(劇場版)イナズマイレブン 戦場の鬼 (セイ・アオク)
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脅威の侵略者編
鬼の始まり


更新速度はあらすじの通りになりますので御了承下さい。


 

 俺はバダップ・スリード、戦場を駆ける五歳児の一般少年兵だ。

 銃を両手で構え戦闘真っ只中話せないが単純に話そう。

 

 現在、戦場で駆け巡ってはいるが白ヒゲラーメン店主にしてやられてしまい超次元サッカー・イナズマイレブンの世界に来てしまった。

 俺はただ美味しい昼飯を食べようとしただけなのにな…。

 

 「今日の昼飯はどうしようかな……そこにある古そうなラーメン店にしよう!!」

 

 何故ならば、古そうなお店は美味しい店だと自負していたからだ。

 実際、そういう店舗が幾つもあって楽しい食卓を広げていた。

 そうなると思って入ったら…

 

 「いらっしゃい、お前は鬼になって円堂を葬れ。以上だ、じゃあな」

 

 その一言と共に、俺自身の下に黒い穴が開くと真っ逆さまに落ちていった。

 落ちる瞬間に垣間見えたあの店主の微笑みは怖さを通り越してキモさしかなかく、落ちる間も上から高笑いが響くもんだから更に増していくが一つ気掛かりな事を話していた。

 

 円堂を葬れ…というキーワードが頭の中で一つだけ当てはまる。

 それは、劇場版イナズマイレブン最強軍団オーガ襲来の冒頭で出た闇堕ち監督だ。

 その時も、最強少年兵士バダップ・スリード向けて命令を下していた…まさか、似てはいたが何故一般人の俺がこんな目に遭わなければいけないのか。

 そんな、何も見えない暗闇の中で光が差し込んだ。

 

 目が開ければ知らない顔が二つ、肌が焦げた男性と肌白い女性の二人が俺を見つめていたが、未だに理解出来てない俺に更なる事実を言われる。

 

 「初めまして〜、私がお母さんでコッチはお父さんよ?貴方の名前はバダップよ」

 

 あの店主をどうにかしたい気持ちもあったが、身体は暴れるしかなく親を逆に戸惑いさせる事になった。

 あの時は、申し訳ないのもあるが心の中で再度言おう。

 

 (……俺は貴様の魂を、いつか狩ってやる!!)

 

 そして、季節は廻り三歳のある日事件が起きた。

 村に何者かが奇襲をし、村は一瞬にして炎に包まれ俺と母さんも炎に燃やされそうになるが父さんが助けてくれた。

 だが、そこで終わればどれほど良かったのだろう。

 

 次の瞬間には、父さんと母さんが俺を守るように庇って倒れており背中に矢が複数刺さっていて血が滴り血の池を作っていく。

 俺は、恐怖で戸惑っていると二人から微かに声がし急いで近寄る。

 

 「父さん…母さん…、ダメだ…血が止まらない」

 

 「…俺の…じ、まんの……なら……いくんだ」

 

 「助かるから……愛しい…コ…よ…」

 

 「う…うおあぁぁー!!!」

 

 二人を置き去りにし燃え盛る炎の中で、俺は走って走りまくった。

 裸足が血に染まりながらも目的の洞窟に辿り着き命は助かった。

 炎が鎮火して二人のいる場所に向かうが、既に亡骸はなくなっていた。

 そこから、俺の感情は一気に失った。

 楽しさも嬉しさも何もかも失っていったが、唯一残った悲しさと怒りだけは俺の中で渦を巻き続ける。

 

 俺はただ歩き、村の襲撃者が誰だったのかを調べた。

 案の定、現在戦争を起こした反政府軍であり俺は知らなかったが、あの村は穏健派が多く住んでいて政府軍幹部も住んでいたようだ。

 だが、襲撃した日は残念ながら政府軍の幹部は居なく、無駄に終わった…と。

 

 (怒りと悲しみしかない俺が、奴らに出来ること…それは戦いだけだ。全てを喰らう者になり悲しき連鎖を終わらせる)

 

 真実を知った俺は、武器を持ち幼い身体で戦火の中で戦った。

 全ては、二人の仇と今を生きる為に戦い続け二年の月日が経つ。

 その中で、仲間を作らずに一人戦い続けた大切なモノがない俺には鬼としての自分しかいないのだから。

 

 現在では、銃を最も容易く扱えるようになった。

 人間、その環境に対応しやすいとは言うが虚しさしかないがな。

 サッカーの世界の筈なのに、違う形で駆け巡ることになり最終責任はあの白ヒゲラーメン店主に違いない。

 

 だが、戦場はいつかは終わりが来る。

 反政府軍の軍事資金が底を尽き白旗を出したようだ、これで戦争は終わり悲しみは終わるが、奴らに対する憎しみは俺に訴えてくる。

 

 【ヤレ、倒せ!! 憎しみを解放しろ!!】

 

 だが、俺はそれには乗るつもりはなく本来の俺と今の俺は違うし、そこからの虚しさはこの二年間で分かってしまった。

 それに、俺は命の奪い合いから離れたかった。

 

 俺は、近くに街で当てもなく腹を空かせ歩いていると何かにぶつかり倒れてしまい上に視線を向けると、太陽の光で顔は見えないが大人にぶつかってしまった。

 ましてや、黒い衣装からしてマフィアが多い世の中なら結果は分かっている。

 

 しかし、俺の予測とは裏腹に意外な人物に出会い運命は変わっていった。

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 いつの間にか九年という月日が経過するが、そこは何処かで語ろう。

 今は天才と馬鹿の両方合わせ持ったコイツをどうにかしないといけない。

 

 「おい!! 聞いてるのか、バダップ!?」

 

 「…聞いているぞ、財前嬢様」

 

 「その名前で呼ぶなって何度も言っただろ!!財前じゃなくて塔子で呼べったら呼べぇー!!」

 

 「はぁ……塔子、これでいいのか?」

 

 「そうそう、やっぱりバダップに名前呼ばれた方が今日も一日元気になれるからな〜」

 

 「…俺はお前の栄養剤か?」

 

 「ん〜、どうだろう…分かんないや」

 

 「・・・・・・」

 

 毎朝のジャレ合いが恒例になっているが、本当にコイツの考えは解らん。

 この世界に来る前の俺ならまだ分かるかもしれんが……まぁいい。

 これから、あの人に会わないといけないのだからジャレ合いはここまでにする為毎度ながら秘策を実行した。

 

 「おい、塔子…俺には次の任務があるんだ。 もう良いだろ?」

 

 「まだまだ足りないな〜、もうちょっとくらい良いじゃんかー!?」

 

 「…はぁ、仕方ない」

 

 「あっ…」

 

 【必殺タクティクス 頭なでなで】

 我が手を使い相手に仕掛ける技。

 これをされた一部の人間は、思考力が低下し我が身を相手に委ねてしまう恐ろしい必殺タクティクスだが、相手との信頼関係や状態に因るため成功率は五分五分だろう。

 

 「ゴロゴロ…ゴロゴロ…」

 

 見事に猫になった塔子と和む時間は俺にはない。

 なので近くいるSPの一人に任せ、俺は一人総理のいる部屋に向かい扉の前立ちノックをする。

 

 「入りなさい」

 

 「…失礼します、総理」

 

