英雄に憧れる少年が幻想入り (クラッカーV)
しおりを挟む

てめえ、なにもんだ? by弥生

書きたくて書き始めたこの作品………他にも三つあるのに、俺大丈夫かなぁ………

「諦めたら、そこで試合終了ですよ……?」

あ、安西先生ぇ!!


雲一つ無い青空、風になびく綺麗な緑色をした木々、暦の上ではもう夏だから少しばかり暑い

 

だが今日はいい天気だ。そろそろ梅雨に入るだろうか?それにしても気持ちがいい

 

ポケットからiPodを取り出してイヤホンを耳に差し込む

 

「♪〜♪♪〜〜〜♪〜」

 

好きな音楽をかけながら俺、要 弥生《かなめ やよい》は学校から帰宅するために門をくぐる

 

「おーい要!今帰りかぁ?」

 

クラスメイトであり友人に話しかけられた

 

「ん?おー!俺は今日も一人寂しくお帰りだぜー」

 

「そうかー!部活に入る気はねえのかぁ?」

 

「二年の今の時期から部活なんて始められっかよ」

 

俺は今高校二年生だ。こんな時期に部活なんか入ってみろ、何しに入ってきたんだ?みたいな視線でハリネズミにされちまう

 

「そっかぁ〜、残念だな。お前は運動できるし、勉強もそこそこできるし、いい人材なんだけどなぁ……。お前ならヒーローになれるのによ」

 

ヒーロー、か……非常に魅力的なお誘いなんだよなぁ

 

俺はまあ、なんていうか、高校二年にもなってとか笑われるかもしれないが、英雄(ヒーロー)に憧れている。だってかっけえじゃん!まあ、その他にも色々理由はあるけどな

 

「ん〜…………ま、俺のことは諦めてくれや。じゃあな、また明日」

 

「おう、また明日!」

 

俺は友人に手を振って別れる。……………あれ?あいつ部活入ってたっけ?…………まあいいか、取り敢えず帰ろう

 

 

 

 

 

 

「ただいま〜」

 

家の扉を開けて俺は帰ったことを告げる。しかし声は帰ってこない、別に一人暮らししてるってわけじゃないんだぜ?ただ俺の両親はどっちも仕事に出てんだ

 

自分の部屋に荷物を置いて制服から普段着へと着替える。黒のパーカーに半ズボン。パーカーは長袖だから暑くないか?と聞かれるがお気に入りなんだからしょうがない

 

「今日はどれを読もうかな♪」

 

本棚に並ぶラノベを眺め、どれを読もうか迷う。本棚にあるラノベは全部一度は読んでいるのだが、面白いので何回も読みたくなるのは必然というものじゃないかね?ふむ………これがいいか、いや、これにしようかな?……………決めた!

 

「君に決めた!」

 

何処ぞの少年のように声を上げながらラノベを引き抜く。そしてリビングへと向かい、ソファに腰掛け読み始めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………………ん、もうこんな時間か」

 

読み終えたラノベを机に起き、時計を見る。……19時前か、親からの連絡は無いから多分今日も帰りは遅いんだろう

 

「飯、作るか」

 

俺は台所へ移動し、冷蔵庫から材料を取り出す。親の帰りが遅いのなんてもう何時もの事だから料理はできるんだよね。今日は和風に焼き魚にしよう、大根おろしも必要だよね、やっぱ

 

 

 

少年料理中………

 

 

 

「いただきます」

 

よし、なかなか良い味付けになってる。煮物もいい感じだな

 

『prrrrrr!prrrrrr!』

 

「ん……はいはい、ちょっとお待ちよぉ〜」

 

電話が鳴った。俺は箸を置いて受話器を取る

 

「はいもしもし、要です」

 

父さんか?それとも母さんかな?

 

「どうも私、八雲 紫《やくも ゆかり》という者ですわ」

 

突然後ろから声が聞こえる。いや、受話器からも聞こえている

 

俺は慌てて後ろを振り返る。そこには見た目は十代前半、服装はフリルの付いたドレス………であってんのか?と、ナイトキャップのような物を被っている。金髪ロングの少女だった。右手には受話器、左手には折り畳まれた傘を持ち胡散臭い笑みを浮かべている

 

…………!?てか受話器から伸びてる線を辿って行くと空間に裂け目があるんですけど!?これは夢かなにかですか!?

 

「驚いてるわね。………あ、この焼き魚美味しいわ、レモン汁がよく効いてる。この煮物も、藍といい勝負ね」

 

驚く俺をよそに勝手に椅子に座り勝手に飯を食べ始める、八雲 紫と名乗った少女。てかそれ俺の魚なんですけど、煮物も俺のなんすけど

 

そもそもどうやって現れた。鍵を閉め忘れていたのか?いや、そんなはずはない。そしてあの裂け目はなんだ?あんな現象見たこともない。そして何よりこいつは

 

俺と同じように(・・・・・・・)不思議な力を持っている?

 

「ふふ、必死に考えているようね」

 

また胡散臭い笑みを浮かべる八雲 紫

 

「てめぇ……なにもんだ。どうやって入ってきた」

 

俺は受話器を置いて問いかける

 

「あら、女性に向かっててめぇだなんて。お姉さん悲しいわ、およよよ」

 

泣き真似を始める八雲 紫…………こいつ、うぜえ

 

「まあいいわ、質問に答えて差し上げましょう。まず私がどうやって入ってきたか、それは私が能力を使ったからよ。私の能力は"境界を操る程度の能力"」

 

「それで境界を弄くってうちに繋いだわけか」

 

「正解♪それでね、その能力でスキm「目的はなんだ」人の話はちゃんと聞くものよ?」

 

んなこたぁどうでもいい

 

「何が目的だ………って聞いてんだぜ」

 

俺はiPodを取り出しイヤホンを片耳だけ着け、音楽を流す。すると俺の体は淡い光に包まれた

 

「あら恐い。別に貴方に危害を加えるつもりはないのよ?ゆっくり座ってお話ししましょう」

 

呑気な奴だな、座ってまだ飯食ってやがる。………少し胡散臭いが、相手から敵意みたいなものは感じないから大丈夫かな

 

俺は八雲 紫の向かいの椅子を引き座る。だが一応警戒ということで能力は解かない

 

「ではまず最初に、貴方は自分の能力を理解しているかしら、要 弥生君?」

 

八雲 紫は胡散臭い笑みを消し、真剣味を帯びた顔でそう聞いてきた

 

「まあだいたい理解はしてるつもりだよ」

 

「そう、良かったら聞かせてもらえません?いつ貴方の能力が目覚めたのか」

 

「………………OK、わかった」

 

そして俺は話し始める

 

 

 

 

俺には昔から不思議な能力がある

 

それに気付いたのは小学……5年生の頃ぐらいだったか。ある事件で落ち込んでいた俺は、学校にも行かずずっと部屋の隅に蹲り、iPodで音楽を聴き続けていた

 

そんな日が続いたある日、俺は寝ていると急な寒気を感じた。寝る前は暑くて、涼しくなれと願わざるを得ない気温だったのに

 

最初は風邪でも引いたか?と思っていた。だけどそのわりには体は怠くないし熱っぽさもない。ではエアコンを付けっ放しだったか?いや違う、エアコンなんて付けてない

 

じゃあなんだ?そう思い俺は目を覚ました

 

そこには氷の世界が広がっていた

 

机、椅子、玩具さえ、何もかもが凍りついていた

 

俺は目を見開いた。眠気なんてすっ飛んだ。凍りついたその空間に、イヤホンから漏れる音楽だけが響く

 

頭が混乱する。なんで凍っている?どうやってこんなことを?誰が?

 

俺は必死に考えようとした。だがそれよりも寒い、ということだけが頭に浮かぶ

 

そしてそのまま時間は過ぎて行った

 

時間が過ぎると共に俺の体も凍り始め、今では動くことままならない

 

親は寝ているのだろう、叫んでも氷が邪魔してるのか助けにくる気配がない。凍りついてるのはこの部屋だけのようだ

 

…………ああ、俺はここで死ぬのか。いや、それでもいいかもしれない、元々俺はある事件で死ぬはずだったのだから

 

でも最後に、俺のお気に入りの曲を聴きたい

 

そう思い、残りの力を使ってイヤホンを握り、そして耳へ着けた。iPodをゆっくりと操作し、曲を選び、かける

 

この曲は、気持ちを暖かくしてくれる

 

そして俺はゆっくりと目を閉じた

 

 

 

 

 

「その後は何事も無く目を覚ました。でも夢だなんて思えなかった、感覚がはっきりしすぎていたからな。だから自分で色々と考えてみたんだよ、原因を」

 

「その原因とは?」

 

「………………音楽だった。俺はどうやら音楽………いや、音をあらゆるものに変換することができるらしい。さっきあんたが言ったように言うなら、差し詰め"音をあらゆるものに変換する程度の能力"、かな」

 

「やっぱりね、そうだと思ってたわ」

 

なんだ、知ってたのかよ。てかなんで知ってんだよ

 

「それで、話の中に出てきたある事件とはなに?」

 

「………………教えるつもりはねえ」

 

………話したくねえんだ

 

俺の表情から読み取ったのか八雲 紫はもう聞いてこなかった

 

「それで?もう終わりか。そんなことの為に不法侵入なんてしてきたわけじゃねえよなぁ?」

 

もしそうだったら即刻警察に突き出してやる

 

「もちろん違うわ。次の質問なのだけれど」

 

また質問か、ホントに警察呼んでやろうかな

 

「貴方を幻想郷に連れて行きたいのだけれど。いいかしら?勿論拒否権はないわ」

 

………………は?

 

「いやいやいや、ちょっと待て!幻想郷?どこだそれ!てか拒否権無いって、もはや質問でもねえよ!」

 

「幻想郷とは忘れられた存在が集まる場所よ」

 

「なんで俺がそんなとこに行かなきゃならねえんだ!!学校だってあるんだぞ!?」

 

「大丈夫、そこら辺はなんとかしておくから♪」

 

「どこが大丈夫なんだよ!」

 

「あぁ〜もう、うるさいわね。ほら、さっさと逝きなさい」

 

八雲 紫が扇子をバッと広げる。その瞬間に浮遊感に襲われた

 

「漢字違う!?って、おわぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

落ちる!?落ちてる!!なんか裂け目に落ちてる!…………目玉ある!?

 

「覚えてろよこの野郎ぉぉぉぉ!!」

 

あいつは絶対泣かす!!

 

そして俺は裂け目の中を落ちて行くのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

「紫様!こんなところにいたんですか!?早く戻ってくださいよ」

 

「ああ藍、ごめんなさいね。………そうだ、この煮物食べてみて?藍のといい勝負じゃないかしら」

 

「え?それでは一口…………む、この煮物は誰が?」

 

「さっき私が幻想郷に送った子が作ったのよ」

 

「そうですか。一度会ってみたいですね」

 

「すぐ会えると思うわ。彼の歓迎も兼ねて宴会するつもりだもの♪」

 

「それは楽しみです」

 

「ええ、きっと貴女も彼を気に入ると思うわ」

 

さて、あの子は幻想郷で何を見て、何を思うのかしらね?

 

……………楽しみだわ

 

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぐべっ!!……………っつつ、痛ぇ……。ここ、何処だ?」

 

 

 

 

 

 

 




感想、批評、ドンとこいです!

……………あ、やっぱ批評は優しめに……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

私の事はゆかりんでいいわよ♪byゆかりん

「…………あぁ〜……あ?ここ何処だよ、神社?」

 

八雲 紫の能力で俺は裂け目に落とされて、落ちた所が神社だぁ?………あいつ、絶対泣かす

 

しかし、これからどうしたもんか。裂け目に戻ろうにももう閉じてしまってるしなぁ…………。ここが神社なら誰かいるだろうか?

 

俺は賽銭箱の前まで歩く。けっこう古いな、これ……

 

「すいませ〜ん!誰かいませんかぁ?」

 

大声を出してみるが誰もでてこない

 

「…………返事がない、唯の廃神社のようd「廃神社なんかじゃないわよ」うぉい!?」

 

だ、誰だ!?

 

「参拝客かしら、素敵なお賽銭箱ならあんたの目の前にあるわよ」

 

神社の奥から現れたのは、赤い巫女服を着た少女…………巫女服?肩と脇が露出してるぜ、まあこれから夏になるんだから丁度良いのかもしれねえが

 

てか、素敵なお賽銭箱……?

 

俺は目の前にある賽銭箱に目を向ける

 

「素敵な、ねぇ………」

 

どう見ても古びた賽銭箱にしか……

 

「何よ、冷やかし?…………あんたのその服装。もしかしてあんた外来人?」

 

「外来人?何のことか知らねえけど、ここはなんていう神社だ?いきなりここに飛ばされて困ってんだ」

 

「ここは博麗神社よ。飛ばされた?…………あぁ〜、もしかして紫が連れてきたのかしら」

 

紫?……………紫!?

 

「お、おい!その紫って八雲 紫のことか!?あいつ何処にいるんだ!?出せ、今すぐあいつを出せ!絶対泣かす!!」

 

「ちょ、ちょ………待って、揺らさないで……」

 

「お、おうすまん」

 

少し興奮しちまったぜ。クールだ、クールに行くんだ俺

 

クールになれば世界が見えてくると誰かが言ってた気がするがそうでもなかったぜ

 

「んんっ………俺の名前は要 弥生ってんだ。あんたは?」

 

「私は博麗 霊夢《はくれい れいむ》。紫ってのは貴方の言う八雲 紫で合ってるわ」

 

「そうか、んでそいつは何処だ?俺はあいつにちょっとお話があるんだ(黒笑」

 

そう、O☆HA☆NA☆SHIが

 

「(紫の奴何やったのよ……)さ、さあ?あいつは神出鬼没だから「はぁ〜い♪」………出たわね」

 

博麗の言葉を遮って俺の後ろに八雲 紫が現れた

 

「早速霊夢と打ち解けてr(ガッ)…………えっと、弥生君?何故頭を掴むのかしら」

 

「…………(ニコッ」

 

「あらイケm痛い痛い痛い痛い!ちょ、やめ痛い、頭痛い!」

 

紫の頭を掴み力を目一杯入れる。ふっ、涙目になってるぜざまぁ!

 

「いきなりうちに不法侵入した挙句に知らぬ場所へ落とすだぁ?てめぇ俺のことなんだと思ってんだ!早くうちに帰せ!!」

 

「そ、それは無r痛い痛い!!」

 

「無理だぁ!?学校だってあんだぞ!?てめぇの勝手な理由で人様に迷惑かけてんじゃねえ!!」

 

「ご、ごめんなさいごめんなさい!もうしませんからぁ!!」

 

「ちょ、ちょっと、そこら辺にしといたら?(流石に可哀想になってくるわ)」

 

………………むう、博麗に免じてアイアンクローだけはやめてやろうか

 

「うっ、うっ………ごめんなさい……」

 

……そ、そんなガチ泣きすんなよ、なんか罪悪感湧いてくる

 

「反省してるか?」

 

「…………はい」

 

どうやらちゃんと反省してるみたいだな

 

「はぁ…………、ほら泣くな。やっちまったもんはしょうがねえ、もう怒ってねえから」

 

「ホント………?」

 

「ホントホント。だから泣き止め」

 

調子崩れるなぁ〜、もう

 

「…………ごめんなさい、見苦しいところをお見せしたわね」

 

「ん、まあいいよ。それで、なんで無理なんだ?八雲の能力なら帰れるんじゃねえのかよ」

 

"境界を操る程度の能力"、だっけ?それで裂け目作ればいけるんじゃね?

 

「それが無理なの。貴方をスキマで外には送れないのよ」

 

「え、えぇ〜。理由を教えてくれ」

 

「最近スキマが不安定で…………、私と私の式だけなら外に行けるのだけど、一度此方へ連れてきた人やこちら側に住んでいる者達は通ることができなくなっているわ」

 

な、なんだそりゃ…………

 

「じゃ、じゃあお前はそれをわかってて俺を連れてきたのか?」

 

「う………それは……わかっていたけど…………貴方の事気に入ったからつい♪」

 

「……………あ?」

 

「ごめんなさい………」

 

はぁ………謝るくらいなら最初からすんなよ

 

「んで、連れて来たんだったら連れて来たでここの説明くらいしてくれよな。そろそろ博麗が空気になり始めてっから(ゴンッ!)あだぁ!?……………なにすんだ博麗」

 

いきなり後ろ頭をど突かれたぜ……地味に痛えし、初対面ですることじゃねえだろ

 

「あんたが失礼なこと言うからでしょ」

 

「そりゃすまん」

 

さっきから喋ってなかったもんだからつい

 

「まあいいわ。お賽銭で許してあげる」

 

え、えぇ〜………財布なんて持ってきてねえよ

 

「あ、はいどうぞ。貴方の財布よ」

 

「お、こりゃすまん。ありがとな………………待てぃ!何故にお前が俺の財布を持ってんだよ八雲!!」

 

「私の事はゆかりんでいいわよ♪」

 

「なんでお前が持ってんだゆかりん」

 

「あ、案外ノリがいいのね………。財布はこれから必要になるだろうから持ってきたの、お金はおろしといたから大丈夫よ♪」

 

「あら良かったじゃない。これで心置き無くお賽銭を入れれるわね♪」

 

むぅ、ツッコミたいところがありすぎる

 

「まあ何にせよサンキューな、お賽銭はどんくらい入れればOKだ?」

 

やっぱ15円かな?十分ご縁がありますように、ってか

 

「全b「300円でいいな(チャリーン」

 

どんだけ図々しいんだこの腋巫女

 

「んじゃあゆかりん、そろそろここの説明をしてくれると助かるんだが。確か幻想郷だっけ?忘れられた存在が集まる所だったな」

 

「ええそうよ、ここは幻想郷。ここには人間は勿論、妖精や妖怪や幻獣、神が住んでいるの」

 

へぇー、神やら妖怪や幻獣に妖精…………妖精だと!?

 

「ここには妖精がいるのか!?そんなファンタジーな存在がここに!?」

 

やっべぇ!めっちゃ興奮する!!

 

「え、ええ、幻想郷の何処かにはいるはずよ」

 

「マジか!!さっきはあんなこと言ったけどゆかりんマジありがとう!ここに連れてきてくれて!(ガバッ!」

 

「ふ、ふぇ!?そ、そう……喜んでくれてよ、良かったわ。だからその、離れてもらっていいかしら」

 

ん?おお、抱きつくのは少しやり過ぎたな

 

「すまんすまん、話を続けてくれ」

 

「………………え、えっと」

 

どうしたゆかりん?なんか顔が赤いが

 

「ぅ…………うわぁぁぁぁぁん!」

 

ゆかりんが急に叫んだと思ったらスキマとやらに入っていってしまった

 

「え!?ちょ、ゆかりん!?どこ行くんだゆかり〜ん!!……………行っちまった」

 

「……………あんた、色々とスゴイわね」

 

「え、そうか?つーかなんでゆかりんはどっか行っちまったんだよ。幻想郷の説明は?俺はこれからどうすりゃいいんだ?」

 

「はぁ…………幻想郷の事なら私が説明してあげる。取り敢えず中に入りましょう、お茶くらい出すわ」

 

「お、いいの?それじゃお言葉に甘えて」

 

上がらせてもらおう……………やべっ、この床ギシギシ言ってるよ。直した方が良くね?

 

俺は博麗に着いて行き、部屋に入る

 

「じゃ、座って待ってて。お茶もってくる」

 

そう言って博麗は部屋を出て行った

 

……………しかし

 

「何も無いな」

 

周りを見渡して見るけど、あるのは生活必需品だけ。お賽銭に固執してたし、結構生活キツイのかね?

 

天井もボロがきてんじゃねえのか?………………ん?

 

「なんだ、あれ」

 

穴みたいなとこから何かが覗いてる

 

「………………」

 

『………………(クワッ!』

 

「(ビクッ!」

 

『………フッ』

 

は、鼻で笑いやがった!?

 

「は、博麗ー!なんか、なんかいる!鼻で笑われたよ!!」

 

なんだあの生き物!……生き物!?

 

「そんなの一々気にしてたらキリがないわよ。はいお茶」

 

「あ、ありがと」

 

気にしたら負けなのか………

 

「どういたしまして。私のことは霊夢でいいわ」

 

「わかった。んじゃあ幻想郷のこと教えてくれ、霊夢先生」

 

「(先生?)わかったわ、何から話そうかしら。…………そうね、まずはあのことからかな」

 

幻想郷の事を話し始める霊夢。ここで知ってる人は知っている俺の新事実があるんだが、話が長くなりそうなんで眠く…………な、る……zzz

 

「それで異変と言うのが……………へぇ、折角私が説明してあげてるのに居眠りとは、いいご身分ね」

 

「…………ん、話終わった?大丈夫、ちゃんと聞いてるつもりだから」

 

「自分から頼んだくせに寝るな!夢想封印!!」

 

「ぐはぁぁぁぁ!(ピチューン!」

 

霊夢から放たれた何かに、俺は意識を刈り取られたのだった

 

 





なんかグダグダ感が否めないような………

感想待ってます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

普通の魔法使いだぜ!by魔理沙

「…………ん…………俺、寝てたのか?」

 

あっれー、寝た覚えは………あるけど。なんで布団にまで入ってるんだ?てか朝になってんじゃん。昨日は夜だったのに

 

「ん〜……………はっ、まさか!」

 

説明の途中で寝てしまった俺に対して怒りもせず、その上布団を敷いて寝かせてくれたのか!?(←勘違い)

 

しかも部屋が違う。まさか俺をここまで運んでくれたのか!?(←ものすごく勘違い。吹っ飛ばされただけ)

 

なんて優しい奴なんだ………

 

「霊夢………腋巫女とか思ってごめん………」

 

「あんたとことん失礼よね」

 

霊夢が戸を開けて入ってきた

 

「よっす霊夢。態々俺をここまで運んでくれたんだな、ありがとう」

 

「えっ!?い、いや、そんな大したことしてないわよ」

 

そう謙虚にならなくてもいいのに………

 

「でも俺を布団に寝かせてくれたんだろ?ありがとな!」

 

「……………なんか、あんた不思議ね」

 

ん〜?不思議とは?

 

「昨日と違ってなんか子供っぽいし、そっちが本当のあんたなのかしらね」

 

「さぁ、俺は俺だぜ?」

 

よくわからん事を言うな、霊夢は

 

「霊夢〜!遊びに来たぜ〜!」

 

ん?なんだこの声

 

「あぁ、魔理沙が来たのね」

 

「魔理沙?」

 

「ええ、自称普通の魔法使いよ」

 

へぇ〜、魔法使いか

 

「って魔法使い!?会いたい会いたい!今すぐ行こう!」

 

「えっ!?あ、ちょ……」

 

アクロバティックに立ち上がり霊夢の手を握って部屋を出る

 

「霊夢〜!いないのか?」

 

「いるいる!いるからちょっと待ってくれよ魔法使いさん!」

 

「お、いたか。………お前誰だ?」

 

よくぞ聞いてくれました!

 

「霊夢にももう一度自己紹介しとくぜ。俺は要 弥生、英雄に憧れるごく普通の学生だ。よろしく!」

 

「私は霧雨 魔理沙《きりさめ まりさ》。普通の魔法使いだぜ!」

 

ふむ、金髪ロングに黒と白の魔女帽子、黒を基調とした服にスカート。スカートの前には白いエプロンか、箒もちゃんと持ってる

 

「なんか思ってたのと違うけど確かに魔法使いっぽいな」

 

「どういうことだよそれ………。それにしても、この神社に男がいるなんてな、霊夢の彼氏か?」

 

何言ってんだこいつ?

 

「何言ってんのよ、そんなわけないじゃない」

 

そーだそーだー、…………否定されるのも悲しいような、そうでもないような

 

「じゃあその繋いでる手はなんだ?」

 

「ん?繋いでる手?……………あ」

 

確かに手を繋いでいたな。部屋から出てくる時に霊夢の手を掴んだままだった

 

「こ、これは…………」

 

霊夢が顔を赤くして慌ててる。案外初心なんだろうか?

 

「早く離しなさいよ馬鹿!」

 

「ぐはっ!…………てぇ〜、いきなり蹴ることないだろ!?」

 

違った!ただ単に怒ってるだけだったぜこいつ!!

 

「う、うるさい!あんたが離さないからでしょうが!」

 

「今離そうと、痛っ、いったい、殴るな蹴るな!」

 

ちょ、そこ脛。脛だから、マジ痛いから!

 

「ははは!面白い奴だな。見たところ外来人なんだろ?この神社に住んでるのか?」

 

「いや、昨日来たばかりだからな。一晩泊めてもらったけど、住むとこどうすっかな〜」

 

…………あれ?ホントにどうしよう。てかゆかりんが連れてきたんだからゆかりんが用意してくれてんじゃないのかな?………わからん

 

「紫に聞けばいいんじゃないの?あいつが連れて来たんだから」

 

「お前紫に連れて来られたのか!?大変だな……」

 

哀れみの視線どうもありがとう

 

「ゆかりん呼ぶ方法とかねえのか?霊夢」

 

「さあ?あいつは神出鬼没だs「はぁ〜い、おはよう♪」………出たわね」

 

なんかデジャヴ

 

「ゆかりん、はよっす。突然だが俺はどこに住めばいいんだ?」

 

「そうね、私と一緒に住む?」

 

「遠慮しとくぜ」

 

「そう、残念……」

 

なんでそんな残念そうなんだよ……

 

「じゃあ博麗神社に住めばいいじゃない」

 

「ちょっと待ちなさい。家主を置いて話を進めないでもらえる?」

 

「あらいいじゃない。彼がここに住めば貴女、家事しなくてもよくなるわよ?彼、料理もできるし」

 

「いいわよ、うちに住みなさい」

 

「え、えぇ〜………そんな理由で……」

 

なんか、これから大変な日々が待ってる気がするぜ……

 

「なんなら私の家に来るか?毎日三食首輪付きで可愛がるぜ」

 

「俺はペットか」

 

「そのツッコミは少しおかしくないかしら?」

 

そうでもないと思うけど……

 

「まあそれよりも霊夢。今日の夜は宴会だから準備よろしくね」

 

ん、宴会?

 

「はぁ?なんでよ」

 

「弥生君の歓迎宴会に決まってるじゃない。おいしい料理とお酒を期待してるわ、じゃあね〜♪」

 

それだけ言ってゆかりんは消えていった

 

「はぁ………あいつ、ホント急なんだから」

 

「まあいいじゃないか、宴会だろ!弥生の歓迎なんだからパァーッといこうぜ」

 

「俺の歓迎会なのか?なんか悪い気がするな」

 

「別にいいわよ。これから忙しくなるわ、手伝ってちょうだい。…………その前に昼ご飯を食べましょう、少し早いけどね」

 

そういやぁ、俺昨日夕飯食ってないからなぁ………腹減った

 

「そうだな、私も腹が減ったぜ。私は味噌汁と焼魚を所望する!」

 

「アホ言ってんじゃないわよ。あんたの分があるとでも?二人でさえキツイのに」

 

え………キツイのか……。もしかして俺って迷惑になってんのかな?

 

「あぁ〜、霊夢。無理して俺を住まわせなくても大丈夫だぞ。家なら頑張って探すし、野宿くらいはできるぜ」

 

「あんたも何言ってんの。住まわせてあげるって言ってんだから甘えればいいのよ…………それよりうちには材料が全く無いことを思い出したわ。ちょっと人里まで行って買ってきてくれない?」

 

人里?…………人里ってどこだ

 

「魔理沙に連れて行ってもらいなさい。案内よろしくね、魔理沙」

 

「えぇ〜、なんで私が「昼ご飯食べてっていいわよ」行くぜ弥生!」

 

「お、おう」

 

現金な奴だな。でもまあ人里まで案内してくれるらしいしいいか

 

「あ、これお金ね。米と大根と白菜と魚を買ってきてちょうだい。宴会の材料は昼から買いに行くから大丈夫よ」

 

そう言って霊夢に金を渡された

 

「わかった…………ん?なあ霊夢。幻想郷の通貨は俺がいたところと同じなのか?」

 

百円とか十円とか、全部同じだ。てかこんだけで足りるのか?

 

「まあ一応陸続きだしね」

 

「へぇ、だったら金は俺が出すから大丈夫だぜ。行こうか霧雨!」

 

霊夢に金を返して、さあ出発だ!

 

「霧雨じゃなくて魔理沙でいいぜ。弥生は空飛べるか?」

 

空?飛べるわけないじゃないか

 

「アイ キャント フライ!」

 

「よくわからんが、飛べないんだな。だったら私の後ろに乗ればいいぜ」

 

魔理沙は箒に跨って自分の後ろを指差す

 

いや、後ろって………乗れるとこないじゃん。狭くね?

 

「どうした?早く乗れよ」

 

「ん〜、まあ気にすることないか。それじゃあよろしく頼むぜ魔理沙」

 

俺も魔理沙と同じように箒に跨る

 

「……………弥生、少し近い」

 

「しょうがねぇだろ。狭い」

 

俺達の今の状態は結構密着してる状態だ。俺の腕は魔理沙の腰に回っている

 

だってしょうがないじゃん、これ以上後ろに乗ったら俺落ちるよ?

 

「どした魔理沙?行こうぜ」

 

「…………わかった。舌噛むなよ!」

 

急に浮遊感に襲われる、そしてドンドン離れていく地面。そう、俺は今

 

「飛んでる………!」

 

やべえ、感動だ………まさか人生の中で飛行機やヘリコプター以外で飛ぶということを経験するなんて思わなかった!

 

「俺は飛んでるぞ!なあ魔理沙!!すっげ、すっげぇ!気持ちいい〜!景色も綺麗だ!!」

 

今の気分は最高にハイッてやつだぁ!!

 

「耳元で叫ぶな!!」

 

「これが叫ばずにいられるかよ!俺は今、飛んでるんだぞ!?飛行機でもない、ヘリコプターでもない、自分の力というわけでもないけど、直接風を感じて飛んでる!!ずっと夢見てたんだ、ヒーローみたいに飛ぶことを!」

 

ヒーローのように飛んでいる自分をずっと夢見ていた!

 

「その夢をお前は、ちょっと形は違うけど…………叶えてくれた。ありがとな魔理沙!心から感謝してる、本当にありがとう!!」

 

感謝してもしきれないくらいだ!

 

「…………そっか、そりゃ良かったぜ!…………よぉし、じゃあもっと高度を上げるぞ、落とされるなよ!!」

 

「わかってる!」

 

ドンドン高くに登って行く。ドンドン幻想郷が離れていく、とても綺麗だ

 

「どうだ、綺麗だろう!」

 

「ああ、すっげぇ綺麗だ!…………なあ魔理沙、俺も頑張ったら飛べるかな!?」

 

「きっと飛べるさ。なんなら私が手伝うぜ!」

 

「ありがとう!俺、頑張るぜ!!」

 

「おう、その意気だ!……………そろそろ下りるぜ!」

 

急降下、猛スピードで落ちている。ジェットコースターみたいだ!俺は落とされないように魔理沙にしがみつく

 

そして人里だろうか?その前に降り立った

 

「ここが人里だぜ」

 

「へぇ、ここが。早速中に入ろうぜ」

 

俺は魔理沙と並んで人里の門をくぐった

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ〜、時代劇の中にいるみたいだ」

 

人里の町並みは一言で言えば昔、って感じだ。そして売ってある物の値段が安い

 

米、魚、野菜を全部買って三桁だぜ?金銭感覚がおかしくなりそうだ

 

今は魔理沙が団子を食べたいと言うので団子屋でお茶にしている

 

「あんま食い過ぎるなよ魔理沙。昼ご飯食べれなくなるぞ」

 

「甘い物は別腹ってな」

 

「……………太るz「フンッ」ぐふぁ!」

 

み………鳩尾……鳩尾に拳がめり込んだ……

 

「失礼なこと言うからだぜ」

 

「だからと言ってすぐに暴力的になると彼氏君に嫌われるぞ?魔理沙」

 

み、鳩尾が…………あ?誰だ?

 

顔を上げるとそこには、腰まである銀髪、その上にリボンのついた六角形の帽子を被り、上下一体の青い服を着ている。下がスカートになっていて白いひらひらが付いてる

 

うん、なんか………俺や魔理沙が言えたことじゃないけど

 

「服装が………ミスマッチだ」

 

「君は初対面でなかなか失礼だな」

 

あ、すんません

 

「………慧音か、こいつとはそんな関係じゃないぜ。それにお前だって頭突きするじゃないか」

 

「あれは教育的指導だ。………仲が良さそうだったから彼氏だと思ったんだが、違ったか。私は上白沢 慧音《かみしらさわ けいね》。寺子屋で教師をやっている」

 

「俺は要 弥生、英雄に憧れる普通の学生です。よろしく上白沢さん」

 

「ふふ、そんなに畏まらなくていいよ。敬語はいらない、名前も慧音で構わないよ」

 

なんか大人な雰囲気のある人だな

 

「ん、わかった。よろしく慧音」

 

「ああ、よろしく」

 

慧音と握手する。今思えば幻想郷の人達って結構フレンドリーだよな、態々苗字で呼ぶ必要もないかな?

 

「慧音、寺子屋はいいのか?」

 

「今は昼休憩だ。団子屋で一服しようとしたら二人を見かけたから声をかけたんだよ。今日は買い物かい?」

 

「ああ、霊夢に買い物頼まれたんだ。俺、博麗神社に住まわせてもらうことになってるから、ちょくちょく人里には来ると思うから、見かけたから声をかけてくれたら嬉しい」

 

「そうか、わかった。…………昼ご飯の買い物なら早く帰った方がいいんじゃないか?霊夢に怒鳴られるぞ」

 

二ヤァと悪戯っ子のような笑みを浮かべて言う慧音

 

……………やっべ

 

「すぐに帰るぞ魔理沙!」

 

「りょ、了解だぜ。ほら、乗れ!」

 

あたふたとしながら荷物を持って魔理沙の後ろに乗る

 

「あ、そうだ慧音!今日の夜、神社で宴会するらしいから是非来てくれよな!」

 

「ああわかった。楽しみにしてるよ」

 

「俺も楽しみにしてる!じゃあな!」

 

慧音にそれだけ伝えて俺達は博麗神社へ向けて飛び立った

 

 

 

 

 

 

「遅い!一体どこで何をしてたのよ!」

 

「「すいませんでした!」」

 

………………結局怒られた

 





なんか進行が遅い気がする…………

感想待ってます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

やっと私のタイトルコール………ねぇ、普通はもっと早いんじゃないの?by霊夢

ハロハロー、弥生だ。ついさっき飯を食ってきた。霊夢の味噌汁が美味かったです

 

そして今現在俺は何をしているか?気になる人が多いだろう。………え、気にならない?………なんか、ごめん

 

「行くぞ弥生ー。そらっ!」

 

「どわぁっと!?いきなり撃ってくるんじゃねえ!」

 

魔理沙と共に弾幕ごっこなるものをしていた

 

何故弾幕ごっこをしているかというとだな…………

 

 

 

 

 

「………よし、飯も食ったし魔理沙!空飛ぶ練習をしよう!」

 

昼ご飯を食った俺は早く空を飛べるようになりたくて魔理沙に手伝ってもらうことにした

 

「えぇ〜、もうちょっと休んでからでもいいんじゃないか?」

 

「駄目だ!今すぐ俺は飛びたい!!」

 

「一体どうしたっていうのよ」

 

という感じで始まった俺の空飛ぶ修行。魔理沙に手伝ってもらいながら飛ぶ練習をしてたんだが、どうやっても飛ぶことができない

 

魔理沙は"魔法を使う程度の能力"、霊夢は"空を飛ぶ程度の能力"でどうやら飛んでいるらしいが…………まてよ、能力?

