」

 

「耀太のいるところが私の居場所よ」

 

「……は?」

 

「何よそのとぼけた顔は。ほら、早く行かないと時間が無くなるわよ?」

 

 ホテルから出た途端に千聖はスポーンしてきた。しかも俺の真横にいるんですよ。

 しかも今日は私服OKなんです。やめて、やめてくれ。何故か知らんけど目に毒だ。

 

「安心してちょうだい。彩ちゃん達には別の時間を言っているから来ないわ」

 

「そうなんですか。それじゃぁ俺は1人で行きます」

 

「釣れないわね。そんなこと言うなら今電話するわよ?」

 

「すいませんでした早く行きましょう」

 

「ええ、行きましょうか♪」

 

 3人以上で、先生に行き先を伝えて許可を貰えば琵琶湖周辺以外にも行ける。だけど、俺はそもそも行く気がないし、千聖がいる状況でもう1人呼べるわけが無い。

 

「で、どこに行くの?」

 

「どっかに行くかもしれないし、どこにも行かないかもしれない。気ままに歩くだけだ」

 

「まったく、なんでこういう時に限って何の予定もないのよ」

 

「予定はあったよ。俺一人で回るって言う予定はな」

 

「崩したのはどこの誰かしらね」

 

 お前だよってここで叫んでやりたい。

 でも、この笑顔だからダメなんです。笑ってるけど笑ってないこの笑顔。

 なんか久々に見たけど、慣れないんですね。てか、これ絶対慣れちゃダメなやつでしょ。

 

「まぁ、たまにはいいわね。なんの予定もなくぶらつくのも」

 

「特にこう言う湖の湖畔とか最高最強だろ」

 

「それに加えて耀太と二人だもの」

 

 否定したい。とてもとーってもめちゃくちゃウルトラスーパーメガとん急に否定したいです。

 いやね、千聖と一緒が嫌なわけじゃないんですよ。そんな感情を持っちゃいけないんですよ。

 でもさ〜、ほんの少しだけ一人の時間が欲しい修学旅行でした。

 

「ねぇ、覚えてる? 小学生の頃、海で夕焼け見た事」

 

「あー、あったあった。ちゃんと覚えてるよ。じゃんけん負けてお前と薫の瓶ラムネのゴミ持たされたからな」

 

「そんなの耀太がじゃんけん弱いのが悪いんじゃない」

 

「しるか。あの時は運が悪かったんだよ」

 

「そんなのいつもの事じゃない」

 

 なんか千聖と2人っきりでこういう話するの久しぶりな感じがしてならない。

 千聖と2人っきりになる状況と言えば、めちゃくちゃ怒って襲われそうになる時とか、登校する時とか仕事に行く時とかがほとんどだからな。

 

「そんなこと言ったら遊園地でお化け屋敷入れなくて泣いてたのは誰だよ」

 

「うっ……そ、それは薫も一緒よ。それに耀太なんてジェットコースター乗れなかったじゃない」

 

 ふんっ、俺をバカにしたならお前もちゃんとバカにしてやるよ。

 

「お化け屋敷は人だから怖くないの。ジェットコースターは速いし高いからダメなの」

 

「ジェットコースターは機械だから怖くないのよ。お化け屋敷は人だからこそ怖いんじゃない。いつどこから来るのも分からないもの」

 

「そんなんある程度予想できるだろ」

 

「あんな暗い中で出来るわけないでしょ」

 

 どれぐらいだろうか、俺と千聖は口々に言い合いながら歩いていた。

 別に時間も気にせず、行先も何も気にせず、気の向くまま風の吹くまま、のらりくらりと歩いていた。

 

「まったく、いつまで歩くのよ」

 

「知らん。あー、でもここで休憩するか。ベンチもあるし、ちょうどいいだろ」

 

「そうね。そうしましょうか」

 

 いつの間にかついていた丘の上で休むことにした。ちょうど良さげなベンチもあったし、なによりこの景色が最高。

 周りの丘より少し高いから琵琶湖がよく見える。それに、背中に山があって、吹き降ろす風もアホほど最高。

 

 うん、語彙力消えるほど最高。

 

「こうやってまた景色見られるといいわね」

 

「腐れ縁なんだから、なんだかんだ言ったってくるだろ」

 

「あら、腐れ縁じゃなくて恋人としての間違えじゃなくて?」

 

「おう、間違えじゃなく……間違えじゃなく、ない……です」

 

「そうよね♪」

 

 ダメだ、このままだとやられる。色んな意味でやられる。社会的身分も精神的生命も何もかも持っていかれる。

 

「そんなに警戒しなくていいのに。私だって簡単に襲うような猿じゃないのよ?」

 

「……は?」

 

「失礼ね。本当のことでしょ」

 

「ええ、まぁ……はい」

 

 助かった、のか。いやいや、助かったってことにしておこう。

 なんか白々しいな。そこまでされるとこっちまで調子狂うわ。でも、それぐらいが一番可愛いと思うんだけどな。

 

「まぁ、冗談は置いておいて、実際どうなのよ」

 

「なにが」

 

「とぼけないでよ。告白することよ。だってあと三日しかないのよ?」

 

「……申し訳ないのですが何も策がございません。なんならどうやってどこで告白しようかも考えてません」

 

 本当に申し訳ございません。マジモンの無策です。

 だって告白なんてしたことないし、されたことは……あってもあれはカウントしないし、難しいんだもん。

 

「耀太らしいっていえば耀太らしいわね。そういうバカみたいなところも」

 

「バカってなんだよバカって。俺だって考えんだぞ。だって一世一代の告白だぜ? 最っ高で最っ強で忘れられない告白にしたいじゃん。それこそ自分の子供にも自慢できるぐらいのやつがいい」

 

「あら、そこまで考えてくれるのね」

 

「そりゃ当たり前だろ。俺は一途だからな」

 

 バカはバカです。ええそうですとも、俺はバカです。

 でもね、そんなバカな俺でもそこだけは考えるんですよ。

 

 俺はプロポーズも告白も1回がいい。ちゃんと一人の人をずっと好きでいたい。なんでこんな考えになったかは知らないけど、変えたくないこの思い。

 

「もちろん私も一途よ。あなただけにね♪」

 

「遠慮したいです」

 

「そんなことさせないわ。絶対に私に夢中にさせるんだから」

 

「えぇぇ……」

 

 なんか安心するけど、安心できないこの感じ。

 黙ってれば普通の美人なんだけどな。普通と言わずめっちゃ美人なんだけどな。黙ってれば、黙ってればですけど! 

 

「何がなんでもするわよ。もちろん実力行使も厭わないわ」

 

「あ、全力で逃げます」

 

「嘘よ。あと三日しかないんだもの、そんなことしても焼け石に水でしょ。それに、私は耀太のことを信じてるから♡」

 

「その信用はどこから来るんですかね」

 

「幼馴染の感ってやつかしら」

 

 幼馴染っていう特権を使うのはやめて欲しい。ていうか、それを不意に言うのを特にやめて欲しい。

 

 普通に考えたら芸能人でバンドやってる美人さんが隣の家の幼馴染で、小中高とクラスまでずっと一緒とか、ありえないんだよな。

 ここにリア充を恨む人がいたら真っ先に俺が刺されるだろ。それほど恵まれてると思うんですが、僕は恵まれてないと思います。いや恵まれてますけどね!? 

 

「なにはともあれ、後悔がないようにしてね」

 

「お前からそう言われるの初めてだわ。普通にビビるんだけど」

 

「別にいいじゃない。耀太が自分で卒業式の日に告白するって言ったなら、私はそれを待つだけよ。それが正妻の威厳でしょ♪」

 

「そーですかそーですか」

 

 なにが「正妻の威厳でしょ♪」だ。

 でもまぁ……今の俺があるのも千聖のおかげだしな。花咲川来たのも、パスパレと絡み始めたのも、生徒会に(非自主的に)入ったのも、千聖がいなかったら起きなかった。

 

 今までの俺の全ての記憶のどこかに千聖はいた。

 いやさ、いなくていい場面はいくらでもありますよ。なんならいた方がいい場面の数百倍はありますよ。

 

 とは言いつつも、それだけ千聖が俺の中で大きな存在って訳だ。

 

「耀太が私を選んでくれたら今度は二人で来ましょうか。もちろん新婚旅行よ? あ、子供と一緒にでもいいわね」

 

「お前もそこまで考えてんじゃん」

 

「当たり前じゃない。あなたとの事だもの」

 

「あっそ」

 

「そうよ」

 

 なんかこういう千聖だからなのかな。ムカつくけど憎めないって言うかなんて言うかさ。

 ヤンデレ筆頭ですが、可愛いことは認めます。そして、俺の中で一番大きい存在だということも認めます。ついでに世話になったランキングNo.1の称号もあげましょう。

 

 だから、これはちゃんと言葉にして伝えておこう。

 

「まぁ〜なんだ、今までありがとうな。お前がいなきゃ彩達ともあってねぇし、高校生活も普通すぎて退屈だっただろうからさ。これでも……結構感謝してるぜ」

 

「い、いきなり何よ。褒めたって何も出てこないわよ」

 

「いんや、ただ思ったから言ってみただけだ。もう二度と言ってやんね」

 

「な、もう1回言いなさいよ! 録音してないじゃない!」

 

「いや録音しようとするな!」

 

 やっぱり千聖のやつは平常運転なんだな。

 録音はさせないし、二度といってやんない。

 千聖が平常運転なら、俺も平常運転できる。

 

 やっぱ、千聖が幼馴染でいてくれて良かったよ。

 

「さ、俺はかーえろっと」

 

「今頃彩ちゃん達が血眼になって探してるでしょうね」

 

「……帰んのやめた」

 

「なら私も♪」

 

「お好きにどうぞ」

 

 あと三日しかないのか。

 

 誰も悲しまずになんて綺麗事は言えない。

 誰も選ばずに逃げるなんてことはしたくない。

 

 俺は俺のために、俺自身に嘘をつかないために、ちゃんと答えを出さなきゃ行けない。

 

「今日の夜は耀太の部屋で寝ようかしら♪」

 

「ほかの男子いるぞ」

 

「知ってるのよ? ほかの男子はみんな彼女の部屋で寝てるってことをね。だ・か・ら、耀太は私と寝るの♡」

 

「全力全開でお断りさせていただきます!」

 

 でもこの調子だと三日で決められる気がしねぇ!




