お助けキャラ系TS吸血鬼、かの地にて、斯く戦えり (kr36)
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導入シーンって言うのはTRPGではKP次第でとてもてきとうになる。
別のやつも執筆再開してますのでしばらくお待ちください。
目を覚ましたら青空だった。
「え?」
私は乗り込んでる艦の寝室で寝ていたはずだ。
起きてまだ赤色に光る天井であるならわかる、私は多段ベットの最上段で寝ていたのだから。
だが、今視界に映るのは青空だ、積雲漂う夏の空だ。
背中には凸凹した地面の感触があり視界の端には草まで見えている。
「雲量4、晴れ、雲形……ん?」
現実逃避に天気を分析していて自分の声の高さにとても違和感を感じ慌てて体を起こし手をみる。
「うわ!ほっそ!」
自分の手が自分の手では無くなっていたのだ。骨張った筋の強い手であったのが白くピアノを弾く人の様な綺麗な手になっていた。こういうのを白魚の様な手というのであろうか?
次に喉に手を当てて、あっあーと声を出す。
……大分高い声だ。バスの効いた男声からアルトとソプラノの中間の様な女性声が私の喉から出ている……すごい違和感。
最後に下を向き体を見ると何故だか私は黒いドレス?を着ていた。とてもフリフリしたやつだ。
「……」
無言で立ち上がる。イヤに視点が低い140㎝前後と言ったところだろうか元々の175㎝から考えると天と地程の違いがある。
……総評、自分背のとても低い女になった。
「どうしてこうなった!!!!」
五体投置から繰り出されたその慟哭はとても遠くまで響いたことだろう。
5分後
思考停止した五体投置中に自分の影にとても違和感があることに気がついた。
翼がある。
何を言ってるのかわからねえと思うが俺にも解らねえ、なにかとんでもない ry)
嫌な予感がする。
口に手を突っ込んでみる……とても鋭い犬歯がある。
後頭部から髪を手繰り寄せる―――銀髪だ。
「くっそう!、喜ぶべきか喜ばざるべきか!」
特徴から鑑みるに私が考えたオリキャラになってる。
しかもTRPGのお助けキャラ枠としてとんでもないスペックにしたやつだ。
どうしたもんかと近場にあった岩に腰をかけた。
一時間後。
キャラ設定思い出しながら翼消したり魔力槍出したりして遊んでたら馬車の団体さんがきた……観光向きのただの荷馬車だけならともかく長距離向きの幌馬車まであると言うことは中世レベルの文化圏の国なのだろうか?
警戒されないように翼を消した状態で町まで乗せていって欲しいと話しかけても言葉が通じ無かった。
シェリー(お助けキャラの名前)にはラテン語英語日本語等の様々な言語を覚えさせたがそれでもだめな地域なのかと頭を抱えていたら見覚えのある迷彩が現れた。
視点変更・伊丹
黒いゴスロリ様が現れたと思ったら。また、別の黒いゴスロリが避難中の人に話しかけていた。
「倉田、馬車助けてる間にまた、ゴスロリ少女が増えてるぞ」
「こっちの民族衣装なんですかね?」
「そうだと嬉しいんだけどねぇ」
とりあえず倉田に車を止めさせて徒歩で近付く。これは自動車を見たことの無い特地の人間を驚かしてしまうのを防ぐ措置だ。
そしてたどたどしくとも現地語で話しかける。
[こんにちは、ごきげんいかが?]
「日ノ本言葉喋れよぅ」
What?今このゴスロリ少女日本語喋ったか?
「に、日本語!?」
「yes! nice to meet you」
「せめて英語か日本語どちらかにしてくれ!いや、日本語でおねがいします!」
今度は英語を喋る冗談をかましてきた、どうなってるんだ?
少し考える素振りをしてから
「私の名はシェリー、自衛隊はまた人道支援してるの?」
「そんなもんかな、それよりシェリーちゃんは地球から来たのかい?」
「地球から?と言うことはここ別の星なの?」
「すまん今のは質問が悪かった。どの国から来たの?」
「日本?」
「なぜ疑問形?」
「国籍無いし」
国籍がない?親が出生届けなどを出しておらず国籍がない人もいることがあるらしいがそういう類いなのだろうか?
