ウルトラマン特別短編 戦の神と姫の戦記 (サウザンドピース)
しおりを挟む

第1話 姫と少年、そして戦神 前編

やっと書き終わったぞ一話!前半だけど!


ーーー封印の場所ーーー

 

「ふふふ、ついに見つけたぞ、古の植物怪獣!」

 

とある奥地にて、男が腐った巨大な球根のようなものを見つけ、その球根の中心へと降り立つ。

そして懐から瓶を取り出し、栓を抜く。

 

「さあ再びその花を咲かせ!我が野望のために!」

 

男は瓶を傾けた。すると中に入っている液体が流れ落ち、球根へと注がれた。

 

・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!

 

「ギシャアアアアアアアアアア!!」

 

すると突然揺れが起き、球根が爆発する。

そしてその中から動物の頭のような花弁の花をもつ巨大な植物が姿を現し、高々と咆哮を上げた・・・。

 

 

 

 

ーーーとある秘境の村ーーー

 

「運べ運べ!」

 

「そこ止まるな!」

 

「・・・なんか物々しいな」

 

俺はセツ。この村に住んでる。そろそろ成人を迎えるなぁと思っていたら、村は何故か大人たちの雰囲気がおかしい。

 

「何があったんだ」

 

気になったんで近くにいた大人の一人、ゴウに聞いてみた。

 

「おう、どうやらめでたいことがあったみたいでな!村総出で祝おうってことらしい!」

 

いわく何かいいことが起きたらしく、それを祝うための準備、らしいのだがどう見てもそんな感じじゃない。

何かに備えてるって言った方が正しいぞこれ。

 

「あ、信じてないな、ま、当たり前か。こんな感じだし。」

 

顔に出ていたらしく、俺が心の中で思っていたことに気がついたようだ。

ゴウは実はな、と再び語り出す。

 

「実はな、最近空に穴が開いてそこから悪い奴が来て近くの村を襲ったらしいんだ。

そいつがこっちにくると村長達は踏んで、罠を仕掛けながら警戒してるんだ。」

 

ふーん、なんか悪いやつが来るらしいから予め用意してるのか。

来るかもしれないぐらいのやつに何神経尖らせてるんだか。

 

「そか、まあ頑張ってねー」

 

適当に返事をして、俺はその場を後にしようとする。

 

ふぉおん…

 

「ん?」

 

その時、横の木から花粉が飛び出してきた。気になって木の方を見ると、後ろに見たことない黄色い花があった。

どこか不気味で獣の口にも見えなくもない形をしている。

どうやら花粉はここから吹き出していたみたいだ。

 

「何だ? これ…」

 

「触るな!」

 

俺が花に触ろうとしたとき、ゴウが怒鳴った。

普段怒鳴ることなんてないのにどうしたんだ?

 

「これは、神聖なものだ。そう簡単にふれてはいけない」

 

「あ、うん」

 

ゴウにそう言われて俺は手を引っ込め、その場をあとにした。

あの花が神聖?、何かの間違いだろ。どう見たってあれは…悪魔の花だろ。

そんなことを思いつつ、森を歩いていると、ガサ、と何かが通った音が後ろから聞こえた。

振り返ると茂みから女の人が出てきた。

俺たちの物とは違う、妙な服を着ていて、髪色が赤と金色になっている。

明らかに普通じゃない!

 

「う、うぁああ…」

 

女の人が呻き声を上げてこっちに来た!

もしかするとさっきゴウが言ってた、空から来た悪いヤツってこの人なのか!?

そんなことを考えてるうちに、女の人は俺の方にかなり近づいていた。

やばい!…と思ったその時、急に女の人がパタッと倒れた。

ど、どうしたんだ…?

 

「み、みずぅ…だれかみずを…」

 

……どうやら単に喉が乾きすぎてフラフラになっていたらしい。

とりあえず俺は女の人を近くの川辺に連れて行った。

 

 

  ーーー ーーー

 

「…プハ」

 

河辺についた瞬間、女の人は凄まじい速さで川に飛びついた。

そして水をすくい上げてそれを一気に飲み干した。

 

「ふう、ありがとう、きみ」

 

女の人が礼を言った。俺は適当に頷いた。

…にしても見るからに普通じゃないなぁ……服は複数の色で彩られていて、何故か光を反射している。

俺らのは反射なんてしないのに。

髪の色も上から、赤から金色っていう感じだ。普通黒か茶色、金色が珍しいくらいだ。

赤と金色なんて見たことも聞いたこともない。

 

「お姉さん、どこから来たの?」

 

気になったんで聞いてみた。

 

「え? あ〜…未来?」

 

…よくわからない答えが返ってきた。

 

「いやなんか変な穴に急に吸い込まれちゃって! 気がついたら、ここに…というか、なんでそんなこと聞くの?」

 

逆に聞き返された。まあ答えない意味はないんで「服と髪の色が珍しかったから」と答えた。

それを聞いたお姉さんは、「え? 髪の色? あ!? いつの間にか元に戻ってる!?」と慌て始める。

 

「あっはは…本当は仕事の時は黒くしてるんだけど…」

 

どうやら黒くしていたものが元に戻っていたことに焦っていたらしい。

どうやって黒くしていたのか気になったがそれは置いていくことにし、「大変だね」と返した。

 