ちゃんと明日も投稿ちゃんと明日も投稿ちゃんと明日も投稿

予告

本編はあと3話で終了します。その後はルートで書く予定です。


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53話 修学旅行最終日

がんばった


 なんとなんと修学旅行も最終日になりました。

 帰りはバスでゆっくり帰るらしい。でもところどころ寄るところはあるっぽいけど。

 まぁ、疲れるし、寝れるからその方がありがたい。

 

「えへへ〜、隣だね、耀太君!」

 

「なんなら1人で先生の隣行くんだけど」

 

「ちょ、ちょっと!」

 

「半分冗談」

 

「そうだよね〜……って半分!? 半分なの!?」

 

 乗るやいなや、隣の彩が馬鹿騒ぎする。

 いまさっきまでジャンケンしてて、やっと決まったらこの状態よ。

 俺らの席の後ろは5人席になってきて、そこに千聖、花音、燐子、紗夜、サリヤスが座っている。あ、真後ろは千聖なので怖いです。

 

「膝枕して寝る?」

 

「なんでそんな事しなくちゃならないんですかね。僕そんなことしたら首痛くなるんですけど」

 

「あ、そっか。それじゃ私が耀太君の肩に頭乗せて寝るね♪」

 

「肩こるんですけど」

 

 修学旅行中ほとんど静かだった彩だ、今この瞬間襲われるかもしれない。またスタンガンとか催涙ガスとか使って気絶させて来そう。いや、やって欲しくないからね。フリじゃないからね!? 

 

「彩ちゃん、耀太の隣だからって調子乗らないのよ?」

 

「うぐっ……きょ、今日は私がじゃんけん勝ったんだから耀太君を好きにできるんだもん!」

 

「悔しいですが、今回だけは我慢します。どうせ明日は生徒会の引き継ぎとかあるから耀太さんと一緒にいれますから」

 

「そうね、明日はパスパレのレッスンもあるから、目の前で色んなことしてあげるわ♡」

 

「2人とも怖いから明日サボろうかな」

 

 2人の言う通り、午前中は学校で生徒会の引き継ぎ、午後はパスパレのレッスンというか、集まりがある。

 どっちもどっちでめんどくさいんですね。あ、買ってきたお土産も渡せるからいいか。それを加味してもマイナスの方が大きかったりそんなこと無かったり。

 

「めちゃんこ眠いからもう寝っかな」

 

「寝れるように『枕も薬もいらないから。アイマスクなら常備してあるから』な、なんでそんなにわかるの……」

 

「なんでって言われましてもね。誰がとは言わないけど、どこの誰がとは言いませんけど! 薬飲ませたりスタンガンやって来たりしてるからある程度予想できるんですね」

 

 そう言うと彩だけじゃなく、自覚があるであろう後ろの三人もビクッとしていた。

 自覚を持ってもらわなきゃ困るんですよ。自覚無しでやってたらマジでやばいかんな。普通に心配するレベルだから。

 

「じゃ、おやすみ」

 

「休憩所に着いたら起こしてあげるね」

 

「よろしく」

 

 ちゃんと寝れるといいけど、寝れる気がしない。

 ここは彩を信じてみよう。何もしないと信じてみよう。てか信じさせてくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「耀太く〜ん、着いたよ〜」

 

「ん……なにこの状況」

 

「耀太君からしてきたんだよ?」

 

 彩はちゃんと起こしてくれた。

 でも何故か膝枕されてる状況で起こされたんだ。

 寝る時はアイマスクしたし、ベルトもしてた。でも今はベルトもしてないし、アイマスクも取れてる。

 これ明らかにやったよな、彩のやつやったよなこれ。確信犯だよな。

 

「もういいや、飲み物買ってくる」

 

「私も一緒に行こ〜っと♡」

 

「来んな」

 

「ひどい!」

 

「そう言っても来るだろ」

 

 拒否してもちゃんと彩が着いてきてた。

 なんか、これもこれでいつも通りすぎて逆に安心できるぐらいなんだよ。

 

「見て見て、このストラップすっごい可愛いよ! イヴちゃんに買っていってあげよ〜っと」

 

「俺はちゃんとお土産は買ってあるからいいや。とりあえず飲み物とガムとかな」

 

「なんでガム買うの?」

 

「バス乗ってるうちに撮った写真整理したいからさ。そのためにPC持ってきてるんだし、寝て体力回復したから元気全開」

 

 その後、バスの中でPCを開いて、カメラとスマホから撮った写真を移した。

 余裕で3桁をこしていて、我ながら撮りすぎだと思う。でも、後悔はしてません。反省もしてません。

 

「あ、これ、神社で撮ったやつ!」

 

「こっちは湖の写真だよ。結構綺麗に撮れてるだろ?」

 

「耀太さん、アルバム用の写真も選んでおいてくださいね。あ、それと私と耀太さんの2人用のやつもお願いします」

 

「アルバム用のはとっくのとうにやっておいた。2人用のやつは気が向けば」

 

「ずるいずるい! 私も!」

 

 気が向けばと言っても、気を向かせる気がないので無しということでいいですよね。

 場合によってはやるけど、まだその時じゃない。

 

「とりあえず紗夜にはこの写真送っておくよ」

 

「これって……星の写真じゃないですか」

 

「屋上で撮った写真だよ。燐子と二人っきりだったからって怒ってただろ。それの埋め合わせってことで」

 

「あら耀太、そんなことがあったのね。しっかりと説明してもらおうじゃない」

 

「おっとおっと口が滑りましたね」

 

 横からも後ろからも鋭く冷たい威圧感を押し付けられて、俺は怖気付いてしまう。

 あの夜のことを言えばこうなることは分かってたよ。でも言わざるを得なかったんです。てか、俺が言わなくてもどうせ紗夜が言ささてたでしょ。

 

 そうこうしているうちに学校に着いた。

 修学旅行がもう終わったって考えると、寂しい感じがする。

 

「おっねぇちゃーん!」

 

「私に抱きつかないで耀太さんに抱きついて」

 

「それでもいいよ♪ よーくんにも会いに来たんだし!」

 

「やめてくんね」

 

「この間の仕返しです」

 

 いつのことを持ってきてんだってツッコミたいけど、これ以上面倒事になるのは避けたいから言わないでおこう。

 

「あ、お土産買ってきたけど明日渡すから」

 

「えぇ〜、今ちょうだいよ〜」

 

「今日は紗夜からの分で我慢しとけ」

 

「え! おねーちゃん買ってきてくれたの!?」

 

「余計なこと言わないでくださいよ。せっかく家に帰ってから渡そうと思ってたのに台無しじゃないですか」

 

 これもこれで仕返しです。内心ざまぁみろって爆笑してるよ。きっと紗夜もさぞ困っていることでしょう。

 

「さぁて、俺は帰りますかね」

 

「明日、私たちはいつも通り登校ですからね。朝起きる時間を間違えないように忠告しておきます」

 

「もし間違えたら?」

 

「それは自分で考えてください。どうなっても知りませんよ」

 

「頑張ろうと思います」

 

 いつもなら千聖と帰るんだけど、千聖は親が迎えに来てたらしく、今日は別で帰った。

 

 なんか、たまに親がいるって羨ましいって思えるんだよな。

 俺の親はほとんど海外にいるから、一緒に飯食ったり、遊園地に行ったりしたことが無いに等しい。

 小学校の頃は父さんがいてくれたけど、中学になったら父さんも母さんについて行ったから一人暮らし状態になった。

 

 入学式も一人。授業参観も一人。誕生日も夏休みもクリスマスも一人。

 2人がいなくて寂しいとこもあったけど、別に恨んでなんかない。母さんがやりたい事をやって、父さんがそれを応援する。

 それってめっちゃかっこいい事だし、俺はすげぇ憧れる。

 

 自由奔放で野性的だけど、しっかりと自分自身の芯を曲げないで生きていく母さんを俺は尊敬してる。

 

 破天荒な母さんを影から支えて、自分の惚れた人の1番近くにいようとする父さんを俺は尊敬してる。

 

「ただいま……って、いたんだ」

 

「おかえり、耀太。ちゃんと約束通り帰ってきたよ」

 

「あ、帰ってきたのね。早く手を洗って荷物置いてきなさい。今日の夜ご飯は豪華よ♪」

 

 ちゃんと約束を守ってくれる2人を俺は尊敬してる。

 俺は母さんと父さんの子供でよかったって笑顔で言えるよ。でもまぁ、そろそろ子離れして欲しいんですけど。

 

「今行くよ。それと……おかえり、母さん、父さん」

 

「うん、ただいま」

 

「そんなことよりはーやーくー! ご飯冷めちゃうって!」

 

「二度と言ってやんね」

 

「なんか言った? 炒めてるから聞こえないのよ」

 

 2人は約束をちゃんと守ってくれたんだ。

 

 今度は俺が約束を守る番。

 卒業式の日、俺は告白する。

 俺が後悔しないように、俺自身を曲げないように、精一杯頑張る。




完結(仮)まであと2話


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54話 明日卒業式ってまじ?

これ含めてあと2話で終わるってまじ?


「ほらほら、ちゃっと行ってきちゃいなさい! 帰ってきたら出かけるんだから!」

 

「今回はいつまでいれんの?」

 

「大体2週間前後かな。この日のために母さん頑張ってたんだよ」

 

「愛する耀太のためだもの。あ、お嫁さん早く紹介してね?」

 

「一瞬でも期待した俺を殴りたい」

 

 他愛もない会話をして、俺は家を出る。

 なんかこう、すごい新鮮な感じがする。朝から父さんと母さんと話すとかいつぶりだろうな。記憶にないわ。

 

「あら、偶然ですね。おはようございます」

 

「お前の家と真逆なんですけど」

 

「おはようございます」

 

「……おはよ」

 

 なぜだか分からないけど、途中で紗夜と会いました。

 俺の家と紗夜の家は真逆で、普通なら会うことは無い。

 もうあれだ、確信犯だな。

 

「つかぬ事をお聞きしますが、相手は決めたんですか?」

 

「悪い、まだ考えてる。やっぱ……死ぬほど考えねぇと絶対後悔すると思うから」

 

「私はいつまでも待ちますよ。私に出来ることはやりきったつもりですから」

 

「おう」

 

 珍しく紗夜がまともだと思ったよ。いやさ、本来なら風紀委員なんだし、まともだと思うんですけどね。そうであって欲しかったんですけどね。

 

「朝からデートっていいですよね」

 

「なんで後ろからいきなり来るんだよ。こえーよ」

 

「ずっといたんですけどね」

 

「おはよう、耀太くん」

 

「お、おはよう」

 

 後ろに着いてきていた有咲と燐子に気づかず、ずっと考えていたらしい。

 うん、どうやっても考えがまとまる気がしない。

 

「耀太くん、早くいこう。もうすぐ時間だよ」

 

