からかい上手の高木さん 今度ばかりは… (もね王)
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からかい上手の高木さん 今度ばかりは…

はじめまして、初投稿です。
30オーバーのおっさんの妄想力と勢いで書いた作品になります。
お見苦しいかと思いますが、よければご覧ください。


「ねぇ西片、勝負しようよ。」

 

夕暮れ時、いつだったか石の水切り勝負をした河原で、わたしは西片に勝負をけしかけた。

 

今度ばかりは、負けちゃうかもなぁ…ふふっ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「高木さん、あの…い、一緒に帰らない?」

 

珍しく西片の方から誘われた。

まぁいつも誘ってもらってるというか、誘うようにけしかけてるんだけどね。

でも今回は純粋な西片の意思だ。

 

どうしよう…すごーく嬉しい!

 

すぐに返事をしたいところだけど…

悪い癖だと自分でも思うけど、からかいたくてしょうがない。

 

「ふぅん…西片、わたしと一緒に帰りたいんだぁ。」

 

「なっ!そんなこっ!………うだよ…」

 

「んー?聞こえないなぁ。」

 

「そうだよっ!」

 

「なにがそうなのかなぁ。」

 

「高木さん!」

 

あはは!

顔真っ赤にしちゃって。ほんとからかうの楽しいなぁ。

まぁ、今はこのくらいにしといてあげよう。

 

「ふふっ。いいよ、一緒に帰ろ。」

 

「…うん。」

 

 

 

 

私たちは川沿いの道を歩いていた。橋を渡る手前のあたり。

「遅くなっちゃったね、もう空が真っ赤だよ。教室の掃除手伝ってくれてありがとね。」

「別にいいよ…」

 

…?

何だろ、西片なんか思い詰めてる?

からかったときの反応はいつもと一緒だけど…

またなんか企んでるのかな?

うーん、いつもなら考えてることが手に取るようにわかるんだけどなぁ…

よし!ここはひとつ、からかってなに考えてるか聞き出してやろう!

 

「ねぇにし…」

「高木さん!」

 

話しかけようとしたら向こうから名前を呼んできた。いきなりどうしたんだろう?

 

「その…ちょっとそこで…その…話さない?」

「…うん、いいけど…」

 

今日の西片ほんとにどうしたんだろう?いつも以上に変な西片。

…もしかして…うーん、どうだろ?

 

わたしは西片に促されて河原の土手を降りて橋の下に向かった。

夕暮れ時なので橋の下は結構暗くなっていた。

 

「…女の子をこんな暗いところに連れ込んで、西片はなにを考えてるのかなぁ。」

「っ!べっ別に変なことはしないよ!」

「変なことってなに?西片は何を想像してたの?」

「なっ何にも想像してないから!」

「ほんとかなぁ。」

「もうっ!高木さん!」

 

あはは!

よかった、いつもの西片だ。

 

「ごめんごめん。で?何を話すの?」

「…うん。その…」

 

安心したのも束の間、西片はまた思い詰めた顔し始めた。

暗くてよく見えないけど…顔がなんか赤いような…

 

 

…なんとなくわかってた。西片ずっとそわそわしてたし、こんなシチュエーションだし、なんとなくはわかってたけど…

 

 

「高木さん!俺…」

「うん、なに?」

「高木さんの事、好きです!」

 

時間が止まった。

「好きです」って言葉が頭の中で何度も何度も繰り返されて…その意味が理解できたとき…

 

あぁ、宙に舞うってこういうことなんだな。

こんなに嬉しいこと今まであったかな?

前に西片に夏祭りに夏祭りに誘われたことがあった。あの時もすごく嬉しかったけど、今回はそれと比較にならない。

 

どうしよう…すごーくすごーく嬉しい!