 部屋に入ると、財前総理は椅子に座っており机の上には書類が数枚溜まっているようだ。

 右手でコーヒーを口元にやって飲みカップを机の上に置く。

 

 「バダップ、力を緩めてくれて構わないよ。 今は個人の時間だからね…君がここに来て約七年、いや別の場所を含めて約九年かな?」

 

 「あぁ、もうそんなに経つのか。 あまり気にしなかったからな」

 

 「ははは…君の破天荒な人生と比べたらそうかもしれないな。 それに、日本語も普通に話せるようになって良かったよ」

 

 元々話せるが、そんな事したら疑われるだけしかない。

 それに俺は日本語を全然話してなかったから口が上手く滑舌出来なかったので、練習にはもってこいだったがな。

 

 「…そうだな。 だが、それだけの為に俺を呼んだのか?」

 

 「いや、身の上話ももう少し良かったが…まぁ良いか。 単刀直入に聞くが、塔子の様子はどうだ?」

 

 財前総理は真剣な眼差しを俺に向ける。

 何か裏があるのは何となく分かったが、娘の様子も本心ではあるのだろう……俺にはもうない親の愛情だ。

 

 「…自分の目で見れば分かるだろ? だが、アイツは成長しているのは確かだな」

 

 「そうか、なら良かったよ。 私からの視点だけでは自信が保たないからね……これからも、宜しく頼むよバダップ?」

 

 「了解した。 財前総理、娘を泣かすのは無しだからな?」

 

 俺は立ち上がり部屋を出る前に忠告をした後その場を去った。

 任務は遂行するし娘の相手もしよう……だが、親を亡くした涙は簡単には止まらない、アイツもそうなって欲しくないがわがままか?

 

 「参ったな…。 流石、我が娘の補助役であり鬼と呼ばれるだけはあるか…」

 

 部屋を後にした俺は、グラウンドにやってきていた。

 案の定、SPの大人達が頑張っているが子供の方が元気は上のようだな…。

 

 「塔子、その辺にした方が良い。 お前と違って、サッカー以外にもやる事が多いんだぞ?」

 

 「分かってるよ…でもさ、あたしが早めにサッカーしてるのにバダップが強いってどういうことだよ?」

 

 俺は命を掛けて戦場を生き抜いたんだ、あの火薬と焼き焦げる臭いと叫びが入り混じる戦場をな。

 スペック事態には自信は多少あるが、それでも密かに練習は積み重ねてきた。

 本来の俺に恥じないように地道に力を蓄えたが、お互い競い合うなら強くなるのは当たり前だが、天才は伊達ではないか…

 

 「そう言う割に俺に追い越す勢いだぞ?」

 

 「…全然だよ。これじゃ夢のまた夢だよ」

 

 「アドバイスを一つ教えるが、お前の得意な全体を見てみろ…後は分かる」

 

 「全体で見る、物事を?ううん、それだったら…」

 

 塔子が目指す夢は分からないが、俺なりに出来るヒントを与えその場を後にした。

 何時もならやる事が多々あるが、久々に時間も取れたので借りている自分の一室に戻り休息をした。

 

 だが翌日の朝、日本各地は恐怖と混乱の渦に巻き込まれた。

 テレビに緊急の速報が入り、映し出されたのは雷門中学校が黒いサッカーボール一個で壊滅しやった元凶が宇宙人によるものだった。

 宇宙人は地球のルール、サッカーの勝敗で決めると宣言をすると同時に自分達を【エイリア学園】とした。

 各地の学校で、宇宙人と戦うが圧倒的な力の差で負け敗北と同時に学校は破壊されていった。

 

 その状況に、政府が動かなければいけないが官邸内で混乱が起き対処出来ずにいた。

 国の要でありリーダーの財前総理大臣がエイリア学園に誘拐された。

 奈良公園でアメリカ大統領とのシカ像完成式典に向かった総理は消えた事に国の連中は宇宙人の強大な力に怯え自身の安全を優先する者や、財前総理に対して陰険に感じ今居ない事を逆手に言いたい放題する者など政府はゴタゴタの状態になり、宇宙人を放置するしかない事態だ。

 

 SP達は総理のボディーガードする為に事件現場に居合わしたがエイリア学園の力に負けてしまい誘拐を阻止出来なかったみたいだ。

 アイツも、父の心配もある中…事件収束の為にシカ像周辺を調べているらしい。

 

 対する自分は秋田にて謎の団体が怪しい行動をしているとの情報を聞き、急ぎ先行して行動したが裏目に出てしまったようだ。

 一人別行動していたが不味かったのか…それとも狙ってきたのかは分からないが俺の周りには剥げたサングラスの男達がうじゃうじゃといる。

 

 「お前の存在は、我々エイリア学園の為になる。来てもらおうか?」

 

 「…エイリア学園か。 だが、この数は勧誘にしては異常だ。他に狙いはあるのだろ?」

 

 「さぁ、我々に従え…バダップ・スリード。例えサッカーバトルしても貴様の勝機は無いぞ?」

 

 「……鬼を飼い馴らせたければ、キサマらのチカラを全て俺にぶつけろ」

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 試合は、一方的な試合展開が広がっていた。

 大の大人達が優勢だと予想されたが、たった一人の少年により点数の差が空くばかり。

 試合形式は四対四の一点先取制なのだが、一対八の一点先取制…四セットマッチの変則バトルになったが、奴らは何も知らない。

 エイリア学園がこの者に拘るのかを…

 

 「この…バケモノが!!! 貴様は……キサマは!!!!」

 

 「…俺は鬼であり、お前たちにサッカーは不要でしかない。 デススピアー!!」

 

 俺はボールを高く上げ自身も上空に飛んだ。

 空中にあるボールを両脚で挟み捻るようにし相手ゴールに向かって放ち、ボールはドリルのように回転しながら前に進み満身創痍な相手選手も巻き込んでゴールの中に入る。

 

 「…試合点数は10ー0か。 まだ未熟者だな…俺は」

 

 俺は倒れた奴らに近寄ろうとすると、黒いサッカーボールが目の前に降りてくると両方共光に包まれその場から消えていた。

 俺はその場を後にし次の目的地に向かうが、俺を見つめる複数の視線に気付けなかった。





 一部読み易くする為訂正あり


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窮地と新たな道


 続きから…


 

 日本に襲来したエイリア学園、日本各地の学校に現れてはサッカーで勝負し負ければ母校は破壊される。

 目的は単純で分かりやすいが、何故サッカーで戦い学校の存亡を掛けなければいけないのか…。

 奴らには何か裏に大きな何かが動いているのは間違いないが、それを断定する情報が不足しているのが悔やまれるばかりだ。

 

 秋田での情報がデマに終わったが、あの連中が罠を仕掛けてまで俺を勧誘する理由が分からん。

 反抗を予想して大多数での数でサッカーの勝負を仕掛ける辺り重要性が高いのだろうか。

 まぁ、結果は俺が勝ったがまだ諦めてはいない可能性が高い…か。

 

 (原作知識が有れば優位に立ち回れるが、今更の悔みにしかならん)

 

 イナズマイレブンは、アニメのフットボールフロンティアゼウス戦までしか観てなく次に映画オーガを観たくらいだ。

 ゲームはGOクロノストーンをプレイをした後にGOの映画鑑賞をした程度で、全体のイナズマイレブンの歴史の流れや技の殆どが無知に等しい状況だ。

 