「白金さんの言う通りですね。少し急ぎましょうか」

 

「あいあい、さっさと行きますよ」

 

 学校に着いて、生徒会の引き継ぎをやったんだけど、かなり簡単に終わった。

 燐子が来年の生徒会長を任命して、来年の生徒会メンバーから花貰って終わり。あとは普通に各自解散にするっぽい。

 

「終わっちゃったね」

 

「最後は明日の挨拶だろ。とりま気張れよ」

 

「耀太くんにそう言われちゃったら頑張るしかないよ」

 

 俺は帰ろうと思ったけど、少しだけ学校を回ることにした。

 

 見慣れた教室、歩き慣れた階段、どっかの誰かさんたちから逃げるために使ったトイレ。

 

 思い出したくないものまで思い出しちゃうんだけど、それも悪くない気がする。

 

 何もすることがないし、どうせならと言って誰もいない屋上まで来て寝転んだ。

 真っ白な雲と、澄みきった青い空が目に映る。こうやって授業サボった記憶がめっちゃあるけど、後悔なんかしてない。

 

「あ、やっぱり耀太先輩だ」

 

「なんだ美咲か」

 

「明日卒業だからって感傷にひたってたりするんですか?」

 

「さぁな」

 

 唐突に現れて、上から俺の顔を覗き込んできた美咲も俺の隣に寝転んだ。どうせあたしも弟と妹の迎え行くまで暇なんで、とか言ってるけど、そんな理由で一緒にいてくれるなら嬉しい。

 

「こうやって屋上でお前と話すのも最後かもな」

 

「確かに最後ですね。こうやって2人きりになるのも最後かもしれませんし」

 

「かもな」

 

 学校での行動の全てに最後、という単語がついてくる。

 やっぱり、少し寂しいって思うんだけど、そう思う俺自身にも驚く。

 早く卒業したいって思ってたのに、今となっては卒業したくないって思ってる。

 

「あー、もういいや。今から留年するか」

 

「え、するんですか!?」

 

「いや冗談。美咲と同級生もありだけど、やりたいことあるからさ」

 

 こうやって美咲と冗談交じりの会話がいつも通りなのも今日が最後だと言うのに、その会話が長く続かなかった。

 

「さーて、そろそろあたしは迎えに行きますかね。あ、明日、教室で待ってますから」

 

「自覚あるん?」

 

「先輩が待ってろって言ったから待ってるんですよ。結構期待してますよ、先輩」

 

 そう言いながら美咲は笑った。いつもより子悪魔っぽくて、思わず顔を逸らしちまうぐらい可愛いって思った。

 

「じゃ、また明日」

 

「おう、気をつけてけよ」

 

「……大好きですよ、耀太先輩」

 

 去り際に美咲はそういった。あのですね、さすがにそれは反則です。考えてたのがまたゼロにリセットされちまったじゃねぇか。

 

「ま、いっか」

 

 そう言いながら俺も立ち上がって、ある場所へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 着いた場所はパスパレの事務所。

 今日もレッスンする、ということになっている。

 なんかイヴが卒業式の前夜祭ってことでパーティーしたいって言い出したから、軽くお菓子でも持ってきてみんなで食べようってことになった。

 

「だーれだ」

 

「その声は日菜だろ」

 

「ざーんねんっ! 今回は麻耶ちゃんでした!」

 

「フヘヘ、イタズラ大成功っす!」

 

「珍しくお早いご到着で」

 

 俺が部屋に入ってすぐ目を塞がれた。

 日菜のイタズラかと思ってたんだけど、麻耶がやってくるのは想定外なんですね。予想出来るわけないだろ。

 

「あ、そうだ、忘れないうちにお土産渡しとくわ」

 

「ありがとうございます!」

 

「んー! るるるんっ♪ てきた!」

 

「満足して貰えたようで何より」

 

 2人にお土産を渡して話していると、千聖達も到着して全員が揃った。

 こうして揃うのも久しぶりで、高校生としては最後……って、最後はもう使いたくねぇな。

 

「みなさん! 卒業の前夜祭としてお菓子パーティーです!」

 

「私ね、いーっぱいお菓子持ってきたよ!」

 

「今日だけはハメをはずしても誰も怒らないわ。今紅茶淹れるわね」

 

「あたしはクッキー焼いてきたよ! リサちー直伝のクッキー!」

 

「ジブンはマカロン持ってきました! これ、この間駅前にできたばっかりのマカロン屋さんのやつなんです!」

 

 やっぱしこの5人って仲良いよな。俺マジでこの空間にいらないと思います。ここって女子の花園ってやつじゃないの? 

 

「ねーねー、よーくんはなにもってきたの?」

 

「ん、あぁ、作ってきたカップケーキと、母さん用のフォンダンショコラ」

 

「またお母さんの勝手に取ってきちゃったの?」

 

「安心しとけ。今回はちゃんと母さんの分も残してきてあるから。1口分だけど」

 

 なぜだか知らないけど、ぼーっとしてたい気分なんです。

 俺は何も食わなくていいから、この5人ののほほんとした雰囲気を近くで見てたいだけっていう理由はあるんだけど、知らないフリをしておこう。じゃなきゃ読心術使われてバレるやん。バレたら恥ずかしすぎて飛ぶぞ俺。

 

「ほらほら、耀太くんも一緒に食べよ! 早くしないとなくなっちゃうよ!」

 

「悪い悪い、ちょっとぼーっとしてた」

 

「耀太さんがぼーっとするなんて珍しいっすね」

 

「ま、俺も俺で色々あるって事よ」

 

 俺も混ざって紅茶飲んだり、お菓子食べたり、日菜が持ってきたボードゲームとかトランプで遊んだりしてたら、あっという間に時間が過ぎた。あ、トランプはまた彩の惨敗な。ボードゲームに関しては俺が負けたんですけど。

 

「今ね、すっごくるんっ♪ てしてる!」

 

「いつも意味不明だけど、今ならわかる気がする」

 

「奇遇ね、私もよ」

 

「私も私も!」

 

 やっぱりこの5人って最高だわ。俺は入んなくていいから、保護者的な立ち位置で見てるだけでいい。

 彩はドジるし、日菜はハチャメチャするし、イヴは変な方向に進むからめっちゃ大変なことになるのは日常茶飯事。でも、麻耶が落ち着かせて、千聖がまとめて、結局いい方向に進んでく。

 

 これが本当のベストマッチでしょ。

 俺が知ってる限り、こんなに相性のいい5人組は他には知らん。まぁ、俺の交友関係が狭いのもあるんですけど。

 

「んー、めっちゃ幸せ」

 

「あ、そうだ! みんなで記念写真撮ろうよ!」

 

「はいはい。カメラあるから5人並んどけ」

 

「ダメですよ。ヨウタさんも一緒に写るんです!」

 

「ったく、わかったよ。三脚出すから待ってろ」

 

 俺は写真に写るのが大っ嫌いだ。

 ずっと残るし、ずっと無くしちゃいけないって思うようになるから嫌い。写真を撮る時にどんな顔をすればいいのか分からないから嫌い。

 

 でも、今はそんなことどうでもいい。5人と一緒に写れば、なんとかなるでしょ精神に至りました。

 

「あとで現像して渡すよ」

 

「ちゃんと額縁買わなくちゃいけないわね。もちろん、とっておきのものよ」

 

「あたし、これ待ち受けにする!」

 

「ワタシはペンダントに入れます!」

 

 こいつらと一緒にいたから、俺も変わったのかな。パスパレに強制的ではあれど、入ったことは間違いじゃなかったって今なら言える。でも強制的に入れた千聖の権力には今でも驚きますけどね! 

 

「い、1回しか言わねぇからな」

 

「なになに?」

 

「……めちゃくちゃだったけど、一緒にいてすっげー楽しかったっつーか、なんていうか。まぁ、退屈はしなかった」

 

「それで?」

 

「俺なんかと一緒にいてくれて……あ、ありがとう。感謝してる」

 

 今の俺が考えうるだけの感謝の意を述べました。

 もうちょっとちゃんと考えろって自分でも思うよ。でも、考えてる余裕なんてないし、バカっぽくても自分の今の気持ちを伝えたかったんです。

 

「そ、そんなこと言われたらこっちまで泣けてきちゃうじゃないっすか」

 

「あ、麻耶ちゃん本当に泣いてる!」

 

「録音完了です! 着信にしておきますね!」

 

「イヴちゃん、私にもちょうだい! 寝る時に枕元で流すから!」

 

 またなんか始まったよ。もうこうなったら俺には止められない。むしろ止めない方が楽しい。

 最初はめんどくさいだけだったけど、今はめんどくさいだけじゃなくて、楽しいまであるんだよ。

 

「あなたがパスパレに入ってくれてよかったわ」

 

「俺も入ってよかったわ」

 

「明日、期待してるわよ?」

 

「さぁな」

 

 明日で終わりじゃないことは確信できた。

 

 だから俺は迷いなく、自分自身のことを決められる。

 

 でもさ、まだまだ迷ってるからやばいんですね! 助けて神様!