「生まれはどこの国で何処に住んでたの?」
「ルーマニア……。住み家は、ごえ……船」
言い淀んだって事は船に住んでたって言うのは嘘が含まれてる可能性が高くなる。
スラッと出てきたルーマニア出身は信じられるかも知れないが、それも確定ではない。
「どうやってこちらに?」
「か……船の船室で寝ていて、起きたら見知らぬ平原だったの……っていうかこちら?」
まるで自分が時々読んでいる異世界転生ものみたいな展開でこの子は来てるようだ。
「つまり、迷子ってことで良いのかい?」
「そのようなもの、だから自衛隊での保護をお願いします」
と言ってゴスロリ少女はお辞儀をする。本当にこの子ルーマニア……というかヨーロッパの文化で育ったのだろうか?
お辞儀文化はどちらかと言うと日本等のアジア文化圏の風習だった覚えがあるが。
まあ、身元不明国籍不明だとしても元の世界からの迷子であれば保護をしないわけにはいかないであろう。
日本から各国へ行方不明者の問い合わせと本当に国籍がないのかの問い合わせ(どちらも望み薄だが)も必要になるだろうから閣下も忙しくなるだろうな……と頭のなかで合掌しておく。
視点変更シェリー
自衛隊の隊長……階級章からして二尉だ。
少し右上に目が行ってたので大丈夫かどうか考えを巡らせたのだろうがすぐに保護を受諾してくれた。
だが、コダ村という村が炎竜?とかいうドラゴンから逃げているためそれが終わってからでないと駐屯地に戻れない上に色々な手続きを踏まないと地球に還せないとのことでこちらにある自衛隊の駐屯地で身柄を保護してくれるという。
そして伊丹二尉が言うには20××年の夏コミの日に日本は異世界から戦争を吹っ掛けられたらしい。
私がいた時代よりも過去の西暦に起こっていてさらに銀座事件という事件に聞き覚えが無い時点で帰っても結局
だが、現代の社会に適応した人間が中世ヨーロッパ並の文化で生活できる気がしないのでどういう扱いになるかわからないがこっちの世界で自活しろとか言われない事を願いたい……。
そして助手席の伊丹二尉のとなりに無理やり収まっている美人なゴスロリさんがチラチラこちらの様子を訝しげに覗いてくるのをどうにかして欲しい、気になりすぎて仮眠もできない。
しばらくして荒れ地になっている場所を幌付きの車に乗って揺られていると突然でかい鳴き声がした。
荷台の日除けの中からは確認できないが自衛隊の人達が「怪物と戦うのは自衛隊の伝統だけどもよっ!こんなところでおっぱじめることになるとはねっ!」とか叫んでいたので多分炎竜とかいうドラゴンが出たのだろう。
コダ村からの住民が大量にいる状態で馬車の列は延びきっていた。自衛隊は軽装甲機動車一台にその他車両二台、これでは混乱する戦域をカバーしきれない、犠牲者も少なくないだろう……。
ドラゴンは凄まじい火力のブレスでこちらを攻撃してきている。
個人携帯の挑発程度の豆鉄砲でもヘイトは集めているのだろう。
荷台内部で昏倒していたエルフ少女がいつの間にか起きており何か助手席の伊丹に対して訴えている。
「目だ、目を狙え!」
伊丹がそう指示を出したことからエルフ少女は目を攻撃するようにアドバイスしていたようだ。
それでも小銃では撤退させられるかどうかわからない。
……もしも、もしもだ。
威力や投げたことがないから当たってどうなるか分からないが試していた魔槍を投げる、殴る等でどうにか出来ないだろうか?
正直、本当に私がオリキャラのシェリーになっていたとしたら、結構引き付けることは可能だ。
もしかしたら全員が逃げる時間も作れるかもしれない……だが。ここでただの人間でないとばれてなんになる?下手に危険物扱いをされれば自衛隊に保護はされないし言葉の通じない土地で自分の力のみで生きていくことになる。
[貴方ぁ何者ぉ?]
