アイドルとの高校生活 (とみー@山口全力応援)
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1学期
第1話「初めての登校と出会い」


「ピピピッ、ピピピッ」

 

雄星「ふぁ〜あ...そっか、今日からこの街の高校に行くのか...」

 

俺の名前は長島雄星(ながしま ゆうせい)。どこにでもいるごく普通の高校生をやっている。

元々地元が山口だったが、親父の仕事の関係で家族一緒にこの街に引っ越した。もちろん俺が通ってた高校も辞めざるを得なくなり、この春から新しい高校に行くことになった。その高校とは、「羽丘学園高校(以降・羽丘)」という、今年から共学になった元女子高である。

 

雄星「よし、いってきます」

雄星母「気をつけていきさんよ」

 

朝飯を終え、身支度をして学校に向かった。だが、慣れない場所ということもあり、学校の場所がよくわからない。

 

雄星「こうなるんだったら前日に場所把握しておけばよかった。完全にやらかしたわ」

 

と思って交差点に差し掛かると、1人の女子高生と思しき人が信号待ちしていた。

 

雄星「あれって、俺が行く学校の生徒かな。でも違ったらどうしよう...」

 

間違えたらまずいという気持ちもあったが、グッと抑えて俺はその女子高生に尋ねてみることにした。

 

雄星「あのすみません」

??「わっ!びっくりした...!」

 

突然声をかけられてびっくりした表情だった。知らない人だから無理はない。

 

雄星「突然すみませんが、もしかして、羽丘の生徒ですか?」

??「うん、そうだよ!それで、あたしに何か用かな?」

雄星「あ、俺今年から羽丘に通うことになったんですが、引っ越してきたばかりで場所がわからないもんで。それで差し支えなければ案内していただけないかと...」

日菜「うん、いいよ!あ、あたし氷川日菜って言うの!よろしくね!」

雄星「俺、長島雄星って言います。こちらこそ宜しくお願いします」

日菜「雄星くん、宜しくね!あと敬語は堅苦しいから、タメでいいよ!」

雄星「わかったよ、氷川さん。」

日菜「あたしのことは日菜でいいよ!さ、学校行こう!」

雄星「そうだね」

 

この氷川日菜という人物が凄い人であるということを、この時の俺は知る由もなかった。

それはともかくとして、日菜に案内され学校に向かうことになった。初対面だけど、道中ではいろいろな話をすることができた。

 

日菜「そっか〜、雄星くんって山口から引っ越してきたんだね〜」

雄星「親父が商品開発の仕事やってて、今年この街の会社に異動になったから家族一緒に引っ越してきたわけ」

日菜「雄星くんのお父さんも大変なんだね〜」

雄星「ぶち大変よ。この街で知っちょるものが一つもないからねぇ...」

日菜「...ねえねえ、『ぶち』と『知っちょる』ってなに?」

雄星「ああ、どっちも山口の方言なんだけど、『ぶち』は『すごい、とても』という意味で、『知っちょる』は『知ってる』っていう意味。方言がついつい出ちゃうのなんとかしないとなぁ...」

日菜「あたしはいいと思うよ!るんっ♪てきた!」

雄星「るんっ♪てなんだ?」

日菜「るんっ♪は、るんっ♪だよ!」

雄星「俺にはさっぱり理解ができん...」

日菜「えーそうかな?あ、もうすぐ学校着くよ!」

雄星「おお、そうか。早く行かないとな」

日菜「うん!」

 

日菜の案内で学校に到着した。昇降口にはクラス割表が貼ってあるホワイトボードがあった。

 

雄星「えーっと俺は...Aクラスか」

日菜「あ、あたしもAクラスだ!雄星くんと一緒だね!」

雄星「そうだな。早く教室行こうか」

日菜「うん!行こう!」

 

俺と日菜が教室に行くと、既に30人程の生徒が教室にいた。

 

雄星「俺の席はここか。てか日菜、俺の隣じゃん」

日菜「本当だ!るんっ♪ってくるね!」

雄星「だからるんっ♪ってなんの意味なんだ...」

??「あ!日菜さんも同じクラスだったんですね!」

日菜「麻弥ちゃんだ!おはよー!」

麻弥「おはようございます!」

雄星「日菜、この人は?」

日菜「そういえば雄星くんにはまだ紹介してなかったね!大和麻弥ちゃん、『Pastel*Palettes(以降・パスパレ)』のドラムを担当してるよ!」

雄星「パスパレのドラム担当か。俺にはよくわからんな...」

日菜「パスパレはね、芸能事務所発のアイドルバンドなんだよ!」

雄星「アイドルバンドか。あ、俺は長島雄星。今年からこの学校に通うことになったんだ。」

麻弥「雄星さんですね!ジブンのことは、麻弥と呼んでください!よろしくお願いするっす!」

雄星「こちらこそよろしく...ってか日菜。」

日菜「どうしたの?」

雄星「さっき『芸能事務所発のアイドルバンド』って言ってなかったか?」

日菜「うん、言ったよ?それがどうかしたの?」

雄星「芸能事務所発のアイドルバンドって、もしかして麻弥は現役のアイドルってことか?」

日菜「そうだよ!」

麻弥「あと日菜さんもパスパレのメンバーです!日菜さんはパスパレのギター担当なんですよ!」

雄星「...ってことは、日菜もアイドルってことなのか...?」

日菜「うん!」

 

雄星「えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」

 

まさか、日菜と麻弥が現役のアイドルだったとは...俺は驚きを隠さずにいた。これからの高校生活をアイドルと一緒に過ごすことになるとは予想していなかったからだ。

だが、アイドルとの高校生活はなかなか経験できるものではない。だったら、心の底からしっかり楽しんでやろうじゃないか。そう心に決めた。

 

羽丘で繰り広げられる、俺とアイドルとの高校生活が始まる。



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第2話「初めてのホームルーム」

前回のおさらい

俺は共学になった羽丘に通うことになり、道中で氷川日菜と出会い、同じクラスとなる。そこで大和麻弥にも出会うが、日菜と麻弥はアイドルバンド「Pastel*Palettes」のメンバーであるという。2人が現役アイドルと知った俺は、驚きを隠さずにいたがこの高校生活を楽しんでやろうと決意。俺とアイドルの高校生活が幕を開ける。


校長「今年からは男子生徒も加わり、この羽丘学園高校はより一層賑やかになると願っております。皆さんの夢に向け、我々教職員一同全力を尽くしてサポートしてまいります。」

 

この校長先生の挨拶と共に、1学期が始まった。

始業式が終わり、俺は教室の中にいた。共学化に伴い、ホームルーム担任の先生も今年から男性教員が加わることになった。

 

HR担任「では、みんなには顔と名前を覚えてもらうために1人ずつ自己紹介をしてもらう。」

 

そうして1人ずつ自己紹介をしていくうちに、俺の出番がきた。

 

HR担任「次は長島だな。」

雄星「はい。えっと、長島雄星といいます。父の仕事の関係で山口の高校からこの羽丘にきました。趣味はゲームとサッカー観戦です。宜しくお願いします。」

 

教室内から拍手が聞こえてきた。

 

雄星「ぶち緊張したわ」

日菜「雄星くんよかったよ!」

雄星「そうか?まあ、ありがと」

HR「次は氷川。」

日菜「はーい!氷川日菜だよ!パスパレでギターやってるんだー!日菜って呼んでくれたら嬉しいな!よろしくねー!」

 

雄星「日菜はすげーよ。堂々と自己紹介できるなんて羨ましいし、拍手の音量も大きかったな」

日菜「るるるんっ♪ってくるね!」

雄星「おい、るるるんっ♪ってなんだよ」

日菜「るんっ♪の進化系だよ!」

雄星「るんっ♪でも意味がわからんのに余計にわからなくなったわ」

 

五十音順に自己紹介したため、最後は麻弥が自己紹介をすることになる。

 

HR担任「最後は大和。」

麻弥「はいっす!こんにちは!上から読んでも下から読んでも『やまとまや』どうも、大和麻弥です!パスパレでドラム担任してます!ジブンのことは、気軽に麻弥と呼んでください!よろしくお願いするっす!」

 

雄星「麻弥はすぐに名前覚えられそうだな」

麻弥「そうですかね?フヘヘ...」

雄星「なんだよその笑い方」

麻弥「ああ!これは失礼しました...!」

日菜「フヘヘは麻弥ちゃん特有の笑い方なんだよ!」

雄星「そうだったのか、まあ麻弥の個性が出ていいんじゃない?」

麻弥「ありがとうございます!フヘヘ...」

 

HR担任「さあ自己紹介も終わったところで、みんなにはもっと交流を深めてもらうために、クラスの人ともっと話をしてもらいたい。これはコミュニケーション力を高める目的でもある。30分ほど時間を与えるので沢山話をしてくれ。よーい、スタート。」

 

担任の合図と共に30分のフリートークタイムが始まった。

 

??「長島だっけ?話しようぜ!」

雄星「ああ。君って確か...」

直己「三宅直己(みやけなおき)。よろしくな!」

 

直己は前の高校で野球部のエース。羽丘の共学化に伴い野球部も新設されたため、直己はすぐに野球部に入部した。

 

雄星「おう、よろしく」

直己「あ、日菜ちゃんも一緒に話をしようぜ!」

日菜「話そー!麻弥ちゃんも一緒に雄星くんと直己くんと話そうよ!」

麻弥「ジブンもですか!?」

雄星「人数多ければ会話が弾むし、麻弥も一緒に話そうや」

麻弥「では、ジブンも参加させていただきます...!」

 

こうして、フリートークのメンツは俺、直己、日菜、麻弥の4人になった。

 

直己「そういえば長島と日菜ちゃんって朝から一緒だったよなー。知り合いかなにかか?」

雄星「いや、俺が学校の場所知らんくて、たまたま交差点で日菜に出会って一緒に学校に来たわけよ」

日菜「そう!そこで雄星くんが山口の方言を言っててるんっ♪ってきちゃった!」

直己「る、るんっ♪...って何だ?」

日菜「るんっ♪は、るんっ♪だよ直己くん!」

直己「さっぱりわかんねぇ...長島と麻弥ちゃんわかるか?」

雄星「俺もよくわからん」

麻弥「るんっ♪っていうのは、日菜さんにとって『すごいことが起きた、嬉しいことが起きた』などのプラスの気持ちが現れた時に表現するものです!」

直己「なるほどな。でも日菜ちゃんの個性が出てるし、俺はいいと思うぜ!」

日菜「直己くんありがとう!雄星くんもわかったかな?」

雄星「麻弥の説明でなんとなくわかった気がする」

麻弥「そういえば雄星さん、前の高校での話ってないんですか?」

直己「麻弥ちゃんナイス、俺も聞きたいわ!」

雄星「前の高校での話?...別に大した話じゃないけど」

日菜「あたしも聞きたいなー!」

雄星「前の高校でも普通に高校生やってたわ。まあ部活は音楽部という男が入るような部活じゃなかったけど」

直己「音楽部か。って事は歌とか歌ってたのか?」

雄星「歌ってたよ。バンドとかJ-POPとかいろんなジャンルのやつ」

直己「へー。あ、確か日菜ちゃんと麻弥ちゃんバンドやってたよな?」

日菜「うん!ギターやってるよ!」

麻弥「はい!ジブンはドラムですね!」

直己「長島がボーカルで日菜ちゃんギター、麻弥ちゃんドラムという組み合わせ、一回見てみてー!」

雄星「おいちょっと待て、なお...」

日菜「あたしは賛成ー!」

麻弥「ジブンも賛成っす!今日はパスパレのお仕事ないので放課後でも大丈夫です!」

雄星「俺の話...」

直己「じゃあ決まりだな!今日の放課後音楽室集合だな!」

日菜「おーっ!」

麻弥「はいっす!」

雄星「俺の話は無視かよ」

 

こうして30分のフリートークも終わり、放課後になった。直己の要望で、俺は音楽室に行くはめになった。

 

日菜「準備おっけーだよ!」

麻弥「ドラムも準備完了っす!」

直己「よし!楽しみやなー!」

雄星「そんな期待すんなよ...」

直己「えーじゃん!頑張れ元音楽部!」

雄星「はぁ。曲は◯◯(皆さんの好きな楽曲を当てはめてください)でいい?」

日菜「いーよ!」

麻弥「大丈夫っす!」

雄星「じゃあ1曲、◯◯。」

直己「イェーイ!フゥー!!」

 

 -演奏中-

日菜のリズミカルなギターに麻弥の力強いドラム、それに呼応するかのように俺は歌い続けていた。それをみている直己はかなり盛り上がっていた。

 

直己「めっちゃうまいやん!長島のボーカルに日菜ちゃんのギター、麻弥ちゃんのドラム、最高かよ!」

雄星「別に大したことじゃねーよ。すごいのは日菜と麻弥だし」

日菜「雄星くんと直己くんに褒められて、るるるんっ♪てきたー!」

麻弥「ジブンはあくまでも雄星さんと日菜さんのサポートをしただけっすよ!」

直己「そんなことないぞ!3人ともすごかった!」

 

正直、放課後での演奏といこともありめっちゃ疲れた。けど久しぶりに歌うことができて、更にアイドルと共演できて素直に嬉しかった。直己のおかげだな。

 

直己「今日はみんなありがとな!これからの学校生活、楽しもうな!」

雄星「そうやな。」

日菜「直己くんもたくさん話してくれてありがとう!」

麻弥「また明日、たくさん話しましょう!」

直己「おう!というわけで、みんなお疲れ様!」

 

「お疲れ様(っす!)!」

 

朝からいろいろあったけど、俺には日菜、麻弥、直己という素晴らしい友達ができた。

アイドルとの高校生活は、まだ始まったばかり。素晴らしいものになるに違いない。




今回オリキャラとして三宅直己に出てもらいました。直己にはちょくちょく出てもらおうかなと思います。
あと、るんっ♪は自分なりに解釈して書いてます...

何かありましたらコメント等お願いします。


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第3話「初めての授業とお昼ご飯」

前回のおさらい

クラス内で自己紹介をし、そこで知り合った三宅直己と日菜、そして麻弥と話をする。その中で俺が音楽部だった話をすると、直己が突然俺に歌を歌ってくれとお願いした。俺は日菜のギターと麻弥のドラマに合わせて歌った結果、直己はものすごく喜んでくれて、ぶち嬉しかった。


羽丘での高校生活が始まって3日目。俺はいつものように朝飯を食べたあと、すぐ学校に向かった。

 

日菜「雄星くーん!」

雄星「ああ、日菜か。おはよう」

麻弥「日菜さん、雄星さん、おはようございます!」

日菜「麻弥ちゃんおはよー!」

雄星「もうすぐでホームルームだから早く行こうか」

麻弥「そうですね!早く行きましょう!」

 

俺たちは早歩きで学校に行き、教室に入った。

この日から、本格的に授業が始まるのだ。

 

HR担任「ではホームルームを始める。号令!」

日直「起立、礼、おはようございます」

HR担任「さて今日から授業が始まるわけだが、全員が学年上位を占めるように頑張ってもらいたい。そのためには学校での授業だけでなく、家庭での学習や自習など、あらゆるところで頑張ってほしい。もちろん、部活を頑張って結果を残すことも大切だ。先生たちはみんなのサポートをしっかりしていくから、わからないことがあればいつでも聞いてきてほしい。」

雄星「全員で学年上位に向けて頑張れ...か」

 

ホームルームが終わり、1限目は日本史の授業。俺にとって日本史はかなり得意としている教科だ。

 

雄星「羽丘での最初の授業は日本史か...」

麻弥「雄星さんって日本史得意ですか?」

雄星「かなり得意としてるよ。」

日菜「だったらさ!あたしと中間テスト勝負しない!?」

雄星「え?なんで日菜と競い合わないといけないの?ぶち面倒だなぁ...」

麻弥「雄星さん!日菜さんはテストで毎回全教科で必ずトップ3に入るほど、勉強が得意なんですよ!」

雄星「それってマジかよ...」

日菜「それに、先生が言ってたようにクラス全員で学年上位を目指すっていう意味でもありだと思うんだー!だからね?勝負しよ!」

雄星「はぁ...いいよ。だけど、日本史のテストで負けた方は罰ゲームな?」

日菜「うん!罰ゲーム受けないように頑張る!」

 

まさか日菜と日本史のテストを勝負することになるとは思わなかった。麻弥の話を聞く限り、日菜は毎回トップ3に入るほどの高成績を納めているらしい。アイドルもやって学業も優秀とか...日菜は天才か。

 

日本史、数学A、C英語、物理基礎の4科目の授業が終わり、昼飯の時間になった。俺は家で弁当を作って持ってきていた。

 

雄星「さあ飯食うかー」

直己「長島!一緒に食っていいか?」

雄星「いいよ。一緒に食った方がうまいしな。」

日菜「直己くんと雄星くんのお昼ご飯美味しそー!」

麻弥「ほんとですね!あれ、雄星さんのこの茶色いおかずってなんですか?」

雄星「あーこれ?チキンチキンごぼうっていうんよ。山口県民なら学校給食とかで一度は食べたことのある人気メニューよ」

直己「へーチキンチキンごぼうっていうのかー。俺も少しもらっていいか?」

日菜「あたしも食べてみたーい!」

雄星「お前ら...俺のおかずがなくなるやんけ...でもまあいいよ。」

直己「っしゃー!いただきまーす!」

日菜「あたしもー!」

雄星「麻弥も食べてみるか?」

麻弥「ジ、ジブンもいいんですか?でも雄星さんのおかずが一つなくなっちゃいますが...」

雄星「また家で作ればいいだけの話よ」

麻弥「で、ではお言葉に甘えさせていただきますっ!」

 

雄星「どうよお味の方は」

「美味しい(っす)!」

雄星「だろ?ごぼうと鶏肉を食べやすくカットした後に揚げて、それで醤油とみりん、お砂糖を混ぜた特製甘辛たれをかけて出来上がり。ぶち簡単に作れるんよ。俺の場合はアレンジとしてサッと揚げた枝豆も入れてるよ。」

直己「これ、ご飯にめっちゃ合うな!」

日菜「そうだよね!今度家で作ってみるよ!」

麻弥「雄星さんこんな美味しいものを給食で食べてたんですよね!?」

雄星「うん。特にこれが給食で出た時のおかわり戦争は避けられんかったわ...」

直己「そりゃこんだけ美味かったらおかわり合戦になるもの納得だわなw」

 

山口の郷土料理を3人に知ってもらった昼飯タイムだった。

この後世界史と現代文を受けて、この日の授業は終わり放課後になった。

 

雄星「終わった...ぶち疲れたな」

日菜「あたしはそれほどでもないけどねー」

麻弥「さすが日菜さんですね!でもこれからパスパレの練習に行きますよ!」

雄星「今日練習なのか。」

麻弥「はい!新曲が2ヶ月後に発売になるので、今日はその曲の練習をするっす!」

雄星「新曲か。どんな曲なのか知らんけど、頑張れよ。」

麻弥「ありがとうございます!では、ジブンたちは失礼しますね!」

日菜「雄星くんまた明日ー!」

雄星「おう、お疲れ」

 

(日菜と麻弥はこれからパスパレの新曲の練習か。授業も大変なのにパスパレの活動も並行してやるとかすげーよ。俺もあの2人に負けないように頑張らなくちゃ。)

そう思った俺は、カバンを手にとって家に帰宅した。

 

雄星「ただいまー」

雄星母「おかえり」

 

夕食時

 

雄星母「学校楽しい?」

雄星「ぶち疲れたけど友達もできたし楽しいよ」

雄星母「そうかね。まあ楽しいならいいけど、勉強はちゃんとせんとダメよ?」

雄星「わかっちょるよ。学年でトップ3目指す。」

雄星母「その気持ちを大切にして頑張りさんよ」

雄星「ありがとう、じゃあ俺はこれから風呂と歯磨き済ませて勉強するよ。ごちそうさまでした」

 

この後風呂と歯磨きを済ませ、6時間ぐらい勉強して眠りについた。

負けたくない。学年トップ3に入り続ける日菜には絶対負けたくないから。




この回から本格的に授業開始という流れで書いてます。あと作中で出てきたチキンチキンごぼう、ぶち美味いです。あの某大食いタレントさんも動画サイトに投稿しており、某料理サイトにもレシピがあるので是非ともお試しあれ。


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第4話「日菜からの誘いと俺からの誘い」

前回のおさらい

羽丘での本格的に授業が始まった。1限目が日本史で俺が一番得意としている科目だが、日菜が中間テストで日本史の勝負をしようと持ちかけ、負けたら罰ゲームという条件付きで勝負することになった。
また昼飯の時間には俺が作った山口の郷土料理を直己と日菜、麻弥に食べてもらい地元の良さを知ってもらった。


羽丘での生活から1ヶ月が経過した。学校生活もだいぶ慣れてきたころだ。

俺はいつものように朝飯と弁当を作り、身支度をして学校に向かった。

 

雄星「ふぁーあ、まだ眠いな...」

日菜「雄星くんおはよー!」

雄星「ん、おはよう」

 

もう日菜と一緒に学校に行くのは日常みたいなものとなった。

 

日菜「雄星くん眠いのー?」

雄星「うん、1時ぐらいまで勉強してたからな」

日菜「そうなの!?」

雄星「日本史のテストでお前に負けたくねぇんだわ...」

日菜「あー、そういえばそんなこと言ったね!」

雄星「いやお前から勝負しよって言い出してきたやん...忘れんの早すぎやろ」

 

そう、日本史のテストで勝負するといったあの日から、俺は毎日夜遅くまで勉強してる。そのせいで、あまり睡眠がとれていないのだ。

日菜と話していると、

 

麻弥「おはようございます!」

雄星「ああ、麻弥か。おはよう」

 

麻弥が元気よく挨拶してきてくれた。というより日菜と麻弥、パスパレの活動しながら勉強してとても大変なはずなのに元気いいよなぁ...そんな2人が羨ましいよ。

 

麻弥「雄星さんおはようございます!さあ学校行きましょう!」

雄星「そうやな。行こうか」

 

俺たちは学校についてから、いつものように授業を受けた。

そして気がつけば放課後になっていたのだ。

 

雄星「やっと終わった。今日も疲れたわ...」

日菜「そうだね!あ、雄星くん!」

雄星「ん?どうした日菜」

日菜「今日って何か用事とかある?」

雄星「いや、特に今日は用事ないよ。家帰ってまた勉強しようと思ってるけど」

日菜「そっか!だったら、あたしたちパスパレの練習の様子見にこない?」

雄星「...え?」

 

日菜の練習見学の誘いに、俺は驚きを隠せなかった。

 

雄星「うーん、見てみたいっていう気持ちも正直あるけど、俺みたいな一般人が練習見にいくって事務所的にアウトじゃないのか?」

麻弥「そうですよ日菜さん!いくら仲の良い雄星さんだからといって、これはダメっすよ!」

 

俺と麻弥がそういうが、それでも日菜は俺に練習見学を勧めてくる。そんなにパスパレの練習風景を見てほしいのか。

 

日菜「今日はいつものところじゃない場所で練習するから大丈夫だよ!」

雄星「そうか」

日菜「うん!他の3人も紹介したいし、パスパレ全員のサインもあげる!」

雄星「全員のサイン付きか...うーん」

日菜「どうする?行く?」

雄星「...でもやっぱりいいよ。俺は勉強してテストで日菜に勝ちたいし。それに俺なんかが練習みにいったりしたら、日菜たちのマネージャーさんに何言われるかわからんっちゃね」

日菜「そっかー残念...せっかく雄星くんに他の3人も紹介したかったなぁ...」

雄星「ごめんな。でも、練習をみなくても日菜たちは頑張ってるっていうのは俺もわかってるからさ。」

 

ただ、これだとさすがに誘ってくれた日菜に申し訳ない。そこで、俺はある一つの提案をしてみることにした。

 

雄星「なあ日菜」

日菜「どうしたの?」

雄星「せっかく誘ってくれて断ってしまったのはさすがに申し訳ないから、パスパレ5人がおやすみのときに、俺と一緒にセッションしてみないか?」

日菜「雄星くんとあたしたちでのセッション...!うん!やりたいやりたい!」

雄星「じゃあ決まりだな。日程は日菜たちの都合にあわせるよ」

日菜「わかった!じゃあ約束を破らないためにも、指切りやろう!」

雄星「ああ」

日菜・雄星「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます、指切った」

日菜「これで大丈夫だね!」

雄星「そうだな。じゃあ今日は失礼するよ。お疲れ様」

日菜「お疲れ様ー!!」

麻弥「お疲れっす!!」

 

雄星「パスパレ5人とセッション...いつになるかわからんけど、ぶち楽しみだな。でも、その前のテスト、絶対負けないから」

 

俺はそう考えながら、学校を後にした。

 

〜〜〜〜

雄星くんが教室を出た後に、あたちたちも練習に行く準備をしてたんだ!そこで、麻弥ちゃんがこんなこと言ってたんだよね〜

 

麻弥「でも雄星さんとセッションなんて、ジブン緊張しますよ(>_<)」

日菜「あたしはすごく楽しみだなー!また雄星くんと演奏できるんだよー!」

麻弥「確かに楽しみではありますけど、でも以前直己さんの前で演奏したとき、雄星さんの歌声にはとても惹かれるのもがあります!」

日菜「確かに雄星くんの歌声、るんっ♪ってくるよね!でもそれ言ったら彩ちゃんに失礼だよ?」

麻弥「そ、そうでした...ジブンとしたことが...あ!もうすぐ時間なので、ジブンたちも練習行きましょう!」

日菜「そうだね!行こう行こう!」

 

あたしたちと雄星くんのセッション、とても楽しみだな〜!でも、その前の中間テスト、絶対負けないからねー!