 それに、あの場所から離れそれなりの距離まで歩いた筈だが、十分毎に奴らの姿が現れサッカーバトルを仕掛けてくるばかりだ。

 途中から負けては人員を変えて、老若男女関係ない編成で襲うエイリア学園の人望を伺わせてくるが、全員操られているのか片言なので半強制的なのかもしれん。

 

 (連絡しようにも、この状況では合流も何も出来ない。 昼夜関係ない場合は溜息しか出ないぞ…)

 

 サッカーは楽しいが、相手が操られた人達相手では技を使うわけにはいかず通常シュートやループでやってはいるが、状況を変える為にどうするか対策も練られずに次から次へとバトル三昧の嵐だ。

 テクニックやスピードといった基礎を鍛えるにはもってこいかもしれんが、生憎此方も暇をしているつもりはない……奴らは、そこを待って再び勧誘という脅しをかけるに違いないが果てしない連鎖が終わるのは一体…

 

 「へへっ、だいぶ疲れが見えてるぜ? バダップさんよ?」

 

 「っ!?」

 

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 

 バダップと別れたあたし達は、パパを捜索する為シカ像周辺で証拠探しをしていた。

 黒いサッカーボールと壊されたシカ像に野生の鹿しかいない公園で、不安と苛立ちがあたしの中で蓄積されていくばかり。

 

 そんな時、テレビで観たサッカー全国一決定戦フットボールフロンティアの優勝したイナズマイレブンの円堂達と出会った。

 彼等もエイリア学園を探しにここに来たみたいだけど、彼等が本物だという証拠もなく奴等の変装している可能性がある。

 

 本来なら疑うつもりはなかったし、あの優勝したチームに出会って嬉しいしかないけど…今はパパを見つける為にも負ける訳にはいかない。

 もし本物なら尚更信頼出来るだけの力を知らなくちゃいけない。

 

 だから、あたしは彼等をワザと怒らせてあたし達と試合をするよう促したら、案の定乗ってくれて安心した…。

 まぁ結果は、あたし達SPフィクサーズが敗北して彼等イナズマイレブンが勝ったけどね。

 

 パパの行方が分からない中でのサッカーは、不安があったのは間違いないけどやっぱりサッカーは楽しかった。

 何も不自由のない自由なサッカー…あたしもパパも大好きなんだ。それが、あの宇宙人にめちゃくちゃにされて黙っていられない。

 

 円堂達も同じみたいで、自分達の学校を破壊されエイリア学園と一戦したものの勝敗はボロ負け。

 それでも、エイリア学園を止める為に飛び出したみたい。サッカーが好きな仲間達が戦っているなら、あたしも一緒に行って戦うんだって決めたんだ。

 

 その後、エイリア学園が奈良テレビにて現れたと情報を聞き、SPフィクサーズが現地に残って捜索継続しつつ、あたしは雷門イレブンと一緒に向かったけどもサッカー試合は結果ボロボロだった。

 相手のスピードもパワーも強いのもあったし、あたし自身エイリア学園とは初戦でついていくに必死だった。

 

 でも、雷門イレブンのキーマンであるエースストライカー豪炎寺の不調が大きかった。

 彼の動揺は明らかでゴール手前シュート確実なポイントにいながらも、彼の放った数々のボールは場外かゴールポストに当たるばかりでとてもじゃないけど万全な状態じゃないのは明白だった。

 試合後、豪炎寺は現雷門監督である瞳子監督に離脱を推奨され反論もなくそれを受託し彼は静かにその場を後にした。

 

 あたしは円堂達には言わず、彼の状況をどうにかする為に策を考えた。

 けれども、元々彼の状況が分からないまま無闇に行動すれば悪化する可能性もあって、今出来る打開策はSPフィクサーズや刑事さんに彼を託すしかない。

 今出来ることは、雷門イレブンとして政府代表として戦いエイリア学園からの被害を抑えないとな。

 本当ならアイツが居てくれたら最強になれる筈なのにな…本当に……

 

 「何処にいるんだよ〜…はぁー…」

 

 「? どうしたんだよ、塔子?」

 

 いつの間にか円堂が後ろにいたみたい、あたしのこと心配して話かけてくれたんだな…彼の事があったのにな。

 

 「円堂か…いや〜うん、なんでも無い…大丈夫だよ」

 

 「ん〜、分かった。 でも、悩みがあるなら聞くぜ?  俺たちは仲間でチームなんだからな?」

 

 「ははは…ありがとな、円堂」

 

 今のあたしはまだまだ弱い。

 でも、いつか強くなってパパもエイリア学園も全ての問題を解決してやるんだ。

 きっと、バダップも何処かで出会えるはずだから……だって、ヒーローなんだからな。

 

 (次の目的地は、北海道にいる新たなストライカーか…誰なんだろう?)

 

 皆の乗せたバス、イナズマキャラバンは北海道に向けて北に進んでいく。

 新たな仲間を見つけてエイリア学園を止める為に…。

 

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 

 また別の奴らが現れたが、先程との連中とは違い理性を感じる。

 それに、この三人は何かが違う雰囲気と同時に懐かしさを感じる自分は一体?

 

 「怖気付くのは構わないが、それじゃあ鬼の名が泣くぜ?」

 

 「…あまり相手を怒らすのは愚の骨頂だぞ、バーン?」

 

 「ははは!! そんなんで、怒るようなオレはもういないぜ…ガゼルさんよ?」

 

 「貴様……!!」

 

 「二人共、そこまでにしてくれないか? 俺たちが来たのは勧誘であり、喧嘩を見せに来たんじゃない……そうだろ?」

 

 『・・・・・』

 

 奴らの身長は、中学生くらいで声からして男子の三人になるがフードを被ってて顔が見えない。

  だが、名前を平然と出す辺り相当の自信があるのか…それともコードネーム故に関係ないのか、はたまた考え無しで出してしまっただけなのか?

 

 「すまなかったね、バダップ・スリード? 彼らも悪気があったんじゃないんだ…」

 

 「ならば、財前総理の居場所及び解放、破壊活動の即刻停止を要求する」

 

 「ははは…総理は無事だけど解放や破壊活動は止められないんだ。 これは、エイリアの命令は絶対であり僕たちの願いでもあるからね……だからこそ、本来結束しない僕たちがここにいるんだからね?」

 

 結束しない自分達が結束する程に、俺を財前総理側から引き剥がしたいらしい。

 そうすれば、政府の一部に亀裂は生まれる。

 誰でも良い…政府関係者が連続で行方不明になれば、後は不安や疑心暗鬼が増していき政府は崩壊する。

 つまりは、日本はエイリア学園の手に堕ちるだけだ。

 

 「……俺はお前達の手に堕ちるつもりはない。 外宇宙からの放浪者が鬼を従えると思うな」

 

 「外界を知らない井の蛙か、それとも牙を抜かれた哀れな鬼なのか……まぁ、君の力は僕たちには通用しない事を教えてあげてるよ?」

 

 試合は一対一のシングルバトルを三本勝負。

 フィールド中央に置いたボールを先に拾い、相手ゴールに入れたら勝ちのシンプルなものだ。

 シュート・ドリブル・ブロック・キーパー技の使用あり。キーパー技は、ゴール周辺のみ使用可能で、後の三つは何処でもありだ。

 