「あはは、ありがとう…あ、実は帰るために探し物してるんだけど、何か知らない?」

 

それを聞いたお姉さんは苦笑い気味で礼を言った。

と、ここで探し物をしているので何か知らないかと尋ねてきた。

 

「え? いや多分知らない…」

 

「なんでもいいよ! 例えばうんとその…変な草とか!」

 

知らないと返したが食い下がってきた。

そういわれても知らないものは知らないし…ん? まてよ、変な草と言えば…

 

「…お姉さん」

 

「うん?」

 

「怪しいの一つあった」

 

 

 

  ーーー ーーー

 

 

「セツくん! 本当にここにある?」

 

「うん、確かだけど」

 

あのあと、俺はあのおかしな黄色い花のことをヒメラに話し、ヒメラがそこに連れて行ってと行ったので案内しているところだ。

道中で互いに自己紹介しあい、お姉さんの”ヒメラ・シン・トライフィア”という名前を聞いた。

なんか俺の名前を教えた時に笑顔を向けられたら胸がドクンっとなった気がしたが気のせいだろう。

 

「あ、セツくん! あれ?」

 

そうこうしていると、ヒメラが何か見つけたようだ。

指差す方を見るとそこには例の黄色い花があった。

 

「うん、あれ」

 

「よし」

 

確認をとったと同時に、ヒメラはそろりそろりと花に近づき、まじかまで行くと、じーと花を見る。

 

「どう? それ何かわかった?」

 

「……」

 

声をかけたが、反応がない。

かなり深刻そうな顔だったので少し様子が気になり、近づいて再び声をかけた。

 

「ヒメラ?」

 

「! あ、ご、ごめん! ぼーとしてた…」

 

どうやらただぼーとしてただけのようだ。

だけどやっぱり深刻そうな顔は変わらず。

そして深く息を吸った後、ヒメラはこう言った。

 

「セツくんの村、少しやばいかも…」

 

「!……どういうこと?」

 

俺の村がやばい、そう言われて何故か驚かない自分。

おそらく最近の物々しさから村の様子のおかしさを感じ、今ので腑に落ちたんだ。

 

「…驚か、いやそうだね、どういうことかの方が聞きたいよね」

 

そんな俺の様子にヒメラは一瞬戸惑ったが、

すぐに察しがついたのか気を取り直し、花と今の村について話をし始めた。

 

「この花、ギジェラっていうんだけど、すごい幻覚作用があってね、

それでいい夢見てみんな無気力になった後、闇の餌食になった。だからこのままだとセツくんの村が危ない。その闇が来て…」

 

「・・・多分違う」

 

「え?」

 

今の説明が本当なら、今みんなあんな物々しい感じにはならないはずだ。

もっと楽しそうになってると思う。でも実際はみんなかなり気が立ってた。

ゴウはあれを神聖なものと言った、つまりは…

 

「多分だけど、この花はみんなを操って、自分を守らせようとしている」

 

俺はそういった。ヒメラは少し考えると、

 

「…なるほど、多分セツくんの考えは正しい。だってこの花はこの時代では出てこないもの。

私のようにこの時代に来たやつが、悪いことにこの花を利用しているんだ。その準備が終わるまでの守護として、村人は操られているんだと思う」

 

と言った。なるほど、このギジェラっていう花を、誰かが悪いことに利用し、村のみんなも操っていると。

 

「だったらまずはどうすればいい?」

 

しかし、それでどうすればいいかはまったく解らない。困った俺はヒメラに聞いた。

 

「…花には悪いけど、こうする」

 

そう言ってヒメラは腰に納めてあった何かを手に持つと、ギジェラに向けた。

すると光がギジェラにあたり、ギジェラは燃え尽きて消えた。

 

「こんな感じではなを消せば、村人たちは元に戻る…」

 

ヒメラはどうやら花を燃やすのを嫌がっているようだ。

多分、本当はそれ以外の方法があるのなら別の方法をとりたいんだろう。

でも村人達を戻すためにヒメラは…

 

「…やさしいね」

 

思わず、俺はそう呟いた。

 

「…私にその言葉は合わないよ…」

 

でも、彼女には逆に応える呟きだった。

 

そこで何をしている

 

「「!?」」

 

声をかけられ、俺たちは振り返る。そこにはゴウや村の人達がほぼ全員いた。

 

花に何をした

 

燃やしたのか

 

無礼者!

 

捕らえろ!

 

恐ろしい雰囲気で、ぶつぶつとみんな何かを呟いていたと思っていると、急に全員ヒメラに向かって飛び出した。

 

「きゃ!?」

 

「ヒメラ!? く!?」

 

ヒメラの悲鳴が響く。助けようとするがみんなが邪魔をする。

ようやくその邪魔から抜け出せたと思ったら、既にヒメラはいなかった。

 

セツ、おまえも花を燃やすのか?

 

もうみんな話しが通じるような感じじゃない!

ヒメラを探し出してここから離れる、それしか生き残る道はなさそうだ…

俺は木を渡りつつその場を離れた。

 

 

 

  ーーー ーーー

 

 

いたか?

 

いやいない

 

どこへ行った!

 

探せ探せ!