〜〜〜〜〜〜

その夜、俺は勉強をしていた。そんなとき、一通のL◯NEがきた。

 

雄星「ん、L◯NE着信メッセージ...誰から...って日菜か」

日菜「『雄星くん!今日言ってたやつ、期末テスト終わったあとでも大丈夫?』」

雄星「『ああ、俺は大丈夫だが。都合がついたのか?』」

日菜「『うん!3人に今日のこと話したら大丈夫だって!るんっ♪てくるね!』」

雄星「『そうか。じゃあ期末テスト終わったあとな。詳細はまた後日話すよ』」

日菜「『うん!楽しみにしてるね!』」

雄星「『俺も楽しみだよ。今日も練習お疲れ様』」

日菜「『お疲れ様!また明日ね!』」

 

雄星「期末テスト終わったあとか...楽しみだな。」

 

俺はこの後晩飯と風呂と歯磨きを済ませ、1時ぐらいまで勉強してから眠りについた。




いやー遊びに行けない日が続いてキツいですな...
こういう時期に小説をしっかり更新していけたらと思います。


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第5話「麻弥とのテスト勉強」

前回のおさらい

日菜にパスパレの練習見学に誘われた俺。事務所的にアウトだろうし行かないと言ったものの、これだとさすがに申し訳ないと思い、後日パスパレメンバーと俺でセッションしようと提案。日菜は快く受け入れてくれ、期末テスト終了後にやろうと言ってきた。ものすごく楽しみにしてる俺がいるが、まずは日菜にテストで勝つ。これを目標に今日も頑張るぞ。


中間テスト。中学生と高校生なら避けては通れぬ関門である。もちろん羽丘でも中間テストは存在している。

 

HR担任「みんなも知ってると思うが、今日から1週間中間テストに向けて学習期間となる。期間中全部の部活動の活動休止だ。この1週間で学んだことを復習し、テストで結果を残せるように、しっかり頑張ってほしい。もちろん、最初のホームルームでも言った通り、みんなで学年上位を占めてもらいたい。先生はみんなが結果を出してくれると信じてる。頑張ってくれたまえ。」

 

担任の挨拶とともに、この日の授業は終わった。中間テストに向けた学習期間の始まりだ。

 

雄星「いよいよテスト期間か」

日菜「あたし雄星くんには負けられないよ!」

雄星「そうだな。俺も日菜だけには負けられん。」

日菜「あたし、期間中はおねーちゃんと勉強するんだ!だから先に帰るね!」

雄星「おう、お疲れ様」

 

日菜が足早に帰っていった。お姉さんに教えてもらうのかな。まあそんなのは俺にとってはどうでもいいことか。

〜〜〜〜〜

 

それから数日が経過し、テスト2日前となった放課後のことだった。俺はこの日図書館で勉強する予定だ。という理由が、家で勉強するとなるとどうしても寝てしまうことがあるんだよなぁ。それを防ぐためである。

 

雄星「よし、準備できたから図書館いくか。」

麻弥「あ!雄星さん!」

雄星「お、麻弥か。どうした?」

麻弥「よかったらジブンと勉強していただけませんか?少しわからないところがありまして...!」

雄星「うん、いいよ。」

麻弥「ありがとうございます!」

雄星「ちょうど図書館に行って勉強しようと思ってたから、図書館でもいいか?」

麻弥「ジブンは大丈夫っす!」

雄星「じゃあ行こっか」

麻弥「はいっす!!」

 

そんなこんなで、俺と麻弥は図書館にやってきた。高校生だろうか、他の学校の生徒、また中学生も図書館に来ている。やはりこの時期どこもテスト期間中なのだろうか。

 

雄星「ここら辺だったらあまり人来ないからここで勉強しよっか」

麻弥「そうっすね!」

雄星「んで、麻弥のわからんとこってどこだ?」

麻弥「実は日本史のここなんですけど...」

 

麻弥が示してきたのは室町時代についてだ。

 

雄星「室町な...俺も正直ここは難しいと思うし、ちと複雑なんだよな」

麻弥「雄星さんでもここは難しいと言いきれるんですね...」

雄星「まあね。でも山口のことも多少入ってるから勉強すれば楽っちゃ楽よ」

麻弥「確かに、ここには山口を治めた大名さんのことについても書かれていますね!」

雄星「おい、大名を『さん付け』する人、初めて見たぞ」

麻弥「フヘヘ...!」

雄星「そこでその笑い方やめろよ、ただでさえ麻弥はアイドル、つまり芸能人なんだからさ」

麻弥「す、すみませんでした...」

 

勉強を始めてからどのくらいが経過しただろうか。時計に目を移すと5時になっていた。

 

雄星「もうこんな時間か。少し休憩するか?」

麻弥「そうですね!ちょっと休みましょう!」

雄星「だな。何か飲み物買ってくるけど、何が飲みたい?」

麻弥「ジブンはお茶や水とかで大丈夫っす!」

雄星「了解、今から買ってくるけん待っとって」

〜〜〜〜〜

麻弥視点

 

(雄星さん、こんなジブンにわかりやすく丁寧に勉強を教えてくれるなんて本当に申し訳ないっす...!雄星さんの勉強もあるというのに...あと、これはとても恥ずかしいことですが、雄星さんのこと、少しかっこよく見えたりもしたっす。フヘヘ...あわわわわ!こんな気持ちだと勉強に集中できないっす!(>_<)これから気持ちを切り替えていきましょうか...!)

 

そんな気持ちを抑えながら、ジブンは雄星さんが帰ってくるのを待ってたっす!

 

〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

(そういえば、麻弥と2人きりになるのは初めてだよな。普段真剣に授業に取り組んでて、それが終わったらパスパレの活動だろ?大変なのに本当すごいわ。あと眼鏡かけてるときの麻弥、めちゃくちゃ可愛い...いかんいかん、こんな思い持ってたら勉強に集中できんわ。さ、早く買って戻らなければ)

 

そんなことを思いながら、お茶を2本買って麻弥のところに戻った。

 

雄星「すまん遅くなった、はいお茶ね」

麻弥「ありがとうございます!」

雄星「いいってことよ」

 

少し休憩していると、カバンを持っている直己がやってきた。

 

直己「お、長島と麻弥ちゃんやん!」

雄星「なんだ、誰かと思ったら直己かよ」

麻弥「あ!直己さんお疲れ様っす!」

直己「麻弥ちゃんお疲れ様!そんでもって長島、まるで俺に会いたくなかったかのような反応するのやめろ」

雄星「すまんすまん、で直己はこんなところでなにしてんの?」

直己「見りゃわかるやろ、テスト勉強しに来たんだよ。でも席がなかなかなくてさ。てか日菜ちゃんは?」

麻弥「学習期間中は家で勉強するらしいっすよ!」

直己「へー家で勉強ね...俺、家で勉強だと集中できないんだわ。あと関係ないけど長島、日菜ちゃんがいないからって麻弥ちゃんに手を出したらダメやぞ?」

雄星「なんで俺が麻弥に手を出す必要があるんや...出しはしないわ」

直己「まあいいわ。俺はまた席探して勉強するよ。2人ともお疲れ!」

雄星「お疲れ」

麻弥「お疲れ様っす!」

 

直己が去っていったところで、再び勉強を再開させた。しかし、まさか直己にあんなこと言われるとは...今度アイツには仕返しをしてやろう。

 

勉強してから何時間だろうか。おそらく3時間は経過した。時計に目をやると、もう8時になっている。

 

雄星「もうこんな時間か。夜も遅いし、そろそろ帰るか?」

麻弥「そうっすね、帰りましょうか...!」

雄星「そうだな...って麻弥、どうしたんだ?」

 

麻弥の方をみると、なぜか目に涙を浮かべていたのだ。俺、何かまずいことでも言っちゃったか?

 

麻弥「雄星さん、ジブンのために時間を削ってまで勉強を教えていただいて、なんだか申し訳ないっす...!」

 

突然申し訳なさそうに俺に言ってきたのだ。

 

雄星「なに言ってるんだよ麻弥、俺は全然いいってことよ」

麻弥「でも、それだと雄星さんの勉強する時間がなくなってしまいます!それに、日菜さんとの日本史テストの勝負もありますし...!」

雄星「日本史なら家でも十分勉強できるよ。あと家で一人寂しく勉強やるより、こうして麻弥と勉強できた時間が俺にとっては幸せな時間だもん。こっちこそ、勉強に誘ってくれてありがとうな」

 

俺ははっきりと言い切った。すると、麻弥の目から溢れる涙は大粒の涙に変わっていた。

 

麻弥「雄星さん...!」

雄星「うわぁっ」

 

突然麻弥は俺に抱きつき、大粒の涙を流して泣いている。それだけ俺に対して申し訳なく思っていたのか。

 

雄星「麻弥、俺はこれからも麻弥とこうして一緒に勉強したいし、仲良くしたい。だから、これからも友達でいてくれるか?」

麻弥「もちろんです...!ジブンこそ、これからもよろしくお願いするっす!」

雄星「ああ。俺の方からもよろしくな。」

〜〜〜〜〜

麻弥視点

 

(なんでジブン、雄星さんに抱きついてから泣いているんでしょうか...でも、雄星さんはこんなジブンを温かく、優しく受け入れてくれて...いい方に出会えて、本当に良かったです...!)

 

〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

時間は午後8時半をまわっていた。もう辺りは暗くなってしまった。

 

雄星「外も暗いし、ライトつけてから帰れよ」

麻弥「はいっす!雄星さん、今日は本当にありがとうございました!」

雄星「いいってことよ。じゃあ、テスト頑張ろうな」

麻弥「もちろんっすよ!」

雄星「お互いの健闘を誓い合うため、ハイタッチしようか」

麻弥「はいっす!」

 

\パンッ!/

俺と麻弥のハイタッチの音が図書館の周辺にこだまする。そして、麻弥の顔からは何かが吹っ切れたかのように、今日一番の笑顔を見れた気がする。そして、間違いなくこの日は麻弥と絆を深められたと思う。

 

麻弥「あ!そういえば!」

雄星「ん?どうした麻弥?」

麻弥「ジブンもテスト、雄星さんには負けませんからね!」

雄星「お、俺に挑戦状かい?なら受けて立とうではないか」

麻弥「フヘヘ、とにかくお互いに頑張りましょう!」

雄星「そうだな。じゃあ俺は帰るよ。お疲れ様」

麻弥「お疲れ様っす!!」

 

俺と麻弥は家に帰った。

テストまであともう少し。日菜に加えて麻弥もライバルか。でも俺はますます頑張ろうという気持ちになった。絶対2人には勝ってやろう。




はいというわけで麻弥ちゃんと雄星がテスト勉強する回でした。
個人的には日菜ちゃんと3人で勉強でも良かったんですけど、ちょっとやってみたいことがあったのでこんな感じになった次第です。

あとアンケート設けたのでぜひぜひ投票してくださいな。期間は明後日の正午までにしようと思います。
(3/29追記 アンケート締め切りました。投票してくださった皆様、ありがとうございました。)


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第6話「1学期中間テスト」

前回のおさらい

いよいよ始まったテスト勉強期間。俺はずっと家で勉強してたが、テスト2日前に麻弥に勉強を教えてほしいと誘われる。俺は麻弥に勉強を教えてるべく一緒に図書館に行った。時間になり帰ろうとしたとき、麻弥が突然勉強時間を割いてまで教えてくれたことに対して申し訳なさそうに謝りながら泣いてくる。俺は麻弥を温かく受け入れ、絆をさらに深めることができた。


いよいよ、テスト当日になった。ごく普通のテストとはいえ、いつもより緊張している。というのが、以前話した「日菜と麻弥との勝負」があるからだ。普通の高校なら数日に分けてテストが行われるが、羽丘は違う。1日で全教科のテストを受けることになるのだ。

 

雄星「あーいよいよテストか」

日菜「あたし、絶対雄星くんだけには負けないよ!」

雄星「どこからそんな自信が出てくるんだ...俺は麻弥ともテスト勝負するって一昨日言ったし...」

麻弥「雄星さん、ジブンだって負けませんからねー!」

雄星「ああ、俺も麻弥には負けないよ」

直己「長島!お前は勉強できたか?」

雄星「俺は結構勉強できたが、それがどうしたんだよ」

直己「あの後俺が帰ってから麻弥ちゃんに手を出し...」

雄星「それ以上言ったらお前、地獄に送ってやろうか??」

直己「ご、ごめんって!ひえー長島って怒ると怖いよなー」

日菜「直己くん!その話すごく気になるんだけどー!」

直己「ああ、ここだと長島にやられそうだから後で話すよ!」

雄星「おい直己、日菜にその事話したらわかってるよな?」

直己「別に日菜ちゃんなら良くねーか?」

雄星「な お き ? わ か っ て る よ な ?」

直己「は、はーい...」

雄星「日菜もあまり知らない方がいいよ」

日菜「(๑´з`๑)チェッ、雄星くんつまらないよー!るんっ♪って来ない!」

雄星「るんっ♪て来なくていいから」

麻弥「あ!もうすぐで始まりますよ!皆さん席につきましょう!」

 

俺たちが席につくと同時にチャイムが鳴った。いよいよ、中間テストの始まりだ。

だが、1限目は社会(世界史、日本史)のテストである。いきなり2人との勝負のメイン教科がきたか...

 

HR担任「時間は50分間。それぞれ問題用紙と解答用紙、印刷ミス等がないか今のうちに確認するように」

雄星「問題用紙と解答用紙...印刷ミス等の問題はなしだな」

 

\キーンコーンカーンコーン/

HR担任「では始め!」

 

チャイムと同時に担任の合図でテストが始まった。

 

雄星(まずは日本史を早めに解いておこう。それで残りの時間を世界史に充てるか)

 

日本史はかなり得意教科だから、ものの10分で解き終わった。

 

日菜(うん!この問題簡単だね!)

麻弥(ここ、雄星さんに教えてもらったところですね!しっかり問題文を読んで...あ!答えがわかりました!!)

 

その頃、日菜と麻弥もスラスラと問題を解いている。特に日菜は問題を解くスピードが早い。やはり日菜は天才なのか?

一方の麻弥も、俺がいろいろ教えたこともあってスラスラ問題を解いているな。これは俺も負けられない。

 

HR担任「残り10分、解き終わった人は間違いがないかしっかり確認すること」

雄星(残り10分か。あとここの問題解いたら大丈夫かな...って、ここわからんやんけ...日本史だけの勝負だが、ここまできたら世界史も負けたくない。)

日菜(うん!これで大丈夫だね!日本史も世界史も簡単だった!)

麻弥(なんとか世界史も解き終わりました...!あとはしっかり見直しをしてと...)

雄星(まずい、日菜と麻弥もう終わってるだと...よし、何がなんでも答えを書いて正解する確率を上げないと)

 

\キーンコーンカーンコーン/

HR担任「はい終了。筆記用具を置いて後ろから回収」

雄星「はぁ...1限目から疲れた...」

日菜「雄星くん!どうだった?」

雄星「日本史は結構簡単だったし、10分で解き終わったよ。世界史は知らん。まあそれは置いといて、日菜はどうだったのか?」

日菜「日本史も世界史も簡単だったと思うよ!あたし、絶対雄星くんに勝ってると思うけどね〜」

雄星「どこから出てくるんだよそんな自信...麻弥はどうだった?」

麻弥「はい!日本史はかなりスラスラ解けましたよ!世界史については少し心配なところもありますが、でもほぼ解けました!」

雄星「そうか。まあ日本史で勝つのは俺だから」

 

こうして社会のテストは終わった。だが、あと4教科残っている。絶対満点狙ってやる。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

それから国語、理科、昼休憩を挟んで英語と数学を受け、羽丘での初めての中間テストは終わった。

 

HR担任「みんなの真剣な表情を見てると、これまで勉強してきたことを全部出し切ってくれたと先生は思ってる。でも、ここで中間テストは終わりではない。そのためテストの結果が返ってくるまで気を引き締めてほしいと思う。それだけは心に留めておいてくれ。それでは今日はここまで、本当にみんなお疲れ様。」

雄星「やっと中間テスト終わったわー」

麻弥「ですね!雄星さん、日菜さんお疲れ様でした!」

雄星「ああ、麻弥こそお疲れ様」

日菜「麻弥ちゃんもお疲れ様だよ!」

麻弥「テストの結果、ジブンとても気になりますよ〜!」

雄星「俺もだな。他の教科はともかく、日本史がマジで気になる。絶対勝ってると俺は信じてるからな」

日菜「あたしこそ雄星くんには勝ってると自信持って言える!」

麻弥「ジブンも、雄星さんには負けてないと思ってますよ!」

雄星「2人ともすごいな。それはともかく、結果が出るのを待つしかないな」

日菜「うん!」

麻弥「そうですね!」

 

日本史のテスト、得意教科だけに俺は絶対2人には勝ってるはず。負けたら罰ゲームがあるだけに少し緊張感もあるが、逆に楽しみにしている俺がいた。まあ結果が出るのを待つことにしよう。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

数日後。日本史の授業でテストの返却が行われた。

 

担当先生「では今からテストを返しますが、一緒に模範解答も渡します。自分の解答と照らし合わせて間違いがあれば解説の後に先生のところにきてください。では出席番号順に取りに来てください」

 

1人ずつテストが返されている。結果が良くなかった人は落ち込んでいたり、良かった人は友達に自慢していた。

 

担当先生「次は長島くん。取りに来てください」

雄星「はい」

 

そう言うと、先生から模範解答と解答用紙を受け取った。まだ日菜と麻弥には点数を見せるつもりはない。席に戻る前に、俺はそっと点数を確認した。すると、

 

雄星「ま、まじかよ...!!」

 

点数を確認した瞬間、俺は驚きを隠せなかった。




中間テスト編でした。最後雄星が驚いているのは点数が良かったのか、それとも悪かったんでしょうか。気になりますね。

別件で、アンケートへのご協力ありがとうございました。どこかで挿入できたらと思います。あと直己との絡みは見たくないとのことだったので今後直己の出番は激減しそうですね。
直己「おい作者!俺って今日が最終回なのかよ!」


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第7話「テストの結果と日菜からの罰ゲーム」

前回のおさらい

ついに迎えた初めての羽丘での中間テスト。日菜と麻弥に負けたくないとこれまで勉強してきた。最も得意としている日本史のテストはもちろんスラスラ解くことができた。並行して受けた世界史は微妙だったが、なんとか全教科問題を解くことができた。そしてテスト返却の日。俺は日本史のテストの点数を確認する。すると、俺は驚きを隠せなかったのだ。


雄星「ま、まじか...!!」

 

俺は驚きを隠せなかった。

 

雄星 (99点.,.!あと1点で満点だったはずなのに...!)

日菜「ねえねえ雄星くん!」

雄星「うわぁ!びっくりした...」

日菜「なんでびっくりするのー?」

雄星「お前には関係ないだろ」

日菜「ふーん、あ!そんなことより何点だった?」

雄星「まだ日菜と麻弥にテストが返されるまで見せないよ」

日菜「( ˘-з-)ちぇっ、雄星くんの点数早く知りたいなー!」

雄星「まあ返ってきたら見せ合おうや」

日菜「うん!」

 

日菜にはいつものような態度で接したが、正直落ち込んでいる気持ちの方が勝っている。なんでこんな凡ミスを犯したんだろうか。

ちなみに間違えたところは最後の問題で○か×で答えるところ。正解は×なのに、俺は○と書いてしまったのだ。

 

雄星「はぁー...」

麻弥「雄星さん、どうしたんですか?」

雄星「いや、最後の問題で凡ミスしちゃって1点落としちゃったんだよな」

麻弥「それは残念としか言えないです...」

雄星「まあ見直しをやらんかった自分も悪いけどさ」

麻弥「見直しすることの大事さを改めて学べたからいいと思います!」

雄星「そうやね。まあ終わってしまったものは仕方ないし、切り替えていくしかないか」

麻弥「ですね!」

HR担任「最後大和さん。テスト取りに来てください」

麻弥「はいっす!」

HR担任「大和さん良く頑張りましたね」

麻弥「ありがとうございます!これからも頑張るっす!」

雄星「麻弥何点だったのか?」

麻弥「97点でした!文章記述問題で間違えてしまいまして...でもこれで自信がついたような気がするっす!」

雄星「おお、結構頑張ったな」(テスト2日前のあのことは日菜には絶対言わないようにしないと...)

日菜「雄星くん!テスト何点だったの?」

雄星「ああ、そうだったな。せーので見せ合いだ。いいな?」

日菜「うん!」

雄星「せーの」

 

日菜のテスト、予想通り100点満点だった。この瞬間、俺の負けと罰ゲームが決まった。

 

日菜「やったー!あたしの勝ちだね!」

雄星「そうだな、俺の負けだよ。で、罰ゲームって何したらいいんだ?」

日菜「罰ゲームはね、うーん...あ!さっき直己くんが言ってたことを聞きたいな!」

雄星「ちょ、待て。それだけはマジで勘弁してくれよ」

日菜「えー?負けた人が罰ゲーム受けるのは絶対だよ?」

雄星「日菜怖えー...はぁ、いいよ。でも授業中だから放課後でいいか?」

日菜「うん!いいよ!楽しみにしてるね!」

 

その後他の教科のテスト結果も返ってきた。世界史は案の定50点台前半だったものの、それ以外は80点台だった。一方の日菜は他の教科でも満点を取っておりクラス、いや学年全体でも1位となった。もう天才っていうあだ名をつけていいぐらいだ。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

放課後になった。テストが終わったことで部活動が再開。準備を進めるクラスメイトもちらほらいた。

 

麻弥「ではジブン今日はお先に失礼しますね!」

雄星「おう、お疲れさん」

日菜「お疲れ様ー!!」

 

麻弥が帰ったところで、俺はあの話をする。

 

日菜「ねえねえ、直己くんの言ってたことって何?」

雄星「ああ、実はテスト2日前に麻弥に日本史を教えて欲しいと言われてな」

日菜「うんうん!」

雄星「俺はそれ了承して一緒に図書館に行って勉強したわけよ。その途中で直己に出会って『日菜ちゃんがいないからって麻弥ちゃんに手を出すなよ!?』って言われたんだわ」

日菜「雄星くん、もしかして麻弥ちゃんに手を出そうとしてたの!?」

雄星「いやいや違うから!麻弥に手を出したらパスパレの事務所にボロクソ言われるやんけ!」

日菜「ふーん、まあそこは敢えて触れないでおくよ!」

雄星「いや『敢えて』じゃなくても触れないでいいから。それはともかく、ここからは直己も知らないことだから誰にも話すなよ?」

日菜「うん!誰にも話さないよ!」

雄星「なら良し。直己が帰ってから8時ぐらいまでだったかな、勉強して帰ろうと思ったら突然麻弥が申し訳なさそうに謝って泣き出して、いきなり俺に抱きついてきてな。俺は泣いてる麻弥を優しく抱き返したわけ」

日菜「あー!やっぱり雄星くん、麻弥ちゃんに手を出してるじゃん!」

雄星「いやいや違う!俺は手を出してないから!ただ泣いてる麻弥を優しく受け入れたっていうか...あと声がでかい!もっと声量を抑えて...」

日菜「あっ、ごめん(´>ω∂`)テヘペロ」

雄星「テヘペロってお前...全く反省の色もなしだな...まあいいや。それがあってから、俺は麻弥とお互いの健闘を誓い合ったわけ。これが直己が話そうとしたことと、直己も知らないことの全てだよ」

日菜「...それだけ?」

雄星「うんそれだけ。あ、あとここだけの話な。途中休憩して水を2人分買いに行ったんだけど、俺、思ってしまったんだよな」

日菜「何を思ってしまったの?」

雄星「メガネをかけた麻弥が、ぶち可愛くみえたってこと」

日菜「えーーー!!それって雄星くん、もしかして...!!」

雄星「だから声がでかいって!直己とか他の人に聞かれたらどうするんだよ...」

日菜「でもびっくりだよ!!るるるんっ♪てくる!!」

雄星「絶対、誰にも言うなよ?」

日菜「うん!約束する!」

雄星「よし、指切りげんまんだ」

 

日菜・雄星「指切りげんまん嘘ついたら針千本のーます、指きった」

 

俺はあの図書館での出来事を偽りなく全部話し切った。しかし、この後の日菜の一言で、俺はとんでもないことになる。

 

日菜「あたし、雄星くんと麻弥ちゃんの関係、応援するよ!」

雄星「いや麻弥とはそんな関係じゃないから...って、今なんて言ったのか?」

 

一瞬、聞いてはならないものを聞いてしまった。怖いと思いながらも、俺はもう一度日菜に何を言ったのか聞き返した。

 

日菜「雄星くんと麻弥ちゃんの関係、つまり、恋だよ!雄星くんと麻弥ちゃんの恋、応援するよ!」

 

びっくりした。あの出来事の話からまさか恋話に発展してしまうとは。でも俺があの時麻弥のことを可愛く思ってしまったのは事実だし、そう捉えられても仕方ないことか。

 

雄星「何言い出すんだよ!それに麻弥はアイドルだし、一般人の俺と付き合ってるなんてことになったら世間は大騒ぎだわ。ということもあるし、麻弥とはこれからもクラスメイトそして友達として接していくから」

日菜「えー?そんな冷静なこと言って、ほんとは麻弥ちゃんのこと好きなんでしょ?」

 

俺は必死で日菜に抵抗したが、日菜は俺が麻弥のことを好きだと思っている。でも、ここまできたらもう自分の思いを言う以外方法はない。俺は勇気を振り絞って日菜にこう言った。

 

雄星「ぶっちゃけ言えば...俺は麻弥のことがあの日から...す...き...になったっておい!俺になんてこと言わせるんだよ!」

日菜「あはは!やっぱり雄星くんは麻弥ちゃんのことが好きなんだよ!おまけに雄星くん照れてるよ!」

雄星「日菜ー!お前やっぱりやばいわ!」

日菜「でもね雄星くん、自分の気持ちには正直になった方がいいよ?」

雄星「え?正直になった方がいいって何言い出すんだよいきなり...怖いわ...」

日菜「麻弥ちゃんが雄星くんのことどう思ってるかわからないけど、でも雄星くんの麻弥ちゃんが好きっていう気持ちは正直になったほうがいいと思うよ!」

雄星「ま、まあそうだけど...」

日菜「雄星くんが麻弥ちゃんのこと好きだと思うの、あたしは悪いことじゃないと思う!!だから、チャンスがあれば麻弥ちゃんに告白してみた方がいいよ!」

雄星「こ、告白なんていきなり出来るわけないやんけ...」

日菜「いきなりじゃなくていいんだよ!ある程度期間が過ぎてからでも大丈夫だよ!」

雄星「そ、そうなのか...?」

日菜「うん!だから、あたしは雄星くんと麻弥ちゃんの関係を応援するんだよ!」

雄星「...わかった。俺の気持ちに正直になって、麻弥に告白してみるよ」

日菜「うん!あたし、応援してるからね!」

雄星「あ、ありがとう...」

 

とうとう現役アイドルの麻弥こと「大和麻弥」にガチ恋してしまった瞬間である。でも、日菜が言う通り、俺の気持ちに正直になるというのは正しいかもしれない。今度、学校やパスパレの活動がおやすみの日に麻弥をお出かけに誘ってみるか。俺はそう心に決めた。




ただの学園ストーリーなのに、まさか恋愛話に発展してしまうとは...これは驚きですね。でも雄星の麻弥ちゃんへの想い、温かく見守っていこうと思います。


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第8話「麻弥の想い」

前回のおさらい

日菜との日本史テストの結果1点差で日菜に負け、罰ゲームを受けることに。内容は図書館で起きた麻弥との出来事を話すことだったが、俺が話しきったあとに、日菜から麻弥のことが好きなのではと聞かれた。俺は勇気を振り絞って麻弥が好きと言ったら日菜が突然応援すると言い出したと同時に、自分の気持ちに素直になれとエールを送られた。今度麻弥とお出かけをしようと心に決めた。


あの話をしてから3日が経過、俺は窓の外をぼーっと眺めていた。

〜〜〜〜〜〜

雄星の回想

 

日菜「あたし、雄星くんと麻弥ちゃんの関係、応援するよ!」

 

〜〜〜〜〜〜

雄星 (俺は本当に麻弥のことを好きになってしまったのか...)