 だが、俺の予想とは違い三人の力は先程までの奴らとは段違いだった。

 第一戦、試合のホイッスルと共に走り出す俺に対し相手は中央で立ち止まったままだった。

 中央に置かれたボールを拾いゴール手前まで走りボール蹴り出そうとした瞬間、先程まで中央にいた奴が目の前に突然現れボール速攻に奪われたと同時…

 

 「哀れな鬼よ、凍てつくすが良い ノーザンインパクト!!」

 

 ボールは氷の刃と化したボールはガラ空きのゴールに突き刺さった。強烈なシュートもそうだが、あの距離を一瞬で来る足の速さとロングレンジの脚力は一体。

 それに、あの放つ瞬間に奴の周りは氷河のように包まれたように見えたが、氷そのものを操れるというのか…。

 

 (エイリア学園に先手を取られたか…この力が後二人いる。 このままでは俺は確実に負ける可能性が高いか。 なら、やるしかないか)

 

 「鬼って言っても貧弱じゃねーかよ。 コイツに負けてるようじゃオレには尚更勝てねーぜ!!」

 

 「・・・・・」

 

 「…はん、反応ねぇ〜な。 なら、速攻で終わらせてやるよ…このバーン様がよぉ!!」

 

 第二戦のホイッスルと同時に、バーンは勢い良く走り直様中央にあるボールに到着したと同時に奴の背景が様変わりする。

 バーンはボールを上に蹴り上げ自身も高く跳び上がり空にある太陽を重ねながら…

 

 「オレに立ち塞がる全てを焼き払う力、鬼も消し炭にしてやるぜ!! アトミック…フレアー!!!」

 

 空から振り下ろされた太陽は真っ直ぐ此方に向かって進む。

 中央からのロングレンジだというのに勢いは衰えなくその太陽の炎は膨らみながら突き進んでくる。

 俺はスタート時自身のゴール手前からだったが、判断自体は良かったみたいだ。

 

 (今の俺は奴等のような身体スピードはない。 だから、あの速い移動は難しいがボールは見えた…それだけでいい。 今から来るボールの勢いを使い、それを利用すれば良い…敵だろうと関係なく)

 

 「はぁー……いくぞ!?」

 

 一息つかせゴール手前に来たボールに合わる、ひと蹴りするがそのタイミングに脚を少し角度をずらした状態でやると、ボールは少しだけこの場に止まった。

 

 「!! 今なら、その勢いを使わせてもらう ゴッド…」

 

 その場にて空中二回転をし両足を縮こませボールに当てそして、自分の両足を勢い良く伸ばす。

 回転力と奴の勢いを合わせたチェインを…

 

「キャノン!!!!」

 

 バーンと、大きな轟きが辺りに広がり俺の声は霞んでしまったが、ボールは大きなUカーブを描きながら自分とは逆の相手のゴールに向かった。

 

「何だと!? チィ…!?」

 

 空中から降りたバーンだったが、予想とは裏腹に自身の放ったボールが相手のゴールではなく、逆に自身のゴールに迫るとは思わなかった。

 直様中央からゴールに向かうがボールの方が早く守る守護者なきゴールに突き刺さったのだ。

 

 「こんなバカな…オレが力んで自分のゴールに入れちまったのかよ。 それとも、オレが見えない所でトリックでもしたのか…鬼!?」

 

 「・・・・・それは、お前が良く分かるんじゃないのか?」

 

 「チッ、まぁ良いさ。 どちらにしろオレらの勝ちは揺るがないからな。 オレの力んだだけで、助かって良かったな鬼?」

 

 バーンは、そう言い二人の元に戻って行った。

 だが、勘違いされたがアレは本来チームでやるシュートチェインを此方で置き換えた亜種みたいなモノだ。

 今回は、ボールを外にあわよくば相手側に行けば良い程度だったが、上手くボールが行ってくれたから助かり所だ…だが、良い事尽くめもいかない。

 

 「ッ……やっぱりな」

 

 相手のボールを一時止める為にやった方の右脚が赤くなっている。

 元々、この試合前に襲撃だらけの試合だらけ。身体の疲れが溜まったタイミングのコレだ。更にはまだ後一人い…?

 

 「撤退だぁ!? 何ほざいてやがるグラン!?」

 

 「これは決定事項だよ、今連絡が来た。 ガゼルも了承してるよ?」

 

 何やら彼方側が騒がしいようだな。

 今の俺には立ち向かえる力は残ってても、身体はそれに応えきれない故、更には技術面も身体面もほぼ負けに近い。

 

 「ガゼル!? テメェ、これで良いと「確定事項だ」チッ、そうかい」

 

 「・・・待たせてすまなかったね、今回の試合は一旦君の勝ちだよ。 嬉しいかい?」

 

 「…此方の要求に答えていないが?」

 

 (バーンはグランと言っていたが、コイツは何で感情が出てこない?他の二人と違い明らかに異質に感じるが…それよりも情報が欲しい)

 

 「ふふっ、君は揺れないね。 勝利と興味湧いたから答えてあげるよ、でもこれは君が他の政府及び周りの人間に言わない事が前提だけど、それでも聞くかい?」

 

 此方を試す物言いと圧力をかけてくるグランと呼ばれる者。

 どちらにしろ情報ない今、闇雲に探しても見つからなければ浪費しかなく、周りに助言したとしても、証拠がなければ周りは動かせない。後は、安全性を確保する為には多少危険は承知の上だ。

 

 「条件理解した、情報提示を再度要求する」

 

 「理解早くて助かるよ、この紙を渡すよ」

 

 「!? グラン!! その情報を出す必要は「あの場所はもう意味が無い」 クソ!」

 

 「へっ、流石お気に入りなだけあるぜ……思い出はいらないってか」

 

 「・・・・さぁ、受け取って」

 

 二人との関係がギクシャクしているのだけは分かるが、関係性をそこまでこじらせてまで大事な情報…場所を提示する意味、そこから見える糸とは一体何だ?

 二人からの視線が強いが、今は受け取るしかないのが事実。グランの右手に握る一枚の封筒を受け取ると、此方から視線を外し二人に再度語りかける。

 

「さぁ、行こ「オレ・ワタシに指図するな」…フフ」

 

 会話を終えた三人は、何処からともなく出した不気味なサッカーボールに触れた後に一瞬で姿を消した。

 残ったのは、傷だらけの己と封筒だけで辺りはボロボロだ。地面は抉られ、たった二回のシュートで両ゴールは一部凹み網は穴が空いている。

 

 (あのボールはやはりエイリア学園か。 謎の技術もそうだが、あの三人が沢山いるとしたら果たして…取り敢えず、この紙折り畳まれているな)

 

 受け取った封筒を開けると折り畳まれた紙があった。

 綺麗に折り畳まれており、汚れやシミも全くない。

 ゆっくり左右上下に開くと、地図が記されており、赤で丸く円をニ重した場所があった。

 

 そこには…

 

 「【お日さま園】?」

 

 グランより新たに示された場所、エイリア学園との関係性。

 それは一体何だろうか?