 

あれからかなり時間が経った。未だにヒメラは見つかっていないし、みんな血眼になって俺を探している。

これじゃいづれ見つかる…

 

「困っているな君」

 

「!」

 

突如後ろから声。周りに気付かれないようにしつつも素早く後ろを振り向く。

そこには布で身を包み、かをを隠している男がいた。

 

「俺は追いかけてきているやつじゃないから安心してくれ」

 

「…信じると?」

 

この男の正体で考えられるのは二つ、一つはヒメラの言ってた悪いやつか。

ヒメラが言うにはヒメラが元いた場所と同じようなところから悪いやつは来たらしい。

ヒメラと同じように見たことのない服を着ているのならありえそうだ。

二つ目、ヒメラを追いかけてきたヒメラと同じ感じの人。

さっきと同じように服からそう思った。

 

「信じるかは置いとい、て!」

 

「!

 

男が俺に手をかざした。すると何かが頭に入ってきた!?

これは…ヒメラ!?

 

「おまえにヒメラのいる場所の知識を与えた。それで迷わず向かえるだろう、あとついでにしばらくのあいだ周りから見えなくなっているから」

 

本当にこの人は何者なんだ!? でも今は・・・

 

ありがとう、これでヒメラを助けられる

 

「ああ、行ってこい。ただし、不可視のオーラはヒメラがいる場所に着く寸前くらいには消えちまう。急げ」

 

ああ

 

今はヒメラを助けられる。それでいいと思い、俺は頭に刻まれたものが示す場所に向かった。

 

 

 

 ーーー穴蔵ーーー

 

 

 

ヒメラがいた穴蔵に着く頃にはどうやら見えなくなる力は消えたらしく、猿と目があった時に吠えられた。

幸い人がいなかったから見つかることはなかった。

 

「ヒメラ!?」

 

「むぐ!?」

 

穴蔵に入ると、そこには両手足を縄で縛られて、口に布をかまされたヒメラが横たわっていた。

よく見るといたるところに傷があり、みんなから攻撃を食らったのだとわかる。それも相当な。

俺は持ってた石刀でヒメラを縛っていた縄を切る。

 

「う……せ、せつ、くん…?」

 

「しゃべんなくていい! とりあえずここから離れるぞ!」

 

俺はヒメラを背中に背負い、村から飛び出した。

 

「……セツくん」

 

村を飛び出した後、俺がヒメラを背負って森を走っていく中、弱々しくヒメラが呟く。

 

「どうした!?」

 

「……ごめん、セツくん、一緒に、連れてこられなかった、から…私を置いて逃げちゃって…このまま、来ないと思っ、てた…」

 

「……」

 

ヒメラはそう言って謝った。俺は何も言えなかった。逃げたのは事実だからだ。

今はとりあえず落ち着ける場所に行こう。

そう思ったその時、

 

ギシャアアアアアアアアアア!!

 

「!?」

 

けたましいほどの咆哮が空に響いた。見上げると…

 

「なんだよあれ…」

 

そこには、巨大な花があった。あのギジェラに似た花が。

だが違うのは花の中に顔があるということだ。

 

ギシャアアアアアアアアアア!!

 

花はこちらに向かってくる。どうやら俺たちが狙いのようだ。

 

「……下ろして、セツくん」

 

「え?」

 

下ろして、ヒメラがそういった瞬間、ヒメラはすぐに俺の背中から離れ、俺の前にいた。

 

「ヒメラ!? 何を!?」

 

「あれは…私が止める!」

 

そう言ってヒメラは懐から先が水晶になっていて、その水晶の付け根あたりにくぼみがある棒状のものを取り出した。

 

「ミッション、スタート!

 

ヒメラがそう宣言するとヒメラの周りが光に包まれた。

 

「これは!?」

 

一体何が起きているのか…

 

一方、ヒメラはその光の中で棒状のもの、”クリスタルアウェイカー”に、

黄緑と紺の線が入った赤いクリスタル”バランスルージュエレメンタル”をセットしていた(ここから三人称ですすまんそん)。

 

バランスルージュ!

 

クリスタルアウェイカーからそんな電子音がすると、クリスタルアウェイカーが三叉に展開する。

 

迸れ!光の深紅!はっ!

 

ヒメラは大きく腕を回して下げて構えつつ掛け声をいい、クリスタルアウェイカーを天に掲げた!

 

『♪〜 ウルトラマンミツキ……バランスモード! 〜♪!』

 

ヒメラの体は赤、黄緑、紺の三つの光に包まれ、それが一つの渦となった時、

その渦の中から飛び出すようにぐんぐんと”ウルトラマンミツキ”として現れた。

 

「……シェア!」

 

赤メインで黄緑、紺のラインが入っていて体系的に細身で他のウルトラマンよりかは小さめな体を持つ戦士、

ウルトラマンミツキ バランスモードは怪獣ギジェラへ向き、ファイティングポーズを決める。

 

「あれは…ヒメラがなったのか?」

 

その光景を見てセツはかなり驚いていた。ただの少女が、40mほどの巨人になっているのだから。

 

(……行くよ!)

 

「シェア!」

 

ヒメラがインナースペース内で気合いを入れるとミツキも意気揚々と構えをとった。

 

後編へ続く…




後編もすぐに投稿します!


目次 感想へのリンク しおりを挟む


しおりを挟む

第1話 姫と少年、そして戦神 後編

はい後編です!