 

すぐに返事をしたいのに…

わたしも好き、大好きって言いたいのに…

悪い癖、拗らせちゃった。

 

「俺と、つき…」

 

「ねぇ西片、勝負しようよ。」

 

「つきあっ…え⁈勝負⁈」

 

あ、今の西片の顔、面白いな。だいぶ混乱してるみたい。

まぁ告白したらいきなり勝負だもんね、そりゃそうなるか。

 

「西片が勝ったら、西片の言うこと、なんでもひとつ聞いてあげる。西片も、わたしが勝ったらわたしの言うこと、なんでも聞いてね。」

 

ま、勝っても負けても結果はおんなじなんだけど。

 

ほんとに悪い癖。自分でも呆れちゃうよ。

 

でもこの方がわたしらしくて…

わたしと西片らしくていいかなって。

なんて、素直になれない言い訳かな。

 

でも、西片は…

 

「…うん、わかった!受けて立つよ高木さん!」

 

…西片のこんなに自信に満ち溢れた顔、初めて見たかも。

…ちょっとクリティカル。

 

「で、何で勝負するの?」

 

西片の問いに、河原に落ちている石を拾って答えた。

 

「水切り勝負しようよ。」

 

ここは前にも、西片と水切り勝負をした河原。西片、川に落ちそうになったわたしをかばってずぶ濡れになってたな。懐かしい。

…それに水切り勝負以外にも、もう一つ。

 

「…いいよ!あの時のリベンジを果たさせてもらうよ!」

 

前はわたしが勝ったけど、今回の西片はなんだか手強そうだ。そう簡単には負けないけどね。

 

「前みたいなハッタリは通用しないからね、高木さん。」

「わかってるよ。わたし、先に投げていい?」

「どうぞ!」

「じゃあ…えいっ!」

 

ぽちゃっぽちゃっぽちゃっぽちゃん。

わたしの投げた石は3回跳ねて水に落ちた。

 

「3回かぁ、いつも通りかな。」

「ふふん!」

 

西片もう勝ったつもりでいるな。でも、そう簡単にはいかないよ。

 

「ちなみに西片は最高記録何回だっけ?」

「…15回くらい…かな。」

 

ふふっ。また見え張っちゃって。そんなんだからわたしにイジワルされるんだよ♪

 

「それなら、わたしの3回と15回を足して、18回水切りしたら西片の勝ちってことで。」

「エェェっ⁈」

 

あはは!

今いい顔したなぁ。楽しいなぁ♪

 

「だって普通にやったら絶対に西片が勝つでしょ?ちょうどいいハンデだと思うけど。」

「うっ!…うーん…」

 

俯いて悩んでる西片。流石にちょっと難易度高かったかな?

勝っても負けても結果は同じだし、いい顔も見せてもらったから、もう少し優しくしてあげようかな。

 

そう思って声をかけようとした時、しばらく俯いていた西片は顔を上げて言った。

 

「それでいいよ高木さん」

 

そう言うと西片は、少し選んで石を拾い、川のそばに立ち、こちらに振り向いて、わたしの目をじっと見据えてこう言った。

 

「俺、今度ばかりは絶対に勝つから。」

 

…今まで西片の表情は色々見てきた。

恥ずかしそうな顔も、悔しそうな顔も、悪だくみしてる顔も、たくさん見てきた。だけど…

こんなにカッコイイ顔は初めて見た。

 

今まで何度かあったけど…

間違いなく最高に効いた…

…クリティカル。

 

効きすぎてぼーっとしてしまっているわたしをよそに、西片は川の方を向いて構えた。

 

少し助走をつけて大きく振りかぶって投げた石は…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「すごいね西片。まさか向こう岸まで跳ねてっちゃうなんて。」

「…ま、まぁね…」

 

結果は言った通り、西片の投げた石は川の向こう岸まで届いた。しかし…

 

「まぁ、10回くらいしか跳ねなかったから、水切り勝負はわたしの勝ちなんだけどね。」

「うっ…うん。」

 

すごいとは思うし西片すごくカッコよかったし、正直負けでもいいと思ったけど勝負は勝負。

それではわたしは勝利者の権利を行使させてもらおうかな♪

 

「西片、わたしのお願い、聞いてくれるよね。 」

「…うん」

 

西片はなんだか照れくさそうに頷いた。わたしが何をお願いするか、なんとなくわかっているのかもしれない。

 

わたしは、西片が好きです。付き合ってください。

 

なんて。

 