 今の自分には、不確定要素しかなく不安が募るばかりだった。

 

 




色々とやばいようなチェイン。(尚、非公式試合限定)

・塔子編にて、一部文章の没落があった為急ぎ追加
・後半戦試合ルール文追加(3月23日)
・文章の再確認修正(3月25日)


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考察と出会いと憎しみ

続きから始める…


 

 「…この辺りは人が居なさそうだな」

 

 辺りの安全を確認した後一旦情報を整理する為、地面に座り空を見ながら考えに浸る。

 

 エイリア学園より三人の刺客達ガゼル・バーン・グランとの初コンタクトをし、サッカー試合をしたが引き分けに終わったが、内容は負けに近く苦い結果になった。

 奴等を軽視した訳でも、己の強さが高くないと自負してはいたが…ここまでとはな。

 

 タイマン勝負の三本勝負試合。

 初戦は敗北し、二戦目は相手の技を逆手に使った勝利だった。

 三戦目はエイリア学園の試合破棄による無効試合の為、結果は引き分けになるが内容は明らかに負け……ボロ負けに近いだろう。

 

 結果として、勝利したことによりグランと名乗る者から一通の封筒を貰い、封筒の中にあった紙が地図になっており赤丸でそこを二重につけていた。

 そこが目的地になると思い行動に移るつもりだったが…

 

 「距離もあれば俺の体力も身体も治ってない…」

 

 そう、色々と問題が多発しており行動出来ずにいた。

 

 まず目的地について、この渡された地図だが明らかに市販の地図ではなく配色や原形がおかしいこと。

 よくよく見れば全て手書きで描かれたお手製、細かい情報が記される筈の地図記号もなく分かるのは、場所名と地域と後は……森だらけだ。

 

 人目を隠す為か自然環境を選んだかエイリア学園の目的は分からないが、それだけ重要な拠点だと理解は出来るが山奥だと中々に骨が折れる。

 

 次に身体の体力及び回復する場所がないということ。

 今居る場所から、街や人手の多い道路に出れば幾らでも対処方法は出来る。

 だが、今は追われている身であり、そんな場所に出れば周りに影響を与えかねない。

 その為、今は出来るだけ人の少ない道や森林…川や橋を渡って行くしかないが現実はそう上手くはいかない。

 

 移動手段に関して、元々襲われることを考え行きは通常手段である電車やバスを使い途中から徒歩で行動していたが案の定エイリア学園に襲われ、試合の数々を仕掛けられだが仕方ないことだと割り振るしかない。

 

 現状あの三人との試合後から奴等の猛威はなく、一旦落ち着いている為通常手段をやれるが、頻度を多々にしてしまえば再度猛威にあう可能性が高い為あまり使えなく途中から徒歩に頼りざる得ない。

 

 (政府に連絡及び情報共有したいが危惧しか湧かん)

 

 エイリア学園と政府の関係、現状分からないことだらけだが何かしら裏があるのは分かる。

 そうでなければ総理を拉致する理由がなく、ただ金の為なら拉致後直ぐに政府に条件を付け有利にしようとするだろう。

 他にも総理を使った策は幾らでもやれる筈が、あのエイリア学園は何も言わない…いや…

 

 (政府の中に裏切り者であり共犯か情報提供者がいるのか? それとも、総理個人に対してか?)

 

 エイリア学園の行動は明らかに意味不明な点が多過ぎる。

 今尚学校を賭けたサッカー試合をし敗北を与え破壊する…敗者の味与え尚且つ思い出を壊すように。

 

 裏切り者や情報提供者が政府にいたとして、果たして学校を破壊が意味を成すのか……それは否だろう。

 いや、学校に対し恨み辛みがあったならあるだろうがやり方は別でいい。

 破壊ではなく、教師や校長といった一部のエゴによるものが大半であり、それに対処すれば良い。

 

 ならば、もしも総理個人に対しての場合はどうなるか。

 あの人はサッカーが好きで好き過ぎる余り娘までサッカー好きが遺伝する始末の人だ。

 そして、平和を愛する人間であり娘を大切にする一人の父親だ。

 

 サッカーを愛する人間に対し、サッカーを使い暴力を痛みを見せ付ける。

 そして、日本各地に被害という証拠(証明)を示すことで総理を窮地に追いやる事だとしたら?

 

 (随分とトチ狂った奴が出たもんだ。 相当怨みが出ているに違いない…がそれで済む話でもない)

 

 例え一個人に対して、政府に対したとしても学校を破壊するという暴力は意味を為さない。

 それは新たな痛みしかなく周りに怒りや憎しみを振りまくだけであり、本人はその蓄積された負を解消出来ないからだ。

 

 (…戦争もそうだ。 始まりは国を豊かにする為、そこに住う人々の為といい暴力を翳し[かざし]世界に我々が正しいと言う。 だが、戦争に投じる人間からすればたまったもんじゃない)

 

 守る者、成す者、信じる者、欲を出す者、悲しむ者……様々な沢山の人達が現れては消えて行く惨状だ。

 そこで、勝者と敗者が分かれ歴史に刻まれるが真理の全ては示されず闇に消えるのだから。

 

 (どちらにしても、このまま行けば悪い結末しか辿りつかないか。 現状、今は行動するしかないが身体と体力については自然治癒に頼るしかない。 もしもあの情報が嘘の場合は……また別の方法を模索するしかない)

 

 俺は立ち上がり、一旦街に向かう事にした。電車やバスを使い目的地がある地域までは使い、そこからはバレないよう敢えて別方向に向かいながら目的地に近付く。

 後は、奴等の猛攻がまた何処で来るか分からないが今考えても仕方ない。

 

 (そういえば、財前嬢は……塔子達はどうしてるのだろうか? シカ公園で情報得られたのだろうか? 連絡出来れば…な)

 

 総理を探す娘が何処まで進んだのか心配になりつつも、今出来る事に気を向け集中する。

 俺には、こうするしか出来ないのだから。

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 エースストライカーの豪炎寺がチームを離脱して、雷門の皆浮かない顔をする中キャプテンの円堂が皆を元気付けて引っ張っている。

 でも、一部の人達はやっぱり何処か有耶無耶でマネージャーの三人がケアをしているみたい。

 

 あたしも何か手伝えるかと聞いたけど、こっちは任せてと言われ任せるしかなかった。

 新参のあたしよりも知り合いの仲間の方が良い…よな。

 

 そこに、新戦力になり得そうな人の情報が来た。

 北海道にてエースストライカーいるとの事であたし達はイナズマキャラバンに乗って、上に北上し青森県と北海道とを繋ぐ連絡船に乗り込むと北海道に向けて進んだ。

 その最中、メンバーが船酔いになるけどそこら辺は置いといて…と、そして北海道に上陸したんだ。

 

 上陸後、直ぐ様目的地に向かうと瞳子監督の方針にメンバーから、休憩とかお腹空いたとか観光したいとか様々な要望が出てくるけど瞳子監督からは…

 

 「私達の目的は、今尚エイリア学園からの猛威が全国に広がっています。 私達には、そんな時間は一切ありませんが…分かりますね?」

 

 『はっ、ハイ!?』

 

 瞳子監督からのあの威圧感で、皆を黙らせちゃうなんてね…当てられてないあたしも冷や汗が出ちゃうってあの人何なんだろう?

 

 (何となく、先生っぽいんだよな〜…まぁ、監督なら大抵冷静沈着みたいなもんだからこうなのかな?)