 

「……………そうか!」

 

わかったぜ、この問題は随分とチープなもんだった!

 

「どうした、何か思いついたのか?」

 

「ああ、俺に解けない謎は無かったぜ!」

 

「じゃあこの幻想郷の全ての謎を解き明かしてきなさい」

 

………………そうでもなかったぜ

 

「俺の能力で飛ぶことができるかもしれない!」

 

「能力?あんた能力持ちだったのね」

 

「ほぅ、一体どんな能力なんだ?見せてくれよ」

 

ふっふっふっ、まあそう急かすな

 

俺はポケットからiPodを取り出してイヤホンを耳に差し込む

 

「おぉ!なんだそれ?」

 

「これはiPodって言ってだな、これの電源を着けるとこのイヤホンっていうのから音楽が流れるんだ」

 

「す、すっげぇ、外にはそんなもんがあるのか」

 

「河童が喜びそうね」

 

「そんで、俺の能力は"音をあらゆるものに変換する程度の能力"。見てろよ」

 

iPodの電源を入れる。すると俺の耳に音楽が流れてくる

 

その音楽を俺の能力で変換………!

 

手に氷の塊を作って霊夢と魔理沙に見せた

 

「す、すごい!ねえ、あらゆるものに変換する能力ってことは食べ物とかにも変換できるの!?」

 

「あ、あと魔道書とか、その他のものとかにもか!?」

 

二人が凄い形相で詰め寄ってきた

 

「え、えっと………やったことないからわかんねぇけど多分無理だ。これは音エネルギーを熱エネルギーや運動エネルギーに変換してるだけだから………」

 

「…………つまり、どういうことよ?」

 

「食べ物や魔道書には変換できません」

 

「なんだ、つまんないの。だったらあらゆるものに変換する程度の能力じゃなくないか?」

 

う…………、俺も今思った

 

「正しくは"音を変換する程度の能力"、ね」

 

……………俺の能力名が改名された瞬間だった

 

「…………それよりもだ!俺のこの能力で音を浮力に変換すれば…………ほら!」

 

俺の体が地面から浮く

 

できた!俺は自分の力で飛んでいる!

 

「あら良かったじゃない。なんでもっと早くに気付かなかったのよ」

 

「わからん!」

 

「まあ何より、空飛べて良かったじゃないか。これで弾幕ごっこもできるな!」

 

弾幕ごっこ?

 

「なんだそれ?」

 

「ああ、知らないんだったな。弾幕ごっこってのはな「ちょっと待ちなさい魔理沙」なんだ?霊夢」

 

「説明長くなっちゃうでしょ。弥生は長い説明の時は寝るから意味ないわよ」

 

………お、おぉう。なんか短期間で俺のことをわかってらっしゃる

 

「なにぃ?…………ん〜、じゃあ簡単に言うとだな。自分の力で弾を作って相手にぶつけて勝敗を決めるんだ。他にも必殺技的なものでスペルカードってのがある」

 

ふむふむ、成る程

 

「弾とそのスペルカードってのを駆使して戦えばいんだな?飛びながら」

 

「そ、飛びながら。まあ百聞は一見に如かず、習うより慣れろ、だ。弾幕ごっこしようぜ!」

 

「おっしゃこい!」

 

「あ、これスペルカードの素ね。自機は2、枚数は4、あんたできたら戦いの中でスペルを作りなさい」

 

…………結構キツくね?

 

 

 

 

 

 

という感じだ。そして冒頭に戻る

 

「ほらほら、休む暇は与えないぜ!魔符【ミルキーウェイ】!!」

 

魔理沙から星型の弾幕が迫ってくる

 

ってまさか!あれがスペルカード!?

 

「ちょ、待っ、おわっとぉ!!初心者にいきなり必殺技を使うのはどうなのさ魔理沙!」

 

「そんなもん気にしたら負けだぜ!」

 

負けなのか………!?てか今思ったけど、どうなのさ魔理沙、って結構語呂良くない?

 

「………なんか失礼なこと考えてるな、そんな奴はこうだ!彗星【ブレイジングスター】!!」

 

はっ!?一気に二枚目!?あいつ手加減する気がねぇ!

 

魔理沙が物凄い勢いで突進するのをなんとか紙一重で避ける

 

「っ!!直接攻撃もありなのかよ!」

 

あんなの当たったら死ぬぞ……!

 

「ああそうだ、言い忘れてたがスペルカードを全部使い切った時に相手の自機を削り切れなかったら負けだからな」

 

「それをスペルブレイクって言うのよ」

 

…………成る程、あと二回魔理沙のスペルカードを避ければいいんだな

 

「ま、お前は弾幕撃ってこないし、これ以上スペカを使う必要はないな」

 

くそぅ、どうしろってんだ!

 

…………取り敢えず、先ずは

 

「撃ちゃあいいんだろ!オララララララララァァァァァ!!」

 

拳から打ち出すように弾幕を撃つ。初めてやるけど、なかなかうまくいくもんだな

 

「へっ、そんな範囲の狭い弾幕を避けるなんて容易いぜ!」

 

だが全部避けられた。まあ俺の全方30度くらいの範囲だったからな、避けられて当然か

 

だけど大体わかったぜ。あとはスペルカードだけなんだが…………

 

「………スペルカードって、どうやって作んの?」

 

「余所見してる場合かよ!」

 

「ぐふぉっ!(ピチューン!」

 

魔理沙の弾幕が俺の脇腹へと被弾した

 

………マジ痛え、なんだこれ

 

「つ〜、痛すぎんだろこれ!」

 

「弾幕はパワーだからな!なに、死にはしない」

 

死にはしないって死ぬ寸前まではいくってことじゃね!?

 

「スペカの素に自分の力を込めてみなさい、スペカができるはずよ」

 

なにっ!マジか、アドバイスありがとう霊夢!

 

「そうとわかりゃあ、早速!」

 

俺はスペルカード作りに集中を始める

 

「何かされる前に終わらせるぜ!」

 

させまいと魔理沙はとても避けきれないような弾幕を撃ってくるが………もう遅い!

 

「できた!行くぜ………音壁【バリアミュージック】!」

 

名前を叫ぶと共に俺の周りにバリアが展開される

 

そして魔理沙の弾幕を全て防いだ

 

「おお!今の弾幕を防ぐとはな。少し本気を出してやるぜ!」

 

「え?本気じゃなかったわけ!?」

 

これ以上は流石にヤバイんですけど!

 

「初心者に本気出す程私は鬼じゃない」

 

「初っ端からスペルカード使ってきた奴が言うセリフじゃねぇ………」

 

「気にしたら負けだ!」

 

そう言って弾幕を撃ってくる魔理沙。弾幕の数が半端じゃないほど増えている、少し本気を出すってのは嘘じゃなかったんだな

 

……………しかしまずい

 

「だぁぁぁぁ!こんなもん避けきれるかよ!!二枚目行くぜ、炎音【バーンミュージック】!!」

 

誰かが言った!避けれないなら相殺すればいいじゃないと!!

 

俺のスペルカードによって俺の体は炎を纏う。放つ弾幕も炎に変わっていた

 

弾幕が魔理沙のに当たると、それを呑み込み膨らんで爆発する。なんとか全部相殺できた

 

「げっ、そんなのありなのかよ!?」

 

「知らん!だが、下がガラ空きだぜ魔理沙ぁ!!」

 

下から最大スピードの弾幕を繰り出す

 

フハハハハ!かたじけのうござる!

 

「はぁ!?いつの間に、おわぁぁ!?(ピチューン!」

 

いよっし!これで魔理沙の自機は後一つ、これでイーブンだぜ

 

「くっ、なかなかやるじゃないか。初心者とは思えないぜ」

 

「お褒めの言葉どうもありがとう。この勝負、俺の勝ちで終わらせていただきたい!」

 

「…………願望か?」

 

「願望だ、行くぞ魔理沙!」

 

最初のようにラッシュで弾幕を撃ち込む。けど範囲はさっきよりも広い、俺は学習するんだぜ?

 

「甘い甘い!私を捉えるにはまだ少し足りないぜ!」

 

くっ、綺麗に全部避けやがって…………

 

「そろそろ終わりにするぜ弥生!」

 

そう言って魔理沙は八角形の何かを取り出す

 

「恋符【マスタースパーク】!!」

 

その八角形からビームが出てきた

 

「なっ!?ちょ…………くそぉ!風音【ストームミュージック】!!」

 

俺の体が風を纏う。そして拳に風を巻き付け、ビーム状にして放った

 

っ、これじゃあ威力がたんねえ…………だったらもう一本増やせばいい!!

 

「ぶっ飛べええええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

「オラアアアアアアァァァァァァァァァ!!!」

 

二つの力がぶつかり合う。ヤバイ、本数増やしても押し切られそうだ

 

暫く均衡状態が続いた。…………だけど、次の瞬間

 

「あっ、やべえ………もう無理……………アッーーーーー!!(ピチューン!」

 

………………俺の限界がきてしまった

 

こうして、魔理沙との俺、人生初の弾幕ごっこは幕を閉じた

 

 

 




スペカ説明

音壁【バリアミュージック】
自分の周りにバリアを展開、弾幕を全て防ぐ

炎音【バーンミュージック】
体が炎を纏い、弾幕も炎に変わる。撃った弾幕は弾幕や物に触れると周りを呑み込みながら爆発する

風音【ストームミュージック】
体が風を纏い、撃ち出す弾幕が直線状のビームみたいな弾幕になる。ようするにマスパの風バージョン

感想待ってま〜す




目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

シャンハーイ!by上海

「………………」

 

「……………少しやり過ぎたか」

 

私は今、気絶している弥生の面倒を見ていた。何故そうなったのかと言うと………谷よりも深い訳があったんだぜ

 

……………まあ、弾幕ごっこで私のマスパが直撃したからなんだが

 

「しかし、なかなかやるよなこいつ。やっぱり男ってのは強いのかね?」

 

はっきり言うと弥生は初心者にしては強かった。弥生のスペカは初見だった、ってのもあるけどな。だってバリアとか、爆発とか、あんなもん反則じゃないか?

 

そんなことを考えてると、ふと弥生の手元に目線が行った

 

「……………これ、アイポッド……って言ったか?」

 

確かこれで音楽を聴ける、とか言ってたな。音楽に興味があるわけじゃないが、これにはとても興味がある

 

「少しくらいいいよな」

 

私はアイポッドに手を伸ばし、弥生の手元からアイポッドを取ろうとした

 

暇潰しにはちょうどいいだろ

 

「ん、あれ………こいつ、しっかりと握ってやがる」

 

弥生はとてもガッチリとアイポッドを握っていた。ホントに気絶してんのか?ってくらいガッチリ握ってるぜ

 

憎たらしげに弥生の顔を睨み付けてみるが、相変わらず気絶したまんまだ

 

「…………zzz」

 

違う、こいつ寝てやがるぜ

 

「ったく、呑気な奴だぜ」

 

まあ気絶しててもしっかり握ってる程大切な物なんだろうな

 

「暇だし、弥生の顔で遊ぶとするか」

 

…………何をしてやろうか?

 

まずは手始めに頬っぺを突ついてみるか

 

ぷに………

 

おおう!?柔らかいぜ、こいつホントに男か?

 

女が羨ましがる肌してるぜこいつ…………何食ったらこんなになれるんだ?起きたら聞いてみるか

 

「それに、よく見てみればこいつ顔は悪くないよな」

 

まあだからと言って性格が悪いわけじゃないんだが、なんていうか、子供っぽい?って感じだな。人里行く前とか、結構密着してたけど気にしてる感じしなかったからな…………あれ?気にしてたの私だけか?なんかイラつく………

 

ぷに………ぷにぷに………

 

……………ちょっと楽しくなってきたぜ

 

ぐりぐり………

 

「ん………」

 

おっと、起きちまったか?

 

「ふぁ………よく寝たぜ(キリッ」

 

…………なんでキメ顔作ったんだよ。少しかっこいいと思ったじゃねえか

 

「……フンッ!」

 

なんか今の自分の思考に急に恥ずかしくなったから、取り敢えず弥生を殴った

 

「タコスッ!……………何すんだ魔理沙!!」

 

「ちょっとお前のキメ顔にイラついただけだぜ!」

 

それとタコスッ!っていう悲鳴は狙いすぎだと思うぜ?

 

「いやイラついたって、理不尽にも程があるだろ。……………あれ、てかなんで俺気絶してたわけ?弾幕ごっこ、どっちが勝ったっけ?」

 

若干記憶が飛んでるな………

 

「弾幕ごっこは私の勝ちだ。弥生は私のマスパをくらって気絶してたんだぜ」

 

私がそう言うと弥生は少しだけ何か考えるような仕草をした

 

「……………あぁ」

 

思い出したのか、苦笑いを浮かべる

 

「態々私が看病してやったんだ。こんな美少女に看病されるなんて普通は無いぜ?感謝しろよ」

 

「そうなのか、ありがとな魔理沙」

 

「え?あ、あぁ」

 

純粋にお礼言われるとは思わなかったぜ。反応に困る

 

「ところで霊夢はどうしたんだ?」

 

「ああ、霊夢は人里に買い物に行ってるぜ」

 

宴会の肴や酒を買いに行ってるんだろ

 

「ふ〜ん、そっか。じゃあ霊夢が帰ってくるまで何する?俺としては弾幕ごっこで魔理沙に勝ちたいね」

 

「へっ、まだまだ私に勝つには修行が足りないぜ」

 

流石に今日弾幕ごっこを始めた奴に負けるような私じゃないぜ!

 

「ふっ、俺はまだ1枚スペカを残している。この意味がわかるか?」

 

「いや、それ私も同じ状況だぞ。ていうかスペカの総数なら4枚以上あるしな」

 

得意気に言った弥生に言い返してやる

 

「なん………だと?」

 

ビックリする弥生の顔が面白いぜw

 

「んで、どうする?弾幕ごっこやるか?」

 

「いや、辞めとくぜ。体力残しとかないと宴会がキツイからな」

 

ここでやる宴会は予想以上に疲れるんだよな………宴会中はそんなことないんだが

 

「そんなに疲れるのか?宴会って。来るとしても、俺の知ってるので言えば俺達以外では………ゆかりんと慧音くらいじゃないか?」

 

「おいおい、そんな少人数じゃ宴会って言わないぜ。集まってくるんだよ、何処からともなく宴会の気配を感じ取った妖怪達がな」

 

そりゃもう、沢山来るんだぜ

 

「え、妖怪達?魔理沙達は妖怪達にも知り合いがいるんだな」

 

ん?………そうか、知らないんだったな

 

「紫と慧音も妖怪だぜ?もっとも慧音は半妖だけどな」

 

「えぇ!?マジか…………妖怪だったんか」

 

「他にも吸血鬼に幽霊、蓬莱人や鬼達も来たりするぜ」

 

「へぇ、楽しそうだな。なあ、なんで吸血鬼とか、幽霊とかと知り合うことになったんだ?良かったら聞かせてくれよ」

 

「いいぜ、寝るなよ?」

 

「寝ない寝ない」

 

「ホントかぁ?……まあいいか、知り合ったきっかけってのが異変なんだよな」

 

「異変?」

 

「そ、異変………」

 

私は弥生にこれまで起こってきた異変の話を始めた

 

 

 

 

 

 

 

俺は魔理沙の話を黙って聞いていた

 

しかし、こりゃあ驚いたぜ………。まさか魔理沙と霊夢が幻想郷で起こった異変を解決してきたヒーローだったとは………

 

幻想郷を覆う紅い霧、終わらない冬、偽物の月、神様がここを乗っ取りに来たり異常気象やら怨霊の出没etc...

 

「ま、これが今まで起こった異変だが………その中で会った妖怪やその異変の首謀者とは異変解決の後に宴会をやるって決まりなんだぜ」

 

「敵なのにか?」

 

「なに、別に異変を起こす奴ら全員が本気で幻想郷を乗っ取ろうとか思ってるわけじゃないさ。ただの暇潰しだったり、誰かの為だったりする。理由はそれぞれだぜ」

 

誰かの為に異変をねぇ………

 

「それに異変解決は私と霊夢だけじゃない。他の奴等の力を借りたりしたのさ」

 

「へぇ、いつか俺もその中に混ざってみたいもんだ」

 

「それじゃあ、次に異変が起きた時には頼りにしてるぜ」

 

「おう、任せろ!」

 

俺もヒーロー達の仲間入りってことだな!

 

「ただいま〜、弥生起きてる?」

 

お、霊夢が帰ってきたようだな

 

俺は魔理沙と部屋から出て霊夢の居る場所へ向かう

 

「起きてるぜ…………沢山買ったんだな。そんなに沢山来るのか?」

 

確かに沢山来るとは聞いたけど、これは流石に買いすぎだろ、何袋持ってんだ。気絶してなけりゃ着いて行ったのによ

 

「まあね、慧音に会ったわ。多分妹紅から永遠亭を筆頭に大分広がってるわよ。良かったわね、歓迎してくれる人数が増えて」

 

「そっか、そりゃ嬉しいぜ」

 

「おお、いい酒買ってきたじゃないか霊夢!」

 

「ええ、酒屋のおじさんがオマケでくれたの」

 

………………酒?

 

「はぁ………おいおい、ゆかりんの野郎。何も未成年に酒を買いに行かせるこたぁないだろうが………」

 

きちんと言っておかねばならんな

 

「何言ってんだ。酒くらい飲むぜ?私達は」

 

「はぁ!?未成年は酒飲んだら駄目なんだぞ!?」

 

「ここは幻想郷よ、そんなの関係無いわ」

 

え、えぇ〜……………こいつら大丈夫かよ

 

「なんだ弥生。酒が飲めないなんて言わねえよな?」

 

「飲めないに決まってんだろうが。俺は未成年だ」

 

「……………まあ、宴会の時になったら無理矢理にでも飲ませてやるぜ!」

 

「心から遠慮するぜ!」

 

「逃げても無駄よ。私達全員で飲ませにかかるわ」

 

くっ………俺に味方はいないのか!?

 

「…………そろそろ宴会の準備始めなきゃ。弥生手伝ってちょうだい、あんたの歓迎会といえども働いてもらうわよ」

 

「はぁ…………了解。料理作ればいいのか?」

 

「そうね、よろしく頼むわ」

 

「わかった。魔理沙はまだ座ってていいけど、料理ができたら運んでくれよ。くれぐれも摘み食いはしないように」

 

「それくらいわかってるぜ!摘み食いをしなけりゃいんだろ」

 

「だからと言ってどか食いも駄目よ」

 

「ちぇ………」

 

おいおい…………頼むぜ魔理沙

 

 

 

 

 

 

そして時は過ぎて夜に

 

「………………よしっ、霊夢〜これで最後でいいよな?」

 

俺達の前には沢山の料理が並べられている。魔理沙がどっか行ってしまったが、あいつどこに行ったんだ?

 

「まあまだ不安はあるけど、十分かしらね」

 

これでまだ不安って、どんだけ来るんだよ…………

 

「おーい、早速来たぜ!」

 

魔理沙が鳥居で大声を出してる

 

「魔理沙ー、どこ行ってたんだ?」

 

「ああ、ちょっと知り合いを連れにな」

 

魔理沙がそう言うと後ろから少しウェーブのかかった金髪の女の子が現れた。赤いカチューシャをしている

 

…………なんかお人形さんみたいだな。なんていうか、可愛らしい?そしてその子の側に浮いている物体

 

「………………人形?」

 

『シャンハーイ!』

 

うおっ、喋った。シャンハーイ!ってのは挨拶なのか?取り敢えず挨拶されたのなら返すべきか………

 

「シャ、シャンハーイ」

 

「「ぶふっ!」」

 

…………二人に笑われた。何これ、めっさ恥ずかしい

 

「…………んんっ、あ〜、俺は要 弥生、英雄に憧れるごく普通の学生だ。よろしく」

 

「ふふ、私はアリス・マーガトロイド、アリスでいいわ。この子は上海」

 

『シャンハーイ!』

 

「くくっ、ほら弥生。シャンハーイって言ってるぜ?返さなくていいのか?シャンハーイって」

 

ぐぬぬ、こいつ此処ぞとばかりに弄りよって

 

「上海の鳴き声を挨拶だと思う人は初めて見たわ。貴方面白いわね」

 

「私決めたぜ、これから弥生との挨拶はシャンハーイ!にするぜ………ぶはっ!」

 

「上等だてめぇ!弾幕ごっこの借り返してやるから今すぐ構えろぉ!!」

 

「お、やるか?いいぜ来いよ!」

 

てめぇは俺の弾幕が裁く!!

 

「やめなさい、後がめんどくさいから。封印するわよ?」

 

……………む、霊夢。やめるから封印だけはやめてください

 

「こんばんは霊夢」

 

「ええこんばんはアリス。あなたが一番乗りよ」

 

軽く挨拶を交わす二人

 

「あら、じゃあ私達は二番乗りね」

 

「来たよ霊夢ー!こんばんはー」

 

鳥居の方から声が聞こえる

 

振り向いてみるとそこには銀髪のナイトキャップを被った少女……というより幼女だな。と、同じくナイトキャップを被った金髪の幼女、左側の髪を括ってる

 

その後ろには銀髪メイドと紫色の服を着た寝間着少女。なんか濃いな

 

「こんばんはフラン、レミリアも、珍しく早いじゃない」

 

「博麗神社に住む物好きな人間を見に来たのよ。…………へぇ、貴方が」

 

銀髪幼女が近寄ってきて俺を見上げる。近くで見ると余計ちっさい

 

見下ろすのもあれなので俺は目線を同じにするためしゃがんだ

 

「俺は要 弥生、英雄に憧れるごく普通の学生だぜ。よろしくな嬢ちゃん」

 

そして頭を撫でる

 

ジャキンッ!

 

「うおっ!?」

 

だがその瞬間ナイフが俺の目の前あった

 

 

 

 

 

 

 




なんか中途半端なとこで終わったなぁ………

感想待ってます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

………歯を食いしばりなさいbyアリス

 

「…………こりゃあ、どういうことだ?メイドさん」

 

こんちゃっす、弥生だ

 

俺は銀髪の嬢ちゃんの頭を撫でた瞬間目の前にナイフを突き立てられたんだが………全く見えなかった

 

「お嬢様に気安く触らないでいただけますか。その首が胴体とおさらばしますよ?」

 

「へ、へぇ………そうなんだ。それは遠慮願いたいな」

 

満面の笑みで答えたぜこのメイド。何この人恐い

 

「やめなさい咲夜」

 

「ですがお嬢様「やめなさい」……………はい」

 

嬢ちゃんに止められて渋々とナイフを戻すメイドさん

 

「そうだよ、駄目だよ咲夜」

 

金髪の嬢ちゃんもメイドさんに注意しt「殺しちゃったら弾幕ごっこできないじゃん!」違う!自分の遊びの為だ!?

 

「紹介が送れたわね。私はレミリア・スカーレット、そっちは妹のフラン」

 

「フランだよ。よろしくねお兄さん!」

 

元気良く挨拶してくれるフラン。なんだ、良い子じゃないか

 

「そしてメイドの咲夜」

 

「…………十六夜 咲夜《いざよい さくや》です」

 

嬢ちゃんの紹介で一礼する咲夜さん。挨拶はちゃんとしてくれんだね

 

「親友のパチュリーよ」

 

「パチュリー・ノーレッジよ」

 

……………なんか、眠たそうですね。服装的に

 

「私達は吸血鬼なんだよ!」

 

「吸血鬼?…………あ、今更だけど背中に羽がある」

 

ぜ、全然気付かんかった…………。フランの後ろが綺麗に光ってたけどなんかの演出かと思ってた……

 

「それじゃあ、宴会の時に席が合えばお話をしましょ。行くわよ」

 

「じゃあねお兄さん!」

 

レミリア達はそう言って中に入って行った

 

「いやぁ、大変だったな弥生」

 

「そう思うんなら助けに入って欲しかったなぁ?魔理沙さんや」

 

こいつ、ずっと傍観してやがって!霊夢は先に中入ってるし!

 

「ごめんなさいね。レミリアが止めるだろうと思ったから」

 

アリスが少し申し訳なさそうに謝る。やっぱね、こういうところ魔理沙と違うね

 

「…………そういう事ならまあ」

 

「なんだよ〜、私の時と対応が違うぜ?」

 

「日頃の行いの差かな」

 

「お前が私の何を知ってるんだ!?」

 

何をって……………性格とかかな

 

『シャンハーイ』

 

ん?上海、どうした?

 

「もしかして心配してくれてる?…………ありがとな」

 

『シャンハーイ!』

 

……………うん、可愛い。何かに目覚めてしまいそうだ

 

「あら、上海に気に入られたのね」

 

マジか、………………ふむ、気に入られたのか

 

「俺も上海の事気に入ったから嫁にくれ、アリス」

 

「あげるわけないでしょ。冗談はやめなさい」

 

「デスヨネー………ん?」

 

待てよ、アリスは上海の持ち主。ということは……

 

「アリス、嫁に来てくれ」

 

「は、はあぁぁぁ!?バ、バカじゃないの!?き、急にそそそ、そんなこと……」

 

怒られた…………まあ冗談だから大丈夫だ

 

「はは、冗d「弥生?」どうした魔理沙」

 

「ちょっとお話をしようZE☆」

 

え?どしたの魔理沙。顔恐えよ、後ろにサタンがいるよ!

 

「な、何怒ってんだよ魔理沙!じょ、冗談ですって!ホント、出来心だったんです!」

 

「……………本当だな?」

 

「本当っす!マジです、マジです!マジと書いて本気です!」

 

「今本気って言ったか?」

 

やっべぇぇぇぇ!!しくった!マジと書いて真剣って言っとくんだった!!…………こっちも駄目じゃねえか!

 

ちょ、胸倉掴むな!八角形のやつ構えんな!!助けてアリスゥゥゥ!

 

「いや、私達はまだ出会ったばかりだし、そういうのはちゃんと順序良く行った方が…………(ブツブツ」

 

なんかブツブツ言ってる!?

 

「いや、違うって!本気ってのはそういう本気じゃなくて、マジってのは漢字で書くと本気だなぁ〜って、そういうことだって!」

 

「つまり?」

 

「さっきのは冗談です!!」

 

一瞬、その場が静寂に包まれた………

 

「そっか、ならいいぜ」

 

俺の胸倉から手が離される。その後魔理沙は神社の中へ入って行った

 

……………た、助かった……のか?

 

てかなんで魔理沙は怒ってたんだよ。まさかあれか?アリスは私の嫁、的な展開だったりしたのか!?…………マズイことをしたかもしれない

 

ガシッ

 

………ん?誰かが俺の肩を、ってアリスしかいないよな

 

「どうしたアリ…………ス………」

 

俺はアリスの顔を見て固まってしまった

 

そこには、笑顔のアリスがいた

 

ただの笑顔だったら良かったんだ、ただその笑顔は………

 

「…………………(ニコリ」

 

「…………(ガタガタガタガタガタガタ」

 

…………真っ黒な笑顔だった

 

「あ、あのぉ………アリスさん?」

 

あ、やばい、震えが止まらない…………

 

「………………魔理沙さんとアリスさんはお付き合いをなされてるんですか?」

 

「………歯を食いしばりなさい」

 

「冗談です!!口が滑っただけです!!」

 

「何か言い残すことはあるかしら?」

 

やべえ!人形で周りを囲まれた!?アリスは人形を使って戦うのか!

 

「……………てへっ☆「戦操【ドールズウォー】!」アッーーーー!!(ピチューン!」

 

そして俺はてへっ☆という遺言を残し、生涯を終えた……………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな遺言嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

認められるかぁぁ!!なんだてへっ☆って!あれか?なんかしくったのか!?しくっておちゃめアピールしててへっ☆ってか!?気持ち悪いわ!

 

「……………あれ、死んでない」

 

「殺すわけないでしょ?」

 

ア、アリス…………!?

 

「すいませんでした!!」

 

土下座しかない!土下座しかっ!

 

「ちょ、やめてよ。皆の前で恥ずかしい」

 

…………ん?皆の前で?

 

俺は顔を上げ周りを見渡す

 

周りには沢山の人………人?が俺を囲んで見てる

 

…………てか、あれ?俺こっちに来てから気絶しまくりじゃね?一日とちょっとの間にどれだけ気絶してんだよ

 

パシャッ

 

眩しっ、あん?フラッシュ?

 

「これはいい写真を入手しましたよ〜!題材は『外来人、人形使いに土下座ッ!?二人の知られざる関係』…………ってとこですかね」

 

フラッシュの主は黒髪ショートの女の子だった。片手のメモに何やら書き込んでいる

 

「いや、ちょい待て。てめえ誰だ、んでもって今の写真からどんな関係を捏造したんだ!?」

 

「あやや、これは失礼致しました。清く、正しい、射命丸 文《しゃめいまる あや》です!あ、これ私が書いてる文々。新聞です、是非購読していただけたらと」

 

「あ、こりゃどうも」

 

へぇ、幻想郷にも新聞はあるんだねぇ

 

「やめときなさい。そいつの記事全部嘘っぱちだから」

 

「お、霊夢」

 

「そんなことないですよ!私h「大丈夫だ。秋になったら焼き芋に使えるだろ?」ちょっとぉ!?」

 

まあそう騒ぐな

 

「そうだ、紹介が遅れたな。俺は要 弥生、英雄に憧れる普通の学生だぜ」

 

「ふむふむ………英雄に憧れる普通の学生、と。あの、これから少し取材したいんがよろしいですか?」

 

「さっきの写真と変な題材を記事にしないんならな」

 

あんなもん出されてたまるか

 

「むむむ…………わかりました。しょうがありません」

 

「おし、話がわかる奴は嫌いじゃないぜ。質問なら答えれるやつは答えてやるよ!」

 

「それでは!弥生さんへの質問をざっと50問程させてもらいましょうか!」

 

「えぇ!?」

 

「答えてくれるんですよね?」

 

くっ、こいつ……なんて悪どい笑みを浮かべてるんだ

 

「しゃあねえな。答えれるやつだけだぞ」

 

そして俺は文から出される質問を答えるのだった

 

 

 





…………ネタが、ネタがない


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

はーじまーるよー(棒)by弥生

「それでは!弥生さんへの質問をざっと50問程!」

 

「…………はぁ」

 

俺の質問タイム、はーじまーるよー(棒)

 

 

 

 

Q1.貴方のお名前はなんですか?

 

「え、言ったじゃん。要 弥生だよ」

 

Q2.何歳ですか?

 

「17歳になるな」

 

Q3.身長と体重は?

 

「身長が175cm、体重は最近測ってないからわからない」

 

Q4.能力を持ってますか?持ってたら教えてください

 

「"音を変換する程度の能力"だ」

 

Q5.どうして幻想郷へ?

 

「ゆかりんに無理矢理連れて来られた。まあ、今となっては気にしてないけど」

 

Q6.霊夢さんや魔理沙さん。アリスさんとの関係はなんですか?

 

「質問の内容が一気に変わったな………三人とは友達だよ。あ、でも博麗神社に住まわせてもらうんだから霊夢とは家主と居候って関係かな」

 

Q7.ではその三人の中で一番好みのタイp(ピチューン!

 

「…………大丈夫か?」

 

Q8.はい、大丈夫です

 

「質問として答えやがった!?」

 

Q9.一番好みのタイプは霊夢さんということでよろしいですね?

 

「よろしくねえよ!?何も答えてないよ!?」

 

Q10.冗談ですよ(笑)

 

「…………(こいつ、ぶん殴りてぇ)」

 

Q11.好きな食べ物なんですか?

 

「また急に変わったな…………。そうだなぁ、高野豆腐かな」

 

Q12.嫌いな食べ物なんですか?

 

「ゴーヤ、あれは苦過ぎる」

 

Q13.好きな人誰ですか?

 

「ナチュラルに来たなお前、ちょっとビックリしたぜ。好きな人はいないよ」

 

Q14.私なんてどうですか?

 

「からかうなよ。冗談はやめときな」

 

Q15.……………なんか、質問の内容が無くなってきました。もう終わっても大丈夫ですかね?

 

「まあ別に俺は構わないけど、50問までまだまだだぞ?」

 

「そんなに質問してほしいんですか?もう、弥生さんは構ってちゃんですねぇ」

 

「………………風音【ストームミュ「わぁぁぁ!!まってください、冗談です!だからスペカを撃とうとしないでください!」わかればいんだよ」

 

「ま、まあある程度情報は集まりました。ご協力ありがとうございました!」

 

「はあ、まあ役に立てたんなら良かったけど。そろそろ宴会に混ざっていい?」

 

俺、腹減ったよ

 

「はい、構いませんよ!私もこれから飲んで騒ごうと思ってます!」

 

「そうかい、飲み過ぎて体調崩すなよ?」

 

「そんなことはまず無いから大丈夫ですよ。……………そうだ!そう言えば弥生さんは今回の主役ですよね」

 

……………あ?主役?

 

「ああ、確かに名目上は俺の歓迎会だっけ?態々来てくれてありがとな」

 

「いえいえ。それよりも主役なら、乾杯の音頭くらいはとらなきゃ駄目なんじゃないですかぁ?」

 

文は二ヤァと笑いながら俺に言ってくる

 

「え、そうなのか?でも皆もう既に好き放題飲んでr「はい皆さんご注目ぅ!!今から弥生さんから皆さんへお話があるようです!」ちょ、待てぇ!!」

 

いきなり何を言い出すんだこいつは!?

 

『なんだぁ?話って』

 

『外来人から話だって』

 

『うわ、あんたわさび付けすぎじゃない?辛くないの?』

 

『だがそれがいい!』

 

……………な、なんだこの状況。皆が………約一名を除く皆が俺を見てる……

 

「ほら、弥生さん」

 

「え?お、おう…………んんっ、あぁ〜………その……」

 

やべえ、何を言えばいいんだ?全然わからん

 

「…………えっと、今日は態々来てくれてありがとう!俺の名前は要 弥生。英雄に憧れる普通の学生だ!名前だけでも覚えて帰ってくれ!……………目一杯騒ぐぞぉぉ!!」

 

『おおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!』

 

俺の掛け声に皆が応えてくれた

 

……………悪い気はしないな。どれ、霊夢達のところにでも行こうかね

 

「弥生!今の挨拶なかなかだったぜ!」

 

後ろから魔理沙がやって来た。その後ろには霊夢とアリスもいる

 

三人とももう酔ってるのか顔がほんのり赤い

 

「おう、魔理沙、霊夢、アリス。今お前らのとこに行こうとしてたんだ」

 

「じゃあ座る?ここら辺の料理はまだ食べてないし」

 

「そうね、そうしましょうか」

 

俺達はすぐ近くに座る

 

「…………それじゃあ、弥生に酒を飲ませるとしましょうか」

 

霊夢が俺が座ると同時にそんなことを言い出しやがった

 

こいつ、まだ覚えてやがったのか!!

 

「………………散開ッ!」

 

「逃がすわけないでしょ?」

 

走り出そうとした俺の腕を霊夢が掴む

 

「さ、観念するんだぜ」

 

魔理沙に空いてる方の腕を掴まれた

 

「お、落ち着けお前ら。未成年はお酒を飲んではいけないと法律で決まってるんだ」

 

「私達はいたって冷静だぜ?冷静に弥生に酒を飲まそうとしてる」

 

「そうよ、それにここは幻想郷なのよ?そんなの関係無いわ」

 

「いや、ちょ…………助けてアリスゥゥゥゥ!!」

 

こうなったらアリスに助けを求めるしかない!