言わないけどね。

 

やっぱり最初は西片に言って欲しいから…

 

西片の目を見つめて…

 

「西片がさっきわたしに言ってくれたこと、もう一回言って。」

 

西片は、夕日でも誤魔化しきれないほど顔を真っ赤にして、それでもわたしの顔から目を背けずに…

 

「おっ…俺…高木さんの、事が…好きです!俺とっ…付き合ってください!」

 

顔が熱い

 

涙が出てきそう

 

頭の中が

 

嬉しさで溢れかえってる。

 

「わたしも…西片のことが大好きです!これからも、よろしくね!」

 

わたしの返事に西片は、今まで見たことないくらいの満面の笑みで…

 

「うん!よろしくね、高木さん!」

 

ほんとに幸せな時間。

西片の見たことない表情が見れて。

西片に好きって言われて。

西片に好きって言えて。

 

「うん♪これからもいっぱいからかわせてね♪」

「えぇっ⁈そっち⁈」

「あっははは♪」

 

また出ちゃった、悪い癖。

 

でも、これがわたしと西片っぽいかな。

 

「帰ろっか、西片。」

「…そうだね。」

 

…あと一つ、残ってる勝負がある。

 

わたしは西片に手を差し出して…

 

「手、繋いで帰ろ。」

「えぇっ⁈」

 

大袈裟に後ずさりする西片。

 

…やっぱり恥ずかしいのかな?

まぁ今日西片いっぱいがんばってくれたし、ちょっぴり残念だけどこれくらいにしといてあげよう。

 

「恥ずかしがり屋なんだから。」

 

そう言って歩こうとした時、西方から手を繋いできてくれて…

 

「そ、その…俺たちもう…そういう関係だし…手繋ぐなんて、別に大したことじゃ…」

 

『そんなにわたしに勝ちたいなら、手繋いでくれたら西片の勝ちでいいよ。』

 

「…よかったね、西片。」

「ん?なに?」

「なんでもない♪それよりさ、わたしたち、そういう関係って、どういう関係?」

「なっ!そ、それは、あの、こっ恋人…」

「んー?聞こえないなぁ。はっきり言ってくれないとわかんないよ。」

「もうっ!高木さん!」

「あははは♪」

 

今度ばかりは、負けちゃったなぁ…ふふっ♪



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からかい上手の高木さん 今度ばかりは!

2回目の妄想の投稿です。
西片視点です。
お見苦しいかとは思いますが、よければご覧ください。


「高木さん!俺…」

 

夕暮れ時、いつだったか石の水切り勝負をした河原で、俺は再び勝負に出た。

 

今度ばかりは、絶対に勝つ!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「高木さん、あの…い、一緒に帰らない?」

 

うぅ…やっぱり自分から誘うのは恥ずかしい。

それに、俺から誘ったらきっと高木さんは…

 

「ふぅん…西片、わたしと一緒に帰りたいんだぁ。」

 

ほら来た!やっぱりからかわれたよ!

 

「なっ!そんなこっ!………うだよ…」

 

「んー?聞こえないなぁ。」

 

「そうだよっ!」

 

「なにがそうなのかなぁ。」

 

「高木さん!」

 

「あはは♪」

 

高木さんめぇ!

あははじゃないよまったく!

せっかく勇気を出して声かけたのに!

 

「ふふっ。いいよ、一緒に帰ろ。」

 

「…うん。」

 

…まぁいつものことだし、誘えたからいいとするか。腕立てのノルマは増えたけど…

 

「あぁ、でもわたし今日日直で教室の掃除あるけど…」

 

「待ってるからいいよ、なんなら手伝うし…」

 

…あっ!しまった!

 

「ふぅん…そんなにわたしと一緒に帰りたいんだぁ♪」

 

くそぅ!油断した!

また腕立てが増えてしまったぁ…

 

 

 

 

 

俺たちは川沿いの道を歩いていた。橋を渡る手前のあたり。

「遅くなっちゃったね、もう空が真っ赤だよ。教室の掃除手伝ってくれてありがとね。」

「別にいいよ…」

 

掃除中はずっとからかわれっぱなしだったなぁ…

よく考えたら絶好のタイミングだったのに…

最大のチャンスを逃してしまった…

ついでに腕立てのノルマも大きく増えた…

 

最近はっきり気付いた俺の高木さんに対する気持ち…

今日こそはきちっと伝えたい!