麻弥「雄星さん!」

雄星「うわぁっ、びっくりした...って麻弥か」

麻弥「はい!ところでどうされたんですか?ずっと窓の外を見ていたようですが...」

雄星「ああ、ちょっと考え事をしてたんだよ」

麻弥「そうだったんですね!これは失礼しました...!」

雄星「ああ、別に大丈夫よ。で、俺に何か用事でもあると?」

麻弥「いえいえ!ただ雄星さんここ数日様子がおかしかったので、少し心配してただけです(;´∀`)」

雄星「そうか。わざわざありがとうな。でも俺は本当に大丈夫やけん心配する必要ないよ」

麻弥「それなら一安心です!」

雄星「じゃ、俺は今日用事があるけん、先に失礼するよ。お疲れ様」

麻弥「お疲れ様っす!」

 

〜〜〜〜〜〜

麻弥視点

 

雄星さん、いつもより様子がおかしかったっす...本当に大丈夫でしょうか?

 

日菜「あれー?麻弥ちゃん雄星くん見なかった?」

麻弥「雄星さんなら先ほど用事があると言って帰りましたよ!」

日菜「ふーん、あ!そうだ麻弥ちゃん!」

麻弥「日菜さんどうしたんですか?」

日菜「ちょっとこっちにきて!」

 

ジブンは日菜さんに連れられ、とあるところに行きました。

 

麻弥「ここって、天文部の部室ですよね?」

日菜「うん!」

麻弥「いろいろ道具が置いてありますね...!それで、ジブンに何か用事とかあるんですか?」

日菜「ちょっと聞きたいことがあってね!」

麻弥「聞きたいこととは何でしょう?」

日菜「麻弥ちゃんってさ、雄星くんのことどう思ってるの?」

麻弥「え!?いきなり何言ってるんですか!?」

 

日菜さんの質問を聞いたとき、ジブンはとても驚きました...でも日菜さんの質問に答えないといけないと思い、こう答えました...

 

麻弥「それはもちろん、ジブンのクラスメイトであり、かつお友達でもありますよ!それが日菜さんに何か関係あるんですか?」

日菜「あたしは直接関係ないことだけど、でもテスト直前の日から麻弥ちゃんと雄星くんがとても仲良くしてるのを見ると、あたしは麻弥ちゃんが雄星くんのことを好きなのかなー?って思ってた!」

麻弥「ジ、ジブンが雄星さんのことを好き!?びっくりしたじゃないですか...!!それは絶対ないですよ〜(>_<)」

日菜「えー本当?でもテスト勉強のとき雄星くんと勉強してたでしょー?」

麻弥「な、なんで日菜さんが知ってるんですか!?」

日菜「えへへ、直己くんから聞いちゃった!(雄星くんから話を聞いたなんて言ったら雄星くん怒っちゃうからね...)」

麻弥「な、直己さーん!(なんで日菜さんに言っちゃうんですかー!(>_<))」

日菜「それで麻弥ちゃん、雄星くんとあの日何があったの?」

麻弥「あ、あの日ですか...?」

日菜「うん!」

 

ジブンは、あの図書館での出来事を日菜さんに話しました。

 

日菜「なるほどねー!あの日のことはこれが全部ってことかな?」

麻弥「も、もちろんですよ!」

日菜「ん?もしかしてまだ隠してることとかあるんじゃない?」

麻弥「そ、そうですか!?そんなことないですよ!気のせいです(^O^;)」

日菜「...怪しい!」

麻弥「ええ!?」

 

日菜さんはまだジブンが本当のことを言ってないと思っているそうです...!

 

日菜「本当は雄星くんのこと、気になるでしょ!あたし、知ってるからね!」

麻弥「日菜さん...!はい...!」

日菜「それ、詳しく聞かせてくれないかな?」

麻弥「わかりました...!」

 

ジブンは雄星さんのことが気になるということについて詳しく日菜さんに話しました...!

 

麻弥「それで、雄星さんがお水を買いに行ってるとき、思ってしまったんですよ...!雄星さんかっこいいと...!///」

日菜「おおー!麻弥ちゃん、それるるるんっ♪ってきてる証拠だよ!」

麻弥「そ、そうですか?」

日菜「うん!あたし、麻弥ちゃんと雄星くんの関係、応援してるからね!」

麻弥「ちょ、ちょっと待ってくださいよー!」

日菜「でもね麻弥ちゃん、雄星くんが麻弥ちゃんのことどう思ってるのかわからないけど(本当はあたし知ってるんだけど、それは敢えて言わないようにするね!)麻弥ちゃんが雄星くんのこと気になるなら、一度その気持ちを伝えてみたらどうかな?」

麻弥「ジ、ジブンの気持ちをですか...?」

日菜「うん!」

麻弥「...わかったっす!ジブン、明日の放課後、雄星さんに気持ちを伝えてみるっす!」

日菜「頑張って!あたしは応援してるからね!わからないことがあったらいつでも相談に乗るよ!」

麻弥「ありがとうございます!///」

 

まさか、ジブンが雄星さんのことを好きになるなんて、思ってもいませんでした...!でも、勇気を持って雄星さんに伝えてみようと思います!

 

〜〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

その夜、俺はいつものように勉強していたが、やはり麻弥のことを思い出すたびに集中できない。

 

雄星「あーもう!勉強に集中できん!俺は何やってるんだ!」

 

ベッドで横になると、LI○E電話が鳴っていた。

 

雄星「誰から...って麻弥?」

 

俺は気持ちを抑えて、麻弥からの電話に出た。

 

雄星「もしもし、どうしたんだいきなり?」

麻弥「もしもし雄星さん、明日の放課後って時間ありますか?」

雄星「ああ、明日は特に用事もないけど。何か俺に用事があるのか?」

麻弥「...///」

雄星「...麻弥?どうしたいきなり黙って」

麻弥「...あ、すみません!いきなり黙ってしまって...!」

雄星「別に大丈夫よ、何があるか知らないけど、明日の放課後ね」

麻弥「はいっす...!それでは、ジブンは失礼しますね...!おやすみなさい!」

雄星「おう、おやすみ」

 

明日の放課後、麻弥が俺に用事があるのか?そう思いながらも俺は机に戻って勉強を再開させた。

 

〜〜〜〜〜〜

日菜視点

 

その夜、あたしは電話で直己くんに昨日と今日のことを伝えてみたんだ!雄星くんとは誰にも話さないっていう約束をしたんだけど...ごめんね!あたし、どうしても2人のことを応援したいから!

 

直己「もしもし?」

日菜「もしもし直己くん?」

直己「ああ!日菜ちゃんか!いきなりどうしたんだい?」

日菜「実はね、雄星くんに図書館での出来事を聞いちゃった!」

直己「お!まじか!」

日菜「うん!それでね、雄星くんと麻弥ちゃん、あの日から両思いらしいよ!」

直己「両思いか!それはいいな!...って、えええええええ!!それまじかよ!!」

日菜「本当だよ!2人から直接聞いちゃった!あとね、麻弥ちゃんが明日の放課後、雄星くんに想いを伝えるらしいから、直己くんも一緒に見届けない?」

直己「おう!明日は部活もお休みだからいいぜ!長島がとうとう麻弥ちゃんから想いを伝えられる日が来るとは!ふぅー!!楽しみだな!!」

日菜「うんうん!じゃあ詳しいことはまた明日話すねー!おやすみー!」

直己「おう!おやすみ!」

 

明日が楽しみだなー!るるるんっ♪ってくるよ!

 

〜〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

翌日、俺の部屋には日差しが差し込んでいる。

 

雄星「ふぁぁ...もう朝か。そういえば今日放課後は麻弥に呼び出しくらってたな」

 

いつものように朝飯と洗顔等を済ませ、家を出て学校に向かった。しかし、なんだろう。麻弥が俺に用事って。すごく気になるんだが。




今回は雄星より日菜ちゃん麻弥ちゃんがメインでしたね。ていうか日菜ちゃん...雄星との約束破ってしまいましたな...これは雄星から大目玉くらいそう。
あと学園ストーリー小説なのに完全に恋愛ストーリーになってすみません。でも次の回で恋愛ストーリーは終わりになるのでもう少しだけご辛抱くださいませ。


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第9話「その想い、伝えよう」

前回のあらすじ

麻弥のことを思ってから数日が経過。俺はボーッとして学校が終わってから用事の為学校に帰った。
〜〜〜〜〜〜
一方、ジブンは日菜さんに呼ばれて天文部の部室にいきました!そこで日菜さんが雄星さんのことを好きなのではと言われ、素直に答えたところ雄星さんに想いを伝えるように背中を押されました!次の日の放課後に、頑張って想いを伝えるっす!!


俺はいつものように通学路を歩いていた。その時、あの天才少女が後ろからやってきた。

 

日菜「雄星くーん!!」

雄星「うわぁっ、日菜か。てか、いきなり抱きつくのはやめてくれよ」

日菜「えー、いいじゃん!」

雄星「良くねーよ、だいたい道のど真ん中で人に抱きつくやつなんて一人もいないだろ」

日菜「あたしがいるじゃん!!」

雄星「まったくお前っていうやつは...ほら学校行くぞ」

日菜「( ˘-з-)チェッ、雄星くんつまらない!るんっ♪って来ないよー!」

雄星「だからるんっ♪って来なくていいから」

日菜「はーい」

 

なんか今日はやけに日菜の様子がおかしいように思う。まあいいか、俺には関係ないことだ。

そんなこんなで学校に着いた。

 

雄星「おはよ」

日菜「みんなおはよー!!」

麻弥「あ!雄星さん、日菜さん!!おはようっす!」

雄星「ん、おはよ。今日の放課後俺に用事だったよな。時間作ったけん授業終わったらまた呼んでな」

麻弥「はいっす!」

日菜「そうだ麻弥ちゃん、ちょっと来て!」

麻弥「ジブンですか?わかりました!」

雄星「授業もうじき始まるから早めに戻って来いよ」

日菜「うん!わかってる!」

麻弥「ちょっと行ってくるっす!」

 

てか授業開始直前に日菜と麻弥はどこ行ったんやろうか。何か疾しいことでもあるんか?まあいいや。

 

〜〜〜〜〜〜

麻弥視点

 

授業が始まる前ですが、ジブンは日菜さんに呼ばれ廊下に来ました。

 

日菜「麻弥ちゃん!今日の放課後雄星くんにアタックするチャンスだね!」

麻弥「そ、そうですけど...!ジブン緊張するっす...!///」

日菜「大丈夫だよ!麻弥ちゃんなら大丈夫だよ!」

麻弥「...ジブン、頑張って想いを伝えるっす!」

日菜「うん!あたし応援してるよ!!さ、授業始まるから教室戻ろ!!」

 

〜〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

チャイムが鳴ると同時に2人が戻ってきた。いつものように授業を受け、昼休憩に入った。

 

雄星「ようやく昼か。ぶち腹減ったな」

日菜「雄星くん、今日のおかずも美味しそう!...あ!ポテト入ってる!!」

雄星「ポテトがなんだって言うんだよ」

麻弥「日菜さんはポテトが大好きですもんね!!」

日菜「うん!雄星くん!1本ちょうだい!!」

雄星「なんで俺が1本あげんと行けないんだよ...」

日菜「1本だけでいいじゃん...!お願い...!」

 

おい、子供みたいに駄々こねた上にそんな上目遣いされたら俺が日菜に何かしたと思われるやないか。そんなことを思いつつ、仕方なしにポテトを1本あげた。

 

雄星「ったくしゃーないな。ほら1本だけだぞ。」

日菜「やったー!ありがとう雄星くん!!」

 

昼飯を済ませ、午後の授業をいつものように受け、気がつけば放課後になっていた。

 

雄星「もう放課後か。今日は結構早く感じたな」

麻弥「雄星さん!」

雄星「お、麻弥か。そういえば今から俺に用事があるんだったな」

麻弥「は、はい!///」

雄星「ん?麻弥?顔赤くなってるけど、熱あるんとちゃうか?」

麻弥「ね、熱はないっす...!と、とにかくジブンについてきてください...!!」

雄星「お、おう」

 

そんな感じで、俺は麻弥に連れられて行くことになる。

 

〜〜〜〜〜〜

日菜視点

 

あたしは直己くんと一緒に麻弥ちゃんと雄星くんのあとを追って行ったよ!人気のないところに連れていくなんて、これが恋!って感じがするよ!

 

日菜「いよいよだね!」

直己「おう!あいつが麻弥ちゃんにどんな反応するか見ものだな!」

日菜「うん!!」

 

〜〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

俺は麻弥に連れられて、人気のないところにやってきた。でも、なんで?

 

雄星「なんか人のいないところに来たけど、教室じゃいかんのか?」

麻弥「は、はいっす///」

雄星「ふーん、まあいいや。で、なんの用事なんだ?」

麻弥「そ、その...///テスト勉強のときはありがとうございました...!!」

雄星「ああ、あの時か。全然いいってことよ」

麻弥「それで...///」

雄星「それで?」

麻弥「そ、その...!ジブン...雄星さんのことが...///」

雄星「俺がどうした?」

麻弥「す、好きになってしまったっす!///」

 

え?今なんて言ったんだ?よく聞き取れなかった俺は、もう一度聞いてみることにした。

 

雄星「い、今なんて言ったんだ?」

麻弥「ジ、ジブン雄星さんのことが好きになってしまったんですよ///」

雄星「俺のことが好き、か...」

 

(ええええええええ!!ま、マジかよ...!!)

冷静ぶっているが、内心驚きを隠せていない。まさか麻弥から好きという言葉を聞くとは思ってもいなかったからだ。しかもアイドルからやぞ...俺はびっくりしたが、答えはもう出ている。それを伝えようと心に決めた。

 

雄星「麻弥、俺の言葉を受け取って欲しいんだ」

麻弥「雄星さん...!」

雄星「俺は、麻弥のこと、一番大好きだ」

 

そういうと、俺は麻弥に近づいて、好きということを表す口と口を合わせる行為をした。

 

〜〜〜〜〜〜

日菜視点

 

日菜「えええ!?あれは予想外だよ!?/// そうだよね直己くん!?」

直己「まさかあいつがあそこまで麻弥ちゃんに対して大胆にやるとは...くーっ!」

日菜「直己くん!?なんで泣いてるの!?」

直己「俺さ、嬉しいんだよ!あいつは普段冷静ぶってたけど、いざとなると男らしさを見せるとか!かっこいいし、最高の友達を持ったんだな俺!」

日菜「直己くんこれで涙拭いて!でも、雄星くんと麻弥ちゃん、お互いに好きと言えて良かったと思うよ!」

直己「ああ!あいつと麻弥ちゃんは一番の幸せ者だな!」

 

〜〜〜〜〜〜

雄星視点に戻る

 

さっきから誰かが見ているような気配を感じている。それに誰か近くで泣いてんのか?まあ今はいいか。

俺は麻弥から口を離した。

 

雄星「これが俺の気持ちだ、受け取ってくれるか」

麻弥「は、はいっす///」

雄星「そういうことだ、これから友達としてはもちろん、俺のパートナーとしてもよろしくな」

麻弥「も、もちろんですよ!!ジブンの方こそ、よろしくお願いするっす!!」

雄星「ああ、大好きだよ麻弥」

麻弥「ジブンも雄星さんのこと大好きっす!」

 

俺と麻弥は愛情を込めて抱き合った。学校のこんな人気のないところでこんなことをするのはどうかしてるという気持ちもあったが、それは今はどうでもいい。こうして麻弥と一緒にいることができるだけでも幸せだからだ。

 

日菜「2人とも、おめでとう!!!」

 

突然日菜と直己がやってきた。俺と麻弥は慌てて離れた。

 

雄星「日菜に直己...お前ら見てたのかよ。ってなんで直己泣いてんだよ」

直己「長島!ホンマかっこよかったぞ!!麻弥ちゃんと末永く幸せにな!!」

雄星「結婚式終わった後の親戚の言葉みたいになってるやんけ。でもありがとな、それと日菜」

日菜「ん?なに?」

雄星「お前には後で話したいことが山ほどあるから後で来てくれるかい?」

日菜「ゆ、雄星くん...!怖いよ!!」

雄星「そんなことないばい?」

日菜「は、はーい...」

直己「でも麻弥ちゃん、ホントよかったな!」

麻弥「はいっす!ジブン、本当に雄星さんのパートナーになっていいんですね?」

直己「当たり前だ!」

雄星「もちろんだよ、俺も麻弥のパートナーだ」

麻弥「雄星さん!大好きっす!フヘヘ...」

 

麻弥の顔からはお日様よりも輝いている笑顔が溢れ出している。

こんな幸せな時間、今までに経験したことがない。これだけ麻弥が幸せでいるんだから。学校での授業はもちろん頑張りながら、麻弥を幸せにできるように頑張らないといけないな。そう心に誓った。

 

ちなみにこの後日菜を呼び出して、なぜ直己にバラしたのかなど軽く1時間お説教した。

 

日菜「雄星くん怖かったよー!( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)」




更新遅れてすみません。雄星と麻弥が無事結ばれたようで何よりです。今後の2人をゆっくり見守っていきたいと思います。

別件で、しゅわりんTV最高でしたね...もう第1回から5人揃っているのをみると涙出ますわ。こちらも注目していきたいです。


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第10話「修学旅行 準備編」

前回のおさらい

俺は突然麻弥に呼び出され人気のないところに連れて来させられた。そこで麻弥は俺のことが好きだということを伝えられ、一瞬困惑したが答えはすぐに出た。麻弥に好きな想いを伝え、俺は麻弥と結ばれた。これからの高校生活、ますます楽しくなってくるな。


俺が麻弥に好きと伝えた日から何日が経過しただろうか。あまりよく覚えていないが、あのときの麻弥の顔は間違いなく笑みで溢れていた。それだけは鮮明に覚えている。

さて話を今に戻すと、学校生活の中で一番楽しいと言われる行事「修学旅行」が1週間後に始まる。俺たちはその準備をしていた。

 

HR担任「来週からある修学旅行だが、行き先は佐賀と福岡、それに山口に決まった」

雄星「福岡と佐賀と山口か.......は!?山口!?」

HR担任「どうした長島?何か問題あるのか?」

雄星「いえ、なんでもないです。すみません」

 

おいおい、福岡と佐賀はめちゃくちゃ楽しみなんだが、まさか行き先に山口が含まれてるなんて...予想外だった。

普通の高校なら北海道や沖縄、あるいは大阪や京都など有名なところにいくはずだろう。だが羽丘の修学旅行の行き先はちょっと特殊だった。福岡なら博多天神百道浜あたり、佐賀なら遺跡や温泉などもあるからまだわかる。でも山口は驚いた。どこに行くつもりなのか...

 

HR担任「では今から修学旅行での班決めをするぞ。1班3人男女混合で組むように」

雄星「班決めか。まあぶっちゃけ麻弥と一緒になれたら後は誰でもいいかな」

麻弥「雄星さん!一緒の班になりましょう!!」

雄星「もちろん、俺も麻弥と一緒にあれこれ廻りたいしな」

麻弥「フヘヘ、嬉しいっす!あと1人は誰がいいですかね?」

日菜「はいはーい!麻弥ちゃんと雄星くんと一緒がいい!!」

雄星「もちろんいいぞ。これで決まりかな」

麻弥「いつものメンバーですね!!ジブン今からが楽しみになってきました!!」

雄星「おいおい、その楽しみは修学旅行当日まで取っておいた方がいいぞ」

麻弥「でも、雄星さんと一緒に廻れると考えるとジブン嬉しいっす!」

雄星「まったく麻弥ってやつは」

 

こうして、麻弥と日菜と俺の3人で行動をすることになった。ちなみに直己は...どうでもいいや。あいつには申し訳ないが今回は出番なしだな。

 

HR担任「班が決まったら次は修学旅行での行程を決めてほしい。とはいっても、2日目の福岡班別自主研修の行程だな」

 

修学旅行で廻る場所決めをしていた。1日目は学年共通で佐賀の遺跡で歴史の勉強を主に行い、2日目は福岡で班別行動をする。最終日は山口で学年共通で名所旧跡などを訪れて東京に戻るかたちだ。今から決めるのは2日目の班別行動で廻る場所。

 

雄星「2人はどこ行きたい?」

麻弥「そうですね...」

日菜「うーん」

 

配られた福岡観光スポットを見ている2人は悩んでいた。それもそのはず、2人は他の県に行ったことないからである。俺はちょくちょく福岡に遊びにいったことあるからなんとなくここにこれがあるというのはわかるが。

 

麻弥「ここってどんなところなんですか?」

雄星「あ、ここか。ここはショッピングモールで噴水ショーもあるんだよな。博多駅から歩いても10分ぐらいの場所だし。確かなんかの機材も取り扱ってたような」

麻弥「機材ですか!?ジブンそこに行きたいっす!!」

雄星「なぜ機材という言葉だけで目を輝かせるのか...まあ俺もここ行きたいし行くか。日菜はどこ行きたい?」

日菜「あたしー?あたしはどこでもいいよ!!」

雄星「そうか?なら俺が勝手に行く場所とか決めておくよ」

日菜「うん!お願いね!!」

 

こうして班別行動での行程をある程度俺が決めることになった。俺は必死で悩んだが、2人にしっかり楽しんでもらいたいと思い、次の行程を提案してみた。

 

雄星「行程はこんな感じだ。福岡タワーに行ってから天神でちょっと買い物したり飯を食べたりしよう。飯は福岡ならではのもの、例えば博多豚骨ラーメンや明太子とかだな。飯を食べたら天神からバスでこのショッピングモールに行って、そこでもいろいろ買い物したりして、時間になったら博多のホテルに集合。お土産はタワーや天神、ショッピングモールで買うことができる。これで問題ないか?」

麻弥「大賛成です!!」

日菜「うん!るるるんっ♪とくるね!!」

雄星「よしこれで決まりだな。あといろいろお土産もあるから各自で何買うか調べておいた方がいいかもな」

麻弥「了解っす!!」

日菜「わかったー!おねーちゃんに何買って帰ろうかなー♪」

 

2人の楽しそうな顔をみてると、本当に楽しみなんだなとしみじみ感じる。もちろん俺も楽しみである。

決めるべきことは全て決まった。あとは当日になるのを待つばかりだ。




学校生活一番の行事の修学旅行、私も東京に行きました。めちゃくちゃ楽しかったのを覚えてます。
ちなみに作中で出てきた博多駅から近く噴水ショーもあるショッピングモール、福岡県の方ならご存知かと思いますw


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第11話「修学旅行 1日目」

前回のおさらい

学校生活で一番楽しいと言われる「修学旅行」の準備を行なっていた。俺はいつもの日菜、麻弥と一緒に行く場所などを決めていた。さあ、あとは思いっきり楽しむだけだ。


ピピピッ、ピピピッ、ピピ

雄星「ふぁーあ...今日もいい目覚めだ」

 

ついに、この日がやってきた。2泊3日の修学旅行の始まりだ。

 

雄星「修学旅行か。めちゃくちゃ楽しみだし、何より日菜と麻弥と一緒に行けるとなるととても楽しみだな。さて、行く準備でもするか」

 

いつものように朝飯と洗顔などいろいろ済ませて行く準備は整った。

 

雄星「それじゃあ行ってくる」

母「気をつけて行ってきんしゃいよ。あとしっかり楽しんできてね」

雄星「ああ、ありがとう。行ってくるよ」

 

そう言い残し、俺は学校に向かった。

 

ーーーーーーーーーーー

 

日菜「いよいよだね!!」

麻弥「そうですね!!ジブン、今日まで楽しみにしてたんです!」

雄星「おはよう」

日菜「あ!雄星くんだー!おはよー!!」

麻弥「おはようございます!!」

雄星「いよいよ始まるな」

麻弥「ですね!!雄星さんと一緒に行けるなんて、ジブン嬉しいっす!フヘヘ」

 

3人で話をしているとHR担任がやってきた。

 

HR担任「全員いるな。旅行先では迷惑のかかることは絶対しないこと。あとお世話になる方々にはしっかり挨拶をすること。それを守った上で、この修学旅行を楽しんでもらいたい。いいな?」

全員「はい!」

HR担任「よし。それじゃあ時間もそろそろだから出発だ。」

 

俺たちは1日目の目的地、佐賀県のある遺跡に向かった。いよいよ2泊3日の西日本修学旅行の始まりだ。

 

ーーーーーーーーーーー

 

飛行機とバスを乗り継ぎ4時間だろうか、目的地についた。だが4時間も乗り物に乗っていたせいか、少しだけ疲れてしまった。

 

HR担任「ではさっそく今から中に入るが、観光してる方もいらっしゃるから静かにするように」

 

さっそく遺跡の敷地に入った。だが、想像以上の広さに俺たちは驚いてしまった。

 

雄星「す、すげぇ...思ってたより広いな...」

麻弥「教科書で見たときよりはるかに大きいですね!」

雄星「確かにな...こりゃすげーや」

日菜「ねえねえ!!ここで写真撮ろうよ!!」

麻弥「日菜さんいいですね!雄星さんも一緒に撮りましょうよ!」

雄星「だな」

 

日菜がスマホを取り出すと、俺たちは丘の上に見える遺跡をバックに写真を撮った。

実は前日、俺はこの遺跡についてググっていた。元々この場所は福岡県境である標高1000m前後の山脈を北端とし、海側に行くに連れて標高が低くなり、南に開ける土地になっているらしい。この遺跡はその途中にある丘陵地帯にできた遺跡だとか。また、ここは特別史跡にも指定されていて、一部国が管理しているらしい。

 

雄星「これが噂の竪穴住宅か。思ってたよりかなり大きいな」

日菜「あたしもこんな家に住んでみたいなー!」

麻弥「ジブン、こんな建物があったら中でいろいろ機材を触ってみたいです!」

雄星「ここでも機材オタクっぷり発揮するのか...」

麻弥「いいじゃないですか!雄星さんは機材について全くわかってないようなので、ジブンが教えてあげるっす!!」

雄星「それはまた今度の機会にな、『機械』だけに」

 

........