次回
ルート分岐点


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55話 卒業式

短く、簡潔に、分かりやすく、一言


完結させたくない


「もうダメ、ムリ」

 

「耀太もさっさと準備しなさいよ。あれ、あたしカメラどこに置いたっけ」

 

「カメラならこっちにあるよ」

 

「2人はそうやってやれるから羨ましいよ」

 

 卒業式当日。俺はまともに寝てません。なんでかって理由説明する必要ないだろ。結局今の今まで決まってないんだよ。死ぬほど悩んで悩んで悩みまくったけど、気づいたら朝でした。

 

「ほんっとにどうしよう」

 

「そうやって大事な時に決めきれないのは光羊に似てるわよね」

 

「でも、その場の勢いに任せたあとで後悔するのは琴美に似てるよ」

 

「そりゃ2人の子どもだからでしょ」

 

 帰ってきて、飯食って風呂入ってベッドに潜ってずっと考えてた。誰も泣かせたくないし、誰もが笑顔でいられればいいと思う。だけど、そんな綺麗事が通るほど甘くないのは知っている。だからこそ、自分の思いにも正直に、相手の思いを尊重して考えている。で、結果がこれよ。

 

「まったく、しょうがないわね。とっておきを教えてあげる。さっさと目を瞑りなさい」

 

「瞑りましたが」

 

「そしたら自分が嬉しいと思うこと思い浮かべて。虹を見た時、クジで当たりを引いた時、なんでもいいわ。そして、それを最初に誰に伝えたいか考えて」

 

 もし俺が今虹を見たら、きっと俺はアイツに……いや、絶対最初にアイツに教えたい。

 

「その人があんたの好きな人よ。あ、確証はないからね。でもおばあ様のお墨付きだから♪」

 

「ん……ありがと」

 

「愛する一人息子のためよ。悩み事ぐらいあたしでも光羊でも頼りなさい!」

 

 これは俺が俺自身で決めなきゃ行けないことだから、誰にも頼りたくなかった。でも、今なら母さんと父さんになら頼ってもいいかなって思える。多分、アイツ以外で俺の事を1番理解してくれてるし、1番に思ってくれてる人だから。多分っていうか、絶対って言いきってもいいぐらいだよな。だって母さんと父さんだもん。

 

「じゃ、そろそろ行くわ」

 

「うん、行ってらっしゃい 」

 

「気をつけていくのよ。なんか必要だったら電話しなさいね」

 

「分かってるよ……行ってきます」

 

 高校最後の日ぐらいバカみたいに騒いでもバチは当たらないと思う。けど、俺はあえていつも通りの道をいつも通りに歩いていたいっていう我儘を貫き通す。

 

「あら、今日は遅かったのね」

 

「耀太君! おはよ!」

 

「みてみてヨータ、今日の妾は一味違うのじゃ!」

 

「おうおう、朝から元気いっぱいだ事でよろしくて」

 

 本当に最後の日かと疑いたくなるぐらいいつも通りの朝です。ちょっとだけ違うのは紗夜と燐子がいないことかな。まぁ、十中八九生徒会室で仕事やってんだろう。手伝いに行くか。

 

「遅いですよ耀太さん。あなたの分の仕事なんてほとんど終わってますからね」

 

「おはよう、耀太くん」

 

「こっちもこっちでいつも通りだな」

 

「先輩もいつも通りのアホズラですね」

 

「うっせ」

 

 もう少しで卒業式が始まる。それが終わって、校門をくぐれば高校生は終わる。いやさ、4月1日までは高校生ですって言う先生がいるけど、俺はそうは思わないぜ。

 

「そろそろ卒業式前最後のHRですね。行きましょうか」

 

「おう、そうだな」

 

「耀太くん、信じてるからね」

 

「俺はちゃんと答えを出したよ。もう後悔しないし、俺の出した答えを曲げないから」

 

「私はそんな耀太くんが大好きだよ」

 

 教室に戻ると、もう先生が来ていた。みんなが成長して卒業してくれるのが嬉しいって泣き泣き話してたから、もう終わるんだって実感が湧く。

 卒業してから就職するやつもいるし、大学に行くやつもいる。まぁ、俺は大学に行くんだけどな。離れ離れになるって考えると、ちょっとばかし……いや、めっちゃ寂しい。

 

「あら、中学校の時は泣いていたのに高校だと泣かないのね」

 

「お前は泣いてんだろ。いつも泣かないくせに」

 

「しょ、しょうがないじゃない。私だって高校生なんだし、泣いたって、泣いたって……」

 

「ハンカチ、後で返せよ」

 

 珍しく感情を隠しきれてない千聖にハンカチを渡した。言われてみれば千聖も高校生なんだもんな。泣かない方がすごいよ。

 

「あーあ、俺まで泣けてきそうだわ」

 

「もう泣いてるじゃないですか」

 

「くっそ、隠しきれるわけねぇだろバカ」

 

「だ、誰がバカですか! 私だって隠したいですよ!」

 

 みんな泣き泣き、先生も泣き泣き。教室にいる人が全員泣いてます。

 

 体育館に向かっている途中でも泣き止まないやつもいて、寂しいとか離れたくないとか話してるやつがいた。そんな中、俺の左手を掴む人がいた。

 

「よ、耀太くん……」

 

 それは燐子だった。酷く怯えた様子で、身体を震わせていた。

 

「緊張してんのか」

 

「う、うん。だから、少しだけ…… 」

 

「気にすんな、好きなだけやってろ」

 

「ありがとう、耀太くん」

 

 開けられた体育館の扉をゆっくりとくぐり、練習通りに決めてある席に座った。

 卒業式が始まると、校長が話したり、聞いたことがない人からの式辞が届いてるからって読み上げたりして、いよいよ燐子のスピーチの番となった。

 

「え、えっと……生徒会長の白金です……」

 

 燐子のスピーチはさほど長くなく、簡潔で分かりやすいものだった。泣かせにきてんのかって思うぐらいだったんだけど、終盤になって燐子は一息置いて話し始めた。

 

「私は臆病で……せ、生徒会長なんてやりたくなかったです。でも、そんな私を励ましてくれた人がいました。今この場を借りて言っておきたいことがあります。い、今まで……私を励ましてくれてありがとう。どんなことになっても、いつまでもずっと好きです」

 

 一瞬目が合って、燐子は俺に笑いかけてくれた。そんなことされたら揺らぐに決まってんだろ。やめてくれよ。

 

「終わっちゃったね」

 

「ええ、終わったわね」

 

「でもお前らはパスパレで会えるだろ」

 

「もう、そんな問題じゃないの! がっこうであえなくなっひゃうんだよ!」

 

「そういう時でもお前は噛むんだな」

 

 卒業式が終わって、本当に最後の時間になった。それぞれ教室で集合写真を撮ったり、抱き合ったりして別れを惜しんでいた。

 

「耀太くん、さっきはありがとう」

 

「なにもしてねぇよ」

 

「嘘つき」

 

「2人だけでイチャつかないでください!」

 

「だからイチャついてねぇってんの!」

 

 なんやかんやあったけど、いよいよ終わっちまうんだな。でも、やっとこっから俺のターンが始まる。ちゃんと伝えるって言ったんだ、言わなきゃ俺の気がすまん。

 

「よーうーた☆」

 

「誰だよ」

 

「琴美ちゃんここで泣くわよ?」

 

「やめてもろて」

 

「耀太、卒業おめでとう」

 

 どっから湧いて出てきたか知らん母さんと父さんが教室に来た。ここに母さんが来るとさ、めんどくさいんだよね。だって母さんの雑誌読んでる人めっちゃいるんだもん。

 

「ほら、3人で写真撮るんでしょ?」

 

「3年ぶりにちゃんと写真撮ろうじゃない♪」

 

「ったく、写真に映りたくないってんのにさ……撮るなら撮ろうぜ」

 

 先生に頼んで屋上で3人の写真を撮ってもらった。父さんは半泣きだったし、母さんは俺に抱きつきながらピースを決めてた。もちろん俺は無表情、と言いたいところだが、今回は笑えたよ。

 

「よーし、耀太、時間でしょ」

 

「ん……行ってくる」

 

「あんたが決めたんだから、後悔しないようにね」

 

「耀太、頑張るんだよ」

 

「母さん、父さん、ありがとう。2人の子供でよかったよ。行ってきます」

 

 2人に背中を押されて俺はアイツの元へ向かう。待ってろよ。って今日の今日まで待たせたんだから、一刻も早く行きたい。そしてアイツに俺の口から言うんだよ、好きだって。

 




えー、次からルートとしてやって行きます。大体1人につき3話ぐらいですね。頑張ります


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番外編
千聖の誕生日


 おくれましたね
誠に申し訳ございません
かんっぺきにわすれておりました

でもがんばったんでゆるしてください( ノ;_ _)ノ


 「耀太~ 早く行きましょ」

 

「いまいくよ」

 

今日は4月6日、何故こんなに千聖が浮かれているのかというと、何を隠そう今日は彼女の誕生日なのだ

そんな日なんだし、今日ばかりはある程度のわがままは許してあげよう

ところで今は水族館に来ている。

つい最近花音と来てたらしいのだが俺と二人で来たいとのことで連れてこられました。

 

「ほら見て耀太、ペンギンよ」

 

千聖が指差す方向にはペンギンがいた。それはそれはかわいいことヨチヨチあるきでプールまでいって泳いでく。まぁ~俺はそれを見てる千聖を見れてればいんですけどね~

 

「千聖~そろそろイルカショー始まるぞ?」

 

「あら、もうそんな時間なのね。」

 

今日のビックイベントのイルカショーで~す。

そしてめっちゃ前の席です。

これから導き出される答えは…

 

ビチョ濡れになる

 

いや~濡れるよね-w-w

とか言ってる間に始まった

 

ワーワーワーワーワー

 

「みて!耀太!ほら!」

 

「うんうんすごいすごい」

 

珍しく千聖がはしゃいでるよ

まぁ普通の女の子だからね~ このまま今日はヤンデレモード発動しなければいいんだけど…

 

「耀太!」

 

「なにっ!?」ビチャビチャ!

 

どうもフラグまた回収しました一級です。

まぁ…いっか

 

千聖視点

 

 今日は誕生日デートよ

この日を楽しみにしてお仕事もオフにしてもらったんだからおもいっきり楽しまなくちゃね。

 

「耀太タオルでふいてあげるわよ?」

 

「いや「い い か ら」はい…」

 

それでいいのよ。あーあこの後どうしようかしら。帰りは少し遅くして行きたいところがあるしなにより耀太と二人きりなのよ?誰にも邪魔なんてさせないわ。この時間はワタシと耀太の二人だけのものなんなだから

 

「この後はどこいく?」

 

「そうね…いってみたいカフェがあるのだけれどいいかしら?」

 

「なんなりと千聖お嬢様」

 

「っ…あ…ありがとう…//」

 

耀太に…耀太にお嬢様って呼ばれちゃった…

ていうことはワタシの執事なのよね?離れないのよね?やっとワタシ独りのモノってわかったのかしら。なにはともあれうれしいわ。

 

それを見た耀太は

 

「冗談なのに…これは弱味かケラケラ(*´∀`*)」

あとでこれが厄介になることを知らなかった。

 

「イラッシャイマセーご注文はお決まりでしょうか」

 

「俺はチーズケーキと…カフェラテで」

 

「私はフルーツタルトとストレートティーをお願いします」

 

「今ならカップル限定でパフェもありますがどういたしますか?」

 

「それもお願いします」

 

「カシコマリマシタ」

 

カップルに見られてたのね…夢でも見てるのかしら。これが夢なら一生覚めなくていいわ。

 

「カップル限定って…それでいいの?」

 

「むしろその方がいいわよ?いっそのこと本当にカップルになりましょうか?」

 

「それってさ遠回しに告白してるってとっていいの?」

 

「まぁ…そうなるわね」

 

成り行きで言ってしまったけど…いいわ。言えたのにはかわりないのだからね。

 

耀太視点

 「まぁ…そうなるわね」

 

「!?ゲホッゴホッ、は!?」

 

「だから付き合ってって言ってるの」

 

それを表情崩さずによくも言いますかねぇ…

まぁ流石女優ですわ。

ていうかそれどころじゃなくね!?