もうあまり時間もないし…

 

ええい!俺も男だ!

覚悟を決めろ!西片!

 

「高木さん!」

 

高木さんはキョトンとした顔で俺を見ている。

今ここで!…い、いや、流石に道のど真ん中は…

そうだ!あの橋の下にしよう!

 

「その…ちょっとそこで…その…話さない?」

「…うん、いいけど…」

 

 

俺は高木さんをつれて河原の土手を降りて橋の下に向かった。

夕暮れ時なので橋の下は結構暗くなっていた。これなら人に見られることもない。

 

ん?こんな暗いところに女の子を連れ込むのは…

 

「…女の子をこんな暗いところに連れ込んで、西片はなにを考えてるのかなぁ。」

 

し、しまったー!

 

「っ!べっ別に変なことはしないよ!」

「変なことってなに?西片は何を想像してたの?」

「なっ何にも想像してないから!」

「ほんとかなぁ。」

「もうっ!高木さん!」

 

くそぅ!…いや、今のは完全に俺の自爆だ。

というか、高木さんを不安がらせたらどうするんだ俺!

せっかく2人になれたのに!

 

「あはは♪ごめんごめん。で、なにを話すの?」

 

よかった、とりあえず不安がってはないようだ。

気を取り直して…

 

「…うん。その…」

 

言え!言うんだ俺!

昨日散々家で練習したじゃないか!お母さんに気味悪がられるほどに!

ここで伝えなきゃ男じゃない!

 

「高木さん!俺…」

「うん、なに?」

 

うおおおおおおおおおお!

 

「高木さんのこと、好きです!」

 

言ったああああああああ!

続けえええええええええ!

 

「俺と、つき…」

 

「ねぇ西片、勝負しようよ。」

 

「つきあっ…え⁈勝負⁈」

 

えっ⁉︎えっ⁉︎勝負⁉︎なにそれおいしいの⁉︎

 

「西片が勝ったら、西片の言うこと、なんでもひとつ聞いてあげる。西片も、わたしが勝ったらわたしの言うこと、なんでも聞いてね。」

 

い、いきなり勝負って…

全然理解が追いつかない!どういうこと…

…も、もしかして…フラ、れた、のか?

いやいや冷静になれ俺!まず状況を整理しよう。

俺は高木さんに告白した。

高木さんは勝負しようと言ってきた。

勝った方が負けた方になんでも一つ言うことを聞く。

…ううん、やっぱり少し理解が追いつかないけど、まだフラれたわけではなさそうだ!

 

というか、勝てば高木さんに言うこと聞いてもらえるんだから、勝てばいいじゃないか!

それなら…!

 

「…うん、わかった!受けて立つよ高木さん!」

 

今まではずっと負け続けてきたけど、この勝負は絶対に負けられない!

勝って俺の気持ちを…高木さんが好きだって改めて伝えるんだ!

 

「で、何で勝負するの?」

 

高木さんは石を拾ってこう言った。

 

「水切り勝負しようよ。」

 

そう言えばここは前にも高木さんと水切り勝負した場所だった。

あの時は勝負にも負けて、川に落ちてずぶ濡れになって、情けない限りだったなぁ…

…あとなんか忘れてるような…

まあいい!

 

「…いいよ!あの時のリベンジを果たさせてもらうよ!」

 

前は高木さんの心理作戦にまんまと嵌められて負けてしまったが、今回はそうはいかないよ!

 

「前みたいなハッタリは通用しないからね、高木さん。」

「わかってるよ。わたし、先に投げていい?」

「どうぞ!」

「じゃあ…えいっ!」

 

ぽちゃっぽちゃっぽちゃっぽちゃん。

高木さんの投げた石は3回跳ねて水に落ちた。

 

「3回かぁ、いつも通りかな。」

「ふふん!」

 

3回なら全然余裕だな!なんなら少しハンデをあげてもいいくらいだ!