なんでここでくだらないギャグを言ってしまったんだろうか。そう考えてると俺がバカに見えてきたわ。

 

雄星「ごめん、今の忘れて」

日菜「あはは!雄星くんやっぱり面白いー!!」

雄星「うるせーな。ほらみんな行ってるから俺らも行くぞ」

 

こんなくだらないギャグでスベったにも関わらず日菜は笑ってくれた。こんなとき笑ってくれる相手がいるととても助かる。

それから1時間ほど遺跡に詳しい人のお話を聞き、いろいろ学ぶことができた。

 

16時、俺たちは遺跡とさよならして、バスで宿のある福岡に向かった。商店などが並ぶ街には自転車に乗りながら友達と話す学生の姿が見られた。と思えばすぐ田んぼが広がる景色に変わった。

バスは長崎道に入り福岡方面に走っている。

 

雄星「結構良かったな」

麻弥「ですね!!雄星さんの面白みのないギャグも聞けましたし、ジブンは大満足です!」

雄星「もうその話題に触れるのはやめてくれ...俺のメンタルがやられる...」

日菜「あたしは面白かったと思うよー?また聞きたいなー♪」

雄星「そう言ってくれるの日菜だけだよ...感謝するわ」

日菜「るんっ♪ってくるね!」

雄星「まあ後は今日ホテルに行って体を休めるだけだからな。そこでまたくだらないギャグ聞かせてやるよ」

日菜「やったー!楽しみにしてるね!!」

雄星「おう」

 

それから九州道、都市高速を走り福岡市内にやってきた。時間は18時になったが帰宅ラッシュもあり道路は車の海になっている。

少しずつバスが動きながら、ようやく宿についた。

 

HR担任「では今日の日程は終わりだ。明日の班別行動に向けてしっかり休むように」

全員「はい!」

 

こうして各々指定された部屋に行き、体を休めた。ちなみに俺は6階で、同部屋はなんと日菜と麻弥だった。普通の学校の修学旅行なら男女部屋別で階も男女別のはずだが。でも、俺にとってこの部屋の組み合わせはむしろ好都合だ。

 

雄星「疲れたー。まさか部屋も同じとはな」

日菜「あたしは嬉しいよー!麻弥ちゃんと雄星くんと一緒に寝れるんだよ!るるるんっ♪ってくる!」

麻弥「ジブンも嬉しいです!!少しでも長く一緒にいたいんですよ!!」

雄星「そうか。まあ俺も2人と一緒で良かったよ」

麻弥「ジブン先にシャワー失礼しますね!!絶対覗かないでくださいね??」

雄星「覗いたりしないわ。日菜にくだらんギャグをお見舞いしてるけん」

 

こうして麻弥が先に風呂に入った。

 

雄星「でも遺跡は広かったな。迷子とかになってしまえば探すの大変そうだ。『佐賀』だけに」

日菜「あはは!もっともっと!!」

 

それから麻弥が上がってくるまでの間、くだらんギャグのオンパレードだったのは言うまでもないだろう。

 

日菜「じゃあ次あたし入るね!!絶対覗かないでね!?」

雄星「なんでだよ。そんなんじゃ俺がスケベじじいみたいじゃねーかよ」

 

日菜が入っている間、俺と麻弥の2人きりになった。

 

雄星「なあ麻弥」

麻弥「はい!どうしたんでしょうか?」

雄星「正直言って、俺は麻弥と一緒に修学旅行に行けてめちゃくちゃ嬉しい。しかも同じ部屋だし、修学旅行が終わるまでの間ずっと一緒にいれるのが嬉しいんだ」

麻弥「雄星さん...!」

雄星「すまない。ちょっと変なこと言ってしまったよな...気にしないでくれ」

麻弥「ジブンも、雄星さんと一緒に行動できて嬉しいです///」

雄星「麻弥...///」

麻弥「うわぁっ!!」

 

やってしまった。日菜が風呂に入っていて2人きりになっているのを良いことに麻弥を押し倒してしまった。

 

雄星「うわっ、すまん。」

 

俺はすぐ麻弥を起こした。まだ日菜が入っていたからよかったものの、見つかってしまえば大事になっていたはずだ。

 

麻弥「雄星さん...!今のはズルいですよ...!」

雄星「悪い。でも麻弥が可愛いのがいけないんだ」

麻弥「///」

雄星「今のは忘れてほしい。ほんとすまない。でも、前告白したときにも言ったけど、俺は本当に麻弥が好きだしこれからも一緒にいたい」

麻弥「///...もちろんですよ!ジブンも雄星さんと同じ時間を過ごしたいです!!」

雄星「麻弥...!」

 

その言葉に何を感じたのかわからないが、俺は麻弥を抱きしめた。

 

麻弥「雄星さ...」

日菜「上がったよー!ってあれー?2人とも何してるのー?」

 

突然寝巻き姿の日菜が姿をあらわした。

 

雄星「い、いやこれは...その...」

日菜「あっ!もしかして、2人とも....」

麻弥「ち、違いますよー!!日菜さん今のは見なかったことにしてください!!///」

日菜「ちぇーっ(๑´з`๑)あたしも知りたかったなー!」

雄星「(なんとかバレなかったか...)」

麻弥「(ですね...危なかったですよ...)」

 

その後俺は風呂に入り、2人としゃべったりテレビを見ながら過ごし、22時ぐらいには消灯した。

明日はいよいよ班別行動。楽しみすぎる。




遅くなりました。すみません。
次回は修学旅行2日目でごさいます。


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第12話「修学旅行 2日目」

前回のおさらい

ついに始まった修学旅行。1日目は佐賀県にある遺跡を訪れ、いろいろ歴史について学んだり、くだらないギャグをかましたりと充実した。さあ、2日目は福岡班別行動、思いっきり楽しんでやろうじゃないか。


雄星「んーっ、今日もいい天気だな」

時間は朝6時半。あと30分で朝食の時間だ。普段ならアラームをかけるのだが、修学旅行の間はかけないことにしている。なぜなら、俺の隣で麻弥と日菜がスヤスヤと眠っているからだ。

 

麻弥「(機材に囲まれて幸せっす!フヘヘ!)」

日菜「(おねーちゃん!!あたしにもポテトちょーだい!!)」

 

2人の顔を見ると、心なしかとても幸せそうな感じがした。俺は2人が起きる前に洗顔と歯磨きを済ませる。

 

雄星「今日は自由行動か。事前に行程を組んでおいたからどこに行くか迷うことはまずないだろう」

 

着替えも済ませ、2人が起きるまでスマホで天気をチェックしていた。今日も文句なしの晴れということで、絶好の1日になる予感だ。

少ししてると麻弥と日菜が起きた。

 

麻弥「おはようございます!ってあれ!雄星さんもう起きてたんですか!」

雄星「ああ、ちょっと早く起きてしまってな。もうすぐ朝飯の時間だから準備しとけよ」

麻弥「はいっす!」

日菜「おはよ〜(⊃ωー`)ふわぁぁ...」

雄星「でっかいあくびだな。朝飯もうすぐだから早く準備しな」

 

俺と麻弥はスカッと目覚めたものの、日菜はまだ眠たそうだ。そんな日菜も目を擦りながら準備をしていた。

朝食を取るべく俺らは広いホールに向かった。もうみんな集まってきていた。

 

HR担任「今日は班別行動の日だから、ご飯はしっかり食べるように。いいな」

 

そんな担任の挨拶も終わり、朝食タイムに入った。時間は7時になったところ。

このホテルではご飯はバイキング形式で、好きなものを食べることができる。

 

雄星「とりあえずこれとこれ取って、あと飲み物はこれでいいかな」

麻弥「雄星さんの朝ごはんとても良さそうですね!」

雄星「そうか?俺いつもこれがベーシックなんだけどな。そんな麻弥もなかなかバランス良い感じだけどな」

 

俺の朝食は炊きたてご飯に納豆、味噌汁、鮭の塩焼きとチーズサラダ、飲み物に緑茶である。せっかくの修学旅行ではあるが、朝はこれじゃないと気合いが入らない。

一方の麻弥は食パンとスクランブルエッグ、それに大好物の野菜スティックにオレンジジュースという感じ。野菜スティックが出てくるバイキングなんて珍しいものだと思ったが、これも新たな発見だ。

 

雄星「あれ?日菜は?」

日菜「おまたせ!」

雄星「遅かったな...ってなんだそれ」

日菜「え?」

 

日菜は首を傾げた。それもそのはず、俺は日菜の朝食に驚いた。なんと皿に盛られたフライドポテトに水という、朝からジャンクなものを選んだからである。バイキング形式とはいえ、これはないだろうと思った。

 

雄星「ちょ、それ本当に全部食うのか?」

日菜「うん!朝からポテト食べられるなんてるるるんっ♪ってするよ!」

雄星「マジかよ...やっぱ日菜はなんかすげーや」

日菜「ん?何か言った?」

雄星「なんでもない。とにかく食べるか」

 

明日の朝もポテト山盛りを食べるんだろうなと思いながらも朝食を済ませ、ホテルの入口前に集合した。

 

HR担任「いろんなところに行くと思われるが、くれぐれも地元の方に迷惑はかけないこと。あとは怪我なくみんなが帰ってくること。この2つを守って、楽しい時間になるように」

 

この挨拶をもって班別行動が始まった。時刻は8時半である。

俺たちは最初の予定地・福岡タワーに向けてバスが出ている博多バスセンターに向かった。

福岡タワーへは地下鉄でもいけるが、いかんせん地下鉄だと最寄りから15分程度歩かねばならない。それを考慮し、バスで行くことにした。

 

雄星「えっと、福岡タワー行きバス乗り場は...ここか」

麻弥「あと5分で来るらしいですね!」

雄星「ああ、意外と早く行けそうだ」

 

5分経ってバスが到着した。東京ではなかなか見れない、連節バスで福岡タワーに向かう。

 

雄星「平日ってのもあってお客さんはそんな多くないな」

日菜「うわー!博多の街って大きいね!」

雄星「だろ?東京よりは小さいけど九州ではNo.1の大都市だからな」

 

そんなことを話しながら、バスは都市高速を走る。運賃は下道のみで行った時と同じ360円なのに、こっちの方が早く着くからお得感はある。

 

麻弥「見てください!福岡のビル群が見えますよ!!」

日菜「ほんとだ!」

雄星「ちなみに反対側をみると海がみえるぞ」

麻弥「街と海、両方楽しめるってすごいです!!」

雄星「だろ?しかも路線バスが高速道路走るなんて珍しいものだ」

 

まだ班別行動が始まったばかりなのに2人は福岡を楽しんでいる。そうだもんな、東京以外の県に行ったことがないって言うぐらいだし。

バスは都市高速を降りた。途中渋滞にハマってしまったが、無事福岡タワーについた。バスを降りると次々と福岡タワー行きバスがやってきた。また、近くにはテレビ局もあり、中継車と思しき車が止まっているのも確認できた。時計に目をやると9時10分である。

 

日菜「ねえねえ!!誰かがライブやってるよ!!」

雄星「ああ、博多BoySか」

麻弥「雄星さんはあの人たちのこと知ってるんですか?」

雄星「テレビで見たことあるから名前は知ってるぐらいよ」

 

福岡タワーの目の前では、平日にも関わらず人気男性アイドルグループ・博多BoySのミニライブが行われており、かなりのファンが押し寄せていた。特に、リーダーの山本裕樹はNo.1の人気を誇っているらしい。俺はそのグループについてはテレビで見たことあり、ファンではないがちょくちょくその番組は見ている。

そんな博多BoySのライブが行われているところを通り過ぎ、チケットを買って展望台へと入場した。

 

雄星「おお、いい景色だな」

麻弥「すごいです!福岡の街を一望できますね!!」

日菜「一緒に写真でも撮ろうよ!」

雄星「だな」

 

福岡市内の街並みを背景に、日菜がスマホで写真を撮った。本当に眺めがよく、人気なスポットであるのも頷ける。

 

麻弥「こうしてみるとあんなに大きかった福岡の街も小さく見えちゃいますね!」

雄星「ああ、東京だと遠くに超高層ビルとか見えたりするけど、本当に福岡だとビルも小さく見えてしまうな」

日菜「今度はパスパレのみんなと一緒に来たいなー!」

麻弥「それいいですね!!皆さん絶対驚くと思います!」

雄星「いいんじゃないか。みんなにこの景色みせてやれよ」

日菜「うん!あ、ちょっとトイレ行ってくるね!」

 

日菜がトイレに行った。その間に少しでも麻弥との思い出を作っておかなければと思い、

 

雄星「なあ麻弥」

麻弥「どうしましたか?」

雄星「2人で一緒に写真撮らないか?」

麻弥「はいっす!」

 

さっきと同じように、スマホを取り出して写真を撮った。日菜には内緒の、2人だけの思い出が1つできた。

それから福岡タワーについての説明書きをみたりお土産を買ったり、すぐ側にある百道浜を散策したりした。本当ならお土産は博多で買う予定だったが、まあいいか。

時刻は11時、福岡タワーを後にしてバスで天神に向かった。

 

雄星「天神に着いたぞ」

麻弥「うわああ!すごいです!!」

日菜「渋谷と同じくらいすごい大きいね!!」

雄星「さすがに渋谷よりは小さいと思うが...まあ九州では一番大きいな」

 

さすが九州最大の繁華街だけあって人通りも交通量も多い。俺が福岡に遊びにくる時は大体博多と天神、それに香椎浜にある大型ショッピングモールに行く。だが香椎浜は時間の都合で行けない。

俺たちはまず7階建てのショッピングセンターに入った。

 

雄星「いろいろあるからゆっくり見て回るか」

日菜「うん!」

麻弥「ですね!!」

 

ショッピングセンターには服屋さんやブランドものを扱う店をはじめ、スポーツショップやCDショップもあった。

と、日菜が突然CDショップに足を運んだ。それに釣られて、俺と麻弥もついていった。

 

日菜「ねえねえ!あたしたちのシングルが発売されてるよ!」

麻弥「本当ですね!!福岡でもジブンたちのCDが出てるって思うと感激です!」

雄星「おいおい、店の中だから静かにしてくれよ...」

日菜「あ、ごめん...」

店員「もしかして、Pastel*Palettesの氷川日菜さんと大和麻弥さんですか?」

 

突然、CDショップの店員さんが日菜と麻弥に話しかけてきた。

 

麻弥「はい!ジブンたち、学校の修学旅行で福岡を訪れているんです!」

店員「修学旅行で福岡に...!もしよかったらこちらのポスターにサインいただけませんか!?」

 

店員さんが指さしたのは、パスパレの5人が写っているポスターだ。

 

日菜「いいよー!」

雄星「こら日菜、店員さんに対して失礼じゃん。すみません」

店員「いえいえ!こちらこそ無理なお願いをしてますので大丈夫ですよ!」

 

日菜と麻弥はポスターに黒マーカーで大きくサインを書いた。店員さんは嬉しそうにしていた。

 

店員「ありがとうございます!」

麻弥「では、ジブンたちは失礼しますね!」

店員「また福岡に来られた時は遊びにきてくださいねー!」

 

すごいテンションの高い店員さんだったな。でも日菜と麻弥がここまで注目されてると思うと、改めてパスパレの凄さというのが計り知れる。

ショッピングセンターを出て、時計に目をやると12時半になっていた。ここで昼食をとることにしよう。

 

雄星「2人ともお腹減ってないか?」

日菜「あたしはお腹ぺこぺこだよ〜ԅ(¯﹃¯ԅ)」

雄星「なんだよその顔は...んで麻弥はどうだ?」

麻弥「ジブンもお腹がすきました!」

雄星「そうか。だったら名物の博多ラーメンでも食べるか」

日菜「るんっ♪ってくるよ!!」

 

さっきのショッピングセンターから歩いて1分のところにあるラーメン屋さんに着いた。なんでも、ここのラーメン屋さんの豚骨ラーメンのスープにはホタテエキスを配合しているらしく、旨味が半端ないだとか。

店は食券を予め買ってから席に着くタイプで、俺は特大チャーシュー入り豚骨ラーメンと餃子6ヶ、日菜と麻弥は普通の豚骨ラーメンを注文した。

先に日菜と麻弥のラーメンが到着した。俺はもう少しかかりそうだ。と思っていたら俺の分もやってきた。

 

雄星「じゃあ食べるか」

日菜「うん!」

麻弥「はいっす!」

「「「いただきます!!」」」

日菜「(パシャリ)」

雄星「お、日菜。イ◯スタに載せる気か?」

日菜「うん!美味しいラーメン食べたよー!って感じ!」

雄星「ほう、なかなかいいじゃん」

麻弥「お、美味しいです!!ジブン、こんなラーメン初めて食べました!!感激です!」

日菜「おいしいー!!」

雄星「2人が美味しいって言ってくれてよかった」

 

そうこうしながら美味しい博多ラーメンを食べた俺たちは天神の真ん中にある公園で30分ひと休みしたあと、天神周辺を散策した。

時刻は14時半。そろそろ博多のショッピングセンターに行く頃合いだ。

 

雄星「んじゃ時間もそろそろだし博多戻ってショッピングセンター行くか」

 

またバスに乗って博多まで行った。運賃が100円という安さは東京ではありえない。

7〜8分して到着した。天神と博多はやはり近い。そして街並みも繁華街から一気にビジネス街に変わる。これもまた福岡の面白さと言えるだろう。

 

雄星「さあ着いた。ここは麻弥が行きたいという機材店以外で行きたいとこない?」

日菜「うーん、あたしは大丈夫かな!」

麻弥「ジブンもそこだけ行ければ大丈夫です!」

雄星「そうか。だったら早速機材店行くか」

 

天神のショッピングセンター以上に大きい。そのため迷子になりやすいが、予め調べておいたルートを辿って到着した。

 

雄星「うおお、結構あるな」

麻弥「機材に囲まれて、ジブン、幸せです!フヘヘ...」

 

ここの店はちょっと変わってて、オーディオ製品はもちろん、テレビや中古のスマホ、パソコンやカメラまでさまざまな機材を取り扱っている。機材が大好きな麻弥にとってはまさに天国ともいえる場所だろう。

 

麻弥「雄星さん、日菜さん、みてください!」

日菜「どうしたの?」

雄星「なんだ...って、これも取り扱ってるのか。すごいな」

 

俺たちがみたのは、普段テレビ局のカメラマンが使っているENGカメラと呼ばれるもの。もちろん値段は200万円を超えるが、まさかこんなものまで売っているとは。機材のことならなんでもお任せ屋さんだなこりゃ。

 

麻弥「傷などたくさん入っていますが、まだまだ使えそうです!」

雄星「確かにな。値段は高いがレンズ付きでこの値段なら新品で買うよりずっとお得じゃないか」

 

新品だとレンズが付いていないことが多いらしい。レンズ始め周辺機器諸々揃えると600万円は軽く超えるとか。

他にも珍しい機材や最新の機材まで、いろいろ見ることができた。機材に関しては全くと言っていいほど興味はないが、麻弥が説明してくれる度に少し詳しくなった。

 

麻弥「いろいろ機材が見れて、大満足したっす!!」

雄星「よかったな。それじゃあここを出ると...」

日菜「みてみて!!噴水だよ!!」

 

機材店を出たすぐ目の前で、噴水があがっていた。

 

雄星「おお、久しぶりに見たな」

麻弥「色鮮やかなライトを使って水の色も鮮やかになってますよ!!」

雄星「だな」

日菜「そうだ!写真撮ろうよ!!」

 

噴水をバックに写真を撮った。本当に綺麗でつい見惚れてしまう。

 

雄星「そうだ。麻弥、写真撮らないか?」

麻弥「はい!撮りましょう!!」

 

俺と麻弥の2人で写真を撮った。それを見ていた日菜は、

 

日菜「2人とも青春してるって感じだよ!!」

麻弥「せ、青春ですか!?//恥ずかしいです//」

雄星「そうだぞ日菜。人がいるところで恥ずかしい...とにかく時間もぼちぼちだから帰るか」

 

時刻は16時30分になっていた。このあと博多駅でお土産を買って、無事ホテルに戻ってこられた。その後、夕食を済ませ、消灯まで部屋でゆっくりすることにした。

 

日菜「あたし先にシャワー浴びるね!」

雄星「おう。ゆっくりしてきな」

 

日菜が風呂に入っていき、麻弥と2人きりになった。

 

雄星「なあ麻弥」

麻弥「どうしましたか...っ///」

 

しまった。昨日みたいに麻弥を押し倒してしまった。しかもキスまで。でも、日菜がいない時だからこそ、もう行動に移すしかない。そう心に決めた俺は続けてこう言った。

 

雄星「俺はずっと麻弥と一緒にいたい。その気持ちに偽りがないことを証明するために、差し支えなければ日菜がいない今、本当の『大和麻弥』を俺に見せてくれないか?」

麻弥「雄星さん...///はいっす///」

雄星「麻弥...///」

麻弥「わかりました...!///ジブン初めてですけど、頑張ります!///」

雄星「俺も初めてだから心配するな///...よろしく頼むぞ」

 

その後日菜が風呂から上がってくるまでの間は何があったのかよく覚えていない。だが、何か言葉では言い表せない初めてを迎えたこと、昇天してしまうぐらい良かったことははっきりと頭に刻まれた。でも、これも1つの思い出になるからいいか。

 

雄星「すまない。日菜がいないとはいえ。悪かった」

麻弥「雄星さん...ジブンは良かったので大丈夫っす///」

雄星「そうか。俺も麻弥と一緒で楽しかった。もうすぐ日菜が上がってくる頃だから急ごう」

 

日菜「おまたせー!」

雄星「ずいぶん遅かったな」

日菜「ごめんごめん!あ、そういえばさー、あたしがシャワー浴びてるときに変な声が聞こえたんだよ!」

雄星・麻弥「「!?」」

日菜「2人とも知ってる?」

雄星「変な声か...俺は知らんな」

日菜「ほんとー?すぐ近くからだから2人なら知ってるはずだと思うんだ!」

 

まずい、このままでは日菜にばれてしまう。と思ったその時、

 

麻弥「あ、あれですよ!ジブンと雄星さんでホラー動画を見てたら、雄星さんが悲鳴を上げてたんですよ!もしかしたら変な声っていうのは、雄星さんのことではないかと!」

 

さすがにこれではごまかしが効かないだろうと思っていたが、

 

日菜「そうなんだー!雄星くんって意外と怖がりやさん?」

雄星「あ、ああ。俺意外と怖いものだめでさ。ははは...」

 

なんとこんな子供騙しみたいな嘘でごまたせたのだ。日菜が天才少女であるがゆえ、こんなことぐらいでは嘘だと見抜くと思っていたが、その鈍感さと咄嗟に出た麻弥の嘘に助けられた。しかし、日菜に声が聞こえていたとは...考えただけでゾッとする。

 

その後風呂を済ませ、歯磨きと着替えを済ませ消灯した。最終日に向けて俺たちはぐっすりと眠った。

ちなみに、俺と麻弥の夢の中であの時の出来事が再び起こっていたのはここだけの秘密だ。




ようやく2日目ですよ。気づけば初めて6000字超えてた...普段からもっとこれくらい書ければと思っております。
さて修学旅行も最終日に差し掛かります。どんな結末になるのか次回も見てくださると幸せます。

なお、作中にあるホテルの部屋での雄星くんと麻弥ちゃんの出来事については皆様のご想像にお任せします...


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第13話「修学旅行 最終日」

前回のおさらい

修学旅行も2日目に突入し、福岡市内をたくさん散策し美味しいものもたくさん食べることができた。その夜、日菜が風呂に入ってる間に俺と麻弥は2人だけの楽しい時間を過ごした。2泊3日の修学旅行もいよいよ最終日突入だ。


雄星「ふぁぁ...」

 

前日同様、俺は2人よりも早く目が覚めてしまった。身支度をさっさと済ませ、2人が起きるのを待った。

 

雄星「いよいよ最終日か。なんだかんだいってあっという間の修学旅行だったな」

 

とはいうものの、これまでの2日間は非常に濃いものとなった。一緒に写真撮ったりいろんなところに行って美味しいものを食べて...普段の学校生活では味わえない特別なひとときだったからだ。でも、今日はこれまでの2日間以上に特別なひとときになるだろう。なぜなら修学旅行クライマックスにして俺にとってメインである、地元の山口訪問だからである。まあ俺から見たら短期帰省みたいなもんか。

そう1人で考えていると、

 

麻弥「雄星さんおはようございます...」

日菜「おはよぉ...(⊃ωー`)」

雄星「おはよう」

 

2人が眠たい目を擦りながら起きてきた。そして2人とも身支度を済ませ、朝食会場へ。

 

HR担任「今日は最終日だ。悔いのない修学旅行にするためにも、朝食はしっかりとるように。あとホテル側の計らいで、福岡名物の料理も用意してくれた。好きなように食べてくれ」

 

担任の話のあと、朝食に入った。昨日みたいに俺は食べるものを皿に盛り、テーブルについた。

 

麻弥「今日の朝ごはんはなんですか?」

雄星「ああ、ご飯に鮭の塩焼き、ほうれん草の煮浸しと辛子明太子だな。昨日よりは少し野菜が足りないかもしれんが、まあ1日ぐらいはいいか」

 

ちなみに麻弥は昨日と同じメニューだった。そして日菜はというと...