前半のあらすじ、とある村の少年セツはある日ヒメラという少女と出会う。

彼女と共に最近村人達が物々しくなった原因を探していたが、ヒメラが村人達に捕まり、

謎のフードの男の助力によりセツはヒメラを助け出すことに成功する。

しかしその先で植物怪獣”ギジェラ”に遭遇、どうすればと考えるセツにヒメラは私がなんとかすると言って飛び出し、

赤メインで黄緑、紺のラインが入っていて体系的に細身で他のウルトラマンよりかは小さめな体を持つ戦姫、

”ウルトラマンミツキ”のバランスモードに変身し、ギジェラに戦いを挑んだ!

 

 

(…行くよ!)

 

「シェア!」

 

インナースペースにてヒメラが気合いを入れると、ミツキはギジェラに接近する。

そして花のような頭部にチョップをかます。

 

「シェア!」

 

次に回し蹴りを決め、距離をとって手裏剣型の光弾を放つ。

それらの攻撃はギジェラの体から火花を散らさせる。

 

(よし!)

 

ミツキはついガッツポーズを取る。

 

しかし、

 

「ギシャアアアアアアアアアア!!」

 

ギュウ……!

 

(え!?)

 

その攻撃では決定打にはなっておらず、逆に喜んだ隙を突かれてミツキはその体をギジェラの根でぐるぐる巻きに縛られてしまった。

 

「まずい!?」

 

「!? シェアアアアアア!?」

 

それをみてまずいと感じたセツ。案の定ギジェラは根でミツキを締め付ける。

 

(うあああああ!?)

 

それによりインナースペース内のヒメラも苦しむ。

だがヒメラは、なんとか頑張ってクリスタルアウェイカーのトリガーを押す。

するとヒメラの周りがミツキに変身した際と同じ空間に変わり、ヒメラの自由が戻る。

すかさずヒメラはクリスタルを黄緑のクリスタル”ストライクグリーンイエロー”に入れ替える。

 

ストライクグリーンイエロー!

 

するとクリスタルアウェイカーの水晶部分が赤から黄色に光の色が変わる。

 

穿て!黄緑色の衝撃!は!

 

そして再び掛け声と共に天に掲げる。

 

『♪♪♪!♪♪♪!♪♪♪♪♪!〜 ウラトラマンミツキ! ストライクモード! ♪♪♪!』

 

するとミツキの体が光りだし、体の模様が変化していく。

赤メインだったはずの体は黄緑がメインとなり、体にはオレンジと赤のラインが入っていた。

ミツキはバランスモードからストライクモードへと姿を変えた。

 

ブチィ!!

 

「ギシャアアアアアアアアアア!?」

 

その際、変化の衝撃でミツキを縛っていた根は千切れさり、ミツキは自由になった。

 

(よし!これならいける!)

 

根が千切れたことにインナースペースにて喜びつつ、構えるヒメラ。

ミツキもそれと連動して構え、ギジェラに向かって駆け出す。

 

「シェア!」

 

その走りは先程よりも早く、すぐにギジェラの近くへ来てしまった。

 

「ギジィ!?」

 

(でぇい!)

 

「シェア!」

 

すかさずミツキは拳をギジェラにぶつける。

拳はまっすぐギジェラに当たり、火花を散らしてギジェラを仰け反らせる。

 

「ギジェエア!?」

 

ダメージを喰らい苦しむギジェラにミツキは今度は飛び蹴りをかまし吹き飛ばす。

 

「! ギシャアアアアアアアアアア!!」

 

しかしギジェラもただやられるわけがなく、体制を立て直すとすぐに根を放ってミツキを縛り上げる。

 

「……シェア!」

 

ブチィ!

 

「ギィ!?」

 

「シュア!」

 

だがそれをミツキはいとも簡単に引きちぎる。

これこそがストライクモードの力、エネルギーを消費することで、超絶身体能力を発揮する。

因みにバランスモードは光線と浄化に長けた姿である。

根を引きちぎったミツキはお返しとばかりに拳を一発ギジェラにかました。

 

「ギシャアアアアアアアアアア!!?」

 

まともに喰らったギジェラは大地からその根を引き抜きながらぶっとび、地面に激突。

 

(そろそろ決めるよ!)

 

ギジェラが倒れ伏している隙に、ヒメラはクリスタルアウェイカーのトリガーを押し、

またあの変身空間を展開した。

 

サイキックブルーマリヌ…

 

ヒメラは紺色のクリスタル”サイキックブルーマリヌ”にクリスタルを入れ替えた。

するとクリスタルアウェイカーの水晶部分が黄緑から紺色へと変わる。

それを確認したヒメラは掛け声を叫びながらクリスタルアウェイカーを天に掲げる。

 

惑わせ!紺碧なる異能!は!

 

『♪♪♪…!〜ウルトラマンミツキ…サイキックモード…〜♪…』

 

するとミツキの体の体色が赤と青紫のラインが入った紺メインの姿に変わり、ミツキはサイキックモードへと姿を変えた。

 

「ギジィ!」

 

再び姿を変えたミツキにギジェラは驚き、すぐさま花の頭部から光線を放つ。

 

「シュア!」

 

「ギジェ!?」

 

しかしそれがミツキに当たろうとした瞬間ミツキは消え、光線を何もない地面を爆発させた。

ギジェラはミツキがいなくなったことに驚くと同時に首を動かしてミツキを探す。

 

「シュア!」

 

「ギジィ!?」

 

すると突然ギジェラの目の前にミツキが現れ、両手をギジェラの前で構えた。

するとギジェラは何かに激突されたかのごとくぶっ飛ぶ。

これらがサイキックモードの力、エネルギーを消費することで様々な超能力が使用できるのだ。

 

(止めだ!)