 

俺はアリスに向かって心から叫んだ

 

「………………え?」

 

アリスは一升瓶を持った上海をこっちに向けてスタンバイさせていた

 

……………救いはないのか

 

「さあ、覚悟しなさい」

 

「いや待て、流石に一升瓶は死ぬ。急性アルコール中毒になっちゃうって!」

 

こいつらの手を振り払おうにも払えない。力強すぎだろ!

 

「そうなったら私が介抱してやるから大丈夫だぜ。安心して逝ってこい♪」

 

『シャンハーイ♪』

 

ちょ、ホント待って!マジでやばいから、マジでやばいからぁ!!

 

「もがっ!」

 

……………そして俺は、一升瓶を無理矢理飲まされたのだった

 

 

 

 

 

 

 

「……………起きないわね」

 

「や、やっぱり一升瓶は多すぎたかしら」

 

こんばんは、弥生に三人掛かりで無理矢理酒を飲ませた霊夢よ。今少し反省中

 

「な、なあ……死んだ、なんてことはないよな?」

 

「大丈夫よ。息はあるから」

 

死んでたらこんなに落ち着いてないわよ

 

ていうかこいつ、幻想郷に来てから何回気絶してるのかしら?

 

………しかし、眠るように気絶してるわね。眠ってたりして

 

「あらあら、無理矢理飲ませるからよ」

 

私達が弥生の顔を覗き込んでいると紫が現れた。その後には紫の式である藍がいる

 

「宴会だしふざけるのもいいが、手遅れにならない程度にしろよ?」

 

呆れ顔でそう言う藍に私は少しムッとさて言い返す

 

「しょうがないじゃない。弥生ったら酒は飲まないって言うんだもの、酒飲まなきゃ宴会じゃないわよ」

 

「だからって一升瓶は多すぎだ………」

 

まあ、確かにそれは思うけど………

 

「ん………」

 

「あ、起きたみたいだぜ!」

 

弥生が起きたみたいね。怒ってないかしら?

 

「………………」

 

弥生は体を起こしてボーッとしてる。頭が痛いのかも

 

「弥生君、大丈夫?」

 

「ああ…………霊夢、魔理沙、アリス」

 

「「「は、はい!」」」

 

急に呼ばれて敬語になってしまった。だって声が少し低いんだもの、しょうがないじゃない

 

「まあ、酒は美味かった。ありがとな」

 

そう言って微笑を浮かべる弥生

 

…………あれ?怒ってない?

 

「上海もな」

 

『シャンハーイ♪』

 

上海の頭を撫でている。その姿からは怒ってる気配なんて微塵も感じない

 

……………でも、何かがおかしい

 

「………紫、その人は?」

 

「え?…………ああ、この子は藍。私の式よ」

 

あれ?弥生は紫のことをゆかりんって呼ぶのに今、紫って呼んだわよね……

 

「……………」

 

魔理沙も気付いたようで眉を寄せてる。アリスも少しながら何か違和感があるみたい

 

……………まあ、呼び方が変わることなんて無くはないけど、弥生は絶対に統一すると思うのよね。性格的にも

 

「八雲 藍《やくも らん》だ。よろしく、弥生」

 

「……ああ、よろしく」

 

藍と握手をしている弥生、それを視界の端に入れつつも紫を含めた私達四人はヒソヒソ話をしていた

 

「ねえ、弥生何かおかしくない?」

 

「やっぱり怒ってるのかしら」

 

「紫の事をゆかりんって呼ばずに紫って呼んでたよな」

 

「それに、表情が固くないかしら」

 

弥生の表情は見るからに無表情、藍と握手する時は少し笑ってたけど今は違う

 

「…………少し暑いな。風に当たってくる」

 

そう言って弥生は立ち上がる

 

「おっと……」

 

…………よろけた。転びそうになるのを藍に支えられる

 

「大丈夫か?」

 

「……ん、藍ありがと」

 

私は他の面々と顔を合わせて頷きあう

 

「「「「そうか、酔ってるんだ!」」」」

 

……………とても答えは簡単だった。まあ考えてみればそうよね、あれだけ飲ませたんだから酔わないわけないのよ

 

それにしても、弥生は酔ったら別人みたいに静かになるのね。うるさいと感じたら飲ませようかしら

 

……まあいいわ、まだ夜も長いし私も飲もう

 

私はフラフラと縁側に歩いて行く弥生を見て、魔理沙達と座って酒を飲むのだった

 

 





テストって…………なんであるんだろうね


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

え?…………あ、はいっ!by妖夢

今回は三人称視点


「……………」

 

縁側へフラフラと歩いて来た弥生はそこに座り、空を眺めている

 

宴会の騒ぎの中、吹き抜ける風に心地良さを覚えた

 

トタトタトタトタ

 

「………?」

 

縁側の端から弥生の耳に慌ただしく歩く音が聞こえる

 

「料理が………歩いてる」

 

弥生の目の先には上手い具合に何段にも重ねられた料理の入ってる食器が歩いて来ていた

 

………いや、料理が歩いて来た用に見えたのは弥生が酔ってるからだろう。実際は見えなくなる位積み上げられた料理を運んでいるのだ

 

「………ああ、違った。誰かが運んでるんだな」

 

どうやら気付いたようだ

 

料理を運んでいるのは白髪で黒色の大きいリボンを着けた少女だった。近くに魂みたいなのが浮いている

 

「手伝った方がいいか……」

 

そう思い立ち上がる。そして上から料理を数段取った

 

「あ………。ありがとうございま………す」

 

「……大丈夫。俺が全部持つよ」

 

弥生は少女に持ってる料理を全部渡すように言った

 

「……………どした?」

 

「え?……………あ、はいっ!お願いします」

 

少女は弥生の顔をボーッと見ていたが、話しかけると我に返る

 

「…………ん」

 

料理を全部受け取る弥生。少しよろけたが直ぐに持ち直す

 

「大丈夫ですか?」

 

「大丈夫………。これは何処に?」

 

「あそこまでお願いします」

 

少女は端の方を指差す。そこには全体的に紫色の服を着て、頭に三角巾のようなものが付いた帽子を被っている少女がニコニコと弥生達の方を見て微笑みながら座っていた

 

その少女しかいないのに回りの料理が全て空になっている

 

「妖夢〜、弥生君も早く早く〜」

 

「少しお待ち下さい幽々子様!……お願いできますか?」

 

「……ん」

 

そして料理を運び、並べる。すると幽々子と呼ばれた少女が物凄い勢いで食べだした

 

これはもはや食べるではなく飲むと言えるだろう。その光景に弥生の酔いが少し冷める

 

「すげえ………」

 

「弥生さん」

 

弥生が感嘆していると横から声をかけられた。妖夢だ

 

「ありがとうございました。挨拶が遅れて申し訳ありません、私は魂魄 妖夢《こんぱく ようむ》と言います。そしてあちらが「ふぁいふぉうひふふふぉふぉ」………幽々子様、飲み込んでから喋ってください…………。あちらが西行寺 幽々子《さいぎょうじ ゆゆこ》様です」

 

「ごく…………よろしくね〜」

 

「よろしく」

 

軽く挨拶を交わす

 

「ねぇねぇ弥生君。私弥生君とお話ししてみたいと思ってたのよ〜、紫のお気に入りみたいだし」

 

「そうなのか?…………じゃあお話ししようか」

 

弥生はその場に腰を下ろした

 

「……………」

 

「……………」

 

「……………あのぉ、お話……しないんですか?」

 

目と目を合わせ黙ったままの二人に妖夢は堪らず声をかけた

 

「え?会話してるわよ?」

 

「……え?」

 

「そうだぞ、ちゃんと会話してる」

 

「え?え?」

 

妖夢は見るからに混乱し始めた。確かに会話は行われていない筈なのに当人達は会話をしていると言い張るのだ

 

「………………くっ、ははっ」

 

「ふふふ」

 

そんな妖夢の姿を見て笑い出す二人

 

「ちょ、なんで笑うんですか!?」

 

「くくっ………いや、妖夢はからかうと面白そうだ。現に面白い」

 

「どういうことですかそれ!?」

 

「そうでしょそうでしょ?妖夢の慌てる時の顔とか可愛いわよね〜」

 

「ああ、そうだな。可愛い」

 

「へ!?な、何を言ってるんですか!ていうか初対面なのになんでそんなに息が合ってるんですか!?」

 

「「それが世界の不思議なところ」」

 

「訳がわかりませんよ!」

 

顔を真っ赤にしながらも二人のボケにツッコむ

 

「ははは…………さて、そろそろ俺は縁側に戻ろうかな。酒にでも慣れるとするか」

 

弥生は一本の酒瓶とコップを持って立ち上がった

 

「あ………弥生さん。良かったら今度白玉楼に遊びに来てください。何時でも待ってますから」

 

「ん、わかった。魔理沙にでも案内してもらうよ」

 

「その時はお土産よろしくね〜」

 

「了解」

 

そしてまた縁側へと戻る弥生

 

幽々子と妖夢はその後ろ姿を眺めていた

 

「妖夢〜、見てたよ?料理持ってもらう時、ずっと弥生君の顔見てたわよね…………一目惚れ?」

 

「な、何を言ってるんですか幽々子様!?そんなのじゃありませんよ!」

 

「ねえ〜、どうなの妖夢?」

 

「し、知りません!幽々子様、明日からおやつ抜きにしますよ!!」

 

「ふふ、冗談よ。だからおやつ抜きはやめてね?」

 

「はぁ………もう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「酒の肴には、何が合うんだろう……」

 

幽々子と妖夢と別れ縁側に戻った後、弥生は酒をチビチビと飲みながら考えていた。どれくらい考えていたいたのかは本人でもわからない

 

「なに黄昏ながらくだらないこと考えてんのよ」

 

「………霊夢」

 

隣に霊夢が座る

 

「でもそうね。酒の肴ならあんたは裂きイカくらいが丁度いいんじゃない?」

 

「何故裂きイカ」

 

「なんとなくよ」

 

「………そっか。他の皆は?」

 

「もう全員酔い潰れて寝てるわ。帰った奴もいるけど」

 

弥生がチビチビと飲んでる間に宴会は終了を告げていたようだ。端の方を見ると幽々子と妖夢の姿は無く、既に帰ったのだとわかる

 

後ろには魔理沙達が寝ていた

 

「それじゃあ、片付けに入るのか?」

 

「この量を片付けるの、怠いのよねぇ……」

 

そう言って苦い顔で後ろを見る霊夢

 

「だから、今から二人で二次会といきましょう」

 

「二次会?」

 

「そ、二次会。あんた今回の主役なのに全然宴会に参加してなかったじゃない。だからよ」

 

「一応参加してるつもりだったんだけどな……」

 

「あれじゃ参加してるとは言えないわね。ほら、酒瓶貸して」

 

「……ん」

 

弥生から酒瓶を受け取る霊夢。受け取るとコップについで一口煽る

 

「あんたも飲みなさい」

 

霊夢は弥生のコップにもついだ

 

「ありがと」

 

弥生も一口煽る

 

そして空を見て、呟いた

 

「………なんか、不思議だな」

 

「何が?」

 

「いや、ここに居る俺が不思議だな、って」

 

「なんでよ」

 

「………俺さ、毎日つまらない日々を過ごしてたんだ。……いや、俺はつまらないと感じては無かった。他人から見てつまらない日々、ってことかな」

 

「…………」

 

「学校で部活にも入ってない、生徒会をしてるわけでもない、家に帰って何か特別な事をしてるわけでもない。ただ毎日を無駄に過ごしてるだけ、つまらないだろ?」

 

「……部活や生徒会ってのはよくわらないけど、確かにつまらなさそうね」

 

霊夢のその言葉に弥生は苦笑いを浮かべる

 

「そんな日々ってのはさ、色を失くすんだよ」

 

「色?」

 

「そう、色。人の色を失くしてしまう」

 

弥生は手に持つコップに視線を落とした。その中には透明な酒が入っている

 

「いくら楽しく過ごしているようでも、本当は心の底では満足してないんだ。楽しく過ごしていると勘違いしてるだけ…………」

 

「…………」

 

「人は逃げて、夢に縋る。ああなりたいと思う。…………でもその夢が大きければ大きい程、人の色を奪っていく。だってなれないと思ってしまうから。憧れの自分に」

 

コップの中の酒はユラユラと揺れる。弥生は何かに耐えるように震えていた

 

「…………俺は昔から、ずっと英雄(ヒーロー)に憧れてきた。それは今も変わらない、英雄(ヒーロー)が俺にとってのなりたい俺なんだ」

 

霊夢は黙って弥生を見つめる

 

「でも、俺の住んでいる世界では無理なんだよ。……………だから自分から隠した。英雄に憧れていることを」

 

弥生は辛そうに語った

 

「なれないものになろうとする自分が嫌だったんだ。恥ずかしささえ覚えた。…………すると、だんだん俺の世界から色が消えていった。俺の親友と一緒に」

 

「親友と……一緒に?」

 

「………ああ、小さい頃からずっと一緒だった。でも、ある日事件が起きて………俺を庇ってそいつは死んだ」

 

「…………え?」

 

「あいつといる日々はすげえ楽しかったよ。その時はまだ俺の世界は色を保っていた。……でも、あいつが死んだと自覚すると同時に、俺の世界に色は失くなったんだ」

 

「今は………どうなの?」

 

心にある疑問を霊夢は聞いてみた。弥生は少し微笑んで答える

 

「今は、ちゃんと色があるよ。だって霊夢達に会えたんだから」

 

「…………?どういうことよ」

 

「魔理沙から聞いた。霊夢達は今までに色んな異変を解決してきた英雄なんだ、って。それに最初会って、ここの説明をしてくれた時に俺寝ちゃったよな?その時にお仕置きとして撃った………夢想封印だっけ、あれを見た。俺と同じ不思議な力がこの世界ではある、そう感じたからだ」

 

さっきの辛そうな顔から一変して真剣な顔になる

 

「力のある奴は悪い事を企む奴が中にはいるもんだ。だったらここでそいつらを倒せばいい、霊夢達と同じように。それで英雄に憧れていることを隠すのはやめた」

 

「色は戻ったのね?」

 

「ああ、だから不思議なんだ。俺はもう、色が戻ることは無いと思ってた。そのまま人生を終えてしまうと思ってた」

 

「…………」

 

「でも今は違う。確かに世界に色を宿した俺が、ここにいる。それが不思議で、嬉しくて………」

 

気付くと、頬には涙が流れていた。弥生はそれを拭おうとはしなかった

 

「………ありがとう。皆には、ホント感謝してる」

 

そう言って額に右手を置き、嗚咽を漏らす

 

弥生の世界に戻るはずの無かった色が宿った。それが弥生の中で溜まっていた何かを外へと押し出す

 

なりたい自分になれないという現実を受け止めるのはとても辛く、とても悲しいことだ。それを弥生は今までずっと我慢してきた

 

「ありがとう、霊夢。ホントに………」

 

何度も感謝の言葉を口にする弥生

 

霊夢は弥生の側に寄り、頭を撫でてやる

 

「………感謝してるなら、これからこの神社の為に働きなさいよね」

 

「…………ああ」

 

「………あと、お賽銭もちゃんと入れること」

 

「…………ああ」

 

「あと…………、楽しい日々を過ごしなさい、勘違いじゃなくて、あんたが心から満足できる日々を」

 

「…………ああ」

 

 

 

 

暫くすると弥生は泣き止む。そして弥生の態勢が崩れた

 

「………すぅ………」

 

どうやら眠ってしまったらしい。霊夢は弥生を横にして、頭を膝の上に乗せて撫で続ける

 

「……………魔理沙、聞いてたんでしょ?」

 

霊夢が眠ってるはずの魔理沙に声をかけた。すると魔理沙とアリスが起き上がる

 

「………バレてたか」

 

「一応私も起きてるんだけどね」

 

二人は霊夢と弥生の所まで寄ると腰を下ろす

 

「あら、アリスも起きてたのね」

 

「まあね…………それにしても、意外だったわ」

 

「何がよ?」

 

「霊夢が弥生に言った言葉がだぜ。お前はもっと淡泊に返すと思ったんだが」

 

「あんなこと聞いて淡泊に返すって、私はどれだけ薄情なのよ。喧嘩売ってるなら買うわよ?魔理沙」

 

青筋を立てながら懐から札を出す

 

「弥生が起きるからやめとくぜ」

 

魔理沙は苦笑いしながら答えた

 

「あらいいじゃない、私が代わりに膝枕しておくから二人は弾幕ごっこしてくれば?」

 

「何言ってんのよ。はぁ…………」

 

溜息を吐く霊夢。その後一悶着あったようだが、夜は次第に更けて行った

 

 

 

 




少しシリアスになったかな?

感想待ってます


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

随分と楽しそうな事してるじゃないby霊夢

チュン、チュンチュン

 

「…………ふぁ……起床(キリッ」

 

俺は寝転んだまま目を覚ました

 

今日はちゃんと朝に起きれたぜ。朝日が眩しい

 

まあそれよりも…………

 

「なんで目の前にアリス?」

 

俺の真上にあったのはアリスの寝顔、昨日どうやら泣いた後に眠っちまったらしいが…………そうか、膝枕されてんのか

 

昨日は霊夢の前で泣いちまったな〜、情けねえ。なんで記憶残ってるかなぁ

 

…………起きようかな、でもアリスに膝枕されてるとか役得だしこのまま寝てようかな。こんな可愛い子に膝枕されるのってねえぜ多分

 

というか皆美少女多すぎだって、霊夢や魔理沙もそうだし。咲夜やら妖夢やらレミリアの嬢ちゃんやら幽々子やら、他にも沢山いたし。美少女じゃない子なんていなかったと俺は断言するね!

 

そういや眼鏡の美形もいたな。話はしてないけど

 

「…………ん」

 

お、起きたか?

 

「よっす、おはようアリス。膝枕してもらって悪いな」

 

「…………え?………あ、ああこちらこそごめんなさい。勝手にして」

 

「いや謝らなくていいぜ。完全に役得だし」

 

「そ、そう?」

 

「おう。…………しかし、片付けが大変だなこりゃ」

 

俺は縁側から中へと顔を向けた。机の上には沢山の皿やコップ、床には酒瓶が転がっている

 

朝早く起きて帰ったのか昨日に比べると寝ている奴の数は減っていた

 

「そうね……手伝うわよ?」

 

「ホントか?ありがとな、それじゃあ早速片付けよう」

 

俺は立ち上がって近くの机の皿を重ね、洗い場へと持っていく

 

「……………ん?どしたアリス」

 

次の皿を運ぶ為に戻ってくるとアリスはまだ座ったままの状態だった

 

「へ!?え、ええ……すぐ立ち上がるわ、ちょっと待ってて」

 

そう言って立ち上がろうとするアリスだけど、腰を浮かせる度にビクッとなっている

 

…………まさか

 

「えいっ」

 

「うひゃう!?…………何するのよ!」

 

俺が足をつつくとアリスが声をあげた。やっぱり足が痺れてたんだな

 

「リトライッ」

 

「ひゃあ!?」

 

……………何これ、楽しっ

 

「なあアリス、もっとやっていい?」

 

「駄目に決まってるでしょ!?」

 

ちぇ………まあ、立てれないのならしょうがない

 

「んじゃ、アリスが立てるようになるまで俺一人でやっとくから。大分時間かかりそうだけどな〜(ニヨニヨ」

 

それだけ言ってアリスの頭を撫でてやる

 

涙目で少し顔を赤くしながら俺を睨んでたが撫でてやると少し大人しくなった

 

「あんた……後で覚えてなさいよ」

 

「はいはい」

 

そう言って俺は皿を運び始めた

 

 

 

 

 

 

 

「これで最後だな」

 

弥生が最後のお皿を洗い場へと運んで行く

 

私の足はまだ痺れているまんまだ。こんなことなら膝枕の順番を最後にするんじゃなかったわ……。一晩中正座してたらこうなるのね

 

「お?………まだ足痺れてんのか(ニヤァ」

 

不敵な笑いを浮かべながら私の後ろまで来る弥生

 

……………ま、まさかまた

 

「えいっ」

 

「ひゃうっ!?」

 

足の裏をつつかれて反射的に声をあげてしまう

 

「(お、面白れぇ〜)」

 

弥生は面白がってるようで笑っていた

 

「あ、あんたねぇ!」

 

「はっはっはっ、んじゃ俺は洗い物でもしてくるか」

 

私が何か言う前に洗い場へと行ってしまった

 

……………絶対に仕返ししてやるわ、覚えてなさいよ

 

何をしてやろうかしら?上海と蓬莱でメッタメタにした後に空中飛行でもやらせようかしら

 

「随分と楽しそうな事してるじゃない、それっ」

 

「ひゃっ!?…………霊夢、起きてたの?」

 

「弥生が皿を片付け始めた時くらいから起きてたわよ。随分と楽しそうだったじゃない」

 

…………どこがよ、あんた達が見てて楽しいだけでしょ

 

「起きたのなら弥生を手伝ったら?一人で大変だと思うわよ」

 

「だったらアリスが手伝えばいいじゃない。………あ、足が痺れて動けないんだったわね。ぷっ」

 

「笑うなっ!べ、別にこれくらい大したことないわ」

 

「へぇ、じゃあ立ってごらんなさい」

 

う…………立ってやろうじゃない、上等よ

 

「見てなさいよ」

 

私は腰を浮かせて勢いに任せて立ち上がる

 

「っ!……………」

 

…………あ、足が……

 

「それっ」

 

「ひゃうっ!?……………あ」

 

霊夢にまた足をつつかれてバランスを崩してしまう

 

「え!?ちょ、ちょっと待っ」

 

ドシーン!

 

そのまま霊夢に覆い被さる様に私は倒れた

 

「なんだ、騒がしいぞ?霊夢か魔理沙、起きたなら手伝ってく……れ…………」

 

そこへ弥生が入ってきた。私達の格好を見た瞬間に固まる

 

私達の格好は他から見れば私が霊夢を押し倒している所だった

 

「え……。これは、違「お邪魔しました」ちょっと待って!?」

 

そんな深々とお辞儀をして出て行かないで!!

 

「ちょっと待ってってば!」

 

私は足の痺れても気にせずに弥生を追いかけ肩を掴む

 

「どーしたアリス、落ち着け」

 

「あんたが勘違いしたまんまで落ち着けるわけないでしょうが!あれはただの事故だったのよ!」

 

「そうよ!ただアリスが私を上から押し倒しただけ「あんたは黙ってなさい!」…………別に私はアリスの事をそういう風に見て無いけどどうやらアリスは違ったみた「だから黙ってなさいって!」

 

あぁ〜、もうややこしいわね!

 

「大丈夫、俺はわかってるから。俺は、お前らがどういう関係だろうと…………友達だ」

 

「全然わかってないじゃない!」

 

「魔理沙×アリスかと思ったが、まさか魔理沙×アリス×霊夢だったとはn「ちょっと待つんだぜ!」

 

魔理沙!?

 

「私は普通に男が好きなんだぜ!だから私×アリス×霊夢じゃなくてアリス×霊夢なんだぜ!!」

 

なんでそこでそれを入れて来るのよ!

 

「何言ってんのよ魔理沙。魔理沙×アリスだけでしょ?」

 

「違う!私は普通に男が好きだ!!」

 

「そんな言い争いはどうだっていいのよ!まず魔理沙×私でも私×霊夢でも魔理沙×私×霊夢でもなんでもないの!私はノーマルなの!!」

 

私はできるだけ大声を張り上げた

 

「………………すまん、アリス」

 

ホッ、どうやらわかってくれたようね

 

「少し、からかっただけなんだ」

 

プチッ

 

「……………ふふ、ふふふふふふふふふ」

 

「アリス?」

 

「急に笑い出したんだぜ」

 

「悪霊でも取り憑いたかしら」

 

ふふふふふふふふふ、からかっただけ……ね

 

「………………ねぇ、弥生?」

 

「は、はい……なんでしょう(やべえ、これ怒ってね?)」

 

いやねぇ、何故怯えているのかしら

 

「(怒ってるわね…………頑張って、弥生)」

 

「(お前の尊い犠牲は無駄にはしないぜ)」

 

「(殺生な!?)」

 

「何をこそこそと喋っているの?」

 

「い、いいえぇ!!何も喋っておりませぬよアリス殿!」

 

まあ何でもいいわ…………

 

「上海………蓬莱………」

 

「ちょっと待て、落ち着けアリス。からかった事は謝る、マジで謝るから人形に槍持たせるのはやめてくれ!」

 

「もう………遅い」

 

「助けてくださいお願いします何でもするからぁ!!」

 

………………なんでも?

 

「ホント?」

 

「え?…………あ、ああ!出来る範囲ならなんでもしてやるから!」

 

出来る事なら、なんでも………

 

「…………いいわよ、許してあげる」

 

「マジで?よ、良かったぁ………」

 

「弥生、あんたが今言った事忘れないからね♪…………何してもらおうかしら」

 

今から楽しみになってきたわ♪

 

取り敢えず、私は何をしてもらうか考えるのも踏まえて家に帰る事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあな〜」

 

アリスが上機嫌で帰って行く。俺はとんでもない約束をしてしまったかもしれない

 

「…………洗い物するから、霊夢も手伝ってくれ」

 

「それよりお腹空いたわ。何か作って〜」

 

「私も腹が減ったんだぜ。頼むぜ弥生」

 

後ろでは霊夢と魔理沙が寝転んで足をパタパタさせながら俺に言う

 

はぁ…………こいつら、自由だな。ご飯にわさびでも乗せて出してやろうか

 

「はいはい、それじゃあ少し待ってろよ」

 

俺は二人の頭に手を置いて台所へと向かった

 

 

 

少年料理中………

 

 

 

「できた」

 

朝食が完成したのでお盆に乗せて三人分を運ぶ

 

「材料があまりなかったからご飯と味噌汁な。あと漬け物」

 

「十分よ。いただきます」

 

「いただくぜ!」

 

「いただきます」

 

そして食べ始める。二人が味噌汁を美味いと言ってくれて嬉しかった

 

 

 

 

 

ご飯を食べた後は霊夢に境内の掃除を頼まれ、洗い物を済ませると掃除に向かう

 

やっと終わった所に魔理沙が来た

 

「なあ弥生。魔法の森に茸を採りに行こうぜ」

 

「茸?またなんで。てか魔法の森ってどこだ」

 

「私の住んでる森さ。茸が実験に必要なんだ。見つけた食用の茸はやるからさ、な?」

 

ふむ……、森で採った茸をおかずにすれば食費が浮くな。よし

 

「いいぜ。でもまず霊夢に許可取らないと、お〜い霊夢!」

 

俺は洗濯物を干している霊夢に大声をかけた

 

「なに〜!?」

 

向こうも大声で返ってくる

 

「掃除終わったから魔法の森に茸を採りに行ってくる!」

 

「いいわよ!日が暮れる前に帰ってきなさいね!」

 

許可が降りた

 

「わかった!………行くか、魔理沙!」

 

「ああ!」

 

そう言って魔理沙は箒に跨る。俺もすかさずその後ろに乗った

 

「さあレッツゴー!」

 

「いやちょっと待て」

 

ん?どうした魔理沙

 

「な、なんで私の後ろに乗ってるんだよ」

 

「だって俺まだ魔理沙みたいにスピード出せないし。魔理沙の箒で行った方が速いじゃん」

 

「む〜………しょうがねえな。変なところ触るなよ?」

 

「触らねえよ。てか前にも乗せてってくれたじゃん」

 

何故今更になって言うかね

 

「あの時とは色々と違うんだよ」

 

色々?何が違うか知らんが

 

「取り敢えずレッツゴーだぜ魔理沙!」

 

「はぁ、わかったよ。振り落とされるじゃないぜ!」

 

魔理沙の掛け声と同時に俺達は魔法の森へ向けて飛び立った

 

……………うむ、やはり空からの景色は綺麗だ

 

 

 

 

 

 




霊夢や魔理沙やアリスがマジで可愛いと思ってる今日この頃、僕は家でずっと東方の動画を見ていた

……………明日テストだぜちくせう


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

これで良しby咲夜

「おお〜、ここが魔法の森か。………なんか、空気が悪いな」

 

「慣れればそうでもないぜ。ほら、行くぞ!」

 

「おう!」

 

魔理沙と共に魔法の森に茸狩りに来た俺

 

二人でずんずんと森の中に進み、茸を手当たり次第に収穫していく

 

「これって食えるのか?」

 

俺は傘のでかい白い茸を採る

 

「ん?…………いや、それは残念ながら食えないぜ」

 

残念だ………

 

「じゃあこれは?」

 

次に異様に長い茸を採る

 

「それも食えないぜ」

 

むぅ………何かないかな

 

食える茸を探索する俺

 

「……………ん?」

 

………な、なんだあれ

 

ふと前を見てみると、そこには信じられないくらいデカイ茸があった

 

どれくらいデカイかと言うと、俺の頭四つ分くらいの傘の大きさだ

 

「ま、魔理沙ぁ!!なんか超デカイのあるんだけど!」

 

「なにぃ!?…………おお、デカイ」

 

流石の魔理沙も唖然とする大きさだ

 

「私は一応この森の茸は全て把握してるつもりだったんだけどな……こんな茸見たことないぜ、突然変異か?」

 

「え、マジで?…………どうするよ、採ってみるか?」

 

「そうだな。実験にも使えそうだし、いっちょ採るか!」

 

そう言って茸に近寄る魔理沙

 

魔理沙が触れようとすると茸が震え始めた

 

…………まさか

 

「ストップだ魔理沙!」

 

「…………へ?」

 

俺は魔理沙を止めたが遅かった

 

ボォン!

 

そして茸は爆発し、俺達は胞子に呑み込まれた

 

 

 

 

 

 

「ズズ………ふぅ、やっぱり夏でもお茶は熱いのに限るわ」

 

私は洗濯物を干し終え縁側でお茶を啜っていた

 

今日は弥生が茸を採ってくるだろうし、買い物に行く必要は無いわね

 

ボォン!

 

「……………?何の音かしら、魔法の森からね」

 

まあ魔理沙がマスパでも撃ったんでしょ、気にするだけ無駄ね

 

「少し昼寝でもしよう……」

 

 

 

 

 

 

「霊夢!霊夢!起きろ霊夢!」

 

誰かが私を起こそうとしている。この声は弥生ね

 

「?………ふぁ、何よ」

 

「起きたか霊夢!異変だ、異変が起きた!!」

 

「な、なんですって!?」

 

「その名も、茸異変なんだぜ!」

 

…………………は?

 

「ちょっと待ちなさい魔理沙。何よ茸異変て」

 

「その名の通り、茸異変なんだぜ!」

 

「そんなの山に行けばいくらでもあるじゃない」

 

馬鹿馬鹿しい、なんでそんなに真剣なのよ

 

「何言ってんだよ!これは大変なことなんだ。これは………異変なんだよ!」

 

今度は弥生までもが真剣になってる

 

「…………話してみなさい」

 

「私達は森でデカイ茸を見つけたんだ!その茸に触れた瞬間、爆発したんだぜ!」

 

ああ、あの爆発音はそれだったのね

 

「その爆発で胞子が周りに飛び散ったんだ!」

 

「…………人里とか、そこらへんまで?」

 

「いや、それは無いと思うが」

 

「はぁ?…………で、続きは?」

 

「もしかしたら異変の前兆かもしれない!この幻想郷に巣食う悪が幻想郷征服を目指して動き出したんだ!」

 

……………今の、どうやってそこまで繋がったのよ。色々と飛躍しすぎでしょうが

 

「………………はっ!まさか!?」

 

「どうしたんだぜ弥生!」

 

「この幻想郷の地中深くには物凄いものが埋まっていてそいつ等はそれを手に入れようと企んでいるんじゃないか!?」

 

「な………なんだって!?」

 

「なんでそうなったのよ……」

 

ていうか物凄いものだとかそいつ等だとか曖昧過ぎるのよ

 

「こうしちゃいられねえ!魔理沙、霊夢、俺達でこの異変を解決するんだ!!」

 

「そうだ、私達で解決するんだぜ!!」

 

「いやよ、めんどくさい。異変なんて起こらないわよ」

 

ただ茸が爆発しただけでしょうが

 

「「な………んだ、と」」

 

そこまで驚くこと!?