生まれてはじめて告白されてんじゃん!?

 

「それで…返事は…?」

 

珍しく不安そうな顔してるよ…

振りたくはないんだけどさ~難しいんだよね。

まだ俺は誰が好きとかはわかんないけど…

まぁ千聖が俺のこと好きってのは前々から知ってたしな。あと一人もいるんですが…

あーもうわかったよ!

 

「お前が俺のこと好きなのは知ってるよ。俺もお前のことが嫌いではないしな。だけど仕事もあるでしょ?それこそスクープで色々言われるよ?」

 

はぐらかせ大作戦決行

これでなんとか…

 

「それなら事務所の方で何とかしてもらうわよ」

 

はぁぁぁぁ!?

そこでカウンター炸裂しました

残りターン1

 

「色々あってやめるとかになったらどうするの?」

 

「別にいいのだけれど?むしろあなただけのアイドルになりましょうか?」

 

KO WINNER 白鷺 千聖

そこまでしてか…ならちゃんと返事しなきゃな

ていうかちゃっかりすごいこと言ってない?

 

「そこまでなら俺もちゃんと言うよ。単純に付き合えない」

 

その言葉で千聖の顔は曇った。

 

「そう…」

 

というがその言葉を遮り

 

「ただし()()な。お前も仕事がある。俺はお前の幼馴染みだろ?近くにいるから今はそれで我慢してくれ。俺もいつかちゃんと伝えるよ」

 

俺が言えることはこんなところかな。

まぁだから俺がいいんだろうな~。実際客観的に俺の行動を見てみるとなんていうかな…

 

「わかったわ。ちゃんとあなたを私の虜にして見せるわよ。覚悟してね」

 

そういうことじゃないんだよなぁぁぁぁぁ

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 カフェを出て今度は楽器店。

千聖がピックを見たいんだそうでね。

 

「こんなのはどうかしら?」

 

「見せられてもわかりませぬ。でも見た目はいんじゃね?」

 

音楽には一切精通していない俺に聞かれてもね?

誕生日プレゼントはあるし…よし!考えるのはやめよ

 

「なんでも好きなの選んでいいよ。誕生日だからな」

 

「いいの?」

 

「その代わり仕事も勉強もがんばれよ?」

 

「わかったわ。甘えさせてもらうわね」

 

そういって千聖はひとつ選んできたのは黄色のピック。千聖らしいわな。

会計を終えて時計を見てみると五時を回る頃

 

「そろそろ帰るか」

 

「その前に…一ヶ所だけよってもいいかしら?」

 

「このさいだ。どこでもいこうぜ」

 

ショッピングモールをでて少し家の方に歩く。そしてついた場所は大きな湖の桜の所。

千聖が見たいっていってたのはこれか。

今日は満月でよく月も見えてる。

その月が湖に写り波に揺られている。

そしてその上にひらり、またひらりと舞い落ちる垂れ桜の花弁。その一つ一つに見とれている千聖はいつもより大人っぽくてとても妖艶に見えた。手を触れれば消えてしまいそうなほどに…

 

そして俺は私忘れていたものを思い出した。

 

「千聖…これ」

 

「これって?」

 

「誕生日プレゼントってやつ?気に入ってもらえればいいんだけど…」

 

そういって俺がバッグから黄色の袋をピンクの紐で結んだ取り出したのはひとつの小包。

それを千聖に手渡した。

 

「開けてもいい?」

 

「どうぞ」

 

千聖視点

 

 「開けてもいい?」

 

「どうぞ」

 

耀太から渡された小包に入っていたのは

いぬの置物と小さな髪飾り

髪飾りはピンクでとても可愛らしくて

いぬの置物はレオンに似ているし…

私は耀太に愛されているのね

 

注 耀太はこうなることを予想しておりません

 

「ありがとう、耀太」ニコッ

 

「ん、どう…いたしまして」

 

そして少し強めに風が吹いてきた

その風に吹かれて回りの桜は一斉に揺れだし

勢いよく花弁が舞い散る

いわゆる桜吹雪ね…耀太と見れて良かったわ

 

耀太視点

 

 ビュウ

いきなり風が強めに吹き荒れる

その風に吹かれて回りの桜達も一斉に揺れだし

桜の花弁達は風にのって勢いよく舞い散る

「桜吹雪」

俺は夜の桜は好きだ。

特に今みたいに湖の上に写り波に揺られる満月。そしてその月明かりに照らされながら風に揺られる垂れ桜。

これほどきれいなものがあるだろうか…

吹き荒れる桜吹雪の中で千聖がよってくる。

 

「さぁ帰りましょうか」

 

「そうだな、帰るか」

 

ヤンデレで多少…訂正しよう。かなり手がかかる千聖だけど大切な幼馴染みだから

これからもよろしくな




 今回はかなりやんわりした感じで書いてみました。
言うことはただひとつ
千聖さん誕生日おめでとう!


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美咲の誕生日

こんばんわ〜
頭痛いで〜す
脳死で〜す
頑張りました(*´・ω・`)=3


「耀太せんぱーい、早く食べさせてくださいよ〜」

 

「いや結構恥ずかしいのだが」

 

「誕生日ですよ〜?」

 

「わーったから」

 

 そういって俺は美咲に作ってきた弁当を食べさせる。今日は美咲の誕生日。だから誕生日プレゼントあげるっていったらなんて言ったと思う? 

 

「それじゃぁ耀太先輩をください」

 

「まだ未成年ですけど」

 

 こんな会話が昨日の夜の電話で何回も繰り返されたんだよ。いやさ、言いたいことはわかるんだよ? でもどストレートすぎやしない? でも千聖達みたいに無理やりじゃないからいいんだけど。それで結局、

 

「それでもダメなら明日1日レンタルで」

 

 って言われて、それぐらいならって思ってOKしたんだよ。そして今日の朝起きたら美咲から連絡入ってて玄関の前にいるし? それから一緒だったし? 千聖と学校一緒に行くんだったんだけど美咲が時間ずらして2人きりだったし。いやエグいてぇ。

 

「んでさ、なんで教室で?」

 

「なんでって、お弁当って教室で食べるんじゃないですか?」

 

 何食わぬ顔で言ってますけどね、周りからの視線がヤバいのですが。さっきは俺の教室で食べるって言い出すし、それはさすがに事故処理(千聖たち)が大変だから美咲の教室でって言ったんだけど、これもこれで失敗。だってクラス違うのにイヴまでいるし、有咲は汚物を見るような目で見てくるぜ? 香澄は弁当食べたそうにしてたけど美咲が「私のです」って言って食べさせなかったし。正直、少し気の毒に思う。

 

「耀太先輩のお弁当食べたいよ〜」

 

「やめろ香澄! ぜってぇ毒かなんか入ってるからな!」

 

「毒なんか入れてないんですけど。有咲の中で俺って何扱いなんだよ」

 

「変態、タラシ、ヒモ」

 

「ひっでぇ。泣けてくるわ」

 

 変態でもヒモでもタラシでもないのですが。まぁしょうがないよな。だって毎日のように千聖たちが絡んでくるんだもん! しってる? この前なんかは紗夜が千聖がいる前で「襲われました」っていって大騒動。それから逃げるように生徒会室に行くと今度は燐子がサインしてってせがむし、サーリャは遊びに行くって言い出すし、そして下の階に逃げてきたらこころとイヴのダブルタックル。なに? 教室と生徒会室だけじゃなくてこの学校中に俺に対しての包囲網でも張ってます? 

 

「はぁぁ……」

 

「そうだ、今日の夜は先輩の家に泊まりますから」

 

「いやちょ、初耳」

 

「だって一日レンタルだし、いいじゃないですか」

 

 美咲がそれを言った瞬間、クラス中から黄色い(一部からは殺意の籠った)悲鳴が聞こえた。無自覚? なわけないよな? 絶対に狙ってるわァ。

 

ヨウタさん? 奥沢さんとなにヤクソクしてるんデスか? 

 

「いやー、なんていいますか、わかんない」

 

「今日は奥沢さんの誕生日なので我慢しますが……今度、ちゃんとヤッてもらいますカラね?」

 

「法に触れないことなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、午後の授業を受けに教室に戻ったんだよ。そしたら千聖も彩も紗夜も燐子もなんかすっごくどす黒いオーラ発してたんだよね。

 

耀太? 美咲ちゃんとどんな約束してたの? 

 

耀太さん? わかってるんですよね? 

 

ね〜耀太君、なにやってるか分かってるの? 

 

ヨウタ君? お薬ならいつでもあるからね? 

 

 ほらやっぱりぃぃ! なんなんですかもう本当に。語彙力消えるぐらいに逃げたいんですけど。って日本語おかしいし。とりあえず、逃げたいわ。

 

「花音〜、助けて」

 

「ふぇ!? わ、私!?」

 

「カ、ノ、ン?」

 

「ふぇぇぇ」

 

 花音なら千聖は止められると思ったが……これは無理か。よし、こうなったら最終手段だ。

 

「今度出かけるから今日は許して()」

 

 肉を切らせて骨を断つ。使い方間違ってると思うけどこんな感じか? ひとまず全員落ち着いたようでよかったよ。ひとまずな、()()()()

 

「耀太先輩〜、帰りますよ〜」

 

「てなことだから帰るわ」

 

 ちょうどいい所で美咲が来てくれたからめっちゃ助かった。うん、あそこであのままの状態でいてみ。百億万パーセント脳死するから。

 

「あ、1回私の家によってもいいですか? 着替え持ってこなきゃなんで」

 

「別にいいぜ。なんなら買い物行くか」

 

 そして来たのはいつものショッピングモール。とりあえず買うものって言っても夕飯だけだしな。あとはまぁ〜それぐらい? 

 

「美咲はなんかリクエストとかある?」

 

「私は〜特には無いですよ。強いていえば、耀太先輩が作った料理ならなんでも」

 

「はいはい。んじゃ少しだけ頑張るわ」

 

「期待してま〜す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 買い物も済ませ、美咲の着替えもとってきて俺の家に帰ってきた。そして夕飯を作っているのだが……

 

「美咲、動きづらい」

 

「そうですか? 私は別にちょうどいいですけど」

 

 料理を作っているというのに美咲が抱きついてきてるんだよね。まぁあんまり包丁とかも使ってないけどさ、美咲がこうするのって珍しくね? こころとかならわかるけどさぁ〜

 

「ほら、できたから」

 

「早速食べますか」

 

 作ったのはポテトサラダやらハンバーグやら、ファミレスのメニューでありそうなものを作ってみた。まぁ見た目は頑張ったぜ? 