 

インナースペース内のヒメラはそう叫ぶとクリスタルをバランスレッドに戻し、ミツキはバランスモードへと戻る。

それと同時にヒメラはクリスタルアウェイカーのトリガーを長押し、エネルギーを超解放する。

 

スペシャイウムルレイシュート!

 

それによりミツキの体が一瞬光る。

その後、ヒメラは両手に胸に当てるように持ってくる。

ミツキもそれに連動して両手を胸に。すると手に光が宿る。

そこから優雅に腕をゆっくり広げ、光の線を描きながら頭上でクロスさせつつ腕を下ろす。

そして両腕を巫女が大幣(おおぬさ)を振るうように振るった後、

足を前に出しつつ腕を大きく回しながら両手を十字に組み替えて構え…

 

スペシャイウムルレイシュート!

 

シュア!!

 

ビィイイイイイイイイイイーーーーーー!!

 

スペシウムとシャイリウムを複合した必殺の光線”スペシャイウムルレイシュート”を放つ。

 

ビィイイイイイイイイイイーーーーーー!!

 

「ギジャアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーー!?」

 

ドオオオオオーーーーーーーーーーーオンン……!!

 

スペシャイウムルレイシュートをまともに浴びたギジェラは耐え切れず、けたましい断末魔を上げて大爆発を遂げた。

 

「す、すごい……」

 

ミツキがギジェラを倒すその戦いを、セツは圧倒されつつ見ていた。

 

そして戦いが終わり、ミツキがヒメラに戻ろうと腕をクロスしようとしたその時、

 

ギシャアアアアアアアアアア!!

 

「「!!」」

 

「シュア!?」

 

「うそだろ!?」

 

地面から大量の土煙を上げながら、さきほど倒したギジェラよりも遥かに巨大なギジェラがその姿を現した。

 

ギシャアアアアアアアアアア!!

 

ギジェラ(巨大)が咆哮をあげると、地面から小さいギジェラや普通の怪獣サイズのギジェラなどが出てきた。

 

(そうか、あれが今回のギジェラの本体!)

 

その様子を見てギジェラ(巨大)が親玉であると判断したのかミツキはサイキックモードでギジェラに突っ込む。

 

(まずは翻弄!)

 

ミツキはギジェラの周りでテレポートを繰り返しつつ光弾を放つ。

しかしギジェラはまったく意に返さず、咆哮をあげる。

 

ズドオオォ…!

 

ズドオオォ…!

 

ズドオオォ…!

 

「シェア!?」

 

すると地面から大量の根が生じ、ミツキに襲いかかる。

ミツキはテレポートで躱そうとするが数が多く、かわしきれずに根にぐるぐる巻きにされた。

 

「ジェア!……ジェア!? ジェアアアアア!!」

 

ミツキは根から脱出しようとストライクモードになる。

だが根は千切れず、更にはストライクモードの超パワーを持ってしても脱出は不可能であった。

 

ブゥン…!!

 

「シェア!?」

 

ドオオオンン!!

 

完全に身動きが封じられたミツキをギジェラ(巨大)は根を操って地面に何度も叩きつける。

 

「シェア…!? シェア!!」

 

そしてミツキは投げ飛ばされ地面に大激突、かなりの大ダメージを喰らうがすぐさま立ち上がり、バランスモードへ。

そこからやや巻き気味にポーズをとり、スペシャイウムルレイシュートを放った。

スペシャイウムルレイシュートはまともにギジェラ(巨大)に当たり煙幕を立てた。

 

「よし!あれなら…」

 

「ギシャ?」

 

「シュア!?」

 

しかし、煙が晴れるとそこには無傷のギジェラ(巨大)が。

自身の最大攻撃が通じなかったミツキは戸惑い動きを止めてしまう。

その隙を突き、ギジェラ達は光線を一斉に放った。

 

「! 危ない!」

 

「! シュアアアアアアアアアア!?」

 

ドオオオ…ドオオオ…ドオオオオオーーーオンン!!

 

光線は見事に全てミツキに当たり、ミツキの周りは大爆発。

その爆発が晴れると同時に、ミツキは倒れ伏し、その姿を消した。

 

「ヒメラ!」

 

それを見たセツはヒメラのことが心配となり、ミツキが消えた場所まで走っていく。

幸いなのかミツキが消えた場所はセツがいた所とだいぶ近かった。

 

「! ヒメラ!」

 

「ギジェ!!」

 

「う…くっ…!?」

 

駆けつけたセツが見たのは小型のギジェラの触手によって身動きを封じられ、徐々に引き寄せられているヒメラの姿だった。

 

「く…!」

 

セツはすぐさまヒメラの元へと駆け寄り、引き寄せられているヒメラを抱きしめるように掴み、

引き寄せられるのを止めようとする。

 

「セツくん! ……逃げて!」

 

セツが来て驚くヒメラ。セツが自身を助けようとしているとしているすぐに気づいたが、このままだとセツも危険だと感じ、逃げるよう促す。

 

「何…言ってんの! 置いていけるわけ…ない!」

 

しかしセツは逃げなかった。セツは石刀を取り出し、ヒメラを縛る触手を切ろうとした。しかし、

 

バシィ!