 

日菜「おまたせ!!」

雄星「おう、っておい日菜...」

 

案の定山盛りポテトにオレンジジュースだった。せめて朝ぐらいポテト以外のもの食えよ...そう思いながら箸を進めていく。この明太子がまた美味くて、程よい辛さの中に昆布づけしたおかげか、だしの旨味が効いててご飯が進む。これをうちの朝食でもだしたいものだ。

 

雄星「ふぅ、美味しかったな」

麻弥「ですね!!」

日菜「あたしはお腹いっぱい食べられて、るるるんっ♪って感じ!」

雄星「そりゃあんだけ食えば腹いっぱいになるだろうよ」

 

そして部屋を軽く掃除して荷物をまとめてエントランスに集合した。

 

HR担任「これからバスに乗るが、忘れ物がないか今一度確認してくれ。忘れ物がないことが確認できた人からバスに乗るように」

雄星「えーっと、これとこれ、これもあるな。よし」

麻弥「ジブンは大丈夫です!」

日菜「あたしもおっけー!」

雄星「よし、なら乗るか」

 

通りを多くの路線バスや車が走るなか、荷物やお土産を手に持った俺らはバスに乗り込んだ。お世話になった福岡ともお別れだ。

 

HR担任「全員いるな、よし。すみません、全員揃いましたのでお願いします」

運転手「承知しました」

 

午前8時半、バスはホテルを出発し山口に向けて走らせた。

 

雄星「いよいよ福岡ともお別れか」

麻弥「少し...名残り惜しいですね...!」

雄星「まあ仕方ないさ、時はいつまでも待ってくれないし」

 

そんな話をしながら高速道路に入った。福岡を離れるという名残り惜しさと、山口に向かっているというワクワク感がごっちゃになって、正直複雑な気分だ。だがそんなこと言ってると最終日を思いっきり楽しめない。そう考え気持ちを切り替えた。

 

日菜「⊂⌒っ*-ω-)っZzz...」

麻弥「日菜さんぐっすりですね...!」

雄星「まあ今日の朝少し眠たそうにも見えたからな。ここはゆっくり寝かせてあげよう」

日菜「おねーちゃん、あたしにもポテトちょーだい!...zzz」

麻弥「日菜さん、きっと夢の中でもポテト食べようとしてますね...!」

雄星「だな。でも夢の中でもポテトが出るなんて、ほんとに日菜はポテトが好きなんだな」

 

門司のトンネルをくぐり、関門海峡に掛かる関門橋を渡る途中で山口県に突入した。帰ってきたんだな、山口に。

関門橋からは北九州と下関の街が見えて、下関側にはタワーも見える。

 

雄星「とうとう帰ってきたんだな。我が地元山口に。」

麻弥「ここが雄星さんの地元なんですね!」

雄星「ああ、でも実際は中部の方だけどな」

 

その後はひたすら中国道を走行した。片側2車線ということもあり渋滞なく走れている。

山口インターをおり、瑠璃光寺方面へと向かった。

かつてよく通っていた道なのに、なぜか懐かしく思えてきてしまう。大型スーパーに農業試験場などなど...東京では見れない景色を見て、懐かしさに浸っていた。

 

日菜「ふぁぁ...よく寝た...ってここどこ?」

雄星「ああ、山口だよ。俺の地元」

日菜「え!もう山口!?雄星くんの地元にあたしたち来たんだ!」

雄星「そうだよ。日菜が寝ている間に山口入りしてたけどな」

日菜「そうなんだ!かなり静かそうだね!」

雄星「実際静かなのは間違いないけど、何もないのが欠点だな」

 

そうこうしていると瑠璃光寺に到着した。バスは近くにある観光案内所に止まった。時刻は午前11時だ。

 

雄星「ふぅー、やはり空気が美味い」

麻弥「なんだか心が落ち着ける場所ですね!」

雄星「だろ?東京は騒がしいから落ち着けないときもあるけど、山口ならいつでも心を休めることができる」

日菜「ねえねえ!あの高い建物すごいよ!!」

雄星「ああ、五重塔だな。山口市では代表の観光スポットで、国宝にも指定されてる、山口の誇りだ」

 

かつては幼稚園のときに遠足でここにきたことがある。そのときはただ高い建物という認識だったが、日本史を勉強していくうち、この五重塔の偉大さを感じるようになった。そして今では、山口市の象徴でもあると思っている。

 

日菜「せっかく雄星くんの地元に来たんだし、写真撮ろうよ!」

雄星「ああ、そうだな」

 

五重塔をバックに、スマホのシャッターが切られる。快晴ということもあり、バックの木々たちのおかげで五重塔が映えている。

ここでは午後の1時まで自由に散策できる時間が設けられており、俺たちは近くにある茶屋でぜんざいを食べた。

 

雄星「しかし、本当に俺は今ぶち幸せだな」

麻弥「いきなりどうしたんですか?」

雄星「いや、この修学旅行で日菜と麻弥と一緒に行動できて、なにより一層日菜と麻弥と仲良くなれた。これも全て2人のおかげだ。ありがとう」

麻弥「そ、そう言われると、なんだか照れちゃいますね//フヘヘ//...でも、ジブンも雄星さんと日菜さんと一緒にいろんなところを巡って、美味しいものを食べられて、とても幸せっす!」

日菜「あたしも、雄星くんと麻弥ちゃんと一緒に修学旅行行けて、とても嬉しいよ!!」

雄星「2人ともありがとな...!残り少ない時間だが、思いっきり楽しむぞ!」

麻弥・日菜「はいっす!(うん!!)」

 

午後1時に瑠璃光寺を後にし、雪舟庭にも訪れた。

 

日菜「すごい広いねー!」

雄星「だろ?ここは名勝と史跡、ダブルで指定されてる観光スポットだ」

麻弥「ダブルですか!?すごすぎますよ!!」

雄星「山口出身として嬉しいよ。今度パスパレのみんなで巡ってみてもいいんじゃないか?」

日菜「それさんせーい!!雄星くんガイドさん役お願いね!」

雄星「なんで自然とそうなるんだ...でも悪くないかもな。いいだろう」

日菜「やったー!!雄星くんに案内してもらえるよ!」

麻弥「その日が来るまでジブン楽しみにしてます!」

雄星「俺も楽しみにしてるよ」

 

正直いろいろ山口のことを教えることはできなかったものの、日菜、そして麻弥という2人の『アイドル』と一緒に山口に来れたことは一生の思い出になるだろう。

その後午後4時半に山口宇部空港に到着し、飛行機で無事東京に戻ってきた。2泊3日の修学旅行がいよいよ終わろうとしている。

 

HR担任「2泊3日の修学旅行、ほんとうにお疲れ様。いろいろ思い出はできただろう。だが、家に着くまでが修学旅行ということを忘れずに気をつけて帰ってくれ。では解散!」

 

ああ、次学校がある日まで日菜と麻弥とお別れするのか。そう思うと少し切なさを感じる。

 

雄星「2人とも、本当にありがとう」

日菜「いいよー!あたしはとても楽しかった!!」

麻弥「ジブンもですよ!!最高の修学旅行でした!!」

雄星「俺も、2人がいなければ間違いなく普通の修学旅行になってたに違いない。繰り返しになるけど、ありがとう。また学校生活頑張って行こうや」

麻弥・日菜「はい!(うん!)」

雄星「それじゃあ、俺はお先に失礼するよ。お疲れ様」

麻弥「お疲れ様でした!!」

日菜「お疲れ様ー!」

 

そう言い、俺は家に向けて足を運んだ。

この2泊3日、いろんな発見と学びがあった。だが、今回一番学んだのは2人への感謝である。羽丘に転校してきたときはちゃんと友達とかできるか心配で、もしあの日交差点で日菜に出会わなければ今の俺は学校でぼっち生活だっただろうし、修学旅行もつまらなかっただろう。あそこで日菜に出会ったからこそ、今の俺がある。そして初対面にも関わらず日菜と麻弥は友達のように優しく接してくれて、今では完全に親友みたいな感じになっている。2人にはいつも本当に感謝以外の言葉が見当たらない。

 

雄星「本当に俺は日菜と麻弥、2人の『アイドル』に感謝しかないな...っ...なぜ涙が出るんだよ...」

 

自然と涙が出てきてしまった。普段俺は泣かないのに、2人の優しさを思い出すと涙が出てきてしまう。

涙を拭いて頭を上げると、目の前には俺の家があった。

俺はいろいろな思いがありながらも、ドアを開けて元気にこう言った。

 

    「ただいま帰ってきたよ」




ようやく修学旅行編終了です。どんな話書こうか考えてた結果こうなってしまいましたorz
次回からは普通に書きます。これからも宜しくお願いします。


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第14話「パスパレライブ参戦!でもそれは...」

前回のおさらい

修学旅行も最終日。山口に向かった俺たちは瑠璃光寺や雪舟庭を巡った。東京にも無事戻ってくることができ修学旅行は終わった。いろんなことを学んだが、一番は『感謝すること』を強く学んだ俺は学んだことをこれから生かしていきたい。


修学旅行も終わり、また普通の学校生活に戻った。正直まだまだ修学旅行に行きたい気持ちもあるが、今はこの学校生活を思いっきり楽しむことにする。

 

雄星「おはよう」

日菜「おはよー!」

 

いつものように通学路を歩いていると日菜に出会った。

 

雄星「終わったな。修学旅行が」

日菜「だねー!でも雄星くんがいるからこれからの学校生活もるんっ♪でくる!」

雄星「そうか。それは良かった。」

日菜「早く学校いこー!」

雄星「だな」

 

それからはいろんな話をしながら学校へと足を運んだ。

 

ーーーーーーーー

 

雄星「おはよう」

日菜「おはよー!」

麻弥「雄星さん、日菜さんおはようございます!」

雄星「さて、今日からまた1日頑張りますか...」

  「長 島 お は よ う !」

 

この声、あいつがきたな...ハァ...でも今日はなぜかいつもよりテンションが高すぎるようにも見えるが...

 

雄星「おはよう、てかお前今日テンション高すぎるだろ」

直己「いやいや、これ見てみろって!」

雄星「なんやこれ...って!?」

 

直己が見せてきたもの、それはライブのチケットだった。だが、そこに書かれていたアーティスト名は、『Pastel*Palettes』だった。

 

雄星「おい、これどこで入手したんだよ」

直己「実はな、日菜ちゃんに俺とお前の分貰っちまったんだ!」

日菜「ぜひ2人に見に来て欲しいなーと思って、あたしがチケット貰ってきた!」

雄星「そうか、ちなみにいつあるんだ」

 

チケットには『6/3(土) 18時開演』と記されていた。

 

直己「この日だったらお前も大丈夫だろ?」

雄星「ああ。だが...」

麻弥「その日は絶対来てくださいね!」

雄星「...わかった。俺ライブ行くよ。」

 

麻弥に圧倒されてライブに行くことになった。

朝からとんでもないものに誘われてしまった。でも、日菜と麻弥が活動しているパスパレのライブを見れると考えれば楽しみだな。そう考え、ライブ当日まで必死に勉強をがんばった。

 

ーーーーーーーー

 

6/3(土) ライブ当日

 

いよいよライブに行く日がやってきた。だが、俺はいつものように飯や身支度を済ませると、動画配信サイトで動画を見ていた。最近は愛知で活動する配信者グループの動画が面白くてハマっている。

時計に目をやると、まだ10時だった。まだまだ時間はあるからゆっくり動画でもみることにした。

 

 

 

 

 

 

それから何時間か経過した。時刻は15時になっていた。ぼちぼち出発する時間だな。そう思い、チケットとスマホ、財布をバッグに入れて玄関に向かった。

 

母「あまり遅くまで残らんことよ」

雄星「わかってる。じゃあ行ってくる」

 

そう言い残し、会場に向かった。

会場まではバスと電車を乗り継いで45分ぐらいだ。普段なら45分はあっという間にすぎるが、この日はなぜかとても長く感じてしまう。

 

雄星「どんなライブなんだろうか...日菜と麻弥があれだけ来てくれ言ってたからよほどすごいものなんだろうな」

 

いろいろ考え事をしているうちに、会場最寄りの駅についた。最寄り、といっても、目と鼻の先にあるけど。

駅を出ると直己が俺を迎えにきてくれた。普段はめんどくさいが、こういうイベント事があれば率先してみんなを先導していくやつである。そういった面ではライブ初参加の俺にとっては心強い。

 

直己「お!ようやく来たか!てっきり電車乗り間違えたかと思ったわw」

雄星「なわけねーだろ。ただ動画見てたらこんな時間になったんだよ。てかなんだその格好は」

 

直己はメンバーと思しきピンク色の髪の女の子が描かれた法被にハチマキをしている。何より一番驚いたのは、ペンライトを何本か装着している、孔雀みたいなものを持っていた。こいつ、パスパレガチ勢だろ...そう確信した。

 

直己「やっぱりライブの時はこの装備じゃないと盛り上がらないよなー!」

雄星「知らんよ。だいたい俺ライブ初参戦だし」

直己「なんやて長島!?それホンマか!?」

雄星「某マンガのセリフパクんなし...」

直己「まあ俺様がライブのあれこれ教えてやるよ!」

 

それから30分間、ライブのあれこれを叩き込まれた。それに、なぜか余分であろうペンライトを俺に渡した。

 

直己「んじゃもうすぐ開場だから並ぼうぜ!」

雄星「あぁ」

 

17時、チケットもぎりが始まったと同時に列が進んでいく。

 

係員「はい、チケットは大丈夫です。あと荷物だけ確認させていただきますね。」

雄星「お願いします。」

 

不審物がないかなど、念入りに検査が入る。

 

係員「荷物も大丈夫ですよ。前に進んでください。」

雄星「ありがとうございます」

 

直己はあの装備で通過できるか心配だったが、無事通過できた。

会場内はかなり広い。

 

雄星「すっごい大きいな」

直己「だろ?ちなみに俺らの座席あそこや!」

雄星「あそこって、一番前じゃねーか」

直己「ああ!日菜ちゃんはやっぱりさすがだな!」

 

俺たちは一番前の席につくと、置かれたパイプ椅子に座り、開演を待つ。

 

雄星「でも、日菜と麻弥のパフォーマンスを間近で見れるってなかなかいいな」

直己「これも全部日菜ちゃんのおかげだな!あとで感謝しとこーぜ!」

雄星「おう」

 

 

   

 

    うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

 

 

 

ライトが暗くなったと同時にファンの歓声が響き渡る。

その10秒後、『ワクワクmeetsトリップ』という曲が始まり、ライブが幕を開けた。

俺は何をしたらいいのかよくわからないが、とりあえず直己から借りたペンライトを周りに合わせて振ってみる。

 

直己「フゥーフゥーフゥーフゥー!」

 

あ、日菜と麻弥を見つけた。日菜はギターを弾き、麻弥はドラムを叩いている。時折コーラスにも参加しているのが確認できた。

 

雄星「(日菜と麻弥、アイドル活動になると一気に雰囲気変わるな...)」

 

そう思いながら、パスパレの曲を耳に焼き付けた。

1曲目が終わると、メンバーが前に集まってそれぞれ挨拶を始めた。ピンクの髪の女の子がボーカルってわけか。そういえば、直己の法被にあったあの女の子ってこの子だよね?だとすると、直己の推しはこの子になるわけか。

 

彩「まんまるお山に彩りを♪Pastel*Palettesボーカル、ふわふわピンク担当の丸山彩ですっ!今日は皆さん楽しんでいってくださいね!」

 

 

  うおぉぉぉぉぉぉぉ!!彩ー!!かわいいぞー!!

 

 

丸山さんの挨拶にファンの歓声と拍手が送られた。

丸山さんが礼をすると、日菜が出てきた。

 

日菜「パスパレのギター、日菜でーす!今日はみんなで、るんっ♪とくるライブにしようねー!」

直己「日菜ちゃーん!まじ最高だーー!!」

 

ファンの歓声が響いているのにも関わらず、めちゃくちゃ直己がうるさいのがわかる。やはりガチ勢は声量もすごいな。そう思いながら、俺も周りに合わせて声を出してみた。

 

雄星「ひ、日菜ぁー!」

 

その後ベースの白鷺千聖さんの挨拶があり、いよいよ麻弥の挨拶だ。

 

麻弥「こんにちは!上から読んでも下から読んでも『やまとまや』Pastel*Palettesドラム担当、大和麻弥です!皆さんと同じ時間を過ごせるなんて、ジブン幸せです!フヘヘ...」

千聖「麻弥ちゃん、その笑い方はダメって言ったはずよ?」

麻弥「そうでした...!」

 

 

  可愛いぞー!!!!麻弥ちゃん最高だー!!!!!愛してるー!!

 

 

直己「いいぞ麻弥ー!!フヘヘ最高だぞ!!」

雄星「麻弥ー!めちゃくちゃ可愛いぞー!!」

 

最後にキーボードの若宮イヴさんの挨拶も行われ、2曲目に行くことに。

 

彩「私たちの歌、聞いてください!『SURVIVOR ねばーぎぶあっぷ!』」

 

    うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!

 

直己「いやっほぉい!!いきなり俺の好きな曲がきたー!!パスパレ愛してる!!」

雄星「(直己、本当にパスパレが好きなんだな。そりゃあの時テンションが上がってたのも納得行くわな)」

 

そう思い、俺もライブを楽しむことにした。この曲はサビを5人が歌うことになっており、パフォーマンスと歌声と両方楽しめる。しかし、丸山さんに白鷺さん、若宮さんもすごいな...やってることはバンドなのに、見てるものはアイドルそのものであるのだ。

 

雄星「最高だったぞー!!」

直己「フゥー!!!!!!」

 

その後もパスパレのオリジナル曲や、今流行りの曲をカバーしたりなど、ファンが飽きないようなセトリだった。俺もライブが進んでいくうちファンの人と盛り上がっていた。それ以上に、パスパレのみんなは息ひとつ切らさず歌い、パフォーマンスをする。こんなすごいグループは生まれて初めてだ。

正直ここまで盛り上がるなんて予想できなかった。俺は完全にパスパレの虜になってしまった。

 

ライブ開始から2時間、ここで日菜が言葉をひとつ発した。

 

日菜「今日は6/3だけど、お誕生日の人いるー?」

 

 

     誰がいるんだろ?おったらすげーよな!

 

会場は誕生日の人探しムードになっていた。

 

雄星「お誕生日の人誰かいるんか?」

直己「いるやん!俺の近くに!」

雄星「え?どこだよ?って...!」

 

突然、直己が俺の手を掴んで上に上げた。そして、会場にいる全員に聞こえるように大声でこう言った。

 

直己「みなさん!僕のお隣の人は今日がお誕生日ですよー!!」

雄星「おい、いきなりなにすんだよ!」

直己「今日は6/3だろ?」

雄星「そうだけど、それがどうしたんだよ」

直己「お前、今日誕生日だろ?」

雄星「お誕生日...?..あっ...そういえばそうだったわ...」

 

  うおぉぉぉぉぉ!!おめでとう!!!ハピバ!!

 

一気に誕生日お祝いムードになった。

 

彩「おめでとうございます!!」

日菜「おめでとー!!」

千聖「お誕生日おめでとうございます♪」

麻弥「おめでとうございます!!」

イヴ「おめでとうございます!!」

 

パスパレのみんなからもお祝いの言葉が聞こえてきた。

 

日菜「お誕生日の人は上に上がってきてー!」

直己「長島、せっかくだ!行ってこい!」

雄星「で、でもいいんだろうか...」

直己「何言ってんだ!日菜ちゃんと麻弥ちゃん以外のメンバーと近くで話すチャンス滅多にないぞ!行ってこい!」

雄星「あ、あぁ」

 

俺は直己に押されてステージの上に上がった。それと同時に歓声と拍手が大きくなっていく。

そして、ハッピーバースデーの歌を会場のみんなが歌い、歓声と拍手が改めて送られた。

 

彩「では、最後にひとことお願いします!」

雄星「えっと、まさか僕の誕生日にこんな素晴らしいライブに参加でき、誕生日も祝っていただけて、とても幸せです...!みなさん、本当にありがとうございます!」

彩「ありがとうございましたっ!本当におめでとうございます!!」

 

 

   おめでとう!!幸せな時間を大切にな!!最高だー!!!

 

直己「ホンマにおめでとう長島!!」

 

なんて俺は幸せものなんだ。仮にこれが誕生日当日にライブをやると知り、俺の為に日菜と麻弥、それに直己が仕組んだサプライズだとしても、とても嬉しい。考えただけでも涙が出てきそうだ。本当感謝しかない。

 

彩「お誕生日のお祝いもできたところで、この曲に行きます!恐らく聞いたことがあるという方もいると思います!『オリジナル スマイル』」

雄星「え...マジか!!」

 

まさか、俺が昔聞いてハマったグループの曲もカバーしてくれるのかよ...!

以前、俺はそのグループが好きでよく曲を聞いているというのを日菜と麻弥に話したことがある。それを聞いて、今回のライブの為にカバーしてくれたのか...!

 

雄星「パスパレのみなさん、本当にありがとうございます!!僕にとって最高のアイドルです!!」

 

俺は感謝の気持ちを最大限込めてステージに向かって叫んだ。

そして、3時間に渡るライブは無事終了した。ライブってこんなにすごいもんなんだな...そう実感させられた。

荷物も準備でき、退場しようとしたところ日菜からL◯NEがきた。

 

日菜「ちょっと席のところで待ってて!」

 

俺はなぜここで待つ羽目になるのかよくわからなかったが、

 

雄星「わかった。直己と待ってる」

 

とだけ返信した。

しばらくして、他のファンが帰っていき俺と直己の2人だけになったところを見計らって日菜がやってきた。

 

日菜「こっちきて!」

雄星「どうしたんだ俺なんか呼び出して」

 

日菜に手を引かれ、足を運ぶしかない。

楽屋らしきところについて、日菜がドアを開けると、

 

 

   パンッ!!!! 

 

「「「「お誕生日おめでとうございます!」」」」

 

なんとパスパレのみんなが俺に改めてお祝いしてきたのだ。

 

雄星「ありがとうございます...でも先程ライブでお祝いしていただきましたので...」

麻弥「何言ってるんですか?雄星さんの誕生日、ここで盛大に祝わさせてくださいっす!!」

雄星「麻弥...」

千聖「実は、日菜ちゃんと麻弥ちゃんから雄星さんのことについてお話を聞いてまして、その中で誕生日を祝ってあげたいと日菜ちゃんから提案がありまして...」

雄星「そうだったんですね...っ!」

日菜「雄星くん!?どうしたの!?」

雄星「ありがとう...!ありがとう...!日菜、麻弥、パスパレのみなさん、俺なんかの為に準備してくれて...!」

 

アイドルの前で涙は見せまいと必死に手で顔を覆うが、目から溢れた大粒の涙を自力で止めることはほぼ不可能になっていた。

 

麻弥「雄星さん!ジブンも嬉しいです!どうやったら喜んでくれるか考えたかいがありました!!」

雄星「麻弥...!」

 

俺は麻弥を思いっきり抱きしめた。もちろんこれは俺の為に準備してくれた感謝の意味として。

それに応えるかのように麻弥も俺をしっかり抱きしめた。麻弥は同い年なのになぜか母のように感じる。

 

 

 

しばらくして涙も収まってきた。

 

雄星「みなさん、本当ありがとうございました」

日菜「よかったら、みんなで写真撮ろうよー!」

彩「それいいね!」

イヴ「ユウセイさんも一緒に撮りましょう!!」

 

俺と日菜、麻弥が前にしゃがみ、丸山さんと白鷺さん、若宮さんが後ろに立っている。

 

直己「じゃ、撮りまーす!ハイ、チーズ!」

 

   パシャリ

 

雄星「直己、ありがとな」

直己「これぐらいどうってことないで!」

麻弥「さあ、皆さんご飯食べましょう!」

彩「うん!食べよう!!」

麻弥「雄星さんも直己さんも遠慮なさらず食べてください!」

雄星「ああ」

直己「サンキュー麻弥ちゃん!」

 

それからスタッフさんが用意してくれたオードブルとケーキを食べながらいろいらパスパレのみんなと交流した。生まれて初めて盛大に誕生日を祝われた。

 

雄星「本当にありがとうございました。みなさんごゆっくりおやすみになってください。お疲れ様でした」

 

俺と直己はパスパレのみんなにお別れを告げ、電車に乗った。気づけば23時になる。

 

雄星「なあ直己」

直己「どうした?」

雄星「本当に、今日はいろいろお世話になったな。ありがと」

直己「なんだよ!それくらいなら礼はいらんよ!」

雄星「また学校生活でもよろしく頼むな」

直己「ああ!俺の方こそよろしく頼むぜ!」

 

俺と直己はグータッチした。

終点の駅に着き、電車を降りてから直己は自転車で、俺はバスで家に帰った。

それから家に着いて、夜遅く帰ってきたことによって母にこっぴどく怒られたのは言うまでもない。でも、今日ぐらいは怒られてもいいか。だってそれ以上に幸せなことがあったから。




修学旅行編が終わって何書こうか正直ずっと悩んでました。はい。
でもこういう学校がおやすみの日の雄星を書くのも悪くないですよね...

それはさておき、新規麻弥ちゃん可愛すぎませんか??無償スター3000ぐらい貯めてたのと課金できるように5000円準備してましたが、無償スターだけで新規麻弥ちゃんが引けてしまいました...!これで今年の運を使い果たした気がww


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第15話「俺と麻弥の初デート〜Beautiful Days〜」

前回のおさらい

俺は突然パスパレのライブに誘われて行くことになった。そこで、日菜と麻弥が頑張っている姿を見れただけでなく、なんと誕生日まで祝ってもらった。こんな幸せなことがあっていいものだろうかと思いながら、ライブを楽しんでいたのだった。


初めて参加したパスパレのライブから1週間が経とうとしていた。いつものように学校の机に向かって勉強していると、麻弥が話しかけてきた。

 

麻弥「雄星さん!この前はありがとうございました!」

雄星「ええよ。こっちこそ誕生日祝ってもらってありがとな」

麻弥「とんでもないです!あ、そういえば!今度の土曜日って空いていますか?」

雄星「土曜日は特に用事もないが...どうしたんだ?」

麻弥「そ、その...///一緒にどこか行きませんか!?」

 

どこかに行こうという、普段の麻弥からは考えられない積極性に俺は驚いている。だが、答えはすぐに決まっていた。

 

雄星「ああ、家で暇するより全然楽しそうやし、どっか行くか」

麻弥「ほ、ほんとですか!?ありがとうございます!」

日菜「ねえねえ!なんの話してたのー?」

雄星「今度の土曜日麻弥と一緒に出かけるって話」

日菜「そ、それって、デートだよね!?」

雄星「しーっ!声がでかい!」

 

だが時すでに遅しだった。クラスにいた人の目線は完全に俺と麻弥に向けられた。

 

「長島と大和、今度デートするってよ」「リア充だね〜」「クラス唯一のカップルがついにデートとか熱いな!」

 

そんな声がチラチラ聞こえてきたが、この男も反応せずにはいられなかった。

 

直己「おい!長島と麻弥ちゃんデートするってマジか!?」

日菜「うん!来週の土曜日だってー!」

直己「うおーー!!これはアツい日になるな!長島良かったな!!」

雄星「お前もか...」

直己「2人がデートするって聞いたら応援せずにはいられないだろ!!」

雄星「はぁ...とにかく土曜日は妙な真似はするなよ」

 

えらいことになってしまったな...ま、変なことが起きなければいいか。

 

そうこうしているうちに日が経ち、土曜日になった。身支度を済ませ、待ち合わせの駅に向かう。

 

雄星「えーっと、ここで良かったかいな」

麻弥「雄星さーん!!」

雄星「お、来たな」

麻弥「すみません、待ちました?」

雄星「俺も今きたばっかりだし大丈夫。まあ行こうか」

麻弥「はい!!」

 

電車に乗り込み、空いている席に座る。

 

雄星「んで、どこに行くつもりだ?」

麻弥「それは着いてからのお楽しみですよ!」

雄星「そうか」

 

電車に揺られること50分、駅について電車を降りた。周りはとても閑散としている場所だ。

 

雄星「ここって特に何にもないけど」

麻弥「とにかくジブンについてきてください!」

 

そう言われ、ついていったところにあったのは神社だった。

 

麻弥「ここ、恋愛の神様がいるところなんですよ!」

雄星「ほう、それでどうしたんだ」

麻弥「ジブン、一生雄星さんと一緒にいたいんです!!///」

 

少し顔を赤らめながら俺に話す麻弥。いつ見ても可愛いな。でもそれ以上に一緒にいたいという思いは俺も同じだ。

 

雄星「俺も、麻弥とずっと一緒にいたい。高校生活が終わるまでの期間限定で終わらせたくない。」

麻弥「雄星さん...!!」

雄星「うおっ...!」

 

何かに動かされているかのように、麻弥が突然俺に抱きついてきた。

 

雄星「よし、一緒にいることができるようにお祈りしよう」

麻弥「はい!」

 

俺は五円玉を賽銭箱に投げ入れ、手を合わせた。ずっと一緒に過ごせるよう、神様にお願いしたのだ。

 

雄星「これで願いを伝えることができたな」

麻弥「はい!」

雄星「それじゃあ時間も限られてるから行きたいところ廻るか」

麻弥「はい!行きましょう!!」

 

神社を後にして都心に戻ってお店散策したり、一緒にご飯食べたりと、麻弥と一緒に濃い時間を過ごした。

 

雄星「そうだ、スカイツリー行かないか?」

麻弥「それいいですね!!行きましょう!!」

 

最寄駅につき、東京スカイツリーの展望台に登った。ガラス越しにみえる東京の街は、眠らない街だけあってまるでイルミネーションみたいだ。

 

麻弥「綺麗です!!ジブン感動してます!!」

雄星「だな。ここに来て正解だったな...ところで麻弥」

麻弥「雄星さん?どうしたんですか...って!?///」

 

俺は麻弥の手を握りしめた。つるっとした手の中に温もりを感じる。そしてこう言った。

 

雄星「さっき言い忘れたけど、俺は何があってもこの手だけは絶対離さないからな。覚悟してろよ」

麻弥「雄星さん...!あ、ありがとうございます!///」

雄星「俺が世界で一番好きなのは『大和麻弥』だからな」

麻弥「ジブンも、『長島雄星』さんが一番好きです!!」

雄星「よし、その言葉しっかりと聞いたぞ。これからもよろしくな」

麻弥「こちらこそ、よろしくお願いするっす!!」

 

俺は決めたんだ、絶対麻弥は俺の手から離さないと。何があっても絶対守ってみせる。

それからはしっかり手を繋いで電車に乗り、待ち合わせの駅に戻ってきた。

 

雄星「今日は誘ってくれてありがとな」

麻弥「こちらこそありがとうございました!いい日が過ごせました!」

雄星「それじゃ、また学校でな」

麻弥「はい!ではジブン、これで失礼しますね!」

雄星「おう、お疲れ様」

 

俺と麻弥は笑顔で駅を後にした。いざ1人になるとちょっぴり寂しいな。でも、俺の手の中には麻弥の温もりと気持ちが残っていた。

 

雄星「麻弥、世界で一番可愛いくて俺の一番の誇りのアイドルだな」

 

そうつぶやき、家に帰った。

ちなみに、月曜日学校に行って日菜や直己をはじめクラスメイトからデートの感想を聞かれたのは言うまでもない。




更新遅くなりました...いやー仕事なければバンバン更新したいんですけどそういうわけにはいかずといったところです。
てか全く高校生活関係あらへんやん!と思ってる方、次回はちゃんと高校生活に関わることを書きますのでご了承を...