 

「本日の目玉はミッシェルプレート。結構見た目、頑張ったぜ?」

 

「いやいや、普通に凄いじゃないですか」

 

 普通にって言われても結構頑張った方なんだよ。でも喜んでくれたからいっか。

 

 そして食べ終わったあと、俺は冷蔵庫にある物を取りに行った。それは昨日の夜から作ってあったケーキ。ミッシェルだから色的にもイチゴムースのやつね。

 

「ほい、ちっちゃいけど誕生日ケーキ」

 

「ここにもミッシェル…!」

 

「美咲といえばミッシェルだろ?」

 

 そういって美咲を見るとケーキをじっと見つめていた。うん、こういう時は昔千聖にやったみたいにイタズラだ。

 

「美咲〜、こっち向いて」

 

「なんですか…っ!?」

 

 こっちを向いた美咲の開いた口にケーキを放り込む。一瞬びっくりしていたけど、普通に食べれたみたいだな。

 

「風呂入れておくから食べ終わったら入れよ」

 

「一緒に『俺のベッド使っていいから』それで妥協しますよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーもう疲れた」

 

 俺は自分のベッドに体を投げ出した。今日もいつも通り普通に疲れました(白目)。まぁ美咲の誕生日だし少しはいいぐらいか。ちょっと頑張りすぎって感じもするけどな。

 

「せんぱーい、上がりましたよ〜」

 

「はいはい。んじゃ俺はソファーで寝るから」

 

「何言ってるんですか? 一緒に寝ますよ?」

 

「( 'ω')ふぁっ」

 

 ん? アホかな? 

 

「マジで?」

 

「当たり前じゃないですか。それとも……嫌ですか?」

 

 美咲は上目遣いで見つめてきた。やめて、本っ当にそういうのには弱いから。断りきれねぇじゃんか。

 

「わーったから。寝ます寝ます」

 

「それじゃ、おやすみなさ〜い」

 

 布団に入った途端に美咲はそういった。ま、寝るとするか。

 

「おやすみ。誕生日おめでとな」

 

美咲視点

 

 耀太先輩の匂い……すっごく安心する。お兄ちゃんって言うか、頼りになる先輩っていうか……いつもなら白鷺先輩達と凄いことしてるのに今日は私だけの先輩かぁ〜

 

「大好きですよ、耀太先輩。おやすみなさい」

 

 私は寝息を立ててる耀太先輩の背中に抱きついた。本当に大好きです。これからも大好きな先輩でいてくださいね、




ということでした。なんやかんやありますけど美咲が結構強くないですか?笑笑 後輩っていう強みを活かしまくってるじゃないですか笑笑 本編の方はそろそろ更新しますよ〜!!!


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イヴの誕生日

 こんばんわ!アインでございます
今日の更新はもちろんのことイヴの誕生日回です!本当は六時にあげようかと思ってたのですがトラブルがあって…… そんなことはさておき、今回はどうなるのか!千聖さんの時のようにやんわりと?それともいつも通り脅しに? 詳細は本編へ!


 「イヴ(ちゃん)(さん)」

 

「誕生日おめでと~!」

 

今日はイヴの誕生日だからパスパレ全員で誕生日パーティーってわけだよ。もちろん場所は俺の家だぜ?そこらへんはいつも通りにですよ!

 

「皆さんありがとうございます!」

 

「今日の主役はイヴちゃんだから~ はい!帽子だよ!」

 

そういって日菜はイヴにとんがり帽子を被せた。まぁ誕生日と言えばこんな感じのやつだよな~ なかなか似合ってないこともない。イヴはバンド以外にもモデルとしてもやれてるからな。着こなすのはうまいんだろう。これは関係ないとは思うがな

 

「はいはい、そんなことより料理食べちゃわね?結構頑張ったし、覚めると美味しくなくなるぜ?」

 

「そうデスネ!一緒に食べましょう♪」

 

「耀太君の料理久しぶりだな~」

 

「そういって食べすぎないのよ?また太るかもしれないのだし」

 

「ぅぅ……それは言わないお約束だよぉぉ」

 

なんだよ、彩のやつまた太ったわけ?ったく彩のやつは毎度毎度さぁ……そろそろライブもあるわけじゃん?そこら辺考えて食事とらなきゃ衣装の方もだし、なにより千聖の超絶毒舌精神的ダメージでやられかねんぞ。彩はすぐ泣き出すからな……

 

耀太?だれが『超絶毒舌精神的ダメージ』を与えられるですって?

 

「はぁ!?なんでわかったわけ!?」

 

「あなたのことなら考えてることもすべてわかるのよ?ワタシにそんなこと言えるなんてねぇ……今日は寝れるとオモワナイコトネ♡」

 

はぁ!?なにいってるわけ!?また俺の家に泊まる気してんのかよ。まぁ泊まってもいいけど一人で部屋で寝ますから!それだけは譲らんからな?何がなんでも抵抗させてもらおう

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱりおいひい~♪」

 

「あたしそれ食べる!」

 

「日菜さんも彩さん落ち着いてくださいよ~」

 

食べていると騒ぎだすやから(特に彩と日菜)がすごい早さで食べていた。ちょっとは千聖とイヴを見習おうぜ?紅茶飲んでる姿だけでも一枚の絵になりそうだってんのによ

 

「ヨウタさん、一ついいですか?」

 

「良からぬことでなければなんとでも」

 

「なら……料理を食べさせてください!今日はワタシが主役なんですよ♪」

 

へぇへぇ、そうですかい。今日ぐらいなら嫌がることもなくやってあげるよ。いつもだったら脅されてやるだろ?むりむり、めっちゃ怖いもん

 

「はい、口開けとけ」

 

「ハムッ やっぱりヨウタさんの料理は絶品です♪ブシドーを感じます!」

 

「やっぱし意味わかんねぇ」

 

「私もわからないままよ。日菜ちゃんも似たようなものだしね」

 

その「ブシドー」ってのが日本のやつなら何となく想像はつくけどさ。とりあえず今日はイヴの誕生日って訳だから洋食とか中華ってよりかなり日本食を多めにしてみたけど成功か?普通の誕生日パーティーで味噌汁とか鯖の煮付けとかでてくるとか考えられないだろ-w-w

 

「それじゃぁこのままプレ『ちょっと待った!』?よー君どうしたの?」

 

「プレゼントもいいがケーキがまだだろ?渡したら渡したで彩も日菜ももっと騒ぐだろ」

 

「「ケーキ!?」」

 

「イヴのな。お前らの分はちゃんと誕生日に作ってやるから」

 

あったりまえだろ。無理矢理だろうがなんだろうな俺はお前らパスパレのマネージャーなんだからな。最低限それぐらいはしますよ

 

「てなわけで……ほい、バースデーケーキだぜ。まぁデコレーションとかも一人で頑張ってみたし?味は口に合えばいいかな」

 

「もしかして書いてあるのって剣道の防具ですか?」

 

「やっぱしわかる?なんかいか練習したんだぜ」

 

「流石です!これぞまさにブシドーです!」

 

「頑張ったかいがあるわ」

 

そして彩の提案でハッピーバースデーを歌うことになった。たまには悪くないかな。こんな感じの誕生日会もな

 

『ハッピーバースデー!』

 

「皆さんありがとうございます♪ケーキもとても美味しいです♪」

 

「ダーリンのケーキですの。美味しいに決まってるわ♪」

 

「やっぱりおいひいよぉ~♪」

 

「はいはい。口に合うのはいいが彩は食べ過ぎるなよ?太るのもあるんだし、主役はイヴだってことを忘れるな」

 

そんなこんなをしていると、どんどんケーキが無くなっていった。多分ほとんどは彩の胃袋に吸い込まれていったんだろうな

 

 

 

 

「それじゃぁプレゼントなんだけど~ ゲームで順番決めようよ!」

 

「どんなゲームかにもよるだろ」

 

「え~とね~ アミダくじ!」

 

「ゲームとは」

 

 

今度は日菜の提案でゲームと言う名のアミダくじでプレゼントを渡す順番を決めた。そして順番はというと

1 日菜

2 彩

3 麻弥

4 千聖

5 俺

の順番になった。案外俺って良さげなポジション?なかなかいいものだとは思うんだけどな

 

「はいはーい!最初はあたし!」

 

日菜に続き順番にそれぞれのプレゼントを渡していった。日菜は帽子、彩はトートバッグ、麻弥はイヴの好きな袴、千聖は武士が表紙にプリントされたクリームのセット。ん?俺のやつかなりかけ離れてね?めっちゃ心配になってきたんだけど

 

「最後は俺なんだけど……これかな」

 

「これって……剣道の手拭いじゃありませんか!」

 

「この前一緒にいった武道店あるだろ?普通に服とかじゃ千聖達と被るだろうからこっちにしてみた。あとはお守りよ」

 

「お守りも手縫いなんですね♪ ?中になにか入ってますよ?」

 

「とりまあけてみりゃわかるぜ」

 

イヴがお守りの中から取り出したのは竹刀につける鍔だった。といっても普通に試合用で使うのは大きすぎるからお店の人に勧められたちょっと小さめのやつだぜ。お守りに刺繍したのは『日々精進』って文字。イヴをみてるとなんかこの文字が合いそうだったからさ

 

「ヨウタさん……」

 

「え?なに?泣かした?」

 

「ハグです~!」

 

その言葉と共にハグと言っておきながらもかなりの勢いで抱きついてきた。いつぞや学校で食らったこころのやつに似てるなぁ……あれに比べりゃまだ優しいもんだが力は強くて少し苦しい。そしてそれ以上に麻弥以外の三人(特に千聖)からの視線が突き刺さる

 

「な、なぁ?落ち着こうぜ?今日はイヴが主役なんだし、少しぐらいな?」

 

「そうね……今日だけは許してあげるわ」

 

「よかっ『今日ってわかってるのよね?今日の零時までよ?』そうですかい……」

 

「ならそれまではヨウタさんはワタシが独り占めですね♪」

 

独り占めってなぁ……まぁ今日ぐらいはしょうがない。ただ、よからぬことだけは全力で抵抗して防がしてもらおう

 

 

 

 

 その日はもちろんのこと俺の家に全員で泊まるみたいだった。なんかもう五人で俺の家に来たら泊まるってことになってるの?別にいいんだけど

 

「ヨウタさん!一緒のベッドで寝ましょう!」

 

「はぁ!?マジで言ってるわけ!?」

 

「これも誕生日の特権です♪」

 

「んなこといったって千聖が……」

 

そういいながら千聖の方を見るともちろんのことドス黒いオーラ全快でニコニコと笑っていた。やめて!その顔怖いから!