 

「ああ!?」

 

その石刀はギジェラの触手で払い飛ばされてしまった。

石刀が飛ばされどうしようもないなくなったセツだが、今度は自力で触手を引きちぎろうとする。

 

「ダメ…ダメだよセツくん! 逃げて!!」

 

そんなセツにヒメラは涙ながらに逃げてと訴える。しかしセツは逃げない。

そして徐々に二人はギジェラの方へと引き寄せられていく。

 

「ギシェエエ!!」

 

「「!?」」

 

そしてギジェラが咆哮を上げたその瞬間二人は「もうダメか」と諦めの言葉を心の中で過ぎらせた。

 

(いや、諦めんな)

 

「「え?」」

 

 

ーーーBGM encounterーーー

 

 

ズドオオォンンン!!

 

「ギジェエエエエエエエ!?」

 

その瞬間、二人は同時に声を聞いた。それと同時にギジェラが何かに押しつぶされた。

その際二人は離れた場所にテレポートされていた。

 

「何が…」

 

何が起きた。セツがそう言おうとした時、ヒメラがある方向を見上げていた。

気になったセツはヒメラの視線の先を見る。

 

「あ…」

 

そこには、側面が光沢のある黒で前面が煌めく白銀の模様の体に、体のいたるところに淡く輝くエナジーコアと同じ形のクリスタル、

背中に上、横、下を向いている突起(上向き二つ、横向き二つ、下向き二つ)を、胸に青いエナジークリスタルを持つ、輝きを放つ巨人がいた。

 

「あれは…」

 

「ウルトラマン…ニウガ」

 

「…ニウガ」

 

あれは何かとセツが言おうとした時、ヒメラがそう呟いた。

そう、この巨人こそが、光でも闇でも無でも混沌でもない究極の戦神。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウルトラマンニウガ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

である。

 

 

「…ジュア!!」

 

〜BGM new beginning〜

 

掛け声とともに構え、ニウガはギジェラ達に向かって走り出す。

 

「ギジェ!!」

 

ギジェラ達はそれを迎え討つべく光線を放つ。ニウガは前転や側転、後転などを駆使して回避、

大空へ飛び上がる急降下してギジェラ(巨大)飛び蹴りを決める。

 

「ジュア…!!」

 

「ギシェエエエ!?」

 

「……シュア!」

 

ギジェラは飛び蹴りを根を交差させてガードしようとしたが受け止めきれずに吹き飛んだ。

ギジェラが倒れたその隙にニウガは腕をクロスし、腕に青い光をスパーク。

 

「ハァア……、 シュア…!」

 

大きく回しながら腕を広げ、そこから両腕を左腰に一旦持って行ってから前へ向き、両腕を立てる。

 

「ジュア…! ジュアァア!!」

 

そして地面に左拳を打ち付けてエネルギーを放ち、更に右手を天に掲げてエネルギーを放った。

すると天地どちらからもエネルギーが放たれた場所から虹色の渦が段々と広がっていき、ニウガとギジェラ達を包み込んでいく。

その光景にギジェラや近くで戦いを見ているセツとヒメラも困惑していた。

しかしギジェラと違い二人は困惑しつつもその渦をきれいと思っていた。

やがてそれが完全にニウガとギジェラを球状に包んだ時、何かが落ちるかのような音と共に渦の球体は消えた。

 

「ジュア…!」

 

「ギシェエエ…!!」

 

そして戦いの場は移って渦によって転送されたその先、戦闘用亜空間エヴォフュージョンフィールド。

そこに飛ばされたことでギジェラ達は自らの核である球根を露出した状態になっていた。

地面に隠そうにもこのフィールドの土はそれを許すほど柔らかくはなかった。

慌てふためくギジェラ達にニウガが、腕の刀剣”エボルブラスラッシャー”を抜刀しながら接近、立て続けに切りつけていく。

 

「ギジェ!?」

 

「ジュア…!」

 

「ギジェ!?」「ギジェ!?」

 

「ジュア…!ジュア…! ジュアアアアアア!!」

 

「「「ギジェエエエエエエエ!?」」」

 

その斬撃により、ギジェラ達は次々と真っ二つとなり、爆散していく。

 

「ギジェエエエ!!」

 

しかしそこにギジェラ(巨大)が根をニウガに向けて放った。根はニウガに素早く迫る…

 

「ジュア!」

 

だがニウガはそれをマッハムーブでかわしつつ根を切断、更にギジェラ(巨大)に接近。

ギジェラに十分近づくとニウガはエボルブラスラッシャーを一度腕のアームドホルスターに戻す。

 

『ウルトラマンメビウス!ウルトラマンヒカリ!』

 

その瞬間、ニウガにメビウス、ヒカリの順で姿がニウガに一瞬だけ投影される。

 

『ナイトメビュームフラッシュ!』

 

それからエボルブラスラッシャーを抜刀、その勢いで刀身から極長の光刃を伸ばし、

ギジェラ(巨大)へ振り下ろす。そこから八の字を描くように下から斬り、

最後に横一文字に斬り払う”ナイトメビュームフラッシュ”をニウガは発動した。

 

「ギジェエエエエエエ!?」

 

ギジェラ(巨大)はナイトメビュームフラッシュによって大ダメージを受け、後ろに倒れた。

他のギジェラ達は大ボスであるギジェラ(巨大)を倒れさせたことに驚き、

すぐに倒さなければと感じ、ニウガへ光線を放つ。

ニウガはそれを気配で察知し、バリアで防ぎつつギジェラ達へ走っていく。

 

「ジェア!」

 

ビィイイイイイーーー!!