 

 皆思い思いありながらも監督の指示に従って、港付近に停めたイナズマキャラバンに乗車したけど何人か足りなくて予定時間過ぎても発車出来ずにいた。

 

 すると、居なかったチームメイトの一人【風丸 一郎太】が送れて乗車すると、直ぐに監督や皆に遅れた理由を述べていった。

 簡単に言っちゃうと、あの時瞳子監督から放たれた威圧感によって一人、腹を壊したからトイレに付き添っていたとの事。

 他に二人、栗松と染岡が今もトイレ付近で待機してるみたい。

 

 円堂や鬼道といった他のチームメイトからは何となく察しているみたいで、あたしや瞳子監督は誰なのかイマイチ分からなかったけれど、話から推察して今いるメンバーや待機してる人を抜いた残りの人って……

 

 「ちょっと良いかな、秋? そのトイレにいる人ってさ…」

 

 「え〜とね…多分予想してると思うけど、壁山君だと思うけど大丈夫だと思うからよ。 ちょっとだけ時間がいるかもだけど」

 

 「…そっか、分かったよ」

 

 程なくして、遅れて来た三人は瞳子監督から叱りが来ると思っていたみたいだけど、逆に監督の方から謝る事態になって三人とも戸惑っていたな…。

 

 ともかく、イナズマキャラバンに乗って噂のストライカーがいる中学校に向かうけれど、猛吹雪に遭難するわ熊は出るわとトラブルの連続だったけれど、その際出会った男の子が同じ目的地に向かう途中との事で同乗することになった。

 

 その時不思議なことなんだけど、吹雪は止んじゃうし熊とは友達らしいしで直ぐ様トラブル解消、更には吹雪が収まったことで街がもう近かったらしく皆気分が上がる良いこと尽くめだ。

 

 この勢いで街での観光をしたかったけれど、出会った男の子【吹雪 士郎】と一緒の為皆渋々ながら先に目的地の白恋中に向かうことになった。

 

 (なんだか観光気分にもなるよな〜…って、しっかりしないとあたし!!)

 

 白恋中に到着した後吹雪と別れたあたし達は、まずサッカー部について学校生徒に聞き込みすることになったが、集団だと時間がかかると鬼道から言われ効率を上げるために個々で調査をすることになった。

 

 すると色々と噂が出てきたけど、どれも不確かで確実な事が無かった。

 でも、間違いなくこの学校に居てサッカー部に所属しているのは分かっただけ意味はあった。

 

 (取り敢えず、皆と合流しないとな。 確か校門だったよう…)

 

 「ちょっと、良いか?」

 

 「えっ!? え〜と、何か?」

 

 唐突に後ろから声を掛けられて慌てて振り向くと、一人の女性が立っていた。手には何か紙を持っているようだ。

 

 「この辺にこの男を見なかったか?」

 

 「う〜ん」

 

 見せられた紙は写真のようで、そこには証明写真かのような真正面から撮られた少年が写しておりあたし達とあまり歳の差はなく見えるけど……

 

 (この人、何処かで見たよう…見てないような、う〜ん…)

 

 記憶の何処かで見かけたような気はするけど、赤髪は珍しくなく見てたとしても物的証拠はない。

 それに、この周辺だと一度も見かけていないから教えたくても難しいかな。

 

 「分からないかな、力になれなくてごめん」

 

 「そうか、なら良い」

 

 残念そうな反応すると思っていたけど、なんか淡白であまり気にしてないような反応だったので、呆気に取られ目線を彼女から一瞬外し再度見た時にはもう誰もいなかった。

 

 気を取り直して集合場所に向かうと瞳子監督が一人立っていたので、確認してみると事が色々と進んでいて白恋中との練習試合が始まるとのことだった。

 

 (なんだか分からないけど、ストライカーが見つかったって事で良いんだよね。 誰なんだろう?)

 

 直ぐにイナズマキャラバンに戻って、荷物から服を取り出して着替える。

 瞳子監督がドア付近で待機して待っているので急いで着替えて外に出ると寒暖差の影響で…

 

 「さ…サブい……うぅ…」

 

 「コートを着なさい。 少しでも身体を暖めておかないと、試合中動けないわよ」

 

 「は、はい」

 

 周りから冷たいと言われていた監督からのコート、あたしにはあの人なりの温かみをコート越しに感じながらグラウンドに向かうのだった。

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 「…やっと着いたか」

 

 到着するまでの経緯だが、新幹線、電車、バスを使い近くまで使用していたがエイリア学園からは御無沙汰無しだった。

 此方としては有り難いが不気味さ加減が増すばかり、途中から徒歩に変えても相変わらず無反応だ。

 あまりにも上手くいきすぎて策略だと思うばかりだ。

 

 その為不信感に駆られ無駄に隠密した為か心身共に疲れが溜まってしまったが仕方がない、相手は宇宙人なのだから用心に越した事はない。

 

 到着した時には、辺りは夕暮れ時だったが無事辿り着いた…が…

 

 「これは一体どういう事だ?」

 

 そう、目の前にある建物は大きな木造建築二階建ての古い建築物が建っており、庭には滑り台やジャングルジムに一輪車などあったがどれも錆びており長い時間が経っているようだ。

 

 再度出入り口付近に目を配ると、地面に落ちた看板が砂に塗れていたので手で取り払うと文字が霞んでいたが【お日さま園】と間違いなく目的の場所だと示唆していた。

 

 (此処がエイリア学園に関係する場所…なのか? 見た目から察するに保育園といった場所のようだが、随分と使われていないようだが……どうするか)

 

 目的の場所に着いたものの、エイリア学園との関係を示す物もなく寂れた建物を物色するだけ。

 外側には関係する物がないとしたら中しかないがドアは開きそうにない。

 

「…辺りの住人に聞き込みするしかないか。 だが、この森でどれだけの人と接触出来るのか。 どうすれば……ん?」

 

「・・・・・」

 

 後ろを向くと少女が立っていた…これは、マズったかもしれない。

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 今日もラーメンを作り、客と戯れ駄賃と利益を手にする毎日。全てはあの者達に敗れたが故に今がある。

 

 だが、宿願は少しずつ着実に進んでいるのもまた事実。

 あの時は邪魔が入ったが今回は不可能だろう、円堂守に関係する者達は皆此方には干渉出来ないのだからな。

 

 「だが、全ての準備しっかりしなければな……その時、ワシの味方じゃろバダップよ…?」

 

 まだ先の事、でもワシには短く感じながらも今日もラーメンを仕込むのみよ……あぁ、楽しみだ。

 

 




今日はセーブしますか?
  ↓
やっておこう、
進行状況が(過去に)戻らない為にもセーブは大事


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訪問と崩壊


 セーブからやりますか?
  ↓
 勿論、やるしかない


 

 目指した場所【お日さま園】は、人の気配はなく庭に使われた遊具は錆びれボールは放棄状態の木造二階建ての建造物があった。

 隠れるには絶好かも知れないが宇宙人が此処で根城にするのはどうも納得出来ずにいた。

 

 今宇宙人は日本各地の学校を襲い、サッカーという対話手段を用いて勝負を仕掛けているなら、こんな場所に居続ける理由はあるのだろうか?

 根城にするならかなりの施設になり、奴ら全員が生活や軍事など出来るだけの大きさなど不可能だ。

 もしくは、奴等未知のテクノロジーでその問題をどうにかしているならば、此処でやる必要性もなく人間社会が多い都市部で灯台もと暗しをすれば良いだけだ。

 

 だが、今は再度訪れた窮地をどう凌ぐかに掛かっている。

 背後から現れたこの少女、青髪のショートで服装はローブで隠されており頭だけ露出しているだけだ。

 目は何を考えているのかは分からないが、感情が出てないように見えるが奴等なら出来る芸当なのだろう。

 

 (周囲ばかり目を向けすぎて、肝心の近距離を疎かにするとは俺の未熟故か……それとも、平和な日本のぬる湯に浸かりすぎたのか?)