あ、最近個人参加型フットサルに参加するようになりまして、今日は4ゴール挙げました。まだまだ運動量が足りなかったり決定機をモノにできないのが弱点ですが...w


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第16話「分裂」

前回のおさらい

土曜日に俺は麻弥に誘われて一緒に出かけることになった。いわゆるデートってやつだな。そこでいろんなところに行けたほか、麻弥との絆も深められた気がした。ずっと麻弥と一緒にいたい。そんな思いもあったのだった。


ある日の昼休み。弁当も食べた俺は特にやることもないために教室でゆっくり過ごしていた。

 

雄星「よく食ったな。少し寝るか」

 

前日夜遅くまで勉強していたため、ぶち眠い。事実、午前中の授業でも寝かかっていたのだ。

 

雄星「zzz...」

??「雄星くーん!!」

 

誰かに名前を呼ばれた気がしたが、眠気に襲われて反応ができない。

 

??「雄星くーん!起きてってばー!!」

雄星「んん...何だよ折角寝てたのによ...って日菜か」

日菜「寝てるところごめんねー?ちょっと伝えたいことがあって来て欲しいんだよ!!」

 

なぜか日菜は少し焦りを見せている。

 

雄星「そんなん俺じゃなくても麻弥とか直己に頼めばいいやろ」

日菜「雄星くんじゃないとだめなのー!!」

雄星「...しゃーないな」

 

せっかくの幸せな時間を奪われてしまった。日菜に案内されて、俺もついていく。

辿り着いたのは学校の屋上だ。ここって入っていい場所なんだな...

 

雄星「んで、用事ってなんだ?」

日菜「うん、実はね...直己くん、学校離れるらしいよ...」

 

ええええええ!?

 

思わず叫んでしまった。俺はとんでもない話を聞いてしまった。

 

雄星「それ、嘘偽りないよな...?」

日菜「うん...あたし、たまたま直己くんと先生が話してるのを聞いたんだよね...」

雄星「マジか...なぜだよ...」

 

日菜の顔を見る限り嘘ではないことが伺える。

俺はただ呆然と立つしかなかった。出会ってからまだ半年も経っていないのに...

それから、午後の授業は直己のことで頭から離れず集中できなかった。

 

麻弥「雄星さん、どうしたんですか?今日の雄星さんは雄星さんらしくないですよ?」

雄星「ああ、俺は大丈夫だ。心配かけてすまない」

直己「おいおい長島!麻弥ちゃんの言う通りだぜ?お前らしくないぞ!」

雄星「俺は本当に大丈夫だって」

直己「でも、せっかく麻弥ちゃんが心配し」

雄星「大丈夫だって言ってるだろ!!俺の気持ちなんてわからないくせに!!ほっといてくれよ!!」

 

思わず大声をあげてしまった。周りの空気は静まりかえってしまう。

 

雄星「俺は帰る」

直己「おい長島!...あいつ、何があったって言うんだよ...」

麻弥「雄星さん...あそこまで怒る雄星さん珍しいです...」

 

麻弥と直己が気遣ってくれて有難いとわかってはいるものの、2人の目の前で苛立ちを爆発させてしまった。俺は教科書諸々をカバンに詰めて教室を後にした。

 

日菜「(雄星くん...あたしは言わない方がよかったのかな...)」

 

校門を出てから家に向かって走り出す。あいつのことを考えただけで涙が出てくる。

 

雄星「(すまない、あの時ちゃんと謝るべきだった...俺は友達失格だ)」

 

ーーーーーーーーーー

 

あの日の出来事から、雄星さんが学校に来なくなってしまいました。ジブンたちと雄星さんとの間で分裂が起きてしまったような感じです。ジブンたちは雄星さんのことについてずっと悩んでいました。

 

直己「長島、大丈夫かいな」

麻弥「ジブン、雄星さんのことが心配です...!!雄星さんの家に行って話を聞いてみます...!」

直己「今あいつの家に行ったところでたぶん出ないと思うぞ...」

麻弥「でも!ジブン雄星さんがなぜ悩んでいるのか知りたいんです!そして、少しでも雄星さんを助けてあげたいんです!!」

直己「麻弥ちゃん...」

日菜「あたしも協力させて...!」

麻弥「日菜さん...!」

日菜「あたし、雄星くんがいないとるんっ♪って来ないもん...!!雄星くんとこれからも一緒に勉強したいし、いっぱい話をしたい...!だから、だから...!うわぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

きっと泣くのを我慢していたんでしょうか、日菜さんは突然大粒の涙を流して泣いてしまいました。

 

直己「日菜ちゃん、あいつならすぐ立ち上がるはずだぜ。大丈夫」

 

直己さんが日菜さんをそっと抱きしめました。それと同時に、直己さんの言葉で雄星さんなら大丈夫だという安心感も感じました。

 

麻弥「ジブン、時間を置いて雄星さんに連絡してみます!」

直己「ああ、その方がいいぜ。宜しく頼む!」

 

ーーーーーーーーーー

 

俺は学校に行かずにいた。体調が悪いと母には嘘ついて1日中部屋にいる。

 

母「今日も体調悪いの?」

雄星「ああ、ちょっと熱があるっぽい」

母「学校にはちゃんと連絡いれなさいよ?」

雄星「うん」

母「おかゆ、作っておいたからちゃんと食べなさいよ」

雄星「ありがと」

 

ここしばらくはこれの繰り返しだ。もしあの時、苛立ちを抑えて素直にありがとうと言っていれば...考えただけでも吐き気が襲ってくる。

と、その時だった。

 

ブルルッ、ブルルッ

スマホに一通のメッセージが届いた。

 

雄星「メッセージか。ん?麻弥?」

麻弥「(今日の放課後、家にお邪魔してもいいですか?)」

 

麻弥からのメッセージだった。家に来てもいいか...でもなぜなんだ?

 

雄星「(来てもいいけど、なんでだ?)」

麻弥「(ここしばらくお会いしてなかったので、心配になりまして...)」

雄星「(そか、じゃあ待ってるよ)」

 

そう返信してスマホを閉じた。




いやー久しぶりの更新です。ようやく学校生活のこと書けて涙がで、でますよ。

それは置いといて今年はどこもいけず残念でなりません。昨日仕事納めでしたがあと1日ぐらい出勤してもいいかな...w


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第17話「友情は強くなって光輝く」

前回のおさらい

日菜から突然、直己が学校を離れるという噂を聞いてしまった。授業にも集中できず、終いには直己をはじめいつメンに強くあたってしまった。そのことが原因で学校にも行けなくなり、引きこもりに近い状態になってしまった。しかし、麻弥から家にお邪魔したいというメッセージが届き...


雄星「(来てもいいけど、なんでだ?)」

麻弥「(ここしばらくお会いしてなかったので、心配になりまして...)」

雄星「(そか、じゃあ待ってるよ)」

 

そう返信してスマホを閉じた。しかし、俺は考えていた。なぜ麻弥が来るのかと。

17時になった。まだ陽は出ていて明るい。今日はたまたま母が用事で家を出ていて20時までは帰ってきそうにもない。

その時、

 

ピンポーン

 

家のチャイムが鳴らされた。きっと麻弥がきたんだろう。

 

雄星「はーい」

麻弥「雄星さん!来ましたよ!」

雄星「ああ、って日菜と、それに...」

直己「俺も長島が心配でな、つい来てしまったぜ」

 

なぜか日菜と直己も同行していた。だがなんで?

 

雄星「ま、ここにいてもあれやし、上がりなよ」

 

とりあえず3人を家の中に入れ、俺の部屋に案内した。

 

雄星「折角来てくれたんだし、何か飲み物とってくるけん待ってて」

 

1階に降り、冷蔵庫にあったオレンジジュースを3人分用意した。お腹も減ってるだろうと思い、申し訳程度の煎餅も用意した。

 

雄星「おまたせ」

直己「なんかすまないな、ここまでやってもらって」

雄星「いいよ、時間作って来てくれたんだし。んで、用事は何だ?」

麻弥「最近雄星さん、学校に来ないじゃないですか?ジブンたち、それで心配になりまして...」

雄星「ああ、そのことか。ただ体調が悪くなっただけだし、今はもう回復して来てる。明日からは普通通り学校にもいけるけん大丈夫よ」

直己「でも、体調が良くなってきてるなら俺たちも少し安心したな...!」

雄星「あ、あと直己、そして麻弥」

麻弥「どうしたんですか?」

直己「どうした?」

雄星「この前はキツく当たってすまなかった。あの時はいろいろあってみんなのことは完全にそっちのけだった」

直己「なんだそんなことかよ!俺は別に気にしてないし怒ってもないぜ!」

麻弥「ジブンもです!だから雄星さんもお気になさらないでください!」

雄星「直己、麻弥...」

 

と、その時だった。

 

パッチーン

 

雄星「えっ...」

日菜「雄星くんのばか!!」

 

俺と麻弥、直己は驚く以外の方法がなかった。普段温厚な日菜がいきなり俺の頬目掛けてビンタしたのだ。

 

麻弥「ちょっと、日菜さん!?」

直己「どうしたんだよ日菜ちゃん!?」

日菜「なんで...なんで雄星くんは正直に言えないの!?いつもの雄星くんじゃない!!」

雄星「日菜...」

 

日菜の目からは涙を流しながら泣いている。

 

日菜「あたし、雄星くんが学校に来なくなった理由知ってるもん!!」

雄星「...」

日菜「雄星くん、あたしが直己くんが学校離れることを話してからずっと悩んでたんだよね!?」

直己「日菜ちゃん、まさか...!」

 

俺はただ黙り込むしかなかった。俺が学校を休んでる本当の理由を知られてしまったからだ。

でも、今ここで明かされた以上は話すしかない。

 

雄星「日菜が言ったとおり、俺が学校休んだのは直己が学校を離れるということについていろいろ悩んでいたからだ。直己、今日菜が言ってたが、学校離れるってマジなのか?」

直己「...ああ。今までみんなには黙っていたが、学校を離れるのは本当だ」

雄星「なぜ教えてくれなかったんだよ...!」

直己「みんなに迷惑をかけたくなかったんだよな...」

雄星「でも、直前で言われたとして、みんないきなりお別れとか受け入れてくれないかもしれんのに...」

直己「長島、お前だけは俺の一番大切な友達だ。お前だけには知られたくなかった。でも知られてしまった以上言うが、俺の今回の決断を受け入れてくれるか?」

 

直己は俺の話を遮るかのように話を逸らした。俺たちには知られたくないことなんだろうな。

 

雄星「ああ、直己がそこまで言うなら、俺は受け入れる。ちょっと悲しい気持ちもあるが、お前の意思を尊重する」

直己「長島...!ありがとう...!」

 

俺と直己との間にできた分裂は修復され、そこには以前よりも強く、光輝く友情が芽生えていた。

こうして俺の悩みはすっと消え去った。だが、まだ日菜は涙を流して泣いているままだ。

 

雄星「日菜、まだ泣いてるけどなんでだ?」

日菜「みんなごめん...!!今回の件、悪いのは全部あたしのせいなんだよね...!!」

雄星「え?なんで?」

日菜「雄星くんが悩んでたのは全部、あたしが直己くんのことを話したせいなんだよ...!!」

 

まさか、今回の問題は日菜が直己のことについて俺に話したこと自体が悪いと思っているのか?

 

麻弥「日菜さん...」

直己「日菜ちゃん...」

雄星「いや、日菜のせいじゃない」

日菜「でも!そのせいで雄星くんはずっと悩んで苦しんでたんだよね...!!あたしがあの時話さなかったら、雄星くんが悩む必要なんてなかったもん!!」

雄星「日菜、これは日菜のせいではない。誰も悪くないんだ。俺が悩んでいたことが悪い。その証拠に、俺はさっき謝ったし、直己にもちゃんと話して、大丈夫と言ってくれた。これで万事解決でいいじゃないか」

麻弥「雄星さんの言うとおり、日菜さんは何も悪くないですよ!!」

直己「そうだぞ日菜ちゃん!何も悪いことしてないから気にしたら負けだぜ!」

日菜「雄星くん...!麻弥ちゃん...!直己くん...!(๑´̥̥̥>ω<̥̥̥`๑)うわあああああん!!」

 

日菜の泣き方が大きくなった。それと同時に何か背負っていたものが日菜から離れたように、日菜は俺の胸の中に飛び込んで、ひたすら涙を流して泣いた。

日菜を優しく包み込むかのように、麻弥は頭を撫で、直己は日菜の手を握った。

そうか、俺だけじゃなく日菜も悩んでいたんだな。いや、俺以上に悩んでいたのは日菜かもしれない。

 

雄星「日菜も俺のことを思って言ってくれたんだよな。ありがとう」

 

 

 

しばらくして日菜は泣き止み、いつもの姿に戻った。

気づけば19時を回っていた。

 

雄星「時間もあれやし、気をつけて帰りなよ」

直己「おう!」

雄星「それと、今日はありがとな。明日からは普通通り学校行くから」

麻弥「ジブン、待ってますからね!」

日菜「雄星くん、また明日ねー!」

雄星「おう、それと直己」

直己「お、何だ?」

雄星「ダメ元で聞くが、なぜ学校を離れるんだ?」

直己「ああ、実は大学受験で横浜に1週間行くことになってな!」

雄星「...は?」

直己「それで先生に言ったら、頑張れよって言ってくれてな!」

雄星「直己...ちょっとこっち来てくれるかい?」

直己「ひぃ...助けてくれ日菜ちゃん、麻弥ちゃん...」

雄星「あと日菜もこっち来てくれるか?」

日菜「ま、まさか...」

麻弥「それでは、ジブンはこれで失礼しますね!」

雄星「おう、気をつけて帰りなよ」

 

麻弥を先に帰らせたところで日菜と直己を家にもう一回入れた。そして、

 

雄星「俺どれだけ心配したと思ってんだよ!!退学とか転校とか留学するのかと思ってたらただの大学受験かよ!!」

直己「だから言ったじゃねーかよ...知られたくねーよって...」

雄星「そんな問題じゃねーよ!あと日菜もなんで学校離れるんだよー!とか平気で言ったんだ!」

日菜「えーでも先生と直己くんが話してて、離れるのかって先生言ってたもん!」

雄星「はぁ、でも今度から人を誤解させるようなことをするなよ!!」

直己「す、すまない長島」

日菜「ごめんなさい〜」

 

軽く10分くらい説教してから直己と日菜は帰っていった。

 

雄星「まあでも、あいつとの間に強い友情は確かに芽生えたからよしとしようか。明日から心機一転で学校生活楽しまないとな」

 

俺はそう心の中で言い、扉を閉じた。




今回後書きに特に書くことはございません。はい。
一つだけ言うなら仕事納めでした。また来年も頑張っていきます。あと、小説投稿ペースもアップさせたいです。

新作に関してはもうしばしお待ちを。


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第18話「対決!長島雄星vs三宅直己 前編」

前回のおさらい

家にずっとひきこもり状態だった俺のところに、麻弥たちがやってきた。そこで、俺が学校を休んでいた理由などを正直に話した。そこで、亀裂が入っていた俺と直己との間には強く光輝く友情が芽生えたのだ。


翌日、俺は学校に行く準備を済ませ、玄関にいた。

 

母「もう体調は大丈夫なの?」

雄星「うん、おかげさまで良くなったよ」

母「そう?あまり無理せんことよ」

雄星「わかってる。じゃあ、いってきます」

 

玄関を出て、学校へと足を進める。しばらく学校に行ってないため、クラスメイトからどんな反応をされるか不安ではある。でも、大丈夫。なぜか根拠のない自信がどこからか湧いてくる。

と、その時だった。

 

日菜「雄星くーん!!おはよー!!」

雄星「うわぁっ、日菜か。おはよ」

 

後ろから天才少女がやってきて俺に抱きついて来た。普段だったら離れろとかすぐに言うが、今日は良しとしよう。

 

日菜「もう大丈夫なの?」

雄星「ああ、おかげさまで良くなった」

日菜「良かった〜!さっ、早く行こう!!」

雄星「ちょっ、待て」

 

天才少女に手を引かれるままに、学校についた。

 

雄星「おはよ」

 

「おお!長島来た!大丈夫になったのか!」

「長島くんようやく来たね!みんな待ってたよ!」

 

そこには俺を蔑む声はなく、逆に励ましの声がたくさん聞こえてきた。

 

雄星「みんなすまなかった。俺はこの通り大丈夫だから、またよろしく頼む」

 

深々と頭をさげると、拍手に包まれた。

そこに担任もやってきた。

 

HR担任「ようやく長島も来たようだな。先生も心配したぞ」

雄星「しばらくお休みしてすみませんでした。今は大丈夫ですので、これからもご指導よろしくお願い致します」

HR担任「もちろんだ。生徒の身を預かるものとして、お前を全力でサポートしていく。」

 

担任にも一言挨拶して席についた。

 

HR担任「さて、みんな揃ったところで朝のホームルームを始める」

 

「起立、例、おはようございます」

 

HR担任「見ての通り長島が今日から復帰ということで、みんな優しくしてあげるようにな。あと体育の先生からで、今日の3限目の授業は体育館からグラウンドに変更になったからそれだけ伝えておく。以上」

 

いつもの光景だけど、学校生活ってこんなに幸せだったっけ。そう思っていた。引きこもっていたあの時期はただただ苦しみ、もがいていた。それを乗り越えて、今この「教室」という居場所にいる事がとても幸せだったのだろう。

 

雄星「1限目って日本史だっけ」

日菜「そうだよー!」

雄星「俺の得意科目か」

麻弥「雄星さーん!今度の期末試験、日本史だけジブンと勝負しませんか!?」

雄星「お、麻弥が珍しく勝負を挑んできたか。いいだろう。ただ、俺は日本史が得意だから、麻弥が勝てるかな」

麻弥「もちろんです!ジブン、雄星さんに勝てるように頑張ります!」

雄星「自信満々だな。その意気だ」

 

久しぶりの授業。普段だったらめちゃくちゃ長く感じるが、やはり家にいた時期が長かったため授業受けてる時も楽しいと感じている。みんなと一緒に勉強しているんだという幸せに包まれた。

そして、2限目の英語表現の授業も受け、3限目の体育に入る。

 

体育教師「みんないるな。急遽体育館からグラウンドに変更ということでみんな来てもらったんだけど、今日は長島君の復帰記念というわけで、長島君が好きなサッカーをやろうかなと思ってるんだよな」

雄星「先生、本当にサッカーやるんですか?」

体育教師「ああ、長島君はしばらく体も動かしてないだろう。おまけに授業の内容もわからないだろうから、今日は授業はやめて思いっきりサッカーを楽しんで欲しい」

雄星「あ、ありがとうございます...!」

直己「よかったな長島!」

雄星「ああ」

体育教師「それじゃあチーム決めと行こうか。隣の人とグーとパーやって分かれよう」

 

チーム分けの結果、俺と日菜が一緒で直己と麻弥は敵チームになった。

 

雄星「直己、お前だけには絶対負けないからな」

直己「ああ!俺も長島には負けられねえからな!麻弥ちゃん、やってやろうぜ!」

麻弥「はいっす!雄星さん、覚悟しておいてくださいね!」

雄星「俺も直己と麻弥ちゃんが敵である以上は全力でいくぞ。日菜、絶対勝つぞ」

日菜「うん!勝つのはあたしたちだからねー!!」

 

それぞれチームで作戦を練る時間が与えられた。俺と日菜のチームは相手が上背のある人が多いため、前線に放り込む形ではなく細かくパスを繋いでチャンスを作る「ポゼッションサッカー」作戦だ。その前線は俺と日菜の2トップで構成される。

一方の直己と麻弥のチームは自陣でブロックを作りながらプレスをかけ、相手のミスを突いてカウンターから得点を狙うという「堅守速攻型サッカー」作戦で、直己はFWに入り麻弥はアンカーの位置(DFの1つ前のポジション)に入る。

与えられた時間は休憩10分を挟んで前後半それぞれ15分。審判は先生が務めてくれる。キャプテンはそれぞれ俺、直己がやる。

 

体育教師「準備はいいな。よし、キックオフだ!」

 

ピーッ

 

俺たちのチームのキックオフで前半が始まった。

 

雄星「ここは一回パスを回して様子を伺おう」

 

細かくパスを回して様子を見ることにした。相手はゴール前まで引いてブロックを敷いている。

 

雄星「よし、攻撃開始だ!」

 

GKからパスを繋ぎ、相手陣地に入っていく。しかし、相手にブロックを敷かれているためゴール前までボールを運ぶことはできず、チャンスを作っても相手DFに悉くボールを弾き返されてしまう。

一方の直己麻弥チームも、俺たちのミスをうまく突きカウンターに移る。何度かシュートを撃たれるシーンもあったが、GKがうまく対処してくれるおかげで失点せずに済んでいる。

そうこうしているうちに、0-0のまま前半が終わろうとしていた頃だった。

 

雄星「日菜!」

日菜「ありがとう!!」

 

日菜に渡したパスがうまく繋がった。相手がプレスをかけていたこともあり、相手陣地にはGKのみだ。後は日菜がゴール前までドリブルしてゴールを狙ってくれるはず。だが、

 

麻弥「そうはさせませんよ!」

 

アンカーに入っている麻弥が一気に戻ってきて、日菜からボールを奪取した。そして、

 

麻弥「直己さん!」

直己「あいよ!」

 

前線にいた直己にボールが渡る。俺たちの陣地にもGK以外いない状況だ。

 

雄星「しまった...!!」

直己「チャンスはもらったぜ長島!!」

日菜「とにかく、ボールを奪い返そう!!」

雄星「だな...!!みんな戻れ!!」

直己「遅い!行けー!!」

 

直己の右足からシュートが放たれた。

 

雄星チームGK「うわぁぁぁあ!!」

 

GKが弾き、なんとか失点は免れた。だが、これで直己麻弥チームがコーナーキックを獲得した。

キッカーは麻弥が務めるようだ。

 

雄星「みんな、直己と背の高い人につけ!絶対失点してたまるか!」

 

麻弥はGKから遠ざかるボールを入れた。そして、

 

直己「おりゃぁぁぁぁ!!」

 

頭一つ抜けた直己のヘディングシュートはGK反応できず。ゴール左に流れ込み、直己麻弥チームが終了間際に先制に成功した。同時に前半終了のホイッスルが鳴らされた。

 

直己「よっしゃー!!!」

麻弥「直己さんいいシュートでした!!」

直己「麻弥ちゃんサンキュー!!ナイスボールだったぜ!!」

麻弥「まさか雄星さんのチームからゴールを奪うなんて、ジブン嬉しいです!!このまま勝ちましょう!!」

直己「ああ!みんな、このまま勝とう!!」

 

日菜「雄星くん...!」

雄星「あいつ、野球経験しかないのに今のはナイスヘディングだったな...でも、俺たちも負けてられないな」

日菜「そうだよ雄星くん!絶対勝つのはあたしたちだからね!」

雄星「だな。よしみんな!まずは後半、追いつくぞ!!」

「「「「「おーーーっ!!」」」」」

 

「なるほど、彼が長島雄星か。ぜひ来年うちのチームに来て欲しいもんだ。」

 

雄星「ん?今のは...」

日菜「雄星くん、どうしたの?」

雄星「いや、今誰かに見られていたような気が」

日菜「...誰もいないよー?」

雄星「俺の見間違いか。まあいいや、後半絶対巻き返して勝つぞ」

日菜「うん!!」

雄星「直己、ナイスヘディングだったが、後半逆転して俺たちが勝つからな」

直己「俺たちも負けないぜ!!だよな麻弥ちゃん!」

麻弥「はい!!後半はもっと点を取りますよー!」

 

後半で絶対逆転してやる。俺たちは勝つってのを直己たちに見てもらうんだ。




はい、前半終了です。いやー直己は本当はサッカーもやってたんじゃないかってぐらい上手かったですね。後半雄星たちが巻き返せるか注目です。


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第19話「対決!長島雄星vs三宅直己 後編」

前回のおさらい

俺は久々に学校に来て授業を受けた。3限目は体育だったが、なんとサッカーをやることに。俺と直己は別のチームになり、絶対勝つ思いで臨んだ。しかし前半終わり際に直己に先制ゴールを許してしまう。後半、絶対逆転してやるからな。


体育教師「後半始めるぞ。キックオフ!!」

 

ピーッ

 

後半が始まった。前半直己が得点したことにより、まずは同点に追いつく必要があった。

 

雄星「相手はブロック作りながらプレスをかけてくるから、とにかくボールを回すんだ!!」

 

中盤の選手を中心にパスを回し、ゲームを落ち着かせる。

 

直己「パスに翻弄されるな!!プレスをガンガンかけにいくぞ!!」

 

直己も味方に指示を送り、ゲームをコントロールする。

 

日菜「雄星くん!いつになったら攻撃開始するの?」

雄星「まだ攻撃に転じるには早い!まずは相手を翻弄して、その隙を狙っていくぞ!!」

日菜「わかった!!」

 

と、その時だった。

 

雄星「(あそこを狙えばチャンスだな)今だ!俺にパスをくれ!!」

日菜「雄星くん!!」

 

日菜から絶妙なスルーパスが送られてきた。相手GKと1対1の状況。味方も敵陣に入り込み、超攻撃体制をとる。

 

雄星「いっけぇー!!!」

 

ようやくシュートをしっかり打つ事ができた。俺の放ったシュートは相手GKに弾かれるものの、コーナーキックを得た。

 

雄星「キッカーは任せたぞ」

 

キッカーはサッカー部に入っているMFに任せた。俺はゴールに近いところにポジションをとった。そこに、

 

直己「お前には絶対点を取らさせないぜ!!」

雄星「ふっ」

直己「どうしたんだよ長島!何がそんなにおかしいんだ?」

雄星「果たして俺がヘディングでゴールをするとでも思ってるのか?」

直己「何だって!?」

 

キッカーが入れたボールは俺のところに来たが、俺はゴールに流し込むことをせず、頭を使ってボールを後ろにそらした。ボールが後ろに行くと、躊躇わずこの人がダイレクトでシュートを放った。

 

日菜「あたしのシュート、決まって!!!」

 

女子とは思えないぐらいの強烈なシュートは相手GKも反応できず、ゴールネットに突き刺さり同点とした。

 

日菜「やったぁぁぁぁ!!やったよ雄星くん!!」

雄星「よくやってくれた日菜!ナイスシュートだ!!」

 

実は後半に入る前、こんな作戦を組み立てていたのだ。

 

ーーーーーーーーーー

(休憩中)

 

雄星「前半思ったのは、相手がどんどんプレスをかけてくることだ。これは予想外だったな。だが、プレスをかけ続けることはデメリットがある」

日菜「デメリット?」

雄星「ああ、体力が削られていくってことだな。チャンスが来るまではとにかくボールを回し続けて相手を疲れさせるんだ。そこからチャンスを伺ってシュートまで持っていこう」

日菜「おお!雄星くんさすがだよ!!監督みたい!!」

雄星「監督はいいすぎだろ...まあJリーグ見てるからある程度は生かせそうと思っただけよ。それでコーナーキックになったときは俺が囮になる。後ろにボールをそらして、それを誰かがシュートしてほしいんだ」

日菜「うん!!わかった!!」

 

俺の作戦には他のメンバーも納得してくれたようだ。

 

雄星「よし、後半逆転するぞ!!」

「「「「「おーーーー!!」」」」」

 

ーーーーーーーーーー

 

見事に俺たちの作戦がハマったおかげで同点になった。

 

直己「長島、お前やるじゃねえか!!日菜ちゃんも強いシュート打っててびっくりしたぜ!!」

日菜「あたしはシュート打っただけだけどねー」

麻弥「でも次に点をとるのはジブンたちですよ!!」

雄星「俺たちだって負けはしない。絶対勝つからな」

直己「臨むところだぜ!!」

 

1-1でゲームは振り出しになり、試合再開。

ボールを回してチャンスを伺う俺たちと、ブロックを作りプレスをかけカウンターを狙う直己麻弥チーム。お互いに次の1点を狙うべく全力でプレーしていた。

 

直己「おりゃあ!!!」

 

直己のシュートはGKがうまく処理してくれた。だが、

 

雄星「いっけぇー!!」

 

俺たちのシュートも相手GKが処理をし、次の1点が遠い。

 

体育教師「残り1分!みんな頑張れ!!」

 

このままだと引き分けに終わってしまう。直己には、直己だけには負けたくないんだ!!