 

「霊夢、わかってるのか!?異変は起こってからじゃ遅いんだぜ!」

 

「今までも起こってから解決してたじゃないの」

 

ちょ、やめなさい。肩持って揺らすな

 

「今までの異変はそうだったのかもしれねえけど!今回はどうかわからないだろ!?」

 

「だから起きないって言ってるでしょ。異変が起こる前に私が怒るわよ」

 

「そのダジャレはマジでつまらない!」

 

……………ごめん

 

「私達がやらなきゃ誰がやるんだよ!!」

 

「俺達しかいないんだ!…………俺達、だけしか……」

 

「………………」

 

なんだろう……ひじょうにうざい。何よこいつら、私に喧嘩売りに来てるのかしら

 

「こんにちは〜……………どうしたの?」

 

「丁度良い所に来たわね咲夜…………助けてちょうだい」

 

「おお咲夜じゃないか!本当に丁度良いんだぜ、今から異変を解決しに行くぞ!!」

 

「……………はぁ?」

 

「茸異変だ!とんでもない奴らが攻めに来るんだよ!」

 

まだ言ってる………

 

「霊夢………これは?」

 

「こいつらが茸狩りから帰ってきたらこうなってたのよ。話によるとデカイ茸が爆発しただけらしいんだけど…………どこからどう話が飛べばああなるのかしら」

 

「茸…………成る程ね」

 

「何かわかったの?」

 

「ええ、任せて…………ちょっといいかしら二人とも」

 

咲夜の奴、何をするつもりかしら

 

「「なんだ!…………ぐふぉっ!?」」

 

……………え、えぇ〜……気絶させた

 

「これで良し。…………霊夢、ちょっとこの二人借りて行くわね」

 

「え!?…………まあ、いいわよ」

 

「今日中には帰すと思うから。じゃあね」

 

「え、ええ………」

 

……………なんだったのよ。ていうか咲夜は用があって来たんじゃなかったのかしら

 

「まあいいわ、お茶でも飲もう」

 

今日中に帰って来るって言ってたから大丈夫ね

 

 

 

 

 

 

 

「…………結構重いと思ったけど、案外軽いわね」

 

私は時を止め、魔理沙と要さんを担いで紅魔館へと降り立つ

 

………また中国が寝ている。しょうがないわね

 

ヒュッ

 

「ピギャッ!?……………うぅ、非道いですよ咲夜さぁん。せめてナイフは辞めてくださいよ」

 

「じゃあ寝ないことね」

 

「うぅ………」

 

全く、毎回言っても聞かないんだから。馬の耳に念仏とはこういうことね

 

 

 

 

 

「パチュリー様、いらっしゃいますか?」

 

この図書館、いつ来ても暗いわね。紅魔館の中で赤くないのって地下とここくらいじゃないかしら

 

「…………どうしたの咲夜……魔理沙と、要 弥生だったかしら。何?泥棒でもしてるところを捕まえたの?」

 

魔理沙はしても要さんの方は無いと思いますけど……

 

「いえ、どうやらこの二人例の茸の胞子を吸い込んだみたいなんです」

 

「っ!…………それ本当?」

 

「はい」

 

例の茸とは、正式名称『中二茸』(命名:いきなり現れた八雲 紫)。

 

とても大きい茸で触れると胞子を撒き散らしながら爆散。その胞子を吸い込んだ者は思考が変になるという………

 

パチュリー様の実験の中で出来てしまった偶然の産物

 

この茸の胞子をお嬢様が吸い込んでしまって大変だったわ

 

…………パチュリー様は茸の菌を何処かに捨ててきたと言ってたけど、まさか魔法の森に捨ててたなんて

 

「はぁ……こっちに寝かせて。こあ〜、道具持ってきて」

 

私は床に二人を寝かせる。二人とも気絶して…………違う、要さんは寝ている

 

「はい、どうぞパチュリー様」

 

「ありがと」

 

パチュリー様の使い魔である小悪魔が道具を持ってきた

 

…………トンカチ?何故トンカチが入ってるのかしら

 

「まさか例の茸の胞子を魔理沙が吸い込むなんてね。自業自得よ」

 

愚痴を言いながらも治してあげるなんて………これが噂に聞くツンデレというものですね、わかります

 

噂によるとツンデレはツンとデレのギャップが良いのだとか

 

ふむ………

 

『べ、別に咲夜の為を思ってやったわけじゃないんだからね!』

 

ツンのお嬢様…………

 

『さ、咲夜………恐い夢見たから、一緒に寝よ?』

 

デレのお嬢様…………

 

…………いい、これいいわね。とても興味深いわ。そう言えば要さんはつい最近幻想入りしたという話、今度色々と聞いてみましょう

 

「…………これで終わりよ。暫くしたら目を覚ますと思うわ」

 

「ありがとうございます」

 

「ねえ、なんで急にこの二人を連れてきたのかしら?」

 

「あのままだとうるさかったからですね」

 

「…………あぁ、そう」

 

はい、そうです

 

「………………」

 

「………?パチュリー様、どうかしましたか?」

 

何やら要さんをジッと見てますが

 

「実は宴会でね、魔理沙が要は女が羨ましがる肌してるって」

 

「………………ほう」

 

「本当なのかしら?」

 

「試してみますか?」

 

私とパチュリー様は要さんの前にしゃがんで顔を覗き込む

 

「………………行くわよ」

 

「………はい」

 

両側から人差し指を頬の近くまで持って行き突ついてみた

 

プニッ

 

「「っ!?……………」」

 

思わず私とパチュリー様は目を見合わせた

 

そして指を自分の頬に持って行き突つく

 

「「………………orz」」

 

……………何か、女として負けたような気がする

 

そうして取り敢えず私とパチュリー様は要さんとついでに魔理沙が起きるのを待った

 

「(要さんに肌の秘訣を教わらなければ……)」

 

 

 




燃え尽きたぜ、真っ白にな………


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

…………貴方、本読むの?byパチュリー

 

文々。新聞、号外

 

『魔法の森から謎の爆発音!!異変の始まりか?』

 

突如として鳴り響いた爆発音。出処は魔法の森らしく、原因を探ってみることにしました

 

爆発音があった時間帯、魔法の森付近に居た人からのインタビューです

 

Aリス・Mーガトロイドさん

 

あれはすごい音だったわね。家で紅茶を飲んでたら急に鳴ってビックリしたわよ。音の発生原を探しに行こうと思ったけど、何かあったら面倒だしやめたわ。その後はずっと本を読んでいたわね

 

 

 

とのことです

 

Aリスさんは爆発音を直接聞いたが確かめには行かなかったらしいです。あまり情報が得られませんでした

 

 

M近 R之助さん

 

あの爆発音はきっと何かの予兆に違いない。この幻想郷に何かが訪れようとしているのか…………?っ!くっ…………いや、すまない。少し僕の中にいる妖怪が暴れただけなんだ。あいつは隙があれば僕の人格を乗っ取ろうとしてくる。っ!やめろ、出てくるな!ぐぁぁ(ry

 

 

 

キッツイ

 

一体彼はどうしたというんでしょうか。謎は深まるばかりです

 

私は爆発音の謎をもう少しだけ追い掛けてみようと思いました、まる

 

 

 

 

「……………作文?」

 

なんなのこの新聞。爆発音の事が一面にあったから読んでみたけど

 

今日のことなのにもう新聞になったのね。ていうか明らかに胞子吸い込んでたわよね

 

……………まあ、いっか

 

「……………ん、んん〜。起きたぜ(キリッ」

 

あら、要さんが起きたようね。………なんでキメ顔?

 

「おはようございます要さん。ご気分はいかがですか?」

 

「ん?…………っ!(シュバッ!」

 

私を見るなり飛び上がり構える要さん

 

「お、おおおお、俺別に嬢ちゃんに触ったりしてないぞ!」

 

…………ああ、なんだ

 

「そのことなら大丈夫です。私も過剰反応し過ぎました、すみません」

 

「え?あ、あぁ。こちらこそなんかごめん」

 

いえいえ

 

「それで、要さん。唐突ですがお聞きしたいことがあるのですが」

 

「聞きたいこと?っとその前に、俺のことは弥生でいいぜ。さん付けも敬語も無しでいい」

 

「ですが……」

 

男性を名前で呼んだりタメ口で話すってことが無いからわからないのよね

 

「いいじゃん。俺はこの幻想郷の皆とフランクにいきたいと思ってる男だ!幻想郷キターー!!」

 

…………まだ胞子の効果が残ってるのかしら

 

「…………まあ取り敢えず!名前呼びさん付け無し敬語無し!わかった?」

 

「は、はいわかりまし…………わかったわ、弥生」

 

なんだかペースに乗せられるわね

 

「OKOK、それで聞きたいことってなに?」

 

「ええ、ただ弥生は普段、他の人がしてないような事をしてない?」

 

何かしてるはずよね、なんたってあのお肌だもの

 

「してないような事?ん〜……してないな」

 

なん………ですって?

 

「じゃ、じゃあ毎日何かを欠かさず食べてるとか」

 

「ないな」

 

「特別な運動をしてるとか」

 

「ないな」

 

……………嘘、まさか……

 

「先天性だとでも言うの………?」

 

軽く戦慄するわ

 

「え〜っと、どうした?」

 

「…………はぁ」

 

「俺を見て溜息吐かないでくれない?」

 

「貴方の肌が羨ましい、妬ましいわ」

 

どこぞの妬み妖怪になりそう

 

「え、肌?…………そうか?」

 

自分の腕を触ってみて首を傾げる弥生

 

「咲夜の方がいい肌してると思うけどな」

 

そう言いながら弥生は私の頬に触れた

 

…………っ!?

 

「い、いきなり何するの!」

 

「わっ、と。ごめんごめん、嫌がるとは思わなかった」

 

少ししゅんとする弥生

 

「べ、別に嫌というわけじゃないの。ただ、初めてだったから驚いただけで」

 

「なんだ、そうだったのか。良かったぜ」

 

ホッとする。感情の起伏が激しいわね

 

「そうだ、そういえばなんで俺はここにいるんだ?見たところ図書館って感じだけど」

 

「ここは紅魔館の地下にある図書館よ。貴方と魔理沙はちょっとあってね、ここに連れて来たの」

 

「ふーん」

 

どうやら記憶は無いみたい。そういえばお嬢様も記憶を無くしてらしたわね、もし記憶に残ってたらお嬢様のカリスマが失くなることこの上ないわ

 

「魔理沙はまだ眠ってるみたいね」

 

「本当だな。可愛い寝顔してら、頬突ついてやる」

 

そうして、えいっ、と言いながら弥生は魔理沙の頬を突き始める

 

ていうかさっき魔理沙の寝顔を可愛いって言ってたわね、恥ずかしくないのかしら?それともわざと?

 

「あら、起きたのね」

 

「パチュリー様」

 

頬を突ついて楽しんでいる弥生を眺めているとパチュリー様が来た。図書館のどこかで本でも探して持ってきたのね

 

「ん?おお、パチュリー。話すのはこれが初めてだな。俺のことは弥生でいいぜ」

 

「じゃあそう呼ばせてもらうわ」

 

「おう!」

 

パチュリー様は弥生に返事だけすると椅子に座り本を読み出す

 

「なあなあ、何読んでるんだ?」

 

「魔道書よ」

 

「へぇ〜…………なんだこれ、全然読めねえ」

 

「そうでしょうね」

 

弥生の言葉に淡白に返すパチュリー様

 

性格が性格なのでしょうがないのでしょうけど

 

「俺にも読める本ってある?」

 

「…………貴方、本読むの?」

 

あら、興味を示したわね

 

「基本ラノベとかしか読まないけど、俺だって読む時は読むぜ」

 

「へぇ、意外ね。………こあ〜、弥生を案内してあげて」

 

「かしこまりました。さ、こちらですよ弥生さん」

 

「お、ありがとな!………そういえば、宴会来てなかったよな?」

 

「はい、私はパチュリー様に仕える小悪魔と言います。こあと呼ばれています」

 

「そっか、よろしくな!」

 

「はい!」

 

そして弥生は小悪魔に連れられて本棚の向こうへ消えていった

 

それにしても、弥生が本を読むなんて意外だわ。ラノベって何かしら?

 

「パチュリー様、ラノベってなんでしょう?」

 

「ライトノベル。名前は聞いたことあるけど詳しくは知らないわ」

 

パチュリー様でも知らないとなると、弥生に聞くことが増えたわね

 

「ん〜………なんか非道い目にあった気がするぜ」

 

魔理沙が起きた

 

「あら魔理沙、起きたのね。起きたなら今すぐ本を返しなさい」

 

「げっ、パチュリー!なんで私は紅魔館に来てんだ!?」

 

まあ驚くことも無理ないわ、記憶が無いんですもの

 

「弥生もいるわよ。むこうで今読む本を探しt「パチュリー!この本面白そうだ!」あら、いいもの選んだわね。面白いわよそれ」

 

「そうなのか!なあ、借りていい?」

 

「いいわよ、何処かの魔法使いみたいにきちんと返せばね」

 

「何処かの魔法使い?」

 

魔理沙のことね………

 

「魔理沙…………」

 

「や、弥生、そんな目で見るのを辞めるんだぜ!私は私が死ぬまで借りてるだけだ!」

 

「そんなもん盗んでると同じだろうが!今すぐパチュリーに借りてる本を持ってこい!!」

 

「まだ読んでない本があるんだ。返せないぜ」

 

「じゃあ読んだ本だけでも返せよ。盗むなんてやっちゃいけないことなんだからな。盗み、駄目、NG」

 

そんなこと言っても素直に聞くとは思えないけど

 

「だから借りてるだけだって。全部読んだら一気に返すさ」

 

「何時迄も返ってこないからパチュリーは困ってるんだろ?」

 

なんだかだんだん険悪な雰囲気になってきたわ………

 

「よし、こうなったら弾幕ごっこで勝負だ!俺が勝ったら読んだ本だけでも返す、魔理沙が勝ったら本を全部読んでから返す。これでどうだ!」

 

「ちょ、何を勝手に「上等だぜ!弾幕ごっこで私に勝つなんざ百年早いってことを教えてやる!」

 

はぁ………全くもう

 

「二人とも、ここは図書館よ。弾幕ごっこなら外でやってくれるかしら」

 

こんな所でされたらたまったもんじゃない。掃除するのは誰だと思ってるのよ

 

「わかった。………パチュリー、すぐ終わらせてくるぜ!本が返ってくるのを待ってろよ!」

 

「確かにすぐ終わるだろうぜ。私の勝ちでな!」

 

「何おぅ?前回は負けたが今回は絶対勝つ!」

 

「舐めてもらっちゃ困るぜ!これまで数々の強敵と戦ってきたんだ。弥生なんかには絶対負けないぜ!」

 

「「決闘だ!!」」

 

 

 

 




久振りの投稿だ…………

さて、次は弥生と魔理沙だぜぃ。盛り上げていきまっしょい!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

せ〜んろはすっすむ〜よ〜♪ど〜こま〜で〜も〜♪by弥生

 

 

「………………」

 

「………………」

 

よっす、こんちわ弥生だ。俺は今、外に出て魔理沙と向かい合っている

 

「お互いに残機は2、スペカ枚数は4でいいわね?」

 

咲夜が審判してくれるみたいだ。ちなみにパチュリーとこあは室内にいる

 

「OK」

 

「私は別にハンデがあってもいいけどな」

 

なにおぅ?

 

「上等だぜ魔理沙ェ、その幻想ぶち壊す」

 

「事実を言ったまでだぜ」

 

はっ、大口叩いてられるのも今のうちだぜ

 

「それじゃあ、用意はいい?」

 

「私は何時でもいけるぜ!」

 

「ちょっと待った!」

 

やる気のところ悪いが待ってもらおう

 

「なんだ?やっぱりハンデいるか?」

 

「いらねえよ、ただ一つ言いたい」

 

そう、これは結構深刻な問題だ

 

「何かあるの?」

 

「ああ。……………武器が欲しい」

 

「「武器?」」

 

そう、武器

 

「魔理沙だってあの八角形の奴持ってるだろ?霊夢とかあの棒とかさ、俺もあんなのが欲しいわけなのよ」

 

「と言われても………」

 

「まあそこらへんは考えてあるから大丈夫だ。…………ゆかりーーん!!」

 

俺は空に向かってゆかりんの名を叫んだ。届け俺のマイボイス、あの星まで

 

「いや、そんなので紫が出てくるわけ「はぁ〜い♪」出たぁ!?」

 

どうやら俺の声は届いたようだ

 

「ゆかりん、俺武器欲しいんだ。何かない?」

 

「そう、武器ねぇ…………ないわね♪」

 

………orz

 

「あっ!あれでいけるんじゃないかしら、でもあれは………」

 

「なんかあんのか!?あるならそれでいい!」

 

「え、ええ、あるにはあるんだけど…………ていうか貴方はiPodがあるじゃない」

 

iPod?無理無理、どうやって武器にしろってんだよ。イヤホン持って振り回せってか?iPod壊れるじゃん、俺嫌だぜそんなの

 

「う〜ん…………まあ、本人が言ってるんだしいいか。ちょっと待っててね」

 

そう言ってゆかりんはスキマの奥に引っ込んでいった

 

なんだろうなぁ〜、ドキドキワクワクだぜ

 

「お待たせ♪」

 

待つこと数分、ゆかりんが出てきた

 

「待ってました!」

 

「はい、これよ」

 

そしてゆかりんから二つのアメリカンクラッカーが手渡される

 

「………………ん?」

 

「それじゃあね〜」

 

………………ん?アメリカンクラッカー?

 

「…………アメリカンクラッカー?」

 

「「………(コクコク」」

 

「……………」

 

アメリカンクラッカーァァァァァァァァァ!?

 

「え?ちょっと待てよ、え?アメリカンクラッカー?え?」

 

「落ち着きなさい弥生」

 

「ああ、そうかわかった。ゆかりんのことだからこのアメリカンクラッカーには何か仕掛けがあるんだ。きっとそうに違いない、てかそうであってくださいお願いします!!」

 

「現実を見るんだぜ弥生」

 

「やめろォォォ!!現実を見ろとか言うな悲しくなる!てかアメリカンクラッカーってなんだよ!!これで何をしろと?カチカチカチカチ音鳴らせばいいんですかぁぁ!?俺はジョセフじゃねえんだぞ!!」

 

こんなアメリカンクラッカーなんて空へ向かってフライアウェイ!!

 

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン

 

ふぅ、これで世界は救われた………え、アメリカンクラッカー?何それおいしいnズガァ!

 

「ぐふぉ!」

 

な………んだ、と!?アメリカンクラッカーが戻って来た!?

 

てか痛え、後ろ頭がマジ痛え。さながらこれはジョセフ・ジョースターのクラッカーヴォレイのようnドガッ!ぐっふぇ!もう一撃だと!?

 

「おぉう、おうおう…………お?」

 

なんで戻って来たんだ?…………!まさかこれがゆかりんの仕掛け!?

 

「来た!これで勝つるぜ!!」

 

「うぉう!?クラッカーが当たって痛がってると思いきや急に元気になったな」

 

「このアメリカンクラッカーで、俺は勝つ!」

 

高らかに俺は宣言したのだった

 

 

 

 

 

「このアメリカンクラッカーで、俺は勝つ!」

 

そう高らかに宣言する弥生

 

「……………は?」

 

私はそう返さざるをえなかった

 

………弥生って、案外馬鹿なのか?そんな感じは元々していたが……

 

咲夜も同じこと思ってるみたいだな、苦笑いしてるぜ

 

「まあ、なんでもいいぜ。早く始めるとしようか!」

 

「おう!魔理沙、てめぇにクラッカーヴォレイの真髄、見せてやるぜ!」

 

…………あ〜、うん、頑張れ

 

「それじゃあ、この石が地面に落ちたと同時に開始ね」

 

「わかったぜ」

 

私はそう答えて箒に乗り宙に浮く

 

…………ん?

 

「弥生、飛ばなくていいのか?」

 

「おう、多分まだ飛ぶよりこっちの方が動ける」

 

「そうか、…………始めようぜ」

 

咲夜は石を上に放り投げる

 

「……………」

 

「……………」

 

そして、石が地面へ落ちた

 

「恋符【マスタースパーク】!」

 

「風音【ストームミュージック】!」

 

私と弥生は同時にスペカを放った

 

「く…………のぉ…!」

 

「う………らぁ………!」

 

暫く均衡が続いたがどうやらスペカの発動時間が終わったらしく同時に消える

 

「まさか弥生も最初からスペカ使ってくるなんてな。予想外だったぜ」

 

「そうか、以心伝心で何よりだ!」

 

弥生から沢山の弾幕が放たれた。弾幕は中には棒の形をしているものもあり、更に抜け道がなんとも複雑になってる

 

…………へぇ、なかなか考えたじゃないか

 

「だがこの私には効かないぜ!」

 

こんな弾幕抜けるのなんて朝飯前だ!

 

私は弾幕の雨をひょいひょいと避け弥生に弾幕を撃つ

 

「おっと!…………やっぱそう簡単にはいかねえか。少し早えが、二枚目使うぜ!音速【ソニックミュージック】!」

 

弥生が叫ぶ。と同時に私の視界から消えた

 

「っ!?何処だ!?」

 

慌てて弥生を探す……………上か!

 

「遅いぜ魔理沙!!」

 

私が気付いた時には既に弾幕が私の眼前まで迫っていた

 

流石に、これは避けられないぜ

 

「うわぁぁぁ!(ピチューン!」

 

「いよっし!まずは一機!!」

 

くっ、先制されるなんて。不覚だぜ

 

「だが甘い!油断しすぎだぜ弥生!!彗星【ブレイジングスター】!」

 

「なにっ!?ぐはっ!」

 

油断している弥生に向かって突っ込む。私の突撃は弥生の腹に当たり、吹っ飛ばした

 

「これでお互いに一機だな。弥生」

 

「つつつ………。ああ、だが魔理沙。俺はまだこのクラッカーヴォレイを使ってないんだぜ?」

 

「……………」

 

そうだった。あのアメリカンクラッカー、確かに戻って来るのは凄いけど………どう反応すればいいかわからないぜ

 

弥生は手に一つずつアメリカンクラッカーを持つ

 

「せ〜んろはすっすむ〜よ〜♪ど〜こま〜で〜も〜♪」

 

………なんか急に手を上下させながら歌い始めたぜ。あいつ大丈夫か?

 

そして弥生の動きが止まる

 

「…………っ!?」

 

弥生の手にあった、アメリカンクラッカーが…………ない!?

 

「ア、アメリカンクラッカーはどこに行ったんだぜ!?」

 

「わからない?ほんとぉにわからない?」

 

うぐ、腹立つ顔だなあいつ

 

「なんだっていいぜ!いくぜ弥生!!」

 

私は構わず弾幕を放った

 

「こっちも行くぜ!クラッカーヴォレイ!!」

 

弥生が勢い良く腕を振るう。それと同時に弥生の手から何かが放たれ私に向かって来た

 

ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!

 

っ!?あんなとこに隠してたのか!

 

クラッカーは弾幕を放ちながら弾幕の間をすり抜け私に向かって来る

 

「速いっ!?」

 

突然の事で体が反応出来ない。私はクラッカーに当たることを覚悟し、目を瞑った

 

「………………あれ?」

 

衝撃が来ない。なんでだ?

 

「おわぁぁぁぁぁ!!なんでだぁ!?」

 

弥生の叫び声が聞こえる。弥生の方を見てみると………

 

「なんで弾幕と一緒に戻って来てんだyああああぁぁぁぁ!!(ピチューン!」

 

勝手に自滅していた

 

「え、えぇ〜…………」

 

これは……取り敢えず、私の勝ちだな

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ、まさか自滅するなんて」

 

俺達は弾幕ごっこを終えて図書館まで戻って来ていた

 

てかなんで魔理沙の手前まで行ったのに弾幕当たらずに戻ってくるかなぁ……

 

「まあ負けは負けだ。すまんパチュリー、勝てなかった」

 

「大丈夫よ。勝てるだなんて思ってなかったから」

 

…………うぅ、キツイお言葉だぜ

 

「でも………」

 

「………ん?」

 

「私の為にしてくれた事は、嬉しかったわ。………その、ありがとう」

 

パチュリーは顔を赤らめながら、俺にお礼を言ってくれた

 

「……………ああ!」

 

「ま、ということだから。何冊か本を借りてくぜ」

 

む、魔理沙の野郎さらに借りる気か

 

「こら魔理沙、読んでない本があるのにまだ借りるのかよ」

 

「いいじゃないか、それに勝ったのは私だぜ?」

 

ぐぬぬぬ、言い返せない

 

恨めしげに魔理沙を睨む、魔理沙はそんな俺を見て肩を竦めた

 

「でもまあ、やっぱり今回は弥生に免じて借りていかないことにするぜ」

 

……………お?

 

「魔理沙!ようやくわかってくれt「その代わり、弥生に貸し一つな」………ああ、了解です」

 

「…………丸く、収まったのかしら?」

 

「さあ?…………あ、咲夜。そろそろレミィが起きるんじゃないの?」

 

「あら、もうそんな時間ですか」

 

咲夜と一緒に外を見るともう日が傾き始めていた

 

「それじゃあ俺達も帰ろうぜ魔理沙」

 

「そうだな。それじゃあお暇するぜ!じゃあな!」

 

「次来る時は本を返しに来なさいよ」

 

「またね」

 

「さよならー」

 

「おう、またなー!」

 

そうして咲夜とパチュリー、小悪魔に別れを告げて博麗神社に帰った

 

今日はなかなか楽しい日だったぜ。あと思わぬ収穫があったな

 

クラッカーヴォレイ、改良が必要みたいだぜ

 





………やべえ、最近読み専になりつつある……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

今日は遠出するわよby霊夢

 

「おはようだぜ弥生!」

 

「おー、おはようさん魔理沙」

 

俺が境内の掃除をしていると魔理沙が来た

 

「しかし、毎日毎日お前も暇だな」

 

魔理沙は今のとこ毎日神社に来ている

 

俺がここに来てから早一週間。未だに人里と紅魔館以外に行って無いんだが……あれ?ここ数日俺って神社から出てなくね?ニート、俺ってニート?いやいやそんな筈はないと思うよきっと、だって掃除炊事してるじゃん。俺って良い主婦になれる

 

洗濯は自分のだけでOKだ。流石に年頃の女の子の洗濯物を洗うのは抵抗ありますよ、だってこう見えて17歳ですから

 

あぁあと、余った時間で飛ぶ練習とかしてたから大分速く飛べるようになったけどね。弾幕ごっこの練習は………うん、まあ、クラッカーヴォレイが問題とだけ言っとこう

 

「私はお前に会いに来てるんだZE☆」

 

「はっはっはっ!そりゃありがてぇ。ついでに霊夢にも会ってったらどうだ?」

 

ついでってのはちょっと悪かったかな?

 

「(むう、軽く流されたぜ……)そうだな。茶でも出してもらうか」

 

「あんたにとって私はお茶製造機か何かなのかしら?お金取るわよ」

 

霊夢が出てきた。さっきの会話聞かれてた?

 

「よ!霊夢。今日も来たぜ」

 

「タダ飯食らいは帰りなさい。退治するわよ」

 

「私は妖怪かよ!」

 

妖怪タダ飯食らい。うん、いそうな感じする

 

「そうだ弥生。今日は遠出するわよ」

 

「遠出?初めてだな。どうしたんだ?」

 

「ちょっと地底へね。地霊殿へ行くわ」

 

地底?地霊殿…………ってのはあれか、確か異変があった場所だったな。そこに行くってぇと、また異変でもあったのか?

 

「ていうか俺も行くの?」

 

「当たり前よ、呼ばれてるのはあんたなんだから。………というわけで魔理沙。今日はあんたと遊んでる暇無いの」

 

「むぅ………そうなのか。暇が潰せると思ったのに、残念だぜ(弥生ともいれると思ったのに)」

 

てか俺が呼ばれてんのかよ。俺なんかしたかな………そうだ!

 

「だったら魔理沙も行かないか?暇なんだろ」

 

「ホントか!?」

 

お、おぉう、想像以上に食らいついて来たな、どんだけ暇なんだ魔理沙

 

「ちょっと、弥生?」

 

「まあいいじゃねえの、大勢の方が楽しいしよ」

 

「やったぜ!流石弥生、わかってるぅ!」

 

ははは、そうかそんなに嬉しいのか。もう一回言うがどんだけ暇なんだお前は

 

「そうと決まれば出発だ!俺のスピード見してやるぜ!」

 

「へぇ………?魔理沙、最高速度で向かうわよ」

 

「わかったぜ!しっかり着いて来いよ弥生!!」

 

そう言って霊夢と魔理沙は物凄いスピードで飛んでった

 

……………

 

「待ってくれぇぇぇ!置いてかないでぇ!!」

 

調子に乗ってすみませんでした!!

 

 

 

 

 

 

 

 

なんとか霊夢と魔理沙に追いついた俺だったが

………なんだこのでっけぇ穴。地底って言うんだからこの穴を降りて行くんだろうが………

 

「なあ、本当にこっから行くの?」

 

「なんだ、恐いのか?(ニヤニヤ」

 

「ニヤニヤすんな魔理沙。……………少しだけ、恐いかな」

 

だってこんなでけぇ穴の中に飛び込むんだぜ?恐くないわけない。そんなに度胸があるわけじゃないんだよ

 

「しょ、しょうがないわね。………ん」

 

………ん?霊夢が手を差し出してきた

 

「何これ?」

 

「だ、だから、手を繋いであげるって言ってるの!」

 

「はい?」

 

「だ〜か〜r「弥生は霊夢と手を繋ぎたくないんだってよ!だから私が一緒に降りてやるぜ!!(ガシッ!」ちょ、魔理沙!?」

 

…………へ!?

 

魔理沙に手を掴まれいきなり急降下する俺。空がドンドン離れて行く

 

「ちょ、おい!?魔理sあばばばばばば!」

 

く、空気が!口を開いたら空気が俺の口の中hへばばばばばら!?

 

「待ちなさい魔理沙!(ガシッ!」

 

何故俺の手を掴む!?

 

「離しなさい魔理沙!弥生嫌がってるじゃない!」

 

「霊夢が離せよ!」

 

ちょ、痛い!握力強い!…………てか

 

「やめんか貴様らぁ!!」

 

俺は二人の腕を振り払った

 

「わっ!?」

 

「きゃっ!?………何すんのよ!?」

 

「お前らがくだらねぇ争いしてっからだろぉ!?」

 

「それより落ちてるぞ!?飛べ、飛べ!」

 

そうだよ、飛ばなきゃならんのだよ!iPod!

 

…………ふぅ、なんとかなった。そろそろ穴を抜けそうだな

 

「…………ん?なあ霊夢、地底には繁華街があんのか?」

 

向こうに街がある。意外に賑やかだ

 

「ええそうよ、ここは旧地獄。ここの中心に目的の場所、地底殿があるわ」

 

「旧地獄ぅ!?ここって地獄なのか!?」

 

地底=地獄っていうのはどうなの?てか地獄って、俺達死んでねえのに来ちゃったよ!こんな体験生きてたら出来ねえと思ってたぜ

 

「ここからは飛んでると変に目立って鬼に喧嘩売られるから歩いて行きましょう」

 

「ほら、行こうぜ」

 

「お、おう」

 

魔理沙に言われて俺達は旧地獄の中心に向かって歩き出した

 

 

 

 

 

 

「鬼、か?いっぱい居るなぁ」

 

「ここの鬼達は皆、ここに移住してきた奴らなんだぜ」

 

「へぇ〜、そうなのか」

 

しかし、多いなぁ。しかも結構見られてる

 

なんか小声で博麗の巫女だとか人間だとか色々話してるけど、霊夢何したんだよ………

 

「ん?」

 

向こうの方がやけに賑やかだ。なんかあるのかね?

 

気付くと俺はそっちの方に歩いて行っていた

 

「…………弥生?」

 

「はぁ……あいつ、何処行ったんだ?」

 

 

 

 

 

 

「ちょっとごめんよ。通してねー」

 

俺は人混み………いや、鬼混みを掻き分けて進む

 

何があるんだろう。こんだけ賑やかなんだ、きっと面白いことがこの中心で起こっている!何故か今の俺は好奇心を抑えることが出来ない

 

さっきから初めてのことばっかりなんだ。ここ一週間でも初めて、というのは沢山あったがこれはまた格別だ。初めての地底、初めての地獄、初めての鬼。普通に過ごしてるように見えて実は心の中でははしゃいでいた

 

ただ表に出したくないだけだった

霊夢や魔理沙は聞いたところ俺より二つ年下らしい、その二人を差し置いて一人だけ無邪気にはしゃいでるのはなんだかアレだろ?年上なりのプライドってやつさ

 

普段からはプライドなんて気にしないとか思われてそうだけどよ。俺だって人間だ、格好つけたい時だってある

 

………なんだ、この中で何をしている!?俺に見せてくれ!

 

「オラオラ、もっと酒持ってこーい!追い付いてねぇぞ!」

 

声が聞こえる。酒を飲んでるみたいだ

 

「姉御、どんだけ飲むんですか!?いくら飲み比べと言っても限度が……」

 

飲み比べ?鬼が飲み比べをしてんのか、是非見たい!

更に鬼達を掻き分けて最前列へ抜けた

 

「「プハァ!…………やっと抜けた!/まだ足んねえぞ!」」

 

「「……………ん?」」

 

俺の声と誰かの声が重なった。前を見てみると、一本角の金髪ロングの鬼が酒を片手に俺を見ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ったく、あいつ何処に行ったのよ」

 

あいつ一人だったら鬼に喧嘩売られちゃうわ。そうなったら面倒だから早く捜さないと

 

「あの年で迷子になるなんてな。全くしょうがない奴だぜ」

 

全くよ………はぁ、先に地霊殿に行こうかしら

 

「おい、聞いたか?向こうで姉御と人間が喧嘩するってよ!」

 

「マジか!フヒヒ、その人間死んだな」

 

…………なん、ですって?

 

「魔理沙、聞いた?」

 

「ああ、バッチリ聞いたぜ」

 

「……………行くわよ」

 

「おう」

 

あいつ………なに面倒ごと増やしてくれてんのよ!!

 

 

 

 




やっぱ紅魔館の次は地霊殿だよねー(意味不)

感想待ってます!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

あんた………馬鹿だねby勇儀

「どうして………こうなった?」

 

よっす弥生だ。俺は今一本角の金髪ロングのお姉さん、星熊 勇儀《ほしぐま ゆうぎ》と対峙している。何故こうなったと言うとだな、回想に入らねばならんのだが………いや、いらねえか。簡単に話すとだな

 

俺は鬼混みを抜けた。そしたら勇儀と目が合った。地底に人間がいるのは珍しい、喧嘩しようぜ♪ってことである広場に連れて来られたんだ。向こうにでっけぇ屋敷が見える

 

そんで自己紹介して今に至る………と

 

「いや、なんでだよ………」

 

「ん?どうかしたか弥生」

 

「いや、なんで喧嘩しなきゃなんねえの?」

 

「鬼は喧嘩が好きな生き物なんだよ!」

 

「知らねえよ!」

 

「まあそう言うな。なに、殺しはしないよ」

 

えぇ〜……殺しはしないって、じゃあ普通は殺し合いなの?やめろよ、まだ死にたくねえよ。何か、何かねえか、この状況を打破するものが……………はっ!?

 

「…………そうだ。勇儀!」

 

「お?やる気になったかい」

 

「いや、喧嘩ってのは単なる殴り合いかい?」

 

「それ以外何があるってんだい」

 

ふふふ、あるじゃないか。他にも喧嘩の方法がぁ!!

 

「じゃんけんをしようぜ」

 

「はぁ?じゃんけん?」

 

「そう、じゃんけん。おっと、勘違いするなよ?じゃんけんと言ってもただのじゃんけんじゃあない。このじゃんけんは特殊なんだ!」

 

「へぇ………聞くだけ聞いてみようじゃないか」

 

よっし、食いついた!

 

「このじゃんけんは精神攻撃ありだ。心理戦もあり、基本なんでもありのじゃんけんだ。後出し以外はな。そして三回戦勝負だ」

 

「ほう、それで?」

 

「ん?終わり」

 

「終わりかい!?」

 

だってよぉ、正直内容考えるのめんどくせえし?それにこれなら簡単に終わる

 

「それじゃあやろうか」

 

「私はまだ良いとは言ってないんだが……」

 

「やかましい!早くしないか!!」

 

「腹立つ奴だねあんたは!!こんな人間初めてだよ!」

 

「そりゃ良かったねー。んじゃ、俺はグーを出す」

 

出来るだけ穏便に、そして簡潔に終わらせたい

 

「そうかい、じゃあ…………私はあんたがグーを出さなかったらボコボコにする(ペキポキ」

 

……………お?

 

「最初はグー!じゃんけんホイ!」

 

「え!?え、ちょ待っ………ホイ!」

 

俺→グー パー←勇儀

 

「まずは私の勝ちだね」

 

「orz…………」

 

まさか、まさかあんな風に返してくるとは………。いや、 別に期待してたわけじゃないよ?別にバカテスみたいな展開になったら面白いな〜、とか思ってああいうこと言ってくれることを期待してグー出すとか言ったわけじゃないからね?これも全て計算のうちなんだよ、ホントだよ!?

 

「…………ふっ、だがまだ一度!勝機はある!」

 

「フン、その強がり……どこまで続くのかね?」

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

俺と勇儀は向かい合い、威圧を放っているだろう。近くにいる鬼が『こ、これは………なんという気だ!』とか言ってる

 

「ほざけ………勇儀、お前は次にチョキを出そうとしているな?」

 

「なにぃ!?」

 

勇儀の驚きよう、間違い無い。奴はチョキを出すつもりでいた!

 

「ふふふふふ、何故わかったか。知りたいか?知りたいだろうなぁ………だが教えん!!」

 

「なにぃ!?」

 

「貴様は俺の手の上で踊っているのだよぉ!!ふっはははは!」

 

さあ、二回戦へ行こうかぁ!!

 

「さぁいしょはグー!!」

 

「くっ………じゃん、けん……」

 

「「ホイ!!」」

 

俺→グー パー←勇儀

 

「……………orz」

 

「あんた………馬鹿かい?」

 

そ、そんな馬鹿な、確かに俺の読みは完璧だったはずだ!奴はチョキを出すはずだった。何処だ、何処で間違えた?

 

「お前ぇぇぇ!何をしたぁぁぁ!」

 

「(ビクッ)…………いや、普通出す手がバレたら変えるだろ」

 

「なん………だ、と……?」

 

「あんた……馬鹿だね」

 

……………oh、そんな馬鹿な、奴はさっきチョキを出すと言った時に驚いた!だから次もチョキを出す筈だったんだ!だが奴はパーを出した………。確かに奴の言うことは一理ある、いや全理あるかもしれない!だけど………だけど!

 

「普通このノリだったらチョキ出すだろうがぁぁぁぁ!!」

 

「いや、知るかぁ!!そんなものあんたの都合だろうが!」

 

くっ…………よくも、よくも………!