 

「しょうがないわね……今日はイヴちゃんの誕生日なのだし私は我慢してあげるわ」

 

「そうです『やった~♪ハグですハグ~』はいはい」

 

イヴはどれだけハグが好きなんだかな。そのあとは何事もなくベッドに入れるまでに至った。こういうときなのにイヴにしては珍しくべたつくわけでもなく、お風呂に一緒に入ろうと言うわけでもなかった

 

 

 

「ヨウタさんは今幸せですか?」

 

「いきなりどしたんだし」

 

「いえ、ワタシはとても幸せなので♪」

 

ベッドに入り、横で寝ているイヴからの質問に少し戸惑った。いきなりいうんだからな……

 

「まぁ幸せじゃないって言えば嘘になるぜ?毎日が大変だけど退屈はしない。俺はそんな日常が好きだからな」

 

「それでは私のことは好きですか?」

 

「それも同じ。イヴのことも好きだ『なら!』ただし、イヴだけじゃなくて千聖達のことも同じぐらいな」

 

「そうですよね。一番ではないですよね……」

 

俺からの答えを聞いてイヴはしょんぼりとしてしまった。一番なんてそう簡単に決めらんないからさぁ~ ごめんな?

 

「だからとりあえず俺からはこれだけいっておくよ。イヴ、hyvää syntymäpäivää(誕生日おめでとう)

 

「ありがとうございます♪大好きですよ!耀太さん♡」

 

これだけしかフィンランド語はつかえないけどさ、少し前から練習しておいてよかったよ。

 

 

 あらためて、誕生日おめでとうイヴ。今年もよろしく、そしていい一年になりますように




 ということでした!フィンランド語で寝る間際に『誕生日おめでとう』っていうあたり、耀太もカッコつけてますよね。彼女にいつかそうやって誕生日を祝ってあげたい……なんちゃって-w-w

 あらためまして
  イヴ、誕生日おめでとう!いい年になりますように!


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√千聖
お前のために


千聖さんルート


「10分だけ待ってくれ」

 

 俺はアイツにそう伝えた。そしたらアイツは

 

「屋上で待ってる」

 

 だそうです。さっき屋上から出たばっかなのにまた屋上か、とは思うけど、この際どうでもいい。

 待ち合わせの時間まであと1分。俺は屋上への階段を全力で駆け上がっていた。

 屋上への扉を前にして俺は乱れた息を整えるために深呼吸した。走ってきたからだけじゃない、俺はアイツにちゃんと言わなきゃならないことがあるんだ。

 

「よ、待たせたな」

 

「ええ、待ったわ。3秒の遅刻よ」

 

 そこに居たのは千聖だ。俺がここに千聖を呼び出した。もう、覚悟は決めたんだ。

 

「3秒は許容範囲だろ」

 

「あら、人を呼び出してる方が言える立場かしら?」

 

「すいませんでした」

 

「べ、別に気にしてないわよ。たった3秒じゃない」

 

「なんだったんだよこのくだりは」

 

 思わず顔を見合わせて笑ってしまう。やっぱ、幼馴染ってだけあってこういう所はシンクロするみたいだな。

 

「それで、こんな所に呼び出してなにかあったの?」

 

「なんもなければ呼ばねぇよ」

 

「知ってるわよ」

 

「なら聞くな」

 

「念の為よ」

 

 覚悟はきてる。でも、話を切り出す勇気がない。言ったらどうなるか想像がつかない。いい方向に行くかもしれないし、悪い方向に行くかもしれない。だけど、俺は後悔はしたくないんだ。

 

「千聖、ちゃんと聞いてくれ」

 

「ええ」

 

「俺は……お前のことが好きだ」

 

「それはlikeの方? それともLove?」

 

「そんなの決まってるだろ。Loveの方だ」

 

 俺が言えるのはこんなところだ。覚悟ができてたって結局ビビりなのには変わりがない。それでも俺はベストを尽くしたと思う。言いたいことは言った。後悔はない。

 

「それで、どうしたいの?」

 

「なんだ、その……俺と、付き合ってください」

 

「声が小さくて聞こえないわね」

 

「あぁはいはい、何度でも言ってやるよ。俺はお前のことを死ぬほど愛してる。だから俺と付き合ってくれ!」

 

 千聖のやつ、絶対俺のことからかってるよな。さっきの声がこの距離で聞こえないなんてありえないだろ。

 

「実は私からも言うことがあるのよ。ちゃんと聞いてなさいね」

 

「わかった」

 

「私、白鷺千聖はあなたのことを愛しています。私でよかったら……こちらこそお願いします」

 

 終業式の日に宣言してから、いや、文化祭の時にフラれてからずっと考えていた。俺自身がどうしたいのか、俺はどうすればいいのか。そして出した答えがこれだ。夢や妄想なんかじゃない。俺が俺自身に嘘をつかないために出した答えだ。

 

「まぁ……改めてよろしく」

 

「これからも、でしょ」

 

 これまでとこれからはどれだけ変わるのか。そんなのは想像つかない。いやでも想像つくことはありますよ。これまで以上に話しづらくなると思います。特に女子とですね。

 

「ねぇ耀太、私のどこが好き?」

 

「全部」

 

「あら残念。私なら耀太の好きなところを事細かに言えるのにね」

 

「じゃぁ全部言ってやるよ。一言一句聞き漏らすんじゃねぇぞ」

 

「録音するもの、聞き漏らすも何も無いわ」

 

 2人で帰りながらそれぞれ言いあっていた。このまま言い続けても一生決着なんてつかないだろうな。俺は千聖がどんなやつかよく知ってる。千聖は俺の事をよく分かってくれてる。母さんと父さんを除けば、千聖と一緒にいる時間が1番長いんだ。当たり前といえば当たり前だな。

 

「荷物置いたら少し2人で歩きましょ」

 

「ああ、わかった」

 

 夕焼けが綺麗に見えるからと言って、2人で河川敷の辺りを歩いていた。昔もこういうことあったっけ。確か仲直りした時とか。

 

「私ね、不安だったのよ。紗夜ちゃんも燐子ちゃんも彩ちゃんもいたし、もしかしたら嫌われてるかもって思ったし」

 

「そっか。悪かったな」

 

「なんで謝るのよ」

 

「不安にさせたからだろ」

 

 無駄なお世話かもしれないけど、言うだけ言っとかないとなんかすごいモヤモヤするんだよ。こう、なんていうか……言葉にしづらい感じに。

 

「別にいいわよ。不安になるのは私の勝手じゃない。余計なお世話よ」

 

「余計なお世話って言うなし」

 

「でも、そこがあなたのいい所よ。余計すぎる世話焼きさん♪」

 

「はいはい、どうもこんにちわ。余計すぎる世話焼きさんです」

 

 余計すぎる世話焼きって他に名前なかったのかよ。やっぱり千聖はネーミングセンスもないんだな。画力も壊滅的だし。

 

「あら、何か言ったかしら?」

 

「なんも言ってねぇよ」

 

 やっぱりこいつ読心術使えるやん。そろそろ俺も無心になる修行しなきゃダメかな。

 

「耀太、2人で幸せになりましょうね」

 

「唐突になんだよ」

 

「変なことでも言ったかしら?」

 

「……いや、別に」

 

 いきなりそんなこと言われるとこっちまで照れるだろ。

 

「絶対幸せにするから。嫌になるほど幸せにしてやる」

 

「嫌になるほどって……それは言い過ぎよ」

 

「なんだ、既に嫌になるほど幸せか?」

 

「そ、そんなわけないじゃない! まだまだ足りないわよ!」

 

「知ってるよ。だから、ずっと一緒にいてくれよな。千聖」

 

 多分、俺は今が一番幸せだ。だけど、これからはもっと幸せになれる。ヤンデレが暴走しなければの話ですがね。




がんばる


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お前と一緒に

こんなに期間空いてんのになんでこれしか書いてないん?


 高校を卒業した俺と千聖は仕事をしながら大学に進学した。

 

「ねぇ耀太、なんで時間に遅れたのかしら?」

 

「ごめんなさい。教授と話してました」

 

「ついでにファンの子に話しかけられてたわよね。今日はオフなんだから、メリハリつけなさいよ」

 

「めんぼくない」

 

 授業が終わって俺たちは駅で待ち合わせをしていた。

 千聖の言った通り、今日から3日間は仕事も授業も何も無いため、2人で京都へ旅行へ行くことにした。

 

「遅れたことに関してはしょうがないとして、ファンの子に話しかけられてあんな対応をしてるんじゃねぇ?」

 

「許して? ねぇ許して?」

 

 新幹線の中で千聖からの説教を受けている。何故か知らんけど、俺だけで仕事もらう時も出てきたんですよ。この間なんか日曜日の朝に放送される子供向けのテレビのメイン戦士になるかもって話されたかんな。いやまぁ断りましたよ。俺はどっちかと言えばメイン戦士のピンチに颯爽と駆けつけて助ける追加戦士がいい。

 

「私が掛け合って仕事もなくしたんだから、少し体を休めなさい」

 

「へぇへぇ、ありがとうございます」

 

「それに久しぶりに2人きりなんだから、とことん甘えるわよ」

 

「それはもう存分にどうぞ!」

 

 大学に入ってからというもの授業のレベルも上がり、家ではほとんど勉強漬け。仕事も多くなってきて休む暇なんてないない。だから2人でイチャイチャできてないんですよ。やっと付き合えたって言うのにさ。付き合ってるのに一緒に出かけたのは片手で数えられるからね! あ、仕事とか抜きだよ? 

 

「そういえば、なんで京都にしたの? この間は北海道とか行きたいなって言ってたじゃない」

 

「特に理由はない」

 

「あるわよね?」

 

「修学旅行ではみんなで行ったので今度は2人きりで行きたいと思いました」

 

「よろしい」

 

 昔に比べてヤンデレ面が出てくるのは減ったけど、その代わりに隠し事を許してくれなくなりました。この間なんかレポートの提出日に熱出してでも行ったんだけど、それがバレて家へ強制送還されたんだよ。そんときは酷く怒られたもんだ。

 

 京都についてそのままホテルに荷物を置いた。場所は修学旅行の時と同じ場所。偶然じゃないよ、狙ったよ。褒めてくれてもいいんだぜ? 