そんな「負けたくない」という思いを神様が感じ取ったのだろうか、俺たちのチームにチャンスを与えてくれた。

 

日菜「うわぁっ!!」

 

日菜が相手のDFに倒されて、ペナルティエリア中央やや遠めだがフリーキックを獲得する。

 

相手DF「怪我とかない?大丈夫?」

日菜「あたしは大丈夫だよ!!」

 

絶好の位置だった。直接ゴールを狙っていける距離だ。

 

日菜「誰が蹴るの?」

雄星「...俺が行く」

 

俺にはある1つの思いがあった。

 

「(あいつは俺が入学当初から関わってくれる大切な友達だ。いつもはおかしいやつだが、いざとなれば心強い味方だ。俺がもがき苦しんでいたあの時期も直己は俺のことを常に思ってくれた。そして、今日もいつも通りに友達として接してくれた。だからこそ、ここで俺はゴールを決めてあいつに勝ってみせる。それが直己、いや、『三宅直己』という1人の友達に対する感謝の気持ちだから)」

 

直己への感謝とリスペクトをボールに込め、セットした。

 

直己「絶対直接蹴ってくるぞ!!壁を作れ!!」

 

そんな直己にもある1つの思いがあったのだ。

 

「(長島、俺がいつもうざいくらい絡んできてもお前は俺の相手をしてくれたよな。そして、俺が学校離れるということを知った時、正直申し訳ないとも思ったぜ。でもお前は俺のことを思って真剣に悩んで、苦しんでたんだよな。その苦しみから絶対立ち上がると信じてた。そして、今日お前は見事に立ち上がってくれた。どんなことがあっても俺の一番の友達、それは『長島雄星』お前だぜ)」

 

日菜「雄星くん!!いっけー!!」

雄星「うおぉぉぉ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ボールがどういう軌道を描いていったのかわからなかった。ただ、俺が蹴ったボールは、相手ゴールの中に入っていた。

 

雄星「...やった...」

日菜「雄星くん!!!」

雄星「...っ!?やったぞーーーーーー!!!!!」

 

味方が俺のところに駆け寄ってくる。そして、

 

ピッ、ピッ、ピーッ

 

試合終了を告げる長い笛が鳴らされた。まさに激闘ともいえる試合展開。スコアこそ2-1だったが、内容は非常に濃いものとなった。

 

雄星「勝った...んだよな?」

日菜「うん!!あたしたちが勝ったんだよ!!」

雄星「みんな...ありがとう...!」

日菜「雄星くんまた泣いてるー!!」

雄星「嬉しいんだよ...!!みんなが負けたくないっていう気持ちを最後まで持ってくれたからだよ...!!」

 

俺は思わず涙を流してしまった。

 

直己「長島!すげーもん見せてもらったぜ!ってなんで泣いてんだ!?」

日菜「勝ったから嬉しいんだって!!」

直己「そうか!でも、お前の負けたくない思いすごかったぜ!俺の負けだな!」

雄星「いや、直己の絶対勝ってやるっていう気持ちも強かったし、すごく押されたよ。俺の負けでもあるよ」

 

涙も止まり、ある程度落ち着いてきた。

 

麻弥「しかし雄星さんのシュート、何かボールに思いがこもってたような感じがしましたよ!!」

日菜「だよね!なんかこう、ギュイーン!っていうか、ズドドーン!って感じだったよ!!」

直己「あれはバケモンのシュートだったな!プロ顔負けっていうかなんか、よくわからんけどバケモンシュートだったぜ!!」

 

軌道はよく見えなかったが、すごい勢いでゴールに向かっていったのはなんとなく覚えている。

試合後の挨拶を済ませ、整列すると教師からこんなことを言われた。

 

体育教師「みんなのプレー見てると、絶対に勝つっていう思いが感じ取れたな。まるでプロの試合を見てる感じだ。特に、長島君と三宅君はそれが顕著に見られたな。君たちがMVPだ」

 

俺と直己に大きな拍手が送られた。そして、俺と直己はお互いの健闘を讃えあう握手を交わした。

 

体育教師「今日の経験はこれからの学習や部活動、それに社会に出てからかなり役立つから、それをしっかり生かしてほしい。では、今日はここまで!」

 

「起立、休め、気をつけ、礼」

 

「「「「「ありがとうございました!!!」」」」」

 

久しぶりの体育の授業、めちゃくちゃ楽しかった。いい思い出になること間違いなしの1時間だった。

 

 

 

一方、学校に近いところでは...

 

「石田GM、視察して彼はどうでしたか?」

「はい、長島雄星は1ゴール1アシストでチームの勝利に貢献しました。おまけにキャプテンもやっておりまして、戦術理解度が非常に高いものと思われます。宮下監督のサッカーにもすぐ馴染めると思いますよ」

「そうですか、ならうちが獲得しないわけにはいかないですね。近々校長先生に話を持ちかけて、彼にオファーを出すことにしましょう」

「承知いたしました。それでは学校を出発しますね」




いかがでしたでしょうか。最後は雄星のフリーキックで見事逆転できましたね。雄星たちにとってはとても良い思い出になったんじゃないですかね?
それと最後の2人って一体誰なんですかね?確か前編でも出てたような...

それはともかくスコアだけ出しときますね
雄星・日菜チーム 2-1 直己・麻弥チーム
得点者 氷川日菜   三宅直己
    長島雄星


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第20話「1学期期末テスト」

前回のおさらい

体育でサッカーをやることになった俺たち。前半直己に先制点を献上してしまうが、後半で作戦を練り直し見事逆転に成功。久しぶりの体育の授業だったがとても楽しかった。
しかし、数日後に思いもよらぬ話が飛び込んでくるとは、この時は思ってもいなかった...


7月に入った。ぼちぼち期末テストの時期に入る。

 

HR担任「もうすぐで1学期の期末テストがある。期末テストでは基本的な5教科に加えて実践的教科の4教科もある。みんながキツイのは先生もわかるが、ここを乗り越えていかないと社会に出てから厳しくなるからな。だから、みんなには1学期の締めとしてもうひと踏ん張り頑張ってもらいたい」

雄星「合わせて9教科か。中間より厳しくなりそうだな」

HR担任「というわけで、みんな勉強の方をよろしくな」

 

俺たちは勉強の為に静かな図書館にやってきた。期末テストは教科数が多い為2日にわけて行われる。

 

雄星「9教科もあるとやる気出ないな」

麻弥「基本的な5教科だけでも大変ですからね...」

雄星「いいよなー日菜は。勉強しなくてもいつも高得点だし」

日菜「えー?勉強なんてシュババーン!ってやったらすぐできるよ!」

雄星「シュババーンはよくわからんけど、その才能は俺に分けて欲しいわ」

 

そんなことを話しながら勉強を進めていった。わからないところは教えあったりしながら、成績上位を狙う。

テスト勉強週間はこんな感じだ。あとはしっかり結果が出れば文句ない。

そして、期末テスト初日。この日は基本的な5教科のテストだ。

 

雄星「いよいよだな」

麻弥「これまでやってきたことを今日出し切りましょう!!」

雄星「そうだな」

日菜「雄星くん、今日はずいぶんと気合が入ってるねー!」

雄星「当たり前だろ、今日と明日終わったら1学期は終わりみたいなもんやし」

HR担任「みんな席につけよ」

 

出席番号順に座り、問題用紙と解答用紙が配られた。最初は社会のテスト、すなわち日本史と世界史、地理公民の混合型テストだ。

 

HR担任「チャイムなるまで静かにするように」

 

キーンコーンカーンコーン

 

HR担任「では、始め」

 

一斉に紙をひっくり返す音が聞こえてきた。苦しい2日間の幕開けだ。

 

雄星「うーん、日本史はすぐできたが...世界史と地理公民がわからん」

麻弥「あ!ここは教えていただいたところです!」カキカキ

日菜「(シュババーン!)もう終わっちゃった!」

雄星「えっと、これの答えは...太平洋ベルトだったっけ」

 

日本史はものの10分で終わった。だが、それ以外のやつが難しい。あれだけ勉強したはずだが...

 

雄星「あ、ここは日菜に教えてもらったところだ。答えは内閣だな」

HR担任「あと1分だ。間違いがないか今一度確認するように」

雄星「え、マジかよもう49分も経ったのか」

 

俺は急いで穴になっているところに答えを書き込んだ。

 

キーンコーンカーンコーン

 

HR担任「はい終わり。答案用紙を回収しよう」

雄星「社会終わったな」

麻弥「おふたりはどうでしたか?」

雄星「たぶん日本史以外全滅。あれは勉強してても難しかった」

日菜「あたしはすぐ終わっちゃったけどねー。シュババーン!ってやったら45分余っちゃった!」

麻弥「さすが日菜さんです...!!ジブン、ちゃんとできているか心配です...」

雄星「麻弥はあれだけ勉強したんだ。絶対大丈夫だと思う」

 

1限目から非常に疲れた。

その後にあった2限目の数学も、3限目の英語も、4限目の国語も、5限目の理科もなんとか空欄を埋めただけで高得点は期待できそうにもない。

 

雄星「やばいな。割とマジで日本史以外まずい気がする」

麻弥「そ、そんなに落ち込む必要ないですよ!?」

雄星「まあ終わってしまったものは仕方ないから明日に切り替えよ」

 

そんなこともあって、実技系教科は絶対高得点を狙う為に必死に勉強した。

おかげさまでオールしてしまった。

 

雄星「クッソ眠いな」

日菜「目にクマができてるけど寝なかったのー?」

雄星「ああ。せめて残りの4教科で点を稼ごうと勉強した結果よ」

麻弥「す、すごいですね...」

雄星「とにかく始まるけん席につこうか」

 

残り4教科。俺は必死に眠い目を擦りながら問題を解いていく。

 

雄星「ああ、ここはこうだったな」

 

必死に勉強したとはいえ、実技系教科は昨日よりはマシな問題が多く非常に解きやすかった。

そして、

 

キーンコーンカーンコーン

 

短いようで非常に長かった期末テストの終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

雄星「ふぁぁ、ようやっと終わったよ」

麻弥「お疲れ様でした!!」

日菜「おつかれー!」

雄星「実技系は高得点いけそうだな。基本的教科はお察しだけど」

日菜「早く結果が知りたいなー!」

雄星「日菜はそんなん知らんでもどうせ100点満点だろ」

 

 

翌日、テスト返却の時間がやってきた。実技系は全て80点以上だったから及第点と言える。だが、

 

雄星「日本史は98点。文句なしだけど...」

日菜「雄星くん日本史以外のテスト点数低いね!?」

 

そう、日本史は非常に惜しかった。でもそれ以上に他の教科の点数が酷いったらありゃしない。赤点じゃなかっただけマシか。

 

雄星「数学49点...半分も言ってないやん...って麻弥!?」

麻弥「ジブン数学で満点取ってしまいました!」

雄星「麻弥にも負けた...はぁ」

麻弥「雄星さんは一時期学校来れませんでしたし、これは仕方ないです!」

雄星「慰めてくれてるのか俺を煽ってるのか...よくわからん」

 

まあそんなこともあり、期末テストは幕を閉じた。

ちなみに、家に帰って母さんにぶち怒られたのは言うまでもない。




期末テストに限らず、テスト系は嫌ですよね...自分も嫌でしたが、夢の為に必死に勉強しました。まあそれでも平均点しかとれませんでしたが。


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第21話「1学期終了と雄星へのオファー」

前回のおさらい

1学期も終盤に入り、期末テストを受けることになった。中間テストでの結果を踏まえ、より必死に勉強したものの日本史以外の4教科は全滅してしまった。しかも麻弥は数学で満点取っており、悔しい期末テストとなった。


期末テストも終わり、夏休みが近づいてくる。そして、今日はその夏休み開始を告げる1学期の終業式だ。だが、今年の夏休みは勉強に明け暮れるだろう。なぜならば、今年俺たちは受験生であるからだ。

 

HR担任「今から終業式が始まるが、校長先生の話をよく聞きながらこの1学期を振り返ってもらいたい」

雄星「いよいよ1学期も終わりか。なんかあっという間だったな」

麻弥「ジブンにとって、この1学期はとても濃い時間でしたよ!」

日菜「あたしも、今までの学校生活でるんっ♪てくるものだったよ!」

直己「俺も、長島と会ってなかったらくそつまんない学校生活だったかもしれないぜ!」

雄星「まあ俺もこの学校に来てから一番楽しかったな。それは日菜と麻弥、それに直己がいてくれたおかげかな」

HR担任「それじゃあみんな、体育館に移動するぞ」

 

夏の体育館は非常に暑い。扇風機が何台か置いてあるが、全くと言っていいほど扇風機の効果はない。むしろ熱風をこっちに吹きかけてくるようで逆効果だ。

 

校長「みなさん1学期本当にお疲れ様でした。新たに男子生徒も加えて初めての1学期でしたが、みなさんが一生懸命頑張る姿を見れてとても喜ばしいことです。これから夏休みに入りますが、みなさんにはこれまで以上に勉強に部活、そして遊びに励んでもらいたいと思います。この夏休みを有意義に過ごして、2学期の始業式でお会いしましょう。」

 

ああ、なんて素敵な校長なんだ。前いた高校の校長は何を話してるのかよくわからんかったしな。

その後生徒指導の先生から夏休みについての過ごし方などを話してもらい、校歌を歌って終業式は終わった。

教室に戻り、少しばかりの休息の時間。

 

HR担任「長島いるか?」

雄星「はい」

HR担任「校長先生がお呼びらしいから、ちょっと校長室行ってきなさい」

直己「まさか長島!お前何かやらかしたのか!?」

雄星「んなわけあるか。とりま行ってくる」

 

なぜ校長が俺を呼ぶんだ。てか俺になんの用事があるんだというのだろう。

疑問を抱いたまま、校長室に入る。

 

雄星「失礼いたします」

校長「ああ、長島君。突然呼び出してすまないね」

雄星「いえ、全然」

 

校長室には校長先生の他に見知らぬ男性2人がいた。その2人の手元には何かの書類らしきものが置いてあった。

 

校長「まあそこにいてもあれだし、こっちに座りなさい」

雄星「では失礼いたします。しかし校長先生、この方たちはどなたでしょうか?」

校長「ああ紹介が遅れてすまなかったね。Jリーグのレオーニ山口の石田康宏ゼネラルマネージャーと、監督の宮下晋二さんだよ」

石田「レオーニ山口の石田です。今日は突然すみません」

宮下「監督の宮下です。よろしくお願いします」

雄星「長島雄星と申します。よろしくお願い致します」

 

レオーニ山口はJ1リーグに所属するプロサッカーチーム。毎年有望な若手選手を集め、予算が少ない割にしっかり結果を残しているチームだ。地元ということもあって俺も応援にはいっていた。しかし、レオーニ山口が俺になんの用事があるんだというのか...

 

校長「実はね、長島君に対してレオーニ山口さんの方から獲得のオファーを貰ってね」

雄星「え?僕にですか?」

石田「はい。以前体育の授業でサッカーをやってたと思います。そこで偶然目にしまして、長島君のプレーはぜひうちに欲しい選手だなと思いまして」

雄星「いやしかし...僕はサッカー経験は浅いですし、あの時のプレーはたまたまでしたから...」

宮下「僕は長島君とサッカーがしたいんです。長島君をいずれは日本代表選手として育ててあげますよ」

 

あの時俺が誰かに見られていたのが石田さんか宮下監督のどっちかであるなら、辻褄があう。

しかし、俺はものすごく考えていた。サッカー経験の浅い俺に対してJリーグのチーム、しかも地元山口からオファーが来たことはとても喜ばしいことだ。だが、仮に入団ともなれば、来年以降麻弥や日菜、直己ともお別れしなければならない。

 

石田「もし悩まれているようであれば、一度うちの練習に参加しませんか?それで少しでも雰囲気をつかんで貰えればと思います。」

雄星「...少し、考えさせても宜しいですか?」

石田「わかりました。親御さんとも相談しながら、決めてもらえればと思います。一応、私の連絡先をお教えしますので」

雄星「ありがとうございます」

 

俺は石田さんから電話番号を教えてもらい、校長室を後にする。

 

雄星「失礼いたしました」

 

嬉しさと悩み、両方かかえたまま教室に戻った。

 

麻弥「おかえりなさいっす!」

日菜「おかえりー!何があったのー?」

雄星「実はレオーニ山口というJリーグのチームからオファー貰ったんだよな」

日菜「え!?それ本当!?」

雄星「しーっ!声がでかい...」

日菜「あっ!ごめん...」

麻弥「雄星さん!すごいじゃないですか!!」

雄星「確かにすごいことだけど...でも仮に入団ともなればみんなとおさらばしないといけないんだよな...そうなれば麻弥とずっと一緒にいるという約束も破ることになるし...」

麻弥「雄星さん...!ジブン、仮に入団するのであれば雄星さんがプロのサッカー選手として頑張る姿、ぜひ応援させてください!!」

雄星「いやしかし、それだと麻弥との約束を...」

麻弥「確かに、あの時の約束を果たすことができなくなるのはとても残念ですが、雄星さんが頑張る姿を見てジブンも頑張りたいって思うんです!」

雄星「麻弥...!」

日菜「あたしも、雄星くんがサッカーで頑張るところ見てみたいなー!」

雄星「日菜...!」

 

一呼吸おいて、こう続けた。

 

雄星「まだ入団するかはわからないけど、練習のお誘いも貰ったし、一回練習参加してみるよ。それで、入団するかの判断をしようと思う」

麻弥「本当ですか!ジブン練習見学に行きますね!!」

日菜「あたしも行くー!」

雄星「でも、パスパレの仕事の方が大事なんじゃないか?」

日菜「あたしがマネージャーさんに休み貰うように言っておくよ!!」

雄星「そうか。くれぐれも仕事に影響のないように休みもらうようにな」

麻弥「雄星さんの練習風景、楽しみですね!!」

日菜「いーっぱい写真撮って雄星くんに見てもらおう!!」

雄星「こらこら、練習場来ても写真撮影するなよ」

 

俺と日菜、麻弥との間で笑いが起きる。オファー貰ったのと練習参加するとはいえ、2人は快く俺を送り出そうとしてくれている。感謝してもしきれない。

その後1学期最後のホームルームも終え、

 

HR担任「ではみんな、夏休み気をつけて過ごすように」

 

こうして、俺の1学期は予想だにしなかった形で終えることになった。

家に帰ってから、母さんにも報告した。

 

母「あら、レオーニからオファー貰ったのね」

雄星「それで母さん、俺練習参加してくる」

母「練習参加ね...くれぐれも怪我だけはしないように気をつけるのよ?」

雄星「わかってる。練習は1週間後にあるからね。あと家は山陽小野田の友達の家に泊めさせてもらうことになったから」

母「そう?だったら母さんも安心だわ」

 

母さんも納得してくれて良かった。親父にはまだ話してないけど、きっと了承してくれるだろう。

あ、そうだ。石田さんにも言っておかなきゃ。

そう思い、スマホを取り出して石田さんに報告した。

 

雄星「すみません、今度の練習参加させていただきます」

石田「そうですか。少しでも興味を持ってくださって光栄です。練習は小野田サッカー場でやりますので、来週の10時に来てください」

雄星「わかりました。よろしくお願い致します。失礼致します」

 

今年の夏休みはプロサッカーチームの練習参加という史上最大のイベントになりそうだ。




この回をもって1学期終了です。
次回からは夏休み編いきます。


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夏休み
第22話「練習参加」


前回のおさらい

期末テストも無事終わり、1学期が終わろうとしていた。そんな中、地元・山口のJリーグチーム「レオーニ山口」から入団オファーが届いた。悩んだ末に、俺は練習参加することにした。


夏休みに入って2日目、練習参加のために山口に戻る準備ができ家を出ていた。

 

雄星「いよいよ始まるのか...まだプロになるとは決めていないが、少しでも進路の選択肢を広げるためにはありだな」

 

キャリーバッグに物を詰め込んだため、パンパンだ。

バスと電車を乗り継ぎ、羽田空港についた。

 

「ただいまより、山口宇部行きの搭乗手続きを開始します。ご搭乗のお客様は、指定のゲートまでお越しください。」

 

アナウンスで宇部に行く飛行機の搭乗手続きが始まった。練習場は空港の隣にある山陽小野田市というところにある。そのため、アクセスには困らない。

と、その時だった。

 

麻弥「雄星さーん!!」

雄星「麻弥...!」

 

麻弥が走って俺のところにやってきた。

 

麻弥「本当に、行ってしまうんですね...!」

雄星「ああ、でも練習参加が終われば俺は東京に戻ってくる。これだけは約束したい」

麻弥「ジブン、パスパレのお仕事がお休みのときは山口まで行って、雄星さんの活躍見ます!」

雄星「ありがとう、それじゃあ行ってくる」

 

別れ際に、麻弥と軽く抱擁を交わしゲートを通った。

 

麻弥「(雄星さんなら、羽丘学園初のJリーガーになれます!しばしのお別れですが、ジブン応援してます!!)」

 

飛行機に乗り込み、指定の座席に座る。

30分後、羽田の滑走路を走り飛び立った。

 

雄星「(直己、日菜、麻弥、そして母さん、親父、行ってきます)」

 

やることは特になかったため、飛行機内のWi-Fiを使って試合とか全部見返してみることにした。

アグレッシブに、攻撃的なサッカーをやる山口のサッカーは見てて楽しいんだよな。それを俺が体験するとなるとますます楽しみだ。

 

1時間半経った頃、山口宇部空港に到着。

 

雄星「帰ってきたな...ただいま山口」

 

時間は8時50分だった。ここからバスに乗り、練習場に向かった。

 

雄星「よし...着いたな」

 

そこに、宮下監督と石田さんがやってきた。

 

石田「よくきてくれましたね。早速案内します」

雄星「はい、お願いします」

 

石田さんに案内され、ロッカールームにやってきた。既に荷物で溢れかえっているため、所属選手はもう集合しているようだった。

 

石田「これが長島くんのウェアです。個人管理になるのでそこだけお願いしますね」

雄星「ありがとうございます」

宮下「それではグラウンドに向かいましょうか」

雄星「宜しくお願いします」

 

グラウンドでは選手が散らばっていた。

 

宮下「全員集合!」

 

一斉に選手が集まってきた。

 

宮下「今日から数日間うちで練習することになった、長島雄星君だ。東京の高校からわざわざやってきてくれた。それじゃあ、一言もらおっか」

雄星「初めまして。この度東京の羽丘学園より練習参加させていただくことになった、長島雄星です。地元が山口で、プロスポーツチームの練習に参加させて頂けて光栄に思います。色々とご迷惑をおかけすると思いますが、その時はご指導頂けると幸いです。宜しくお願い致します」

 

周りから温かい拍手が送られた。

 

宮下「みんな、宜しく頼むな。それじゃあランニング行くぞ!」

 

はいっ!!

 

監督の指示で、ランニングを始めた。

結構ハードなものかと思ったらそこまでハードではなかった。

 

宮下「よし、ストレッチしたらペアを組んでボールを回そう!」

 

ストレッチを入念に行い、ボール回しをする。

 

雄星「えーっと、ペアは誰がいいんだろうか...」

宮下「長島君は今回初めてだから、今あそこでボールもらってる白鷺凌太と一緒にやりましょう」

雄星「凌太さんですね。了解しました」

宮下「凌太!!今日は長島君と一緒にやってくれないか?」

凌太「わかりました」

雄星「よろしくお願いします」

凌太「こっちこそよろしくね」

 

俺は凌太さんと一緒にやることになった。

 

凌太「長島君ボールの扱い結構上手いね。サッカーの経験ある感じ?」

雄星「少ししかないです。この前学校でサッカーやったんですけど、その時にたまたま宮下監督と石田さんが見に来られたみたいで」

凌太「ミヤさん(宮下監督)らしいね。あの人は有望な若手選手を育てるの本当にすごいから、もし長島君が入団するとなればすごい選手に育てると思うよ」

雄星「とんでもないです。そういえば、白鷺さんって大学から山口に来た感じですか?」

凌太「うん。俺は東京の体育系の大学からミヤさんにスカウトされてここに来たよ。山口から育っていった選手はみんな他のJ1のチームや海外でもプレーしてるよ」

雄星「そうなんですね」

 

凌太さんと話しながらの練習は学校生活と同じぐらい楽しい。俺のくだらない話もしっかり聞いてくれて、人柄の良さがすごくわかるいい選手だった。

 

宮下「よし!次はゲーム形式の練習やるぞ!!」

 

はい!!