 

よくもよくもよくもよくもよくもよくも!!

 

「よくも俺を騙したなぁ!!」

 

「なんなんだあんたはぁぁぁぁ!!」

 

もう許さないぞ!お前は俺がぶっ倒す!!

 

「さぁいしょはグー!!」

 

「まだやるのかい………。じゃんけん」

 

「「ホイッ!!」」

 

俺→パー パー←勇儀

 

くっ、あいこか!…………ならば!

 

「「あいこでしょっ!」」

 

俺→二分休憩(サムズアップ) グー←勇儀

 

「……………ふぅ、二分休憩だ」

 

「おい、ちょっと待て!!」

 

「なんだよ。耳元で大声出すなよな」

 

耳キーンってなってる。耳キーンって

 

「そんなことより!なんだいそれは!!」

 

「なんだ知らないのか。これはなぁ、二分休憩って意味だ」

 

「いや、じゃんけんにそんな手ないだろうが!」

 

「言ったろ、このじゃんけんは特殊だって。他にも次回に持ち越しとかあるぞ」

 

「…………一応聞いておいてやるが、どんなだい?」

 

「こうだ」

 

俺は拳を握り、小指と親指だけを開いて勇儀に見せた

 

「これぞアニメ、『ディーふらぐ!』のゲーム製作部(仮)のじゃんけんルールだ」

 

「なんだい?それは」

 

わからないなら気にするな。正直言ってこのネタ結構危ないラインだと思うんだよね。あんまりパクりすぎても色々と………ねぇ?

 

まあメメタァなことはいいとして

 

「残り時間。お前の精神を減らさせてもらうぜ!」

 

コオオォォォ…………

 

俺はゆっくりと右手を真上に上げる

 

そして高らかと叫ぶっ!!

 

「チキチキ!"勇儀ちゃんの恥ずかしい昔話(捏造編)"!」

 

『な、なんだってぇぇぇぇ!!?』

 

「はああぁぁぁぁぁ!?」

 

ふっふっふ、驚いているな

 

「説明しよう!"勇儀ちゃんの恥ずかしい昔話(捏造編)"とは、ただ単に捏造した勇儀の昔話を話すだけである!」

 

さぁて、始めよう。楽しい楽しいお話を!

 

「あるところに、それはもう可愛い可愛い鬼の子、星熊 勇儀ちゃんがいました。

 

勇儀ちゃんは元気な子!毎日元気いっぱいにお外で走り回っていました。そこらへんにいる鬼をちぎっては投げ、ちぎっては投げ、すり身にしたりしてました」

 

『お、おい。なんかマジっぽいぞ……』

 

『まだ序盤だ。静かにしてろ』

 

「あたしはすり身になんてしたことない!」

 

まあ捏造だから、そこツッコんだらお終いだぜ

 

「だけどある日、勇儀ちゃんは……………やっぱいいや、話すの面倒くせえ」

 

『え?…………えええぇぇぇぇぇぇ……』

 

「だいたいよぉ、即席でんな話なんて出来るかっての」

 

作者の技量をそんなに上に見ちゃ駄目だよ?作者あれだからね?…………うん、なんだろ。わからないほどアレなんだ

 

あ〜、なんかシラけたな。霊夢達捜しに行こう

 

「そいじゃね〜♪」

 

『……………………』

 

「…………………え、えぇ〜………」

 

さぁ〜て、何処にいるかな〜…………あ、あの屋敷の上から捜したらすぐ見つかるかも!

 

 

 

 

 

 

「どうやらここみたいね…………弥生、どこかしら?」

 

「それもそうだけどさ、なんでコイツら固まってんだ?」

 

「私に聞かれてもわからないわよ。中心に勇儀がいるから勇儀に聞いてみましょ」

 

はぁ………噂で聞いたから来てみたのに、既にいないなんて。ていうかなんで鬼達は固まってるのよ、弥生が何かしたの?

 

「おい勇儀、お〜い?」

 

「………………はっ!あ、あんたは……魔理沙じゃないかい」

 

「要 弥生っていう人間知らない?はぐれたのよ」

 

「(ピクッ)要………弥生?」

 

…………あれ、どうしたのかしら

 

ゴオッ!

 

「「っ!」」

 

勇儀がいきなり妖力を全開にした。額には青筋が浮かんでいる

 

「あいつ…………おちょくるだけおちょくって最後は面倒くさい………?ふ、ふふふふふ、鬼の四天王ともあろう者が随分と舐められたものだねぇ……」

 

「え、と………勇儀?」

 

「ぶっ潰す!!」

 

………ホント、あいつ何したのよ……

 




後悔はしてないよ?ホントだよ?

感想待ってますよ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

逃げろぉぉぉぉぉ!!by魔理沙

「霊夢と魔理沙は何処かな〜」

 

俺は今、でっけぇ屋敷の屋根から霊夢と魔理沙を捜している。ここからの見晴らしはいいねぇ、繁華街の灯りがいい雰囲気を醸し出してる

 

本当ならもっと探索したいとこだったけど、霊夢と魔理沙、心配してるだろうなぁ

 

「♪〜♪♪〜〜〜♪〜」

 

iPodで音楽を流しながらその歌を口ずさむ。曲は『深海シティアンダーグラウンド』

 

地底だしアンダーグラウンドって所が合ってるだろ?

 

「♪〜♪♪〜〜〜♪〜♪〜「………た!」♪〜「ちょ……あ……!」

 

ん?おかしいな、さっきから何か変な音が聞こえる

 

「話を聞けぇ!!」

 

「ぐふぇっ!?」

 

い、いってぇぇぇぇぇ!?

 

「誰だコラァ!いきなり人の頭に拳骨落としやがってぇ!!」

 

「うっさい!あんたが人の家の屋根に上がってるのが悪い!」

 

俺の頭に拳骨を落としたのは赤髪の猫耳少女だった

 

「…………え、この屋敷ってあんたの家なの?」

 

「正しくは私の主、古明地 さとり様のお屋敷だけどね」

 

フンッ、と胸を張って言い張った猫耳少女。似合ってねえぞ

 

「へぇ〜…………そうだ俺さ、友達とハグれちゃったんだよね」

 

「友達?…………見た感じ、あんた人間ね。地上から来たの?何しに?」

 

「いやさ、なんか地底にある地霊殿とかに俺お呼ばれしたらしくてさ。それで友達と一緒に来たんだけど、鬼の飲み比べ見に行ったらハグれちゃってて…………どうした?」

 

ここまでの経緯を話したんだが、猫耳少女は急に顔を驚愕の色に染め出した

 

「まさか、あんたが最近幻想入りしたっていう要 弥生!?」

 

「そうだけど………え、何?俺の知り合い?」

 

「知り合いも何も初対面よ。あたいは火焔猫 燐《かえんびょう りん》。あんた達の出迎えを任せられて、今から行こうとしてたんだけど……その必要無かったみたい」

 

いや、でも霊夢と魔理沙捜して連れて来ないと………「弥生ぃぃぃぃぃ!!」ん?この声は魔理沙か。気の所為か声がとても焦ってるようn「逃げろぉぉぉぉぉぉ!!」逃げろ?何から逃げろってんだ、やれやれ。てか魔理沙何処にいんだ?……後ろか

 

「どうした魔理沙?いきなり逃げろだなんて………」

 

「あたいも逃げた方がいいと思う……」

 

ん?どうした燐まで。なんでそんなに顔が青いんだ。ん?何々?後ろ後ろ?と言っても俺の後ろはさっき向いてた方向なんだけど………

 

「後ろ…………?」

 

取り敢えず後ろを向くことにした

 

「やあ、また会ったね弥生」

 

後ろには勇儀がいた

 

「あれ、勇儀。どうした?」

 

心無しか額にとあるマークが浮かんでるような気がするんだけど

 

「……………(ニコォ」

 

あ、笑った。綺麗な笑顔だな〜

 

………あれ、そういや勇儀ってこの前の宴会来てなかったなぁ、なんでだろ。あ、そういや後から聞いた話だと宴会の情報は文がどっかから拾って来て広めてるって聞いたな。文は地底まで来なかったのかな?

 

まあいいや、取り敢えず笑い返しとくか

 

「(ニコ」

 

「フン!」

 

「ぐぺぇっ!?」

 

俺が笑った瞬間に拳が振り下ろされた

 

い、痛い!なんてことをするんだこいつ!こんな短時間に二発も殴られるとは思っても見なかった!

 

「てんめぇ勇儀!何しやがる!!馬鹿になったらどうすんだ!?」

 

「あんたはもう十分馬鹿だよ!」

 

なんだと!?言うに事欠いて馬鹿だと!?

 

「誰が馬鹿だこんにゃろう!!」

 

「あんたに決まってるじゃないか」

 

なん………だと?

 

「俺は馬鹿じゃない!なあ、そうだろう皆!?」

 

俺は馬鹿じゃないはずだ。勉強だって出来るもん!一人でトイレに行けるもん!

 

「なあ霊夢!?」

 

「……………」

 

め、目を逸らした!?

 

「ま、魔理沙!」

 

「私は、弥生は馬鹿でもいいと思うぜ?」

 

何を照れながら言ってんだ!何処に照れる要素があったんだ!?なんで霊夢はその手があったか………みたいな顔してんの!くそぅ、こうなったら最後の頼みの綱だ!

 

「り、燐!燐は俺は馬鹿じゃないと思ってるよな!?な!?」

 

どうか馬鹿じゃないと言ってくれ、そうであってくれ!

 

「ちょ、近いって、迫ってくるな!馬鹿!」

 

「……………orz」

 

さ、最後の頼みの綱が切れた…………

 

「俺は………俺は、馬鹿だったのか………」

 

なんということだ、俺は今まで馬鹿の子だったのか………。勉強が出来るから馬鹿ってわけじゃないのか、一人でトイレに行けるから馬鹿ってわけじゃないんだな……

 

「あー、弥生?別に馬鹿でも良いわよ。うん、私は馬鹿の弥生で良いと思うわ」

 

…………霊夢

 

「そうだぜ弥生、馬鹿だっていいじゃないか。お前は馬鹿だから良いんだぜ」

 

魔理沙…………

 

「…………はぁ、怒る気も失せちまったよ」

 

……勇儀………

 

「…………へへ、そうか…馬鹿でも良いんだな。俺、わかってなかったよ」

 

「弥生、ほら」

 

魔理沙に差し伸べられた手を取り立ち上がる

 

「ありがとな」

 

「いいってことよ」

 

こうして、俺達の友情はさらに堅いものへとなっていった

 

 

 

「…………なに、これ?」

 

 

 

 

 

 

「さーて、熱い友情物語も一先ず終わりを告げたんでぇ、地霊殿の中に案内してくれよ」

 

「え!?なに!?今の芝居だったの!?」

 

あぁ〜ん?

 

「ばっか、違えよ。俺達の友情は何処までもフォーエバーだよ。何処まで行っても終わりはねえんだよ。俺達は一生友達なんだよ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

そうなんだよ

 

「ほら、行こうぜ。皆も」

 

「一生………友達………」

 

「なんか、心にグサッと……」

 

「あんたら………まさか……」

 

あ?何してんだあいつら

 

「まあいいや、後で来るだろ。行こうぜ燐」

 

「え!?わ、わかった」

 

さーて、地霊殿の主の…………誰だっけ、かは俺になんの用があんのかねぇ

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

無意識だからしょうがないのだ!byこいし

「おっ邪魔しま〜す!」

 

燐に連れられ地霊殿に入った俺は目を見張った

 

感想としてはまず広い!博麗神社より広い。置物とかも高そうな物とか………。探索したいけど置物壊しても駄目だからな……

 

「おい弥生!置いていくなんてひどいじゃないか」

 

あ、魔理沙に霊夢

 

「だって取り込み中みたいだったし。あれ?勇儀は?」

 

「帰ったわよ。お酒が尽きたって」

 

酒が尽きたって………まあいいか

 

「んで、俺を呼んだ燐の主ってのは何処にいるんだ?」

 

「違うよ!呼んだのは私なんだよ!」

 

へぇ〜、そうなんだ。君が呼んだのか

 

「私は古明地 こいし《こめいじ こいし》!よろしくねお兄ちゃん!」

 

「おう、俺は要 弥生だ。よろしくなこいし」

 

この子が俺を呼んだのかー…………ん?

 

「こいし、いつの間に現れた?」

 

「こいし様、無意識を操ったんですか…」

 

無意識を操った?どういうことだ

 

「こいしは"無意識を操る程度の能力"を持っているの。消えたり出たりするから偶に面倒よ」

 

へぇ〜、そうなのか

 

「無意識だからしょうがないのだ!」

 

胸を張って言い張るこいし…………ふむ、背が小さい分全然様になってない

 

「んで?俺を呼んだご用件とは何かな?」

 

こいしの頭に手を置きぐしゃぐしゃと撫で回しながら用件を聞く。後ろで燐が何か言ってるが知らんね。可愛い子は愛でろ、これが俺が幻想郷に来て学んだ素晴らしい格言?だ

 

「わっ!………えへへ…………。あのね、この前の文々。新聞を無意識に見てみたらお兄ちゃんの事が書いてあって、面白そうだからうちに呼んじゃえっ!っていうことで呼んだの」

 

「そうだったのか、ありがとな。………ところでこいし、その胸にある目はなんだ?」

 

なんかかっけえ、第三の目って奴か。気功砲とか撃ったりすんのか。あれ、でもこの目閉じてんな。あれか、まだ覚醒してないとか?

 

「…………ちょっと弥生、いつまで撫でてんのよ」

 

「弥生は幼女趣味でもあるのか?」

 

「うわぁ……」

 

「だぁれが幼女趣味だゴラァ!可愛い女の子を撫でちゃ駄目なのかよ!?」

 

そんなの横暴だ!先入観でものを言うんじゃありません!

 

「ちょっと、騒がしいわよ。お客さんが来たの?」

 

「あ?」

 

「あ、お姉ちゃん!」

 

奥から誰か出てきた。ピンク色の頭にこいしと同じような目を持ってる。もっともこっちは開いてるが。…………誰だ?そういやこいしはここの主の妹だかなんだか……

 

「…………要さんこんにちは、私はこの地霊殿の主、古明地 さとり《こめいじ さとり》です。此度は妹の我儘を聞いてもらい、ここまで足を運んでくださりありがとうございます」

 

お、おぉう、しっかりしてんな

 

「こ、こちらこそ呼んでくれてありがとう。俺は要 弥生だ。弥生でいいぜ、敬語もいらねえよ」

 

流石に主さんの頭を撫で回すのは良くねえか。自重自重

 

「それじゃあ、挨拶も終わったことだしお茶でももらおうぜ」

 

「そうね、早く居間に行きましょう」

 

「…………貴女達を呼んだと妹からは聞いてないのだけど」

 

「こここまでの道のりを弥生が知ってるわけないじゃない。私達は案内兼付き添いよ」

 

「そういうことだぜ!」

 

「…………」

 

あ、あっははは、出来ればそんな、何故連れて来たんですか、みたいな視線はやめてほしいね。皆で居る方が楽しいし、霊夢もさっき言った通り案内兼付き添いだからな

 

「はぁ……、わかりました、居間まで案内します。燐、お茶の用意を」

 

「はい、わかりました!」

 

「悪いな、無理言ってるようで」

 

「いえ、大丈夫ですよ。…………皆で居る方が楽しいんでしょう?」

 

「え?あ、ああ」

 

あれ?俺口に出して言ったっけ?…………はっ、まさか俺にも"無意識を操る程度の能力"が!?

 

「なーに考えてんのよ。ほら、行くわよ(さとりのことは………言わなくてもいいわね。言ったところでどうということも無いでしょうけど)」

 

「へーい」

 

 

 

 

 

 

 

 

「おぉ〜、広い。玄関も広けりゃ居間も広いんだな」

 

それに和風。うむ、趣がありますな

 

「ふふ、いいでしょう?畳」

 

「ああ、畳の上で寝ると気持ち良いよなぁ」

 

「霊夢の家も畳だけどな」

 

博麗神社に来てから毎日畳の上で寝てるからな、何故かぐっすり眠れるんだよなぁ

 

そういやぁ、お婆ちゃん家も畳だったな。毎年長期休みにはお婆ちゃん家に行って、採れたての新鮮な野菜とか食べさせてもらってたんだよな…………もっとも、もうお婆ちゃんはこの世にいないが

 

…………懐かしいな。幻想郷から冥界に行けるんならお婆ちゃんに会えるかな?

 

「弥生、どうしたんだ?座ろうぜ」

 

「お?おう。てかこいしはどうした?」

 

いつの間にかいなくなってやがる

 

「全くあの子は……すいません弥生さん」

 

「別にいいって、てか敬語もいらねえよ」

 

「いえ、一応お客様なので」

 

むぅ、なかなか堅いな。この前こあにも断られたし

 

「お茶入りました」

 

お、お茶が来た

 

「ありがとう、燐」

 

「お茶菓子は?」

 

「相変わらず図々しい……」

 

あ、このお茶うまい。でも熱い

 

「「お兄ちゃ〜ん!」」

 

「どわっふ!?」

 

俺の背中に衝撃が走った。お茶に鼻を突っ込む形になってしまってるので鼻が尋常な無いほど熱い

 

「あっち、あっちち!」

 

「うわっ!湯呑み投げるなよ弥生!」

 

だ、誰だよ急に突進して来た奴ぁ!

 

「お兄ちゃん、お空連れて来たよ」

 

「お、お空?」

 

誰だお空って

 

俺はこいしの横に目をやる、そこには背中にデカイ羽の生えた少女がいた。ていうか俺に乗っかっている

 

「あんたがお空か?」

 

「そうだよ!霊鳥路 空《れいうじ うつほ》、お空って呼んでほしいな」

 

「そうか、要 弥生だ。よろしくな」

 

まあ取り敢えず挨拶を交わしておく

 

「お兄ちゃん、遊ぼうよ!」

 

「おお、いいぞ。何する?鬼ごっこ、かくれんぼ、ドッヂボール、なんでもこい」

 

「うーん…………弾幕ごっこ!」

 

……………えぇ〜

 

「弾幕ごっこはちょっとなぁ」

 

「弾幕ごっこしようよ!」

 

「いや、弾幕ごっこは「いっくよー!」わかった!わかったからここではやめろ!!」

 

こんなとこでやったら屋敷が崩壊するぞ!?

 

「ホント!?じゃあ庭に行こうよ!」

 

「あぁ〜、はいはい。わかったわかった」

 

俺はこいしに連れられるまま庭に出るのだった

 

 

その時のさとりの視線、優しいが、何処か疑いの念が入った視線には気が付かなかった

 

 




もう春休みも終わるなぁ〜…………


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

別に、タイトルコールは本文に出ているキャラの言葉という決まりは無いんですよ?byさとり

「つ、疲れたぁ〜」

 

俺はこいしと弾幕ごっこをした。結果は負け、速攻で負けた

 

マジ疲れた、なんであんなに強いんだよ

 

「…………もしかして、俺が弱いだけなのか?」

 

「何を今更。今のあんたじゃそこらへんの中級妖怪に勝てるかどうかも危ういわよ」

 

げぇ、マジか。でも魔理沙からは一本取ったことあるのになぁ。手加減してたのか?

 

…………もっと強くならないと駄目だな

 

「でも弥生。何かを気にして集中出来てなかったようだったぞ?」

 

「あれは………なんでもねえよ」

 

「…………」

 

「ん?どうしたさとり」

 

さっきからずっとさとりに見られてる。気付いたのは弾幕ごっこの途中からだ。普段なら気にはしないんだが………、どうしても気になることがある

 

さとりの瞳に含まれる感情が、だ

 

何かを疑うような、いや、何かを諦めてる?違うな

…………言い表しにくいんだよな

 

俺は昔からそういう視線には敏感なんだ。周りの視線を気にしなきゃいけない時もあったからな

 

「…………ん?」

 

「?どうかしましたか?」

 

「い、いやなんでもない」

 

「なんだ弥生〜、さとりをそんなに見つめて」

 

「なんでもねえっての」

 

「ふ〜ん、あっそう」

 

さとりが少し驚いたような表情をしたように見えたんだが、気のせい……か?

 

………気のせいか

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

彼、要 弥生さんは結構鋭いみたいね。私の視線に気付いていた。弾幕ごっこの途中も私の視線が気になっているみたいだったし

 

その上、私の視線の意図に気付きつつある

 

「わっと!こいし、乗っかるなよ」

 

「いいじゃん!おんぶしてよ」

 

「あぁ、霊夢!その大福は私が狙っていたやつなんだぜ!」

 

「そんなもん早い者勝ちに決まってるじゃない」

 

「燐〜!私のお煎餅が無くなったぁ〜!」

 

「さっき食べたでしょう!?もう、この子は……」

 

…………まったく、騒がしいことこの上ない。本当はもっと静かな時間が好きなのだけれど………こいしや燐、お空が楽しそうだし良しとしましょうか

 

(何かを疑うような、いや、何かを諦めてる?違うな)

 

…………疑う、か。それで正しいかもしれない

 

「見てろよ?これ戻って来るんだぜ。それっ!」

 

「わー!すごい!」

 

 

私は要 弥生という人間を疑っている

 

別に弥生さん自体を疑っているわけじゃない。私は弥生さんの人間の部分(・・・・・)を疑っている

 

私は覚妖怪。人の心を読む妖怪

人間が、他の妖怪でさえも忌み嫌う妖怪

 

そんな妖怪だと言うことを弥生さんは知って、私を気味悪がらずにいられるだろうか?

 

私は無理だと思う。博麗 霊夢や霧雨 魔理沙は私と普通に接してくれているが、弥生さんはどうかわからない。まず二人のような人間は少ないと私は思う

 

「…………さとり、どうした?(腹でも痛いのかな)」

 

「い、いえ……楽しそうですね」

 

「ああ、楽しいぞ!(とても楽しい。地霊殿に来れて良かった)」

 

「そうですか、良かったです」

 

彼は素直だ。弾幕ごっこの時も慌ててはいたが、彼の心には純粋に楽しんでいる部分があった。楽しいと言うよりも、嬉しい、という感情だったけど

自分に力があることを誇りに思っているようだった

 

…………私も、この能力を誇りに思えたら良いのに

 

「ん〜…………」

 

「な、なんですか?」

 

気付いたら弥生さんに見つめられていた

 

「よし、さとりも遊ぼう(何して遊ぶか……)」

 

そう言って弥生さんは私の手を取った

 

「おぅしお前ら!皆でかくれんぼしよう!(こんな広い屋敷なんだ。隠れる所は沢山あるんだろうぜ!)」

 

「え?え?」

 

「かくれんぼぉ?もう私達も子供じゃないんだぜ?(まあ、してやってもいいけど。率先してやるのは少し恥ずかしいな。てかいいなさとり、弥生と手繋いでるぜ)」

 

ま、魔理沙………そういう問題じゃないでしょう。え?何この状況

 

「良いんじゃない?偶には(かくれんぼか……、あまり人としたことないからちょっと嬉しいわ)」

 

「かくれんぼ!やるやる!」

 

霊夢もこいしも乗り気のようね

 

「さとり様はどうするんですか?」

 

まあ、少しくらいならいいかしら

 

「ええ、やりましょうか」

 

「じゃあ最初の鬼は魔理沙な!」

 

「望むところだぜ!全員すぐに見つけてやるからな!」

 

そして屋敷全てを使ったかくれんぼが始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら見つからないでしょう」

 

私が選んだのは屋敷の隅にある部屋の押入れ。そこに足を組んで座っている。元は物置に使っていた所だから置物等でカモフラージュが出来るから丁度良い

 

「………なんだかんだ言って私も乗り気ね」

 

口元が緩んでいるのがわかる。かくれんぼなどいつ以来だろうか

 

「もーいーかーい!?」

 

魔理沙が数を数え終わったようだ。大声が聞こえる

 

「わわっ!もう来るよ。しゃあない、ここにするか!」

 

それと一緒に弥生さんの声も聞こえた

 

ガラッ

 

押入れのドアが開けられる。そして弥生さんが入ってきた

 

「………あれ、さとり?」

 

「え、えと………早く隠れないと見つかってしまいますよ?」

 

奥まで来た弥生さんが私に気付いたので取り敢えず隠れることを勧める

 

「そうだった!…………失礼してもいいか?」

 

「…………どうぞ」

 

私が言うと弥生さんは素早く中に入る。私は弥生さんが十分座れるスペースを確保するため少し横にズレた

 

「しかし、この屋敷はホントに広いな。迷っちまいそうだったぜ(でも、ここなら魔理沙にも見つかりそうにないな♪)」

 

弥生さんが小声で呟く。これは私に話しかけてきるのだろうか?

 

それにしても子供みたいな人だ。かくれんぼを本気で楽しんでいる。彼の心はドキドキとワクワクという感情で埋め尽くされていた

 

「……………そうだ」

 

呟いた瞬間に彼の心にある疑問が浮かぶ

 

「さとりやこいしってさ、兄弟なんだよな」

 

「……………はい」

 

やめてほしい、その疑問を口に出さないでほしい

 

「じゃあさ………」

 

胸の内が不安で埋め尽くされる。それ以上は心にしまっておいて………!

 

「二人は、なんていう妖怪なんだ?」

 

「っ…………」

 

聞かれてしまった。尋ねられてしまった

下唇を噛み締める。どうしたら良いのだろうか

 

彼を信用して話してみようか?………いいや、私には彼が信じられない。信じるにはまだ彼という存在を知らない

 

ならいっそ嫌われてしまおうか?………いや、彼はこいしの事も嫌うだろう。そうなるとこいしが悲しむ

 

「……………さとり?」

 

不思議そうな顔で私の顔を覗き込む弥生さん。暗くてよく見えないせいか少しだけズレている

 

「…………」

 

彼の、こいしに向ける笑顔が、こいしに向ける優しい目が一変してしまうことが私は恐い

 

「………………なあ、さとり。これはあくまでも俺の予想だ。予想なんだが……」

 

彼が私にそう語りかける

 

「?………っ!」

 

勘の鋭い彼は、もう気付いてしまっていた

 

「さとりとこいしは……心を読む妖怪、覚妖怪なんじゃないか?」

 

「…………何故、わかったんですか」

 

「違和感があったのは地霊殿に来た時、さとり言ったよな?『皆で居る方が楽しいのでしょう?』ってよ」

 

………確かに言った。私が偶にやってしまうミスだ。しかしその後の反応からして気付いていないだろうと思っていたのに………

 

「んで次、弾幕ごっこの途中からずっと俺を見てたろ。その目にはさ、なんか変な感じの感情が混ざっててさ………なんて言えばいいんだろうな、わかんねぇ。……それで、俺がそのこと考えてたらよ、さとり、驚いたような顔したよな。なんでバレたんだ、って感じに」

 

「バレてましたか……」

 

すぐに直したはずなんだけど………、弥生さんには見られてたみたいだ

 

「それで、よ〜く考えてみた。んで、覚妖怪かな………って」

 

「……………そうですか。弥生さん、貴方は本気に鋭いですね……」

 

私は弥生さんの方へ体を向ける

 

「私はこの、第三の目で見た人の心が読めるんです」

 

………もうバレてしまっているんだ。ならば聞こう

 

「心が読めるなんて………私、気味悪いでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「心が読めるなんて………私、気味悪いでしょう?」

 

さとりが俺の方へ体を向け、そう言った

 

暗くてよく見えなかった目はもう慣れてきていて、今ではさとりの表情が見える。さとりは自重気味に笑いながら言っていた

 

第三の目を両手で持ち、胸の前で抱えるさとり

 

「……………」

 

俺は何も言えなかった

 

「やっぱり、気持ち悪いですよね」

 

俺の無言が肯定だととったのか、さとりは俯く。第三の目は俺の方を向いていないので今は心を読んでいないのだろう

 

「気持ち悪いとは………思わない」

 

俺は、そうしっかりとさとりに伝えた

 

「…………嘘です。心の中では、気持ち悪いと思っているんでしょう?」

 

さとりは俺に抱えていた第三の目を向ける。その顔は辛そうで、悲しそうな顔だ

 

どんなに辛くても、見ておきたいのだろう。どんなに悲しくても、知っておきたいのだろう

 

……………俺の、心は

 

「…………わから、ないんだ」

 

「……え?」

 

「わからないんだ」

 

俺は心に思っていることを話す

 

「俺は、ヒーローじゃねえ。ヒーローのように、お前のために何かが出来る様な人間じゃない」

 

ヒーローってのは、誰かのために何かを成し遂げることが出来る人間だ

 

「霊夢や魔理沙と今仲良くやれてるってことは………あいつらは、あいつらなりの答えがあったからだ。それをお前は納得して、二人を信じたからだ」

 

俺は何かをしてやるどころか、俺のせいで親友を見殺しにしてしまった

 

「俺には答えが出せない。俺は、そんなに強く生きてきたわけじゃないからな」

 

俺の人生なんて、あの二人に比べたらちっぽけなもんだろう

 

「……………」

 

「だから、わからないんだ。さとり、俺はお前にどうしてやれば良いのかわからない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

 

わからない、そう言った彼に私は言葉を失った

 

「すまんな、納得出来ねえだろうが無理矢理納得してくれ」

 

無茶苦茶だ。この人は本当に、本心から言っている

 

「そう、ですか」

 

「そうなんです」

 

「………ふふっ」

 

「あ?」

 

「ふふっ、あははははは!」

 

なんだろう、笑いが込み上げてくる

 

「ちょっば、さとり!何笑って……」

 

「い、いやだって……あれ?なんでだろ?……ふふふふ」

 

面白い。彼は面白い

 

わからない?こんな答え初めて聞いた。普通ならば嘘でも気持ち悪く無い、もしくはその逆だろう

 

でも、わからないだなんて。完全に意表を突かれた

 

「お、おい。そんな大声出したら魔理沙に場所がバレるぞ!」

 

「ムグッ!」

 

口を塞がれる。それでも笑いを抑えれない

 

「ふ、ふふふふふ」

 

私はしばらく小さい声で笑い続けていた

 

 

 

 

 

「ふ、ふふ………」

 

さ、さとりのキャラが崩壊し過ぎている!?

 

「ふぁ、ふぁふぉいふぁん(や、弥生さん)」

 

俺が口を抑えているからさとりの声がくぐもる。これは俺の名前を読んでんのか?

 

「な、何かなさとりさんや」

 

さとりの口から手を離す

 

「ありがとう、ございます」

 

満面の笑みでお礼を言われた

 

………え、何この子可愛い

 

「ふぇっ!?」

 

「………あ〜、そういや心読めるんだったな」

 

忘れてたわけじゃないが、まあ読まれても大丈夫だな

 

「取り敢えずなんだ、頭撫でさせろ」

 

「え、えぇっ!?」

 

可愛い子は愛でろ、これはきっとうちの家訓になるだろう。取り敢えずさとりを足の上に乗せて撫でる。変態みたいだが許してほしい、可愛いは正義なんだ、ジャスティスなんだよ

 

………最近俺のキャラがブレてきてるような気がするが気のせいだ

 

「ちょ……や、弥生さん」

 

「静かにしてないと魔理沙に見つかるぞ」

 

「い、いやでも……」

 

そんなに恥ずかしがるなよ〜、余計撫でまくるぞ

 

ああ………、なんだか世界が明るく見えるよ……

 

「ん?明るく見える?」

 

比喩表現じゃなくて本当に明るく見える。あれ?なんでだろ

 

ああわかった、ドアが少し開いてるのか?ここ奥の方だから気付かなかったぜ

 

「なあ、さとり」

 

「………はい」

 

「何故、ドアが開いているんだろうな?」

 

何故だろうなぁ〜、なんでだろ、ポルターガイスト?

 

「成る程、ポルターガイストか」

 

「おいおい、私をあんな騒霊共と一緒にするんじゃないぜ(ニコォ」

 

「…………oh」

 

ドアが開き放たれ魔理沙が現れる

 

「弥生、何をしているの?(ニコォ」

 

霊夢もいた。何故か、何故か二人の笑顔が恐い!てか黒い!

 

「…………あぁ〜、二人とも?俺の気のせいでなけりゃ良いんだが、何か怒ってないか?」

 

「別に怒ってなんかないぜ?たださとりを足の上に乗せて何をしてるんだって聞いてるんだ」

 

「説明、してもらおうかしら?」

 

「ああ、さとりが可愛いかったから愛でてt「フンッ!」ぶげらっ!?」

 

い、いってぇ!ぶん殴りやがった!

 

「お前って奴は………!(私なんか可愛いって言われたことないぞ……!)」

 

「取り敢えず出てきて正座しなさい(全く、弥生は少し遠慮が無さすぎね。見てるとなんだかモヤモヤするし……)」

 

「は、はい………(何故こんなことに……)」

 

「あ、はは………ふぅ(まさか、この二人……)」

 

そして俺は霊夢と魔理沙にとことん説教された

 

 

結局、そのままかくれんぼは中止となった。こいしやお空はとても楽しんでいたが、俺は精神的にヤバイ程疲れる結果となってしまった

 

…………解せん

 

 

 




春休みが終わって初めての投稿だ〜。さあ、こっからどうするかな

ここ最近投稿ペースが亀になってるのが悩みだなぁ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

最近、私の出番が無い………byアリス

「♪〜〜♪♪〜♪〜〜♪♪」

 

「お兄ちゃん、何聴いてるの?」

 

「『ハッピーシンセサイザ』って言う曲だよ。聴くか?」

 

「うん!」

 

「…………あんた達、仲良いわね」

 

よっす、弥生だ。俺は今、地霊殿の縁側でこいしと音楽を聴いてる。横では霊夢がお茶すすっている

 

「♪〜〜♪♪」

 

こいしを膝に乗せて鼻歌を歌う。『ハッピーシンセサイザ』は結構好きな曲だから自然とテンションも高くなるんだ

 

ていうかそもそも何故縁側でこうしているかと言うと、実は今日地霊殿に泊まることが決定した。こいしに「お兄ちゃん、今日泊まっていかない?」と聞かれたところを(霊夢が)即答したってわけだ

 

現在さとりは夕飯の支度中、手伝うと言ったら「お客様にそんなことはさせれません」と言われ断られた。お空は爆睡状態、燐は残りの仕事を片付けるって仕事場にいった。それ以外はすることも無い為こうして縁側に座っている

 

ん?魔理沙はどうしたって?魔理沙はバレずに料理をつまみ食いすることに挑戦するそうだ。はっきり言って無駄だと思う

 

「私にも聴かせなさいよ」

 

「え?ちょ」

 

どうやら霊夢も聴きたいらしい、俺の耳から強引にイヤホンを奪っていった。別に言ってくれれば渡すのに

 

「魔理沙、何をしているの?」

 

「ち、違うんだぜ、ちょっとお手洗いにだなぁ」

 

「お手洗いと台所は別の方角だけど?それに私は心が読めること、知ってるわよね」

 

「だ、だから………アッーーーーー!!(ピチューン!」

 

やれやれ、魔理沙も魔理沙で何してんだか

 

「…………ふぁ」

 

眠くなってきたな。夕飯まで時間は無いだろうけど、少し寝るかな

 

「こいし、ちょっと下りてもらっていいか?」

 

「えぇ〜、なんで?」

 

「寝たいんだ、頼むよ」

 

俺がそう言うと渋りながらも下りた

 

さて、寝ようかな…………

 

俺は縁側に横になる

 

「じゃあ私も寝る!」

 

「ごふっ!」

 

こいしが腹の上に落ちる様に乗ってきた。マジ痛え

 

「こ、こいし………腹が……」

 

「え?なに?」

 

「な、なんでもな………い」

 

こいしのことだから無意識なんだろうが、これはキツイ。俺はぐでぇ、となりそのまま顔を霊夢に向ける

 

「それ、まだ聴きたかったら聴いてていいぞ」

 

「そう、わかったわ」

 

霊夢はそれだけ返してお茶を啜る。それを見て俺はこいしに目をやった。こいしは既に心地良さそうに寝息を立てている

 

呑気な奴め、てか寝るの速え

 

「………弥生」

 

「なんだ?」

 

目を閉じようとした俺に霊夢が声をかける

 

「膝、使いなさい。床だと堅いでしょ」

 

そう言って膝をポンポンと叩いた

 

…………これはあれか?膝枕をしてくれるということか?