 

「ええ、褒めてあげるわ」

 

「口に出てた?」

 

「それはもう大声で。分からないぐらい疲れてるんでしょ」

 

「よし、休まないで歩くか」

 

「まったく、しょうがないわね」

 

 そういってあの時とおなじ道を歩き始めた。琵琶湖の畔を歩き、2人で来た丘の上まで来た。お昼時だけどなぜかお腹が減ってないから缶コーヒーだけ買ってきて飲んでいる。

 

「あなた、やっとブラックコーヒー飲めるようになったの?」

 

「やっとだよ。まぁ、結構苦いけどな」

 

「今度、私が淹れてあげるわ。そうすれば飲めるでしょ?」

 

「嫌でも飲まなきゃ怒るだろ」

 

「わかってるじゃない」

 

 毎度思うけどあれだよな、将来的に千聖の尻に敷かれるやつですよね。それでも好きなのは変わらないんだよ。案外千聖のこと好きすぎて依存しそう。てか既に依存してるみたいだわ。今までやってた家事をほとんど千聖がやってるしな。

 

「今日の夜も一緒に寝てくれるのよね?」

 

「あたまえ。久々に同じ時間に帰れるんだから」

 

「よかったわ。最近一人の時が多くて寂しかったのよ」

 

 いつの間にか千聖は甘え上手になってるんだよな。朝なんか俺が起こさなきゃ布団から出ようとしないんだから。しかも俺が使ってた枕を抱きしめてるんだぜ? そんなの見たら惚れるしかないだろ。だから毎朝惚れ直してます。

 

「あれ、白鷺千聖じゃね?」

 

「なんかモブ男と一緒じゃん。ナンパしようぜナンパ」

 

「釣れたら夜まで遊ぶか」

 

「ありあり」

 

 おっとおっと、どこの誰だか知らんけど千聖をナンパしようだなんて考える輩がいるようですね。そんな輩に教えてやろう。こいつをナンパするのは俺以外不可能だ。俺だって100万年かかったんだからな! 

 

「だから、お前らはさっさとどっかいけ」

 

「あ? なんだよモブ男のくせに」

 

「お前は千聖のなんなんだよ」

 

「どうも千聖の彼氏です。それといいこと教えてあげる。これ以上俺の事を悪くいうと千聖がキレるぜ? キレたら俺でも止められないぜ?」

 

 実際、俺の後ろにいる千聖は類を見ないほどに濃いドス黒いオーラを発しています。もう俺逃げたいんだけど。

 

「耀太、少し下がってて?」

 

「さっさと帰った帰った」

 

「お、おい! 帰るぞ!」

 

 いつだか千聖をナンパしたヤツらが返り討ちにされたの覚えてるからな。大学生になったんだし、今となっちゃ千聖は俺の彼女だ。それなら俺が守るに決まってるだろ? 

 

「はいはい、あいつらどっか行ったから落ち着け落ち着け」

 

「まったく、なんで自分が馬鹿にされてるのになんともないのよ」

 

「自分が馬鹿なのは自分が一番知ってるからな。それに、お前が馬鹿じゃないって思ってくれてるだけで充分だ」

 

「かっこつけないでよ。いつだってかっこいいんだから」

 

 そういって顔を隠す千聖を俺は見逃しませんでした。なんで俺の彼女はこんなに可愛いんでしょう。元々可愛かったんだけど、明らかにもっと可愛くなってるよね。もうここでプロポーズしちゃう? 

 

「早いけどホテルに帰ってゆっくりしようぜ。またナンパされるのも困るし」

 

「あら、嫉妬?」

 

「ええそうですよ。お前が他のやつになびくのが怖ぇから嫉妬してるんだよ」

 

「安心しなさい。私はあなた以外になびくことはないわ。あったらこの世が終わる時よ」

 

 そういって俺たちはホテルに帰った。部屋に入ってお茶を飲んでると、千聖が寄ってきた。あれか、イチャイチャするってことですね。

 

「ギュッてして?」

 

「日菜みたいな言い方だな」

 

「ちょっと真似たわ。甘え上手でしょ?」

 

「この上なくな」

 

 イチャイチャするって言っても抱きついてたり、そのまま寝たりするだけでした。それだけで十分なんですね。

 

「ねぇ、眠くなってきたわ」

 

「んじゃ寝ればいいだろ」

 

「ちゃんと起こしてね?」

 

「気が向けばな」

 

 そういって俺も千聖も眠りについた。

 するといつの間にか2人とも寝ていて、起きたら夜中だった。ご飯を直ぐに食べ、そのまま温泉に入って部屋に入ってきた。

 

「何もしないぞ。一緒に寝ても襲わないからな」

 

「しなくてもいいわよ。してくれるまで待つわ」

 

「そうしてくれ」

 

「そうするわ。おやすみ、マイダーリン」

 

「おやすみ、マイハニー」

 

 せめてもの言葉を口にしてまた眠りにつく。こうしてられるなら俺は幸せそのものだ。ずっと、これが永遠に続けばいいのに。いや、続けられるように頑張るんだ。




今年もありがとうございました


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お前とずっと

完結[?]



 本日4月6日は千聖の誕生日です。そんな日に彼氏の俺は何をしているのかというと、ロングタキシードを着ています。さて、なぜ俺はこんな服装をしているのでしょうか。答えは簡単です。俺と千聖の結婚式だからだよ。

 そこの君、奥さんの誕生日に結婚式やるとかイキってるとか思ってるでしょ。そりゃもうイキりまくりですよ。結婚式なんて一生に一度でずっと思い出に残るもんなんだ、最高のにしたいじゃん。式場も海岸線沿いのめちゃんこいい所だよ。大変だったけど、千聖のためなんだからなんてことなし。

 

「耀太、動きずらかったりしない?」

 

「全然問題ないよ。むしろ動きやすいまである」

 

「よかった。僕の時はすごい動きずらかったからさ」

 

「心配しすぎ。俺だってもう大人だぜ」

 

 父さんからしたら俺はいつまでたっても子供ですもんね。こんな所を母さんが見たら泣きじゃくるよ。私の息子がこんなに大きくなってー、とか言うんだろうな。そう言ってくれるのはありがたい。でもそれを他の人が見てるとこでやんないで欲しいんですね。

 

「よーうーたっ!」

 

「うっせ」

 

「だから言い方辛辣すぎなんですけど」

 

 考えてるそばから母さんは部屋に勢いよく入ってきた。まったく、いい加減子離れしてほしいんですけど。これだと千聖に笑われるぞ。なんなら彩たちにも笑われるぞ。もう笑われてはいるんですけどね。

 

「てゆーか、千聖ちゃんのこと泣かせたらただじゃ置かないからね!」

 

「逆に泣かされる方なんですけどなにか」

 

「あ、そう。それはそれで好都合よ。泣いたらあたしのところに来るでしょ」

 

「連絡先完全消去」

 

 そういうと母さんはしょんぼりして静かになった。今度からうるさくなったらこうやって脅せばいいのね。でもこんなところを千聖に見せられないんだよなぁ。

 

「そろそろ時間じゃないの?」

 

「それもそうね。でもまだ千聖ちゃんのドレス終わってないのよ」

 

「さっさとしてきてくんない」

 

「しょうがないわね。頑張ってくるわよ!」

 

 母さんを見送った俺はため息をつきながら準備を進める。なんやかんや言ってるけど、母さんの息子なんだから俺もああいうところあるんだよな。やってることほっぽり出して逃げ出すの。千聖の前じゃそんなことできなくなるんですけどね。

 

 時間になり、式場のドアの目の前に立つ。明らかに主役のひとりがものすっごく緊張してるんです。いやさ、緊張しない方がおかしいけど、これはこれでちょっと特殊なんです。だって俺、千聖のドレス見てないんだもん。母さんが任せなさいって言うし、千聖も当日までのお楽しみって言うから流れに乗ったのがわるかった。でもやるしかないんで頑張ります。

 

 いざドアが開かれると俺は落ち着き、バージンロードを歩いていった。視界には見覚えのある顔が多い。っていうか、見覚えある人しかいません。

 

 指定の場所まで歩き、一旦止まった。今度は新婦、つまり千聖が入ってくる番だから俺が待つんだ。親父さんと入ってきた千聖は純白のドレスに身を包み、一歩一歩近づいてくる。その姿に俺はいつの間にか見とれていた。

 

「ねぇ、耀太……?」

 

「あ、悪い悪い」

 

 千聖に呼ばれるまで俺はそのままだった。ここら辺抜けてるのは母さん似だって言われるよ。だから今度はちゃんと決める。抜けた分以上にかっこよくな。

 

 とはいったんですけど、かっこつけるところあるんですかね。指輪の交換とかキスのとことかっていわれても緊張度のゲージ振り切ってる俺には無理よそんなん。かっこつけたらつけたで滑りますよ。

 

「いつも通りにしてて。それだけで十分だから」

 

 千聖の一言で俺の頭の中は一気にクリアになった。何も気負うことはない、ただいつも通りにしていればいい。さすが演技派女優兼怖い奥さんのいうことは違いますね。

 

 そのあとの式は滞りなく進んでいった。なんなら緊張しすぎて何も覚えてません。え、さっき頭の中クリアにしただろって? そんなの一瞬だけです。気がついたら披露宴でケーキ入刀ですよ。心配だった司会もどっかの風紀委員に押しつけたからなんとかなりました。

 

「いつまでそんなに呆けてるのよ」

 

「すいません許してくださいなんでもしますいやなんでもは無理です」

 

「それじゃ帰ってから朝まで付き合ってもらいましょうか。それぐらいはいいわよね?」

 

「え、あ、はい」

 

 なんか今夜は寝れなそうです。酒でも飲まされるんですかね。その他は知りませんよ。何はともあれ、俺の人生はもう千聖のものだ。物理的な意味じゃなくて尽くすって意味でね。どうせ尻に敷かれるんだろうけど、なんやかんやしてどうにかなるんでしょうね。

 

「千聖、これからよろしくな。これまでもだけど、死んでもずっと、って言っておくか」

 

「死んでも離さないわよ。鎖につないでおくわ」

 

「逃げるか」

 

「嘘よ。こちらこそよろしくね」

 

 冗談が通じるってことはいいってことですかね。これから大変になりそうだけど、それ以上に楽しいんだろうな。ずっと、いつなでもな。

 

 それで俺と千聖の子供が双子で紗夜と日菜に似てて二人に懐いて彩が泣いてたってのはまた別の話な。




二年間ぼちぼちやっててやっと終わりました。だらだらしながらなんでくそほど時間かかりました。
他ルートは多分書きます。いつになるかは知りません。更新するときは三話一括で更新します。

なにはともあれ「俺の幼馴染みはヤンデレです」は完結です。正規ルートは完結です。なのでこれにて閉幕!ハッピーエンド!ちゃんちゃん!


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