思わず自分の力でドラゴンを引き付けられるかも知れないが力がばれるのは困る、その葛藤を腹の奥でグツグツと煮立てている時だった。
ゴスロリの美人さんがなにかを問いかけて来た。妖艶でなんとなく攻撃的な色味を帯びた不思議な笑みを浮かべている。
言葉は解らないが、なんとなく私が何のためにここにいるのか問われた気がした。
私がここにいる意味?
世界が何かをさせるためにここに呼んだとかそういう思想を持ってる訳では無いが、たしかに今この力を持ってここにいて自分が何をするべきか何を成すべきかは即決し行動をしなければならない場面にある。
「通るよ!」
人の間を通って荷台後方から飛び出す。
スライディングの要領で砂ぼこりをあげながらの制動で着地した。
砂埃で視界は最悪だが、後方の安全確認!という声が聞こえてきた。カウンターウェイトを飛ばすタイプの個人携帯の対装甲車両武装を撃つのだろう、私がドラゴンの方角を探す間にその兵器は撃たれていた。
爆走し揺れる車体から、人力で走行間射撃狙ったところにすんなり当たる筈がない。
だが、ドラゴンは飛んできた黒い戦斧によって足払いの要領で倒れ込んだ。当たる筈の無かった弾は左腕に命中し爆発、肉片が飛び散り左腕がもがれる。
「当たった!」
だがそのあとであるドラゴンが苦痛からか咆哮をあげた。
自衛隊は反射反応で縮こまり攻撃に一瞬の間が開きその間にドラゴンが宙を舞い始める。
よろよろとしているものの上空からブレス攻撃をされてはたまったものじゃない。
思わず右手に魔力を固め槍を作り上げ、投げていた。
投射の勢いは魔力が補助してくれるので初めて投げたにしては勢いよく飛んでいった……が、外れた。
矢のごとき勢いで槍が炎龍の後ろに見える禿げ山に突き刺さると山肌が大きく抉れるのが見えた。
次に見えたのは歪みだ。まるで透明なガラス玉のような見た目のそれは膨らむ風船のように広がっていく。
「耳と目をふさいで口開けて伏せろ!」
遠くで伊丹が叫ぶ。
自分が起こした現象についていけずボーッとしていた私にはとっさの行動はとれなかった。
そして数秒後には、何も分からなくなった。
サイド伊丹
砂塵と衝撃波が隊を襲う。
それは一本の槍によって引き起こされた。しかも一人の少女の手によってだ。
投げた本人は呆然としていた事からここまでの事が起こるのは予想外だったのだろう。
衝撃波が収まると倉田に指示を出してシェリーの居た方向に走り出す。
「各員異常の有無知らせ!」
「各車異常なし、ですがあれは」
「たしかに凄まじいが人命救助を優先だ!コダ村の人達の無事の確認を最優先!砂塵が収まったら炎竜がどうなったか確認しろ!」
そう言ってる間にはまた翼の音が聞こえてきた。
だんだん小さくなってる事から流石の炎竜も逃げたらしい。
「車輌停めろ。シェリーちゃんが最後に居た付近だ。引いてしまうかも知れん。降車して探すぞ」
「了解!」
しばらくして、砂塵が収まり、別行動していた部下がコダ村からの無事な人達の確認を終わらせた後、必死の捜索で砂塵に埋まっていたシェリーちゃんが見つかった……変わり果てた姿で……。
炎竜撤退から発見まで1時間が経過し砂で窒息していた。衝撃波で気絶していて苦しまなかっただろうと予測が立てられた事だけが救いだったのかもしれない。だが、目の前で12歳前後の子供が恐ろしい存在相手に戦いを挑み自爆とは言え散ってしまったのだ。部隊の空気は最悪だった。
「彼女の事は残念でした」
「黒川……ああ、せめて地球までは連れて帰ってあげないとな」
「そう……ですね」
簡易的とは言え炎竜に殺されたコダ村の住民の遺体は埋葬した。
そしてしばらくして、コダ村の住民と別れ。
身を寄せる場所の無い一部の住民は難民として受け入れた。
アルヌスに帰還後、遺体袋に入れられたシェリーの遺体は衛生班に預けられた。