 

そして一体のギジェラの目の前でジャンプし、飛び越えつつチョップを加え、背後に着地、

そこから振り向きつつスペシウム光線を放った。

 

「ギジェ…!?」

 

ビィイ……ドオオオンンン!!

 

スペシウム光線はまっすぐギジェラに向かい直撃、爆散させる。その後、

残された他のギジェラ達が再びニウガに向かって光線を放つが、

ニウガはそれを後ろへバク転して回避し、その後上空へ飛翔。

ギジェラ達は変わらずニウガへと光線を放つが、ニウガは高速で飛び回りそれらを捌ききる。

そしてギジェラの真上を取ると自身にギンガとビクトリーの姿を写し、力を解放した。

 

『ウルトラマンギンガ!ウルトラマンビクトリー!』

 

『ビクトスターダストエスペシャリー!』

 

そして大技、”ビクトスターダストエスペシャリー”を発動。

各部のクリスタルとエナジーコアから光線を放ち、ギジェラ達を掃討する。

ギジェラ掃討後、ニウガは倒れていたギジェラ(巨大)へ向き直る。

するとギジェラ(巨大)は咆哮を上げてむくりと起き上がり、光線を放った。

ニウガは回転しながらのマッハムーブでそれを撥ね退け、ギジェラに飛び蹴りを決める。

 

「シュア!」

 

「ギジェ!?」

 

それによってギジェラはダメージを受けるが、反動でニウガも勢いよく吹き飛ぶ。

しかしその勢いを利用してバク宙し、ギジェラと向き合う辺りでスペシオン光線を発射。

ギジェラの体を吹き飛ばし、核を露わにさせる。

着地したのち、両腕を後ろに持っていき、勢いよく前に交差しつつ突き出す。

 

「ハアアァ……ジュア!」

 

すると体が発光。それから腕をゆっくり広げると、紫色の光が線となって広がり、

腕が広がりきった所で、ニウガは腕をL字にし、ゼペリオン光線を核に向けて放った。

 

シュン…………ドオオオオオオンンン…!!!

 

ゼペリオン光線はまっすぐギジェラの核へと向かっていき、強い光を発した後、大爆発を引き起こした。

 

ギジェラの核の消滅を確認したニウガは、エヴォフュージョンフィールドを解除した。

 

「! セツくん!」

 

「戻ってきた…!」

 

フィールドを解除したことにより、ニウガは元の移送に戻り、

ヒメラとセツにも視認できるようになっていた。

戦いは終わった、ヒメラとセツはそう思った。しかし!

 

ドゴオオォンンン!!

 

「キュルアアアアアア!!」

 

 

ーーーティガ ピンチ時BGM(曲名が調べてもわからなかった)ーーー

 

 

突如地面からアストロモンスが出現し、ヒメラ達に襲い掛かった。

 

「キュルアアアアア!!」

 

「きゃああ!?」

 

「シュア!!」

 

それに気づいたニウガはマッハムーブでアストロモンスとヒメラ達の間へと移動。

 

スッ…

 

「……シュア!」

 

ドゴォォ!!

 

「キュルアアアアア!?」

 

それからニウガはエネルギーを込めたパンチをアストロモンスに叩き込み、吹き飛ばす。

そうして二人から十分距離を離した所で、額からエメリウムスラッシュをアストロモンスに浴びせる。

もろに喰らったアストロモンスは活動を停止する。

その様子を見たセツは今度こそ終わりと思った。

 

キュイイインン……

 

しかし、突如アストロモンスは謎の音ともに赤くなりつつ膨張し始めた。

 

「ジュア!?」

 

これにはニウガも驚き、慌てて止めようと走りだそうとしたが、何かが足に引っかかり動きが止まる。

見ると左足に蔦が絡みついていた。

 

「うあ!?」

 

「きゃあ!?」

 

蔦はセツとヒメラにも絡まり、二人の動きを封じた。

アストロモンスは膨張を続け、至る所から湯気が登っている。

 

「なんだよこれ…!? あいつ何をするつもりなんだよ!?」

 

「もしかして自分ごとここら辺を吹き飛ばすつもりかも…!?」

 

「え!?」

 

そんなアストロモンスの様子が何を意味するか分からず、セツは叫んだ。

それにヒメラは反射的に答えた。

それを聞いたセツはたまらず声を上げてしまう。

もしかすると、アストロモンスの爆発で村も巻き込まれるかもしれないからだ。

 

そんな二人を他所にアストロモンスは更に膨張を続ける。

ニウガはそのアストロモンスの様子と、セツの表情を見て、二人を逃すだけではダメだと判断。

アストロモンスを安全に処理すべく、必殺技を準備する。

 

「シュア…」

 

まず、ニウガはアームドホルスターを展開した。

その間にアストロモンスは更に膨張、強い光と熱を放ち始める。

 

「や、やば!」

 