 

「………あぁ〜、別に大丈夫だぞ。気にすることない」

 

それに少し恥ずかしい。アリスにしてもらった時なんか役得とか思ったけどあの後結構恥ずかしかったからね?あれだよ、ポーカーフェイス

 

こっちに来る前なんか女子との交流なんざ殆ど無かったんだぞ、毎日人生楽しそうなリア充共に爆発しろとか思い続けてたんだぞ、別段リア充が嫌いなわけでもないのに

 

あ、でも電車の中や静かにしなきゃいけない場所で騒ぐ奴等は大っ嫌いだったな。あと女侍らして調子に乗った奴に喧嘩売られたこともあった。まあ追い返したけど

 

「いいから使えって言ってんのよ……」

 

「え、えぇ〜………」

 

なんでそんな睨むんだよ。恐えよ

 

「…………嫌なの?」

 

今度は悲しそうな顔で聞いてきた。普段の霊夢からは考えられない顔に俺の思考は一度停止する

 

「………はっ!い、いや違えよ!?全然嫌じゃねえよ?もしろ嬉しいし」

 

取り敢えず弁解しておかなくては!いったい霊夢に何が起こったのかはわからんが取り敢えずだ!

 

「そう」

 

霊夢は少し嬉しそうに言った

 

…………ほっ、良かった

 

「それじゃ、はい」

 

再度霊夢が膝を叩く。これはもう、してもらうという道しかないようだ

 

「えと、お邪魔します」

 

「はい、どうぞ」

 

俺は霊夢の膝に頭を乗せる

 

すると霊夢は俺の頭を撫でてきた

 

「…………あの、霊夢さん?何を」

 

「何って、頭撫でてるのよ」

 

いや、知ってるよ。あれか?もしやあなたは俺をペットか何かと勘違いしているのですか?

 

それに心地良いのが地味に悔しい

 

「……………」

 

ヤバイ、これはガチ寝しそうだ

 

「おやす………みzzz」

 

そして俺は眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

「…………ふふ」

 

私は膝の上で寝ている弥生を見て微笑む

 

「いってて、非道い目にあったぜ…………て、あー!」

 

魔理沙がやってきた。私達を見るなに大声を上げる

 

…………ったく

 

「もうちょっと静かにしなさい。弥生とこいしが起きるでしょ、今寝たばかりなんだから」

 

「こいし?…………ああ……。それはすまんが、なんで膝枕してんだよ」

 

「…………ん〜、そうね」

 

なんで膝枕をしてるのかと聞かれると返答に困るわね……

 

「したかったからかな」

 

こう答えるしかないわ。だって本当にしたかったんだもの

 

「む………、まあいいぜ今回は大目に見てやる」

 

「それどういうことよ………。弥生はあんたのじゃないんだから、あんまりそう言う発言は控えなさい」

 

「私は気にしないからいいんだぜ」

 

「あっそう」

 

全く、なんでこいつはこんな恥ずかしいことを軽々しく言えるのかわからないわ

 

「なあ霊夢、それ弥生のiPodだよな。何聴いてるんだ?」

 

「え?これは………えっと、なんだっけ」

 

確かさっき弥生はハッピー………シ、なんたらとか言ってたわね。でもさっきとはもう違う曲に変わったみたいだから………

 

「わからないわ」

 

「なんだそれ………」

 

「何よ」

 

始めてなんだから知ってる方がおかしいでしょ

 

「ただいま帰りましたー」

 

燐の声が聞こえた。どうやら帰ってきたらしい

 

「お帰りなさい。丁度お夕飯もできたし、運ぶの手伝ってもらえる?」

 

「はい、わかりました。お空ー!起きな、お空も手伝って」

 

燐が部屋に入ってきてお空を揺する。こちらをチラ見した時に少し驚いた表情を作った

 

…………解せないわね

 

「んにゃ………あ、燐お帰りー」

 

「ただいま、ほら手伝って」

 

「ふぁ〜い」

 

そして二人で台所に消えていった

 

「もう飯みたいだし、弥生を起こそうぜ」

 

「もうちょっt「弥生起きろー!」「おわわわ!?なんだなんだ!?」………」

 

私の言葉を遮って魔理沙が大声を出す。弥生はそれに驚いてバッ!と起き上がった

 

「ふぎゅ!………いたたた」

 

弥生が起き上がる勢いでこいしが弥生の上から落ちた

 

「あ、大丈夫か?こいし」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

「そうか、すまんな」

 

「いいよー」

 

のほほんと二人で笑い合っている。

 

つい最近気付いたことだが弥生は小さい子には過保護だと思う。この前人里で転んだ子供を必死にあやしてたし、怪我がないか、痛いところはないかしつこく聞いてたし

 

そうこうしてるうちに机の上には豪勢な御菜等が並べられていった

 

…………おいしそうね、泊まってよかったわ

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、頂きましょうか」

 

「「「「「「いただきまーす!」」」」」」

 

全員声と手を合わせ、食べ始める

 

「…………うめえ!」

 

山菜の天ぷらや焼き魚を口に入れ俺はそう叫ぶ

 

この幻想郷に来てから一番うまいと感じる。それが大勢で楽しく食べてるせいか、本当に一番うまいのかはわからないけど、多分どっちもだと思う

 

そして何よりも高野豆腐がマジでうまい、高野豆腐は好きだからよく作るがここまでの味は俺には出せない

 

「ふふ、それは良かったです」

 

俺の隣でさとりも笑っている。今思えば最初はさとりはあまり笑わないクールな子かと思ったが、どうやらそうでもないらしい、逆に結構感情を出す方なのかもしれない

 

「それは本当に信頼出来る人だけですよ」

 

成る程、ということは俺は信頼されてんのかな?嬉しいこと言ってくれるぜ

 

俺もさとりに笑って返す。そしたらさとりは顔が少し赤くなり俯いた

 

…………?よくわからんがまあまだ出会って一日だ。信頼は出来ても慣れはしないんだろうな

 

「弥生の天ぷらもらったぜ!」

 

「あっ、こら魔理沙!返せ俺の天ぷら!」

 

魔理沙が俺の天ぷらを奪い去っていった!こ、この野郎、やるとは思ってたがまさかそれを盗っていくとは………!

 

「へっへーん、余所見してる方が悪いんだぜ!」

 

「くぉの!んじゃあ魔理沙の高野豆腐はもらった!」

 

「させるか!」

 

俺が魔理沙の高野豆腐へと高速で突き出した箸は魔理沙の箸により止められる

 

ギギギギギ……

 

魔理沙の箸と俺の箸が競り合う

 

「くっ………、なかなかやるじゃないか魔理沙」

 

「ふっ、食卓の上も戦場、弾幕ごっこで私に勝てないのに食卓の上で私に勝てると思うなよ!」

 

それはどういう理論かしらんが、ここで引くわけにはいかない!!

 

「ちょ、ちょっと、行儀悪いですよ弥生さん。魔理沙も」

 

止めないでくれさとり、男にはやらねばならん時があるんだ!

 

「…………あんた達、よく人の箸と自分の箸を重ねることが出来るわね」

 

霊夢が少し顔を赤くして言ったその言葉に俺と魔理沙の競り合いは一時中断する

 

「どういうことだぜ?霊夢」

 

「よく考えてみなさいよ、その箸にはもうお互いの唾がついてんのよ」

 

「「…………」」

 

俺と魔理沙は顔を見合わせる

 

「「…………」」

 

そして自分の箸を見る

 

…………ああ、つまりあれか。俺が使ってる箸にはさっきの競り合いで魔理沙の唾がついてしまっていると

 

「は、はわわ、わ、私は別にそんなつもりじゃ無かったんだ!」

 

魔理沙が顔を赤くしながらはわわわ、と何かを弁解している

 

「……………だが俺は気にしない!」

 

俺は魔理沙に隙が出来たのを逃さなかった。魔理沙の高野豆腐を掻っ攫う

 

「あ、ああー!てか気にしないのかよ!?」

 

「ングング、ゴク………別に気にしねえよ。だからなんだっつう話だろ」

 

うん、うまい。勝利の高野豆腐はやっぱうまいぜ

 

「だ、だって、お前………」

 

「友達の箸で弁当食うってのは学校に箸忘れた時によくやってたからな」

 

そして俺は自分が座っていた場所に座り直した

 

「い、いやそういうことじゃ「はいはい、わかったわかった」〜〜〜………」

 

全く、何故そんなに過剰反応するのかわからん。ホントによくあることなのに。女子にも借りたことあるし

 

………あれ、でもなんであの人借してくれたんだろ。困ってる人をほっとけなかったのかな、あの人良い人だったんだ、今気付いた

 

「あんた………、色々とすごいね」

 

燐がそう言ってきた。その目には驚き一色しかない

 

「いやぁ、それほどでも?」

 

「褒めてないよ……」

 

なんだ、褒めてなかったのか

 

「うし、んじゃあ残りの天ぷらを食べ………よ、う?」

 

俺は自分の皿へと目を向ける。そこには天ぷらどころか天カスさえ残っていなかった

 

「………!?え!?え!?」

 

周りをキョロキョロと見回す

 

「ングング………ご馳走様☆」

 

いつの間にかさとりと場所が入れ替わっていたこいしが俺に向かって満面の笑みでそう言った

 

「…………はっ!こ、こいしいつの間に!?」

 

「こいし、無意識を操ったのね……」

 

さっきから静かだと思ったら……!

 

「こ、こいし!そりゃあねえぜ!!」

 

俺の天ぷらがぁ!!

 

俺はorzの形になる。魔理沙と争ってる間に俺の天ぷらはこいしの胃の中へと次々投入されていったらしい

 

「お兄ちゃん………」

 

「………なんだよ」

 

「おいしかったよ☆」

 

「くっそぉぉぉぉぉぉ!!(ダンダン!」

 

こうして、賑やかな食事の時間は過ぎて行った

 

 




食べ物の恨みとは、恐いものである(キリッ


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

プチッ、とプチトマトby魔理沙

「……………んぅ。お、重い……」

 

なんだ、重いぞ。何かが俺の上に乗ってるみたいだ

 

いったい何が…………

 

「zzz……」

 

「こいしかよ」

 

何故に俺の上で寝てるのかは知らんがまあいい、引き続き寝るとしよう

 

おやすみ…………

 

「もう朝よ」

 

できなかった

 

「おはよう霊夢」

 

「おはよう。ところであんた、毎日同じ服着てるわよね」

 

いや、それはお前に言われたくない

 

「水で洗った後iPodで火起こして乾かしてる」

 

「何よそれ、洗濯物干さなくていいじゃない。…………使えるわね」

 

「おい馬鹿、何を考えてる」

 

こいつ、まさか毎日俺に乾かしてもらおうとか思ってるな?そんな乾燥機みたいな真似嫌だぞ!それに使いすぎると疲れるんだぞ!

 

「いいじゃない別に、減るもんじゃないわよ」

 

「明らかに減るんだよ。俺のスタミナが」

 

「ケチー」

 

「ケチじゃない」

 

ったく、何を言ってるんだこの子は

 

「それより、ご飯食べに行きましょ。できてるって」

 

霊夢が早く早く、と急かす

 

「はいはい、こいし起きろー。飯だぞー」

 

「ん………ふぁ〜、おはようお兄ちゃん」

 

まだ眠いのかこいしは目を擦りながら起きる…………うん

 

「取り敢えず可愛いからお兄ちゃんが抱っこして行ってあげよう」

 

「やめんか(ゴスッ」

 

「ぐぺっ!」

 

…………つつつ、霊夢の拳骨が頭に落ちた。なかなか痛い

 

「ん……」

 

「ほら、行こうな」

 

まあ結局抱っこはするけど

 

「……………はぁ」

 

何溜め息吐いてんだ?

 

………あ、ちなみに言っとくと俺はロリコンじゃないからな。可愛いは正義だからだ

 

「あれ、そう言えば魔理沙は?」

 

「まだ寝てるわよ」

 

「なんで起こしてこないんだよ」

 

「まあ、いいじゃない」

 

やれやれ、じゃあついでに起こすか

 

「どこで寝てたっけ?」

 

「あの角曲がってすぐよ」

 

「ん、じゃあ先に行っといてくれ」

 

こいしは…………、このままでいいか

 

「あんた、襲いに行くつもりじゃないでしょうね……」

 

「んなことしねえよ」

 

ちょ、馬鹿やめろその目。そのジト目やめろ。そんな目で俺を見るな!

 

「……………ま、いいわ。早く来なさいよ」

 

「へいへい」

 

 

 

 

 

そして魔理沙が寝てる部屋ー

 

「…………案外寝相良いんだな」

 

魔理沙はしっかりと布団に収まって寝ている。俺の予想だとこう、足やら手やらがはみ出して布団も裏返ってたりとか、そんなのを思ってたんだけどな。人は見かけに寄らないとはこのことか

 

「おい、起きろ魔理沙。飯だ飯」

 

「ん〜………なんですか魅魔様。今日はお休みのはずでしょ……」

 

あ?何言ってんだこいつ。てか魅魔って誰だ

 

……………そうだ(ニヤァ

 

「魔理沙、あの方を始末しなさい」

 

魅魔様ってのは知らねえが、これで十分騙せるだろ

 

「え!?あ、あの方って誰ですか魅魔様。まさか霊夢ですか?」

 

よっしゃ!…………てか間抜けすぎる。なんだよ、あの方って誰だよ

 

「いいですか魔理沙。私はまだ二回の変身を残しているのですよ?」

 

「えぇ!?み、魅魔様変身なんかしたんですか!?」

 

なんだこれ、面白え

 

「そうです。私が最終形態になれば貴女なんて小指でプチッ、ですよ?プチトマトになっちゃいますよ?」

 

さあ、どんな反応が返って来る!?

 

「そうか、ならやってみろって話だぜ(ガシィ!」

 

……………え?

 

不意に魔理沙の手が俺の顔に伸びてきて掴んだ

 

「あ、あのぉ………魔理沙さん?もしかして起きてらしたんで?」

 

「今も今、たった今起きたところだよ。お前のわけのわからない言葉でな」

 

心無しか魔理沙の額に青筋が浮かんでいるような気がする

 

「ったく、人が折角気持ち良く寝てたところになんてことしてるんだ。言っとくが私、低血圧なんだぜ」

 

「……………」

 

低血圧ってことは、怒ってる?やばくね?

 

「それで、用は?」

 

「ご、ご飯です」

 

「そうか…………フンッ!」

 

「みぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!??」

 

そこからの俺の意識は無い。ただ起きた時にさとりと燐が必死に心配してくれた。さとりなんか死んでしまったのかと思った、とか言ってた

 

…………俺、何されたんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあね〜お兄ちゃん達。また来てね」

 

「お元気で、何時でもいらしてくださいね」

 

「ばいば〜い」

 

「またね」

 

こいし達に別れを告げて俺達は地霊殿を跡にした

そして俺達は今、人里の上を飛んでいる

 

空から見る景色はやっぱり綺麗なもんだなぁ………

 

「キョロキョロしてたら前から来る妖精にぶつかるわよ」

 

「へーい………どわぁ!?」

 

「やれやれ、言わんこっちゃないぜ」

 

あ、あっぶねー………。妖精に当たりそうになった

 

……………ん?なんだろう、人里の向こう側に黄色い何かが集まってる場所が見えた

 

「なあ霊夢。あの黄色いのなんだ?花かな」

 

「ああ、あれ?向日葵畑よ」

 

「へぇー、向日葵が咲いてんのか。なあなあ、行ってみないか?」

 

すごく興味がある。行って向日葵を見てみたい

 

俺の住んでた所は若干田舎だった。だけど向日葵は見たことないからな、写真じゃあるけど………実物の向日葵畑ってのを見てみたいもんだぜ

 

「駄目だぜ」

 

「えぇー、なんでだよ」

 

「あそこにはとぉっても強い妖怪がいるんだ。弥生なんか小指でプチッ、プチトマトだぜ」

 

魔理沙は俺ににへっ、と笑って言った

 

「ぐぬぬ………、魔理沙、てめえさっきの仕返しか」

 

「いいや、そんなんじゃないぜ。強い妖怪がいるのは本当さ」

 

「ちぇー…………あ、でも話せばわかってもらえるかもよ。確か強い妖怪って知能もあるんだろ?」

 

そうだよ、話し合えばいいんじゃないか。俺ナイスアイディア

 

「う〜ん………、話してわかってるくれる相手じゃないと思うけど………」

 

「え、何だよそれ………。てか知り合いなのか?」

 

「まあ知り合いって言えば知り合いだぜ」

 

ん〜?なんか釈然としねえなぁ……

 

「取り敢えず今はやめときなさい」

 

「ほら、行くぜ」

 

「…………へーい」

 

納得いかねぇな。その妖怪がどんな妖怪なのかは知らねえが、話せば皆わかってくれると思うんだけどな………

 

俺は向日葵畑に再度目をやって、霊夢達の後を追った

 

 

 

 

 

 

 

「♪〜〜〜♪♪〜」

 

神社に戻ってきた俺は掃除に勤しんでいた

 

一日空けていたからその分掃除しなくちゃいけない。掃除しなくても参拝客は来ないと思うんだけどな………

 

「………向日葵畑、見に行きてえな」

 

さっきから向日葵畑のことが気になってしょうがない。向日葵畑なんて写真でしか見ないんだよな。めっちゃ見てみたい

 

「そうだ、今から見に行こう!」

 

霊夢と魔理沙はあんなこと言ってたがしょうがない。好奇心というものを抑える術を俺は知らない、ということで許してもらおう

 

掃除もだいたい終わったし、いいよな

 

「霊夢と魔理沙には…………ま、言わなくていいか。止められるだろうし」

 

…………ん〜、でも言わないと心配するか。よし

 

「霊夢〜、魔理沙〜、俺ちょっと遊んでくるから〜!」

 

神社内でお茶を飲んでいるだろう二人に大声でそう告げる

 

「では、レッツゴー♪」

 

そして俺は向日葵畑に向かって飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「♪〜〜〜♪♪〜♪着いた!」

 

向日葵畑の側にシュトッ!と降り立つ

 

…………うん、10点!

 

そう言えばここに来る時に回りながら飛んでるのがいたけどなんか自分の世界に入ってるっぽかったからスルーしておいた。めっちゃ長いリボンしてたぜ

 

「それにしても、すげぇ〜…………」

 

俺は目を丸くした

 

前を見ると辺り一面、ほぼ向日葵。大輪を咲かせた向日葵が何千、いいや何万とあるかもしれない

 

「綺麗だなぁ〜、しかも俺とあまり背が変わらねぇ」

 

向日葵を横に横に歩きながら見て回る

 

「今日は晴れてるし、こんな景色を見ながら日向ぼっこもいいかもしれないな」

 

ふと立ち止まりしゃがんで向日葵を下から眺める

 

「どっか寝れる場所はないかな」

 

そして立ち上がって周りを見渡す

 

「お、丁度いい坂っぽいものが!」

 

わずか後方に草の生えた寝れそう坂がある。道というわけじゃないみたいだからあそこで寝転んでも大丈夫だろ

 

「へっへっへ、いよーし」

 

そこに座って地面をポンポンと叩いた。うん、いい感じだ

 

俺はポケットからiPodを取り出してイヤホンを耳につける

 

「こういう時は………そうだ、さっきの回ってる子に合わせて、と」

 

『ダブルラリアット』を選ぶ

 

「半径85cmが、この手の届く距離♪今から、振り回しますので♪離れていてください♪」

 

「そうね、じゃあ離れていようかしら」

 

……………んん?

 

「人間がこの太陽の畑に何の用?」

 

後ろからだ、俺はそう思って首を回す

 

そこに居たのは緑髪で少し目がつってるような気がする。花みたいな日傘を指している女の人が俺を見下ろしていた

 




幻想郷早口言葉!!

赤霊夢、青霊夢、黄霊夢!!

弥生「いや、普通に言えるだろ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

話してみろよby弥生

「人間がこの太陽の畑に何の用?」

 

後ろから声が聞こえたから首だけを向ける

 

「いや、ただこの向日葵畑を見に来ただけだよ」

 

俺はそう答える。彼女の声からは敵意が感じられた

 

……………この人、多分人じゃなく妖怪だ。じゃなきゃ人間が、なんて言葉は使わないだろう

 

それにしても、こいつが本当に妖怪だとすると………もしやさっき霊夢と魔理沙の言ってた………

 

「ふぅん………嘘を言ってるわけじゃなさそうね」

 

「ああ、そうなんだよ。飛んでたら黄色いものの集団が見えてさ、気になって友達に聞いたら向日葵畑って。丁度良いから向日葵でも見ながら日向ぼっこといこうかなと」

 

少し話し合ってみよう。見た感じ所構わず暴力を振ってくる相手じゃなさそうだ

 

俺は立ち上がり体の向きを変えて彼女を見る

 

「へぇ、物好きな人間もいたものね。そのお友達はここには何がいるか教えてくれなかったの?」

 

彼女は俺をジロジロと舐めるように見ながら言った

 

「教えてくれたけど、向日葵畑が見たかったからさ。それに話し合い、ってもんをしてみなきゃわからないだろ?」

 

俺がそう言うと、彼女は動かしていた目線を俺の目へと合わせる

 

「へぇ、それまた物………好、き…」

 

「…………?」

 

彼女の動きが急に止まった。彼女の瞳からは驚き、それが感じ取れた

 

「あ、あなた……」

 

彼女は日傘を落とし、だらんと手を下げる

 

「お、おい。どうしたんだよ」

 

何かがおかしい。俺の目を見た瞬間彼女の動きが止まったんだ。いや、正確には俺の顔……か?

 

彼女は俺を見つめたまま動かない。取り敢えず俺は日傘を拾って彼女の手に握らせる

 

「ほら、日傘」

 

「………っ!あ……」

 

また落としそうになったがなんとか持ち直す

 

「ど、どうかしたか?俺の顔に何かついてたとか」

 

そんなことじゃ無いだろうが少し様子を見てみよう

 

「……………」

 

彼女は俯いたまま喋らない。聞こえてないのか?

 

「えっと………あ、そうだ俺、要 弥生っていうんだ。英雄に憧れるごく普通の学生だぜ!」

 

そう言えば名前を知らなかったから自己紹介をする。一応大きい声で言ったから今度は聞こえるはずだ

 

「……………ふ、ふふ。駄目ね、忘れたはずだったのに」

 

「え?」

 

何を言ってるんだ?駄目?忘れたはず?何のことだ

 

「………忘れないと」

 

「なあ、何のことを言っt(ドガッ!)ぐはっ!」

 

腹に衝撃が走り、俺の景色が目の前の女性から空へと切り替わる

 

そして今度は背中へと衝撃が走る

 

「ぐぅ!…………どういう、ことだ」

 

膝を着いて四つん這いの状態になる。背中を強打したせいか息が苦しい

 

何が起こったんだ!?いったい…………

 

「カハッ」

 

口から血が溢れでる

 

「はっ!」

 

俺が思考を巡らせていた時に、視界に黒い影が映る

 

日傘を高く掲げた彼女だった

 

「…………」

 

ズドンッ!

 

無言で振り下ろされる日傘は土煙を上げる

 

「人間にしては速いのね」

 

「ぜぇー………ぜぇー………いきなり、どう言うつもりだ」

 

俺は咄嗟に音速【ソニックミュージック】を使って躱していた

 

「貴方に教える必要は無い」

 

「っ!?」

 

彼女が日傘の先端を俺に向ける。するとその先端にエネルギーが集まりだした

 

あれはマズイ……!

 

そして放たれる極太のレーザー

 

「おわああぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

俺は必死に避けた。極太レーザーは周りの草や木を巻き込んで俺の横を通過していく。地面が少し抉れていた

 

…………なんつう威力だ。魔理沙のマスタースパークより上だ……!

 

「ふぅん、避けるのね」

 

「あんた………、なんなんだ!いきなり攻撃してきやがって!!」

 

しかも最初の腹への一撃以外は全部殺す気で来ていた!

 

「何を言っているの?妖怪は人間を襲うものなのよ」

 

「それは知能の低い妖怪だけだろ!?」

 

「知能の低い妖怪"だけ"が人間を襲う、なんてことあるわけないでしょう?」

 

こいつ………!話し合うなんてことは出来ないってことかよ!くそが、緑髪って呼んでやる!!

 

…………いや、待てよ

 

「そう言えば、なんであんた俺の目を見て驚いてたんだ。それが俺を襲う理由か!?」

 

「貴方が知る必要の無いことよ。貴方はここで死ぬのだから」

 

「くそっ、死んでたまるかってんだ!!」

 

俺は走り出す

 

グイッ!

 

だが足が動かない

 

「っ!?なんだ!?これ!」

 

俺の足には沢山の植物の蔦が絡まっていた

 

「くっ、抜けねえ!」

 

「貴方がお喋りしてる暇にやらせてもらったわ」

 

緑髪は俺の前まで悠然と歩いてくる

 

「力で抜けねえなら………燃やす!炎音【バーンミュージック】!!」

 

「なに!?」

 

俺の体が炎を纏い蔦を焼く

 

「オラァ!」

 

俺は炎を放った

 

だが日傘の一振りで払われる

 

「随分とお粗末な炎ね。これなら蝋燭の火の方がマシなくらい」

 

「そうかい、じゃあこれはどうだぁ!風音【ストームミュージック】!!」

 

俺は風のレーザーを打ち出す

 

「これはそよ風、蝋燭の火も消せやしない」

 

日傘からさっきより細いレーザーが打ち出される

 

俺のレーザーはいとも容易く相殺された

 

「な………」

 

全力で放った一撃だぞ!?なのにあんなに涼しい顔で相殺出来るもんなのかよ!?

 

「あらあら、こんなもの?」

 

緑髪は笑いながら言う

 

…………何がおかしいのかわからねえ

 

「次はこっちからいくわよ」

 

緑髪が複数の弾幕を放ってきた

 

「くっそ、なんで俺の周りには強え女ばっかなんだ」

 

俺は避けながら益体もないことを呟く

 

本当に、霊夢しかり、魔理沙しかり、俺の周りは強え女しかいねえ

 

「ほぅら、少し激しくなるわよ?」

 

「っ!?」

 

急に弾幕の密度が多くなった

 

あの緑髪、確実に遊んでやがる……!

 

「避けてばかりじゃ駄目だ!雷音【サンダーミュージック】!」

 

俺も負けじと弾幕を5発放った。その弾幕は緑髪の前方で止まり、扇形に分かれる

 

「轟け!!」

 

俺が言った瞬間、弾幕から雷撃が迸った

 

「っ…………」

 

緑髪は顔を顰め、後ろに飛び退く

 

「今だ!」

 

音速【ソニックミュージック】で緑髪との距離を詰める

 

「さっきのお返しだぜ………!」

 

「……………」

 

俺は腕を引き絞り、緑髪の腹を打とうとした

 

…………ふと、緑髪と目が合う

 

その目は、どこか悲しみを帯びていた

 

「なっ………!」

 

俺は驚きを隠せなかった

 

いったい、何を悲しんでいるんだ………

 

「…………何を止まっているの?」

 

「はっ!……ぐぁっ!」

 

緑髪の声で我に返る。緑髪は日傘で俺の横腹を薙ぎ払った

 

俺は吹き飛ばされ、木にぶつかり止まる

 

「がはっ!」

 

「もう終わり?…………やっぱり人間は脆いわね」

 

「く………そ…」

 

今の攻撃で肋骨が折れたかもしれない

 

………痛え

 

幻想郷に来て一番の痛みだろう。それが俺を襲う

 

立とうとすれば足は震え、今にも膝から崩れ落ちてしまいたい

 

「あら、まだ立つのね」

 

「…………」

 

もう喋る気力が無い。でも、立たなきゃならない

 

「じゃあまだ痛めつけてあげる」

 

その理由は………

 

緑髪が俺の目の前まで来る。 日傘が振り上げられる

 

「何が………そんなに……」

 

「なに?」

 

俺はどうにかして話す

 

「何が、そんなに………悲しいんだ……?」

 

「っ!?」

 

そうだ、俺は、こいつの悲しみの理由を知る為に

 

何故悲しんでいるのか、知る為に立ち上がるんだ

 

もしかしたら俺が助けになるかもしれない

 

…………だから、俺は立ち上がる

 

「……………」

 

俺はこいつを救いたい。こいつは俺の顔を、目を見て動揺していた

 

何があったのかは知らねえ、だけど………

 

「もし……俺が、関係してるなら………」

 

それはもう、ほっとけねえ………

 

俺は彼女に手を伸ばす

 

「っ………」

 

彼女は後ろに後ずさった

 

「……………」

 

伸ばしてない手で口から出る血を拭う

 

そして真っ直ぐ彼女を見つめる。その目に、意思を灯して

 

「………………やめろ、その目をやめろ!」

 

日傘を高く振り上げる

 

「……音、壁…【バリアミュージック】」

 

ガキィン!

 

俺は必死の思いでバリアを発動させ防ぐ

 

弾いた勢いで彼女は後退し、日傘が手から離れた

 

「……………」

 

ゆっくりと彼女に歩み寄る

 

「やめろ、叩き潰すわよ!?」

 

「………………」

 

何を言われようが、何をされようが立ち止まる気は無い

 

そして目の前までやって来た

 

「っ!」

 

「…………」

 

俺は無言で手を彼女の頭に置く

 

「話して、みろよ………俺が、助けて……やるから……」

 

俺に、出来ることならしてやるから………

 

「だから………話……せ…」

 

そこで、俺の意識は途切れた

 




幻想郷早口言葉ー

諏訪子ぴょこぴょこ三ぴょこぴょこ、合わせてぴょこぴょこ六ぴょこぴょこ

弥生「…………諏訪子って誰だ」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

忘れれるわけ、ないでしょう?by幽香

『なあ幽香、ちょっくら遊びに行かないか?』

 

私の家に上がり込んで来た彼は、私にそう言った

 

『遊びに……?嫌よ』

 

『まあそう言うなよ。な?お願い!』

 

彼は顔の前で手を合わせ、私に拝む様に言う。彼が私に何かを頼む時、決まってやる仕草だ

 

『…………もう、しょうがないわね。見てるだけよ?』

 

『えぇ〜……まあ来るんならいいや。行こうか、妖精達とする缶蹴りは楽しいぞ?』

 

そして、彼は太陽の様に眩しく笑った

 

 

 

「……………随分と、懐かしい夢を見たわ」

 

私はベッドから上体を起こし、灯りを点ける。外はもう明るみを帯びていた、日付も変わっているだろう

 

懐かしい夢を見た原因は昨日の昼頃に来たあの人間の所為だろう。あの人間はあの後倒れ、突如現れた博麗の巫女と白黒の魔法使いに担がれ何処かへ飛んで行った

 

博麗の巫女と白黒の魔法使いが珍しく慌てていたけど……

 

「………似てたわ」

 

あの人間は、彼に似ていた

 

顔が似ていた、と言うわけじゃない。多少顔も似ていた。あの人間の瞳が、纏うものが、彼によく似ていた

 

「あれは、いつの頃だったかしら」

 

…………そうね、50年前かしら。彼が私の前に現れたあの日も、昨日の様に晴れていた

 

 

 

 

 

あれは、私が花達に水をやろうと外に出た時のこと。花畑へ行くと見知らぬ男が花をしゃがんで眺めているのが目に入った

 

「……………貴方、ここで何をしているの?」

 

「え?………ああ、花を眺めていたんだよ。この花は綺麗だな。俺は花に詳しくもないしあまり関心も無いけど、ここの花達は綺麗だと心から思える」

 

彼は立ち上がり言いながら私の方を向く

 

見た感じは若く、少し短く切り揃えられた髪がちょっと跳ねている。黒い浴衣を着ていた

 

「……………そう、嬉しいこと言ってくれるわ」

 

「ってことは、ここは君の花畑?」

 

「ええ」

 

私は少し得意そうに返す

 

「そうなのか、それはすごいな!こんな綺麗な花を育てるなんて」

 

彼は笑顔でそう言った

 

その笑顔は眩しくて、太陽の様だった

 

「……………」

 

私は思わず目を細める

 

「おっと、そう言えば今日は用事があるんだった。さよなら」

 

彼は手を振りながら踵を返し歩き出す

 

「あ、そうそう」

 

急に立ち止まって振り返った

 

「立花 栄春《たちばな えいしゅん》」

 

「…………?」

 

たちばな えいしゅん?急に何を言っているのかしら

 

「俺の名前だよ。君は?」

 

なんだ、名前のこと

 

…………名前、果たしてこの男に名乗るべきかしら……

 

「?どうした?」

 

「…………」

 

この男を見る限り、何か害があるわけじゃなさそうだし……

 

「風見 幽香《かざみ ゆうか》よ」

 

私は名乗った

 

「かざみ ゆうか、ね。良い名前じゃないか」

 

男はにぃっ、と私に笑う。その笑顔はさっきの様に眩しいわけじゃなかったけど、十分に明るいものだと思った

 

「それじゃ、また来るよ」

 

そして男は、下駄をカラコロと鳴らしながら帰って行った

 

 

 

 

これが、私と栄春の出会いだった

 

 

 

 

それから彼は頻繁に私の元へ来るようになった。暇があれば私の家に来て、最近あったことを話し、日が暮れれば

 

「またな、幽香」

 

と言いながら下駄を鳴らし帰って行く

 

私は家に押し入って来た彼に仕方なくお茶を出し、彼の話が面白ければ笑い、日が暮れ帰る彼に別れの挨拶をされると

 

「ええ、またね栄春」

 

と返して見送る

 

 

 

それがいつの間にか当たり前になっていた

 

そんな日々が不思議と楽しく思えた

 

「栄春、また明日も来るかしら」

 

私の家の玄関で、手を振りながら楽しげに笑う彼を明日も見れるだろうか

 

そう思い、私は毎日灯りを消していた

 

 

 

 

 

「栄春、来ないわね」

 

栄春と出会って、何度目かの夏。梅雨の時期

 

この日は朝方にパラパラと雨が降っていたが、昼になると止んだ

 

最近栄春が家に来ない。今までは最低でも3日おきには来ていたはずなのに、ここ一週間は来ていない

 

「そうね、偶にはこっちから行くのも良いかもしれないわ」

 

栄春は確か、人里の隅の方に住んでいると言っていた。そこで鍛冶屋をやっているらしい、なんでも里一番の名鍛冶士だとか

 

私は日傘を手に取り、家を出て人里へと向かった

 

 

 

 

 

 

「少し騒がしいわね」

 

人里は少し落ち着きが無かった

 

「何かあったのかしら」

 

不思議に思いながら栄春の鍛冶屋へと向かう。場所はだいたいわかっていた

 

『残念ねぇ。あそこの鍛冶屋の店主、不治の病らしいわ。もうこの先長くないとか』

 

「え?」

 

急に耳に飛び込んできた言葉に耳を疑う

 

「………いえ、そんなわけないわ」

 

栄春なわけがない。この里に鍛冶屋は他にもある、きっとそこの店主だろう。そう結論付ける

 