 

監督が適当にチームを振り分け、俺は凌太さんと同じチームになった。また、俺のチームには元日本代表のDF山田雅之もいた。

 

凌太「山田さんいるからちゃんとやらないといけないって思うかもしれないけど、今日は最初だしあまり気負いせず楽しもう。その方がチームの雰囲気にすぐ馴染めるよ」

山田「凌太の言う通りだな。一緒に頑張ろう」

雄星「はい。よろしくお願いします」

 

ゲームは15分×2本で行われる。

 

凌太「長島君、あとは任せるよ」

雄星「はい!」

 

凌太さんからボールを貰い、シュートに持ち込む。相手GKにはじかれてしまった。

 

凌太「いいシュートだったね」

雄星「とんでもないです。白鷺さんがいいボール出していただいたおかげですよ」

宮下「(ボールへの反応とシュートへの積極性...やはり本物だな)」

 

その後ゲームは0-0で終わったものの、周りからの評価は思った以上に高い物だった。

 

凌太「お疲れ」

雄星「ありがとうございます」

凌太「他の選手も言ってたけど、長島君結構上手いねってさ」

雄星「そんなことないですよ。まだ1日目ですし、プロとの差を強く感じた1日でした。でも、思ったんです。まだ入団を決めたわけではないですが、ここで上手くなって恩返しがしたいと」

凌太「そうか。長島君なら絶対上手くいくと思うよ」

雄星「ありがとうございます。では、ここで失礼します。お疲れ様でした」

凌太「お疲れ様。また明日ね」

雄星「はい」

 

宮下「今日の練習はどうでした?」

雄星「すごく楽しかったです。みなさん良くしてくださって、あまり緊張せずに練習に望めました」

宮下「長島君がそう言ってくれると、こちらも嬉しいです。今日一緒だった凌太も、最初はこんな感じで練習参加して、後に入団決めてるんですよ」

雄星「そうなんですね。でも僕も今日やってみて、少しだけですが入団という方向に傾きました」

宮下「おお。それはありがたいです。明日も練習あるのでよければ来てください」

雄星「もちろん、明日も差し支えなければ参加させていただきます」

宮下「それじゃあ、今日は疲れたでしょうからゆっくり休んでください」

雄星「ありがとうございます。それでは、ここで失礼します。お疲れ様でした」

 

俺はグラウンドを後にし、お世話になる友達の家にお邪魔した。

その夜、俺は麻弥と電話していた。

 

雄星「今日は最初だったからそこまできつくなかったな」

麻弥「そうなんですね!ちなみにどんな選手がいたんですか?」

雄星「元日本代表の選手だったり、あとは大学から来た選手もいて、今日はその選手と練習した感じ」

麻弥「おお!元日本代表の選手と練習できるって憧れですね!!」

雄星「まあ俺もびっくりしたよ。でも、みんな優しいし楽しいからもうしばらくやってみようと思う」

麻弥「頑張ってくださいね!!あ、明日から3日間お仕事がおやすみなのでパスパレのみんなと山口行きますね!!」

雄星「なんでパスパレみんなで来るんだ...まあいいや、来てもいいよ。指定の場所で見学できるからあとで教えるよ」

麻弥「ありがとうございます!では、ジブンは失礼しますね!!」

雄星「ああ。おやすみ」

 

電話も終え、ベッドで眠った。明日も練習頑張るぞ。



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第23話「パスパレ練習見学!」

前回のおさらい

山口に戻ってきた俺のレオーニ山口での練習が始まった。1日目はチームの雰囲気に慣れるということで楽しみながら練習を行なった。その夜、麻弥からの電話で、パスパレのみんなが練習見学に来るということになったが...


麻弥「おはようございます!!」

日菜「おはよー!」

イヴ「おはようございます!」

彩「おはよう!」

千聖「おはよう、みんな」

 

ジブンたちは今、羽田空港にいます!なぜかと言いますと、今から雄星さんに会いに行くんですよ!!

 

千聖「麻弥ちゃん、山口行きの飛行機はどこから出るのかしら?」

麻弥「えっと、あそこのゲートから出ますよ!早く行きましょう!!」

 

手続きを終えて、いよいよ飛行機に乗って山口に向かいます!!楽しみですね!!

 

ーーーーーーーーーー

 

今日も練習に行くため、カバンを片手に市道を歩いていた。今日はどんな練習メニューなんだろうか?非常に楽しみだ。

 

雄星「おはようございます」

宮下「今日も練習、頑張りましょう」

雄星「はい。よろしくお願いします」

 

そこに、凌太さんがやってきた。

 

凌太「今日も練習来たんだね」

雄星「はい。昨日の夜から早く練習したいと思いまして、うずうずしてました」

凌太「あはは。でもその心意気は素晴らしいと思うよ。今日もよろしくね」

雄星「はい。こちらこそよろしくお願いします」

 

まだ練習開始まで少しある。俺は軽くジョギングすることにした。

 

ーーーーーーーーーー

 

飛行機に乗って1時間半後、山口宇部空港に到着しました!ここからバスに乗って、雄星さんがいる練習場に行きます!

 

麻弥「ついに!!やってきましたよー!!」

日菜「あたしと麻弥ちゃんは修学旅行以来の山口だね〜」

彩「そういえば、麻弥ちゃんと日菜ちゃんは山口来たことあったんだよね?」

麻弥「はい!あのときは雄星さんにいろいろ教えてもらいながら観光しました!また来ることができて嬉しいです!!」

千聖「確か、麻弥ちゃんから教えてもらったのはこのバスに乗っていけばいいって話だったわよね?」

麻弥「あ!千聖さん!そのバスは行き先が違いますよー!!」

日菜「千聖ちゃんって本当にのりかえが苦手だよね〜」

イヴ「マヤさん!あのバスですか?」

麻弥「あれですね!!行きましょう!!」

 

バスに乗り、いよいよ出発です!!

 

ーーーーーーーーーー

 

宮下「今日も練習頑張るぞ!よしランニング!!」

 

はいっ!!

 

昨日と同じくランニングから入り、ストレッチをやってボール回しに入った。

 

雄星「白鷺さん、今日もよろしくお願いします」

凌太「うん、よろしくね」

 

今日も凌太さんにお願いしてボール回しをやることにした。

 

凌太「そういえば長島君って高校どこだったっけ?」

雄星「東京の羽丘学園です」

凌太「羽丘ね...確か俺の妹の友達がそこに行ってるんだよね。たぶん長島君と同級生だった気がすると思うよ」

雄星「そうなんですね。ちなみにその同級生の名前ってわかったりします?」

凌太「うーん...名前までは思い出せないかな。ごめんね」

雄星「いえいえ、こちらこそ突然変なこと聞いてしまってすみません」

 

凌太さんの妹さんの友達が俺と同じ羽丘に通ってるのか。しかも同級生とな。初耳だ。今度麻弥と日菜に聞いてみよう。

 

ーーーーーーーーーー

 

バスに乗って数十分、ついに練習場に到着しました!!

 

千聖「ここが練習場なのね?」

麻弥「はい!ここで雄星さんは練習してるそうですよ!!」

日菜「ねえねえ!早く行こうよー!」

麻弥「ですね!早速行きましょう!!」

 

雄星さんに教えてもらった見学スペースに行くと、多くの人が練習を見ていましたよ!

 

彩「今はボールを回す練習をやってるのかな?」

麻弥「ですね!!基本ペアを組んでやるとおっしゃってました!!」

日菜「よーし!たくさん写真撮っちゃおー!」

イヴ「ワタシも、ユウセイさんを熱く応援します!!」

麻弥「イヴさん、ここは練習場なので声を出しての応援は控えましょう!!選手の皆さんに迷惑かかっちゃいますし!」

千聖「日菜ちゃん、あの人が長島さんじゃないかしら?」

日菜「あ!あれが雄星くんだよ!!おーい!!」

 

ーーーーーーーーーー

 

「おーい!!」

 

誰かの声が聞こえ、その方向に振り向くと麻弥や日菜がいた。また丸山さん、若宮さん、白鷺さんもいた。

 

凌太「どうしたの?」

雄星「いえ、何でもありません。すみません」

凌太「まあいきなりおーいって声が聞こえたら振り向いちゃうよね」

雄星「そうですね。あ、続きをお願いします」

凌太「もちろんだよ」

 

日菜...ここは練習場だから少しおとなしくしてくれよ...そう思いながら練習を続けた。

 

宮下「よし!今日はひたすらシュート練習といこう!」

 

はいっ!!

 

コーチがボールを出し、それをシュートに持っていくというものだ。もちろんGKと1対1だ。

 

コーチ「よし、行こう!」

 

いいボールが来た。あとはゴールを狙うだけ。

 

雄星「いっけぇぇぇえ!!」

 

ゴール左隅を狙ったが、悉く読まれてしまった。

 

凌太「惜しかったけどいいシュートだったよ」

雄星「ありがとうございます」

 

ーーーーーーーーーー

 

麻弥「あーっ!惜しかったです!!」

彩「長島さんさすがだよ...プロの選手と同じぐらいに見える...!」

千聖「しかし、ここの監督さんはよく長島さんをスカウトできたわね...」

麻弥「監督の方ともう1人の方がたまたま雄星さんを見に来て、オファーを出したそうですよ!!」

彩「す、すごい...長島さんにはぜひプロになってもらいたいね!」

 

ーーーーーーーーーー

 

宮下「よし、午前のトレーニングは以上!ゆっくり休んで午後も頑張ろう!」

 

はいっ!!

 

午前の練習が終わり、麻弥たちに会いに行くことにした。

 

雄星「まさか本当に来るとは思ってなかったな。よく来たな」

麻弥「もちろんですよ!!あの時の約束忘れていませんでしたし!」

雄星「そうか。あ、丸山さんと若宮さん、白鷺さんもようこそおいでくださいました」

彩「麻弥ちゃんに誘われて見学に来てしまいました...!良かったです!」

雄星「そんなことないです。まだまだここから頑張っていくのみです」

凌太「お、長島君の知り合いかな?」

雄星「はい。僕の学校の友達です」

麻弥「よろしくお願いします!」

日菜「よろしくねー!」

凌太「こちらこそ。ってあれ?なんで千聖も来てるの?仕事は?」

 

「「「「「え?」」」」」

 

凌太さんから驚愕の一言が出てきた。

 

千聖「仕事がおやすみだったからみんなで長島さんの練習を見に来たのよ。そしたらお兄さんが長島さんと一緒に練習してたじゃない」

雄星「え?白鷺さん(凌太)、千聖さんのこと知ってるんですか?」

凌太「うん。だって千聖は俺の妹だからね」

 

「「「「「えぇぇぇぇぇぇ!?!?!?」」」」」

 

彩「千聖ちゃん、私初耳だよ...」

雄星「うん、自分も初耳ですよ」

イヴ「まさに『寝耳に水』です!!」

雄星「若宮さんちょっと使い方が違う気が...」

凌太「まあ千聖が来たならしょうがないね。ちなみに、長島君はよく頑張ってる。周りからの評価も高いよ」

麻弥「あ、午後の練習見学しても大丈夫ですか?」

凌太「大丈夫だと思うよ。一応スタッフに確認してみた方がいいかもね」

麻弥「わかりました!!」

雄星「それじゃあ、俺は一旦休憩するからまた後でな」

 

俺と凌太さんはクラブハウスに戻って休憩と軽く昼食を取った。

 

日菜「しかし、千聖ちゃんにお兄さんがいたなんて知らなかったな〜」

千聖「お兄さんはプロサッカー選手になるって言って体育大学から山口に行ったのよ。4年生の時に監督さんにスカウトされて練習参加して、そのまま入団が内定になったわ」

麻弥「でも、雄星さんにしろ千聖さんのお兄さんにしろ監督のスカウト能力はすごいと思います!!」

千聖「そうなのよね。お兄さんが1年目のときから能力を遺憾なく発揮したおかげで、他チームからオファーがあったの。でも『俺は山口で代表になってやる!』って言ってて、ずっと山口でプレーしているわ。ある意味『諦めの悪い』お兄さんかしら」

彩「さすが千聖ちゃんのお兄さんだね。私も見習わないとなぁ...」

千聖「彩ちゃんはまずライブトークでのミスをなくさないといけないわね」

彩「うぅ...一番言われたくないところ突かれたよ...」

 

ーーーーーーーーーー

 

雄星「しかし、白鷺さんの妹さんがまさかの千聖さんだったなんて、思っていませんでした」

凌太「千聖はね、子役時代から活躍してたんだ。そこから女優だったりアイドルになったりとね、いろいろ頑張ってる。まさに俺の誇りの妹だよ」

雄星「実は僕、一回千聖さんのライブに行かさせていただいたことがありまして」

凌太「お、千聖のライブか。どうだった?」

雄星「はい、ベースを弾きながら歌ってファンを盛り上げてましたよ。流石プロのアイドルだなと。僕には到底できないです」

凌太「長島君に千聖の魅力知られてしまったか。これは参ったな。あはは」

雄星「よし、午後の練習も頑張りましょう。よろしくお願いします」

凌太「うん、こちらこそ宜しくね」

 

俺と凌太さんは再びグラウンドに向かった。

 

宮下「午後はひたすら走って体力をつけるぞ!!」

 

はいっ!!

 

ひたすら走った。体力をつけて90分走れる選手になれるためだ。

途中休憩も挟みながらではあるがかなりキツかった。だがこれもプロの選手は当たり前のようにこなすんだろうな。

 

 

17時になったところで、練習が終わった。

 

宮下「よし!今日は終わりだな!たくさん走ったからゆっくり体を休めるように!明日は午後のトレーニングのみだけど自主練したい人は午前中来てもいいぞ!以上!」

 

リカバリートレーニングをやってその場に仰向けになった。

しばらく落ち着いてからクラブハウスに戻ろうとしていた。そこにはまだ麻弥たちがいた。

 

雄星「ハァ...ハァ...疲れた」

麻弥「お疲れ様です!」

雄星「ありがとう、ってまだいたのか」

日菜「当たり前だよ!!せっかくの休みだもん!雄星くんの頑張る姿、最後まで見ないとね!!」

雄星「そうか。もう今日は終わりだから帰るけど、みんなはどうするんだ?」

麻弥「今日はホテルを予約してますのでそこに泊まります!!」

雄星「ホテル泊まるのか。だったらみんなで飯食いにいくか?」

日菜「え!いいの!?」

雄星「もちろん。あ、丸山さんと若宮さん、千聖さんと白鷺さん(凌太)もどうですか?」

凌太「長島君からのお誘いね。俺でも良かったらいいよ」

千聖「お兄さんが行くなら、私も行くわ」

イヴ「ぜひ行かさせていただきます!!」

雄星「よし。あとは丸山さんの返答だね」

彩「私もいいんですか?」

雄星「もちろんですよ。せっかく東京から来てくれましたし、みんなでいろいろお話しましょう」

彩「はい!お言葉に甘えますね!!」

雄星「これで決まりですね。では、準備してくるのでちょっと待っててください」

 

20分後、シャワー浴びてサッパリした俺と凌太さんはパスパレメンバーを連れて近くのご飯に行った。

学校生活やパスパレでの活躍、凌太さんの山口での生活の話などで話が進んでいった。

 

雄星「じゃあこれで失礼します。お疲れ様でした」

凌太「うん。また明日ね」

雄星「はい。ありがとうございます」

 

時刻は19時を回っていた。

俺は凌太さんとパスパレメンバーと別れ、友達の家に向かった。

 

ーーーーーーーーーー

 

雄星さんとお別れして、ジブンたちはホテルに向かっていました!!

 

麻弥「皆さん今日はどうでしたか?」

彩「私は楽しかったよ!麻弥ちゃん誘ってくれてありがとう!」

イヴ「ワタシも、普段見れないサッカー選手の練習を見ることができて、カンシャカンゲキです!」

日菜「あたしも〜!雄星くんの活躍がみれて楽しかったな〜」

千聖「長島さんの練習見学が目的だったけれど、それ以上にお兄さんが頑張っているところも見れて、私としても山口に来て良かったわ」

凌太「千聖にそう言われるとちょっと恥ずかしいな。てか千聖もホテルに泊まる感じ?」

千聖「もちろんよ。麻弥ちゃんが予約までしてくれたもの」

彩「あ!ホテル着いたよ!」

麻弥「ここですね!!」

凌太「ここに泊まる感じか。それじゃあみんな、今日はゆっくり休むんだよ」

イヴ「チサトさんのお兄さんもお気をつけてください!!」

凌太「ありがとね。みんなにまた会えるといいな。俺はこれで失礼するよ。おやすみなさい」

 

「「「「「ありがとうございます!!!!!」」」」」

 

千聖さんのお兄さんとお別れして、ホテルに入りました!!今日一日、雄星さんの練習が見れて、いろんなことが知れて良かったです!!

雄星さん、千聖さんのお兄さん、ありがとうございました!!!

 

ーーーーーーーーーー

 

私は石田GMと長島君について話していた。

 

石田「長島君、この2日間よくやってくれてると思いますね」

宮下「おそらく今まで見てきた選手の中でもひときわ伸び代がある選手だと思っています。私としてはぜひ入団してもらいたいものです」

石田「それは私も思っていますよ。あとは、彼の判断を待ちましょう」

宮下「そうですね。明日からも来てくれるそうです」

石田「おお、うちとしてはかなり有難いことですね」

宮下「では、私はこれで失礼します」

石田「お疲れ様でした」

宮下「(長島君、山口で共に成長していきましょう。私は入団決定を心待ちにしておりますよ)」

 

そう思いながら、クラブハウスを後にした。




結構長くなった...
イヴちゃんの登場回数が少ないのは申し訳ないです...

2021/1/19 追記
本作第22話、第23話にて登場した白鷺凌太君と千聖さんを描いた小説「妹に誇れる兄になるために」を投稿致しました。そちらも読んでいただけると幸せます。


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番外編
番外編その1


日菜「今日は番外編だよ!」

麻弥「そうですね!今からこの物語に出てくるオリジナルキャラクターについての紹介をしていくっす!」

日菜「あたし、このオリジナルキャラクターと話をしてて、るんっ♪ってくるよ!」

麻弥「ジブンも、この人たちとお話しするのが楽しいんですよ!フヘヘ...!」

日菜「それじゃあ時間も時間だから、早速紹介するよ!」

 

1 長島雄星(ながしまゆうせい)

日菜「この物語の主人公で、ごく普通の高校生!元々は山口の高校に行っていたんだけど、お父さんのお仕事の関係で通っていた高校を途中退学せざるを得なくなり、羽丘のある街に引っ越してきた、という設定だって!スポーツ神経抜群で、サッカー部に所属していたそうだよ!勉強はまずまずといったところらしいよ!雄星くんにはあたしや麻弥ちゃん、後述の直己くんと絡みながら成長していってもらえればという作者からの願いが込められてるよ!」

 

麻弥「では次にこちらの方のご紹介です!」

 

2 三宅直己(みやけなおき)

麻弥「雄星さんの友達ですね!初めてのホームルームで仲良くなり、なにかと雄星さんに絡んでくるようになるっす!また、日菜さんやジブンとの仲もよく、雄星さんを含めた4人でしばしば行動を共にすることもあるそうですよ!直己くんもスポーツが得意で、野球部に所属しています!雄星さんとは違ってとても元気いっぱいなんですよ!」

 

日菜「2人ともスポーツが得意なんだね!」

麻弥「そうらしいですね!」

日菜「じゃあさ、この2人に登場してもらおうよ!」

麻弥「今この場に呼ぶんですか!?」

日菜「うん!!雄星くん、直己くん来てー!」

 

雄星「面倒くさいなぁ...」

直己「俺はいいと思うけどな!」

麻弥「では、お2人とも自己紹介をお願いするっす!」

雄星「はいはい、えーこの物語で作者に主人公の役割を与えてもらってます長島雄星といいます。宜しく」

日菜「なんか雄星くん緊張してない?」

雄星「いやこれが俺の通常運転やから」

麻弥「あはは...では次に直己さんですね!」

直己「おう!俺の名前は三宅直己って言うんだ!みんなよろしくな!」

日菜「直己くん元気いいねー!」

直己「日菜ちゃんサンキュー!長島とはえらい違いやろ!」

雄星「ちょっと直己これ終わったら裏に来い」

直己「あーごめんごめん、ちょっと調子に乗りすぎちゃったw」

麻弥「今の2人のやりとりからも、仲の良さが伺えますね!」

日菜「だよね!」

麻弥「では、この物語を読んでくださってる読者様に、お2人から一言メッセージをお願いできますか?」

雄星「メッセージね。えっと、この物語は皆さんに少しでも楽しんでいただけるように、僕らも(小説内で)頑張っていきますので応援を宜しくお願いします。」

直己「みんなには日菜ちゃん、麻弥ちゃんの可愛いさや頑張る姿を見てもらいたいな!そのためには俺と『自称主人公で何の取り柄もない長島』でしっかりサポートしていくから、応援よろしくな!」

雄星「お前には出演NGにしてもらうように作者に言っとくわ」

直己「なんで!ごめんってそんな怒んなよー!」

日菜「あはは!2人ともおもしろーい!!」

麻弥「では時間もそろそろですし、今日はこの辺で終わりにしようと思います!」

日菜「これからも『アイドルとの高校生活』、よろしくねー!」




番外編その1ということでオリキャラ紹介でした。基本番外編では思ったことを書いていこうと思いますので宜しくお願いします。


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番外編その2

日菜「番外編のコーナー!!」

麻弥「始まりましたね!!」

雄星「またくだらんコーナー始まってしまったか」

麻弥「くだらないなんてことはないっす!!ジブンはとても好きですよ!!」

日菜「あたしもこの番外編はるるるんっ♪ってくるよ!!」

雄星「んで、今日はどんなことを話すんだ」

麻弥「なんでも雄星さんが最近始めたことがあるらしいですね!!」

日菜「今日はそのことについてトークしていくよー!!ゲストはこの人だよ!!」

直己「ちーっす!!長島がいるところに俺あり、どうも三宅直己です!」

雄星「帰れ」

直己「そんなこと言うなよ長島!俺とお前は出会った時から親友だろ!?」

雄星「そんなこと言った覚えは俺にはないな」

直己「なんでだよー!?」

麻弥「あはは...では早速スタートです!!」

 

日菜「雄星くん、最近フットサル始めたんだよねー?」

雄星「ああ、最近何か新しいことにチャレンジしたくてな、それで始めたのがフットサルなんだよ」

麻弥「雄星さんがフットサルを始めようとしたキッカケは何ですか?」

雄星「休みの日に◯ou◯ube見てたらサッカー系配信者の動画があってだな、それがたまたまフットサルの大会に参加して優勝してみたってやつなんだよ。それを見た時、『フットサル、やってみるのもいいかもな』って思ったのがキッカケだな」

日菜「フットサルっていいよね!サッカーとは違う面白さがあるし!」

雄星「まあ基本的にはサッカーみたいなもんよ。ルールが少し違ったりするぐらいか」

麻弥「そういえば直己さんってフットサルやったりするんですか?」

直己「フットサルはたまにやる!でもそれ以上に野球が好きだけどな!!」

日菜「あたしが聞いた情報によると、雄星くんフットサル初参加の日にいきなり2点決めてるんだって!!そして今日はなんと4点も決めてるんだよね!!」

直己「マジで!?長島お前短期間で6点も取ってるんかよ!!」

雄星「いや、全部シュート打ったらたまたま入ってしまったラッキーな得点やし」

麻弥「ほんとですか?ジブン、雄星さんがプレーしている動画があるので、みんなで見ましょう!!」

直己「麻弥ちゃんそれマジか!!見よーぜ見よーぜ!!」

 

 

動画視聴中...

 

 

直己「長島!ラッキーな得点とか言ってたけどそんなことないぞ!!野球やってる俺からみたら普通に上手いじゃねーか!!」

雄星「いや、マジでラッキーな得点なんだって」

日菜「初めて得点したシーン、るるるんっ♪ってきた!!」

麻弥「そうですよ!あの位置からシュート打って入るのなかなかできないですよ!!」

雄星「あれはパスコース塞がれてシュートを打つという選択肢しかなかったし」

直己「それでもあのシュートは難易度高いぞ!!」

日菜「雄星くん、フットサルを始めたということをあたしたちも知れて良かったよ!」

麻弥「ですね!というわけでここまでは、ジブン大和麻弥と!」

日菜「氷川日菜と!」

直己「三宅直己がお送りしました!」

麻弥「それではみなさん!!」

 

「「「またお会いしましょう!!!」」」

 

雄星「(このコーナー...もう御免だ...!)」




息抜きがてら番外編書きました。なんで番外編書いたか、明日まで考えといてください。ほなまた。


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番外編その3

新年企画ですはい。といっても新年の抱負を語ってもらうだけですけどね。


雄星「みなさん、新年」

日菜「あけまして!」

麻弥「おめでとうございます!!」

 

パチパチ

 

雄星「さあ、2021年を迎えたわけだけど、実感の方は?」

日菜「うーん、あたしは新年を迎えたって感じがしないんだよねー!」

麻弥「ジブンも、本当に新しい年になったのか実感が沸かないです!」

雄星「そうか、まあそれは置いといて、昨年は大変な年だったと思いますが、今年はみなさんにとって良き年になるよう我々『アイドルとの高校生活』出演者一同、心からお祈りいたします。さて、話を変えて新年を迎えたわけだし、ある企画を持ってきた」

日菜「おお!雄星くんが自ら企画を用意するなんて珍しいね!」

麻弥「一体どんな企画なんでしょうか?」

雄星「では発表しよう。題して」

 

2021年どんな年にしたいかスピーチしようのコーナー

 

日菜「へ?スピーチ?」

麻弥「スピーチ...ですか?」

雄星「うん、まあこのご時世だし騒がしいことはできないからさ、せめてどんな年にしたいかってのを話してもらおうかなと」

日菜「なるほどね〜」

雄星「じゃあまず俺からね。今年はより一層勉学に励みつつ、麻弥との恋愛をより深めていきたいな。あとは、思いっきりアイドルとの高校生活を思いっきり楽しんでいきたい。以上」

麻弥「それだけですか?」

雄星「まあ長々と喋ってもそんな興味ないだろうし。じゃあ次日菜いくか?」

日菜「うん!あたしはね、パスパレの仕事も勉強も頑張っていきたいかな!あと、たくさんポテトを食べたい!!」

雄星「あのさ、仕事と勉強の両立は素晴らしいと思うよ。でもポテトたくさん食べたいは自分の欲望であって新年の抱負と言わなくないか?」

日菜「あたしとしては去年この小説の中ではそんなに食べられなかったんだもん!!だからね、作者さんにお願いしてもっとポテト用意してって言ったんだ!!」

雄星「あとで作者にはポテト用意する必要は全くないと言っておくよ」

日菜「えー!雄星くんそれはひどいよ!」

雄星「じゃあ麻弥だな」

麻弥「はい!ジブンとしては日菜さんが言ってたように、勉強とパスパレ両方頑張っていきたいです!あとは...雄星さんともっといろいろやりたいことをやっていきたいです!///」

雄星「お、そうか。ちなみに俺と一緒にやりたいことってどんなことだ?」

麻弥「例えば一緒に食事をするとかですよ!今はこの世の中ですしできそうにないですけど、もしできる時があれば雄星さんの手作りご飯を食べたいです!」

雄星「そうか。検討しとくよ」

麻弥「ありがとうございます!楽しみにしてますね!」

雄星「ということで、今回は早いですがここまで。改めてになりますが、今年が皆さんにとって良き年になりますように。それではみなさん、」

 

「「「今年1年、よろしくお願いします!!!」」」

 

 

直己「あれ...俺、呼ばれてない...無念だぜ...」



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