高木さんにそう提案しようとした時。

 

「ちなみに西片は最高記録何回だっけ?」

「…15回くらい…かな。」

 

…ほんとは13回。前よりは記録が伸びたけど…15回'くらい'だから誤差の範囲って事で…

 

「それなら、わたしの3回と15回を足して、18回水切りしたら西片の勝ちってことで。」

「エェェっ⁈」

 

いやいや!ハンデをあげようとは思ってたけども!

流石に厳しい…

 

「だって普通にやったら絶対に西片が勝つでしょ?ちょうどいいハンデだと思うけど。」

「うっ!…うーん…」

 

…反論の余地がない。

くそぅ!見栄張るんじゃなかった!

ここはもう少し難易度を下げてもらうように交渉するか…

 

…いや、そんなんじゃカッコ悪い。

ただでさえここまで、情けない所を見せたんだ。

そんなんじゃ胸を張って高木さんに告白できない!

 

「それでいいよ高木さん。」

 

俺は水切りしやすそうな石を選んで川辺に立ち、高木さんの目を見据えてこう言った。

 

「俺、今度ばかりは絶対に勝つから。」

 

そうだ。勝つんだ!絶対に勝つんだ!

俺の気持ちを!高木さんに伝えるんだ!

 

少し助走をつけて大きく振りかぶって投げた石は…

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「すごいね西片。まさか向こう岸まで跳ねてっちゃうなんて。」

「…ま、まぁね…」

 

結果は高木さんの言った通り、俺の投げた石は川の向こう岸まで届いた。しかし…

 

「まぁ、10回くらいしか跳ねなかったから、水切り勝負はわたしの勝ちなんだけどね。」

「うっ…うん。」

 

勢い余ってちょっと遠くに飛ばしすぎた…

はぁ…負けてしまった…

しかも凄いのか残念なのかわからないちょっと微妙な感じで負けてしまった…

締まらないなぁ…

 

「西片、わたしのお願い、聞いてくれるよね。 」

「…うん」

 

高木さん、どんなお願い言ってくるんだろう…

…なんだか嬉しそうな顔してる気がする。

勝負に勝ったから?それとも…

…もしかして、高木さんも同じ…

 

高木さんは俺の目を見つめて…

 

「西片がさっきわたしに言ってくれたこと、もう一回言って。」

 

夕日で分かりにくいけど、高木さん顔が赤い?

…どうしよう…めちゃくちゃ可愛い。

じゃなくて!

さっき言ったこと…

…あ、あああ!俺の気持ち…!

た、高木さんめ!そう来るか!

え?でもそれって…そういう事?

 

…改めていうとなると、死ぬほど恥ずかしい…

いや!俺も男だ!高木さんの顔を、目をしっかり見て!言うんだ!西片!

 

「おっ…俺…高木さんの、事が…好きです!俺とっ…付き合ってください!」

 

やばい、全身が熱い!特に顔が熱い!

大丈夫か俺⁈ほんとに燃えてるんじゃないか⁈

高木さんは…

やっぱり顔が赤くなってる⁈目も潤んで…

 

「わたしも…西片のことが大好きです!これからも、よろしくね!」

 

時間が止まった。

「大好きです」って言葉が頭の中で何度も何度も繰り返されて…その意味が理解できたとき…

 

あぁ、俺今なら最強の魔王とかでもワンパンで倒せる気がする。

こんなに嬉しいことは今までなかった。

嬉しくて嬉しくてたまらない!

 

俺は嬉しさ余って満面の笑顔で…

 

「うん!よろしくね、高木さん!」

 

ほんとに幸せな時間。

高木さんとの勝負には負けたけど。

高木さんに好きって言えて。

高木さんに好きって言われて。

 

「うん♪これからもいっぱいからかわせてね♪」

「えぇっ⁈そっち⁈」

「あっははは♪」

 

….高木さんめ。

 

まあでも…

このほうが俺と高木さんらしいかな。

 

「帰ろっか、西片。」

「…そうだね。」

 

…なんだろう。

やっぱりなんか忘れてる気がする…

 

そんな事を思っていると、高木さんに手を差し出されて…

 

「手、繋いで帰ろ。」

「えぇっ⁈」

 

ええっと、流石に恥ずかしいと言うか、これ以上はほんとに燃えそうで怖いと言うか…

 

大袈裟に後ずさりしてしまった俺を見て、高木さんはこう言った。

 

「恥ずかしがり屋なんだから。」

 

笑ってるけど、少し残念そうな顔で…

 

…くそぅ!情けないぞ俺!高木さんにこんな顔させるなんて!