アストロモンスの膨張でヒメラとセツは焦りを募らせる。

ニウガは展開した部分をエボルブラスラッシャーに合体させる。

アストロモンスは更に膨張し、もうすでにはち切れんばかりである。

 

「そろそろまずいんじゃないあれ!!」

 

「だ、大丈夫…! 多分…」

 

はち切れ寸前のアストロモンスに、セツはそろそろ爆発するのではと危機感を覚える。

ヒメラはそんなセツに安心してもらおうと大丈夫と声をかけるが、ヒメラも不安げである。

スラッシャーにホルスターを合体させたニウガはホルスターを下げ、スラッシャーに読み込ませた。

 

『ウルトラマンゼロ!』

 

アストロモンスはまた膨張。その体にヒビが入り始める。

ニウガはもう一段階下げて読み込ませる。

 

『ウルトラマンネクサス!』

 

「! ジュア! ……ハアアアァア……」

 

それからニウガは左腕を斜め下に突き出し、その上に右腕をクロス、

オレンジの火花を腕に発生させながら、ニウガは腕を立てていく。

しかし、アストロモンスから光が漏れ始める。

 

「!……もう、ダメだ!」

 

限界寸前のアストロモンスに、もうダメだと思ったセツは目を背ける。

その瞬間、ヒメラは唯一動かせる右手でセツの手を握る。

 

 

ーーーBGM ウルトラマンティガ MUSIC COLLECTION7 光を継ぐものーーー

 

 

「え?」

 

セツがヒメラの方を見ると、ヒメラは火をを青ざめつつも、前を見つめていた。

 

「……あきらめちゃだめ」

 

そして、ヒメラはあきらめちゃだめ、といった。

それを聞いたセツは、意を決し、ヒメラと同じように前へ目を向けた。

ちょうどその時、ニウガは青白い一本の線になった火花を引きちぎるように思いっきり腕を横に広げていた。

その際に光がニウガの周りに散らばる。

 

キュイイインン……!!

 

アストロモンスから漏れる光が輝きを増し、ヒビが拡大する!

 

「!!」

 

「大丈夫…大丈夫…!」

 

ニウガは左腕を胸の横に、右腕を大きく回しながら左肩へ持っていく。

その際に光が右腕と左腕に集まり、全て集まった所でニウガは右腕を刀を引き抜くように広げた!

 

「よし!後は光線を…」

 

「! ヒメラ!」

 

「!!」

 

それを見て後は光線を放つだけ、そう思ったヒメラだが、

セツの呼びかけでアストロモンスの方を振り向くと既に臨界点に達した状態だった!!

 

キュイイイイイイインン!!

 

そしてアストロモンスは眩い光を放ち、辺りを巻き込んで爆発する……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 ジュアアアアアア!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギュイィイイ!!ビジジジジジジジジ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パアアアアアアアアアアアンンンンン………!!

 

 

 

 

 

 

……その一瞬よりも先に、ニウガは右腕を立て、左腕をエボルブラスラッシャーに打ち合わせるように組み、

合体したホルスターとスラッシャーの刃から、

オレンジ、青白、虹色の必殺の光線”オーバーゼロツインレイシュトローム”を照射。

光線はアストロモンスに直撃し、全体を瞬く間に青白く染め、素粒子に分解してはじき飛ばした。

同時に爆発エネルギーも霧散し、辺りが吹き飛ぶこともなく、

アストロモンス消滅と同時にセツとヒメラに巻きついていた蔦も光となって消えた。

 

「……終わった?」

 

「うん、終わった」

 

終わった、今度こそ終わった。それを認識したセツは地面にへたり込み、ヒメラも安堵の息を吐く。

 

「シュア、ハア……」

 

戦いの終わりを示すように、ニウガはホルスターを元に戻し、柔道の礼のような動きをとり、臨戦態勢をといた。

それから、ヒメラの方へ視線を向ける。

それに気づいたヒメラもニウガの方を向く。

 

「………」

 

「……はい」

 

数秒の静寂の後、ヒメラが頷くと、ニウガは光と共にその姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーセツの村(ここでヒメラの一人称に移行)ーーー

 

 

あれから私たちは、セツくんの村へ向かった。

村人たちは全員正気に戻っており、さっきまでのことは、まったく覚えていないようだ。

 

「ふう…疲れた〜」

 

木々に背中を預け、私はへたり込む。本当に、色々あったからかなり疲れてしまった。

 

「ヒメラ」

 

そこに、セツくんがやってきた。セツくんは私の隣に座ると、とある質問を投げかけた。それは

 

「あの巨人について、何か知ってることを教えてくれない?」

 

だった。私は「なんで知りたいの?」と聞き返す。

すると彼は

 

「ヒメラがなんで最後まで諦めずに巨人の戦いを観れたのか、それが知りたいから」

 

と答えた。なるほど、だったら…

 

「じゃあ、まずはあの人の話から」

 

私は語る。私が知るあの人の物語を。そして私とあの人の出会いを…

 

 

 

 

to be continued・・・




ゆっくりとですが全6〜7話くらいを出していきます。

え?ネクサスっぽい見た目なのに流れてるBGMがティガ?
作者が気に入ってるから流しただけです!


目次 感想へのリンク しおりを挟む




評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に
評価する際のガイドライン
に違反していないか確認して下さい。