「……………」

 

だけど、やっぱり不安が拭い切れない。気付けば早足になっている

 

「(あの角を曲がれば、栄春の鍛冶屋のはず)」

 

焦る気持ちを抑えながら、杞憂であってほしいと思いながら私は角を曲がった

 

『そこを!そこをどうにかならないのですか!?』

 

『こればっかりは私にはどうしようも……』

 

店の前で二人の男が言い争っている

 

その店の看板には、『鍛冶屋 立花』と書いてあった

 

「っ!!」

 

私はその光景を見て、日傘を捨て走り出す

 

「退きなさい!!」

 

栄春の弟子と思われる男と医者だと思われる男を押し退けて中へと入る

 

鍛冶場を通り過ぎ、奥へと走る

 

『おい、君!何を「貴方は黙ってそこにいなさい!」

 

なりふり構っていられなかった

 

「…………っ!」

 

そして栄春のいる部屋へと辿り着いた

 

「………幽香、か?」

 

栄春は私の姿を見て驚く。彼は寝ており、顔は痩せ細り衰弱していた

 

「………………貴方、いったいどうしたって言うのよ……。心配、させて……」

 

私は栄春に歩み寄ると、栄春はゆっくりと体を起こす

 

「………ああ、ごめん。病気で、行けれなかっゴホッゴホッ!」

 

「栄春!」

 

栄春は咳き込む

 

「ガハッ!」

 

そして血を吐いた

 

「!………」

 

「はぁ………はぁ…………幽香、すまない。俺はもう、長くない……」

 

栄春は血塗れの手を見て、そう私に告げた

 

「だから………せめて、最後に……幽香の、花達を見たいんだ。連れてって、くれないか?」

 

「……………ええ、わかったわ」

 

私は栄春の体を抱える

 

「はは、幽香は……力持ち、だな」

 

「こんな時にまで、何を言っているのよ……」

 

そして私は花畑を目指すため鍛冶屋を出る

 

『き、君!師匠をどこに連れて行く気だ!!』

 

「うるさい!邪魔するんじゃないわよ!!」

 

私は妖力を放出して怒鳴る。それだけで男は腰を抜かした

 

そして私は花畑へと飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

「……………すげえな、幽香。空飛んでる」

 

「ええ……」

 

「それに、さっきの感じ。妖怪、だったのか……」

 

「ええ……。驚いた?」

 

「ああ………、驚いたよ。人生で、一番の驚きだ。何年も一緒にいたのに、気付かなかったなんてな…」

 

「そう……。もう着くわ」

 

「ああ………あそこの木に、もたれたいんだ。頼めるか?」

 

「わかったわ」

 

私は花畑へと降り立ち、近くの木へと栄春をもたれさせる

 

「何度見ても、綺麗だなぁ。この花達は」

 

「貴方も、水やり手伝ってくれたわよね」

 

「ああ。…………ゴホッゴホッ!」

 

栄春は苦しそうに咳き込む

 

「……………あぁ〜、俺、死ぬんだな」

 

「………そう、ね」

 

栄春の言葉を聞いて、声がくぐもる

 

「なあ、幽香」

 

「なに?」

 

栄春は私の方へ顔を向ける

 

「俺が死んだら、墓は花がよく見える場所がいいな」

 

「……………ええ、わかったわ」

 

もうやめなさい

 

「それで、墓の中から毎日花を見て過ごすんだ」

 

「そう、それは素敵ね」

 

もう…………

 

「それと………「栄春!」……なんだ?」

 

「もう、いいわ………。もう、喋らなくて……いいわ」

 

「幽香…………」

 

もう喋らなくていいから…………

 

これ以上は………もう……

 

「俺が死んだら………俺のことは、忘れて生きてくれ」

 

「…………え?」

 

「ごめんな。これが、俺の最期のお願いだ。な?お願い」

 

ゆっくりと顔の前まで手を持っていき、手を合わせる

 

「あ………」

 

栄春が、私に頼みごとをする時に必ずする仕草

 

「…………ええ、わかったわ」

 

私は、出来るだけ笑顔を作り答えた

 

「ありがとな、幽香。本当に………ありがと」

 

栄春は笑った。その笑顔は、初めて会った時の様な輝きをまだ持っている

 

そして木に体を預け、目を瞑る

 

「………………」

 

「…………栄春?」

 

声をかけても反応しない

 

「栄春?栄春!?」

 

「……………」

 

体を揺すっても反応しない

 

「えい……しゅん………」

 

涙が頬を伝うのがわかった

 

……………栄春は死んだ

 

「………………栄春、私は……」

 

貴方のことが、好きだった…………

 

 

 

 

 

 

「……………あれから何十年経っても、まだはっきりと思い出せるわ」

 

忘れてくれ?無理よ、そんなの

 

「忘れれるわけ、ないでしょう?」

 

私は、一人静かに涙を零した

 




なんとか今日中にこれを書いておきたかった。書けてホント良かった

次は重傷を負った弥生視点、お楽しみに


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

俺にだって意地があるby弥生

「………………」

 

目を覚ますと、知らない天井が目に入る

 

「?」

 

ここ、どこだ?なんで俺はこんな所にいるんだ

 

「……霊夢、魔理沙?」

 

横に霊夢と魔理沙が椅子に座って寝ている。俺は周りを見渡すと、そこは病院の様に感じられた

 

「…………っつ!」

 

体を起こした俺に急に走った痛み。俺は自分の体を見てみる

 

そこには包帯が巻かれていた

 

「そうか、思い出した」

 

俺はあの緑髪と戦って………倒れたんだ。その後霊夢と魔理沙が来て俺をここまで連れて来てくれたんだな

 

「……………行かないと」

 

あの緑髪のとこへ行かないと……

 

ベッドから降りた俺は霊夢と魔理沙を起こさない様に部屋を出る

 

「どこへ行くの?」

 

「!………ってぇ〜」

 

いきなり現れた人に驚いた。少し体が痛む

 

「貴方、丸2日も寝ていたのよ?とても重症だった。今でもまだ痛むはずだけど?」

 

「それでも行かないと駄目なんだよ。あんた見た所ここのナースか?治療代は帰ったら払うからよ」

 

そう言って横を通り過ぎる

 

「…………駄目よ」

 

「あ?」

 

「駄目だと、そう言っているのよ。要 弥生君」

 

女の人は俺の前まで踵を返し、そして俺と目を合わせる

 

………なんで俺の名前を知ってんだ

 

「……………私は八意 永琳《やごころ えいりん》。ここで薬剤師をしているわ」

 

女の人は名前を名乗った

 

「……それで?俺を止める理由がどこにあるんだ?」

 

「私は薬剤師で在ると共に医者なの。そしてあの二人に貴方のことを依頼された」

 

ああ、成る程。だから俺の名前を知ってたわけだな

 

「医者が患者を、それも入院レベルの患者が無理をしに行くのをみすみす見逃がすわけないでしょ?」

 

「なんで無理だとわかる?」

 

「あんな重症でここに運び込まれる人ですもの。ろくに戦ったことさえ無いのは明白だわ」

 

確かにろくに戦ったことは無いな。だけどそれと無理をしに行く、というのは直接関係は無い

 

「まあ、止まる気はねえけどな」

 

そしてそのまま永琳を素通りする

 

「……………はぁ、しょうがないわ」

 

「あん?」

 

なんだ、諦めてくれたか?

 

「どうしても、と言うならしょうがないわ。力付くでも貴方を止める」

 

「おいおい、仮にも俺は患者なんだろ?良いのかよ」

 

「患者を逃がす方がうちの沽券に関わるわ。それは私としても良くないから………だからせめて抵抗はしてくれないと助かるんだけど?なに、心配しないで。痛くても後でちゃんと治してあげるから」

 

永琳が一気に力を解放する。それに気付いた俺はiPodを取り出した

 

「へぇ、抵抗する気満々ね。戦意喪失させようと思ったのだけれど」

 

「お生憎、霊夢が怒った時の方が断然恐いんでね」

 

俺も、自分の霊力を全開にする。霊夢や魔理沙が起きて来そうだが…………いや、そうでもないみたいだな。熟睡してるんだろ

 

「………あら、それで全力なの?」

 

「悪りいかよ」

 

「よくそれであの風見 幽香の所へ行こうと思ったわね」

 

…………風見 幽香?ああ、緑髪のことか

 

「あいつのとこへ行って、聞かなきゃならねえことがあんだよ」

 

「殺されるかもしれないのに?」

 

「そん時ゃ全力で逃げらぁ」

 

だけどきっと大丈夫だ。殺される、ってんならあの時殺されてるだろ

 

「貴方、何故そこまでするの?」

 

「そこまで?あんたの言うそこまで、ってのがどこまでのことかは知らねえが……」

 

理由は一つに決まってんだろ

 

「俺にだって意地がある」

 

「意地?」

 

「そう、意地だ。とてもちっちゃくて、くだらねぇ意地だ」

 

俺の目の前で誰かが困ってるなら助けたい

 

俺の目の前で誰かが悲しんでいるのなら喜ばせたい

 

「俺の周りは、常に笑顔で満たされていたい。それは風見 幽香も同んなじだ。…………いや、風見 幽香だけじゃなくて、霊夢も魔理沙も、他の皆も、俺に関わった全員が笑顔でいて欲しいんだ」

 

「なんだ、ただの偽善じゃない」

 

「偽善だろうが善だろうが、そんなの関係ねえんだよ。俺がそう願うから、俺がそうなる様にするんだ」

 

「……………貴方のその行動で悲しむ人もいるのよ?霊夢や魔理沙だって、ずっと貴方の心配していたわ」

 

「でも、俺が行動しなきゃ幽香は何時迄も瞳に悲しさを宿したままだ。無茶苦茶かもしれないが、多少は目を瞑らなきゃならない場所もある」

 

「ホント、滅茶苦茶ね」

 

「悪りいな、滅茶苦茶で」

 

俺は永琳に言いたいことは言った。後は永琳がどうするか、だ。このまま行かせてくれないと本当に力付くで永琳を押し退けなければいけない。そうなると今の俺じゃとても難しいどころか不可能だ

 

………どうする?

 

「………………いいわ、行きなさい」

 

「え?」

 

「行きなさい、と言ったの」

 

どうやら行かせてくれるみたいだ

 

「ホントか?…………ありがとな、永琳」

 

「礼を言われる程じゃないわ。あとこれ持って行きなさい」

 

永琳が小瓶を投げて渡す

 

「これは?」

 

「痛み止めよ。痛み、ずっと我慢してるんでしょ?」

 

「…………ありがと」

 

痛み止めを口に放り込む

 

「ここは"迷いの竹林"と呼ばれる場所にあるわ。そろそろ案内してくれる人が来る時間だから……貴方は外にいなさい」

 

案内してくれる人が来る時間?なんだ、毎日来てんのか?

 

「ああ、何から何までありがとな」

 

「お礼ってのはそう何度も言うものじゃ無いわよ?」

 

「そっか、すまん………またな、永琳」

 

「ええ、また」

 

そして永琳と別れて外へと向かう。広いため少し迷いそうになったがなんとか外へと出れた

 

「…………ここで待ってればいいか」

 

俺は永琳の言う案内の人を待つことにした

 

「あら?貴方………」

 

後ろから声をかけられる

 

「ん?」

 

振り返ると黒い長髪の女の子がいた

 

「…………あんた、案内してくれる人か?」

 

「案内?なんのことよ。それより貴方、2日前くらいにここに運び込まれた人よね」

 

なんだ、案内の人じゃないのか

 

「ああ、そうだけど?」

 

「これからどこに行くの?」

 

「ちょっと向日葵畑まで」

 

「ふぅん、生きて帰れたらいいわね」

 

「全くだな」

 

「「あはははは!」」

 

何故か意気が合うな

 

「ところで、私の部屋でゲームでもしない?」

 

「さっき行くとこあるっつったろうが」

 

てかゲームなんてあんのかよ。幻想郷には無いと思ってたんだが……

 

「生きて帰れたら、の話よ」

 

「そうか、じゃあ楽しみに待っとけよ。俺は要 弥生、あんたは?」

 

「蓬莱山 輝夜《ほうらいさん かぐや》よ」

 

「なあ輝夜、案内の人はまだ来ないのか?」

 

早く行きたいんだが……

 

「多分そろそろ来ると思うわ「輝夜!今日も来たぞ!!」ほらね」

 

竹林の方から声が聞こえた。そして長い白髪の髪に幾つものリボンを着けている女の子が現れる

 

「あらあら、懲りずに今日も来たのね。毎回追い返されるだけなのに」

 

「何言ってんだ。私は負けた覚えなんて無いぞ?」

 

…………何やら険悪な雰囲気だ。取り敢えずこの人が案内人ってことでいいんだよな?

 

「えーと、ちょっといいか?案内してくれる人だよな?」

 

「え?あ、お前さっきの………案内?どういうことだ?」

 

ん?なんか急にたどたどしくなったな。人見知りなのか?

 

「この竹林から出たいんだ。永琳に聞いたらそろそろ案内してくれる人が来る時間だ、って聞いて」

 

「そうなのか」

 

「ああ、俺は要 弥生。あんたは?」

 

「藤原 妹紅《ふじわらのもこう》だ」

 

ふじわらの?苗字と名前の間にのが付いてるのか、長生きしてるのか?

 

「それじゃあ、案内頼めるか?」

 

「わかった。輝夜、今日は勘弁しといてやる」

 

ちょ、お前。それ悪役の台詞

 

「もう来なくていいわよ〜。あ、弥生は来てもいいのよ?」

 

「ふんっ」

 

「おう、またな輝夜」

 

「またねー」

 

 

 

 

輝夜とも別れ妹紅に連れられて竹林の中を歩く

 

「………………」

 

………会話が無い。これはひじょうに暇だ

 

「なあ、妹紅。妹紅はなんで竹林の地形を把握してるんだ?」

 

「筍をよく採りに来てるからだ」

 

「じゃあ、輝夜とはどんな関係なんだ?」

 

「殺し合う関係だ」

 

……………なに?

 

「殺し合うって………、なんでだよ」

 

「色々あるんだ。それに私達は不老不死だから殺しても死なない」

 

マジか。いや、それでも殺し合う関係ってのは………

 

「寂しいな」

 

「…………?」

 

「いや、なんでもねえよ。どれくらい時間が掛かるんだ?」

 

「人里まではそれ程かからない。あと5分ってところだ」

 

あと5分か………

 

「「…………」」

 

俺達は無言で歩き続ける。どうならあちらさんは会話を広げる気が無いらしい、全く会話が続かん

 

「あ、見えてきた」

 

人里が見えてきた。どうやら竹林は抜けたみたいだ

 

「こんなに早く着くなんてな、実際5分より早かったんじゃないか?なあ、妹紅」

 

俺は妹紅に聞いてみる

 

「……………ん?」

 

だが返事が無かった。なので妹紅の方へ目をやる

 

妹紅は既に竹林の中へと歩き出していた

 

…………おいおい、何も無しに行っちまうのかよ

 

「おーい!妹紅!」

 

大声で妹紅を呼ぶ。妹紅は立ち止まった

 

「またな!今度は案内じゃなくて、お茶でも飲みながら話そうぜ!」

 

「……………」

 

妹紅は何も言わなかったが片手を上げて竹林へと入って行った

 

………あれは、OKってことでいいんだよな?

 

「それじゃあ、行きますか」

 

そして俺は、幽香のいる向日葵畑へと飛んだ

 

 

 

 

 

 

 

「到着、と」

 

向日葵畑の近くへ降り立つ。ここの向日葵はやっぱ綺麗だ

 

「…………ん?」

 

向日葵畑の横に向日葵とは違う花畑があった。最初来た時は気付かなかったが………

 

「ま、何にせよ綺麗だな」

 

そう言って俺は歩き出す。幽香を捜すために

 

「だよなぁ、綺麗だよなここの花畑。わかってるじゃないか少年」

 

「…………あん?」

 

だがそんな時、誰かに声をかけられた

 

「ああ、いきなり驚かせてすまんな」

 

そこには、黒い浴衣を着た男が立っていた

 

「…………あんた、誰だ?」

 

「俺か?俺はな」

 

男は少し溜めて言った

 

「立花 栄春。幽霊だ」

 

「……………うぇい?」

 

突拍子な答えに、俺はそんな声を出してしまうのだった

 

 




長くなってしまった。本当なら一話で幽香とエンカウントだったのに……


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

『ええ、またね』by幽香

「まあ座れよ。少し話そう」

 

そう言って自称幽霊こと立花 栄春は手頃の石を見つけて座り、その隣の石をポンと叩く

 

「あ〜………栄春とやらよ、俺は行かなきゃならん所があるk」

 

「幽香の所だろ?」

 

「…………知り合いか?」

 

「まあな。ほら、ここだ座れよ」

 

再度石を叩く栄春

 

……しゃあない、少しばかり付き合うか。何か情報が得れるかもしれないし

 

「んで、栄春。話ってなんだ」

 

「よ、呼び捨て………まあいいか。兄ちゃん、名前は?」

 

おっと、俺としたことが名乗り忘れていたか

 

「俺は要 弥生。英雄に憧れる普通の学生だ」

 

「へぇ、兄ちゃんは英雄になりたいのか」

 

「おう」

 

俺は胸を張って返す。それを見て栄春は苦笑いしたが、まあいいだろう

 

「…………それで、話ってなんだ」

 

「おお!そうそう、兄ちゃんに一つ頼み事があるんだよ」

 

「頼み事?」

 

頼み事ってなんだ?幽香の知り合いって言ってたから………何か届けて欲しいとか?

 

「幽香に、俺のことを忘れさせて欲しいんだ」

 

「は?」

 

「いやぁ、あいつ俺のことまだ引きずってるらしくてさ。50年経った今では大分マシになってたんだけど…………兄ちゃんが現れたもんだから」

 

「…………」

 

何言ってんだ?俺が現れたから、ってどういうことだ

 

「あ、わからないって顔してるな」

 

「わからないも何も、何で俺が現れたからなんだよ」

 

「そりゃあ、兄ちゃんが俺に似てるらしいからだ」

 

俺が栄春に似てる?

 

「どこが」

 

「さぁ?どこかが似てたんだろ」

 

自分でもわからねえのかよ………

 

「だから、兄ちゃんに頼まれて欲しいんだ。な?お願い。どうやら俺は兄ちゃん以外には見えないみたいだしさ」

 

栄春は手を合わせて頼んでくる

 

……………はぁ、やれやれ

 

「幽香の悲しみの理由が、お前だということはわかった」

 

二人がどういう関係かはどうでもいいが…………

 

「おい、栄春」

 

「なんだ?引き受けてくれるか?」

 

「いや、断る」

 

「えぇ!?」

 

いや、えぇ!?じゃねえよ、えぇ!?じゃ

 

「そもそも、なんで忘れさせようとしてるわけ?」

 

それが俺にはわからねぇ

 

「いや、お互い苦しいじゃないか。多分あいつが忘れてくれたら、俺も成仏できると思うわけ」

 

「ふーん」

 

…………成る程ね、わかった

 

「お前、馬鹿だろ」

 

「えぇ!?」

 

だからえぇ!?じゃねえよ

 

俺は栄春の頭をガッ!と掴もうと………あ、幽霊だから掴めねえや

 

「どわっ!?いきなり何しようとするんだ!」

 

「うるせぇ!イラつくんだよ、お前よぉ!」

 

「な、何でだよ!?」

 

何で!?何でだ、と聞いたかこいつ!?

 

「あのなぁ!今お前が俺に頼んだことはなぁ、やっちゃいけねえことなんだよ!」

 

「は、はぁ?」

 

「死んだ自分を忘れてほしいだと!?それで苦しくなくなるだと!?ざけんなよてめぇ!!」

 

ああ、イラつく!なんでこんな奴と一緒にされたんだ俺はよぉ!

 

「誰かの中に自分がいなくなるということは!その誰かとの思い出が失くなるということだ!」

 

俺は栄春に向かい、大声を張り上げる

 

「確かに忘れてしまえば楽になるだろうな!!その人との思い出を全部どっかに捨てちまうんだから!でも、それじゃ駄目だろうが!!」

 

俺だって、親友が死んだ時は忘れたいと思った

 

「楽しかった日々は!笑い合った日々は!そいつと一緒にいた日々は!そいつとの間にある、何より掛け替えのない"財産"じゃねえのかよ!?」

 

でも、忘れることなんて出来なかった。だって、あんなに楽しかったんだから

 

「それを………忘れろ?お前はそれでいいのかよ!?」

 

「そ、それは………」

 

栄春は俺から目を逸らそうとする

 

「目を逸らすな!!真っ直ぐ俺を見ろ!!」

 

「っ!」

 

「お前にとって、幽香といた日々は楽しくなかったのか!?つまらないものだったか!?どうでもいいものだったのか!?あぁ!?答えやがれ!!」

 

「………………」

 

俺を真っ直ぐ見つめる栄春に、俺は言った

 

栄春はそれを聞き、俯く

 

「…………な、わけ無いだろ」

 

「あぁ!?声が小せぇ!」

 

「忘れてほしいわけ、無いだろうが!!」

 

栄春は俺にも負けない程の大声で言う

 

………だよなぁ、そうだよなぁ!!

 

「だったらよぉ!!自分を偽るようなこと言ってんじゃねえ!!」

 

「っ!……………」

 

「はぁ…………はぁ…………」

 

久しぶりに怒鳴ったから息切れがする

 

「はぁ………はぁ……………俺は行くぞ。俺はあいつの悲しみを消してやる。お前のことを忘れさせなんかしない」

 

「兄ちゃん………」

 

「幽香だけじゃない、お前も……助けてやる…………」

 

「…………」

 

「じゃあな、お前はそこで朗報でも待ってな」

 

俺は栄春を背に歩き出す。幽香の家は探してたらそこら辺にあるだろう

 

「……………待てよ、兄ちゃん」

 

「あん?」

 

なんだ、まだ何かあんのかよ

 

「幽香を、よろしく頼む………」

 

「……………任せろ」

 

必ず、救ってやるからな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………はぁ、やれやれ」

 

『自分を偽るようなこと言ってんじゃねぇ!!』

 

「偽る、ね…………大概俺も人に言えねぇんだけどな」

 

俺は自重気味に笑う

 

「……………ここか、幽香の家ってのは」

 

さぁて、一丁頑張りますか

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………ふぅ」

 

私は本を閉じて一息吐く

 

太陽が西に傾いている。丁度良い時間帯ね

 

「そろそろ紅茶でも淹れようかしら」

 

「いいね、俺にも淹れてくれない?」

 

突然外から声が聞こえる

 

…………この声は

 

「貴方、わざわざ殺されに来たのかしら?」

 

庭に立つ男を見て私はそう言った

 

一瞬だけ、ほんの一瞬だけ栄春と見間違えてしまい少し自己嫌悪に陥る

 

「まあそう言うなよ。俺はあんたと話し合いに来ただけだって」

 

「……………」

 

なんなのだろうか、この男は

 

二日前にも来たこの男は殺されかけたにも関わらず私の前にもう一度現れたのだ

 

「話し合いなんて無意味だと気付かなかったの?それともわからない程馬鹿なのかしら?」

 

「無意味じゃないさ、現にこうやって話してるんだし。…………それに、言ったろ?俺が助けになるから、話してみろよ、って」

 

「助けなんて私は必要としてないわ」

 

「でも一人で解決出来ないんならさ、誰かと一緒に解決するべきじゃないか?」

 

「余計なお世話よ」

 

「ごめんね、余計で」

 

「「………………」」

 

私は眉を寄せる。ホントになんなのよこいつ

 

「栄春に、会ったぜ」

 

「っ!?」

 

…………今、こいつはなんて言った?栄春に会った?

 

「嘘よ!栄春はもう死んでるわ!」

 

「幽霊に会ったんだよ」

 

幽霊…………?この男は栄春の幽霊に出会ったということ?

 

「信じてくれ。本当に会ってなきゃ栄春なんて名前知らないだろ?」

 

「……………嘘を、言ってるわけじゃなさそうね」

 

「取り敢えず中に入っていいか?お茶でも飲みながら話そうぜ」

 

「………入りなさい」

 

私は話を詳しく聞くため、男を家の中へと招き入れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は幽香の後に続き家の中へと入る

 

「そこに座りなさい」

 

お、ちゃんと椅子とか座らせてくれるんだ

 

俺は言われた通り椅子を引き座る。幽香は俺と向かい合うように座った

 

「……………それで?」

 

「え?」

 

「え?じゃないわよ。それで、栄春は何て?」

 

ああ、成る程成る程

 

「『幽香に俺ことを忘れさせてくれ』ってさ。俺に頼んできた」

 

俺は単刀直入に言われたことを告げる。まあ断ったけど

 

「………………そう、栄春がそう言ったのね」

 

「おう」

 

「それじゃあ、貴方は私が………栄春のことを忘れるのを手助けする、ってことかしら」

 

「いんや、全然」

 

「は?」

 

ん?なんだ、聞こえなかったのか?

 

「いんや、全然」

 

「……………じゃあ、貴方は何しに来たのよ」

 

「だから、あんたと話し合いに来たって言ってんじゃん」

 

「からかっているのかしら?」

 

「真剣だぜ」

 

そう、俺は真剣だ。真剣に幽香の悲しみを取り除こうと思っている

 

「……………話にならないわ」

 

幽香は椅子から立ち上がる

 

「帰ってちょうd「俺は…………」

 

「俺は、お前に心から笑って欲しい」

 

俺の言葉を聞いて、幽香は固まった

 

「何を言っているの?」

 

まあ無理もないか。ほぼ初対面みたいな奴にこんなこと言われたらそうなるよな

 

「俺は、自分の周りは笑顔で包まれていたいと思っている。それは誰かの為でもあるし、他でもない俺の為でもあるんだ」

 

周りが心から笑えているのなら、それは悲しみなんて何も無いから

 

そしたら俺も嬉しくなる。幸せな気分になる

 

「でもその周り、ってのさ、ただの赤の他人とかそんなのじゃなくて…………霊夢とか、魔理沙とか、ゆかりんとか、それとかそれとか………あ、そうそう今日会った永琳や輝夜に妹紅。それに………」

 

俺は指を折って数えながら言っていく。両手の指じゃ足りないな

 

「幽香とか」

 

今思えば沢山居るなぁ、こりゃ大変そうだ

 

「…………なんで私が出てくるのよ」

 

「俺はあんたの瞳の奥にある悲しみを感じた。それをなんとかしたい、あんたに笑って欲しい。理由なんてそれだけで十分だろ?」

 

「……………」

 

俺は真っ直ぐ幽香を見つめる

幽香は俺から目を逸らすが、すぐに目線を戻した

 

「……どうやってよ。どうやるって言うの?」

 

「それは俺のこと信用して、任せてくれるってわけ?」

 

「ええ、信じてあげるわ」

 

「そっか」

 

俺は椅子から立ち上がる。そして幽香の前まで歩いて行き、右手を出した

 

「どうするかはこれから考えていけばいい。取り敢えず、これからよろしく」

 

「よろしく」

 

幽香は握手に応じてくれた

 

「ていうか、何も考えていなかったの?」

 

「いやぁ、実はそうなんだよ」

 

まあでも、取り敢えずは幽香との仲をちゃんとした物にしておかないとと思ったし、結果オーライだよな

 

「「弥生ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」」

 

「…………ん?」

 

「?何かしら」

 

何やら俺を呼ぶ声がする。この声は霊夢と魔理沙か?

 

「お迎え?」

 

「みたいだな」

 

「それじゃあ、もう帰りなさい」

 

これから方針を考えようとしてたんだけど………

 

「えぇ〜………、そういえばお茶は?」

 

「…………また今度、来た時に出してあげるわよ」

 

「!」

 

幽香は笑ってそう言った

 

「……………おう!じゃあ……『またな、幽香』!」

 

「『ええ、またね』…………弥生」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、弥生!!大丈夫か!?何もされてないか!?」

 

「おー、ダイジョブダイジョブ。この通り元気だぜ」

 

「いや、おかしいわよ。骨が折れてたのに元気なんて………無理してるんじゃないでしょうね」

 

「ぜーんぜん!だって永琳から痛み止めもらったし!」

 

「明らかに無理してるじゃないの!!」

 

「痛い痛い!アイアンクローやめて!?」

 

「早く永遠亭に帰るんだぜ!弥生は入院が必要なんだから!」

 

「わかった、わかったから!引っ張るなよ!」

 

 

 

 

「…………決めたわ、栄春。貴方のことは忘れない」

 

私は花畑に立ち、そう呟く

 

『そうかい…………ありがとよ』

 

「っ!」

 

私は思わず周りを見渡す。けれど栄春の姿は無い

 

「……………ええ、どういたしまして」

 

そして私は栄春が息を引き取る時に背にしていた木を見て、そういった

 

 




お久しぶりっす

なんとか終わらせれた………


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

すいませーん、御手洗5本追加でby妹紅

「シュート!シュート!シュート!シュート!」

 

「ちょ、ばっ………やめろ!シュートやめろ!」

 

「シュート!シュート!シュゥゥゥゥゥゥト!!」

 

「だからシュートやめろってぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

よっす、弥生だ。今輝夜とゲームで遊んでいる最中である。シュートがやばい、輝夜がシュートばかり使うもんだから手を出せない

 

え、何のゲームかって?知らねえよ、聞いたこともない

 

「何をしているのよ…………」

 

「あ、永琳」

 

後ろから永琳が現れた。永琳はこちらを見て呆れた様な顔をしている

 

「弥生、余所見してたら終わるわよ!」

 

「えぇ!?ちょ、待てって!」

 

そんな馬鹿な!?さっきまでガードしていたのにいつの間にか解かれている!?

 

「まさか輝夜、パッションフルーツを使ったのか!?」

 

「ふっ、弥生が永琳の方を向いた瞬間に使わせてもらったわ」

 

「くっ、何てことだ!」

 

まさかパッションフルーツとはッ!これで俺はガードが出来なくなってしまった!

 

ドガガガガガ、ガガ、ズガァァァァァァァ!

 

「よし、KO!」

 

「くっそぉ…………」

 

難なくKOされて終了。俺と輝夜はコントローラーを置いて呟く

 

「「………………これ、なんて糞ゲー」」

 

「何なのよ貴方達は」

 

「それよりも永琳?何か用があったんじゃないの?」

 

頭を押さえる永琳に輝夜が言う

 

「ああ、そうね。弥生、貴方は今日で退院よ」

 

「おっ、もうか?」

 

確か入院し始めてまだ3日だったような気がする。うん、3本のゲームソフトをしたからそうだろう

 

「でもまだ完治したわけじゃないから。家では安静にするように」

 

「へーい。金はどうすんの?」

 

「先に貰ってるからいいわ」

 

そうなのか。霊夢が払ってたのかな?

 

「それじゃ、今日妹紅が来たら人里まで連れてってもらおうかな」

 

「それがいいわね」

 

この3日で妹紅とも仲は良くなった。妹紅がここに来る目的は輝夜と殺し合う為らしいが、俺がそれをなんとかして止めてからは俺の前じゃしなくなったみたいだ

 

…………出来れば俺の前じゃなくてもして欲しくないんだけど

 

「もう帰っちゃうのね。まだ積みゲーが幾つかあるんだけど………」

 

「それは次来た時にしようぜ」

 

「そうね」

 

輝夜はそう言いながらゲームを片付け始める

 

「師匠、姫、弥生さん。来ましたよ」

 

そこにうさ耳のセーラー服を着た少女が入ってきた

 

彼女の名前は鈴仙・優曇華院・イナバ《れいせん・うどんげいん・いなば》。何とも長い名前だ

どうやら永琳に弟子入りしてるらしい

 

「お、妹紅が来たのか?」

 

「ええ」

 

「教えてくれてありがとな」

 

「い、いや………まあ、当然のことだし」

 

俺がお礼を言うと鈴仙は恥ずかしそうに身を捩った。この3日見て、鈴仙は結構こき使われてるみたいだからな、お礼に慣れてないのかな

 

 

 

 

 

 

「それじゃ、またな」

 

俺は永遠亭の玄関で皆に挨拶をする。今日は一雨来そうだな、空が一面雲で覆われている

 

「ええ、またね」

 

「病気になったらうちに来なさい」

 

「次は私に勝てると良いわね?」

 

約一名挑発的な挨拶だったが気にしまい

 

「それじゃ妹紅、頼めるか?」

 

妹紅は何やら筍を採取していたが、俺が言うと立ち上がり言う

 

「わかった。こっちだ」

 

妹紅に連れられて竹林へと入る。てゐが居た

 

あ、てゐって言うのは因幡 てゐ《いなば てい》の事だ。この竹林に住む悪戯兎だとしか言うことが出来ない

 

入院初日なんかはてゐに悪戯されて鈴仙が叱っていたのが印象的だ

 

俺はてゐに小さく手を振る。すると向こうも返してくれた

 

「どうかしたか?」

 

「いや、ちょっとてゐに別れの挨拶をな」

 

「そうか。……………そうだ、人里に美味しい団子屋があるんだが今から行かないか?」

 

「お、いいねぇ」

 

「慧音も呼んで、三人で食べよう」

 

「そうだな」

 

妹紅は慧音と友達なんだそうだ。仲が良く、慧音と一緒にご飯を食べることも多々あるらしい

 

「それで、この前慧音がだな…………」

 

「へえ、そうなのか」

 

俺と妹紅は他愛もない話をしながら竹林を抜けた

 

 

 

 

 

 

竹林を抜けると人里が見える。人里の門を妹紅とくぐり、慧音のいる寺子屋へと向かう

 

そう言えば寺子屋なんて行ったことないな

 

「なあ妹紅、寺子屋って何処にあるんだ?」

 

「すぐそこだ。もう見えてくるよ」

 

妹紅が言うが早いか、角を曲がった先に大きな建物があった

 

「へぇ、結構デカイのな」

 

「今は授業みたいだな。多分この授業が終わったら慧音は昼休みだ」

 

あれ、もうそんな時間だったのか。ここ3日輝夜と寝る間も惜しんでゲームしてたからな。時間感覚がおかしくなっている

 

「中に入ってもいいのか?」

 

俺は寺子屋の昇降口と思われるところに足を踏み入れる

 

「俺がいっちばーん!」

 

「あ、待ってよー!」

 

すると奥から子供達が走って来た

 

子供達は俺を見て止まる

 

「……………兄ちゃん。だれ?」

 

「けーねせんせーい!だれか居るよー?」

 

「あ、妹紅だー!」

 

そして俺の周りに集まり始めた。何人かは妹紅に気付いてそちらへ行く

 

「誰が来たんだ?……………妹紅に弥生じゃないか」

 

奥から慧音が子供に手を引かれてやって来た

 

「どうしたんだ?」

 

「いや、慧音と一緒にお茶でもしようかなと」

 

俺は子供達に対応しながら答える。後ろでは妹紅が子供に一芸見せていた

 

「けーね先生ナンパされてるー!」

 

その言葉を筆頭に口々にナンパだのデートだのと言う単語が飛び交う

 

……………おい、何処で覚えてきたんだそんな言葉。それに妹紅がいるんだからデートじゃねえだろ

 

「こらお前達。やめないか」

 

慧音の一言で止んだ。流石先生

 

「それじゃあ、私はこの人達と一緒にお昼を食べてくるからな。お昼を食べた後はボールで遊んでもいいが、仲良く、安全に遊ぶんだぞ。あと何処かに行ったりしないようにな」

 

『はーい!』

 

うむ、元気のいい返事だ

 

「話はついたか?」

 

「ああ、それじゃあ行こうか」

 

そして俺達は寺子屋から出て団子屋へ向かった

 

 

 

 

 

 

 

「私としては昼食が団子とは如何なものかと思うが………まあ偶にはいいか」

 

「うまいからいいじゃないか。すいませーん、御手洗5本追加で」

 

「よく食うな、妹紅」

 

さっきから妹紅がどんどん追加注文している

 

「しかし弥生、最近は里で見なかったがどうかしたのか?」

 

「ああ、ちょっとな。諸事情で入院してた」

 

いやまあ、入院って程でもなかったかもしれないけど

 

「なに?ふむ……だとしたらすぐに神社に帰った方がいいんじゃないか?霊夢も魔理沙も心配しているだろう」

 

「食ったら帰るつもりだよ」

 

俺は串から外した団子を口に放り込む。団子はこういう食べ方が丁度良い、串にくっ付いたりしてるからな

 

うむ、うまい

 

「そうか。…………ん、そろそろ時間だな、もう戻らねば。勘定はここに置いておくよ」

 

そう言って慧音は立ち上がる

 

「おう、頑張れよ先生」

 

「慧音、また」

 

「ああ、また」

 

そして慧音は寺子屋へと戻って行った

 

「……………そいじゃ、俺も帰るか。これ勘定な」

 

俺も金を出して立ち上がる

 

「なんだ、もう行くのか?」

 

「おう、またな妹紅」

 

「まあ待て。この筍を持って行けよ」

 

妹紅は筍を差し出してくる

 

……………これは、さっき採取していた

 

「ああ、ありがとな。有難くもらうぜ」

 

俺は受け取ってお礼を言う

 

「それじゃあな、また団子食おうぜ」

 

「ああ、またな」

 

妹紅に挨拶をしてiPodを取り出し、俺は博麗神社へ向けて飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

 

「たーだいま!」

 

博麗神社の境内に下りて大声で言う

 

暫くすると奥からとてとてと足音が聞こえてきた

 

「……………ああ、弥生か」

 

「………魔理沙?」

 

奥から魔理沙が出てきた。何やらひじょうに疲れているみたいなんだが………

 

ドタドタドタドタ!