 

 「貴方は……誰なの? バダップ•スリード?」

 

 「!?」

 

 「なら、付いてきて…」

 

 やはりエイリア学園全体が俺を知っているようだ。

 あの三人が最初から俺を狙い、そして勝敗関係なくあの手紙で誘導する作戦だったのだろう。

 だが、あの反応は俺の予想とは違い、まるで知り合いが来たから部屋まで案内する親か親戚みたいな対応だ。

 今、あの少女は建物に入り玄関は開きっぱなしの状態、今なら逃げるのも得策だがもう下がるに引けない実状故にあの対応かも知れない。

 

 (エイリアの考えは分からないが、今は入るしかない。 余計な考えは捨てて、クリアに物事を見なくては奴等の思う壺だ)

 

 「ねぇ…早く来て?」

 

 「あっ、あぁ分かった」

 

 玄関前で何時迄も入らない俺を気にしてか扉からひょこっと顔を出し入るよう勧められ、俺は渋々建物内に入っていった。

 中に入ると、荒れていた外とは違い整った内装で玄関に近くに置いてあった色落ちした手製の招き猫を指先で軽く触るが埃など付かなかった。

 

 (整理整頓され、掃除も行き届いているか。 置いてある物は一般的にらある物だらけで、別に気にする程の物はないが強いて言えばサッカー関係が多いか?)

 

 少女の背中を追い、静かな建物内で響く足音が二つだけ。

 俺は少女にバレないよう歩きながらも周りに目を配り情報を得ようと奮起するが、どの部屋も通路も私生活していた痕跡や少年少女らしい部屋ぐらいしかない。

 

 すると少女は、ある部屋の扉前で足を止め俺も同時に止まると少女は語る。

 

 「この部屋で待っていて、すぐに戻るから…」

 

 俺は少女に促されて部屋に入ると、入った扉は静かに閉まった。

 

 (部屋の配色や家具からして応接室か。 客の為の部屋があるとは少し驚くが、果たして今の俺は客に値するのか?)

 

 不信感は拭えないが、一旦辺りを調べるとテーブルには紅茶のパックと入れる為のお茶碗に和菓子が入った小袋が置いてある。

 壁には掛軸があり、[家族団欒 幸せなひと時を]と書かれているが、破れたのか修復した箇所がいくつもある。

 

 棚に目を配ると多くのトロフィーや時計があるが、倒されたのか伏せられたのかは判断に困るが写真立てのように見える。

 軽く持ち写真立てを直すと、そこには二人の人物が写っているようで、大人と子供が笑い合っている。

 

 (何故伏せる必要があるのか、それにこの二人とエイリア学園の関係あるのか判断するには情報が足りないか)

 

 「……バダップ•スリード、付いてきて」

 

 扉が開くと直様少女はそう言い残し、来た道を戻り玄関方向に進んで行った。

 まだ調べる事はあったが、無視する訳には行かず玄関までの道を辿り進んでいく。

 玄関に到着した時には既に出たようで開けっぱなし、俺は開いた隙間から出ると察したのか背中を向けた少女が俺に語る。

 

 「此処が何か分かった?」

 

 少女から言われた言葉に、俺は先程までの情報とこの建物周辺状況から答えを導くが、これは先程とはあまり変わらない。

 

 「最初は保育園かと思ったが、孤児院……そうだろ?」

 

 「そう、此処は身寄りのない子供達が集まった場所……お日さま園」

 

 あっさりと認める少女、この場所はそうだとしたら俺は此処に導かれたのだろうか。

 だが、此処そうなら俺は最悪な展開も視野に入れないといけないがどうなるか…。

 

 「俺を此処に来させたのは何故だ? 君達にとって、この場所は不利益しか起きない筈だ」

 

 「うん、よくない事。 でも、知る権利があるから…彼等とは違って貴方は特別」

 

 (これも引き分けた事で、同等の扱いされ知る権利を貰えたか。 だが、特別とは何だ?)

 

 「エイリア学園に入ら『おいおい、そう簡単に鬼を勧誘するのはナイぜ?』 !?」

 

 少女の言葉を遮り、別の声が森に響き渡った。

 突然の事に一瞬目がギョッとしたが、直様少女は声がした方向に目を向け睨みを利かしている。

 俺もその方向を向くと、軍服を着た少年と背後にローブを着た二人が立っており、自分達を交互に見ながらも何処か面白い物を見た子供のような反応をしてきた。

 

 「かの宇宙人がこんな森の、寂れた孤児院に鬼を招いてネタバラシか? はははっ、所詮は過去に縛られた者の末路に巻き込まれた者共か?」

 

 「っっ!!!!」

 

 見た目は、俺と大差無さそうだがあの身のこなしは通常の鍛えではなく……そう俺と何か似ている気がする。

 事実、奴の言葉に少女はエイリア学園が使う黒いボールを何処からともなく出し右脚で思いっきり蹴ったようだ。

 

 だが、奴はそれを軽くあしらうように左足でボールを受け止め、勢いを失ったボールを右手でキャッチした。

 奴の顔と声は何処かで知っているような気がするが、何故か霧がかかったようにぼんやりとしてハッキリしない。

 

 (何か、何かが見えそうだが分からない。 ならば、今は奴の行動を注意深っ!?  あの方向は、もしかしたら…)

 

 「へっ、そんなボール当たるかってんだ!! それになぁ……先に手を出せばどうなるかシラネェーとな!!」

 

 気迫の言葉と共に、奴はボールを右足で叩きつけるのと同時に左右から幾つもの装置発射口が現れた。

 ドス黒く赤黒い装置から幾つもの紅蓮の光が溜まり続け、叩きつけたボールが空中から元の場所に戻った時には光は限界まで高まっていた。

 

 「デス レイン!! テメェらの繋がり壊してやるよ、ははハハ!!」

 

 「ダメっ!? 此処は!! 皆の!!! 場所を奪わせない、 アイス ブロッ!?!?」

 

 少女のキーパー技を使うものの、奴の技は全体技に近く対象に此方は一点型のようだ。

 つまりは相性は最悪であり、止めたとしても自分以外の周りには影響がデカい……一人に対して戦車や大砲をぶつけるようなものだ。

 だが、対処方法がないわけではない、今は試合でもなければボールが一つだけではないからだ。

 

 俺は奴の次の行動に移った時に、孤児院の庭にて放棄されたボールを手で拾い元いた場所に走って戻った。

 戻る最中、ボールの空気圧を手で確認するが万全とは言い難く強い衝撃に耐えれるか不安が過るが時間は待ってはくれない。

 

 少女からすり抜けた球を対処すべく、俺は直様手にあるボールを高く蹴り上げ後を追うように高く跳んだ。

 球は重力に沿って落下しており、落下地点は間違いなくあの孤児院だろう。

 

 (今、壊されればエイリア学園との関係や証拠がなくなってしまう。 そうなれば、総理を救ったとしても問題の糸口が消えては意味がない。 エイリアが、少女が何を考えているかはまだ分からないが今は!!)