 

俺は先に行こうとする高木さんの手を取って…

 

「そ、その…俺たちもう…そういう関係だし…手繋ぐなんて、別に大したことじゃ…」

 

そ、そうだよ!別に手を繋ぐくらい…

手を、繋ぐ?

 

「…よかったね、西片。」

 

高木さんがボソッと何か言ったけど…

 

「ん?なに?」

「なんでもない♪それよりさ、わたしたち、そういう関係って、どういう関係?」

 

高木さんめええええ!

 

「なっ!そ、それは、あの、こっ恋人…」

「んー?聞こえないなぁ。はっきり言ってくれないとわかんないよ。」

「もうっ!高木さん!」

「あははは♪」

 

俺、今日何回腕立てすればいいんだろう…

 

今度ばかりは、勝ちたかったなぁ…



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からかい上手の高木さん 朝から…

3回目の妄想の投稿です。
西片視点です。
よろしくお願いします。


高木さんに告白した翌日…

 

「ふわぁぁぁ…」

 

学校に登校中、大きなあくびを一つ。

 

昨日の夜はテンションが上がりすぎてなかなか寝付けなかった…

 

ついでに言うと…

 

「イテテテ…」

 

上がりすぎたテンションを抑えるために、自分に課したノルマを大きく上回る回数の腕立て伏せをしてしまったために、筋肉痛に苛まれている。

もしかして俺はバカなんだろうか。

 

頭の中で高木さんに言われたある言葉が、何度も何度も繰り返される。

 

『西片のことが大好きです』

 

…ダメだ、なんかだめだ、俺今日もうだめだ。

 

めちゃくちゃ嬉しい。

 

だけどそれ以上に死ぬほど恥ずかしい。

今日高木さんに会ってもどんな感じで接していいか全くわかんない…

最初なんて話しかければいいだろうか…

俺、まともに会話できるだろうか…

あぁぁぁマジでどうしたら…

 

「おはよう、西方。」

「うわぁぁぁっ!」

 

高木さんに後ろから声を掛けられた。

大げさに驚いたおかげで…

 

ズキッ

 

「イテテテっ」

 

き、筋肉痛が…

 

「大丈夫?西片。」

「だ、大丈夫だよ…おはよう、高木さん。」

「うん、おはよう。腕立て伏せ、やりすぎたの?」

 

…なんでわかるんだろう?

高木さんは俺の顔を覗き込んで、いたずらっぽく笑い…

 

「テンション上がりすぎて、いてもたってもいられなかった?」

 

だからなんでわかるの⁉

 

「わかるよ。だって西片だもん。」

 

どういう理屈⁈

というかさらっと心読まないで‼

 

「わたしもおんなじだよ。」

 

高木さんは俺の顔をじっと見ながら…

 

「わたしも、ずっとドキドキしてたんだよ。」

 

…か、可愛い。やばい、超ドキドキしてきた!

高木さんもちょっと顔が赤くなってる?

 

「西片のほうが顔、赤いよ。」

「高木さんエスパーなの⁈」

「あっはははは♪」

 

高木さんめ!