 

今度は大きな足音が聞こえてきた。今度は複数だ

 

「帰って来たな!要 弥生!!」

 

「覚悟しなさい!」

 

「……ふぁ〜」

 

…………………あ〜?

 

続いて俺達の前に現れたのは見たこともない少女達

 

「はぁ…………お帰りなさい、弥生」

 

「霊夢、この子達………なんだ?」

 

「知らないわよ………あんたに用があるみたいなんだけど、弥生居なかったし。………この3日ずっとうちに居て、相手が疲れたわ」

 

お、お疲れさんです

 

「んで、君らはなんだ?」

 

俺は三人に聞く

 

「私はサニーミルク」

 

「ルナチャイルド」

 

「スターサファイア」

 

「三人揃って、光の三妖精よ!」

 

「…………あー?」

 

取り敢えず、神社の中入ろうぜ………

 




三月精登場。何故か弥生を目の敵にしている様子


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

な、なんですってー!?by光の三妖精

「…………それで?光の三妖精とやらよ。俺に何か用があるのか?」

 

博麗神社に帰ってきた俺を待っていたのは光の三妖精と名乗るサニーミルク、ルナチャイルド、スターサファイアとその相手に疲れた霊夢と魔理沙だった。俺の予想としては退院して帰ってきた俺を霊夢と魔理沙が笑顔で迎えてくれるのを期待してたんだが………

 

取り敢えず外で話すのもあれだから中で卓袱台を挟み話を聞く。右に霊夢、左に魔理沙。前方に三妖精が座っている

 

「用も何も無いわ。私達の生涯のライバル、要 弥生!私達と真剣勝負よ!」

 

「……………あー?」

 

一体どういうことだ?俺にはこの子達のことは全くこれっぽっちも記憶に無いんだが。勝手に生涯のライバルにされると困るって言うか、めんどい

 

「てかなんでライバル?俺なんかしたっけ?」

 

「「「な、なんですってー!?」」」

 

うお!?いきなり大声を張り上げるのでビビった

 

「うるさい!」

 

「「「ひぃっ!すいません!」」」

 

霊夢が一喝すると畏縮する

 

「弥生。何かやったのか?」

 

「いや、身に覚えは無いんだけどな………。ここ数日は永遠亭にいたし」

 

「…………じゃあどういうわけよ。あんたら順を追って説明しなさい」

 

霊夢が若干睨みながら言うと三人はビクッとする。そして真ん中のサニーミルクが恐る恐る口を開いて説明を始めた

 

「そ、そのぉ………要 弥生にはこれまで何回もイタズ……勝負を挑んでいるんですけど。どれも全部ヒラリと躱されて……元を言えば始まりは………」

 

おい待て、今イタズラって言おうとしたよな?いや、まあ妖精にとってはイタズラが勝負の代わりだったりするのかもな…………ンナワケアルカ。妖精でも弾幕ごっこだろ

 

てか回想入るの?んじゃあ……はい、ホワンホワンホワンホワ〜ン

 

 

 

 

 

 

 

 

とある日の朝、要 弥生が境内の掃除をしている。と言っても季節は夏だからそこまで掃除をするところも無く、要 弥生は賽銭箱の前に座っていた

 

要 弥生と言えばこの前文々。新聞に取り上げられていた男だ。これは丁度良い。そう思った私達は私の能力、"光を屈折させる程度の能力"で私達の姿を消して、ルナの能力、"音を消す程度の能力"で音を消してイタズラをしようと思った

 

ふふん♪私達の能力があれば最強ね

…………どこぞの⑨みたいになったわね。忘れましょ

 

「何する?どうする?」

 

「カエルでも落とす?」

 

しゃがんでイタズラの算段をする私達。何をしてやろうかしら♪

 

「えーい♪」

 

だけどそんな時、いきなりスターが石を拾って振りかぶり要 弥生へと投擲した。要 弥生の頭にガッ!とクリーンヒットする

 

「「何してるのよスター!?」」

 

「何って………投石?」

 

スターは首を傾げながら答えた。いや、そう言うことじゃなくって!

 

「いっつ〜………誰だ!」

 

頭を押さえて涙目になりながら辺りを見回す要 弥生。あれはあれで面白いかもしれない

 

「誰もいないのか?まさか異変の前兆とか!?………まあいいか」

 

そう言って要 弥生はまた座り直した

 

………………ぷっ

 

「「「あっはははははは!」」」

 

そして私達は盛大に笑い転げた

 

「あ、あっはは!何よあれ!何よあれ!」

 

「面白い反応するわね。涙目だったわよあれ」

 

「ね?石投げて良かったでしょ?」

 

そんなことを話しながら私達は帰路に着く。イタズラした後に空を飛ぶのは気持ち良いわね!

 

「そうね。いやーしかし、あの反応は面白k(ピチューン!」

 

何故か、被弾した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ごめん、最後のわからないわ」

 

俺もよくわからなかった。何故にピチューンってなった?

 

てかあの時のはお前らの所為だったのか

 

「要 弥生!あんたの弾幕が被弾したのよ!」

 

「えぇ〜?……………あっ」

 

そうだ。あの時なんとなくやるせない気持ちになって空に向かって風音【ストームミュージック】を撃ったんだった。何か違和感があったが、どうせどこぞの文屋に当たったもんだと思ってたんだが……

 

「うん、それ俺の所為だわ。ごめんごめん」

 

「…………軽いわね」

 

俺が謝るとルナチャイルドがジト目で見てくる

 

「それで、弥生をライバルにしたってことか?」

 

「そういうこと〜」

 

スターサファイアが間延びした声で答えた。いや、なんでさ

 

「なのにここ数日間要 弥生の姿が見えないから私達から逃げたのかと……」

 

「いや、俺入院してたんだけど」

 

「そ、そうなの?」

 

「ソーナノ!」

 

「…………弥生、何だそれ」

 

「ちょっと巫山戯たくなった」

 

しょうがないじゃん。何か巫山戯たくなったもんはなったんだもの。だからさ、その目辞めてくんないかな?

 

「…………それで、どうするのよ弥生」

 

俺が魔理沙の視線を受けていると霊夢が聞いてきた

 

「え?何が?」

 

「何がって………こいつらのことよ。勝負受けるなら受けてさっさと帰ってもらいなさいよね。もう疲れたわ」

 

そう言って霊夢は立ち上がってお茶のおかわりを淹れに行った。俺のも持って行ってくれたところを見ると霊夢はやっぱりそこらへんわかってくれている。あいつ、良い嫁さんになるぜ(確信)。まあ夫は尻に敷かれそうだけど

 

「勝負ねぇ………すんの?」

 

「上等よ!メッタメタに叩きのめしてあげるわ!」

 

「やっぱり弾幕ごっこだったり?」

 

幻想郷の決め事はだいたい弾幕ごっこだからな〜。三人相手は骨が折れそうだ

 

「え!?えぇ〜っと………作戦かーいぎ!」

 

そう言うと三人は部屋の隅に固まってこそこそと何かを話し出した

 

それを俺と魔理沙は顔を見合わせて首を傾げ、霊夢が俺のお茶と自分の分を持って帰ってきた。ありがとうと一言言って湯呑みに口をつける

 

「決まったわ!」

 

サニーミルクが元気良く俺達の方を向いて言う

 

お、決まったか

 

「勝負内容はかくれんぼよ。勿論鬼はあなたね」

 

ルナチャイルドがそう言う

 

……………かくれんぼ〜?

 

「やだ、めんどい」

 

俺は病み上がりなんだよぅ。今日は輝夜とゲームしまくって疲れたんだよぅ

 

てかどんな勝負内容でも断る気満々だったけどな

 

「な、なんでよ!」

 

「疲れてるんですぅ。明日なら遊んでやるからさ、我慢しな」

 

「これは勝負だって言ってるでしょう!?」

 

「俺としちゃあ遊びだ!」

 

かくれんぼは遊びだろうが。もう今日はそんな気力残ってねえんだよ。だからそんなに揺らすな、肩を揺らすな。てかいつの間に俺のとこまで来やがった

 

「勝負受けなさいよ!」

 

「あははは!」

 

今度は他の二人も混ざって俺の体を揺らしに揺らしまくる

 

「ちょ、馬鹿辞めろ。酔う、酔うって」

 

やべえ、ブレる。残像出来てんじゃね?

 

「「むぅ〜…………」」

 

「あはははははは!」

 

やっと辞めてくれた。約一名、スターサファイアは面白がって揺らしているがさっきよりはマシだな

てか霊夢と魔理沙は何故助けてくれない。………あれ?二人はどこ行った?

 

あ、戸が開いてる。あいつら面倒臭くなって逃げたな!

 

「あははは!…………飽きた」

 

だろうな

 

「「……………」」

 

「お、おい……」

 

急に二人が黙った。ジッと俺に目で訴えてくる

 

若干涙目なんだよな…………はぁ、やれやれしょうがない

 

「わかったわかった。遊んで………あー、勝負してやるから。だから泣くなっつの」

 

「「な、泣いてない!」」

 

「嘘吐け、涙目になってるぞ〜?」

 

「「なってない!」」

 

「なってるよ〜」

 

「「だからなってない!」」

 

…………なんだこいつら、面白いな。そしてなんか可愛いな、さっきの涙目とか

 

「うし、じゃあ外に行くか?」

 

俺は立ち上がり未だ騒いでいるサニーミルクとルナチャイルド………長いからサニーとルナでいいな、の頭に手を置いて戸を開ける

 

「話は纏まったかー?」

 

賽銭箱の前で魔理沙が座っていた

 

「かくれんぼすることになった。魔理沙もやるか?」

 

「私はいいぜ。霊夢でも誘ったらどうだ?」

 

「霊夢がやるわけねー」

 

「だな」

 

てか霊夢はどこ行ったんだ?寝てるのかな?

 

「それじゃ、隠れるわよ!」

 

魔理沙と他愛もない会話をしているとサニーがそう言って飛び立った

 

「範囲は博麗神社周辺だからなー!」

 

「「「わかったー!」」」

 

うむ、元気がよろしい。それじゃあ数え始めようか

 

「いーち、にーい、さーん」

 

俺はしゃがんで目を押さえ数え始める

 

「なあ弥生ー」

 

「ろーく、なんだー?しーち、はーち」

 

「まあ、そのなんだ。…………お帰りだぜ」

 

魔理沙はそう言った。いきなりだったから思わず魔理沙の方を向いてしまった

 

「な、なんだよその顔は………まだ言ってなかったから言っただけだかんな」

 

「いや………ただいま、魔理沙」

 

俺は満面の笑みでそう返した

 

「……………ふん。早く数えて捜しに行け」

 

魔理沙はそう言って帽子を深く被って横になった

 

「はいはい。………えーと、どこまで数えたかな。10からでいいか、じゅーう」

 

待ってろよ〜、すぐに見つけ出してやるぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぃぃぃひゃぁぁぁくぅ!!行くぜオラ!」

 

やっと100数え終わった。なんかこれだけでもういい感じなんだが………

 

「しかし、あいつらも不運な奴らだぜ。俺にかくれんぼを挑もうとはな……」

 

俺はポケットからiPodを取り出してイヤホンを耳につける

 

「陣風………吹き荒れる」

 

そう言うと俺の体は風を纏う。これは俺の能力で音を風を操る為のエネルギーに変えてるってわけだ。どういう原理かは知らんが、世界にはまだまだ知られざるエネルギーがあるってことだな

 

そして今、全ての風は俺の支配下にある。まあ、範囲内に限るがな

 

「範囲は………50mかな。さて、索敵開始」

 

目を瞑り索敵を開始する

……………これは木か。じゃあこれは石だな。これは魔理沙だ、寝てるな

 

「霊夢………は、神社の中のこれだな?寝転んでるのか?」

 

風が当たった感じから言って寝転んでるんだろうな。あ、今動いた

 

あいつらは近くにはいないな。どれ、森の方までやってみるか

 

「……………居た」

 

ニヤリ、と笑う。いやぁ、案外簡単ですなぁ

 

「一人だな。三人一緒じゃ無いのか…………その方が楽だったのに」

 

それに誰かわからないし…………まあいいや

 

「こっちおいで」

 

手を居る方向へ向けてくいっ、と手招きする

 

「き、きゃぁぁぁぁぁぁ!?」

 

悲鳴が聞こえてきた。しばらくすると森の方から風に包まれたルナが回転しながら飛んでくる

 

「はい一人見〜っけ♪」

 

俺はルナを抱き止めてそう言う。ルナは何が起きたのかわからないようで呆然としている

 

「お、もう一人見つけた」

 

反応をキャッチしたので手招きする。ルナを離すと落ちそうなので左手で抱きかかえたままだ。我に返ったようで離せと暴れて困る

 

「離しなさいって!」

 

「はいはい、落ち着け落ち着け」

 

「うぁ!?う〜…………」

 

頭を撫でてやると落ち着いた。単純だなぁおい

 

「ほいっと」

 

「すご〜い!もう一回!」

 

丁度スターが落ちてきた。右手で受け止めると拍手をしながらもう一回、もう一回とせがんでくる

 

因みに何故片手で受け止めることが出来るか教えてやろう。エネルギーを力に変換してるからだ。エネルギーは一度に二つの力に変換出来ない代わりに変換した力を留めることが可能なんだ。まあ少しの間だけだが、十分だろ

 

「後でやってやるから。ほら、二人とも下りな」

 

二人を下ろす。さて、最後はサニーだな

 

と言ってももう既に見つけている。今丁度………

 

「きゃあああぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

 

真上だ

 

サニーは俺に向かって絶賛降下中である。風は解いてるから飛べるはずなんだけどな………パニクって頭に無いんだろう

 

急降下してきたサニーをしっかりと抱き止める

 

「これで俺の勝ちだな」

 

俺はサニーの額を小突きながらそう言った

 

「ぇ…………うぁ…」

 

「どした?」

 

サニーの顔が赤い。ん〜、怒ってんのかな?

 

「は、離せぇぇ!」

 

「ぐはっ!」

 

やっぱり怒ってるようだ。見事なパンチをもらってしまった

 

まあ落ちてきた時の涙目が可愛かったので大目に見てやろう。良かったな、可愛いは正義で!

 

「ずるいじゃない!こんなの聞いてないわよ!」

 

「だって言ってないし」

 

「こんなのはノーカンよ!ノーカンノーカン!」

 

「能力使っちゃ駄目だなんて言ってないだろ?」

 

「う〜…………」

 

ふっ、もう言い返せないのか。まだまだだな

 

「まあ、また来いよ。暇だったら遊んでやるからよ」

 

サニーを下ろして頭を撫でて言う。弾かれるかと思ったが意外にも大人しく撫でられていた

 

「…………お、覚えてなさいよ。次は勝つんだからぁぁぁぁぁ!」

 

そして何処かへ飛び立ってしまった。その後をスターとルナが追いかけて飛んでいく

 

「じゃあな〜」

 

俺は三人に手を振って見送った。なんともまあ、嵐のような奴らだった

 

「……………あら?貴方」

 

「ん?」

 

階段の下から声が聞こえた。見てみるとピンク色の髪にお団子を付け、右腕に包帯をした女の子がいた

 

「お嬢さん、もしかして参拝客かな?珍しいね〜」

 

「い、いえ……参拝客ではないのだけれど」

 

「なんだ違ったか。それじゃあ霊夢のお友達か?ここに2週間くらいは住んでるけど……初めましてだな。俺は要 弥生、英雄に憧れる普通の人間だぜ。よろしく!」

 

俺が自己紹介するとお嬢さんは階段を登ってきて俺の横に立つ

 

「私は茨木 華扇《いばらき かせん》。妖怪の山に住んでいる仙人です」

 

「妖怪の………山?ああ、あそこか」

 

霊夢から話は聞いてる。確か天狗や河童が住んでて、博麗神社とはまた違う神社があるって話だ

 

「まあ何にせよ神社に用があるんなら上がりなよ。ま、俺は居候の身だけどな」

 

「そうなんですか。それではお言葉に甘えて」

 

そして俺は華扇を連れて神社の中へ入った

 

そう言えばまだ幻想郷には行ってない場所が沢山あるなぁ。霊夢か魔理沙に案内してもらおうかな?でも二人とも面倒くさがりそうだなぁ……………。あ、幽香とか、…………着いてきてくれるかな

 

まあいいや。取り敢えず今度行ってみようっと

 




最後の方なんか手抜き感するなぁ………


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

皆で行こうぜ!by弥生

「霊夢〜、お客さんだぜ」

 

「お邪魔するわよ霊夢」

 

華扇を連れて神社内に入る俺。魔理沙は賽銭箱の側で熟睡していたのでほっておいた

 

「お客さん?どっかで聞いたことある声だけど………あら、華扇じゃない」

 

「久しぶりね霊夢」

 

「急に音沙汰なくなったと思ったら………なに?修行でもしてたの?」

 

「ええ、まあね」

 

修行?………成る程、さっき仙人って言ってたしな

 

「しかし、幻想郷に仙人なんていたんだな。まあ、不思議じゃあないのか」

 

「だって幻想郷だもの。幻想郷は全てを受け入れるのよ」

 

それを言ってしまったら終わりな気がするが………

 

「修行がひと段落したから神社に来てみたけど、まさか新しい住人がいるなんて思わなかったわ」

 

「あれ、文々。新聞に載ってたはずだけど……」

 

「購読してないの」

 

「ああ、そうなんだ」

 

そりゃわからんわな。一応うちも購読してるけど霊夢は読んでないし、俺もペラペラっと読んで後は倉庫行きだからな

………あれ?今思えば幻想郷で俺のことを新聞から知る人って少ないんじゃね?

 

まあ、別にいいか

 

「そう言えば華扇は妖怪の山に住んでるんだよな?」

 

「そうだけど………どうしたの?」

 

「だったらさ、俺を妖怪の山に連れてってくれないか?まだ行ったことないんだよねぇ。この幻想郷にはまだ行ったことが無い場所が沢山あるからさ」

 

妖怪の山って言ったら沢山妖怪がいるんだろうな。どんな妖怪がいるんだろ………天狗とか?

 

「はぁ………あんたねぇ、つい数日前のこと忘れてるんじゃないでしょうね」

 

霊夢は溜息を吐いた後俺に人差し指を突きつけて詰め寄って来る

 

「う…………いや、結果的には幽香とも仲良くなったわけだしさ。何の問題も無いって」

 

「そう言ってまた入院する程の怪我されちゃこっちが困るのよ」

 

「いや、でも今回は華扇がいるわけだし。………そうだ!だったら霊夢も着いてきてくれよ!そしたら安全だろ?霊夢強いし、な?」

 

そしたらもう敵なんかいていないようなもんだよ!うん、名案だぜ名案

 

「む…………まあ、私は確かに強いからね。しょうがないわね、着いて行ってあげるわよ。その代わり明日ね」

 

「やったぜ!華扇もそれで良いか?」

 

「ええ。………それじゃあ、私はそろそろお暇しようかしら」

 

ん?もう帰るのか。随分と早いな

 

「もっとゆっくりして行けばいいじゃん」

 

「いや、今日は様子を見に来ただけだから。また明日」

 

「じゃあね、華扇」

 

「じゃあな」

 

そう言って俺達は華扇と別れた。明日は妖怪の山へ行くのが楽しみだぜ

 

「ふぁぁ…………誰か来てたのか?」

 

魔理沙が起きて来たようだ。目を擦りながら言う姿は普段と違ってなんか………うむ

 

「さっきまで仙人さんが来てたんだぜ〜」

 

「………おい、何で私の頭を撫でてんだ」

 

「なんとなく?」

 

「……そうか」

 

寝ぼけてんのか、大人しく撫でられてやがる

 

「何してんのよ(ゲシッ」

 

「あたっ!……何すんだよ霊夢」

 

何も蹴ること無いだろ、蹴ること

 

「ふんっ」

 

「ん〜?………まあいいや。そうだ魔理沙、明日霊夢と今日来た仙人さんの三人で妖怪の山に行くんだ。魔理沙も来るか?」

 

「妖怪の山か………わかった、私も行くんだぜ!」

 

おっし!これで更なる安全も確保されたし、それに皆で行けば楽しいってもんだ!

 

「それじゃ、明日に行くことが決まったってことで昼飯にしようぜ!」

 

「おっ、いいな。私は味噌汁が飲みたいんだぜ」

 

「今日は私が作るわ。待ってなさい」

 

今日は霊夢が当番か。美味いの期待してるぜ

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさんでした」

 

昼飯を食い終わった俺達は昼から特にやることも無いので縁側でダラッとしている。今思えば時期的には夏に入ろうかと言う所なのだが、今年はまだ余り暑くないみたいだ

 

「そろそろ暑くなり始めるかもなぁ………」

 

「そうだなぁ……スイカや素麺が美味い時期になるぜ」

 

「今年はスイカが食べれそうね〜」

 

それは多分俺が来て金の心配が暫くは無くなったからだろうな

 

「今年は私の畑で良いスイカが出来そうだから、一つくらいあげてもいいわよ?」

 

「ホントか?いや〜、ありがとな!…………ん?」

 

今、俺達三人の中の誰のでも無い声が上から聞こえたんだが………

 

「三日振りくらいかしら?弥生」

 

「幽香!?」

 

声の主は幽香だった。俺が叫ぶと幽香は華麗に俺の目の前へと降り立つ

 

「確かに三日振りだな」

 

「今日はどうしたんだ?まさかまた弥生を襲いに来たんじゃないだろうな……」

 

その一言で魔理沙も霊夢も臨戦態勢に入る

 

いや、そんな心配はしなくて大丈夫だと思うけどな………

 

「弥生があまり来ないから見に来たのよ。もう襲うなんてことはしないわ。ねぇ?弥生」

 

「おう、もう幽香と俺は友達だもんな」

 

俺が笑うと幽香も笑って返してくれる。その様を見て二人は顔を見合わせ首を傾げてるが……まあそれもしょうがないのかもしれないな

 

でも幽香は根は優しい奴だと思うんだよな。人と話をしないから勘違いされるんだぜ、多分

 

「それよりも、三日も空けるなんて聞いて無いわよ弥生。思わず神社を半壊させる勢いでここまで来ちゃったじゃない」

 

「え?いや、俺入院してたんすけど……」

 

それはあまりにも理不尽が過ぎるだろう………それに三日"も"ってなんだよ。あれ?毎日行くって言ったっけ俺

 

「神社を半壊?そんなことしてみなさいよ。あんた、絶対に許さないわよ」

 

「あら、やるって言うの?」

 

「上等よ。何時ぞやの如くボコボコにしてやるわ」

 

霊夢と幽香が睨み合っている。今にも弾幕ごっこが始まりそうな勢いだ

 

魔理沙に止めてくれとアイコンタクトを送るが華麗にスルーされた。奴め、見て見ぬ振りをしてやがる!

 

「まあまあ二人とも落ち着け。てか幽香、俺は入院してたんだし、それに毎日幽香の家に行くなんて無理だって」

 

「それくらいわかってるわ。…………そう、入院してたの。それなら仕方ないわね」

 

「だろ?わかってくれたか」

 

「明日来なさい」

 

…………ホントにわかってんのか?

 

「すまん幽香、明日は妖怪の山に行くんだ。初めて行くんだぜ!」

 

「………ふーん、そう。私より自分の好奇心を優先なのねぇ」

 

「え?いや、違うっての。でももう約束もしたまったし、なあ?霊夢、魔理沙」

 

なんかヤバイ雰囲気だ

 

「そうね。悪いけど諦めなさい」

 

「何だかわからんが、そう言うことだ」

 

「っつーことでだな……………ん?」

 

ふむ、明日は妖怪の山に行くから俺は幽香の家に行けない。でも幽香は俺に家に来いと………

 

「どうしたの?」

 

「ああ………幽香。幽香も明日妖怪の山に行こうぜ!」

 

「「「は?」」」

 

「皆で行けば楽しい、俺がいつも言ってるだろ?妖怪の山からの帰りに幽香の家で一休み、どうだ」

 

我ながら名案だ。これならば妖怪の山にも行けるし幽香の家にも行ける

 

「…………」

 

幽香は俺の眼前まで顔を寄せてくる。目付きもなんだかキツくなってるから若干仰け反ってしまう

 

「お、俺なんか変なこと言ったか?」

 

「……………いいえ?」

 

恐る恐る聞いた俺に急にニッコリと笑った

 

「わかったわ、明日ね。ふふ」

 

そう言うと幽香は日傘をクルクルと回しながら帰って行ってしまった

 

「………なんだったんだ、一体」

 

「あんたもなんなのよ。人数増やしすぎ」

 

「良いだろ?別に」

 

まあ、何にせよ明日が楽しみだ

 

「(霊夢と私と幽香と仙人………何とも言えない異種メンバーだな)」

 




待たせたな!もう、めっちゃ待たせたな!

弥生「待たせすぎだぜ馬鹿野郎!!」

マジですいませんでした!

弥生「反省しろ!!」


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

久しぶりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!by弥生

次はいつになるかわからないけどね!!


太陽が真上へと上がっている昼時、私は博麗神社の鳥居を潜る

 

「ふぅ………随分と久しぶりね」

 

どこかの誰かさんがろくに何もしなかったせいでここに来ること………て言うか、そもそも話すこと自体が一年ぶりになるような。まるで今まで時が止まっていたかのようなそんな気がするわ。咲夜が何かしたのかしらと思うくらい

 

…………少し、変な電波を拾ったようね。最近は新作の人形作りや魔法の研究で忙しかったから、色々と疲れてるのかも

 

縁側でゆっくりしながらお茶でも啜らせてもらおうかな

 

「霊夢〜?弥生。いるかしら?」

 

私は賽銭箱の前でまずこの神社の巫女と、その居候の名前を呼んだ

 

返答は無し。聞こえてないのかしら?もしかしたら外出してるのかもしれないわね。魔理沙もいないし

 

「ま、どうせ人里で買い物してるだけでしょう。ここで待ってればすぐ帰ってくるわ」

 

そう思い賽銭箱の前へ腰掛け、私は二人と、ついでにいるかもしれない魔理沙を待つことにした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はっ、はっ、はっ、はっ…………!」

 

真上から太陽が照らす中、俺はろくに整備もされていない山道を走っていた

 

何故か?それはだな………

 

「待ちなさい!侵入者!!」

 

「剣を持った奴に追いかけられてんのに、待てと言われて待つ馬鹿はいねぇよ!」

 

俺が絶賛追いかけられ中だからだよ!!

 

何故こうなった?何がいけなかった?もう一度振り返ってみよう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれは俺達、妖怪の山観光ツアーの一行が妖怪の山前まで来た時だった

 

俺、霊夢、魔理沙、幽香は妖怪の山入り口で華扇と待ち合わせをしていた

 

「お、あれ華扇じゃね?おーい!」

 

見覚えのあるお団子を頭につけたシルエットを見つけ俺は手を振った。あちらも気付いたようで、手を振り返してくれる

 

「来たわね、皆……………って、あなたは」

 

華扇が幽香を見て目を丸くする。そう言えば華扇にメンバーが追加されたことを言ってなかったな。てか、伝える手段がねぇのな

 

「何かしら?お山の仙人さん?」

 

お互い知ってるようだ。そうなら話は早い

 

「俺の友達なんだ。今日は一緒にこの山を観光した後、皆で幽香の家に行く予定なんだぜ。華扇も来るか?」

 

「い、いえ……遠慮しとくわ。なんて言うか、凄い妖怪と友達なのね」

 

凄い妖怪?あぁ、確かに幽香は大妖怪だっけか

 

「最初は……て言ってもつい最近殺されかけたけど、今じゃ仲直りしたしな」

 

「そうよ。もう弥生に敵意なんて向けないわ。ね?」

 

「なー」

 

イエスイエス。シェイクハンズ

 

「そ、そう………」

 

信じられない、みたいな目してるけど………ま、きっとそのうち仲良くなるだろう

 

幽香と握手をした後後ろで空気になりかけている霊夢と魔理沙に目を向ける。何やらジト目で見て来てるが、どうかしたのか?………まあいい

 

「霊夢、魔理沙。二人は妖怪の山によく来たりすんの?」

 

俺が質問すると魔理沙が空に目線をやった後、少し考え込むようにして答える

 

「前回来た時はいつだったかな〜………多分にとりに時計の修理してもらってからは来てないかもしれないぜ」

 

「にとり?」

 

なんか知らない名前が出てきたぞ。にとりって言えば……思いつくのはとあるなんか、鳩サブレみたいな形したマークの店しか出てこないんだが

 

「河童のことだぜ。確か宴会に来てたと思うんだが」

 

「あ〜………俺さ、ゆかりん達と幽々子と妖夢とか……ぐらいしか挨拶してないんだよ。後は縁側でチビチビ酒慣らしてたからな。遠目から見てたけど」

 

今思えばあれって俺の歓迎宴会だよな?中に入っていかなかった俺が言うのもアレだけどさ

 

「あんたが宴会の音頭とる時には殆どできあがってたし、正確に覚えてる奴も少ないかもね」

 

「マジか……」

 

霊夢の一言に若干傷付く………折角大声で言ったのに、しかも俺の歓迎宴会なのに覚えられてないってどうなのよ。二回目だけど、中に入っていかなかった俺も悪いけどさ

 

しかし、河童か………河童と言えば頭に皿を乗せた緑色の生物だな。緑色の生物………記憶にねぇなぁ。緑髪なら幽香なんだけど……

 

「なに?」

 

「いんや、別に………霊夢はどうだ?俺が来る前は、ここよく来てた?」

 

「いや、別に。大きな用事や異変でもなければ来たりしないわよ」

 

確かに霊夢は面倒くさがりだもんな。ここ数週間でそれはよくわかってるぜ

 

しかし大きな用事か…あぁ、そう言えばこの山にある神社の奴らが異変を起こしたとか言ってたな

 

「よっし!早速入るか!!」

 

意気揚々と山の中へダッシュ!後ろでなんか言ってるが聞こえねぇぜハッハッハッ!!知ってるか?爺ちゃん婆ちゃんが若い頃は野山を駆け巡ってたんだってよ!!俺も野山を駆け巡って爺ちゃんになった時にそう言えるようになるんだ!(キラキラした目)

 

 

 

 

 

 

 

「そしてなんやかんやあって今に至ると…………」

 

一体何が悪かったんだ……?

 

しかし、この山に入って走り回ってただけで追い掛けられるとか………そう言えばこの妖怪の山には天狗がいるとか聞いてるんだけど、もしかしてあれが天狗?いやいや、そんなわけ無いよな。だって鼻長く無いもん。顔赤くないもん。どちらかと言うと犬じゃね?耳と尻尾あるし。美少女だし

 

てかしつけぇよあいつ。隠れても見つかるし、なんか能力持ちか?

 

取り敢えず話聞いてみっか

 

「はぁいストォォォォップ!!ワンころ!ステイステイ!」

 

「だ、誰がワンころですか!!」

 

あ、止まった。空中で止まって、剣構えてるよ怖え

 

「取り敢えず話聞けって。確かに俺はこの山に入ったよ?でもだからって剣振り回して襲い掛かってくることないじゃねぇか。あれだよ?そんなんだったらアレだよ?…………どれだよ!」

 

「知りませんよ!」

 

「なんで知らねぇんだよ!!」

 

「逆になんで知ってると思ったんですか!?」

 

「それこそ知るかっ!!」

 

「ええぇえぇぇぇ!?」

 

全くなんて奴だ。何も知らないじゃないか

 

「取り敢えずもういいからこの山案内してくんない?あ、あと俺の連れも捜してほしいんだ。あいつら迷子になっちゃって」

 

「よく今の流れでそんな話に持って行けましたね…………」

 

それが俺クオリティー

 

しっかし、霊夢も魔理沙も幽香も華扇も、皆揃って迷子だなんてしょうがないなぁ。全く、俺がいないと駄目なんだな。しょうがない奴らだよ

 

「しかし、他にも侵入者が………ちょっとそこ動かないでくださいね。今確かめますから」

 

そう言って目の前の空飛ぶわんわんは何やら集中しだしたようだ。やっぱこいつ能力持ちか。恐らく………遠いとこまで見通せる程度の能力とか?成る程、千里眼ってやつですかぱねぇな

 

「…………はぁ!?なんですかこの異色混合混ざり合いすぎて最早真っ黒な団体は!?」

 

「いや、団体って程大人数では来てねぇよ」

 

「いい、いや、確かに大人数ではないですけど!なんですかこれ!貴方が連れて来たんですか!?」

 

「連れて来たんじゃねえよ、一緒に来たんだよ」

 

「同じことです!」

 

いやいや、違うだろ

 

「何を驚いてんのか知らんが、取り敢えず連れてってくんね?ほら、見たんなら一緒にいたろ。華扇………この山の仙人がさ。なんか聞いてないのか?」

 

「確かにいましたが………成る程、貴方方でしたか。確かに聞いています」

 

お、良かった良かった。ちゃんと話しは通ってるのね。通ってなかったらどうなってたんだろう、俺捕まってたのかな?嫌だぜこの歳でムショに入んのわよぉ。そもそもこいつ警察なのかな………やっべ、俺タメ口きいちゃったよ。まあいっか!

 

「散々追い掛けましてしまい失礼しました」

 

逆に謝られちゃったよ

 

「いいよ別に。いやぁ俺もなんかごめんね?その上案内までしてくれるなんてホント頭が上がんねぇよ」

 

「案外図々しいですね………」

 

「いやぁ……」

 

「褒めてません。………はぁ、わかりました案内します。飛べますね?」

 

「勿論さ!」

 

さぁって、合流しますか

 

 

 

 

 

 

 



目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
一言
0文字 ~500文字
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。