 

 「対処 開始!! タイミング及び射角微量調整、耐えてくれ……デススピアー!!」

 

 孤児院と奴の放った球の間を横切るように放った。

 放たれた球は、螺旋を渦を巻き地面を抉りながら一直線に進む中、周囲に存在した奴の球を巻き込んだ。

 

 「ちっ、邪魔が入ったか……まさかアレで止めるとは思わなかったぜ? バダップ•スリード?」

 

 予想してなかったのか、俺に対し称賛してくるが態度に変化なく余裕を見せ続ける。

 

 (防衛には出来たが、奴の様子から本気を出していない。 更には、背後の二人も未だ動きを見せていない。 不気味に感じるが、同時に懐かしくもあるがどうしっ!?)

 

 様子を観察しながらも相手にバレないよう思案をしていると、背後で大きな爆発音が辺りを轟き爆風が襲う。

 直ぐに振り返ると先程まで守った孤児院は半壊しており側には一人立っているが、爆風の影響か砂埃が舞い土煙で影しか見えない。

 土煙の中から出て来たのは、新たなフードを被った者のようだが、背後にいた者と違いフードについた砂埃を払いながら話し出した。

 

 「おい、俺の仕事に邪魔するんじゃねーよ? 壊すのは俺だった筈だ?」

 

 「君が一発でヤらないから手伝ったんだよ? それに破壊対象に関しては、誰でも良かった筈だけど?」

 

 「……だったら、今度は邪魔するな? 良いな!!」

 

 「了解」

 

 あの会話、まるでエイリア学園三人衆を思い越すような感覚になるが、そんな悠長に構ってはいられない……前後挟まれたようだ。

 

 (戦況は最悪、脱出するにしても奴等の目を掻い潜るには道具も何もない。 それにあの少女、様々な出来事が重なり更には建物を壊された影響か立ち竦んでいるが、今の状況打開出来るとしたら今は鬼になるしかない)

 

 奴等が会話する中、気づかれないよう急いで少女に会話を試みる。

 

 「皆の場所……お父さんとの思い出が壊された……約束守れなかった」

 

 少女は一人呟く、エイリア学園は一枚岩でもなく皆の予想とも違う存在であり面倒のようだ。

 

 「俺は、お前達エイリア学園の実状は分からない。 だが、残る物は知っているつもりだ」

 

 「? 残る物って?」

 

 「思い出、つまりは記憶であり心だ。 お前達が覚えている限りそこにあり続け、想いもまたそこにある。 だが、生きなければ証明する者はいなくなり、誰からも忘れられる……今すべき事分かるな?」

 

 そう、俺は戦争の中にいた。

 両親は戦火に焼かれ故郷を失い、心に穴を拡げながらも戦う以外道が無かった。

 だが、あの中でも俺を支えていたのは憎しみだけじゃない、両親や故郷の日々が間違いなく支えていて今も導いている。

 

 俺は少女に語りかけ、一歩進むための言葉を紡ぐ。

 その甲斐もあってか知らないが、少女は此方を向き静かに頷く。

 

 (瞳に精気が戻ったようだな、だが敵に塩を送るとは何とも言えんが、状況打開になるなら俺は辞さない。 これも作戦として考慮しよう)

 

 少女が立ち直ったタイミングで、奴等もまた会話が終わり此方を振り向き言い放つ。

 

 「お前達は、牙を抜かれ俺に喰われるだけの存在だ。 諦めて俺にやられるんだな」

 

 今度は逃がさんと俺達に向けて言いながら、足下に再度ボールを転がしながら目をギラつかしている。

 フード被った者達は、様子を見続けており介入する気は無いようだ。

 

 「お前達は一体誰の指示に従っている? エイリア学園と敵対する勢力か?」

 

 「はん、そんな奴等が俺達に対抗出来るだけの力を持ってる訳ねぇしな。 それにお前の方が知ってるんじゃないか? 俺達の背後にいる存在をな」

 

 (エイリア学園など眼中に無く、そして俺が知る存在? まさか、動き出し始めたのか?)

 

 「じゃあな、期待外れだったぜ……デス レ『こっちを向け、脳筋』 誰が脳!? 」

 

 仕返しのように会話を遮り、少女が奴を言葉で揺さぶらせると先程使った黒いボールを奴の頭上目掛けて蹴り上げた。

 すると、ボールは眩しい輝き辺り一面を白く塗り潰した。

 

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 

 光が治った時には、奴等はいなく壊れた建物があるだけだった。

 先程輝いた黒いボールはもう原形を保ってなく崩れていた。

 

 「クソっ、目がまだチカチカするぜ。 あのボールに閃光弾擬きが出来るなんて知らねぇぞ?」

 

 「まぁ、この時代だとあのエイリア学園の技術は高いしね。 エイリア石有無関係なく、奴等はそれなりの強さだし」

 

 「だが、こんな装置があるなら弱いじゃねーか?」

 

 戦場に脱出もクソもない、あるのは勝利か敗北しかなく俺達には後ろは見るつもりもない。

 

 「脱出用だろうけど、勝敗関係なく使えるし相手の視野を奪うには絶好だろうね。 事実喰らった脳筋さんが居たくらいだし」

 

 (コイツ、さっきから脳筋脳筋言いやがって……俺はそんな筋肉質じゃねぇぞ)

 

 「……俺達の任務は成功した、これで奴等の争いは激化するな」

 

 「どうだろうね? この建物有無で戦いが終わるとは思わないし、あの老人は眼中ないんじゃない?」

 

 エイリア学園が生まれた理由、そしてその元凶は憎しみに囚われ周りが見えていない。

 この建物が寂れていた時点でどうなろうと変わらなかった。

 

  「くたびれ儲けか、まぁ良いさ。 今の力が見れたならそれでな」

 

 「だから脳筋って呼ばれるんだよ? エスカバ?」

 

 「黙ってろ、ミストレ!!」

 

 作戦は成功、バダップ•スリード捕獲は保留になったが別に良い。

 俺達には休む暇など存在しないのだから、次の狙いはそう……

 

 

 【財前 塔子拉致及び、ヒデナカタの捜索】

 

 障害は排除しなければいけない、全てはサッカーを排除する為に…

 

 

◼️◼️◼️◼️◼️

 

 

 俺達は森の中を無我夢中に走り、どうにか山道から交通の多い国道に出た。

 近くに切り株に一旦座り息を整える中、一緒に行動したエイリア学園の少女に話かける。

 

 「お前はどうする『クララでいい』 クララはどうするんだ?」

 

 「戻れない、だがらバダップ•スリードと一緒に行く。 それが目的と繋がるから」

 

 呼び捨てが良いなら俺も習った方が良いか、だが目的が繋がるというなら予測は幾つか出るが今はいい。

 

 「……名前でいい、目的がどうあれ離れる気がないなら協力してもらうぞ? エイリア学園について判ってないことあるからな」

 

 「分かった、でも他の人とは協力しない。 バダップだけだがら」

 

 エイリア学園のクララと協力体制が出来たが、コレは仮初でありいつかは終わりが来て戦うだろう。

 だが、この間だけは友としてあり続けるだけだ……戦況や状況が第三者が介入し敵味方が協力するような戦いと同じようにな。

 

 (俺を貶めたラーメン店主が動きだしたか、塔子達は無事だろうか? 嫌な予感がする、合流したいところだ)

 





 仲間(仮)が一人増えた、新たなフラグが立ちましたが選びますか? 選びませんか?

 …今日もセーブをしよう。
 何処で分岐があるか分かったもんじゃない。


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