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オリジナルのシナリオ書くと書いてた時間のわりにテキスト少ないことは割とある
「これより遺体の解剖及び、採血する」
伊丹二尉の報告から、この少女は特地ではなく自分達の世界から来ていたらしい。だが、光る槍を投げて戦略核並の威力を発生させたとのことだ。
国籍も不明、正体も不明とあって遺伝子検査を中心に人種や力の源などを調べろと上から言われてしまった。
そもそも俺は外科手術は可能ではあるものの、解剖して調べる事をメインでやっている法医学や研究者でない、少女を解剖したところでわかることなどどうせあまり無いが自衛隊以外の人間を特地に送るのは時期尚早と言われてしまい俺に白羽の矢が立ってしまったのだ。
……あまり気が進まないがやるしかないだろう。
死体袋を手術台にのせジッパーをおろし彼女の姿が露になる。
外見は美人な事を除いて普通、開いている口には砂が付着していてチアノーゼが発生。間違いなく砂で溺死してしまったのだろう。顔が整いすぎなのとチアノーゼもあいまって人形の様だという印象が強く、とても不気味だ。
「ん?」
開いてる口からとても発達した犬歯が見えた。
肉食文化が中心の土地ではそういう特徴をもつ人間が居るらしいので常識の範囲だと思う。
解剖の前に採血をする。これは日本に送られ研究者の下に行く。身元が出てくれれば良いが。
せっかく大きな外傷が無いのだからMRIで検査ができればよかったのだがこちらには持ち込んでいないので切り開くしかない。
メスをお腹に入れ少し進んだところで、少女の体がかき消えた。
その場に赤い煙を残して。
サイド伊丹
「は?シェリーちゃんの遺体が行方不明?」
連日コダ村の住民たち受け入れのための書類を書き、やっと終わったと言わんばかりにそんな情報を衛田二曹が持ってきた。
「そうです。解剖中に目の前で煙のように消えてしまいました。解剖記録映像にもその様子がはっきり写ってました」
「原因は?」
「不明です。メスを入れたとたんに赤い煙とともに消えてしまいました」
「じゃあシェリーちゃんは人間でなかった可能性も」
「ありますねぇ」
「元の世界にも別種族がいるとか?」
「可能性はあります。細かい所は遺伝子検査待ちになりますが」
「そうか、わざわざありがとな」
「いえいえ、では失礼します」
解剖担当をしていた衛田二曹が離れていく。
「さて、明日部隊の皆にどう説明したもんか」
サイドシェリー
今霧になって駐屯地内部を動き回ってる。
窒息判定でぴったりHP0になったんだろうな、霧状態はダメージマイナスになると勝手になるはずなのだ。
霧状態で目が覚めた時にはメスを持った人が右往左往していたので、検死解剖でメスを入れられたためにHPがマイナスになったのだろう。
自由に霧になれる設定でよかった。
霧になったおかげで自由に霧状態になる感覚が分かったし陸さんの基地を見れる機会なんてそうそうないから特に楽しめそうなのだ。いわば傷が癒えるまでの小旅行だ、終わったら伊丹陸尉の所に顔見せすれば良いだろう。
サイド伊丹
昼から睡眠をとっていたせいか0500に目を覚ましてしまった。
水でも飲んで寝直そうと思ってベッドから降りようとしたら床でシェリーちゃんが寝てた。
一瞬幽霊かなにかかと思って驚いたが寝息が聞こえてきたので、シェリーちゃんが生きてて良かったと思いつつ彼女をベッドに運んで布団をかけると、朝一でこの事を報告をあげるために書類の制作を行い、総員起こしまでの残り一時間を起きて過ごすことにした。
そして前日の疲弊ぶりから総員起こし前に上司(伊丹)の様子を見にきた冨田が死んだ筈のシェリーを見て腰を抜かしたのは別の話である。
どのTRPGの吸血鬼からキャラ作ったかそろそろ察しのいい人は解かりそうだよね。
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