あれ?よく見ると今日の高木さん…

 

「髪型、変えたの?」

 

いつものロングヘアーではなく、後ろで1本に束ねておさげにしている。

 

「うん、ちょっと変えてみたの。」

「そうなんだ。」

「ここで問題。」

 

い、いきなり⁈

 

「わたしはなんで、髪型を変えたんでしょうか?」

人差し指を立てて俺に問いかける。

いや、答えはまぁ、何となく察してはいるけど…

 

「ヒントは、今のわたしたちの関係性。」

ヒントっていうかほぼ答えだよねそれ…

 

「恥ずかしがらずにちゃんと答えてね。」

恥ずかしがらせようとしてる‼

 

「答えられなければ、『100%片思い』読んでること、言いふらしちゃうかも。」

罰ゲームがえぐい‼

 

「10、9、8…」

時間制限付き‼容赦ないな‼

 

「ちょっ、ちょっと待って‼」

「はい、西片。答えをどうぞ。」

「うぐっ!…こ、こい、恋び…」

「7、6、5…」

「恋人同士になったから‼」

くっそぉぉぉ!恥ずかしいぃぃぃぃ!

 

「うーん、80点。」

点数制だったの⁈

 

「100点の答えは…」

 

高木さんは、俺の目をじっと見据えて。

 

「西片の彼女になったからだよ。」

 

…あぁぁぁ熱い!顔が熱い!燃える!俺また燃えちゃう!

 

「あはははは♪西片顔真っ赤!」

「もう!高木さん!」

 

俺たちの関係は変わったけど、俺も高木さんも変わらないなぁ…

 

「ごめんごめん。で、どうかな、西片?」

「…似合ってるよ。いつもより大人っぽいというか…」

 

そういうと、高木さんはニィっと笑った。

こ、この顔は!

 

「ふぅん、西片はこっちのほうが好きなんだ。」

 

完全にからかうときの顔だ!

 

「い、今のはそういうことじゃなくて…」

「やっぱり、いつものほうが好き?」

「だから!そういうことじゃないって…」

「どっちのほうが好き?」

 

くっ!高木さんめ!また俺を恥ずかしがらせようとしているな!

そうはいかないぞ!

確か『100%片思い』に今の状況と似たようなシーンがあったな。

ふふふ!高木さん、返り討ちにしてあげるよ!

 

「どっちかなんて選べないよ…」

くらえ!高木さん!

「だってどっちも…」

 

キュートなんだから…

 

…なんて恥ずかしくて言えるかぁぁぁぁ!

 

バカだった!俺はバカだった!もしかしてじゃなくて間違いなくバカだった!

完全に自爆してしまったぁぁぁぁぁぁぁ…

 

た、高木さんは…

 

「ん~?」

 

めっちゃ笑顔!

面白いおもちゃ見つけた子供みたいなキラッキラした目してる!

この目をした高木さんからは…

 

「どっちも、なぁに?」

 

逃げられないよねぇぇぇぇぇぇ…

 

「ねぇ、どっちも、なぁに?」

「ぐっ…ど、どっちも…キ、キ…」

「キ?」

 

あぁぁぁぁぁもうなんていえば…

…ハッ!

 

「き、気に入ってるから…」

「…」

 

なんだこの間は⁈俺変なこと言った⁈いや言ったんだろうな!

高木さんポカンとしてるし…

恥ずかしすぎる!

 

「…ふぅん。西片は、どっちも気に入ってるんだぁ。」

 

高木さんがまたあの目に戻った!

まずい!畳みかけられ…

 

「つまり、わたしのことを気に入ってるってことだよね。」

 

そう来たか高木さん!

いや、気に入ってるどころか好きなんだけども!昨日告白したけども!

でもやっぱり恥ずかしい!

 

「ねぇ、どうなのかな、西片?」

 

ぐっ…ええい!こうなったらヤケだ!

くらえ!高木さん!

 

「…きだよ」

「ん?もう一回言って?」

「…好きだよ!どっちの髪型も!大好きだよ!」

「…」

 

あぁもう恥ずかしい!高木さんの顔見れない!

 

「えいっ!」

「ふぁっ!あひゃひゃ…イダダダダダ!」

 

高木さんがいきなりわき腹をつついてきた。

てか痛い!筋肉痛が!筋肉痛が!

 

「ひゃひゃひゃっ!や、やめて高木さん!わき腹は、イダダダダ!」

「えいっ、えいっ。」

「い、痛い痛い!ま、参った、参ったからやめてぇぇ!」

「い~や♪」

「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ…」

 

 

あ、朝から疲れた…



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